予算委員会第一分科会 第4号
- 発言数
- 62 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1978/04/01
会議録
○主査(宮田輝君) ただいまから予算委員会第一分科会を開会いたします。 昭和五十三年度総予算中、法務省及び裁判所所管を議題といたします。 これらの説明は、これを省略し、本日の会議録に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(宮田輝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 それでは、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○田中寿美子君 きょうは私、法務大臣にお尋ねしたいと思いますが、ちょうどいま三月、四月にかけて婦人月間中であり、四月には婦人週間、それから国際的にも、国際婦人年を起点にして「国連婦人の十年」という、男女の平等が非常にいろんな面でまだおくれているから促進しようじゃないかという世界的な婦人の運動の中にあります。それで、いろんな側面から私どもは差別の残っている部分をどんどん拾い上げて、みんなで法律、制度を変えていきたいと、こういうことで、みんなで手分けしているんです。 それで、昨年のちょうど三月の十二日だったと思いますが、衆議院の予算分科会で私の党の土井たか子さんが、国籍法における男女の不平等の問題を指摘なさいました。そしてそのとき、当時の法務大臣は福田法務大臣だったと思いますが、検討してみますというお答えをしていらっしゃいました。しかし、その後の状況を見ますと、余り検討された様子がありません。 で、大変短時間ですので、細々と申し上げる時間がありませんが、私は、一つは国籍法における男女の取り扱いの不平等を少しずつでも直していく意思はないかという意味で、国籍法の男女平等の問題が一つ。それから、帰化の問題においても男女の取り扱いが非常に違っている、その辺を一点。それからもう一点は、二重国籍の問題をお伺いしたいと思っております。 まず国籍法のことなんですが、まあ日本は——大部分の国もそうでありますけれども、父系主義をとっている。それで、このことについては、土井たか子さんは、憲法十三条、十四条、個人の尊厳並びに法のもとの平等を引用し、それから二十四条の婚姻における両性の平等、こういう観点から、これは不平等ではないかということを言っておられるんですけれども、その後、国籍法についての違憲訴訟が提起されております。 ですから、具体的なその事例を申し上げますけれども、これは父がアメリカ国籍を持っている人、そして母が日本国籍を持っている事例でありますが、それが昨年の、七七年の八月二十四日、日本でこれは正式結婚した人の子供が生まれたわけです。で、その子供の国籍をめぐって非常に困ったことが起こった。九月五日に港区長に出生届を出しました。子供を母の戸籍に入籍さしたい、つまり日本の国籍を取りたいということを申し出ました。ところが、九月十二日に港区長から、国籍法第二条の各号の規定によって日本国籍を取得できないという理由で申し出を拒否されました。そこで、七七年十二月十九日、子供が、国を相手にして、日本国籍確認訴訟というのを東京地裁に起こしたのでございます。で、第一回の公判がついこの間の二月の十四日に行われました。この事例は、私どもが法構成上の婦人の地位をもっと改める、男女平等に改めていこうという運動の中から、みんなが支援している問題でもございます。 それで、原告側の主張は、国籍法二条は父系優先であり、母系劣後である、憲法十四条の性差別禁止に違反しているということが一点。第二点は、外国人父と日本人母との間の子供に日本国籍を取得させるためには、非嫡出子として出生届を出すことになるが、これは公序良俗に反する、憲法十三条個人の尊重、二十四条両性の平等に違反する。これは法務大臣よく御存じですけれども、念のため申しますと、出生による国籍の取得の条件として国籍法二条では、子供に日本国籍を与える場合は、第一に「出生の時に父が日本国民であるとき。」、第二号は「出生前に死亡した父が死亡の時に日本国民であったとき。」、第三に「父が知れない場合又は国籍を有しない場合において、母が日本国民であるとき。」、第四に「日本で生れた場合において、父母がともに知れないとき、又は国籍を有しないとき。」というふうになっているわけですね。ですから、一号、二号には該当しない。そこで、どうしても日本国籍を取りたかったら、「父が知れない場合」、つまり父なし子を産んだ場合とか未婚の母とか、非嫡出子として届け出すれば、母が日本人ですから日本国籍は取れる。あるいは父母が全然知れない孤児、そういう者の場合には国籍を与えることができるというふうになっているけれども、夫はアメリカ国籍を持っている、妻は日本国籍であるという、そういう国籍がちゃんとしていて生まれた子供の場合に、その子供に日本国籍が与えられないというのはおかしい話ではないかということなんです。それじゃ、その父の方のアメリカ国籍を取ったらいいじゃないかと思われるかもしれませんけれども、実はこの場合、この父親に当たりますところのアメリカ国籍の父というのは、これは移民でございます。それで、アメリカの移民及び国籍法によりまして、アメリカ合衆国移民及び国籍法によりますと、一定の条件があるわけですね。で、子供が生まれる前にその父親が十年以上アメリカに住んでいなければいけない。しかも十四歳以上で十年以上住んでいなければいけないということになっております。ですから、父親はアメリカ国籍は持っているけれども、その子供が生まれた時点ではその条件を満たしておりません、国籍法及び移民法によって子供にアメリカの国籍を与える条件を満たしていない。そういう場合でありますために、それでは母親の方の国籍が欲しいという申し立てをしているわけなんです。ところが、いま申し上げましたように、日本の国籍法によりますと、生まれた時点で父親が日本人であるか、日本国籍を持っているか、あるいは死んだ父親が死んだ時点で日本国籍を持っていなければだめなんですね。あとは未婚の母のようにして非嫡出子として届け出すれば取れる。これは非常におかしいじゃないか、公序良俗に反するじゃないか、こういうことなんですけれども、これは法務大臣、どうお考えになりますか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 細かい法律問題については事務当局からお答えすることにいたしますが、まあ田中さんも御理解をいただいておると思いますが、いずれの国も、国民の資格というものを明確にするために、国籍に関する法律があるわけでございます。わが国の国籍法、いまおっしゃったとおりでありますが、一人の人間が数国の国籍を持っておるという、たまにはそういう例も出てくるわけでございますけれども、しかし、どこそこの国の国民がどういう者で構成されておるかということを明確にする必要がある。でありますから、わが国の国籍法も、それを明確にするために、父系といいますか、父親の国籍ということを基準にして決めておるわけでございます。内容はいまおっしゃったようなことになっておるわけでございますが、これは憲法に言う、あるいは一般常識としての男女平等に反すると私どもは理解しておりません。そういうためにやっておるのでなくて、いま申し上げたように、国民の籍というものは特定する必要がある、こういうことからきておると私は考えておりますから、国籍法の規定そのものが男を大事にし女を大事にしないんだといういわゆる男女不平等のたてまえからやっておるとは考えられない。 それから具体的な問題、私はいま初めて承ったわけでございますが、まあその場合には、何かアメリカに移民をしておってアメリカの国籍ができておらぬから……
○田中寿美子君 いや、国籍はあるんですよ、本人は、父は。
○国務大臣(瀬戸山三男君) いや、そういうふうに聞いたんですけれども、それならばまた別でございますけれども、日本の国籍もありアメリカの国籍もあるということでは、先ほど申し上げましたように、国家の形成の上から適当でないという立場で、各国とも大体同様な取り扱いをしておると思いますが、そういう意味からきておるのであって、男女を不平等に扱うということとはやや違うんじゃないか、かように考えております。 細かい法律的な問題は事務当局からお答えいたしたいと思います。
○田中寿美子君 細かいことを承っている時間がありませんので、私はいま法務大臣が十分に把握なさらなかったと思いますが、父親はアメリカ国籍を持っている、母親は日本国籍だ、しかしながらその間に生まれた子供が国籍を取ろうと思ったら、父親は移民であって、一定の条件を満たさなければ子供はアメリカ国籍に入れないという条件がある。だから子供が無国籍者になるから日本の国籍を、母親が国籍を持っているから取らせたいということで届け出をしたわけでございます。ですからアメリカ国籍も出生によって取得できない、それから日本の国籍も取れない、無国籍者になるというので、私どもは国籍法二条のところに「出生の時に父が日本国民であるとき。」というのを、父または母がというふうにできないだろうかということを申し上げているわけなんでありまして、男女平等の問題とともに、これは父系主義を貫いているから——その他に幾つか挙げますと、国際結婚した場合に、夫が日本人であればその妻が外国人であっても、全然居住歴がなくたってすぐに国籍入れるんですよ。その反対に、妻が日本人で夫が外国人であった場合は、三年以上継続して住んでいなきゃいけないとか、いろいろ帰化の条件なんかもむずかしいですね。ですから、その辺で非常にいろんな問題が起こっておりまして、私たちの手元にもそれで悩んで——子供が生まれたときに非常に悩ましいことが起こってくるものですから、そういうときには父または母というふうにして、わざわざ非嫡出子にしなければ国籍が取れないというようなことをしたくないから、この訴訟を起こしているわけです。だから、そういう意味でもう少し検討してみていただけないかということなんであって、昨年は法務大臣が検討すると——こういう具体例はまだ出ておりませんでした。この具体例が初めてなんです、こういう国籍に関しての訴訟は。それで、一歩進んでいていただくのかと思いましたけれども、現状のままやっていこうというような大臣のお答えで、大変私は失望いたしました。 時間がありませんから次々と申し上げますけれども、帰化の問題なんです。それで、これはお読みになった方はたくさんあるかと思いますが、三月八日の朝日新聞の夕刊ですね、クロード・チアリという有名なギタリストなんですが、この方は日本の女性と結婚しているわけなんです。そして西宮に住んでいる人なんですけれども、フランス人のギタリストなんですね。この方が帰化をしたいということで、たびたび奥さんから申し出が出ているわけなんですけれども、なかなかできません。その理由は、一つは、女が日本人であってそして夫が外国人の場合に、三年以上居住していないと帰化ができない、継続して居住していないと。これが、私たちが男女不平等だと思うのは、夫の方が日本人でそして妻が外国人なら全然居住歴は問わないんです。すぐにでも帰化できるし国籍が取れる。日本国民である男性と結婚した外国人女性は、日本に居住する前に現地でもう帰化する手続だってとれる、こういうことなんです。それから、一般に結婚と関係なしに入ってくる人は五年以上継続して住んでいるということで帰化の条件が決まる。ところが、このクロード・チアリさんの場合は演奏家です。それで入ってくるときはいつも観光ビザで入ってくる。で、在留期間がだから六十日間、一回延長して百二十日間、半年は外国生活です。こういうことで、ずっと続けて日本に滞在できない仕組みになっているんです。それですから、三年以上の居住歴がないと日本に帰化することができない。子供も生まれております。それで日本が非常に好きで日本人になりたい、親子一緒に住みたい、それを根拠地として世界的なそういう演奏をしたいと思っているんですけれども、それができないということを訴えているわけで、これは法務大臣のところに訴えを出したというふうに、瀬戸山法務大臣あてに手紙を出したとありますけれども、お読みになったでしょうか。そして外国人の女性だったら日本人の妻となるときにはフリーパスで国籍を入れるのに、こういう状況のときに帰化ができないというのは、これは何か方法がないのかどうか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 先ほど国籍法に関して何か男女不平等な扱いしているんじゃないかというようなお話がありましたから、そういう観点でできておるとは思いませんということをお答えしたので、具体の問題については事務当局からお答えいたします。 いまのクロード・チアリさんとかいう方の陳情書というのですか訴えというのは、私はまだ見ておりませんが、この点も事務当局からお答えすることにいたします。
○政府委員(香川保一君) いまの具体的の事例で御指摘の日本人男と外国人女の結婚した場合の外国人女の帰化の関係、これは御指摘のとおり居住要件は必要ないわけでありまして、それに比較いたしますと、日本人女と結婚した外国人男については、その外国人男が引き続き三年以上日本に居住していなきやならぬということで、むしろ表面的に見ますと外国人男の方が要件が加重されておる関係で男の方が差別されているというふうな見方もあろうかと思うのでございます。で、これはやはりいまこの点をどう考えるか、いろいろの考え方もあろうかと思いますけれども、現行の国籍法は、やはりわが国における夫婦生活の実態というものを考えまして、御承知のとおり国籍法は生活能力を帰化の要件の一つにいたしておりますが、生活要件、生活、自活できる能力があるというふうな観点から見ました場合の夫婦生活の実態は、どちらかといえば男の方を中心にして考えざるを得ないという実態にあろうかと思うんであります。そういうふうなことで、いま申しましたような外国人男の居住要件を三年にしておるというのは、やはりその外国人男が日本に同化して日本で十分生活能力を持つというふうなことを審査する意味だろうと思うのであります。で、この点はいろいろの考え方がございますが、先ほど申されました、これは男の方がどちらかというと冷遇されている一つの不平等のあるいは形態として映るかもしれませんが、それも含めましていろいろの観点から検討いたしておるわけであります。まだ結論は得ておりませんが、ただいま御指摘の具体的な事例は、これは御指摘のとおり観光ビザで入ってきておりますので、さようなビザの形だけ申しますと、観光というのは一時日本に来てまた本国に帰るというふうな形でございまして、さような形をとっております外国人男について、果たして日本に同化しておるというふうなこと、つまり逆に申しますれば居住要件を満たしているというふうにはなかなか言い切れない面もあろうかと思うのであります。そこのところ、実はこの問題についていろいろ、できればその外国人、フランス人が日本人になれるというような方法ということで、いろいろ事務的には検討いたしておりますが、私どもの希望を申し上げますと、観光ビザで入ってくるのではなくて、やはり日本において演奏家として活動するというふうな、別の、いわば日本に定着する形のビザで入国をされまして、そういう形になりますと、外国に行って演奏される場合にも、御承知のとおりの、再入国の形で外国に出て、またそのまま日本に帰ってこれるというふうな形態に相なるわけであります。そういたしますと、その三年の居住期間というのも、さほどむずかしいことではないわけでございまして、実質を日本において三年間住所を構えて定着しておる、つまり日本に同化しておるというふうな意味で、三年の居住要件を決めておるわけでございますから、さような実態が把握、認識できるような形にして日本に在留していただくというふうなことになれば、帰化も比較的容易になろうかと、かようなことで、さようなことを非公式には御本人にも申し上げておるような次第でございます。
○田中寿美子君 これは外国人が日本で働くという場合に、いまおっしゃったような定着した地位が得られるかどうか。ことにこういう演奏家ですからね、大変簡単ではないと私は思うんですけれども、それだけじゃなくって、いまのお言葉の中にもありましたけれども、法務省などでの行政指導というのは、外国人男性と結婚した女性の場合に、その男性が相当のいい定職を持っている、一流会社に勤めていることが必要であるとか、上場株式に挙げられるような企業に就職するというような人だけというふうに行政指導をしていらっしゃるというふうに聞いておりますが、先ほど男の方がむしろ差別されているんじゃないかと言われたけれども、日本の男性と日本の女性を起点にして考えていただけば、そうじゃなくて——皆さんは相手方の国の男性の立場を考えていらっしゃいますけれども、そうじゃなくですね、私の言っておりますことは、だから、国籍法の中に、父または母が日本国籍を持っている者の子供に国籍を与えるというふうに、いきなり法律の改正ができないとしたら、場合によっちゃそういうふうに読みかえてもらえるような指導ができないか、実際の措置ができないかどうかということなんですね。わざわざ非嫡出子にしなけりゃならないというふうなことは、これはおかしいことだと思うんですが、それをお話ししていると時間がなくなりますので、もう一点、続けて二重国籍の問題ですが、去年、土井たか子さんに香川局長が、二重国籍というめんどうなことが起こってくる、平等主義をとった場合に。血統主義をとっている。平等主義をとっている国もありますね。それで、それをとったら二重国籍が生じていろいろ困難な問題が起こるというふうにおっしゃっておりますが、その困難な問題とはどういうことを指していらっしゃるのか、伺いたいと思います。
○政府委員(香川保一君) 二重国籍につきましては、これは田中委員御承知のとおり、一九三七年に発効いたしましたハーグの国際条約におきまして、各国とも国籍の抵触、つまり無国籍になるような場合、あるいは二重国籍になるような場合のないようにできるだけその防止に努力しなければならぬというふうな国際的な一つの国籍についての理念が示されておるわけでございます。したがって、各国の立法は、大半は二重国籍の生じないように十分配慮をしておるわけでございまして、なぜ二重国籍になると困るかという問題でございますが、たとえば国によっては、日本はそうではございませんが、兵役義務を課しておる。そういたしますと、たまたま二重国籍を持っている人が、それぞれの国において兵役義務を課しておるときに、この衝突をどうするかというふうな問題、あるいはいろいろの行動をされるわけでありますが、その行動する際の外交保護権というものをどの国が行使するか。またその行使の仕方によりましては非常に複雑な国際紛争を生ずるおそれも出てくる。さらにまあ、司法の観点から申しますと、身分行為、あるいはその他の商取引等の法律行為をいたしました場合に、国際司法の場面におきまして、いずれの国の法律を準拠法にして解決するか。大半の国は本国法を用いるわけでございますが、その本国法が重複をいたしますと、そこに国際司法上非常に解決困難な問題が生ずる等々のことで、二重国籍は本人のためにはならないというふうな考えを基調にいたしまして、防止に努めなければならぬと、かようになっておるわけであります。 ただ、さような一般的な傾向でございますけれども、御承知のとおり、ドイツとかフランスにおきましては、おっしゃるように、父または母がドイツ人である場合にはその子供はドイツ人というふうなことで、二重国籍の生ずることをあえて承知の上で、さような改正が最近なされました。私どもただいま——ドイツの場合には、これは憲法裁判所が憲法違反というふうなことを言ったために、それが機縁になって改正されたように聞いておりますが、このドイツの憲法裁判所の考えはどういうあれなのか、あるいはそれが国内的にどういうふうに受け取られておるか、また、その結果、国籍法が改正されまして恐らくは二重国籍の問題がいろいろ生じておると思うのでありますが、それにどう対処しておられるのか、さような点。それから、フランスにおきましては、そういった憲法違反というふうなことからではなしに改正がされておるわけでございますが、その立法の趣旨はどういうところにあるのかというふうなことをいろいろ現在検討をしておるところでございますが、ただ、この問題は、それぞれの国の風土と申しますか、国民意識も重要に関係してまいることでございまして、とりわけわが国におきまして、いま父または母が日本人の場合にはその子供は日本人ということになりますと、御承知のとおり、わが国には朝鮮半島から移住してきておる韓国人等が七十万近くもおるわけでございます。韓国の国籍法は、御承知のとおり父系主義をきわめて強く貫いておるわけでございます。この間での結婚がずいぶんたくさんあるわけでございまして、その子供がたちまち日本国籍と韓国籍あるいは朝鮮籍を持つということになりますと、相当これは具体的にいろいろの問題が生じてまいりますので、その手当てを一方で考えないと、なかなかむずかしい問題ではないだろうかというふうな点をいろいろ検討いたしておるのでございますが、残念ながらまだなかなか——そのような国際的な解決も前提として必要な問題もございますので、私どもとしてはおっしゃるような方向での改正に踏み切るだけの自信はただいまのところない、かような現状でございます。
○田中寿美子君 もう時間がなくなりましたので、こういう問題はやはりもう少しゆっくり議論しないと、私の方の言っていることもそちらに通じないし、そちらのおっしゃっていることも、もっと突っ込みたいところもできないのですが、ただ、国籍法の八条、九条のところあたりを見ますと、第九条で、生地主義の国で生まれた日本国民を父とする子には日本国籍留保宣言を認めているでしょう。日本国民は、「外国で生れたことによつてその国の国籍を取得した日本国民は、戸籍法の定めるところにより日本の国籍を留保する意思を表示しなければ、その出生の時にさかのぼって日本の国籍を失う。」と。だから、留保しておけば留保のその国籍、日本国籍を持っていることができるわけです。だから、ちゃんと二重国籍を認めていますよね、こういう意味では。そして、年間、調べたところによりますと、出生地主義における国で日本人の出生数、昨年七七年三月三十一日で三千四十一人おりますね。こういう人たちが国籍を留保すれば日本国籍も持てる。二重国籍を認めていますね、ここで。 それから、第八条のところも、「日本国民は、自己の志望によって外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。」という、これも「自己の志望によって」意識的に「外国の国籍を取得した」ら、つまり「日本の国籍を失う。」けれども、結婚なんか外国人としてそのまんまずっとほっておけば、これも二重国籍ができるでしょう。だから、二重国籍の問題は、日本も相当二重国籍を持っている人がある。それで、私が言っていることは、婚姻によって女性が国籍を——日本人の夫の場合には、外国人でも何でもどんどん日本人になることができる、国籍を取ることができる。しかし夫が外国人の場合は非常に厳しい制限があるという問題と、それから子供がしばしば国際結婚で無国籍になる、それに悩んでいる女性がいまはだんだんふえてきているわけなんです。私どもがやっております研究団体にそういう訴えがたくさん来ているものですから、ですから、この問題は、いまおっしゃった昨年は幾らか進歩的な前向きの御答弁があったやに聞いておりますが、しかしこの議事録を読むと、そう大したそういうことも言っていらっしゃらない。で、ことしまだまだとても検討もしていらっしゃるように見えないという気がしますが、大臣ね、私どもはむちゃくちゃなことを言っているわけではございませんので、全体的に日本の法律、制度が父系主義を貫いておるものですから、これを男女平等の方向へ直せるものは直していきたいという立場から議論しているわけで、大臣のお考えを最後に伺いたいと思います。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 国籍法の趣旨等は、私どもは前に申し上げましたように考えておりますが、非常な国際化が進んでおる時代でありますから、非常にいまいろいろ具体的な例をお話しになりましたが、そういう変化によっていろいろ支障がある場合もあると思います。でありますから、そういうものを加えて、先ほど来民事局長からもお答えいたしましたように、国際的な問題とそれから国籍法の本来の使命、こういうものをかみ合わせてどう調節ができるか、そういう点を真剣によく検討してみたいと思います。
○田中寿美子君 私たちも研究しますので……。
○主査(宮田輝君) 以上で田中寿美子君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○主査(宮田輝君) この際、分科担当委員の異動について御報告いたします。 本日、田中寿美子君が分科担当委員を辞任され、その補欠として目黒今朝次郎君が分科担当委員に選任されました。 —————————————
○主査(宮田輝君) これより目黒今朝次郎君の質疑を行います。
○目黒今朝次郎君 総括質問の際にもちょっとお聞きしたのですけれども、国際人権規約というものが人権問題をめぐってわが国の最大の国際的な課題になっている、こういうことでありますが、この国際人権規約の批准について、総括の段階では、外務大臣がわかったようなわからないような答えで、まあ逃げられてしまったんですが、きょうは、法務省にかかわるいま言った男女差別の問題、基本的人権の問題外国人の居住権の問題などについて人権規約は触れておるわけでありますが、法務省関係の問題について、法務大臣としては積極的に批准すべきだと、こういう考えを持っているかどうか、この問題に対する考え方をまず大臣から聞かしてもらいたい、こう思うんです。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 国際人権規約の批准の問題は、今国会でも各所で申し上げておりますように、法務省所管の事項についてはこれを批准すべきである、こういう積極的な考えを持っております。 全体的な批准についてでございますが、これは御承知のとおり、広範にわたる各種の規約の規定があるわけでございまして、国内法との関係、またこれを批准した場合の国内法の対応の仕方、こういう点をそれぞれずっと検討を進めておるわけでございまして、政府の立場で申し上げますと、何とかこの国会中に批准の手続をとりたい、こういう考え方でいま積極的に準備を進めておる、こういう事情でございます。
○目黒今朝次郎君 いま政府の立場、法務省関係については積極的に批准すると。そうしますと、いま言った男女差別、基本的人権、外国人の権利等については批准、この規約の中にある問題については、触れるものについては、改正をしてでも法務省関係については批准するに積極的な姿勢であると、こういうように受け取って結構ですか。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) 法務省の所管の事項につきましては、ただいま大臣が申されましたとおり、検討の結果、批准について問題ないということで、外務省の方にも連絡してございまして、個々の問題につきましては、それぞれのまた所管の局がございますので、そこで問題点を詰めていくわけでございます。
○目黒今朝次郎君 法務大臣もこの人権規約の関係閣僚の一員だと思うのでありますが、聞くところによると、政府は定期有給休暇及び公休の報酬に関する規定と、労働者の、特に公務員の団結権、団体争議権、それから三つ目には中学校、高校の無償化と、この三点についていま政府としては留保して批准をするか、これを含めて批准をするか、非常に政治的決断を出すに迷っていると、こういうふうに聞いておるんでありますが、関係閣僚、大臣として、政府の閣僚として、この点は私の認識に間違いないか、なければ今後どういうふうに考えているか、大臣の見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 他の省庁との関係の事項、どういう検討をされておるか、正直に申し上げて、私つまびらかにいたしておりません。実は昨日の閣議の席でも外務大臣に対して、人権規約の問題は、特に今国会でいろいろ議論されておりますから、政府の見解も今日まで予算委員会等で申し述べてきておるわけでございますが、どういうふうになっているかということを、昨日も実は私の方から外務省の立場を、外務省所管でありますから、全体的には、問いただしたのでありますが、いま申し上げましたように、今国会で何とか批准の手続をとりたいということでいま進めておる、こういう状況であります。 いま具体的なお話がありましたが、その問題についてどういう検討をしておるのか、どういう態度であるのかということはつまびらかにしておりませんが、仮に人権規約を批准いたしましても、規約の中でも、直ちにできるもの、直ちにできないもの等は、それは各国それぞれの事情によって調整をする、こういうことになっておりますので、これは今後の問題だと思っております。
○目黒今朝次郎君 新聞には、マスコミにはネタを提供するんだけれども、国会になりますとなかなか皆さんが慎重になりまして、おとといですか、労働関係の分科会においても労働大臣がなかなか明らかにしない。われわれ困っておるんですけれども、しかしこの国会で批准する、そういう方向に大体固まりつつあると、そういうことはいま大臣からはっきり言われましたから、願わくは、立場は違っても、法務大臣は毎回、公務員のストライキ権の問題になりますと、陰に陽に関係する大臣だと私は理解をいたしております。したがって、労働者の権利を認めるものは認める、そして義務は義務として課す、規制は規制すると、そういう、民主主義の安定という観点からも、これらの問題について十分な理解を示してもらいたいということを要望いたしまして、一日も早いこの国際人権規約の批准について御努力を要請をしておきたいと、こう思います。 次は同和問題について、参議院の総括質問でもわが党の藤田先輩からいろいろありました。衆議院でもいろいろあったようですが、衆議院の二月二十八日の分科会で、部落地名総鑑の問題について、大臣は、立法措置で取り締まらなければ、善意の理解だけを求めておる事態ではこの問題は解決しない、その方向で速やかに検討したいという前向きの答弁をしておるわけでありますが、私はこの問題をめぐって、さらにその立法措置というものについて、どういう角度からやっておられるのか、具体的例を挙げれば、つくって売った者に対してはどういう措置か、あるいは買って差別に悪用した者についてはどうなるかと、それから三つ目には、現に就職とか結婚で被害を受けた方の救済はどうするのかと、大きく言ってその三つぐらい当面する点が私は考えられると、こう思うのです。したがって、衆議院の第一分科会で答弁したことをさらに肉づけをする意味で、いま私が申し上げた三つの点について一応アウトラインなりあるいは見解を大臣から示してもらいたいと、こう思うのです。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 人権問題に関して、特に同和問題が重要な問題としてあることは承知いたしております。 そこで、問題のこの地名総鑑と人権差別に関連するようなきわめて遺憾な文書あるいは冊子といいますか、そういうものが世間に流れた事例があるわけでございますが、日本の憲法上から言いましても、人権の差別などあるべきものではございません。そういう際に、法務省といたしましても、御承知のとおり、また政府といたしましても、この問題は重要な問題としてそういう国民の意識を改めなければならない、こういうことでいろいろ工夫、努力をしておることは御承知のとおりであります。その中にかような事例が起こると、まことに遺憾だと、こういうふうに考えておるわけでございますが、事人権の問題は、申し上げますが、これは強制力をもって云々するという性質のものでなくて、またそういう制度になっておりません。従来から、教育といいますか、啓発といいますか、指導、そういうことをずっと続けておるわけでございますけれども、しかしああいうことが、現在まで私どもがキャッチしておる、認識しておりますが、七回も続けてあらわれておる。これがまた各方面に深刻な社会問題を起こす原因になっておる。これを単に行政指導なり行政的な措置でそういう文書を収集し、焼却するということをやってきておるわけでございますが、特に最近といいますか、五十一年ごろまで続いた、五十年から五十一年まで続いて、またさらに出ている。これは何かの法的規制をしなければ阻止できないのじゃないかと、こういう考え方を持っておるわけでございます。さればと言って、また、御承知のとおり、一面わが国の憲法では、これも人権の問題でありますけれども、言論、出版の自由という広範な自由が認められておる。こういうものとの大きなかかわりがありますから、簡単に、はい、それではというわけにはいかぬことは目黒さんも御理解いただけると思います。そこで、何か、たとえばこの地名総鑑の発行あるいは販売あるいはそれによる被害、そこまでやりますと、この人権の問題、かえって逆効果になるおそれがあるのじゃないか、これは私の考え方でございます。でありますから、これはいま検討を続けておるわけでございますが、いかなる規制措置を講ずるか。そういう、利益を得るために他人に非常な迷惑をかけるような地名総鑑のごときものを発行、販売する段階だけで処分をする方法はないか。これが先ほどお話にありましたように、これを買った者、あるいはその結果としていろいろ結婚問題とか就職問題等に及んだり、迷惑をかけたり、人権侵害に及んできた、そこまでやりますと、正直なところさらにまた逆な意味で人権差別のような事態を起こしても——逆の弊害が起こるおそれがある、こういうことをやはり考慮しなければならない。問題は、こういうものが発行されて出回らない措置を、根を断つと、こういう考え方で立法措置ができないものかどうかと、こういうことをいま考えておるわけでございまして、もう少し具体的なことは事務当局からお答えさせることにいたします。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) この地名総鑑等の法的規制の問題につきまして、大きいところはいま大臣が申し上げたとおりでございますが、具体的にいま検討を続けております内容といたしましては、先ほど御指摘の点も含めまして一体どのような事象を規制の対象としたらいいか、それからまた、規制の方法はどのようにしたらいいだろうかというふうなことでございまして、法律的なことになりますけれども、やはり憲法上の表現——言論、出版の自由ということがございますので、それとの関係、それから、刑罰を科するとすれば、これは刑罰の最も基本的な問題でございます罪刑法定主義との関係、それから、これは現在政府が行っております同特法に基づきます各種の行政施策との関係、その他いろいろございますのですが、そういう問題など非常に慎重な検討を要することでございますので、関係機関とも緊密な連絡をとりながら、これらの問題につきましての情報の収集、分析、問題点の検討、こういうことをいま行っておる状態でございます。
○目黒今朝次郎君 これはやっぱり前段の二つの、つくって売る、買って悪用、これは商売とかなんとかいろいろあるだろうけれども、三つ目の現に被害を受けた者の救済といいますか、大臣の寝た子を起こすといいますか、運用によっては逆効果だという点も、運用についてはわからないわけではありませんが、現に被害を受けている方が大変いらっしゃるというのが現実なのですから、やはり早急に、この点については第三の方の問題などに重点を置きながら、早急に考えてもらいたい。 めどとしてはどのくらいかかってこの問題について結論を出したいと、こういうめどについていかがですか。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) 私ども早くめどをつけたいと思って努力はいたしておるのでございますが、ちょっと現在のところはそのめどを申し上げるまでにはまだ至っておりません。努力いたします。
○国務大臣(瀬戸山三男君) これは目黒さんばかりでなくて、各方面の大事な問題でありますから、各方面の考え方、意見等も加えながら、法務省なり何なりがただ法律をつくればいいというだけの簡単な問題ではないと思っておりますから、皆さんの知恵もかりなけりゃならない。これはどういうことかといいますと、いまお話のように、被害を受けたと、人権的に非常に困った立場に立たされたと、こういう場合にまで及ぶような刑罰、規則などをつくりますと、申し上げるまでもないことですけれども、刑事事件を調べるとなると、じゃああなたどういう被害を受けた、どういう迷惑を受けたかということになりますと、私は率直に言ってかえって逆効果になるおそれがある、そういうことを実は心配しておるのです。そこに至らないで根を断つ方法、その人権の問題はまた人権の問題として今後の啓発その他で努力をしなければなりませんが、たとえばほかのことによって——詐欺罪によって詐欺を受けた、損をした、その方を罰するのは当然でございますが、あなたはどういう被害を、どんなふうにだまされたか、どういう立場であったか、こういうことまでやりますと、私は正直なところ、さっき簡単に申し上げましたが、かえって逆な、思わざる人権差別に及ばないとも、差別のような状態を起こさないとも限らない。こういうことを心配しておるわけでございますから、いろいろ率直なまたお知恵もかりなけりゃならない、かように考えております。
○目黒今朝次郎君 それは、大臣心配することを裏から見れば、前段に申し上げた一番、二番、根っこのところを絶つという点が一番の根本ですから、ですからやっぱり根っこを絶つために、これは日々動いておる日常生活の人権問題ですからね。やっぱり皆さんの意見を聞いてというような慎重な立場はわかりますけれども、やはり早急に閣内の意見をまとめて、国会に提案してもらって措置を講ずるというふうに最大限の努力をしてもらいたいと、こう思うんです。そして、おたくからもらった資料も見せてもらったんですが、この資料を見ますと、たとえば大阪府下の同和地区現況というのですか、これは大阪同和対策室のネタがそのままそっくり出てるんだと、こういうことになりますと、一体同和対策のためにやっておる行政官庁のいい意味の資料がそのまま流れて悪用されている。こうなりますと、私は行政の姿勢の中にまだまだ不十分な点があると。この前の二月の二十七日ですか、何か総務長官の失言問題なども衆議院であったようでありますし、地方の法務局でも人権に携わる方々が非常に少なくて十分に対応もできない。それで衆議院の議事録なども読んでみますと、行政の中にもやっぱりまだまだ問題点がある。あるいは人的な配置、要員の問題についても問題があると、そういうふうに考えられますので、根っこの一環ですからね、これも。根っこの一環ですから、これらに対する局長の見解を聞きたいと、こう思うんです。
○政府委員(鬼塚賢太郎君) ただいま御指摘のとおり、「大阪府下同和地区現況」と題する書面はどうも大阪府同対室作成資料がもとではないかというふうに考えられるわけでございます。これは、こういう同和地区の所在を書いてあるのが今度の問題の文書なんでございますが、これは本来政府が推進しております同特法に基づく対策事業の推進からいいますと、そういうふうに行政が積極的に同和問題解決のために使用する分にはこれはまことに有用なものでございますし、それからまた学術研究、本当にまじめな学術研究でこれをまた用いるということでありますれば、やはりそれもむしろ有用な資料ということでございますんですが、今度のように悪用されますと、非常に逆のものになる。そういう意味で、この書類は、何といいますか、いい面と悪い面と両方を持っている。そういう性質を持っているわけで、その点で今度のこの事件が起きるまで、あるいは関係当局におきましてその書類の保管等について、ややそういった緩やかな点があったのではないかと推察いたしますが、今度のこういう機会に、各方面とも非常にこの資料の保存につきましては、その取り扱いについては慎重に扱わなきゃいかぬということで、私どもも関係機関にその点は厳重に督励しているわけでございます。今後も注意したいと思います。
○目黒今朝次郎君 そういう両面を持っておりますから、十分な運用の管理とそれから関係職員の研修ということについても、まあ大臣でもちょいちょい失言し、発言するくらいですから、十分な研修をひとつ要請しておきたい、こう思うんです。 時間もありませんから、大臣ね、大臣は二月の二十八日衆議院の第一分科会で同和対策事業特別措置法の問題につきまして、「私の個人的な考えを申し上げると、もっとこれは努力を続けなければならない、こういう考えを持って」いますというような大臣としての答弁になっておるわけでありますが、参議院の予算委員会でわが党の総括代表で藤田進先生が発言されて、それで総理大臣との間、総務長官との間にやりとりがあったわけでありますが、この段階に来れば、やはり私は法務大臣としてもこの特別措置法の延長ということも含めて、もっともっと努力すべき筋合いのものだと、こういうように——時間がありませんから、いま一つの具体的な例をとってみてもまだまだ根の深いものがあると、こう考えますと、この特別措置法の延長立法ということについて今日の段階でどういう考えを持っているか。法務大臣として、あるいは国務大臣として、大臣の見解を聞かしてもらいたい、こう思うんです。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 同和対策事業は、これは御承知のとおり、総理府でいろいろ調査をいたしておりますが、詳細なことは私もまだ承知いたしておりませんけれども、おおよそのことを見ておりますと、まだまだ続けてやらなきゃならぬことがたくさんあると、かように認識をいたしております。でありますから、これは長い歴史の所産であろうと思いますが、こういうことであってはならない、できるだけ努力を続けていかなきゃならない、こういう考えでありますから、そういう意味で積極的に推進をしたい、こういう立場でございます。ただ、これは大きく国民感情あるいは精神面といいますか、感情の問題でありますから、そういう面は法務省といたしましても、先ほど申し上げたように、国民のこういうものに対する考え方、扱い方等について啓発もし、行政指導もして努力を続ける、全国民的な努力を続けなければならない。こういう面は相当息の長い、また歴史の経過を経なければ根本的に解決ができないと思いますが、いろんな措置についてはもっと続けなけりゃならない、かような立場で努力をしたいと思います。
○目黒今朝次郎君 三月の六日の衆議院の総括質問の段階で、わが党の大出俊先輩の質問に答えて、総理大臣は、積極的に努力するとは、その意味は延長及び内容の改善を意味するものと理解してよいかと、そういう詰めに対して、そのとおり理解してよろしいと総理が答弁しているんですが、その総理答弁について、法務大臣も確認していいですか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 同じようなことだと思います。
○目黒今朝次郎君 それからもう一つは、やっぱりこの問題はまだまだ問題が残っておるんで、この国会開会中に強化延長と、そういう措置をやはりぜひ講ずべきだと、こう思うんでありますが、いままでの流れ、事業の継続、そういう点から考えますと、この国会中に強化延長ということについて踏み切るべきだと、こう私は考えますが、大臣の見解はいかがですか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) さあ、私のいまの立場で今国会中にできるのかどうかまだ確認をしておりません。御承知のように、同対協等の意見を聞きながら、そういうことでまとめておる段階でございます。従来から予算委員会等で関係省庁からお答えしておりますように、五十四年度の概算要求をしなきゃならない、そういう準備もありますので、そういうものをにらみ合わせながら対処したいと、こういうことを言っておりますから、そういうことに支障のないようにするということだけは申し上げてよろしいと思いますが、まだ今国会に出せるかどうかということまで私から何かお答えはできないわけでございます。
○目黒今朝次郎君 これは政府が計算した残事業が四千八百億程度あると。ところが、いろんな財政との関係で五十二年度の予算は千八百億しか計上できない。ですから、残事業そのものを見ても、今度の予算そのもの、きょうあすのうちに決まるこの予算では大体三分の一程度の計上をしただけであって、三分の二程度は計上されないまま残事業が残ると、こういう数字的な裏づけになっておるわけでありますから、いま大臣が言ったとおり、大臣の立場ではなかなか無理としても、早急に、やはり切れないようにということは継続ということですから、この国会か、あるいは聞くところによると円の相場の問題その他をめぐって補正予算を組むための臨時国会、こういうことも展望されておるようでありますから、ぜひそういうものにつないで、仕事が切れないように、事業が断続しないように、そういう意味での強化発展というものについて最大の努力をしてもらいたいと、こう思いますがいかがですか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) いずれにいたしましても、五十四年度の予算編成には上げなければならない問題でございますから、それに間に合うような措置をしなければならない、かように考えております。
○目黒今朝次郎君 じゃ、総理もそのような、可能な限り早くという表現使っていますから、それをさらに具体化するように大臣の検討をお願いします。 それから、もう一つは国鉄にお伺いしますが、これはいつですか——同和問題をめぐって、三月二十日、解放同盟の松井委員長に書面を出しているということを聞いておるわけですが、この内容と結論について、簡単で結構ですから御見解を聞かしてもらいたいと、こう思うんです。
○説明員(橘高弘昌君) ただいまの御指摘の書面でございますが、三月二十日に総裁名で中央本部の委員長あてに出しておりますが、読み上げましょうか。
○目黒今朝次郎君 はい。
○説明員(橘高弘昌君) 先般、大阪鉄道管理局、静岡鉄道管理局及び東京南鉄道管理局内に発生いたしました「列車内落書事件等」にあたり、適切な対応を欠いたことは、誠に遺憾なことであります。 本件に対する国鉄としての反省と今後の指導方等につきましては、先に、それぞれの鉄道管理局から文書にて回答を申し上げ、その推進に努力しているところでありますが、本社といたしましても、同和問題について地方機関の指導に努力をいたす所存でありますので、なにとぞ、御理解賜りますようよろしくお願い申し上げます。 ここに書いてありますように、国鉄におきましても車内、駅等において、主として落書きが多いわけでありますが、そういう問題の対応についてやや欠けるところがあり、その根源を探りますと、従来の指導方についてやはり徹底しないところがあったのではないかと私ども反省いたしておりまして、この点につきましてはさらに地方に対する指導を強化するとともに、私ども自体も、本社におきましてもその辺についての勉強と申しますか、研究と申しますか、を進めてまいりたいと思っております。
○目黒今朝次郎君 まあ国鉄もいろんなお客さんに接する機会があるし、落書きと言われるとなかなか大変な面もあると思うのですが、この地方に対する指導文書も前もってもらっておりますから、この文書の徹底方をさらに要請しておきます。 最後に、この前の総括質問でちょっと触れましたけれども、全林野の不起訴問題について、刑事局長が来ておりますから、一言だけお伺いします。 この前、林野庁に書面をと言ったんだけど、林野庁がちんぷんかんぶんでわからなかったわけですが、私が現に持ってきました。これは告訴・告発状の中身の(五)ですね。「昭和四四年一一月発行の林業試験場「場報」に記載された「行政と試験研究の連けい」と題する当時林業試験場機械化部長の梅田三樹男氏の文章の中に」——前の方は省略します——「チエン・ソー等の振動騒音については、今から十年前の三四年にすでに作業研究室で測定を行って、この種、振動機械では作業員に手足の蒼白現象」いわゆるレイノー現象、現在の白ろう病現象「の起りうることを報告してある……」と、こういう文章が記載されておるわけです。私はこの前林野庁に対して、一般質問で、この文書を出せと言ったが出さないんです。社会労働委員会で出せと言ったら現在裁判中であるから出しませんと、こう言って当時の林野庁長官と林政部長は逃げたんです。ですから私は、おたくが不起訴とこう決まったんですから、決まった段階ではこの証拠物件を実際に点検したかどうか、この点検と、おたくの方が新聞に発表した、いわゆる不起訴の原因の中に——これは新聞全部共通して書いてありますから、「四十四年の労使協議でチェンソーの使用時間を一日二時間」云々と、これが不起訴の原因だということならば、十年間のずれがある。この十年間のずれがあったために白ろう病が現実に発生して四十四年にこういう結果になった。この十年間の、いわゆる官側の姿勢として、当然使う前に振動で白ろう病になるということがあれば、この研究成果を受けて、四十四年に協定したような協定を三十四年か三十五年の段階できちっとしてから使わせれば、こういう事件は発生しなかったんじゃありませんかというのが私の持論なんです。ですから……。
○主査(宮田輝君) 目黒君、時間が来ておりますので簡潔にお願いします。
○目黒今朝次郎君 時間がありませんが、その辺について、研究したらした、検討しなかったら十分その間の関係を調べて、後日法務委員会なりあるいは社労委員会で解明をしてもらいたいということをお願いいたします。
○政府委員(伊藤榮樹君) 具体的に事件の細部について報告を受けておりませんが、何しろ諸外国にまで照会を出して徹底的に調べておりますから、当然御指摘のものも調べておると思います。しかし、検察庁の処分は終わっておりますから、そういうものは全部林野庁の方へお返ししておるはずなんで、林野庁の方で探せば御報告できるんじゃないかというふうに思っておりますが、なお私どもも研究してみます。
○目黒今朝次郎君 時間が来ましたから。——私がお願いしたいのは、おたくにそう言ったんですから、この書面についてね、おたくの方でも当たってもらう。われわれも林野庁当たりますけれども、その当たった結果と経過と結論がどういう流れであったかという点をおたくの方から私の方に、私は説明する義務があると思いますから、そういう点でお願いしたいのですが、いかがですか。
○政府委員(伊藤榮樹君) 不起訴事件の捜査記録の一部をお出しするということはできないと思いますが、その経過について、差し支えない範囲で、御報告できる範囲で調べてみたいと思います。
○目黒今朝次郎君 結構です。
○主査(宮田輝君) 以上をもって目黒今朝次郎君の質疑は終了いたしました。 次に、矢原秀男君の質疑を行います。
○矢原秀男君 では、成田問題について法務大臣に質問したいと思います。 事件が起きましてから、報道によりましても、また国会にありましても、また世界的にも、外国にいろんな大きな影響をもたらしていることは事実でございます。結論から申し上げますと、参議院本会議においても、福田総理そうして法務大臣等々、ややもすれば、やはり現実直視はしていかなくてはならないけれども、感情的に流れている面もあるのではないかという一面も私は感じるわけです。そういう中で、まず第一点質問したいわけでございますが、この問題に対して、法治国家であるわが国として、その面における最高責任者でございますので、まず法相のこれに対する御見解を改めてお伺いしたいと思います。
○国務大臣(瀬戸山三男君) いわゆる成田空港の過激派の襲撃事件、これはまさに国民の皆さんにも大きなショックといいますか、心配をお与えした。また国際的にも、わが国の治安状況等についてあるいは航空の安全等について非常な心配をかけるような事態になり、私は国全体として遺憾なことである、かように考えております。政府もそういう立場でこの善後措置を慎重に検討し、対策を立てようと、かようにしておりますが、この事態に対して感情的に対処しよう、こういう考え方は、私ども、また政府全体として、そういう立場では考えておらない、これだけはひとつ御理解をいただきたいと思います。 いずれにいたしましても、それは主義、主張、考え方はいろいろあるわけでございますが、ああいう姿でその考え方を通すということがやむを得ないことである、あたりまえであると、場合によっては。そういうことになりますと、国家社会というものは成り立ちませんから、断じて、これは政府ばかりでなくて国民の立場において防がなければならない、こういうことはやってもらっちゃ困る、こういう考え方でございます。
○矢原秀男君 私も、法の秩序を破るために、問答無用、そうして暴力をもって人に危害を加えていく、こうふう過激な集団に対しては、これは国民の立場においてやはりきちっとやっていかなくちゃいけない、これは当然だと思うわけでございます。 しかし、成田に空港を立地するときも、その開港を決定した十年ぐらい前のときも、いわゆる閣議決定、こういう形で作業が進んでくるわけでございます。その当時法務大臣という立場にあなたはおられなかったわけですから、責任者どうこうという、これは当たらないと思うんですけれども、現閣僚といたしまして、この混乱というものが、十年前後前に、やはりあのままの形でいけば想定されたのではないか、そういう懸念は当時論議を今日までされたのかどうか、そういう点はいかがでございますか。
○国務大臣(瀬戸山三男君) いわゆる成田周辺、まあ成田と申し上げておきますが、あの地域に国際空港をつくらなければならない、これは昭和四十一年であったと思いますが、決定されたわけでございます。御承知のとおり、わが国の国際航空情勢は、申し上げるまでもなく、羽田が中心の国際空港となっておりますけれども、これでは今後の国際交通には対応できない、こういうことから、国内の、しかもわが国の中心的国際空港として適切な場所につくらなければならない、これは政府としては国民に対する責務であろうと私ども考えております。そういう意味で、その当時私もちょうど建設大臣としてこの決定に参画をいたしておるわけでございます。所管は運輸省でありますが、決定の際には私も参画いたしております。 そこで、あの地域、もちろん広大な土地を要するわけでございますから——主として農業地であります。そういうことで、地元の皆さんとは十分お話し合いを進め、また、千葉県その他の関係地方公共団体の協力を得て、最終的にあそこに決定をいたしたわけでございます。私は直接担当でありませんから明確にしておりませんが、大部分の皆さんがこれに協力をしていただいている。そしてあの用地が確定した、こういう事実でございまして、その一部にやはり農地を手放すことについて賛成しかねるということで今日まで不満が続いておることは、これは事実でございます。 あそこを選定します場合に、そういういわゆる国家的な要請から必要な施設であるということで土地を選定し、そして地元の皆さんとお話しをする場合でも、たとえば、すぐ近所にあります鹿島地域の開発と相前後しておったわけでございます。鹿島地域の取得価格よりも相当大幅な有利な条件でお話し合いを進め、そして御了解を得て、いま申し上げましたような、ほとんど大部分の方は理解をいただいて決定したと、こういう事情にあります。 もちろん、今日までに至る間いろいろああいう動きが出てきておるわけでございますから、その後のずっと進める段階においての措置に全然瑕疵がなかった、反省すべき点がなかったかというと、私は、まだやるべきことがあったろう、また、反省すべき点も多々あると思います。思いますが、最近の情勢は、まあ率直に申し上げますけれども、あそこに二百名ぐらい関係者、いわゆる農民の方がいらっしゃるそうでございますが、こういう人々の考え方と、いま行われておる——いま始まったわけじゃありませんけれども、数年前から行われておるああいう過激な行動によるものは、直接農民の皆さんの考え方と相当隔たりがある、こういう事情にあるようでございます。また私は、それは当然なことではないか。いま私どもの見ておりますのは、あるいは違った見解の方もいらっしゃるかもしれませんけれども、ああいういわゆる農民の方の反対に、かこつけてと言うとこれは言葉が適当でないかもしれませんが、それを利用して、まさにいまや暴力革命の拠点としようと、その手段として成田空港の反対の空気をあおり、またそれを利用してやっておる、こういう姿であると私は見ておりますから、そういう観点から対応策を考えよう、農民の皆さんとは、現在もやっておりますけれども、積極的にひざを突き合わしてお互いに理解を進めていこう、こういう立場でございます。
○矢原秀男君 いま法相が言われておりますように、農民の考え方と過激派の考え方、これは隔たりがある、私もそのとおりだと思います。また、いろんな問題にかこつけて過激派が利用したということもまた事実だろうと思います。なぜそういうふうな、かこつけや利用を彼らがしているのかということになると、一面、それは五十分の一か百分の一になるかはわかりませんけれども、私も伊丹空港のそばにおるわけですけれども、行政の関係で、私も市会、県会、国会を通して十数年になりますけれども、世界で一番のような過密の国際空港、そうして百ホン以上の騒音が離着陸のときに起きてくる。何回お願いをしても、市は県へ、県は国へ、国は地元へ、こういうふうなことで、私たち自体も本当に国際空港の騒音問題を中心とする周辺の環境整備に、どれだけお願いをしても、なかなか政治という、いわゆる政府、もちろんそれには県も市もそうでございますけれども、行政というものがこたえてくれない。しかし、われわれは良識のある国民として行動は制約をされておりますから、ああ何とかならないものかなと、こういうふうに思いながらも、あきらめてはいけない、こういうことで、常に周辺の方々の健康や生命のために何とかならないものかということで具体的な方策というものを主張しながらやってきた一人でございます。やっぱりそういうふうな問題、いろんな考え方を持っている人たちがおるわけでございますから、政治の状況が大変な形になってくると、やはりそれを利用しよう、悪用しようという人たちは多く私は出てくると思うんですね。だから、いま伊丹の国際空港にいたしましても、もし今度空港がつくられる場合は、運輸省の方々に私地方自治体におるときにもお願いをしたわけですけれども、やはりあのイギリスでも、日本と国情が全く土地的には同じような形、十年間も地域の人たちのコンセンサスを得るために一生懸命努力をしている。そういう姿、日本の国も将来必要であればそういう形でやらなくちゃいけないのじゃないかと、こういうふうに主張して今日まで来ているわけですけれども、伊丹の国際空港のある周辺で本当に子供さんが血を吐いて大変な状態になっている。そうして奥さん方に、子供さんこれで大丈夫ですかと言えば、逆に、何だ、君たちはいまそういうことを知ったのかという、本当に血を吐くような言葉を私たちに吐きかけてくる。そういうふうな長い歴史から見ておりますと、やはりこういう問題が起きてくる懸念性というものを持っていたわけです。 ここで一番私は気の毒に思うなあと思うのは、いずれにしても、現地の第一線におる人、たとえば警察関係であれば警察の第一線に立つ人、これはよかれあしかれ、やはり仕事ですから、指導者の一つ一つの指導によって、やはりそういう一つの仕事の任務につかなくちゃいけない。あるときには国民から感謝され、あるときにはまた罵倒され、私は第一線に立っている職務を遂行する人たちはどの分野の方であっても大変だなあ、気の毒だなあと、こういうふうに思います。それだけに、最高指導者というものは責任を持って、その現実の面だけではなしに、過去いろんな地域の中で同型のものがいろいろの問題点をかもすたびに、将来どこに立地をされる、そういう場合にはどれとどれとどれとどういうふうな点を地元と調整したり努力をしたりしていかなくちゃいけない、こういう最高指導者を中心とするやはり一つ一つの打つ手というものが大事になってくるであろうと私は体験の上から痛感をするわけでございます。そういう意味から考えますと、先般の運輸省の事務次官が成田の問題について地元の農民の方々と会見をされた。これは私いいことだと思うわけです。やはりそういうふうに早くからそういう問題について積極的に話し合いをずっと前からしておれば、過激集団の割り込みというものをやはり少しでも防げる、こういう形があったことも一面であろうと私は思うわけでございます。 ここで質問をしたいわけでございますけれども、成田空港のこういう現況の中で新しい立法の件、こういうものが出ているわけです。で、現行法と警備上の問題、こういう二点を私考えた場合に、今回の事件で警備上に見るところのミス、そういうふうな点があったのか、いや、それともミスというものは全然なかったと、こういう形のものなのか。この点を具体的に御説明をお願いしたいと思います。
○説明員(若田末人君) お答えする前に、最初に大変こういう大きな影響を及ぼす結果に至りましたことについておわびを申し上げたいと思います。 私事にわたって恐縮でございますが、私も瀬戸山法務大臣と同様と申しますか、十年前からこういう事案といいますか、成田の方に関係をいたしておりまして、それから十数年間にわたりまして、多少の断続はございましたが、絶えずタッチをいたしてきておりました。その間、四人の殉職者を出しながら、あるいは三千六百人にも上る負傷者を警察官に出しながらも、二千六百人の極左暴力集団を何とか逮捕しながら、今日までようやく開港にこぎつけるところまで努力をいたしてまいりました。そして、最後の最後のところでこういう事態を発生いたしましたことについて、そういう私事ながら長い間タッチしたものだけに、非常に残念でならないわけでございます。 で、いまお尋ねの警備上のミスがあったかどうかということについてでございますが、当日の相手方の動きにつきましては、約八千人の人たちが三里塚の第一公園で集会、デモをやるということに——まあ向こうでは二万と言っておりましたが、現実に集まりましたのが八千人でございまして、この人たちはそれほどの悪さはいたしませんでしたけれども、そのほかに極左の中でも現地で非常に過激なことを言っておりますグループを中心といたしました千五百人の極左の連中が別行動をとりまして、集会場と反対側の空港の裏側の方に集まりまして、そしてこれが三派に分かれ、一つのグループが、私どもが十分——ここがミスと言えばミスだと思いますけれども、空港当局からも十分な連絡は受けておりません約一キロにわたりまして、外の方に大きな出口がありますマンホール、そのマンホールは四百十八カ所飛行場内にあるわけでございまして、いずこにも通ずるというような状況でございます。そういう実態を詳細私どもも連絡も受けていなかったのも悪うございますし、また、そういうマンホールが外から通じておる、そういうものをもう少し事前に、私どもの言葉で実査と言っておりますが、外から入れる道は、ほかにフェンスだけではなくて、ゲートだけではなくて、そういうものもあるんだと。そういうところに警察官を配置しなければならない。そういう実査の不十分が一つの原因ではなかったか。 それから、管理塔自体非常に重要なことでございますので、私ども警備の重点としては、ほかの小さなところはよろしい、特に開港に支障のあるような心臓部、この間占拠をされました管理塔はもちろんでございますけれども、その他にもいろいろありますし、あるいは余り細かい点を申しますとまた相手方に知れることにもなりますが、運輸省とも打ち合わせまして、関東一円にそういう場所もございます。そういうところにも警察官を配置し、なお過去の殉職事例等からかんがみまして、そういうところに多くの部隊を割くわけにはいきませんので、少数の部隊には拳銃を携行させまして、そして正当防衛のときには拳銃使用もよろしいという覚悟までいたしまして、いろいろ細かい点を指示してやったわけでございますが、まことに残念なことに、ああいう事態になりましたこと、一つにはそういうことでございまして、まああの建物、マンホールについては警察の実査の不十分、これは認めて大いに反省をいたしております。 それから、あすも集会、デモが行われるということで、そういう点について現在また現地で検討を行っておりますが、ただ、あとあのコントロールタワー、管制室、管制塔につきましては、私ども、運輸あるいは公団当局から、これはどこの空港もそうでございますけれども、そういうものについては自動電子ロックで十分に保護されておるというようなことでございまして、むしろ外周警備に重点を置いたというようなところに、強いてミスと言うならばそういうことが指摘されるかと思います。
○矢原秀男君 御説明よくわかりました。 法務大臣、私先ほどからも話しておりますように、警備体制云々よりも、成田の安全空港という立場を考えたときに、これは政府の閣僚として、やはり行政の中で、過去のいろんな——いま伊丹空港の例を話ししましたけれども、運輸省なり、そうして政府なりが、やはりそういう形で早くてきぱきとずっと手を打っておれば、過激派が農民の中に入ってきて、があっと騒いでいく、そういうふうなことも、ああいう現時点のような——この前も三人の方が殉職されましたが、ああいう形、これはなってからのことですからどうしようもございませんけれども、やはり住民のそういう声を早くから行政の面で吸い上げておれば、警察官の中に、命を落としていく、そういうふうな形も私は本当に防がれたんではないかというふうなことを過去の例から見るわけです。これは閣僚として行政面で、いろんな声が空港関係で今後も出てくるでしょうけれども、積極的に政府の立場からやっていただきたいと思います。質問申し上げますけれども、時間がございませんのでまとめて御答弁いただきたいと思うんですが、一つは、いまもお話がございましたし、この間もちょっと法務大臣からもお話が出ましたが、機動隊の拳銃使用について、法務大臣も武器の使用はあの事態を防ぐためには当然だ云々というふうなお話を国会でもされたわけですけれども、機動隊の拳銃使用についてはどういうふうなお考えを持っていらっしゃるのか。 第二点目には、ああいう過激派の現状、実態調査の上で破防法の適用云々という御見解もあったわけですけれども、現時点において法務大臣として、どういう現状分析の中でどういう御見解をいま持っていらっしゃるのか、その点だけをお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(瀬戸山三男君) 矢原さんからいろいろお話を伺いましたが、事が起こるについては原因がなければ起こらないわけでございます。過激派集団の考え方等についてあらまし先ほど申し上げましたが、これはこれとして、これは断じて許してはならない、こういう決意で当たる所存でございますが、しかし、過激派集団が、さっきも触れましたけれども、やはり農民の不満を利用してやったということ、ここにつながりがある。そういうことを考えますと、これは人間だれしも何か起こってから知恵が出る場合が多いわけでございますが、それで過去のことを弁解しようという立場で申し上げるわけじゃございませんけれども、やはり行政の温かさということ、言葉は違いますけれども、そういう点に触れられました。そういう点に欠けておった、欠けるところがあったと私も思います。もう相当長い時間でありますから、もう少し政府なりあるいはその担当の行政府の長なり、それこそ心魂を尽くして地元の皆さんと話し合い、また講ずべき対策を講じておればここまでは来なかった。これは結果論でありますけれども、そういう反省に立っております。 たとえば、私は空港の必要性はこうでありましたということを簡単に申し上げましたが、必要性があればあるほど、地元にだから犠牲に応じなさいと言うことは適当でない、かように思っております。狭い日本でありますから、残念ながら、広大な余り影響のないところへつくるという自由は日本にはないわけでございますから、やはり狭いところにわが国としては必要なものをつくらなければならない。これは話が飛びますけれども、たとえば防衛のためにいろんな施設をする。そういう場合でも、これは必要なんだから皆さんは直接そこにおられるので御迷惑はあるかもしれぬけれどもそれはがまんしなさいと言うだけでは私はいけないと思います。必要があればあるほど、そこだけの犠牲というわけにはいかない。それに対してはやっぱり愛情ある対策を講じて御理解をいただくという心がけが最も大切である。そういう意味において、この成田空港の場合も、ややそういう点に欠けておったことがあると、私は率直にそう考えております。 でありますから、これは過激派のやり方を防ぐことはもう断じて防がなければ空港は成り立ちません。ただ開港さえすればいいというものじゃありません。将来にわたって絶対安全だという、そういうことを心配しないでいいんだということをしなければ、国内的にも国際的にもこれは用をなしません。でありますから、私はもう運輸大臣にも率直に申し上げておるわけでございますが、先ほどの中村次官と地元の人たちの話し合い、矢原さんもいいことだと。私も非常によかったと、こう思っております。運輸大臣にも、機会を見つけて地元の皆さんと最高責任者としてひざを突き合わして事態の解決に当たってくれということを現に話をしておりまして、運輸大臣もその覚悟でございます。そして、将来にわたって了解、理解の上に立って安全の対策をとらなければならない、こういう気持ちでおることを申し上げておきます。 それから、警備上の問題については、先ほど警察庁からお話がありましたが、率直に申し上げて、これも結果論と言えば結果論でありますが、警備上のミスがなかったとは申せない。警備上のミスがなければああいうことになりません。私は、率直に申し上げて、警察関係の皆さんは非常にかわいそうだと思う。気の毒だと思っております。でありますから、一生懸命やられたけれどもああいうことになった。現に起こっておるわけでございますから、やはりそれはそれとして反省をし、将来に備えなければならない。と同時に、これは警察関係、警備関係ばかりじゃなしに、一般行政の上でこの問題に関して、国家といいますか、国民が与えておる諸般の法規を適切に運用しておったかどうか。この点も私は欠けておった点があると思います。でありますから、現在政府としては、現行法で対応できる限界を詰めて、十のものの対応策があるなら十のものの対応策を講ずる、こういうことをしてなおかつああいう事態を防ぐことができないということになれば、これはゆゆしいことでございますから、絶対ああいうことになってはならないわけでございますので、もし新しい手段方法をとる立法措置が必要であれば、それもやらなければならぬ。これはまた当然なことであろうと思います。しかし、それはいかなるものであるかということは、まだ今日結論を出しておりません。速やかに結論を出すためにいま部内で鋭意検討をしておるという現状でございます。 それから、拳銃の使用、これは警察の関係でありますが、いま申し上げましたようなことから、いまの警職法でも場合によっては武器を使用する。武器を使用しなければああいう激烈な攻撃に対しては対応できませんから、使用し得る場合は使用して、どうしても、あくまでもこれを絶対排除する、こうしなければ安全運航はできないわけでございますから、必要な限度においては運用する。これは当然なことだという立場で、まあ警察も同じであろうと思いますが、私どもはさように考えております。 それから、破防法の問題、これは詳細なことが必要であれば刑事局長から御説明申し上げますが、形の上では適用し得る場合があると思います。ただ、それによって効果があるかどうか、この点は、ただ法律を振り回すだけでは意味ありませんから、その点を現在専門家の間で検討しておる、こういう事態でございます。
○矢原秀男君 じゃ、最後に一つ。 法務大臣、新しい治安立法の声もありますけれども、私たちも危険なものにしてはいけないという懸念性もありますし、できれば現行法を洗い直しの中で、やはり警備でもいろいろな形でもあるものであれば、そういうふうに感じるわけでございます。そういう意味で、やはり公権力というものをさらに強めていくということになると、またまたいろいろな諸問題も起きるかと思います。そういう点では、とにかく慎重に検討をしていただきたい、このように要望する次第でございます。
○主査(宮田輝君) 以上をもって矢原秀男の質疑は終了いたしました。 他に御発言もないようですので、法務省及び裁判所所管の質疑は、これをもって終了したものと認めます。 以上をもちまして本分科会の審査を終了いたします。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを主査に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○主査(宮田輝君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 これにて散会いたします。 午前十一時四十二分散会 —————・—————