商工委員会 第2号
- 発言数
- 159 件
- 登壇者
- 14 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1978/01/30
会議録
○委員長(楠正俊君) ただいまから商工委員会を開会いたします。 円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案を議題といたします。 まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。河本通産大臣。
○国務大臣(河本敏夫君) 円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 昨年の年半ば以来の引き続く円の外国為替相場の高騰は、長期的な不況と相まって、わが国経済に大きな影響を与え、中でも脆弱な企業体質を残し、経済環境の変化により影響を受けやすい中小企業は、輸出関連中小企業を中心として、特に深刻な影響をこうむることが憂慮されております。 政府といたしましては、このような事態に対して、昨年十月、中小企業為替変動対策緊急融資制度を創設し、その充実を図ってまいりましたが、さらに、去る一月十七日には円高関連中小企業の経営と雇用の安定を図るための緊急かつ総合的な対策をまとめた「中小企業円高緊急対策について」の閣議決定を行ったところであります。 本決定は、中小企業為替変動対策緊急融資の充実、円高関連中小企業者の行う事業転換の円滑化を図るための中小企業事業転換融資の貸付金利の引き下げ、設備近代化資金の返済猶予、中小企業信用保険法における円相場高騰関連保証の特例のほか、税制上の特別の措置を講ずること及び下請中小企業対策、産地振興対策、雇用対策についてもその充実、推進を行うことをその内容としております。 本法案は、この閣議決定の内容中法律的措置を要する事項につき、立案されたものであり、その概要は次のとおりであります。 まず本法案の目的は、最近における円相場の高騰により事業活動に支障を生じている中小企業者に対し、経営の安定を図るための措置等を講じ、国民経済の健全な発展に資することであります。 次に、本法案において講ずる措置は、第一に、昨年来の円相場の高騰により相当数の中小企業者がその事業活動に支障を生じていると認められる業種を全国的にまたは地域を限って指定し、都道府県知事が、この業種に属し、かつ、影響を受けていると認められる中小企業者を認定することとしています。また、指定された業種に属さない中小企業者であっても、同様の事情にあると認められる場合には、同じく都道府県知事の認定を受けることができることとしております。 第二に、認定を受けた中小企業者に対し、種々の助成を講ずることとしております。認定中小企業者がその経営の安定を図るために必要な資金及び事業転換に必要な資金を低利融資すること、設備近代化資金の返済猶予を二年以内の間について行うことのほか、中小企業信用保険につき保険限度の別枠の設定、保険料率の引き下げ、てん補率の引き上げ等の特例措置を講じ、円高関連中小企業者に対して金融の円滑化を図ることとしております。また、円高関連中小企業者につき法人税、所得税上の欠損金の繰り戻し制度による還付及び地方税における欠損金の繰り越しについてそれぞれ特別の措置を講ずることとしております。 第三に、円相場の高騰により事業活動の縮小等を余儀なくされた中小企業の従業者の失業の予防、職業訓練の実施、就職のあっせん等を講ずるよう努めるとともに、円相場の高騰の影響の大きい地域についての配慮を行うよう努めることとしています。 以上が、この法案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(楠正俊君) この際、本案の衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員渡辺三郎君から説明を聴取いたします。渡辺衆議院議員。
○衆議院議員(渡辺三郎君) 円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案に対する衆議院の修正につきまして、その趣旨を御説明申し上げます。 修正は第五条に関するものでありまして、中小企業近代化資金等助成法により貸し付けた設備近代化資金の償還期間につきまして、政府原案では二年以内の延長を認めることとしておりましたが、円高により深刻な影響を受けている中小企業の実情にかんがみ、これを三年以内の延長に改めたものであります。 よろしく御審議をお願い申し上げます。 ―――――――――――――
○委員長(楠正俊君) 委員の異動について御報告いたします。 去る二十八日、藤井恒男君が委員を辞任され、その補欠として井上計君が委員に選任されました。 ―――――――――――――
○委員長(楠正俊君) 次に、補足説明を聴取いたします。岸田中小企業庁長官。
○政府委員(岸田文武君) ただいま大臣が御説明申し上げました提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。 政府は、円相場の高騰により、わが国中小企業がこうむる影響を把握するため、これまで輸出関連の中小企業が集中している産地を重点に、影響の実態を調査してまいりましたが、その結果は新規成約の激減、受注の食いつぶしの進行等、円高の影響がかなり深刻にあらわれていることが明らかとなりました。 このような事態に対し、政府としては、中小企業の経営の安定を図るため、即時に実施し得る緊急融資等の対策について実施に移すとともに、政府部内で円高対策に関する総合的な対策について検討を進め、去る一月十七日の閣議におきまして、「中小企業円高緊急対策について」の決定を行ったところであります。 本法案は、この閣議決定の内容中、法律的措置を要する事項その他必要な対策について、その迅速かつ適切な実施を図るため立案されたものであります。 本法案におきましては、第一に、昨年六月以降における円相場の急速かつ大幅な上昇を経て高水準で推移している事態により、輸出が減少し、または減少する見通しがあるため、相当数の中小企業者がその事業活動に支障を生じていると認められる業種を、全国的にまたは地域を限って主務大臣である通商産業大臣及び当該事業所管大臣が指定します。この指定された業種に属し、かつ主務省令で定める基準に該当する中小企業者を都道府県知事またはその権限の委任を受けた市町村長もしくは特別区の長が、認定中小企業者として認定いたします。また、これらの指定された業種に属していない中小企業者であっても、その中小企業者が、個別企業として円相場の高騰により輸出の減少その他これに準ずる事態により事業活動に支障を生じており、かつ、主務省令で定める基準に該当するときは、同じく都道府県知事の認定を受けられることとしております。 第二に、これら認定中小企業者に対しては、次のような金融、信用補完、税制上の特別措置を講ずることとしています。まず、金融面では、国民金融公庫等から経営の安定を図るのに必要な資金及び認定中小企業者が中小企業事業転換対策臨時措置法に基づく転換計画に従って行う事業転換のために必要な施設の設置に必要な資金をそれぞれ年六・五%以内の政令で定める利率で貸し付けるとともに、中小企業設備近代化資金の償還期間について延長を認めることとしています。また、信用補完面では、信用力、担保力が乏しい認定中小企業者に対しては、中小企業信用保険法による円相場高騰関連保証の特例制度を新設し、これによって金融の円滑化を図ることとしています。さらに税制面では、純損失または欠損金を生じた場合は、所得税または法人税の還付等の特別措置を講ずることとしております。 なお、中小企業設備近代化資金の償還期間につきまして、政府案におきましては、二年を超えない範囲内において認めることとしておりましたが、衆議院における審議の過程におきまして、三年を超えない範囲内において認めることができるよう修正されております。 第三に、円相場の高騰により事業活動の縮小等を余儀なくされた中小企業の従事者について、失業の予防その他雇用の安定を図るための措置を講ずるとともに、余儀なく離職した中小企業の従事者に対する職業訓練の実施、就職のあっせんその他従事者の職業及び生活の安定に資するため必要な措置を講ずるよう努めるほか、円相場の高騰の影響の大きい地域における中小企業の経営の安定に配慮するよう努めることとしております。 第四に、本法案の有効期間を昭和五十五年三月三十一日とするとともに、認定中小企業者に対する前述の融資の金利及び円相場高騰関連保証を遡及して適用することとしています。 以上、この法律案につきまして、補足説明をいたしました。 何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
○委員長(楠正俊君) 以上で趣旨説明の聴取は終わりました。 本案に対する質疑は、本日の予算委員会散会後行うこととし、暫時休憩いたします。 午後零時十七分休憩 ―――――・――――― 午後五時四十六分開会
○委員長(楠正俊君) ただいまから商工委員会を再開いたします。 円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○対馬孝且君 本法案に関しまして、これからポイントをしぼって質問いたします。 かねてこの法案に関しましては、さきの臨時国会等でもわれわれは、むしろ円高がこういう悪化する情勢に対応いたしまして、速やかにひとつ対応する法案を整備をすべきであるということをわれわれは主張いたしてまいりました。 そういう意味では、政府側から出てまいったわけでありますが、特に私は、この最近の円高基調の原因は、何といってもやっぱり大企業を中心とする急激な輸出攻勢によるものが大きい、こう判断をせざるを得ないわけでありますが、貿易の収支のアンバランスが拡大したことにもあると言えるわけでありますが、この結果、輸出産地を中心とする関連中小企業は、非常に輸出のコストの大幅な切り下げに遭い、深刻な打撃を受けているのが今日の現状であります。したがって、いわば大企業のなりふり構わない行為によって中小企業が犠牲をこうむっている、こう言ってもいいのではないか、こう思うわけであります。 そこでひとつ、基本的な問題につきまして、通産大臣にお伺いしたいのでありますが、こうしたこの背景に立った輸出関連中小企業対策をどのように推進をしようとしているのか、基本的な方針につきまして、まず、冒頭に通産大臣にお伺いいたします。
○国務大臣(河本敏夫君) 今度の円高で輸出を中心とする中小企業、非常に大きな影響を受けております。まず二、三の例外を除きまして、致命的に近い大打撃を受けておるのではないかと思います。それは先般の通産省の調査でも明らかでございます。 そこで、とりあえずは今回御審議をお願いをいたしましたこの緊急対策を盛り込みました法律によりまして、援助をしていこうと、こういう考え方でございますが、やはり抜本的には構造改善事業等によりまして、産地産業というものを強化していかなければならぬ、また場合によれば、事業転換等も考えていかなければならぬと、このように考えております。
○対馬孝且君 いま大臣からお答えがありましたが、つまり基本的にはやっぱり構造改善事業あるいは事業転換等もございますけれども、私はいま何といっても現在の二百四十円台ということでととまっていればこれは別でありますが、情勢が変動相場制の段階ですから、それ以下になるということも考えられるんじゃないか、そういう意味で私はお伺いしたわけでありますが、いま出されましたこの構造改善、事業転換等もございますので、やはりこの法案だけでは、当面対策としては考えられると思うんでありますが、これからもっと長期的な円高対策の展望に立ちながら、大臣もお答えありましたが、やはり基本的な対策を、政府として法案その他を含めてこれから用意されるかどうか、そういう対策をお出しなされるかどうか、この点をまず、あわせてお伺いをしたいのであります。
○国務大臣(河本敏夫君) ただ、円が昨年の後半に急激に高騰をいたしましたが、これは、私は日本経済が実力以上の高い水準になっておると思うんです と申しますのは、中小企業の影響につきましてはいま申し上げましたが、一般の産業全体について申し上げましても、二、三の業種を除きましてはとてもやっていけないというのが実情であります。しからば、なぜ実力以上の評価になったかといいますと、いまお述べになりましたように、大幅な日本の黒字、それからアメリカの大幅な赤字、こういうことがその背景にあるわけでございます。 そこで、五十三年度の経済の基本的な運営方針といたしましては、何としてもこの大幅な黒字基調というものを、ある程度調整をしないといけない。こういうことを考えまして七%成長ということで、内需の思い切った拡大ということを考えておるところであります。それから同時に、先般の日米共同声明でも明らかなように、アメリカに対しましても節度ある経済運営を求め、アメリカもそれを述べておるわけでございまして、そういうことが進んでいきますならば、私は順次ある程度現在の円の水準というものは、実力に近いところでだんだんと修正されるのではないかと、このように期待をしておるところでございます。 したがいまして、円高対策といたしましては、この法律をとりあえずお願いをいたしまして、これによりまして万般の対策を立て、本来の中小企業政策というものは別に用意をいたしておりまして、円高対策とは別個に用意をいたしておりまして、従前の対策をさらに一層強化していくと、そういう方向で進めてまいりたいと思います。
○対馬孝且君 いま大臣からお答え願いましたが、私はやっぱりこれからの経済見通し、まあ、経済成長が七%達成できるかどうかという重要な基本的な課題にかかっていることはもうこれは当然であります。 ただ問題は、それまでの過程の中で、果たしてこれが変動為替相場の中で二百四十円台というのは一体守られるのかどうか。それをこう割って二百三十円台に落ち込んだ。そのときまた大変だというようなことでおやりになっては、これは手の打ちようがないというようなことになって、後手に回っては困る。先ほど大臣もお答え願っているのでありますが、基本的にはやはり私は中小企業全体のこの構造という問題を見直す時期に来ているんじゃないか。それにはやはり産業の再編成、私はそういう立場でこの見直す段階がやはり当然来ているんじゃないか。そういう立場から中小企業の基本対策というものをこの際見直していくと、こういう対応を含めて対処していくという考え方を、私は持っているわけです。 それでないとやはりまたこれが三十円台になったらさあ大変だ、そのときにまたこうどろなわ式になわを編むような式ではなくてね、まさしくそういう最悪の事態を展望して、ぜひそういうことを考えてもらいたいというのは、私、現に昨年の暮れに群馬県桐生市に行ってまいりました。これは福田総理大臣のおひざ元でありますが、率直に言って桐生のこの繊維業に携わっている方々の声も、どうもいまの政府のやっていることは後手後手に回っている。私が感じても非常にそういう感じがする。せめてやはりこれから二、三年先を見通して、中小企業のあるべき姿というものを考え直してもらいたい。これが率直な桐生の、私調査に行きましたが、これは繊維業界の素朴な声であります。 私はそういう意味でいま申し上げているのでありますが、そういう意味を含めて、いま大臣の考え方については、七%成長達成というのは基本的には私も了としますけれども、そういう問題について、やはりいま一度見直す段階に来ているんじゃないかと、こういう考え方を持っておりますので、この点ひとつ大臣の考え方をお伺いしたいと、こう思います。
○国務大臣(河本敏夫君) この緊急にお願いをしております円高対策のほかに、幾つかの基本的な中小企業の対策を用意しておるということを申し上げましたが、それは長官から説明をいたします。
○政府委員(岸田文武君) これからの中小企業をめぐる経済情勢を考えてみますと、国内的にもかなりの変化が予想されるわけでございます。同時に国際的にも相当の変化を考えざるを得ない。こういう中で、中小企業はいかなる活路を見出すべきか、これはいま中小企業に課せられた非常に大きな課題であると私どもも考えておるところでございます。新しい環境の変化に生き延びられるための個々の企業のあり方、あるいはそれを集約いたしました産地としてのあり方、あるいは業種としてのあり方、こういうことを、やはりこの際腰を据えてじっくり考えてみる必要があるだろう。恐らくはいまのままではなかなかやっていけない。やはり新しい対応を迫られているという感じではないかと思っておるところでございます。 そのためには、一方ではいままでつくっていた商品をもっと高度化していく、あるいは新しい商品を生み出していくと、こういう努力が必要でございます。それと同時に、場合によってはいままでの仕事から別の分野で、新しい活路を見出していくということも必要でございましょうし、さらに場合によりましては、いままでの設備をもう少し集約化しまして、こじんまりした経営に移っていくことが、長い目で見ての活路になるという場合もあろうかと思います。こういった行き方を、組合ごとにこの際じっくり考えてもらいたいという気持ちがいたしておりますので、実は五十三年度予算におきましても、新しい事業として組合の活路開拓事業という制度を予算化いたしたいと考えておるところでございます。外部の人の知恵も借りながら、ひとつじっくりと考えてみる。そういう方向をそれぞれ実現するためのいろいろの施策というものが追って必要でございます。この面におきましても、五十三年度予算におきまして、振興事業団の産地振興事業であるとか、あるいは中小企業の経営安定資金における産地対策であるとか、幾つかの新しい施策を用意をいたしまして、できるだけこういう新しい環境に対する適応が円滑にいくように、私どもも心がけていきたいと思っておるところでございます。
○対馬孝且君 いま中小企業庁長官から、私が指摘したように新しい分野での中小企業の対応の仕方というものを考えていきたいということですから、まあ私も同感であります。ただ、その場合やっぱりいま言ったように、私は在来のやり方のように、そういう情勢が出てきてからタイアップするということでなくて、もうちょっとやっぱり長期的に展望して、そうしてそれにタイアップできるような対応の仕方をしないと、いままで見ておると、出てきた現象にやっぱりすぐなわを編むというような式のものではなしに、そこらあたりを考えてもらいたいというのが素朴な中小企業の声ですよ。 私はそういう意味で、まあ実態調査の上を踏まえて申し上げておるのでありまして、そこらあたり、通産大臣からひとつ、長官からお答え願いましたけれども、そういうものに対応してこれから対処していくという御認識に伺ってよろしゅうございますか。
○国務大臣(河本敏夫君) そのとおりであります。
○対馬孝且君 それでは、まあ中小企業の、円高相場に対応する長期的な展望に立ちながら、政府側としても対応するという基本的な態度が明らかになりましたから、それでは次の問題にひとつ入りたいと思います。 この円高相場は昨年初め一ドル二百九十円台というふうであったわけでありますが、その後高騰を続けて、まあ年末の段階では二百四十円、一時は二百三十八円、まあ国内でもロンドン相場でも二百四十円を割るという事態を生じました。この間、年足らずの間に二〇%以上の切り上げがあったわけであります。そこで輸出産地を中心にする関係中小企業に大きな影響を与えたわけでありますが、私は中小企業庁としても調査を行われておるようでありますが、一ドル二百四十円台での採算のとれる輸出産地はほとんどない。私も調査してまいりましたが、桐生なり北海道もずっと行ってまいりましたが、ほとんどございません。そういう意味では、二百四十円という円相場では、もはや中小企業はどのような対策がなされようとも、相当な影響が出ることば事実であります。 この上に立って中小企業庁として、どういう中小企業の影響度合いについて調査をなされ、認識をされているのか、この点をお伺いします。
○政府委員(岸田文武君) 円高に伴って、産地がどういう影響を受けておるか、この辺の実態につきましては、昨年の夏以降随時産地の実態調査を行って、実情の把握に努めておるところでございます。 一番最近では、今年になりまして、いまお話に出ました二百四十円台というものがどういう影響を及ぼしておるかという調査を実施いたしましたので、その結果のあらましを御披露申し上げますと、十二月中――昨年の十二月でございますが、十二月中の新規成約の状況、これが依然として不調でございまして、前年の同月に比べまして新規受注が減少したという産地が、八割弱に達しております。そういうこともございまして、受注残の方も徐々に減少していくという傾向が見られまして、いわば受注の食いつぶしが行われているかと思っておるところでございます。 さらに今回の調査で初めて出てきたことでございますが、一部の産地におきまして円高によると見られる休業、あるいは倒産というような事例が見受けられるようになっております。また五十三年中に輸出の動向をどう予測しているかということにつきましては、二百四十円が続いた場合には、やはり大方の産地で数量が減る、あるいは価格が低下するというような見通しを持っております。 いずれにいたしましても、調査をいたしますたびに事態が深刻になっておるという感じで受けとめておりまして、私どもは厳しい情勢であると認識をいたしております。
○対馬孝且君 そこで、通産省・企業庁としまして一月二十四日、円高の産地に与える影響についてという調査結果の御報告が出ていますね。長官、これは私もちょっと実態を調べてみましたがね、問題は私は、この中でポイントを言いますとね、やはりいま中小企業、円高の影響もさることながら、三月危機説あるいは二月ないし三月危機説というのが伝えられておるんだ。昨年のこの段階でも一万八千六百件という中小企業最高の倒産になっている。中でも私が一番この影響を受けている報告の中で気にしているのは、一番心配しているのは企業の倒産状況ですよ。休業、倒産の状況。この調査を見ますとね、これ十月で主産地で二十三、十一月で三産地で二十二、十二月で九産地で四十九企業、これ全部休業ですね、率直に言って。それから倒産の実態では十月が二企業、十二月は大企業と、こう出ているんでありますが、逆にこの調査の中で考えてちょっとポイントが、どうも通産省のこの判断というのは少し違うなと思うのは、いわゆる受注の減少が大体五〇から八〇%というのが昨年の十月から十一月の段階だったと。ところがこの調査によると、逆に五〇から八〇%未満というのが減って、逆に二〇%以上五〇%未満というような状況にあると、こう見ると、何かあたかも円高が安定したような印象をこの報告では与えるんですが、私はそうでないということを逆に考えているんですよ。むしろ二月、三月にはもっと深まると、これははっきり申し上げて。それでもう耐え切れないと、これ北海道の件で後から申し上げますが、相当数出てきております。倒産が明らかになってきております。 それなのにどうしてこれ、むしろ五〇%-八〇%台という受注減の方が減って、二〇%から五〇%ラインが逆にふえてきていると、これでは一応円高が安定したという印象を与えるんですよ。逆にいま三月危機説がある、二月危機説が伝えられるという状況のときに、私はその点がやっぱり正しいと私は見ているんですよ。そうしたら、恐らく休業、倒産の数というのは二月、三月にはこれはますます増大の一途をたどる。そういう意味では三月危機説は当たっていると、こう私は見ているわけですよ、 〔委員長退席、理事福岡日出磨君着席〕 この点の分析が、どう認識されているのか、この点ちょっと私の判断とは違うということを指摘したいんです。
○政府委員(岸田文武君) 実は十月の調査のときに新規成約が五割から八割落ち込むということでございましたので、十二月いかなる状況になるかということを非常に心配いたしておりました。しかし調査の結果としては、いま御指摘のような形で出てきたわけでございます。私どももその背景をいろいろ調べてみました。その結果によりますと、実は十月というのが為替変動が大変な時期でございまして、二百六、七十円前後から二百四十円前後へがらがらと一日ごとに円高になっていくという時期でございましたために、商社の方もバイヤーの方も注文を出すに出せないという状況がございまして、先ほどのような数字が出ました。ところが、十二月に二百四十円台でしばらく、一月ぐらい推移いたしましたために、ある程度の物差しがあるということから若干の注文が出たという、こういうことがいまの結果にあらわれたようでございます。 しかし、いずれにいたしましても、絶対的な水準は、前年同月と比べますとかなり低い水準でございまして、その結果が受注の食いつぶしというような形になってあらわれてきておるかと思っておるところでございます。
○対馬孝且君 そこで長官、これは桐生市も、何回も私も行ってみまして、バイヤーが来て、取引高がほとんどこれは新規のものはないと言っているんですよ。そういう見通しからいくと、あなたの分析とちょっと違うのだけれどもね。むしろやっぱり二月、三月ということが大変なことになるという認識は、これは全部あってますよ、雑貨でも玩具の関係でも。そこらあたりが――ただ十月は急激に落ち込んだと、十二月は若干の上向きが出てきたというのだが、私が聞きたいのは、二月、三月は一体どう見ているんだと、そこなんだ、ポイントはやっぱり。これに対応した対策がとられなきゃならぬ、この認識が違うとこれは大変なことになりますよ。
○政府委員(岸田文武君) これは次の調査にまたなければ正確なお答えはできませんが、私どもが従来産地調査をしまして得た印象からいたしますと、やはり二百四十円というのは依然として各産地にとっては非常に厳しい条件であるという認識をいたしております。もちろん各企業としてもいろいろの努力をするでございましょうが、しかしやはり総体的に申しますと、二百四十円というのは厳しい数字であると思わざるを得ないと思っております。したがいまして、これが続いていく限りは、やはり受注の食いつぶしというものは今後進行していく。したがって、それがいつまでもつかということが一番の問題であろうかと思っておるところでございます。それでなくても三月というのは例年決算期にございますので、倒産状況が心配される月でございますので、その時期を目がけて、私どもとしてもできるだけのことをやっていくということが、中小企業政策として大事な課題になってくるのではないかと思っておるところでございます。
○対馬孝且君 そういう認識ならわかるんだけれども、やはり二百四十円台では絶対もう採算割れをしてどうにもならぬというのがこれは一致した認識ですからね。だから、よくなるというような状況じゃなくてむしろ落ち込んでいく。そういう意味で、三月危機というのは産地ではそういう認識を持っている。こういう認識の上に立ってぼくはやっぱり対応してもらいたいとこう思うんです。 そこで、それでは円レートの回復対策は、一体政府はどう考えているのかということを私は聞きたいんです。これは産地へ行きますと、そのことを一番言うんだよ、いつになったら採算がとれる円レートになるのかと。これですよ、現地に行くと、率直に申し上げて。 いま政府は、大臣からお答え願って、基本的にはこの予算で七%の成長あるいは円高対策ということをいろいろ言っていますが、一体先行きそれでは確実に二百四十円台――それはあなたにもちょっと聞きたいんだけれども、これは三百四十円から、二百五十円台には、この一年なり半年なりになるという保証はないでしょう、これははっきり申し上げて。そういう問題と、いま心配しているのは、具体的に採算のとれる限界レートの回復について、政府はどういう見通しとどういう手だてを考えているのか、これをお伺いしたいんです。
○政府委員(岸田文武君) 私どもが産地の声を聞いておりますと、やはり各産地から、為替レートをぜひ安定してもらいたいという声が私どもの耳にも聞こえてきておるところでございます。為替レートの将来というのは、だれも予測することができないわけでございますし、また、中小企業にとりましては一種の与件のような形ではございますものの、やはりこういう情勢のもとに、産地として為替レートの動向ということは非常にいま心配もし、注目もしているということは仰せのとおりだと思います。 この面につきましては、これは私の口から申し上げることが適当かどうか存じませんが、やはりいまこういう円高を招来した背景というものを考えますにつけましても、日本経済の景気回復ということと、それを背景とするいまの大幅な黒字基調の改善ということが、いずれの場合にもやはり基本問題になるのではないか。そういう政策が的確に進められるということを、中小企業の側としても切望しておるという感じではないかと思っております。 〔理事福岡日出磨君退席、委員長着席〕
○対馬孝且君 大臣、そこでいまの根本問題なんですが、これはいままで予算委員会でもずいぶん私もやりまして聞いておりますが、問題になることは、やっぱりいま言ったように、産地の声というのはとにかく少なくとも二、三年先のことは言わぬと。しかし、せめて半年、一年ぐらいは一定のこのレートで固定するというぐらいのことを見通してもらいたいんだというのが率直な声ですよ。だから基本的には円高対策、七%成長、国際収支の改善ということ、これは常識的なことなんだが、政府としてここらあたり、そういう根本的対策やっていけば大体二百五十円、あるいはこれ以下は絶対割ることはない、こういう責任ある立場での、つまりこれからの見通し、あるいは中小企業に対する本当に信頼というか、あるいは政府に対する期待感というか、そういうものをひとつやっぱり持たなければ何ぼ対策、対策と言ったって、これはふたをあけてみたらまたレートが狂っていた、また狂っていたというのでは、これはだれもついていかないよ。 こういう問題について率直にひとつある程度のやっぱりこの二百四十円台というのは絶対に固定するなら固定するとか、二百五十円台にいつの時点かでするならするとか、こういう多少の――これはまあなかなか言えないことであるが、ある程度やっぱり安心ができるという、中小企業に対して、そういう点の信頼感を持った答えというものを、決意のほどをちょっと大臣にお伺いしたいんですがね。
○国務大臣(河本敏夫君) 変動相場制ですから幾らにするということは、これは言えませんけれども、一番当初にも申し上げましたように、現在の急激な円高の背景は、わが国の予想外の大幅な黒字基調と、それからアメリカの大幅な赤字ということが背景にあるということを申し上げましたが、それじゃどちらにウエートがかかっているかと言いますと、やっぱり日本の大幅な黒字ということであります。なぜ黒字が起こったかと言いますと、要するに国内の景気が悪くて物が売れないから、無理して外国へ売らなきゃいかぬ、それから国内のやはり経済が弱っておりますから外国から物を買う力がない、だからとにかく内需を拡大をして、国内で物が売れるようにする、そして外国から物を買う力をつけていく、この政策さえ着実に実行に移していけば、とにかく実力以上の評価を受けておるわけでありますから、私はだんだんと実力に近い水準に評価をされ直すんではないか、こう思っておるんです。でありますからそれしか私は方法はない、こう思っております。
○対馬孝且君 まあそういうこれからの対策というか、そういう政府のいま大臣にお答え願ったような対策を、責任を持ってやるという決意のほどでありますが、いま中小企業が大臣にお聞きしたいのはそこなんですね。そこらあたりが一番求められるんですよ。何もこれから先行きがどうなるかわからぬで、ただ当面、いま金借りるとか貸すとかいったって、これは先行きが不安定だから、金借りてみたって、ただくれる金じゃないんだから、返さなきゃならないんだから、それはそういう問題についてやっぱり一つのある程度の見通し、確信というものをいま政府から与えてもらいたいということなんですよ、いま中小企業の叫びは。そこですよ、いま言っているのは。どうも何か行き当たりばったりで、来年のことだからわからぬとか、再来年になってみなきゃわからぬということでなしに、長いことは言わぬけどせめて二、三年先ぐらいの目標は示していただいて、変動相場制といっても、大体とにかく中小企業の採算割れをしないように、円相場体制は必ずひとつ政府としても回復をしたい、こういう決意のほどを持って対処していくんだと、こういう決意と理解していいですか。
○国務大臣(河本敏夫君) そのとおりでありまして、とにかく五十二年度の経常収支をおよそ半減をいたしまして、五十三年度には六十億ドル前後に持っていこう、このための経済成長をやっていこう、こういうことでありますから、そしてその経済成長を達成するためには、万難を排してあらゆる手段を尽くしてやりますということを、内閣が繰り返して言っておるわけでありますから、要はその政策を着実にもう実行することにかかっておる、このように理解をしておりますし、またやっていかなければならぬと思います。
○対馬孝且君 まあ大臣のそういう決意のほどはわかりました。そういうことで、われわれもこれからひとつ十分そういう方向での期待をいたしていきますが、それではもしこの二百四十円台を――これはずばり聞きたいんですが、二百四十円台を割ったという段階で中小企業庁長官どういう対応をしますか、はっきり申し上げますが。これ聞いてくれと言うんだよ。いま二百四十円台のレートでいっているが、もしこれが三十円、二十円台に下がったときに、この法案では対応できないわけだ、率直に言って。現状の対応としてこれは法案を提案されておるんだから、これが二百三十円、二百三十円になったときにそれじゃどうするのか、どう対応してくれるのかということを聞きたいわけです。この点どうですか。
○政府委員(岸田文武君) 御提案申しあげております法案は、実は昨年の六月以降年の暮れにかけて急激に、しかも大幅に為替レートが円高になったということを踏まえまして、現に産地を中心とする中小企業が大きな影響を受けておる。これに対する緊急立法として用意されたものでございます。 私ども、今後の問題につきましては、私どもが中小企業を見ておりまして、中小企業の適応力というものを一方に考えなければならないと思います。徐々の変化であれば相当の適応力が発揮できましても、緊激な変化の場合になかなかついていけないという問題ございましょうと思います。で、仮にでございますが、将来にわたって急激な変化が起こってきたというようなときには、やはりこれはまた新しい事態として、またこの法律とは離れまして、それに応じた臨機、機動的な対応策が必要になってこようかと思っておるところでございます。
○対馬孝且君 まあいま質問しても、その範囲の答弁よりは出ないと思いますけれども、そうならないことを期待して、私は先ほど前段に申し上げておるのでありますが、率直に、そういう感じがいまの円高に対するこの輸出産業の中小企業の声ですよ、長官、はっきり申し上げて。そういうことを聞いてくれと、そうなったときにどうするんだということを聞いてくれというその叫びが、 いまこの輸出産業の中小企業の実態であるということを私は踏まえていただきたいと、そういうことを申しあげておるわけですが、ひとつそのときに対応するという、また新たな法案で対応するということになるわけでありますが、そういう認識をぜひひとつ踏まえて対処してもらいたい、これを強くひとつ申し上げておきます。 それから次に、法案の内容につきまして、それじゃひとつ時間もありませんから申し上げたいと思います。 法案の内容にちょっと触れたいのでありますが、私は、この本法によりまして認定される中小企業者に対して信用保険の限度枠が特別小口保険で二百五十万、それから無担保保険で八百万円、普通保険で五千万円が別枠として設定されることになるわけであります。 そこで、このような措置は現行制度でも倒産関連特別保証がありますが、この運用実績は一体どのようになっているのか。それはなぜかと言いますと、必ずしも十分に活用されていないという声が率直にあるわけです。それはまあ政府のPRが悪いのか、あるいは浸透してないというきらいがあります。 今回のこの信用保険の特別措置を十分に活用するための対策をどのようにお考えになっているか、これをまずお伺いいたします。
○政府委員(岸田文武君) いまお話のございました現在やっております中小企業信用保険法に基づく不況業種、これにかかわる保証の利用実績でございますが、数字を見てみますと、五十一年度で三千二百件三百二十七億円、それから五十二年度、これは四月から十月までの実績が報告されております。八百九十件百二十八億円というふうになっております。一件当たりで見ますと、五十一年度で平均しまして一千万円、それから五十二年度の四月から十月まで一千四百万円ということでございまして、一件当たりの保証金額の増大ぶりが目立っておるところでございます。実は御承知のとおり、不況業種の指定は、そのときどきの経済情勢の変化に従って削除したり追加をしたりということで、四半期ごとに調整をいたしております。一時、繊維等につきまして対象業種から除外をしていた時期がございましたが、その後また追加をしたりなどいたしまして、ごく最近では非常に多くのものが不況業種の指定を受けるという形になってきております。 そういう制度がせっかく用意されておるわけでございますから、これがうまく利用され、必要としている方々に必要に応じて利用していただけるようにするということは、私どもとしても大事なことであると思っておるところでございます。従来からもいろいろな手段を通じてPRをいたしておりましたが、こういう円高という新しい情勢も加わってき、それに従って、新しい法律もできるというような時期でもございますので、この円高の保証のPRとあわせまして、従来やっております倒産関連保証も含めまして、こういう制度についてのPRについては一段と力を入れてやってまいりたいと思っておるところでございます。
○対馬孝且君 これ出先の通産局があるわけです。北海道で言えば札幌に通産局長がおってやっているわけですがね。これ道側で、県庁あたりでもやっぱりこの中小企業行政指導委員会あたりつくってやっておるんですがね。 もうちょっと――どうもいま見ておると、県庁、道あたりでは、北海道では徹底した、たとえば中小企業普及委員会だとかあるいはPR委員会を通してやっておるんですが、出先のおたくの通産局はただの一回もやってない、前回の中小企業倒産防止共済法、私の知っておる限りではね。それから為替変動緊急融資措置対策、こういうものは末端へ行くとほとんど知らないというのが実態だよ、ぼくは率直に言わしてもらうけれども。出先の通産局がほとんどこれなされてないんだよ、こういうものについては。初めてその相談を受けてから出かけていくというような、そういう調子でね。そういう、やっぱり相変わらず官僚的なやり方では――いま本当にばったばった、北海道も日魯造船がいま会社更生法で大変ですよ、これはっきり申し上げて。後で申し上げますがね。そういう問題がどんどん出ていっている。初めて知ったというのは私らが行って初めて知ったと、こういう言うんですよ、経営者側も。 それでこの前ちょっと話を申し上げたけれども、こういう対応の仕方では、出先が、北海道に通産局があって、われわれが行って初めてわかったと言う。こんな調子じゃ、これから何ぼこういうものがつくられたって、これつぶれてからこんなことをやったって私は意味ないと思うんだよ、あなた。そういう問題について、もっと出先の通産局の動きなり活用なり、こういうものをもっと積極的に、やっぱり実のある方向に考えてもらいたい。こういう点はどうなんですか。
○政府委員(岸田文武君) 実は私どもも、ことしの課題は各般用意されております中小企業施策を、いかにして浸透させるかということに特に力を入れたいと部内でも話しておったところでございます。 この新しい円高対策法につきましては、先週通産局の関係課長を集め大体の骨子を説明をいたしましたが、二月八日に各府県から関係課長に集まっていただきまして具体的な打ち合わせをし、この制度が発足すればすぐ活用していただけるような段取りをつけたいと思っております。 それから倒産防止共済法についてもお触れになられましたが、これも実はいま実施要領を詰めておりまして、これができ次第、いまのやり方に準じまして、なるべく多くの方々にこの制度を利用していただけるような体制づくりをしていきたいと思っておるところでございます。御注意いただきました点は、今後とも十分気をつけてまいりたいと思っております。
○対馬孝且君 次、金融機関の指導のあり方につきまして私はちょっと申し上げたいんでありますが、本法の適用を受けるために、中小企業は都道府県知事の認定を受けることが必要になるわけでありますが、問題は、かつてのドル対策法の施行に当たっても問題になりましたが、信用保証の特例等の措置を受ける場合に、円高によって打撃を受けて経営が非常に不安定になっているという旨の都道府県知事の認定を必要としたところ、保証協会あるいは金融機関は、非常に経営が不安定である企業には融資できないとして、むしろ認定を受けた企業に、逆に中小企業に対して保証または金融を渋るという悪例が出てきているわけです、逆な意味で。こういう金融機関の指導体制、こういう実態についてどのようにこれから指導されようとしているのか。 それから、もう一つ申し上げますけれども、たとえば、今回の、もしこの法律が通ったとしても、すぐ窓口へ行くわけですよ。これ無担保の場合ぼくは例を言うんだけれども、無担保の場合には、たとえば中小企業金融公庫あるいは国民金融公庫、保証協会へ行くと言うんだよ。必ず保証保険をつけれとこう言うわけだ。そうすると〇・四%取られるわけです。これぼくは中小企業から言われましたけれどもね。何かこう、金取るようにちゃんとできていると言うんだな、はっきり申し上げると。必ずそういうものが仕組まれている、仕組まれているという言葉は悪いけれども。そういうことを踏んでこなければ金貸さないと言うんだよ、これは。われわれ法律を決めるときは何回も、いや、とにかく弾力的運用だとか、この法律の効果を生かしてとかという、あなたはそういう答弁をするんだよ。 ところが、実際に窓口へ行ってしまえば非常にシビアになっちゃって、 保険が必要でない金でさえも必ず保険をつけなければ君のところは貸さないよと。やっぱり保険をつければ〇・四%手数料取られるわけですよ、これ。たかが二百五十万から少なくも二百万ぐらい借りて〇・四%取られておったら、これはどういうことになるんだ中小企業庁長官。びた一銭も、それこそ一文も必要とするこの世の中のときに、〇・四%の保険を必ず取られるというようなこういう金融機関の指導というのは、全くこれは中小企業者は頭に来ているよ本当に、ぼくは言葉は悪いけれども率直に言うけれども。だから私はこういうことのないような金融機関の指導をしてもらいたいんだ、はっきり申し上げて あなたが何ぼ答弁したって、末端へ行けばそういうことになっていないんだ。それはもちろん国民の金だから、どんなことでもいいとは私は言えないよ。言えないが、もうちょっと生きた金を直ちに使えると。 それからもう一つは、行って手続にしてもかなりシビアで、三ヵ月もぶっ飛ばされると。こんなことでは私は生きた金にならないと思うんだな、はっきり言って対策にならないと思うんだよ。早い話言うと、倒産してしまえということを中小企業庁が窓口で言っているのと同じことだと思うんだ。 法律はつくったけれども、逆におまえら倒産せいと、こういうことを言っていることと同じだと思うんだよ、私は。こういう点で私は率直にこれは聞いてきたんだが、実態を調査してきたんだけれども、そういう実態に対して少なくともそうではないと、法律の趣旨を生かした実態に対応できるような私は指導をしてもらいたいと、これは特にひとつ申し上げますが、いかがですかね、この
○政府委員(岸田文武君) 私どももせっかく知恵をしぼり、また関係方面といろいろむずかしい折衝をしたし上でできましたこの制度でございますから、やはりこれが喜んでもらえるような使い方をすることが特に大切だと思います。特に制度の趣旨について誤解があったり、あるいは認識不足があったりというようなことで末端でトラブルが起こるというようなことにつきまして、私どもも十分事前に気をつけて指導をしていきたいと思っておるところでございます。 いまお話の中で担保の問題、それから貸し付けに要する事務手続の期間の問題、この二つの問題が提起されております。御指摘のような問題は、だんだん不況が深刻になってまいりまして、昨年ぐらいから私どももいろいろな話を聞き、いろいろ対応策を考えてきておるところでございますが、一つは国民金融公庫等の小口の問題につきましては、無担保限度も昨年引き上げましたし、またいわゆるマル経資金――小企業経営改善資金でございますが、これの限度の引き上げ、これも先般の予算折衝によりまして、従来の運転資金の限度百、五十万が二百五十万へ引き上げられた、しかもそれが一月一日から実施するというような措置を講じたりなどして、できるだけの改善を図るように考えていっておるところでございます。保証協会の窓口につきましても、担保の徴求の弾力化ということで指導いたしておりまして、私どもは多少の改善は図られてきておるのではないかと思っておりますが、なおいろいろ現地で問題等があるようであれば、私どももよく実情に即した指導をしていきたいと思っておるところでございます。 それから期間の問題につきましては、これまた金を借りる側からすれば、一日も早く金か欲しいと考えられるのは当然でございますし、いまのような状況では特にそういう必要性が強いだろうと思っております。 為替変動対策緊急融資につきましては、この面で迅速な処理をするようにということを言っておりまして、ごく最近調べましたところでは、一般の金融よりはかなりスピードアップして処理されておるのではないかと思っておるところでございます。なお、今後ともよく気をつけてまいりたいと思います。
○対馬孝且君 これひとつ長官ね、やっぱり金融機関の窓口の指導についてはやっぱり迅速多様に解決をするということ。二月も三月も投げられたんじゃ、これは対応にならない、はっきり申し上げて。それからあなたが何ぼそう言ったって窓口段階でやっぱり弾力的な運用と、一つの抽象論にとどまっておるんだが、 やっぱりいざ行くとそういうふうになってないという仕組みですから、いま改善するようにしますと、こういうことですから、その点はひとつこれから期待しますけれども、ひとつ厳重にもう一回示達を出してもらって、法案のこの精神を生かして対応できるような通達なりあるいは出先の会議等を開いて対応してもらいたいと思うのですが、いかがですか。
○政府委員(岸田文武君) 私どももかねがね気にしていた問題でございますし、新しい法律ができまして、それをPRいたします際にはいまのような点も含めて十分指導いたしたいと思います。
○対馬孝且君 そこでさっきの担保の問題をもうちょっと私は具体的に申し上げますが、緊急融資担保については弾力的に配慮することになっているが徴求するのが原則である、こうなっていますね。この弾力的に配慮することになっているがというこの実態についてどういうふうになっているのか、どういうお考えを持っているのか、それから実際にどういうふうになされているのか。この点具体的に聞きたいんです、私は。
○政府委員(岸田文武君) 問題は信用保証協会の場合とそれから政府系三機関の直接の場合と二つに分かれるかと思います。 まず政府系、二機関の問題でございますが、一方では先ほど申しましたように国民金融公庫等の無担保貸し付け、これが五百万円以下は支店長限りで処理できるというような形に昨年引き上げております。また、担保を取ります場合におきましても、実は私も先般中小企業の方々にお話をしておりますときに気がつきましたことですが、中小企業の方々は政府系金融機関であると、もう一番抵当しか取らないと思っておられる方がずいぶんおいでになりますが、実態を調べてみますと、一番抵当は二〇%ちょっと、たしか中小公庫の例でそんな形になっておりまして、二番でも三番でも四番でも抵当権をつけられるだけの余力があれば受け取るという形にいたしております。 また、担保掛け目の問題につきましても、昔はかなり厳格にやっておったようでございますが、最近は掛け目の方もかなり上がってきております。それから前提となる評価の問題につきましても時価で、しかも一番新しい時点に見直しをするようにということを言っておりまして、この面はかなりいま浸透しつつあるのではないかと思っておるところでございます。 それから保証協会の場合には、金融機関の場合に比べますと現実にはある程度弾力的にやっておりまして、十割の掛け目というような事例もかなり多いようでございまして、それなるがゆえに保証協会に行って相談に乗って金融を受けるというケースもあるわけでございましょう。私どもが調べた限りにおきましては、逐次改善を見つつあるということかと思っております。 なお、担保の問題について中小企業の方々からいろいろの声が出ておりますことば、その都度政府系金融機関、保証協会等にも連絡をいたしまして、この面の弾力化については気をつけてもらうように、今後とも指導してまいりたいと思います。
○対馬孝且君 それで中小企業の実態長官おわかりのとおり、これは融資する場合に担保が十分に提供できる余力があれば、何もあなた緊急融資を仰ぐ必要はないんですよ、これ。答えは簡単なんだよ。これはもちろん私は担保どうでもいいと言っているのじゃないよ。ないが、やっぱり物の考え方だね。それはもちろん一番抵当、一番抵当、三番抵当という問題があるが、たとえば担保物件を徴求する場合でも、たとえば土地あるいは建造物、そのほかに工場であれば機械、その他を含めてできるだけ本当に自分の中小企業がある程度一番抵当、二番抵当に入った以外でも、土地、建物を除いた、つまりある程度評価額としては非常に問題があるでしょう。あるが、たとえばそこの工場の機械なら機械というものが一台仮に三十万であると、それを評価した場合に五十万で見ていいんじゃないかというようなことだとか、私はそこだと思うんですよ、大事なことは。そういうある程度弾力的運用というのはそこを言っているのじゃないかと私は思うんだが、そこらあたりが―― ところが、実際に出先に行って、私は調べてきたんだが、出先に行って、ある企業だけれども、言われてみたら、そんなもの問題にならない、そんな機械なんかとっても話になりませんと、いまやっぱり土地、建物でなければ絶対だめだと、こう言って出先では担保物件を固定するというか、原則を守るというか、こうなってしまったらそんなものあるわけないんじゃないかと言うのだ、今日の円高、こういう中小企業の実態の中で。たとえば機械だとかあるいはそういう拡大できるある程度の資産のもの、そういう多少やっぱり間接的な資産なり、あるいは機械等、そういうものを全灘ある程度損保物件としてみなしていただいて、そして対応していただくという、こういう措置をとってもらわなければ、何ぼ法律をつくってみたって、そんなものは絵にかいたモチだという感じを持っているんですよ。私はそれを言いたいのですよ。 ここで言う弾力的――担保の徴求の弾力化ということは一体どういうことなんだと、これをきちっと解説をつけてくれと。はっきり申し上げれば、中小企業は。解説をつけたものを行政示達文書を出してくれというのが中小企業者の声ですよ。そこまでここでは申し上げませんが、私は少なくてもそういう、いま私が言ったような土地、建物でなければだめだというような担保のあり方ではなくて、やっぱりそれにまつわる間接的な物件であれば、これは担保としてみなすと、こういうことが私は弾力的徴求という意味を言っているのじゃないのか。そうでなければここであらわす意味がないんじゃないかと、こう考えるんですが、いかがなものでしょうかね、この点。
○政府委員(岸田文武君) 担保物件の範囲に関連をして、実態を踏まえたお尋ねがあったわけでございますけれども、私どももいろいろ貸付状況についてサンプルをとって調査をいたしてみました。その結果を見てみますと、確かに主力は土地であり、また土地プラス建物ということになっておりますが、機械、設備を担保にとっておるという事例もかなりございますし、それから従来は余りやっておりませんでしたが、申し込み物件を担保にするというやり方も最近はかなりふえてきております。それから従来は遠隔地にある分工場、営業所、この辺はもう管理不可能ということでなかなか相手にしなかったんですが、これも、しっかりした企業ならば、そういうものもひとつ考えていこうというやり方も最近とっております。それから、中にはでございますが、会社役員の個人資産を担保に提供してもらうというようなやり方もやっております。この意味で、少しでも工夫をしながら一応担保物件として考え得るものは、広く対象として考えていこうという方向で逐次改善を見つつあるという形ではないかと思っておるところでございます。
○対馬孝且君 ひとつ、私は無担保とは言わぬが、やっぱりそういうたとえばこの運用の場合の基準というものを出していいんじゃないか、出してもらいたいと私は思うんです。その判断、判断で結論を出すんじゃなくて、ある程度行政指導要綱というか、出先の基準要綱というか、この運用の場合の。これを幾つか出して、そしてこれだけのことはやっぱりぜひ最大限法律を活用させると、こういう点でのひとつ指導をしてもらいたいと、これは特に申し上げます。これはこの前、同僚の森下議員からも厳しく言われた点ですから、この点、ひとつそういうものを検討してもらいたいと、これを強く申し上げておきます。 次に、この法案の中で、時間が大体詰まっておりますので、法案の一番問題点は私は業種指定だと思うんですよ、業種指定。この法案でいきますと、業種認定が三つありますね。主務大臣の業種認定、それから産地業種認定、個別認定と、こう大体三つに分かれます。 そこで私は具体的な例を、北海道の例を一つ出しますよ。これは北海道では産炭地誘致で企業誘致した皮革の加工製造業がございます。会社名はメイクラフト・オリエントという会社なんですが、これは資本金は一千万足らずであります。輸出先はどこかと言いますと、これはアメリカ、カナダ、オーストラリア、西独、フランス、こういうところへ輸出して、最近ばったりまいってしまっておると、こういうのが一つございます。 それからもう一つは、これは率直に申し上げるんですが、北海道に下川鉱山というのがあるわけです。これは直接の輸出産業ではないが、御案内のとおり銅というのは、ロンドン相場で全部これ左右されちゃうわけだ。ところが現在銅一トンがいまロンドン相場でいくと三十二万円だそうですよ。ところがいま国内で銅一トン生産するには六十二万円かかる。結果的にロンドン相場で円高によるやっぱり間接的な影響が出てきまして、どんどん銅が安くなってくるものだから、ひいては国内を刺激してしまう。そのために、ことしはこの下川鉱山が一体どうなるかということできわめて重大なピンチに実は立たされていると、こういう問題が現実に出てきているわけですよ。 それから三つ目はスキー産業です。合板関係を含むスキー輸出です。これも最近いろいろな改良その他をやっていますが、なかなかこれはスキー産業としても大変だということになってきましたので、ことしは恐らく個別認定というところで、これ判断されると思うんでありますが、まずこの法案の絡みであるこういうものか救われなければ、私はこの法案が意味ないんじゃないかと、こう思うのでありますが、この点どうですか。北海道の血の叫びなんだよ。これだけはぜひひとつやってもらいたいという、これ強く訴えられております。 ぼくは例として出したんだが、大体指定業種はどれぐらい考えているのか、それからどの範囲まで、個別認定をする場合の手だてはどうすればいいのか、この点をひとつお伺いします。
○政府委員(岸田文武君) 業種指定の範囲は、いま関係の業界及び関係の各省庁から資料を集めておりまして、調整をし最後の段階まで来ております。大体全国業種として指定されておりますものが現在で五十九業種あるわけでございますが、この五十九業種につきまして、大体倍ぐらいの指定になるのではないかと思っております。そのほかに産地業種があり、それから個別認定があるという形でございますので、問題のありそうなところはなるべく前向きに拾ってまいりたいと思っておるところでございます。 具体的に幾つかケースを挙げて、それが対象となるかどうかという点についての見解を求められたわけでございますが、まず第一番にお尋ねのございました皮革加工製造業でございますが、私どもは業種指定を行いますときには、業種全体での輸出比率が大体二〇%以上であるというようなことを一つの物差しとして考えていってはどうかと思っております。したがって、皮革加工製造業としてそういうふうになっていれば問題がないわけでございますが、もしそうなっておりませんでも、いまもお話のように、当該企業において輸出比率が非常に高いという場合には、個別認定として認め得る可能性が非常に高いのではないかと思っておるところでございます。 それから、第二番目に鉱山の問題についてお触れになられまして、円高の影響というのは、直接的な影響からそれに準ずる影響、さらに間接的な影響まで非常に広がってまいるわけでございますが、いまお話のございました鉱山の問題は、ドル建ての建て値の相場の変動に伴って、国内の値段も直接的に動いていくというような関係もございますので、実質的にはやはり準ずる関係というふうに理解をして、何とかこれを前向きに考える工夫ができないものだろうか、そういうことでいま詰めておりますところでございます。 それから、三番目に御指摘のございました合板製造業につきましては、これは最終的にはまだお答えがしにくい段階かとも思いますが、大体地域指定をして取り上げていくという方向で作業が進んでいるようにいま聞いておるところでございます。
○対馬孝且君 まあ、いま業種指定、例として二、三私は挙げただけでありますが、この種のものはまだ相当数あると思います。したがって、ひとついま長官からお答え願って、大体認定していただけるという前向きのお答えがございましたから、非常に北海道の方々も喜ばれると思うんでありますが、ともあれ北海道だけでなくて、私の言いたいのは、先ほど業種が相当広範囲に考えられているということでありますから、この指定の場合、ひとつ相当なやっぱり地域ごとの意見を十分にそんたくをされて、ひとつ広範な、何も便乗しろとかそういうことを言っているんじゃなくて、間接的な影響を受けた業種であっても、やっぱりこの法律を適用してやると、こういう前向きの対処をしてもらいたいと、こう考えますが、いかがでしょうか。
○政府委員(岸田文武君) 御趣旨はよくわかります。そういう方向で努力いたしたいと思います。
○対馬孝且君 それでは、業種指定の問題について終わります。 あと最後に一点だけ、簡潔にひとつこれはお答え願って結構ですが、法人税の還付と地方税が一体どうなるのかという問題でありますが、この本法案によりますと認定中小企業に対しては、欠損金を生じた場合には租税特別措置法により所得税または法人税が還付されることになっており、過去三年間にさかのぼって行うことが予定されているというのが具体的な取り扱いの内容になっておるわけです、この法案の。そうですね。そこで問題は、この地方税との関係が一体どうなるのかと、その点だけ一点最後に質問して終わります。
○政府委員(岸田文武君) 国税の関係につきましては、大体先生御理解いただいておりますとおりでございますが、地方税の関係につきましては、国税にございますような税金の還付という制度がございません。したがいまして、それにかわる措置といたしまして、納税の繰り延べという形で処理をしていきたいと、かように考えておるところでございます。
○馬場富君 最初に、今後の経済見通しについて質問いたします。 衆議院の予算委員会や商工委員会でも論議されておりますけれども、五十三年度の経済成長率の七%の問題でございますけれども、私は多くの人々の声を聞きますと、一体今年は景気がよくなるのかどうかと、非常に経済に対する不安感が強まってきております。そういう点で、この経済成長論よりも、もっともっと私たちが考えなきゃならぬのは、政府が国民に対して、いかに経済に対する不安をなくするかということについての目標をしっかりすべきだ、そういう点につきまして、通産大臣はこの不安を七%の成長によって解消できるかどうか、その点について大臣に質問いたします。
○国務大臣(河本敏夫君) いまわが国が当面しておる問題が二つあると思います。 一つは、産業全体の操業率を上げることによりまして、雇用問題を安定をさせるということが一つの大きな課題だと思います。 それから第二は、日本の大幅な黒字基調が導火線になりまして、世界全体に保護貿易的な傾向が台頭をいたしまして、自由貿易の原則が崩れるということになることをあくまで防がなければなりませんので、そのために、わが国の大幅な黒字をある程度調整をしなければならない。五十三年度には、五十二年度の経常収支の黒字幅をおよそ半減をいたしまして、六十億ドル前後にするということを目標にしておりますが、この国際収支の調整というこの二つの問題があるわけであります。 この二つの課題を解決するために、七%成長を達成するという基本方針を決定をしたわけであります。七%成長はむずかしいのではないかという議論が、特に民間の一部にあるということを私どもも承知をしておりますが、私どもは、これは政策を間違わなければ必ず実現できると、このように理解をいたしております。それじゃ、政策を間違わなければという意味はどういうことかと言いますと、一つは、すべての政策目標をこの七%経済成長に集中するということだと思いますし、それから、やはり世界情勢は刻々変化をいたしますので、そういう変化に対応いたしまして、機敏でかつ大胆な対応策というものを打ち出していくということ、これが政策上どうしても必要だと、私どもはこのように理解をしておりますが、そういう政策を打ち出し、実行をすることによりまして、七%成長というものは可能になると、このような目標で政策を進めてまいる所存でございます。
○馬場富君 昨年もそういうことによって、大きい、やはり成長率の誤算が生じました。そういう点において、現在の安定経済の中においての、ただ数字ずくめの予算案だけでは、私はこれはやはり景気浮揚については問題点があると思う。また、成長率についても問題点があると、こう考えるわけですが、大臣はその点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) やはり政策の中身が大事でございまして、先ほども申し上げましたように、変化に遅滞なく対応していくと、そうして政策を集中するという、この二つの進め方を間違わないようにいたしまして、五十二年度の失敗は繰り返さないようにしなければならぬと思っております。
○馬場富君 じゃ、その立場から、きょうも参議院の予算委員会で、日銀総裁が、設備投資は依然として低迷しているという発言をしてみえます。そういう状況からいきまして、七%成長の需要項目別内訳を見てみますと、五十二年度は設備投資は〇・九%の増でございました。ところが、この内訳を見ますと、五十三年度は六・七%実質増の見通しを立てておるわけでございますが、日銀総裁の発言ともあわせて、この目標に対する達成等についてもはなはだ疑問があるわけでございますが、大臣いかがですか。
○国務大臣(河本敏夫君) 現時点から判断をいたしますと、民間の設備投資、ことしの五十三年度の目標というものは過大ではないか、これは果たして実現できるのか、こういう御意見があるのは私は当然だと思います。 そこで、政府の年度間を通じての大体の政策の進め方を申し上げますと、今度予算で決めました公共事業、いま着々準備を進めておりますが、三月末に予算を通していただきますならば、直ちにこれが翌日から執行できるような体制を進めていかなければならぬということで、各省ごとに公共事業推進本部というものを設けまして、いま着々準備をしておるところでございます。 そこで一般会計、それから財政投融資、地方財政、広い意味での財政を通じましての公共事業の総量というものは非常に大きなものがございます。私どもは、これを執行に移していきますと、産業界の皆さん、国民の皆さんが考えておられる以上の大きな効果が生まれてくるのではないかと思っておるのです。特に上半期に集中をいたす所存でございますが、上半期と言いましても、昨年の例でもおわかりのように、四月-六月に集中するわけです。したがいまして、四月-六月に集中いたしました効果が五十三年度に出てまいるのが七月過ぎだと思いますが、その時点では、私はそれが導火線になりまして、現在は民間経済というものは停滞をしておりますが、そのころには予想外の効果が出てまいりまして、民間経済がある程度の活力を生むのではないか。だから、前半は財政中心、後半は、財政ももちろん大きな役割りを果たしますけれども、民間経済に活力を期待していく、こういう形で年度間の経済運営を進めていくと、こういう考え方でございます。
○馬場富君 もう一点は、需要内訳の中で個人消費の問題が取り上げられておりますが、国民総生産の五〇%を占めるだけに、私は今度の景気問題としては重要な項目であると思います。先ほども質問しましたが、経済の先行き不安の現状下で、国民は実は節約ムードがあり、消費というのがなかなか進まないという現状から推しまして、五十三年度個人消費支出は五・三%増になっておるわけでございます。昨年ですら三・九%の伸びでございました。そういう点で、今年は、医療費の値上げを初めといたしまして、国鉄、授業料、あるいは酒、公団住宅などの公共料金の値上げが相次いで予定されております。国民生活は昨年より苦しくなるということを私どもは考えなければならない要素が多分にございます。そういう点からいたしまして個人消費の伸び率は、五・三%はどうかという問題がございますが、この点いかがでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) これも現在の時点で多くの人たちは、国民消費が、政府が考えておるように、国民経済全体の中の五七%、前年度に比べて一二%近くも伸びるということにしておるが、そんなに伸びるはずないじゃないかと、こういうことを言われる方が多いわけであります。しかし、私はこれももうしばらくすると様子が変わると思います。 と申しますのは、実は産業の操業率を見ますと、五十一年度よりも五十二年度の方が悪いわけですね。産業の操業率が五十一年度よりも五十二年度の方が悪いわけでありますから、したがいまして、その点はベースアップも非常に小さいわけでありますし、ボーナスも少ない。それから残業も少ない、こういうことであったと思うんですが、五十三年度は、産業全体の操業率を少なくとも五十二年度に比べて八%は引き上げたい、こういうことを大きな目標にしておるわけであります。そして、先ほども申し上げましたように、雇用問題の安定を図りたい、こういうことを大きな政策の柱にしているわけであります。 産業の操業率が八%上がるということは、これは、私は大変なことだと思うんです。それが目標どおり軌道に乗ってまいりますと、国民の消費生活にもある程度やはり活力が生まれてくるのではないか、でありまして、すべてを、前半は財政主導、それから後半は民間経済。先ほど設備投資のところでも申し上げましたが、やはり消費活動におきましても、そのような期待を持っておるところでございます。
○馬場富君 じゃ、次に、構造不況業種である平電炉の対策についてお伺いいたします。 平電炉の基本問題に対する五十二年度の産構審鉄鋼部会の答申をひとつ説明願いたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 平電炉の基本問題につきましては産構審ではございませんが、基礎産業局長の私的諮問機関としての平電炉基本問題研究会を開催いたしまして、そこから答申をいただいたわけでございます。 この答申の骨子は、昭和五十五年に至りましてもなお平電炉の構造的な設備過剰というのは消滅いたしませんので、平電炉部門に関しましては少なくとも三百三十万トン程度の設備を廃棄するということによりまして、昭和五十五年度におきまして需給はおおむね均衡するに至るであろう。で、この政策を実行するために、平電炉の設備の新増設につきましては、これを抑制するということ。以上を骨子といたしました答申が出たわけでございます。
○馬場富君 その答申によりまして、通産省指導のもとに平電炉業界にあっては中小企業団体法による工業組合が結成されまして、昨年十月より数量並びに価格等の調整が実は行われて、その実績を上げておるわけでございますが、この組合に参加できないアウトサイダーについて、通産省はどのようにお考えか、御説明願いたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) アウトサイダーにつきましては、アウトサイダーが十一社あるのでございますが、これが自由に生産をいたしておりましてはこの生産調整の実が上がりませんので、工業組合の方からの要請もございましてアウトサイダー規制命令を実施することに決定をいたしたわけでございまして、現在は、数量に関しましてアウトサイダーにも生産の割り当てをいたしまして生産調整を実行しておるところでございます。最近生産調整の実効が出てまいりまして、今年に入りましてから小棒の価格は強含みに推移をいたしております。
○馬場富君 先ほどの説明のアウトサイダーについて規制が実は昨年十二月一日より五十三年の三月三十一日までの期限つきで省令によって実施されることが発表されたわけでございますけれども、これについて実は、アウトサイダーについては通産省が監視することになっておりますが、これにつきましてどのようなチェックがなされておるか。また、数量的にはどのような規制によって、どのような変化が出てきたかを御説明願いたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 生産数量の監視に関しましては、組合におきまして警備保障会社を雇いまして、この警備保障会社をしてその生産の監視を行わしめておるわけでございます。 次に、規制による効果でございますけれども、カルテルの総量は、生産割り当て量は、総量で六十二、三万トンでございますが、その約二三%分がアウトサイダーに割り当てられておりまして、生産量で申しますと、十月は、組合員が四十六万トン、それからアウトサイダーが十八万トン、十一月は、インサイダー四十六万トン、アウトサイダー約二十万トンと、こういうふうに推移をいたしております。
○馬場富君 実はこの点につきまして、かなり第三者機関を使ってということがございますけれども、もう少しやはり通産の方もしっかり指導していただきたい。インサイダーにおいても第三者による毎日生産チェックが実は行われて、通産省の指導に対して協力をしておるわけでございます。そういう点について、やはりこのインサイダーの側から見れば、アウトサイダーについての規制厳守ということが甘いんじゃないかという不満が非常にあるわけです。そのためにも、これはやはり公平な指導徹底を図らなければ、こういうやはり構造不況に取り組んでいく解決はできぬと、こう思うんですが、この点はどうでしょう。
○政府委員(天谷直弘君) 生産数量の監視につきましては、今後ともインサイダーからの不満が出ないように、ますます監視を強化していきたいと思っております。
○馬場富君 また、この規制が実はしっかり守られないとすると、先ほど話したようにやはり工業組合部内にも不満が起こりますし、それから規制に対する団結ということもやはりばらばらになってくる。 それと、あわせましてもう一点は、三月三十一日までの期間については、今後どのように考えてみえるか。その点を質問いたします。
○政府委員(天谷直弘君) 三月三十一日で期間が切れた後延長するかどうかということにつきましては、三月になりましてから、小棒の需給状況、市況等を勘案して、公取等の意向もよく聞きながら、対処をいたしたいと考えております。
○馬場富君 実は、アウトサイダーの規制に相対して、いま通産で立案されており、問題となっております設備廃棄についての特定不況産業安定臨時措置法案について、新聞等では原案の手直しが報じられておりますが、これについての事情を説明してもらいたいと思います。
○政府委員(山口和男君) 構造的な不況業種につきまして設備廃棄、設備の処理等を中心にいたしまして対策を講ずる方向でただいま検討をいたしておりますが、先生御指摘のこれに対する法案につきましては、ただいま関係各省、公取等と内容につきまして調整をし、話し合いをいたしまして詰めておる段階でございますので、ただいま内容につきましては御説明申し上げる段階にないので、御了承願いたいと存じます。
○馬場富君 この平電炉の関係といたしまして、次に外務省にお伺いいたします。 五十三年度予算の政府案の中で海外一般商品無償援助について、平電炉で生産されております小型棒鋼が、海外低開発国よりの要望によって考えられておるということを聞いておりますが、その額はどの程度でございますか、御説明願いたいと思います。
○説明員(中村泰三君) 海外の無償援助、これは外務省所管の経済開発等援助費ということでございまして、五十三年度におきましては総額三百九十億を計上しております、ただ、無償を含めましてわが国の経済協力は発展途上国の経済開発のための自助努力を支持するという立場から行われております。こういう立場からわが国の援助は、発展途L国のまず要請に沿った形で援助を行うということを基本方針としております。したがいまして、特定の品目を前もって定めるわけにはまいりませんが、途上国から小棒の援助要請があり、わが国において調達能力があり、かつそれが途上国の経済開発に役立つということであれば、当然援助対象品目として検討の対象になると思いますが、現在の段階では、この小棒のために幾ら金額的に用意してあるかということは、まだそういう状況でございまして、いま、まだここで明らかにする段階ではございません。
○馬場富君 総額について、大要をひとつ説明していただきたい。
○説明員(中村泰三君) 総額は三百九十億でございます。その内訳は、水産関係の援助が五十億、災害関係の援助が十億、文化関係の援助が三億、その他いわゆる一般無償援助と言われておりますのが三百二十七億、総額三百九十億でございます。
○馬場富君 それに関連いたしまして、この小型棒鋼については、私ども業界からも海外からの強い要望があると、こういうように聞いております。そういう点についても、今後も予算の中でこのことは前向きに考えていただきたいと、こう考えますが、この点いかがでしょうか。
○説明員(中村泰三君) 先ほど申しましたように、途上国側から小型棒鋼につきましての援助要請があり、かつそれが途上国の経済社会開発に役立つということでございますれば、私たちといたしましては、本件を援助対象品目として当然検討さしていただきたいと考えております。
○馬場富君 次に、この平電炉についての業界というのは構造不況に見舞われておりますけれども、また他方では、これは日本産業から出る実は産業廃棄物の鉄くずの処理をしておる、いわゆる産業廃棄物の処理施設も実は兼ねておるわけでございます。その点で、単にこれは廃棄のみを考えずに、いま現在、日本に出ておりまする鉄くずの二千万トンの処理についての製品の流通については、何としてでもこれは国を挙げて考えていかなければならぬ私は問題であると思います。こういう点で、今後の海外無償援助とあわせまして、この平電炉の不況の解決について大臣はどのような見解を持ってみえますか、お尋ねしたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 平電炉の基本的な構造改善計画につきましては、いま天谷局長が申し述べたとおりでありまして、その線に沿って進めていきたいと思っております。その間、平電炉製品を一部の海外援助に使っていくということも、先ほど来の質疑応答にありましたように、いま検討をしておりますが、本筋はあくまで構造改善事業、このように理解をしております。
○馬場富君 その点で先ほども申しましたが、構造不況業種とあわせて、これは、そういう日本の鉄くずという産業廃棄物が、これが処理なされなかったならばどうなるかと考えたときに、これは大きく言えば、私は産業廃棄物の処理施設でもあると、こう考えていかなければいかぬと思うのです。そういう点で、やはりこの業種の対策につきましては、国内でできる二千万トンの鉄くずの処理につきましては、やはりこれに対する需要や、そういうことは当然これは最優先にやはり考えていかなければいかぬと、こういう考え方で、私はこれは臨むべきだと思うのですが、ひとつこの点はっきりと御答弁を願いたいと思います。
○政府委員(天谷直弘君) 現在、鉄鋼業界は一億トン前後の異常な低操業に陥っているわけでございます。しかしながら、昭和四十七、八年ごろの見通しによりますと、昭和五十二年では、大体鉄鋼業の生産は一億三千万トン程度に達するものという見通しのもとに、鉄鉱石、それから原料炭等の手当てをやっておるわけでございます。したがいまして、そういう国際的な約束を履行するために、現在ではどうしても過剰なほどの鉄鉱石、原料炭を買わなければなりませんので、したがって鉄くずに対する需要がはかばかしくないというような問題が出ておりますが、長期に考えますと、次第にできるだけ正確な需要見通しをやり、海外からの鉄鉱石による鉄と、それから国内のスクラップに依存する鉄とのバランスをとりながら、先生おっしゃいましたような国内鉄くず処理の健全な発展を図っていきたいというふうに考えます。
○馬場富君 次に、提出法案について質問いたします。 今回のこの法案は、中小企業の対策につきまして細部にわたって対策が考えられております。これは非常にわれわれも喜ぶべきことでございますが、具体的な実施のあり方について、実は法の趣旨、精神を理解しての対策の侵透が、いままでの対策の段階では非常に弱い点が多いという点が考えられるのでございます。そのために完全に中小企業の救済に役立ってないという、そういう細部の点がございまして、この点について私は現場の諸問題をちょっととらえながら質問したいと思います。 今回の法案も、現場の中小企業者を不況、円高より守るために絶対に必要な私は対策であると考えるわけでございますが、今回の提案につきまして考えてみまするに、これは遅過ぎるという感じすらするわけです。これが昨年、あの不況の頭初にこの対策がなされておったならば大きい効果をあらわしたのではないか、そういう点を痛切に感ずるわけです。そういう点で、この実施が公布の日よりと、こうなされておりますけれども、やはりこの細部にわたっての徹底ということは、なかなか困難な要素もございますが、そういう点について具体的な実施に対する配慮はどのようになされておるか、その点を質問いたします。
○政府委員(岸田文武君) 私どもは、昨年の夏以降円高問題が非常に大きな影響を中小企業に与えるようになりましたので、やはり機敏に対応策をとることが必要であると考えまして、御承知のとおり十月一日から為替変動対策緊急融資制度を発足させ、今日に至っておるわけでございます。実ばそれを改善いたしますにつきまして、予算を要する事項がございましたので、年度末の予算編成の際に、これらの懸案を解決すべく努力いたしました結果、それらを踏まえまして、今回の法案の提案に至ったということでございまして、私どもとしては、一刻も早く対応策を用意しようということで従来から努力をしてきたつもりでございます。いま御指摘ございましたように、この成果を少しでも多くの中小企業の方々に利用していただくということのために、私ども考えておりますことの一つといたしまして、今回この法律を背景としまして為替変動対策緊急融資について特利が適用されることになったわけでございますが、この特利につきましては、昨年の十月一日にさかのぼって適用するということにいたしまして、いま申し上げましたような趣旨を少しでも反映するように努力をした次第でございます。
○馬場富君 次に、この法案の中で信用保険制度の限度枠の拡大がなされておりますけれども、これにつきましても、現在この保証によって一般市中銀行で制度融資の貸し出しがなされておるわけでございますが、これにつきましても、この窓口事務が実はばらばらで、そしていまだにこういうものに対しての歩積みや拘束預金や、中にはこの信用保証による融資にもかかわらず、二重の担保をとっておるという実例なんかも、現場でわれわれはつかんでおるわけでございます。このようではいかなるりっぱな対策がなされても、この融資の価値というのが薄らいでしまう、こういうのが現場の実情でございます、そういう点で特に不況で困っておる中小零細企業ほど、この一般銀行の窓口に対する目は厳しいわけです。そういう点について、やはりこの制度を実施するに当たって、行政側が厳しく、関係金融機関についても徹底してこれは実施しなきゃ、この効果は窓口に行って、現場に行けば薄らいでしまう。この点、どのように考えてみえるか、ひとつお考えを。
○政府委員(岸田文武君) いま御指摘ございましたように、私どももせっかく用意した制度でございますから、生きて使えるように工夫を加えていかなければならないと思っておるところでございます。 担保の問題についてお話ございました。確かに貸す側にしてみれば、金融という制度による以上、担保なしで大きな金を貸すということについてちゅうちょがあろうかと思います。特に窓口の旭当者としては、慎重になるというような傾向も一面ではあるかと思いますが、ただ、せっかくこういう制度を用意をして、円高の問題を切り抜けていこう、切り抜けていくことによって長期的に何とかなる中小企業というものを育てていこうと、こういうのが本当のねらいでございますから、そこはやはり、実情に即したような弾力的な解決を図っていかなければならないと私どもも思っておるところでございます。こういう面につきまして、従来担保の徴求の弾力化ということについて一般的に指導をいたしておりましたが、もう少しブレークダウンをしまして、評価の方法について、あるいは担保徴求の範囲につきまして、それらをもう少し砕いた通達を先般用意をした次第でございます ただ、それらにつきましてさらに具体的なケースになりますといろいろ問題も出てこようかと思います。こういった点につきましては、この法律を施行するに際しまして改めて注意を喚起し、いま御指摘のような問題が、少しでも解決できるように努力をしていきたいと思っておるところでございます。
○馬場富君 次に金融上の特別措置について、現在政府系金融機関三機関の無担保による融資をされておりますけれども、これはどのように考えてみえるか、国金、商工中金、中小企業金融公庫等あわせて説明をしていただきたいと思います。
○政府委員(岸田文武君) 無担保融資と申しますと、まず代表的な金融機関としては国民金融公庫が挙げられるのではないかと思います。国民金融公庫につきましては、御承知のとおり、無担保貸付限度を昨年の四月に三百万円から五百万円に引き上げております。これは念のために申し上げておきますが、いま無担保貸付限度と申しましたのは、正確には支店長限りで無担保でもやってよろしいという限度でございます。したがいまして、個々の細かいケースになりますと、五百万円以下でもやはり相手の信用状態等をかんがみて担保をちょうだいしなければならないという場合もありますが、おおむねいまのようなことを頭に置きながら、うまく運用するということで指導をしてまいりまして、その結果といたしまして、国民金融公庫の場合には件数で約九五%、それから貸付金額で八七%が現在無担保で融資をされておるというところにまいっております。なお、国民金融公庫におきましては、御承知のとおり小企業等経営改善資金の扱いをいたしておりまして、これは無担保、無保証という形になっております。 それから、中小企業金融公庫の場合には、これは事の性質が設備資金であり、長期運転資金であるということからしまして、無担保はむしろ例外でございまして、何らかの形で担保をちょうだいいたすというのが主流になっておりますことは御承知のとおりでございます。こういった場合につきまして、少しでも実情に即したような担保徴求ということにつきまして、先ほど来御説明いたしておりますように、注意を喚起し、また指導してまいったところでございます。
○馬場富君 特に、中小企業金融公庫の一般市中銀行の小口については代理貸しが行われておりますけれども、こういう点についても、実は直貸しの場合はやはり大きい金額、二千五百万円以上ですから、これは当然でございますけれども、市中銀行についての小口についてはかなり小金額もあります。そういう点について窓口についてはもう担保を出すのがあたりまえだというような考え方で実は取り扱われておりますし、それからこれはやはり中小企業金融公庫の転貸しにつきましては非常に窓口の銀行についてのPRは実にお粗末だ。自分のところの銀行の貸し出し制度みたいに考えている向きが非常に多い。それから、そういう中小企業の、対策の恩恵を受けようとする人たちに対して非情な点が非常に強い。こういう点で、やはりここにつきましても、信用の許される範囲においてはこれは無担保の、ある程度まで私は考えは持っても当然だと思いますが、その点いかがでしょうか。
○政府委員(岸田文武君) 代理貸しをやります場合には、いわば代理貸しの代理機関が相手方の内容を審査をし、そしてその結果についてある程度リスクを負うという形になっております。したがって、代理機関において、無担保で差し支えないと考えられたときには無担保で融資される事例がかなりあるわけでございます。この辺のさじかげんは、いわば代理機関とそれから取引先との従来のつながり、それによってどの程度実態が把握されているかということにかかっているわけでございまして、一律にどうしろ、こうしろということは言えない性格でございますが、ただ、それだからといって、やはり実情に即したようなうまい解決方法をその都度見つけていかなければならないことは同様でございまして、この辺の実態につきましてなおよく私どももフォローをし、そして適切に運営ができるように指導をしてまいりたいと思います。
○馬場富君 今回の業種認定によりまして、中小企業の為替変動対策緊急資金あるいは事業転換資金が政府系三機関より行われるのでございますけれども、現状は、この長期不況と半年以上にも及ぶ円高の波動によって、中小企業の経営というのはもう底をついてしまっておる、そういう点についてかなり担保提供力も弱ってきておると、こういう点が、実は先ほど来の質問の中にもあるように、現状です。そういう点で、今回の信用補完の別枠とあわせまして、政府系三機関の無担保による限度についても、私はある程度まで拡大を考えるべきであると、こういうふうに考えますが、その点いかがでしょうか。
○政府委員(岸田文武君) 当面、限度という形になりますと、国民金融公庫の先ほど申しました支店長決裁の限度のことが問題になろうかと思うわけでございます。これにつきましては、実は昨年の四月に三百万円から五百万円という大幅な引き上げをしたわけでございまして、それからそう時期もたっていないという関係上、これを一律に引き上げるというのはまだ多少時期尚早ではないかという感じがいたしております。ただ、私どもも、それだからといって、今後ともそれでいいと考えているわけではございません。今後の金融情勢、あるいは貸し出しの実情等をよく私どもも注意をして見まして、実情に応じた見直しが必要な時期には行うということで臨んでいきたいと思います。
○馬場富君 私の言っとるのはね、こういう対策融資について特に、まああなたはまだ、枠を拡大した――時期尚早だとおっしゃいますけれども、円高による変化というのはこの一年間や半年間にすごい変化じゃないですか。そういうものを考えたときに、やはりそれに対応するだけの私は拡大というのは当然考えるべきである。これが鎮静したら枠を縮小してもいいと思うんです。そういうようなひとつ臨機応変な処置を当然考えてもしかるべきだと、私はそう思うが、どうでしょうかね。
○政府委員(岸田文武君) いまの金融情勢及び中小企業の置かれた環境、それらを総合的に勘案しなければならない問題だろうと思います。やはり無担保ということは、ある程度小口であって、そして、一々揖保徴求というようなことをやっておっては手間もかかるし、また実情にも即しないと、こういう場合に対応して設けられた制度であろうかと思います。したがって、その間の事情がどういうふうに変わっているのかということを見きわめながら、この限度の町検討をするというのが筋であろうと思います。確かに御指摘のように、中小企業の側の条件というのが逐次変わってきておりますことも事実でございますが、ただこういう無担保の制度といいますか、無担保の限度を設けました趣旨に照らしまして、もう一度事態の推移を見ながら、私どもも機敏に対応していきたいと思っておるところでございます。
○馬場富君 次に、この法案の業種指定についてでございますが、まあ御存じのように長期不況にあわせまして、半年以上に及ぶ円高の高騰の波動というのは、実は直接輸出関係やそれの関連業種たけじゃなくて、やはり中小企業全般に大きい波動を与えて、やっぱりこの被害というのは全般にわたってきておると、こういう点を強くいま感ずるわけです、そういう点で、今度のこの業種指定につきましても、やっぱり相当直接、間接問わず、幅広く多くの人が救済できるようにこれは考えてもらわなきゃ困るというわけでございますが、その点について具体的な業種指定のあり方について説明していただきたいと思います。
○政府委員(岸田文武君) 御承知のとおり、昨年十月から実施いたしました為替変動対策緊急融資におきましては、五十九業種を対象として実施しておるところでございます。私どもはこの新しい法案ができましたならば、早速この業種の見直しをし、そしてそれを発表するということで、いまその作業を着々進めておりまして、あと、週間以内には確定をするというところへこぎつけていきたいと思っておるところでございます。この業種の選定に際しましては、各業界あるいは各所管官庁に依頼をいたしまして、必要な資料を提出をしていただき、いまその整理をいたしておるところでございます。御趣旨の点は私どももよく理解をいたしておりますので、問題がある、円高によって相当の影響を受けそうだというような業種については、これを拾っていくという考え方で処理をしていきたいと思っておるところでございます。
○馬場富君 同じく業種指定につきまして、繊維や雑貨等については、いま逆輸入の問題で円高の逆差というのが非常にあらわれております。そのために輸入品の価格が低下して、やはり繊維、雑貨等については国内製品の販売と製造についても大きい打撃を受けておられます。だから、昨年の一月ごろのドル三百円当時の状況から推しますと、一枚のシャツでもやはり六百円の物が現在は逆輸入の関係では四百八十円で入っておる、こういう現状です。そして、そのためにこれがやはり国内の商品に大きい圧迫感を与えておるわけでございますが、これは、このいまの法案の立場からいけば逆でございますけれども、こういう商品や業種に対してこの点でどのようにお考えになっておるかお聞かせ願いたいと思います。
○政府委員(岸田文武君) 円高の影響をまず一番端的に受けますのは輸出産業、特に産地産業ということになろうかと思います。ただ、円筒の影響というのを広く考えてみますと、輸出が出なくなったために内需にあふれ出して、内需で過当競争が起こるとか、あるいはいまお話しございましたように、輸入が促進された結果、間接的に影響を受けるというような場合まで広がってまいるわけでございます。この法律は、いわば直接に円高の影響を受ける、あるいはそれに準ずる事態を対象とした立法でございまして、当面考えられる対策をそこに集中的に行うということから考えた次第でございます。 そうは申しましても、広い意味でいま中小企業はいろいろの経済情勢の変化から苦しい状況に陥っていることは十分承知をいたしておるところでございまして、こういった広い意味の問題に対応いたしましては、この新しい立法と離れましても、既存の中小企業対策というものを集中的に活用して、問題を一つ一つ解決をするということのために、今後とも努力をしていく必要があろうと思っておるところでございます。
○馬場富君 いまの問題は現状の立場からいくとちょっと無理だというような答弁でございますけれども、今後の段階として、やはりこれは同じような立場の被害でございますから当然これは考えていただきたいと、こう思いますが、その点もあわせて答弁願いたいと思います。
○政府委員(岸田文武君) いま申し上げました円高の影響を、非常に間接的なものまで考えてまいりますと、実は円高による影響あるいは不況による影響、さまざまな影響、これらを区分してなかなか考えにくい、そういったことからしまして、この法律の対象として取り上げることは避けた次第でございます。 ただ、現実に業種ごとに実情を見ておりますと、新しい経済環境の中で、どうやってこれから生き延びていくかということについて大きな悩みを持っておられる業種がたくさんあることもまた事実でございます。そういう業種につきましては、それぞれその問題の起こってきた背景は何であるか、その問題を解決するためにはどうしたらいいのか、こういうことを勉強をし、そしてそれに必要な対策を適時打ち出していくということが当然必要であろうかと思っております。これは今後私どもに与えられた課題であると考えまして、問題の起こっておる業種ごとに私どもも勉強していきたいと思っておるところでございます。
○市川正一君 私は、この法案が円高不況に苦しむ中小企業の関係者、その深刻な要求が一定程度反映されているものとして、これを是としてこの質問に立っておるわけでありますが、同時に、一層この内容を充実さしていく、かつまた、ここに提起されている問題だけでは解決し得ない問題に対して、どう考えるかという御見解も伺うという形で、以下の質疑を進めさしていただきたいと思います。 当然、法案に関しての、あるいはそれに即しての、言いかえれば円高問題、中小企業問題でありますので、そのつもりではあったのですが、先ほど大臣の方から、今日の課題として二つの点を指摘され、産業全体の操業率を高め、雇用率を高める点が第一だ。第二は黒字基調の調整という点をお述べになったんですが、私は今度の予算案、そしていまの福田内閣のとっている基本経済政策の姿勢から、特にきょうのこの法案に関して申しますならば、真に中小企業を救済し、そしてその営業を守り発展さしていくという立場、そしてその効果というものが、その中に貫かれているのかどうか。 具体的に申しますならば、私ども今度の予算案の中で、代表質問においても提起をいたしましたけれども、今日の円高問題の真の原因というのは、確かに外因といいますか、外からの要因もある。しかし根本的には国内的な要因、特に大企業において、世界に類のないような低賃金、労働強化、さらには低福祉、こういう激しい搾取、収奪の上にいわゆる円高問題というのが成り立っておる。そして中小企業の猛烈な単価の切り下げ、そしてそれに対する犠牲のしわ寄せというふうな問題があるわけでありますが、そういう問題に対して、十分こたえているというふうに大臣はお考えであろうか。そしてまた、今度の予算案の内容が、そういう立場に立って組まれているかどうか。この点についてまずお聞きいたしたいのであります。
○国務大臣(河本敏夫君) 私は、先ほど一般的な景気対策といたしまして、産業の操業率を高め、雇用問題の安定を図ることと、それから国際収支の調整問題を挙げたわけでありますが、同時に、景気対策全体といたしましては、このような一般対策のほかに構造不況業種対策と中小企業対策、この二つを強力に進めていくことが必要である、こう思っております。でありますから、一般対策とそれから個別対策と、この二つを並行して進める、こういう考え方で産業政策というものをやっていきたいと思っております。
○市川正一君 その一般対策と個別対策というのは、必ずしも切り離されたものじゃなしに、基調があると思うんですが、私は、今度の予算案全体が、確かに公共事業に大盤振る舞いとマスコミも申すほどの、総量としての増加が見られているわけですが、しかし、実際にその中身を見ると、依然として大企業本位の大型プロジェクトにその予算がいわば投下される。そして、その効果というものが実際に中小企業に波及して及ぶのかどうか、その点、私非常に疑問を持っておりますが、大臣はどうお考えでしょうか。
○国務大臣(河本敏夫君) 産業政策の立場から言いますと、今回の予算、建設投資は非常に大規模でありますけれども、大型プロジェクトは私は比較的少ないと思っているんです。大変その点は不満だと思っております。景気対策上から言えば、もっともっと大型プロジェクトをふやすべきである、このように思っております。したがいまして、大型プロジェクトに偏重、しておると、こういうことはありません。それから、これだけの大規模な建設投資をするわけでありますが、できるだけ中小企業の方に仕事が回るように、積極的に配慮をしていかなければならぬと思っております、五十二年度は中央関係の仕事の三五%強を中小企業の方に回すことを目標にしておりますが、五十三年度はこれをもっとふやすつもりでおります。 それからなお、公共事業と申しましても中央関係と地方関係があるわけでありますが、地方関係は七割以上もすでに中小企業に回っておるんです。それで中央と地方を合わせますと五二、三%になりまして、中小企業には相当大きなシェアが回っておるわけでありまして、政府は、それだけ中小企業対策というものを重視しておるということについて、御理解をいただきたいと思います。
○市川正一君 私は、いまの問題については実態的に承服しかねるわけでありますが、共産党はかねて党首会談のときにも、宮本委員長が、この点福田総理に提起いたしましたけれども、二つの柱組み――一つは生活密着型の公共投資を、もっと大きく公共投資の流れを変える立場からふやすべきであるという点と、同時に国民の購買力を高めていく措置という二本柱の提案を行っておりますけれども、この点では、たとえば現に雇用の問題をいま大臣がおっしゃったけれども、最近の労働白書その他をとってみても、この二年間に製造業全体で生産性が二一・七%、生産が二二・三%増加しているにもかかわらず、雇用は逆に五・一%減少しておるという例に示されるように、私は生活基盤型の公共投資、そのいわば波及効果あるいは雇用効果、あるいは省エネルギー効果等々とってみまして、いままでの大型プロジェクトあるいは大企業本位のそういう公共投資に比べて、むしろ大きな効果を上げているということを経済企画庁の資料によっても立証されているわけでありますが、こうした立場に立って、特に中小企業の問題、後で官公需の問題、いま大臣触れられましたので、私も申し述べるつもりでありますが、もしそういう立場でおありだとすれば、その方向に向かって一段と改善措置をとり、対策を強化するというお考えであるかどうか、念のために再度お聞きしておきたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 私は、今度の予算は生活密着型の投資をずいぶんやっておると思います。たとえば下水道対策などもずいぶんふえておりますし、そのような例は幾つかあるわけであります。 それから政府全体の方針といたしまして、この公共事業が中小企業の方に回る比率を毎年高める努力をずっと続けてきておるわけでありますが、先ほども申し上げましたように、五十二年度においても相当な成果を上げましたが、五十三年度においては、さらに中小企業に回る量というものを、シェアというものを拡大をしていきたいと考えております。
○市川正一君 以上の前提を踏まえながら、この法案について具体的にお伺いいたすわけでありますが、先月の十九日に経済企画庁の発表しました資料によりますと、円高による輸出関連中小企業への影響というものは、二百四十円台の為替レートで採算がとれる中小企業の輸出品は、特殊バルブを除いて皆無であるというふうに述べております。また、中小企業庁が去る一月二十四日に発表しました円高の産地に与える影響についてというものによりますれば、なおその深刻な事態がますます進化しているというふうに明らかにしておりますが、そういう点から見ますと、今回のこの措置法案の内容というのは、まだ多くの点で不十分さを持っていると言わざるを得ないのでありますが、そこでまず指定業種の内容についてお伺いをいたします。 先ほど来御答弁がありましたように、現行の緊急融資制度の指定業種は五十九業種でございますけれども、私どもの調査によりますと、それ以外の業種で同様の、あるいはそれ以上の深刻な事態に陥っているところも少なくない。私たまたま大阪の方にもいろいろ行き来がありますので、大阪府の方で、政府の指定業種だけでは対策が行き届かないために、独自に指定を行っているのが幾つかございます。たとえばみがき棒鋼の製造業あるいは伸線の製造業、金属線製品製造業、ボルト、ナット、リベット、小ネジ、木ネジ製造業、玉軸受け製造業、あるいは自転車・同部品の製造業、建築用金物製造業、洋がさ・同部品製造業、ガラス・同製品製造業、魔法びん製造業、こういう十の業種を、大阪では府当局が指定していろいろ対策をとっておりますが、そのほかつまようじに至るまでいろいろ要求が出ているようであります。 先ほど長官の御答弁では、現行の約二倍程度にしたいというふうに伺ったんでありますが、いま申し上げたような業種は、当然今回の指定に入るものというふうに考えておりますが、いかがでございましょうか。
○政府委員(岸田文武君) 先ほども申し上げましたように、どういう業種を指定するかという作業、いま最後の詰めを行っておりますので、これが入る、これが入らないということをいまの段階で的確にお答えできないわけでございますが、私どもは先ほどお話し申し上げましたように、大体輸出比率二〇%ということを目標といたしまして、各方面から要望のありますものは極力拾っていくということで作業を進めておるところでございます。 なお、申し上げるまでもないことでございますが、全国で一定の基準に達していないということでありましても、産地としてみれば相当な輸出比率があるというときには、そういう指定の仕方も考えておりますし、またそれでいけなくても、個々の企業としては非常に輸出比率が高いんだというような場合には、個別に認定をするという道も御承知のとおり、法律で用意をいたしておるところでございます。したがいまして、私どもも実態をさらに聞きまして、問題のないように善処をしていきたいと思っておるところでございます。 なお、御承知のとおり、各都道府県なりあるいは市町村におきまして、この円高の問題に対応して、特別の制度融資をつくっておられるところがかなりの数に上っております。それらともよく連携をとって、少しでも幅広く対応ができるようにということについて、心がけていきたいと思っておるところでございます。
○市川正一君 いま申し上げました業種は一例でありますけれども、積極的立場で善処される点をお答えいただいてそのように期待いたしておりますが、いまお答えの中にありました個別企業の問題でございますが、次に、衆議院での審議の様子をうかがいますと、沖繩の基地関連小売業者と近海海運業の二つに何か限られるような、限るといいますか、しぼるような見解を承ったのでありますが、この問題は狭く解釈するんではなしに、当然円高で直接、間接の被害を受ける業種が広く対象にさるべきだというふうに考えるのでありますが、本法案の制定に当たりまして確認をいたしたいと存じますが、この点いかがでございますか。
○政府委員(岸田文武君) 円高によりまして、最も直接的な影響が出てまいりますのは輸出でございますが、それに準ずるような事態を政令で拾ってまいりまして、そういう点についても問題解決にお役に立てるようにという工夫を、第三号の中で用意をした次第でございます。この内容はいま詰めております最中でございますので、衆議院でも出ましたように、近海海運の問題、それから先ほどちょっとお触れになりました鉱山の問題、そういったものに加えまして、沖繩の円制度の問題大体こんなことが具体的に私どもの耳に入ってきておりますので、そういった点などはカバーできるような工夫をしてみたいと思っておるところでございます。
○市川正一君 次に、今度の法案の中の一つの中心対策であります金融措置についてお伺いしたいわけでありますが、私各地回りましたり、また、各業界の代表の方といろいろお話をする中で、今日のように不況が長期化するもとでの円高でありますから、その与えている影響は深刻であります。そこで、各地の業者からは、この金融に関して申しますと、企業借金、借入金の返済猶予、利子補給をしているその間の利子は免除してほしいという要求が非常に強いわけです。この点については、衆議院の審議で政府側の見解として、前回のいわゆるドル対法のときもこれでやったので、今回もこれでやれるという趣旨の見解を伺ったように聞いております。もしそうだとすれば、私は、今日の中小企業の深刻な実態というものに対する認識といいますか、これが余りにもかけ離れているというふうに考えます。 たとえば、私もお会いいたしましたけれども、世界の金属洋食器の総需要の半分以上を占めている燕市の金属洋食器の業者の要求は無利子、三年据え置きで十年償還、こういう特別緊急融資を切実に求めておりますし、また、無担保でせめて二ないし三%の資金をという四国の愛媛今治の造船、あるいは繊維の業者、それから、じかに私も会いましたが、和歌山県の田辺市のボタン業者、あるいは和歌山県高野口の特殊織物の業者、いろいろ一つ一つは申しませんけれども、そういう切実な要求に見られるように、六年前のドルショック時とはさらに事態は深刻に進展しておるという悪化した状況のもとで、こうした実態に対応した施策をとることが、いま政府に求められているところだと考えますが、この問題について大臣並びに長官の考えも、ぜひ承りたいと思うんですが、いかがでございますか。
○政府委員(岸田文武君) こういう不況になってまいりますと、中小企業の経営においては金利の負担ということが非常に大きな問題になっております。特に、円高の問題が起こって以降、こういう問題が私どもの耳にもいろいろ聞こえてくるような実情でございます。 そこで、まず円高に関連をする緊急融資につきまして、金利を少しでも下げようということで年末の予算折衝において大蔵省ともいろいろ調整を図りました結果、今回御提案申し上げておりますように、実質的には当初三年間は五・五%、三年を超えるものにつきましても六・二%という特利を適用することにいたした次第でございます。この五・五%という金利は、住宅金融公庫等の特殊の事例を除きましては、特利としては最も低い水準であると私どもは理解をいたしておりますし、いまお話の中に出ましたドル対法のときの金融がたしか六・二%と六・五%でございましたので、それに比べれば格段の前進であると考えております。いまの段階では望み得るできるだけの努力をしたという感じでございますので、この辺はぜひ御理解を賜りたいと思っておるところでございます。 それに関連をいたしまして、それでは新規のものはともかくとして、既往のものがいろいろ問題あるのではないかという点、恐らく御指摘になられたのではないかと思います。この点につきましては、まず既往の債務の返済猶予の問題というのが一つ問題がございます。これにつきましては、従来からなるべく相手の実情をよく見て、長い目で見て生き延びていける企業であれば、そこは弾力的にやるようにということで指導をしてまいりました。政府系三機関の返済猶予の実績は五十一年度で約四万件に達しておるところでございます。五十二年度は恐らくそれよりもっと多くなっているだろうと思っております。この辺は極力弾力的にやっておるということを御報告を申し上げたいと思います。それと同時に、あわせて既往の借り入れについての金利の問題、これがやはり昨年いろいろ問題になっておりまして、昨年十月でございましたか、十一月でございましたか、特に不況業種について赤字経営をやっておるというところにつきまして、既往金利の軽減措置を実施したところでございまして、これもいろいろ活用されております。私どもも、資金コストが下がればそれを極力中小企業に還元するということで指導をしてまいりました。ただ、第一次的にはやはり新規の金利を下げるというところに最大の重点を置き、余りそれが不均衡になれば既往のものも調整を図るというようなことがやはり本筋なのではないかと思っておるところでございます。
○市川正一君 以下、少し具体的な形でお尋ねしたいのですが、たとえば、企業倒産に関連する下請中小企業の債権を確保して、その経営を守るという問題についてなんですが、御承知のように下請中小企業の方々は、今日いわば納品と言いますか、納めた品物の代金の中に、そこに働く労働者の賃金も含めておるわけですが、それが長期の手形で受け取っておるケースが非常に多い。そこで多くの中小企業や、あるいは地域的に大きな影響を与える企業が、倒産などによって労働者の賃金部分、あるいは下請中小企業への支払い部分に支障を来たすというようなことが起こった場合に、その倒産企業に対して国の保証措置を考慮しながら銀行や商社の協力も求めて、一時たな上げした上で長期低利の融資を行って、特に労働者の未払金に充てるとか、あるいは中小下請企業へ振り出している手形を現金化させるというような措置を考えることはどうだ。 たとえば、今治の波止浜造船が先ごろ倒産いたしましたが、数百社に及ぶ下請中小企業が危機に直面しております。先年函館ドックに対しては特別に融資たな上げの措置がとられましたけれども、波止浜造船のような場合、これは非常に事新しいのであえて取り上げますが、政府が必要な施策を講じて、下請中小企業、特に零細の下請業者の危機の救済措置を講ずるという措置を、私提案したいのでありますが、この点について運輸省もお見えになっておりますので、運輸省並びに通産省の御見解を承りたい。
○説明員(間野忠君) ただいま御指摘の波止浜の件でございますけれども、波止浜に限りませず一般的に中小あるいは下請の場合に、手形で支払われておるケースが多いことは事実でございます。それで、これが倒産に至りましたような場合には、倒産関連企業というものに指定していただきまして、中小企業信用保険公庫から倒産関連企業ということで保証枠をふやしていただきまして、金融の措置を講ずるということを原則的にはやっておるわけでございます。 いずれにいたしましても、倒産あるいは倒産に至るような経営状態になったという場合には、金融措置が非常に重要であることは御指摘のとおりでございまして、われわれといたしましても、函館に限らず波止浜の場合もそうでございましたけれども、政府系金融機関からの設備資金の返済猶予というようなこと、あるいは政府関係の三機関からの緊急融資といった問題については、地方で通産局、財務局あるいは日銀といったところの御協力も得まして、一応個別に対応しておるということでしのいでまいってきたような現状でございます。今後につきましても、行政機関といたしましてどこまで介入できるかというような問題はあるかと思いますけれども、まあ従来どおりこういった関係機関との連絡を密にしながら、できるだけのことをやってまいりたいというふうに考えております。
○政府委員(岸田文武君) いま倒産企業の下請の問題を御指摘をいただいたわけでございます。この問題につきましては、御承知のとおり、従来から倒産関連の保証制度あるいは昨年できました倒産対策の緊急融資、こういったことでできるだけ問題が広がらないようにという努力をしてきたところでございます。 ただ、こういった問題についてもっと基本的な対応策はないかということをいろいろ考えました末、昨年秋御審議をいただきました倒産防止共済法というものを創設をすることにした次第でございまして、これが四月一日から実施になれば、いま御指摘のような問題についても大きく改善できることになるのではないかと思っておるところでございます。 具体的な事例として波止浜の例を御指摘いただいたわけでございます。私どもも昨年の末におきまして、大きな事件としまして、現地に早速対策本部を設け、また中小企業庁からも二度にわたって担当官を派遣して、実情を把握しながら対策の指導を行ってきておるところでございます。 私は、やはり下請の方々のお気持ちを察してみますと、まずはやはり仕事がほしいということか基本なのではないかと認識をいたしております。また、仕事についてある程度のめどがあり、そして企業として存続できるというような将来性が保たれるならば、金融の方はおのずからついてくるというような関係にあろうかと思います。その意味におきまして、下請の方々がどうやってこれから仕事を確保していくのか、こういう点をまず第一に現地の対策本部でも気をつけて指導するようにということを申しておるところでございます。 金融の面につきましては、いままだ倒産共済ができておるわけではございませんので、現在与えられておる各種の手段をうまく組み合わせまして、県当局ともお打ち合わせをしながら、何とか問題が広がっていかないということ、また本当に困っておる方が少しでも助かるというところへ近づけるように、今後工夫をしてまいりたいと思っておるところでございます。
○市川正一君 関係の下請業者の方々、またそこに働いている人たちの実態というのは、本当にもうきょう、あすの問題になっているわけですね。だから、私は、そういう点では抜本的な措置と同時に、いろいろの対策をもっと具体的に政府としても詰めるべきじゃないかと。こういった小零細業者の債権には、先ほども触れましたが、労働者の賃金を含んでおりますし、また業者にとっても生活費そのものであるという点から、たな上げ債権、不渡り手形を現金化してほしい、もちろん将来の仕事のことも、きょうあすの不渡り手形の現金化という問題があるわけですね。 そこで、そういう要求にこたえるために、融資による救済措置ではなしに、倒産企業に対する債権やあるいは不渡りになった受取手形が現金で確保されるような制度、そういう政府としての措置ですね、こういうものが行われる必要があるんじゃないかと。この点でたとえば小零細業者の受取手形について一定限度の枠で、たとえば、一百万円とか三百万円とかの枠で中小企業信用保証協会がこれを保証する。そして銀行で現金化する。その受取手形がもし不渡りになったときには、銀行には保証協会が代位弁済して、債権は保証協会が監理し、手形の振出人に請求するような、いわば受取手形保険制度というふうなものをつくるという一つの発想でありますが、こういうふうないわば切実ないまの深刻な事態に対応する措置を、いろいろとやっぱり手を打つべきだと思うんですが、こういう点についてはどうでしょうか。
○政府委員(岸田文武君) とっさの御提案でございますから的確なお答えができるかどうかわかりませんが、私お伺いしておりまして感じたことは、現に保証協会、各地の保証協会の実情を見てみますと、取引先がつぶれたというようなことから大幅な赤字に悩んでおりまして、これをいかにして健全な形に持っていくかということで私ども腐心をしておるという状況からしますと、なかなか新しい、御提案のような非常にリスクの多いことを保証協会の業務とし得るかどうか、大変問題があるのではないかという感じがいたしております。健全な企業の場合でも、単に取引がある、債権があるというだけでそれを担保にするということは認めておりませんのに、ましてや倒産をした企業に対して持っておる債権でございますから、これはなかなか回収はむずかしいだろうという気がいたします。 こういうことをもっと根本的に解決するために、たとえば倒産共済制度のかわりになる保険制度、こういったものを考えてみてはというようなことも、第二としては考えられるのかもしれませんが、そういった場合にも、これは悪意の逆選択を防止することがかなり問題があるのではないか。これは倒産防止共済法をこの委員会で御審議いただくときにもいろいろ御議論の出てきた問題でございますが、いまの段階で、そういうことまですることについては私どもも自信がございませんし、仮にそれができましても、相当膨大な保険料を要するというような形になるのではないかという点が懸念をされるわけでございます。いま申し上げましたことはとっさの感じでございまして、私どもも倒産の実情については今後ともいろいろ知恵をしぼっていかなければならないと思っておるところでございますことば、申し上げるまでもないことでございます。
○市川正一君 いまの問題は一つの発想ではありますけれども、いろいろの形でやはり、とにかく融資してもらえば返さなければならないわけで、立ち上がるにも立ち上がれないというような状況に、多くのそういう中小零細業者がある中での対策として、最後にもう一、二見解を伺いたい問題もありますが、当面の中小零細業者の生活を守る点で、いわば仕事がしたくてもないというもとでの状況で、たとえば先ほど申し上げた造船業界の例をとってみても、いろいろ中型造船会社が受注しておった分野に大手の造船会社が介入してきて、いわば横取りをしているというふうな例もございます。また、官公庁の船の建造を、中小造船会社に優先的に発注するなど、先ほど大臣の方から官公需の問題について若干の発言がございましたが、いわばこういう分野における分野法的な、あるいは仕事の確保の措置について、あるいは官公需を少なくとも先ほど三五%とおっしゃいましたが、五〇%以上に引き上げるというような積極措置について、特に大臣の所見を伺いたいのであります。
○国務大臣(河本敏夫君) 官公需の中小企業に振り向けております比率につきましては、先ほど申し上げたとおりでありますが、この中央の分ですね、現在三五%強になっておりますが、これを一挙に五〇%ということは、なかなかむずかしいのではないかと思います。実は毎年一、二%ずつ引き上げてきたわけでありますが、やはり中央の仕事はむずかしい仕事とか、それから比較的規模の大きな仕事とか、そういうものがございまして、なかなか振り向け方がむずかしいわけであります。そこで、地方の分等も含めまして、先ほども申し上げましたように、全体として五二、三%と、こういう比率でありますが、なお中央の分につきましてもできるだけの工夫は加えていきたいと思っております。
○市川正一君 最後に今日の中小業者、特に下請零細業者の方々というのは、その大半が家内労働者的な要素を持ち、そうしてまた、その多くが中高年齢層に属しておる人たちであるという実態、文字どおり孤立無援という形になっておる方が少なくないのであります。したがって、そこから今日の状況で、いろいろな悲劇、たとえば離婚とか、家族の離散、自殺、一家心中という悲劇も起こっておるわけであります。そういう零細な業者の方々が、こうして仕事がなくなった、あるいは不渡りを受けたというふうな状況のもとで、かつまた事業転換にもなかなか乗りにくいという状況のもとで、私は当面生活できるような、いわば休業補償ということを政府としてとる必要があるんじゃないかというふうに考えますが、こういう点について、まずお聞きしたい。
○政府委員(岸田文武君) 中小企業が需要構造の変化から仕事の量が減ってきた、こういう場合に一体どら対応するかということでございますが、たとえば今度の円高の影響調査を見ておりましても、一方ではこの際合理化をして切り抜けていこう、あるいは新しい製品を生み出していこうというような対応もある反面で、御指摘ございましたように、やはりもう少し雇用の調整を図るとか、あるいは休業で当座をしのぐとか、こういった対応に迫られている企業もかなりの数があるのではないかと思っておるところでございます、私どもはそういった場合に、一体どういう対応が考えられるかということを考えてみますと、やはり当面は金融でしかるべきつなぎをしながら、もう少しやはり根本的なあり方をこの際考えていく。そしてそういう方向に即するような手だてを応援をしていくということが、いま考えられる手段なのではないかと思っておるところでございます。
○市川正一君 私は、緊急のやはり問題と同時に、それが制度的に中小零細企業をやはり保護し、そして日本のいまの産業構造から言って、欠くべからざる位置づけをやはり前進的に見守っていくという点から、いま休業補償というふうな問題を出しましたが、たとえば下請け小企業安定基金制度というふうな制度を想定して、そしてたとえば操業が半分になった、五割になったという場合には、それに対して一定の補償をする。特にそういう場合に、構造不況業種に対する関係の大企業、大商社あるいは大銀行の責任を明確にして応分の負担をさせるという形で、中小零細企業の経営と生活を守る措置を、私はそういう点こそ、いまこそ政府がやっぱり英断をもって臨むべきだ、そういう制度的な方向をもっと研究し、直接に、じかに中小零細業者の要望や意見もくみ入れて、研究すべきであるということを特に力説し、強調して、最後にそういう問題に関する政府当局の姿勢をお伺いして質問を終わりたいと思います。――できれば大臣にそういった点を……。
○国務大臣(河本敏夫君) 中小企業対策は、わが国の産業政策の中でも非常に大事な政策であると私どもは理解をしております。なぜかと言いますと、中小企業の日本の産業において果たしておる役割りというものが非常に大きいからであります。また、雇用の面から見ても非常に大きなシェアを占めております。外国にももちろん中小企業がありますけれども、わが国ほどではありません。 そういうことがありまして、中小企業政策というものは非常に大事な政策であると考えておりますが、ただ、それじゃあ何が一番必要かと言いますと、やはり景気をよくするということだと思います、景気がよくなりまして、そして中小企業の仕事が十分ふえるということになりますと、大半の問題は解決するわけであります。しかし、そういう景気全体をよくするという方向と並行いたしまして、中小企業独自にその体質強化あるいは高度化等のためにいろいろな対策を立てなければならぬことば当然のことでありますが、ただ、これは産業全体に通じて言えることでありますけれども、と言って、過保護になりまして、そのためにむしろ中小企業の体力が弱るということのないけじめをつけることも必要であります。 でありますから、何が一番中小企業のためになるかということを総合的に常にその時点、その時点で考えながら誤りなきを期していきたいと、かように考えております。
○井上計君 私、質問を予定しておりました質問通告したことは、先ほど来もう各委員の質問でほとんど出尽くしておりますので、法案に対する関連した問題等で、ひとつ意見を交えながら提言をしたり、また、お尋ねをいたしたいとこう思います。したがいまして、資料等については特に御用意願ってないものもありますから、あるいはもう的確なお答えができなくても、あえて異議は申し上げませんので、ひとつあらかじめこの点申し上げてお尋ねをいたしたいと思います。 まず最初に、大臣にちょっとこれはお伺いしたいんですが、お差し支えあれば特にお答えいただかなくても結構であります。 昨年からの円高についての対応策として、日銀がドルの買い支えをかなりしておるわけですが、大体買い支え総額幾らぐらいになっておるんでしょうか、お差し支えなければ。まあおおよそで結構であります。
○国務大臣(河本敏夫君) これは私は正確な数字は知りません。
○井上計君 私ども大体新聞その他で承知しておる、大体十二、三億ドル程度だというふうに聞いております。四十六年のニクソンショックのときの資料をいろいろとずっと見てみますと、八月十五日にニクソン大統領がドル防衛政策を発表いたしましてから異常な事態に陥りまして、八月二十七日までの約十一日間に日銀のドルの平衡買い支えは四十億ドルあったと、こういうふうな記録が実はあるようであります。ドルの買い支え、日銀の介入がいいか悪いかは問題は別といたしまして、一般の輸出、特に中小輸出企業にとりましては政府の対応策が今回は全くなっちゃなかったではないかと、こういうふうな不平、不満が相当あることは、これは事実であるわけであります、ところが、福田総理はしばしばおっしゃっておられますけれども、特に五十二年度の景気の見通しの誤り等につきましては、もう円高という全く予想しなかったような事態が起きたんでやむを得なかったんだというふうなことをおっしゃっておられますけれども、だからまあ失政だとかあるいは失敗だとかということは別としても、いずれにしても四十六年のあのニクソンショック後の円高対策等についての教訓が今回全く生かされていない、こういうふうな実は感じがしてならないわけであります。 あの当時、ニクソンショック当時の駐米大使は現在牛場対外経済相でありますし、それから当時の大蔵次官は、昨年円高、この問題等の当時の鳩山外務大臣であったわけでありますけれども、そういうふうなものの教訓が全く生かされていないというふうなことからして、私はこれはやはりもう一度政府としては特にそれらをお考えいただきながら、また一歩譲って、あるいは失政であるとか、あるいは失敗であるとかということを追及をすることなしに、総理の言われるやむを得なかったと、全くもう予期せざる異常事態の発生であったということであるなら、やはりこの円高ということについてはもう異常事態、ある意味では円高災害だと、こう言えると思うんですが、そこで、先ほど来各委員からもいろいろと御質問があり、要望があり、また大臣、長官からもお答えがありますけれども、ひとつぜひもっと思い切った対策をさらに盛り込んだ施策を実行していただきたい。 金利等についても、まあ長官は五分五厘は全くもう異例の金利であると、こういうふうなことでありますけれども、利子補給を仮に三・五%に下げて、あと二%分の利子補給をするとしても、そう大した金額にはならぬと思うんですね。これらもひとつお考えをいただきたいと思いますし、それから担保の徴求等につきましても御要望がありましたが、これについてもまだまだ私は先ほどの御答弁では実態等からして十分でないという感じもいたします。それからまた、公庫の保証等についてもまだまだやっぱり改善をしていかなくちゃいかぬというふうな問題もたくさんあると思いますので、それらの点等についても特にひとつ要望をいたしておきます。 そこで、質問でありますけれども、個別企業の認定の問題でありますが、これは長官からひとつお考えをお聞かせいただければと思うんですけれども、個別企業の認定がいろいろとこれはむずかしい問題もあると思います。そこで、直接輸出企業ではないけれども、輸出企業の下請的なといいますか、納入しておる、例を挙げますと、輸出企業の梱包輸送専門にやっておるとか、あるいは私は実は印刷の出身でありますから、印刷所の実態はよく知っておりますが、輸出完成品に伴う印刷物の納入を重点的にやっておるとかというふうな、そういうふうな業種が相当あると思うんですが、そういうものに対する個別企業の認定等については遺漏がないようなお考えがおありかどうか、それをひとつお聞かせをいただきたい。 ついでにもう一つあわせて申し上げておきますが、関連すると思うんですけれども、今回のこの法案は中小企業対策であるということですが、それは資本命一億円以上のやっぱり中小企業から中堅企業といいますか、中堅企業なり、かなりの実は輸出関連企業があると思うんですね。それらのいわば谷間にある人たちについての救済対策、救済政策というものをどうお考えか、この二点ひとつ長官お答えをお願いしたいと思います。
○政府委員(岸田文武君) 個別認定におきまして、十分弾力的に配慮しろという御趣旨は私どももよくわかります。そこで、いま御指摘になりました輸出品それ自体を製造しているものはよくわかるけれども、それ以外に、それに関連した業種がいろいろあるではないかという問題、私どももたとえば部品製造業等の場合はやはりこれに準じた、輸出品といいますか、完成品に準じた扱いをすることが必要であろうと思っております、 また、お話の中で出ました輸出品包装業、これも一つの業態として確立をされておるようでございますから、何とか前向きに拾っていきたいと思っておるところでございます。 お話にございます輸出品印刷業というものが業態としてどういうふうになっておりますか、これは先生の方が御専門でございますから、なお実情を聞かしていただきまして、私どもがそれに準じて考え得るというようなことであれば、前向きに考えていきたいと思います。
○井上計君 それから中堅企業。
○政府委員(岸田文武君) 続きまして第二点にお尋ねのございました中堅企業の問題について、これは直接的には中小企業庁の所管ではございませんが、関連をいたしましてお答えをさしていただきます。 中堅企業の問題がやはり不況の深刻化とともにいろいろ問題が出てきております そこで昨年から通産省では、中堅企業の不況の実態がどうなっているか、そしてもし問題があるようならば機動的に対応できるようにということで、通産局あるいは関係の行政機関、金融機関との連絡体制をつくって情報交換を始めております。現にそれに応じていろいろ手を打ってきたものもございます。ただ、見ておりますと、中堅企業の中にはいわゆる構造不況業種に属しまして過剰設備を非常にたくさん抱えておる、それなるがゆえに非常に経営に困難を感じておる、こういう企業がたくさんあるように感ぜられるところでございます。 そこで、通産省といたしましては、特定不況業種について新しい立法を用意をし、そういう問題の解決のために、何らか前進を図っていこうじゃないか、こういう考えでいま議論を整理し煮詰めておるということは、先刻も質問に触れてお答えを申したところでございます。そういうような方策を中心としまして、今後とも中堅企業の問題については気を配ってまいりたいと思っておるところでございます。
○井上計君 まあ中堅企業の問題、いま長官にお答えいただきましたが、構造不況業種の対策、構造不況業種に入らない中堅企業で、やっぱり円高影響を受けている個別企業もやはりある程度あるのではなかろうか、こう考えておりますので、またこれは長官の所管とは若干違うと思いますけれども、格段にまた御配慮いただきますようにひとつ要望をしておきます。 そこで、先ほど来やはり質問の中で、またお答えもありましたけれども、果たしてどの辺で円レートを固定をするのか、これは大変むずかしい問題、また予測しがたい問題でありますけれども、ただ一説には、いろんな経済誌あるいは新聞等では、ことしの年度中、中ごろになりますと三百二十円になるのは必至だとかあるいは二百円になるんだとかいうふうないろんな説もちらほら出ておる、もちろんうわさでありますが、しかしそういうようなことが出ることによって輸出企業も大変将来に不安を持っている。先ほど、どなたかからの御発言もありましたけれども。したがっていま少々金を貸してやると言われてもなかなかそう借りても将来不安だというふうなことがたくさんあると思うんです。じゃ、しからばそれを転換をさす、あるいは内需に転換を指導といっても、今度の法案にも転換指導がありますけれども、ところが内需に転換といっても実際には転換をする場所がない、転換する先がないというのは、これはもう当然のことだと思うんです。内需さえがもう現在不況のためにどの業種もほとんどが過当競争に陥っておるわけでありますから、その業種にまた内需転換が行われると、これまたよけいに混乱が生ずる、こういうふうなことがあります。 一方、これは私見でありますけれども、わが国の状況から考えますと、いま現在、一説若干はやり言葉のようですけれども、要するに輸出罪悪論というふうなものがかなりあるようであります。私はやはり、あくまでもわが国の状況から考えますと、輸出振興政策は、表現の仕方は別としまして、これは今後とも将来永久的にとっていかなければ大変なことになる、こういう感じが実はいたしてなりません。石油の輸入の問題を考えましても、一九八五年には、現在から試算をすると、石油原油輸入価格だけで、やはり七百億ドルぐらい必要ではないか、現在の輸入総額に匹敵するぐらいのものが、石油だけの輸入に必要だと、こう言われておるわけでありますから、したがって、今後ともやはり輸出振興政策はとっていかなくちゃいかぬということを考えていくと、やはり今後、もっと前向きの輸出企業に対する自助努力を促しながら、積極的なやはり政策というものが必要だというふうに考えるわけです。 そこでひとつ、二、三提案をいたしたいと思うわけでありますが、でき得れば長官、さらに大臣からもお答えいただければ結構だと思いますが、輸出企業の体質を強化するために、先ほどお話もありましたし、また先国会で成立をいたしましたが、関連倒産防止共済制度、あのような制度として、仮に円相場高騰対策共済制度というふうな、やはり現在二百四十円として考えてのいろんな施策でありますけれども、今後これが二百三十円になるとかあるいは二百十円とか二百円というふうなことなきにしもあらずだということを考えますと、そういうふうなときに対応するような輸出企業に対するやっぱり共済制度的なものを創設をしたらどうかというふうに考えますが、この点についてひとつ、御見解があればお聞かせいただければ。これが第一点です。 ついでに申し上げます。もう時間がありませんから。 その次には、現在振興事業団によっての高度化融資、もちろん積極的になされております。かなりいろいろと利用いたしておるわけでありますけれども、しかしこれはやはり厳しい条件、制限がありまして、やはり集団化しなければ、集団化による集約事業、高度化事業でなければ、事実上、この高度化融資が使えぬわけでありますけれども、集団化をしないでも行うところの集約事業等については、やはりこの振興事業団の現在の高度化資金の適用が受けられるようなこともひとつ考えていく必要があるのではなかろうかというふうにも思います。同時に、現在の高度化計画の見直し、あるいは高度化計画を立案をして、実際に融資が行われる時期までに、非常に期間が長くかかり過ぎておる。大体はなはだしいものは三年、四年かかっておるわけでありますが、そういうようなものの短縮とかということについて、やっぱり考えをひとつお持ちをいただきたい。 したがって第二点の提案は、振興事業団による高度化事業、高度化融資のあり方の見直し、あわせて現在中小企業対策としていろいろなメニューがたくさんあります。ただメニューが多過ぎて、実際に中小企業が、どれが果たして自分が欲しい役に立つものであるかどうかということが実はわからぬというふうなこともあろうと思いますが、この際、そういうふうなメニューの見直し、それからまとめといいますか、そういうこともひとつ考えていったらどうか、これが、ちょっと長くなりましたが、提案の第二点であります。 それから第三点は、特にこれは大臣のひとつ御見解を承れればと思うのですけれども、先ほどもちょっとお話が出ておりましたが、特定不況業種の構造改善計画等について、先般来新聞にも出ておりますが、通産省の考え方等について、公取からかなりやっぱりクレームがついておるというふうなことのようであります。しかし、私はこういうふうな異常事態に対処し、将来のことを考え、特に中小企業対策を見直していくためには、私は独禁法の適用除外というものをもっとやはり考えていくべきだと思う、そうしないと、片方で幾らそういう指導をしても、あるいはそういうふうな政策をつくっても、公取の現在考え方が、国の産業政策と独禁法とは全く整合しないようないわば独自な考え方を持っておる以上は、なかなか十分なる指導が、対策が生かされないんではないかということを始終感じておるんですが、こういうことにつきましてひとつ、これは大変大臣のお立場、長官のお立場、むずかしい問題ありましょうけれども、大臣の御見解をお聞かせをいただければと、こう思います。 以上、ちょっと複雑な提案をいたしましたけれども三点につきまして、ひとつ御見解をお聞かせをいただければと思います。 もう一遍まとめますと、一つは、円相場高騰対策共済制度のようなものをひとつ創設をしたらどうであろうか、これが一つです。 それからその次は、第二点は、振興事業団の現在の高度化融資のあり方等をもっと弾力的に拡大をして、特に輸出のこのような関連企業等については、集団化によらない要するに集約化ですね、それらのものについてもやはり高度化資金の融資対象にしたらどうであろうか。あわせて、中小企業のメニューのひとつ見直し、まとめ、これが第四次近促の考え方になるかと思いますけれども、そのようなこともひとつ考えたらどうか。 それからもう一つは、独禁法についてはやはりこの際適用除外というふうなことをもっと強力にその働きかけをしたらどうか。 以上三点でございます。
○国務大臣(河本敏夫君) ただいまの第一の御提案でありますが、わが国は貿易立国である、この基本線を崩してはいけないというお話でありますが、その御意見には全く賛成であります。ただ、いま日本の貿易が問題になっておりますのは、日本が非常に大幅な黒字を出しておるというところに問題があるわけでありまして、これが拡大均衡の方向にいくということであれば、これは問題ないわけであります。でありますから、やはり自由貿易の原則を堅持いたしまして、拡大均衡の方向に日本の貿易を持っていくということが基本だと思います、ただ、いまこの問題に関連をいたしましての御提案でありますが、為替保険ですか、為替変動対策制度というようなまあ御提案でありますが、これはただいまはまだ取り上げておりませんが、今後の研究課題として研究をさしていただきます。 それから第二点は、長官から答弁をいたします。 第三点につきましては、一応通産省の原案――構造不況業種対策についての原案はできておりますが、現在はこれをもとにいたしまして、各方面の意見を幅広く聞きまして、謙虚に聞いていくつもりでございますが、そしてどの案がどういう内容に最終的に落ちつけたら一番いいのかということにつきまして、いま調整をしておるところでございます。
○政府委員(岸田文武君) 具体的なお尋ねの諸点についてお答えをいたします。 まず、輸出企業の円相場高騰対策として、共済制度は考えられないかという点でございますが、一つは、メーカーとしては商社との間に円建て取引になっておるという点をどうカバーするかということが一つの問題かと思います。それから第二としましては、これは制度の仕組みにもよるわけですが、どうも放っておきますと、円高になると思うとみんな入る、そうでないとみんなやめてしまうというようなことで、うまく共済制度として組めるかどうかというような点が問題ではないかという気がいたします。なお私どももよく研究いたしますが、実質的には為替予約の期間もあり、あるいは条件をどうするかというような、もっと差し迫った対応問題もあるのではないかという気もいたします。 それから第二番目には、高度化融資について、もっと幅広い活用を考えろという点。私どもも、いまやっております高度化事業は、単に集約化というだけではなくて、たとえば知識集約化の問題、あるいは共同施設の問題、幅広い活用が可能であるし、まあそういうときに、どういうふうな使い方をするかということが特に大事であろうと思っておるところでございます。これはいまのお尋ねに対する直接的なお答えになるかどうかわかりませんが、たとえば五十三年度予算で、振興事業団の新しい事業として、産地対策というものを取り上げることにいたしました。これは従来の、たとえば工場団地等が、二十人以上集まらなければスタートしないというたてまえになっておりましたのを、こういう情勢にかんがみまして、産地に対して新しい活力を導入するという目的からしますと、もっと機動的にする必要がある、こういった意味合いで、十人以上集まればという形に変えております。まあ御要望の点に一歩でも近づくことになるのではないかと思っておるところでございます。 それから第三点にお話しございましたメニューが多過ぎる。この点は私どもも施策ができるたびに、その都度PRに努力をしてまいったわけでございますが、いまの御提案を伺っておりまして感じましたことは、むしろ利用する側のいろいろのタイプに応じて、こういうメニューがあるというのを組み合わせて提供する、そういうやり方をもっと工夫してみる必要があるのかなあという気がいたしておったところでございます。 第四点のお尋ねは、大臣からお答えがございましたので、省略をさしていただきます。
○井上計君 時間がありませんので、そこで、直接この円高法とは関係ございませんが、まあしかし、重大な関連があると思いますが、お尋ねをいたしたい。これはしかし、むしろきょうは大蔵省の出席を求めておりませんので、大臣あるいは長官には要望でありますけれども、五十三年度の税制改正の中での中小企業対策の一つとしての投資減税であります。確かに投資減税が……(「大蔵省の課長来たよ」と呼ぶものあり)そうですか。私がお願いしたんじゃないんですわ。ですから、これは課長ではちょっとお答えしにくいかと思いますので、むしろこれは要望としておきます。 投資減税でありますが、これは中小企業対策、特に先ほど大臣が景気をよくするためには内需の拡大というふうなことで、確かに投資意欲を起こすというふうなことであります。 ただ私、率直に申し上げまして、現在の考えられておる投資減税、特に中小企業に対してですね、すなわち特別償却とこの投資減税とどちらかということでありますが、これではもうほとんどメリットがない。むしろ、ずっと計算をいたしますと、中小企業の現在の平均値から計算をすると、やはり繰り延べではありますけれども、現実には特別償却を利用した方がはるかに有利である、こういうふうな計算が実は出てくるわけであります。――時間がありませんから細かい数字はもう省略して、後でまた長官となんでしたら個別にひとつ数字で御説明いたしますが―― そこで、どうしてもやはり中小企業の投資意欲を起こすために、あるいは本当の中小企業対策としてこの投資減税を考えるならば、投資減税と初年度六分の一と特別償却と、セットで併用するということでなければ効果がないというふうに考えておりますので、この点は要望でありますが、ぜひひとつ大臣お考えをいただきまして、この併用ということについての、まあなかなか大蔵さん頭が非常にどうもこのことについてはがんこのようでありますけれども、ぜひひとつ通産大臣として、中小企業対策としてこの点については実現できますように御配慮いただくように、最後にひとつ要望をいたしておきます。 時間を短縮しろという委員長からの指示ですから、若干まだありますけれどもこれで、以上で質問を終わります。
○委員長(楠正俊君) 答弁要るんですか。要望ですか。
○井上計君 要望ですから、答弁結構です。
○委員長(楠正俊君) じゃ、柿沢君。
○柿沢弘治君 最後でございますから、皆さんの聞いた残りを伺いたいと思います。 今度の円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法でございますが、こうしたものは、出さないで済めばその方がよろしいということは皆さん同感だと思います。 なぜこういう法案を出さなければならないか、中小企業に対する対策を一つつけ加えなければならないかと考えてみますと、やはり円高――急激な円高の結果だというふうに考えざるを得ない。そうした急激な円高をもたらしたというのは、一つはやはり経済政策、そしてさらに狭い意味で考えれば、為替政策の失敗によるのではないだろうか、西ドイツなどが漸進的なマルクの切り上げを行って、産業構造の転換を比較的円滑に進めているというのに比較いたしますと、わが国の為替政策、これが非常に急激に振れるために、産業構造の変化がそれに追いついていかない、そこで悲鳴を上げる中小企業が出てくる、だから対策が必要になる、こういう悪循環になっているんじゃないだろうか。その点で、実はきょう大蔵省の国金局からおいでいただいたわけですけれども、大蔵省の為替政策についての考え方をお聞きしておきたいと思います。
○説明員(岸田俊輔君) お答えいたします。 昨年九月から十一月にかけましてかなりの円高となりまして、その間約一〇%の切り上げということになっております。ただ十一月の末ぐらいからは相場もやや安定をいたしておりまして、二百四十円から二百四十二円ぐらいで現在まで推移をいたしております。この円高の基本的な原因と申しますか、これはわが国の国際収支がよかったということの反面、アメリカの貿易収支がかなり赤字が出ているというような基本的な問題もございますが、それに加えまして、市場の思惑的な動きがこれに加速を加えたということになるかと思っております。 で、私どもといたしましては、為替政策としましては、フロート下におきましては常に原則として市場の需給にゆだねるということを原則といたしております。で、為替相場を特定の方向に誘導したり特定の水準に固定するというようなことは考えておりません。ただ、相場がこの場合乱高下をいたしましたり、非常に急激な変動が出てくるという場合には、これは従来からやっておりますように、できるだけの措置をいたしてきております。これは国際的な合意にも合致しているというふうにわれわれ考えております。
○柿沢弘治君 大蔵省の岸田課長においでいただきましたら、偶然中小企業庁長官とは御兄弟でありまして、弟さんの政策の失敗をお兄さんがしりぬぐいをするということになったような感じが私はするんですけれども、(笑声)たとえば西ドイツのレートの変更というか、変化の割合を見ますと、五十年から五十一年にかけて一一%切り上がる、五十一年から五十二年にかけて一二%切り上がる、二年間ある意味ではスムーズな変化が行われているわけです。ところが、日本の方は、五十一年が四・二%、それから五十二年が二二%というふうに大きく振れている。それは市場の実勢に従ったんだというふうにおっしゃいますけれども、たとえば五十一年には、前の東銀の常務で、横浜銀行の頭取であった伊原さんが、もう少し円レートを高くした方がいいんじゃないかという提案がありました。しかし、それに対して大蔵省の方は一顧だにもしなかった。むしろそのときは、円レートを高くするよりも、景気がなかなかよくならないという意味で、輸出ドライブをかける意味で低レートに利益があった。 もう一つは、石油危機で減った外貨準備を何とかして積み増さなければいけないという意識があって、そういう点ではレートの変更に関して、むしろ消極的、否定的だったんじゃないだろうか。そうした通貨当局の姿勢が、こうしたぎくしゃくした為替レートの動きに反映しているというふうに思うわけですけれども、その点はいかがでしょうか。
○説明員(岸田俊輔君) お答えいたします。 先ほどドイツの例を挙げて御質問がございましたけれども、強い通貨としましてはスイスフランなんかは、やはりたとえば四十九年中に二七・九%上がるとか、それから今年度ではやっぱり二一・九%というようなあれをやっているわけでございます。重ねて申し上げますようでございますが、私どもといたしましては、特に安いレートに固定するために意識的な操作をするというようなことは、現在もまた昔も一切やったことはございません。やはりフロート下におきましては、需給関係を反映したマーケットの動きというものをまず尊重をしていく。それが変動いたしました場合には適切な処置をとっていくということで方針をずっと貫いてまいっておりますので、意識的に一方方向に誘導するとか特定な水準、特に円安の方向に持っていくとかというような、意図的な為替政策はとったことはございません。
○柿沢弘治君 その辺は水かけ論になるおそれがあるんですけれども、私たちは一年振り返ってみて、いま私が申しましたような印象をどうもぬぐい去れないように思うんです。今後の中小企業を取り巻く環境としては、先ほど対馬委員からも再三お話がありましたように、やはり一番の重要な眼目というのは円レートの問題、これをどっちの方向に動くにせよ、スムーズにやっていくということが大切ではないだろうか。その意味でその重要性、その点に関して産業政策を担当しておられる通産省と、それから為替政策を担当しておられる大蔵省との今後の緊密な連携プレーといいますか、そういうものの必要性を感ずるわけでございますが、これは大臣にもし御所見がありましたらお伺いをしたいというふうに思います。
○国務大臣(河本敏夫君) 五十二年は予想外の黒字になったわけでありますが、そのために国際的に大きな影響が出ておるわけであります。そこで、五十三年はどうしてもこういう事態は避けなきゃならぬというので、内需を拡大することによって国際収支の均衡を図っていこうと、この政策を最大の柱にして、すべての政策が組み立てられておるということは、御案内のとおりであります。現在の円の水準というものは、五十二年度の大幅な黒字、アメリカの赤字というものが背景になりまして、現在の水準になっておるわけでありますけれども、アメリカのことはさておきまして、日本の黒字というものがある程度修正されるということであれば、現在私は、円は実力以上に評価されておると思いますので、やはり妥当な水準に再評価される方向にいくのではないかと、このように理解をしております。
○柿沢弘治君 実力以上に評価されているという大臣の御判断でございますが、この辺は経済の実態に関して鋭い感覚をお持ちの河本大臣ですから、それが正しいのかもしれません。しかし、私どもは七%成長は達成はむずかしいといいますか、不可能だというふうに感じますし、その意味でむしろ逆の動きをする、レートが二百四十円から古いレートへ切り下がってくるという可能性よりも、切り上がる可能性が高いんではないだろうかという点では非常に心配をいたしております。しかし、その辺は見方の違いでございますから、その為替政策と国内産業政策との密接な関係というものを前提において、今後ともいろいろ考えていただく必要があるというふうな点を指摘をして、とどめておきたいと思います。 次に、円高の法案そのものについてお尋ねをいたします。 これは第三条第一項第一号及び二号に個別企業の認定というのをやることになっておりますが、この個別企業の認定基準が法律上何も制限をされていない、限定がされていない、完全に主務省令にゆだねられているということを考えますと、輸出が伸びている企業、売り上げが伸びている企業でも、この法律上は個別企業で認定して円高対策の対象になり得るというふうに考えられるわけですけれども、これはいささか法律の書き方としては授権の範囲が広過ぎるのではないだろうか、運用が乱に流れるおそれがあるという気がいたしますが、その点に関してはいかがでしょうか、
○政府委員(岸田文武君) 条文をごらんいただきますとおり、業種を指定した中で、通産省令で定める基準に適合したものが認定を受けるという形になっておるわけでございます。こういう法律は、権利を制限をしたりあるいは義務を付加したりという法律のように要件を厳密に書くよりは、ある程度実情に即した運用が必要であろうという趣旨から、このような表現が許されておると理解をいたしておるところでございます。 ただ私どもは、具体的に省令を書きますときには、次のようなことを具体的な基準として織り込んでいきたいと思っておるところでございます。 第一には、円高を契機として売り上げが減少するということ、特に対前年に比べて、一定の比率以上下がりたというようなことを運用の基準にして、売り上げの減少というメルクマール それから第二番目には、円高になる以前から仕事をしていたということ、六月一日以前から仕事をしていたということを第二の要件にしている次第ですしそれから第三番目には、本法施行後一年以内に認定の申請を行うということ。以上のような三点を省令の中にうたい込むように予定をいたしておるところでございます。
○柿沢弘治君 これは権利を制限するものでないからというお話ですけれども、業種については、円相場の高騰により影響を受ける業種という指定がありながら、その中で個別企業の認定については、「かつ、主務省令で定める基準に該当する中小企業者であること」。ですから、円高の影響を受ける業種にいれば、売り上げが伸びていようと利益がふえていようと認定の対象になるというのは、この法律の趣旨からいってもちょっと広過ぎるんじゃないだろうかという気がいたします。ただ私は、この円高の影響を受けている中小企業が、この法律の適用対象になるということをなるべく狭くしようということではありませんけれども、運用の面で、ドルショック対策の際にも、一部乱に流れているという批判を聞いたこともございますので、その点三は個別企業の認定については、やはり本当に影響を受けている企業にその対策の手が差し伸べられ、影響を受けていない企業にまで過剰なサービスがされるようなことがないように、運用の面ではぜひ十分御注意をいただく必要があるんじゃないだろうかと思います。 それからいまの御説明で、売り上げの減少している企業というのが御説明がありました。たとえば五%以上前年に比べて売り上げが減少しているというような基準が書かれるということを聞いておりますけれども、売り上げで言いますと、たとえば輸出数量がふえているにもかかわらず、単価を切り下げることによって全体の売上額が減るという例があるわけですね。つまり苦しまぎれの場合でも、ダンピング輸出というようなものが行われる場合がある。それでも売り上げが落ちていれば、救済の対象になるのだということになりますと、これは国際的に少し問題を起こすんじゃないだろうか。 つまりダンピング輸出をした企業に、ダンピングで売り上げが落ちたから特別の政策手段をする、こういうことが、国際競争の中で許されていいのかどうか。数量が円高の結果として落ちた、もう売ろうと思っても売れないという企業に対して救済の手を差し伸べることについては、いささかの批判もないと思いますけれども、値段を下げて売ったために売上額が減少した、これに救済の手を差し伸べるというのは、国際的な感覚で言うといかがかと思いますけれども、そうした御懸念は持っておられませんか。
○政府委員(岸田文武君) これは輸出の量で押さえるか、あるいは輸出の金額で押さえるか、仕事の量に着目するか、あるいは売り上げによる経理の圧迫というものに着目するか、その辺の見方の問題であろうかという気がいたします。外形的にとらえやすい売上額あるいは生産額というものを、とりあえず念頭に置いたらどうかなといま思っておるところでございます。ただ、いまお話の中で、金額でとらえればすぐダンピングをカバーすることになるということ、あるいはそういう場合もあり得るかもしれませんが、そうでない場合もあるわけでございまして、むしろダンピングの問題はダンピングの問題として、どう考えるのか、どう指導するのかということで、別に私どもは考えていく必要があるのではないかと思っておるところでございます。
○柿沢弘治君 委員長の方から厳しい時間の制限が来ておりますので、もう一つ法案の中で個別の問題を伺いますが、個別認定の基準として第三条第一項第三号で「これらに準ずる事態として政令で定める事態」というふうな文言があります。この「準ずる事態」というのは一体どのような事態を想定しておられるのか、具体的に御説明をいただきたいと思います。
○政府委員(岸田文武君) 政令で定める準ずる事態といたしましては、第一番目に、国内における取引価格がドル表示価格で取引しているため、円高によって円による受取額が減少するというような事態、それから第二番目には、その取引価格が、外貨建てで定められる国際価格の円換算値を基準として定められているために、円高により円による受取額が減少することとなる場合、こんな場合を考えておるところでございます。 いまのケースを具体的に申しますと、たとえば沖繩等の米軍基地内の中小企業者であるとか、あるいは国内の中小鉱山であるとか、あるいは近海海運業者、これらが適用されることになるのではないかと思っておるところでございます。
○柿沢弘治君 沖繩の米軍基地の雇用者等、これはドル対策のときも対象になっていたわけでございますか。
○政府委員(岸田文武君) たしかドル対策のときには、そこまではカバーしていなかったと記憶いたしております。
○柿沢弘治君 ドルショックのときの対策に含まれていない、そうしたものにも手を差し伸べていこうと。まあ政策の厚味をふやしたという意味では、決して悪いことではないと思いますけれども、先ほど指摘しましたように、ドル建てで同一の価格で出す、円換算で売り上げが減る、だから対策を講ずる、それですと、やはり一種のダンピング輸出の性格を持つんではないだろうか。米軍の基地で働いている人は、国内の問題ですから対外的な問題はありませんけれども、近海の輸送に携わっている海運業等については、じゃ、たとえばフィリピンと競合という点で、それから台湾の業者と競合という点で問題が起きないだろうか。私はいささか問題がある規定だというふうに思います。まあ、しかしこれは運用の面で、そうしたトラブルを起こさないようにやっていただきたいというふうにお願いをしておきます。 最後に、先ほどもうすでに各委員からお話がありましたように、中小企業対策は今回のようなつなぎ対策で終わるわけではなくて、このつなぎ対策が効果を発揮している間に、何としても抜本的な業種の転換、近代化促進というものをやっていかなければいけないと思います。その点でできるだけ早い機会に近促法の抜本的な見直しその他を御検討をいただきたい。それをお願いを申し上げ、それについての大臣の御所見があれば伺って、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(河本敏夫君) いまお願いしております円高緊急対策は、あくまで短期の時限立法でございます。でありますから、これはまあ緊急対策としてお願いはいたしますが、これと別個に、本来の本格的な中小企業対策は強力に進めてまいる所存でございます。
○委員長(楠正俊君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(楠正俊君) 御異議ないと認めます。 それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。 円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(楠正俊君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。 対馬君から発言を求められておりますので、これを許します。対馬君。
○対馬孝且君 私は、ただいま可決をされました円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案に対して、自由民主党、日本社会党、公明党、日本共産党、民社党及び新自由クラブの各会派共同提案による附帯決議案を提出をいたします。 案文を朗読いたします。 円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法案に対する附帯決議(案) 政府は、円相場高騰により深刻な影響を受けている輸出関連中小企業者の現況にかんがみ、これらに対する振興助成施策の一冊の拡充・推進に努めるとともに、本法施行にあたり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一、都道府県知事の認定の対象となる業種の指定にあたっては、円相場の高騰による影響について弾力的に考慮するとともに、中小企業者の認定は実情に即して迅速に行うこと。 二、認定中小企業者に対する信用保証協会の保証並びに金融機関の融資にあたっては、本制度の趣旨が十分生かされるよう関係機関を指導すること。 三、中小企業為替変動緊急融資等の貸出金利の引き下げ、償還期間の延長について今後とも検討を加えるとともに、担保の徴求については制度の趣旨に即して弾力的運用を徹底するよう関係金融機関を指導すること。 四、円相場の高騰の影響の大きい輸出産地の振興対策に遺憾なきを期するとともに、認定中小企業者等の従業員の雇用の安定のための諸施策の確立に努めること。 右決議する。 以上であります。
○委員長(楠正俊君) ただいま対馬君から提出されました附帯決議案を議題といたします。 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。 〔賛成者挙手〕
○委員長(楠正俊君) 全会一致と認めます。よって、対馬君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。 ただいまの決議に対し、河本通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。河本通産大臣。
○国務大臣(河本敏夫君) ただいま御議決をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、中小企業円高緊急対策の実施に遺憾なきを期してまいる所存であります。
○委員長(楠正俊君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じておりますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(楠正俊君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後九時八分散会 ―――――・―――――