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85回国会衆議院1978/10/17

社会労働委員会 第3号

発言数
337
登壇者
34
会派数
6
開催日
1978/10/17

会議録

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 これより会議を開きます。  特定不況地域離職者臨時措置法案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大橋敏雄君。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 先週の委員会に引き続きまして特定不況地域法案の審議をいたすわけでございますが、この特定不況地域法案の焦点というのは、要するに通産省がその業種を指定するかしないか、ここにかかっておると思うのであります。もちろんその業種指定に当たっては、産業の状況あるいは雇用の状況もあわせて検討し指定していくんだと、先週の委員会で何遍も繰り返して答えていたわけでありますが、必ずしも明快なといいますか、答弁はなかったと思うのです。  そこで業種の指定について、具体的に検討の対象としようとする目安といいますか、どういう範囲から指定をしていくのだというものがあれば、まず通産省に聞かせていただきたいと思います。

若杉和夫中小企業庁計画部長

○若杉政府委員 お答えいたします。  特定不況業種をどういうものを指定するのだろうか、できるだけ具体的なイメージを示せ、こういう御質問だろうと思います。  特定不況業種につきましては、特定不況地域中小企業対策臨時措置法の二条二項にございますが、具体的には、たとえば最近時の操業率がおおむね八〇%を割っておるとか、あるいはそのような状況がおおむね三年ないし五年間ぐらい継続する見通しがあることとか、さらに、その業種に属する事業を行う事業所の相当部分におきまして、事業の休廃止等を余儀なくされておるというようなものを一応考えておりまして、具体的には業界の実態とかその他をさらに調査いたしまして、業種指定の政令を制定する時期までに関係省と御協議申し上げて、具体化する予定でございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 もうすでに通産省のいわゆる特安法、これでは十二業種が指定されているわけですね。それから北洋漁業も対象の範囲に入るのだと、この前の答弁でおっしゃっておりました。労働省でいま決めております特定不況業種離職者臨時措置法の対象業種、これは三十六ですか、業種が指定されているわけでございますが、こういうのは当然対象業種として入ってくるのだろう、こう思うわけです。と同時に、このほかに、まだ通産省の方で対象として検討する業種というものを考えているものがあれば、教えていただきたいと思います。

若杉和夫中小企業庁計画部長

○若杉政府委員 いま先生がおっしゃった二法の指定業種、それから先生がおっしゃいました北洋漁業、それ以外に一応検討しておるのは、この二つには高炉製鉄業が入っておりません。その辺ぐらいまでの範囲で、具体的には特定不況地域、空振りになってもしようがないものですから、一応、不況業種としてはいま申し上げましたような範囲から具体化しよう、こういうことでございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 いまの答弁では高炉製鉄等がその対象の中に入っていると言いますけれども、私が聞きましたところでは、大手五社が一応その検討の対象に入っていると聞いたのですけれども、示せれば一応教えてもらいたいと思います。

若杉和夫中小企業庁計画部長

○若杉政府委員 大手五社以外は、鉄綱業の中心は平電炉業がありますが、それはもう先ほど申し上げました二つの法律の中の指定業種に入っています。高炉が入っていませんで、高炉業は大手五社、正確に言うと日新製鋼なんかも入りますから六社とか七社になりますが、俗称すれば大手五社が高炉製鉄業の代表的業種でございますので、こういうものが候補として入り得る、こういうふうに御了解いただきたいと思います。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 そうしてみますと、たとえば北九州市にある新日鉄、これなども有力な検討対象の業種となる、こう見てもよろしいですか。

若杉和夫中小企業庁計画部長

○若杉政府委員 そのようにお考えいただいて結構でございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 ここは御承知とは思いますけれども、八幡新日鉄はいま大変な状況にあるわけでございまして、ましてや、それに関連している中小企業というのは四千から五千あるということでございます。非常に困っているわけでございます。  御承知のとおり、円高あるいはオイルショック、鉄鋼不況、こういうことから製鉄の高炉が一つ、二つと消えていっているわけでございますが、その関係から下請業者などは非常な困り方であるわけですね。私は後でその内容を申し上げてみたいと思うのですけれども、北九州春闘共闘会議から出ている資料で見ますと、新日鉄の戸畑一号炉、二号炉、三号炉のうち、二号炉がもう休止になっている、八幡の四号炉も休止になった、洞岡一号が休止になっている、こういうことでございまして、大変な状況です。  きのう北九州の関係筋からとりました資料によりますと「五十三年七月十日、戸畑四号高炉の再火入れを行った。また、戸畑新三製鋼が五十四年四月以降には操業開始の予定である。これに伴い、洞岡四号高炉及び八幡三製鋼は休止となる。」こういうように、一面ではちょっと明るさを取り戻しつつあることはわかるわけでございますが、これまでの不況で地域一帯が大変疲弊しているわけですね。ぜがひでも北九州市、そして新日鉄を指定業種として認めてほしいと強く要請をしておきます。  時間が二十分しかございませんので、次に移りたいと思います。  労働省にまずお尋ねしますが、不況業種を指定する際は有効求人倍率あるいは常用求職倍率、就職率、雇用保険の受給者等の状況から判断していると思うわけでございますけれども、おのおのどの程度の倍率をもって指定条件あるいは基準と考えておられるのかということでございます。どうでしょうか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 お尋ねの雇用・失業情勢を判断する場合の基本の問題でございますが、先生も御存じのように、この法案の中では、その地域で相当数の離職者が発生し、または近い将来発生することが確実だということ、それからもう一つは、雇用機会が著しく少ない状況にあるというふうなことを要件としているわけでございまして、この基準をどう見るかということにつきましては、御存じのように安定審議会にお諮りしてこれを決めるということになっておりますので、現段階で、まだ具体的にどういうものをどういうふうに見るというところまで決まっていないという実情でございます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 御承知のとおりに、有効求人倍率は全国平均〇・五〇倍だ。そういう中にあって、これは労働省からいただいた資料でございますが、沖繩が一番で〇・〇八倍、高知が〇・一四倍、福岡県は〇・二二倍、福岡県が三番目に上がってきております。すでに特定不況地域として指定されている大牟田市が〇・二一倍なんですね。福岡県は全体で〇・二二という表が出ておりますが、非常に厳しい状況にあります。  いま北九州の新日鉄関係の状況を申し上げたわけでございますが、特に北九州の状況を言っておきますと、たとえば有効求人倍率は、六月から八月までの平均ですが、常用でございますけれども、大傘田市が〇・二〇倍に対して八幡は〇・一八です。それから小倉が〇・二八、戸畑が〇・二二、若松〇・二〇、門司が〇・一三です。きわめて悪いわけです。また常用求職倍率が全国平均一・九七ということでございますが、それに比べまして、例の指定になっている大牟田が五・〇四倍、ところが八幡は五・四四倍、小倉三・六〇倍、戸畑四・五〇倍、若松五・〇八倍、門司などは七・六二倍、大変な状況になっているわけでございますね。産業の立場からは当然検討の対象に入るといま通産省の方では申しましたし、労働省の立場から、雇用の面から言っても、こういうきわめて悪化した状況にあるわけですから、何としても北九州市を指定地域にしていただきたい。労働大臣の立場からも、ぜひ審議会の方にこの状況が反映されるように働いていただきたいと思うのですが、いかがですか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 特定不況地域の離職者臨時措置法案を通していただきましたら、もう早速関係の審議会を経まして、これが地域指定の政令を決定いたしまして、早急に御趣旨の線を体して努力したい。  ただ、御案内のように、この地区指定の基準設定は通産省と共同で決めるという、これが法律の基本でございまして、それを踏まえながら――いま御指摘のように北九州市の雇用情勢は非常に厳しい状態であります。ただ、北九州市という全体から見て事業活動といったものがどういうふうになるか、そこら辺をあわせ考えながら、御趣旨を十分踏まえて検討いたしたい、このように考えます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 通産省との協議の上で決められていくことは十分承知いたしておりますが、実態が実態だけに、百万都市という大きな都市でありますので、検討には非常に慎重な態度をとられるであろうと思いますけれども、何が何でもこれは指定してもらわないと、その関連中小企業は本当に危機状態にあるわけですから、また雇用の面からも重要な時期に来ておりますので、ぜがひでも、これを指定の方向で努力していただきたいことを強く要望しておきます。  次に、北九州市と筑豊とのちょうど接点に直方市というのがあるのですね。ここは御承知と思いますけれども、福岡県のそういう位置にありながら、人口六十一万八千人、そしてその直方市の基幹産業は鉄鋼業であるわけです。これは通産省の方にまたお尋ねしたいわけでありますが、以前は炭鉱のいわゆる機械器具の集団産地として、その特異性を発揮していたわけでございますが、エネルギー革命で一般産業に転換を余儀なくされたわけです。それから新日鉄八幡の下請をやったり佐世保重工業の造船の下請、そういう仕事を実はやっているわけですが、とにかく不況になりまして、特にオイルショック以後仕事が減り、たまたま仕事があっても、単価をたたかれて経営は非常に時しいわけですね。全くみじめな状態にあるわけでございますが、私は、すでに不況業種として決められている、指定されている企業よりももっとひどい状況にあるのがこの直方の鉄鋼業界ではないかと思うのです。数は二百程度ですね。これは何としても救っていただきたいわけでございまして、通産省の今度の法案の中に、関連市町村の立場でそれを救っていく条文があるわけでございますが、これは該当いたしますか。

若杉和夫中小企業庁計画部長

○若杉政府委員 関連の中小企業の関係法案の三条二項というのに、先生おっしゃったとおり、関連市町村を政令で指定いたしますという制度がございます。これは特定不況地域が政令で指定された場合に、その周辺の市町村ということになっております。それで、隣接より若干広い概念だと思いますが、隣々接程度ぐらいまでは入ろうというふうに判断しております。そういう市町村で、特定不況地域の特定事業所の下請等、密接な関連がある取引をしておる業者が相当数存在する、こういうような事情がある場合に、関連市町村を政令で特定不況地域と並行して指定いたしまして、そこの関連の取引業者に対して救済ができるという制度がございます。したがいまして、直方が具体的になりますかどうかは、まず特定不況地域に隣接といいますか、隣接より広い概念ですが、できるかどうかということ、それからそれに関連する相当数の中小企業者がおるということ、こういうような要素がございますので、具体的にいま直方ができるかどうかというのはお答えしにくいわけでございますが、特定不況地域の政令指定とあわせまして検討してまいりたいと思います。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 私は、時間があればゆっくり内容を説明したいのですけれども、もう時間がわずかしかございません。こういう地域こそ指定してあげなければ、今度通産省から出ている法案の本当の趣旨、意義は生かされないのじゃないかというぐらいに思っているわけです。  その業者の仕事は、県外から大体五五・六%求めているわけです。五五・六%は外からです。北九州は隣接となりますけれども、いま言った佐世保重工業というのは隣接なんてものじゃないのですけれども、実態的にはそこの造船の仕事をしているわけです。ですから、こういう実情を踏まえていただいた上で、特例的にでも直方を指定していただきたい、これは強く要望しておきます。いずれ直方市からも陳情に上京してくると思いますし、直方市が「鉄鋼業実態調査報告書」というのをまとめております。これを見られると明確になると思います。  それと同時に、労働省の立場からいっても、有効求人倍率が五十二年は〇・三二だったわけでございますが、七月現在で〇・二六、一番悪いときは五十三年の二月で、〇・一六というところまで落ちるほど非常に状況の悪いところでございますから、この直方は何としても指定をしていただきたい。また、これを指定しないようだったら、法案は死んでいるというぐらいに私は思うわけでございます。ぜひ前向きでお願いいたします。大臣、ひとつよろしく頼みますよ。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 法律の運営はわれわれでやらせてもらうわけでありますから、その精神を踏まえて、御趣旨を十分考えて検討いたしたい、こう思います。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 今度法案が通りますと、これは五年間の有効期限になるわけですね。従来、失業者を出さないためにということで雇用調整給付金制度が動いているわけでございます。該当企業に対してはまず最初の一年には百日分、後、半年半年で二十五日で、最高百二十五日支給してあげようということになっているわけですけれども、今回の不況法案の期限が五年ということになりますと、私は、これは当然枠の見直しをやるべきだと思うわけです。失業させても諸手当を出してお金がかかりますし、できることならば失業させない段階で、予防の立場からこの雇用調整給付金を生かさなければならぬ。そういう意味からも枠を大幅に広げるべきであろうと思うわけでございますが、いかがですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 御指摘の雇用調整給付金を特定不況地域内へ適用する場合の支給限度日数の問題でございますが、御指摘の御趣旨もよく考慮しまして、当該地域の労働者の失業の予防に実効を上げるようによく検討してまいりたい、こういうふうに考えております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 前向きに、大幅に検討されていくというふうに理解してよろしいですね。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 御指摘の趣旨を生かすように検討してまいりたいと思っております。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 時間も参りましたが、もう一言労働省にお願いしたいのです。  特定不況地域法案として、雇用調整給付金そのほか、いろいろと資金制度をフルに活用なさっていくわけでございますが、先ほど言った関連市町村の労働者の方には及ばなくなっていますね。通産省が指定されたその指定地域に対しては、当然労働省のこの法案が波及していきます。また通勤着に対してはちゃんとできるわけですが、しかし関連市町村として認められたところの労働者に対しては、この法案では恐らく及ばないと私は見ております。従来、予算もかかることでございますけれども、今度の対策として、企業と労働者からのいわゆる保険料で賄っていっているわけですから、少なくとも、そうした関連市町村の労働者に対して、一般会計からでもそれを救っていくような前向きの検討をぜひしてほしい、これは強い私の要望でございますが、いかがですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 特定不況業種離職者臨時措置法で、御存じのように直接関連する下請企業につきましては地域のいかんを問わずこれを法律の対象にし、あるいは御存じの対象業種と一定の取引関係が明確になっているそういう下請企業については、これまた当該業種に属さなくても向こうの臨時措置法の方で対象にする、こういう仕組みになっておりますので、保護はされているというふうに考えますが、なお引き続きそういう問題点につきましても検討を進めてみたい、こう思うわけであります。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 実際に直方の鉄鋼の関係はそれが及んでないのですよ。そういう意味からいま申し上げておりますので、ひとつ前向きに、これは労働省みずから、一般会計でその点については見ていくぞというぐらいの気持ちで、検討を推めていってもらいたいことを要望しておきます。  時間が来まして済みませんが、あと三つ四つあったけれども、最後にもう一つ。  自民党が十月四日の夜でしたか、補正予算がらみで粋事長・書記長会談に持ち出したいわゆる雇用、不況地域対策の提案がございましたね。その明くる日新自由クラブと話し合いしてやはりいろいろと決めているわけですが、二つ見比べていくと、自民党が提案したその中身と新自由クラブとの合意事項との間に、二つ抜けているのがあるのですよ。その二つは何かと言いますと、職業訓練受講者について現行一年を二年に延長するということと、中高年齢者雇用開発給付金の支給期間を現行三カ月から六カ月を六カ月から一年に延長するという、この二つが抜けているのです。これは自民党と新自由クラブとの問題で、政府は関係ないとおっしゃるかもしれませんけれども、こういう内容がすでに報道されていることから、私は絶対これは取り上げていくべきだと思いますし、抜けているこのことについてどういうことになるのか確認しておきたいのです。大臣これはどうなんですか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 いま御指摘の問題点は私の方も聞いております。誠意を持って検討いたしたい、このように考えます。

大橋敏雄公明党・国民会議

○大橋委員 時間が来ましたので、終わります。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 次に、西田八郎君。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 労働大臣と通産省の方に伺いますが、今度の不況地域特別措置法は、さきにわれわれ提出して本委員会で可決され、すでに法律化されました特定不況業種離職者臨時措置法と、この通常国会において制定を見ました特定不況産業安定臨時措置法、それで雇用者と企業とをカバーできた。しかしそれでカバーできない地域、いわゆる企業城下町などと言われる地域等を含めまして対策をしようということであろうと思うのです。これで不況対策の三本柱がそろうことになるわけでありますが、問題は地域の指定なんですね。  通産省は、中小企業対策臨時措置法の方でいきますと、市町村を単位に指定する、こうなっている。そして、労働省の方では、法案の中身は、指定地域について「労働大臣が指定する地域」ということになっておるわけです。そこで、事前に予備調査をいたしましたところ、大体安定所管轄内、こういうふうに言われているわけです。そうすると、安定所ということになると、特定市なんかは区に分かれているかもわかりませんが、小さな県でありますと安定所は三つないし四つぐらいしかない。そして、県には五十以上の市町村がある。そこで、市町村の指定ということと安定所の指定ということが、非常に矛盾が生じてくることが起こり得るのではないだろうか。たとえば、隣接する同じ管轄区内の市、町の中に、片一方の市は雇用もほぼ安定をしておるし、そしてまた産業活動もそう減退はしていない。しかし一方、離れたこちらの町へ来れば、もろに不況業種の影響をかぶっているというような場合、安定所管轄で指定した場合にどういうふうになるのか。全部それがひっくるめられるのか、あるいはそういう管轄で指定したけれども、特定の市だけだということになるのか、その辺のところの労働省と通産省の考えというものを聞かせていただきたいと思います。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 いま先生御指摘のように、地域の指定をやります場合に、事業活動の側面と雇用・失業関係の側面と二つあると思います。雇用・失業関係の側面を見る場合に、市町村の区域よりも広い地域を予定して、私どもはいわば安定所単位に考えている、そこで矛盾が生じないか、こういう御質問だったわけであります。  私どもは、雇用・失業情勢を見る場合に、やはり現実の労働市場圏を実際に行政的に扱っております安定所の中で、需給関係が大体うまくいっているかどうかというふうに見るのが一番妥当じゃないか、こういうふうに思っておりますのと、もう一つは、率直に申しまして、統計的側面から言いましても、安定所単位でないととれない、こういう二つの要因があるわけでございますが、そういう角度から見ますと、やはり安定所単位に雇用・失業情勢を判断していくということには合理性があるのじゃなかろうか。  したがって、先ほどのお話に即して申し上げれば、含まれておる二つの市の中で、片方がよくて片方が悪いという場合には、やはり一般的には、全体としての労働市場圏としてならして考えるのが、雇用・失業情勢を見る場合の妥当な見方じゃなかろうかというふうに考えておるわけでございます。

若杉和夫中小企業庁計画部長

○若杉政府委員 特定不況地域中小企業対策臨時措置法の中でも、雇用と両輪一体という目的を体しまして、この特定不況地域を決める場合には、その定めようとする市町村の区域あるいはその近隣の地域における離職者の発生状況、あるいは雇用に関するその他の状況を勘案して決めなさいということになっております。  近隣の地域といいますと、いま局長が申し上げましたように、労働市場圏というものは職安関係で見た方がよかろうというふうになっておるわけで、その辺の労働省側の統計資料あるいは判断基準というものを参酌して決めるということで、法の目的に沿うのではないか、かように考えております。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 そこで問題は、先ほど大橋委員の質問の中に大臣からも答弁がありましたように、地域を指定する場合は、しかるべき機関にお諮りした上ということでございましたね。そうすると、この種の機関ということになると、職業安定審議会だと思うのですが、職安審の場合は労働省の管轄になる。すると、通産省が指定する場合には、いま言うように必ずしも職安審の議を経なくても、諮問をしなくても済むということになりはしないかと思うのですが、その辺のところが私どもとしては非常に心配なところでございます。したがって、こういう地域を指定されるときには必ず職安審を通して決めていく。これは通産省の方ではあるいはかぶりを振られるかもわかりませんが、その辺のところひとつごしんぼういただいて、そういうふうに取り計らっていただけるかどうか、確かめておきたいと思うのです。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 若干あるいは私の受け取り方が悪いのかもしれませんけれども、中小企業対策臨時措置法で市町村単位に物を決めるときに、先ほど申しましたように、すでにもう事業活動関係と雇用関係と両方を見て市町村単位のところを決めるということになっておりますので、その場合の雇用関係の指標を中心に、安定審議会に基準をお諮りするということになっております。     〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕 したがいまして、安定審議会にお諮りした基準に基づいて中小企業対策臨時措置法案の市町村というものが決められていく、こういう仕組みになるわけでございまして、現在御審議いただいておるところの法案だけ見ますと、何かあちらの方で決まったものを労働大臣が受け身で受け入れましてその上で決めるみたいに、ひょっと見るとそう見えるのですが、そうではなくて、いま私が申し上げたようなそういう仕組みと手続で決まるものである、こういうことなわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 そうすると、中小企業対策法の方はいわゆる離職者臨時措置法に絡まれているというふうに考えていいわけですね。  そこで、私はちょっと話題を変えてお聞きしたいのですが、いま特定不況業種と言われるものは、かつて日本の基幹産業と言われた繊維、造船、鉄鋼が含まれておるわけです。これは構造不況ということになっておるわけでありますけれども、その構造不況というものが果たしてこれらの産業、大きな基幹産業に限られるのかどうかということになってくると、現在の国際情勢あるいは日本の輸出増等による外国からのいろいろな圧力、円高もその一つのあらわれでありますけれども、そういう点から考えますと、いま比較的好況と言われる業種も、これ以上伸びるということは考えられないのではないかというふうに私は判断するのですが、その辺のところ、今後不況が拡大しないのかどうか、そういう点で通産省はどう考えているか、あるいは労働大臣としてどのように把握されているか、ひとつお聞かせいただきたいのです。

日下部光昭通商産業省産業政策局産業構造課長

○日下部説明員 概略のお答えをいたしますが、私ども、長期のこれからの経済、産業の発展のパターンというのがどういうことになるのだろうかということをいろいろ検討をしておるわけでございます。先ごろ産業構造審議会の報告という形で「産業構造の長期ビジョン」というものをあれしたわけでございますが、それの中身によりますと、これからの産業構造といいますかそういうものの発展のパターンというものは、大体こういうかっこうになるのではないか。五つぐらい、望ましい方向というのはあるのではないか。第一は、やはり国民の福祉なり生活の充実という方向、そういう要請にこたえていくような産業というものが伸びていくだろう。それから二番目は、国際協調といいますか、日本はすでに国際的なウエートが非常に高くなっているわけでございますから、そういう中で、国際協調の要請に適合するような産業構造ということを考えていかなければならないということが第二点。それから第三点として、省資源・省エネルギー型の産業がどっちかというと有利になるし、それから資源多消費型の産業でもそういう努力をしていかなければいけない。第四点として、技術集約化というか、要するに先進国の経済を引っ張っていくにはやはり技術でございますから、そういう技術の集約度の高いものが伸びていく。第五点は、たとえば立地なり環境問題で余り問題がないような形の業種というものが相対的には伸びていくということになろうか、そういうパターンを考えているわけでございます。  こういうパターンは、では具体的にどんな業種になるかといいますと、やはりかなりの範囲の機械というものがこういう要請に適合してくるということになると思います。それからあと、住宅であるとかあるいは繊維、中でも特にファッショナブルなといいますか、国民の新しい要請にこたえていくようなそういう産業、それからファインケミカルみたいなものとか、それからいろいろなサービスがございますが、そういうものが産業構造の発展というものをリードしていくのではないかというような感じでおるわけです。  それで、先生御指摘のたとえば自動車とか家電とか、そういうものも限界に来ておるのじゃないか、そういうところがあるわけでございますが、これはトータルとして、たとえば自動車産業の技術水準というのは非常に高いものがあるし、それから家電でも技術革新のテンポというのは非常に速いということがありますから、やはり将来は、全体としては明るいということはあるわけですけれども、ただ、円高の問題なんかでいま足を引っ張られておるということがある。それをどういうかっこうで解決していくかというのは、たとえば海外生産の問題とか、あるいは部品輸入のウエートをふやしていく問題とか、それから輸出を若干オーダリーにしていく問題とか、いろいろあると思いますが、そういう注意をしながらやっていく必要が、そういう特に強い分野についてあると思いますけれども、その辺をしかるべくやっていくことによって、いま申し上げたような五つぐらいの基準といいますか、そういう方向で、日本の産業を引っ張っていく一つのあれにはなるのだろうと思います。ただ、やり方を間違うといけないので、その辺いろいろ考えていかなければいけないだろう、大体そういうふうに考えております。  あと構造不況業種的なものは、そういう過程で産業調整ということをやっていかなければいけないということがございますから、これは御案内の構造不況法とか、あるいは雇用調整のいろいろな対策とか、そういう方向でいま鋭意努力をしておるわけでございます。大体そんな感じでございます。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 ただいま通産省からお答えがございましたが、御承知のごとく、昭和四十八年のオイルショック以来、いわゆる企業は減量経営に移行しておる。それで、資源関係もいわゆる省資源型の産業構造に、現在日本の産業構造が基調的に大きく変化を遂げつつあるというふうに私は思います。そのような状態を踏まえて、雇用の場も結局は産業、企業が雇用の場を提供してくる、その企業自体が変わってくるわけでありますから、その変化に対応した雇用の機会を拡大をしていかなければならぬ。そこで、製造業関係では、よく言われますように付加価値の高い産業あるいは先端技術産業、こういった方向、同時に、やはり技術開発というものは絶えずたゆまない努力をしていかなければならない。開発された技術が企業化され、その企業化された暁に雇用の場を広く提供してくれたというのが、戦後から経済成長したわれわれの歴史がこれを雄弁に教えてくれておるわけでございますから、そういう面の努力を続けながらも、なおかつ福祉型産業構造に転換をするという時代の要請を踏まえまして、これからの産業のあり方というものはいわゆる社会福祉、文化、医療、保健、こういった国民の生活に密着し、国民の生活の質を向上するような方向に施設も整備し、人手もふやしていく、こういうことに雇用の場を拡大をしていくことはまさに一石二鳥である、このように考えるわけでございます。  こういうことのためには、やはり労働省の労働政策、雇用政策というのが、いわゆる従来の労働省の枠組みの中で問題を解決することは不可能である、したがって、広く総合的に、いわば経済政策の観点を踏まえて、通産省との密接な連絡を図らなければならぬ、あるいは厚生省、文部省等々、関係省庁と密接な連絡を図って、そして雇用の安定ということを最重点にした経済政策の展開をしていくような方向に、労働省としては、また労働大臣としては積極的な発言、言動をすべきである、このように考えておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 だれが考えても、いま通産省の課長のおっしゃったような方向しかないだろう。しかし、それも少し甘過ぎるように思うのですね。いまや、資源が各資源保有国の経済戦略物資になっているときに、従来のようにそう簡単に資源が入手できるとは考えられないわけです。したがって、入手するためにはそれ相応の対策、見返りを出さなければならないわけですが、わが国の場合は、製品としてしか見返りが出せないという問題がありますね。したがって、その製品にもやはりマーケットの限界があるし、国民生活水準というものが引き上がってこなければ、それに対応して消費をしてくれない。したがって、そういうようなことでも非常にむずかしいのではないか。いまの不況が世界的構造の中であれされておるというのは、先進国間の過当競争が生んだ結果だと思うのです。したがって、これは南北問題の解決とあわせて同時に解決しなければならない問題ですが、そう簡単に私はできる問題ではないと思うのです。したがって、国外でそうした形で雇用を増大しようとしても、付加価値を高めていくということになれば、労働生産性を高めるということになり、それはすなわち雇用の減少ということにつながっていくと思うのですね。ですから、そういう面は非常にむずかしいし、非常に見方も甘いと思います。もっとシビアに私は見ていく必要があるのじゃないだろうか。  そこで、労働大臣がおっしゃったいわゆる福祉型産業への転換、これは非常に重要な問題でありますし、私もその方向でいかなければならぬ。たとえば、いま公共事業でどんどんと道路その他が整備されておりますが、道路一キロ直すのに約一億円かかると言われておる。そうすれば、一億円で道路を直した後、その一キロの道路を整備した後に一体何人の雇用が残るかと言えば、雇用はゼロであります。ところが、一億円の金を使って保育所を一カ所建てれば、そこには保母を初め最低十四人の雇用が残るわけでありますから、むしろそういう方向で金を使っていくことの方が私は適切ではないかということで、労働大臣の説に賛成をするわけでありますが、しかしそれには負担が伴うわけであります。一体だれが負担するのかということであります。たまたま保育所をということになれば、これは現在五歳児だけで二十五万人からの未収容児がいるようでありますから、それらの親は保育園へ入れるだけの金は用意していると思うのですが、それを四歳児に拡大した場合に、果たしてそれだけの準備がなされているかどうかちょっと問題だと思う。当然そこには負担がかかるわけです。したがって、そうした負担を軽減するということも考えていかなければならぬわけですね。一人一人の負担を軽減するということを考えていかなければならぬということになると、わりあいに言うはやすく、行うはかたい問題の一つではないだろうか。  それよりももっと積極的に雇用を拡大する一つの方法として、時間短縮ということを考えられないか。週休二日制にすること、全く望ましいことでありますし、また、欧米諸国のようにバカンスというのをとるのも必要でありましょう。しかし、わが国の長い間の生活慣習として、一カ月も二十日も休むというようなことが果たしてできるかどうか、また、休むとすればそれを迎え入れるところの保養地というようなものが果たしてあるかどうかということになると問題でありますが、しかしバカンスは別としても、週休二日制は早く実現する必要があるのではないだろうか。  それともう一つ重要なことは、残業を廃止するということも一つの方法ではなかろうかと私は思うのです。ここに「労働時報」があって、七月の残業の計算が出ておるわけでありますが、月平均所定外労働時間として十二時間、これはいわゆる残業であろうと思うのです。製造工業千八百九十万の人が十二時間の残業をしているということは、二億二千万時間になると思うのです。所定内時間というのが計算されておるのは百五十七時間ですか、ですからそれで割り返しますと百八十万人分ぐらいの工数を、人数で言わず工数で言った方がいいかもわかりませんが、工数を残業でこなしているという問題があるわけですね。その残業には最低二五%という割り増し賃金が払われているとするならば、百八十万人の四分の一でありますから約四十五万人、その四十五万人をプラスして、二百二十五万人分を残業でこなしているということになるわけです。  では、果たして残業しているのはどういうところが多いのかというと、景気のいいところもありますけれども、主として中小企業が多いわけですね。中小企業はなぜ残業させるかというと、納期の問題があるわけです。これは損得にかかわらず納期という問題があるわけですが、こういう残業というものをしなくてもいいような方法というものを指導していく方法はないのか。たとえば労働基準法の三十六条を改正して、残業に対してもっと厳しい規定を設けるというような方法によって残業をなくするということになれば――この残業の中には主婦等で勤務する場合はオーバーラップする時間があります。そのラップが十五分なり二十分なりで残業として計算されているところもあろうと思います。したがってすべて全廃するわけにいきませんが、三分の二、せめて八時間ぐらいはもっと規制することができるのではなかろうか。これは労使双方の努力と労働省の行政指導によってできることだと思うのですが、そういう問題について労働省としてお考えになったことがあるかどうか、ひとつお聞かせをいただきたい。

岩崎隆造労働省労働基準局長

○岩崎政府委員 先生御案内のように、昨年末に中央労働基準審議会の御討議の結果、公労使三者一致の御建議をいただいたわけでございます。それに基づいて私どもいま時間短縮問題の行政を進めているわけでございますが、その考え方の中には、やはり時間短縮というものが長期的には雇用の確保ないし増大につながるという観点も含め、かつ、そのころ労働者側から御提案もありました、いま先生もおっしゃるような法規制をすることの可否という問題も含めまして御討議をいただきまして、それで公労使三者一致の御意見は、当面の問題としては過重な時間外労働時間の削減、それから週休二日制の推進、さらに、年次有給休暇の未消化のものがありますので、そういうものを完全消化の方向に促進していくということを当面行政指導でやれ、というような趣旨で御答申をいただいたわけでございます。  それに基づきまして私ども行政通達をいたしまして、現在都道府県基準局を中心に中央でも地方でも行政指導、それから特に労使のお互いのコンセンサスの上で、業界ぐるみでそういった問題を前進させていただくための会議をいろいろと持たせていただいているわけでございます。それでございますので、その時間外労働を一気に、短兵急にと申しますか法律で禁止してしまう――あるいは五割増しの割り増し賃金を払わせるというようなお考えもあるわけですが、私どもは、公労使三者一致で御建議をいただいた線で当面積極的に精力的に進めてまいりたい、このように考えてやっておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 ちょっと、大臣の答弁の前に一言補足したいのですが、それで大臣、基準法を改正する意思があるかないか、ひとつ、それもあわせてお聞きいたします。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 労働時間対策の進め方につきましては、ただいま局長からお答えをいたした線で大体尽きておるわけでございますが、労働基準法三十六条のいわゆる三六協定を踏まえて、現在いわゆる超過勤務、時間外勤務、この問題については行政指導で基準局の監督、こういったことで推進しておりまして、それ以上、この法律を改正することが現在の企業の実態から考えて適当であるかどうか、もうちょっと慎重に検討させていただきたい、このように思うわけでございまして、やはり企業の実態は労使が一番わかるわけでございますから、基準法の範囲内において、時間外勤務については労使が本当に理解し協力し合うという実態があるかどうかということを、労働省としてはよく見きわめて指導監督する、こういうことで万全を期したい、このように考えておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 大臣の答弁が、私が最近この委員会でお尋ねした答弁より若干後退したように思いまして残念でございますが、ひとつ、それは積極的に取り組んでもらいたいと思うのです。  これも不況と何の関係があるかと言うかもわかりませんが、きわめて重要な問題で、不況を克服するためには国際関係というのをよくしていかなければならぬわけですよ。ところが現有諸外国、特に先進諸国の労働組合からは、日本の労働者の働き過ぎ、長時間労働というものは非常に厳しい批判の的、対象になっております。したがって、この問題はやはり国際信用回復のためにも早急にやるべきことである。なるほど労使でその慣行をつくっていくのが望ましい方向ではあろうと思います。しかしわが国の場合、労働組合の組織が企業別組織になっておるという現実、それだからこそいまの不況にも耐えられているのかもしれません。一面そうした長所があるかわりに、また一方、そうしたものに思い切って踏み込んでいくだけの勇気がないと思うのです。したがって、それは欧米のように産業別組織ないし職能別組織になっている場合には、比較的取り組みやすい問題ではありますが、わが国の場合、そうした問題を労使にゆだねておっては非常に長い時間を要すると思うのです。したがって私は、これはやはり法律で規制をしていくことの方がより早く実現できるのではないかというふうに思いますので、そうした点で一層の御努力をいただきたいことを要望しておきたいと思います。  そこで具体的に法案になるのですが、先ほど指定地域その他についてはお伺いしたのでありますけれども、では一体何を基準にして指定をされていこうとするのか。先ほど労働省の局長の答弁を聞いておりますと、どうも、雇用安定ということが中心であるから、有効求人倍率その他によって判定したいというような御意向があったわけでありますけれども、法案の中身には、産業活動が著しく減退し、物の製造等が著しく減退した場合というふうになっておるわけです。その著しく減退した場合とは一体どの程度のことを指すのか、あるいはまた雇用が非常に不安定だという状況というものは一体どういう状態を言うのか、その辺のところをひとつお聞かせをいただきたい。

若杉和夫中小企業庁計画部長

○若杉政府委員 「著しく」という概念でございますけれども、恐らく二条三項二号の「著しく支障が生じている」というところだと思いますが、これは特定事業所からの関連の中小企業に対する発注の落ち込み、それに伴う関連の中小企業の売上高の減少というようなことだと思います。それで、これはさらに認定のところでも、そういう判断で認定をしなさいということがございます。  それで現益、御参考までに申しますと、十六地域を行政措置として指定して、そこに金融をつけておるわけです。その判断といたしましては、関連の中心企業者が、たとえば前年度に比べまして直近時点の売上高が一割以上減退しておる、あるいはやはり直近の手持ち受注が前年度に比べて二割以上落ち込んでおるというのを一応の行政上のめどとしております これは法律施行後、関係省と御相談いたしましてさらに具体化してまいりたいと思いますが、その辺が一つの目安にはなろうか、こういうふうに存じております。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 地域の指定に当たりましては、いま通産省の方から御説明ありましたような事業活動に関する指標と、もう一つ雇用に関する状況と、両方勘案するわけであります。  その場合の雇用に関する状況についての判断基準についてのお尋ねでございますが、これは中小企業対策臨時措置法案の中に書いてある条文に即しますと、まずその地域で相当数の離職者が発生し、また近い将来発生することが確実である、かつ雇用機会が著しく少ない状況にあることということが書かれておるわけであります。これを受けまして、現実にどういう指標というものを一番中心にして考えたらいいか ここのところは実は安定審議会にお諮りして決めるということでございまして、現在、どの基準についてどのぐらいの程度であればというところまで確定しているわけではございませんので、私どもも、法案が成立し次第その辺についての考え方をまとめて、審議会の御意見もよく伺った上で決めるようにさせていただきたい、こう思っておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 非常にうまい答弁をされまして、審議会と言われると困るのですけれども、審議会では常に、こういう意見でしてという労働省試案というものがどうせ出るわけですから、私も審議委員をしておったのですけれども、それなしで審議することはないのですから、大体の腹案はあろうと思うのですけれども、ここで言えなければいいです。  ただ、通常雇用状況が悪いところといいところとあるわけです。高度経済成長時代の、完全雇用だと言われたときの失業者が〇・二%程度のころにだって、求人倍率が少なくとも一を割ったところもあろうと思うのです。そういうところが、もともと悪いんだからというようなことで判断をされると非常に困るのではないか。したがって、たとえば直近の時点で〇・五であって、それがその〇・五に対して三〇%減、だから〇・三五に下がったという場合は、これは対象にしていくというぐらいの親切さがなければならぬのじゃないかというふうに思うわけですね。したがって、そういう点では十分配慮されるようにお願いをしておきたいと思うのです。ただ数字が出てきた、その数字だけで判断されるというのではなしに、やはりその管轄地域内における雇用情勢、そういうものを十分判断され、かつまた、その区域内に十分なる就職をあっせんする場所もないというようなところは、特に御注意をいただきたいとお願いをしておきたいと思います。  それから、こういう例があるわけです。たとえば、一つの企業で東京、大阪、神戸に工場を持っている。ところが東京、大阪は、数字の上から見れば非常に求人倍率は悪いけれども、しかし土地も広いし、人口も多いし、都会も大きいから何とかやっていける。ところが、神戸というとちょっと工合が悪いから相生ぐらいにしておきますか。そこが非常に小さな都市であって、その企業がかなりな彫響力を持っている。したがって、東京や大阪の仕事をとってでもこっちへ回そうということが、企業内で操作するわけですから、できるわけですね。そうすると、そういう企業がやっている、言うならばお情けというか地域対策というのか、そういうものが影響して、実際にはそこの地域は非常に悪い状況にあるけれども、指定から外れるというような場合が起こり得ますね。そういう場合のことはやはり配慮をしていただきたいと思うのです。  たとえば、三井造船が東京と大阪、そして玉野の三カ所にある。ところが、玉野の造船をやめてしまうと玉野市全体がひっくり返ってしまうという心配がある。したがって三井造船としては、大阪でやる仕事であるけれども、玉野へ回しているというような場合があります。そうすると、そのために何とかその地域のお役には立っておるわけですが、実際は、その仕事が大阪へ持っていかれたとした場合、これは大変な事態が生ずるわけです。いわゆるここで言われる特定不況地域以上の状態になるというような場合が起こり得ると思うのです。したがって、そういうことも十分配慮をして、地域指定についてはきわめて弾力的に判断をしていただきたい、その点特にお願いをしておきたいと思いますが、これは大臣からお答えをいただきたいのです。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 このたびの不況地域指定の臨時立法、この精神はあくまで地域がいわゆる集中豪雨的な雇用の厳しい情勢に見舞われ、あるいはまた産業活動も疲弊する、こういう実態を踏まえて、やはりこの法の精神が現実に生かされるように最善の配慮をする。そして法律のために、あるいはそれに基づいた政令そのほかのために、本当に法律が生かされないようなことでは、人間がこれを運用する意味をなさい、私は日ごろそういう考えを持っております。いま御指摘のような問題、十分私も踏まえまして、本当に法律が生かされて、十分所期の目的を達せられるように最善の配慮をいたしたい、このように思います。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 ぜひひとつ、よろしくお願いをいたしたいと存じます。  そこで、現在の法律と他の法律との関連において、やや違う点等について配慮願えないかということについてお伺いしたいと思います。  まず最初に、特例給付の問題についてですが、これはいま四十歳以上の人に対する特例給付が行われておるわけでありますけれども、これについて、年齢をもう、この指定された地域その他については全然撤廃してしまう、そして期間も六十日というのじゃなしに、もっと延長するというようなお考えはないかどうか、ひとつ聞かせていただきたい。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 雇用保険の特例措置につきまして、年齢と日数についてのお尋ねでございますが、御存じのように、現在のたとえば有効求人倍率等を年齢別に見ますと、やはり四十五歳のところで格段に開きが出ていて、就職が困難というのはやはり一般的に言うと四十五歳というふうに見るべきじゃなかろうか、こう思っておるわけでございますが、しかし、特定不況業種の離職者なりあるいはこの地域の離職者につきましては、もう少しその点についての配慮をすべきじゃないかというふうなことで、特に特定不況業種については、国会の中での御議論でそういうことになった事情もありまして、それに準じてこの地域につきましても四十歳にした、こういうことでございまして、これ以下に下げることについては、ちょっと私どももいかがなものかなというふうなことを感じておるわけでございます。  それからなお、六十日というのが一般の個別延長の場合の措置でございますけれども、これにつきましても、九十日に特例を設けているわけでございまして、これも、保険関係も先生はよく御存じでございますけれども、長ければ長いほどいいというふうには言えない面と、それから雇用情勢が非常にむずかしい場合に、ある程度延長して差し上げなければならない面と、両面ございまして、その調和点ということを考えると、やはりこの辺が一つの限度じゃなかろうかなというふうに現時点においては考えておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 そこで、新自由クラブと自民党との間で予算審議の過程で約束されたことらしいのですが、私もこの印刷したものをいただいておるのですが、その中に、四十五歳以上の雇用保険受給者について、六十日間の給付延長の措置を全国的に実施するというふうになっておるのですね。これは現在の法からは全く考えられないことだと思うのです。「受給者、六十日間、全国的に」ということになっておる。これは措置法、こういう特措法でカバーされている人だけじゃなしに、すべてだと思うのですが、しかも実施は五十四年一月から、実施期間は実施のときから二カ年間というような有限でありますけれども、こういうようなことを実施するというような約束がされておるわけです。ここでこういう議論をしておるのに、政党間でこういう約束をされるということに対して、労働大臣として、政府としてどう考えられるのか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 御指摘の事柄につきましては、私の方も一応党から話を聞いております。したがって、公党間の約束をしておられるわけでございますから、われわれとしてはこれを誠意を持って善処したい、どのように措置するかは今後の結論を踏まえて検討させてもらいたい、このように考えております。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 そうすると、これは特例になるのですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 細部の詰めは、いま大臣がお答え申し上げましたようにまだ詰めておらないし、またその辺の経緯等もよく承った上で検討させていただかなければならぬというように思いますが、ただ文面から見ますと、現在百三十一の地域につきましてやっております雇用保険の個別延長の特例措置、すなわち一般の場合は五十五歳以上になっておるものを、その地域については四十五歳にしておりますが、それをその地域にかかわらず四十五歳まで持っていくということでございますから、そういう意味では現在の制度の仕組みの中で、つまり百三十一の地域にやっているものを全国的に広げるという意味での特例措置として、検討は可能なんじゃなかろうかな、こういうふうに考えておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 そうすると、雇用保険法でしたか、特例で全国延長を決めておられるのは。その二十四条でしたか、二十五条でしたかに決められておる全国延長と解していいのですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 先ほど申しましたように、個別延長の特例措置を全国的に広げた、こういうかっこうになりますので、ですから、後段から見れば全国延長というふうにごらんいただける面もありますけれども、前段から言えば個別延長措置の特例を拡大した、こういうことでございまして、その辺の性格も今後よく検討してみたい、こう思っておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 そうすると、これが実施されると、この特別措置法で六十日の延長をされている個別延長は、これに上乗せされて六十日ということになるのですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 特定不況業種と今回の特定不況地域と両方とも四十歳以上、九十日という延長にしているわけです。先ほど御指摘のございました自民党から各党にお示しした考え方というのは、そういう意味での特定不況業種なり特定不況地域の方々を除いて、全国的に六十日の延長をしていくということでございまして、上乗せする趣旨というふうには私どもは承っていないのでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 それは法律の解釈上おかしいことになるわけで、個別に延長するのなら特殊ななにがあるでしょう。しかし、これを四十五歳の受給者については全国的に拡大するということですね。そうすれば、特別措置法というものは、六十日延長されない状況を踏まえて、個別に九十日なりふやしているわけでしょう。だから、それが全体的にふやされるというなら、四十五歳以上の人については六十日が上乗せになるという解釈をしなければならぬと思うのですが、ぜひそういうふうに解釈してほしい。ただやみ取引されたものを持ってこられて、しかも一生懸命になってつくった法律で保護されている人が、そのために救われる人もあるかわりに、何か損したような感じを受けるようなことはしてもらいたくないと思うのですが。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 先ほど申し上げましたように、性格等につきましては今後諦めなければならない点もございますけれども、ただ、基本的に私どもいま考えておりますのは、個別延長の措置を全国的に広げるという性格のものでございますから、したがって、従来から個別延長について特例をとっているものについては、それを重複するという考え方ではないのではなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 この議論は水かけ論になると思いますから、私は要望をしておきたいと思います。そういう実態もあるのだから、ひとつ年齢制限、これは四十歳に下げたとおっしゃるが、実態を調査してみますと、確かに四十五歳というのは正規の就職をしようとするとむずかしいかもわからない。しかし日本の賃金が特殊な年功序列型になっている。そこで五十五歳のやめる時点での給料が非常に高いから、思い切って賃金を下げてなら、就職は比較的可能だと言われておるわけです。ところが、三十歳から四十歳までの十年間というのは、ちょうど子供が育ってくる盛りであって、しかも賃金が中位に置かれているのです。したがって、生活が非常に厳しい条件に置かれておる。そういう人たちが三十代から四十代の人じゃなかろうか。しかもその年でその職を離れるということは、よくよくのことでなければ離れられない状況にある人たちなんですね。そういう人たちに対して、せめて六十日でも九十日でも延長をして、カバーするという親心があっていいのじゃないかというふうに私は思うわけです。ですから、そういう点で、ぜひとも年齢の問題についてはもう一回考慮をしていただきたい。個別延長か何か知らぬけれども、とにかく取引の中で、国会の審議を経ずして六十日というのが延ばされるなら、その点三十五歳に下げることも簡単にできることだと思いますので、ぜひひとつ御配慮をいただきたいと私はお願いをしておきたいと思います。  次に、特定不況業種の臨時措置法の中には、不況業種に指定された業種では、就職促進手当、あるいは訓練待期手当、訓練手当などのいわゆる安定資金制度の中の四事業と言われるいろいろな措置がされているわけですね。これに対して、今度の特定不況地域内の特定不況業種の人はいいわけですね。ところが、これは特定不況業種以外の人にも適用できないのかどうか、ひとつお伺いしておきたい。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 お尋ねの訓練待期手当なり訓練手当というのは、職業転換給付金として支給されているものでございまして、これにつきましては、先生も御存じのように、炭鉱離職者なりあるいは漁業離職者なりあるいはいま御指摘の特定不況業種の離職者なり、従来から、国の施策に基づきまして直接行われる事業規模の縮小等に伴う離職者に限定しまして、そういう制度が設けられているわけでございます。しかも、これも先生御案内のように、特定不況業種離職者臨時措置法では、国の施策で直接行われる事業規模の縮小に伴うものについては、これをそちらの方の法律でできるだけ救っていく。これも先ほど申し上げましたけれども、対象業種の指定についても弾力的にやるし、それから直接の下請関係も救っていくというような形で、そちらの方で直接的な影響の出るものは極力拾っておるわけでございます。  したがって、今回の場合、そういう特定不況業種等の影響で地域全体がかなり深刻な影響が来ているというところに対しての対策でございますが、いま申しましたように直接的なものは極力業種の方で拾っておりますから、結局残ったところは、間接的な影響ないしは少なくとも国の施策による合理化に伴うものではない、こういうことになるわけでございますから、したがって、あくまでも準ずる施策ではございますけれども、特定不況業種の離職者とはやはり違った扱いをせざるを得ない。したがって、先ほど申しましたような直接的な合理化に伴う転換給付金だけは、ちょっと地域全般にまで、特に地域ということになりますと、それこそ影響の度合いも濃淡さまざまでございまして、いろいろなものがございますので、これに全面適用をするということは、ちょっと不可能ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 船員の場合はどうなっておりますか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 船員でも、たとえば二百海里の国際協定に伴いましての減船に伴う離職者につきましては、当然職業転換給付金が支給される、こういうことになっておるわけでございます。  船員につきましても、たとえば求人、求職の関係等を算定する場合、その算定の中に船員を含めて計算をするということで運輸省との間にも現在話を進めておりまして、ほぼそういうことになると考えておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 この間漁業離職者臨時措置法ができましたね、その際に若干質問したと思うのですが、船が出漁をしない、しかし廃船もしない、ただ操業を短縮する、こういう場合にはいわゆる雇用保険の就職促進手当というのは支給されないですね。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 船を下船しまして、それで陸上に就職される場合には制度の対象になるわけでございますが、その場合につきましても、先ほどから申し上げておりますように、転換給付金制度の対象になるのはあくまでも国の施策に直接に基づく減船等によるものであるということでございまして、具体的には先ほど申しましたけれども、二百海里等に伴うあるいはその他の国際協定に基づく減船に伴う離職者に、限定をされておるわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 そこで、雇用保険の被保険者でない人たちはどういうふうになるのですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 被保険者でない方々につきましては、当然安定所なりあるいは安定機関なりによる紹介、指導ということをやるわけでございますけれども、そのほかに、御存じの中有年齢者に関する特別の措置がございますので、そういうものを活用して、その方々の再就職なりあるいは新規の就職なりというもののお世話をしていくということになるわけであります。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 そうすると、そういう被保険者でない人たちはもうどこも救われぬということですね、こういう特別の措置法ができても。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 先ほど申しましたように、一般的な紹介とかそういう体制をとるほかに、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法によります。中高年措置という制度がございます。ですから、中高年齢者の方につきましてはその措置の中で、たとえば訓練希望者につきまして訓練の世話をするとか、場合によっては訓練手当の措置をとるとか、そういう施策は講じられているわけでございます。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 しかし、その措置にひっかかる人はいいですよね。年齢等で。だけれども、いずれにしてもひっかからない人がいますね、この被保険者でない人たち。この人たちがまた一番気の毒なんですね。保険も掛けてもらえぬような会社にいた。五人以上でしたかね、強制適用は。任意でも入れないというようなことになってくると、これはきわめて零細的なところの人です。その人たちは失業基本手当ももらえないということになるわけです。こういう人たちをどういうふうにしてカバーしていくのか、またそれは実際どのくらいの数になっているのか、もし数字がわかっていたらお聞かせいただきたい。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 現在、農林水産業の一部を除きまして御存じのように全面適用になっているわけでございまして、ただ御懸念の点は、適用はされているんだけれども、実際に保険関係に入っていない人がかなりいるのじゃないか、こういう御心配だと思うのです。その点については私どもは、本来手続をとっていれば当然その保険の適用になる。こういう方々については、これは安定所にお見えになったときの求職相談等の過程でそれがわかってくるわけでございますから、その場合には、一定の手続はもちろん事業主側にとってもらいますけれども、そういう御本人の方々には迷惑をかけないよう、当然被保険者の資格があるものとして、手続をとってさえいれば適用になっているような資格要件を備えている方については、保険の適用をするし、それから延長の対象にもする、こういうふうに取り扱っております。したがいまして、いまおっしゃるような意味で、全く保護の対象にならぬという方は、全く新しく就職戦線に出てこられたというふうな方にむしろ限られるということになるわけであります。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 その点は、いろいろな法律ができますが、あくまでも保険制度ということでこれをカバーしておる限り、保険加入者でない者あるいは被保険者でない者には全く法の適用がないわけなんですね。受けられないというのがたてまえですよ。ですから、そういうことのないように、いまおっしゃったような指導をひとつ親切丁寧にしていただきたい。  これはもう時間が来ましたから、最後に二つばかり続けて質問をいたしますが、一つは職業訓練の強化ということが非常に強く訴えられておるし、また先ほど通産省あるいは労働大臣からのお話もありましたように、ある程度職種の転換、業種の転換を図っていかなければならない、やはりそういうものに対応した職業訓練というものが必要であるということで、前国会で職業訓練法の改正を行ったわけだが、しかしまだ十分になじんでいない。これは十月一日からの施行でありますから、まだ始まって二週間余りしかたっていないのですから無理かもわかりませんが、ひとつ、そういう点について万全を期していただきたいということをお願いしておきたいのと、先ほど私は船員のことについてお伺いしましたが、船員保険法には、この雇用保険法と同じような性格を持ちながら、現在安定資金制度というのが設けられていないですね。こういうものを将来設ける意思があるかどうか、この点について、ぜひそういう制度を同様に創設するように一というのは、いままで陸は陸、海は海と分けられたのですね。ところが、いまはおかも海も分けられない状態に来ておるわけです。海からおかへどんどん上がってきているという現状の中で、船主としても優秀な船員を確保しておかなければならぬだろうというような面から考えますと、どんどんおかへばかり上がってこられてもまた困る事態も生ずる。そういうような点で、船員保険法にも雇用安定資金制度というものを設けられるような努力をしていただきたい。きょうは関係者をお呼びしていないのでお見えになっていないかもわかりませんが、ぜひともこの点は、労働省と運輸省ですか、ひとつお話し合いの中で、創設されるように要望しておきたいと思います。

石井甲二労働省職業訓練局長

○石井政府委員 職業訓練につきましては、先生御存じのように訓練法の改正を行いました。内容についてはここで申し上げませんけれども、すでに十月から施行に入っております。先ごろ来全国の職業訓練課長会議を開きまして、いわゆる総合職業訓練校、雇用促進事業団の行う訓練校でありますが、その全国の校長会議を行いまして、十分に体制固めを行ったどころでございます。さらに今後とも、その体制固めあるいは現実に即した訓練を推進してまいりたいと考えております。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 船員にかかわる雇用安定資金制度のような仕組みの問題でございますが、御指摘のように運輸省、厚生省で直接関係し、私どもも現実には相当関連のある問題でございますので、いま申し上げました関係省とよく打ち合わせまして、なかなかむずかしいとは思いますけれども、そういう制度ができる方向でよく打ち合わせをしてみたい、こういうふうに思っております。

西田八郎民社党

○西田(八)委員 それじゃ、そのことを強く要望いたしまして、終わりたいと思います。

越智伊平自由民主党

○越智(伊)委員長代理 次に、浦井洋君。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 今回特定不況地域離職者法、昨年は特定業種の離職者法という形で、法の制定が行われていっておるわけであります。もちろん離職をされた人に対する十分な配慮は必要であるわけなんですが、その場合に前提として大切なことは、企業、特にこの場合私が強調したいのは大企業でありますけれども、そういうところが離職者を出さないように努力をするということが非常に大事だ。だから、そういう点で政府としても、失業予防にもっと力を注ぐべきではないかと私は思うわけであります。大臣の御答弁を冒頭にちょっと聞いておきたい。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 まさに御指摘のとおりでありまして、労働省として雇用政策の第一は、できるだけ失業者を出さないようにということ、そのために、ことしの十月一日から雇用安定資金制度の大幅な改善をやりまして、できるだけひとつ、現下の失業情勢を踏まえて、雇用安定資金制度が積極的に活用されるように十二分に配慮したつもりでございまして、今後も一層御指摘の点は考えていきたい、このように思います。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 ところが、そういう中でいろいろなひずみが起こってきておるわけなんです。いま特に大企業が積極的にやっておる人減らしであるとか、あるいは減量経営と称してやっておる人員の削減というのは、不況であるとかあるいは失業が深刻になってきておるということを名目にして、悪く言えば便乗して、さらに一層の高利潤を生んでいく、そういうものではないかと思うわけであります。  たとえば、私がここで一つ例を持ってきたわけなんですけれども、三菱重工、これは日本屈指の大企業であるわけなんですが、ここでは、最近発表された、産業労働調査所が有価証券報告書をもとにして集計した数字によりますと、四十九年の三月には従業員が八万百八十三人、それがことしの三月、五十三年の三月には六万八千四百六十三人、四年間に一万一千七百二十人人員削減をやっておる。それからさらに、これから五十五年の十月までに中期人員計画なるものを推進をして、六が三千五百十六人にしよう。だから、また現状よりも五千人削減する。現にこれは推進中であります。そして彼らの人員削減のやり方というのは、定年退職であるとかあるいは自然減であるとか、新規採用の抑制ということと同時に、特徴はやはり、出向などに典型的に見られる休職派遣という形でやる。そして世間の非難を逃れるというようなこともあって、直接的な首切りあるいは解雇というようなことはしないという巧妙なやり方をやってきておる。  ところが、こういう形になってくると、今度は、いま出ておる問題は、下請企業であるとかあるいはそこで働いておる労働者の人々、下請の労働者の人々に非常に大きな打撃を与えておる、こういうことになるわけであります。  私、調べたわけでありますけれども、三菱重工神戸造船所、和船、ここでは、この三菱重工の人員削減計画に伴って、五十一年の四月には九千七百五人おった職員が、五十三年七月には八千三百五十人、神船だけでも千三百五十五人削減をされておる。この千三百五十五人のうちの約千人が、先ほど申し上げたような休職派遣者として、関連企業であるとかあるいは下請企業に出向させられておる、こういう状態であります。  そうしたら、その下請企業ではどうなっておるかという実例でありますけれども、三菱重工神戸造船所の下請業者に宮家興産というのがある。ここれはフォークリフトの運転手などで構成されておるわけでありますが、そこでは、五十年の九月に従業員が八十八人おったのが、五十三年の九月、三年後には五十四人に縮小をしておるわけであります。ところが、問題は、この三年の間に三菱重工神戸造船所から十六人が出向をしてきておる。ことしだけの数字を見ても、五十三年の一月から現在まで二十人の労働者がやめていって、そうして、かわりというような形で三菱重工から七人が出向で入ってきておる。こういう例があります。  さらにもう一つ挙げてみますと、共栄社マナベという会社がある。これも三菱神船の一次下請でありますけれども、足場を組む業者である。ここでは、五十一年の一月に六十七人従業員がおったのが、五十三年六月には五十三人に縮小して、そして三菱造船から十二人が出向をしてきておる、こういう状態であります。だから、私はまさに玉突き現象だというふうに思うわけでありますけれども、こういうことで、結局下請企業の労働者を追い出して、それで三菱の出向社員を受け入れて、企業としては受け入れさせられておる、こういう状態でありますが、これは労働省としてこういう実情をつかんでおられるかどうか、ちょっと聞いておきたいと思います。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 三菱重工のこの神戸造船所が相当数の出向者を出しておる、出向を実施しておるということは聞いておりますが、受け入れ側の下請企業において、出向者を受け入れることによって、当該企業の玉突き現象というか、お話しのごとくそれが今度は受け入れ側が離職者を出すという、こういったことについては、われわれはまだ実情を聞いておりません。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 職安局長、どうですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 いま大臣からお答え申し上げましたように、実際にかなりの数の出向者が出ているという事実は私ども確認しておりますけれども、下請関係の会社の人たちが、その出向に伴って離職を余儀なくされるかどうかというところの事実関係の確認については、まだ私どもの十分な調査がいっておりませんので、そうであるともそうでないとも、まだ確認できる状況ではないというのが現状でございます。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 そうすると、そういう現象があるのかないのか十分な調査がやられておらないわけなんだから、これからひとつ十分な調査をやっていただけますか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 いずれにしましても、実態をよく見きわめまして、必要があれば指導するというふうに考えておりますので、調査をやりたいと思っております。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 そうしたら、ひとつ調査をやった上で、いろいろと指導をしていただきたい、そういう事実があれば、というふうにここでお約束をしておいていただきたいと思います。  そこで、そういうようなことが起こっておるために、いろんなゆがみが出てきておるわけであります。たとえば、きのうまでは三菱の労働者として三菱のヘルメットをかぶり作業衣を着て働いていた人が、次の日には出向ということで、たとえば共栄社マナベに出向した、そこで共栄社マナベのヘルメットや作業衣を着て、同じ現場で、同じ作業をやっておる、こういう現象が起こっておるわけであります。だから、そこでは三菱に籍があって、その身分であるとかあるいは労働条件というのは、これは三菱が保障しておる。しかし、その人の賃金は、この場合は、マナベが二分の一、三菱が二分の一というような契約、申し合わせになっておるようでありますけれども、そこでは賃金はマナベがとにかく半分、少なくとも半分は負担するというようなことになっておる。これはまさに直接的な首切りはやらないけれども、人減らしの典型であるというふうに私は言わざるを得ないと思う。  そこで、職場の中では非常に感情的にこのざらつきが出てきておる、違和感が起こってきておる、こういう事態を一体どう見るのか。私はまさに、大企業の下請いじめあるいは下請の労働者いじめの典型だと思うわけでありますけれども、どうですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 雇用調整の一つの手段として出向等が実施される場合があるわけでありますが、その場合に、出向先と出向元の企業が十分話し合いができ、協力関係のもとに進められる、また労使の間の話し合い等によって適正に行われるということでありますと、これは雇用の安定に一定の役割りを果たすものということに考えるべきだというふうに私どもも思うのですけれども、いまお話しのように、それが原因で出向先の企業で離職者を出さなければならないような、そういうふうなところまでいっているとすると、それはやはり遺憾な事態でありまして、そういう点については、私どもとしても、そういう事実があるならば、それに対する指導をしなければいかぬ、こういうふうに考えておるわけであります。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 これはひとつ正確に調査をして、事実があれば、やはり行政指導なりいろいろな形でやっていただきたい、こういうように大臣お約束願えますか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 御指摘のような事実がありますならば、われわれは、県並びに職業安定所を通じまして、十二分に適切な措置をとりたい、こういうように考えております。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 そこで、ちょっとお尋ねしたいのですけれども、たとえば三菱造船、特定業種離職者法で、雇用調整をやるときには再就職援助計画というものを職安所長に出さなければならぬ、これは出ていますか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 現在の再就職援助計画に関する規定は、離職者が一人も出ない場合には出さなくていい、こうなっておりますので、そういう理由だと思いますが、提出されていないというふうに聞いております。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 それから、その下請の宮家興産、これも当然特定不況業種ということで、造船並びにその関連企業としてこの離職者法の適用を受けるわけだと思うわけなんです。そして、私が調べたところによりますと、ことしの一月から二十人の離職者が出ておるわけなんですが、ところがその大半は、これは事業主都合による退職ということになっておる。職安の分類でいけば自己退職が多いように聞いておるわけでありますけれども、実情を調査してみますと、やめざるを得ないという形で、やはり解雇という形に実質なると私は思うわけでありますけれども、こういう人たちはもう離職者手帳も何も持ってないわけですね。企業が離職者法の適用を受けてないわけですから、申請してないわけですから。  だからこういう、たとえば宮家興産などからことしに入って二十人離職しておる。そういう人たちに、さかのぼって離職者手帳をやはり交付すべきではないか、そういう指導をすべきではないか。下請を離職した人は、いわばこれは何にも離職者法の恩典を受けておらないわけであります。全くほったらかしになっておる。これでは非常にその人たちはお気の毒であります。そういう点はどうですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 御存じのように、手帳の発給は、原則としまして再就職援助計画を提出しまして、認定を受けて、その認定にかかる方々について手帳を発給する、こういうことになっておりますので、したがって、原則として言えば手帳を発給するということはできないということになるわけであります。     〔越智(伊)委員長代理退席、委員長着席〕 しかし、御指摘の両社につきましては、まずこの法律の対象業種なのかどうか、それから現実に事業規模の縮小というものが合理化に伴って起きているのかどうか、それに伴う離職者なのかどうか。一部には、会社側の方の言い分は、何か定年退職者とか自己都合退職者しかいなったのだというようなことを主張しているようでございますから、その点も含めて先ほど申しましたように調査をした上で、私どもとしてもよく調査をして判断をしてみたい、こう思っておるわけであります。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 私たちが調査をしたところでは、そういう、先ほど私が申し上げたようなことになっておるわけなんです。だから、そういう私たちの実態調査をしたところから議論を推し進めていきますと、これはまさに、大臣、三菱は、離職者は出さないけれども、もう出向にウエートを置いてどんどん人員削減をやってきておる。いまのところでは、それを受け入れさせられた下請企業というのはいやおうなしに受け入れざるを得ない、そのかわりに自分のところの職員の首を切るというようなかっこうで。  それから、その下請の労働者は自己退職が多いと言われるけれども、実際にはこんなことがあるんです。宮家興産が、公共交通機関で三十分か四十分のところへ工場を移転したわけなんです。フォークリフトの運転手がいま十名おるんだけれども、二名しか要らぬのでやめてくれないだろうかと企業の方から言うてきた。しょうがないな、ほなやめようかというようなかっこうで、全く無権利な状態のまま社会にほうり出されていっておるわけなんです。こういう実情を私はつかんでおります。だから、もちろん法の援助措置も何も受けておらない。こういうことでは、これは全く三菱という日本屈指の大企業の横暴な行為ではないか。私は調査をしてほとほとあきれたし、また腹も立ったわけであります。  そこで、公取、来ておられますか。――公正取引委員会が五十三年九月二十日に出された「円高に伴う下請取引の適正化について」という通達の本文の末尾の方に、こういう文章がある。「なお、最近親事業者の下請事業者に対する出向者の派遣等が行われておりますが、その際には親事業者が自己の取引上の地位を不当に利用して下請事業者の利益を損うことのないよう貴団体所属の親事業者を必要に応じ指導されるよう重ねて要請いたします。」こういう文章があるわけでありますけれども、これは具体的にはどういうことを指しておるわけですか。

菊池兵吾公正取引委員会取引部下請課長

○菊池説明員 お答えいたします。  本年の九月二十日付で、通産大臣と公取委員長の連名をもちまして「円高に伴う下請取引の適正化について」という要請書を、円高によって悪影響を受けると思われる主要な親事業者及びその親事業者団体等に対し、政府の中小企業者に対します円高関連対策の一環としまして、親事業者が、円高に伴い、中小下請事業者に対しまして不当にしわ寄せをすることがないようにということで、要請したところでございますが、ただいま浦井先生が御指摘のとおり、本要請書の中におきまして、出向者の派遣等が行われている現状を踏まえまして「その際には親事業者が自己の取引上の地位を不当に利用して下請事業者の利益を損うことのないよう」ということを要請したところでございますが、ここにおきまして自粛を要請している「出向者の派遣等」と言いますのは、親事業者が従来から、下請事業者に対しましては必要最小限度におきまして技術指導あるいは援助、品質管理等を目的として行っている出向者の派遣、そういういわば下請事業者にとって利益となる派遣ではなくして、ここで言っておりますのは、円高下におきます親事業者の合理化施策の一環としまして、親事業者の人件費の削減等をねらいまして、その下請取引を行っておるという取引上の地位を利用して、この人件費を下請事業者に負担させるというようなことを行いまして、下請事業者に不利益を与える行為を指しているわけでございます。  したがいまして、公取としましては、このような、親事業者が自己の取引上の地位を不当に利用して、下請事業者に不利益を与えることとなるという出向者の派遣が行われているということがございますれば、独占禁止法に基づき調査を行いまして、その事実が認められる場合には、昭和二十八年に公正取引委員会告示の第十一号というのがございますが、これは不公正な取引方法についての一般指定というふうに申しておりますが、この十に該当することもあろうかと思います。このような場合には、独占禁止法十九条の不公正な取引方法の禁止規定違反としまして、公取としても適切な措置を講ずることができるかと思います。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 そうしたら、いま私が申し上げた点、大体お答え願ったわけでありますけれども、一番典型的な例を言えば、人件費の問題もありますけれども、下請企業が親企業からの出向者を拒否するということになれば、当然発注なんかもとめられたり、あるいは減少させられたりというようなことも容易に予想されるわけでありますから、このケースは公取のいま言われたことにぴしっと該当する、したがって公取としてはこの件についてひとつ精密に調査をしていただいて、しかるべき処置をとっていただけますね。

菊池兵吾公正取引委員会取引部下請課長

○菊池説明員 御指摘の件につきましては、具体的事実を調べませんと何とも言えませんので、後日、具体的事実をお教えいただければ調査したいと思います。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 それは教えますから、ぜひやっていただきたい。よろしいですね。

菊池兵吾公正取引委員会取引部下請課長

○菊池説明員 承知いたしました。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 労働大臣、いま公取もかなりはっきりした姿勢を示されたわけでありますけれども、先ほどから大臣なり職安局長にお答え願っておるわけですが、この事実を一遍調査をしていただいて、そういう事実があれば行政指導をやっていただきたいと思うのです。公取としては、先ほども言ったように、業者団体などに対してかなりはっきりとした通達を出されておるわけであります。この出向社員をてこにした下請いじめというのはかなり全国的に広がっておる。三菱重工神戸造船所だけではないわけであります。ですから、こういうことについて労働省として、ひとつすかっとした通達でも出されるおつもりはございませんか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 一般的に、出向等の問題につきましては、これは個別企業内の問題でございまして、基本はやはり労使が御相談をいただいて、それの線に従って行われるということだと思います。その点については、御案内のように、再就職援助計画なりあるいは安定資金の利用なりというところでは、そういう手続はとられるように私どもも配意をしているわけでございます。  問題は、特段の違法行為とかなんとかいうことがある程度事前に察知されない限り、あらかじめ行政機関がこれに介入するというのは異例な事情でございまして、やはり、先ほど来申しておりますように、労使の御判断でやってもらうというのが基本で、特に先ほど来御指摘のように、第三者から見ても著しく不当だというふうなものにつきましては、私どもも事前に察知されれば事前に調査をするし、事後的に御指摘があれば事後的に調査をして、必要があればそれに対する指導をするというのが本来のたてまえではなかろうか、こう考えるわけであります。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 こういう不況のときこそ、労働行政が前面に躍り出て雇用を確保する等の措置をとる、私はそうすべきだというふうに思うと大臣は言われておるわけでありますから、単に落ち穂拾いというような、あるいは他の分野のしでかした不始末を拾うというような形ではなしに、積極的に労働大臣としてもこういう点でのメスをふるっていただきたい、こういうことを要望して、先に進みたいと思うわけであります。  今度の地域離職者法案についての話に移りたいと思うわけであります。  一つは、料率の引き上げの問題であります。千分の一、これについてはかなり他の委員からも反対の意向が述べられておるわけでありますから、簡単に私の主張を申し上げてみたいと思うわけでありますが、確かに、雇用保険の財政というのは、ここ三年間単年度収支では赤字になってきておる。しかし過去十年で見ると、これは黒字であって、四千九百五十億円の積立金があるわけであります。雇用保険の財政というのはやはり単年度で均衡を図るという主義に基づいてやられておると思うわけであります。これは労働保険特別会計法であるとか、あるいは保険料徴収法、こういうところからもうかがえるわけであります。だから多額の積立金を持っておる。この多額の積立金を持っておるということは、こういうようないわゆる不況のときに備えて、これを給付の財源に充てるということがただ一つの目的だというふうに私は思うわけであります。だからこの際に、これから給付がふえて少々赤字がふえそうだというようなことで料率の引き上げをやるんではなしに、むしろ現在のこういう不況町には、すべからく積立金の取り崩しをやって給付を賄って、料率の引き上げをやめる、こういう方向に進むべきだというふうに私は考えておるわけであります。一応御答弁をお願いしておきたいと思います。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 先生も御存じのように、雇用保険の料率につきましては徴収法に規定がございまして、それは緊急に不測の事態が生じた場合のことを考えての規定だと思うのでありますけれども、一年分の収入に見合う積立金を割った場合には料率を原則として上げる、それから二年分以上たまった場合には原則として下げるというふうな考え方に立っております。ですから、やはり不測の事態に備えるために積立金というものをある限度で保有しなさいという規定が一つあるわけであります。  それからもう一つの考え方として、いま御指摘のように三年間連続赤字であるというふうな事情、しかも今度の措置の両方を総合して、来年あたりもし収支がむしろ改善されるという見通しが明らかでありますれば、確かに一時その積立金を食うことによってというお考えも成り立つかと思うのでありますけれども、これもけさほど来御議論がございますように、来年もなかなか早急にこの雇用・失業情勢が改善されるというふうにはまいらないのではなかろうか、こういうふうに考えるわけであります。  そういたしますと、やはり、そういう全般的な雇用保険財政の再建が必要な事態になってきているところに、重ねてこの法案の中に取り入れられておりますような地域についての延長措置というものを、しかもこれは相当の負担増を伴うわけでございますので、そういうことをやるとすれば、これはどうしてもあわせて保険料率の値上げというものをお願いせざるを得ないんじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。  なお、これも御存じでございますけれども、安定審議会の三者一致した御意見としましても、基本的に、上げるという考え方はわかるけれども、一挙にやるのはこの情勢じゃ無理だろう、したがって今回は必要最小限にとどめなさいという御指摘がございまして、その御答申に沿いまして、千分の二で出していた御諮問を千分の一ということで直しまして、今回法律の中に御提案申し上げたということでございます。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 前回の委員会来のお答えが返ってきたわけでありますが、やはり及び腰といいますか、及び腰の施策というか決断というか、そういうもののように思えて仕方がないわけであります。私は、重ねて料率の引き上げには反対であるということを主張して、次に給付の問題に進みたいと思うのです。  今回の改正では、特定不況地域の四十歳以上の受給者、個別延長で九十日給付延長ということになるわけでありますが、問題は、そうなればこれはこれで結構なんですが、現実に特定不況地域の中で四十歳以下の方はどうなるのか。特に三十歳から四十歳というような年齢層は、九十日ないし百八十日の失業給付が切れたらそれでおしまいというようなかっこうになるわけでありまして、この層の人たちが案外一番深刻に生活保障を求めておるんではないかというふうに思うわけでありまして、やはりこの際年齢制限を取っ払って、九十日の延長の層を厚くするとか、あるいは個別延長の対象に新たに加えるとか、そういうような形が考えられないものかというふうに私は考えるわけであります。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 保険の延長につきましては、就職の困難度合いというものを一般的に見ますと、これはやはり四十五歳以上のところで非常に大きな段落がございまして、そういう意味で四十五歳というのは基本的な考え方なんでありますけれども、しかし先ほどもお答え申しましたように、特定不況業種なり特定不況地域なりというものの実態に着目しまして、四十歳というところまで年齢を下げておるわけでありまして、これ以上年齢を下げるという点になりますと、やはり逆の問題も出てくるというふうに考えられますので、むしろ総体的に若い方につきましては職業訓練を受けていただいて、その訓練延長という制度を活用していただくというのが、むしろ本来の筋ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 調査をしていっても、局長の言われるように、訓練を受けて簡単に職業転換できないような実情が特に特定不況地域ではあるわけで、私はあえて申し上げておるわけです。  そうすると局長、それなら四十五歳のところに段落があって、だから、そこから上の中同年に対してはきちんとやらなければならぬ、こういうことになるわけですね。そうすると、この法案から少し離れますけれども、五十五歳から六十五歳までは六十日の個別延長の制度があるわけでありますけれども、私が労働省からいただいた資料で見ますと、五十三年の五月現在、五十五歳から六十五歳までの受給者中個別延長されておる実人員が八千三人でしょう。これの対象になる実人員というのは、いろいろな計算があるでしょうけれども、すべての人を入れるとしたら二十六万三千五百六十一人、毎月、毎月、個別延長の対象になる人は、これは推測でありますけれども、まず三万人ぐらいではないかというふうに言われておるわけですね。そうすれば、全体を言えば二十六万三千五百六十一人、その中でいま局長が言われた四十五歳以上、特にこの場合は五十五歳以上の六十日の個別延長を受けておる人が八千三人ということでは、余りに少な過ぎるではないかということになるわけであります。しかも、八千三人の中には中高年の当面の措置の人だけでなしに、身障者もあるいは同和関係も含むわけでありまして、そうするとますます少ない。私の調べたところでは、神戸の職安なんかかなり当面の措置を適用しておるわけでありますけれども、ことしの九月の数字を申し上げると、中高年が四十三人で、身障者が十人で、同和が四人、それから特定業種の離職者法が三人、合計六十人、こういうことになるわけです。この六十人が八千三人に相当するわけであります。だから、これでは局長の言われたような政策的な効果は余り出ておらぬのではないか。  理由を聞かなければならぬわけでありますけれども、時間がないので、私の方から申し上げて、それの対策を提案してみたいと思うわけでございます。  その原因は、やはり行政運営が円滑に行われておらないというところに尽きるだろうと思うわけであります。延長対象にするための選別が厳し過ぎるのではないかというふうに思うわけであります。たとえば、扶養家族がいなければならぬということが一つあるわけです。そうすると、年をある程度召された五十五歳以上の婦人は、ほとんど除外されるわけでしょう。それから、単身の高齢者は男女ともすべてだめだということになる。それから、たとえ不完全就労であっても、パートやら臨時雇用であっても、年間七十万以上の所得があると扶養者でなくなるわけですから、これも除外される。それから、業種転換が必要だ。こういう条件があるわけですね。そうすると、前の職業の技能を生かしたいというふうに固執をすれば、当然だめだということになる。それから、定年退職者または解雇者ということになるわけでありますが、定年退職後、企業の措置によって嘱託なんかになって再雇用されて、それで退職したような人はオミットされるというような、どうも非常に厳格なセレクトが行われて、結果としては八千三人というような数字になっておる。しかも地域的なばらつきがある。東京全体をとってみますと、これは五十三年五月でたったの十五人、ところが大阪では千百七十四人というような、地域的なばらつきがあるわけです。だからそういう点で、対策としては、この際年齢制限ぐらいにして、個別延長の六十日延長の制度を活用するために、他の制限は取っ払うという大胆な措置がとれないものかということが第一点であります。  それから二番目には、窓口の問題であります。これは数字は申し上げませんけれども、中高年齢者の就職促進指導官という人たちの仕事の模様を聞いてみますと、就職あっせんをして、しかも、個別延長の制度を説明して適用を受けるように勧めるというようなところまで、とても手が回りかねるようでありまして、これはやはり、増員などが必要ではないかというふうに思うわけでありますけれども、その二点についてお答えを願っておきたい。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 現在やっております個別延長制度の制限の基準でございますけれども、その中身につきましては、たとえば、正当な理由がなくて失業の認定日に出願しないという状況につきましては、これはやはり、熱心に求職活動をしておられるかどうかということの判断基準でございますので、これを落とすというわけにはなかなかいかぬのじゃなかろうか。それから、訓練延長という制度があるのでございますから、訓練延長給付というものの対象にならないということを、個別延長の一つの要件とせざるを得ないのではなかろうか。そういう意味から言うと、それでは、その意味での訓練に関係する要件を削除するというのも、これは適切ではないのではなかろうか。それぞれについて私どもは理由があるというふうに考えておるわけでございますが、しかし、運用の実情をよく見まして、先生御指摘のような、非常に実情に合わない側面があるようでございましたら、これはもちろん、今後とも、私どもも再検討してまいりたいというふうに考えておるわけであります。  それから、促進指導官等が足りなくてよく指導が行き描いていないのではないか、こういうふうなお尋ねでございますが、審査自体は御存じのように審査会議を開催してやっておりますから、促進指導官の数の問題でこの制度が円滑にいってないという側面は少ないのではないかと思いますけれども、ただ、実際に就職促進の指導をしたり再就職の求人を開拓したりというときには、指導官が足りないというのは決定的な要素でございますので、私どもとしましても、来年度に向けまして就職促進指導官の増員を要求しておりまして、今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 前の方のあれでは、局長は、誠実かつ熱心なという項を指されて言っておると思うのですが、これは窓口の担当者の主観的な判断にゆだねられるわけでありまして、私は、年齢制限ぐらいにして、他はこの際取っ払うぐらいの英断があってしかるべきではないか、ということを重ねて強調しておきたいと思う。それから、人員増も努力していただきたいと思う。  それから大臣、もう時間がなくなったわけでありますけれども、最後の問題として、やはり失業の予防をやらなければならぬ、離職された人にはできるだけ手厚い生活保障をしなければならぬということでありますが、最大の問題は、離職された方に適当な仕事を提供して、仕事をしてもらって生活をしていっていただくということだろうと思うわけであります。そう申し上げると、大臣の方は、ひとつ公共事業をどんどんやって、この法案でも吸収率が定められておるのだから、それでやりたい、こういうことを習われるだろうと思うわけでありますが、私どものところで調べたところによりますと、たとえば、この法案によって指定されるであろうところの広島県の尾道、因島地区ですね、ここではこういう実情であるわけなんです。ここは失業状態、ひどいわけですね。  八月末現在、雇用保険の受給者が二千三百十五人、月間有効求職者二千三百三十七人、中高年がうち千五百六十六人、月間の有効求人がたったの百八十二人であります。現実に就職した者は八月中で二十一人、だから、月間の有効求人倍率〇・〇七七というような低い数字になってきておる。しかも重大なことは、やはり雇用保険の給付が終了した人が八月中でもすでに百六十七人も出ておる。尾道職安の因島出張所の所長の話によりますと、予測では、これから毎月百五十人余りこういうケースが出てくるのではないか。これ、一体どうしますか、大臣。こういう人たちにやはり生活保障をしなければならぬ。大臣は一つの方法として公共事業に積極的に吸収したい、こういうことを言われるだろうと思うのですけれども、しかし労働省からいただいた資料によっても、四月から八月の数字を挙げてみますと、使用予定無技能労働者数が全国的に五百六十四万六千八百人、手持ち労働者認定数が四百五十七万一千人、これで手持ちがもうすでに八一%、全国的に四〇%吸収というようなことはできないわけであります。これを因島に当てはめてみますと、同じ四月から八月に、予定者数が二万一千七百一人、手持ち数が一万九千三百九十四人、だから公共事業を請け負う業者の手持ち労働者で八九%になって、とても大臣の言われるような四〇%吸収というようなことはできないわけであります。一体どうしますか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 因島の具体的な現状を踏まえての御質問でございますが、確かにいままでは因島、公共事業としては大型なプロジェクトである架橋でございますが、いままでの事業の性格が橋脚部分をやっておった、そういった点において、公共事業への吸収率制度が十分活用されていなかったということは御指摘のとおりだと思うのでありますが、これからはやはり道路建設関係ということに物事が進んでまいりますと、従来とは、大分吸収率制度が活用される可能性がふえてくる、私はこのように思います。  ただ、私は公共事業だけで問題が解決するとはさらさら考えておりません。やはりこれからはどうしても、産業構造の変化に対応し、先ほどからいろいろ御質問に答えておりますように、福祉型産業構造の方へ雇用の機会を拡大していく努力を雇用政策としても誘導的にやっていく、こういったもろもろの対策を踏まえ、あるいはまた中高年齢者の雇用の機会をつくるための制度も活用したい、このように考えておるわけでございます。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 これはもう最後でありますけれども、そういうことと並んで――私、公共事業、そういうことを否定しないわけですよ。それも大いにやらなければならぬけれども、しかし地域で、因島や尾道で起こっていることはこういうことなんですよ。自治体なんかが、たとえば因島では六月議会で六百万、九月議会で一千万というような予算を計上して、市の単独事業をやろう、そして失業者を就労させようと。尾道でも同じようなことが起こっている。だからこれを受けて、広島県も何とかそういう期待にこたえて、県独自としてもやろうというような用きがあるというふうに私は聞いておるわけなんです。  こういう状況の中で考えていくと、私、けさから強調しておりますように、特開事業、こういうものがあるわけなんですよね。特定地域開発就労事業、ちゃんと現行制度としてあるわけでありますから、いろいろとわかりにくい制度を組み立てる以上に、その前にいまある制度を活用をして、しかも自治体の方から要望があるのだから、これに対して国が助成をする、そして自治体の仕事をやりやすくしてあげるということが必要ではないか、こういうように思うわけです。  だから、具体的にお尋ねしたいのは、因島や尾道などでやろうとしているこういう事業に国はどう対処をするか、全国的にどうしようとしているのか、この二点を聞いておきたいと思います。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 御指摘の因島で、特定地域開発の就労事業がいろいろ検討されておるということは、私たちも承知いたしております。  この問題につきましては、いろいろわれわれも対策を考えなければなりませんけれども、特定不況業種離職者臨時措置法によっていわゆる就職促進手当、これを検討するということは考えておりますが、特定の失業救済対策事業を起こしてそれに離職者を吸収するということは、やはりこれが再就職につながらないという過去の事例もございますし、この問題については、いま御指摘のような地方自治体、県、そういった方面がどのような提案をされるか、十分その提案を踏まえて慎重に検討してまいりたい、このように思います。

浦井洋日本共産党・革新共同

○浦井委員 終わります。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 次に、工藤晃君。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) 本日は、特定不況地域離職者臨時措置法、この案件について関連して質問をさせていただきたい、かように考えるわけでございます。  まず第一番に大臣にお聞きをしたいと思いますのは、この法案も、すべて雇用の確保という目的から、臨時措置法案も緊急措置として提案されてきたものだと認識しております。しかしながら、一方においては、日本の産業構造の変化が非常に深刻な、こういう雇用の問題にまで影響しているという実態がございます。問題は、雇用の確保の前に、日本の産業構造の変化がスムーズに行われて、景気浮揚というものがそれに伴って上昇してこなければ、逆に雇用の確保というのは大変困難である。その間の応急措置というふうな形ではあるいは有効であるかもしれません。しかしながら、基本的な解決にはおよそつながらないのが、この法案の持っている性格だというふうに考えるわけでございます。  それで、私の手元に持っております五十三年九月二十日の中央職業安定審議会からの答申の中にも「本法案は当面の措置としての有効性を認めることは出来るが、今後の日本経済がいわゆる減速経済の時代に入り、その中で雇用情勢も厳しい状況がかなり長期にわたり継続することが予想されるので、さらに雇用の確保、安定を図るために必要な施策の拡充を検討するとともに、雇用保険制度についても、」云々、こういうふうなことが答申されております。  それで、大臣にお聞きをしたいのですが、もちろんこの法案は時限立法であるということが一点、二点目には、この法案によって不況地域の離職者に対するてこ入れのできる限界というのは、はなはだ短い期間であろうというふうに考えるわけでございますけれども、しかしながら、この法案の趣旨に沿ったような形で景気が浮揚され、雇用が促進されれば問題はないのですけれども、一方においては、この答申にも書かれているように、日本の産業構造の変化に伴って、不況が長く続くだろうという予測をされております。そうしますと、この法案によって救済される期間の中に、あるいはまたそういうことによっててこ入れされていく問題で、すべてのこういう問題の解決には非常につながりにくい部分がある。そうすると、その谷間をどのように今後埋めていかれるのか、あるいはまたそういう産業政策と雇用政策というものをどのように調和されながら政府はとっていかれるのか、そういう点についての大臣の所見をまず第一番にお伺いいたしたい、こう思います。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 御指摘のごとく、政府は総力を結集いたしまして、一刻も早く景気の回復を図る、それが雇用安定への大前提であるということで、今度の補正予算もそういう趣旨で御審議願ったわけでございますけれども、依然として雇用情勢は厳しい状況を続けております。  現在の完全失業者が八月現在百二十一万人、失業率においては二・三四%、有効求人倍率は〇・五七倍、こういった状態が依然として続いておるわけでございますから、このような状態を踏まえて、臨時、緊急対策として、ただいま御審議願っておる特定地域の不況に対して、離職者対策をここに提案しておるわけでございますけれども、私は、いまの日本の変わり行く産業構造の基調に対応して、とりあえず緊急、応急対策としては、造船関係を中心には、仕事をとりあえずつくり上げる、仕事を新しくつくり出す、こういったことによって雇用の場をせいぜい失わないようにする。これは海上保安庁の巡視艇を初めとして、船舶の解撤事業あるいはプラントバージの建設、こういったことをやりながら、福祉型産業構造に雇用の場を求めるべく、そのような施設の充実と施設にあてがわれる雇用の場の確保、こういった配慮をしながら現在の対策を進めていき、同時に、職業訓練もそういう方向に向かうような職業訓練の実施体制を職業訓練法改正と相まって推進すべく、現在準備を進めております。  同時にまた、従来の制度の中で、中高年齢者の雇用を開発するためにいままでとられておった、中高年齢者を雇い入れる事業主に対するいまの三カ月ないし六カ月という助成措置を半年ないし一年に延ばす、こういったことも考え、同時に、公共事業への失業者の吸収率制度を活用いたしまして、今度特定不況地域に指定されたところには公共事業もかさ上げをしていく、こういうふうなあらゆる施策を集中して、当面の乗り切りを図りたい、このように考えておるわけでございます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) 私がお聞きしたのは、実は、この夏に社会労働委員会の委員派遣で長崎、福岡へ行ってまいりましたときに、福岡の県知事からこれに関連したいろいろな御要望がございました中に、福岡県は生活保護世帯が全国平均の四倍あるのだ、これは福岡県は特殊な事情であって、炭鉱離職者の解決がまだできないために、そういう方々が生活保護世帯に転落していった、その救済ができないからこういう形になっておって、大変困っているのだ、こういうお話でございました。それと同時に、その生活保護世帯に転落する原因を調査したところが、その原因の七五%が病気のためだという答えが出てきた。逆に言えば、生活保護世帯に転落する者の七五%以上の方々が病苦である、そのためにまた更生もできない、こういう状態で、大変悲惨なお話を伺ったわけです。  私は、こういう法案で緊急措置をされておられても、その前途に何かそういうものを暗示しているのじゃないかという、大変危機感を持ったわけでございます。こういういろいろな雇用安定事業の中で、再就職なりあるいは正しい生活を見つけていくことができない方々が逆に生活保護世帯に転落していく、こういう実態が、その福岡の炭鉱離職者の現在の状況の中に投影されているのじゃないかという感じがするわけです。  ですから、いまお聞きしましたのは、産業構造の変化というものをそう簡単に、早く求めることもなかなか実際問題としては困難だし、また、こういう臨時的措置法案の中でそこまで維持できるかどうかということも、逆に言えば、あなた様任せのような状況が相当要因としてあるわけですから、そういう中で、そういう問題を起こしてはならないような気がするわけなんです。  同時に、生活保護世帯に転落した場合には、生活保護の適用によって救済されなければならぬことは当然でございますけれども、しかし、それに対しても国が相当費用を持たなければいけない。その上にプラス、一人の患者が出ますと、現在の健康保険の統計でも、一人の患者に対しては健康保険で月に平均八万円の費用がかかっているのだ。そういう統計も出ているわけで、決して生活保護法の適用による費用だけではない。その七五%の人に、それだけのかさ上げをされておるものがやはり国の費用の中から出ていかなければならない。その上に、その人たちは、本人が求めているような雇用の場所も与えられないという、精神的にも経済的にも肉体的にも、非常に不安な状態が続くわけでございます。  大臣の御答弁の中で、そういうインターバルの中間にもしそういう状態が起きてきたときには、そういう状態になるのじゃないか、そういうことに対して、政府はいまから十分な施策なり対応なりを考えておかれなければならぬのじゃないかということを私は申し上げているので、これをうまくスライドしていただければそういう問題はないですけれども、そういうことになる可能性を非常に心配しているということを御指摘申し上げた次第でございます。  時間の関係上、この問題だけに関係はしておられませんので、ぜひひとつ、大臣、その点を十分御配慮願って、緊急課題としてこの次に起きる問題についての対応をお考えいただきたいと思いますので、一言大臣のお考えを伺いたい。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 御指摘の点は非常に大切な問題だと思います。特に、現在の雇用対策のその中心課題は中高年齢者の雇用対策、こういったことに十二分の配慮をしなければなりませんが、その中高年齢者が高齢者社会にはずっとふえてくるわけでございますから、中高年齢者の健康管理対策というものを五十四年度の施策として積極的に展開をいたしたいというので、御趣旨に沿う方向として前進をするであろう、前進をさせたい、このように私は考えております。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) 次にお聞きしたいのは、不況地域の指定に関連しましてお聞きをいたしたいと思います。  私の方にちょうだいしておりますこの労働省のパンフレットの中から、ちょっとお聞きいたしますけれども、「特定不況地域の指定については、政府として統一した考え方により行うもの」だ、こういうことが指摘されております。その次に、指定の考え方については「定の構造不況業種に属する事業所が、事業活動の相当部分を占めている市町村であること」が一つ、二番目に「当該市町村及びその周辺の地域において雇用の機会が著しく減少しており、かつ、相当数の離職者が発生していること」こういう条件がついておりまして「等の一定の基準によるものとする。」というふうな考え方が出て、もちろん諮問し、答申も受けなければならぬと思いますけれども、こういう基本的な姿勢で指定地域を指定する、こういうお考えであろうと思います。  一方におきましては、同じように、通産省から特定不況地域中小企業対策臨時措置法案、こういうものも出ております。この中に、特定不況地域の指定についてはこう書かれております。次の各号の要件に該当する市町村について政令で指定する。一番目は、当該市町村内の特定不況業種に属する事業所において事業規模の縮小等が相当の規模において行われていること、二番目に、当該市町村内の特定事業所の事業活動が、その市町村内の他の事業所の事業活動に相当程度影響を与えているため、その市町村内の相当数の中小企業者の事業活動に著しい支障が生じていること、こういうことが書かれているわけで、その指定条件という物の考え方の中に多小ずれがあるのじゃないか。片一方は企業が規模を縮小するということが前提ですし、こちらの方は、失業者が現在とにかく発生しているのだということが条件になっております。こういうふうに、一つの政府部門の中で統一した見解を出すのだと一方ではおっしゃりながら、こういうところに書かれておる内容については一致しない部分が今後出てくるのじゃないか、そういう心配をしているわけなんです。そうしますと、指定地域を指定する場合にも、あるいは物の考え方の中にも、問題がいろいろとすれ違ってくるという部門が政府部門の中に出てくるのじゃないか、そういうふうな気がいたしますけれども、それについて、そうじゃないのだというのなら、そうじゃないというところをはっきり指摘していただきたい、こう思います。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 私は、労働省の立場で地域指定をする物の考え方としては、ただいま御指摘がありました相当数の離職者が発生しているということだけでなくて、近い将来において発生することが確実であるという見通しがはっきりすれば、これが指定になるというわけでございまして、通産省の考え方は、答弁があろうと思いますけれども、経済活動が非常に沈滞をする、こういったことで、両方が裏表といいますか一体となって、不況地帯に対するその地域ぐるみの中小企業対策、雇用対策ということでありますから、やはり、この両方を話し合って政令で決めるということになりますから、現実には話の過程においていろいろ食い違いも起こり得ると思うのです。それはやはり合わせて一本にして共同でやるという結論は、私は、同じスタンスで対応すべきである、このように考えております。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) 了解いたします。その点、ひとつぜひ両方でいろいろ協議なさって、公平な指定をしていただけるようにお願いをしたいと思います。  二番目に心配するのは、それに関連しまして、これは時限立法で昭和五十八年の六月三十日までとなっておりますが、たとえばその五年間に、一たん指定したものが、景気が浮揚したために、特定不況地域ではなくなるという場合も想定されるわけです。それからまた、片一方においては、いま現在はそうではないけれども、その間にもっと深刻な状態になってしまうという場合も発生するだろう、こう当然考えられるわけですが、こういうことに対してどのような臨機応変な御措置をおとりになるのか、あるいは、もう一たん決めたものはそのままいくんだというふうにお考えになっていらっしゃるのか。また、それに関連しまして、不況地域の指定についても、そういう場合には今後とも、指定地域を状態によってはどんどんふやしてもいいんだというふうなお考えなのか、あるいはまた、もうこれ以上はふやさない、最初に決めたとおりのままでふやさないんだというお考えなのか、そこら辺のところを簡単にお聞きしたいと思います。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 まず指定地域でございますが、当初の指定に限定されて、今後条件が変化しても考えないのかということでありますが、現在この法案が通った後で、私どもから言えば安定審議会等にお諮りして定めた基準に、通産省の方でもお決めになった、その両方で決めた政令の基準等に該当するという状態になりますれば、これは当初の指定に固執するということなく、逐次適用拡大すべきものだというふうに考えているわけであります。  それから、逆に、その地域指定したものが要件を満たさなくなって、逆に言いますと好転してしまって、解除というような場合も起こるんじゃなかろうか、こういう御指摘でございますが、先ほど先生からも御指摘がありましたように、時限立法という考え方で、五十八年六月三十日までということでございますから、こういういわば長期的な需給のアンバランスができているものについて、そう簡単に事態が急速に改善するということを予定しておりませんので、したがいまして、一度指定したものを解除するというようなことは、ちょっと現状では考えられないんじゃないかというふうに思っているわけでございます。しかし、現実にそうなったらどうかという問題は、確かにその状況に応じて慎重に検討すべき問題じゃないか、こう考えているわけでございます。  なお、ちょっとお尋ねがあったかどうか、うっかりしておりましたけれども、個々の、たとえば労働省で言いますと安定資金制度等の適用につきましては、これは、その事業それぞれがいままでより非常によくなったというような場合には適用できるという性質のものじゃなくて、やはり個々の事業がそれなりに、最近要件をうんと緩和しましたけれども、少なくとも過去の状態よりよくはなっていないというふうな条件が必要で、それがなければ個別の適用というのはむずかしくなってくる、こういうことではなかろうかと思うわけであります。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) 私は、この法案が通った後のことを考えました場合に、一点は、この法案で、その期限の中で景気が浮揚してくれればいいなという期待感、しかし、浮揚できなかった場合には生活保護へ転落していく、そういう方が多くなるんじゃないか、そういうことに対してもやはり考えなければいけない問題が別にあるのじゃないかということを指摘したわけです。  あと一点は、逆に、おっしゃったとおりに、その五年間に景気浮揚が行われにくいのじゃないか、そういう発想のもとにおつくりになったのでしょうけれども、しかしながら、これは逆に言って、地域によってはあるいは回復するということも期待しなければならないし、また、行政上からもそういうふうにしなければならぬわけで、五年間続いてくれることを期待しているわけでは決してないわけですから、そういうときに、こういうことに対する対応をどうするのかということは、いまの回答からは得られなかったと私は思います。そういうことについても逆に十分御勘案いただいて、法の精神というものは、やはり不況のところに重点的にやっていくのだという、このためには、浮揚したものについてはどう措置するかということも考えておかなければこれはおかしいんじゃないかという点を指摘したわけでございます。  その次にお聞きしたいことは、長崎に参りましたときに、佐世保重工の会社側の御意見とそれから労働組合側の御意見が両方から出まして、お聞かせいただいたわけです。  会社側としては、こういう不況であるから、とにかく時間外にもどんどん働いてもらうのだ、それでなければとても会社の再建はできない、ある意味においては当然かもしれない、そういう意見でございます。  片一方の労働組合の方からは、雇用の確保のためには、そんなに働いたら、仕事の量もないのにそんなに仕事ばかりやったら、あとどうするんだということから、週休二日制を守ってもらわなければ困るじゃないか、こういう想見が出まして、ある意味においては、雇用を確保するという目的のために、全く相反する意見が並立して出てまいりました。  これについては、両方とも私は納得できる御意見でございますけれども、同時にそれをやれない問題でございます。どちらかを択一しなければいけない、選択しなければならない。こういうことについて、少なくとも労働省としてはどのようなお考えをお持ちになっていらっしゃるか、大臣からひとつお聞かせ願いたいと思います。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 いまの具体的な御指摘、御提案のごとく、調和点を見出すというのはなかなか骨の折れる問題でございますけれども、やはり最低の基本線というのは、労働基準法に定められた労働時間という、これを守れないようでは企業の再建ということは、これはむしろ主客転倒といいますか、そういう状態を――本当に、労働者の犠牲の上に企業が成り立つということは適当でない。両々成り立つ限界は労働基準法、これが示している、その枠の中で問題を解決してもらいたい、このように考えるわけでございます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) もしそういうお考えがおありになるとすれば、現実に佐世保重工においてはその問題で大変深刻な問題を抱えておりますから、会社の経営の向上とそれから労働時間の確保というか、そういう点の調和をぜひ指導してあげないと、現地では大変お困りになっていらっしゃると思いますから、どうかひとつ、そういう面は両面が相立つように、大変むずかしい要求をしておきます。  それから最後に、お聞きをしておきたいというよりも念を押しておきたいことがございます。それは、この五十三年度の補正予算のことに関連しまして、自民党と新自由クラブとの間に合意事項がございます。その中で、労働行政に関連した部分について決意のほどをお聞かせ願いたい、こう思うわけでございます。  その一点は、特定不況地域の指定については、二十八地域を目途とする。それから二番目に、特定不況地域に対する公共事業の傾斜配分について、その規模を三百五十億円程度とし、関連地方公共団体の裏負担については、特別交付税等で措置する。それから三番目に、特定不況地域中小企業対策について、貸付利率を原案の六・三%または六・八%を、円高中小企業対策に準じ六・一%または六・六%とする。貸付期間は五年、据え置き二年とする。それから次に、雇用保険失業給付金については、六十日間の給付延長の措置(四十五歳-五十五歳)を全国的に実施する。こういうお話し合いが合意事項としてできておりますが、政府はこれについて認知しておられますかどうか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 労働省の関係を私からお答えをいたします。  御指摘の、特定不況地域の指定の拡大につきましては、そのようなことを承っております。また、雇用保険の給付期限の延長の問題もそのように承っておりますから、われわれは誠意を持ってこれに対処いたしたい。いずれ法律が通りますと政令をつくっていただきますが、その政令は関係審議会の審議を経て決定をされるわけでございますから、そのような際に十分話し合われた線を尊重して、誠意を持って対処したい、このように思います。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) これは合意されたことでございますし、存じていらっしゃるならば、ぜひどんなことがあっても実行していただきたい、こういうことを要求しておきます。  最後に、地域指定の問題について、二十八地域ということをめどにしておりますけれども、聞くところによると二二十地域ぐらいというようなことも漏れ承ったような気がいたしておりますが、この地域指定については、ある意味において、通産省と労働省の中でも大変議論が分かれていく重要な部分じゃないか、こう考えるわけで、必ずしも、統一見解のもとにスムーズにやりますというお答えでございますけれども、実際はなかなかむずかしい状況の中に置かれているという気がします。これについて改めて最後にお願いをしておきたいのは、所管争いで決定されないで、やはり問題は、企業の救済にしても、すべては雇用の確保ということが前提だと思うのですよ、この地域指定については。ですから、そういう意味においては、少なくとも雇用を確保するということをとにかく大前提に置いた指定をしていただきたい。それがどこから見ても公平であり、整合性に準拠したものだというふうな、評判のいい結果を私は期待したいと思いますので、ぜひひとつ、大臣、がんばっていただきたい、こう思います。  大臣の決意を最後にお聞きしまして、質問を終わります。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 あくまでただいま御審議願っている法律の精神というものを踏まえて、そして本当に地域ぐるみの不況対策に万全が期せられるように、特に、この雇用の安定というものを十二分に配慮した経済政策の展開が今後の大切な方向だと私は思いますから、十分御趣旨を体して努力をいたしたい、このように思います。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) 質疑を終わります。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     ―――――――――――――

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 これより本案を討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  特定不況地域離職者臨時措置法案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手)     ―――――――――――――

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 この際、住栄作君、森井忠良君、大橋敏雄君、和田耕作君、浦井洋君及び工藤晃君から、本案に対し、附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。  その趣旨の説明を聴取いたします。住栄作君。

住栄作自由民主党

○住委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。  案文を朗読して説明にかえさせていただきます。     特定不況地域離職者臨時措置法案に対する附帯決議   政府は、本法の施行に当たり、次の事項について特段の配慮をすべきである。  一 特定不況地域の指定については、雇用情勢の急激に悪化している地域に施策の効果が及ぶよう、関係省庁間の連携を密にし、かつ、関係地方公共団体の意見を尊重して、弾力的に行うこと。  一 特定不況地域離職者に対する援護措置については、特定不況業種離職者等の援護措置との均衡を考慮して、今後引き続きその内容の充実に努め、あわせて雇用保険被保険者以外の新たな求職者についても配慮すること。  一 雇用保険及び船員保険の延長給付については、関係者に対し、その趣旨の徹底を図ること。また、公共事業における特定不況地域離職者の吸収率の確保に万全を期すること。  一 公共職業訓練施設の充実強化のほか、専修学校、各種学校、事業内職業訓練施設の活用に努めるとともに、失業者特に中高年齢離職者が早期に再就職できるよう、訓練職種、設備、指導員等について配慮する等実情に即応した職業訓練態勢の確立を図ること。  一 最近における深刻な雇用失業情勢に対処し、雇用安定資金制度の周知と活用に努める等現行諸制度の一層の弾力的、効率的運用により失業の予防、再就職の促進等に万全を期すること。  一 今後引き続き予想される内外の経済事情の著しい変化と厳しい雇用情勢に対処し、雇用の維持、拡大を図るため、新しい雇用対策基本計画を策定する等、より包括的、体系的な施策の検討を早急に進めること。  一 雇用失業対策の実効ある運営を図るため、定員増を含め、行政の実施体制を充実強化すること。 以上であります。  何とぞ、委員各位の御賛同をお願いいたします。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 本動議について採決いたします。  本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 起立総員。よって、本案については、住栄作君外五名提出の動議のごとく、附帯決議を付することに決しました。  この際、労働大臣から発電を求めておられますので、これを許します。藤井労働大臣。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、特定不況地域における雇用対策の実施に遺憾なきを期してまいる所存でございます。     ―――――――――――――

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。     ―――――――――――――     〔報告書は附録に掲載〕      ――――◇―――――

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  第八十四国会橋本龍太郎君外三名提出、環境衛生関係営業の運営の適正化に関する法律の一部を改正する法律案審査のため、来る十九日参考人の出頭を求め、意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人の人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ――――◇―――――

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。金子みつ君。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 私は、本日は、今回労働省で発表されました「婦人労働の実情」昭和五十二年版を中心にいたしまして、特にその中から、雇用における男女の平等の問題に重点を置きまして、御意見を少し伺いたいと考えておりますことと、いま一つは、労働基準法の中にうたわれております労働時間の関係について、伺いたいと考えております。     〔委員長退席、越智(伊)委員長代理着席〕  まず、わが国では、これにも出ておりましたけれども、婦人労働の実態は、全労働者、全労働力の中で婦人が二千十万、これは全労働力の三七・四%と言われておりますし、それから、雇用者が千二百三万人で、これは男子を一〇〇とした場合六〇・二%と報告されております。  そこで、この「婦人労働の実情」という報告雷でございますが、これは白書に似たような形で出されておりますが、この中から、主として雇用における男女の平等の関係についてお尋ねをするわけでありますが、この報告書を、前年度実態調査をなさってその実情を把握して、それを報告書としておまとめになった婦人少年局――婦人少年局は特に婦人の労働問題についての御担当でありますから、担当者としてこれをおつくりになりましたそのことについて、中身についてどのように実態を受けとめていらっしゃるでしょうか、まずその御所感を伺わせていただきたいと思います。

森山真弓労働省婦人少年局長

○森山(真)政府委員 この「婦人労働の実情」は、先生がおっしゃいましたように、過去一年間の、政府あるいは関係の統計にあらわれました婦人労働の実情を集大成いたしまして、白書とよく呼ばれるわけでございますが、つくったものでございますので、婦人労働の実情につきまして総合的な観測ができるわけでございます。  ことし、これをそろえてながめてみまして感じましたことは、婦人労働者、特に婦人の雇用者の数が著しくふえているということが、まず一つ目立っております。婦人雇用者の数は千二百五十一万人を数えておりまして、昨年に比べまして四十八万人増加しております。男子につきましては増加率が〇・四%でございますのに、女子は四・〇%と、増加の幅が大変大きいのが一つ特徴かと思います。  それから、婦人労働者の中身を見てみますと、この十数年来傾向があらわれておりました高年齢化、それから、既婚者の増加ということがまた一歩進んだ感じがいたします。年齢によりますと、三十五歳以上の者の割合が五〇・六%と、わずかながら過半数を占めておりますし、平均年齢が三十三・九歳というふうに出ております。未、既婚別で見ますと、有配偶者と死別、離別者をまとめて既婚者といたしますと、これが六五・一%ということで、三分の二を占めるようになっております。   一方、婦人労働者の受けております処遇について見てみますと、まず賃金につきましては、これを男子の平均月間給与総額について男子のものと比べてみますと、男子を一〇〇にいたしました場合、女上のそれは五五・八で、まだかなり開きがございます。  それから、使用者の方の雇用管理体制を見てみますと、女子につきましては採用しないという企業が相当ございますし、採用した後も、教育訓練について、また昇進、昇格その他の処遇につきまして、男子に比べかなり開きがあるということがわかりました。特に大学出の女子につきましては、女子を採用するという企業は五分の一にすぎないという実情でございまして、数の上では大変ふえておりますが、まだ、雇用の場における実態はいろいろと問題を含んでいるというのが、一口に申し上げた感想でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 ありがとうございました。  大臣、この報告をごらんになりましたでしょうか。まだごらんになってないでしょうか。ごらんになっておりましたら、ちょっと御所感を……。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 私は、本ができ上がっていただいたわけでございますけれども、はしがき程度で、中身までまだよう拝見しておりません。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 どうかしっかりごらんになってください。  いま、婦人少年局長は所感を簡単に述べてくださいましたが、確かにそのようなことが実態としてあるわけでありますが、そのバックになっている問題もやはりあると思うわけです。日本は世界で最も発達した資本主義の国になっております。ところが、雇用における性差別だとかあるいは社会の中での男女の差別の習慣というのは、また最もひどい国だというふうに考えてもいいのではないかと思います。それは日本の国が急速に資本主義を発達させたということがあります反面、民主主義が大変おくれているということが原因しているのじゃないかとも考えられます。明治以来労働力を婦人に求めてきましたその過程では、いつも婦人は底辺に置かれていて、景気がいいときとか悪いときとか、それにつれて、出したり引っ込めたりというような使い方がされてきております。ですから、女の人には生涯かけての労働権を保障するのではなくて、男性が中心の雇用体系の周りに、周縁労働者とでも申しますか、そういうような形で補足的な役割りを担わされながら、仕事をしてきたという実態がずっと続いてきていたわけでございます。  ですから、先ほどお話もありましたように、この報告書にも出ておりますように、男子の雇用者の六〇%まで婦人が職場に出てきているという実態はございますけれども、その内容は、いま局長がおっしゃいましたように、確かに差別がまだ非常に残っている。一つ一つ取り上げるまでもないと思いますけれども、特にその中で、諸外国にも差別がないことはない、当然あることは実態ではございますけれども、何となく日本的な差別というものがあるような感じがするわけなんですね。これは私の考えで終わるのかもしれませんけれども、たとえば結婚退職とか出産退職とか、それから共働きの場合には奥さんはやめなさいとか、あるいは既婚者は採用しないとか、子持ちの女性はだめだとか、あるいは寡婦は差別するとか、さらにはなはだしいのは、容姿端麗なんというのが条件になっていたりするんですね。こんなのがございまして、あるいはその先を申し上げれば、夫が管理職になったのだから妻はやめるのが当然である、こういういわゆる勇退勧告とでも申しますか、全く日本的な男女差別というのが日本に実際に存在しているという問題がございます。こういうような問題もだんだんに解決していかなければならぬ問題だと思うのでございます。これはどなたもお認めになっていらっしゃるところだろうと思うのでございます。  そこで、一九七五年は、国連が定めた国際婦人年でございました。この国際婦人年にメキシコで世界婦人会議が開かれまして、平等、平和、発展というスローガンのもとに開かれた会議がございました。その会議で決議されましたものに、これらの平等、平和、発展を実現するために、各国が努力をする指標となる世界行動計画というものがつくられました。  この世界行動計画の中で「雇用及び関連の経済活動」という項目がありますが、その項目の中に「政府は、婦人労働者に対する機会と待遇の平等、同一労働、同一賃金の権利を保証することを明示的な目標とした政策及び行動計画を策定すべきである。」「性又は婚姻上の地位を理由とする差別を撤廃する原則を定めた法律、諸原則を実施するための指針、提訴手続及び実施のための効果的な目標、機構等をこれらの政策や行動計画にもりこむべきである。」というふうに、世界行動計画は示しております。  さらにまた、同じ年にベルリンで開かれましたILO第六十回総会の決議によりますところの、婦人労働者の機会及び待遇の均等に関する宣言というのがございました。この宣言の中には十四条で「労働生活における男女の機会及び待遇の均等は、法制、団体協約または、拘束的性格を有する労働契約の方法により保障されるべきである。」云々というふうにうたわれているわけでございます。  そこで、わが国の場合は、この世界婦人会議がそのときに決議いたしました世界行動計画を実現するために、それぞれの参加各国が準備を進めることになるわけでありますが、国連の世界婦人会議では、そのことを実現するのに、向こう十年間という一つの期限を設けたわけです。十年間の間にこのことを実現するために努力をするということを誓い合ったわけでありますが、その前半期の五年間、一九八〇年が五年目に当たるわけでございますが、その一九八〇年には、各国はその成果を持ち寄ってそして報告し合い、さらに協議をして、努力を進めようということになっているわけでございます。それで、それを受けてわが国では、男女平等問題研究会議というのが労働省の中におありのようですが、その研究会議からこの案件に関する報告を受けていらっしゃいますし、それから同じく婦人少年問題審議会があおりになりますが、この審議会からも建議をお受けになっていらっしゃる。そして、それらのものを土台にして、日本の国内行動計画というものをおつくりになったはずでございます。その国内行動計画というものができまして、そして、その国内行動計画に基づいて、国連婦人会議の約束を果たしていくために努力を進めるということになるのでございますけれども、この日本政府がおつくりになった国内行動計画でありますが、この青写真とでも申しますか、その国内行動計画の中で、前期五年に限って、前期五年にはどういうことをやるんだという概要をおつくりになっているはずだと思うのですが、それらの概要の御説明と、それのお見込みとでも申しましょうか、それをぜひ聞かせていただきたいと思います。お願いいたします。

赤松良子内閣総理大臣官房参事官

○赤松説明員 ただいま先生御指摘のように、一九七五年のメキシコにおきます世界婦人大会の世界行動計画を日本の国内の政策に取り入れますために、わが国では婦人問題企画推進本部がその年に設けられたわけでございまして、関係十一省庁の事務次官をメンバーにいたしまして、民間の推進会議の有識者の皆様方の御意見を徴しまして国内行動計画を策定いたしましたのは、御承知のとおりでございます。そして、ただいまも御指摘のございましたように、その後、その最終的な目標を達成するために、効率を上げますために、前期重点目標を策定いたしまして、これを昨年の十月に発表いたしたところでございます。そしてこの中では十一の項目を掲げまして、それを各省庁、ただいまその実現のために鋭意努力をいたしているわけでございますが、これは婦人の政策決定参加の促進、家業・家庭における妻の働きの評価、新しい教育機会の創出、新しい時代に即応する学校教育、雇用における囲女平等、育児環境の整備、母性と健康を守る対策、農山漁村婦人の福祉の向上、寡婦等の自立促進、老後における生活の安定、国際協力の十一項目でございます。  そして、それぞれ各省では取り組みを進めているわけでございますが、中でも、政策決定の参加の促進につきましては、具体的な目標を定めまして、それを前期の間に実現をしたい、このように考えている次第でございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 きょうは雇用問題に私はしぼっておりますので、いま御説明くださいました十一項目の中に、職場における男女平等という項目がございますが、その項目について御説明願いたい。

森山真弓労働省婦人少年局長

○森山(真)政府委員 先ほど先生が御指摘になりましたように、労働省では、職場における男女平等の問題について研究していただく研究会議の御報告、それから婦人少年問題審議会の御建議などを踏まえまして、幾つかのことを重点的にやっているわけでございます。  まず第一には、労働基準法の中に規定されております同一労働における男女同一賃金の徹底のために、監督指導を強化するということでございます。  第二番目が、若年定年制、結婚退職制等改善年次計画というものを五カ年をめどにいたしまして作成いたしまして、これに沿った行政指導を具体的に進めているということでございます。  第三番目が、昨年度から新しく婦人雇用コンサルタントという非常勤の労務管理問題の専門家の方を四十七人、各県に一人ずつお願いいたしまして、特に各企業における労使の御相談に応ずるという体制を整えたわけでございます。  そのほか、雇用の場における男女平等を徹底いたしますためには、男女が同じ基盤で就労するということがまず前提条件でございますので、雇用の場における前提条件を整えますために、現在労働基準法研究会におきまして、雇用における男女平等を確保するための法的措置とあわせまして、法制上の女子に対する特別措置についての御検討をお願いしております。  労働省といたしましては、そのような検討の結果を待ちまして対処してまいりたいと考えておるわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 御計画はわかりました。  それで、昨年度からすでに実施されているものもあるわけでございますね。たとえばコンサルタントの設置でございますとか、あるいは実態調査をおやりになったことだとかいうのがございますね。そういうすでにお進めになったものについての成果とでも申しますか、どれぐらいの成果が上がりつつあるのかということを聞かせていただきたい。ということはなぜかと申しますと、これで五年後を一応目標にしていらっしゃるのですけれども、そこでどの程度までできるだろうか、目的達成がどこまでいけるかということが知りたいためです。

森山真弓労働省婦人少年局長

○森山(真)政府委員 若年定年制、結婚退職制等改善年次計画を昨年の六月に立てまして、そのときからすぐにとりかかりまして、まず最初の一年は実態把握ということで、そのような差別的な退職制度、定年制度を持っております企業を全国的に把握するということをやってみたわけでございます。これでもう完全に一〇〇%把握できたと言い切るのはちょっと無理かもしれませんけれども、その後一年間鋭意把握いたしました結果、その具体的な事業所が把握できましたものが以下のような数字でございます。  男女別定年制がありまして、その中で女子の定年年齢が五十五歳未満の企業というのが一万三千三百ございました。そのうち、さしあたりて改善対象と考えられます女子の定年年齢が四十歳未満のもの、それから結婚退職制等女子だけに差別的な退職制を設けているもの、合わせまして二千四百事業所ございました。その他、はっきりわかりませんが、どうも疑いがあると思われますものが五百ほどございまして、相当数のものがなお改善しなければならないということがわかったわけでございます。これは、従来統計調査等によりまして把握されていたものから推計いたしましたものと比べまして、大体こんなところではないかと考えられるものが把握されましたわけでございまして、これから四年の間にこれを段階的に直していくということで、早速指導に取りかかっているわけでございます。  五年の間の計画は、まず最初が対象の実態把握、それからその次の二年、つまりことしと来年でございますが、五十三年度、五十四年度は男女別定年制のうち、女子の定年年齢が四十歳未満のもの及び結婚、妊娠、出産退職制等の解消を図るということにしておりますので、さしあたりまして、先ほど申し上げました二千四百ばかりの事業所を対象にいたしまして、指導をし改善をさせたいと考えております。  なお、最初に引用されました「婦人労働の実情」の中にも、統計資料といたしまして男女別定年制に関するものが掲載してございますが、これによりますと、これは昭和四十九年、五十一年、五十三年と一年置き、二年ごとにしている調査でございますが、少しずつではございますけれども、女子の若年定年が改善されつつある傾向が見られるように感じております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 私は、いま御説明を伺いながらこの資料を拝見しておりました。資料の細かいことを一つずつあれしておりますと時間がかかりますので、いまのお話で一応その点はわかったのですが、いま局長おっしゃっておりましたように指導に取りかかっているというお話でございますが、その指導の方法ですね。それから、その指導をなさるのに何を、目的は五年あるいは十年ということを置いてやっていらっしゃると思いますけれども、その指導をなさるのに何か力強い後ろ盾がございますか。

森山真弓労働省婦人少年局長

○森山(真)政府委員 女子の若年定年あるいは結婚、妊娠、出産退職制等につきましては、すでに十数年前から、これは明らかな男女差別であって不適当なのではないかという疑問が関係者の間で持たれておりまして、たしか昭和四十一年ごろであったかと思いますが、このケースを裁判に訴えた方がございまして、その後引き続きそういうケースが続々と出てまいりまして、その結果、最近では、そのような制度は、憲法の精神及び労働基準法の精神また民法の九十条の趣旨から言っても、不適当であるという判決が続々と出されております。そのようなことを背景にいたしまして、確かに御指摘のように、このものずばりを無効あるいは違反であるとする法律は残念ながらいまのところございませんけれども、そのような公的な判断が示されたものに基づきまして、さらに政府が、最近たくさん出しておりますさまざまな行動計画なり、方針なりに基づきまして指導をしているわけでございます。  これは、このような制度を就業規則または労働協約その他の明文によってはっきりさせているものからなくしていこうということでございますので、そのようなものを持っております事業所をまず把握したわけでございますが、方法といたしましては、把握されました事業所に対しまして、そのような就業規則または労働協約等は不適当であるから直してほしいということを、地域別あるいは業界別等に集まってもらって話をする、あるいは個別に訪ねて説明をするというようなやり方で、いまは説得に努めているところでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 御苦労はよくわかります。  それで、いまのお話の昇進昇格とかあるいは若年定年制、退職制度なんかについて取り組んでいらっしゃるわけですけれども、この資料を拝見いたしますと、まだそのほかにいろいろあるわけですね。たとえば七十一ページに「学歴、年齢、勤続年数を一定にした所定内給与の男女格差」というのがあるわけでございますね。それで、給与の差別をしてはならないというのは労働基準法四条にもはっきりうたわれて、同一労働、同一賃金ということになっているわけでありますが、ここでは、学歴、年齢、勤続年数をそろえても、なおかつこういうふうな格差が出てきている。こういうようなことはまだほかにもあるのかもしれませんが、いま局長も言われましたように、憲法だとか民法だとか、いろいろな法律が確かにあることはあります。あることはございますけれども、この報告にも載っておりますね。二十ページに「法制」というのがございますが、この「法制」というところに載せられています。憲法がまず最初、それから職業安定法の三条の問題、それから労働組合法の五条の問題、それから労働基準法の四条というふうに挙げられておりますね。これらのことが確かにバックになって仕事を進めていらっしゃるのだろうということはわかるのですけれども、男女の雇用の平等そのものずばりについてのものは何もないわけです。ですから、私は、非常に指導に取り組んでいらっしゃってやっていらっしゃることは大変に結構だと思っておるのですけれども、何か抜けたものがあるような気がするわけですね。それで、思い切りやってみたいと思ってもやれないのではないだろうかというふうに私は想像しているわけです。というのは、はっきりした背景になるような法令がないから、あっちの法令を引っ張ってみたり、こっちの法令を引っ張ってきたりしながらやっていらっしゃる努力はわかるのですが、それでは効果がなかなか上がらないわけですね。そこで、やはりこのものずばりの法令が欲しいというふうな感じがするわけであります。そのことについて、私は少し意見を申し上げてみたいというふうにも思うわけでございます。  それは、何をどういうふうにしたらいいかということなんですが、このことが全部かどうかは別といたしまして、ひとつぜひ考えなければならないのではないかというふうに思っておりますのが、労働基準法なんです。労働基準法の三条というのは、これは開いていただけばわかりますが「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない。」という規定がございます。こういうふうに規定しているわけでございますけれども、ここの中に性別が入ってないですね。ですから、性別による差別の禁止というのが労働基準法の三条に入ってないものですから、四条の中で言っている、賃金の差別はいけないというのははっきりわかっているわけですけれども、そのことだけははっきりしていますが、その他の条件については、男女差別は直接に禁止していないという解釈が生まれてくるわけですね。そうなりますと、雇用における男女差別の撤廃を合法的に進めていこうとする根拠がないと申しますか、根拠が大変弱くなるというふうにも思えるわけです。ですから、私どもは一生懸命にその問題を、憲法十四条を受けてきている三条ですから、すべての条件について差別をしてはならないということを実際問題として実現させたいと思いながらも、この三条に性別が入ってないために、その点は非常にやりにくいというふうに考えているわけでございます。  そこで、ちょっと外国の例を、御存じかと思いますが、申し上げてみますと、アメリカは、雇用における人種差別を禁止するために、一九六四年に雇用機会平等法というのをつくっております。一九七二年にはさらにこれを進めて、特に婦人に対する差別を徹底的になくすために法改正を実現して、そして雇用機会平等委員会をつくり、差別をなくすための調査、企業への勧告、最終的には訴訟につなげていく、そして解決をする法律、こういうものをつくっておりますし、イギリスでは、一九七五年に、これは国際婦人年の年でありますが、性差別禁止法というのがつくられております。そして、それに先立って、イギリスではすでに男女同一賃金法は一九七〇年にできております。この性差別禁止法では、賃金だけでなくて、採用、求人を含めたあらゆる段階での雇用に関して、差別を禁止するということをうたっております。それからスウェーデンは、男女平等のための総理大臣の諮問委員会をつくって、一九七五年ですが進めておりますし、イタリアでも、一九七七年に労働における男女平等法を成立させておりますし、それからヨーロッパではEC九カ国が、ECの男女労働者の待遇の平等に関する原則、カナダも同じようなものをというように、国際婦人年を契機にいたしまして、次々に、あちこちの国でそのことが実現してきているわけです。  そこで、イギリスがつくっております性差別禁止法が特にうたい出しておりますのは、賃金だけでなく採用、求人を含めたという言葉が使われているわけです。日本の場合、雇用における機会均等という言葉でこのことが含まれているだろうと思いますけれども、採用が大変に不平等だという実態が、この報告書の中からもうかがい知ることができます。女子には採用試験も受けさせないとか、あるいは女子だけを採用することに決めているとかいうような規定があるところが幾つもあるようでございますし、国家公務員の場合でも、人事院が女子だけという規定を持っておりますね。女子だけでなかったら採用しないというのが国家公務員の中にもあるわけでございます。そういうのもございますし、それから出版社などでは、同じ大学卒業者でも男子は真っすぐに社員にするけれども、女子の場合は原稿料雇いなどと言いまして、ある全集なら全集、出版物ができるまでの期間原稿料で雇い上げる、こういうふうな、非常に不安定な身分のままで雇われているというような実態が幾つもあるわけです。  労働基準法というのは、採用されてから後の条件について決められている法律なんですね。ですから、その採用時の不平等を直すことのためには、労働基準法だけでは間に合わないんじゃないかというふうには思います。そうは思いますけれども、採用されてから後の不平等をもっと徹底的に直すためには、この三条に性別が入らなければいけないということを思うのですけれども、この点についての御意見を聞かせていただきたいのです。

岩崎隆造労働省労働基準局長

○岩崎政府委員 先生いま御指摘のとおり、労働基準法は、採用されてからいわばやめるまでの間の労働条件について規定した法律でございますので、その採用の入り口につきましては労働基準法は直接には触れていないということは、御指摘のとおりでございます。  それで三条に性別が入っていない、ほかの憲法の条章とかそういうものと比べまして、性別が入っていない。これはその当時の立法理由というものを、私ども文献によってしか当たりようがないのでございますけれども、そうして、第四条では男女の同一労働、同一賃金の原則、したがって男女の賃金差別についてだけ規定しておって、そのほかの労働条件の面について性別の差別を禁止してないという、性別が三条に入っていないという問題につきましては、当時における雇用実態、その雇用の場における男女の実態、それから一方、労働基準法では先生御承知のとおり女子についていろいろの保護規定があるわけでございます。したがいまして、そういった保護規定との関係において、すべてにおいて、基準法で規定しておりますそのほかの労働条件について、平等に扱われるのかどうなのかというようなこともありまして、その当時、性別を除いて三条は規定していたというようにうかがえるわけでございます。  それで、いまの雇用の場の全般にわたります男女の平等ということになりますし、これは基準法の三条に入れる、入れないにかかわらず、先生のいままさに御指摘のとおりで、もっと広いその入り口の場における差別ということになりますと、これはやはり、今度の「婦人労働の実情」でも指摘しておりますようないろいろな婦人の職業意識の問題あるいは社会での婦人の雇用についての認識の問題、そのほかのいろいろな条件の中でそういう実態が生まれてまいっておりますので、あながち、労働基準法の三条に性別を規定することをもって、すべてが解決することではないわけでございます。  ただ、この労働基準法の問題につきましては、先ほど森山局長も言われましたが、労働基準法研究会ですでに、この婦人の問題の取り扱いにつきましては数母御討議をいただいております。したがいまして、最近におきましてこれの報告をいただけるというふうに私ども期待をしております。その中で、この雇用における平等という面を基準法の面から見ていくという観点で、一方において、労働基準法の中における婦人の保護規定の中で、その母性の保護という観点からの規定、それからそのほか、婦人の生理的機能の男子との違いということからくる規定もありますが、沿革的なもので、その後の労働経済の進展あるいは技術革新の進展、そのほか労働の場における実際の実態というものを見ますと、現在において必ずしも合理的なものとして当為しないというようなことも御議論をいただきながら、それとの関連において、この三条の問題もどのように取り扱うべきかということの御検討はいただいておりますが、これは御報告の結果を待って私どもしかるべく対処をしてまいりたい、このように考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 いまの御答弁の中で、初めの方のところがちょっとはっきりわかりませんでしたので、恐縮ですがもう一度お願いしたいのですが、この法律を策定された当初、終戦直後になりますね、昭和二十二年ですね、そのときの理由だというふうにおっしゃったと思うのですが、そのときの理由というのはどうもはっきりしないのですが、どういうふうに受けとめていらっしゃるのでしょうか。何かそういうものは書かれたものでもあるのでしょうか。

小粥義朗労働省労働基準局監督課長

○小粥説明員 立法当時の立案に携わりました人のいろいろな解説書等がございます。そうしたもので私ども判断いたすわけでございますけれども、それによりますと、立法当時の男女差別の実態が、特に賃金問題に集中していたという実態があったということ、それから、先ほど基準局長が申し上げましたように、同じ基準法の中で女子に関する特別の保護規定が幾つかある、そうした保護規定との均衡を考慮して三条に性が入らなかった、こういうふうに理解をしておるわけであります。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 日本政府のおつくりになった国内行動計画の「雇用における条件整備」という項目の中に「雇用における機会と待遇の男女平等を確保するため、その阻害要因の除去等必要な施策を推進するとともに、」というのは、先ほどお話しのとおりの内容だと思うのですけれども、「婦人の職域の拡大と就労条件の整備を図る。」という計画が書かれているわけなんですが、これはどういうふうに理解したらいいでしょう、いまのものと関連して。

森山真弓労働省婦人少年局長

○森山(真)政府委員 私どもの理解といたしましては、この「婦人の職域の拡大」といいますのは、いままでいわゆる女らしい職場というところにばかり女の人が集中するということを少し直して、もっと女の人が、余りいままで行かなかったような職場にもどんどん進出してもらいたいという気持ちでございます。それは職種ばかりではなくてそのレベルと申しますか、従来は女子につきましては補佐的な仕事しかしないものだという考えで、初めからそのような訓練もほとんどしないというようなことは改めて、ぜひどんなレベルにまでも、意欲、能力のある人がどしどし伸びていくことができるような条件をつくりたい、そういう意味が主たるものであると解釈しております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 わかりました。そうすると、やはりバックが欲しいということになるわけですね、進めていくために。  そこで、先ほど労働基準法三条の中に性別が入っていないということの理由を、労働省の御見解を聞かせていただいたわけでありますけれども、その見解が唯一無二のものであるかどうかということは私もよくわかりません。これはもう少し調べてみたいと思うわけでありますけれども、三条に性別を挿入することによって、賃金だけでなくて、労働に関するあらゆる条件を平等にするということが可能になるわけです。そうなるわけですね。ですから、そのことを私たちは望んでいるわけなんです。ですから、それをそのようにするべきだと思いますから、この三条の中に性別を入れるべきではないかというふうに私どもは考えるわけですが、それを入れていこうという御意思がおありになるかどうかということ、いかがでしょうか。

岩崎隆造労働省労働基準局長

○岩崎政府委員 先ほどお答え申し上げたものの繰り返しになって恐縮ですが、数年前から労働基準法研究会で、この問題については御検討いただいております。その中では、基準法で規定しております女子の保護規定との関連も御議論いただきながら、この三条の問題につきましても御検討いただいております。近い機会にこの御報告をいただけると思いますので、それを待ちまして私ども対処いたしたい、このように考えておるわけであります。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 研究会の御意見を伺ってということはよくわかるのですけれども、その研究会の中で出していらっしゃる問題を私も拝見いたしました。それで、現在労働基準法の中で規定されている母性保護の立場からの条項が幾つかございますが、その中で「科学的でないと考えられるもの」というような表明を使われて、それはやめるべきである、排除すべきであるというような御意見が出ているというふうにも伺っておりますが、まだ正式なものとして御意見が出たわけではないと思いますので、私もいまそれを取り上げようと思っておりません。  ただ、私がいまそのことに関して申し上げておきたいと思いますことは、御承知だと思いますけれども、ILOの百十一号条約、これは雇用及び職業についての差別待遇に関する条約でございますが、この条約の五条には「国際労働機関の総会が採択した他の条約又は勧告で定める保護又は援助に関する特別の措置は、差別待遇とみなしてはならない。」という規定がございますし、さかのぼりまして、一条の二項では「固有の要件に基づく特定の業務についての差別、除外又は優先は、差別待遇とみなしてはならない。」という規定があるわけです。ですから、この規定を生かすことができますので、母性保護に関する問題は、この規定との関連において私は可能だというふうに考えておりますので、性別を三条に入れることは問題にはならないというふうに思うわけですが、その件について私はぜひ考えていただきたいと思います。いまここで入れます。入れませんという御意見をいただくこともむずかしいと思いますから、そういうお返事をいただくつもりはありませんけれども、そのことをぜひ考慮に入れて、さらに十分検討していただきたいというふうに思います。  それから、採用されてからの問題をいま話していたわけですが、先ほど私も提案いたしましたように、採用する際のいわゆる雇用の機会均等という問題に関しては、特別な規定が何もございませんので非常にやりにくいということもよくわかるわけなんですが、その件について、総理府が五十三年一月にお出しになった「婦人の現状と施策」、これは国内行動計画に関する報告書の第一回のものですが、これの二百五十一ページの「婦人関係施策の現状」の中の第二章の中で「雇用における条件整備」というところがございます。この「雇用における条件整備」の中の2に「婦人に対する法制上の特別措置の検討」というのがございますが、これは何を意味していらっしゃるのか。特別措置をつくるということを考えていらっしゃるのか、いままでにある法制上の措置について検討するという意味なのか、その辺のことがはっきりいたしませんので、それをちょっと聞かせていただきたい。

森山真弓労働省婦人少年局長

○森山(真)政府委員 それは私の理解では、先ほど労働基準局長が申し上げましたように、労働基準法を中心にいたしまして、女子に対する特別な保護その他特別措置が決められている法律がございますので、それが、現在の時点において、男女平等の見地も踏まえた上で、適当であるかどうかということを検討するという意味であると思っております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 わかりました。  それでは、雇用されてからの問題でなく、雇用する時点での問題、採用に関する問題で男女の差別がはなはだしくあるという問題を取っ払わないと、雇用してからの昇進昇格にも影響するし、定年の年齢にも関係するし、あらゆるものに関連すると思いますから、これは一番の基礎だと私なんか思うわけです。ですから、採用の時点で平等に採用されるということの条件ができなければいけないと思いますが、そのことのためのいま現在は特別な規定がございませんで、憲法だとか民法だとかそういうものしか利用できないということでありますから、特別な規定を設ける必要があるというふうに私どもは考えます。  それで、担当の労働省とされては、その問題について特定な法制をやっていこうというお考えがおありになるか、あるいはなしでもやれるのだというふうにお考えになっていらっしゃるか、その辺を聞かせていただきたい。

森山真弓労働省婦人少年局長

○森山(真)政府委員 先生おっしゃいますとおり、本当にもしそのような法律がありましたら有効であろうというふうに感ずることはしばしばあるわけでございますが、いま、一方におきまして、数年来御研究を続けていただいております労働基準法研究会の結論がそう遠くない将来に出るというようなことを聞いておりますので、しかも、その研究会におきましては、労働基準法の現在の条文のよしあしということだけはなくて、男女平等のためには積極的にいまどのようにしたらよいかということも含めお考えいただいていると聞いておりますので、その報告をいただいた上で対処したいというふうに考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 私はやはり、こういうものはあった方が実際問題としてやりいいのではないかと思います。それで、実は私ども社会党では、雇用における男女の平等取扱いの促進に関する法律案というのを準備しておりますことを御存じかと思いますが、この法案は前国会では参議院から提案いたしましたが、時間がございませんでそのまま廃案になっております。この法案を成立させることについて、私どもは婦人の雇用問題の一番基礎になる法律だというふうに考えておりますので、ぜひこれは成立させたいと考えておりますが、この法律案の成立については、政府の方でもぜひお力をかしていただきたい、御協力を願いたいということを申し添えておきたいと思います。大臣よろしくお願いします。  それでは、大臣、いままでの話を聞いていてくだすって、確かに婦人の雇用の実態は思うように進んでいない。少しずつは進んでいるけれども、まだまだ大きな格差が男子との間にはあるということがおわかりになっていらっしゃると思います。それで、これをなくすためにどういうふうに進めていくかという話し合いをいままでしていたわけでございますが、私が申し上げましたように、雇用されてからの差別を撤廃するために労働基準法の三条に性別を入れるべきだという考え方、それから、そのもう一つ前にさかのぼって、雇用の時点で男女が平等でなければすべてのものが不平等になっていくというので、その雇用の時点での平等を図るために特別立法が必要なんじゃないかというふうに申し上げた点について、大臣、御意見ございましたらお聞かせ願えませんでしょうか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 職場における男女の平等という問題は、特に婦人が職場に進出され、雇用関係にある婦人労働者の数が非常にふえてきたきょう今日、非常に大切な労働行政、雇用政策の柱だと思います。  いろいろいま御意見を承りまして、われわれとしても、この国内行動計画、国際婦人年、こういった日程を踏まえまして今後積極的な推進を図りたい、このように考えているわけでございます。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 よろしくお願いします。  最後の質問になりますが、労働時間の問題でお尋ねしたいと思います。  実は、私がきょう取り上げて御意見を伺いたいと思っておりますことは、労働基準法の三十二条で労働時間というのが規定されておりますが、規定されておるにもかわりませず、さらに四十条のところで「労働時間及び休憩の特例」というのがございます。この特例を受けて、施行規則の二十七条でさらに具体的に、その特例の内容が示されているわけですね。たとえば、三十二条には、労働時間は一日八時間、週四十八時間ということになっていて「特定の日において八時間又は特定の週において四十八時間を超えて、労働させることができる。」ということがすでにうたわれているわけですね。それにもかかわらず、四十条で特例を設けて、そして規則の二十七条で具体的に特定の項目、たとえば労働基準法八条の中の八、十、十三、十四ですか、この四つの項目にうたわれている職種については一日九時間、週五十四時間まで働かせてよろしいということが決められているわけでございますね。  ここで問題だと思うのですけれども、なぜこういう特例が設けられたのか。さらに、法八条の中に一から十七まで違った職種が並べられているわけですが、その中で八と十と十三と十四だけを取り上げて、そしてそれは一日九時間、週五十四時間まで働かせていいんだというような特別な規定をする必要がどこにあったのだろうか。私はその根拠と理由が伺いたいわけです。  なぜそれを伺うかといいますと、実は御承知だと思いますけれども、一九七七年のILOの総会で採択されました看護職員の雇用、労働条件及び生活状態に関する条約というのがございます。この条約の六条に「看護職員は、次の分野において当該国の他の労働者の条件と同等の又はそれ以上の条件を享受する。」となっておりまして、その中に労働時間、週休、年次有給休暇、教育休暇、出産休暇、病気休暇、社会保障ということがうたわれているわけでございますけれども、この労働時間の中で「(超過勤務、不便な時間及び交替制による労働に関する規則及び補償を含む。)」ということが括弧書きでつけてあります。  看護職員というのは、労働の形態が「不便な時間」「交替制による」労働なんですね。そういうような人たちの労働時間を、他の分野において働く労働者と全く同じ条件を享受させなければならないということになっておりますのに、たまたま労働基準法を見ますと、看護職員は八条の十三に当たるわけですから、一日九時間、週五十四時間働かせてよろしいという特例がついているわけです。なぜこの看護職員に特例をつけたのか、また看護職員だけでなく、この八と十と十三と十四には特例を設けたのかということの根拠がどうにもよくわかりませんし、はっきりいたしておりません。私の考えでは、こんなところへ特例を設けなくても、三十二条で、週四十八時間だと一応規定してありますけれども、しかし特定の日において八時間あるいは週四十八時間を超えてもよろしいとすでに言っているわけですから、なぜこの三十二条を適用できないのでしょうかという非常に大きな疑問があるのです。その辺を解明していただきたい。

岩崎隆造労働省労働基準局長

○岩崎政府委員 いま先生御指摘のとおりでございます。ただ、私ども、やはり立法経緯ということになりますと、この条文そのものに、公衆の不便を避けるためにこういった八条の何号かの規定するような事業については労働時間の特例を設けることができるというふうになっておるものですから、それを立法理由だというふうに考えております  そこで、いまの病院、社会施設の看護婦等、そのほかにも旅館とか飲食業、その他要するに接客的なサービスをする者、あるいは郵便とかそんなようなもの、それから卸小売業というようなものも特例として規定しております。  これは、三十年前のものがいまだにそのままであることにあるいは問題の御指摘の点もあるかと思いますが、私どもも、その後の一般的な労働者の労働時間の短縮の趨勢というものを踏まえまして、こういったものにも、ほかの業種の三十二条の原則的な週四十八時間、一日平均八時間という範囲内で、所定労働時間が定められるように行政指導をしてまいっております。大方のところはそういうことで、病院についても社会福祉施設についても、だんだんに週四十八時間以内という所定労働時間におさまってきておるわけですが、たとえば個人経営の医院、病院というようなところを見ますと必ずしもそうなっていない。と同時に、私どもも十分な実態の把握もできていないというようなことでございますので、とりあえずこの実態を十分につかまえまして、そして一般的な原則的週四十八時間、一日平均八時間労働ということに行政指導を進めてまいりたい。そのほかの特例業種との関連もありますが、そういうものを踏まえながらやっていきたいと考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 十分納得できないのですけれども、申しわけありません。三十二条でできるはずだと思うのです。いまの御答弁で、指導をしてきたからだんだんと超過勤務をしなくなるようになってきたというお話ですから、なってきたのならもう撤廃してもいいというふうに考えることが一つあります。  それから、十三号に規定されている看護職員なんかは、一日九時間というような中途半端な時間をなぜお決めになったのか、理解ができないわけです。なぜ一日一時間だけは構わないということをおっしゃるのですか。看護職員などは一日一時間どころではなく、二時間でも三時間でも超過勤務しなければならないかもしれません。生きた人間を対象にしているわけですから、物品販売でもありませんし、郵便事業でも映画館でもありませんから、時間が切れないですよ。物品販売だったら、時間が来たからもう売りませんと言うことができるかもしれませんけれども、相手が病人である、あるいは手術の最中である、そういった命を対象にした、生きた人を対象にした仕事をしている人たちですから、時間が来ました、はいさようならというわけにいかない。ですから、一日九時間と言われても九時間と決まらないわけです。全然超過勤務をしない日もあるでしょう。それから、するときには三時間も四時間もしなければならないかもしれない。そういう業務形態の仕事に従事している人たちのことですから、一日九時間まで、週五十四時間はよろしいなんという決め方は全然当てはまらないのですね。なぜこういうおかしなことをここでお決めになったのかということが知りたかったのですが、そのことについての御答弁は、私は納得ができないし、よくわからない。ほかの職種もそういうことがあるかもしれませんが、ほかのことは私はよくわかりませんけれども、十三号に書いてある部分についてだけは撤廃すべきだと思うのです。むしろ三十二条を適用させた方が実際的だと思うのですよ。そうお思いになりませんか。

岩崎隆造労働省労働基準局長

○岩崎政府委員 先生のおっしゃいます看護婦の勤務実態などは、たとえば交代制とかあるいは深夜にまたがるようなこともございまして、一般には、一日八時間とか九時間とかというふうに決まった時間でなく、変則の週四十八時間ないし四週を通じて週平均四十八時間という三十二条の原則があるわけですが、それと同じような労働実態がむしろ一般的かもしれません。ただ、それを例外的に週平均五十四時間ないし一日平均九時間というふうにいたしまして、変則労働の形での時間配分というものはもちろんできることになっております。  ただ、先ほども申し上げましたように、いずれにせよ、昭和二十二年九月制定当時の考え方を私どもは憶測するわけでございますが、その当時の平均的な労働実態というものが、こういった公衆サービスに関連するような業種においては、一般の工場労働とかそのほかのものよりはやや長いという実態を踏まえて、四十条の特例の業種を指定したのではないかというようにも考えられます。  ちょっと監督課長から補足させていただきます。

小粥義朗労働省労働基準局監督課長

○小粥説明員 四十条に基づきます特例は、先ほど基準局長がお答え申し上げましたように、法律に書いてあるような「公衆の不便を避けるために必要なもの」というのがその主たる理由でございますが、それ以外の理由として、たとえば小売商のような場合には労働密度が比較的希薄であるというようなこと、あるいは列車に乗務する車掌なんかですと、業務の性質上八時間の原則によりがたい場合がある。そうした事情も、法律で言っております「特殊の必要あるもの」というような考え方に立って、特例を決めているわけです。  で、看護職員の場合がそれらのいずれに当たるかというのは、いろいろな問題があるところでございましょうが、現在の法律で考えております線からいきますと、もっぱら公衆の不便のためというところでこれが特例として認められたものというふうに考えております。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 時間がなくなりましたので質問はこの辺で打ち切りたいと思っておりますけれども、いまの件は解決はつきませんね。それで、やはり公衆の不便のためであるならば、公衆の不便のためというのであっても、ここに規定する必要はないですね。さっきからお話ししているように、三十二条を生かしていった方がいい、その方がむしろ私は意味があるというふうに考えますから、ぜひこれは撤廃していただきたいというふうに私は考えるわけです。その撤廃についてそういうふうな御意思がおありになるのかどうか、最後に大臣のお考えを伺わせていただいて、質問を終わります。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 長期的な認識から考えましても、労働時間をできるだけ短縮をして、いわゆるワークシェアリングというこういう面からも時間短縮というのは必要でございますが、特にいまのような男女の職場における同権、こういう観点を踏まえて、やはり私は、御趣旨の線――いろいろ御疑問を展開されまして、私もごもっともな御意見だと承りました。それぞれの制度ができるのにはそれ相応の事情があったわけでございましょうけれども、一遍ひとつよく洗い直して、そして時代の要請にこたえ得るような労働時間対策を、婦人の問題ということを中心にひとつ洗い直してみたい、このように思います。

金子みつ日本社会党

○金子(み)委員 よろしくお願いします。  ありがとうございました。(拍手)

越智伊平自由民主党

○越智(伊)委員長代理 この際、午後二時三十分まで休憩いたします。     午後二時二分休憩      ――――◇―――――     午後二時五十二分開議

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  労働関係の基本施策に関する件について、質疑を続行いたします。安島友義君。

安島友義日本社会党

○安島委員 私は、まず、政府の経済政策と雇用のかかわりについて、御質問をしたいと思います。  まず初めに、主として公共事業を中心としての景気浮場対策ということで、政府はいろいろ施策を講じているわけでございますが、この投資効果といいますか、雇用創出はどういうように推移しているのか、これは概数で結構ですから。恐らく一時雇用だと判断いたしますが、どうなっているでしょうか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 公共事業の雇用への効果というお尋ねでございますが、まず一番直接的な建設業におきまして、安定所の新規求人数等が著しく増加をしておりまして、ことしの八月で前年同月に比べて約三割増という状況でございます。また、建設の就業者の数も、本年度に入りましてから月を追って増加しておりまして、八月には五百三十六万人ということで、前年同月に比べまして三十七万人ふえている状況でございます。さらに、製造業の建設関係の関連業種等におきましても求人の増加傾向が見られる等、雇用面にもかなりの効果が生じているわけでございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 そうしますと、一時から見ますと、完全失業者が百四十万を超えたというときに比べますと減ってはいますが、依然としてこの八月の統計では百二十万を超えているわけですが、これはいまの御説明とはどういうような関連を持って見るべきなんでしょうか。その点をお伺いしたいのです。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 お尋ねのように、同じ八月の完失の数字が百二十一万人ということで、依然高水準を続けているわけでございます。結局、その原因につきましては、一つは、造船業等の構造不況業種からの離職者の発生が続いているということ、二番目には、経済が安定成長へ入りまして、企業が経済の先行きについてはっきりした確信が持てないというふうな状況から、新しく投資意欲というものがなかなかわかない、したがいまして、新たに雇用をふやすということに慎重な態度が続いているというふうなことを反映しているわけでございます。そういうことで、御存じのように、政府としましては、造船業等に対する緊急需要の創出を図るとともに、内需の拡大によって景気の着実な拡大を図りまして、雇用の、あるいは失業情勢の改善に努めていこうという考え方に立っておるわけでございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 離職者対策ともあわせまして、昨年から雇用改善、雇用安定事業、そういう制度が発足して、いろいろ皆さんも努力されていると思うのですが、現実に労働省もそうですか、私どもも、雇用安定、雇用拡大への提言というかそういうことよりも、むしろ離職者対策に追い回されているという昨今の状況というのを考えますと、これは、雇用改善事業や雇用安定のための施策の方は余り効果が出ていないと見るべきなんじゃないでしょうか。率直に御見解を伺いたいのです。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 先ほども申し上げましたように、景気の先行きについての確信が経営者側が持てないということから、新しい投資意欲等が非常に鎮静化しているというふうなことで、したがって、新たに人を雇うというよりも、できるだけ労働時間等で対処するとか、あるいは、同じ雇うのでも、常用というかっこうでなくて、できるだけ調整のできるかっこうで対処していこうというふうな傾向が依然として続いておるものでございますから、そういう意味で、たとえば常用的な雇用形態から失業した方についてそれを吸収するというのと、新しく起きておる求人との間になかなか結びつきがいかない、あるいは、現在失業している方が主として製造業等から出た人である場合に、一方において求人の伸びているのが三次産業関係であって、その関係でまたなかなか結びつきにくいとか、そういうふうないろいろな事情によりまして、御指摘のように、雇用は一方においてふえているのですけれども、失業者の方はなかなか減らない、こういう状況にあるわけでございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 私は、これまでの委員会の中で、政府の経済政策というか施策では、仮に実質経済成長率が七%達成されたとしても、雇用創出には余り大きな影響はないということを、現在の産業経済構造上の問題、それから就業者の移動状況の問題、就業者の伸びの割合にその内容が悪くなっているというような問題の具体的な例を挙げて指摘したわけですが、ここで大臣にお伺いしたいのです。  これは、私はただ皆さん方のやり方を批判するというふうなつもりで言っているのじゃないのですよ。やはり本当の労働政策、雇用政策というものを、お題目だけでなくて、本当に人間中心のいわば経済構造、社会構造をこれから考えていかなければ、そういう改革をしていかなければ雇用問題の解決はあり得ないという観点からお伺いするのですが、仮定の話ですが、七%の仮に政府が目標としている成長率が達成されたとしても、雇用情勢には余り大きくよい影響を持たないというように思いますが、その点について御見解を伺いたいと思うのです。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 先ほども局長からお答えをいたしましたが、五十三年度、御承知のように、政府は公共事業を中心に積極的な財政政策を展開しておりまして、現にわれわれの手元に把握しております就業者、雇用者の状況を申し上げますと、就業者の場合は、前年に比較して四十四万人、雇用者の場合には四十万人、現に増加をいたしておるわけでございますし、公共職業安定所の求人を見ましても、建設業あるいは商業、サービス業、こういったところでは非常にふえております。また製造業の場合にも、そのふえ方は少ないわけでありますけれども、これもある程度増勢に向かっておる。前年同月比と比較して、それぞれふえておるというのが現実の状況でございます。全体として、雇用情勢も一部でありますけれども改善の兆しが見えておるということも、これまた楽観は許しませんけれども、事実としてあるわけでございます。  今度の補正予算におきましては、雇用創出を促進する具体的な施策として、特に造船不況に対しては新しい雇用の創出を図るために、補正予算としては相当思い切った内容の施策が盛り込まれておるわけでございまして、海上保安庁の巡視艇を初めとしてあるいは船舶の解撤事業、こういったものも、さしあたり仕事をつなぐという意味において、ある程度の効果を期待できると思うのでございます。それから、いわゆる福祉型産業構造への移行のはしりがすでに出ておるわけでございまして、生活関連部門あるいは社会福祉部門あるいはまた教育関係にも、それぞれ補正予算で相当のものが盛り込まれておるわけでございまして、そういうことによりまして、五十三年度就業者は前年度よりも約八十二万人増加をいたしております。  ただ問題は、先ほど局長からもお答えしておりますように、構造不況業種からの離職者が出ておりますから、ふえる方はふえておるけれども、また離職者として出てくる人たちもおる。したがって、完全失業者は差し引き百十五万人が依然として続かざるを得ない、こういう状態でございまして、やはりお題目でなくて、雇用創出を促進する具体的な方策としては、先ほどもお話し申し上げたような直接的、即効性のある対策としての施策と、それから中長期かかるけれども、福祉型産業構造へ移行するために、雇用の場をそちらに誘導していくという対策、そしてまた、お互い高度の技術を持ち、相当の高い資質と知識を持っている日本の労働者というものが、これからは職場を世界に求めていく、発展途上国に対して、あるいはまた、最近中国との国交正常化がされまして、相当数の技能労働者が中国のそれぞれの産業部門の近代化に直接協力をしていく、こういう雇用の場も期待できると思いますし、現にアルゼンチンからは相当大量の労働者の協力方の申し出がございまして、そういう面を考えますと、企業が世界に准出しておるごとく、日本の技能労働者も職場を世界に求めて共存共栄の道を開くべきではないか、このように考えるわけでございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 私は、いま、雇用対策というのは、質と量の両面からその転換が迫られているという認識に立っているわけです。そこで、この問題については後でまた触れることにいたしまして、これまで構造不況業種を中心とした人減らし、合理化がかなり長期にわたって続いてきたわけですが、最近の特徴としては、企業採算の悪化を理由とした人減らし、合理化という形が、構造不況業種以外の産業、企業の分野においてもふえてきているという傾向が出ているわけです。  そういう点で、私はここでは一つの問題提起として考え方をお伺いしたいのですが、たとえば新日鉄の釜石製鉄所、これは鉄鋼産業も見方によっては構造不況業種という見方も出てきますが、私は本質的には、何も石油ショックから経営が悪くなったというよりも、設備の過当競争が今日の事態を招いた唯一の最も大きな要因だという見方に立っているわけですから、そういう観点で考えますと、新日鉄釜石製鉄所の場合は、百年以上の歴史を持って、地域経済との結びつきがきわめて強く、しかも、これまでの長い歴史の中ではそれなりに相当地域に対しても貢献してきたわけです。ですから、いま経営が悪くなってきたというようなことだけで――少なくとも、新日鉄のような社会的に非常に大きな影響力を持っている大企業が、人員合理化をやるのには、いろいろな理由があると思うのですが、もう尽くすべき手を尽くして、最悪の事態は避けるべきだと思うのです。この点で、地元では、釜石製鉄所の合理化というものをほとんど既定の事実として受けとめているのです。私の調べた限りにおいては、まだ具体的に合理化計画が出されていないというまことに不可思議な話なのですが、地元では市長を初め市民が一体となって、これは大変だということでいろいろ対策を講じている。ここでお伺いしたいのは、労働省では、そういう要請があったのかどうかということを含めて、具体的にこの問題をどういうふうに把握しておられるか、お伺いしたいと思います。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 新日鉄釜石の問題につきましては、地元からも私どもの方にお話がございましたし、会社からも私ども事情を伺っているわけでございますが、その内容はほぼいま先生がおっしゃいましたとおりでございまして、結局、全社的に操業率が低下しているので、需要構造の変化に対応して体質改善を図る必要がある、そういう認識は会社側も持っているわけでございまして、そういう意味の全社的な検討を行っておるのでございますが、まだ結論を出すところまで行っておらない。したがって、釜石製鉄所を含めまして合理化の具体的内容も決まっていないというふうに会社側は言っているわけでございまして、引き続き私どもも会社とよく接触をとって、事情を把握してまいりたいというふうに考えているわけでございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 私も労働組合の幹部を長くやっておりましたが、経営側というのは、どこに聞いても、具体的に公表するまでの間は、まだ決まっていないと言うのが一般的な言い方なんですよ。しかし、具体的にもうそういう動きを察知して、町を挙げて問題視しているということから考えても、組合の方に提案がないとか、まだ検討中だということで労働省が判断しているとすれば、これは非常に大きな誤りだと思うのですよ。  それで、関係組合の方の検討した内容によりますと、すでに日鉄鉱業の釜石鉱業所が合理化案を提示しております。これは来年の三月までに全員解雇ですね。その後は別会社で賃金は八割ぐらいにして、就業者数も現存いる者の半数くらいで、三年に限って操業するというように、事実上もう、釜石鉱業所の場合は、閉山、全員解雇が早晩来ることは明らかだ。  そういう中に、今度は新日鉄釜石製鉄所の合理化問題が、市民の間で非常に話になっている。組合の調べでは、釜石鉱業所と製鉄所の合理化を含めると、推定離職者数は二千百四十三人に上る。家族が四千七百十五人ですから、合計しまして六千八百五十八人。これは関連事業所も含めた数字ですが、地域経済に及ぼす影響もはかり知れないものがあるということから、先ほどから言っておりますように、釜石市挙げて、ぜひ合理化は見合わせてほしいという運動がすでに起きている、こういう状況なのですが、省の方としてはそこまでは具体的に把握してないというわけですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 先ほど御説明申し上げましたように、会社側からいろいろ事情を聞いているわけでございますが、現在までのところ、会社側としましては、合理化の具体的内容等は全くまだ未定でございまして、その方向としても、できるだけ解雇とかそういう問題を出さないようにやりたいという方針で臨んでいる、こういうふうな説明で終始をしているという状況でございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 地元の方からは具体的に何か要請してきましたか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 地元の方からも、先ほど先生のお話にございましたように、地元の地域社会に大きな影響を与える問題であるので、これについては反対であるというふうなお話を伺ったことがございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 それに対して、省としてはどういうように対処すると述べたのですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 会社側からよく実情を調査しまして、その実情に沿って私どもとしても対処してまいりたい、ということを申し上げているわけでございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 まだ会社の方も具体的な合理化計画は詰めが終わってない、こういうような話だと思います。つまり、合理化そのものは進めるが、具体的にどういうようにするかということはまだ決まってない、こういう段階だというふうに解釈していいわけですね。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 合理化に伴いまして、当然ある程度余剰人員というようなものが発生することが予想されるわけでございますが、先ほど申しましたように、余剰人員については社内的に対処して、雇用は維持する方向で検討したいというのが会社側の方針であるというふうに、終始向こう側は説明しているということであります。

安島友義日本社会党

○安島委員 会社の方としてそういう考えだということはわかりましたが、そうすると、省としては、その方向で今後とも具体的な状況を把握しながら対処し、釜石市の地域社会に及ぼす影響が余り大きくならないように対処していくというように考えていいわけですね。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 会社側がそういう方針を持っておりますので、その方向で対処していただくことを期待をしているわけであります。

安島友義日本社会党

○安島委員 期待をしておりますでなくて、積極性がないんじゃないですか。会社自身がなるべく人員合理化を伴うような形にはしたくない――これはどういう形になるかわかりませんが、できるだけ雇用は維持していく考えだと言われているのですから、むしろ、労働省としては、ぜひそういう方向で、地域社会に影響を及ぼすようなことは避けてほしいということを、強く要望すべきじゃないのですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 そういう方向で要望をしております。

安島友義日本社会党

○安島委員 これは近く党の方でも調査団によって調査をする予定ですから、詳しい状況はその後でまたわかると思いますので、きょうはその程度にしておきます。  さらに、先般の新聞報道によりますと、通信機メーカ-の大手である沖電気で人員の一割削減、つまり、希望退職という名において人員合理化が行われるということなんですが、大体あそこの従業員数は一万五千ぐらいですから、約一割としますと千五百名、かなり大きな人員合理化だと思うのです。これは、私自身も電機労連の出身で、顧問をしておりますので、組合の方とも十分連携をとっているわけですが、この問題に対してはいま労使でいろいろと話し合いをされているので、ここでは余り深く問題を申し上げませんけれども、少なくとも、この釜石の場合といい沖電気といい、またこれは、その他の合理化問題が出されているところすべてに共通する問題ですが、一方的に合理化施策が強行されるようなことのないように、少なくとも徹底した労使協議によって結論を導き出すように、さらに、監督官庁としても、そういう点に対しては十分報告を聴取すると同時に、そういう点での対策、指導を強化していただきたいということを強く要望しておきたいと思う。いかがですか。

桑原敬一労働省労政局長

○桑原政府委員 こういった合理化問題につきましては、関係の労使が十分お話し合いをして、円満に解決すべき問題だと私ども考えております。したがって、この問題につきましても、今後の事態の推移を十分掌握しながら、必要によっては私どもとしても適切な対処をしてまいりたい、こういうふうに思います。

安島友義日本社会党

○安島委員 時間の都合がございますので、最後にまた触れることにいたしまして、次に、中高年齢層対策、身障者の雇用対策についてお伺いいたします。  まず、簡潔にお答えいただきたいのですが、再雇用にかかわる各種奨励金制度の実効は、いまの内容なり、今日の社会情勢においては余り期待できないということを私はこの委員会でもしばしば申し上げてきたわけですけれども、現在までのその運用と実績はどうなっているのか、お伺いしたいと思います。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 御指摘の各種の奨励金、助成金等につきましては、毎年その充実を図ってきているわけでございますが、先生もお話しのように、従来必ずしも制度の周知が十分でなかったというふうなこともありまして、活用が十分ではございませんでした。したがいまして、私どもは各種の奨励金、助成金に対する広報資料等をつくりまして、さらに積極的に制度の周知に努めているというのが現状でございます。  今後ともこういう制度が積極的に活用されて、高年齢者等の雇用の安定が図られるように努力をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 そういう抽象的な答弁を求めているのではないのです。具体的に、定年延長奨励金はどの程度の対象者に給付されているのか、中高年齢層に対する再雇用給付金は対象者数はどのくらいで、予算との関係ではどうなっているのかということをお伺いしているのです。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 具体的に申し上げますと、五十二年度における支給実績でございますが、定年延長奨励金が、支給額が二億六千四百万、対象人員が二千六百人、それで予算額が四十七億でございますから、実績率は約六%弱という状況であります。それから高年齢者雇用奨励金は、支給額が二十億三千六百万で、対象人員が十九万九千月人、それで予算額が五十九億でございますので、実績率は三四%という状況でございます。それから、継続雇用奨励金は、支給額が四億四千三百万で、対象人員が八千二百人、予算が八億六千万でございますので、実績率は五一、二%、こういう状況でございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 来年度予算要求でも若干給付金を改定するということだそうですか、それは結構ですが、むしろ、いまでさえも十分に効果を上げていない、つまり予算を相当使い残している。私は、今日の状況の中で、たとえ月一万円でも二万円でも、高齢者を雇用する企業の側からすれば、これは相当大きな意義があると思うのです。にもかかわらず、その予算が大幅に残っているということは一体どうなのか。ですから、むしろ予算の使い残しがないような運用というか、その普及の仕方、どこかに何か指導の欠陥があるのではないですか。その点いかがですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 たとえば高年齢者雇用奨励金等について見ますと、やはり、こういう経済情勢の中で新たに高年齢者を雇うということは、進んではおりますけれども、なかなかはかばかしき状況ではないわけであります。そういう意味で、ある程度、先ほど申しましたように、予算に比べまして三分の一を超える程度の実績を見ておりますが、しかし、これを一層活用するようにするためには、やはりこういう経済情勢の中でも、できるだけ制度の普及徹底と、それから手続等の簡素化、その他の改善を図っていくことが必要じゃないか、こういうふうに考えている次第でございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 企業に対する義務づけとして、中高年齢層の雇用率というものが制定されているわけですが、この状況が必ずしもよい結果が出てないように思います。特に大企業の方が達成率が悪い。こういう問題に対して、どういうようにいままで対策をとってきたのですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 御指摘は、特に高年齢者の雇用率の点だと思うわけでありますが、これにつきましては、結局雇用率を達成するということが私どもの一番重要な課題でございますので、したがいまして、先ほど御指摘もございましたが、定年延長奨励金とか継続雇用奨励金というような助成措置の活用を、制度の周知徹底を含めて図ってまいりたいということと同時に、近く業種別に定年延長推進会議というふうなものを開催しまして、個々の産業が定年延長上抱えているいろいろな問題について、私どもと腹蔵なく話し合うことによりまして、問題の解決促進を進めてまいりたいというふうなことで、定年延長を今後とも進めていくという、この二つを二本柱にして、今後対策を進めてまいりたいと思っているわけであります。

安島友義日本社会党

○安島委員 現在のような、単なる行政指導ということだけでは余り効果は期待できないと私は思うのですが、こういう最も社会的にも責任が大きい大企業の方が、中小企業よりもよくないというこの事実に照らして、思い切った措置をとるべきだと思うのですが、大臣、どう考えますか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 御指摘のごとく、大企業の方が高齢者を雇う雇用率が低いということはまことに遺憾なことでございます。職業安定所を通じまして、雇用計画作成を命じておりまして、そういった報告を踏まえて、強力な行政指導を進めてまいりたい、このように思うわけでございます。  それと同時に、やはり私は、定年延長の問題を積極的に進めていくということをぜひ中高年齢者の雇用対策の柱に置くべきである、これをひとつ強力に今後進めてまいりたい、このように考えているわけでございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 身障者雇用についてお伺いしたいのですが、労働省の五十二年六月調査によりますと、対象企業三万五千五百八十社、雇用者数は十二万八千四百二十九人、雇用率は平均で一・〇九%、法定雇用率は民間の場合は一・五ですから、これを大きく下回っているわけです。これも、さらに産業別やあるいは規模別に見ますと、ここでも大企業の方が雇用率が比較的よくない。一方、法定雇用率に達しない企業からは身障者一人につき月額三万円を納付させるような制度ができているわけです。この方は納付金の集まりぐあいが非常によくて、九九%ぐらい、きちんきちんとお金は納められている。すでに五十二年度で約六十億円に達しているということを考えますと、何かお金を納めさえすれば社会的な義務が免除されているかのようなふうにもとれる。こういうことでは、先ほどの中高年者の雇用率の達成も、そして最も悪条件下にある身障者の雇用率も決して改善されない。私が先ほど思い切った措置をとれと言うのは、納付金を思い切って引き上げるか、あるいははなはだしく雇用率を下回っている企業名は公表するとか、そのくらいの強い措置が必要だと思うのですが、これはどういうふうに考えますか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 まず公表制度の方から申し上げますと、先生御指摘のように、身障者雇用促進法の中に公表という制度が設けられているわけでございます。ただ、先生も御存じのように、この公表制度につきましては、まず法律自体が公表に至るまでの手続を規定をしているわけでありまして、まず最初に、労働大臣が雇用率の未達成の事業主に対して身障者の雇い入れ計画の作成を命ずる、事業主がそのつくった計画を適正に実施しない等の場合にさらにその実施についての勧告をする、この勧告に正当な理由がなく従わないときに初めて公表する、こういうふうな仕組みになっているわけでございまして、現段階におきましては、一定条件の特に大企業を中心としまして、雇用率の未達成でしかも現在採用が進んでいるというふうなところにつきまして、先ほど申しました雇い入れ計画の作成を命ずるということを実施した段階なわけでございます。したがいまして、先ほど申しました手続に従って、今後、その計画の作成を命じた企業におきまして、そういう筋道どおりに運ばないということになりますれば公表というところまでいく、その途中の段階にいまあるわけででざいまして、本来的に、先生も御案内のように、身体障害者の雇用というのは、雇い入れ、かつ、それが継続することが重要でございますので、したがいまして、やはり基本は、事業主側が理解をし、それから自主的な努力をするということに待たない限り、円滑な、継続的な雇用関係というものの維持がむずかしいわけでございます。そういう意味で、いま申し上げましたような身障法でも慎重な手続の上で、最終的に、社会的な一種の制裁措置としての公表に至るということになっておるわけでございます。したがいまして、この段階で直ちに公表するということは適切でもないし、また法的にもできないという状況にあるわけであります。  それから二番目は、納付金の額をもっと大幅にしたらどうかという御提言でございまして、これも先生御存じのように、現在の身障法自体の中に納付金の額の考え方が載っておりまして、その考え方によりますと、結局、本来、納付金の趣旨というものが、身障者の雇用に伴う経済的負担というものの調整という考え方に立っております。そういうことでありますので、法律の規定によりましても、いまの納付金の額の計算については、身障者を雇用する場合に、健常者を雇った場合に比べて特別に必要とする経費というものを基準にして定める、こういうふうに規定されておるわけでございます。したがいまして、いまの法律上の規定、それからその納付金の性格から見まして、現在雇用がなかなか思わしくいかないから、これを飛躍的に増額というふうな仕組みにはなりにくい状況になっておりますので、その点はひとつ御理解をいただきたいと思うわけであります。

安島友義日本社会党

○安島委員 私は、何も無理に納付金を引き上げろとか、企業名を公表しろと言っているのじゃない。皆さん方のいままでのやり方で、具体的な効果が出てくる見通しと確信がおありですかということをお伺いしているわけです。そういうことで現在はこういうふうになっているけれども、逐次改善される見込みだというふうに答えられますか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 先ほど申しましたように、六百五十の企業に対して約一万五千人の身障者を雇い入れるという計画をつくらせておるわけでありまして、これをことしの一月から三月までに命じておりますので、今後もこれらの企業がこの計画に従って雇い入れを続けていく、それに対して私どもがその状況をずっとフォローいたしまして、先ほど申し上げましたような法律の手続に従って、これがそのとおりにいかない場合で必要な場合には勧告をする、勧告にも従わない場合には公表に至る、こういう仕組みになっておりますから、私どもは、この制度が有効に動いて、少なくとも、これらの企業において雇用が促進され、それがまた社会的な波及を持ってくるのじゃないかというふうに考え、また期待をしておるわけであります。

安島友義日本社会党

○安島委員 しばらく様子を見ることにしたいと思います。  次に、労働時間の短縮に関する次官通達についてお伺いします。  これまでに具体的に効果というか、各団体、企業、労働組合あるいは各都道府県、関係官庁、いろいろな指導をされていると思うのですが、好ましい反応は出ておりますか。

岩崎隆造労働省労働基準局長

○岩崎政府委員 端的にお答え申し上げますと、昨年十一月の基準審議会の公労使一致の御意見に基づく労働事務次官通達を五月の末に出しまして、その後、具体的な細かいことにつきましてはまた六月の末に通達をしておりまして、それから約三、四カ月経過しておるわけです。具体的には、中央では産業別の労働時間会議を、いま電機、それからこれから鉄鋼をやりますが、そういうことで進めてまいりますし、それから地方でも、やはり地方の、都道府県でそれぞれ組織しております産業労働懇話会ないし労働基準審議会の場をかりまして、労使に広報、普及ということを一方においてやりますと同時に、基準局、監督署を通じまして、基準審議会の建議で御指摘いただいております過重な時間外労働の削減ないし有給休暇の消化促進、週休二日制の推進という三点でございますが、そのうちの特に前二点につきまして、たとえば三六協定の締結が十分でない、あるいは有給休暇の取得が十分でない、その理由等も調査しての結果を踏まえまして、是正の指導もいま進めておる段階でございます。  また、それが具体的な成果として云々というお尋ねでございますが、その点については、こういうふうにかくかくと上がっているというふうに実績を申し上げ得る段階でないと存じます。

安島友義日本社会党

○安島委員 ここでは、具体的に数字を挙げて質問する時間的余裕がありませんから、大まかに申し上げますが、企業の対応姿勢というのはこの通達とは逆な方向に動いているように思いますが、その点どういうふうに受けとめられておりますか。

岩崎隆造労働省労働基準局長

○岩崎政府委員 あるいは、先生御指摘の点は、たとえば不況産業における経営再建のために、従来の短縮してきた労働時間を少し延ばせとか、あるいは週休二日制を少し削れとか、あるいはまた、多少立ち直りのために時間外労働を多くするとかいうような、具体的な提案が労働組合側になされて、それの折衝をしている段階になっているというような企業があるように、私どもも聞いております。  一般的に、長期的な観点で見て、こういった労働時間短縮が労働者の福祉の向上にもつながり、また雇用の安定あるいは確保、増大にもつながるというようなことで、私ども指導をしているわけでございますが、個別の、そういった一極の経営困難を打開するために緊急避難的なものとして、労使が具体的に話し合ってやっていただいているという面については、短期的に見ますとやむを得ない点もあるのではないか。そういう点につきましては、当該労使の十分な理解と納得の上で推進されることを期待しております。

安島友義日本社会党

○安島委員 経営者を指導する立場にある日経連の幹部や大企業の首脳部が、御承知でしょう、この労働省の通達に対してはきわめて冷たい、と言うよりも、何か現在の情勢というものをわきまえていないかのような論調すら見られている。この物の見方、考え方というのが影響して、今日の非常に差し迫った問題としての、やはり雇用の安定というものが必要な時代であるにもかかわらず、依然として企業中心、採算至上主義というものを基本に据えての雇用対策になっている。ですから、多少忙しいところでも人はふやそうとせずに、むしろ通達とは逆の時間外労働がふえている。それから、休暇等の行使状況も依然として必ずしもいい方には向かっていない。この状況を私は具体的に指摘したわけなんです。  ところで、藤井労働大臣は前の労働大臣と全く同じことを言うのだけれども、労働時間短縮というのは法制化によるものではなくて、やはり労使協議によって漸次これが普及することが望ましいと、たてまえは全くそうでしょう。問題は、現在の産業、経済の構造や、この長引く不況の中で、果たして個々の企業の労使任せ、特に企業間競争が厳しく、わが国の労働組合の組織はほとんどが企業別組織であるということを考えますと、労働組合だけを責められない点もあるのですよ。本来は、あなたが言われたようなことはもっと私どもが強調しなければならない問題ですね。労働組合はもっとこういう問題についてしっかりやりなさいと。しかし、わが国の今日の経済大国、これは福田さんか関係大臣くらいしか経済大国と思っている人はいないと思うのだが、いずれにしてもここまで成ってきたというのは、経済成長が比較的軌道に乗っているときには余り問題が出てこなかったけれども、日本の二重構造とか非常にいろいろな問題を含みながら今日まで来ているようなそういう構造上の問題を考えるならば、今日のこの情勢の中で、労使協議によって労働時間短縮や週休二日制の普及を待つといったら、何年待ったって実現しっこないでしょう。そうして、いまはさらに円高がそのダブルパンチのような形に作用して、そのために、生きていくためにはこうしなければならないというように企業オンリーの考え方でいったら、これはむしろ、皆さん方が考えている方向とは逆にどんどん悪くなる一方ですよ。そういうことから考えても、私は、自主的な労使協議によって普及するのが望ましいけれども、それではとうていできっこない。むしろ海外からの批判が一層高まるばかりだ。公正労働基準にも達しないような状態でどんどん輸出が続けば、そのはね返りが来るのはあたりまえだ。ところが、それに対する反省よりは、国内の企業の動きというものはむしろ逆の方向に動いているのじゃないですか。そういう点から考えて、私はたてまえはわかりますよ、それはあたりまえのことですが、そういうことだけでいいのかどうか。  少なくとも労働省が、各種統計の中で、近年何らかの形で週休二日制が普及されてきた、対象労働者数は約七〇%に上ると言うならば、その時点に立って労働基準法を改正するのが当然なことじゃないのですか。それから、今日の状況において、低成長時代の中では、前に決めたような時間外労働、週何時間の時間外労働はこの範囲ならよろしい、月にはこのくらいならよろしいというのも、仕事を分かち合うというような環境づくりのためにも、そういう時間外労働に対しても現状に照らして改正すべきじゃないか。こういうふうに、労働時間、休日、休暇にかかわるところは、少なくとも統計が示す方向程度の改正に踏み切ることは当然のことではないですか。大臣、どう思いますか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 現状を踏まえ理想の方向へ向かって前進するという、この問題の一つとして、労働時間対策の進め方について御指摘がございました。私も委員の御意見、現状を見ながらいろいろ行政指導をやっておる立場において、十分お気持ちはわかります。  ただ、私から申し上げるまでもなく、労働基準法というのはやはり労働条件の最低を決めて、しかもその施行には罰則をつけておるというものでございますから、労働時間の問題について労働基準法で法律的に一律に決めるということは、これはいかがなものであろうか。  それで、去年の暮れの中央労働基準審議会も、まさに労働組合も参加された公労使一致の建議として、行政指導でやれ、こういうふうに指摘されたのもそのような認識に立たれておると思うのでありまして、また国会においても、五月の下旬の雇用安定に関する決議の場合にも、行政指導によれという御指摘があったわけでございまして、これはやはり、企業、産業の労働時間に対する認識と申しますかあるいは意識と申しましょうか、事実こういったものが違っておるということ、また同時に、この問題については企業のコストに直接関係がございます。これを一律に法で決めていくことによってかえって雇用の場を狭めてくる、こういう危険性があるではないか、このようなことを考える場合、やはり骨が折れても粘り強く行政指導において前進するということ、これが当面われわれに課せられた進むべき道ではないかというふうに思うわけでございます。法律できちんと、最低どこかで決めることができれば一番あっさり、どんぴしゃりといくと私は思うのですが、そこら辺は現時点、現在の不況の状態、産業の構造不況業種と両方の関係とか、ばらつきもありますし、やはり行政指導で当分やることが適当ではないか。  結局、労働時間問題に対しての意見の燃え上がりといいますか、これはごく最近だと思うのです。いままでは労働組合の方もベースアップ、ここら辺には熱心であったけれども、労働時間については余りベースアップほどの熱心さはなかったんではないか。労働生産性の向上というものをベースアップと労働時間とどういうふうに分け合うかということは、これはまさに労使の話し合いにおいて結論を出していただく。それを労働省としては環境づくりをして、行政指導して、適切に時代の要請にこたえていく、こういう方向に当分の間いくのが適当ではないか、このように考えておるわけでございまして、御趣旨の点は私も十分理解いたしますが、やり方については当分の間行政指導でやらせていただきたい、このように考えておるわけでございます。

安島友義日本社会党

○安島委員 最後に、一言申し述べておきますが、私の長い運動体験から言いましても、いまのままではこれは悪くなる一方だ。大臣のお考えは私は理解できるのですが、ちょっと口が悪い話ですが、ようやくその内容がわかったころには大臣はかわる。だから、大臣がだれになろうとも、労働行政というか雇用対策というものが確固とした方向づけがなされなければ、大変なことになるというふうに考えるわけなんですよ。就業者の構造状況を見たならば一目瞭然でしょう。常用雇用者が減り、先ほどちょっと各委員からも出ました、大企業から中小企業に労働者数がどんどん移動している。仕事量が必ずしもないわけではないのです。それが採算至上主義で、どうしてももうからないから、その仕事が移動し、低廉労働者、賃金が低くてまだまだ労働基準法を完全に守り得ないような中小零細企業の方に仕事が移動して、就労者が移動している。そして、少し忙しいところでは主婦労働等によるパート、これはいわば雇用調整の安全弁的な役翻りとして、非常にふえたり減ったり、移動状況がはなはだしいことを見ても、これは一目瞭然でしょう。  こういう中で、やはり社会慣行として正しい労働基準を確立するためにも、正しい慣行を確立するためにも、いまの状態では企業間の本当の競争になっていない、やはり少なくとも同じような状態で企業の優劣というものが正しく判断できるようにすべきであって、企業のひけ目の部分を労働時間の長さや低賃金に依存するという、こういう考え方がある限りは、雇用問題というのはよくなりっこないということを私は強く指摘して、その対策を要望し、関連質問が村山委員からあるそうですから、私は、以上で質問を終わらせていただきます。(拍手)

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 関連して、村山富市君。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 この国会はまさに雇用対策を中心とした国会であると言われるくらいに、深刻な雇用問題が中心に議論されているわけです。その雇用対策は幾たびか申し上げましたが、産業政策あるいは経済政策の前面に雇用対策が出されるべきである。同時に、その雇用対策は何といっても失業の予防が一番大事である、雇用の確保が一番大事である、こういう認識に立って、私は、以下の質問を率直にお伺いしたいと思うのです。  まず造船不況問題についてお尋ねします。  この臨時国会で成立を見ました補正予算並びに五十四年度の新年度予算等々で、官公庁の持つ船舶の発注の予定というものはどうなっていますか。

間野忠運輸省船舶局造船課長

○間野説明員 今般御審議いただきました補正予算におきまして、海上保安庁の巡視船等につきまして百四十二億円計上していただいております。ほかに、小さい船でございますけれども、水産庁の方で四隻ほど、十一億円、合わせまして百五十三億円ほどの官公庁船というものを補正予算に計上していただいております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 来年度、これは見通しですけれども、どの程度が予定されるわけですか。

間野忠運輸省船舶局造船課長

○間野説明員 来年度につきましては、海上保安庁につきまして四百五十六億円ほど要求いたしております。それから、関係方面に一応要求の現状を私どものところで問い合わせておりますが、私どもの方では航海訓練所で練習船の代船を十億円ほど、それから港湾局でしゅんせつ船等を四十三億円ほど、それから文部省で練習船を五億円ほど、そのほか、防衛庁等でも艦艇を要求しておられるというふうに承知しております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 この不況の中でも、とりわけ造船業界の深刻な不況は十分理解をしておるつもりでございますが、それだけに、いまお話がございましたように、運輸省が中心になって、造船業界に対する発油を確保するために御努力をされていることは十分わかるわけでございます。ただ、ここで私は具体的にお尋ねをしたいのですけれども、大分県の臼杵鉄工所、これは御案内のように臼杵市と佐伯市に二つの工場がございます。ここが倒産寸前に見舞われまして、裁判所に更生決定の申請手続をとって、いろいろ紆余曲折はございましたけれども、県や県議会あるいは商工会議所、金融機関、債権者、それから両方の組合等々、挙県一致の体制で何とか更生をさせたい、再建をさせたい、こういう熱意に燃えて努力をしておりましたが、その努力もようやく実を結んで、地元からあるいは石播本社から等々管財人の選出もしていただいて、裁判所も更生手続の開始決定を近日中にされるというふうに聞いておるわけでございます。ただ、更生決定がされても、再建する途上で、御案内のように造船というのは受注産業でございますから、受注がなければ仕事がないということになるので、せっかく関係の各官公庁ともこうした集中的に発注するような計画も立てられておるわけでありますから、こうした会社に対する発注の配慮というものは十分されていいのではないかというふうに思うのですが、どうでしょう。

間野忠運輸省船舶局造船課長

○間野説明員 臼杵鉄工所につきましては、ただいま先生御指摘ありましたように、地元あるいは組合初め関係者の努力によりまして、何とか更生手続開始の決定が得られるという段階に来ておると聞いております。今後再建の案が管財人を中心に練られるわけでございますけれども、御指摘のように、今後の仕事をどのようにとっていくかということが非常に重大な問題になるわけでございます。  われわれといたしましても、造船不況からの脱出の一助になるためにもということで、官公庁船等の予算等についてその増額を関係筋にお願いしておりまして、その点御理解いただきまして、補正予算におきましても先ほど申しましたような額が計上されたわけでございますけれども、何分にも、現在の造船業全般から考えますと非常にわずかな量でございますし、まして、新造船一般につきまして非常に受注の見通しは暗いというのが、現在のなお実情でございます。  たまたまその臼杵鉄工と申しますのは、その名前からもわかりますように、必ずしも造船だけではなくて、機械部門にも強かった中小の企業でございますので、今後仕事を、必ずしも新造船部門だけに限るということではなくて、機械部門、陸上部門あるいは造船におきましても修理部門でございますとか、あるいは今回の補正予算でも認めていただきました船舶の解撤というような分野におきましても、受注に一層の努力をされまして、必要な仕事量を確保されることを希望いたしております。官公庁船につきましては、すでに保安庁からも今年度予算の分が一隻臼杵鉄工の方へ発注されておると思いますし、困難な情勢下で、それ  の建造の努力が続けられておると聞いております。  いずれにいたしましても、仕事量確保のために一層の努力が行われまして、それが実を結ぶことを期待しておる次第でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 臼杵鉄工の実情については、詳しく申し上げなくても十分御理解をいただいていると思うのですが、この調査委員が出した調査書を見ましても、大変条件は厳しいけれども、しかし佐伯、臼杵ともに再建は可能だ、こういう意味の結論を持った調査書が出されておる。その調査書に基づいて更生決定もされると思いますし、管財人も選出されると思うのですね。いまお話がございましたように、単に新造船だけでなくて、たとえば修理部門とか陸機部門とかそういう事業も含めて、何とか再建が可能になるように、あらゆる角度から、運輸省の全面的な御協力を行政指導の中で行っていただきたいということを、特に強くお願いをしておきたいと思うのです。  それからもう一つは、いまお話がございましたように大変厳しい再建計画がつくられていくと思うのですけれども、その再建計画がつくられて再建される途上で、冒頭にも申し上げましたように、できるだけ失業者を出さないということが大前提でありますから、したがって何とか、いま労働省がつくられておりまする制度の中で、たとえば雇用調整給付金とかあるいは関連の下請企業が事業転換をする場合の事業転換資金とか、あるいはまた、どうしても何人かの離職者が出る、こういう場合にはその離職者に対する対策とか、いま持っておる制度を十分活用して、救済が可能になるように最大限の努力をしていただきたいと思うのですが、その点はどうでしょうか。

清水傳雄労働大臣官房参事官

○清水説明員 雇用調整給付金の適用の問題につきましては、御承知のように失業の予防を図るということが最大の眼目でございますので、これが失業者の発生につながっていくようなことになれば非常に好ましくないというふうに思われるわけでございます。  いまお話しのように、会社更生手続の決定というふうな形へ進行してまいるようなことになりますれば、これは企業の維持存続、雇用の維持ということに向けての関係者の努力は、そういう方向へ向けて結集されていくことになると思われるわけでございます。その過程におきましてのいわゆる一時休業ということにつきましても、それに対して雇用調整給付金を交付することによって、失業の予防を図り雇用の維持をしていくということに一つの大きな有力な手段になり得ると考えられますので、そういう方向へ向けて、できるだけ失業者を出さないということについての指導を行いつつ、十分な配慮を行ってまいりたい、このように考えます。  また、事業転換の適用の問題につきましても、事業転換調整事業につきましては造船業及びその関連業ということで、かなり幅広く業種指定を行っておるわけでございまして、ひとつ積極的に活用していただいて、スムーズな事業転換が行われるように、私どもも積極的にこれに御援助を申し上げたい、離職者につきましても同様でございます。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 最後に、大臣にちょっとお尋ねしておきたいと思うのですが、これはたびたび私どもこの委員会でも申し上げておりますが、たとえば運輸省あるいは通産省、そういう関係各省で、それぞれの部門に対する積極的な施策が講じられていく、その場合に、やはり何といっても雇用問題が一番大事ですから、したがって、雇用問題を担当する労働省がそういう関係各省と十分意見の交換をしながら、労働者の立場で雇用を確保されるような努力を十分してもらう必要がある、こういうふうに思うのです。したがって、いまお話しを申し上げておりますように、たとえば再建計画をつくる段階の中で、できるだけ全員が抱えられて、そして再建が可能になるような方途を講ずる必要がある、そのためには、単に運輸省だけの考えでなくて、労働省の立場からも十分意見を出して、そして、協議をしながら雇用が確保されるように努力をしていただきたいというふうに思うのですが、どうでしょうか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 ごもっともな御指摘でございまして、これから再建のために、労働省として雇用の確保、離職者を出さないように努力するという、こういう面において必要な手は打ちたい、このように思いますし、先ほどから、いろいろ運輸省から話が出ておりましたけれども、海上保安庁の巡視艇の問題なんかは、ことしの三月、経済対策閣僚会議で、私自身が、雇用の場をつくるために仕事を新しくつくってもらいたい、考えてもらいたい、こういう積極的な手当てをいたしたわけでございまして、今後とも、やはり、従来のような労働省の労働政策の路線の上だけでなくて、幅広く今後努力したい、関係省庁に十二分に連絡をとっていきたい、このように考えております。

村山富市日本社会党

○村山(富)委員 せっかく厳しい条件を乗り越えて、あらゆる関係団体が一致協力して、すべてのわだかまりを乗り越えて、この際会社更生のために協力をしよう、こういう態勢になっているときですから、その努力と苦労をむだにしないように、十分関係各省で、指導なり助言なり補助なり努力なり、そういうものをしていただくことを心から要望しまして、私の質問を終わります。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 次に、草川昭三君。     〔委員長退席、竹内(黎)委員長代理着席〕

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 公明党・国民会議の草川昭三でございます。  いま大臣の方から、雇用の場をつくるという立場に立って、幅広く他の関係省庁にも呼びかけられるというお話がございましたが、私どもも全くそれは同感でございまして、今日的な、特に雇用という面の意味での労働省の役割りは大きいわけでございますので、ぜひそれは進めていただきたいと思うわけです。  そこで、今度の臨時国会で総理の本会議答弁なんかを聞いておりましても、ことのほか、雇用ということについて非常に強く主張されておるという面があるわけであります。労働省としても、前回通りました法案の審議の中でも、新しい発想を打ち出されてみえるとは思うわけでありますが、問題は、雇用対策基本計画というものを抜本的に見直すべき時期に来ておるわけですし、それから同時に、国の現行の中期経済計画というものがあるわけでございますが、これの計画の見直しということもそろそろ作業に入っておるわけでございますが、その関連について、大臣の見解を賜りたいと思います。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 新しい経済計画が、現在経済企画庁を中心に策定をされております。それに対して、やはりわれわれも、雇用政策の基本を踏まえて、時代の要請にこたえ得る雇用政策が、五十四年度の予算編成において、あるいはまた、その後の施策において十二分に反映されるように努力をいたしたい、このように考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 それから、この七月に、これは労働大臣の諮問機関でございますか、提言が出ておるわけですが「経済環境の変化に対応した労働行政の中長期的課題」という項の中に、第二次産業では、生産性向上というよりも減量経営で、雇用量の拡大が望めない、というような提言があるわけです。そうして、いろいろと大臣として、第三次産業に雇用を誘導しなければいけない、こんな御発言もございますし、それから、たしか本会議での大臣の答弁なんかを聞いておりましても、これからは医療だとか文化だとか教養施設あるいは学術研究など、これは五業種というのでしょうか、新たに人を採用する場合に雇用奨励金というようなものを、奨励金というのですか給付金というのでしょうか、何かそんなようなものを出しながら新しく誘導していきたいというようなことを言ってお見えになるわけでありますが、これは労働省のこれからの大きな柱になっていくわけですか、それとも大臣の個人的な御見解になっておるわけですか、お聞かせ願いたいと思います。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 いま御指摘ございましたように、この不況期におきまして製造業における就業者が停滞をしているというのに対しまして、第三次産業の方では一貫して増加を示しておるわけでございます。そこで、雇用の受けざらという観点から考えますと、二次産業自体も、もちろん今後技術革新その他を図りましてその拡大を図らなければいけませんけれども、当面三次産業の占めるウエートが大きい、こういう観点、とりわけ、いま御指摘がありましたように、医療、社会福祉、文化教育の部門、それから国民生活の質の向上への志向が強まっている、こういうこと、それからこれらの部門は景気変動の影響を受けにくいというふうな、いろいろな角度から見まして、この部門というものに雇用吸収を図ることが非常に意義が大きいのではないかというふうに考えているわけであります。  そこで、これらの部門につきまして、来年度からというふうに考えているのでございますけれども、現在の中高年齢者の雇用開発給付金の支給期間を二倍に延長する、それから年齢につきましても四十五歳未満にも拡大をするというふうなことで、新たな助成を行うというふうなことを検討して現在関係省と折衝中という状況でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 そうすると、五十四年度には現実化するというふうに受けとめてもいいわけでございますね。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 関係省といま折衝中でございますが、何らかの形でこれが実現するように努力したい、こう思っております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 非常に新しい一つの方向だと思うので、ぜひ実現をするようにお願いをしたいと思います。  そこで今度は、少し問題点を変えまして、今度の不況法案の中でも、やはり何といっても中心になりましたのは造船でございますが、企業城下町としての造船対策は、本委員会としても午前に可決をしたわけでございますから、これで動くわけですが、それ以前に、下請の労働君というものの実態は一体どうなっておるのだろうか、下請のときの対策は比較的冷淡で、いよいよ本家が危機になってくるとこのような法律というようなものが出てくる、こういう一つの見方が前々から実はあるわけでございますが、問題をしぼりまして、造船の下請労働者の最近の減少ぶりというものは、どういうようになっておるのかということを一遍お伺いをしたい、こういうように思います。

間野忠運輸省船舶局造船課長

○間野説明員 造船で仕事量がなくなりました影響は、やはり下請の従業員が最も厳しく受けておりまして、昭和五十一年十二月末には六万九千人ほど在籍しておったわけですが、五十二年の年末には五万二千人、約一年間に一万七千人減少しております。ことしの三月末で五万人ということで、さらに二千人ほど減少いたしております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 この前、社会労働委員会で長崎県の調査に行きまして、そこで三菱の長崎造船所の所長に、私はいまの質問をしたわけです。そして、一体その減少した下請労働者がどのような生活をしておるのか、あるいは新しい公共投資にどのように吸収をされておるのか、親会社は知っておるかと言ったら、残念だけれども、非常に興味を持っておるんだけれどもフォローしていないという、こんなような発言がございました。私はそれが本当だと思うのですけれども、一年間に約一万七千人の技術労働者が職を失っておるということは、本来的に言うならば、これは非常に大きな関心を持たなければいかぬことだと思うのです。労働省はそういう点でのフォローは安定所を通じないとわからぬわけですから、技術労働者のフォローというのはできないでしょうね。これはやっておみえにならぬと思うのですが、実は、それをどう生かしていくかというのが後ほどの質問になるわけでございます。ぜひどこかで、業種別には運輸省の管轄になりますし、一般労働者としては労働省の管轄でございますが、ぜひひとつ、別に造船に限りませんけれども、系統的な労働力の流れというものをどこかの役所でつかんでいただきたい。そうしないと、不況の実態あるいは不況から解雇された労働者が、どの産業に移りつつあるかというのがわからぬと思うのです。これはぜひお考えを願いたいと思います。  そこで次の質問になりますけれども、いま造船は、構造不況法案が通り、そしてまた、今度の買い上げ法案というのですか、海造審答申の造船全体で三五%、そのうち大手で四〇%の削減を実施するということが現実化するわけですが、これを実施すると、正直なところ、元請会社はその減少のしわ寄せを下請に置くのではないかと思うのですが、その対策について、特に運輸省の方はどのようにお考えになっておられますか、お聞かせ願います。

間野忠運輸省船舶局造船課長

○間野説明員 私どもの方で雇用対策として何よりも考えられますのは、仕事量を新たに創出するということに尽きるかと思います。御指摘のように、残念なことに、一般的な商船の需要というものはなお今後一、二年間にわたって減少を続けるかと思います。そういうことでございますので、先ほど来申し上げておりますように、まず、官公庁船というものはこの際できる限り増強なり代替していただくということが一つ。それから、これは来年度の要求に私どもの省で掲げておることでございますけれども、一応計画造船の制度をできれば改良いたしまして、このような不景気な時代ではございますけれども、新船を建造したい。できることならば百万総トン程度のものを年間つくるようにいたしたいと考えております。ただ、これが船腹過剰を招くというようなことになると非常にぐあいが悪いことになりますので、この新造船の量に見合うだけの老朽船の解撤もあわせて促進したいと考えております。  それから、これは補正でもある程度認めていただきましたけれども、経済協力による船舶の輸出ということも今後積極的に進めてまいりたいと思っておりまして、海外経済協力基金の予算が補正で増額になっておりますけれども、可能な限り、船舶といったものもこの中に織り込んでまいりたいと考えております。  いずれにしましても、私どもとして当面できることは、仕事量の創出ということによりまして、できるだけ雇用に与える影響を少なくするように努力いたしたいと考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 いまおっしゃるように、雇用の創出をするためにやはり新しい船舶を建造するということは当然だと思うし、そのためには老朽船の解体、そこでまた一つ雇用を拡大していく、こういうことになると思うのです。いまおっしゃいましたように、年間約百万トンの中古船を解撤することによる労働力の需要を、運輸省としてはどの程度の人員になるのかつかんでおみえになりましたら、お知らせ願いたいと思います。

間野忠運輸省船舶局造船課長

○間野説明員 解撤そのものは比較的単純な作業でございますので、雇用の吸収量としては比較的少ないものでございます。でございますから、百万トンいたしましても、年間にして恐らく二千人程度の雇用増にとどまるかと思います。ただ、これが引き金になりまして新造船の仕事が出てくるという意味では、非常に大きなものがあるかと思います。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 いまおっしゃったように、関連のところでこれが非常にふえるので、私どもの非常に興味を持ちますのは、この解撤作業をぜひ成功させたいと思うわけです。解撤をすれば新造船の需要が深まる、こういう一つのルールになっていくわけですが、御存じのとおりに、解撤というのはわれわれ素人が外野席で言うほど簡単ではないわけです。まず場所が必要になります。安全上、公害上、問題になってまいります。当然親会社が設備を提供しなければいかぬ、あるいは解撤をしたスクラップの置き場所の場所が必要になってくる、油が漏れないような公害のフェンスも必要になってくるという、非常に厄介な問題が出てきますし、これは過日も聞いたわけでありますが、通産省の方にも後ほど聞きますけれども、問題は、スクラップの値段というのは非常に上がり下がりがひどいわけですから、損をしたらえらいことになるわけです。元も子もございません。ここらあたりの考え方で、今回の補正予算の中にも船舶解撤促進基金造成補助金というものが出ておるわけでございますが、いわゆる財団の運営のあり方でございますが、運輸省としては、この財団の運営は単なる助成金の交付の財団だというようにお考えになっておるようでございますが、私はそうではなくて、もう少し情報活動だとか、販売活動だとか、長期的な、解撤事業が成功するような運営にぜひしていただきたい、これは要望ですけれども。  それで、今回約三百万トン、百万トンずつ約三年間でございますか、やるわけですが、それの助成金が、今度の補正予算で約二十億プラス民間からの二十億、約四十億出るわけですが、これを使ったら後はどういうことになるのか、中途半端でとにかく解撤作業というのは進んでいくわけですが、任務完了したらもうこれで終わりですよということになるのかどうか、どういうお考えでございますか。

間野忠運輸省船舶局造船課長

○間野説明員 先生御指摘ありましたように、解撤には非常にむずかしい問題が伴うわけでございまして、その一つには、非常に値動きが激しいという面があるわけでございます。そういうことでございますので、今回、年間百万トン、三年間で三百万トン解撤をいたします際に、単年度の補助金というようなことで考えておりますとその運用が非常にむずかしいし、また工事の実施の仕方もむずかしいということでございますので、できるだけいい状態のときに解撤を行う、あるいはいい状態のときに買船を行う、いい状態のときにスクラップを売る、そういうことを弾力的にできるように、三年間分の補助金をまとめてと申しますか、先にいただきまして、これを運用しながら弾力的に補助金を交付していく、そういうねらいで新たな財団を発足させまして、そこに基金を設けて運用してまいりたいというふうに考えておるわけです。  それから、御指摘のように、単に補助金を交付するだけではなくて、船舶解撤に関する指導とか情報の収集、そういうことをやることも非常に結構だと思っておりますし、そういうことは当然やるべきであると思いますが、ただ、解撤を行っていきます当事者にもある程度の責任を持たせませんとうまくいかないというようなこともございますので、たとえば、非常にうまくないことだけ業界に責任を負わせるというような事態は避けたいと考えております。  それから、三年後ということでございますが、御承知のように、一般的に、価格差を補助するというような形はいつまでも続けるべきではないと思っておりまして、この間に、解撤のための手順なりやり方なりあるいは、産業と申しますと言い過ぎでございますけれども、造船に伴う解撤というものが定着するように心がけてまいりたいというふうに考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 三年間の間があるわけですから、何とかこれを成功させたいと思うわけですが、そこでまた、後で運輸省にはお伺いしますが、通産省の方お見えになっておられますので、お聞かせ願いたいと思うのです。  ざっくばらんな話ですが、解撤をしたスクラップを取り扱う業界というのは現実にあるわけですよね。こういう言葉も悪いのですが、海千山千ですよね。どちらにしてもスクラップを安く買いたたく場合、あるいは国際情勢等もあるわけでありますから、それを今度は、これも率直な話ですが、全くの素人が手を出すわけですよね。造船屋という船をつくることができる連中がスクラップを扱うことについてどのようなお考えを持ってみえるか、ひとつ通産省のサイドから、うまくいくのかいかないのか、あるいはうまくいかないとすれば、どういうところを行政なりが支援をすればいいのか、しかも、やる連中というのは大手ばかりがやるわけではなくて、中小がやるわけです。下請がやるわけですよ。しかも国の補助を使ってやるわけですが、その点についての考えを専門的な立場から一回聞かせていただきたい。

岩崎八男通商産業省基礎産業局鉄鋼業務課長

○岩崎説明員 なかなかむずかしい問題だと思っております。特にそのスクラップのコストがどういうことになりますか、それが一番大きなファクターではないかという気がしております。  御承知のとおり、スクラップそのものは、年間日本国では二千四、五百万トンくらいのオーダーの市場でございます。したがいまして、百万トンの解撤船からどれくらいのスクラップが出てまいりますか、数十万トンのオーダーのものというのが、それほど大きな新たなる供給になるというふうには私ども考えておりません。  ただ船の場合に、スクラップに二種ございまして、上級のものというのは、やはり需要者が電炉ではございませんで、伸鉄業界というもう一つ小さな業界に売られることになります。これは値段もいいわけでございますが、しかしそういう伸鉄業界というのは、現在の御承知のような小棒の不況の中で、非常に苦しんでおる業界でございます。したがいまして、量的にもそれほど伸びておりません、むしろ縮小しておりますのですけれども、そういう業界が、どの程度そういう上級くずの方を吸収できるかというのが一つ問題であろうかと存じます。残りの一般くずの方は、そういう二千数百万トンの中での一部でございますので、通常のスクラップの取引で消化していけばいいんではないか。もちろん新規の供給者でございますので、そういう新規の供給者として、需要者との間の連携の強化ということは今後必要になろうかと思います。  スクラップは、原則として一週間くらいしかユーザーに在庫がございません。そういう当用買いを慣例としております。それで、その価格が常時変動をしておりますわけで、この価格をできるだけ安定させることが私どもの願いでもございますのですけれども、やはり現実には数千円オーダーで動いて、たとえば一万八千円のものが二万四、五千円になったり、また二万円を切ったりというような状況でございますので、これが、そう安定した価格が今後とも保持できるかというと、かなりむずかしいんではないか。だから、そういう市況の中でどのように対応するかということではあるまいかと思います。  私どもとしては、本事業の趣旨は十分承知しておるつもりでございますので、そういう需要者との仲介といいますか、需要者と供給者との間の連絡をより密にするようにという面においては、私どもなりの御協力ができるかと思っておる次第でございます。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 いまおっしゃられましたように、国の方針で造船所をまずつぶすわけですよ、四割なら四割、三五%なら三五%、過剰の残ったものを買い上げたりするわけでございますから、そしてまた新造船をつくる、そのためにスクラップをやるというわけですから、一定の方向はとにかく、今日の不況をみんなで乗り切ろうという形で流れていき、その一つの方法としてこの解撤作業というものが出てきたわけですから、その最後の売る場所のところで下手をして失敗をすると、大変な赤字が出るわけですし、すべてがパーになるという可能性があるので、私はいまおっしゃられましたように、通産として、いわゆる伸鉄業界だとかあるいは平電炉業界だとか、そういうところへ造船の解撤作業がうまく流れるように、これはぜひ御指導というのですか、応援というのですか、トータルの意味でのひとつプロジェクトチームなんかを組んでいただいて、誘導してもらいたいと思うのです。  しかも、この前の委員会で私は発言をしたわけですけれども、安定供給をするようなルートというものを、この際、造船から平電炉あるいは伸鉄メーカーというふうに――伸鉄メーカーの方がいまおっしゃられたように材料としては高く売れるわけでありますから、ただ、伸鉄業界も地域的には全国必ずしも造船所の近くにあるわけじゃないわけですから、地域的にどこの通産局あたりが参加をしていただけるかわかりませんけれども、しかも相手は非常に零細企業ですから、わざわざそんなひもつきのものは要らぬと言うかもわかりませんが、そこはやはり押し込んでもらいたいと思うのですよね。しかも押し込んだ製品の価格、小棒なら小棒というものがこれはまた乱れた値段になっておるわけですから、時には王様だと言われたり、時にはこじきだと言われるわけですから、そういう業界にも安定的に材料を、たとえば公共投資なら公共投資のところへ差し込めるようなものの手配をしてもらいたいわけですよ。これをやっていくということは、いま言われたようにもとは百万トンですからね、しかもそれのスクラップはせいぜい四十万トンしか出ないわけですから、四十万トンの中でも、平電炉に回るのが年間四十万トンくらいで、あとは小棒の方へ行くわけですから、その伸鉄材料というのはそんなにたくさんの量じゃないわけですから、そこはひとつ、流れ作業の段階の中で、公共投資には一定の価格というものをある程度――プライスと言うんですか、最低価格はこれだけだからというようなひもつき的なものを認めさせて、公共投資の受注の際に現物支給ができるような体制を考えていただくとするならば、この解撤作業というのは非常に楽に流れて、日本の造船界全体のリサイクルというものが安定的にできると私は思うのです。さすれば、この構造不況法案というのも、今度できたわけですが、そんなに苦労して、労働省の方も解雇された人間をどうするか、どうするかということを心配しなくても、いまの技術者で十分流れ作業ができると思う。だからこれは、運輸省と労働省と通産省が一体になって解撤作業の研究会をつくっていただいたら、まさしく今日的な不況を乗り切る一つの日本のあり方として、私は、労働大臣が世界会議に出ていって発表ができるぐらいの一つの提案になると思うのです。その点について、まず最初に、通産の方が大切だと思うので通産の方のお話を聞いて、大臣の見解をお願いします。

岩崎八男通商産業省基礎産業局鉄鋼業務課長

○岩崎説明員 私どもとしては、片やそういうスクラップ業界というものを抱えております。これはまた、御承知のとおり非常に零細な業界の集まりでございまして、かつ、いろいろな業態に分かれております。そういう中で、平電炉不況をもろにかぶったスクラップ価格の低落、それから、円高による安い海外スクラップの流入等によりまして、くず鉄業界自体が実はいま非常な困難に遭遇しておるわけでございます。そういう中で、もちろん、造船業という非常に重要な産業の現在の困難克服のための対策とはいえ、それを特別に優遇する形をとることがいかがかという、そういう面への配慮もやはりしておく必要があるだろうというふうに考えております。  平電炉業界自体が、先生御承知のとおり、今度の特安法によって一五%の設備処理をしておる業界でございます。したがいまして、もちろん、こういう事業をできるだけ円滑に成功させることが非常に重要であるということは承知しておりますが、そのやり方につきましては、そういう関係する方面への配慮も十分行いながら進めることが必要ではないかというふうに考えております。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 遊休船舶の解撤事業は、しばしばお話を申し上げておるように、今度のこの構造不況業種の中でも、一番厳しい情勢にあると考えております造船不況の対策として、造船の雇用問題として、経済対策閣僚会議で取り上げてもらった一つの問題であります。したがいまして、私は、いま示唆に富んだ御提言がございまして、運輸省と通産省と労働省と、関係局長ベースで、ひとつ今度国会が終わりまして、一遍いい知恵を出してもらうべく相談してみたい、このように考えております。

草川昭三公明党・国民会議

○草川委員 それはもう本当にありがとうございました。これは従来と違った意味で、それぞれの役所の方も関心を持ってみえるわけでございますので、一つの流れとして解撤作業が成功すれば、まさしく雇用をつくり出すという大変大きなことに結びつくわけでございますので、いまの大臣の答弁がぜひ成功するようにお願いを申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。  どうもありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 次に、古寺宏君。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 最初に大臣にお尋ねをいたします。  これから新しく特定不況地域を指定いたしまして、不況対策が進んでまいるわけでございますが、都道府県によりまして、有効求人倍率が全国平均よりも非常に低い都道府県がございます。たとえて申し上げますと、沖繩の場合は〇・〇八倍、高知が〇・一四倍、福岡が〇・二二、鹿児島が〇・二六、青森県は〇・二七、北海道は〇・三一、山口県は〇・四六、こういうふうに、求人倍率が全国平均よりも非常に低い地域がございます。そういう都道府県に対して、労働省としてどういうような不況対策をお考えになっているか、最初に承りたいと思います。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 従来から、雇用情勢の非常に悪い地域につきましては、御案内のように、たとえば中高年齢者の雇用促進特別措置法によりまして、特定地域というようなことで指定をしましてそれに対する特別な対策をやるとか、あるいは御案内の雇用機会の不足地域に対しまして、これを全国で現在百三十一地域指定をしておりますが、そういうところにおきまして、現在保険の個別延長制度というものを五十五歳以上の方についてやっているものを、四十五歳まで年齢を下げて延長措置をとるとか、そのほかのいろんな施策をやっております。  それから沖繩につきましては、御存じの沖繩振興開発特別措置法という特別の法律がございまして、この法律によりまして各種のいろいろな特別の措置をとっておるわけでございまして、たとえば沖繩の復帰に伴いまして、米軍あるいは米国の管理下から解き放されることによって、逆に失業が発生するというような、そういう復帰に伴う失業者に対しまして、就職促進手当の支給その他の特別の措置を行うというふうな、各種の施策をそれぞれ現在までに講じてきているところでございます。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 そういういままでの制度はあるかもしれませんが、特定地域に指定された地域については今回いろんな措置がとられるわけです。ところが、沖繩の場合も、あるいは高知にいたしましても、鹿児島、青森、佐賀県、こういうところには、現在まで不況地域の指定がまだ一カ所もなされていないわけですね。今回のこの指定の網をかぶる地域ができますが、その地域指定を受けない地域の不況というものについても、やはりこういう有効求人倍率の非常に低い地域については何かしらの対策というものを、新たに政府としてもあるいは労働省としても考える必要があるのではないか、こういうふうに考えますが、いかがでございますか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 今回の臨時措置法によります施策の考え方は、これはもう従来からしばしば申し上げておりますように、構造不況業種のいわばどしゃ降り的集中的な影響によりまして、非常にその地域が産業的にも疲弊し、それから雇用情勢も急激に悪化をいたしまして、一種の出血状態みたいな状況でございますから、とりあえず、そういう意味での止血的な臨時の応急対策をとろうということでございます。したがいまして、こういう急激に悪化しているところについて、ある臨時の対策をとったから、直ちに、従来から情勢の悪いところについても新たなものを設けなければならぬかというのは、すぐには直結しないと思いますけれども、しかし、御指摘の御趣旨もよくわかりますので、今度の雇用対策基本計画の改定作業の中で、いわゆる従来からある失業多発地域対策につきましても、一遍見直しをした上で検討させていただききたい、こういうふうに考えておるわけでございます。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 確かに緊急避難的な、出血をしたところに対する応急処置は、これは当然必要でございます。しかし、もう全身が衰弱して大変な状態にある都道府県があるわけです。そういう都道府県に対しては、やはり、そういう重病人に対しては重病人としての医療なり手当てを政府として考えてあげる、こういうことが必要じゃないかと思うので、この点については今後御検討をお願いしたいと思います。  時間がありませんので次に入りますが、実はわが党の大橋議員、平石議員また私、北海道の室蘭市、函館市を視察いたしてまいりまして、現地でいろいろな御要望を承ってまいったわけでございます。限られた時間でございますので、十二分に申し上げることができないのは残念でございますが、その時間の中で幾つかの問題について質問を申し上げたいと思います。  最初に、特定不況地域対策として、函館あるいは室蘭地域に対しまして、どういう大型プロジェクト公共事業を考えておられるか、この点について、通産省と労働省に承りたいと思います。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 御存じのように、特定不況地域の中小企業対策臨時措置法案の中に、公共事業等につきましてこれを重点的に発注するという規定がございます。その規定の運用についても、まだ内容的に具体的に煮詰まっておりませんので、私どもも通産省とよく相談し、またこれは通産だけの問題じゃなくて、建設省その他の公共事業所管官庁全体に絡む問題でございますから、私どもも参加をさせていただいて、できるだけ早い機会にその辺の方針を固めさせていただきたい、このように考えている次第でございます。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 次に、これは函館市、室蘭市でも強く要請があったわけでございますが、北海道の石油備蓄基地の建設につきまして、これを早急に建設をしていただきたい、こういう御要望があったわけでございますが、現在、共同備蓄につきましてどういうふうになっているのか、承りたいと思います。

清滝昌三郎資源エネルギー庁石油部精製課長

○清滝説明員 現在、苫小牧東部地区に石油の共同備蓄の計画が進められておるわけでございますけれども、昨年北海道の方に協力方を申し入れました後、具体的な計画検討が関係企業によって進められてきたわけでございます。ようやく去る十月九日、その関係企業から北海道知事の方に計画書が提出された段階でございます。今後、その計画書につきまして、北海道並びに地元の関係の市町村等によります検討が行われる予定になっておりまして、その結果、地元としてそれが受け入れられるかどうかということが、その段階で回答されるというようなことになっておるわけでございます。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 これは九十日備蓄の一環として備蓄計画があると思うのでございますが、これはたしか五十四年度達成の目標になっているはずでございますが、着工はいつごろでございますか。

清滝昌三郎資源エネルギー庁石油部精製課長

○清滝説明員 ただいま先生のおっしゃいましたように、九十日備蓄計画の一環としてこの計画が進められておるわけでございますけれども、御承知のように、九十日備蓄計画と申しますのは、五十四年度末に九十日を達成いたしますとともに、それ以降につきましても九十日分を維持する、つまり、九十日の備蓄の量は内需量に相応して年々ふえてまいるわけでございますので、五十四年度末の九十日備蓄目標を達成いたしました後も、やはり備蓄量として、備蓄として積み増していかなければいかぬというふうな計画になっておるわけでございます。そういったことで、この苫小牧東部の共同備蓄計画は、もちろん九十日備蓄計画の一環でございますけれども、五十四年度末に必ず完成しなくてはいかぬということではございません。むしろ、その先の積み増しに必要なタンクとして計画されておるわけでございます。  なお、いつ着手するかというお尋ねでございますけれども、現在地元が受け入れをするかどうかということを検討しておる段階でございますので、そのオーケーという回答がなければ着手できないということになりますので、地元の方の検討の結果をお待ちしておるという状況でございます。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 こういうような大型の建設工事が始まるわけでございますが、まだ着工の時期は確定はしておりませんが、こういう建設工事に当たっては、地元の函館ドックですか、こういうような会社をできるだけ活用していただきたい、また、地元の建設業者も優先的に活用していただきたいというような御要望があったわけでございますが、この石油備蓄に関しましては、当然石油公団からの出資もあるわけでございますので、こういう不況対策の面も考えまして工事の発注を考えるべきであると思うのでございますが、そういう点については何かお考えになっておりますか。

清滝昌三郎資源エネルギー庁石油部精製課長

○清滝説明員 ただいまの御趣旨につきましては、地元の方から私どもも要望を受けておる次第でございます。ただ、現実の問題としまして、計画が具体化しますのはかなり先のことであろうかと思います。  それともう一点、その運営につきましては、この主体となりますのが民間企業でございます関係上、技術的な面、その他の要素で検討されるべき点がいろいろあろうかと思いますが、地元との協調ということは重要なことだと思っております。関係企業もそういったことは十分認識しておることと思いますので、私どもも重ねて関係企業にそういった趣旨を申し伝えたいと思っております。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 着工の大体の見通しはまだ立っていないのですか。

清滝昌三郎資源エネルギー庁石油部精製課長

○清滝説明員 地元からの了承の回答がいつ来るかということがはっきりしないと、わからないわけでございますけれども、仮に受け入れの回答がなされましてから、およそでございますが、恐らく一年くらいは土地造成にかかるのではないかと思います。その土地造成が終わりましてから約半年間くらいは、タンクの基礎工事ということで、いわばそれが着工ではなかろうかと思いますが、大体そういう見当で考えております。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 そういうタンクの基礎工事もあるでしょうし、タンクの発注もあるでしょう。そういう面につきましては、ぜひ地元の企業を優先的に取り扱うように、ひとつ御配慮をお願いしたいと思います。  それとあわせまして通産省にお尋ねしたいのですが、工業再配置促進法の地域指定というのがございます。室蘭市は誘導地域の除外都市になっているのですね。これを何とか誘導地域にしていただけないか、こういうような強い要請があったわけでございます。前の指定の時点と現在とでは、内容が全然違うわけですね、非常に不況な状態になっているわけでございますので、こういう点につきましては再検討をして、誘導地域に指定をしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょう。

清滝昌三郎資源エネルギー庁石油部精製課長

○清滝説明員 大変申しわけございませんが、私の所掌にかかわる事項から外れておりますので、ただいまの先生の御趣旨につきましては、担当部局に連絡をいたしますとともに、先生の方にお伺いするような形で処置したいと思いますが、よろしゅうございましょうか。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 それじゃ、本会議が終わってからまた質問がありますので、そのときに担当の方をよこして答弁してください。お願いします。

竹内黎一自由民主党

○竹内(黎)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。     午後四時五十一分休憩      ――――◇―――――     午後五時十六分開議

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。古寺宏君。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 それでは建設省にお尋ねをいたしますが、公共事業の傾斜配分に当たって、東北、北海道はこれから冬期間を迎えるわけでございますが、この冬期間に対してどういうような公共事業の傾斜配分をお考えになっているのか、お尋ねしたいと思います。

永田良雄建設大臣官房会計課長

○永田説明員 東北、北海道等の積雪地域については、冬期間公共事業が一部執行不能になることは御承知のとおりでございます。私どもは、公共事業の傾斜配分につきましては、一般的に、不況法案に基づく地域の指定が確定いたしましてから、関係府県と十分協議をして、どういうところへどういう事業をつけるかということを決めていきたい、かように思っております。ただ、先ほど番いましたように、積雪地域ではなかなか十分施行できないという面もございますので、そこら辺を府県と協議して決めていきたいと思っております。  ただ、積雪地域であってもできる工事はございます。たとえばトンネルの本体工事とか、あるいは護岸工事でも、工場である程度製作をして、それを持っていって護岸に使うという工事とか、あるいは橋梁の下部工などというのは、雪がある程度降っていてもできるわけでございますので、そういうような工事があるという場合にはそれをつけていく、こういうかっこうにしたいと思います。  ただ、かなり積雪が多いところではやはりなかなかむずかしゅうございますので、十一月、十二月の二月くらいでできる小さ目の工事をやるとか、いろいろ手法を変えて対処していきたい、かように思っておるわけでございます。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 そういう、雪を克服するような傾斜配分を考えていただかないといけないと思います。特に、冬期間でもできる工事としては下水道工事があります。下水道工事は非常におくれておりますし、これは大型のものですから、そういう地域に対しては、特に下水道工事を傾斜配分で発注できるような配慮をしていただきたいと思います。  時間がないので大急ぎでございますが、次は、特定不況地域における企業への金融面の問題でございますが、これは大蔵省にお尋ねいたしたいと思います。  今度の特別措置法を見ますというと、いろいろな対策を考えているようでございますが、特に中小企業につきましては、信用保険制度の問題が非常に大きな問題になっているわけでございまして、不況中小企業が金融機関に参ります。そうしますと、信用保証協会の保証を得てきなさい、こういうことになるわけですが、なかなか保証をしてもらえぬ、こういうような事情があるわけです。その内容を調べてみますと、最近は非常に申し込みが多いのですね。申し込みが多いのですが、担保力がないとか、いろいろな理由でもって保証してもらえない。それから、保証協会の方を調べてみますと、非常に代位弁済がふえておる、こういうことで、中小企業の方々が保証してもらうのにも思うようにいかない。今度の特別措置では、てん補率の引き上げが八〇%に特例として行われるようでございますが、これを少なくとも九〇%ぐらいに引き上げるわけにはいかぬか、こういうことを言われてまいったのでございますが、この点についてはどうですか。

岡崎洋大蔵省銀行局総務課長

○岡崎説明員 先生おっしゃいましたてん補率の問題でございますけれども、一般のてん補率が御案内のとおり七〇%、これをいろいろ特別な円高対策でございますとか倒産関連でございますとか、いずれも一〇%引き上げまして八〇%という形で扱ってきておりまして、今回審議をお願いしております法律でも八〇%ということでお願いしております。これは最終的なリスクあるいは損失をどこが負担するかということになるわけでございますけれども、御案内のとおり、保証の仕組みは、保証協会がさらに保険公庫につなぎまして、保険公庫がそれをカバーするわけでございます。保険公庫のカバーと申すのは、損失が出れば一般会計からの出資でカバーしていく、こういう仕組みになっておるわけでございます。この三年間不況が非常に続いておるものでございますから、保険公庫も大赤字でございまして、三年間累計で、ラフに申しまして一千億円の赤字を出しております。これにつきましては、一般会計からてん補しながら繰り回しておるわけでございますので、そういう保険公庫の負担と保証協会の負担とのバランスを考えながらやらなければいけない話でございますので、特例のお話といたしましては八〇%程度でひとつ済まさせていただきたい、このように考えております。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 八〇%にしていただいて、実際に保証の申し込みをした方々が保証をしていただけるように、何かそういう対策はお考えでございますか。そういうような指導なんか行われておりますか。

岡崎洋大蔵省銀行局総務課長

○岡崎説明員 そのように保険公庫の方で受けざらを広げますとともに、主目的は、個々の金融機関が積極的に融賃を行うということでございますので、保証協会の担保の徴求でございますとか、あるいは保証料率のできるだけのサービスということにつきましては、個々の金融機関に対しましても通達等で、行政面で、通産省とあわせ指導を積極的に行っておるところでございます。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 それから、以前に借金をした分の金利は一向に下がらぬ。それから、銀行へ行って融資を申し込んでも、百万円の担保がありますと、六十万ぐらいにしか見てもらえね、そういうことで、実際に銀行へ行っていろいろ相談しても、もう借り入れができないというようなことを、室蘭、函館へ行きましても、中小企業の方々から非常に強く要請されてまいったわけでございますが、そういう点についての配慮はどういうふうに行われておりますか。

岡崎洋大蔵省銀行局総務課長

○岡崎説明員 個々一つ一つの金融取引につきましては、これは金融機関の判断でございますので、なかなか一律にどうこうせいというふうなことを申し上げるわけにはいきませんけれども、いま先生のお話になりました既往の金利が高いということにつきましては、その賞金の性格が運転資金等でございますれば、措りかえの際等に、現在の利率のものに変わっていくということを積極的に指導してもおりますし、また借りかえやすいような金融環境というものを、私どもは全体の政策通常として考えておりまして、できるだけ金融は緩和ぎみに推移するように行っておるわけでございます。  なお、担保につきましても、金融機関としての一つの担保基準あるいは担保評価のメルクマールというのがございますけれども、そこは、個々の企業の業態その他等も十分勘案いたしまして、金融の許す範囲内においてできるだけサービスに努めるようにと、これも指導を積極的にいたしております。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 通産省参りましたので、答弁をお願いしたいのですが……。

河野権一郎通商産業省立地公害局総務課長

○河野説明員 今回、特定不況地域として指定されることになっております室蘭等に対して、工業再配置補助金を交付すべきではないかという御質問であるというふうに承っておりますが、今回両法案に基づきまして指定されることになっております特定不況地域は、いわゆる中核的企業が事業活動が低下しておりまして、そのために地域全般が疲弊をしている、そういう地域でございますので、中核的企業にかわるような新しい代替的の企業をそこに持ってくるということが緊急に必要になっているということは、先生御指摘のとおりでございます。  したがいまして、私ども通産密の方でいま用意しております特定不況地域中小企業対策臨時措置法案では、第八条と第九条に企業誘致のための特別の規定を置いておりまして、そこでは企業導入の促進のための税制上の措置、これは開銀、北棄公庫からの融資が中心となっておりますが、そういった金融上の措置、それから税制上の措置等を講ずることにしております。そのほか、工業開発指導員をこういう地域に派遣をいたしまして、企業誘致に精力的に努めるということを考えておりますし、さらに買いかえ資産の特例、特別償却というような税制上の措置も、私どもとしては講ずることを考えておるわけでございます。  特定不況地域のうちで、工業再配置法に基づく誘導地域の中に入っているそういった特定不況地域につきましては、これらの措置に加えまして、さらに工業再配置補助金のかさ上げ交付を行うことを規定しているわけでございます。  先生御質問の室蘭市等につきましては、工業再配置法に基づく誘導地域になってないということがございますので、工業再配置補助金の交付対象には一応ならないということになっております。ただ、私どもの普通の地域立法で考えられるいろいろな諸施策、先ほど申し上げましたような金融上の措置であるとか、財政上の措置であるとか、あるいは工業開発指導員の派遣だとか、そういう措置につきましては私どもとしては万全のことをやりたい、こういうふうに考えます。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 時間になったんですが、最後に、特定不況地域に対して北海道東北開発公庫としてどういうような不況対策をいままでおとりになっておられるのか、それからまた弾力的な融資の運用を行ってこられたのか、それから利息の問題でございますが、他の制度のような大体六%台の利率まで引き下げることができないのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。

河村次郎社会労働委員会調査室長

○河村説明員 お答えいたします。  このたびの長期にわたります深刻な不況でいろいろ危殆に瀕しております企業、確かにあるわけでございますが、北東地域の開発のためにも非常にこれがマイナスになるということで、私たち非常に重大な関心を持っておるわけでございます。したがいまして、こういうふうな企業の経営立て直しのために、構造不況業種企業及びこれに準じます企業のうちで、赤字会社に対しましては、既往の高い金利の貸付分につきましては、利息の一部免除という軽減措置を行っておりますし、また、貸付元利金の償還条件の緩和というものにつきましても、ケース・バイ・ケースの措置をとっておるわけでございます。  また、今後特定の不況地域内から新たな借り入れの申し込みがございました場合には、融資比率あるいは融資の期間あるいは金利等、貸し付けの条件で可能な限り支援をいたしたいと考えておるわけでございます。  なお、金利につきましては、確かに、北東地域の条件的にいろいろ問題があります地域への進出を助成するために、さらに一般より低い金利が望ましいということで、私たちの方もいま所要のお願いをいたしておるところでございます。

古寺宏公明党・国民会議

○古寺委員 時間でございますので、労働省の問題は次回に質問さしていただきたいと思います。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 次に、和田耕作君。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 大臣、ひとつこういう問題を考えてもらいたいと思うのです。  せんだってある新聞に、日本の優秀な技術の高い造船労働者、これが余っておるとすれば中国が引き受けたいというような記事が載ったことがありました。私は、これは考えてみれば非常にショッキングな記事だと思うのですね。各企業企業今度は四〇%の設備の廃棄をしようというわけですけれども、優秀な技術者とか労働者はできるだけその社で抱えると思うのですけれども、優秀な労働者や技術者だけで仕事ができるわけではありませんから、どうしても過剰になって失業をするような人も、全体から見れば相当数に達すると思うのですね。日本の世界に冠たる造船業というわけで、相当たくさんの技術者があるいは熟練労働者がおるわけですね。こういう人たちの存在というものを考えられて、これは昨年でしたか、倒産した波止浜造船所を見たときに、自分たちに土方をやれと言ったってできるものではないんだ、三日もやると手にまめができて何ともならないという訴えもあったんですけれども、こういう高度な技術あるいは熟練を持っている技術者、労働者諸君を何とかして温存をしていく、あるいは違ったところでその能力を働かせてあげる、そういう面からお考えになったことがあるんでしょうか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 雇用の場を国際的な活躍のチャンスに結びつけていくということは、かねがね検討をさせてもらっておりまして、たまたまいま御指摘の中国の話も、私は非常に興味深くその推移を見守っておりまして、先般中国から帰られた河本通産大臣と早速この問題について話をいたしました。中国は中国で近代化を急いでおるようでございまして、わが方はたまたま構造不況業種で優秀な技能を持った労働者が遊ぶ、こういった状態でありますから、補完関係に十分役立つのではないか。河本通産大臣も、現地でいろんな証をされたのを踏まえて、全く同感である。同時に、先般来経済団体関係者で現地へ行かれた人たちの帰ってこられた報告も、非鉄金属の関係あるいは石炭関係、こういったところも同じような状況でございまして、労働省としてはすでにそういった要請にこたえ得るような準備体制を内輪で整えつつある、こういう状況でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 その問題について私がショッキングだと申し上げたのは、日本に余った人を中国に移していく、これはある程度は必要だし、歓迎すべきことだと思いますけれども、その以前に何とか日本国内でこういう人たちを温存する――という言葉はちょっと語弊がありますけれども、他の仕事に新しい職場を求めさせていく。中国へ送り出すあるいはその他の開発途上国へ送り出すということだけじゃなくて、日本の国内でそういう人たちに新しい職場を考えるとか、そういうふうな目でごらんになったことがあるかどうかということなんです。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 私はつい別の面の答えを申し上げて恐縮でございましたが、いまのお話は当然のことでありまして、そのためには新しい需要を創出せなければならぬ。したがって、そのために海上保安庁の巡視艇関係のいわゆる官公庁船の建造の問題、それから船舶の解撤事業の問題、それとプラントバージの問題、こういったものは、運輸省ないしは通産省と積極的な連絡をとってある程度補正予算にも盛り込まれておりまして、今後も引き続き、そのような技術を十分国内でできるだけ活用していく。ただ、それだけでは問題が解決しない場合、時あたかも中国との関係で、こちらも無理にならない範囲において協力し合える面は協力する、また発展途上国も同じでありまして、そのようなこともあわせて考えているということを申し上げたわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 いまの海上保安庁の必要な警備艇、こういうものは大拡張する必要がある、これは私どもそのとおりに思うのですけれども、こういうことも、言ってみれば臨時の一時的な需要という性質を持っているわけですね。そういうことも必要ですけれども、私、前からよく考えるのですが、これはどういうことになるか。よくいろいろな問題があるのですけれども、先進国で、これぐらいたくさんの航空機の需要を持っている日本で、航空機の生産という問題が本当の修理工場程度のものであって、本格的にはそういうものがない。先進国で日本だけじゃないんですかね。これはアメリカとの関係がむろん現在あると思うのですけれども、こういう問題も積極的に考えていかないと、造船とかあるいは機械工業とか、そういうところの優秀な労働者や技術者諸君が意欲を持って働いていくということがなくなるのじゃないか。アメリカとの間に多少のトラブルはあっても、こういう方面を積極的に開発していくことが非常に大事なことじゃないだろうかと思うのです。そうでないと、高度な国の次第に向上していく労働者諸君が、たとえば韓国とか台湾とか香港とかの後進地域の追い上げに対処していく道というのは、できたいいものを外国へ送り出していくということじゃ、なかなか国として解決できないのじゃないかというふうに思うわけです。そういう問題を真剣に考えてみる必要があるのではないか。  あるいはまた、武器生産ということになりますとこれは非常に問題もありますけれども、日本の自衛隊が使うものを外国から輸入するのじゃなくて、自衛隊が必要なものですから、そういうふうなものは日本で積極的に開発していくというふうなこと、こういうことを言い出すといろいろ反対もあるので、辟易しておると思うのですけれども、私は、造船関係の労働組合諸君に、あなた方がこういう問題を提起しなさいということをよく言うのです。そういう問題を、労働省だけじゃありませんけれども、雇用面から、労働大臣として将来どういうふうにお考えになるのか、これについて御所見をお伺いしたいと思います。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 技術的な研究開発の推進によりまして、新規事業分野を開拓する対策というこの一項目は、実は、私は、雇用創出対策の進め方についての中の大きな柱にしておりまして、この問題はすでに党の方へも話を持ち込みまして、党は党でこれをバックアップしてくれております。この問題は、技術革新を推進をして、その研究開発のプロジェクトが企業化されれば、その暁には雇用の広いすそ野が展開をされる、これはかつて高度成長を遂げた日本の経済の足跡からも、十分考えられるわけでございます。これからは御指摘のYX機、飛行機産業の開発、それから大量高速輸送機械の開発、こういったものについて大いに積極的に推進をしてもらいたい、こういったことを関係省庁に話を持ち込んでおりまして、御指摘の点、私も全く同感でございます。ただ単に福祉型産業構造だけでは――一国の経済を支える支柱というものは、いまのような技術革新に沿うた企業というものが伸びないと、本物の経済の発展といいますか推進はあり得ない。大いにそういった方向に総力を上げる、労働省は労働省としてその点についても強く関係省庁に訴える、このような考えでおります。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 私も、非常にむずかしい問題が内外にたくさんあるということはよく承知しております。いまの問題と関連させて、早速できる分野は、各省庁の持っておる技術の研究機関、いろいろなアイデアがあり、発明とかいうことに通ずるようなものがすでにたくさんあるわけですけれども、これを実際に飛躍的に拡大さしていく、通産省は通産省、あるいは運輸省は運輸省、各省それぞれあると思うのです。労働省だってそういう問題を含めた問題もあると思うのです。そういう問題をまとまったプロジェクトとしてひとつ考えてみたらどうだろうか。こういうことになりますと、これは相当高度な技術者諸君、あるいは熟練労働者の相当の人たちも、そういうところに収容して、新しい職をつくり上げてやっていく。結局、日本の産業というのは非常に高度な、多方面にわたる技術革新というものなしには今後支えていかれないという面がありますから、ひとつ思い切って、そういうふうな投資をすることによって、いまの重化学工業から出てくる過剰になる技術者や労働者を、発展的に活用していくということが必要だと思うのです。そういう目が少し足らないのではないか。  つまり、今度の特定不況地域の臨時措置法のように、直接いま生活問題で困っている人の救済は真っ先に必要です。必要だけれども、これと並んで、せっかくの先進国としての優秀な技術者、労働者諸君の今後の問題を考えるということも、それに劣らず必要な面があるわけなんですね。そういう目から考えてみれば、相当の量の新しい職場というものが出てきはしないか。また、これはやり方によればペイする一つの仕事ということにも考えられるわけであって、そういうふうな面で、そういう過剰になる技術者や熟練労働者を雇用するということが必要だと思うのですが、いかがでしょう。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 御指摘の点は私も全く同感でございまして、これからの技術開発としてよく言われます省エネルギー関係あるいは海洋資源開発の技術開発ということ、あるいは先ほど申しましたような航空機産業、これは相当な技能労働、しかも手先の組み立て作業的な人が相当要るという現場を私もかつて見たことがありまして、航空機産業あたりは、なるほどかつての戦前の状態と環境が違いますけれども、民間航空機ぐらいは日本が十分やれるだけの技術を持っている。しかも高学歴化社会になっておる日本でありますから、高度な能力を持っている労働者の働き場所、職場というものは、いまお話があったような方向へ開拓をしなければ真の解決は確保できない、このように思っておりますから、御意思全く同感でありまして、この方面へも大いに、労働省はいろいろな関係省庁に積極的なアプローチをしたい、このように思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 ぜひともそういう問題について、内閣としての一つの力点みたいなものを置いた政策を、姿勢をひとつとってくださるように――つまり、いまはそういう人たちの雇用問題ということが焦点になっているわけですから、労働大臣としてそういう問題をひとつ提起していっていただきたいと思うのです。  もう一つの問題は、きょう御質問申し上げようと思った問題ですけれども、一般的な雇用不安というものがありまして、これに対して、政府も企業も労働組合も一生懸命努力しているわけです。これは非常に大事なことなんですが、その陰で、身障者とか婦人労働者とかそういう部面で、多少、重要性から言って、その次の次というふうな感じの政策になりがちだと思うのですね。そういう問題についてぜひとも指摘をしておきたいと思うのでございますけれども、その一つの例として身障者の問題ですね。これは法律で義務づけた身障者の雇用の法律があるのですけれども、予想しておったのと現実とはどのようなぐあいになっておるのか、それを一般的でいいですからお述べいただきたい。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 身体障害者の雇用率につきましては、御存じのように法律によりまして、民間について一・五%という法定雇用率が定められておるわけでございます。従来のこの身障法の改正前の状況から見まして、若干率等が今回の場合には落ちている。また、その後、進捗がなかなか思うようにいかないというのが実際のところかと思います。  その原因として、一つは、先般行われました改正におきまして身体障害者の範囲が非常に厳格になって、たとえば厚生省の方の法律に合わせるとか、あるいは厳格な証明を持っていない場合にはこれを身障に計算しないとか、いろいろな面がございまして、そのために落ちているというような問題、あるいは、たとえば銀行なんかが一番いい例でございますけれども、支店、出張所等でそれぞれの単位のところはそう大きくないのですけれども、これは御承知のように、改正身障法では、企業単位で計算することになりますと小さいのは全部足しまして、したがって、雇用しなければならない割合が当然前よりもふえてくるというような、いろいろな事情がございまして、そこへ持ってきて、最近の不況の影響でもって雇用自体がなかなか円滑に進まない、こんないろいろな状況もございます。しかし、何といっても、私どもが当初考えていたよりも、雇用率が上昇するテンポというものは低い、弱いという事実は否定できないというふうに考えております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 この問題は、経済的なベースではなかなか解決できない問題だと思うのですね。達成できないところからは納付金を出さすとかということだけでは、なかなか達成できないのでありまして、社会的な道義感というものをもっと推進の要素として考えてみる必要があると思うのですね。そのためには、現在やっておられるよりは、公表するというあの制度をもっとシビアに活用する必要があるのじゃないかと私は思うのですね、予定に達しないところに対しては。この問題についてはいかがですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 身障法自体の中に公表という一種の社会的な制裁措置みたいなものがあることは、御指摘のとおりでございます。これにつきましては、身障法自体に公表に至る手続的な規定が置かれておりまして、その考え方は、雇用率が未達成で、しかも数も大幅に足りない、しかも現実には新規の人の採用は進んでいる、そういうところについてまず計画をつくらして、たとえば三年なら三年以内に雇用率を達成するための計画を立ててくださいということを、命令として出すという仕組みがございます。その命令に基づいて計画をつくって、その計画が適正に実施されるのを私どもが見ておりまして、それが実施をされない場合には、今度は適正に実施しなさいという勧告を出す、その勧告に、正当な理由がなくて従わないという場合に、公表という制度をやる、こういう仕組みになっておりまして、その基本は、身体障害者の雇用というものも、一般の雇用の問題と同じように継続的な労使の関係でございますから、結局雇い入れ、かつ、これが継続されるということが非常に重要でございますことを考えると、基本は、事業主がこれに対して理解を持つと同時に、自主的に努力をするということですが、その理解と自主的努力というものを、全くそれだけに頼るというのでは、確かに人間社会として心もとない点もございますから、最後のところには社会的な制裁というものも一つ置いておきまして、そういうものを一方のバックにしながらも、基本は先ほど来申し上げておりますような事業主の自覚なり、理解なり、あるいは自主的な努力なりを高めていくということを重視している、そういう考え方にいま立っているかと思うわけでございます。  したがいまして、私どもとしましては、ことしの一月から三月までの間に、約六百五十ぐらいと記憶しておりますが、主として大企業に対しまして、先ほど申しました、まず第一ステップとしての、雇用率の達成のための計画をつくるという作成命令を出しております。これに基づきまして、三月までの間に、それぞれの企業から計画が出されておりますので、これに基づいて各企業が自主的に、法定雇用率を達成するための努力をするということを注視し、ある意味では監視しつつ、その後の状況によってさらに第二弾の勧告をやり、その勧告に従わないならば、こういうふうに、順次手続を踏んでやってまいりたい。  その計画によりますと、約二万五千人くらいの人を、いまの六百五十の企業が、三年程度の間に雇い入れていかなければならぬ、こういうことになるわけであります。そういうことによって、その企業自体が雇用率達成の努力をしてまいると同時に、またそのことが――大企業でございますから、やはりそれぞれの業界のかなり主導的な地位にもありますから、その波及効果というようなものがほかの企業にも及んでいくというふうなことを、私どもはそういう方向で努力もしたいし、また、各企業の努力を期待しているというのが現状なわけでございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 労働省は無論超過達成しておると思うのですけれども、しておりますね。それから、他の役所はみんなやっておりますか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 官公庁につきましても、昨年の六月の調査によりますと、未達成のところも若干ございます。  平均的に言いますと、非現業機関が一・九%の雇用率をかぶっておるわけで、現業機関の場合は一・八%、こういうことですが、実際の雇用率は非現業が一・八三、ちょっと足りませんが、それから現業が一・八%で、これは大体平均としては到達しておるという状況であります。  こういう状況でございますので、私どもは、国なり地方公共団体が率先してこういう制度を守らなければならぬ、こういう立場に立ちまして、各官庁につきましては、私どもの方から直接それぞれの官庁に、現実の数字を見せて達成の努力を要請いたしております。これに基づきまして、最近、それぞれの官庁の法定雇用率の達成状況がかなりよくなりまして、現在のところでは未達成なのは二つか三つ、特に、一遍にたくさんは雇えないものですから、非常に幅の大きかったところがまだ二、三残っておるという状況でございまして、その他はほぼ雇用率を達成しているという状況でございます。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 これは本省並びに地方の諸官公庁、こういうところで達成しないときは、日本のマスコミはこういう問題については非常に大きく協力してくれると思うものですから、かなり積極的に、そういう一般の道義心に訴えるという方法をもっととってもらいたい。これは、よくそういう問題について不満があるのですよ、身障者の会合に行きますと。余り積極的にやってくれないというふうな感じを与えないように、こういう問題について一層の努力をお願いしたいと思います。  最後に、老人クラブなんかに行きますと、老人クラブなんかへ出てくる人はわりあい元気な人で、そして、お金にも余り困ってないという人が多いからなおさらだと思うのですけれども、何とか仕事をしたいというあれがありますね。これは自然発生的にいろいろなあれが出てきているのですけれども、こういう問題で、今後高年齢社会に入っていくということもありますから、労働大臣、ひとつここらあたりで、生きがい問題と関連して、関係の学者諸君とか経験者を合わせた審議会的なものをつくって、総合的に検討してみたらどうかと思うのですが、いかがでしょうかね。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 高齢者社会に入って、お年寄りに生きがいをという問題は、労働省としても重視しております。  すでに、ことしの予算におきまして高齢者雇用開発協会というのをつくりまして、これはまだ具体的に動いておりませんけれども、いよいよ、本格的には五十四年度から動いてもらうような予算措置をいたしたい、このように考えておりますし、現在、高齢者職業相談室、それから高年齢者の労働者職業福祉センターというのもことし十カ所ばかり設置しておりまして、高齢者に対する生きがい対策はこれからますます必要である、十分配慮しなければならぬと思っております。

和田耕作民社党

○和田(耕)委員 きょう、私は婦人問題、民社党の婦人議員がいないものですから、婦人議員のかわりをしておるのですけれども、婦人労働者の問題について御質問しようと思ったけれども、室長さんにお願いすることを忘れておったものですから、これは次の機会にいたします。  ありがとうございました。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 次に、田中美智子君。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 それでは、定年延長をすると言いながら、実際には定年の切り下げが行われているという問題について、質問したいと思います。  ことしの八月の統計によりますと、完全失業者が百二十一万人と、百万人以上の失業者がこれで十九カ月連続しているということは、十分御存じのことだと思います。総理府の労働力調査によりましても、この八月を見てみますと、五百人以上の大企業では、前年同月比、去年の八月と比べまして三十四万人減少しております。それから五百人未満の中小企業では、前年同月比七十万人ふえている。これを見ましても、大企業が人減らしをしているということが、政府の統計でもはっきりと出ているわけです。また民間の統計でも、産業労働調査所の調べによりますと、主要大企業百八十五社、この三月の調査ですけれども、四年間に二十一万五千人という人減らしをしております。一社平均千百六十五人ということになりますけれども、これを見ても、人減らしというのは大企業の責任が非常に大きい。現在の雇用・失業の不安をつくり出しているものはまさに大企業ではないかというふうに、この数字だけを見ても言えるのではないかと思います。  人減らしの的がどこにしぼられているかというと、いまのところは、大企業では中直年労働者にその的がしぼられているということで、中高年の問題が非常に深刻な状態になっていると思うわけです。週刊誌などでもいろいろ特集をしておりますけれども、「中両年受難時代」とか「中高年をいじめるな」というような見出しで、いろいろな特集をしているのを見ましても、何となく、統計を見なくても、一般の人たちも、中高年がひどい目に遭っているという実感は受けているんだというふうに思います。  この一、二カ月の新聞を、大きな新聞だけですがちょっと見てみますと、選択定年制、実質的には定年制を切り下げていくという結果になる選択定年制というのをとっている企業、これが三井物産とかユニチカとか南海電鉄、東洋工業、三井造船、こういうようなところに出てきている。これもほんの一、二カ月ですから、これを見ても、いかに大きな企業が中高年に対してひどい仕打ちをしているかということは、数字の上でも、いろいろな報道の中でもわかるというふうに思います。  その一つの例といたしまして、日本鋼管の京浜製鉄所の実態を少し調べてみました。これはことしの三月三十日の参議院の山中議員の質問で、大臣はいろいろお答えになっていらっしゃるので御存じだと思いますけれども、五十年に六十歳定年に延長をするということを労使で合意しながら、結局、実施の予定日まで決めていながら、実際には実施しないで、すぐにほごにしてしまった。そして改めて出された新特別社員制度という、これも労使で合意したわけですけれども、一年契約で定年を三年延長するということで五十八歳まで、これも実施の予定日まで明らかにしながら、一人も実施しないでやらなかった。ということは、日本鋼管はずっと五十五歳定年できているわけです。ここまでは大臣も御存じだと思います。このときの国会質問、参議院の山中議員に藤井大臣が答えていらっしゃるのは、ちょっと読んでみますと「現在この五十五歳定年制というのは、本当の働き盛りでありまた諸経費が大変かかるときに、長年このやりつけた仕事を離れるということはまさに人生の残酷物語であるというふうに考えております。」というふうに、あなたがおっしゃっていらっしゃるわけです。五十五歳でも残酷物語であると言っていられるわけです。それからもう一つ、一刻も早く定年制が定着するように行政指導を積極的にやっていきたいと、これは三月三十日のこの議事録にあるわけです。五十五歳定年は残酷物語だ、日本国の労働大臣がそう言われるこの実態にもかかわらず、その以後、ことしの七月になりまして、日本鋼管では特別措置という提案を出してきて、いまこれを労使で合意して、実施をしてきているわけです。この特別措置というのは、御存じかもわかりませんが、五十四年の九月から五十五年の九月までに定年を迎える者、だからこの中には五十三歳というのが入るわけです。この人たちが対象になって、約千人以上いると言われています。この千人以上の対象者に対して、すぐ退職をしてほしい、これには、退職をしてくれれば六カ月間八〇%の賃金を保障していこう、退職金も三十万から八十万円を上積みしよう、これは零が一つ足らないのじゃないか、私が間違って言ったのじゃないかと思われるかもしれません。三百万、八百万じゃありません。三十万から八十万上積みしてやろうということなんです。これを計算してみますと、六カ月間八〇%ですと、御存じのように雇用保険が今度はそれの六〇%になりますので、その後退職してからの雇用保険が非常に安いわけですね。そういうことなどを計算に入れて、五十五歳まで働いた場合とこの特別措置の対象になった人、そこで退職させられた人と比べて計算してみますと、五百六十万の差というものがこの二、三年の間に出てくる。こういうひどい、五百六十万というお金を切り捨ててしまうという形で、実質的には五十三歳に定年を切り下げてきている。こういう状態がいまやられているわけです。こういう実態を藤井大臣は御存じでしょうか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 最近企業においては、いわゆる経営の合理化という要請のもとに雇用調整が行われておるという、一般的な事情は私も聞いております。いまのお話でございますけれども、私の承知している範囲では、定年退職後勤務延長等の措置を講じておったのを、厳しい現在の不況情勢だから一応取りやめる、こういったことは耳にしておりますけれども、労働協約に基づいて、特に大企業の場合は、中小企業等と違いまして労働組合自身が相当しっかりしておるし、団体交渉において相当しっかりした交渉が行われておると私は信じておりますから、いまのような一方的な、約束した定年延長をほごにするような措置は、私の知っておる範囲では、そういう事実は認識しておりません。もしそういうことになれば、十分事情を調査しなければならぬと思いますけれども、いまのところ、私の承知するところ、労働協約にもとるような線は出ておらないというふうに受け取っております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 いま大臣は、定年退職後続けて勤務できるということが実施されていたが、それが取りやめになった、こう言われましたけれども、日本鋼管の場合は、定年後に働くということは一度も実施していません。そこのところを正確にしておいていただきたいと思うのです。一度延長したものを戻したわけじゃありません。やるという予定を立てただけであって、一度も延長していないわけですから、そこら辺の認識をはっきりしていただきたいと思います。  そして、労働組合を信ずるから大丈夫なんということをおっしゃっていたのでは、労働大臣は要らないということになります。そういうことになりますので、労働組合がしっかりしているだろうからそんなことはないだろうということではなくて、現に、これはこの七月に提案されてやっているわけなんですね。いま大臣が調査すると言われましたので、早速に、この日本鋼管の京浜製鉄所を調査していただきたいわけです。そして、労働組合に本当にすべて任せ切れるのか――組合のことを言っているわけじゃないのです。組合は組合でがんばるわけですけれども、こういうことをやってきていることに対して、労働省としては責任があるじゃないか。この特別措置というのは、だれでもがやめなければならないわけではないわけですね。ですから、いいように見えるかもしれません。しかし、実際には、三人の職制が一人を呼びつけまして、取り囲んで、やめろ、やめてくれと、言葉遣いはそれぞれの人によって違うと思いますけれども、事実上はこの特別措置でやる、五十三歳でやめなければならないように追い込められていく、そして、お金で計算しても五百六十万の損失をしなければならないように追い込められていくということですね。この面接というのをやっているということ、これは強制ではないですか。大臣、どう思われますか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 まず、前段の問題に一応お答えをいたしますが、定年制の問題、これは私は労使の合意というものが前提だと思うのです。というのは、日本の場合、御案内のごとく終身雇用制であります。そのような労働雇用慣行を踏まえますと、やはり、定年を延長しようという場合は、賃金の体系も労使でコンセンサスを得てもらうということが前提でございます。そこら辺でやはり、労働省としては、一応当面六十歳を目標として労使の話し合いを進めてもらう、こういう環境づくりをやるわけでございますから、そういう面における労働大臣の役割りというのは、それ以上入り込んでいくわけにはいかない、このように思うわけであります。  問題は労働組合、大企業の場合には中小企業よりもより一層団体交渉力のある組織がつくられておるということ、これは私から言わずもがなであるわけでありまして、そういう交渉の過程において話し合いがつかない場合は、これはそれぞれの所管労働委員会において処理してもらう。それが常識外れで余りひどいという場合は、当然労働省は監督行政の立場においてこれに参加する、指導する、こういうことになろうと思うのでありまして、いまの具体的なお話については、一応関係方面と連絡をとって事情を調べてみます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 いま大臣は、環境づくりをするのが大臣の仕事なんだ。その環境づくりというのが、六十歳の方に向かっていくのではなくて、五十五歳から切り下げられる方向に向かっていく、これでどうして環境づくりになるかということです。ですから、この具体的な事実というものは早速調査しまして――面接ということは、みずから自分がやめたいから行くということ、これまで私はとめようとは思いません。しかし、やめたくないのに、それを三人で取り囲んでやめさせるというようなことはないように、この点は十分に御指導をしていただきたいと思います。よろしいですね。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 労働省としては、いまのような事情を調べまして、必要の場合には適切な行政指導をいたしたい、このように考えます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 ちょっとつかぬことをお聞きしますが、大臣のお言葉の中で、何か年功序列とかそういう賃金の問題を言ってましたけれども、その中に、大臣が、人間の能力もやはり五十前後で大体限界に達するわけだというようなことを言っていらっしゃるのですけれども、大臣、お幾つですか。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 私はもうすでに六十の坂を越えております。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 そうすると、大分やはり人間の能力、もう限界をはるかに超えていられるので、ちょっと大臣としての御指導力というのはみずから足らないと思われるのじゃないかと思いますけれども、自分の能力はある、しかし労働者の能力は五十歳になるとないのだから、賃金は引き下げなければ延長できないなんというような、そういうことは、やはり大臣として言うべきことではないと私は思いますので、これは一言ちょっと抗議をしておきたいと思います。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 いや、これはちょっと私の言葉足らずを把握されての御質問だと思いますけれども、一応これはもうお互い言わずもがなでありまして、肉体的な限界とかいろいろなもので人によっておのおの違います。私の申し上げたのは、肉体的な力の限界はある、しかし精神的な面ではいろいろ補い得るわけでございますから、一応もし全体的な能力が年齢によってすべて限界がきてしまうんだというのなら、これは私は訂正をいたします。部分的な話でございまして、肉体的な問題を中心に提言をしたわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 労働者というのは肉体だけで働いているのでありませんので、その点、お間違いないようにしていただきたいと思います。  その次に、いまのような具体的な事例が出てきている、実際には五十三歳に引き下げていく、その中で、今度は、五十歳選択定年制というものを日本鋼管も導入するのだということを、これは新聞報道だけですが、十月五日付の日経で知ったわけですけれども、そういうことがやられている。先ほど挙げました三井物産とかこういうところはもうやっているのですね。日本鋼管だけで見ますと、次々と後退をしていっているわけですね。今度は五十歳に後退していく。  こういう一連の動きを見てみますと、御存じのように昭和四十八年に経済社会基本計画というのが出されまして、これで、五年をめどに六十歳定年制を一般化するのを目標にする、この五年はもう過ぎたわけです。それなのに、実際には足踏み状態になっていますし、この基本計画を受けて雇用対策基本計画が出され、次官通達が出され、そしてことしの五月に、衆議院、参議院では決議もなされている。そうしますと、六十歳定年制というのは国民の総意でもあるわけですね。だから閣議でも決定し、政府も六十歳にやるのだ、国会でも衆参が決議して六十歳にやるべきだ、ここまできているにもかかわらず、実際の個々の企業の中では、少しずつでも進んでいくのではなくて、五十五歳を維持しているどころか、これがむしろ五十三歳になり、そして今度は五十歳になっていく。こういう現状を食いとめなければ、六十歳定年制の環境づくりをする、これが大臣の仕事なんだ、細かい中には立ち入れないのだ、こういうふうにいま大臣言われましたけれども、この環境づくりがどうしてできるのですか。後退するのを歯どめをかけ、これを食いとめない限りは、環境づくりなどにはならないのではないかと思います。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 いまの具体的なお話の点は今後調査をいたしますが、私の承知しているところでは、石油ショック後不況が続いておりますが、定年制の延長は順調に改憲されておる。四十九年前は五十五歳定年制を施行しておったものが半分以上であった。現在は四割台に入ってきておる。そして、六十歳定年を実施されている企業の数が三割ちょっとを上回ってきている。不況の中でも、定年延長は着実に改善されているというのが日本全体の定年延長の姿であります。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 大臣、それは大分おかしいですよ。先ほど言いましたように、経済社会基本計画で五年で一般化すると言ったのが、全然計画できなかったのじゃないですか。いま千人以上の企業では二一%しかできてませんよ。ですから、本当に二年ぐらいの間に一・何%、むしろ大企業の場合には一%もいかないぐらいしか進んでいない。それで順調と言うのでしたら、五カ年計画をやったって全然できない。いま大企業では二一%、これで順調にいっているなんて、これは大臣、勉強不足だと思うのですよ。私は、これは経済白書とか、おたくから聞いた数字で言っているわけですからね。これで順調だなんということはとんでもない。これは老人パワーに大変な目に遭うと思いますよ。老人パワーというより中高年パワーですから、それこそ社会問題化する、社会に大波乱を招く問題じゃないかというふうに思うわけです。  それでこの二つの事例――いいですか、ちょっとこちらを見ていてください。特別措置と五十歳選択定年制、この二つの具体的な事実というものを調査して、絶対に五十歳選択定年制などを導入させないような環境づくりに、全責任を持っていただきたいというふうに思います。  それで、これは大正十三年生まれの方、ですから、大臣は大正四年だったと思いますからまだ大分若い人ですが、この人の手記をちょっと読んでみたいと思います。――ちょっと、いまから勉強しないで、ふだんからやっていてください。(藤井国務大国「いや、いま確かめているのですよ」と呼ぶ)ああそうですか。ちょっと読みますので……。大正十三年生まれの人です。   おれたちのとしの者は本当についてないんだ。敗戦まぢかに徴兵が一年くりあげられて兵隊にひっぱられ、弾丸の下をくぐって、やっと生き残ったと思ったらシベリア抑留さ。   栄養失調で復員して、いなかに少しいたが、長くはいられなくて鋼管に就職した。川鉄五高炉の復興要員だった。工場給食のイモやすいとんをくいながらがんばった。   朝鮮戦争ブームで会社はすごくもうかったが、レッドパージのあおりで職場は暗かった。   それからあとは「合理化」「合理化」で、あおられどおしだ。分塊工場立ち上りの時はヘトヘトに疲れた。その頃は年功序列の賃金で、俺達若い者が世帯をもつのは大変なことだった。池上ができ、水江ができても賃金はさっぱり上らなかった。四十九日ストであの頃は組合もがんばったが、みんな苦しかったなあ。   高度成長の時代に入って、賃金は少しづつ上りはしたが「中庸年層中だるみ」の賃金で、年輩のヒラの連中はあいかわらず苦しかった。   おれたちの苦労で会社は福山に世界一の製鉄所をつくった。その福山で高炉が二本休止しているということだけどふざけた話だ。そして扇島、四十七―八年の人べらしはもこどかったなあ、「横浜は赤字だ」なんて、俺たちのせいみたいにいいやがって、会社は中高年層の追い出しにかかった。組合は、将来の雇用確保のために扇島建設が必要なんだといっていた。定年延長の動きもあって俺は期待もしていたんだが、新特別社員までパーになって、雲行きがあやしくなってきた、と思ったらこんどは「特別措置」で「扇島ができるから定年を繰り上げて退職してくれ」というわけだ。会社のやり方は、ふんだりけったりぢゃないか。 こういう手記を寄せているわけです。こういうのを見ましても、この現状は察していただけると思います。  時間がありませんので、次に進みます。  この日本鋼管の会社が労働者に言う言葉として、会社は人が余っているのだから中高年者にやめてもらわなければ仕方がないのだ、こう言っています。現場の状態というものを聞いてみますと、たとえば夜勤のときに年休を一人がとりますと交代要員がいない。ですから自由に年休がとれないのです。もしこの京浜製鉄所で全員が自由に年休をとったとしたら、六百人の労働者が必要だ、六百人不足しているという、労働者の試算したのが出ています。  それからもう一つ、これは調べてほしいと思うのですけれども、機械を動かしながら交代制でやっていますので、昼御飯を二十五分で食べさせているわけですね。二十五分で食べてすぐ仕事についているわけです。しかし、これは労基法では四十五分ですか、ですからあとの二十分というのは、働いたあとから勝手にどこかで二十分休ませるという形で、労基法に触れないようにしている。ですから、早い人には朝十時に二十五分で昼御飯食べろと言う。こういう状態が起きているということは、ぎりぎりの人数でやっているからこういうことになるわけですね。十時に昼御飯食べるというのはおかしいのです。これはやはり、みんなが昼にきちっと昼御飯を食べて、その後はちょっと休んでというのが当然です。そういうふうにすれば人数はもっとふやさなければならない。  それからL勤というのを御存じだと思います。これは朝七時から夜九時まで働くわけですから、一日に二日分連続して働くわけです。こういうのが月に二、三回ある。これは人間の生活のリズムとは全く相反した、ひどい労働条件だというふうに思うわけです。こういうぎりぎりの極限状態にまで追い詰めた状態で、労働者を働かしている。ですから人間は足らないわけです。それなのに、余っているんだからと言って中高年をやめさせる。そして同じ日本鋼管で、宿山の製鉄所の副所長が、京浜は人が足りないから京浜に行ってもらうと言って、向こうの人をこっちへよこすというような言葉さえ吐いているわけですから、やはりここのところをしっかりと調べていただきたいと思います。  大臣が、一応調べて善処するというふうに言われていますので、もう一つお聞きしたいわけですけれども、中高年法による計画作成命令というのは出したことがありますか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 現在までのところ、出しておりません。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 これはどうして出さないのですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 高年齢者の雇用の問題につきましても、私どもとしましては……(田中(美)委員「簡潔に言ってください、時間がありませんから」と呼ぶ)まず、国会終了後直ちに、業種別に定年延長の推進会議を開始しまして、各業種ごとに、定年延長の阻害要因になっている問題等についてよく産業サイドとも話し合い、組合とも話し合って、先ほど大臣のお話がございましたような定年延長の基盤の整備をやってまいりたいということで、まず先にやって、それから、先ほど身障問題等で申し上げましたけれども、ああいう手続を踏んで、漸次やってまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 第一、計画作成命令を出さなければ点検できないじゃないですか。この三月の山中質問のときにも、十月にその結果が出ているんだ、結果が出ていればすぐ出せるじゃないか、だけれども、そのすぐというのは、十月から三月までの間だから、日にちが短いからまだ出せないでいるんだと大臣は答えていらっしゃるわけです。それからもう半年以上たっているわけですよ。身障者の場合には計画命令を出したと言っていらっしゃるでしょう。全然出さなかったら、身障者のようにいっていますということは言えないじゃないですか。日にちが足らないからまだ出してないんだと三月に言うていながら、一体何年待ったらその日にちが足りるのですか。これはちょっとひどいじゃないですか。

細野正労働省職業安定局長

○細野政府委員 定年延長問題とか高年者の雇用問題は、まさに、その企業における賃金体系の問題あるいは退職金の問題あるいは人事管理の問題、そういうものと総合的に結びついている問題でございますから、そういう条件整備というものと並行して進めなければならぬ、またそれをやらなければ、これが社会的に進むということは困難な状況にあるわけであります。そういう意味で、いま申し上げましたような条件整備をやりながら進めてまいりたいというふうに申し上げているわけでございます。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 大臣、いまの条件整備というのは何を言っているかわからないですね。私が聞いていることは、なぜ計画作成命令が出せないのかということなんです。日本鋼管などは平均の三・九%にも満たないのですよ。目標は六%でしょう。大企業の平均は三・九%でしょう。それよりも少なく、一%ぐらいしかないわけでしょう。そうしたら、著しく下回っているという場合には、この計画作成命令を出せるわけじゃないですか。大企業の場合には職安所長ではなくて、大臣みずからが出さなければならないわけでしょう。そういう意味ではぜひ計画作成命令というものを、調査したものはもうできているわけですから、幾つでも、わかったところから一日も早くどんどん出していってほしい。そうしなければ、中高年というのはどんどん減らされていく。さっき言ったように、大企業のところが失業の不安を社会的につくり出していっている。これは社会問題として大変な問題になってくるというふうに私は思うのです。一日もほっておけない問題だというふうに思うのですね。それをそんなにのんびりとした言い方をするということは、いまの労働者の手記を見てもおわかりのように、この人たちは、まだあと二、三年ある、そこでローンもまだ残っておるし、子供もまだ大学とか高校を出てないんだということで、五十五歳まで計画して設計してきたわけです。それがその前でやられる。大臣でさえ五十五歳は残酷だと言っているのに、五十三歳、五十歳で切られていくということになったら、もう残酷物語以上です。それを環境づくりをするんだというような漠然とした言い方をして、すぐ一年、二年とたっていくじゃないですか。この人たちは切られていくじゃないですか。いま五十三歳の人の人生を考えてみてくださいよ。余りにもひどいじゃないですか。もう時間がありませんが、その点で、私は、大臣に、この計画作成命令というものをすぐ日本鋼管に出していただきたい。先ほど挙げました企業のところも調べまして、もうおたくは調べがついているはずですので、こうした計画の作成命令というのを出していただきたい、そう思います。大臣のお答えをお願いします。――大臣にお願いします。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 いろいろ具体的な例をお調べになっての御質問でございまして、私は、きょう初めていまのような実情を、お聞きした範囲において認識をしたわけでございまして、現在の不況の中、新しい産業構造に対応するために、日本の産業、これは労使ぐるみで模索しておる、そして合理化の線をいろいろ検討されておる。そこにいろいろ立場、立場において見方が違い、またその立場、立場においてより気の毒な人も出てくる。しかしこの問題については、私はいまのお話を具体的に聞きながら、これはやはり企業の実態の一番わかる労使が十分話し合いをする。話し合いができなければ、一応労働委員会というのがあるわけですから、そこら辺で処理してもらおう。そして、その委員会において処理される問題について、労働省が参加しなければならぬかどうか、これはきょうお話を聞きましたからよく調べまして、どういう対応の仕方が最も正しい方法であるか、十分検討させていただきたい、このように思います。

田中美智子日本共産党・革新共同

○田中(美)委員 十分に調べて、早速善処していただきたいと思います。  では、質問を終わります。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 次に、工藤晃君。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) きょうは、午前中から長い時間審議が続行されておりまして、大臣もお疲れでございましょうけれども、私の質問が一番最後でございますので、ひとついましばらくがんばっていただきたい、こう思います。  午前中には、特定不況地域離職者臨時措置法が全党合意の上で委員会を通ったわけでございますけれども、これも、ひいては、その後ろに大変社会的な不況感が強いということを裏づけている証左であると思います。同時に、この前の構造不況業種指定ということに追い打ちをかけて、地域ごとにこういう措置法も臨時的につくっていかなければならぬということは、病気で言えば、より重症な状態になりつつあるということを考えさせられる証左でもあろうかというふうに思うわけでございます。こういう法案は、運用の仕方によっては大変有効であり、仕方がまずいと効果は上がりにくいという点があろうかと思います。  この地域を指定するということについても、午前中から私申し上げましたように、いろいろ将来において真剣に考えながら、十分な情報をとった上で御判断なさらなければならぬ部分がたくさんあるんじゃないか、というようなことを指摘したわけでございますけれども、現在、労働省としましては、こういう全国的な低成長の中でどのような情報をお集めになっていらっしゃるのか、あるいはまたどのような手段でその情報をおとりになろうとするのか、そういう点の具体的な計画があれば、ここで簡単にお答えを願いたいと思います。

石井甲二労働省職業訓練局長

○石井政府委員 私は職業訓練局長でございますが、先生いま御指摘になりましたように、現在の低成長下における雇用問題というものが非常に厳しく、かつ、経済の流れに非常に敏感に動く構造を持っておるということも、確かであろうと思います。そういう情報につきましては、刻々の統計の幾つかの基本的な統計もございますし、また、前に大臣もお話をしたと思いますけれども、業界との接触あるいは労働界への接触を通じまして、具体的な情報の把握に努めているというのが現状であろうと思います。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) もちろん、いろいろな情報はおとりになっていらっしゃると思いますけれども、やはりこういう性質上、できるだけローカルな部分について的確な情報をお持ちにならないと、総体的に、業界全体の動きはどうかとかあるいはまた労働界全体の動きはどうかとか、そういうこともなるほどそれは必要なことなんですけれども、地域における特性というのは非常に顕著に出てきているわけで、それがおっしゃるように生き物でございますから刻々変わるわけで、きのうの情報はきょうは役立たないという、極端に言えばそういうふうなものであろうと思いますので、そういう点についてぜひひとつ真剣な情報をお集めいただかないと、こういうものの法案も、生きた形では運用されにくいのではないかという点を指摘したいと思ったわけでございます。  それから二番目に、病気の場合も、治療よりも予防の方が大切だ、予防にまさる治療なしと言われておりますけれども、確かに、こういうふうな雇用安定事業あるいはまた特殊な臨時措置法を含めて、いろいろな対策をお考えになっていらっしゃいますが、その中の大部分というのは、やはり緊急手当てというか緊急治療の部分に入るのじゃないかというような感じがするわけで、よしんばこの不況地域に指定されない部分においても、大変厳しい状況を抱えながら企業が努力をして、結果的には、現状においてはまだ重症になっていないというような部分もたくさんあるのじゃないかというように考えるわけでございます。  その一例としまして、神奈川県の場合にも、やはり幾つかの構造不況業種の指定を受けている業種がございます。撚糸あるいはスカーフあるいは木工その他、もちろん造船に関連する中小企業の緊迫した状況もございますが、こういう中で、恐らく、条件的には横浜の場合には構造不況の地域指定を受けるとは常識的に思えないのですけれども、たとえばスカーフ産業そのものを地場産業で見ますと、五十二年と五十一年の一月から十二月の間の統計を比べてみましても、数量的には一八・六%落ちている、あるいは金額的にも二一・一%の減少がある。それで、総額では五十二年は百四十五億、五十一年が百八十四億、こういうふうな状況で、その地場産業であります捺染スカーフは、いままで北米に四四%いっておったわけで、これが、円高のために大変打撃を受けているのも事実でございます。そういう中で、企業が、たとえば中南米とか中近東へ新しい市場を開拓するために大変努力をされている、それで何とかこれ以上の落ち込みを防ごうという努力をしておりますけれども、こういうふうな非常に極端な減収、数量的にいっても非常に落ち込んでいるという現状でございます。いまの状況の中では、分業しておりますから、部分的な非常に極端な不況についてはお互いにカバーし合っているので、聞きましたところによりますと、雇用の不安はいまのところは何とか食いとめているんだ、しかしこれ以上続けばどうなるかわからない、こういう状況の中に置かれているわけです。  そこで、いろいろと対策を講じているわけでございますが、こういうふうに、この地場産業一つ見ましても、労働省の方におかれても、こういう部分については恐らく余り注目されていないと思うのですが、そういう部分においても、数字から言えば、こういう危険信号がもう出てしまっているところもあるわけです。こういうことについて、地元では、何とかこういう問題の将来の先行きのために改善をしていきたいというわけで、地方自治体も真剣にその援助をしておりますけれども、その中で、たとえばスカーフの場合には、技術者をイタリアに派遣して高度な技術を習得し直す、あるいはインテリアのそういう部門でもより高度なものを開発していく、こういうふうないわば技術の再開発をするために、技術者をイタリアに送るということについての大変な努力をされておるし、それについては横浜市も援助をしよう、こういうふうな形にいまなっているようでございます。  しかし、こういうことは、逆に言えば、国もこういうことの予防をしていくという立場に立てば、ただ、ああそうか、それは結構な話じゃないかと言って見過ごしていける問題ではないんじゃなかと思うのです。やはり、そういうふうなとにかくこの救済をどうしてもしなければならぬというところへ行くまでに、浮上させられるようないわゆる構造不況の転換を、積極的に一方においては図ってやるという努力が必要なんじゃないか。そうしなければ、こういうものは不況が長引けば長引くほどどんどん救済の範囲も広がりますし、それからまたてこ入れも大変になってくる。だから、一方においては確かにそういうものに対する緊急措置は必要でございますけれども、一方においてはこういう落ち込んでいくものを何とか予防していかなければならぬ。こういうことについても、十分な御配慮を願いたいという考え方を持っているわけでございます。こういうふうに積極的に脱皮していこうというところへは、何らかの形で、ひとつ国もいろんな施策を考えてもらえぬだろうかという考え方から、実は一例を挙げていま言っておるわけで、こういうことは日本全国にいろんな形であろうかと思いますので、ぜひそういうものの洗い直しをしていただきたい。  たとえば、もちろん、この不況の対策として職業訓練の問題が大変問題になっているわけで、きょうの附帯決議の中にも、「公共職業訓練施設の充実強化のほか、専修学校、各種学校、事業内職業訓練施設の活用に努めるとともに、失業者特に中高年齢離職者が早期に再就職できるよう、訓練職種、設備、指導員等について配慮する等実情に即応した職業訓練態勢の確立を図ること。」こういう附帯決議がついておりますが、そういう意味においては、どうも、その職業訓練のいままでの形というのは余り改善されていないのじゃないか。たとえば、こういう急激に訪れてきた構造不況に対する対応がまだまだ不十分なところが多いのじゃないかと思うのです。だから、逆に、たとえばその職業訓練を改めて受け直したところが、卒業して行ってみれば、自分の習得した部分がまた構造不況になってしまっているというのでは、これはもう踏んだりけったりで泣くに泣けない、こういうことも起きる可能性がありはしないかという心配を持っているわけでございます。ですから、たとえば一方においては、こういう地場産業のみずから更生していこうという努力に対して援助を与えると同時に、そういう地域における職業訓練の内容については、そういう地場産業の振興に寄与するという、いわゆる地域特殊性をより導入した職業訓練校のあり方を再検討されたらどうかという提案をきょうはしたい、こう思って、先ほどからるる述べてきたわけでございます。  たとえばスカーフの問題にしましても、横浜には国の経営する公的職業訓練校がございますが、そういう中にもそういうものに対する対応が何もない。しかし一方においては、業界においてはより高度な訓練をさせる、あるいはそういう指導者をつくり上げるというためにわざわざ外国まで勉強にやらせる、こういう努力をしておるわけですが、ただその人だけの技術で終わってはいけないので、その人が持って帰った技術は、多くの方々にそういう場を提供することによって、いわば技術者を養成していく、それによって構造不況からの脱皮を図る、こういう発想は当然国としても持ってしかるべきじゃないか、こう思うわけです。そういう意味においては、もう少し、職業訓練のあり方について地域性と関連を持たせて、なおかつ、構造不況の産業に対してはそれの転換をよりやさしくというか、より改善されるという方向で、職業訓練のあり方というものを至急に検討されたらいかがなものかというふうな感じを持っているわけです。  一つは、そういう技術者を再養成するために海外へ派遣するというような場合には、何らかの国として援助をしてやる、地方自治体もしているのですから、国も考えてやるというようなことが一点と、それからもう一点は、職業訓練校がそういう産業不況構造の転換に積極的に関与していく、こういう方向を至急に考えていただけたらどんなものだろうか、この二点について大臣にひとつ積極的なお答えをちょうだいしたい、こう思うわけでございます。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 厳しい雇用情勢、そして現在進行しております日本の産業経済社会の質的な変化に対応して、雇用政策あるいは職業訓練体制のあり方についていろいろお話がございました。  具体的な例を引かれてのお話でございますが、私は、各企業がやはり海外の新しい技術を導入するためにいろいろ工夫をしている、それを産業政策的見地から応援をする、現に地方自治体はやっている、これに対して国はどう対応するか、この問題については、具体的な提言でございますし、ひとつ十二分に検討さしていただきたい。また同時に、これはこの例に限らず、広く予防的雇用政策として十二分に配慮すべきである、このような御提言でありまして、私も、その点は十分今後に処する方向として受けとめていきたい、このように考えます。  それから職業訓練体制でございますが、局長が参っておりますから、具体的には局長からまた補足説明を願いますけれども、御指摘のとおり、この際、離職者に対する職業訓練体制の重点的、機動的な配慮というのが絶対必要である、そのために先般職業訓練法の改正も願ったわけでありまして、御指摘の点に沿うて、現在職業訓練局において鋭意具体的な政策立案に取り組んでおります。その各論については局長の方からお答えをいたします。

石井甲二労働省職業訓練局長

○石井政府委員 ただいま先生御指摘のとおりでございまして、こういう雇用問題が非常に深刻なことと同時に、いわゆる産業構造が変わってまいりますから、その媒介といいますか、質的な部分を職業訓練が受け持つという大きな役割りを持っているわけであります。したがいまして、この前の国会におきまして法律の改正を行いまして、具体的なニーズに対して機動的に弾力的にやる体制を整えたわけであります。  それから現在の職業訓練の、たとえば雇用促進事業団が行っている訓練校につきましても、職業訓練センターということで、離転職訓練あるいは企業の向上訓練という体制を整えたわけであります。  先生御指摘の問題はそういう問題と関連をいたしますけれども、要するに地域のニーズに対してどういうふうに受けとめていくか、あるいは将来の構造の変化を見通して職種というものをどういうふうに先取りをしながらやっていくか、この二点であろうかと思います。現実には、そういう考え方につきましては私も全く同じような考え方を持っておりまして、現実に訓練校の内容も、毎年、職種を転換をしたりあるいは地域の要望に沿って増設をしたりということを繰り返しておりますし、これをさらに進めたいと思います。  それから将来の職種のあり方あるいは展望につきましては、あるいは職業安定局長から話があったと思いますが、将来の職種の展望を行って、その中で、訓練という立場から、どういう訓練を対応するかという検討を私どもの方でも進めております。  具体的には、職業訓練研究センターがようやく発足いたしまして、そこを中心に、これから地道な、しかも将来の長い目で見た展望を行っている、こういう実情でございますので、御指摘のとおりでございます。さらに、その方向に沿ってまいりたいと思います。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) それでは、各論について局長にもう少し突っ込んでお願いをしてみたいと思いますが、横浜のスカーフ業界では、ぜひとも、そういう新しい技術を持った技術者をたくさん養成していかなければ脱皮できないのだという、強い要求がございます。その一端として、とにかく十名から十五名ぐらいの人を派遣したい、こういうことなんですが、いまも、地域のニーズに対応した職業訓練のあり方を検討してみたいというふうに、具体的にお答えいただいたので、横浜にも高等職業訓練所がございます。そういう関係で、ぜひひとつ、労働省の方から積極的にそういう地場産業の方とお話し合いをいただいて、技術者の養成について、たとえば試験的にでも結構ですが、そういう新しい分野をそういうところに置いて地域性を出してみる、こういう具体的な提案を私はぜひこの機会にして、将来そういうもののいいところをどんどん全国的に波及さしてもらいたい、こう思うわけでございますので、その点について実際にやっていただけるかどうかを、この機会にお答えをちょうだいしたいと思います。

石井甲二労働省職業訓練局長

○石井政府委員 ただいま御指摘になりました横浜の問題につきましては、実は私もちょっと調べてみたのでありますけれども、横浜繊維振興会が、スカーフにつきまして海外に勉強に行くといいますか、新しいデザインその他につきましての勉強に行くという、非常に積極的な考え方でございます。ただ、具体的にどういう仕組みで職業訓練の中に受け入れるかという問題も実はございまして、ぜひ、横浜市あるいは横浜繊維振興会と実情について話し合いをしてみたいというふうに考えております。それによってまた、私どもがどういう対応ができるかも、その検討の中で少し考えてみたいというふうに考えます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) ぜひそれはお願いをしておきます。  それから、残された時間において質問をいたしたいと思いますけれども、この前にも私はお願いをしたのですが、こういう低成長下で、国民の犠牲において公共事業を底上げしていかなければならないという現状、こういう中で、公共事業に関与する企業ぐらいは、身障者の雇用促進法にのっとったノルマくらいは果たしてもらったらどうか、そういうことも果たしてないで、罰金を払いながら公共事業にだけは参加していこうという考え方では、そういう法の精神というものは生かされていかないというふうに私は思うわけでございます。  また、もう一点具体的に指摘したのは、全国でいろいろな形で、そういう福祉の対象になるような方々が自力更生をしたいとしてやっている、一番その方々が求めているものは、みずからの力で生きていきたいということで、そういう切なる願いが込められていると思います。また、それに対して、そういう願いをかなえてあげることが本当の福祉の姿ではないかというふうに考えるわけでございまして、困っている者はただ救済をすればいい、そういう考え方でなくて、みずからの手で生きていく、そういうことに対して力添えをしてあげるという考え方が重要なんじゃないかという点を指摘しながら、逆に、福祉工場、授産所その他、そういうところの方々のつくる製品が、単なる一般市場に流れていくという形じゃなくて、国あるいは地方自治体、そういう公共的なところが消費するであろういろいろなものについて、計画的にそういうところに受注をさせてやって、そういう方々の計画的な生産活動の向上を図っていくというふうなことをお考えになったらいかがでしょうか、こういう提案を私はした記憶がございます。それについては、もちろんいままで関与しておる企業をボイコットして、何でもそういうところに受注をさせてしまえ、こういう考え方ではございませんけれども、しかし、そういう部分の開発をしようと思えば、迷惑をかけない方法で、まだまだ幾らでも開発ができるのじゃないか、こういう点を特に私は改めて強調しながら、こういう不況下において一番あおりを食っていくであろうそういう社会的な弱者への対応を、積極的にこの機会にやってみるお考えはないのかどうか、その点について改めて質問をさしていただきたい、こう思うわけであります。

藤井勝志自由民主党労働大臣

○藤井国務大臣 厳しい雇用情勢のもとでは、弱い立場に立っておられる身障者の雇用問題については、労働省としては格別の配慮をしなければならぬと思います。その主軸は、雇用率制度を中心にしていろいろな施策を従来もやってまいっておりますけれども、一層これが徹底をするように努力をいたしたい。同時に、この問題は厚生省の仕事と協会、両方が相互乗り入れといいますか、一緒の共存するような場面がございますから、厚生省とも十分連絡をとりながら、同時に、いまは各事業主が雇用率制度によってこの身障者を雇い入れるということが労働省の方の対策でございますけれども、ただ、私は、その事業主を一人一人、一カ所一カ所でなくて、事業主が共同して雇用する、こういうことによって身障者だけの職場がつくれぬものであろうか、身障者のいわゆる雇用の場を共同してつくる、こういった考え方も現在内部で検討させております。そういったことになりますと、ちょうど厚生省の授産所と似たような姿になるわけでございまして、そういうようなこともやりながら、同時に事業主の雇用率達成ということもやる。こういったことをあわせて推進し、同時にまた、そこからできた製品については、公共団体においてこれが市場を提供する、購入していく、こういったごとができるだけ配慮されるように、労働省としても考え、また厚生省とも十分連絡をしてこの万全を期したい、このように考えておるわけでございます。

工藤晃新自由クラブ

○工藤(晃)委員(新自) 残された時間がもうございませんので、最後に、私はこういうふうなお願いをいたしておきます。身障者の雇用率の達成、特に公共事業に関与するところあたりはもう当然のこととして、そういうものを達成してからでないと受注ができるというふうにはなれないように、できるだけ具体的に指導してもらいたいということを一点、改めて最後にお願いをいたしておきます。あとは、大臣から前向きな御答弁もちょうだいできましたので、ぜひこれを局長、各論に敷衍化をしていただきたい。これは、こういう身障者の会合へ出ますと必ずと言っていいほど、自分たちが自力更生ができるようにしてもらえぬだろうか、それからまた、特に精薄児の将来についても、親が、もし私が死んだらどうするのだろう、この子はどうなるのだろうというような場合にも、こういうことがそういう中に包含していける問題ではないかという感じを持っているわけでございますので、どうか各論をひとつ具体的にお考えいただき、実行していただきたい。機会があれば、またそのときにどうなっておるかを聞かせていただきます。  きょうはこれで終わります。

木野晴夫自由民主党

○木野委員長 次回は、明後十九日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時八分散会

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