社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 259 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1978/10/19
会議録
○木野委員長 これより会議を開きます。 第八十四回国会橋本龍太郎君他二名提出、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案につきましては、第八十四回国会におきましてすでに提案理由の説明を聴取いたしておりますので、これを省略したいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————————————— 環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○木野委員長 本日は、本案審査のため、参考人として次の方々に御出席をいただいております。 全国消費者団体連絡会代表幹事春野鶴子君、全国環境衛生同業組合中央会副理事長安森公俊君、全国クリーニング協議会会長加藤宏君、全国クリーニング業環境衛生同業組合連合会専務理事宮坂功君、以上、四名の方々でございます。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 皆様には、御多用中のところ御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 本案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べ願いたいと存じます。 なお、御意見をお述べいただく時間はお一人二十分以内でお願いいたします。 それでは、まず春野参考人からお願いいたします。
○春野参考人 御紹介いただきました春野でございます。 この機会を得ましたことを非常に喜んでおります。なぜなら、環衛法は制定当時から、業種そのものも私どもの日常生活に非常に関係の深いものばかりでございました。 今回環衛法の改正が行われるというので、三十二年に制定されました当時のことを思い起こし、関係消費者二十六団体、非常に緊張いたしまして内容を検討いたしましたが、やはり今回の改正は全く改正でなくて改悪である、廃案に追い込まなければということで早くから準備をし、運動も続けてきております。 なぜ私どもはこの環衛法の改正に反対をするのか、そういう点を述べたいと思います。 三十二年に制定実施されましたそのときから、この法律は衛生の衣をつけ中身は経済法である、主として業界の料金カルテル法であるということで、非常な反対もいたしたのでございます。中にはよろいをつけていた。そのことは、私どもが案じておりましたとおり、いろいろな事実になってあらわれました。 たとえば業界の方では、さあ、もう公認されたというふうな意味合いで、組合の申し合わせにより、いついつから料金値上げということを堂々掲示されて、これは公取から非常な取り締まりを受けたのです。その後審議会で、理美容、クリーニング等の基準価格が、非常な精力を傾けて、私もその委員の一人でございましたが、決まりました。そういたしますと、今度はその料金は基準価格、しかもいつの間にか最低価格である、最低料金である、こういうことで、ぐんぐん値上げは自由、安い料金だとうるさいというふうなことで、当時社会も高度経済成長あるいはインフレ、高物価、そういう時流にも乗りまして、あの当時たしか基準料金は、理髪の例をとりますと百四十九円九十一銭、東京ではこれがたしか百六十円に決まったと思います。現在全国平均千八百五十七円、東京等では二千円ないしは二千二百円、そういう価格の自由な値上げを業者の方々はされ、物価対策等でも、これらの値上げは最高であるというグラフが幾つも出たようなわけです。その後、やはりこういうことはよろしくないという空気も強く、相当、暗に抑えられてきておりました。 今回の改正案の提案理由の中でも「消費者の利益」「消費者の選択の利便」、消費者のためにという言葉がやたら使われておりますが、私どもはそういうものを要請したこともなければ、また、議員立法ということで特にお尋ねをいただいたり対話をしたり、そういうあれもありません。つまり、消費者の方からぜひこういう点は改正すべきであるというふうな声はほとんど出ていないのであります。突如ここに改正案が出たのを不可解に思っております。 ところで、今回の改正案の中で最も問題にされるべき点は、小地域で適正化基準がつくられ、規制される、この点であります。これは、前段に申しましたように、非常に料金カルテルのおそれが強い、これが区域適正化と小さくしぼられてまいりますと、高値カルテルがしやすくなり、強化されます。業界の中には、自分たちの営業でありますから、非常な工夫をし、自主的に、自由に消費者と対話しつつ営業されている方々、こういう言うならば低料金でもやれる、それは、みずからのはじきであります。そういうことでいこうとする業者の意向を、はなはだしく抑えます。うっかりいたしますと、知事なり大臣が、余り安過ぎるではないかとかいろいろなことを言いまして、勧告したり、ついには命令を、つまり同業組合の列に入りなさい、並びなさい、それと同じような営業をしなさい。もっとひどくいきますと、営業停止とか罰金。ですから、つまり、幾らかでも値下げをしてサービスするようになることは非常にむずかしい。それには罰則などがある。値上げの方はどうぞ御自由にと、あるいは一定の水準の横並びの高値カルテルを公然といこうとする。 はからずも、私どものそういう心配が決してうそではないという証拠があるのです。二十年の間にはいろいろなことがありましたけれども、ごく最近も、九月二十六日に厚生省の方の御案内で、こちらにいらっしゃる環衛同業組合中央会代表の皆様方が、改正の目的をぜひお話ししたいというふうなことでございました。私ども前々から、どういうあれでも、業界の皆様方と意見交流することはやぶさかでありませんし、同じく東京におりますから、どの業界ともお話し合いをいたします。ところが、厚生省の御案内でありまして、九月二十六日に席を持ちました。それで、何がゆえに改正が必要なのか、ぜひその点を明確に聞かしてほしいということをあれいたしましたら、幾ら聞いてもわからないのですね。ああ、なるほどそういう事情があり、そういう調査をされて、かくも過当競争があり、かくも危殆に瀕している、消費者にこういうふうにこたえたいのだ、何一つ、聞けば聞くほどわからないのですね。お隣にいらしてはなはだ恐縮ですけれども、列席した者全員が、そういう感懐を持った。そしてついに、最後にこちらの方から本音が出ました。やみカルテルをやっていくよりも、この改正によって公然とカルテルをしたいのだ。これが本音なんです。残念ながら、やはりわれわれの心配どおりだったという感を深くしたわけです。非常に残念に思いました。 そのとき、御案内もし同席をされた厚生省環衛局の林課長、これは決して値上げ法ではありませんというふうなお話もあったわけです。私ども消費者団体は直ちに話し合いをいたしまして、この改正案は議員提案でございます。それに対して厚生省がこうではない、ああであるというふうな見解を、そういう席で述べるのはどうだ。そもそも最近の厚生省は、消費者団体が、添加物その他いろいろな点でお出まし願って説明をしていただきたいと言っても、いろいろな勉強会をするわけですが、ほとんどおいでではない。何かといって、うるさいとでもいうのでしょうか。そういう厚生省の姿勢の中で、業界の御案内役を務め、同席をする。大変丁寧でございます。これはちょっと例がないのです。勘ぐりたくありませんけれども、非常に密着度の強さというものにいやな感じを持ちました。わざわざ私ども、これも例のないことですが、そういう行為はいいだろうかどうかというので、消団連並びに六婦人団体の名において、厚生省に公式の抗議文を出したくらいであります。 なお、こういう空気が盛り上がっておりますと、現にこちらにもいらっしゃるようですが、二十年前から、こういう料金で実際われわれはやっていけるのですと言って、いろいろな圧迫に負けないで、言うならば安い料金で堂々りっぱな仕事をされている、クリーニングの中くらいの業者がおられます。この人なんかにはもう明け暮れ、もっと値上げをしろ、もっと値上げをしろ、組合に入れというふうな、一種の圧迫ですね、そういうものが相次いでいるということを、次々に情報を受けております。 次に、カルテルがしやすいという小地域にしぼる、そのことと、前国会の期末に提案理由の御説明がございましたので、私ども、まさかと思いつつ、虚をつかれ、こちらに参りまして、その橋本龍太郎議員の提案理由を伺いました。もう詳しく原文は述べませんけれども、「消費者の利益」「消費者の選択の利便」そういう言葉がしきりに入っておりまして、同席した仲間では、何も消費者が頼んだことは一つもない、あれをやるのは消費者の利益のため、こういうことをするのは消費者の利益のため、何をあの人は言っているのだと言って、非常に憤慨するほど消費者、消費者ということが使われているのですね。ならば、こういうことはどうだろうということが、相当その前に、その議員さんからお話し合いもあり、御質問もあり、対話があってしかるべきと思うのです。そういうことは一切ございません。 振興計画、あるいは営業指導センター、これは全国営業指導センター、全国統轄するものが一つあり、各都道府県に都道府県営業指導センター、これも業界の振興にプラスではありましょうけれども、さあ、ここのところが私どもも非常に注目しているところでありまして、あるいは厚生省の皆様方の横滑り、天下り、受け取り機関になるのではないか。経営といい営業といい、そういうものにそういう方々が堂々お入りになって、数多い業種の皆さん方を陰から動かし、いろいろな、税制の上で、あるいは資金の上で、あるいは融資の上で、補助金の上で、そういうものが組合中央会、そういうところにのみ回っていき、大変なお金をかけてセンターを経営される。その中心というものは厚生省官僚が中心ではないか。まさにこれは官僚の横滑り、受け取り機関ではないか。また、自主的な業界の皆さん方は、自分たちの業種であり、命をかけたこの仕事を、自分たちが工夫、努力して営業していく、それには消費者とともに行くのだ。なお、技術の上では国家試験があり、それから衛生云々の上では保健所、もう昔から目を光らしているわけです。管理経営者云々なんという、途中にそういうものもできまして、非常に高いお金を出して講習を受けるなんということもない。何か陰湿なやり方が多いのですね。 本当に業界の方々の衛生が不備である、事故を起こした、あるいは従業者、客、そういう者に、この薬がよろしくない云々ということは厳重に管理されているものであり、技術の向上、こういうこともまず業者の皆さん方が自主研さんをされる、そういうことが中心でなければならぬと思うのですが、逆に、上からずっと末端まで、末広がり的にすっと一括支配する。現に環衛法はありますし、組合もあるのです。 ところが、不幸なことには、これはちょっと私どももつかみがたいのですが、その席でも組合員とアウトサイダー、そういう御調査をなさいましたか、あるいは料金がどれくらいでいま動いておりますか、あるいは衛生度、技術、薬、そういったことで消費者が何か云々ということを申し出たことがあるか、つまり何にもつかんでおられないようなのです。厚生省の調査によればというお答えがあったり、しかし総括するところ、全員が全員、喜んで組合員となって大いに研究、研さんしていく、共同行為をやるというふうなことが相当薄れているのです。業界別で半数くらいしか入っていない。 ことに、最近、理美容の皆さん方が、若々しく独立されるお店の姿がちまたでも目立っております。ところが、そういう人たちは、伺ってみますと、組合に入っても何のメリットもない、古手のおえらいさん何人かが何かやっているのであって、高い組合費を払う価値はない、こういうようなことで、自由にアウトサイダーとして非常にいろいろな工夫をしながらやっておられる。料金もそれぞれ考えてやっておられる。私どもの方でも、非常に粗い調査でございますが、東京を中心に近県、約百そこそこのアンケート調査をしてみました。理美容、クリーニング、これは総合調髪、ひげそり、カット、子供の丸刈りとか、それから美容でも、パーマ、セット、カット、美顔術、着つけ、マニキュア、それからクリーニングも、ワイシャツ、背広云々、これは基本になるようなところを調べたのですけれども、非常に店の大小もありますし、それから従業員の多い少ないもあります。それから料金そのものが低い方、高い方、非常に傾斜している、自由にあるのです。したがいまして消費者は、そういうものをよく確かめて、大いに選択し、私はこういうわけであそこに行く、こういうわけでカットはあそこに行って、毛染めはあそこに行くというふうな選択を伸び伸びとやることで、業界の方も伸び伸び、いわゆるいい意味の自由競争をされているのではないか。何ゆえにここに横並びに、たとえばいま理髪が千五百円くらいのところも珍しくあります。国会や厚生省の中の理髪云々というのは非常に安いようでございますけれども、安くておかしいという理由は余りないのです。それを二千円なり何なりの横並びの適正基準価格、標準価格をつくろう、薬はこういうものを、時間は何時間かけてこうとかああとか。これは二十年前に私ども体験したわけですが、そうやって、要するに低値カルテルどころか、高値カルテルに行くということは火を見るより明らかです。 川崎あたりでは「信頼できる技術者の店川崎環衛協同組合」、非常に大きな看板をお出しになっている。そのほかの店は信頼できないような印象を受ける。狭い地域で、同じ共存共栄すべき同業者が非常な乖離をする、こういうおそれをもう目の前で見ているわけです。まして、市町村段階になりますと村八分というふうなことも起こりましょう。業界のためにも非常によろしくない。 今日、物価が安定いたしまして、福田総理はほんわかほんわかで、もう物価対策はしないでもいいようなふうにおっしゃっておりますけれど、しかし国民の、庶民の生活は決して楽ではございません。必死に防衛し、必死に闘い、理美容、クリーニング云々というのは、なくちゃ困るのです。これが、これ以上妙なことをなさいますと、いまでも調髪あるいは理容なども、若い人たちはほとんど、自分でやれないかしらというくらいであります。床屋さんに聞きますと、男性の若い人たちの調髪云々で、パーマもかけるようになりましたけれども、むしろ次第に客が減るのではないか。 いずれにいたしましても、申し述べたような、非常に案ずる、危惧する方をたてまえにして、御自分たちの営業をどこまでもめんどう見てもらわなければやれないような、そういうことではいかぬと思うのですね。 お店の繁栄は常に消費者の喜びとともに発展すべきであり、消費者の不平不満、これを直すべきだというところから、改正も立法も行われるべきでございましょう。そういうところに対話がほとんどなくて、間際になっていつもあわただしく、国会、各政党の先生方にのみ丁寧なお話があるというふうなことで、消費者不在ということではいけないと思うのです。 十分きょうお聞きいただきました議員の先生方も、関係の深い業種でございますので、私が申し述べたような事実がありや否や、この二十年間どうであるか、業界の実態というものはどうか、そういう点重々御調査の上、消費者の方にも十分お問い合わせ、意向をお聞き取りの上、慎重にどころか、今回はとりあえずこれは廃案にしていただきますように、切にお願いする次第です。 ありがとうございました。(拍手)
○木野委員長 春野参考人には、所用のため退席されます。 御多用中のところ、貴重な御意見を述べていただきまして、まことにありがとうございました。 それでは、どうぞ御退席ください、 次に、安森参考人にお願いいたします。
○安森参考人 ただいま紹介されました全国環境衛生同業組合中央会の副理事長をしております安森でございます。 中央会を代表いたしまして、環衛法の一部改正について意見を述べさしていただきます。 まず、環衛業の現状でありますが、御承知のとおり、環衛業は、理容、美容、クリーニング業等を初めといたしますサービス業並びに飲食店営業まで入れまして、十七の業種を含んでおります。 これらの営業は、その業者の八〇%以上が従業員二名以下の零細小規模経営者の集まりであります。他産業と比べますと、経済的に非常に弱い職種に属しております。 また、環衛業は、比較的に少ない資本で開業できますから、新規開業が非常に多く、昭和五十二年度における施設数は百九十五万に達しております。これを昭和四十五年と比較いたしますと三三%の増加であります。 また一方では、構造的な不況によりまして、廃業者も年々続出しております。昭和五十二年度を見ますと、前年の施設数の一一・九%が廃業しているのであります。しかし、先ほど申し上げました施設数の増加は、これらの廃業者を除きましても、さらに四・二%純粋の増加を見ておる状態であります。このことは、環境衛生業というものがいかに不安定な営業であるかということを示しておる次第であります。 こういうような主体的な条件を持っております私どもの業界に対しまして、最近の不況のあらしの中で、製造業などから、大資本の流入が環衛業に始まっております。また、雇用の停滞が深化する中で、環衛業に新規参入しようとする小規模店舗の数が続出しているありさまであります。 このように、私どもの業界は、他産業の不況の受けざら的な様相を呈しておりまして、今後とも大資本の流入は相次ぐことが予測されますし、私どもの業界をめぐる経済環境はますます厳しく、深刻化することが予想されるのであります。 したがいまして、零細な環衛業の経営体質の強化を図っていくことが必要であることは当然でありますが、従来、私ども環衛業は、製造業等の中小企業に比べまして、政府の施策の中では日の当たることが全く少ない業態でありまして、今後は、政府の積極的な経営健全化のための指導、助成を必要としている次第であります。 急激な営業人口の増加と大資本の流入によりまして、私ども零細企業であります環衛業は、ややもいたしますと値下げ、ダンピング競争、不当な景品の供与などを含めます過当競争が発生しがちでありまして、健全な経営を維持することをますます困難にするわけであります。したがって、調整事業が必要になってくるわけでありますが、業者といたしましては、いたずらに調整事業にのみ依存するのではなく、経営の近代化、合理化、消費者需要への対応を通じまして、業の振興を図る必要を考えている次第であります。 今回提出されました環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の改正案は、中小零細業者の協業化、共同経済事業の促進、営業の近代化、合理化を図るための環衛小組合制度、振興事業にかかわる内容、調整事業の一部手直し、消費者の選択の利便を図るための標準営業約款制度の創設など、私ども環衛業界が希求いたしております内容が盛り込まれておりますから、この一部改正案の成立を心から念願する次第であります。 次に、今回の改正案の中でとりわけ問題とされております調整事業につきましては、先生方御承知のとおり、この調整事業は、基準料金の算定を計算カルテル方式によるものといたしております。計算カルテル方式は、御承知のように、原価プラス正常利潤以下で営業する、不当な料金競争を抑制するということを主眼としておるわけでありまして、原価プラス正常利潤によれば基準価格以下であっても営業を許容する、その料金を認める方式でございます。 また、昭和三十五年に料金の適正化基準に関する決定が行われました折に、計算カルテル方式で計算した原価プラス正常利潤が、現行の慣行料金と著しい差異のある場合には、消費者の利便等を考えて調整するということが決められておりまして、さらにそれを決める場合には、中央では中央環境衛生適正化審議会、もちろん消費者代表も入っていらっしゃるわけでありまして、地方では各都道府県環境衛生適正化審議会、こちらにも消費者代表がお入りになっていらっしゃるわけでありますが、ここですべてチェックが行われて、そのチェックを経てさらに公正取引委員会との協議を経てこれが認可されるという、非常に厳しいチェックが決められておるわけでありますから、先ほど消費者代表の方がおっしゃったような値上げにつながるものではなく、むしろ基準料金は、昭和三十七、八年の折におきましても、慣行料金を下回る額が決定されているわけでありますから、それらのおそれはないということを申し上げておきたいと思います。 また地域において限定的にカルテルをやるということはカルテルの強化につながらないか、あるいは高料金につながらないかという御疑念があるように拝聴したわけでございますけれども、本来、私どもが実施いたします調整事業は緊急避難的なものでありまして、過当競争の事態が発生した地域に限定して事を運ぶ方が、他の区域にカルテルを及ぼさないで済むという利便があるわけでありまして、そのことは不必要なカルテルの拡大を防止するわけでありますから、むしろ地域に限定することの方が消費者の利便を図ることになると思います。 また、地域でやれば当然他地域との料金の格差が生じて、その地域のみの高料金が発生するのでないかというお疑いにつきましては、各都道府県で設定いたします適正化規程の基準料金は、全国で定められました基準料金を上回らないという仕組みになっておりますから、常に大きな枠で中央で決定されます全国の基準料金が枠になっておりますので、いかに地域を限定いたしましても、特殊な料金形態が発生するということはあり得ないわけであります。 以上申し上げましたように、はなはだ僣越でありますけれども、従来、調整事業を行いまして料金の値上げがあったという御主張につきましては、これは私どもとしては全く反対であるということを申し上げざるを得ないわけであります。特に、昭和三十五年ごろから認可申請いたしました第一回の調整事業につきましては、昭和三十七年、八年に認可が行われましたが、その折にはすでに一般のインフレが高進しておりまして、高度経済成長に移っておりましたから、申請した料金と基準料金との格差がはなはだしく、基準料金そのものは慣行料金を大幅に下回ったという例がございます。 その後の料金の値上げ等につきましては、これは賃金の高騰によるものでありまして、環衛業の料金の中に占める賃金の比重は四八%に達しております。したがって、当然、一般社会の相場賃金が高騰いたしますと、私どもの業界も、最低賃金の適用を受けておる相場賃金を払えない業態でありますけれども、それなりにある程度の賃金の上昇を余儀なくされまして、それが料金に波及しておるということは、私どもも認めるものであります。 さて、指導センターの設置につきまして、いろいろな御意見をあちこちからお伺いするわけでありますが、これはむしろ、私どもの中小零細業者を含みます環境衛生営業は、他のたとえば中小企業団体中央会の指導を受けております。私どもからすれば大手の中小企業者、あるいは商工会または商工会議所、私どもから比較いたしますと大手の業者が、それらの一連の経営指導や情報提供のサービス等を受けておるわけでありまして、私どもはこれらの指導体制の網からこぼれた非常に小さな業者であります。したがって、私どものような零細業者はそういう指導を受ける資格がないのだ、おまえたちはもう黙って勝手に自由にやっておきなさいということであれば、これはもう何をか言わんやでございますが、私どもは、物的なものより人的なものを中心とした営業でございますので、当然国の適切な、御懇篤な御指導をいただくような仕組みをいただくことが好ましいわけでありまして、その運営等につきましては、私どもの十六団体の方から運営者等も出てくることでありましょうし、また専門家等を用意いたしまして経営指導や消費者の苦情処理等が指示されるわけでございますから、これが役所の天下り的なものにつながるおそれはないわけでありまして、商工会議所や中小企業団体中央会もそのようなことはないということを承っておりますから、私どもに限ってそういうことが発生するということは、これは少し事実に対する誤認ではないか、このように考える次第であります。 先ほど申し上げました、私どもがこの法律に賛同いたしまして、この法律に対する評価としておりますのは、たとえば、飲食業などでは生鮮食料品などの共同購入や、あるいは旅館等における配ぜんの共同化、あるいは浴場等の石油の共同備蓄、それらの共同事業を私どもは一つの県のエリアで実施することがはなはだ困難でありました。環衛組合には共同経済事業をしてよろしいという規定があるわけでございますけれども、この規定を運用しようといたしましても、全県的なエリアでは実施できない、効率が悪い、当然一定の限られた区域でそれらの共同経済事業をすることが業の近代化、合理化につながるということで、小組合制度というものが設けられることになっておりますが、これは環衛業の近代化、合理化を促進する上で非常に大きな役割りを果たすものであると私どもは非常に期待いたしておるわけであります。 また、中小企業近代化促進法による振興事業等につきましても、私どもは製造業のように機械化や省力化をし得る部分が非常に少のうございます。御承知のように、労働集約的な、手工業的な要素を持っておるわけでありまして、当然、それら環衛業に存在する特殊な要件を基礎といたしました振興事業というものが必要になってくるわけであります。さらに、御承知のように、環衛業は衛生上特別の規制を受けております。 これらのことを考えますと、この法律の中に、環境衛生業者のための振興指針が設けられ、あるいは組合が振興計画を立てて業の近代化、合理化を図るという、業の特質を生かした制度が設けられようとしているわけでございますから、私どもとしてはぜひそのようにあってほしいと念願する次第でございます。 さらに、消費者の利便の問題につきましては、昭和四十八年の二月二十七日に国民生活審議会が答申されております「環衛サービス業に係る消費者保護について」というものがございますが、これによりますと、「近年、提供されるサービスの内容が多様化し、また技術も高度化したため、これらのサービスの内容は、一見しただけでは消費者にわかりにくくなってきている。また、サービスの名称が、業者によりまちまちであり、誤認を生じる場合もある。したがって消費者の選択の指針とするため、その内容の表示を促進するとともに、クリーニング等についてはその規格化を検討すべきである。」ということが指摘されております。 国民生活審議会には当然消費者代表も御参加されているわけでございまして、これらの答申に御同意なさったと思うわけでございますが、私どもは今回標準営業約款を制度化することによりまして、提供するサービスの内容あるいは施設の内容の表示を適正に行いますとともに、現在社会的にいろいろ問題になっております損害賠償を明確にする、それらの内容を付しました標準営業約款を制度化するということが、消費者の利便あるいは利益を決して損なうものではなく、むしろその反対であるというふうに考えているわけであります。 以上のように、今回の法律改正の内容は、単に調整事業のみを目的としたものではございませんで、中小企業の二五%から三〇%、中小企業の最も下位に属する環境衛生営業の近代化、合理化というものを促進することを目的として案の内容が作成されておりますので、全国環衛同業組合中央会といたしましては、ぜひ一日も早く、先生方の御尽力によりましてこの法案が国会を通過し、いままでほとんど日の当たらない職種でございました環衛業にわずかでも曙光をお当ていただきたく、心からお願いいたしまして、私の意見を終わらせていただきます。(拍手)
○木野委員長 次に、加藤参考人にお願いいたします。
○加藤参考人 御紹介いただきました、私、全国クリーニング協議会会長の加藤宏でございます。 本日は、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案の審議に当たりまして、参考人といたしまして意見を述べさせていただきます機会をお与えいただきましたことに対しまして、全国クリーニング協議会を代表いたしまして厚くお礼を申し上げる次第でございます。 要旨といたしましては、環境衛生立法で、営業上カルテル傾向を強めるがごとき内容の法律に対しましては、原則として反対でございます。 その理由といたしまして、一つ、本改正は、環境衛生営業の適正化の名のもとに、実は営業の規制あるいは市場制限のカルテル強化につながるからでございます。 すなわち、現行法自体が制定当時カルテル色を持つ問題法といたしまして論議を呼んだものでありますが、戦後、経済の不安定な特殊状況下での制定はあるいはやむを得なかったといたしましても、その後、われわれ業者には法の存在が多少忘れられて、日本経済の高度成長は正常な自由競争下にはぐくまれ、伸ばされて、今日を迎えた事実を見逃すわけにはまいらないわけでございます。ゆえに、もし必要ありとすれば、現行法第八条の適用と行政指導によって十分機能し得るものと考えるのでございます。 すなわち、現在の状況下では、正常な経済発展を願うためにはむしろカルテル緩和の方向に進めるべきであるのに、過当競争防止に名をかりてさらにカルテルを強めるがごとき法の制定は、時代逆行とも言うべきで、われわれはその必要を認めることはできないのであります。 第二番目としましては、法律案の内容においても過当競争の防止を挙げられていますが、過当競争とは何をもって過当とし、どの辺までが適正な競争と言えるか、その判定と、その規制適用ははなはだあいまいたらざるを得ません。また、過当競争発生の原因も複雑多岐であり、法の適用、措置、範囲の判定等、これが実施上はなはだむずかしい問題を含み、かえってマイナスとなるおそれがあるわけでございます。 第三といたしまして、立法の趣旨に弱者救済を挙げていますが、弱者としからざる者の区別、次に弱者発生の原因、これもまたはなはだ複雑多様であります。しかも、正当な自由競争にもたえられない自己内部体質上の欠陥者を、環衛法の適用対象とどう区別するか、はなはだ困難な問題であります。この適用を誤りますと、法の陰に隠れた怠け者をかばうことになったり、法をかさに権力者の横行となるおそれがあるわけでございます。 次に、法の公正、平等。 改正法の内容は、環同組合及び中央会の権限強化拡大と、環衛行政指導ラインの強化を目指しております。環衛法による法的組合の拡大強化は、その方向としては誤りではなく、法で認められた唯一の組合であるという優位性に立って、業界のリーダーとして、その組織、運営が適当でありさえすれば、ことさらに法による強化を要しないはずであります。しかるに、クリーニング業界に例をとれば、環同組合は三分の一程度の人員で、アウトサイダーが断然多いという事実を真剣に考えて対処する必要があります。 すなわち、問題の核心は法的制度でなくその体質であり、内部症状にあるわけであります。この内的問題を外からの法律や政治にすがって何とかつくろうとするところに、根本的な誤りを犯していると指摘せざるを得ません。 法は公正でなくてはなりません。環衛業者全体に至大な影響を持つ本件を、三分の一程度の人員の環衛組合の的外れの強化、拡大に使われ、他の業者や消費者が甚大な損害を受けるような結果を招くことには絶対に賛成がなりません。 第四に、内容に対する杞憂。 過当競争防止のための料金統制また小組合の新設、行使区域の限定は小範囲、小区域で内面的競争を激化させ、強い者と弱い者との格差を増し、弱者救済とは逆の結果を招くおそれがあります。 振興計画、経営指導体制、営業指導センター、標準約款、登録制、調整指導事業の実施等は、関係官庁の仕事の増加と、これに直結する指導センターなど団体組織の新設となり、長期の経済不況に対応する国を挙げての省力化方針に背反し、目指すところの効果と実施上起こるであろうデメリットを、実際に即して慎重に対比検討する必要を痛感する次第であります。具体的な実例はいろいろありますが、時間の関係上省略させていただきます。 第五番目に、消費者指向の無視。 環衛業種は、国民生活に密着してサービスを提供することにより成り立つ業であります。このサービスは有形無形で、常に幅の広い方法によって消費者の指向にこたえているのであります。これを統制し限定しようとするこの法改正には原則的に全く反対であり、しかも消費者の意思は少しも取り入れられず、消費者団体は真っ向から、先ほども強い反対を表明していたわけでございます。 消費者離れは必然の傾向になるおそれがあります。クリーニングを例にとれば、クリーニング資材、機材の進歩、繊維の多様化などによりホームクリーニングはますます盛んになりまして、その需要は激減の傾向にあるわけでございます。しかるに、ややこしい規制を行い、しかも料金に影響するような統制があるとすれば、お客は逃げまして、クリーニングに背を向けることは必定であります。権威ある学識経験者はこのようなことを言っております。五年、十年後の需要は三〇%から五〇%の落ち込みを見るであろうと予見をしております。環衛サービス業育成発展の最終審判は消費者であるという大本を、これが施策に当たって堅持すべきではないでしょうか。 結びといたしまして、国民生活の安定を大目的とする環衛法が、環同組合の内部的疾患を正さずして、保護育成にのみ偏重し、大切な消費者と環同組合に加入していない他の多数業者の大きな反撃を受けるがごとき本法律案の制定が、業者や消費者など関係者のコンセンサス不足のまま立法府に上程されることは、関係業者団体といたしましてはなはだこれを遺憾とするものであります。 何とぞ、本改正案につきましては、私ども、何でもかんでも反対のための反対といったような考えは毛頭持っておりません。業者間、関係の方方、それぞれ十分な時間をかけ、話し合っていくべきではなかろうかというふうに思うわけでございます。ぜひ、この点慎重に御検討の上、本国会においていやがおうでも成立させるというふうな無謀なことはないよう、心からお願いするわけでございます。 なお、時間がちょっとございますので、クリーニング業界の実態につきまして、有名な学校の教授が数名集まりまして、環同組合の方からクリーニングの将来に対するビジョンを書いてもらいたいというふうなことで、数年前にでき上がったものがございます。その中から、非常に皆さんの参考になることがございますので、あえて、一部抜粋したものをちょっと読み上げさせていただきたいと思います。 環同組織の構造的面からの反省といたしまして、環同組合の持つ政治性と経営の二元的要素から、経営の無理解から来る組織的混乱が起きておる。 一つといたしまして、環同組織の二元性の根拠は、組合員の経営能力の貧困性と自助精神の欠如にある。 その次、当業界は、残念ながら、経営の本質について全く不十分な理解に立った生業としての構成が大部分である。 その次、政治的な環境基盤よりも前に、企業としての体質なり経営能力の向上という、個々の組合の体質改善が優先する現状にある。 その次、政治的役割りは平等であり、公平である。しかし、経営的な次元の論理は競争であり、合理性である。 その次、自立独立して企業競争のできる個々の企業間の摩擦を解消し、公平なルール、平等な環境づくりこそ政治の論理であり、業者にとって構成される業界組織とはこの論理の上に立っている。 その次、弱者集団を政治的な指導理念に求めるとき、その政策は保護中心となり、育成にはならない。保護活動一本化に組織活動してきたことに問題がある。そして、育成ということについて配慮なし得なかったところに問題を残してきたのであり、自助精神のなかったところに大きな問題がある。 その次、自立の精神を失わせ、みずからの力によって困難を排除する姿勢も失われた現状は、弱者の開き直りである。親のすねかじりが自分の主張を通すために、親に対してなぜおれを生んだのだ、生んだおまえの責任だとする姿によく似ている。 このようなときに、今度は消費者の反撃を受け、その保護という主柱を失ったときに、もろくも業界は崩れるのであります。 その次、環同の私有化に義務なき権利の主張が横行する。指導性においても安易なものになりまして、業界にとってはまさに重大な時期である。 教授の先生方の名前は申し上げませんが、このような、実にわれわれクリーニング業界にとりましては、この中にはもちろん一部安売り的な企業に対する多少の批判もありましたが、ほとんどは、八〇%以上は環同組合の組織のあり方、運営に大きなプラスになる意見が取り入れられておるということを御参考までに申し上げさせていただきまして、私の意見を終わらしていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○木野委員長 次に、宮坂参考人にお願いいたします。
○宮坂参考人 ただいま御紹介をいただきました全国クリーニング環境衛生同業組合の専務理事をいたしております宮坂功であります。私も消費者の一員であり、かつクリーニング業界の一員といたしまして、本日は、全国クリーニング環同組合を代表いたしまして、環衛法一部改正の問題について意見を述べさせていただきたいと思います。 先ほど、環衛法全般につきましては安森参考人の方から説明がありましたので、私は環衛業種の一つであるところのクリーニング業界の置かれている現況と、そのような状況の中で、クリーニング業界が環衛法の改正に関しましてどういう意見を持っているか、考え方を持っているかを御説明申し上げたいと存じます。 まず、クリーニング業の置かれている現況を申し上げますと、第一番目にクリーニング施設数でありますが、クリーニング業は、昭和五十二年末におきまして、一般クリーニング所は約五万八千店、クリーニングの受け付け及び引き渡しだけを行うところのいわゆる取次店は約四万五千店であります。そして、このクリーニング施設数の増減の傾向を見ますと、昭和四十五年と昭和五十二年のそれで見ましたときに、この七年間に一般クリーニング所は五・一%の増加でありますが、取次所の増加においては実に九四・五%という激増が示されておりまして、このことから見ましても、顧客の争奪競争、これがいかに著しく激しいものであるかは、この数字が示しているところであります。 次に、このクリーニング施設の従業員規模について見ますと、実は八九%が従業員二人以下という実に零細規模でありまして、零細な環衛業全体の中でもその零細性が一段と強いのであります。これは総理府の事業所統計調査によるところの数字であります。一方、激増している取次所の多くは、クリーニング業界の中でも比較的大企業に属しておる方々でありまして、この点で、業界の大部分を占める中小零細企業の競争力は著しく弱体化されてきているということが言えるのであります。 第三番目といたしまして、クリーニングに対する需要の傾向を見ますと、これはやはり総理府の家計調査年報によるものでありますが、一世帯当たり年間のクリーニング支出額は、昭和四十五年から五十二年にかけてでありますが、名目で六千三百三十九円から一万一千五百四十三円へと八・二%の増加を見ております。しかし、この間の消費者物価上昇率は一〇三・六%に達しておりますので、これを勘案いたしますと、実質では約一一%の減少ということになるわけであります。 このように停滞ないし減少ぎみの需要に対しまして、供給側の競争を見ますと、これはまた全国的な激しい過当競争の状態に陥っております。その一例を申し上げますと、九州のある地区を見ましても、Mチェーン、これは実名は控えますが、このチェーン店が一斉に何でも一点百八十円、こういう料金を打ち出したために、これは業界としては実に常識外の料金でありますけれども、これに対抗するため、この地区のHクリーニング店、これもチェーン店を持っておりますけれども、この店が何でも一点百四十円という競争料金を打ち出しました。さらに、これに輪をかけまして、刺激を受けたT店、これは何でも一点八十円から百円というむちゃくちゃな値段を打ち出しまして、そのため、その地区の同業者は軒並みに値を下げざるを得ないというような状況を醸しております。このような状況は、全国他の地区におかれましても多かれ少なかれ起きておる状況でありまして、転廃業施設の数も、全体的に施設数が激増している反面で、昭和五十二年度だけでも相当数に上っているのが実情であります。 このように激烈な過当競争の中にありまして、クリーニング業界の平均的な売り上げをちょっと申し上げてみますと、これは昭和五十年に私どもが調べた数字でありますが、従事者三人の店で平均の年間売り上げはたった六百十九万円、こういう数字が出ております。この中から材料費を支払い、機械の償却をし、運搬、包装、その他諸経費を払ったら、一体幾ら残るのでありましょうか。年間六百十九万円という、ちょっとした大企業の一高級サラリーマンの収入に等しいこういう数字の中で、材料その他の諸経費を差し引いて、その残りを三人が分かち合うというような状態が現況であるのであります。 クリーニング業におきましては、このように過当競争が激化している中でありますけれども、このまま推移すると、それこそクリーニング業法で定められたところの適正な衛生措置を講ずることなど、とてもできそうにはない状態が起きておるのでございます。 また、クリーニング業の場合、避けて通れない問題に公害の問題がございます。振動、騒音、臭気、排水、大気汚染、また産業廃棄物等々の、非常に多岐にわたりますところの公害の問題に直面しておるのでありまして、このため付近の地域住民からいろいろと苦情が訴えられて、この対策に大変苦慮いたしておるところであることも事実でございます。 次に、今般の環衛法改正案につきまして、私ども業界としての評価を申し上げたいと存じます。 総括的に言うならば、今回の改正法案は、いままで申し上げたようなクリーニング業界の実態におきまして、中小零細業者の経営の振興を促進するため、また、過当競争による大多数の業者の経営の悪化を防ぐためにぜひとも必要なものであり、大いにその内容を評価し、かつ、一日も早くこれが成立することを切望しているものであります。 その理由及び背景等についてこれから申し上げてみたいと存じます。 まず、自由主義経済と中小企業者保護というやや相反する問題点についてちょっと申し上げてみますと、私どもは、自由主義経済ということが現在のわが国の基本的な姿勢であることは、十分承知いたしております。しかしながら、わが国の憲法で保障されている自由とは、あくまでも公序良俗の前提に立ったものであります。また、同様に、経済社会におきましても、無秩序な、恣意的な自由があるとは私どもは考えておりません。資本のある者、力の強い者が弱肉強食的な自由を持つとすれば、そこにはもう政治の必要も立法の必要もなくなってしまうのではないでしょうか。今日まで日本の成長の縁の下の支えとなってきた私ども中小企業、特にいままでとかく国の産業政策から置き去りにされてきた環衛業が、前に申し述べましたような苦境に立たされているときでありますので、国としては何らかの政策をそこに講じていただきたいと思うのであります。私たちは無条件に国の保護のみを要求するものでは全くありません。少なくとも、苦境の中にありながら、自助努力によって自分の進む道を切り開こうとする零細企業者に対し、努力をしさえすれば道は開けるんだ、こういう方向だけは示していただきたいと思うのであります。 この意味で、昨年やっと成立を見ましたところの中小企業事業機会確保法などは、大資本を持たない者でも努力次第ではやれるんだという、そういう意味では、わが中小零細企業にとっては大いに歓迎したところであります。 また、今回の環衛法改正が、従来とかく日の当たらなかった環衛業に対しまして、他の中小企業団体法並みの施策を講じていただけますよう、たとえばクリーニング業の経営について国がその振興指針をつくって、それによって努力する者には相応の援助をするという点でありまして、また、指導センターを設け適切な経営指導をする点など、もろ手を挙げて賛成するものであります。 ちなみに、従来から、各地の商工会あるいは商工会議所、会議所連合会、または各都道府県中小企業団体等々の中で、中小企業の指導に当たりましていろいろな部会、たとえば小売り部会あるいは製造部会等のような指導はされてまいりましたが、私どものような環衛業を指導していただくサービス部会あるいは環衛部会というような指導体制は、かつてないというふうに記憶いたしております。 次に、私どもクリーニング業界自体が考えているところの現在の苦境の打開策、これを若干申し述べたいと思います。 私どもは、業界内だけでなく、業界外の学識経験者あるいは衣料製造業者、その他の関連業の知恵もおかりして、この三年ぐらいかけてクリーニング業界ビジョンを策定いたしました。この内容は延べ二百ページにも及ぶ膨大なものでありますが、その底流となるところの基本的な考え方をかいつまんで申し上げたいと存じます。 まず第一に、昭和三十年代から四十年代前半の私どもの考え方についての反省であります。当時のわが国の高度経済成長下にありまして、これはもう国是ともいうべき近代化、合理化に向かって私どもは進んだわけであります。しかし、そこに思い違いがあったのは、当時の風潮として、機械化というのがイコール省力化、イコール量産化というような、こういう考え方一辺倒になったことであります。複雑化、多様化、ファッション化する衣料、それに伴う消費者のニーズの変化に気づかず、わが店の作業工程のみ省力化というような、あるいは合理化というように、いかにもうけを多くするかということだけを考えたそういう行き方、そしてそのために、わが店のお仕着せの作業内容をいかに消費者に押しつけようとしたかということであります。 その結果は、クリーニング事故、すなわちクレームの多発、そして消費者のクリーニング不信という結果になってあらわれたのであります。各地の消費者センターにおけるところのクレーム取り扱い件数は、クリーニングに関するものが常に上位を占めているという不名誉な結果をもたらしたのであります。 クリーニング業界ビジョンはこのことを強く指摘いたしておるわけでございまして、クリーニング業は製造業ではない、サービス業である。また、その限りにおいても、クリーニング業界が第一に考えるべきことは、自分勝手な店内の合理化ではなく、消費者のニーズの変化に対応するところの店づくりであるのだというふうに述べております。 また、多様化、ファッション化する衣料と消費者ニーズに対応できるところの第一の条件は、機械や洗剤の改良よりも、それを使いこなし、また衣料の特性を診断し、その最適な処理を行うというものにあるわけであります。 こういう観点から、私どもが現在特に力を入れていることは、店主を含めた従業員の教育ということでありまして、クリーニング業者は事クリーニングに関してはプロでなければならないのであり、繊維について、染色について、あるいは加工について、衣料について、また洗剤について、機械について、顧客のニーズを満たすべき最善の知識を持つことが第一条件であります。この勉強をしない店、勉強の努力をしない者は業界の進歩から当然置き去りにされてもやむを得ないと考えております。 今般の環衛法改正によって示されるであろうところの国の振興指針、これによってこういった方針が打ち出され、また新たに設けられる指導センターによってその指導がなされ、また、やはり法改正によって明示されるでありましょうところの技能検定等によってクリーニング従業者の資質の向上を図るといった、このような一連の効果に私どもは大きな期待を寄せているものであります。 また、先ほどちょっと触れましたが、クリーニング事故に対する消費者のクレームが非常に多いことにかんがみまして、私どもクリーニング環境衛生同業組合では、組合員の出し合った金でクリーニング研究所をつくりまして、その防止策を図っております。また、起きてしまった事故については、できるだけスムーズにこれを解決すべく、クリーニング賠償基準をつくるなどして、自主的な努力を重ねておりますが、この種のことは、やはり国が関与して定めた標準営業約款、すなわち今回の環衛法改正に盛られているものでありますが、この標準営業約款により、よりオーソライズされた形で行うことが消費者の利益にもつながることだと考えております。 私どもがこのように理解し期待しているところの今回の環衛法改正なのでありますが、残念ながらクリーニング業界の一部に反対意見があることは、先ほどの参考人の意見のとおりでありますが、これは事実であり、その内容はいまほど申されたとおりでございます。 しかし、そのようなことは私はないとは思いますけれども、万一先生方の中に誤解をされている向きがあると、私どもとしてはまことに心外でございますので、最後に、次の二点だけ補足説明させていただきたいと存じます。 まず、クリーニング業界の大多数の意見は私どもが代表しているという点であります。申し上げるまでもなく、私どもは、厚生省の指導監督のもとに環衛法に基づいてつくられた法定の団体であるということであります。そして、全国クリーニング業者約五万八千四百のうち約三万四千五百を組合員としており、その組織率は六〇%であります。 そして、この環衛法改正をしていただくことについては早くから組織内での論議を重ねまして、全国連合会におきましても、昭和五十二年五月二十七日開催の昭和五十二年度通常総会、昭和五十二年十一月二十三日開催の臨時総会、さらには本年五月二十六日開催の昭和五十三年度通常総会において、引き続き、環衛法改正の促進をすべき旨の最高機関での意思決定をいたしております。さらに、本年四月には、これに加えて、全国の組合員及びその従業員等から約七万人の署名陳情を得ておりますが、組合内コンセンサスを得るための努力は十分にいたしたつもりであります。 これに対して反対を表明している団体の会員数は、全業者数の一%にも満たない方々であり、ごく一部であるということが言えるわけです。しかし、私どもはたとえ一部の反対とはいいましても、今後、お互いの理解を深めることの必要性は感じていることを申し添える次第でございます。 次に、巷間、この環衛法改正の暁は、環同組合は次のように料金設定すると公言しております。すなわち、背広上下千七百八十円、ワイシャツ三百二十四円とするというようなことが一部に流布されているようでありますが、このような事実は全くございません。このようなばかげた料金が現実にあり得るはずがないことは、先生方もそうお考えでありましょうし、私どももさようには絶対考えておりません。そのようなことはあり得ないということについて先生方の御賢察と御理解をお願い申し上げまして、私の意見、説明をこの辺で終わらせていただきます。 長時間の御清聴、まことにありがとうございました。(拍手)
○木野委員長 以上で、参考人各位の意見の開陳は終了いたしました。 参考人に対する質疑は後日に譲ることといたします。 参考人の方々におかれましては、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。 この際、正午まで休憩いたします。 午前十一時二十九分休憩 ————◇————— 午後零時三分開議
○越智(伊)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 委員長所用のため、その指名により、暫時私が委員長の職務を行います。 厚生関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大原亨君。
○大原(亨)委員 私は、今日の段階、特に来年度の予算編成あるいは法案の提出等を控えまして、厚生行政の基本姿勢について質問をいたしますが、その前提で、減速経済あるいは高齢化社会と言われているのですが、ポスト高度成長の中で社会保障をどのように位置づけるか。 経済の転換ということを言われておるわけですが、経済の転換というのは、構造型の経済から新しい質的な転換をどう図っていくかということが問題であります。しかし、経済の福田と言われている福田総理大臣も、大蔵大臣をやりあるいは政権をとってまいりましたけれども、経済については、これはほとんど見るべきものはない。厚生大臣、そう思うでしょう。いまどき福田総理大臣のことを経済の福田なんていうことを言う者はいない。最近の世論調査によると、日中国交回復の福田、こういうのが少しクローズアップされている。これもおかしいのであって、福田総理でなければ、まだ早くりっぱなものができておる。総裁選挙の応援演説をやっておるわけじゃないので、話を進めていきますが、これからの経済をどうするかということについては、福田内閣も新しい方針については明確に示していない。いまのままの経済を続けていくならば、すぐトンネルを出る、明るくなるというふうに言った福田内閣の展望というものは崩れて、年度の後半になれば景気がダウンをする、そういうことでこの構造不況を脱却することはできない。言うなれば、過剰生産恐慌とも言われる高度成長のこれからの転換を図ることはできない。 そういうことの議論をいたしておりますと時間がかかるわけですが、その一つの端的なこれからの問題点として、私どもは言うなれば、設備投資中心あるいは輸出中心のいままでの高度成長から福祉型の経済に転換をしていく、こういうことが必要である、所得の新しい再配分が必要である、こういう観点で、減速経済や高齢化社会やこれからの経済に対応するのが政治の方向ではないか、こういう基本姿勢を持っているわけです。 そこで、大蔵省が本年度の予算編成のときに出しました「わが国の社会保障の給付水準は高い」という、税金は安くて社会保障は高いというPRの資料がありますが、これは政府の文章であるのか大蔵省のだれの文章であるのか、こういう点がつまびらかでありませんけれども、厚生省としてどうこの文章を受けとめておるのかということも大きな問題です。大蔵省のこの文章を作成いたしました責任者は大臣であるのか、どの局長であるのか、この点をまず明確にしてもらいたいと思います。
○小沢国務大臣 大蔵省の予算説明資料として予算委員会等に出しました社会保障の充実内容、それと国民負担の現状等につきましてお出しいたしましたのは、厚生省と大蔵省が事務的にいろいろ相談をした結果、ほぼ先進国並みの水準に到達しているのではないかということをいろいろな角度から、もちろん財政を主眼にした見方ではありますけれども、両省事務的にはそれぞれよく相談をして出したものと私は聞いております。
○大原(亨)委員 大蔵省はどこで検討して、だれの責任で出したのか。
○安原説明員 五十三年度予算編成に当たりまして社会保障の問題が議論されました際に、大蔵省として社会保障についてどう考えておるか、関係方面の御理解を得る意味におきまして、事務的に主計局において取りまとめたものでございます。
○大原(亨)委員 どこがやったのですか。
○安原説明員 ただいま申し上げましたように、大蔵省の主計局において事務的に取りまとめたものでございます。
○大原(亨)委員 大蔵官僚は日本の政治を動かしているというふうなうぬぼれがあるのだと思うけれども、こういう文章で日本のこれからの政治を短期的にも中期的にも長期的にもやるということは、これは認識の基本的な問題ではないか。厚生大臣は、事務的に検討してのものとこれを受けとめておると理解をしておるというお話でありますが、二、三の点をこれから指摘するのですが、私はそういうふうには考えていないのです。 たとえばどういう点かと言いますと、「わが国の社会保障の給付水準は高い」と、一ページにかなりわかりやすい文章で、だれでもそうかなと思うような文章が書いてあるのですが、その中で例を挙げてあるのが「わが国の年金の給付水準は、厚生年金でみますと、十万五千円(二十八年加入標準年金)であり」と、こういうふうに書いて、外国との比較をしてあるわけです。しかし、実際に年金の給付を受けておるのは一体何人であるか、その中で月に十万五千円以上の年金の給付を受けておるのは何人であるか、そういう給付水準の実態について正しく表現をしないで、厚生年金だけのモデルを取り上げて、日本の年金水準であるというふうなことを言うことは、私は事実に反すると思うのです。月十万五千円以上の年金を受けている者は年金受給者の総員何万人の中の何%であるか、お答えをいただきたい。
○木暮政府委員 十万円以上の年金をもらっておる者が何人いるかということを、ただいま手持ちがございませんが、現在の年金水準につきましては、五十三年六月の時点で統計をとったものが手元にございます。 厚生年金でございますが、退職老齢年金全体で百十三万九千人の人が受給をいたしております。
○大原(亨)委員 百十三万人ですね、厚生年金の給付を受けているのは。 国民年金の給付を受けているのが何人で、全体の給付は平均で幾らか。これなら簡単な質問でしょう。
○木暮政府委員 五十三年三月末現在でございますが、厚生年金保険につきましては、退職老齢年金の受給者が百四十三万六千人でございます。平均の年金額が七万六千円でございますが、これは五十三年六月のスライド前でございますので、現在は八万一千円になっております。船員保険につきましては、二万九千人でございまして、年金の平均月額がちょうど十万円でございます。それから国家公務員共済組合は、これは全体の計がしてございませんが、二十一万六千人で年金額が九万八千円でございます。それから地方公務員共済組合は、四十一万四千人で年金額が十万八千円でございます。公共企業体の共済組合では、受給者が二十二万一千人で年金額が十万二千円でございます。それから私立学校は、七千人で年金額が七万六千円でございます。農林漁業の共済組合は、四万三千人で年金額が六万五千円でございます。国民年金につきましては三百九十二万人でございまして、五年年金がこの時点で一万六千四百円、十年年金が二万二千四百円でございます。福祉年金がこの時点で一万五千円でございます。(大原(亨)委員「それは何人」と呼ぶ)三百七十六万四千人でございます。
○大原(亨)委員 つまり、厚生年金の十万五千円をモデルにして出して、日本の年金水準はこうだというふうに言っているんですが、実際には三十六年に皆年金が出発をいたしまして、ずっと一時金をもらった者で年金権を放棄した者も総ざらいをして、そうして実際に給付を受けている十年年金、五年年金、福祉年金の経過年金を合計いたしますと六百数十万人、七百万人近くで、全体の受給者の七割以上を占めておるわけです。ですから、大蔵省が、社会保障の年金水準は高いというふうなことを言う材料に、厚生年金のモデル年金を使うというふうなことは、もってのほかである。日本の年金をこれからどう改革していこうかという展望も何もない、全く機械的な、そして宣伝用の数字であるというふうに私は思います。そういう点、一つ指摘をしておきます。 それから、振替所得の国民所得に対する比率といたしまして、日本が一〇・八%、西独が二一・九%、フランスが二六・一%、イギリスが一三・八%とあるんですが、その一〇・八%という振替所得の給付金の中で、医療費の比率は幾らか。これはだんだん多くなると言うのですが、これはどういうふうに理解をしてその表を書いたのか。
○安原説明員 五十三年度の振替所得の対国民所得比一〇・八%の内訳といたしまして、医療関係が何%かという御質問でございますが、いま私が手元に持っております数字によりますと、医療保険の事項をとりますと、その分は三・五%でございます。そのほか、たとえば公的扶助の中に生活保護の医療扶助等もございますし、社会福祉の項目の中に公費負担医療の分も入っておるかと考えられますので、その正確な数字をちょっといま持ち合わせておりません。医療保険としましては三・五%でございます。
○大原(亨)委員 厚生省、よろしいですか。
○小沢国務大臣 社会保障給付費の国民所得に対する割合は、大蔵省の資料のとり方とちょっと違うんですが、ほぼ同じ見当になっておりまして、一九七六年は医療関係が日本では四・九九、年金、恩給を含みました年金関係すべてで三・七七、その他若干のものがございますが、その他一・八一ということで合計一〇・五六、これが国民所得に対する割合、一九七六年の数字でございます。
○大原(亨)委員 厚生大臣は数字を突き合わせたいというのですけれども、大蔵省の認識というものはきわめてずさんではないですか。一%パーセンテージが違いましたら大変ですよ。 それで、三ページには租税負担及び社会保険負担の対国民所得比の表があるわけですが、これは日本は租税と社会保険の負担の合計が五十三年で二五・五%。これは国民所得に対する比率ですね。アメリカが三六・八、イギリスが四七・五、西独が四八・七、フランスが五〇・八。そこで、日本は税金と保険料の負担は安いというわけですよ。それはそうなんです。しかし、私も予算委員会でもやっておったけれども、日本では第二の予算と言われる財政投融資があるわけです。厚生年金もすべての年金も積立方式というのが、財政投融資の中で公的な融資の制度になっておるわけです。郵便貯金やあるいは簡易保険にいたしましても、産投の特別会計は別にいたしまして、これは大衆の金です。これを制度として組み込んで第二の予算として使ってやっておるわけですね。この問題をどういうふうに理解をするかということがあるのですが、しかし私は、日本は比率が低いということは認める。そこで、これから高度成長が終わった中で、これを公平にどのような負担を国民がし、そして国民生活の安定をするかということについて、社会保障に対する配分の問題が出てくるわけです。 そこで、厚生省が端的にこういうものを出しておるけれども、いま日本の社会保障の問題で大問題になっておるのは——年金にいたしましても制度は皆年金でできておるわけです。しかし、中身は、厚生省が言うように月十万五千円のような年金をもらっておるのはわずかにちょっぴりしかいないのだ。医療費にいたしましても、これはかなりウエートが高いのです。医療の方は十兆二千四百五十億円か、後で数字が間違っていたら修正をするけれども、言うなれば厚生省は、総医療費の見通しを五年後には二十兆円というように言っているのです。医療費はかなり出ておるけれども、日本の制度では、医療の中身は年金と同じように欠陥車なんです。この欠陥車をどう改革するかということが問題であるときに、日本の社会保障の水準は高いということを言っておるわけです。 たとえば、これから議論するけれども、老人の保健サービスをどこから財源を求めるかということもあるわけですが、たとえば外国では年金の保険料とくっつけて持っているところもあるが、これは積立方式ではない、賦課方式です。保険料として取りましても税金方式です。日本のこういう年金と年金財政の仕組みを分析をしてみると、国民から見るならば高負担・低福祉になっているのです。これをどう改革するかということがこれからの社会保障の課題であって、その中で国民生活をどう安定させるかということが中心の課題ではないか。それに、大蔵省は、主計局長、主計官がどれだけ偉いか知らぬけれども、大蔵省を代表し日本の政府を代表したようなかっこうをして、わが国の社会保障の給付水準は高いなどというようなことを、これは文章を一方的に宣伝いたしまして、そして日本のこれからの社会保障の位置づけを誤らしめるようなことをやるということは、絶対に許容できないことではないか。私どもの考え方は、福祉型の経済に転換をしていき、高度成長時代の不公平な所得の分配を再分配をして、国民生活の安定ということを中心にしなければ日本のこれからの未来はない、こういうことを主張いたしておるわけですから、内容的な問題も一緒に理解をしながら日本の社会保障の水準を考えないと、国民の立場から見ると納得できないことになるのではないか。したがって、このことだけに時間をとるわけにはいきませんが、こういうことについて、こういう独善的な文章について受け入れる厚生省も厚生省であると私は思うのです。ですから、そういう点で私は、厚生省もしゃんとしてもらわぬと、これからの日本の経済の展望を築くことはできないのではないか、こういうふうに思うわけです。 そこで、問題の第二でありますが、年金や医療は欠陥車であるというふうに言いましたけれども、その欠陥をどう是正するかということが抜本改正の問題です。 医療の問題、健康保険の改正と年金の総合的な抜本的な改正について、厚生大臣、政府も、国会においてその改革の時期について言明になりました。老人の保健問題についても、老人保健の改革大綱をつくって、そして各種の審議会の議を経て、政府提案の準備をして、いつやるということも言われたはずであります。この厚生大臣、政府側の答弁について、もう一度確認の意味で、いつ、医療と年金の改革について法律案を国会に出すということで準備を進められておるかという点について、これはいままで議論になりましたから大臣の方でお答えいただきたいと思います。
○小沢国務大臣 まず、年金の改正でございますが、老齢化社会の急速な進展等を考えますといろんな問題がございますので、私が国会で申し上げておりますのは、また省の方針として決めておりますのは、年金制度全般についての改正案を当面すぐ出すということは申し上げていないわけでございまして、ただ、いま年金制度の中の経過年金の部門、福祉年金、五年年金、十年年金につきましてはどうも不十分だと思いますので、この経過年金部門については、来年の二月予算委員会が始まるあるいは審議を行うころには基本的な方針を決めたい。御承知のとおり五十六年が正式だと思いますが、五年ごとの再計算時期に当たるわけでございます。したがって、そのときには何とか結論を出してきちっとした制度の改正の御審議を煩わしたい。しかし、五十六年を待たないで、準備がよければ五十五年にはできないかなということで事務的な検討を命じておりますけれども、いまのところまだ結論を得ていない、こういう状況でございます。 それから、医療保険につきましては、現在抜本改正の一段階として御提案を申し上げておるわけでございますが、これにつきましていろいろ御審議を今後煩わしていきたいと思っておるわけでございます。 同時に、老人保健の問題でございますが、当初老人保健は、いまごろには審議会に諮問をしたいと思っておりましたのですけれども、考えてみますと、私どもが考えている老人保健医療制度というのは、いわゆる地域社会における健康診査なり、あるいは相談なり、またリハビリまで含めた案にしたいという欲望を持っておりましたものですから、そうなりますと、一体それが実行される場合にどういうことが必要かといいますと、やはり地域の医師会の協力がなければとうていこれはできません。素人で健康相談に乗るわけにいきません。そうなりますと医師会の協力を得なければいけませんので、医師会が現在のような状況でございますと、なかなかそれについての十分な見通しを立てるわけにいきませんので、若干手続上おくれているわけでございまして、鋭意この点については努力をして、老人保健医療制度についてはどうしても地域社会における医師の協力を得なければこれはできません。ただ、医療の点だけをいままでの老人無料化の別建てということだけであれば別でございますけれども、いわゆるヘルス関係の健康管理の面も取り上げた内容の法律にするためには、医師会の協力を得なければ事実問題としてなかなかできませんので、そういう意味で鋭意医師会との折衝を行っている、こういうことでございますので、時期的には若干おくれると思います。 まあ、事務当局も私も前々から、来年の通常国会にはぜひ御審議を煩わして、一定の準備期間等を考えると、事務当局は五十五年の一月ごろから施行ということを考えておったようでございますが、私は、できましたらそれを何とか少しでも早める工夫はないか、来年の秋ごろにはできないかと言っておったわけでございますが、いま言ったように、急速に進展をしてくれば別でございますけれども、健康管理まで入れていく場合には、地域の医師の協力を得なければいけませんので、この面の折衝でいま少し手間取っておる、難航しておる、こういうのが実情でございます。
○大原(亨)委員 いま政府は健康保険法の改正案を出しておるわけですよ。それと、実際上抜本改正をにらんでやる場合には、老人保健をどうするかということについてはかなり議論があったし、また、予防や健康管理や治療やリハビリテーションの包括的な医療でなければならぬということについても、かなりの合意があるわけです。しかし、その案が並行して出されないと、医療全体の回復の展望は出ないわけですが、あなたのお話によりますと、老人の保健についての政府の構想、もうすでに出ておるはずですけれども、いつ出るのですか。
○小沢国務大臣 私どもの構想は、いろいろな角度から検討を進めまして、ある程度の成案を得ておりますけれども、先ほど言いましたように、その案を法案の形にし、実施をしていく段階においては、地域社会における医療担当者の健康管理についての協力を得ていかなければとうていできませんので、そうなりますと、地域社会における医療担当者側の協力という面の見通しをつけていきませんとこの案がなかなか成り立ちませんものですから、その点の折衝で手間取っている、こういうことでございまして、できましたら来年の通常国会ということをめどにしまして、いま鋭意努力をしている、こういうところでございます。
○大原(亨)委員 来年の通常国会へ出しますか。
○小沢国務大臣 私どもはそれを目標にして非常に強く希望しておる、こういうことでございます。
○大原(亨)委員 驚くべきことをあなたは答弁しているのですよ。医師会との折衝をする、意見を聞くことはいいけれども、地域医療の問題について医師会の了承がなければ法案ができない、日本の医療の回復もできないというふうな不見識な答弁をしているのですよ。それは事実ですか。これは医師会の武見構想の地域保険との関係があるでしょう。 地域保険との関係について私は一つ質問しておきます。医師会の試案は私も見ました。それから、自由民主党の医療調査会、田中委員会の試案も見ました。その中の一つの問題点は、がらっと職域保険をなくする、被用者保険をなくするということですが、地域保険の保険財政は幾らかかるのですか。そして老人保健の保険財政は、その枠外で幾らかかるのですか、この保険料、医療費の負担はだれがやるのですか。どの程度やるのですか。いかがですか。
○小沢国務大臣 武見さんの考え方に基づいて計算をした医療費がどれぐらいになり、負担がどうなるかということは、私どもは検討しておりませんので、御質問の内容にお答えできる数字をいま持ち合わしておりません。 それは考え方としては一つの考え方だと私は思いますけれども、あの考え方は地域保険に全部を統合していこう、給付の内容についても、あるいはその他の具体的な提言がないわけでございますから、大筋として将来の方向としては、国民が平等に給付を受け、所得に応じて公平な負担をしていく、そして地域保険ですべてを賄っていきたいという構想については、将来の方向については、一応国民にできるだけ負担の公平と平等を貫いていこうという考え方でございますから、これを私どもは否定はしておりませんし、また方向としては一つの非常に見識を持った考え方だと私は思っております。 しかし、この具体的な計算を私どもがしているかといいますと、これを法案にする場合あるいは制度としてきっちりしたものを決めていく場合には、一体どういうような給付にするのか、どういうような負担にするのか、事業主負担はどうするのか、給付内容は一体現在と比べてどうなるのか、こういう具体的な提案が全然ないのに、それに応ずる計算をしたか、その費用はどうだ、こう言われましても、私どもいまお答えする数字は持ち合わしていない、これしかございませんので、御了解いただきたい。
○大原(亨)委員 ぼくが言ったのは、老人保健の問題を議論しておったわけだから、老人保健については前に出しておかなければいかぬ、こういう時期だ、すでに構想はある、ただし地域医療のあり方について、やはり包括医療であるから、日本医師会との関係を無視してはできない、こう言って、もう準備があるのでしょう。そうするならば、全体のことは言わないが、老人保健について保険財政をどのような規模で、だれが負担するか、その構想の中身を明らかにしてください。
○小沢国務大臣 老人保健につきましても、いま言いましたように、私が医師会の協力を得なければいかぬというのは、先生がおっしゃったような意味で理解をしているわけじゃありませんで、老人保健医療制度を新しくつくる場合に、保健指導あるいは健康管理まで入れていくといたしますと、どうしてもその実施機関は地域の医療担当者にお願いをしなければいかぬわけでございますから、したがって、そういう意味でその協力が得られるかどうかという見通しがなくて、机上だけでその内容を持った法案をつくるわけにいかぬので、その折衝をいまやっております。それがうまくいきました場合に、初めて健康管理まで含めた法案の内容になり得るわけでございます。いまその前段階で折衝中でございますから、それを含めて一体どれぐらい金が要るのか。私どもは初めは実は予防給付的な面を、あの武見私案にありますように、四十なりあるいは四十五からですか、健康管理をやり、予防給付をやり、それこそ健やかに老いていける老人保健制度だ、こう言われる案は、私どもは最初老人保健はそういう問題を考えていなかったわけでございますので、それだけの老人医療保険制度をつくれという御提案については、どうも私どもとしても承服できない。たとえば、あの構想は年金と同じような積立金を若いときからやっておって、そして四十になったら予防給付の財源をそこから見出していきなさい、そしてずっと健やかに老いるような方法にしなさい、そうすれば将来医療費は減っていくだろう、こういう提案なんです。そうすると、年金と同じような仕組みを考えておるわけでございますが、しからば、年金のときにも起こったように、経過的な部分の人をどうするかの問題はあそこには全然触れておりません。すなわち、現在の老人の医療無料化になっておるものを一体どういう制度の中で取り入れるのかも全然書いてないわけでございますし、われわれとしてはそれを度外視して法案をつくるわけにいきません。 そうしますと、やはり私どもは、一つのいい構想ではあるが、それらも含めながら、老人保健全体の、いまの無料化の制度も取り入れた一つのもので考えていかなければいかぬだろう。こうなりますと、その場合の計算として、一体予防給付をやるのかやらぬのかということが一番財源でも大きく響いてきます。負担でも響いてくるわけでございますから、それをそのまま考えた場合には、どうしてもその実施主体が地域のコミュニティーの医療担当者ということになれば、その医療担当者側の協力を得るか得ないかによってがらっと内容が変わってこざるを得ない。したがって、まだその具体的な負担の計算、給付の費用の計算までは至ってない、こういうことを申し上げているわけでございます。
○大原(亨)委員 おかしなことを言いなさんなよ、あなた。もういつでも出せると言ったじゃないか。もういつでも老人保健の構想は用意しております。出せます。ただし医師会との話がついておりませんから結論を得ておりませんと言ったじゃないか。あなた、そんなに言葉をなにしちゃいかぬですよ。医師会の構想が具体的にこれをどう実現するかということがはっきりしなければ、日本の政府の厚生省の老人医療や医療保険の改革について方針が出ないのですか。
○小沢国務大臣 いま申し上げましたように、健康管理の面を取り入れていくとすれば、その実施主体も受け入れ体制も全然考えられないものを、法案の中に入れていくというわけにいきません。これは私どもが、そういう健康管理なり健康相談なり生活指導、いわゆる健康面、保健衛生面からする指導を、別個に指導要員というものを確保できれば別でございますけれども、そうでない限りは、やはり地域における医療担当者側の協力を得ていかなければいかぬわけでございますから、そうなれば、その制度いかんによっては、この計算もやり方も非常に違ってくるわけでございますので、私どもが持っていると言いましたのは、前にはそういうことは一応考えないで、いわゆる武見私案で出てきたようなものは考えておらなかったわけでございますので、そういう意味で、老人のそれぞれの態様を分けまして、いろいろな制度を具体的に積み上げて計算をしていったり、あるいは制度の仕組みを考えたりしたのは、一応私どもの事務的なプロジェクトチームがつくった案はある。さらに、その中でも保健指導の面もある程度考えていかなければいかぬという、保健指導から健康管理からアフターサービスまでの面を含めた制度にしようと考えておりましたので、この健康相談なりあるいは健康指導なり健康管理の面の協力を得る努力をいましておる、こういうことでございまして、それがはっきりすればできるだけ早く成案を得たいと思っておるわけであります。
○大原(亨)委員 武見私案というのは、あの文章で見る限りは、つまり行政機関を持っているのはあなただからね、具体的なことは厚生省がやらなければだめなんですよ。そのことまで武見私案の中で探そうと思ったって、わかりゃせぬですよ、そんなことは。あの武見私案は健康管理を中心として老人医療を考え、老人保健を考えているのですよ。治療費については恐らく地域保険を考えて、いるんだよ。しかし、予防や健康管理や治療やリハビリテーションは、老人保健医療問題懇談会の答申もあるし、われわれも議論するけれども、それを切り離しておいて、こっちは地域保険でやります。こっちの健康管理は老人保健でやって二十五歳から積み立てをやりますなどという、そういう具体的なことは、手足を持っている、総合企画ができる行政庁がやるべきことなんだ。それを一々御意見をお伺いしてやるなどということを言うから、何をやっているかわからぬということになるんじゃないですか。日本の医療行政の混迷はそこにあるんじゃないか。地域医療、老人保健を別建てにするという構想などについてはかなりコンセンサスを得ているんだから、これをどうするかということは厚生省が考えなければだめですよ。医師会の案には何もないですよ。医師会の武見論文を見ると、私も賛成するところがたくさんあるんだ。 もう少し話を進めてみましょう。 地域保険を定着して、それで包括医療をやるというのは私ども十数年前から言っているんだ。そのためにいまの職域保険を解体するなどということは、これは進歩の原則に全く反するのです。これは将来いつかは、長い間の問題ですよね。これは農村や中小企業まで言うなれば企業化したときの時代の話です。つまり全部が労使の関係になったようなときの話ですよ。いまは未分化の状況で、自営業者があるわけですよ。ですから、地域保険というのは——地域医療を確立するために一番悪いのはあなたがやっているところの政府管掌だ。政府管掌が一番悪いんだ。私は中に入って支払基金を調べてみた。支払基金は政府管掌の面においては全く機能を果たしていないです。だから、政府管掌の健康保険を保健所単位あるいは地域に解体をして、そこに地域の労使の保険組合をつくり、そして全国の連合体をつくって、保険庁が大きな方針だけを管理すればよろしい。全部を千数百万人を管理していて、全く管理ができていない。そういうところが職域保険の一番の欠陥として政府管掌があるんだ。しかもそれが零細な企業を対象としておるから、労働条件その他が悪いというのは武見さんが言うとおり。ですから、いまの職域保険を解体するということは、労使が保険料を負担する。労働者は政府管掌以外は保険の経営に参加する。これを、組合管掌や共済組合の管掌保険も地域へ運営を下げていけばいいし、政府管掌も地域の職域保険に解体をして、そしてそこでやっていけばよろしい。そして国民健康保険、地域保険を一緒にいたしまして、地域における医療をやればよろしいというのが——これでなければいかぬという固定した観念では全然ないのですが、こういうものはいろいろ議論してみて、これが一番いいじゃないかといって私ども社会党がつくっておるわけですよ。これはかなりのコンセンサスがあるわけです。そういうことには手をつけないで、一遍に地域保険をやる、財源はだれが負担するかもわからぬ、どれだけの規模かもわからぬ、その中での老人保健との関係もわからぬ、何もわかってないじゃないか。何もできてないじゃないか。それが、いまの日本の医療行政の異常な状況ですよ。国民が事を知ったならば、驚くべきことですよ。 大蔵省はこの文書で、日本の医療の給付水準が高いなどというようないいかげんなことを言っておるけれども、中身はがたがたですよ。国民には不必要な負担を課しておいて、本当の医療はないわけだ。そういう中身についてどう改革するかということでなければ、生活安定なんかできない。減税をしても貯金の方へ回るということを言う。貯金に回る動機はそういう生活不安にあるんだ。これは後で議論するけれども、わかっておるわけでしょう。それであるのに大蔵省は、主計局長がどれだけ偉いかしらぬ、大蔵官僚がどれだけ偉いかしらぬけれども、事実認識において思い上がりもはなはだしいですよ。だから、日本の医療保険をどうするのだ、そのことを厚生大臣、いまの段階での議論を踏まえてもう一回明確に答えてください。——政府が出していますね、いま。これを国会へ出していますが、これも異常な形ですよ。全然審議もしない、提案もしないで、議運の段階で継続審議になったのを引き続いて出しております。これは臨時国会でも、この問題をめぐって直接間接の討議がないわけですよ。そうして、あなたの方の改革の構想だって、いまのように老人保健すらできない、案は持っておるが出せない、話がつかなければ出さぬ、そういう全くだれが責任を持っているかわからぬような日本の厚生行政、医療行政を一体どうするのかということを、厚生大臣は国務大臣でもあるわけですから、明確にしてもらいたい。それらの問題を含めてどうするのですか。
○小沢国務大臣 健康保険の抜本改正については当委員会において十四項目の合意を得まして、これを逐次やっていこうじゃないかということになったわけでございます。それを受けまして、その十四項目を一つ一つ段階的に実施をしていくために、私どもは今度の法案を最良のものと考えて御提案申し上げたわけでございます。 将来の方向として、いま議論がありましたが、医師会の武見私案を私どもがやるつもりでいま準備していると申し上げたわけでは決してありません。私どもが老人保健についての懇談会の御意見を承りたいなと思っておりまして準備してきた経過を申し上げたので、その中の健康の指導、管理については、事務当局も、これは当該地域における、しかも老人保健の実施主体をどうするかというと、中央で一本でやるわけにいきませんから、どうしても市町村単位で物事を考えていかなければいかぬだろう。そうなりますと、その地域における健康管理という面から考えれば、当然医療担当者である医師の協力を得ていかなければいかぬわけです。これはだれも否定できないだろうと思うのですね。だれがやるかということになれば、当然そういうことになると思うのです。そうすると、その問題の打開を図っていくのは、その努力をするのは行政当局としてあたりまえだと私は思っておるわけでございまして、何も医師会が言うとおりでなければ案ができないのだとかどうだとかいうことを申し上げておるわけじゃない。それだけを申し上げておる。 そこで、いまの健保の問題は最良のものと思って、その十四項目を一つ一つやっていくという合意がここでできましたから、全部ではありませんけれども、その第一歩として、今度の健康保険法の改正の御審議をお願いしたのです。しかし、小委員会等もできて、各党の成案も逐次出てまいりましたから、これを一つのたたき台として、当委員会において、小委員会もあることでもありますから、皆さん方がいろいろな案を持ち寄って合議を願い、政府もそれについてのいろいろな所見を申し上げて、一つのものができ上がっていくことが大変望ましいと思っておるわけでございまして、この前もそういう意味で、提案者みずからがこれをたたき台にしてくれなんということを、不見識かもしらぬけれども、そういういままでの審議の経過でございますから、申し上げたわけでございます。 私どもは将来の理想的な案——いま大原先生が言われました社会党案の考え方も、確かに一つの考え方かもしれません。いまの職域健保のものを全部地域のものとしてやっていく、たとえば大分に日鉄の工場があっても、その大分の中にやはりその下請もみんなある、そういうものが全部政府管掌だ、組合だなんて言わないで、地域的にまとまって職域健保としてやっていったらいいじゃないかという御提言については、私は本当に一つの傾聴すべき案だとは思いますけれども、しかしそれらを全部一挙にやれるかというと、なかなかそうはいきませんから、いままず財政調整を、あの案の中にもありますように考える。それからさらには、別の法案で政府管掌なり共済なり全体の財政調整をやっていく、そして徐々にそういう方向に持っていくのが本当じゃないかということで、一歩一歩の改革でのろいかもしれませんが、そういう意味でいまの提案を申し上げておるわけでございます。
○大原(亨)委員 いままでの議論は、やはり抜本改正の中で老人保健の問題があったわけです。老人保健の問題を、かなり案をつくっておいて全体をにらんでやらなければいかぬことなんです。財政負担も何も皆そうだ。 そこで、あなたが言っていることは、案はできておるのだが医師会と話がつかぬ、医師会の案を検討してみたが、総論は大体いいが各論に至っては何から何までわからぬ、わからぬので、わかるまで——いつまでやるかわからぬような話でしょう。そういうことで、そしてそれは地域保険との関係があるし、健康管理と医療との関係があるでしょう。そんなことに一々こだわって、一団体の意見を頭に置きながらやったんでは、厚生省の行政は空回りしますよ。 その議論はそれといたしまして、あなたの気持ちや考えがわかったから、老人保健は出ないということはわかった。出すと言ったが出ない。出る段階になって出なかったならばまた責任追及——ということは別にいたしまして……。 これは政党政治だけれども、与党は現在出しておる法律案について賛成ですか。
○小沢国務大臣 与党は、政府の責任において提案をしておきなさい、なお与党は与党としてよく検討して、もし別の考え方が出てくれば、そのときには修正なり、あるいは別個の法案として出しましょう、こういうことになっておりまして、いま作業をやっておるというように聞いております。
○大原(亨)委員 別個に出しておくという、出しておいて政府の案と途中ですりかえる。与党の中はそれでちゃんと意識統一ができているのですか、考え方は。自由にやるのはいい。日中だって反対してもよい、悪いことはない。しかし、あれはつぶしてくれと言う人がいますよ、自民党の中で。ここにいる竹内理事とか住理事はそういうことは聞いたことはないと言うけれども、つぶしてくれと言う人がおりますよ。あんなものは自民党が責任持てるものでもないし、だめだからつぶしてくれ、こういうでたらめな法律案の提案の仕方や厚生大臣の態度がありますか。こういう異常なでたらめなことをやった厚生大臣がありますか。あなたは福田総理がもう一回総裁に再選されることを望んでいるかどうか——これは別の議論として、日本の医療はこういう異常な事態ですよ。 大蔵省、何が水準が高いのだ。議論でよくわかったろう。よくもこういうでたらめな文章を、政府の合意を得たようにして出して、予算編成の基礎にしたね。大蔵省なんか、官僚なんか出直してこいというのだ。だめだ。こういう認識では、日本の社会保障もこれからの経済もありやしない。でたらめだよ、そんなことは。 これを認めている厚生大臣も厚生大臣だ。無責任きわまるよ。あっちこっちいい顔するのはいいよ。お互いにいい顔しなければならぬけれども、しかしちゃんと主体性がなければいかぬ。内閣改造がいつあろうが、それは問題ない。ちゃんとやっているときにはきちっとしなければ。こんなことは前代未聞ですよ。 医療の改革というのは、一つの団体とか一つの意見とか、それだけでやるわけにいかぬ。われわれだって、労働組合だけの意見を一つ一つ聞いておったら、年金も医療改革もできないですよ。やはりその意見は傾聴するけれども、政党は政党として、主体性のある、一貫性のある政策をやらなかったら、それでなくても、頭がいいか悪いかわからぬが、厚生省の役人は迷うわね。事が運ぶはずがない。このくらい税金のむだ遣いはないし、日本の政治の停滞はないですよ。 いろいろ言われているが、経済でも生活の中でも、ものすごいウエートを占めておる日本の社会保障——年金だって二万円前後の十年年金、五年年金、福祉年金を隠しておいてから、十万五千円が日本の年金の水準でございますというような大蔵省の文章を認めておる。これで医療の問題がどうなるのですか。こんなことで事態は進まないと私は思うわけです。 ですから、これ以上言うことになると、まだ激いことを言わなければならぬから、これはまた後にしておきまして、厚生大臣、医療改革の中で、日本の医療の欠陥で、しかも武見私案を見ておりまして、一番抜けているのは、保険制度だけに憂き身をやつしておる。こっちは皆保険、こっちは医療供給体制が野放しや無政府状況である。十四項目の中にもあるように、全部が網羅されていないが、医療供給体制、これが重複診療、重複投与、重複投資の形になっている。国民から見ると、医師や医療機関が偏在している。十万人当たり医師の平均は幾らで、一番多いところは幾らで一番低いところは幾らか、これは政府委員でもよろしいから、医師がどのように偏在しているかということを明らかにするとともに、私が指摘をいたしました点の答弁をしてください。
○小沢国務大臣 ちょっとその前に、健保の問題と大蔵省の問題につきまして、私は、大原さん、厚生大臣としては、とにかくいろんな検討を進めた結果、いま根本改正の一環、その第一歩としての考え方を御提案申し上げているわけでございますから、この内容についての御審議をぜひしていただきたいのが私どもの考えでございます。それを何か、まだ出てないような形で、与党がどうだこうだと言われますけれども、この国会の中で御審議をいただきながら、与党は与党としてまたいろいろお考えになりましょうけれども、政府・与党といっても、完全にあらゆる問題で全部一体になっているわけではありませんで、やはり政党政治ですから、与党としては、一つの考え方がいろんな検討の結果出てくれば、政府が出したものを修正することもあるわけでございますし、与野党合意の結果、政府提案のものをいろいろ修正することだっておありになるわけでございます。したがって、この点は、私どもはいま、今日現在では、これでまず第一歩をひとつやっていただきたいというものをお出ししておるのですから、その御審議をひとつお願いしたい。それが一つ。 それから、大蔵省の書いたものがうそ八百だと言われますけれども、いまの日本の医療というものは、いろいろ御批判をいただきましたけれども、諸外国をお回りになっていただいて、医療制度の中には欠陥がありますよ、ありますけれども、いまの負担との均衡で考えてみて、国が医療で老人医療まで含めて大体三兆円、厚生省予算の約半分を医療につぎ込んでいる国などというものはないと私は思うのです。みんな自主的に自分たちがやるのだと言って、ドイツだって九五%大体カバーしていると言っていましたが、全部保険料でやっているのですから。いろんな面から考えてみて、日本の社会保障は、他と比較してみて、これだけの負担と金で、まあまあよくやっている方じゃないかなということは、御理解願いたいと思うのです。 あと、医療機関の偏在の問題については、事務当局からお答えをさせます。
○佐分利政府委員 現在、日本の医師は人口十万対百二十九人程度がいると思うのでございます。多いところでは鳥取、小さな県でございますけれども百七十七名、少ないところは沖繩でございまして六十四名、約三倍程度の開きがございます。そのような状況になっております。 また、十大市とその他の市、郡部とに分けてみますと、十大市では約百六十六名程度になりますが、郡部の方は六十七名程度になりまして、やはり三倍近い開きがございます。ただ、郡部の方は高度成長時代に人口が流出いたしましたので、十年前、十五年前と比べますと、人口十万対の医師数は若干ふえているというように、マクロの調査結果ではなってまいります。
○大原(亨)委員 全国の市の中で、高いところは幾つですか。
○佐分利政府委員 ただいま詳細な資料を手元に持っておりませんが、私の記憶しておりますところでは、金沢市、高知市、こういったところであると考えております。
○大原(亨)委員 幾つ。
○佐分利政府委員 大体百八十から百九十……。
○大原(亨)委員 まだ高いところがあるよ。芦屋市とか尼崎とか、あのあたり。
○佐分利政府委員 小さい市につきましては、私、余り資料を点検しておりませんで、その点につきましては後刻資料をお手元にお届けいたしたいと思います。
○大原(亨)委員 大臣、十万人で四、五百名のところがあるのです。つまり医療機関と医師が非常に偏在しておるわけです。百二十九名平均で、下のところは六、七十名のところがあって、上のところは四、五百名のところがあるわけですよ、地域によったら。こういうことが僻地医療や夜の無医地区を呼んだり、あるいはいろいろなことになるわけです。もたれ合いいたしますから。 そこで、法律上保険制度は皆保険になって、いろいろな不備はあるのですけれども、公的扶助をまるまる出しているところ以外は、みんなどこかへ入っている。そうしたら、医療機関について一定の配置の目標を示すことは——武見会長のように、保険をやらぬで謝礼だけでやるような、こういうのは自由開業ですよ。しかし、社会保険の指定を受ける、言うならば社会保険契約をするわけですから、契約する場合には、保険医療機関としては現状をすぐ変えるわけにはいかないが、その子供の世襲を含めまして、やはり配置の適正基準はこれだけである、これ以外はふえていかないように、他の方へ行くように、他の方で開業して保険医の指定を受けるような保険契約の仕方、配置の適正化は皆保険のもとにおける医療供給体制で、社会保険の契約なんですから、私はできると思うのですよ。そういう一つの方法があるのじゃないか。適正配置いたしますと、いろいろ議論している問題が、保険制度に対応する医療供給体制の一つの柱ができるわけでしょう。そういうことは法律的にできませんか。それとも、武見さんの賛成を得なければできないのですか。
○小沢国務大臣 私、法律的にできるかできないかということになりますと、これはなかなかめんどうだと思うのですね。というのは、皆保険のもとで被保険者が診療機関を選ぶ自由があるわけでございます。そうしますと、いま十万対百六十六という十大都市の平均、これは多過ぎるから百二十九なら九にとめるとしますか。百二十にとめると四十六は、先生の御意見では、適正配置基準をつくって保険医療機関としての契約をしない、こういうことを決めなければいかぬ……
○大原(亨)委員 ちょっと待ってください。そういう間違った認識でべらべら言ってはいかぬから、よく聞いてからやりなさい。あなたは独断してはいかぬ。百二十九平均ですね。多いところは百六十幾つ、もっと多い自治体は四百、五百とあるわけだ。これを、いま保険契約しているのを外すというわけじゃないのですよ。適正配置基準はたとえば百三十なら百三十、百三十五なら百三十五としますか。それを超えているところが現在あるのですから、ただし世襲ということになると問題になりますよ。それで新しく行く場合には、それを超えているところへは保険契約をいたしました医療機関はやらないで、ほかへ行く、足りないところへ行く、適正基準以下のところへ行く。十万に対して百三十なら百三十以下のところへ出ていって開業する。そして保険契約を結ぶ。医療金融公庫も公的な金ですからそこへやろう。 こういうことは私は医師会の諸君に聞いてみた。そうすると賛成だと言うのだ。これで昭和四十五年以来——自分の子供のこと以外のことは考えないで、何でもちょんでも、みんな私立の医大へ子供をどっどこやって、一千万、二千万、三千万と払ってやっている。禁止いたしましたら陰でやっておる。そういうことでどんどんふえていって、それが都市へ集中したのでは困る。もうけるのはもうしばらくの間だ、そのうちに悔いなくやっておけというふうなことを言う私の友達もおるのです。長くはありませんと言っている人もある。みんなそういうことを思っているんだ。 国民のためにいいことは——これは根拠があるのです。私が言っているのは社会保険契約なんですから。開業する人はいいですよ。それは自由に選択しなさい。専門病院としまして、心臓外科なら心臓外科でちゃんとやる人があれば開業したらいい。保険を外せばいい、そういう人は。いまそう言っているのですよ、阪大の心臓をやっていた人だったかな。教授をやっておったのでは月給取りだから、子供は大きくなるし後のことがあるからと言うて、開業している。心臓の専門なんかじゃ全然ありゃせぬ、腹じゃ頭じゃ何じゃと言って、どんどん注射を打ったり、薬を出したりする仕事をやっている。全くばかばかしいと言っている。病院と診療所の機能が分化していない。医療機関というものが、皆保険でありながら、病院の配置がでたらめだ。こういう点はきちっとしなければ、国民医療の解決にならぬじゃないか。医師会、武見さんが言っている地域医療にならぬじゃないか。総論だけよくても、プロセスが総合的によくなければだめじゃないか。そういうことをやるのが厚生省の役人じゃないか。厚生大臣じゃないか。その機能を放棄しているのがいまの厚生大臣ではないかと私は言っているわけです。医療機関の配置についての私の意見、どうですか。
○小沢国務大臣 よくわかりましたし、そういう面では、私も実はよく検討に値する御意見だと思っております。
○大原(亨)委員 医師の中で議論していましたら、そうなんですよ。やはり、病院と診療所の機能を分化してもらいたいと言っているんだよ。そうすると、診療所はやはりホームドクターになるのです。というのは、五十、六十になって、開業した若いのと同じように神風でやるわけにいかぬ。それは、一日に百人も百五十人も診ましたら、これは莫大になる。そして第二薬局でもうけておいて、医薬分業でうしろの方でやったとすれば、これは莫大になるのです。実際には医薬分業じゃないわけですから、それは莫大になる。それじゃいかぬから、五十、六十になっても、経験が生かされて、そしてきちっと自分の能力が生かされるような、安定した措置をとりたいという人がいっぱいおる。それはホームドクターの制度。私どもの言った健康管理医の制度。老人医療については、そういう人を登録制にして、出来高払いにしないで、一定の地域において一定の領域を持って、固定報酬的なものを導入して、年金とつながることもできるだろうから、そういう考え方でやることの希望者は、年をとった、四十五、六から五十くらいになってきた人の中にはかなり多いのですよ。そういうことについては一々武見会長と相談しないで、日本の医療はどうあるべきか、医師の現状はどうあるべきか、こういうことで意見は十分聞いてよろしいから、厚生大臣は主体性を持ってやらなければいけないですよ。前の厚生大臣の渡辺さんと二人並べて、一緒に二人がやったらいいくらいのものだ。まあしかし、あの渡辺厚生大臣も、厚生大臣のときは無年金の解消なんかをやって少しぐらい違ったけれども、余り違わなかったが、最近俄然、野に下ると、正しいことを正しいとして主張しておられるようだから、接触はありませんが、非常に傾聴しております。私は厚生省が、そういう申し上げたような面においてなすべきことをなす、ちゃんとするという決意がなければいけないのではないかと思うのですよ。 病院と診療所の機能を分化します。それから、そういう中において私どもが言っているのは、不採算医療というのは、高度医療等含めて僻地医療とか、来年度予算を見ても少しは改善されつつあるが、しかし現地を調査すると、僻地医療とか救急医療とか、まだ問題はたくさんある。都会には医者がたくさんおるのだけれども、夜は郊外へ出て住むというようにみんななってしまうと、都会においては地域における医療体制はできていないわけです。そういうことで都会にも無医地区ができるという実情でしょう。ぼくはそれは行政が責任を持ってリードすることが必要であると思うのです。病院と診療所の機能を分化する、その中で公的な医療機関がやはりそういう面において基幹的な役割りを果たす、果たされなくなったものを果たす、そういうことを私どもは言っているのです。そのことを称して医療供給体制の社会化と言っているのです。社会主義化ということを言っているのじゃないのです。国有国営ということは、こんなに金を払ってそんなものを抱えることはできないです。公的な医療機関も、ベッド規制その他でずっと、いままでの惰性で、高度成長以後の体制に対応できなくなったままで、やはり民間開業医中心の行政が行われるということになれば、これは矛盾は拡大しますよ。ですから、そういう点はあなたが医師会長に耳を傾ける以上に、国会の議論とか国民の各方面の議論に耳を傾けて、厚生省はどうあるべきかということを主体的に考えて、保険制度の地域保険だけを追跡するのではなく、みんなこればかりを追いかけ回っている。この竹内さんは違うけれども、みんながそういうことをやっているわけです。地域保険はどうあるべきか、どうしたならばオーケーが出るかといってやっている。そういうことではなしに、やはり医療供給面についても、十四項目あるのだが、足りない点はたくさんあるけれども、そういう点を一つ一つあくまで出して、国民的な合意を得たならば、私はできないことはないと思う。医者一人一人に聞いたら、私の意見に賛成の人はいっぱいいる。 それでもう一つは、よく議論になるのですが、医師法の十九条に医師の応招義務というのがある。これはやはり医療の公共性の本質から来ているのです。私どもはこれを振り回して、これで医者を引っ張ってどうこうしようというのじゃないのですが、やはりどこの国でもそうなんですが、医師法にもそのとおり十九条があるわけです。医師法の十九条は、「診療に従事する医師は、診察治療の求があつた場合には、正当な事由がなければ、これを拒んではならない。診察若しくは検案をし、又は出産に立ち合つた医師は、」云々と書いてあるのですね。「診療に応ずる義務等」というのがあるわけですが、それは第十七条の「医師でなければ、医業をなしてはならない。」という排他性というか、特別の医師の資格に対応しまして応招義務があるわけです。これはやはり行政秩序の中で生かされてこなければならぬ。医師会が自主的な団体として自主的にやることはいいのです。できるだけ官僚が介入しない方がいいのです。反官僚とか反官学とか反軍閥とかいうことでやってきた武見さんの意見に原則的には賛成だ。だけれども、行政というものは、医療の公共性から考えてみて、たとえば医師法は、十九条は、どこにもあるようにちゃんとあるわけです。ですから、自主的にできない場合を想定して、行政が国民の立場に立って、医師の公的な機能が果たせるように規制をしていくということは、決して医師の自由を拘束するものではない。全部の医師から言うならば、最も公平な措置である、自分が進んで行くだけではないから、公平な措置である。こういう意味において、この法律は、いまのような医療供給体制の実情においては、厚生大臣といい知事といい自治体の長は、十分相談をして、そして一定のルールを設けて、皆保険下の医療供給体制や国民医療にこたえる必要がある。十九条に対する解釈だけひとつ聞いておきましょう。
○佐分利政府委員 医師法十九条の第一項は、もともと医師は、その職責といたしまして万難を排して診療に応ずる義務があるわけでございますが、それを強調し確認したものでございます。したがって、医師法では十九条第一項の違反に対する罰則はないのでございますけれども、もしも正当な事由がなく診療を拒否したような場合、その程度だとかあり方によっては、その医師は行政処分の対象になり得るわけでございます。 従来の解釈といたしましては、医師本人がいないときは物理的に不可能なわけでございますが、本人が病気をしているような場合、あるいは医師が一人だけで、たまたま手術をしておりまして、いまやってきました患者さんのお世話ができないという場合、そういった場合は正当な事由であるとされております。また逆に、本人が貧乏でお金が払えそうにないから断る、あるいは少し疲れているから断るといったようなことは、正当な事由でないというように考えられております。これが基本的な考え方でございますが、最近、世界各国におきましても、自分の専門以外の診療はできるだけやらないという傾向が出てまいりました。これは医療事故に対するいろいろな紛争が各国でも非常に多く、厳しくなってまいりましたので、できるだけ専門以外のことはその専門家の方にお願いをするということで、診療をお断りするという傾向が出てまいっておりますけれども、基本的な考え方はただいま申し上げたとおりでございます。
○越智(伊)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 本会議散会後、直ちに再開することといたします。 午後一時二十三分休憩 ————◇————— 午後一時四十九分開議
○越智(伊)委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。 委員長所用のため、その指名により、暫時私が委員長の職務を行います。 質疑を続行いたします。大原亨君。
○大原(亨)委員 残された時間だけやります。十分にやります。 小さい問題からいきますが、雇用と福祉とか教育の関係について論議をされております。具体的な問題を先にやるのですが、つまり雇用拡大の新しい職業の分野として、やはり労働条件等の問題もあるわけですが、教育や福祉面をやる。私は、一つは医療従事者、看護婦さんやその他の問題があると思うのですが、もう一つはやはり、川本委員もよく言われておるし、皆さんも質問されておるのですが、ホームヘルパーの充実、在宅患者や重度心身障害者やあるいは寝たきり老人、そして、この前も川本委員がやられた夫婦だけのお年寄り、これはいろいろな制限があって行かないことになっておると思うんですが、そういう点で、ホームヘルパーを充実させるということは、これからは非常に大切な仕事ではないか。たとえばいま重度心身障害者や被爆者やあるいはお年寄りの場合に、特に寝たきり老人等の場合に、一週間二回、こういうふうになっておると思います。しかし、これを三回にするならば五割増しということになります。しかし、一週間二回と言いましても、いろいろと検討いたしてみますと、一週間二回確実に各家庭訪問をいたしまして、患者や家族が期待をしている家庭サービスを、清掃や洗たくやつくろいやその他の問題等を親身になってするということは、実情としては末端はなかなかむずかしいように思われる。いま全国でホームヘルパーは、縦割りの補助金行政の形だと思いますが、総計して何人ぐらいいて、そしてどういう条件で活動をしているかという現状について、お答えをいただきたい。
○八木政府委員 先生御指摘のように、身障者なり老人の在宅サービスというような面の一つの中核になりますのがホームヘルパー制度でございまして、そういう面からも、ホームヘルパーの充実ということには努力しているわけであります。 正確な数字は、実態は別といたしまして、五十三年度におきます予算措置といたしましては、一万二千九百二十人という家庭奉仕員の予算措置を講じているわけでございまして、老人あるいは身体障害者の世帯に対しまして、先ほど先生からお話がございましたように、週二回のサービスを実施していくというようなことで指導している状況でございます。
○大原(亨)委員 それで、一万二千九百二十人という補助金対象上の予算上の数字は、実際に確保されているかどうか。 それからもう一つは、週二回というサービス活動はなされておる実情かどうか、そういう点についての実態把握をお願いいたします。
○八木政府委員 予算措置の面から見ますと、週二回はもう確実にできるというような措置を講じているわけでございますけれども、現実の実態面になりますと、市町村のそれぞれの事情というようなこともあろうかと思います。現実に必ず週二回が確保されているかどうかという点になりますと、必ずしもそこまで行っていないというケースも場合によってはあるのではないかというふうに考えておる次第でございます。 そこで、現在市町村がいろいろな形でホームヘルパーの設置なりあるいは事業をやっているわけでございますけれども、私ども先ほど申し上げましたように、在宅サービスの中核であるというようなことから、できるだけその線を確保するということで、一つは業務体制なり、それから受け持ち世帯のあり方、特に最近では、従来は身障関係と老人のホームヘルパーと別の体系でやっておったわけでございますけれども、一本化いたしまして、できるだけ効率的にお世話をいただくようにというようなことをやっておりますので、週二回の線をぜひ実現したいということで指導をしているところでございます。
○大原(亨)委員 私が調べたところによると、実際は、予算上はそうなっていましても、週二回確実に行かない。あるいは週二回行くことになっていても、二回が飛び飛びになる。それに対する余裕人員の措置がない。そういうことで、自治体の都合によって一回というふうに決めておって、その一回が飛びますと、二週間に一回になる。これではホームヘルパーに対する期待や役割りは果たすことはできない。したがって、私はそういう点を含めて、末端においてそれぞれの自治体が身分上は独自の措置をとっているところもありますけれども、それらの問題は確かに九万数千円の単価で予算措置をいたしておるはずですが、勤務の態様その他においてもそれぞれ自主性を認めておると思いますけれども、これが本当の機能が発揮できるようなそういう点検と、そしてそれだけのゆとりのあるような予算措置、あるいは将来においての改善の措置をとっていただきたい。こういう点を特に要望いたしておきます。大臣の御答弁をお願いします。
○小沢国務大臣 私は、家庭奉仕員の任務は非常に大事なことであり、かつ、ニーズも大きいと思いますので、しかも寝たきり老人が三十六万、全国でいま大体そうだと思います。それでわずか二万三千人ですから、大変御苦労だと思いますので、増員についてもあるいは手当についても、あるいは派遣いたします。奉仕いたします場合でも、できるだけ人員なり予算なりの配慮をしていかなければいかぬ、できるだけの努力を今後もいたしたい、かように考えます。
○大原(亨)委員 一万二千九百二十人という数は非常に少ないわけですけれども、やはり在宅患者や在宅治療や孤独の家庭生活ができないという場合には、たとえば、いまだったら年をとったら手っ取り早く入院するというふうなことになりまして、老人医療とも関係があるし、入院者とも関係があるし、ベッドとの関係も出てくるわけです。本来人間というものは、できるならば住宅その他の条件を整備しまして、家庭で生活をするということが本人の希望です。したがって、それらに対しまして、在宅者に対するホームヘルパーの充実と、そして、このことは、五割増せば五、六千人の増大になるわけで、そうすると一つの雇用の造成にもなるわけですから、そういう点で将来ともひとつ十分考えてもらいたい。 第二の問題は、小さい問題ですが、切実な問題として児童扶養手当の問題があります。 最近は、死別もさることながら、生き別れの家庭が非常に多い。蒸発もありますし、いろいろな事情で生別の家庭が多いわけです。その際には、生別の家庭であるということでとかく日陰で生活する人もあるわけですが、しかし、働き手の主人と別れて家庭生活をするということはきわめて大変なことであるし、子供を抱えている場合はさらに大変なことであります。 そこで、以前は児童の年齢を十五歳にいたしておりましたが、十五歳のときには括弧いたしまして新制中学卒業まで、こういうふうになっておったわけです。しかしながら、新制中学校卒業までというふうに十五歳の場合は括弧つきでなっておりましたが、十八歳になりますと、高等学校卒業までというように括弧つきがないわけです。いろいろ理屈はありましょう。高等学校は義務教育じゃない、こういうふうにも言うわけですが、しかし、九十数%がすでに高等学校に入学をすることになっているわけであります。就学率はそうであります。事実上準義務教育の体制でありまして、どのような母子家庭でございましても、子供だけは普通の教育を受けさせたい、こういう希望があるわけであります。ですから、児童扶養手当が及ぶところはかなりあるにいたしましても、その国民的なニーズから言って、緊急度から言って、この児童扶養手当等については、やはりそういうことを頭に置きながら、十八歳についての扶養家族の範囲を年金改正その他において考慮すべきではないか、こういうふうに考えます。それでない場合におきましては、やはり高等学校に行く場合には貸付金等の制度等について十分な配慮をしながら、そういう母子家庭の要求に応ずることが必要ではないか、こういうふうに考えるわけですが、その二点につきましてひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。
○竹内政府委員 母子世帯の場合でございますけれども、現在、私ども手元で集計している数字で見ます限り、全国の母子世帯のうちの約六二%は死別の母子世帯、あと三八%程度が生別というふうに、大ざっぱに分類されようかと思います。 そういう状態でございまして、児童扶養手当は、御承知のように、いわれから申しまして、死別の母子世帯に対応する母子年金あるいは母子福祉年金でカバーし切れないものを、いわばこの児童扶養手当という制度で福祉を図ってきたわけでございます。そういう観点から申しまして、児童扶養手当だけで十八歳の問題を高卒までというふうに整理いたしますことは、死別の母子世帯とのバランスもございます。そういったことから、やはりこれは、年金制度というものの基本的な改正をいろいろ議論されておることは先生御承知のとおりでございますので、私どもとしては、そういった際にできるだけ前向きに改正されるならばそれにこしたことはない、かように考えております。 そういたしますと、結局当面どうするかという問題になりますと、私どもとしては、生別、死別を問わず母子福祉の貸付金という制度を持っておりまして、これの貸付金制度の運用の中で、児童扶養手当あるいは母子年金、母子福祉年金等の対象者が、十八歳ということで高校在学中途中で打ち切られるというようなケースにつきましては、できるだけ明年度予算の母子福祉の貸付金の増額等、予算の実現を図りましてこれに対応していくように、そういったケースについて、途中で就学を打ち切らざるを得ないというようなケースをなくしていくようにできるだけ努力はいたしてまいりたい、かように考えております。
○大原(亨)委員 母子年金と母子福祉年金の絡みでございますが、母子年金や母子福祉年金は御承知のように死別であります。死別の場合には遺族年金がある場合があるわけであります。それから、母子年金、母子福祉年金もあるわけであります。生き別れの場合には、生き別れという理由で、母親が子供を、言うならば社会の谷間や日陰で養育するという、そんなあれは必要はないわけですけれども、堂々とやればいいのですが、そういう状況も多いわけであります。親子別れ別れの場合もあるわけであります。したがって、やはり、児童扶養手当との関係を考えながら、子供については十八歳を括弧つきで高等学校卒業まで・ただしこれは、中学浪人いたしました者等については適用にならぬと思いますけれども、そういう考え方でやるべきである、これは特に希望いたしておきます。 それから第三には、具体的で大きな問題でありますが、原爆被爆者の問題につきましては、これはかなり懸案の問題になって、大臣も前向きの約束をしておられる。この問題の議論はまた別の機会にいたしまして、最近いろいろ議論になっている地域と手当の関係の問題であります。この地域指定等の問題は、原爆医療法とか特別措置法で、これは言うなれば爆風それから熱線、放射能というふうな、焼夷弾、艦砲射撃等とは違った非人道的な兵器、毒ガス以上の非人道的な兵器による深刻な複合破壊、複合汚染でありまして、それに対する特別の医療や手当等の措置が、国の責任においてとられてきたわけであります。ですから、これは戦争行為との連帯で国家補償の議論をしてまいったのであります。そういう観点で考えてみますと、この地域指定の問題については、単にコンパスで丸を引くということではなしに、科学的な根拠のあることをやることが、被爆者援護法を正しく拡充していくもとであるというふうに考える。そういう基本的な視点はしっかり踏まえて、地域の問題については各方面の要求があるわけですから、措置を願いたいと思いますが、大臣の見解はいかがでしょうか。
○小沢国務大臣 おっしゃるとおりだと思います。やはり科学的なデータをきちっといたしまして、十分皆さんの納得のいく線を出さないと、これはただ単に、まあ適当にというようなものではありませんで、原爆という特殊な被害に着目しての制度でございますから、当然原爆の被害というものがやはり科学的に証明されるような、推定されるような線を出していかなければならぬだろう、私どもはおっしゃるとおりに考えます。
○大原(亨)委員 十二キロの問題も、科学的な根拠の裏づけを求めることができれば、それは調査することになっているわけです。それについてはだれも異議はないわけです。ないけれども、そういうことについてのけじめをきちっとしないでやりますと、これは被爆者対策自体に大きな影響を及ぼすということがあります。放射能の影響というものは、たとえ微量でも影響はあるのですからそれが特色ですから、後に残るわけですから、それによっていままで犠牲を受けて苦しんできた人のこともあわせて、公平に措置をされなければならぬ、こう思います。たとえば、広島等で言っている黒い雨地域等は科学的な根拠があるわけですから、そういう問題等について措置されることは当然のことである、データがそろえば当然のことであると思いますが、いかがでしょう。
○田中(明)政府委員 先生仰せのとおり、原爆医療法による対象地域の拡大につきましては、残留放射能の有無等を科学的に検討して行うべきであると考えております。 昭和五十一年度に実施いたしました残留放射能調査の結果によりますと、残留放射能が特に高い地域というのは認められなかったわけでございますが、本年度さらに調査を実施しておりますので、その結果をもとにいたしまして慎重に検討してまいりたいと存じております。
○大原(亨)委員 いまでも、一定の区域外でありましても、たとえば原爆のときに十人以上の被爆者を看病いたしましたり、死体の処理をしたところに対しましては、手帳が交付できるようになっているわけですね。ですから、そういう根拠があれば、一定の地域について十分考慮するということは必要です。しかしながら、何でもかんでもするというようなことになりますと、これはもう対策ではなくなるというふうな点については、私はけじめをつけてもらいたい。黒い雨地域については根拠があるわけですから、これについては健康診断の地域として一定の症状が出た人についてはやる、これは当然だと思います。何も広島市とか長崎市とかいうことではない、たとえば一定の地域だったら長崎でもあるわけですから、放射能がたくさんあるところへ被爆後行ったところについては、何々地区というふうに指定してやったところもあるわけです。ですから、それらについてはいろいろ雑音があって、だれが反対、賛成とかいうことを言うのですが、そういうことは私は心外です。そこはきちっと筋を通すことが、私はこの対策をりっぱにしていく基礎である、こういうふうに考えますので、十分にこの点を配慮して措置をしてもらいたい。ある日突然、目を覚ましたら政令が変わっていたということがないように、厚生大臣の御見解を聞きたいと思います。これが最後です。
○小沢国務大臣 先ほども申し上げましたように、全くおっしゃるとおりだと思いますので、その線で私どもも慎重に検討いたします。
○越智(伊)委員長代理 次に、川本敏美君。
○川本委員 私は、本年の六月一日に、この社労委員会で薬の問題について質問をしました。時間がありませんでしたので十分質問事項を終わることができませんでしたので、きょうはその続きをもう一度質問いたしたい、このように考えておるわけです。 そこで、まず最初に薬務局長にお聞きをいたしたいわけですけれども、本年の七月二十一日だったと思うのですが、厚生省は、現行薬事法の改正案の骨子を発表されました。現行の薬事法は昭和三十六年二月に施行されたもので、十七年ぶりに改正をする、こういうようなことが言われておるわけですけれども、考えてみますと、アメリカも、一九六二年の十月十日にキーフォーバー・ハリス法、こういうことで、連邦食品医薬品化粧品法が大改正されたのを御承知だと思います。ちょうど、一九六二年にアメリカのこの法律が改正された時点で、その一番大きな原因になったのは、サリドマイドの問題がヨーロッパ諸国で大問題になって、それが、アメリカのこの食品医薬品化粧品法の改正を上院、下院を通過させた、大きな引き金になったと言われております。わが国においても最近までの間にサリドマイドの問題はありましたけれども、アメリカはサリドマイドの問題が起こると同時に法律の改正が行われた。日本はサリドマイドがあっても、最近まで薬事法を改正しようという意図が厚生省には認められなかった。そして、ことし東京スモン訴訟の判決の中で薬事法の問題が取り上げられて、初めて厚生省が腰を上げて、薬事法の本格的な改正に踏み切ろうとされた。そういう点においては、私は情勢としてはアメリカとよく似た情勢があると思うのですけれども、日本の場合はアメリカに比べて十三年以上おくれておる。そういう点で、アクションを起こすのが非常に遅かったのじゃないかというような感じを私はいたしておるわけであります。 現行の薬事法は昭和三十六年に制定されたもので、一般的には警察行政法に属する消極的な取締法だと言われておる。いわゆる行政指導あるいは通達、通知というような行政が中心になった取締法として、今日まで行われてきたわけであります。 今度の改正案の中では、より安全でより有効といいますか、安全性、有効性の確保に重点を置いて薬事法を改正されようというふうに聞いておるわけですけれども、まず最初に私がお聞きいたしたいことは、今度の薬事法改正案の主要な点について、薬務局で考えておることを御説明いただきたいと思います。
○中野政府委員 先生仰せのとおりに、現行薬事法施行は三十六年でございますが、法そのものは三十五年改正法でございます。まことに不幸なことに、その直後に、数年を出ずして例のサリドマイド事件が発生をいたしまして、その後、大きな薬害問題として、四十五年に、キノホルムがスモンの原因であるというふうな判断が一応学者から示されたということもございまして、その間、新しい情勢に対応する薬事法の改正について、行政側の対応が遅かったではないかという御指摘であれば、それはある面においては私自身としても同感の面もございます。 しかしながら、その間、主としてサリドマイド事件を引き金といたしまして、三十年代の終わりから四十年代の初めにかけまして、新薬の承認の手続、所要資料、その安全性、有効性の判断につきましては、行政的には次々と厳しい措置を打ち出してまいりまして、それを集大成いたしましたものが、四十二年の十月に示しました新薬の承認に関する基本的な方針でございます。 その後、たとえば行政的な措置として積み重ねてまいりましたものは、いわゆる副作用情報の収集、伝達、モニタリングシステムの確立、さらには薬効再評価の実施というふうなことがございまして、率直に申し上げまして、行政的な方向性そのものの改変はございませんでしたけれども、行政的な努力、措置、ガイダンスというようなものについては、精いっぱいの努力をしてまいったものと私どもとしては考えておるところでございます。 と申しましても、やはり、法制面におきましての対応が十分な、明確な法的根拠を欠いているということは事実でございますので、私どもといたしましては、たまたまそれが、スモンの金沢、東京等の判決を機としてというふうに受け取られてもやむを得ない面はございますけれども、できる限り早く、この現行の積み重ねてまいりました行政措置に対して、的確な、明確なる法的根拠を与えるという意味における法律改正を行うべきであるという判断に到達いたしまして、現在鋭意その努力を進めておるところでございます。 その中身といたしましては、これは各国も共通のものでございますけれども、実は、新薬の承認の的確な基準と申しますかそういうふうなものが、従前は法律上明定されておりません。先生御指摘のアメリカにおける改正の経過もございますけれども、一方西ドイツ、例のサリドマイドの原因をつくりましたグリュネンタールの国でございますが、西ドイツにおきましても、薬事法の改正は一九七六年に至ってようやく実施をされたという経過でございます。この西ドイツにおきましても、たとえば新薬の承認の拒否事由を明確に法的に示すというふうなことがございまして、われわれといたしましても、承認に当たっては、内容的にはすでにそれを行政的に十分配意いたしているところではございますが、これを明確に法律上も、いわば承認拒否事由を明らかに示すということがまず第一点として考えられます。 それから、先生御承知のとおりに、一たん市場に登場いたしました医薬品でありましても、それが広く使用されている過程におきまして、その副作用、安全性をめぐる問題であるとか、あるいはその有効性をめぐって、さらに追加的に新しい情報が得られる。その市場流通の結果として生ずる情報をもちまして、最終的に医薬品の安全性、有効性の判断が固まるという考え方、いわゆるフェーズ4という考え方がございます。この考え方にものっとりまして、新しく考えておりますところの薬事法におきましては、新薬の承認後六年間にわたりまして、やや濃密な副作用報告の収集期間を設けまして、六年後に、つまり広範囲にその薬が使用されまして六年の時日を経過した後に、新薬についてはその再審査を行うという規定、あるいはこれはもうすでに行政的に行っているところでございますが、既存医薬品の再評価の問題、さらにはモニタリングシステムの問題、またWHOの考え方が示されておりますところのGMPに関する問題等を、法制上の根拠づけを含めてこの改正では考えてまいりたい、かように考えております。 これにつきましては、目下のところ、関係諸方面との意見調整を進めている段階でございまして、現時点においては、まだその最終的な役所としての成案と申しますか、ファイナルな形での成案には至っておりません。しかし、考え方といたしましては、次期通常国会にこの法案は提出いたしたいというふうに考えております。
○川本委員 この間からも、私は国会図書館の方にお願いをして、アメリカのいわゆる連邦食品医薬品化粧品法、キーフォーバー・ハリス法の改正案について翻訳をしていただいて、ずっと読んでおったのです。その中で感じますことは、一つは、いま局長おっしゃるように、わが国の薬事行政の中では安全性、有効性、このことを強調しておる、私はこれは同感ですけれども、アメリカの法律の中には、国民の信頼性の保障ということが入っておるわけですね。現在の新しい改正案の中では、薬というものは安全でなければいかぬ、有効でなければいかぬ、同時に国民の信頼もなければいかぬ、こういう信頼性の保障ということについてはどうなんでしょう。日本は何でもアメリカのまねをするのが好きだけれども、薬事についてはアメリカと別で、日本は国民の信頼がなくてもいいというお考えですか。
○中野政府委員 信頼性ということについて、残念ながら、その的確な言葉の意味を私自身現在認識をいたしておりませんが、常識的に考えまして、政府の行う安全性、有効性の確認が、その時点における科学的知識から見て十分な、的確なものであるかどうか、さらにもう一つの要素といたしましては、薬の製造に当たるところの製薬業の方々、あるいは流通に当たるところの流通業界の方々、さらには直接患者に対して施用しますところの医師、臨床の方々、これらの方々を通じまして、その薬の有効性、安全性あるいはその的確な使用方法等について、万般にわたる行政その他、関係者のいわば国民的な信頼と申しますか、そういう問題が絡んでいるように思われます。それらの問題につきましては、単に薬事法の問題のみならず、医療関係者全般にもわたる問題でもございますし、製薬業界あるいは流通過程に当たる方方、医薬品の情報を伝達する責務を持っておられる方々等も含めて、当然政府もその一端を担う者として、十分な努力をしなければならない。もちろん、国民の信頼を十分に確保するということが行政の一つの要諦であるというふうにも考えております。
○川本委員 私は、局長さんの御意見にほぼ近い意見を持っておるのですが、特に今度の薬事法の改正の中で強調されている安全性、有効性、あるいはそういう新しい薬事法の中に法的根拠を与えて、いろいろな行政を進める中で、国民の薬に対する信頼というものをかち得ていこう、こういうような態度については厳しくなければいかぬと思うわけです。特に注射薬とか新薬と言われる化学薬品あるいは医療用の医薬品、こういうものに対しては、まかり間違えば大きな薬害事件を引き起こすわけですから、これは厳しくチェックされなければならないと私は思うわけです。その製造承認あるいは品質管理、こういうようなことにおいて非常に厳しい措置をされるようにしてもらいたい、このように考えておるわけです。 ところが、薬といっても非常に幅が広いわけでして、この間六月一日に、私はいわゆる配置家庭薬のことについていろいろ御質問しました。また、配置家庭薬というのも薬事法の指定品目の中に入っておる薬ですから、こういうものが、新薬とか注射薬とか医療用の医薬品と同じような形で、一律に法規制がされるということになると、私はやはり一つの問題が出てくるのじゃないかと思うのです。特に家庭配置薬の中の生薬とかあるいは漢方製剤というようなものは、いわゆる日本民族の歴史的な遺産だと言っても差し支えないほどのものだと私は思う。そういう民族的な歴史的な遺産とも言うべき、富山の置き薬、大和の置き薬という言葉で代表されるいわゆる家庭配置薬、こういうものは、同じ薬の範疇ではあっても、化学薬品や新薬、注射薬、医療用の医薬品とは本質的に異なるのじゃないかと私は考えている。そういう観点から、これから新しい改正案の中身に触れながら、私は質問を続けていきたいと思うのです。 そこでまず大臣にちょっとお聞きしたい。 家庭配置薬というようなものは、薬の流通形態としてはおよそ近代的でない、こんなものはもう近い将来なくなしていくのがいいんだというような意見を吐く方も時たまおるわけです。大臣は、この家庭配置販売という流通形態について、家庭配置薬というものについて、今後やはり育成して振興していこうというお気持ちがありますか、それとも、こんなのは先ほど申し上げたように前時代的なものだからというお考えですか、その点について大臣のまず姿勢をお聞きしたい。
○小沢国務大臣 おっしゃるように、家庭配置販売という家庭薬の配置薬、これは、日本の国では長い伝統を持っておりますし、しかも地域に密着した医薬品の供給を行ってきているわけでございますから、したがって私どもは、今後とも地域の需要に応じまして適正な供給が図られていくように努力をいたしたい、これが私の考え方でございます。
○川本委員 ちょっと大臣、もう一度、いわゆる家庭配置薬の業界の振興のために育成をしていくという政治姿勢なんですね。その点についてもう一度……。
○小沢国務大臣 現在の規制といいますか、やり方で悪い点があれば直していく、こうなれば育成の方向でございます。さりとて、今度はそういうような点も直して育成はしたが、そのほかに、薬屋さんなんかどうでもいいからこっちの方をうんとやれというようなことでもないわけでございますので、この点は、極端に育成か禁止かというだけをおっしゃられても、やはり具体的な問題で私どもの態度を了察いただかなければいかぬわけでございますから、ひとつ、これから御審議に応じて私どもの気持ちがはっきりおわかりいただけるものと思います。
○川本委員 そこで、家庭配置薬というものも、最近の経済情勢の中で年々生産量もふえ、販売量もふえておるわけです。年々一〇%以上の増加を示して今日に至ってきておる、こういうことで、中には知らない人は、家庭配置薬というのはだんだん衰えておるのじゃないかと言う人がありますが、現実は、昔は山間僻地だけだったけれども、今日では都会の中の団地あたりでも新しい新づけというのがどんどんふえて、要望が高まって、需要がふえて、そして販売量も年を追って拡大の一途をたどっておるわけです。そういう状態をまず御認識をいただいておきたいと思うわけです。 そこで、新薬の承認基準の問題についてちょっと局長さんにお聞きしたいと思うのですが、いわゆる新薬の承認基準については、新しい薬事法の中ではどのような扱いになるのですか。
○中野政府委員 新薬の承認基準につきましては、先ほど申し上げましたように、私どもといたしましては、現在行っておりますところの新薬の承認基準についての基本方針、これを、この法律改正を機として著しく変えるという考え方は持っておりません。したがいまして、先ほど触れましたように、新薬の承認基準といいますか、より正確に申せば、私らの考えておりますのは拒否事由の明確化ということでございますが、これについては、ほぼ現在の取り扱いと変化はないというふうに御理解をいただきたいと思います。
○川本委員 私は、そこでもう少しお聞きいたしたいのですけれども、安全性、有効性、そういう中から、いわゆる副作用情報等をできるだけ集めて、六年目に新薬については再審査をやる。これは現在までは三年でございましたね。これを今度六年に改正される。そこで本格的ないわゆる臨床結果というものに基づいての再審査をする、こういうことになるわけですか。
○中野政府委員 現在三年と申しましても、実は、現在の国民医療は、すべて皆保険で、ほとんど保険システムで運営されているわけでございますので、新薬が市場に出回りますのは、保険のいわば薬価基準への収載によりまして、実際には広範に使われるようになるということがございます。現在の三カ年の副作用報告期間というものの計算起点は、実質上は薬価基準への収載後でございますので、承認時点から考えれば、四年のこともございますし、あるいは三年半ぐらいのこともあるということでございます。その三年につきまして、ただいま申し上げましたように、それを六年といういわば倍の長さにいたしまして、その間の副作用情報、もちろん有効性の情報も含みますが、それらを含めて情報を収集し再審査に当たろう、こういう考え方でございます。
○川本委員 そこで、医薬品の製造承認の際に要求する資料等も、今度は新しい法律の中で明確化するというようなことが言われておるわけですけれども、それはどういう形になろうとしておるのですか。
○中野政府委員 要求資料につきましては、先生御承知のとおり、四十二年の十月の新薬の製造承認に関する基本方針というものによりまして、要求資料がすでに明確化されております。私が申し上げましたのは法律上の、いわば承認拒否の法律的事由を明確にするということでございまして、今回の、この考えておりますところの薬事法の改正によりまして、要求資料にたとえば非常に大きな変化があるというふうには考えておりません。つまり、現行と同じような、現状と同じような提出資料であるというふうに考えております。
○川本委員 業界の中でも、製造承認の申請書、これを提出してから、いろいろの形で返戻されてきたり返却されてきたりする、よく調べてみると、製造承認の内規というものを厚生省は持っておられる、その内規を知らなかったために、提出しても承認されないような書類を出したり、あるいは書き方が間違っておったりというようなことがあり得るわけです。製造承認の内規というものを公開して、そうしてそういう間違いのないようにしてもらいたいというような要望が一部にあるわけですけれども、そういう点についてはどう考えておられるのですか。
○中野政府委員 もちろん、製造承認に当たってのいわば考え方と申しますか、そういうものがあるわけでございまして、これにつきましては、その薬の性格等によってそれぞれ多岐にわたっておりますが、私どもとしましては、その考え方についての業界への伝達については十分、それぞれの薬、薬効群につきまして努力をしているつもりでございます。 また、たとえば先生の御指摘のような、いわば配置薬関係というふうなことになりますと、その承認基準を、すでに三種類にわたりまして明確に都道府県に示しまして、これを都道府県知事の判断に資するということもやっております。 これは、さらにそういう承認基準をできるところからふやしてまいりまして、全体をカバーしていくようにしたい、かように考えております。
○川本委員 先ほど申し上げた資料の問題については、さきのいわゆる局長通知等で、あるいは今度の再評価の実施に当たっても、ある程度明確化されておると思うのです。ところが漢法製剤、特に生薬製剤については、生薬については先ほど大臣もおっしゃったように、長い間の歴史的な民族的な伝統があり、私たち国民でも、これは大臣も含め局長も含めて、奇応丸とか六神丸とか言われるような薬を飲まずに大きくなった人はないと言われるくらい、皆なじんできておるわけです。ところが、資料ということになると、なかなかこれはないというのが実情なんです。業界の方々は、中国の古い文献等でも探せばあるのではないか、なかなか個々の業者ではそういうものを探してくることはできない、厚生省あたりにそういう文献コーナー的なものでもつくってもらって、業者が利用できるような措置も考えてもらいたいという要望もあるわけです。こういうこともひとつ、今後の課題としては考えていただきたいと思うわけですが、特に生薬については、もう何百年もの間、副作用もなく何もなく、国民の信頼を受けて今日まで流通して広く愛用されてきた、それだけでも資料ではないかと思うのですが、その点、局長、どうでしょう。
○中野政府委員 漢方系の生薬につきましては、先生御指摘のように、たとえば新しい承認に際しましてどうするかという扱いの場合に、長い間のいわば伝統的な使用と申しますか、たとえば江戸時代からずっと使われておるとか、さらにもっと古いものもあるといったような、そういう歴史的事実も、漢方でない方面の新薬の承認の際とは異なりまして、そのようなものも一つの有力な判断材料になり得るものというふうに考えております。
○川本委員 そこで局長、もう一つお聞きしたいのは、賦形薬なんです。糖衣錠とかいうもののぐるりに巻くやつとか、種類はいろいろあるようですけれども、いわゆる賦形薬と言われるものですが、中の薬は変えないでこの賦形薬だけを変更しようとしたときにも、新しく医薬品の製造承認と同じような手続を経なければいかぬ。その中でも、でん粉とか乳類等は現在もあるいは届け出ぐらいで済むようになっているのじゃないかと思うのですが、それ以外のものについては、もっと簡単な手続でできないものだろうかという意見があるわけですが、この点についてはどうでしょう。
○中野政府委員 いわゆる賦形剤とか増量剤とかいうような形のものでございますけれども、これはもちろん、有効成分のほかにそういうようなものが薬には必ずあるわけでございまして、しかしこれについては、実は、そういういわゆる製剤のための補助剤でございますが、製剤のための補助剤につきましても、やはり安全性の観点からチェックしなければならないということは、一つのいわば原則としては認めなければならないことかというふうに考えております。 ただし、先生の仰せのように、強いて事柄を煩雑にするということも趣旨ではございませんので、できるだけ、本質的な問題を含まないものにつきましては、その迅速化、簡略化を図るということについては、私も趣旨としては賛成でございますけれども、現在のところ、これを承認事項の一部変更手続という簡便な事務処理を図っているところでございまして、もちろんそれでも、なお、さらに簡略化とか迅速化という問題もあろうかと思います。 ただし、原則といたしまして、この賦形剤といえども、安全性等の観点から、重要な審査事項の一つであるという点は曲げられないかと存じますが、事柄のケースによりまして、なるたけこの煩雑な手続を省くように今後も努力をいたしてまいりたい、かように考えております。
○川本委員 次に、先ほどおっしゃった医薬品の製造及び品質管理に関する基準、いわゆるGMPの問題について私は若干お聞きをしたいと思うわけです。 今度は薬事法を改正して、今日までは行政指導で進めてきたGMPをいわゆる法的な根拠規定を定めよう、そして、具体的な点については恐らく省令になるのじゃなかろうかと思うのです。雑誌等で読みますと、すでに薬務局内部でも検討されておって、赤木試案ですか、そのようなことも私は雑誌で読んだ記憶があるわけです。現在いろいろ検討が進められておると思うのです。 西欧諸国について見ますと、先ほど申し上げたアメリカの場合は法的根拠を持っておる。先ほどお話があったように、西ドイツも昨年の薬事法改正の中で法的根拠を与えておる。その他の国はほとんど、現在のところ、ガイドラインという程度から出ていないのじゃないかと思うわけす。わが国が今度の薬事法改正の中でこのGMPに法的根拠を与えるということになると、世界でも三番目というような新しい形になってくるわけで、WHOの方針をそのまま導入をしていくということになるのだろうと思うわけです。 そこで、具体的にちょっとお聞きしたいのですが、新しくつくられる薬事法の改正案の中でできてくる省令というものは、現行の行政指導の指導基準といいますか、GMPの基準、これとは異なってくるのでしょうか。
○中野政府委員 まず、先生御指摘のとおりに、直接法律上の根拠を持っておるものといたしましてはアメリカと西ドイツ、その他の国は主として行政的なガイダンスという形であろうかというふうに私も理解をいたしておりますが、現在の行政上のいわば行政指導としてのGMPにつきましては、これはいろいろな考え方がございますけれども、やはり、たとえば企業側の対応がなかなか資金的あるいは技術的な側面も含めましてむずかしい問題があり、これについていわば緩急、軽重の判断がなかなかむずかしい面もあろうかと思います。 現在までのところ、主として大企業におきましては、この行政指導としてのGMPに対する対応は比較的迅速に、円満に行われておると思いますけれども、やはり、比較いたしますと、中小企業側になかなかむずかしい面があるという点は十分認識しておるわけでございます。 中身につきましては、私どもといたしましては、現在の行政指導としてのGMPの中身に、法律改正を機としまして、非常に大きな変更を加えるべきものであるとは考えておりません。ただ、現在までの実施の状況をいろいろと点検をいたしまして、その現在までの行政上の体験に基づいて、さらにGMPの中身を改善すべき点があれば当然改善しなければいけないとは考えておりまして、したがって、現行のGMPそのままであるというふうには申し上げられませんが、これは十分従前の経験を生かしたものとして、よりよい形に直していくということは十分あり得ると思います。ただし、それが、たとえば企業にとってさらに、非常に飛躍的にシビアなものになるとかいうふうなことはなかろうかというふうに考えております。 それから、もちろんこれは、医薬品の特殊性からして、およそ特殊な医薬品というものをつくる企業に当然遵守していただかなければならない、また国際的にも要求されていることではございますが、一面では、たとえばそれによりまして、現在やっておられる中小企業の方々をただ苦しめるというふうなことももちろん趣旨ではございませんので、当然、そのGMP実施についていろいろ行政的あるいは財政的に助成の方法、金融的な問題も含めまして、しなければならないと思いますけれども、また、実際の実施のいわば期限あるいは乗り移るための経過措置等について、実態に即した配慮を加えていきたい、かように考えておるところでございます。したがいまして、場合によりましては、現在の行政指導のGMPは五十三年度末が一応の期限になっておりまして、五十四年度からは完全実施という体制になっておるわけでございますけれども、現在のGMPの進行速度等も十分に勘案いたしまして、経過措置等については、なお新たな考え方も入れ得るというふうに考えております。
○川本委員 いま私がお聞きしようと思ったことも、若干御答弁をいただいたようなかっこうになりますけれども、現行の指導によるGMPの指導基準といいますか、これはいまおっしゃったように、五十四年の三月三十一日が構造設備の期限ということで、ソフト面の方はすでに若干の猶予期間、そして、ハード面についての構造設備については五十四年の三月末を目標ということで、今日まで進められてきたと思うわけです。 そこで、厚生省の調査によりますと、GMPの適用事業所千五百二十七カ所のうちで、休止六十七、廃止予定六十九、その他のところを除いた、いわゆる千二百八十一カ所を調査したところが、ソフト面と言われる製造管理あるいは品質管理、いわゆる基準書の作成とか管理組織の問題ですけれども、こういうような問題については非常に進んでおる。その中でも、特に製造衛生管理の実施あるいは試験実施計画書の作成、こういうような問題だけは、まだ七月の調査では一三・五%あるいは一三・三%というような、まだ完了をしていないものがあるわけです。その他のものは、大体二%から五%程度の範囲内にまで完了してきておると思う。 ハード面につきましては、現在のところ、まだ計画がないというのが二・三%、構造設備をやるかやらぬか未定というのが〇・九%という形でして、特にこの表を見て感じますことは、昭和五十年の調査のときに、五十一年度末に完了しますという、完了予定であったはずの三四・五%という事業所が全然なくなってしまって、五十年度には、五十三年に完了しますと言うておった一五・七%が、実際は七月の調べでは三九・五%という形にふくれ上がってきておるわけです。そして、五十四年度以降完了するというのが三・七%できておる。こういう状態から見まして、五十四年の三月三十一日までにすべて当初の計画どおり、GMPが、いわゆるソフト面もあるいはハード面も全部完了するという見通しは今日現在立っていないわけですから、先ほど局長のお話のようにやはり経過措置としての若干のいわゆる猶予期間というものは、考えざるを得ないという状態にあることは事実であります。 そこで、私が特にお願いしたいのは、このGMPというものが、先ほど大臣からもお答えあったように、大企業の近代的な設備の中でつくる新薬と、伝統的ないわゆる生薬とか漢方製剤というもののGMPが、同じ基準で同じように適用されるということでは、中小零細な家庭配置薬製造メーカーというものは、立っていかないということになるのじゃなかろうかと思うわけです。そういう意味で、私は、この基準の運用に当たっては、できるだけ弾力性を持たせるようなことをやはり盛り込むべきではないかと思うのですが、その点、局長どうでしょう。
○中野政府委員 一面におきましては先生のお考えに私も同感でございますが、ただ、もう一面におきまして、医薬品があくまでも入間の生命、健康に直結をしているものであるということ、それからさらに、いわば相当の経費をかけましてその設備を完了いたした者とそれをしてない者との間に、結果的に不公平と申しますかそのような問題が残っても困る。しかし、また反面、先生のおっしゃったように、零細なる企業についてこれをいたずらにいわば駆逐をするということも、決して趣旨ではございませんので、この問題非常にむずかしい問題であるというふうに基本的には考えておりますが、いずれにいたしましても、円満な形でこのGMPが日本において完全実施されることが趣旨でございますので、それに至るいわば経過的な措置については、先生御指摘のような面も含めまして十分配慮を加えつつ実施を図ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
○川本委員 ちょっとここで、食品衛生の問題について私は若干お聞きしたいと思うのです。局長さんおいでですのでひとつお答えいただきたいと思うのですが、いま薬務局長からお答えいただいたけれども、今度は、薬と食品とどこが違うのかと私は思うわけであります。 それで、戦後、食品の品質管理とか食品の安全性というようなものが世に問われるような事件が、やはりたくさんあるわけです。たとえば森永の砒素ミルクの中毒事件だとか、あるいはカネミオイルの事件だとか、また最近はベビーフードの事件とか、これは本当に目新しい事件です。そういう面で、食品の安全性といいますかそういうような面も、一面やはり現在社会問題になりつつあると私は思うわけです。私が先ほどから申し上げておるように、先ほどから薬務局長にお聞きしている問題については、もちろん注射を打ったりお医者さんが投与したりするような新薬のことを言っておるのじゃなしに、漢方剤や生薬のことを言っておるわけですけれども、そういうせんじ薬とかあるいは生薬のような薬と食品とどう違うのかということなんです。食品については現在GMPのようなものはあるのですか。
○山中政府委員 食品につきまして実情を申し上げますと、薬品のGMPに相当すると申しますか、日本語で食品衛生一般原則と申しておりますが、これは、国連機関ではFAOとWHOの食品規格委員会で検討が行われてきております。よほど前、一九六八年、昭和四十三年に一度まとまりかけまして、そういう勧告をするという手はずになりましたが、後でいろいろ原則の修正の問題が起こりました。これは想像いたしますと、食品というのは各国で実情が違うとか、食生活が違うとか、あるいは食品製造というのは、先進国、後進国を問わず、どこでもつくっておるというようなことで、なかなか一致が得られませんで、一九七五年、昭和五十年以降もずっとその検討が行われているというのが実情でございます。したがいまして、現在WHO、FAOにおきまして、食品の製造、品質管理の一般原則という勧告がなされておらないわけでございます。 それでわが国では、先生御指摘のようにいろんな食品上の事件がございまして、特に、昭和四十七年に食品衛生法が改正をされましていろいろ補完をしたわけでございますが、食品衛生法では、法律の七条に、食品や添加物の成分規格とか、製造基準あるいは保存基準を定めることができるという項がございまして、それを、たとえば先ほど先生おっしゃいましたように、省令とかあるいは告示とかいうところで基準を定めておるわけでございます。 現在、食品の施設におきましても、業種によりまして三十四種の、許可を要する施設とか、そういうことをいろいろ規定をいたしまして、その実情に沿った規制をしているというのが実情でございます。
○川本委員 私に知っておる範囲内では、食品の安全管理という製造工程あるいは品質管理、そういうような面において、薬品の場合のいわゆる品質管理や製造工程あるいは構造設備、そういうものと比較して、そこまで緻密な、精密な基準で指導されていないと思うわけです。 特に私が思いますのは、これは、後で大臣にも御答弁いただこうと思うのですが、薬でも、口から入れる薬、食べ物も口から入れるのですから、経口物ということにおいては薬も食物も同じだと思う。それが健康に被害を与えるおそれがあることにおいても、私は同じだと思う。一方で、医療用医薬品と同じように、家庭用の医薬品に対してまで、薬事法では、五十四年三月までにこういう設備をしなければこれから製造を認めないとか、いま食品に対してそんな強烈な同じような指導をしたら、食品業界みたいなものは大混乱に陥る。 それで、これは極端な例ですから、大臣御理解いただきたい。お茶の葉があります。お茶は、お茶の葉を急須に入れてお湯を注いで出して飲むわけです。中将湯とか私の町にある安泰湯とかいうような薬も、袋に入っておって、やはりこれは土びんで煮沸をして、そうしてせんじて飲むわけです。ところが片一方、薬の場合はGMPできちっとした構造設備も持たなければ許可はされない。お茶だったら農家の庭先でやっておるわけですね、現実には。これは法のもとにおいて平等でなければならぬ。同じように口から入れて、同じようにお湯でせんじて飲むものが、片一方は厳しくて、片一方は規制がないということでは、法のもとの整合性に欠けるのじゃないかと私は思うのですが、その点大臣どうでしょう。
○山中政府委員 食品の側からちょっと申し上げますが、食品は生来安全であるということが原則になっておりまして、それから、先ほど出ました有効性という問題もないわけでございます。したがいまして、薬と違いまして、食品につきましてはそういう面での規制ということはありませんで、むしろ、できる工程あるいは、できたところで外からの汚染を主とした、そういうものが入らないようにということを主眼に置いておるのが、食品でございます。
○中野政府委員 薬品の側からちょっと申し上げます。 食品と薬品の限界というのは、なかなかむずかしい問題がございます。特に健康食品のようなものもございまして、そのボーダーラインをどこに引くかというのはなかなかむずかしい。あるときは食品であり、あるときは薬品であるというような面がございますが丁薬品の本質としましては、一定の治療効果と申しますか、薬効というものをうたうというところで、はっきり現在食品との限界線を引いて、その薬効をうたったもの、薬効を目的として摂取されるものについて、現在医薬品としての、先生御指摘のような厳しい規制をしておるということでございます。もちろん、その限界点については多少いろいろな問題があるということは、私どもも、健康食品等をめぐりまして意識しておるところでございます。それだけつけ加えておきたいと思います。
○川本委員 ただいまお話しのように、食品の方はいわゆる品質管理といいますか、製造工程で管理をしておる部分の物も特定の物にはあるけれども、一般的には、製造工程よりも、でき上がった物が腐敗しないとか、変質しないとか、いろいろ品質管理ということに重点を置いて、今日行政指導をしておられるのじゃなかろうかと思います。薬の場合は、もちろん、でき上がって販売ルートに乗ってからの品質管理にも問題はありますけれども、主として製造工程の中で、細菌が入らないかあるいはよけいな成分が入らないか、分量が間違わないか、配合が間違わないか、そういうことに対するいろいろな規定を、GMPの中できちっとしていこうとしていると思うのです。私は、薬か食べ物かということは論外にして、いままで食べ物というものは大概家庭でつくるものだという時代から、だんだんと時代が進んできて、このごろはインスタント食品もたくさん出てきておる。このごろは、若い新家庭であれば、奥さんが家でつくる食品よりも、でき上がった物を買ってきて食べる、そういう食品の方が多いくらいに変わってきておる。そういう時代の変化の中で、食品にもいろいろな問題が出てくるようになってきたという点においては、薬と同じような道をたどっておると思うのです。それが、きょう現在の時点で、法的規制のあり方が違っているわけです。私は、この薬というものが、先ほど来言うように、振り出す薬とお茶と全く同じだとは言いませんけれども、しかし、その辺についてどうも法的には納得できないものがあるわけです。 現在、五十四年三月末を目指して薬務局が進めておるGNP、これが、家庭配置薬の製造業者で見てみますと、奈良県なんかは特に零細な業者が多いわけですけれども、奈良県では、GNPをきちっと構造設備までやらされるととてもコスト的には合わないということで、祖先伝来の業を廃業しなければいかぬということで、廃業を決意しているのが十六社あるそうです。富山では大体二十社ほどあると聞いております。そして今日まで、県の薬務課あたりが行政指導に行きますと、五十四年三月末までにはGNPはちゃんと計画どおりやりますというお答えをしておられるけれども、何も手をつけていない、未着手である、こういうのが奈良県だけで現在二十六社あるそうです。これは実際できないのだ、やる気はあるけれどもできないのだと思うのです。私は、GNPというものは、やはりその製造に当たる人の心がまず問題だと思うのです。安全で有効で、そして信頼のされるようないい品物をつくろうという心がなかったら、何ぼ設備をいいものをしても、そんなものは仏をつくって魂入れずだ。しかし、国民の健康を守るために、どうしても国民の信頼をかち得るようなりっぱなものをつくろうという気持ちがあれば、建物は古くても、食品でも同じです。まず仕事にかかる前には手を洗いましょう、消毒しましょう、衣服を全部きれいにしましょう、床は全部ふきましょう、窓のほこりも全部取りましょう、そして粉じんが飛ばないように、掃除機をかけて全部吸い取っておきましょうというような、心と管理のシステムがあれば、何も、建物は密閉をして、空調設備をつけて、冷暖房もして、それから全部衣服は白衣を着て、頭の髪の毛が出ないように全部帽子をかぶって、手袋をはめて、そういうきっちりしたことをしなくても、それでも本当は十分なはずの事業所もあると私は思うわけです。そういう点を十把一からげに、全部建物をやりかえて、窓に桟のない、窓に桟のないといったら、ほこりがたまらないようにするためにサッシか何かに入れかえなければいかぬ、そして空調設備をしてというようなことまで言われると、コスト的に合わない、こういうものもあるわけです。そういう点については、先ほど経過措置と言われました。経過措置も大事ですけれども、そういう私が言う品質管理、製造工程管理さえきちっと責任者がやっておれば、何も、構造設備ができなくてもいいという事業所もあるはずだと私は思う。そういう点について、私の言うことはむちゃだと思いますか。大臣どうですか。
○小沢国務大臣 いかにりっぱな設備をしましても、製造者が先生のおっしゃるような心と反対の方であれば、これはまさに安全性の信頼が置けないわけでございます。そればそのとおりでございます。両々相まっていただかなければいかぬわけでございます。しかし、いま言われましたように、製造品目がそういうようなものでもあり、実態が零細中小企業でもあるというような場合には、重点的に設備の合格、不合格を考えるよりは、管理面に十分重点を置いた考え方で、やはりこれはGMPに合格したという——GMPそのものを否定する議論をやられますと私どもも困るので、したがいまして、せっかくそういうような制度を考えまして、これは国民のためにやったわけでございますから、それを理解されて、今度はやった人とやらぬ人の不公平が出てきては困りますし、したがって経過的なというふうに申し上げたわけでございます。ですから、全部GMPというけれども、配置販売の方はやかましいことは余り言いません、こっちは言います。こういうわけにはなかなかいかない。これも理解願わなければいかぬわけでございます。したがって、指導の方面では経過的に見ます。そのかわり、管理面だけはGMPの精神が十分行き届いているかどうか——しかし、ただ精神だけでは困りますよ。それが何かに裏づけられている面のあれがなければ困ります。ですから、そういう面も総合的に判断をして、しかも最終的には、政府資金も貸しますしいろいろなものも貸与しているわけですから、一番理想的な方向を目指してください、しかし経過的には、指導体制としては管理面を重視していきましょう、そういうことで調和をとっていきませんと、こっちは全部除外する、こっちはやれと言うわけにもいきませんし、この辺は先生も理解を願って、その辺のところは行政の妙味を大いに考えていただかなければいかぬ。しかし、最終的にはやはり、これはどうしてもみんなやるんだぞということだけはきちっとしておいていただかぬと、国民に対してわれわれは責任を持てませんので、どうぞよろしくお願いをいたします。
○川本委員 大臣は、行政の妙味という言葉で表現をされましたが、私は、運用面で弾力性のある、そしてGMPの精神や目標が達成されるというような形を実現するように、御努力をお願いしたい、このように要望しておきたいと思います。 最後に、もう一つお聞きしたいのは、GSPの問題なんです。いわゆる薬の流通段階における品質管理基準といいますか、そういうようなものが最近行われるとか行われないとか、いろいろ論議を呼んでおるところでございます。私は、医療用医薬品と一般用医薬品の配置販売薬品というものとは、本質的には同一の基準で論ずるものではなかろうと思うのですけれども、こういうものについて、いま厚生省はどういう考え方でおられるのですか。
○中野政府委員 GSPの問題につきましては、いろいろな考え方と申しますか、あるいは進め方と申しますか、いろいろな議論が分かれているところでございますけれども、実は、現時点で必ずしも結論が出ているわけではございませんで、医薬品のいわば流通過程が、一般の商品とは異なり、厳重な品質管理と申しますか、品質確保が必要であるとともに、医薬品の供給に当たって必須なことでありますところの学術情報の伝達という問題がございます。 そのような問題も含めまして、実は、今回のわれわれの検討いたしておりますところの薬事法の改正に、流通問題の、いわば流通の適正化と申しますか、広い意味での適正化を趣旨とする部分を盛り込むかどうかということが、いま一つの未解決の結論になっておるわけでございますが、これが、もしも流通面の法律改正を行うといたしました場合には、当然、その設備構造とか、あるいは人的なスタッフ、あるいは情報伝達のためのいろいろな仕組み等の問題もございますと同時に、それらも含めまして、先生のおっしゃいましたGSPの問題が当然浮かび上がってくるということが考えられます。 ただ、このGSPにつきましては、日本のいわば大型の卸が中心となりまして、一つのガイダンスのようなものを検討し、案を持っているわけでございますけれども、その趣旨等につきましては、私どもとしても非常に結構なものではないかというふうに考えておりますが、これを法的に次回の改正で取り上げるかどうか、取り上げた場合にその中身をどういうふうなものにするか、たとえば政省令の段階のものかというようなこと等の問題も含めまして、実はまだ現在結論に至っておりません。 ただ、GSPにいたしましてもいずれにいたしましても、先生御指摘のGMPとやや似たような問題も含まれておるかと思いますので、これについては、GMPについて触れましたと同様なきめ細かい配慮を加えながら、取り上げるといたしましても、その方針で事柄に対処していきたい、かように考えております。
○川本委員 大分時間が迫ってまいりましたが、もう二、三点お聞きしなければいけない点があるわけです。 実はこの間、五十三年の十月二日に「漢方製剤の配置販売品目指定について」という局長通知が出されまして、漢方製剤について十一品目の指定がなされたわけです。これをお聞きしますと、本年三月、全国配置家庭薬協議会より要望のあったいわゆる二十八品目について審査をした結果、十一品目は家庭配置向けとして適当である、こういうことで指定されたというふうにお聞きをいたしておるわけですが、漢方製剤というのは、現在二百十品目ほどあるわけですね。それで、あとの十一品目以外の漢方製剤については、今後そうすると配置向けには認められない、こういうことになるわけでしょうか。
○中野政府委員 この十一処方の選定に当たりましては、中央薬事審議会の漢方生薬製剤調査会に御相談をいたしまして、その出た結論によりまして処理いたしたわけでございますけれども、先生御承知のとおりに、配置販売の場合には、いわば他の薬局等と異なりまして、対面販売でないという問題がございます。したがいまして、そのどれを使うかということはいわば使用者自身の判断で選ばれているという特性がございまして、漢方につきまして、先生よく御承知のとおりに、非常に、適合と申しますかそれの判断が、一般の医薬品と異なりましてむずかしい問題がございます。そこで、そういう問題点も踏まえて、漢方生薬製剤調査会の方でさしあたり十一処方をお認めいただいたということであろうかと思いますが、そういう対面販売でないという配置薬の場合におきましても、今後なお、こういうものは配置販売に適するのではないかというふうな形の処方が認められるものが出てくれば、それはそのときにおきましてケース・バイ・ケースで処理をしていく、したがってこの十一で終わりというふうにお考えいただくことは必要ないというふうに考えております。
○川本委員 そうすると、もう一度念を押しますと、漢方製剤の処方というものは歴史的なもので、いろいろあるそうですが、その処方とか構造式の中で、配置販売に向くように一部を変更して、その成分とか用法、用量、効能、効果、使用上の注意というようなものを配置販売品目の指定基準に適合するようにした場合、個々に審査をして、もう一度指定できるものは指定していく、こういう態度だということで理解してよろしゅうございますか。
○中野政府委員 漢方の特性及び配置薬というものの特性、両方を考えまして、適当であると判断されるものについては、先生御指摘のとおりの方向で処理いたしたいと思います。
○川本委員 これもこの前の六月一日に私はお聞きをしておって、十分時間がなくてなにしたのですが、いわゆる法三十条、三十一条の家庭配置薬の都道府県知事の品目許可ですね、この問題に関してですけれども、この前大臣から御答弁をいただいたものは、薬局、薬店等のいわゆる圧力とは言ってないけれども、「各県薬務行政の立場から見まして、薬局、薬店等のいろいろなトラブルが起こるおそれがありますので」非常にむずかしい問題だ、こういう言い方を大臣はされておる。私は、たとえばドリンク剤を例にとりますと、現在ドリンク剤を家庭配置として認めていないのは東京、山形、和歌山だけなんです。東京、山形、和歌山でも、薬局、薬店、薬種商のところでは売っておると私は思うわけです。許可されておる。しかし、当該の薬というものが健康に被害があるなら、薬局で売ったドリンクでも、薬種商が売ったドリンクでも、家庭配置のドリンクでも、同じだと思うのです。それが薬局で売ることは認められてそうして家庭配置では認めない、こういうことが各府県によって違うというのは、私は理解ができないわけです。大臣がおっしゃるように、薬局、薬店等の関係で薬務行政のやり方が各県まちまちで、薬局、薬店等のいろいろなトラブルが起こるおそれがあるということになると、何か薬局、薬店の圧力が強くある府県は、薬局、薬店では売ってもいいけれども家庭配置ではいけないということになる。それだったら力の強いものが勝つことになる。この点については私どもとしては納得できないところです。 調べてみますと、昭和三十八年の十二月十七日に、富山県の厚生部長名で、厚生省の薬務局薬事課長あてに照会文書が出してある。その照会文書を、全部読むと長いのですけれども「薬事法第三十条第一項に「配置販売業の許可は、配置しようとする区域をその区域に含む都道府県ごとに、その都道府県知事が、厚生大臣の定める基準に従い品目を指定して与える。」と規定され、また、薬事法の施行についての厚生省薬務局長通知(昭和三十六年二月八日薬発第四四号)記の第六の3の(5)に「配置販売品目の指定にあたっては、配置販売品目指定基準により品目ごとにその内容を審査して決定することとし、同基準に該当するか否かが疑わしい場合には、あらかじめ、当局に協議すること。」となっているが、このことは、配置販売業者から配置販売品目指定基準に適合するものとして厚生省当局から通知された品目(例えば昭和三十七年八月十七日付薬発第四一八号薬務局長通知に適合する内服液剤等)について申請があった場合、都道府県知事はこれについて指定するか否かについての自由裁量の権限を有しないものと解されるが、一応貴局の御意見をうけたまわりたい。」こういうことに対して、厚生省は、薬事課長名をもって、三十九年三月十二日に薬発第三四号で、富山県厚生部長あてに「照会については、貴見のとおりである。」こういう文書で回答されて、これは知事には裁量権のないものだ、こういうような決定を照会の文書に回答されたという経緯があるわけです。私は、そういうことも踏まえて、薬事法が制定された当時はそういう気持ちだったのじゃないか。それがだんだんと、今日までの十七年間にゆがめられてきておるのじゃないかと私は理解するわけです。 そこで、これは強く要望したいのですが、新しい薬事法改正の骨子の中にはこの点については触れられていないのですが、この点については、少なくとも家庭配置販売業者についての許可は都道府県知事の権限として残す、しかし、品目に対する許可は厚生大臣が決めたものであれば全国どこでも同じでいい、こういうようなことでなければおかしいと思うのですが、この点について重ねてひとつ……。
○中野政府委員 実は、先回の答弁も私が、大臣のお答えの前に、その地域の実情云々のことを申し上げておりますので、ちょっと私の言葉の足りなかったところを補足させていただきたいわけでございますが、私も、決して自由裁量権があるという意味で申し上げたのではないわけです。つまり、勝手に、都道府県知事が指定したいものは指定するし、したくないものはしなくていいという意味ではございません。ただ、厚生大臣の定める基準に従って、指定権はあくまでも知事にあるという現行の法制がございまして、厚生大臣の定めている基準は、先生御承知のように、物質とか適応とかというものによって羅列されておるということでございまして、個別のいわばブランドについての指定権限はあくまでも知事にある。その場合によく言われますように、基準に合致するかどうかという判断というのは、いろいろ照会もございますように、高度に技術的な側面もございまして、個別ケースについては厚生省の方からお答えをしておるということでございます。 ただ、現実に都道府県レベルにおける行政の受けとめ方と申しますか考え方として、先生御指摘のようないわば地域実情みたいなものに対する配慮が働いて、結果的に、都道府県知事の権限行使の結果が区々になってきているということは、確かに一部に認められるわけでございまして、このことについては確かに問題の一つである、地域によりて異なっているのは非常に問題の一つであるということを、関係の団体の方からも強く指摘を受けておりますし、また、薬事法改正をめぐる改正の御要望といたしまして、これを全国統一的な厚生大臣権限による指定と申しますか、それに改め、かつ、業者の方からは、届け出制で足りるじゃないかというふうな御要望も受けているわけでございます。 確かに、現行の法制について、その運用とかいうことについて、現在の法規自身に確かに問題があるという感じはいたしますので、これについては実はいま慎重に検討中でございまして、その慎重な検討によりまして、少なくとも、御指摘の疑念のような問題については適切に解決の手段を講じてまいりたい。ただし、今日の段階でこうする、こういうふうに割り切るという御答弁は、ひとつ御勘弁を願いたい、かように考えております。
○川本委員 最後にもう一つだけ。 実は、これもこの前の質問の続きになるわけですけれども、かぜ薬のピリン系の削除に伴う後の措置について、私は、配置販売業者あるいは製造メーカー等が多額の損害を受けておる、これについてやはり、政府はもっと積極的な救援策を考えるべきだということを申し上げたときに、局長からは、税制上及び金融面でのできる限りの配慮をいたしてまいりたい、こういう御答弁をいただいておりますし、大臣からは、いままでうかつでありましたが、御指摘で初めてわかったわけでございます。ことに中小メーカーについてはそうした配慮を十分にしていかなければいけませんので、どうしたらよいか十分検討いたしたい、こういうような御答弁をいただいておるわけですけれども、その後何か厚生省として措置されましたか。
○中野政府委員 実は先生の御指摘もございまして、私どもはピリン系の薬剤をめぐる事実の経緯につきまして、過去の事情も含めましてしさいに検討いたしました。実はその過程におきまして、私どもの判断といたしましては、これは回収を命じたとかいうようなことではございませんので、処方変更及びそれに伴う相当の猶予期間を置いた処方変更措置でございまして、この種の事案の取り扱いといたしましては、行政側として極力、取扱関係者についての経済的な実害のないような配慮をしたつもりでございます。また、そのように判断をいたしておるわけでございますが、その結果として、あるいは業者の方々に生じたところの損害がどのようなものであるのか、あるいは税制上あるいは金融的な面における御要望があるのかどうかということにつきまして、関係府県等にも問い合わせたのでございますけれども、実はまことに、私らの方の手配りも足りなかったのかもしれませんけれども、現時点では、具体的にこうしてくれという御要望は受けていない段階でございます。なお、その数字とかいうようなことにつきましても、私どもの今日までの検討ではちょっと明確に把握しかねる面もございまして、今後とも、もしも先生の御指摘のような取り扱いをめぐる実害の問題がございますれば、当然それなりの対応をいたしてまいりたい、かように考えております。 現時点までの御報告は、以上のとおりでございます。
○川本委員 時間がもうございませんので終わりますが、私はやはり、そういう税制上あるいは金融面での措置をするという御答弁をいただいておるわけですから、厚生省から大蔵省あるいは通産省、中小企業庁等に対して、こういうことで申請のあったものについては税制上あるいは金融面においても特段の措置を講じてもらいたいとかあるいは、聞きますところ、金利でも、近促法による金利で借りても六%台ぐらいじゃないかと私は思うのですが、最近の政府の制度金融の中には、優先金利で三・六%くらいの安い金利のものもあるやに聞いておるわけですので、やはりそういう点、厚生省が、厚生省の担当の行政ではないけれども、そういうものを適用されるように、各省庁に対して文書等で強く要望をすべきじゃないかと私は考えておるわけです。その点について最後にもう一回だけ御答弁いただいて、終わりたいと思います。
○中野政府委員 なお事実関係も十分調査いたしまして、先生の御指摘の問題については適切な対処をとりたい、かように考えます。
○川本委員 終わります。
○越智(伊)委員長代理 次に、草川昭三君。
○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。 きょう、私は、まず人工透析の問題を中心に質問をさせていただきたいと思うのですが、過日、兵庫県の監査で巨額な診療報酬の不正請求が明るみに出た、国富病院の処分についてお伺いをしたいと思うのです。特に国富病院の場合は、人工腎臓を売り物に、わずか数年で、医師の所得番付のトップになったわけでございまして、それだけに世間からも非常に注目を受け、すでに保険医療機関の取り消し、あるいは院長自身の国民健康保険医の登録取り消しの処分が出ておるわけでございますが、この不正要求額が一体幾らになったのか、あるいはまた、自主返還の分を含めると一億を超すのではないか、こう言われておりますが、返還命令はすでに出ておるのか、あるいは返還額は実際どの程度になり、しかもそれはどの程度遡及をして調べられておるのか、最終的な処分についてお伺いしたいと思います。
○石野政府委員 本年の十月一日で指定の取り消しとなりました国富病院でございますけれども、監査の結果によります不正請求金額は、政管健保、健保組合、共済組合合わせまして一千七十四万、そのほかに国民健康保険関係で七百九十五万、合わせて千八百六十九万、これがいわば監査の結果わかった金額でございまして、この額につきましては、現在返還措置の手続をいたしております。 それから、実際監査に使用いたしました診療報酬請求明細書でございますが、これは四十九年の二月から五十三年の三月、この間のレセプトにつきまして、患者数四十七人について調べました。明細書の数は三百八十九枚、こういうふうになっております。 なお、監査で判明したもの以外にも不正額があるのではないかということで、現在県当局におきまして捜査をいたしておりまして、整理を急いでおりますけれども、なるべく早くこの処理をいたしたいというふうに考えておるわけでございます。
○草川委員 では、自主返還というのですか、指導上の自主返還の金額は、その中に入っていないわけですね。
○石野政府委員 入っておりません。
○草川委員 これは具体的な例が出たら、いいものはいい、悪いものは悪いと明確に区別をして、厳格な処分をひとつお願いしたいと思うのです。 第二番目の問題は、人工透析というもので数年で医師の所得のトップに立ったという問題になるわけでございますが、実は、健康保険組合連合会の方の資料でこういうのがあるのでございます。高額医療の共同負担事業交付金、いわゆる再保険のようなものでございますけれども、五十二年度の交付金関係の統計資料を見ますと、やはり一番が人工透析になっておりまして、高額医療費の約四割が人工透析になっておるわけでございます。それだけに、人工透析というものは、不幸にして腎疾患になった患者が一命を取りとめる、生命の尊厳にとっては非常に大きな貢献を果たしておるわけでございますが、最近の傾向はこれに頼り過ぎておるのではないだろうかという感じがするわけです。透析がそこにあるからといって安易にこれを使用するということは、正直な言い方をするならば、保険診療の点数が人工透析に有利に設定をされ過ぎておるのではないだろうか。ここに医療産業の一つのねらいというのもあるわけでございまして、一たび人工透析をすれば、自分自身にとりましても腎機能は停止して一生ついて回らなければいけないわけですから、この指導方法ということについても私は厚生省は責任があると思うのです。そういうことを含めまして、一体国富病院のような例がほかにあるのかないのか、二番目に御質問します。
○石野政府委員 国富病院以外に国富病院のような例があるかどうかという御質問でございますけれども、私どもの調べでは現在そういうことはございません。ただ、おっしゃるように、高額所得者の中に人工透析をやっている病院があるということは事実でございますが、それは必ずしもイコール不正請求あるいは不当請求でやっているということではございませんので、その辺はひとつ誤解のないようにしていただきたいと思います。
○草川委員 全体の統計では、約十二年間で人工腎臓の保有台数というのは二十二倍にふえておるわけです。急成長し過ぎると私は思うのです。先ほど言いましたように、非常に役に立つということ、大切な中身はわかるのですけれども、どうももう一つ、正直に素直にこの傾向を評価できないという問題もありますし、実は、きょうは名前を挙げませんけれども、私のところへずいぶん投書が来ておるのです。たとえば、一件患者を紹介すると一カ月分のマージンを出すという例があるわけであります。たとえば、一件紹介すると百万円出すというのですね。ある大学の先生が紹介をする、そうすると親類というのですか近い病院にその患者が紹介をされてくる、すでにそういうところからもいろいろな意見があるのですけれども、これは具体的な裏づけのあることでないので申し上げません。しかし、そういう例はたくさんあります。そういう点だけにひとつ真剣に考えてもらわなければいけませんし、医師の所得番付をずっと見てまいりましても、人工透析を行っておる病院が非常に多いのですよ。これは、いま局長がおっしゃったような面もございますけれども、医療の公共性という立場からまじめに、本当に夜も一生懸命がんばってみえるお医者さんから言わせてみると、やはりそういう点については納得できないという例もあります。ある医事評論家は、有名な雑誌の中で、赤字の病院は人工透析をやればもうかるじゃないかとさえ評論をしている例もあるわけでございますが、その点についてはどう思われますか。
○石野政府委員 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、確かに、高額所得者のうちで人工透析を行っておる医師につきまして二、三聞いておるわけでございます。この場合の高額所得者という問題でございますが、これは御案内のとおり診療報酬だけではございませんで、あらゆる所得でとっておるわけでございますので、詳しいことは国税当局でなければわからぬわけでございますけれども、人工透析によって病院が収入を多く上げているという二、三の例を見ますと、いずれも患者の数といいますか、人工透析のベッドが多いところというふうな感じもいたしているわけでございます。そういう点で、すぐ直ちにこれは問題だというふうにはいかないと思うわけでございますが、万一そういう形で不正請求なり不当請求ということになりますと、これは非常に大変な問題でございますので、厳正な処分をしていかなければならぬ、こう考えているわけでございます。
○草川委員 お医者さんと患者とはマン・ツー・マンで診療するというのが原則だと思うのですけれども、いまおっしゃられましたように、売り上げの大きいところはベッド数が多い。確かに、器械が一台でたくさんの患者がおるわけですから、いわゆるニワトリで言うならばケージですよね。そういう医療方法というのが、本質的な医道というものに合うかどうかという問題もあると思うのですよ。だから本来は、本質的には点数制というところに問題が来るわけでございますが、私はそういう原点に立って、この問題についての考えをし直してもらいたいと思うのです。 同時に、いま不正請求の問題が出ておりますけれども、いままでに医療費の不正請求で保険医にとった措置、あるいは五十二年度なら五十二年度に限ってもいいのですが、最近の社会保険医療担当者の監査による返金金額だとか、それから取り消し、保険医療機関の取り消し状況、こういうことをひとつ御説明願いたいと思うのです。簡単で結構でございます。
○石野政府委員 不正請求等があった場合につきまして、直ちに取り消しというわけではございませんで、取り消しなり戒告なり注意という三つの処分があるわけでございますけれども、一番過失の大きいものあるいは故意によるものにつきましては取り消しをいたしておるわけでございます。 五十年度におきましては、三十五の医療機関につきまして取り消しをいたしております。その内訳は医科系が十六、それから歯科が十六、薬局が三。それから五十一年度でございますが、二十七の機関を取り消しいたしておりますけれども、その内訳は医科が十六、歯科が九、薬局が二。それから五十二年度は三十四機関でございまして、医科が二十一、歯科が十二、薬局が一。こうなっておるわけでございます。なお、五十三年度でございますが、これは十月現在までしかわかりませんけれども、十四件ございまして、内訳は医科が五件、歯科が八件、薬局が一件、こういう数字になっております。 なお、五十二年度で返還請求をした額でございますが、金額は六千六百六十五万となっております。
○草川委員 五十二年度の社会保険医療担当者の監査による返還金額でございますが、架空請求が全体の大体二五・六%で千七百万、それから歩増しと言うのでしょうか、水増しは約二三・五%で千五百六十六万、振りかえ請求が三・七%で二百四十六万、それから重複請求が〇・二%で、これは十四万八千でございますか、それからその他の項で四七%あるわけですが、出張診療だとか無診、いわゆるお医者さんが診なくて投薬の実例がある、こういう数字がありますが、これはいまの数字と同じでございますか。
○石野政府委員 これは五十二年度、先ほど申しました六千六百万の内訳で、先生おっしゃったと思いますけれども、そのとおりでございます。
○草川委員 時間がございませんので、では、最近の三千万以上の保険医療機関の取り消した例を一つか二つ挙げていただけませんか。
○石野政府委員 これは五十二年で福井県のWという病院ですが、これが三千百万円の返還請求をさせております。あとは三千万以上というのは、先ほどの国富病院はまだ最終的にはわかりませんけれども、それだけではないかなと思っております。
○草川委員 いま、一つと、こういうように聞いたわけでございますが、実際調べてまいりますと、取り消した例というのはまだたくさんあるわけでございます。私ども過日、厚生省に、このような資料の公開というものについて、審議会に厚生省の方が資料を出されて、一部の新聞にはそれが具体的に報道されまして、私どもも国会議員の立場から資料請求をしたわけでございますが、ごく一部の内輪の資料だというので、なかなか出してもらえませんでした。私はそういうことについては非常に遺憾だと思うし、それからやはり、悪いものは悪いものとして、厚生省は指導すべきものは指導しなければいかぬし、発表すべきものは発表しなければいかぬ。国民の皆さんに公開して、本当にあるべき姿というものを論議することも大切だと思います。ただ、それが一部の人たちだけに資料が流れていくということは、かえって不平等なことになり、関係者の相互不信感というものが深まることになりますから、私はいま申し上げましたように、これも福井のWという病院で別に名前を挙げろということを言っておりませんが、少なくとも関係者には、一つの事例研究で、なぜこういうようなでたらめが起きるのか、あるいは本当に全くの事務的な間違いなのか、あるいは先ほど言いましたように、マン・ツー・マンでお医者さんというのは本来の治療に当たるべきなのが、一つの器械のもとに何十人かがパイプでつながれて透析をするということが、本当に精神的にもいいのかどうか問題があると思うのですね。と言うよりも、非常に医療というものが限界に来ておるような気がしてならぬわけでございます。 そこで、人工透析の具体的な内容に入りますが、診療報酬請求の一件当たりの平均点数というものは、一体どのようにつかんでおみえになりますか、お伺いします。
○石野政府委員 御指摘されました人工透析の診療報酬請求の一件当たりの平均点数ということでございますが、これは患者の症状なりあるいは透析回数等によりまして異なりますので、必ずしも一概には言えないと思うわけでございますが、ごく単純な人工透析の場合で、外来透析というような場合で、たとえば合併症が全くない、そういうような例で見ますと、大体一カ月に十回ないし十五回ぐらいの透析の治療を行うというのが通例であろうかと思いますが、そういう場合のことを想定いたしまして診療報酬点数を算定いたしますと、大体一カ月六万点ないし八万点、六十万ないし八十万、こういうふうな程度ではないかと思うわけでございます。 なお、私どもいろいろモデル的に計算してまいりましても、六万点以下でございますと、かえってこれは検査が十分行われていないとかいろいろなことがございまして、むしろ医療過誤のおそれもございますので、平均的に見ましたら、六万点ないし八万点というのが最小限度の点数というふうに理解をいたしておるわけでございます。
○草川委員 私の手元に、これはいろいろな統計数字があるのです。これはレセプトから実態調査をやったのですけれども、大体人工透析の上位のものというのは、一件当たりの点数が——点数から金額に換算しますが、七十四万円というのが東京で、これも有名な高額所得者の病院であるわけであります。あるいは名古屋も高額所得者のところですが、平均してその病院から出てくるレセプトは、七万七千点ですから七十七万円であります。同様に、これもどこかの病院でございますけれども、専門病院ですが、七万九千点ですから七十九万円、これはもう全部高額医療所得者の病院ばかりなんです。すると、いまおっしゃられたように、高くても六十万から八十万じゃないか、こういうお話に比べると、ずいぶん問題があると思うのです。 私、ここに診療報酬の明細書があるのです。これもまあいろいろと書いてありますから、私、これを厚生省の方にも見せました、これがいいか悪いかということについて。中身は、お医者さんの範囲内だから文句言わぬけれども、ちょっと問題があるんじゃないかと思うのが、一カ月九十二万円ですね。これは同じ病院です。しかも同じ人です。五十三年の三月が八十四万円、五十三年の四月が八十四万円、五十三年の五月が九十九万円、これは連続ですね。五十三年の六月が八十八万円、こういうような診療所が私がいま言ったところにあるのですよ。こういう点を一体どういうようにお考えになられますか。
○石野政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、合併症というものがない、きわめて単純な人工透析ということを前提にして、最小限度六十万ぐらいであろう、こういうふうに申し上げたわけでございまして、当然、人工透析を行います患者につきましては、何らかの合併症があるのが大半でございます。 同時に、いまの六万点ないし八万点、つまり六十万ないし八十万という数字を申し上げましたのも、一カ月に大体十回あるいは十二、三回、こういうことで計算をいたしたわけでございますが、中にはやはり、回数を多く短時間にやるということもございますし、回数の問題もございますので、一概にいまの八十万、九十万が高いというふうな判断はできないのじゃないか、こう思っております。
○草川委員 これは病名は二つないし三つしか書いてないのです。注射の針でそこが感染したというのですか、うんだということで、余りたくさんの病名はないのです。しかも、透析の回数は全部で十二回です。だから、明らかにこういう例が多いわけですよ。 そこで、民間の健康保険ばかりではなくて、国家公務員あるいは地方公務員等で共済会等もあるわけでございますが、ここで会計検査院の方にちょっとお伺いをしたいと思うわけでございます。 いま私が具体的な例をずいぶん申し上げたわけでございますけれども、各地でこのような不正請求というのが非常に明らかになっております。会計検査院の権限において、これらの不正請求をチェックする何らかの方法はないのだろうか、こういう感じがするわけでございますが、その点についての考え方をお伺いしたいと思います。
○岡峯会計検査院説明員 お答え申し上げます。 検査院が検査いたしておりますのは、政府管掌の保険にかかわる診療報酬の支払いの基礎となります診療内容につきましで、実は私どもの権限といたしまして、医者であるとか患者であるとか、そういったところを直接検査する権限はないのでございます。したがいまして、診療行為の内容に及ぶことができないのでございます。また、こういうこともございまして、私どもの体制につきましても、診療内容につきまして解明できると申しますか、審査できる人材の確保ができていない状況でございまして、これまでも、この種の検査は行っていないのが真実でございます。 しかし、いま先生の御質問でございますので、本院の検査権限の範囲内であえて考えますと、そういった想定を置きました場合、社会保険事務所につきましては毎年一一%程度の検査をいたしているわけでございますが、その検査の際に、同事務所に保管してありますレセプト、これは支払報酬基金の方から返ってくるわけでございますが、そのレセプトを抽出いたしまして、レセプト一枚当たりの平均金額が非常に非常識に高い、そういったものにつきましては、社会保険事務所を通じまして社会保険診療報酬支払基金に再審査をお願いする方法も考えられるかと思います。しかしながら、この場合につきましても、私たちが抽出いたします非常に高いものという判断、さらに、再審査をお願いしました場合の基金側の対応、こういった問題があるわけでございまして、真実のところ、非常にむずかしい問題であると考えております。
○草川委員 いま社会保険診療報酬支払基金に再審査を請求する方法がある、こういうお話でございますが、私はぜひやっていただきたいと思うのです。 私どもは、何回か申し上げておりますように、いいものはいい、悪いものは悪いと、一回整理をしようというわけですよ。この医療という問題は、お互いに不信感に満ち満ちて、どうにもこうにもならぬような状況になっているわけですから、国民の皆さん方には、このようにということを言いながら——悪い人は悪い人なりにはっきりもう処分をしていただいて、まじめに本当に国民の医療というものを考えられるお医者さんは大切にしていくという、この原則をはっきりさせて、言うべき点は言っていくということが、今日の混乱をなくする方法だと私は思うのです。 そういう意味で、確かに、いまおっしゃられましたように、会計検査院の方としては、いままでいろんな意味で取り上げられていなかった点もあるようでございますが、少なくともこの一一%の検査という範四を広げていただいて、そして、いま私が例を挙げましたように、明らかに、厚生省の方でも、十回から十二回の一定の基準というものの常識的な案があるので、高ければやはり聞いていただこうというようなことをぜひやっていただきたいというようにお願いをしますが、その点は非常に強く要望して、会計検査院の方にはお願いを申し上げておきたいというように思います。 次に、患者の方々の立場に立ちますと、ことしの二月から、人工透析の費用というものも、やはり厚生省も考えられたのでしょうけれども、安くされたと思うのですよ。そのために、今度は一括してこれを請求するということになっておりますし、ただ時間の違いで点数が違うわけでございまして、従来短かった時間が今度は長くなるというような意見も若干あるわけでございますし、それから食事代も今度は本人に持ってもらいたいというような例も、これは具体的な病院の名前を挙げて私のところに来ておりますけれども、すぐ目の前の大きな病院でございますけれども、そういう例もあるわけでございますが、一体、人工透析の費用を安くした理由というのはどこにあったのか、お伺いしたいと思うのです。
○石野政府委員 安くなったかどうかという問題でございますが、新旧の診療報酬点数を比較してみないとわからぬと思いますけれども、前回の改定以前では、人工腎臓一回につきましては二千百五十点、その上にカニュレーション料とか特定治療材料ということで加算をされておったわけでございます。それを今度の二月の改定におきまして、カニュレーション料でございますとかあるいはダイアライザーなり回路の費用につきましては、全部含めまして三段階に分けて、五時間未満につきましては三千百点、それから五時間以上九時間未満につきましては四千点、九時間以上四千百点、こういうふうな内容にいたしたわけでございます。それは、やはり最近の医療技術の進歩なり、あるいは使用します器具あるいは器材、そういうものの改良等によりまして、従来から見ましてかなり短い期間で透析が行われるようになった、こういう実態もございます。かたがた患者さんの要望の方も、できるだけ短い期間でやってほしいという御要望もございました。しかし、これもなかなかむずかしい問題でございまして、短ければいいという問題ではないので、やはりある程度じっくりと時間をかけてやることが、むしろ医学的な問題として、常識としてはいいという面もございますので、そういういろんなもろもろの問題を考えまして、実は時間制を導入して、同時に、従来ございましたダイアライザー等の使用器材についての価格につきまして問題もございましたので、それを含めまして一括して計上した、こういうことでございます。
○草川委員 この値下げのことで、当然医療機関の方は減収になるわけでございますから、対応策として、たとえば、いま言われましたダイアライザーの低価格製品へ買うのを変更するとか、透析時間の延長だとか、外来透析患者への給食支給の打ち切りというのが全国的にやられておるわけでございます。あるいは透析回数をふやすとか、夜間透析の打ち切りや時間変更なんかもございますし、一部の病院ではダイアライザーの再生使用が検討されておりまして、患者にとっては大変な不安を与えておるわけでございます。 そこで、一つは、人工透析の医療器材メーカーの乱立にも問題があると私は思うのです。これは医薬品と同じだと思うのです。そのために過当競争になりまして、非常に問題があると思うのですが、それはきょうの主題でありませんから避けまして、いまの材料費を含めた一折方式というのを改めて、次回の医療費改正までには、人工透析の材料費と言うのですか、医療費の価格を別途定めるという、薬で言えば銘柄別と言うのですかメーカー別と言うのですか、そういうのを考えた方がかえっていいのではないだろうかと思うのですが、その点についてはどうお考えになられますか。
○石野政府委員 ことしの二月に、一括した計上で点数を設定したわけでございますけれども、確かに、先生のおっしゃるようないろいろな問題もございます。 私どもは、実は、ダイアライザー等の人工透析関連治療材料でございますが、それにつきまして現在価格の実態調査をいたしております。その結果を踏まえまして、中医協にお諮りして検討してまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○草川委員 どういうように実態調査がなるかわかりませんし、次回の医療費の改定がいつになるかわかりませんけれども、ぜひひとつ、患者の方方のいろいろな要望、声があるわけですから、その患者の方々の声もよく聞きながら、取り上げていただきたいということを申し上げて、次の質問に移っていきたいと思います。時間がございませんので、人工透析の件はこれで終わります。 そこで、次はコレラの問題を取り上げたいと思うのです。 最近、愛知県だとか千葉県の船橋の方だと思いますけれども、コレラが発生しておるわけですが、問題は、渡航経歴のない方々にコレラが発生しておるという事件が起きておるわけであります。いわゆる二次感染というのですか、国内感染というのが増加をしておるわけでございますが、その感染経路の究明はできておるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、最近の千葉県船橋の例あるいは愛知県稲沢市の例を含めまして、現在までに、ことしに入りまして五例が渡航歴がない、国内において感染したのではないかと考えられるわけでございます。これらの、国内感染発病者ではないかと考えられる例につきましては、その感染経路の究明について、患者が接触した人の調査あるいは環境の調査等、それぞれの例につきまして鋭意努力しておるところでございますが、残念ながら、目下のところ、この五例につきましてはっきりとした感染経路はつかめておりませんです。
○草川委員 感染経路がつかめていないだけに、近所の方々だとか地域の方々が非常に不安になっておるわけでございますが、ひとつこの際、防疫体制の見直し等もいろいろと考え直しませんと、これだけ海外渡航者が多いわけでございますので、一々調べるということも実質的には不可能だと私は思うので、それだけに、食品関係者の検便の問題も、従来の赤痢や食中毒だけでなくて、コレラの検査等も対象に加えるべきではないだろうか、こう思いますし、あるいは、厚生省としてわからぬというだけではなくて、何か特別な対応策を考えていただきたいと思うのですが、その対応策について何かございましたら発表していただきたい、こう思うのです。
○田中(明)政府委員 御指摘のとおり、最近の国際交通のスピード化あるいは大型化に伴いまして、コレラの潜伏期間中に検疫を通過して国内で発病したり、あるいは発病しないで菌を排菌しているというような例が増加していると考えるわけでございまして、検疫所におきましての検疫対策を強化いたすとともに、コレラ汚染地域からの帰国者の名簿を検疫所においてつくりまして、各都道府県及び政令市に送付いたしまして、追跡調査を行わせる等のことをやっておるわけでございます。 また、昭和三十七年の台湾コレラの際に、いわゆる水際作戦ということで、コレラを国内に入れないという考え方に基づいてつくられましたコレラの防疫対策要綱が、先ほど申しましたような航空機の発達した現在におきましては適合しない面が出てまいりましたので、すべての都道府県及び指定都市にコレラの防疫対策本部を設けさせまして、さらに、コレラの発生時には疫学調査委員会をつくり、コレラの防疫を迅速かつ合理的に行う、仮にコレラ菌が国内に持ち込まれた場合でも、国内感染が発生しないようにということで、新しいコレラの防疫対策要綱をこの八月十三日に策定いたしまして、都道府県に通知したところでございます。 その後、先ほど申し上げましたように、恐らく国内で感染したのではないかというようなコレラの患者が五例、ことしに入りまして出ているという実態も踏まえまして、本日午後三時から、公衆衛生審議会の中の伝染病予防部会の伝染病対策委員会を開催いたしまして、コレラ防疫に関して専門家の方々に多数お集まりいただきまして、現状をどういうふうに認識するか、これについてどういうように対応していくべきかという点に関しまして、いろいろと御審議をいただいておるところでございますので、この専門家の先生の御意見をもとにいたしまして、厚生省といたしましても、今後コレラの防疫について一層努力をしてまいりたいと存じております。
○草川委員 コレラの問題はこれで、専門家の会議でいまいい知恵を出していただきたいということで、終わります。 最後に大臣、きょうの前半で、私、人工透析の問題を中心に取り上げましたのは、別に特定の医療機関の揚げ足をとるということでなく、底に流れるものは、次の健保の抜本改正につながっていくものが底流にあると私は思うのです。これが放置をされておりますから、本当に人間のとうとい生命というものが器械で看視というのですか、そこにつながれてしまうという要素があるし、そして医療機関の方ももうかるからこれを取り上げようという問題も出てくるということになるので、これは非常に本質的な問題をはらんでおると思うのです。私、いまいろいろ具体的な例を出し、会計検査院の方の御発言も求めながら、とにかく真剣になって、一遍問題点を洗い直していくことがわれわれ国会での任務だと思っておるのです。そういう意味も含めまして、最後に一回、大臣の御見解を賜って、私の質問を終わりたい、こういうように思います。
○小沢国務大臣 おっしゃるように、いろいろ御議論を聞いておりまして、私も非常に問題点だろうと思います。それから同時に、最近は他の面でも検査についての問題等が出ておりますが、医療上必要な、また診断上必要な検査は徹底的にやらなければいかぬし、また医療上必要なら人工透析、それは何回でも何時間でもやらなければいかぬと思うのです。しかし、たまたまそれが非常な保険点数の増高につながって、それが経営上有利だという観点から、何かそこに弊害が起こるとすれば、これは私どもは十分よく検討していかなければいかぬと思いますので、おっしゃる点、問題であるというとらえ方でいろいろ整理をし、検討していかなければいかぬというきょうの御論議については、非常に傾聴いたしましたので、私も素人ではありますが、なおよく部内でも検討してみまして、点数改正の問題はこれでいいのか、あるいはまた、そういう普及の問題が、もう非常に周知してないところはない、あるいはあるところはあり過ぎるというような問題があるのか、あるいはまた、そういう患者さんの人工透析による治療というものの最も進んだ考え方をする人でも、一つの治療の指針といいますかそういうものが必要なのか、その辺のところを十分検討させていただきたいと思います。
○草川委員 以上で、終わります。
○越智(伊)委員長代理 次に、古寺宏君。
○古寺委員 今日、わが国におきましては、毎年十四万五千人の方々ががんによって生命を失っているわけでございますが、このがんの制圧の問題は、今後のわが国の医療の最も重大な問題であるという立場に立って、きょうは御質問を申し上げたいと思います。 最初に、現在のわが国のがん検診の実態はどうなっているか、こういう点について承りたいと存じます。
○田中(明)政府委員 がん検診の実態でございますが、昭和五十一年度におきまして、がん検診の受診者は、胃がんの検診を受けた者が二百九十七万人、子宮がんの検診を受けた者が約百六十七万人でございます。このうち、胃がんの検診によりまして二千八百二十一人の胃がんの患者が、子宮がんの検診によりまして二千七百四十六人の子宮がんの患者が発見されております。
○古寺委員 このがん検診の対象の方々の年齢、それから実際に検診を受けられた人の年齢、それから何歳からの人が受けたのか、それからまた、わが国の人口構成の中でその対象になる人口というのは大体どのくらいいるのか、承りたいと思います。
○田中(明)政府委員 ただいまの制度のもとにおきましては、胃がんにつきましては四十歳以上の者を検診の対象としております。それから、子宮がんにつきましては三十歳以上の者を検診の対象といたしております。それから、昭和五十年におきまして四十歳以上の人口は三千九百万人ございまして、三十歳以上の女子の人口、すなわち子宮がんの検診対象となる人の数は約三千万人と推定されます。 〔越智(伊)委員長代理退席、住委員長代理着席〕
○古寺委員 そういたしますと、胃がんの場合は対象人口の一〇%に満たない方々でございますし、また、子宮がんにつきましては約五%強という方々しかこの検診を受けていないわけでございますが、今後がんの予防を図るためには、検診体制の強化、充実ということが非常に大事な問題でございますが、残念ながら、検診車が非常に不足をしているというような実情でございます。そこで、今後この対象人口をどの程度までを目標にして、検診体制を強化しようというふうにお考えになっていらっしゃるのか、また、その目標に対して検診車は毎年何台ぐらい増強していくお考えなのか、承りたいと思います。
○田中(明)政府委員 がんに対する予防対策といたしまして、先生御指摘のとおり、胃がんあるいは子宮がんの早期発見、また、そのための健康診断事業というのは非常に重要なわけでございまして、昭和四十一年度から胃がんにつきまして、また昭和四十二年度からは子宮がんにつきまして、その検診車の整備及びその運営費について、それぞれ国庫負担を行っているところでございます。 それで、運営費を補助する検診車の台数は、本年度におきまして胃がんにつきまして三百二十五台、それから子宮がんにつきましては百台となっております。五十三年度新設の予定といたしましては、中央、地方公共団体、民間を含めまして、胃がんにつきましては十五台、子宮がんにつきましては六台の新設予定でございます。 この長期的な計画につきましてでございますが、われわれといたしましては、でき得る限り検診の体制を整備するという観点から、今後とも努力いたしてまいりたいと思っております。
○古寺委員 そうしますと、五十三年度に新規に購入する胃がんの検診車は全国で民間も含めて十五台、それから子宮がんは全国で六台、こういうことでございますか。
○田中(明)政府委員 そのとおりでございます。
○古寺委員 そうしますと、全国の各都道府県から、五十三年度は胃がんの検診車は何台、また子宮がんの検診車は何台、五十四年度は何台購入したい、こういう希望が出ていると思うのですが、どういうふうになっておりますか。
○田中(明)政府委員 五十四年度の希望につきましては、現在その希望を聴取中でございますが、現在のところまだまとまっておりません。 五十三年度につきましては、先ほど申し上げましたように、胃がんにつきまして十五台、子宮がんにつきまして六台という新設を予定しておるわけでございます。
○古寺委員 時間が短いのですから、簡単に私もお尋ねしていきますから、簡単明瞭にお答え願いたいのですが、たとえば北海道が何台、青森県が何台と、全国総体的に、五十三年度の検診車を購入したいという要望が厚生省に来ているはずなんです。その中で予算がついたのがいまおっしゃった十五台なんですよ。ですから、全国の要望に対してどのくらいの比率かということを知りたいためにお尋ねをしているわけでございますので、その点をお伺いします。
○田中(明)政府委員 お尋ねの点につきまして、われわれ担当局といたしましてはいろいろの御要望をお聞きして、具体的に可能性があるというふうに考えられたものについて補助をするということにしておりますので、先ほどお答えした数字が大体それに近いのではないかと考えておるわけでございます。
○古寺委員 そうしますと、胃がんの検診車は五十三年度予算で一台幾らして、そうして何分の一補助するのですか。幾ら補助するのですか。
○田中(明)政府委員 胃がんの検診車につきましては、三分の一の補助ということになっております。単価は八百七十万という単価をとっております。子宮がんにつきましては、五百七十万の単価でございまして、補助率はやはり三分の一でございます。
○古寺委員 そうしますと、八百七十万ということは、二千六百十万円の車に対して八百七十万の補助をしているということでございますか。
○田中(明)政府委員 ただいま申し上げましたのは、車の予算上の単価でございまして、その三分の一が補助額となるわけでございます。
○古寺委員 局長さん、いま胃がんの検診車を一台購入すると値段が幾らするか、あなた御存じですか。課長さんに聞かぬでおっしゃってください。
○田中(明)政府委員 この単価ではできないということを存じておりますが、単価を上げるべく、来年度の予算においては努力したいと存じております。
○古寺委員 来年度幾らに上げるのですか。
○田中(明)政府委員 来年度、胃がんにつきましては千六百九十万円に上げたいというふうに存じております。
○古寺委員 千六百九十万円で胃がんの検診車が購入できるというふうにお考えですか。
○田中(明)政府委員 窮屈な額ではないかと思いますが、まあこのぐらいでやっていただきたいというふうに存じておるわけでございます。
○古寺委員 いま、胃がんの検診車は一台大体三千六百万円から三千七百万円するんですよ。それを、厚生省は予算が乏しいので何とかひとつ半額にまけてくださいと言っても、売ってくれないんですよ。買えるところがあったら教えてもらいたいです。そういう実態に合った単価に基づいた補助を交付しなければ、地方自治体にしてもあるいは対ガン協会にいたしましても、検診車が購入できないじゃありませんか。 いつもこの委員会で、今日の医療保険の一番大きな問題として、財政の問題が取り扱われている。年間十四万五千人の人が、胃がんで何かしらの治療を受けているのです。私は、恐らくその大半は高額医療費を払っていると思うのです。しかも、そのがんに罹患した人の家庭の立場を考えてみますと、これは経済的にもあるいはまた社会的に言っても、非常に大きな損失なんです。国保の財政が苦しくなっている。その苦しい財政の分析をしますと、先ほどの人工透析ももちろんございますが、こういうようながんの疾患で長期療養をしているような場合には、非常に医療の財政というものを圧迫するのです。そういうがんの患者さんを予防できるのでしょう。今日の医学からいくと予防できるわけです。それを、予防しなければならない厚生省が本気になって対策に取り組んでいない。がんを制圧しよう、がんを予防しよう、そういう公衆衛生的な立場に立っていらっしゃらないのです。 ですから、実際にこの検診車が欲しくとも、こういうような乏しい補助金では検診車の購入はとうていできません。したがって、自転車振興会ですとかいろいろなところから、何とかこの助成をしてくれるところを見つけて、そうして初めてこの検診車を購入している。また中には、もう老朽化してどうしようもない、しかしながらこのがんを予防するために、そういう老朽化した検診車で、毎日一生懸命がんの予防に取り組んでくだすっている方々もいらっしゃるのです。 だから、そういう実態を把握した上で、実際の単価に基づいた補助、それからまた、全国でどのくらいの希望があるのかという、その希望に基づいた予算を計上してもらいませんと、いつまでたってもがんの制圧はできない。 現実に毎年ふえているのです。この二十年間に、がんの診断にしても治療の面にしても、それはまだまだ未解決の面はたくさんございます。しかし大幅に進歩しているのですよ。しかしながら、反面がんの患者がふえているのです。それは、予防というものに積極的に取り組んでいないからなんです。 ですから、先ほど申し上げましたように、まだ対象人口の一割にも満たない方々しか検診を受けていらっしゃらない。そして、その中から幸いにしてがんが早期に発見されて、助かっている方々がたくさんいるわけです。これを年度別に目標をきちんと立てて、そして、昭和何年度までには何千万人の人を検診をしようというような、そういう基本計画というものが厚生省になければならぬと思うのです。全くの場当たりでしょう。局長さん自体がこういうことじゃ、日本のがんの予防というのはできませんよ。ですから、この日本のいわゆる三十歳以上の子宮がんの検診は何年度までには何百万にしよう、何千万にしよう、胃がんはどういうふうにしようと、きちっとした基本計画を立てて、その基本計画を実現していくためには検診車が一体何台必要なのか、その検診車の一台の価格はこれこれであるから、これこれの補助金を出して、そして検診を一生懸命進めていこう、こういう姿勢がなかったら、何にもできないじゃないですか。大臣、どうです。
○小沢国務大臣 大変いい御意見を承りました。いま聞いておりまして、本当にがんの検診車が三千六百万円もするものであれば、早速直さなければいかぬと思います。そうでなければ、地方に実際の超過負担を押しつけることになるわけでございますし、またそれなるがゆえに、超過負担はとても普通のところではできませんから、みんなも整備しない、がんの検診が進まない、予防ができない、治療費ばかりよけいになる、こういうことになりますので、これは経済的に見ても、大蔵省もそんな金をちびる理由はないと思うのですね。したがって、早期発見をすることによって早期に治療ができて回復をするということになれば、治療費も大幅に、何といいますか、合理化されるわけでございますから、私、帰りまして早速、担当局と相談をして、改善できるものがあれば来年の要求からでも改善をいたします。
○古寺委員 次に、がんの検診を進めるために、検診車だけではこれは不十分でございますよね。やはり中核都市には検診センターというものをつくって、いろいろな精密検査、あるいは子宮がんであるならば細胞診の検査をするとか、いろいろなことをやらなければいけません。その場合に、検診センターというものをどんどんふやしていく必要がございます。これに対する厚生省の今後の計画なり、あるいは補助制度なり、そういうものがございましたらお伺いしたいと思います。
○田中(明)政府委員 御指摘のとおり、検診センターにつきましては、特に中核都市におきまして、すでにいろいろな形でできておるところもあるわけでございまして、私どもといたしましても、がんの検診体制の一環として考えてまいりたいというふうに存じておるところでございます。 これにつきましては、検診の効率的な実施というような観点から、ただいまがん研究助成金による研究において、検診センターあるいは検診車等、いろいろな機構による検診の効率化ということで、御検討いただいているところでございまして、今後その研究の成果をまちまして、この検診センターにつきまして、私どもとしても前向きに検討いたしてまいりたいというふうに存じております。
○古寺委員 いや、一年に大体何カ所ぐらい、どういう規模のものを厚生省としてつくろうとしていらっしゃるのか、お伺いしているのです。
○田中(明)政府委員 まだ具体的な検診センターの建設計画を立てるというところにはいっておりませんで、現在、先ほど申し上げましたように、どういうような構想のもとにつくったらいいかということを、専門家の方々に研究していただいているという段階でございます。
○古寺委員 その専門家の方々の研究しているというのは、何という研究会ですか。
○田中(明)政府委員 がん研究助成金によります胃がんの高度危険群に関する研究、胃集検における対象の集約というようなことで、どういうような効率的な集検を行ったらいいかということを、国立がんセンターの山田先生を中心として研究していただいております。
○古寺委員 それはいつごろまでに結論が出るのですか。
○田中(明)政府委員 五十三年度の研究でございますので、来年の三月までにその結果が出る予定でございます。
○古寺委員 その研究ができましたならば、これはもう欠くべからざる施設なんですから、どうしても今後設置しなければならない施設なんでございますので、全国にこういうような検診センターを計画的に配置をしてがんの予防に努めていただきたい、こう思うのです。 そこで、現在、もうすでに待ち切れなくて、厚生省の非常にのろのろしたがん対策にはとても待ち切れなくて、各地方ですでにそういうような検診センターをつくっているところがございます。たとえば私の地元の方で申し上げますと、八戸市でもって今年の十月に、八戸市総合検診センターというのができました。これは医師会と八戸市とそれから商工会議所が、財団法人をつくって、こういうものをつくった。これには厚生省もある程度助言はしたようでございます。しかし、設置に関しても運営に関しても、ただの一銭も、補助も助成も何もないのです。全部任せっぱなしです。そういうところに対しては、やはりもっと積極的に、がん予防対策の一環として、今後設置する場合には、施設に対する助成、また運営費に対する助成、そういうものは当然考えてあげなければならない問題だと思うのですよ。こういうことにはもう全然知らぬ顔をしていると申しますか、何ら援助しようという考えがない。これは厚生省が本来やるべき仕事なんです。厚生省がやらないから、地方の都市が待ち切れずしてやっているわけですから、当然これは厚生省としても、運営費なりあるいは施設に対しても助成してあげるべきだと考えますが、これは大臣どうですか。
○小沢国務大臣 厚生省が国民の健康を守っていかなければいかぬ最終的な行政の責任を持つということは、確かにそのとおりですけれども、何でもかんでも厚生省がみんなやらなけばいかぬということではないので、これはやはり県なり市町村なり、それぞれ自治体が、住民の健康のために、予防のために努力をしなければいかぬこともまた事実なんでございます。厚生省がそれを、全国的な見地から政策を推進するために、予算なりあるいはその他技術なりの指導、援助をやる、こういうことでございますから、したがって、私どもとしては、それは当然何らかの意味での助成策を講じていかなければいかぬと思いますけれども、いまそういうものを各都市に全部、がんならがんの専門の検診センターをつくった方がいいのか、御承知のとおり、古寺先生も専門家ですから、医療内容あるいは医療陣というもの全体を考えたときに、公立病院なり国立病院なり、その中核病院を利用した方がいいのか、いろいろな問題点もありますし、これは専門家の御意見も十分間かなければいかぬと思うのでして、いままでそういうような対策がとられていなかったんじゃないかと思うのです。救急関係は一次、二次、三次ということで整備をどんどんやっておりますのと比べますと、確かにおくれておりますね。がんの対策は非常に大きく力を入れて前進をしていかなければならぬ問題でございますので、私、いま先生の質疑を聞いておりまして、がんの予防対策というものを総ざらいしてみまして、そして、必要なものから手をつけていくという体制を至急総合的に検討してみたいと思うのです。いま直ちにここで、よろしゅうございます。それは補助対象にします。来年から進めていきますということだけはちょっと待っていただきたい。私、これは総合的に真剣にやってみます。
○古寺委員 大臣、いまお話を承っていますと、国が全部やるのはとてもかなわぬのだ、もう地方都市や国民も一生懸命やってもらわぬと困るのだ、こういう意味のお話なんですね。ところが、この八戸の場合は国が全然やってくれないのですよ。八戸市や商工会議所や医師会は、一生懸命になって市民の健康を守ろう、がんを予防しようと思っているのに、厚生省が全然見向きもしてくれぬのですよ。話が逆なんです。ですから、そういう冷たい姿勢ではなくして、せっかく市や医師会や商工団体が一緒になっておやりになるんだから、少しはお手伝いをさしてください、申しわけないけれども、お手伝いしますよ、厚生大臣にこういう姿勢がなかったら、日本のがんの予防というのは進みませんよ。どうですか、大臣。
○小沢国務大臣 ですから、そういう姿勢では賛成なんで、それはもう当然やっていかなければいかぬと思いますので、したがって、いま八戸の例を引かれましたが、私は、いまここで、そういうような予算があるのかないのか細かいことはよくわかりませんから、しかし聞いておりまして、がん対策全体についていろいろな角度から検討した総合的な対策をしっかり決めていかなければいかぬな、それで必要な予算は場合によったら、十二月が最終的なあれですから、それまでに予算の内容を変えたりあるいは追加をしたり、そういうようなことも早急にやってみます。こう申し上げているわけでございます。
○古寺委員 次に、がんの検診の拡充のためには、お医者さんはもちろんでございますし、またレントゲン技師とかあるいは細胞診の検査士、こういう方々の応援がなければできないわけでございますので、その養成計画はどういうふうになっておりますか。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、がん検診には医師その他の衛生担当者が必須でございまして、この養成につきましては、厚生省といたしましては、日本対ガン協会に委託して実施しておるところでございます。 昭和五十三年度におきまして、医師につきましては一般のコースが十五人、胃がんのコースが十人、子宮がんのコースが十五人ということで、これは実際には癌研究会にお願いしております。それから放射線技師等につきましては二十五人ずつ二回、五十人ということで、これも癌研の方にお願いしております。また、臨床検査技師等につきましては一回二十人で二回、計四十人ということで、これは癌研究会と大阪の府立成人病センターにお願いしております。
○古寺委員 そこで細胞診の検査士ですね。これはいまのお話でございますと、六カ月に二十人ずつで四十人でございますか、東京と大阪でございますから、年間で八十人ぐらいの養成を毎年やっていらっしゃるように承ったんでございますが、最近は異常に子宮がんが増加しているわけですね。それで、この細胞検査士を少なくとも三千名確保するようになれば、わが国の子宮がんは著しく減少する、こういうふうに言われているわけです。現在は何名でございますか。
○田中(明)政府委員 先ほど私、ちょっと急いで申し上げたのでお聞き取りにくかったかと存じますが、臨床検査技師につきましては癌研に一回二十人で年二回四十人、それから大阪府立成人病センターの方にはそのほか十名ということで、計五十名でございます。 それから、現在細胞診に従事している検査士の数でございますが、これは子宮がんの細胞診をやっている人には必ずしも資格がちゃんとしてない人も入っておりまして、残念ながら私どもの方では把握しておりません。
○古寺委員 そういうこともきちっと厚生省で把握をしていただいて、三千名という一つの目標に向かって養成計画を立てて、充実していただきたいんです。ただ、細胞検査士の場合は若い女性が多いですね。ですから、どうしても結婚するとやめる方もいらっしゃるわけでございますので、そういう点も勘案して、三千名なら三千名の目標に向かっての養成計画というものを立てていただきたいと思います。 それから、時間がないので急ぎますが、次は運営費の補助の問題でございますが、これが現在非常に少ないんですね。厚生省の予算の中で一番おくれているのはがんの予算だと思うわけでございますが、全国都道府県の成人病の対策費あるいは政府のがん対策費は、グラフで見ますとわかりますように、こういうふうにずっと上昇している。ところが、下の、横にずっと平行に走っている線がございますね。これがいわゆる政府のがん予防対策費なんです。昭和四十年を起点にして考えてみますと、ほとんど伸びていないんですよ、がんの予防対策費が。これは非常にゆゆしき問題じゃないか、こう私は考えておりますので、小沢厚生大臣には、このがんの予防対策費について、ひとつ来年は思い切った予算をぜひ計上していただきたいと思うのです。 そこで、ごく簡単に申し上げますと、一台の胃がんの検診車に対して、一日何万円、年間何日分の助成をしているというようにお考えでございますか。
○田中(明)政府委員 私どもが運営費を補助しております胃がんの検診車につきましては、一台五百七十六万円の単価で補助しておりまして、大体稼働日数は百四十日ぐらいを想定しております。
○古寺委員 まず、この稼働日数を少なくとも二百日にふやしていただきたい。それから、少なくとも一日当たり運営費については五万、そうしますと、二百日掛ける五万円ですから一千万円ですね。子宮がんも同じように、一日当たりで見ますと現在五万二千円ぐらいですが、これも稼働日数はいま九十日分ぐらいでしょう。
○田中(明)政府委員 大体胃がんと同じになっております。
○古寺委員 同じになっておりますか。これを少なくとも胃がんの検診車並みに、二百日にふやしていただきたいというのが実際に検診車で活動している方々の御要望なんです。ですから、そういう方々の御意見を十分に尊重をして、そして来年度のがんの対策に取り組んでいただきたい。 〔住委員長代理退席、越智(伊)委員長代理着席〕 それで、この前局長さんはがんの制圧全国大会へ行ってごあいさつしていらっしゃるのですよ。そのごあいさつを見ますと、国民が局長さんを非常に信頼するような、期待できるような、そういうようなごあいさつをなさっていらっしゃるのですから、どうかひとつ、今度は、来年度の予算の上でもそういう点を十二分にお考えになって、前向きに取り組んでいただきたいと思うのです。 このがん制圧全国大会でもお話があったと思いますが、現在、結核予防法で結核の方々は検診の義務があるわけです。そのために、今日わが国の結核というものは非常に少なくなりまして、これは大変喜ばしいことですが、現在このがんの研究に取り組んでいらっしゃる方々、またがんに対して非常に関心のある方々は、がんは伝染病ではないけれども予防できる病気なんだ、ですからこのがんの予防対策の法制化を進めて、そして国民の多くの人を検診するようにすれば、日本のがんは制圧できる、こういう御意見が圧倒的に強いわけです。 このがん予防対策法と申しますか、こういう法制化については、先ほどからのお話を承っておりますと、恐らく厚生省では一遍も検討したことがないのじゃないかと思いますが、今後日本の国民の命をがんから守るために、こういういわゆるがんの予防対策の法制化についてぜひひとつ検討していただきたい、こういうふうに考えるわけなんですが、大臣からお伺いしたいと思います。
○小沢国務大臣 御承知のように、いまのところ、がんというのはなかなか治療の決め手も、本当の意味での予防の決め手もないのでして、先生、専門家のおっしゃるとおりです。やはり早期発見、早期治療しかない。ということは、要するに早期発見対策、そういう意味での予防対策、その思想の普及を徹底的にやって、検診を進め、いま御議論のありましたことをうんと充実していかなければいかぬと思うのです。 そこで、予防法が必要であるかどうか。たとえば検診を進めるために義務づける、あるいは法律の中に国の予算をきちっとして姿勢をあらわす、地方についてもそういうようなことをやるというような意味での予防法の必要があるかどうかという点について、必要があるからつくれという御思想だろうと思うのです。そこで、がんという疾病の性格上、法律をつくる場合には非常にむずかしい問題が多々あると思うのです。国立がんセンターもありますし、癌研もあるわけですから、私もよく専門家の意見を聞いてみます。そうして、本当にそれは有効だし、またつくるべきだという意見があるのなら、私はひとつ大いに前向きに検討させていただきます。 ただ、私ども素人が、がんという非常にむずかしい疾病について、予防法が要るのだとか要らぬのだとかということをいまここで申し上げるまでの自信がどうもありませんので、もう少し検討させていただきますが、もし必要性を学者の方々が、またその内容等についてこういう点がということがあるのなら、それをよく拝聴しまして検討するにやぶさかではございませんので、取り組んで検討をひとつ進めていきますから、もうしばらく待っていただきたい。
○古寺委員 それじゃ、大臣はがんに対する御認識がまだ非常に足りないようでございます。 そこで、一億国民をがんから守る責任者である、こういう責任感に立たれて、がんの専門家、研究者、権威者、そういう方々にお集まりを願って、がん対策審議会というようなものをおつくりになって、そういう方々の御意見を大臣が今度はお聞きになって、認識を新たにして、真剣に国民をがんから守る、そういう施策を進めていただきたい、こう思うのですが、法制化に行く一歩手前として、その審議会をぜひつくって認識を改めていただきたい、こう思いますが、どうですか。
○小沢国務大臣 認識は相当あるつもりなんですが、素人ですから、それはあなたとは専門的な知識は違うと思いますけれども、いまおっしゃいました審議会、これはいいことだからぜひやりたいと思います。
○古寺委員 では、終わります。
○越智(伊)委員長代理 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(新自) あす社会労働委員会におきまして、ただいま社会労働委員会にかかっております健康保険法等の一部を改正する法律案が採択されることに予定されております。これが継続になるか廃案になるか、こういうことについてあす決まるわけでございますけれども、本日は、この法律案についていささか質問をしてみたいと考えております。 まず第一番に、大臣にお聞きいたしますけれども、この法律案が先国会、八十四国会の末に急遽出されてまいりました。一回の審議も行うことなく継続という、それも議運において継続という、社会労働委員会までおりてこなかった、こういういきさつがございます。しかしながら、その前から、健康保険法の改正についてはずっと意欲的ないろいろな考え方で、厚生省は取り組んできたはずでございます。また、抜本改正についてもそのような方向でいろいろ検討されていたはずでございますが、聞き及ぶところによりますと、八十四国会の当初においては社会保険審議会、社会保障制度審議会の二つの審議会へ、健康保険法の改正を諮問されておった。初めは抜本改正の諮問をすると伺っておりましたけれども、途中から抜本という言葉が抜けてしまって、健康保険制度の改正に対する諮問を出されておったといういきさつを伺っております。それが、どういう関係でその諮問案が引っ込んで、非常に長丁場の会期末の最後になって、急遽そういう別の案が国会へ持ってこられたのか、そのいきさつについて簡単にお答えをいただきたい。
○小沢国務大臣 もともと、物と技術の分離という合意事項に基づきまして一応私ども考えましたのが、例の両審議会に諮問をいたしました政府の原案であったわけでございます。しかし、これにつきましては、現物給付の範囲内に入れていくべきじゃないかという御意見等もいただいたり、方方からいろいろな御意見もございましたので、実は今日のような法案になったわけでございます。 私ども、非常におくれて恐縮でございましたが、これは審議会の意見等が当初よりも大分延びて答申をいただいたこともございまして、またその後も、私としてはできるだけ診療担当者側の御意見もいろいろ承ってという配慮をいたしまして、それやこれやで提出の時期が延びたわけでございます。いよいよ提出をするというときに、与党では、一応政府の責任において出すものは出しなさい、いずれ党としてこの内容についてはさらに検討を続けて、あるいは修正なり別の案なりをいろいろ協議をしたい、一応今日の段階では政府の責任において提出を認める、こういうことで提出をさせていただいたわけでございます。 この前の国会のときに、私からほかの質疑に関連して申し上げたわけでございますが、政府の考え方を基本にしていただいて、私どもも、もうあらゆる観点から見て現状においてはやむを得ない案だと思いますけれども、完全だというつもりも——健康保険問題については従来から何年間もやって、国会で各党それぞれの案もようやく出そろってきましたし、また小委員会もおつくりになったことでもあり、そういう意味で、この案をたたき台にして各党いろいろ御審議を願、政府も柔軟な態度で、耳を傾けるものについては十分耳を傾けてまいりますということを御答弁申し上げたわけでございます。 そういう意味で、政府としては、この案について一応皆様方の御審議を煩わしながら、国民のために最良の案が成立をいたしていくように期待をいたしているところでございます。
○工藤(晃)委員(新自) そのような御提案の御趣旨であれば、当然この臨時国会においても審議をされなければならないということが考えられますが、私どもはまだ一度もこの改正法案の審議をいたしておりませんし、また与党の方からも出てまいっておりません。そういうことは一体どういうわけでございますか。
○小沢国務大臣 国会の御都合でございますので、私からお答えする性質のものではございませんが、短期間の臨時国会でもございますし、またその間、大事な補正予算等も衆参両院で審議をしなければいかぬような実情にあったのではないかと思いますが、今後も、機会を見ましてできるだけ御審議を賜りたいと念願いたしておるところでございます。
○工藤(晃)委員(新自) いま承っておりますと、当初から修正をする、与党・自民党でこの法案をそのまま国会で審議することについては大変疑義がある、だから当然これは修正をいたしますよ、いわばこういう条件つきで出てまいったと私は理解をしておりますし、大臣のいまの答弁でも、政府の責任で出した、こういうお話でございます。しかし、本当に健康保険法を政府の責任において出すと言い切れるほどしっかりしたものかどうかについては、私はなはだ疑問だと思うのです。少なくとも、当初から自民党から、修正をいたしますよというふうな条件をつけられて出してくるということは、逆に言えば、それだけ大変欠点のある法案ではないかということが指摘されるわけで、責任のある出し方をしたということについては私は大きな疑問を持つわけでございます。同時に、私がこの法案を見せていただきました中で、ほとんどすべて賛成いたしかねる、こういう中身でございますので、はなはだ残念ですけれども、こういう考え方で政府は基本的な考え方を提示した、ぜひこれをたたき台に健康保険法の将来の展望を開きたいとおっしゃるならば、これは全く無策だという考え方に立たざるを得ないわけです。抜本改正という言葉だけが先行してしまって、中身は医療費の値上げ、すなわち増税、こういうものを含んだ財政調整の考え方としかとられない。それもある意味においては、抜本的に、総括的に制度を改革しなければ、またその中で検討されなければならないような、健康保険制度の根幹にかかわるような部分で、患者負担の増強というところが目立ちます。これはどういうところかといいますと、最初の審議会に提案されました案におきましては、健康保険法の中で当然給付されなければならない薬剤費を保険給付外にする、こういう非常に唐突な感じで、健康保険法の根幹にメスを入れるようなやり方、それが批判されれば今度は薬剤費の二分の一を患者負担にさせる、こういう、ある意味においては、慎重に配慮した上で総括的な中から制度を改正し、その中で初めていろいろな形で改正をもたらさなければならないような問題について、そこだけを引っ張り出した形で、医療費の財政的なてこ入れをしていこうとする考え方が非常に目立つ、私どもに言わせれば悪法と言わざるを得ないものでございます。 つきましては、この法案の中身の大部分は、患者負担による医療費の増額案でございますから、国民にとっては大変大きなイコール増税になるわけです。そういうことがこの法案の重要な中身でございますが、総理も、この不況下においては、いろんな形で、産業構造の変化に伴うようにあるいは経済が活力を持つように、あるいはそれに対して雇用の確保とか失業対策とか、ありとあらゆる手段方法をとりながら、また借金財政の中で公共事業の底上げをしていくとか、非常に厳しい経済環境の中において国是の福祉のために努力をしよう、こういうことを再三にわたって強調されております。また、将来一般消費税の導入という形で増税をすることに対するいろんな意見についても、現在は慎重にその問題に取り組まなければならないということで、非常に慎重な態度をとっておられる、そういうことを大臣御存じですか。
○小沢国務大臣 現在の厳しい経済情勢並びに現在の厳しい財政情勢、現在の厳しい雇用情勢ということについては、予算委員会を通じて、また閣僚の一人としても、十分承知をいたしております。
○工藤(晃)委員(新自) そうしますと、この健保法の改正は増税に等しい保険料の値上げあるいは初診料の値上げ、こういうことでございますから、いわば国民の負担というのが非常に強要されるわけで、その上に、この保険制度は機会均等で、できるだけ平等に人命が尊重されるようにという、そういう精神でつくられているはずでございます。にもかかわらず、そういう面においては、この厳しい経済環境の中において国民の負担を増強するという形の改正法案でございますから、そういう矛盾——いま、この法案を基本的な考え方としてひとつたたき台にしてほしい、こういう方向でやりたいのだとおっしゃることと、総理との間に、考え方の矛盾はございませんか。
○小沢国務大臣 御承知と思いますが、先進国のいろんな例を見ましても、まず保険制度というものについては、国庫負担、いわゆる税金というものを使わないで、むしろ、被保険者が保険事故を担保する際に、自分たちでみんな保険料を出し合おうという徹底した精神に貫かれておるわけでございます。この法案につきましては、確かに負担増はございますけれども、一方、家族に対する給付率の引き上げも七割から八割にしてございますし、全体を平均しますと八割二分近くになると思いますが、あるいはまた高額医療については二万円という限度に下げましたものですから、三万九千円から見ますとうんと下がるわけでございますし、制度の改正そのものについて、あるいはいろいろな健康保険制度間の財政調整も意欲的に表現をいたしておるわけでございますし、そういう意味で、必ずしも私は現在の時勢に全く逆行するものとは思っていないのでございます。 いずれにしても、やはり保険である以上は、保険自体を健全に運営していくために、その保険に入っている加入者がお互いみんなで協力をしていくということは、どうしてもお願いをしていかなければいかぬわけでございますので、ただ、医療面から見ましていろんな御疑念、御議論があることは承知しておりますけれども、負担面そのものから見まして、そんなに私どもは時代に逆行したものとは考えていないわけでございます。 もちろん、医療面から見て、たとえば薬剤というものを取り上げますと、薬剤が患者さんにとって全部平等ではございません。また各科によってはいろいろな違いもございますので、そういう欠陥は確かにあることは承知しておりますが、何らかの意味で、やはりこの際、全体がみんなが出し合って保険制度を運営している以上、この健全な運営を考えた場合には、給付を受ける側においても、何らか合理的な負担というものはこれはある程度忍んでいただかなければいかぬ。しかもその負担は、今度は高額になった場合には前よりもずっと負担が軽くなる、こういう点もひとつあわせて考えていただきたいと思っておるわけでございます。
○工藤(晃)委員(新自) いまの御答弁の中で、みんなが出し合って保険し合うんだというお言葉がございましたが、大臣のおっしゃるみんなというのはどの範囲を指すのか。国民全体を言うのかあるいは、いま九つに分かれております制度個々のみんなというのか、そこのところをはっきりしてくださいませんか。
○小沢国務大臣 私は、この前の通常国会でも申し上げたように、やはり全国民がみんなそれぞれ所得に応じて公平な負担をし、そして給付が一億一千四百万の国民が平等にいくということが理想だと思う。そういう考えは私としてあくまでも持っていることは申し上げたとおりでございます。ただ、それに至る過程で、現在被用者保険の中にありますものについて、今後ひとつ、少なくともその精神をできるだけ通していきたい第一歩として、被用者保険全体について今度のような考え方でやってみたい、こういうことから出しておるわけでございます。
○工藤(晃)委員(新自) そういう考え方からお出しになるとすれば、これはやはり大臣、非常にいいことをおっしゃっていると思うのです。日本の健康保険が、単なる受益者負担の保険という考え方から、社会保障的な保険に脱皮している事実がございます。また、そうでなければ、一億が一億を保険し合う制度でなければ、リスクの分散を図りながらその制度の内容の拡充というのは図られていかない。また、社会保障的といえば、当然そこに公平な負担とか給付とかという問題が具体的に整えられなければ、それは社会保障的とは言えないわけです。 ところが、大臣、今度の健康保険制度の改正法案も、すべて政管健保というある一つのグループ、それも中小零細企業の未組織労働者を中心にした、そういう政管健保の赤字財政対策上これは出されてこられたというのが、この改正法案に限らず、いままでの政府の行き方であったと思います。しかしながら、一方においては、大企業、組織労働者を中心にした健康保険組合という組合が、同じ制度の中であるわけですね。ところがその二つの調整は全然いまのところないわけで、片一方はどんどん構造的に黒字になり、片方は構造的に赤字になっていくという、こういう矛盾を一方においては見逃している事実がはっきりしているわけなんです。これは決して社会保障ではない、企業内保険であって、こういうことをもって、私は保険制度の前向きな基本的な考え方とはとても言えない。まず、要するに、乱立してきたそういう制度をやはり整理統合して一本化することによって、いま大臣がおっしゃったようなそういう考え方が達成されるわけで、そういう意味においては、逆に、こういう小手先の財政対策のためにほとんどすべてをそういうふうな形で改正していくということじゃなく、抜本改正、いわゆる大臣のおっしゃる抜本改正というのは私はそういうものだと思うのです。それはもう一遍確かめてみたいと思いますが、そういうものをやはり国民の前に明示しながら、国民のコンセンサスというものをつくり上げていかなければ、とてもじゃないけれども、いまから急激に訪れてまいります高齢化社会、十年か十五年か二十年の間に成熟してしまうだろう、またそれに伴って膨大な医療費がかかっていく、そういうことが目の前に見えている、そういうものに対応できるような——また平均寿命が延びて世界一の長寿国になった、これもあるいは健康保険制度の利点の一つであったかもしれません。しかし、それでいいというわけじゃないので、やはりそういう時代に対応できるような制度というものは今後早急につくらなければならない。零歳から死ぬまでの一貫した健康の保障をしていくというこういう考え方とか、あるいはまた、いまの健康保険制度というのは疾病にだけ適用になっている、予防対策というのは全然保険制度の中には含まれていない。しかしながら、多くの専門家が言われていますように、日本の死亡率の最高を占める脳卒中とかあるいは心臓病とか、こういうものは予防対策をほんのわずかな注意で、また国民の健康に対する自己責任というものを啓蒙して、そして予防というものに少し留意していけば、そういう病気の発生というものは半分で済むのだというふうなことも言われております。ですから、経済的な面から考えても、予防というものは非常に重要な役割りを果たしてくる。ところが、現在の健康保険制度にはそんなものは全然ない。要するに、昔の昭和初期に始まった、経済的に非常に困窮している方々の救済の事業みたいな、そういう考え方でつくられた制度がそのまま生き続けているというところに、大きな矛盾があるわけです。同時に、今後は、そういうものをともに含めた、近代社会に対応できる、また医学の進歩に対応できるような、そういう人命を尊重していくという哲学を持った制度をつくるためには、こんなことを幾らやっていたってだめだとぼくは思うのです。これよりももっと必要なことは、勇気を持って、そういうものに合致し得る制度というものをどうやってつくればいいかということについて、これは第一番に考えなければならぬことだし、また国民の中にも、そういう合意を得るべく努力をしていただかなければならない。そういうことをむずかしいからといって避けて、何かそういう問題についての基本的な考え方を提示しようと言ったって、そんなことはできっこないのですから、そういう意味で、大臣、一言でいいですから、決意のほどを伺わしてください。
○小沢国務大臣 工藤議員の卓見には、私も実は将来構想として共鳴しているのです。ただ、それに至る段階で、今度の案ではまず政府管掌の中小企業、いわゆる被用者保険というものを全部財政調整をして、負担の公平と給付の平等を図っていこう、しかしそれをやるには共済組合まで含めなければならぬ、それは私の権限でない。そうすると準備段階が必要です。 そこで、いま当面やはり健保組合の財政調整をやり、あの中にありますように、別途法律をもって全体の財政調整をやりましょう、そうしてだんだんと、被用者保険グループはいまおっしゃるような一つの方向に持っていって、それから将来はいわゆる国民総保険制度の中に全部包含をしていくような理想に向かって、準備を進めていきたいという考え方でおるわけでございますが、基本的な方向として、このわが国の医療保障制度を先生のような方向に持っていく努力をみんなでしなければいけない、また、考えていかなければいけないと思うことについては、私も十分そのつもりでございます。
○工藤(晃)委員(新自) しかし問題は、政治は実行しなければ意味がないので、理想論を述べ合ったところで仕方がないということでございまして、時間がございませんから、ここでは大臣と私の見解の相違だけを申し上げますと、段階的とか漸次とかいうことは、これはもう何十年も言い続けられてきたのですよ。もういまに始まった大臣の卓見じゃなく、また私の卓見じゃないので、戦後ずっとそういうことは言い続けられながら、実際には何も一歩も前進し得ないという状況があるわけです。大きな壁があるわけですから、いま現在しかれている路線上に、もう老朽化してしまったがたがたの線路の上を、どんなうまい運転士が車両を走らせても、やはり電車はがたがたです。だから、そんな線路について何ぼ修理し直してやりますと言ったって、こういう非常な年齢構造の変化とか、いろいろな急激に来るそういう社会の大きな変化に対応する福祉政策にはつながらない。大体もう、でき上がってくる歴史からが違うわけですからね。そういう社会保障的な考え方なんてこの保険制度の中には何も入っていないのですから、そういうものの路線上に延長して物を考えようという発想は、百年河清を待つのと同じことだというふうに考えるわけです。ですから、この際、思い切って抜本的に、こういう問題については国民の前に問題をはっきりさせながら、要するに物を考える尺度の方を変えないと、尺度の方を同じ尺度で物をはかったって、一つも物は改革できませんから、この際、はかるメジャーを変えてもらって、そこで抜本改正をやってもらわなければどうにもならぬじゃないか、そういうことを私は申し上げている。 だから、そういう意味においては、今度の改正法案、こういうふうに一回も審議もされないで国会も終わろうとして、継続だけはひとつお願いしますという御意見が政府の方から出ておるようでございますけれども、この際引っ込めて、改めて、ぱっと尺度を変えた健康保険法案をもう一遍出してきたらどうですか。大臣、お願いします。
○小沢国務大臣 いま政府が提案を申し上げて御審議を煩わして、しかも前国会来申し上げておりますような態度で、この皆さん方が決定したといいますか、いわば要望された十四項目、それを整理して年を追うて逐次やっていこうということになって、その一つとしてお出ししているわけでございますので、この点は御理解をいただいて、なおひとつ、十分時間をかけて御審議をいただきたいと思うのでございます。私ども、皆さん方の御意見がそういうような方向でまとまっていただければ、いつでも対応するだけの心構えを持っておりますので、そういう意味で、おまえ引っ込めて、瀕を洗って出直せというような極端なことではなくて、ひとつ御審議を賜りたいと思うわけでございます。工藤委員のいまおっしゃいました理想案については私どもも十分理解をいたしておりますので、今後ともお互いにいい内容のものができ上がりますように議論をし、また意思の疎通を図っていきたいものだと思うわけでございますので、よろしくお願いをいたしたいと思うわけでございます。
○工藤(晃)委員(新自) この四月に、日本医師会と合意の五原則を大臣はなされているはずでございます。給付の平等、負担の公平、それから物と技術の分離、高額な家計負担の解消、審査改善、こういう合意をされておりますけれども、私の知る限り、その合意がこの改正法案の中に生かされているとは思えないのですよ。だから、そういう意味においても、ひとつ改めて御検討いただきたいということをお願いしておきます。それについて大臣、一言で結構ですから、お答え願います。
○小沢国務大臣 私どもも十分よく御意見を拝聴いたしまして、先生の将来のあり方についてのお考えは、十分頭の中に入れて進んでまいりたいと思っております。
○工藤(晃)委員(新自) あとわずかな時間でございますけれども、この非常に評判の悪いいわゆる医師優遇税制、二八%の税制についていささか申し上げたい。きょうは大蔵省の方もお見えいただいているはずですが、来ていらっしゃいますか。——不公平税制を是正しなければならぬ、こういう意見が非常に強うございます。確かに、不公平税制は是正すべきであるということには私も同感でございます。それからまた、一方では、一般消費税を導入するために、どうしても増税を図っていくという考え方から、その前にはどうしても不公平税制を是正しなければならぬという世論もあることも、十分存じております。 しかし、その中で一番評判の悪いのが医師優遇税制、評判の悪いというのは、国民的と申しますか世間一般といいますか、非常に漠然とした世間でございますけれども、そういうところで非常に評判が悪いから、あれをひとつ是正して、いけにえにして増税を図るべきだというような考え方がもしあったとすれば、これはとんでもない考え違いじゃないか、こういう意見をきょうは私はあえて述べてみたいと思うわけでございます。 時間が非常に短いので要点だけ言いますけれども、確かにこの二八%の問題は税制のあり方からすれば不公平でございますけれども、しかし、だからそれは是正しなければならない、こういう短絡的結論は私は慎重に考えてみる、再考する必要があるのじゃないか、こういう考え方を持っておるわけです。不公平なものは何でも公平化すればいいと言うのなら、不公平税制は山ほどある。学校法人も非課税であれば宗教法人も非課税であるし、その他利子配当の問題についても、すべていろいろな意味で非課税でございます。税制のあり方が、仕組みが違う、そういう不公平と非課税というのは全然また意味が違うわけです。先ほど申し上げました健康保険組合、大変な保険料の黒字でございますけれども、一銭も税金がかかっていない。また、そのかからない税金でいろいろな不動産を購入しても、そういうものもすべて非課税だ、そういうものもたくさん散らばっているわけです。そういう意味においては、不公平であるがゆえに公平化しなければならぬというのは、やはり整合化していかなければならぬ、こういう立場だろうと思います。だとすれば、そういう問題についての整合化も一緒に図らなければ、本当の公平にはならぬじゃないかということが一点。 それから、医療法におきまして医療法人というのがございますが、これも一般法人と比べていろいろな意味で大変不公平になっていて、それがいい方法で、有利な方法で不公平ならこれは世間の評判にもなり、あれもつぶせということにもなるのでしょうけれども、逆にこの点は、一般法人に比べて非常にいろいろな制約を受けている。そういうところを外してやれという意見は一つも出てこない。これもおかしな話でございますね。 そういう税制面からだけ物を考えた場合には、一面しかながめていないという点があるということを指摘したわけでございまして、やはりこの二八%の問題は健康保険制度の絡みでつくられた制度でございますから、ただ特例で医者全部が二八%の恩恵を受けているとか、そういう問題ではないと思う。それからまた、長者番付に載るような高額な収入を得る開業医がいるじゃないか、そんな金もうけしているならあれもけしからぬじゃないか、そういう意見もあるように承っておりますが、これだって、きょうは大蔵省が見えているので聞いてみたいと思っているんですが、健康保険制度に絡んで二八%という制度がつくられているんですが、果たして、こういう方々が二八%の適用を受けて、そんな恩恵を受けて、それでそういう長者番付に載るようなことになっているのか、あるいはちゃんと自由主義社会において所得を申告して、ちゃんとした税制の上で長者番付に載っているのか、そこら辺のところは国民の前にはっきりしないといけません、国民は誤解しますから。そういう意味において、長者番付の中に載っている方々の中で、二八%の恩恵を受けている人が大体何%あるかということを私の手元へ後で資料として出してください。それはお願いしておきますが、それも含めて、そういういろいろな誤解、偏見の上からそういう問題を処理した場合には、国民の利益にならないと私は考えるわけでございます。 それよりも医療というものは、本当に国民の健康を守るという物差しにはかってすべての制度が考えられなければならない。ただ単に税制の公平だけがすべてではない。もっと大切なことは、国民の命をどう守るかということが一番大切なんです。それに対して、いまの置かれている制度がいいか悪いかということを考えてみなければならぬ。税制上の尺度でこの二八%の問題を考えた場合には、国民のために将来大変大きな災いを残すと思うのです。 たとえば私の知っております数字では、五十一年に総医療費が七兆四千億ぐらいだと記憶しているのですが、そのときに、医師優遇税制と言われておりますそういう特別措置によってどれだけ税金をまけてやっているのだということになりますと、千八百億ぐらいという試算を私は聞いているのです。そうしますと、七兆四千億の中で千八百億は一体何%に当たるかということを計算してみなければならぬ。その何%に当たるか、本当の誤差範囲に入ってしまうようなパーセントの問題を、この重要な時期に、それだけに論議をしていては国民の命は守れません。先ほどから申し上げている高齢化社会が来ますから、そういうことも一緒に論議しなければならぬけれども、これは絶対にそれだけを外してどうのこうのと論議をするのではなく、当然健康保険制度の抜本改正の中において考えられなければならない問題だというふうに私はとらえているわけです。そういうことも大蔵省、ひとつちゃんと耳に入れて聞いておいてください。 逆に言えば、一千八百億によって日本の医療の公共性が担保されているわけです。高いか安いかという経済的な論議をするなら、一千八百億で日本の医療の公共性が担保されていることが安いか高いかという論議を、もっと真剣にしなければならぬと私は思う。医療の公共性というのは、日本は自由開業医制度を片一方で認めている自由主義社会なんです。その中で国民皆保険、医療の社会化を一〇〇%している日本、そういう健康保険制度に協力をしているということも、医療の公共性に対して担保していることでしょう。数え上げれば切りがございません。地域社会における健康の管理、それから予防接種、学校医、救急医療、あるいはまた二十四時間勤務体制、これは医療法によって決められておりますが、こういうことのいろいろな制約がその裏にあるということですね。こういうことに対して、では一体社会が何を担保しているかと言ったら、たった二八%の問題その一つじゃないですか。それですべての医療の公共性を担保させていて、だから医者は夜の夜中に起きなければならぬ、けしからぬじゃないかというようなことを言えるのも、一つはそういう問題がその中にあるからです。逆に医師の方から言わせれば、それがただ一つの自分が医師であるという証拠なんですね。それをなくしてしまった場合には、医師が医師たる証拠がなくなってしまうわけです。 では逆に言えば、医療というのは金もうけのために医療をすればいいのかという発想だって生まれてくるわけです。そのときに国民が、それはけしからぬじゃないかということが言えるかどうかということですね。労働基本法で八時間労働をしなければならぬということが決められている。いまや週休二日制もほとんどができ上がってしまっている。そういう中で、そういう開業医がすべて、それじゃ私は八時間しか働きませんよ、あとは国がひとつめんどうを見てやってください、こういうことになったら一体どういうことになるかということを考えてみなければならぬ。こういう論議が国会では余り行われない。すべて、そのけしからぬという言葉だけが大きなこだまをしていくというのが事実です。しかしその裏には、側面には、そういうものに対する担保をしているただ一つのものであるということについて、もっと真剣に考えてみる必要がある。それを今後とも永久に保全していけと言うのじゃない。そういうことについても十分考慮した上で、どういうふうにすればいいかということを英知で考えていかなければならぬというふうに考えるわけでございます。 あと数分でございますから、ひとつ大蔵省、私がいま申し上げたことを十分考えていただきたい。たとえば、損か得かと言いますと、五十三年度の総医療費は十兆四千億という見込みです。もしそういうものを外した場合に、それを外したということが引き金になって、これがインフレーションの完全な引き金になることは間違いない、医療費引き上げの引き金になることは間違いない。一割上がれば一兆円です。その中で千八百億や二千億の増税を期待して、あとの八千億は国民が負担しなければならぬ。診療の内容は一つも変わりませんよ。そういうことも計算に入れて、損か得か計算してあげることが国民のためじゃないですか。そういうことを私は申し上げたい。 そういうことを含めて、先ほどお願いしておきました、高額所得者の中に一体どれだけ二八%の適用を受けている人がいるか、その数字を出してもらいたい。これは全部でなくていいです。その統計がわかる程度でいいですから、ひとつ出してください。 いま私が申し上げたことに対して一言、大蔵省の方から見解を伺いたいと思います。
○水野説明員 医療、特に社会保険の公共性につきましての先生のお話は、おっしゃるとおりであろうかと思われます。したがいまして、この社会保険診療報酬課税の問題につきましても、税制調査会で長らくいろいろ審議いただいておるわけでございますが、昭和四十九年の秋の答申におきましては、これはこのままではいろいろ問題が多いということで、その是正を指摘しているわけでございますが、ただ、その中におきましても、やはり先生のいまお話のような救急医療とか地域医療に貢献をしておられて、さらには、全体として社会保険の中に組み込まれて、療養担当につきましてもいろいろ制約がある、そういった点も配慮いたしまして、一般的には例のない、税につきましての経費率を法定する、さらに、それプラス公共性を配慮した特別の控除といったものを設けた形で、是正をしてはどうか、そういうようなことを答申をしておりまして、また、それに従いまして具体的な案もつくっておるわけでございます。でございますから、税制調査会の審議、答申に当たりましても、先生のお話のような公共性の点を十分配慮して、四十九年十二月のような具体案が出されているものと思われますので、先生のお考えのようなものは、そこにも十分生かされているのじゃないかと私ども考えておるわけでございます。 それから、長者番付の点でございますが、長者番付は、所得税法によりまして、金額とお名前、住所は公示いたしておりますが、言われておりますようなお医者さんであるかどうかという点につきましては、正式には税務署としては公示をしない。その範囲は、やかましく言いますと守秘義務に入るわけでございますので、世の中で見て、あの方は医者だということはわかりましても、統計的にあるいはまた役所の立場から、お医者さんがこれだけおられますという資料としては、ちょっとお出しいたしかねますので、その点は御勘弁をお願いしたいと思います。
○工藤(晃)委員(新自) 時間がなくなりましたが、この二八%は社会における公共性を担保しているという点については、十分お認めいただけたと思います。ですから、この問題について今後御審議なさるときには、十分厚生省と相談しながらやってください。それだけはひとつ国民のために申し上げておきます。 大臣、私がただいままで申し上げたことについて、今後ともぜひひとつ前向きにお考えをいただきたい。この問題については、時間がございませんので、今後とも、時間を許されたときにまた審議をしてみたいと思います。
○越智(伊)委員長代理 次に、浦井洋君。
○浦井委員 大臣にちょっと初めにお話をしたいのですが、私は、ことし八月いっぱい、兵庫県下に八つの国立病院、療養所があるわけですが、それを悉皆調査というようなかっこうで調査に回ったわけなんです。それで、大臣は、国立医療機関の使命は不採算医療をやることだとか、あるいは高度な、先駆的な医療をやることだというふうに思っておられるだろうと思うのですが、確かに不採算医療をある程度引き受けておるということは言えると私も認めるわけでありますが、高度とかそれから先駆的医療をやっておるとはちょっと考えられぬ、そういう結論になったわけです。やはり事務屋さんの管理職の方がそれについてかなり意欲がないわけですよ。それから、技術屋の方も一生懸命やっているのですが、医療機器とか検査器具その他が、一時代前とまでは言わぬですが、ワンテンポ古いわけですね。そういう中で、全医労の労働組合員を初めとして職員の皆さんが、何とか地域の住民の要望にこたえようということでがんばっておられるわけなんですが、やはり絶対数が不足しておるので、十分な地域に対するサービスができておらぬというふうに、私は率直に言わせていただいて感じたわけです。 そこで、大臣に聞きたいのですが、やはり国立の医療機関の使命というのは一体何なのかという点について聞きたいことと、それからもう一つは、ことしの七月二十日に、大臣の私的諮問機関として国立病院・療養所問題懇談会というものが発足した。そこで一体何が検討のテーマになっておるのか、また数回やられておるそうでありますけれども、そこでどういうような話が行われたのかという点について、大臣並びに担当の局長に一遍お伺いをしておきたいと思います。
○佐分利政府委員 まず国立病院、療養所の使命でございますが、先生も少しお述べになりましたように、やはり国の政策的な医療を遂行する機関ではないかと思うのでございます。また、それと同時に、教育研修とか研究とか、そういった使命も出てくると思うのでございます。しかしながら、現在のようにたくさんの国立病院、療養所を持っておりますと、中には町村病院と言った方がいいような病院も出てくるわけでございまして、そういったものは、本当にその地域の医療の担い手として使命を果たしていくということになろうかと思うのでございます。 そこで、先般発足いたしました国立病院・療養所の懇談会でございますが、まだ三回しか行っていないわけでございますけれども、やはり当面、国立病院の地域中核施設、これは新しい広域市町村圏を考えているのでございますけれども、そういったところの国立病院がいかに高度の診療、研究、また管内の医師の生涯教育を担当していくか、それには国立病院、療養所はどういうふうにあるべきかということを中心に検討をいたしております。
○浦井委員 非常に大事なことを言われたのですが、地域の中核的な、あるいはセンター的な役割りを果たしていく新しい概念だ。これは懇談会の結論がまだ出ておらないので、大臣としてはお答えにくいかもわかりませんが、そういう点については御異論はないですね。
○小沢国務大臣 そうあるべきだと思います。
○浦井委員 だから、地域の中核的あるいはセンター的な役割りを果たしていくというその役割りの中には、ある一定の地域の公立病院であるとかあるいは公的病院、私的医療機関、こういうようなところと連携をしてやらなければならぬというのも、私は当然だと思うわけです。 そこで、具体的な例に入っていきたいわけですけれども、こういうところがあるわけなんです。淡路島に、これは津名郡でありますが、国立明石病院岩屋分院というのがある。これは全国でもまれな、国立病院の中でただ二つの分院の一つであるわけなんです。 〔越智(伊)委員長代理退席、羽生田委員長代理着席〕 これはもう大臣も名前はよく御承知だろうと思うわけなんです。そこへ今度は行ってきたわけです。そうすると、大体診療圏は人口七万、その中のただ一つの病院。そして内科、外科、産婦人科があって、一般のベッドが五十、結核ベッドが五十二、それから併設された伝染病株が二十五、訓令定床は八十、定員が五十、現員も五十、こういうことになっておるわけでありますけれども、私、ここに全医労の兵庫地区書記長と言われる方からお礼と一緒に手紙をもらっているのですが、ちょっと読み上げてみますと、 中でも、看護部門では、外科、内科、結核病棟を一看護単位として運営されており、さらに、病棟勤務者が外来に派遣されております。岩屋分院は救急患者が昼、夜とも多くあり、昼間外来での処置が長びくと病棟勤務者が極端に少なく支障がきたしております。 夜間は、前記の病棟を二名の夜勤看護婦しか配置されておらず、外科病棟の患者が急変をおこすと、他の病棟では看護婦が居ないという実態となっています。 また、当直婦長も配置されておらず夜間の救急患者の処置は病棟勤務者がおこなっており、この間も病棟勤務者が居ないという実態となり入院患者の処置すらもきわめて不充分であり患者からも不安が訴えられており、働く者にとって誇りをもって業務に専念できないのが現状です。 こういう手紙を私、もらいました。 それから、追加をして私の調べた結果では、ここでは五十一年度一年間に救急患者が六百七十五名、だから月に五十五名であります。それから休日・夜間が一年間七百二十名、だから合わせますと、一日平均四名の救急、休日・夜間の患者が来ている。地域的にもただ一つの病院であって、ベッドを持っておる医療機関はここだけなんです。だから、淡路島北部の住民はそこへ頼らざるを得ないというような状態で、しかも、いま私が読み上げたような受け入れ体制である。だから、そこでの職員の願いは——ここは救急患者の処置室もないわけなんです。だから、外から来た救急患者の処置を病棟でやっておる。だから、処置室をぜひ確保してほしいというのが職員の願いであるわけなんです。 それから、これはもうどこでも共通の話でありますけれども、定員をふやしてほしい。特に産婦人科であるとか整形というような、その地域の中核病院たるにふさわしいような、そういう仕事ができる医師をふやしてほしい。それから検査技師なんかも複数配置にしてほしい。 それからもう一つ大事なことは、一階と二階とフロアが分かれておるのに、両方合わせて一看護単位になっておるので、ぜひともこの看護単位を二単位にしてほしい、こういう要求を持っておるわけであります。 それから、病院の職員だけでなしに、地域の住民も切望をしておることは——大臣、分院ということでありますので、だからせめて本院になれば、独立した医療機関になれば少しは定員がふえるかもわからないし、いま事務的な繁雑さがあるわけですね。二重事務になるわけです。分院で決裁をしてまた本院へ行く、そういう簡素化もできるということで、ぜひともこの淡路の岩屋分院を国立病院に独立させてほしい、こういう要望があるわけでありますけれども、まず、具体的に局長の方から、私の質問に順次答えていただきたいと思うのです。
○佐分利政府委員 まず建物、設備の関係でございますけれども、確かに十分な救急外来処置室はございませんけれども、私どもの考えでは、四人の患者が一緒にいらっしゃったのでなければ、処置できるようには設計をしたつもりでございます。もちろん十分ではございません。 また、看護単位が一階と二階にありながら一看護単位でやっているというお話でございますが、先ほどもお話がございましたように、結核患者がまだかなり入っておりまして、こういった方々は余り重症の方々ではないわけでございます。問題は、一階と二階に分かれているというところに問題がございますけれども、一科同士であるならば一看護単位でチームを組むというのも、現状においてはやむを得ないのではないかと思っております。 そこで今後、建物、設備の整備並びに定員の増についてどうするかということでございますが、私どもはやはり、もっと建物の設備もりっぱにしなければならないし、また看護単位につきましても、特に看護婦の配置につきましても、もっと十分二・八制がしけるように単位も小さくなるようにいたしたい。明年度の予算からおおむね五年ぐらいの計画で、ここだけでなく全部の国病、国療の看護要員の確保等に努めたいと考えておるところでございます。 また、なぜ分院のままにしておくかというお話でございますけれども、現状におきましてはまだ本院に格上げするのは若干時期尚早でございまして、御指摘のございました建物、設備の整備、定員の増を図った上で考えてまいりたいと思っております。 なお、特に休日・夜間等の救急医療については、淡路島全体の計画をいま作成中でございまして、先生も御案内の県立の洲本の病院、こういったものを中核にいたしまして、適切なネットワークをしくことを進めているわけでございますので、念のために申し上げておきます。
○浦井委員 大臣、処置室が病棟と一緒にあったり、看護単位が、フロアが分かれておっても、軽症の結核患者なので何とかやむを得ないのではないか、それは東京におられたらそういうことになるだろうと思うのですが、しかし、現実にそこで毎日働いておる人の立場に立ったら、やむを得ないでは済まされぬ問題なんです。それから独立の問題にしても、これは地域住民の非常に強い要望であるわけなんです。そういう意味で、ひとつ大臣から、局長の答弁を超えるようなお答えをいただきたい。
○小沢国務大臣 私もよく知っておりまして、私、整備課長を四年やって、国立病院のめんどうを見たのです。 岩屋分院というのは、昔は大阪の陸軍病院の分院だったのです。大気、安静療法のための小さな分院であったわけです。それが今日は七万の診療圏を持つ、その地域の方の医療機関として臨むように、変化をしてきたわけでございますね。したがって、そういうような病院が全国に相当あります。私の新潟県でも、国立病院の去来のあり方から見て、国立病院としてはどうかなというようなものがあるのですね。軍のあれを引き継いで、地方移譲を国会で法律を決めてやっていただきましたけれども、なかなかそれが思うようにいかない。そこで、いまの国立病院、療養所の整備について根本的な、全国全部の病院についてどういうあり方であるべきかというものを検討して、基本的な方針を決めようというのでいまやっておるわけでございますから、そこの結論を待たないと、私がここで先生との間で、あれはこうします。ああしますというわけにもいきません。せっかく学者というか専門家を集めてやっていただいているのですから、そこに専門家の局長も入って、ことしいっぱいに何とか結論を出してもらおうと思っています。そういう方針が決まりませんと、個々の病院についての整備をどうするかああするかと言われても、なかなかお答えできませんので、その結論が出るまでもうしばらく待ってください。決して捨て子のままにしておくわけではありませんし、全体的にはみんなの病院がそれぞれの機能を果たせるように持っていきたいと思っているのですから、しばらく待っていただきたい。
○浦井委員 私の聞いているところでは、懇談会両三年というようなことを聞いておるわけなんですが、いま大臣、ことしの暮れまでには結論を出したい、これは早う結論を出してもらうのは結構でありますから、ぜひそれでやっていただきたい。
○小沢国務大臣 ことし十二月までに、来年度の予算の執行もありますので、中間報告をまずいただきたい、こう言っておるわけです。
○浦井委員 その中間報告の中に岩屋病院のことも入れてもらわにゃいかぬ。各論になりますけれども、これは要望しておきたいと思う。 それから大臣、もう一つ追加しておきますけれども、これは整備課長時代によく御承知かどうかわかりませんが、福知山線沿線にかなりいろいろな病院があるわけなんです。まず国立福知山病院、柏原には県立柏原病院、日赤病院、それから篠山国立病院、三田には兵庫中央病院、兵中ですね、それから三田市民病院、こういうのがそれぞれ中核的任務を果たさなければならぬわけで、それぞれ郡が違いますから。ところが行ってみますと、お互いに県は県、日赤は日赤、国立は国立で、てんでんばらばらにいろいろなことを競争してやっておるわけで、重複投資もいいところな面もあるわけなんです。これは一遍、大臣面接調査していただいて、そしてせめて、福知山線沿線、兵庫県の多紀郡、氷上郡、三田市、こういうようなところの病院協議会みたいなものでもつくって、そして本当に地域の住民にサービスするためには、それぞれの機能分担はどうあるべきかということを、早急に一遍検討していただくように指導していただきたいと思う。
○佐分利政府委員 各都道府県の地域医療計画の作成につきましては、すでに四十八年からお願いをしているのでございますけれども、まだ、一応でき上がったところは十七都道府県しかございません。そういう関係で、こういった計画は本来県の医療協議会が策定すべきでございますが、余り時間がかかりますので、大臣の特別な御命令もあり、明年は厚生省が予算を要求いたしまして、少しハッパをかけて、早くそういった各都道府県、各地域の医療計画を作成しようということにいたしております。
○浦井委員 本来県だというようなかっこうで、逃げたらいかぬと思うのです。それで大臣に、ひとつ早急にハッパをかけるというような表現が出ましたけれども、急いでいただきたい、これはお願いしておきたいと思う。 そこで全国的な問題でありますけれども、いまもちょっと局長の方から出ましたけれども、国立病院、療養所の複数夜勤ですね。病棟数で厚生省は病院で七五%、療養所で五〇%、これを目標にしてきたわけでありますけれども、五十三年度末まで大体達成されたわけですか、あるいはもし達成されておらなければ、今後どういうふうに計画を組んでいくのかという点を聞いておきたいと思う。
○佐分利政府委員 ただいまお話がございました国立病院七五%、国立療養所五〇%は本年中に達成いたします。したがって、明年からはさらに特殊な基幹病院的なものについて、産料とか小児科あるいは特殊な精神科、そういったところを中心にいたしまして、さらに看護婦をふやしていくという五カ年計画を持っております。
○浦井委員 ところが、今度は夜勤回数ですよ。これは二・八の片一方でありますけれども、夜勤回数。兵庫県での国立病院、療養所の数を調べてみますと、先ほど申し上げた兵庫中央が月九回、篠山が十一回、青野原が十回、加古川が十一回、明石が十一回から十二回、国立姫路が十一回から十二回、これは二・八体制にはちょっとほど遠いというふうに言わざるを得ない数字が出ておるわけであります。局長、五十年の十二月に、十回以下にせよ、十回以上を禁ずるという通達を出されておるわけでありますけれども、これはどうなっていますか。
○佐分利政府委員 一応理論的には十日以内にできる予定でございますけれども、病休者が出たりあるいは産休者が出たりというようなことも起こるわけでございます。したがって、その点は代替要員等の確保にも努めて、十日以内になるように努力をしているところでございますけれども、一般的に夜勤の方はいろいろお手当も出るものでございますから、看護婦の方々の中には希望して一日、二日よけいやろうという方もあるわけでございまして、そういった点も考えながら、できるだけ早く本当の二・八に持っていきたいと考えております。
○浦井委員 大臣に要望しておきたいのですが、理論的に十回以下になってみても仕方がないわけなので、具体的にそこで働いている人が、現実に早く月八回という線に持っていかれなければならぬというふうに思うわけです。 それからもう一つ、これも局長から数字を出していただきたいわけでありますが、厚生省は、五十四年度から五カ年計画で国立療養所にリハビリベッドをつくるということですが、その計画の内容、それに配置される人員は一体どうなるのか。
○佐分利政府委員 すでに、明年度の途中から約三千百床のリハビリベッドが稼働いたします。全体の計画が一万床の計画でございますから、その残りを五年間で整備していくわけでございます。 問題は、まず地物につきましては、約半分は新設をいたしますけれども、半分は従来の結核病床を改造する、補修するという形で使ってまいります。 職員は、従来から脳卒中リハビリをやりますときには若干増員を図っているわけでございますけれども、だんだんと老齢者の患者もふえてまいりまして、また医療内容も高度化しておりますので、従来の基準を上回る定員をいただきたいという考え方で、明年度から定員の要求をしているところでございます。
○浦井委員 何ぼ要求されているのですか。
○佐分利政府委員 明年度は、具体的に申しますと、いま手元に資料がございませんが、百四十四名でございましたか、脳卒中リハビリ関係で要求いたしております。非常に少ないではないかという御指摘を受けるかと思うのでございますが、これは五カ年計画が均等配分になっておりませんで、後年度になるに従って、急傾斜で増員要求がふえていくというような計画になっている関係でございます。
○浦井委員 私が労働組合からいただいた資料によりますと、局長は百四十四名ということでありますが、百四十名です。その中をずっと見てみますと、局長言われたように全体に少ない。特に少ないのは、現実に見て回りますと、やはりリハビリということになりますとPT、OTが必須だろう。ところがこれに対する人員配置が要求として十八人、こういうふうなかっこうになっておるわけです。五十四年度には整備ベッドとしてざっと六百床ふえるわけです。それを患者にサービスをしながら、しかもリハビリを早く、効率よくやっていくという点では、六百床に十八人というのはきわめて少ないと思う。これはきのう参議院でも指摘されたと思うわけでありますけれども、一体どれくらい要るのかという需給計画なり、しかもそれに基づいてどういうふうに配置していくのかという見通しをぜひきちんと立てるべきだと思うのです。これが一つ。これをどうするかということです。 それからもう一つ、ついでに言っておきますと、重心、筋ジスも私、見てまいりました。ところが、ところによっては四十床で人員が四十人配置されておらないところがあるわけなんですが、一体これの充足率というか達成率はどのくらいになっていますか。
○佐分利政府委員 重心、筋ジスは、四十人の患者さんに対して四十名の職員という基準ができましたのは四十九年度からでございますが、職員の整備を進めてまいりまして、看護婦さんについては一〇〇%すでにことしで達成いたしました。問題は、行(二)の方々の達成率がまだあと一〇%少し残っているわけでございますが、この百七十名余りの方は、来年で全部埋めてしまいたいという計画を持っております。
○浦井委員 私、ずっと問題点を指摘をしてまいりましたけれども、やはり定員の問題がどこへ行っても、施設の長からあるいは労働組合から技術者から全部言われるわけであります。 〔羽生田委員長代理退席、委員長着席〕 しかも今度は、国立明石病院であるとかあるいは篠山やらそういうところからは、地域の住民から請願、陳情を受けておる。ぜひこれは地域的な中核病院になってもらわなければ困るということで、小児科であるとかあるいは産婦人科であるとか耳鼻科とか、そういう陳情を受けておる。しかもついでに言っておきますと、医師の場合は、このごろは大学の医局も、さっき複数配置と言いましたけれども、一人だけ出すというようなことはないのですね。小児科にしても耳鼻科にしても眼科にしても、二人受け取ってくれ、こういうことで、そこで暗礁に乗り上げておるわけですよ。そういう点で、やはり定員増に大臣は努力をしてもらわなければならぬと思う。 それからもう一つは、これはやはり大臣も局長もよく御存じのように、賃金職員の問題であります。同じ仕事をしながら給料も高くないし、また期末手当も少ないという非常な差別を受けておるわけです。だから、これはやはり早急に、賃金職員の定員化を図ってもらわなければいかぬわけです。大臣は、まあ私的な話だけれどもというようなことで言われましたけれども、総定員法の枠外に国立の医療機関の職員を持っていくというような構想も考えておられるようでありますが、それについて大臣のお考えを聞いておきたいと思う。
○小沢国務大臣 厚生大臣にとりましては、国立病院の職員は本当に自分の子供といいますか、そういうような立場でございますので、これはもうできるだけ労働条件をよくしていかなければいけない、また国民の医療という責任ある立場から考えましても、十分定員を確保して医療の万全を期していかなければいかぬわけでございます。だからもう、だれよりも心を痛めて努力をしているつもりでございますが、遺憾ながら思うようにいってない点が多々あちこちにございます。これは一つには、総定員法の問題等に絡んでなかなか定員をとれない。それから専門職については、特にPT、OTにつきましては、まず賛成するに当たっての先生の、指導者の養成といいますか、そこから始めなければいかぬ。日本は非常におくれている現状でございます。なかなか思うようにいかないわけでございますが、少ない中でも、各省毎年人を減らしておりますが、減らした分の中から国立病院に私どもは努力して持ってきておるわけでございますので、来年からも一層ひとつ努力をして、できるだけの定員の充実を図っていきたい、かように思います。 また、常用に切りかえていく問題についても、私は全医労ともいろいろお話し合いを前にしました。できるだけ毎年努力をしなければいけませんが、とにかくあちこちで定員の不足が問題でございますので、一遍にはできませんが、処遇の改善で報いていくことも並行して考えていこう、こう思っております。
○浦井委員 行管、どうですか。行管は来ておられるでしょう。大臣としては言いにくい面もあるでしょうから、ひとつ思い切って定員増、賃金職員の解消、そのために努力しますか。
○百崎説明員 私ども、国立病院あるいは療養所の職員の定員につきましては、医療問題の重要性ということにかんがみまして、従来からも、非常に厳しい定員事情の中で、たとえば計画削減なり増員等の面で特別の配慮をしてきたつもりでございますが、私も厚生省を担当いたしまして、できるだけ現場の実態を見たいということで、この夏からある地方の病院、療養所、あるいはらいの療養所、あるいは精神療養所、神経センターその他、幾つかの現場を見せていただき、また現場の職員の方々の声も一応お聞きしてまいったわけでございますけれども、先生から先ほどからいろいろお話がございますように、確かにいろいろな問題がございますので、ちょうどいま私どもは定員の査定中でございまして、いまの段階では具体的なことは申し上げかねますけれども、必要なところには所要の増員を図る、こういうことで今後対処してまいりたいと思っております。
○浦井委員 不十分な答えしか返ってこないのですが、後、田中議員の方から関連質問がありますので、私は、最後に一問だけ、業務局長にお尋ねしたいのです。 スモン病でありますが、金沢地裁判決あるいは東京地裁の判決後、大臣もいろいろ動いておられるようでありますが、恒久補償の一環として具体的に鍼灸の問題が出てきておる。鍼灸については、厚生省の委託研究の中でも、長期的には効果はあるかもしれないけれども、特効的とは言えないということであります。しかし、不定愁訴をかなりとっておるわけでありますから、これは、ほかに有効な治療方法が残念ながら見当たらないということでは、やらなければならぬ一つの治療法ではないかというふうに私は思うわけであります。 それから大臣にちょっとお聞きしておきたいのですが、つい先日、この十六日にNHKの教育テレビで「キノホルムは劇薬だった」という三十分番組があった。ビデオか何かがあればあれをぜひ見ておっていただきたいのです。非常に背筋が寒くなるような慄然とするような事実を、ずうっと克明に、上手に編集をして国民に知らせておるわけなんですが、それを見ますと、これは国に責任がないんだなんということは言えないと思います。私もかなり調べて、これはほぼ事実であります。そういう点で、何か、薬務局長の方からは週一回にしてほしいとか、一回の金額もなかなか高うには出せないとか、いやに渋っておられるようでありますが、やはり社会保険の体系から外して、同意書なしでやられるというかっこうにせっかく踏み切られたわけでありますから、適当な人には週三回、あるいは金額も、鍼灸を業としておられる方が余分な負担をしないよう、結局は患者さんが負担をしなければならぬようなことになるわけでありますから、せめて三千円に近いような額を国として決定すべきではないか、私はこういうように思いますが、その点についてちょっと薬務局長に意見を聞いておいて、私の持ち分を終わりたいと思います。
○中野政府委員 鍼灸の問題につきましては、先生御指摘のように、スモン研究調査協議会の報告に、微妙なニュアンスを持った点もございます。しかし、現実問題といたしまして、大臣の御指示によりまして、直接患者さんの方々のお宅にも伺い、いろいろお話を承りまして、その上での判断として、大臣の御指示として、早急に年内にでもこれに着手をしろということがございました。 そこで、先生御指摘のように、現在の社会保険治療の枠内における鍼灸のいろいろな制約がございますが、一応その枠から出まして、難病特定疾患対策の一環として、この鍼灸をぜひとも十二月から発足させたい。これについての回数問題あるいは単価の問題、いろいろございます。これは現在省内であるいは関係財政当局と協議中でございまして、何分にも、本年度特別の予算措置のないままにこれを踏み切るという制約もございますので、一定の枠ということはやむを得ないこともあるかと存じますけれども、せっかく患者さん方の御希望に沿うように現在鋭意努力中でございまして、現在の段階では最終的な結論に至っておりません。 それから、なお、料金の問題につきましても、担当の方々と技術者の団体との間で現在円満に事を運べるように話し合い中でございます。したがって、現段階ではまだその面も結論が出ておりませんが、御趣旨のような方向でできるだけ努力をいたしたい、かように思っております。
○浦井委員 最後にもう一つ。その十六日の番組でありますが、私も去年の通常国会で前厚生大臣にお話をしたわけでありますけれども、大臣、キノホルムというのは日本で国産化されたときには劇薬であったわけです。それが第五薬局方ですか、何か知らぬけれども、南方で陸海軍が侵略戦争を遂行していくために、兵隊がアメーバ赤痢にかかったら困る、だからひとつキノホルムを使おうというようなことで、一般薬になっておるわけです。医師がだれでも使えるようになったわけです。そしてどんどん使われて、その番組によりますと、そのときにすでに大阪の桃山病院では、いまから思ったらスモン病だと言わざるを得ないような症状が、ちゃんとカルテに記載されて残っておるわけなんです。戦前、昭和十五年ごろにスモン病が発生しておるわけなんです。それで、戦後せっかく医師会の中でも劇薬に戻そうという動きがあったにもかかわらず、たまたまそのときに出てきたアメリカの薬局方を見ると、一般薬になっておったので、そのままにしておこう、こういうようなかっこうで、その間、当時の厚生省の製薬課長の方のお家へNHKの記者が行っておるのですけれども、これは面会拒否で会われていないわけです。その後、昭和二十八年ごろからずっと、製薬メーカーによる製造承認の申請が出てきて、それも書類審査ですっとパスしておるわけでしょう。国は責任がないとは皆さんも言っておられないでしょうけれども、いろいろな言い方をされておるわけでありますけれども、メーカーと同時に国がこういうような病気を発生させた責任はあるのだ、だから、そこで出てきた被害については国が恒久的に補償すべきなんだということを、あの番組を見ても私は強く感じたわけでありまして、この点について大臣の御決意を聞いて、終わりたいと思う。
○小沢国務大臣 私、その番組を見ておりませんので何ともお答えできませんが、よく拝見をいたして検討してみますけれども、私どもが責任がないと言って争っておりますのは、薬事法の法的な性格で争っているわけでございます。しかし、一方において、そういう厳然たる、キノホルムの長期連用服用によって、スモン患者が発生をしているという事実に基づいて、患者救済のためには自分の行政責任を果たそうと、したがって、和解の方は幾らでも、私どもは和解条件に応じてやりますよ、こう言っておるわけでございますから、私どもとしては、今日の態度は、法的な責任を超えて行政上の責任、国民の健康を守る私どもの立場としての十分なる態度表明はできておると私は思うのです。ただ、裁判で争われますと、やはり法的な責任ということにひっかかってきますから、それはそれとして私どもは争う。しかし、いつでも和解の道がありますから、たとえ控訴をされた人でも、和解をするならいつでも私どもは患者救済に立ちますよ、こう言っているのですから、そうむちゃな態度でないと思うのです。これは御理解いただきたいと思います。
○浦井委員 田中議員にかわります。
○木野委員長 関連して、田中美智子君。
○田中(美)委員 時間が非常にわずかになりましたので、手短に話しますので、そちらでも簡単にお話し願いたいと思います。 先ほど、コレラの問題について何かいい方法はないかというふうな他の議員からのお話もありましたけれども、私は、将来ともいい方法を模索していくということは当然のことですけれども、いますぐやれることはやってほしいと思っています。 それで、愛知県でことしの十月九日にコレラで亡くなられた男性の問題ですけれども、厚生省から細かく経過などは伺っております。これを見てみますと、やはり初診時に発見できていない。疑いを持たれていない。別に、私はいまその医者を責めよう、厚生省や医者の欠陥を責めようという立場で話しているのではありません。事実として初診時にやはり発見できていないということと、それからもう一つは、二月後の九日の八時に亡くなっているわけですけれども、この疑いが出まして、その結果が県の衛研でわかったのが十日の大体午後六時になっているわけです。このところに、私は二つ問題点があると思います。 それは、基本的には、いまはもう日本にはコレラは絶滅してないもんだと考えて、いままでの対策がなされていたと思うのです。それを悪いと言っているわけではありませんけれども、いまのように、東南アジアから本当に数時間で飛行機で来れる。そうすれば、菌を持ったまま、発病しないままで入ってきて、港や空港でとらえることは不可能なんだという状態になれば、やはり日本にはコレラ菌を持った人がいる、発病してない人がいるのだ、だから第二次感染というのはこれからあり得るのだという立場にはっきりと変えていただきたい。新しい状態になったわけですから変えていただきたい。そのためには、お医者さんもコレラはないという形で、いままではそこに余り心を使っていなかったと思いますので、まずお願いしたいことは、医師会に厚生省から早急に申し入れて、開業医の段階でコレラの疑いではないかというようなことがあったら、すぐにそれを通知していく、そういう開業医の協力を得るように、これを早速にしていただきたいということが一点です。 それからもう一つは、亡くなってから十日の通夜の日の午後に、県の衛研で午後六時にコレラの疑いがあるということがわかったわけですけれども、それから東京の予研に行って確かであるかを確認する、その間に、コレラの疑いがありながら、その晩にお通夜をして、そこで飲み食いをしているわけです。これが悪いとは言いません、悪いと私はいま責めているわけじゃないのですけれども、やはりこれは、コレラがないという立場に立ったがために、非常になまぬるかった。もしここのお通夜で食べてコレラが多発したとしたら、厚生省の責任というのは重大な問題になったと思います。これは偶然起きなかったのでよかったわけですけれども、その後、二次感染は船橋にも起きていますし、今後も起きてくる可能性があると思います。名古屋市の場合でしたら、港に検疫所があったわけですから、何も東京の予研まで持ってこなくても、この検疫所に持っていけばもっと早くわかったのではないか。こういうことも、検疫所に持っていくことができるように改善すべきではないかという問題。それから衛研自体の能力を高めて、県の衛研で十中八、九コレラであるということがわかるだけの力を持てば、すぐに防疫体制はとれるのではないかと思います。 それからもう一つ、三番目なんですけれども、いま日本に入ってきているのはエルトールコレラで、余りこわくないというふうに言われていますけれども、インド型のコレラは非常にこわいものである。これはまだ来ていないけれども、来たら大変なんではないか、公衆衛生学会でも、コレラは甘くないぞ、こわくないものではないぞというふうな議論がされていると聞いています。こういう点から考えても、たとえば米軍基地の問題ですが、いまフィリピンはコレラの流行国になっています。ここから軍人とか軍属が入ってきています。米軍独自でチェックをしているかもしれませんけれども、日本は全くわからない。そうすれは、米軍や軍属か歩いたところを消毒することはできないわけです。ですから、アメリカ政府に日本政府からきちっと申し入れをしまして、そういうチェックでわかった場合には、日本とともに協力して消毒体制をとるというようなことをしておかないと、エルトールコレラも大変ですけれども、インド型が入ってきたときには大変な問題になるのではないか。そういう点で、コレラはないのだという考えではなくて、コレラはあるのだ、これからますますふえるのだという観点から、いままでの対策を根本的に改善していただきたい。 この三点の問題についてどのようにしていただけるか、お答え願いたいと思います。
○田中(明)政府委員 先生御指摘のとおり、最近の国際交通のスピード化あるいは大型化に伴いまして、潜伏期間中のコレラの患者あるいは健康保菌者が日本の国内に入るということは、検疫所において検疫対策を強化いたしてまいりましてもなかなかむずかしいという認識に立ちまして、実はこの八月十一日に、新しいコレラの防疫対策の実施要綱というものを都道府県に通知いたしたところでございます。 その考え方の基礎となっておりますのは、昭和三十七年、当時台湾のコレラが入ってきましたとき、これを水際で撃退するという考えに立った要綱があったわけですが……(田中(美)委員「時間かないから三点について簡潔に」と呼ぶ)その新しい実施要綱の中におきましてすでに、思考の早期発見のために医療機関の協力を得るよう、緊密な連絡をとるようにという指示をしております。 それから、名古屋の患者の場合の検査の結果がおくれたという点でございますけれども、これにつきましては、八日が日曜日で十日が休日だったという事情も若干絡んでおりますが、実は患者が、症状から言いまして、むしろサルモネラの感染症あるいは赤痢を疑わせるような症状でございまして、二次的にかつぎ込まれました県立尾張病院におきましても、初めはそのような病気を疑って診療をしておったわけでございます。その診療の内容としてはほとんど同じでございますけれども、たまたま念のためにやったコレラの検査の結果が出てまいりまして、それで県の衛研の方に送ったということでございます。現在の規則の上でも、県の衛研において菌が発見されたというふうに考えられた場合は、疑似患者として対策を立てるようにということになっておりますので、先生御指摘のとおり、衛研の職員の能力を高めてより精度を高めるということ、あるいは検疫所をこの点で利用できないかというようなことも検討してまいりたいと思いますが、現在の制度でも一応できないことはないのではないかというふうに思っております。 それから最後の、米軍基地における感染地域からの患者についてでございますが、米軍の基地においてしかるべき検査をすることになっておりまして、患者が見つかったときには、至急わが国の検疫所と協議いたしまして、予防体制をとることになっております。
○田中(美)委員 最後になりましたが、大臣、初診時の医師会に対する協力というもののお答えをいただいていませんし、県の衛検の技術を向上させるために講習をしていただきたいと思っているわけですけれども、その点を大臣からお答え願いたいと思います。
○小沢国務大臣 確かに初診のときが一番大事ですから、この点の協力を徹底することについてできるだけの努力をいたします。 第二の、研修をやりさらに能力を高めるということも必要かと思いますので、早急に私どもとして善処をいたしたいと思います。
○田中(美)委員 質問を終わります。
○木野委員長 次回は、明二十日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十八分散会 ————◇—————