科学技術振興対策特別委員会 第2号
- 発言数
- 303 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1978/10/13
会議録
○委員長(藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を開会いたします。 この際、お諮りいたします。 望月邦夫君から、文書をもって、都合により理事を辞任いたしたい旨の申し出がございました。 これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤原房雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 つきましては、引き続き理事の補欠選任を行い ます。 理事の補欠選任は、先例により、その指名を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ござ いませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(藤原房雄君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に亀井久興君を指名いたします。 —————————————
○委員長(藤原房雄君) 科学技術振興対策樹立に関する調査を議題といたします。 これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
○吉田正雄君 私は、本日関係各省庁に対して、次の四点について質問をいたしたいと思うんです。ただ、限られた時間でありますから、残された問題については次回に譲りたいと思います。 まず第一点は、原子力行政、特に今後の安全行政についてお伺いをいたしたいと思います。 第二点は、原子力船「むつ」に関する問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 第三点は、柏崎原子力発電所建設に伴う新たなる活断層の問題についてお伺いをいたしたいと思います。 第四点は、福田総理が、常に、施政方針演説で今日の不況克服あるいは雇用対策の機関車的役割りとして電源開発を挙げておるわけですけれども、この電源開発、とりわけ原発の建設というものが今日の日本の不況に果たしてどの程度役立ってきておるのか。また、雇用上いかなる効果を及ぼしておるのか。五十二年度以降今日までの具体的な実績ですね、あるいは日本経済に及ぼしておる効果、そういうものについてお伺いをいたしたいと思うわけです。 まず、第一点の点でありますが、そのうち原子力委員会と安全委員会の発足についてお尋ねをいたしたいと思います。 御承知のように、八十四通常国会で原子力基本法並びに関連法案が改定をされ、新しい原子力安全委員会が発足することになったわけですけれども、予定をされました十月四日までに新委員の国会承認が得られておらないわけです。このことは、早くも新しい安全委員会と今後の原子力安全行政の私は前途を思わせるものではないかというふうに思っているわけです。 そこでお尋ねをいたしますが、安全委員の存在しない安全委員会が正式に発足したことになるのかどうか。この点いかがですか。
○政府委員(牧村信之君) 先生御存じのように、原子力安全委員会は法令的に十月四日に発足いたしておりますけれども、現在その人選につきまして両院の御同意を得るべき手続を進めておるわけでございますので、安全委員の任命が不可能でございます。したがいまして、機能的には全く発揮できない状態にあるということでございます。
○吉田正雄君 皆さんの記者団に対するこの発表の中では、実務的に支障はないんだというふうなことをおっしゃっておるわけですけれども、私はそういう考え方自体に問題があると思うのです。仮に、もし何らかのことで重大な事態が発生した場合に、安全委員会の判断を仰がなければならないという事態、そういうものが生じたときに一体どうするのか。そういう点で支障がないという、そういう判断ですね。これは記者クラブで発表されたのかどうかわかりませんけれども、そういう認識自体に私はもうすでに問題があるんではないか。安全委員会軽視の考え方が事務当局にあるんじゃないかというふうに思っておるわけです。で、そういう判断を仰ぐような事態が生じた場合にどうされるつもりなんですか。
○政府委員(牧村信之君) ただいまも御説明申し上げましたように、現時点では安全委員会が機能を発揮できない状態でございます。したがいまして、何らかの事態が発生した場合に非常に困るわけでございまして、私どもとしては、一日も早く安全委員会が正式に委員の任命を終えまして発足することを願っておるわけでございます。決して、しばらくの間人選ができなくても問題ないというようなことを申し上げたつもりはございません。そのようなことで、もしその空白の期間に何か起きました際には、これは関係行政機関が責任を持って対処しなければならないということでなかろうかと思います。しかしながら、いろいろな法手続上、安全委員会に諮問をする等のことは当然できないことになるということで、非常に心配、憂慮すべき事態であると私どもは認識しております。したがいまして一刻も早く両院の御同意を得て発令をさしていただきたいと、かように考えておるところでございます。
○吉田正雄君 三木内閣当時に首相の諮問機関として原子力行政懇談会が発足したわけです。その時点から原子力行政の今後のあり方について十分論議もされてきて、そして先般の原子力基本法の改正になったわけです。究如としてこの法案改正がなされたわけじゃないんです。しかも私たちはさきの国会で、この原子力の改正案については、新たなる安全委員の人選等についてもいろんな観点から意見も申し上げ、また皆さん方は広く各界の意見を聞くということでこられたわけです。にもかかわらず、さきの通常国会が終わってからもうすでに四カ月経過をしておるわけです。したがって、人選がおくれた最大の理由は一体何なのですか。まずその点をお聞きしたいと思うんです。人選がおくれた最大の理由は何であったのか。
○政府委員(半澤治雄君) 人選がおくれました最大の理由といいますか、いろいろ理由はございますけれども、非常に大きな理由の一つといたしましては、候補に擬せられた方々につきまして御了解といいますか、御同意を得るのにいろいろ事情がございまして時間がかかったというような点がかなり大きな問題であったかと考えております。
○吉田正雄君 まあ、それは理由にならぬですよ。突如として降ってわいた人事じゃないわけですからね。そのこと自体、日常のこの人事に対する皆さん方の配慮というものがきわめて不十分であるということの私は証拠じゃないかと思うんですよ、そういう点で。 そこで長官にお尋ねをしたいのですけれども、私は、さきの国会でも、人選に当たっては広く各方面の意見を求めるべきであるということと、もともと基本法そのものが自社両党の、その当時としては超党派という観点から提案をされたということもあって、野党の意見も十分聞くべきではないか、とりわけイエスマンの任命については、そのことが今日の原子力行政に対する国民の不信を呼んだ私はやっぱり大きな原因だろうということも指摘を申し上げて、長官の方からは、今後十分ひとつ御意見はお聞きをいたしますと、こういうことであったわけです。したがって、野党に対してどのように意見を聞く措置をとられたのか、また、どのような機関、関係団体に対して意見を求められたか、あるいはまた推薦の依頼はされたのかどうか、その点をまずお聞きしたいと思うんです。
○国務大臣(熊谷太三郎君) いろいろ各界の御意見を十分にお聞きするということは申し上げたつもりでございます。ただ、その形をどういうふうにするかという点につきましては、事人事の問題でもございますから、それをいま公にどなたにどうということは明らかにはいたしておりませんが、十分そう申し上げた趣旨を尊重いたしまして努力したつもりでございます。 それから推薦を求めたかどうかということでございますが、推薦を求めたことはどなたに対してもございません。私どもとしましては、いろいろな御意見、お話のあった場合には無論御意見を聞きますし、私どもとしてどういうふうな考え方で各党が臨んでおられるかというようなことも十分考慮いたしましたつもりでございます。 それから人選がおくれたという点でございますが、これはいま官房長から申し上げましたが、率直に申し上げまして、そうたくさんの方がおくれたというわけではありませんが、一部の——一部というか、ほんのお一人の方が十分まだお話が、私どもの予測に反しましてはっきりいたさなかったために、皆さんをそろって御推薦する、こういう機会がおくれたということになるわけでありまして、この点は大変申しわけないと考えておるわけでございます。どうかひとつ慎重御審議いただきまして、一日も早く御了解、御同意を得ますように心からお願いを申し上げたいと考えるわけでございます。
○吉田正雄君 私は時期的におくれたことも非常に大きな問題だと思うんですけれども、それ以上に私は、いま国会に承認を求められております安全委員会の安全委員の顔ぶれを見ますと、一体、国会の論議というものを本当に長官以下、当局側といいますか、にどれだけその意見というものが反映をされているのか、非常に疑問に思うんですよ。特にこの基本法の改正案の最大の引き金になったのは、御承知のように、原子力船「むつ」の放射能漏れ事故が契機になっているわけですね。大きな契機になっているわけですよ。そして各種の懇談会等で今日までの原子力行政のあり方について、むしろ体制内部といってもいい側からも非常に鋭い批判というものが出されてきたわけですね。そして具体的には、安全審査の実質的な責任機関ともいえる原子炉安全専門審査会の責任というものが何ら問われないできたということが、これがすでに大きな私は問題だと思うんです。その会長が責任をとることなくして安全委員に任命をされる、また、それを受けるということ自体、私は一体、それだけ批判をされてき、法改正までしなければならなかったことに対する今日までのそういう行政のあり方を、本当に真剣に反省をしておるのかどうか。これはもう、私は当の委員の良識も疑わざるを得ないと同時に、これは皆さん科技庁当局の、政府側の人選過程でその点が非常に私は問題じゃないかと思っているんです。単に時期的におくれた以上に、この人選の内容についてきわめて問題である。新聞の報道によれば、その他の委員についても、たとえば田島英三立大教授についても自民党側からはクレームがついたというふうな言い方が出ているわけですけれどもね。私はそれぞれの立場からいろいろなクレームがつくだろうと思うのですけれども、しかし、そういう立場というよりも、具体的な今日までの行政の面において、最も責任をとらなければならぬ人が何ら責任をとっていないというところに、私はこれからの原子力の安全行政が一体どうなっていくのか、非常に不安を覚えるのですよ。その点については一体どういう判断をされたんですか。これはもうぜひお聞かせ願いたいと思うのです。
○政府委員(牧村信之君) 現在、原子力安全委員会の委員の候補として両院の同意をいただくための手続を進めておる方々の中に、前原子炉安全専門審査会会長並びに前核燃料安全専門審査会会長が入っていることは事実でございます。私どもといたしましては、これらの方々に今後の新しい原子力安全委員会の任務といたしておりますダブルチェックという非常に重要な役割りが課せられておるわけでございますが、このような審査につきまして非常な豊かな経験をお持ちの方であると、しかも新しい安全委員会の方針を打ち立てていく上で最適な委員であると考えて両院の御同意をお願いしておる次第でございます。 そこで、ただいま先生の御指摘でございますけれども、私どもの考え方は、「むつ」の原子炉につきましての設置の許可に当たりまして、この安全審査会が審査をしたことは事実でございます。その審査は十分慎重な審査が行われたものと考えておるわけでございます。しかしながら、「むつ」が建造をされて、最終審査が終わる前の段階で放射線漏れを起こしたのは事実でございますが、これは私どもの見解といたしまして、内閣総理大臣が行う設置許可時の安全審査における基本設計についての考え方が、詳細設計段階以降における運輸大臣の行う規制に首尾一貫して十分伝わらなかったことが原因であったというふうに考えており、また、この問題が起きましたときの世間並びに関係者の御批判はここにあったかと考えております。考えますと、当時の安全審査におきますやり方といたしまして、現在のように、また、新しい法制下におきまして、設工認以降の段階の審査もあわせてダブルチェックをするという方式がとられていなかった制度時代の問題でございます。したがいまして、そういう点におきまして、安全審査会が先生御指摘のような問題があったと考えるのはいかがなものかと私どもは考えておる次第でございます。
○吉田正雄君 認識に大分ずれがあるんで、これ以上は言っても、それはもう見解の相違だとかということになりかねないようないまの答弁なんですけれども、それでは納得できないですよ。何も「むつ」問題だけではないですよ。今日まで日本の原子炉で満足に運転してきた原子炉は一体幾つありますか。美浜の問題にしろ福島の問題にしろ、ほとんどの原子炉というものが何らかの故障というものを起こしたり、美浜の場合には単なる私は故障とは言いがたい、あれは一つの大きな事故だと思っているのですけれども、そういうものが引き起こされてきている。つまり、原点に返ってもう一回安全行政というものを見直そう、それを見直す出発点としては、責任をどこまではっきりさせるかというところから始まらなければこれは意味ないんですよ。ところが無責任体制というものがまかり通ってきたところに問題が山積みをしてきたんですね。今回の再出発に当たっても、何ら責任問題というものがほとんど考慮されていないというか、また、委員の皆さんの中にも、本来であるならば、全委員がまず辞表を出して、全く新たな観点から人選に入っていくべきなんですよね。ところが、辞表を出すか出さないかという、人の顔を見るような、そういう委員ばっかりがそろっておったんでは、これは話にならぬわけですよ。いわんや本来だったら、責任をとって、そういう推薦があってもみずから身を引くという、そういう立場にある人間がこの安全委員に就任をしていくということ自体、私はもう本当に問題があると思うんです。これ以上言ってもしようがないと思うんですけれども、そのことを私どもは、今後事故が起きた場合一体どういう責任をとるのか、いまこの点でそのことを指摘をしておきたいと思うんですよ。これは単に安全委員だけでなくて、それを任命をした私は政府の責任というものはやっぱり問われるべきだと思うんですね。大体「むつ」問題でもそうですよ。政府当局が何らとらなかったところに今日の混乱した行政というものがあるわけですね。そのことをまず十分指摘をしておきたいと思うんです。 もう一つ、私はもう政府当局の秘密主義も常に指摘をしているところなんですけれども、私は国会のあり方との関係で、この人事が国会に事務的にも手続が踏まれる以前の段階で新聞で報道される——報道の自由、取材の自由ですからいいですよ、それは。そのことを私は否定をしているんではない。しかし、いやしくもこれだけの重大な人事の問題について、国会の承認を得るような人事について、それがすでに国会に諮られる以前の段階においてこれが漏れるという、こういうことは私はもうこれは問題だと思うんです。この点一体どういうふうに考えておいでになるんですか。しかも、それが取材記者の取材活動によってという言い方を皆さんされると思うんですが、見方によっては意図的に流したということも考えられるんです。そういうことも言われているんです。一部で。そして反応を見るとか、そういうこともうわさとして流れているということになると、私はこれは重大問題だと思うんですよね。そういう点ではどういうふうにお考えになっているんですか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) ただいまの全般のお考えはまことにごもっともでありまして、われわれといたしましては、これが新聞に漏れて報道されたということについては、まことに申しわけないと考えておるわけでございます。ただ、決して意図的に漏らしたのではありませんし、いわんや意図的にそういうものを漏らして反応を見るというような、そのようなことは夢にも考えていなかったことでございまして、ただ申しわけをするのではありませんが、何分にもたくさんの人、人数に及ぶ選考でありますし、いろいろそれぞれの方の内諾といいますか、交渉といったような問題もありますし、その間にいろいろ生起する問題もありまして、時日が遷延しています間に、われわれの不用意と微力のために皆さんにそういう御迷惑をかけました点は重々申しわけないと、重ねて考えているわけでございます。
○吉田正雄君 長官、私たちが資料要求しますと、そういう国際条約であるとか、外交上の秘密のようなものを除いては、これはもう、とにかく原子力の安全、平和利用というふうな観点で秘密があってはならぬわけですね。この前の一部規制法による特定のものを除いてはこれは秘密があってはならぬわけですね。しかし相変わらずまだ庁内にはそういう空気があるんですよ。この前私がある資料を請求をしたんですけれども、その際も言を左右にして、当初はないという言い方をし、次には、ありますけれども正式なものでないと言い、その次には、今度は庁内でつくったんでなくて外部からもらったんだという言い方に変わり、そういうぐあいに言い方が転々と変わっていくんですね。きわめて秘密主義なんです。相変わらず直っていないんですね。この前長官に言ったら、そういうことは今後気をつけます。そういうことのないようにしますと言いながら、相も変わらずその秘密主義というのが直っていない。こういうところに、私はもうますます国民の原子力行政に対する不信感というものはぬぐい去れないと思うんですね。国会で審議をしようというその国会議員の資料請求に対して、秘密でも何でもないものをあたかも秘密のように出ししぶるということ自体、そういう姿勢が私は問題だと思うんです。 そういう点で、今後の安全委員会の姿勢と、それから安全行政の運営について次にお伺いをいたしたいと思うんですが、実は皆さんもごらんになっていると思うんですが、十月四日付の毎日新聞の「記者の目」という、これは署名入りで、石川欽也編集専門委員の記事です。この中で、今後の安全行政のあり方について、四つの提言というふうなことでいろいろ書かれておるわけです。この中で、私はきわめて重大な点が指摘をされておったと思うんですが、指摘というよりも取材記事として出ておったんですけれども、通産省首脳の一人が最近、「通産あっての安全委員会といった間柄でありたい」という考え方を持っているということが指摘をされているんですよ。そして、そういうことを科技庁側に求めておるんだという、こういう報道がされているんです。本当だとしたらこれは私は大変な問題だと思うんですね、「通産あっての安全委員会」という言い方は。これは一体安全委員会をどのように考えているのか、これは大変な問題だと思うんです。この報道を長官はごらんになっておりますか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 実は寡聞にして読んでおりません。したがってその趣旨も十分わかりませんが、いま承った時点におきましてどういう意味か考えてみますと、推進のために安全はあるいは軽んじてもいいんじゃないかというふうな趣旨のことかというふうにちょっと考えますが、あるいは誤りかもしれませんが、どういう感じと言われりゃ、もう言うまでもなしに、そういうことはあり得べからざることである、このように考えます。
○吉田正雄君 長官、いろんなことが業界でも言われておりますけれども、通産省科学技術局と、こういうふうなことであっては困るんですよ、これは。いいですか、全く別個の省庁なんですから。ところが、通産省の単なる一出先機関のような、そういうふうな見られ方をしておるということであったのでは、私はもう全然問題にならぬと思うんです。 たとえば、この報道の中で、さらにこういうことが言われているわけでしょう。この八月下旬に、電源開発会社が導入計画中のカナダ型発電炉、いわゆるCANDU炉の設計費十八億円を五十四年度概算要求で提出しようとした動きがあるということなんですね。しかし、さすがにこの点についてはその横やりは通らなくて、これはだめになったという言い方の記事なんですけれども、この動きが本当にあったのかどうなのか。 それから、通産から見えておりますか。——見えておりますね。さっきの、「通産あっての安全委員会」——一首脳のというのは私の方でも大体見当はついているんです。見当はついておりますけれども、ここで名前を挙げるというのはちょっと控えますけれども、そういう発言なりそういう態度というものがありありとあるだろうということは私どもでも十分推測できる。 それはまあとにかくとして、いま言ったようなCANDU炉の導入について、その後幾つかまた新聞報道がずっと出てきますけれども、この予算要求のいまの指摘の問題については、具体的にそういう事実があったんですかどうですか、この八月下旬の段階で。
○政府委員(児玉勝臣君) 原子力委員会に昭和五十四年度の財投の説明をいたしました際に、電源開発会社のいわゆる開発準備費といたしまして十八億八千万をCANDUの基本設計として計上したい、そういうことについて原子力委員会に御説明した事実はございます。
○吉田正雄君 これは科学技術庁にお伺いしますけれども、この炉の購入あるいはライセンス生産、こういうのは実用炉か新型炉かあるいは研究炉か、そういう点で、一体科学技術庁としてはどういう立場をとられるのか。まだ安全委員会が首がないわけですね。そういう点で私は、それは研究開発という段階で見ていくのか、あるいは完全にそれはもう実証段階も経て完全な商業炉として、安全委員会の審査なんというものは経る必要がないんだ、こういう立場をおとりになっておるのかどうか、その点をまずお聞かせ願いたいと思いますし、それから、本当にこの予算要求を八月下旬の概算要求の段階で、科技庁にその辺について十分——科技庁というよりも安全委員会についてと言ったらいいでしょうか、そういう協議と言ったらいいんですか、そういう相談があったのかどうかお聞かせ願いたい。
○政府委員(山野正登君) まず、通産省先ほど御答弁になりましたCANDU炉につきまして、原子力委員会がどのように関与したかという点について御説明申し上げますが、かねて原子力委員会としましては、将来のわが国の原子炉の炉型体系としましては、現在の軽水炉に続きまして高速増殖炉につなげていくというのを基本路線にしておるわけでございまして、このCANDU炉あるいは現在開発を進めておりますATRといったふうなものは、この基本路線を補完する位置づけをしようとしているわけでございます。 それにしましても、このCANDU炉というものをすぐそのまま補完的な位置に置くかどうかというのは相当慎重な検討を要する問題でございまして、伝えられますように、いろいろな利点もある反面またデメリットもあるわけでございますので、わが国の安全基準に合うかどうか、あるいはそのための改造の費用はどの程度要るか、さらに経済性はどうであろうか、また現在の燃料サイクルにどのようなインパクトを与えるかといったふうなことについて、原子力委員会が慎重に検討しているさなかであったわけでございまして、その時点で通産省の方からCANDU炉について開発準備費を計上したいという話がございましたけれども、原子力委員会としましては、その検討が済むまでは委員会の意思表示はできないという態度を表明されたわけでございます。現在このCANDU炉が実用型の原子炉であるかあるいは開発途上の原子炉であるか。特に仮定の問題として、将来日本に導入される場合にどちらに扱うかといったふうな問題につきましては、日本の国情に合うように改造するということが、その研究開発炉というのに値するのか、あるいはその程度のものはすぐに実用化と言ってよろしいのか、その辺の裁量の問題になるわけでございまして、今後そのようなことが具体化するようになる暁には規制当局においてそのような観点から検討されるというふうに考えております。
○吉田正雄君 これは、さっき八月の下旬ころということだったんですが、通産ではあれですか、このCANDU炉について、電気事業連合会との話し合いをずっとやられてきて八月下旬に予算要求の話を出されたんですか。
○政府委員(児玉勝臣君) 八月の末にこの御説明をいたしましたのは財投要求、これは八月末までに大蔵省に提出しなきゃなりませんので、そういう意味で、内容としては、いまの原子力局長のおっしゃったようにまだ固まっておりませんけれども、その予算要求の一つの手続としてやらしていただきたいと、そういうことでやったわけでございます。
○吉田正雄君 それはおかしいと思うんですよ。国の方針があるわけでしょう。原子力開発について原子力委員会側がまだ何ら方針も決めてない、従来の方針の変更をまだ考えてない、そういう段階で、単に予算要求技術上の問題としてこういうものを要求していくなんてのは軽率なんてものじゃない。私はやっぱり電気事業連合会との間に相当煮詰めた話し合いが行われてきたと思うんですね。こういう報道がされているわけでしょう。電発はカナダ原子力公社と導入を前提とした予備設計等に関する契約百八十万カナダドルを結んだと、契約期間は五十四年三月三十一日までという、こういう契約を結んでいるということがもうはっきりと言われているわけでしょう。これは一体どこでだれとの話でこういう契約が結ばれているんですかね。これは国が導入するという前提がなければ電発だってこんな契約するわけないわけですよ。しかも早々と早手回しに、原子力委員会が何ら方針を出さぬうちに予算要求までやっていくなんという手際のよさは、これは一体……。これ一つを見ても、今日の原子力行政がまず開発が優先をしておって、まさに通産主導で、科技庁なり原子力委員会というのが置き去られているという実態がいま出ていると思うんですよ、このこと自体。長官、これは人ごとじゃないんですよ、いいですか。こういうことが平気で行われておるところに私は非常に問題があると思うんですよ。これについて一体どういうふうにお考えになっておるんですか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) CANDUの問題につきましては、いま通産省と私の方で御説明したような大体の経緯でございます。細かい点は別としまして、先ほどから、どうも原発について、通産省なりあるいは業界が科技庁を引っ張っておるというような傾向があるというお話でございますが、電源開発全体という見地から見ますと通産省ということは一応言われるわけでございますが、原発という問題になってまいりますと、これは原子力の平和利用という意味からわれわれとしては重大な関心を持ち、その関心に応じたいろいろの措置を進めているところであります。したがって、いろいろないきさつがあってそれ相応の事情はありましょうとも、われわれとしましては、原子力発電所につきましては、決してそういう、何といいますか、われわれの立場を寸毫だに譲るつもりはないつもりでおりますので、事情は事情といたしまして、基本的な考え方では、決して事原発に関します限りはそのようなことは決していたさない覚悟を持っておることを申し上げておきます。
○吉田正雄君 時間の関係もありますのでイエスかノーかだけで答えていただきたいんですが、これも十月八日付の読売新聞の報道ですが、十月七日に通産省は三年越しの懸案であったCANDU炉の導入を決めた、こういうふうにあるわけですね。これは本当ですか。
○政府委員(児玉勝臣君) まだ決めておりません。
○吉田正雄君 電発とカナダ原子力公社の先ほど指摘をした契約が行われているということは御承知ですか。
○政府委員(児玉勝臣君) 知っております。
○吉田正雄君 事前に電発と通産省はそれをめぐって話し合われましたか、
○政府委員(児玉勝臣君) やっております。
○吉田正雄君 電源開発が計画をしておる、五十四年度の財投要求を組みかえて、五十五年度までの二カ年で三十一億円の基本設計費を予算要求するというふうに言われておるんですが、この点はどうですか。
○政府委員(児玉勝臣君) そのとおりでございます。
○吉田正雄君 これはおかしいんじゃないですか。いまの話で、原子力委員会としては正式にそういうまだ決定をしていない、検討中であるわけでしょう。検討中であるのにどういうことなんですか、それは。いまあなたの説明では、通産省としてはまだCANDU炉の導入というのは決めておりませんという回答なんですね。決めてないのに何で予算要求でこんなことが出てくるんですか、それは。しかも原子力委員会と十分まだ協議はしてない。最終的な結論が出たんですか。出たんなら話はわかりますよ。最終結論が出ないのに何で予算要求するんです。
○政府委員(児玉勝臣君) CANDU炉につきましては、原子力委員会の動力炉専門部会、それから通産省の総合エネルギー調査会の原子力部会、そういうところにおきまして、重水炉の開発導入は重要な課題であって、CANDU炉についても調査検討を進めるべきであるということで答申をいただいておりまして、私たちといたしましても、かねがね電発をしてCANDU炉の勉強はしてきたわけでございます。それで一応の下勉強といいますか、そういう勉強が終わりまして、いよいよ五十四年、五十五年にかけまして、先ほど先生おっしゃいましたように三十一億円を投じて基本設計に向かいたい、そういう段階にいま来ておるわけでございます。そこで、そういうことが電発から要求がありまして、先ほど申し上げましたけれども、八月の三十一日までに大蔵省に要求しなきゃなりませんので、何とか要求さしていただけないかということについての下相談に原子力委員会にお伺いをした、そういうのが従来のいきさつでございまして、私たちといたしましては、決して原子力委員会をないがしろにするようなことを毛頭考えておったわけではございません。原子力委員会において、現在、新型動力炉懇談会という場でいろいろ御検討いただいておりますので、そういうところの答申を得まして、政府部内並びに電気事業連合会の同意を得た上で正式にわれわれとして、政府として決定すべき問題だと思っております。したがいまして、これは大蔵省に要求するということでありまして、大蔵省も、それから通産省、科学技術庁、もちろん原子力委員会も含めてでございますが、そこの同意がまだついていないということで、これは予算の要求といいますか、予算が決まる時点においてその政策が進むか進まないかが決まると、われわれはそう考えておりまして、それで原子力委員会の御意向を承りながら進めていきたいと、こう考えておるわけでございます。
○吉田正雄君 その説明では納得できないですよね。なぜかと言うと、電力業界というのは物すごく反対していますよね、これは。それから炉の構造やその他から言って非常に地震に弱いという指摘も盛んに言われているわけですね。だから、日本に持ってきたら日本独自のものに、やはり基本設計の段階から設計を日本に合わせた、地震に耐え得るような耐震設計という観点から設計をやり直す必要があるだろうと言われているんですね。まだ十分協議も調っていないのに、あなたが何と言われようと、予算要求を出していくなんというのは、これは出過ぎたなんという問題じゃないですよね、これは。まさに原子力委員会、科技庁全く抜きの、何か言われて、ほかから注文が出たものだからあわ食って相談に行ったという感をぬぐい得ないですね、これは。だから、されたものはしようがないですけれども、しかしそういうものはこの間の基本法の改正の趣旨からしても全くおかしいですよね。その点だけ私は指摘しておきたいと思うんです。まだ言いたいことはたくさんあるんですよ、このCANDU炉の問題については。だけど、あんまり触れてもらいたくない面もあるらしいので、この程度でやめておきますけれども、これは、今後の取り扱いについては慎重でありでほしいですよ。しかもいろんな点で、これは今後のエネルギー問題に大きくはね返ってくる問題ですからね。通産だけが、さっき言ったように、通産あっての科技庁だとか原子力委員会だとか安全委員会なんという、同ういう考え方があるからやっぱりこういう動きも出てくると思うのですね。この点については私は大臣から実は答弁もらいたいところですけれども、大臣いませんからしょうがないです。しかし科技庁長官、同等なんですから、しゃんとしてくださいよ、あんた。これは科技庁長官が弱腰でありふらふらしているとこういう状態出てくるのですからね。 そこで、指摘したいのはたくさんありますけれども、時間の関係がありますから、この問題はこの程度にしておいて、次に安全委員会の任務についてちょっとお尋ねをしたいと思うんですが、この安全委員会の主宰する第二次公開ヒヤリングですね、どのように運営するのか、回数であるとか、あるいは対象住民の範囲であるとか、人数であるとか、あるいはどういう内容で一体かけていこうとしているのか、こういう点についてどのように考えておいでになるのか。これは通産と住民との対話の主宰を科技庁がやるような形になっているわけですけれども、これどういうふうに考えておいでになるのか。
○政府委員(牧村信之君) 基本法等の改正のときにもいろいろお答えしたところでございますけれども、この公開ヒヤリングにつきましては、行政懇の答申にもございましたように一次と二次に分かれております。で、第二次の公開ヒヤリングにつきましては安全委員会が主宰いたしまして、説明者はそれぞれの行政庁、したがいまして原子力発電所の場合は通産省が説明者になりまして対話の形式をできるだけ取り入れて行いたいということを考えておるわけでございます。しかしながら、このあり方につきましては、最終的には安全委員会が発足いたしまして、直ちにこのあり方につきまして御審議をいただきまして最終的な決定を得たいと考えておるわけでございますが、私ども事務局といたしましては、その審議を促進する意味でどういうようなやり方をすればいいかということを鋭意事務的に詰めておりまして、必要なものは関係省庁と御相談申し上げておる段階でございます。 そこで、できるだけ対話の方式を取り入れるべきだということでございますので、質問をどういうふうに受けるかというようなこともこれからのいろいろな検討事項に相なっております。 それから、回数につきましては、今後設置されます原子炉に原則として全部公開ヒヤリングをやっていきたいということで考えておるわけでございます。 それから、どの程度の地域住民の方をこのヒヤリングに出ていただくか、これもまだ決まってはおりませんけれども、やはり対話ということを考えますと、それほど多人数の方をお呼びしてやるわけにはいかないというようなことも出てこようかと思いますので、この辺の人数の制限をどうしたらいいかということも今後の検討事項でございます。 まあ、いずれにいたしましても、安全委員会が発足いたしましてからその点について御審議をいただき、安全委員会決定を得て、それに基づいて公開ヒヤリングを実施してまいりたいと、かように考えておるところでございます。
○吉田正雄君 再チェックですね、再審査で、こういうふうに考えてよろしいですかね。基本設計、詳細設計、それからさらには環境に及ぼす影響ですね、こういう問題、あるいは使用済み燃料の処理と管理、とにかく原子力施設のあらゆる面についてのチェックというものが再審査の段階で行われるというふうに理解をしてよろしいわけですね、今後の安全委員会のあり方として。 それからもう一点は、一応そのダブルチェックで問題がないということで主務官庁が原子炉を認可をした、ところが運転開始後、また重大な事故が起きたとか、あるいは再審査当時は審査の対象には入っておらなかったけれども、その後新たなる条件なり状況というものが出てきて、やはりそれは再々度と言ったらいいんですかね、再びやる必要があるんじゃないかというふうな事態が出れば、当然状況によっては運転を中止をして再審査をやるという状況が出てくると思うんですね。たとえばいま東海の再処理工場で、年内には運転開始できないだろうというふうな事故、故障——皆さん、事故と言うといやがって故障という言葉使われますけれども、それが出ているわけですね。そういう場合に、本当に原因を追求していくためには、これはもう一回再審査をやり直す必要がある、それが建設途上であれ、そういうことがあると思うんですね。その点についてはどうですか、まずこの二点をお聞かせ願いたい。
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のように、安全委員会が行いますダブルチェックは、基本といたしましては設置許可の段階で行うわけでございますが、国会の附帯決議等もございましたように、その設工認以降につきましても重要な事項については十分ダブルチェックすることを考えておるわけでございます。また、事故等が起きましたときには、これを行政庁から報告を受け、それの対応についての可否、あるいは審議した上で意見を行政庁に申し述べていくというようなことをいたすことに相なろうかと考えております。ただ、先生御指摘の一般の環境の問題、たとえば温排水等でございますが、これは規制法体系の外の問題でございますので、これは公害基本法等の体系で通産省が審査を行うわけでございます。で、その行ったことにつきましては通産省から報告を受けるというシステムではございますが、安全委員会の安全審査の中身には入ってこない問題と考えております。 それから先生御指摘の再審査の必要性というようなことでございますが、事故等が起こりまして、その対応が基本設計等に反映させて改善をしなければいけないというような問題が仮に起きた場合には、当然審査をさらに行うというようなケースも出てこようかと考えておる次第でございます。
○吉田正雄君 再処理工場の問題でもちょっとお聞きをしたいと思うんですが、時間がありませんし、あるいは他の委員の皆さんがお聞きになるかもわかりませから、もしきょう他の委員の先生方が質問されなかったら、次回までにひとつ——次回またお聞きをしたいと思ってるんですが、新聞報道はされておりますけれど、本当の原因は何なのかですね、言われておるわけですが、それから除染した放射能の処理をどうするのか。それから立入検査や修理には、これは何も再処理工場でなくて、原子力発電所においてもそうなんですけれども、下請のさらにまたその下請の労働者が危険な作業に従事をしている例というのがたくさんあるんですよね。これは科技庁の方で案外知らない部分でも、そういうことが報告をされてるんですよ、われわれのところにはよく来るわけです。そういう点で、それらの指導というんですか、そういうものを一体どういうふうに考えておいでになるのかですね、時間ありませんからそういう点についてお聞かせを願いたいと思うんです。 それから、これは私が前にも、私がこの委員になった当初にも宇野長官にお尋ねをしたことがあるんですけれども、たとえば安全論争や今後の原子力問題等については、この委員会という限られた場と限られた時間では、本当に単に委員が質問する、政府側から通り一遍の回答をする、場合によっては追及をただいかに逃れるかという、そういう場になってしまう危険性というか、そういう弊があるわけですね。そういう点で、広く大学なり学術会議なり、あるいは原研なり、まあ放射線医学総合研究所もありますし、そういう点で、民間のいろんな研究団体なり機関というものに幅広く呼びかけて、そしてこの安全問題について討議をやっていく、そういうふうな場というものを設ける用意があるのかどうか、また、設けるべきではないかというふうなことを前に申し上げたことがあるんです。私はこれからの安全行政というものを考えた場合に、そのことはきわめて重要だと思うんですね。特に、いまの通産のような問題があるわけですから、通産や業界から独立をして、本当に安全に主体的、自主的にこの安全審査をやっていくという立場からもこういうことが必要じゃないかと思うんですが、これは長官、いかがですか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) いまお話しの御意見はごもっともでございます。特に安全の問題でございますので、一刻も早く安全委員会の御任命を願いまして、そういう点につきまして私の方から安全委員会ともよくまた御相談いたしまして、早急にそういうことを検討いたしてみたいと、このように考えております。
○吉田正雄君 それでは、原子力船「むつ」についてお尋ねをいたしたいと思うんです。 まあ、歌劇に「さまよえるオランダ人」なんていうのがありますけどね、「むつ」こそまさにさまよえる船だ。これは原子力船「むつ」に象徴されておる日本の原子力行政のさまよってる結果がここに私はあらわれてるというふうに見るわけですし、また、政府の無責任な態度というものがこういう原子力船「むつ」に端的に私はあらわれてるんではないかというふうに思うわけです。 そこでお聞きをいたしますけれども、一九六三年に日本原子力船開発事業団が発足をして、当初は十年くらいの予定であったわけです。ところが成果を上げることができなくて七一年に法改正を、五年間ですか、期限を延長したわけです。にもかかわらず、例の七四年八月から九月にかけての放射線漏れ事故というものを起こして、五十日間も太平洋上を漂流しなけりゃならなかったという中で、また再度昨年法改正が行われて、八〇年の十一月末まで存続することになったんですけれども、ちょっとこれは事務当局に事前には言っておかなかったんですが、事業団発足以来今日まで事業団の事業費、運営費——これは船の建造費を含めます。この総計が一体幾らになっておるのか、これが一つ。 それから第二点としては、「むつ」のいまの放射線漏れの事故に絡んで補償費というものを、たとえば十七億円だとか幾らだとか地元に払っているわけですね。そういう払った補償費が一体幾らになっているのか。つまり、あの原子力船「むつ」一隻を今日ここへ持ってくるまでに一体総計して幾らの金がかかっておるのか、これはわかっていると思うんですね、ここでちょっとお聞かせ願いたいと思うんです。
○政府委員(山野正登君) 細かい数字は後ほど申し上げますが、私の記憶で概数を申し上げますと、前年度まで、五十二年度末までの数字で申し上げまして、船の建造に約七十億円、陸上付帯施設に約三十億円、運営費に約百億円、合計二百億円。これは全くの概数でございますので、後ほど資料を見まして細かい数字は申し上げます。 それから補償費という御指摘でございますが、補償費という名前のつくものは私どもは従来事業団から支弁さしていないつもりでございまして、先般青森県に対しましていろいろ漁業振興のための費用等を出しましたが、これが約十二億七千万であったかと存じております。
○吉田正雄君 その程度の金額で終わっているわけですか。いま突然お聞きをしておりますのであれですが……いや、いまいいですよ、正確な数字がわからなけりゃ結構ですが、これは次までにひとつ明らかにしておいていただきたいと思うんです。 それから次に、七四年九月に例の「むつ」が漂流をして、港に入るまでに大騒ぎをやって、いわゆる四者協定を結んだわけですね。その四者協定の概要というのは、「むつ」入港後六カ月以内に新母港を決定するというのが第一点。二つ目として、二年六カ月以内に母港は撤去するということになりますと、昨年の四月十四日、五十二年の四月十四日までに母港は撤去する。三点として、それまで原子炉は凍結するというのが大体この四者協定の内容になっておるんですが、この協定は今日も生きておるんですか、どうですか。
○政府委員(山野正登君) これは政府と地元とが結びました紳士協定でございまして、その精神は現在も生きておると思います。したがいまして、御指摘のように、昨年の四月までの新定係港決定の期限というのは守れなかったわけでございますが、私どもはこの四者協定の精神にのっとりまして、できるだけ早く新定係港の選定をいたしたい、このように考えております。
○吉田正雄君 そうすると、現在「むつ」の定係港というのはどこになっておるわけですか。
○政府委員(山野正登君) 現在のところは、まだ大湊港にございます。
○吉田正雄君 それから船舶法上「むつ」は、船としてはまだ正式には認められておらないわけですね。
○説明員(赤岩昭滋君) 船舶法についてちょっと御説明してみますが、船舶法は海事法規の基本的な法律でございまして、船の国籍を公称して船の権益を保護することを目的とした法律でございまして、登録を行った上で国籍証書を出すということになっております。 「むつ」はそういった船舶法上の日本船舶としての要件を備えているということで、日本船舶として昭和四十八年の六月十九日に船舶国籍証書の交付を受けているということでございますので、船舶法上の船舶であるということでございます。
○吉田正雄君 私は、今後の「むつ」をどうするかということを考える上からも非常に大事な問題じゃないかと思うので、改めてもう一回振り返ってずっと確認をしていった方がいいんじゃないかと思うのですけれども、「むつ」建造の契約者は事業団とどことどこであったのかということ、これが第一点。 それから、契約では試運転完了後に引き渡すことになっていたのかどうなのか。つまり、放射線漏れ事故が起きて、その起きた時点で一体船は正式に事業団に引き渡された後ということになるのか。そうではなくて、その以前の問題として、船をつくったあるいは原子炉をつくった側で責任を持ってそれは修理をするような契約になっておったのかどうなのか、その契約内容がどうなっておったのかということが二点。 そして、仮に事故が発生したり修理の必要が生じた際、だれが引き受けてどこで修理をやるというふうなことになっておったのか、そういうものが契約の中に盛られておったのかどうなのか。盛られておらなかったら一体事故が起きた時点でどのように、たとえば石川島播磨や三菱原子力工業とどういう話し合いをされたのかということですね。 四点として、契約になかったならば、それは重大な契約上の手落ちであるわけですね。したがって、その責任というのは行政、つまり政府側としてどのように責任がとられたのかどうなのか、どうもその辺がちっともはっきりしていないんですよ。 まず、この四点についてお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(山野正登君) 原子力船の契約相手方でございますが、船体につきましては事業団と石川島播磨重工業でございます。それから、原子炉部分につきましては事業団と三菱原子力工業ということになっております。 それから放射線漏れを起こしたのは、船体、原子炉等を引き渡した後か先かという点でございますが、これは契約上の保証期間のことを御指摘になっておられると思うのでございますが、放射線漏れを起こした時点ではすでに保証期間というものは過ぎておったわけでございます。 私の記憶によりますと、第三点の、事故とかあるいは要修理の際に契約上どのようにするということがうたってあったかという点でございますが、そのような条項は契約条項の中にはなかったのではないかというふうに記憶いたしております。 それで、「むつ」が放射線漏れを起こしました際に、先ほど申し上げましたように保証期間は過ぎておりますので、契約上受注業者に責任を追及するというわけにはまいらなかったわけでございますけれども、事業団といたしましては、これは明らかにこのメーカーにも道義上の責任は十分にあるわけでございますので、今後大山委員会の指摘に沿いまして、「むつ」の開発を再び軌道に乗せるための諸準備をするに際しましては、これら二つのメーカーに道義上の責任から格段の協力をするようにという要請をいたしまして、両メーカーもこれにこたえて協力をしてまいったというふうに理解いたしております。
○吉田正雄君 大事なところが一つ抜けているんですけれども、いま局長は、保証期間が過ぎたんでと、こうおっしゃっているんですけれども、私が聞きたいのは、船が引き渡されるというのは、普通は品物を買う場合に半製品を買うわけじゃないですよね。完成した物を買うわけでしょう。自動車だって、まだ検査をしてない自動車を買うばかはいないですよ。欠陥自動車であるかどうか、そういう検査が終わってないものを買う人はいないんで、したがって、いま、引き渡されて事故が起きたのは保証期間が過ぎておったとおっしゃるんですが、一体その引き渡しを受けたときには、いま言ったような出力試験から、原子力船「むつ」として規定どおりの仕様に従って動くのかどうかの検査を、試験というものをやらずに、とにかくでき上がったというだけで引き取ったわけですか。そこは非常に重大な問題ですよ、それはどうなんですか。
○政府委員(山野正登君) 私が説明申し上げておりますのは、放射線漏れを起こした時点と保証期間の前後関係を申し上げておるわけでございまして、これが船ができ上がりまして事業団に引き渡すという時点においては当然まだ保証期間の中であったわけでございます。したがいまして、事業団としましては、ぜひその保証期間のうちに所要の検査をいたしまして、工事保証、性能保証というものをその期間内に確認するということを予定いたしておったわけでございますが、これができませんで順々に延びまして、保証期間中にそのようなことが全部完了するに至らなかったという事情になっておるわけでございます。
○吉田正雄君 そうすると、事業団が責任を持って試験をやるということなんですか。つくった方がやって、これで完成をいたしましたという確認をした上で普通は引き渡す、引き受ける、引き取るというのがこれはあらゆる商行為上の常識でしょう。そこのところがどういう契約になっているんですか。ちっともいまの説明聞いていてもはっきりしませんよ、それは。
○政府委員(山野正登君) 船の場合は、通常はおっしゃるように、船舶安全法上の検査証書を取得した段階で船を受け取るというのが例でございますが、「むつ」の場合は、船体部については補助ボイラーによる海上公試、それから原子炉部分につきましては非核状態での機能試験の完了後にそれぞれ事業団に引き渡すということになっておりまして、その後で事業団の責任において燃料を装荷し出力試験をし海上公試を行うということになっておりました。
○吉田正雄君 そうすると、その契約ではまさに事業団がすべてを負うというふうな形になっているんですけれども、そうでしょう。原子炉についても、出力試験というものを完全にやって確認をされてから引き取るということじゃないですね、いまのは。事業団がすべてやるというふうに聞こえるわけなんですが、そうなんですか、それでいいんですか。
○政府委員(山野正登君) 私のいま申し上げたとおりでございまして、燃料の装荷、出力試験それから海上公試といったふうなものは事業団の責任において行うという契約になっておるわけでございます。
○吉田正雄君 私は、そういう契約内容であるとすると、これは契約そのものが非常に大きな手落ちであったと思うんです。そうでしょう。燃料の装荷もしないで、単に本体ができ上がりました、試験は一切していない、そんなものを引き取って事業団がやること自体、これはもう当然事故が起きたり、欠陥炉であれば、これは原子力船開発事業団の責任でそのことをやらなきゃならぬという、とんでもない私は契約内容だと思うんです。通常の商行為では考えられないですね。船体部分はこれはわかりますよ、現にやっていますから。それは補助機関であれ何であれ、やっているわけですから、それはいいんですけれども、炉に関しては、そういう契約内容ではそれは常識で考えられない私は契約内容だと思う。つまり半製品を買ったわけですよ、半製品を。これは非常に大きな手落ちだと思うんですが、その点はどうお考えになりますか。現にこういう事態が出たんですからね。
○政府委員(山野正登君) 在来船とこのように違った契約の形式になったということについては、私も当時の事情をつまびらかには知りませんけれども、恐らく、この原子力船の開発というのはわが国で初めての経験であったわけでございまして、これは船のメーカー、原子炉のメーカーにとりましてももちろん初めてでございます。そういった特異性があったわけでございますので、業界と事業団とが話し合いをいたしまして、この原子炉という特殊性のある部分につきましては、今般の契約では事業団がやるというふうなことでいきましょうということでセットしたものであろうと想像いたします。
○吉田正雄君 皆さんの場合、それこそ安全審査会があって、絶対大丈夫です。安全ですといって許可を出してやったんでしょう。そうじゃないですか。だからおかしいと言っているんですよ。事前の指摘に対しては、絶対大丈夫です。安全です。欠陥はありませんということでもって始まったわけなんでしょう。現にでき上がってみれば欠陥があるんだ、欠陥炉なんですよ。そういう点で、結局は責任は全部国がしょい込んでしまうという、そうして膨大な金がかけられておるわけですね。そういう点で、前任者のやったことだから、まあ局長、私はよく知らぬとおっしゃるんでしょうけれども、これは通常の商行為とか契約行為では考えられない大きな手落ちですよそういうことも考えて——私はなぜそのことを言うのかというと、これからのことがあるから聞いているんです。で、この問題一たんこれで打ち切ります。 それで運輸省にお聞きをしたいのですけれども、九月十八日からの「むつ」の臨時航行検査では何を点検されたんですか。
○説明員(赤岩昭滋君) 「むつ」は、現在、船舶安全法上では製造検査、それから第一回の定期検査を受けている段階でございまして、検査が終わっておらないので船舶検査証書は発給しておらない状況でございます。船舶検査証書を持たない船が臨時に航行の用に供するという場合には、臨時航行検査を受けて臨時航行許可証というものの交付を受けなければならないわけでございます。「むつ」は、申し上げましたように船舶検査証書を持っておりませんので、今回の回航に当たりましては臨時航行検査を受けたわけでございまして、九月の一日に臨時航行検査の申請がございまして、九月十八日から始まる週間に私どもの方の本省の検査官が船に参りまして、船体の内外部の外観等の検査、それから船を回航いたしますに必要なボイラーとかタービン等の機関、それに関連します機器類それから各種の設備につきまして検査をいたしまして、さらに九月の二十九日に海上試運転を行いました。その結果、むつ市から佐世保市まで安全に航行し得るというふうに判断いたしましたので、十月の五日付で臨時航行許可証を交付した次第でございます。
○吉田正雄君 その臨時航行許可証は、申請の中で目的はどういう目的であって、単にむつから佐世保まで運行いたしますと、これこれの経路をとって運航いたしますという目的は何なんですか。
○説明員(赤岩昭滋君) 「むつ」は佐世保で総点検・改修が行われるということになりますと、佐世保で船舶の検査を受けるということになるわけでございまして、船舶安全法に基づきます検査を受ける受検地を変更したいということで、そういう申請がございました。
○吉田正雄君 検査を受けるんですね、修理ではないんですね、検査を受けるということですか。
○説明員(赤岩昭滋君) 安全法上は検査が終わってない段階で現在ありますので、さらに向こうに行って船体の修理、改修を行います場合に検査が必要になろうかと思いますが、その検査を受けるということでございます。
○吉田正雄君 まだ検査が終わってないから再検査を受けるというのと、いま佐世保へ行くのは明らかに改修をやるということなんでしょう。単なる再検査じゃありませんよ、それは。混同してもらっちゃ困りますよ。申請書には明確にどうなっているんですか、はっきり言ってくださいよ、それは。
○説明員(赤岩昭滋君) 受検地を変更ということで、検査の受検地の変更ということで出ております。
○吉田正雄君 あくまでも検査ですね。そうすると——まあいいです。じゃ、そういうことにしておいて、それからこれは事業団に聞きたいんですけれども、九月二十七日付でこの「むつ」の原子炉施設の保安規定を変えているということを聞いておりますが、この時期に改定をする必要性とその改定内容ですね。それをお聞きしたいということと、これは資料として改定前のものと改定後のものを資料として出してもらいたいと思うんですね。これはこれまた秘密だなんでおっしゃらぬように、きわめて安全行政の、しかも佐世保へ向けて「むつ」が航行しようという、それに伴う私は改定だと思うんです。そういう安全性に関するものをどういうふうにやるのか、国民の目から隠すなんていうことは考えられない。聞くところでは、こんなのは内規だから外部には出せませんなんていう、またもう秘密主義でもってこそこそやろうというふうなことが言われておるんですけれども、この点について答えてください。
○政府委員(牧村信之君) 「むつ」を佐世保に回航するに当たりまして必要な保安規定の変更を行っております。保安規定の変更の内容は、佐世保港におきます保安組織に関する規定、修理、入港、補助ボイラーによる航行等にかかわります安全確保に関する規定の整備を内容とする保安規定の変更を行った次第でございます。ここで一般に問題となっておりますのは、佐世保港におきましては、原子炉は冷態停止の状態で総点検並びに修理が行われるということになっておるわけでございますので、それにかかわる安全審査の結論を組み込んだ改正も行っておるところでございます。 なお、この保安規定の資料の提供につきましての先生の御要請でございますが、私どもはこの保安規定というものは原子炉施設の保安上の機微にわたる内部規定でございますので、これを国としては原則として一般にこれをすべて公表するということは考えておりません。したがいまして、先生にごらんに入れ、あるいは御提出するといたしましても、これは公表しないということであればお受けできるかと思っております。しかしながら、この保安規定の中身につぎたして、いろいろ「むつ」にかかわりまして国民の一般の方々がいろいろの御懸念をお持ちであることも事実でございますので、原子炉施設としての安全の確保に関します船の運航であるとか、放射線の管理等にどういうふうに認可されておるかというようなことは、いつでも私どもとしてはできるだけ内容を御説明したいというふうに考えておる次第でございます。
○吉田正雄君 まあ、秘密の部分があるというのは、核防条約に関連してとかあるいは核ジャックとか、皆さんずいぶん思い過ぎたことで考えておいでになる部分があると思うんですね。私は秘密はないと思うんですけれども、皆さん秘密だとおっしゃっている。しかし、いまこれだけ大きく問題になっておるのに、発表して差し支えない部分については国民にも知らせなきゃならぬと思うと言いながらちっとも発表されてないじゃないですか、その発表していい部分ですら。そういう姿勢が、私はこの安全に対する当局の姿勢というものに国民が不信を感ずるんですよ。「むつ」の運航についてはこれだけ安全については配慮をいたしておりますというふうな、そういうみずから積極的に明らかにしていくということがむしろ必要なんじゃないですか。それを一々そこはどうなっているかと聞かれて、いや秘密で発表すべきものでないけれども、まあ場合によっては発表しても結構ですなんという、そういう姿勢が国民不在なんですよ。全く当局の一握りの人間によって安全行政というものが運用されていくという、そういう危険性を私はむしろ指摘したいんです。私の方では何も好き勝手に勝手なところへ発表するわけじゃないですから、じゃいまの局長の答弁どおり、私のところで公表しないということで、その資料それじゃ全部いま出すということですから出してください。 それから原子炉の先般改正をされたこの基本法と関連法案の改正によって、運輸大臣は原子炉設置者、つまり事業団から三十六条の二に基づく届け出がなされなきやならぬことになっているわけですね。原子炉設置の船舶の運航については、どこの港に入港するという、そういうものは運輸大臣に届けなきゃならぬことになっているわけですが、これは御承知ですね。運輸省御存じですか。
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のとおり、原子力船が他の港に入港する場合には六十日以前に入港届を内閣総理大臣に提出することになっております。内閣総理大臣は、その入港届を受けたときには運輸大臣にそれを連絡するという規定があるわけでございます。で、今回原子力船「むつ」が佐世保に出港をいたしますに関連いたしまして、先ほど運輸省の方から、海上公試を行うために港を一度出ましてまた入るという関連の入港届並びに佐世保に参ります入港届がそれぞれ規定によりまして提出されておるところでございます。この入港届は、先ほど先生が運輸省に対しての御質問がございましたが、佐世保に参りますことにつきましては、佐世保におきまして総点検を行うこと、並びに必要な改修工事を行うというために佐世保に入港するという入港届が出されておるところでございます。
○吉田正雄君 いまのちょっとおかしいじゃないですかね。いまのは何ですか。総点検のためと修理のためというのはこっちがおっしゃっているんですね。先ほどは修理のことは書いてなくて、ただ総点検というふうに言われているんですね。これはどっちが正しいんですか。私は修理と書いてなかったらおかしいでしょうと言ったら、いやあくまでも総点検、点検の中に修理が含まれるだなんて、まあこれ詭弁ですけど、いまこちらの局長の方は総点検と修理というふうに言われているわけですね。どっちが正しいんですか。
○政府委員(牧村信之君) ただいま私が申し上げましたのは、規制法上の手続として必要な入港届のことを申し上げた次第でございます。
○吉田正雄君 運輸省といま科技庁の方、そのいまの申請書ですか、届け、その写しを出してください、資料として。これは秘密でも何でもないですからね、出していただきたいと思います。いいですか。 それから、その入港届に対して、原子炉による災害防止のための必要措置をとることを命ずることになっていますね、三十六条二の四項によって。これはどういう措置とられましたか。
○政府委員(牧村信之君) この法令は、通常の原子力船を想定しておるためにそういうことが書いてあるわけでございますが、「むつ」が佐世保に参りまして、佐世保港で総点検並びに修理を行うに当たりましては、原子炉を冷態停止の状態に置くということになっております。それに伴います必要な事柄は、先ほども御説明申し上げましたように、入港届並びに今後の保安規定等によりましてそれを担保するようにしておるわけでございます。したがいまして、ただいま先生の御指摘の、特に必要な措置について運輸大臣に連絡はいたしておりません。
○吉田正雄君 じゃ、特にそういう措置は命じてないということですね。
○政府委員(牧村信之君) はい。
○吉田正雄君 それからまた、入港届が出て許可を与えた場合、運輸省としては、海上保安庁の長官を通じてその港の港長に対しどのような航行規制というものを指示をしたか。これは指示することになっているんですが、どのような指示をされましたか。
○説明員(村田光吉君) 先ほど来お話がございましたように、今回の「むつ」佐世保入港に関しましては、運輸大臣を通じての総理大臣からの指示がございませんので、特別な航行安全対策をとらないことにいたしております。なお、同船の佐世保入港に当たりましては、港内における船舶交通の安全の観点から、港域外におきまして、港内を航行する速力あるいはタグボートを使用する等の一般的な指示を行うことにいたしております。
○吉田正雄君 いまの答弁はちょっとおかしんじゃないかと思うんですがね。じゃ、海上保安庁にも港長にもあれですか、「むつ」そのものの運航の安全を期するための適切な措置を講ずるような措置というのは何らとられていないと、命じてないと。勘違いしてもらっちゃ困るんですけれども、反対運動があるから、保安庁としてその反対運動に対してどう警備措置をとるということを聞いてるんじゃないんですよ。船そのものが原子力船であるんですからね。いまのところ核封印だという言い方でも、原子炉を積んでいることは間違いないんですよ。したがって、たとえば突発的な事故によってどういう事故が起きないとも限らない。したがって、保安庁長官を通じてそういう指示というものが出るはずなんですけれども、何もやられていないわけですか、そうすると。簡単に言ってください。やってない、やってあるだけでいいです。
○説明員(村田光吉君) これは港則法によりまして、同船が佐世保の港域外に来たときに港長の指揮を受けるということになっておりますので、その時点で先ほど来申し上げました港内の速力あるいは曳船を使用すること、そういうことを指揮するということにいたしております。
○吉田正雄君 次に「むつ」の佐世保港における修理に伴う五者協定についてちょっとお聞きをしたいと思うんです。これは長官おいでになりますからおわかりのとおり、七月二十一日に熊谷長官と久保知事、辻佐世保市長、それから野村事業団理事長、それから住江県漁連会長の五者の間で九項にわたる確認が行われているわけですけれども、その第一項で、政府と原船事業団は「むつ」の新母港を佐世保入港を待たずに選定するというのがあるんです。いいですか。さっき私は、四者協定は生きていますかと聞いたら、四者協定は生きていますと言うんですよね。そうすると、次から次へと実行できもしない、実現できもしないことを空手形、空約束で連発をしているということなんですね。これは確認が違えが別ですよ、私はそういうふうに受けとめているんですが、これは間違いないですか、第一項。
○国務大臣(熊谷太三郎君) いまお尋ねの趣旨につきまして、改めてこのとおりの協定書の一項を読んでみますと、「甲及び乙は、「むつ」の新定係港を早期に決定するものとし、「むつ」の佐世保港入港を待たずに新定係港の選定のための努力をするものとする。」と、こういうことになっているわけでございます。私どもはこの協定に従いまして、鋭意新定係港の選定に努力をいたしておるつもりでございます。
○吉田正雄君 非常におかしいと思いますのは、先ほど私が確認したのは、「むつ」の定係港は現在どこですかと言ったら、大湊だということなんですよね。したがって、佐世保に対して新定係港を選定する約束をする必要はないわけでしょう、本来であったら。修理としてなら三年間の期限つきでもって認めますと言っているんですよね。定係港は、母港は現にあるんです。あるんですから、何も佐世保を母港にしてくださいという要請を国がやっているわけじゃないわけですよね。あくまでも修理港として三年間の修理期間貸してくださいということなんでしょう。にもかかわらず、新母港選定のために努力をするというのは、これはむしろ四者協定の大湊、むつに向かって言うべきなんで、佐世保に向かって言うべきじゃない。しかも四者協定すら現に実現してないのに、次から次へと空手形を政府が乱発をするから、逆に言うとますます不信感がつのってくるんですよ。これはできっこないですよ、見通しとして。十六日までできますか、入港するまであと四日間しかないんですがね、できないでしょう。それとも何か原案か何かどこかにあるんですか。それはどうですか、あるかないかだけ指かしてください。
○国務大臣(熊谷太三郎君) いろいろおっしゃればあるいはそういう数字になるのかもしれませんが、この新定係港の選定に努力するということは、いまおっしゃったように、すでに定係港が一応あるわけですから、そういう協定をする必要はないんじゃないかというふうな御趣旨かと思いますが、これは特に長崎県側の御要望がありまして、事実問題としまして、大湊港は四者協定によって行く行くは母港、定係港を撤去しなければならぬと、したがって、形の上では定係港にはなっていましても、実質的には将来これをなにしなければならぬ。そうすると、そういうことになってくれば、佐世保に、修理港をそのまま母港化するような気持ちがあるんじゃないかというふうな機運がおありになって、特に修理後も新定係港にするんではないということをはっきりせよという御趣旨でこういう考え方が生まれたんじゃないか、したがって私どもとしては、いつの機会にも申し上げておりますが、新定係港ということは、第一に地元の御理解なり受け入れの御意思がなければ、これは定係港だけじゃありませんで、どんなことでもやはり地元の御理解がなければできないことでございますから当然とは思いますが、そういうことをぜひひとつ協定の中に入れよという御希望がありまして入れたことでありまして、入れても差し支えはないことであると、努力さえすればいいわけですから、そういうつもりで入れたつもりでございます。
○吉田正雄君 どうも歯切れが悪いですね。第二項で、原船事業団は三年間の修理終了後、「むつ」を新母港に回航すると、こうあるんですよ。そうすると、新母港が選定をされなければ、できなければ佐世保へ置かざるを得ないわけですね、今度。これはどうなりますか。簡単に答えてください。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 大変先のことをお考えいただいて厳しい御追及でございますが、私どもといたしましては、三年間の間に何としても定係港を決めましてそこに回航すると、現在の気持ちでございます。
○吉田正雄君 佐世保重工の救済と絡んで、三年間あれば大丈夫じゃないか、あるいは三年過ぎた方がむしろいいんじゃないかなんという、地元の一部の人の間にはあるように聞いてるんです。つまり佐世保というものを新母港にしたらどうかという一部の動きがあるということも私は聞いておるんです。そうしますと、四者協定があるからむつへはもう戻れませんと。今度はむつと同じことが佐世保で起きて、三年たったら出ますよというんですけれども、新定係港が見つからなきゃ行き場がない。今度これは北極海でも遊よくするんですか。どういうことになりますか。いま長官は、いや先のことまで考えていなくても三年間で努力するとおっしゃっているんですが、努力をしても、しかし、新定係港が、新母港が見つからなかった場合にはどうされるんですか。それは単なる架空のあれじゃないんですよ。できなかったらどうなるんですか。そこにいなけりゃいかぬわけでしょう。佐世保に居座らざるを得ないじゃないかと思うんですが、その点どうなんですか。どこかへ出るんですか、また太平洋に。
○国務大臣(熊谷太三郎君) なかなかむずかしいお尋ねでございますが、私どもとしましては、佐世保港から出るまでにひとつ新母港を決定したいという考えでおります。
○吉田正雄君 口を酸っぱくして——大湊では、皆さんおっしゃったけれども、居座っていてとうとう出なかったわけですよね。そして、今度は佐世保へ行ったわけでしょう。また三年間たって新母港ができなけりゃこれはどうなるか。地元の人は一番それを心配しているわけでしょう。だから三年たって母港ができなきゃ仕方がない、もうしばらく見つかるまでおらしてもらうよりしようがないと言うのが正直な答弁なんですよね。そうでなければ太平洋へまた再び見つかるまで遊よくをしていますと、こういうのなら話はわかるんですけれども。まあなかなか言えないでしょうけれどもね。 そこで、この協定の中に、余り科学的なむずかしいことを知らない国民をだますようなと言ったらいいんですか、そういう意図がなくても、国民にそう思わせるような、錯覚を起こさせるような内容がある。たとえば原子炉を運転させない、あるいは制御棒を操作をしないという、そういうかぎ類は全部預けますということで、県知事が預かって封印をしますと、こういうことになっていますけれども、予備のかぎがなかったらこれは大変でしょう。どこでも予備のかぎというのは必ずあるんですよ。一つしかなかったら大変なことでしょう。それがなくなったらどうしますか。だから、そんなことは子供だましの言い方であって、そんなのは私は信用できないと思う。しかも、現に知事はこういうことを言っているというんですが、これはどういうことなんですか。これは一つの報道ですが、報道というか、はっきり言っているわけですけれども、三年間にわたる改修の後、修理が十分安全に行われたかどうか点検することは必要だというのです。そのときには預かったかぎを返すつもりだと、こう述べています。そうすると、佐世保では原子炉のそういう試験というものはやらないということは、これは長官ははっきりおっしゃっているんですね。七月二十七日の前の段階で、修理後の原子炉出力上昇試験は新母港で行うとなっているんですよ。ところが知事の方は、修理が終われば当然そういう点検や試験というのは必要だろうということで、知事としては暗に、現に佐世保港でそういうことが行われる可能性というものを言っておるわけですし、必要に応じてはそういうことも——もっと明確に言うと、必要に応じてはそういうこともあり得るということを事業団の方に言っているというんですが、これはどうなんですか。
○政府委員(山野正登君) 私どもとしましては、佐世保港におきまして「むつ」の原子炉を運転するつもりは毛頭ないわけでございまして、ただいま先生がおっしゃいました、現地において十分安全に修理が行われたかどうかを確認するための検査をするという趣旨のものは、恐らくこれは、私、いま先生御指摘の原文を見ていないのでよくわかりませんが、私の想像するところでは、現地における点検の中に制御棒駆動軸の試験があるわけでございますが、この制御棒の試験をいたしますためには制御棒駆動盤のかぎが必要でございます。そこで、恐らく知事のその発言のおつもりとされましては、ほかの点検等を終了した暁にこの制御棒駆動盤のかぎを事業団に返して、そうして制御棒駆動軸の試験をする、その検査のことをそのように表現されておるのではなかろうかと考えます。あくまでも事業団、私どもとしましては、佐世保、地元において原子炉を運転する気持ちは毛頭ございません。
○吉田正雄君 そうすると、修理が終わった段階で制御棒の駆動をやるんですか。
○政府委員(山野正登君) これはもともと総点検項目の中にある項目でございまして、制御棒が順調に動くかどうかという機能試験というのはやることになっております。
○吉田正雄君 これは核封印になりませんよ、あんた。制御棒を抜いたりすれば未臨界状況じゃないですか、それは。未臨界状況ですね。現にそれは運転状況ですよ。あんたそんなこと言ったって、それはおかしいですよ。制御棒を動かして制御棒を抜く、どういうことなんですか。原子炉は全然動かさないというふうに思っているんですよ、一般の人たちは。佐世保の人たちは原子炉そのものは試験はしない、これはもう全く修理だけだと思っておるんです。ところがいまの話では、制御棒の試験をやるということは、つまり入れたり出したりの試験をやるということですから、現実的には未臨界の状況というものはそこに出てくるわけですよね。いまだって未臨界の状況なんですけれども。これは完全な、核封印というのと違うんじゃないですか。そうするとさっき言った一つの試験というけれども、それは出力ということにつながってくるんですよ、現に。制御棒を抜いたらどうなりますか。そういう言い方はペテンというものですよ。そういうことはあの佐世保港ではやらないというふうに現地の人は思っておるんですよ。そのためにかぎも預けてあるんです。制御棒を動かさないためのかぎを預けてある。ところが修理ができ上がったらそれはやるんですなんと言ったら、これはペテンじゃないですか。
○政府委員(山野正登君) 核封印なる言葉の意味でございますが、核封印という言葉は長崎県側が言い出されたことでございまして、その内容といたしましては、一つは、このようにかぎを県知事が預かるということに加えまして、遮蔽の改修工事をするに際しまして、圧力容器の上ぶたを外さないで上部の遮蔽改修をするというこの内容を指しまして一言で核封印方式という言葉を使われておるわけでございまして、制御棒駆動軸の機能試験をしないという趣旨ではないわけでございます。この点は私どもは総点検の内容としまして十分に地元にも御説明しておるところでございまして、この点につきまして何ら私どもは過去に隠しだてをしておるわけではないわけでございます。ただ、制御棒駆動盤のかぎというものは今回県知事にお渡ししますので、その試験をする際には県知事のかぎを返していただいてやる必要があるという点だけほかの総点検項目と違います。 それから、制御棒の駆動軸の機能試験をするのは運転ではないかという点でございますが、これは一本ずつ機能試験を行う予定にいたしておりまして、原子炉を運転する目的で複数の制御棒を抜くということではないのでございまして、私どもは運転とは考えておりません。
○吉田正雄君 運転と考えるか考えないか、あなたは運転でないと言っても、現に制御棒を抜くということは原子炉が作動するということなんですよ。これだけははっきりしておかぬとあなたいかぬですよ。それじゃ何のためにかぎを預けておくんですか。それは動かさぬという大前提で地元は考えているんですよ。それを今度は、知事の言い方とわれわれの理解の仕方は違いますなんという、そんな言い方はありませんよ、あなた。現地の皆さん、動かすなんて思っている人なんかいないですよ、一人も。それはいまの答弁ではっきりわかりましたよ。いい悪いでなくて、それは思い込ませる……。だから、私がさっきから言っているそういう錯覚を持たせる、これはペテンだと言うんですよ、私に言わせると。やっぱり重大な、そういうことだから私は安全性に対する国民の不信感というものはますますつのっていくというんですよ。いいですか、それは銘記していてもらいたいですよ。これは現地の人との、そういうことがいまはっきり言われたということは、重大なやっぱり私は背信行為だと思いますよ。これ長官ね、長官どう受けとめておいでになられるかわかりませんけれども、制御棒駆動盤のかぎを与えるというのはそれは動かさぬということなんですよ、修理完了まで。そして、あなたが言っているように、出力試験は新母港でやるということだから、新母港へ行ってからそれをやるというふうにみんな理解しているわけでしょう。ところが、修理が終わった途端に佐世保港で制御棒を駆動して一本ずつだけれどもやるんだなんということになったら、これは明らかに原子炉の作動ですよ、何と言われようと。それはもうペテンですね。まあいいですわ、そういう答弁がはっきり出たんですから。これはわれわれとしてはやっぱり現地住民に対する重大なそれは背信行為と受けとめざるを得ないです。 それから、時間がありませんから……、警備体制で聞きたいと思ったんですが、これはその他の方が聞かれるかもわかりません。 もう一つ、これはぼくはいままでの原子力行政が札束でほっぺたをたたくという、そういうやり方でやってきたと、これは何も「むつ」だけに限らぬですね。電源開発に絡んで常にそういうことが言われてきているわけです。そして今回もまた長崎新幹線の早期着工であるとか、あるいは県営工業団地云々であるとか、まあいろんなことが言われておる。あるいは三百億円の国の金を、まあ融資ではないんですけれども、その運用として計三百億出すとかいろんなことが言われているんですけれども、これは事実はどうなんですか。
○政府委員(山野正登君) 原子力船の今回の修理に際しまして、地元との間でこの修理契約以外でいろいろ約束しておりますことというのは、先ほど御指摘の五者協定に盛られておることがそのすべてでございまして、この中で六番目でございますが、地元における風評による魚価低落に対する魚価安定対策というものについて必要な措置を講ずるということが決められております。それだけでございます。
○吉田正雄君 そうすると、私が指摘をしたようなことは風評であって、そういうことは何ら話をしてないと、こういうことですか。しかし風評というのは往々にして火のないところに煙は立たないんですね、いいですか。 こういう話も聞いているんです。これはまあ私が聞いた話ですからね、聞いた話として言いますが、前宇野長官は知事との間に、三年たっても無理なら母港をここに置くようにという、そういう話が行われているということをぼくは聞いているんですよ、これはまさに話です。そして自分が任を去ってしまえば、もう後は知っちゃいないという、これは「むつ」の場合もそうです。森山長官が何ら責任をとらなかった。そして前宇野長官も、もうやめるんだということで無責任な保証なりそういうものを私は地元に与えているんじゃないかという疑いを持っているんですよ、疑いを。そうでなけりゃ、いま言ったとおり煙は立たぬです。皆さんないとおっしゃるんですから、今後出たら、これはやっぱりまた状況の変化だなんておっしゃるか知りませんけれども、そのことをよく、いまの発言というのはきちっと長官受けとめておいていただきたいと思うんですよ。 それから、時間があとわずかですが、警備について若干お聞きしたいんです。 私どもが一番恐れますのは、最近の——これは率直に申し上げます。最近の警察庁のいろんな取り締まりというものを見ますと、いま暴力団の問題もありますけれども暴力団に対しては非常に甘い。ところが労働運動や事警備という名前がつくと必要以上に過剰警備が行われるということがしばしば指摘をされているわけですね。そういう点で私は、今度のこの「むつ」の佐世保入港については現地で根強い、しかも強い反対運動があることは皆さんも御承知のとおりで、またそれなりの理屈があるわけですよね。そういう点で私は、警備当局が、保安庁も含めて一言ずつでいいんですが、この警備に対してどのような基本的な姿勢で臨まれるのか。いやしくも現地の前線の指揮官が勝手な判断をして過剰警備に陥る、あるいは一部の新左翼に名をかりて、正当な抗議行動まで全部抑圧をしていくというふうなことがあってはならぬと思うんですが、この点についての見解をお聞かせ願いたいと思います。 以上で質問を終わります。
○説明員(依田智治君) 現時点で把握している情勢では、十六日、佐世保、現地では海陸で阻止闘争が行われるというふうな情勢でございます。私どもとしましては、やはり先ほどいろいろ議論がありましたが、正当な諸手続を経て「むつ」が佐世保港に回航される。そこでまず第一に、この原子力船「むつ」が安全に佐世保港に回航されるということが警備の基本でございますので、この線に沿ってこれが確保されるように適正な警備を実施していくということが基本でございます。 なお、まあいつもの警備でもそうでございますが、私どもは左右いずれにかかわらず、いわゆる世論の支持を得て適正な警備を実施し、また警備実施に伴ってはけが人を出さないということを基本にやってまいっておるわけでございます。今回の佐世保警備におきましても同様な基本方針でまいるという考えでございます。
○説明員(村田光吉君) 「むつ」の今回の佐世保入港に伴いまして、いま警察庁もおっしゃったように、まず「むつ」の安全入港、それから一般船舶の航行の安全、これを図ることを第一主目的にいたしまして、関係者に事前の指導、警告を行うとともに、現場におきましても説得を繰り返しまして、現場の状況において有効適切な措置をとりたいと、このように考えております。 なお、具体的な警備に際しましては、海上の特殊性にかんがみまして、特に人命の安全確保、これには十分留意するということを方針といたしております。
○委員長(藤原房雄君) 本件に対する午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 —————・————— 午後一時七分開会
○委員長(藤原房雄君) ただいまから科学技術振興対策特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、科学技術振興対策樹立に関する調査を議題とし質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○塩出啓典君 最初に、原子力船「むつ」の問題についてお尋ねいたします。 午前中、同僚議員からいろいろ質問もございましたので、できるだけ重複を避けましてお尋ねしたいと思いますが、原子力船開発事業団を原子力船研究所にしていくと、こういう方向にあるわけですが、この原子力船研究所法案の準備状況はいまどういう状況にあるのかお尋ねいたします。
○政府委員(山野正登君) ただいまの事業団を将来研究の機能もあわせ持ちました研究開発機関に移行するという問題につきましては、従来の国会の御審議の御趣旨というものを私ども十分に体しながら、わが国における原子力船の長期的な展望に立ちまして開発機関のあり方、研究機能のあり方、その体制、規模、また現存いたしますほかの機関との関係といったふうなことを配慮しながら、現在政府部内で検討しておるわけでございまして、できるだけ早く政府部内の検討も終了しまして、要すれば原子力委員会におきましても所要の検討を願った上で国会の方の御審議をいただきたいというふうに考えておる次第でございまして、ただいま鋭意準備を進めております。
○塩出啓典君 現在の見通しとして、次の通常国会には提案できることは間違いないのかどうか。
○政府委員(山野正登君) 今後関係の省庁との折衝等もありますので確約はいたしかねますが、私どもの気組みといたしましては、次期通常国会に提出するという方向で鋭意準備を進めております。
○塩出啓典君 原子力船研究所を原子力研究所の一部にするのか、あるいは全然別個のものにしていくのか、そのあたりの方向はどうなっておりますか。
○政府委員(山野正登君) ただいま私どもの手元で検討いたしておりまする段階では、現在の事業団というものに新しく研究の機能をあわせ持たせるという方向で検討いたしておりまして、現存するほかの機関の一ブランチとして置くという位置づけではなくて、独立した機関として置くという方向で私ども段階の検討は進めております。
○塩出啓典君 いままでは原子力船開発事業団は時限立法だったわけですね。今度研究所というのは恒久的なものになるわけで、そういう意味から、いわゆる行政改革の立場から、行政管理庁あるいは政府の方針として、いろいろ独立したものをつくることには抵抗もあるんじゃないかなと、そういうことを私たちも陰ながら心配をしておるわけでありますが、そういう点の話し合いはどうなっておりますか。
○政府委員(山野正登君) まだ大蔵省、行政管理庁といったほかの機関への話し合いというものはいたしておりませんで、今後そういうふうな話し合いをする予定にいたしております。お説のような観点からの各種の抵抗というものは十二分にあろうかと存じております。
○塩出啓典君 ひとつ長官にお願いしておきたいことは、ぜひ次の通常国会に出せるように努力をしていただきたい。今日まで、午前中話がありましたように、科学技術庁の原子力行政というものは、いろいろな協定で約束をしても、その約束が片っ端から破れていくと、こういうことの繰り返しが非常に多いように思いますし、こういう姿は私は原子力行政のあるべき姿としてよろしくないと思います。そういう点からもこの研究所法をちゃんと提出をして、そして原子力船事業団を新しい研究所に変えていくと、こういうことは必ず実現をしていただきたいし、そういう意味で、時限切れになってできなかったとか、おくれたとか、そういうことにならないように早くから根回しをして、次の国会には必ず提案をできるように努力をしてもらいたい。長官の決意を承っておきたいと思います。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 御発言の趣旨に沿いまして最善の努力をいたす考えでございます。
○塩出啓典君 それから、新定係港の見通しはどうなのか。この点どうですか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) いま確たる具体的な見通しを申し上げられるような段階ではないのはまことに残念でございますが、午前中も申し上げたかと思いますが、ひとつ一生懸命に努力いたしているところでございます。 ただ、この際、お尋ねがございませんでしたが、つけ加えて申し上げますと、この新定係港の選定につきまして何よりも重大に考えておりますことは、原子力船に対する御理解を深めていただくと、これにはいままで政府としても不十分だった点もありますから、十分原子力船のいわゆる安全性といった問題につきまして、具体的にいろんな場合を想定しまして、それに対する御説明をし、また疑問も承り、そして十分に原子力船のいわゆる安全性について御理解を願うということが第一にございませんと、後になってまたいろんな蹉跌のくる場合もありますので、これをひとつ十分に御理解していただくということを第一の条件にいたしまして、極力いま選定を急いでいるわけでございます。ただ残念ながら、いつごろまでに決まるという具体的な見通しまではいま申し上げられないような現状でございます。
○塩出啓典君 大体「むつ」の修理に三年かかる。修理が終われば新しい定係港に行く。こういう点から考えた場合に、大体タイムリミットとしていつごろまでがタイムリミットであるのか、科学技術庁としてはそういうタイムリミットを決めて努力しておるのかどうか、そのあたりのお考えを承っておきたいと思います。
○政府委員(山野正登君) タイムリミットということを、はっきり来年の春までとか夏までといったふうなものを打ち出しておるわけではございませんけれども、新しい定係港を決めました際に、やはり所用の施設といったふうなものを設置する必要等もございますので、そういう意味で、できるだけ早く新しい定係港を決めるという必要はあるわけでございまして、私ども長崎、地元とも話しておりますように、現在、修理港に船が回航されます前から準備を進めておるわけでございまして、十六日に入港いたしました後は、先般事業団と私どもが発表いたしました線に沿いましていよいよ具体的な行動を起こしたいというふうに考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 むつ市における四者協定につきましては、これは政府があるいは原子力船事業団がそれを守れなかったわけでありますが、今回、まだ新定係港も全く模索をしている状態ですが、佐世保における五者協定のいわゆる第一項目には違反をしておるんじゃないか、その点はどのように感じておりますか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) これも午前中にちょっと申し上げたかと思いますが、まあ選定、決定するように努力するという何だけが、そういう文句を入れていただいておりますので、別にそれを口実にいたしましておくらかしたり遅延しているわけではありませんが、違反か違反でないかという、そういうせんさくは別といたしまして、誠意を持ってそれに対処しておりますが、微力にいたしましてなかなかその入港までに決定するということはできなかったことは、大変残念に思っておる次第でございます。
○塩出啓典君 私は、まあ一つのうそがまた次のうそを生まなきゃならないと、ことわざにもそういうのがたしかあったと思うんですけれども、一つのうそをついたために二つ三つのうそをついていかなくちゃいけない。何かそういうことを繰り返していきますと、本当に原子力行政に対する国民の不信感というものがだんだん高まっていくんじゃないか。今回これで修理は三年で予定どおりいっても、それから先のことは全然見通しがないわけでありまして、じゃ、そこでまたうそをつかざるを得ないような状況になっていくんじゃないか。そういう点から考えれば、ある程度、少なくとも新しい母港の見通しができる、これにはひとつの国民の皆様の理解協力、また時代の流れというものがあると思うんですけれども、そういうものがなくて「むつ」を修理をしても余り私は意味がないんじゃないかと、そういう将来の見通しが立ってから修理をすべきがやはり堅実な行き方であって、今回、このように将来の見通しもないままに修理を急がなけなければならないという、そういう背景というものはどういうところにあるのか、私は理解に苦しむわけですけれども、御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 率直に言いまして、四年前のああいうトラブルによってもいろいろわかりますように、一般の国民の皆様の御理解が非常に足りなかった。ただし、これは国民の皆様を責めるわけではありませんので、結局やはり政府としての十分至らなかった点からではありますが、そういう結果非常な御理解が足りない、またそのために、いろいろな……、いま何も選定も時期の見通しまで申し上げるような段階に至ってないということでございますが、われわれとしましては、ひとつ十分こういう点を反省いたしまして、そして一遍そういうことになりますと、回復にはなかなか手間が、時間がやむを得ないこととは言いながらかかりますが、なるべく早期にそういういろいろな理解を得まして、一日も早く原子力船の新定係港を選定するように最善のこれまた努力をいたしたいと考えておるわけでございます。
○塩出啓典君 依然として、青森県のむつを再び母港にするのではないか、こういうような声をわれわれもいろんなところから聞くわけですが、確かにあそこには設備がある、その設備を使うことができればそれは非常に便利である、そういう気持ちもあるし、しかしまた、いやしくも四者協定というものを政府がきめた以上は当然これは履行しなければならない。やはり、できないことは約束すべきではないし、約束した以上はそれをやっていくということが、これは私は政治の基本じゃないかと思うんですね。そういう点から考えれば当然むつに帰るべきではない、こういう二つの考え方があると思うのでありますが、この問題については現状はどういうことなのか、全然白紙であるのか、むつを母港にするという、そういう可能性もやはり残されておるのか、そのあたりの感触はどうなんですか。
○政府委員(山野正登君) 現在の定係港の扱いにつきましては、先生が後段で指摘されましたように、四者協定を履行するという方向で、私ども並びに地元の三者とも考えておるわけでございまして、去る八月の初めに科学技術庁長官が青森県県下に赴きまして、関係の県知事、むつ市長、漁連会長三者と会談されたのでございますが、その際、「むつ」が修理港に出港しました後の現在の定係港の撤去の問題につきましては、定係港の取り扱いの問題につきましては、将来適当な時期にこの四者で再び話し合いをいたしましょうという約束ができておるわけでございます。したがいまして、修理港に船が入りまして落ちつきました後、しかるべき時期で四者がまたお話し合いになるという予定になっております。
○塩出啓典君 四者協定を守る線からいえば、「むつ」が出れば直ちに壊さなくちゃいけないと思うんですけれども、そういうこともまだ先に延ばすということは、政府としても、むつを母港にする、できればそういう色気も捨てたわけではないと、このように理解していいわけですか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) いま局長から申し上げました適当な時期に云々につきましては、私の方から積極的にかれこれ申し上げたわけではございませんので、あとの三者の方から期せずして、そういう適当な時期にという言葉が出たわけでございまして、私どもといたしましては協定を履行するたてまえに変わりはないわけでございます。ただ、いずれにいたしましても、むつに限らずどこに限らず、先ほどから繰り返して申し上げておりますように、やはりこういう「むつ」だけではありませんが、原発にしても同様でございますが、何よりもやはり地元の合意といいますか、地元の受け入れに関する合意が一番先決問題でありまして、そういう合意がないところに、われわれの方から進んで、ここをどうしよう、こうしようというようなことは、考えてもできないことでございますので、できないことを考えるということはこれは無益なことであるというふうに考えているわけで、むつ港に対してもそういう考え方でいるわけでございます。
○塩出啓典君 「むつ」の今後の修理の届け出が、科学技術庁へ出すのか運輸省へ出すのか、そのあたりがまだはっきりせずに未提出である、このように聞いておるわけですが、これはどういう理由によるものか、また今後のスケジュール、手続等はどうなっているのか、これをお尋ねします。
○政府委員(牧村信之君) 事業団におきまして放射線漏れによります遮蔽改修の工事の計画はほぼ終了したと聞いておるわけでございますが、これによりまして、近く原子力船開発事業団から法律に基づきまして変更の申請が出てくるわけでございます。その際、この遮蔽改修計画がどのような内容を含むかによりまして、先生おっしゃいますように、設置変更許可申請で、科学技術庁、むしろ内閣総理大臣へ、それから、あるいはこの遮蔽改修計画が詳細設計の変更のみのものであれば運輸省の方へ必要な申請が行われるわけでございます。 以上のようなことから、現在、事業団におきまして、まだそこまでの最終的な詰めが行われて終了していない段階でございますので、その作業が終了後、いろいろ内部的にも打ち合わせも必要であると考えておりますが、申請の仕方等につきまして決定されるものと考えておる次第でございます。
○塩出啓典君 先国会で原子力基本法等の一部改正がありまして、いわゆる検査から基本設計、詳細設計に至る一貫化ということで法律の改正が行われたわけでありますが、いまの局長のお話は改正前のことであって、これは法律改正の適用された後になりますとどうなりますか。
○政府委員(牧村信之君) 御存じのように、各行政庁の所管の一貫化の時期は来年の一月四日が期限でございまして、それまでに所要の政令等の改正等を行いまして一貫化作業が完了するわけでございます。したがいまして、私ただいま申し上げましたのは、その一貫化ができていない段階で、現時点でそういう申請があったときの仕分けを申し上げた次第でございます。もし仮に一貫化後でありますと、設置変更の許可あるいは詳細設計の変更の認可の申請は、一貫化後はすべて科学技術庁に提出されるものというふうに考えております。
○塩出啓典君 この修理計画につきましては、今後新しくできた原子力安全委員会がダブルチェックをするということはあるのか、あるいはない場合もあるのか、その点はどうなんですか。
○政府委員(牧村信之君) この原子力船の遮蔽改修工事につきましては、不幸なことに放射線漏れを起こしたということで非常に国民に関心を持たれたことでもございます。したがいまして、設置許可変更であろうと詳細設計の変更であろうと、きわめて重要な案件であろうかと考えております。したがいまして、行政庁が申請を受けて審査をしたものにつきまして、原子力安全委員会が当然ダブルチェックをするべきものだというふうに考えております。
○塩出啓典君 先ほども申しましたように、「むつ」をめぐる原子力行政は「むつ」の漂流のように行き当たりばったりではないか、こういう世間の批評もあるわけでありまして、私たちも実際に振り返ってみるとそういうような感がいたします。そういうことでは国民の信頼というものはますます失われていくわけでありまして、そういう意味で、今後とも政府の姿勢として、無理はしないと、実行できないようなことは、いやしくもその場限りの約束をするようなことは断じてあってはならないと思いますし、将来の見通しを立てて、あんまり急いでも結果的にはマイナスになるわけですから、そういう点ひとつ着実に積み重ねを残していってもらいたい。非常に抽象的な要望ではございますが、それを長官に要望しておきます。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 御趣旨を十分に踏まえまして今後進んでまいりたいと考えるわけでございます。
○塩出啓典君 それでは次に、核融合の問題について本日は残りの時間をいろいろ御質問したいと思うわけであります。 石油が有限であることはこれは事実で、いつの日か石油消費も頭打ちに、あるいはさらに減少してこざるを得ない。そういう石油の後のエネルギーとしていろいろな新エネルギーが言われておりますが、現実の問題としてやはり石油にかわるべきエネルギーというものは、一つは原子力、もう一つはやはり核融合ではないか。もちろん石炭とかLPGとか、それもありますけれども、そういう化石燃料の後ある程度の量が期待できるものはこの二つぐらいではないかなと、こういう認識はやはり政府の認識じゃないかと思うのですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(山野正登君) 石油の代替エネルギーとしまして分裂型の原子力エネルギーの位置づけというのは、私ども全く先生と同感でございまして、やはり現在の時点で確実性を持ってある程度の量を賄い得る代替エネルギーとしましては、いわゆる分裂型の原子力以外にないと思うわけでございますが、この燃料となりますウランといえどもあるいはトリウムといえども有限でございますので、その後に続きます新しいエネルギーというものの開発が必要であるということでございます。政府といたしましては、それに対しましては、いま御指摘の核融合とそれから太陽エネルギーの利用という二つの柱を大きな柱としまして鋭意進めておるわけでございまして、原子力分野では分裂型に続いて核融合が非常に将来希望の持てる新エネルギーであるというのはお説のとおりかと存じます。
○塩出啓典君 大体、エネルギー調査会とかいろいろなそういう政府関係の団体等の将来の予測は、核融合が二十一世紀のエネルギーであると。その核融合に至るまでの間、石油が頭打ちになってくる、それで核融合によるエネルギーができるそのつなぎを原子力で補う以外にはない、まあこういうような政府の見解のように思います。ところが、この核融合というものについて、果たしてこれは物になるのかどうかですね。核融合の燃料である重水素とかあるいはトリチウム等は、無限であるとか海水からとれるとか、そのように言われている一方、実はそうはうまくいかないんだ、いろいろ問題があるじゃないかと、こういう意見もあるわけですね。私たちも核融合が本当に問題がないのかどうか、あるいはどういう点に問題があっていま政府はどういう姿勢で取り組んでおるのか、こういう点をきょうは二、三お尋ねしたいと思うのです。 まず最初に、いわゆる核融合反応を起こすためにはいわゆる磁力、強力な磁場をつくるためにかなりの電力が必要であると、だから、そのことを考えるとあんまりエネルギー収支としてはプラスにならないのじゃないかという、こういう意見もあるわけなんですが、このあたりはどうなんですか。核融合のその磁力を働かせるのにどの程度の電力が要るものなのか。それで出くるエネルギー、そういうものを比較した場合に、エネルギー収支の上においてはどのような見通しを持っておりますか。
○政府委員(山野正登君) 現在原子力研究所で研究開発を進めておりますJT60という、これは現実に核融合を起こす装置ではございませんが、核融合に必要な臨界プラズマ条件というものをヘリウムを使って実現してみようという装置でございますが、これの建設を現在進めておるわけでございます。この実験のために所要の電力と申しますのは、大きさにしまして大体この強力な磁場をつくりますために三十万キロワットから四十万キロワットのものが要るといわれておりますけれども、これしのべつ幕なしにそれだけの電力を消費するわけではございませんで、十分間に十秒程度のパルスで間欠的に使うという性格のものでございますので、全体の消費電力量としましてはさして大きなものではないということが言えると思うのでございますが、さらにこれが将来の実際の核融合炉というものが実現しました暁には、これは現在便っております電磁石にかえまして超伝導の電磁石を使用するということを目標に現在研究開発を進めておりますので、さらにこの必要な電力量というものは少なくなっていく。まあ、ある説によれば、入力するエネルギーに対しまして出てくるエネルギーがその十倍であると、これをエネルギー収支と言っていいかどうかわかりませんが、要するに投入電力の十倍の電力を出すといったふうなのが現在検討されております磁力閉じ込め型の核融合炉の夢でございますので、ただいま先生が言われた意味でのエネルギー収支が負になるといったふうなことはないかと存じます。 なお、私いまJT60——ヘリウムと申しましたが水素でございますので、ちょっと訂正申し上げます。
○塩出啓典君 いまのJT60の場合は三十万キロワットから四十万キロワットと。ある文献によりますと、ソ連のT20の場合は百二十万キロワットと。まあ百二十万キロワットと申しますと、原子力発電所の大型のもの、あれが一基とか二基とか、こういうものがやはり必要であると。そういう点ではどうなんですか、いまわれわれも、そんなに一つの核融合炉をつくるのに、JT60というちっぽけな、これは発電ではない、ただプラズマをつくるのにそれだけの大きな発電所が要るということになりますと、実際は余りメリットは少ないんじゃないかと。入力と出力が十倍と申しましても、そういうプラズマの中から発電をし、さらにモーターを回すと、そうなるとかなり熱効率も下がってくるわけですからね。そうなると、余り新しいエネルギーは生まれてこないんではないかなと、こういう気がするんですけれども、そういう点は正直言ってまだ研究段階であると、案外やってみると、エネルギー収支がマイナスになる場合もあるかもしれないしプラスになるかもしれない、まだはっきりわからないと、そういうような状態と考えていいわけなんですか。
○政府委員(山野正登君) ソ連のTの20につきましても、私先ほどJT60で申し上げたのと同じ事情にあると思うわけでございまして、Tの20といえどもパルス運転をしておるわけでございます。ただ、パルス運転にしましてもかなりの量の電力が要るということは、これは超伝導の電磁石を使っていないことによるものでございまして、超伝導の材料自体現在開発中でございますから、実験段階のものにあえて無理をして超伝導のものを使うまでもあるまいということで使っていないだけの話でございまして、将来核融合炉というものが実現しますためにはどうしてもこの超伝導技術というものの開発が必要不可欠でございます。そういう意味で、現在はあくまでも研究段階であるというのが、これはお説のとおりでございますが、 〔委員長退席、理事松前達郎君着席〕 だからといって、エネルギー収支が将来負になるかプラスになるかまだ不明であるということはないと思うわけでございまして、核融合炉が実現する際には必ずや超伝導が実現しておる、逆に超伝導が実現しないと核融合炉は実現し得ないわけでございますから、そういう意味でエネルギー収支が負になるというふうなことは実現の暁にはあり得ないというふうに考えております。
○塩出啓典君 そうすると、現在のJT60にしても超伝導でないわけで、そうするとどうしてもエネルギー収支はマイナスになるけれども、将来超伝導ができれば少ない電力で強力な磁場ができる、したがって、この核融合がエネルギー収支でプラスになるためには超伝導ができなければいけない、これが一つの最低条件である、こう理解していいわけですか。
○政府委員(山野正登君) 非常に細かい点でございますが、JT60はエネルギー収支がプラスマイナスを論じ得ないものでございまして、これは先ほど申し上げましたように、実際に核融合を起こす装置ではないわけでございますからもともと出力はゼロなわけでございます。そういう意味で、JT60は超伝導でないために実験とは言いながら多量の電力を使うということを申し上げたわけでございます。後段の方は先生御指摘のとおりでございます。
○塩出啓典君 そこで、この核融合というものが将来実用化されると、こういう場合当然燃料が必要じゃないかと思うんですが、この場合の燃料は重水素と重水素を反応させる場合と、それから重水素と三重水素ですか、これを反応させる場合があると、このように文献に書いておるわけですが、大体重水素と三重水素を反応させるという方が何か主力のような感じがするわけですけれども、こういう重水素とか三重水素というのは、これは自由にわが国において得ることができるのかどうか、その上の問題点は何かありますか。
○政府委員(山野正登君) まず核融合反応の燃料でございますが、御指摘のように、重水素と三重水素、それから重水素と重水素という組み合わせがあるわけでございます。当面は臨界プラズマ条件の達成がやさしいという意味におきまして重水素と三重水素の組み合わせというものが当面の目標になっておるわけでございますが、遠い将来におきましては、重水素と重水素の組み合わせを燃料とするというのが目標になっておるわけでございます。したがいまして、近い将来においては重水素・三重水素が主力であり、遠い将来におきましては重水素と重水素が主力であるといったふうな表現ができようかと思います。 それから、資源量でございますが、まず重水素につきましては、これは海水中にかなり豊富に含まれておりまして、海水中一トン当たり三十三グラムの量が含まれておるわけでございまして、現在この海水中からの重水素の回収という技術はもうすでに確立されておるわけでございます。したがって、重水素については問題はないかと思いますが、問題は三重水素でございまして、三重水素の方は天然には存在しませんので、リチウムに中性子を当てまして三重水素をつくるということをいたしておるわけでございます。 そこで、この三重水素の原料になりますリチウムの資源量はどうなっておるかという点でございますが、これは米国、カナダ、アフリカといったあたりにあるわけでございまして、埋蔵量が大体一千万トン程度と言われておるわけでございまして、核融合が将来実用化された初期の段階では、こういった埋蔵されたリチウムで十分に対応できると思います。しかし、将来さらにこの核融合というものが普及された段階では、さらに多量のリチウムが要るわけでございまして、このためには重水素と同じように海水中にもリチウムは含まれておりまして、その量は大体〇・一七ppm、大体量にしまして一立方メーターに〇・一七グラムのリチウムが含まれておるということでございますので、現在この回収技術の研究をしておる——しておると言うよりも、最近ようやく始まったと言う方が正しいかと存じますが、そういうふうな研究もしておりますので、将来は海水中から重水素も三重水素の原料であるリチウムも回収するといったふうなことになろうかと思います。 で、量としましては、これは海水中には非常にたくさんの量が含まれるわけでございまして、結論的に申し上げますと、海水中一立方メーターの中に、重水素は先ほど申し上げましたように三十三グラム、それからリチウムの方は〇・一七グラム含まれておるということでございます。全体の海水中の総賦存量と申しますか、全体の量というのは、約重水素で五十兆トン、リチウムで二千五百億トンという非常に天文学的な大きな数字になっておるということでございまして、燃料としてはさしたる問題はないというふうに考えております。
○塩出啓典君 まあ、核融合炉百万キロワット——現在一番大型の原子力発電所が百万前後ですね、これと同じ程度の核融合炉に必要なリチウムの金属は約九百トン、DT反応の場合そのように言われているわけですが、ところがそのリチウムが日本の国内には生産はされない。結局これは輸入をしなければいけないことになるわけであります。そういう点で、当然核融合というものを各国がやるようになれば、これは賦存量も限られた数ですから、こういう点にも私は一つネックがあるんじゃないかと思うんですけれども、ところが、これは海水の中には無尽蔵にある。確かにいま計算したように、十万トンの海水の中から大体一キログラムぐらいできる。だから一トンということになると、やっぱり一千万トンの海水からとる。理論的にはそういうことはできても、そういうことでやはり採算が合うというのか、そういう見通しはあるんですか。ただ海水からとればとれるんだと言っても、とるためにはやっぱりエネルギーも要るわけですし、そのあたりの大まかなやはりエネルギー収支の見通しというものを立てていかなくちゃいけないんじゃないかと私は思うんですが、その点どうなんですか。リチウムを実際に海水からとって、それでトリチウムをつくっていくというような場合も、これはある程度見通しはあるわけなんですか、経済ベースに考えて。
○政府委員(山野正登君) まず、リチウムは日本に全く賦存しないかというと、これは北関東とか九州に若干のリチウム鉱床というのもあるようでございますが、長期的にはやはり海水中からとるというふうなことになろうかと思います。先ほど申し上げましたように、現在原研とかあるいは四国工業試験所等で研究を始めたところでございますが、今後大量の海水の処理ということが要るわけでございますので、そういう大量の海水の処理をどうするか、あるいはリチウムを取り出すための吸着物質としていかなるものを使ったらよろしいか、そういったふうなことが今後の研究開発の主力になろうと思われるわけでございますが、これが経済ベースになるかならないかという点につきましては、いまのところ技術的に大丈夫ということを私はこの場で太鼓判を押すわけにはもちろんまいらぬわけでございたすけれども、しかしまあ私どもが従来関係の学者等にいろいろ聞いておるところでは、十分に研究開発の結果、そのような問題は解決できるというふうに聞いております。
○塩出啓典君 まあ私は、決してここでできないということを強調したいわけじゃないわけで、私も日本の国民としてぜひ成功さしてもらいたいわけですけれども、もちろんそういう研究している学者というのは、できるできると言わなければ研究費も出ませんから、そう言うわけですけれどもね。しかし本当にそれができるんならいいですよ、できるんならそれは幾らの予算をつぎ込んで研究するにしても、それはそれでもいいと思うんですよ。けれども、そういう大まかの将来の大体の見通しというものは、やっぱり政府もつかんでもらわないと、学者の先生が言っているからというので、一生懸命、五年十年二十年と予算をつぎ込んでやったけれども結局核融合はだめでしたと、こういうことになるならば、その前にもっとほかの道を選ぶなり、もっとエネルギーの使用を抑えるなり、そういうことを考えていかなければいけないんじゃないかと、そういう点で、どうも学者の先生がそう言っているというようなことでは、われわれも科学技術庁を余り安心して任せられないという、そういう気がするわけなんですがね。 そこで、たとえば炉壁の材料ですね、かなり高温の状態になるわけですから、その炉壁材料にバナジウムとかニオブとかあるいはモリブデンとかこういうものが必要である、大体一基当たり二百トンぐらい要る、しかも炉壁なんというものは二年から五年で交換する消耗部品である、こういう点で、バナジウムとかニオブとかモリブデンという、そういうものは日本にはほとんどないじゃないか。それから先ほどおっしゃいましたように、いわゆる超伝導コイルをつくらなくちゃいかぬ、その超伝導コイルというものができることが核融合の実用化の一つの最低条件のようなお話がありましたが、この超伝導コイルにもやはりニオブやバナジウムが必要である、これは一基当たり千トンも必要なんだと。こういう点から、実際にこの炉壁材料や超伝導コイルに使うバナジウム、ニオブ、モリブデン、こういうようなものが非常に少ないために、日本にはほとんどできないために、そういう点から一つのネックがあるんじゃないか、こういうことを学者が言っておるわけですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(山野正登君) ただいまの御質問にお答えする前に、先ほどの答弁の続きを申し上げますと、重水素と三重水素の反応において、リチウムの海水からの回収が経済的に行い得るかどうかという点、これは現在学者等の意見によれば、十分見通しがあるということであるということを申し上げたわけでございますが、これが将来吸着物質とかあるいは大量の水の処理の技術といったふうなものが解明された暁で、どうも採算ベースに乗らないといったふうなことが仮に予見される時点が来たとすれば、その時点でできるだけ早く今度は重水素と重水素の核融合というものに真っすぐ目標を定めてやっていくというふうに考えなきゃいかぬということでございまして、まあいずれにしましても重水素・三重水素あるいは重水素・重水素という組み合わせで、核融合というものは燃料資源の面ではさしたる障害はないというのが私の意見でございます。 それからただいまの炉壁材料等の問題でございますが、これにつきましては、ニオブとかバナジウム等が非常に将来制約となる材料であるというのは、これは御指摘のとおりでございますが、ただ、こういったふうな材料は確かに制約となる材料ではございますが、燃料のようにどんどん消費していくものではございませんで、これは使いましても消耗する材料ではないという点が基本的に燃料とは違うわけでございまして、そういう意味で限られた制約条件のある材料でございますが、できるだけ量を少なくして有効に活用するという技術開発とともに、別途こういったふうな材料にかかわる代替材料の開発というのも現在進めておるわけでございまして、その両方の道からこのような制約というものを排除していきたいというのが現在の考え方でございます。
○塩出啓典君 それから冷却材やあるいは熱交換材にはヘリウムが使われるそうですけれども、ところがこのヘリウムはほとんどアメリカ産出で日本にはない。一基当たり百二十トンぐらい要るわけで、そのヘリウムの点も一つのネックではないか、この点はどう考えていますか。
○政府委員(山野正登君) ヘリウムがまさに一番問題のものでございまして、超伝導の冷却にはヘリウムを使うわけでございますから、このヘリウムというものは絶対不可欠のものでございます。少なくとも現在予見される技術では絶対不可欠のものでございますが、これにつきましても、残念ながら日本にはヘリウム資源というものは賦存していないわけでございますので、わが国におけるヘリウムの備蓄を図るとか、あるいはできるだけ超伝導マグネットに必要なヘリウムの量を低く抑える研究をするとか、あるいは空気中からヘリウムを採取する研究を進める。さらにまた、これは決して容易な技術ではございませんが、ヘリウムの冷却にかえまして液体水素で冷却をする超伝導の線材というものの研究開発を進めるといったふうなことが現在の研究開発の目標とされておるわけでございまして、御指摘のようにヘリウム対策というのが一番大事な問題でございます。
○塩出啓典君 これはアメリカからの輸入で、量はかなり多いのですか。日本にはないけれども、世界的にはかなり量はたくさんあるということですか。
○政府委員(山野正登君) 世界的にも余り十分ではないと考えております。
○塩出啓典君 それから、三重水素のトリチウムが非常に有害じゃないか。これが核融合炉の中に閉じ込められておればいいわけですが、どうしても出る。そうすると、このトリチウムが体内に入った場合には遺伝子、DNAを破壊する、こういうことが言われておるわけですが、こういう問題についてはどういう見通しなんですか。
○政府委員(山野正登君) トリチウムは、おっしゃいますように放射性の物質でございまして、将来核融合炉が実現しました段階では、できるだけその漏洩というのは低く抑えなきゃいかぬわけでございますが、現在の設計で考えられておりますのは、一日に一〇キュリー程度の漏洩を想定いたしておりまして、この場合におきましては、五十メーターないし百メーターのスタックから放出するといたしますれば、施設の周辺で年間一ミリレム以下に抑えることができるということでございますので、十分に安全対策としては行い得ると考えられます。しかしながら、こういった低レベルのトリチウムが人体にどのような影響を及ぼすかといったふうなことは、それはそれでまた別途研究を進めていく必要があろうかと考えております。
○塩出啓典君 それから熱汚染の問題ですね。現在も火力発電所あるいは原子力発電所、そういうところから温排水が出ておるわけでありますが、これは核融合炉というものが実現された場合はかなり排出される熱量もいままでとは比べものにならない、原発の十倍程度の廃熱が出るんじゃないか、こういうことが言われているわけですが、現在までの原子力発電所あるいは火力発電所の温排水の場合は逆に魚がよけい太って非常にいいと、こういうようなことも政府の方から答弁もあったわけですけれども、十倍も出ればちょっとそういうわけにはいかないのじゃないかと思うんですが、こういう点のやはり対策というか研究というか、見通しはどうなっていますか。
○政府委員(山野正登君) 熱汚染問題と申しますのは、これはエネルギーの転換技術に関連する問題でございまして、熱効率が悪い場合には廃熱の放出が非常に大きいわけでございますので、そういう意味で、熱汚染を少なくするためにはぜひとも熱効率の向上という技術開発が必要なわけでございます。そういう意味で、これは核融合に限定された問題ではないわけでございまして、いかなるものを使おうとも熱効率が低ければ熱汚染は大きいというわけでございますので、できるだけ熱効率を高める努力というのが必要なわけでございますが、そういう観点から申し上げるならば、核融合の場合は冷却材の温度が高いという意味において熱効率もよかろうということは予想されるわけでございまして、特に核融合だけが熱汚染に対して、何と言いますか、ぐあいが悪いといったふうな状況にはないというふうに考えております。
○塩出啓典君 大体、たとえばトカマク型でこういう核融合の発電所が建設されたとした場合、原子力発電所の場合に比べて、同じ百万キロと比較した場合に、敷地面積とかあるいは設備資金、建設に要するお金というのは一体どの程度かかるのか。原子力研究所で発表した小型実験炉計画では出力二百万キロワットでコストは三兆円と、このように聞いておるわけなんですが、二百万キロワットで三兆円もかかるんでは、これはちょっと話にならないなと思うような気もするんですが、その点はどうなんですか。
○政府委員(山野正登君) トカマク型の核融合炉につきましては、これは技術開発としましてはまだまだ初期の段階にあるわけでございまして、JT60並びにそれに続く炉心モックアップ実験といったふうなものも、科学的に核融合というものが実現可能であるということを立証してみようという段階でございます。大変初期にある段階でございまして、そういう段階において将来の実用炉の敷地面積、建設費といったふうなものの推定というのは大変むずかしいわけでございますので、私どもの周辺を見回して、そのような試算というのは実は見当たらないのでございますが、これに類似の情報としまして、現在考えておるものの大きさというものを御参考までに申し上げますと、先ほども申し上げましたJT60というもの、これが建設費が約二千億円弱を見込んでおりまして、敷地面積にしまして大体七、八万坪から十万坪程度が必要かと考えております。これに続く炉心モックアップ装置とか、あるいは実験炉といったふうなものまでをひっくるめまして、それに関連の研究施設等も入れまして大体四、五十万坪程度は必要ではないかというふうに考えております。実用化に至るまでの研究開発費としまして、先生がただいま御指摘になりましたような二兆円とか三兆円といったふうな数字は散見されますけれども、実用核融合炉についての建設費あるいは敷地面積といったふうなものは、どうも余りデータとして見当たらないようでございます。
○塩出啓典君 いろいろお話を承りまして、いろいろ問題点はあるけれども、科学技術庁としてその問題を解決をし、そうして実用化をしていかなくちゃならない、こういう決意でやられることはよくわかったわけなんですが、正直言って一番問題点は何なんですか。やっぱりこれを実用化していく上において、この問題とこの問題が解決されればこれは物になると。物になるか物にならないかということが日本民族の将来にかかっておるわけですからね。ここであなたの発言というのは、言うなれば歴史的な意味を持つ発言かもしれませんよ。後世、百年後の人がこの議事録を読んで、やっぱりさすが名局長であったか、判断があるわけなんですから。その点どうなんですか。われわれはわからないんだ、言うなれば素人なんですから。本音のところはどうなんですか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 私は名局長じゃなしに、迷いの迷長官かもしれませんが、いろいろ専門的なことは十分わかりませんが、御承知かと思いますが、アメリカのサンジェゴのGAという会社で、この間、核融合の実験装置のダブレット3というのを完工いたしまして実験に入っているわけでありますが、そこの担当の技術者が日本の大河千弘という方でございまして、その助手がまた玉野と言われる、やはり日本人でございます。いろいろわからぬながらお話を聞いておりますと、この方のお話では、これは率直に言えば、政策によっては二十世紀内にも可能性はあるというようなことを言っておられましたので、政策ということはどういうことですかということをお尋ねしましたら、いろいろ言っておりましたけれども、それでは金の問題でしょうかということを——金と言ったらおかしいんですが、研究費の問題かということをお聞きしましたら、やはり肯定をされていたわけでございます。もちろん第一はやっぱり研究の能力ということになるでしょうが、まあ一応現在の段階でそういう研究の第一人者がそろっておられての話でございますから、そういう研究者の能力ということが一応そこに条件ができているということになれば、やはり研究費という問題が非常に大きなウエートを占めておる、こういうお話でありましたので、これはわれわれとしては、まだなかなか、そうこれが第一の大問題だというふうな結論を申し上げるような確信はありませんけれども、大河という人は、非常に核融合研究の進んでおりますアメリカにおいても第一人者というふうに承知しておりますので、その人が、研究費いかんによってはそこまでの可能性があるということをお話になったということをちょっと御紹介だけさしていただきます。
○政府委員(山野正登君) 関係研究者の意見を総合いたしまして、きわめて大胆な意見を申し上げれば、技術的に予見される困難性は何もないというのが総合的な皆さんの意見でございまして、私も結論的には大臣の御感想と全く同意見でございまして、本件を進めるためには研究開発費と研究人材の確保というのが最大の問題であろうかと考えております。
○塩出啓典君 よしんば技術的には可能であっても、結局それが二十一世紀のエネルギーになるためには、重水素あるいはトリチウムのみならず、炉壁の材料あるいはヘリウム、こういうような問題もあると思うんですね。それと一つは採算的にどうなるかと、これもそういう材料があれば、採算的にはどんどん高くなっても、あるいは将来においてはエネルギーは値段は何ぼ高くても必要な時代が来れば問題ないかもしれませんけどね。そういう実際に量的に確保できるのか、コストがどうなっていくのか、そういう点も当然考えていかなければいけないと思うんですね。 そこで、私が言いたいのは、いままで政府としても、核融合による発電を実現するためのいろいろなネックになる問題点については余りPRもしない、何となく国民の印象としては夢のエネルギーという、こういう印象を与えておるわけなんですね。確かに夢のエネルギーで、そういう夢を持つことも、夢がなければ生きていけませんけどね、そういう夢を持つのはいいけど、夢でなかった場合はどうなるかと、そういう点を考えると、やっぱりもうちょっと政府としても、ただ夢のエネルギーというイメージを国民に与えるのみならず、もっと現実はどうなのかと、そういう点をもっと掘り下げていくべきじゃないか。そのためには一部の核融合の学者だけではなしに、いろんなやはり衆知を集めて核融合の将来というものをいまのうちにもつと掘り下げていかなくちゃいかぬ。そしてこういう問題点があるということをやっぱり国民にも十分知らせて、そういう中から、わが国の現在とられているような政策でいいのかどうか、もっと省エネルギーというものを抜本的に力を入れていかなければいけないんではないか、こういう選択が国民の総意によって決まってくると思うんですね。いまは政府が国民に与えている印象からすれば、そういうようなエネルギーの将来については、口では皆石油危機が来るということは言われても、心の底にはそういう危機感は余りないわけなんですね。それでいいのかどうかということを私たちも非常に疑問に思うわけで、そういう意味で政府としてもいわゆる昭和六十年、昭和六十五年の長期エネルギー計画、こういうものは出ているわけですけどね、それから先のもっと二十一世紀に至るまでの長期のエネルギーの見通しと、こういうものをやはりつくるべきじゃないか。これはどうしても新しい技術の進歩と関係があるわけですからね、科学技術庁あたりがもう少し中心になって将来の長い見通しを立てていかなければいけないんじゃないかなと。われわれが生きている間は心配ないにしても、やっぱりわれわれも政治家として子孫のためにもそういう責任があるんじゃないかなと、そういう感じがするんですがね。そういう点、長官としての決意をお伺いしておきたいと思うんです。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 大変貴重な、また激励のお言葉をいただきまして非常にありがたいと存じているわけでございます。こういう、非常に夢か何か現実かという点をまだ少し彷徨しているような状態がずっと続いて、一歩一歩明るいところに向かっていくような日常でございますので、なかなかいまおっしゃったようなところまで十分に至ってはおりませんが、今後ひとつ大いにそういう点に対する究明をさらに深くしまして、そしてそういう核融合の可能性あるいはまたそれに伴ういろいろな選択の方法とか、そういうことにもっともっとひとつ力を入れてまいりたいと、このように考えております。 〔理事松前達郎君退席、委員長着席〕
○佐藤昭夫君 それでは、「むつ」問題について、吉田委員や塩出委員からもいろいろ質問が出ておりましたけれども、私もできるだけ重複は避けて幾つか質問をいたしたいと思います。 最初に、再確認の意味でいままでの質疑答弁、これの確認を求めますが、この「むつ」の佐世保修理に当たっての五者協定の中にも書いております「新定係港を早期に決定する」という問題について、その五音協定の第二項に書いておる表現からいって佐世保に居座るということは、これは絶対にない。それから大湊を新定係港にすることについては政府からの働きかけはしない、現地の意向はともかく、という、こういう大体答弁の流れだったということで再確認をしてよろしいかどうか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) おっしゃるとおりでございます。
○佐藤昭夫君 そこで、そうは言いながらも、いままでの一連の経緯を通して、国会答弁はそういうふうにおっしゃっても、いろんな将来についての疑惑、不安というのが現地の方々を初めとして出ているということもあり、そういう点で、私の意見としては前国会の審議の場でも強く要望をしてきたわけでありますが、新母港が確定をするまで修理は延期をすると、その間を活用をして、核封印とは言いながら事実上の核つきであることは言うまでもありませんし、手抜き点検になっておるこの従来からの総点検計画について、もっと現地住民や専門学者も安心ができるような、そういう総点検計画のもう一回見直しをやるべきだということをいろいろ主張をして、繰り返し前国会で要望をしてきたんですけれども、この点についての新しい気持ちはありませんか。
○政府委員(山野正登君) まず、定係港の選定作業につきましては、事業団と私どもともどもすでにその選定作業に着手いたしておるわけでございまして、できるだけ早くこの新定係港を選定いたしたいと考えておるわけでございますが、その間計画を中断してもう一度遮蔽改修・総点検計画の見直しをしないかという御指摘でございますが、この点につきましては、私どもも前国会におきましても御説明申し上げましたように、現在の遮蔽改修と総点検計画と申しますものは、これは事業団が作成しただけではございませんで、監督官庁である私どもと運輸省におきましても、いわゆる安藤委員会と申します遮蔽改修と総点検の技術検討委員会を設けまして、その場におきましていわば第三者によるチェックというものもいたしておるわけでございまして、私どもは現在進められておる計画というものは十分に専門家によってレビューされた計画であるというように考えております。また計画の進展に従いまして、節目節目では絶えずこの委員会の検討を煩わしながら進めていくつもりでおりますので、そういう意味におきまして、絶えずいま御指摘のような見直しをしながら進めておるというのが実態であろうかと考えております。
○佐藤昭夫君 本日もなおそのような答弁を繰り返されるわけでありますけれども、そういうことでいった場合、もしも今後重大な欠陥事故が発生をした場合には、その責任は挙げて指導監督の位置にある科学技術庁にあるのだということを本当によく銘記をしておいてもらいたいと思います。 五者協定の第四項で、佐世保港における「むつ」の修理に係る放射能監視体制を事業団側は整備強化をするというふうに書いておりますが、例の五十一年の六月、長崎県側に対する——この分厚い冊子になっております「修理港における原子力船「むつ」の安全性等の説明に対する質問事項に対する回答」というその中で、「必要に応じて、作業場所に新たな監視装置を設け、遮蔽改修工事等を行うにあたって、放射性物質が海、大気等に放出されないことを確認する。」というふうに記述をしているわけでありますけれども、具体的にこれをどう進めるのか。その監視装置の設置場所、種類、数、これはどういうふうに考えていますか。
○政府委員(山野正登君) ただいま佐世保港におきます放射能の監視につきましては、五音協定によりまして事業団がこれを実施するということになっておるわけでございますが、まず一つは、船内に設置されております放射線の監視装置を用いまして、放射性物質の環境への放出の有無を常時監視をいたしております。 さらに、これに加えまして、「むつ」の係留地点の近傍に放射線の監視設備を設けまして、周辺環境の放射能の汚染の有無を常時監視するということをいたしております。 さらにこれに加えまして、「むつ」の係留地点の周辺におきまして、定期的に海水とか海底土を採集いたしまして、この分析をいたしまして周辺環境に放射能の汚染がないということを確認する、そういったふうなシステムになっておるわけでございまして、このような計画につきましては地元の長崎県、佐世保市及び県漁連の了解が得られておるわけでございます。で、このような結果も、県、市並びに県漁連に対して定期的に報告するといったふうな仕組みになっておるわけでございます。
○佐藤昭夫君 いわゆる周辺のモニタリング、これについての具体的な計画の策定ですね、これがどのように進んでいるのか、どこの責任でやるのか、この点はどうですか。
○政府委員(山野正登君) ただいま申し上げましたように、船内の監視設備も、また係留地点に設けましたモニタリング設備も、いずれも事業団の責任において事業団が監視をするというたてまえになっております。
○佐藤昭夫君 それで、具体的にはどういう内容、体制でやるのですか。
○政府委員(山野正登君) 船内の監視設備につきましては、エリアモニターが十三基ありまして、これは船内の空間線量率を測定いたしております。それから水モニターが四基ございまして、これは船内の水中放射能濃度の測定をいたしております。それからガス・ダストモニターが五基ありまして、これは船内の空気中のガス、ちりの放射能濃度を測定いたしております。それから「むつ」の係留地近傍に設置しましたモニタリングポストと申しますのは一基ございまして、これは測定対象としましては、空間線量率と海中の放射能濃度の常時連続測定ということでございます。
○佐藤昭夫君 そうしたら、済みませんけれども、いま質問しました、そういう放射性物質放出の監視体制、それから周辺モニタリングの監視体制、これの現在そういうような準備をされておるものですね、これをちょっと、もう少し検討してみたいと思いますので、資料として提出していただけませんでしょうか。
○政府委員(山野正登君) 結構でございます。
○佐藤昭夫君 このモニタリングの結果の評価は、この回答書の中でも触れているわけですけれども、過去のデータとの比較が必要だと、既設の装置による放射能の監視結果との比較をやるというふうに書いているわけですけれども、それはどこがその評価、分析をやるんですか。
○政府委員(山野正登君) 過去のデータとの比較というのは、これは責任は事業団がやるわけでございますが、分析等につきましては日本分析センターといったふうなところの機能を活用するということはあり得ることでございます。
○佐藤昭夫君 原子力委員会の傘下の専門部会として、このモニタリングの計画とその結果の総合的な評価について審議を行うという環境モニタリング中央評価専門部会というのがありますね、この回答書に触れているわけですけれども、「むつ」の修理港に関するモニタリングの審議は行ったかという問いに対して、それは行っていないというふうに回答しているんですけれども、ここの関係はどういうことですか。
○政府委員(牧村信之君) 原子力発電所の周辺のモニタリングも同様でございますけれども、設置者等がモニタリングをいたしました結果を、先生御指摘の専門部会でその結果について評価するシステムをつくっておるわけでございますが、ただ、安全委員会が発足いたしましたただいまは、この専門部会を新たに安全委員会のもとに置くことに予定しておりますが、現段階では、そういうことでこの専門部会は一時中断しておりますが、安全委員会発足後直ちにモニタリング中央評価専門部会を再開いたしまして、ここの場で事業団が行いましたデータの評価を行うことになろうかと思います。 それから、佐世保につきましては、実は先生御存じのように、原子力軍艦がときどき入港するわけでございまして、その佐世保港の過去のデータ等は原子力軍艦のモニタリングということで、国が地方公共団体の協力を得まして随時行っておるわけでございます。そういうようなデータにつきましては、今回の原子力船の事業団の行います観測のデータを補強するデータとして活用される予定になっておるところでございます。
○佐藤昭夫君 その前段部分の回答ですね、私はそういう言い逃れ的な答弁では済まぬと思うのです。その評価を行うこの専門部会、これは五十一年六月の回答でしょう。その段階で、そういう審議は行っていませんと。で、今回、安全委員会が新たに発足をする、その傘下における新しい専門部会、構成される専門部会、ここでやっていくんだと。ところが、もうすでにかなり以前から佐世保港で「むつ」の修理をやるんだという、こういう目標で事が進行しておるということで、現地の人たちが、どうなるのか、そこの不安にこたえていくという点で非常に無責任ではありませんか、このやり方は。
○政府委員(牧村信之君) 無責任であるという御指摘ではございますけれども、原子力船事業団が佐世保港でこのモニタリングの分析業務を始めたのが最近でございます。したがいまして、そのデータがある程度蓄積された段階で、当然新しくできます専門部会において評価をしていただくということにならざるを得ないというふうに考える次第でございます。
○佐藤昭夫君 そうなった場合には、これはもう当然のこと、非常に限られた回数のモニタリング監視の結果、これをもとにこの専門部会が検討、審査を行うということにならざるを得ぬわけでありますし、私はいまの答弁では納得できません。どうしてもそういう現地住民の不安にどうこたえていくかという点で、ひとつもっと積極的な方策を科技庁としてぜひ考えていただきたい。事業団に任しておる問題だということでは済まないという問題として強く指摘をしておきたいというふうに思います。 なお、従来、むつ市の方では、青森県、むつ市、事業団三者による放射能の監視要領というものをつくって、そこで環境放射線のモニタリングを行っているわけでありますけれども、その中で海産生物、海底生物についても核種分析も行うということに現にやってきているわけですけれども、佐世保ではこうした問題についてはどういう計画になっていますか。
○政府委員(山野正登君) 佐世保におきましては、事業団と長崎県、佐世保市並びに長崎県漁連が「原子力船「むつ」周辺地域の環境の保全等に関する協定書」というものをつくりまして環境の保全のための取り決めをいたしておりまして、それによってお説のような環境保全の監視というものをいたしております。
○佐藤昭夫君 しかし、いまおっしゃった、そういう監視を行うということを述べておるだけで、それでは具体的にどういう体制でやるかと、もうそれは具体的に決まっているのですか。決まっているのでしたら、これもひとつ資料として出していただきたい。具体的な体制です。
○政府委員(山野正登君) 質問が二つあるかと存じますが、まず佐世保港における試料の分析でございますが、これは「むつ」の入港に先がけまして、事業団におきまして核種分析というのは実施いたしておりますので、その分析結果というものは先生の方に御提出いたします。 それから、ただいま申し上げました現地におきます事業団と現地三者を含めました環境保全の監視の協定でございますが、これもお手元にお届けいたします。
○佐藤昭夫君 それで、問題は、海底生物などについても核種分析をやるという、そういう住民の不安にこたえて徹底した監視をやるという、この点は明確になっていますか、科技庁が把握をされているあれでは。
○政府委員(山野正登君) 協定の中に海産生物の核種分析が書いてあったかどうか、これは多分書いてなかったと思いますが、しかし事業団の方は、海産生物の核種分析というのは事前にもいたしましたし今後もやっていくつもりでおります。
○佐藤昭夫君 それならば一点、それもひとつ資料としていただいてよく検討させてもらおうと思います。 五者協定の第六項に、風評による魚価低落に対する魚価安定対策を立てるということを書いておるわけでありますが、これは具体的にはどういう内容なのか、特に現地の漁民の皆さん方は放射能汚染を非常に心配をしているということでありますけれども、このこともおもんぱかってのこういう第六項ということになってきておるのか、ここの経緯についてひとつ御説明を願いたい。
○政府委員(山野正登君) 私どもといたしましては、「むつ」の修理に際しましては、これは現在の原子炉内の放射能レベルは非常に低いわけでございますし、また修理期間中は冷態停止にいたしまして原子炉を運転しないという条件であり、かつまた一次冷却水とか放射性廃棄物というのは船外に出さないでやるということになっておりますので、地元におきまして放射能による汚染を起こすといったふうなことはあり得ないと考えておるわけでございますが、一方、長崎県の地元、特に漁業者の方々とされては、過去に米国の軍艦によりますうわさによる魚価の低落といったふうな苦い経験もしておられることもございまして、そのような状況で修理はされることではあっても、やはりうわさによって魚価が下がるといったふうなことは全くあり得ないことではないので、そのような場合に備えて何らかの対策をしてもらいたいというのがこの五者協定の中で魚価安定に対してとるべき措置としてうたわれておるものが生まれた経緯でございまして、そのために、ただいま魚価安定対策事業といたしまして、魚価安定特別基金造成事業というものと魚価安定基盤整備事業というものを予定いたしておるわけでございます。
○佐藤昭夫君 五音協定の第七項で、必要に応じて丙、丁、戊、ですから知事、佐世保市長、長崎県漁連会長は、必要に応じて「佐世保港における修理に立ち会うことができるものとする。」というふうに定め、それの具体的な協定という関係になる模様ですが、「原子力船「むつ」周辺地域の環境の保全等に関する協定書」という中で、この三者がそれぞれ指定をする職員が必要な場合立ち入り調査ができるということが、事業団との間で協定が結ばれておるということになっているわけでありますけれども、私は思うのですが、この種原子力にかかわる安全性の問題については、原子力問題についての専門家、研究者、これがやっぱり一番そういう知識をお持ちになっているわけでありますし、たとえば漁連などが委嘱をする専門家も立ち入り調査に当たって立ち会いができるという運用がこの五者協定なり四者協定については行われるべきだと、単に指定をする職員だけしか立ち入りできないということでは、本当に国民の不安にこたえていくということにはならぬだろうというふうに思うんですけれども、そういった運用上の問題について科技庁の見解をお尋ねしたいと思います。
○政府委員(山野正登君) この五者協定に基づきます関係者の立ち会いにつきましては、これはいずれも御指摘のようにそれぞれの機関の職員が当たるということになっておるわけでございますが、仕事が相当技術的な仕事でございますので、県、市、漁連各機関ともそれぞれ技術レベルの高い職員をこれに充てるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、そういう意味で御指摘のような問題はないかと存じますが、さらに県とか市とか漁連という機関におかれては顧問を置かれまして、放射能の監視等につきまして所要の事項についてはこれら顧問の意見を聞くといったふうなことも配慮しておられるようでございますので、先生の御危惧のようなことは大丈夫ではないかというふうに考えております。
○佐藤昭夫君 いずれにしても、限られた時間でしたので十分尽くしていませんが、「むつ」問題について本当に現地の住民、また専門学者個々の疑問や不安にこたえて、開かれたそういう原子力行政を進めるということでぜひひとつ徹底を期してもらうということを強く要望をしておきたいというふうに思います。 次の問題に移りますが、いわゆる研究費問題と、それにかかわって文部省にもお願いをしておりますけれども、大学における定員外職員の問題で幾つかお尋ねいたしたいと思います。 わが国の将来に向けての科学技術の豊かな発展を目指して基礎研究が非常に重要であるということは、これは通常国会における当委員会でも私強調もしましたし、科学技術白書も強調をしておるところでありますし、科技庁の長官からもそれに同意をする趣旨の御答弁があったわけでありますが、今回の臨時国会でも本会議の席上、文部大臣もこの基礎研究が重要だといった答弁をなさっておったと思いますけれども、ところが現状は依然としてこうした点での施策上の強化が図られるということに必ずしもなっていないというふうな感を私は強くするわけです。たとえば五十四年度の概算要求を見ましても、科技庁傘下の各種研究機関その他他省庁の国立の研究機関等々をながめてみた場合に、本当に将来に向けて基礎研究を重視をするというよりは、プロジェクト研究、政策目的に沿ったプロジェクト研究、ここに依然として予算上の重点を目指すという形になっているんじゃないかというふうに思うんですけれども、改めてこの点についての基本的見解を科技庁にお尋ねをしたいと思います。
○政府委員(大澤弘之君) 基礎研究につきまして先生からすでにお話がありましたように、私どもとしては、科学技術の着実な発展を支え、将来における科学技術の飛躍的な展開を期するためには、基礎的研究あるいは基礎研究が大変大事だということ、これは先生いま申されたとおりでございまして、私どもも全く同様の認識をいたしておりますし、先般も申し上げたのでございますが、政府の科学技術政策としての基本的なことを定めております科学技術会議の六号答申という中にも「基礎科学の振興」ということを一つの大きな柱に立てて、これにつきまして各省庁が努力をしていただくように私どもいたしておるわけでございます。特に基礎研究ということにつきましては、大学を中心としたところの基礎研究が大事であるというふうに私ども認識をしておるところでございます。 なお、具体的にいま五十四年度の施策についてお話がございましたが、これにつきましては研究調整局長からお答えをいただいたらと思います。
○政府委員(園山重道君) 先生御指摘の試験研究機関におきます基礎研究、それから研究費、そのほかるる御指摘でございますけれども、試験研究機関におきます研究の中で、どこまでが基礎研究かということは必ずしも明確ではないわけでございますけれども、国立試験研究機関の予算の中で経常研究費という形のものがございます。具体的には、俗に人当研究費と言っておりますけれども、研究員当積算庁費というもの、これは研究者一人当たりの特別なテーマを決めてない研究費でございます。それから研究所といたしまして、若干高額にわたる機械、器具等の購入費等を特殊経費と言っておりますけれども、これが基礎研究というものに当たるかと思っておるわけでございます。 五十四年度の概算要求におきましては、いま申し上げました人当研究費につきまして単価の増額を要求いたしております。したがいまして、その人当研究費の総額、各試験研究機関のものを合計いたしたものでございます。それから、先ほど申し上げました特殊経費という一般的な機械、器具の中で、特に高額になるもの等の購入に充てるものでございますが、それの合計が約三百十一億円になっておりまして、前年度比一九・四%の増になっておるわけでございます。 また、この経常研究費、ただいま申し上げました人当研究費、特殊経費で行います研究以外に、特別研究と申しまして、テーマを決めて予算を要求するものがあるわけでございますけれども、この中にも相当基礎的な研究というのが含まれておりますので、必ずしも軽視しているわけではございません。昨年に対して一九・四%増という、予算要求枠の相当厳しい中でこれだけの要求をいたしておりますので、必ずしも低調であるとは考えておりませんけれども、なお、これからもこういった経常研究の重要性は先生御指摘のとおりでございますので、その充実に努力をしていきたい、このように考えております。
○佐藤昭夫君 そういう経常研究費に相当する積算庁費の増額の要求を出しておるんだというお話ですけれども、問題をはっきりさせる意味で文部省にお尋ねをしますけれども、国立大学におけるいま問題になっています経常研究費、教官当たり積算校費、これを見ますと、昭和五十年、五十一年、五十二年、五十三年という暦年の対前年予算の伸び率、これは一〇%、八%、七%、六%ということで、予算の対前伸び率というのは年々低下の一途をたどっておるということになっておると思うんです。 それからまた、昭和四十七年を一〇〇としまして、昭和五十二年度では消費者物価指数は一八四、一方教官当たりの積算校費、いまの問題もこれは一三六・五。ですから、物価上昇との対比でのこの経常研究費、これは昭和四十七年から五十二年への推移の間に、実質的にそういう経常研究費は七四・二%ということで、実質的に比率は低下をしているというのが、これが現実の姿じゃないかと。おしなべてこの傾向というのは、どこも、国立研究機関すべてこの傾向でいっている。また、五十四年度の概算要求を見せていただいているわけですけれども、概算要求としては一〇%増という要求ですけれども、これは思い起こしたらはっきりするんですが、五十三年度の概算要求は一二%増を要求をして、大蔵査定、閣議の結果は六%増にとどまったわけです。ですから、科技庁なりあるいは文部省なり、そういう関係省庁の基礎研究に大きく関係をしておる経常研究費も、概算要求自身、五十三年要求よりも五十四年要求、みずから落としている、こういう姿が歴然としているのじゃないか。 たびたび委員会や本会議で基礎的研究が重要ですということは質問に答えているわけだけれども、本当にその立場でやっているのかという疑問を深くせざるを得ぬという気持ちなんですけれども、これからいよいよ年末に向けての査定、予算案の確定という作業へ入っていくわけですけれども、これからのそういう作業に向けての決意を含めて、どういう気持ちなのか、この点文部省にお尋ねしておきます。
○説明員(瀧澤博三君) 先生の初めのお話にございましたように、いま大学におきます研究費の中におきましても、もろもろの大型研究プロジェクトの経費がますます増してきておるということがあるわけでございます。これは、大型プロジェクト研究と申しますと、代表的なもので申しますと、核融合関係あるいは加速器科学関係などのエネルギー関連のRTSであるとか、あるいは宇宙科学、あるいは地震などの関係、または生命科学の分野などが代表的なものかと思います。こういうことは、それ自体大学として推進すべき重要な基礎研究の分野であると思いますし、また、そういう大型のプロジェクト研究が重要になってくるということ自体、学術研究の進展に伴う必然的な一つの傾向でもあろうかと思われるわけでございます。 ただ、御指摘のように、当然こういうこととまた並行して、大学としての基準的な安定した研究経費を確保していくということはきわめて大事であるということは、私どもも十二分に承知しているつもりでございます。それで、そういう基準的な経費として一番大事なのは、お話にございましたように、やはり教官当たり積算校費というものであるわけでございます。これの最近の上昇率がダウンしているというのは御指摘のとおりでございまして、この辺は私どもとしても大変に残念に思っているところでございますが、物価指数との比較というのは、どういうものを対象の物品として考えるかということもございまして、なかなか単純に比較できないところもございますが、教官当たりの積算校費につきましては、単価のアップだけでは必ずしもございませんで、そのほか非実験の研究費を実験化をしていくとかいうもろもろの態様によって増額なども一方で図っているわけでございまして、総額といたしましては、五十三年度では約八%ほどの増になっているわけでございます。 それからこういう当たり校費の単価のアップは、いろいろな各省とは関連などもございまして、非常にむずかしいわけでございますが、私どもといたしましては、こういう当たり校費をさらに周辺化補完するものとして、教育研究特別経費というような積算を設け、あるいは光熱・水道費をまた別途増額していくというような形で、全体としてそういう基準的な研究が円滑に行われますように、総体として増額に努めているということでございます。もちろん、現状がこれで十分とは思っておりませんで、今後いろんな面で努力しなければならないと思っておりますが、研究機関のあり方につきましては、いろいろ問題があるかと思いますが、全体として円滑に研究が推進されますように、引き続き努力をしていきたいというふうに思っている次第でございます。
○佐藤昭夫君 いろいろ御説明ありましたけれども、いずれにしても、国会の委員会や本会議での答弁がその場限りの答弁ではなくて、本当に日本の将来に向けての科学技術の豊かな発展を目指すという、こういう見地からの基礎研究を重視をするという、ここの議論の問題はだれ一人として異論の出る問題ではないと思うんですけれども、本当に五十四年度予算案ではこのことが具体的な姿になって、こういう形で予算の上にもあらわれたということが必ず実現をするように、科技庁長官も、科技庁傘下の研究機関もあるわけでありますし、ひとつ関係省庁相協力をして、ぜひこの点が、一歩前進が五十四年度予算で図られるように、ひとつ鋭意努力をお願いをしたいというふうに思います。 次の問題は、こういう物価上昇にも見合わないという形にもなると、非常に乏しい経常研究費のこの実態のもとで、さらにこれを圧迫をしている問題に、特に大学に集中的にあらわれていると思いますが、定員外職員の問題というのがあると思うんです。これはもう何回か国会でもいろんな場で議論をされてきている問題ですので、改めてその歴史的経緯については触れる必要はないかと思いますけれども、昭和四十三年から始まりました総定員法に基づく、もう今日第四次計画に入ってきていますけれども、第一次、第二次、第三次、第四次の定員削減計画、このもとで定員が年々削減をされて、大学の運営上やむを得ず定員外職員を抱えてでも大学の運営をやっていかなくちゃならぬと。ところが、この定員外職員の人件費がこの経常研究費に相当をする教官当たり積算校費、この中から実はかなりの部分が割かれている。この定員外職員というのは、いろんな賃金等の、給与等の面で定員内職員に比べてもかなりの大きな差があるという、一つは働く者としての人権上の問題である。同時に、ただでさえ乏しい経常研究費を圧迫をしているという、大学を初めとする各研究機関の研究活動の大きな阻害要因になっているというこの問題かと思うんですけれども、お尋ねするんですけれども、いま国立大学でこの定員外職員というのは総数幾らぐらいいるんですか。
○説明員(中西貞夫君) お答え申し上げます。 五十三年七月一日現在で八千五百四十人でございます。
○佐藤昭夫君 ずいぶん内輪目の数字をおっしゃっているわけですけれども、これ文部省が昭和五十二年七月に調査をなさって、その結果に基づいて、「文教ニュース」という文部省外郭団体の新聞が出ておると思うんですが、それの五十三年九月四日号、ここにはっきり数字が記載をされているわけですけれども、一日八時間勤務の定員外職員八千七百九十一人、週三十三時間以下の雇用職員四千八十八人、合計一万二千八百七十九人と。これは五十二年七月現在の人員ではありますけれども、一年間にそんなに大幅に減るという、そんなことは考えられないわけですけれども、これは文部省みずからが調査なさった数字です。この点はそうですね。
○説明員(中西貞夫君) 先ほどお答え申し上げましたのは日々雇用の非常勤職員の数でございまして、五十三年七月一日が八千五百四十人でございます。五十二年では八千七百九十一人ということで二百五十一人減っておりますが、そのほかにいま先生お話のパートタイムの職員がございまして、このパートタイムの職員はこのほかに五十三年七月一日現在で三万五千四百七十八人ございます。
○佐藤昭夫君 ちょっと数字のつじつまの合わぬ点もありますけれども、いずれにしても、五十二年で、一日八時間勤務、要するに定員内職員とほぼ匹敵をする勤務をやっていると、こういう人たちが五十二年で八千七百人、五十三年で八千五百人ぐらいおる。このほかにパートの三十三時間以内労働雇用と、こういう人が相当数あるということですけれども、国立大学の職員総定員、これが五十二年度では六万四千七百八十ぐらいあるわけですから、そうしますと一五%近いこれだけ定員外職員というのがあるというのが実態だと思うんです。そこで、これらの定員外職員という人たちは、大学が勝手に雇って、そういう人がどんどんふえてきたということではない。これも文部省が調査をなさった数字ですけれども、五十年の七月の文部省調査で、さっきの「文教ニュース」五十一年六月十四日号に出ているわけですけれども、この定員外職員というのは、いま法制上三月末日をもって一たん雇用が切れてまた四月から再雇用、こういう一年サイクルの雇用の関係になっている。そこから勢い賃金等の大変な不利な条件が出てくるということであるわけですけれども、しかし、実際は五年以上継続をして勤務をしておる人たちというのが実は二二%に上る。私たまたま出身が京都ですので、京大の関係の方々にいろいろ聞くんですけれども、京大ですと五年以上継続勤務をしているという方は四〇%になっている。ということは、この定員外職員の、もちろんパート的採用の、臨時的採用の人ももちろんあるけれども、かなりの部分がある。その人たちが働いてもらわなければ大学が回っていかないという、こういう現実があるということを雄弁に物語っておると思うんですけれども、この点についての見解はどうですか。
○説明員(中西貞夫君) この非常勤職員は、本来、臨時的な業務とかあるいは季節的な業務とか、あるいは仕事の量が、ある研究でありますとかあるいは教育のプロジェクトができまして、そのプログラムが進行するに従って変動する業務に従事するというのが基本的なたてまえでございます。したがいまして、この非常勤職員でもって充てなければならない職はそういうことでございますが、本来定員をもって措置しなければならないような恒常的な職について臨時職員を充てていくということは、任用のあり方として適切でないと思うわけでございます。そこで、その仕事が本来の職員でやるべきかあるいは非常勤職員でやるべきかということの仕分けと申しますか、整理というものを十分考えていきまして、真に必要な恒常的な職につきましては定員増の措置を行う必要があります。これにつきましては、文部省といたしましても毎年努力をしてきているわけでございます。そういうふうに考えるわけでございます。
○佐藤昭夫君 ただ一般的にそういう御答弁じゃなくて、文部省側の調査なさった五十年七月の調査ですね、五年以上実際に継続勤務しておるというのは二割ぐらいあるわけでしょう。どうですか。
○説明員(中西貞夫君) 最も最近の資料で五十三年の七月一日現在でございますが、先生がおっしゃいますように五年以上勤務の職員は二六・二%になっております。
○佐藤昭夫君 ですから、いまの数字でもわかりますように、五十年段階で二二%、五十三年段階で二六%ということで、年とともに継続勤務の人が増大をしておるということは、その人たちに働いてもらわぬことには大学の仕事がうまく進んでいかぬということを端的にあらわしている。私が聞いておる話では、京都大学ではそれが四割の数になってきているということで、これはもう部分的解決では事は済まない重大な問題ではないかというふうに思うんです。 角度を変えて聞きますけれども、この定員外職員がいわゆる経常研究費、校費ですね、ここからやむを得ず人件費として支払われているわけですけれども、これはどれくらいの比重を占めていますか、人件費として定員外職員のために支払わなくちゃならぬ費用は。
○説明員(中西貞夫君) これは大変申しわけないことでございますが、各年度の歳出決算額は科目別になっておりまして、使途別の決算額は出ておりませんので、校費のうちにどのくらいの賃金の実績があるかということにつきましては調査してございません。
○佐藤昭夫君 これも私京都大学の方から聞いた話ですけれども、学部・学科によっていろいろ実態の違いはありますけれども、少ないところでこの経常研究費の二〇%この人件費のために食われておる。多いところですと四七%この定員外職員のために、言うならなけなしの研究費を使わなくちゃならぬ、こういう実態に今日その姿がなっておるというふうに聞いているわけです。 それで、いろいろ御質問したわけですけれども、長官を初め科技庁の方々も、特に総定員法の矛盾が集中的に出てきておるのは私この大学だと思うんですけれども、同じように科技庁傘下の研究機関についても、その他の省庁の研究機関についても、この総定員法に基づく矛盾というのが、次々年次計画で定員は減らされるけれども、もうそれだけではとてもそこの研究機関が回っていかない、こういう実態がもう今日明確になってきている問題ではないか。これはこの給与等の条件について言えば、たとえばこれも京大の方の話ですけれども、昭和四十二年大学卒で新採用された人がこの十五年間の間に定員内職員とどれだけの差が出るかということで、十五年勤続の結果、退職金も含めますと七百万円の差が出る。いろんな形で賃金の頭打ちがある。それから退職金の計算の率も悪いといういろんなこと。こういうまあ給与等の待遇、条件の問題もちろんあります。しかし、きょう私がここで特に強調しているのは、冒頭質問をしております基礎研究強化という、こういう見地から言って、この問題を解決をしないと、せっかくの基礎研究強化を目指そうということのこの経常研究費がこのことによって真にこの目的が貫徹できない、非常に大きな矛盾が今日もう出てきているんだという問題として、長官を初め科技庁としても御理解をいただきたいと思うんです。 そこで、実は昭和三十八年以降にこういう総定員法の矛盾、これがいよいよはっきりしてきたということで、大学の関係について言いますと、例の筑波大学を初めとする新構想大学、それから医科系、歯科系、こういうところは総定員法の枠から外すという、こういう特別措置を政府みずからも提案をせざるを得ぬという、こういう形になってきていると思うんですけれども、そのことにも端的にあらわれているように、いまこの総定員法をひとつ根本的に見直すべき時期に来ているんじゃないか。これをやらないと、本当に将来に向けての科学技術の発展、その基礎になる大学や各研究機関の基礎研究を予算的にも人員的にもどう充実強化を図っていくかという、これが全うできないと、こういう状況になっていると思うんです。 で、聞くところによりますと、文部省はここ最近、年二百人程度の、いろいろ必要に応じての定員の増員措置をやっているということですが、さっき言いました八千五百人、パートを入れましたら一万二千人、この解消というのは年二百人の解決では何年たつかわからないということで、もちろん五十四年度予算に向けて抜本的な定員の増加措置、これをまず皮切りにして年次計画を立ててでもこの定員外職員解消のためにどういう積極的な施策をとるかということをどうしても考えていただくべき時期に来ておるというふうに私は思うんですけれども、この点、まず文部省どうですか。
○説明員(中西貞夫君) いま先生お話しのように、学部・学科等の整備に伴う定員増のほかに既設の学部等の事務機構の整備ということで、このところ毎年二百人程度の増員をしてきておりまして、四十七年から五十三年度までに千七百十九人の増員を行っておりますが、今後とも一層の努力をしていきたいと考えております。
○佐藤昭夫君 科技庁長官に、長官も閣僚の一員でいらっしゃるので特にお願い、お尋ねをするわけですけれども、私ども共産党としても、不必要なむだな経費を省くという点で行政の一定の改革をやるという、このことについてはそれは必要だという立場をとっておるわけです。ですから、そういうことで不必要なそういう部分は減らす、しかし必要な部分についてはそのかわりもっと増強をしなくちゃならぬ、こういう分野も幾つかあるということで、たとえば一般的省庁の場合にはいろんな各部局の統廃合なんかを行って、そして人員の合理化を図るというやり方をやっていると思うんです。ところが大学とか研究機関とか、こういうところは逐年業務内容といいますか、研究内容が増大をしていく一方なんですね、社会の要請にこたえて。そういう点から言って、公務員全体を機械的に総定員法で一律な定員削減計画をやるという、このことについては大きな矛盾があるんだという認識に立っていただくということが一つと、そういう上で、科学技術行政の全体的な主導的位置と責任を負っておられる科学技術庁長官として、まあもちろん科技庁傘下にも研究機関もありますし、文部省を初め、そういう関係省庁とひとつ相協力をして総定員法の——いま言ったような見地から省く部分は省いたらいいわけですけれども、しかし、必要な部分についてはやっぱり定員法の見直しをして必要な定員増を図るという二のことについて、閣僚の一員としての科技庁長官の一段の努力を特にお願いをしたいというふうに思うんですけれども、ひとつお答えを願いたいと思います。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 先刻来、いろいろお話のございました、特にこの基礎研究の大切なことにつきましては、全く御同感でございます。それにつきまして、いろいろ必要な部面のいろいろ人員でありますとか、あるいは経費でありますとかが非常に不足しがちになっていくという実情について、いろいろお話がございましたが、そういう点は非常に残念であると思っておるわけでございます。基礎研究の面につきましては、そういう非常に大切であるという見地から、さらに実態を十分検討して、いまおっしゃったように、あえて総定員法のいかんにかかわらず、必要な部面については十分それだけの手配をしていかねばならぬと、特に私どもの担当であります基礎研究の面については、特にそういう点を十分配意しなければならぬということを十分了承いたしましていろいろな協議の場に臨みたいと、このように考えております。
○佐藤昭夫君 ひとついま——きょうは科学技術特別委員会ですから、チーフは科技庁長官になるわけですけれども、いまの長官のそういう見解表明に沿って、それと相協力をして文部省としても定員外職員解消のために積極的に年次計画なんかもひとつ立案をして、その解決のために努力をするということでぜひやってもらいたいと思うんですけれども、お願いしますね。
○説明員(中西貞夫君) 御趣旨に沿っていろいろと努力をしていきたいと考えております。
○佐藤昭夫君 最後に、もう大分時間迫ってまいりましたけれども、いわゆる有事立法問題と科学技術の関係で少しく御質問いたしたいと思いますので、防衛庁お願いします。 この有事立法問題については、本国会でも本会議や予算委員会で大きな議論になってきたことは御承知のとおりですけれども、当初政府はしきりにシビリアンコントロールの範囲内だとか、憲法の範囲内で検討をやるんだという言い方で国民の批判をそらそうとしてまいりましたけれども、何回かの質疑を通して、たとえば総理、防衛庁長官も知らぬままに、第一線の自衛官の判断にゆだねられた形での要撃の内訓が出されているという問題とか、あるいは今後国民への罰則、いわゆる強制力を持たす形での機密保護法の検討というものも今後やっていくんだという、非常に政府の意図の重大性が今国会を通して浮き彫りになってきたと思うんですけれども、そういう全般の問題はきょうしようというわけではありません。 私がきょうお尋ねをしたいのは、ことしの防衛白書、「日本の防衛」百七十二ページのところに、「万一の場合に際して遺漏のないよう、緊急事態に際して自衛隊がその任務を円滑かつ効果的に遂行し得るための法令整備の検討を初め、広く安全保障の基盤を確立するため、防衛産業の育成、必要物資の備蓄、民間救援組織の整備その他建設、運輸、通信、科学技術、教育などの各分野において国防上の配慮を加えることなどについて、平素から検討を進めておく必要があろう。」と、こういう記述が出てくるわけでありますけれども、これは、私の理解では、防衛白書に科学技術の分野でもこうした検討を進める必要があろうという記述が出てきたというのは、白書としては本年度が初めてではないかというふうに理解をするわけですけれども、まずお尋ねをしたいのは、こういう記述が出てきた経緯といいますか、理由ですね。これはどういう点にあるのか、お尋ねしたいと思います。
○説明員(筒井良三君) いま先生のお話では、「科学技術」という言葉が出てまいりましたのが五十三年度の国防白書に初めてであるというぐあいのお話でございましたけれども、私ども調べましたところ、これは、初めて国防白書を防衛庁が出しましたのが昭和四十五年でございますが、そのときは確かに入ってございません。で、第二回目が五十一年でございまして、五十二年、五十三年と、第四回目をことし出しているところでございますが、第二回目の五十一年以降、この文章はほとんど同文で入ってございます。 で、なぜしからば第一回目の白書にその文章がなく、そして第二回以降それらのものを入れたかと、その背景をというお話でございますが、これは、第一回目の白書は何分にも初めてのことでございますし、防衛庁といたしましてもできるだけ大綱のみにしぼって出したわけでございますページ数にして言うとおかしゅうございますが、ページ数にしましても、第一回目は約九十ページ、第四回目のことしは約二百六十ページの内容に達してるものでございます。 なぜ「科学技術」という言葉を入れたかということは、これは白書にはっきり述べてございますように「広く安全保障の基盤を確立する」ことを目的としたものでございまして、御存じのように、航空機、艦艇等、近代の兵器は、精密機械でありますとか、エレクトロニクスでありますとか、ほとんどすべての近代的技術要素を基盤といたしまして、これを集約的に成立している複雑な技術的システムでありますので、これらの兵器を装備し、効果的に維持運用いたいますためには、どうしても広い技術上の基盤というものがわれわれとしても望ましいと、そういう趣旨から出たものであると存じております。
○佐藤昭夫君 そうしますと、五十一年白書から記述を入れてるんだということでありますけれども、ということであれば、五十一年以降この白書に基づいて、科学技術の分野でいわゆる有事に備えての態勢をどうとるかという問題についての何か具体的な検討をされておることがあるのか。さらに、この白書では、まあ省庁でいけば、「など」という表現にはなってますけれども、いろいろ脱落をしておる省庁もあるわけですね、地方行政の関係の自治省とか、厚生省とかその他——挙げる必要ないと思いますけれども。ということで、幾つかのところを特定をして挙げてきているという点をどういうふうに理解をすべきかということも含めて、いままでどういう検討をそれなら五十一年以降具体的にやってるのか、これから何を検討課題にしようとしてるのか、こういう点についてはどうですか。
○説明員(筒井良三君) 先ほど申し上げましたように、これは広く安全保障の基盤を確立することを目的としまして書いているものでございまして、その際に必要になるであろうと思われるような主要事項に基づきまして、具体例の一つとして「科学技術」という言葉を挙げさせていただいているものでございまして、特に科学技術のどの分野というような特定の期待を行っているものではございません。したがいまして、具体的に五十一年度以降今年度に至るまでの何をどうするかということを、私どもの方として具体的に検討している段階ではまだございません。
○佐藤昭夫君 今後ともですか、この五十三年度について。
○説明員(筒井良三君) 今後とも必要の事態が至れば、当然それは検討することになると思います。
○佐藤昭夫君 五十三年度白書にこう書いているわけですけれども、五十三年度中にこのことを課題に取り上げて、科学技術分野で具体的検討に入ろうという、そういう計画はあるのかどうか。
○説明員(筒井良三君) これは防衛庁以外のことを私どもとして国民に広い基盤としてお願い申し上げていることでございますので、防衛庁側としては計画、五十三年度具体的に持ってございません。
○佐藤昭夫君 そうすれば、長官にお尋ねをいたしたいわけですけれども、この白書というのは閣議確認事項といたしますか、閣議で内容を確認をして発表されると、こういう手続をとられていくわけでありますけれども、科技庁といいますか、科学技術庁長官として、この科学技術の分野に即して五十三年度、いわゆる有事に備えての何かの具体的検討を科学技術の分野でやろうという何か考えはあるんですか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) こういうことが白書にありますが、別に具体的に特段のことは考えておりません。
○佐藤昭夫君 そういう特別に何かを具体的に考えていないのに、こういうことを言葉のアクセサリーだと言わんばかりの言い方ですけれども、いろいろ国民の中に不安と疑惑を巻き起こすようなこういう表現がこの白書に出てくるというのは、これはもうきわめて政府の責任として適当でないというふうに思うんです。 念のためにお尋ねするわけですけれども、科学技術庁長官、原子力行政は、これは原子力基本法にも明記もしていますし、さきの通常国会における基本法改正の審議に当たって附帯決議もつくったと、その一項目にも入れています。あくまで平和利用に限定をすると、こういうことで今日まで議論をしてきたし、科学技術庁ももう繰り返しそのことをされてきたということで、ゆめゆめ核兵器研究というようなことを今後課題に取り上げようという意図は断じてないんでしょうね。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 申すまでもないことでございます。
○佐藤昭夫君 もう最後です。 そういうことで、私は非常に妥当性を欠くといいますか、いたずらに国民の中に不安と疑惑を呼び起こすような、こういう表現がこの白書に出てきているということについてはどうしても納得できません。しかし、いま幸い科学技術庁長官か、そういうことは当面は何も考えてないし、またゆめゆめ核兵器研究というよえなことはつゆにも思っていないということでありますけれども、これがこの場限りの答弁ではなくて、本当にそういう立場で徹し切って今後やってもらうということを重ねて強く科技庁並びに防衛庁に要望をして発言を終わります。
○中村利次君 さきの常会で原子力基本法の一部が改正されまして、まだまだ私は原子力行政が完璧だったとは思いませんけれども、とにかく新たな事態を迎えることになったわけです。ただ、どういうことですかね、骨になる安全委員会の委員の任命について、両院の同意が今日現在得られていないということもあるようでありますけれども、午前中の何か質疑だったか御答弁だったかを聞いていると、その委員の任命について野党からだけではなくて、与党からもクレームがあったような、そういう印象を受けたんですけれども、これは私は政府が任命することに与党からクレームがつくというのは、どうもわれわれとしては余り考えられないようなことで、小佐野さんの委員任命のときでも、与党は困った困った、大変困ったけれどもが、採決までして賛成をされたわけですけれども、これはどういくかわからぬけれども、しかしそういうことを聞きますと、何か任命についてかなりやっぱり政府は公正の立場を守ろうとしているんじゃないかというそこはかとない感じにもなります。 ただ私は、政府は原子力の開発を進めようとしているわけですから、原子力反対である、これを阻止するんだという立場の人たちと委員の任命についても考え方が違うのは、これは当然だと思うのですよ。むしろ、私も開発を進めるべきであるという立場でありますから、余り都合のいい者ばかり集められるようなことがあっては、これは本当の開発の促進にならないので、特に安全委員の場合には、場合によっては政府にとっても都合の悪いような、ブレーキもかかるような、そういう人があってもいいという気がするんです。正しい運用であれば。ただ、全く足を引っ張ったり、開発はさせないんだという立場の人が委員になられたんでは、これは私は全くどうしようもないと思います。ですから、与党からもクレームがついたというのは、ある意味じゃ健全じゃないかという気もしますが、しかしそれは別として、とにかくこれは安全委員会の委員をできるだけ早くそろえて発足をしなければならない。 言うまでもなく、原子力の開発というのは人間の幸せのためにあるんですから、したがって、安全性に憂えあるようなことは、これは人間を不幸にするんですから、前提として断じてこれは許されることではない。こんなのは前提として当然のことですけれども、安全性についての責任体制、それから原子力行政についての責任体制の一元化といいますか、一貫化といいますか、こういうのがやっぱり求められておると思うのですけれども、まあ任命問題はそういうことでしょうが、移行について作業は順調にいっているのですか。
○政府委員(牧村信之君) 先生御指摘のように、安全委員会の人選はまだ国会で御承認を得られていない段階でございますので、器はできて人がいないという残念なことになっておるわけでございますが、その他の準備につきましては、私ども科学技術庁の中に、安全委員会のダブルチェック等をいたします事務局として安全調査室というのをこの四日に発足させまして、まだ一〇〇%の定員充足はしておりませんけれども、数名の人間を専任させまして準備を進めておるところでございます。また、その他の既成各課、安全局の各課もこれにバックアップいたしまして作業を進めているところでございます。で、法律によりますと、法律公布の日から六カ月以内に一貫化をすることになっておりまして、そのための準備につきまして、ただいま申し上げましたような体制で関係行政機関と協議しつつ準備を進めておるという段階でございます。したがいまして、私どもとしては、この準備作業でほぼ順調に一貫化の体制移行ができるんではないかというふうに考えております。しかしながら、いずれにいたしましても、その一貫化のための手続の中には安全委員会の意見を聞いて進めなければならないもの等がございますので、一刻も早い安全委員会の実質的な発足を祈願しておるというのが現在の段階でございます。
○中村利次君 いや、まさにそのとおりですよ。これは法改正をやって器ができたわけでありますから、これはもう一日も早く、一刻も早く順調にそういう体制に入っていってもらわなければ困ると思うんですけれども、運輸省や通産省に私は質問通告をやっておりませんので、きょうはその問題について伺おうとは思いませんが、やっぱり私はこれは大変に関心がありますから、法改正をして新体制に移行していくのだが、果たしていろいろ議論をされたことが原子力行政の中に正しく生かされるであろうか、各省庁との連携等も順調にいっておるんであろうかという関心が非常に強いんです。そういう点はまだこれからの課題でしょうけれども、まあまあ何とか進んでおるということだと受け取ってよろしいんですか。
○政府委員(牧村信之君) 先生のお尋ねのように、順調に準備作業は進めさせていただいておるとお考えいただいて結構だと存じます。
○中村利次君 これは今後の作業の進め方それから中身の問題、これは今後の課題ですから、またいずれ機会を得てただしていきたいと思います。 警察庁と海上保安庁いらしていますね。私だけのあれだそうですから質問の順序を変えて、先に原子力船「むつ」の問題について質問をいたしますけれども、原子力船「むつ」につきましては私はずいぶん取り上げてまいりました。原子力行政についてもあるいは原子力船「むつ」の問題につきましても、やっぱり私は政府として反省すべきこともあれば、私はこれじゃ本当に何やっているんですということもずいぶん政府にも申し上げてきました。どういう言いわけがあろうとも、私は放射線漏れがあったという事実については、これはお粗末というか、言いわけはできないと思いますよ。それから、何回言っても同じですけれども、試運転というのは何のためにあるのだと、それはふぐあいのところがあるかもしれない。何でもそうですよ、自動車であろうと飛行機であろうと、何だって、とにかくテストをする。原子力船でなくたって、普通のエンジンの船だって、これはやっぱりテストがあるわけですからね。ところが絶対大丈夫なんだというムードをまき散らして出力テストをやったところが、上昇試験中に放射能漏れがしちゃったと、それも遮蔽物の問題であるにもかかわらず、どうも遮蔽物の専門家は乗っていなかったというような、まことにどうも不都合というか、お粗末千万なことになったわけでありますから、これは政府は幾ら追及されても私はやむを得ないと思う。ところがそれから先がおかしいのだな。漏れた放射能というのは、私はそんなところ一生住んでみせるようなところに——その十倍、五十倍の放射能のあるところだって、ずっと住み続けてみせますよ。それが、いかにも人体に大変な被害を与える、健康に大変な影響があるというような大騒ぎでしょう。私は地元に行ってはみなかったのですがね、私の仲間が、行った人の話を聞くと、もう目がつり上がっていたというのです。なぜそういう科学的根拠のないようなそういうものに基づいて、原子力船は出ていけというような、そういうことになったのか、責任はどこにあるのか、全く私は本当にまあ不思議で不思議でしようがない。それがいろいろなあれがありましたがね、ありましたけれども、おととい大湊港を出港をしてそして十六日に佐世保に入港するのだそうですけれども、そのとおりですか。
○政府委員(山野正登君) そのとおりでございます。
○中村利次君 まあ報道されるところによりますと、原子力船「むつ」の佐世保入港を阻止をするという動きがあるそうですけれども、何か新聞等で見ますと、舟を五十そうとか幾らとか用意をして「むつ」の入港を妨害というのだか阻止をする、そういうことはこれは科技庁としてもあるいは警察庁としても承知をしておられるわけですか。
○政府委員(山野正登君) そのような情報があるということは私どもも承知いたしておりますが、従来、私どもとしましては、できるだけ地元の御理解をいただくべく事業団ともども努力をしてまいったわけでございますし、今後とも同じような努力は続けてまいりたいと思っておりますけれども、現在なお一部にそのような御理解をいただき得ない方々があるということはまことに残念だと考えております。
○国務大臣(熊谷太三郎君) いま中村議員からの御発言に対しまして原子力局長からお答え申したわけでございます。こういう世の中でございますから、いろいろな問題に関しましてもやはり反対があるということは、これはもうとうていやむを得ないことでありまして、そういう反対が法の許すもとで適当に行われるということは、もとより覚悟していたところでございます。ただし、一部にこれを実力で阻止するようなあるいはうわさといいますか、そういうなにが流れておりますことも、いま局長から言ったとおりであるかと存じます。われわれとしましては、こういう民主主義の国である、法治国でありますから、そういう、法を無視したような行動がとられないことを心から祈っておる次第でございます。
○中村利次君 それは国の決定であろうと、あるいは、何というのですか、国の最高機関といわれる国会の決議事項であろうと、反対は反対として、その反対する人たちがあったってやむを得ないでしょうし、そういう行動もあると思います。 さっきもお昼休みに、愛国党という看板をかけたトラックが、まあ会館の真ん前の道路で、やあやあ……あそこの窓を閉めていてもガンガン入るようなボリュームを上げて日中平和友好条約反対のあれをぶっていました。警備している警官隊もずいぶんいますし、こう見てたんですがね。道路交通法から言ったら、道路のあの中央部分に駐停車はできないはずなんだが、やっぱり何か言っていますよ、警官が言っているけれども動かない。相変わらずがなり立てておる。それを警察の大型車が三台で道路を全部ふさいじゃっているんだから普通の一般車が交通どめになっちゃっているんですよ。一般大衆は大変に迷惑ですけれども、あれを見ていて、あそこで逮捕するということは、ちょっとやっぱり見てても少しこう過剰警備じゃないかという感じもありますよ。しかし、あれはいわゆる殺傷しようというようなあれは見られませんよ。成田の場合なんか殺傷だ、これは。それから、この反対派の人たちのやり方が——私は現地にも行きましたけれども、ことしの四月、これは原子力ではなくて、石川県の七尾の火力発電所の建設に関連する海の一部埋め立て作業について傷害事件があったんですよ。これなんかだって全くどうも私はわからないんですよね。警察あるいは地元の海上保安部、これがいて重軽傷を負っているんです。まる腰の作業船が襲われて作業員が。そうしてその凶器というのはとびぐちなんですよ。私は病院にも行って見舞ってきましたけれども、とびぐちをたたき込まれたらたまりませんよ。そういうのが起きておる。これは私は、発想では成田の暴徒と何かどこが違うんだろうと思った。当然裏づけ捜査をやって八人か九人かの重軽傷者を出した加害者が逮捕された。十四人でしたかな。ところがですよ、地元の新聞なんかに記事として載っているんですが、「われわれは北陸電力の攻撃に対して正当防衛をやったんだ、これを逮捕するのは警察権力の弾圧である」なんて、私はこんな音がどこから出るんだか本当に——まあ、攻撃とは何だと。これは長年の経過があって、去年の十月に石川県知事が埋め立ての許可を申請によって出しておる。それから県が音頭取りをして、反対派の人たちとの話し合いを認可期間の六カ月間に七回ばかりやっているんですよね。四月が期限切れ、三月の三十一日に県は、もうこのままこの話し合いを続けたんでは全く進展がないというので、その話し合い組織の解散を通告をしておる。それで、県にも市にも反対派の人たちにも全部、作業を四月の二日にやりますという連絡をして始めたらそういう傷害事件が起きた。で、そういうのを、攻撃である、だからおれは反対するんだ、それを進めるやつはわれわれに対する攻撃だという、そんなばかげた——だから、反対の仕方だと思うんだな。反対するのは、これは民主主義国家、自由主義社会において、反対しちゃいかぬとかなんとか、そういうばかげたことはないわけでありますから……。人を殺したりけがをさしたりしてまで反対をするんだが、実力行使をしても反対するんだが、それはわれわれの正当防衛であるという発想はおかしいんだ、これは。成田だって私は——どうですか、あの成田で、警官の死傷者か成田闘争と称するもので何人ぐらい出ていますか。
○説明員(依田智治君) 殉職者五名、負傷者が三千八百人でございます。
○中村利次君 それじゃ、攻撃側の方の死傷者はどうなんですか。
○説明員(依田智治君) 攻撃側の方は、向こうの方の実態がなかなかつかめませんのですが、はっきりしているのでは、昨年ですか、鉄塔を撤去したときに東山薫という人が死亡しているというのが確認されております。
○中村利次君 私は、やっぱりわれわれもそれから国民も事態について正しい認識を持たなければいけないと思うんですね。どっちに対してどうこうというんじゃなくて、そして正しい事実認識を持った上で、われわれは警察の過剰警備であるとか、あるいは反対側のやり方がどうも腑に落ちないとか、そういう議論のならなきゃいけないと思うんだけれども、どうも日本の良識というのは何かおかしくなったんじゃないかと思うのは、いわゆるあのゲリラ側というのがいいか、反対する人たちの中で一人でも死亡者が出るといったら物すごいんだな、これは。過剰警備であり、何か、水平撃ちであるとかそんなのでまあまあ物すごい。われわれも、人命はとうといんだから、何が何でもそういう、人が死亡するようなトラブルがあってはいかぬと思う。しかし、警官側の方が五名死んだ、何千人と負傷したということはさっぱりこれはどうも問題にならないんですよね。私はどっちも人間だと思う、日本国民であってね。戸村一作さんなんかは新聞の取材に応じていろんな闘争戦術を発表なさる。われわれが聞く機会があるぐらい、テレビの取材なんかで、こういう闘いをやるんだとおっしゃるのがわれわれの耳にも入る。中にはそのとおりにやられることもある、ゲリラ活動なんかも。そして警官隊なんか死んだってけがしたっていいという、私は日本国民はいないと思いますよ、だのにやっぱり警官隊が多数の死傷者を出す。一体これはどうなっているんだかと思うんですがね。佐世保のこの原子力船「むつ」の入港に際してどういう事態があるかわかりませんけれども、大変な、何千万という巨費を投じて、そういう資金がどこから出るのか知りませんけれども、舟まで買い込んで実力行使で阻止をしようという、容易ならざる感じがするんですが、そういうものを情報としてどう入手していらっしゃいますか。やっぱり反対する人たちのやり方について正しい情報がないと正しい警備の対応はできないと思うんですが、どうですか。
○説明員(依田智治君) ただいまの質問点、当日、極左暴力集団等が舟を出して徹底的に阻止すると、こういうことを言っているわけですが、これにつきましては、極左暴力集団の場合は、やはり原子力船、原子力と、こういうものはすぐ核という問題から軍事的なものにつながるような発想に基づきまして、いずれにしてもこれを徹底的に阻止する必要があるんだと。まあ佐世保というのは軍港的なイメージが強いわけですが、そういうものが行くことによって、何かそれに拡大して物事をとらえているというように受けとめられますが、まあそういうことで、今回についても、極左暴力集団の場合は舟をまだ確実に大量に用意しているという情報はないわけですが、しかし、もう相当数の舟も用意している。場合によっては奪ってくるとか、それから労組員等が別途用意している舟に入り込んで一緒に混乱させるというようなことも言っているというような情報もあります。海上における問題きわめて危険な問題がありますので、私どももこれはもう慎重に対処しつつも的確にこれは規制し、不法行為があれば検挙しなきゃいかぬというように考えております。
○中村利次君 これはまあ実際に海の上は海上保安庁の役割りになるんでしょうけれども、いま極左暴力集団が佐世保に行ってやろうという、そういう御答弁がございましたけれども、一般的にいう地元漁民とか地元農民とかいうのは、まことにこれは事実に反することが非常に多いんです。その証拠に、先ほど申し上げた石川県の七尾の傷害事件では、十四人の逮捕者の中で、職業欄を見ると、漁民といえる人が幾人いますか。農業兼漁業あるいは農業というのが三人か四人にすぎない。あとは全部給料取りですよ。給料取りというのは労働組合の組合員が動員されてそういう加害者になっておるということなんだな、これは。ところが、そういうものは、国民が知らされるのは全部地元漁民なんですよ。地元の反対なんだ。だから、極左暴力集団が佐世保に行ってどういう旗振りをやるんだか……あるいはこれはまじめな反対の人たちもいるでしょう。いわゆる実力行使じゃなくって、反対は反対として堂々と反対をしたいという人もいるでしょうけれども、やっぱり大衆行動になりますと群集心理で、目がつり上がっちゃってふだんの良識がなかなか働かなくなる。そうすると、やっぱり海上保安庁もあるいは警察庁も警官隊も、やっぱり幾らなれていると言っても、流血事件まで起こさないとはどうも保障しきれないような気がするんですけれども、一体どうなんですかね。警備として公務執行妨害だとか何かいろんなあれがあるんでしょうが、どういうことをやると排除できるんですか。ただ舟を並べて入港を阻止すると、そういう場合、これは排除できるんですか。どうなんでしょう。
○説明員(依田智治君) 佐世保港というのは港則法に基づく特定港になるわけですが、その港に入るとなればやはり港則法が適用になるわけですが、私どもいま彼らの反対派がいろいろ計画しておると思われるような事案をいろいろ想定してみますと、まず「むつ」が入ってくる、こういう状況下において前面等に立ちふさがって、行こうとしても行けないというような状況をつくった場合には、刑法で言う威力業務妨害とかさらに往来妨害、まあ軽犯罪法にももちろんそういうのがありますが、それとか、さらに火炎びんなどをぶつけるような状況があれば火炎びん取締法が適用になり、艦船の中に侵入するようなことになればそういう建造物侵入と、そういうような問題がいろいろ出てきます。したがいまして、私どもはできるだけ犯罪というのは起こらない前に防止するということが一番でございますので、できるだけ事前に海上保安庁等と協力して、警告し制止するという形をとるということが必要であると、まあしかし、それでもなおかつ危険な状態が見えるという場合には、これは不法行為として現行犯、またはその場合で非常に危険な場合には事後措置として検挙に移るというようなことになろうかと思います。
○中村利次君 私は本当にこれは流血事件なんかに発展してもらいたいくない。全くそれは筋目から言ったら、長崎県会も原子力船「むつ」の受け入れ、これを決めているんですよ。佐世保の市議会も決めているんですよ。民主主議国家において、自分たち長崎県民の代表である県議会あるいは佐世保市民の代表である市議会も受け入れ体制を決めて、そして必要な手続に基づいて原子力船「むつ」が佐世保に入港しようとするのを実力をもって阻止する。反対はこれはいろんな反対があってやむを得ないと思うが、それに極左ゲリラまで参加をしようというのを、何とかこれを防止のしようがないものか。これはもうどうにもならぬわけですか、そういう体制づくりをしていることについては。
○説明員(依田智治君) 私どもは、いずれにしましても、海上その他陸上で大変な事案が起こるということは、これはもう双方——警察にとりましても反対側にとりましてもこれは大変なことですので、できるだけ住民の方々には原子力の安全性の問題等を含めて御理解を得て、いずれにしてもこういう反対行動にこぞって立ち上がるというようなことのないように関係機関にお願いしておるわけですが、その点につきまして、私どものいろいろ現地から受けている報告では、地元の周辺住民がいま一番心配しているのは、どちらかと言えば原子力の安全性という問題よりも、むしろ過激派とかよそ者が来て、われわれはむしろ五者協定とかその他で大多数は協定を結び静観すると、したがって、漁連等につきましても舟は貸さない、それから舟か盗まれないように、極左暴力集団は虎視たんたんと舟盗もうとしていますので、舟を盗まれないようにひとつ十分監視をつける。したがって、警察も十分漁民を守るために盗まれないようにしてやろうというようなことで、むしろ一致してそういうよそ者——よそ者と言うと語弊かあるんですが、比較的地元以外の人たちが来て荒らされることについて不安を持っている状況ですので、そういう問題についてできるだけ地元の了解を広げながら警備をしていくということで考えておるわけでございます。
○中村利次君 まあ反対であっても、堂々と反対される方たちの生命、財産を守るのはこれはもう当然ですけれども、反体制闘争の一環としてこういうものを利用しようとする極左ゲリラなんかも一緒くたにして、何かどうも事件を起こされてもやむを得ないような警備体制では、全くこれは国民にとっても安心できないわけでありますから、これはもう幾ら続けて質問をし要望をしてみたって、何か新たな納得できるような答えは出てこないでしょうけれども、私は、たとえば成田事件だとか、私が現地に行って体験をした七尾の事件等にしましても全く納得できない。人を傷つけて、それで店として反省のないようなそういう反対運動というものが果たして日本にあっていいんだろうかと思いますよ。だから賛否堂々とやるというなら話はわかるけれども、まあ反対側は数が少ないから、少ないからとにかく人殺しでもあるいはけがをさしてでも、あるいは違法な実力行使をやってでもという気持ちにはなるかもしれないけれども、やっぱり同胞同士が血で血を洗うような、そういう反対の仕方には私は大変に問題があると思う。これは警備側の方から攻撃をしかけて殺人事件になったり傷害事件になったりすることは断じてないと見ていいんでしょうから、だからぜひ、これはひとつ警察庁も海上保安庁も、これはもう警備には正しい警備の仕方——過剰だ過剰だと言われるとひるんじゃって正当な警備すらできないということになっちゃっては大変でございますからね。私は、本当に正しく、民主主義国家としての国民の正しい利益を守り得る警備をぜひやってほしいと思いますよ。まあお二人からお気持ちだけでも聞いておしまいにしましょうか、これはもうこれ以上あれしたってしようがないですから。
○説明員(依田智治君) 警察の場合、いずれにしても左右を問わず、違法行為は看過しないということで、あらゆる事象に対処するという構えでおるわけでございますが、ただ法律のいろんな面で制約がありまして、やはりわれわれとしては法手続にのっとった中で、現在のそういう中で対処をするという問題がありますので、どうしても外から見ますと手ぬるいじゃないかと。それで、特に海上の場合には海上保安庁等と共同してやる問題があるんですが、海の上というのは陸上と違いましてまた非常に行動しにくいような面もあります。陸上においては、たとえば事前に職員等によって凶器を取り上げるというようなこともできるだけやっておるわけですが、海上なんかの場合にはなかなか技術的にむずかしいという問題もありまして、今後われわれとしても海上保安庁等と検討していくという問題じゃないかと考えておりますが、いずれにしましても、違法行為はこの法治国家において許されないという構えで、法の手続の中で警察としては最大の努力をする、何とか国民の期待にこたえたいということでございます。
○説明員(村田光吉君) 海上保安庁といたしましても警察と緊密に連絡をしておりますので、先ほど来警察から報告のございましたような情報を全部いただいております。 で、今回の「むつ」の佐世保入港に伴いましても、そういう情報を踏まえまして、まず何はさておいても「むつ」を安全に入港させること。それから漁船、カーフェリーその他一般船舶も多数航行しておりますので、それら一般船舶の航行の安全も図ると、そういうことで事前の指導、警告を十分行いまして、なお、「むつ」入港の当日、その現場ではいろいろな場合が想定できます。そういうあらゆる場合の想定をいたしまして、それぞれその想定に対して有効適切に措置することをいまはいろいろ考えております。違法行為を行う者に対しましては、これはもう厳正に対処するということをこれは基本方針といたしております。 なお、先ほど来も言われておりますように、海上の特殊性、これを十分考えまして、特に人命の安全確保には十分留意するということを、これもまた警備の基本にいたしております。 以上でございます。
○中村利次君 違法行為が露骨に行われておるにもかかわらずやっぱり十分でなかったという実績があるわけでありますから、まあ極左ゲリラなんというのはこれはもうつける薬がないですから、あんなのはあるいは流血騒ぎまで発展しかねないとは思いますが、その他はひとつぜひ血を見るようなことのないように、私はもう本当に警備当局の御努力をぜひお願いをしたいと思います。 どうも大変御苦労さまでした。ありがとうございました。 それから、あと少しいろいろお尋ねしたいことはありますけれども、核燃料サイクルの問題なんかがやっぱりかなり重大な問題になっておりますが、特に再処理の問題等をめぐって、核不拡散という立場からアメリカとわが国との対立、それから核燃料を持てる国とそうでない国との、対立とまで言えるのかどうか、そういうのが去年の十月INFCEのあれになったと思いますが、特に再処理等を扱う第四作業部会ですか、これが英国とともに日本が共同議長国になっておるんですね、そうですね。大体作業がどういう状態にあるのかお聞かせをいただきたいと思います。
○政府委員(山野正登君) 核燃料サイクル評価、いわゆるINFCEの場におきましては、いま先生御指摘のように、わが国は英国とともに第四作業部会の議長国を務めておるわけでございますが、この第四作業部会と申しますのは再処理についての各種の評価をする部会でございまして、一つは、従来の再処理方式について、いま一つは、これにかわる別途の代替の再処理技術について、これを、核不拡散に対する対抗性はどうであるか、あるいは経済性はどうであるか、技術的にどうであるかといったふうな評価をする部会でございます。現在のところは、この評価の基準となりますモデルケースというものの設定を終えた段階でございまして、今後この設定しましたモデルケースにつきまして各種の評価を進めていくというところに差しかかっておるわけでございます。現在の予定で申し上げますれば、来年の五月ぐらいまでにこの第四作業部会としての一次のレポートのドラフトをつくっていくといったふうなことで現在作業を進めておるわけでございます。
○中村利次君 私はこの核不拡散に関連した再処理問題にかかわる日米の対立については、いつかの本委員会でも当時の宇野科技庁長官に申し上げたんですが、日本としてはやっぱり評価できる成果を上げ得たと思っています。それで、これは二年ということでしたね。二年ということで去年の十月に作業を始めて、いまお答えをいただいたような状態にあるそうですけれども、大体これは予定どおり、計画どおり目的を達して作業を終わることになりそうですか。
○政府委員(山野正登君) 当初の予定では、おっしゃいますように二年間で終了するということでございましたから、来年の十月には終了しなければならないわけでございますが、現在の作業の進みぐあいを見ますと若干作業がおくれておりまして、いまのところ再来年の二月ぐらいにこのINFCEの検討が終了するといったふうなことになりそうでございます。
○中村利次君 何ですか、私どもが仄聞するところによると、なかなか国際的な進展の度合いというものはどうもいろいろ問題になりそうなものがあるんじゃないかという気がするんですよ。それで見通しはどうでしょう。
○政府委員(山野正登君) このINFCEにおきます作業というものは、核不拡散の強化という問題と原子力の平和利用の推進という二つの相反する目的につきまして、これを何とか両立する方法を技術的にあるいは制度的に考えていこうというのがこの作業の目的でございますが、この参加した四十カ国、いろいろなエネルギー事情を持った国々が集まっておるわけでございまして、全会一致のユナニマスな結論というのは得がたいようなもともと性格を持ったものでございます。現在のところは、たとえば日本と米国あるいは西独、イギリス、おのおのエネルギー事情が違いまして、現在おのおのの国が考えております原子力開発利用の方向というのも若干ニュアンスがあるわけでございますけれども、きょう現在のところは、各国とも先ほど申し上げました目的に沿ってこぞって努力をしておるという現状でございまして、特に一つの国が自分の固有の見解を強く申し述べるために作業が停滞するといったふうな事情にはないわけでございますが、しかし、これがいよいよ一番最後のまとめの段階に入りましたときには、一致した一本の見解にまとめるということは、これは理想ではございますが、なかなかむずかしかろうと考えております。 ただ、やはり原子力の開発利用というのは、日本のようなエネルギー事情にある国におきましては一日もゆるがせにできない問題であると考えておりますので、何とか再来年の二月ころには、たとえば少数意見等を併記してでも結論を得まして、国際協調のもとで原子力平和利用が進めていき得るといったふうな状況に持ってまいりたいというふうに考えております。
○中村利次君 もう時間がなくなりますからぼちぼちおしまいにしますが、とにかく私はそのエネルギーバランス等、中期、長期の見通しからいきましても、やっぱり日本の場合には軽水炉から高速増殖炉、まあ、午前中でしたか先ほどでしたかCANDU炉の問題ございましたけれども、しかしやっぱり本命は何といっても軽水炉から高速増殖炉、それから二十一世紀の、どういうことになりますかね、太陽熱から核融合というぐあいにつないでいくのが本命だろうし、それからやっぱり地球上がそういうエネルギー開発をやらざるを得ないというぐあいに見ておりますから、したがってそうなりますと、まあ特にわが国の場合はこの核燃料サイクルの問題は大変な問題だし、再処理とプルトニウムの取り扱いが第四作業部会のはずですけれども、こういうのは大変に関心が強いんですが、なかなかむずかしい問題でね……。アメリカやオーストラリアやカナダとわが国との立場というものは、これはもうなかなか同一土俵の上で議論をするのはむずかしいということはわかりますけれども、どうもこれは余り大した期待を持たない方がよさそうですか。そうなると、これは来年の十月が幾らかおくれて再来年の二月ですか、二月ごろということになりますとどういう結論になりそうですか、むずかしいですか。それだけお伺いして、またあとはいずれの機会かにします。
○政府委員(山野正登君) 昨年行いました日米の再処理に関する共同決定を見ましても、これは当時再処理をしてプルトニウムの利用を図り、ウラン資源を有効利用しようというわが国の立場と、当面は商業的な再処理というものは延期しようという米国の立場と、非常にまあ対照的な立場にある二国間が協議をしたわけでございますが、結論はお互いの立場をよく理解し得まして一本の共同決定というものにまとまったわけでございます。 〔委員長退席、理事塩出啓典君着席〕 そういった貴重な経験から見まして、現在行っておりますINFCEの作業と申しますのは、これは二国間ではなくて多国間による国際的な努力ではございますが、私はやはり人間生活、社会生活にとりまして新しいエネルギーの開発というのは、これは不可欠な問題でございますので、そういう観点から、原子力平和利用というものが世界各国にとりましてゆるがせにできない問題であるということも事実であろうかと思いますので、核不拡散の強化のためのいろいろ技術的な検討であるとか制度的な検討というものにつきましては、いろいろな意見はありましても再来年の二月には何とか大半の参加国が納得し得るような結論というものはある程度期待していいのではないかというふうに考えております。 で、こういうふうな国際的な努力というのは、今回二年間のINFCE作業だけでおしまいというわけではございませんで、その後また引き続き次の国際的努力というのが行われて少しもおかしくないわけでございますから、まあ一歩一歩国際的にそういう努力をしながら人類共通の解決策というものを見出していくということになるんではないかというふうに期待いたしております。
○柿沢弘治君 それでは、海洋開発の現状とこれからのあり方について質問をしたいと思います。 昨年、二百海里時代が到来したということで海洋に注目が集まっております。わが国は四方を海に囲まれた島国でございますから、この二百海里ラインを現在国際的に認められているように引いてみると、それによって囲まれる面積というのは、現在の国土面積の約十二倍、世界で第六番目の広さになるということを先日伺いました。これからの日本の増大する人口、そして、現在でもすでに過密な社会を形成しているわが国にとって、こうした大きな利用可能地域というものの存在は非常に大きな意味を持ってくることになろうと思います。その意味で、この海洋空間の合理的な開発利用が国民生活の向上と発展のために不可欠になってくることは明らかだと思います。しかも、海洋においては、わが国が現在直面している資源やエネルギーの問題、それへの解決につながる各種の鉱物資源や海洋自然エネルギーが豊富に賦存しているわけでございます。しかし、現在の日本の体制を見ますと、このように重大な海洋開発に対して国民の関心もしくは行政の姿勢というものが必ずしも十分とは言えないというふうに思います。現在、政府として海洋開発について、海洋開発の現状についてどう見ているのか、その辺をまず総括的にお聞きしたいと思います。
○政府委員(園山重道君) 海洋開発につきましては、ただいま先生御指摘のように、これからの非常に重要な問題であるということを認識しております。特に、先生も御指摘のように、新しい海洋法秩序時代というものが出てまいりまして、二百海里経済水域の問題等が出てまいります。御指摘のように、二百海里の領域を含めますと非常に日本としては新しい管理すべき水域が出るわけでございます。これについての海洋開発という問題については非常に力を入れなければいけない、このように考えておるところでございます。先生御指摘のように、政府としての施策もまだ低調ではないかという御指摘でございますが、科技庁といたしましては、この重要性を認識いたしまして、いろいろな面におきましてこの海洋開発について非常に大きな努力をいたしておるところでございます。
○柿沢弘治君 もう少し具体的にお伺いをしたいわけですけれども海洋開発の推進に当たっては、陸地の開発と違って海洋固有の開発のための科学技術というものが開発されなければいけないというふうに思いますけれども、その面で、欧米の海洋先進国といいますか、そうした国々に比べて、わが国の研究開発の現状、その推進の体制とか研究開発費の比較とか、そういうものは一体どうなっておりますでしょうか。
○政府委員(園山重道君) 御指摘のように、海洋開発、いわば今日の新しい海洋開発というのは非常に広範囲の技術の総合的な総合技術としての推進をいたさなければならないものと考えております。日本は従来から水産あるいは海運と造船といった面では非常に進んでおったわけでございまして、今日でもそういう面につきましては、相当程度の世界的にも誇り得る力を持っているわけでございますが、今日新たに海洋開発ということが言われておりますのは、やはり海の中、海の底に対しまして新しい科学技術を活用して、海洋の持っております資源・エネルギー・空間というものをより有効に活用していくということであるかと思うわけでございますけれども、先生御質問の欧米等に比べて日本の状態がどうかということでございますけれども、ただいま申し上げましたような昔からの水産、海運あるいは造船技術をベースといたしましたところの石油掘削装置の建造といったようなところでは相当な力を持っておるわけでございますけれども、海洋開発の前提になります海洋の調査の技術でございますとか、あるいは海の中におきましていろいろ作業をいたします海中での作業技術とか、そういう面では相当おくれをとっておるところでございます。
○柿沢弘治君 政府のその海洋開発の各項目についての研究費等を諸外国と比較した数字等はございますでしょうか。
○説明員(島田仁君) いま世界の海洋開発、非常に進んでいる国とおくれている国があります。一番先進国がアメリカで、それに次いでフランスということです。自由世界はある程度わかりますが、共産圏はちょっとなかなか情報が入っておりません。 で、自由諸国の中でアメリカ、フランス、日本を比較しますと、現在得られている数字でいきますと、基礎的な開発費としては、日本はアメリカの十分の一の投資水準というふうになっております。ただ、この数字ちょっといろいろ国によって統計のとり方が違っておりますので、正確に突き合わせるとなかなかむずかしいところがありますが、大体十分の一と考えていただけばよろしいかと思います。フランスもかなり日本の水準を上回っておりますけれども、フランスの研究開発の中心になっているCNEXOというところと、日本の研究開発の中心をなしておるところの海洋科学技術センターと比較をしてみますと、やはり同じように非常に大きな差がございます。
○柿沢弘治君 海洋開発の場合には、各国とも軍事予算といいますか、そういうものの中でいろいろの調査なり技術開発というものが行われているというふうに聞いておりますけれども、その辺の違いというものはどう評価しておられますでしょうか。
○説明員(島田仁君) いま御指摘のとおりでして、海洋開発の推進というのに各国とも海軍の果たしている役割りが非常に大きいわけでございます。特に海洋の調査というのについては大体各国とも海軍が中心になっている。もちろん気象、海象という通常の民間のサービス業務に関連したものについては、これはそう差はございませんけれども、それ以外の海洋の中の、あるいは海底の調査というものについては非常に大きなウエートを持っておるわけです。日本では海上自衛隊がこの方面においてどの程度の研究水準にあるか、正確な把握はしておりませんけれども、非常に劣っているというふうにわれわれは理解しております。しかも、日本においては、自衛隊とそれ以外の研究開発とは画然と区別されておりますので、軍の影響というものは余り——軍との共同関係はございません。したがって、海洋の調査という点については非常に日本は劣っているというふうに理解しております。
○柿沢弘治君 そうなりますと、いままでの領海の調査自体が非常に立ちおくれていたと思うのですけれども、さらに、二百海里に広がった海域についての実際の海底調査、まずそれがなければこれからの開発の基礎が立てられないわけでございますが、その辺については、現在の体制ではどの省庁がどういう形で担当し、二百海里水域全体についてある程度の調査ができるのにどのくらいかかるというふうにお考えですか。
○説明員(島田仁君) 日本で海洋調査を主として扱っておりますのは通称三官庁と言われておるところです。これは水産庁、海上保安庁それから気象庁でして、これは伝統的な海洋の利用に対応した調査機関であります。これが現在も海洋調査の中心をなしているわけですが、先ほど私どもの局長から話しましたように、海洋の利用という、利用の範囲が急速に広がってきたのに対応した新しい海洋の調査という点になかなか対応できずにいるのが現状であります。これをどういう形で今後対応していくかという点が現在非常に大きな問題で検討されております。こういう従来から担当しております三官庁の調査機構を拡充していくのか、あるいは新しい需要に対応した調査機関というものをつくるのかという問題は、いま緊急の問題として検討を進めております。 それではどれぐらいたってそういう各国の水準に追いつくのかという点は、これは今後の力の入れ方によりますけれども、われわれは一般的にごく大まかに言って十年はおくれているという感覚でおります。海外並みの力の入れ方をして十年と。しかし、これは緊急に力を入れていけば相当縮めることは可能になると思います。
○柿沢弘治君 その海洋の調査に関しましては、まあ組織をいま拡充をするのか新設をするのかという問題がありました。その意味では、人員なり資材なり調査船なりの思い切った拡充ができるかどうかというのが一つの問題になると思うんですけれども、先ほど局長からでしたか、海洋調査技術について日本は海外に比べて立ちおくれがあるというふうにお話がありましたけれども、もし人員なり資材なりが整備拡充されるとして、技術の面での立ちおくれというのはどういう分野であるのか、それをキャッチアップするにはどうした方策が必要なのか、その辺を教えていただきたい。
○政府委員(園山重道君) 海洋の調査、特に海中、海底に関しましての調査ということがこれからの海洋開発の前提として非常に重要であるかと思っているわけでございます。ただいま課長が御説明いたしましたように、従来の三官庁による調査について今後どうしていくかということが海洋開発審議会その他いろいろ検討されているわけでございますが、私ども科学技術庁の任務といたしましては、やはりこういう調査ができる調査の能力をつける必要があるということで、私どもが所管いたしております海洋科学技術センターにおきましていろいろと調査の研究開発を行っておるところでございます。たとえば、まず深海に対しましては、現在二千メートルまで潜水可能な潜水調査船というものの開発を今年度から四年計画で始めております。また、広い海域にわたりまして能率よくこれを観測いたします新海洋観測システムと称していろいろな方法を総合的に駆使するプロジェクト、この研究開発のプロジェクトも行っております。 また、やはり何と申しましても、人間が直接海の中に参りまして、みずから見たり作業したりということがこれも調査の非常に有効な手段でございますので、少なくとも大陸だなを構成いたします部分、つまり水深三百メートル程度までは人間がもぐりまして、実際の観測あるいは作業等をするような有人の潜水技術、こういうものも現在海洋科学技術センターを中心に研究開発をいたしておるところでございまして、こういった手段を整えまして、それを駆使して総合的なプロジェクトとして日本の海洋調査というものをどういう体制でやっていくかということは今後各省庁関連するところが非常に多うございますので、海洋開発審議会等の場におきまして十分検討していただきたいと思っておるところでございまして、私ども直接にはこの海洋科学技術センターにつきまして、予算面でもあるいは人員の増加につきましても相当な努力をして要求を行っておるところでございます。
○柿沢弘治君 政府なり政府機関の研究開発体制のあり方については後ほどお伺いをしたいと思いますが、一時沖繩の海洋博その他で海洋開発が脚光を浴びた時期がございました。その海洋ブームといいますか、そういうものがやや下火になってきている。それに伴って民間の海洋に対する関心といいますか、海洋開発に対する研究投資その他が停滞をしているというふうに聞いているわけでございますが、私どもとしては、二百海里時代を迎えて、これだけ豊かな資源エネルギーを有している海洋というものについて本格的に開発に取り組んでいこうとすれば、国の機関と同時に民間の企業がそうした海洋開発についてもっともっと関心を持っていかなければいけないと思うわけですけれども、一時の海洋開発ブームが下火になってきている。それはどういう原因なのか、その辺についてもう一度民間企業と政府との官民一体の開発体制というのをつくるために何が必要なのか、その辺についてはどうでしょうか。
○政府委員(園山重道君) 御指摘のように、一九六〇年代半ば——後半でございましたか、いわゆる海洋開発ブームというのがございまして、それが若干下火になっておるということは御指摘のとおりであるかと思いますが、この十年ぐらい前の海洋開発ブームと申しますのが、御承知と思いますが、やはりアメリカを出発点にいたしましてこのブームが起こったわけでございまして、それは御承知のように、宇宙開発というものが非常にビッグサイエンスといたしまして、いわゆるシステム技術を活用してアメリカでナショナルプロジェクトとして始まった、この手法を適用いたしまして、アメリカがアポロ計画で月着陸を確実にしたというような時代に、よく言われますが、当時のケネディ大統領が「海洋開発は人間に残された最後のフロンティアへの挑戦である」というような言葉で、宇宙開発の手法をもって海洋開発に取り組むということがアメリカの中で非常なブームを呼びまして、これが日本にも伝わってきたということであるかと思います。ただしかし、やはり宇宙開発と海洋開発というのが非常に対照的なものでございまして、特に海というものに対しましては、宇宙と違いまして水圧の問題でありますとか、あるいは水、生物その他がございます。特に海洋を開発いたします場合に、環境保全と申しますか、海におきます生物のエコロジーその他に重大な影響を与えないようにしなければならぬということで、アメリカ自体におきましても、当初のブームが若干反省を含めまして停滞しているというように聞いております。加えまして、最近の国際的な新しい海洋秩序をつくる国際海洋法会議が行われておりますけれども、こういうところで非常に多くの問題か出ておるというようなこともございます。 日本といたしましては、やはりこの海洋ブームが起こりました直後、これは日本だけではございませんけれども、例の石油ショックを初め経済状態が非常に苦しくなってきたということもございまして、当時のブームがそのまま成長するということはなかったわけでございます。しかし、この国際的な新しい海洋法秩序の時代ということを迎えまして、新たにまた海洋開発の重要性が認識されてきたわけでございまして、先生御指摘のように、これからの海洋開発は政府だけではなくて民間との共同関係を強くいたしまして進めていく必要があるということでございます。私ども、当時、もう七年前でございますか、先ほど申し上げました海洋科学技術センター、これは政府と民間の共同出資という形で発足をいたしまして今日に至っておるわけでございますが、その間やはりいまの経済状態の厳しくなってきたということ、それからやはり海洋開発という、総論におきましてはだれしも認めるところでございますが、これを実際に引っ張っていくナショナルプロジェクト的な大きいプロジェクトをつくってこれに官民共同して進んでいくということがぜひ必要かと思っております。私どもは現在この海洋科学技術センターを中心に幾つかの大きいプロジェクトを立てまして、それぞれ去年あるいはことしあたりから発足しているわけでございますが、こういうプロジェクトを通じまして、民間の協力も得まして今後より有効に進めていかなければならないと、このように考えておるところでございます。 〔理事塩出啓典君退席、委員長着席〕
○柿沢弘治君 いまナショナルプロジェクトについて官民共同の開発を図りたいというお話がありましたけれども、ナショナルプロジェクト、具体的にはどんなことを考えていらっしゃるのか、現在の段階で御説明いただければと思います。
○説明員(島田仁君) ただいま局長からお話しました海洋科学技術センターでの大規模な基礎的、基盤的な海洋科学技術開発プロジェクトというのがいま進められているわけです。 現在六つのプロジェクトがありまして、第一は先ほどお話が出ましたが、二千メートルまで深海にもぐり観察、観測作業ができる深海潜水調査船の建造であります。これは本年から、四年の間に債務負担行為のお金を七十五億つけていただいておりまして、これに運営その他含めて約百億円のプロジェクトになっております。 それから第二番目が三百メートルまでの潜水を、人間が直接もぐり自分の手で実際に観測あるいは作業をするというプロジェクトでして、これも現在その主要な作業のための設備として三年間で十億のまず予算を認められておりまして、その建造をいまやっております。それを含めてこれは五十億を超えるプロジェクトになっております。 三番目が黒潮の開発利用プロジェクトです。黒潮は日本の周辺を大きく洗っている海流で、日本の海象、気象に大きな影響を与えるばかりか、魚類の生産に非常に大きな影響を与える、イワシが急にとれなくなるとか、そういうような問題まで黒潮変動に関係がありますが、またこの黒潮は非常に大きなエネルギーを持っております。また日本の周辺を流れ、海洋汚染に対する大きな浄化作用を持っている、こういったものを総合的に調べるプロジェクトをいまやっております。これは先ほどお話しました三官庁の協力も得まして十億を超える規模のプロジェクトになっております。 それから四番目が海域制御技術プロジェクトであります。これは海の自然のエネルギーを活用しながら沿岸の海域を総合的に使えるような技術を開発する、そのために海の中にいろいろな構造物を置いた場合に海流がどう変わるか、海岸にどういう変化が起こるか、あるいは波をどういうふうに消せるか、いろいろな効果を総合的に取り入れながら漁業あるいはレジャー施設、工場いろいろな設備を複合的に利用できるような方策を求めるプロジェクトでありまして、これも約十三億のプロジェクトであります。 それから五番目が新海洋観測システムでありまして、二百海里という日本はいま漁業水域でありますが、将来経済水域という形になってきた場合に、この水域を管理しまた観測するということには非常に大きなコストが従来方法によるとかかります。二百海里というと三百七十キロぐらいありますから、この帯を日本周辺に考えてみると、これは大変なものだということはおわかりいただけると思います。これを総合的に短時間に非常に効率的な形で、したがって低コストで観測監視体制がとれる技術開発でありまして、これは現在のところ約五十五億円のプロジェクトですが、さらに今後大きくなると考えております。 それから六番目が海洋エネルギー利用技術として十一億円以上のお金をつぎ込みまして、いま現在山形県の鶴岡市由良港沖で実海域実験をやっております波力発電の開発であります。これは日本の周辺の波のエネルギー——いろいろ評価はありますけれども、現在約十四億キロワットという評価が出ておりまして、これの一%でも利用できれば大変なエネルギーが得られるわけで、その技術開発をいま進めているところです。 こういうのが海洋科学技術センターにおけるプロジェクトであります。もちろん、各省それぞれ大きなプロジェクトに取り組んでおります。ただ、将来の日本を考えたときに、海洋開発の中心がどこに具体的に焦点が合わされるのかという点がこれから検討しなければならない大きな問題であると思います。その辺がはっきり焦点が定まってきた後、初めて具体的な海を利用するという形の大きなプロジェクトが今後出てくるのではないかと思います。もちろん、いま本四架橋等一兆円の大きなプロジェクトが進められております。ああいうような具体的な目標というのが、たとえば沿岸の総合的な居住空間、生産空間それからレジャー空間としての開発というようなプロジェクトが将来出てきた場合には、これが非常に大きな海洋開発の推進役になってくるんではないかと考えております。
○柿沢弘治君 いま六つのナショナルプロジェクトといいますか、大型のプロジェクトの御説明がありましたけれども、これについての、たとえば国の分担の部分といいますか、財政資金、それから民間の分担の部分といいますか、民間の出資金の部分、これはどういうことになっているんでしょう。
○政府委員(園山重道君) ただいま海洋課長から御説明いたしました海洋科学技術センターの大きいプロジェクトにつきましては、私どもは、やはり海洋開発というのが非常にリスクの大きいものでもございますし、国が主導してプロジェクトを推進していくことによりまして、だんだんに民間におきましてもその力がつくというようなことを考えておりまして、ただいま申し上げましたプロジェクトにつきましては、やはり国がほとんどの資金を持つ形で進めなければならないかと考えております。ただ、国の財政事情等がございますので、先ほど海洋課長が申し上げました数字も、現在私どもが考えておる全体の数字でございます。今後これを予算獲得——後年度多年にわたるものでございますので、できるだけ国がその資金を持ち得るように努力をいたしたいと思っておりますが、やはり、こういったものが民間に対しましても波及していく、民間の力をつけるというためには民間側からの積極的な参加ということも当然考えなければなりませんので、これらにつきましては各年度の予算努力とあわせまして考えていきたいと、このように思っております。
○柿沢弘治君 まあ、官民開発、官民の協力による開発というのが必要だというふうに申し上げましたけれども、それにもかかわらず、いまのは大体国の主導型であるということになりますと、やっぱりいまの予算の増分主義の中で果たして思い切った拡充というのができるんだろうかというふうに懸念をされるわけですが、その辺について、いわゆる予算の増分主義を破って新しく海洋開発に重点的な国家資金の投入をしていくというような仕組みというものが何か工夫をされないものだろうか。それなしには、ちょっと海洋開発、海洋開発と叫んでみても非常に限界があるように思いますが、その辺いかがでしょう。
○政府委員(園山重道君) 御指摘のとおりでございまして、私どももやはり海洋国日本としてこういったプロジェクトというものをぜひ進めるべきであり、また官の主導型で進めなければならない。まあその資金というものをどうするかということはこれからの非常に大きな問題でございます。で、現在まで私ども、やはり科学技術全体の中でこの海洋科学技術というのがどれだけの位置づけをすべきかというようなことも考えまして、概算要求の中でもいろいろと努力をいたしました。私どもの所管いたしております全体の資金の中で、できるだけこれを海洋科学技術に充てるものを捻出すべく努力を続けてきたところでございます。まあ、ある程度この努力によりまして五十二年度予算から五十三年度予算のときには八〇%増の予算確保ができましたし、今度五十四年度予算におきましても約六〇%増の要求をいたしておるところでございまして、御承知のように、全体の要求額が非常に厳しい中で非常にきつい思いをして捻出しているわけでございますが、これからの問題につきましては、なお幅広くいろいろな方策を検討し努力をしていきたいと、このように考えております。
○柿沢弘治君 科学技術庁長官にお伺いいたしますが、現在、福田内閣は景気対策ということで大型の公共事業をやっておられます。それに対して、通常の公共事業だけでは不十分だということで、第三の道ということで福祉施設、教育施設の拡充というものにも乗り出しておられる。しかし、もう少し長い目で日本の将来というものを考えると、一番現在やらなければならないことは、科学技術研究開発に対する国家の資金の重点的な配分ではないかというふうに思います。その点については、昨年来、私もこの委員会で何度も申し上げてきたわけでございますが、どうも今度の補正予算を見ても、そういう方面での政府の熱の入れ方というのはもう一つぱっとしない、見るべきものがないという気がいたしますが、五十四年度予算のこれからの編成を控えて、科学技術庁長官として、何とか総理に直訴してでも研究開発投資を拡充するというお考えがあるかどうか。もう当然やっていただかなきゃいけないわけですけれども、その辺についてのお考え、特に海洋開発問題については、大臣は先般アメリカに行っていらっしゃって、米国の海洋開発の関連施設も視察をしてこられた。いろいろと感想、日本との比較の印象などもお持ちかと思いますけれども、あわせてお話を伺えれば幸いでございます。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 先ほど来、この海洋開発の重要性その他いろいろの御要望、御意見等を非常に傾聴しながら承ったわけでございます。まあ従来のベースから考えますと、最近になりまして大変海洋開発に関しましてもまあそれなりの努力をしてまいりまして、大型プロジェクトも大変いろいろの問題を取り上げてきているところであります。ただしかし、全般的に見ますと、海洋開発の重要性といった問題に対しまして、取り組み方におきましては政府全体として不十分であるというふうに考えております。これはいろいろな点がございますが、民間との協力の問題あるいは政府のいろいろな機関が、従来の歴史的な経緯もありましてはらばらになっておるような点もございます。それに、どの問題にもつきまとう経費の問題もあるわけでございます。したがって、これをさらに飛躍さしてまいりますためには、いまなかなか簡単に考えて、こうということを申し上げるような結論は持っておりませんが、ひとつ直訴もいたしますし、あらゆる方法を通じまして御熱意、また当然国民的な要望にこたえるように努力したいということだけを申し上げたいと存じます。 なお、先般スクリップスの海洋研究所に参りまして、何分専門家でもありませんので十分なことはわかりませんが、非常に豊富な資料のあります学術水族館でありますとか、あるいは深海を掘削いたします船、これはあんまりそばまで行ったわけじゃありませんが、その理屈をいろいろ聞きましたり、あるいは空気中の炭酸ガスが非常にふえてまいりますと気候に重大な影響があるというようなことも、いろいろのデータを示して承ったわけでございます。あるいは海底のマシガンの研究でありますとか承ったわけでございますが、これは世界でも有名な海洋研究所だそうでございますが、これは御承知かと思いますが、州立大学——カリフォルニアでございますか、この州立大学の研究所でございまして、一大学の研究所にこのようなりっぱな施設があるということに非常に感銘したわけでございますが、ただしかし、その経費につきましては、州からも相当出ております以外に、連邦政府から大変な金が出ているということも聞きまして非常に感を深くした次第でございます。 何といたしましても、金を、現在のペースでは、先ほど申しましたように非常にほかの予算と比べまして伸びてきているわけでございますが、この範囲では幾ら伸びましても本当に必要に応じた十分な予算というわけにはいかぬわけでございまして、先ほど申しましたいろんな点を総合的に検討いたしまして、そしてこの際、何といいますか、画期的な考え方でこの海洋開発の研究が進められるような方法なり、またこれに伴う予算なりの拡充を図ってまいらねばならぬと、大変微力でございますから、いますぐに御要望にこたえられるような確信はありませんが、一生懸命やってみたいと考えております。
○柿沢弘治君 海洋開発の画期的な前進に対して熊谷長官のぜひ指導力を期待したいと思います。 先ほど若干お話が出ました海洋開発に関する行政機構のあり方でございますが、海洋開発に関しましては、旧来の海洋利用、そして新しく起こった海洋の利用の仕方、それが各省庁の従来の行政の範囲にまたがるということで、私が聞いておりますところでは、海洋に関しては十三とか十四とか、ほとんどの省庁が関係しているというふうに聞いておりますが、こうした行政機構としての対応の不十分さといいますか、多岐にわたっているという点が日本の海洋開発に対する取り組みを、その大きな目標というものをもう一つあいまいにしているんじゃないだろうかというふうに考えられるわけですが、この海洋開発に関する行政機構、この問題点というものを行政管理庁として検討をされたことがあるかどうか。現在のままでよろしいというふうに判断をしていらっしゃるのか。もしくは、一部にはこの海洋開発関係の機構を統合して海洋庁とか海洋開発庁というのをつくったらどうかという意見もあるわけですけれども、そうした考え方について政府としてどういう態度をとっていらっしゃるのか、それを教えていただきたいと思います。
○説明員(坂本佶三君) 私は、行政管理庁で通産それから運輸省、科学技術庁とその三省庁を担当している者でございます。 先ほど先生からお話がございましたんですが、行政管理庁としまして、組織的に、まあ海洋庁なり、そういった一元化の組織といいますか、そういったものを検討したことはないと私は思います。 それで、実は柿沢先生のお話は、全体として、この海洋開発以外にもたとえばエネルギーの問題あるいは防災の問題等々、何といいますか、いままで国会でもいろいろ御議論になりましたように、わが国の縦割り行政の弊害といいますか、そういったものをひとつ直す必要があるのではないか、そのために一元的な行政機関を設けるべきではないか、そういうふうな御意見が何回か従来ありました。また、いろいろまたこれからもあるのではないかと思うのですけれども、私ども行政管理庁としましては、やはりいまの縦割り行政といいますか、それのいい面も実はあるわけなんでございます。これは、もちはもち屋につかせるといいますか、やはりそれぞれ専門で従来からやっておりましたところが、やはりその新しい問題も処理するという点につきまして、かえって非常にいい場合なんかもあるわけでございます。それを一つにまとめましてかえって融和を欠くとか、何といいますか、日本の社会は若干そういう、非常にファミリアなところがあるようでございまして、そういうふうに、何といいますか、一緒になって果たしてうまくいくのかという点も実はございます。私どもとしては、縦割りのいいところがいまの段階ではいいのではないか。むしろ集めましてかえってやりにくくなるのではないかという感じがしておるわけなんです。ただ、先生御指摘のように、縦割りになりますと、重複とか、何といいますか、かえって非効率な面も出てくるものでございますから、そういう点につきましては、やはりどこか中心になるところがございまして、何といいますか、全体の総合調整を行う、こういうふうなやり方がいいのではないか。 それで、先ほど海洋開発の機構はどうかというお話がございましたんですが、われわれも実は海洋開発の重要性というものは認認しておるわけでございます。ただ、私どもが、何といいますか、行政管理という立場でながめてみた場合に、海洋開発につきましては、先ほど海洋開発課長さんのお話もございましたけれども、核になるようなナショナルプロジェクトといいますか、そういったものがまだあらわれていない。いまのところ科学技術のノーハウといいますか、方法といいますか、流通といいますか、そういったような段階でまだあるのではないか。現在、総理府に海洋開発審議会というのがございまして、そこでいろいろ御議論いただいておるようでございますけれども、その辺の御議論がどういうふうになるかですね。たとえば、一つ宇宙開発という問題をとりますと、総理府に宇宙開発委員会というのがございます。これに非常に、何といいますか、空に飛ばすような、本当に国家的なプロジェクトといいますか、海洋開発でも何かそういうふうな構想でもあれば、また総理府なりそういったところの組織も考えないといけないと思いますけれども、現状においては、大体いまの段階では現状でいいのではないかと、こういうふうに思っております。
○柿沢弘治君 時間が参りましたので、最後に一つだけ伺っておきますが、いまの行政管理庁のお話は、わからないわけではありませんけれども、私どもが役人をやっておりました日本経済の勃興期は、ある意味ではなわ張り争いの中に行政のバイタリティーがあった。ところが、最近はどうもなわ張り争いがお互いの足の引っ張り合いで、前向きのエネルギーになっていないんじゃないだろうか。そういう意味で、私はいまの縦割りというものがある意味で海洋開発の重しになっているというような感じがいたすわけでございます。その意味でできるだけ海洋開発関係の機構を集中していく。少なくとも、たとえば縦割りでも結構ですけれども、そのときに中核になって調整をするたとえば科学技術庁の権限といいますか、そういうものをもう少し強化をして、全体の縦割りのよさと総合調整能力というものとをどうやってバランスさせるか、それはこれからの課題、考えていかなきゃいけない課題だと思うんです。現在の科学技術庁の海洋開発課なり二つの違う仕事をやってますね。一つは具体的に行政の実務としての海洋開発の研究の指導とか海洋開発センターの監督とか、それと同時に各省庁にまたがる海洋開発の技術研究の総合調整、これは一つの機構で十分にこなしていけるのかどうか、もう少し総合調整機能というものを高めていく必要があるのではないかというふうに思いますけれども、その点についての見解を伺ってきょうの質問を終わりたいと思います。
○政府委員(園山重道君) 先生御指摘のように、私ども科学技術庁、私の研究調整局におきまして、海洋開発に関しまして、先生いま二つの面があるという御指摘でございましたけれども、実は三つ持っておるわけでございまして、一つはただいま管理官の話にも出ましたけれども、海洋開発審議会の事務局といたしまして、これは単に科学技術だけではなくて海洋開発全般にわたっての重要事項の審議でございます。現在、ことしの春に、長期的展望に立つ海洋開発の基本的方針とその推進策という総理の諮問をいただきました。現在、非常に精力的にこの委員会が御審議を進めておられるところでございます。科学技術庁はこの海洋開発審議会の前身でございました海洋科学技術審議会時代からその事務局をいたしておりますので、引き続きこの海洋開発審議会の事務局としてお世話をいたしているところでございます。御指摘のように非常にたくさんの省庁が関係いたしております。しかし、この委員の先生方の非常に精力的な御審議が行われておりまして、来年の八月までには答申をいただきたいということで審議が進められているわけでございます。そのほかに先生御指摘のように、海洋科学技術につきましての各省庁の調整と、それから海洋開発センターを監督いたしましてみずから推進するという三つの面を持っているわけでございます。 先生御指摘のように、これらのいろんなものを抱えておると、いろいろ問題があるのではないかという御指摘でございます。これは当然そこにいろいろなむずかしい問題等ございますけれども、関係省庁も大変前向きな御協力でございます。私どもといたしましては、現在の私どもの能力の中でできる限りの責めを果たしたい、このように考えております。今後ともそういった努力をいたしていきたいと思っておるところでございます。
○秦豊君 与えられた時間が二十分ですから、特に答弁側の皆さんの御協力を願いたい。 原子力船「むつ」なんですけれども、確かにいま「むつ」は漂流はしていない。補助エンジンを使って時速十ノット、よたよたとではあるが佐世保を目指している。しかし、私の総論として「むつ」こそがこの日本の原子力行政の粗雑さと脈絡のなさ、安易さ、基礎をおろそかにして実用化を急ぎ過ぎる。すべての欠陥を象徴的にあらわした存在だと私は思う。 そこで科学技術庁に伺いたいんだけれども、今度仮に無事に佐世保に着いて、無事に許可がおりて、無事に修理が始まったという前提で物を言うならば、今度の「むつ」に加えられる修理というのは、「むつ」の構造を基本的に制約するような、基本にかかわるような大きな修理なのか、ほんのささいな修理なのか、その辺どう御認識でしょうか。
○政府委員(山野正登君) 今般行いますのは遮蔽の改修と安全性の総点検でございまして、遮蔽の改修という観点からいたしますれば、私は遮蔽構造につきましてかなり大幅な改造を加えるものであるというふうに考えておるわけでございます。
○秦豊君 そうしますと、もしそれが「むつ」の構造とか設計の基本、大もとに関するものであれば、当然これは運輸省じゃ扱えない、むしろ科技庁のあなた方の許可の範囲に入らねばならない。ささいなものであればあそこでいいですよ、運輸省で。そうすると、あなたの御答弁のニュアンスからすると、当然修理の許可を出す主体というのはあなた方科技庁ですね。
○政府委員(山野正登君) 現在、事業団におきまして基本設計をほぼ終了いたしまして、現在、法に基づく許可申請というものはどういう形で行ったらよろしいかというところを事業団が規制当局と相談をしておる段階でございまして、これは規制当局の方から御答弁するのが適当かと存じます。
○秦豊君 言ってみれば、いろんな関連当局といってもたくさんあるわけじゃないのですからね。だからキャッチボールをいましている最中、調整中だというのはわかるんだけれども、私はこれは運輸省じゃないと思っているんですよ。科技庁から許可を出すのが行政の筋道ではないかという意味合いを込めて伺ったんだが、まだ結論には至らない。そんなに急いでないわけですか、あなた方は。
○政府委員(牧村信之君) 事業団としては、先ほど原子力局長が答弁いたしましたように、ほぼ遮蔽改修工事の計画ができ上がったところでございます。しかし、この遮蔽改修工事を行うに当たりまして、原子力船としての安全上の、被曝の問題、従業員の被曝が改修工事によってどのくらいになるかというような問題も安全審査では当然検討されるわけでございます。で、その辺の外回りのことも含めて、当然、基本設計の変更である、あるいは詳細設計の変更である、どちらにかかわらず出てくるべきところでございます。その辺の最終の詰めを私どもの事前のヒヤリングでは事業団がいま詰めておる最中であるということでございますので、できるだけ早くその作業を進めることを期待しておりますが、それを終えた後で、その法律に基づきまして、どちらの——基本設計の変更許可でいくかどうかというものが決められるわけでございます。まあ、感じから申しまして、私どもはこれだけ大きな問題を起こしたものでございますので、できるだけ慎重な審査をしなければいけないということは当然考えているわけでございます。幸い安全委員会の新設をお認めいただきましたので、この場におきまして、行政庁の行いました安全審査を安全委員会がダブルチェックするという慎重な態度でいずれの場合にも対処していきたい、かように考えておるところでございます。
○秦豊君 いまさら死児のよわいのような面もあるのだが、一体この「むつ」というのは、当初計画は一体どれくらいの予算規模を想定していたのか。昭和三十年代ですよね、ほとんど四十年に間近なころに当初計画はあったと思うんだが、当初計画では一体どの程度の予算規模であったのか。じゃ、いままでに補償を含めてどれぐらいのいわゆる国費を費消したのか、使ったのか。それから今度岸壁に横づけになって、いざ基本設計を含めて、どうかわからぬが修理にかかりますよね。これからどれくらいの国費を投入すればサバンナの二の舞にはならないのか。この辺をぜひ伺っておきたい。
○政府委員(山野正登君) 「むつ」の当初の構想によりますと、これは昭和三十八年当時につくられた基本計画でございますが、総トン数六千トンで主機出力約一万馬力の海洋観測船をつくろうということで建造費を三十六億円と見込まれておったわけでございます。その後船価の見積額が、細かい経緯は抜きますけれども、六十億円というふうなことになりまして、これによりまして基本計画を決定した後建造に着手したといったふうな経緯にあるわけでございまして、過去、大ざっぱに申し上げまして、「むつ」の建造に要しました費用が七十三億円、定係港の施設建設費が二十六億円。そのほか養成訓練、補助金等全部合算いたしまして約二百三億円という経費を投入いたしております。今後三年間の遮蔽改修を済ませました後実験航海に入るわけでございますが、今後十年間の総所要経費というものにつきまして、まだ細かい試算はいたしておりませんが、ざっと申し上げましてやはり数百億円のオーダーにはなるというふうに考えております。
○秦豊君 アメリカと西ドイツの水準に比べて、あなた方が特におくれているという心証はそれほど持っていない。なぜ、じゃあサバンナと西ドイツの貨物船がああいう憂き目に遭ったのかという検証は慎重になさらなければならないと思う。この間、井上五郎氏・前原子力委員長が辞任されるに当たってたしか記者会見を持たれた。そのときに、私特に印象に残ったのは、「この「むつ」という存在こそが私の六年の在任中では最大の失敗であった」ということを述懐しておられた。非常にぼくは正直な吐露ではなかったかと私は思うのですよ。私は、偏見かもしれませんけれども、いまさら、いまの局長のお話をかりれば、数百億もプラスアルファにしてですよ、そしてサバンナの轍は踏みません、今度は大丈夫ですとおっしゃらんばかりなんだけれども、いまごろ「むつ」を積極的に推進する意味合いは一体何なのか。井上さんの言われた方がむしろひとつのさわやかな決着ではないのかという気が私はしますが、どうなんですか。
○政府委員(山野正登君) 四十九年に放射線漏れを起こしました後の「むつ」の扱いにつきましては、これは科学技術庁の枠を離れまして内閣に設けられました、いわゆる大山委員会におきましていろいろ評価検討を願ったわけでございますが、その結論の一つに、現在の「むつ」は放射線漏れは起こしましたけれども、なお適当な改修を行えば所期の開発目標を達成し得るという評価をいただいておるわけでございます。ここで言っている所期の開発目標を達成し得るという中身と申しますのは、私どもの理解では舶用炉の研究開発と申しますのは、同系の陸上の軽水型炉につきましてはすでに実用化されておる研究開発の経験はあるわけでございますが、これに加えまして舶用炉の特性である負荷変動でございますとか、あるいは動揺に対する対抗性といったふうなものは、やはり船に実際に積んでみませんとわからないわけでございますので、そういった貴重な開発目標、目的といったふうなものは、今後適当な改修を行えば十分に達成し得るという評価があったというふうに考えておるわけでございまして、私どもはその大山委員会の線に即して現在再び開発を軌道にのせようと努力いたしておると、こういう状況でございます。
○秦豊君 あなた方はかんにさわるかもしれませんが、やはり国家の損失という、それから大型プロジェクトのあり方、進め方という、そのシステムというのを考えると、これはやっぱり大きな誤りですよ。小さな成田ですよ、これは。やっぱり十数年、あなたの言葉をかりても二百三百億円、あとを含めれば三百億円近いと思うのだが、これは科技庁長官、一体この最大の責めというのはだれが担うべきなんでしょうね。いかがですか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) その責めと言われるのは、御趣旨が十分あるいは届きかねるかもしれませんが、やはり政府が負うべきだろうと考えております。
○秦豊君 確かに方々で言い古されているのは、授業料が高過ぎたという言葉ですね。いまから、岸壁につなごうという十六日を控えた段階で、科技庁長官としては「むつ」の教訓をどう行政に反映しているのか、余り抽象的ではなくて、たとえばいままではこれはできなかったが、これだけはぜひやるというふうなポイントは集約していらっしゃいますか。
○国務大臣(熊谷太三郎君) さあ、どうお答えしたらいいか……
○秦豊君 御自由にひとつ、自在にお答えいただきたいと思うんですが。
○国務大臣(熊谷太三郎君) 私どもとしましては、やはりいろいろな高い授業料であったが、しかし、その授業料でもうあきらめてやめてしまうんではなしに、過去は過去といたしまして、やはりこの貴重な体験を生かして、原子力船の開発目的を達成したいと、このように思っておるわけでございます。ただ、いままでの「むつ」のいろいろな経験に徴しまして、いろいろ反省しなければならぬ点がたくさんあるわけでございます。反省するということは、今後のやはり開発目的を達成していく上において、やはりそれを貴重な体験として生かしていかなければならぬと、こういう意味で反省しているわけでございます。まあその中にいろいろ反省すべき点がありまして、もちろんいろいろ技術的な未熟さといったものは反省しなければなりませんし、あるいはそういう責任体制が十分でなかったといった点もあると思います。まあいろいろありますが、私どもがやはり反省しなければならぬ点と言います中の一つは、さきに申しました、政府に責任があるということを言いましたが、特にその内容になることでありまして、やはりこの原子力船に対するいろいろな理解が十分でなかったと、もう一つ言えば、まあ安全性といったようなことに対してもう少し十分な理解を得られるべく努力すべきだったと、そうして、今後は大方の理解と御認識を求めて開発目的を達成するように進めていくべきだと、こういうことに考えているわけでございます。
○秦豊君 今度あなた方は原子力船の開発事業団を研究機関になさるそうだが、これも反省の一つとは素直にとれない。つまり、基礎をおろそかにして実用を急いだ、順逆があべこべなんですよね。だけど、せめてそれ、いま言ってもしょうがないから、百歩譲って仮に研究機関にするんであれば、独立機関なんて余り肩ひじを張らないで、せっかくあるんだから、原子力研究所とか動燃と連関を持ったシステムの中の一環として位置づけると、せめてそういうふうな考え方は模索していらっしゃるんでしょうかね。
○政府委員(山野正登君) 確かに通常の技術開発で申し上げれば、基礎研究を行い、応用研究に移り、さらに実用化するというのが物の順序だろうかと存じますが、先ほど話題になりました核融合のような新しいものにつきましてはそのとおりでございますが、原子力船につきましては、すでに若干の経験を持っております軽水炉を搭載するわけでございますので、そういう意味でやはりシステムとしての研究開発というのは実際に船に載せて行い得るわけでございますので、それはそれでぜひ進めさしていただきたいと思うのでございます。で、それに加えまして、まあ前回までの国会で御審議の際いろいろ出ました貴重な御意見というのは、やはりこのシステムを構成する機器につきましてその研究を一層強化すべきではないかということでございますので、現在、船の開発を進めております事業団に、新しくそういう構成機器についての研究開発もあわせ行なう機能を持たせようというのが私ども現在検討しておる方向でございまして、これは現在、舶用炉等を初め構成機器の研究をしております原研とか、あるいは運輸省の船舶技研といったほかの機関の機能を損なわないで、できるだけこの同じ組織のもとで整合性のある研究と開発とをやっていきたいという趣旨に基づいておるものでございます。現在の研究の方向というのは、一言で申し上げれば、独立した機関の中で研究機能を合わせ持つというふうな方向で私どもはいま検討を進めております。
○秦豊君 長官がこの前、御苦労様でしたが、渡米されてアメリカ側と一連の交渉を持たれた。それに先立っては、福田・カーター会談でも非常にシリアスなテーマになったのは、日米間のプルトニウムの処理をめぐる交渉です。先般七月に箱根で日米の国際政治安全保障関係の専門家シンポジウムが行われて、今後の日米関係をさまざまに推測をした。そのときに、恐らくプルトニウムの処理を含めた原子力問題が最も熾烈な対立点になるであろう、この矛盾と抗争は激化するだろうということを日米の専門家は包括的に結論づけたわけですね。長官は行かれて、たしか二年間という期間は出ておりますが、しかし、今度東海村にあなた方が予算要求をされるのは、プルトニウム転換施設として本予算の中にたしか一億六千万円、それから国庫債務負担行為の承認をもし得られれば十六億九千万円というふうに伺っているが、これはどうなんですか、日本の原子力再開発、再処理、原子力行政の姿勢というのは、明らかにワシントンとの摩擦を振り切ってもある程度の核再処理能力を含めた核自立政策へ明らかに転換しようとしているのか、すでに転換したのか、転換したから予算要求があり得たのか、この辺は私大変問題が起こってくると思うんですよ。これをぜひ率直にひとつお答えをいただきたいと思います。
○政府委員(山野正登君) 将来日米間で、原子力核燃料サイクルの再処理をするかしないかというのが日米間の非常に大きな論点の一つになるであろうということは御指摘のとおりでございまして、わが国の立場と申しますのは、固有のエネルギー事情から、ぜひ再処理をしてプルトニウムの利用を図りウラン資源の有効活用を図りたいというのが日本の姿勢でございますし、アメリカも原子力平和利用というものを否定しておりませんけれども、現在まだまだほかの化石燃料にエネルギーが支えられておりますので、現在の時点では核不拡散強化という方向に若干ウエートがあるというのが現在の米国の事情でございます。 そういう観点から今後も論点になるであろうと思いますけれども、わが国のエネルギー事情によるそのような再処理の必要性というのは、昨年も日米共同決定によりまして米側の理解を得ておるところでございますので、今後、先ほど御指摘の来年度の予算要求による転換工場と申しますのも、米側の理解を得ながら進めていくものと考えております。 具体的に申し上げれば、この核不拡散のための各種の施策というものはわが国としても検討しており、またINFCEの場で国際的にも検討しておるところでございまして、同じ転換工場と申しましても、従来われわれが考えておりました単体抽出による転換工場もございますれば、また米側等が昨年示唆しましたような混合抽出、もっと核不拡散強化につながる方向での転換工場というのもあり得るわけでございます。そういうふうな方向で、将来米国の理解も得ながら、あるいは、幅広く言えばINFCEの場で国際努力にそごしない方向で十分転換工場をつくり、原子力平和利用というものを有効なウラン資源の活用を図りながら進め得るというふうに考えております。
○秦豊君 残り一分を活用したいと思いますが、日米間の協力も結構だけれども、IEA——国際エネルギー機関、ここにも金も出さない、人も出さない、知恵も出さないという日本が、二十一世紀のはるかかなたにある核融合について、年間十億ドルぐらいはわが輩の責任においてというふうなことを福田さんが言われたのかどうかは知らないが、言わしてもらえれば、ボン・サミットをめぐって、受験生の一夜づけよろしく作文つくって、それで構想を広げる。御本人は気持ちがいいかもしれないが、日本には自主開発研究を進める上では大蔵省という強敵があって——柿沢さんには悪いけれども——国外との協力で十億ドル使えば、国内の研究開発費から大体相当分を割除するというのが大蔵省の一つのルールなんです。だから福田さんのは大変私はむなしい大ぶろしきではないかと思うが、これは大変答えにくいかもしれないけれども、科技庁の答弁めいたものをいただいて終わりたいと思う。
○政府委員(山野正登君) 核融合の研究開発は非常に多額の研究費を要し、また多くの研究者を要するものでございまして、そういう意味で先生御指摘のように国際協力というのは非常に大事なわけでございます。したがいまして、私どもは、現在日米間で詰めております日米二国間協力だけではなくなって、御指摘のIEAを中心とします多国間の協力につきましても鋭意進めようということで、現実にIEAの共同計画にも参加をいたしておるわけでございます。今後とも二国間協力、多国間協力と両方の面で国際協力は十二分に活用してまいりたい、このように考えております。
○委員長(藤原房雄君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後五時四十一分散会