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84回国会参議院1978/04/10

決算委員会 第10号

発言数
202
登壇者
16
会派数
5
開催日
1978/04/10

会議録

茜ケ久保重光日本社会党

○委員長(茜ケ久保重光君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員の異動について御報告いたします。  去る八日、渡辺武君及び橋本敦君が委員を辞任され、その補欠として沓脱タケ子君及び安武洋子君が選任されました。     —————————————

茜ケ久保重光日本社会党

○委員長(茜ケ久保重光君) 次に、昭和四十九年度決算外二件を議題といたします。  本日は、外務省の決算について審査を行います。  この際、お諮りいたします。  議事の都合により、これからの決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれもこれを省略して、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

茜ケ久保重光日本社会党

○委員長(茜ケ久保重光君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————

茜ケ久保重光日本社会党

○委員長(茜ケ久保重光君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 外務大臣にお尋ねをしますが、いま日本の外交問題の中で最も大きな課題になっております日中平和友好条約の問題について、中国側では、この条約の締結が一に日本側、特に福田総理の決断にかかっているというふうに伝えられておりますけれども、そういうふうに伺ってよろしいでしょうか。まずそれからお伺いいたします。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 平和友好条約締結の交渉については、総理もすでに決意をされて、その手段、段取りを進めることに最善の努力をしておるところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 きょうの本会議で総理は、案納議員の質問に対しまして、もう再開の機が来ているというふうにお答えになりました。それからもう一つは、双方が満足し得る条件が得られなければ困るというような御答弁もあったわけでありますが、もう交渉再開の機が来ている、熟しているということになりますと、なぜそれに踏み切られないのか。外務大臣は非常に熱意がおありのようで、いつでも中国に出かけるというような御意思であるというようなことも私ども承知しておりますけれども、それがなかなか出発できない事情があるようにも思うんですけれども、それは双方が満足し得る条件の成就あるいは確保ということがまだ得られないというのか、また一面には、政府・与党の中でまだ十分に締結に踏み切るだけのコンセンサスが得られていないことによるのか、どっちなんでしょうか。私どもはそれいろいろな報道で迷わざるを得ないんですよね。だから、その中身についての満足し得る条件の成就という、その点の合意がまだ得られそうもないというのが障害なのか、政府・与党の中の締結に踏み切るためのコンセンサスができていないことが障害なのか、どっちでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 交渉が再開されたら円滑に交渉が進むように最善の努力をしているところでありますが、ただいまのところは、御承知のとおりに交渉再開についての与党の御理解を求める努力をしている段階でございます。総理の発言されました、双方が満足する形でということは、これは交渉事の普遍的なことでありますから、これは交渉を始めてから出てくる問題であると私は考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いまの大臣の御答弁によりますと、さしあたっての総理並びに大臣、政府当局者のお待ちになっておられるあるいは精力的に取り組んでおられる課題というのは、政府・与党内部のこの踏み切ることについてのコンセンサスを得ることと、こういうふうに伺っていいわけですね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) そういう努力をしているところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、これは、この踏み切れない障害というものは、条約の中身よりもわが国の国内的な事情にあると、こういうことになりますね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 条約の中身は、これは政府が向こうと相談して決めることでございますから、大体の考え方ぐらいはまあこれは別でありますけれども、条約の中身は、両方が大体見当をつけて交渉再開した後決めることであろうと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 直接私の質問にお答えになってはいしいのですけれども、まあ言外にあなたのおっしゃるお気持ちをうかがうことができると思います。そうですか。それじゃ、そういう交渉再開に踏み切るためのコンセンサスを得られる、問題は見通しといいますか、見通しはお持ちなんでしょうが、時期ですよね、問題は。長くなっておりますからね。大臣としてはいつごろまでに踏み切ることができる、いつごろまでにコンセンサスが得られるというふうにお見通しでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 私は相談する側でございますから、一日も早くひとつ御理解を願いたいと努力をしているところでございまして、いつごろという見当を私の口からお答えするのは適当でないと存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 つまり、それだけコンセンサスを得ることがなかなか困難であると、見通しがつかないというふうに理解せざるを得ないように思うんですけれどもね。中国側はこの条約締結に反対する勢力としてはいろいろあるんだということを言っておられるようですが、その第一に台湾ロビーがあるということを言っておるようですね。これは外務大臣としてもお認めになりますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これは党内のことでございますから、私からお答えするのは適当ではないと思いますが、いま御理解を願っている党内の事情というものは、ソ連側であるとか台湾側であるとかそういうことではなしに、やはり共同声明を出発点にして未来にわたる長きの日中間を規制する条約でありますから、慎重にということでいろいろ検討されておるところであると存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 次に、いまの大臣の御答弁によりますと、慎重にと言って、ちゅうちょしていらっしゃるといいますか、踏み切ることができないでおられる方々のそのちゅうちょする理由ですね、それはやっぱり反覇権条項にあると理解していいんでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) いろいろ問題あると思いますが、それも一つの問題点だろうと想像いたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この反覇権条項なんですが、これを条約正文にうたうかどうかという一つの問題点があるように思いますが、外務大臣は、主管大臣としてこの反覇権条項を条約正文にうたうことについては御異議ございませんか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 反覇権の問題は、日中共同声明に書かれた立場を貫くということが一番正しいことであると考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私もそういうふうに思いますよ。ただ、問題はそのうたい方にあると思うんですがね。いままでにも、前文でうたうとかあるいは条約正文にうたうとか、いろろ御意見があるようですけれども、外務大臣としてはどちらが正しい道だと思っていらっしゃるんでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 共同声明に盛られた立場を貫くということでありますが、これをさてどのように条文の中で扱うかということは、条約の内容に関することでありますから御勘弁を願いたいと存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 条約の内容といいましても、その内容が何らかの形で盛られるということはこれはもう否定すべくもないわけですね。すでに国家意思の表現として、田中首相が行かれてあちらの首相との間で共同宣言を発しているんですからね。それをいまさら全然否定し去るということは不可能でしょう。ですから、問題はその盛り方なわけでしょう。ですから、盛り方としてはもう前文に盛るか、その表現はともあれ、どこに盛るかということは、前文に盛るか条約正文に盛るか、どちらかでしょう。ですから、外務大臣としてはどちらが正しい道だと思っていらっしゃるんでしょうか。内容じゃないですよ。内容はもう決まっているんですよ。盛り方です。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) いま私個人の考え方を申し述べない方がよいと存じますので、お許しを願いたいと存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 どうして、これは国民外交の立場をとらなければならないのにそういうふうに答弁をはぐらかされるんでしょうかね。何か、そういう御意見を述べられることがこの条約の締結に支障があるんでしょうか。どうでしょうかね。もう決まったコースなんですよね。問題は形式なんですよね。その形式をここで論ずることが何か障害があるんでしょうかね。どういう障害があるんでしょう、それがちょっと理解しにくいんですが。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 外交交渉というものは政府の専権事項であるから、一切終わるまではどなたにも相談をしないという意味で言わないわけではございません。日中友好条約の締結については、国民の方々の御意見、各党の御意見等は十分外務大臣は理解をしているつもりでございます。ただ、現在の段階では、一日も早く交渉再開に入ることが、私は日本の国内から言っても日中両国の関係から言ってもいま一番大事なことであるので、私がとかくの意見をここで言うと、それによって交渉再開がおくれたりあるいは不測の問題が起きてきては困るという慎重さから出てきているところでございます。決して専権事項であるから言えないと、そういうことでお答えできないと言っているわけではございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣がそのいずれの方向が正しいかということをおっしゃることが条約の締結をおくらせるおそれがあると、あるいは支障を生ずるおそれがあるというお言葉のようですけれども、それはあちら側よりわが方においての支障が生ずるおそれがあるということなんでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 覇権条項については、寺田先生御承知のとおりに、善隣国であるソ連も非常な関心を持っているところでございます。国民の方でも、慎重に物を考えられる方は、これをどう取り扱うかということについていろいろ御意見があるところでございますから、交渉を再開してよろしいということになれば別でありますが、いまの段階では、私が個人の見解を申し述べることは決して有利ではないと、こういう考え方でありまして、私の考え方が間違いかもわかりませんが、お許しを願えればありがたいと存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣がいまおっしゃいましたソ連の対応という問題が出てまいりました。そこでお尋ねをするんですけれども、ソ連が日中条約に反対の立場をとっているというふうに伝えられておりますが、これは何らかの外交的な意思表示によったものでしょうか。それとも、日本の外務省がソ連の意思をいろいろな点から推測してそうして言われるんでしょうか、どちらでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) ソ連は公式的にはわが方に対して、日ソ関係の発展を妨害しようとする第三国の動きに懸念をするというような形式の表明が公的な表明でございます。私に直接向こうから言いましたことは、紛争の中に日本を巻き込もうとしておると、この紛争に巻き込まれてはいけないと、こういう表明でございまして、直接日中友好条約の締結に反対という公的な表明は、いままでのところはございません。ただし、新聞、論評等でそういう趣旨のことを表明していることは寺田先生も御承知のとおりでございます。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) ただいま園田大臣の述べられましたのに補足して申し上げますが、最近におきましてはただいま大臣のお述べになりましたとおりでございますが、三年ほど前に、一九七五年の六月十七日に、日本国政府に対する声明という形でタスがこの日中条約につきまして警告的な文章を発表したことがございます。これに対しまして日本政府は、直ちに重光大使よりソ連政府に反論をいたしております。  大臣の御答弁の補足を申し上げました。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そのいま局長のおっしゃった七五年のタスの声明ですか、この内容を簡単に要約しておっしゃってください。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) この内容の二、三行を、大事と思われます点を読みますと、最近、ソ連邦を含む第三国と日本国との関係を複雑にする目的をもって日本国に対し影響力を行使しようとする中国指導部の試みはますます明確となりつつある。このことは、現在締結交渉の行われている平和友好条約に、中国指導者も認めるように、何よりもソ連邦に対して向けられた条項をあらゆる手段をもって無理やり挿入せんとする北京の努力に最も赤裸々にあらわれている云々とございまして、ソ連政府は、日本国政府が第三国との関係を発展させるに際し、ソ連邦と日本国との間の関係発展に損害をもたらす可能性のあるいかなることも行わないことを希望する。これはタスの声明の内部の抜き読みでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 タスのそういう声明と、それから大臣がおっしゃった、これはブレジネフ親書の中身なんでしょうかね。日ソ関係を妨げる勢力から両国関係を守る必要があるとか、あるいは反ソ的な風潮をあおるような動きが見られるというような、いろいろないま大臣がお答えになりましたこと、これは先般ポリャンスキー大使が福田総理に持ってこられたブレジネフ親書の中にあることなんでしょうか。いかがでしょうか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 仰せのとおりでございます。ブレジネフ書記長から福田総理大臣あてに寄せられました親書の中に、日ソ関係の発展を望まない勢力があるので、このような勢力の試みから両国の関係を守る必要があるという趣旨が述べられております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その親書というのは、いま局長がさわりの部分をお答えくださったんですけれどもね。これは全体の要旨は、そのほかにも、こう長いものですか。それとも、もうそれがさわりであとは大したことはないんでしょうか。どうなんでしょうか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) ただいま私が申し上げました点は、親書の中に書かれております三つぐらいの要点の一つでございまして、第一の点は、日ソ間の善隣友好関係を発展させたいということで、このために善隣協力条約を提案したと、これはモスクワにおきまして園田大臣とグロムイコ外務大臣との間で話された、そのことに触れたものでございます。  第二点が、日ソ関係の発展を望まない勢力がある云々と、ただいま私が御説明いたしました点でございます。  それから第三点、これは近く、なるべく近い機会に福田総理大臣が訪ソされるような機会ができることを期待しておりますと、こういうことでございまして、親書の趣旨はこの三点でございます。全体として長いものではございません。日本のタイプで書きまして一枚半ぐらいのものでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 これは余りそう秘密にすべき内容でもないようですから、いかがでしょうかね、この委員会にその親書の内容を披瀝していただけないでしょうかね。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 親書と申しますものは、外交慣例上もまた日本外務省も、これを従来より公表しないということになっておりますので、公表あるいはここに御提出することは差し控えさしていただきたいと存じますが、そのかわりに、重要な親書が寄せられました場合、国民の皆様に知っていただく必要がある部分につきましては、一言一句という形ではございませんが、ただいま私が申しましたような形で必要部分は全部御説明を申し上げることにいたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあそれでよくわかるような気もするんですけれども、それは何かパーソナリティーがあるというようなこともいままで説明を聞いたんですけれども。それからもう一つは、朴大統領が金大中事件で田中総理に対して親書を寄せたと、その内容が日本に対して遺憾の意を表明したとかどうかと、それから向こうでは別段遺憾の意を表明したんじゃないんだとか、内容が食い違ったことがありまして、私どもはそういう食い違いがあるからそれはやっぱり出してくれと、相手方が同意すればいいんだというようなお答えをいただいたこともあるんです。それからロッキード事件で、三木さんとフォード大統領との間の親書、これはこちらの方はたしか全部発表があったようですね。ああいうことから考えますと、絶対にいけないというものでもないように思うんですけれども、相手方の了承を得て、相手方が了承すれば発表してもいいんじゃないでしょうか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) これは、双方どちらもこれは発表しないことにしようとか、発表することにしようとか、必要がございますときに合意することもあり得るわけでございますが、やはりただいまおっしゃいましたように、親書というものの性格上、原則としてこれは発表しない。たとえば微妙な個人的な、ただいま仰せられましたような感情の表現ということもあることもございますので、必要な部分は国民の皆様にお知らせするが、テキストそのものは発表しないことにいたしております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 この場合は、そう内容について私どもが食い違いがあるとかいうような追及点がありませんから、これはまあ今回は了承してもよろしいけれども、相手方の了承があればこれは公表しても構わないと、こういうことは御承認になりますね。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 私ども、外交慣例上、親書というものを相手方の承認を取りつけてなるべく発表したいと、このようには実は考えておりませんので、特に例外的にこれを全文発表することが国のために望ましいということがあり、それについて先方の同意がもし取りつけられました場合には発表することを考えてよろしいかと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 その発表することが国のために望ましいというその考え方が、あなた方と国会と違うことが多いようですからね。それでまあ問題が起きるんですけれども、まあいいでしょうこの場合は。  いま、両国の親善関係を妨害しようとする勢力があると、そういう勢力から両国の関係を守る必要があるという書簡の内容だということでありましたけれども、それは、間接にこの日中平和条約の締結を指しているというふうに大臣は理解していらっしゃるんでしょうね。つまり、さっきお答えになったのはそういう意味でしょうね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 友好条約の締結というものも頭の中にありながら発言されていることであるとは私も推察をいたします。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ソ連がそういうことを頭の中に入れて、つまり、日中平和友好条約の締結を頭の中に入れて、そうしてそういう文言を用いたということのようですけれども、ソ連が反対するのは条約の締結そのものじゃないんでしょうね。やっぱり反覇権条項なんでしょうね。その点は当然のように思いますが、一応確認しておきたいと思います。大臣いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) ソ連と中国の関係は御承知のとおりでありますから、日本と中国の関係が、条約締結ということは必ずしも歓迎すべきことではないと考えておられると思いますが、特に締結される条約の内容について重大な関心を持っておられることは御指摘のとおりだと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そこで、私は、日中共同声明、一九七二年九月二十九日北京においてと、これを詳細に読んでみたのですけれども、第七項の「日中両国間の国交正常化は第三国に対するものではない」、これは、恐らく日本側の意向に従って入れられたものだと思うんですが、「両国のいずれも、アジア・太平洋地域において、覇権を求めるべきではなく」と、これは第三国を指す文言ではなく、日本と中国の間の義務づけであると思いますが、次の、「このような覇権を確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試みにも反対する」と、こういう表現をとる限りにおいては、現実の国際政治の現状を評価なり規定したものではなくして、「確立しようとする他のいかなる国」、そういう何か仮定的な問題のようにもとられるし、「確立しようとする」というのが現在進行を指すのか、あるいはそういうものを意図するということを意味するのか、その解釈のしようによっていろいろ違ってくると思うんですけれども、この「覇権を確立しようとする」というのは、そういうインテンション、意図ですか、あるいは現に確立しつつあるという意味なのか、あるいはもし確立しようとするものがあるとすればという仮定なのか、どっちなんでしょうね、これ。

三宅和助外務省アジア局次長

○政府委員(三宅和助君) 共同声明の七項では、「確立しようとする他のいかなる国あるいは国の集団による試み」と書いてございます。したがいまして、常識的にインテンション、意図というぐあいに解釈すべきものと考えます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、これは「試み」、そこまで続けて読んで、だからインテンションだと。それが現実にあるとか、あるいは現実に意図されているとか、あるいは将来意図されるかもしれないとか、そういう点の理解というものは相互にあったんでしょうか。現実にそういう試みがいまなされているからこれに反対するんだと、あるいは、もしありとすればということでこの宣言ができたのか、どっちなんですか。

三宅和助外務省アジア局次長

○政府委員(三宅和助君) 当時の交渉経緯につきましては、実は従来のいろんな慣例から申しまして、経緯その他については申し上げられないんでございます。解釈としては、わりと抽象的な原則表現でございますので、双方も場合によっては含み得るということだと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっと最後の、何か語尾が少し間こえにくかったんだけれども。

三宅和助外務省アジア局次長

○政府委員(三宅和助君) 抽象的な原則を書いているわけでございます。抽象的な原則を書いておりますので、そういうぐあいに原則の問題として両方含み得るということだと解釈されます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、現実の国際政治の中にそういう事態が発生しているというようなことも含み得るし、それから将来発生することもその内容に包摂し得ると。いずれにしてもそこまでは断定はしてないんで、どっちも含み得るんだと、こういうことですか。

三宅和助外務省アジア局次長

○政府委員(三宅和助君) 実はこれは抽象的な原則を書いております。したがいまして、具体的には、ケース・バイ・ケースで具体的な国際的な情勢に当てはめて考えていかざるを得ないかと思います。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ただ、こういう共同声明が現実になされておるわけですからね。そのときの双方の理解というものが、そういう覇権を確立しようとする試みが現実にありとしてこういう文言が挿入されたのか、あるいは、現実にはないけれどもあっては困るという、そういう見地から原則を表明したにすぎないのか、そこのところが実際は問題なんですね。もし単に、そういう現実はないんですよと、ただ、やっぱりあっちゃいかぬから原則を表明したんですということならば、これはあなたのおっしゃるように、原則の表明にとどまるんだから、ソ連も大して怒ることはないわけでね、怒るとすればかえっておかしいので。ただ、現実にそういう情勢があるんだと、だからこれを特に入れたんだというんだと、それはどこを指しているんだと、おれのことかというようなことでソ連も怒ってくるでしょう。だから、その理解の仕方が問題なんだけれども、わが国はどういう理解でやったんですか。

三宅和助外務省アジア局次長

○政府委員(三宅和助君) わが国といたしましては、平和国家、平和憲法を持っておりまして、このような覇権を求めるようなことは、わが国もしないし、いかなる国もそうあってはほしくないと、そういう希望、決意を書いたものでございます。具体的に現実の世界がどうこうということを、現実問題としてそう必ずしも想定したものではなしに、日本の平和憲法を持っている立場から、日本の立場を考えましてかように規定したと了解しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、日本の立場というものは、ソ連に対しても何ら遠慮することはないもののように思いますね。ところが、ソ連が非常にそれにこだわるというところを見ると、日本はそういう理解のもとに共同声明を発したが、中国側の理解がちょっと日本側と違ったんじゃないだろうかということが考えられるのですが、いかがでしょうか。

三宅和助外務省アジア局次長

○政府委員(三宅和助君) 交渉の経緯、それから先方の立場につきましては、この交渉、おのずからいろんなことがございますので、ここで見解は差し控えさしていただきたい、こう考えます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 いや、交渉の経緯、プロセスを言っているんじゃないんですがね。つまり、中国側はどういう理解のもとにこの反覇権条項というものを共同声明に挿入したのか、また、この共同声明をどういうふうに中国側は受け取っているのかという解釈の問題なんです。現実にやったこの共同声明のその内容そのものの理解であって、そこまでに至るプロセスを私は伺ってるんじゃないんですよ、わかりますか。だから、あなた方はこういう共同声明を発した以上は、あなた方の理解というものはある、それはいまお答えになった。しかし、同時に相手方がどういうふうに理解しているか、わが国と同じように理解して発したとあなたが受け取っておられたのか、それとも、中国側の理解というものはわが国の理解とは違ったものであったという、そういう理解のもとに共同声明を発したのか、そこを伺っているのです。どうでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 寺田先生の御質問に必ずしも的確なお答えにならぬかとは思いますけれども、共同声明に述べられているものは、日中両国間の平和友好関係を強固にし、これを発展させようということであって、覇権問題も、ソ連を含むいずれの第三国を対象にしたものではない、これが共同声明であると。ただし、ソ連に対する日本の外交方針と、ソ連に対する中国の外交方針に違いがあることはこれは当然である、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 禅問答のようなお答えで、いまの大臣の御答弁は結局問題を他にそらされたわけですよ。それは、なるほど、「国交正常化は、第三国に対するものではない」という文言はありますけれども、それと反覇権条項が何を意味しておるのか。現実の国際政治を踏まえてのものか、単なる将来あっては困るということの顧慮からして、配慮からして、原則を将来に向かって、将来に備えて発したものかということとは意味が違いますからね。だから、いま大臣の御答弁では、日本のこの条項に対する理解と、中国側の理解とはおのずから異なるものがあるということで大体わかるんですよ。いつも大臣の御答弁は大体わかるんですよ、私どもはね。しかし、うまくそらしていらっしゃるものだから。いけないでしょうかね、これはっきりお答えいただいたのでは。どうなんでしょうか。中国側はどういうふうに理解して共同声明を発したのか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 共同声明に書かれておる立場というのは、特定の第三国を相手にしたものではないということでございます。この共同声明を立場にして、次に締結する条約がどのような条約を締結するかという、その案文取り扱いいかんによってその問題が第三国に向けられたような誤解を与えるか、あるいは与えないかと、こういう問題は交渉が始まって条約案文の取り扱いいかんによって出てくる問題であると考えておりますが、われわれは共同声明の立場を前進もしない、後退もしない、この線で貫きたい、これが条約交渉に対する基本的な日本政府の考え方でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 わかりました。  そうすると、この共同声明の内容を右するのでもなく、左するのでもなく、前へ進むのでもなく、後退するのでもない、これをそのままやっぱりこの原則を貫くということをおっしゃる以上は、抽象的な原則として反覇権条項を、条約の正文に入れるか、前文に入れるかは別として、条約の中身として盛ると、そういうことになりますね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これから先のことでございますから、ここで的確に御返答はできませんが、その程度で……。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあその程度でというのは、その辺であるということなんでしょうね、いかがです。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) ここで追い詰められて答えますと、すぐまた翌日の新聞に載るわけでありまして、新聞に載りますと、また、それぞれ反射条件が起きてきますので、先ほど答弁したことで御理解を願いたいと存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 まあよろしいでしょう。この共同声明の内容、あるいは理解といいますか、それから一歩も前進もしない、後退もしないというのだから、それは大体わかるから、じゃそれでおさめておきます。  ただ、大臣、お気づきでございましょうけれども、この反覇権条項というのは、そういう原理、原則の表明にとどまるのだということであれば、それがもともと内容的にも正しい意味を持ちますし、私は結構だと思うんですよ、それは。何らソ連がそれに対してとやかく言うべき筋合いのものじゃないというふうに思います。ただ、先ほど大臣がおっしゃったように、社会主義陣営内の主導権の争いがいま激烈に行われておりますし、中ソの対立という問題が現実の権力政治の中で現実に存在しておりますからね。そういう情勢を踏まえて、反ソ的タカ派と言いますかね、そういう人々が存在していることも事実ですし、   〔委員長退席、理事斎藤十朗君着席〕 そういう人々が、日中が共同してソ連に当たる、日本とアメリカとは安保条約で軍事的に結ばれておりますからして、結果的には日・中・米三国の反ソ同盟ですか、そういうものをこの条約に期待する、そういう反ソ的タカ派というものが現実にやっぱり多いようですね。これは大臣もお気づきでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 十分注意をしなければならぬことであると考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 確かにそういう問題は十分注意をする必要があると私も思います。ことに、漁業権をめぐる問題あるいは領土の問題などで反ソキャンペーンというものが非常に渦を巻いております。それが多分に日本国民の心をとらえているという現実がありますので、その点はよほど警戒をしませんと、そういう人々に乗ぜられるおそれがあるというふうに思うんですがね。ただ日本が、そういうものでなくして、純粋に、一筋に国際平和を求めていく、そのためにはその平和の維持に障害となる大国のヘゲモニーとか、横車というようなものには反対せざるを得ない、そういう理想主義的な立場を貫く。そういうことからして反覇権条項というのが生まれるというならば、これは大変結構なことじゃないかと思うのですよね。ただ、そうなりますと、それはかなり明確な意思表示をしておきませんと、いままでの日本の外交のように、すべてが玉虫色で、相手の理解とこっちの理解とが食い違うんだと、日ソ漁業暫定条約の中の了解条項のように。それでは困るので、そういう点の日本の立場というもの、それを明確に打ち出す。そういうことの必要については大臣はどのようにお考えでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 将来の交渉のことでございますから、なるべくお答えしないできたわけでありますが、往々にして一国と一国との間に、交渉、また条約締結した場合、一つの文句を全く違った点から、日本はこうだと解釈し、相手はまた違った方でこうだと解釈するという、いわゆる玉虫色と申しますか、あるいはわけのわからぬようなこと、これは私はしてはならぬと自分に言い聞かせておるところでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それはもうぜひそういうふうにお願いをしたいと思うのですね。そうでないと、いろいろ国内的な混乱、国内の間のいろいろな意見の対立が生じますし、いまの対ソ関係の問題で、まずいろんなフリクションですか、摩擦が起きてくる、これは必定だと思われるのです。  いまの条約の締結そのものがソ連としては余り好ましくないというふうに理解しているものと思うと、これは大臣、率直にお認めになりました。反覇権条項についても一層そういうことが言われると思うのですが、もしもそういうことが現実化するといいますか——そういうことと言いますのは、この条約がソ連のそういう願望にもかかわらず締結された場合に、ソ連がどのような対応を打ち出すだろうかという問題なんですが、そういうことを考えちゃいけませんよということをおっしゃる方もあるのですね。しかし私は、やっぱり日本の外交というものは、先のことを考えないでがむしゃらに突き進むということは適当ではないと思うのです。だから、この条約の締結が、もうほとんど大体日本の国論として、まあ反対の人々があってまだ政府・与党の中のコンセンサスは得られないけれども、もう方向はこれは確定していると思いますが、それが実現した場合に、ソ連がどういう対応を示すだろうかということは外務省としては一応お考えだと思うのですね。これはどのようにお考えなんでしょうか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) これはこれから私ども日本政府がつくります条約の内容あるいはそのできぐあいによるかとも思いますし、またこれは相手国のことでございますから、どのように向こうが反応いたし、あるいはどのような措置をとってくるかということを軽々しく予想するわけにもまいりませんけれども、ただいまも外務大臣が十分に御説明になりましたように、あるいはモスクワにおきまして最近も十分にグロムイコ大臣に御説明になりましたように、日本政府が決して中国と結託してソ連に当たるというようなことは毛頭考えておらないということを明らかにしておられますことでもございますし、全くそれが私どもの真意でございますので、もしソ連政府が将来の日ソ関係あるいはアジアの平和というようなことを真に考えますならば、報復措置というようなことは、ソ連としても決してとることが賢明なことであるとは考えておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 何か自由民主党の内部でそういう報復措置を大変危惧される御意見があって、大臣はそういうことはあり得ないのだという説得の側にお回りになったという新聞報道もあります。それはそうなんでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 党内の議論を公開の席で申し上げるわけには私の立場としてまいりませんけれども、私は説得の立場を一切とっておりません。事実を報告して御判断を願うということだけやっておるわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 局長は、そういうことが決してソ連として賢明な措置とは思われないと。私もそう思うのですけれども、それにもかかわらず、やはり一部に、ソ連の報復的な対応といいますか、それを大変危惧する人々があるんですね。現実にいろいろな雑誌などを読んでみますと、具体的な例は、ポリャンスキー大使を引き揚げるのじゃないかとか、あるいは漁業問題で報復的なものがあるのじゃないかとか、いろいろ取りざたされていますけれども、外務省としては、そういうことはないという見通しのもとにお進みになっていらっしゃるわけですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) いろいろ考え方はありますが、ソ連という国も大国であり、それぞれ善隣国との友好も考えておるわけでありまして、日本とソ連の間を考えましても、四島の問題で意見は食い違っておりますが、その他の問題は利害共通する問題が非常に多いわけでございます。したがいまして、いま寺田先生が質問されたようないろいろな点について十分留意をしなければならぬけれども、結ばれた条約が、二国が共同する、あるいは統一行動をとっていざという場合にはソ連に敵対行為をとるというものであれば別でございますけれども、だれが読んでも当然であるという両国間の平和友好ということであるならば、そのような世間から不可解だと言われるような行動をソ連がおとりになるはずはないと、このように私は考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私どもがいろいろな報道から、確認と申しますか、大体理解し得たものとして、中国は、米ソが社会体制が異なるがゆえに将来両国間の戦争は不可避であると考えていることを知っていると申し上げていいと思うのですが、これは外務省もそういう情報は入手していらっしゃいますか。

三宅和助外務省アジア局次長

○政府委員(三宅和助君) かねてから中国は、世界大戦、米ソの戦争は不可避である、ただし、この前の華国鋒の政治活動報告にもうたわれておりますけれども、これは各人民の努力によっておくらせることは可能である。ただし、戦争不可避論という立場は依然としてとっております。そういうことは外務省としても十分承知しております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私も中国の要人からそういう見通しを直接聞きまして、それに対してある程度反論をしたことがあるんですが、まあわれわれはそういう悲惨な出来事というものを避けるためにデタントの道を追求したり、あるいは話し合いによる紛争の解決というような原則を打ち立てたり、あるいは戦争宣伝に反対する立場をとったりしているわけですね。しかし、まあ中国は究極的にはそういうことがあるという見通しを現に持っているわけですが、ただ私は、その場合に中国がどういう立場をとるのかという点の、その点についての中国側の考え方、それは聞き漏らしたわけですね。中国側もそれについては何も言わなかったんですけれども、外務省としてはどういう理解をしておられるんでしょうか。あるいはそれは外務省としてもわからないというのか、いかがでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 先ほど申し上げましたように、中国と日本の違いが二つあるわけであります。  一つは、まあ政治形態の別はこれはのけまして、ソ連に対する外交方針の相違があるということ。もう一つは、中国の方では必ず戦争だ、戦争だと、こうおっしゃる。私たちは、米ソが対立はしておりますけれども、米国の方も緊張緩和する方向へ、少なくとも抑止力によって平和を維持しようという考え方があるようであります。ソ連の方の方と議論をいたしましても、いろいろ意見はありますけれども、少なくともソ連も苦しい中に抑止力による平和を保とうとしておると。戦争を避けようとする考え方は両国に非常に強いものがあると私は理解をいたしております。なおまた、その想像のほかに、日本の憲法第九条第一項、これがもう日本の政治、経済の基本でありますから、日本はどのようなことがあっても戦争を起こさしてはならぬということ以外には日本の進路はないわけでありますから、この点が、まあ情勢分析というか何というか、中国と日本の意見の食い違いがある点だと、こう考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 私も大臣のおっしゃるとおりだと思うんですが、ただ、私が大臣にお尋ねしたいのは、中国とソ連とが事を構えるということがないと。それは両方とも平和を求め、真剣にその道を探っているということ、また社会主義体制のもとでは、そういうところまでの対決を必要とする何らの理由がないということから、それはそのとおりだと思うんですよ。  ただ私がお尋ねしたのは、アメリカとソ連が、社会体制が違うことからどうしても将来不可避だと中国が見ているわけですね。それを中国は隠そうとしないわけですが、米ソがそういうふうな軍事的な対決という悲惨な道に踏み込んだ場合に、中国がどういう対応をするだろうと外務省は受け取っているのかという点をお尋ねしたわけなんですが。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 私の言葉が間違っておったかもわかりませんが、私は中ソの関係を言ったんではなくて、米ソの関係を……米国もソ連とともにいろいろ問題はあるし、いろいろ競争はしておりますが、両国とも腹の中には戦争を避けて、何とか平和共存の線をたどりたいと、こういう気持ちがあると私は理解をいたしております。そこで、米ソ以外のもろもろの国々が、戦争を起こしたら、当事者よりもこれを取り巻くもろもろの国が被害を受けるわけでありますから、努力をしてそういう事態を起こさせぬようにすべきだと、こう考えておるわけでありまして、中ソの関係はどうなるか、なかなかわかりません。  ただ、私がソ連に行きましたときに、ソ連の方では、自分とけんかをしている国、その国に巻き込まれるなということを言いますが、中国に対する悪口は一言も私はソ連の口からは聞きませんでした。中国の方はなかなか激しいようでございますが。そこらあたりに、中ソの将来はどうなるのかわかりませんけれども、蛇足でありますが、たとえば中ソ同盟条約どうなるんだとこう聞きましても、ソ連の方は返答いたしません。それから、中国からは何も意見聞いていないから、中国の腹はわからぬと、こういうことを言うわけでありまして、私はその話題の中で、兄弟であるべき中ソが争われて、とばっちりを受けて一番困っているのはわが日本だと、したがって、わが日本は折があれば両国の仲の調停ぐらいでもやりたいつもりだと、こういうことを言ってきたわけでありますが、以上でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 大臣のおっしゃるようなことを亡くなられたホー・チーミン大統領も言われておりましたね。要するにそれは大変結構なことで、ぜひそういう立場をとっていただきたいと。まあ私の質問に直接お答えになっていないんですけれども、余りこの問題をはっきりお答えいただくというのは無理かもしれませんので、その程度にしておきたいと思うのです。  さっき、領土問題では日ソの間に対立があるという、こういう大臣のお言葉があったわけですが、この領土問題については、まあ日本の立場は、北方四島はこれは千島列島には入らないんだと、そういう解釈をとっておられるわけですか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 日本の立場は、桑港条約で日本が権利、権限を放棄いたしました千島列島の中にはいわゆる北方四島は含まれていないと、こういう立場をとっております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうすると、歯舞、色丹、択捉、国後、この四島は当然日本に引き渡されるべきものだと、こういう理解に立っていらっしゃるわけですね。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 歯舞、色丹、択捉、国後の四島は当然日本に返還されるべきものという立場をとっております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そこからいろいろ問題が起きてくるんですが、まず第一に、そういう日本の意思であるならば、やはり私はサンフランシスコ条約でその点の何か明確な意思表示あるいは留保条項になるんでしょうかね、当然しておくべきであったと思うんですけれども、それをしなかったことがもうそもそも出発点において誤りであるというふうに思うんですが、どうでしょうか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 当時のサンフランシスコ条約というものは、日本が敗戦から立ち直りまして初めて国際社会に復帰するための条約でございまして、御承知のとおり、この条約につきましては留保とか交渉とか、そういうことが許されなかったわけでございます。したがいまして、日本国政府としましては、この条約に署名をすることによって敗戦から立ち直ると、そして国際社会に再び名誉ある一員として参加するためにこれを署名したわけでございますので、条約で申します正式な意味の留保その他のことはできなかったわけでございますが、ただ、当時全権として赴かれました吉田前首相は、この島の問題について、この四島は元来日本のものであったということは演説の中で述べられております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そこなんですよね、局長。吉田さんがもともとは日本固有の領土であったということを述べたというんですけれども、ですから、それは千島列島の中に含まれてはおらないというところまではっきりと明確な意思表示をしたのか、単に、これはもともと日本固有の領土であったという玉虫色の発言にとどまったのか、そこなんですがね。これはさっき申し上げたように、日本がやはり反覇権条項についても明確な意思表示をしておかないと問題が残りますよという、それと一緒でね。明確な意思表示がなし得なかったのか、当時の情勢から。だから、残念だけれども明確な意思表示ができなかったというお答えなのか、あるいはもうそれはしたんですよというお答えなのか、ちょっと不明瞭ですがね。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) ただいま私が申し上げました吉田全権の演説のその部分でございますが、多少その前に関連の部分がございまして、「この平和条約を欣然受諾するわれわれ日本人すらも、若干の点について苦悩と憂慮を感ずることを否定できないのであります。」云々と述べられました後で、「千島列島及び南樺太の地域は日本が侵略によって奪取したものだとのソ連全権の主張は、承服いたしかねます。日本開国の当時、千島南部の二島、択捉、国後列島が日本領であることについては、帝政ロシアもなんらの異議を挾さまなかったのであります。」と、   〔理事斎藤十朗君退席、理事坂元親男君着席〕 当時の状況でございますから、これに赴かれた吉田全権は、ただ署名するために行かれたわけでございますが、この申されましたことが国際法上留保ということに私なるかどうかは正確に存じません。恐らくならないと思います。しかし、当時の全権としては、こういうことを少なくとも明らかにしておきたいと思って、そのように述べられたことと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そのとき、いま吉田さんは択捉、国後のことを発言したと言われましたけれども、歯舞、色丹は当然のことであるから言わなかったんでしょうか。その点はどうなんでしょうか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) そのように考えておりますが、私ちょっとその点、即座の御質問でございますので、はっきりお答えいたしかねます。そのように考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 そうといたしますとね、なるほど敗戦直後のことで平和条約を受諾するだけのことだと、署名だけに行ったんだと、だからそういうような留保条項をとてもつけられない情勢にあったということならば、まああるいはやむを得なかったのかもしれないけれども、実に、私どもとしてはもっと明確な意思表示をしておくべきだったと思いますし、次の、これは昭和三十一年十二月十二日、日本国とソビエト社会主義共和国連邦との共同宣言、少なくともこのときでは明確な留保がなし得たんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) お答えいたします前に、私、先ほどの最後の御質問につきましてちょっと申し足りませんでしたのでつけ加えますが、吉田全権の演説の中に、「また、日本の本土たる北海道の一部を構成する色丹島及び歯舞諸島も終戦当時たまたま日本兵営が存在したためにソ連軍に占領されたままであります。」と述べておられますので、色丹島及び歯舞群島が元来北海道の一部であると、このように述べられております。  それから御質問の日ソ国交回復交渉の際でございますが、このときには日本の立場は、この歯舞、色丹、国後、択捉の四島は当然日本に返還されるべきものであるという立場でございまして、ここに、この点について最終的には合意が得られませんでしたので、まず、歯舞、色丹について規定いたしまして、平和条約という形でなく、共同宣言という形で国交を回復いたしまして、その後、領土問題を含めて平和条約の締結の交渉をすると、このような了解を遂げたわけでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ですから、その未解決の問題を、将来、平和条約のときに処理するんだというならばそれをやっぱりうたうべきなんで、それがうたわれてないんですよ。第九項を見ますと、   ソヴィエト社会主義共和国連邦は、日本国の要望にこたえかつ日本国の利益を考慮して、歯舞群島及び色丹島を日本国に引き渡すことに同意する。ただし、これらの諸島は、日本国とソヴィエト社会主義共和国連邦との間の平和条約が締結された後に現実に引き渡されるものとする。  つまり、将来の平和条約というものを想定して、それを見通して、そして歯舞、色丹は返すんだということをはっきりとうたっている。それにもかかわらず、択捉、国後については一言半句も盛られてないわけですね。そこにやはり禍根があるように思いますね。もしそれ、あれでしょう、四島がひとしく日本国有の領土だと言うならば、その半分についてだけうたってあとの半分については語らないというのだと首尾一貫しませんわね。これはもう大失敗じゃないでしょうか。いかがですか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 当時の状況を想起いたしますと、戦後なお十余年にして、何方、何十万の日本の軍人、軍属がソ連に抑留されておったわけでございまして、恐らく為政者の最大の使命は、まだ命ある人を命ある人のもとに帰すということであったと私、考えております。したがいまして、北方四島について合意ができぬまま国交も回復せずにおるということは、私やはりなすべきではなかった。したがいまして、あとの二島については、平和条約の交渉を引き続き行うという了解のもとに、とにかく国交を回復して日本人を国に帰すと。幾つかほかに目的もございましたが、私はそれが最大の目的であったと思いますので、このときに——いま禍根と御指摘になりましたが、今日に至ってみてまだ返ってこないのはある意味では禍根でございましょうと思いますが、まことに私やむを得なかったことと考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ちょっと納得し得ないものを感じますね。禍根であることは認めるというのだからそれはいいけれども、やむを得なかったと。常に言うべきことを主張しない、そういう玉虫色の解決で事を処理していく。何か日本の外交の欠陥みたいなものを感ぜざるを得ないんですがね。  それじゃその次の、今度は一九七三年十月一十日、これは日ソ共同声明ですね。この共同声明で、よく政府の説明によりますと、ここで四島がわが国の固有の領土であって、これこそ両国間の未解決の問題だということをソ連に認めさした、それを認めさしたという説明なんですけれども、これもその第一項を見ますと、   双方は、第二次大戦の時からの未解決の諸問題を解決して平和条約を締結することが、両国間の真の善隣友好関係の確立に寄与することを認識し、平和条約の内容に関する諸問題について交渉した。双方は一九七四年の適当な時期に両国間で平和条約の締結交渉を継続することに合意した。  これもいまの問題を非常にあいまいな表現で片づけてしまっているわけですね。「未解決の諸問題を解決して平和条約を締結する」、「未解決の諸問題」というのは相互の間で食い違うわけですね、いまだに。なぜこの場合、これは本当に両者が対等な立場であり得たわけですから、それこそ一番大きな両国の懸案だというならば、この共同声明の成条にうたうべきであったと思いますね。それはなし得たと思いますよ。それさえもなし得ずに玉虫色な問題で処理して帰ってきた。だから、つまり平和条約、それから昭和三十一年の共同宣言、それから今度は一九七三年でしたかね、それの共同声明、この三つの機会をことごとく逸しているわけですね。これは大変な日本の外交の失敗じゃないでしょうか。そういうあいまいなことをしておいて、そうしてそれは解決したのだ、解決したのだと言ったって、相手方が了承し得る道理がないでしょう。いかがでしょうか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 私どもが一番重要な文書と考えておりますのは、日本とソ連との共同宣言、一九五六年の宣言でございまして、その中で、日本国とソ連とは正常な外交関係を回復した後に平和条約の締結に関する交渉を継続することに同意すると、ここにまず一項入っております。それから、その平和条約の際に松本全権とグロムイコ外務大臣との間に交わされました書簡の中に、「日本国政府は、領土問題を含む平和条約締結に関する交渉は両国間の正常な外交関係の再開後に継続せられるものと了解するものであります。」という書簡を出しまして、グロムイコ外務大臣からそれに「同意することを言明します。」という書簡をとっておりますので、私どもといたしましては、そもそもこの共同宣言及びそのときに行われました松本・グロムイコ書簡の交換ということで、この交渉を行うという確約をとりつけたものと解釈しております。  ただいまお触れになりました一九七三年の共同声明におきまして、これは国交回復の文書でもございません。共同声明でございます。署名は行われておりますが、共同声明という形でございますが、その中にも「未解決の諸問題」を含むと、この中に当然その領土問題も含むということは、この共同宣言の経緯からも、また松本・グロムイコ書簡の経緯からも明らかであると考えております。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 領土問題が未解決だということの、それは確認をとったということは言えると思うんですよ、いまの一連の外交文書の中から。ただ、局長のおっしゃった五六年の共同宣言で、さっきもお話ししたように、四島の中の二島だけに触れて、あとの二島については何にも触れていないという、そういう実績を残しちゃったわけですよ。だから、そういう実績を踏まえて、その後の共同声明というものは前の実績を踏まえてやっぱりなされざるを得ないわけですね。そこに禍根があるわけですよ。だから、あなた方は、未解決の問題があるということはあっちが理解したと言うんだが、その未解決の問題の内容についての理解が双方が食い違っているわけだ。しかも、その食い違いというものは、共同宣言で四つの中の二つにだけついて言及し、あとの二つには全く言及しなかったというその客観的な事実の中に胚胎している。そうは思いませんか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) この文書の中に、歯舞、色丹という名前だけで国後、択捉ということが書いてない、御指摘の点は事実は事実でございます。ただ、そのかわりに私ども、日本政府といたしましては、当時の要請に従いましてとにかく平和を回復したわけでございまして、あとの二島につきましては、私どもといたしましては当然これを主張する根拠があると、そういう考えのもとに、平和を回復した後に平和条約の交渉を続けるという約束を取ったわけでございますので、それが私ども失敗だったというふうには考えておりません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 だけれども、交渉するということを、その交渉義務というものは向こうは認めたわけですよね。労働関係で言えば団交に応じますよということなんでしょう。だけれども、いまの四島が日本固有の領土ということをソ連が承認したということにはならぬでしょう。どうです。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 仰せのとおり、承認したということにはなりませんので、それが事後の交渉の問題ということでございます。特に二島の問題でございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 それならばよろしい。残念に思うのですよね、私どもも。やはり日本の為政者が気力をふるって主張すべきものは主張しておくということであるならば、今日のような混迷というものは日ソ間になかったのではないかというふうに考えるんですよね。それが私どもとしては非常に残念である。  なお、これは時間がないですが、宮津三原則というものは日中平和条約の問題については——これはあなたのお兄さんですか、大変失礼しました。もう放棄されたものなんでしょうか、まだ生きているんでしょうか。

三宅和助外務省アジア局次長

○政府委員(三宅和助君) あるいは宮澤四原則のことにお触れになったのかと思いますが、これにつきましては、大臣が何回か答弁してございますように、必ずしもそのものとしてではないのですが、そのものを承知した前提ということで考えていくということでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なお最近、元の外務事務次官でいらっしゃった法眼さんですね、いま国際協力事業団の総裁をしていらっしゃる。この方が、ソ連の意図は日本をフィンランド化しようとするにある、ということを言っていらっしゃるようですが、これは外務大臣御存じですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これは前の次官の法眼さんがどのような時期に発言したかわかりませんけれども、多分、私がこの前の交渉の前に、鈴木農林大臣のときに漁業交渉でございました。そのときに、交渉を続けて開いてくれという交渉に私が行ったわけであります。そして私の行った仕事が終わって、向こうが交渉をやろうと言えば鈴木農林大臣が直ちにやってきて交渉を開くと、こういうことがこの前の漁業交渉でございます。そのとき、行っていろいろ、私は総理大臣の特使でございましたから、漁業大臣とじゃなくて、コスイギン首相と会っていろんな話をいたしました。そのときに、ちょうどモスコーの町はフィンランドとそれからソ連との友好関係十周年記念か何かで町に飾りをいっぱいつけておりました。そこで私がいろんな話をいたしまして、話が一段落つこうとする直前に、ソ連とフィンランドの関係を見なさい、うまくいっています、そしていろんな問題が隔意なく処理されていっております、日本も少しフィンランドのことを見てソ連と友好関係を進めたらどうですかと、こういう趣旨のことを言ったわけであります。そこで、ソ連とフィンランドの実情も私よく知っております。その関係も知っておりますが、そのときに私は、午後一時鈴木大臣はモスコーの飛行場に到着をする、交渉再開という話はまだついておらぬというせっぱ詰まった状況で、鈴木さんが飛行場の中に入ってくるまでには交渉再開という段取りをつけなければならぬということで、そのことで必死に話をしておる段階でございました。したがって、向こうも何も悪意で、フィンランドとおれとの関係みたいに日本もおれの方の同盟国になれと、こういうようなことを言ったわけじゃないんで、フィンランドとソ連はうまくいっているんだから、日本ももう少し友好関係を進めたらどうだと、こういう軽い意味のことを言ったので、そこで私がこれに反駁をしなかった。反駁すべきような話し合いじゃなかったわけです。そこで、園田はそういうフィンランドとソ連の関係を知らずに聞き流したんだとか、あるいはやっつけられて声を小さくして返答しなかったんだとか、こういう事件があったわけでありますが、事実は、会議録が外務省にありますが、決して向こうからフィンランドとソ連のような関係に日本もなれと、こう高飛車に言われたわけではなくて、フィンランドとソ連の間はうまくいっているから、日本ももう少し考えたらどうだという程度の話があったわけであります。それをソ連ぎらいの方は、ソ連がフィンランドみたいに日本になれと恫喝をしたと、こう言われておるわけであります。法眼さんがどういう意味で言ったかわからぬが、たぶんそのことをとらえて、ソ連が日本をフィンランド化しようとしておると言われたのかもわかりませんが、それならば私は当を外れておると、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 ただ、フィンランドはいまソ連の衛星国と見るべきではないという意見がありますね。これは西側の経済システムを堅持しているし、中立政策をとっているんで、決して衛星国じゃない。ソ連側がそういうことを大臣に言ったとしますと、それは中立的であれということを、いまのソ中関係などを踏まえてそういう意味で言ったというふうに理解すべきではないでしょうか。どうでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) これは明僚に衛星国家になれとか、あるいはアメリカと離れて中立国家になれとか、そういうことを言ったんじゃなくて、町に飾ってあるフィンランドとの友好関係の記念式典のそれから出てきて、フィンランドとソ連はうまくいっているんだ、日本ももう少しソ連とよく話し合ったらどうだということで、単なるこれは友好関係を示す話であって、政治的にどうなれ、こうなれといった話ではこれは決してございません。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 なお、アメリカはこの日中条約の問題では何らのコメントをしてないんでしょうか。いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 先般——先般と申しましてももうずっと前でありますが、福田総理とカーター大統領との首脳者会談で日中の問題が出ました。その後必要があれば連絡をしておりますが、ごく最近、正式に日中友好条約を進めるんだと、こういう話をしましたら、異存なしと、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 もう時間がなくなりましたので、最後に一つだけお尋ねしますけれども、一昨年の九月に起きましたミグ25の事件なんですけれども、あの問題では、実際にああいうソ連の軍事機密を探る、しかもそれがアメリカの援助を得て行うという結果になりました。あれに対してはずいぶん批判があって、当時三木さんも、おだやかに返すべきではないという意見を最初は持っておったのだということも伝えられておるのですけれども、ああいう対応の仕方をしたことは、あれは外務省の本当の意思だったのでしょうかね。外務省はああいう対応の仕方をすべきであったと考えているのでしょうか。やはりそうではなくて、ただ一定の検証を行った後に、つまり出入国管理令違反の犯罪が行われたということで、それに必要なる検証を行った後に返せば足ると考えておったのか。あの事件はずいぶん日ソ間をぎくしゃくさせる原因になったように思うのですけれども、最後にその一点だけ明確にお答え願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。   〔理事坂元親男君退席、委員長着席〕

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) ミグの事件は、決していかなる意味でも日本政府が惹起した事柄ではございませんが、あの事件そのものは、日ソ関係にとりまして大変不幸な事件であったと私ども考えております。ただ、起こりました以上は、やはり主権国といたしまして、領空侵犯がどのようにして行われたかということにつきまして、これを当然のことながら十分に調査する必要があると考えましたためにそれに必要な調査をいたしましたのでございまして、日本政府の内部におきまして、防衛庁、外務省と見解の相違はございません。主権国としていたすべき最小限必要な調査をした、こういうことでございます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 委員長、問題がまだ残っていますが、時間が来ましたので、これで。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 先ほど宮澤四原則の話が出まして、事務当局から答弁いたしましたが、誤解があってはなりませんので、さらに大臣から補足をしておきたいと思います。  宮澤君のお兄さんでありますからよく注意をしながら答弁をいたしますが、あの宮澤四原則なるものは当時の外務大臣が日本政府の理解を説明したものであって、これは当時の外務大臣でありますから、これが取り消しになったりなくなったりするわけではございません。しかし、今度の日中友好条約締結交渉の前提や条件になるものではない、このように御理解を願いたいと存じます。

寺田熊雄日本社会党

○寺田熊雄君 防衛庁の方、大変申しわけなかったですが、今度十四日にお尋ねしたいと思います。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 私はオーストラリア大蔵省職員に対する日本企業の贈賄の疑いに関連をして御質問を申し上げます。  まず、その第一点として、事実の確認をしておきたいのでございますが、昨年八月二十六日、在キャンベラ日本大使館筋が明らかにしたところによりますと、オーストラリア野党労働党のキーティング議員は、当時開会中の議会に質問状を提出、昭和五十年暮れに日本企業が日本からの投資の許認可に関連をして、オーストラリア大蔵省職員に賄賂として金品を贈った疑いが濃厚であり、政府が至急調査して回答するよう求めたとの報道が、五十二年の八月二十六日の朝日新聞の夕刊の記事に載っておりましたが、在キャンベラ日本大使館筋がこのようなことを明らかにした事実を外務大臣は承知しておられたかどうか、まず確認をしておきたいのでございます。そして、キーティング議員がこのような質問を議会で行った事実について、外務大臣は御承知かと申いますが、この点も含めて御答弁願いたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 事実の経過でございますから、事務当局から間違いがないようにお答えをいたさせます。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) ただいま御指摘の朝日新聞の報道は、私ども承知しております。シドニーにおります朝日の小林特派員の報道記事を御指摘のことと存じます。  これは、この事実関係につきましては、これが八月十七日でございます。当時の八月十七日及び八月二十四日及びもう一回、キーティングという労働党の議員が豪州政府に質問状を出しまして、その要旨は、在豪日本企業が、豪州との合弁事業の許認可に関して大蔵省外資委員会の係官に贈賄を行ったのではないかと、こういう点の質問を発したことに基づくものと考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 私が、この質問をあえて行うことについて一言申し上げておいて、そして若干質問を続けていきたいと思います。  実は、私は昨年の秋からことしの一月に至るまでの間に、本件の経緯等について、わが国の外務省及びキーティング議員に問い合わせを行いました。それぞれ回答を得ているところでございますが、これらの回答によれば、本件については贈賄——外務省の回答では——とか、あるいは不適切な取引——これはキーティング議員の回答てございますが——はなかったと、このようにされておるわけでございますが、それにもかかわらず、なぜ私は本件について質疑を行うのか、その理由を明らかにしておきたいのでございます。  第一は、外務省は本件の経緯について、問題となっているような日本企業による贈賄は行われたことはないと、このように割り切っておられるように見受けるのでございますが、事態はそのように単純に割り切れるものではないと、このように私は考えるわけでございます。  第二には、キーティング議員が私の書簡に対する回答として、問題点は、オーストラリア大蔵省外国資本投資課の数名の職員が、外国資本投資の申請を確実にするため不適切な行動を行ったかどうかという点がキーティング議員の質問の主なる点でございますが、これを基礎にして私は質問を行ったのでありますと、しかし、政府側の回答により、私は不適切な取引がなかったことに満足しておりますと、このように返事を書いてきておるのでございますが、キーティング議員がこのように丁重な議事録を添えて回答してくださったことに対しては、私は感謝の意を表明しているわけでございますが、そして、この回答の内容についてはいささかの疑念も差しはさむ、そういうような気持ちはないことを明らかにしておきます。しかしながら、キーティング議員がオーストラリア大蔵省の職員の不適切な行動の有無に関する質問をされたこととは別に、私は日本の企業の不適切な行動、日本政府の監督の不行き届きの有無について、こういうようなことから質問をするわけでございます。  そこで、大蔵省にお尋ねをしますが、日本の企業がオーストラリアとのジョイントベンチャー計画に関して投資の認可申請をした事例を、一九七四年以降現在まで、該当するものについて明らかにしていただきたいと思います。

大村喬一大蔵省国際金融局投資第三課長

○説明員(大村喬一君) お答え申し上げます。  一九七四年以降、昨年の末までのオーストラリアに対する直接投資の証券取得の件数は、八十九件に上っております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 昨年の八月十七日のキーティング議員に対する——いろいろ私の方に参りました回答の中から引用するわけでございますが——リンチ大蔵大臣の答弁、及び同日のアンソニー外国貿易大臣の答弁によって、日本の企業は一万ドルを支出して、対オーストラリア投資の申請の却下防止を図ったことは明瞭のようであります。  リンチ大蔵大臣は次のように答弁をしております。一九七六年初期、大蔵省は、オーストラリアと日本の企業によるジョイントベンチャー計画が認可を求めるため外国資本による企業買収に関する委員会に提出されたこと、日本の企業がその計画の可能性を調べるためにオーストラリアの企業を使って調査をさせたこと、その企業の経営者たちは、彼らか前政府と関係を持っていた——労働党の内閣でございます、そして、申請が却下されないようにと一万ドルの報酬を要求したと言っていること、そして、結局その金は支払われたこと、などの情報がオーストラリア筋から極秘に外国貿易大臣に伝えられたとの報告を外国貿易省から受けたと、このように大蔵大臣は言っております。  また、アンソニー外国貿易大臣は、次のように、同じことを答弁をしております。一九七六年初期、私は外国貿易大臣として、日本との一般貿易関係問題についての話し合いを求めてきたオーストラリア筋から極秘の情報を受けた、その情報の中には、オーストラリアと日本の企業によるジョイントベンチャー計画が認可を求めるため外国資本による企業買収に関する委員会に提出されたこと、日本の企業がその計画の実施の可能性を調査するためオーストラリアの企業を使って調査させたこと、当該企業の経営者たちが、彼らは前政府と関係を持っており、申し込みが却下されないようにと一万ドルの報酬を要求したと言っていたこと、さらに、この金銭は結局支払われたこと、などが述べられていた。すなわち、昭和五十年末のオーストラリア総選挙の結果、労働党政権は三年間の政権の座を自由地方連合に譲った後で、労働党政権と関係を持つオーストラリア企業に投資計画の可能性調査を委託した日本の企業が、現政権によって申請が却下されないように一万ドルをそのオーストラリア企業の求めに応じて渡したという、そのような答弁でございます。  また、リンチ大蔵大臣の答弁によりますと、大蔵省の調査においては、大蔵省による外国資本投資に関する決定に影響を与えるため連邦公務員に対し金銭が支払われたとの主張を裏づけるような状況の存在の指摘がない、という結論になっているようであります。一万ドルはオーストラリア大蔵省まで届いていなかったということであろうかと思います。  しかし、以上の目的で一万ドルを支出する日本の企業の体質こそが私は問題ではないかと思います。この行為は少なくとも不適切な行為に発展する可能性があると判断をされるわけでございますが、外務大臣は、このような日本の企業の行為をどのように認識されているか伺いたい。企業名が明確ではございませんけれども、ひとつ、はっきり御答弁を願いたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 本件については、オーストラリア政府に照会したところそういう事実はなかったということでありますが、いま御指摘の、このような日本企業の姿勢について外務大臣はどのように考えるかということでございますから、お答えをいたします。  御指摘のごとく、海外進出企業の姿勢が諸外国の日本に対する感情に影響することはきわめて大きい問題でありまして、近ごろいろいろ言われている点もこういう点にたまたまあるわけでございます。したがいまして、在外公館等を通じ、あるいは経済協力、あるいはジョイントベンチャーの場合等、これら進出企業の実態把握に努めるとともに、進出企業が現地社会との調和に十分配慮し、受け入れ国との間で無用の摩擦を起こすことがないように、特にわが国がエコノミックアニマルの非難を受けないように、手段を選ばず目的を達するというようなことがないように十分留意をし、指導をしていきたいと考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 いま申し上げたことは、答弁がございましたとおり、今回のロッキードの本当の日本版といいますか、そういうような感じがしてならないわけで、ロッキード事件の発端も日本の商社がアメリカのロッキード社に、日本の権力筋には金品を贈ればいろんなことが可能になる可能性、そういう習慣があるというようなことの指摘からこういうような大きな問題に発展したという印象を私たちは持っておるわけで、いま申し上げたこのような事例は、もうエコノミックアニマル的金権主義的な行為であって、これは断じて許すことはできないと思います。  そういうようなことで、今度は大蔵省にお尋ねをいたしますが、オーストラリアに対する日本企業の直接投資の状況はどのようになっているのか、特に日本企業がオーストラリア政府に、このようなさっき申し上げた賄賂を贈ったという事実は、大蔵当局としては状況を把握していられたかどうか、その辺のところをお答え願います。

大村喬一大蔵省国際金融局投資第三課長

○説明員(大村喬一君) オーストラリアに対します直接投資の許可実績の件でございますが、これは五十二年末までで全部で五百一件、金額といたしましては九億一千四百万ドルに上っております。  また、先ほど御質問がございましたように、一万ドルの賄賂のお話でございますが、大蔵省としてはこのような事実は承知しておりません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 次は、日本企業による贈賄の疑いに関する訴えは幾らぐらいあったかということでちょっとお尋ねをしてみますが、キーティング議員に対するエリック・ロビンソンという司計大臣、これは会計検査院長に当たる方でございますが、この答弁の中では、キーティング議員の質問の基礎になっている訴え、すなわち日本企業が一万ドルをオーストラリアの企業の要請に従って贈って、それが大蔵の職員のところに届けられたという疑いについての質問でございますが、一方、オーストラリアの大蔵大臣及び大蔵次官の答えでは、それとは根本的に違ったある訴えがまた来ておると、こういうようなことの答弁書が私の手元に参っておるわけでございまして、私の判断では一件や二件ではないんじゃないかと、こういうような問題はいろいろ数多い案件で起こっておるんじゃないかと、こういうような思いがするわけでございますが、この辺のところは外務省としてはどのように把握していらっしゃいますか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) ただいま御指摘になりました豪州の連邦大蔵大臣、あるいは海外貿易相、あるいはロビンソン蔵相代理等の国会におきます答弁を私読んで見ましたが、このような投書があったけれども、そのような投書の内容がどのようなものであるかは、これは慣行もあり秘密もあるのでここで言うわけにいかないと、しかし、調査をした結果、日本企業がそのような金品を贈った事実はないということをいずれも国会で明らかにしておられます。もちろん外国におります日本大使館でございますから、捜査権等もあるわけでもございませんので、連邦政府が責任を持って、しかも責任ある大臣から答弁された事実を信じておりますので、私どもといたしましてはそのような事例はなかったもの、あるいはないものと解釈いたしております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 局長にお尋ねしますが、 エリック・ロビンソン司計大臣の答弁は入手をしておられるんですか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 七六年の十月五日にキーティング労働党議員の質問に対して答えられた内容は持っております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 そのキーティング議員の議会に対する質問の一番の問題になったのは、言いますと、日本企業にA企業、B企業とこうありますと、A企業がそういうけしからないことをしておるということを日本企業のB企業から聞いて、そして質問を展開をしておるわけでございまして、司計大臣の方からのお話によりますと、今度はオーストラリアの情報によるといろいろある。そして一方はやったと、確かにもらったと、一方はそういうことはないという、こういうような根本点が違っておるという指摘のようでございますから、案件は私は別ではないか、こういう種類はいろいろあるんではないかと、こういうような理解をせざるを得ないんでございますが、その辺のところについての御認識はどうでしょう。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 私の調査不十分かと思いますが、ただいまおっしゃいましたA企業、B企業云々と、このような記録は私ちょっとただいま持ち合わせておりません。ただ、一般的にこれはオーストラリアに限りませんが、商慣習として多少のおみやげ等を贈ることは日本の企業もございますわけですが、場合によっては、そういうものもきわめて厳格に解すれば贈賄というようなことに解される場合も、あるいは国もあるかと存じますが、ただいま仰せのオーストラリアの件につきましては、オーストラリア政府につきましては、公務員も非常に服務が厳重であって、物をもらったときに、原則としてもらわないけれども、もしもらわない場合に非常に何か失礼になるとかぐあいが悪いような場合には、上司に報告しあるいは国庫に帰属するようにし、あるいは一般の公共の利益になるように供されるというような、そういう慣行があるというような説明をしておられることでございますので、オーストラリアにおきましてそのようないまわしい事件が実際に行われたということは私は承知しておりません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 物のいろんな贈り方については、受け取り方は、いま局長おっしゃったとおり向こうから答弁が来ておって、断った場合にやっかみを起こすといけないのでそれは政府の機関でしかるべく処理をするんだと。私たちからしますと、非常に寛大なそういうようなことをしていらっしゃるのだなと、こういうように思いますけれども、しかし、この問題は一万ドルという金銭でございますので、そこらあたりの問題が非常に、一方のキーティング議員の方からは日本側の方から、また一方の方からはオーストラリア側の方からと、いろいろ情報が入り乱れておるということ、そして秘密のファイルも渡したとかいうようないろんなこと等が書いてありますので、私は先ほど御答弁があって、相当に件数が多いと、そういうような競争の中ではこういうことを、やはりエコノミックアニマル的なことを相当にやっておるんじゃないか、そういうところの監督指導を厳重に外務省はしなければいかぬのじゃないかと、こういうような気持ちがするわけでございますが、何件ということは御掌握になってないんですね。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 具体的に何が何件というような事例を把握いたしておりません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 やはり海の向こうでのことでございますけれども、日本の国の信用を失墜するような重要な問題でございますから、そういうところにもひとつよく目を配っておいていただきたいと、こういうふうに思うわけでございますが、以上のことを、私は、金銭の授受のことについての不適切なそういうような贈賄ということが行われたんじゃないかというキーティング議員の質問に関連して申し上げましたが、やはり同じ新聞の記事を見ますと、キャンベラ・タイムズの報道によれば、本件に関しては、日本企業から金品を受け取ったオーストラリア大蔵省職員は二十名以上に上り、金品の内容は自動車、カラーテレビ、有価証券とされていると。  これは同じ日の夕刊の記事でございますが、このような金品の贈与が行われている社会的条件として、どうしてこういうようなことが行われたかということの問題でございますが、第一は、労働党政府時代外資流入規制が厳しく、そのために外資流入額が減少しておりまして、日本企業の不満が強い状態にあった。労働党政権が政権を担当した一九七二年十二月から一九七五年十二月の三年間における外資流入額がいかに減少したか。これはオーストラリア連邦統計が示しているところでございますが、すなわち、外資流入額は、一九七〇年から七一年度の十五億六千一百万Aドルをピークとして、七一年から七二年度は十四億八千二百万Aドル、七二年から七三年度が四億五千七百万Aドル、七三年から七四年度が四億七千二百万Aドルと、このように減少して、七四年から七五年度に八億四千四百万Aドルと上向いておる状態ではございますが、このような減少をしているわけでございます。  次に第二点は、日本企業が調査を委託したオーストラリア企業は、前政権である労働党政権と関連を持っていた。これはリンチ、アンソニー両大臣が答弁したとおりでございますが、現自由・地方党連合政権の覚えがめでたくないという、このような推定が成立をするわけで、そこで一万ドルをやらないと許認可にならないぞと、こういう示唆があったようでございます。  第三に、賄賂として提供されたといわれる自動車、カラーテレビは、高い輸入関税の結果、当時の小売価格は日本の二倍以上となっており貴重品となっております。こういうような事実について外務省は、この金銭のほかの金品の贈与等について、このキャンベラ・タイムズの発表した事実をどのように認識をしていらっしゃいますか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) キャンベラ・タイムズの報道は私も承知いたしておりますが、先ほどから御説明申し上げましたとおり、豪州の、党派は違いましても責任ある担当大臣が三回にわたって何ら疑うべき根拠がないと言明しておられますので、私どもといたしましてはキャンベラ・タイムズの報道が真相であろうとは考えておりません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 外務省は、外交関係にある諸外国との友好促進のために、日本のこのように外国に進出している企業の現地における活動実態を的確に把握されることは、これはもう大事だと思います。そして日本政府が的確なまた指導監督をしていくことも大事ではないかと思いますが、この新聞記事によりますと、キャンベラの日本大使館は、日本のこの企業の名を知らないと、このように言っておるようでございます。また、オーストラリア議会においても名前はわかってないようなことを言っておるようでございますけれども、認可に関して一万ドルを払ったとか、自動車やカラーテレビなどを贈ったとかいううわさをされている。私は、それなりにやはり何かなければこういうような報道はされなかったんじゃなかろうか、こういうふうに思っておるわけでございますが、外務省は、引き続いてこのような悪徳な企業を究明してその名前を鮮明にするお考えはございませんか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 諸外国との外交関係を正しく厳正なものにしたいと、そういう意味で、大使館が常にその国にございます日本企業の活動につきまして必要な場合に助言をし警告を発するというようなことはかねがねできる限りやっておりますが、ただいま御指摘の点、改めて私どもとしてももっと注意をいたしたいと思いますが、この件に関します限りは、先ほども申し上げましたとおり、外国におきますことでございますから、日本大使館が捜査権を行使するということもあるはずでございませんし、その国の責任者が責任を持って捜査されたことに信頼を置くべきものと考えておりますので、本件につきましてどの企業がどうしたということを格別にいま調べるということは考えておりません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 特に、オーストラリアと日本の企業によるジョイントベンチャーの計画、この関係で日本企業の認可申請の実態、これを総点検をするお気持ちはないかどうか。これは外務省、それから大蔵、通産の三省を兼ねてひとつ御答弁願いたいと思います。やはりこういうような国の信用に関するようなことが、気になるようなことが行われたらこれは大変でございますから。

宮澤泰外務省欧亜局長

○政府委員(宮澤泰君) 大使館といたしましては、その国にございます、駐留いたします日本の企業の活動等につきましては、今後とも能う限りの情報を収集してまいりたいと考えております。

大村喬一大蔵省国際金融局投資第三課長

○説明員(大村喬一君) 先生御存じのとおり、為替面では四月一日から、特殊な企業、たとえば武器とかそういうものを除きまして、一般的な投資につきましては届け出で足りるということになりました。また、その前は、実はこういう特殊、例外産業セクターを除きまして自動許可をしております。したがいまして、申請者が日銀に参りますと一日、二日でその許可が自動的におりるという状況になっておりまして、私どもといたしましては、窓口で申請の規制をするということはちょっとできかねる状況にございます。

角南立通商産業省産業政策局国際企業課長

○説明員(角南立君) お答えいたします。  海外に出ました日系企業の子会社の活動に関しましては、特に、もちろん海外における状況を把握するのは何よりも大使館、在外公館を通じてやっていただくのがたてまえでございます。通産省といたしましても、所管業種に関連する業界、実際問題といたしまして海外投資の非常に大宗を占めております。それらの企業の海外における子会社が、いまお話しありましたように、現地会社にうまく溶け込むように、いろいろな意味で海外へ日本の企業を指導しております。  それから、OECDにおきまして二年前に多国籍企業というものに対するいわばガイドラインというのが決定されまして、これは通産省だけというわけではございませんが、日本国政府としてそのガイドラインが結構であるということをよその国と同様に考えまして採択いたしました。そのガイドラインに沿いまして、できるだけ日本の企業が海外で活動する場合にもそれを守るようにという指導も、一般的でございますが、やっております。  以上でございます。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 外務大臣に締めくくりとして、こういうふうな進出した企業がこういうふうな悪徳な行為をやるという新聞記事でございましたけれども、一端であろうかと思いますが、こういうようなことが行われないように今後どういうような手を打っていかれるおつもりなのか。私は総点検ということも申し上げましたけれども、それについて御決意をお聞かせ願いたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 本件はただいままで答弁したとおりでございますし、豪州の政府と日本の進出した企業との間のことでございますから、わが方がこれに対してさらにどうこうというわけではありませんけれども、少なくともこのベンチャーの問題は、最初から民間企業と向こうの政府がやるわけではございません。やっぱり最初は政府も関係するわけでありますから、少なくともこういう事件が起こって、それでそういうことがあるかもわからぬというような疑惑を受けるようなことがないように、関係省——通産、大蔵、外務省がよく連携をして、そして進出をする企業の側として各企業を厳重に指導し、監督をし、このような疑惑を受けることがないようにしたいと考えております。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 じゃ、次は外務省の関連の天下り人事といいますか、それに関連をして質問を申し上げます。  最近、高級官僚の民間会社や特殊法人への天下りの実情が人事白書や政労協白書によって明らかにされたところでございますが、第二の人生をいかに送るかという問題はサラリーマン全体の問題として解決を要する重要な課題であり、これを何が何でも悪いという立場をとるものでないことはもちろんでございますけれども、政府職員が、退職後、特殊法人の役員に天下りをする事例については一考を要するものがあると私は考えるわけでございます。  たとえば、外務省の高官が外務省の監督下にある国際協力事業団に天下った場合、果たして監督がスムーズに行われるかどうか疑問が生ずるのであります。すなわち、外務省の特別職及び指定職俸給表適用者の退職後の再就職先に関する外務省の調査によれば、昭和四十九年度から五十一年度に至る三カ年度において、毎年度必ず一名の特別職または指定職の退職者が外務省から国際協力事業団へ天下っているのであって、このように連年外務省の先輩がその監督下にある特殊法人に天下りを行っている状況においては、これは第二の人生尊重の限界を超えるものではないかと思うのでございます。また、監督行政にも支障を生ずるものではないかという疑問が生じても私は決して不思議ではないと思うのでございます。  国際事業団は、昭和四十九年度に関係機関を集めて創設されたものでございますが、その海外経済協力に果たす役割りは広範かつ重要なものであるから、外務省のこれに対する監督行政が不十分のそしりを受けるような天下りは再考すると私は考えるわけでございますが、これについて外務大臣の御見解をお伺いしたいのでございます。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 御指摘は十分これから注意をして、人事その他に問違いがないようにしたいと考えておりますが、いまの事業団でございますが、これはいま御発言の中にもありましたとおりに、かと言ってやはり国際協力、経済協力、技術協力等に経験のある者もまた必要でございます。なおまた民間からこれを持ってこようといたしましても、なかなか適任者や了承する人がおりません。  ただいま国際協力事業団の役員十六名おりますが、これを大体出身内訳別に見ますると、外務省が三名、それから農林省が三名、通産省が三名、大蔵省が二名、建設省が一名、警察庁が一名、国会議員、これはもう現在では現職ではなくなりましたが、理事として一名、その他の方々が二名と、こういう割合でいまのところはおられるわけであります。しかし、かと言って、いまの御発言は、十分注意をしなければ、むしろ外務省の退職者がここへ行ってある面では都合いいけれども、ある面ではまた外務省の監督や指導がおろそかになるという点は御指摘のとおりでありますから、今後十分注意をしてやりたいと思います。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 次は、国際協力事業団の派遣専門家の事故死に関連をして御質問を申し上げます。  在ビルマ日本大使館から外務省に入った公電によりますと、ビルマ国営航空のフォッカー・フレンドシップがラングーンのミンガラドン空港を離陸した直後に墜落、塔乗していた国際協力事業団派遣の専門家六名が死亡したというようなことでございまますが、「橋梁専門家、一瞬に散る」「張り切っていたのに…… 同僚たち重苦しい衝撃」、このように新聞記事は報ぜられているようでございますが、まことに痛ましい事故でございました。航空機は離陸直後に墜落する例がしばしばございますが、これはパイロットのミスではなく、整備上の不備による場合が多いと考えられております。今回の墜落事故の原因究明はどの程度進行しているのか、今後同様の事故を繰り返さないための対策はどのようにビルマ政府によって実施されているのか、事業団関係の被害の実情はどうなっているのか、死亡者は公務災害に当たると考えるわけでございますがどうか、以上の諸点について外務省の御見解を説明願いたいと思います。

山崎敏夫外務大臣官房長

○政府委員(山崎敏夫君) 今回の痛ましい航空機事故による殉職に関しましては、われわれとしましては、全力を挙げてその原因究明及び遺族の救済に当たっておるわけでございます。  事故の原因に関しましては、現在ビルマ政府が鋭意究明いたしておりますが、この墜落機にはボイスレコーダー等が塔載されていなかった模様でございまして、これまでのところ事故原因はまだ明らかになっておりません。なお、ビルマ政府当局からは、事故原因が判明次第、在ビルマ日本大使館に対して直ちに連絡するというふうに通報をよこしておる次第でございます。  なお、今回の事故に関しましてビルマ政府より深甚なる弔意の表明がございました。  次に、今回の事故発生に際してわれわれとしていかなる措置をとったかということでございますが、外務省は事故発生の第一報を受けましてから、直ちに関係省及び関係団体を通じて御遺族の方にも御連絡申し下げまして、そしてこの事故が発生したことが東京へ伝えられましたのは土曜日の昼ごろでございましたが、直ちに各方面に御連絡申し上げるとともに、御遺族の方々及び団体の責任者は翌日の日曜日の夕方の飛行機で現地に向かっていただいたわけでございます。さらに現地におきましては、在ビルマ大使館が中心になりまして、遺体の確認とかあるいは遺骨の処理あるいはその持ち帰りに関しまして、現地大使以下、館員一同が献身的に働いた次第でございます。この点は、御遺族の方々も、ビルマの大使館は非常によくやっていただいたということを申しておられます。その後、殉職者のための合同葬儀が一昨日青山斎場において行われた次第でございます。このように外務省といたしましては、この事故発生とともに、できるだけの努力はしてまいった次第でございます。  また補償措置の問題に関しましては、本件は明らかに公務上の死亡でございますので、殉職した対ビルマ技術協力調査団の一行のうち、国家公務員、つまり外務省の者一人及び建設省の方三人に対しましては、国家公務員災害補償法によって遺族補償年金等が支払われることになっております。また、国際協力事業団及び首都高速道路公団の職員それぞれ一人につきましては、労災保険法により同じく遺族補償年金等が支払われることになると思います。手続に関しましては、現地大使館よりの公信による詳細な事故報告を受け取った後、早急に開始する予定でございます。  また、この調査団が使用いたしましたビルマ国営航空に対する補償請求に関しましては、こういう事故の例にならいまして、調査団員の御遭族の方が中心になって、他国の犠牲者の遺族等とも協議しながら取り進めることになると思われます。政府といたしましては、これに対してはできるだけの援助の手を差し伸べる考えでございます。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 いままで国際協力事業団が派遣をした専門家及び青年海外協力隊員の中で、派遣先で公務災害によって殉職をされたようなそういう方々について、昭和四十九年から五十二年までのこの四年の間の派遣団別死亡あるいは負傷者別、事故の原因、こういうことがおわかりでしょうか。

武藤利昭外務省経済協力局長

○政府委員(武藤利昭君) ただいま手元には持ち合わせておりません。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 じゃ資料として提出していただけますか。

武藤利昭外務省経済協力局長

○政府委員(武藤利昭君) 後日提出させていただきたいと存じます。

和泉照雄公明党

○和泉照雄君 今度の事故を初めとして、家族から離れてこういう海外で真剣に働いていらっしゃる方々がこういう痛ましい事故にお遭いになって、家族の方々はもう生活のすべてを失ってしまうというのが実情でございますので、ひとついま御答弁になった手厚い補償も、及ぶ限りの手を伸べていただきたいと、こういうふうにお願いをしまして、私の質問を終わります。

茜ケ久保重光日本社会党

○委員長(茜ケ久保重光君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

茜ケ久保重光日本社会党

○委員長(茜ケ久保重光君) 速記を起こして。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それでは大変限られた時間ですので、二つほどの問題を簡単にお聞きしたいと思います。  まず第一に、ロッキード事件を契機に、わが国の内外の新聞あるいはテレビ等の報道で、日本も関係していることを示唆した不正支払い事件というのがよく取り上げられるわけでございます。こういうニュース、報道というものを耳にされた場合には、大体一般論として、外務大臣はどのように対処されますか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) まず第一に実態の把握を命じます。次に、それによって省としては、別個にそれぞれの事件次第で外務省としての対応策を講じます。次にその後そういう事件がないようにどのようにすべきかと、こういう大体三段階に分けて対応しております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そうしますと、そういう報道、また国会でも指摘されるとか、あるいは事態の疑惑の解明に取り組むというふうなことは当然の問題として、これは外務大臣の権限と任務から照らしましても当然のことであると思うんですが、そういった事例のある場合に、そういう報道等あるいはそういうニュースが知られる、耳に入るという状況になった場合には、積極的に解明のために外務省の立場では協力をされるということだと思うんですけれども、いま大臣がおっしゃったとおりで、すべてそういうふうにおやりになっていらっしゃると受け取ってよろしいですね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) なかなか事件次第では、正直に言って自分の所管ではないこともありますけれども、そうではなくて、やはり対外的な問題はどの省に行こうともその窓口は外務省でありますから、私が就任してからはなるべくそのようにしております。今後ともさらにその方針は進めていく所存でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それじゃちょっと具体的な問題でお伺いをしたいと思いますが、去る三月八日付のこれは朝日新聞の夕刊でございますけれども、この夕刊によりますと、ロッキード事件でロッキード社の最も強力な競争相手であったマクダネル・ダグラス社、このダグラス社が二百五十万ドルに上る海外への不正支出が、米司法省、連邦大陪審、米証券取引委員会などの捜査を受けていることをダグラス社が認めている。さらにこの記事によりますと、ダグラス社の方にもロッキード社の児玉譽士夫に相当するような秘密代理人がいたのではないかという疑いが消えていないと、大変重要な報道がなされております。しかし、その支払いの対象国に日本が含まれているかどうかというのは、いまのところ明らかでないというのが、この報道には言われているんですけれども、含まれている可能性が非常に強いことを示唆している。外務大臣は、この記事は、この二つの事実は御承知ですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 拝見しましたが、事実については事務当局からお答えをさせます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それで、外務省には後で聞くといたしまして、防衛庁にお聞きしたいんです。おいでいただいていますね。  ダグラス社は、これは次期主力戦闘機のF15イーグルのメーカーでございますし、F15の購入計画及び予算措置、さらに、ついでに一緒に聞いておきたいんですが、F15と次期対潜哨戒機のP3Cオライオンの国内生産体制が決定した、これも新聞に報道されているんですが、これは事実かどうか、具体的にお伺いをしたい。

筒井良三防衛庁装備局航空機課長

○説明員(筒井良三君) 初めに、F15の今年度の購入計画を御説明さしていただきます。  F15は、一応百機を取得するということを前提といたしまして、その第一次契約分として二十三機の取得に関する経費を、五カ年の国庫債務負担行為をもちまして、昭和五十三年度予算に計上してございます。その費用は、二十三機の総額としまして、千六百十二億円でございまして、うち、五十三年度の歳出分は約五億円でございます。  なお、先生が先ほどおっしゃられました国内の生産体制の事柄でございますけれども、それは航空機製造事業法を所管いたします通産省と私どもで、いま最終的な検討を行っている段階でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そうすると、F15もP3Cも国内生産体制が決まったというふうに新聞では報道されていましたが、まだいま打ち合わせ中というところですか。

筒井良三防衛庁装備局航空機課長

○説明員(筒井良三君) いま打ち合わせ中でございます。近いうちに決定を見たいと考えております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 そんなふうに言われると、これまたちょっと困るんですが、これは四月八日、日経新聞ですが、十四日に閣議に報告をし、直ちに航空機製造事業法に基づき、河本通産相が各企業に製造許可を与えるというふうに、もう閣議に報告をして、もう許可を与えるという段階で報道されているんですが、事実はいまあなたがおっしゃったとおりですか。その辺をちょっとはっきりしておいてください。

筒井良三防衛庁装備局航空機課長

○説明員(筒井良三君) これは本来、通産省がお答えくださることだと思っておりますけれども、まず第一に、これは閣議了解報告事項ではございません。その点に関して新聞が間違っているかと思います。  それから次に、事業法に基づきますところの許可、これは機体でありましょうが、エンジンでありましょうが、事業法に基づきまして個々の許可を通産省がそのメーカーに与えておりますが、その時期は、一般的に言いましてもっと——F4等の例で言いますれば、数カ月かかってから下されております。それでは、現実の私どもの調達の準備が進みませんので、したがいまして、プライムと申しますか、主契約者に関しまして方針の決定を事前に行いまして、その線でお互いに準備をしていくと、その段階のプライムに関する方針の決定について、いま両省庁で調整中であると、そういうぐあいに御理解いただきたいと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 はい、わかりました。それじゃ、F15の契約に際してロッキード事件のようなことを起こさない対策はどういうふうにとっておられるか、これは防衛庁、どうですか。

筒井良三防衛庁装備局航空機課長

○説明員(筒井良三君) 二度と繰り返さないと——私どもP3あるいは在来防衛庁の行っている調達において、そのようなことは行っていないと思いますが、いかなる不当不正な事項をも当然起きないように、二重、三重にわれわれとしては努力したいと思っております。  その一つは、調達の適正化を期するため、これはF15、P3に限らず、私どもとしては調達実施本部等、体制を整えて慎重に適正な調達を行っておりますが、F15、P3Cに関しましては特に巨大プロジェクトでもこれあり、またロッキード事件等の状況もございましたので、外国でつくるものではございますが、原価、価格の調査及び監査というようなことをもできる限り実施するというのが一つ。  それからもう一つは、一応会社から、そのような不当なことを機種の売り込みに関してやっておりませんでしたし、今後もいたしませんという旨の誓約書の提出を求めております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 誓約書をとっておられるということでございますが、この誓約書には賄賂や金品の贈与をこれまでも、また将来も行っていないことを明瞭に誓約しますというふうに書かれていますよね、あれに。そういうことで、防衛庁はこの誓約を確信しているがゆえに、まあF15の契約も決定を——F15にするという機種の決定もされたんだと思います。そういうことだからということで、まあすべてが終わっているのかどうかという問題が残るわけですよ。それで、先ほど私外務大臣にも御承知いただいておりますかと言ってお聞きをしました先ほどの朝日新聞に報道されました、ダグラス社の海外に二百五十万ドルに上る不正支出の問題、しかもどうも日本も危なつかしいぞというふうな関係を報道されておりました、こういう報道ですね。こういう報道が出た場合には、誓約書もとってあるしあれだけれども、すぐ当然調査をされるというのが普通だろうと思うんですが、これは防衛庁としてはこの問題については調査をなさいましたか。

筒井良三防衛庁装備局航空機課長

○説明員(筒井良三君) ただいまのマクダネル社の二百五十万ドル云々の問題でございますが、本件は、朝日新聞はたしか三か月に記事にしてございますが、本件は実は一九七六年、すでに公表されている事実でございます。私どもは一応すでに了知しておりました。なおかつ今回の報道に伴い、そのようなことがあるのかどうかということは会社に再度確認をいたしましたけれども、マクダネル社は防衛庁のこの調達に関して全く関係のないことであるということを言っております。  二百五十万ドル問題につきまして、あのときの新聞の記事が必ずしも、正確を欠いておりますので御説明さしていただきますと、マクダネル・ダグラス社が、各社ともに毎年年次報告、アニュアルレポートなるものを株主に対する事業報告ということで出してございますけれども、一九七五年の十二月三十一日に出されました同社のアニュアルレポートにはっきりその件の報告が書いてございます。それによりますと、独立の、つまり同社と関係のない独立した法律事務所の調査の結果、その調査の対象としましては、一九七五年の六月に至る過去五カ年半の間に、民間機及び軍用機の売り込みに対してどのようなコミッションが払われているかということをこの法律事務所が調査しまして、その報告によりますと、軍用機ではなくて民間機の売り込みに関しまして、約二百五十万ドルのコミッションが外国政府職員もしくは政府の所有するエアライン関係に支払われたということが判明しておりまして、そのことが直ちに米国の証券取引委員会及び国税庁に報告されているということでございます。  で、私どものF15、特にわが国向けの戦闘機F15Jに関しましてはいささかの問題もないと確信している次第でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 いま言われたように、一九七五年から過去五年にさかのぼってと、こういうことなんですよね。しかし、ダグラス社と防衛庁の関係というのは今度のF15イーグルが初めてではなくて、いままでもずいぶん大きな御関係があるわけですね。だから、ダグラス社から購入された航空機の機種と機数、金額ですね、これをちょっとお伺いをしておきたいと思います。

筒井良三防衛庁装備局航空機課長

○説明員(筒井良三君) マクダネル・ダグラス社から購入しておりますのは、F4EJファントム及びRF4Eファントムの偵察機型の二機種でございます。F4に関しましてはこれはライセンス生産を行って、国内の三菱重工業等と契約を行って調達を行っております。RF4に関しましてはライセンス生産を行わず、同社から輸入してございます。で、F4EJにつきましては百四十機、予算ベースで言いまして三千四百五十二億円、いま契約中のものも含めております。またRF4E型の偵察機は十四機で、同じく予算ベースで約二百七十八億円でございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 いまのお話から言いますと、軍用機ではなくて民間機だと、こういうことだそうでございますから、これはまたさらに私の方でも調査をさしていただきたいと思っているんです。  で、民間機ということなんで、運輸省にちょっとお伺いをしたいんです。  ダグラス社から購入した民間航空会社の航空機の機種及び機数ですね、いままでどういうのがどれくらいありますか。これは特に機種の選定に当たっては運輸省が行政指導する権限があるんですね。だから、ダグラス社についても何ぼあるかというのはわかっているんでしょう。

松村義弘運輸省航空局監理部監督課長

○説明員(松村義弘君) 現在わが国の航空会社がダグラス式の民間航空機を何機使用しているかという御質問でございますけれども、五十三年四月一日現在の数字を申し上げたいと思います。  日本航空で四十四機使用しております。機種を申しますと、DC10六機、DC8三十八機でございます。それから日本アジア航空、五機、機種はDC8でございます。東亜国内航空、DC9十八機、以上でございます。総計しまして現在使っておりますのは六十七機で、DC10が六機、DC8が四十三機、DC9が十八機でございます。  なお、先生の最後の御質問のところで、運輸省は機種の選定について行政指導する権限があるというお話でございますが、現在政府の方針としまして、機種の選定は完全に民間航空会社に任してございますので、お含みおきいただきたいと思います。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 いずれにしても、六十七機、現在ダグラス社のいろんな機種による飛行機が運航しているわけですね。で、いまも防衛庁のお話のように、二百五十万ドルの海外における不正支払いというのは軍用機ではなくて民間機だというふうに言われておりますが、これは運輸省としては、新聞に報道された以前からよく御承知なんだろうと思います。だから、そういう点について御調査をなさっておられるであろうと思いますけれども、どういうふうに対応しておられますか。

松村義弘運輸省航空局監理部監督課長

○説明員(松村義弘君) 新聞報道でわれわれはその事実を承知しております。で、常日ごろ民間航空会社に対しまては、国民の足としての民間航空事業の健全な発展のためにいささかも疑念を持たれるようなことがあってはいけない、十分行動に慎むように、これは行政指導しております。特に今回の報道につきまして、われわれの方は特別に調査を行ったという点はございませんけれども、常日ごろ行政指導しておりますので、万々不正な事実に関与していることはないものと確信しております。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それは二百五十万ドルの支払い先が日本だというふうに断言されてないという問題もございますから、万々なきものと確信いたしておりますで済むかもわからぬのですけれども、これはしかし私は甘いと思うんですよね。といいますのは、ロッキード裁判における昌頭陳述などを見ますと、日本も支払い先の一つであったんではないかということが推測されるというふうな記事がずいぶんありますよね。ここに、「田中角榮ら五名に対する受託収賄等被告事件冒頭陳述書要旨」というのを私拝見をいたしましたけれども、これを見ますと、時間が余りありませんから簡単に申し上げますが、この二一八ページに、丸紅の前会長の檜山が田中らに賄賂を贈る動機としてどういうことをこの冒頭陳述の中では言われているかというと、ダグラス社から多額の金員が政界筋に流れるのではないかと危惧し、丸紅とロッキードが従来どおりのことをしていれば競争に勝つことが困難と焦慮していたのだというのが一つ出ておるんですね。それからその三十一ページには、競争相手であるダグラス社が政界に働きかけているものと推測していたから田中らへの働きかけを決めたと。業界にも政界にも精通をしている檜山前会長がそこまで思い込むんだから、この推測というのは非常に重要な信憑性を持ってくると思うんです。さらに三十二ページには、檜山が田中らへの働きかけを提案したことにコーチャンが賛成したのは、競争相手の商社、これはダグラス社の代理人の三井物産、この競争相手の商社が田中総理大臣を訪問していることを知っていたからというふうに書かれている。さらに三十三ページには、田中への賄賂を五億円と決定するについては、航空機のような大きな取引では五億円は通常のレートであり、金を贈る約束をすることは取引における慣習であると大久保前専務がコーチャンに進言をした、説明をした。また四十三ページから四十五ページにかけては、ダグラス社の代理人三井物産が田中に働きかけた事実が述べられている。田中は、四十五年中ごろ、若狭社長に電話で、三井物産からDC10を買うよう口添えしてくれと言われているので検討してほしい旨要望した。要望して——このようにダクラス社は日本に対して不正な支払いをしていた——その辺は違うんですがね。こういうふうな政界に対する工作の中で、代理人の三井物産あるいはダグラス社が総理大臣を初め働きかけをしていたというふうなことが問題になっているわけですね。ですから、いまその二百五十万ドルが名指しで日本に払われたというふうに言われておりませんけれども、この報道についてはきわめて重大な内容を含んでいると思いますし、ロッキード事件の裁判の進行あたりから見ましても非常に重要な中身が考えられるわけです。  そこで、外務省にこの問題について最後にお聞きしたいんですけれども、こういう報道に関して調査をどういうふうに行われたか、行われておるかどうかという問題、調査をやっておられるんなら、具体的に内容はどういうことなのか、これをちょっと聞かしていただきたい。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 米側に本件を照会いたしましたところ、いま発言がありましたとおりに、米国の証券取引委員会、SECで調査をしておると、そこでまだ調査が完了していないから公表し得る資料はないと、こういうことでございまして、また一般論として、このSECは調査中の事案についてはその内容を公にするコメントは出さないと、こういう返答でございました。  なお、この事件が米国の捜査当局によって捜査されておるかということは承知しておりません。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 御調査になっておられるということであれば、SECの会議録等はお取り寄せになっておられるんですね。

北村汎外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(北村汎君) ただいま沓脱委員がおっしゃいましたSECの議事録というのは、恐らくSECの報告書と申しますか、ロッキード事件の場合にはロッキード社からSECに対して出された報告書のようなことを指していらっしゃるんじゃないかと思いますが、ただいま大臣から御説明がございましたように、SECはまだ本件についてずっと調査中でございまして、完了しておりませんので何らの報告書も出されておりません。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 これは私、大臣、非常に重要な疑惑を生む問題を含んでおるので、外務大臣おっしゃったように、早速照会をして調査をしておられるということだそうでございますが、実は私も調査を少ししたいと思って外務省に資料のお願いをしたんですよ、実は。そういうことで何とかと思ったんですが、SECの会議録、最初お願いしたときには、いや会議録はありますと、訳文もできておりますというふうなお話であったのが、今度は、いや会議録はありますということになって、しまいには、いやそんなのはありませんということで、いよいよ最後に何にもないんだと。そんな無責任なことありますかというて言うたら、これを持ってきてくれたんですね。これは七五年の十二月一日付のワシントンポストですよ。その切り抜きですよ。これは読めない、写して持ってきてくれているんだけれども。こういうことでは、私は本当に外務省、大臣がおっしゃったように、ちゃんとSECとも接触をなさって調査をしておられるのかどうかというのは非常に疑わしいと思ったんです。しかし、おやりになっておられるのなら、重大な関心を払っておられるんだから、当然、SECの報告書ですか、会議録か、そういうものが入手されて、そうしてそれも訳文もしておられると、あたりまえだと思うんですね、これは。当然だと思うんですが、そういう、私にとってはちょっと何たることかという感じがするような態度でございました。ですから非常に信頼できなかった。しかし、大臣がそういうふうにSECと接触をされて、しかしいま公表の段階でないということなんだということのようでございますから、調査をされまして、これは非常に重大な問題を、疑惑を生む問題ですから、ひとつ御調査の結果を当委員会に御報告を賜りたいと思うんですが、どうでしょう。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 出ましたらそのようにいたします。  なお、沓脱先生からの、調査の段階で最初は議事録があると言って後はないと言い、何にもないと言ったことは、大臣の省内の監督に属することでございますから、改めてよく調べて個人的に御連絡をいたします。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 あとわずかの時間が残っておりますので、ひとつNHKの米軍の関係者の受信料問題についてお聞きをしたいんです。  時間がありませんから簡単に申し上げますが、外務大臣は、二月の十五日の衆議院の予算委員会で、NHKの受信料は、「地位協定の第十一二条第三項にこれが当たるかどうかと聞かれれば、当然免除されるべき筋合いのものではない。」というふうに明確に答弁をされて、NHKの受信料は税金であるとする在日米軍司令部の見解ははっきり否定されたと思うんですが、このお考え、いまもお変わりはないでしょうね。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) そのとおりでございます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それで少し細かく聞いた方がいいんですけれども、私、実は三月の二十八日の逓信委員会でこの問題についてかなりNHKにただしておりますので、この場でNHKにお聞きするというのはなかなか時間がかかりますので、聞いた範囲のことを申し上げたいと思うんです。  米軍は税金であるという、税金の一部という見解で払わぬということの文書が何回か往復しているんですね。たとえば三月二十日付の米軍司令官あての申し入れ、これはNHKから申し入れをした分ですが、税金だと主張されるなら、このことを規定した過去の文書などがあればひとつNHKに示していただきたいと、こういうふうにお書きになっているんですよね、三月二十日付の申し入れには。ところが、そういう文書というものはないからいま提出されないと、これは確認をしております。NHKには文書は提出されてないと。申し入れの文書には、もう何回も同じことを言われるので、三月二十日の最後の申し入れについてはこういうふうに書いておられるのですね、NHKは米軍責任者との会談をしたいと、それは横田の基地でもよろしいしNHKでも結構ですと、そういうふうに書いておられますが、その後どうなったんだということで先月二十八日の委員会のときにNHKにただしましたところが、三月の二十二日に、実はそういう在日米軍司令官とNHKの責任者という関係の話し合いをする前に事務段階での話し合いをしたいと言うてこられて、二十二日に横田でお会いをしたと。しかし、その段階では米軍はやはり同じような主張を繰り返しておられると。さらにその後今日まで、まだ日にちは余りありませんけれども、どうであるかということでNHKにただしたところが、何回も催促をしておりますけれども、もう一つ会おうとなさらない、会う必要もないという感じが非常に濃厚だということなんですね。  私、こういういきさつというのは非常に問題だと思うんですが、自分たちが根拠にしている文書があるんなら出してくれと言うたら、文書は出さない、しかし、地位協定の十三条の三項によってこれは免除されているんだと、こういう勝手な解釈をされているんですが、そこに原因があるということが非常に各方面の質疑応答の中で明らかになっております。  そこで外務大臣にちょっとお聞きをしたいと思いますが、大臣、これまた二月の十五日の衆議院の予算委員会で、この問題に関連いたしましてこういうふうなお言葉が出ているんですね。「占領中の米軍様という感情が残っておりまして、NHKさんの方でもこれを当初からぴたっと取っておけばよかった問題でありますが何か慣習みたいになっております」のでと述べておられた。それをお聞きしますと、だから慣習もあって初めからぴたっと取らなかったから、全責任がNHKの側にあるというふうに受け取れるんですが、これはちょっと私は大臣の発言としては不見識ではないかなというふうに思うんですよ。  と言いますのは、そういうふうに私が感じるというのは一つは事情があるわけです。というのは、昭和三十五年の四月に、NHKはやはり米軍の照会に対して、米軍の関係者の中に税と解釈して支払いを拒否する人たちがおるので、その解釈は間違っておりますよ、支払い義務があるのだから支払いの拒否はしてもらったら困りますという文書を、昭和三十五年のこれは四月に出しておられる。こういうことは御承知でございましたか。

北村汎外務省アメリカ局外務参事官

○説明員(北村汎君) この問題につきましては、従来からNHKとそれから軍当局との間で何度か折衝が行われたことは承知しております。最近、いま沓脱委員がおっしゃいましたように、二月の六日から三月の二十日までの間、文書のやり取りが二度行われておりまして、この三月二十日付のNHKからの文書に対しましては、まだ米軍からは、いま先生おっしゃいましたように、何らの返答も来ておりません。そこで私どもといたしましては、大臣が委員会ではっきりおっしゃっておられますように、外務省の地位協定の解釈としましては、十三条三項の租税に当たるものではないという考えをわれわれは持っております。他方、そういうことで私どもはNHK側と米軍当局とがいろいろこれを折衝して、そして調整をする成り行きを見ていきたいと思っておりましたのですが、また他方、郵政省から外務省の方にも協力の要請がございまして、いま事務当局でいろいろ協議しておりますけれども、この問題を合同委員会の下部機構でこれを取り上げるということも含めまして、本件のアメリカ側との調整というものは将来検討していこうという事務レベルの話がいま行われておるということを御報告いたしておきます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 それじゃ、そういうことで郵政省の方とのお話し合いも接触が進んでいるということでございますから、もう少し具体的に私お聞きをしたいのは、というのは、私大臣に、よく事業御承知なくてということを申し上げましたのは、米軍並びに米軍関係者と一口に言っておりますけれども、基地の中と外とあるわけですよ、問題は。それで、基地の中はこれは立ち入ることができないですから、それは確かに大臣がおっしゃったようにずうっと慣習みたいなかっこうでNHKは微収しておりません。しかし基地の外は、これはわざわざ英文の受信契約書などを持っていろいろ訪問をしたり、またずうっと支払いも受けているわけです。だから、ちょっと事実というのはそういうふうに非常に具体的になるわけです。だから、そういうことで基地の外の米軍関係者はお払いになっている方々もかなりあるわけです。そういう中であの二月六日の星条旗紙に出た文書だとか、一月末に米軍司令部から出された文書だとかということで払う必要はないんだというふうになってきたものだから、問題が突如大きくなってきたわけですね。  そこで、基地内の問題です、いままで手をつけてなかった基地内の問題。だから、基地内の問題についてはどうなのかという問題が残るわけですよ。この問題につきましては、昨年の三月に、衆議院の逓信委員会でわが方の藤原議員がこのことについてお尋ねをして、郵政省の電波監理局長が、いや基地内でも放送法は及びますとお話しになっておるわけですが、その後、しかし基地内は自由に入れないんだから、NHKの方では監督官庁ということで郵政省と御相談を申し上げた、郵政省はそれはそうだなということで外務省との間で協議をしてくださっておるというふうに私どもは承知をしております、というのがNHKの私どもに対する返事なんです。それでその返事、協議がまとまったということの返事をいただかない間に、一月末の米軍司令部の文書だとか、二月六日の例の星条旗紙の中での文書だとかいうふうなものが出て、また一挙にその問題が大きくなっきてているんだというのが経過なんですよね。  いまおっしゃられたので私はこれ以上申し上げる必要もないかと思いますけれども、米軍司令部の方の御見解としては、地位協定の十三条の三項についての御理解の違いなんですね、外務大臣の御見解との違いというのは。こういう条約あるいは条文に対する解釈の違い、理解の違いというふうなことになってまいりますと、これだけ何回か往復をしてNHKが努力をしたとしても、これはNHKの努力だけでは解決できないものではないかというふうに私は思うんですよ。こういう点で、余りもう時間がありませんので最後になりますが、お聞きをしたいと思いますのは、一つは基地内の問題の扱いということで郵政省と外務省とが協議をなさっておられたのかどうか。なさっておられたんなら、その結論はどうなっているのかという問題です。  それから最後には、十三条の三項による見解の違いという問題での対立でございますから、こういう点でいま国民も注目をしておりまして、これはまともに解決をしなければならないと思う段階へ来ていると思うんです。服部大臣もこれは先日、二十八日の委員会では、実はアメリカ局長とも御相談を申し上げているんだと、こういうふうに言っておられましたので、これはぜひ解決をしてもらわなければならない段階へ来ていると思うんですね。先ほど日米合同委員会の下部機構にもかけてということも含めてということでございましたが、そういう点について、最終決着はどうしても外務省の出番のように思うんですが、大臣、その点についてひとつお伺いをさせていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 御発言の趣旨はよく了解をいたしました。おしかりをいただきましたが、確かに委員会で、私が仲間に言うべきことを委員会で言ったことは慎重な発言ではなかったと思います。しかし、私の考え方は、私がかつて厚生大臣のときに、伝染病が入ってくる、その伝染病がベトナムから帰ってくる基地から入ってくる、ところが基地には立ち入りができないということで非常に困ったことがあります。その際、交換文書がありましたので、私は文書などというものは両方が合意して書いたものだからいつでも変えられる、そういうことをほうっておいてはいかぬというので、軍司令官に来てくれと言って呼び出しました。そうしたら直ちに向こうの最高の軍医部長がやってきてくれました。そして便法を講じて基地内に入るということをやったわけでありまして、私の腹の中には、どうも惰性で、決めたことはもうできないんだと。それから地位協定なんかでも、決められたことはもうそのとおりに、習慣になってしまって、日本人はそれで満足しているんだという感じをアメリカに与えておるということはよくないことで、言うべきことは堂々と言い、やるべきことは堂々とやらなければ本当の日米協力はできない、こういう気持ちがあるわけであります。したがいまして、この問題もいろいろ聞かれるとありますけれども、何十年かほうっておいて、そして文書のやりとりなんかで解決などありません。それはもっと強引にわんわん当事者がやって、そして外務省がまた後ろに立ったり先頭に立ったりしてやらなければならぬと思いますが、その経緯を私がつい公開の席上で言ったことは、仲間に対する不満を言ったことでございますから、お見逃しを願いたいと存じます。  そこで、いま事務当局から、これは下部機構でやりたいと思いますと、こういうことを言いましたが、下部機構といっても、こういうものを担当する下部機構はないわけでございます。そこでこの周波数の分科委員会だとか通信分科委員会などもありますから、合同委員会がこれにその任務を付与すれば当然これが折衝する権限が出てくるわけであります。またおしかりを受けるかもわかりませんが、日本は米軍の言うことを聞くだけではなくて、いつもあなた方から言われている米軍の問題なんかでも、周波数の割り当てをやる権限を持っておるわけでありますから、そういう何も頼むばっかりのことじゃないんだからもっと手ごわくやれと、こういうのがまあ私のああいった失言になったわけでありますから、したがって、そういうことで合同委員会から周波数分科委員会か通信分科委員会に任務を付与して、そこでそれが向こうと折衝してどんどん当たると。基地内は確かに立ち入りできませんけれども、まとめて払うとか、話しさえつけば、そういう方法は幾らでもあるわけでありますから、そういうことを一つずつ解決していくことが、私は地位協定またはその他の問題で、日本が不平等のやつをだんだん平等に持っていけそうだと平素思い込んでおるものでありますから、私の失言はお許しを願いたいと存じます。

沓脱タケ子日本共産党

○沓脱タケ子君 もう終わりですけど、大臣、失言についてのお話が出たんで、その解決についての御決意、それだけちょっと。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) いま言いましたとおりに、合同委員会から周波数分科委員会が通信分科委員会にこれと交渉する任務を付与すればできるわけでありますから、そこを中心にして、外務省も郵政省、NHKと一緒になってこれを解決するべく全力を尽くしたいと思いますが、やはり当事者はもう少ししっかりしてもらわなきゃならぬということだけは、やっぱりこの際でもつけ加えたいと存じます。

三治重信民社党

○三治重信君 私はこの外務省の「昭和四十九年度決算について」という文書にも載っております、経済協力の問題をまず最初にひとつ論じたいと思っております。  経済協力に技術協力とそれから経済開発援助等がありますが、ことに技術協力について、国内の受け入れと、それから日本人を、海外で協力をする技術者または青年の派遣というふうに二つに分かれており、その海外派遣をする青年技術者等も、それぞれ医療とか農業とか、または開発技術協力というのは恐らく土木建築かとも思いますが、そういうふうになっているようなんですが、これにいうのは、現在外務省が総括的にこのプロジェクトをつくり、それに何と申しますか、各省が乗ってくるのか、各省のそういうプロジェクトを外務省が総括してまとめて予算なり、それから海外との窓口になっているのか、その点をひとつ御説明をしていただきたいと思います。

武藤利昭外務省経済協力局長

○政府委員(武藤利昭君) わが国が行います経済技術協力につきましては、まず最初にあることは、開発途上国でございます相手国との打ち合わせということになるわけでございます。経済技術協力は開発途上国の経済の発展、民生の安定向上に貢献するということを目的にしているわけでございまして、相手国の方からその開発がまだ十分進んでいない分野について先進国の協力を得たいという話が参るわけでございまして、そのような開発途上国側からの要請を受けまして、日本側といたしましてどのような協力ができるかということを検討し、可能なものから進めていくという段取りになるわけでございます。  ただいま御質問がございました各省の関係につきましては、そのようにして外国から受けました要請につきまして、これは外務省が主ではございますけれども、予算的にはこれは外務省に限りません。外務省以外にもたとえば技術協力につきましては予算がついているわけでございまして、そのように各省のそれぞれの予算の中で割り振りを行うということがあるわけでございますが、ただ、政府が行います技術協力につきましては、国際協力事業団というものがあるわけでございますので、外務省のみならず各省が行います技術協力につきましても、これを国際協力事業団への委託事業ということにいたしまして、実施は国際協力事業団を通じて一本でやるというのが普通の形態でございます。  それから資金協力につきましては、これは海外経済協力基金というものがまた別途あるわけでございまして、この海外経済協力基金が、政府間で行いました交換公文を受けまして相手国政府との間に円借款を結びまして、その円借款に従って資金の貸し付けを行うという形になる、これが仕組みの概略でございます。

三治重信民社党

○三治重信君 非常に一つの形は整ってきたと思うんですが、これをなぜきょう御質問するかというと、最近円高とかいろいろの問題で、一つ、目的とかいろいろな形はいいんだけれども、どうもその中身が非常に薄っぺらいと、こう言われておるし、事実、その量、質ともにもっとやったらどうかという感じを持つわけなんですが、そういうことへの推進力というものの障害といいますか、量も質も大いに大きくできないのは、やはり予算のためか、やはり日本人の、まあ島国根性といいますか、海外へ非常に行きたがらぬというものか、そこの障害というのはどういうふうにお考えになっていますか。

武藤利昭外務省経済協力局長

○政府委員(武藤利昭君) わが国の経済協力が他の先進諸国に比べまして見劣りがするということは、まさに先生ただいま御指摘のとおりでございまして、私どもは、そのような事態、まさにいまお話がございましたとおり、量、質ともに改善すべく努力をしているわけでございますが、その経済協力を増大するために必要なことは、予算をつけるということと、それから予算の執行率を上げるということの両方の面があるわけでございます。  政府といたしましては五年間に政府開発援助を倍増以上にするという目標を立てております。  まず、量の面について申しますと、五年間で倍増以上を達成するためには、一五%ずつ毎年ふやすと五年間で倍という計算になるわけでございますが、五十三年度の予算におきましては、一五・八%政府開発援助関係の予算をふやしまして、五年間に倍増以上の目標を達成するということを図っているわけでございます。  またその質の問題につきましては、その援助の中に占めます無償協力の割合を高めるということが質の改善につながるわけでございますので、五十三年度予算におきましてはこの点につきましても配意をいたした次第でございます。政府開発援助予算総額が一五・八%の伸びと申し上げましたわけでございますが、無償協力につきましては前年度に比しまして八九・二%伸ばしておりまして、これもいろいろ言われておりますわが国の経済協力の質を向上するためにとられた措置と言うことができるかと思います。  それから予算の増とともに執行率を上げることが必要であると先ほど申し上げた次第でございますが、この執行率を上げるためには、何分相手国のあることでございまして、一つ一つの計画について相手国政府と詰めを行うのに時間がかかるために、せっかく予算をいただいてもなかなかそれが執行できないということもあるわけでございますが、少なくとも、日本の国内におきましては、できるだけそのいただいた予算は効率よく使うということの手だてをここ二、三年来工夫してまいりまして、最近かなり改善は見ているわけでございますけれども、今後ともますます経済協力の量、質ともに改善を図るということにつきましては、私ども当事者といたしましてできるだけ努力をいたしたいと考えている次第でございます。

三治重信民社党

○三治重信君 それで二点について御質問しますが、この青年の海外協力隊の募集状況、また参加の状況、それからどういうことが多いか、それが一つと、それについて非常にこれが、何と申しますか、相当望みのあるものか、それからあと医療協力とか、農業協力とか、開発技術協力と、こういうようなもののいわゆる人材の募集ですね。これはいわゆる会社からのひもつきでやるのか、それとも一般公募でやる場合、両方ともいろいろあるだろうと思うんですが、わが国の実際から言って、どちらが外務省としてはより有望なものと思っているのか、この二点について。

武藤利昭外務省経済協力局長

○政府委員(武藤利昭君) 最初にお尋ねがございました青年海外協力隊について申しますと、現在と申しますか、四月一日現在でございますけれども、十九カ国に五百十五名ぐらいの青年が派遣されているわけでございます。青年海外協力隊の事業と申しますものは、日本の若い青年が開発途上地域に参りまして、相手国の人たちと生活をともにし、苦労をともにしながら、自分が持っている技術や技能を生かしまして、その地域の経済や社会の発展に貢献するということを目的としているわけでございますけれども、同時に日本の青年と相手国の青年との間の若者同士の交歓と申しますか、そのような意味での友好親善の関係を発展させるために非常に有意義なものであるというふうに認識いたしております。  この青年海外協力隊に対します開発途上国からの要請というのはきわめて多いわけでございまして、その業種も多岐にわたっているわけでございます。農林水産分野がございますし、それから製造、それから機械の保守等でございますが、そういうような関係の分野がございますし、土木建築分野とか、保健福祉分野等々、いろいろあるわけでございますが、比較的相手国からの要請が多い業種といたしましては、稲作関係あるいは自動車の整備関係、それから土地の食糧関係あるいは看護婦さんなどに対する要請が多いわけでございます。  以上、青年海外協力隊について申し上げましたが、これにつきましては公募制度をとっておりまして、国際協力事業団で公募をいたしまして、これに応募をしてまいりました候補者の中から、その技能、経験、体力等を審査いたしまして適任者を選抜するという形になりまして、おおむね二年ぐらいの任期で相手国に派遣されるわけでございます。  青年海外協力隊については以上のようなわけでございますが、他方、先ほど先生がちょっとお触れになりました専門家の派遣ということもございます。これは外国におきます技術協力のために、わが国から専門家を海外に派遣するという制度でございます。この方は青年協力隊と違いまして、相手国の方で比較的高度の技能、技術を有している人たちを要請している、必要としているということがあるわけでございますので、青年海外協力隊とは違いまして、やはり官庁あるいは民間等にお願いをいたしまして適任者を出していただくという形になります。それから一部には公募をすることもございますが、実際の問題といたしましては、そのような形で日本の中央官庁ないし地方の官庁あるいは会社等から適任者を出していただくという場合の方が多いかと思います。

三治重信民社党

○三治重信君 大臣、この技術協力、技術の方はそういう官庁なり会社の専門家というのが筋だろうと思うんですが、この青年の開発協力隊の方は、不況が長く続きますと、日本も大学卒業生がいっぱいになって、何かそこにはけ口といいますか、希望というものがなかなかないと思うんです。満州国ができてから、ずいぶんあの当時の不況から青年がやはり一つの希望を満州なり、そういう大陸への具体的な自分の活動のめどを見てやっていこうというのがまた一面非常に純真な意味においてあったと思うんです。その満州の開発というものと今度はこれは結びつけちゃまずいんですが、一つの位置づけとして、いわゆる青年なり大学卒業生の自分の希望が内地でかなえられないのを、ひとつ海外へ、何というんですか、不平、不満を輸出するという考えではまずいわけですが、そういうものをひとつうまくアレンジして、そして、この海外の青年協力隊に編成をし、そうしてこれを海外の経済開発または技術協力に、ずっと後、政府がめんどう見ていくような大プロジェクトを、外務省として文部省なり各省とも連絡をして、ぜひ私はこの若い青年が海外へ自分たちの将来を求めていく、希望が持てるようなガイダンスを、この際少なくとも毎年万と数える人間がそういうことをできるようなプロジェクトを政府がつくることを私は非常に望むわけなんですが、御意見はいかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○国務大臣(園田直君) 御発言の青年海外協力隊というのは、予想以上に向こうに参りましたら、成果を上げて好評でございます。残念ながら、数が少ないのと、期間が切られておって、帰ってきたらそのように海外で努力した人に対する将来の道が開けていないなどなど、いろいろ問題がございまして、おっしゃるとおりこれは非常に大きな問題で、私は各省にまたがっておるいろんな研修所を総合的にまとめて、そしてそれがいまのように短期間行って帰るということではなくて、やはりひとつのその国に対する理想、そして一緒になって向こうの人と日本の青年がその国の国づくりをするということになれば、これは非常に成果が上がるんではなかろうか。また日本国内のいろんな問題についても効果が出てくるんじゃないか。これは私もそのように、御発言のとおり何とか検討してみたいと考えておるところでございます。

三治重信民社党

○三治重信君 それで、そういう人材のひとつプロジェクトをぜひつくっていただきたいのと、それからいまのいわゆる期間の二年ということでなくして、さらに二年と切っての期間でも、さらにそこにいたい人はさらに何回か繰り返されるようにして、これはその中で不良な人はかえってマイナスになるから帰さにゃいかぬだろうけれども。  それと、そういうことばかりでなくて、やはりそこの人材でそこに落ち着き、また事業をやるという場合には資本が要るわけですが、移住については相当移住費を出しておられる。四十九年では三百四十五億、これは一人当たりにすると一千万円ちょっとの費用がかかっている。こういうふうな一つの費目もあるわけですから、農業関係、商工関係、それぞれこの開発基金とは別に、こういう海外で活動し経験がある人を生かすために、その自営資金とか、またそういうところでいろいろ開発のプロジェクト、目標を立てさして、いろいろ国内に中小企業の投資育成会社があるんですが、ああいう各海外協力隊が行くようなところにはそういうものを出す投資育成会社をつくって、そうしてその多年の経験と資本を持たして、その地でやっていく、生きていけるような体制。もちろんそれが海外へ単独で行った技術協力なりそういう人だけでなくして、やはり国内の中小企業者や会社が海外へ、そういう者から聞き、そういう者の勧誘でプロジェクトをつくった場合に投資をしていく体制をどういうぐあいにしてつくっていくかと。いろいろ技術で行って、いろいろの国情がわかっても、そこを開発するためには人だけではだめなんで、どうしてもそこに投資が必要だと思う。投資に対してはやはり政府が、非常な危険もあるわけですから、相当なこの開発投資の資金を供給する体制をとるべきだと、またそういうことをやったらどうかと。ことにブラジルその他いままでの移住の先住者が行っているところには、農業開発投資会社を日本も大いにつくって、そうしてそこに移住者が国のまたは日本の資金の援助を得て、スケールの大きいまた開発事業に携わる、農業開発に携われるような体制をとられたらどうかと思いますが、ひとつ御意見を伺いたいと思います。

橋本恕外務大臣官房領事移住部外務参事官

○説明員(橋本恕君) わが国から海外に移住される方が、ブラジルその他におきまして当初自立していくための資金というものが大変必要であるということにつきましての先生の御指摘はまことにごもっともと存じます。現在、国際協力事業団がこの関係の仕事をやっておりまして、農業を営む方々に対しましては、現地のお金で、日本金に換算いたしまして長期低利の金を八百三十万円。それから商工業、これは自営の商工業でございますが、これをもって自立されようとする方々には、同じく国際協力事業団から長期低利の金を三百万円まで融資する。それから仕事がうまくいきませんでしたりあるいは病気になったという方々のためには、更生資金というものをやはり同じく長期低利で融資いたしております。これが五十万円でございます。こういうふうにできるだけこの関係の予算をふやしていくべく私どもも努力いたしておりますが、しかしながら、投資開発会社というものにつきましては、私は先ほど申し上げましたとおりに、御趣旨はまことに結構だと存じますが、しかしながら、最近ブラジル初めわが国の移住者がたくさん行っております中南米諸国におきまして、いわゆるナショナリズムと申しますか、外国の政府が直接乗り出していって、その国の人間になる、つまりその国に永住する目的を持って居住しかつ仕事をする方々に、いわば公然とと申しますか、余り外国政府が直接に介入するということを必ずしも喜ばない、こういう傾向がございますので、こういうむずかしい問題との兼ね合いをどういうふうに考えてよろしいかということで現在研究中でございます。

三治重信民社党

○三治重信君 その点若干あるかと思いますが、そこが外務省の腕の発揮のしどころだろうと思うのですがね。また、日本人の移住先あるいは技術協力に行った先で日本人だけが有利な資本を受けてやるというのについて、そういう一つの注意しなくちゃならぬ点も出てくると思うのですが、そういうところは、ひとつの時代の動きとともに、日本のやはり海外への開発協力なり、海外のその国の発展に本当に役立つようなプロジェクトに従事させ、そこへ投資をしていくならば、何か道が開けるような気がしないわけでもないわけなんです。それをやらぬと、日本も今後いわゆる海外の開発投資をただ銭でやるというだけでは国民もなかなか納得しないし、大蔵省ももちろん納得しないだろうから、そこをもう少し効果のある方法等を考えていただきたい。  とともに、もう一つ、これは時間がなくて答弁はいいわけですが、私は先日ある団体でフィリピンに行ったんですが、やはり現地に入っているのはキリスト教というのですか、そういう政府や何かの援助を得ないで、現地に入っていわゆる教育と信仰に結びついた先住の開拓者がいる、そういうところは非常にやはり生活が向上する、こう言われておる。日本もいろいろ新興宗教やその他いろんな団体で、政府ばっかりじゃなくて、日本も余裕があればいろいろな団体がそういう海外への協力、それから信仰者の穫得ということをずいぶんやっていると思うのです。そういうことについて、外務省は全然関心を持っているか持っていないかわからないですが、やはり十分関心を持って、そういうものについての情報も十分持ち、キリスト教なんかの先例も見てひとつよく調整をして、こういう民間の自力によるいわゆる海外への協力というものも、外務省が表面に出ちゃまずいでしょうが、ひとつ十分の配慮を持ってやっていただきたい。この問題についてはまた改めて別の機会にやりたいと思います。どうもありがとうございました。

茜ケ久保重光日本社会党

○委員長(茜ケ久保重光君) 他に御発言もないようですから、外務省の決算につきましてはこの程度といたします。  次回の委員会は四月十四日午前十時から開会することとし、本日はこれにて散会いたします。   午後四時三十六分散会      —————・—————

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