公害対策及び環境保全特別委員会 閉会後第1号
- 発言数
- 369 件
- 登壇者
- 16 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1978/07/06
会議録
○委員長(田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。 参考人の出席要求についてお諮りいたします。 本日の委員会に、参考人として中央公害対策審議会大気部会部会長伊東彊自君の出席を求め、二酸化窒素に係る環境基準について御意見を聴取することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 —————————————
○委員長(田中寿美子君) 公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○原文兵衛君 NO2の環境基準が最近大変問題になっておりまして、新聞等でもいろいろと報道されているんですが、ごく最近の新聞で、鉄鋼連盟とかあるいは自動車工業会とかいうような業界の団体から研究費をもらっている学者が、NO2の環境基準に関する専門委員の中にいると、それがこの環境基準についての審議に影響をされているんじゃないかと、研究費をもらっていることによっていろいろと影響があるんじゃないかというようなことが新聞等で報道されているのでございますが、もしそのようなことがあれば、私は、いやしくも学者がいろんな研究するについて、日本では研究費等が十分でないという面もあって、研究費がいろいろなところから出るということはあるかもしれないけれども、それによってこういう中公審の専門委員会等が影響されるようなことがあったら大変なことだと思うんですが、この点について環境庁長官はどのようにこの問題を見ておられるのか。また、環境庁としては、この専門委員会についてそういうような影響があるというようなことは全然考えられないと思っているのかどうか、そういう点についての長官の所信を伺いたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) 中公審の専門委員会の委員というのは、専門の分野、たとえば医学、あるいは環境測定、それから公衆衛生というようなそれぞれの専門の分野で、学問の業績を第一義と考えて厳重に審査して任命しておりまするので、したがって、この人選任命等は特に行われてきたところで、人選については私はそういう意味では全く問題がないと、こう考えております。 それで、いま問題になっているのは、これは外国等ではその種のファウンデーションというものはいろいろありまして、産業界がそういう意味で公的な方面の研究等にいろいろ寄与しているということでは、まあ長い歴史で熟している点があるので、われわれは、日本なんかもっともっとそういう点については考えてしかるべきものだと思っておりまするけれども、産業界が社会的責任を果たすという立場から、そういう意味で特に法人組織というものを設けてこの種研究にやっているということは、そのこと自体は決して悪いことではございませんし、また、研究員が研究者としてどこからその研究費を受けるかということについては、われわれとしてそれは介入すべき立場にはないと、こう考えております。 それで、いま専門委員会における議論が何かこういうことによって影響を受けないかということかと思いまするけれども、この議論は、これは全く学問的な専門の立場で行われてきているとわれわれは確信じているのでございまして、事実そこにおける意見というのは、ただそのときの思いつきとかあるいは政治的な、よしんば仮にあっても発言とかいうような問題ではなくて、取り上げられているのはそれぞれ専門の学者としての良心的な過去の業績ということで、専門誌の中にりっぱに発表されて採用されているそういう資料、データ、それを基礎にして議論されてまいりまして、それが今度の答申となってあらわれているわけでございますから、私は専門家というものの良心から考えましても、また、以上申し上げたような点から考えましても、そういうものについて何か影響があるとは考えない、いわんやその結論については、そういうような懸念、おそれ、そういうものはこれは全くないというふうに確信いたしておる次第でございます。
○原文兵衛君 大気保全局長にお伺いしますけれども、NO2の環境基準日平均値〇・〇二というのは、こういう基準は、外国ではもうほとんど考えられないような大変厳しい基準であるというようなことがもう前々から言われているので、私もいろいろなところから聞いているわけでございますが、NO2の基準に関しての国際水準というようなものがあるのかどうか、その国際水準に比べてわが国の基準は非常に厳し過ぎるのかどうかというような点。それからまた、外国ではこの環境基準をどういうような観点から決めているのかというこの二点について、大気保全局長から説明していただきたいと思います。
○説明員(橋本道夫君) いま先生の御質問のございました、日平均値〇・〇二ppmというような環境基準は、外国に比べて著しく厳しいかどうかということでございますが、これは御承知のように、日平均値〇・〇二といいますのは、年平均に直しますと〇・〇一程度になります。それより少し低いかもしれません。アメリカが決めておりますのは年平均〇・〇五という数字でございます。ですから、アメリカに比べると日本の方が厳しいということは明白でございます。それから、カナダが決めている基準に幾つかレベルがありますが、しんぼうできる限度ということで〇・〇五三、それから最も望ましい水準として年平均〇・〇三というのを決めております。ですから、いずれに比べましても非常に日本の条件は数字的にきわめて厳しいということは事実でございます。低い条件にあるということでございます。もう一点落としましたが、西ドイツでは、人の権利を最大限に侵害することが許される限度ということで、長期平均値として〇・〇五というのを組んでおります。やはりこれに比べても厳しいということがございます。 ただ、ここで、いま第二の先生の御質問の、外国の基準と比べる場合に、数字だけで比べてよいのかどうかという問題があるわけでございます。数字だけで比べると確かにそのような状況でございますが、今度は法律的な性格ということで比べてみますと、アメリカの環境基準といいますのは、これは公衆衛生に必要なもの、十分な安全性を持ってということが書いてございますが、そのようなことで決めている基準でございまして、アメリカは、年平均〇・一〇というのは急性疾患をふやすということが基本の頭にあって、それに対して二分の一の、十分の安全率を持っていると、こういうような言い方をしております。しかし、法的に日本と非常に違いまして、法的拘束がございまして、州政府は、それを決めれば三年以内に達成しなければならないというような法的な拘束がございます。また一方におきまして、この環境基準までつついっぱい汚していいというような法律構成にはなっておりません。これは三つの地域区分の種類を設けておりまして、一種、二種、三種としておりますが、その中の非常にきれいな地域、中等度の地域、環境基準をつついっぱい汚してよい地域ということをこれはもう法律ではっきり決めております。法律でそのような区分を決めております。ですから、産業界の言うように、どこでも年平均〇・〇五に汚していいんだという構成にはなっておりません。そういうものでございまして、また環境基準をつついっぱい汚して、それを超えて直らないというときには、きわめて厳しい規制が次にかかってくるというようなことでございまして、日本のような長期の努力目標で法律的な拘束力がないというのとは違っております。 ただ、日本の場合には、法的拘束力がないということは事実でございますが、いろんな面で規制と同一のように行われてきた実績が一部に見られるということは事実でございまして、法的には確かに拘束力はない、あるいは義務はかけられていない。しかし、実際の運用としては規制に等しい効果を持つようなところもあるというところがあるわけでございます。ドイツの場合には、認許可の基準にダイレクトに結びついております。これを超えるような新設あるいは増設は許されません。またこれを超えるような汚染を引き起こしますと、これに対しましては、防害排除ということで防止施設の設置を請求したりあるいは損害賠償請求の訴えを起こすことができますが、それ以下では起こせなくなっております。 そのようなことで、外国の基準と比べる場合に、数値的には非常に低い厳しい条件にある。法律的には拘束がかかってない。しかしながら、実際運用としては一部に規制と同様の効果を持つものも中にあるということが現在の実情でございます。
○原文兵衛君 昨年の三月に、中公審に、NO2についての判定条件等について諮問したわけでございますね、環境庁長官から。昨年三月に中公審にNO2の環境基準の判定条件等について諮問した、どうして去年諮問するようになったのか。その諮問するようになった理由。 それから、その諮問内容が、昭和四十六年のときの中公審に対する諮問では、環境基準そのものを諮問していたように私は記憶しているんですが、今度は判定条件等についての諮問ということになっておりますが、どうして四十六年のように環境基準そのものについての諮問をしなかったのか。 この二点について、大気保全局長からお答え願いたいと思います。
○説明員(橋本道夫君) まず第一段の、どうして五十二年三月に諮問するようになったかという御質問にお答えいたしたいと思います。 現在の〇・〇二という環境基準は、四十七年六月までの最善の科学的な知見に基づいて決められた基準でございます。その時点におきましては確かに最善のものではございましたが、科学的な知見の中で特に疫学データはきわめて乏しかったということは事実でございます。日本の疫学データもアメリカの疫学データも、第一報の速報のようなものを使わなければならなかったという状態でございました。また、測定データも非常に不足をしておったわけでございます。しかしながら、当時、いままでの公害行政がすべて後手に回っておったということで、非常に不確かさは高くても、これは基準をまず設定をして、そして対策を打つべしという考えで、非常に大きな安全性を見込んで日平均値〇・〇二ppmという環境基準を決められたいきさつがございます。そういうことで、その後大体五年近くたったわけでございますが、いろいろ日本の環境基準をめぐる国内の論争もございましたが、国際的にもいろいろの論争がございました。これは不確かさのもとで決めておりますので当然の議論であると思いますが、公害対策基本法の九条三項といいますのは、この決めたときの当初の趣旨は、四十八年に決めましたように、少し科学的なデータが乏しくとも、そのときの最善でまず基準を決める。それから定期的に科学的に判断をした上で必要な改定をしなければならないという条項がございまして、そこで五年間の間に科学的な知見が、より豊かに、より新しく、より確かになったという判断を持ったわけであります。これはWHOの委員会もございました。そういうととで、この九条三項に基づいてこれは点検しなければならないということになったわけであります。そのようないきさつでございます。 次は、諮問の内容でございますが、先生の御指摘のように、四十六年に環境庁が発足してすぐ、非常に包括的な環境基準についての諮問がございました。これはもう大気も騒音も全部含んでおるものでございます。四十八年のNO2の環境基準はその包括的な諮問の一環として、新たな諮問を起こすことなしにNO2の環境基準が設定されておったわけであります。そこで、九条三項に基づく検討を行います場合に、最初から環境基準を改定するということを前提にしてはこれは九条三項はならないことであります。定期的に科学的な判断を加えて、その上での議論でございます。ですから、端的に申しますと、圧力があっても、できなくても、あるいはむずかしくても、そういう理由で環境基準は変えることはできないということで、定期的、科学的な判断ということによってのみ環境基準は変わるという問題に九条三項はなっておるわけであります。 そこで、諮問といたしまして、そのときに非常に議論をいたしましたが、これはやはり九条三項の趣旨にのっとって諮問をするということを明確にする必要がある。そういうことで、改定することがもう既定の前提であるというようなものではない。既定の前提であるならば、環境基準の改定について意見を問うということでございますが、それはやっぱりやるべきではない。やはり科学的な判断が出されて、なるほどこれは前と違うということがわかったときにこれをしなければならない、そういう趣旨でございましたので、この五十二年三月の諮問は、これは最初の形でございます、九条三項の趣旨にのっとり、判定条件等についての意見を改めて問うということでございます。そういうことで、先生方にお願いいたしましたときに、この九条三項の趣旨でございますと、九条三項というのはこういう法律でございます、変えるという既定前提ではございません、出た暁には、それに基づいて虚心坦懐に、変えるべきかあるいは変えるべきでないか、そういう問題を判断をいたしますということを申し上げて諮問をいたしたわけでございます。 そういうことで、九条第三項の趣旨にのっとり判定条件等について問うというととで、審議会に問われましたのは判定条件と指針ということでございました。そういうところになぜ環境基準について問うという諮問をしなかったのかという基本がございますし、最もの核心は科学的な判断、それ以外に環境基準をいじることはできないということをこれは明確にするためにそのような形式をとったと、こういうことでございます。
○原文兵衛君 時間があとわずかでございますので、これを最後の質問にいたしますが、今度の諮問は、そのように判断条件そして指針値ということでございますが、したがって、環境基準を改定するかどうかということは、今後の環境庁の判断によって決まることになると思うのですけれども、もし改定されるというような場合には、答申された指針値に安全率を掛けて基準を設定すべきではないかというような意見も私どものところに申してくる方もおるのでございますが、この安全率を掛けて基準を設定すべしという意見について、環境庁の方はどういうふうに考えているのか、その点を最後にお伺いしたいと思います。
○説明員(橋本道夫君) いま先生の御質問のございました、安全率を掛けるか掛けないかという問題は、基準設定の場合の一つの問題点でございます。これは純粋に科学的に判定条件と指針を示したということでございます。 そこで、環境庁といたしまして、この答申に盛られているのはどのような水準のものを言われているのかということを、答申の原文そのものに即して忠実に申し上げますと、「本委員会は、地域の人口集団に疾病やその前兆とみなされる影響が見い出されないだけでは十分ではないと考え、更にそれ以前の段階である健康な状態からの偏りについても留意した。」ということがございます。そして最後に、「本委員会は、地域の人口集団の健康を適切に保護することを考慮し、」というぐあいに書いてございます。これはどういうことかと申しますと、地域人口集団ということをとっているということは、いろんな人がまざっておるということの前提でございます。その意味で「地域の人口集団」という言葉を使う、その意味で疫学調査のデータを使うということでございます。これは動物実験だけしかデータがないというような場合、あるいは労働衛生のような、ひどい状態だけしかデータがないというような場合、そこから出てきたデータの場合には、当然これは安全率議論をつけるのが当然でございます。しかし、今回出された考え方は、「健康からの偏り」という非常に高度の物の考え方を整理をして出してこられました。これは、従来の専門委員会の考え方とは一段進んだ考え方でございます。 これは、四十八年のSO2のときにも、あるいはそれ以前の四十四年のSO2のときにも、また四十八年のNO2のときにもやっぱりこの考え方に立っておりましたが、そのときにこういう条件を言っております。「病人の症状の悪化が疫学的に証明されない事」。SO2ではこれの症状悪化を証明したデータがございました。NO2ではございません。第二番目は、病人の「死亡率の増加が証明されない事」。SO2ではこのデータがございました。NO2ではございません。第三番目の、「閉塞性呼吸器疾患の有症率の増加が証明されない事」。これにつきましては、SO2もNO2もどちらもございますが、この「増加」という言葉は適切かどうかという議論が現在はあるわけでございます。それから最後の、「年少者の呼吸機能の好ましからざる反応ないし障害が疫学的に証明されない事」。これはSO2ではございました。NO2ではございません。そういうことで、今回のNO2のわれわれが経験している程度の濃度のところでは、有症率、つまりせき・たんということの訴えのあった者については関連性のデータはあるが、そのほかの、悪化も、死亡も、病人の新発生も、機能の低下も、明確に証明するものすべてなかったと、こういうことでございます。 そういうことで、専門委員会は、人の志願者の実験、これは人間の実験に当たるわけですね。人の志願者に対するデータでございます。この志願者のデータで病人を含めたデータを見ております。それからもう一つは、動物実験も見ておりますが、疫学のデータをとっております。しかも、よその国では、それで判断を下さない、そのところに至らないようなものでも、これは非常に慎重に注意してとらなきやならぬということで採用して、安全のサイドをとっております。そこで、人のデータと疫学のデータをとるということは、安全性サイドを踏んで、しかもその水準は先ほど読み上げたような水準であるということでございまして、そういうことで、われわれとしてこれはもう十分高い確度で健康に対する好ましくない影響を防ぐことができるというものと、これは鈴木先生もちゃんとはっきりおっしゃっておられます。そういうことであれば、これは安全率を掛ける必要はないというぐあいに行政として判断をいたしたわけでございます。
○原文兵衛君 終わります。 —————————————
○委員長(田中寿美子君) 委員の異動について御報告いたします。 本日、森下泰君が委員を辞任され、その補欠として寺下岩蔵君が選任されました。 —————————————
○広田幸一君 いま原委員の方からNO2の問題について二、三質問があったわけでありますが、私は、若干観点を変えまして、かなり考え方が違うと思うのですけれども、今度の環境基準の改定をすることについて、環境庁がどういうふうな手続を踏んで今後この改定を実施しようとしておるのか。そういう順序を含めて、ひとつ長官の方から御説明を願いたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) ただいまお尋ねの点ですけれども、先ほど局長の方から原委員に対してもお答えいたしました。要するに、環境基準を改定するかどうかという問題は、これは法の九条第三項に、科学的判断というものによって環境基準は見直さなきゃいかぬ、こういうことになっているわけであります。したがって、見直さなければならないというそういう科学的判断というものが、当初の環境基準が設定されたその後において、動物実験にしてもあるいは疫学にいたしましても、そしてまた海外におけるいろんな資料にいたしましても、非常に豊富になってきておる。したがって、当時の事情等について、環境基準についての論議、いろんなことも出ておりまするので、こういう段階のときに、一体科学的判断というものが改定を必要とするようなものになるかどうかということで、虚心坦懐、その一番重要な部分について中公審に諮問をした。で、諮問に答えて答申が出たわけでございます。 したがって、その答申に従ってわれわれ冷静にこの答申というものについて検討を加え、無論このほかにもいろいろ陳情、意見というようなものも出ています。そういうこともわれわれは検討には加えているわけですけれども、とにかく専門委員会を通じて行われたこの答申そのものというものを十分に検討した上で、ひとつこれについて改定をなすべきかどうかということで、今日まで長らく慎重に対処してまいったわけでございまして、したがって、そういう基礎に基づいて、近くこの点について結論を出したい、こう考えている次第でございます。
○広田幸一君 長官も、先ほど局長の方からも、今度環境基準を改定するのは、第九条の三項による、「常に適切な科学的判断」を加えて、そして必要な改定をすると、こういうふうになっておるわけですけれども、この「科学的判断」というのはどういうことをいうのか、基本的な考え方として。私は、少なくとも環境庁というのは、国民の健康を守っていく、そのための環境を保全をしていくというのが環境庁の本来の使命であると思うんですが、おっしゃるその科学的な判断というのは、どういうふうな考え方をもとにして考えていらっしゃるのか。
○説明員(橋本道夫君) 科学的な判断とはどういうことかということでございますが、科学的な判断といいますのは、諮問にございましたように、NO2の人の健康にかかわる影響についての判定条件、判定条件というのは、汚染と影響についての知識の体系的な整理でございます。それから指針といいますのは、それ全体をながめた上での判断でございます。その判定条件と指針、これがこの科学的な判断の現在の時点における最善のすべてであるということでございまして、この点が最も核心のところでございます。 その科学的な判断の場合に、内外のあらゆる知見を整理をするということが前提でございます。知見の中には、相反するもの、いろいろなものがございます。それを専門家の先生方がそれぞれの専門の立場に立って、そして、この知見の基礎となるものはすべて学会誌、専門誌に掲載されたもの、あるいは掲載予定の明確なもの、官公庁が責任を持って公表した資料、これだけのものを用いて議論をして、最後的にこの判定条件を整理をし、十四この答申に整理されていますが、それに基づいて判断を下すということで、科学的判断は中公審の答申に尽きている、こういうことでございます。
○広田幸一君 局長の衆議院の委員会における答弁、議事録をきのうちょっと見たんですけれども、この科学的な判断という中に、総合政策的に判断する、総合的な政策的な判断をするということがよく言われておるわけですね。そうすると、さっき申し上げましたように、私は環境庁というのは、いかにしたならば国民の健康が守れるかと、そこに基点を置いてすべてのことを考えていかなければならないと思うんですが、総合的な政策という意味は一体どういうことなのか、そこのところがどうもわからないですが、余分なことを考えていらっしゃるから、いま言われるような、環境庁に対するいろんな疑念が持たれておると思うんですが、ここのところをよくわかるように説明していただきたいと思います。
○説明員(橋本道夫君) 科学的判断そのものに総合的、政策的を加えるものでは全然ございません。科学的な判断は判定条件と指針に尽きております。それを基準に直すときにその問題が、いまおっしゃったポイントが出てくるということでございます。そのときに、科学的な判断は中公審が出された答申が最新最善のものであるということで、これには触れません。それを行政として今度はこの達成の方途、あるいはどういうぐあいにそれを運用するかという問題が出てまいります。そういう問題が出てまいりますときに、いま先生の御指摘のあった総合的ないろんな問題が出てくると、こういうことでございますので、それをまず御理解をお願いいたしたいと思います。 それから、議論として、科学的な判断が、判定条件と指針が答申に尽きておると、さらにそれ以上に安全率を掛けよと、あるいは掛けた方がいいんじゃないかとかいろんな理想の議論があるわけです。これは、鈴木先生も言っておられますが、この答申の線では、条件として非常にいい条件を整理したので、安全率を掛ける議論を自分たちの中ではしてないということを部会での御報告のときに言っておられるわけです。しかし、理想論としては、もっと安全率を見たいということがやはりおありになると思うんです。これは一人ずつの先生のお気持ちとしてはそれがあるわけですが、それよりも、健康を守る以上にさらにもっと厳しくするのが総合政策だという議論のときには、これはそこまで判断したときにどのようなことになるかということは、当然科学的な判断の域を越えていわゆる安全率というのは恣意的なものであるというのはWHOもはっきり言っております。そこに来ると総合政策的な判断が加わると、こういうことでございます。
○広田幸一君 安全率を掛けるか掛けないかというようなことは、私はこれは一つの科学的な判断の材料になるような気がします、その是非は別としまして。ただ、「総合政策的」というその「総合」という意味が、どうもやっぱり環境庁が別なことを考えていらっしゃると、私はそういうふうに思うわけです。といいますのは、きのうもちょっと見たんですけれども、局長はこういうことをおっしゃっておるわけですね。今度のその中公審に対する諮問に当たって、環境庁としては「判定条件と指針だけ」を専門委員会にお願いをいたしましたと。で、なぜそういうことになったかといいますと、「従来、科学の立場というのが余りにも社会的な紛争や政治的な場に巻き込まれてしまって非常にむずかしい問題があった」と、そこで、「専門委員会の方々に、そういうものには一切巻き込まれずに」純粋な、「自由に厳しい論議をしていただく」と、そういうことで、政治的な問題については一切もう関係をしないで純粋にやってもらいたいと、こういうようにまことにいいことが書いてあるわけです。で、そういう後は環境庁が行政の責任において、いわゆる総合政策的にやっていくと、こういうふうにおっしゃっておるわけですね。 ところが、さっきから原委員の方からも質問がございましたけれども、こういうふうに言いながら。実際は、専門委員の方々が産業界から研究費をもらっておるとかいろんなことが出る。あなたは非常に調子のいいことをおっしゃっておるが、現実にはそういう疑惑を生むような問題が出ておるわけでございまして、私はきのうこのところの文章を見まして、環境庁というのは本当にうまく、適当なことをおっしゃっておると。えらい言い方が厳しいんですけれどもね。私はそういう判断をしなきゃならぬわけです。 それから、先ほどおっしゃったように、今回の諮問をするに当たって、従来は、私の勉強では、いわゆる中公審に諮問をする場合には、明確に何を諮問するということが言ってあった。今回の場合は判定条件についてのみあった。環境基準の問題については諮問がされてないと。そのことについて先ほどからいろいろ理由をおっしゃっておるわけですけれども、そこらのところは、とにかく行政の責任において後のことはわれわれがやるというのは私は少し行き過ぎじゃないかと思うんです。公害基本法の第二十七条によりましても、重要事項については環境庁長官が中公審に対して諮問をし、それから調査審議するということになっておるわけですからね。何か今回の場合は、とにかくもう後は全部環境庁が総合政策的に決めてしまうというようなところがどうしても納得できないわけですね。そういう点をもう少しわかるように私は説明をしてもらわないとちょっと理解がしにくいです。
○説明員(橋本道夫君) まず御質問の最初にございました、私もちょっと先ほど不十分な言い方をいたしましたが、専門委員会の中で安全率の議論がされているかということでございます。安全率の議論をしておられます。安全率の議論をして、そして人の志願者のデータ、疫学のデータと、動物実験より疫学の方がはるかにいろんなものをすぐひっかけられるという立場でございます。そういう問題点はいろいろありますけれども、そこの方が鋭敏だということでそれをしておられますから、安全率の議論を全然抜きにしておやりになったわけではございません。それから、健康のレベル等も、非常に従来よりは先ほど申し上げましたような高い水準を言っておられるということで、安全性を見込んでおられるということが第一点でございます。 それから第二点は、これは私、専門委員会の先生に申し上げましたのは、とにかく何ものにも煩らわされることなくやっていただきたいと。それから、技術的にこれができるかできないかとか、経済的にどう困るかとか、これが出たら政府がどう困る、そんなことは一切考えていただかなくて結構です。いろんなトラブルから離れてこれは先生方におやりいただきたいということをお願いしたことはもう明白な事実でございます。 で、そういうことで先生方が御議論をされる、それに対して、いまの先生の御質問の中で、産業界から研究費を受けておる人がおるじゃないかというような御質問でございました。これは、まず研究法人からの公募によってやって受けた研究費であるということでございます。そういうことで、研究法人に出しただけの資料を専門委員会で使うということは一切いたしておりません、これは。これは専門委員会で、引用資料は全部専門委員会報告の中に入っておりますが、これは学会誌、専門誌に公表されたもの、あるいは公表される予定が確かなもの、それから官公庁の責任のある発表された報告資料と、この条件に厳重に論拠しております。ですから、研究をおやりになって、そしてそれを学会的なスクリーニングが通ったところで出ているものをお使いになっておられるということでございまして、これはお互いに人間でございますから、いろいろ激しい議論をするというのはこれは大変なことでございます。学問の中で、相反するデータが本当にいろいろあるわけでございます。いろいろな違う学説があるわけでございます。あるいはよく学派とか学説とかあるいはどこの学校の系統とか、これはもう非常に、医学やそういうものの議論に多いということは先生方よく御承知だと思うのです。しかし、これは何もほかのことに曲げる議論ではございません。論文やそういうものを、議論によって、内外の知見によってやるわけでございますから、ですから、専門委員会の意見が曲げられるというようなことは全然ございません。 率直に申し上げまして、あれだけ厳しい議論をされて出された答申は、非常にこれは、国際的にどこに出しても、どんな議論をされても、まずこれはいろんなものが入っているということであると私どもは確信をいたしております。一人ずつの先生にとっては御不満なところはいろいろおありになるかと思いますが、しかし、学者として、いろいろ激しい議論をした結果、完全に最終に合意したのがあの答申であるというところはひとつごらん願いたいと思います。もしも先生方の、この学問の領域以外のその人の考え方、その人の方針、そういうものだけで議論したら、絶対に一致する気遣いございません。これはもう全く一致する気遣いございません。やはり学問の領域で議論すると、学問の良心では、自分たちの良心の許す範囲内で合意できるところはあそこであったということは言えることであると思います。
○広田幸一君 まあ私も専門ではございませんから、局長がどんどん言われれば私もわかりにくくなってくるわけですけれども、今度の場合、先ほどの局長の答弁に続いて、行政的な判断によって決めると、そう言いながら、結局今回は諮問をしてなかったので、後で大気部会を二回開き、あるいは総合部会を一回開いてあらゆる意見を全部収集して、細大漏らさずその審議会に報告したと、こうなっておるわけですね。私は、そういうことをするなら、初めから、やっぱり行政の責任においてやるとしても、審議会に諮問するというちゃんと法律の決めがあるわけですから、なぜそういうことをやらなかったかという点が、こうこうこう言いながら、後で、まあどこからそういう話があったかどうかは別として、いわゆる大気部会を二回開いたりあるいは総合部会を開いたりして、そこで改めていろんなことを報告して意見を求めるというようなことをことさらするならば、初めからきちっとそういうことを諮問した方がよかったではないかと、こういうふうに思いますね。 もっと勘ぐって言いますと、結局、環境庁はある一つのものを持っておる一これは勘ぐったあれかもしれませんがね。その自分たちが考えておるような答申が出なかったら困るので、だから科学的な調査だけをしてもらって、後は総合的な政策的な判断をすると、そういうふうなうがった見方さえしておる者もあるわけですね。なぜそういうことになるかというと、最近の環境庁がとにかくもう非常に後退したようないろんな経過をたどっておると。だから、正常な形をやっておけば問題がないのに、今回何か違ったようなかっこうをやったから、そういうふうな疑問を国民の皆さんや関係者の皆さんに与えておると思うんです。私は環境庁をいまここで責めようという気持ちはないわけですよ。環境庁の本来の使命というものはさっきから何回も言っておりますように、国民の健康を守っていくと、そこに基点を置いて環境庁はすべての問題を考えなきゃならないということを私は強調するがゆえに言っておるわけです。 これは局長、私が言わなくても、ずっと見ますと、昭和四十五年の公害国会でありますか、私はそのときにいなかったわけですけれども、いわゆる「経済との調和」ということが問題になりまして、それでいろんなことがあって、それは切ってしまったわけでしょう。もしも総合的な判断でいろいろと考えなければならないということになれば、そのせっかく基本法で定められた、最も中心的な、経済との調和という問題をもとに返していくような論議をしてからこういう話ならいいわけですけれども、私はどうもそこらのところがわからないですね。
○説明員(橋本道夫君) 先ほどもちょっと申し上げましたが、九条三項で最も核心なポイントは、「科学的判断」というところでございます。そこでそれに対する諮問をしたわけであります。しかも諮問のときに、「判定条件等について問う。」ということだけの諮問なら別でございます。「第九条第三項の定規の趣旨にのっとり、」ということを明確にいたしております。そういうことで、この諮問のときにはっきりこれを申し上げておりまして、そして、大気部会で、それではこの答申を受けて環境庁はどうするつもりであるかという御質問がございました。また、その御質問のときに、いろいろいま論ぜられているような、基準が変わるんではないかというようなことについての不安も何もあるけれども、そこで一体環境庁はどうするつもりかという御質問がありまして、それに対しまして、環境庁といたしましては、この今回の答申を受けたいと、そして、これを慎重に検討さしていただいて、この答申を尊重して、そうして環境庁として最終的にこの環境基準の改定の要否を含めて決定いたしたいということをお答えしました。それは諮問をするかという御質問を受けまして、それにつきましては諮問をする考え方はございませんということを申しました。 なお、環境庁がそのような、どう言いますか、出されたらそれについて行政として責任を持ってやりますということは、一年前のときからあらゆる場所においてこれは明白にしてきたことでありまして、急にそういうことを言い出したという問題ではいささかもないということだけは、これは御理解をお願いいたしたいというように思います。 それからもう一つは、それではこの大気部会や総合部会になぜ聞いておるんだということでありますが、その後の進め方についてどうするかということのときに、大気部会を二、三回開いていろいろこちらのものすべて御説明いたしたい、御意見を承りたいということでございます。それから総合部会の方は、総合部会を開くべきではないかという御要望があって、そして総合部会を開いてそこでいろいろ御説明をした、質疑にお答えをしたということでございます。 そうして、いま、諮問は重要な事項であるからということでございます。これは二十七条にございます諮問は、まずこちらが諮問を起こして初めて起こるわけであります。そういうことでございまして、その中の最も重要な事項が、「九条第三項の規定の趣旨にのっとり」云々というところで、すでにこれは諮問を行ったものであるということを言っておるわけでございまして、現在中公審において御意見を承っているといいますのは、中公審の機能の中に、やはりこの二十五条の「設置及び所掌事務」ということの中に、やはり「公害の防止に関する基本的かつ総合的な施策の企画に関して審議し、及びその施策の実施を推進する」という一般的な事項がございます。それに基づいていろんな方の御意見を承っておるということでございます。 それからもう一つ最後の、経済との調和と総合政策のそごがあるんじゃないかということでございます。これは、専門委員会が示した、付言にも書いてございます、「高い確率で人の健康への好ましくない影響」を及ぼすのを防ぐことができる、健康の偏りを来たさないようにする、これはもう専門委員会の報告そのものでございます。これはもうノーマルな健康を守るという条件でございます。そして、ノーマルな健康を守るという条件をさらに緩めるような判断を環境庁がしたといたしましたら、これは先生の御指摘のような、経済との調和を考えたという批判は、もう十分これは起こり得る問題でございます。そのようなことは全然考えておりません。あの答申に示された健康の保護という条件を尊重してやっていくということでございまして、これが現在の時点における最新、最善の判断ではないかということで、達成をどうしていくかという場合に、技術的、経済的可能性ということはこれはございます。けれども、基準設定そのものはあくまでも健康保護が大前提であり、そこに経済の要素は入らないということで、答申に示された条件は、人の健康を正常状態に守るということを言い、それを尊重するということでございますから、経済との調和を復興をしたというようなことはいささかもございません。
○広田幸一君 さっきから聞いておりますと、今度諮問をする場合に、最初から、いわゆる第三項によってこうしますということを中公審の皆さんに初めから話をしてあると、こう局長おっしゃるわけですけれども、私はまだそこまで調べておりませんが、中公審のメンバーが何人いらっしゃるか知りませんが、中公審のメンバーの中に、今回の取り扱いについて、いま局長がおっしゃったような認識をしていないと思われる委員の方がたくさんあるようですね。——あるようですよ。ですから、まあどういうふうな形式で中公審に諮られたか知りませんけれども、肝心な人たちが知っていないという事実があるように見受けられるわけですわ。 中公審答申が出ましたのは何月何日ですか。
○説明員(橋本道夫君) 三月二十二日でございます。
○広田幸一君 三月二十二日ですね。これは四月なんですよ。日にちは書いてありませんけれども。(資料提示)いわゆる中央公害対策審議会の委員の方の名前が四人連ねてありますね。その人が、環境庁長官とそれから中公審の会長の和達さんに、「二酸化窒素の環境基準問題討議のための、中公審総会または総合部会の開催要請について」と、こういうものが出ておる。恐らく環境庁としてもこれは承知していらっしゃると思うのですけどね。これは四月なんです。答申が出たのは三月なんですね。この内容を見ますと、いろいろ書いてありますけれども、私は三つ問題点があると思っているわけです。 一つは、いわゆる今度の専門委員会の判定条件に関する報告書についてということで、「「なお不確定、未分明の因子をかかえており、今後の解明を待つべき課題が少なくない」と報告書が認めているとおり、」——これは報告書にそういうふうに書いてあるということですよ。報告書の中に不確定や未分明の因子がまだあると、こういうふうに書いてあると、したがって、多くの問題点が残されておるので、やっぱりそういう会議を開いてもらって解明をしてもらわなきやならないということが一つ載っておるわけです。 それからもう一つの問題点は、「中公審全体で討議するのは当然であると考え、すみやかに中公審の総会または総合部会の開催を強く要請いたします。」と。これは最も重要な課題であるNO2の環境基準問題についてですからね。この人たちは何か知っていないような気がするわけですね、これは。中公審の中でそういう会議に加わっていないと。一体そういうことがあるのかどうなのか。 それからもう一つ問題は、「今回のNOxの判定条件については大気部会の答申をもって中公審の答申としたことに対して、私達は強い不満をもつものである」と、こう言っているわけですね。 ですから、環境庁のこういう審議の手順というものは一体どういうふうになっておるのか。私の認識からしますと、環境庁が中公審に諮問をする、そこで専門委員会でそれぞれデータを出す、そして大気部会に持っていく、そこにはまたいろいろと横の連絡もあるでしょう。そして総会に諮って、その上でいわゆる答申がなされると、そういう一般的な順序になると思うのですけれども、こういうふうな文書があったり、なお、先ほど来から鈴木先生のお話が局長の方から何回も出ておりますけれども、私たちは、あの五月十日に参考人として鈴木先生を呼んだときの答弁とは、局長のおっしゃることはかなり食い違っておるわけです。それは後で指摘をしますが。まあいずれにいたしましても、鈴木先生すらこういうふうな答申が出たことについて、私は不本意であったということをはっきり五月の十日の委員会で、ここの参考人で聞いたときにおっしゃっているわけですね。 ですから、ずうっと私が申し上げておりますように、今回は何かさっさと環境庁の事務当局で話をどんどんどんどん進めていってしまったという感じが、私は純粋に考えても、中立的に考えても、どうしてもそう考えざるを得ない。一般的にもそう見られているわけです。だから、そういうことのないように、しかもこの問題は国民が非常に関心を持っておる問題であるから、私は、そういう点については局長や長官の方で、頭の中でおれたちはわかっておるということではなくて、国民の皆さんが本当によくわかるような順序、手順を説明をしていただきたいと、こういうことで私は申し上げているわけでありますが、こういう点についてのそのそごといいますか、この点について、時間がありませんから簡明に答弁を願いたいと思います。
○説明員(橋本道夫君) まず最初の、第一点の、九条三項というのはわからなかったということ、これは諮問文そのものの中にはっきりうたっております。これは部会でも専門委員会でもすべて配付をいたしております。ですから、九条第三項の趣旨にのっとりということは、口頭で申したわけではございません。ですから、これは明確になっております。 それから、次の御質問の、総合部会云々でございますが、これは御要望がございまして、そして会長にその要望が伝えられまして、そして総合部会が開かれて、御意見のある方が、一人御欠席でございまして書面をお寄せになりました。あとの二人の方がお見えで、そこで議論をされました。
○広田幸一君 それは後なんでしょう。
○説明員(橋本道夫君) それは後でございます。四月。後でございます。
○広田幸一君 答申が出た後だから問題があると言っているわけですよ。
○説明員(橋本道夫君) 答申の後でございます。 それから、その次の、「なお不確定」の要素と、これは科学の問題についてはいつまでも不確定の要素がございます。そういうことで、科学的に良心的に書くとそういうことである。ですから、現在の段階で、完全ではないが最善のものであると。だから、不確定のところがあるからどうということよりも、やはり判定条件として、指針として示されれば、現在の時点ではそれは最善のものとして、科学的なものとして扱うというのがこれがルールでございますので、不確定のところがあるからさらに議論しなければならないということがこの科学議論としてあるわけではない。これは今後の調査研究の問題でございます。それで何年かたった後にまた九条三項があり得るかどうかということでございます。 それから、鈴木先生の御意見で、不本意であったという御意見でございます。これはいかに鈴木先生を個人的に、これはこう言ったらこう言ってくださいよといって縛ってないかの証拠でございます。私どもは全く——恐らく鈴木先生のあの答申をされるときの一番の苦しみは、何か自分で緩めるようなことをしていると、こう言われるんじゃないかというお気持ちがどこかにあったんじゃないかと思いますね。しかし、全然そういうことはいたしておりません。そういうことはいたしておりませんで、先生は、専門委員長さんとしては、専門委員長さんとして、このレポートの立場に立ってきっちりそれをやってくださいと、個人としての問題の起こった場合にどうするかはわれわれが申し上げるところではございませんと。こういうのが、国会の前にもどこでも私はそう申し上げております。 その鈴木先生がおっしゃっているのが、こういう言い方をしておられます。安全率を見ているかという委員の御質問に対して、これは審議会の中ですが、「WHOの場合は安全率を見ているが、私たちがここに出したのは安全率を考えなくてもよい判定条件だからストレートに使っている」と、こうおっしゃつています。こういうぐあいにおっしゃっているわけです。で、その上に理想をお持ちでございます。私は医学、公衆衛生の方として、絶えず理想をお持ちになるのは、これはもう全くどうこう非難すべきことじゃないと思います。そういう問題として……
○広田幸一君 いいです。私の質問していることに答えてください。時間がないですからね。 局長の方が何もかにも専門的によく知っておるわけですから、私も反論できぬわけですけれども、いずれにしましても、この間環境庁から出してある書類を見ますと、「答申案を配布して審議し、全員異議なく決定し、」「所定の手続を経て」会長から長官に答申があったと、こういうふうになっておるわけですけれども、「全員異議なく」という、これきっちりと文章に書いてあるわけですけれどもね、そういうふうなことでは実態はなかった。答申が三月何日に出て、そして総会が四月に開かれているわけでしょう。ですから、答申が出る前に私は全員がやっぱり集まって、もちろんいろんな事情で集まれない人もあるでしょうけれども、そういう場というものがなかったというところに、私はやっぱり今回の取り扱いの問題があると思います。 そこで、もう一つ聞いておきますが、局長がおっしゃっておる、科学的判断が社会的政治的に巻き込まれているというが、一体そういう事実が具体的にいままであったのかどうなのか、そのことだけについて。
○説明員(橋本道夫君) これは非常に、科学的な研究報告をするときに、その人たちが、別の方の、反対の議論の人から集中攻撃を受けると、時によっては、もうきわめてその人の人権に至るまでの圧迫を受けるという状態は私はあったというぐあいに思っております。そういうことでこれは申しておるわけでございます。ですから、科学者が何物にもこだわることなく、科学的な責任のもとで、学会の権威なんかで採用された学問を中心として冷静に議論をするということは、これは科学というものは冷たいものでございます、正直に申し上げまして。客観的に冷たいものですから、自分がこういつてほしいと思っても科学のデータがない。こういうデータがあるぞと言ったら、これと違うこういうものがあるぞと、みんなあるわけであります。そうするとこれは、私どもでも科学議論するとき、もうかっかするほどいたします。ですから、そのような問題はどうしても科学の場合に不可避でございます。そのときに、ある先生の議論はけしからぬということで非常に圧迫されるということは、過去の四十年代後半のいろいろな例をごらんになっても、これはいいことか悪いことかは別にしまして、そういう時代があったということは間違いないことでございます。
○広田幸一君 それから、これは先ほどから申し上げておりますところの、衆議院の委員会における——私はきのうずうっと見まして、なかなかようけのものでして、そう十分見れなかったですけれどもね、局長自身の答弁の中で、私が強く感じましたことは、こういう環境基準を改定をするときに一番の悩みがあると、行政官としての悩みがあると、こういうことをおっしゃっているわけですね。それは、そのことが私は総合政策の判断の中で非常に苦しんでいらっしゃるというふうに受けとめられるわけです。そういう苦しみが環境庁として必要なのかどうなのか。そこのところ、一番あなたが悩んでおるという、これ悩んでおるということを書いてあるわけですから、そのことは一体どういうことを意味するのか、そのことを話していただけませんか。
○説明員(橋本道夫君) そのことを申し上げて、土井先生から何を言っておるんだと、こう怒られましたが、どんなことかと申しますと、基準を変えるといたしますと、公害防止計画からいろんなものに影響が及びます。私は、科学的には悩みは全くございません。科学的なことについて悩みはもう一切持っておりません。けれども、行政として基準を変えるということになりますと、これはいままで〇・〇二ppmを言い張ってきたのは環境庁であります。大気保全局長であります。これはもう告示によってやっておるわけであります。それによって地方自治体がいままで営々として苦労してきていただいたわけであります。非常な苦労していただいたわけです。またそれによって公害防止計画もつい最近改定したところでございます。それを、そういう立場の地方自治体でやっている人がどういう苦しい目に遭うかと、私はもう何が悩みかといったら、全くその一点に尽きます。
○広田幸一君 いや、私はそういうふうにはこの文章では見ないんですよ。要するに、あなたがおっしゃっておるのは、日平均値の〇・〇二ですうっといくとすれば、これは不可能だと、十年も二十年もかかる。そういう状態を放置しておいてこれでいいものだろうかというところに悩みがあると、こういうふうに言っておられるわけですからね。私は、そのことは環境庁としていま即考えるべきことであろうかどうかということなんですわ。そこ言っているわけですよ。それで、いまの〇・〇二を達成するためには十年も十五年もかかるとこういうふうにおっしゃっている。私はそのことはよくわかりませんが、そういう状態というものはずっと継続していいのかどうなのか、行政官としてこのことが悩みであると、私はこういうところに、この環境庁の、総合政策的な意味のね、そこに問題がある。 だから、さっきから申し上げておりますように、環境庁というのは、本来の使命という立場に立って、いかにして健康を守っていくかと、国民が病気にかからないようにする、そのための環境保全をするということに頭を向けさえすれば、私はわれわれとしても理解できるわけですけれども、こんなことを考えていらっしゃるから私は横道に入ったようなことになりはせぬかと思うんですけれども、その点どうですか。
○説明員(橋本道夫君) いまの御質問のポイントで、〇・〇二の問題のくだりにお触れになったわけでございます。これは今度の指針を日平均の条件に直しますと、大体〇・〇四から〇・〇六。あるいは一時間値の〇・二をやりますと、〇・〇八までになります。で、〇・〇二とは非常な差があるわけであります。そのときに、〇・〇二を置いておけという御議論が一方にあるわけであります。これは、科学はそれでいいから置いておけという御議論をしておられるわけだと存じます。 で、〇・〇二ppmというのはどういうものかといいますと、たとえば東京と大阪でいいますと、これは交通を約半分削減してストップしなければだめであります。それから、大企業はこれは抑えられます。これは八〇でも九〇でもカットしようと思ったら私はもうかなりできると思います。しかしながら、問題は中小煙源でございます。現在規制にかかっている施設は、ばい煙発生施設のうちの九%強であります。それで放出しているNOx量が全体の七二%強でございます。つまり、あとの九〇%で残りの二七%放出しているものは何かといいますと、これはおふろ屋さんとか中小工場とか全部そういう細かいものであります。それが低いところで出しているわけです。そうすると、汚染の濃度に一番実は貢献するわけです。そういうことでやりますと、いま規制にかかっていないものの約三分の一程度はストップしてもらわなければならないということになる。 これはどう見ても、〇・〇二を置いておけというときに、行政の基準として、科学的に健康はここで守られる、高い確率で守るとはっきり言っておられるものをさらにそこまでの条件を出して、そして行政の責任としての基準に、それがわかった後でも置いておくのかということは、公害対策基本法九条三項にあるように、定期的に科学的な判断を加え、必要な改定をしなければならない。必要な改定をしなければならないというのは、これは非常に厳しい条項であります。これは野党修正によって、衆議院のレベルで公害基本法をつくるときに入って条文でございます。そういうことで、それに対して忠実にちゃんとやっていくということで考えるわけでございますが、なお、ここでやはりこれを変えた場合に自治体に非常に御迷惑をかけるということについての悩みは、これはございます。
○広田幸一君 いまの答弁で、私はちょっと理解がしにくいですけれども、時間の関係がありますから。いずれにしても、私は環境庁の姿勢というものは、もう少し視点を変えなければいけないということだけは強調しておきます。 安全率を掛ける問題でございますけれども、私もこれは専門的によくわかりません。科学者でもありませんし、わかりませんが、鈴木先生に、五月十日にいろいろと私ども委員の方から質問をされましたときに、鈴木先生はこうおっしゃつておるわけですね。指針値から目標値、環境基準を導く際には、使った資料の精度の信頼性、予防しなければならない影響の強さを考えれば、安全係数を掛けることが通例であると、こうおっしゃっておるわけですね。それから、指針値の〇・〇二から〇・〇三ppmの幅のある値を出したことについては、現在の自然科学の限界によるものであるが、そのうちどちらをとるかと言われれば公衆衛生学の立場からは当然に低い方をとるべきであると、こういうふうなことをおっしゃっておるわけです。 それから、私の狭い範囲の知識でございますけれども、中公審が出しております報告書の中の第四章、「検討結果の評価と提案」、ここを見ましても、先ほど局長がちょっとおっしゃっておったんですけれども、いわゆる「地域の人口集団には若い健康な人々ばかりではなく、年齢や健康状態などにより環境大気の汚染に対し感受性が高く、その影響を受けやすいさまざまな人が含まれる。そして、人口が稠密で工業が集積している我が国においては、」云々ということが書いてありまして、やはり留意しなければならない。私はこのことを見たり、なお、結語の方の、結びとして、「近年、二酸化窒素の測定及び人の健康影響に関する研究の進歩は著しく、多くの知見が集積されているが、なお不確定、未分明の」——先ほどもちょっと触れましたが、「未分明の因子をかかえており、今後の解明を待つべき課題が少なくない。」と、こういうふうに書いてあるわけですね。 ですから、確かに四十七年ですか、あのときよりも前進はしておるでしょう。それはいろんなデータが、知見が集まっておるわけですけれども、しかしながら、まだまだ不十分なところがあると、こういうふうにちゃんと報告書に書いてあるわけですから、私は、そういう意味では、鈴木先生がおっしゃっておるような意味で、安全率を全く掛けないという環境庁の考え方は少し行き過ぎではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、この点についてどうですか。
○説明員(橋本道夫君) 指針を基準に直す場合のこれは通例であるということは全くそうでございます。通例の、いままでの指針は、今度のような高度のレベルの指針を出したことはまずないということでございます。そういうことで、鈴木先生のお読みになったのは、WHOの一九七二年の専門委員会レポートの長期目標を設定する場合の部分だけをお読みになりました。実は、あの報告を全部、その分みんなお読みになっていただきますと、環境庁は、健康保護を絶対にして、WHOのルートとは違うことを全く考えてない。それから、一九七四年のWHOのレポートで、その判定条件が出されて、それから今度は基準に直す場合にどうするかというくだりがございます。これは後で資料を差し上げたいと思います。その中に、やはりそういう危険性とそれに対する判断ということがございます。 で、その中で、今度出された指針がそれじゃ非常に危険な水準なのかといいますと、先ほど申し上げましたような、いい水準のものを出しておられるということでございます。そこで、鈴木先生が公衆衛生学の立場からは下限が——私は公衆衛生学の立場からそういうことをおっしゃることは全くうなずけます。健康はここで守れるということははっきり言っておるわけです。そういうことになりますと、これから先の問題は、私は健康をここで守れるということがあれば、公衆衛生としての理想はあるでしょう。その守れるから先になおどうするかという議論については、公衆衛生だけの問題ではないと思います。 ここで、不確かだから危ないのではないかという御議論ですが、不確かさにも種類の違いがございます。これはたばこなどはもう本当に一〇〇、二〇〇ppmのものをのんでいるわけです。これは実は非常な、もうある意味で人体実験に等しき状態をちゃんとお金を払ってやっているわけです。それから屋内汚染は、大体日平均で〇・〇五から〇・〇八ぐらいです。それからピークでぱっと上がるのは一とかそこら上がります。ですから、屋内汚染はもっと高いところに本当は暴露されているわけです。屋内にいるとすぐ病気になるとだれが本当にそのような危険性を考えたか、私はそういうものとは違うと思うんです。屋内よりも低くなっているんです。 それからもう一つは、労働衛生の分野で、NO2についてもっと厳しい議論が起こっているかと、これは起こっておりません。これは五ppmでございます。 ですから、この問題は、危険なサイドの問題ということも、全然ないとは申しません。ないとは申しませんが、やはりそれじゃどの辺までいったら本当に悪いのだということについての経験がない。先ほど申し上げましたように、病人の症状が悪化する、病人がふえる、あるいは機能低下が起こるというデータがないわけであります。そういう点から見ますと、決して危ないことを考えているわけではありません。そこで、地域人口集団というところに、これは地域人口集団という言葉を使ったところに先ほどのようないろんな人が入っているという考慮のもとにやっているわけです。 また、これは少し蛇足になりますが、WHOは、疫学のデータを文献としては引きましたが判断を下しませんでした。アメリカは、疫学のデータで、決定的な証拠がないと言って〇・〇五以下には下げません。日本はそれ以上に、もう非常に安全性に立ちながら——アメリカでは決定的でないとかいろいろなことを言って、疫学の弱点ばかりをついて、これはむしろいかに疫学を、どう言いますか、突き崩すかというのがアメリカの実際の姿勢でございますが、日本はそうではなしに、それはとって、しかし、そのデータとして持っている限界あるいは医学、生物学的な総合判断を全部加えて今回の答申はいただいているということでございまして、安全率を外すということは、理想の議論から見るとどうかという御議論はあるでしょうが、健康保護という観点を絶対確保している、しかもそれはいい水準として答申されておるということに対して、行政が最後的に、安全率を掛けるか掛けないかという判断のときに落としたという判断は、私は誤っていないというぐあいに思っております。
○広田幸一君 単純な考え方になりますけれども、五月十日の日に参考人の方四名に来てもらいまして、いろいろと関係委員の人が質問をされました。私も聞いておったんですけれども、鈴木先生は国立公衆衛生院の次長でございまして、私の聞いておるところでは、世界的にも非常に衛生学といいますか、権威ある人だとこう聞いておるわけですね。で、私は鈴木先生のおっしゃることを信じるというふうに考えるわけですね。そうすると、五月十日の委員会におけるお話の中では、今回の改定について、もしも環境庁が改定をするならば、私のところに当然相談にくるであろうと、そして納得する説明をしてくださるであろうと、それなしに改定するということになると私は問題があります、異議があるというふうなこともはっきりおっしゃっておるわけですね。それから、今回いろんな情勢判断をして、改定すべきではないと、せぬ方がよろしいと、こういうふうにおっしゃっておるわけですね。一体われわれはだれを信じたらいいのか。だれのおっしゃることを信じたらいいかということになるわけですよ。 これは単純な聞き方ですけれども、私も専門的な科学的なことはよくわからぬわけですけれども、やっぱりそういうことがありますし、それから、自治体に対して、昨年からああいう計画を設定をさして、ことしの四月ですか、各自治体はそれぞれ計画を持って、困難なことではあるけれども、やっぱりやらなきゃならぬと、こういうふうに各自治体は一生懸命取り組んでおるわけですわね。特にこういう被害の多い地域であるところの東京都であるとか神奈川県であるとか大阪とか、そういうところの自治体の方からは、この改定をしてもらわぬ方がよろしいと、そういういろんな意見が出ているわけでしょう。 私は、そういうことを総合的に考えますと、何を急いで環境庁がそんなにやらなければならないのか。いま全体の達成率が十何%だから、とてもこれは達成がむずかしいから、だからここで二倍、三倍に緩めようというそういうことではなくて、やっぱり中間目標を立てるとかあるいはもう少し時間を置いて達成の時期を延ばすとか、そういうふうなことを考えたらいいんじゃないかと思うんですが、そういうことをして、そして国民のコンセンサスを得ながらやった方が環境庁に対する国民の見方も変わってくると思うんですが、なぜそんなに強行突破しなければならないのか。これだけの反対もあり、いろんな手続上の問題で、環境庁の方は正当だとおっしゃっておっても、やはり疑念持っておる者がおるわけですから、そういう点について私はもう少し考える必要があると思うんですけれども、長官どうですか、この点。
○国務大臣(山田久就君) まあ先ほどから繰り返して申し上げておりますように、われわれは、国民の健康を保持するということは最大の任務というそういう立場に立って考えているわけです。であるからして、健康という一番重要な点についての判断条件という、科学的な面というものをわれわれは中公審に諮問したわけであります。したがって、これに対して中公審から答申がありました。これを採用すべきかどうかといういろんな議論というものは、無論これは行政の責任において法律的には行い得るところでありますし、答申そのものを全部聞かなけりゃいかぬ、何もそう書いてあるわけじゃございませんけれども、いまの健康を守らなきゃならないという最も科学的な部分はこれをひとつ的確に受けて、それでやっていこうというのがわれわれの立場だと。したがって、健康を守っていくということについての基本的なわれわれの方針というものはひとつよく御理解いただきたいと思うのであります。 なおかつ、新しい最善の科学的判断が出たら見直さなければいけないということは法の命ずるところであります。われわれがあわててやっているとかなんとかということじゃなくて、この答申は、諮問そのものはもう一年前に委員会にかけて、すでにもう何十回という議論を経てそうして出てきた答申でございます。それでこの三月二十二日に答申が出まして、もう相当な期間を経ております。われわれはこれを基準に、この答申に立脚して、そうして法の命ずるところによって、環境基準というものを考えていきたいという立場で努力しているわけでございまして、われわれが何も恣意で急いでいるわけでも何でもない。その点はよく御理解いただきたいと思います。われわれは法の命ずるところに従って行動する責任を持っている、これが環境庁の立場でございます。どうかその点はよく御理解いただきたいと思います。
○広田幸一君 長官はずっと前に総理大臣に会って、六月中にはこれは改定をするということをもうすでに約束されておるわけですから、言ってもなかなか変わらぬでしょうけれども、いずれにしましても、いま、国民の間で環境庁のとっておる姿勢については、現実にいろいろと批判があるということは事実なんですから、私はそのことを踏まえて、今回のこういう改定についてはどうしても納得ができないわけです。 次に、ついでというわけじゃありませんが、やっぱり関連をしますが、私、きのう東京に来まして、おととい、その前と東京は光化学スモッグで注意報も発せられたようでありますが、ことしはもっとそういう現象が起きてくるかもわからない。学校によってはかなりの被害者が出ておるということでありますが、私は、今回の専門委員会において、光化学スモッグの問題が余り論議されていなかったかと思うんですけれども、そこは勉強不十分でありますが、このNO2がやっぱり影響してくると思うんですがね。私の聞いているのは、いまの時点で光化学スモッグに対する一番の正確なデータを持っておるのは東京都の公害研究所であるというふうに聞いておるわけです。これからまたそういうもっとすばらしい研究所があるかもしれませんが、東京都の公害研究所が出しておるデータがいまのところでは比較的確実性がある。そこに出たあれによりますと、N02は〇・〇二以上になりますと、〇・以上になると光化学スモッグの注意報を発せなければいけない、いわゆる健康被害が出てくると、こういうふうに聞いておるわけでありますが、光化学スモッグの面からいっても、東京都なんかは、これを緩和するということになると、そういう被害が起きてくることになると思うんですが、この点について御説明願いたい。
○説明員(橋本道夫君) まず、最後におっしゃった、緩和すると被害が起きるという点、これはちょっと正しく認識していただきたいと思います。 いま東京都はずいぶん汚れているわけです。一番汚れているところは一日平均値の九八%値〇・一何がし汚れております。これはまだずっと下げなきゃなりません。たとえ幅のところを持ってもまだもっともっと下の方であります。こういう状況にあります。〇・〇というのはさらにその下であります。ですから、いまの議論がストレートに結びつく議論では全くないことだけはひとつ御理解願います。 で、現在光化学スモッグ対策はずっとこれは数年、もう大分積み重ねてきまして、日本は窒素酸化物とそれから炭化水素の両方を抑えるという対策をとってきています。だんだんだんだん抑えています。ただ、その進行状態は、窒素酸化物の方は固定発生源が三次まで、自動車は、乗用車は全部いきましたが、ディーゼル、トラック等は長期目標の第一段階までしかまだ入っていない。もう一つは炭化水素の方で、自動車の、乗用車はもう全部いっています。けれどもトラック、バスはまだもう少し抑えなきゃならぬと思っています。いま大体半分ぐらいかかっておる程度でございます。まあどこまで抑えられるかの議論はまだあります。窒素酸化物と見合いながら考えようと思っております。それから、固定発生源の炭化水素はこれから規制をかけるところで、去年から予算を取りましてずっとやっていまして、来年度ぐらいからこれは規制が始まってまいります。それから有機溶媒がございます。一番むずかしいのは有機溶媒でございます。いわゆる塗料を塗っているあれでございます。それはまだほとんど手つかずであります。ですから、いまの状態は、言っていることを全部やっている状態ではございません。まだこれをどんどん推していくという状態であるということです。 そこで、東京都の公害研もいい仕事をしておられます。けれども、東京都の公害研のものがベストであるという御議論は、これはやっぱり、広い世界にはいろんな研究所がみんなあるわけでございまして、これだけわからぬ問題というのは世界じゅうで寄ってみんな研究しておるということで、日米でもやっておりますし、OECDの中でもやっておりますし、東京都の問題も、われわれもよく勉強させています。公害研もすごくやっています。ですから、個々のデータではこうだったということ、これは貴重なデータです。決してそれをどうこう言っているわけじゃありません。公害研もそういうことをやっております。ことしの環境白書に、非常に重点を置いて光化学スモッグを書いております。 そういうことで、そういうデータがあるということは事実ですけれども、それではそれにしたらいいかという議論になりますと、いまこれは二つの問題がございます。一つの問題は、窒素酸化物とハイドロカーボンの両方を抑えることがいいという戦略は、日本がとっておったものに非常に批判がありました。これは日本はもう孤立してやっておりました。ところが、日本の戦略はいまOECDもアメリカも全部採用することになりました。これは成功です。で、その中で、まだ日本と外国と一致していないところがあります。これは汚れの激しい、普通の大気汚染の激しい発生源がたくさんある中で、窒素酸化物を非常に下げた方がいいかどうかというところであります。これはデータが両方ございます。下げたら出てくるというのと、下げたらよくなるというのと両方出ております。これはアメリカもOECD諸国も、そこの発生源地域においてはどちらかということはまだどちらともやっておりません。日本はどちらも抑えていって、反応物質を全体として抑えるという方式をとっております。そういうことで、決していまの状態で、これは対策を全部やっているのに出るじゃないかという議論ではございません。まだ進行中でございます。 それから、今回の専門委員会は、人体影響という角度でだけ議論しております。ですから、オキシダントの複合汚染の問題、これ扱っております。けれども、光化学反応でどう起こるかというのは、また全然別の専門分野の人がやらなければなりません。その中で、ハイドロカーボンについては指針を得ました。NOxの問題についてはどの辺かということは、まだこれからの研究の課題でございます。ですから、このNOxをもっと抑えていく、ハイドロカーボンをもっと抑えていくという施策も立っているということはひとつ御理解を願いたいと思います。 また、当然発生する条件の日の中で発生する割合は、四十八年からがぐっと下がってきているということは事実でございます。そういうことでございまして、NOxだけの議論ではございませんで、いろんな気象条件すべてが絡むということで、わからないところございますが、最善の努力を尽くしてやっていきたいと思います。
○広田幸一君 公害白書を見ましても、光化学スモッグはさらに出てくるような、そういう内容になっておりますね。ただ、五十一年、五十二年は、気象条件——雨が降ったりいろんなことがあって、確かに五十一年、五十二年ですか、光化学スモッグの現象が起きていないわけですけれども、起こり得る条件というものはあるということが公害白書には書いてあるように私は思うわけですがね。そうすると、東京都とか大阪とか、そういうところが光化学スモッグが、片一方では炭化水素の方を抑えていくと、こうおっしゃるけれども、やっぱり今度これを緩めることによって光化学スモッグの方が出てくる。両方抑えるといっても、今度は片一方はまたこれ緩くするわけでしょう。ですから、光化学スモッグが起きてくるという、そういう可能性は私は出てくると思うのでありますがね。その点についてはどうでありますか、簡単に答弁してください。
○説明員(橋本道夫君) 簡単に答弁をいたしますと、いまやっている規制が緩むものは全くないということが一つと、それから現在予定している長期の規制計画が、この環境基準改定によって緩むということは全くございません。ですから、ことしのNOxの四次規制もやりますし、またハイドロカーボンの規制も進めていきます。 ですから、これはもうぜひとも勘違いをしていただきたくないのは、環境基準がこう変わるから規制が緩むというような問題が、東京、大阪などで問題になることでは全くございません。これはもう非常に厳しい規制がかかります。また、既定の規制は、自動車の第二段規制も変えるなんという考え方は全くございません。その点だけは誤解のないようにしていただきたいと思います。
○広田幸一君 NO2の問題はその辺で終わりまして、私は、きのう、おとといから問題になっております、水俣病の問題について、あとの時間を質問をしていきたいと思います。 この間からずっと新聞等で言われておるところでは、チッソの、水俣病の被害患者に対して被害を補償するということで、環境庁それから自治省、そういったところがいろいろと検討されて、県債方式によって救済をするという方法が出ておるようでありますが、問題は、おとといでございますか、いわゆる環境庁の事務次官通知でもって、「水俣病の認定に係る業務の促進について」という通知が出ておるわけです。このことをめぐりまして、従来の経過からして、現在認定申請をしていらっしゃる被害者の皆さんにとっては、今回のこの通知が、昭和四十六年八月に出された同じような事務次官通知でありますか、それと内容がかなり変わってきておる。今回の場合は、いわゆる政府の方が県と一緒になって、自治体と一緒になってチッソの方に金を貸してやって、そして患者の補償をすると、そういうふうな一連からして、片一方においては、いままで保留になっておる患者の皆さんを切ってしまうと。一つの枠をかけてしまって、金という枠をかけて、そして患者を切ってしまうという、そういうふうに受け取れるというね、被害者の皆さん方が非常に心配しておるわけです。 この点については、すでにいままで長官なりあるいは担当の局長、部長等から、患者の代表の皆さんと相談があっておると思うのでありますけれども、この点について、環境庁としては従来のそれとは変わっていないと、患者切り捨てということではないと、こういうふうにおっしゃっておるようでありますけれども、もう少し問題もあるようでありますから、この点について長官の方から、あるいは担当の局長の方からよくわかるように答弁を願いたい。
○説明員(山本宜正君) 細かい点につきまして少々私から申し上げたいと思います。 昭和四十六年に事務次官通知というのを出したわけでございますが、その後、そのときに出されたものから、いわゆる疫学的な条件だけで認定すべきであるというようなこととか、あるいは水俣病でない人が認定されているのではないかというような、そういったような誤解が出ておるわけでございまして、そういったようなことがないように整理をいたしまして明らかにする必要がある、こう判断いたしまして、今回の事務次官通知を出したわけでございます。 四十六年の事務次官通知によりまして、水俣病の範囲につきましては、さらにその年の九月二十九日付の公害保健課長通知によりまして、当該の症状、いわゆる水俣病の症状の発現というものが、経口摂取した有機水銀の影響によるものであるということが否定し得ないとするかどうかにつきましては、いわゆる高度な学識と豊富な経験を基礎にして医学的な判断をもとにしてすべきものである、こういうぐあいにしているわけでございます。また、その後、昭和四十七年の三月十日の衆議院の公害対策並びに環境保全特別委員会におきまして、当時の大石長官が、いわゆる疑わしい範囲というものにつきまして、それは単に三%とか五%とか疑わしいというものではなしに、医学的に言って、定型的な症状が五〇%あるいは六〇%七〇%というようなものが、いわゆる疑わしいという医学的な用語でありますというふうな発言をしておられます。その後、政府委員等におきましても同様な趣旨の答弁をしているわけでございます。また、昨年の七月には、各県の認定審査会の委員の方々による検討の成果を踏まえまして、後天性水俣病の判断条件というものを取りまとめまして、四十六年の通知の趣旨の具体化、明確化というものを図ったわけでございますが、その場合にも判断の「参考とされたい。」と、こういうぐあいに書っておったわけでございます。 今回、そういったような通知以降の、以上述べましたようないろいろな形で明らかにしてきた水俣病の範囲に関しましての基本的な考え方を、いわゆる再度確認するという目的をもちまして整理統合したものでございます。したがいまして、今回、別にチッソの救済という問題が閣議の了解事項として成り立ったわけでございますが、それとは全く関係なしに、今日における認定業務の促進ということを県の事務当局といろいろ相談した中で、この次官通知を発出することが必要である、かように判断して出したものでございます。
○広田幸一君 部長、関係なしということと、従来国の方が出しておるいろいろな通知なり国会における答弁等を通して、何ら昔と変わってないんだということになれば、ことさらこういう通知を出す必要はないと思うんですね。出すからいろんな疑問を持ってくるのは私は当然だろうと思うんです。そういう意味で、私は、従来のものと変わらないというならば何も今回出す必要はありませんし、それから県債方式による救済と、融資と無関係であると言われても、それとひっかけて考えざるを得ない、客観的なそういうものが私はあると思うんですよ。 そこで、私は、内容について入ってみたいと思うんですけれども、四十六年の通知というのは、ここにありますが、時間がありませんので省略しますけれども、「認定申請人の現在に至るまでの生活史、その他当該疾病についての疫学的資料等から判断して当該地域に係る水質汚濁の影響によるものであることを否定し得ない場合においては、その者の水俣病は、当該影響によるものであると認め、すみやかに認定を行なうこと。」と、「否定し得ない場合」ということですからね、これは。ですから、少しでもこれは影響があるということは否定できないということでしょう。「否定し得ない」というのは、水俣病と関係があると、何ぼかあるということなんでしょう。ところが、今回の通知というのは、「医学的にみて水俣病である蓋然性」、「蓋然性」というのは可能性でございますか、いま何かおっしゃった六〇%、七〇%というのはその意味であろうかと思うんですけれどもね。これはどういうことですか、そこをちょっと後で説明していただきたいと思いますが、「水俣病である蓋然性が高いと判断される場合には、」云々と、こういうふうになっているわけですね。ですから、非常に可能性が高くなったわけです。いまおっしゃった、六〇%、七〇%の可能性がないと、一〇%、二〇%の疑いがあっても——疑いというか、そういう疑問があっても、結局その者は切られてしまうということになるわけでしょう。ですから、四十六年のときとこの今回の通達とはまるっきりというか、受け取る側としては、患者の側としては、被害者の側としては、本当に大変な問題なんですよ、これはね。そこに患者の皆さん方が、今回の通達は出してもらいたくない、これを出してもらったら大変なことになりますと、こうおっしゃっておるわけですね。 この点について、長官も恐らくこの交渉に当たってこられたと思うんですけれども、こういう質問はなかったんですか。
○国務大臣(山田久就君) いまの点ですね、私も、ちょうど御質問が出たように、この新しい次官通知を出すということですね、そうするといろいろな誤解やなんかを招くから、果たしてそれは出す必要があるかどうかということは、私自身が長官としてこれを出すことについての判断について、これまでの経緯その他事務当局に私がよくこの点を確かめていろんな点を質問したわけです。その結果、要するに、まあさっき委員からもお話しがありましたけれども、つまり、これまでの水俣病の次官通知について、疑わしきは認定するんだというようなことがあって、いろいろ問題が出て、国会で大石長官がその意味等について答弁をされたり、あるいはその以後の通牒でそういう明らかにしているような点を細々と通知にしておる。そこで、一遍誤解のないように、その点はこの機会にはっきりさせておくことが必要なんだと。しかしながら、いままでのことを変えるということじゃないと。それをはっきりさせておくということが第一に必要であるというんで、その点が私が突っ込んだ点の第一点。そこで、先ほどお話のあったような点ですね、よく事務当局から説明させましたので、それは後刻事務当局から答弁さしたいと思います。 それから第二の点は、いままで、大事な判断条件というようなものを部長通知という形でやっておったと。しかも、参考にしてなどということを書いているで、一体どこまで参考にするかどうか。実はなかなかちゃんとしたことが——認定するときにこれにのっとってやるということじゃないと、やっぱりこれは審査会でも何でも困る。そこでそれのはっきりした位置づけをしてもらいたいという要求があるということで、それはいままでにすでに言っていることなので、そのきちっとした位置づけをするということをする必要がある。これは次官通知でやる必要があるということで、それはそれでわかったと。 それから第三に、まあいままで、これまた次官通知あるいは課長の通知なんかで、処分に当たって、「留意すべき事項」ということで、いろんな通知が行われている。それで、この点もひとつ明確化しておく必要がある。ことに保留というような形で、いつまでたっても、うんとたまっているというような問題がある点について、やっぱりそういう点についてはっきりさせる必要があるんだと。それじゃ一体どういう点なんだということを説明させました。 そこで、この処分に当たって留意する目的で整理したという点は、これは認定処分を行うに当たっては、認定審査会の意見を無論聞く。それで、水俣病に含まれていると判断される場合にはもう速やかにこれ認定しろと。まあ速やかにやれなんということは書いてなかったが。審査会の意見を聞いたら速やかにやれということが一つ。 それから、その次には、いわゆる保留ということにされておる中で、結局いろんな資料が出ないというようなことで、そうかといってまあ不認定というわけにもいかぬしと、そういう問題が残っておる、それで温めている。そこで、これについては私自身がいろいろ突っ込んで、それならとにかく追加資料なんかというものを探すということについての努力をサボるという感じのようなことになっちゃ絶対いかぬ。それはひとつもう熱心にできるだけやる。それで、まあ私はよく傍証とこう言っておりますけれども、病気のいろんな点が——全部じゃないが、いろんな点で出ているけれども、客観的にその人の職業がたとえば漁夫であるというような点で、これは魚を多分うんと食ったろうという傍証がある。あるいは家族の中ですでに認定を受けた人が出ているというのは、それは本人に対することじゃないけど、その傍証が出ておる。あるいはその他の関係で非常に魚をうんと食べていたというようなことがあるんなら、ひとつそういう証拠はできるだけ集めるという努力において、これはサボるんじゃないかというふうに思われるようなことをやっちゃいけない。これははっきり今後のこの次官通知の後にも、現地の方には詳細なその点についての通達はやらなきゃいけないぞと。しかし、どうしてもわからぬというものを、つまり追加の資料も得られぬというのを、ただその理由で温めておくというようなことになるんじゃ、これはつまり法の救済の道というものをとざしたままで置いておくということになるんだからというんで、その場合にはやっぱりちゃんとそれについては処分するように……
○広田幸一君 はい、わかりました。
○国務大臣(山田久就君) ということを命じまして、それで、それではよろしいと。これでやる意味があるからということを申しました。 もし疑問の点は、部長に答えさしたいと思います。
○広田幸一君 時間がありませんので……。 いま長官がおっしゃった後段の問題は当然なことなんでございまして、しかも、そのことはすでに五十二年の六月二十八日の別添の一、二がついて、細かく出ておることなんですよ。いまさらそのようなことを事新しくやる必要はない。ただ、なぜ今回に限って、しかも蓋然性が六〇%、七〇%なければいけない。四十七年のときは、長官が国会の答弁では一〇%、五%とこう言っておったわけでしょう。五%、一〇%と言ったのが、いまは六〇%か七〇%の蓋然性がなければ認定ができないと、非常に変わってきておるわけですよ。そこですよ、長官。やはりその点が私は患者の皆さん方が一番心配していらっしゃるところだと思うんですよ。そのことが交渉の中ではっきりしておれば、私はそんなに患者の皆さん方がそう長官を責めるようなことはないと思うんですけれども、そこのところが一つです。 それからもう一つは、きのうこれを環境庁からもらってちょっと見たんですけれども、「処分にあたって留意すべき事項について」ということで、(2)の「認定申請後検診が未了のうち」、検診が済まないうちに、「死亡し剖検も実施されなかった事例等」、「等」があるわけですから、恐らく「等」というのはたくさんの保留の人だろうと私は思うんですけれども、いわゆる「所要の検診資料が得られないものについては、」云々と書いてあるわけですね。申請をしてから死んでしまったと、しかもそれは解剖の検査もしてないと。焼いてしまっておるわけでしょう。何もわからぬわけでしょうね。そういうものは、これからこれは資料を集めようったって集まりっこないわけでしょう。しかしこれから見ると、その死んだ人はもうこれは恐らく認定ということにならないだろうというふうな心配がここに出てくるわけですね。こういうふうにここに書いてある。「しかもなお、このように総合的な判断を行っても認定審査会の結論が得られない旨の意見が出され、」云々というふうになっておるわけですからね。だめだと、これは水俣病ではないという決定的なもの、それは判断がし得ないわけでしょう。そういうものも全部これ処分してしまうということになっておるわけですからね。ですから、そういうふうなことから見まして、私は、該当者の被害者と思われる人たちがこれについて疑問を持つというのは当然だろうと思うんです。 この点について、死人の問題、いま何人ぐらいそういう死人の人がいらっしゃるのかを含めてひとつ御解明願いたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) 一言だけ。 いまの点、先ほど指摘になられました、つまり否定し得ないということと、それからその蓋然性ということが、それで非常に違ってきたというお話がございました。それは、その大事な部分は、ひとつはっきりさしていただきたいと思います。 それから、後の部分ですね。私は実は当然のことを、どうしたって見つからぬというもの、これはやりようがないんで、したがって、それはむしろ当然のことだと。ただ、当然のことと言われるのが、やっぱりサボっていてそれで切り捨てるというようなふうに誤解をされるようなことのないようにということを言っていますので、その点については、さっき私が申し上げましたように、ひとつよく努力をする。しかし、当然のことは当然のこととして素直に受け取られるような、実態はよく説明せにゃいかぬということであれしましたので。あとひとつ部長から説明さしたいと思います。
○説明員(山本宜正君) 先ほどの前のお尋ねの点で、四十六年の次官通知の中で、その第一の(4)のところをお読みいただいたわけでございますけれども、これは当時の水俣病の認定要件というところは、恐縮でございますが、ひとつつぶさに読んでいただきたいと思います。これは、水俣病というものが、魚介類に蓄積された有機水銀を経口摂取することによって起こる疾患だと、後天性の水俣病につきましては、このような症状があるものであるというようなことが書いてございまして、その後に、その症状のうちのいずれかの症状がある場合において、その症状の発現がこの経口摂取した有機水銀の影響によることが否定できないときにはと、要するに、幾つかの症状がありまして、その症状の発現が、他の原因があっても、有機水銀の経口摂取による影響が認められる場合、あるいは影響が否定できない場合、こういったときに認定をしなさいということを書いてあるわけでございまして、この辺はひとつ正しく御理解をいただければありがたいと思っているわけでございます。 それから、「蓋然性」の問題でございますが、昨年の部長通知で出しました水俣病の判断条件でございますが、これは過去数年間にわたる審査会の先生方の経験を踏まえまして、幾つかの症状の組み合わせのあるものにつきましてこれを水俣病として考えなさいと、こう言っているわけでございますが、この組み合わせというのは、組み合わせがあること自体が蓋然性が高いと、こういうことになるわけでございまして、そのように前部長等が国会等で証言しておるわけでございます。また今回の通知の「記」の4の(2)のところでございまするが、現在死亡事例等におきまして、わからないというような答申がなされておりますものが、熊本県におきまして六十六例ございます。 それから、いま一点のお尋ねでございますが、「剖検も実施されなかった事例等」というぐあいな表現になっておりますけれども、これは例示された、いわゆる剖検等のいろんな資料の得られなかった事例と同様に判断されるような事例を言うわけでございまして、そう多くないものだと想像しておるわけでございまして、一応それに相当するようなものという意味で「等」をつけたということで御理解をいただきたいと思います。 以上でございます。
○広田幸一君 時間が若干超過しましたので、この辺で終わりたいと思うんですけれども、この死亡の場合を例をとってみましても、私は本当は熊本の現地に行って見ればよかったわけですけれども、そういう時間がなかったものですから、いろいろ現地にもあるようですが、申請をしてからなぜ検診を一回もやらなかったか、あるいは死んだ場合に解剖しなかったかというようなね。そこらの怠慢というものが私はやっぱりあると思うんですよ。それは国にしても県にしてもいろんな事情があるでしょう。あるでしょうけれども、患者、被害者の立場に立ってみると、何の罪もない人間が、会社から出たそういういわゆる害液によって、毒によって、魚がそれを食べ、そうして長い間の生活の中でこういう現象が起きておるわけですから、私はそういう責任というものをやっぱり国も県も考えなければならない。そういうことが今回の通知の中に考えられていないというところに私は問題があると思います。 そこで、最後に、私は環境庁長官にお尋ねするんですけれども、時間がありませんから、自治省の方、通産省の方お見えになっておりますけれどもまた次回に何するとしまして、環境庁長官に、最後に、今回県債方式によって、言われておるように問題があったとしても、チッソに金を貸してそれによって救済をするという方式は、私は全くいけないということを言っておるわけじゃないわけです。ただ、これからかなりのまだ申請者も出てくるし、いろんなのが出てくると思うんですね。私は、一たん国もこの問題について乗り出したということは、裁判によるところの不作為行為に対するそういうような責任も問われて、やっぱり国も重い腰を上げたんだと。今度は県と一体となって、そしてこの患者の人たちを救済をするという一歩を進み出したと、一歩前進をしたというふうに理解をしたいわけです。ですから、これから何か、閣僚会議でございますか、各省との話では、県債の期限を五十四年までというふうに切っておるやに何か私、新聞か何かで見たような気がするわけですけれども、そういう期限を切ることではなくて、とにかく一歩踏み出したと。踏み出したというのは、患者の皆さんをこれからもう徹底的に検査をして、とにかく救済をするというそういう考え方に立って、私は出発をされたとこういうふうに理解をしたわけです。ですから、これから何年かかろうとも、とにかくはっきりするまでは患者の皆さんを、単に処分をするということではなくて、やっぱり責任を持ってこれを救済をしていくという考え方で私は対処すべきである、そういう責任が今回改めて出てきたと、こういうふうに認識をしたいと思います。それが一つ。 それから、きょう患者の皆さんもお見えになっておるようでありますが、通達を出さないというふうに、話し合いがつくまでは通達を出さないというふうになっておったというふうに患者の方はおっしゃるようですけれども、そのことは、もう出たものですから、いろいろあると思いますけれど、問題は、いままでずっと何回となく環境庁も患者の代表とも話をしてきたわけですから、これから詰めて話し合いをしていくという、そういうやっぱりパターンというものを持ってもらいたいと、こういうふうに考えるわけです。 この二点について、長官のひとつ締めくくりとしての答弁を願いたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) いわゆる県債方式というものは、われわれは何もチッソの会社を救済しようということを考えているのじゃなくて、やっぱり法律のたてまえというものがあるときに、つまり支払いの道というものがとだえないようにということに立脚してこの問題に対処しているんだと、それがわれわれの決意であり基本的な方針だと、これでひとつ御理解いただきたいと、こう思います。 第二の点は、やっぱりいろんなものがあるけれども、ぜひわれわれは患者の立場に立って考えたいと思う。また、われわれのいろいろなことを考えていることで、たとえば誤解を受けたり何かしている点もある。これはやっぱりお互いの話し合いというものによって、長らくのいろいろな不幸な過去でございまするけれども、そういうことについて開けていくとこう思う。したがって、話し合いというものは私は基本的にそういう立場でいくべきものだ、こう考えているわけです。ただ、それについては、話し合いが話し合いとして行われるような環境、条件をお互いによく話し合って、そういうもとでぜひその話し合いを続けていきたい、これが私の基本方針だと御理解いただきたいと思います。
○広田幸一君 もう一つ。最後まで責任を持つという点について言ってもらいたいんですけれども。最後まで責任を持つという、そのことです。
○国務大臣(山田久就君) 救済の努力は、これはよって立ったものですから、その救済の努力はいたします。
○広田幸一君 終わります。
○委員長(田中寿美子君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。 午後零時八分休憩 —————・————— 午後一時九分開会
○委員長(田中寿美子君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を再開いたします。 午前に引き続き、公害及び環境保全対策樹立に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○坂倉藤吾君 きょう私にいただきました時間が三十分になります。したがって、中身の数値の問題、その他ただしたいことがたくさんあったわけでありますが、それは省略をせざるを得ないと思います。 そこで、まずお聞きをいたしたいことは、この委員会の性格の問題なんですが、新聞記事によりますと、これは五日の朝刊ですか、きのうの朝刊ですね。これによりますと、環境庁の方では、新しい基準を、十日に予定をされておる中央公害対策審議会大気部会、さらには十一日の日に閣議に報告をして告示をしたい考え方だということが報道をされておるわけであります。これは予定の行動でしょうか。まずお聞きをします。
○国務大臣(山田久就君) 答申がございましてからもうずいぶん長くたっております。したがいまして、まあできるだけ早い時期に——まだ時期は確定というわけじゃありませんけれども、いろんな予定を立てて、おおむねそういうようなところで決定に持ち込みたいというような考えで対処しております。
○坂倉藤吾君 そうすると、事実をお認めになったというふうに理解をしていいわけですね。 そこで、だとしますと、「報告」ということになっているわけであります。したがって、報告をすべき原案というのがもうでき上がっているというふうにわれわれとしては解釈するんですがね。これは、その原案なるものは、具体的にその骨子等についていま説明をいただけますか。まず長官。
○国務大臣(山田久就君) まだ結論に達しているというわけでもありません。しかしながら、無論この目指しておる考え方については説明いたさせたいと思います。
○坂倉藤吾君 まだ決定的なものではないけれども、考え方はもう確立をしていると、こういうことになるわけですね。 ところで、昨日衆議院、それから本日こうやって参議院で委員会が持たれておるわけですが、この委員会の中のいわゆる論議、あるいは傾向といいますか、意見、それらについては、この目指す考え方の基本にどうかかわるんでしょうか。この辺もひとつ長官からお答えをいただきたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) いろんな議論、これまでも非常に議論されておった点、これが大部分の点じゃないかと思いまするけれども、委員会についての点、いろんな指摘されている点。私といたしましては、この基準については、九条第三項のつまり「科学的判断」というものがあくまでその基礎である。したがって、そういう意味においては、その根幹は答申を基盤にいたしまして、そのほかのいろんな意見もむろん参考にするべきものはこれをしたいとは考えておりまするけれども、そういうことで結論に持っていくべきであるし、またいきたい、そういう考え方でやっております。
○坂倉藤吾君 私は、衆議院の公害対策並びに環境保全特別委員会の審議状況、あるいは出されてきた意見、あるいはこの参議院の当委員会の中で出されてくる意見、そうしたものを具体的に環境庁としてどう受けとめるのか。あるいはまた、長官自身が先ほど言われる目指す考え方がある程度決まっておるとするなら、その決まっておる考え方に対してどう影響させるのかということを実は聞いておるんですね。いまのお答えはその答弁に私はなってないと思うんです、正直申し上げて。この委員会で審議をしている私どもが、九条三項に求められておるようないわゆる科学的論議が——ここに沓脱先生お医者さんで見えますけれども、われわれには科学的知見が乏しいから、余り論議をしたって、それは側で騒いでいるだけの話だと、こういうふうな受けとめ方なんでしょうかね。あるいは、ここで論議をすることがきちっと受けとめられるような態勢なんでしょうかね。その辺について再度答弁を求めます。
○国務大臣(山田久就君) 先ほど申し上げましたように、われわれは、この答申というものを根幹にして物を考えていくと、そういう態度で臨みたいという方針であります。その後においてのいろいろな点、そういう意味での参考になし得べきものは、無論それは考慮に加える、これが私の方針でございます。
○坂倉藤吾君 あくまでも参考であって、国会の論議の場というのはその域を出ないわけですかね。私はこれはもうきわめて問題のある発言だと思いますが、この諮問の内容は、「第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、二酸化窒素の人の健康影響に関する判定条件等について」諮問されましたね。間違いありませんね。そうしますと、この「九条第三項の規定の趣旨にのっとり」ということによって、当然判定条件あるいは指針等が示されてくれば改定があるんだという前提だから、あえて改定をすることについての諮問をしなかったという、これは午前中の質問に対する皆さんの、特に局長の要点であるというふうに思いますが、間違いありませんか。
○説明員(橋本道夫君) 若干誤解をしていただいているところがございます。それはどういうところかと申しますと、九条三項によって聞くということは、もう即最初から基準改定を前提にしているわけではないということでございます。そういう意味で、九条三項の「科学的判断」をされて見てみるとこれは変えなければならないというときに、初めて改定が出てくるということでございまして、その点だけは、いま先生のおっしゃられたのとちょっと意味が違うということだけを申し上げます。
○坂倉藤吾君 そうしますと、「政府においては、この報告を参考とし、現在の二酸化窒素に係る環境基準について、公害対策基本法第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、適切な検討を加えられたい。」という答申ですね。当然この中に、諮問の冒頭にあります「第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、」というそのことを受けて、返されているわけですね。この経過が、事実こうなっておるわけですから、そのことからいきますと、判定条件は動かさない。それから指針値につきましても、これは出されてきている、それはなぶらない。後は、政治的にどういうふうに基準に置き直すか、基準をどこに採用するか、こういうことがまさにこれは政策としての決定の問題だと思う。したがって、政府で十分に検討をしろと、こういうことですわね。これは政治的な私は大変な判断の問題でありましてね。結局、だれがどういうふうに基準を求めるかということについて、政府がどうこたえるかというきわめて重要な課題である。 そこで、この衆議院におきます論議経過等をながめておりますと、これはまあ前からも言われておりますが、大体三つの取り方の問題がありますね、三つの問題。三つの問題というのは、許容すべきいわゆる限度の問題である。あるいはこれはもう最低のところであって、これはもうどにも動かせないぎりぎりの問題だとか、あるはずだと思います。そうしますと、それを決定をする決定権というのは、法律の立場はともかくとして、現実問題として、いまの日本の国の憲法に照らして、どういう形が一番望ましいのであり、憲法に合致をしておるんだろうか。こういうことを考えたときに、いま幾つか異論のある中で、これは山田長官、長官の権限でやれますかね。
○国務大臣(山田久就君) 私は、この法律に決められたとおりの、つまり、健康というものをもう絶対守っていくということが望ましいと、こういう立場に立って、それで基準は科学的な条件で見直せと、この趣旨にのっとって行動していくと、こういうことでございます。
○坂倉藤吾君 どうも私の質問の趣旨が明確でないようですが、再度聞きますがね、結局指針値、今度は幅を広げて——幅を広げてといいますか、幅を見て答申をされていますね。幅がある。その幅の中でどこをとるかということが、いわゆる政府で慎重に検討をしろという答申の中身になっているんですね。そうしますと、最低をとるのか真ん中をとるのか上限をとるのかという、具体的に三つのあり方にしても、とり方は三つ出てくる。もう少し細分化をすればもっとあるはずです。数字でいくんですからね。それほど幾つかのとり方の問題があるときに、一般的に、いわゆる甘受すべき限度であるのか、いわゆる許容すべき限度であるのか、望ましい限度であるのか、こういう三つの立て方の問題がいままで一般的に使われてきたと思う。どれを選択するのか、その選択をするところのものが、いま結論づけられようとしているわけです。 それについて、幾つかの各方面からの意見が存在をするわけですね。私たちは、これを従来の手続に従って再度中公審にかけるべきじゃないのかと、こう指摘をしている。皆さんは、それは政府が決めることだとこう言っている。食い違いになっているんです、現実問題として。これだけ声があれば、当然これは中公審にかける、あるいは再度こうした委員会の中で議論をするということが今日の政治の基本じゃないんでしょうか。その辺をお尋ねをしておりますが、長官いかがですか。
○国務大臣(山田久就君) われわれは健康というものはあくまで守るという立場に立っておるわけです。答申されたものはなるほど幅で答申されておりますけれども、そのいずれについても、つまり、高い確率で健康に対する好ましくない影響を与えるものじゃないという、この幅ということで答申されておって、あと、これについては地域的、時期的にどんなふうに対応していくか、あるいは運用方針はという、そういう問題を残すだけということで、第一この幅をそのまま受け入れるかどうかということもこれは一つの問題でありまするけれども、われわれとしては、これが健康に一番好ましいあれであるという限りは、われわれの方針としては、いまやっぱりそれを受け入れて考えるべきだという考え方に立っておるということですね、そのことだけは申し上げられると思います。
○坂倉藤吾君 答申の内容については皆さんも否定はしないわけでしょう。また、否定をするだけの新たな科学的な根拠というのは持たないわけでしょう。今日NO2に関するところのデータは、幾つかの方面からほとんど吸収をして、それに基づいていわゆる判定条件なり指針値というのが導き出された。そして、その答申を受けて、従来あった基準を今回改定をする腹構えを皆さんはおつくりになった。そうですね。そうしますと、私は少なくともそういう立場からいったときに、政府の決定をしようとしていることについて予測をしましてね、失礼だが。動きについて予測をしましてね。政府の考え方どおりでいくと危険ですよと、もう一遍問い直したらどうですかということを言っているわけですよ。これは手続の問題として。それに対してあなた方は拒否をする権限はあるんですか。もう一回も二回も確認をすべきじゃないんですか。 しかも、この答申を行われました形からいきますと、専門部会でしょう。専門委員会があって、そして大気部会があって、そして中公審があるんですね。しかも、承認をしてきたといういきさつからいきますと、もとになっているのは専門委員会なんでしょう。この専門委員会の答申がどこかでゆがめられておりますか。ゆがんでおったとすれば大変なんですよ。私はゆがんでいない、そのまま承認をされてきていると思う。そうしますと、この専門委員会の中で委員長を務められました鈴木さん自身が、参考人として、権威あるこの国会の場で、明確に言われておるじゃないですか。環境庁がもし基準の改定をするんだということが頭にあるとするなら、そのことが諮問されておったとするんなら、私は委員を受けなかったというのです。これ議事録の中にはっきりしているんじゃないですか。皆さんお聞きになっているはずでしょう、長官はいなかったけれども。
○説明員(橋本道夫君) これは、九条三項の趣旨といいますのは、それが出ましたら変えるか変えないかを含めて言うということでございまして、鈴木先生が受けないとおっしゃっておらるその文章——受けないという文章、私ちょっと覚えがないんですが、不本意であるということをおっしゃられておったのを覚えておりますけれども、受けないというストレートの文書になっておりますでしょうか。私は鈴木先生に、この一年間にわたっていつも、出ましたらこれによって虚心坦懐に判断をして、変えるか変えないか、新しい条件になるかどうかということは、絶えずこれは、総合部会があったときにもあるいはこの部会でも、専門委員会の前でも申し上げておったわけでございます。ですから、そこから先は行政の責任ですということで申し上げておったわけであります。
○坂倉藤吾君 問題は結局それほど、委員長をされておる方が、いまの環境庁のやろうとしていることについて、問題点を持つほど問題が大きいということなんですよね。その大きい問題を私は環境庁があえて押し切らなきゃならぬというところについて、これはどうしてもすっきりしないんです。何かあるんじゃないかと言ったって、何もありませんと、こうお答えが出てくるのはあたりまえの話ですがね。いや、実は何かあるんですよと言ったらこれ大変なことになる。あるんじゃないかとこう言われたって、ありますとはそれは答弁ができないでしょう。できないでしょうが、少なくともそこで問題になるのは、私は、そういうような重要なものほど、再度手続的にも、これは大丈夫か、これはどうなんだということを、なるほどそこまで手を込んでやったのかという、何回か時間も費やし機関もつくってやったのかという、みんなからながめてそこまでやったんならよかろうという納得のいく手続というものがとられていってあたりまえじゃないでしょうか。 しかも、今日の政治の基本というのは、これはいわゆる国民が最終的な決定権を持っておるはずであります。皆さんはその意向を受けて、行政として任された範囲で決定をしていくだけの権限じゃないんですか。環境庁が基準を改定しなきゃならぬということについて賛成の意見というのはいままでどれだけあるんですか。私はこの委員会で何回かこのことについての論議に加わってきましたが、賛成意見なんて聞いたことないですよ。新聞記事の中でどれだけ賛成意見が出ましたですか。それほど大変な今日の世論、これに対するところの問題があるのに、なおかつ方針どおりどうしてもやり抜くんだという根拠を私は明確に示してもらいたい。
○説明員(橋本道夫君) 専門委員会は、一年間四十九回にわたって非常に厳しい議論をされておられるということは、これはいかに慎重に、いかに厳しくやられたかということでございます……
○坂倉藤吾君 専門委員会じゃないんですよ。その後の問題です。
○説明員(橋本道夫君) ですから、その条件が、健康の保護ということについて、これはこの答申の中にもありますように、地域住民の健康の保護をこれで図ることができるということを言っているわけでございます。そこで、その条件が、前の〇・〇二といった条件と変わっていることは、これはもう明白でございます。どう見ても変わっております。明白でございまして、「必要な改定がなされなければならない。」という問題がありまして、そこで健康は守られると、しかもいい水準で物を言っておられるということになった場合に、それを触れない方がむしろ、基本法九条三項の必要な改定をしなきゃならないということから見ると、これは私は外れるものと——私じゃございません、これは法律そのものから見て、やはり必要な改定をしなければならぬというものだと思います。 そのときに、なぜ前の非常に不確かな条件のときにやった問題をいつまでもその決定に固執をするかというところが、そういうことのないように九条三項という条文があるわけでございます。そういうことで、それに従って忠実にやるということがこれ基本であるという考えでございます。そしてこの告示はもう五月の初めで切れております。やはりそれに対して対策をはっきり早く打ち出すということが、これがキーでございます。また、その後、この専門委員会の言われた御意見を覆すなんというような——いろんな批判はありましたが、覆すような問題も何も起こってないということでございまして、そういうことで、九条三項の趣旨に正確に沿って、三月の二十二日から大分たっております。本当は五月の何日ごろにちゃんと、前の告示を受けてすぐ改正すべきところでございますが、それがまあ現在までずれ込んでおるということでございまして、できるだけ早くこれを改正するということは行政府として当然の責任であると、こういうふうに思っております。
○坂倉藤吾君 私は、改定をしなきゃならぬ具体的な科学的根拠というのはよくわからぬのです。先般の四名の参考人の方々も異口同音に言われておることは、結局、四十六年の知見の乏しい段階であったけれども、これが望ましいという形で基準設定が行われたと、で、今回いろいろとデータを集められて何回となく論議をされてきた、その結果導き出されたものは、あの四十六年のデータの少ないときに掲げた目標が、やはりりっぱであったということが裏づけられたんじゃないのか。目標を掲げたことが、それが正しかったというふうに、むしろそれの裏づけが行われたというのが今回の答申になっておる、こういう趣旨合いのお話でしょう。私ここに議事録持っていますけれどもね。 そういう立場からいきまして、当時やはり健康を守るのにこれでよかったという、それはある程度はやみくもであったかわからぬし、冒険であったかもわからぬけれども、その後のいろいろのデータを集めてきた結果はやはりそれが正しかったというのなら、それをむしろ堅持をしていくという姿勢があってあたりまえじゃないのか。ただ今日までの技術水準その他で、それをもとにして達成をしていこうという道筋を踏んだけれども、道筋の進行度合いが予測をしておったよりも進められなかった。もう少し早く進めたかったけれども進められなかった。したがって、その意味で到達年度を修正をするということはあり得ても、基準が今回変えられるという筋にはならぬじゃないのか。これが大体、おおむねこの前の参考人の方々の意見も一緒であるし、私は人間の健康を守り生命を守っていくという立場からは、やはりそうでなければならぬ問題である。到達年度が仮に二年延び三年延びたにしても、私はそこに、目標を捨てるんじゃなくて、目標を堅持をしてそれに到達をする速度を速めていくという姿勢にならなければいかぬのじゃないか。私はその方が正しいだろうと思う。その辺の見解が大分違うようですが、いかがでしょうか。
○説明員(橋本道夫君) 科学的な判定条件やそれに基づく判断といいますのは、やはり、わからない段階に思い切ってやったことを、それを正当化するために後でやるためのものではなしに、もう本当に科学として見るという、新しくなったものはなった、変わったものは変わった、これはこうなった、この点は確かに少し狂った、この点が落ちたということを、全体として何のこだわりもなく見るということが科学者の私はキーだと思います。ですから、その不確かなときに決めたものを、これはどう言いますか、変えるのが非常にけしからぬという議論は、もしもそういう議論だけでやっておりますと、九条の三項の趣旨というのは、これはもう本当に死んでしまうということになるわけでございます。 それからもう一つは、そのような判断をしたときに、いまおっしゃったような解釈論になるとしますと、これからの環境基準を決めるのは、非常にこれはセーフティーをぎりぎりに見て、緩くなる方向に私は政府は入ると思います。その方向に追い込まれる論議をしていると思います。ですから、将来そういう帰結になるということを私どもは非常に恐れるわけでございます。ですから、わからないときには、十分安全性を見てどんとやると、それで、後で科学的に見て、これは新しくなった、これは落ちた、これはこうなったということを見ることが大事であって、参考人の先生がおっしゃったことは事実でございますが、私は科学者として、客観的に見て物を判断するのは正当であると、こういうふうに思っております。
○坂倉藤吾君 後段のものを私は否定をしているんじゃないんです。衆議院の論議の中で、山田長官、環境基準のないときに環境基準を中公審に諮った——これは四十六年の話ですよね——一度決まればその後に中核をなすものは判定条件で、これが科学的なもので、これを踏まえてやる方針だというふうに、これは六月の十三日の衆議院の論議で長官答えているんですよ。それからいきますと、今回のものは、環境基準はあるというのは、もちろんこれは中公審の先生方にしろ、それから専門委員会の先生方にしろ、みんな御承知のはずですよね。あえてそのことがあるかないか言わなくたってわかり切っている。で、そういう形の中で、その中核をなすものは判定条件で、これが科学的にって、これもそのとおり、こう知見を集められているわけですよね。あと問題は、それを踏まえてどう行政がやるかということなんです。その行政がやるに当たって、やろうとしていることがみんなからながめてそれはよろしかろうと、こういう立場なら文句はないんですね。いまやろうとしているのは、そういうことを皆さんも見ているかしらぬけれども、われわれも資料としてもらって見ているわけです。そして新聞社の皆さんも、一応参考資料というのは、そういう経過も踏まえて資料を見ながらみんな評価をせられている。大学の先生方の評論にしたって一緒なんですよ、これみんな。幾つかありますけれどもね。そうなりますと、皆さんの意見が、同じ資料に基づいて、同じ答申をながめて、そして出てくる判断の仕方というものについて、幾つか問題があって、環境庁のやろうとしていることは問題がありますよと、繰り返し言いますけれどもね。そういう形になっておるんだから、これは私は環境庁がここまできてなおかつ自分たちで決めるというんじゃなくて、再度意見を聞いてみたらどうかという話をしているわけです。その意思はないんですか。
○国務大臣(山田久就君) まあ先ほどから繰り返し申し上げて大変恐縮でございますけれども、法律は最新の科学的判断によってわれわれが見直さなきゃいけないという、その答申があるわけですね。それは個人としてはいろんな意見を皆さんお持ちだと思います。また違った立場で、これはもっとうんと緩めたらいいと言う方もいますし、いろんなところでいろんな意見が出ています。しかしながら、われわれとして、いまの答申のその科学的な問題について、なるほどこれは、という根本問題のようなものというものが、これはとにかく一年間一生懸命にやっていただいてきた。ここにわれわれが信頼を置く。それ以外の覆す根本的なものが出ているわけでないならば、われわれはやっぱりこれをよりどころにする以外に、一体法の命ずるところがどこにあるんだろうかというのがわれわれの立場だろうと、こう思うわけであります。したがって、それに忠実に従ってやろうということで、ひとつぜひ御理解いただきたいと思います。
○坂倉藤吾君 もうこれ時間がなくなりましたので、後、また引き継いでいただくなり何なりしなきゃいけませんが……。 もう一つ、これは局長に聞きますが、午前中の論議の中で、諸外国の話が例として出ているわけですよね。なるほど日本の基準は、諸外国と比べて基準設定の精神も違うし、同時に基準値も違う。これは当然の話です。考え方が違うんですから、基準に対するところのところが、それを同じようにこう比較をしまして、日本が厳し過ぎるからという趣旨説明になっているわけです。ところが、仮に諸外国の場合と同じ次元に立ってこう比較をしてみましても、たとえば諸外国の場合は、それを超えて違反をした場合の罰則規定というのは、日本とは話になりませんね。片方の罰則の問題を扱きにしまして、諸外国の基準が日本の基準と比較をしたときに緩やかだからという答弁は、私はないと思うんですよ、それは。少なくとも違反をした場合の罰則の問題その他があるはずであるし、それから、基本的に私は、諸外国が緩くて日本が厳しいから、それは厳し過ぎるんじゃないかという論拠というのは、私は日本では行うべきでない。少なくとも、先ほども論議が出ていましたように、四日市でも結局後追いの行政だったことは事実です。水俣もそうでしょう。カネミにしたってそうでしょう。日本における問題点は全部後追い行政だからこそ出てきたんですよ。少なくとも先行していくという姿勢があるとするなら、私は諸外国より厳しくて当然。これは日本の今日の憲法自体が、日本の平和憲法が、同じものが世界にありますか。その平和憲法こそ日本が誇るべきである。環境基準にしたって、人の命を守る、健康を守るという立場に立って、むしろ諸外国が日本を見習う体制をつくったっていいんじゃないんですか。私は諸外国に合わせる必要はないと思う。そのことだけ申し上げて私の質問を終わります。
○委員長(田中寿美子君) 答弁要りますか。
○坂倉藤吾君 要りません。
○矢田部理君 けさからの論議を聞いておりまして、どうも環境庁長官は問題の本質をつかんでいないのではないか。仮につかんでいるとすれば、大変なすりかえをやっているというふうに私は率直に言わざるを得ないわけであります。中公審が出した指針値そのものにも率直に言っていろんな批判や問題があります。仮にそれが科学的な今日的根拠であったとしても。だから環境基準は見直さなきゃならぬという論理は大変な飛躍があるというふうに思うわけです。 九条三項を先ほどから一つ覚えみたいに局長は繰り返しておりますけれども、あの指針値のとおりだとしても、環境基準を変える必要はないという意見がかなり多い。まして、安全係数を掛けるべきだという議論も相当あることも事実であります。あるいはまた常識だと言ってもいい。ということになれば、坂倉委員が先ほどから指摘をしておりますように、見直す必要はない。仮に見直しを検討する必要があるとしても、少なくとも中公審にもう一回その点を問い直してしかるべきだ、これがきわめて常識的なやり方じゃありませんか。あなたは大臣になられてからどうも後ずさりを続ける環境行政、そういう事務方の動きに引きずられて、それを抑える見識がない。水俣の問題もそうでした。アセスメントの問題もそうだったじゃありませんか。この際、この問題については改めて中公審に問い直す、その上で環境基準について環境庁として検討をするというぐらいの姿勢をとってしかるべきじゃありませんか。 長官の再度の見解を求めたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) 私は、この環境問題というようなものは、声を大きくしたり、感情でやったりするものじゃなくて、きわめて理性的にやるべきものだと、こう考えております。恐らく先生もその点は同感だろうと思います。いきなりすりかえだなどと言って一われわれだって一生懸命になってこの問題に対して打ち込んでやっておるんです。どうかそのようなお言葉は、少し私はお考えいただきたい、こう思っております。すりかえておるんじゃない。 第九条第三項ということをばかの一つ覚えとおっしゃいますけれども、われわれは、法律によって、最新の科学的判断というものに基づいて、そうして、これを見直さなければならないという、この法というものを冷静に考えて、一体最新の科学的判断というのは何だと。しかしながら、これはいろいろあります。少なくとも、中公審に諮問してそうして答申されたその判断条件と指針、これは常識的に見て、最新の科学的判断だと考えるのがおかしいということには、私はこれはならないと思う。われわれがそれをおかしいと考えたら、これは法を一方的にわれわれが解釈するというふうなことになりかねないことでございまして、意見としては私はいろんなものはあり得ると思います。しかしながら、最新の科学的判断というものなら、答申そのものがまさにそうである。それが出たら真剣にそれに基づいて考える。これは私はきわめて冷静な正しい態度だと確信いたしております。
○矢田部理君 まだわかっていないようですね。答申が出たのは指針値なんです。環境基準値じゃないんです。指針値を土台にしたとしても、環境基準を変えるべきか変えるべからざるかについては、まだいろんな議論の余地があるわけです。私は科学を否定しているわけじゃないんですよ。その議論があるんだから、つまり先ほどから出ておりますように、安全係数を掛けるべきじゃないかという議論もある。それからこの指針値は、従来の環境基準の具体的な根拠づけをした内容である。環境基準そのものを変えるべきでないという議論もある。私もその立場に立ちます。少なくともそういう議論がある以上、基準値について——環境基準についてですよ、改めて中公審に検討をいただいたって決しておかしくないじゃありませんか。もう環境基準の設定あるいは改定というのは環境庁の専権だから、中公審なんか要らない、そんなことは聞く必要がないという態度なんですか、長官。結論だけ伺います。
○国務大臣(山田久就君) 環境基準の、法が命じておる最もその基礎の根幹であるところの科学的な判定条件と指針、そのことについてわれわれは諮問してその答申を受けておる。これが環境基準の中の、いわばそのものと言っていいぐらいの重要な部分についてわれわれは受けているわけです。これについてはいろんな意見があります。中にいた人も言うかもしれない。しかしながら、りっぱに答申としてあらわれたもの、そのことは責任を持ってやられておる以上、このことに基づいてわれわれは考えるほかない。答申そのものに、高い確率で好ましからざる影響を人の健康に与えないということも書いてあるところであるから、われわれ素直にそれを受け入れて考えると。環境庁が勝手にいろいろなことを言うわけではちっともない。勝手にこの人ならいいといって、この答申以外の人を選定してわれわれの立場を守っていようとしておるわけじゃない。この点はよく御理解いただきたいと思います。
○矢田部理君 長官、それじゃ聞きますけれども——答えは簡単にしてくださいよ。専門委員会の報告の中で、安全係数を掛けるべきかどうかということを、具体的、根本的に議論したフレーズはありますか。——橋本さんに聞きませんから、きょうは。
○国務大臣(山田久就君) ひとつ専門家に当初答弁させます。
○矢田部理君 いや、橋本さん、あなたには聞かぬというんだ。長官の認識を聞いている。どの程度理解しているのか。
○国務大臣(山田久就君) 「指針の提案」として、「本専門委員会は、地域の人口集団に疾病やその前兆とみなされる影響が見い出されないだけでは十分ではないと考え、更にそれ以前の段階である健康な状態からの偏りについても留意した。」こういうふうに書いあるわけでございます。つまり……
○矢田部理君 いや、いいです。説明しなくていいよ。
○国務大臣(山田久就君) これで言う「集団」というのは、子供も病人もみんないるという点を考慮に入れての問題を指摘しているわけであります。
○矢田部理君 そこで伺いますが、それは橋本さんもさっき指摘した。それが安全係数についての論議だというふうに私は思わないけれども、強いてあなたはそうだと言うから、そう受けとめましょう。問題は、指針値には安全係数を掛けなくていいという議論を、この専門委員会の報告はオーソライズしていますか。長官どうですか。——いや、長官に聞いているんだ、あなたはいいよ。あなたの認識じゃないんだ。
○国務大臣(山田久就君) 長官は、専門家の意見具申というものに基づいてやっておるのですから、この点、やっぱり専門家に答えさせると言うなら素直に受け取っていただきたいと思います。
○矢田部理君 長官、あなたは断言をして諮問をしないと言っているんでしょう、もう。それならやっぱり根拠を明確にすべきだし、明確にする前提として、内容についてみずからやっぱり吟味すべきだと思うのですよ。われわれだってそれをやっている。
○国務大臣(山田久就君) したがって、それを私に言わせたいのなら私がいま言います。「以上の動物実験、人の志願者における研究、疫学的研究などの成果を総合的に判断し、本専門委員会は、地域の人口集団の健康を適切に保護することを考慮し、環境大気中の二酸化窒素濃度の指針として、次の値を参考とし得ると考えた。」そこで、「短期暴露については一時間暴露として〇・一−〇・二ppm 長期暴露については、種々の汚染物質を含む大気汚染の条件下において、二酸化窒素を大気汚染の指標として着目した場合、年平均値として〇・〇二−〇・〇三ppm」、このとおりでございます。
○矢田部理君 事務方に教えてもらったところを読み上げるだけではだめですよ。この指針値には安全率を掛けなくていいんだと、その文章を全部読み上げたって、どこにもオーソライズされていないじゃないですか。 伊東参考人に伺います。 大気部会では、この指針値を基礎に、環境基準を出すに当たっては安全率は掛けなくていいと、考えなくていいということを、専門委員会ないしは大気部会ではオーソライズしていますか。
○参考人(伊東彊自君) 鈴木委員長は、安全係数を掛けなくてよろしいというお考えをお示しになりました。
○矢田部理君 私どもが聞いておったのとは全然違いますね。それは、いつどこの場でやりました。——いや、伊東参考人に聞きます。——ちょっと、中公審と環境庁は独自の、別の団体なんだから、よけいなことをしないでください。
○参考人(伊東彊自君) 三月二十日の大気部会の議事録の中でございますけれども、鈴木委員長は、「WHOの場合は安全率を見ているが、私たちがここに出したのは安全率を考えなくともよい判定条件だからストレートに持ってきている。」と、こういうふうに言っておられます。
○矢田部理君 それは内容が違う。全然私の質問と違うじゃありませんか、あなたのは。指針値だから安全率は見ていないというだけの話で、あたりまえのことじゃないですか。環境基準について安全率を掛けなくてもいいということはどこにも書いてないでしょう。いいかげんなことを言ってはだめですよ。
○委員長(田中寿美子君) 伊東参考人、よろしいですか。——矢田部君、もう一度その御趣旨を……。
○参考人(伊東彊自君) 三月二十日の大気部会の議事録の中でございますけれども、鈴木委員長がこういうふうに申しております。「判定条件と指針とはあくまで自然科学的な概念である。判定条件として報告書の中で十四取り上げられており、それをそのまま御自由にというのでは余りに投げやりなので、これらを総合判断して、「人間の健康への好ましくない影響を高い確率で避けることのできる限界濃度」として提案したのが指針である。指針を受けて行政的判断等が加えられることによって環境基準がつくられていくのだろうと考える。」、こういうふうに言っておられます。
○矢田部理君 そのとおりで、安全率を掛けなくていいなどという話にはなっていないでしょう。あなたの話は間違いだ。そんな部会長じゃだめですよ。 二番目に部会長に、伊東参考人に伺います。 環境庁から諮問を受けたのが判定条件と指針値についてですね。
○参考人(伊東彊自君) はい。
○矢田部理君 それを越えて答申は、問題になっておりますように、末尾三行をつけ加えた。今後環境基準について検討すべしという趣旨だったと思いますが、専門委員会の委員長であった鈴木さんは、そんなことは事前に相談もされなかった。大気部会の段階になっていきなり、自分はかっかしてわからない条件の中で末尾三行がつけ加えられてしまった、こう言うのです。だれのイニシアでこんなものがついたのですか。
○参考人(伊東彊自君) 通常大気部会で行っております方法でございますけれども、各委員の十分な意見を出していただいた後で、事前にあらかじめ用意されておりました文書を配付いたしまして、それを読み上げまして各委員の意見を求めて、その意見の、修正等を得た上で答申等をまとめておるわけでございます。したがいまして、末尾三行につきましても、そういう趣旨のもとでまとめたものでございまして、特別にそのために環境基準が修正されなきゃいけないというふうな考えのもとにつけ加えたものではございませんです。
○矢田部理君 簡単でいいですからね。専門委員会では全然こんなことは議論にならなかった。当然のことです。大気部会でも論議はなかった。ところが、最後の段階で急遽この末尾三行が、鈴木専門委員長も知らぬ間につけ加えられてしまった。だれのイニシアですかと、だれということを聞いているんです。
○参考人(伊東彊自君) だれという特定の個人ではございませんで、皆さんの意見を十分に伺った上で決まったものでございます。 それから、鈴木委員長が御存じなかったということも、実は、私としましては、そういうふうには考えられない状態でございましたので、鈴木委員長も十分その点は御存じで末尾三行も加わったものと考えております。
○矢田部理君 考えておりますじゃだめなんだ、本人が知らなかったと言っているんだから。 しかし、だれか提案しなきゃこんなものは出てこないでしょう。専門委員会では全然議論にならなかった。またすべき性質のものでもない。鈴木さん自身も知らぬ間にくっついてしまった。提案者はだれですか。
○参考人(伊東彊自君) 実質的には、事務局に資料を用意してもらい、それを配付し、そして各委員の意見を十分聞いた上で決定したものでございます。
○矢田部理君 じゃ事務局ですか。環境庁が出したんですか。——いいですか。環境庁はあなた方に意見聞いているんでしょう。その聞いている側が、知らぬところで、聞かれている方じゃなくて聞く方が出してくっつけたという話じゃ、ちょっと問題、逆じゃありませんか。それで中公審はいいんですか。(「自作自演だよ」と呼ぶ者あり)環境庁の自作自演といまやじがありました。それでいいんですか、中公審は。こんな重大なこと。もう一回伊東参考人の答弁を求めます。——橋本さん、手挙げなくていいから、静かにしていてください。
○参考人(伊東彊自君) 従来からの方法を申し上げたわけでございまして、環境庁の自作自演というふうな考えでは毛頭ございませんで、各委員があらかじめ準備すべきことを、代行をして事務局が作成していると、こういうふうに考えております。
○矢田部理君 代行なら事前に議論があってしかるべきでしょう。ここに十五回大気部会会議録があります。そんな議論はどこにも出てきません。代行じゃないんです。議論をさせないような仕組み、態勢の中で、環境庁が勝手に末尾三行をくっつけた、そういう答申を出させたのが事の真相じゃありませんか。心ある関係者はみんな怒っていますよ。 大気部会長に次の質問をします。 NOxの環境基準の見直しをしようということで、どうも先ほどの長官らの話だともう腹を決めておるようです。中公審として、大気部会として、少なくとももう一回諮問をすべきだというような考えはありませんか。重大な環境基準の改定をやるとするなら一さっき安全係数の問題でもあなたはあやふやな答弁、間違った答弁をしている。安全係数を掛けるべしという議論も非常に多いんだから、またこれは常識なんだから、その点も含めてもう一回中公審に諮問をしてしかるべきだというふうにはお考え持ちませんか。
○参考人(伊東彊自君) 諮問をされますときに、環境基準の諮問ではございませんでしたので、現在の答申のままで差し支えないと思っております。そして後は、環境基準の方は、環境庁の行政の責任においてお出しになるという立場で私どもは理解しております。
○矢田部理君 従来どうですか。環境基準の設定なり改定については諮問があったんじゃありませんか。
○参考人(伊東彊自君) 非常に珍しい例といたしまして、自動車の五十三年規制の場合には、大気部会、総合部会、総会というのを経て決められたというケースがございますけれども、非常に珍しい例でございます。あとの場合には、ただいまのように行政の責任において行われるというふうな慣例になっております。
○矢田部理君 そこも少し違っているんじゃありませんか。四十八年の四月、「いおう酸化物に係る環境基準改定ならびに窒素酸化物および光化学オキシダントに係る環境基準の設定について」、諮問を受けていますね。自動車の話だけが珍しいんじゃないんじゃありませんか。
○参考人(伊東彊自君) 自動車の場合は、一例として申し上げたわけでございまして、総合部会、総会というふうなことを経たという非常に特殊な例として申し上げたわけでございまして、諮問に答えるという形で、硫黄酸化物については環境基準について答えているわけでございます。
○矢田部理君 ですから、自動車だけではなく、従来は硫黄酸化物等についても、あるいは窒素酸化物等、どの環境基準の設定についても諮問を受けておる。今度はやらないと言っているんですから。中公審だって、環境庁以上に国民から期待されているわけですよ。その期待されている中公審の責任ある人が、いや諮問しなくて結構ですという話になったんでは、中公審の本来の役割りは果たせないんじゃありませんか。とりわけ中公審の内部にもいろんな議論がある、安全係数の問題もその重要な一つです。という段階では、少なくとも中公審としては、そういう国民的な議論や問題が沸騰しているときには、われわれの意見も聞いてほしい、環境庁だけが独走しちゃならぬと言うぐらいの見識を示してしかるべきではないんでしょうか。再度答弁願います。
○参考人(伊東彊自君) 諮問に答えるという形で現在まで進んできておりまして、そして何回も従来から、事務当局の方からお話がありますように、環境基準は行政の責任でおやりになるということでございますので、それはわれわれは了承しているわけでございます。
○矢田部理君 いつ、どこで、そういう了承を中公審としてしたんでしょうか。
○参考人(伊東彊自君) 大気部会の席上で、諮問を受けるときにもそういう御説明がありましたし、それから答申が出されるときにも、答申を受けて環境庁がどういう態度をおとりになるかについての御説明のときにも、そういう説明がございました。
○矢田部理君 正式に了承したとするならば、今後やっぱり総合部会を開けとか中公審総会を開けとかという議論にはならぬのじゃないですか、内部で。
○参考人(伊東彊自君) ちょっと御質問の意味がわからないのでございますけれども。
○矢田部理君 環境基準の見直しをやるとするならば意見があると、だから総合部会をこれから開きなさい、あるいは中公審を開いて議論の場を与えろとかいうことにはならぬのじゃないですかと言うんです、了解しているんなら。中公審としては了解していないでしょう。
○参考人(伊東彊自君) 一部の委員の方からそういう御意見が出ていることは承知しておりますけれども、大気部会といたしましては、先ほど申し上げましたように、事務当局の御説明を了承しているというふうに理解しております。
○矢田部理君 中公審としてどうでしょう。
○参考人(伊東彊自君) 中公審といいましても、大気部会でただいま申し上げましたように理解しているわけでございます。
○矢田部理君 大気部会はわかった。中公審全体はどうかと、こういうんです。
○参考人(伊東彊自君) 中公審全体と言われましても、ちょっと私には、そこまで、各委員の御意見を伺っているわけでございませんけれども、会長は大気部会のやり方を了承しておいでになります。
○矢田部理君 そこの議論は、中公審として了解しているのならば、ほかの委員から異論が出るはずがないわけですが……。 次の質問にいきます。 「付言」というのを出されましたね、専門委員会の報告とあわせて。この付言の一部が、専門委員会のレベルではなくて、大気部会の段階で一部改定されましたね。その重要なポイントの一つは、専門委員会の付言案の中には、「提案された値は影響が出現する可能性を示す最低の濃度レベルであると判断される。」と記載されてあったのを、最終文書では、「提案された指針は、その濃度レベル以下では、高い確率で人の健康への好ましくない影響をさけることができると判断されるものである。」というふうに書き直されたようです。これはだれの提案で、だれが書き直したものでしょうか。
○参考人(伊東彊自君) 特定のだれということでございませんで、大気部会の委員の方々から御意見が出まして、その御意見を受けて、意味の明確でないものにつきまして後で部会長にまかせられまして書き直したものでございます。
○矢田部理君 部会長が書き直したことはわかりました。だれの注文で書き直したか。
○参考人(伊東彊自君) 各委員の御意見を踏まえた上で書き直しております。
○矢田部理君 各委員ったって、これ具体的に文章のある部分が直されているんだから、この文章は違うとか、わかりにくいとか、こう直すべきだとかという議論がなけりゃなされないでしょう。漫然とやるわけじゃないでしょう。だれが提案したんですか。——橋本さん、あなたに聞いているんじゃないから、本人に答えさしてくださいよ。
○参考人(伊東彊自君) 徳永委員が、「付言の五ページにある、「提案された値は影響が出現する可能性を示す最低の濃度レベルであると判断される。」と述べているが、私はこの報告書からはこのような表現にはならないと考える」と、その後もございますけれども、そういうふうな御意見が出まして、そういう御意見を踏まえて、後で書き直しているわけでございます。
○矢田部理君 そうしますと、従来の案段階でまとめた文章と書き直した文章は、単に言葉の意味がよくわからないのでわかるようにしたというだけではなくて、内容が違いますね。
○参考人(伊東彊自君) 私は、わかりやすく書き直したということだけであって、内容は違っているとは思っておりません。
○矢田部理君 前の答弁は違うでしょう。この資料では、案のような文章にはならぬということで徳永委員から注文がついたので、その意を受けて書き直しましたと言っている、あなたの答弁。文章がわかりづらいからわかりやすいように書き直したと言っているんじゃないでしょう、さっきの答弁は。
○参考人(伊東彊自君) 結局のところは、文章の内容がわかりにくいという表現であったので、それをわかりやすく表現したと、こういうわけでございます。
○矢田部理君 だめですよ。さっきの答弁と矛盾している。特に、文章を正確に読んでみれば、違うんですね。非常にこれは意味のある文章に書き直されている。 つまり、最初申し上げた当初の案は、指針値について、「影響が出現する可性能を示す最低の濃度レベルである」という評価をしているわけです。つまり、その指針値以上は顕在的に出現をする。しかし、指針値以下は、否定ではなくて、潜在的に進行している、こういうことを示した文章なんです。ところが、書き直された本文の文章は、指針値以上は悪影響がある。それ以下は影響がほとんどなしという否定の議論に書きかえられている。きわめて意図的な書きかえがこの段階でやられていると思われるんですが、いかがですか。
○参考人(伊東彊自君) 後で修正をいたします段階におきまして、鈴木委員長の御意見も伺ったわけですけれども、鈴木委員長が答申案に沿った線で書き直しをしたわけでございますので、特別に意味を取り違えて書き直したと、意図的に書き直したというふうなことはございません。
○矢田部理君 しかし、少なくともその後の橋本局長の動きを見ていると、この部分を最大限に活用していると思われる状況が幾つかあります。その点で、あなた方が不注意だったのか、ごまかされたのか。私が読んでも同じ意味にはとれないわけでありますから、単にやさしく書き直したという程度では説明にならぬのでありまして……。 橋本さんから入れ知恵がありますから、その次の質問に入ります。今度は橋本さんに。先ほどから手が挙がっているようですから。 各自治体で公害防止計画をずっとつくってきました。その公害防止計画は、少なくとも現行環境基準を何としても達成しようと、大変な努力を今日まで積み重ねてきたわけです。財界や企業からもいろんな圧力があったにもかかわらず、それをはねのけて、場合によっては上積みをしながら努力をしてきた経過がある。ところが、最近の環境庁の動きを見ていると、せっかくわれわれが企業と場合によってはけんかをしながらもこれだけ積み上げてきたのに、水のあわになってしまう。公害防止計画そのものの基本が狂ってしまうと、環境庁に対する物すごい不信が実は出てきているわけであります。たとえば、先般の新聞などでも報道されていました。千葉県のある課長は、今回の見直しで、これまでNOx規制をまじめにやったところほど迷惑している。こういう自治体の積み上げや努力に対してあなたはどう考えているんですか。
○説明員(橋本道夫君) いまのところが、これは改定問題について大気保全局長としましては一番苦しむところでございます。で、そういう問題があるから、九条三項で必要な改正をしなければならないと法で決めているけれども、これはいろんな混乱が起こるから改定をしないという立場をとるのか、それとももう決めてあるから九条三項に従って改定をやるのかということでございます。これは地方自治体が〇・〇二を決めたということは、環境庁が四十八年の告示で示したからそれをやったわけでございます。ですから、この四十八年五月の告示を示したことは、すべてこれは環境庁の責任でございます。専門委員会とかなんとか、そういうことでは全然ございません。基準として決めて告示したからには、これはもうすべて環境庁の責任でございます。そういうことで、いままで非常に努力していただいた方に私は非常に申しわけないと思います。裏切りと言われようが何と言われようが、これは非常に申しわけない気持ちがいっぱいでございます。その責任は私にあると思います。 しかしながら、九条三項で、定期的に科学的な判断を加えて云々というところ、これは環境基準の一つの根幹でございます。私は基本法の策定をやりました。ここらの条文自身も必死になってやったところであります。環境基準を科学的にはっきりしなければ決めさせないというのが当時のすべての支配的な空気でございました。そこで、はっきりしなくとも、とにかくあるだけのもので最善のことをやるという条件を打ち出すために、実は九条三項に相当する条文を厚生省原案としてやったわけでございます。それに対して、政府原案ではそれを落とされました。政府原案で落とされたのは、あたりまえであるという理由が一つ。もう一つは、こういう条項を置くと、割り切ってぱっと厳しい基準を決めたりする。そういうことになると非常に危ない、この二つの理由であります。落ちましたが、国会修正で、野党修正で入りました。そういう経緯がございます。 そういうことで、いずれに忠実であるかといいますと、基本法の九条と九条三項に忠実であるというのが基本ではないか、後は私どもの責任であると、こういうように思っております。
○矢田部理君 あなたも苦しい答弁を繰り返すことになるだろうと思うんですがね。地方自治体から裏切りとののしられようが何であろうが私はやりますと言う。あなたの説明では。それは九条三項なんでしょうか。どうも橋本さんの背中の方に何か影がつきまとっている。橋本さんは比較的環境行政では評価されてきた人だと思う。その橋本さんの変心は何だったんだろうか。このことがみんなにいまある意味では非常に厳しくあるいは疑惑も含めてやっぱりかぶさってきているということをひとつ考えていただきたい。私は率直に言って橋本さんでも財界の圧力に抗し切れなかったのかなという感を否めないのであります。 九条三項、朝からもう何十遍となく繰り返しておりますが、別にこれを改める義務を持っている条項ではありません。解釈論議をあなたとするつもりはありません。しかもそれだけではなくて、環境庁の大気保全局が出した資料、「窒素酸化物対策の費用効果について」という資料の中にありますけれども、東京や大阪の大都市を除いては、〇・〇二の達成が可能だという資料になっているんじゃありませんか。東京、大阪等の大都市については〇・〇三が限界だと。ここをどういうふうに手当てをしていくのか、このことを真剣に追求すればいい。自治体も非常に努力をしてきた。それから、環境庁の資料によっても〇・〇二の達成は可能だと、こう言っている、大都市を除いて。ここへ各都市が全部出ております。そこまできたものをなぜ崩さなきゃならぬのか。百万遍九条三項だとあなたが説明したって、だれもさようでございますかなどと納得する人はいませんよ。 そこで、もう一回中公審に目を向けてみたいと思うんです。 指針値そのものも、あそこで示された客観的データの集積から言えば、必ずしもああいう指針値にはならぬという議論が学者の中からも指摘をされております。同時に、あの指針値を出すについても、昨日の衆議院等でも問題になりましたが、いろいろ黒い影がつきまとっていたと思われるような状況が今日出てきておるわけであります。環境庁長官は、当初の当委員会の答弁で、結果は左右されておりません、みんな学者は純粋にやったんですと、こう言うんですが、どうでしょうか。鉄鋼連盟その他から多額の研究費をもらっている学者が、あなたの大気部会なり専門委員会なりに相当数の人たちが参加をしている。この事実について伊東参考人どういうふうに考えておられますか。
○参考人(伊東彊自君) 私は、学者の方々が学者の良心の上に立って行動をされておられると思っておりますので、専門委員会等でお決めになったことは、学者の良心に従って決められたものと考えております。
○矢田部理君 まあ部会長ですからそう思いたいのは私も理解できますが、まず鉄鋼連盟から研究費その他を多額にもらっているという事実についてはどう思いますか。結論が左右されたかされないかという議論についてはちょっとおいておくことにいたします。
○参考人(伊東彊自君) 私は、全般を知っているわけじゃございませんけれども、一部の方から伺ったところによりますと、直接企業から研究費を受けているのではなくて、ちゃんとした法人を通して、しかも公募された研究テーマを、ちゃんとこういう方法で研究をしますということを明記しまして応募しまして、そしてそれをレフェリーを通して選択されまして、そういう人に研究費が配付されていると聞いております。
○矢田部理君 ちゃんとした財団といったって、たとえばここに鉄鋼設備窒素酸化物防除技術開発基金という、これは鉄鋼各社が全部お金を出してつくった基金です。ここからお金が出ている。あるいは、たとえばここの正式の委員にもなっておられる柳沢三郎さんは、技術委員ということになっております。慶応大学の教授です。さらには和田さん、群馬大の教授であります。中公審で、大気部会等で検討しているさなか、ここにございます、「窒素酸化物の生体影響に関する疫学調査についての一考察」という本が出されました。これは非売品です。鉄鋼連盟が大量に買い上げて、鉄鋼連盟の袋入りで無償で各方面に配っている、こういう事実も指摘をされています。あるいは香川さんや外山教授等がトヨタ自工関係の財団から多額の研究費を受け取っているという事実もすでに指摘されたとおりです。 それは単に研究費をもらっているかどうかというだけではなく、その香川さんが、現行基準よりも四倍ぐらいに緩和すべきだという提案を専門委員会でしたときに、いま私が名前を挙げたような人がみんなそれに同調をしたという状況を考えてみれば、学者で、良心的に公正にやりましたという説明では、だれも納得しないんじゃないでしょうか。そういう環境基準を緩和する方向に猛烈なプッシュをしている鉄鋼連盟、石油連盟、電力協会あるいは自動車等々とかかわりのある学者、まともにこれは審議できないと私はは思っているんです。そういうかかわりを持つ人たちが学者という仮面でどんどん中公審なり専門委員会のメンバーになってきていることについて、伊東さんどう思いますか。
○参考人(伊東彊自君) ただいまの御指摘のことが直接答申にかかわりがあったとは私は考えておりませんが、全般的な問題といたしまして、企業から研究費が出て、それが学者に渡るという道筋でございますけれども、そういうところにつきましては、たとえばロックフェラー財団でありますとかあるいはフォード・ファンドでありますとか、ああいうふうな形で学者の方に研究費が流れていくというふうな体制が、日本でもしっかりと固められることを、むしろ望みたいと思っております。
○矢田部理君 これはまた大変な発言ですね。ロックフェラーの例を引きましたけれどもね、直接自分たちに関係のある重要な問題について、鉄鋼連盟その他は猛烈に、環境基準を緩和せいということで動いているわけでしょう。それはもう常識になっているわけです。橋本さんにだって直接、間接圧力がかかっている節があるわけです。そこからお金をもらって研究をする、そこに自分の書いた本を全部大量に買い上げてもらって各方面に配る。結果に影響があったかなかったかはここはおいておきましょう。これで中公審のメンバーいいんですか。それだけめんどうを見てもらっていれば、その企業や企業が構成している財団には逆らえない、余り批判的なことはできないというのが世の常だし、人情じゃありませんか。だからこそみんなきれいにしなきゃならぬというふうに言っているんじゃありませんか。そういう状況は歓迎すべきだなどというのは、これはきわめて許しがたい発言だと思うんですが、もう一度だけ。
○参考人(伊東彊自君) 歓迎すべきというふうに申し上げたわけでありませんで、何と言いますか、しっかりした立場で研究費が流れるようにありたいということを申し上げたわけでございます。
○矢田部理君 一般論じゃなくて、この香川さん以下の教授の人たちがそういうかかわりを持っていることについてどう思いますか。
○参考人(伊東彊自君) 私は、いま御指摘がありましたような方々の、たとえば鉄鋼連盟等で大量に印刷物を買い上げて配布したというふうなことにつきましては、心得ておりません。
○矢田部理君 いや、心得ておらないのはいいが、私が指摘したんですから、そういう事実があるとすれば、あなたとしてどう考えますか。
○参考人(伊東彊自君) 私は、専門委員会の委員の方々を選択いたしますときに、今日第一線で活動しておいでになる学者の方々が選ばれておりますので、これは十分尊重して、委員として活動していただけるというふうな判断でお願いしたわけでございます。したがいまして、専門委員会の委員としての活動には、いまのようなかかわりは影響なかったものと考えております。
○矢田部理君 影響があったかなかったかを聞いておるんじゃないと言っておるでしょう。そういうかかわりを持つこと自体が疑惑を持つし、疑惑を持つだけではなくて、この専門委員会における動きは、全部企業の線に沿って発言もし、動きもし、活動しているという事実を私は重視をしているんです。とんでもない話だと思う。 あと一問どうしても質問したいのでこの程度でやめますが、これだけ重大な疑惑、問題が提起をされた以上は、委員長にお願いがあります。香川東海大助教授、外山慶応大学教授、それから柳沢慶大教授、和田群大教授を、当委員会に参考人として喚問をしていただきたい。これら一連の問題について、直接問題点をただしていきたいと思いますので、委員長としてよろしくお取り計らいをお願いいたします。
○委員長(田中寿美子君) ただいまのことは、また後刻理事会で御相談したいと思います。
○矢田部理君 最後に、橋本さんに一、二点伺っておきたいと思うんですが、橋本局長が私どものところに説明に来られた際に、非常に今度の指針値の基礎になったデータで重視をしたのは、がんの発生が認められない、NOxの関係では。ということで、安心したというか、逆に勢いがついて、改定、見直しの方向に走るというふうにもとれる発言があったわけですが、なるほどこの専門委員会の報告には、その種のことが書いてございます。四の十というページなんですが、「動物に対する長期暴露に関するこれまでの実験では、腫瘍、がんの発生はみとめられていない。」、これは何年程度の実験でこういう結論が出たんでしょうか。
○説明員(橋本道夫君) いま私、ちょっと細かな、論文の時間を覚えておりませんから、また後でお答えいたします。これは専門委員会が価値あるものとして採用したものでございますので。年限はいまちょっと覚えておりません。
○矢田部理君 重要な部分なんですね。これは五年間しか実験していないんです。したがって、五年以上の長期暴露によってがんの発生等のおそれがないかどうかということは、まだまだ問題として残っているわけなんであります。 問題はそれだけではなく、もう一つ重要な指摘をこの報告書の中から指摘をしなければならないわけでありますが、その前提として、専門家であるあなたにお聞きをしておきたいのは、発がん物質と変異原との間には非常に強い相関関係がある、九〇%以上もあるということが今日明らかになっているようですが、あなたの見解はいかがですか。
○説明員(橋本道夫君) 私、余りそこまでの細かな専門家ではございませんが、発がん物質と変異原と催奇形性と、この三つが一番お互いに重視されているものであることは事実でございます。しかし、どういうもので発がん物質として注意をするかという問題を扱う場合に、WHOでもこれは国際がんセンターを設けておりまして、そこの資料すべて環境庁の方にも来ておりますが、NO2について、現在、発がん物質としてマークをして、あれを確かめなければならぬというところにはなっておりませんで、これは否定していることではございません。ニトロソアミンの問題としてやっております。そういうことで、まだ学問的な段階ということで、非常に研究としてどういうふうに扱うか、どういうぐあいな評価をするかというステージの問題で、この専門委員会の付言の中でも、完全否定をしているとは書いてございません。今後長く研究するということでございますが、いま国際的にNO2の議論をするときに、NO2は発がん性があるということでそれを基本に注意をするという考え方は、少なくとも私の知る限りにおいては、最新、昨年夏に出たアメリカの議論でもそういうものはないというぐあいに考えております。
○矢田部理君 基本的には私の質問をお認めになったと思うんですが、発がん物質と変異原との間には九〇%以上の非常に強い相関関係が存在をするということが一つ。それから、この報告書の三の十八というところに指摘をされておるわけでありますが、「二酸化窒素には細菌変異誘導能がある」という指摘がありました。その後に、「経気道的に吸入された二酸化窒素が、上記塩類経口摂取において示されたようにがん原性・変異原性物質の生成に関係する可能性は、将来検討されるべきである。」という記載が載っているわけであります。等々を考えてみますと、NOxががんに関係がないということは、まだ最終的には決着がついていない問題であるし、むしろいろいろな可能性や検討すべき問題点が残されているんだということが、この報告書自身にもあるわけでありますが、橋本さんが、私どもがヒヤリングをしたときに大変強調された、発がん物質ではない、発がんの危険性がないということを基礎にしたNOx見直し論は、私は率直に言って説得力がない。まだまだ問題が残っているということを指摘をしておきたいと思うわけであります。 最後になりますが、環境庁長官、時間がありませんので、一言だけ見解を求めたいと思うんでありますが、あなたが環境行政にあずかるようになってから、そうまだ多くの日にちを経ておりません。しかし、どうも山田さんのやってこられた環境行政、この点では従来よりも前進をしたと、この点はよくやったという感じのものが、率直に言って私は、寡聞にしてかどうか知りませんが、聞いていないんです。むしろ逆に、水俣病の患者があなたのところへ何回か会いに行ったら警察官を導入してけ散らした。今度は、蓋然性の低い人たちは、さっきも指摘がありましたように、切り捨てる。環境アセスメントについてもそうでしょう。建設省や通産省の圧力に押されて、裏には財界がいることはもちろんであります。次から次と後退をし、妥協をしていっても、なおかつアセスメント法案は出せない。本四架橋のごときは、もうNOx改定の見直しを待たずして、既成事実として〇・〇四でオーケーしてしまう。悪業ばかりが目立つのが最近の環境行政なんですね。せめて、ここでいろんな議論をもう少しやりたいことがあります。ありますが、橋本さんの変心もさることながら、ひとつ政治家山田として、NOx問題についてもう一回静かに——あなたの言う静かにです。科学的という言葉は最近は財界がよく使っているんです。科学的というオブラートで毒薬を飲ませる状況もあるから私は余り信用しないんであります。とりわけ科学の名のもとにおいて因果関係を切るということがずっと一貫して財界筋から行われてきた経過もありますから、私は余り信用したくないのであります。もう一回NOx問題について考えてみる必要はないでしょうか。とりわけ、やっぱり公害問題の原点というのは疑わしきは罰すなんですね。刑事裁判と違って、罰せずじゃないんです。それを疑わしきは罰せずの方向に持っていこうとするのが財界であり、それに引きずられているのが今日の環境行政だと私は思う。その点で、疑わしきは罰すという立場を明確にこの際打ち立てる必要がありはしまいか。それを端的にNOx問題にあらわす必要があるだろうというふうに思います。 特にもう一言だけつけ加えておきますならば、公害国会で産業との調和論を排除したはずです。ところが、さっきから見ておりますように、中公審のメンバー、これはむしろ環境庁に、伊東さんにお尋ねするよりも環境庁に本来は聞くべきことだったと思うのでありますが、財界の代表、自動車や石油連盟の代表がどんどん中公審のメンバーに並ぶ。ひもつき。札つきという表現は余り使いたくありませんけれども、それに非常にかかわりのある学者が中公審のメンバーとして並ぶ。これでは、裁判官のように公正であるべき中公審が、被疑者と裁判官が同居して議論をするような場になってしまっている。等々も含めて、環境行政を本格的に立て直す、その任務をあなたは帯びているんだろうというふうに私は思うんです。 演説が長くなっても何でありますから、最後に長官の見解を求めて私の質問を終わります。
○国務大臣(山田久就君) われわれが国民の健康を守る、また自然とそして人工的なよりよき環境というものを守り、つくり上げていくという基本的な立場、私はそのことに奉仕してやりたいという熱意と決意で環境問題については取っ組んでまいるつもりであるし、今後においてもそのようにしてまいる決意でございます。いろいろ不徳のいたすところ、誤解があるのははなはだ残念だと思います。 ただ私は、この環境問題というようなものは、私はやはり謙虚に、冷静に、科学的に考えなきゃならぬ。そういうものを基本にして、そしてわれわれの政策を実行していくべきである。いわば感情から理性の環境行政、このことを貫いて、少しでもその面についての、国民に対する奉仕者という立場を誤ることのないよう、一生懸命になってがんばっていくつもりでございます。いろいろ足らない点はございますけれども、どうかひとつ御叱正を賜って、御支援のほどをお願いいたしたいと思います。
○小平芳平君 引き続きまして、NOx規制についての問題についてお尋ねをいたします。 初めに、伊東先生に伺いたいのですが、先ほど来お話がずっとありましたので、先ほど来のお話は繰り返してお尋ねをしませんし、またお答えいただかなくて結構なんですが、五月十日の当委員会で、参考人の方から意見を伺ったわけです。これも先ほど来お話がありますように、この四人の参考人の方はどなたも、四人とも環境基準は変える必要がないと、こういう御意見を述べられている。この点も先ほどお話がありましたが、鈴木武夫委員長も、自分の個人的見解としては環境基準を変える必要はないと、こういうふうに御発言なさっていらっしゃるわけであります。それでは環境庁が行政の上の権限として環境基準を変えると、しかも今回の答申をもとにして変えるということを環境庁がもしやった場合に、鈴木先生はどう考えますかということに対しましても、鈴木先生としてはそれは私の意向に反すると、私の考えはこの答申をもとにして環境基準を変えろと、そういう考えはさらさらない。もし行政が、行政の権限だといって環境基準を変えるということであるならば、全く私の意思には反すると、こういうふうにお話しをなさっていらっしゃったわけであります。 そこで、参考人としてきょうおいでになった伊東先生としては、今回の答申をもとに環境基準を環境庁が変えるというふうな段取りをつけることについては、どのようにお考えになられますか。
○参考人(伊東彊自君) 私自身で環境基準の問題を、意見をまとめて考えたこともございませんですけれども、従来から環境庁からの説明等を伺っておりますと、あの答申を十分に尊重して、後は行政の責任でおやりになるということでございますので、行政の責任でおやりになることにつきましては、尊重してまいりたいと思っております。
○小平芳平君 といいますことは、環境基準を緩和するという、それが行政の責任でそうやりますということに対しては、そういう行政の措置を尊重するだけであって、別に先生の御意思に反するとかそういうことはないと、こういうわけですか。 〔委員長退席、理事矢田部理君着席〕
○参考人(伊東彊自君) 私は立場上、大気部会の各委員の方の御意見をまとめることが先行しておりますので、大気部会の席でいまのような問題の説明がございました場合には、各委員の説明を十分に伺いまして、そして、もし意見等を述べることが必要でございましたらばそういうふうにしたいと思っております。
○小平芳平君 いや、したがいまして、きょうはせっかくおいでいただいたわけですから、意見を述べる機会があるわけですから、述べていただきたいと申し上げているわけです。
○参考人(伊東彊自君) 私個人としましては、意見を整理しておりませんし、どうでなければならないというふうな考えをいまのところ持っておりません。
○小平芳平君 じゃ、次は環境庁に伺いますが、先ほど、今月の十日にどうこうということがありましたですね。こういう段取りでやる予定かということを質問されて、そのとおりだと答えたわけですが、どういう段取りで、内容はどういう内容で準備しているんですか。
○説明員(橋本道夫君) これはまだ最終的に決定したわけではございません。ただ、三月二十二日から、答申をいただきましてからかなり日もたったことでございますし、そういうことで、もうできるだけ早くという立場でございます。そういうことで、中央公害対策審議会の大気部会を十日に開くということでございますが、その間にいろいろな、国会で非常にいろいろな意見もございました。また自治体からの御意見もございました。あるいは患者さんたちからの御意見もございました。また、それに対して私どもがお答えしてきたこともございます。そういうものをやはり整理をいたしまして、そして、この答申を尊重するということで、われわれは、これがそのキーの科学的なところということでございますが、それをどのように基準改定という問題として整理をするかということを御説明申し上げたいということでございます。そういうことで、はっきりしたものが決まって、これを大気部会にかけるまでの資料は、まだそういう資料はできておりません。そういうことでございますので、いままでの検討に出された問題に対する環境庁の態度と答申尊重というのは、一体どういう考え方で臨むつもりでおるのかというところまでの御説明にとどまって、それに対する御意見を伺うことになると思います。
○小平芳平君 十日に大気部会が開かれると。その大気部会には諮問するんですか、あるいは説明をするんですか。
○説明員(橋本道夫君) 諮問をいたすわけではございません。考えを御説明いたしまして、意見をいろいろ伺うということでございます。
○小平芳平君 それもちょっと先ほどよくわからなかったんですが、環境基準は中公審の答申を得て決めるんですか。あるいは、一般的に環境基準というものは中公審とは無関係に行政が決めていたんですか。いかがですか。
○説明員(橋本道夫君) 環境基準を新しく決めるというときに、これはいままで基準そのものを審議会に諮問して決めてまいりました。それで、四十八年にSO2の扱い方をしたのは、私はあれは非常に変則であると思います。九条三項の意識をどうも——答申の中にも入っておりません。それで、非常に今回のとき議論をいたしまして、やはり本当にキーのところは九条三項によってやるということだろうということで、今回のような、一番九条三項の核心になるところを伺うということをしたわけです。 ですから、今度環境基準を決めるときには新たな諮問をいたす考えはございませんということをすでに大気部会でも、御質問がありまして、お答えをいたしまして、この点については了承を得ているところでございますので、新たな諮問を起こすという考え方は、一年前から言っておりますように、環境庁としてはございません。 〔理事矢田部理君退席、委員長着席〕
○小平芳平君 従来は、環境基準はすべて中公審に諮問し、答申を得て決めてきましたと。これからはそういう意味の諮問、答申は一切抜きでいくと、こういうわけですか。
○説明員(橋本道夫君) 九条三項について諮問することは、いままである基準についてやることは九条三項でございます。九条三項は今日のNO2のような形をとるということが原則であると庁内で合意をしております。全く新しい環境基準を設定する場合に、これは従来どおりのやり方でやっていこうという考え方に立っておるわけでございます。
○小平芳平君 それでは、先ほど来各委員からのお話があるように、これだけ問題化しているんだから中公審で審議すべきだと、あるいは地方自治体からの意見書にも中公審で審議すべきだという意見があります、御承知のように。あるにもかかわらず、環境庁としては、もうすでにできている環境基準については今回のようなやり方——判定条件ですか、九条三項によるやり方以外はやらないと。どういうことがあろうと中公審に諮問して審議するということはないと、こういうわけですか。
○説明員(橋本道夫君) 中公審に諮問するのは、九条三項の趣旨にのっとり、判定条件等について問うという諮問の形をとるのが、これは原則的な方向であるというぐあいに、庁内で議論いたしまして一致しております。
○小平芳平君 いや、庁内ではそうでしょうけれどね、庁内でそうして以来、こうした国会の審議を通じ、あるいは地方公共団体からの意見書を通じて問題提起されていることについて、どう判断しますかというんです。
○説明員(橋本道夫君) これはお言葉を返すようでございますが、一番核心の部分は、「科学的判断」というところでございまして、そして、それに基づいて行政が責任を持って九条三項の趣旨でやるということの方針には変わりはないということでございます。
○小平芳平君 私の意見は、そういうように九条三項でというふうなやり方には反対ですが、なぜかならば、これだけ関心が高まっているにもかかわらず、そうした、行政の権限だ、行政の権限だという一方的なやり方というのは、非常に環境行政の本来のあり方に反すると思いますがね、環境庁長官はいかがですか。
○国務大臣(山田久就君) 九条三項を引用して大変恐縮でございますけれども、九条三項に言っておりますその科学的な最新の判断、これは何だという問題でございます。それによって見直しをしなけりゃならぬと、こう書いてございます。その科学的判断というのは、それはいろんなものがございましょう、いまいろんな意見も出ていることも事実でございます。またそういうものをわれわれが別に無視しようということを考えているわけではございません。ただ九条三項に言われておる、つまり科学的な部分の判断ということになりまするというと、われわれはこれはやはり中公審に諮問して答えられた、その書き物として出ておる判断というものこそが、見直しをするかしないかということの、つまり基本的なものでなければならないし、われわれもそういうように了解いたしております。したがって、まあいろいろの見地で、もっと緩めろという意見もあるし、そのまま変えるなという意見も、いろいろあります。ただ、ここで言う科学的な判断とは何ぞやということになれば、これはいま言った答申というものを、法の命ずるところがまさにそれなんだという立場に立つ以外に、私はなかなか考えることはむずかしいんではないかと、こういう了解に立っているわけでございます。
○小平芳平君 この窒素酸化物の環境基準を緩めるべきであると、わが国の環境基準が厳し過ぎるという意見は、きのうきょう出てきた意見じゃありませんね、局長。で、国会で論議されたのもきのうきょう始まった論議じゃありませんですね。しかも、これは具体的には、五十年十二月九日の衆議院の委員会でのやりとりですが、当時の小沢環境庁長官が、厳しい方向で改定しますという趣旨の答弁をしているんですね。緩めるという方向の検討するなんということは言ってないわけです。逆のことを答弁しているんですね。どうなんでrか。
○説明員(橋本道夫君) これは、九条三項でやった場合に、厳しくなる場合もあり緩くなる場合もあるということでございまして、五十年の十二月といいますのは、ちょうど最もNOxについての圧力の強いときでございます。そういうときに、現在環境基準についての揺らぎを見せてはこれはもう今後の対策は進められないというキーのところでございまして、大臣として厳しい立場でこれをおっしゃったというぐあいに私は解しております。
○小平芳平君 それじゃ、五十年は厳しい立場で言って、五十三年は緩い立場で言っているんですか。要するに、先ほど矢田部理事からの質問、地方公共団体の公害防止計画の関連する質問についても、そんなに行政というのは、しかも環境基準というのが一つの目標として設定されているのに、わずか二年か三年前にはより厳しい方向に検討しますと言って答弁したかと思うと、それが何年もたたないうちに今度は緩める方向でやらなくちゃいけない、それが科学的ですというようなことを言われると、何をやっているかと、こう思いたくなるじゃありませんか。
○説明員(橋本道夫君) これは、科学的に点検し、というところにございまして、科学的な条件が出されればそれに従ってということでございます。ですから、緩くなるときもあり、厳しくなるときもあるということで、今回は前の条件より見ると緩くなっているということにたまたまぶつかったということでございます。小沢長官の御答弁のほかのところをまたお探しいただきますと、厳しくなる場合もあり緩くなる場合もあるというのもございますので、その点は御理解をお願いしたいと思います。
○小平芳平君 じゃ、まあ今回は緩めるけれども、また二、三年たてば厳しくなりますか。
○説明員(橋本道夫君) これは科学的な判断の問題でございまして、そうすると二、三年たったらまた厳しくなるようないいかげんなことをしておるのかという御批判が、御意見があるのかもしれませんが、これは、今回の基準の検討する基礎として与えられました資料というのは非常にすぐれたものであると思います。不確かさがあることは事実でございますが、現在まで私もいろいろな環境基準や判定条件の作業をいたしましたが、これほど充実した資料というのはございません。むずかしかったことも、これはこれほどむずかしかったものもございませんが、これほどやっぱりいろんなもの、内外の文献すべて集めて、あらゆる広い議論をしてみて決まったものというのはございません。そういう点で、現在言っている基準を、この幅を採用したとしても、二、三年たったらまたすぐ厳しくなるというようなものであろうとは毛頭考えておりません。これはすでに高い濃度に対する暴露を経験しておるからでございます。たばこなどはその典型的なものでございます。それから屋内で、台所で奥さん方がこうばっと会うのは、これは優に一ppmあるいは〇・数ppm暴露するわけでございます。それから労働衛生の方もございます。労働衛生の方の数字をより厳しくしなきゃならないという議論はないということで、高い濃度の暴露経験があるということから見てそういう考えを持っております。
○小平芳平君 そうしますと、橋本局長が局長をやっているうちに、これは、今度また厳しくするという問題は起きてこないかもしれませんね、テーマとしては。ところが、先ほどこれもお話が出ましたが、光化学スモッグの危険はどうですか。これはすでにもうこの二、三日来も被害が報告されているにもかかわらず、そういう光化学スモッグの被害がもう発生しつつあるという折も折、そういう行政措置をあえて追っかけてとろうというのはどういう姿勢なんですか、一体。
○説明員(橋本道夫君) 光化学スモッグ対策の問題は、現在進行中でございまして、まだその途中でございます。その中で、NOxの問題をとってみますと、東京都の中で一番高いところは〇・〇九とか〇・一〇とか、そこらのとろとがあるわけです。これは、〇・〇六までどんな高いところでも間違いなく下げるというのは、これはもうすごい事業でございます。それだけはもうはっきり申し上げておきます。非常にそれだけのことをしなけりゃならない。ですから、まだどんどん下げるわけでございます。それから、ハイドロカーボンとNOxと両方抑える、両方一生懸命抑えておりますが、まだハイドロカーボンの方の抑えが非常におくれておるということでございます。そういうことで、今回の問題で、緩くなって、こう変わったら光化学スモッグが急にまたひどく出てくると、一切さようなことはございません。
○小平芳平君 いや、ですから、先ほど来そういうふうに答弁をしておられるから、今回基準を変えたからといって急に汚染がひどくなるということは絶対あり得ないというふうに答弁しているわけでしょう、先ほど来。ならば、なぜ環境基準を変える必要があるんだと。一方で被害が発生している。これは十分に原因はわからないかもしれません。わからないようですが、十分に原因がわからないからといって、窒素酸化物の環境基準を、一方で被害が発生しているのを見ながら緩めようというのはどういうわけですか。緩めたからといって急に汚染が深まるんじゃなくて、まだまだ規制は厳しくなるんだと言っているのにもかかわらず、変えようという全くそれが納得できないわけです。
○説明員(橋本道夫君) 第一は、現在言っている〇・〇二ppmの基準というものにつきまして、科学的に点検してみると、前とは違う指針、判断条件が出てきて、これはどうしてもやはり変わるという問題が起こるというぐあいにわれわれ解しております。そういうことで、九条三項で必要な改定を加えなきゃならないということが一点でございます。 それから第二点は、現在の〇・〇二ppmという数字が、これは健康はこの辺で保てると、〇・〇二はこの辺であるという議論になります。ですから、健康は十分大丈夫ですよと、そのほかにさらにここまでいくということが、一体どういういろんな問題があるのかということが一つございます。これは〇・〇二までねらうとしますと、東京、大阪の交通を半減して、そうして中小企業は約三分の一ぐらいストップということになってくることでございます。そういうのはこれは不可能でございます。ですから、不可能だからというよりも、むしろそのような問題まで考え、そのようなことでもやるんだという長期目標をするのかどうかと、それは一つの行政の見識でございます。 それからもう一点は、〇・〇二は一体いかに使われておるかということでいきますと、すべて、〇・〇二の何倍高い、〇・〇二を超えたから道路をつくってはいけない、〇・〇二を超えたからこれはもう補償をもらわなければいけない、〇・〇二を超えたから差しとめ請求をする、すべてそこに使われるわけです。これ、裁判は自由でございます。裁判していることをわれわれとやかく言っているわけではございません。しかし、ほかの基準を使われているときに、その基準の妥当性という考えからいきますと、〇・〇二というのは、これだけ科学的な知見が寄ってきますと、私どもは、あああそこでまた使われていると、行政で基準を決めたときに、社会的などのような帰結を生むのかということは、これは行政としてやはり考えることの要素の一つでございます。そういうことで、健康はここで守れると、それから、その下のここへいくと、そうするとストップで済むものかということで、これは率直に申し上げまして〇・〇二ということでアセスをして、どこにも道路ができないということに結びつくものであるということも、これは残念ながら申し上げなきゃならぬと思います。
○小平芳平君 山田長官、先ほど来の説明は、もう何回繰り返していただいても、科学的、科学的と言われて説明されますけれども、何とも納得しかねるのは、山田長官、あなたも東京の事情には詳しいわけですし、実際光化学スモッグによって被害を受けたといって、せき込む、目が痛い、私ももうよく見るんです、そういう子供さんの姿を。そういう場合をはたで見ながら、しかもわざわざここで環境基準の手直しをしなくちゃならないということは、余りにも国民生活あるいはそうした被害者を無視したやり方だと思いませんか。
○国務大臣(山田久就君) もう繰り返して申し上げているように、われわれは、国民の健康はあくまで守るという立場に立ってやるんだということは繰り返し申し上げているとおりでございます。しこうして、いま新しい科学、それの結果が出たらそれで見直さなきゃいかぬと、こういう立場にわれわれはあるわけですね。いまわれわれとしては、それが出たときに、科学的判断、つまりその科学的な判断というのは何だと、こういろいろあるかもしれないけれども、われわれとしては、答申というものが出た以上は、やっぱりそれによって−勝手に私がやろうとしてるんじゃない、その判断が出たらその判断に従ってやるというのは法の命ずるところで、それをわれわれは当然やらなきやならないことだと。しかも、その答申の中で言っておる判定条件と指針によれば、とにかく健康を守れるというその幅というものは、これなら大丈夫だということになっているわけですね。したがって、先ほど言ったように、そこにいくためにはまだ規制なり何なり大変な努力が要るんです。命じたとおりにやったその基準、また、それ以上の基準ということになれば、先ほど局長が指摘いたしましたように、いろいろな誤解やあるいは生活上の混乱というものを起こすおそれがある。それは一つの望ましい基準であるけれども、目標である限りは、それに対する対応策、こういうようなものを伴わなきゃならぬということになってみると、いろんな問題が起こるから、少なくとも大丈夫だという基準が出たら、そこを土台にしてそれで法の命ずるところに立って見直すのは当然われわれの義務だということは、ひとつよくおわかりいただきたいと思います。
○小平芳平君 いや、山田長官、簡単に申しましてね、時が悪いと思いませんか。この暑い、しかも被害が発生しているのを見ながら。
○国務大臣(山田久就君) まあそれは、平たい意味で時が悪いというような考え方ですね、あるいはそんな面がないともそれは言えません。ただ、しかしながら、光化学スモッグというものの起こり得るもの、これは大体きれいなところで光化学スモッグが起こっていっているような状況でございまするけれども、科学的なバランスとかコンビネーションというのはわからない。したがって、HCなんかについては、大いにこのことについては別途やらなきゃいかぬと、こういう立場はちっとも変わっておらないので、その点はどうか御理解いただきたいと、こう思います。
○小平芳平君 科学的、科学的って先ほど来言うんですがね。じゃ、局長に伺いますが、わが国の環境基準は国際的に高過ぎるんですか。高過ぎる、厳し過ぎると。先ほどの説明で、法的拘束力がアメリカにはあるとか、あるいは西ドイツでは損害賠償請求のそういう説明がありましたからそれは繰り返していただかなくて結構ですが、いろんな宣伝のビラを見ますと、ことごとくと言っていいほど、各国の環境基準に対してわが国の環境基準は国際的にも類を見ない厳しい水準であるようにうたわれております。おりますが、これは、私も素人ですが、たとえばアメリカと日本を比べた場合、法的拘束力云々のそれも一方にはあるが、また一方には、分析の方法が根本的に違うんだと。あるいはデータの処理方法にも違いがあるんだと。そういう違いを考慮に入れた場合に、そんなに大きく開いているんじゃないんだと、こういう意見はどうですか。
○説明員(橋本道夫君) 簡単に申し上げますと、アメリカが七三年まで言っておりましたヤコブス・ホッカイザ一法といいますか、その方法が非常に高く出るという問題がございまして、それ以降測定法を変えました。現在、今度われわれがザルツマンの新しい研究で、こう変わってまいります。今度のザルツマンで出てきます数字とアメリカがいまやっている数、字は全くそのままで比べられます。全くそのままの数字で比べられます。ですから、アメリカが年平均〇・〇五といって、日本が今度たとえば年平均〇・〇二あるいは〇・〇三といたします。年平均で言えば、五と三あるいは五と二という割合であります。日平均で言えば、アメリカが〇・〇五というのを、日平均の、日本式に九八%値で〇・〇五はどこにいくかといいますと、〇・一〇になります。〇・一〇に対して、いまの環境基準は〇・〇二でございます。そういう状態でございます。そういうぐあいに比べられるということでございまして、真ん中のいろいろ細かいことはございますが、それはもう省かせていただきます。はっきり比べられる条件であるということを、これは今度ザルツマンが変わったときにはっきり比べられるということを、ひとつ御理解いただければありがたいと思います。
○小平芳平君 いや、そういう分析方法とデータ処理についてはどうですか。
○説明員(橋本道夫君) データ処理は、年平均というのはデータ処理、全く差はございません。先生のおっしゃっておるのは恐らくピーク値の議論をおっしゃっておられるのではないかと思います。ピーク値で、一時間値のピークを九九・九%ですか、八%ですか、ということになってきます。そうすると、向こうはいま〇・二五とか〇・五とか、こう言っております。そういう議論をしております。で、日本の今度の専門委員会は、〇・一と〇・二というのを一時間値で言っております。この日本の委員会は、これはパーセンタイル言っておりません。そういうことでいきますと、今度の年平均〇・〇二と〇・〇三というところを満足さす条件を持ってまいりますと、九九・九%ぐらいの確かさで日本は達成できるということでございまして、そういうことで、向こうが一時間値を言う議論と日本の一時間値とはそのままで比べられる。向こうは〇・五にすれば日本ののは〇・一から〇・二までと。ですから、五と一か二と比較になります。〇・二五にすれば、〇・二五と〇・一あるいは〇・二になります。ただ、日本は年平均が入っておりますから、年平均からやっていきますと、たとえばこの一時間値の〇・二を九九・八%ぐらい満足させようとしますと、日平均の九八%値が大体〇・〇八になりますが、〇・〇六ということで持っていきますと、もう少しもっと厳しい条件になってくる。厳しいといいますのは、はるかにそういうことが出る可能性が減ってくる条件になる、こういう条件であります。
○小平芳平君 ちょっと、時間がもうありませんのでね、もっと詳しい説明を求めるわけにまいりませんけれども、要するに、結論としまして、それぞれやり方が違う。やり方が違うって局長は言ってくださいよ。ただ外国に比べればわが国は厳しいんだ。しかしそれは厳しいことは厳しいにしても、やり方も違うんだって言わなくちゃいけないじゃないですか、どうですか。
○説明員(橋本道夫君) これ、やり方が違います。そういうことで、向こうは法的構成が——やり方でも法律上やるやり方でございます。法律上のやり方は、向こうは拘束がかかっておる。日本のは拘束がかかっていない。しかし、日本のは、実態的運用としては、規制と同様の運用を行われている部分が中にはあるということでございまして、たとえば東苫小牧の火力発電所がなぜ脱硝を入れたか、これは日平均値〇・〇二を満足させるということの条件で入っておるわけでございます。ですから、これが法律的に言っているものと実際の運用とは少し違っているのではないか。非常に厳しいという議論があることは事実でございまして、これはアメリカの専門家が日本に来ましていろいろ聞いていると、これすごく厳しいということを言っていることは事実でございます。
○小平芳平君 それから、局長、また専門家に伺いますが、二酸化硫黄と二酸化窒素とは環境基準はどういうふうな違いがあるべきなんですか。
○説明員(橋本道夫君) 前の環境基準を設定したとき以来、今度の指針値の出るときまで、NO2の方がどうもSO2よりも悪いんじゃないかという考えを持っておりました。といいますのは、四十七年六月の答申の中で、肺胞上皮の異常増殖という器質変化がございます。あの器質変化は、七二年のWHOのレポートでも指摘をしております。これは日本とアメリカで両方同時に実験的に出たものですから注目したわけでございます。それはSO2ではございません。それを非常に、これはがんかどうかわからないがと、反応性かもわからないがということで非常に重視したことは、この点は間違いございません。その点だけを見ますと、確かにNO2の方が厳しいということでございます。 それから、全体の汚染の影響で言いますと、NO2の方がいろいろ免疫反応とかそういうところへ影響及ばします。ただ、及ぼす範囲が、レベルが非常に高うございまして、大体年平均〇・一あるいは年平均〇・〇八ぐらいになりますと免疫が落ちて急性呼吸器系疾患が上がる、日本にそんな状態ございません。これは動物実験でもわりあいきれいに証明されております。そういうことで、複雑であるということは事実でございますが、どうもその慢性気管支炎という尺度で見ていると、われわれが思ったほどの問題には、どうも漫慢性気管支炎のことで整理をしていくと、どうもなってこないというところがあることも、これまた事実でございます。私は小平先生の公害健康被害補償法の御質問のときに、NO2はもっと悪かろうと思って実は答弁をいたしておりました。またそれに取ん組んでまいりました。ところが、どうもなかなかポジティブデータが出ないということでございまして、SO2の場合には死亡率が上がったというデータもございました。汚染が上がれば死亡率が上がった。SO2の場合には、汚染が上がれば病状が悪化したというデータもはっきりございました。また、病人がふえたというデータもございました。機能低下をはっきり証明したデータもございました。ところが、NO2には、実は一般大気の状況でそれがございません。この機能低下のもう一つ手前の、健康からの偏りの境目ぐらいだなという数字があらわれるのが年平均〇・〇四というところでございます。そういうことで見ますと、どうもSO2よりも少しそちらの面で見ればおとなしいのかなというような感じを持って見ております。
○小平芳平君 そうしますと、局長、NO2の方が被害が軽いということですか。したがって環境基準は緩くてもいいということですか。
○説明員(橋本道夫君) 少なくとも、いままでの疫学データや、そういうデータで見ると、そういうポジティブデータが出てこないということは事実でございます。しかし、複雑な性質を持っていることは間違いございません。これは免疫とかそういう方向に、酵素とか、そういう議論がございます。ですから複雑なパターンであるが、実はそういうところの濃度は、高いところの濃度あるいは完全生化学的なところは、これはまだ何とも解釈も何もつかないというところでございまして、いま基準で議論しております慢性気管支炎の有症率云々のところでは、どうもわれわれが思ったほどではないようなサインが多いことは事実でございます。ですから、簡単により無害だなどと申している意味ではございません。
○小平芳平君 鈴木武夫先生の講演もあるわけですが、この講演でも、二酸化窒素の環境基準は二酸化硫黄より低濃度でなければならないことを示しているといういろいろな条件を挙げまして述べているんですが、またいままではそういうことを、局長もおっしゃるように答弁してこられたわけですが、大分それは変わろうというわけですね。変わろうということが、しかも内容的にはっきりしないときに、科学的にわかった、科学的にわかったって、もう朝から言っているということがちょっと腑に落ちないじゃないですか。NO2は、かつてはSO2よりも被害がひどいと思っていたと言っていたわけでしょう。どうも近ごろの報告では、そうでないかもしれない、ですか、そうでないとはっきり一じゃあNO2の方はずっと緩めちゃっていいかというと、そうでもなさそうなんでしょう。その辺が必ずしもはっきりしないということをいま答弁していらっしゃると思うのですが、それで環境基準を一足飛びに決めちゃうのが科学的だというのはどういうつながりがあるのですか。
○説明員(橋本道夫君) 一つは、複合汚染という問題でございます。問題にしているのは、非特異的な呼吸器に対する影響ということでございまして、これは東京都の五年間の学童の調査にもございますが、これは全部有症率下がってきております。それから、公害健康被害補償法の指定地域の新認定患者数の累積は上がっておりますけれども、新発生の動向は、こう波を打ちながら下がってきております。あれがもしもすべて有症率が上がっているということならば、私はこういうことは絶対申しておりません。そういうことでございまして、ばいじん、SOxが下がって、いまの水準のNO2ではそこまでどうもこないのではないかということを申しているわけであります。 もう一つの一番の違いは、これは先生方からすぐおしかりを受けますが、やはりたばことか、あるいは台所での暴露されている状態とか、あるいは室内での状態ということと比較をしてみて、どうもそこまでにこないというのは事実でございます。公害でこれぐらいの議論が出るのに、なぜ労働衛生の学問の分野で本当にがっちりした議論や新しいデータが出てこないのか。これ以上の突破をするには、私は産業衛生の分野でしっかりした研究が出なければうそであるということに思っております。
○小平芳平君 どうも素人なものだから、局長がばばっと説明なさるのですが、しかも科学科学とおっしゃるのですが、どういう科学かそれがよくわからなくなっちゃうわけですね。要するに、じゃ、結論だけはっきり言えば、NO2とSO2の環境基準はどちらが厳しくなければいけないか、あるいは同じでいいか、それはどっちですか。
○説明員(橋本道夫君) いままでのいろいろの相関、コリレーションからいきますと、SO2とばいじんの方がどうも厳しく効いてくるということは事実のようでございます。ただ、SO2とばいじんが下がってきますと、緩くなってNO2にシフトしてきているということでございます。ですから、必要な程度にNO2を抑えていけばいいという考え方でございます。どちらがといって比較考量で議論するのは、なかなかこれはむずかしい議論だろうと思っております。はっきり言い切るのはむずかしいと思います。そういう意味で、複合汚染対策としてやることがキーで、NO2のきりもみ議論をすることはきわめて合理性を欠くのではないかというぐあいに考えております。
○小平芳平君 きりもんでNO2を議論すべきでないと言いながら、きりもんで環境基準を決めようというのはどういうわけですか。長官どうですか。
○国務大臣(山田久就君) 何遍でも申し上げて本当に恐縮でございますけれども、まあ科学的な最善の知見が出たと、こういうことになれば、われわれとしてはそれに忠実に従って考えるべき立場にある、こういうことでございます。
○小平芳平君 科学的に忠実で——同じことばかり繰り返すのも大変でしょうけれども、実際国民の健康が問題なんだということは、これはもう長官もそうおっしゃっているし、局長も初めからそうおっしゃっているわけですが、じゃ、本当に健康がどうなのかということはよくわからないというようなこともおっしゃるし、しかしとにかく、いまここで急いで結論出して、七月十日、十一日というような設定された日程に従って環境基準を変えようということにはきわめて疑問があるというふうにしか言いようがないと私は思います。 次に、時間の関係がありますので、ちょっと水俣病のことで伺っておきたいのは、午前中の広田委員に対する御答弁で、環境庁長官は、資料を広く集め、総合的な判断を行い、そして処分を決めなくちゃいけないんだ、こういうふうに答弁をしておられたんです。この処分を決めなくちゃいけないんだということは、事務次官通知の四項に出ているんですね。四項に、「処分にあたって留意すべき事項について」ということが出ていて、それで、環境庁長官が午前中の終わりころ答弁なさった意味は、処分を決めなくちゃいけないということは、処分を決めるというのは認定するか棄却するかだと思うんですが、どちらのことを言っておられたんですか。
○国務大臣(山田久就君) 私が申し上げたのは、いまその点についてのお答えを申し上げますと、現在は、認定する、認定しないというほかに、保留というのが非常に多いことは御承知のとおりでございます。この保留について一体どうするかという問題なんですけれども、私は、保留については、やっぱりできるだけいろんな資料あるいは客観的な傍証、とにかく認定できるものはできるだけ労力を払って、そうしてこれは認定するならするというふうに持っていくように、この次官通牒だけじゃなくて、そのほかについても、特に実際の運用に当たる県当局あたりに対して、その点はよくひとつ注意を促しておきたいと、こう思っております。 ただ、そういうことで、もうどうしても追加の資料が得られないというような場合に、これは言うまでもないことではあるけれども、それをただこうやって温めているということになれば、これは行政訴訟しようという考えの人もあるでしょう。しかし、それもできない。その場合、決まれば当然権利というものが回復するのがそのままになっているというこの状態で、ただ放置されるというのは、これはおもしろくないじゃないかということで、そういう、つまり基本的な権利というものを封ずるままでほっておくようなことは、言うまでもないことだけれども、これは避けるような処置を考えろということを申し上げたつもりでございます。
○小平芳平君 非常にわかりにくいんですが、要するに、申請があったと、この申請のあった方につきましては、認定か、棄却か、保留かですね。現実に保留されている方が大ぜいいらっしゃるわけですが、そこでいま長官のおっしゃっている意味は、この保留をされていらっしゃる方に対して、広く資料を集め、早く総合的に判断して、棄却なら棄却と決めるという意味のことを通知したということですか。
○国務大臣(山田久就君) つまり、あらゆる努力を払って認定できるものは認定をするようにしてくれと、しかしながら幾ら努力しても追加資料も得られなくて、そしてどうも判定ができないという者については、それは言うまでもないことだけれども、いつまでもそれを保留というような形に置いておかないで、そしてやっぱり、認定をできないのなら認定をできないという処分をして、そしてこの人が、本来の自分の権利をそのまま眠らされる以外に方法のないような地位に放てきしておかないようにと、これは申すまでもないことでございまするけれども、実際は、こうやって眠らしているということのために、それが引っかかっているので、後からの申請者が、そこが突っかい棒になっちゃって前に行けないというようなことが現状であると、こういう実情でもあるようでございまするので、言うまでもないことであるけれども、その点についての注意をひとつ地元に喚起したと、こういうことでございます。
○小平芳平君 それは長官、きわめて重大なことでありまして、言うまでもないこと、言うまでもないこととおっしゃるですが、この「水俣病の範囲に含まれると判断される場合には、速やかにその者について水俣病である旨の認定を行うものであること。」これは言うまでもないことですね。当然のことです。「水俣病の範囲に含まれると判断される」と、そういうふうに審査会が決めたわけですから、これは速やかに認定すべきだというのは、それはもう言うまでもない、当然のことなんです。しかし、この文章の表面には、環境庁は当然のことだけを文章に書いておる。なぜこういう当然なことを文章に書いておくかといえば、保留してある人は早く資料を見つける。資料が見つからない人は棄却を早く決めろと、こういう意味なんだということですか。
○国務大臣(山田久就君) その部分だけでどうか嫌疑をかけないでいただきたいと思うんです。今度の次官通知をなぜ出したかという点は、つまり水俣病という範囲そのものについて、いままでいろんな、何でもいいかげんでもとにかくやれなんて言っているのじゃないかとか、いろんなそれについての誤解や非難やあるいはいろんなことがここに出ているわけです。したがって、それについては、従来それを補うものとしてこの部長通牒あるいは課長の通牒を出したり、あるいは国会答弁の形において、大石長官なんかがこの次官通知の意味はこういう意味だというようなことを、その範囲というものが明確でないというようなことでいろんな議論になっている点を、そういう形でいままで明確にするような措置はとってきているわけです。しかしながら、この際やっぱりそれを次官通知という形ではっきりすることが必要があるじゃないか、これが第一点です。 第二点は、いままでこの認定について、先ほども申し上げましたけれども、つまり判定条件というようなものが部長通牒というようなことで、「参考とされたい。」というようなあいまいな形になっていたのを、認定というものをきちっとやっていくためにはこれに基づいてやってもらいたいといって、やっぱりはっきりした位置づけをするという必要があるということで、それはそういうふうにした。そのいろんな必要の一環としていまの点に触れたというように御了解いただきたいので、このことをやるためにやっているというつもりではさらさらないわけでございまして、ただ、その面に触れればいま申し上げたようなことで、いつまでも不安定なことでそれを放てきしないでおくようにと、置いておくというにはいろんな政治的な事情があるのかもしれぬけれども、そういうことじゃなくて、いつまでも置いておいて、それが邪魔になってどんどんとできないというようなことにならないように、できるだけ認定は進めてくれと、しかし、どうしてもできなけりゃそれなりの処置をとってくれということを念のためにそこへ記載したと、こういうわけであります。
○小平芳平君 したがいまして、この次官の通知は、表面は、この処分に当たっては速やかに認定を行えというふうにしか書いてないけれども、なぜそんなことを書いたかといえば、これはいつまでも保留になっている人がいらっしゃる、その保留になっている人は新しく資料を見つけろ、見つからなければ棄却するというけりをつけろということが含まれているんだと、文章には出ていないけれどもそういう意味なんだと、こういう説明をしているんですね、長官は。そんな文章にないことをそういう意味なんだといって説明しているということは、関係者にとってはきわめて重大問題ではないかと思うんです。
○国務大臣(山田久就君) それは、保留が、そのままになっているんならそのままでいいよということの方がプラスになるということは、私はどうしてもわからないんですけれどもね。それについては、申請者を不安定な状況に置いておくということはいかぬ。やっぱり不服の申し立てができるんなら早くそういうふうにすべきだと、無論認定できるものは認定するようにやれと、そのための促進の方法は前に書いてあります。だけれども、どうしてもできないものは、ただ漫然と、不服の申し立てをする道も絶っておいて、しかもこの認定の道を封じておくというようなことは、申すまでもないことだけど、そういうことはしないようにということを申し上げているので、それよりやっぱり保留に置いておいた方がいいんだというような趣旨で申されているんじゃないと思いますけれども、私はその点よく御理解いただきたいと思います。
○小平芳平君 いや、私は保留のまま置いておくのが本人のためだとかそういうことを言っているんじゃないわけです。ただ、官庁から、環境庁の事務次官の通知というものが、表面は認定を急げと書いてあるけれども、その口の裏では棄却も急げという意味だと、そういう説明をするということは——これは官庁の文章というのはむずかしいもんですね、そうなりますとね。表面はこうなっている。いやその裏はこうなんだということになったんじゃ非常にむずかしくなりませんか。 そうすると、これはどうですか、山本部長に伺いますが、「速やかにその者について水俣病である旨の認定を行うものであること。」、こういうことですね、これは当然のことですが、問題はこの体制だと思うんですね。県当局の事務処理の体制、案件処理の体制の問題だと思うんです。県としては速やかに認定を行う処置をとれという通知を出す。その裏づけはどうなっているか、環境庁として考えて。たとえば、体制づくりができないことには全く文章だけの問題になってしまうわけであります。 それから、次は、長官がいま盛んに繰り返しておっしゃっている点は、「死亡し剖検も実施されなかった事例等」、死亡なさった方、こうした方については、「資料を広く集め、そのうえで総合的な判断を行うこととなっており、」となっております。そういう点についての体制づくりはどうなっておりますか。 以上二点について。
○説明員(山本宜正君) 今回出しました次官通知は、認定の、いわゆる処分の仕方の問題、水俣病の範囲の問題を出したわけでございますが、先生の御指摘のように、県がこの指導通達に基づきまして事業をする上におきましては、当然それなりの体制整備ということが必要でありますことは御指摘のとおりでございまして、私ども、主として熊本県とこの問題をいろいろ議論した中で、やはりその問題が出たわけでございまして、これにつきましては、この通達の中に特に明確にはしておりませんが、別途予算的な措置なりあるいは私どもの方からそれなりの方向についての指導は十分してまいりたいと思います。 当然のことながら、死亡事例等につきましても、今後も死亡事例が発生した場合には、そういった方には努めて剖検をされて、しっかりした証拠を残されるというようなことについての、反証なりあるいはこれらの判断のための必要な暴露状況、既往歴、現在の疾患の経過と、そういったようなものをわからせるための人的構成をしまして、資料を広く集めるということにこたえる体制をとってまいりたい、援助をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○小平芳平君 これは新聞で報道されておりますが、水俣病認定業務促進臨時措置法案というものを自民党が考えたと、議員立法で提案しようというふうなことが決まったわけですが、かといって、原先生にちょっと御答弁いただくわけにいきませんので、ひとつ政府側で、いまのこの認定促進の問題がきわめて重大なネックであることもこれは前からの懸案であるわけですから、この点については環境庁はどういうふうに考えておられますか。
○説明員(山本宜正君) 先般来、熊本県等といろいろと現在の認定が促進しない部分につきまして多々議論をしたわけでございますが、その中で、昨年の十月から、従来の検診体制を月間百五十人にふやし、審査体制を百二十人にふやしたわけでございますが、それでもなお促進に対してなかなか十分でないというふうなことから、熊本県が、特に国の方である程度片棒を担いで審査促進のことをしてくれないかと、こんなような話がございました。これにつきまして、県の方から自民党の方にもいろいろと御要望がございました。私ども、事務当局といたしまして問題点を煮詰め、自民党の方にもその考え方をお話し申し上げましたところ、先般、自民党の総務会の方で、水俣病認定業務促進臨時措置法案大綱というのを示されたわけでございます。 一口に申しますと、この内容は、現在熊本県におきましては、旧特別措置法と俗に申します旧救済法の審査に係る申請人の審査に手間取っておりまして、御承知のように、現在の新法に基づく認定業務は四十九年以降になっておるわけでございますが、これにつきましては手がほとんどついてないと言っていいような実情でございますので、したがいまして、旧救済法による水俣病の認定申請者でありまして、環境庁の方に認定を申請することができるというようにいたしますと、環境庁の方で臨時の審査会というような組織を設けまして、そこで審査をするというような方法をとりますならば、現在、県が月々やっております審査業務が、国が一部片棒を担ぐことによりまして促進されるのではないか、こういう考え方に立った内容の法案要綱をお考えいただいた、かような趣旨でございます。
○小平芳平君 そこでまた先ほどの、環境庁長官に伺ったことに戻るわけですが、そういうように認定促進のための対策をとるということで、これは新聞の報道ですね、解説的な報道によりますと、認定業務は相当推進されるであろうと、そうして、保留のまま答申されて、それで認定されないということに決定されるであろうと、こういうふうな報道がありますが、そうなると、先ほどの長官のお話では、保留の人は資料を集める、それで、棄却なら棄却で早く決めるべきだということがあの通知の中に入っているんだというお話でしたが、この新聞の記事によりますと、保留のままで答申されても、それはつまり認定しないという決定に、処分になるんじゃないか、早く言えば棄却処分になるんじゃないかということが言われておりますが、そうなりますと、認定ということ自体は急がなくちゃいけないわけですが、かといって、そういうふうな単純に棄却というふうな決定のやり方がどんどんふえてくるということは、きわめてまた別の問題が起きるんですが、いかがですか。
○説明員(山本宜正君) 先ほどから申し上げますように、いわゆる保留事例の解消というのが一つの問題点であるわけでございますが、事実、保留の事例の内容を分析してみますと、資料の不足のために再検査の必要があるというふうな事例があったり、あるいは一定の期間を置いて再度経過を見ながら検討すべき事例というようなものがあるわけでありまして、こういったものは、当然のことながら資料を集め、一定の期間を置いて経過を見ながら検診をし、審査会にかけるというのが当然でございますが、ただ単純に保留にしてしまって、それが、先ほどお尋ねのございましたような方向にとられるということは、全く私どもの意に反するところでございまして、この辺につきましては十分県の方でそういったことの起こらないような指導をしてまいりたいと思っております。要するに、その辺を適正にするために資料を十分集め、そういった体制をつくって、いわゆる認定業務の促進を図っていってほしいと、かように考えておるわけでございます。
○小平芳平君 その点わかりましたが、では先ほど私が申し上げたような、保留という答申があってそのまま認定しない、棄却という決定になるということはあり得ないわけですね。これはあり得ない。従来もそういうことはなかったわけですが。じゃ、長官の言われるような、表面文章は認定を進めろということに書いてあるが、その裏は、保留の人は早く結論出して棄却しろということも裏ではあるんだと、そういうことによって保留の人がずっと減っていくという見通しですか。
○説明員(山本宜正君) 先ほど長官にお尋ねいただいた部分は、いろいろ死亡した例等はその後の資料が得られないというわけでございますが、過去にさかのぼって、生存中の資料も集めて、それで認定できるものは認定しなさいということを言っているわけでございまして、しかしどうしても、百般手段を尽くしてもなおかつ水俣病であるということが証明できない場合には、当然のことながらこれは棄却処分にするというのが法のたてまえであると思われるわけでございまして、しかしながらそれに対する努力を十分すべきであるということから、さらには資料が得られて認定できるものは十分認定していきなさいということの内容を言うごとによってこの業務が促進される、かように考えておるわけでございます。
○小平芳平君 山本部長、確かにこの通知を読みますと、死亡なさった方についての話がずっと出ているわけですよ。山田長官は、死亡なさった方の例として挙げているんじゃないんですよ。そうじゃなくて、処分全体について、申請なさった方全体について認定もしくは棄却と言っているから、私は、御本人にとってはきわめて重大な問題だと言っているわけです。死亡なさった方だけを長官は言っているんじゃないですよ。どうしますか−どうしますかじゃなくて、私は最後に、時間が来ましたので、二点質問して終わりますが、いまの点も意見があったら言ってください。 次に質問する点は、水俣病の認定問題できわめて不満のもとは、一つは、余病をもって説明がつくというんですね。要するに、体が悪い、水銀が原因かもしれないが、しかしお医者さんは、あなたは小児麻痺ですとか、あなたは動脈硬化ですとか、そういう別の名前で説明がつけば認定されないという、これがきわめて、水俣病というこの深刻な被害を知らないからそういうことになるんじゃないかということが一点です。 それから、第二点は、ハンター・ラッセル症候群ですか、要するに今回の四項目ですね、四項目のうちの、二以上に該当したらということ、それも水俣病という、有機水銀中毒の被害というものが、きわめて限定されたある症状だけをとらえて認定作業を進めようというところが間違っているじゃないかと、根本的に。実際、その水銀による健康被害のどういう被害が起きるかという、そこがまだわかっていないわけなんだ、それを無視して急げ急げと言うのは間違いじゃないか、こういう点ですが、いかがですか。
○説明員(山本宜正君) 私から長官の答弁に補足するというのは大変恐縮な話でございますけれども、先ほどお尋ねの、今回の通知の4の(2)につきましては、現在までの時点で私どもが把握しているところでは、熊本県におきましては死亡事例でこのようなところに該当するのが六十六例ございます。しかし、現在も検診続行中でございますし、今後これに相当するようなものがあったならばそれについてということでございまして、何でもかんでも保留の者について資料が得られないからそれは棄却というような形でないという点は、ひとつ十分御理解いただきたいと思いますし、そのような指導をしてまいりたいと思っているわけでございます。 それから、余病をもって説明がつくという、要するに余病をもって水俣病でないと説明をする場合にどうするかということにつきましては、これはあくまでも、従来からの精神から申しますと、水俣病としての全症候につきましていろいろ検討いたしまして、水俣病として考えられる症状があって、その症状について、暴露歴その他等から考えまして、いわゆる有機水銀に汚染された魚介を摂取することによって起こるという影響が考えられるというものにつきましては、これは当然認定をして差し支えないというぐあいに考えられるわけでございます。 それから、昨年の部長通知の点のお尋ねだと思うわけでございますが、昨年の部長通知におきましては、水俣病の症状につきまして、過去の審査会の先生方の経験に徴しまして、次のいずれかに該当する症状の組み合わせについてはこれは蓋然性が高いものであるので認定をして差し支えないというようなことで、主要症状の幾つかについての組み合わせが表現されておるわけでございまして、これらにつきまして、今後は、先生の御指摘のように、さらに、この水俣病の診断というのはむずかしいわけでございますので、そういった点につきましては今後も研究を進め、さらにその研究成果の中で新しい判断の考え方というようなものが出てくるならば、またいろいろな症例を病理学的等に研究した結果、さらにつけ加えて考えるべきことがあったならば、それらについて今後も修正はしていくつもりはございますし、また現在におきましても、全国の審査会の先生方にお集まりいただまして、個々の症例ではなしに、症例の類型によりまして、いろいろと判断のむずかしいものを持ち寄りまして、そこの中で専門的なディスカッションをすることによっていわゆる考え方を向上していくような症例研究班というのを持っているわけでございますが、これにつきましても、今後さらにその場を通じていま申しましたような点が推進するように進めてまいりたいと、かように考えているわけでございます。
○馬場富君 最初に環境庁がNO2について中公審に諮問した目的を説明していただきたいと思います。
○説明員(橋本道夫君) 中公審にNO2の基準について、九条三項につきまして諮問した趣旨でございますが、九条三項に、定期的に適切な科学的な判断を加え必要な改定を行わなければならないというのがございます。これは四十七年の六月までの知見で、現在の日平均〇・〇二PPmという環境基準は決められておるわけでございますが、その時点におきまして非常にデータが乏しかった。特に疫学等については非常に乏しくて、大きな安全率を見て決めた基準でございました。この基準につきましてはいろいろな批判がございました。国際的にもいろいろな議論がされました。そういうものでございますが、これを堅持してやってまいりましたが、この五年間に非常にいろいろな科学的な蓄積ができたということで、九条三項の趣旨にのっとって、昨年三月にいたしたわけであります。 なお、昨年三月にいたしたという理由のもう一つは、この告示の五年目標が五十三年五月で切れる。そうすると、どうしてもそれまでにどういうぐあいに考えるかを整理しなければならないということもあって、昨年の三月の時点で九条三項にのっとった諮問を行ったわけでございます。
○馬場富君 それでは、五十二年三月二十八日に環境庁が中公審に答申された答申書をちょっと読んでみてくださいよ。
○説明員(橋本道夫君) 全部は長うございますので、前文だけでよろしゅうございますか。 二酸化窒素の人の健康影響に係る判定条件等について(答申) 昭和五二年三月二八日付け環大企第五九号諮問第四九号で諮問のあった二酸化窒素の人の健康影響に係る判定条件等について、中央公害対策審議会は、大気部会に専門委員会を設置し、検討を行った結果、別添の報告がとりまとめられた。その概要と結論は、下記のとおりである。 本審議会は、これを審議した結果、内容を了承したので答申する。 政府においては、この報告を参考とし、現在の二酸化窒素に係る環境基準について、公害対策基本法第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、適切な検討を加えられたい。 という、これは前文でございます。 なお、最後の結びのところを読みますと、「指針の提案」……
○馬場富君 わかった、わかった。 私の聞いているのはそうじゃなくて、いまのは答申でしょう、それは。私の聞いておるのはね、諮問したものだよ。
○説明員(橋本道夫君) いま答申書を読めと言われましたので読みましたが、次は諮問文を読めという御指摘でございますので、諮問文を朗読いたします。 二酸化窒素の人の健康影響に関する判定条件等について(諮問) 環境基準に係る公害対策基本法第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、二酸化窒素の人の健康影響に関する判定条件等について、同法第二七条第二項第二号の規定に基づきあらためて貴会の意見を問う。 以上が諮問文でございます。
○馬場富君 伊東参考人、この諮問の目的について、伊東参考人はどのように理解していますか。
○参考人(伊東彊自君) 私は、諮問を受けましたときに環境庁の方から繰り返し御説明がありまして、これは環境基準を諮問しているのではなくて、諮問文のとおりの諮問をしているのだということを伺っておりますので、そのとおりに理解しております。
○馬場富君 私は、いまの環境庁の答弁と参考人の答弁と合わせましてもわかるように、やはり諮問というのは、はっきりと二酸化窒素の人の健康影響にかかわる判定について諮問を投げかけとるわけでしょう。どうですか、その点。
○説明員(橋本道夫君) 九条三項の趣旨にのっとり、二酸化窒素の人の健康影響に係る判定条件等について諮問しております。この前段の「第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、」がございませんでしたら、その事項だけでございますが、その前段のところを御注目願いたいと思います。
○馬場富君 長官に質問いたしますが、環境行政の一つのポイントは、この二酸化窒素の環境基準にいたしましても、やはり根本は人の健康というのが基準となってくると、こう思うんですが、どうでしょう。
○国務大臣(山田久就君) まさに御指摘のとおり、われわれはあくまでこの健康というものを守っていく、公害から健康を守るということが基本でございます。それはまさに法の命ずるところでもございます。
○馬場富君 その目的に立って、先ほど来の九条の三項という法律というのはあるわけです。人の健康を度外視して九条の三項というものはあるわけではないんです。そういう点、先ほど来私はずっと質問を聞いておりましたけれども、何だか法律だけが一つは目的のような答弁をされておりまりけれども、私どもが環境を扱う問題といたしまして、やはりこの人の健康ということをポイントから離してはならないと、こう思うわけです。そういう点で、先ほど来九条の三項が出ておりますけれども、この答申の中に環境基準を緩和した方がいいという、そういう科学的判断が答申の中にどのように盛り込まれますか。
○説明員(橋本道夫君) 答申の中には、緩和してよいとか悪いとかは一切書いておりません。「適切な検討を加えられたい。」ということでございまして、示された指針がこれは非常に前回とは違っております。今回の指針は、「短期暴露については一時間暴露として〇・一−〇・二」、これはもう新しい条件でございます。それから、前回の答申は、指針として一日平均値〇・〇二ppmということでございました。今回の答申は、いまの短期暴露に次いで「長期暴露については、種々の汚染物質を含む大気汚染の条件下において、二酸化窒素を大気汚染の指標として着目した場合、年平均値として〇・〇二−〇・〇三ppm」ということでございまして、前回の一日平均値〇・〇二とは非常に違った指針であることは明白でございます。
○馬場富君 ところが、この答申の三ページにもありますように、二酸化窒素の人間に与える影響度がずっと述べられておりますけれども、ここについて、先ほどあなたは、そういう点についての影響力が少ないようなことを言われましたけれども、二酸化硫黄と窒素との違いについて、即効性か持続性かというような違いはあるにしても、この文を読んだ限り、そこに二酸化窒素の方が多少緩和した方がいいというようなにおいすらここらに出てないわけですよ。こういう重大なことの、答申の中でも重大な面が結局度外視され、そして答申がこれは緩和をする数字を示しておると言ったって、これは私は納得できないと思うんです。この点どうでしょうか。
○説明員(橋本道夫君) 専門委員会では、その全体のことを全部判断した上で、最後の指針を出したわけであります。私は、先ほど申しましたように、何もNO2は大したことはないということを申しておるわけではございません。これはやはり特性がございます。それは何も否定しておりません。その上で、全体を判断して最後の指針がございますので、ここの文章だけで言うことではないというぐあいに……。これは科学者がまとめるときの骨子でございます。
○馬場富君 それでは、この二酸化窒素が、この文面にちゃんと答申されておるように、人にやはり害があると、即効性か、そういうことは別としても、害があるという、このことはあなたは必ず認められていらっしゃるですね。
○説明員(橋本道夫君) 明白でございます。
○馬場富君 それでは、環境基準のことはもういままで何回か論じられましたから、これはひとつ別にいたしまして、二酸化窒素の現在の発生源に対して、環境庁はどのような対策をなさってますか。
○説明員(橋本道夫君) 発生源規制でございますが、固定発生源と移動発生源とがございます。固定発生源につきましては、第一次規制を昭和四十八年に、第二次規制を五十年に、第三次規制を五十二年六月にいたしております。今年じゅうに第四次規制をしようとしております。また、自動車につきましては、四十八年、五十年、五十一年、五十三年、五十四年というぐあいに規制をしてきております。そういうことで、乗用車の規制は世界で最高水準に達しておりますし、トラックの規制も最も高い水準にございます。なお、固定発生源の排出規制は世界で最も先進的でございまして、各国に比べて、大体日本の状況はアメリカに比べて数年ないし十年近く進んでおるという状況でございます。
○馬場富君 それでは、この固定発生源についてのいわゆる二酸化窒素の除去について、具体的にどのような設備でどのように除去されていますか。
○説明員(橋本道夫君) 発生源対策は、最も基本は燃焼改善というものによって行われております。燃焼改善によりまして、これは燃焼条件を制御するということで、約三割ないし四割ぐらいのものがカットされます。それからその次には脱硝でございますが、現在の法律で決められた新しい施設の中で、部分脱硝を行われなければできない基準が一部に入っております。しかし、大多数、ほとんどすべては燃焼改善でできます。脱硝につきましては、現在八十数基実用規模の脱硝装置が装備されておりまして、これは稼働いたしております。脱硝施設の配置の増加の動向は着実に増加をしてきております。
○馬場富君 じゃ、その点、ちょうど通産の立地公害局が来ていると思いますが、そちらの方からその二酸化窒素の除去についての特に脱硝装置の効果について説明してもらいたい。
○説明員(安楽隆二君) いま環境庁の方からお答えがございましたように、排煙脱硝装置につきましては現在数十基ついておりますけれども、その中身につきましては、種類によりまして態様が違うわけでございます。それで、まずLPGとかLNGのようなガス燃料とか、ナフサのような、クリーン排ガスと呼んでおりますけれども、このクリーン排ガス用のものにつきましては、排煙脱硝装置は長期運転実績もすでに得られておりまして、信頼性も確認されるということで、実用化の段階に達しております。 ただ一方、工場の燃料の大半がC重油でございますけれども、このようなC重油を使います、いわゆるセミダーティー排ガスと私ども呼んでおりますが、セミダーティー排ガス用の処理につきましては、ダスト対策とか、それから酸性硫安対策といった問題も残されておりまして、いままでのところ、大体二千時間程度の長期運転実績ということで、まだ運転実績としては十分ではございません。それで、さらにこの実証化を今後図っていかなければならない、こういう段階にあるかと思うわけです。それからあと、既存施設にこういった脱硝装置を設置する場合には、用地とか構造面の制約もございますから、そういった実情をどう打開していくかというような問題もございます。 大体排煙脱硝装置の技術開発についてはそういうことです。
○馬場富君 それじゃあわせて、あなたが掌握してみえる脱硝装置で結構ですから、大体一基の費用が、予算がどのくらいで、それに対する現在のその年間の経費ですね、どのくらいかかるものだということと、特にC重油に対する脱硝効果ですね、これと、現在通産の方がつかんでみえる全国にあるC重油に対する脱硝装置が設置されておる中で、現在実際稼働して、効果を上げておるのが何台あるか、説明してください。
○説明員(安楽隆二君) いま先生の御質問は、排煙脱硝装置がいま幾つかつき出しているところでございまして、種類もいろいろございますから、なかなか画一的に言うことはむずかしいんでございますが、私どもの一応調べたところによりますと、たとえば四日市に新大協和石油化学の工場ございますけれども、ここのボイラーの脱硝装置の例によりますと、建設費が三十一億円と、それから年間経費が十四億円かかるということになっております。これは、処理ガス量が四十四万ノルマル立米パーアワーという規模のボイラーでございます。ただ、この場合、このボイラーは五十年十二月から稼働しているわけでございまして、先ほど申しましたC重油用のいわゆるセミダーティー排ガスを処理するものでございますが、実際にはトラブルがまだありまして、脱硝効率がまだ四、五〇%であるという問題がございます。これは反応器とか熱交換器の目詰まりの問題なんかもあるかと思われます。 それからもう一つの例としては、川鉄の千葉工場に設置されている焼結炉の脱硝装置の場合には、建設費が百十億円で、年間経費が五十億円というようなふうに聞いております。こういうことで、規模とかいろいろな種類によっても違いますが、大体のコストの状況は現在そんなことになっておるかと思います。 それからあと、現在数十基脱硝装置が稼働していると申しましたけれども、五千ノルマル立米以上の規模の脱硝装置について数を勘定してみましたところ、先ほどのクリーン排ガス用のものについては一応三十基と、それからセミダーティも含むダーティー排ガス用のものについてはおおよそ二十基というようなことで、全体で五十基程度ということになっております。
○馬場富君 私は、なぜこんなことを聞いたかというと、商工委員会で視察をした場合に、ほとんど脱硝装置というのは、あなたがいま言われたように、設備資金も非常にかかると、なおそれにも増して運転費が大変だと。そこへもってきて、脱硝効果が非常に苦しいと、こんなような状況から、先ほどあなたがおっしゃった新大協におきましても、ほとんどそういう点については使い物にならぬというような状況で、みんなそれを使った場合にはほとんど赤字が出てしまうというようなことで、実験段階にはあるけれども、実際これを使って脱硝装置が効果を上げておるというのは私自身余り見たことないんですよ。この点、特にC重油なんかを使った場合に、二酸化窒素の関係が最も影響があるわけですけれども、そういう点で実際の効果が上がるのかどうか、その点どうですか。
○説明員(安楽隆二君) 先ほど申しましたように、クリーン排ガス用のものについてはほぼもう実用化の段階に達しているということでございますが、先ほど申しましたように、セミダーティー排ガス用のものについては、現在実証化を進めているということでございまして、ただ、今後これについてさらにダスト対策とかあるいはSOx対策の面も含めまして技術開発を進めていきたいということで、努力が行われているところでございます。 それからあと、ガラス溶融炉のような非常にダーティーな排ガスのものについては、研究開発課題が多く残っておりますけれども、これについても一生懸命技術開発を促進していくという段階におるわけでございます。
○馬場富君 局長、あなたにお聞きしますけれども、あなたの二酸化窒素の対策を聞いておると、一遍にもう対策がスムーズにいって、二酸化窒素は出ておらぬような状況ですが、私は現場をずっと回って、この脱硝装置がほとんど効果をしてないですよ。特にC重油なんかのことについては全然だめですわ。この点どのようにお考えですか。
○説明員(橋本道夫君) すべてきれいになっているという発言は一切いたしておりません。どういうぐあいな規制がいっているかということでございまして、現在の規制では、トータルの排出に対して約三〇%程度のカットというところでございます。しかし、一方に増加がございます。そういうところで、実質的には五十五年にマキシマムのものが固定発生源では出ますが、その時点ではまだ大きな効果は見られないというところでございます。しかし、それにしても非常な努力をしておることは事実でございます。 〔委員長退席、理事小平芳平君着席〕 脱硝につきまして先生が全部非常にお回りいただいて御指摘いただいたことは私ども感謝をいたしますが、私ども脱硝の評価をいたしております。これは特に発電所、電力は非常に熱心にやっているというぐあいに私たちは感じております。いま新しいサイトで問題になる場所のときには、電力はみんな積極的にやるようになってきているということでございまして、ただ、焼結とか、そういうことになってくると、むずかしい、あるいは先ほど安楽課長の申しました、前につくったものの問題があるということは事実でありますが、これはやはり技術開発でもっと伸ばしていくということでございまして、毎年技術評価をいたしております。そういうことで、五十年、五十一年、五十二年と技術評価を今後もずっと続けてまいります。それによりまして基数もふえてきておりますし、また、コストも下がってきておりますし、技術もわりによくなってきていると、これは通産サイドよりも少し楽天的ではないかという御指摘を受けるかもしれませんが、私どもはメーカーサイドの情報を主にしておりまして、通産サイドの方はユーザーサイドの情報を主にしております。ユーザーサイドの情報もとろうとしておりますが、環境庁にはお答えするのはどうもはばかりますというのがございまして、今後御協力を得ればもっといろいろなことがわかると思いますが、日本の脱硝技術は相当進んできていることは事実でございまして、アメリカの脱硝のコンサルタントは全部日本がやっておるということを御理解いただければ結構であります。また数年のリードタイムを持てばこれは相当なものができると。しかしながら、適用は限られているだろう。泣きどころはランニングコストがすこぶる高い、これでございます。
○馬場富君 いや、私はアメリカの国会で論じておるんじゃなくて、日本の国会で論じておるわけですから、だから、先ほどの二酸化窒素の脱硝装置の日本の現状を聞いておるわけですから……。 通産の方にもう一遍お尋ねいたしますが、じゃ、現在C重油等を使ってのやはり燃料機がずいぶん多いわけですよ。そういう中で、実際脱硝装置、いま局長はきれいなことをおっしゃっていますけれども、これ、実際望みありますか、現状で。
○説明員(安楽隆二君) 先ほど申しましたように、確かにこの脱硝技術というのは進んできておりますと同時に、 〔理事小平芳平君退席、委員長着席〕 また、炉によってはいろいろな多くの問題を抱えているということも事実でございますし、それからまた、仮に稼働できるようなものになっても、信頼性をどんどん増していくとか、あるいは経済性、省エネルギーの点もどんどん改善していくというような問題がありまして、私ども通産省といたしましても、いろいろ国の試験研究機関とか、あるいは民間への補助金等を通じてあらゆる努力を傾注しているというところでございまして、まあそういう形でとにかく技術開発を進めていきたいということでやっておるところでございます。
○馬場富君 それじゃ、次は自動車の方にいきます。 先ほどは固定でしたけれども、これはちょうど私の住んでおる名古屋市の公害審議会が市に答申した答申書の中を見ますと、名古屋市においては、やはり発生比率のことがここに出ていますけれども、自動車が六〇です。それから工場あるいは事業場が三三、その他が七の割合で、これが状況なんですよ。それで、その中でもかなり乗用車については今度の五十三年の点で規制されてきておりますけれども、特にガソリン貨物車やあるいはディーゼル車等が非常にこの汚染の原因に大きい点があると、こういうことを答申しておるわけですけれども、局長、この点はどうでしょうか。
○説明員(橋本道夫君) いま御指摘の資料につきましては、名古屋市の方からやはり環境庁の方にも要望がございました。で、その資料を拝見しております。私もいま手元にコピーを持っておりますが、やはりこれからの大きな問題は、ディーゼル車、特にディーゼルの大型車、それから貨物の小型貨物車であるというぐあいに認識をしております。
○馬場富君 いや、認識じゃなくて、これに対する規制はどのように、対策はどのようにお考えかということを聞いておるんです。
○説明員(橋本道夫君) 長期目標を、このディーゼル車やトラック、大型車に設けておりまして、これは、第一段の規制を、もうすでに五十四年度規制として告示をして来年度から移ってまいります。第二段の規制は五十年代の末までにできるだけ早くということで、第二段規制の目標をもう明確にいたしまして、これは審議会の答申がございます。それらの実現のための追い込みをやるということでございまして、今年度から新たにディーゼルやトラックの大型車の公害防止技術の評価委員会を設けました。これは一方で騒音問題があるわけであります。一方で窒素酸化物の問題もあります。また、ハイドロカーボン等の問題もございます。ですから、全体の条件が拮抗いたしますので、総合的な技術評価を毎年進めるということで、それを公表していくということで、現在もう技術評価の専門家のグループは動き出しております。この結果がまとまれば、毎年公表し、どこまで進んできたかということでございますが、一番大事なことは、五十四年規制車ができてきたときにどんな車になっておるかということの評価を明確にして、その後の長期目標の達成ということにどのような戦術で追い込んでいくかと、騒音とそれからNOxとハイドロカーボン、黒鉛等ございますから、そのような観点から、環境庁はすでに目標を設定をして取り組んでいるところでございます。
○馬場富君 じゃ、次に、ここにやはり同じく名古屋市の五十二年度の公害の実態が出ていますけれども、公害患者につきましては、四十七年が八十一名から五十一年が三千七十二名と、これは年々上昇しています。それから、それに並行しまして、先ほど来問題になっております二酸化硫黄につきましては、これは四十五年から五十一年までが、もう各測定場所、年々やはりこれはよくなっています。次が、いま一番問題点の二酸化窒素につきましては、いいところで横ばいです。やはり悪い方向に向かっています。このデータ全部ね。 こういう状況からいたしまして、先ほど来健康の問題等についても、局長がかなり亜硫酸ガスの方の点にポイントを置いてみえるようだったですけれども、やはりこの数字が指さしておるものは、いろんな点でまだ不明確な点が二酸化窒素の被害にはあるようですけれども、やはりこのデータから推しまして、いわゆる亜硫酸ガスの点についてはかなりよくなってきておるが、なお公害患者はふえておるという方向性を見るときに、やはりこの二酸化窒素に対する人体への影響ということはまだいろん点で不明確な点があるけれども、これは私はもっともっと今後検討の余地が十分あるのだと、こういう点で大変この点を心配するわけですが、その点はいかがでしょうか。
○説明員(橋本道夫君) 公害健康被害補償法の指定地域で新認定患者がふえてきておるということの問題に寄与する大きな要素は、指定地域の拡大という問題が一つありまして、それからもう一つは、指定地域がなじむまでに患者がやはり増加という傾向をとるということでございます。ただ、現在この各地の指定地域のかなり年限のたっているところをずっと見てみますと、確かに患者は累積としてはふえてまいりますが、新発生の数は、こう波を打って下がってきています。これは事実でございますこれはよく御理解をお願いいたしたいのは、幾ら環境基準にぴったり合っても患者はふえます。それが非特異的な疾病の特徴でございます。そういうことで、制度的な増というものは現在あるというぐあいに存じておりますが、医学的にいろんな内外のデータを見ましても、窒素酸化物の濃度が上がれば患者の発生がふえた、窒素酸化物の濃度が上がればその病状が悪化した、窒素酸化物の濃度が上がれば死亡率がふえたということを、現在のわれわれが経験している大気汚染の濃度のもとでは、まだこれは証明がございません。有症率議論は、これは、あなたがせきを出しますか、たんを出しますかということに対してマークをしたりチェックをしたり答えたことだけ、これは病気として扱いません。有症率でございます。そういう観点がございますので、この上昇即汚染のための悪化というぐあいに即断することは、これはいろんなデータから見ると無理でございまして。もしも年平均値〇・〇八ぐらいを超えるようでしたら、これは非常に問題だと思います。そんな地域はございません。 それから、年平均〇・〇五ぐらいなところで見ますと、これは日本の沿道調査でいたしておりますが、やはりどうも決定的なデータが出てこない。いろいろな刺激症状は、目やにがどうであるとか、そういうものはございます。けれども、どうも慢性気管支炎で探していこうと思うと出てこないという状態があるわけでございまして、肺機能の面におきましても、やはり年平均〇・〇四の辺で子供の肺機能に、敏感な人に若干正常範囲内の変動が起こるというところまでのデータしかわれわれはつかまえておりません。そういうことで、いまの濃度がいいと言っているわけじゃございませんで、これはもう改善しなきゃなりませんが、いまの濃度が非常に危なくて、患者がどんどんそのためにふえてきておるというぐあいには私どもは考えてはおりません。対策はどんどん進めなきゃならないという考えでこれに対処していきますので、その点を御理解をお願いしたいと思います。
○馬場富君 それはわかりますけれどもね。先ほどの答申の中にもありましたように、やはりこの二酸化窒素の人体への影響の因果関係については、やはり答申についてもまだ相当の疑問を残しておるという点ですね。だから、やはり今後について、この点については非常にまだ究明されなきやならぬという点が残されておるわけです。そういう点で、私自身は、やはりこれがいままで何点か、固定発生源の二酸化窒素に対する解消問題につきましても、あるいは自動車等のそういう二酸化窒素に対する規制等についても、まだまだこれからやらなきやならぬという状況がほとんどなんです。そして、いまの名古屋市の、一つの例ではございますけれども、これはあなたは実際その二酸化窒素の影響がまだデータ的にはっきりあらわれてないということでこのことを言っておりますけれども、やはりこれは今後にまだ残されておる点がずいぶんあるわけです。そういう点では、環境基準を緩和せなきゃならないという、そういう問題はここに一つも私は起こってこないじゃないかと、こういうように思うわけです。その点長官はどのようにお考えか、お尋ねいたします。
○国務大臣(山田久就君) ただいま馬場委員から御指摘がございましたようないろいろな御意見、これはございます。環境基準を変えないようにという意見もありますし、不確定性があるからもっと大きく変えるべきだというような意見もあることは御承知のとおりでございます。ただしかしながら、内部にいろんな意見があっても、それを集約いたしまして最後の答申として出てきているところにおいては、示されたその幅というのは高い確率において好ましからざる影響を健康に与えない幅ということで、われわれとしてはやはりその結論というものによって対処するのがつまり法に命ぜられたところであるという判断に立っておりまして、虚心坦懐、その点に従って善処してまいるのがわれわれの責任でもあるし、また義務であると、こう考えておる次第でございます。
○馬場富君 時間がありませんから、次に、今年伊勢湾に発生した赤潮が、例年になく非常に広範囲のものであるということですね。それからまた、期間においては最大限のものである。それから赤潮の内容については、いままでかつてなかった内容を持っておる。こういうふうにして、伊勢湾の赤潮に重大な警鐘が打たれたわけでございますが、この点につきまして、経過と被害状況と、あるいはいままでの赤潮との相違点を説明していただきたいと思います。
○説明員(二瓶博君) 伊勢湾につきましては、ただいま先生からお話がございましたように、赤潮が発生をいたしております。本年の五月の中ごろから発生をしたわけでございますけれども、例年になく長い期間にわたって継続をいたしております。 まあ伊勢湾といいましても非常に範囲が広いわけでございますけれども、伊勢湾と知多湾、渥美湾等に分けまして特徴を申し上げますと、伊勢湾の方につきましては、五月の中旬から出ましたものが、プロロセントラムという赤潮生物でございます。これによります赤潮でございます。それから、五月の十七日ごろになりますと、例年はスケレトネマ、これが主体でございますけれども、ことしはまたオリソディスカスというようなものの赤潮が出ておりまして、しかも、これも一cc当たりの赤潮生物の個数、これが非常に多うございます。 それから知多湾の方にまいりますと、五月の十五日にスケレトネマとオリソディスカスの複合型のものが出ておりますが、その後大分オリソディスカスの方が優占種というようなことで、六月六日ごろまで続いたわけでございます。六月の八日ごろからはプロロセントラムというふうに変わってまいっております。いずれにいたしましても、この知多湾の場合なども、いままでの最長期間、これは五十一年の十五日間というのが一番長かったわけですが、今回はそれを優に突破した長期間にわたっての赤潮というのが大きな特徴であろうかと思います。 渥美湾の方におきましても、六月六日ごろからオリソディスカスなりプロロセントラムの複合赤潮が出ております。その後、プロロセントラムの方が優占種になってまいっております。それで、これもまた六月十日ごろを見ますと、cc当たりの赤潮生物の個数というのは非常に多うございまして、この辺はやはりことしの大きな特徴だろうと思います。 一応今回の赤潮の状況ということは以上でございます。
○馬場富君 時間がございませんので、簡単に質問いたしますが、実は、発生が三月ごろから発生して、そしていまなお続いておるということは事実なんですね。それで、特に五月十三日から六月の二十六日までは、先ほど説明されたように、最も悪質なプランクトンが、しかも全域にわたって発生しておる。これはもう四十二日間というような状況ですね。環境庁の調べにおきましても、もう五月なんかは件数が七件で三十七日と。延べ日数でございますけれども、六月に至りましては八件で九十日。こういう、これは昭和四十六年からのずっとデータがありますけれども、こんな異常度というのはほとんどないということですね。期間につきましても、ほとんどもう三月からきょうなおずっと続いておると、こういう状況ですね。こんなことは伊勢湾にかつてないわけでございますが、この期間と濃度の点ですね、これはどのようにお考えですか。
○説明員(二瓶博君) ただいま先生からもお話しございましたように、伊勢湾の赤潮の発生件数なり発生日数、こういうものを経年的にながめてみました場合におきましても、近年、五十一年なり五十二年におきましても相当赤潮の発生件数なりその日数等も増加傾向にございます。そういう中にありまして、五十三年に入りましてから、四月、五月、六月というふうに続いて赤潮が発生を見ておるわけでございますけれども、この赤潮の発生という面におきまして非常に期間が長期であるということ さらに先ほども申し上げましたように、赤潮生物の面におきましても、一cc当たりの個数等を調べましても従来に例を見ない、一cc当たり二十数万個というようなこともございまして、そういう面では、赤潮そのものにつきましても非常に悪化の傾向といいますか、がございまして、それが非常に今回強く出ておるというふうに認識をいたしております。
○馬場富君 それで、特にプランクトンにつきましては、五月十三日から六月二十六日までの全域に発生したのは、先ほどの答弁にもございましたように、これは従来のスケレトネマと全然これは違った、そういう原生動物と言うんですか、そういう特殊の、日本でも東京湾あたりに見られた程度の、そういう非常に繁殖率の大きいものであるし、漁業なんかに対しても被害効果も大きいと、こういうふうにされておるものが実は発生しておるということですし、それからもう一点は、先ほどもおっしゃいましたが、この赤潮中のプランクトンの数ですね。数についてはもう常識を超えた一cc中二十四万個というのが実は今度の赤潮の中で検出されておるわけですね。そういう状況から推しまして、もうやはり県当局もそうでございますけれども、各方面が、いよいよやはり伊勢湾の富栄養化につきましてもこれは極限が来ておるんじゃないかと、雨が少なかったという点もありますけれども、非常にそういう点異常と言うほかはないということですね、それで、それにつきまして、魚等に対しての被害も各所に起こっておりますし、海底魚と貝等につきましては今後の調査を待たなければわかりませんが、部分的にはかなり被害も出てきておる。こういうことから考えますと、このまま放置された場合に伊勢湾は死滅してしまうという、そういう危機すら実は感ぜられるわけです。 こういう点で、先般も瀬戸内海がこの問題のために、赤潮のために実は立法化がなされ、改正もされました。伊勢湾、東京湾につきましては、いわゆる水質汚濁防止法の関係の総量規制の点が実は決定されたわけでございますけれども、これとても、やはり富栄養化の赤潮対策はまだ盛り込まれていない、こういう状況です。そういう点で、これは伊勢湾特別立法も必要ですが、現状、総量規制の上にそういう赤潮対策の富栄養化の問題について、何か措置をする、速急に講じておかなければならぬのではないかというのが、県あたりでも大きく論議されておることですが、この点どうでしょうか。
○説明員(二瓶博君) ただいまの先生のお話にもございますように、総量規制制度というものを導入をしまして、CODI当面CODを考えていますが、これの規制をするということによりまして、下水道を整備するとか、そういうCODの削減ということにおいて、また燐の削減ということにも資するということになろうかと思いますが、いまの伊勢湾の状況からすると、そういうCODの総量規制ということだけでなしに、もっと燐なら燐というものに着目した、瀬戸内海と同じような手法が考えられぬかということだと思います。この伊勢湾の富栄養化の状況というものにつきましては相当深刻なものであるという認識を持っております。今回の長期間の大規模赤潮というのを見ましても、なおさらその感を深くしたわけでございます。 問題は、その際にどういう手法でやり得るかということになるわけでございますが、結局、瀬戸内海の方につきまして国会の御審議を得まして、先国会で成立を見たわけでございまして、いま、瀬戸内海法の中の富栄養化の防止ということで燐の削減対策の準備を進めておるわけでございます。これは、具体的にやるというのは、「公布の日から」「一年を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」ということになっておりますので、来年の一月か五月か六月か、その辺になろうかと思います。で、瀬戸内海でそれをやります際にも、やはり各県とも、行政指導ベースではございますけれども、削減をやるという際には、いろんな業者もございますし、どの程度、どうお願いをするかと、削減を依頼するかと、その物差しが問題になるわけです。したがいまして、私たちの方は、いまその準備作業に取りかかりつつあるわけですが、それができますれば、これは当然伊勢湾に関係のございます愛知県なり三重県、こういう方にも瀬戸内海の場合はこういうことをやりますよということで御連絡は申し上げます。 問題は、結局、瀬戸内海法で書きました際にもこれは行政指導ベースということで考えており、なぜそんな行政指導ベースのものを法律に書いたかということになりますと、これはむしろ関係府県が非常に多いので、足並みをそろえてやってもらわなくちゃならぬというところに特に力点を置いて法文にまで書き込んだわけでございます。したがいまして、伊勢湾の方は愛知県なり三重県という、県の数も少ないわけでございますから、その瀬戸内海の場合のやり方といいますか、削減を要請する場合の物差し、こういうものをお示しをして、そしてやる手法とすれば、現在の水濁法の中でもいわゆる二十九条で、俗称横乗せなりあるいは横出しとか言っておりますけれども、そういう条例でもって措置ができるという規定がございますので、県の方が、愛知県なり三重県等におきまして、こういう状況はほうっておけないということで、燐の削減問題も、行政指導ベースではあるけれども、条例その他でやるんだということでございますれば、当然そういう際の物差しとして非常に参考になると思いますし、また、環境庁の方としましても、こういう今回の大規模赤潮というような事態から考えますと、その面につきましては県の方にも十分その面は連携をとって浄化対策というものを積極的に進めるべき時期に来ている、こう思っているわけでございます。
○馬場富君 愛知県とか三重県の段階でも、この赤潮問題につきましてはやはり環境庁と連携の上、対策をとりたいというのが理事者側の答弁でございました。そういう点で、どうかその点をひとつ連携の上、速急に赤潮対策を当局としても考えてもらいたい。長官の御答弁をお願いいたします。
○国務大臣(山田久就君) われわれも重大な関心を持っております。したがいまして、いまの御趣旨の点、十分検討いたしまして対処いたしたいと思う次第でございます。
○沓脱タケ子君 それでは、大変限られた時間ですので、端的にお聞きをしていきたいと思います。 最初に、伊東参考人に、ごく簡単にお聞きをしたいと思います。と申しますのは、午前中からの審議の中でも問題になっております中公審の答申の末尾三行ですね、これがどうなったかという問題というのは、これはもう衆参両院、毎回問題になっておるわけです。先ほどのお話を伺いますと、論議をなさって、そしてそれを事務局である環境庁に書かせた、こういうことでございますか。——そういうことであれば、だれが御提案になったのか、これをちょっと伺いたいわけです。
○参考人(伊東彊自君) 特定のだれというところまで私確認しておりませんけれども、かなりの方から御意見が出まして、それを事務当局でまとめていただいたというわけでございます。
○沓脱タケ子君 きのうの衆議院の公環特では、橋本局長は、これは案文というのは事務当局である環境庁が書くのが慣例になっている、したがって環境庁が書きましたと、こうおっしゃっているんですがね。提案をどなたがなさったかというところが非常に大事なんです。といいますのは、諮問のときにはなかった。そして専門委員会の皆さん方も環境基準などというものをお考えになって論議をしてきたのではなかったということは、当委員会の参考人質疑で鈴木委員長からも明確になっておりますし、また、環境庁も一貫してそのことを、そういうことではなくてフリーハンドで論議をいただいたんだということをずうっと一貫して言われている。ところが、最後の大気部会でこの三行がついたということはきわめて重大なんです。ですから、これは大気部会長の伊東参考人が御提案になられたのか、あるいは環境庁から伊東参考人にそういうことのお話があって御提案になったのか、あるいは伊東参考人が環境庁に対してそういうふうに案文をつくらせるように指示をなさったのか、この辺のところが非常に重大な点です。先ほど矢田部委員の御質疑の中でかなり詳しくはいろいろ伺っておりますが、その点についてのところだけがわからない。そこをお聞かせいただきたいと思います。
○参考人(伊東彊自君) いま御指摘になりましたような、私がお願いをしたとかというふうなものではございませんで、環境基準を変えるということを念頭に置いて末尾三行がつけ加えられたものではなくて、答申を十分に参考にしてほしいということを含んだ言葉として入れられたものと理解しております。
○沓脱タケ子君 そうすると、案文をお書きになった環境庁は、どういう御見解で書かれたんですか。
○説明員(橋本道夫君) これは手続上、答申の前文ということになりまして、きわめて実は事務的なところになるわけでございます。そういうことで、通例、草案は事務局がつくりまして、そうしてそれを部会長が、まあ配れとおっしゃって、そうしてそれを読み上げるということで、そのくだりを読みますと、「それでは了承することにする。次に、本報告をもとに答申案を作る作業があるが、答申案を配付していただきたい。」と、これは会議の始まる前に担当課長が、きょうこういう事務局案で進むということはお話しを、これは通例いたします。別にその前からこういう御相談はいたしません。全く何も特定のことではございませんから。で、「事務局で朗読して頂きたい。」。朗読して、「本案に意見のある方は発言願いたい。」と、発言なしでございます。 それで、環境庁といたしましてこれどうしたかということでございますが、九条三項の趣旨にのっとりということでこう入っておりまして、九条三項の趣旨といいますと、もう一回読みますが、「環境基準に係る公害対策基本法第九条第三項の規定の趣旨にのっとり、二酸化窒素の人の健康影響に関する判定条件等について、同法第二十七条第二項第二号の規定に基づきあらためて貴会の意見を問う。」ということでございまして、ですから、ここのとろと、どう言いますか、われわれが積極的に改定すべきと、こう書こうとすると、九条三項の趣旨にのっとって必要な改定を加えられたいという案もあるわけでございます。そういう案もあるわけでございますが。ここはどちらにするかということは、審議会がどちらともお決めになっておられない、いま伊東部会長のお答えになったとおりでございます。お決めになっておられませんで、「適切な検討を加えられたい。」というフリーハンドの形になっておりまして、それではこれを受けてどうするかという御質問が委員からあったわけであります。そのときは非常にそこらの重大性もちゃんと理解をなさっておられるわけであります。私は、あえて誤解や曲解をされることを防ぐために、そこのくだりを朗読さしていただきます。これは助川委員がおっしゃっておりますが、「諮問文を見ると、環境基準の改定については一応保留され、この五年間に得られた知見をもとに適切な判断——判定条件等——の検討をお願いするのだ、という趣旨のようだ。が、提案された指針値と環境基準の数値を比べると、行政上望ましい状態という趣旨の環境基準に影響が及び、場合によってはこれを変えることになりかねない。それについては緩めた方がよいという意見もあり、他面、環境基準は一旦定めて、それに基づき、例えば公害防止計画等国は強力に推し進めており、地方自治体でもそれを目標にしてきたので変えるなとも言われている。今日はこの報告を黒川委員のお話のように扱ってよいと思うが、これから環境庁側はどういうスケジュールで取り組むのか——例えば大気部会のいつかの時点で何か聞かせていただくことがあるのか。その点局長からうかがっておいて黒川委員の意見に同意したい。」ということであります。黒川先生はこれを了承しようという意見であります。 そこで、ここで私がそれに対してお答えをしておりますのは、「これからの考え方だが、まず環境庁がこれを受けて公害対策基本法第九条三項に基づき環境基準を検討し、また達成方途を検討するための骨子となる問題点を整理して近々大気部会を開き、そこで御説明し御意見を伺いたい。次に、もう一回各国の環境基準のほかいろんな方の御意見−地方自治体の意見、産業、経済界の意見、住民運動の方の意見、患者グループの意見とか−を整理し、また新聞や雑誌論調も整理してお示しし、さらに産構審答申も御説明する必要があると思う。その上で最後に環境基準やその達成のための総合対策について意見も承りたいと思っている。手続としてはこのように大気部会をできれば二、三回程度開いて意見をお伺いしたいと考えているが、新たに環境基準そのものについて諮問する考えはない。」と、こういうぐあいな経緯でございます。 ですから、何ら作為的なものはございませんで、これは全く普通の事務的な手続でやっておりまして、諮問の条文によっておるものでありまして、私どもはいささかも非難される節はないと思っております。
○沓脱タケ子君 いやそれはね、だって原文は環境庁がおつくりになったんでしょう。いまおっしゃったのは、たまたま黒川委員が了承しようじゃないかという御意見が出たというわけでしょう。この三行がついたということが金科玉条のように、これはもう何カ月間か振り回されてきたわけですけれどもね。それは何だってというと、初めに諮問するときには全然考えないで、最後の段階で、しかも大気部会でそれがつけられたという点で、しかもその原案をおつくりになったというのは環境庁だということですが、それなら環境庁のどなたの意思でこれはつくられたのですか。
○説明員(橋本道夫君) これは大気局長と企画課長とみんな相談して、この「適切な検討」ということがノーマルであろうということでございまして、そういうことで、草案の段階で、どなたからこうしろと言って指示を受けたわけでも何でもございません。それで、これは環境庁としての事務局草案でございますから、それほど権威のあるものでも何でもございません。事務局草案として整理をして出していると、そういう形でございます。 それから、初めに何も言わないでということでございますが、初めに九条三項の趣旨を説明しております。それから、答申が出ればそれに基づいて虚心坦懐に検討をして、改定をすべきか、あるいはそういうことは要らないか、新しい条件にするかは行政の責任でこれをいたしますと、先生方の責任になすりつけることはいたしませんというサウンドのことを、これは大気部会だけではございません、総合部会、いろんな場所で何度も申しておりますし、国会でも答弁をいたしております。
○沓脱タケ子君 私、ここでかかずらってるとかなわぬのですがね、結局大気局長とそれから企画課長とが相談したと……。
○説明員(橋本道夫君) これは、この内容自身は皆さんがもう本当に四十何回御議論なさって、専門委員会からこれだけのものをいただいてやっているわけです。この最後の数行は、事務的に、この諮問の平仄に沿ってそれでこれを書いたと、全く事務局のあれでございます。ですから、どういう範囲内に相談したのかということをお聞きになるのか、私もちょっとその点わかりかねるのですが。
○沓脱タケ子君 いや、そこが大事なところだからね。四十何回論議をしたのは専門委員会の論議でありましてね。その最後につけた三行というのは、別に何回も論議をしているという性格のものじゃないわけですよ。現に、やはり本院の参考人の質疑の中でも、あるいは私どもがそれなりに仄聞をしていることでも、よく御存じなかった委員がたくさんおられるわけですよね。後で気がついてびっくりしたという御意見というのが現にあるから、しかも、その三行が行政措置を進めていく上での金科玉条に使われているというところで問題がある。だから、矢田部委員が御指摘になったように、環境庁が原案を書いて素通りさして、答申を受けるべき環境庁が原案を書いて、それを受け取って、それ使うというのは、まさに自作自演じゃないかというふうに言われてもやむを得ないというのはそこなんですよ。これは私どもは依然として疑惑が晴れないわけです。 私、大気部会長が環境庁に依頼をされて、あるいは命じて書かせられたのかと思って、その点を確かめたかったわけです。そういうことではないということなんで、それは私、参考人、結構でございます。その点は依然として疑惑の残る点です……
○委員長(田中寿美子君) 沓脱さん、参考人、もうよろしいですか。
○沓脱タケ子君 はい、結構です、お気の毒だから……。
○委員長(田中寿美子君) では、質問をちょっとお待ちください。 伊東参考人に一言お礼を申し上げます。 今日は、大変お忙しい中を、長時間にわたりまして質問にお答えいただいてありがとうございました。御退席いただいて結構でございます。厚くお礼を申し上げます。 質問を続行いたします。
○沓脱タケ子君 それで、これも各委員から全部御指摘になっている点なんですが、環境基準を改定すると言いながら、どうして中公審にかけないかという点も、これは私ども非常に不可解なんです。なぜ不可解と言いますと、これは、実は橋本局長、この一年積極的に実にいろいろなところで発言をされている。そういう発言の中で、ずっと、ある段階までは、指針値をいただけばこれは環境基準を変えるときには中公審にかけるんだと、こういうことを言っておられるんですね。——たとえば、実例をそれじゃちょっと申し上げますわ。その方がはっきりする。これは、高木・船後・宮崎経営経済研究所の「今月の話題」という雑誌ですね。昭和五十二年十一月号、No.10というので、「環境基準とこれからの環境政策」というのを橋本局長がしゃべっておられるんですね。で、こういうふうに言っておられるんですね。 今度の諮問では、環境基準を諮問するという形をとっておりません。科学と行政と政治の役割を明白に分けて打ち出しました。そこで、科学には基礎となるクライテリアとガイドを出してくださいといっているわけです。公害対策基本法ができてから五年たっています。より新しく、より確かな、より豊富な資料が集まっている。このデータをもとに、いまの段階での「健康」への影響についての専門的判断を出してほしい、出来るか出来ないかは全然考えてもらわなくて結構です、あとは私達が責任をとります といっているわけです。 その専門的判断が出たあと、次には、それが今までと同じ条件なのか、今までよりも厳しくなるのか、ゆるくなるのか、新しい条件が加わるのかなど、虚心坦懐に白紙状態で判断します。そして、その結果、これまでと変わることがあれば、中央公害対策審議会にかけることになるわけです。 と、こういうふうに明確に答えておられる。これがいま申し上げたように昨年の十一月ですね。 そこで、不思議なんですがね、そういうふうにおっしゃっておられたのに、中公審の答申が出て以来、中公審に環境基準の諮問をするということをおっしゃらないで、行政的に告示をするというふうにおっしゃっているんですが、いつ変わったんですか、そういうふうに。
○説明員(橋本道夫君) いまの文章は、私、自分自身の記憶が余りございませんが、私そういうことを言っているのかもしれません。恐らく、ほかを探してもそれ一つだけではないかと思います。で、行政の責任で判断をいたします、と。国会の記録をごらんいただきますと、国会の記録の中で、行政の責任で判断をいたしますということをずっと言っております。そういうことで、そのところにも、行政と科学との責任を分けて、ということを言っておりまして、それを、載っているといたしましたなら、私のこれは失言でございます。そういう形で御理解願います。私は途中でひょっこり変わったわけではございませんで、九条三項の諮問をしているということがあるわけですから、ですから、そういう問題は私はございません。ですから、それがあれば、これは私の失言だということを申し上げておきます。ほかの場所で全然そういうことを言った覚えはございません。
○沓脱タケ子君 いや、ほかのところで中公審にかけるということは言うてないかもわからない。しかし、環境基準は変えませんということはずっと言っておられるんですよ、これは。それじゃ、いつからそれは変わったんですか、環境基準を動かすということに。
○説明員(橋本道夫君) これは、答申が出ますと、先ほどの条件というのは全く前の指針が違うということで変える公算が高いという言い方をしておりまして、そうして、いろいろ検討した結果、これはやっぱり変わる、こういうことになってきましたので、全く、答申が出た後に、公算が高いとして次第に、検討をいろいろしていくうちに、これは変わるということになってきたわけです。それまでは断固環境基準を守るということでこれは言い張ってまいりました。
○沓脱タケ子君 これね、失言だといっておっしゃるからあれだけれども、これは、船後さんといったら元事務次官じゃないですか。だから、お仲間の仲でわりと気楽に話されたんだと思うんですけれども、印刷物になっておりますから、私書いてあるとおり一字違わず読み上げたわけです。で、これは、そうすると局長態度変わったんだなあと、こう思うんですよ、これ見ると。失言だとおっしゃるからやむを得ないんですが、私どもも環境基準は中公審にかけるべきだと思うんです。 で、ちょっとわからぬのですが、公害対策基本法の二十七条関係、現に二項では、「内閣総理大臣の諮問に応じ、公害対策に関する基本的事項を調査審議すること。」、あるいは、「環境庁長官又は関係大臣の諮問に応じ、公害対策に関する重要事項を調査審議する」と。それから中公審の議事運営規則によりますと、「部会の所掌事務は、別表に定める」ということで、六条二項の別表によると、「大気部会 大気汚染防止に係る重要事項に関すること。」というのがあるわけです。で、こういう中央公害対策審議会というのは、「大気汚染防止に係る重要事項に関すること。」、それから「公害対策に関する基本的事項を調査審議すること。」というふうに法律に明記をされているのに、どうしてそれをおやりにならないんですか。その話がさっぱりわからぬのですよ。いままで何回も説明を聞きました。法律に基づいてこういう重要事項を これは長官ひとつ答えてください。NO2の環境基準というようなものは公害対策の基本的事項に属しませんか。あるいは大気汚染にかかわる重要事項に属しませんか。もっと軽微なことだから中公審に諮問しないんですか。その辺は、法律の理解から言うたらどうしても理解できない。その点、長官お答えください。
○国務大臣(山田久就君) 無論、重要事項だと思っております。しかしながら、この改定に当たって考えなきゃいけないのは、いわゆる「科学的判断」というものによって、それによって改定を考えるということが、大変申しわけないけれども、九条三項に書いてあるところでございまして、その重要なる部分がこれであるということに、改定の場合はですね。そこで、一体、それを変えるか変えざるかという問題についての基本事項を、先ほど申し上げましたように中公審にわれわれの方が御諮問申し上げたわけなんです。その答申をいただいて、それによってわれわれが判断する。つまり、九条三項によってお尋ねするんだと、後は法の命ずるところによって、そして私が善処するんだと、こういうことでございますので、その点ひとつそのようにお考えいただきたいと思います。
○沓脱タケ子君 答弁にならぬのですよ。だって環境基準、たとえばNO2の環境基準にしたって、騒音や振動の基準にしたって、あるいはSO2にしたって、きわめて重要なんですね。公害対策上基本的事項に属しますよ、基準を決めるということは、これは。委員会に諮問をされたのは判定条件と指針値でしょう。環境基準じゃないんですよ。その指針値の答申をいただいて、その上で、当然基準を動かすか動かさないかという点についてはこれは諮問をなさるということが、法律に基づいておやりになるのが当然だと思う。後は私らが勝手に判断しますと、そんなおかしなことはないですよ。これは理解できない。さっき、各委員先生方の御質疑の中でその部分が全部触れられているんですね。何ぼ一生懸命聞いておってもこれは理解できません。その点は。だから、これは法律に基づいて、公害対策の基本的事項にかかわる問題ですから、特に大気汚染にかかわる重要事項ですから、これは中公審に当然かけるべきだと思います。あたりまえですよ。長官、どうですか。一言。
○国務大臣(山田久就君) さっきお答え申し上げましたように、九条三項に書いてあるのは、要するに、科学的判断というものによって改定するかどうか、改定せよということが書いてあるわけです。したがって、これはどういうものを諮問するか、重要事項全部諮問する必要ない、どういう重要事項を諮問するかという点について、九条三項の命ずるところによって、その科学的判断の重要事項を御諮問申し上げた、こういうことで、法に照らして、非常にはっきりしていると思います。
○沓脱タケ子君 環境基準、それぞれの汚染物質の環境基準を、被害物質の環境基準を決めるということが重要事項だとお認めになっておられるのだから、法律の命ずるように、中公審におかけになるというのが法律に基づく手続です。都合のいいのはかけるけれども、都合のよくないのは諮問しないなどという行政上の差別というのは起こってはならない。法律で決められたようにやるべきだということを強く主張します。 それから、時間の都合がありますから次へいきますがね。NO2基準緩和問題をめぐって、いろいろと昨日の衆議院の審議等でも新たな疑惑が次々と浮かんできています。そういう中で、次から次に背景的動きというのがやはり出てくるわけですね。その点で、ひとつ私ただしたいことがあります。 その一つは、環境庁が今回のNO2の環境基準緩和を強行しようと、しかも中公審にもかけないで、こういう背景にはかなりのことがあるんだなということは、これは国民みんな思っているのですよ。で、ちょっとお伺いをしたいのですけれども、昨年の暮れからことしにかけて、環境庁の前事務次官の城戸謙次氏、通産省の事務次官の和田敏信氏、中公審大気部会に昨年十二月にお入りになった日本鉄鋼連盟立地公害委員長の徳永久次氏、この三者会談がやられたということが言われています。その会談の中で何がやられたか。NO2の基準緩和の話があって、この三者で文書の取り交わしが行われている。もう一つは、この取引の材料になったのは、NO2の大幅緩和と環境アセスメントだということなんです。徳永久次氏という鉄鋼連盟の立地公害委員長、この方が大気部会の委員になられたのが昨年の十二月三日なんです。この時期というのは、大気部会あるいは中公審で三月二十二日の中公審答申をまとめ上げていくための最も重大な時期であった。そうなってきますと、これはまあいまから考えると、その時期というのは、よく想像がつきます。こうなると、徳永氏の大気部会入り、それから徳永・城戸・和田三者会談、これは非常に接近をしてくるんです。関連してくるんです。 もう一つは、先ほど私がお示ししましたように、橋本局長は昨年の十一月までは、判定条件と指針値を検討して環境基準を動かす必要があるなら中公審にかけるわけですというふうに考えていた。こういうことが変わったというふうに思われる時期と一致するわけです。これは、あんた記憶間違いというか、言い間違いだと言うておっしゃっているけれども、文書として残っているわけですからね。ぴったり一致するんです。こういうことが関連されて考えられると、この事実があるとすれば重大ですよ。事本当に重大ですよ。しかも、元事務次官の城戸謙次氏が、この後、公害防止事業団の理事長のポストにおさまるという、これはこういうことになってくると、ますます疑惑が深まってくるわけです。こういう情報というのがわれわれの耳にまで達するということは、火のないところに煙はないというたとえから、これは大変だと思うのです。 ですから、こういった点について真実はどうなのか、これは長官、ゆゆしい問題だと思いますので、ひとつ真相を明らかにしていただきたいし、特に当時の事務次官の城戸謙次氏がその名が挙がっているわけですから、秘密文書等があるんだったら、これは出していただきたい。
○説明員(橋本道夫君) そういう文書があれば私は当然見るはずですね。私はそういう文書にも全然接したことも聞いたことも全くございません。これは次官もいろんなところの陳情をお聞きになる。どこで、だれに、どういうふうに会われているか、私自身が別に次官の行動を監視しているわけじゃございませんし、次官から一々、会ったからこういう話があるというわけでもございません。そういうことで、私は全くそういうことは関知をしていないということでございます。 それから、徳永さんの加わったのは、新日鉄の社長が亡くなられて、その後にだれが委員になるかということで、空白になっておって、ちょうどその時期になったということでございまして、これでアセスメントと取引したとか、全く私は、そういう点について次官から何らサゼスチョンも、あるいは指示も、何のあれも受けなかったということは、これははっきり申し上げておきます。
○沓脱タケ子君 これは局長が否定をされましても、私どもそれですっかり疑惑が晴れたということにはなりにくい内容でございますので、今後引き続き追及をしていきたいと思っているのです。そういう疑惑というものは、あるんだったら明確にしなければいけない。うわさだけというふうなことなら、これは払拭するために事実関係を明らかにしなきゃいけませんよ。 で、時間がありませんので、余り一つずつゆっくりやっていられないんですが、一つだけどうしてもはっきりしておきたいし、これはいままで何回かの論議の中で私が触れてまいりましたんですが、いまだにはっきりしませんので、納得ができないので、明らかにしておきたいと思いますのは、この答申をいただいた指針値というのは新しい科学的知見だということが、繰り返し繰り返し、科学的、科学的と言われておるわけです。私は三月以来何回かこの問題について御質問も申し上げてきたわけですが、その中で私も、〇・〇二ないし〇・〇三という幅を持って、これは年平均値ですか、出ておりますのは、これは根拠がないではないかという意見を出しておりました。それから、五月十日の本院の参考人質疑の中でも、塚谷参考人から〇・〇三というのは根拠がないという意味の御発言があっております。その点では、これは私は依然としてこの点についての疑問が晴れません。というのは、非常に不思議だなあと思いますのは、指針値が導き出されて、その基礎となった判定条件について、専門委員会の皆さん方が、この実際に作業の取りまとめをやられた宮崎医科大学の常俊教授の疫学データの整理というものについて高く評価されたということを、これは専門委員会の先生方から実は伺っているわけです。で、この常俊教授の影響分科会へ提出された資料ですね、これがありますけれども、これを見ますと、この資料というのは、千葉、岡山、大阪、兵庫、それから六都市の四つの疫学調査を整理分析をしているんですね。この整理分析の中で、単相関の整理を見ますと、こういうふうになっているんですね。NO2濃度は、千葉、大阪、兵庫、それから岡山、これでは年平均値が〇・〇一七PPmから有症率の立ち上がりというのは起こると。それから複合大気汚染健康影響調査、これは〇・〇一六PPmだと。ですから、この両方とも、切り上げて丸めても〇・〇二PPm以下にしかならない。ここが有症率増加の限界だと結論をされているわけですね。だから、この四つの疫学データからどうして〇・〇三PPmというのが出てくるのか、これはもう一わからないわけです。このことは、私、四月の二十六日の本委員会の質疑の中でも、独自に分析をした結論として、質疑の中で提起をしていたんですが、これは一致しているんですよね。こういう点だとか、こういうふうにデータを拝見してみますと、そういうことにしかならない。 だから私は、なるほどなと思ったのは、五月十日の参考人質疑のときにも、鈴木参考人が、鈴木委員長が私の質疑にも答えておっしゃっておられますが、〇・〇二以下という点を、「以下」ということがわかるような表現にしてほしいという、「以下」ということを非常に力説をされたという意味合いというのはここにやっぱりあったということなんですね。あの委員会では、鈴木先生のお話では、六都市の四十九年度分析によると、実は〇・〇三になるんやということで、〇・〇二九になるから丸めて〇・〇三になるんだという御説明が出ております。しかし、あれは四十九年度だけというのは一ちょっとこの辺専門的になりますが、サンプルたった五つですよね。だから、これはそういう点では確度が、いわゆる精度といいますか、そういう点では統計学的に有意ではないことはもう明らかなので、それではなしに、明確に専門委員会の、あるいは影響分科会等できっちり分析をされている資料から見たら、どない見たって〇・〇三という数値は出てこない。そういう点が私どもどうしても理解ができないんですが、これが恐らく〇・〇二プラス〇・〇三というふうに幅を持たせてきたという点については、これはいろいろ問題があるという点がすでに指摘されつつあるわけですが、この辺は一体どうなんですか。科学的科学的とおっしゃるんなら、はっきりだれが見てもわかる、まさに非常な科学的数値が取り上げられていてこそ、科学的というふうに私どもの常識では思うわけです。そういう科学の常識で考えられないような数値が、とにかく答申をされたんだからこれが正しいんや、大事なんやと、これをもとにいたしましてと、こういうふうに言われますと、科学科学という言葉だけが一人歩きをいたしまして、まさに幻のような気がするんですよ。その点はっきりしておきたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) 最初に、先ほどちょっと御指摘がございました城戸次官等についての、何か文書での申し合わせというようなお話しがありましたけれども、役所の慣例で、私が知らないうちにそういうものが行われるはずもないと思います。私の知っている限りにおいては、そういうものは全く存在しておりません。このことをお答え申しまして、自余の科学的部面については局長から答弁させます。
○説明員(橋本道夫君) これは、先生の御質問があって、大臣が慎重に検討をするというお話しで、私もこの点は非常に詳しく調べてみました。この問題は、疫学のデータで常俊先生のおやりになったやつでいきますと、一つは関連性が認められる、正の相関があるということは確かであります。それからもう一つは、どの辺で有意の差があらわれてくるかというところは、大体〇・〇一六とか〇・〇一七あるいは〇・〇二〇というところ、これはもう事実でございます。それからもう一つは、しかし有症率にはプラスマイナス〇・五%ぐらいの誤差があるというところの問題がもう一つこれに絡んでくるという問題があります。そういうものを入れて〇・〇三ということをこれは考えられたというぐあいに聞いております。 また、もう一つ別の問題——またほかにございますから、もうちょっとお待ちください一もう一つは、この間塚谷先生がやはり解析された中にも臨界濃度というのをおやりになっておられて、それはやっぱり幅を持って出しておられまして、その中にやっぱり〇・〇二八から〇・〇一七、〇・〇二〇、〇・〇三〇、〇・〇二九とか、いろんなそういう数字がございます。少なくともその辺の数字で動くということは、疫学から見ると言えるのではないかということであります。その時点では、この濃度が上がれば患者が増加——まず相関ということは事実でございますけれども、濃度が上がれば患者が上がるんじゃないかという議論になっておったようでございます。ただ、この場合に大事なことは、別にこれはNO2と有症率だけをこう対にして議論していまして、ほかに、ばいじんもSOxもみんなあるということで、ほかの汚染物質の関連を整理されてやられたデータではないということは事実であります。それに対して、これは疫学の観点からどういうぐあいにそういうデータを今度は見て使うかという議論がこれはもうあるわけです。片方は実際の疫学からやっています。疫学の方のデータからの議論でいきますと、一つは関連性があるというのはいいと、これはもう言えるということでございます。これは認められます。けれども、問題は、その関連性というのがこれは因果関係とは必ずしもなってないと。やはり複合汚染の中で、しかもNO2とかほかの暴露もある中で、どの程度外気のNO2のコンツリビューションがあるかというのはそれは言えないんじゃないかと。アメリカの疫学はそれで議論しております。だから決定的ではないという議論をしております。その議論を抜きにして、もしも日本がやっていたら、日本のやり方は非常にラフだという批判を受けることはこれは明白であります。 そういうことで、疫学の面からともう一つは、有症率でやっておりますのは、BMRCのやつでやっております。ところが、日本のBMRCのやり方では、医師が必ず面接をして、せきやたんまで全部自分で確認をしながらやられたBMRCの調査というのは比較的少ないわけでございます。質問票を配る、あるいは保健婦がこう、すっすっと聞いていくという形のBMRCが多い。ですから、そういう意味で、非常な厳しい議論をすると、それが取り上げられるかどうかということがありますが、これはやっぱり一つの手がかりとして採用することができるということで日本は捨ててないわけです。捨ててないわけですが、そのような点の問題の弱さがあるということは、これは間違いございません。 それから、もう一つの問題は、これは全部断面調査でございます。断面調査でございまして、一定の人口集団がNO2のいろんな濃度の変化に暴露されて、そのときに有症率がどう変わったかというのではございません。これが実は非常に弱いところでございます。これが非常な弱いところでございまして、そのようにNO2がふえれば有症率がふえ、濃度が下がれば下がるという、いわゆる一つの集団を追いながら、汚染を追いながら調べたというデータではない。これは国際的な場に出ると、もう一挙にがちゃんとやられます。ですから、そこに弱味がある。そういう意味で、この疫学的なデータを関連性として見るのはいい。これはしかしあくまでも定性的だと。そこで、このNO2と有症率を統計的な処理をしただけの一つの見当ではあるが、それをそのままの形で使うということには問題があるというのは、これは疫学として全くもっともな議論でございまして、アメリカのナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスが昨年出したレポートの中にも、そういう節が非常にあるわけでございます。 それから、もう一つの問題は、これは鈴木先生がこの間参考人のときに言われました。全体の指針として幅を設けるときに、BMRCのあの調査が非常に基盤になっていることは事実でございますが、それでは従来BMRCの有症率だけで基準を決めておるかというと、これは基準を決めておりません。これは、死亡率から、有病率から、発生率から、増悪率から、あるいは機能低下率まで、全部含めて総合判断をしております。ところが、NO2につきましては、これは幸い、ある意味では幸いにして、しかし学問的には残念ながら、死亡と、増悪と、病気が発生すると、機能低下のデータがいまの濃度の場所ではないわけです。六都市五年でもNO2との関連では機能低下は起きません。そういうような形になりまして、そうすると、唯一の手がかりというのは、一つよ……
○沓脱タケ子君 簡単に、時間ないから。
○説明員(橋本道夫君) 子供の肺胞の多くのが、生理的な肺に変動が起こるというのは年平均〇・〇四でございます。その数字を鈴木先生はちょっと触れております。そういうものがある。それから、アメリカのやはり昨年出したレポートの中に、年平均〇・〇五三でコンクルーシブに出ないという詳細なやつがございます。そういうものを全体を合わせて先ほどの臨界濃度をずっと積んでいった場合の計算、それからエラーがあるということの問題、それから臨界濃度そのものに幅があるということの問題、それから、疫学としては、関連性としてとるが因果関係としてはとりにくい、弱さがあるという問題、それからいま申し上げましたアメリカのその〇・〇五で差が出ない。日本の自動車沿道調査では……
○沓脱タケ子君 ちょっと簡潔に頼みますね。時間がない。
○説明員(橋本道夫君) 〇・〇五でも判定できないということを全部合わせると、〇・〇四でとればいいのだが、それではちょっと厳し過ぎる。そこで〇・〇三にしたということでございまして、これが医学的生物学的な総合判断だということでございます。これならば国際的な議論をしても、この議論は十分たえ得るというぐあいに私どもは考えております。
○沓脱タケ子君 これは、私、ちょっと反論もしたいんですけれどもね、実は、持ち時間がもう過ぎているんですね。だから、なかなか詳しく申し上げられませんけれども、しかしいまでも、現在の未公開の資料の中でも、たとえばSO2もあるいは浮遊粉じん、浮遊粒子状物質ですか、それが環境基準以下という、あるいは環境基準程度という段階で、NO2がどのくらいの濃度レベルで有症率が上がってくるかというこれは報告書が出ているでしょう。これによると、年平均値〇・〇一四から〇・〇二二ppm以上ということになってきているわけですね。私は、総括的という御判断あるいは御意見というものを前提にしていろんなことをおっしゃるのだけどね、お使いになっておられる四つの疫学調査を、いわゆる科学的に専門委員会で解析をされているデータ等は、これは私ども全部知っているわけじゃないですから、四月の段階は私ども独自にやってみていたわけですが、しかし、その後常俊教授を中心におやりになったという分析等を拝見しても、そういう、いま局長がおっしゃっておるようなふうに全く理解はできないわけです。いわゆる科学として理解ができない。そういうことになってきますと、その〇・〇三ということが本当に、科学科学と振り回されるけれども、科学的な論証にたえ得るのかどうかというのは私どもがいままで知り得た論議の中ではこれは了解できないわけですよ。 そこで、私非常に問題だと思いますのはね、それは確かにいろんな意見の方がおられるわけですね。専門委員会の中では、〇・〇五と主張する方もおる、〇・〇四と主張する方もおると。それを非常に強く主張されるという方々がたまたま、いろいろと問題になっておる公害企業からいわゆる研究費等をもらっていた人が、たまたまそういうふうに発言をしているということが問題になっているわけですね。こういうことが問題になってまいりますと、これはやっぱり専門委員会での議事要旨だとか論議の内容だとか、会議録だとかというもの、あるいは提出された資料一切拝見しなかったら、局長のすらすらと言う御答弁だけ伺っていても、了解しにくいわけですよ。 その点で、委員長、これだけ問題になっておるわけですから、ひとつ関係資料ですね、会議録あるいは提出されたデータ、解析された結果、資料だとか報告書だとか、そういったものを一切御提出をいただきたいと思うんです。といいますのは、残念なことに、自動車排ガス五十一年規制のときの専門委員会では、あれはいわゆる加害企業のずばりそのものが専門委員に入っておったということで大問題になったわけですけれども、今回も、姿は違うけれども、そういう加害企業から研究費をもらっておられるという方々、そういう方々がこれは残念なことに専門委員になっておられる。少なくともこれほど厳しい、公害対策上きわめて重大な基本問題を論議する場合には、これは私、研究費をもらっているからどういう仕事をしているかというのは十分承知しませんけれども、少なくとも、その加害企業とは独立した存在での方々によって審議をされるという専門委員会なりあるいは中公審の構成なりというものが、もう国民からきわめて強く要望されているところなんです。五十一年規制のときの問題以後、そういった点については強い国民の要求になっているわけですが、そういう点では非常に残念な事態が幾つか出てきております。 きのうも問題になりましたが、鉄鋼連盟が直接買収にまでいっているという点での確度の高い情報まで実は私ども伺っておりますが、そういうことになってきますと、いま国民の健康を守っていくのか、あるいはそういった鉄鋼、自動車等の加害企業の要望に従うのか、こういうスタイルで国民は注目をしているわけです。その点が、そういった点がないということをずうっと解明しておられるんだから、少なくとも国民の前にこの疑問を、疑点を解く責任が環境庁にあると思いますよ。そういう点では、関係資料は一切当委員会に出していただきたいと思いますし、問題にあげつらわれております慶応大学の外山医学部教授、それから香川東海大医学部助教授、それから柳沢三郎慶応大学工学部教授、それから群馬大の医学部和田教授、この四人の方を参考人としてぜひ御出席をお願いを申し上げたい。これは先刻矢田部委員からも御要望がありましたが、私どももその点については非常に大きな疑問を持っておりますので、ぜひそのことはお願いしたいということを委員長に申し上げます。 最後に、環境庁長官にお伺いをいたしますが、先ほどからずっと審議の過程を伺っておりまして思うのですけれども、国民の健康はないがしろにしませんということを盛んにおっしゃる。環境基準は変えるけれども国民の健康はないがしろにいたしません、対策は強めるんですと、こうおっしゃるんですね。いまこれは、SO2が非常に環境基準以下あるいは環境基準そこそこというところまで改善をされている中で、いまなお公害患者がふえておる。あるいは、認定患者は六万四千数百人かもしれませんが、その底辺には数十万に及ぶ被害者がおる。そういう問題が片方にはあり、もう一つは、これは橋本局長がおっしゃったんですけれども、いわゆる幹線道路の沿線では〇・〇四しかどうしてもできないんだという問題があるから環境基準を変えるんだと。一つも変える論拠にならぬわけですよ。それは、自動車の排ガス規制が〇・〇四ppmまでしかできないから、何とかしてこれを緩和させたいんだということになるなら、国民の健康のためじゃないじゃないですか。自動車の排ガス規制に合わせるというやり方にしかならない。 もう一つは、裁判等に基準値が使われる、これが問題だから変えるんだと、これだったら大問題ですよ、そんなことをおっしゃるなら。そういう裁判の基準値に使われるから問題だと、あるいは沿道が〇・〇四ppmしか下げられる見通しが立たないから、とても無理だから、それで環境基準を緩和するんだというようなところに焦点を定められてこういう作業が進められているとしたら、これは被害者を含め、関心を持っている国民の多くの皆さん方は断じて許せませんよ、こういうことは。その点は国民の疑問を解く努力をしていただきたいと同時に、これは多くの国民、あるいは本委員会でも強い要求がございますから、これは、早急に環境基準を緩和するというようなことを強行するなどということはやめてもらいたい。その点について最後に長官の御見解を伺って、おくれましたが、終わります。
○説明員(橋本道夫君) 長官のおっしゃる前に、いま沓脱先生のおっしゃったことで一言だけ申し上げておきます。 〇・〇五とか〇・〇四という数字は、やはり学問論議としてこれはあるわけでございまして、決してへんちくりんな数字を言っているわけではないわけでございます。そういう点で、あるいは業界筋だからこういうことを言ったとおっしゃることはひとつ、これは議論としては自由でございますけれども、そのような意味で出てきている数字ではないということが一点。 それから、沿道でできないから〇・〇四にしたとか、そういう意味でございません。〇・〇四とか〇・〇六とかいうのは、あの指針値から割り出されてきた数であります。片方は沿道にそういう問題があるということでございまして、健康の保護を、沿道でできないからそこまで緩めようかということでやったものでは全くないということだけを申し上げておきます。
○国務大臣(山田久就君) ただいま沓脱委員からいろいろ御意見を拝聴いたしました。私どもは、健康はあくまでこれを守るという立場でいっていることは繰り返し申し上げているとおりでございまして、したがって、規制すべきものは規制を行っていくんだ、その規制と環境基準というものは、関連がないことはないけれども、環境基準が仮に緩まったら規制が変わる、そんなことは、緩むというようなことでは全くないということは御理解いただきたいと思います。要は、根本は、答申というもの——いろいろ意見もございましょう。しかしながら、この答申という形で行われているものをわれわれは尊重してやっていくということでございまして、先ほどいろいろお話しがございました、いろんな点にいろんな意見があるんで、それで考えるなんということはございません。この点だけを重ねて申し上げまして、お答えとさしていただきます。
○委員長(田中寿美子君) 沓脱委員の御要求の、資料提出のこと並びに参考人を呼ぶ問題後で、理事会で協議したいと思います。
○柳澤錬造君 最初に、自動車の排出ガス規制の問題、橋本局長の方に質問してまいります。 日本の場合は、これかなり進んでいると思うんです。五十三年規制、乗用車でやられているんだけれども、規制が行われない昭和四十六年当時から見れば、恐らく十分の一ぐらいになっている。現在のこの五十三年規制で行われているのは、主要な世界の先進国の中でどの程度の水準にいるのかということをまず第一にお聞きしたい。
○説明員(橋本道夫君) いま先生の御質問のございました、世界的な水準でございますが、日本の水準は、最も高い排気ガスの規制水準を乗用車について保っているということでございます。ほかの国を抜いております。
○柳澤錬造君 じゃ、輸入車はどうしているかですね。国産車と同じように五十三年規制が適用になっているのかどうか、そこのところ。
○説明員(橋本道夫君) 輸入車につきましては、五十三年度規制は、EC代表団と協議の上、関係閣僚会議におきまして、三年間の猶予を行うということにいたしました。また、バス、トラックの五十四年規制につきましては、二年間の猶予を設けるということにいたしております。そういうことで、五十六年四月から規制が輸入車に対しては適用される。それまでは、現在までの五十一年規制の条件に入っている、こういうことでございます。
○柳澤錬造君 国産車と輸入車と、そういう区別をしたということはどういうことなのか、具体的にその理由を聞かしてください。
○説明員(橋本道夫君) これは、輸入車も当然国産車と一緒にすべきであるということでございまして、これはECと話し合いをいたしますときに、初め向こうは外してくれと。それはだめだと、治外法権じゃない。それから、向こうは、今度はリードタイムをくれということでしたが、われわれの技術上から見れば、リードタイムは二年で十分だということになりまして、しかしそれがなかなかむずかしいということで、リードタイムではなしにグレースタイムといいますか、お情けタイムということなら、これは少し政治的な議論にはなるだろうということになりまして、特にヨーロッパの諸国の政治経済情勢では、なかなか日本ほど集中的に金を突っ込んで技術開発ができないということもあって、そういうことで最終的に三年の猶予ということになったわけでございます。適用除外では全くございません。
○柳澤錬造君 まだ納得いかないんですけれども、そこはまあ後で時間があれば少し突っ込みますけれども、バスやトラックは五十四年規制がやられるはずだと思うんですけれども、その方は現在どういう進みぐあいなんですか。
○説明員(橋本道夫君) バス、トラック、ディーゼル等につきまして、長期目標の第二段階の規制を五十四年度規制といたしまして、本年一月、この答申を踏まえまして告示をしたところでございます。そういうことで、これは五十四年からこの規制が実施されるということでございます。で、これは、今回のNOxの方は比較的容易な形でございまして、騒音の規制と両方一緒にいたしまして、騒音の規制の方は厳しゅうございます。それができるようになったので、それに合わしてできる範囲でNOxの規制ということをいたしました。そういうことで、第二段階の規制は、五十年代でできるだけ早くということになっておりますので、これは五十四年規制車ができてきますと、その後、技術開発状況を専門家で定期的に調査点検をいたしまして、これを公表いたしまして技術促進を図りたいというところでございます。
○柳澤錬造君 これは長官の方にお聞きしておきますけれども、五十三年規制は、いま局長のお話しでは世界一だと。それが現実にいま適用されておる。むしろ輸入車の方がそれに対応して適用できない状態だから、二年間なり三年間猶予しているということなんです。日本の場合には、このままでもまだとまらないと思うのですけれども、この自動車の排気ガスの規制というものが今後どういうふうになっていくのか、現在時点での将来展望というものについて、環境庁のお考えになっていることを、これは長官からお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) 外国車という問題につきましては、先ほど局長が申し上げましたが、いろいろ対外関係上日本に対する輸入規制問題と関連いたしまして、グレースの期間を与えた。ただし、数も非常に少ないというようなことで、健康上の問題というようなことも留意しながら猶予期間を設けたのでございます。 五十三年度規制につきましては、五十四年から一般的に実施していく。それから後の中間目標については、局長から話がございましたが、さらに長期目標という点についてはこの上とも技術方面のバックアップ、これを続けて五十年代には究極の目標に達するということで、ひとつ大いに努力してまいりたい。これが今日の私どもの立場でございます。
○柳澤錬造君 私が聞いているのは、乗用車は五十三年規制をやりました。それから今度バス、トラックは若干おくれて、いま五十四年規制にこれから入っていきますと。それはそうしてもらわなければ困るのです。その次の段階がどうなるんですか。少なくとも先ほどのお話のように、局長のお話だと、いまの日本の乗用車規制はもう世界一だというわけです。そうして、いま国際的にながめても世界一のレベルにおるんだから、そうもうこれ以上といってもなかなか大変なことなんだから、わかりやすく言えば、多少足踏みしておってもまだいいんだとか、いやそうじゃないんだ、まだまだやるんだとか、これから先の将来についてどういうお考え、御判断を持っているのか。
○国務大臣(山田久就君) 実は、先ほど、遅くとも五十年代末ということを申し上げましたが、乗用車については、先ほど申し上げましたように、世界で第一ということでいっておりますので、これ以上特に強化ということを考えておりません。バス、トラック、ディーゼルと大型のやつについては、技術上なかなかむずかしい点がございます。にもかかわらず、ひとつ五十年代には目標達成というところに努力してまいりたいという方針で臨んでまいろうといたしております。
○柳澤錬造君 じゃ次に、二番目の問題は本四架橋の問題。 本州・四国連絡橋の児島−坂出ルートの問題なんですが、自然環境保全審議会自然公園部会でこの答申が出た。環境庁でもってあれの諮問をしたのはいつなんですか。
○説明員(金子太郎君) ことしの五月十九日でございます。
○柳澤錬造君 若干これは無理な点があると思うんですね。というのは、環境庁ができたのは昭和四十六年の七月一日です。環境庁ができたときは、もう本四公団の方が先に設立をされて動いておった。ですから、そういう点からいささか無理な聞き方すると思うんですけれども、工事実施計画の認可というものがおりたのが四十八年の十月二十六日。そうすると、その時点で、先ほどの諮問をする必要のあることは諮問をしておくべきだった。いまごろになってこういう形で諮問をしたということはどういう意味を持つのか、その理由は何だったのかということをお聞きしたいんです。
○説明員(金子太郎君) 本四架橋の工事実施計画につきましては、自然環境保全法、法律上は工事実施計画の段階で協議をいただくことになっておりません。しかしながら、建設省と内々相談いたしまして、四十八年の九月に内々の協議をいただきまして、こちらの方でも審議会に御審議いただいて異存のない旨の回答をいたしております。 それで、いまごろ協議が来たのはなぜか、こういうことでございますが、御承知のとおり、私どもの方で協議をいただくのは、工事の設計ができ上がって、どこに家を建てるとか、どこに橋をかけるというようなことが具体的に決まってまいりませんと、いいとか悪いとかいうことが言えないという、いわば法律上の仕組みになっておりますので、実施設計ができ上がった段階で協議をいただく。なお、こういう問題につきましてはアセスメントをやることに近年なっておりますので、アセスメントを一応終えた段階で協議をいただくと、こういうような運びに政府の部内でいたしておりますので、そういうことで、ことしの五月にアセスメントが終え、また実施設計が相当程度固まった段階で御協議をいただいた、こういう次第でございます。
○柳澤錬造君 それじゃ局長、これ私は何も読み上げなくたって答申は御存じなんだけれども、私はこの答申を読んで非常にひっかかるのは、ここの文句なんです。ちょっとその前後を入れて読んでみるんですけれども、 この架橋計画は、瀬戸内海国立公園における多島海景観の核心部を貫通する計画であって、しかも、このルートに点在する島々は比較的小さく、反対に架橋計画は、巨大な構築物の連続であり、繊細優美は景観を著しく損うことになる。 一方、この計画は、四国、中国地方等広域の社会経済的発展を図るという観点から重要なものであり、地域住民の強い要望もあって、既に国家的事業として位置づけられている実情にあることも否定できない。 本小委員会は、以上の観点から慎重に審議してきたが、専ら自然景観を保全するという立場からは、本計画を容認しがたいという強い意見がある。しかしながら、上述した事情を考えればこれを否定することは現実的な解答にはならない。 したがって、自然環境の保全のため、別紙のような事項に十分配慮することを条件として処理することもやむを得ないというのが、本小委員会の見解である。 これはもういただいてる方ですから、お読みになっていると思うんです。 こういう答申を受け取ってどうお考えになっているか。私に言わせるならば、いまごろこんなものを持ってきて諮問したって意味ないではないかという、当てつけといっちゃいかぬけれども、そういうふうな結果が出ているものをいまごろ何をやっているんだという、そういうふうな書き方ですね。ですから、私から言わせれば、本当を言えば、本四連絡橋問題の小委員会の委員長でも来てお答えしてもらえば一番いいんですけれども、別に事が大げさにするという気はないので、その辺のところをそちらの方の受けとめ方でお聞きしたいです。
○説明員(金子太郎君) この児島−坂出ルートは、当面早期完成を図るルートといたしまして、いわゆる一ルートだけ当面早期完成を図る、こういうことで、昨年の十一月に第三次全国総合開発計画、いわゆる三全総が決まりましたときに、三全総の中で決定された、こういうものでございます。したがいまして、全国総合開発計画という、もちろん閣議決定事項でございますが、このような計画で骨組みが決まったわけでございまして、いまの法律の仕組みで言えば、建設省からの、公団からの正式の協議の時期がかなり遅くなり、また審議会に御審議いただくのは後の方の段階になる、こういう点はいまのたてまえでいけばやむを得ないということでございますが、これでいいとは私ども必ずしも考えておりません。本件について、計画段階でどういうふうに対応していったらいいかということは、今後私どもに与えられております課題と心得まして、関係方面ともよく検討してまいりたいと思っております。
○柳澤錬造君 じゃ、これも長官の方にお聞きします。 最終的に工事にかかることについては、これは建設省がお決めになることなんですから、環境庁長官にといってもむちゃなことですけれども、非常に環境庁の方の役割りが重要な役割りを占めているのですから、環境庁長官としてどの辺で自分たちの方としてもオーケーをし、この工事が着工になっていくというふうな見通しをお持ちなのか、環境庁の立場からの見解というものも長官からお聞きしたいんです。
○国務大臣(山田久就君) 私どもといたしましては、いろいろ御疑念がございましょうが、この答申を尊重して、これに付せられた条件、これが一般に守られていくように、それらの点について十分さらにわれわれの注文もつけまして、それでひとつ意見を、回答を出してまいりたいと、こう思っております。
○柳澤錬造君 いつごろになるか、時期的なめどをお聞きしたいことと、それからもう一つは、これもあとまだ二つルートが残っているわけですね。あっちの本四架橋は、神戸−鳴門ルートと尾道−今治ルート、これもそのうちに着工するようになっていくと思うんです。ですから、こちらの場合には、私は、環境庁の側でも、今回のように、言うなら後手後手にならないで、積極的に進んで見解を述べることは述べる、こういうことはこうきちんと守ってくれということは言う、そういう形をしてスムーズに進めるようにやっていただきたいし、そういう今後の、あと残された二つのルートについて、その点についての長官の御見解をお聞きしたいんです。
○説明員(金子太郎君) 長官がお答えになります前に一言私の方からお答えさせていただきたいと思いますが、いつごろ着工するかは私どもから言えないことかと思いますが、それにつけても、私どもは公団にいつ回答するかということで着工の時期というのは制約されてくるんだろうと思いますが、実は、本四連絡橋につきましては、船員さんの問題ですね、橋がかかった後で、いま現に走っているフェリー、それからそのフェリーで働いている船員さんの雇用の問題がどうなるかという大きな問題が残されておりまして、その点について決着を見るまで、まだ若干の時間がかかるように聞いております。 一方、私どもの方は、審議会から付されておりますいろいろな条件、特にその中で、周囲の景観を損なわれた部分はできるだけ修復しなければいけないし、本四架橋ができ上がることに伴ってマイカーなどがふえるとすれば、それに対応する事業もやらなければいけない。その他本四架橋ができ上がることによって、あの地区の地価が上がったり、いろいろして、乱開発的なことが起きないような措置を考えるとか、そういうふうないろいろな条件をいま建設省との間で事務的に相談しておりますので、船員さんなどの関係で相当程度の時間がかかるということであれば、その間に事務的に十分意見を詰めてまいりたい、こういうふうなことを考えております。
○柳澤錬造君 そういうことはわかって聞いているんで、そういう前提に立って、現在時点で、それからさっきから私が言っているように、本来は最終的な判断を下して指示するのは建設省なんですが、だから、その建設省のような答えを聞こうとしているんじゃないんです。環境庁の役割りというのは非常に重要なんだし、だから逆の言い方をすれば、環境庁がこの点について疑問があると言ったら——何もこれ本四架橋に限らないんですよ。そうしたら、少なくとも環境庁がこういう問題はおれたちがうんと言うまでは一切手をつけちゃ困るんだということぐらいの、そのぐらいの権限を持ってほしいんです。そのかわり、皆さん方がこの点についてはよろしいんだということになれば、それですぐ着工ができるとか、そういうように、もうちょっと権威を持って物事の判断をしてやっていただかなければいけないし、そういう気持ちで私は聞いているんであって、そういう点から皆さん方がお考えになって、いつごろになれば実際問題、いろいろいま残っている船員の問題なんか解決がしてスタートするようなことになるのかという御判断を持っているかというんです。
○説明員(金子太郎君) 着工は、私どもの正式の回答がない間は、建設省及び公団の方でもなさらない、これは間違いないと思っております。 それから、時期については、何分私ども折衝の当事者でございまして、相手もあることでございますので、いつまでに折衝を終えるということを申し上げることは非常につらいことでもございますので、御勘弁いただきたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) われわれとして、環境保全という重要な任務を持っております。したがいまして、先ほど申し上げましたように、付帯されておる条件、これをもとにいたしまして、十分この環境保全について、強く要請する点はこれを要請していくという方針のもとに、いま詰めております。そういうところで、答申の趣旨を十分生かせるようにということでございまするので、まあ一般的にはこれをなるべく早くという要請はあろうかと思いまするけれども、この作業について、これならというところで回答いたしたいということでやっておりまするので、ひとつ御理解いただきたいと思います。
○柳澤錬造君 まだあれだけど、いいですわ。 三番目に、水俣病の問題についてお聞きしてまいります。 これは、午前中に広田先生の方から取り上げられておりましたし、また、午後も小平先生の方でいろいろ取り上げておりましたので、ダブらないようにしてこちらの方でもお聞きしてまいりますから、お答えをいただきたいと思うんです。 水俣病の認定業務がどういうぐあいでいま進んでいるのかという、粗筋のところでいいですから、そこのところをまずお答えいただきたい。
○説明員(山本宜正君) 御承知のように、水俣病といたしまして、現在地域指定をしてこの業務をいたしておりますのは、鹿児島県、それから熊本県、それから新潟県、新潟市、四地区でございますが、特に今日問題になっておりますのは、水俣病に関係いたしますところでございますので、熊本県におきましては、現在までのところ——この五月末現在でございますが、認定申請件数が六千四百七十一件。そのうち申請後取り下げた人が四十七件含まれております。その中でいまだ処理が、すなわち認定業務の処理が行き届いてない件数が四千九百十三件。そのうち保留になっているものが千百六十八件となっております。鹿児島県におきましては、同様五月末現在、認定申請件数が千二百三十四件。取り下げがそのうち十三件ございまして、未処理件数が七百二件、うち保留二百七十七件、こういう状況になっておるわけでございます。
○柳澤錬造君 きょう午前も出ましたんだけれども、次官通達の問題で、長官のお答えやいろいろ皆さん方のお答えで、四十六年のときの次官通達とは変わっちゃいないんだと、特に長官の方からは誤解のないようにしろということで、三項目の点まで触れてお話しがあったんです。しかし、結果的には誤解が起きたんですけれども、もう一回、長官がさっきも三項目お話しになったのも、私も聞いていますからいいですから、何でいまここへ来てああいう次官通達を出されたのかという、その真意は何かということをお聞きしたい。
○説明員(山本宜正君) 今回事務次官通知を出しました趣旨といたしましては、昭和四十六年当時、旧法によります時代でございますが、事務次官通知を出しまして、水俣病の認定の要件というようなことにつきましての通達を出したわけでございまして、その後いろいろな機会をとらえまして、あるいは課長通知、あるいは部長通知、あるいは国会の答弁というような中で、水俣病の範囲に関する基本的な考え方について述べてきたわけでございまして、しかしながら、いろいろな意味で誤解もございますので、この際全体を再確認する意味で統合整理したわけでございます。 内容といたしまして、昨年の七月以降の経験を踏まえまして、昨年の七月環境保健部長名で出しました「後天性水俣病の判断条件について」というようなものがございますが、これを事務次官通知という形に格上げをした。当時部長名で、「参考とされたい」としておりましたが、今後はこれにのっとられたい、それから、「処分にあたって留意すべき事項」というようなこと、これは、審査会の答申がなされた後、知事として処分に当たってどのようなことを留意すべきかということにつきましての、再度明確にするというような内容を持っておるわけでございます。
○柳澤錬造君 それは午前聞いたこと。ダブったことは聞かぬと言っているのですから、なるべく能率的に。 むしろ、先ほども現状をお聞きしたときに、熊本県でも未処理が四千九百十三件もある。そのうちの保留が千百六十八件だというのですから、三千八百件というのは全然ほったらかされているわけでしょう。そういうことについて、あるいはこの通達が役に立つならば、こういう役に立つというのですか、促進されるとかというならば話が別なんです。もうきょうもずっと私の番が来るまで、先生方の中で、従来とは少しも考え方は変わりありません、誤解の起きないようにといってやったのですと言っているのですけれども、従来にも増した誤解がいまここで起きちゃったわけです。そこのところは長官どうお考えになりますか。こういう考え方でやったということは、もっと何か真意があるわけでしょう。従来と変わりがないものをやる必要がないのですから。そこのところを、何でそういうことをしなくちゃいけなかったかというポイントを。
○国務大臣(山田久就君) 一つは、誤解があるために実際の審査において支障が起きていた。これは、現地とのいろんな話し合いで、そういう点をはっきりする方が物を促進していくのに役立つということで、そういういろんな意見に基づいてそのことを整理したということでございます。 それから、例の、参考にしてとなっているのを格上げしてはっきりするということによって、認定というものを速やかにやれということに非常に役立つという考え方によってそういうことにした。同じことを繰り返すようですけれども、そういうことによってそれは促進されるという点を考慮に入れて、いままでの現地の意見や実際の意見をしんしゃくして、それじゃこういうものをもう一遍整理してやる、あるいは明らかにすればその促進に役立つということで、次官通牒というものでその点をやったというわけでございます。 一方、これは、例の議員立法というような形は、それについてのわれわれのいろいろな調査も進めておりまするけれども、とにかく二つに分けて、いま抱えているやつを少しでも、審査に役立つようにということで対応しようということの努力のあらわれの一つのものとして、このことに対応しようという、そういう見解でございます。
○柳澤錬造君 じゃ、もう一度違った角度からお聞きするのだけれども、これは七月四日の朝日新聞の記事です。「水俣病、死亡者の認定」「新資料なければ棄却に」「環境庁熊本県などに新通知」と。それで、この中の問題になる点は、あれこれ省きまして、「新通知では「認定申請後、検診が未了のうちに死亡し、剖検も実施されなかった事例等所要の検診資料が得られず、今後も新たな資料が得られる見込みがたたない場合」は棄却することを求めている。表現こそ要綱とは変わって「いつまでも申請者を法的に不安定な状態におき、行政庁に対する不服申し立ての道をとざすがごときことのないよう所要の処分を行うこと」と理由づけを加えているが、結局は「わからない」ものをほうっておかず、どしどし棄却せよ、と県側に処分を促した形だ。」というのです。きょうの朝からのいろいろの皆さん方の答弁から言うと、この朝日新聞の記事は間違いだということになるはずなんですけれども、間違いだとおっしゃるのですか、どうですか。そこのところをお聞きしたいのです。
○説明員(山本宜正君) 若干その報道につきましては、舌足らずの点があるんではないかと私思うわけでございまして、認定を促進するということの問題につきまして、県といろいろ事情を分析してみました。その中で、やはり一番問題になりますのは、答申が保留になるというケースがかなり多いということでございます。ただ、この保留になる中にも、資料がその後追加できて判断ができるというようなものもあります。これは、その資料を集めるということあるいは資料をつくるということについての促進方を図るということでいくわけでございますが、特に熊本県の場合六十六例でございますが、現在までのところ。申請後死亡いたしまして、検診のデータが不足しておる、あるいはいろいろなそのほかのデータを集めてみましてもどうにも判断ができないという人を保留にしておきますと、これはその人はどちらの処分も受けないわけでございますので、いわゆる法的に不安定な状態になるわけでございます。それで、その中からデータを精力的に集めて、認定できるものは当然認定していただきたいと思っておりますが、そういったことをしてもなおかつ水俣病というものの認定要件に合致しないものをそのまま不安定な状態に置くということではなしに、それは棄却という処分をするならば、その次には行政不服審査という道が開かれるわけでございます。それを答申保留のままにしておきますと、そういった行政不服審査の道あるいはそのほかの道が閉ざされるというところに、いわゆる宙ぶらりんになっている問題点があるというので、これを4の(2)で明記したわけでございますが、そのほかにも資料を広く集め速やかに認定するというようなこともあわせて考え、かつその他の県のその業務に対する裏打ちも別途考えてみたい、かように考えておるわけでございます。
○柳澤錬造君 舌足らずだという一言でもって、私が一番聞いている肝心なことにお答えになっていないんだけれど、朝日新聞に訂正を求めるんですか。いまおっしゃったことと、この新聞で報じていたのは全く違うんですよ。これは何だかんだと言ったって、現地の人たちはこういう新聞報道を読むんですから。そうすると、ああ環境庁そういう考え方になったんかなあということになってしまって、それは大変なことになってしまうからです。それだから、きょうも出てきて交渉なさっているはずなんであります。ですから、そういう点で舌足らずだと言うならば、環境庁の方で朝日新聞に行って、おまえたち書いたのはおれたちが考えたのとは舌足らずだから、これこれしかじか訂正せいと言っていただきたい。 それからもう一つは、保留になった人たちをそのままで置いといては云々といっても、それも何回も言われているんですよ。しかも、もっと大事なことは、先ほど言いましたけれども、未処理が四千九百十三件で——これは熊本県だけですよ、保留がそのうちの千百六十八件という、言うならば三千七、八百件という人たちはまだ審査の対象にもさせられてないでほったらかされているわけでしょう。これ何年かかるんですか、この人たちは。その何年もかかるのを、とてもじゃないけれども、そんなことをしておったんではこの人たちに申しわけないから、ピッチを上げて、そうしてこういう方法でやることによって審査の促進をさせる、一年以内に全部審査を終わらせる、そのためにこういう方法をとるという、そういうことを環境庁はお考えになって通達を出されるなり指示なさるならば話がわかるわけです。そうじゃないところに問題があるのであって、その点でお答えをいただきたい。
○説明員(山本宜正君) この通達の中で特にそのことをうたっておりませんけれど、現在県と相談をした中で、一つの問題点は、昨年の十月から検診件数を熊本県におきまして月間百五十件、審査件数を百二十件とふやしたわけでございますが、これにつきましては、検診業務等につきまして、物理的に人的の資源あるいは物的な要件というところで不備がございますので、五十三年度の予算におきまして、県におきまして現在検診センターというのが水俣の市民病院の敷地内にございます。これにつきまして、国の方で約一億五千万の補助金を出しまして、この検診センターの拡大とでもいいますか、建て増しをする予算措置を別途しております。それに関連いたしまして、内部の医療器械等の整備の補助金も用意しております。また、人的資源につきましても、検診医員をふやすという方向での予算措置等もいたしておりまして、この通知に出ておりませんが、そういったことを別途用意をしておりまして、それによって検診業務が促進するということもあわせて考えております。
○柳澤錬造君 いま小平先生から指摘されて、長官、長官は、あれですか、朝日新聞の報道のとおりだとお答えになったんですか。ということになると、これはまた大変なことになっちゃう。その点。
○小平芳平君 関連、一言。 朝日新聞どおりという表現はしませんでしたけれども、私が繰り返し繰り返しお尋ねした点は、いま山本部長が答えていることは、死亡された方だけのケースを言っているわけです。それで、環境庁次官通知には死亡された例だけを出しているんです。ところが、長官の答弁は、これは広田委員にもそうだったんですが、それは生きている人にも適用するんだと、認定かもしくは棄却か、早く結論を出すために資料を集め努力しろということを通知したんだと。ですから、私が繰り返し、それは表面、文章には認定を早く急げと書いてあって、しかしその意味するところは棄却の方も急げとはひどいじゃないかと言って、何回も何回も繰り返すのに、いやこうだこうだと言って、そういうふうに答弁してきたわけでしょう。これは大事なことなんです。
○説明員(山本宜正君) 死亡後も「剖検等も実施されなかった事例等」というぐあいに表現にしております。私ども、県との相談の中で主として考えられたのが、その先ほどの六十六例でございますが、そのほか、これに似たもので、いわゆるいろいろな所見がとれないようなケースがございます。そう多くはございません。全体で、六十六例を含めまして、百例を少し超す程度だと現在時点では考えられるわけでございまして、今後の検診の過程でこういったようなものが出てくる可能性があるわけですが、それにつきまして「等」という言葉をつけたということでございますので、御理解いただきたいと思います。
○国務大臣(山田久就君) ちょっと私からつけ加えさしていただきます。 いま部長が答えたとおりでございます。私の方では、その資料がなかなか見つからぬというものについても実際上予算を組みまして、現地に人をやって、その人のところへ出かけて行っていろいろ聞くぐらいのことをやっぱりやらないと、みんななかなかそういうことになれてもいなくて、そのために新しい資料なんかができないんだ、そんなことで資料不足だなんということを言っちゃいけないんだ、われわれは切り捨てなんということを考えているんじゃないんだから、そういう方面はひとつ予算も組んで、人の補助も出して、それでやるようにということを私が命じておるんで、したがって、切り捨てなんということを考えているんじゃございませんということを私は申し上げたわけでございまして、どうかひとつその点御理解いただきたいと思います。
○柳澤錬造君 もう時間ないから。 環境庁長官、切り捨てなんか考えていないんだという、そこのところはそのとおり受け取りたいと思うんです。ですから、ともかくお願いをしておきたいんですが、やはりこの審査を促進をして、三年も四年もかからなければ決まらぬなんということのないようにやっていただきたい。そのためのいろいろの手を打っていただきたいと思うんです。 もう一つは、やっぱり刑事事件なんかだったら「疑わしきは罰せず」と言って、極端に言えば、きのうかなんかの新聞も、小判盗んだのが見つかったと言っても——何ですか、あれは疑わしきじゃなくてもう時効を過ぎちゃったからしようがないけれども、刑事事件の場合には、そうやって疑問があってもはっきりしなければそれは罰しないというのがたてまえでしょう。こういう、保護政策、と言ってはあれですけれども、こういう問題の場合には、今度は逆に、疑わしき場合は認定をして救済をするというのが、こういうものの生きたあり方だと思うんです。だから、疑問があったならそれはむしろ救済をしていくところにやはりこの水俣病にとっての政策の一つの何があるんですから、そういうこともぜひともやっていただきたいと思います。 そういう点について、最後に長官のお答えだけいただいて、私、終わります。
○国務大臣(山田久就君) 先ほども申し上げましたように、もうできるだけそういう意味でわれわれが手助けしなきゃならぬところは手助けするようにしなさい、実際問題として、この問題に取っ組みますと、やっぱり医者の数が少ないという問題が決定的な実はボトルネックでございまして、そのためにはずいぶんいろいろ見まして人間をふやすために督励してやっておるんです。ところが、もう月給を増す何を増すといっても、なかなか行ってくれないという、やっぱりそういう実情のために患者の方も悩んでおられるけれども、そのことに責任を負っているわれわれが、そういうところがやっぱり一番の悩みの種でございまして、そういうことについてもいろんなことを考えて一生懸命にやっているわけでございますので、どうぞその点の熱意と努力をひとつお買いいただきたいと思います。
○柳澤錬造君 委員長、もう一つ、時間がなくなったから……。 長官、そういうお気持ちがあるんだったら、それこれ次官通達なんというそんなことじゃなくて、もう一回改めて大臣自身で——大臣というか、長官自身の指示を出しなさいよ。そうして、いかにして環境庁内部も、熊本県も鹿児島も、全部関係のところも、そういう点でもって心機一転本気になって取り組むような、そういうことの長官の指示でもお出しをいただきたいということを、私これはもう要望申し上げて終わります。
○矢田部理君 当委員会の進行について発言することの機会をいただきたいと思います。 これは、公明党の小平理事と社会党の私の共同の動機というか、提案でありますが、本日の審議の経過に徴して考えますと、多くの未解明の部分を残しています。疑問点も数多く出されています。また、参考人の喚問、資料の提出要求等も出ております。したがって、当委員会としてはこれらの問題を全面的に解明すべきものと考えます。この間、環境庁はNOxの環境基準の改定をすべきでない旨の決議を行うようにしていただきたいというふうに考えますので、よろしく委員長としてお取り計らいをお願いいたします。
○委員長(田中寿美子君) では、ただいまの動議については理事会で諮りたいと思いますが、よろしゅうございますか。この委員会散会後理事会を開きますので、その理事会で取り扱いたいと思います。 —————————————
○委員長(田中寿美子君) この際、理事の辞任及び補欠選任についてお諮りいたします。 矢田部理君から、文書をもって、都合により理事を辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。 この際、理事の補欠選任を行いたいと存じます。 理事の選任につきましては、先例により、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(田中寿美子君) 御異議ないと認めます。 それでは、理事に坂倉藤吾君を指名いたします。 本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十八分散会