予算委員会 第13号
- 発言数
- 197 件
- 登壇者
- 32 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1978/03/17
会議録
○委員長(鍋島直紹君) ただいまより予算委員会を開会いたします。 昭和五十三年度一般会計予算 昭和五十三年度特別会計予算 昭和五十三年度政府関係機関予算 以上三案を一括して議題といたします。 まず、理事会において協議決定いたしました事項について御報告いたします。 一般質疑は六日間分とすること、質疑時間総計は八百三十七分とし、その各会派への割り当ては、自由民主党・自由国民会議及び日本社会党おのおの二百四十三分、公明党百三十五分、日本共産党八十一分、民社党五十四分、第二院クラブ、新自由クラブ及び社会民主連合それぞれ二十七分とすること、質疑順位等についてはお手元の質疑通告表のとおりとすること。以上でございます。 右、理事会決定のとおり取り運ぶことに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鍋島直紹君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(鍋島直紹君) 次に、参考人の出席要求に関する件についてお諮りをいたします。 昭和五十三年度総予算三案審査のため、日本銀行総裁森永貞一郎君及び地域振興整備公団副総裁三橋信一君を参考人として出席を求めることに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鍋島直紹君) 御異議ないと認めます。 なお、出席日時等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(鍋島直紹君)御異議ないと認め、さよ う決定いたします。 ―――――――――――――
○委員長(鍋島直紹君) それでは、これより野田哲君の一般質疑を行います。野田君。
○野田哲君 まず、大蔵省、これは政府委員で結構ですが、いま国民の持っている個人の預金は、一人当たり、一世帯当たり大体どのぐらいの預金額ですか。
○政府委員(徳田博美君) 一世帯当たりの貯蓄でございますが、少し古い調査になりますけれども、五十二年の調査によりますと、一世帯当たり平均三百七万円でございます。これはすべての貯蓄の合計でございます。
○野田哲君 一世帯当たり三百七万円とすると、今度の公定歩合の引き下げに伴う預金利率の切り下げによって一般預金〇・五%ということになると大体一万五千円ということになるわけで、これはちょうど今度の三千億の減税措置が全部帳消しになってしまう、こういう結果になるわけです。 大蔵大臣、こういう結果になりますので、減税額については、もう一回、これは見直す必要が私はあるんじゃないかと思うんですが、そういうお考えはありませんか。
○国務大臣(村山達雄君) この公定歩合の引き下げに伴いまして、やはりいま諮問中でございますけれども、預金金利の引き下げが決まるわけでございます。〇・七五あるいは〇・五、定期預金とそれから要求払いで違うと思います。しかし、これは今後預け入れる分についてそうなるわけでございまして、既存の預金金利が変わるわけではございません。したがいまして、問題は、今後預け入れがどれぐらい減るかと、ここにくるわけでございます。(「期限が来るじゃないか、一年定期なんか」と呼ぶ者あり)まあ一年定期がほとんど大部分でございますので、この一年定期が来るときが一つ問題であるわけでございます。それが一つでございますので、直接には三千億とはすぐ結びついてはこないと思うのでございます。 それから、減税と預金金利の関係は直接にストレートに比べるべきものかどうか、ここにも一つ問題があるのではなかろうか。税の方はどの程度から負担を求めているか、どの程度の人に減税を与えるべきか、預金の方でございますと、恐らく納税者以外の方もたくさんおやりになっているわけでございますので、三千億とはすぐ結びつかないということと、それぞれ目的が違っておりますから、私には直ちに結びつかないような気がいたします。
○野田哲君 大体、こういう事態になることは予想されていたわけですよ。それで、野党各党からの強い要求のあった減税措置について非常に切り詰めておいて、後からこういう措置を打ち出すということ。大蔵大臣は今後の預金についての利子が減る、こう言われたわけですが、いま後ろの方からも話がありましたように、一年定期ということになりますと、それはもう直接影響を持ってくるわけです。そういう点から、これはやはり政策的な問題として零細預金に対して何らかの措置を考えるべきじゃないかと思うんです。これから大蔵大臣なり郵政大臣なりそれぞれ諮問をする、こういうことになるわけでありますから、なかんずく郵便貯金の場合には零細預金者、これはほとんど対象になっているわけですから、この零細預金者に対して何らかの配慮を払う、こういうお考えはありませんか、大蔵大臣、郵政大臣、それぞれ。
○国務大臣(村山達雄君) 前回の預金金利引き下げのときにも、福祉年金をもらっている人など、いわゆる福祉預金につきましては預金金利を引き下げないで、たしか六・七五の利率にしておいたと思うのでございます。その制度は依然として今後延長してまいりたい、さように考えているところでございます。 それからもう一つ、減税との関係でおっしゃったのでございますが、私たちは実はそこは連動して考えていないわけでございまして、公定歩合の引き下げというものは、いま企業が挙げて不況でございますので、早く公共事業その他と相並びまして企業の体質を回復していくことは、やがてそこに勤めておられる方の可処分所得に最終的には影響してくる。それが私は本格的な道筋であろうということで言っているわけでございますので、念のために申し述べさしていただきます。
○国務大臣(服部安司君) 郵便貯金の利率につきましては、先生御承知のとおり、ただいま大蔵大臣が申し上げたとおりに日銀政策委員会に発議をいたしておりますので、私の立場からいたしますると、この民間金融機関の利率が決まってから、この決め方を十分注視しつつ、しかもこの郵便貯金は御承知のとおりに政令で定める、その以前に郵政大臣が郵政審議会に諮らねばならない、こういう決定原則があるわけでございますので、私といたしましては、その民間金融機関の利率決定の動向を見きわめつつ対処したい。 ただ、いまお話しのありました社会的経済的に弱い方々の立場については、現在、老齢福祉年金または障害福祉年金、母子福祉年金等、あわせて所得制限のある国の行う無拠出老齢年金や手当の受給者には、先生御承知のとおりに、現在も高い利率の定期を認めておりまするが、この社会的弱者については私は絶対下げないという決意でいたしておる次第でございます。
○野田哲君 大蔵大臣に伺いますが、いま社会的に弱い立場の人についての配慮は行うという趣旨のお話があったわけですが、失業者ですね、雇用保険受給者、この人たちについてこれをやはり配慮の対象にするお考えはないかどうか、この点を伺いたいと思うんです。
○国務大臣(村山達雄君) 失業保険の受給者はいまの福祉預金の対象にはなっておりません。福祉預金の対象と申しますのは、やはり所得制限があり、そしてその身分がかなり長く続く、その意味で証明ができ、まあ大体そういう状況が長く続くというものを考えているわけでございます。それに対しまして失業保険の方で申しますと、それまでかなり高い所得を持っている人もそれはまた失業になりますし、再雇用の問題もまたいつあるかわからないわけでございますので、私は福祉預金にはなじまないんじゃないか。むしろその方の手当というものはやはり歳出なり雇用保険会計で賄うべきものではないだろうかという感じがいたすわけでございます。
○野田哲君 失業保険の受給者もこれは証明ができるんですよ。これは明確な政府の措置による証明ができるわけですし、それから期間が長いか短いかという話をされたわけですけれども、いま百万を超しているわけですし、これはやはりこの失業状態というのはかなりこれから長期にわたって続くと私どもは見なければならないと思うんです、もちろん個人差はあるわけですけれども。 大蔵大臣は、この失業保険の受給者の中には在職中の所得によってかなり高い人もいるんじゃないかということも言われたわけですけれども、これは一定の限度を設けてもいいんじゃないですか、非常に低い人もいるわけですから。一定の限度額を設けて、この雇用保険受給者についてはやはり対象にすべきではないかと思うんですが、いかがですか。
○国務大臣(村山達雄君) 繰り返しになりますけれども、失業保険受給者というものがまたいつ再就職という問題もありますし、預金の金利をそれによって人によって変えるというのはよくよくの特例でなければならぬと、本来余りなじまない性質のものだという認識があるわけでございまして、そういう意味で前回も恐らく問題になったと思うわけでございますけれども、そのことがはっきりわかる、浮動性のないものに限定せざるを得ないのではないかなという感じがいたすのでございます。
○野田哲君 これはやはりたてまえとして、政府の政策によって打ち出されるわけでありますから、したがって非常な生活の不安に対して政府の定めている公的な措置によっていま生活の手段を持っているこういう人たちに対しては、やはり私は配慮を行うべきではないか、こういうふうに思うんですし、特にいま大蔵大臣はその中には結構高い金額をもらっている人もいるじゃないかと言う。それは私一定の制限を加えてもいいんだと思うんですけれども、たてまえとして政府の措置によって、公的措置によっていま生活の手段としているこういう国民に対しては、それなりの配慮が払われるべきじゃないかと思うんですが、これは御検討いただけませんか。
○国務大臣(村山達雄君) 御意見でございますので、検討しないなどとは申しません。ただ、率直に申し上げた方がいいと思いますが、私は歳出マターだという感じがするのでございます。
○野田哲君 これは押し問答で、ほかの問題もありますから、郵政大臣はもう結構でございます。 総務長官に二つ、三つ伺いたいと思うんです。 まず一つは、本委員会の冒頭でわが党の藤田進委員の質問の中で、同和対策の特別措置法の強化、延長の問題について、総務長官が答えて、延長すべきであるという考え方を示されておりますし、その答弁の中で、各党の合意を得て今国会で延長の措置をとるようにする、こういうふうに答えておられるわけですが、その後、この件について具体的な手順等についてさらに藤田委員の質問以降、煮詰まった考え方があれば、お聞かせをいただきたいと思うんです。
○国務大臣(稻村左近四郎君) この前の発言の藤田委員に対する答弁で、残事業も相当残っておりますし、これは延長すべきである、しかしながら各党の意見を尊重しながらと、こういうふうに申し上げまして、いま御指摘の点につきましては自由民主党の方でも窓口ができておりまして、お話を承りますと、各党と協議を積み重ねておる、こういうふうに承っております。
○野田哲君 その協議ができれば、それによって延長の措置をとられる、こういうことで理解していいですか。
○国務大臣(稻村左近四郎君) 先ほども申し上げましたように、各党の協議がまとまり次第、各党の意見が合意に達し次第に延長する方向で決定をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
○野田哲君 第二点目は、きのうも本委員会で喜屋武委員の質問があって、いろいろやりとりがされておるわけですが、沖繩における七・三〇、きのうのお話にもありましたように、三十三年間、一つの交通方法にすでになじんでいるわけですから、これはもう習性になっているわけです。これは王選手が左のバッターボックスへ立っていたのを、今度は右のバッターボックスに立ってホームラン打てというのと同じですよ、大変なことなんですよ、これは習性なんですから。そういう点で、この変更ということはやはり戦争による犠牲がなお今日求められている、こういうことだと思うんです。 政府の方では、これに対して二百十五億円ですか、予算措置をとって、直接道路交通に関係ある部分についてはそれなりの対策をとられているわけですけれども、この対象になること以外に予期しがたい影響、あるいは計量しがたい経済上の損失が予想されるわけです。たとえば那覇から名護の方に向かって走っていく道路、あそこは日曜祭日などには釣りに行く人が非常に使う道路なんですけれども、釣り具店などがみんな北へ向いて走る道路の右側にあるわけです。これが全く今度は営業が成り立たなくなる。こういう状態がほかにも幾つかあるわけです。そういう点からして、それを一つ一つ洗って個人の受ける影響について補償していくということは非常に困難であるということはわかるんです。 そこで、この交通方法の変更に伴う社会的経済的な影響に対処するために、きのうも喜屋武眞榮委員がるる述べられましたけれども、まず、一つは対策本部、窓口をそれぞれ七・三〇以降も存置をして影響についての追跡調査をやっていくし、その対策についてもやはり沖繩県民に窓口を設ける、こういう措置をとってもらうということ、これはきのう喜屋武委員の質問にも答えがありましたが、再度お答えをいただきたいと思います。 それから二つ目には、沖繩県当局から、あるいは議会から出されている要望事項について、これに対しては積極的にこたえていくべきではないかと思います。 それから三つ目には、計量しがたい損害に対して、個々の補償に対する事業として、言うならば復帰事業のもう最後の記念といいますか、最後の復帰事業として、県民全体が広く活用できる事業、まあ一つの話題としては県からは交通安全センターというような説も出ておりますし、あるいは県民会館という構想もあって、それに交通安全センターも取り込んでもいいじゃないかという話もあるわけでありますし、あるいはその他レクリェーションの場とか、これは一つの例でありますけれども、何かそういう形で、沖繩県民の今日までの復帰後五年たってまだこういういろいろな混乱、犠牲を強いられることに対しての配慮を行うべきではないかと思うんですが、これらの点についての沖繩開発庁長官、総務長官、両方の立場でのひとつお考えを聞かしてもらいたいと思います。
○国務大臣(稻村左近四郎君) きのうももうお答えいたしましたわけでありますが、やはり国の施策によって変更するわけでございますから、原則といたしましては国ですべてを実行していく必要がある。ただし、特別事業の問題でございますが、県からいま御指摘の点の交通安全教育センターあるいは医療救急センター、その他道路等々の問題が出ておりまして、当然それは各省庁と連絡の上にやらなければならぬと思っておりますが、いま御指摘の県民会館と申しますか、その中で交通安全教育センター等をどう取り入れるか、こういう質問でございましたが、こういったことも私はやはり今後検討すべき課題ではなかろうか、こういうふうに考えております。 もう一つの重要な問題は、その補償の問題でありますが、これは御指摘のとおり、右から左ということでございますから、損失を受ける人が私は大変多いと思っております。その反面、利害得失と申しますか、利を生む人もあると思いますが、こういったもろもろの問題を七月三十日後も調査をして、きめ細かく解決をする必要がある、こういうような意味から、交通推進対策本部あるいはまた県の窓口等々も、一定の期間、残置をする必要がある、こういうふうに考えております。
○野田哲君 もう一つ伺いますが、日赤の戦時中の従軍看護婦の問題について、特に日本軍に徴用され、引き続いて中国にそのまま残って医療に従事をしたという形で青春時代をほとんど大陸で過ごして、帰国したときにはもうかなりの老齢に達している、こういう非常に気の毒な状態の方がいらっしゃって、これは恩給法の審議に関連をいたしまして内閣委員会で何回もこの問題を議論をしてきておるわけですが、衆議院の予算委員会で総務長官は何か前向きの答弁をされたというふうに聞いておりますので、恩給法の適用、あるいはそれにかわる何らかの補償措置について検討をされている方向があれば、聞かしていただきたいと思うのです。
○国務大臣(稻村左近四郎君) お答えいたします。 日赤の救護看護婦さんの方々につきましては、任務、行動その他におきましても、私はやはり何かここで、仮に恩給法の適用が受けられないにしても、他の立場と多少異にしておる、大変いま御指摘のように痛々しい、聞くも本当にもう涙と申しますか、召集令状を見せられてその長い間の経過を説明をされたときには、だれもがやはりこれは何とかしなきゃならぬという、こういう考えに打たれるのではないか。特にこの問題には各政党ともがこぞって一致をしておる。私はここに重点を置きまして、必ずや、恩給法の制度にはむずかしいといたしましても、その適用の中に入ることはできないといたしましても、何らかの処置で今国会中に必ず責任を持ってやってまいるということを、かたい決意でお答えをしておきたいと、こういうふうに思っております。
○野田哲君 魚の問題に入りたいと思うんです。 まず、農林大臣に伺いたいと思うんですが、一昨日も、NHKで、魚離れという問題について、魚屋さんが非常に深刻に考えている状態が放映されたわけですが、農林大臣は、いま国民が魚離れという状態を起こしていることについてその要因はどんなところにあるとお考えですか。
○国務大臣(中川一郎君) 家計支出に占める魚代というものは変わっておりませんが、やはり価格の問題からか、量としては若干下がりつつあるということでございますので、そういう傾向があろうかと思いますが、これは昨年来の二百海里時代、特に日ソで、しばらくの間魚が枯渇をするというようなこと、あるいはまた魚を蓄えておくというんですか、買い占めというんですか、そういうような異常な事態が一時期ございましたことも重なっておるのではないか。そこで、そういうことのないように生産対策なり流通対策なり農林省も指導してまいりたい、やるべきことはやはり、また指導すべきことは指導していく、こういうふうに思っておるわけでございます。
○野田哲君 農林大臣は、この席で、米の問題については非常に声を大きくして、笑わないでその米を食え、酒を飲めと、こうおっしゃったわけですが、魚を食えということは全然言っておられないんですがね。魚離れというのは、やはり畜産品の方にいまだんだん重点が変わりつつある、魚から離れつつある。これは一つの要因としては、大手商社が漁業面に非常に進出をして、そして冷凍技術の非常な進歩、これと相まって魚の市場を大手商社が支配をしている、価格をつり上げている、こういう点と流通機構の問題、これが大きな魚離れを起こしている一つの背景になっていると思うんです。 そこで、きょうは、農林大臣に、日本の国民に一番親しまれているマグロという問題について伺いたいと思うんですが、マグロの問題そのものに入っていく前に、船の問題から入っていきたいと思うんです。 まず、水産庁の政府委員の方に伺いますけれども、マグロ漁船の平均的なトン数、特にはえなわマグロ漁船、これはどういう規模の船であるのか、それから新造船の価格はどのぐらいなのか、それから農林漁業金融公庫の融資の枠、こういう点についてお伺いをいたしたいと思います。
○政府委員(森整治君) 近海の漁業と遠洋漁業といろいろございますが、大体二十トン以上から三百トン程度までの漁船が活動しておるということでございます。 それから、新造船がどのくらいの値段をしておるかというお尋ねでございますが、最近の一番大きい方の遠洋マグロ、三百トン型の建造価格をいろいろ許可申請書から見ますと、平均三億五千万円ということになっております。 それから、ちょっと融資の枠をいま調べておりますので……。
○野田哲君 融資の枠は大体七五%というふうに聞いているんですけれども、大体そういうことじゃないんですか。
○政府委員(森整治君) おくれて申しわけありません。七五%でございます。
○野田哲君 この三百トンのはえなわマグロ漁船、大型の三百トンクラス、これは耐用年数はどのぐらいですか。
○政府委員(森整治君) 耐用年数は九年ということになっております。
○野田哲君 この耐用年数九年で、海外へ売る場合には七年という規制措置がとられておると思うのですが、七年を経過した、言うならば中古船、これはどのぐらいの価格によって売買されているか、把握をされておりますか。
○政府委員(森整治君) 先ほど申しました三百トンの船齢十年程度で、おおむね二千万円から三千万円というふうに推定をしております。
○野田哲君 十年を言われたわけですが、七年でいかがですか。
○政府委員(森整治君) 六千万から七千万……。
○野田哲君 これはちょっとおかしいんじゃないですか。十年で二千万から三千万が、七年のとき六千万から七千万というのはちょっとこれは不自然です。 私が大体調査したところでは、新造船をつくる場合に造船所へ注文をして、そのときに中古船を造船所に下取りをしてもらう、その下取り価格が大体七年を経過して三千万から四千万、これを売る場合には、ドックで修理をしたり塗装を塗りかえたりして、そこで大体七年経過したもので、ドックの費用千五百万円ぐらいをかけて大体五千万ぐらいが相場だと、こういうふうに私は関係者の人から聞いているんですが、大体そんな見当じゃないですか。
○政府委員(恩田幸雄君) ただいまの御指摘の数字でございますが、船によりまして、船の使い方あるいは装備の中身によりまして非常に違うものでございますから、一応、私ども、いい船の場合は、先ほど長官からお答えしたような数字でございます。
○野田哲君 はえなわマグロ漁船のここ七、八年来の輸出の状況について、それぞれの国別、年別に報告してもらいたいと思います。
○政府委員(森整治君) 四十八年が一番多うございまして、マグロ漁船輸出隻数二百隻、それからその後規制措置が行われまして、四十九年が八十四、五十年が二十四、五十一年が四十六ということになっております。そのうち五十一年で申し上げますと、韓国が四十六隻のうち二十隻、パナマが四隻、フィリピン九隻、インドネシア一隻、その他十二隻ということになっております。
○野田哲君 もっと前から、四十四年ぐらいからの国別の輸出状況をおっしゃってください。
○政府委員(森整治君) 四十四年が総数で三十七隻、四十五年が総数で六十九隻、四十六年が百十九隻、四十七年が百十一隻、四十八年が二百隻ということで、これをピークにいたしまして、先ほど申しましたように以下下がってきておるということでございます。で、ちなみに、いろいろ申し上げるのはあれですから、一番高い四十八年の二百隻のときの国別の内訳を申し上げますと、韓国が六十隻、パナマが百五隻、フィリピンが十隻、インドネシア十四隻、その他十一隻というふうに相なっています。
○野田哲君 このはえなわマグロ漁船を外国へ輸出をする場合の手続、関係各省の所管事項について、それぞれ水産庁、運輸省、通産省、大蔵省、お答えいただきたいと思います。
○政府委員(森山信吾君) 船舶の輸出を行います際には、通産省の方へ輸出承認申請を出していただくことになっております。したがいまして、私どもは、その輸出承認申請がございますと、特に漁船の場合は、わが国の水産行政との調整を図るという観点から直ちに水産庁に協議いたしまして、水産庁のオーケーが出たものにつきまして輸出承認をする、こういう手順をとっておるところでございます。
○政府委員(謝敷宗登君) 運輸省は、船舶の登録事務をやっておるわけでございますが、漁船を海外に売船しました場合には、海上運送法の四十四条の二の規定で譲渡許可が出されます。この時点で水産庁と協議をしておりますが、その上で国籍喪失の事実を確認をしまして、船舶法の第十四条第一項の規定で当該船舶の登録を抹消するということになっております。
○政府委員(戸塚岩夫君) 税関長が輸出を許可する際には、先ほど通産省から話のありました通産大臣の承認があるかどうかを確認の上、許可をして輸出するという手続になっております。
○政府委員(森整治君) 各省からお答えがありましたとおりでございまして、分けて言いますと、新船を輸出する場合、これは通産大臣の輸出承認が必要でございますが、それについての協議が要る。それから中古船につきましては運輸大臣に対する承認が要りますが、これにつきまして水産庁に協議がございます。いずれの場合も輸出される場合にはもちろん通産省の許可が要るということになっております。
○野田哲君 民間の借款による場合には、これはどこが扱っているわけですか。
○政府委員(森山信吾君) ただいまの御質問の民間の借款でございますが、船舶、特に漁船につきましては、現在、経済協力関係を除きまして、一般に延べ払いというものを認めておりませんので、輸出申請者が自分で資金を調達していただく、こういうことになっておりますので、いわゆる民間信用供与という業務は行っておりません。
○野田哲君 韓国に非常に船がたくさん出ているわけですけれども、韓国の場合には、外資審議会でそれぞれ承認の手続をしているわけですが、この韓国で外資審議会で承認手続がとられたものについては、当然、日本で輸出の場合には、その措置は輸出業者から輸出の申請に対してはそれぞれそのことが記載をされて出てくるわけですか、いかがですか。
○政府委員(森山信吾君) 韓国については御指摘のとおりでございまして、先ほど私がお答え申し上げました中に、経済協力案件を除きと申し上げましたのはまさに先生御指摘のところでございまして、韓国につきましては日韓漁業協力資金というものがございまして、その枠内で処理をするものにつきましては、御指摘のとおり、その証明をつけて私の方へ輸出承認申請をする、こういう手順になっております。
○野田哲君 このマグロ漁船の輸出については、韓国に次いでパナマが非常に多いんですが、延べにしていまの報告だけでもパナマに二百十六隻出ておりますが、このパナマの二百十六隻については、これはいわゆるぺ-パーカンパニー、現地法人をつくって、そして便宜置籍船というような形で出ている、こういうふうに私どもは調査をしているわけですが、通産省の方で日本の大手商社で現地に現地法人をつくっている状況は把握をされておりますか。
○政府委員(旦弘昌君) 海外投資の案件だろうと思いますので、その点からお答えいたしますが、いわゆる総合商社九社のパナマに対します現地法人の設立数は、昨年の十二月末で二十七件でございます。
○野田哲君 その二十七件、名前をちょっと言っていただけませんか。
○政府委員(旦弘昌君) 個別の企業の案件でございますので、その名前につきましては御容赦いただきたいと思いますけれども、その各社の中におきましては漁業関係は一件もございません。
○野田哲君 どうして名前が言えないんですか、これ。
○政府委員(旦弘昌君) 個別の企業がどこにどういうような投資をしたかということにつきましては、私どもの職務上知り得た秘密でございますので、御容赦いただきたいと思います。
○野田哲君 名前を知るだけが、私は、その守秘義務に抵触するとはどうしても思えないので、これは委員長の方で資料として提出をしていただくように計らってもらいたいと思います。
○委員長(鍋島直紹君) 理事会に諮りまして処理いたします。
○野田哲君 韓国へ輸出をする場合の価格については、そうすると通産省で把握をされているわけですか。
○政府委員(森山信吾君) 私どもに輸出承認申請がございますと、先ほどお答えいたしましたように、資金枠であるかどうかをチェックいたしまして、同時に水産庁の方へ協議をいたしますので、私どもといたしましては、価格のチェックをいたしておりません。
○野田哲君 いまのはよくわからなかったのですが、チェックをしていないということですか。
○政府委員(森山信吾君) 通産省といたしましては、価格のチェックはいたしておりません。
○野田哲君 それじゃ価格を承知をしているのはどこですか。大蔵省ですか、水産庁ですか、どこですか。
○政府委員(戸塚岩夫君) 御承知のように、税関では通関統計を所管しております。一隻一隻の船がどうだというんじゃなくて、マクロ的に統計にふさわしいような形をとりまして、韓国向けの漁船について申し上げますと、新造船と中古船という分類で金額を把握しております。四十九年では二百九十六億二千七百万円、新造船が百八十八億五千四百万円、中古船が百七億七千三百万円。ただ、この中古船の中には漁船以外の船も入っているという統計になっております。
○野田哲君 先ほど通産省の方では、韓国で外資審議会の承認を得たものについては、そのことが記載をされて輸出承認申請が出ている、こうなっていると答えられたわけですから、そうすると、韓国での外資審議会の承認を受けたものが記載をされているとすれば、当然、価格についても記載をされているんじゃないんですか。
○政府委員(森山信吾君) 輸出承認に際しまして、添付されました資料と輸出承認申請そのものの価格のチェックはいたしますが、先ほどお答えいたしました点は、その価格がどういう基準で算定されたものであるかということのチェックは私はしてないという意味でございます。
○野田哲君 それでは具体的なことを一つ伺いますが、一九七七年の二月十一日に開かれた韓国の第百二十八回の外資導入審議会で承認を受けたマグロはえなわ漁船の導入、これは韓国側のことなんですが、買い入れ方はユニコ産業、マグロはえわ漁船三隻、輸出は日本の東食、承認金額は三百九十四万一千ドル、つまり一隻が百三十万ドル強になっているわけです。それは把握をされておりますか。
○政府委員(森山信吾君) 個別の問題でございますので、私、ただいま資料を持ち合わせておりません。私自身といたしましては把握をいたしておりません。
○野田哲君 いまここで把握をされてないにしても、通産省では資料を調べればわかりますか、これ。
○政府委員(森山信吾君) 調査をいたしてみます。
○野田哲君 それはどのくらいかかりますか、時間は。
○政府委員(森山信吾君) 数日、時間をいただきたいと思います。
○野田哲君 通産大臣、あなたは船の売り買いはお詳しいはずなんですが、いま私一つ例を挙げたんですが、これは韓国側で発行されている東洋経済日報、これに掲載をされている、先ほど言いました韓国の外資導入審議会で承認をした事項なんです。はえなわマグロ漁船三隻で三百九十四万一千ドル、こういうことですね。一隻が百三十万ドルですから、これは去年の二月です、約三億近い金額になっているわけです、一隻当たり。 まだほかにもありますが、一九七三年、この資料もやはり同じ外資審議会の資料なんですが、承認ナンバーが八十一、輸出したのはトーメンで、買った方は釜山水産、四百三十四トン級マグロ・カツオ漁船一隻九十万ドルです、やはり三億ドル前後の金額になっているわけです。さらに同じ年、三井物産から韓星産業、三百七十四トン級マグロ・カツオ漁船、これもやはり九十万ドル。 先ほど水産庁の方で答えられた、中古船七年を経過したものは六千ないし七千万と、こうおっしゃったわけですが、私の調査したところでは、七年を経過したものを造船所で下取りをしてもらって、これを造船所のドックの費用を入れて大体五千万だと言われております、中古船を日本で取引されておる額は。五、六千万円の中古のマグロ漁船が、韓国へ行ったときに、どうして三億前後の金になるんですか。いかがですか、通産大臣。
○政府委員(森山信吾君) 先ほどお答え申し上げましたように、具体的な問題として私掌握いたしておりませんので、直ちに調査いたしまして御報告いたしたいと思います。
○野田哲君 昭和四十四年から昭和五十一年までの間、韓国へはえなわマグロ漁船が二百八十隻、これは水産庁で把握をしておられるだけでも二百八十隻輸出されているわけです。大体、取引ですから、いま申し上げたような形の相場で取引がされていると思うんですね。そうすると、政府が把握しておるだけでも二百八十隻で、いまの韓国側で承認をした価格と日本から輸出した価格との間には一隻当たり二億の開きがありますから、中古船だけで韓国からの取引で五百六十億円も商社はもうけていることになるわけです。パナマに二百十六隻出ておりますが、このパナマの二百十六隻は、ほとんどこれは便宜置籍船という形で、やはりパナマを経由して、実質は韓国で使われていると言われております。これを含めると、中古漁船で一千億からの利益を商社は上げている、こういう推定ができるわけです。 これは先ほどの通産省の調査をした結果を待って、私は、再度、この問題で質疑を続けたいと思いますので、残余の時間は繰り越したいと思います。
○委員長(鍋島直紹君) 終わりますか。
○野田哲君 終わります。
○委員長(鍋島直紹君) 都合によりまして、野田君の一般質疑をここで中止いたしまして、残余の質疑は留保いたします。
○野田哲君 資料はひとつぜひ提出を求めてください。
○委員長(鍋島直紹君) 資料は通産省でお出しを願います。 ―――――――――――――
○委員長(鍋島直紹君) 次に、下条進一郎君の一般質疑を行います。下条君。
○下条進一郎君 私は、最近の国際金融問題と、それに関連いたします中小企業問題、こういう問題に焦点をしぼりまして、持ち時間の間で質問さしていただきたいと思います。 きょうの前場の円相場は、依然として高値を更新するというような状態が続いております。政府とされましては、昨年来、この円高問題を何とか解決したいということでしばしば協議をされ、いろんな対策を講じてこられておるわけでありますが、どうもそういう点が具体的な数字として効果につながってこないということを大変に残念に思うわけでございます。 また、昨日の国際収支統計二月分でございますが、それが発表されまして、すでに皆様御承知のように輸出が大変にふえておる。もちろん円ベースで見る限りは対前年比で若干の落ち込みがありますけれども、国際収支統計の中に出てまいりますのはドルベースでありますから、ドルベースが経常収支で史上最高のプラス二六%アップというような大変な規模になったということは、これは恐らく日本側のどなたも大変に驚いていらっしゃるし、また国際的にも一つの問題を投げかけている、このように考えるわけでございます。そういう点から見まして、五十二年度の経常収支の黒字は、貿易収支がざっと二百億ドルになると仮定いたしますと、百三十億ドルくらいの大きな幅になるんじゃないかということで、大変懸念されるような状態に進んでおるということを憂えるわけでございます。 そういう問題の根底に対しまして、私たちは、この機会に短期的な問題だけ処理しないで、やはり基本的な問題についてもう少し考えてみる必要があるんじゃないか、このように思うわけでございます。 御承知のように、過去におきまして、米国のドルと英ポンドが基軸通貨として、世界の決済通貨として幅をきかした時代から、だんだん英ポンドが影をひそめてドルが基軸通貨に移るころにおいて、世界の流動性がだんだんなくなるんじゃないか、そういうことでいわゆる流動性問題が論議され、その結論として特別引き出し権のSDRが出た。ところが、皮肉なことにそのころになってアメリカの国際収支が赤字になって、むしろSDRが要らなくなる。そうしてあわせていわゆる金を廃貨に追い込むということになってしまって、そこで米ドルの歯どめがなくなってしまった。トリフィン案というものが出て、理想的な考えではある意味の価値があると思いますけれども、そういうものには何らかの方法で別な形での歯どめなり国際協定ができるという前提が必要であるが、それができなかったというところに私は今日の世界的な通貨不安の原因がある、このように考えるわけでございますが、大蔵大臣、その点どのようにお考えでございますか。
○国務大臣(村山達雄君) いま下条委員がおっしゃったことは、まさしくそういうことであろうと思うわけでございまして、現在、国際通貨というものはドルがほとんど基軸通貨の役割りを果たしておりますけれども、かつてのような金にリンクしているわけではございませんし、また、流動性の見地からいろいろ言われておりますが、いまはドル側から見ますれば過剰流動性になっているわけでございます。しかし、そのことはまた同時に、裏から申しますれば、変動為替相場に移っているわけでございますが、その為替相場というものは国際収支のまにまに動いているわけでございまして、その間、世界の経済の状況あるいはインフレの状況、あるいはまた産業の競争力の関係、そういった各般の事情が非常に流動的でございますから、実体経済、それがそのままやはり為替市場にあらわれておってなかなか安定する道がない。そのためにいろんな構想が打ち出されておりますけれども、安定する条件がございませんから、なかなかいろんな構想がありましても、それ自身ができない、こういう状況にあるのではないか。変動為替相場でございますから、大きく見ますれば国際収支のまにまに動いていく、それがまたやがて一つの逆の歯どめになるはずでございますけれども、実際のそのときそのときの当事者から言わせますれば、急激なる為替相場のフラクチュエーションというものは企業の行動にとってあらゆる意味でマイナスの要素になってくる。そういうことがいま集中的にあらわれておるのではないか、お説のとおりであろうと思います。
○下条進一郎君 ただいま大蔵大臣がおっしゃいましたように、本当に世界の基軸通貨という名だけで、実際の基軸になるような安定がないままに動いておる、大変に問題を投げかけておるわけでございますが、そういう基軸通貨であるという一面は、各国が実はこれをいろんな問題を含みながらも利用し、使用し、保管しているという事実がまた物語っておりますように、ある意味ではやはりこの力というものを無視することができない現状でございます。一番たくさん持っておると言われております中近東の油の生産諸国も、そういういろんな問題を持ちながら、そのたくさんなドルを米国の銀行に預金している姿が依然として続いておる。そういう現実を踏まえて考えた場合には、やはり私たちはドル自体の今後のあり方、こういうものをもう少し突っ込んで考えて、それに対する対策を日本は日本なりにアメリカにぶつけていくということでないと、後手後手になってしまったならば、これは大変なことになるんではないかと思うんであります。 たとえば、通産大臣もいらっしゃいますが、輸出業者は円高になる、そしてまた合理化をする、そして切り詰めて輸出して、また円高になって大変な損害を受ける、こういうことになってしまうわけでありますから、その意味において、一体、日本側としては、そういう国際通貨問題のあり方、要するに幾つかの提案がこの前流動性を調節するときに出たような日本としての、そしてしかもそれは世界的視野に立っての提言というものがあってしかるべきじゃないか。なしで、ただ後手後手の手を打っていたならば、日本の経済というものは本当に困ってしまうんじゃないか、こういう点を感ずるわけでございますが、その点について大蔵大臣と通産大臣から御所見を伺いたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) その点につきましては、どちらかといいますと、ドルの全面安という問題、反面におきまして円高なりマルク高ができておるわけでございますが、アメリカもみずからひとつ世界のために、基軸通貨として世界通貨の安定のために、やはりそれなりの努力をしてほしいということを再々申し入れているわけでございますし、アメリカもまた、先般のドイツとの協定等につきましては、もう事前に全部日本の大蔵当局に向こうの財務省から連絡をとっているわけでございます。それなりに努力しているわけでございますけれども、二つ問題がありまして、何しろ国際収支、特に経常収支で日本が急激に黒字がたまっておるわけでございますから、その情勢を踏まえながら向こうに努力をまたお願いするという、両方が努めにやならぬという立場にあると思うんでございます。 アメリカにおきましても、連銀を中心とする国際経済を主として考える立場、それから国会を主とするところのさしずめは国内の利益、こういったものを考える人たち、いろんな立場の人があることは日本と同様でございまして、非常にその間むずかしいことになっているわけでございます。われわれ財政当局といたしましては、絶えずあらゆる機会を通じましてあらゆる情報交換をし、言うべきことは言っているのでございますけれども、御案内のようなアメリカの国会の情勢でございまして、一番大きな問題は、やはりエネルギー法案が通るということがアメリカ側の対処としては一番大きいのではないであろうか。日本といたしましては、いかにしていまのような急激な黒字基調を緩和できるか、この二つにかかっているような感じがいたすのでございます。
○国務大臣(河本敏夫君) 最近、過去一カ年の大体輸出の状態を調べてみますと、金額ではいまお述べになりましたように、二割前後ふえておりますが、数量では昨年の初めから一月までは大体平均五%ぐらいしかふえておらぬわけです。もっとも二月になりましてから円高傾向が非常に顕著になりましたので、いわゆるリーズ・アンド・ラグズの傾向が出てまいりまして、二月には数量的にも一二%ぐらい伸びております。 五十三年度は、数量的には横並びとわれわれは想定をいたしております。ただ、金額的には、数量は横並びでありましても、やはり相当の商品におきましては値上げもしておりますし、これが平年度化される、こういうこともございます。また、中には円建てで貿易をしておるものもございますが、こういうものは当然ドルに換算をいたしますと金額が大きくなる。それから国内の需要がまだ回復いたしませんので、国際競争力がありませんので値上げできない、こういう業種もあるんですが、そういう業種も一定の操業率を維持するためには赤字輸出、出血輸出というものを続けておる、こういうことが総合されまして現在のような状態になっておるわけでありますが、ただ何しろ五十二年度は数量は五%、五十三年度は数量的には横並びと、こう想定をしておりますので、私どもは何とか適当な水準で円が安定をするということを強く期待をしておるわけでございます。 先般、アメリカの大統領は、二回にわたりまして、アメリカの通貨であるドルは強いんだと、アメリカの経済は大変強いんだということを二回にわたって声明をしておりますし、私どもは、現在の水準は日本の経済というものが過大に評価されておる、先方は過小に評価されておると、こう言っておるわけでありますから、私は、その間、十分意見を交換すれば、何らかの道は見つかるのではないか、このように期待をいたしております。大蔵大臣もお話しになりましたが、通貨当局は絶えずアメリカと密接な連絡をとっていただいておるようでありますが、来月の下旬には総理も渡米されまして、五月早々、アメリカ大統領と懇談をされる、こういうスケジュールもございますから、わが国といたしましては、それまでに内需拡大のためのあらゆる対策というものをもう一回考え直してみる必要があるのではないか。予算も来月早々通りますが、それと相前後して内需拡大策をもっと洗い直してみる必要があるのではないか。同時に、先般、緊急輸入対策も一応は方向が決まりましたが、これもさらにもう少し拡大する方法がないかどうか、こういうこともあわせて検討してみる必要があるのではないか。そういうわが国としてのやはりやるべきことを十分整えながらアメリカ側と意見を交換する、そして新しい秩序というものを求めていく、こういうことがぜひ必要であるということを痛感をいたしております。
○下条進一郎君 いまいろいろ御説明を伺いまして、それぞれ理由のある御説明だと思いますが、大蔵大臣の御説明の中に、アメリカの国際収支をよくするのに石油法案が通ることを望んでおられる。確かにそれは一つの効果ある措置だと思いますが、実際にそれが可能かどうかという問題になりますと、いろんな問題があるやに聞いております。 また、先ほどの西独とのスワップ取り決めの拡大の問題でありますが、金額をただ倍にした程度でございますので、このように荒れている国際金融市場において一体それがどの程度効果があるか。さらにまた特別引き出し権の利用についてのオファー、これも従来からの一つの枠内の問題でございますから、それがまたそう大きく影響があるというふうには考えられないんじゃないか。そういう点から考えますと、やはり先ほど申し上げましたように、金廃貨に追い込んでしまって自由になってしまった米ドルというものの一つの動きなりビヘービアというものをどうやってまた再現できるかどうか、そこらに一つの問題があるんじゃないか。大変にむずかしい問題かと思いますけれども、何らかの方法でそういったところに歯どめの問題を考えていかない限り、これは私はいつになっても解決しない問題じゃないかと思うんでございます。 ちょうど牛場さんも来られまして、この間も米国へ行っていろいろと交渉されたわけでございます。貿易問題のみならず、そういう国際的な問題、特に米ドルの今後の問題について米当局が一体どのように考えておられるか。私は短期的に見るならば、日本との貿易収支のインバランスを直すためには、ほったらかしておくといいという物の考え方もあるようでございますけれども、長期的に見れば、やはり米ドルのためにはほったらかしておいてはいけないんだという見方も私は当然米国内にもあるように聞いております。そこらの点で米政府当局というものは、どういう考え方で今後処していくようにお感じ取られたか、許される範囲において御感触を承りたいと思います。
○国務大臣(牛場信彦君) 私も主として貿易関係のことをやってまいりましたので、通貨問題につきましては折に触れて向こう側の考えを聞いたという程度でございますけれども、あの当時から言っておりますことは、とにかくアメリカ当局としては一番先にエネルギー法案の早急通過を図りたい。もちろん、これはすぐには効果は出ないだろうけれども、しかし、その通過によって非常な心理的なやはりいい影響があるだろうということでございますね。 それから、日米共同声明の中では、ドルの地位を強くするということをアメリカはこれからやるんだと。その一つがもちろんエネルギー法案の通過でございますけれども、もう一つは輸出の増進を図るということで、これはいまアメリカの中でもいろいろ議論のあるところでありまして、アメリカの産業が本当に国際的競争力を失ったのかどうか、あるいは弱くなっているのかどうかということにつきましては、そうじゃないんだという議論もあるようでございますけれども、近ごろはやはりだんだん、そうじゃないんだ、やっぱり輸出をもっとやらなきゃならぬという気が起こってきているということは、どうも私は事実だと思います。いまアメリカで活躍しております日本の輸入促進ミッションからの報告によりましても、アメリカ側でもそういう動きが非常に出てきておる。そして、ことしじゅうにはアメリカの方から今度は日本に対して輸出促進のためのミッションを送ろうというような議もあるようでございまして、これはいずれもやや時間のかかる問題ではございますけれども、方向としてはいい方向に動いておるという気がいたします。 カーター大統領も、いままででもすでに三遍ぐらい、ドルの安定、価格の安定を図る必要があるということは申しております。その中には必ずアメリカの輸出増進の必要を説いておりますし、最近、ドイツとの合意の発表の際におきましても、そういうことに触れておるようでありまして、もちろん基本的にアメリカがドルの減価をそれほどひどく心配しているかと言いますと、それはまだあるいはそういう状況にはなってないかもしれませんけれども、しかし、安定の必要性ということにつきましては、これは世界各国からの要請もありますし、きわめて重要と考えておると思います。
○下条進一郎君 その次の問題でございます。 先ほど通産大臣がいろいろと輸入の促進について努力していらっしゃる実績、また計画中のことなどの御報告がございましたけれども、日本の輸入は、御承知のように、原料輸入が大部分でございますから、政府がやっておられる内需喚起によっての弾性値というものは大変低いわけでございますから、したがって、そう急に大きな黒字解消の手がかりになるということは考えにくいのじゃないかと思います。 そこで、先ほどちょっと触れられました輸出問題でございますが、私は、日本の輸出というものは、日本の経済の復活と申しましょうか、景気浮揚につながる非常に大事な要素を含んでおるし、日本の将来の産業構造の先端のものがまた輸出産業としてつながっておるというような非常に重要な問題を持っておる。しかしながら、現時点においては黒字の問題で大変にまたいろいろ影響を投げかけておる。こういう問題について通産当局としてはどういうように考えられ、また、どのように対処していかれるおつもりか、御意見を伺いたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 輸出の最近の内容でございますが、鉄の方はアメリカとの協定ができまして、例のトリガー価格というものでやることになりました。だから数量的には減ると思いますが、価格の面では相当これは上昇しますから、金額的には相当ふえるのではないか、このように思っております。 いま、またヨーロッパ等は、鉄鋼関係の責任の局長が向こうへ参りまして、ヨーロッパとの関係はいま調整中でございまして、数日中に話がつくと考えております。 それから、非常に伸びておりますのは自動車でございます。自動車も現時点では伸びておるのですけれども、私は、ことしの一月から十二月までの暦年を通じての数字は、これは大体横並びではなかろうかと考えておるのです。と申しますのは、昨年の一-三月は自動車の輸出が非常に落ち込みまして、数量的にも少なかったのです。だから昨年の一-三月に比べますと、ことしの一-三月はふえておりますけれども、年度間全体を通じましては、私は数量的にはほぼ横並びであろう。ただ金額的には、数回にわたる値上げをしておりますから、金額的には相当増加をすると、こう思います。 それからプラント輸出の関係のいろいろな機械類でございますが、これはやはり最近円高傾向だというので早く出しておこうというので、先ほど申し上げましたリーズ・アンド・ラグズの傾向が多分に見えます。 それから繊維、雑貨類は、これは当初の見積もりもやや少なかったのですが、これがやはり相当伸びております。主としてアメリカ及び東南アジア向けでありますが、相当額予定よりも大幅に伸びておる、こういう状態でございます。 で、総じて言いますと、先ほど申し上げましたように、五十三年度は数量的には大体横並びである。でありますから、輸出を減らせばどうだという議論を言われる向きもありますけれども、そういうことをいたしますと、たちまちのうちにして生産を減少しなければならぬ。そうするとその企業自体に影響が出るだけではございませんで、やはり関係の中小企業であるとか、あるいはまた下請産業等に対しましても大きな影響が出てまいります。幾ら積極財政、積極予算を組みましても、一方で輸出の数量を減らすということになりますと、これまた大変な影響が出てまいりますので、先ほど申し上げましたように、何とか通貨の安定、こういう方向が見出せますように、私どもは日米首脳会談、七カ国首脳会談に大きく期待をしておるわけでありますが、それにいたしましても、その前にわが国としてもう少し努力をする必要があるのではないかということを先ほど申し上げたわけでございます。
○下条進一郎君 そこで、経常収支の面で、この問題の解決の促進剤になるものは、簡単に言えば、資本の面で海外投資あるいは無償援助というものを強化し、また促進するということではないかと思うのであります。現在、日本の無償援助というものは非常に少ない。そしてまた意外にそれが求められているということでありますので、その現状とこれからの御計画を伺いたいと思います。大蔵大臣と、それから牛場大臣から。
○政府委員(武藤利昭君) ただいま御指摘のございました無償援助の拡大ということは、私ども外務省といたしましても、経済協力の重要な柱の一つと認識しているところでございまして、その拡充につきましては鋭意努力している次第でございます。 ただいま御審議いただいております昭和五十三年度政府予算原案におきまして、政府開発援助事業予算全体の伸びは一五・八%ということになっているわけでございますが、その中で無償援助だけをとりますと、その伸び率は前年に比べまして八九・二%ということになっているわけでございまして、無償援助の拡大につきましてはこのようにいたしまして努力しているわけでございます。 わが国の経済協力につきましては、量の問題、質の問題、ともに国際的に見劣りがするということで御批判をいただいているわけでございますが、質の問題につきましては、特にいまグラントエレメントがDAC諸国の中でも最低であるというようなことで、その改善を図らなければならないわけでございますが、無償援助を拡大するということがひいてはわが国の経済協力の質を向上させるということにもつながるわけでございますので、鋭意努力しているわけでございます。 ただ、貿易収支の黒字幅との関連について御指摘がございましたが、従来、わが国が行っておりました無償援助というのは、一般的にタイドと申しますか、日本の品物が出ていったわけでございまして、無償援助でございましても日本の援助物資を使います限りにおきましては、これは黒字幅の縮小には貢献しないわけでございまして、黒字幅の関係から申しますと、無償援助につきましても、これをアンタイドと申しますか、第三国産品の使用を認めるというようなことを考えなければならないかという問題があるわけでございますが、この点にいたしましても、黒字幅縮小との関係もございまして検討いたしたいと考えているところでございます。
○下条進一郎君 ただいまくしくも数字が出まして、大変に少ないという感じは、お聞きになった方はどなたも感じられたと思います。ぜひ量と質の面で思い切ってこういう相手国も喜ぶことですし、外貨収支の改善にも役立ちますので、努力していただきたい、このようにお願いいたします。 それから、短期資本収支の件でありますけれども、こういう日本のように経済が大きくなりまして、まだ外貨金融が大変にたくさんついておる、そういう状態がまだ依然として改善されていない。そういう意味においてユーザンスが四カ月から六カ月に延びたり、その他のいろんな物の購入についてEXIM借款がついたり、農産物のCCCの金融がついたりというような状態がいつまでも放置されていいのか。さらにまた、今度、自由円預金勘定の準備率五〇%を一〇〇%にいたしましても、円ドル価値の直先のスプレッドがあれば、これは当然もうかるわけでありますから、私は、そういう問題について、むしろ思い切ってスイスのようなネガティブインタレストをつけるぐらいの勇気を持ってスペキュレーションのような短資に対しては取り組むというようなことが必要ではないかと思うのでありますが、その点について、大蔵大臣に。
○国務大臣(村山達雄君) 短資の流入につきましては、おっしゃるように、今度はあのような措置を講じたわけでございますが、これはもう下条さん御案内のとおり、幾らでも抜け道はあるわけでございます。ネガティブインタレストをつけたとしても、同じようなことが同様に言えるわけでございます。私は、そこには一つの効果に限界があると思っているのでございます。 それからまた、ネガティブインタレストはどうであるかと、こういうことになりますと、あれは技術的にも非常にむずかしいわけでございますし、今度の措置と恐らく効果において大同小異であるということは、そう想像にかたくないと思っているわけでございまして、いまのところ、そのようなことをとることは考えておりません。
○下条進一郎君 そこで、ちょうど日銀総裁もおいでになりましたので伺いたいんですが、大変に外貨準備がふえてまいりまして、ないときに比べればふえるのは結構でありますけれども、目減りする外貨準備というものがやはり国民の立場から見ますと心配だと。特に日銀の資産勘定といたしましては、外貨の比率に占める割合が大変高いわけでございますので、そういう点で、一体、これからどんどんオペをやれということでオペをやる、またふえる、減価する、こういう状況に対しては、日銀としてはどういうように健全化の問題を考えておられますか、ちょっとみんな心配している問題でございますので。
○参考人(森永貞一郎君) 日銀が保有しておりまする海外資産の総額は、昨日現在で四兆二千四百二十六億でございます。この中には金あるいは世銀に対する円建ての貸付金等も入っておりますが、かなりの分が外貨建て資産であるわけでございます。それを日銀券の発行準備に充当いたしておることは御承知のとおりでございまして、現在、この充当物件の総額は十四兆五千三百五十三億でございまして、そのうちの外国為替のウエートは約一七・八%。この割合は必ずしも増加の一途をたどっておるわけではございません。昨年の二月は一九%でございましたのが、ことしの二月は一七・八%というようなことで、必ずしも増加の一途を続けておるわけではございません。 御指摘のように、外貨建て資産、外国為替の円の評価額が円高に伴って減少しておることは事実でございますが、これは私ども、国の場合もそうでございますが、日本銀行が保有しておる外貨の性質から申しまして減価はやむを得ないのではないか。そういう場合に備えて、実は日本銀行の内部留保を極力厚くしてまいっておるわけでございまして、先般、外国為替の基準相場が変更になりましたが、それに伴う評価損はすべて内部留保によって補てんすることができたわけでございます。また、この充当額の評価はそのときどきの為替相場によって洗い直しておるわけでございますので、もし御質問の趣旨が、円高に伴って円建ての評価額が減少することによって日銀券に対する信頼に危惧の念を生ずるようなことはないかというような御質問であるといたしますれば、以上申し上げましたような措置を講じておりまして、内部留保も十分備えておりますので、御心配のようなことは万ないということを確信いたしておる次第でございます。
○下条進一郎君 そこで、こういう経済の非常に変わり目のときに、この前ほかの方の質問の中にありましたように、金利の自由化という問題がしばしば質問の中に出ておりました。大蔵大臣も日銀総裁も、それは方向として結構であるというお話でございましたけれども、一体、どういう点が結構で、どういう点が問題があるからできないのか、その点をちょっと御両人から教えていただきたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) 金利の自由化がどこに利点があるかと申しますれば、やはり市場原理がよく動く、一言にして言えばそういうことであろうと思うのでございます。 しかし、わが国の場合に当てはめて、それならできますかということになりますと、御承知のように日本は間接金融が大部分なのでございます。直接金融を主としておる欧米とはそこに基本的な違いがあるわけでございまして、もし本当に金利の自由化ということになれば、預金の利子の自由化からまずスタートしなければいかぬだろうと思うのでございます。しかし、もしそれをやったとすればどういうことになるか。恐らく大口預金の利子は非常に高くなりましょうし、小口の預金は市場に任せれば低くなるでございましょう。そのことはまた考えてみますと、いまそれぞれ大口の需要者あるいは中小企業を相手にするもの、あるいは住宅ローンであるとか消費金融、こういったものをそれぞれの分野で受け持っておるわけでございますけれども、もしそういうことになりましたら、恐らく住宅ローンの金利が高くなり、消費者ローンの金利がべらぼうに高くなるということはもう当然なことでございます。 したがって、そういうことをそのまま放任しておいていいのか。全部でき上がった姿を考えますと、あるいはその方が合理的かもしれぬということになりますけれども、その過程においては大変なことができてくるんじゃなかろうか。特にまた金融機関のその間に優劣の問題が出てまいりますから、下手をいたしますと信用の基礎に触れる問題が当然出てくるわけでございます。したがって、私たちは金利の自由化のメリットというものを考えながら、しかし現実問題としては、やはりそのメリットを生かしながら、その言っている意味を生かしながらやはりいくよりしようがないんじゃないかというようなことで、いろいろ工夫をこらしましていま金利の弾力化をやっているところでございます。流通市場の金利も考えながら、また政策金融の金利も考えながら、両面に向かって進んでいるというのが実情であろうと思うのでございます。
○参考人(森永貞一郎君) ただいま大蔵大臣からお話がございましたので、つけ加えて申し上げることはほとんどないのでございますが、私は、金利の弾力化、自由化のメリットは何かと申しますと、金利機能を一層活用し資源の配分を適正ならしむるという意味での金融政策の効率を一層高めるということだと思っておる次第でございます。これから国債がたくさん出るわけでございますが、そういう情勢に処してインフレをあくまでも回避しながらこの経済を安定的に運営していく、発展さしていくということから申しますと、どうしてもこの弾力化、自由化を進めなければならないと思っておる次第でございまして、さしあたり国債の発行に当たりまして、発行条件をできるだけ市場の情勢に即してお決めいただくというようなことから始めていただきたい。いまでもすでにそういう方針で臨んでおられるのでございますが、一層その方向に進んでいただくようなことを手始めといたしまして、だんだんにその他の金利全般に自由化が及んでいくようにということを理想としてはこいねがっておる次第でございます。ただし、自由化を進めるに際しましては企業の立場、預金者の立場、あるいは金融機関の立場、いろいろ複雑に絡み合った問題がございますので、その辺を摩擦なく進めることがどうしても必要になってくるわけでございます。当面は余り焦らないで、関係者の皆さんの御理解を深めながら、穏便のうちにだんだん理想的な状態に進んでいくという慎重さが必要なのではないかと思っておる次第でございまして、その点につきましては大蔵大臣のお答えと全く同感でございます。
○下条進一郎君 確かにいろいろと配慮しなければならない問題がたくさんあると思います。しかし、預金金利につきましては、その名の示すように臨時金利調整法という臨時という法律によってやっておるわけでございまして、臨時というのは短い法律じゃないかと思いますので、その意味につきましては、ぼつぼつ前向きでやっていただきたいと思います。 先ほどおっしゃいましたように、小口金融についての問題はたくさんございますので、それについては米国的なやり方もあるわけでございますし、ヨーロッパでもいろんな手だてをつけておるわけでありますから、そういう配慮をすればできないことはないと思いますし、また現在こういうような為替が非常に乱高下しているときに、そういうもののクッションにもこの自由化が役立つだろうということも考えられますし、いろんな合理化にもつながりますので、ひとつ御研究をしていただきたいと思います。 それから、運輸大臣はお時間がおありだということで、先に聞かしていただきたいと思うのです。これから後はずっと中小企業の関係でございますが、自動車の整備事業者というのが全国にたくさんございます。約七万と聞いておりますけれども、その中で大体五人以下の小さな町の自動車修理屋さんというのが多いわけでございます。これが現在は大変に不況にあえいでいると、たとえば自動車の品質がよくなったので修理が減ってきたとか、そしてまた、いわゆる価格の取り決めをしていけない、公正取引に違反するということでそれが禁止されたというようなことで、大変に困っておるということを聞いておりますが、この点で、せめてそういう小さい業者の場合には、国の代理業務をしておりますところのいわゆる車検とか、あるいはまた定期点検というところぐらいは例外措置を講じてもらうというようなことで、ある程度ダンピングがないように、そしてダンピングと同時に、うらはらで交通安全につながるようなことで手抜きがあるということのないようにしていただいたらどうかと思いますので、その点について運輸大臣と公取委員長から御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(福永健司君) お話しのように、自動車整備の仕事は非常に交通安全とも関係して重要なことでございますので、ダンピング等のことが起こって、それがしたがって車の整備に手抜きが行われる、そのことがいろんな事故につながるというようなことは、これは絶対に避けなければならぬと思います。そういうわけで、標準価格等も表示して対処するのがいいという考えは確かにございましょうが、後でまた公取等の話もございましょうが、独禁法とか、公取の方の所管されることと関連して多少問題があり得るわけでございます。あり得るわけではございますが、それだからと言って、いまの弊害が生ずるようなことをするんではこれは行政にならぬと思います。でございますから、あえてすれすれとは申しませんが、禁止されたことそれ自体に抵触するというような方法でなくて、適切な指導を行って、手抜き等が起こらないりっぱな作業を行わせるようにという措置をできるだけ講ぜしめるようにしていきたいと存じます。 必要によりまして、自動車局長も伺っておりますから詳細なことを申し上げることにいたします。
○委員長(鍋島直紹君) 日銀総裁にはありがとうございました。御退席をいただいて結構でございます。
○政府委員(橋口收君) 日本自動車整備振興会の行為に関するお尋ねであると思いますが、これは社団法人日本自動車整備振興会連合会は独占禁止法上の事業者団体でございまして、事業者団体の構成員のためにする行為がどこまで許されるかというのは古くして新しい問題であると思いますし、ことに構成員が中小企業者、零細事業者であります場合には、たとえば経営指導とか技術指導とか、そういうことは従来からやっておられますし、またそれは、もちろん適法ということが申し上げられると思います。問題はその料金とか価格に触れるような内容にわたる行為になりますと、これは独占禁止法上違反の疑いが濃いということで、従来からそういう方針を堅持いたしておるわけでございまして、いま運輸大臣が大変うまいことをおっしゃったのでございますけれども、すれすれと申しますか、この境目と申しますか、そこがどの辺であるかということでありまして、たとえば原価構成を示すとか、それから原価計算の指導をするとか、それから修理事業の場合でありますと標準時間、この車のエンジンをつくるにはどのくらいの時間が必要だ、そういう標準時間等を示すところまではこれは合法だというふうに考えております。五十一年に公正取引委員会が警告をして破棄をしていただきましたのは、まさにこの料金表そのものでございまして、大変分厚なものが、これはどんな人間でもひょっと見ますと、すぐこのボデーを掃除すれば幾らということがわかるような表をつくって、これを全国にばらまいているということになりますと、これはどうしても全国の七万軒程度の修理事業者はそれを拳々服膺してそのまま適用するということで、これはユーザーからも苦情が来ておりますので、そういう料金とか価格に触れない範囲でぎりぎりの指導をしていただくのはこれは差し支えない。そういうことで、いま標準時間につきましてのガイドラインというものは、これは振興会でおつくりになってこれは業者に示しておられるので、もちろんその辺であれば差し支えないというふうに考えております。
○下条進一郎君 なかなかむずかしい問題と思いますが、よく業界の立場を考えていただいて、前向きに処理していただきたいと思います。 それから、雇用問題につきまして労働大臣と経企庁長官に伺いたいと思うのでございます。
○委員長(鍋島直紹君) 運輸大臣はよろしゅうございますか。
○下条進一郎君 結構でございます。
○委員長(鍋島直紹君) では、運輸大臣は御退席いただいて結構です。
○下条進一郎君 日本の労働時間、これは非常に勤勉のようで実はかなり中が抜けているという説もございますけれども、一応額面でとる限り先進国の中では非常に長い時間を働いておるというのが現実でございます。その一つのあらわれとして週休二日制がなかなか実行できない。まあ大きな銀行とか商社とかメーカーのところではやっておられると思いますけれども、国全体ではやっていない。そういうことが労働のいろいろな価値の評価の関係で、諸外国と並びになっていないという批判を受ける面もございます。 そこで、つい最近行われました金利の引き下げ、それによって貯蓄率にどのくらい影響があるかということをいろいろな専門家の意見を聞いてみますと、金利が下がっても貯蓄率はそう下がらないだろうという意見がございます。ところが、余暇がふえればむしろ消費がふえるかもしれない。たとえば、土曜、日曜の二日休みになれば、ともかく家にごろごろ寝ているわけにはいかないので外へ出ていく、そういう意味においてやはり少し消費がまたふえていくだろうという面もございますので、そこらのこれからの休暇、あるいは年次休暇も含めてのそういう休暇の処理の仕方についての御指導を労働大臣はどのように考えていらっしゃるか。 また、経企庁長官といたしましては、金利の引き下げが貯蓄を下げることでなくして、依然として消費にもつながらないという物の見方があるとしたら、こういう休暇をふやすことによってどのように消費につながるかというような問題点について御回答いただきたいと思います。
○国務大臣(藤井勝志君) かせぐに追いつく貧乏なしというこういう考え方が、長い実は日本人の物の考え方、社会観のように考えられる面もございますけれども、やはりこれから先の日本の経済の行方を考えますと、まず何よりも仕事をお互いに分かち合うという面からも、また、いまお話しの外圧の背景には日本人の働き過ぎということもございますし、同時にまた、労働省としては労働者の福祉の向上、生活の安定、こういったことがわれわれの務めでございまして、そのようなことをいろいろ考えますと、やはり労働時間の短縮、週休二日制、年次有給休暇の消化、こういった問題については前向きで取り組まなきゃならぬ。 たまたま私が就任いたしまして間もないころでありますが、中央労働基準審議会が公労使一致の建議をされまして、労働時間対策の進め方についての建議を受けまして、この建議はやはり法制によって一律にやるということは無理であろう。産業、企業によっておのおの実情が違いますし、特に最近のように非常に不況が続いておるとき、零細企業の実態を考えたときに、かえって労働時間の短縮ということが雇用の不安定をもたらす。こういうことにもなりますから、やはり実態に即し、工業先進国もやはり行政指導によってこれが実現をいたしまして、すでに週休二日制では、現在工業先進国の中ではイタリー、スペインでございましたか、ほかはもう全部週休二日制が完全実施されておる。こういう状態を考えますと、世界の中の日本である現状を考えると、やはりこの際、週休二日制を中心にして時間短縮、こういったことについては積極的な行政指導をやらなきゃならぬと、このように考えておる次第であります。
○国務大臣(宮澤喜一君) 私もその問題は、いろいろなときに何度か考えてみておるわけでございますけれども、自分だけの考えを申し上げることになりますが、どうもはっきりどうあるべきかがまだ自分の気持ちの中でまとまっておりません。いまという時点で考えますと、確かに仕事をみんなでシェアするということが雇用問題には私はいい影響があるだろうと考えますし、その結果、貯蓄率が何がしか休日がふえることによって下がるということは恐らくそのとおりであろうと思っておりますけれども、他方で、これは少し過去の記憶に私がこだわり過ぎているかもしれませんが、やはりわが国が持っている一番大切なアセッツと言えば、非常に質の高い、しかも勤勉な労働力であるという、これがきょうのわが国を築いたということは、今後とも私は変わっていかないのではないかという気持ちもいたすわけでございます。 それでございますから、少し長い目で見ますと、結局答えといたしましては、そうやって得られたところの時間をどのようにして一人一人が有効に使っていくかというそれだけの心の持ち方の問題と、それからそれを受け入れるような社会的ないろいろな施設あるいは機会というものがつくられているかどうかということにもやはりかかる。もしそうでありますれば、それは私は非常にいいことだと考えておりますけれども、いままだ現実にわが国の姿がそこまでいっておらないようなところがございますから、御指摘のことはよくわかりつつ、私自身考える角度によりましてどうも一つの結論が出せないでおるというのが、これ私個人の立場でございますけれども、私の考えでございます。
○下条進一郎君 次は、建設大臣と自治大臣に伺いたいのでございますが、公共事業が大変にふえてきておりますが、地方においてそういう土木関係でなくして建設関係に問題があるということをしばしば言われるわけでございます。それは公共は二割、民間が八割というような割合だそうでありますけれども、その価格の問題について、結局いまのような不況のために、その受け入れる場合にどうしても市町村に対して相当なサービス、出血サービスの値段で受けなければとれないということが現状のようでございます。加えて、また下請の方は下請のいろいろな条件で厳しい状態にさらされておる。こういう問題をしばしば耳にするわけでございますが、そういう点の現状と御指導をどのように考えておられるか、お願いしたいと思います。
○国務大臣(加藤武徳君) ここ数年の不況でございますから、建設業者の中にはいわゆる手が余っておられる人もおりますし、また入札に出します場合に、非常に競争が激甚であることは御指摘のとおりでございます。 そこで、ともいたしますと、行き過ぎた競争のために価格がうんと低い、そのために建物や工事の質が落ちる、かような場合もあったのでございますから、その辺はそういうことがないように十分に指導していかなければならぬのでございますし、ことに価格が低過ぎますために悪い工事しかでき得ないようなことは絶対に防止いたしますように、今後も地方団体を十分に指導してまいりたいところであります。
○国務大臣(櫻内義雄君) ただいま自治大臣のお答えのとおりだと思うのです。国の発注の建築関係につきましても、同様の趣旨でよく注意をしてまいりたいと思います。
○下条進一郎君 次に、農林大臣に伺いたいと思いますが、まあ米作転換で大変に苦労していらっしゃるし、また各農家も頭を痛めながらそれに即応するように努力しておるわけでございます。そこで、その穴埋めとして一番簡単にできますのが野菜でございます。畜産とか果樹は時間がかかりますが、野菜はすぐに取っかかれる。こういうことで、現在生産者もまた各市場におきましても、先行き野菜の値段が値崩れして大変なことになるのじゃないかと。消費者の立場から見れば安い方が結構ではありますけれども、めちゃくちゃな値段が出るということは、せっかく農家が一生懸命努力してもこれはもう水のあわに消えてしまうというようなことになっては大変でございます。そういう点の御指導、お見通しはどのようでございますか。
○国務大臣(中川一郎君) 御指摘のとおりでございまして、作付転換を行うに当たって、値崩れのしない、価格制度のはっきりした、たとえば麦であるとかあるいは大豆あるいは甘味資源作物、こういうようなものは、幾らつくっていただいても国が決めた価格で販売ができるということになっておりますので、こういった作物には戦略作物として奨励金も上乗せして積極的にやっていただく。それとまた、つくられると絶対まいってしまうというようなものがございますから、そういうものは対象作物としないと。たとえばミカンのごときはたくさんありますから、ミカンをつくられた場合、奨励金は差し上げないということで規制をいたしております。そのほかのものは一般作物として取り扱っておりますが、野菜はその中に入るわけでございます。 そこで、たくさんつくり過ぎますと、つくっている農家のみならず、周りの従来畑作でやっておりました野菜農家にも重大な影響を与えるというところから、地域別につくり過ぎないようにいろいろな指導をしたり、あるいはまた需給調整協議会というようなものもつくって、地域地域に必要なものをつくっていくという努力もお願いし指導もしていく、こういうふうにしているわけでございます。そしてまた、なおかつそれでも下がったというようなときには、価格補てん事業というものも今回強化をいたしまして、昨年よりは相当大幅に予算もつけておりまして、そういったことのないように十分配慮してまいりたい、こう思っておるところでございます。
○下条進一郎君 そういうことで、農家の心配のないように、市場の心配のないようにぜひ御指導を賜りたいと思います。 それから、中小企業問題の税金関係で大蔵大臣に伺いたいと思うのですが、中小企業の体質を強化する方法はいろんな形でいままでもたくさんとられてきたわけでありますけれども、自己資本比率が低いということで、現在いろいろな波に洗われて大変に苦労するということがありますので、それを一定限度までは税法上で何らかの優遇措置が講じられないか、現状以上に。 それから二点は、従業員が企業協力というか、企業の中に溶け込んで働くという意味での参加意識、これを高めるために持ち株制度の面での何か優遇措置は考えられないか。 それからまた、いま中小法人は別な税率の二八%になっておりますけれども、中小と申しましてもピンからキリまであるわけであります。その小に対して何かもっとフェーバーが与えられないか、この三点についてお答え願いたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) 日本の場合、いま中小企業と申しましたが、主として法人のお話をされているのだろうと思うのでございます。御承知のように、日本は商法の関係で、どんなところでだれでも法人をつくり得るのでございまして、会社の中小法人ウエートというのは恐らく世界でも最も高いのではないかと思っておるのでございます。しかし一方、税の問題として考えますと、いわゆる累進税率というものは自然人に適用すべきものであって、企業について累進税率等をやることは、これは基本的に先進国はどこでもとっておりません。それは当然のことでございまして、要するに利益の大小というのは使用資本の大小につながるわけでございますし、従業員の大小につながるわけでございます。それを税の方でもしそういうことをやりますれば、分割をするとか、いろんなことになってしまうわけでございまして、企業の合理性の立場から言いますと、税が阻害してしまう、こういうことになるわけでございますから、その高さは別といたしまして、どこでも比例税率をとっていわるけでございます。 中小法人につきまして、それにもかかわらず軽減税率を設けている国が、大体私知っている限り先進国で三つあるわけでございます。日本、アメリカ、それから英国でございます。しかし、比較してみますと、アメリカ、英国のその軽減税率というものは非常に低いものでございまして、たしかアメリカは二万五千ドルですかね、何か年間所得。英国はもっと低いくらい、本当の零細なところを押えているわけです。日本は、御承知のようにいまは七百万で押さえておるわけでございますから、最も配慮をした国と言えるだろうと思うのでございます。したがって、私は、もう一段つくるというのはいかがなものであろうかという感じがしております。 それともう一つ、日本の場合は個人でやろうがあるいは法人でやろうが自由でございますし、個人の場合にも青色申告制度、これは世界にない制度なのでございます。いわば法人と個人の中間段階として青色申告というのをやりまして、これは経理を明確にし、そのことによって経営改善をするというためにいろいろな措置をやっておるわけでございますから、中小企業の多いこの日本としては税制が非常に多様にできておって、ある意味でニーズに合っているんじゃないかなと、かように思っているわけでございまして、せっかくの提案でございますけれども、もう一段階低いという法人税率をつくるということはいまのところ考えておりません。 それから、第二番目の従業員の持ち株制度の問題でございます。特に中小企業についておっしゃっているのは、恐らく自己資本充実であるとか、あるいは安定株主をつくるというような意味、あるいは従業員の資産形成にも資する、こういうような意味であろうと思うのでございますが、実は税制の中ですでにその種のものはたくさんできておりまして、中小企業に対しましては特別償却制度あるいは貸し倒れ引当金の問題、準備金の問題、その他たくさんできております。それからまた、財形貯蓄に対しましては、いまたしか五百万まで免税しているわけでございますので、その上にいまおっしゃるようなものがそれほど緊急であるかどうか検討はさせていただきます。そのようなことがいまそんなに必要かどうか、まあ本当に検討させていただきたいと思っております。
○下条進一郎君 通産大臣に伺いたいと思いますが、いま資本充実の問題について投資育成会社があるわけでございますが、それが実際に資本的な支援をするのは、むしろ中堅的な大きい方の部類に主に偏っております。その点において、もう少し小さい方の、非常に資本充実をしなければならないところに、かゆいところへ手が届くような形でその育成会社をもう少しうまく動かす方法はないかどうかということが一点でございます。 それから、商中なり各制度機関の金利なり条件を相当苦労して検討していただいておりますけれども、さらにこういうような非常に変わった経済情勢の中にあるわけでありますので、もっと条件の緩和について考えていただけないかどうか。 それからもう一点は、大型店がいま非常に問題を起こしておりますので、その点について、その紛争状況、それからまたそれに対してのこれからの対策をどのように考えていらっしゃるか。この三点について承りたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) まず第一番の投資育成会社でございますが、いま東京、大阪、名古屋と三地区にございまして、これまで相当の成果を上げてまいりましたが、しかしながら、その活動状況についてはなお問題点が多々ございます。つきましては、私どもももう少し積極的に活動分野を広げまして、さらに大きな成果を上げる方法はないかということを先般来検討をしておるところでございます。せっかくの御提案でございますから、よく協議をいたします。 それから中小企業金融につきましては、制度金融、これはずいぶん内容が充実してきたと思います。ただしかし、経済は刻々に変化をいたしておりますので、その都度新しい金融を編み出すとか、あるいはまた既往の条件をよくするとか、臨機応変に対処してまいりたいと思います。中小企業金融としての役割りを十分果たすように配慮をいたします。 それから、第三の大型店舗の問題でございますが、大規模小売店舗法ができまして四年半になります。いま各地で幾つかの紛争が起こっておりまして、通産省といたしましても大型小売店舗を中心とする流通機構は現状でいいのかどうか、もう検討段階に入っているのではないかということで、先般来いろいろと検討をいたしております。幸いに小売問題懇談会というものを通産省につくりまして、そこで専門家に集まってもらいまして、いろいろ意見をまとめてもらいました。この意見をこれからは産業構造審議会あるいは中小企業政策審議会、こういうところでよく検討をしていただきまして、ほかにも幾つかの法律がございますので、そういう法律もあわせまして総合的に検討してみたいということで、いま鋭意、最終のまとめをしておるところでございます。
○下条進一郎君 中小企業問題についてもう一点。 実は参議院の自由民主党の有志で懇談会をつくっておりますのですが、その検討の課題の中の一つに中小企業の専任大臣を置いていただきたいという要望が大変強いわけでございます。いろいろな事情があろうかと思いますけれども、やはり各省にわたる問題がありますし、そしてまた、中小企業の従業者も大変な数に上るわけでございますから、閣議の中においても強力にそれぞれの担当大臣を支援していただく。そして四六時中、中小企業、中小企業ということを考えていただく大臣が欲しいんだという希望が大変強いわけでございます。その点についての御所見を承りたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 参議院でいまお述べになりましたような懇談会を昨年来つくられまして、非常に熱心に中小企業に専任大臣を置くようにと、こういう運動並びに意見を強く述べておられることはよく承知をしております。また、わが国の産業構造はアメリカやヨーロッパと違いまして、中小企業の数が非常に多いということ、そして大きな役割りを果たしておるということ、こういうことも私どもはよく承知をいたしております。ただしかし、産業政策全体と切り離しまして中小企業だけを対象とする専任大臣を置く方がいいのかどうか、これはむしろ中小企業のためにならぬのではないか、こういう私どもは意見を持っております。でありますから、中小企業政策は産業政策の中でも一番大事だと心得まして、現在あらゆる政策を進めておるわけでございますが、果たしていまはお述べになりましたようなことをする方がいいのかどうか。私どもはむしろ反対の実は意見を持っておるわけでございます。したがいまして、またこれは機会を改めまして意見をよく交換をさしていただきたいと思っております。
○下条進一郎君 反対の意見とは非常に残念でございますが、またひとつ御検討いただくように、またわれわれの方もいろいろ検討して意見を申し上げたいと思っております。 以上をもちまして私の質問を終えますが、全体的に一つの感じをひとつ申し上げたいと思います。 ある人の言葉をかりるわけでありますが、IMFの専務理事で、もうすでに亡くなりましたパー・ヤコブソンが、フランスの経済と政治が非常に混沌としていたときにドゴールに話した言葉の中で、どんな国でも強力な経済力なくして国の偉大さを維持することはできないんだと、そして強力な経済力というものは国際的に尊敬され、また安定した通貨なくして形成されることはないんだという言葉を言ったわけでございます。これは非常に含蓄のある言葉であり、現在の日本の場合にも、また世界通貨の問題に関連しても、これは通用することだと思います。それに加えて日本の場合には、特にまた中小企業の安定ということを私は特にお願いしたいと思うのでございます。 以上をもちまして私の質問を終えますが、どうかこの本予算が早く成立いたしまして、また政府におかれましても、その実施について万遺憾なきを期していただきたい、このように要望いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)
○委員長(鍋島直紹君) 以上で下条君の一般質疑は終了をいたしました。 ―――――――――――――
○委員長(鍋島直紹君) 次に、矢原秀男君の一般質疑を行います。矢原君。
○矢原秀男君 まず、大蔵大臣に伺いますけれども、経常収支が政府の見通しでございます百億ドルを突破して、五十二年は百三十億ドルを超えようとしております。こういう現況の中で各報道に目をつけておりましても、十六日にはロンドンの市場においても一ドル二百三十一円と、二百三十円を割れようと一歩迫っている状況でございます。こういう中で政府・日銀が十五日に発表いたしました、一つは公定歩合の〇・七五%引き下げ、二番目には為替管理の強化策、こういうのが効果がなくして逆に円高をあおっているのではないか、こういう国民の中にも政府に対する不信がわき起ころうといたしております。一ドル二百三十円割れも現実的な問題でございますけれども、これに対して政府としてはどういうふうに防衛の対策というものを考えていらっしゃるのか、まず大蔵大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(村山達雄君) 公定歩合の引き下げは、いまの円高対策を直接ねらったものではございません。これは十五カ月予算と並びまして企業の内需拡大をまずねらっているわけでございます。そういう意味で、内需が拡大いたしますれば、迂回的ではありますけれども、やがては国際収支に響くであろうという点が第一点でございます。第二点は、企業の金融負担を軽減することによりましてこれまた企業活動を活発にすることによって先々は、迂回的ではありますけれども、やはり経常収支につながってくるであろうと。第三番目は、特に心理的な問題でございまして、公定歩合あるいは貸出金利はいつか下がるのじゃないかと、それを待とうという企業家もやはりおることは事実でございますので、この辺ではっきりさせると、それによって企業マインドを明るくし、大いにやるべきものは勇敢に企業行動を起こしていただく、その区切りをつけるという意味、まあ大きく申しましてその点にねらいがあったわけでございます。しかし、それならいまの円高に全然関係ないかと申しますと、そうでもございませんので、やはり金利が安くなりますれば、いま非常によけいになっております円建て外債がよりよけいになると思います。これは資本収支の関係でございますが、資本の流出をうながすことにつながるであろう。それから同時にとりました短期の為替規制でございますが、これは流入を抑える措置でございまして、それ自身としてはどちらも現在の円高に対してプラスの方向に働く、方向としてはそれに違いないのでございます。しかし、現実には、相場にあらわれておりますように、やった後かえって円高になってきた。これは一体どういうわけかと、こういう問題になろうかと思うのでございます。なかなか相手がたくさんありますからわかりませんが、たとえば外国銀行筋で申しましたり、あるいはそういう各国の為替の差をとっておる国際的な資金もありますから、大体材料が出尽くしたということで、そしてやはり一層の攻勢をかけたということもございましょう。また、言われるように、リーズ・アンド・ラグズが出てまいりましていまのうちにドルは売っておけと、こういうこともあったかと思うわけでございます。しかし、いずれにいたしましても、この措置をとってから円が逆に高くなっておることは事実でございます。 今後どうするかと、こういう問題でございますが、原因はやはり国際収支という問題の需給の関係が決定的な問題になるわけでございます。そういう意味で、われわれはいま一番期待しておりますのは、アメリカがみずからの基軸通貨であるという点を深く認識してもらって、それでアメリカ自体が一つのドル価値の維持の防衛策を何らかとってもらえないものであろうか、ここの点に一番期待しておるわけでございます。アメリカといえども、ドルは、本来経済力から申しますとアメリカの経済は圧倒的でございますから強いわけでございますけれども、しかし、いまのようにドルが下がるということ自身はアメリカ自体の経済にとってもなかなか大変なことに違いないわけでございまして、その問題と、あるいは石油の価格との関連は一体どうなるのか、あるいはまた金融市場としてのアメリカの地位がだんだん失われていくというような問題、こういったアメリカ自身としても、世界経済の立場からも、またアメリカ自体からもやっぱり考えていただく節があるのじゃないだろうか、こういうことをわれわれは折に触れそのことを強く言っているのでございますけれども、同時にまた、日本としてもドルベースでこれだけの黒字が出てまいりますと、やはり言ってみても、日本もひとつ言葉でなくて態度で示してくれという、結局は価格ベースでしかもドルベースですべて計算するものでございますから、そういう要求は当然出てくるであろう。この辺に世界的な変動為替相場の問題の中における一番むずかしい折衝点があると思うわけでございまして、何らかその合意を見るために今後とも接触を保ち、そして両方で協力していまの国際通貨の不安定を除去するということが私は先決問題であろうと、このように考えているわけでございます。
○矢原秀男君 公定歩合の引き下げ等々の中で、三、四点にわたる大蔵大臣等の政府の見解をこの予算委員会を通して同じことを何回も伺っているわけでございますが、先般も、安倍官房長官も、十六日夜の記者会見で、円の対ドル相場が最高値を更新したことについて、「政府としてはあらゆる手を打っているのに効き目が出てこない」等々の発言があったように伺っているわけでございます。歯どめがかからない円高傾向に衝撃を受けているようでございますけれども、午前中の本会議の席上におきましても福田総理はドル安に問題があるんだというふうな発言を私も直に伺ったわけでございます。そういうことになりますと、もう重複いたしますので一点だけに質問をとどめたいと思いますけれども、大蔵大臣には先ほども答弁をいただきましたが、アメリカ自体がドル防衛の体制をとってほしいという要望についていまも答弁がありました。先般公明党の多田委員からも厳しくその点の指摘があったわけでございますが、米国のドル防衛のめどがついていないというふうに日本政府が受け取っている見解であるならば、きょう新たにさらに米国に対してもドル防衛に対して厳しく再度申し入れをすべきではないか、こういうふうに感じるわけでございます。その点、大蔵大臣、いかがでございますか。
○国務大臣(村山達雄君) いま、どちらかと言えば、全面的なドル安が主たる原因であるということを申し上げたわけでございます。そうして、いま委員がおっしゃったように、われわれは絶えず情報を交換し、そしてそのことはしょっちゅう言っているわけでございます。しかし、いまも申し述べましたように、何分にも日本の黒字幅が急激にかつ増加しているわけでございます。為替相場は当然のことでございますけれども、やはり国際収支によって形成されるわけでございますから、これはわが方もある程度の対策を用意しなければ、なかなか言っても説得力に欠くのではないかということは言っているわけでございます。絶えずあらゆる機会を通じまして言っているわけでございます。この前のアメリカとドイツとの協定のときに、最後についておりました、やってみてその結果どうなるか、さらに必要があれば追加的措置も考慮する、こういうことでございますから、われわれは早速その点についてまた接触を保ちたい、かように思っているわけでございます。
○矢原秀男君 先ほど、通産大臣も、この問題については内需拡大をもっと検討したいと、こういう発言がございました。そういう中で輸出の問題にも触れられまして、やはり輸出規制等々、こういうようなことをすれば下請にも非常に影響が出て大変である、かえって冷え込みになる、こういうふうな御発言もあって私も安心をしているわけでございますけれども、そうすれば内需拡大についてこの予算委員会でいろいろと論じられておるわけでございますが、国民の立場で、内需拡大にどういう手を具体的に打つのか、そういう明確なものがもう少しほしい、こういう御意見等々があるわけでございます。こういう点について、通産大臣、国民の皆さんがわかる範囲で、具体的に内需拡大のためには、これとこれをこういうふうにやりたいのだというふうなことがおわかりになれば、お答えをしていただきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 内需拡大を、予算が来月早々通りますので、遅くともそのころまでにはまとめ上げなければいかぬということで、企画庁が中心になられまして幹事役としていま相談を進めておるところでございます。近くまとまると思いますが、内需拡大の最大の柱といたしましては、何と申しましても、今度の予算で盛られております公共事業を上半期、特に四月から六月までの間に集中的に執行していくということ、そのために万々の準備を整えるということ、これが何よりも必要かと考えております。それからあわせまして、これまで幾つか議論をしてきました問題がありますが、そういう諸問題をもう一回総ざらいをしてみたい。それからさらに新しい何かアイデアについても各省間で意見を交換いたしましてアイデアをひとつ出してみたい、こういうことでずっと連日いま関係各省で作業をいたしております。いずれ近くまとまろうと思いますので、まとまり次第発表されることになろうと思います。
○矢原秀男君 通産大臣、重ねて申しわけないわけでございますが、大体発表の時期ですね、粗々で結構でございますけれども、お願いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま通産大臣の言われました件につきましては、大体今月のうちにまとめ上げたいと思いまして、いま各省と相談をいたしております。
○矢原秀男君 じゃ、次に移ります。 第二点目は工業団地の問題にしぼって質問したいと思います。 まず、宮澤長官に伺いたいわけでございますが、「昭和五十年代前期経済計画 五十一年五月十四日閣議決定」でございますけれども、この点について、こういう多様化した経済状態の中で私は率直に申し上げまして少し見通しの誤りがあったのではないか、こういうふうに感じるわけでございますが、長官の御意見をまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) 一般的に申しまして、この五十年代前期計画をいまの段階で振り返ってみますと、わが国の経済の歩みにつきまして五十一年及び五十二年はかなり予測したところと現実の歩みが違っておりますことは御指摘のとおりであると思います。ただ、この計画は、その具体的な年次の歩みよりは、昭和五十五年において、雇用でありますとか、物価でありますとか、社会福祉でありますとか、公共投資でございますとか、そのようなものをどういう姿にしたいかといういわゆる政策目標をこの計画は中心に書かれておりますので、なお五十三、四、五と三年ございますので、その間の経済の運営いかんによりましてはこれらの政策目標は目標年次でほぼ達成できると、いまなおその可能性はあるということが先般来の暫定試算の結果としてはあらわれております。
○矢原秀男君 そこで、もう一つお伺いをしたいわけでございますが、この前期経済計画については、「内外環境条件の変化と計画期間における問題点」というものが三点ほど出ておりました。一つは「世界経済の構造変化と資源の有限性の強まり」、二番目には「国民意識の変化」、そうして第三番目には「成長率の低下とそれに伴う諸問題」というのが問題点になっているわけでございますが、粗々で結構でございますので、この三点について、長官として現時点におけるお考えがございましたら端的にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(宮澤喜一君) ただいま御指摘のように、第一に「世界経済の構造変化と資源有限性の強まり」、第二に「国民意識の変化」、第三に「成長率の低下とそれに伴う諸問題」でございますが、第一につきましては、これはいわゆる石油危機を契機にいたしまして、資源の有限であること、あるいはまたいろいろな意味での世界経済の構造変化――これは、産油国が加入してくるとか、あるいはまた南北問題とかいうようなものでございますが、これらはもう現在でもこの認識は基本的に変わっていないと思います。 第二の国民意識の変化でございますけれども、これは、一つには、わが国の生活水準がある程度のところに達しました結果として、その裏側の問題であるところの環境の問題でありますとか、あるいはまた生活の量的な充実がある程度できたことから来る質的なものへの要望であるとか、そういったようなこと、まあ申してみれば成長よりは生活とでも申しますのでございましょうか、この意識はやはり今日国民意識の根底にあることは私は間違いないと思います。このような不況でございますから、まず何よりも職を失ってはならないというそういう気持ちが年齢のいかんを問わず国民の間に強くなっておりますことは現在のところ事実でございますけれども、しかし、そうは申しながら、他方でものの考え方が生活の充実ということに変わってきているという大きな流れは私は変化していないのではないかと思います。 第三に成長率の低下とそれに伴う諸問題でございますが、これはこの計画が予想しておりましたよりはなお成長率は低下をしつつありますし、雇用問題はなお深刻でございます。財政の困難も予想しておりましたよりもさらに大きいということでございますが、この第三につきましては、したがって計画が予想しておりますよりは環境はさらに厳しいというふうに申し上げるべきかと思います。
○矢原秀男君 いま五十年代前期経済計画について質問をいたしましたのは、これは六%台の成長というものを掲げながらつくられたものであり、そこで、私は、質問の中で少し修正点があるのではないかと伺っておりまして認められているわけでございますが、それと申し上げますのは、いまから質問いたします工業団地の経過を見ておりましても六%台でも非常に冷え込んでいる、そういう如実な姿が出ておりますのでいま取り上げたわけでございますが、まず工業団地の経過等々について伺いたいと思いますけれども、わが国の工業団地の造成が三十年代の後半から活発化されたことは周知のとおりでございます。そういう中で、お伺いしたいことの一点は、四十九年現在、全国の工業団地、一つは売却済みはどの程度なのか、第二点目は売却中のもの、第三番目には計画造成中のもの、この数字をお伺いしたいと思います。
○政府委員(左近友三郎君) 五十年三月現在の工業団地の売却調査を行いましたが、その時点でございますと大体売却可能なものが七千五百ヘクタールで、造成中のものが一万七千ヘクタールということでございます。さらに、五十二年の九月に調べましたものでございますと、それまでの売却済みのものがここでわかっておりますが大体四万四千ヘクタールでございまして、売却可能のものが大体七千ヘクタール、それから造成中のものが一万五千ヘクタールというふうに変わってきております。
○矢原秀男君 全国的には団地はどれだけでございますか。そうしてもう一点は、工業用地の総面積、これはどういうふうになっていますか。
○政府委員(左近友三郎君) 全国の工業が立地しておりますすでに利用しております土地の面積は、五十年で大体十六万ヘクタールということになっておりまして、若干その調査した時点が異なりますが、五十二年では工業団地の面積が六万六千ヘクタールということに相なっております。 それから団地の個所数は、五十二年の調査では千二百九十団地程度でございます。
○矢原秀男君 ここでお伺いしたいわけでございますが、地域振興整備公団に実態についてお伺いしたいと思います。
○参考人(三橋信一君) お答え申し上げます。 実態について答えよというお問いでございますけれども、ただいま私どもの方は実は三つの仕事をしております。ニュータウンもやっております、それから工業団地もやっております、それから産炭地の振興のための団地造成、これをやっておりますと同時に、工業団地、いわゆる移転促進地域から誘導地域へ移ります企業に対しましての融資、それから産炭地へ移りますところの企業に対する融資、まあこういうような非常に多角的なことをやっております。 そこで、ただいまの御質問の筋から申しまして、まず融資の関係からお答え申し上げます。いわゆる工業再配置の融資と申します一番最初に申しました融資でございますが、これは五十二年度現在におきまして、貸付件数二百十七件、契約額千八百四十六億円という状態でございます。 それからこれの工業団地の造成関係でございますが、これにつきましては全国で現在十二カ所の地点につきまして造成の調査あるいは造成中という状態でございますが、これにつきましてはまだでき上がったものがございませんので分譲はいたしておりません。しかしながら、この春あたりから二、三の地点につきまして一部分譲を開始したいと思っております。これの状況について申し上げますと、全国現在十二地点におきまして調査あるいは造成をしておるわけでございますが、そのうち九団地につきましてはすでに事務所を設けまして調査あるいは造成にかかっておる次第でございます。 次に産炭地の関係でございますが、産炭地につきましては、造成の方から申し上げますと、現在までに完成して譲渡済みのものが五百七十九団地、面積といたしまして千五百二十七ヘクタールでございます。それからなお公募中のものが三十四団地、四百八十八ヘクタール、合わせまして二千十五ヘクタールというものをただいま完成し、これを譲渡し、あるいは公募したというものでございまして、工事中のものは二十二団地、千八百七十六ヘクタールあるわけでございます。 これの産炭地関係の融資につきましては少し細かくなりますので担当の理事に答えさしたいと思いますが、お許しいただけましょうか。――失礼いたしました。お答え申し上げます。昨年の十二月末現在で全国で千九百三十一件、千三百七十一億でございます。
○矢原秀男君 先ほど産炭でなしに御説明がありました十二カ所の件ですね。これは山形県の米沢のところとか、岡山県、佐賀県、能登、出雲の長浜等々は入っていますね、この十二カ所に。
○参考人(三橋信一君) お答え申し上げます。 入っております。
○矢原秀男君 この山形県の米沢の場合には金額はどれだけ投資しておりますか。
○参考人(三橋信一君) お答え申し上げます。 金額といたしまして六十億六千万円でございます。
○矢原秀男君 岡山は。
○参考人(三橋信一君) 岡山につきましては二十六億一千五百万円でございます。これは五十三年二月現在の直接事業費でございます。
○矢原秀男君 ずっと十二カ所を金額を言ってください。
○参考人(三橋信一君) それでは順次申し上げます。 佐賀の東部、これは五十二億九千四百万円、出雲三十五億一千三百万円、能登二十二億五千七百万円、江刺二十六億四千百万円、諌早三十五億七百万円、以上でございます。
○矢原秀男君 十二カ所のトータルをお願いします。
○参考人(三橋信一君) これはまだ七カ所でございまして、あとの二カ所は実はまだ造成まで入っておりません点がございますし、三つは未採択ですので、この七カ所を合計いたしまして約二百五十九億でございます。
○矢原秀男君 いま七カ所、二百五十九億の資本投下というか、工事費というものが出されておりますけれども、いまこれは御報告がございましたように全然売れていない、こういうことですね。
○参考人(三橋信一君) これは誤解があるようでございますが、まだでき上がっておりませんので売れておりません。
○矢原秀男君 地方自治体との関連というのは完全にいっておりますか。
○参考人(三橋信一君) お答え申し上げます。 これは、私どもの公団の仕事と申しますのは、私どもの公団が自分でやりたいといって乗り込んでいくわけではございませんで、地元の県と当該市町村の長が私どもの公団に要請をしてまいりまして、一緒に調査をして、しかる後、これはいけそうだとなった場合に着手する、お役所の認可をいただきまして着手するという仕組みになっております。したがいまして、そういう点で地方自治体とのそごはございません。
○矢原秀男君 いまそういう答弁でございますけれども、現実には完成品にならない工業団地というものが非常に多くあって、地方自治体でも困っている。ある場合においては、私の調査では、工業団地はできたけれども企業は一切来ない、そういうところが、後でお話しいたしますけれども非常に多くあるわけでございます。そういうわけで、いま七団地の御説明をいただきましたけれども、完成品でないのでございますけれども、そういう問題が非常に全国で多くあることをまず知っていただきたいと思います。 そこで、質問申し上げますが、通産大臣、工業団地の売れ残りというのが各所にあるわけでございます。こういう工業団地についての分譲を開始しているにもかかわらず、売れ行きが思わしくない、こういう現況について通産省としてはどういう分析、見解をされていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 工業団地が全国的に計画をされておりまして、工事はそこそこ進んでおるわけでございますが、いま御指摘ございましたように、なかなか思うように売却できません。これは最大の原因は、やはり昭和四十八年の秋のオイルショック以降の経済の大混乱、これはもうすでに五年間も続いておりまして、大体行きたいと言っておりました企業も途中で少し延ばそうかと、あるいはまた中止しようかと、こういう企業が全国的に相次いで起こっておるわけでございます。できるだけ通産省といたしましても各地方と連絡をとりまして企業誘致に努めておりますけれども、何しろこういう経済情勢でありまして、新しい設備投資というものはもうりょうりょうたるものでございます。そういうことでなかなか思うようにまいりませんが、そこで、昨年も御案内のように三全総ができまして、今後十年間、わが国といたしましては大都会に産業が集中することを避けまして、地方に分散するようにしなければならぬといういわゆる定住圏構想というものが打ち出されておりますし、それから通産省といたしましても、地方へ工場を分散させるための幾つかの対策というものをいま打ち出しております。そういう政策と相まちまして、あわせて景気回復を図りながらこの問題を処理していきたい、こういう方針で進めております。
○矢原秀男君 具体的な問題を調べておりますのでまず申し上げますけれども、これは奈良県の五條市でございますが、一般会計予算が約五十億です。工業団地の造成の経緯と実態ですけれども、四十八年に土地の開発公社が設立をされました。そうして二見川端、今井島台という二団地ができたわけです。着工は四十八年十二月、五十二年五月、それぞれ四十九年と五十二年に竣工いたしております。造成面積は三・五ヘクタール、それぞれその程度でございますけれども、再配置の促進法が四十七年に発足いたしまして、同時に計画造成を開始したわけでございます。 四十八年当時の申し込み希望会社というのは二十八企業あったわけです。ところが、さあふたをあけてみると、結局は一社だけしか来なかった、こういうふうな現況でございます。そうして、現地といたしましては一生懸命やったけれども、こういうふうな結果で非常に残念な形になっているわけでございます。市の一般会計が約五十億でございますから、起債が市中銀行で行われておりまして七億三千九百万円、利子が七・八でございます。そういうようなことで一億七千百六十二万円も小さな市が払っている。こういうふうなことで、市としては、政府は利子負担を軽減するために何とか援助してくれないのか、そうして、こういうふうな売れ残りの工業団地を抱えている地方自治体、中でも財政規模の小さな市町村の悩みは甚大である、こういう借入金の返済、利子の支払い、四苦八苦の実情である、こういうふうなことで何とか手を打ってほしい、こういうのが真実の声でございます。ですから、一般会計の一四・七、八%もかかっている。そしてこの工業団地にかかったお金に対して二三%も利子を支払っている、四カ年の間に。しかも企業としては一社しか来ない。そこへ経済が冷え込んでいる。政府の考えている七%成長というもの、そういうものを考えたときに、こういう実態を考えたときに、これは七%の達成はできないのではないか。そうして、みずからこの自治体を考えましたときに、こういう地方自治体を圧迫するような制度であれば、これは改めて通産省としても手を打っていかなくちゃいけない。こういうふうな例が滋賀県にもまた兵庫県にも多くあるわけでございますが、まず、この点について、通産大臣、対策がございましたらお願いをしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 工場の地方への分散を図る、あるいはまた地方へいろいろな事業というものを誘導していこう、こういう計画を立てましても、とにかく経済が活力を取り返さない限りこれはもう全く不可能であります。でありますから、やはり抜本的な対策は、一刻も早く景気を回復をいたしまして経済に活力を取り戻すという――現在の冷え切った経済ではなく、とにかく動く経済、こういう経済にしなければならぬということが第一だと思います。 それとあわせまして、熱心な県では、積極的に工場団地をつくったけれども全然これが工場団地として役に立たない、ついては工場団地全体を少し規模の大きな企業誘致をしてみたいと、こういう御相談などもございます。これまで、一、二の県で、そういうところに対しては石炭の火力発電をおやりになったらどうかというようなことで、団地全体を石炭火力発電に変更したところもございますし、そういう話が現在進行中のところもございます。あるいはまた石油の陸上備蓄基地、こういうところに変更したところもございます。 でありますから、通産省といたしましては、全般的な対策といたしましては景気回復、個々の対策といたしましては地域ごとに適合した可能な企業誘致を従来の工場団地という枠を超えてでも何とか処理したいと、こういうことでいま積極的にいろいろ御相談に乗っておるところでございます。
○矢原秀男君 もう時間がございませんから、兵庫県や滋賀県または住宅公団の例等は挙げることはいたしませんけれども、皆こういうふうな状態で大変な状態になっているわけでございます。 そこで、こういう売れ残りが自治体の財政を非常に圧迫いたしておるわけでございますが、こういうふうな点についてはどういうふうに対処しようとされていらっしゃるのか、県の立場から自治省、そしてまた通産省等の御答弁をお伺いしたいと思います。
○政府委員(左近友三郎君) 現在売れ残っております工業団地に対する対策といたしましては、一つは、この金利負担を軽減するために利子補給金を当該公共団体に交付をしております。 それから単にそれだけじゃなくて、今後計画的に工業を導入するために、地方公共団体と私どもの地方支分部局でございます通産局とが懇談会といいますか相談会を開きまして、工場立地を計画的に推進するように御相談をいたしております。 なお、これは地域別の問題でございますが、特に遠隔地帯につきましては、工業配置促進の補助金をこの五十三年度から若干かさ上げをいたしまして遠隔地にも工業が比較的立地しやすいようにするというような対策を考えております。
○政府委員(山本悟君) 御指摘のとおりに、地方団体あるいは地方開発公社等におきまして計画をいたしました工業団地が、完成されながらなかなか売れないという事態に逢着をいたしまして相当に困難を来たしている団体のあることを私ども存じているわけでございます。 ただいま通産省からもお話のございましたように、やはり第一の手段といたしましては何しろ企業誘致についてさらに努力をする、あるいは従来の計画をさらに変更してでもいろいろと新しい計画をつくると、こういったようなことで対処してもらいますと同時に、過去の長期借入金の利子の高い時期に借りているものもあるわけでございますので、そういったものの低利資金への借りかえといったようなことにつきましても私どもといたしましても積極的な指導をいたしているような段階でございます 何しろ全体といたしまして考えれば一時的に当初の予定より売却がおくれるというようなことがございましても、団地といたしまして財産といたしましての土地というようなものは入手をいたしているわけでございますので、最終的には将来の売却によってその費用を償還すべきものである、こういうように存じているところでございます。
○矢原秀男君 誘致の内意を示していた企業、そこへ行きます、こういうふうに企業から計画段階で進出を申し入れ内諾をしていた、そういうことで自治体が造成を終了して分譲を開始したら断られてきたと、こういうようなことが、先ほどもお話ししましたように、奈良県の今井島台、ここでは十八企業の中で五十三年二月現在で全然来てないと、こういうような状態については、やはり今後相当よくいろいろと企業、自治体、そういう連携をきちっととっていかなくちゃいけないと思うわけです。そういう点についてはどうでございますか。
○政府委員(左近友三郎君) お話しのような実態を調査しておりますと、契約を締結した後その契約を破棄したというものは余りございませんが、口約束と申しますか、一応申し込んでおきながら、現実経済の現状が悪くなったという点もございますが、立地を取りやめたという例は間々あるわけでございます。したがいまして、こういう点につきましては、自治体、企業に双方いろいろ御連絡をいたしまして、もし行くということであれば、企業も責任を持って行けるような体制を考えた上で初めて意思表示をするというふうなことに今後は指導してまいりたいというふうに考えております。地方公共団体の方で企業の言い分を信用していただいてやっていただいた結果があだになるということではまことに困ります。したがいまして、企業側についてはそういう点ではっきりしていきたいと思いますし、地方公共団体の方もそういう点を念を押していただくようにまた御連絡を申し上げたいというふうに考えております。
○矢原秀男君 この状態を見ておりましても、誘導地域の中の遠隔地、または地域の新規工場用地の取得面積、こういう全国に対する比率を考えてみましても、四十九年が二六・三%、五十年が二二・一%、五十一年が一七・三%、こういうふうなかっこうになろうかと思いますけれども、急激にこういうふうに低下しておる現況というのは、単なる工業団地云々の問題ではなくして、経済そのものが、これは先ほども申し上げましたが、七%の成長はおろか、非常に冷え込んだものになっている。それだけではなしに、先般も計画されました三全総の定住圏構想も絵に描いたもちであると、こういうふうに非常に皮相的な見方をいたしておるわけでございます。そういう意味でこの点についてはがっちり手を打たなくてはならないと思います。また、これを計画どおり進めようとしましても、問題になりますのが二、三点あるわけでございます。 国土庁がお見えになっておりましたら御答弁いただきたいわけでございますが、たとえば五十一年から六十年の水の需要というものの見通しを考えてみましても、六十年には四十億トン程度の水が不足するのではないか、こういうことになれば、工業再配置の問題と水不足の関連、こういうふうなところで工業用水の再生利用というもの、こういういろいろな問題等も醸し出されてくるわけでございます。こういう点について国土庁からお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(櫻内義雄君) 三全総は、御承知のように、ここ十年を目標にしての計画でございまして、工業用水にいたしましても、淡水補給水量というものを計画的に各ブロック別に立てておるわけでございます。非常に詳細な数字になりまするから資料で差し上げるがよかろうかと思うのでありまするが、計画としてはすべて準備がされておっても、先ほど来いろいろ御指摘がございますように、こういう冷え切った状況のもとで、果たしてそれがうまく遂行できるかと、これはもうまさに私もそのとおりに踏まえておるわけでありまするが、三全総は昨年の十一月閣議決定後のまあいわば五十三年は初年度に当たるわけでございまして、先ほどから通産大臣からもるるお話しのように、まず第一は景気の回復であると、こういうことでございます。私もまさにそのとおりに踏まえておるわけでございまして、現在の大都市圏に人口や産業の集中しておる状況からいたしますれば、いま現在では工業団地などが未利用になっておりまするけれども、これを再配置するという必要性は、これはもうすべての人が認めておるところでございまするから、この計画に伴いまして、そういう方向で進んでまいりたい。水の問題も当然そうであると思います。
○矢原秀男君 では、環境庁にお伺いしますけれども、工業団地と環境アセスメントという問題が出てくるわけでございます。この経過というものは、太平洋ベルト地帯に七〇%以上の工場、そういうことで環境破壊、そうして工業団地という形の計画が出てくるわけでございますが、環境アセスメントについての具体的な方途について伺いたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) 環境の保全の万全を期していくと、このためには事前の防止措置を講じていくということが最も有効かつ効率的な方法であると、こういう認識に立ちまして、したがいまして、こういう措置を制度化するという意味において、環境の影響の事前評価の法案をつくり上げてこれに対処していきたいと、こう考えていることは御承知のとおりであります。目下、この点につきましては、関係するところが多いものでございまするから、政府部内の関係方面との間にいろいろ打ち合わせ、協議、詰めをやっておりまして、そのコンセンサスを得て、ひとつ国会にも提出したいということでいま鋭意努力しておる現況でございます。
○矢原秀男君 最後に、通産大臣に伺いたいわけでございますが、再配置を進めるに当たって、一つは再配置の補助金を自治体及び企業、これらについて大幅アップについてどう考えるか、第二点目には地域公団からの移転企業への跡地見返り資金、移転の運転資金の貸付方法の改善、第三点目は誘致企業のあっせんのための条件整備を行うこと、第四点目は造成事業費に関する助成の改善、第五点目は移転企業への融資等の改善等を手厚くしてほしい、こういうふうに感じるわけでございますが、これらについてお伺いをしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 工業団地の問題は、地方財政、地方自治にも非常に大きな影響が出ております。まあこのままでは困るわけでございまして、抜本的な解決を図りながら、あわせて、若干の時間もかかろうかと思いますので、いまお述べになりましたような幾つかの対策を関係方面と十分相談をしながら万全を期していきたいと、こう思います。
○矢原秀男君 この件について最後に通産大臣にお伺いいたしますが、工業団地の再配置、この問題については経済成長率六%を想定しながら多様な計画が組まれたわけでございます。ところが、実態は非常に冷え込んで、計画どおりに全然いっていない、こういうことで、私は、そういう点から見ましても、経済の成長率七%は今回は大変むずかしいのではないかというふうに感じるわけでございますが、その点最後に伺いたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) この工業団地の大部分の計画はオイルショック以前から始めておったものが大部分でございまして、いわゆる高度成長期からの継続事業だと、まあこういうことが言えると思います。いまは御案内のようにせいぜい七%前後の経済成長ということを目標にしておりますので、経済の姿が一変しておるわけであります。しかしながら、ことしも七%成長を続け、そしてある程度経済を回復させながら安定の軌道に乗せていくという、そういう方向に努力いたしますと同時に、この委員会を通じても総理は、政府の最高方針として来年度も七%弱の経済成長を続けたいと、そして再来年度も七%弱の経済成長を続ける、そして、万が一政府の考えておるような経済運営の方向にいろいろな条件が出てきたためにもし行かないということであるならば、そのときは臨機応変、大胆に対応していくと、すべての政策手段を集中して必ず政府の責任において七%の経済成長を達成するということを繰り返し言明をしておられるわけでございます。私も、七%の経済成長は、何もしなければこれはむずかしいとは思いますが、それだけ政府が決意をもって必要な政策を集中していくということであれば、私はさほど難事ではないと、このように考えておりますが、いずれにいたしましても早く経済を軌道に乗せましてこの工業団地の問題を解決したいと思います。
○矢原秀男君 じゃ、次に移ります。 次は福祉関係でございますけれども、現在、各都道府県の市町村、社会福祉事務所から発行されております身体障害者手帳はどのぐらい出されておられるのか、伺いたいと思います。それとあわせて、重度の障害者はどういうふうな実態であるか、等級別も含めてお答えをお願いしたいと思います。
○政府委員(上村一君) 五十一年度末の手帳の交付数は二百二十二万でございます。それで、まあ等級でございますが、一級、二級を重度と言っておりますけれども、五十一年度中に十八歳以上の身体障害者に新しく手帳を交付した数が十四万五千でございまして、その中で一級、二級が五万四千人、約三七%でございますから、二百二十二万をもとにして推計いたしますと、一級、二級と言われる者が約八十万人ぐらいおられるのじゃないかと、こういうふうに考えておるわけでございます。
○矢原秀男君 身障者手帳を受けていらっしゃる方々のうち、恐れ入りますけれども、もう一度、実社会で働いておられる方々はどの程度か、お伺いいたします。
○政府委員(上村一君) 四十五年の調査をもとにいたしまして、就労している者が約四四%ございますから、先ほどの二百二十二万から推計いたしますと、約九十七万人ぐらいが働いておるということになると思います。
○矢原秀男君 では、心身障害者の方で、働く意欲、働く能力がありながら、働く場所がない、そういう方々は実際どのような内容、将来に対する計画が当局で対策としてあるのか、伺いたいと思います。
○政府委員(上村一君) 一つは、基本的には身体に障害のある人の雇用の問題になるわけでございますが、福祉サイドでは、身体障害者の授産施設なり、あるいは重い身体障害者の授産施設なり、あるいは福祉工場を整備することによって、そこで働きながら生活していくというふうな方策を進めていくつもりでございます。
○矢原秀男君 しかし、実態は足りないから非常に大変な現況にあるわけです。そうでしょう。ですから、もう少し深く答えてくださいよ。
○政府委員(上村一君) いま申し上げました身体障害者の授産施設は今年度末で七十二カ所、それから重度の身体障害者の授産施設が六十カ所、それから福祉工場と言われるものが十八カ所になる見込みでございます。ことに障害の程度の重い人たちの施設というのはまだ不十分でございますので、これからも重点的に整備する計画でございます。
○矢原秀男君 重度の身体障害者の収容されております授産施設は、私営で建設を行うものが全体の七六%と伺っているわけでございますが、こういうふうな建設に当たっては、厚生省としてはきめの細かい手を差し伸べようとされていらっしゃると思いますけれども、具体的にその点をお伺いしたいと思います。
○政府委員(上村一君) 御指摘になりましたように、五十一年十月の数字で身体障害者の各種の施設が二百十二カ所ございまして、社会福祉法人が経営しておるものが百七十四、非常に多いわけでございます。 そこで、こういった私立の授産施設等の建設経費というのは二つ道があるわけでございます。一つは、国と地方公共団体の補助によるもの、これは建設費の二分の一を国が、四分の一を地方自治体が持ちます。それから自転車振興会とかあるいはモーターボート協会等いわゆる公益事業補助金によりますもの、これは必要な経費の四分の三というのが補助されるわけでございます。したがいまして、国費あるいは都道府県の補助金による場合も、あるいは公益事業補助金によります場合も、残り約四分の一ということになるわけでございますが、これは自己資金ということになる。この自己資金につきましては、寄付金なり、あるいは社会福祉事業振興会の融資によって賄っておるのが実情でございます。
○矢原秀男君 具体的な話に移りますが、兵庫県の尼崎に稲葉園という施設がございます。ここでは七十六名の収容されていらっしゃる方々があるわけでございますが、職員の定数も二十名でありますけれども、いろいろごめんどうを見るというふうなことで二十四名と、こういうふうに職員の方ががんばっておられるわけでございます。 そういうようなことで非常にやりくりが大変でございますけれども、ここで一点だけお伺いしたいことなんでございますが、現在歯科の技工士の資格を取るためというよりも、授産施設でそういう資格を持っていらっしゃる方々から御指導を受けながら一生懸命働いておるわけでございます。そういう方々が将来は何とかして資格も取りたい、そういうふうな条件づくりの場というものがないのだろうかと、こういうふうに心からの叫びをされていらっしゃるわけでございますが、現今いろいろな厳しい情勢があるようでございますけれども、こういう点について厚生省としても、お体の悪い方々で生きようとしているそういう方に資格を授けていく、そういうためにはこういうふうにしたらいいなというふうな、そういう将来的な構想というのか、方途があれば、その一端をお伺いしたいと思います。
○政府委員(佐分利輝彦君) 医療従事者につきましては、それぞれの法律に基づいて厳しい規制が行われております。たとえば歯科技工士の場合には、法律、規則に基づく一定の要件を満たして厚生大臣の指定を受けました学校で高等学校を卒業した後二年間教育を受けて、しかもその後知事の試験を受けて免許を取って初めて技工士になれるわけでございます。そういった厳しい要件がございますけれども、授産所においてもそのような要件をお満たしになるならば、これはケース・バイ・ケースで指定をしてまいりたいと考えております。
○矢原秀男君 じゃ、最後に、身体障害者の福祉工場の件について伺いますけれども、現在全国で十三カ所ほどあります。非常に厳しい状態でございますけれども、これらに対して厚生省としてはどういうふうな形で協力をするのか、そういう点をまずお伺いしたいと思います。
○政府委員(上村一君) 身体障害者の福祉工場と申しますのは、御案内のように、作業の能力はあるけれども職場の設備、構造が向いていないとか、あるいは通勤がむずかしいというふうな人に職場を与える施設でございます。したがいまして、労賃につきましても、自活できる額を確保したいし、さらに能力に応じた額を支給するように指導しておるわけでございます。実際問題といたしまして、職種を選択する、どういう職種がいいかとか、あるいは注文を確保するという点にいろいろむずかしい問題があるわけでございますが、私ども、この施設の整備にも補助金も出し、運営につきましても補助金を出すことによってさらにふやしてまいりたい。いま御質問の中に十三カ所というふうにございましたが、五十一年十月で十三カ所でございまして、今年の三月末にはさらに五カ所ふえる予定でございます。
○矢原秀男君 いずれも非常に赤字経営でございまして大変でございます。こういうケースの場合は考える必要があるのではないかなと思うわけですけれども、これは兵庫県の小野市でございますけれども、福祉工場に三洋電機が機械も入れる、指導員も派遣する、そうして非常に協力をしておりまして、年間千二百万円の投資をこの福祉工場にやっております。こういうようにして身体障害者の雇用促進法とのかかわり合いの中で企業が非常に深い理解を示しておるところもあるわけでございますが、こういう協力をしている企業に対しては納付金等の考慮をすると、罰則面ではなしに考慮をする、理解をする、こういうふうなことを企業にも一面見てもいいのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、この点はどうでございますか。
○国務大臣(藤井勝志君) 身障者の雇用促進のために雇用率制度がございまして、民間の企業では、一・五%というその線に満たなくても、いまのように別に福祉工場に対して仕事を出しておれば、その分をかげんして納付金の手かげんをしたらどうかという、こういう御質問だと思いますが、この納付金制度は、それ自体身障者を法定ないしそれ以上に雇い入れた人とそうでない企業とのいわゆる負担の公平という、こういう見地から設けられた制度でございますし、別途事業面において協力しているというのは実質的には御指摘の点もわからぬことはございませんけれども、内容的に次元が違うと申しますか、角度の違う話でございますから、やはり納付金の制度は制度として、これが完遂ができるように指導していかなきゃならぬと、このように考えておるわけでございます。
○矢原秀男君 厚生大臣、いま話をしておりますのは、非常に福祉工場も大変でございまして、あなたもよく知っていらっしゃると思います。 そこで、最後に厚生大臣にお伺いしたいのでございますが、東京都の場合は三カ所の福祉工場があるわけです。そうして、大変でございますので、厚生省の社会局長の名で各都道府県知事あてに「授産施設における製品の利用促進方について」ということで、「地方公共団体等における物品の購入等に際して、必要に応じ極力これら施設の製品を利用する等、優先的な発注」と、こういうふうなことが厚生省から出ておりますけれども、なかなか行き届いておらない。ところが、東京都では、私は非常に感心をしたわけでございますが、一つの身障者の工場には、こういう簡単な東京都の図面の焼き増しをやはり発注に出している、民生が中心になって。そうして、もう一つの工場においては、やはり赤字が一億ぐらいあるから、安全キャンドルという、災害のときにいわゆる電気がつかないときのランプなんですね、そのランプをつくっているのを製品をつくらして東京都がいろいろなところで買わしている。そういうふうにして、非常に身障者の生活というものを将来に対してがんばっている。もう一点は、フィルム等をつくっている工場、これも東京都の行政の中で何とか仕事を与えて、そうして私たちで使おうと、こういうあれが、私は国に要望したいのは、厚生省の社会局長の名で五十年の七月七日に出ております。しかしながら、そういう身障者の働く場所に、納期の急がないそういうふうなところと言えば、自治体とか国とかそういう場しかないのです。ところが、通達は出すけれども実際にはいっていない。そういうふうなことで大変な状態でございますけれども、どうか通達だけで終わらせずに、少しは出ていると思いますけれども、積極的に援助の手をこういう形で差し伸べていただきたいと思うわけでございますが、最後に、厚生大臣、いかがでございましょうか。
○委員長(鍋島直紹君) 矢原君、時間が来ております。
○国務大臣(小沢辰男君) 先生がおっしゃるとおりだと思いますので、できるだけ都道府県、またあるいは国有鉄道、それから各種縫製品がございますし、国立病院、療養所等が率先して自分たちの必要とするものはできるだけひとつ福祉工場なり授産場へ頼むと、こういうことで一層指導を強化して、先生のおっしゃる趣旨に沿うように私も一層努力いたします。
○委員長(鍋島直紹君) 以上で矢原君の一般質疑は終了いたしました。(拍手) 明日は午前十時から委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。 午後五時三分散会