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85回国会衆議院1978/10/13

外務委員会 第1号

発言数
550
登壇者
25
会派数
7
開催日
1978/10/13

会議録

永田亮一自由民主党

○永田委員長 これより会議を開きます。  国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。  本委員会といたしましては、国際情勢に関する事項について調査を行いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永田亮一自由民主党

○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――

永田亮一自由民主党

○永田委員長 次に、小委員会設置に関する件についてお諮りいたします。  先国会どおり、小委員十四名よりなる多国籍企業等国際経済に関する小委会を設置いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永田亮一自由民主党

○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長の選任につきましては、委員長において指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永田亮一自由民主党

○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  小委員及び小委員長は、委員長において指名し、公報をもってお知らせいたします。  なお、小委員及び小委員長の辞任並びに補欠選任に関しましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

永田亮一自由民主党

○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――

永田亮一自由民主党

○永田委員長 日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  まず、政府より、提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣園田直君。     ――――――――――――― 日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の締結について承認を求めるの件     〔本号末尾に掲載〕     ―――――――――――――

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ただいま議題となりました日本国と中華人民共和国との間の平和友好条約の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。  一九七二年九月二十九日に発出されました日中共同声明の第八項において、日中両国政府は、両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるために、平和友好条約の締結を目的として交渉を行う旨合意されたことに従い、政府は、一九七四年十一月以来、中華人民共和国政府との間に、この条約の締結のために交渉を行ってまいりました。交渉は、一九七六年以降は、断続的に進められてまいりましたが、本年七月二十一日より北京において、日本側佐藤大使、中国側韓念龍外交部副部長をそれぞれ首席代表とする両国代表団の間で集中的な交渉が行われ、さらに、八月八日総理の御指示により本大臣が訪中し、中国側政府首脳と会談を行い、その結果、条約交渉は、最終的に妥結し、八月十二日に本大臣と黄華外交部長との間でこの条約の署名調印が行われた次第であります。  この条約は、前文、本文五カ条及び末文から成っておりますが、その概要は、次のとおりであります。  前文においては、日中両国は、両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるためにこの条約を締結するという条約締結の目的が明らかにされております。  第一条においては、日中両国が恒久的な平和友好関係を発展させることを定め、その際の指針となるべき諸原則を掲げております。  第二条においては、日中両国が、いずれも覇権を求めるべきでないこと、また、覇権を確立しようとする他のいかなる国または国の集団による試みにも反対することを表明しております。  第三条においては、日中両国間の経済、文化関係の発展及び両国民の交流の促進のための努力を規定しております。  第四条においては、この条約は、第三国との関係に関する各締約国の立場に影響を及ぼすものでない旨を明記しております。これにより、わが国としては、日米関係を基軸としていずれの国とも友好関係を維持し発展させるよう努力するというわが国外交の基本的立場を将来にわたって確保した次第であります。  第五条においては、この条約の批准、効力発生、有効期間及び終了について定めております。  この条約の締結により、日中両国間の友好関係を一層発展させるための基礎が築かれ、両国間の友好関係が長期にわたり安定的なものとして確保されることは、アジア及び世界の平和と安定に貢献するものと期待されます。  よって、ここに、この条約の締結について御承認を求める次第であります。  何とぞ御審議の上、本件につき速やかに御承認あらんことをお願いを申し上げます。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。     ―――――――――――――

永田亮一自由民主党

○永田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 今回、先輩、関係各位の御苦労の結果、国民各層の長年の悲願である日中平和友好条約が締結されましたことは、私としても大変喜ばしい限りであります。この条約を締結することによって、両国は子々孫々にわたる友好に向けて新しい時代に入るものと私は信ずるものであります。  そこで、お伺いをいたしたいことは、日中新時代を迎えての日本の外交姿勢についてであります。  今回の日中条約の締結に当たっては、中国は日本を意識した中ソ友好同盟相互援助条約を来春には一方的に破棄すると言っております。一方わが国は、中ソ両国を意識した日米安保条約の取り扱いについてはどうなさるのか、まずこのことについて外務大臣にお伺いをいたします。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 中ソ同盟相互援助条約についての中国側の考え方という点は、ただいま井上先生がおっしゃいましたとおりのことでございます。  他方、日米安保条約につきましては、これはいま御指摘のように、中ソ両国を意識したというふうには政府としては認識しておらないわけでございまして、日米間の安全保障条約は、これはどの国ということを特定していない、そういう点では、中ソ同盟条約とは基本的に違う、日本の国防に関する基本的な考え方に基づいて締結された条約でございますので、中ソ同盟条約と日米安保条約とは、いま御質問のような趣旨で関連性があるという認識ではないわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は外務大臣に改めて一言、この点についてはアジア局長のお考えのとおりなのかどうか、そうすれば台湾条項についてはどう取り扱っていくのか、そのことについてお聞きをいたします。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 共同声明の際に、日米安保条約にかかわらず共同声明が出されたと同様、今度の友好条約も、日米安保条約にかかわりなく締結されたものでございます。  極東事項の問題については、局長から正確にお答えいたします。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さすれば、台湾条項については今回の日中条約締結後も何ら変化がないということでございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 従前どおりでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 日中の平和友好条約が締結された以後、わが国のとるべき外交のあり方ということについては、国民はもとより世界の国々も強くこれに注目をいたしておるわけであります。  総理並びに外務大臣は、今後のわが国の基本的外交方針は全方位平和外交であると言われているわけであります。しかし、この全方位平和外交についての政府の説明は、いまひとつ国民がはっきり理解できない説明だと私は思うのです。改めてここで、全方位平和外交とは一体どんなものなのかを外務大臣からお答え願いたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 全方位外交という言葉が適切であるかどうかは別といたしまして、わが国の外交の基本的な方針は、軍事大国には断じてならない、軍事的な脅威は他国に与えない、平和に徹するということが大事であります。しかも、国の大小、遠近、政治形態のいかんを問わずどの国とも友好関係を進めていきたい、こういう趣旨でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いま外務大臣がお答えになられたその三点、確かに外務省の外交青書でもそのことが書かれております。しかし、この外務省の基本的外交の方向という説明の中にも、全方位外交という言葉は一つも書かれていないわけであります。いま言われた、広く世界の国々との間に交流を深めて意思の疎通を図っていくのだ、そして、政治体制のいかんを問わないのだということが全方位外交なのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 総理がお使いになる全方位外交とは、そういう意味であると解しております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それでは、外務大臣が使われる全方位外交とはどうなんですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は、全方位外交という言葉はいままで使った覚えはございませんので、私としては先ほど申し上げた趣旨のことを申し上げております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣は全方位外交ということについて、われわれの質問に対して、わが国がとる外交方針は全方位外交であると総理が言っているから、その命を受けて、その基本方針にのっとって中国と今回折衝に当たったんだということを言われているわけなんです。八方美人的外交ではない、もっと極端なことを言えば、外務大臣は濃淡がそこにあるということを言われているのです。そのとおりですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は、個人の交際にも濃淡があり、遠近があるように、やはりアジアの平和、それから日本の立場、こういうものを考慮しながら友好関係はどこの国とも進めていくが、それは等距離外交あるいは八方美人的外交ではない、このように考えておるわけであります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それでは、中国との距離が短くなり、ソ連との距離が遠くなった、いわゆる中国は濃である、ソ連についてはどうであるか。あるいはその濃淡ということは、言葉を変えれば私は選択ということにもなるのじゃないだろうか。いわば総理は全方位外交だ、一面に置いた全方位外交だ、外務大臣は濃淡のある選択外交だ、このように受けとめてよろしゅうございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 総理のおっしゃることも、私の言っていることも同じだと思いますけれども、ただいまおっしゃいました、中国とソ連の間に濃淡があり、距離が違うということは考えておりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は、全方位外交という言葉が、わが国の外交のイメージを生み出すための作為的な表現であってはいけないということを指摘したいわけなんです。対ソ外交のために、あるいは日中条約を締結するために全方位外交という言葉が使われたとするなら誤りであるということなんです。全方位外交という、答弁としてお答えがないので、そうかもわかりませんが、われわれの指摘する全方位外交をあなたは認めていらっしゃるわけなんです。そういう点について外務大臣からさらに、八方美人的でないということであれば、これはまさに全方位外交でなく、選択的外交であるというふうに受けとめられるのではないでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ただいまの御指摘はそのとおりだと私考えておるわけでありまして、やはり立場立場によって、どこの国とも仲よくしたいという気持ちはありますけれども、現実においては差が、出てきたり濃淡が出てきたりする、現実の相違はある、こういう意味でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 ソ連との距離が変わらないのだ、中国との距離も変わらないのだ、こういうことでございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そのとおりでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それは等距離であるということに理解するのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 重要なる隣国である中国とソ連の間の外交関係に濃淡があってはならぬ、特にこの際はその点は十分留意すべきであると私は考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それじゃ後ほど対ソ外交については触れてまいりますけれども、等距離である、濃淡がないということをここで確認してよろしゅうございますね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 結構でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 国会の中での議論はどうもたてまえに流れやすい。本当の本音というものをこの際、国民の前に明確にすることが、国民の理解する、国民から支持される外交だと私は思うのです。そういう点についても、対ソ外交のあり方というものについては十分明確にしていただきたい。このことについては追って質問をいたします。  私は、さらに、いままでのわが国の外交方針というものが、いわゆる国連中心、アメリカとの協調、アジアの一員としての立場を原則とした外交方針をとってきた。しかし、過去において、何か問題が起こったときに、その問題を解決するために、この三原則だけでは十分な満足のできる結論を引き出せなかった、いわばアメリカに追随する外交であったというのが、いままでのわが国の外交であると思うのです。今回の全方位外交という外交方針はいままでの外交方針と違うのだというところを私は明確にしていただきたい、こういうふうに思うのです。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は不肖ではありますが、就任以来、いま御指摘の点は特に留意をして、大国に対する追随外交であってはならない、やはり地域あるいは隣国、そういうものを考え、世界の平和と繁栄を目的としながらやっていくべきものであります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 日本が中国と条約を結ぶことについては、いま外務大臣は等距離だと言われたけれども、ソ連は、反ソ同盟である、反ソ条約だ、そういう受けとめ方をしているわけです。条約を締結するまでは、条約締結を何とかさせないようにということで、そういう立場をとったということについては、私なりに理解もできるわけであります。しかし今日、締結をした後もなお、さらにソ連が強固な姿勢をとっている。それがソ連にとってどのように作用するのか、むしろマイナスに作用するのだ、私はこのように理解をするのです。しかしながら結んだ後も、その条約はなくならないわけですが、さらに強固な非難をソ連がしておる。この執拗に強い非難を繰り返している真意は一体どこにあるのか、どう受けとめていらっしゃるのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私いささか見解を異にしておりまして、確かに、対立しておる中国と友好条約を締結した上でありますから、ソ連はこれを歓迎してはおりません。しかし、先般、ニューヨークでグロムイコ外務大臣と会った際にも、これに対する説明をし、両方で日ソ関係、友好関係を促進しようという合意をしたところでありまして、締結後、特にソ連の批判が強くなったとは考えておりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 締結後締結前を問わず批判があるということ、これは受けとめていらっしゃるのですね。そして外務委員会では、外務大臣は、しばしば脅迫や恫喝だととられるような行為が見受けられる、こういうように言われているのです。それほど強い非難をなぜソ連が持つのか。私は、ソ連と中国との対立関係というものについてもわが国は冷静に見きわめる、見詰める必要があるということをここで指摘したいわけなんです。そういうことについて冷静に見詰める必要があるのかないのか。当然冷静に見詰めるべきだと思うのですが、外務大臣としてはいかがでしょう。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これはおっしゃるとおり冷静に見詰めるべきでありまして、私は、条約締結前も後も中ソの対立に対する日本の立場はソ連には明確に申し上げておるところでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 中ソの間の軍事情勢は、アジアの平和と安定にとって密接な関係がある、あるいはそのことについては重大な関心を払っていく必要があると思うのです。当然のことではありますけれども、外務省はこの日中条約を締結するに当たって、中ソ間の軍事情勢を十分分析していらっしゃったでしょうね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 できるだけの努力はいたしております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 どのように分析をされていらっしゃいますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 他国に関することでありますから、両国の軍事情勢を私が分析してお答えすることは適当でないと存じます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 中ソ間の軍事情勢は、他国のことである、十分分析していないのだ、外務大臣、本当にそうなんでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私がお答えしたのは、やはり軍事上の情勢もきわめて大事でありまするから、それに対する情報を知ることは大事でありますけれども、その軍事情勢を私がここでお答えすることは適当ではないと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 当面中ソ間で大規模な軍事衝突が起こる公算は少ないとあなた方は分析されていると私は受けとめるのですが、いかがでございますか。そのとおりですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私はソ連でも中国でも指導者の方に申し上げましたが、日本としては中ソの対立が激化しないで緩和の方向に向かうことを希望し、これに向かって努力をしたい、こういう意味のことを正確に申し上げておりますが、私としては、中ソで大規模の火を噴くようなことはないと判断をいたしております。また、させてはならぬのが日本の立場だと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 中国は四つの近代化を推進している、とりわけ軍の近代化を推し進めようとしているということは理解できますね。かつては遊撃戦に重点を置く路線と近代的正規軍の建設に重点を置く路線との闘争が繰り返されてきたわけです。現在は軍の近代化を図るという路線で一致しているのかどうか、この点についてはいかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中国の情勢はどうもそのようだと判断をいたしております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 ところが政府としては、そういう近代化路線で一致しているということはそのうちにまたどうなってしまうかわからない、こういうふうに分析しているのではないでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 予測し得る将来においてそういう変化があるとは考えません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 あなた方の分析によれば、これまで中国軍隊の建設については遊撃戦に重点を置く路線と近代的正規軍建設に重点を置く路線との闘争が繰り返されてきておる、しかし、現指導部が重視している軍の近代化が、単に技術面のみを追求していくような場合には、かつて彭徳懐粛清の際に見られたごとき論争が再度生ずる可能性は否定できない、このように分析されているはずですが、いかがなんでございましょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いまおっしゃいましたのは防衛庁の方の判断かもわかりませんが、私は、中国よりむしろこれを取り巻くヨーロッパの国々等の外相等と話をした結果、その論争が激しくなるようなことはあり得ない、一本の方向に向かって近代化は進められている、しかも私が感じましたことは、中国の軍の近代化は防御ということを重点に置いてやっておるな、こういう判断をいたしております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 軍事力の上では中国とソ連とのギャップは大きいと私は思うわけなんです。地上軍の兵力配備あるいは海軍力、空軍力、核戦力それぞれについてどうなっているのか、ここでお聞きしたいわけですけれども、時間がありません。そこで一点、空軍力についてはどうなっているのかをひとつお聞かせを願いたい、こういうふうに思います。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○伊藤(圭)政府委員 諸種の資料から判断いたしますと、空軍力につきましては中国は作戦機を約六千機持っているようでございます。それからソ連の方が同じく作戦機という範疇に入るものが八千六百機程度でございます。ただ、この内容からいたしますと、中国のいわゆる空軍機といいますか、飛行機の機種はかなり古いものだというふうに判断いたしておるわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務省もそのように理解をしていらっしゃいますか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 いま防衛庁の分析しておられるように認識しております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 しかし、あなたたち、いわゆる外務省に私は、政府統一だと言えばそうかもわかりませんけれども、「中国は七一年以降にミグ19を改良したF9を自国設計により生産したが、エンジン設計上の欠陥により昨年度生産を中止した。またミグ21の生産も七二年度、同じくTU16の生産も七五年に中止する等、中国の航空機生産は頭打ちの状態である。」こういうことを分析されているのです。このとおりでよろしゅうございますか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○伊藤(圭)政府委員 ただいま申し上げましたように、中国の飛行機というのはかなり古いものでございまして、いま先生がおっしゃいましたようにF1という飛行機の建造に着手いたしましたが、これは必ずしも成功したかどうかはわかりませんけれども、現在では打ち切られているようでございます。したがいまして、飛行機の性能の面からいきますと、これは断然ソ連の方がすぐれているというふうに考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらにお尋ねをしたいのですが、では、中ソの国境付近のソ連の航空基地は一体どうなっているのでしょうか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○伊藤(圭)政府委員 このソ連側の航空基地がどこにあるかというのは、これは私どもにははっきりわかりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 地下式になっているのではないのですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○伊藤(圭)政府委員 この航空基地というのは地下式になっているということが一応常識的には考えられるわけでございますけれども、どこにそういうものがあるかということは確認しておりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 そんなことをここでおっしゃるなんていうのは非常に不謹慎だと思うのです。ちゃんとあなた方は知っているじゃありませんか、地下式になっているということを。ミグ25で亡命したベレンコ中尉から何を聞いたのですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○伊藤(圭)政府委員 御承知のように、ベレンコ中尉は日本に参りましてから三日後にアメリカに行っております。したがいまして、その間警察庁それから法務省がいろいろ話を聞いておりますが、その間に防衛庁も数時間話を聞きましたが、そういう詳しいことまでは聞かなかったと記憶いたしております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、このことについて同じ質問をしたいのですが、いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は存じておりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私が入手した「中ソ間の軍事情勢」という五十三年五月に出した資料によれば、「すでに国境付近の航空基地等は地下式になっている。ベレンコ中尉の供述と言われ、また爆撃機等の基地は」云々、こういうふうにちゃんと分析しているじゃありませんか。何を言っているのですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○伊藤(圭)政府委員 ベレンコが参りましたときの供述の中でそういうものがあったということは記憶いたしておりません。しかし先ほど申し上げましたように、常識的には当然、地下式ということは考えられるわけでございますが、私どもといたしまして確認していないということを申し上げているわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらにあなた方はこんなことも言っているわけです。外務大臣はいま中ソの軍事紛争というものは大局的に起こり得ないであろう、こういう予想をする、そのとおりでしょう、また望むべきではないわけであります。「当面大規模な軍事衝突が起こる公算は少ないといえよう」、「仮に通常兵力による大規模な軍事衝突が起こると仮定した場合、その様態としては、一番目に、中国国内の混乱時におけるソ連の武力介入、二番目に、局地的国境紛争のエスカレート、三番目に、少数民族問題に絡む双方の武力介入等が考えられる」、このようにちゃんと分析していらっしゃるわけです。いかがなんですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いままでの例からして、国境線をめぐる局地的な紛争は起こらぬとは断定できませんけれども、そのほかのことは私は想像いたしません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私はこのことについてはさらに深く追及をしたいわけです。ただこのことを鋭くきょうの場で質問を続けるということに主眼を置きたくない。むしろこのように政府はちゃんと中ソの軍事情勢、軍事バランスというものを分析していることを明確に国会の場で答弁をしなさいということです、われわれの質問に対して。ベレンコ中尉からも供述を取っているじゃないですか。そして、もし仮にという前段はありますけれども、三つの想定をしているじゃありませんか。そういうことをちゃんと事前に想定をして分析しているのだということをなぜ言えないのですか。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○伊藤(圭)政府委員 防衛庁といたしましては毎年この防衛白書を出すに当たって、当然のことながら軍事情勢というものを分析し検討しているのは事実でございます。いま先生がおっしゃいましたようなことも、軍事的な面からすると、そういったものが一つのきっかけになる可能性はあるということは申し上げられると思いますけれども、ただ私どもの判断といたしましては、ソ連という国がヨーロッパとアジアと二正面作戦を考えているということ、それから極東におきましては、米中ソがいわゆる三極構造というような形で軍事的には対峙しているような状況でございますので、そういった軍事的な紛争が大きく起こるというふうには考えていないということでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、私が指摘した分析でも、これは政府がやっているのですが、私が入手したこの政府の分析表でもわかるように、中国とソ連との軍事力の格差は非常に大きいというふうに政府は分析をしているのです。そういう分析でいいですね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 他国のことを外務大臣が言うことは適当ではないと思いますが、現在では相当の差があるということは認めざるを得ません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 その格差を中国が埋めるために、つまり近代化をするために西側諸国から技術導入をしなければならない、このように思うのです。このことについてはどうでございますか、その考えについては。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 多分そうであろうと存じております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 わが国はこの近代化に協力をするのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は、黄華外務大臣にも鄧小平副主席にも、当然のことながら、他の近代化には協力をいたしますが、軍の近代化には協力できませんということは申し上げてあります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それはいつ、どこでおっしゃられたのでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先般、交渉に参りましたときに申し上げてございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 その協力ができないという合意をしたという内容はどういうものでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これは合意をしたということではなくて、中国側から、近代化について協力をしろという要請があった場合の私の返答でございます。これは、わが国は中国のみならず他の国々にも軍事的な協力をしてはならぬし、する資格はない、こう思っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それは当然ですね。わが国は武器輸出三原則というものがありますし、そういうことについては当然だと思うのです。  そういう協力の要請があったのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 軍の近代化に協力せよという要請ではなくて、近代化に協力をしてもらいたい、こういう表現でありました。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 中国は今世紀中に四つの近代化を達成して先進国の水準まで高めていこう、こういうふうに言っておるわけです。当然、その四つの近代化というものの中には国防というものも入っているわけです。私は、その国防の強化、もちろん四つの近代化の一つでございます。わが国として希望するのかしないのか、いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 わが国としては重要な隣国の一つである中国が平和と繁栄を進めていくことは歓迎すべきことであり、その繁栄を分かち合うということが外交の基本的な方針であると考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 再度お尋ねしますが、いまのお答えは中国が四つの近代化を進める、そしてその国防の強化も進めていくことが、アジアの平和と安定あるいはわが国の平和と安定に何らかの寄与をするという認識に立って進めることに希望していらっしゃる、希望するということに理解してよろしいですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 独立国家が自国の独立を守るために、現段階において防衛力を重視されることは、それはその国の権利だと思いますが、日本としてはこれを歓迎するとか協力するとか、そういう立場にはございません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 確かに日本は日本独自の行政でやっておりますし、中国に関与することはできないわけです。私は中国が国防、軍事力を増強すること、増強していくこと、それは日本にとってどうなんでしょうか、こういうことを聞いているのです。もう一度そのことについて外務大臣のお考えを聞かしてください。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中国が自国の独立を守られることは、これは日本にとってもよいことであるとは存じまするけれども、もっと正直に申し上げますと、中国とソ連の紛争が武力紛争になるような事態は歓迎はできません。これは、ソ連に対しても中国に対しても同様な期待と希望を持つわけであります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、中国とソ連とには軍事力の格差がある、これは同意をしてくれました。事実そういうように分析をされている。その格差を埋めるために中国は近代化を進めていく、とりわけ国防、軍事力の増強、そのことについて私は聞いているわけなんです、そのことを大臣はどうお考えなのかと。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 それは先ほど申し上げましたとおり、自国の独立を守るために防衛力の強化をされることは、これは中国の当然の権利であり、結構なことだと存じます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それじゃ、中国が軍事力を増大することは、自国の独立を守るんだということで結構だ、こういうことでございますね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中国が自国を守りたいという限界までの線を置いて中国が充実されることは、中国にとっては当然の権利であり、また日本としてもそれは反対すべきことではないと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 国を守るために軍事力の水準を引き上げるということは独自の見解である、中国独自のことである、それはそうでしょう。しかし、わが国は中国の国防の近代化には協力しないんだということを合意をしている。もちろんこれは武器輸出三原則からいっても当然であるわけなんです。あるいは外務大臣は国連の軍縮特別総会で通常兵器の無統制な国際移転を抑制しようと特に演説をされて、軍縮の必要性を強く訴えられたのです。私は、いかなる国にも軍備の拡充強化につながる外交はしてはいけない、こういうことを強く指摘しておきたいわけです。たとえ中国といえども、事軍事については協力をすべきでない、日本のその協力の仕方が、経済だ、これは経済の分野なんだと思ってやっていても、そのこと自体がずるずると深入りをしてしまう、間々そういうことがあるということです。  私は、中国の軍事力強化につながっては問題が出てくるし、また、これについては何らかの歯どめが必要である、こういうふうに思うわけなんです。そうしたことに十分注意を払って、今後の対中国外交というものを推し進めていかなければいけない、こういうふうに思うのです。外務大臣のこのことについての考えを聞かしていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御発言の趣旨は十分考慮しながらやっていかなければならぬと、当然考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 あえて私がここで確認をしておきたいと思うことは、軍事につながる一切の協力はしないんだ、そしてわが国が合意をした原則は十分守っていくんだということについては、確かにお答えのとおり、ぜひ軍事強化につながらないように留意をしてもらいたい、こういうことで確認をしておきたいと思いますが、いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 結構でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それでは、アメリカなり西欧、EC諸国は軍事拡大に協力をするんですか、しないんですか。しているんですか、していないんですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 米国並びに他の国々が軍の近代化にどのように協力しているかということは詳細には存じませんけれども、それぞれの国において自分の国益を守りながら、中国の近代化には協力する国としない国とありますけれども、大体西欧の国々はいろいろ相談に乗っておるのではなかろうかと想像をいたします。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は日本と中国のパイプをより太くする必要がある、このようには考えているのです。それは軍事を外した、軍備にかかわらない、軍事増強に関係のない分野でより強く推し進めていくべきである、こういうことを私は思うわけなのです。軍事に少しでもかかわるということは、意識するしないは別として、国際政治の中では反ソ的な位置づけにわが国が置かれるというふうに私は理解するわけなのです。外務大臣、そういう認識はいかがでございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そういうことも私の考慮の中に、御指摘のとおりに入っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 心して中国との外交というものを推し進めなければいけないということですよ。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御指摘は十分承りました。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私があえてこの問題について質問を繰り返すのは、いまも申し上げたような軍事以外の分野で大いに太いパイプを結ぶべきである、日本の近代的な農業技術あるいは漁業技術、そういうものも、あるいは文化交流も積極的にやっていかなければいけない、そうすることがお互いに真の友好を深めていくことである、こういうふうに思うのですが、いかがでございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そのとおりだと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 そこで私は、さらに日本と中国との友好を深める一つの柱というのでしょうか、文化交流に強い関心を持っていただきたい。これは非常に経済優先の感のある日中の外交を、少しでもより広い国民全体の外交に広げていくことだと思うのです。今回の条約締結を契機にいわゆる文化交流を、過去においては民間ベースでしか交流はなされておらなかったと思うのです。政府間ベースで文化交流を進めるお考えを持っていらっしゃるかどうかお聞きをいたしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりに、中国を初め日本の外交はいままで経済的なところが重点だったわけでありますが、経済的な利害はときによって変化をしてまいります。きわめてもろいものでございます。したがいまして、真の外交は文化交流を中心にした心と心の相互理解が大事であります。したがって、この文化交流は強く進めていきたいと考えており、なお、その文化交流も、むずかしい芸術、文化、学問等もありますけれども、両方の国民自体が相互に理解できるような、たとえば京劇とか歌舞伎あるいはそういう種類のひらがな式の文化交流も大変大事であると考えておりますから、今後は政府間で相談をして進めていきたいと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 歌舞伎の訪中があり、京劇の訪日が内定しているということも聞き及んでおります。私は特にこの際、北京放送合唱団についてもぜひ日本へ招聘する考えを持っていただきたい、こういうふうに思うのですが、外務大臣、お考えをいただけるでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 合唱団の招待、いまのところ具体的になっておりませんが、非常にいいことでございますから、これは両方で相談をして進めるように検討したいと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらに私は尖閣列島の問題についてここで若干触れておきたいと思います。その前に有効支配の定義についてひとつ統一見解をここで聞かしていただきたい、こういうふうに思います。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 ただいま先生の御質問は、領土についての有効支配という御質問であろうかと存じます。  国際法上、領土の有効な支配という点につきまして、特に明確な定義があるというわけではございませんけれども、まず領土という点について申し上げますと、国家が領有する陸地を言いまして、国家はその領土に対して主権を有するとされております。この主権は領土権あるいは領有権という言葉で表現されることもございます。この点につきまして、国家が領有するその領土に対して、国家がその領土に対する保有、統合、処分の権能を含むものと国際法上されているところでございます。このような観点からいたしまして、領土に対する有効支配という意味は、一般的にはただいま申し上げたように、国家の主権がある領土に対しまして、その主権が有効に行使されている状態を有効支配というふうに言える、そのように考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 アジア局長にお尋ねをいたします。  あなたはこの有効支配ということについて一定の見解をお述べにたっていらっしゃるのですが、あなたの述べていらっしゃる見解、これはこの「経済と外交」という九月号、外務省が出している本に載っているわけなんですが、この見解を持っていらっしゃるのでしょうか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 いま御引用になりましたところに述べております私の見解を、国際法的に正確に表現いたしますといま条約局長が言ったようなことになる、こういうふうに私は認識しております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 ということは、条約局長が言われたのと同一見解だ、こういうことですね。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 そのとおりでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 尖閣列島は日本が有効支配をしているというふうに外務省は受けとめていらっしゃるのですね。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 そのとおりに考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 統一見解が出されました。そして平たく言えば主権が存在する、極端な言い方をすれば、不法操業があったり不法入国があればそれを処分、処罰するんだ、あるいはときには侵略があれば自衛行使をするんだ、こういうふうに具体的にアジア局長も述べられているわけです。いわば、そういう覚悟の問題と言えば変な表現になるけれども、「第三国に対して自分の領有権の確認を求めようとするが如きは、筋違い」なのだという見解を述べていらっしゃるのですよ、アジア局長は。少しつじつまが合わないと思うのですが、どうなんでしょうか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 尖閣諸島を特に取り上げなくても、日本の固有の領土というのは本州、四国、九州、北海道を初めとして付属島嶼もあるわけです。その日本の固有の領土に対する考え方というのは、いまそこで先生が抜粋してお読みになりましたようなそういう考え方を国民としては持っているべきではないかということを私は訴えたかったわけでございまして、日本の固有の領土について日本以外の国にその領有権の主張なり妥当性なりというものを打診するということはやはり筋が違うのではないかというのが、私の言おうとした点でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 これはわが国の領土であるということを第三国に確認をさす、あるいは確認をさすまでそれを主張するということは、私は当然だと思うのです。筋違いだというような認識には立たないのですがね。私は、あえて尖閣列島ということは、これからまた後で日中の締結時にどのようなお話がなされたんですかということに入りたいのですけれども、まず、有効支配というものの定義から入ったわけで、そして、あなたのお考えはこういう考えをしていらっしゃるが、これはおかしいじゃないか、こういうことなんですよ。どうなんですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 私が申し上げましたように、日本の固有の領土に対して、ある国が何らかの挑戦といいますか、それに反するような行動なり言動なりがありますれば、これは、先生がおっしゃいますように、日本政府としてそれをほっといていいわけではない、これは一般論として当然のことでございますが、日本の固有の領土であり、国際法的に見て一点の疑念もなく、かつ、先ほど条約局長が言いましたような意味において有効支配をしております限りにおいては、それはそれで何ら問題がないのではないか、こういうことを申し上げたわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は、このことについてはさらにまたいずれかの機会に質問をいたしますけれども、それじゃ、この有効支配という定義の中から、竹島は一体どこが有効支配をしているのでしょうか。韓国が有効支配をしているのではないだろうかと思うのですがね。いかがですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 竹島は、日本の固有の領土を韓国が不法に占有している、こういう状態でございますので、先ほど条約局長が言いましたような意味において、国際法上他国に対して主張し得るような有効支配をしているかというと、これは絶対にそうでない、こういうことでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣は、過日日韓定期閣僚会議に御出席になられたわけです。いまお聞きのように、不法に有効支配をしている、こういうのが実情でございます。このことについて、外務大臣から韓国政府に対して何か申し入れをされたのか、あるいはこの件についての何らかの話し合いが持たれたのか、その点についてお聞きをしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先般の日韓定期閣僚会議で、外相会議の場所で、私は、竹島は不法占拠である、かつまた、両方の言い分が紛争しておるときには平和裏に話し合う、こういうことになっているのに、どんどん有効支配を実施していくことはけしからぬ、まずこれをやめよ、そして話し合いに移れということを強く主張いたしました。残念ながら、いままでからこの領土権の問題については前進することはできませんでした。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 この竹島の問題については、今後も話し合いを強く続けるお考えをお持ちでございますね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そのつもりでございまするし、韓国の外相との共同記者会見でも、その点はちゃんと申し上げてあります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さて、尖閣列島については、今回の日中条約締結に当たって具体的に両国で話し合われた、あるいはその中から合意を得られた点について私ここで改めてお聞きをしたいのですが。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 尖閣列島の問題は、条約締結に直接関係のあることではございませんでしたけれども、日本の国民の方々の関心が非常に深いわけでありますから、私の方から発言をいたしまして、尖閣列島に対する日本の立場を述べ、さらに、この前のような事件があっては困る、今後ああいう事件がないようにという強い要請をいたしました。これに対して鄧小平副主席は、この前の事件は偶発事件であって、今後あのような事件は絶対にやらない、こういう話でございました。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さて、私はさらに、日中新時代を迎えてのソ連に対する外交のあり方ということについて質問をいたします。  先ほど少し触れましたけれども、締結後さほど強いソ連からの非難の意思を受けてないというふうにお答えになられたのですが、外務大臣は本当にそう認識されているのでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私はそのように認識をいたしております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 駐日ソ連臨時代理大使が八月二十三日に外務次官に伝えたソ連政府の見解というのでしょうか、それは外務大臣どう受けとめていらっしゃるのでしょうか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 ソ連側の申しましたことは、日本が中国の外交のペースに巻き込まれるような結果にならないようにと、そういうことを警告をいたしたものと受けとめております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、私は、非常に甘い考えを持ってはいけないと思うのですよ。甘い考えを持って対ソ外交に処していくということが誤りである、誤った方向にいきますよと……。いまの答弁では、わが国の外交の独立、主体性に意見を差しはさんだのだ、そういうふうに受けとめていらっしゃるのですか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 中ソ紛争に日本が加担して対ソ関係を悪化することのないようにというソ連側の考え方を述べたものと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それは、中ソの対立というものが、いま現在は軍事力で格段の格差があるとは分析しながらも、中国の軍事大国化をソ連は警戒をしている、こういうことなんです。それに手をかすようなことがあってはいけないぞと、こういうことがソ連の意向なんです。そうでしょう。どうなんです。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 ただいまおっしゃいました趣旨のように解しております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 そういうことについては、先ほど私は、決して軍事力強化にわが国は協力をしてはいけない、そしてそれはいたしません、これで理解ができたわけです。しかしながら、一定の水準まで軍事大国になること、軍事大国というか、軍事力を持つことは、中国独自の考えで、中国独自の、国を守るためには一定の限度までは外務大臣としては認めていらっしゃるわけですね、先ほどのお答えで。いかがなんですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中国が独自の防衛力を持つことは、こちらが干渉すべきことではなくて、中国独自の権利でありますから、その点は私は、こちらが協力をしないということで結構だと、こういうことでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、そのお答えではまたもとに戻るわけなんですよ。軍事力の増強については中国独自のものなんだと、われわれは関与しないんだと、軍事力強化のために協力はしない、軍備拡大には協力はしない、これは確認ができるわけです。しかし、軍の近代化、国防の近代化については中国独自のものだ、こういうふうにいまお答えになられたのですが、そう受けとめていらっしゃるのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、中ソの紛争というものが武力紛争にならないように期待し、それに対して日本の立場で努力をしたい、こういうことがついているわけであります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は、対ソ外交というものをもっと具体的に聞きたいのですが、まず中国とソ連との対立関係は何なのかという認識が、やはり根底に明確に浮き彫りにされなければいけないと思うのですよ。やはり軍事力の問題、その対立関係を軍備によって、軍事力によってバランスをとることが、当事者間の問題だ、当事国の問題だ、わが国には関係ないんだ、そんな物の考え方では困ると思うのですよ、やはりアジアの平和と安定、そして世界の緊張緩和あるいは世界の平和にも関連があるわけですから。外務大臣、そのバランスを少し中国を上へ上げることがいいというふうに、限度があるけれども一定の線まで上げることがいいんだというふうにあなたはさっきお答えになっているんですよ。私はそう受けとめているのですよ。いまは、もうそんなものは中国とソ連のことだ――どうなんですか、そこは、先ほどの答弁に私は理解をして対ソ外交を尋ねようと思っているのですが。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 重点は中国とソ連が武力紛争が起きないようにという期待と希望と努力を日本としてなすべきであります。ただ中国自体の防衛の問題にこちらが干渉する権利はないわけでございますので、その点を私は言っているだけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 中国の軍事力の問題は中国独自のものであるけれども、これは非常に波及するところは大きい、そしてわが国の外交にも波及するということなんです。そういう受けとめ方はなさらないのでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御発言の趣旨はよく了解はいたしますけれども、それはさらに中国とも友好関係を深め、相互理解をし、何かの事態が出てきそうな場合には、そういう事態になるとアジアの平和安定に困難が来るというような、そういう話し合いの場所があるかもわかりませんけれども、現在非常におくれている中国が、自国の防衛のために努力をするということを、いま日本の外務大臣としてそれはけしからぬとか、あるいはいいことだとか言うべき筋合いのものではないと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 過日、中国の張副参謀総長が来日をし、わが国の高品統幕議長あるいは防衛事務次官らと会見をされているわけなんです。やはりそのようなことが軍事協力にすぐ結びつくとは私は思いませんが、そういうふうに映る場合もありますよ、そばから見ておって。あるいはまた、現職の日本大使館の駐在武官が、いわゆる退役OBではありますけれども、自衛官の訪中に際して廖承志友好協会会長との会見に同席をしたりしておるわけです。そんなことがソ連に対してどのように作用しているか、影響をしていくか、どのようにソ連が受けとめるかというふうにはお考えにならないのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 誤解を受けることがないように注意をしなければならぬとは思いますものの、すでに一年か二年前に、中国の方からもソ連の方からも両方から武官を派遣をして、そしてお互いに交換交流をしたいという話がありました。私は、これは日本は軍備はありませんけれども、相当対立している瞬間までも両国の武官を交換している例は戦前にもございます。したがって、それに差がないように、中国からおいで願うときにはソ連からもおいで願ったがいいぞ、その数も同じ方がいいぞ、こう具体的に言ったことがあります。今度は訪日をされた。儀礼的な訪問でございますから、これを直ちに軍事協力という考え方は私は間違いであって、ただし誤解を受けないようにしなければならぬとは考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 決して、即それが軍事協力だとは私も指摘してないわけです。やはり十分な配慮が必要であるということです。全方位外交を推し進めていこうとすればするほど、十分な配慮をしていかなければいけませんよということなんです。それでさらに私は、わが国には軍人はおりません。おりませんが、自衛官があるわけです。外務大臣としては、今後現職の自衛官の訪中、もし仮に、あるいは事実訪中の要請があったかどうかもまずお聞きしたいのですけれども、なかったとしても、もし仮に訪中の要請があったとしても、これは所管の大臣でないかもわかりませんけれども、訪中することは望ましいと思うのか、あるいは対ソ外交の上で十分注意というか慎重に取り扱わなければいけないというふうにお考えなのか、これはいかがでございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いまのところそれは具体的にございませんが、私が官房長官時代に、ソ連の方と中国から、両方から同時に申し込みがあったことがございます。私は、それは悪いことじゃない、お互いに交際をして、そして相互理解を深めるということは悪いことじゃないと思いますけれども、しかしおっしゃるとおりに、一方的なことをやるとここに誤解を生ずるおそれがありますから、今後そういう話があった場合には、そういうことを配慮しつつこれを検討すべきだと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それは同時派遣ということでしょうか、配慮するということは。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 この前あった話は中国から何名来る、日本から何名来てもらいたい、ソ連からも何名行くから何名来ないかという話でありましたが、その時期は同時じゃなくてずれがございました。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いや、私は、慎重に検討するということは、中国だけにそういうことはやらない、ソ連だけにそういうことはやらない、やるとするならば中国にもソ連にもやる、こういうことなんでしょうか。それとも、もうそういうことはこういう折だからしばらく、そういうことの要請があっても望ましくない、こういうふうに受けとめられていらっしゃるのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 もちろん時期だとか環境というものは大事でございますから、いまの時期どうこうということではありませんけれども、将来、そういう機会があればソ連、中国のみならず、他の国々ともそういう交流はあった方がいいんではないかと考えておりますが、具体的に起こった問題でありませんので、具体的に起こってきたら検討したいと考えます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 そこで私は、ソ連がわが国に対して非常に厳しい見解を持っておるという、私なりの認識を持っておるわけです。答弁の中では、政府の方が何か私よりも甘い考えを持っておるように思うのですけれども、対ソ外交の具体的な考え方を聞かしていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私が先ほど申し上げましたのは、友好条約締結前と締結した後と、締結した後の方が厳しくなってきたとは判断しない、こういうことであって、甘く考えておるわけではございません。締結前は、中国、日本が提携をして敵対行為をとるならば報復手段をとるとか、いろいろきつい言葉でありましたが、現在では、これはよく今後の日本の行動を見守る、日中提携してソ連に敵対行為をとるか、あるいは日ソの関係を進めていこうとするのか、こういうふうに少し変わってきた、こういう意味でございます。現にニューヨークでグロムイコ外務大臣と締結後初めて会ったわけでありますが、当初は友好条約についての強い非難がございました。そこで、私はこれに対する説明をよくやり、条約を読んでもらいたい、どこに反ソがありますか、こう言ったら、向こうは、読んだ、反ソはないけれども、おれに刃向かっている国と締結すること自体がおかしいというような意味のことがありましたけれども、これは約十分間以内で、それではこの問題はもうこれで打ち切ろう、今後の問題を話そう、こういうことであります。そこで、私は端的に、友好条約を結んだから日ソの友好関係は今後進めないのか、こういう意味かと言ったら、そうではない、われわれは友好条約によって冷却した日ソの関係は進めていきたい。改善と言った。私は改善ではなくて、終始一貫いままでどおりの方向で友好関係を進めていきたい、こういう話をいたしました。それについては合意があったわけであります。  なお、具体的にいろいろな話が出たわけでありますけれども、事務的な定期協議会、それから漁業問題その他の会議等も拒否しているわけではなくて、予定どおりにやろうという努力を両方やっております。  私はグロムイコ外務大臣の言ったことは、お互いに会って何回も話し合うことが一番大事であって、話し合えばお互いに理解ができるじゃありませんか、困難な問題もあるけれども、他にはお互いに利害共通する問題があります、正月に行ったときに、あなたの方からもいろいろ困難な問題があるが、話し合えば解決するよ、こうおっしゃったじゃありませんか、したがって、あらゆる機会をとらえて話し合う機会をつくりましょう、こういう話をしたのが実情でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大臣、いろいろとお答えをいただいたのですけれども、私はもっと具体的に、ソ連との関係をより深めていくためにどのような施策を考えているのかということをお聞きしたわけであります。  日中条約締結は、さっきも言ったように、別にソ連に対して気がねをしたり、ソ連がとやかく言う問題ではなく、むしろ日本と中国との両国の問題であり、当然結ぶべきは結ぶべきである。しかし、その結んだ後、やはり政府としては決してソ連を刺激していないんだと思っているけれども、軍人の交流あるいはいろいろ私が指摘したようなことから、そういうふうに映るようなしぐさをしてはいけない、こういうことです。こういうことを指摘をしたわけですけれども、そういう中に立って、どう対ソ外交を推し進めていくのか、私の質問はこういう質問なんです。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中国と軍人の交流をしたわけではなくて、訪日であったということは、先ほど御説明したとおりでありますが、日ソの間には具体的な問題がいろいろあるわけであります。対立する問題もあれば、あるいはお互いに協力する問題もあるわけでありますから、そういう問題をとらえ、話し合う機会をどんどんふやしていくことによって相互理解を深め、その相互理解の上に今後の日ソ関係を積み重ねていく、こういうことが日ソ友好を深めていく道であると考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 抽象論で余り論じても結論が出ないと思います。私はむしろソ連との友好関係を促進するためには、まず一つの柱としては、善隣協力条約についての取り扱いがある、そしてもう一つは経済協力の柱がある、こういうふうに思うわけです。ここで経済協力を強化することが友好を深めることになるのではないだろうか、こういうふうに思うのです。このことについてはどうお考えになっていらっしゃいますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 経済協力の話題は、グロムイコの方から話が出ました。そこで私の方は、いろいろ相談をしてできるだけ力を合わしていきましょう、こういう返答をしておったわけでありますが、事実においては、君の方は通産大臣が中国に行き、財界人が中国に行っているが、おれの方には近ごろ疎くなったじゃないか、こういう話がありましたから、そういう点は十分注意をして進めてまいりましょう、こういう話をしてあります。  善隣友好条約については、私は向こうに言ったのは、御承知のとおり、日本の平和条約をあなたの方が預かる、私の方もこれを預かるということであったが、あなた方が外交慣例に反して一方的に発表された、こう言ったら、発表しないという約束はしない、こういうことがありましたから、まあこれはこれでよいとして、日本は、いままで申し上げたとおり、まず未解決の問題を解決して平和条約を締結し、その平和条約の次が善隣友好条約であるから、必ずしも善隣友好条約を拒否しているものではない、ただし、いま出されておる善隣友好条約の内容ではだめでございます。こういうことで、そういうことも話題にのっておりますから、逐次進めていきたいと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 整理をして、まず経済協力、このことについては政府はソ連と経済協力協定を結ぶ用意を持っていらっしゃるのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 経済協力の問題では、実際の協力と、それから長期の協定の問題と、それからもう一つは関係閣僚会議の問題がいまある問題でございます。  閣僚会議の問題は、構成人員についてソ連と日本がいま事務的に検討を進めているところでございます。  経済協力の協定は、中国と結んだのも民間協定でございまして、政府間の協定はないわけであります。したがいまして、この協定については今後十分話し合った上で検討して結論を出さなければならぬ問題で、いまどうこうという結論があるわけではございません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さきに福田総理が中東諸国を訪問した際に、イランでイランの首脳との一連の会談で対ソ方針を説明した中で、日ソ長期経済協力協定の締結に応ずる方針を固めたというふうに伝えられているのですが、これは事実なんでございましょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これは予算委員会で総理が答弁されて、自分はそういう発言をした事実はないと否定をされた。あのときの記事は、同行総理周辺ということで記事になっておったようでありますけれども、ただいま申し上げましたとおりに、政府間の経済協力協定を結ぶという方針は決めておりません。今後十分ソ連と話し合ってからやりたいと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 また、民間レベルで結ぶのだということを予算委員会でも答えていらっしゃるのですよ。さっき外務大臣は、政府間レベルでこのような経済協力協定は結んだことがないのだというふうにお答えになられたのですが、そうでございますか。サウジとは結んでいらっしゃるでしょう。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 サウジアラビアとの間には経済技術協力協定を結んでおります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、サウジアラビアとは結んでいらっしゃる。決してこれが初めてじゃないわけなんです。サウジアラビアとは結べてソ連とは結べない、それはどこに結べない理由があるのか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 サウジアラビアは、御承知のとおり開発途上の産油国でございまして、かつ、わが国と深い相互依存関係にございますので、同国との間に経済技術協力関係を促進してその国の国づくりに寄与する、こういう観点で結ばれたものでございます。日ソ間におきましては、かなり体制の相互に違う国でございますので、日ソ間の経済協力の現状というものは民間主導型といいますか、個々のプロジェクトについて民間の企業の判断に任せまして、これが適当と思います場合には政府もこれを支援する、このような形をとっておりますので、サウジアラビアと結んだものがそのままソ連との間の一つの前例ないし類似の例になるというふうには考えておりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 この協定を結ぶことによって、何かわが国が不利益を受けるとかあるいは不都合なことが起こり得るのですか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 一つには、現在日ソの経済協力というものが民間の手によってきわめて順調に進んでおりますので、これ以上いま物をこしらえる必要がないという実質的な必要性の有無と、さらに何かマイナスがあるかというお尋ねでございますが、この点につきましては、ソ連側が望んでおりますようなものを結びますと、この民間主導型の、わが国の自由経済のこういうやり方に、ともすれば困難を生ずるし、政府といたしまして好ましくない義務を負うことがあり得る、こういうことを考えておるわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それじゃ、ソ連側から政府間レベルで結ぼう、締結しようと言っても、わが国としてはいまのところは受ける用意はないわけですね。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 日ソ関係につきましては、もう御承知のとおり領土問題という大きな問題がございまして、これが解決しなければ真に安定した両国の親善関係はないということでございますので、もし私どもの判断におきまして、将来におきましてこのようなものを何らかの形で結ぶことによって、そのような方向に向けることができる、こういうふうに考えられます場合には、そのような検討もいたしますけれども、ただいまの時点におきましては、先ほど申しましたように、日ソ間の経済協力というものはきわめて順調に民間の手で進んでおりますので、そのようなことは考えておりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 すべて領土問題を優先していきたいという考え方でございますか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 日ソ間におきましては、残っております最大の唯一と申してよろしい懸案でございますので、これの解決を最優先に常に考えていきたい、そういう考えでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それじゃ、その問題を解決するために、外務省はどのようなことをしようとしているのか、あるいはその問題解決のためにソ連に対して働きかけをしたのか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 領土問題は、しょせんこれは日ソの両国の間で話し合って解決をいたすべきもの思います。したがいまして、過去多年にわたりまして、日本政府は、なぜ領土問題が日本の主張のような方法で解決さるべきかということを、理を尽くしてソ連に説き、しかもこれが解決されることによってのみ真の安定した日ソ関係が期待し得るということを説いて、あくまでも話し合いということでこの問題の解決に努力してまいり、今後ともそのつもりでございます。もちろん、この問題が解決しない限りソ連とは口をきかないとか、そういうことは過去においてもございませんでしたし、今後におきましても実務的な関係は進めまして相互理解を促進していく、その経緯の中でさらに、領土問題という最も大きな大事な問題の話し合いの解決を求めてまいりたい、かように考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大臣、領土問題が解決するまでは、政府間の経済協力協定の申し込みがあってもいまのところは受ける考えはないのだ、それは片側では民間レベルでスムーズにいっているんだ、こういうようなことは言っているのですよ、答弁の中で。私はもちろん領土問題の解決に全力を投球してもらいたい。しかし、それが完全でない限り、こちらの経済交流の問題も、政府間レベルではそう積極的に取り組んでいかないのだというのでは、ぼくは対ソ外交というものについて、本当に全方位平和外交を進めようとしていらっしゃるのかどうかと危倶するのですよ。  それじゃ善隣協力条約に対することにはどのようにわが国が考え、かつどのような行動を起こしたのか、いわば平和条約まではなかなか道のりは遠いわけなんです。そこへ到達するためにどれだけの努力をしてどれだけの成果を上げたのか、こういうことですよ。上げようとするのか。いままでは上げていないのですから、どれだけの成果を上げようとするために努力をしていらっしゃるのか。私は経済協力からでも進むべきではないかという見解を持っているのですけれども、どうもそういう点について外務大臣、外務省の見解は少しお粗末過ぎるんじゃないか、こういうふうに思うのです。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ただいま局長が申し上げましたとおり、両国間の実務的な問題を話し合いをし、解決をしながら逐次相互理解を深めていって、先ほど考えたようなことでいきたいと考えておりますが、これは兼ね合いでありまして、たとえば経済協力はどの程度までやるのか、協定を結ぶのか、政府間協定にするのか、島が返されたらどう扱うのか、こういうことは今後非常に微妙な問題でありますから、ここで、やれ何はやる、何はやらぬという筋合いのものではなくて、一に今後日ソの間で深く話し合うべき筋合いの問題だと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 日ソの関係をより深めるために、私は日本側としての対案ですね、日本側の持つ考えを具体的に具体化したものをソ連に示すべきだ、こう思うのです。いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これは先ほど申し上げましたとおりに、今後日ソが話し合いをして、どういう段階にどういう話をするかということは今後の問題であります。十分考えているところでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いまの政治日程の中にそれはいつごろをめどに、もうすでに十一月に入れば漁業交渉がなされるわけなんですから、私はできるだけ早い機会にやはりソ連が示した善隣協力条約案にかわるべきわが国の考えを示す必要があるのではないだろうか、こういうふうにも思うのです。いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御意見は承って参考といたします。しかし、日ソの関係は友好条約を結んだ後初めてこの間当事者同士が会って、まあ相撲で言えば塩まきが終わった程度でありますから、今後よく時期を見ながら進めていきたいと思っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は冒頭にも申し上げましたように、両国の国民のために、ぜひ日中の条約締結を機会に、新しい友好親善を求めた外交を続けていってほしい、こういう願いは変わりません。また、外務大臣を初め関係各位が御努力をしていただいたことにも、この際その労をねぎらいたいと思います。がしかし、いま申し上げたように口先だけのというか、いわゆる全方位外交というさわりのいい、外務大臣は一言もそれをおっしゃらないと言っているのですが、そこがまたおかしいのですよ。しかし、それはそれとして、総理大臣は常に全方位外交とおっしゃっているのですから、さわりのいい言葉で何かわからない間に誤った方向に進まないように、その意味でも対ソ外交のあり方というものについて十分な討議を重ねていくべきであろう。  とりわけ有事立法が論議される、そのようなわが国の国内情勢である。ますます平和を外交の面でもうんと強く推し進めていくというならば、外務大臣いかがでございますか、この際、本当にわが国は中立、平和に徹するのだという強い信念を各国に示すことを、この締結を機に、何回もおっしゃっていると思うのです。しかし、さらにいついかなる時代を迎えようとも、永世にわが国は平和、中立を保つのだということを何らかの機会に公に、外務大臣として、日中を結ばれた大変力強い頼もしい外務大臣として、意思を訴えられるお気持ちを持っていただけぬでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は、二国間または多国間あるいは軍縮総会、国連総会等においてもその点は強く訴えております。今後もそれ以外に日本の生きる道はないという信念を持っております。いまおっしゃいましたとおりに、外務大臣が外へ出て幾ら演説いたしましても、国内態勢というものがやはり平和に徹するということが、特に隣国に信頼されるような国内の態勢でなければならぬということも一番厳しく感じておるところであります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私の質問の最後に、日中両国の恒久的な平和とより深い親善を期待して、関係各位の労を改めてここで再度ねぎらって、質問を終えたいと思います。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、休憩いたします。     午後一時二分休憩      ――――◇―――――     午後一時三十三分開議

永田亮一自由民主党

○永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。塩崎潤君。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 私は、自由民主党の最初の質問者といたしまして、今回、園田外務大臣が大変御苦心されました日中平和友好条約の国際的な意味、若干抽象的にわたりますが、大変重要な問題だと思いますので、少しこの根本的な問題について園田外務大臣にお尋ねしたいと思うのでございます。  先ほども井上委員の御質問の中に触れられた点がたくさんあるかと思いますが、園田外務大臣並びに外務当局のこの条約に対する考え方、さらにまたこの条約を今後どのように運営していくかというようなことについて、まとめて、率直な御意見を賜りたいと思うのでございます。  私は、この日中平和条約は、一九七二年の日中共同声明の趣意に従って、アジアの二つの主要国であります中国と日本、そうして長い歴史的関係を持っておりました日中両国が、一時期の暗い不幸な状態を清算するとともに、平和友好関係を強固にして、これからこれを発展させようとすることを目的としたものである、こんなふうに常に園田大臣が言っておられるように率直に解したいと思っているし、また解しているものでございます。したがって、日中条約の効果として、国際的には当然アジア及び世界の平和と安定に寄与する、こんなふうに考えているものでございます。しかし、日中条約の国際的な評価、これはどうもいろいろの意見があって、必ずしもこのような評価でないことは、もうすでに御案内のとおりでございます。私どもは、パワーポリティックスの考え方になれていないかもしれませんけれども、多数の国々あるいは昨今日本におきますところの総合雑誌などを見ましても、やはりパワーポリティックス的な観念と申しますか、パワーゲームという言葉がいいのかどうかわかりませんけれども、このような観点からこの日中条約を見ていこうとする傾向があることを、私は大変心配をして見ているものでございます。  そこで、大臣、日中条約というものはいまのような私の解釈でいいのかどうか。そうじゃなくして、たとえば雑誌、これは単に日本だけの雑誌じゃありません。西側諸国の雑誌の論文の中にもあるのでございますが、これは危険な同盟ではないか。日本は平和の選択と言っておるけれども、危険な同盟ではないか、こんなふうに盛んに論じているものがあることは御案内のとおりでございます。そうして日本は第一条の平和友好関係ばかり強調している。ところが、中国の方は第二条の反覇権条項だけ強調している。全く同床異夢のような気がして、この問題をどのように考えたらいいか、多数の疑問が提起をされておりますし、大部分の論文を見てみますと、日本は重要な選択をこの際したのだ。そうして、軍事同盟ではないにしても、一つの政治同盟ではなかろうか。さらにまた経済的に見ても、中国市場というものを日本がかつてのように排他的に持っていこうとするのではないか、こんなような見方があることは御案内のとおりでございますが、大臣、このような見方に対してどのようにお考えになるのか。つまり、私はこのような見方が正しいという意味じゃありません。しかし、このような見方が出ることは、外交というものは諸外国のパーセプションというのですか、受け取り方、そのゲームだ、こう言われる。受け取り方が大変大事なんです。ですから、外務大臣がこのような見方に対してどのように考え、しかもまたどのようにこれを逆にキャンペーンして日中条約の意義を徹底させようと考えておられるのか、このような問題についてまず最初に外務大臣のお考えを述べていただきたいと思うのでございます。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ただいまの発言は、私も同様にいろいろ考慮しているところでございまして、おっしゃるとおりであると思います。日中友好条約が世界の平和のもととして、アジアの平和と繁栄を願うために両国が協力するということが大目的ではありますけれども、まずASEANその他、ECの国々、一部の国々を除く大多数の国々は非常に評価し、これを祝うということが来ておりますけれども、いまおっしゃるようなことでありまして、これは中国と私との会談の中でも、注意をしてお互いに議論し、合意をしたところでありますが、アジアにおいてはまず第一は、中国、日本が将来にわたってアジアの国々に不安を与えない、いわゆる日本、中国の覇権行為を行わないという点と、もう一つは、フィリピンのロムロ外務大臣が、国連総会で日中友好条約を歓迎し、高くこれを評価するという演説をやった一方、前後して同じフィリピンの大統領が、これを歓迎しつつも、しかし、日中両国が提携をして力を強くして、そうして将来われわれがアジアに対して何かこう、力を持ってくるのではないかという不安を将来与えてはならぬという意味の演説をやっているわけでありますが、これが大体ASEANの国国であって、ただいま塩崎委員が言われたとおり、今後の運用ということを言われましたが、この運用、実行、これはきわめて大事でありまして、アジアの国々に対しては、日本と中国が提携をして、力を合わせてアジアの平和と繁栄のために力を尽くすのだ。日中が提携をして、そしてやるんじゃないんだ。それからまた、もう一つには、アジアの地域のエゴイズムを発揮して、かつての何とか共栄圏みたいなものをつくるんじゃないということは、今後十分説明をし、理解を求め、かつ実行をもって示す必要があると思います。  EC関係では、御承知のとおりに、ECその他は日本と違ってやや中国をまだ市場としての見方が大きいわけでありますから、どうも先を越して日本と中国の友好条約はできないと見ておったが、できた。これはどうも日本と中国が排他的に、あの市場からECが締め出されるんじゃないかという不安があることも御指摘のとおりであります。私も御発言のとおり考えておりますので、こういう点については、事あるごとに私が直接あるいは出先を通じて了解を求め、今後の実行について十分注意をしていくことであると考えております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 日中条約の国際的評価につきまして、いまASEAN諸国並びにECのお話を出されましたが、大臣、アメリカでもこのような評価が非常に有力なようです。私は、ドーク・バーネットという、例のブルッキングスの有名な中国学者でございますが、その「中国とアジアにおける主要諸国」という本を見ましても、そんなふうに見ておることを大変心配するのです。「中国は現在二本の足で歩いている。実際に中国が明らかに優先させているのは、超大国に対する第三世界と第二世界の闘争ではなく、アメリカ、日本、ヨーロッパのソビエトの拡大主義への反対を助長することなのだ」というようなことを言われておることを考えたら、これはよほど大臣、キャンペーンをしなければ、なかなかその迷妄が解けそうに私は思えないのです。解けるのはむずかしいと思う。よほどしっかりしたキャンペーンと行動を態度で示さなければならぬと思いますが、もう一遍、アメリカでもこんなような意見があることをどのように考えられるか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 アメリカでも御同様の意見があることはよく承知をしております。アメリカについても極力これを説明し、少なくとも行政府では了解をしてくれておると私はいま思っているところでありますが、今後とも十分注意をいたすことは御指摘のとおりであります。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 そこで、若干技術的な問題になるかもしれませんけれども、条約局長がおられるのでお聞きしたいのですけれども、中国は本当に、いま私が言いましたように、二条ばかり宣伝する。せっかく皆さん方が苦労して入れられた四条の存在などについて宣伝したという例を聞いたことがないのですね。そらして、日中条約が締結された後にすぐ華国鋒主席は、ルーマニア、ユーゴに行ってあのような反覇権主義の宣伝をしたことを考えてくると、やはり日中条約に対する評価が中国と日本では非常に違っておるのですね。解釈が違っておるかもしれない。これは同床異夢というような言葉がよく言われておるのですが、条約について同床異夢というようなことが許されるかどうか。やはりひとつこのあたりは同じような考え方で世界にキャンペーンをすべきことが、私はバイラテラルな二国間条約では当然の外交的なエチケットだと思うのですが、その点をどういうふうに考えられるかという点が一点。  もう一つ、そこで、四条の話も出ましたが、皆さん方が大変苦労されて四条を入れたことは十分評価できるのです。しかし、皆さん方が最初にアプローチされた案というのは、二条のただし書きあるいは二項の中に、この反覇権条項というものは特定の国を対象とするものでないという条項を考えられておったのですが、それが交渉の過程においてどうなったか知りませんけれども、四条の三国条項という形であらわれた。表現の仕方も非常に違っておる。  そこで、私は、交渉の経緯を聞くつもりはないのですけれども、条約局長にもう一点お伺いしたいのはその点なんですが、いままで提案しておった、特定の第三国を対象とするものでないという条項を入れた場合と四条との差異、長短ですね、これをひとつ簡単に御説明していただきたいと思います。  簡単でいいですよ。しかし、このようなことは非常に大事なことで、かつて日独防共協定が、有田外務大臣は薄墨色というようなことを言っておったのに、昭和十五年になったらこれが日独伊三国同盟に変わっていったという経緯、松岡外務大臣になったらあのように発展した経緯などから見ると、やはり条約の現在の解釈、これは大変大事なことですし、将来に残したいのです。そういった意味で、いまの二点について、条約局長の御意見を承りたいと思います。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 まず第一点の、同床異夢という点についてお答え申し上げます。  先生がただいま御指摘になりましたように、およそ条約においては玉虫色のような解決というものは避けられるべきであるという点については、私も全く同意見でございます。今回の日中平和友好条約につきましては、日中双方の間に玉虫色的な解決が図られたという点は全くございません。  次に、第二点についてお答え申し上げます。  先ほど先生がおっしゃいました、この条約は特定の第三国に対するものではないという、こういう提案があったかどうかという交渉内容にわたります点につきましては、私といたしましてはそれを申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般に伝えられておりまする、この特定の第三国に対するものではないという規定は、この条約第二条の規定、すなわち「両締約国は、そのいずれも、」次に後段にかかりまして、「このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対する」と、かようになっている次第でございまして、第二条それ自体において、この規定が特定の第三国に対するものではないという点は、きわめて明確なところでございます。  そこで、第四条でございますけれども、この第四条の規定の趣旨は、これまでも申し上げておりますように、この条約が各締約国との関係に関する立場に何らの影響を及ぼすものではないというこの規定につきましては、日中両国がそれぞれ第三国に対する独自の外交政策を持つことを確認し、わが国について見ますれば、いずれの国とも友好関係を維持し発展させるよう努力するという外交の基本的立場は、この条約のいかなる規定によっても影響を受けないということを確認しているものでございます。  そこで、この条約の規定の中で、各締約国と第三国との関係に直接触れた規定はいずれのものであるかと言えば、これは先ほど読み上げました第二条の後段の規定でございます。  第四条の規定につきましては、先ほど申し上げましたように、第二条後段だけにかかわるものではございませんで、また、この第四条を第二条とは別に引き離して新しい条項とすることによって第二条後段とのかかわりがなくなるということは全くないのみならず、このような規定は、立法技術上から申しましても、種々の先例に照らしましても、条約の実体規定の一番最後に置くということが最も適当であり、かつ望ましいというふうに考えている次第でございます。  この第四条のような規定は、一般にはディスクレーマークローズ、日本語で申せば留保条項と訳せばそれに当たるかと思いますが、そういう規定に該当するわけでございますが、先例を二、三申し上げれば、たとえば日ソ漁業暫定協定におきましても、この協定が領土問題に関する各政府の立場または見解を害するものではない旨の第八条の規定は、この条約の一番終わりの第八条として独立に置かれているという先例もございます。さらには、日韓大陸棚協定の北部協定第三条あるいは日米漁業協定第十四条等いずれもこの例に該当するところでございます。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ちょっとつけ加えてお答えをしておきますが、いまの問題は、日本側では特定の第三国という言葉を出し、向こうと議論の末にこうなったわけではございません。  その経緯を簡単に申し上げますと、条約交渉案文に入る前に、私は一般問題について中国にも意見を申し上げたわけであります。その中で、中ソに対する日本の基本方針を明確にして、中ソの対立の中に日本は介入しないばかりではなくて、中ソの対立は緩和の方向へ行くことを期待している、したがって、この条約はアジアの平和と繁栄というのが目的であって、特定の第三国を意識して条約を結ぶべきものではないということから論旨を進めて合意を見たわけであります。したがいまして、われわれの意見の方が先に出て、覇権問題は社会通念としてこれを書き、そして特定の第三国というよりも、日本の外交基本方針の自由を確保する、こういう意味で四条にしたわけでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 いま大臣並びに条約局長から御説明がありましたが、四条というのはよくある規定のような気が私はするのです。私も条約には素人でございますが、二国間の条約なら当然のことで、書かなくてもこのように解釈できる規定だと思うのですね。しかし、書くことは大変な意味があると思うのですけれども、やはり前の特定の第三国を対象にするものでないというような表現の仕方の方が安心感を持つ。やはり中国にのめり込んだのじゃない、反ソ同盟に入ったのじゃないのだということを端的にあらわすならその方がいいですが、それはいろいろ交渉の経過があるのかもしれません。しかし、この四条はここへ置かないで、むしろ二条の中に入れた方がまだはっきりする、問題はこの二条なんですから。三条の経済、文化交流なんというものは余り世界の人々は注目していない。なぜ二条の次ぐらいに入れて世界に宣言しなかったのか。ですから中国人はこの問題に対する意識が乏しいのじゃないでしょうか。したがって、二条だけを宣伝して、四条の存在をキャンペーンしていない中国のこんな態度が出てくるのではないかと思うのですが、条約局長どうですか。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 私といたしましては、先ほど申し上げましたように、第二条の中に置くよりは、むしろこの条約全体を受けまして、この条約のいかなる規定もわが国と第三国との関係に関する立場にいささかの影響も及ぼすものではないという、かかる留保条項の性格にかんがみまして、第二条の中に置かれるよりは、実体規定の一番最後に第四条として独立して置かれることが最も適当であり、かつ望ましいというふうに考えている次第でございます。第二条の中に仮に置かれたといたしましても、法的な意味合いが相違するというふうには考えませんけれども、これは単にいわゆる反覇権、第三国の覇権の試みに反対するというくだりにのみかかるわけではございませんで、条約全体としてのわが国の立場を確保するという意味合いにおいて第二条と切り離して別条とし、かつそれを条約の実体規定の最後に設けるということが最も適切かつ望ましい、このように考えている次第でございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 時間がありませんので、次の質問に移りたいと思いますが、とにかく大臣、日本は第一条の平和友好ばかり宣伝しておるわけです。まさしく精神道義的な条約だというような印象を世界に与えておるのですが、世界がなかなか納得しない。いろいろな見方で見る。しかし、玉虫色というのじゃないですよ、同床異夢という言葉の方が条約局長いいじゃないですか。お互いに違った夢を見ておるのだ。私は違った夢じゃない方がいいのだと思うのです。そこで、中国は二条の反覇権条項だけを宣伝する。日本は一条だけ宣伝する。一条を宣伝するのは大いにやって、そしてこれを意義あらしめる方がいいと思うのですが、その一条を見ると、「両国間の恒久的な平和友好関係を発展させるものとする。」こらある。恒久的なんですね。「恒久的な平和友好関係を発展させる」というのなら、大臣、どうなんですか。十年という期限をつけなくても、本当に恒久的な条約にして、廃止のときには別途の廃止規定をつくること、これはたくさん条約に例があると思うのです。十年という期限を置かなくてもいいのじゃないでしょうか。大臣、どうでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これは十年と期限をつけたわけではございません。われわれも、おっしゃるとおりにこれは未来永劫、長期にわたるべき条約だと考えておりますけれども、一応十年間は間違いなしにやる、それで十年たって廃棄することができるという道をつけただけでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 これは条約局長にお聞きした方がいいかもわかりませんが、十年という期限がついて「効力を有する」、こう規定がありますから、私は十年の期限だと思うのです。これは大抵の、中ソ同盟もこのような表現の仕方だと思うのですが、私が申し上げるのは、基本的な恒常的な平和友好関係なら、こんな十年という期限をつけなくていい条約の規定の仕方があっていいのじゃないか、こんなことがあるから、反覇権条項というような規定が大変こわい規定だというふうに類推されると見てどうでしょうか。そんな論文をよく見まして、私も、なるほどこれは心配だな、やはり反覇権条項があるから十年というふうに――まさか外務省はそこまで考えられたかどうか知りません。大体日本の外務当局は無邪気で、反覇権条項も、キッシンジャーが入れたのだからまずよかろうぐらいなことでやってきて、六年間も大騒ぎになってきた。あのことを考えたら、この十年の問題も無邪気にやったのじゃないでしょうか。どうですか条約局長。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 先ほど先生も御指摘になりましたように、いわゆる処分的な性格の条約、典型的なものは平和条約でございますが、そういうものはいわゆる有効期限を付されておらない。その他の条約については、いわゆる有効期限と申しますか、当初有効期限あるいはその後の廃棄の手続という規定を定めるのが通例でございます。  この日中平和友好条約について申し上げれば、たとえば、わが国がカンボジアあるいはエチオピアとの間に結んでおります友好条約におきましては、有効期限は無期限とされておりつつも、いかなるときにも、いずれの締約国も、一年の予告期間をもってこれを廃棄するという規定が置かれております。このように、無期限とされながら、理論的に言えばいつでも廃棄できる、こういう友好条約に比べれば、少なくとも当初十年は有効な期限として定め、かつその後は廃棄されない限りいつまでも有効に継続していくというこの規定は、たとえばエチオピアまたはカンボジアとの友好条約に比べてもきわめて積極的な意味合いを持っていると私は考えております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 いま条約局長らしく前例を挙げられましたが、やはり平和友好という言葉を大臣があれだけ強調された条約ですから、私は十年という期限をこんなところへ書かない方がいいと思うのです。  そんな条約が多いと言われた。しかし、何かくしゃくしゃ言われてよくわからなかったのですけれども、そこは政府・与党ですから、こういうものだとしてこれから大いにキャンペーンする。意図はそういうところにあるのじゃなくて、若干無邪気なところがあったのかしらと思ったりするだけで……。  時間がありませんので、もう一つ、最後に経済的な意味について一問だけ質問させていただきたいと思うのでございます。  先ほど、EC諸国の心配、不安、これは日本が中国市場を独占、排他的な市場としはしないかということでございましたが、いまの日本の経済構造、貿易構造から見まして、本当に日本が独占できるか、独占できるような中国市場であるかどうか。  それと、中国がかつての経済運営と申しますかへ借款というものに大変苦い経験がある、古い傷跡が残っておる。そんな感覚で、借款をやっていけないような、やったらまた弊害が起こってくる、植民地支配になりはしないかということを考えたら、果たして中国が現在の生産物だけで、日本から、ノーハウにしてもロイアルティーにしてもプラントの輸入にしても、十分支払えるだけの経済的な条件が整っているかどうか。これはひとつ大臣、これから経済的な構造を中国との間にどのように考えていくか、これをひとつお見通しを若干聞かしていただきたいのです。これは通産大臣の方がいいかもしれません。かつて、私どもは、戦前において中国への輸出が二四%だった、輸入も一四%だった、敗戦になったときに日本の経済は暗たんたる気持ちになったのは中国市場を失ったからである、こんなふうに私は思ったのですけれども、いまちょうど二四%くらいの輸出をアメリカにしておるのでもっておる。中国は果たしてそのように今度は戻ってくるかどうか、そんなところについて、もう時間もだんだんなくなりましたので、外務大臣らしい将来への展望をお聞かせ願いたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いまの御発言は私もそのとおりだと考えておりまして、これはEC、アメリカの、日本と中国が排他的に貿易を独占し、急激に増大していくという不安は逐次消えていくと考えております。それは日本の経済構造、それから中国自体も日本とだけやるつもりはございません。新聞にも言っているとおり、条件が同一であれば日本の方をやりたいという程度で、なおこのことにつきましては、日本と中国が提携して、排他的にこのアジアから他の国々を排除するという誤解を受けることは中国の近代化にも決して有利ではない、また早く進めるという手段でもないから、日中は排他的にならずにお互いによその国々とも相談してやりましょう、こういうことは合意をしているところでありますから、現実の問題においても中国の腹からいっても、日本の経済構造の点からいっても、日本だけが独占をしてアメリカやECから、かつての黄禍論みたいなことを言われる気配は、これは時間とともに消えていくと存じております。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 時間がございませんので、もう少し念を押したいのですけれども、大臣、私どもはやはり日中経済交流は本当に盛んにし、大きくし、中国の近代化の大きな援助になってもらいたいと思うわけでございますが、しかしよく出ておりますように、中国の石油、重質油でなかなか使えない、先般も電力会社が断ったような状況であるとすると、果たしてうまく経済交流が――だんだん大きくなってまいりました、往復三十億ドルが六十億ドルくらいにはなるかもしれぬと言っておりまするけれども、それは果たして向こうが、中国から支払う財源があるかどうか、これによるかと思うのでございます。しかし、それは借款を考えられるかどうか、経済援助が考えられるかどうかにも関係するのですか、そのあたりについてはどう考えられるか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 石油の問題については通産大臣が予算委員会で答弁をしておりましたが、これに対する施設を準備をしておる、こういう話でございますし、また中国では軽質油も出てきたという関係もありましょう。しかし問題は、経済協力はもちろん私は考えるべきことだと存じますが、中国が一番考えているのは金融の問題であり、それから国内に近代化の設備をやることでありますが、他の国々は直ちに市場としての考え方がやや強いような気がいたします。そういうことを考慮しつつ、応分の中国と日本の経済交流が進んでいくことを期待し、予想しておるわけでございます。

塩崎潤自由民主党

○塩崎委員 時間がなくなりましたので、これで終わらしていただきます。ありがとうございました。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 安井吉典君。

安井吉典日本社会党

○安井委員 一九七二年九月の日中共同声明で、中国の日本に対する戦争被害の賠償請求権の放棄がなされたわけですが、日本はこの間の大戦中、中国に対しどの程度の物的あるいは人的被害を与えたと政府は見積もっておられますか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 過去の日中間の不幸な時期に日本がどれだけの損害を与えたかという問題は、一口で言いますとはかり知れない損害を与えた、こういうことだろうと思います。で、日本政府といたしまして、それを人的損害あるいは物的損害として数字を挙げて積算したことはございませんが、一千万人あるいは五百億ドルというような数字が出ておるということは承知しております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 一千万人の人的被害、五百億ドルですからね。三百円ベースにして十五兆円ぐらいですか、とにかく大変なものであります。私はそういう膨大な被害を与えたということへの反省、これはこちら側。それから、それについて請求権を放棄をしたということに対する評価、そのことを下敷きにして、初めて、今度の条約の意義というものが生きてくるのではなかろうかと思います。  いま申し上げましたその共同声明を受けて、八月十二日に北京で調印が行われ、六年ぶりに両国最大の懸案が解決したわけです。園田外務大臣の御努力を多とし、御苦労さまと申し上げたいと思います。  この条約は、悪夢のような戦争を償い、両国間の恒久平和を、子々孫々にわたる友好親善の新しい関係を打ち立てるというわけで、その政治的、歴史的な意義は大きいと思います。しかし、これには私ども日本社会党にしても、自民党政府が中華人民共和国を、成立以来二十四年にわたりまして否認し続けたそういう状況においても、国交回復、友好親善のためにずうっと努力を続けてきたし、これは決して私どもの党だけではありません。公明党を初めほかの野党もみんなやったし、さらにまた、この条約ができ上がるまでには、実に無数の井戸を掘る人の努力があったと思います。名の通った井戸掘り人もいたのは当然でありますけれども、名もなき無数の井戸掘りの人たちがいたわけです。私はそのことをやはり忘れてはならないと思うのですが、まず外務大臣のお考えを伺います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これは単なる答弁ではなくて、私はそのように思い込んでおります。したがいまして、私は正式の本会議の壇上において、いままで努力をなされた方々に対し謝意を表し、調印をやった私はざんきの至りであるという意味の意思表明をしたわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私もお聞きしていました。ただ、私がここでことさらにそのことをいま申し上げているというのは、実はいまここでわれわれが審議をして、承認を与えて、批准交換が行われて、そうすると、今度は条約はひとり歩きをしていくわけであります。井戸を掘ることに汗を流した人たちが期待した方向と違う方向に行かれては実は困るわけです。この運用をするのは私ども革新連合政権がやるわけでもありませんし、やはり日米安保体制の中にどっぶりつかっている自民党現政府がやるわけですから、私どもはかなりの心配を持っています。現に新しい心配の萌芽が幾つかあらわれてきているような気もいたします。ですから、さっき井上委員もいろいろ発言をしておりましたけれども、これからあと、私たちはこの審議を通していろいろな注文をやはりつけていかなければならない、こう思うわけであります。  まず、もう基本的な問題点からずばり申し上げてまいりますと、日中後のわが国の外交の基本的な方向についてであります。全方位外交というものは、あれは福田総理の専売特許であって外務大臣は知らないことであったということを、きょう、さっき初めて私も聞いたわけでありますが、私も全方位外交というのはおかしいと思う。大体外交というのはすべて全方位であるのが当然なので、特定の国だけをネグレクトしてそれで外交と言うわけにはいかぬわけですから、ただ外交と言おうと、全方位外交と言おうと、これは私は同じことではないかと思います。無意味な言い方だと思うのだが、しかし私は、総理がああ言うのは今日までの外交のあり方がアメリカ一辺倒の外交であったという反省の中から、それじゃいかぬので、中国にも広げるし、もっとだんだん広げていくのだ、そういうおつもりで総理も言っておるのじゃないかとも思うわけですが、その辺外務大臣としてのお考えはどうですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先ほど言葉の使い方が間違いであったかもわかりませんが、全方位外交とは知らなかったということではなくて、私はその言葉を使いません、こう言っただけでございまして、それは外務大臣としては、全方位外交ということは外交の一般の表現の傾向でありますけれども、具体的に担当している外務大臣としては、いささか足りないような感じもいたしますからその言葉を使わなかったという意味で、総理と私の考えが違うということではございません。また、総理の全方位外交という言葉も、わが国では国会でいたしました外交方針の中の、どこの国とも関連性を持ち外交関係を持つということでありますから、この点はお許し願いたいと思います。  なおまた、この全方位外交といいましても、当然日本の置かれた立場から、安保条約あるいは日米外交を基軸にするとは言いながら、これに追随するものであってはならない。やはりアジアが中心であり、隣国が中心であり、そしてまたこの世界の大きな対立を緩和していく方に目的を持っていかなければならぬと考えておるわけであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 そうすると、いままでの外交のあり方への反省の中から出てきた言葉ですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 総理の御意向は存じませんが、私はいささかそういう点も考えておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私は、ポスト日中の外交政策のあり方の基本というのは、日本の安全とアジアの平和保障のため、日本はどこの国とも軍事条約を結ばない、非同盟外交、中立外交の道を選択すべきだと思います。特に今度の日中条約は、いわゆる反覇権であり、中立政策というあり方とは矛盾しないと思います。私は、むしろこの日中条約を契機に、日本とすべての関係のある国々と、日本が不戦、平和友好条約を一つ一つ結んでいくという方向、そういうような方向をこそ追求していくべきだと思うわけでありますが、この点について外務大臣、御意見を伺います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中立ということについては若干の食い違いがあるわけでありますけれども、そのねらいとするところは、あくまで世界の至る地域に紛争または戦争の危険をなくして、そして世界の平和と安定に日本が貢献するということには間違いないことでありますから、その方向に向かって外交を進めていきたいと思いますけれども、現情勢においてはだんだん世の中は変わってきておりまして、不可侵条約とかあるいは不戦条約とか、そういうことを具体的に結ぶことについては十分検討したいと考えます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 私の言う非同盟外交という方向になると、早速問題になってくるのはアメリカとソ連です。アメリカについては日米安保条約がありますから、これをやめて友好条約に直すという必要があるし、ソ連については領土問題の解決というのがあるわけです。しかし、私は方向としては非同盟外交というのが日本の安全とアジアの平和を守るためにいいことじゃないか、そう思うのですが、きょう直ちに大臣の賛成を得られるような状況でないことは私もよく知っていて質問しているわけですが、しかし私が言おうとする外交の方向というものについては、いまの御答弁でかなり共感を述べていただいたような気がするのですが、重ねて伺います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 政府のとっております外交方針は、御承知のごとく均衡による平和という現段階を、現実の問題を重点にしておるわけでありまして、やはり世界の将来の理想というものはそういう力の均衡からさらに一歩進んで、力の均衡ではなくて、もっと真に平和に向かってすべての国々が前進するように持っていくべきことは、そのとおりであろうと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 方向は大体何か同感を得られたような感じの御答弁ですけれども、私どもはきちっとした外交方針として、外交政策として打ち立てるべきだという主張を持っておりますので、その点だけはこの際はっきりさせておきたいと思います。  ちょうど防衛庁長官もおいでをいただいておりますので、若干伺いたいのは、いま有事立法だとか奇襲対応策というような問題がクローズアップされ、それがこの日中の条約審議と同時進行的にこの国会で議論されているという事実であります。きょうは余り聞こえませんけれども、表では右翼の軍歌が鳴り響いています。そして、もうこりごりの戦争の最終処理をするこの条約の審議、しかし、この条約後の体制についても日米中三国同盟の成立というこじつけた解釈が現に行われているというのも事実であります。そこへもってきて、戦争への準備をする法律の研究がどうのこうのと、こういうわけですから、表の伴奏といい、国会の中のそういう論戦といい、これはあのいやな戦争を経験している私どもにとってはやりきれない気持ちでいっぱいであります。有事立法とか奇襲対処というようなことを言うが、そんなケースはあり得ないんだ、万一あったら、という言い方でいろいろ議論をされているようであります。最近は万々一ということになって、その次はもう万々万一とあり得ないことを言う表現を使っておられるわけですが、防衛庁長官よりも防衛局長の方が頭がよさそうですからお聞きしますけれども、その一万掛ける一万掛ける一万分の一というのは小数点の下に零が幾つつくのですか。――結構です。お答えはもう結構です。頭のいいのはよくわかっておりますから。私が言いたいのは、つまりそういうゼロに等しいものを何かあり得るもののようにもっともらしい言い方でどうも逆コースを正当化しようとしているというようなことは許せないと思います。その上、福田首相に至っては、機密保護法を考えているというようなことまで言うわけで、マスコミはまたそれを大きく取り上げる。ですから国民は、新聞やテレビを見ている限りでは、何か戦争が近く始まるのではないか、そういう不安にさえ駆られる。  それともう一つは、私が特にこの場で取り上げることは、対外的にも有事をなくすことが第一の方策だ、こう言いながらも、有事立法、有事立法と言う、そういうふうな騒ぎがソ連を初め日本周辺の諸国を刺激して、日本に対する不信感とか不安感をつのらせるというような心配があるわけであります。それを足場にしてさらに自分の方の軍備をふやすというようなことになるのかならないのか、これはわからないが、しかし、有事有事というようなことを言い立てることによって新しい有事をつくることになるのではないかということを私たちは心配するわけです。  外務省は、有事と言うけれども、有事になったら日本は大変なことになる、軍事優先の有事立法研究にもっと冷静であってほしいというようなコメントをしているということを新聞は報道しておりますが、防衛庁長官には、御答弁があるようでありますが、もう少し……。外務省としていまのそういうあり方についてどういうお気持ちで聞いておられるのか、それでいいのか、もっと、――やめてくれというのが私の言い方なんですけれども、どうですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 おのおの職務がありまして、外務大臣の職務は、有事がないように精魂を傾けることが外務大臣の責任であると存じます。  なおまた、有事と言えば、端的に言えば米ソの対立が火を噴くこと以外には考えられません。これこそ日本の安全ばかりでなく世界の混乱が起こるわけでありますから、そういうことがないように全力を傾けるつもりであります。  有事体制あるいはそれに基づく立法の研究をなさることは独立国家としての防衛上必要でありますが、願わくはその論争で隣国あるいは関係諸国に、平和に徹するという日本の基本方針に対する不安を与えないように論争をしていただきたいという希望を持っておるわけであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 防衛庁長官にお答えいただきたいわけでありますが、いま外務大臣がおっしゃったようなそういう対外的な影響というのを私たちはやはり心配していかなければいけないし、ただ外務大臣が、研究するのはいいけれども、こうおっしゃったが、国会もだれも知らないところで研究されれば、これは三矢計画になってしまうし、またオープンで計画すれば、それはまた当然大きく取り上げられるのですよ。ですから私は、とりわけ日中平和友好条約が締結をされて、いま新しい外交方針を選択しようという際でありますから、こういうようなときは奇襲云々だとか有事立法研究だとか、そういうことはやはりやめられるべきだと思うのです。どうですか。

金丸信自由民主党防衛庁長官・建設大臣臨時代理・国土庁長官事務代理

○金丸国務大臣 奇襲というような問題、この問題の発端は栗栖統幕議長を解任したというところにあるわけであります。私は、それは超法規行動ということ、戦前の日本にしてはいかないという考え方、またこれを放置しておいたらシビリアンコントロールはどこにあるのかという考え方で、栗栖君にやめていただいたわけであります。そういう中で奇襲というような問題と有事立法、これが混同してひとり歩きをしてしまったということも私はあったと思います。先ほど来からお話がありましたように、いわゆる防衛という問題が、戦いをするということでなく、あくまでも戦前の日本にしてはいかぬということは、戦争をやってはいかないという考え方が基本になくてはならない、そのためには、各国との間に、精魂を傾けて平和の外交をやってもらうことがまず第一であろうと私は思います。  そこで、奇襲という問題につきましては、私は絶対あり得ない、またあり得ないようにすることが政治だという考え方でおるわけでありまして、万に一つあるとするならば、それを研究することも結構だということでありまして、いわゆるとことんまでああだこうだと、いま自衛隊法の二法があるわけでありますが、私は非常にりっぱにでき上がっておる、何でこんなことを言っているのだというようにも思うわけでありますが、有事立法といわゆる奇襲、こういう問題がわれわれの思わざるところにひとり歩きしていったというのが現実の姿だ、私は、この有事法制の研究というような問題については、頭が冷静なとき、いわゆる憲法の範囲内で、自衛隊はどのように対処していけばいいのか、いわゆる範囲内で、こういうところにも重みを置いておるわけでありますから、あくまでもわれわれは戦いをやってはいかない、戦前の日本にしてはいかない、これが私の考え方であります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 長官のお考え方はわかりましたが、しかし研究がなされている限りにおいては、いつになったってこういう状況は続きますよ。私は、だからやはりやめるべきだということをさらに申し上げておきたいと思います。  それから、総理はほかの国を敵視する考え方はいささかも持っていないと言い、仮想敵国という考え方は否定しているわけです。しかし防衛白書を読む限りにおいては、いわゆる防衛対象国、仮想敵国ではないが、防衛対象国は事実上どうもソ連らしいと防衛庁は考えているというようなことになっているように思うわけであります。平和への道を模索するいまのこの条約審議の中で、この点について防衛庁はどう考えているのか、伺います。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○伊藤(圭)政府委員 軍事的な脅威の中には、やはり軍事的な能力と意思というものとが結びついたときにこれが顕在化すると私どもは考えているわけでございます。現時点におきまして、その意思と能力が結びついた脅威があるとは私どもは考えておりません。しかしながら、一方におきまして軍事力というのが現存しているのも事実でございます。したがいまして、そういった軍事能力というものを評価するに当たって日本の周辺、近隣諸国というものの中では、御承知のようにソ連というのはきわめて強大な軍事力を持っているというふうに判断をいたしているわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 じゃ、それがいわゆる防衛対象国、こう言うわけですね。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○伊藤(圭)政府委員 これは対象国というふうには私どもは考えておりません。私どもはやはり、周辺の諸国から日本に対する侵略が行われたときにはどのような運用をするかということを研究いたしているわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 これは後で日ソ関係の改善こそがこれからの新しい外交の要点だと、これは政府も言うし、私もそう思うのですが、そういうような中でいまの防衛庁側の発言というものは問題がある、私はそう思います。これは別な機会にまた論議したいと思いますが、ただ、たとえば総理大臣は軍事大国にしない、軍事大国にしないということを繰り返して言われているのも事実でありますが、それなら軍事大国にならないという保証を具体的に示してもらわなければ国民は納得しないと思います。どういう手段で、どういうやり方で軍事大国というか、軍事強化へブレーキをかけていくのか、これは防衛庁長官、それから外務大臣にも伺います。

金丸信自由民主党防衛庁長官・建設大臣臨時代理・国土庁長官事務代理

○金丸国務大臣 御案内のように、防衛大綱とか防衛の基本方針あるいはGNPの当面一%程度、そういう考え方の中で防衛計画を立てていくということでありまして、いまドルが余っているから飛行機を買ったらどうだというものではなくて、防衛というものは一億一千万の国民のコンセンサスを得ながら積み重ねていくところにあるという考え方を私は持っておるわけであります。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 防衛庁長官がおっしゃったことに同意でありますが、外務大臣としては、まず第一に憲法を絶えず見ながら、その憲法の精神に従ってやるというのが第一番の日本防衛の枠だと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 この議論をするにはちょっと時間が足りないようですから……。  もう一つ、防衛庁長官がおられるときに伺っておきたいのは、いまの日中平和友好条約の締結で国際情勢、とりわけ日本やアジアをめぐる情勢にかなりの変化が起きているというような言い方をあちこちでするわけであります。しかし、そういうような中でも防衛庁が考えている防衛計画といいますか、そういうような枠組みは変わらないのか。日中平和友好条約の締結以後と以前とで何らかの変化ができるのかできないのか、そのことを一つ伺います。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○伊藤(圭)政府委員 御承知のように「防衛計画の大綱」をお決めいただきましたときに国際情勢について判断をいたしております。日中友好条約ができた後といえどもこの情勢に大きな変化がないという立場に立っておりますので、「防衛計画の大綱」を変更する考えあるいは防衛体制を変更する考えというものは持っていないわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 内閣委員会から長官おいでいただいたわけですから、後でやる質問までいまここで大体固めましたから、一応向こうへお移りください。  質問があっちこっちいたしますけれども、条約の中身に関係のある問題について若干伺います。  尖閣諸島の問題について中国側は日本の領有権を認めたというものではない、そうとっていいのではないかと思うのですが、それが一つ。  それから、鄧小平副主席が、今後はああいうような事件は起こさないということを言われて、それだけで突っ込んだ話はしていないというふうにも聞いています。  それから、いつか外務大臣が大阪での講演の際に、いまのまま二十年、三十年はほっておいてもよいのではないかというお話をされたと新聞は報じています。これらの問題点について伺います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 尖閣列島に対する法的なことは局長からお答えいたしますが、鄧小平副主席と私が話したことは、尖閣列島に対するわが国の立場を主張し、さらにその上に、この前のような事件は困る、今後こういう事件は起きないようにという強い要請に対して、鄧小平副主席は、いつまでもいまのままでいい、このような事件は起こさない、こういうのがやりとりでございました。二、三十年というのははずみで出たので、年限はございません。いつまでもという言葉でございます。  そこで私としては、先ほどアジア局長が言いましたとおり、日本が固有支配をしておる問題であるし、しかもああいう事件が起きなければこれは結構であるから、ここでさらに突っ込む必要はない、こう考えてそれ以上はやらなかったわけであります。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 いま外務大臣が御説明になりましたのが鄧小平副主席と園田外務大臣との間の話で出ました限りの正確な事項でございますが、冒頭に先生の御質問にありましたように、日本の領有権を中国が認めたかという点につきましては、いまの御説明でおわかりのように、日本の領有権をどうするかということを議題としてあるいは話題として話したわけではありませんので、その限りでとどまっている、そして日本政府の立場としては、そのとどまった限りの意見の交換で十分である、こういう認識である、こういうことでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 沖繩開発庁が明年度予算要求の中で尖閣列島に関する調査費を要求しているということでありますが、その内容等についてちょっと伺いたいと思います。

金子清沖繩開発庁総務局企画課長

○金子説明員 尖閣諸島がわが国の固有の領土でありますことは明白なことでございますけれども、これまでこの地域におきます自然的地理的な状況の調査は必ずしも十分に行われておりませんでした。したがいまして、沖繩開発庁といたしましては、尖閣諸島の中で魚釣島、南小島、北小島、この三つの島の自然的地理的条件を把握いたしますとともに、この尖閣諸島の利用開発の可能性を探るための調査を実施したいというふうに考えているところでございます。そして、そのために必要な経費といたしまして約三千六百万円を五十四年度の予算として現在大蔵省へ要求いたしておるところでございます。  この調査の内容につきましては、今後学識経験者などの意見を聴取いたしたいというふうに考えておりますが、現在のところ、先ほど申しました三島につきまして陸上の地形、地質、周辺海域の水深等を調査いたしますとともに、これら三島と周辺海域の風向、風速、気流、波高、海流などにつきましても調査をいたしたいというふうに考えておるところでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 その調査は尖閣列島の日本の領有権を確認するとか明確にするとか、そういうこととつながるわけですか。

金子清沖繩開発庁総務局企画課長

○金子説明員 先ほど申しましたように、尖閣諸島はわが国の固有の領土であるということは明白でございますので、私どもがこの調査によってそういうことをあえてしょうというものではございません。

安井吉典日本社会党

○安井委員 次に、第二条の覇権反対の問題でありますが、この「覇権を求めるべきではなく、」「覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対する」ということは、一つのどこかの国の行為に対して、日中が、覇権であるとか覇権でないとか、共同の認識を持つということを前提にしているのか、あるいはそうでないのか、その点伺います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 その点は、今度の日中双方の事務レベル協議の過程を通じましてはっきりいたしておりますことは、共通の認識を持ち、共同の行動をとるというようなものでは全くない、そういうものではないということについては、日中間で意見は一致しておるわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 覇権というのは、自分の国以外の外国に軍事基地を持つ国、それは覇権と見るのですか、見ないのですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これは、覇権という言葉が比較的新しく使われ出した言葉でありますので、その実際上の適用、実質的な内容については必ずしもはっきりしていないので、いろいろの御質問、御疑義があると思います。ただ、日中間では、御承知のように一九七二年の共同声明で、両国首脳が署名した文書の中にすでに使っている言葉である。したがって、これについては認識があるはずである。日本政府としては、毎回申しておりますように、自分の意思を力でもって相手に押しつけるような行為であって、国連憲章の原則、精神に反するもの、こういうことでございまして、中国側におきましても、日本側のこのような認識について異議があるわけではなくて、そういう認識であろうと思います。具体的にどういうものをそれでは覇権行為と見るのかというようなケースについて中国側と話し合ったことはないわけでありまして、それはあくまでも、具体的に起きました一つの行為なり言動というものが、自分の意思を力で相手に押しつけるものであるかどうかということは、その例に即して、日中それぞれが判断して対応していく、こういうことでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 日本に米軍が駐留している。とりわけその大部分はいま沖繩にあるものですから、沖繩では基地反対運動が常に起きている。そういう中で、今日の米軍の駐留という、この程度のものは覇権ではないのですね。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 私の考えますところでは、このようなことが今度の条約の覇権に当たるというふうな認識は持っておりません。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いま、北方領土と政府が言う地域、その地域をソ連が占拠している。そこにはソ連の軍事基地もある。そして日本政府は、ソ連のあそこにおける駐留を、不法占拠という言い方でやっている。そして中国は、北方領土でのソ連の占拠を覇権だというふうに、私ども中国へ行くとそういうふうに言われるわけですね。日本政府はどうなんですか。そしてまた、これは条約上どう扱われますか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 少なくとも、今回の条約の締結に当たりまして、いまのような認識について議論したことはございません。それから、中国が折に触れて、いま先生がおっしゃるようなことを申しておるということは間接的には聞いております。北方領土に対するソ連のいまの態度を覇権と見るか見ないかということについて、日本政府は意見を明らかにしたことはございません。日本政府の一貫した態度は、ソ連の不法占拠を早くもとに戻してこの領土を回復する、そのための努力を継続する、こういうことに一貫して徹している、こういうことでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ついでに伺いますが、竹島、韓国は、軍事占拠と言えるのかどうかわかりませんけれども、いまの状況はこれは覇権ですか、覇権でないのですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これは、再三申しておりますように、日本の固有の領土を韓国が不法に占拠している、こういう状況でございまして、竹島については、そういう状況に至りますまでに、戦争の終結、朝鮮の独立を承認するというサンフランシスコ条約の規定、マッカーサー・ライン、李承晩ラインというようないろいろな経緯がございまして、少なくとも日韓間の領土紛争の対象になっているというところが私どもの認識でございまして、これが覇権であるかどうかということを考えたことはございません。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ついでにもう一つ伺います。  尖閣諸島で中国の漁船がこの間領海内に入ってきたという問題がありましたね。あの程度を覇権だとはちょっと考えられませんけれども、どの程度までいったら覇権なんですか。それから、そのけじめはどうなんですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 その点は、先ほど私が申し上げましたように、抽象的には非常に言いにくいことでございまして、その具体的なケースに応じて政治的に判断されていくもの、こういうふうに御理解いただくのが適当かと思います。

安井吉典日本社会党

○安井委員 第二条の覇権というものの中身は、まだかなり詰められていないという印象を受けるわけです。私は、身近な例を、問題のありそうなやつだけを挙げたわけでありますけれども、これからの段階において、やはり両国が共通した認識が持てるような事態というのが一つの条件ですね、そういったようなことを初めとして、いかなるものが覇権でいかなるものが覇権でないのかという、そういうような点を、適当な機会に、できれば今度の国会の中で、あるいはできなければもっと適当な機会と言ってもいいのですけれども、やはりこれを明らかにしておかないと、将来問題が起きませんか。どうですか、大臣。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 どのような行為を覇権と言うか、覇権と言わないかということは、さらに検討する必要があると思いますが、ただ、私と向こうの指導者との会談の経緯において、覇権の判断は独自に行うということと、また、その覇権に抵抗するのは独自の立場で抵抗をする、こういうことは明確に中国との間には話をしてございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 そうすると、私は覇権について共同認識ということもさっき言ってしまいましたけれども、そうではなくて、それが覇権かどうかということは、こちらも勝手に自分の主観で判断すればいい、そういうことですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そのとおりでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 どうも何かふに落ちないような感じもするわけであります。というのは、この第二条というのは非常に重要な規定であることは間違いないわけですが、どういうようなものが覇権であってどういうものが覇権でないかという、その見方のけじめ、大まかでもいいのですけれども、いまお話を聞いていたら、何もないような感じなんですね。それぞれの国が、あれは覇権だと言ったらもうその国にとっては覇権になるし、こっちは覇権でないと言ったらその国にとっては覇権でないという、余りにもけじめがないような気がするわけですが、そういうのでいいのですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これは、先ほど申し上げましたように原則的な規定でございまして、新たに持ち込まれたといいますか、条約の中に規定されました覇権反対という原則をいかように適用するかということは、今後の条約の実施を待って積み重ねられていくと思いますが、少なくとも、日中両国の間でお互いにそうではないということを言わない考え方として、先ほど私が申し上げましたように、自分の意思を力でもって相手に押しつけるような行為で、国連憲章の原則、精神に反するもの、こういう一般的な考え方という点では日中間には意見の相違がないわけであります。したがいまして、そういう一般原則を具体的な事象にどう適用していくかというのは、これはこれからの具体的なケースが起きましたときの日中双方の適応ぶりによっておのずから明らかになってくるもの、こういうのが現段階における認識でございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 これは条約ですからね、かなり弾力性を持たせるという必要もあると思いますけれども、覇権を確立することを抑えていくという、いわゆる平和をいかにして維持するかという重大な原則ですからね、余りけじめがないようなことでは私は困るように思うのですね。まだ後からいろいろ質問が続きますので、そういう中でも私とは別なアプローチの仕方もあると思いますから、この点については私は質問を留保しておきます。  次に、ソ連との関係についてでありますが、日中条約というのは日中両国間の平和友好関係の確立だけではなしに、アジア全体の平和と安定を目指すというものであり、とりわけソ連との友好関係を重視し、条約第四条のいわゆる第三国条項を明記するということに日本はずいぶん苦心をしたという話を聞いています。それだけに、ソ連が新しいこの条約を反ソ的ときめつけることは、私は好ましいことではないと思います。ソ連の方は、この条約の交渉段階から牽制をするというような動きがあり、そしてまた日中の後には日ソの関係改善ということが、わが国の次の大きな外交課題であるということであるだけに、ここに新しいわだかまりがこれ以上深まるということがないよう、対ソ関係の修復について政府はもっともっと努力をすべきでないか、こう思いますが、大臣、どうです。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先ほども申し上げましたとおり、改善と、それから従来の方針をさらに進めてという言葉の使い方に、両方に意見の食い違いがありましたけれども、今後日ソ関係をさらに進めていくということについては、両外務大臣、意見は一致しているわけでありまして、御発言のとおり、もろもろの問題をとらえつつ日ソの友好関係を進めていくべきであると考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 グロムイコ外相が反ソ外交というようなきめつけ方をし、年内の訪日要請を断わったというようなことになっており、事務レベル協議の再開のめどもなかなかつかないような状況だとも聞くわけでありますが、新しい再開の見通しはどうですか。

加藤吉弥外務省欧亜局外務参事官

○加藤説明員 事務レベル協議の再開の見通しについてのお尋ねでございますが、これは目下モスクワにおいて相互の都合を詰めることにいたしております。向こうも予定された期日には来られないということを言っただけでございまして、再開が絶対にだめになったということは言っておりません。今後、両方の外交チャネルで詰めて解決ができる問題であると考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 外相会議はどうですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 外相会議は、年内には行けないと断わったわけではございません。こういう関係になったけれども、先般も、なるべく早く外相会議のために日本においで願いたいという話をしましたら、行くという約束はしたが、いまこの場でいつ行くと言うことはできない、こういう返答でございました。だから、なるべく早くおいでください、こういうことでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 それなら年内の可能性はあるということですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 外相定期会議の可能性としては年内は少ないんじゃないかと思いますが、漁業交渉その他事務的な交渉は逐次話は進んでおります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 対ソ外交懸案の最大のものは何としても領土問題です。日中条約で尖閣列島の領有権問題に触れなかったということを一つの種にして、日ソ平和条約にも、領土問題に触れずに結ぶべきだというような言い方で、いわゆる尖閣列島問題がソ連側の口実になりはしないかという心配があります。私は両方は全く次元の違う問題だと思うのですが、どうですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 尖閣列島と北方四島の問題は全く次元の違う問題であることは、私も御発言のとおり考えておりますが、ただ、ソ連の方から、この領有権を正確にしなかったことはたな上げじゃないか、それじゃこっちもたな上げにしてほかの条約を進めていこうと言われる可能性は、必ずしもなきにしもあらずのことでありますから、これについては明確に説明しておきました。

安井吉典日本社会党

○安井委員 明確に説明することはいいんですけれども、何か領土問題の解決のむずかしさ、そのことが一層増加したというふうな印象も受けるわけです。現在、ソ連の共産党の代表の人が来日されていますけれども、領土問題については実にかたいかたい表現をしているようであります。それだけにこれからの日ソ関係改善への道筋、とりわけ領土問題は非常にむずかしいというような印象を受けるわけでありますが、それはまた後で伺うことにして、一方、ソ連側は善隣友好条約を結ぼうと呼びかけをしているわけですが、もちろん領土問題のたな上げを許すというようなことは一切できる問題ではありませんけれども、今日までの外務省のそれへの対応が全く一本調子で、そういうようなことなら、なおさら問題をこじらせてしまうのではないかという感じも受けます。これらの領土問題、それからいまの善隣友好条約、こういったような当面の課題について何かもっとうまく対応するような知恵はありませんか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 善隣友好条約について私がグロムイコ外務大臣に答えたことは先ほど申し上げたとおりでございますが、経済問題あるいは協力の問題、その他の問題等もよく踏まえて、そして、未解決の問題を解決して平和条約を結ぶという日本の基本的な方針を守りつつ、各方面から相互理解を積み重ねていきたいと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 余り新しい知恵はなさそうな御答弁のようでありますが、これはまだまだ方法があるのではないか。きょう私はそこまで議論はいたしませんけれども、もっともっと深い検討をお願いしておきたいわけであります。  九月二十七日でしたか、外務大臣が帰国された記者会見で、対ソ関係については、「やりようによっては話し合いは進むと確信している。望みはある」これも新聞の記事なんですが、自信を示しているように思うわけでありますが、その言葉の中の明確な方針といいますか、道筋といいますか、そういうようなものについていまお話ができますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 自信を示したわけではありませんけれども、日ソの間には、御承知のとおりに共通の利害関係は非常に多いわけであります。特に経済の問題あるいは開発の問題と、利害が対立する問題もありますが、共通する問題もあるし、日本がまた真にソビエトの繁栄に寄与する点もたくさんあると思いますので、いろいろ話していけば、粘り強くやれば、話はつくのではないかということを申し上げたわけでございます。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ソ連の関係につきましては、先ほど井上委員と大臣とのやりとりが大分ありましたから、もう少しお聞きしたい点がありますが、これは後にいたします。  次に、朝鮮半島の関係でありますが、日中条約の締結という新たな時点で、新しい外交の展開を考えているのかどうかということであります。  朝鮮半島の平和と安定というのはアジアの安定のために非常に重要であるということは、幾度も言明されていることでありますし、特に朝鮮民主主義共和国と中国との密接な関係、こういう問題があると思います。そういうふうな諸情勢を踏まえて、朝鮮民主主義共和国との対話とか、とにかく日中条約が締結されたという機会に新しい展開があってもいいのではないかと思いますが、その点伺います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 朝鮮半島の平和と安定は、わが国にとってきわめて肝要であり、アジアにとっても重要な問題であることは、御指摘のとおりであります。今日、共和国と韓国との間にこの緊張がさらに激化するということは考えられませんけれども、共和国と中国との関係、韓国とソ連との交流が始まった関係等を考えると、なかなか複雑になってきた、こう思っておりますが、いずれにいたしましても、われわれとしては友好条約締結を契機に、朝鮮半島に真の平和と安定が来るように、まず両国間で話し合いができるような国際環境をつくることが必要であると考え、共和国の方とも、問題のあるごとに話し合いを詰めて、相互理解を深めたいと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 朝鮮半島は、いわゆる冷戦構造のサンプルみたいなふうに今日まで見られてきたと思うのですけれども、いま大臣がちょっとお話しになりましたような、朝鮮半島を取り巻く四つの大きな国の情勢というものがかなり変わってきつつあるという事態は、注目すべきことではないかと思います。  今度中国での話し合いの際に、朝鮮半島のあり方、とりわけ朝鮮民主主義人民共和国との対応について、中国側首脳との特別なお話し合いがあったのかどうか、それを伺います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 正式の会談でも雑談でも、朝鮮半島の問題は出ませんでした。

安井吉典日本社会党

○安井委員 いずれにいたしましても、いま新しい対話の機会を待っているとか、つくろうとしているとかいう大臣のお言葉にもう少し期待をしておきたいと思います。いずれにいたしましても、問題ごとに話し合いをするとか、対応の仕方もいろいろあると思うわけであります。そしてやはり朝鮮半島の平和統一というものを優先させて問題を解決していく、そういう姿勢だけは忘れていただきたくないと思います。どうですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 友好条約締結後、日本外交として重大な課題は、ソ連との友交関係を進めていくことと、もう一つは朝鮮半島の問題である、この二つは重要であるということは考えておるわけであります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 ただ考えるだけじゃなしに、ひとつ積極的にお進めをいただきたいと思います。  東南アジアに関してちょっとだけ触れておきたいと思いますが、東南アジアそれぞれの立場もあるわけでありますから、今度の日中平和友好条約の締結に対しての見方、考え方はいろいろあるようでありますが、しかし、それらの見方がどうあろうと、日本として何かアジアの大国である中国と日本とが結んで、日本がかつて、一国で大東亜共栄圏を考えたと同じようなそういう仕組みを東南アジアで新しく展開するのではないかというような、そういう杞憂を払拭するような努力を、日本がもっともっとやるべきではないかと思うわけであります。アジアの兄貴分として、いわゆる反覇権というのを、言葉ではなしに、態度で明確に示していくという努力、これが必要だと思うのですが、具体的に何か考えていますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 全く御発言のとおりでありまして、そういう不安を各国とも持っておることは事実であります。したがいまして、私はみずからもう一遍そういう国々に行ってよく理解と納得を求め、今後の行動でこの不安を解消すべきだと考えておりますが、年内にはどうも行けそうにございませんので、なるべく早い機会に、各国からもそういう要請を受けておりますから、早い機会にみずから出かけていくつもりでおります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 年が変われば、どうも総裁選挙もあるようですから、どうなるかわからぬが、とにかくいずれにいたしましても、日本の立場をやはり明確に説明して安心していただくし、さらに、一緒にアジアの安定、平和のためにがんばろうということを進めていただく必要があると思います。その点特にお願いをしておきたいと思います。  そのほか、最初に私が申し上げましたように、ひとり歩きをするかもしれないこの条約に対する注文がたくさんあるわけでありますが、まとめて特に申し上げておきますと、最近の、この間の本会議やその他の福田総理の発言、態度、あるいはまた園田外務大臣の発言等をお聞きいたしていますと、そうではないと思うのですけれども、私は、何か日本が経済大国に、あるいは何とか大国に、軍事大国とは言いませんけれども、何か大国意識というもので胸を張るような場面が次第に多くなってきたような気がするわけです。どんどんダウンしていくよりはそれはもちろん結構なんですけれども、ただ、ここでもう一応考えていくべきは、一つは、さっきもちょっとお話がありましたけれども、何か大国意識が、大国間のパワーゲームの中に知らず知らずのうちにのめり込んでしまう、こういうようなことになっては大変だと私は思います。ですから、単純な大国意識というようなものはやはり払拭して、謙虚な気持ちで国際社会に対応していく、そういうことでなければならぬと思うのが第一です。  それから第二に、中国との間の経済協力の強化というのは、これから追求すべき大きな課題であります。この条約の中でもその点はうたわれているわけです。したがって、きょうは時間がありませんからその問題には触れませんけれども、どんどん経済協力の側面はあらゆる角度から進めていくべきだと思いますが、ただ、資本の恣意のままに、利権あさりや集中豪雨的な貿易の展開、こういうものがあっては困ると思います。しかし、いまいろいろ報ぜられている事実の中には、よしいまは中国だ、中国へ行って何でももうけてやれというような動きもないではないと私は思う。経済活動は活発にしなければいかぬが、しかし、そんなばかなことがないように政府が十分な調整をとっていく、そういうことも必要ではないか。  つまり、第一は大国意識の中におぼれてはいけないということと、第二は、経済協力の節度といいますか、その二つの点について条約がこれからどんどん生きていくことへの注文として申し上げておきたいと思いますが、どうですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 大国意識という御注意は十分注意をいたします。私の考え方はその点は十分注意をいたしておりまして、ASEANの国々に対しては、過去を反省しながらASEANに貢献をするというつもりでやっておりますので、ASEANの国々からはその点は了承されておると思います。  ただ、大国に対してはやはり国の権威というものと、それからASEANの国の信頼ということもありますから、大国についてはやや大国のような考え方で力み過ぎていることは事実だと思いますが、御注意は十分守ります。

安井吉典日本社会党

○安井委員 経済の方は……。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 経済の問題は、第一に、中国を市場として、金もうけの対象としてながめるべきでは断じてない。中国の近代化に協力するという点が第一であって、なおまたそれに付随して出てくる貿易その他については、おっしゃるとおり集中豪雨的なことをやったり、あるいはいろいろな排他的なことをやったりすれば、日本のためにも、中国の近代化のためにも、あるいはEC、アメリカその他の関係からいっても、それはとってはならぬことだ、これこそ十分注意すべきことだと考えております。

安井吉典日本社会党

○安井委員 最後に、米中正常化への方向がどんどん進みつつあるというふうに私なりに考えておりますが、その正常化、すなわち米台相互援助条約の廃棄というような問題をも含めた米中正常化、そういうような方向への歩み、これは日中の条約が成立したということもあって、かなり前進するのではないかという見方がありますが、政府としてはどういうふうに見ておられますか。     〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 米中の関係は、御承知の上海共同声明以降両国で努力をして話し合いが進んでいるようでありますが、どの程度話し合いが進んでおるかということは私がお答えをする限りではないと存じますし、また詳細は存じておりません。

安井吉典日本社会党

○安井委員 お答えをしろという方が無理かも知れませんけれども、しかし、私は日本の政府としては、状況をきちっと把握をしておいていただくということが非常に重大な問題だ、そう思いますので、そういう意味合いも込めていま申し上げたわけです。  まだ若干時間がありますけれども、ほかの問題がまだ大分あるのですが、それに入るとオーバーするおそれもありますので、一応これで私の質問を終わりたいと思いますが、いずれにいたしましても、日中の最大の懸案の解決ということを喜び、そして今後の、この条約を足場にした新しい日中関係、新しい日中体制の健全な前進を期待します。同時に、この新しい情勢が、われわれが期待をしていなかったような妙な方向に進まれては、多少ながら努力をしてきた私たちとしては納得するわけにはいかないと思います。それだけに今後の運用については、われわれが何ゆえにこの条約の締結に死にもの狂いで努力してきたのかという、その趣旨を殺すような方向には絶対にしていただきたくない、そしてまたこれからも機会に触れて、われわれはわれわれなりに政府に対し注文をしていきたいと思います。そのことを申し上げて終わります。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 中川君。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 六年越しの懸案であった日中平和友好条約が遂に妥結をしました。交渉の大詰めでもって日本側の主張というものがほぼ貫かれたということ、これは大変結構なことでありまして、外務大臣を初めとする関係各位の皆様の御苦労というものを高く評価したいと思います。  ただ、今回の条約を無条件で歓迎する前に、条約締結の意義とか、それがもたらす国際政治への影響というものについては、これはじっくりと見詰める必要があるのではないだろうか。  そこで、まずこの締結の意義と、国際政治への影響といったものをどう考えておられるか、こういったことについては、もうすでに御見解がたびたび述べられたかと思いますけれども、これは基本的問題としていま一度この席で伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 日中平和友好条約は、前文にその目的が書いてあるとおりでございまして、単に日中関係の長きにわたる友好関係を規定するのみならず、日中両方が責任を分担しつつ、アジアの平和と繁栄に貢献する、そしてそれがひいては世界の平和につながっていく、こういうことであって、しかも、どの議員からも御注意をいただいておるように、条約案文そのものも大事でありますけれども、今後これをどのように実行していくかという、両国に重大な責任がかかっておると存じております。     〔毛利委員長代理退席、塩崎委員長代理着席〕

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 日中平和友好条約は、戦後処理としての平和条約ではなくて、日中両国の友好関係というものを確認するための条約であるということは、これはもう疑問の余地はないわけです。もしそうであるならば、日中間の戦争処理というものは一九七二年のいわゆる共同声明であったと解するわけですけれども、この点間違いないかどうか、御確認をいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 全くそのとおりでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 ただ、そうであるならばこの方式、これは伝統的な、いわゆる終戦処理の方式と若干異なる。いままでにない形といいますか、こういうわけですが、将来そういうことによって問題となることが出てこないかどうか、この点全くないかどうか、一応この点も確認しておきたい。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 必ずしも問題がないわけではございませんが、この友好条約を基礎にして両国が話し合えば、いろいろある問題は悪い方には前進しない、お互いが理解ができる方向に前進するということを考えております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 共同声明の当時ですけれども、当時の大平外務大臣が共同声明の第五項に関連をして、先ほどもちょっと出ておりましたけれども、日中間の過去に思いをいたすときに中国側の賠償請求の放棄について率直かつ正当に評価すべきもの、このように述べておられるわけですけれども、これはどのような意味を持つのか、現在政府はこの点についてどのように考えておられるか、お答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いろいろ問題があると思いますが、まず第一は、中国が最も必要としている中国の近代化、いわゆる軍事面を除く、これに対して日本ができるだけの誠意を持って協力することが第一に重要なことであると考えております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 そういった意味の協力ということは、これは大事なことだと思いますが、そうしていきますと、いわゆる終戦処理といいますか、そういったことが、これに関連したことが将来再び何らかの形で問題となることはないというふうにここで理解をしていいかどうか、伺いたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 終戦処理の問題で問題が起こることはないと考えております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 次に、いわゆる中ソ間の対立の問題、たびたび本日も論議されておりますが、この中ソ対立はイデオロギー上の問題であるのか、あるいは政策上の対立によるものなのか、どちらに原因があると政府は考えておられるか。  また第二点として、この中ソ関係の好転というものは果たして近いのか、あるいは相当長期にわたるものと思われるか。これはこちらサイドの問題ですから、近い、遠いということは一概には言えないと思いますが、政府としてどちらを想定をしておられるか、即座にお答えは無理かと思いますが、想定で結構ですので伺いたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 御質問の第一点の中ソ対立の背景といいますか、原因といいますか、そういう問題でございますが、これはもう御承知のように大変複雑なものでありますので、的確にその原因を具体的に指摘するということはむずかしいのですけれども、私どもが得ておりますいろいろの情報、あるいは中ソ関係の過去における推移、そういったものから見ますと、いま御指摘のイデオロギーの対立もございましたでしょう、また政策の対立もありましたでしょうし、さらに両民族の間の歴史的文化的な差異もあります。また、具体的な紛争として国境問題、さらには安全保障上の問題、それから両国の指導者の間の相互不信、そういった問題、さまざまの要素があったように思います。  将来につきましては、これは外務大臣がいつもおっしゃっていることですが、今回の訪中の際に中国側に、日本としては中ソ対立というものが火を噴くようなことになることは全く好まない、そういうことでないように努力を期待している、こういうことをおっしゃっておりますが、私どもとしてもそういう期待を持って、これが激化することのないように、でき得べくんば世界のいずれの地域においてもこういった対立、紛争がないように望むし、また、いまのところ中国、ソ連ともにこれをさらに激しくするという徴候は見えないし、時間はかかるかもしれませんが、この対立抗争がむしろ緩和の方向に向かっていくように双方は努力しているのではないかと、こういうふうに思います。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 最後のところでむしろ楽観的な御答弁に推移していったような気がしますけれども、やはり中ソ対立ということは、これはわが国ばかりじゃなくて、アジアの安全に深刻な影響を与えるものと考えるわけです。  政府は、この中ソ対立という情勢下にあって、わが国の安全保障政策というもの、これをどういうふうに考えておられるのか。全方位外交という抽象的な言い回しではなくて、具体的にどういう政策をとろうとしておられるのか。日米安保条約だけでいいのか、何らかの変更といいますか、政策変更ですね、こういったものも必要となってくるのかどうか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 日本の安全保障の問題は、今回の条約の締結によってどうことするということはないという確信でございます。したがいまして、日米を基軸とするあらゆる国との友好関係を維持し発展させていく、この政策に変わりがないわけでございますので、中ソ両国関係からこれを見ますと、中ソ対立に巻き込まれないようにしなければならないということが一つと、中国とソ連と、それぞれとの間に友好関係を維持し発展させる努力をいままでどおり続けていく、こういうことになろうかと思います。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 中ソの対立にわが国が巻き込まれないようにしなければならないということですけれども、先ほど日米安保ということを若干触れましたけれども、日米友好関係というよりも、日米安保条約を基軸とする全方位平和外交というもの、これは米ソ関係というものが維持された場合にこれが言えてくるわけで、自主外交というのとはほど遠いのじゃないだろうか。最近政府が有事体制とかあるいは有事法制、さらには奇襲対処等等を意識的にPRをしておられるように思いますが、これはあくまでも仮定ですけれども、米ソ戦が勃発という事態、そういう事態が起きたとき、日米安保を基軸とするわが国の全方位外交というのは果たしてどういうものであるかを、この際明らかにしていただきたい。たとえばアメリカにあくまでも依存せざるを得ないということであれば、これは自主外交ではないんじゃないか。全方位外交と言うならば、安保体制というものをなくすべきだという考えもあるわけで、こういうことに対してどのように考えておられるのか、これらの点をめぐって御答弁をいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 まず、日本ばかりでなく、世界の国々は、一つには米ソの対立が激化をして火を噴かないことに全努力をいたしておるわけであります。中ソの対立についても、西側のもろもろの国は、これが激化をして火を噴くことがあっては米ソの対立にかかってくる、こういうことであります。  私、ソ連に行ってしばしば最高指導者並びに外務大臣と会いましたが、ソ連でも均衡による平和ということを考えておるわけでありまして、将来どうなるかわかりませんが、現在においてはやはり戦争の準備をしておるのではなくて、戦争が起きないように非常な努力をしておることは間違いないことだと私は考えております。また、米国自身も同様の均衡による平和を考えておるわけでございますので、日本は均衡による平和の今日、安保、日米関係を基軸といたしますが、その基軸の上に立ちながら、あくまで、どの地域においても紛争が起きないように、平和に徹し、しかも世界の平和が来ますように努力をすることが、私は日本の間違いのない外交方針であると考えております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 そのような事態が起きないということを前提とした努力、よくわかるわけですけれども、現在、日米安保条約というものを日本とアメリカの間に締結をしている現状からして、仮定ということを前置きをしていま伺ったわけですけれども、そういった現状のままで、何かそういうものが起きたときに、果たしてそれでいいのかどうかという点からいま伺ったわけで、この点につきましてはさらに今後の委員会等でも詰めてまいりたい、このように思います。  福田・カーター会談というのがこの前行われておりますが、このときにカーター大統領が日中条約の成功を祈る、このように首相に言ったと言われております。日本は安保条約によって米国とかたく結ばれている。また中国は日中条約によってこのたび日本と手を握るならば、結局日本を仲立ちにして米国と同盟関係を持つに等しい効果が出るのではないか、こんなような見方もあるわけであります。つまり日米中による対ソ包囲、よく言われておりますが、この対ソ包囲といった見方がソ連を強く刺激することになるのではないかという考えもあるわけですけれども、政府の対応策、ソ連側に対してどのような対応を当面考えておられるのか、伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いろいろ言われておりますが、まず、米国が日中米の関係を強化してソ連に対する脅威を与えようという意思は全くございません。これは中国の軍の近代化について、兵器供給等についてアメリカはやっていない、西側は若干話が進んでいるということから見てもよくわかるところでありまして、これについては確信があるところであります。なお、日本が中ソの対立に巻き込まれてはならぬというだけではなくて、一方に偏して一方に敵対行為をとらないということは明確にしているところでありまして、日本が中ソの対立が緩和に向かっていくことを期待し、それに対して役割りがあればやりたいという意思表示は、ソ連に対しても中国に対してもやっているところでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 関連をしまして、最近のベトナム対中国の関係、この関係は御承知のとおり険悪の一途をたどっているわけですけれども、この背景に当然中ソの関係があるんじゃないかというふうに言われております。こういう情勢の中で日中平和友好条約が結ばれたということは、インドシナ半島において日中の関係が何らかの形で影響を及ぼすおそれがないだろうか、こういうことを懸念するわけですけれども、政府の見解は果たしてどんなものか。ベトナムと中国という関係から推して、ただいま私が申し上げたような、インドシナ半島において日中の関係が何らかの形で影響を及ぼすおそれはないかどうか、この点はいかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これは中国の指導者との会談の中に出てきた一つの問題であります。中国と私との会談は、話し合いをするうちに両方ともほとんど全部納得したわけでありますが、ベトナムに対する日本の態度についての意見は、これは全く意見が反対でありまして、日本がベトナムに対して経済協力をするということは、効果がないばかりでなくて無意味だという意味の、わりに強い発言がございました。そして、ベトナムと中国の今日までの経過が詳細に述べられました。そこで、これに対して私の発言は、中国とベトナムの関係は、お話は承りました。お話の大部分理解するところもあります。しかし私の方はカンボジアに対しても、ベトナムに対しても経済協力をする用意があり、すでに実行し、あるいは予約をしている。それはおっしゃるようなことかもわからぬが、わが日本の立場としては、中ソの対立がいかなるかっこうでも、アジアの一角で火を噴いては困る、この一点にございます。こういう意見を申し上げてきましたが、それについては反論はございませんでした。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 大臣がおっしゃられるとおり、私ども日中議連で、九月の冒頭やはり北京でこの問題がちょうど出たわけで、いまおっしゃられたとおりと申し上げていい発言があった。ただ、ちょっといま気になりますのは、援助するのは無意味であるという一項が入ってきますと、やはりそういったものが何らかの刺激につながっていくのではないか。しかし、大臣がそれに対して、わが国としてはこうであるということを言われたということで、ほっとするところもあるわけです。日中平和友好条約はあくまで日中の平和友好そのものを増進するものであって、いかなる第三国をも敵視するものではないのだということだけで、それで十分なのだ、果たしてそれでもう言い切ってしまっていいかどうかという問題だと思うのです。十分ならこれは大いに結構なのですけれども、ソ連がそうであるように、ベトナムにまでこの疑念を抱かせるようなことがあってはならないと私は思うわけです。  それでは、政府は今後ベトナムに対してどのような政策をとろうとされるか。先ほども若干御答弁の中で触れておられますが、中国とベトナムの関係というものはわが国のベトナム政策、すなわちインドシナ政策、こういったものに影響がないのだということをここで確認していただけるかどうか、結論だけで結構ですから、ひとつ……。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 この点は明確にしておりまして、なおまたベトナムに対してはいろいろな協力をしているばかりでなくて、他の国々に対しても必要なことは助言を与えたり、話し合いを十分にいたしておりますから、日中の友好条約締結によってベトナムと日本の関係が悪くなるということは断じてございません。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 関連して言えることでありますが、日中条約の締結が日本にとって非常に大事な東南アジア諸国と今後協調していく上において障害となるおそれがないかという、こういった懸念ですね。先ほど来同種類の御質問も出ているようでありますけれども、こういった懸念に対しては果たしてどうか。     〔塩崎委員長代理退席、毛利委員長代理着席〕 また、日中条約の署名によって、いよいよ日中両国が手を携えて東南アジア攻勢に乗り出す、そういうことがあるのじゃないかということで東南アジア諸国の不安をそそる結果にならないか、こんな懸念も出ている。さらには、今回の条約調印というものが、東南アジア諸国から見た場合に、日本もついに中国にしてやられたかというような警戒心、こういったものを起こさせるおそれがないものかどうか。私どもは日中平和友好条約というものは決してそのようなものではないことは重々承知しているわけですけれども、いま述べましたような懸念を抱いている国が一国や二国ということではないという前提に立つならば、そういう国国があるとするならば、具体的に政府はどのように不安を取り除こうとされるか、現在思っていらっしゃる案だけで結構でございますから、お答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これは中国とも話したことでありますが、この締結後両国が責任をどう果たしていくか、どう実行していくかによってその不安が消えることであるから、十分責任を果たそうと話しておりますが、アジアの国々で、日本が中国にしてやられたという感じを持っておられる国は全然ございません。ただいまおっしゃるとおりに、遠い将来、日本と中国が提携をして、そして力が強くなってきて、何か不安を与えるのでないかという遠い不安はあるようでございますので、これについては特に注意をし、説明をし、連絡をし、私みずからまた、なるべく早い時期にASEANの国々を訪問して率直に語り合いたいと思いますけれども、先般の国連総会では、アジア・アフリカの方々と一緒に会同いたしまして、そういう話は十分してまいりました。今後とも努力を続けるつもりでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 いま大臣が言われた、責任を果たすためにはやはりそういった事実をもって証明をしていく、これは確かに結構なんですが、きょうのあしたというわけにいかない、非常に時間のかかる問題ではないだろうか。いま仮に、各国が懸念をしている事項がたくさんあるならば、そういった懸念というのは、今から三年後、五年後の実績を見て話せばいいというよりも、やはりできるだけ早い機会に、そういう懸念は抱く必要はないんだという説得が必要なのではないかということが、まずここで言えてくるかと思います。したがって、ASEAN諸国は、一般的には日中平和友好条約というものを理解をして、非常に好感を寄せていることは間違いないわけですけれども、日中関係というものがアジア諸国に不安を与えないかということを懸念していることは、先ほど来ずっと述べてきたとおり、前例として出ているわけです。中国という大国と日本という経済大国、この連携というものがアジア諸国民に対して非常な心理的な圧迫というものになっているおそれのあることを、やはり日本は十分に理解をして進んでいかなければならないのじゃないか。こういう意味で、日中関係にも大変むずかしい局面というものがあると思います。慎重でなければならないということはもう当然なんで、十分にこういった点を認識していただきたいし、先ほど来お答えいただいておりますように、各国を訪問して単に説得をすれば済むものかどうかということも疑問があるわけですから、これは質問の形ではなしに、ひとつ要望に切りかえていきたいと思いますので、今後そういう懸念をできるだけ早い機会に晴らすための努力をしていただきたい、このように思います。  次に、日中平和友好条約の第一条で平和五原則というものを明記している。この五原則は、国連憲章においても述べられているわけです。ただ、この条約の第二条、さらに反覇権主義をここでは確認し合っているわけですが、これは平和五原則に含まれない新しい外交政策の原則というふうに解釈をしていいのかどうか、この点をお答えいただきたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 反覇権主義というのは、おっししゃいますように新しい概念のように見えますし、事実そういうものではありますけれども、その実体は、再三申しておりますように、平和五原則とか国連憲章とか、既存の、国際社会で広く認められております原則に照らして、それに反するようなものが覇権行為である、そういうものには反対である、こういうことでございますので、表現あるいは言葉遣いは新しいと言えますけれども、内容については、いま御指摘のような平和五原則とか国連憲章の原則というものと表裏一体になるものである、こういうように私どもは認識しているわけでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 五原則に含まれているという立場からすれば、それじゃなぜそういうふうな新しい表現が出てきたかというふうな考え方もあるわけだし、これをずっと論議していけばいろいろなことが言えていくと思いますが、ここでは相互に覇権を求めないということを約束しているわけで、このこともまた一種の不可侵条約としての性質を持った条約と見ていいかどうか、この点はいかがでしょうか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 従来不可侵条約という言葉で呼ばれております条約は、多分に軍事的な色彩の多いものであったわけで、お互いに侵さないということでありまして、今回の覇権主義に反対する、あるいは覇権を求める試みに反対するということは、そういう軍事的な色彩というよりも、さらに一般化された原則として、力で自分の意思を相手に押しつけるような行為、そういうものは国際社会に害があって益がない、こういう共通の認識が、一九七二年の共同声明のとき以来日中間で合意されておる原則でありますので、そのことを明文化した、こういうふうに私どもは了解しております。したがいまして、その第二条の、特に前段の、日中がともに覇権を求めない、これは、日本も覇権を求めないし中国も覇権を求めない、それは、相手国との関係で言えば、日本は中国に対して覇権を求めない、また、中国も日本に対して覇権を求めない、当然の結果として侵すようなことはないということにはなりますけれども、冒頭に申し上げましたように、いままで使われておりましたような軍事的な意味における不可侵条約、そういう観念はないわけでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 これはあくまでも仮定として伺っておきたいと思います。  これはまた仮定ですので前置きをしておきますが、日中いずれかが覇権行為を行った場合、その国は条約違反になるかどうか。この場合、本条約が存続をするかどうか。これは仮定ですから、そういうつもりでお答えをいただきたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これは仮定の御質問でございますので、仮定の設問を念頭に置いてのお答えになると思いますけれども、そういうことが万一起きますれば、その条項に違反しているかどうかということが問題にはなりましても、この条約そのものが存続するかどうかという問題には直ちにはならない。といいますのは、この条約は反覇権条約ではなくて、日中の平和友好の条約であるから。こういうことだろうと思います。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 次も仮定でありますが、日中いずれかが戦争状態に入ったときですね、他の締約国が中立の地位を維持する条約上の義務があるかどうなのか、これらの点について明らかにしていただきたい。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 ただいま御質問の、日中平和友好条約と日中いずれかが戦争状態になった場合についての中立という観点での仮定の御質問でございますが、私の理解いたしておりますところでは、現在、かつての伝統的な国際法において認められたような国権の発動としての戦争というものは、国連憲章第五十一条によって違法とされるに至っております。そのような意味におきまして、伝統的な国際法において考えられておりましたような中立という概念は、現在ではそのまま適用される余地はなくなっていると存じます。なお、先生の御指摘の意味が、日中いずれかが何らかの形で戦争に巻き込まれる、それは、戦争というものが先ほど申し上げましたように現在違法とされているわけでございますので、仮にそういうことが日中いずれかにあるといたしましても、現在の国連憲章のもとにおきましては、外部からの武力攻撃に対しての対応措置、こういうことになろうかと思いますが、そのような場合に他の国がどのような地位に立つかということについては、日中平和友好条約とは直接かかわりのない問題であると考えます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 それでは、第四条に関連しても伺いますが、一方の締約国が第三国から侵略をされ、戦争になったような場合、こういった場合を仮定しますと、他方の締約国は軍事的、経済的援助を行う一切の義務を負うものではない、このように解していいかどうかです。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 ただいまの仮定の御質問にお答えするとすれば、この日中平和友好条約によって一方の国が他方の国に対して何らかの援助を行うというような義務は、一切負うことにはなっておりません。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 日中平和友好条約は、実質的には中立・不可侵条約的なものと見ていいかどうか、この点はいかがでしょうか。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 いわゆる中立という点については、先ほど私が申し述べたとおりでございます。  不可侵条約的なものかどうかという点につきましては、先ほどアジア局長から第二条に即して御答弁した点がありますし、さらにはこの条約の第一条におきまして相互不可侵といったこともうたわれているわけでございます。したがいまして、そのような意味合いにとれば相互不可侵の条約であるということは申せるかと存じます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 もともと条約というものは第三国に対しては益もせず害もせず、こういう原則が慣習法として確立しているはずであります。このことからも、日中平和友好条約はいかなる第三国に対するものでもないこと、これは当然言えるわけですが、それにもかかわらず本条約の第四条で第三国条項を特に設けた、この辺の事情と申しますか、理由を政府の方から説明をしておいていただきたい思います。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 ただいま先生がお述べになりましたように、日中平和友好条約におきましても、その前文の末尾の部分におきまして、日本国及び中華人民共和国は「両国間の平和友好関係を強固にし、発展させるため、平和友好条約を締結することに決定し、」このような文言がございます。このような点から申しましても、本来この条約が第三国の利益を害するという性質のものではないわけでございます。かつまた、いわゆる第二条におきまする反覇権の問題ということ、この第二条の本体におきましてもいずれの国をも敵視するという性質のものではないということははっきりいたしておるところでございますけれども、この第三国に関する部分があるということも念頭に置きまして、わが国がいずれの国を敵視することもなく、体制のいかんにかかわらず、いずれの国とも平和友好関係を推進していくという、わが方の立場を確認的に明確にするためにこの第四条の規定が設けられた、このように御了解願いたいと存じます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 こういった条約法の規定からも、日中平和友好条約はいかなる第三国に対するものでもないのだということは明らかであるにもかかわらず、ソ連が本条約に対してきわめて批判的であるのは思い過ごしだと言わざるを得ないわけでございます。日中平和友好条約は中ソ関係によっていささかも影響は受けない、このように思うわけで、また同時に、この条約というものが、わが国の対ソ政策に何らの否定的影響を与えるものではないのだということを念のために確認したいといいますか、お聞きして答弁を取りつけるというよりも、この際はっきりと、こういった問いに対する答弁を、ここで私がむしろ引き出しておかなければならないと思いますので、お答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御発言のとおりでありまして、向こうと私との会談の経過においてもその点は明確にしてございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 次に、中ソ同盟条約で一問だけ伺います。  この条約は一九八〇年四月まで有効である。報道によりますと、中国は来年に廃棄についてソ連に通告をするということですけれども、中ソ同盟条約は来年の通告によって廃棄されるのか、それともその通告が一年後の効力消滅を通告するものであるのかどうか。つまり中ソ同盟条約の有効期限の切れる一九八〇年までは効力が存続する、このように解していいかどうか、一応ここで確認だけしておきたいと思います。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 いわゆる中ソ同盟条約は、その第六条の規定によりますれば一九八〇年四月十日まで法的には効力を存続するわけでございます。  ただ先生御承知のように、先般の園田外務大臣と中国の要人との会談を通じまして、中国側は、これはいわゆる名存実亡であるということを正式に述べますとともに、大臣の帰国に際しての談話にございますように、中国は来年四月にはこの条約を廃棄するために所要の措置をとるとの強い感触を得た、こういうことでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 政府は今後日中平和友好条約と同じような趣旨の条約というものを他の国と結ぼうとされる予定、そういったものがあるかどうか。ソ連との間には、同趣旨の条約であったとしても、いわゆる日ソ平和条約が締結されない限りは結ぶ意思はないかどうか、ソ連との関係性の上からお答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ソ連との間には、先ほど申し上げましたとおり平和条約の締結が先でありまして、それができた暁、友好条約の話があればこれはその際検討する、こういうことになるわけでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 ソ連にとっては、第三国条項によっても、日中条約自体が有する反ソ的な性格に根本的な変化が生じたとは考えられないということで、ソ連との善隣友好の関係というものを具体的行動によって示せ、こんなふうに厳しい論調が行われているようであります。こういった論調を踏まえて、政府は今後の対ソ外交をどのように持っていこう、どのような姿に持っていこうとしておられるか。単なる対ソ外交、どういう対応を考えているかということでなしに、こういった、ただいま申し上げたような事態を踏まえて、それではこれからどのような外交の姿に持っていこうとされるか、お答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 善隣友好条約については未解決の問題を含む平和条約を締結した次である、ただしいま出されておる善隣友好条約の内容には反対であります、その際は、友好条約が出てくれば、これに対してはこれを全然拒否するという頭はない、考えはない、こういうふうに言ってありますが、今後、そのときの情勢によってその他の国々との問題は検討したいと存じます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 日中平和友好条約の締結によりまして日ソ関係の冷却化といいますか、使いたくない表現ではあるわけですけれども、そういうことが当然予想されるんじゃないか。政府はこの日ソ関係の友好維持にどういう具体策を、ということでいま話してきたわけですけれども、この点もう少し詳しくお答えをいただければと願っていたわけですが、私はこの際、日ソの最高首脳会談の提案というものを考慮してはどうだろうか。福田ブレジネフ会談といいますかそういったもの、そこでもって、田中・ブレジネフ会談、前に行われたわけで、この会談で確認されているところの、未解決問題の解決をして云々というところがありますけれども、この解釈を再確認する必要があるんじゃないか。このいわゆる日ソ最高首脳会談の提案ということに対してどのような感触で受けとめられ、今後こういった提案をされるおつもりがあるかどうか、お答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 日ソの最高首脳者会談、あるいは書記長になるか総理になるかわかりませんが、田中総理が行かれて以来、ソ連からおいでになってないわけでありますから、ぜひそういう場所をつくりたい、おいでを願いたいということはすでに再三向こうに招請してございます。先般ニューーヨークでも招請をいたしましたが、これに対してはまだ確たる返答はございません。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 おいでを願いたいといういまのお答えですけれども、こちらから向こうへそういった首脳の立場で行かれるというケース、これも当然考えていかなければならないことかと思いますし、どういう条件のもとでなら日ソ首脳会談を提案し得るか、こういう角度から伺ってみたいと思います。     〔毛利委員長代理退席、塩崎委員長代理着席〕  何かそこに、こういう条件ならいいだろう、そういうものがあれば、政府の見解として伺っておきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これは外交慣例といたしましては、一方の最高指導者が他国を訪問すれば、その次には自分の方から訪問されるのが慣例になっております。慣例にこだわるわけではございませんけれども、その他の場合は、両国の合意ができた場合にそういうことが考えられると存じます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 この問題、私はやはりそういったことの重要性というものをとらえてこちら側から提案をしておきたい、このように思うわけです。  次に、日中経済関係の展望について伺います。  財界も相当大きな期待を寄せているようですけれども、私がお聞きしたいのは、政府がどんな規模の日中経済関係の拡大というものを想定しておられるのか、ここでもし若干具体的に御答弁がいただければと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 通産大臣が訪中をし、次いで財界代表が訪中しておりまして、新聞には大きく報道されているようでありますが、いろんな話し合いは進んでおりますが、具体的な話し合いはまだ進んでいない状態でございまして、現在の状態でどのような規模になるかということは、まだ具体的にはお答えをする段階ではございません。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 具体的になっていないという段階でいろんなことをお聞きするのも、どうかという感じがしますけれども、中国から輸入すべき石油なんですが、この石油について、その含有物のために、いわゆる財界ではどちらかと言えば敬遠ぎみであるということは聞いているわけですけれども、この点はいかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 費用の問題、運搬賃の問題、いろいろあるようではございますが、通産大臣のお話を聞いておりますと、これに対してはほかの国から輸入する重油もあるわけでありますから、これに対する施設の準備をしたいと考えておる、こういうことでございますので、それに対する障害は取り除かれるのではなかろうかと想像いたします。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 中国産の石油は、御承知のとおり、重質油であるために、他の地域、特に中近東とかインドネシア、こういったところの産出する石油と比べますと不利である、こんなふうにも言われていたわけですが、中国産石油は他の地域からの輸入に比べて非常に近距離である、こういう有利性といいますか、こういうものを無視してはならないのではないかということはここで言えてくると思います。また石油ショックでわが国が痛感したこと、石油のような重要な資源の輸入については特定のところに偏重しないで、これをやはり分散をさせるという必要性を非常にあのときに痛感したわけで、中国がいまや有力な産油国になろうとしているわけですから、わが国にとって安定供給が期待されるのではないか、こういうふうに思うわけです。政府はこれらのことを考慮して、成分に若干の問題があったとしても、やはり中国産石油の輸入に積極的な取り組みをすべきではないか、このように思います。輸入量についてはもっとふやすとか、あるいは場合によっては重質油ですか、これについての行政指導といったことも行っていくべきではないだろうか、このように思うわけですが、御所見を承っておきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 通産大臣は、大体いまおっしゃったような方向のことを考えておられるようでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 日中間において、結局均衡のとれた経済関係というものが必要だと思いますが、政府がどのような構想であるか、先ほど展望というところでは、具体的にそこまではなかなか話し合いが煮詰まっていないということですので、これ以上はきょうのところは押すつもりはないのですが、河本通産大臣が、OECDの申し合わせがあって、その条件の範囲で日中貿易をやるんだ、このように言っておられたのを記憶しておるわけですが、大臣がいらっしゃらないわけですが、通産省の方でも結構ですから、OECDの申し合わせという、ここで言っているところの申し合わせですね、これはどういうところを指しているのか、お答えをいただきたいと思います。

羽澄光彦外務省経済局外務参事官

○羽澄説明員 お答えいたします。  OECDで合意されておりますのは、開発途上国等に対する輸出信用の条件でございます。それで、それが中国に対する輸出信用についても適用されるということでございますが、最近になりまして米国等からこの輸出条件をもうちょっときついものにしようという話が出ております。河本通産大臣が先般お答えになりましたのは、そういった話し合いには応ずるけれども、この条件を変えるということは、現在わが国では考えておらないという趣旨であったかと思います。それで、このOECDの合意の枠内で中国との貿易を行うというのは、輸出条件に関する信用条件をわが国としては守っていくという趣旨と了解いたしております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 こういったことにも関連するわけでちょっと伺うのですが、現在、日中とか日ソ貿易でココム制限というものがわが国の貿易で重大な支障となっているのじゃないかということです。現時点でどういう点に支障があり、貿易の拡大を阻害しているのか、この辺についてお答えをいただきたいと思います。

羽澄光彦外務省経済局外務参事官

○羽澄説明員 ココムの条件につきましては、最近の技術の進歩等々から若干陳腐化したものもございます。また、その他の関係から見ましても、わが国といたしまして規制の合理化ないし緩和に努力すべきである、こう考えております。現在、このココムのリストにつきましては関係国の間でいわゆるレビューが行われておりまして、わが国といたしましてはその線で現在交渉中でございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 このココムは冷戦の産物であったわけですけれども、現在の国際情勢のもとではもはやココム制限などは時代おくれではないか。むしろ国際関係の発展の阻害物にすぎないという見方が非常に有力であるわけです。このココムによって東側諸国の経済発展を阻止しようとすることは、もはや不可能な時代になっているんじゃないか、このように思うわけですが、この点に対する政府の見解はどうですか、お答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、技術その他の進歩、国際情勢の変化等もありまして、規制をすること自体にも問題がありますが、少なくともこれは最小限度にとどめるべく、ただいまココムの見直しの交渉をやっておりますが、日本としてはこれを緩和する方向に積極的に努力する方針で交渉を行わしております。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 緩和ということですが、私はむしろ、政府はココム制限の撤廃ということを提案すべきじゃないだろうか。現在の国際情勢の中でもこれはもはや無用の長物というふうに言っても過言じゃないのじゃないかとすら思いますけれども、これはどうですか。このような提案を将来するお考えがあるかどうか、この点お答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 将来については検討いたしますが、ただいまの見直しはすでに交渉中でございますから、これには間に合わぬと存じます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 最後に、中国人の留学生の問題について若干触れておきたいと思います。私のこの質問に引き続いて、わが党の渡部委員が関連の質問をやらしていただきたいと思いますが、この中国人留学生問題が当面の日程となっているようでありますが、政府としてどういう形で受け入れを考慮しておられるか。具体的に話し合われているのかどうか、また留学生の入国に際しての手続、これは一般外国人と同じであるのかどうか、特に入国管理令の適用について、この辺がどうなっているのか、こういったことについて外務省、法務省さらには文部省当局から、簡単で結構ですから、ひとつ御答弁をいただきたいと思います。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 政府が招待をいたしました中国の教育代表団、十月の三日に日本に見えましてきょう離日されるわけでございます。実務者の協議を、二度にわたりまして相当長時間やってまいりました。もう各論の段階に入っております。お互いに、これから長期間にわたります日中の親善友好のために必要であるとか、そういう総論の段階でなくて、各論の段階に入ってまいりました。判明をいたしましたことは、中国の日本に留学生を送りたいという御希望は、大体二つの点が明らかになってまいりました。一つはできるだけ早く送りたい。それは大学院におきます中国の言葉で進修生という言葉を使っておる、これはわが国で言えば研究生に当たるわけでございます。ただ、具体の問題になってまいりますと、いま御質問のございましたどこが入学を許可するのかというようなことは、これはわが国では入学選抜は大学の自治の問題でございますから、大学自身が決定をすることでございますので、特に中国の場合、国立大学を希望しておられますから、国立大学協会との協議を文部省がいたさなければなりません。それの大学が選抜をするのに必要な資料の御提示がまだございません。理工系という話はありましても、専攻は何であるのか、どういう人がどういうことを専攻しているかというような具体的な御説明が後日に残されております。それがありませんと、大学院での研究生となりますと、いわば教授に張りつけるというようなことも考えなければなりませんから、いままでどういう勉強をしてこられたか、いまどこにおられるか、何を専攻してやっておられるか、そういうことの具体の資料をいただくようにお願いがしてございます。  それから、大学の学部の留学については、中国の方で補習学校のようなものをつくって、日本語と数学、理科のようなものを上積みをした教育を一年半程度して、それから日本へ送りたいというお話でございます。まことに結構な御提案でございますし、その教師を日本から派遣してほしいという御要望がございます。積極的に受けていこうと考えております。     〔塩崎委員長代理退席、委員長着席〕 ただ中国の方でその教師の費用負担ということを言われますので、その待遇等のことについて具体の御説明を伺おうとしますと、一遍帰国をしてから改めて返事をしようということでございますから、そういった点が幾つか問題が残っておりますので、引き続いてこれらの問題を検討していく合同委員会を持とうではありませんかということを提案をしてございます。これも帰国後御返事をいただくことになっております。いまの段階、そういう状態にあるわけでございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 特に外務省、法務省から、先ほど私が質問した中でいまここで御答弁をいただけることがあれば御答弁をしておいていただきたいと思います。

藤岡晋法務大臣官房参事官

○藤岡説明員 中国人留学生の入国の手続の問題でございますが、中国以外のその他の諸国からやってまいります留学生の入国手続と全く同様に取り扱うつもりでおります。  なおその場合に、入国を認めます場合には、いわゆる留学生という在留資格で、在留期間は当初一年ということに相なります。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 ちょっと関連して伺うわけですが、ソ連との留学生の交換の現状というものはどうなっているか、留学生とか科学者の交換がどのようになっているか、私的な留学生についてはどういう現状にあるのか、この辺がわかればお知らせをいただきたい。ソ連との交流もむしろ大いに考慮すべきじゃないだろうかと思うのですが、ソ連の文化省あたりと政府は交渉してきておられるのかどうか、この点をお答えをいただければと思います。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 ソ連との留学生交流、窓は開いてあるわけでございますが、留学希望者がほとんどない。またソ連から研究者等の受け入れについても窓を開いておりますけれども、これもソ連の側から御希望が余りない、こういう状態でございます。

中川嘉美公明党・国民会議

○中川(嘉)委員 この項目についてもし現状の何か資料でもありましたら、ひとつ後でいただければと思います。  ここで留学生問題について、先ほど申し上げたように渡部委員から関連質問がありますので、同委員に残りの時間を譲るとしまして、私の質問をこの辺で終わりたいと思います。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 渡部一郎君。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 日中平和友好条約の審議に当たりまして、私は、いよいよ日中が深く関係し、深く影響し合う時代に入ったと思います。その中で一番心配しておりますのが、実は留学生の問題であります。  中国に古いことわざがあるそうで、ソビエトに行った者は反ソ主義者になり、アメリカに行った者は反米主義者になり、日本に行った者は反日主義者になって帰ってくるという言葉があるそうであります。一万人の中国の学生を日本に送りたいという李副首相の日本側代表団に対する説明というものは、その意味でわれわれとして非常に心しなければならない。いままでしばしば大量の留学生を日本に導入した場合にそれが成功せず、それらの国々で問題のある存在になったという前例のあることにかんがみ、これはよほどの国家的なプロジェクトを組んで取り組まない限り、万というような数、少なくとも数百名を超すような数の留学生を受け入れるということは問題であると私は思うわけです。したがって、準備の整わない間に大量に受け入れることはむしろお断りをして、非常に質の高いレベルで受け入れるということが必要ではないか、これが私の基本的な立場であります。  問題の起こりそうなポイントをこれから幾つか指摘しなければならぬと思いますが、そういう私の基本的な認識について、外務大臣並びにわざわざここへ座って先ほどから論議を聞いておられる砂田文部大臣に、基礎的な御見識を、行政の方向に関する基礎的な御認識をまず承りたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中国から、いままでの数からすれば飛躍的多数な留学生の派遣の希望があるわけでありますが、いまおっしゃるとおりに、それに対する好意を尽くすつもりで準備なしに無制限に入れると、かえってこれは逆効果を来すおそれがあると思いますので、この点は文部大臣とも相談をして、よくその効果がありますように、しかもこちらの好意が向こうにわかりますようにやることはおっしゃるとおりだと存じております。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 渡部議員が御指摘になりましたことは私も同感でございます。今回来日されました中国の教育代表団、雍団長以下幹部の方に私も直接お目にかかりました冒頭に、歓迎の意を表するごあいさつをした上で、十年先、二十年先の中国のリーダーをお預かりをしてお育てをするわけでありますから、事は非常に重要な問題であって、拙速であってはならないと思います、双方の国で周到な準備を積み重ねた上で、双方の満足のいく留学生交換という結果をもたらしたい、こういうふうにごあいさつをいたしたわけでございます。周到な準備が必要であることは私も同感でございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 基礎的な御認識につきましては両大臣とも私と同じような御認識を表明され、うれしく存じております。  早速伺うのですけれども、これらの留学生について、私はまず日本側として語学教育をするということがかなり重要な任務になろうかと思います。といいますのは、日本側が、日本の留学生がアメリカを訪れました場合に、アメリカの大学ではしばしば語学学校を併設あるいは関連施設として持っており、これらの学校である水準に達した者を大学の中に入れるという制度をとっているところがございます。こういうところでは比較的スムーズにいくのでありますが、いきなり大学の中にほうり込まれた形になった学生たちが、語学上の難関から、大ざっぱに言いましてほぼ半分近い学生の中の脱落を見ておる。したがって、日本にたくさんの留学生を迎えるときも同じ現象があらわれているわけであります。日本の数字は私は明らかにいたしておりませんが、東南アジアの留学生を迎える際にやはり日本の語学問題を中心として非常に大きな反発を招いているケースというものがあるわけであります。この語学的なレベルアップのシステムをどういうふうに考えるかは、既存のシステムが不十分だという点については御認識いただくでしょうが、特別のプロジェクトを組んでいただかなければならない、これが一つです。  第二は、宿舎の問題であります。日本人の居住に対する感覚というものは諸外国と非常に離れております。特に、いす生活でなく畳の上に座って暮らす日本人の考え方、ふすまでやわらかく仕切られているプライバシー、こうしたものは日本人の考え方では宿舎でありますけれども、むしろ欧米人と似た雰囲気を持つ中国人のプライバシーに対する考え方から言いますならば、この宿舎は非常に問題を生む構造であります。こういうものをどの程度まで確保されるおつもりであるか。  また、もう一つ重要な課題として、先ほど文部大臣は、日本の国立大学に対して中国側が入学を希望されている旨表明されましたが、現在文部省が各国立大学に対して特別の枠を行政的に指導することができないとするならば、国立大学に入ることは事実上不可能である。入学試験を受けたら全部落っこちてしまう。日本から講師なんか派遣したって、日本から受験塾まで出して向こうで養成しなければ日本の大学には入れない。したがって、国立大学を希望する中国の学生は全員落第する、浪人をする。一浪、二浪、三浪というようなことになる。そして哀れ、追い戻される。したがって、中国の学生を日本が国立、公立関係の大学に受け入れるとしたら、どうしても入学特別枠を決めなければならない。それは文部省として特別に、早く大学協会あるいは私立大学協会等と打ち合わせをして、枠を決めなければならない。それが行われないんだったらこれは絵にかいたもちになるという重要なネックがあるけれども、それをどうされておられるのか。  いま私が申し上げた語学、宿舎、それから入学特別枠、この三つの問題について早急に御検討いただかなければならないし、結論を急ぐのはむしろこの三つであると私は思うのですが、御見識を承りたい。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 先ほど中川委員にもお答えをいたしましたが、いま渡部委員が御指摘の、共通一次入試を受けたらみんな落っこちちゃうぞ、これはもう少し先のことになるわけなんです。学部留学生を来年からすぐと言っているのではなくて、学部留学生のための補習学校を中国でみずから設けようという計画を中国側から御説明を受けたわけでございます。当面急いでおられる大学院における研究生、中国の方で言われる進修生、この日本語の学力がどの辺にあるかということが、実は明確な把握ができないでおりました。これを把握をしなければならぬと思っておるのですが、一般論的に言いますと、国費留学生については、学部学生は東京外語で一年、研究留学生は大阪外語で、六カ月、日本語教育をいま行っているわけでございまして、また、国立大学において日本語講座等の設置も毎年だんだん数がふえてまいっておりまして、特別補講ができるような財政的な措置も講じておりますし、私立大学では、いままでのところ自分の学校、大学の学部に入学する者に限ってはおりますけれども、修業年限おおむね一年程度の留学生の別科を設けて、留学生のための日本語教育をやっております。いま申し上げたこういう場所での日本語教育は、私は成功をしていると申し上げて過言ではないと思います。その他の私費で来ておられる留学生の方々が、民間の日本語学校へ通ってその日本語教育が余り十分でない、そういうところから、確かに渡部委員御指摘のように、日本語の習得がむずかしいために日本がきらいになる、そういうこともまた聞くわけでございますが、留学生に対します日本語教育の重要性にかんがみまして、東京外語、大阪外語での留学生のための日本語教育の充実にすぐにとりかかる準備をいたしておるところでございます。他の国立大学におきます。先ほど申し上げた日本語習得の機構もさらに拡充をしていこう、五十四年度から早速かかろうとして準備にかかっているところでございます。  また、宿舎の問題を御指摘でございましたが、実は一番頭を悩めておりますことがこの宿舎の問題であります。現在、留学生のための宿舎として設けられておりますのは、国立大学付設のものが八、日本国際教育協会経営のものが二、民間団体経営のものが九、計全部で十九施設ありまして、収容定員は千二百二十九人ということになっております。これは留学生総数からいきますと二一%にしかなりません。なお、大学の一般寮に入っている者が若干ありますのと、国際学友会の日本語学校の宿舎百人、こういう状況にいまなっておるわけでございまして、留学生宿舎の建設につきましては、従来からもやってまいりましたけれども、そのスピードを上げようという考えで、今年度は大阪外語、鹿児島大学に建設中でありますが、来年度もさらに幾つかの大学にこれをふやしていこう。  留学生寮の整備に当たっては、これは風俗習慣等が違いますから特別の施設を考えなければなりません。そういうことも十分考慮をしながら考えてまいりますのと、国際学友会の事業として、下宿あっせん、そういうようなことにも、行政がやれる限界はありますけれども、もう少し手を広げていきたい。  なお、将来のことではありますけれども、御承知のように国費留学生と私費留学生と、いまわが国の制度は二つですね。しかし、今度の中国の場合のように向こうからの国費留学生、いままでわが国で言ってまいりましたいわゆる日本の国費留学生と私費留学生のほかに、もう一つ、先方からの公費留学生というものを何かもう少し宿舎等についてお手伝い、お世話ができないものかというようなことについても、ただいま検討をしているところでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 問題はかなり深刻な状況だと私は存じます。いま大臣が述べられましたように、宿舎が千三百人程度、語学が大阪外大、東京外大両方合わせましても数十人の程度しか現在は収容できない。この中で、一万人の希望を持つ中国側と交渉するということは、難事と言うしかないと思います。しかも、語学的なレベルだけでなく、学問的レベルが極端に相違しているこれらを迎え入れるためには、実質上ハイスクール型の教科課程が必要であろうと思いますし、取り組みが私は不十分だと思います。そこで、私は、一生懸命やっておられるのを認めた上で、まさにこの問題については、従来のこうした諸施設を十倍化してもなおかつ足らないと思います。したがって、次の本予算の中に含まれておられるかどうかまだ存じ上げておらぬのでありますが、少なくとも宿舎を一万ないし二万の規模に引き上げなければならない。十万と言いたいところですけれども、とてもそうはいかないでしょうから、そのレベルを引き上げる必要がある。次に、大学に付属している日本語別科及び外国語関係の大学の持っている日本語教室というようなものの収容数を、多年にわたって問題になっていたこれら諸施設を急速にふやさなければならぬ。これをまず、文部省だけでなく、一つの問題点として大幅に増設する必要があるのではないか、お願いしたい、こう思っておるわけです。この辺は、大臣、御賛成いただけると思うのです。  それから、現在の中国側の学生あるいはその他の国の学生も含めまして、日本の大学に入れる場合に、特別な枠がなければ日本の大学に入れない。在外邦人たちが日本に帰ってきた場合も子供を国立大学に入れられない。正直言って、本日ここに並んでおられる外務省の職員たちが外国へ出ておられて、大使に行かれたり参事官で出ておられたりした人たちが戻ってきた場合に、自分の子供が国立大学に行げるということは、もうよほどのケースでなかったら不可能である、絶望的状況である。こういうような状況に置いておくということは、日本の文教政策それ自体の国際化というものが、そういう面から考えられなければならない時期が来ているんではないか、こう思うわけなんです。  したがって、私はもう一回申し上げるのでありますが、宿舎及び語学関係の諸施設を急激に、けた違いに充実すること、計画を組んでいただくことが一つ。もう一つは、入学に関する特別枠を、在外邦人及び諸外国から日本の学校に入ろうという学生に対してつくるよう特段の処置をおとりいただきたい、これをお願いするんですけれども、いかがでございましょうか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 御指摘の点、私も同じような考えを持っておりますけれども、渡部先生、いま一万人にすぐなるのはちょっと極端な御議論だと思うのです。中国の教育代表団のお話の中からそのような数字が出てまいりません。こちらの推定も交えながら現実問題としていま話が行われておりますのが、具体な数字としては十数名、もう少し具体化した数字で四十五名ばかり、さらに農水産系というような話としては四百名、全部合わせて四百名ばかり、それがいずれも大学院での研修、研究生でございます。ですから、いまおっしゃいましたが、宿舎の充実等、私ども五十四年度予算で要求もしておりますので、財政当局にもよく理解をいただく努力をすることは当然でありますけれども、直ちに一万人分というわけではございませんで、やっていける、またやっていかなければならぬと考えております。  そして、入学の枠ですね、これは留学生については、やはり日本語の勉強は日本の側でする、それから中国で日本語を習得させようという気持ちが中国側にございますから、日本人教師を派遣をすることにいたしておりますので、その数がどういうふうになってくるかということもまだ、実は協議が後日に残されているところであります。双方で日本語習熟のための体制を整える努力をしてまいります。  それから、海外に在留しておられる邦人の、帰ってこられての子供さんの学校のこと、その悩みも承知をいたしております。海外に進出しておられる方々が帰ってこられる、大体関東に七割、関西に三割ぐらいの割りで帰ってきておられますので、そういう数を踏まえながら指定校をお願いをして、日本語に若干弱いそういうお子様たちを追いつかせるための受け入れをやってもらっております。そういう教育を、また教師にも勉強をしてもらうための講習会等もやりながらやっておりますし、国立大学の付属の小中学校では特別の別のクラスを設けまして、そういうお子さんたちが日本語を克服して追いついていけるようなカリキュラムを組んで取り組んでいるわけでありますが、なお一層これの充実を早急に図っていきたい、そういう決意をいたしておるものでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 先ほど大臣に私がお目にかかった際に、大臣は、大学の教授会が入学についての決定権を持っているため、文部省がそう簡単に言っても入学させることができないというネックがあるんだと言われましたし、ふだんからの御持論を伺っていると、そういう点のネックのあることは私は認めた上で、これらの問題点は国際化する日本のいま抱えている重大課題となりつつある、この点については特段の御配慮をお願いしたいと思います。  一万人の枠は、近き将来に怒濤のように押し寄せてくる海外からの日本留学生を考えると、私はなお少なきに過ぎると思います。たとえば、私が昭和三十八年に訪米したことがございますが、そのときにも言われ、つい先日訪米したときもアメリカ銀行の副頭取が私に述べたところでは、アメリカとヨーロッパの間では単位の互換性ができておる。大学の四年間に一年は交代できる。そして、お互いの単位を認め合っているために単位がかわり得る。これが五万人交換しておる。ヨーロッパとアメリカとの関係は緊密である。ところが、日本側には三万人行く希望がある。日本の大学は一校が一名とか二名とか、ほんの数名しか受け入れない。この単位の互換を日本の国立大学とか公立大学とかとの間にもっと大幅に認めてもらえないか。三万人のアメリカの青年たちが日本に行くということは日本にとってもプラスではないか、三万人の日本人の留学生が同じようにアメリカに来れば、どれほど両国の友好にとってプラスかわからない、こう言われました。これは大きな提案だったと私は思います。そういうことを考えなければならぬ時期に来ていると思います。  こういうことも含めて、いまや、日本の教育に関する制度をインターナショナル化しなければ、友好親善もうまくいかない。また、広い意味の安全保障からいってもマイナスである。日米安保よりも五万人の学生が往来した方がむしろ強力な面がある。そういう意味で、国際化する世界にあわせて教育制度を拡充していく、変更していく、そして大幅にそういったところを直していくという姿勢を、この間から教育問題について数々の改革と前進を示しておられる砂田大臣に私は特別期待をし、ひとつ何とか手をつけてもらいたい、こう思っておるわけなんです。この辺御努力をいただく旨御返事をいただければ、まことにありがたいと存じます。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 国内の大学間同士の単位の互換だけではなくて、外国の大学ともこれを開く道を講じてあるわけでございます。データがちょっと古いのですが、昭和五十一年度で、学部レベルで外国の大学と協定を結んで単位互換を行っておりますのが五十九大学、大学院レベルで二十四大学が協定を結んで実施をしていると承知をいたしております。五十一年度で、国内の大学で単位を取得した者が、学部で三百八十八名、大学院で七十三名でございます。  これは多い数とは私には思えません。せっかくその道が開いてあることでもありまし、私は、大学というものは三つの窓を開くべきだと思っております。日本の社会に対して、他の大学に対して、そして国際社会に対して、三つの窓を日本の大学というものは積極的に開くべきだ、そう信じておりますから、大学間交流、このようなことが積極的に行われるよう大学関係者等も、大学関係者等にもそういう意識はずいぶん高まってまいりましたが、なお一層積極的に取り組んでくださるように、文部大臣としてはその方向で指導助言を強めてまいりたい、かように考えます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 最後に、時間がありませんから一問だけ申し上げて終わりにしたいと思います。  昨年秋、学術訪中団の団長であった加藤一郎元東大総長が中国側と話し合ったときに、留学生が政府に提出する誓約書に、一年以上継続してわが国に滞留する場合指紋を捺印しなければならないということを、きわめて深刻に中国側が受け取っているわけであります。指紋捺印のことは、中国側の感覚からいうと犯罪を捜査されるというような意味で、犯罪と結びつけて非常に深刻に受け取っているようでありますし、誓約書の中に、これが誓約書のペーパーでありますが、御承知のとおり、この中に「またいかなる政治活動も行わないこと。」という一項がありますが、この「政治活動」の後に「政治的団体の結成、政治的目的をもつ会合への参加、政治的論文・宣言の発表、政治的目的をもつ大衆示威運動を組織し、あるいは参加すること等」と書いてあります。これは、たとえば中国人留学生が来る、日中条約ができたお祝いの会合がある、そこへ出てきた。そうすると、この「政治的目的をもつ会合」の中に入ってきてしまうわけですね、厳密にこのとおり言うと。そうすると、ここの「いかなる政治活動」というのはちょっと範囲が広過ぎる言葉ではないか。中国人留学生は、入ってきたら最後、まさに彼らの感覚では自分たちの母国で当然とみなされてきた諸活動さえも遠慮しなければならぬところへ追い込まれる。少なくともこれは、問題になる文章を含んでおる。これはしばしばわが国独特のやり方で、やわらかい運用ということによって切り抜けている面もあるでしょうけれども、少なくともこうした文章については少し荒つぼ過ぎるのではないか。今後、法務省や警察庁や文部省や外務省でこうした問題についてちゃんと打ち合わせしておきませんと、これの問題、指紋の問題、そうしたことを全部一緒にひっくるめて、騒動の種になるのではないか。  また、入国管理令の適用について、他の一般外国人と同じような適用をされる場合に数々の制約のあることを十分に説明しないと、中国側は、入ってきた瞬間にこれの問題が起こる。  入国管理令、また外国人のさまざまな活動に対する取り締まり、あるいはさまざまなこうした政治活動に対するブレーキ、指紋の採取、いずれも問題が起こる。私はその辺、十分お話し合いをして遺漏なきを期していただきたいと思うのですが、どうでしょうか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 いま渡部委員がお示しになりました誓約書は、国費留学生についてその誓約書を入れていただいております。一月十数万円も日本国民の血税を支給をして勉強してもらうのでありますから、国費留学生については勉学のためにのみ日本へ来たのだという意味も含めて、その誓約書を入れていただいております。いま中国と協議をしております留学生は国費留学生ではございませんから、その誓約書は不必要なものに相なります。  指紋等のことは外国人登録法で法務省の方の担当でございます。

大鷹正外務省情報文化局文化事業部長

○大鷹説明員 いま渡部先生がおっしゃいました押印の件につきましては、これは法務省の管轄のことでございますけれども、実は先ほど砂田大臣のおっしゃいました今度の中国の教育使節団とのいろいろな会合の際にも、われわれの方から、外国の留学生に対しては同じようにすべてこういう制度でやっていますよという説明をいたしまして、われわれといたしましては中国側の理解が相当に深まったという印象を持っております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 外務大臣に最後にまとめてお願いしておきますが、留学生の問題について、このような点、いろいろな点について、たくさんの留学生が来ようとしている現在においては、この問題点をごく丁寧に克明に細やかに解決しておくことが必要だと存じます。関係省庁は恐らく文部省ではございましょうけれども、外交的側面を理解されている外務省としては、文部省や法務省や警察庁や関係のありそうな各省庁と十分お打ち合わせの上、しかるべき御処置をとっていただきたいと要望いたしますが、御答弁をいただいて私の質問といたします。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中国からの留学生は、鄧小平副主席から私に直にお話もございました。そして、これは一般留学生と違って中国の近代化に早く役立てたい、格別の便宜を計らってもらいたい、こういう話がございました。それとまた別個に、一般の各国からの留学生ということは文化交流の中でも一番大事なものであって、しかもそれはすべての問題に影響いたしております。かつまた、各国の将来指導者になるべき人物が日本で勉学をしたかどうかということは、これまた非常に大きな影響力を持つものでありますから、かかる際、国際情勢は大いに変化いたしておりますから、ただいまの数々の御注意は十分注意をし、かつまた中国の問題についても、指紋その他についても法務大臣も直接相談しているところでありますが、そういう詳細については、後で誤解のないように、あるいは誤解のために悪い感情が起きないように十分注意をいたします。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 ありがとうございました。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 曽祢益君。

曾禰益民社党

○曽祢委員 最初に、外務大臣にちょっとお断り申し上げたいのですけれども、実は突然ですけれども、文部大臣に留学生問題等について御質問申し上げたいと思いまして、ちょっと文部大臣の御都合があるので先に文部大臣への質問をさしていただきたい。御了承願います。  いま中川さん並びに渡部さんから提起された中国の留学生の受け入れ、これは大量に来てもらえるので大変にいいことであるし、積極的にこれに取り組むことに全く賛成でございます。現実にはそういきなりというわけにはいかないでしょうから、いろいろなことを考えて、それぞれ抜かりのない措置をとっていただくことが特に必要である。スタートが大切である。  またもう一つは、私、これは外務大臣に後で申し上げますが、今度の日中平和友好条約の締結という喜ばしい事態にかんがみ、非常に大切なことはやはり政府の言われる全方位外交であるし、特にアジア諸国、なかんずくASEANですね、これとの友好親善を一層強めることが必要だというような観点から、たまたま留学生問題等について、中国だけに傾くと言っては語弊がありますけれども、量的に、近いのですし、人口も多いのですし、ニーズも非常に盛んですから、中国人がたくさん来てくれること自体は、何も数で全部平等に振り向ける必要は毛頭ありません。同時にASEAN諸国等に対し、文部大臣も特に御承知だと思いますけれども、こちらも実はニーズが非常にあるのですね。日本としてもこれを望んでいる。ただ、やはり施設が非常におくれている。中国のために図るのはいいし、これは日本のためになること、同時にASEAN諸国の留学生受け入れ等についても、これに劣らないような積極的な、画期的な受け入れ体制をつくっていただけるように御配慮願いたい、これは両大臣にお願いいたしまして、御答弁をお願いいたします。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 実はASEANを含みます発展途上国からの留学生の枠をもっと広げたい、そういう準備に昨年からかかっておりましたところへ中国からの留学生の問題が起こったわけでございます。ASEANを含みます発展途上国からの留学生受け入れをもっと幅を広げていこうという基本的な方針はいささかも変えておりません。  現在国費留学生の約三割が、ASEANから来ております留学生でございます。ASEAN諸国の元日本留学生は、それぞれ出身の各界で大活躍をいたしておりまして、また、元日本留学生評議会という会を結成をいたしまして、みごとな団結ぶりも示しておられます。ことしのジャカルタでの六月末の総会に招かれて私も出席をしてまいりました。どこの大学で一緒だった、日本からのたくさんの人たちも行っておりました。クラス会、同窓会がジャカルタで開かれて、本当に感動的な風景を目の当たりにしてまいりました。シンガポールだけ寄れませんでしたけれども、あとの四カ国の文部大臣ともお目にかかって、日本のASEANからの留学生受け入れの幅を広げることについても懇談もいたしてまいりました。  先ほどから御指摘のありました宿舎の問題、日本語を習得をするための学校の問題、これは中国の留学生の問題だけではございません。日本が受け入れます各国の留学生の問題でございますので、十分細かい点まで意を配って、特に家庭を離れて日本へ一人で勉強に来るわけでありますから、家庭的な温かみを何か提供したい。YWCAの方々が取り組んでくださっておりますボランティア活動、大阪の商工会議所を中心に行われております留学生に対する里親活動、余り行政が深入りしてはいかぬと思います。ですけれども、何かもう少し行政でお手伝いする面もあるのではないか。ASEAN各国を回りましても、私の日本のお母さんはという声が、言葉が出てまいります。大変大切なことであろうと思いますので、そういう点まで、十分細かいことまで注意をしながら留学生受け入れの体制を拡大していく努力をしてまいりたい、かように考えております。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中国のみならずASEANの留学生に対する質、量、待遇の方法等改善していく、おっしゃるとおりでございます。曽祢先生はもう非常に詳しい方でございますから、簡単にお答えいたしますが、いままで留学生でときどき新聞の社会面を飾るような不祥事件が起こっておるわけでありますが、これは、御承知のごとく、国費留学生と私費留学生がありまして、私費留学生が主であります。しかも私費は外務大臣の所管であり、国費は文部大臣の所管でございます。したがって、今度これを一本にして全部文部大臣に所管を移し、かつまた、私費の留学生についても、私費とはいいながら、国から若干の補助をするとかあるいは待遇を変えるとか、それからもう一つは、向こうに参りますと非常にいいわけでありますけれども、西洋に留学した人と日本に留学した人とのその国の社会的な地位や俸給が違うわけでありますから、こういう点等も十分考慮をして、喜んで留学をされ、しかも留学された方が日本を第二の故郷と思っていただくように十分配慮しなければならぬと考えております。

曾禰益民社党

○曽祢委員 よろしくお願いいたします。  どうぞお引き取りください。ありがとうございました。  本条約については、われわれは賛成の態度で積極的に審議を進めたいと思っているのでございますが、その場合に、条約そのものについての問題はほぼないように、なかなか苦心の作で、非常によくできていると思います。二条、四条の制定は、二条、四条を設けた内容とともに大変にわが国の、全方位外交という言葉がちょっとまだ未熟ですけれども、中国べったりでないという姿勢も貫かれておりますし、私は大変に結構だと思う。  そこで、条約の交渉に際しまして問題であった尖閣諸島の問題、それから中ソ友好同盟条約の問題、それから全方位外交といいますか、特にソ連、いまのASEAN等々を含めた諸点についてのみ御質問申し上げたいと思います。  第一に、尖閣諸島についてでありますけれども、私は前回といいますか、ちょっと前でございますけれども、夏の前でしたけれども、前国会の際に当外務委員会において外務大臣に御質問を申し上げたときに、はっきり私の意見を申し上げたのですけれども、尖閣諸島の中国側の領有権の放棄をはっきりしなければ日中平和友好条約を結んじゃいかぬというような意見が一部国論にあるけれども、これはまことにとんでもないことである、それだったら竹島はどうなるんだという点を考えても、それはどうも筋違いではないか。ですから、尖閣諸島の領有権の放棄等あるいは領有権問題そのものを平和友好条約の交渉中に取り上げるのは、これはまずい。ただ、現実の問題としては、先般不幸なる日本の領水権の侵犯事件があったのですから、その後中国側はこういうことがないようにという注意を払っておるようだけれども、その点だけはこれははっきりしてもらわなければいけない。ですから、外務大臣の交渉の際に尖閣諸島に触れられ、触れられたときには領有権放棄というようなやぼな話を出す必要は毛頭ない――これは私の意見ですよ。だがしかし、ああいうような不幸な領水侵犯みたいなことが起こらないという保証は、これははっきりとってきてもらいたい、こういうふうに申しておいたつもりでございますが、大体そのようにお取り計らい願ったのではないかと思うのですけれども、交渉の経過並びに結果について、簡単で結構ですけれども、御説明を賜りたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ただいまの先生の御発言は、先般承りまして私深く胸に刻み込んだわけであります。  御承知のごとく、尖閣列島は国際的に紛争地域にはなっていないわけでありまして、わが国の固有の領土であることは明白であります。ただ、この前のような事件があることは困るところであります。したがいまして、私は正式の日本を代表する外務大臣として、この領有権の問題に私が口を出し、仮に向こうが、そうではない、おれの国だ、こう言えば、口を出したことによってこれが紛争地域になるおそれがありますから、私としては、曽祢先生のおっしゃる議論が正当であって、この条約交渉の際には言うべきものではないと深く決意をして行ったわけでありますが、交渉中、日本国民の不安があるからこの問題について発言しろという訓令を得たわけでありまして、そこで私は発言をしたわけであります。  私の発言は、日本の尖閣列島に対する立場を主張し、その上で、この前のような事件があっては困る、今後このような事件は慎んでいただきたいと強く要請いたしましたところ、鄧小平副主席は、手を振りながら、この前の事件は偶発事件である、これについては異存はありましたけれども私は黙って聞いておりましたが、そのような事件はこれから断じてしない、絶対にしないとはっきり言われましたから、それでよろしいと思って私は帰ってきたわけでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 ちょっと了解について若干のずれがあるのですが、私は、領有権を向こうが主張し、日本も主張しているというケースは、竹島でも北方領土でもあり得るのだから、それはあってもいいけれども、それを放棄してこなければ日中条約を結ばない、そんなべらぼうなことはあるかということを申し上げたつもりでございます。  また、外務大臣の、ある週刊誌におけるお話の中によると、いまもちょっと触れられましたけれども、党の方から尖閣諸島の問題に触れろと言ったことに大分抵抗をお感じになったようですけれども、領有権の放棄に触れないで、しかし恐る恐るじゃなかったと思いますけれども、ああいう不幸なる事態は起こさぬだろうなと詰めをやられたことは、私は必要だったし、非常に適当だったと思う。そういうことはやっぱり勇断をもってやってもらわなければ困るので、それで、私の知っている限りでは、そのときには何でも、鄧小平さんがそう言ったときには外務大臣だけではなくて随員もみんな聞いていたそうなので、大変によかったと思うのですね。そういうことにリピートしないということをはっきり、まあ十年、二十年、三十年、百年とまで言ったとか言わないとかと聞きましたけれども、しかし、これで大体不幸な事態は起こらないという、まず実質的の政治的な保証があった。これで私はいいと思うのです。これはそれで優等生の卒業ですな。  続けて伺いたいのでございますけれども、もう一つの問題が中ソ友好同盟条約の処理だと思うのですね。これは私申し上げるまでもないことですけれども、これはずいぶんへんてこりんな条約で、国際的にもこんな、ある国をちゃんと名指して、言うならばばりざんぼうして、そして要するに、平和友好条約とか協力とかうまいことを言っているけれども、その前置きと第一条等を見れば、日本の軍国主義の復活及びこれと協力する、要するに日米の戦争の企図に対する軍事的な防衛同盟条約であるという性格だと思うのですね。非常に激しいものである。こういうものをいつまでもほっておくべきでないことは明瞭なんで、これは本当ならば日本と中国が国交を回復した七二年の時点から、この問題に終止符をつけるべき時期が来ていた。  ただ、条約は、ちゃんとやめるならやめるで手続の問題がございますから、余り先の問題を――七九年の四月九日までに廃棄という、これは通告か通報かわかりませんけれども、意思表明かなんかやるというのは大分先ですから今日まであれしたけれども、いよいよ日本と中国が正式の平和友好条約をつくるというのですから、これははっきりと中ソ友好同盟条約にピリオドを打つといいますか、その条約の規定に沿って効力をなくす、つまり廃棄の措置をとらなければならぬ。  ただ、その措置について、外務省からわれわれみんながもらっている文章から見ると、中ソ友好同盟条約の第六条にこういうあれがあるでしょう。第六条の「この条約は、その批准の日から直ちに効力を生ずる。批准書の交換は、北京において行なう。」その後で「この条約は、三十年間効力を有する。締約国の一方が条約を廃棄する希望をこの期間満了の一年前に通告しないときは、条約はさらに五年間引き続き効力を有し、この規定に従い順次延長される。」これを普通に読むと、英語でもギブズノーティスと書いてありますが、これはやはり普通で考えれば、ただ単に発表するのでなくて、意思の表明が、先方に通告するというのがノーティファイだと思うのですよ。ただ、これについて、どうもこの文章からくるのと、実は外務省の事務当局に聞いてみたところが、いや、中国文じゃ違う、だからあれは少なくとも中国の通信社を通じてもう廃棄の意思だということを言えばそれでいいのだということのようなんでございますけれども、その点は一体本当にどうなんですか。  どうも私はおかしいと思うのですね。これを見れば、これは通告するのはあたりまえですよ。通告というのは新聞に発表じゃないですよ、通告というのは。ノーティファイ。ちょっとその点はっきりしてください。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 ただいま先生がお読みになりました中ソ同盟条約第六条の、これは仮訳でございますけれども、正文でございますところの中国語及びロシア語テキストに基づいた仮訳を以下にお読み申し上げます。この第六条の第二文でございます。「この条約の有効期間は、三十年とし、一方の締約国が期間満了の一年前までに廃棄する希望を表明しない場合には五年間延長されるものとし、この方法により順次延長される。」これが正しい仮訳でございます。  なお、外務省が一時作成いたしました仮訳の英文は、国連に登録されました条文の英訳に基づいて訳したものでございますけれども、中国語及びロシア語の正式のテキストに基づいて仮訳を申し上げれば、先ほどのとおり、「希望を表明しない場合には」というのが正しいところでございます。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 条約文の翻訳についてはいま申し上げたとおりでありますが、私と鄧小平副主席との話し合いの概要は次のとおりでございます。  私は、いま曾禰先生がおっしゃいましたような趣旨のことを、正月モスコーに参りましたときにソ連の方にも明確に申し入れました。これに対しては、ソ連は返答はございません。そしてその返答は、中国からは何も言ってこないよ、こういう返答だけでございます。続いて、今度の鄧小平副主席と私との会談の際には、同様趣旨を申し上げましたところ、向こうの方から、これは名存実亡である、そして、すでにこれはないのと同じであると。そこでとまるかと思いましたところ、さらに言葉を継がれて、ただし、これには手続があって、その手続は来年四月になっておるから、その時期になったらこれを廃棄すると。  そのときにちょっと誤解を受けるような言葉がございました。と申しますことは、このような名存実亡の条約を廃棄するについて、政府がわざわざ声明書を出すような大げさなものじゃない、新華社を通じて声明を出すんだ、こういうことでありましたから、新華社の声明では法的効果がないので、正式の手続をするのかどうかということは会談後に確かめて帰ってまいりましたから、通告するということは間違いはないと存じます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 中国語では何と書いてあるのですか。漢字だからぼくにはわかる、ロシア語はわからぬけれども。ちょっと中国語を教えてください、ここのところだけ。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 中国語では「表示」という言葉を書いてございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 どういう字ですか。書いてください。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 「表に示す」でございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 通告でなくて、ここは希望を表示すればいいということですね。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 通告という言葉ではございませんで、願望の表示と……。

曾禰益民社党

○曽祢委員 だから、希望なり願望といっても同じだから、希望をこの期間満了の一年前に表示しないときはと、こういうことですか。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 そのとおりでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 なぜこんな大ミステークをやっているのだ、外務省は。われわれはこれによって判断していたのだ。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 この点については、私先ほど申し上げましたように、外務省といたしましては、一時国連に登録されております条約の英訳を基礎にして訳したという経過がございますけれども、正しい訳はただいま申し上げたとおりでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 いつから……。今度の交渉によって初めてですか。それとも、外務大臣がソ連においでになってお話しになったときに、もう向こうのあのテキストから見れば、「通告」じゃなくて「表示」でいいということになっていたとか――いつから「表示」に変わったのですか、外務省。これはやはり非常に重大で、ただここの段階になって変えたというのじゃ、説明としては不十分じゃないですかね。どういうことなんですか。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 従来、外務省の方の条約局におきましては、第三国間の条約につきましては、国連に登録されましたところのテキストを用いてそれの仮訳を作成するというのが通例となっております。そのためにあのような仮訳となったわけでございますが、日中交渉の過程におきまして、これを中国語及びロシア語の正文に当たってさらに検討しました結果、これは両方とも訳としては「表示」とするのが正しいというふうに判断いたしたわけでございます。(曽祢委員「今回ですか」と呼ぶ)日中条約の交渉過程においてでございます。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 こういうことは正確にして、謝るべきものは謝った方がよいと存じます。  日ソ交渉の場合には私は存じませんでした。今度初めて聞きまして、それでもなお新華社の声明では政府の意思表示にならぬと思いましたので、その点は確かめて帰ってきたわけでございます。まことに申しわけございません。  なおまた、そのような解釈をしたならば、当然外務省は、いままでの解釈の間違いを議員の方々には御連絡申し上げることが当然の義務であると考えます。今後十分注意をいたします。

曾禰益民社党

○曽祢委員 私はこれ以上追及をするつもりじゃありませんけれども、いまのお話を聞くと、それじゃ第三国同士の条約については、いままでの外務省の訳ではちょっと怪しいですから、全部それをチェックして、もう一遍直す必要がありますよ。今度交渉をやって初めてそれを発見したというのじゃ、ずいぶんこれはのんき過ぎるので、まあ発見してよかったんですね。大恥をかいたです、これは。  そういうわけですから、この点については外務省において、第三国条約については国連事務局に登録してあるものでも、やはりこっちも外交機関を持っているのですから、それぞれの国に確かめて正文をもらって、もう一遍全部レビューして、その結果を外務委員会に報告していただくことを、これは後で結構ですけれども、委員長に要求しておきます。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 十分検討し直して報告するようにいたします。

曾禰益民社党

○曽祢委員 中ソ友好同盟条約については、さらに後でソ連の関係からも触れたいと思いますが、要するに来年の四月九日までにとにかく条約に基づく終了の、廃棄の手続が正当に行われなければいかぬ、これは中国側からはっきりその約束といいますか、その措置ははっきり聞いてきている。それから、いま外務大臣のお話によりますと、この問題はソ連にも話されて同じような感触を得られたのですか。それは非常に重要なので、これはひとつ確認の意味で、もう一遍伺いたいのです。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私が発言しましたのは、曽祢先生のおっしゃった趣旨を発言をして、特に一番困るのは、日本を敵国ときめつけてやっている条項は直ちに次の場合には改正してもらわなければ困る、破棄されるかどうかはその次の問題である、こういうことを言ったわけでありますが、これに対してはソ連は全然返答はしないで、中国側からこの条約について何らの意向表明もまだいまのところはない、こういう返答があった、そのままでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 そうすると、そのとき話はされたけれども、まだ向こうは終了するという意思、廃棄の意思は言ってないわけですね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そのとおりでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 わかりました。  一応尖閣諸島と中ソ友好同盟条約の中国関係についてはわかりましたから、これは中国側は期限内にその廃棄の手続をとるもの、そのことによって、一方的でいいのですから、ソ連のアクションにかかわらずこれが終了される、これは大変に結構なことでございます。これと相またないとこの平和友好条約の趣旨がぼけてしまうわけですから、非常に重要なことだと思いますので、フォローアップをよろしくお願いしたいと思います。  もう一つは、やはり日ソ関係でございますけれども、日ソ関係については、これは私の解釈するこの条約、これは第二条、第四条で、ソ連側が言っているような中国側のソ連包囲の姿勢とかその外交に加担するなどということは全然あり得ないわけです。ですから、ソ連に対しては何も卑屈になる必要は毛頭ない。本条約に基づく日本と中国がソ連包囲戦線をつくるなんということの誤解は払拭するように、積極的に堂々と、順序を立ててやっていただきたいと思います。これは当然のことでございますが……。  そこで、ほかの委員の御質問に対する外務大臣のお答えの中にもあったかと思うのですけれども、実は平和友好条約を契機として、ソ連の善隣友好条約と日本の言っている領土問題を含めた平和条約の締結、それに絡んでやはり中ソ友好同盟条約の廃棄の問題があると私は思うのです。この点について御意見を伺いたいのですが、私は、日本の基本的な姿勢としては、言うまでもなく歯舞、色丹だけでなく、国後、択捉を含む四島の対日返還を含んだ正式の平和条約をソ連と日本とが結ぶ、これが日本の基本姿勢で、これは毫も譲らない。  ただし、その間、いわゆる中間的ないろいろなことがある。その一つとして、ソ連の側から言えば、いわゆる善隣友好条約というような形で持ってきたのだと思うのです。むろん平和条約が基本だ、そのときには四島を含めて領土問題があるぞ、これはペンディングだ。この姿勢を覆し、あるいはこれの代替物、かわりになるような意味の性格だったら、これはつなぎではなくて、平和条約をぶち破るための一つの謀略と言っても差し支えない。そういうものはもう相手にならない。これははっきりしていると思うのですね。しかし、そうでなくて、つなぎとしての善隣友好的なものをつくる。領土問題を含めた平和条約はこれはペンディングであり、これはあるのだから、この基礎というものは反対しないということになったら、その善隣友好条約的なものを検討するということはあってもいいのじゃないか。それは基本を間違えたら大変ですから、そこを明確にしながら。  しかし、その場合においても、外務大臣はこの一月にソ連に触れられたとおっしゃいましたけれども、ソ連の結んでいるいろいろな相互援助条約等を見ても、ナチスドイツあての条約というのが二つありますね。ポートランドとソ連との条約、これははっきりナチスドイツの報復に対するものです。要するに中ソ友好同盟条約と同じ戦闘的な名指しの同盟条約、反西独同盟条約です。それからフィンランドは悪いけれども衛星国みたいなもの、やむなくつくったのだろう。ソ連とフィンランドとの条約はそうです。しかし、それ以外は、たとえばワルシャワ条約を見ても、そんないやらしいことは書いてないですね。もっとも、ワルシャワ条約はNATO条約に対抗するもので、したがってナチスドイツのあれなんかということは出てこないのは当然かもしれない。  それで、そういう全体から見て、本当にソ連が中国と同様に日本との友好親善を求め、なかなか領土問題についての意見は食い違っているけれども、領土問題で平和条約はいますぐできないから善隣友好条約をつくろうというのが本気ならば、まずもって顔を洗って出直せというような意味で、少なくとも中国側がやるのを待たずに、それとは別に、ソ連の日本に対する基本姿勢の問題、善隣友好条約を提案する立場からいって当然に中ソ友好同盟条約廃棄の手続をとる、これをしてくるのが私は当然だと思う。少なくとも日本は要求すべきじゃないか。まじめに善隣友好条約を、平和友好条約にかわるのではなくて、つなぎというようなものを考えるというのが本気なら、中ソ友好同盟条約廃棄の手続を中国さんはとるのだけれども、おまえさんはそれで効力を発生するのだ、それでは済まぬだろう、善隣友好条約をまじめにつくろうというのなら、中国がどうであろうとソ連としてはやっぱり廃棄の手続をとる、これは当然じゃございませんかぐらいなことをひとつやってみてはいかがかという考えでございますが、これに対するお考えを伺いたい。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先月の二十五日、午後三時から、ニューヨークで、友好条約締結後初めて私とグロムイコ外務大臣と会談したわけであります。交渉の経過は詳しくは言いません。まず、会った瞬間に向こうが言ったのは、一月あなたが来たときには日本はなかなかかっこうがよかった、こう言いましたから、私はこれに冗談で返して、一月に会ったときにはあなたはもっと理解力があると思った、こういう冗談から、わりにいい雰囲気で話が始まったわけでありますが、友好条約締結についての不満の意が表明をされました。そこで私は、実は私が外務大臣に就任して以来、外国の外務大臣に日中友好条約についての私の意図を表明したのはソ連が初めてであります。私が就任してすぐソ連に行ったのもそれがあったからでありまして、中ソの争いは全く迷感千万である。わが国はあなたの方と力を合わせて中国をいじめるつもりもないし、中国と提携して敵対行為をするつもりもない。しかし、こうこういう事情で友好条約は、時期ははっきり言えないが近い将来に締結することになりますぞと、はっきり言ったじゃありませんか、私の言ったことに一分一厘の狂いがありましたか。次には、できた条約を読んでくださいと言ったら、読んだと、こう言いました。あの中でどこに反ソ的なところがありますか、十分あなたの国のことも考慮してつくられた条約であります――まあ、そういうあれがありましたが、これは数分間で終わって、その話はやめよう、こういうことでありました。  そこで善隣友好条約の話も出ました。そこで、いま曽祢先生がおっしゃったと言葉もほとんど変わらぬように、私は、わが国の平和条約の案はあなたの方は預かるだけだ、私の方も善隣友好条約の案は儀礼上預かるだけだ、こういうことになっているはずだ、その後しかるに外交慣例を破って一方的にあなたの方が公表されたことは遺憾である、こう言ったら、発表しないという約束はしないという話がありましたが、これは追及しないで、そこで友好条約については次のとおりに言いました。  日本は今後十分あなた方の誤解も解きつつ日ソ友好関係は促進していく決意である、そのためには相互理解を深めることが大事であるから、たびたび会うことにいたしましょう、こういう具体的な話をして、そこでわが方の方針は、未解決の北方四島の問題を含む平和条約を解決して、その後友好条約という順番になっております。そこで、この条約が解決すれば私は友好条約は拒否するという腹はありません、ただし、いま出ておる善隣友好条約の内容は反対であります、このようにはっきり申し上げて帰ってきたところであります。

曾禰益民社党

○曽祢委員 外相のお立場はそれはそれとして承っておきますが、私は別にそれよりかソフトという意味じゃないけれども、善隣友好条約を先にやりたいと言うならそれは検討にやぶさかでない、ただしその前段があるよ、中ソ友好同盟条約の廃棄。そして、領土問題を含むむずかしい平和条約であるから善隣友好の条約をつくるということならば、ただしまっておくだけではなくて、あるいは検討し、あるいは代案をつくるというようなこともあるかもしれないというぐらいに考えてもいいのではないか、これは意見でございまするから、私はここであえて論争をするつもりもありません。  特に、再び強調しておきたいのは、さっき申し上げたように、西ドイツを目のかたきにした、ソ連とポーランドとの条約、それからフィンランド等との条約も――一九七〇年に西ドイツとソ連が国交条約を結びましたね。正式の条約を結んだ。あれ以後の事態は恐らくずいぶん変わっておると思うのですね。ですから、こういう古い戦闘的な条約を終了して、そうして少なくとも善隣友好でいく。ただ、日本の場合は領土問題もあるので、いきなりそこに行けないということはあると思う。ですから、それへのステップとして少なくとも、中国にならうのじゃなくて、日ソ関係の将来を考えたときに、この際思い切って四月の九日前に、この古臭い、戦闘的な名指しの中ソ友好同盟条約廃棄の手続をとったらどうだということを言ってみる必要が私はあるように考えますので、これはひとつ御検討を願いたいと思います、直ちに御返事をいただかなくても結構ですから。  それで、ソ連は申し述べましたけれども、全般的に今度の日中平和友好条約といわゆる全方位外交――私は、全方位外交というのはどなたが言い出したのか知らないけれども、なかなかうまい、丸い表現だと思うのです。しかし、そういう言葉のあやの問題じゃなくて、日本がこれから世界に向かって平和外交を進める場合に、やはり全方位外交の内容を内容的に説明していく必要があるのじゃないか、ひとりよがりでなくて。これは私のあれでございますけれども、国別というか、グループ別で言えば、日本に近いところから言えば、たとえば日米安全保障条約の堅持、合衆国との友好、これが一つの大きな柱ですね。それからもう一つが朝鮮半島の安定と平和の強化、これが日本の安全に欠くべからざる最も関係の深いところだと思うのですね。幸いにして、いま南北両朝鮮は、日中の近まりに対してはむしろ受け入れ的な空気だと思うのですね。非常にいいことだと思う。ですから、さらに、日本のできる限り、中国ともソ連とも、むろんアメリカも加えて朝鮮半島の安定に大いに、つまり平和的統一といいますか、一挙にできないけれども、だんだんに段階的でいいからそういうことをやる。  それからもう一つは、当然なことでございますけれども、ほかの委員からも御指摘がございまして、私も先ほどから伺っておりましたが、何といっても日本と中国が仲よくなるということに対する、これはやはりビックツーですからね。中国の政治的、軍事的な大きさ、いろいろ弱点はあるけれども、日本の目覚ましい経済力の大きさ、これが仲よくするということに対して手放しで喜べないというのは、決してソ連だけではないですね。アメリカなんかは喜んでいる。それから朝鮮もわりあいに、何というか、緊張緩和の方向だと思ってあれしてくれるけれども、たとえばASEANですね、これはもう釈迦に説法で一々具体的例を申し上げる必要もございませんけれども、特にインドネシアとかマレーシアとかシンガポールとかフィリピン、そういうところのASEANは、やはりそういったようなアレルギーを持っておりますね。  そこで、先ほども教育の問題について、留学生問題という形で私が取り上げた。やはり日本の外交の一つの大きな節目はASEANとの協力。外務大臣も近くもう一遍訪問すると言っております。これは大いに必要だと思うのです。それからインド、インドシナ、これはある意味では非常にいいのじゃないですかね。中国とソ連に対して日本が、分担地域じゃないけれども、まあまあカンボジアとベトナムの戦争的ムードを緩和する方向、そういうふうないろいろな地域地域に応じた具体的な対策、これが実際全方位外交だ。西欧諸国との経済協力あるいは経済の発展、それから発展途上国に対する援助の強化、中東諸国、これはイスラエルを別にしないで含めた安定、それからオイル産出国との経済協力とともに日本のエネルギー資源の安定確保というようなこと、それからオーストラリア、ニュージーランド、カナダを中心とする太平洋諸国との友好、いろいろあると思うのですが、そういうものを考えられて、これは日中でハオハオ、結構だ結構だ、日中両国からいっていいに決まっているけれども、同時に全方位外交なるものの内容を具体的に埋めていく。なかんずく、やはりASEANに対して相当なウエートを置いて、ここに本当に真剣に力を入れて、日本の経済協力による安定と親善と結合の強化ということをやっていく必要があるのではないかと私は思います。  非常に散漫な話ですけれども、これら全方位外交の進め方等に関する私の所見に対する外務大臣のお考えをお聞かせ願えれば幸いだと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いまの御発言には異存がないばかりでなくて、非常に貴重な御意見として、今後そのように進めていきたいと存じております。すでに一部はいまの御意見のような行動を進めておりますけれども、御発言のとおり、ASEANの中でも、評価を示しながらもそういう意見があるわけでありまして、特にリー・クアンユー首相、フィリピンのマルコス大統領などは具体的に演説をしておりますから、そういう点も十分留意をしながら進めていきたいと考えております。

曾禰益民社党

○曽祢委員 近く訪れられるような御計画はおありですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 実は先般、ニューヨークでアジア・アフリカの関係の外相全部を招待をして集まってもらったわけですが、ドイツのボンのサミットが終わったらすぐ私がお伺いするという約束をしておったわけでありますが、それができませんので、中途から電報を打ち、牛場君を回してもらったわけでありますが、今度はこの問題がありますから、なるべく早く来い、こういう話がありました。ところが、いままで延び延びになっておりました英国とドイツとの定期外相会議がありますので、国会が終わりましたら、これとハンガリー、チェコスロバキア訪問をして、その後できればアフリカに足を伸ばしたいと思いますので、どうなるかわかりませんけれども、来年早々でも行きたいと考えておるわけでございます。

曾禰益民社党

○曽祢委員 私はこれで終わりますが、最後に一つだけ、先ほど私は、全方位外交の中の一つとして日本の安全に非常に関係の深い朝鮮半島と、もう一つは台湾海峡ということを申し上げました。四条の国の中に中華民国が入るか入らないかというのを質問するのはちょっとやぼな感じがしないでもございませんけれども、国であるかないかは別として、四条の関係であろうがなかろうが、日本が結んでいる台湾とのきずなというものは日本の独自の外交である、中国との友好と共存というか、別に存在する問題で、これは日中平和友好条約の締結によって左右される問題ではないと考えるのでございますけれども、条約論か政治論かは別として、台湾海峡の静ひつということは日本として非常に大切なことである。この点は私も、中国当局の慎重な構え、アメリカの方もその点考えてやっているとは思いますけれども、その点に関する外務大臣の御所見を伺い、これで私の質問を終わりたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先般の、私が中国に参りました際の会談では、台湾の問題は両方から出ませんでした。しかし、今度の条約によって台湾に対する態度が変化すべきものではない。御承知のごとく、国または地域という言葉の使い分けがありますので、この点で御了承を願いたいと思います。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 わが日本共産党は、周知のように、戦前は、中国侵略戦争に反対して闘った唯一の政党であります。戦後は、中華人民共和国を無視したり、二つの中国論を展開する政治方針に反対し、中国との国交回復、日台条約破棄、中国の国連代表権回復などを要求し、日中両国民の真の平和友好関係の樹立に努力をしてまいりました。  いま当委員会に付託されている日中平和友好条約が、平和五原則に基づく日中関係の発展という課題にこたえるものかどうか、疑問点を徹底的に明らかにすることは、国民に責任を負う党の当然の使命と考えます。この条約をめぐって国際的にいろいろの批判的意見があるだけでなく、国民の間からもいろいろな疑問が出されています。多くの学者、研究者、ジャーナリストなどが、日本が中ソ対立あるいは大国間の力の立場に基づく抗争に組み込まれていく危険性を指摘し、日本外交の前途に重大な疑念を表明していることは御存じのとおりであります。私は、政府がこれらの国民の疑問や批判に対して率直に答えられるように要望して、質問に入りたいと思います。  まず第一に、条約の性格と戦争終結処理の問題についてであります。  総理は、九月三十日の参議院本会議で、日中平和友好条約の「平和」には特別の意味はなく、平和条約ではないとお答えになりました。そして日中間の戦争終結処理は、一九七二年の共同声明で最終的に完了したと答弁されました。しかし、共同声明は、国会で批准を要しない政治的意思表明ではなかったのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 日中間の戦争状態の終結の問題につきましては、法律的には、わが国と中国との間の戦争状態は日華平和条約第一条により終了したとするのがわが国の立場でございます。日中国交正常化に際しまして、わが国としては、日華平和条約を当初から無効なものとします中国側の主張は認めることはできないとの基本的立場を中国側に十分説明いたしまして、日中国交正常化という大目的のために日中双方の本件に関しまする基本的立場に関連する困難な法律問題を克服しますために、共同声明の文言に双方が合意した次第でございます。  このようなわけでございまして、日中間の戦争状態終結の問題は、日中共同声明により最終的に解決している次第でございます。  ただいま申し上げましたような次第によりまして、この共同声明は国会の承認を要しないということでございました。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 長々と御説明をいただきましたけれども、要するに、困難な法律的問題を克服する、したがってそれは政治的な意思表明であるというふうにしか理解できない、したがって国会批准という形のものにならなかったという性格だと私思うのですが、間違いないでしょうか、大臣。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 わが国といたしましては、先ほど申し上げました観点から、国会の承認を要すべき性質の条約というものではないというのが一貫した立場でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 改めて大臣にいまの点について、私は、批准する性格のものではない、困難な法律問題を克服したものだから政治的表明をしておくというやり方しかできなかったのだという経過を示したものだというふうに理解するのですが、それで間違いないですか、何か異論ありますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そのとおりだと存じます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 日本の対中国侵略戦争は十五年間に及びました。この侵略戦争の処理は、両国間にとって歴史的な課題であります。戦争終結処理を政治的意思表明である共同声明で完了させた事例は、国内的にも、国際的にもあるのでしょうか。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 国際的に、一般的に申しまして、戦争状態の終了というものがどのような形で行われているかという点につきましては、個々のケースの背景や当事国の意図にもよることでございまして、網羅的に一括してお答えすることはできないところでございますが、一般的には、いわゆる条約の形で終了させている例が多いというものと承知いたしております。しかし、国際的に申し上げれば、必ずしも条約によらずして、戦勝国の宣言あるいは通告というような形をもって戦争状態の終了が発生した事例はあるというふうに承知いたしております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 いま説明がありましたように、一般的には条約によって終結を明らかにされる性格のものである、だから、したがってその点では異例なことになっている。  総理は十月三日、衆議院予算委員会で、この点では日中間に立場の違いがあり、日本政府は一九五二年の日華平和条約で戦争を終了したという立場だったとお答えになりました。日本政府の立場は、中国との戦争の終結は、今日でも依然として、基本的には一九五二年の日華平和条約であり、最終的には一九七二年の日中共同声明だという解釈が正しいと、あくまでもおとりになりますか。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 そのとおりでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 日華平和条約の第一条には、「日本国と中華民国との間の戦争状態は、この条約が効力を生ずる日に終了する。」と書かれております。しかし、交換公文によると、「この条約の条項が、中華民国に関しては、中華民国政府の支配下に現にあり、又は今後入るすべての領域に適用がある」という了解が書かれております。だとすると、戦争終了の第一条も、その地域は全中国ではなくして、わずか一%にすぎない台湾、澎湖諸島だけということになるではありませんか。日本側政府の解釈では戦争終了はこの日華平和条約ということになると、一%の分野についてだけ終了したという事実になってしまうじゃありませんか。いかがですか。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 日華平和条約第一条に言いますところの中華民国と申しますのは、中国、英語で申せばチャイナということでございますけれども、中国という国との間、その中国を当時正統に代表していると日本政府が考えていたその中華民国との間で戦争状態を終結させたということでございます。先ほど御指摘になりました交換公文の規定は、この日華平和条約の中には、ただいまの戦争状態の終結その他戦後処理に関する処分的な面の規定がある他方におきまして、たとえば第七条において貿易、海運その他通商関係についての規定、あるいは第八条において民間航空運送に関する協定に関連する規定等、二国間の今後の他の分野における問題を律していくという面がございました。その面に限ってのこの交換公文の了解でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 実際上の支配的関係から見ても、当時中華民国というものがこの中国全土を支配する条件下になかったから、あえてこのような交換公文で、この条約が効力を生ずる日に終了するが、「条約の条項が、中華民国に関しては、中華民国政府の支配下に現にあり、又は今後入るすべての領域に適用がある」、そういうふうに敷衍化させることを提起しなければならなかった条件下にあるということは、これはきわめて明らかなことであって、どんな詭弁を弄しようとも、実際上の支配というのは当時一%にすぎない台湾、澎湖島であったことは、私はきわめて明らかだと思います。その日華平和条約で戦争終了がすべてにおいてなされたということは、これは無理がある解釈だと言わなければならないと思うのです。しかも当時の大平外務大臣は「日華平和条約は存在の意義を失い、終了したものと認められる」と、この日中国交回復がなされた際に談話を出しておられます。したがって今日、日華平和条約というものはもう存在しない。実際的にも一%の地域だけで平和条約が完了してしまったということになってしまうと、平和条約なしに戦争終了を行ったという、そういう解釈になるではないか。私は、こういう重要な問題をいまのような論弁でごまかすことはできないと思うのです。国際法上もこの問題について、戦争終了を平和条約なしにやったということになると思うのですが、その解釈をどういうふうにされているのか、改めてもう一度聞きたいと思うのです。

大森誠一外務省条約局長

○大森政府委員 先ほど来申し上げでおりますように、わが国はその法的立場といたしまして、中国との間の戦争状態の終結は、中華民国との平和条約第一条によって終了したというふうに考えるという立場をとってきております。これは中国という一つの国がございまして、一国が他の国において正統政府が二つあるという立場をとることは、これは国際法上できないところでございます。当時のわが国は、中国を代表する正統政府としては中華民国政府を承認した、こういう関係にあったわけでございまして、その当時の状態のもとにおきまして、わが国は中華民国との間のこの平和条約によりまして、中国全体との間の戦争状態というもの、その他戦後処理の問題をすべて解決したとするのがわが方の立場でございまして、先ほど申し上げました私の立場との間に何ら矛盾はないと存じます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私は、先ほど申し上げましたように、地域限定条項は五二年条約に一体として付せられているものという解釈が妥当である、現実的でもある、いまの見解については無理があるし、その無理が今日の事態をつくっているというふうに見なければならないと思うのです。  それでは、それに関連して台湾問題について聞きたいと思うのですが、防衛庁長官お見えですか。  一九七二年日中共同声明第三項「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項に基づく立場を堅持する。」と、共同声明で出されました。そして今日、日中平和友好条約第一条で、平和五原則に基づいての条約締結がなされました。こういう歴史的な経過を今日持っているわけですが、防衛庁長官は、さきに、日韓台運命共同体論をぶたれて世上問題になりました。今日こういう共同声明や条約が出ている段階において、この運命共同体論について改めてお話を伺いたいと思います。

金丸信自由民主党防衛庁長官・建設大臣臨時代理・国土庁長官事務代理

○金丸国務大臣 私は、議運の委員長あるいは国対委員長等をやりまして、いわゆる日中条約促進の決議案というものが各党了承の上でできた。これは各党了承でなければ決議案ができないことは御案内のとおりであります。そういうものがあるという上に立って、私はどこかの委員会で、速記録に残っていると思いますが、日中条約を推進することが誠意だというお話を申し上げておるわけでありまして、日中条約を妨害しようというような考え方でそのようなことを申し上げたのではなくて、ペルシャ湾航路とかあるいはハワイアン航路というような状況の中で台湾というところは重要なところだという判断のもとに、たまたま口が滑りまして運命共同体というようなことを言ったわけでありますが、真意はそこにないものでありますから、取り消しをいたしたわけであります。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 真意がそこにないということで、それでは台湾は中国の一部であって、中華人民共和国の領土としてあなたは認められるわけですか。

金丸信自由民主党防衛庁長官・建設大臣臨時代理・国土庁長官事務代理

○金丸国務大臣 台湾の問題につきましては、いわゆる中国は一つであるという考え方、それが国連、あるいは日本政府が今回条約を結んだというような状況の中で当然だと私は考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 重ねて防衛庁長官に聞きます。  中国は一つだ、そして中華人民共和国は、台湾が中華人民共和国の領土の一部であるという問題を提起しておられる。それで、あなたはその立場を明確に承認されますか。

金丸信自由民主党防衛庁長官・建設大臣臨時代理・国土庁長官事務代理

○金丸国務大臣 共同声明三項に書いてあるとおりに、私は、一つであると了承します。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 いや、中華人民共和国の領土だと認められますか。

金丸信自由民主党防衛庁長官・建設大臣臨時代理・国土庁長官事務代理

○金丸国務大臣 私は、中華人民共和国、それは当然だと思っております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 金丸防衛庁長官は中華人民共和国の領土だというふうにお認めになりました。  私は、それではここで改めて聞きたいと思います。園田外務大臣はその立場をおとりになりますね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 共同声明を出したときに、その中国の言い分を理解し尊重するというのが日本の立場でございますから、そのとおりでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 いや、私が聞いているのは、中華人民共和国の領土であるという立場をおとりになりますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 領土の一部であるという中国の言い分を日本は理解し尊重するということになっております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そうなってくると、わかったようでわからぬからもう一度私はお伺いしますが、金丸防衛庁長官は中華人民共和国の領土としてお認めになりました。あなたは尊重する。金丸防衛庁長官の発言でよろしいですね。確認しますよ。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 金丸長官も共同声明に書かれてあるとおりだと最初に発言されたと承っております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そうじゃないよ。私は念を押したのだから、中華人民共和国の領土ですねと。そうですと言われた。私は何も金丸防衛庁長官が悪いことをやっているなんと言っていないのですよ。当然だ。その当然の発言で、外務大臣、外交担当者としては金丸防衛庁長官の発言どおりで結構ですと言われて私はあたりまえだと思うのだけれどもどうだということを言っているだけだ。金丸防衛庁長官の発言、確認できますね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 金丸長官も共同声明の何項に書かれたとおりだと言われたところ、あなたがさらに言われて、それでは領土の一部かと言われて、そこで長官はそのとおりですとおっしゃったのは、一部だということを理解し尊重するという共同声明に書かれたことだ、こう私は解釈をいたしております。

金丸信自由民主党防衛庁長官・建設大臣臨時代理・国土庁長官事務代理

○金丸国務大臣 私も外交官じゃありませんし、詳しくはないのですが、一部誤解があるようですから、訂正をいたします。  この中華人民共和国政府の立場を十分理解し尊重し、こういうことであります。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それほど閣僚の中だって、筋が通らぬ話だから、物の言い方、考えなければならぬようなことになっているということを、このことは意味しているのですよ。普通に考えたら中国の一部だ、そしたら、中華人民共和国が中国のあれなんだから、当然台湾はその領土であると承認すべきだと先ほど訂正前に言われた態度、これが普通の態度だろうと思うのですよ。ここに、さっきの戦争終結のあいまいさがこういう問題をつくっているのだ。  当時、自民党の両院議員総会で大平外務大臣が、これは新聞に出ています。「理解し尊重するとし、承認する立場をとらなかった。つまり、従来の自民党政府が継り返し述べてきた態度をそのまま書き込んだわけで、日中両国が永久に一致できない立場をここにあらわした。」とまで言ったのです。永久に一致できないのだ、だから永久に承認するという立場には立たないのだ、当時の外務大臣がこう言っている。  それから六年たちました。この条約を結んだ今日でも台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であるということを承認しないという立場なんです。さっきからの継り返しの話だ。永久に一致できないという立場、大平外務大臣がその当時そう言われたけれども、あなた、いま両国の条約を締結して調印してこられた。あなたはいつまでもそういう立場ですか。永久にできないという立場をとられるのかどうか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 外務大臣の御答弁の前に、いまの御質問の中で一点、私どもから見まして認識として違う点がございます。それは、共同声明の中で確かに「十分理解し、尊重し、」とございますが、その後にポツダム宣言第八項の立場を堅持するというのがついております。このポツダム宣言第八項の立場を堅持するということを日本が言わなければならないのは、日本がかつての戦争終結に当たりましてポツダム宣言を受諾することによってあの戦争を終結した。その結果、この戦争を終わらせる条約として結ばれましたサンフランシスコ条約で、日本国は台湾及び澎湖諸島に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄するということで、日本としては連合国との間の平和条約においてあらゆる権利、権原、請求権を放棄しておるわけでございますので、そのことをはっきりと中国との間で、ポツダム宣言第八項の立場を堅持するということになっております。この立場は、連合国の一員である中国と、戦敗国で、全面的にポツダム宣言を受諾しました日本との間の台湾及び澎湖諸島に関する基本的な立場の違いである。これはもう戦争終結したときに立場が違うわけでありますので、これはどういうふうにいたしましても直ちには一致させることのできない問題である。そういうことを念頭に置きますと、共同声明の第三項の台湾条項も日華平和条約の第一条の戦争終結も、日本の立場としては一貫している、こういうことでございます。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 寺前さんの私に対する質問は、永久、未来永劫このままか、こういう質問であります。私は、将来のことでありますからどうこう言うわけではありませんが、未来永劫固定されたわけではないと考えます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 明らかに中華人民共和国との間に友好条約を結んでこられたわけでしょう。そして台湾というものが、それが中国の一部であるということを明確に共同声明の段階でも言われてきたし、今日でもそういう立場で、中国は一つだという立場からこの中華人民共和国との条約を優先化させる、日華平和条約というのは、これはもうなくなってしまったという立場で今日来たわけでしょう。そうしたら、永久にこういうことをわれわれは承認するわけにはいかないという態度をとってきたことに対しては、これは改善をしなければならない問題だということは、明確に大臣として言われて当然じゃないでしょうか。私は、それが言えないというのは一体何だろう、わからぬですよ。だから、金丸長官のように素直にああいう発言が出てくるのは当然だと思う。どうなんですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は未来に対する私の考え方を言ったのは、中国で言ったわけではなくて、寺前さんの質問に対して私の判断を言ったわけであります。寺前さんのおっしゃることは、どうも実情を知りながら、相手がとちるように質問をされるされ方がうまいので、金丸さんと私の言い分が食い違ったような感じを与えた用のだと考えます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 中華人民共和国の領土として承認をするという事態は検討しなければならない問題じゃないんですか、永久に一致できないという立場をあなたもおとりになるのですか、これだけの質問ですよ。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 永久に固定化されるとは思いません。しかし、そこにはいろいろ要素もあり、環境もあります。先ほど局長が言いましたとおり、ポツダム宣言の関係等もこれありますので、今後推移を見守ってやるべき問題だと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 日米安保条約の極東条項に台湾が含まれるとか、一九六九年の台湾条項は無効でないかのようなことが言われます。条約第一条にうたわれている平和五原則と矛盾する態度が生まれてくるというのは、もともとこの戦争の終結の問題、そして平和条約をきちんとしない、こういうところに根源があるということはきわめて明らかであります。ですから私は、いま大臣が永久に一致できない立場ということじゃないという趣旨のお話がありました。本当に私はそういう態度を積極的に改善をされるように要望しておきたいと思うのです。  この日韓台運命共同体論というものは、金丸さんがお述べになっただけではなくして、一九六九年の佐藤・ニクソン共同声明の中にも韓国条項、台湾条項という形で存在しているということは、もう御存じのとおりであります。  この際に私は、真に日中間の平和友好を確立する、それからアジアの平和のため全体を考えて言うならば、本当にそういうような異常な発想、そういうものの無効を明確に宣言されるということが今日日本の政府にとっては重要だというふうに思います。  そこで、本条約の第一条の「主権及び領土保全の相互尊重、相互不可侵、内政に対する相互不干渉、平等及び互恵並びに平和共存」というこの五原則を誠実に守るためにも、重ねて私は、台湾が中華人民共和国の不可分の領土である、政府がそのことを承認されるよう強く要求をして、この問題は一応おきたいと思います。  次に、領土問題を提起しましたから、この際に尖閣列島の問題についても聞いてみたいと思います。  尖閣列島はわが国の領土であるという立場を政府は今日までとってこられたと思いますが、確信をもってわが国の領土である、その根拠をどういうふうに持っておられるのかをまず最初に説明をしてください。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 まず、日本政府は確信をもって尖閣諸島は日本の固有の領土であるという立場を堅持しておるということを冒頭に申し上げまして、それがどういう経緯であるか、細かい問題もいろいろございますが、大体年代を追って主要な点を申し上げますと、一八八五年に、まず日本政府は現地調査をいたしました。それから、一八九五年、十年後でございますが、尖閣諸島を沖繩県の所轄として、標杭――表示を示したくいですが、これを立てることを閣議決定しております。  一九五一年になりますと、その間日本の固有の領土として何の支障もなく実効支配を続けたことは申すまでもございませんが、一九五一年に署名されましたサンフランシスコ条約によりまして、御承知のように、第三条に基づき、南西諸島の一部として米国の施政権下に入りました。一九六八年にはエカフェがあの地域の調査をいたしました。一九六九年に石垣市が地籍表示の標柱を立てました。同じ年に、総理府を中心とする学術調査を実施いたしました。これは第一次から第三次までの学術調査をいたしております。一九七〇年には琉球政府が領域表示板を立てております。  七一年の六月に、例の沖繩返還協定が署名され、これが発効いたしました一九七二年五月十五日に、尖閣諸島を含む南西諸島の施政権が日本に返還されました。この間、一九七一年の六月十一日に、台湾の外交部の声明が出ました。これが自分のものであるという声明が出ました。その年の十二月三十日に中国の外交部声明が出ました。一九七二年の五月九日に、再び台湾の外交部声明が出ました。その一九七二年、沖繩返還の直前の三月八日に日本政府の基本的見解、三月二十八日には自民党の見解、三月三十一日には日本共産党の見解、四月十九日には日本社会党の見解がそれぞれ出まして、いずれも尖閣諸島は日本の固有の領土であるという決定がなされております。  そういうことで、沖繩返還の際に施政権が日本に返還されました尖閣諸島に対しまして、米軍がこれを射撃場として引き続き使用するに当たっては、日本政府の了解を地位協定に基づいて取りつけた上で、これを射爆場として使用している、その間、いろいろ外国船の領海侵犯、あるいは間違って上陸したもの、いろいろございましたが、それぞれに応じて日本の国内法に即して有効支配を継続している、こういうことでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 要するに、先ほどのお話を聞いていると、一九七〇年代以降になってから、中国の側からおれのあれだということを言い始めたというのがあれだ、日本はもともとちゃんとここで仕事もしておったし、いろいろやってきたのだ、こういう論拠であったというふうに理解してよろしゅうございますね。  そこで、そういう尖閣列島の問題について、一九七四年十月、国慶節に参加した華僑、海外在住台湾同胞及び外国籍中国人との会見において、鄧小平副首相がこういうことを述べておられます。「尖閣列島を確保する工作にはきわめて大きな意義があります。尖閣列島の闘争は長期的な闘争であります。日本との国交のとき、双方は言及することを避け、まず放置しておきました。われわれは、永遠にこの中国の領土を放棄することはできず、日本も放棄できず、ここに問題があるのです。尖閣列島確保の運動は継続しなければなりません。運動の形態には高低があり得てもよいのです。以前のように、日本が占領しようとしたときには高まり、もち出さないときには低くなる。この運動は波状的であり、長く久しく継続しなければなりません。」こういう発言があったことは外務省当局として御存じですね。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 正確な表現については確認しておりません。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 正確なことは知らないけれども、そういう発言があった趣旨は御存じですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 その真否そのものが判明しておらない、こういうことでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 四月に中国漁船団の領海侵犯という事件が起こりました。鄧小平副首相は、日本側が尖閣列島領海侵犯事件が解決したとの見解をとった後の五月二十一日、尖閣列島を日本の領土だとする日本の主張は成り立たないと述べていることを御存じですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 存じません。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そうすると、余りにも尖閣列島をめぐって中国がどういう態度をとっているかということについて御存じないように聞こえるのですが、中国がとっている態度を御存じですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 先ほどの私の御説明の冒頭に申し上げましたように、日本国は政府、政党、国民を挙げて尖閣諸島は日本の固有の領土であるということについて完全に意見が一致しておるわけでございますので、正式のルートを通じて何らかの異なった意見が申し出されるなり、あるいは実力行使によってこれに対して何らかの障害が設けられるなり、そういうことがない限り、日本としては当然の固有の領土としての支配を続けていけばいいということでございますので、正式ルート以外のいろいろのととろでいろいろなことが言われましても、そもそも根拠のない理論でございますので、こちらからそれ以上せんさくするということはしない、これが正しい立場であろう、こういうふうに思っているわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私がいま例示しましたお話は、いずれも鄧小平副首相の述べられた発言です。これはどこかでそこらがしゃべっている話じゃありません。しかも、今度の尖閣列島問題について外務大臣は、鄧小平副首相さんとお会いになって、この問題についてお話しになっている。余りにも向こうがどういう腹で今日まで来ているかということを知らなければ、一体その話というのはどんな値打ちがあるんだろうか、相手も知らずして一体何をされたんだろうか、私は頭をかしげざるを得ないわけです。  この間うちからお話を聞いていますと、あのようなことは二度と繰り返さないということを鄧小平さんが言われた、続けて言おうとされるお話に対してはとめた、ここまで外務大臣はおっしゃった。それじゃ私は外務大臣にお聞きしますけれども、この二度と繰り返さないよと言っても、裏で言っている話はこういう話だ、高低があるんだ、それがあの事件より前の話、事件済んだ後もまた日本の主張は成り立たないと腹でがあっと持っているわけでしょう。それに対して、二度と繰り返さないということを言わさせましたから大丈夫です、なんというようなことを言う。  それじゃ聞きますけれども、一体国際法的にどういうあの発言が拘束力を持ったというのでしょう。約束事、何かの文書になっているのですか。国際法上の拘束力を持つのか持たないのか、御説明をいただきたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 御質問の国際法的にと言われる意味は、それによって中国が拘束されるかどうかということになりますと、中国の副主席という首脳の地位にある方が日本の外交の最高責任者である外務大臣におっしゃったことは、その両者の地位、立場から見まして、また公の会談の席で言われたことであるという意味におきまして、それでない場所で言われたこととは比較にならないくらいの拘束性がある、こういうことになろうかと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それほどの地位の人が領有権問題についてさきに言ったような表明を中国の中でやっておられる。そこまで話も詰めてやらないことには、そういう地位の人だというだけでは内容的には信用できないじゃありませんか、きちんとしておかなかったら。本当にそういう領海侵犯とか領有権にかかわる問題だったらきちんとした処理をしなければいかぬじゃないですか。とめてしまうということは一体どうだったんだろう。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 この前のような事件はこれからしないという発言ではなくて、ああいうことは絶対にしない、こういうことを繰り返し、その前に私は尖閣列島に対する日本の立場を主張しているわけでありますから、鄧小平副主席がそれに反論をして、そうではない、これは中国のものだという発言は一言もなかったわけであります。とめたというのはその話が一段落ついたから、この話はこれで打ち切ってということにしておきましょう、こう言ったわけであります。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それでは領有権問題まで確認されたということでいいですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 向こうの方では、私の、日本の立場を主張した上で、この前のような事件は困る、断じて起こしてもらわないようにという強い要請に対するそういう返事でありますから、それ以上確認する必要はないと私は考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それ以上確認する必要ないということは、私が聞くのは、鄧小平副首相は自分の国の領土という立場から、この運動には高低があるんだということまで言っているわけですから、とすると領有権問題なんですよ。ですから、領有権問題としてあなたがこういうことを言っておられるけれども、冗談じゃありませんねということを確認してきたというんだったら、それはそれなりにわかるけれども、それは二度と事件を繰り返さないという話だけであって、それに運動の高低の中にいろいろな仕方があるというだけの話と同じことじゃありませんか。  本当に押さえるべきものであったならば、平和五原則に基づくところの内政不干渉で、相手の領土を保全する、主権を尊重するという立場を考えていこうと思ったら、一番大切なのは領有権でしょう。どこのものだ。どこのものだということを向こうがどう考えているかということを知らなんで、それでああいう事件は起こしませんと言ったということだけでは済まぬ話じゃありませんか。領有権問題について、しかも向こうからも堂々たる声明が出されたりしたわけでしょう、尖閣列島に対する問題として。歴史的な経過があるじゃありませんか。とすると、その歴史的な経過に立つならば、領有権問題を確定させるために、国際法的にも制約をすることのできるところの措置というものは考えて準備をしなければいけないのと違うのですか。いまの話を聞いておったら、何も準備していないみたいに聞こえますよ。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は、交渉でやる話し合いというのは委員会のやりとりと違いますから、何月何日にどういう演説をやった、ここは違う、あすこは違うということではなくて、最終段階で両国の代表者が話したことはそれでよろしい、こう思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 領有権問題を確認できたのですな、それでは。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は日本の立場をちゃんと主張した上で、この前のような事件はやってもらっては困るとはっきり言って、向こうはそういうことはしない、こう言われたから、私はそれではっきりしておる。(寺前委員「領有権として確認したのですか。」と呼ぶ)そのとおりであります。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 領有権として確認されたということを明言されましたから、それじゃ、国際法的にもそれで明確に確認をすることは、条約局長よろしいか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そういうところが少し違うわけです。私は、領有権を向こうが確認したとは一言も言っておりません。あの尖閣列島は日本のものであるということは、これは明白な事実であって、したがって、この前のような事件さえなければそれでよろしい、こういうことで私が判断をして帰ってきた、こういうことである。向こうから領有権のことを確認したとは一言も言っていない。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 明確になることをあいまいにされるということの方が問題だと私は正直感じますよ、本当に。向こうが言っている話をもう少し研究する必要がありますよ。  それじゃ、ついでにここで聞いておきますが、沖繩開発庁の方おられますか。――さきもここで質問がありましたが、五十四年度概算要求で三千六百万円の尖閣諸島利用調査経費というのが計上されております。いろいろな調査をやるということだそうですか、その調査は一体何をやるのか、そして、これは実効的支配の一つであるというふうに見てよろしいのですね。

亀谷禮次沖繩開発庁総務局長

○亀谷政府委員 尖閣諸島の周辺区域につきましては、これまで自然的あるいは地理的な状況の精査は必ずしも十分に行われておらないわけでございまして、沖繩県の区域に属します尖閣諸島につきまして、開発庁といたしましては、このうちの魚釣島、南小島、北小島を中心にしました主要三島周辺の自然的あるいは地理的条件を把握いたしますとともに、同諸島の利用開発の可能性につきまして、これを探査をするための調査を明年度実施するために必要な経費といたしまして、三千六百万円を概算要求したところでございます。  この調査の内容につきましては、先ほどもお答えをいたしたわけでございますが、現在、この魚釣島及び南北の小島の三島につきまして、陸上の地形あるいは地質ないし周辺海域の水深等を実査いたしますとともに、これら三島周辺海域の風向、風速、気流、波高、こういったものの調査もあわせて行いまして、これらの調査の結果に基づきまして開発利用の方向を見きわめたい、こういうことでございまして、私ども開発庁の所管といたしまして、当然沖繩の開発の一環としましてこれらの調査をすることでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 沖繩の関係者から、漁船の避難所とか灯台とかブイなどの設置という問題の要求が出ておったように思うのです。調査の結果によっては、そういうことも考慮してやっていくんだということになりますか。

亀谷禮次沖繩開発庁総務局長

○亀谷政府委員 これらの海域につきましての積極的な開発利用につきまして、一般的にこれらの開発利用の手段といたしましてのそれらの施設整備のプログラムにつきまして、含めて、県等から一般的な要望は聞いておりますけれども、地元県としましても、これが最終的な結論としてのはっきりとした具体的な形の要望は必ずしもはっきりいたしておりません。私どもは、いま先生がおっしゃいましたように、これらの周辺海域の一年間にわたる調査の結果に基づきまして、そういった問題の開発可能性を含めて総合的に判断をしたい、こういうことでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 外務省に聞きますが、先ほどから日本の領土だという態度をとっておられるし、いまのような実際上の処理もやっていかれるということの中において、それでは恒久的な施設がつくられるということになったら中国との関係でまずいとか、そういうような話というのは、日本の領土であり、実効的な支配を現実にずっと続けてきたものであって、そういう障害は一切ないということは明言できますね。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 明言できます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 もう時間が迫りましたけれども、私はあと三つの問題について、しかも重要な位置を占めますので、あしたを含めて検討をさせていただきたいというふうに思います。  まずテーマを申し上げておきますと、第二条をめぐるところの、いわゆる反覇権をめぐっての問題、それからこれをめぐって準軍事同盟化ということの意見がかなりいろいろ出ております。この問題をめぐるところの質問をしたいと思います。それからもう一つは平和五原則、第一条に基づいて条約が結ばれているわけでありますが、平和五原則が内容面において実際上それが正しく実行されるのか、されているのか、その辺をめぐるところの疑問点について明らかにしていきたい。あらかじめ三つの問題を提起しておきたいと思います。  もう時間があれでございますので、中途半端になりますが、一つだけ最初に聞いておきたいと思います。  まず最大の、今日まで六年間ですか、調印が延びてきた原因、それは覇権にあるというふうに広く言われておりますけれども、延びた原因は一体どこにあったのか、その問題点は何であったのか、重ねて明確にお答えをいただきたいというふうに思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 延びた原因は、中国と日本の双方の意見がなかなか一致しなかったわけでありますが、日本国内においては一番問題は反覇権の問題ではなくて、特定の第三国に対する反覇権の条約であってはならぬということが一番問題であったわけであります。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 これまでの審議について、条約第二条は覇権に対する一般的な見解を述べたものだというような態度が政府の側からは出されておったように思います。  特に外務大臣は、中国の特殊な外交路線、特定の第三国と敵対する外交路線に同調することはなく、いかなる共同対処もしない、こういう立場をとって今日までこの条約をつくる交渉を進めてきたのだというような趣旨が言われておったと思いますが、そういうふうに受け取っていいんでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そのとおりでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 これに対して中国側は理解を示したのでしょうか、どうでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これは理解を示したのではなくて、合意をいたしました。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そこでお聞きをしますが、この条約第二条の後段に第三国に対するところの問題があります。「このような覇権を確立しようとする他のいかなる国又は国の集団による試みにも反対することを表明する。」という言葉があります。  そこで、第三国に「反対する」という用語は、日本側としては「反対である」と主張したと報道されているけれども、それは事実なのか、交渉経過を明らかにしてほしいと思うのです。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そのとおりであります。しかし、それを「反対する」という言葉に変えたのは、私の意思によって変えました。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 時間が来たようですが、ちょっと中途半端のところだけ整理させてください。「反対である」なら態度表明になるし、「反対する」というのは態度表明ではなくして行動になってしまうというふうに考えられるけれども、第二条が「反対する」となったことは、これは第三国の覇権行動に対して何らかの共同行動を義務づけられることにはならないのだろうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 それは全くございません。「反対である」ということは解釈であって、「反対する」ということは行動であることは事実であります。わが日本も、相手がどこの国であろうとも、わが国に覇権行為があればこれに抵抗することは当然であります。  ただし、その覇権行動は日本の立場によって抵抗する、また、その覇権は日本の判断によってやる、こういうことであって、共同の協議でもなければ共同の行動でもないということは明確にいたしてございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 その点は日中両国の間で確認されていることですね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 確認されております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そうすると、この条約第二条は、一般的にそれぞれが覇権に反対するという、そういう義務的に両国の間に何ら拘束されるというものではないのだという立場に立ってのこの条項という確認がされたことになるのでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そのとおりであります。  私は、その際、覇権行為があれば日本は日本の立場において、相手が中国であろうとソ連であろうとどこの国であろうとも抵抗します、こういう言葉を使いました。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 せっかくのところですが、お約束の時間が参りましたので、引き続きまたあすこの論を続けさせていただきたいと思います。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 伊藤公介君。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 私ども新自由クラブは、まさに結党以来、日中問題をできるだけ多くの国民の期待にこたえて早急に推進をすべきであるという立場から、中国への翼で多くの若い仲間の皆さんを中国へお送りしたり、一貫して側面から運動を続けてきたわけでございます。私も若い世代の一人として、これからの時代は、アジアの中における日中関係を中心に大きく変わっていくということを率直にはだで感じながら、外務委員会における質疑にも参画をさせていただき、皆さんの御議論も聞かせていただいてきたわけでございます。  今後のアジア情勢や日中の平和友好条約が結ばれて後の展開についても、これからの問題は大変な問題をいろいろ抱えているというふうに私は思うわけであります。けさからのいろいろな御議論の中でもございましたけれども、法律論として念のため私もぜひ確認をさせていただきたいと思っているわけでありますが、先日の本会議でも覇権条項あるいは覇権の定義につきましては、総理がずいぶん御説明をされましたし、本委員会でもずいぶん御議論されてまいりました。しかし、にもかかわらず、この覇権という問題についてはいろいろなむずかしい問題を抱えているということをますます実感として受けとめているわけでございます。  具体的にお尋ねをしたいと思うわけでありますが、たとえば、一国が他国に対して軍事援助をするという行為は、これは覇権行為になるのでしょうか、どうでしょうか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 何が覇権行為であるかということにつきましては、いま先生もおっしゃいましたように、自国の意思を力でもって他国の意思に反して押しつけることだということでございますので、軍事援助そのものが覇権かどうかということだけでは大変お答えがしにくいことになる、こういうことでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 それでは、他国の固有の領土を軍事占領をして自国の領土だと主張することは、これは覇権行為になりますかどうですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 先ほどと同じ答弁になって大変申しわけないのですけれども、たとえばと言ってお出しになるようなケースというのは、非常に抽象的なあるいはあいまいな具体性のない形でしか設問が出てまいらないものですから、具体的にそのケースに即して、その関係両国の間に先ほど私が申し上げましたような自国の意思を力で押しつけるというようなことになっているのかどうかということは、これは全くその具体的なケースに応じて慎重に判断しなければならない問題で、事前に仮定の問題として、こういうものは覇権だ、こういうものは覇権でないというふうな色分けをする、区別をするということは非常にむずかしい問題だ、こういうことでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 それでは具体的に、わが国の歯舞、色丹、国後、択捉という北方領土問題、これは覇権行為という範囲、定義の中に入りますかどうですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 北方領土はソ連が国際法上の根拠なしに占拠しているという実態として私どもは一貫して把握しておるわけでございまして、それが覇権であるか覇権でないかということは言っていないわけでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 御答弁の中で、具体的な一つ一つの事例についてでなければこれが覇権であるか、あるいはこれが覇権でないかということはなかなか断言しにくいというお話がありましたから、私いま具体的な問題を申し上げたわけでございまして、こうした具体的な問題について覇権という定義がきちっとしているわけですから、それにかかわるのかどうなのかという具体的な事例についての認識をやはり確かめておく必要があると思うのですね。いかがですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これは具体的な問題についてそういう判断をいたしますことは、政治的にいろいろの重要な効果を生じてくるわけでありますので、それだけ慎重でなければならない。日本政府は、目下のところ北方領土問題について、それが覇権であるかないかということについては言っておらないというのが現状であります。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 そうしますと、この条約の中の二条、四条で定義をしているわけでありますけれども、ある他国が明らかに覇権という行為をしたとき、わが国はそれに対して一体黙っているのか、あるいはきちっとした意思表示をする義務があるのか、どうなんですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 ただいまおっしゃいましたように、ある国が覇権を確立しようとする試みをいたしますれば、これには反対するというのが第二条の後段で明らかになっておるわけでございますので、どういうふうに反対するかということは別といたしまして、反対するということは、日本政府のこの条項からくる一つの政策である、こういうふうに御理解いただくべきであろうと思います。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 この条約は当然、日中の共同声明を基礎にしてつくったものであると思うわけでありますけれども、今度のこの条約に特に新しい権利義務というものを具体的に設定したものかどうかということをお尋ねしたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これはこの条約全体の性格から当然御推察いただけますように、平和友好条約でございますので、通常の実務協定と同じような意味での権利義務というものは当然伴わないというか、そういったたぐいのものではございません。しかし、共同声明で約束したことを条約化したという意味では、その国際法上の意味はおのずからある、こういうことだろうと思います。その観点からいたしますと、共同声明においてすでに日中双方が約束しておりましたこと以上のものが今度の条約で何かあるかというと、それはない、こういうふうに考えております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 外務大臣にお尋ねをしたいのでありますけれども、中国はかつて中ソ同盟等で日本を敵視する、あるいは日米安保条約というものにも反対をする、こういう立場をとってこられたわけでありますけれども、最近の中国は日米安保条約を認めるあるいは自衛隊の増強をむしろ望んでいるかのような発言があるわけであります。日本の軍国主義の復活ということには最も警戒をしていた中国が、こうした日本の日米安保条約あるいは日本の自衛隊の存在というものに対して、明らかに中国の発言が変わってきている、こういう中国が変わってきているということに対する外務大臣の御認識、中国はどうしてこう変わってきているのか、この認識についてちょっとお尋ねしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 確かに変わってきておると私も判断をいたします。これは必然による変化だと私は考えるわけでありまして、中国は中国の立場からいろいろ情勢を分析し、自分の国の立場から必然に向かって変化をしてきたものだと考えております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 中国側の鄧小平副首相の発言の中に、覇権を求めないことと自衛力を強化することとは別個のことだ、自衛力は十分備えるべきである、これは矛盾をしない、こう言っているわけでありますが、大臣はこれをどう受けとめられるでしょう。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は公式の会談でもその他の私的な話でもそのような発言を聞いたことはございません。これは多分、独立国が自分の国を守るのはあたりまえだと言われたことではないかと想像をいたします。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 先ほど尖閣列島の問題についてお話がありました。中国が、先ほどの御答弁にありましたが、前回のような事件は二度と発生をさせないことを約束する、こう言われたというわけでありますけれども、一方、尖閣列島の問題で台湾が領有権を主張する以上、中国も同島の放棄を宣言するわけにはいかないと弁明する一幕もあった、こう言われておりますけれども、その間の事実関係について、御説明できる範囲内で結構でございますからお尋ねいたします。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 そのような話は承っておりません。私が先ほど申し上げた以外にはございません。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 尖閣列島の問題については先ほど御議論がありましたとおり、法律論もあれば、現実の外交交渉でありますからいろいろな配慮がなされるべきだと思いますけれども、今後日中の共同開発、海底開発等も当然具体的な案件になってくるわけでありますから、この問題は、双方が当たらずさわらずということではもう通り過ごしができない問題に当然なってくるわけでありますから、この尖閣列島は日中の共同開発、海底開発を進めていく上で全く将来問題が起きない、こう明言ができますか、どうですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 尖閣諸島の領海内の開発、これは日本の固有の領土でございますから何の支障もなく開発していいと思うのです。領海の外に出てまいりまして、いわゆる大陸棚上の石油開発ということになりますと、御承知のようにこの尖閣諸島は中国大陸から張り出している大陸棚の上に乗っておりますので、中国との間に大陸棚の境界画定に関する話し合いというものは必要になってくる、こう思います。それを円満に話し合って、大陸棚の上に境界が画定いたしますれば、その境界線に沿ってわが方に属する部分は日本が独自に開発する。その開発について、あるいはその境界線の中国側の開発について中国が日本の協力を求めてくればこれは協力の話はできる、こういうふうな考え方であるわけでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 もう一度確認をさせていただきたいわけですけれども、将来の問題でありますから当然いろいろな問題が予想されるわけですが、尖閣列島についてはこれはわが国の領土でありますから、今後のこの周辺における開発、わが国の領土に関しては一切日中間に問題は起きない、こういう確信を持っていらっしゃるわけですね。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 日本の固有の領土であるということについて確信を持っておるのでございますから当然のことでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 今度条約を結ぶことによって、抽象論ではなくて日中を取り巻くアジアの諸国に対する影響は当然少なからずあろうかと思いますけれども、日中関係というものをこれから、わが国が一貫して主張してきたように、あくまでもわが国はいかなる国とも平和外交を展開するという全方位外交に基づいていくならば、中国はもちろんでありますけれども、今後ASEANを初めアジアの国々に対して、これを十分説得をしていく具体的なわが国の構想というものは当然必要とされるわけでありますけれども、どのようにお考えになっていらっしゃるのでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ASEANの国々はほとんど全部の国がこれを評価し、祝福をしてくれておるわけでありますけれども、なお潜在的には、日中が提携をして力が強くなって逆な方向に行くんじゃないかという不安がないわけでもありませんから、その点については十分理解を求めているところでありますが、今後ともそれは進めていくつもりでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 最後に一点、日中の今後の経済交流についてお尋ねをしたいのであります。  中国側が援助、投資、借款は受けないという三原則を貫いてきたわけでありますけれども、ことしの七月の三井グループ訪中団に対して民間借款なら受け入れてもよい、こういう中国側の返事が伝えられておりますし、同時に日中間の長期の貿易額が急速にふえているという状況の中で、外務大臣として今後日中間のこうした貿易をどのように基本的に推し進めていく方針なのか。また中国側が、この起債の問題でありますけれども、どういう方向に進んでいくという認識を持っておられるか、まずお尋ねをいたしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中国側のお話では、自力更生という基本原則は変わりはないけれども、非常におくれておるから近代化を急ぐ、したがってすべての国々の御協力を得たい、こういう話がございました。私はこれに対して、近代化に協力を求められましたから、軍事協力以外はできるだけの協力をいたしますという抽象的なお約束はしたわけであります。今後注意すべきことは、中国の近代化あるいは中国との貿易で排他的にならないように、あるいはまた集中豪雨的に日本との貿易だけが特別増大して他の国々の不信を買うようなことがないようにやることが、中国のためにも日本のためにもやるべきことであると考えております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 私は先ほどの議論の中でもちょっと疑問に思ったわけでありますけれども、中国側が日本の日米安保を認めると同時に、自衛隊の増強ということにも発言が及んでいる。今度は逆に、きょうの御議論の中で外務大臣が中国の軍事力の強化ですね、わが国はこのことに協力はしないけれども、むしろ軍事力の強化ということも支持をされるような意味にとれる御発言があったかと思いますが、もう一度このいきさつについてお尋ねをいたします。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 それぞれの独立国が自分の国を守ることは当然の権利であって、中国がそのために軍の近代化を図られること、これは日本の干渉すべきことではない、こう申し上げたわけで、歓迎するという言葉は使ってないと存じますが、もしあったら訂正をいたします。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 議論が前後して恐縮ですが、先ほどの覇権の問題でありますけれども、条約局長の御答弁だったかと思いますが、覇権について今度の日中平和友好条約では覇権条項について皆さん非常に細かく神経を使ってこられたわけであります。それぞれの国が覇権の問題についてはそれぞれの認識に基づいて判断をするんだ、こういう御答弁があったわけでありますけれども、日中が共同でつくり上げたこの作業の中で、覇権に対してそれぞれが基本的な認識を持っていなければ、それぞれの国が勝手に、これは覇権だ、これはそうではないと、その場その場で全く何の基準もなしにそれぞれが認識をすればいいのだということではやはり将来に不安を残す、日中条約をめぐって、日中の間ではきちっとしたこの覇権に対する認識を双方は持っていかなければならないと私は思うわけでありますけれども、いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 反覇権が問題になったのではなくて、特定の第三国を覇権国ときめつけてこの条約をつくることが問題であったわけで、議論はそこに集中されたわけであります。私はむしろ逆でありまして、どこの国のどういう行為が覇権であるかということを中国と相談して決める、あるいは決まったら共同して行動する、こういうことでは、まず第一に中ソの紛争に介入するおそれが一番あるわけでありますから、やはり覇権に対する判断と行為はそれぞれ独自の立場で行うべきことが一番賢明であると考えてこのように締結してきた次第でございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 全く日中平和友好条約そのものについての議論ではないわけでありますが、久しく行われずに、今度のこの平和条約の批准によって恩赦をという声も一部では聞かれているわけでありますけれども、今度の日中平和友好条約の批准で恩赦ということは全く考えていないかどうか、お尋ねをいたします。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 恩赦の問題は法務大臣の所管でございますから、私にはわかりません。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 後日改めてお尋ねを申し上げます。  留学生の問題等についても御質問をいたしたいと思いますが、明日に譲って私の質問を終わります。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 楢崎弥之助君。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 社会民主連合は結党以来一貫して日中平和友好条約締結を支持してきました。そういう立場から、きょうとあしたの審議において私は、日中平和友好条約後の日本の安全保障問題、特に日本の安全保障における日中貿易の位置づけと申しますか、そういう点にしぼってお伺いをしてみたい。  まず、この「わが外交の近況」、これを八月に出されたですね。これは大臣、日中平和友好条約後のわが外交の方向を示しておる、そういう理解でいいですね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 あれは御承知のごとく前年の外交を基調にしてつくったものでございますので、必ずしも友好条約締結後の将来に向かってのものが書かかれたものではございません。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 これ、しかし、あなた、一番最初のページに特にあなたは、ここはあなたの名前ですが、本年一月外交演説を本会議でやった、その中で述べた「わが国外交のとるべき基本的方向を敷衍して、わが国外交の基本的課題について概述しました。」この一月の段階は、もう大臣は行くの行かぬのと言ってわっさわっさしておったときでしょう。当然頭の中に日中平和友好条約はあるのだから、当然じゃないですか。それでは書きかえるのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 細かい理屈でございますが、この白書というのは会計年度三月までを目標にしてございますから、そういう考慮はして書いてあると思いますが、端的に条約締結後起草されたものではない、こういうことでございます。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 それでは書きかえるのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 来年はまた来年のものを、三月以降のものを書くわけでございます。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 それでは来年までは、書きかえるまではこれは空白ですね。三月以降、来年書きかえるまではこの方針はないのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御承知のごとく、白書は年に一回発刊しておりますので、そのようにお答えをしたわけでございます。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 まあいいでしょう。  私はこれを、過去ずっとさかのぼるのは大変だから、四十八年から過去五年間の青書を見てみたのです。過去五年間ないことがここに書いてあるのですね。どこかと言うと、「わが外交の基本的課題」これの十二ページです。読みますよ。「平和に徹し、いかなる国とも敵対関係をつくらず、他国に脅威を与えるような軍事大国にならないとの方針を今後とも堅持すること、及びこのような平和国家としての立場から、日米友好協力関係を基軸としつつ、国際関係の安定化に寄与すること。」これから先です。「ただし、国際情勢の現実を直視し、油断をしない心構えとそのための準備が必要であり、日米安保体制を堅持し、必要な防衛力を整備することは、この意味で必要なことである。」これはいままでないのですよ。何で今度急にこれが入ってきたのですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 それは、いま読まれた文章は、私が国会の冒頭でやった外交方針演説の中の文章がそのまま入っております。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 これは過去五年間なかったことです。  そこで、この「油断をしない心構えとそのための準備」というのは一体何ですか。治にいて乱を忘れずということですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 油断をしないということは、いま論議されておる有事などのことがないようにやるのが外務大臣の仕事でございますから、そういう意味で各国の情報あるいは動き等に注意をしてやる、こういう意味でございます。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 その後の文章では「必要な防衛力を整備する」となっているのです。当然続くのですね。油断をしないように、そのための準備をする、だから防衛力を整備する、こうなっておる。そこで、これは常識ある人ならば、いざというときのための心構えとその準備をしておかなくちゃいけない、だから必要な防衛力を整備する、こう続くのが当然ですね。  時間がないから先に進みますが、このいわゆる乱に対する準備というのは、いうところの有事に対する準備でしょう。これは外務省の立場だからそうじゃないけれども、外務省がそういう防衛力の整備などと言うからおかしくなる。  では念のために、その有事の準備ということは、有事と言えば、これは防衛庁が言っているとおり七十六条下令下ですから戦争ですね、戦争準備ということになる。戦争準備ということになると、これは防衛庁の講義資料ですけれども「軍事政策概論」というのがある。一九七三年、日中正常化後一年たったときのものですが、こう書いてあります。「現在及び将来の戦争準備及び動員は次の四点によって特質づけられる」、ちゃんと戦争準備というので書いてある。その内容としては「国防方針、想定敵国の選定」、これは防衛庁サイドですよ。つまり仮想敵国の選定です。「二、戦争計画、三、想定敵国の国力、国情、意図、戦力の把握、四、国民の準備」、これは精神面と防衛面、「五、作戦準備」、これは人的物的動員、作戦計画、「六、戦時国家経済の準備」、戦争準備、つまり有事の準備というのはこういう準備をしなければならない。それから別の項目では「有事対策」というのが入っています。  それで私は、日中条約後の外務省の対応の仕方と防衛庁の対応の仕方は違うという感じがするわけです。これは明日引き続いてやりますけれども。  きょうは、農林大臣の都合で来ていただきましたが、農林大臣、あなたは予算委員会のときに野党議員の質問に答えて自衛隊のことをいろいろ言われましたね。自衛隊のことを言う前に、あなたの所管である農林省は有事のときに備えてどういう準備が要るということは研究していますか。あなたは自衛隊は研究が必要だと一生懸命おっしゃっておったが。

中川一郎自由民主党農林水産大臣

○中川国務大臣 有事のことも考えまして、国民の総合的な食糧自給率の向上、これは国家安全保障上からも必要であるということで、国民の皆さんからは高い高いと言われながらも自給率を高めることに努力しているのも、まさに有事その他に対処するためでございます。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 そんなしあさってのようなことじゃないんです。あなたの所管の農林省は、有事の場合食糧は一体どうなるのだという研究をしておるでしょう。御存じですか。

中川一郎自由民主党農林水産大臣

○中川国務大臣 でありますから、私の考えではございますけれども、有事のときにはまずまず一年ぐらいは国内の食糧をもってして対処できる、こういうことでございます。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 では、あなたのところでやられたものを読んでみましょうか。これは四十九年十月段階だと思いますが、齋藤育雄という当時の農林省官房参事官、現在は食糧庁買入課長、この人が中心になってプロジェクトをつくってやったものですが、「輸入がストップした場合におけるわが国の栄養水準(試算)」こうなっています。輸入が何かの都合でストップしたときには、たとえば有事で貿易がストップして全然入らなくなったときは、一体国民の栄養水準はどうなるか。これは農林省の所管としては御心配なさるのはいいでしょう。結論を先に言えば、昭和二十年代後期の状態になる、こうなっているのです。それで、輸入がストップした場合の栄養状態はどうなっているか。カロリーは二千百七カロリー、たん白質は六十・七グラム、脂肪は二十七・九グラム、さっき言ったとおり、国民の生活状態は二十年代後半の状態になる。ところがこれには前提がある。そうなったときに農林省がいろいろと工夫をして、さっき一年くらいとおっしゃった、そういうことです、一年くらいの間に一生懸命やる、こうなっておるわけです。それで、そういう場合になったら農林省はどういうことをやるかがここに書いてある。読んでみましょうか。「四七年をベースに、国土資源を可能な限り活用すること」、そのうちの一番に「水田の不作付地等を解消して水稲のフル生産(千四百五十万トン)を行う」、そして米の生産調整によって生じた五十六万二千ヘクタールの余剰水田を復活する。次に、水田裏作可能地に麦類となたねを植える。次に、いま全国で千三百六十七カ所ある「全国のゴルフ場(計画中のものを含む)の面積十四万六千ヘクタールのうち三分の二を耕作化してカンショを作付するほか、開拓可能地(百五十四万ヘクタール)を耕地及び草地に開発し、耕地については表作に大豆、カンショを、裏作に麦類を作付」する。「草地については永年牧草、燕麦を作付けることとする。」次に「短期のうちに百五十四万ヘクタールの農地を生み出すためには、大量のブルドーザーが必要となる。」わが国には十四万五千台ブルドザーがあるけれども、「このうち農地造成に使える十トン級以上のブルドーザー四万九千台を総動員する。約一年間、」ここに一年間が出てくる。「約一年間、フル稼動すれば百五十四万ヘクタールの農地は生み出せる。」次に「農地の転用は全面禁止。農家には耕作を義務づげる。働き手のない農家には農地を賃貸させる。労働面では農家が他の産業へ転職することを禁止し、逆にサラリーマンのうち必要な人員を農業に徴用する。」次に「資材面では農機具、肥料などのメーカーに、それらの生産に必要な原材料、石油などを優先的に振り向け、さらに金融面からも食糧を増産するための措置を講じる。」  今度は、消費の面からいきますと、食糧消費については、まず一番に「輸入小麦のかわりに増産した米と麦類を充てる、」食べさせる。次に「カンショは主食用とし、」次に「大豆は食品用大豆をすべて国内生産で賄うこととする。野菜と果実は、現在の稲作転換でつくられる量だけ消費量を減退させる。」  次に「畜産物については、可消化養分総量から計算し、大家畜の飼養頭数は四十七年実績を確保し、残った養分供給総量を中小家畜に振り向けることとする。稲わらを牛に食べさせることで牛の飼育量を何とか現在の水準を維持させるが、豚とブロイラー、卵用鶏は飼育量を現在の半分に落とす。そして配給制度で維持し、量と価格の両面から政府は食糧を厳しく管理する。」  もちろん輸入が全面ストップするときですから「水産物については、遠洋漁業の操業が全面的にストップする」。  以上の対策を考えてやれば、大体全部ストップしても昭和二十年後半の状態になる。これができなかったならば、いままでわれわれが生きておる間で一番苦しかったあの戦争の終わった直後の状態となる。いいですか、こういう研究をしておる。もしいまのようなことをしようと思えば、これは現憲法下ではできませんね。これはどうですか。

中川一郎自由民主党農林水産大臣

○中川国務大臣 その資料ができましたときにはもちろん私は大臣でありませんけれども、いま聞きますと、石油危機で石油が入ってこない、そうなればだんだん船の輸送もなくなる、そういう緊急事態に一年ぐらい食糧がなくなるということも想定すれば、いろいろなことを考えてみなければならぬということで、役所で正式に指令をしてやったものじゃなくて、内部で検討したものであって、農林省が責任を持ってこうしたということではありません。したがいまして、当時の大臣が、憲法に抵触するかしないかということではなくして、食糧を国民に供給する、緊急事態にはこういうことが考えられるということで試案したものでございます。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 それはいいんですよ。ただ、あなたが考えられて、こういうことは現在の憲法下ではできませんね。これは総動員法をつくって徴用令をしかぬとできないでしょう。どうですか、いまのようなのは。今度はあなたの考えはどうですか。

中川一郎自由民主党農林水産大臣

○中川国務大臣 確かに憲法上、徴用というようなこともできないと思います。そこで議論が出てまいりますのは、憲法が優先をして国民がひもじい思いをするのか、ひもじい思いを避けるために憲法を改正するのかという議論がありますから、その辺のところには十分耳を傾けるべきだ、判断は総理大臣に従います、こういうことを申しておるわけでございます。

楢崎弥之助社会民主連合

○楢崎委員 そこでもうそれが出てくるわけですか、この前にこりずに。要するに、これは現在の憲法下ではできない、総動員体制をとって徴兵令をしかなくては。  ところが研究ですから理屈が立つと思っていらっしゃろうが、われわれから言わせると、いわゆるあの有事立法でも同じですよ。この種のものは憲法を超える問題が当然出てくるんだ。だから、こういう研究も超憲法的な研究になってくる。こういう発想に立つ限りはしょうがないんです。そのことを指摘しまして、あとはあしたに。ありがとうございました。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 次回は、明十四日午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後七時十六分散会      ――――◇―――――

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