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85回国会参議院1978/10/09

予算委員会 第3号

発言数
501
登壇者
44
会派数
6
開催日
1978/10/09

会議録

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) ただいまから予算委員会を開会いたします。  昭和五十三年度一般会計補正予算  昭和五十三年度特別会計補正予算  昭和五十三年度政府関係機関補正予算  以上三案を一括して議題といたします。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) まず、参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。  昭和五十三年度補正予算三案審査のため、本日の委員会に税制調査会長小倉武一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 御異議ないと認めます。  なお、出席時刻等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。(「異議なし」と呼ぶ者あり)

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) それでは、これより質疑を行います。相沢武彦君。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 まず、経済問題からお伺いをいたします。  七%成長率について、土曜日まで行われた国会論議を聞いていますと、総理は、日本の経済状態がとても七%には追いつかないという現況なのにもかかわらず、何か総理お一人が七%だ七%だと言って、七%の幻想に取りすがっているような感じがしてならないんです。そこで、私は、七%成長が幻想にすぎないんだということをはっきりさせるために、達成が無理だと思われる項目、これを幾つか挙げまして、数値を確認しながらお聞きをしていきたいと思います。  まず、ことしの五月からの景気動向総合指数と八月の見通しについて、これらの数値を一体どう見ているのか、はっきりしてください。

岩田幸基経済企画庁調査局長

○政府委員(岩田幸基君) お答えいたします。  ことしの五、六、七月の動向指数でございますが、五月は六八・〇%、六月は二八・〇%、七月は四四%でございます。  なお、八月につきましては、まだ採用系列のうちの三分のぐらいしか数字が出ておりませんので、どういう数字になるか現在のところはっきりしたことはわかりません。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 総理、回復の傾向にあるのかどうかという、その判断はどうでしょうか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、国内的側面と国外的側面がありますが、国内的側面につきましては、個人消費も順調である、設備投資も政府が思ったような方向である、それから在庫調整、これも滑らかに進んでおる。特に公共投資、政府投資ですね、これが非常な勢いで伸びておる。ただ、心配しておりますのは対外的側面なんです。輸出が鈍化する傾向があるだろう、こういうふうに見ております。しかし、総合いたしまして、まあ大体七%成長、今度の補正などを加えますると大丈夫だと、このように確信をいたしております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 その点は後からじっくり論議したいと思うんですが、回復基調に変わりはないと判断しているようなんですけれども、それじゃ昨年の同月比と遅行系列の五十二年、五十三年、この五月、六月、七月の指数はどうなっていますか。

岩田幸基経済企画庁調査局長

○政府委員(岩田幸基君) お答えいたします。  昨年の五月でございますが、昨年の五月は四〇・〇、六月が一二・〇、七月が二八・〇ということでございます。そのうち遅行系列につきましては、五月が五七・一、六月が四二・九、七月が四二・九ということでございますが、ことしの五、六、七月の遅行系列につきましては、五月が四二・九、六月が一四・三、七月が二八・六ということでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 総理、いまの数字を聞いてもおわかりのように、去年と全く同じパターンを示している以上、三年連続下半期停滞のおそれは十分あると思うんです。去年は急激な円高で責任を転嫁されたんですが、ことしだって異常な円高のもとで企業の力というのは弱まっているわけですから、決して楽観できないと思うんです。この状態を見ても、さきの総理の答弁はちょっと楽観し過ぎているんじゃないか、どうもその点の総理の心理状態が理解できないんですけれども、もし停滞のおそれがないというなら、去年と比べて一体どこが違うんだということをひとつはっきりさせてください。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 去年は円高の傾向が非常に厳しく出てきたんです。下半期ですね。ところが、ことしは、私は、この円高問題、これまでの円高の影響は出てくるだろう、しかし、これから先また円高現象というものがそう激化するとは思わない。その点が非常に私は違う、こういうふうに見ておるんです。それにいたしましても、いままでの円高の影響がかなり出てくる、そこで、これまでの円高の影響が出てくるその影響を殺すというために補正予算を編成する、こういうことにいたしておるわけです。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 総理、思い出していただきたいんです。去年も一昨年と同じにはならないと言いながら、結局、下半期停滞して見通しを変えなきゃならなかった。そういうわけですから、経済の福田さんだということなんですが、どうも総理のお話もとんと信用できないわけなんです。  それじゃ総理府に伺いますが、個人消費について細かく尋ねたいんですが、一つは、家計調査の一月から六月までの一カ月間平均の消費支出がどうなっているのか。それから、同じく家計調査の一月-三月、四月-六月の四半期平均の実質消費。それから三つ目に、勤労者世帯の上半期平均消費性向。それから四番目が、四項目ありますけれども、実質収入、それから消費の支出、可処分所得、平均消費性向、これについて五月、六月、七月ですね、五十二年と五十三年の数値は一体どうなっているんでしょうか。

島村史郎総理府統計局長

○政府委員(島村史郎君) お答えいたします。  家計調査によります全国、全世帯の昭和五十三年一月から六月の上半期の一カ月平均の一世帯当たりの消費支出は十九万円でございます。で前年同期に比べまして名目で五・四%、実質で一・四%の増加となっております。  それからまた、全国世帯の五十三年一-三月の平均消費支出は十八万七千円、四-六月期は十九万三千円で、前年同期に比べまして実質で一・三月期が二・三%、四-六月期が〇・七%という増加でございます。  それから、お尋ねの五十三年の一-六月期の勤労者世帯の平均消費性向は八二・三%でございます。  なお、家計調査によります全国勤労者世帯の実収入は、昨年の同月に比べまして五月が九・七%、六月が六・七%、七月が六・二%の増加でございます。それから消費支出は、五月が四・五%、六月が五・〇%、七月が五・一%の増加でございます。それから可処分所得は、五月が七・二%、六月が五・七%、七月が五%という増加でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 総理、一見すると伸びているようなんですけども、実質消費の四半期の数値ですね、これは低下しているんですよ。それからまた平均消費性向も上半期として統計が整備されて以来これは最低なんですね、やはり。それから実質収入、それから消費支出などの四項目ですけども、この数値をグラフにあらわしてみたんです。この黒字の方は五十二年、赤字が五十三年ですけども、これいずれも落ち込んでいるんです。ですから、大幅に所得がふえたとか財布のひもを緩めるようになったとか消費意欲が高まったということじゃなくって、これは百貨店統計の伸び率が八・八%、このように一けた台で伸び悩んでいるというところはおわかりだと思うんですよ。したがって実態、個人消費というのは伸びているとは言えないわけなんです。経企庁長官、そこでこういった実績をどういうふうに判断されるんでしょう。明らかにグラフではこれ全部低下の傾向を示しています。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 何分にも石油ショック以後この一、二年、消費者の消費態度は非常に慎重でございますし、それから今年は、いわゆる春闘にいたしましても人事院勧告にいたしましてもかなり低うございました。で、それらのことから消費の伸びがかつてのように非常に十分だという感じはいたしておりません。けれども、経済が最悪事態を脱したということは一般に消費者も感じておるようでございますから、従来のようなとにかく先が非常に暗いので、買いたい物も控えよう、極端に控えようというような心理とは多少ずつは変わってきておるのではないか。今年は仰せのように夏の気候の影響もございましたので、これらはやや一時的な要因だとして引いて考えなければならない要素は私あると思いますけれども、まずまずかってに比べますと、ややこう底がたくなっているという程度に私は考えております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 物価の鎮静が実質消費の伸びの原因だという意見も中にはあるんですけども、物価が鎮静しているのは、ある程度の鎮静傾向を見せているのは、物が売れなくて、つまり消費者が買わないから自然に鎮静しているんであって、決していい傾向にあるんだというわけじゃないと思うんです。  国税庁に伺いますけれども、去年の民間給与の実態、これは一体どうなっているでしょう。それから、企画庁には、その実態を見て、ことしの生活レベルは一体去年並みなのか、それとも上昇すると見込んでいるのか、その点を伺ってみたいと思います。

磯邊律男国税庁長官

○政府委員(磯邊律男君) さきに国税庁が公表いたしました昭和五十二年分民間給与実態統計調査によりますと、昭和五十二年中における平均給与、これは一年を通じて勤務した者にかかるもので賞与を含んでおりますが、その平均給与は二百四十五万七千円でありまして、五十一年の二百二十八万九千円に比べて七・三%の伸びとなっております。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 国民所得統計によりますと、国民の実質消費でございますが、ことしの一-三月が前期に比べまして一・九%、四-六月が一・三%の増加、実質でございます。で、これに先ほど統計局からお聞き取りになりましたデータを加えてみますと、生活の実態ということをどうとらえるかによりますが、まあ実質消費でとらえてよろしいんではないかと思いますが、少しずつはよくなっているという程度の判断をいたしております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 どうも政府の答弁は苦しいと思うんですね。税務統計から見た民間給与の実態をいろいろ読みましたけれども、そんなに政府が考えておるほど楽観的な見通しはできないんじゃないですか。  総理、生活のレベルですよ、実質的に下がってくるのじゃないでしょうか。それからベースアップ率、これも大幅に見込めない、やはりだんだん下がってくる、こういうことを考えますと、一体、何をもって消費マインドを刺激するのが効果的なのかというところを考えなきゃならないと思うんですけれども、ひとつ総理の具体的なお考えを聞きたい。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 五十三年度は国民消費を実質五%をちょっと超える程度のものを見込んでおるんですが、これは各方面の資料を見る、また今後の展望もしてみる、それから政府のとる施策、これも加えて考えてみる、こういうことでもうこれは大体間違いない、こういうことでありますが、相沢さん、いろいろ御疑問を投げかけておられますが、ひとつ企画庁のそういう見方をしたその根拠、これを聞いてもらいたいと思うんです。うなずいていただけますかどうか、これは別といたしまして、政府はこういう根拠のもとにこういう計算をしたということをつぶさに聞いていただきますれば、あるいは御納得いくかもしらぬ、このように考えますが、いかがでしょうか。説明いたさせましょうか。

宮崎勇経済企画庁調整局長

○政府委員(宮崎勇君) お答えいたします。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 簡単でいい。

宮崎勇経済企画庁調整局長

○政府委員(宮崎勇君) はい。  GNPの最大の項目であります個人消費について申し上げますと、一人当たりの雇用者所得を、五十三年度は春闘が予想より低かったということで、当初の予想よりは低目の七・九%を前提にしておりますが、雇用者数が一・五%伸びますので、名目の雇用者所得は本年九・六%を見ております。その雇用者所得にさらに企業所得一丁三%程度の伸び、さらに財産所得の伸び等を勘案いたしまして、それから社会保障負担等を差し引きまして、家計の可処分所得で九・七%の上昇を見ております。それから平均消費性向を昨年度より〇・二%上昇すると見まして名目の消費を九・九%、それから物価上昇分を差し引きまして実質消費五・三%というふうに推計しております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 政府の方は数字をいろいろいじくって国民をごまかすんですけれども、先ほども言ったように、国税庁の調査によれば、不況下の昨年一年間にボーナスも含めて前年度比七・三%増、二百四十六万円の給与を手にした人が、消費者物価の方で八・一%も増加している、だから生活は実質的にダウンしているんだということを言っていますし、それから総理もたびたび経済論議を通じておっしゃっている中の考え方の一つに、個人消費支出の引き上げということは何か悪いことのように考えられているんじゃないでしょうか。もし本当にそのように考えられているとすれば、それは古い経済論にこり固まっているとしか思えないんですけれども、どうでしょう。それは後で結構です。  それで今度は民間ですね、設備投資の面からただしてみたいと思うんですが、ひとつ名目九・九%から一一%に上向き修正をしているんですけれども、その理由について明らかにしてください。それから二つ目には、電力の増加寄与率と電力を除いた全産業の伸び率はどうなっているか。それから三つ目に、輸出産業の投資の見通し。それから四番目に、去年の設備投資の経緯と実績、この四項目についてお答えください。

宮崎勇経済企画庁調整局長

○政府委員(宮崎勇君) まず五十二年度の民間設備投資について御質問がございましたのでお答えいたしますが、当初五十二年二月に年度見通しを作成いたしまして、その際は一二・二%になっておりました。その後、在庫調整が延びたというようなこと、あるいは円高等というようなことで、この当初の見通しを修正いたしまして、本年一月の段階で実績見込みは三%に下方修正いたしました。実績を見ますと、これは古い国民所得統計でございますが、四・四%となっております。  それから本年度につきましては、名目設備投資九・九%を今回一一・一%に引き上げておりますが、内容的に見ますと、当初は、製造業にもついて微増、それから非製造業について一四%程度の増加を見ておりましたが、今回は、製造業につきまして若干の減少、需給ギャップが依然として大きいというようなこともありまして、若干下方修正いたしました。それに対して非製造業の方を、電力を中心にいたしまして一八・四%程度伸びるということで計算してございます。なお電力につきましては、当初の見通しでは二〇%台でございましたが、今回の修正では約四〇%程度に修正しております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 結局、電力主導なんですけれども、総理、電力だってこれまでの誘発効果なんかもう出てこないと思うんですよ。それに輸出産業も輸出量減額修正していますね。これで昨年度実績の二倍強に当たる実質八%、これは本当に達成できると思っているんでしょうか。もしそうだとしたらそれは全く甘い判断だと言わざるを得ないと思うんです。達成可能な理由をひとつ明らかにしてください。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まず、国民消費は着実に伸びておるということは、ただいま御説明申し上げたとおりであります。  それから設備投資、大事な問題でありますが、これは製造業ではまあ横ばい近いような状態で微増でございます。しかし、非製造業、特に電力を中心といたしまして大幅に伸びるわけであります。そういたしますとかなりの伸びを示す、こういう状態であります。それから住宅投資も、これは活発に動いておるわけであります。特に政府公共投資、これは大幅な本年度の予算、また今度の補正、こういうものを加えますると相当の伸びになる。落ちるものは何だというと対外的側面の輸出だけなんです。その輸出の伸び、これを軽視することはできない。  そこで、いままでの円高、それの今後に及ぼすところの影響、そういうものを考慮いたしますと、これは何らかの備えをしないと、これは七%はとてもできない、大体五・七%程度の成長にとどまるであろう、こういうことで七%成長に不足するところの一・三%、これを今回の補正、それからその他の総合経済対策によって補う、こういうことにしたんで、私は、これだけの手当てをいたしますれば、七%ちょっきりというふうに申し上げておるわけではございませんが、七尾程度の成長は可能である、このように確信をいたしております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 結局、企業は設備投資はもう当分控えようということになっているし、それから輸出産業にしても五業種が減額修正しているわけです。総理は電力にいやに過大な期待をかけていると思うんですけれども、これは無理だと思うんですね。さらに来年は電力の設備投資は伸びが著しく落ち込むんじゃないでしょうか。二年続きで判断すれば、もう線香花火的なものにしかすぎないと思うんです。いままで個人消費の問題、それから設備投資、この両面から景気の動向を論議したわけなんですが、依然として厳しい状況にあるということなんです。それは総理もおっしゃっているように、企業設備の実働、実質稼働率、これはもう八〇%いままだ割っているわけですから、それから考えたって、総理、余り楽観的な見通しはできないんじゃないですか。七%と言ったりあるいは七%程度と下げてみたり、しょっちゅうその辺揺れてますね、総理は。  ところで、総理、あなたは景気回復の特効薬は公共投資しかないように思い込んでおられるようなんですけれども、ここで私は公共事業費の全国枠一〇%を占めています北海道に例をとって分析しながら質問してみたいと思うんです。  ここに、東北開発公庫と日本開発銀行の調査による設備投資計画の資料がありますけれども、投資動向を見ますと全国の一五・三%増に比べて、北海道の場合はそれぞれ八・八%、それから七・三%と、このように増加率というのは非常に低いんですね。この点、総理はどのような判断をされますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) マクロにしか申し上げられませんけれども、やはり北海道の場合、鉄鋼、造船、紙パルプ、おのおの問題のある業種をかなり鉱工業生産では抱えておるということが一つ問題点ではないかと思っております。他方で、建設関係であるとか、あるいは農業はことしは決して悪くないようでございますけれども、ただいま申し上げました三つを中心とした業種の落ち込みが北海道経済に大きく影響しているのではないかと、マクロでございますけれども、そう見ております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 総理は全くお答えになられませんし、経企庁長官も余り具体的自信を持った御答弁ができないようです。また電力の寄与率を見ましても三八・二%、電力を除く全産業の場合は北東公庫の調査では前年度比七・七%マイナスなんです。ですから、ここでもやはり電力主導の設備投資であって、産業間の格差というのは広がる一方なんですよ、そんなことじゃ景気刺激にはほど遠い現状だと思うんです。  さらに、総理は公共投資は雇用問題の解決になるんだ、大変有効だ、こうおっしゃるんですけれども、それじゃ有効求人倍率で見ると一体どうなっているのか、ことしの七月を見ますと、北海道は前年水準をわずか上回った程度なんです。しかも全国平均が七月に〇・五六、これに対して〇・三九、こう低い。しかもことしの四月の〇・七六から見ますと大変落ち込んでいるわけですね。ですから、決して全国枠一〇%も北海道に公共投資をされているけれども、雇用の面でもそんなにさしたる改善がなされてない、改善されたとは言えない。また、あの地域には二十八万人に及ぶ季節労働者が冬期間の生活不安におびえながら現在働き、暮らしております。総理、国の公共事業の一〇%をつぎ込んでいるこの地域がこういう状況なんですよ。私は何も公共投資が全く効果がないんだと、このように否定しているわけじゃございません。総理の言うように、公共投資が景気回復あるいは雇用拡大に非常に効果があるんだと言うならば、こういう現状を一体どのように御説明されるんでしょう。また、こうした厳しい雇用の実態が、総理の言う公共投資で、また今回の補正予算でどのように改善されるのか、はっきりお答えいただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 政府の方ではしばしば申し上げているんですが、いまとにかく変動の時代でありますから、業種間の格差、それから地域間の格差、これはとにかく相当のものがある。しかし、何よりもまず、そういうものに着目をしなきゃならぬというので、今度いろいろ補正のお願いをいたしておりますが、しかし同時に、国全体の需要の増勢に努めなきゃならぬ。そこで、ことしは無理をして七%成長を実現しようと言うんですよ。七%成長を実現いたしますれば、とにかく来年の三月、この時点におきましては操業度が八三%ぐらいは行きそうだ。まあ八三%の操業度といいますと、好ましい操業度というのが八五、最低、そういうふうに言われるわけです。八五の操業度の好ましい水準がもうすぐ目の前に見えるという状態になるわけです。  で設備投資がいま何で不振であるかと言いますと、この操業度が十分でないからなんです。つまりデフレギャップがある、設備過剰がある、そういう際に、新たに職場をつくる、そういうことは考えられませんから、そこで雇用問題に重要な影響があるわけでありますが、操業度がそういうふうにとにかくもう水面すれすれのところまで行く、こういうことになれば、その先、水面に需要が出てくる、こういうことが期待できるわけでありまして、ですから、そういうことになると、設備投資が始まり、そして雇用情勢にも大きな情勢変化が来るわけでありまして、いま非常に苦しい時期なんです。ですから、この苦しい時期を何とかつないでいかなきゃならぬというので公共事業を起こす、私は公共事業以外にそう有効に、しかも短期間に雇用を起こすという道はそうはないと思うのですよ。まあ公共事業ということになれば、雇用を喚起する、これはだれが考えても考えられることじゃないかと思いまするが、同時に、それが需要を喚起して、そして企業の操業度、これを向上させる、そういう効果にもなり、先々の明るい展望につながっていく最も有力なる手段である、手法である、このように考えておるわけです。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 総理からせっかくいろいろな御答弁ですけれども、ただ、高度成長期と違って、公共投資中心の景気対策はそれほど誘発効果は持たなくなってきているんだということをひとつはっきり御認識いただきたいと思うのですよ。  それから、総理、ここに最近の民間調査機関による成長率の予測がいろいろ出ておりますけれども、それによると、大和証券が四・七%、それから日本経済研究センターが四・八%、それから日経新聞の経営者アンケート、これによりますと九〇%近くが七%成長は否定しております。総理はこの予測をどう思われますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それがいつの時点の調査か私は承知しておりませんけれども、政府が今度補正予算を編成する、それから、これと並行いたしましていろんな不況業種対策、中小企業対策、地域対策、いろんなものを推進するということをつぶさに検討されておるのかどうか。私どもは、それらの総合対策によりまして、とにかく七%程度の成長は実現できる、またする、こういうふうに考えております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 それじゃ六カ月たって七%成長が実現できなかったら、一体どんな責任をとられるのですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 七%程度の成長は責任を持ってこれを実現いたしまするし、もしそれが実現されなかったという際には、どうぞ責任を追及していただいて結構でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 追及していただいて結構ですというのは、これまでの繰り返しじゃありませんか。私は、政治家が責任を持つ、しかも一国の総理がこの大事な経済問題、皆さんの意見をなかなかお聞きにならないでおっしゃるんですから、責任を持ちますというのは辞任をするという決意でお述べになっているんだと思ったら、そうじゃないんですか。もっともそのときおやめになろうと思っても、今度の総裁選挙で再選されるかどうかわかりませんけれども、はっきりしてください。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 責任を持って七%程度の実現をいたす、こういうことを申し上げれば、それで十分でありませんか、それ以上何を言うことがありますか。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 その「程度」という言葉は、七%を大きく下回っても「七%程度」だったんだと、こう言い逃れをされるんだろうということを私予測しておきます。  そこで、景気回復には個人消費の拡大がどうしても必要なんですが、それには一兆円の減税が必要なんだとわれわれは主張をしてきたわけですが、一兆円が総理の言われるようにインフレを引き起こすほど需要拡大になるというのならば、景気対策として有効な手段なんだということが言えると思うんですけれどもね。また、一兆円の減税の財源にしても、政府はもう頭から国債増発によるんだと、こう決め込んでいるようですけれども、不公平税制の是正とか総理がおっしゃっている行政改革あるいは補助金の整理、こういうことに政府が本気になって取り組んでやれば、財源は幾らでも生まれ出てくるんじゃないでしょうか。国債増発以前の問題を全く無視して、財源がないから減税できないんだということは私どもとしては納得できないのですが、その辺いかがですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 減税となると一般財源が要るんです。これは。今度二兆五千億円の事業規模の補正をやる、この場合に一般財源はそうたくさん使わないことは皆さん御指摘のとおりであります。ところが、これから一兆円の減税をやりますとなると、一般財源をどうしても使わなきゃならぬ。そういう際には、いま相沢さんがお話しのように、税制の改正というか不平等税制という問題もあります。しかし、同時に国債の増発という問題もあるわけです。このいまの現状から考えまして、年度途中で減税をいたしまして、果たして一兆円の財源が増税によって調達できるか。つまりいわゆる不平等税制の是正といったって、これは増税ですよ。増税となりますればそれだけまた購買力を抑制するわけです。そっちの方で。ですから、景気政策問題として考えるとき、増税によって減税をするということは、右の方で減らして左の方ではふやす、こういうような性格のものでしょう。私は、それによって景気政策が進められるというふうには思いません。  それじゃ、仮に少しぐらいの増税、不平等税制の是正をやる、しかし、大方は国債の増発にある、こういうことになりますと、これは後年度にずっとその尾を引いていくわけです。減税というもの、これはやっぱり何じゃないでしょうか、このいまの財政の状況から見ますと、大変問題じゃないかと思う。いまわが国が求められていることは、ことしの景気問題だけじゃないんです。これは。来年も再来年も再々来年もこの経済秩序を維持していかなきゃならぬ。しかも、わが国においては景気政策をまずとにかく進めなきゃならぬ。景気政策をある程度まで進めますれば、民間の方で需要が起こってくるんですよ。金が必要だ、設備投資のための資金を金融機関に出せ、こういうふうになってくるんです。そこへもっていって、さあいま赤字財政だ、そのために公債を発行しなけりゃならぬ当分の状態です。その公債、これの立場から、政府の方でおれの方に金をよこせ、こういうことになる。そうすると、政府も金をよこせ、あるいは民間も金をよこせ、これが競合するというような事態になる。これは非常に深刻な状態です。そういうような先々のことも考えなけりやならぬ。  そういうことを考えますと、一時的な支出、つまり建設公債、これは景気がよくなればいつでも引っ込めて公共事業を抑えますよ、そういうことができるんだ。ところが、赤字公債、つまり経常的な費用の財源、これは一度経常支出をふやしますれば、これを抑えるということは将来なかなかむずかしい。そういうようなことを考えまするときに、いま国のこの中長期の社会の秩序の維持、財政の状態、そういうものを考えるとき、いまここで減税をするということは私はとうてい考えられない、財政論から言って。まして、先ほども申し上げましたが、減税で雇用がすぐ増大できますか、あるいはすぐ物の需要が出てきますか。そういうようなことを考えますと、これはこの際は公共事業の方がいいんだと、公共投資の方がいいんだと、このように考えるわけでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 減税しろと言うと、すぐ増税とか国債発行と、こう言われるんですが、その前にやることをやらないでおっしゃるのはけしからぬ、こういうことを私申し上げているんです。  今度の補正予算も含めた景気対策でも、総理が予想しているほど景気が回復しない、そして七%成長達成が困難だ、こうなった場合、当然二次補正が必要になってくると思うんです。どうもその可能性が高いと思うんですが、この二次補正を組まなきゃならなくなったどきには、総理は、その際、減税も含めた対策をお考えになるんでしょうか、よく考えてひとつお答えください。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいま二次補正ということは考えておりません。もとより財政金融ですね、これからの変転する国際情勢の中の経済運営でありますから、これは機動的な、弾力的な対処をしなきゃなりませんけれども、ただいまこの時点において第二次補正ということは考えておりません。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 七%成長というのは景気を回復させ雇用を増大させるためのものだと思うんですね。しかし、総理のこれまでの御答弁を聞いていますと、全く失望せざるを得ないんですが、しかも多くの国民が望んでいた一兆円減税、これを否定したばかりか、本来は最初から計上をするべきだったと思うんです。失業給付金の延長、それから教育費の軽減、また不況対策の拡大、こういったことを野党攻勢の隠し玉に使うようなやり方というのは私は卑劣だったんじゃないかと思うんです。こうした政府の姿勢、これは国民を愚弄するものだということを強く指摘して、私はこの経済問題から次の問題に移りたいと思います。  円高差益還元問題と政府の対応策についてただしていきたいと思うんですが、ことしに入って現在までの円高倒産、これは一体どれぐらい発生しているでしょう。  それから、国税庁がサラリーマン所得白書を発表されましたけれども、従業員千人以上のところと三十人未満の平均給与はそれぞれ幾らになっているでしょうか。

左近友三郎中小企業庁長官

○政府委員(左近友三郎君) 本年に入りましてからの円高による中小企業の倒産件数を申し上げます。  一月から三月の一-三月期で三十八件、四-六月期で三十三件、七-九月期で六十八件ということで、最近ふえております。

磯邊律男国税庁長官

○政府委員(磯邊律男君) 先ほどの調査によりますと、昭和五十二年中を通じて勤務した者の平均給与は、従業員千人以上の事業所では三百二十六万二千円、従業員三十人未満の事業所では二百十二万五千円となっております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 そうしますと、この円高による倒産はこれからもふえ続けると考えなきゃいけないと思うんです。  それからまた、大半のサラリーマンが物価上昇に追いつかないでぎりぎりの線まで節約しながら生活していらっしゃる。その上に一兆六千億円にも及ぶ公共料金値上げの負担増、これを強いられている現状だと思うんです。これで一体国民生活を守り得るんでしょうか。減税はやらない、それから公共事業による景気回復も見通しが暗いんだと、こうなってきますと、現在の時点で、せめて政府は円高差益の還元によって国民生活を少しでも向上させよう、こういう努力を一生懸命するべきだと思うんです。この点いかがでしょう。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 政治の目的は、国民生活の安定、これがもとより一番大事なことです。そういう立場から言いますと、物価の安定、これがかなめです。第一のかなめです。第二のかなめは、これはパイがふえるというか、ふところがふえる、こういうことであります。  そこで、いま円高の差益の問題に触れられましたが、わが国のこの貿易構造は、申し上げるまでもございませんけれども、八割までが原材料なんです。消費財といいますか、完成品はわずかに二割である。そこで、原材料の輸入、これに対しましては、大体これは国家統制はしておりませんから、自由経済原理のもとで動くということになりますが、これはもう相当国民経済に還元をされておるわけであります。この一年間に実にマイナス三・六%の下落をしておる。先進諸国、これもみんなそれぞれアメリカのドル下落の影響を受けておるわけです。ですから卸売物価は相当下がっていいはずなんです。そういう中で、ただひとりわが国だけが卸売物価が三・六%も下落しておる、これは国民経済にそれだけ非常に大きく物価面といたしまして貢献をいたしておる、こういう状態でございます。それが回り回ってまた消費者物価の方にも動いてくるわけなんです。  消費者物価の動きはどうだというと、昨年はとにかく八%年度間上昇率だった。それがいまこの一年間におきましては四%の上昇で動いておる。こういうことは、これは卸売物価の影響というものがかなりこれまた響いておるんです。  同時に、わずか二割ではありまするけれども、消費財の動向はどうだと、こう言いますると、これは企画庁が中心となって各省各庁協力をいたしまして、その値動きにつきまして監視態勢をとっておるわけであります。しばしば現地調査もする、これからは毎月毎月やる、こう言っておりますが、そういうことで、円為替が上がってきたその影響がフルに動くように努力をいたしておるわけです。  問題は、政府が関与する料金価格なんです。これにつきましても、電力、ガス、これは割引をいたすということに決定したことは御承知のとおりでありますが、その他のものにつきましても、これは差益で価格をどうするかということは、これはなかなかむずかしい問題が多々あるんです。つまり円高で物価が下がる要素もあれば上がる要素もあるんですから、それを捨象すると、そう簡単にはいきませんけれども、航空料金につきましてもただいま検討中である。電信電話料金、これはそう大きな差益はありませんけれども、これも政府においてはどういうことができるか検討中である。それから牛肉、これも統制というほどではありませんけれども、国家管理の面があるわけでありますから、これにつきましてもできる限りこれを下げるようにという努力をいたしておる。もとより農村、畜産農家を擁護しなきゃならぬという一面もありますが、それらも念頭に置きながら、何ができるかということ、かなりそういう施策は進めておりまするけれども、この上ともその施策が進むようにという努力をいたしておる、こういうことで、円高の国民経済への還元、これは大局においてはかなり進んでおる、このように御理解願います。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 しきりに卸売物価が昨年同期比三・六%下がるんだと、こうおっしゃっていますが、物価局長、消費者物価への影響調査はどの程度やっているんですか。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○政府委員(藤井直樹君) 卸売物価への影響につきましては、直接効果がございまして、全体としてマイナス三・六%のうちで四・二%程度が為替レートの関係から出てきておるものでございます。これが消費者物価にどう及ぶかということでございますが、消費者物価全体として幾らになるかということにつきましては、流通の問題もございますし、需給事情の問題もございます。それからコストと価格の関係が現在どうなっているかというようなことがございまして、計数的にこれを把握することはできない状況でございますが、全体として消費者物価が非常に落ちついている。特に工業製品が昨年度に対しまして二%台の上昇にとどまっているというところから見てもその効果が出てきておるものと思うわけでございます。  個別の物資につきましては現在までに四回調査をいたしまして、輸入消費財を中心とした三十五品目について価格の動向を見てきているわけでございまして、八月以降はこれを毎月実施するということでございます。先般九月に第四次調査を発表いたしましたけれども、そのうち三十五品目の中に輸入価格がドル建てで上がりまして、円建てではむしろ上がってしまったというものがございます。それが十二品目ございまして、円建て輸入価格が下がったものは二十三品目ございます。このうち実際に国内の小売価格が下がったものが十八品目ございまして、小売価格が上がっているか、または横ばいというものが五品目ございます。こういう十八品目のようなものについては、過去の動きを見てまいりますと、漸次その品目数がふえできているということでございまして、今後、こういう品目の価格の動きにつきましてさらに調査をする、それが毎月行うということでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 国民の皆さんが大変関心を持って見ておられるのは、円高で七兆円近い差益がどのような適正な価格で生活必需品全般に還元されてくるんだろうか、また、政府はどれだけ本気になって取り組んでくれるんだろうかということだと思うんです。この差益計算は本当にこれ以上不可能なんでしょうか。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○政府委員(藤井直樹君) 輸入差益総額でございますが、五十二年度で一応非常に機械的に計算をいたしました数字がございますが、二兆四千億円という数字が出ております。これは五十二年度の平均為替レートと五十一年度の平均為替レートの差に五十二年度のドル建て輸入額を乗じたものでございます。差益という場合には、一方で輸入のドル建て価格が上がった場合にどうするかとか、また差損の問題等もあって、一義的にこれを言うことはできないんでございますけれども、ただいま申し上げましたのはきわめて機械的にやった計算でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 いま物価局長は経企庁が三十五品目について価格の動向調査をやっているんだというようなことをおっしゃいましたけれども、この第四次の輸入品日別の価格動向調査をこの三十五品目にしぼった基準、これは一体具体的にどういうことなんでしょう。

藤井直樹経済企画庁物価局長

○政府委員(藤井直樹君) 三十五品目のうちには消費財として輸入されるものと、それから原材料を輸入してそれを国内で加工するものと二つございますが、全般的にはやはり国民生活に密接な関連を有するものでございましてかつ輸入のシェアの高いもの、そして個々の品目につきまして輸入依存度の大きなものを選んでおります。そしてなおかつ調査が継続的に実施することが可能な品目ということで三十五品目選んでおりますが、原材料を輸入して加工する品目としては三十五品目のうちに九品目ございます。配合飼料と恥石油製品等でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 経企庁や農林水産省が実態調査をして円高差益還元のために一応取り組んでいるようなんですが、その内容を突っ込んで見てみますと、どうもただ政府もやってますよというポーズとしか思えない面が出てくるんですね。その代表的な例がエビの価格動向調査なんです。企画庁はキログラム当たり六千四百二十円、こう言いますし、農林水産省では三千五百九十円、どうしてこんなにも調査のずれが出てくるんでしょうか。これについて消費者からも関係業界からも批判が続出しているわけですね。これについて政府の方からいろいろ弁解もしたいんでしょうが、もう内容についてはわかっていますから答弁は結構です。こちらから問題点を幾つか指摘したいと思うんですが、それは三十五品目の価格動向調査全体に言えることなんですけれども、調査報告の数字をいろいろ見ますと、ほとんどが通関統計、それから都の市場月報、それから小売物価統計調査、これによってまとめられているんです。新たに物価実態動向調査によってつかんだ数字というよりこれまでの数字の書き写し、いわばデスク作業にすぎない点が多過ぎるということです。エビについて言えば、農林水産省は食糧事務所の検査員の方たちを動員してにわか仕込みの知識で調査をされているんですが、失礼でございますが、お米にかけては専門家であっても、種類と大きさが違っていて、細かく言うと百種類以上になるんだというんですが、こういうエビの実態調査はとても無理だと思うんです。それを農林省も経企庁も一品種程度の調査をやった程度で、価格の動向調査をやってます。つかみましたと言うことはこれは無理だと思うんですね。  それから、さらに大事なことは、流通機構のとらえ方が全く不足している、なってない、こういうことが言えると思うんです。私、図にかいてきたんですが、政府の第四次価格動向調査に基づく流通機構図は、総理、これなんです。機構が八つ記されています。いいですね。それから私どもが現場のコールドチェーン協会で確認した実際の流通機構図というのはこうなっているんですよ。上下に分けますと、上が経企庁の報告の流通機構図、下は実際現場での流通機構図なんです。ずいぶん差があることはおわかりになると思うんです。こちらは八機構、現場は実際には十九の機構になっている。ですから、政府は鳴り物入りで価格実態動向調査をやっているんだと言うんですが、余りにも現場での実態調査と食い違って報告されるものですから、一般消費者からも関係業者からも批判されるし不信を買うことになるんですよ。ひとつ総理、御感想をお聞かせください。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 確かに多くの商品につきまして、わが国におきましては流通機構が非常に複雑だと、これは私はもう確かにそう思います。ところが、これを一挙に整理できるかというとなかなかそういかない。これはもう相当の年月をかけて逐次流通機構合理化を目指してやっていかなけりゃならぬ問題かと思うんです。  つまり、八つある、あるいは十ある、まあ相沢さんは十九あると申されますが、その段階段階ごとでみんな中小零細な業者というものがそれにぶら下がっているんです。それは。一挙にといったら、また非常に雇用、失業と、こういう問題にもなってきますので、やっぱりその機構自体は逐次改善をしていくということで粘り強く努力していかなけりゃならぬし、同時に、そういう複雑な流通機構の中である一カ所に差益が滞留する、こういうふうなことがあってはならないので、その辺はこれはもう厳しくいまでも目を向けなけりゃならぬところであろう、こういうふうに思いますが、政府全体といたしまして、流通機構がもう本当に複雑になってきておるということはこれはもうよく承知しており、この点がまた諸外国からもずいぶん非難をされておるところなんです。そういうことをよく承知しておりますが、それには多少年月をかしていただかなけりゃならぬ。しかし、その方向で努力するということを申し上げます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 私は、何もいまここですぐに複雑な流通機構全部をなくしなさいと言って論議しているんじゃないんです。政府の調査と実際の現場とではこんなにも流通機構の中身が違いますよと、安易な調査報告結果を出されますと不信を買うんですよということを申し上げているんです。  それから動向調査の三十五品目の設定についてもずいぶんずさんな点があると思うんです。調査しているうちに、設定した中の大型電気冷蔵庫、米国製のA商品、それから釣り具のA商品、これはすでに輸入されてないということがわかって別の商品調査に変えているんです。この経企庁から出している書類の中に全部書かれています。その報告は。間違いございません。調査に行った先で、これはもう輸入されてない商品ですよと指摘されたある調査員がこう言ったというんですよ、ああそうでしたか、でも枯れ木も山のにぎわいですからまあいいじゃないですかと、ふざけた話だと思うんですね。これが実態なんです。追跡調査なんですから、輸入がされてないことがわかった時点でこれは外すべきだったんです。一月から入ってないというんです。輸入されてないというんです。そこで、いずれ第五次の価格実態動向調査をやられると思うんですけれども、いま私が指摘したこういう点を反省し、大いに実りのある調査をやっていただきたい、権威のある調査をやっていただきたい、こう思うんです。  また、不況のもとで国民生活を少しでも安定させるために、円高差益還元と物価の引き下げ、このために一体どういう行政指導を行っていくのか、関係大臣からそれぞれ具体的に方針をこの際お伺いしたいと思います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) この前段の問題でございますけれども、昨年の半ばごろに第一回の調査をいたしまして、先ほど申しましたように、国民生活に関係が深くてかなり輸入で大きなシェアのあるもので、規格が一定していて調査のしやすいものを選んでやってまいったつもりでございますけれども、一、二ただいま言われましたようなものが出てまいっておりますので、これからはもう毎月調査をいたしておりますから、比較して継続できるという利点はこれが一番大事なところですが、そういう観点に立ちまして代表的なものをできるだけ三十五の中に選んでまいりたいと思います。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 農林水産大臣お願いします。

中川一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(中川一郎君) 農林水産省では、輸入に関係します主な品目は十七品目でございまして、十七品目について毎月動向調査をして、まずい点があれば行政指導をしていくということで徹底してやっていきたいと思います。  そのほか、政府が関与いたしておりますたとえばえさというようなものは逐次見合った値下げをする、こういう対応をできるだけやりまして消費者対策を講じたい、こういう方針でやっておるわけでございます。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 通産省の関係では、一番大きなものは石油関係でありますが、特にこの石油関係のうちナフサ、灯油、LPG等が大きな課題になっております。  ナフサにつきましては、需要業界との間に話し合いがつきましてある程度の値下げが実現をいたしまして、現在は、国際価格に近づいております。  それから灯油につきましては、昨年の十二月とことしの九月、二回にわたりまして卸売価格――元売価格ですね、これの引き下げが行われております。約五千円下がっております。小売部門でもある程度影響が出ておると思います。  それからLPGにつきましては、これも元売価格は相当下がっておるんですけれども、なお末端にはそれが現実に出ておりません。なぜかといいますと、約四万五千軒ばかりの小売商がございまして、これが非常に零細企業なものですから、人件費その他雑費が値上がりをいたしまして、そういう関係で思うように下がらないのでございますが、しかしながら、やはりある程度は合理化することによって下げる余地もあろうと考えまして、先般、二回にわたりまして関係の団体に対しまして引き下げるように協力を求めております。  以上でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 先日、来日した米輸出使節団のワイル商務次官補が、日本の消費者が本来なら安く買えるはずの外国製品を世界でも例がないほど高い値段で買わされている。具体的に料理に使う紙ざらを取り上げまして、アメリカでは百八十円で買えるものが日本では九百八十円で五倍も高く売られているということを指摘されました。  公正取引委員会委員長に伺いますが、特に総代理店を頂点とする流通ルートに対しての取り組みはどうなっているんでしょう。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) いまお話がございましたような消費財につきまして、いわゆる総代理店制がかなり広範に認められておりますのが日本の流通機構の現状であろうと思います。総代理店制につきましては、昭和四十七年までは並行輸入を阻害することが認められておったのでございますが、昭和四十七年から並行輸入を促進するようにという、いわば自由化が行われたわけでございまして、公正取引委員会といたしましては、輸入総代理店の契約条項の中に並行輸入を阻害するような条項があります場合には、これの修正、是正を求めておるわけでございまして、そのほかに輸入総代理店の取り扱う商品の価格の動向等につきましては、前後三回にわたって調査をいたしておるところでございますけれども、価格面の調査だけではどうも必ずしも十分輸入総代理店制の実態が掌握できないうらみもございますので、今後は、輸入総代理店制につきましてもっと掘り下げた調査をいたしたいというふうに考えております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 ねらいはわかったんですが、中間報告の時期と現時点の感触を伺っておきたいと思います。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 現在、調査を予定いたしております品目を申し上げますと、一つは輸入ウィスキーでございます。それからインスタントコーヒ、レコード、冷凍水産物を予定いたしております。で、このうちで一番調査の進捗いたしておりますのが輸入ウイスキーでございまして、インスタントコーヒーは輸入総代理店取り扱い商品でありますと同時に、日本において生産が集中的に行われておりますいわゆる寡占品目でございます。そういう点から生産の寡占の弊害という観点からも調査をいたしてみたいと思っております。それからレコードにつきましても、これは輸入品でありますと同時に、国内のレコード商品につきましてもいろいろ問題がございます。そういう観点から調査をいたしておるところでございまして、逐次調査ができ次第必要な措置をとりたいというふうに考えております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 過去三年間に、国際契約と総代理店の両面に分けて、公取が独禁法違反の疑いで指導した事件は一体どれぐらいあるでしょうか。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 国際契約の届け出件数でございますが、昭和五十年が五千百六十九件、五十一年が五千九百九十件、五十二年が四千七百七十七件でございます。で、このうち輸入総代理店契約の件数を申し上げますと、昭和五十年が四百十七件、五十一年が七百七十二件、五十二年が五百四十七件でございます。  で、このうち指導いたしました件数でございますが、国際契約全体の件数を申し上げますと、昭和五十年が二百二十九件、五十一年が三百八十件、五十二年が三百九十五件でございます。で、このうち輸入総代理店契約にかかわる指導の件数を申し上げますと、昭和五十年が六十八件、五十一年が百二十五件、昭和五十二年が百三件でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 大変な数の指導件数になるわけですが、八月二十八日付の日経新聞に掲載された小松製作所と米国機械メーカーの国際契約が引き起こした独禁法違反の事例、これは現在審査中かと思うんですけれども、独禁法六条と国際契約の認定基準、これについて伺っておきたいと思うんですが、立入調査は行ったんでしょうか。それから、事実はこの記事内容にほぼ沿ったものかどうか、いかがでしょう。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 八月二十八日、日本経済新聞に出ました案件は、小松製作所とアメリカのビサイラス・エリー・カンパニーとの間の国際契約に関する問題でございまして、これは昭和三十七年に締結された合弁事業契約及びこれに基づく技術導入契約等につきましての独禁法違反の問題でございまして、現在審査中でございますので詳細なお答えは御容赦をいただきたいと存じます。  それから認定基準の問題でございますが、これは国際契約に関する認定基準と技術導入に関する認定基準と二つあるわけでございまして、詳細に申し上げますと大変長くなりますが、小松とビサイラスとの関係で申しますと、改良技術の帰属の問題、それからお互いに開発いたしました改良技術その他の技術についての開示義務が不平等であるということ、それから競合品の取り扱いの制限等の問題でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 現在、日本の企業と外国の企業との国際契約はどのぐらいの件数に上っているんでしょうか。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 独禁法の規定によりまして、公正取引委員会に届け出がございます国際契約は、一年未満の一回限りの取引を除いた全部の契約でございますので、先ほど申し上げましたように、大体毎年五千件ないし六千件の届け出が出ております。届け出が出まして、届け出に基づく行為が結了いたしました場合には、その結了したという事実についての届け出を受理いたしておりませんから、国際契約が現在高で幾らあるかということは完全に掌握することは困難でございますけれども、毎年数千件の国際契約があるということだけは間違いございません。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 この国際契約なんですが、ドル減らしや国内の流通機構の改善、それから物価引き下げの大きな壁になっているようにも考えられるんですが、公取としての見解はどうなっているんでしょう。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 国際契約それ自体より総代理店制の問題ではないかと思います。総代理店制の契約条項の中に、先ほど申し上げましたような並行輸入を抑えるような条項がございます場合にはこれを除去、是正をさせておるわけでございますが、そのほかにも販売先の制限とか、あるいは再販売価格の維持とか、こういう競争制限的な条項のある国際契約もございます。したがいまして、それらにつきましては是正ないし修正を指導いたしておるところでございます。

太田淳夫公明党

○太田淳夫君 関連。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 関連質問を許します。太田淳夫君。

太田淳夫公明党

○太田淳夫君 それでは、ただいま委員長からお話のありました総代理店制度の問題と並行輸入に関しまして関連の質問をさせていただきます。  昨年度の公正取引委員会の調査の結果によりまして資料が出ておりますが、これによりましても輸入総代理店のルートの品物よりも並行輸入の品物の方が三割前後あるいははなはだしいものになりますと五割程度も安くなっております。一例をちょっと挙げさせていただきますと、これゴルフのクラブですけれども、これは総代理店制の価格によりますと十九万二千円、これが並行輸入では十二万八千円になっております。約六六・七%。あるいはスコッチウイスキー一万円のものが六千五百円、これは六五%。あるいはコニャックでも一万二千円のものが七千七百円、六四・二%。ネクタイでも一万二千円が五千二百円、四三・三%。ベルトでも一万九千円のものが一万八百円、五六・八%。腕時計でも三十四万円のものが二十一万円、六一・八%と、こういうような格差が資料としていただいております。去る九月二日の経済対策閣僚会議でまとめられましたこの総合経済対策ですが、この中で「円高に伴う物価対策」、この第七号にもありますが、「真正商品の並行輸入が輸入総代理店により不当に妨げられることのないよう引き続き調査・監視する。」と、こうございます。これは政府としてもこの商品の並行輸入が物価対策上有効であることを認めていることになりますし、またこの輸入総代理店がこの並行輸入を阻害する場合もあると、これは認めていることになると思います。しかし、輸入商品の価格を安くして円高による効果を消費者に等しく与えるためにも、輸入総代理店が並行輸入に与える阻害を調査、監視することはこれは当然必要になってまいります。いま委員長からも御発言がありましたけれども、この総代理店制の問題は価格面のみでなくもっと掘り下げて調査に当たるべきだといまちょっとお話がございましたが、この点具体的にどのようにこれをなくされていくのか。あるいは正面に出ませんけれども、輸入総代理店がこの国際契約を盾にとって並行輸入を阻止をしたり、あるいは並行輸入品を取り扱う小売店側を圧迫をしたというようなことも私たちは聞いておるわけでございますが、こういうことが並行輸入の拡大をむずかしくしている背景です。しかし国民生活安定のための輸入の促進、あるいは国内販売価格の引き下げによる物価の安定、これには並行輸入が効果があるということははっきりしているわけでございますが、したがって公正取引委員会として今後具体的に進めていく場合におきまして、あるいは監視を強化していくわけでございますが、この並行輸入促進に対して、そういう逆行するような場合には、果たして現行法で、これは皆さん方の立場でそれができるのか。私たちはもっと独禁法の改正を考えて厳しくこれに対処するような方法が必要じゃないかと、こう思いますし、またこれは独禁法の番人である公正取引委員会だけに任せる問題でなくて、監督官庁としての大蔵省あるいは農林水産省あるいは通産省あるいは物価の元締めである経済企画庁までがこれは総力を挙げてこの並行輸入の促進に努めるということが必要じゃないかと思うんですが、その点いかがでしょう。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) お話の御趣旨は、できるだけ並行輸入商品をふやすことが物価対策上も適当な措置ではないか、こういう御趣旨であろうと思いますし、私どもまさにそういうふうに考えておるところでございます。しかしながらお話の中にもございましたように、並行輸入商品の量が非常に多いかと申しますと、これは残念ながらそう大きな量になっておらないようでございます。これは並行輸入取り扱い商品につきましては継続して供給されるという保証がない、あるいは小売店の立場におきましては品ぞろえの面におきましていろいろ不都合があるというような障害もあるようでございますけれども、輸入総代理店の行為それ自体が並行輸入に対して事実上阻害するような働きをしている場合も予想されるわけでございまして、たとえば一例を申し上げますと、日本オールドパー社が並行輸入を取り扱った小売店、卸売業者に対しては真正の輸入総代理店取り扱いのオールドバーは供給しない、こういう約定を結んでおったことが発見されまして、これは審決によって是正を命じたのがことしの四月でございます。そういうふうに総代理店制のあり方として、国内の流通に対して阻害的な要因になっている場合もございますし、また契約条項上は並行輸入を促進するということになっておりましても、事実行為として先方のシッパーとの間におきまして似たような行為を行うという場合も考えられるわけでありまして、そういう点から申しまして、先ほど申し上げましたように従来の調査ではどうもくつの上からかゆいところにさわっているような感じもあるものでございますから、したがいまして、輸入総代理店制についてより掘り下げた調査をいたしたいというのが現在の公正取引委員会の立場でございます。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) 大蔵省の所管物資につきましては、御承知のようにたばこにつきましては再度にわたりまして一〇%の引き下げを実施しております。これは円高差益の全額を掃き出すだけでなくて、若干納付金にも食い込んでおりますけれども、これは端数整理の関係でやむを得ないと思って二回引き下げております。ウイスキーにつきましてはすでに御指摘がありましたように円高差益よりもFOB価格の引き上げの方が強いのは御承知のとおりでございます。デパートで見ますと、そのFOB価格の引き上げと円高との関係で大体スタンダード物で百円ぐらい下がるという計算でございますが、実際は三百円ぐらい下がっている。バーゲンセールに行きますと五百円ぐらい下がっている。こういう実情のようでございます。

中川一郎自由民主党農林水産大臣

○国務大臣(中川一郎君) 並行輸入の問題については、農林物資も若干あるようでございますから促進をするように調査を進め、努力したいと存じます。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 並行輸入が拡大されますことは輸入物資が下がるということになりますので、これは公取の方でしっかりと監視をしていただきまして、監視体制が強化されまして、それによって並行輸入が拡大することを私どもは期待をいたしております。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 問題は、総代理店契約そのものが違法であるとか、総代理店契約そのものを公取が否定をするということが御承知のようにできないわけでございます。でございますから、そのこと自身、総代理店契約そのものを排除するということはできませんので、したがってそういう契約を結んだときにそれを公取に届けてもらう、そうして、公取自身が総代理店契約からさらに並行輸入を妨げるような了解とか規制とかいうものになれば、これは公取法違反になるわけでございますから、そのところを、総代理店契約そのものを届けることと、契約そのものを、先ほど委員長の言われましたように、もう少し掘り下げて検討していただくと、こういうことに私はなるだろうと思います。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 太田君、簡潔に願います。

太田淳夫公明党

○太田淳夫君 時間もありませんので、通産大臣にちょっとお伺いしますが、輸入製品の価格を安くするためには中小輸入業者とか、あるいは小売業者が直輸入できるようなことをもっと援助すべきだと思うんです。そこで、ジェトロはございますが、これは輸出至上主義時代につくられたものですが、これを大幅に改組して、輸入品の調査開発に当たるとか、あるいは中小業者あるいは小売業者の輸入商談、輸入のあっせんを今後主たる業務にすべき時代が来てるんじゃないかと思いますが、その点いかがでしょうか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 最近ジェトロでも輸入促進のためのいろいろ積極的な対策を進めております。いま御指摘にもございましたが、特に中小企業関係の輸入促進の事業も進めておりますので、さらに一層拡大するように指導をいたします。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 いずれにしても、円高差益還元を機に公正取引委員会が自由公正な市場競争を働かすように国民の期待にこたえて物価引き下げのために大いにがんばっていただきたいと思うんですが、再度公取委員長からその決意を伺っておきたいと思います。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 流通問題は、先ほど総理からお答えもございましたように、一朝一夕に片つく問題ではないと思います。したがいまして、公正取引委員会といたしましても流通問題に対しましては、当面の短期的な対策と、より構造的な長期問題と二つに分けて現在行政上の施策について検討いたしておるわけでございまして、当面の対策につきましては、先ほど来お答え申し上げましたような施策を力強くやってまいる所存でございますし、長期構造的な問題につきましては、粘り強く基本的に取り組むという姿勢で対処いたしてまいりたいというふうに考えております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 総理、ちょっとお勉強中ですが、こちらに耳を傾けてください。  七兆円あると言われている円高差益のうち、現在明確なのは電力関係の二千六百億円だけなんですが、それが大企業に約二千億円、一般家庭に月三百円で六百億円程度は戻るということなんですが、第二弾、第三弾の円高差益還元を強く望んでいる国民の皆さんに対してひとつ誠意ある御答弁をいただきたいと思います。それを承って次の質問に進みたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 先ほどから申し上げておりまするとおり、わが国の輸入物資の八割を占める原材料につきましては、これはもう相当的確に円高差益が国民経済に還元をされておる。後の完成品、消費者物資、こういうものにつきましては、先ほどから申し上げておりまするとおり、鋭意実情調査をしながら行政指導によりまして還元に努めていきたい。  それから、問題は政府関与の料金価格でございますが、これにつきましても、これは電力、ガスを初めやっておるものもありまするけれども、なお先ほども申し上げたとおり、航空料金の問題とかいろいろありますが、そういう問題をどういうふうに還元するか、これは鋭意努力をいたします。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 次に、私は公共事業に伴う事前調査費のあり方をただしたいと思うのです。これは国の技術試験所が外部から調査試検を依頼される場合の受託研究制度というのがありますが、これを改善する必要があるという観点から取り上げていきたいと思います。  通産省所管の工業技術院の試験研究機関は全国に十六カ所ございますが、外部からの調査研究依頼に対してはどういう形で受けているのでしょうか。

石坂誠一工業技術院長

○政府委員(石坂誠一君) 工業技術院の試験研究機関に対します外部からの要請につきましては、国立試験研究機関としての役割りにかんがみまして、従来から各ケースの実情に応じまして、共同研究、受託研究、設備使用の許可、それから技術指導等により積極的に対処対応してきております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 そのうち受託研究については年間どれぐらいの予算が組まれているのでしょうか。また、その研究の仕組みについても御説明いただきたいと思うのです。

石坂誠一工業技術院長

○政府委員(石坂誠一君) 工業技術院の試験研究所の受託研究費といたしましては、五十三年度三百一万円が計上されております。受託研究費は、いわゆる歳入歳出の見合い予算でございまして、歳出面では予算計上額を支出しまして、歳入面では収入額をそのまま国庫に納付するという仕組みになっております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 そうしますと、十六カ所で三百一万円ということですから、一試験所平均年間十七万円程度というわずかな金額ですね。しかも、歳入歳出の見合い予算というわけですから、地方自治体や民間から大規模な受託研究の要請にはほとんどこたえられない現状だと思うのですが、どうでしょうか。

石坂誠一工業技術院長

○政府委員(石坂誠一君) 外部からの要請につきましては、工業技術院試験研究所といたしまして、従来から各ケースの実情に応じまして受託研究、共同研究とか設備使用というようなものによりまして積極的に対応しておりますのですが、国立試験研究機関の役割りにかんがみまして、今後さらに一層適切に対応できるように、制度の効果的な運用を図るよう検討いたしたいと思っております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 各地にある工業技術試験所は莫大な国費をかけて優秀な設備とスタッフをそろえているわけです。地域開発に伴う環境アセスメントの調査試験研究には不可欠な機関なんですよ。ところが依頼されても、受託研究は予算枠に縛られているので、共同研究、設備使用、技術指導でしか要請にこたえられない。そこに私は弊害が起きる要素があるように思われるのです。  運輸省にお尋ねしますが、岡山県が水島港玉島防波堤水利調査を民間会社に依頼した概要について説明してください。

福永健司自由民主党運輸大臣

○国務大臣(福永健司君) いまお触れになっておられるような補助事業について、これが適正に行われるように指導監督等は当然すべきでありまして、いま岡山の事例につきましては、かなりこれは細かい、むずかしい話のようでございます。実際これに携わっております局長をして答えさせます。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) 先生御指摘の岡山の水島港の玉島防波堤の水利調査のことだと存じますが、このことにつきましては、委託内容といたしましては防波堤を建設することによる流れの拡散状況及び周辺水域の水質変化の調査ということで、工期といたしましては五十二年十月二十二日から五十三年三月三十一日の工期で、請負金額二千九百二十万ということで調査が行われたということを承知いたしております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 その民間会社から中国技術試験所が水理調査の実験を引き受けた経緯とその内容について。

石坂誠一工業技術院長

○政府委員(石坂誠一君) 本件は、水島港玉島地区防波堤の建設の後でその付近の水系に及ぼす影響、たとえば潮流がどういうように変化するかと、あるいは水質がどういうように変化するかということを予測する目的で中国工業技術試験所の大型水理模型の設備を使用したいということで、先ほどの日本港湾コンサルタントから設備を使用したいということで申し出がございまして、昭和五十二年十一月十五日をもちまして中国工業技術試験所が許可したものでございます。  許可の内容は、設備使用時間が約八十八時間というようなもの等でございまして、使用料は約四百万円を国庫に納入させました。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 運輸省、もう一遍お答えいただきたいんですが、民間会社が入札した日にちは何日になっていますか。それから工事請負の金額。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、請負金額は二千九百千万、それで契約年月日は五十二年十月二十日でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 工業技術院の方、実験の依頼日、契約日は十月十六日、間違いございませんか。

石坂誠一工業技術院長

○政府委員(石坂誠一君) 十月十四日と承知しております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 これ重要な点なんで確認いたしたいんですが、そうしますと、入札日の前に設備申請が契約されているわけですね。おかしいですね。  この件につきましては地元の県議会の方で取り上げているので、この問題の追及は譲りたいと思うんですが、ここに岡山県と民間会社の契約書の写しがございますが、委託業務名は水理調査、委託金額は先ほど言われましたように二千九百二十万円となっております。そして中国工業技術試験所への支払いは四百万円程度と、水理調査の主な実験、調査、研究、これが四百万円程度の費用で完了するものなら、何も二千九百二十万円も予算を組む必要がなかったんじゃないのかなと、国から二分の一の補助金も出ていることですし、運輸省としてもよく調査して、今後しっかり監督していただきたいと思うんですが、いかがですか。

大久保喜市運輸省港湾局長

○政府委員(大久保喜市君) ただいま御指摘の補助対象事業でございますが、これは先ほど申しました水島港の工事に伴うものといたしまして、測量試験費の一部を割きまして調査を委託したものでございます。  それで調査の内容は、先ほど概略申し上げましたように、防波堤のできますことに伴うところのいろいろ環境に及ぼす影響の調査でございまして、そのために民間のコンサルタントにいわゆる現象の把握、それから実験等によるそれの再現、それでそれらのことを専門的な技術をもって解析するというような業務、そういうようなもので成り立っているわけでございまして、その調査の一部を構成するものといたしまして模型実験が入っているわけでございます。それに関連しての部分が工業技術院の試験所をお借りして調査するということになったというように承知しております。  それで、本件につきましては補助対象事業でございますので、すでに私どもの方としても調査も行なっておりまして、その結果といたしまして、発注者側としての岡山県側のいわゆる予定価格の積算見積もりの中に、二千九百数十万の中に先ほど申しました実験は工業技術院の試験所を使うということを予定して、それが四百万余の金額で積算しているというふうに私どもも報告を受けております。

福永健司自由民主党運輸大臣

○国務大臣(福永健司君) いま専門家の方ではいろいろ申し上げたわけでございますが、相沢さんのおっしゃるこの種のものにつきまして地方公共団体等をよく指導監督することにつきましては、お話しの趣旨に沿って厳正を期してまいりたいと存じます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 工業技術試験所としてはどういう点に反省をされているんでしょう。また今後外部からの試験、調査依頼についての対応の方針を伺っておきたいと思います。

石坂誠一工業技術院長

○政府委員(石坂誠一君) 中国工業技術試験所における設備使用に関します御指摘の点につきましては、瀬戸内海の環境保全に寄与するという観点から中国工業技術試験所としては積極的に対応したわけでございますが、研究管理上の見地から必ずしも十分でなかった面もあったように存じております。  なお、今後本水理模型の利用に関しまして地方公共団体等からの要請があった場合には、瀬戸内海の環境保全というものの重要性にかんがみまして、各ケースの実情を十分に踏まえまして、さらに一層適切な対応ができるように、従来の設備使用だとか、受託研究だとか、共同研究だとか等のあり方についても検討を加えるとともに、必要に応じては制度の改善を前向きに検討いたしたいと思っております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 会計検査院にお尋ねするのを落としたんですが、国費損害の見地から検査中だと聞いていたんですが、実情はどうなっているんでしょうか。

岡峯佐一郎会計検査院事務総局第四局長

○説明員(岡峯佐一郎君) お答え申し上げます。  中国工業技術試験所につきましては、本年の五月の十一、十二の両日に、課長外二名の調査官が参りまして検査をいたしましたが、その際に、瀬戸内海大型水理模型の設備使用料をめぐる問題が判明いたしまして、これにつきましていろいろと検討を加えてまいりました。その後いろいろと問題が発展いたしまして、残念ながら現在取りまとめ中でございます。ごく近々私の名前をもちまして当局に対し質問を発します。その上所定の院内の審議を経まして最終的な検査院としての結論を表明したいと、このように存じております。したがいまして具体的内容につきましてはいましばらく御猶予いただきたい、このように思います。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 工業技術院に再度お尋ねしますが、地方公共団体から直接受託研究を依頼されたとして、現状で能力的にはどの程度まで可能なんでしょうか。それから今回引き受けた所要時間八十八時間の試験研究なら受託研究として受け入れることができたのかどうか、その辺お伺いしたい。

石坂誠一工業技術院長

○政府委員(石坂誠一君) 試験研究所の本来の研究業務に支障を来さないという範囲内でございますれば、地方公共団体からの直接の要請のあったものにつきまして対応は可能でございまして、積極的に対処してまいりたいと思っております。  なお、この後の方の御質問でございますが、本来の研究業務の状況にもよりますけれども、一般的に申しますと、今後依頼があった場合には研究能力の面におきましてはこの程度の案件については十分対処できるだろうというように考えております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 総理、お聞きのように、能力的には受託研究の受け入れ余地はまだ十分あるということなんです。ネックになっているのはこの受託研究の予算枠に制限がある。また制度がそうなっているということですから、この制度を改善する必要があるということをお感じにならないでしょうか。受託研究の受け入れ体制が制度的にできれば、地方公共団体からの公共事業の事前調査を直接受けることもできるし、事前調査費そのものについて今後相当節減できるんじゃないか、こう弔うんです。ですから、関係官庁の通産省所管ですから、それからこれは予算を伴いますから大蔵省、両大臣に速やかに検討するように指示を出していただきたいと思いますが、いかがでしょう。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 工業技術院は相当強大な調査研究能力を持っているわけでございます。国といたしましてはこれをフルに活用する、これは当然でありますから、なおこの上ともそれをフルに活用するという方向で、いろんな角度から検討いたします。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 ぜひその制度改善までやっていただきたい。  自治大臣、今後国費、県費にかかる公共事業の事前調査研究、これについては国費、県費のむだ遣いにならないように、工業技術試験所に頼まなくてはできないような実験調査はやはり直接依頼をするように指導するべきだと思うんですが、これおやりになりますか。

加藤武徳自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(加藤武徳君) 地方団体が各種の契約をいたします場合には、契約目的に沿いました適切な効率的な効果があらわれてまいりますように、その相手やまた目的を選んでまいらなければならぬのでありまして、そこでいま御指摘の、国がさようなことを引き受けますような体制がとられますならば、地方公共団体といたしましてもあえて公入札等の手続を経ませんで国委託は可能だと、かようになろうかと思いますので、その方が方向としては好ましいと、かように考えます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 総理、公共事業費について、着工された事業費の使途についての問題点、これについては衆議院予算委員会の方でわが党の坂井委員が厳しい指摘をるる行いました。私は公共投資のうち年間一千億円程度は占めていると、こう言われておりますので、事前調査費の使途についてもむだ遣いされる問題点があることをきょう指摘したわけですが、最後に総理から今後の公共事業施行に当たっての心がまえについてお伺いしてこの問題を終わりたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 公共事業費はこの数年来非常な多額に上っておる。また今後を展望しますと、ここ当分公共事業費はかなり多額に使われるであろう、そこでこれがいかに効率的に使用されるかということは、これは国の財政運営という見地から見ましても重大な問題でありまするから、なおいろいろ工夫をいたしまして、公共事業費がその所期の目的のために効率的に使われるように極力配意してまいります。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 あとわずかの時間がありますので、外交問題について若干お尋ねをしていきたいと思います。  今後の日中間の問題につきましては、締結された日中平和友好条約を基礎として恒久的な平和友好関係の発展を期待するんですが、さしあたり経済文化関係を深めていく必要があろうかと思います。  そこで、日中経済交流拡大について、その中で延べ払い条件や預託方式など、金融決済問題なんですが、これに対する政府の方針、姿勢を承りたい。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 日中間の貿易はこれから飛躍的に拡大すると思います。ただ中国へ輸出をいたしますものは主として建設用の機材、資材、それからプラント関係及び技術関係、こういうものが比較的早く出ていくのではないかと思います。それから先方から入りますものは石油と石炭、相当時間がかかる。そういうことでございますから、いまお尋ねの金融問題、支払い問題が起こるわけでありますが、現在輸出入銀行が中心になりまして先方と相談をいたしております。輸銀の一般のプラント類の延べ払い条件をどうするか。これは御案内のように、すでにECDの申し合わせがございますので、これを破るわけにはいきませんから、この条件の範囲内で進めていこうということでございます。  それから資源エネルギーの開発資金に対しましては、やはり輸銀に貸付制度がございますので、これはまた別枠としていま検討を進めております。  なお、民間の金融機関等におきましては中国銀行に対する預託等を研究しておるようでございます。  ただ、原則的には条件は先方は了解をしておるんですけれども、何分最近の非常に急速な円高がございましたので、先方は通貨をドル建てにしてもらえないかと、こういう要請が出ておりますが、日本といたしましてはこれまでのしきたり等もございますから、しきたり等を踏まえまして、鋭意検討中でございます。いずれにいたしましても適当なところで早く結論が出ることを私どもは期待をいたしております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 貿易関係では、政府は原油の取引の増大を考えているようなんですが、中国産の原油の成分が重質性という難点もあって、電力業界は非常に引き取り増を渋っているようなんですが、もし引き取り増を拒否されるようなことでもなれば、これは政府の輸入拡大方針が初めから挫折してしまうんじゃないかと思うんですが、これに対する対応、それからコスト高の中国原油について、価格の面での再考を中国側に求めるというお気持ちがあるのかどうか、この二点を伺いたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) まず価格の問題でありますが、ことしの二月に両国間で長期貿易取り決め協定が行われまして、それによりますと、国際的に合理的な価格ですべての取引を進めていこうと、こういう基本原則が確立されております。私が今回中国政府の首脳部と話し合いをいたしましたときには、さらにそれに加えまして、お互いの取引条件というものは国際競争力というものが双方になければならないので、この点を十分考慮して、その原則の上に立って具体的に決めていこうではないかということを合意をいたしております。  それから取引量の増大問題につきましては、中国の石油はいま御指摘がございましたように、硫黄分は少ないのですけれども、窒素分が比較的多いということと、流動点が高いと、こういう特色がございますので、現状では飛躍的に取引数量を拡大するということはなかなかむずかしい問題がございます。しかしながら、世界全体が重質油、中国の油も別の表現をいたしますと重質油になるわけでありますが、そういう傾向がございますのでどうしてもわが国といたしましては、これから重質油に対応するいろんな対策が必要でございますので、そういう対策を進めます過程におきまして中国油の問題は解決をしたい、このように考えております。関係方面にいま積極的な協力を求めるようにいろいろ話し合っておるところでございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 文化交流の一つとして留学生受け入れの問題があるんですが、中国留学生の受け入れ体制の基本方針につきましては、すでに衆議院予算委員会の方で明らかになりましたので、逆に日本の方から中国へ行く留学生についてどういう方針を立てているのか、それから中国側はこの点についてはどんな意向を持っているのかお尋ねしたい。

砂田重民自由民主党文部大臣

○国務大臣(砂田重民君) 文部省が実施しております日本人学生の海外派遣の制度、幾つか制度的にも持っているわけでございますが、いずれも大学からの申し入れを政府が受けまして、先方各国と協議をいたしました上で派遣をしております。中国に派遣された留学生は中国にこういうことで学生を派遣したいという大学の申し入れがまだいままではございません。一名もそういう申請が出ておりません。そういう制度に合致をして大学からそういう御意向が政府にお話があれば具体の問題として中国の側と話し合いを進めたい。  なお、ちょうどいま日本を訪れております教育視察団からは、日本からの留学生派遣についてもわが方としては受け入れを検討する、歓迎をするという基本的な回答はいただいております。  私費の留学生については、自費で中国へ行って勉強したいという方が多数おられるように聞いておりますが、ただいまお答えをいたしましたような歓迎をしたいという基本的な姿勢は中国側から承ることができましたので、あとはただどこの大学へどういうことを勉強に何年というような具体の問題を詰めました上で中国と話し合いを進めてまいりたい、かように考えております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 私費留学生。

砂田重民自由民主党文部大臣

○国務大臣(砂田重民君) ですから、一番後でお答えしましたのが私費留学生だと。民間団体を通じての私費の留学生が大分中国へ勉強に行っておることは事実でございます。ですから、政府としても私費の留学生も広い範囲で中国で勉強ができますように――幸いにして中国側の基本的な歓迎をしようというお答えをいただいておりますから、なおこれの拡大については、具体の問題が明確になってまいりまして、逐次中国側と話し合いを進めていきたい、かように考えております。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 日中平和友好条約が締結されて、わが国に残された最大の外交課題は対ソ外交の推進だと思うんですが、政府は対ソ平和友好外交を推進するために何をどのように進めていくのか、具体的な方針をこの際明らかにしていただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 日中平和友好条約が締結されましてから、これから先は今度は日ソ外交だと、こういう説があるわけです。私どももそのとおりに考えております。ただ、その際日ソ国交修復論と、こういう言葉を使う人があります。しかし、私どもは修復という言葉は妥当でないと思うんです。私どもは日中平和友好条約を締結した。しかし、これによって日ソ外交が、日ソ関係が阻害されたんだというその認識は持っておりません。とにかく六年間いろいろ苦心をした。それはなぜかというと、日中平和友好条約は締結する、するけれども、これによって第三国の利益を害するあるいは第三国とわが国との関係に影響を及ぼすということがあってはならぬ。つまり日中平和友好条約は結ぶけれども、それは日中間の問題だと、アメリカとの関係もある、それは日米との関係だと、日ソ関係もある、それは日ソ関係そのものであると。つまり日中は日中、日ソは日ソ、日米は日米、その他の国につきましてもそういうふうに颯然とこれが相交錯することがないように配慮いたしまして、日中平和友好条約におきましても特に第四条というものを設けまして、条約はこれは他の第三国に対する関係、これに影響するものではない、こういうふうにしておりますので、日ソ関係が日中平和友好条約によって何か傷つけられたとか、あるいは障害が出てきたとか、そういうふうには考えておりません。しかし、それはそれといたしまして、日ソ関係、わが国とソビエト連邦はこれまた善隣友好関係ずっととってきておりまするし、大事な隣国でありますから、そういう関係で日ソ関係は修復ということでなくて、いままでも善隣関係を続けてきておりまするけれども、この関係はさらに推進さしたいと、そういう考え方を持っておるわけです。  ただ、日ソ間には御承知のように北方四島の返還という問題があるわけであります。そこでわが国の対ソ外交といたしましては、この北方四島のわが国への復帰、これを実現し、平和条約を締結をするということで真に安定した関係になるだろうと、こういうふうに思い、この問題につきましては粘り強く交渉をし続けていくつもりでございます。ただ、これは現実の問題とすると時間がかかりそうだ。そこで、その間といえどもわが国といたしましては経済の関係がある、貿易の関係がある、あるいは文化交流の問題がある、人事交流の問題がある、それらの面につきましてはさらにこれを推し進めていく、こういう方針でございます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 ソ連との友好関係促進は、いま総理おっしゃったように、今後は貿易、経済協力、文化交流、こういうものを積み重ねていくことが非常に大事だと思います。そうして日ソ平和友好条約の締結がなされなければ真の日ソ友好関係の樹立にはならないのだ、これも当然だと思います。この日ソ平和友好条約締結を目指す日本政府の基本方針――四島一括返還をさせて、それから結ぶのだ、この基本方針はこれからソ連の方がどういうような対応をしてこようとも、厳然として不変の方針なんだと、こういうことなんでしょうか、もう一度承りたい。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのように御承知をお願い申し上げます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 戦後すでに三十三年たっているわけですが、領土問題が未解決のために、特に漁業及び関連産業を中心として根室地域経済は大きな損害を受けております。都市基盤整備も大変立ちおくれておりますし、そこで根室地域の一市四町村が総合的な地域振興計画というものを策定しているわけなんですが、この地域の特殊事情というものを考慮して、根室管内市町村は北方四島からの引き揚げを受け入れて、民生安定や福祉向上のための諸施策を講ずるなど、大変多額なこれまで経済的負担もこうむっているわけです。また、終戦後から今日まで一貫して、率先して領土返還の要求運動も続けてきております。これにかかわる経費も大きな負担になっているわけでして、とにかく有形無形の負担がきわめて大きいものがあるのですが、総理はこの特別措置法に積極的に取り組んでいただきたいと思いますが、御答弁いただきたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) まあ北方四島近接地帯の皆さんが大変いろいろな面におきまして御迷惑をこうむっておる、こういうことは承知し、政府といたしましてもその御迷惑に対しましてはいろいろな面におきまして配慮をしてきておりますが、この上とも対ソ交渉、これは基本的には粘り強く推し進めて成功させなけりゃいけませんけれども、その過程におきましての問題の処理につきましては誠意を持って尽力いたしてまいりたいと、このように考えます。

相沢武彦公明党

○相沢武彦君 終わります。(拍手)

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 以上で相沢君の質疑は終了いたしました。  午後一時から委員会を再開することとし、これにて休憩いたします。  午後零時十分休憩      ―――――・―――――  午後一時五分開会

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 予算委員会を再開いたします。  昭和五十三年度補正予算三案を一括して議題いたします。  それでは、これより山中郁子君の質疑を行います。山中君。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 初めに防衛庁長官にお尋ねいたしますけれども、今国会の論戦の中でも、超法規行動、奇襲対処などいろいろ問題になっておりまして、政府の答弁も混乱しているようですけれども、自衛隊による自衛権発動の要件をこの際改めて明らかにしていただきたい。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 自衛権発動の三要件いたしまして従来政府が申し上げておりますのは、急迫不正の侵害があったとき、それから他に方法がないとき、それからもう一つは、必要最小限の自衛権を行使するということでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 総理大臣にお尋ねいたしますけれども、その自衛権の発動は、自衛隊法七十六条に基づいて総理大臣が自衛隊に対し出動下令を行う、このこと以外にはないということでよろしいですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それが本則でございますが、不正の侵害が行われるおそれがあるといま際もまたこれに関連してそれに含まれると、このように御理解願います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いずれにいたしましても、総理大臣の承認を得て行うと、こういうことですね。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 ところで。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ちょっと山中さん、補足をしたいそうです。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) 自衛隊法七十六条についてただいま総理から御答弁がございましたが、正確に申しますと、外部からの武力攻撃のおそしのある場合にも防衛出動の下令はできます。できますが、山中先生が先ほど来問題にされておりまする自衛権そのものの発動は、おそれがあるという段階では行使することはできない。現実に外部からの武力攻撃があった場合に、まあいつあったかというのはまた問題は別でございますけれども、おそれのある段階では、防衛出動の発令はできますけれども、自衛権の行使はまだできないと、そういうふうに政府は考えております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いずれにしても、総理大臣の命令によって行われるということは間違いのないところです。  ところで、明らかにしたいのですけれども、伊藤防衛局長にお尋ねいたしますが、あなたは、第一線の自衛隊員が自衛権を発動することができるということを新聞の「朝雲」で、インタビュー記事ですけれども、これで明らかに言明していらっしゃる。これはどういうことですか、いまの総理の確認された内容と大きく違いますけれども。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) それは、総理大臣の七十六条の防衛出動の命令のもとにおきまして自衛権を行使することができるわけでございます。その際に自衛力を行使するのが自衛隊であるということでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 五月十八日の「朝雲」ですけれども、ここに二海曹の自衛隊の方がインタビューアーになって伊藤防衛局長が答えておられます。「領空侵犯という行為には自衛権を発動することができるのでしょうか。」伊藤局長は、「これは主権が犯されるのですから、まさにその自衛権は行使できます。」「平時と有事では、多少違いがあるでしょうが、自衛権を行使できます。」と、このようにおっしゃっています。平時で自衛隊の防衛出動を総理大臣が下令するということはあり得ないわけですから、これはどういうことですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) それは、そのインータビューのときにどういう話をしたか記憶いたしておりませんけれども、自衛権の行使というのは当然のことながら総理大臣の命令でございます。しかし、この領空侵犯措置、これは平時のことでございますが、空からの空襲になりましたときには、当然のことながらそこで自衛権の行使、防衛出動が下令されることになりますから、当然自衛権のそのもとでは行使ができるということでございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 関連質問。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 上田耕一郎君。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いまの防衛局長の答弁は全くごまかしですよ。この「朝雲」は、総理大臣のことじゃなくて、第一線のパイロットが領空侵犯のときに撃ち落とすこともいいことになっているんだということを言って、平時の場合にも有事の場合と同じように第一線のパイロットができるということを言っているわけですね。これはまことに大変な問題なんで、私はこれは防衛局長の言い間違いじゃないと思うんです。十月三日の衆議院予算委員会の質問で東中議員が明らかにしたように、現実に内訓というものがあって、向こうが攻勢をとったときには撃ち落としてもいいんだという事態になっているから、こういう答弁を思わず伊藤防衛局長はやってしまうわけなんですね。土曜日にも問題になりましたが、栗栖元統幕議長は、自衛隊は独断専行の教育を常日ごろやっているんだということになっているわけですね。つまり、総理大臣が命令もしないのにスクランブルに出て、向こうが攻勢の態度をとろうとしたら撃ってもいいんだと、独断専行で。これが自衛権の発動だということを防衛局長が、十万部出ている「朝雲」の中で言っているわけですね。もしこういうことになったら、これは大変なことになる。  そこで、私は、質問として法制局長官にお伺いしたいと思うのですけれども、自衛隊が武器を使用するケースについては、自衛隊法の第七章「自衛隊の権限」で詳細に決められているわけですね。たとえば、防衛出動の場合には八十八条、治安出動の場合には八十九、九十条、海上の警備行動の場合には九十三条、そのほか武器の防護については九十五条というふうに、どういう際に武器を使ってよろしいかということが詳細に決められております。それで、防衛局長が衆議院の答弁では正当防衛その他言われましたけれども、治安出動の場合に、正当防衛、緊急避難の場合も、武器を使用するには「刑法第三十六条又は第三十七条に該当する場合を除き、当該部隊指揮官の命令にようなければならない。」とはっきり書かれているわけですね。ところが、領空侵犯八十四条の場合には、自衛隊法の権限のところには何の規定もないわけです。だから、領空侵犯の武器使用については、自衛隊法で一切規定がないんです。シビリアンコントロールというのは、国権の最高機関である国会が決めた法律に基づいて自衛隊についてその行動を規制するというのがシビリアコントロールなんですね。われわれは自衛隊法というのは憲法違反のものだと思いますけれども、その自衛隊法にさえ違反して内訓が出ている。防衛局長が衆議院で答弁したように、向こうが攻勢態勢をとったときには武器を使用してよろしいという内訓が出ているということをはっきり答弁されましたが、法制局長官、この内訓というのは自衛隊法に基づかないものだと私は思いますけれども、そういうものを命令で出していいのかどうか。内訓で向こうが攻勢をとった場合に武器を使用してよいというのは、いかなる法律のいかなる条項に基づいて行われているのか、法制局長官としての明確な解釈を求めます。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) 申しわけございませんが、実は私自身は内訓なるものの中身を全然知らないわけなんですが、どうも、聞くところによると、いまおっしゃったような趣旨に近いことが書いてあるようでございます。そこで、その内訓の中身と自衛隊法の規定との関係はどうかという御趣旨の御質問だろうと思うのですが、いまの領空侵犯の場合は八十四条に対処する規定がございますが、これは前々から申しておりますように、一種の警察活動の場合のことだろうと思うのです。その場合に退去させあるいは着陸させるために必要な措置をとることができるという趣旨のことが書いてございます。それで、退去をさせ、あるいは着陸させるための措置をとっているときに、敵が――敵といいますか、侵入機が自衛隊の要撃機に対して発砲してきたと。その場合に、全然それに対してこちらが応戦できない応戦と言ったら言葉が行き過ぎかもしれませんが、対抗手段がとれないということでは、これでは自衛隊の八十四条が予定している任務すら実は行使できないわけなんですから、そういうぎりぎりの場合に、つまり正当防衛に該当するような場合に、侵入機に対してこちらも発砲するということをも八十四条が禁止しているというふうにはとる必要はないのだろうというふうに考えられるものですから、その内訓なるものの中身も自衛隊法に衝突すると、抵触するというふうには考えておりません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 武器使用についてはほかは全部書いてあるじゃないですか、法律で。領空侵犯には書いてないじゃないですか。

真田秀夫内閣法制局長官

○政府委員(真田秀夫君) ほかの場合になるほど書いてあることは確かでございますが、八十四冬の場合は通例は余り起こらないんですね。通例は、これは平時の場合の領空侵犯ですから、日本の領空を侵犯して自衛隊機に見つかれば、むしろ逃げて行ってしまうというのが通例の領空侵犯なんですよ。それがまかり間違って敵が発砲してたという場合に、黙っていなきゃいかぬかというば、それはいかに何でも、いかに自衛官であっても、そういう犬死にをしなさいというような法律であろうとは思えないわけなんで、そういう危惧の場合に侵入機に対して発砲することすら八十四条は禁止しているというふうには解釈する必要はないというふうに考えます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 いまの法制局長官の答弁は非常に重大ですけれども、私、関連質問は二問いといことなので、今後さらにこの重大問題を追及してまいりたいと思いますけれども、もう一問首相にそれではお伺いします。  いまの答弁で明らかになりましたように、武器使用というのは非常に厳密に自衛隊法で決めて去るわけです。シビリアンコントロールというのはそのくらい厳格にやらなきゃならぬ。ところが、八十四条の領空侵犯については何らの規定もないんですよ。ところが、何らの規定がないのに、防衛庁長官の内訓で、訓令で、勝手に武器を使ってもよいということを命令しているわけですから、これは超法規的な命令だと思うんですよ、法律に基づかない。非常におもしろいことになりますので、栗栖前統幕議長を、防衛庁長官は、超法規的行動が必要だと言うので首を切られた。その首を切られた御本人が出している命令がまさに超法規的な命令なんですよ。そういう内訓というのは非常に重大な問題だ。首相は、この問題について、わしは知らぬと、内訓というのは全く知らぬということをけろりとお答えになった。防衛庁長官も全く知らないと。これは大事な大変な問題ですよね。シビリアンコントロールの責任者であるべき首相がこういう大変な、まかり間違えば日本を戦争に巻き込みかねないような、防衛庁長官が栗栖さんに対して盧溝橋事件を起こすかもしれぬというので解任されたのに、そういう内訓を首相がおれは知らぬというので済みますか。自衛隊の長官なんですからね、あなたは。長官というか、完全な最高指揮官なんですから。  それで、私は、首相はその内訓を、十月三日に問題になってからもうすでに六日間たっておりますけれども、この六日間の間にごらんになったのかどうか、ごらんになってどう思われたのか、これはよろしいものだと、あるいはまずいものだと思われたかどうかをはっきりお答えいただきたい。こういう大変な内訓が出ているというのは、東中さんが言いましたけれども、アメリカンコントロールで日米安保体制と関係があるんだ。宍戸防衛局長が以前にアメリカの了解なしには国会に出せないということを明言した、大変な問題になって。これだけ大事な問題であるにもかかわらず、これまでの国会答弁で首相の言い分もくるくる変わる。東中さんに対しては七十六条首相命令以外にそういうことはできないということを明確に答えられたのに、奇襲に対しては対処する……

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 上田君、関連ですから短くお願いします。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 検討の必要があるということをその後答えられている。防衛庁長官の言い分ともまた変わっているわけですね。私は、これだけ国会で問題になり、また新聞紙上でも統一した見解が必要だという意見も出ておりますので、ぜひ首相に、内閣の統一した見解、内訓並びに奇襲に対処する問題について、法制的に検討するのか、いまのまま七十六条以外にはそういうものはないという見解で通されるのか、明確なお答えを首相にお願いいたします。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのわが国の法制――憲法を含めての法制体系のもとでは、防衛出動が命ぜられたその以前の段階、つまり非常に狭い意味の奇襲の段階、これに対して自衛隊がいかに対応するかという体制が整っておらないんです。空白であり、整っておらない。そういう点につきましては、今後これを検討をすると、そういう方針でございます。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 内訓を見たかどうか答えてないじゃないですか。どうですか、内訓は。ごらんになりましたか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 内訓の大体につきましては報告を受けております。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 御自分でごらんになりましたか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私、詳細は見ておりません。

上田耕一郎日本共産党

○上田耕一郎君 全く無責任ですね、これは。

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) 先般、私は、内訓の問題について承知していないという話。その承知してないというのは、いっこれをつくったのか、その日時を知らないと、こういうことであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 じゃ、総理にお尋ねしますけれども、内訓は大体聞いたとおっしゃいますが、その内訓についてどういうお考えですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 大体妥当な内訓であると、このように思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それが重大な問題で結局超法規的に自衛権の行使ができるということを伊藤防衛局長がおっしゃっていて、あなたにさっきごまかされたけれども、平時と有事では多少違いがあるけど自衛権の行使はできますと明言されているんです。これはどういうことですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 自衛権の行使は、これは総理大臣の命令に基づくものでございます。平時におきまして領空侵犯措置で上がったときに、先ほど来御説明いたしましたように、武器の使用については、自分の身を守るため、いわゆる正当防衛の場合、これは当然許されることだというふうに考えております。したがいまして、内訓の範囲で行動するということは当然のことだろうというふうに考えているわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 じゃ、それが自衛権の行使ですか。あなたはそういうふうにおっしゃっている。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) それは自衛権の行使ではございません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 「朝雲」にですね、十万部発行していて、これは七万部以上が防衛庁に入っているんです。自衛隊員がみんな見る新聞です。そこの中で、防衛局長が、自衛権の行使だと、平時でもできると、そしてそれは入っていないと。これはどういうことですか、うそを書いたんですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) それは速記でも何でもないわけでございますから、私が申し上げたのは、自衛権の行使というのは七十六条に基づいて行うことであり、平時の場合には正当防衛の要件に該当するようなときに武器が使用できるということを説明しただけのことでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 防衛局長にちょっとこの新聞を見ていただきたいと思いますけれども、よろしいですか。防衛局長、見てください。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) いずれにいたしましても、私が説明いたしましたのは、七十六条に基づく自衛権の行使と、それから平時におきます場合には武器を使用する際には正当防衛といいますかいわゆる攻撃された場合に限るということを言っているだけのことでございますので、その点は、私が申し上げましたのは、いま申しているようなことでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 間違っているんですね、これが。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 私の発言したのを正確に伝えているとは思っておりません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 防衛局長がはっきりとそのように言明をして、聞く人も自衛隊の婦人自衛官です。それで防衛庁にたくさん入っている新聞がそういうことを書いて、そうして自分の正確な真意を存えていない、そうおっしゃったって、現実に自衛隊員がみんなこれを読んでいるんですよ。それ弧平時でも自衛権を行使できるなと思うわけでし、う。長官、この責任はどうなさいますか。

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) 一々新聞が書くのを責任をとったらいかにとりょうもなくなると私は思うわけでありまして、一々新聞の書く責任を防衛局長がとれというのは無理だと私は思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そこにこの問題に対するずさんな政府の見解が明らかになって、姿勢がまさに露呈されていると言わなければならないと思います。私はそのことを重ねて強く指摘をしておきたいし思います。  次に、三矢作戦計画と有事立法の問題についてお伺いをいたしますけれども、総理は、三矢作曲計画が、制服組が勝手にやった独走で手続上問題があったと、こういうふうにおっしゃっていす。今回は自分が指示しているんだから問題ないと繰り返されていますけれども、内容上の問題がそれではなかったのかと、そういうふうにおっしゃっていらっしゃるのか、そこをもう一度確認へしたいと思います。三矢作戦研究の内容です。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は、三矢研究の内容についてつまびらかにはいたしておりませんけれども、いずれにいたしましても、わが国の自衛力、これは憲法のもとにおいて、またシビリアンコントロールのもとにおいてのみ存在すると、そういう考え方を持っておりますので、三矢研究が防衛庁長官も知らぬと、そういう間に行われるいうこと自体これは問題があると、このように考えております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 内容については問題がなかったと思っていらっしゃるのかとお伺いしています。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 内容については、つまびらかにはいたしておりませんけれども、内容の是非についてということはそれはそれといたしまして、手続といいますか、その点が問題であると。内容という点になりますれば、よく見てこれは相当吟味しなけりゃその是非ということは申し上げられません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 内容を見ていないとおっしゃっていることが問題ですけれども、そういうふうにおっしゃるかもしれないと思って私は事前に国会会議録に収録されているこの資料をお渡ししてあったはずですけれども、お手元に届いておりませんか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 届いておるようでありまして、私が政府委員から見せられました資料が山中さんから提出になったものであるかどうかは承知しませんでしたが、三矢研究の国会の論議、その速記録、これは拝見しました。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 ごらんになっていれば、そんな長時間かけて吟味されなくてもわかることなんです。しかし、それでもつまびらかにしていないとおっしゃいますので、私、もう一つここに手元にあるのをいま総理に見ていただきたいと思いますけれども、よろしゅうございますか。ちょっとそれを赤線を引いてありますのでそこを見ていただきたいのですけれども、この中で、「防衛徴集制度の確立(兵籍名簿の準備)」「交通・通信の強制的統制」「防衛物資生産工場におけるストライキ制限」「戒厳」「軍事秘密の保護」「国防秘密の保護」「強制疎開」その他たくさんありますけれども、そのことが問題がなかったとおっしゃるんですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) たとえば「戒厳」ですね、これは問題でしょう。こんなことは、別にこれは何の私の念頭にもありません。こういうことは検討すべからざることである、このように申し上げているとおりです。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それでは、確認をいたしますが、そのほかにも問題はありますけれども、たとえば「戒厳」でも問題だとおっしゃいました。三矢作戦研究は手続だけの問題ではなくて、内容的にも問題があるということはお認めになりますね。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりに存じます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 三矢作戦計画で、いままでは手続上だけの問題であったと、今回は私が指示するんだから問題はないとおっしゃいましたけれども、いま計画の内容について問題をお認めになりました。計画の今後の指示の中で具体的にそれではどのような問題が研究されているのか、そういうことについてお尋ねをしなければなりません。  初めに、有事に際して軍事上の必要から医師や看護婦、技術者などへの従事命令を出して、国民が意に反して仕事を強制される、そういうようなことはあり得ないのかどうか、お尋ねをいたします。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 今回の有事法制の研究におきましては、百三条の中で決められておりますことの政令の内容等についても研究をするつもりでございますけれども、まだそこまで研究がいっておりません。したがいまして、今後、そういった問題について研究してまいりたいと思っているわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それでは、国民の意に反して物資を収用するというようなことも研究をなさるということですか。物資の収用です。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 国民の意に反してといまおっしゃいますけれども、あそこに書いてございますのは、法律でちゃんとこういう範囲でやりなさいということが書いてあるわけでございますから、そのことを研究するわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 竹岡官房長にお願いをいたします。  あなたは、先日の内閣委員会で、いま伊藤防衛局長が意に反してということは法令に書いてないとおっしゃったけれども、罰則をつけることも含めて勉強するんだとおっしゃいました。いまの食い違いはどうなるんですか。

竹岡勝美防衛庁長官官房長

○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。  先にお断りしておきますけれども、防衛庁はいま有事法制の研究主管局長を防衛局長にしておりますが、私、初めに準備段階で責任を持っておりましたので、私の答えた分につきましては責任を持ってお答えします。  いま申されましたのは、百三条の関係でございますね。物資の収用等の自衛隊の関係でございます。これは御承知のとおり、災害救助法あるいは災害対策基本法に同種のものがあるわけでございますが、それを自衛隊法にも取り入れまして、有事の場合におきます物資の収用なり、あるいは土地、施設の管理、そういう規定がございます。災害対策基本法にはこれについて罰則がございます。現在、自衛隊法はこの百三条については罰則はございません。私たち、先生御承知のとおりに、この有事法制の研究は、昨年の八月、三原長官の指示によって始めたということは先生も御承知のとおりで、昨年の十一月の本会議あるいは参議院の内閣委員会で先生から御質問がありました。そのときにも、常に現在の憲法の範囲内で勉強しておるということは私はたびたび確言しております。と同時に、現在の憲法というのは、まさに基本的人権を尊重するという大原則がございます。この範囲内で当然われわれの勉強でございます。そのときに、国内での有事でございますから、恐らく国民の皆さん方の自主自発的な協力があるであろうというようなことはわれわれは一応期待しながらこの法制を勉強しておるわけであります。この土地収用その他について罰則をつけるべきであるか、災害対策基本法と同じように罰則をもって担保すべきであるかどうか。しかし、この自衛隊法が最初にできましたときにこれを罰則をつけなかったということは、やはり有事の場合には国民の自主自発的な協力を期待しておるという趣旨からつけなかっただろうと思います。そういう面でわれわれはいま考えております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 だから、竹岡官房長は罰則をつけるということも含めて勉強するとおっしゃったことは認めていらっしゃるんですよ。伊藤防衛局長のおっしゃるのと違いましょう。  それからもう一つ伺います。内閣委員会でたびたび竹岡官房長は自分がこの有事法制の問題については責任者だとおっしゃいましたけれども、いま何かかわられたというお話ですが、どうしてかわられたんですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) まず、罰則のことは考えておりません。  それからなぜ担当者がかわったかということでございますけれども、これは現在の自衛隊法の中で問題があるかどうか、すなわち自衛隊の行動ときわめて密接するところでございます。したがいまして、自衛隊の行動とすり合わせながら法制というものを研究する必要があるということで私が担当することになったわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 防衛庁設置法には、長官官房の所掌事務として「法令案その他の文書の審査に関すること。」となっているんですよ。だからこそ、竹岡官房長がいままで私が責任者でしたということで国会でもたびたびそのようにお答えになって言明していらっしゃるんです。何にも理由がないじゃありませんか。  それから竹岡官房長が罰則も含めて検討をするとおっしゃっているんだけれども、あなたは罰則を含めて検討はしないといまおっしゃる。どっちがどういうふうに統一できるんですか。そのことは金丸防衛庁長官にお尋ねをいたします。

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) 私は、しばしば申し上げておるわけでありますが、有事法制の研究という問題はあるいは立法という問題になるかもわからない。しかし、私は、この有事法制の研究についてひた隠しに隠しておるわけじゃない。シビリアコントロールというものは政治が優先する。だから、研究次第、中間報告は国会で要求があればいつでも中間報告もいたしますと、こういうことですから、私は、いま二十七万の自衛隊がおって、国民の負託にこたえるのに毎日寝て何もぜずにいたら、これこそ二兆円近くの国民の税金を使って、これはどういうことになるんだと、こう思っておるわけであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 委員長、質問に答えてもらってください。全然違うことです。

竹岡勝美防衛庁長官官房長

○政府委員(竹岡勝美君) 法制関係は内局官房になっております。特に今回の有事法制の研究というのは非常に大事な問題であるということで、昨年八月出発のときのこの有事法制の防衛庁内の研究をどのようにやっていくかというおぜん立てその他につきましては私が責任を持ってやりました。しかし、事、現在、たとえば交通関係の法令の除外例を研究するとかいう具体的な運用の関係に入ってまいりましたので、これは防衛局長を主管局長にすることがしかるべきであるというように切りかえた問題でございます。  それからただいまの百三条についての罰則の有無でございますけれども、先ほど申しましたとおり、災害対策基本法では罰則がございますが、この有事の場合の自衛隊法の関係につきましては罰則をもってまで強要しなければならないかどうか、これはやはり罰則をもって強要するほどのことはないのじゃないかということで、伊藤防衛局長が答弁したとおりで私と同じ考えでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 竹岡官房長は、罰則をつけるかどうか勉強していると前に御答弁なすったんです。  総理に伺いますけれども、それでは罰則をつける研究もするというようなことは総理の指示に沿ったものではないと、いま伊藤防衛局長がおっしゃったように罰則をつける考えはないと、それが首相の指示の精神であったということですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私が申し上げましたのは、安全保障というと幅が広いんです。これは。一防衛庁だけでできる問題じゃありません、これは。しかしながら、防衛庁がこの問題を主になって考えておる、そういうことで、最終的には内閣が決める。その有事の体制について防衛庁が防衛庁試案とも申すべきことを考えるんだと、そういう包括的な了承をいたしておるわけでありまして、そこで防衛庁がどういう事項について調査するか、研究をするか、これは防衛庁においてまず取捨選択をしてもらわなけりゃならぬと、そのように考えております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 じゃ、白紙委任ということですか、中身については。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 白紙委任ということではございませんけれども、いずれにいたしましても、私は、憲法の範囲内において、またシビリアンコントロールの範囲内において調査せられたいと、こういうことでございまして、その結果、中間報告もありましょうし、最終報告もありましょうけれども、私のそういう与えた指示、つまりシビリアンコントロールに反しておる、あるいは憲法に違反しておると、こういうことでありますれば、私はそれを取り上げないというように御理解願います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 一つだけそれじゃ明らかにしてください。竹岡官房長は、百三条について罰則まで必要かどうかということにつきましてはもう少し勉強してみたいと思いますとさきの内閣委員会で答弁なすっていらっしゃるんです。それはどういうことですか。伊藤防衛局長は罰則は考えていないと、これが防衛庁の有事法制に対する考え方だ、百三条に対する考え方だとおっしゃるけれども、違うじゃないですか。違うんだったら、竹岡官房長の答弁が訂正されるのか取り消されるのか知りませんけれども、その責任はどうなるのですか、このことを私は総理にもお伺いしているんです。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 実はまだそこまで研究がいっていないわけです。したがいまして、百三条については、まずその政令の内容、範囲、そういうものを研究しようということを考えている段階であるということを申し上げます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 研究している、研究の対象にするということは、何回も繰り返し答弁されたところです。じゃ、百三条については罰則をつけるということは考えないと、こういうことですね。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) まだ内容は検討していないということを申し上げました。現在の百三条には罰則がございませんということを申し上げたわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それだったら違うでしょう。じゃ、罰則をつけることも含めて研究しているということですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 百三条に基づく政令を研究しているわけでございます。その研究に着手しようとしているわけでございます。現在は百三条には罰則はございませんから、政令の中で罰則なんかを考えないということでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 今後百三条の政令は考えるけれども、罰則をつけるということは政令の中ではできない、したがって罰則をつけることは考えないと、このように理解をいたしました。よろしいですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) それはこれから研究してまいることでございますから、いまは何とも申し上げられないところでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それでは、竹岡官房長が前に答弁された罰則をつけることも含めて研究するということのそのままだということになるんです。そういうことを総理大臣は指示の中で考えていらっしゃるのですかということを私は申し上げている。国民の財産権、苦役の禁止、こうした憲法条項にも明らかに触れるそういう問題について、百三条の罰則をつけるということがあなたの命令の範囲にあるわけですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 現行法では法律に罰則がついていない。それをいかに政令といえどもその法律の規定を超えて罰則をつけるということはこれはあり得ないと私は思うのです。しかし、これから広く国家安全保障をどうするかというような検討をするその過程におきまして、これは罰則をつけた方がいいと、こういう結論になりますれば、それは法律の改正になるのでありまするが、それらを含めまして検討をすると、こういうことと御理解願います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それでは、憲法十八条苦役の禁止、二十九条財産権の不可侵、こうしたものに明らかに抵触してくるという内容を総理が指示の内容として含めている、現に防衛庁もそれをこれから研究をすると、そういうことになりかねません。そのことを指摘しておきます。  それから続きまして、いま百三条でできるようになっていると、こういうことをおっしゃいますけれども、そもそも百三条を含む自衛隊法自体が問題がある、自衛隊自体が問題がある、私どもは一貫してこのことを申し上げております。憲法制定の際に、当時の吉田首相も、憲法担当だった金森国務大臣も、自衛のためであっても軍備も交戦権も憲法上持てないと言明してきたことは、首相初め皆さんよく知っていらっしゃることです。それから現在の自衛隊のようなものが絶対にできないと、このように明らかにされてきたことも事実です。  私はここでぜひ御紹介をしたいのですけれども、さらに、米軍の元軍事顧問団幕僚長だったフランクコワルスキーが、その著書の「日本再軍備」という中に、自衛隊の前身である警察予備隊をつくったことについてこう言っているんです。ぜひ聞いていただきたい。戦力をもたないという人類の気高い抱負は、今や粉砕されようとしている。アメリカおよび私も個人として参加する「時代の大うそ」がはじまろうとしている。これは、日本の憲法は文面通りの意味をもっていないと世界中に宣言する大うそ、兵隊も小火器、戦車、火砲、ロケットや航空機も戦力でないという大うそである。人類の政治史上恐らく最大の成果ともいえる一国の憲法が日米両国によって冒涜され、蹂躙されようとしている。こう述べているんです。私はまさにそのようにって時代の大うそが始まって進展してきたと思います。憲法制定当時の解釈によれば、自衛隊が憲法違反であるということは明白です。それを合法化するために自衛隊法をつくり、そしてさらに違憲の日米安保条約のもとで憲法も認めない交戦権の発動の体制をつくる。そういうために、まさに憲法違反の、法違反のかたまりのような有事立法をつくる。百三条の政令だ、罰則の制定だ、そういうことがまさにその内容を示しているではないか。私はこのことを強く指摘もし、また政府の猛省を求めたいと思います。  それで、現行の百三条でさえ大変なことなのに、これだけでは結局間に合わないということで、いま総理自身も明らかにされたようにこれを拡大しようとしている。これが有事立法ですけれども、この有事立法については、さきの参議院の内閣委員会で、竹岡官房長が、大体八つのグループにまとめられているということで答弁をなさいました。それで、これが政府として有事立法の内容について公式に明らかにした最も新しいものであると思いますので、これについてお伺いをいたしますが、第一のグループとして竹岡官房長が答弁されました自衛隊の行動についていろんな諸法令から例外規定なんかを相当設けてもらわなければいけないと言っていらっしゃいましたけれども、これはどういうことですか。相当というのはどのくらいか。現に各幕からいろいろと意見が上がってきていると伺っておりますけれども、どういう内容が何項目ぐらい上がってきているのか、御報告をいただきたい。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) この前の内閣委員会で御説明いたしましたのは、昨年の八月に長官の指示がございまして始めました。そこで、法制担当者が思いつく範囲で項目を列挙したものを出してまいったわけでございます。それを将来まあこういうような形になるのかなというようなことで御説明したと思いますけれども、それは防衛庁としてそういうふうに分けて研究するというところまではとうていいっていないわけでございます。したがいまして、いまこれから手をつけなきゃならぬというようなことでございますが、過去一カ年間やりましたのは、たとえば部隊を動かすに当たっても、当然どんな場合でも必要だと思われる道路交通法とかあるいは航空法とか、そういうものについて研究をしたようでございます。こういつたものにつきましてもすでに雑則の中でそれぞれ適用除外がございますけれども、行動するに当たってこれで十分なんだろうか。たとえばほかの法律もいろいろ改正されておりますから、そういうものとの関連においてやったということでございますが、現時点におきましては道路交通法についてもそれほど大きな問題がないという結論でございますが、これからそのほかのものについてはやっていこうということでございまして、いまその八項目に分けたとか分けないとか、そういった段階ではないわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 じゃ、竹岡官房長にお尋ねいたしますが、八月十七日の内閣委員会で御答弁になった八つのグループに分けられるということはどうなるんですか。

竹岡勝美防衛庁長官官房長

○政府委員(竹岡勝美君) お答えいたします。  八月十七日の参議院内閣委員会で黒柳先生から御質問がありまして、黒柳先生からの御質問は、防衛庁は去年の八月から始めた有事法制を現在の憲法の範囲内でやると言っておる、あるいは自衛隊の運営管理、運用面に関連しての法制を勉強しておると言っておるが、大体現時点でもいいから、そういうことを、その憲法の範囲内であるということを示すためにも、どういうようなことが考えられておるのか、いまわかっておる範囲内でもいいから説明してくれないかということでございましたので、私たち当時法制担当の者がいろいろ論議しておりました範囲の中で、国民の前にもそういう憲法、これらのものは考えていないんだと、そしてまた、内容も自衛隊の運用管理に関連するようなものだというようなことが論議されておるという意味で、大体八つの項目を、中途段階ではございますがという条件と、そして最後に、これはまだ最終的に決まったものでもございませんし、今後の詳しい検討によって確立するものでございます。あるいはふえるかもしれませんし減るかもしれませんけれども、いまわれわれが考えておるアウトラインとしてはこういうものだ、しかしこれは確定したものではない、これから内容を詰めていくことによって恐らくこの予想、そういう方向に行くかもしれぬけれども、正式に決まったものではないという答弁をしております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 大分口が重くなられた感じで、この前のときはいろいろとお話しなすったわけです。  じゃ、お伺いしますけれども、一月末で各幕からの意見を大体取りまとめたというお話がいままでもございました。大体何項目ぐらいどういう内容のものが出されたのか、重ねてお尋ねをいたします。

竹岡勝美防衛庁長官官房長

○政府委員(竹岡勝美君) 当時新聞で何か数が出たようでございますけれども、そういう数というのは、それはお互いが論議の過程で各幕担当者、われわれ内局も含めまして、いろいろな問題点を洗ってみたわけです。その中には陸海空それぞれダブるものもございますし、数字の上でこれこれという詰めたものじゃございません。しかも、項目的にお互いが論議した内容、そういったものはございますけれども、数その他で正式に決めたものではございません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 新聞報道では二百項目というふうに防衛庁の言ったこととして報道されていますけれども、そうしますと、大体そんな見当だと考えてよろしいんですか、正確に何項目かは別としても。

竹岡勝美防衛庁長官官房長

○政府委員(竹岡勝美君) これは相当陸海空ダブっております。それで、論議された項目はいろいろありますけれども、とてもそんな数にはならないと私は思いますが、お互いの論議の中でやったものですから数字的には詰めたものではございませんし、そう大きな数字であるとは思いません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 結局、要するに、すべての法律の中に有事に際しての自衛隊の優先規定を盛り込もうと、こういう趣旨であらわれているということになると思います。これ自体大変重大なことだと思いますけれども、第二点の、防衛出動下令直前あるいは準備段階に何らかの手当てが要るだろうかということを述べておられましたけれども、これはどういうことをお考えの上ですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) これにつきましても、まだ研究に着手しているわけではございません。しかしながら、自衛隊法ができましてからすで二十年たっております。その間にはいろいろ軍事技術の進歩もございますし、また、防衛出動が下令された後の戦術思想の変化というようなものもあるわけでございます。したがいまして、具体的にこれだということは申し上げる段階ではございませんけれども、たとえば七十六条で出動命令が下令される、その前には、おそれのあるときに十七条で待機命令が下令されるというようなこともあるわけでございます。そういった場合に、現在の法律では、約四万人の予備自衛官の招集というのは、防衛出動が下令されないと招集できないことになっているわけです。しかしながら、現代のように軍事技術が発達いたしまして戦闘場面というものが急速に展開するような状況のもとにおきましては、この予備自衛官の招集などというものは、たとえば待機命令の時点で招集が可能で執れば、その時点において編成をいたしましてそして効果的にこの実力というものを使用することができるのではないかというような感じもいたしますけれども、こういった問題点についても今後研究いたしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そうしますと、準備段階や下令直前の動き方について研究したいとおっしゃっている。そうすると、現状では当然のことながら県連その他の状況でこうしたことができないということははっきりしているわけですね。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) それはそのとおりでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それが、準備段階だとかおそれの段階どころか、実際に待機命令も出ていない訓練の状態で事実上のそうした有事行動を行うということが実際に起こっています。具体的に申し上げますと、六月下旬から七月下旬にかけて北海道の矢臼別で陸上自衛隊一三師団の大演習が行われました。その帰途の途中のLST三隻が護衛艦とともに小樽港に入港したという事実があります。この辺の経過をちょっと御報告をいただきたい。それは事実だと思いますか、いかがですか。

夏目晴雄防衛庁参事官

○政府委員(夏目晴雄君) 去る七月の二十日の北海道における演習の後、自衛隊の部隊及び戦車等を輸送するために小樽港から輸送船を使用して帰った事実がございます。その際小樽港を使用したということは事実でございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 その際のときですけれども、七月十九日の夜です。小樽港でこの船が入ったときに、散歩に出たりあるいは船を見に行ったりした市民の人たちが、小銃を持った自衛隊員に立ち入りを抑えられて、そして埠頭に出ることができなかったと、こういう事実があります。現在は準備出動その他についていろいろできないことがあるから研究するとおっしゃっているけれども、訓練との関連で現実に自衛隊が立入禁止区域をつくると、こういう事態です。ちょっと図を見ていただいて御説明しますが、わかりますか、LSTがここに三隻入っています。そしてここのバツ印がついているところに自衛隊員が立って小銃を持って、そしてここを通ろうとする人、埠頭に出ようとする人を実際に抑えてそして入れさせなかった。遮断機もおろして、品物を何か置いたりして、事実上の立入禁止区域をつくって現実にはいれなかったわけですね。こういうことは行われていいことですか。どういう根拠で行われるわけですか。

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) 先ほど伊藤防衛局長に「朝雲」に載っているというその話につきましてその責任という問題がありましたが、新聞に一々責任はとれないと私は申し上げておるわけでありますが、「赤旗」にそれが書いてあるわけであります。私はその事実を調べましたら、有刺鉄線も張ってない、また銃を持ったいわゆる自衛隊員が立っておったわけでもない、それははっきりいたしております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 私、「赤旗」に書いてあるからつて言わないじゃないですか。共産党が現実に行って調べてきたんです。そして、小銃を持った自衛隊員に抑えられた人にも直接会って聞いてきているんです。事実なんですよ。じゃ、何にも自衛隊はここでしなかったんですか。戦車の積み込みその他についても、そうした自衛隊員がそこで立つとかそういうことを一切しなかったんですか。

夏目晴雄防衛庁参事官

○政府委員(夏目晴雄君) 当時大型の戦車その他を運ぶために交通安全の立場から誘導員八名を配置しておりましたが、これらについてはいずれも銃等を所持しておりませんし、立入禁止ということで制止したということもございません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それじゃ、何人そこに立っていたんですか。

夏目晴雄防衛庁参事官

○政府委員(夏目晴雄君) 誘導員として八名立っておりました。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 だから、その自衛隊員が実際に小銃を持って市民が入るのをとめて入れさせなかったんです。だから、あなた方はそういうふうにおっしゃるけれども、実際問題としては幾らでも証人もいるし、「赤旗」で報道したとおりです。私はそのことをいま重ねて申し上げます。  で、何が言いたいかと言えば、現実の問題として、すでにもう、何ら法的根拠もないのに、あなた方は法律的な根拠がないから考えるとおっしゃるけれども、何ら法律的根拠がないのに、事実上のそういう有事体制を訓練の段階にさえ敷いているではないか、そのことを私は申し上げておきます。  第五点目の問題になりますけれども、ここでは第五グループとしては国民への協力体制の問題を言っておられます。防衛庁の統一見解では、有事の場合においても可能な限り国民の権利が保障されることは当然と、こう書かれておりますけれども、可能でない場合があると、こういうことですか。金丸長官、いかがですか。

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) 日本の国が侵されるという事態になって、実際二十七万の自衛隊で守れるのか。私はたびたび申し上げているんですが、一億一千万の国民が民族永遠の存続を考えるなれば、何くそという気概がなくして国の防衛というものはできないということを考えてみれば、あるいはその場面になればいろいろの考えなくちゃならぬ問題があるであろうと私は思うわけであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 じゃどんなことが考えられるんですか。不可能な権利があるなんと言われたら穏やかじゃありません。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) たとえば現在自衛隊法で定められております百三条の土地の収用、あるいは従事命令、そういったものでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 結局、だから、自衛隊法自体は国民の権利を制限するというものだということでしょう。その問題の一つとして私は言論表現問題についてお伺いをいたしますけれども、先日の衆議院の予算委員会で、総理は、石橋議員の質問に答えて、機密保護法はただいまのところ考えていないと、こうおっしゃいました。これは、将来考えることがあると、こういうことですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 機密保護法を将来考えるということは、明らかに言論統制、報道規制に及ぶでしょう。防衛庁の統一見解の、言論報道規制などは考えていないということと矛盾するじゃありませんか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 当面の検討課題にはしておらぬと、こういうことでありますが、たとえば、自衛隊法で自衛隊員の秘密を守る義務がある、それに反した場合には三万円以下の罰金または一年以下の懲役というようなことになっております。さあ、それは平時の話でありますが、有事の場合になりましてそれで果たして十分なんだろうか、三万円、一年と、こういうようなことで。そういう辺にも問題があるわけでありまして、とにかく有事非常の際に際しまして秘密をどうするかということは相当大きな問題です。そういうことを考えますと、これはいま直ちに秘密保護法の改正というようなことは検討課題にはいたしませんけれども、将来それは全然野放しにしておくんだということは私は妥当ではない、検討はとにかくすると、こういうことであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 じゃ統一見解「防衛庁における有事法制の研究について」の中で、「言論統制などの措置も検討の対象としない。」と、こうなっていますけれども、これは違うということなんですね。これは当面だけの話だと、こういうことなんですね。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) それはそのとおりでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 防衛庁長官にお伺いいたします。この有事法制の研究は当面だけの話で、先行きはこういう約束は守ることは考えていないと、こういうことですか。

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) 今度の有事法制の研究上いう問題につきましては、私は憲法の範囲内だ、こういう考え方でこの研究を進めておるわけであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 総理大臣は、防衛庁の統一見解は当面の話で、将来はこれとは違うものが当然入ってくるんだとおっしゃったんです。金丸防衛庁岳官にそれを伺っています。どちらですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 防衛庁見解で、戒厳令、これは検討しない。これはもう検討すべからざる問題。それから徴兵、これも検討しない。利は検討いたしません、これは。しかし、そういう種類のものでなくて他にいろいろ問題がある。たとえば秘密保持、これなんかになりますと、ただいま私が設例を申し上げましたけれども、さあ重大な機密を漏らして三万円の罰金で済むんだろうか。いま平時ならそれでいいかもしらぬ。しかし、有事ですよ、有事になってから三万円あるいは一年以下の懲役、それで済むということにして一体いいんだろうか。われわれがいま問題にしているのは有事の際なんですよ。有事の際にどうるかということ、これはどうしても各般の問題にわたって検討しなければならぬ。しかし、ただいまのところは、そういう秘密保護法の改正、これは研究の対象にはしないと、こう言っておるわけでありまして、まして言論統制なんというと大げさな問題ですが、そういう考えは全然ありません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 総理の先ほどの発言といまの御答弁は大変重大です。一つは、この防衛庁の「有事法制の研究について」と出された内容が、当面の話であって、先行きは変わるんだという趣旨のことを先ほどおっしゃった。それで、その後いま再度言われたのは、そうであるけれども、戒厳令や徴兵制のようなものは当面だけじゃなくて将来ともだと、こうおっしゃった。そうしたら、言論統制などの措置は将来は研究の対象にすると、こういうことにならざるを得ないじゃないですか。  私はまず最初の問題について防衛庁に伺う。総理はこれは当面の話で先行きのことは別だとおっしゃっているけれども、そうなのですかということを金丸長官に伺います。

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) 自衛隊の最高指揮官は総理大臣であります。総理大臣の言っていることは間違いないと私は思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 機密保護の問題では先ほど申し上げましたように研究を要する問題があるんです。でありまするけれども、当面は機密保護法の研究、これはいたさないと、こういうことを申し上げておるわけであります。しかし、先々未来永劫に機密保護の問題ですね、いまとにかくスパイ天国とまで言われるわが日本です。こういう状態を放置しておいていいのかどうかというような重大な問題もあると思うんですよ。しかし、いまそれは自衛隊のいわゆる有事体制の検討項目とはいたさないと、こういうことを言っているのでありまして、まあ何項目か自衛隊では挙げておるようですが、ほかにもいろいろの問題があると思うんです。あれでおしまいだと、こういうようなことじゃございません。いろいろ問題があるんです。あるけれども、当面研究するのは、当面緊急を要する問題に限ると、こういうことであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いろいろと竹岡官房長が答弁されたり、言論、報道の規制などが出てきて問題になったということであなた方はこの統一見解というのを出されたわけでしょう。そして、危険がないと、不安がないんだということを国民に一生懸命おっしゃっているわけ。それにもかかわらず、防衛庁のこの見解は当面だけの話であって、先行きこういうことでやるということではないと、こういうふうにいま総理大臣はおっしゃっているんですよ。これは大変な重大な問題じゃないですか。防衛庁のこの見解というのは、そういうように当面だけの話であって、当面国民をだますために、国民の中から大きな批判が起こってきているからごまかすために、鎮静するために出しただけであって、将来は言論、報道の規制もなにも考えると、こういうことが政府の真意だということになるじゃありませんか。そうですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 有事体制となりますれば、いろいろの問題があるんですよ。そのいろいろある有事体制の中で、防衛庁が当面こういうことをやるんだと。しかし、私からも言っているんです。徴兵法なんか考えておりませんと。戒厳令というようなものも考えておりませんと。これは憲法との関係があるからです。私どもはいろいろの問題について検討いたしまするけれども、これは憲法、シビリアンコントロール、そういう大原則に触れるようなことはいたしませんと、こういうことを言っておるわけです。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 いま、徴兵制や戒厳令は憲法違反になるけれども、言論統制は憲法違反にならないかのようにおっしゃっている。ここがまた大きな問題でしょう。機密保護法は、MSAの秘密保護法だとか、安保刑特法、これを見ても明らかなように、一般人の言論統制、報道の規制に及ぶんです。刑特法で二千件ももう逮捕されたり起訴されたりしているんです。有罪になったりもしている。秘密でも何でもない基地の飛行機を写真に撮った、航空雑誌に載せたという理由で。クリーニング屋さんが、アメリカの兵隊さんが入ってきて、そして商売のためにいつごろ船が入ってくるだろうかということを聞いたら、もうそれが秘密保護法に触れたということで裁判になっているんですよ。そういうふうに軍事機密保護法というのは必ず言論統制に及ぶということはこれは常識でしょう。それは憲法違反じゃないですか。そのことを申し上げている。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いずれにいたしましても、憲法に違反するようなことは断じていたしません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 抽象的にそういうふうにおっしゃっても、機密保護法をつくると。そして、これは当面だけの問題であって、将来はだめだ、しないと、こういうことでは、中身が全くないということになるんです。そこのところを私はもう一度防衛庁にはっきりお伺いいたしますけれども、防衛庁は当面だけの話ですか。重ねて責任を持って答えてください。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 防衛庁がやっておりますのは、総理の了解を得まして長官のもとでやっているわけでございます。ただいま先生がおっしゃいました秘密の保護につきましては、最近一部の週刊誌あるいはパンフレット等におきまして、もう基本的人権も無視するような、あるいはまた現在の警務官に取り締まりの権限を与えるような内容のことが書かれたりいたしております。しかしながら、私どもは全くそんなことはいま考えていないわけでございますから、いわゆる言論の統制については研究していないということを申し上げているわけでございます。(発言する者あり)

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 政府委員に申し上げますが、まともに御答弁を願います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 当座のものなのかどうか。

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) 統一見解、これは当面かというお話。この問題は私は当面とか当面でないとかということでなくて、総理の了解を得て統一見解が出ておると御理解いただきたい。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 総理は当面とおっしゃる。防衛庁長官は当面だとか当面じゃないとかどっちでもないようなことをおっしゃる。統一した見解を出していただきたい、政府の。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) あの統一見解では、徴兵法ですね、あるいは戒厳令、こういうのに触れておりますが、そういうことを研究する意図は先々といえども持っておりません。しかし、言論統制、言論統制と言いますが、言論統制が憲法違反になるというような程度のことはこれはもう断じて考えませんから、ひとつ御安心を願いたい。ただ、言論統制の周辺にある機密保護法、こういうようなことになりますと、いまさっき私が申し上げたように、いま自衛隊の機密はどうやって守っているかと、こう言いますれば、自衛隊員の規律――自衛隊員が秘密を漏らしたと、そういう際に一年以下の懲役だ、あるいは三万円以下の罰金だというようなこと、これで守られておるわけですが、これは平時の話なんだと。しかし、これが戦時になりました際、あるいは有事になりました際、そういう際にそういうようなことでいいのかどうかという問題だってまあちょっと考えてみればあるわけじゃありませんか。そういうようなことを含めまして機密保護をどうするか。まあどういう法制になるか、それはわかりませんけれども、いまの機密保護体制で一体有事に臨めるかどうかというような問題ですね、これは私は真剣に考えていい問題だと、こういうふうに考えますが、いま私どもは言論統制だ何だ、そんなようなことを全然考えておりませんから、そのように御理解願います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 だから、将来は言論統制にかかわる機密保護法を出すということをさっき明言されたんですよ。将来は考えると明言されたんです。そして、この問題はこれは当座の話だと、こういうお話でした。防衛庁長官は当座であるのか当座でないのか言明されていませんけれども、いずれにしても当座だとは言明されていないから、首相とそれから防衛庁とお話は違います。ここをはっきりひとつ統一していただきたいということが一つです。  それからもう一つ、当座のものならば、将来を含めて軍事機密保護法も出すということも含めて防衛庁の法制研究の見解を出すべきです。出してください。政府委員(伊藤圭一君) 大臣と総理の答弁の趣旨が違っているとは私どもは思えないわけでございます。大臣が申しておりますのは、現在防衛庁の長官が命じてやっている研究はこういうことであると。総理は、将来の問題といたしましていろいろなことを考えなきゃいけないんじゃないかということを言っておられるわけでございます。また、そういういま先生が御質問になりましたような機密保護法が必要かどうか、そういうことは現在は検討しておりませんからわかりません。したがって、将来どうするんだということはとても申し上げられないことでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 将来は考えるということを総理はおっしゃっているんです。じゃ、もう一度だけ聞きますけれども、金丸長官ね、これは防衛庁としては当座のものではないんですね。防衛庁としては国民に責任を持ってこういう内容だということをお約束されるわけですね。総理大臣は当座の話だとおっしゃいました。

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) 私は、先ほどお話し申し上げましたように、総理の了解の中で統一見解をつくったということでありまして、当面だとか当面でないとか、そんな話し合いは総理といたしておるわけじゃないわけでありまして、ただいま総理が申し上げておるのは総理の考え方を申し上げているというだけであって、防衛庁長官は何らそれに関与するところはないと思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そんな無責任な話はないじゃありませんか。防衛庁長官、何ですか、あなた、長官でしょう。(発言する者あり)

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) いろいろ先々のことを御質問していられるようでございますが、先々のことは全然わからないことでありまして、われわれの統一見解でわれわれはやっていく、憲法の範囲内で。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それじゃまた違うんですよ。総理は先々機密保護法については考えるとさっきおっしゃたじゃないですか。違うでしょう、統一してください。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 先ほど来、総理、防衛庁長官から御答弁いたしておりますように、先々のことはわからないわけでございます。私がいま防衛庁の見解として発表いたしておりますのは、今回やっております研究はこういうものでございますということを申し上げているわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 総理は将来考えるとおっしゃったんですよ、一番最初この機密保護法の問題で。あなた方は先々も考えるか考えないかわからないけれども、総理は考えると明言されたんですよ。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私は本会議でも明確に申し上げているんです。当面機密保護法は考えておりませんと、当面考えておりませんと。こういうことであって、先々必ず機密保護法を研究するんだというふうには申し上げておらないんです。ただ、機密保護法にいたしましてもいろいろ問題がある、そういうことも指摘しておるわけでありましてね。しかし、当面は機密保護法、言論統制についてはこれを考えておらぬと、こういうことでありまして、これは私が言うことと防衛庁当局が言うことと何らの矛盾もありません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 違うんですね。防衛庁のこの見解がそれでは当面の問題なんだということは総理も防衛庁長官も一致していらっしゃると。防衛庁としても、長官の責任でもってこれは防衛庁の見解だから出されているわけね。だから、防衛庁の長官としても、総理の言われるようにこれは当面の話だというだけのことだと、将来は別だと、こういうことですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) たびたび申し上げておりますように、将来のことはわからないわけでございます。私どもは、防衛庁として総理の了承のもとにやっておる内容、それについて統一見解を出しているわけでございますから、何も矛盾していないと私は思うわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 長官に聞いています。金丸長官に伺っています。

金丸信自由民主党防衛庁長官

○国務大臣(金丸信君) ただいま防衛局長が言ったとおりであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 結局、防衛庁がこういう見解を出して、徴兵制やあるいは戒厳は考えていない、言論統制なども研究の対象にしていないなどと言っていますけれども、機密保護法は将来考える、言論統制に及ぶということも有事ならやむを得ないと総理がおっしゃって、防衛庁もそのとおりだと。この統一見解がいかに当座の国民をごまかすものであるかということの本質は明らかになったと思います。そのことを私は強く指摘をし、引き続きこの矛盾についても追及をしていきたいと思いますけれども、きょうは限られた時間でございますので、次の問題に進みます。  七点目に、八グループの七つ目の問題として、米軍の協力に対する国内法の不備ということで、米軍が動いてくれる場合にどういう有事法制をつくらなきゃならないか研究したいとおっしゃっていますけれども、これはどういうものを考えていらっしゃるのか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) これはどういう内容のものかというのはわかりません。しかし、御承知のように、日米安保体制のもとに自衛隊と米軍が整々と協力しながら対処するわけでございますから、法制担当者が考えたときにあるいはそういうものもあるかもしれないという程度のものでございまして、どういうものということは現在考えておりません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そうしますと、自衛隊が有事に際していろいろな法規の上で優先的に扱いを受けなきやならないということの有事立法の研究だとおっしゃるのと性質的には同じものとして考えると、こういう意味ですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) それは違います。防衛庁が研究いたしておりますのは、現在の自衛隊法で自衛隊の行動をする上に問題点があるかないかということが中心でございます。したがいまして、その協力をするときに、何か自衛隊の側から協力するようなものがあるのではないかというようなことを研究の初期の段階で考えたということでございまして、具体的にそういったものがどういうものがあるかというのはまだ考えていないわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 現在でもすでに米軍には十七の特例法と約五十項目に上る日米合同委員会の合意事項があります。それでさまざまな優先権が与えられていますけれども、このほかにやはり何らかの特権を国内法でもって整備しなきゃならぬと、こういうお考えだと思いますけれども、そうですね。まあ中身が何であるかということは別にしてもです。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) そういうことは自衛隊法で研究する対象ではございません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 八つのグループで竹岡官房長がこのことをおっしゃっているんです。そうしますと、私がここで問題にしているのは、米軍のための有事立法ということになると、そうすれば有事有事と言うけれども、すでにいままでも国会の中でも申し上げてきましたように、有事になるのは他国から日本が急迫不正の侵略を受けるのではなくて、たとえば朝鮮有事の際に在日米軍が安保条約で日本から出撃する、それに伴って日本も反撃される、そういう危険、つまり日本が巻き込まれると、こういう問題を繰り返し強調もし指摘もしてまいりました。それとの関係で私は重視をして米軍用の有事立法というようなものについての問題点をいま解明をしたいと思っておりますけれども、自衛隊と関係ないとおっしゃるならば、有事法制研究と関係ないとおっしゃるならば、八つのグループということでこの前竹岡官房長が答弁されたことは、一応は全部撤回なさるということですか。あの中にこれは入っているんです。国民の避難誘導という問題も入っているし、そういうものが統一見解の中に入っていないということで、これは大変食い違ってまいります。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 具体的な内容としてそこまで検討いたしておりません。したがって、あの八項目に従ってやるかどうかということはいまはっきり申し上げられる段階ではございません。しかし、自衛隊法の中の自衛隊の行動あるいは権限というようなところで研究をする中には、御承知のように、災害救助法というのは昭和二十二年にできております。したがいまして、その中で自衛隊が有事に行動する際に必要なものはある程度取り入れられております。しかしながら、災害対策基本法は昭和三十七年でございますので、自衛隊法あるいは災害救助法の中の必要なものはそちらに入っておりますけれども、その中のもので自衛隊が行動する際に必要なものがあるかないか、そういったものは検討しなければならないかと考えているわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それでは、先日の八つのグループという問題は、これは一応白紙撤回ということですね。それははっきりしてください。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) これは白紙撤回というような問題ではなくって、先ほども御説明申し上げましたように、法制担当者が非常に広い範囲でどんなものがあるかということを項目的に洗った段階において、将来はこういうことになるのかなあという程度のものでございますから、白紙撤回するとかしないとかいう問題ではございませんで、これから研究の結果によってそういうものが整理されていくという性質のものでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それでは、少なくともこの八グループということで御報告があったけれども、これに依拠されてこれから研究が進められるというものではないということですね。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) それは八グループに分けて研究を始めるというようなものではございません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 その内容です。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) 内容といいますと、実はその内容そのものといいますか、これをこれから研究するわけでございますから、もう内容が固まっているかのごとき印象を与えたとすれば、それは間違いでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 どうもあなたのおっしゃることははっきりしません。八グループの中に入っている米軍の問題で伺えば、それは研究をする対象ではありませんと、こうおっしゃる。だから、それじゃ八グループというのはこれはたん白紙に戻して考えた方がよろしいということかと伺っているんです。つまり、少なくともこれに依拠して研究をするというものではないのかと。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) それに基づいて研究をするというものではございません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 大変不明確な問題で、この八グループをすでに国会で正式に答弁をされている責任、あるいは首相の指示の範囲であるのかどうか、こういう問題、それからさらに、いままで私が八つのグループの問題について申し上げましたけれども、重要な問題がさまざま入っております。私は、そういう点について、総理がいままで指示された範囲であるのかどうか、米軍の問題なんかも含めてですね、そのことを有事立法問題の最後に一点お尋ねをいたします。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私が了解いたしておりますのは、要するに、シビリアンコントロールの原則には反しないこと、憲法には反しないこと、そういう枠の中で有事にはどういうふうに対処するかという各般の問題について検討をせられたいと、こういうことであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 じゃ、米軍用の有事立法をつくるというふうなことは指示の範囲ではないということははっきりしているんですか。いまそれは自衛隊の問題じゃないとおっしゃったから、総理にそれを伺いたいわけです。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) これはいま総理の指示を受けましてやっておりますのは自衛隊の行動に関することでございますから、米軍の行動に関することは、いま先生も御指摘がございましたように、ほかの規定――地位協定その他で決まっておるわけでございますから、いまそれを研究の対象とする考えはございません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 経済問題に入ります。  初めに、十月六日付の「毎日新聞」の夕刊で報道されているところによりますと、労働省が生理休暇を廃止し、深夜業の禁止や危険有害業務への就労制限などを取り外す方向で労働基準法の改正を準備中だとなっております。これはまた大変ショッキングなことですけれども、これについてまず労働省のお考え、大臣のお考えをお伺いいたします。実際そうなっているんですかどうですか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤井勝志君) 新聞に報道が出ていることは後から私も気がついたのでありますけれども、そのような報道は労働省として一切しておりません。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 報道はされていないでしょうけれども、報道されている内容について労働省がお考えがあるのですかということをお伺いしたい。生理休暇を廃止なさるんですか、そういうお考えですか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤井勝志君) 女子の生理休暇の問題につきましてはなかなかデリケートな問題でございまして、女子の職場における男女平等というこういった観点と、また、女子の立場を保護するという、こういう相矛盾する問題と申しますか、そういったことで、労働基準法研究会でいま検討していただいておりまして、その研究の結果を踏まえてこれから対策を考えたいと、このように思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 研究会のお考えではなくて、労働省のお考えを伺っているんです。それで、生理休暇の廃止だとか母性保護に関する規制の廃止なんというのはこれは大変な問題なわけです。基本的な姿勢ですけれども、私は母性保護が男女平等を阻害していると言うのではなくて、あなた方はそのことを言いながらいままでいろいろおっしゃっているんです。そのことを言いながら、結局は労働条件の悪化のてこにしていると、これがいまの問題点で、労働組合もあるいは婦人労働者も大きな批判の声を上げている。これはもう労働省はよく御存じだと思うのですね。基本的に母性保護が男女平等を阻害しているのではなくて、母性保護を十分保障してそして男女平等を確立すると、これが労働者の権利を守り、保護をし、婦人の地位向上を図るということが労働省設置法にもちゃんとうたわれている労働者の基本的な姿勢でなければいけないはずですね。そこのところはお約束していただけますか。よもや生理休暇の廃止などということはお考えになっていらっしゃらない、そのことをお約束していただけますか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤井勝志君) 先ほど私の考えもある程度踏まえてお答えをしたつもりでございますが、やはり女子の立場を保護するという、こういった配慮、同時に職場における男女同権というこの問題をどう調整、調和をするかということは、なかなかむずかしい問題だと思うのでございまして、そういう面であって、決して女子の立場を不利にするとか、こういった考えはさらさらございません。  結局、世の中には夜があり昼があり、表があり裏があるという、こういったことで、そこら辺をどう調整していくかということがなかなかむずかしい問題だというふうに思うわけでございまして――たとえが少し適当でなかったかと思いますけれども、やはり男女平等の原則という、そして女子の立場を保護するという、これが過保護に陥ってはいけないという、こういった考え方、こういったいろんな問題か絡んできておりますから、要するところ労働省としてもまだ、見解が出ておれば何も労働基準法研究会に研究をまたなくてもいいわけでありますけれども、どのような方向がいいか模索しておるという現在段階においては労働基準法研究会の成果をまって対応したい、このように考えるわけであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 端的にお伺いしますけれども、それじゃ母性保護が男女平等を阻害するからということで生理休暇もだから廃止しなきゃならないかもしれないと、こういうふうに考えていらっしゃるんですか。それだったら大問題なのよ。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤井勝志君) これは私の言葉足らずで大変誤解を与えたら訂正したいと思うのでありまして、どういうふうにやったらいいか、なかなかいい知恵が出ない、したがって現在検討しておるということでありまして、従来の考え方から言えば生理休暇があるというのはそれ相応の理由があってできておるわけでございますから、慎重に配慮しなきゃならぬ、このように思いますから、慎重に配慮するという点において労働基準法研究会において衆知を集めてその方向を決めたい、こういうことであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 労基法研究会の最終報告が年内に答申されるとこれも報道されています。それでもう大分前から労基法研究会、研究会と労働省は言っていらっしゃるんですけれども、これはいつごろ答申されるんですか、年内答申は事実ですか。

岩崎隆造労働省労働基準局長

○政府委員(岩崎隆造君) お答え申し上げます。  現在、御審議いただいている婦人に関する問題につきましては、部会で御審議いただいているんですが、その関係の御答申は大体年内にいただけるというように予定しております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 労働大臣にお尋ねいたします。週四十時間労働とか、残業の規制とか、深夜業の原則的禁止だとか、有給休暇の拡大だとか、こういう一般的労働条件の向上で国際的にも大分おくれています。そういうものがまず第一義的に大事であって、そこにあわせて労基法の再検討、見直し、そうしたものはそこを基準にして行われるべきだ、労働条件の向上と婦人の地位向上を図るために。私はそのように考えておりますけれども、労働大臣としても、労働省としても、当然、そこをしっかりと踏まえて御検討なさると、こういうことでよろしいですか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘の線に沿うて慎重に対処したい、このように考えます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 生理休暇の廃止などというショッキングなことがよもや起こらないと私は思っておりますけれども、大問題であるということを指摘しておきます。  次に、一般消費税の問題についてお伺いをいたします。  初めに総理大臣にお尋ねいたしますけれども、税制調査会の特別部会が一般消費税の試案を出しました。これを総理は魅力ある税制だと、このように何回か答弁されていますけれども、私どもは最悪の大衆課税だと考えております。一体、どこが魅力あるとお考えになっていらっしゃるのか、初めにお尋ねをいたします。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 私が魅力あると、こう申し上げたのは、いま日本の財政は非常に危機的状況なんです。これをこのままほうっておいて一体日本社会はどうなっていくんだろうということを深く心配をいたしておるわけですが、ことしでもすでに十一兆円の公債を発行しておる。その十一兆円の公債はこれは何としても消化しなきゃなりません。消化しなきゃなりませんけれども、これの消化には並み並みならざる努力を必要とするわけなんです。しかし、ことしは何とかしのぐ。しかし、先々を考えますと、このような大規模な公債、これは総財源の実に三七%強に当たるような重い公債依存態勢であります。このような状態が続いていくということになる。そのうちにわが国の経済も逐次安定化の方向に向かう。安定化すればそこで民間の設備需要が起こってくる。その民間資金、つまり国民貯蓄を財政が公債の消化財源にこれを使わなきゃならぬ。一方において、産業界は、その設備投資でありますとかあるいは経営運転資金でありますとか、そういう方向にこの民間資金を使わなきゃならぬ。いまは民間の設備投資需要がありませんものですから、公債の消化はまあまあやってのけられると思いまするけれども、さあ民間資金需要も旺盛になってくる、民間資金とそれから公債財源資金、これが相競合するというようなことになりますと、これは大変深刻な事態になってくるだろう。万一公債が消化できないというようなことになりますれば、これは大変な、非常な事態、ひょっとすればこれは悪性インフレというような事態になりかねないんです。そういうことを考えまして、とにかく公債発行額を逐次減らさなければならぬ、特にいわゆる赤字財政、これは減らさなきゃならぬ、こういうふうに考えておるわけでありますが、そういう際にここで公債をさらに増発するというようなことはとうてい考えられないんです。  そういう状態でありまして、何とかそういう事態を回避するためには、これは何かの財源の充実を要するというふうに考えておりますが、直接税と間接税が財源としてはあります。直接税も皆さんが所得税の減税をと言うくらいこれを要望する向きもあるわけでありまして、これをそれ以上ふやすわけにはいかぬ。また、景気がこういうような状態で法人税を増徴する、これもなかなかむずかしい。そうなりますと、消費税にある程度の負担を求めるということになるんですね。また現に諸外国はみんなそうしております。そういう際に税制調査会の特別部会が一般消費税、これの増徴試案、こういう計画を持ち出しておる。これは非常にいろいろなことを考えているんですよ。たとえば逆進性、逆進性と言われまするけれども、その逆進性、これがそう厳しく出てきちゃ困るというので、食料、これは除外しましょう。あるいは消費税は手続が非常にめんどうだ、中小企業が困るだろうというので、零細なものはこれは除外しましょう、こういうようなことも考えておる、その手続も精細に検討しておる。そういうようなことで私は特別部会の案、これはなかなか魅力のある案だなあ、こう申し上げておりますが、それはただいま申し上げたとおりであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 何か人ごとのようにおっしゃいますけれども、結局、そうすると、この膨大な赤字公債を一般消費税で国民にツケが回ってくるということに魅力がある、これが首相のお考えのようですけれども、税調会長にお尋ねをいたしますが、おけがしていらっしゃるそうですけれども、大変恐縮でございました。  原則的には、国民の消費するすべての商品とサービスに課税されて、それが物価に織り込まれて最終的には消費者である一般国民が負担する、簡単に言ってしまえばそういう税制だということになりますか。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) ただいまおおよそお尋ねのとおり、一般消費税は財貨及びサービスの提供ということに着目しまして、その消費一般に課税をお願いする、こういう性質のものでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そうしますと、企業は原則的に負担しないでよろしい、こういうことになりますね。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) 納税義務者は企業を行っている事業者、輸入につきましては輸入する人ということになりますが、したがいまして、たてまえとして企業課税ではございません。税の負担は一般消費者、ただし納税義務者はいまの企業者ないし輸入につきましては輸入する者ということになります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そうすると、負担は消費者と、企業は負担しないと。いま不公正税制で大企業の税金逃れが大変問題になっています。それなのにまたまた大企業には負担をさせないで、そうして国民が犠牲になるというひどい内容ではないかと思いますけれども、どんなものに課税をされるということなのか、具体的に明らかにしていただきたいのですけれども、大蔵大臣に伺います。  食料品は非課税だと、そこも首相は魅力の中に入れていらっしゃるでしょうけれども、そう言われていますけれども、外食はどうなるんですか、大蔵大臣、いかがでしょうか。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) 外食については、これは検討中と伺っております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 じゃ税調会長に御答弁お願いします。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) 外食につきましては、御承知のとおり、料理飲食税というものが別途ございますので、そういう既存の消費税ないし物品税があるものにつきましては、その調整をどうするかということは今後具体的に検討すべきである、こういうことになっております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そうすると、食料品は非課税だと言うけれども、外食は非課税だということはいまはっきりされていない、むしろ基本的にはかかるという、税の性格から言えば、そういうことにもなりかねない。ここでまた外食に課税されたら、サラリーマンや学生には大変大きな負担になるわけですけれども、食料品非課税というふうに言っているここにも私はやはりごまかしがあると言わざるを得ないと思います。  具体的にさらにお尋ねいたしますけれども、電気だとかガス料金、出産費、それから保育園の保育料とか衣類や学校用品、運賃だとか家賃、こういうものはやはりみんなかかるんですか。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) いま個別にいろいろお挙げになりましたものの中で特に申し上げるべきことは、保育所のことをおっしゃいましたが、これは社会福祉事業として課税の対象外にするのが適当であるというふうな、重要性を持つということであれば、これは除いてしかるべきである。学用品だ、住宅だ、その他若干例示がございましたが、そういうものはおおよそ課税の対象になっておるということでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 じゃ、ちょっとお尋ねするんですけれども、結婚式だとかお葬式ですね、こういうのもやっぱり課税の対象になるんですか。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) 結婚式、葬式、これは課税の問題としましては、結婚式の会場を貸すとか、そこにごちそうを出すとか、あるいは葬式であれば仏具云々をするとか、こういう業界に対してはこれを特別除くということにまだ現在のところ考えておりません。普通のサービス業と同じようにかかるものであるというふうに現在の試案ではお考えになっていただいていいんじゃないかと思いますが、そこはしかし、特に明示しておるわけではございません。  以上のとおりでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そうすると、まさに揺りかごから墓場まで、それから朝起きてから寝るまで、寝ても家賃にかると、こういう大変な税制だということになるわけなんですけれども、税率について具体的な問題で大蔵大臣にお尋ねしたいんですけれども、先日、会長が税率について五%前後から一〇%以内と国会答弁されていました、衆議院の大蔵委員会ですね。仮に税率を一〇%とすると、五十三年度ベースで税収は幾らになるか、大蔵省、大蔵大臣から御答弁いただきたいと思います。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) 一%で五十三年度ベースで言うと五千六百億ぐらい、その場合は免税点が売り上げ一千万円というふうに聞いております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 一〇%でいま私お尋ねしたんですけれども、そうすると五兆六千億ということですね。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) そういうことになりましょうね。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 続いてお尋ねしますが、四人家族で幾らの負担になりますか、仮に一〇%としてですね。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) 四人家族で――四人家族というよりも一世帯当たりの方がわかりやすいんじゃないかと思いますが……

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 四人家族でといって調べていただくようにお願いしておいたわよ。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) 五兆六千億といたしますと五千六百億で大体三千四百八十六万世帯でございますから、年間、それで割り算やりますと一万六千円、一〇%であればその十倍と、こういうことになろうと思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 世帯数だと基準が出ないんですよ。それで私は何回も四人家族でということで調査もお願いしておいたはずなんですけれども、私どもの計算では、税率一〇%の場合の税収五兆六千億を総人口で割って四人家族に直すと、十九万六千円になるんです。大体こういうことでしょう、四人家族で言えば。あなた方は一世帯当たりと一生懸命おっしゃるけれども、四人家族ということで言えば、いま私が申し上げました約十九万六千円ということでよろしいですね。大体の見当でいいですよ。

高橋元大蔵省主税局長

○政府委員(高橋元君) 消費支出と申しますのは、一人当たり比例的にふえていくわけではございませんので、所得を得ている人、つまり世帯によって消費支出が決まってくるというふうに思います。そこで、ことしの三月の末に出ました三月現在の住民基本台帳で、いま大蔵大臣から申し上げたような一世帯当たり三・二八人で世帯が構成されておるということで、一%当たり一万六千円の税収ということを申し上げたわけでございます。仮にそれを人口一人当たりで割りましてそれを四倍いたしますと、一万九千六百円でございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 そうすると、十九万六千円でいいわけね。

高橋元大蔵省主税局長

○政府委員(高橋元君) そういうように御承知いただいて結構です。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 最初にそういうふうにちゃんと答弁してくださればいいんですよ。結局、四人世帯として十九万六千円、これがいままで全く税金を払っていなかった家庭にもかかる、こういう形になるんです。生活保護世帯、年金生活者、担税能力がないということで税金を払っていないところにもかかる、そうして払ってきた人たちにはこれまた余分にかかる、こういう重要な大変な税金だということです。  次に、所得の低い人ほど、逆進性の問題ですね、逆進性が緩和されているというふうにおっしゃっていましたけれども、一般消費税の税率を一〇%とした場合に、各世帯の実収入に対しての税の負担割合はどうなるのか、所得階層別に示していただきたい、大蔵省。

高橋元大蔵省主税局長

○政府委員(高橋元君) 新税を導入いたしました際に、所得階層別に負担がどうなるかという御質問と承知いたしますが、現在課せられております個別の消費税、すなわち酒税とか揮発油税、そういうのがございますが、物品税もございます。どういうふうに調整してまいるか、また郵便、電信電話等の国、公共団体の行う事業、公共法人の行う事業、その課税対象として取り込む範囲、まだこれも部会の試案では確定いたしておりません。それから学校、社会福祉法人、そういうものを政策的に非課税の対象とする範囲というものもまだ決められておりません。これは現在検討を進めておるところでございますが、この範囲いかんによって家計の負担はかなり変わってまいります。ましてや所得階層別の家計の負担ということになると、相当変わってくるというふうに思います。  そこで、それらの点について、今後、取引の実態なり関係者の意見というものを検討するようにというのが部会の試案で言っておられることでございますが、そういう点を考慮しながら今後詰めていくということにいたしたいと思っております。現時点で、御質問のように、新税の導入に伴いまして具体的な所得階層別の負担がどうなるかということを申し上げるまで作業が詰まっておらないわけでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 それは税調の試案が出ているんですから、計算すればできることなんですよ。それで何回も私はそのことを要求しておいたんです。大蔵省のそれはごまかしの姿勢だと私は思います。  これは税務署で働いていらっしゃる人たちの全国税労働組合が政府の資料で計算したものによりますと、食料品を非課税としても、四十一万七千七百円の月収世帯で税負担率に比べて丁六九倍になるんですけれども、これが十一万五千七百円という低所得世帯だと実に二・五七倍になるという大変な逆進性があらわれるという事実があります。こういう状態で、いままで税金を払っていない世帯にも、生活困窮世帯にもかかる、こういうもので、片方では大企業にはかからない、こういうものがどうして魅力ある税制でしょうか。総理大臣にもう一度御見解を伺いたい。不公正の最たるものですね。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) いままだ既存の間接税との調整の関係、それから国、地方がやっておる事業についてどうするか、そういった細目が詰まっておりませんので、厳密な意味でどうなるかということはなかなかわかりにくいということをいま主税局長が申し上げたわけでございますが、ただ、マクロ的に考えまして、一%かけると大体消費者物価がその半分上がる、これはまたマクロの計算でございます。それから生計費にどれだけ及ぶかということになりますと、さらにそれから食料費を引くということになります。そういたしますと、仮に、感じだけを出していただくために申しますと、五%のもし税率を盛れば、食料費を除かない場合には大体二・五ぐらいになるであろう。食料費を除きますと、生計費には大体その六掛けでございますから一・五ぐらいになるであろうということがまず言えると思います。それから食料費の持っておる各所得階層別のウエートがございます。これは五分位でもって大体わかっておるわけでございます。そこで可処分所得に対する食料費除きの生計費の比例関係をとってみますと、かなり比例的になっておるのでございます。  したがいまして細かい計算は、さっき申しましたように、決まった後でいろんなことをやってみなけりゃわかりませんけれども、概括的に言えることは、負担関係はさっき申しましたような半分の大体六掛けであり、食料費を除くとほぼ比例関係に近いものになっていくであろう、こういうことは大体言えるのではないかと思います。しかし、厳密な意味で申しますと、さっき申しましたようないろんな問題を決めてかからないとなかなか細かい計算は出ませんが、大勢としてはそういうものであろうと思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 可処分所得ではだめなんですよね、それで私は先ほど全国税の数字を申し上げました。決して比例しません、逆進性は明らかです。  次の問題ですけれども、中小企業の場合、特にスーパーの進出などで売り上げが大変落ちていて困難だということは当然の実態として皆さん御存じのところですけれども、販売価格に転嫁できませんね、全面的にしょい込むということになるわけですけれども、これはどうなるというふうにお考えですか、税調会長。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) 中小企業ないし小規模あるいは零細企業と一般消費税の関係は、一般消費税を考える場合の非常にむずかしい重要な問題の一つでございまして、全面的にその問題を解決するというわけにはこれはなかなかまいらぬと思いますが、先ほどのお尋ねの試案におきましては、小規模零細事業者は除く、まず課税の対象外にする。それからさらに課税の納税義務者になるような販売高を持つような小規模あるいは中小の業者につきましては簡易課税方式を考える、あるいは限界控除と申しまして、税率、税額を若干一般のそうでない方よりは下げるというような措置を講じて、そこの影響を緩和してまいりたい、こう存じております。試案ではそういうような考え方をいたしておるわけであります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 零細であればあるほど免税業者にするとおっしゃるけれども、結局、仕入れ価格の値上がりを販売価格に転嫁できないんですよね、そこのところの問題です。それと、特に下請の場合、いまもう親会社から単価切り下げを迫られているという状態で、その分を上乗せさせて単価の要求なんかできっこない、こういう現状ですけれども、その点、もし中小企業の方で下請の方が自分でしょい込むということになっちゃった場合にも、課税上の取り扱いはどうなりますか。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) いまのような事態が広範に起きるということではむろん困りますので、これは、だから一つは、特に最初一般消費税を導入するときの経済事情ということが非常に大事かと思います。中小ないし零細業の関係の方が、一般的に言って、一般消費税を消費者に転嫁できない、あるいは前段階に転嫁できないといったような経済事情というようなこともこれは想像できないことはないかと思いますが、一般消費税の導入に当たりましては、できるだけ経済事情からすれば転嫁が比較的容易であるというような時期を選ぶと同時に、また、零細事業者に及ぼす影響をできるだけ緩和するというような仕組みを税法の中にも取り入れるということになるかと思います。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 簡単にそうおっしゃいますけれどもね、現実にいま単価切り下げ、それで要求されていて、とてもそれを自分で上乗せして要求なんかできない。と自分がしょい込む。この場合には、親企業に納入した単価に消費税が含まれている、こういう理解にならざるを得ませんね。そうなりますか、しょい込んだ場合。

小倉武一税制調査会会長

○参考人(小倉武一君) 一般的に申しまして、消費税の税額を何を基準として計算するかという問題があるかと思います。一つは、前年度の販売高を基準として、それが一千万円なり二千万円なり以下の方は免税にする、したがいまして、その方については、税金を納める当該年度につきましての売上高は論ぜずに、前年度をとる場合には課税対象外になるというようなことにもなろうかと思いますが、一つは、そういうふうに、いつを基準にして課税標準を決めるかという問題があろうかと思うのであります。  それからもう一つは、先ほど申しましたように、一般消費税の税率を五%なら五%とこういたします場合に、限界的な規模の業者の方にはその税率について緩和する、あるいは税額について緩和する、こういう措置もとられ得ると思います。そういったようなことで、できるだけ前転の困難な方には税額なり税率を緩和していくという措置がとられるのが望ましいということが試案に示されておるわけでありまして、そういうことでおおよそのことは片づくのではないかという考えをいたしております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 実情から言いますと、新税を下請がしょい込んで――私がいま申し上げているのはそうなんです。それで下請単価が事実上切り下げられる、そして前よりも一層苦しくなる、そういう事態は十分に考えられて、それは税調会長も先ほどそういうことが起こったら大変だとおっしゃっていますけれども、私は、通産大臣に、十分考えられるこういう事態に対してどういうふうになさるおつもりか、ちょっと御意見をお伺いいたします。通産大臣にお伺いします。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) 試案を見ておりますと、その辺の配慮はかなりよく行われているように思います。一つは、中小零細の企業者に対しまして売上基準で免税点を決めます。つまり、その人は消費税を含めて売らなくってもよろしゅうございますと、こういうことになるわけです。しかし、それが担保されるためには、その買う方で、仕入れる方で無理がかからないようにしなければなりませんので、試案の方では、税の本来の理論で言いますと、その分は今度は親企業の方ではその仕入れを除外して課税するという方法が税の理論としては考えられますけれども、そういたしますと、転嫁の問題が起きますので、あそこに出ておりますけれども、ここはやはり免税点以下の非課税の人の仕入れも、それは親企業の方の仕入れから控除する方法を考えるということは、言いますならば、その分は買う方の親請企業の方から言いますと非常に有利になるわけでございますから、その意味で中小企業の方の下請業者の競争力は出るわけでございます。税は加算しないで、親請の方ではその分を仕入れ控除できる、こういう原則を働かしておりますので、その分は十分私はいけるだろうと思っております。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 原則論を申し上げますと、中小企業は一部のものを除きまして、長年にわたる深刻な不況のためにいま非常に困っております。さらにまた貿易関係の中小企業は最近の円高のためにこれまた非常に困っておるわけであります。でありますから、情勢が非常によくなれば話は別でありますが、現時点でこれ以上負担が加わるということはこれはもう大変なことだと思います。したがいまして、もしこういう新しい税金を課すという場合には、現時点では、やはり中小企業や下請に対してはいろんな角度からの特別な配慮が当然必要だと思います。まだ、しかしながら、正確な調査はしておりませんけれども、大体の感じは以上のとおりでございます。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 問題があるということは通産大臣もうお認めになっていらっしゃるんです。  それで通産大臣にあわせてお伺いしますけれども、この新税が経済情勢に与える影響ですね、これをどう見ていらっしゃるか、一般消費税に対しどのような見解を通産大臣としてお持ちになっていらっしゃるかお伺いいたします。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 財政当局で総合的にいろんなことをお考えのようでありますから、いまの段階で私から具体的なことをいうのは差し控えますけれども、ただ、まだ現在は景気が回復をしておりませんで幾つかの問題が産業界にありますから、新しい税制を実施に移す場合には、産業界に悪い影響が出ないようにいろんな配慮は望ましい、こう思っております。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 景気に与える影響の問題ですけれども、総理大臣の諮問機関である経済審議会の計量委員会が間接税が〇・一%上がった場合ということで計算をしていらっしゃるわけですけれども、それによりますとかなりいろいろな問題が出てくる。その点がこの計量委員会の結果にも出ています。各産業部門の市場価格を上昇させ、需要の減少を通してGNP全体にマイナスの影響を与える。あるいは政府バランスは当面は改善するが、第二期以降その改善幅は減少して、第四期以降はむしろ逆に政府バランスが悪化する、こういうことをちゃんと分析して報告しているわけですね。  総理、これは〇・一%の間接税ということで計算してもそうなっているわけ。五%上がるということで大変重要な影響を与えると思っておりますけれども、景気回復の道だとおっしゃるが、私はまさにこれは反対だと言わざるを得ないと思います。通産大臣も大変否定的な御見解のようですけれども、その点、もう一度重ねて見解をお伺いいたします。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 一般消費税は、景気回復の道というんじゃなくって、財政再建の道だと、こういうとらえ方をいたしておるわけです。一般消費税を課するということになりますと、これはいろいろ影響があります。ですから、その悪い影響は、これはもうできるだけその影響を出さないような制度上の配慮が必要だろうと、いま税制調査会長から申し述べておりまするとおり、いろいろ工夫をいたしておるわけです。その上、また景気情勢が一体どうだと、こういうようなこともよく見詰めなけりゃならぬし、また国民によく理解をしていただかなけりゃならぬ、こういうことでありまして、これを現実の財政日程にのっけるということにつきましては慎重に考えてまいります。

山中郁子日本共産党

○山中郁子君 私どもは、九月二十日に、現在の円高長期不況を打開するための当面の経済政策というものを発表いたしました。それで簡単に言ってしまえば、こういう大増税、特に国民に、庶民に、最も生活の苦しい人たちに大きな負担をかける、これはとんでもない話で、大企業、大資産家に対する特権的減免税制度を抜本的に改める、そうして不要不急の経費を削減する。P3CだとかF15だとか、そんなものを削減して幾らでも財源は生み出せる、三兆九千億円の財源を生み出せるんですよ。そういう政策をとって、一般消費税の導入をきっぱりとやめるということを言明していただきたい。いかがですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いずれにいたしましても、財政、これは極力その膨張を抑制する、この政策をとらなけりゃならぬ、また、いわゆる不公平税制につきましても、その任務を終了したというようなものにつきましては、これを逐次廃止しなけりゃならぬ、こういうふうに考えまするけれども、これを中期的に見まするとどうしても国民にある程度の負担の増高を求めないと、国家の経営に非常に大きな支障を来す、こう考えておりますので、そういう際の考え方として、一般消費税、これはまあ魅力のある考え方である、こういうふうに考えますので、先ほど申し上げましたように、慎重には慎重を期しまするけれども、これはもう篤と検討してまいりたい、このように考えます。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 以上で山中君の質疑は終了いたしました。(拍手)  小倉参考人には御多忙中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。御退席くださって結構でございます。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 次に、栗林卓司君の質疑を行います。栗林君。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、主に経済問題を中心にお尋ねをしたいと思いますが、その前に、有事立法の問題について一言触れたいと思います。  有事立法で内閣の答弁を伺っていますと、まことにあいまいでちぐはぐだと思います。私が心配しますのは、こうやって言葉をもてあそんでおりますと、有事立法という言葉だけがひとり歩きをして、国民に無用の混乱を与えないか。私は、シビリアンコントロールというのは、シビリアンと制服が敵対することではないと思います。同じ責任を分かち合う者としての相互理解と心の結びつきがあることがいわばシビリアコントロールの前提でありまして、では一体それがあるかというと、残念ながらあるとは申し上げられない。しかも国会では防衛専門の委員会さえない。  そこで、総理に申し上げたいのは、こういう話題が起こったときでもありますので、有事立法という部分的なところに議論を集中させないで、シビリアンコントロールのあり方、さらにそのためのシビリアンのあり方ということについて腰を据えて内閣として研究する必要があるし、そのためにまた国会に協力を求めるべきではないか、こう思うんですが、いかがでしょうか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 有事体制論、これがにぎやかな論議の対象になっておりますが、やっぱりとにかくいまは今日のわが国の体制としますと、自衛隊法というものがあるのです。そうして自衛隊というものが現に存在をしておるわけであります。しかも二兆円に近い国費がこれに投ぜられておる、そういう状態でありまするから、その自衛隊が何のために一体あるのだ、これはもう有事のためにこそあるわけなんでありますから、その有事の際に自衛隊がその与えられた任務を完全に遂行できる、こういう体制に置かれなければならない。その体制はいかにあるべきかということ、これについて検討するということは、私はもう当然だというよりは、これは政府、防衛庁、自衛隊の責任である、義務である、このように考えておるわけでありますが、そのような認識に立ちまして、ただいまお話しのありましたような点をも含めまして鋭意検討をいたしたい、このように考えます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 言葉の上の議論にならないようにお願いしておきたいと思います。  そこで、公安委員長にお尋ねをしますけれども、外国から飛んでくる弾の心配は心配として、国内で飛んでくる弾は一体どうしたらいいのだろうか。関西で武装暴力集団がのし歩いている実態だと思います。山口組と松田組の抗争では六番目の死者が出た。一体警察はあるのだろうか。しかも、そうやって銃弾が飛び交っているのは市民が住んでいる町であります。どうしてこういうことになるのか、公安委員長としてお尋ねします。

加藤武徳自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(加藤武徳君) 暴力団の対立抗争でありますとか、あるいは内部抗争が生じまして、市民に大変な不安を与えておりまして、まことに遺憾に存じます。いまおっしゃいましたように、弾が飛んでまいりましたり、あるいは非常な不安な気持ちに襲われておるのが事実でございますが、しかし、これをなくしてまいりますには、暴力団を徹底して壊滅をいたす、このこと以外には道がないように考えるのであります。  そこで、警察といたしましては、長い間しんぼう強く努力をいたしておりまして、大きく分けますと三つの作戦だと言えようかと思います。  その一つは、暴力団の幹部なり組員を徹底して反復検挙いたしまして社会と隔絶をしていくということ、このことが一つの大きな基本でございますのと、それから二つ目は、やはり暴力団が使用いたしますのは主として拳銃でございます。銃砲刀剣類を使用いたしましての抗争が多いのでありまして、かつては年間に押収します拳銃が百五十丁前後でございましたが、昨年の数を見ますと、実に一千三百丁の押収をいたしておりますが、まだ市中にはずいぶんあるように考えられます。押収しましたものの約半数がいわゆる改造拳銃であり、半数が外国から入ったものでありまして、徹底して今後も拳銃等の銃砲刀剣を押収いたしまして彼らの凶器を奪う、このことが二つの柱でございますし、三番目には、やはり活動いたしますにはそれなりの資金を持っておる。その資金源を断ちますことが大きな課題でございます。たとえば、サラ金の検挙者を分析いたしてみますと、一〇%前後やはり暴力団がかんでおる、かような結果でありますし、また麻薬や覚せい剤は九〇%を超えますものが暴力団、かようなことであります。さらにまた、いわゆる総会屋と言われます中にも暴力団がかんでおるもの等があるのでありますから、さような面に徹底してメスを入れまして資金源を断つ、このことが必要である。  かような大きな柱を立てながら、警察といたしましては今日までも努力をしてまいりましたが、必ずしも十分な成果を上げ得ているとは言いがたい面があるのでありまして、今後さらに努力を徹底してまいる、かような決意であります。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 第一線の警察官の人たちの努力を私は信じたいと思うんですけれども、しんぼう強く努力をするというお話だったけれども、山口組と松田組の抗争だけを見ましても、もう五十日にわたっている。しかもクリスマス決戦の話まで出ている。第一線は努力しているんだけれども、取り組みについてもう一つ腹をくくって思い返してみる点、反省すべき点はないんでしょうか。  〔委員長退席、理事内藤誉三郎君着席〕

加藤武徳自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(加藤武徳君) 山口組と反山口組の抗争はすでに三カ年続いておりまして、その間に十数回の抗争を繰り返しており、ことにここ三カ月間はすでに七回の対立抗争をやっておりまして、私どもは抗争を未然に防止いたしますためには、やはりすぐれた情報を握らなければならぬのでありますが、反省いたしますことは、さような情報が必ずしも正確にキャッチできておらない面がございますので、今後は情報収集等にも徹底した力を入れなければなりません。そして鳴海清も残念ながら死体として発見された、かようなことでありますし、幹部の一人吉田は御承知のように逮捕し得たのでありますが、山口組の組長を警備しておりました者が拳銃を所持しておったことが最近明確になってまいりまして、この線を追いましていま幹部を逮捕いたしましたり、指名手配をいたしておるのでありますが、ここしばらくの間不安を与えましたが、しかし、どうやら着実な努力がこれから緒につこうとしておるのでありますから、今後も根気強く鋭意努力をしてまいる、かようなことであります。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 総理にお尋ねしますけれども、きょう、山口、反山口組の抗争で六番目の殺人が起こったんですけれども、起こった場所はどこかというと、隣がそろばん塾です。子供たちが毎日五十人通っているわけです。という中で起こっている事件です。特殊な地域で特殊な人たちが勝手にやっているんじゃないんです。普通の人が普通に平和に安全に暮らしている中で起こっている事件です。しかも、これだけじゃなくて、大阪で、松山で、兵庫でという姿を見ますと、これはやっぱり法治国家として見過ごすことはできない、これもまた一つの非常事態だと思うんです。国家公安委員長は努力をされるというお話ですが、総理御自身、この問題に対してぜひ指揮をとりながらがんばっていただかないと、法に対する信頼が揺らいだら、これは社会は終わりであります。そうじゃなくてさえ警察何やっているんだという話が出ているわけですから、総理の見解を伺います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 最近におきまするいわゆる暴力団ですね、この横行、これは私は本当に目を覆わしめるようなものがある、このように考えて日々憂慮をいたしておるわけなんであります。とにかく今日のように暴力団の横行、厳しい、激しい状態になってきたことは私はいまだかつてないというぐらいに思うのでありまして、思いを新たにいたしまして暴力の徹底的な撲滅、これには鋭意努力をしていきたい、このように考えます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 真剣に御努力を願いたいと思います。  では、経済問題に入りたいと思うんですが、まず基本的なことを伺いたいのですが、経済政策の目的を三つにしぼってみると、雇用の確保、物価の安定、国際収支の均衡と、こう整理できると思うんです。  そこで、経済成長率を考える場合、雇用を確保するのに経済成長率とするとまあ最低大体このぐらいはないと困るというものがあると思いますけれども、日本の場合、それは何%だとお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは長期的に見た場合と、当面というか短期的に異常な事態にある場合と二つに分けて考えなけりゃならぬ、こういうふうに思いますが、これは長期的に見ますると、やっぱり六%程度の経済成長がありませんと雇用の安定ということがむずかしいんじゃないか、そのように考えます。ですから、いま当面は石油ショック後の非常に異常な状態にありますのでこれは別ですよ、しかし、長期的にはまず雇用の充足、そういうことを考えると、少なくとも六%程度の経済成長が必要だと。他方、エネルギーだとかその他客観的ないろんな状態を考えまするときに、これは低ければ低い方がいいというような状態ですが、雇用の関係を考えると、六%以下の成長ということでは社会のために妥当でない、このような見解でございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 企画庁長官にお尋ねいたしますけれども、国際収支の均衡を考えた場合、これもやはり成長率と関連があると思うんですが、と申しますのは、輸出は大体世界貿易の伸びとある弾性値を持っておりますし、輸入の方は国内生産とリンクしている、そう考えている中で、国際収支の均衡のためには、これはきちっとした数字は出ないと思うんですけれども、おおむねどのぐらいの成長率が必要とされているとお考えになりますか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 成長率と国際収支の均衡との関係はいろんな相関が私は出てくると思いますので、むしろただいまのお尋ねとの連関で申し上げますならば、雇用を確保するために、総理大臣が言われましたように、仮に六%の成長が必要だという、そういう前提に立った場合の国際収支をどう考えるかということでありましたら、経常収支で多分四十億ドルか五十億ドルの黒字というところがいいところではないかと思います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 それではまた雇用に戻るわけですが、確かに長期的に見て六%前後ということだと思うんです。ところが、四十九年から五十二年まで、特に四十九年が激しい落ち込みでございまして、五十年も余り成長率は上がらなかった。そこで四十九年から五十二年を見て、平均してならして毎年何%伸びただろうかというと三%なんです。これがいまの雇用不安なり不況の大きな原因であろうと思うんですが、そこで六%ということを長期的に踏まえてこれまでの落ち込みということを考えると、ことし、あるいは来年、再来年と六%プラスアルファをねらっていかなきゃいかぬ、当然そうなると思うんです。そこで、その六%プラスアルファという意味を含めた実は今年度七%程度の成長率だと、こう理解してよろしいですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのとおりに考えております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 そうしますとここが大切なんですけれども、七%いくだろうかという議論がよくされるのですが、七%は何としても実現しなければいけない、そういう数字だと私は思うんです。  これが五%、四%になっていいということは、雇用問題一つ考えただけでもそれは言えない。そこで七%は万難を排して達成すべき今年度の目標である、そう理解いたしますが、よろしいですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) そのように考えております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 で去年も六・七でございますから大体七%程度の枠に入るわけですが、去年も同じように考えて七%程度と、そうねらったのだけれども、それが五・五%と、いかなかったのはなぜなのだろうか、どうお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これはいろいろ事情はあったと思うんですが、一つは通貨不安ですね、ちょうど昨年の九月末ごろから非常な通貨不安が起こってくる。そこで、それが企業家に大きな心理的、また実質的な影響を及ぼす、こういうようなことが一番響きがあった、そのように思います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 昨年の円高の影響についてはどうごらんになりますか、昨年度に対する円高の影響をどうごらんになりますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) これは下半期に特に顕著に影響が出てきた、こういうふうに思いますが、かなりの程度デフレ的要因といいますか、景気全体の足を引っ張る、これは現実の実質的な意味においての影響もあります。また心理的な影響もある。そういうものを総合いたしまして、かなり景気の足を引っ張った、このように見ております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 企画庁長官に白書から引用しながらお尋ねしたいと思うんですけれども、去年円高で心理的な不安を含めて動揺が起こった。しかも相当デフレであったのではないかという印象を素朴に持つわけです。だけれど、たってみて、昭和五十二年度を振り返ってみると、円高というのはどういう影響だったんだろうか。そこで白書から拾ってみたんですけれども、そうしますと、円高になったけれども、輸出の方は値上げがあらかたできた、輸入はどうかというと円高分だけ完全に下がった。しかも、物価の安定は卸売物価、消費者物価とも下げる効果があって、むしろ消費マインドに好影響を与えた。片や直接輸出をしている中小企業を含めて明暗両面あるわけですけれども、全体ならしてどういう評価をしているかというと、実体経済面には当初懸念されたほどにはあらわれなかったように思われる。これが五十二年度に限ってみれば円高の評価ではないかと思いますが、いかがですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 白書にはそういうふうに、円高のいわゆるメリットという面を余り世の中で言われませんので、かなり幾つか書いておりますけれども、しかし、その基本の判断の中に、五十二年度全部について見ます限り、経済の運営がかなり円高で影響を受けたということ、それから恐らくそれは五十二年度を越えて後まで影響を及ぼすであろうというようなことは、Jカーブ等等のことを指摘しております点からも、白書の基本には私は考え方としてあると思っております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 いや五十二年度に限ってみれば、一時的効果としてみれば、どうだろうかということです。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) Jカーブと言えばそれは後に残す問題だという意味で、五十三年の三月までで切って考えろとおっしゃるのでありましたら、それはともかく一応の対応は日本経済はいたしました。いたしましたが、しかし、その間に心理的な不安は相当なものでございましたし、それは今年の三月で切りました限りは一応の形はつけましたけれども、その間の心理的な不安は現にございましたし、後にいろいろな影響を及ぼしておると思いますので、白書がいま御指摘になりました幾つかの点を申しましたのは、デメリットだけではなかったということを強調いたしたいという意図もございました。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 それはそうだと思います。メリットもあってならしてみればということで、円高がまかったなどと申し上げてるつもりは毛頭ないんです。  ただ、お察しのように、いま伺いたかったのは、五十二年から五十三年、昨年が五・五%で、ことしが七%前後、こういう目標を立てて歩いているわけですけれども、昨年に比べて  〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕 ことしはよほどよくならないと七%前後には落ちつかない。円高を比べてみると、去年の方はまだおしなべてそう実体悪は目立たなかった。ことしの方はこれから効いてくる、そういった面で見ると、去年とことしで、円高についてはことしの方が荷が重いということは言えると思うんです。そういった目で見てまいりまして七%程度本当にできるんだろうかどうしてもそう思えるんですけれども、去年の五・五%から七%程度に、したがって積極的によくなる材料というのは一体何なんでしょうか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに、全体として見ますと、五十三年度は円高によります輸出の減と輸入の増と合わせますとマイナス一・二ぐらいあると考えますので、そういたしますと、内需の成長は七%では足りませんで八・二なければならないということでございますから、それから見まして昨年度よりはこの円高の効き方が大きい。これは国際収支の関係で政策意図もありまして輸出を抑え輸入をふやしておることもございますが、ともかくそういうことは言えるだろうと思います。  ただ、それでございましたら、何がいいかと言えば、やはり一つは企業の採算が、減量経営の結果ではありますけれども、かなり昨年よりはよくなってきておるということはございます。金利の問題もありますし、原材料の値下がりの問題もございますけれども、市場経済の担い手であります企業がかなり自信を持ち始めたということが一つあろうと思います。それから物価が非常に落ちついておりますので、そういう点で消費にもいい影響がある。輸入製品などは価格が下がるというようなこともございまして、経済を支えます一つの大きな柱であります消費者の消費に対する信頼が多少ずつ戻ってきているということ。それから自由経済の担い手であります企業の先行きに対する見方がかなり自信と申しますか、かつてのようなお先真っ暗でない見方をとり始めていて、現に企業の採算もよくなりつつあるというようなことは昨年と違った要素ではないかと見ております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 いま例としてお挙げになった減量経営でございますけれども、確かに金融費用は少なくなりますし、それから設備の方も身軽になるし、かたがた人件費の方もぜい肉を取ってきた。ミクロの経営として見ますと、減量経営というのは確かに効いていると思うんです。ところが、マクロで見ますと、もともと減量経営というのはデフレに効くはずですね。去年、おととしと企業は必死になって減量経営をやってきた、それがデフレに効いてこないだろうか。  これはたまたま一つの資料から判断しておるだけですから、むしろ教えていただきたいと思うんですけれども、ある試算をとりますと、減量経営をやると初年度は利益になる。しかし、金利が安くなったということは預金金利でもらう分減るわけです。人件費が身軽になったということは、可処分所得が減るわけです。二年目、三年目はと追っかけてみると、急速に赤字に転換する。これも大変前提を持った試算でしょうけれども、もともと減量経営というのはそういう性格。しかも、減量経営の利益が一番目立って貢献したのも五十二年だと。五十三年ということになると、いまおっしゃった減量経営でよくなってということが本当にプラス要因として期待できるんだろうか、むしろデフレが効いてこないか。片一方では円高デフレだと、そう見ていくと、どうも私はいい材料に思えない。また、個人消費については、これはもう横ばいでありまして、大きく伸びることは期待ができない。しかも五・五から七というのは相当大きい上昇をしていかないとならないはずでありますから、そう見ていくと無理だなあと思うんですが、そう思いませんか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 減量経営の裏側は雇用の減ということでございますので、それはどう考えましても、その点ではデフレ要因になると思います。それだけ消費購買力がやはり落ちるということでございますので、それは紛れもないことだと思いますし、また在庫等もできるだけ減らすということになりますと、これもやはりマイナスの要因になってまいります。しかし、その減量経営をしております企業体自身としては売上高、経常利益率は確かに上がってきておりますから、これは私は今後金利が急騰するとかというようなことがありますと別でございますけれども、いま考え得る状況では、この利益率というのはやはり少しずつ回復していっておることも確かですし、設備の稼働率も上がってまいっておりますことも確かで、在庫も減っております。ですから、それ自身は今年度の経済について確かにプラスであるし、将来もプラスとして考えていいのではないか。ただ、冒頭に御指摘になりましたように、その裏側が雇用状況が改善しないという問題であることは一つの一番大きな問題として残っておるのではないかと見ております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 先の話になりますと、なかなか話がはかいかないんでありますけれども、そこで少し見方を変えまして、やっぱり白書から引用してお尋ねしたいんですが、こう書いてあるんです。「五二年初からの一年余の経済の動きは、奇妙に五一年に似たものになった。実質GNPの成長率は、年の前半が高く、後半になると鈍化するというパターンが」続いた。で去年も実は下期はどうですかと言ったら、これだけ公共投資をやっているんだから効果が出てきてまず大丈夫ですと長官はお答えになったんです。議論はそこで終わったんだけど、結局は五十一年と同じような繰り返しになった。問題は、五十三年がそう繰り返さないだろうか、となると先のことですから、とてもここでは結論は出ないと思います。  ただ、一つ見方を変えて伺いたいのは、日銀の去年の金融経済動向の中で、なぜ景気がよくならなかったかという中を分析した相当有力な理由に、こう書いてあるんです。「上期中の契約促進がかえって下期の発注息切れ懸念を濃化させ、これに伴って企業の景況感が一段と慎重化したという事情もあった。」、確かにこれよくわかるんです。下期大丈夫だ、よくなるよと言っていながら息切れしちゃった。ことしも先ほどのようによくなるよと言っているわけです。ことしは本当に三度目の正直だと私は思います。そこでよくなるかということは先の話で水かけ論ですから私は申しません。ただ、何で上期がよくなって下期が息切れしたのかということは、やっぱり理由は上期の前倒し契約執行だと。前倒しに契約執行すると下期には効果が出てくる、こういうあんばいなんだけど、この間聞いた話ですと、西ドイツもやっぱり日本よりはるかに前ですけど、一〇%から四、五%の成長路線に転換したことがある、この転換に十年かかったそうです。前倒し、下期に期待というのは一年ごとの勝負をしよう、こういう話ですけれども、本当はわれわれも、十年かどうかは別にして、長い取り組みをしないといけないんじゃないか。したがって前倒しをするんなら一年、二年、三年と通して前倒しをしなければ、本当はいけなかったんではないんだろうか。五十一年、五十二年を振り返りながら、そう私は思うのですが、御意見を伺います。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 成長が年度を通じて前半に高く後半に低いかどうかということは、昨年度で見ますと、たしか前半が二・九、後半が二・九であったと思いますので、必ずしも言えないのではないかと思いますが、暦年で申しますと栗林委員の言われましたようなことがどうも言えるようでありまして、それは従来はやはり一-三月が輸出の数量が非常に多いということ、したがいまして、これをどっちへ取り込むかで暦年の場合と年度の場合とが違ってきておるのではないかと思うのでございますが、いずれにしても、いわゆる前倒し、公共事業等の前倒しというのは年度の初めにやりましただけではいけないということはもう確かでありまして、昨年もあのように二度補正をいたしましたし、今年度も補正をお願いいたしておるわけで、年の初めに仮に上半期までに六十何%、七十何%と一遍倒しましただけで、後はほっておいてもいいというようなふうにはどうもなっておらないように思います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 確かにそうだと思うんですね。それが不安感を高めて、結局はまた心理的な不安から景気の足を引っ張る、効果を低める、こういうことだと思うんです。  そこで、去年、おととしと経験したことを振り返りますと、いま補正予算の審議をしているんですが、補正予算の審議のときに来年の見通しとか再来年の見通しとかということがやっぱり同時に議論されるべきじゃないか。で先のことはわからないんです。本当は。ただ経済の先のことはわからないにしても、政府の取り組み方もわからないから国民は困っているんです。せめて政府の取り組み方の来年版、再来年版ということぐらい出ないだろうか。したがって、いま補正予算の議論をするんなら、五十四年はこういたします。絡めてこの補正はと、こうしてこないと、私はこれから経済政策の議論もできないし、効果も上がらないんじゃないか。  そこで、去年もおととしも、民社党とすると下期の補正、下期の補正と言っていたんですよ。そんなことは要らないというまま来たわけですけれども、たまりかねて今度は民社党で中期計画をつくりました。で、どうしますかと言ったら、政府がつくる場合に大いに参考にしますという話なんだけど、本当の民社党の気持ちというのは、四、五年先まで含めてセットにして議論をしないとこれからはだめなんだと、その点、その発想を政府はぜひくみ取ってくれというのが本当のねらいでありまして、したがってこの後は来年の通常国会の議論に恐らくなるんでしょうし、いま御準備中だと思いますけれども、細切れの補正予算だから裸で議論するということは今回でやめていただきたい。以降は全部将来の展望を持ちながら-経済の先行きはわからなくたって政府の計画はわかるんですから。いわゆる一般消費税は来年やるかどうかわからない、そんなばかなことないですよ、どれぐらいそれん不安、動揺を与えているか。したがって、これからは将来の見通しを添えて提出をいただきたい。どうお考えになりますか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 経済は当面さしあたりがどうあればいいというものじゃなくて、やっぱり先々の展望をして、その中での当面の措置ということにならなけりゃならぬ、これは栗林さん御指摘のとおりに私は考えております。  しかし、なんですね、一昨年決めました中期計画、つまり五十年代前期五カ年計画、これはあれができましてから天から降ってわいたように円高問題が出てきたわけです。あれで日本経済の相貌が一変したといいますか、激変をいたしたわけであります。あれを中期的な展望として採用することはもうできないんだと、こういうようなことになりまして、いま栗林さんの御指摘のように、やっぱりかなり中長期にわたっての展望をつくっておかなけりゃいかぬ、その一環といたしましてそのときどきの施策を行うというふうにしなけりゃならぬ、こういうふうに考えまして、実は、御承知と思いますが、もう長期計画の策定に着手をいたしたわけであります。大体暮れごろ、つまり五十四年度予算の編成、これに間に合うようにその概案ができることになっております。その概案を踏まえまして、これからのこの経済運営、財政運営に当たっていきたい、このように考えておる次第でございます。今度の補正予算、これにはその長期計画は間に合わなかったんです。これは相当膨大な検討を要するものですから御理解をいただけると思うんです。  それにいたしましても、少なくとも今日この時点で展望いたしまして、一体、来年はどうなるかと言いますると、やはり私は来年もかなりの高目の成長を頭に置いておるわけであります。その高目の成長をどうやって実現をするかというと、これを輸出に期待するということは今日同様不可能である。そこで内需を中心にいたしましてこの高目の成長を実現をする、こういうことになろうか、こういうふうに思いまして、そういう認識のもとにこの補正予算も考えておる、このように御理解願います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 内需の振興を図る場合、公共事業か減税かという議論があるんですが、総理は公共事業に大変固執をされるわけですけどね。そこでガルブレイスかサミュェルソンか忘れましたけど、破れかぶれの公共事業ならやらない方がいいということを言ったそうですが、公共事業なら何でもいいということをおっしゃっているわけではないんでしょう。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま私どもやろうとしておる公共事業は、何でもいい、公共投資ならいいと、こういうわけじゃないんです。やっぱり当面何が必要だと、こう言いますると、まず第一に、雇用のために役立つ、こういうこと。それから第二には、物の需要を的確に喚起する、こういうこと、これを旨として、中心的なねらいとしてこれはやらなきやならぬ。さらに、ことしだけの景気問題じゃありませんから、やっぱり少し長い目で考えまするときに、新全国総合開発計画が示すように、長期的な国づくりのことも考えなきゃならぬ。  そういう際に、大事な問題は、過密過疎、こういう問題で、新幹線だとか、そういう大きなプロジェクト、これなんかも念頭に置くことも大事でありまするが、しかし、当面、非常に大事なことは、われわれの生活関連施設を充実する。いままではビッグプロジェクトですね、これが主軸になっておったような感じであります。しかし、成長よりも国民生活の安定だと、こういうような考え方のもとに、あるいは教育諸施設でありますとか、あるいは医療の施設でありますとか、あるいは福祉の施設でありますとか、あるいは体育に関連する施設でありますとか、そういうもの、これを地域の開発、そういうことと関連を持ちながら、今度の公共投資の中に、金額とするとそう際立ったことになりませんでしたが、気持ちといたしましては、そういうものに特別の配慮をしておる、このように御理解願います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 いまの公共投資の関連で、整備新幹線というものですが、実施計画が了承されたようですけれども、この整備五新幹線について簡単に話を伺えませんか。

福永健司自由民主党運輸大臣

○国務大臣(福永健司君) 整備新幹線につきましては、長年の問題ではございますが、言うなれば、一時凍結のような状態になっておりましたが、諸般の事情を考え、といいますことは、現下の経済事情等も考えると同時に、将来の国民全体のためにどうあるべきかということ等も考慮いたしまして、先般、関係閣僚会議等におきましても、今度はできるだけこの仕事を促進する。と申しましても、これはいろいろの事情がございますから、そう一遍にどこもここもというわけにはまいりません。そこでそういうようなことを総合的に考慮をいたしまして、ここで整備新幹線についてのいろいろの作業を進めよう、こういうことにいたしましたわけでございます。したがって具体的にはこれからいろいろ問題もございますし、手順等もございますことを御理解いただきたいと思います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 国鉄総裁おいでになっていると思いますけれども、五十二年度の国鉄の損益状況を路線別にいまお手元でわかりましたら伺いたいと思いますが。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) 従来、新幹線――新幹線と申しますのは東京から博多までの新幹線、それから高崎線、山手線と、この三線だけが黒字でございまして、あとは赤字だという状況でございましたが、五十一年の十一月に運賃の改定がありましたことの関係もございまして、新たに二線黒字になったわけでございますけれども、やはり全体、-数多くあるうちで黒字のものが五線しかないというのは非常に困った状態にあると言わざるを得ないと存じます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 いや質問の仕方が悪くて恐縮でした。新幹線あるいは在来線の中の地方交通線という意味で路線別と申し上げたのですが、ございますか。

高木文雄日本国有鉄道総裁

○説明員(高木文雄君) その在来線と称しております中で、高崎線と山手線だけが黒字であったわけでございました。それに加えて根岸線ともう一線、ちょっといま正確に記憶しておりませんが、加わって黒字が五線になったということでございます。その五線のうち新幹線が一線ございますから、在来線としては四線だけであるということでございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 国鉄としますと、昨年度で八千三亘二十九億円の損失だと思います。で八千三百三十九億円の中でおおむねの数字で申し上げますと、地方交通線が二千億の赤字、新幹線は二千億の黒字。八千億の赤字はどこから出ているかというと、在来線中の幹線系から出ている。幹線が真っ赤になったということは国鉄にとってこれは容易ならざる事態だと思うんです。そういう国鉄の現状に対して今度の新幹線というのはどうかかわり合いを持っていくんですか。

福永健司自由民主党運輸大臣

○国務大臣(福永健司君) いまも栗林さんお話しのように、そうした赤字が出ている、その中で整備五新幹線の工事をまた始めようと、こういうことについては普通のやり方ではますます赤字はふえるし、にっちもさっちもいかなくなるではないかと。それはどういうことからそういうことを考えるのかというような問題、そのほかにもございましょう、まず、そういうような問題に置きかえてお答えを申し上げたいと思うのでございます。  整備新幹線、この五線、まあほかにもやや似たものもございますが、これらは言うなれば国土開発の骨格のようなものだと私は理解をいたします。日本全国土を開発し、全国民のためにということを考えると、やはりこういう問題を考えなければならない。だがしかし、普通の状況ではさなきだに赤字がうんと多いところへもってきて大変じゃないかと、これは私自身も強く感じているところでごさいます。そこで、私は、赤字ではあるけれども、何とかして赤字をできるだけ出さないような方途を講じつつ、いま幸いにして日本はこういうような状況ではありますけれども、多少長い将来を考えますと、国土全体のために、ないし国民全体のために新幹線整備五線等を開発していくべきだ、こういうことでございます。  したがって、この一見相矛盾するがごとき、しかも両方とも非常に大切な要請を調和していくことのために、私どもはそういう中でこういう仕事を進めるということならば、それなりの対策が必要である、それなりの覚悟が必要である、こういうことを強く感じますので、国鉄それ自体が徹底的に合理化して赤字を出さないようにするということはもちろんであるが、国が、ないし国ばかりでなく、地方公共団体等も国ほどではもちろんありません、ある程度考えつつ、こういうことによって、これはまあ必ずしも金をたくさん地方から出してもらおうなどというような表現ではありませんけれども、気持ちを合わせてこういう大事業に取り組まなきゃならない。でございますから、公的助成とか、あるいは財源措置等につきましてはいままでのような考え方ではとてもできないと私は考えます。そこで、よほど考えた措置を、またよほど覚悟をしてかからなければならない、こういうことが必要であると私は考えております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 運輸大臣にお尋ねしますけれども、昨年、それからおととし、たまたまその二回を見たのですが、国鉄の監査委員会の監査報告書とすると、新線建設には反対、よく御存じだと思います。あわせて五十二年度も言っているのは、交通機関は鉄道だけじゃない、飛行機だってある。お互いに得意な分野を選びながら、国鉄はどこを伸ばすのか、どこを縮小するのか決断すべきである、そう書いてあります。  で、あなたは運輸大臣ですから飛行機も鉄道も自動車も全部見ているわけです。そこで骨格というお話だったけれども、骨格はレールでなきゃいけないということはないのですよ。やっぱりそこで採算が合わなきゃ未来永劫にわたって財政再建は不可能です。

福永健司自由民主党運輸大臣

○国務大臣(福永健司君) 確かにそういう考え方がありますし、その方がたとえば運輸大臣等にいたしましても、余り何もやらずに小ぢんまりとという方が楽は楽なんです。だがしかし、わが日本民族の将来を考えたときに、そういうことであっていいかどうかということは先ほど一応申し上げたわけでございます。  そこで、その骨格でございます。まさにおっしゃるとおり新幹線のみが骨格ではございません。いろいろございますが、世界的に見ましてもこのところ一時航空機のようなところへどっと走ったけれども、しかし、これは考え直さなければいけないのだということで、鉄道等に対する新たなる需要というか、関心というものが全世界的にかなり旺盛になってきております。現にアメリカ等でも最も開発されている地域と言われるボストン、ニューヨーク、あの辺、ワシントンあたり、ああいうところもぜひ日本にまさるとも劣らないような新幹線をつくりたいものだというアメリカの強い欲求で、近くアメリカからも大ぜい日本に相当期間滞在して勉強しよう、また日本からも来てくれというような話。またブラジルから運輸大臣が来て、サンパウロ-リオデジャネイロ間をぜひ日本の新幹線のようにしたい、こういうようなことを言って、それがうまくいったらブラジリアヘもというような――これはそう簡単にはいきますまいが、いずれにしても一、二の例を挙げますと、そういうようなことでもございます。  それから率直に申しまして、総理を初め公共事業を大いにやろう、こう言われるので、われわれももちろん賛成でございますが、同じやるならば、いままでのも結構ではございますが、同時に、私がいま申しておりますような新幹線のようなものもやって、全国の国民が、言うなれば国土全体の均衡ある開発というものをやりつつ、しかも公共事業をやることによっての効果をねらっていくというようなこと、これを考えますと、いまお挙げになりましたように、こうあるべきであるということ、いろいろ言われております。権威ある筋からそういうように言われておるわけで、もちろんそれは拳々服膺してかからなければならぬのでございますが、最近のこういう新たなる情勢、世界的に見てもそうだし、特に日本の現在の需要を考えると、いまこそ事情はいろいろあるが、総合的に考えて、こういう新幹線もつくるのがいま政治を担当する者の責任ではないか、こういうように考える次第であります。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 では、ざっくばらんに申し上げますと、結局、赤字は幾らぐらいになるんですか、五線を全部完成したとして。

福永健司自由民主党運輸大臣

○国務大臣(福永健司君) この赤字の意味でございますが、でき上がっていつまででも赤字がふえていくようなことにはしたくないというのが本意でございます。したがって徹底的に合理化をし合理化だけではございません。その合理化という言葉を使いますと、これはいろいろに解釈されますので、これはもう徹底的に経営をうまくやっていかせるというようなこと等をやりながら、これからに対処していきますと、どっちにしても数年後には赤字を余り出さないようなことにさせるということが目的でございまして、これはこれで強力に推進せしめてまいりますけれども、まず、これは全部つくるというと建設費等に何兆円ということになりますわけでございます。まだ詳細にどれが幾らというところまでは私みずから承知はいたしておりませんが、大きく方針といたしまして考えましたときに、そういう赤字等もできるわけでございます。したがって、この赤字というもののとらえ方によっては、いままでよりもさらにさらに大きな数字になるということでございます。  そういう事情であるがゆえに、いままでと同じ方式で赤字がふえた、赤字がふえたと言っているような方法でなくして、先ほども申しましたように、日本国民全体、日本国土全体を考えて対処する、こういう意味で私は合理的にいろいろ対処していく。したがって現在まだどういう方面からどういうように金を捻出してどうというようなところまで十分にいっておりませんし、また必ずしも運輸当局のみがそういうことを言うべきではないと私は考えております。政治全体の中でどうしていくか、こういうことでなければならぬ。いずれにいたしましても、ただいまの御質問に対してお答えすることは、考えようによっては赤字はもっとうんとふえますが、しかし、長い目で見ていいことにする、こういう意味でただいまのことを考えておる次第でございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 とにかく、数字のない話をなさるものですからまことに困るんですが、時間もありませんので、今回はこの辺で締めくくりますけれども、五線つくりますと五十一年度価格で五兆五千億ですよ。大体十兆ですよ。つくるだけで十兆かかる。で、その償却なんか国鉄しょえやせぬですよ。引用しなかったけれども、高木さんが書いた本の中だって、あれは困る、赤字だと書いてある。十兆円――大体、建設に七年から八年かかるんですよ、十年かかったとしたって一兆円でしょう。どこから来るかといったって税金取るしかないじゃないですか。そんな力が日本の財政にありますか。しかも、どこから取るかは別にして、国民から取るんです。  一つ申し上げたいのは、日本全体のバランスとおっしゃるでしょう。で、いま御承知のとおりガソリン税で道路をつくっていますね。時間がないから全部言っちゃいますけれども、ガソリン税はどういう配分をしているか知っていますか、傾斜配分ですよ。したがって昭和五十一年度で見ますと、東京なら東京の人が、おれの納めたガソリン分は道路に回るんだろうと思ったら大間違い、四四%しか来ないんです。一番集めているのはどこかと言いますと、特殊事情があるから沖繩の三・五六倍、これは当然だと思います。通行区分が変わりましたから。あとは北海道が二・七三倍、新潟が一・六七、四国一・四四、東北一・三七、北陸一・二〇。こういう傾斜配分が私はいけないとは言いません、そうやってみんなで支え合っていくんです。  ただ、同じように、その十兆で済まないですよ。十兆はやっぱり都市住民から取り上げることになる、それでも日本のためにいいんだと言えるんだろうか。しかも昭和六十年まで見たって、平均交通断面で大体五万人から七万人なきゃとっても合わないと言っているけれども、一番高い北陸だって一万九千人ですよ。よほどしっかり考えてやらないと日本の財政がおかしくなる。これは物をつくりゃいいというもんじゃないですよ。青函トンネルみたいなものは国の資産で残ります。ただ新幹線は営業用財産ですからね、十分その点を御考慮の上御検討をいただきたいと思います。結構です。

福永健司自由民主党運輸大臣

○国務大臣(福永健司君) ちょっと言わしていただきたい。  栗林さんが言っていただくこと、大変結構というか、ありがたいことなんです。実は。容易ならざることでございます。しかし、おっしゃるとおりにと言うと何にもしないということに逆戻りしていくんでございますが、それでは政治ではないと私は言いたいのであります。  そこで、先ほどのような苦しいことを申しておりますが、われわれ運輸当局の者が、何を税金にするとか、どういう方から金を取ってなどということは現段階において言うべきことでないと私は考えておりますので、いささか考えないこともないんではございますが、いま申しません。おのずから係がいるんですから、有力な大蔵大臣や総理大臣以下皆心配してくれると思いますし、そういうことを考慮に入れつつ閣議においてもこれをやろうと決めたんでありますから、その決めたものはそれなりに対処していかなければならぬと思いますので、いまのお話はありがたくちょうだいいたしておきますし、私どもがそんなことを言ったら、もう五新幹線なんかはすぐやめておこう、こういうことになりますんでございますから、立場は御理解をいただきたいと思いますが、ありがたく拝聴しつつ、その精神を生かしつつといって新幹線はやらぬというわけじゃない。そういうことではございますが、必ずやりますと、このことだけを強く申し上げておきたいと思います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 どこから税金を取るかということは運輸大臣の主管ではないと思います。ただ、国民に負担を求める問題についてどう考えるかというのは国務大臣たるあなたの仕事でございます。そこで都市住民の負担が大きいという話を私は申し上げたんです。  次に移りまして、さっきの公共施設の話とも結びつくんですが、衣食住は、比べて言いますと、衣食はまあまあだけれども、住が何ともいま不十分である、したがって住について私は力を入れていきたい、かたがた住宅だけではなくて関連する臣にお尋ねするんですけれども、住宅関係の関連公共施設費として補正予算で追加計上してあるわけですが、いま関連公共施設が足りないという――足りないではなく、その建設費が大きな問題になっているというにもかかわらず、補正予算に計上した額が五十億というのはどういうわけですか。

櫻内義雄自由民主党建設大臣・国土庁長官

○国務大臣(櫻内義雄君) 栗林委員はたぶん御承知でお尋ねだと思うんですが、今回、新らしい制度で関連公共施設の促進に三百億円計上いたしましたが、これに対しての全国の希望はその三百億円を上回りました。そこで補正の際には追加をお願いしたい、こういうことで大蔵当局との折衝の結果が五十億円ということになったのでありまして、必ずしもこれをもって満足をしておるものではございません。もう少し追加措置を講じたらばと、こういう気もいたしましたが、御承知のような今度の補正予算全体の枠組みの中でこの程度でまず妥当である、こういうことで了承した次第であります。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 大臣、それはちょっと違うんじゃないでしょうか。三百億円当初に計上しまして、それに対して補正が五十億で少ないからということでそのお答えなんでしょうが、五十億しか申請が出てこなかったというのが本当のところじゃないんですか。

櫻内義雄自由民主党建設大臣・国土庁長官

○国務大臣(櫻内義雄君) 五十億の申請というのは、この関連公共施設の要望の額がその程度しかなかったんじゃないかという御質問だと、こう思いますが、大体その見当でございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 そこで、お尋ねしたいのは、宅地開発をするときに、コストの半分が関連公共施設のいわば整備コストだと、そう言われているわけですね。したがって、それが宅地供給を狭めているし、地価を上げている一番有力な原因なんです。そうやって困っているのに、申請が五十億しか出てこないというのは一体どうなんだろうか。  時間がありませんから、結論をつけながら自治大臣にお尋ねをしたいと思うんですが、なぜかというと、各自治体の方は、宅地の開発計画がある。関連公共施設整備をしなければいかぬ。今度は促進事業で補助金がついたから出すかというと、出さない、積極的には。その理由は、宅地がふえたら困る、人がふえたら仕事がふえる、したがって、なるべくそうしたくないという気持ちがこの五十億しか申請が出てこないというところにあらわれているんじゃないでしょうか。

加藤武徳自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(加藤武徳君) 地方団体は毎日大変な苦労をしておりまして、ことに人口が急速にふえます団体におきましては大変な苦労でございますが、しかし、だからといって公共団体が人口のふえますことをいやがるというような、そういう性格のものではなく、限られた財源の中におきまして人口急増に極力対応いたしてまいろう、こういう考え方であろうかと思います。  そこで、いま御指摘がございました公共公益事業の施設整備費の補助でございますが、地方団体の立場で考えますと、端的な言い方をいたしますならば、その裏負担を地方でしなければならぬのが大変だと、かような気分があることは間違いがないと思うのでありまして、そこで当初予算に組まれました三百億と、今回の五十億、合わせて三百五十億、これは御承知のように道路一公園、下水道、河川砂防、この四事業に補助金が出ておるのでありますが、一般の同類の補助金とは別個の枠で処置をされており、性格的には若干違います。そういう観点から、自治省といたしましては、その裏負担を起債等で見る考え方はなかったのでありますが、しかし、いろいろ検討してみますと、公共団体によりましては、やはり裏負担分に関して自己財源で調達の困難な面等がありますこともわかってまいっておりますので、そういう市町村等に対しましては地方債の枠等につきまして十分な相談をしていくべきではないであろうか、かような考え方に最近なりつつありますようなことでございます。そういう処置をとりますと、やはり相当額の補助金が出るといたしましても、やはり地方は喜んで消化するのではないであろうか、こういう感じを端的に持っております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 この問題、いま自治大臣から従来より前向きの御答弁をいただいて、ありがとうございました。  従来ですと、地方自治体が裏負担をつけなきゃいかぬ、そうは言っても自分のところの都合がある、いろんな順番があるわけですから、それやこれやでおくれおくれになっていた。それで大いに整備をしようと、それは結構なんですが、ただ、問題なのは、何といっても地方財政は豊かであるわけはない。しかも整備はある基準においてしていかなければいけない。その結果、おのずからどうなるかというと、宅地をつくる、開発する人に本来なら地方債の裏負担等でしなければいけないものも負担を求めています。都市計画道路に至るまで用地を無償で提供させる、あるいはつくらせるということでやってまいったわけです。これが宅地開発要綱ということで全国でいま九百近くあるのは御承知のとおりなんですけれども、今後、公共公益関連施設をつくっていく場合に、かねがね民社党が申し上げていることですけれども、中央とすると、地方債で起債を起こすとしても、地方財政はなかなかの苦しい状況にあるわけですから、その利子負担ぐらいは国としてすべきではないか。  なぜすべきではないかと言いますと、普通の調子で住宅がふえているんならいいんです。ところが、戦後この方、大変な人口移動です。そこの中で通常の準備ではとうてい間に合わない。したがって小学校が要る、高等学校が要る、幼稚園が要る、それを全部自前でやってこいということになると、とても間に合わない。そういう状況にいま都市があるわけですけれども、そこで、かねて民社党が言っておりますように、地方債の裏負担について利子補給をしながら関連公共施設の整備を進めるべきではないかと思いますが、いかがでしょう。

櫻内義雄自由民主党建設大臣・国土庁長官

○国務大臣(櫻内義雄君) 地方債のかさ上げ、あるいは利子補給制度につきましては、現在でもあることは御承知だと思うのです。ただ、その利子補給の程度が私は問題ではないかと思うのでありまして、現状ではそういう制度があってもほとんど活用されてないという状況でございますから、建設省の立場から言うと、先ほどの御指摘のようなことで、もっと関連公共施設を十分やりながら土地造成などができるようにと思いながらも寸足らずのところがございますから、私どもの立場からする意見は述べて、もっと改善できればしたいと、こう思います。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 これは、総理、ぜひお考えいただきたいのですけれども、いまの問題というのは、大規模開発をする場合には、多少宅地開発指導要綱に従いまして公園はつくる、道路は広くとるという形で土地代は高くつきますけれども、そういう開発はできる。また、そういった土地を買える人はまた買えるんだろうと思うのです。ところが、一般庶民ですと、そこまで高くなった、五割ぐらいかさ上げされた地価というのはとうてい手が届きませんから、その結果は、競ってミニ開発にいくわけです。ミニ開発は開発規模が小さいから規制を受けていない。  これは埼玉の例なんですけれども、あらかじめ計画的な開発がされているところと、ミニ開発で細切れの開発がされたところをたまたま比べてみますと、道路面積は細切れは半分です。公園はどうかというと、片一方が五・六%の公園を持っているのに片一方は〇・一二、ほとんどない。片一方が一人当たり三・三平方メートルの公園面積なのに、片一方は〇・一六平方メートル。こうやって・二開発がどんどん進みますと、でき上がる住宅環境というのは、それはすさまじいことになる。しかも、昨今土地が高いものですから、容積率目いっぱいに建てる。これがマンションであります。道路もできていない、何もできていない、公園もないというところに、容積率目いっぱいに建てるわけですから、このままいくと、スプロールした地域というのはいま以上に行き詰まることになる。それに対して、これは時間との勝負でありまして、先手を打って手を打たないと、後追いでは間に合わない。私はこれも金がかかる仕事だと思います。  そこで、運輸大臣、聞いていただきたいのですが、国のことを考えるんなら、私は、この都市周辺の土地、住宅問題に投入するなら金を投入すべきだと、そちらの方が優先順位としては非常に高いと思います。意見だけ申し上げて、時間がありませんから次にいきたいと思います。  最後に、雇用問題で終わりたいと思うのですが、これは運輸大臣でしょうか、労働大臣でしょうか――運輸大臣の方にまずお伺いしますけれども、構造不況業種、特に造船関係で目立って設備の縮小を始めた。これの雇用に対する影響はどのように見ておいでになりますか。

福永健司自由民主党運輸大臣

○国務大臣(福永健司君) あちこちにいま御指摘のような事態が生じておりますが、特に造船について厳しい事情がございます。  そこで、いまの世界的な情勢のもとにありましては、そう簡単に情勢がよくなるというようなことはとうてい考えられません。したがって、それなりの設備の処理等もしなければなりませんし、といって、あんまりこれをひどくやってしまいますと、それから後に備えるには不適当な事態にもなりますので、おのずから適当な程度がございましょうが、そういうことをやる。そういうことをやりますれば必然的に失業者等も出てくるわけでございます。そこで、こういうことを考えながら、官公庁船等はできるだけこの際多く発注するというようなことで幾らかでも需要を喚起しようというような処置をして、今度の補正予算にもそういうことは計上をいたしておりまするし、それから、不況地域等と関連して所要の指定等をいたしまして、造船でいま非常に不況になっているというようなところには公共事業なんかをできるだけ持っていく。そういうところへも、必ずしもみんながみんなそういうところへ行けるわけではございませんけれども、できるだけ失業者を吸収するというようなこと等も行うが、また一面、いろんな仕事、この中には船の解撤であるとか、その他陸上部門へ振りかえるとか、いろんなことをやりつつ、失業者をできるだけ吸収するということにしたい、こういうようなことをいろいろ講じておりますが、しかし、それでもなおかつなかなか容易でない事態であることははなはだ残念に存じますが、それだけに中央も地方も一緒になりましてこれらの対策にそのほかに、現にできておりまするいろいろの、これを救済するような諸般の法律もできておるし、また今度の国会にも幾つか御心配をいただくことになりますが、そういうようなことを全面的に駆使いたしまして、この事態に対処してまいりたいと考えております。

井上計民社党

○井上計君 関連。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 関連質問を許します。井上計君。

井上計民社党

○井上計君 いま運輸大臣は、構造不況業種については鋭意対策を立て努力をしておるけれど、なかなか思うようにいかぬというふうなお話がございました。  そこで、私は、この倒産に関連をして一親企業の倒産に関連して起きますところの下請の連鎖倒産等について、ひとつ大蔵大臣、通産大臣にお伺いをいたしたいと思っておりますが、過去三年間、五十年、五十一年、五十二年の三年間に会社更生法の適用申請を受けました企業が、いただいた資料によりますと、約七百七十八件あります。これは大型倒産だけではない、いわば中型倒産もあろうかと思いますけれども、この事実をまずひとつお考えをいただくということでありますけれども、このようにその親企業が倒産をいたしますと、その下請の関連企業というようなものは大変な実は状態になっておる、これは各所でそのような悲惨な事実があらわれております。下請が持っております一般債権というのは、中小企業の債権というのはほとんどが労働債権である、労務賃金である、労務賃金は形を変えて売上代金になっておりますけれども、それらのものがほとんど消滅をしておるわけですね。ところが、下請のそれらの債権については会社更生法等の更生計画認可となった場合にほとんど切り捨てられておるというふうな事実があるわけであります。  私ども、いろいろ調査をいたしますと、下請の持っておりますその債権の八〇%ぐらいが下請の労務提供の賃金である、労務賃金である、こういうふうな事実もあるわけであります。したがって、現在、会社更生法は相当前から批判がありますけれども、これは形を変えた下請中小企業の倒産促進法である、こういうふうな非難さえ実はあるわけでありますが、時間がありませんので細かい点は申し上げませんけれども、会社更生法の中で一会社更生法の適用を受けます。計画認可を受けますと、そこで債権の順位等が決まっておりますけれども、下請の債権等については優先順位をやはり入れる、このようなこともぜひ考えるべきではなかろうか、こう思います。会社更生法について、これは公取のいささか所管であると思いますけれども、通産大臣としてこれらのものについての改正をお考えいただく必要があるのではないか、このようにひとつ考えておりますが、この点いかがでありましょうか。  それからもう一つ、それとやはり重大な関連がありますけれども、下請代金支払遅延等防止法であります。これはもう事実上ざる法であります。特に第四条の二項の二号に「下請代金の支払につき、当該下請代金の支払期日までに一般の金融機関による割引を受けることが困難であると認められる手形を交付すること。」は禁じる、こういうふうな項目がありますが、事実上は一般の金融機関では割引してもらえない。すなわち町の高利貸し、相当暴力金融が多いわけでありますが、もうそれらのものを承知をしておっても、泣き泣きそこへ持っていかざるを得ないような百五十日手形あるいは台風手形が実は事実上多く支払われておる、こういうことであります。そこで、この四条の二項の二号に支払い手形の期間を明示をすれば、このようなこともかなり防げますし、ざる法のそしりについてもいささかこれについて免れることができるのではなかろうか、このように考えておりますが、この二つの問題につきまして通産大臣どうお考えでありましょうか。  それからもう一つ、これは大蔵大臣にぜひお願いをしたいんでありますけれども、このような事態が発生をして、事実、最近では、私の手元に来ておりますが、大分県の臼杵鉄工所の問題でありますが、この臼杵鉄工所の下請をしておりました造船協力事業者団体連合会というのがあります。その会員が約五十一社でありますが、五十一社が臼杵鉄工に持っておりますところの債権約十億円。ところが臼杵鉄工があのような状態になりまして、そのために受けた融資、大分県の不況対策特別資金が約一億四千万、商工中金がわずかに四千万、この程度しか受けられない。だから、七月分の給料をやっと支払った、あとはもうめどが立たぬ、こういう状態が起きているんですね。だから、政府系の金融機関におきましては、少なくともこれらについて大幅に救済融資の改善をする、あるいは枠を拡大するということをぜひやるべきだと思いますが、この二点につきまして、ひとつ通産大臣と大蔵大臣からお答えをいただきたいと思います。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 第一の問題につきましては、昭和四十二年に会社更生法が改正をされまして、中小企業者の債権につきましては先払い制度が設けられております。通産省といたしましては、これらの制度によりまして関連中小企業への影響が軽減されることを期待をいたしておりますが、さらに、御案内のことでございますけれども、関連中小企業に対しましては中小企業倒産防止共済制度がございます。それから政府系の中小企業金融三機関による倒産防止緊急融資等の金融面での制度もございますし、それから下請企業振興協会による取引あっせん等の機動的な運用によりましてこれらに対処していきたいと考えております。  それから手形の問題につきましては、これは御案内のように下請代金法に基づきまして規制が行われておりますけれども、最近は不況が深刻なものですから、ややもすると割引が不可能なような手形が乱発されている、こういう傾向もございます。こういう点につきましては、公取と密接な連絡の上、十分監視体制を強化しておるところでございます。  なお、先月、最近の円高によりまして下請企業に対しまして非常にしわ寄せが行われておる気配がございますので、関係団体に対しまして、また関係の親事業に対しまして注意を喚起いたしたところでございます。御指摘の二点につきましては今後とも十分配慮してまいりたいと存じます。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) 金融面につきましては、すでに倒産関連につきまして別枠で、一般的に申しますと、中小企業では別枠で二千万、国民公庫でたしか五百万、この分は金利は普通の基準笠利よりは安くするということでやっておりますし、また、信用保証につきましても、これは全く別枠でございますけれども、中小保険公庫については五千万出すということになっております。ですから、一般の分とちょうど信用補完で申しますと同額になります。そのほかに、もしそれが不況地域でございますと、今度のやつで恐らく不況地域に当たるのじゃないかと思いますが、同じようなやっぱり保証枠がまた別枠で充てられるということになっておりますので、その辺を十分御利用願いますと、まあ全部が全部賄えるというわけにはいかぬかもしれませんけれども、相当程度はこたえ得るのではなかろうかというふうに見ているわけでございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 労働大臣にお尋ねをします。  構造不況、造船を例にとりながら先ほど大臣から言われたとおりでございまして、しかも雇用問題は構造不況に限らないで、減量経営の問題もありますし、それから今後海外立地が進むということを考えると、これもまた国内で雇用問題になる。そこで何とか第三次産業にと言われるんですけれども、第三次産業はどうかというと、実は、流通経路はいまのままでいいんだろうか。合理化、近代化がそこで求められるはずでありますし、そうなると、そこもそんなに吸収力はないし、場合によっては第三次で雇用問題が出るかもしれない。それぞれどちらを見ても道がつかないというのが雇用問題だと思うのですが、この問題に対して労働大臣はどうやって取り組んでいかれるおつもりか、伺います。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のように、雇用問題は、大変厳しい上に、その対策がなかなかむずかしい状態でございますが、先ほど運輸大臣からるる御説明がございましたが、私は、この雇用対策は、とりあえず緊急応急対策、これはやはりある程度何とかして場をつなぐための仕事をふやす。そのためには、先ほどお話がございましたような船舶の解体事業であるとか、あるいは巡視艇の建造をふやすとか、あるいはプラントバージをつくるということによって造船の労働者が吸収できるような雇用の場を仕事においてふやしていく、こういったことが一つ考えられると思うのでありますが、やはりいま日本の産業構造が基調的に変化をしておるわけでございますから、その変化に対応してどういうふうな雇用の場を拡大していくかというと、いまお話がございましたような第三次産業――第三次産業と申しましても、流通関係だけでなくて、福祉であるとか保険であるとかあるいは教育であるとか、そういった方面の雇用の場というのは欧米先進国と比較して非常におくれておりますから、こういった面の施設をふやすと同時に、それに携わる人の機会をつくっていく、こういったことが必要ではないか。  同時に、私は、やはりこれからの雇用機会をふやしていく日本のあり方としての基本線は、かつてわれわれが戦後からここまですばらしい経済成長を遂げたのは、やはり技術革新によっていろいろな製造業、付加価値の高い製造業が現在の雇用の場を広く提供してくれたと同じように、一層今度は技術革新、そして知識集約型の産業を取り入れることによって、そしてまた研究開発のプロジェクトを大いに推進していく、科学技術の開発をやっていく、それが企業化し産業化した暁には雇用の場を大きく提供してくれるであろうと、こういったことを考え、同時にまた、長期的な考え方から言いますと、決して怠け者を奨励するという意味じゃなくて、いわゆるワークシェアリングという仕事を分かち合うという労働時間対策というものもこれも長期的観点に立って慎重に配慮していくと、こういった総合的なことをやりながら私は現在の雇用対策に臨む。当面の対策と中長期対策とあわせてやっていく。このためには専門家の雇用政策調査会に委嘱いたしましていま研究をしていただいておりますが、そういった人たちの研究の成果を踏まえて万遺憾なきを期していきたいと、このように考えるわけでございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 いま労働省でおとりになっている雇用対策は、五つぐらいに簡単にまとめてみますと、雇用を伸ばす対策だと思います。これは定年延長奨励金等でございますね。それから一時しのぎと言っては恐縮ですけれども、つなぎという意味で雇用調整給付金がある。三番目はこれは完全な失業給付。これは失業給付でありますけれども、期間が来たら切れるわけであります。四番目は訓練手当、前向きのいわば手当ということ。五番目が再就職の奨励。まあいろいろ制度がありますけれども、大きくはこの五つに分類ができるのだろうと思います。  そこで、お尋ねしたいのは、利用率がえらく悪いんですね。定年延長奨励金は、昨年ですが、四十七億の予算に対して三億しか使っていない、六%です。中高年雇用奨励金は、予算五十九億に対して二十一億、これは三六%。それから雇用調整給付金は、二百五十億に対して三十二億ですから、二二%。事業転換訓練給付金は予算六十一億で実績ゼロ。私はなぜこうなんだと聞きません。もしかしたら、いま申し上げたこういう政策の配置が実態に合っていないのじゃないか、雇用の実態というのはもう少し別な変化をしているのだろうか、そういう疑問がこれを見るとするものですから伺いますが、いかがですか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のように、せっかくつくった制度が十分利用されていないということは、これはわれわれ政策の第一線にある者として常時反省をし、改善をしなきゃならぬわけでございまして、さしあたりことしの十月一日から雇用安定資金制度を大幅に改正いたしまして、この改正の趣旨は周知徹底をしてこの利用方をお願いをしなきゃならぬと、このように思いますし、いま具体的な例をいろいろお話がございましたが、確かに利用率の悪い点がございます。これはやはり幾らそういった迎え水を出しても、御指摘のごとくなかなかそういう方向へ向かっていかないような客観情勢がある。すなわち、日本の産業構造の基調の変化というこういった一つの壁があるというふうに考えなきゃならぬ。したがって、これから誘導政策をやるのは、やはりこれから伸びるであろう産業に対して、たとえば福祉型産業構造へ向かう場合には、中高年齢者の雇用奨励給付金制度をこれに活用していくと、こういうことで、これは年齢を外してこれからこれが活用されるような制度の改正をやりたいと、このように考えておるわけでございまして、いままさに大きな転換期でございますから、従来の制度の見直しをて、一遍洗い直して、そしてこれはやはり幾ら周知徹底をし改正をしても利用できないものはそれはそれでやめると、そして利用し得るような制度の改正をやる場合はそういう方向でまた改正をすると、こういうふうにいろいろ検討しなければならぬまさに過渡期に立っておる。五十四年度の予算編成においてはそういう配慮で善処したいと、このように考えておるわけでございます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 そのまさに五十四年度というさしあたってのところを見ながら考えていくわけですけれども、そこで事業転換等訓練給付金が予算六十一億で実績ゼロ、これはPRも足りなかったということもあるでしょうし、なかなか理由は一つだとは思いません。ただ、平たく考えてみて、やっぱり新しい職につくわけです。そのための訓練を受けるわけです。その新しい職って何だろう。いろいろ将来の話はあるんです。だけど、来年の話で新しい職はと言ったら作文しか出てこない。そこで、議論としては教育関係とか福祉関係とか、結局公の雇用になるわけですけれども、そこで、しばらくまあしばらくと言うといけません。そこで、まずは抱え込みながら、福祉の足りざる分、教育の足りざる分を補っていったらどうかという議論があるんですけれども、確かに訓練しろといったって何していいんだかわからないわけですから、その意味で、その指針を一つ五十四年度に与える必要があると思うのですが、いかがですか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤井勝志君) 現在職業訓練法の改正を十年ぶりにやりまして、いろいろ職種の問題、訓練科目の問題、これもいま検討しております。実際どういう仕事がこれから求められるかということについては、一応はわかっております。メニューはわかっておりますけれども、もう一歩突き進んで考えると、なかなかむずかしい問題でございますけれども、十分四囲の情勢を判断をして、そして対応していきたいと、このように考えます。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 総理にお尋ねをしたいんでございますが、判断として、いまの円高基調を考えますと、企業の減量経営はもっと進むと見るべきでしょう。海外立地も当然進むと見るべきでしょう。それやこれやを考えると、雇用問題というのは、実は、成長率どうこうと景気の話もいいわけですけれども、一番むずかしくて一番最後まで残る問題になる、私はそう思うんですが、その意識は同じでございましょうか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 雇用問題は、まあ当面の雇用問題と中長期的に見た雇用問題とあると思うんです。中長期的に見ますれば、これは私は、六%実質成長というような状態であれば大体安定と、こういうふうに見ておるわけでありますが、当面はこれは石油ショック後の設備過剰状態、いわゆるデフレギャップがまだまだ残っておる、こういう状態で職場がかなり制約されていると、こういうふうに見るんです。したがって、その当面の事態に対しましては、何とかして職場を臨時的にもつくる必要がある。そういうようなことで、公共事業、公共投資を進めておるということでありますが、まあ何とかいたしまして、当面は当面としてしのがなけりゃならぬ。しかし同時に、中長期的に考えまして望ましい経済成長を実現をいたしまして、雇用問題に不安なからしめる、かようにいたしたいと考えております。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 経済白書を見ますと、「安定的な就業構造実現への道」ということで書いてあるんですが、確かにそうだと思うんですよ。生産性向上と時間短縮を調和させながら賃金コストが上昇しない形で労働時間を短縮し、同じ仕事量をより多くの人が分け合う、書いてみればそのとおりです。これが実は労働問題の一つの課題としますと、これまではどちらかというと、政府は経済のマクロのベースで雇用問題を考えていこう、経済政策の面でいこう、あとは民間の労使なり、それぞれの労使関係の中で雇用問題を相談してくれや、こういうスタンスだった。ところが、いま書いたものは何かといいますと、生産性と雇用のバランスをどうとるのか、これはミクロでは解決ができない問題が多い。国際収支と雇用のバランスをどうとるか、これとてもミクロでは対応ができない。物価と雇用のバランスをどうとるか、これもむずかしい。結局個々の分野で努力をすることが全体にとっていいことだということにならないんです。むしろ、全部が雇用を悪くする方に下手をすると働いてしまう、それを直そうとすると、定年問題とか、労働時間とか、年功賃金とかという、いよいよむずかしい課題に取り組むし、もしかしたらその次に日本の文化的伝統である終身雇用にまで議論をしていかなきゃいかぬかもしれない。いまその問題意識をみんな多くの人が持っているわけですけれども、その問題にどう取り組むのか、相変わらず政府はマクロで見ていてあとは民間それぞれということでいいのか、官民合同でこの大きな転換期をどうするか、知恵を出し合った方がいいのか。私はこの問題は官民合同で、大きな制度を変えていくわけですから、知恵を出し合いながらやっていかないと、それはとってもだめだ、定年延長なんかできやせぬですよ、中小企業は。ということは、中小企業に対する単価を上げなきゃいかぬという産業調整も絡むわけですからね。そこの中でしか私は雇用問題は今後解決はされない。  前置きが長くなりました。その意味で官民合同の雇用対策会議をお持ちになるつもりはないか、伺います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 確かに私は、雇用問題はこれから経済運営の中心課題としてとらえていかなきゃならぬと思うんです。ただ、そのために新しい仕組みが必要であるかというと、いま経済審議会というのがあるんです。これもいま当面雇用問題が大変大事な問題であるという認識のもとに全体の日本の経済の動きをどういうふうに持っていくかと、こういうことを考えておるわけであります。それから、雇用審議会というのがある。これはまた雇用だけの立場からそういう問題を考えておる。また御承知のように、産労懇といいますか、政労使といいますか、三者の会合もあるわけであります。そういう場を通じて、雇用問題は非常に大事な問題であるという認識で、そこにウエートを置いて考えていくということになりますれば、仕組みとしては、私は新しいものをつくっても屋上屋ということになるんじゃないか、そのような感じがいたします。

栗林卓司民社党

○栗林卓司君 時間が参りましたので質問を終わりますけれども、従来の既存の組織でできるぐらいならだれも苦労はしないんでありまして、定年を例にしましても、六十歳までといったってなかなかそうはいかないんです。従来の組織では。では定年六十歳でいいかというと、年金等を考えながら将来の設計をしていくと定年はいやでも六十五まで延ばすんだと、恐らく政府の計画をおつくりになってもそうだと思います。そこまでの大きな転換は、私はやっぱり新しい組織で、想を改めながら取り組むべきだと思います。  時間がありませんから、意見のみ申し上げました。(拍手)

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 以上で栗林君の質疑は終了いたしました。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 次に、福間知之君の質疑を行います。福間君。

福間知之日本社会党

○福間知之君 最近私は、暴力団の不法な行為といいますか、もっとはっきり言えば無法な行為が横行しているということに大変心を痛めている一人でございます。また、総会屋などと称するグループが企業とか個人に対して一種の脅迫的な行為というものを行っている。私の聞きますところによりますと、ごく最近のことでございますが、ここにお並びの各省庁の大臣の部下が、全国のあちらこちらで被害を受けている。すでに司直の手が一部には回っておる。また、政府機関におきましても担当部局が調査を開始している。こういう事実を知ってるわけですけれども、まず当委員会でのことでございますので、会計検査院の方から最近のこの種の実情について、調査の状況を御報告願いたいと思います。

岡峯佐一郎会計検査院事務総局第四局長

○説明員(岡峯佐一郎君) 私、第四局長でございまして、農林水産省と厚生省、通産省を担当いたしております。お尋ねの事態は各検査局にまたがるわけでございますが、私が代表いたしましてお答え申し上げます。  このような高価な購入の問題につきましては、実は去る六月六日、農林水産委員会におきまして社会党の先生から御質問がございまして、これは当局に対する質問でございましたが、私どもそれを拝聴いたしまして、貴重な検査資料と判断いたしまして、六月十九日以来鋭意検査を進めてまいりました。  検査といたしましては、実地検査のほかに、私どもに参ります書類による検査もいたしました。八月十日を皮切りに、私の名前をもちまして十の部局に対しまして質問を発したところでございます。その結果によります限り、遺憾ながら御指摘のような遺憾な事態が見受けられたのでございます。  このような経緯から、私、新聞報道に先立ちましてすでに検査に入ったわけでございますが、他の局におきましても、このような事態に対応して検査を現在進めている段階でございます。そういう状況でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 途中でやめたようなかっこうで、ちょっとわからないんですけれども、率直に申し上げまして、東京の隣の千葉県におきましてすでに県警が、犯人といいますか、当事者二人を逮捕しているわけでありまして、しかも捜査の結果かなり具体的な供述が行われておるわけであります。警察としましては、裏づけのための調査をやったようであります。むしろ新聞というよりも、警察がかなり具体的な証拠をつかんでいる、それが検査院の方でもそれを感づかれたということだと思います。  また、各省庁、私の知っている範囲でも、これは公団・公社を含めて十を上回る省庁にかかわりがあるわけでありまして、全国三十二都道府県においてこの種のことが行われているというところまで捜査は進んでおるわけであります。  したがって、いまの検査院の報告は大変不満なのであります。しかも、それはことしに入ってからではなくて、去年あるいはおととしあたりから発生をしているようであります。それまでそれらの点についても検査院としては調査なりをしておられないのかどうか。これからの分、いまからやっているんだという分、私話してほしいとは、そんな無理は言いません。いままででつかんでいる点についてお聞きをしているのであります。

岡峯佐一郎会計検査院事務総局第四局長

○説明員(岡峯佐一郎君) 農林水産省の例で申し上げますと、非常に多額なケースが、数字が出ているわけでございます。  たとえば、ある部局の例でございますが、二千二百円のビニール製のシートを五万円、約二十五倍でございます。それから、綿帆布製のシートにつきましては一万五千円のものが六万円、こういったケースがあるわけでございまして、相当な大きな額になっているわけでございます。たとえばこの部局の場合は約百七万円のものを四百二十七万円で買っている。差し引き三百十九万円ほどは高いというケースでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 いま一つの例として農林水産関係を挙げられましたけれども、私の知っているところでも、最近の調査では農林水産関係だけで八件です。いまおっしゃったように四百万円程度高く買わされているという事実であります。これを申し上げていますと、時間が実はないんですけれども、参考のためにざっと申し上げますから、各大臣お聞きを願いたいんです。  一つは郵政省関係、中国でやはりとじ込みのファイル七十円のものを三百円で買わされている。しかもそれは七回にわたって八千百冊から買わされている。総額で二百四十三万円。あるいは徳島県の土木部長、これは本人が言っているわけですから間違いないのですが、七千円の単価の工事用のロープを五万円、二十本買わされて、これで百万円。しかも、これは相手方が巧みに悪だくみをしまして、関係の住友あるいはまた鹿島、戸田、西松等の建設会社を中に入れて、そしてみずからは自分の貯蓄の口座に金を振り込ませているというふうなことをやっているようであります。  これらをずっと調べていきますと、厚生省関係でも、本庁を含めまして五十八カ所七十五件、総額で二千五百三十万円。文部省関係は四十五カ所五十九件、二千八百十六万円、これは国立大学付属病院等も含んでおります。あるいは郵政省でも十七件、四百万円。運輸省は八件、二百十万円。農林水産省は先ほどのとおり。建設省でも六件、四百二十六万円。通産省は三件で八十四万円。文化庁は一件、百三十七万円。その他地方自治体でも、いま判明しているもので十八都道府県、七十二件で二千九百七十五万円。国鉄関係は二十カ所二十八件、九百四十万円。専売公社は二十カ所二十二件、三百十万円。電電公社は八カ所九件、百六十七万円。道路公団は九カ所九件、四百二十万円。  いま申し上げただけの数字で一億二千二百九十万円になるのでありますが、これはさらに捜査が進んでいくと、ほぼ四、五億円という金額になるんじゃないのかと、こういうことが予想をされるわけであります。  問題は、私は、この種の悪事が各省庁の出先末端の現場で、目に見えないところで繰り返されてきたのではないか、また今後もその危険があるのじゃないか。彼らグループは、幾つかのグループを持って全国を回遊しているようでありまして、それに対するいわば取り締まりということはもちろんですけれども、そういう場面に出会ったときの処置、これは出先の関係者のまず心構えが大事でございますけれども、しかし、相手は何分にも一種の暴力的なおどしをかけてくるわけでありまするので、身の危険を感ずることもあるわけであります。それに対する現場における警察当局とのタイアップ、これは警察庁にお聞きをしなきゃなりませんが、当事者は、えてしてこれは社会的なつき合いだぐらいで実は済ましがちでありまして、恐らく、いま申し上げた省の大臣の皆さん、こういう御報告を耳にされている、そういうことがありましたら素直にここで言っていただきたいのです。ほとんどまだお耳に届いていないと思うのであります。  そこに私は問題がある。やはりこれは社会的な悪事なんだ、不正義なんだということで、仮にその場では屈しても、すぐに上司に届け出をする、こういう被害があった、そういう届け出をする、こういうことでなければ私はならないと思います。検査院が困っているのもやはりそこにあるのじゃないかと思うんです。なかなか私がお聞きしたってお答えができない。これはわからないわけですね。このロープは一万円のものか一万五千円のものか、必ずしも帳簿の上ではわからないわけです。そういう点で、警察庁の方からこういう場面についての今後の対応策、また各大臣におかれては関係出先の部下に心構えを指示をしていただきたい。これはもう国民の貴重な税金のそういうむだ遣いをやられたら困るわけでありまして、これは各大臣に申し上げると同時に、国家公安委員長に一言御見解を承りたいと思います。

加藤武徳自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官

○国務大臣(加藤武徳君) 暴力団の不法事犯を大きく二つに分けることができると思うのでありますが、それはいわゆる粗暴犯でありまして、いま一つはただいま御指摘になられましたような知能暴力犯でございます。そこで、最近知能暴力犯の件数やまた傾向がきわめて顕著になっておりますことはまことに遺憾なことでありまして、この九月、警察の組織を挙げまして知能暴力犯対策をいたしましたが、二百二十八件、四百二十名の検挙をいたしております。その中には暴力団の首領や幹部も含まれておりますし、世間にいわゆる会社ごろと言われておりますような連中もずいぶん含まれておるのであります。  そこで、警察といたしましては徹底した取り締まりを今後もやってまいりまするけれども、いまお話しのございましたように、やはり被害を受けようとされます方が毅然たる態度を持ち、勇気を持って対処してもらわなければならぬのでありまして、いま二点の御指摘がございました、上司に十分に早く相談をしなきゃならぬ、警察にも直ちに連絡をとるべきだと、かような御指摘がございました。被害に遭いましても大した被害ではないんだからというようなあいまいな態度でありますと必ず次回またつけ入られると、かようなことでありますし、被害の大小にかかわらず必ず上司にも相談しますと同時に、警察に十分に早期に御連絡願う、こういう態勢をとり、勇気を持って対処願う、このことが必要であろうかと考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 総理、後の方で申し上げた各省庁としてこの点について十分な留意をするようにしかるべき示達を私はお願いをしたいと思う。公共事業費がどんどんふえて、またそれが国の経済、景気を回復するために必要だということで、私たち国会ではいろいろ議論を行いながらも苦しい財政のやりくりをしているわけでありまして、そういう点で総理の所見を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いま福間さんから承りまして、私も初耳でびっくりしているわけでありますが、そういうことはもう許すべからざることでありますから、何とか相談をいたしまして厳重に対処いたします。

福間知之日本社会党

○福間知之君 次に、中小企業庁おいででございましょうか。――いわゆる中小企業分野法ですね、これの最近における施行実態の中で少しく私は問題が出ているんじゃないかと思いますが、どうお考えですか。(委員長退席、理事内藤誉三郎君着席)

左近友三郎中小企業庁長官

○政府委員(左近友三郎君) いわゆる分野調整法につきましては、五十二年の九月二十四日から施行いたしまして、この具体的な調整については当該業種の主務大臣が処理することになっておりますが、現在のところ、建設省の方に三井不動産販売株式会社と不動産仲介業に関係のある全国宅地建物取引業協同組合から調整の申し出があるということを承知しております。  なお、この運用につきましては、法律の調整の申し出というのが出る前に、この法律がありますことから話し合いがついておるという事例も相当見られるというふうにわれわれは考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 その中小企業事業分野法、これの第四条と第九条の後段を、時間がありませんのでまことに申しわけありませんが、少し読んでいただきたいと思います。

左近友三郎中小企業庁長官

○政府委員(左近友三郎君) 第四条を読みます。(自主的解決の努力)「大企業者の事業の開始又は拡大に際し、当該事業と同種の事業を営んでいる中小企業者と当該大企業者との間において事業活動の調整に関する問題が生じたときは、その双方の当事者は、早期に、かつ、誠意をもつて、自主的な解決を図るように努めなければならない。」。  それから九条でございますが、後段で「この場合において、当該期間内に同項の規定による勧告をすることができない特別の事情があると認められるときは、中小企業分野等調整審議会の意見を聴いて、六月を超えない範囲内において当該期間を延長することを妨げない。」。  以上でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 私は、この分野法の運用の面で、実は各関係主務官庁が積極的にこの対応をするという姿勢が欠けているのではないか、こういう点を実は指摘したいわけであります。  たとえば、いま御答弁の中にありました三井不動産販売株式会社というのは、これは三井不動産の一〇〇%出資の会社であります。その会社が、いわば流通仲介分野への進出計画を立てまして、そうして幾つかの支店を各地に配置するということによって、当該地域における既存の中小零細の不動産屋さんが非常に苦況に陥ってしまう、こういう問題なのであります。これは七月の一日、結局、先ほど読み上げられましたそういう趣旨の条文に反して、また関係省庁が、これは建設省になると思うんですけれども、積極的に仲介をすることもなく十店オープンをしてしまいました。現在、当該地域においては問題になっておりまして、分野法九条に基づく一時停止の勧告あるいは七条一項に基づく調整勧告の措置を講じてほしい、こういうことを建設省、通産省に要望しておるわけでございますが、なかなかそういうぐあいにはいかない、こういう問題であります。  もう一つは、これは兵庫におけるタイヨー食品株式会社。これは大手の東食という会社がありますが、資本金四十七億からの会社でございますが、それのダミーと目されている会社でありますが、そのタイヨー食品が神戸市においていわゆるお豆腐の大量生産を始めるということになりまして、その過程でやはり関係業者の団体と摩擦が起こったわけであります。それを関係省庁の近畿農政局に業者団体の方が何回か足を運び、これに対するしかるべき規制をしてほしいということを申し出てもなかなかそれがみこしを上げてくれない、こういうふうなことになっているわけでありまして、こういうことを考えますと、この事業分野法なるものは、一体、主務官庁というものがそれぞれ商品によって異なっておるという特殊な関係が出てくるわけでありまして、したがって、せっかく立法の趣旨である中小企業の事業分野を確保していこう、大企業との間における調整をスムーズにやろう、こういうことがなかなかできないということになっているというこれは傾向を示しているのであります。  私は、時間がありませんから言えないんですけれども、クリーニングの業界においても書店の業界においても、そういう傾向があるわけでありまして、雇用を拡大していかなきゃならぬとか、あるいはまたこれからの中小企業の生々発展を期していかなきゃならぬとかいう高通なビジョンは私たちお互いが持っていても、具体的にはそれが大手の企業によって侵食されていく、これにはやはり行政がしっかりと対応をしていかなければ、社会不安が起こらなかったら不思議だと私は思うんでありまして、その点、総理はどう考えるか。この法律は、各主務官庁が本当にその気になってやらないと、あるいはだれかがそれを監督する人間がおらなきゃ、中小企業はもうたまらないですよ。法律ができてもこれはざる法だと、こういうことになってしまうんですよ。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いわゆる中小企業の分野調整法、これは中小企業の業種によりましてその所管庁が違う、こういうことになりますが、やっぱり御指摘のように、所管庁がちゃんとその分野法の趣旨が着実に実行されているかどうかということを監視しなけりゃならぬ、こういう立場にあると思うんです。いまいろいろ設例を伺いましたが、所管庁それぞれお話の趣旨を体しまして、よく実情を調査した上善処する、このようにいたします。

福間知之日本社会党

○福間知之君 企画庁長官、最近の実体経済の推移を若干の項目について御説明をいただきたいんです。GNP、鉱工業生産、消費財の出荷、個人消費、輸出、輸入、最近の推移を簡単にひとつ御説明願いたいと思う。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 最近の経済指標の推移でございますが、まず国民総生産でございますが、五十三年度一月-三月期実質で二・五、四月-六月期一・一、おのおの対前期比でございます。その中で国内需要は一月-三月が一・八、四月-六月が二・三、前期比でございます。国内需要で申しますと、これは年率にいたしますと、一・八というのは七・二ぐらい、二・三は九・四ぐらいでございますので、国内需要に関します限りまず七%の線に乗っておると申し上げることができると思います。ただ四-六月期におきまして輸出の減、輸入の増がこの国内需要と申しますか、全体の実質成長をやや下に引っ張る傾向が出てまいりました。  次に、鉱工業生産指数でございますが、五十三年一-三月は前期に比べましてプラス二・九、四-六月は前期に比べましてプラス一・七でございます。その後、七月になりまして前月比マイナス〇・八、ちょっとここのところで中だるみが見えております。八月は速報値ではプラス〇・九になっております。  消費財の出荷指数でございますが、一-三月期が前期比でプラス五・〇、四-六月期にはマイナス一・〇になっておりまして、七月、前月比マイナス一・四、八月、速報値でプラスマイナスゼロ、消費財の出荷には明らかに低落傾向が最近になって見えております。輸出の減を反映しておるのではないかと思われます。  個人消費でございますが、国民所得統計によりますと、一-三月は前期に対しましてプラス一・九、四-六月はプラス一・三でございます。  〔理事内藤誉三郎君退席、委員長着席〕  それに続きまして、七月は家計調査の全世帯の消費支出が出ておりますが、これは前年同期に対してプラス二・一、全体としてまあまあという感じではないかと思われます。輸出でございますが、数量で申し上げます。一昨日も申し上げましたように、四-六月から前年に比べまして数量の減が目立ってまいりまして、四-六月は一年前に比べましてマイナス二・五、七月は一年前の七月に比べましてマイナス七・六、八月は、前年八月に比べましてマイナス四・二、数量ベースでは明らかに前年に比べまして輸出は減少いたしつつございます。  輸入は逆に漸増、ややふえる傾向でございまして、四-六月は前年同期に対してプラス五・二・七月は前年七月に対してプラス四・九、八月は前年八月に比べましてプラス五・八、いずれも数量ベースでございます。したがいまして、輸入は数量で前年に比べてここのところ五%余りふえつつございます。輸出の方は月によって違いますが、二%ないし七、八%前年に比べて減、以上のような指標でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 いまのお話の中でも一部かげりの出ている数値が見られるわけです。特に私、GNPは恐らく昨年の場合に比べてこの四-六月は落ち込みがひどいと思うんです。昨年の四-六月は一・七%、一昨年は一・二%であります。ことしは先ほどの御説明にもありました一・であります。さらに七-九月をとってみればこれは判然としてくるんじゃないかと思うんですが、昨年度は〇・四、一昨年は〇・三%であります。今年度果たしてどうなるかということでありまして、まあ世に言われる春は高くて秋は低いという姿が去年、おととしの場合は出ているわけですがことしもそれは余り変わらないんじゃないのか。特に今回の補正予算といいましても、実質千四百五十億円の金が追加されるというだけのことで、必ずしも民間が期待どおりに動くとも思えないわけでありますので、私は、七%の成長は何とかいけると、この先回しに長官はおっしゃいましたけれども、一足飛びにそこまでは考えていませんが、あえて言うならば、今後の事態をある時期に判断をして、やはり財界もこの補正予算に対しては決してもろ手を挙げて賛成ということでもありません、総理もうなずいていられるように。したがって、いわば第二次補正なるものが考えられるとすれば、その判断の時期をいつごろとられますか。これは総理にお聞きしたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) ただいまのところ、この第二次補正は予定しておりません。ただ、経済は生き物といいますか、いろんな変化が出てきます。その出てくる変化に対しましては、いろいろの政策手段があるわけですから、それを縦横に駆使いたしまして、何とかして七%程度の成長は実現したいものだと、またいまの私どもの展望といたしましてはできると、このように考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 長官はどうですか。

宮澤喜一自由民主党経済企画庁長官

○国務大臣(宮澤喜一君) 確かに今年の四-六月期が一・一であったということは、昨年の四-六月期が一・八でございますので、昨年より前期比の伸びは悪いということになりますが、先ほど申し上げましたとおり、この一・というものの内容が、国内需要では二・三ございまして、海外関係でマイナス一、これで落ちておるわけでございます。それで考えますと、国内需要そのものは二・三といいますと、九・四、五の年率でございますから、これはこれでほとんど問題がありませんで、むしろ海外のマイナス一・〇というのが、これはほとんど初めてのことでございますが、これだけ大きく足を引っ張るようになりました。  そこで、七-九もそうだろうというお話でございますが、昨年は実は七-九が〇・一という非常に低い成長になっておりますので、よもや、相当海外事情が響きましてもそのようなことはあるまいと、ただいま私としては考えておりますが、いずれにいたしましても、今後は海外要因を内需で補ってまいらなければなりませんので、私どもの見通しでも年度間を通じまして一・二ほどは内需で補わなければならないという情勢でございますので、海外要因の動き方、これは輸出の減もございますけれども、輸入の増というのが、先ほど申し上げましたように年度間を通じましては輸出の減よりはよけい響きます。これは政策努力としてはおのおの好ましいことではございますけれども、成長にはそういう影響を及ぼしますので、この辺のところを注意してまいらなければならないと思います。七-九の成長率が明らかになりますのは大体十二月の初めごろと考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 少しはしょうざるを得ませんので、次に参ります。  牛場対外経済相にお聞きしたいんですが、年内決着を目指す東京ラウンドの交渉に関しまして、私は大変これは重要な交渉だと存じています。かつてのケネディラウンド以降、八年目の交渉ですか、恐らくこれは向こう八年から十年、再び交渉は行われないだろう、こういうふうな見方で各国とも真剣に話し合いが行われると思うんですが、大臣としてのいままでの接触の上で、この交渉に対するわが国の政策は貫徹できるとお考えですか。

牛場信彦国務大臣

○国務大臣(牛場信彦君) 東京ラウンドの交渉は、いまおっしゃいましたとおり非常に大事な交渉でございまして、これから先、長きにわたる自由貿易体制の強化ということを目的といたしておりまして、単に関税の引き下げだけではなくして、ガットの規則その他、新しい合意によりまして自由貿易体制の枠組みを強化していく、こういう目的を持っておるものでございます。ことにわが国のような国柄から申しますれば、自由貿易の維持ということが非常な大事なことでございますから、この間ボンの首脳会議のときに合意いたしました十二月十五日の目標に向かって全力を挙げて取り組んでまいりたいと思っておる次第でございます。こういう交渉は今後西暦二千年まではないだろうと言われているぐらいでございますから、わが国としまして特に努力を傾けてまいるつもりでございますし、現在までのところ必ずしも順調に進んでおるとは言いがたいのでございますけれども、日本、EC、アメリカの間ではこの交渉はぜひ成功させようという点で意思の一致もあるわけでございますから、ぜひ目標に向かって努力してまいりたいと思っております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 大臣、アメリカないしはECの態度は、この夏ごろの態度に比べて交渉の過程でかなり妥協的な姿勢に出てくると、こういうことは予想されますか。

牛場信彦国務大臣

○国務大臣(牛場信彦君) 先ほど申しましたように、この交渉の重要性、これはどうしても成功させなければならぬという点につきましてはもう三者の間で意見の一致があるわけでございます。ことにアメリカは御承知のとおり、いま国内、特にコングレスの方面で保護貿易の考え方が非常に強くなってきておりますので、これを抑えるためにはどうしても東京ラウンドを成功させねばならぬということで、行政府としては非常な努力を傾けておることが認められます。現在までのところ、公平に申してアメリカが一番イニシアチブをとってまいったと言えると思うのでございます。ECの方は、御承知のとおり政策の決定に非常に時間がかかります。それからまた、一たん決めた政策を修正する上にも非常に時間がかかりまして、交渉相手としてははなはだやりにくい相手でございます。したがいまして、現在までのところ日本もアメリカもECとの話し合いは実は余り進んでおらない、これから馬力をかけなければならないという状況でございますけれども、両者とも最終的にとにかくこれをどうしても成功させなければならぬということにつきましては意見が一致しておりますから、いままだ非常にかたいことを、強硬な主張もいたしておりますけれども、終局的には私は妥協はできるのではないかというふうに感じております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 そういうことだと私も理解しているんですが、特にアメリカは、たとえば現在わが国からの対米輸出テレビの問題をめぐって一九七二年、七三年にさかのぼって物品税方式による過大な追徴課税をしようということを再び蒸し返してきておるようであります。これは私は納得できないのでありまして、通産省の方ではどのようにお考えか。最近、大型の輸出促進ミッションが参りました。一方において大いに成果を上げてほしいと私は念願しておるのですけれども、われわれの側としてはテレビに対する現在のアメリカの姿勢というのは納得ができないわけでありまして、機械情報産業局長から御答弁願いたいと思います。

森山信吾通商産業省機械情報産業局長

○政府委員(森山信吾君) ただいま先生から御指摘のございましたアメリカ向けのテレビのダンピングの問題につきましては、御指摘のとおり私どもといたしましても大変納得のいかない問題であると、こういうふうに考えております。そもそもこの問題は、一九六八年以来長年にわたりまして決着のつかなかった問題でございましたところ、ことしの三月に至りまして急遽アメリカ側が一方的にいわゆる物品税方式を採用したというところに問題があるのではないかということでございまして、そのやり方につきましては、ある意味で国際ルールにももとるところがあるんではないかと、こういう主張を繰り返しやっているところでございます。ちなみに、先週行われました日米の高級事務レベル協議におきましても、日本側から特にこの問題を重要視いたしまして問題の提起をいたしました。今後とも気を大きくしながら本問題の解決に努力してまいりたいと、かように考えているところでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 外務大臣はかねがねアメリカとも接触を持っておられますが、アメリカと日本の経済関係は大変親密にやっていく以外にないわけでありまして、そういう点で一方的にアメリカをどうこうということではないのですが、ストラウスさんという方の交渉の仕方はなかなか手ごわいように感ずるのですが、大臣いかがお考えですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) いまのテレビのダピングの経過については御承知のとおりでありますから、省略をいたします。  なお、私から判断をしますと、ダンピングの査定についても的確な数字を向こうは把握していないんじゃないか。その上に各社の取引、ダピングの状況によって課税すべきものを一律に物品税方式で課税することはこれは納得のいかないところであります。かつまたガットの反ダンピング国際コード上も疑義がありますので、これについては十月三日、四日、ワシントンで行われた日米高級事務レベル協議で日本側から本問題を提起し、米側の再検討を要請いたしました。またその後、十月六日及び七日に日本政府関係者が財務省に対し再検討を申し入れたところでありまして、これについては今後も引き続き財務省側の再考を求める所存でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 そういう立場で、ぜひひとつ早期の解決を目指して御努力をお願いしたいと思います。  話をかえますが、通産大臣、先回の国会で成立を見ました例の日韓大陸だな協定でございますが、その後これの具体的な実施の状況はいかがでございますか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 六月に手続が終わりまして、自来いろいろ事務的に進めておりますが、ようやく日本側の鉱業権者を内定いたしました。韓国側でも内定をしておりますので、両者の間でこれから具体的に相談を開始することになっております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 なかなか鉱区の受け持ちが決まらないという、そういう部分なり事態には至っておりませんか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 鉱区は御案内のように第一鉱区から第九鉱区までございます。当初は三社が出願をする予定をしておりましたところが一社が脱落をいたしまして、そのために現在は第二鉱区から第八鉱区まで決まっております。第一鉱区と第九鉱区は出願者がございませんので、いま空白になっております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 それは主としてどのような理由によると判断されますか。

河本敏夫自由民主党通商産業大臣

○国務大臣(河本敏夫君) 政府委員から答弁をさせます。

天谷直弘資源エネルギー庁長官

○政府委員(天谷直弘君) 第一鉱区と第九鉱区は比較的面積が狭うございますのと、それからもう一つは海の深さが深うございますので、結局、非常に巨費を投じてやりましてもペイしないということをおそれて申請者は申請をしなかったものというふうに考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 最終的に受け持ちが決まらなければどうしますか。

天谷直弘資源エネルギー庁長官

○政府委員(天谷直弘君) これは日韓双方の共同開発区域でございますので、日本側の方で申請者がいない場合には、これを韓国が単独でやるということはございませんので、申請者がなければ当分の間手はつけられないということになると思います。

福間知之日本社会党

○福間知之君 いずれにしても問題は残るということ、残すということになるわけですね。

天谷直弘資源エネルギー庁長官

○政府委員(天谷直弘君) その部分につきましては、さしあたり開発は行われないということになると思います。

福間知之日本社会党

○福間知之君 労働省にお聞きをしたいと思いますが、最近における勤労者の賃金の水準について、日本とアメリカ、西ドイツ、イギリス、主要なこれらの国とレベルの比較をお願いをしておるんですが、御発表いただきたいと思います。

関英夫労働大臣官房長

○政府委員(関英夫君) お答え申し上げます。  わが国と欧米諸国の昭和五十二年の製造業におきます実労働時間一時間当たりの賃金を本年の九月末の為替レートによって比較いたしてみますと、日本を一〇〇としてアメリカが一一二、西ドイツが一二三、イギリスは五九、フランスは七七と、こうなっております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 円高の影響でわが国の賃金水準も先進諸国にアプローチしつつあります。キャッチアップしつつあります。ところで問題は、私は国内におけるそれぞれの購買力、その通貨の購買力の問題だと思うわけでありまして、この購買力の問題について質問通告をしておりますが、わかりましたでしょうか。

岩田幸基経済企画庁調査局長

○政府委員(岩田幸基君) 実質購買力でございますけれども、御承知のように、最近は円がドルに比べましてかなり割り高になっております。また消費者物価の上昇率もドイツなどに比べますと日本の方がやや高いというようなことがございまして、恐らくいま賃金の比較で申されましたような数字と比べますとかなり購買力は円の購買力の方が下がっているだろうという感じはいたします。ただ、実際にどれくらいになっているかということにつきましては、御承知のように各国の消費構造も非常に違います。また多くの商品についての価格の実態というものもよくわかりません。そんなことがございますので、定量的にいま実質購買力がどのくらいになっているかということにつきましては私どももまだ把握をしていないということでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 購買力パリティ方式というのがあるんだそうです。これに基づいて西ドイツの連邦統計局が調査したところによりますと、昨年末の時点でございますが、ドイツの水準を一〇〇といたしますと、フランスは一一五、アメリカは一一八、イギリスは一二六、イタリアは一五八、いずれもドイツを上回っています。日本はわずかの五二という指数であります。総理、この数値の多少の当否は別にしまして、総理もみずからお感じであると思うんですけれども、名目賃金が上がっても国内におけるその通貨の購買力が日本はやはり弱い。ここに問題があると思うんです。これに対してはどうすればいいとお思いですか。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) 物価の安定、これを強力に進めていく。また特にその中で生計費の中心になるところの食料費、これを何とかしてもう少し安くならぬかなあと思いますが、これはわが国の産業構造、その中で特に農作物、これがとにかく国際的には非常に高値であるという、その辺に問題があるように思いますのでありますが、少し長期的に農作物の生産性を向上する、そういうようなことで実質的な購買力、円の購買力、これを高めていく努力をしなけりゃならぬじゃないかと、そのように考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 食料品、農作物というところがやはり大事な問題だと思います。それ以外に、一面では住宅はおっしゃるとおり私たちも大問題だと思っておるわけでありますけれども、特にこの場合、食料品、農作物というようなものを、今後じゃ何年ぐらいたてば西欧並みの生産性を上げ、価格を低下させ得るんだろうか、問題だと思いますね。円高の差益還元のときでもいろいろ議論があったように、あるいはやはり海外から安いものを輸入するという方向に国内における農業、産業構造というものを本当に見直していくということが真剣に考えられないと、私たちの努力の成果としての円高が国民に還元されないということは大変私は不幸なことだと、こういうふうに思っております。  時間がありませんので先を急ぎますが、外務省にちょっとお聞きしたいのですけれども、海外における最近の官民の派遣の人員。通告をしていますが、お教えを願いたいと思います。

山崎敏夫外務大臣官房長

○政府委員(山崎敏夫君) 外務省は現在定員としては三千三百十一名でございますが、在外に派遣しておりますのは千七百七十六名でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 いや、外務省だけじゃないんですよ。

山崎敏夫外務大臣官房長

○政府委員(山崎敏夫君) ちょっと御質問の趣旨が十分わかりませんでしたので、ちょっともう一回おっしゃっていただけませんか。

福間知之日本社会党

○福間知之君 いわゆる各省庁、そして民間ですね。官民と申し上げたのはそういう意味です。

山崎敏夫外務大臣官房長

○政府委員(山崎敏夫君) 外務省はいま申し上げましたように、在外公館に派遣しておりますのは千七百七十六名でございますが、そのうち各省庁から派遣をいただいておりますのは二百七十名でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 うちですか。

山崎敏夫外務大臣官房長

○政府委員(山崎敏夫君) そのうちの二百七十名でございます。  民間の問題につきましてはちょっといま調べてすぐお答え申し上げます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 通告してあるんですけれどもね。――民間はこれをかなり上回っていることは確かだと思います。  そこで外務大臣にお伺いをしたいんですけれども、経済活動が国際化する、あるいは多面化していく、こういう中で在外公館における仕事の質と量もかなり変貌を遂げつつあると思います。そういう点で、私は今回幾つかの国を閉会中に回らしていただきましたが、在外公館も極力立ち寄ることにしましたけれども、いかにもみすぼらしい在外公館がございまするし、内部の人員配置その他においても見劣りするんじゃないかなと、こんな印象を受けたんですが、そうだとするならば、大臣としてはこの国際化の時代において、わが国としての在外公館のあり方を思い切って充実強化していくという必要があると思うのですが、いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 先ほど御質問の中の在外公館の数字を簡単に比較をいたしますと、大使館、公使館、総領事館、領事館、副領事館、政府代表部その他を入れて、日本は百五十四、米国は二百七十五、英国は二百二十四、フランスは三百八、西ドイツは百九十七、イタリアは二百六十二、インドは百二十九となっております。  なおまた、その人員を簡単に御報告申し上げますると、米国の方は定員総数が二万三千二百九十七、在外が五千五百九十一名、英国は定員が九千八百四十九、在外が三千七十、フランスは定員六千六百三十七、在外が四千百十六、西ドイツは六千六十九、在外が四千四百四十三、日本は定員数三千三百十一、在外が千七百七十六ということでございます。  こういうことでございまして、いままさに外交が重要な課題となって、地域が非常に広範に広がっております。行政改革の時代でありますが、外務省としては何とかしてよそ並みの在外公館の強化をし、むだを省き、ふやすところはふやしてもらいたい、定員及び公館の数。それから、御承知のごとく建物等、これはまたきわめて、行っておる在留邦人その他の問題、あるいは外から見た場合のこと、情報収集等に非常な欠陥がございますので、ぜひこれを強化をして、そして平和外交が完全にできますように努力をしたいと考えております。  なおまた、在留邦人の数は逐次急速にふえておりまして、ここで一番大きな問題になっておるのは日本人学校の問題でございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 総理、いまくしくも外務大臣がおっしゃられましたし、私の大体感じと合っているような気がするんです。ぜひひとつこれは予算の面でも、総理大臣だけじゃなく大蔵大臣もぜひひとつ次年度の予算においてはしかるべく御相談の上で善処をひとつ要望したい。  私はアメリカの大使館に久しぶりに行きましたが、アメリカの大使館はりっぱです。今度はりっぱになりました。ソ連の大使館はだめです。フランスはいま赤れんがの古い建物を赤れんが風のりっぱな建物に巨費を投じて建てかえておりましたけれども、これはやはりひとつ、ドルも余っていると言うと語弊がありますが、大いに還元をしていく意味において必要なところには金をつけていただきたいと思います。総理の決意を伺いたいと思います。

福田赳夫自由民主党内閣総理大臣

○国務大臣(福田赳夫君) いまドルが余っておるというお話ですが、事は税金の問題なんです。そっちの方が非常に窮屈なものですから、なかなか外務省への配分が十分ではない、こういうことでございます。しかし、外務省はこれからいよいよ重要な役割りを尽くすわけでありまするから、そういう乏しい中ではございまするけれども、できる限りの配慮をいたしたいと、このように思います。

福間知之日本社会党

○福間知之君 関連しまして文部省にお伺いしますが、先ほどまでのように、かなりの邦人が海外に官民を含めて派遣されてます。子女の教育、外務大臣も先ほど申されましたけれども、実は私ニューヨークで関係者からいただいた写真をここに持ってきています。学校のスペースが狭隘なために、実は廊下の踊り場に先生が机を置いて、あるいは教材を置いて活動をしている。アメリカのニューヨークですから、これは私は日本の人たちが一番多い地域だと思うんですけれども、それでいてこういう状況なんです。これはぜひひとつ解決をしていただきたいんですが、文部省ではいままでこの種の問題についてどのように対応をされてきましたか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○国務大臣(砂田重民君) 義務教育就学相当年齢の子供たちが近年急増してまいりまして、五十三年現在で二万人と私どもは承知をいたしております。それに日本人学校を本年五校ふやしまして五十五校、補習学校を七十一校、このようなことで対応しているわけでございますけれども、まだまだこれでは不足をいたしておりますのは、いま御指摘のニューヨークに見られる状態があるわけであります。外務省と十分協議をいたしまして、対応する仕事の分担をお互いにいたしております。  日本人学校等の建物、用地等については外務省にお願いをして、派遣をいたします教員を確保すること、教材を整備すること、教科書を義務教育に準じて無償で配付をいたしますこと、通信教育を実施していくこと、これらのことを文部省で担当をしているわけでありますが、五十五校あります日本人学校、世界じゅうにあります日本人学校の共通した悩みはやはり施設の問題と教員が都道府県派遣になるものでありますから、都道府県によって従来その身分の扱い方が異なっていた、これが校長先生の悩みの非常に大きな種であったこと、そして教材が不足がちであるという三つが共通した問題点でございます。  教員の問題につきましては、本年度から全額を給与費国庫負担といたしましたので、優秀な教員を各都道府県で確保して送っていただくことになりまして、身分の取り扱いはすべて研修出張になるわけでありまして、都道府県によって扱いが違うという心配がなくなったわけでございます。本年度から国内の義務教育学校の教材整備の十カ年計画を始めましたので、一年おくれで海外にあります日本人学校等の教材整備の計画を五十四年度から進めたい、このようなことで関係官庁とも相談をいたしましていま検討をしているところでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 これはまた本委員会の別の機会に要請もさしてもらいたいと、こういうように思います。  それから、公取委員長がおいでになっておりますので……。先ほど大企業の中小企業に対する締めつけについての御質疑がありましたので、これは省略します。  現下の経済情勢下において独占禁止法にかかる問題意識をどういうふうに公取委としては持っておられるか、その一点をお聞きしておきたいと思います。

橋口收公正取引委員会委員長

○政府委員(橋口收君) 当面する独占禁止行政の課題でございますが、一応三つに分けて考えております。  第一点は、昨年の十二月施行になりました改正独禁法の施行を円滑に行うということでございます。この点につきましては、おかげさまで、まだ一年を経過いたしておりませんが、おおむね順調にその施行が行われつつあるというふうに考えております。  第二点は、非製造業部門に対する重点の移行ということでございます。産業構造の変化に伴いまして、製造業に対しまして非製造業の部門のウエートというものが逐年高まってきております。従来の独占禁止行政はどうかと申しますと生産中心、製造業中心でございましたが、その重点を漸次流通部門を中心とした非製造業の部門に移行していきたいというのが第二点でございます。  それから第三点は、国際関係の重視ということでございます。従来は独占禁止行政は、どちらかと申しますと国内のマーケットを守るという考え方が強かったのでございますが、経済の国際化に伴いまして一国のマーケットを守るという理念だけでは十分対応できなくなっておるわけでございますから、そういう点から申しまして国際関係の重視ということを第三点に考えております。  以上申し上げましたのが当面の課題でございますが、この課題の背景をなす問題意識につきまして簡単に申し上げますと、独占禁止行政は申すまでもございませんが、公正にして自由な競争を促進するという一言に尽きるわけでございますけれども、それは二つの面があると思います。第一の面は、自由競争の促進ということでございます。それからもう一つの面は、経済的強者の地位の乱用を抑えるということであろうかと思います。経済的な強者はその存在それ自体が非常に大きな影響を持つわけでございますから、経済的強者の地位の乱用を抑えるというのが第二点でございまして、何と申しますか、もう一つの角度でございまして、午前中から論議のございました流通問題に対するアプローチもそういう経済的強者の地位乱用を抑える、こういう基本的な問題意識に基づいておるものでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 私も賛成でございまするし、その基本的な姿勢をより具体的にこの激しい変動を続ける経済情勢の中で対応していくということにぜひひとつ徹していただきたい、そういうふうに要望申し上げておきたいと思います。  それから郵政大臣にお伺いしたいのですけれども、最近郵便貯金に退職金を繰り入れた場合の優遇税制を考えてはどうかと、こういう構想がおありのようですが、そうでございますか。

服部安司自由民主党郵政大臣

○国務大臣(服部安司君) このことにつきましては目下検討を進めているものでございますが、現時点の検討案の内容は、おおよそ次のとおりであります。  すなわち、長きにわたっておのおのの職域を通じて、しかもまじめに働いてわが国経済社会の発展に大きく貢献された勤労者の方々が、たび退職をされますとその後の生活は退職時に得た退職一時金にかなり頼らざるを得ないというケースが多いと考えられます。このように勤労者の退職金は退職後の生活資金に充てられているという性格が強いことにかんがみまして、こうした退職金を預貯金しようという場合には貯蓄上特別の優遇策を加える必要があろうかと考えられます。そこで、五十五歳以上の退職者がその退職金を郵便貯金しようという場合には、一般の郵便貯金の総額制限額のほかに一千万円の別枠を設けようと考えているものであります。しかし、この問題は税制ともかかわることでありますし、私といたしましては今後関係の向きとも鋭意折衝に努め、この構想の実現に大いに努力してまいりたいと考えておりまするが、何とぞ御理解、御協力のほどをお願い申し上げておきます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 大蔵大臣さん、いかがでございますか。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) 郵便貯金は財投原資の根源的な原資でございまして、なかなか伸び悩みの昨今でございまして、郵政大臣がいろいろ御配慮いただいているのは本当にありがたいと思うのでございます。しかしながら、税制面から考えますとなかなか問題がございまして、御案内のように、退職資金につきましては最高一千万円の控除をいたしまして、残りの分は半額にして、そして他の所得とは合算しないで分離課税をいたしておることは御承知のとおりでございます。で、さらにそれを郵便貯金の非課税限度までに上げるということはいかがなものであろうか。  現在御承知のように、非課税預金は郵便貯金の方が三百万円まででございます。これはもちろん非課税でございます。少額貯蓄が三百万、それから国債が三百万、別途財形貯蓄やりますとこれ五百万あるわけでございます。これは一人当たりでございまして、全部利用すれば一人千四百万と、こういうことになります。一方、家計の貯蓄の状況を見ますと、勤労世帯では、先般出ましたが、これは世帯当たりでございますけれども、三百二十五万、それから全世帯で大体四百万弱、こういうところを見ますと果たしてその必要があるかどうか、税制上問題とあわせてやはり問題はかなり多いように思っておるところでございます。

福間知之日本社会党

○福間知之君 時間がありませんから意を尽くしませんけれども、退職金をもらえない人たちのことも考えなきゃいけないしね、郵政大臣さん。退職金をもらえない自営業者の方々もおられますし、あるいはいま大蔵大臣の御説明じゃないですが、二千万円も三千万円も退職金をもらう方はそんなにたくさんおらないですし、むしろ零細な個人貯蓄に対する保護対策ということを、それよりも少し早目に考えていただきたい。これは昨年の十一月二十七日に経企庁長官あてに中間報告がありました国民生活審議会ですか、この答申といいますか、中間報告の中にも書いていますので、この方もぜひひとつ郵政大臣考えていただいて、渡り鳥の方々を余り優遇されないようにお願いをしたいと思うわけであります。  次に、労働大臣、雇用保険における雇用改善事業につきまして、これも御説明が先ほどありましたので省略いたしますけれども、今後の新規の雇用安定事業というものについての見通しと決断をお聞きしたい。先ほどのように予算は大分残っている部分がありますので、そういうことのないように、実態に照らして適応した新雇用安定事業というものについての決意を伺いたいのです。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤井勝志君) 御指摘のことはしかと心得て今後に処したいと思いますが、とりあえず十月一日雇用安定資金制度の大幅な改善をやりました。この改善の内容を周知徹底いたしますと同時に、これから先雇用の伸びるであろう、また伸びてもらいたい方向へ誘導するために、特に中高年齢者雇用問題、こういったものを含めまして、雇用安定資金制度が有効に使われるように全力を尽くしたいと、このように考えております。

福間知之日本社会党

○福間知之君 最後に、これは労働大臣と大蔵大臣にお聞きしたいのですけれども、例の時間短縮の問題なんですが、労働大臣には全般の時間短縮の最近の状況ですね、行政指導でもかなり進めてこられました。しかし、ミクロではなかなかそれどころじゃないよということで、なかなか成果が上がりにくい状況にあると思うんですが、それについての状況と御判断をお願いします。  大蔵大臣には、特に金融機関における週休二日制問題でございますが、いよいよ決断をする時期じゃないかと私はかねがね大蔵委員会でも申し上げているんですが、その見通しをひとつお聞かせを願いたいと思うんです。  それから労働大臣には、公務員の場合、これは人事院関係になるんですけれども、あわせてお答え願いたいと思います。

村山達雄自由民主党大蔵大臣

○国務大臣(村山達雄君) 金融機関の週休二日制の問題については福間委員もかねて御承知のとおりでございまして、いま、関係省庁鋭意その問題を詰めているわけでございます。一方、金融制度調査会におきましても、これを銀行法の審議の中で取り上げまして詰めているところでございます。しかし、問題は幾つかございまして、いま部分的に相当の人が休み、交代でやるということはできるのでございますが、これ全部休むということになりますと、当然のことながら関係法令を全部直さにゃなりません。いろんなアンケート調査を金融制度調査会でやりますと、全部休まられると困るというような、特にいま個人金融の人たちが大分おりましてそういう声が出ている。それから、中小企業の人たちが土曜日に相談に行くので困るという話もあるわけで、これ全然無視するわけにもいかぬわけでございます。将来の雇用形態を考えますと、一つの方策だとは思いますけれども。もう一つの問題は、金融機関同士はやはり競合しているわけでございますので、もし金融機関が休むということになると、郵貯であるとか農協はどうなるのかなという問題は当然出てくるわけでございます。そういう非常にむずかしい問題がありますけれども、この問題は非常に重要な、かつまた急ぐ問題でもあろうと思いますので、鋭意検討してまいりたいと思っております。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○国務大臣(藤井勝志君) お答えいたします。  労働時間の現状は、高度成長の時分には順調に改善をされたわけでございまして、五十二年には労働者一人当たりの実労働時間は月間百七十四・七時間、週所定労働時間は四十一時間五十五分となっておるわけでございます。週休二日制につきましては、ここ二、三年は景気動向の影響もございまして普及のテンポが鈍っておるものの、着実に普及しておりまして、五十二年九月末現在において、規模三十人以上の企業で週休二日制を実施している企業は四割強、その適用を受けておる労働者は七割を超えておるという現状でございます。  労働時間短縮、週休二日制につきましては、去年の末、公労使一致した中央労働基準審議会の答申もいただいておりますし、また、ことしの春、五月には衆参両院の雇用の安定に関する決議についてもこれが御指摘を受けておるわけでございまして、やはり行政指導によって粘り強く労働時間短縮、労働時間対策について今後も進めていきたいと、このように考えておるわけでございます。

町村金五自由民主党・自由国民会議

○委員長(町村金五君) 以上で福間君の質疑は終了いたしました。  次回は明後十一日午前十一時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時四分散会

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