外務委員会 第26号
- 発言数
- 114 件
- 登壇者
- 9 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1978/06/15
会議録
○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○戸叶武君 外務大臣には、十六日に、等なんアジアの方へ、ASEANの総会に福田さんが出席してから十カ月ぶりですか、訪問の予定とのことですが、福田さんはいろんな約束をしたようですが、十カ月間にどれだけ成果を得たかということに関しては相当疑念があります。しかしながら、東南アジアの大勢はこの十カ月間に急激に変わっていると思います。フィリピンでもインドネシアでも曲がりなりながら一応選挙が行われ、不安定の中に一つの安定に近い政権が維持されていると思いますが、それらの国々に対してどういうふうに対処するか。もう一つは、中国の影とソ連の影が軍事的に東南アジアの中に一つの影を差しておりまして、アフリカや中近東とは違うが、不気味な不安をも各国に抱かせているのが事実だと思います。 そういう真っただ中に飛び込んでいくのですが、具体的にはどういう構えでどういう具体的な回答をもって臨まれるか、それをまずお伺いしたいと思います。
○国務大臣(園田直君) あすの正午に出発をして、ASEANの外相会議に出席をするわけでございますが、いま戸叶先生から発言がありましたとおり、総理が先般ASEANを訪問して、いろんな約束事があります。このフォローアップは大体順当に進んでおります。なお残っておるのは、受け入れ側の国の準備態勢が整っていない問題が若干残っております。これも話すつもりでおりますが、それよりも、いまおっしゃいましたとおり、その後ASEANの置かれた環境、各国の事情は非常な変化を来しております。そこで、この次にASEANを各国訪問しますときの二国間の場合は別でございますが、今度の場合は、特に向こうの方で関心があることは、やはりASEANに関係のある国際情勢の変化、これに日本がどう対応するか、こういうことに非常に関心を持っておるようであります。 そこで、日米首脳者会議の模様、それから軍縮総会に出ました際の私の提案、続いてカンボジア、ベトナムを中心にする中国、ソ連との関係、日本の日中友好条約締結の問題、こういう問題に非常に関心があるようでありますから、こういうことを中心に話し合い、なお、来月参りまするヨーロッパの先遣首脳者会議にASEANの国々はどういう要求を持っているか、日本とASEANの関係では経済協力よりもさらに貿易の均衡をとることについて非常に関心があるようでありますから、そういうことについても話し合いたい。要は、総理がこの前言われた心と心の触れ合いを具体的にどう進めていくかということに重点を置いて話し合っていきたいと考えております。
○戸叶武君 福田さんはときどきいいことを言います。心と心の触れ合いというようなのも、対話というよりはもっと突っ込んだ形における相互の信頼感のしにこれは醸し出されるものだと思うのでありますが、いま園田外務大臣にお聞きしたい一点は、園田さんがあれほど勇気を持って率直に一月にソ連に日中平和友好条約を結ぶということを伝え、また国連における軍縮会議の席上におきまして、堂々と日本の平和外交の基本的な理念の方向づけを唱えて訴えておりますが、新聞の中にどうも迫力がなかったように見えると言われているのは、関川さんに迫力がないのじゃなくて、園田さんの外務大臣の発言をバックアップするだけの国内態勢、特に自民党の福田内閣における政治姿勢というものができていなかった。 そこいらに福田さんと園田さんは一体だと言っているけれど、一体、これは怪奇な一体だなという印象を一般に与えておった。そういうところが園田は園田で体を張って日本の基本的な外交の理念を説いて平和共存体制を説くけれども、園田さんのボスの福田さんは一体何を考えているのか正体のわからない人だという、こういう印象というものが、私は、今日におけるこれからあなたが取っ組もうとする日中平和友好条約の中においても、口には遠慮して、言っていませんが、心の中においては中国側でも、とても福田さんじゃ危なくて取っ組めないというような影が差しているんじゃないかと思うんですが、そこいらはよけいな心配ですか。
○国務大臣(園田直君) 総理の方針は、申し上げるまでもなく、平和に徹して各国とも平和的な友好関係を進める、こういうことが基本でありまして、その方針に従って私は具体的にこれを進めていく責任があると考えてやっておるわけでありますから、私がやりますことは総理の方針に従っておるということは間違いございません。
○戸叶武君 昔から無理が通れば道理引っ込むということわざがありますが、どうも福田さんの最近の心境というものは道理を通そうとしないから総理引っ込めという声まで出てきてしまっているのでありますが、そこいらはやはり福田さんという人は思慮の深い人でありますが、深過ぎちゃってどれだけ深いのか底がわからぬという不気味な印象を他に与えている点は私は損だと思いますが、これはあなたに聞いても無理で、同心一体と言っても抽象的な福田さんの、言うことを復唱するにとどまっておるであろうから、外務委員会の権威というものを保つためには、やはり国会の終盤においては、外交の中心は外務大臣がやっていると言うけれども、一国の命運を決すべき外交は総理大臣が中心になるのであって、経済のことはおれに任せろと言うが、外交のことはおれに任せろとまで言わない福田さんがあなたに任しているはずだが、外交のことはゼロだと思うんです。 こんなことで、福田さんが、今後あなたがしょっていくところの外交の重荷というものをしょい切れなくなる危険性も私はあると思うのは、特に日韓大陸だなの問題が曲がりなりにも、大いにひん曲がっているが、とにかく一応国会を異常な状態で通過した。しかし、世間は、ずいぶん無理押しをして通したが、あの質疑を通じて、参議院段階においてやはり無理な点がずいぶんあるなということを世間一般に印象づけたことは、国会の審議権というものにわれわれ重点を置くものとしては一応の成功だと思うんです。 成功であるが、それによって、たとえば中国側はいま何も、言っておりませんけれども、勝手に韓国と日本の政界のボス勢力とが結びついて、アメリカのメジャーとともにつくり上げたようなベースでこの海底油田の開発というものが可能かどうか、やるならやってごらんなさいという構えば私はみんなに印象づけたと思います。日本だけのことで総裁争いなり、あるいは次の政権争奪なりをめぐっての駆け引きならいざ知りませんが、国際的な背景を持つこういう問題を日本と韓国のボスだけの取引で、あるいはアメリカのメジャーあたりまで加わっての取引で、だんまり劇でこれだけの問題が片づくとは思えないんです。それだけに幸か不幸か、私は最終結論は得られなくても、これはおかしいという幾つかの問題点が浮き彩りにされたことは、さすがに国会があってこそこれができたんだという印象を諸外国にも与え、この問題を通じてやはり本当の意味における平和共存というものがまず日本と中国なりあるいは朝鮮なりとでき得るかどうかということの大きな責任は日本外交に課せられてきていると思います。 すでに私は外務省の人たちはかくなることを予測しておったと思います、どんなに権謀術策をやってみても、台湾をめぐっての陽動作戦をやってみても、竹島あるいは尖閣列島の問題を表面に出してきても、結着のつくところはここに来るんだ、結論的に日韓大陸だなと日中平和友好条約の問題の今後の道行きが絡みつかざるを得なくなったんだ、現実に絡みついたんだ。にもかかわらず、絡みついたという現実を無視して、中国側は余り無理難題をやらなくても、日本の政府のいまの立場の苦しさを、わかってくれるだろうというだけの心の通い、いま日本の福田内閣と中国の政権との間には心が通ってないんじゃないかと思いますが、あなたは通っていると測定しますか。
○国務大臣(園田直君) すべての問題がそうでありますが、特に変化の激しい今日、外交においては術策権謀ではなくて、心から出てくる誠意と誠意のつながり、近く迎えようとしておる日中友好条約そのものも、文言よりも、日本と中国の心と心がつながり合うということが一番大事であるということは、御発言のとおりだと考えております。
○戸叶武君 そこで、福田さんの言うことには間違いないんです、やることがなってないんです。心と心と言うけれども、抽象的な心で、霧か何か――成田空港にも飛行機が着けなかったのは霧のせいだそうですが、福田内閣もこういう霧のようなつかみどころのない政治をやっていると、結局、不時着か羽田の方へでも回らなければという軌道変更が起きないとも限らない。だからこそ次期長期政権をねらっても、いすを争えば、その間にトンビが油揚げをさらっていけるというような野心家の権謀術策が公然として自民党内に起きる。外交といっても、外を向いてよその国と心を通じようというのに、うちの中において自民党の三人男というようなのがそれぞれの違った腹で、腹探りどころか足引っ張りっくらやっている。これで一体祖国日本のためになるような外交ができると思いますか。 あなたは外交に対してはずいぶん体を張ってやっているけれども、体を張っても自爆する危険性がありませんか。いまのような福田内閣における政治体制のもとにおいて、園田さんだけじゃない、だれが外務大臣をやっても、こんなわけのわからない政治体側のもとにおいて本当の外交ができますか。外国ではそれを見ています。見ているから、もっと安定した政治状況が出るまでは待つよりほかに手はないぞというささやきも起きてきているのは事実です。自民党内における次期政権をめぐる派閥抗争の亀裂はお家の芸だから、これは勝手な道楽だから勝手にしてもらいたいけれども、日本の世界の中における危機を打開しようという重大な段階における外交というものが、これであなた、あなたは当事者だけれども、今後福田さんと中近東あたりを道行きしながらじっくり石油をながめながらひとつ語り合うんでしょうけれども、できると思いますか。
○国務大臣(園田直君) 経験は浅いわけでありますが、浅い経験の中から判断いたしましても、日本が力を用いず平和に徹して外交を進めていくことについては国内の一致した体制が最大の力であり、これ以外の力はないことは御発言のとおりであります。激しく争うが、結論が出たら激しく団結をして、そして国なり党なり一本になって外交を進めていくことがきわめて肝要であり、これ以外に道はないということは御発言のとおりだと考えております。
○戸叶武君 これは日本だけのことでなくて、アメリカのカーター外交に対してもこれに近いいろんな批判はあります。しかしながら、一般新聞が伝えているよりはそれほどぼろを出さないで内部的調整が行われていると思います。 新聞ではカーターの周辺におけるバンス国務長官とブレジンスキー補佐官との間に対立がある。対ソ強硬を主張するブレジンスキーと、物事を経験から無理をしないで調整していこうというバンスとの間には外交の方向づけにおいても若干の違いがある。特にバンスが中国を訪問して以来、中国の現実はそれほど安定したものとは思えない、もう少し成り行きを見た上でというような意見がバンスによって出されたことがアメリカの中国に対する外交の足踏みであったと思いますが、ブレジンスキーは、現実の激動の世界において生きた外交の躍動がなければ間に合わない。いま近代化を急ごうとしている中国がその物の考え方なり行動においては非常にラフな面があるにしても、その方向づけを行って模索しているときに、これに積極的な協力をやって、中国の近代化を促すと同町に、アメリカにとってもプラスになるような役割りを果たしてもらわなけりゃならぬという割り切った一つの意見というものがバンスの意見というものを変えたのは事実だと思います。一番問題にしていた台湾の現実的処理の問題においても、最近においてそれは明らかになったと思います。 このように問題点が提示されてもアメリカの知性、アメリカにおける政治家の政治力というものは意見の対立をやりながらもそこに調整が可能であるけれども、日本における予算委員会その他の外交論争を見ていると、国会そのものが何か内閣の補助機関みたいになってしまって、意見は対立しているように見えるが、重箱の端をつっつくようなことをして、大局的に日本外交の方向づけに対してイギリスなりアメリカで行われているような祖国の運命を方向づける論争というものがなくなっちまったところに、この国会の漫然とした行き方に対する、政治に対する不信感が日本ではわいてきているんだと思います。私は、内閣も内閣だが、政党も政党だ。野党においても基本的な形において領土問題に対して派閥間において自民党を小さくしたようなイデオロギー派閥において完全な調整が行われていない、こういうみずから主体性のつくれないぶざまな状態が与野党の中に横溢している。他機の中における、世界の真っただ中の東西南北のあらしを受けている日本の外交としてこんなぶざまな姿でよいのかというのが野党ですらも、反省の材料になっているが、外交権は内閣にあるんだと言って、解散権も内閣総理大臣にあると言っているけれども、持っているのは事実だが、それに合意を与えるか与えないかは国の主権者である人民である、国民である。国民は愛想を尽かしている。 日本のこの現状というものに対して園田さんが一生懸命にやっている気持ちはわかるけれども、あれだけ一生懸命であっても、やはり客観的にあなたの国連における演説を聞いた冷静な眼は、何か力がこもっていないと、あなたほど力のこもった人はいないんだけれども、空気がすうっと抜けていくようなところがあるのは、やはりいつ足をさらわれるかわからないような不安感の中に、園田豪傑といえども安心してとにかく外交問題で国を代表して堂々の陣を張っていくことはできない非情な政治の世界における悲しい一つの足取りではないかということをよけいな心配かしらないけれども私は心配するんだが、今度、東南アジアや中近東を旅行している間にがたがたが自民党の中に起きませんか。これは回答を要求するのは無理ですけれども、私は何かどうも人の頭痛を病気に病んでいるのかしらないが、実に不安なものを感じているんです。私ですらそう感じているんだから、自民党の中の心ある人は私はもっと感じているが、こっ恥ずかしいからまともな人は表に出せない。 外国でも内政干渉なんて言われるから、もう少し福田内閣が、がたがたするなり、転換するところなり、腰が本当に定まるところを見定めてから話し合いしようというところに中国側の回答なんかもおくれた。来たけれども、今度はすぐこっちがやれるという段取りにはなっていない。同じようなことを繰り返して、北京でやったことを今度は大使級の会談というんですか、それをまた東京でやる、こういうくどいことを忙しい時代に繰り返されるのはたまったものでないという声が、私は中国の知性人から、あるいは死んだ郭沫若君あたりのささやきかもしれませんが、そういう声が響いてくるのです。私は郭沫若君とは、彼が市川に亡命する前、おとといか朝日新聞の夕刊に出た写真は私がたしか撮ったやつだが、あれも半年温めておきましたが、中国には政治家であり外交官であり詩人である人もある、感度が強い。大蔵官僚とか外務官僚は日本では超一流の秀才、それからこの間の何とかいう最高裁の長官、みんなエリート意識は鬼頭君同様横溢している。鬼頭君には劣等感が同居していたからああいうピエロ的な役割りを果たしたんだが、こういう人がどんなに力んでみても、自分だけの力でこの時勢を変えることができると思ったら大間違いです、ファシスト的な発想です。名前を挙げちゃ悪いけれども、とにかく戦争への道を歩んだときのファシストの亡霊が今日も官界に、政界に亡霊となってうごめいているのです。それが私は戦争への道を導く危険な一つの政治的な要因をつくるんではないかと思って心配で心配でならないんです。 そういう点で、あなたにしろ、ヨーロッパの方に行っている小川平吉さんの孫の宮澤君にしても、近衛の秘書をやった牛場君の弟さんにしても、相当な人物で、海外において私はそれぞれの役割りをしていると思います。しかし、一番大切なあなたが信頼し切っている福田さんの周辺というものが、私は、この間、起きないと思う地震が三陸沖の仙台で起きたように、東海地震だ東海地震だと言っている間に、福田さんのそばにどうも地震が起きるような気がしてしようがないですが、それでも地震の予測だけはなかなかできませんから何とも言えませんけれども、起きようが起きまいが別問題ですが、いま日本にとっては大切な諸外国が監視の眼を注いでいるところにおいて、いまのような外交をし、私は園田さんには大体われわれと近い見解と根性を持っているから多くは言いませんけれども、しかし、あなたの基盤が不安定になりつつあるところに、いまの国連総会におけるあのりっぱな堂々たる演説も迫力を欠くものがあるというような影をほかの人に感じさせるのはそのバックが非常に不安定な状況にあるからだとあなたは意識しておりませんか。 しかし、木による者は危うからずと言って、危ないところで揺すぶられている限りは、コンクリートのへいでない限りは、幾らか鉄筋でも入っていればそうやたらに崩れないと思いますが、これは私は質問というよりも本当に日本の基本的な外交姿勢というものをいまつくらなければどうにもならぬ。いま現実に日中平和友好条約の締結の問題をめぐって、日韓大陸だなのあの問題をめぐって、いい悪いは別問題として、一つ一つがやはり日本の外交というのはおかしな外交だがという形で如実に世界に私は日本の外交のあるがままの姿を暴露していると思うのです。これでいいんでしょうか、これで外交ができるんでしょうか、私は心配でならない。 やはり周恩来とか、郭沫若君とか、あるいは廖承志君とか、あるいは孫平化君とか、肖向前君とか、日本人以上に客観的に中国も日本も見られる人でも私は何かたじろぐものを感じた。福田さんの言った心が通わなくなってきたという一つの不安感を私はいま炎が風で揺れているような感じを漠然とした形ですが受けとめていますが、今後の日中平和友好条約というものは外務省の人たちはもう覚悟の上でやってくれるでしょうが、問題はやはり政治家の決断です、福田さんの決断です、率直に言って。福田さんは海外からの心が通うと言うけれども、その前に信頼を受けないようなこの動き方において心が通うことはできませんよと言って進言し得るのは、あなた以外にないじゃないですか。ソ連に行って日本の真意をぶつける以上に、いま福田さんのし土手っ腹に、こんなざまでは外交も政治もできませんよと言えるのは、福田内閣の中においてあなたをおいて、だれがいるんです。茶坊主じゃだめです。私は、日本の外交の質的転換の時代に、内政との絡みつきなしに、われわれの立っている基盤というものの上に立たないで相手の国に物を言うことはできないというみせしめを、いま天があなたに試練として与えているんだと思いますが、ここで答えると、あなたがまた足を引っ張られてつぶされちゃったりすると、仙台地震みたいなことになるから、やめましょう。 やめるけれども、われわれの言葉というのは言外の意味が重要なんです。三百代言的なやりとりではない。心に憂いと憤りを持って、いまむしろ日本の外交は、自民党の政権争奪と解散権と総選挙の問題だけで血の道を上げている人たちよりは、国家百年の計を憂えてそれぞれの立場から心配して政府に食ってかかっている野党の方がはるかに私は一つの憂国の志を持っての発言をやっていると思うんです。いまのような総裁選挙はどうだとか解放権がどうだとか、こんなことをやっているよりも、より重大な問題に当面しているんだと思いますが、あなたはこの危機感を、抽象的で結構です、出たりさわり言うことになると、あなたの外務大臣の位置が幾つあっても足りなくなりますからだけど、もう少し福田内閣に相手の心をかち取り得るような政治姿勢を、あなたは信じていても、ほかの人はだれも信用していません、通ずる道はありませんか。念仏だけを申して極楽浄土に行けるというのは中世のむなしい宗教です、絶望感の宗教です。南無阿弥陀仏だけではどこへも行けないんです。そういう点において、福田内閣がいまのような漫然たる姿勢で外交をやっていくんじゃあたり迷惑です。自民党がぶっつぶせないんだったら、われわれがぶっつぶします。 そういう点においても、ぎりぎりのところへ、日本の外交の問題をめぐって、中国なり近隣諸国なりすべての国が、日本にあるところは期待し、あるところは絶望して日本を手探りしているんですが、これで東南アジアに行った、アメリカに行った、ソ連に行った、ECに行った、大事な日本の国民に心の触れるものが何一つないような政治、外交をやっている人が、よその国へ行ったら、気休めにはなるかもしれないけれども、ほかの国に心が通じると思っているのか、とんだ間違いだ。私は外交はいま不毛な状態に置かれていると思うので、あなた一人が犠牲になってもそれはむなしい限りなのであって、まず第一に、与野党を通じて、日本は世界に何を訴え何を実践すべきかという問題をもっと胸襟を附開いて真剣に話し合わないと、こんなばかな体制のもとにおいて日本人と心の通うような人はよほど頭の変なやつきりっかありゃしない、銭でも欲しいやつかそれ以外にない。日本においても気のきいたやつは皆派閥をつくり、第五列外交の走狗となっていく。非常な危険なときだと思いますが、園田さん、私だけ力んでも仕方がない、しかし国民は心の中で怒っています。命かけて世論調査屋が調査しているようなこととは違うものが選挙をやったら出てきますから。 選挙などということに万全をかけることよりも、当面の重大な問題に対して具体的な回答を用意して、海底における石油開発の問題ならば、きょうの新聞の解説どおりの、おざなりでなくて、日本と中国、日本と韓国との間にいろんな心の通わない面があるが、それを具体的にどうやって心を通わせて、これを日本だけのいいことにしないで、中国にとっても近隣諸国にとってもプラスになるような解決をつける能力を具体的に示さなければ、核を置かない平和地域をこの地域につくろうと言ったって、言葉だけが空転しても現実において平和共存地域というものは確立できないと思うんです。演説は楽ですが、具体的な事実を地上につくり上げるということ以外に本当の回答は出ないので、難問題を逃げないで、難問題と四つに組んで、海底石油の問題は日本は責任を持つ、しかし中国ともこういうふうに語り合う、それから韓国のわがままなんかをそれなりに許さない。しかし、他国の主権を無視してのメジャーの多国籍的な奔放な行き方に対しては、やはり日本、中国、近隣諸国が共同して、あるところまでこれを抑えなけりゃならない。ソ連なりアメリカなりの覇権主義の背後には、軍需産業と石油資本とロッキードやグラマンのようなああいう一種の軍需産業的なものがわだかまって政治を動かしているんです。われわれは悪態を言おうとしているんじゃない。その現実を正確に把握して、その人々すらも、もはやわれわれの戦争への道を急ぐ死の商人たる権謀術策はアジアにおいては通じなくなったということであきらめさせることが私は日本のいまの外交の最大の眼目じゃないかと思います。 ラロックが、核戦争はあり得る、あり得るけれども、数分においてその戦争は解決がついちゃうだろう、アメリカはソ連より二倍の力を持っていると言っているが、しかし、戦争をやったら、アメリカもソ連も大犠牲を払わなけりゃならないというラロックの反語的な表現の後ろの中においては、もはや核戦争はできないのだ。あり得る、しかもそのブレーキが効かないような状態の危機の中にアメリカもソ連もある。それを承知の上で園田発言というものが国連でなされたところに価値があるんです、よくやってくれたんです。だけど、その価値の裏づけには、福田さんはどこかヘドロンコを決めているんです。福田さんとあなたは一体だと言うけれども、一体全体どこが一体なんです。こういうような二面外交をやっておっては、日本人というのは油断のならない、地獄と極楽が同居している世界だからというので、南無阿弥陀仏ぐらいで素通りされちゃうんです。これは本当に恐ろしいことだと思います。アメリカを批判した方が楽だから、われわれはアメリカを批判したりソ連を批判したりするが、問題は、アメリカじゃない、中国じゃない、日本じゃないですか。日本がしっかりしていれば、中国だってアメリカだってソ連だってもっと腰がすわると思うんです。 あなたがあの一月に言いづらいことをモスクワへ行って言って、ずいぶん園田というやつはひどいやつだという評判をとったが、しかし、後世の人があなたの評価はしてくれるのであって、現実においてジャーナリズムなりあるいは与党に迎合するような言動で、世論調査によれば次の総理大臣はおれが一番だなんて、餓鬼が勲章をおもちゃにしているような幼稚な政治家が日本にはうようよおるから、そういうのはそういうのに任しておいて、もっと、世界の中で、日本は本当に真剣になって平和を希求しているんだなということをどこの国にもわかるようにさせるためには、この半年間の闘いというのが大変だと思います。それには、あなたと福田さんがもっと一体になることです。総理大臣なんか吹っ飛ばしたっていいじゃないですか、それだけの歴史をつくっていっただけにおいて、いままでの総理大臣とは違った存在として福田さんも、あなたも後世に残るんです。いまは総理大臣なんかやったやつはみんな忘れられていっちゃうのです。中には、恥ずかしい目に遭ってざんげ録みたいなものを書いてしまう、それで印税でもうけようなんてやつまで出てくる。みすぼらしい時代になったです。 私は、東南アジアの問題、貿易の問題など、いろいろしましたけれども、細かいいろいろなここまできての質問よりも、本当に日本の外交がこれでいいのか、これでおれたちのやっているのはいいのか。哲学の出発はノウ・ザイセルフ「なんじ自身を知れ」です。自分を見詰めて自問自答ができるような福田さん、園田さんになってこそ、日本を背負っていく、アジアの苦悩と世界の苦悩を背負っていく本物の政治家になるのだと私は思いますが、どうですか、園田さん、これは東南アジアを旅行しながらずっと考えて、帰ってきてからの答弁でも結構ですが、私は毎晩寝られないんです、本当に。国を思うて、よけいなことだと言うが、これは明治の御一新以上の大きな世界的な変革のアヘン戦争から中国がずたずたにされたとき以上の変革を前にして、中国はその危機感を感じて覇権反対をやっているんです。力が足りないところがありながらも、歯い食いしばって日本も中国も覇権反対とソ連、アメリカだけに物を言うのでないが、日本や中国が物を言わずして、だれが言ってソ連やアメリカがこれを取り上げてくれるものがあるであろうかというせつない気持ちを持って、受難を受けてもこのことは言わなければ世界の平和共存の道は模索できないという判り切った気持ちで私はいま中国外交は進んでいるの、だと思います。それなのに、のんべんだらりんと、ことしは梅雨に入っても空梅雨になりそうだからいいけれども、このうっとうしい政治の状況というのは天候がそれを表徴していますが、異変です。園田さん、どうしたらいいのでしょうか。迷わず往生してもいいですから、私を眠らせるような回答をしてください。
○国務大臣(園田直君) いま内外の情勢がきわめて重大であることは御発言のとおりでありまして、しかも、ここしばらくの間、世界が新しい生存の秩序に向かって急激に変化をしているときに、その動きの先頭に日本が立って、日本の将来の生存と繁栄を考える重大な時期であることは全くおっしゃるとおりであると考えております。 その際、日本の国内並びに内閣なり党がごたごたすることはきわめて慎まなければならぬ問題であって、わが内閣においても、その点に留意をし、解散とか総裁選挙ということに心を奪われず、ひたすら国の前途を思い、これに精魂を傾けることが政局安定のただ一つの道であり、これがいま日本がやらなければならぬ道であることもまた御指摘のとおりであります。微力ではありますが、御注意の数々はよく踏まえ、総理の意思を体して精魂を傾ける所存でございます。
○戸叶武君 私は、日本にいまばかなやつが必要だと思うのです。あんまり小利口なやつばっかりいるから、みんな人の揚げ足取りみたいなことばかりをやって、批評家はいっぱいいるけれども、みずから挺身して運命を打開するという国のために献身する人がいないと思うのです。 外国のある友達が私に、外国人が乃木大将を尊敬しているのは、腹を切ったからじゃない、戦争がうまい人でもない。しかし、敵のロシアの大将を遇するのに礼節をわきまえ、しかも自分の責任感が強く、自分の知己が亡くなったときには、この知己があって自分が今日長らえることができたんだという考えで、みずから安楽死を求めていったんだ。日本の一つの、いい悪いは別問題として、あの遇直と思われるような真心というものに、日本の武士道というものが自分を捨ててかかっているところに打たれるものがあるんだというふうに言われたときに、なるほどわれわれの観察よりも客観的に物を見ていくんだなということを感じました。 また、楠木正成が生死の関頭に立って、お公家さんの、戦法を知らないくだらぬ人間の、京都を放棄してゲリラ戦によって運命を開く以外にないというのを、そんなことはいやだと言って入れられなかったときに、進むことも退くこともできないでいきなり禅寺へ駆け込んだときに、禅僧が活を入れて、生死の問題にとらわれちゃいかぬ、進むとか退くとか成功するとか成功しないとかなんということは念頭から去れ。「両頭倶二截断シテ一剣天ニ倚ッテ寒シ」、進むとか退くとか成功するとか成功しないとかじゃなくて、その両面をぶった切って貫く志がそこにひらめくならば、それは永遠に残る生き方じゃないかという一つの気合いを入れられたということです。 危機に臨んで、鎌倉の相模太郎が、亡国の宋から日本に招いて教えを受け継ごうとした祖元から、「珍重ス大元三尺ノ剣、電光影裏春風ヲ斬ル」という詩偈を放った祖元から、惑うなかれと。惑いに惑って苦しみに苦しみてあの天才児的な相模太郎がどうにもならなかったときに、惑わなければならない危機に直面しても、惑うなかれ、そこにしっかり、腰をおろして、土性骨を締めてかかれということを示したのは、かの元軍に雄死を脅かされてその中をくぐってきた人のみが発し得るところの詩偈であったと思うんです。 日本において、このような一つの危機に、楠木正成が受けとめたときのことだって、尊氏よりは見識を持たない後醍醐天皇なんというのは苦労が足りないからどうにもならない人物だった。そんなことじゃないんだ、問題は、危機をどう打開するかという問題に対して、それぞれそのときの指導者というものは私は苦悩し決断したと思うんです。やっぱり頭のいいやつは自分のやっていることが一番いいと思って、この間の長官じゃないけど、まあ私らは首を切るつもりじゃない。ああいう思い上がった考えでは、だめなんで、やはりあれほどのエリート中のエリートの聖徳太子が凡の哲学に徹して、大衆とともにもがき、大衆とともに苦悩し、大衆とともに活路を開かなけりゃならない、最終的には大衆の決めたことに従わざるを得ないというぐらいな、近代民主主義と同じような政治哲学に徹しられたのは謙虚な心がその中に宿っていたからだと私は思うんです。いま権力を背景とし、政権を握れば悪いことをやってもふん縛られないといっても、ニクソンのように恥ずかしそうに、ざんげ録を物する人もある。世は実にはかない時代なんだ。 こういうときに、日本から、中国から、少なくともアジアにおいて、日本と中国は異質なものを持っているけれども、日本なり中国はみずからをむちうちながらアジアにおける平和共存体制の現実的な追求をやらなけりゃ、どこがやってくれるんです。アジアのルネッサンスは西欧のルネッサンスとは迷う。みずから実践して相手を倒すんでなくて、相手とともに共存の体制をつくり上げようという政治哲学の上に立っての平和革命の理論に徹しなけりゃならないんで、そう言っても、中国はあれだけの非道な目に遭っているから感情も恨みも憤りもあるが、それはそれとして、日本なら日本が中国とともに同感共苦しながら、それだけの恨みを恨みで返すんじゃなくて、新しい道をつくり上げようじゃないかと言うならば、私は、心相通ずるものが、福田さんの言ったようなものが本当にその苦悩の共闘の中から出てくると思うです。 私は、説教坊主になるわけじゃないんだが、やっぱり園田さんは素朴だけど感受性のある人だし腹のある人だから、二度思い詰めたらそれを貫いていく根性があるからと思って、おれは頼んでいるんだ、本当は。祈っている。どうぞそういう意味において福田さんと同心一体で助けるんなら、げすの心中みたいな意味じゃないんだから、西郷と月照が相抱いて海に投ずるがごとく、日本なくしてアジアの進歩なく、中国を除いてアジア問題の解決はないんだという信念で、自分たちの心でもって中国の憤りをも浄化していけるような炎となって私は日中平和友好条約を浄化していくことが日本の外交路線にとっては最大の使命だと思うんです。いまそれをやらなけりゃもうチャンスはないです。いまやらなけりゃチャンスはないんです。 ラロックのような軍事専門家であっても、核戦争の危機はあるという前提を設けながら、核戦争をやったならば第一にアメリカもソ連も滅びるのですよという警告を言外に放っているような時代です。これが本物の軍事専門家です。どうぞ政治家の中にもラロックに負けないような一種の世界観を持った、哲学を持った人が出なければポリティシャンじゃだめだ。本当のステーツマンが国を憂い、人類を憂い、アジアの今後のルネッサンスと近代化の道をわれわれが開こうという夢を持たなけりゃ私は外交は一歩も前進しても意味がないと思う。同じことを繰り返している限りにおいては、スターリンとあの松岡のだまし合いみたいなことを繰り返してきたんじゃ、もう日本の民族のエネルギーは消耗しちゃいます。 ぼくは、きょうは、最後だから質問じゃない。本当に直接福田さんが出ないから、あなたに言っているんじゃない、あなたから福田さんにたたきつけてもらいたいんだ。人民から選ばれたわれわれは大した権威があると思わないけれども、国民の憂いを政府にまで国会を通じて通じ込ませる能力がなけりゃ、野党たると与党たるとを問わず、国会から追放すべきであって、いまごろのこのこ海外旅行なんかやたらにやっているときじゃない。そういう感じで、私は、いま世界の見物人の多い国会における風潮の中に、農協婦人会みたいになってしまった風潮の中に立って、もう少し世界の憂いをくみ取っていける本物の政治家が福田内側に一人や二人はあっていいんじゃないかというので、本物と認めて私は園田さんから福田さんにこのことを言ってもらいたい。それ一言伝言をしかと受けとめてくださるか、くだらないかの簡単な返事で、イエスかノーで返事はよろしゅうございます。よけいなことを言うと、あなたが危ないから、やっぱり安全保障をやらなくちゃならないから。
○国務大臣(園田直君) 戸叶先年、の御発言、その言葉の裏の意味も十分理解し拝承いたす所存でございます。その方針で努力をいたしまするし、必要なことは総理に必ず間違いなしに伝達をいたします。
○渋谷邦彦君 昨日、中国側から正式な回答が寄せられ、ようやく日中条約締結交渉への再開の道が開かれたようでございます。 先般、外務大臣は、願うことならば年内に条約の締結までという願望を込めた所信を披瀝されていらっしゃるわけであります。これから事務レベルという段階でのいろんな段取りについての話し合いというものが進められると思うのでありますが、いろんな角度からいままで日中共同声明を軸にして日中双方においての分析、検討というものが恐らくはある意味においては十分されてきたんではないだろうか。残るところは、いままでいろいろと伝えられておりますように、政治判断による決着によって一切がもう氷解というふうに受け取れないこともないわけでありますけれども、今後予想される事務レベルの折衝というものは具体的にどういう話し合いをもって進められるのか、そしてまた事務レベルの折衝というものはどの段階で決着がつく見通しなのか。もちろん事務レベルでありますので、当然、いままで懸案となっている問題点については、いま申し上げたように日中両国間においての政治折衝にまたなければならないということになるでありましょう。 そうしたような時期等を含めて、いままでずいぶん長いこと待たされた内容でありますだけに、今後は、いままでの分析等も踏まえて、きわめて円滑に進められるのではなかろうかという一つの見方と、あるいは交渉と条約の締結は別だというようなそういう判断が出てきますと、これまた大変かねて懸念されたような問題が表面化するんではないかと、こうした二つのこれからの成り行きというものが考えられはしないかというふうに思えるわけでございますけれども、いまそうしたような面を通じまして、具体的にと申しましても、これからの話し合いに入るわけでございますから、ああだこうだという予測を交えたそういう判断というものは大変危険なことになりかねないと思いますけれども、しかし、やはり日本のある程度の、何と申しますか、希望的観測というような立場に立って、こうあることが望ましいんではないだろうか、むしろそういう観点に立って、いま申し述べたこれからのスケジュール等について御見解をお示しいただければ大変ありがたいと、こう思うわけであります。
○国務大臣(園田直君) 昨日の中国側からの正式の回答、これはわが方が先般交渉再開について申し入れをしたことに対する回答でございまして、その報告を各位に一番先に報告しなかったわけでありますが、その回答の要旨は三つ、一つは、交渉を継続することに同意する。二つは、時期は七月上旬が好都合である。六月中はどうも中国の要人が各所を飛び回っておるという都合もあるようであります。三つ目は、中国側代表団の構成は韓念竜副部長、王暁雲副司長その他のスタッフ、こういう回答でありまして、事務的ではあるが、きわめて友好的にしかも両方率直に話し合った、こういうことでございます。 そこで、わが方は、実は、国会終了等も考えまして、六月の十九日ごろからいかがであろうかという内々の申し入れをしておったわけでありますが、中国の都合で七月上旬と、こういうことになれば、七月のなるべく早い時期に両方で始めるということにこちらも格別不都合はありませんから、七月の初めになるべく始めたいという方向で今後進めるつもりでございます。 そこで、まず事務的に考えておりますのは、七月初句でありますから、私があす正午お許しをいただいてASEANの外相会議に出かけて、二十日に帰ってまいります。そこで、その前後に佐藤大使を召還して、これに大臣から具体的に指示を与え、今後の交渉等についてのもろもろの話をし、総理からも御指示をいただいて、そして数日で佐藤大使が帰る。帰ったら直ちにこの七月初句ということを詰めて何日にするかということから交渉が始まると存じます。そこで、その際、まず政府としては中江アジア局長ほか数名の専門家を北京に派遣をいたしまして、そして佐藤大使を中心にして交渉を始める。それから先は、その交渉の経過に従い、逐次、これに対応する対策を講ずる。外務大臣が訪中するということは、その経過に従って総理の判断に伴い私が向こうにお伺いする、こういう段取りにしたいと考えておるところでございます。
○渋谷邦彦君 いずれにしても、二年以上の空白期間があって、ようやく交渉再開への道が開かれたわけでありますので、今度こそはという恐らく外務省当局としてもそうした決意を持たれて条約をまとめることに努力をされるであろうというふうに考えられるわけでございます。 ただ、二、三日前に開かれた商工委員会における総理大臣の答弁を伺っておりますと、いままでの一貫した考え方というものはやはり変わっていない。それは当然と言えば当然かもしれません。一番象徴的なことは、日中双方が満足のいく状態であるならばと、これは大変抽象的な言い方かもしれませんけれども、それはもう言うまでもないことだと思うのです。ただ、話の底流にやはりかねてから大変やかましい議論があった、覇権問題というものをどういうふうに扱うのかということも当然ございますでしょうし、また、中ソ同盟については、中国側がいままでいろんな見解の表明があったけれども、そのあった表明についてどう一体歯どめをきちんと設定するのか、それからさらには尖閣列島の問題、またつい昨日成立をいたしました日韓大陸だな協定の問題等々、いろんな日中間を取り巻く諸問題というものが残されているという印象は一般的には、だれしもが皆お持ちになっておる課題であろう、こういうふうに思います。 いままでのいろいろな答弁を整理して考えますと、尖閣列島の問題にいたしたしても日韓大陸だなの問題にいたしましても、これは今後日中条約あるいはその交渉の過程において、あるいはその条約締結後において、当然これからの話し合いの課題として煮詰めていくべき筋合いのものであろう、そういうような方向に行けば、これは大変円満な解決の方法ということになるんでありましょうけれども、しかし、今回のこの窓口がようやく開かれた経過の中ではいろんなアクシデントがあったことも否定できない事実でありまして、中国側は一たんこうだと決めた考え方はなかなか崩さないという定評のある国でございますので、その辺、果たしてこの条約締結までの間に問題が残されないのかということが一つと、それから、やはりこの覇権問題というものはどう一体整理をされるのか。これはもう先般矢野訪中団が参りましたときに提示された四項目の中の一つ、こうしたことを政府側としては理解した上で交渉へ臨まれるという判断を持っているのか、それとも全く別な角度からこの覇権の処理というものをお考えになっているのか。きょうは、外務委員会としても、今国会最後の締めくくりみたいな機会でございますので、その辺をもう一度整理をしていただきながら、今後の政府の取り組むべき方針というものをお述べいただければありがたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 日中友好条約の締結につきましては、一言で言えば共同声明に書かれた線を基本的な方針とするということが基本的な態度でございます。なおまた、公明党の訪中団を初め多党の訪中団その他に示された中国側の意向、特に公明党の訪中団を通じて福田総理に伝えてくれという返答とも言うべき四項目、これは無関心で白紙の状態であるわけではありません。もちろんこれは交渉の経過でたたき台の一つにはなるし、重要な立場として交渉を進める所存でございます。 外務大臣がいつ行くか、こういうことはわかりませんが、私は、日中友好条約締結に関して、二つに分けて物を考えております。 第一に、条約の文言よりももっと大事なことは、日本と中国の相互理解を徹底的に深めるということが第一である。この友好条約の締結が日中友好の問題だけではなくて、アジアの国々の運命をわれわれは先頭に立って考える責任がある。日中友好条約を締結することによってASEANの安定、平和、繁栄、このように努力していく。 第二番目には、日中友好条約を締結することによって世界の平和に対する熱意、世界の緊張緩和をし、平和の方向へ、戦争回避の方向へ努力していくのか、あるいは緊張激化をして戦争へ行くのかという重要な基本的な問題についていろいろ意見を率直に申し述べ、語り合うことが外務大臣の第一の使命であると考えております。この相互理解の上に立って条約締結の文言に入るわけであります。 覇権その他の問題については、共同声明の線を踏まえつつ、特に軍縮総会でも私がいたしました演説は、毀誉褒貶は別といたしまして、半年ではありますが、その間に委員各位からいろいろ御発言があり、あるいは御指導があった点は、微力ながら全部これを踏まえて私は主張してきたつもりでございます。日中の問題についても、各位の御意見を十分腹に踏まえつつ、もろもろの点について話し合うつもりでございます。
○渋谷邦彦君 いまずっと答弁を伺っておりますと、いみじくも日中条約に対する政府の位置づけというものをお述べになったんではないかというふうに考えられるわけですね。確かに一般論的に考えた場合には、単なる日中の経済交流、文化交流を通じて一層そのきずなを強めるということもございましょう。ひいてはまたアジア地域に対する繁栄と上平和に貢献する、さらには世界平和にと。これはわれわれだれしもが願っている一つの願いかもしれません、そうあってもらいたい、こう思います。 ただ、最近のアメリカの一連の働きの中に、先般も私若干触れましたけれども、ブレジンスキーの訪中にかかわる中で、大変ソビエトに対する非常に強硬な考え方というものが打ち出されている。そうした脈絡を私なり整理いたしますと、新しい一つの世界の秩序というものがあるいは米中、日中というものを軸にして、さらには新しい意味の戦略体制というものがそこで確立される方向へ、あるいは他の国々が考えの中に輝いているのではあるまいかという、そういう判断をするわけでございます。戦略的と言っても、なかなかこれは非常に幅の広い意味合いを待つことになりましょうけれども、その中で一番警戒しなければならないのは、対ソというそうした関係において、きわめて露骨に神経を逆なでするような、そういうような環境というものがもしつくられていくということになりますと、大変これは日中条約そのものの精神に反するということにならざるを得ませんが、ただブレジンスキーあるいはバンスあたりの言動、最近のカーターのウエストポイントですか、での演説内容を聞くについても、果たして大丈夫だろうかというようないろいろなかかわり合いを持つ中で、いま置かれている日中、そしてまたアジアというものをどう一体日中条約を軸にしてとらまえていったらいいのか、いろいろ際限なくそういうような問題が広がりを見せるという感じもしないではありませんけれども、その辺はどういうふうにお考えになっていらっしゃるか。
○国務大臣(園田直君) 私は、日米首脳者会談に参りましたときに、バンス国務長官と会談いたしました。その際、中ソの対立を外交に利用することはきわめて危険である。わが日本はあえてとらない、この緊張を緩和することに努力をしたいという発言をいたしました。 なお、その前後の、会談じゃなくて、雑談の際に、ちょうどブレジネフ書記長が西独を訪問されたときでありまして、それがテレビに放映をされたそうであります。私は拝見をしませんでした。そのときのブレジネフ書記長の健康について話があり、米国の、要人はブレジネフの健康が大変悪いという話でありましたから、私は、鳩山元総理があの不自由な体でソ連に行かれたときの決意を説明をして、ブレジネフ書記長が健康がいい悪いというよりも、あの体で西独に行って、なお自分の身命を賭して平和を目指そうという努力はアメリカの方も理解される必要があるということを申し上げたわけであります。先般、ブレジンスキーがおいでになってお帰りの際にも、私は同様の趣旨を話したわけでありまして、わが日本としてはやはり米ソの対立が緩和の方向へ向かうよう努力をすることが日本外交のたった一つの道であり、これをなし遂げなければ日本の運命はない、こう思い詰めておるわけでありますから、そういう心構えで中国とも話し合いをしてみたいと考えております。
○渋谷邦彦君 確かにいま出し述べたことは、将来どういうふうな変化を遂げていくかわからないにいたしましても、大変これは重要な問題であろう。いませっかちにこうだからこうだという断定がましい結論をつけることは大変危険だとは思うんです。しかし、やはりこの日中条約締結という、これからのあるいは日本の運命を決するかもしれない、国益というものにどういうかかわり合いを持つのかという国民全体が環視の的でその成り行きというものを見守っておりますだけに、いままでいろいろその議論の中で懸念されるような問題点、これはいま述べられたように率直に中国との間に忌憚のない話し合いというものを通じて、そこで初めて日中双方がということになるんだろうと思うんです。それは強力にやはり日本の立場というものの主張というものを貫いていただきたい。 ただ、ここで問題になりますのは、福田さんの言動をずうっとことしに入ってから振り返ってみますと、交渉そして条約の締結、これはもう別の問題だという、そういう表現があったかと思うと、いやそれはイコールであると、何か統一されていない、そういう印象を受けないではありませんけれども、この機会に、再度、その点についての明確な政府としての判断をお聞かせをいただきたい。
○国務大臣(園田直君) 福田総理がこの問題で慎重に対処してこられたことは御承知のとおりでありますが、最高責任者としては当然であると考えております。いよいよ交渉が始まるについて、交渉を始めることと締結が別であるというならば、これは交渉はしない方が私は外交の儀礼でありまして、妥結するかしないかということがわからぬうちに交渉を始めることはひやかしである、そういうことは断じてやってはならぬと考えております。交渉を始めるならば、いろんな問題はありましょうが、誠意を尽くし、努力を尽くし、そしてこれは妥結に導くことであって、交渉、妥結は全く同一の問題でなけりゃならぬ。総理もその点ははっきり私に指示をされております。
○渋谷邦彦君 中国側も何回も何回も鄧小平副主席あたりの言明というものが伝えられております。つい数日前でございますか、どなたかが会われた際にも、日本政府がその気ならば――その気ならばというのはいろんな含みがあるんだろうと思うんですが、一秒でという、これも何回かわれわれも聞いている問題でございます。ということは、それを裏返しにして考えた場合に、なぜという問題がやはりはね返ってくるわけですね。中国側がなぜこのように執拗にこの日本の取り組む姿勢について疑念を抱いているんだろう。これはもうあえて言葉を重ねて申し上げる必要はなかろうと思うんですが、そういう不信感というものを払拭する上からも、できるだけ早い時期に、いま申し述べられた明確なそういう考え方を通じて外務大臣なりが訪中をされ、速やかに政治的な決着を必要とするならば、その段階で決着をされ、先般も述べられたように、年内に条約が成立をするという方向でぜひお取り組みをいただきたいというふうに申し上げたいわけであります。その点はいかがでございましょうか。
○国務大臣(園田直君) ただいまの御発言の趣旨も、外務大臣としては当然であると考え、そういう意味もあって佐藤大使をなるべく早く召還をして具体的な指示を与えたい、こう考えておるところでございます。
○渋谷邦彦君 次に、ソビエトの最近のいろんな行動の中で特に目を引くものに、択捉島における軍事演習があったやに取りざたされているわけであります。これも、瞬間、われわれの頭の中にひらめいたのは、いま日中条約というものが再開の機運が濃厚であるというようなことを踏まえての、報復とは言いがたい、いやがらせとも余り言いたくないような、何かそうしたような牽制的な意味合いを込めた行動であるんだろうかという一抹の疑惑を実は抱いたわけでございます。 先般、衆議院の外務委員会でございますか内閣委員会でございますか、伊藤防衛局長の発言と栗栖統幕議長の発言というものが大分食い違っている。けさでしたか、六時か何かの朝のテレビニュースを見ておりますと、大変栗栖さんは憤慨しておるようですね。内局の判断というものがどうもおかしいという、一口に言えば、けしからぬというような、そういうような意味合いを込めた批判をされている。そういういきさつが、つい北海道の鼻先にある択捉島において起こったこれらの事実関係についてどうこうという、これは非常に大事なことではないか。きょうは防衛庁長官もおりません、防衛局長もおりません。しかし、その事実関係については、すでに防衛庁としても十分情報というものを収集もされ、それをもとにしての判断というものをされているんではあるまいかというふうに思いますので、まず、その点について伺いたいと思うわけであります。
○政府委員(上野隆史君) お答え申し上げます。 最近、宗谷海峡におきますソ連艦艇の通峡の状況、それから択捉島周辺におきますソ連の航四機の動き及びソ連によります択捉岳周辺の危険水域の設定といったような事象からいたしまして、同島周辺におきまして軍事訓練が行われているという可能性もあるというふうには判断はいたしております。ただ、しかし、現実にそういう軍事訓練が行われているかということは、これは事実としては確認はいたしておりません。また、軍事訓練以外の何らかの動きということも想像できるわけでありますけれども、それらを全部総合いたしまして、同島周辺におきましての軍事訓練といったものについては、可能性としては考えられますが、事実としては確認していないというのが防衛庁の総合的な現時点におきます判断でございます。 そして、この件に関しましては、栗栖統合幕僚会議議長の判断も、また内局におきます判断も、陸海空の各幕僚監部の判断も、これは一致をいたしております。 そこで、最近におきます報道等にあらわれました、栗栖議長それから内局、文官と申しますか、その判断の食い違いあるいは意見の対立といったようなことが取りざたされておりますけれども、この点につきましての両者の判断は全く一致をしておるということでございます。 ただ、伊藤防衛局長の国会におきます答弁にいたしましても、栗栖統幕議長のテレビあるいは記者会見等におきます発言にいたしましても、一枚の書いてある紙をそのまま読んでいるというわけではございませんで、それぞれ質問に応じてのお答えをいたしているわけでございますので、あるいは受け取られる側からいって、演習あるいは訓練と、演習に重点を置いて受け取られた向きもこれはあろうかと存じますが、説明の具体的な個々の用語の差異はございましても、判断といたしましては、先ほど私が申し上げたことに尽きるわけでございます。
○渋谷邦彦君 それにしては、上野さんごらんになったかどうか知りませんがね、いま私が申し上げたように、そうしたいまの御説明を踏まえた上で、統幕議長はさらに反論しているわけですよ。この食い違いはどこにあるんですか。その反論ということは、恐らく公開の席上か記者会見か何かの場所を通じておっしゃらなければ報道はされませんね。依然として私はそこに食い違いがあると。どうしてそういう食い違いが、庁内において対立的なそういう感情を含みながらあらわれなければならないんだろうというやはり疑問はまだぬぐい切れないんですけれども、その点はいかがでございますか。
○政府委員(上野隆史君) けさほどの、いま先生がお挙げになりましたテレビでございますか、それは私見ておらないのでございますけれども、たまたま、昨日、防衛庁におきまして統幕議長の定例の記者会見が午後行われましたが、その席での議長の発言は、これは私が先ほど申し上げましたような意味で、内局との意見対立などというものはないのであるという御説明はしたと聞いております。 なお、今回の件に関しまして、大臣あるいは次官のもとで、統幕議長、防衛局長が集まりまして意見交換等々をしたわけでございますけれども、その際にも、議長も防衛局長も、お互いに説明のしぶりは異なっておっても、言っていることは同じことですねということは確認をいたしております。
○渋谷邦彦君 その辺は、いずれにしても御本人に確認をしない限りは、上野さんとしては申しにくいことでございましょう。 それにしても、先ほどの答弁を伺っておりますと、可能性はあるかもしれないけれども、事実は確認していないというこのおっしゃり方ですね。ですから、両方にかかっているわけです。あったかもしれない、けれども事実は確認してない、こういうことでしょう。可能性は決してあなた御自身が否定はなさらてないわけです。あるかもしれない、あったかもしれない、ただし事実は確認してない、こういうことでございましょう。それは私どもとしてどう受けとめたらいいのか、それが一つ。 それから、あなた御自身も実際現地に行って御経験がおありになると思うんですけれども、羅臼だとか標津というところは、晴れた日には肉眼でも見えるところですね、択捉というところは。それは非常にすぐれた高性能の望遠鏡で見た場合、あるいはスクランブルでもって航空機からその状態を識別することもできないわけではない。実際スクランブルしたんでしょう。それから津軽海峡をソ連の艦艇が通過したということも、実は海上自衛隊で確認されているのと違いますか。そうしたようなことを総合して考えた場合に、これはわれわれが専門家でない立場に立って考えましても、あり得るという可能性はやはりあなたが答弁されたように判断されるわけです。ないとは言えない、ここに問題がぼくはあるんじゃないかと思う。その辺はいかがですか。
○政府委員(上野隆史君) まず、視認、目で見たかどうかという件でございますが、これは同海峡を艦艇が同島方面に向かって進んでおるという状況は、これは見ております。 それからスクランブルでございますが、航空自衛隊の航空機がスクランブルをしたという意味では、これはいたしておりません。 同島で何が行われているかということを現実に確認をする強い必要があれば、その手段は防衛庁は持っているわけでございます。たとえばRF4というファントムの偵察機型の偵察機も十数機ございますし、また、より大型の海上自衛隊の対潜航空機というものもございますから、同島の近くに近寄って現実に見るということは、これは手段としては可能でございますけれども、同島近辺で何が行われておるかということにつきましては、従来ともそういう直接的な手段でもって情報を収集するということは、これはしていないわけでございます。 今回の事象におきましても、諸情報、ただいま申し上げましたような艦艇の通峡状況とか、あるいは同島周辺におきますソ連航空機の運航の状況とか、あるいは危険水域の設定といった、ほかにもございますが、そういう諸情報を総合いたしましての判断として現時点で抑さえ得るものは、ただいま申し上げましたようなことに尽きるということでございます。
○渋谷邦彦君 いずれにしても、稚内にしても標津にしてもレーダーサイトがあるわけでしょう、それからスクランブルの体制もいつでも航空自衛隊の基地を中心として考えられる。そうしたような総合的な監視体制の中でいろんな情報を収集し分析し、統幕議長という最高池位にある方がうかつにそういう表明をするはずがあるんだろうか。恐らく十分それが考えられる、また事実の上でも確認されたということがなければ、これはうっかりしたとか、あるいは軽率であったというふうに済まされない私は内容を持つ発言ではなかったのかというふうに考えられてならないわけでありますし、聞くところによりますと、その情報については、事実については、すでに内閣調査室を通じて総理大臣にも報告がなされている。ところが、実際に衆議院においても、そうした事実については聞いていないという答弁が福田さんからはね返ってきたという経過があったようであります。そんな大変脆弱なものなんでしょうか、日本の監視体制というものは。 先ほど申し上げたように、くどいようですけれども、羅臼あたりから見た場合には本当に目と鼻の先ですよ。肉眼でも見えるという、そうしたようないろんな諸情勢というものを十分報告を聞いた上ででなければ私はまず常識として統幕議長が発表されない。しかし、ソ連との外交関係というものを考えた場合に、これはうかつに余り刺激するような発言をしてはならぬという配慮のしに立って、あるいは防衛局長としてそういう事実の確認はなかったということで答弁をされたのか、その辺が明確にならないまま、実は、きょうの参議院の外務委員会に持ち越しみたいな形になったわけですので、その辺知り得る範囲でおっしゃっていただきたいと思うんです。これは日本のソビエトに対するこれからの外交という問題を考えた場合に捨てておけない重大な政治問題でありますので、その辺を明確にしていただきたいと、こう思うわけです。
○政府委員(上野隆史君) まず、事実関係でございますが、これは先ほどの繰り返しになりよすが、現にそういう事実が行われていろというとを確認したわけではありません。確認をしているのに政治的、外交的配慮によってそれを、言わない、否定したということではございません。 栗栖議長の発言は、ソ連艦艇、航空機の動きから言いまして、何らかの演習が行われた可能性が考えられるという見解を申し上げたわけでありますが、演習が行われたと、こう断定しているわけではございません。それから、他方、伊藤防衛局長が言ったことも、演習が行われた可能性を否定したわけではありません。両方とも言っている、ことは同じわけでございます。しからば、事実はどうかということにつきましては、先ほど申し上げましたように、事実として演習が現に行われておるのを確認したということではありません。
○渋谷邦彦君 このままいきますと水かけ論にならざるを得ないとぼくは思うんですね。 それにしちゃ、先ほど申し上げたように、日本の監視体制というのはどうなっているん、だということになるじゃありませんか。そんなに不備なのか、信頼に足らない状態なのか。先ほどから私申し上げているでしょう、羅臼からは、標津あたりからは肉眼でも見える。そうしたようなことが確認されていればこそ、そういうような発表という形をとらざるを得なかった。これは領土問題ということにかかわり合いを持つためにあえてしつこくいま何っていろわけでございまして、これは放置できない問題なんですよ。限られた時間が過ぎておりますので、また別の機会にこれは問いたださなければならないんではなかろうかと思っております。 ただ、外務大臣、いまやりとりをお聞きになって、これは未確認ということならば未確認かもしれません。これはやはり外交折衝の上でも非常に捨てておけない重要な課題ではあるまいかというふうに私自身は思えてならないというその考え方に立てば、これからの対ソ外交措置をとらなければ、事実が確認されてないからということで放置できるものかどうなのか。とにかく一般の世上をにぎわしたということは事実なんですから、これ自体が事実なんですから、しかも兵力にすれば約二千人に近い規模の演習が行われたのではあるまいか。それはあったという――一人一人勘定しているわけではございませんから、大体、艦艇の動き、航空機の働き等々、そうしたような状態から判断をすれば、兵力的に見ると大体二千人ぐらいに及ぶのではなかろうかという、これはあくまでも推測ですわ、それは推測で構わないと思う。けれども、実際に演習があったという事実については、あなたも先ほど、くどいようですけれども、可能性はあったかもしれないと、おっしゃっている以上は、可能性があったとするならば、事実は確認していないということはこれは問題は別でございますね、あったと受けとめられるかもしれない、それは。そうした場合に、これは捨てておけない。その後、一体、その事実については確認の手が打たれているのかどうなのか。
○国務大臣(園田直君) 大事な問題でありますから、外務大臣から発言をいたします。 この問題は、私としては、今度行われたソ連の演習は、従来から行われておる射撃訓練の一環である、政治的意図があるものではないと冷静に受けとめておるわけであります。もちろん射撃訓練地域設定については、領土の問題、漁業の安全操業の問題がありますから、ソ連の方には直ちに抗議を申し込んでいるところであります。 この演習の実情は、確実な情報によりますと、上陸用舟艇または上陸演習等は行っていない。参加したものには陸上部隊がいない。そしてAN12という若干の飛行機が参加をしている程度でございます。射撃訓練地域設定の目的は、これは想像でありますが、SLBMの射撃訓練にあったのではなかろうかと、このように想像しているわけでありまして、射撃訓練地域設定についての抗議はいたしましたけれども、この訓練そのものが政治的な意図があるとか、あるいは上陸の演習をやったとか、そのようなことはなかったと外務省は判断をいたしております。 事実の確認については、これは外務省が責任じゃありませんから、防衛庁の能力は別として、これは防衛庁の責任でありますが、こういうようなことが今後ありましても、防衛庁内で戦略上の判断とか戦術上の判断をされることにはわれわれ異議はありませんけれども、公表されるについては、外交上非常な影響があるわけでありますから、これはやっぱり外務省とも相談をして今後は公表をしてもらいたいというのが外務大臣の考えでございます。
○渋谷邦彦君 上野さん、今後の事実確認、それだけ何って、私の質問を終わります。
○政府委員(上野隆史君) 自衛隊におきます情報収集体制と申しますか、これは先生承知でございましょうが、わが国周辺海空域の警戒監視及び必要な情報の収集に当たります手段といたしましては、たとえば沿岸監視隊、これは主要な海峡に配備されておりますし、また地上レーダーサイト等もございます。こういうようなものによりまして監視をいたしておるわけでございますが、そのほかにもいろいろ手だてはございます。 ただ、現に択捉島周辺におきます演習についてどうかというお尋ねでございますが、これは択捉島は現にソ連が主権的権利を行使しておりまして、そこに飛行場もございますし、防空軍も配備されておりますし、それから軍隊に類するものも配備されておるわけでございまして、それらの軍事的機関が何らかの演習なり訓練なりを行っておるということは、これは容易に想像できるわけでございます。昭和三十年の初めごろまでにはあそこに師団が配備されておりまして、現在はおりませんけれども、いまいるものも、それはそれぞれの必要に応じてそのときどきの訓練演習は行っていると考えております。ただ、今回の場合、やや特異でありましたのは、最近は余り見られなかった多少大きな動きがあったなということでございますが、これが果たして演習なのかどうか、あるいはほかの目的、たとえば物資等の輸送なのかどうかといったようなことにつきましては、少なくも現在までの私どもが入手しております情報では、判断できないということでございまして、今後、いままで得ました情報を分析、検討することによりまして、あるいは真相は何かということがわかってくることも十分考えられるわけでございます。そういう点で、今後とも、鋭意この問題につきましては大きな関心を持って事実の究明に当たってまいりたいと考えておるところでございます。
○立木洋君 大臣、最初に日中平和友好条約の問題でお尋ねしたいんですが、先ほどのお話では、もしか経過の進展によって大臣が七月に向こうに訪中なさるかもしれない、そうしますと、それ以前にもう大臣に直接お尋ねする機会はないだろうと思うんです。それで二、三点だけお尋ねしておきたいと思うんです。 今度の交渉再開に当たって、交渉を進めていく基本的な姿勢といいますか、基本的な考え方といいますか、先ほども若干述べられておりますけれども、その点、最初にお尋ねしておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 基本的な姿勢は、日中共同声明に明記されておるように、日中友好関係を強固にし、発展させ、そしてアジアの平和と繁栄、ひいては世界の平和を願うということが基本的な態度でございまして、この態度についてはいささかも変更はございません。また交渉に入りましたならば、そのような点は十分主張する所存でございます。
○立木洋君 先ほどの渋谷委員長のお尋ねにもあったわけですが、この間いろいろな経過があったわけですね、今度の交渉再開に至るまでに、こういう経過の中からどういう教訓といいますか、どういう問題点を大臣として引き出され、それを今後の交渉の中に生かすべき教訓というか、考え方というか、そういう点は特別にございませんでしょうか。
○国務大臣(園田直君) いろいろな経過並びに各党からの訪中団等のお話を承りましても、中国がどのような考え方をしているかということが明瞭にわかったことがその一つであります。また、やや中国と日本は外交の基本的方針が大分違っておるということ、この二つを踏まえて今後交渉をやりたいと考えております。
○立木洋君 先般、お尋ねしたときも、相互理解の問題、きょうも大臣は強調されましたが、これは非常に大切なことだと思うんですね。前回お尋ねしたときにも十分になっていない点もあるというお話もあったわけですが、もう一つは平和外交に徹すると。 私は、この間のやっぱり経緯を見て、たとえば大陸だなの問題はああいう形になってきわめて残念であるというふうに私たちは考えているわけですけれども、あるいは尖閣列島の問題あるいは台湾の問題その他いろいろの問題を振り返ってみますと、やはり考えなければならない問題の重要な一つとしては、私はやっぱり主権の重みだと思うんです。主権が侵害され、主権が侵されている状態では本当の意味での友好はあり得ない。私はこの点は今後の交渉の中で、日中共同声明でも明確に平和五原則の立場を双方でうたっているわけですから、この主権の問題ということについてはやっぱり非常に私は重視して考えることがきわめて大切な点ではないかと思うんですけれども、具体的に言っている時間がありませんから、この点についての大臣のお考えをお尋ねしておきたい。
○国務大臣(園田直君) 主権の侵害、国益の問題は御発言のとおりでありますから、これは十分腹に踏まえて交渉したいと考えております。
○立木洋君 それから、これもこの間ブレジンスキー補佐官が訪中されて、それをいろいろ新聞報道で見たわけですけれども、ブレジンスキー補佐官がソ連を名指しして非難したというふうなことはありませんでしたが、事実上、ソ連を意識して述べた点というのは相当感じられるわけですね。同時に、そういう意味で強大な中国が存存することはアメリカにとって有利であるという主張もなされました。またマンスフィールド駐日大使が中国の存在について東のNATOであるという趣旨のことを述べて、鄧小平氏もそれには基本的には賛成だという趣旨のことも述べられた。こういう考え方について大臣はどういうふうにお考えですか。
○国務大臣(園田直君) 私は、先ほども申し上げましたとおり、中ソが現実に対立をいたしております、その対立を自国の有利なように外交上利用することは危険である、冒険である、それをあえてやってはならぬということが日本の方針であり、米国に対してもそのような助言をいたしたところでございます。
○立木洋君 その点、大臣が言われるとおりだと思うんですが、中ソの対立を利用するというふうなことがかりそめにもあってはならないだろうし、しかし、その場合に、そういう立場で臨んでも、現実にいま中ソの対立が存在しておる、これは事実だと思うんですね。だから、これが日本の外交に全く影響しない、また、その問題を考慮に入れないで外交交渉を進めていくということにはならないだろう。考慮に入れるという意味ですよ、利用するではなくて、考慮に入れる。する場合には、どういう注意をしなければならないと大臣はお考えでしょうか。
○国務大臣(園田直君) おっしゃるとおりでありまして、重大な影響はあるわけであります。日本としては中ソの対立が激化の方へ行かないように、緩和の方向へ行くように、微力であっても、効果がなくても、その方針だけは捨ててはならない、努力をしなきゃならぬと考えております。
○立木洋君 ですから、この日中平和友好条約というのはきわめて重要なものであって、本当に今後、将来とも日本と中国が平和相互原則の立場に立って恒久的な平和的友好的な関係を築いていく、そういう名実ともにそうなる点で、ぜひとも努力をしていただきたいということを強く要望しておきたいわけです。 話が変わりますけれども、大臣は、先般、軍縮特別総会へおいでになって演説をなさった。大体現在の時点で総会ではほとんどの国の一般演説というのは終わったんじゃないかと思うんですけれども、また、NGOの演説も行われた。宣言や行動綱領が採択されるというまでにはまだ至っておらない中途の段階ではありますけれども、いままでの軍縮特別総会の状況をごらんになって、大臣はこの軍縮特別総会をいまの時点でどういうふうに評価なさるのか、また、どういう問題点があるとお考えになっておるのか、その点。
○国務大臣(園田直君) 一言にして、私は、今度の軍縮特別総会が平和への一里塚になってほしい、こういう表現をしてきたわけでありますが、今度の特別総会で直ちに結論ができるとは考えられません。しかし、この特別総会は単なるお祭りではなくて、これをスタートとしてさらにこの特別総会が定期的に行われるようにし、かつまた、ここで提案されたもろもろの、問題は決議かあるいは共同声明のかっこうでやられることになっておりますから、それを中心にこれに参加した国々がそれぞれ実現の方向に向かって努力することが必要であって、今度の特別総会の成果は、これが終わった後のやり方によって成果が出てくるか、あるいは無意味であったかという感じがするわけであります。 この総会に出席をして感じましたことは、やはりこの二つの大きな国というものが安定勢力の上に平和を築こうということから、どうしても自分たちの都合が先に出るのだなという感じがいたしたわけであります。
○立木洋君 日本からも五百名に上るNGOの代表団が行きましたし、一八百万に上る署名簿を持って核兵器を何としても完全になくすために努力してほしい、そういう第一歩になってほしいという強い要望が国民の声として託されて国連でも反映されたと思うんですけれども、一方では、そういうふうな強い熱意を込めてこの国連特別総会に期待を持つ、他方では、しかし本当にそうなってくれるんだろうかという、何といいますか、不安というか凝念というか、がやっぱり他方ではあるだろうと思うんですね。 その中で外相が演説をなさってきたわけですが、外相は大臣の軍縮特別総会の演説について各紙がいろいろな論評をしておるのをお帰りになってごらんになったと思うんですけれども、それを見てみますと「総花的に過ぎた園田軍縮演説」だとか「迫力を欠いた」だとか「踏み込み足りぬ」だとか、いろいろなことが書かれてありますが、この評価について大臣は、面当たっておるというふうにお考えなのか、全然的外れだというふうにお考えなのか、その評価についてはどういうふうに思っておいでになりますか。
○国務大臣(園田直君) 私の行いました演説に対する毀誉褒貶は私の関するところではございません。 ただ、私は、第一に、いままで日本が理想はこうではあるが現実がこうであるから困難であるという考え方、姿勢を裏返しにいたしまして、現実はこうではあるが理想に向かってこういかなきゃならぬ、努力をすべきであるということを訴えたことが私の一つの日本外交の変更であると考えております。 総花であると、言われておりますが、結構であると思います。私は、両院の国会の決議、それから本委員会における各位の発言、共産党から自民党に至るまでの発言は全部この中で訴えてきたわけでありまして、総花であろうと何であろうと言われたことを訴えるのがこれは外務大臣の責任であると私は強く感じて行ったわけであります。共産党から言われた八月六日というのも私は主張をしてきて、その実現の可能性はあるわけであります。特別総会に出て点数が何点だったかということは、今後の具体的な方向にどのような血みどろな努力をするか、一分でも一厘でも前進するかということによって私の演説の評価は決定されるべきであると考えております。
○立木洋君 一つは、日本の政府として今後どうするのかという問題が確かにあると思うんですね。しかし、日本で行われている現実と外相の演説との開きというのは、これはやっぱり無視できない、面があると思うんですね。 それから、私は、それぞれの問題について確かに触れていないとは、言えないけれども、本当の意味では触れていないと言わなければならない問題点も幾つかあるだろうと思うんです。内容の点で言いますと、たとえば一つ、国会での決議の中に核兵器全面禁止の国際協定の締結に向かって努力をするという話があります。これは現在の段階で言いますと、核兵器の廃絶ということは、これはもう言わない人がいない、ほとんどの人が言う段階にまで来ているわけですね。だけれども、本当にそれを確実な一歩に歩むかどうかということは、国際協定として実らせるかどうかというプロセスまで考えたときに初めて問題になるわけで、ただ単に核兵器廃絶ということだけを唱えればそれで実現できるという問題ではないだろう。だから、国会での決議で出されている国際協定の締結に努力をするということが私は大臣のこの演説の中ではやっぱり述べられていなかった。国会の決議にあるにもかかわらずと言えば強くなりますけれども、明らかにあるにもかかわらず述べられていない、この点はどうしてお述べにならなかったんでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 現実と私の演説とは大分差があると言われるわけでありますが、現実がそうであるから何も言えないということでは未来永劫に日本は進歩しないと思います。現実は踏まえつつ、しかも理想を訴える。したがって、いまの点も核不使用のことは私は訴えたつもりであります、協定という言葉を使っていないだけであります。今度の特別総会はこれによって議題が決定するわけではなくて、共同声明の中に織り込まれるかどうか、いわゆるそれを契機にして不使用協定の方向に前進するかどうか、これが前進してもわが国の現実としていろいろむずかしい問題があると思いますけれども、大きな穴をあけられなかったが、今度はひびを各所にあけてきたというところで私は私の使命があったと考えるわけであります。
○立木洋君 現実論との問題については後でまたお尋ねしますけれども、私は、その協定という言葉を主張するかしないかということはただ単に言葉の問題ではないと思うんです。核兵器の廃絶ということを着実に現実のものになし得るかどうかということは国際的な約束をどういう形でつくり上げるかという問題なんですね。ただ、日本としては廃絶ですよ、ない方がいいんですよということを訴えただけでは、そこまでなんですよ。カーターさんだって核廃絶の第一歩にしたいというふうなことは前の国連総会のときにも述べているわけですから、実際にそれを確実なものにしていくかどうかという点で、私は協定という言葉を主張するかしないかということは非常に重要な意味があると思う。その点でやはり述べなかったというのは私はきわめて遺憾だったと思うんですね、国会での決議があったわけですからね。 それからもう一つ、これは先般私もお尋ねしたんですけれども、不使用の問題ですね、使用させない、これは大臣も確かに二カ所でお述べになっています。こういうふうなことが二度と繰り返されては大変だ、われわれとしては再び使うことがないようにということを確かにお述べになっておりました。だけれども、これも私が先般述べたのは核兵器を使用しない、使用を禁止する条約、その問題はよく検討して対処しますというふうに先般の外務委員会ではお答えいただいておったんですけれども、どうも十分に検討していただいたような結果になっていないように思うんですけれども、この点についてなぜ不使用条約、使用禁止の条約という形で明確にお述べにならなかったのか、その点はいかがでしょうか。
○国務大臣(園田直君) これも先ほど申し上げたとおりでありますが、私はそういう協定、条約のできる一つの話題を提供し、これに対してスタートをつくればよいという考え方と、もう一つは、私の軍縮総会の演説は、やはり閣議の了解を得なければならぬわけであります。その了解を得るのには私はあれがぎりざりいっぱいであった、こういうことでございます。
○立木洋君 じゃ大臣は使用禁止条約を述べてもいいというお気もちがあったけれども、内閣では認められなかったからぎりぎりだという意味ですか。
○国務大臣(園田直君) これは行政府の長である外務大臣でありますから、ここで私がそれに対するお答えをするわけにはまいりません。
○立木洋君 それから、もう一点ですね、「核不拡散の体制を強化する」ということも強調されました。この「核不拡散の体制を強化する」ということは、これは大臣が述べられているように「核不拡散条約を真に普遍的なものとし、これを基礎とし」というふうに述べられています。だから、いまの、不拡散条約だけではこれは万全だというふうにお考えになっていないという倫理になるだろうと思うんですが、この不拡散体制を強化するというのはどういうふうなことを具体的にお考えになって述べられたんでしょうか。
○国務大臣(園田直君) これについてやはり問題がいろいろあると存じます。第一に、いまの不拡散条約が真に核不拡散ということにねらいを定めてあるのか、あるいは核を持っている大国が待たない国が待てないようにするための不拡放条約なのか、第一、そこに問題点があると私は腹の中で考えておるわけであります。なおまた、これについて加盟国もだまだ加盟してない国もあるわけでありますから、これを細かに検討していくともろもろの問題があるわけでありまして、必ずしもいまの不拡散条約がよいとは考えておりません。
○立木洋君 それから、もう一つですね、時間がないから飛び飛びにお尋ねしますけれども、非核武装地帯の問題についてもお述べになりましたですね。「適切な条件の整っている地域に非核武装地帯を設置すること」と。で「適切な条件の整つている地域」というのは、大臣はどの地域だというふうにお考えでしょうか。
○国務大臣(園田直君) これはどの地域と言うわけにはまいりませんけれども、「条件」というのは、第一には核を持っている国と持たない国との合意があること、それからもう一つは、その地域の環境が整備されて安全が保たれることなど二、三件の条件があるわけでありますが、そういう条件が整いつつあるところは数カ所あると存じます。特定の名前を私の方から出すわけにはまいりませんけれども、そういうものを逐次固めていって、そして日本が核のかさの下にありながらこういうことを言うのはおかしいわけでありますが、しかし、おかしいからと言って言わぬわけにはまいりません。日本もまた、長き未来にわたってか近い未来にわたってかわかりませんが、核の傘下になくても安全が保てるような国際環境をつくることが理想であると考えておるから、そのような発言をしたわけでございます。
○立木洋君 一つ一ついろいろまた反論もしてお尋ねしたいわけですけれども、時間がないのであれですが、次にもう一つ、軍縮のための機構の問題についてもお述べになっていますね。これは軍縮のための機構を改善することでも今度の総会で成果を上げてほしいということが強調されているわけですが、これはどういうふうな機構にすれば効果が上がるものというふうにお考えなのか。
○国務大臣(園田直君) この軍縮総会に対しても、先ほど私が申し上げましたとおりに、本当の軍縮に向かっての機構というよりも、むしろ大国が自分の都合によって大義名分をつくるための場になりがちでございます。なおフランス、中国はこれに参加しておりませんが、参加しないだけの理由があるわけでありまして、参加できるような機構に改正することも必要であると考えます。それから国連と軍縮委員会の関係もこのままでいいのかどうか、こういう点がありましたから訴えたわけでございます。
○立木洋君 そうすると、いまのジュネーブで行われている軍縮委員会については、一面、批判的な見解をお持ちになっているというふうに考えていいわけですね。
○国務大臣(園田直君) いまのままで真の軍縮の目的を達成するのには不満足であるとは考えております。
○立木洋君 それから、今度、先ほど言いましたように大量のNGOの民間の代表団が行ったわけですが、今後、日本でも核兵器をなくしていくこういう平和的な連動だとか、NGOの各団体でやっぱり引き続いて行っていくことになるだろうと思うんですね。これは国連の総会にもある意味では一定の影響を与えた、非常に大きく言うわけにはいかないかもしれませんけれども、やっぱり影響を与えたという点は私は事実だろうと思うんで す。この点で、こういう民間からのそういう平和だとか軍縮だとか核兵器をなくしていく問題だとか、今後とも意見をよく聞いてやっていくおつもりがあるのかどうなのか。今回の出発前には、いろいろと意見を聞いたり何かするというふうなことがあったわけですけれども、問題は、先ほど大臣が言われたように、今後に問題はかかってくるわけですから、今後の問題についてはどのようにお考えになっておりますか。
○国務大臣(園田直君) 今度、民間団体が行かれるについては非常に私はいろいろの配慮をしたわけでございます。特に民間団体が思想なりあるいは活動方針に非常な差がある、それが同固まって行かれる、一つの統制すべき機関がない、こういうことでありましたが、これは実に国連に対しても、それから米国の国民に対しても非常な成果を上げられて、しかも向こうにおける活動の実況は、統制機関がなきにもかかわらず、みんなが足並みをそろえて、米国の国民がなるほどそうだというような訴え方をされた、これは称賛すべきものであると考えております。 手前みそを言うわけじゃありませんが、この民間団体の方々にわが外務省がとった態度を開いていただくと、今度だけは一点のおしかりもなかったと私は自認しているわけであります。行く前も向こうへ行かれてからも、できるだけの、配慮はしたつもりでございます。したがいまして、今後とも、ああいうよき、初めてのことでありますが、ことはお互いに相談し合いながら、その成果が各部門で上がるようにやるべきものであると考えております。
○立木洋君 それから、もう一点ですね、今度の国連軍縮特別総会で、特に被爆の実相ですね、被爆者の実態、核兵器がどれほど恐ろしいものであるかということを国際的にも訴える必要がある。で、いままでもこの外務委員会でも繰り返し各委員から、日本がもっとこの原爆の恐ろしさを具体的に世界に知らしていく、そうして再びこういう事態を繰り返さないようにする広報活動の重要性ということは繰り返し強調されてきたと思うんですが、今度の国連総会に対して、あるいは政府としては何らかの写真集をつくるだとか広報文書をつくるだとか、それにふさわしい広報活動が行われたのかどうかという点についてはいかがでしょうか。
○国務大臣(園田直君) この点はこの委員会でもこの絶好のチャンスを利用してPRをやれと、印刷物をつくったらどうだということでございましたが、特別の印刷物をつくる余裕はございませんでした。しかし、いままでありました印刷物等はできるだけこれを活用いたしました。なおまた、この被害については、民間代表の演説、それから民間団体の活動、それから写真展、こういうもので予想以上に成果を上げたと考えております。
○立木洋君 お言葉を返すようですけれどもね、いままでの印刷物では不十分だということが外務委員会で問題になってきたんですよ。この軍縮特別総会での日本が果たし得る重要な役割りの一つとしては、やっぱり唯一の被爆国である――これは大臣も演説の中で述べられている。それとしいうのは、この原爆というのがどれほど人類にとって危険なものであり恐ろしいものであり、この実態をよりよく知らしめるということがいわゆるそういうものをなくさなければならないという力に変わっていくわけですね。だから、いままでの物を持っていってそれで間に合わしたという点では政府の姿勢としてはやっぱり弱かったんではないか。だから、少なくともこういう機会にもっと積極的な努力をしていただいた方がよかったんではないかと思うんですけれども、その点、今後の問題も含めてひとつ御答弁いただきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 先ほども申し上げましたとおり、それをやるべきであったが、残念ながら気づくことと準備の時間がなかったから手落ちでございましたと、こういうことを言っておるわけであります。
○立木洋君 この問題の最後に、確かに委員会でいろいろ述べた要望については、それぞれ大臣の言われるぎりぎりの範囲内で述べられたというふうな表現をしましたけれども、いま幾つか私が指摘しましたように、もっとやはり私たちの真意というか、日本が唯一の被爆国としての立場からもっと突っ込んだ述べ方が私は必要だっただろうということが一つ。 それから、もう一つは、やはり現実に日本がアメリカの核のかさに入っている。そして現に沖繩では核爆弾の投下訓練が行われ、核兵器の要員が一千名以上もいるという事態が事実上ある。そういう核基地化された状態、あるいは核がいつでも――いまあると言えば、これはもう絶対にお認めにならないから、そういうふうには言いませんけれども、いつでも持ち込めるような状態に日本が事実上置かれている。朝鮮に核が現実に存在しているという問題を考えてみると、これはきわめて危険な状態だと思うんですね。これはいままでも何回か私が質問をしている点ですから、もうここで具体的な例を挙げて多くを述べるまでもないことだと思いますけれども、そういう日本の現実、そういう事実上アメリカの核戦略に巻き込まれた状態をそのままにしておいて核の廃絶を述べるとしても、実際には外相の演説は空虚になるんじゃないか。 日本に現実にこういう状態がある、しかし、それについてわれわれは実際にそういう核の戦略に巻き込まれない大体制をとるために国際的に日本としてはどうするという面を明確に出せないところに、核のかさに入っておりながら、一方では、核廃絶を訴えなければならないという、矛盾があるんじゃないか。それが最大限のやっぱり外相演説の制約になっておったんじゃないかというふうに私は思うんですが、そういうアメリカの核戦略に巻き込まれた現実についての大臣の御認識と、私のそういう制約になったんではないかという評価についての大臣の御判断とをお伺いしたいんです。
○国務大臣(園田直君) 考えていることはそう大して変わりはないと思いますが、要は、ここが悪い、あそこが悪い、あそこは足らぬと気楽におっしゃる立場と、現実の中でどのようにして少しずつでも変えていくかという苦労の差がそこにあらわれたと思います。だからといって、いままでどおりに、そういうことは何にも言わぬで帰ってこいと、こういうわけにはいかぬのでありまして……
○立木洋君 それはそうですよ。
○国務大臣(園田直君) やっぱり理想に向かって一分でも一厘でもかじってきた。外務大臣やお使いになるについても、これが足らぬあれが足らぬとおっしゃることも結構ですが、そこまで言うたらこの次はもっと言うてこいと、こうおっしゃった方が外務大臣は感激をして今後やる所存でございます。
○立木洋君 それは大臣の立場に立てばそういうことになるだろうと思うんですが、もちろん、この問題については、いま、言ったように、私は日本が本当に平和国家に徹するというあり方の問題にかかってくると思うんですね、これは戸叶先生も先ほど言われましたけれども。だから、そういう意味で日本が本当に平和国家に徹するためにはどうなければならないかという点については、私がくどくど述べなくても大臣はおわかりだろうと思うんです。わが党の主張というのも明確ですし、この点については、そういう意味で私はこの軍縮の問題についての外務大臣の発言に対して幾つかの批判的な注文をつけましたけれども、その点十分くみ取っていただきたいというふうに思います。 時間が来てしまったんですけどね、もうこれで今国会は終わりですから、一つだけ。 この間の日韓大陸だながこういう形になったというのはきわめて私たちにとっては残念であり、不当なことである。で中江局長もいままで質問の矢面に立たれて、ああこれで一安心したというふうにお考えになってもらったら私は困ると思んですが、これは今後にやっぱり問題のある重要なことですし、この間私が質問しました竹島問題を事実上無視した形で北部境界線の線引きが行われたという点については、大臣はそれは事務当局の処置を信ずる以外にないという御発言でした。しかし、私は、竹島が日本の領土であるという問題をもっと重視するという立場であるならば、ああいう措置についてはやっぱり再考される必要もあったんではないだろうか。ましてやアジア局長はあの点では綿密な測量を行って等距離中間線でやりましたと言っている。竹島が日本の領土であるならば、あれを全く無視して線引きしたのは、あすこの部分は除いてと少なくとも国会の議事録に残っておればこれは別ですけれども、これ以上、先般大分私は申し上げましたから、言いませんけれども、この点について、やっぱり今国会は終わりですから、その点についての大臣の見解をお聞きしておいて、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 大陸だな関連法案に関して御審議を願ったわけでありますが、御審議の過程に言われた発言の数々、これは今後共同開発についても十分留意してやるべき問題であると私は考えております。
○立木洋君 竹島の問題。
○国務大臣(園田直君) 竹島の問題は、先般から申し上げておりますとおり、これを契機にして総理は心を新たにして交渉をやると言っておられますが、私は決意を固くしてこの交渉を始めるつもりでございます。
○和田春生君 まず最初に、日中平和友好条約に関連してお伺いをいたしたいと思います。 共同声明で合意しました条約締結交渉の時期を迎えましたことは、再開発と言い継続と言っておりますけれども、大変失礼なことだと、こういうふうに思います。外務大臣初め交渉当局の御奮闘をお願いをしたいと思うんです。 ただ、私たちがいろいろ議論しているのは、これは申すまでもありませんが、条約を締結すればいいというものではございませんし、とりわけ国際社会に占めておる日本と中国の地位にかんがみまして、この条約の中身、あるいは条約が締結された後に、日本、中国との関係のみならず、中国以外の日本と深いかかわりを待っている国々との関係に対しましてどういう影響を及ぼすであろうか、こういう問題も大変大切だというふうに思います。 そこで、いよいよ交渉が再開されようとしているわけでありますから、この日中平和友好条約の基本的な性格というものについて改めて政府の見解をお伺いしてみたいと思うんです。 平和条約と言いますと、一般的には戦争状態にあった両国関係が、領土問題その他いろいろ含めまして、その状態を終結をする、あるいはけじめをつけるという意味を持っておりますし、友好条約と言う場合には、二国間の友好関係を強化していこう、こういうふうな条約というふうに理解をされているわけですが、これは平和友好条約という名前がついているわけですね。したがって、一体、この交渉をされようとする平和友好条約というものの基本的性格をどういうふうに理解をしているかというのはこの大詰めの交渉のときに大変大切な問題だと思いますので、その点をまずお伺いしたい、こういうふうに思います。
○国務大臣(園田直君) 具体的には共同声明に書かれた線を貫くということでありますけれども、御発言のとおり、これは単なる二国間の未来にわたる問題だけではなくて、これに影響あるアジアの諸国の運命にも影響する重大な問題でありますから、日中友好条約の締結に当たって、それが締結された後、本当にアジアの平和と繁栄のためになるかどうかということが一番大事な点であると思い、これが一番基本的な重大な問題であると考えております。
○和田春生君 後の方でお伺いしたことにお答えをいただいていないわけですが、具体的な点について少しお伺いしたいと思うんです。 日本と中国の間には、かつて非常に不幸な戦争状態がございました。その後、日華条約が結ばれまして、中華民国との間には一応戦争は終結をした、こいう手続がとられたわけですけれども、大陸を支配してきた中華人民共和国との間にはそういう措置が何にもなかった。その点が日中共同声明によって解決をされたと、具体的言えば、日中間の戦争集結、こういう問題に関する措置は日中共同声明で終わったというふうに受けとっていいかどうかという問題が一つあるんです。その問題を一つお伺いしたい。
○政府委員(中江要介君) 国際法的に言いますと、非常に説明がむずかしいのが、この対象になっております地域が単純な一つの国に一つの政府という形で戦争中及び戦後一貫してそういう状態が続いてはこなかったというところに問題があると思います。 したがいまして、日本が中華人民共和国政府との間で共同声明を出しますときに、注目していただく必要があると思いますのは、その前文の第四項にございますが、「日中両国は、一衣帯水の間にある隣国であり、長い伝統的友好の歴史を有する。両国国民は、両国間にこれまで存在していた不正常な状態に終止符を打つことを切望している。」その次に、こういう表現がございまして 「戦争状態の終結と日中国交の正常化という両国国民の願望の実現は、両国関係の歴史に新たな一頁を開くこととなろう。」ということで、先生が少し言及されました「戦争状態の終結」という字が出ておりますのは、実は、この個所だけでございまして、あとは主文にございますように、第一項、これが根本でございますが、「日本国と中華人民共和国との間のこれまでの不正常な状態は、この共同声明が発出される日に終了する。」ということで両国が合意いたしましたこの 「不正常な状態」というものが何かということは、これは法律的にはいろいろ問題がございます。 日本といわゆる中華民国との間には、先ほどおっしゃいました一九五二年の日華平和条約というものがございまして、この条約自身は日本国憲法に従って正規に締結された条約ですから、それの持っている、あるいはその時点で持った意味、つまり日本国と中華民国との間の戦争状態の終結、これは有効なものであった。しかし、その条約自身がどうなったかという点については、これは直後の記者会見のときに大平外務大臣が一言言われましたように、最後に共同声明の中には触れられておりませんが、日中関係正常化の結果として日華平和条約は存在の意義を失い終了した、こういうことでございます。したがいまして、これが日本国政府の見解でございます。日本国政府の見解は、したがって日華平和条約は、日中共同声明が出されたときに、その存在の意義を失い終了した。 で、この日本と中国との間の戦争状態というものを厳密に国際法上の問題としてとらえるか、それともあの大きな大陸に不幸な状態が続いたために西国国民の間に不正常な状態があった。これはいわゆる宣戦の布告があったかなかったかということを越えて不幸な状態があった。そういうものをすべて精算しようというのが共同声明であったということでございまして、そこは日中両国が大局的な立場に立って将来の日中関係というものを目指してこの共同声明を出したというところから解釈なり認識なりしていただくのが、この共同声明が出されたときの趣旨であったのではないか。 それを別な面から言いますと、共同声明が出されました後の日中関係はすべて将来に向かってのものであって、過去の問題はこれですべておしまいということがはっきり双方によって確認されている、こういいうことでございます。
○和田春生君 いまここで日華条約の効力とか、そういうことを振り返って問おうとしているわけではないんです。日本と中国との間の戦争状態というものの終結が、重ねて申し上げますけれども、すでに日華条約を結んだときには中国のメーンランドの方は実質的にほとんど中華人民共和国の支配下にあったわけですね、その方と何も措置がなかった。その中華人民共和国との間においては共同声明によって戦争後の不正常な状態、そういう戦争状態の終結というものについては二国間の措置として終わった、こう解釈していいのですかということを聞いているんです。これは終わっていないということになりますと、あとの質問がいろいろ出てくるのです、そのことを確めているんです。
○政府委員(中江要介君) 一言で申し上げますと、終わっておる、こういうことでございます。
○和田春生君 そうしますと、この条約の基本的な性格は、平和友好条約という名前がついておりますが、いわゆる友好条約である。われわれはこういうふうに理解をして交渉に臨むとすると、この条約の締結によって、共同声明の以後存続をしてきた日米あるいは日ソ、日韓、日台――これは事実関係がございます、その他に何ら特別な変化を及ぼす性質のものではない、こういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○政府委員(中江要介君) そのとおりでございます。
○和田春生君 さて、そうなってまいりますと、いろいろな形でいろいろな角度から取り上げられておりますが、覇権反対の条項というものはこれなかなか大きな問題になってくるわけです。 わが国としては、外務大臣もまた総理も再三言明されておりますように、日中平和友好条約の中に覇権反対条項を含んだとしても、それは特定の第三国を指向するものではない、あるいは日中双方の共同行動を意味するものでもない、そういう考え方だということはよくわかっているわけです。中国との間でこの条約を結んだときに、中国側が覇権反対と言うことは日本が言っているようなものではないというふうに言っていることもまた一方の事実なんですね、これは間違いないことです。覇権反対を言いながら特定の第三国に対するものではないというようなことはナンセンスだということを中国の最高責任者が正式に言明しているわけですから、そこに両者の間には意見の食い違いがある、交渉の大きなポイントだと思います。 その交渉に臨むのにどういうふうにやろうかというような交渉のテクニックないしは落ちつく先その他について手のうちを明かせということを言っているわけじゃない。私のお伺いしたいのは、少なくともこの条約に調印をした後においても、日本が主張してきた特定の第三国を指向するものでもない、日中双方の共同行動を意味するものでもない、一般的な普遍的な、原則としての覇権反対ということである、わが国のそういう立場が貫かれる。どういう措置をどういう形でとるかは別として、そのことについての日本政府の基本的な決意というものは貫かれるでしょうね。
○国務大臣(園田直君) いまの御発言のとおりに決意をいたしております。
○和田春生君 なお、私がこういう点についていままでにも質問したんですが、重ねて質問いたしておりますのは、最近、一九七八年四月八日に中華人民共和国政府に対してモンゴル人民共和国政府から提出をされた覚書というものが翻訳をされて、われわれの手元に送られてきております。同時に、ことしの四月二十日付のウネン、これはモンゴル人民革命党と人民共和国政府の新聞なんですね、それに掲載された記事の全文の翻訳されたものも日本・モンゴル友好議員連盟を通じて送られてきたわけですね。これはごらんになっておりますか。
○政府委員(中江要介君) 見ております。
○和田春生君 これはなかなか強烈な内容でございましてね、最近、日本とモンゴルとの間は非常に改善をされ、また友好親善の関係が進展をしているわけですけれども、一々引用することはやめますけれども、「中国側は、モンゴル・中国関係の先鋭化とモンゴル人民共和国への内政干渉の路線を執ように実施している。」とか、内政干渉であるとか、いろいろな問題でモンゴルの存在を危うくしている、これはまさに中国の覇権行為である、こういう言葉まで使っておりますね。そして現在モンゴルに駐留しているソ連軍というのは、中国側からするモンゴル人民共和国に対する脅威に対して国の安全を守るためにモンゴルの自発的な決定に基づいて駐留してもらっているんだ、それにとやかく言うのは内政干渉であるというようなことをずらっと書いて、強烈に、一口に言えば反中国性に満ち満ちた文書であります。これは政府の正式な文書なんです。 こういうものがこの時期にわれわれの手元に送られてきているということは、中ソとの関係、あるいはモンゴル・ソ連、モンゴル・中国との関係におきましていろんな意味で非常に日中平和友好条約の締結というものについて関心を持っているか、かかわりを持っているか、無関係ではないというふうに私ども思うんです。そうすると、ソ連と日本、日本と中国、あるいは中ソ関係というものについてはいろいろ議論されておりますけれども、さらに中ソ間に存在するモンゴル、そういう関係で、また一つ日本の環境にこういうざわつきが出てきているように思うんです。これはどういうふうに理解をされておるでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 中国とモンゴルは、いま御発言のとおりに、モンゴルがソ連との友好協力関係を中心に外交政策を進めておるということもあって、いまおっしゃったような関係にあるわけであります。特に、昨年春以来、モンゴルは中国に対する批判的な姿勢を非常に強めておりまして、また次いで、先ほど仰せられたソ連の軍の駐留という問題で中国とモンゴルのやりとりがあったわけでありますが、この中国、モンゴル双方とも必要以上の緊張を激化させるような考えは持っていないと判断しているわけであります。やはり日中友好条約締結については、ソ連初め中国と対立している国々と同じような関係にあると思いますが、こういうことも配慮しつつ交渉は進めていかなきゃならぬと考えております。
○和田春生君 その点は、ぜひ日本の周辺の各国との関係という点にやはり配慮をしながら、この条約締結交渉に臨んでいただきたいと思うんです。 さらに、日中関係あるいは米中、米ソ、その他の関係において日米安保条約あるいはNATO等もいろいろ議論に上っているわけですけれども、これも政府の言明において間違いないと思いますが、日米安保条約が存在をしているということは、共同声明のときの経緯にかんがみましても、今度の日中平和友好条約の交渉を再開し締結に向けて努力をされる、こういう場合に、当然の前提である。したがって日中平和友好条約が締結をされたとしても、日米安保条約の存在並びに日米安保条約で定められた諸条項の日米両国による誠実な履行、こういう面については変化ないしは支障を及ぼすことはないと確認してよろしゅうございますね。
○国務大臣(園田直君) 私も御発言のとおりに理解いたしております。
○和田春生君 また問題の一つは中ソ友好同盟条約、これについてもいままで何度か質問をいたしました。中国側は名存実亡だと言っている。ソ連側は有効である。また、ある種の情報においては、明年になっても中国側はこれを破棄するということはとらないだろう、こういうことをソ連側は言っているというような情報もあるわけですが、それはさておきまして、一番問題は日本の立場でありますが、ここには明らかに日本を敵視する条項があるわけです。これは中ソ間国間の条約でございますが、対象は日本に向けられているわけです。したがって、その条約の一方の当事者である中国との間に平和友好条約を結ぶというわけでありますから、少なくとも対日敵視条項というものについてはかくかくであるというような措置を明確にする必要があると思う。どういう形でどういう方法でそれを処理するかは別としまして、基本的にそれをはっきりしておかぬと、片方で日本は敵だと、言っている、片方で日本と握手しましょうと言っている、こういうべらぼうな関係はないと思うんですが、そういう点も今度の交渉の中では当然政府として問題の一つとし、取り組んでいきたいというふうにお考えになっているものというふうに理解してよろしゅうございますか。
○国務大臣(園田直君) 中ソ同盟条約はソ連・中国が結んでいる条約でありますから、御発言のとおり、この条約そのものにはこちらは内政干渉はしないわけであります。しかし、その中に敵視条項があるわけでありますから、これは重大な関係があるわけでございますから、交渉の過程において、これは相手の意見なり、あるいは今後の見通しなり、日本国民が納得されるような話はしなければならぬと考えております。
○和田春生君 もう一つの問題は、この場でも同僚委員の方からの御質問もありましたけれども、尖閣列島の問題であります。いよいよ本格的交渉が始まるわけですが、尖閣列島問題の処理についていままでも何度か政府のお立を聞いてまいりました。どういうふうに処理しょうとされるのか、お伺いをしたいと思います。
○政府委員(中江要介君) 尖閣諸島に対する領有権の問題ということで問題を取り上げますと、中国政府は一貫いたしまして日中正常化の際の態度に変わりはない、こういうことでございまして、日中正常化のときの態度というのは、中国側はこれを取り上げない、取り上げたくない、こういうことでございますので、日本政府といたしましては、現に固有の領土である尖閣諸島を有効に支配しておりますので、中国がこれを取り上げないということであるならば、それは差し支えないということでありまして、今度の交渉で取り上げるべき問題とは考えていない、こういうことでございます。
○和田春生君 そういたしますと、最初に質問した事項に関連してくるわけですが、戦争終結に関する平和条約という性格を持つものであるとすれば、領土の確定その他の問題も絡んできますが、これはもはや終結をした、今度結ぶ条約は友好条約である。したがって領土問題について現に日本が有効に支配をしているし、歴史的にも日本領土であるという現実にかんがみて、尖閣列島が日本の固有領土であるということについては疑問はないし、日本の立場は堅持する。したがって友好条約という性質の条約においては、領土問題としてこのことを絡める必要はないと日本側は考えている、向う側が絡めてきた場合にはこれはまた別でありますけれども、日本側としてはそう考えているというふうに確認してよろしゅうございますか。
○政府委員(中江要介君) 結論のところは恐らく同じ、だろうと思うんですが、考え方といたしまして、平和条約の場合の対象になる領土問題という観点からいたしますと、日本と中国との間では台湾及び澎湖諸島というその部分だけが平和条約の場合に対象となる領土問題ということで、これが共同声明で両方の見解がはっきりしているということは御承知のとおりで、それ以外には戦争状態の存否から出てくる領土問題というものはないということでございますので、平和友好条約がどういう性格のものであれ、戦争状態あるいは不正常な状態との絡みで出てくる領土問題としては尖閣諸島は全く別のものであるという考え方でございます。
○和田春生君 その点が実は聞きたかったことのポイントなんです。友好条約を結んでも、将来、必ずこの尖閣列島の問題は私は日中間の重要な問題にならざるを得ないと見ております。 といいますのは、日韓大陸だな協定のときに連合審査で御質問をいたしましたけれども、いま日韓間の共同開発の点は別といたしまして、日本と中国との中間線、韓国と中国との中間線より以上西の部分について、大陸だなあるいは二百海里経済水域その他の関連におきまして日本と中国との関係というものが必ず出てくる。その交渉の際に、尖閣列島の存在というものについて、わが国は固有の領土である、こういうふうな主張を堅持しておるにしても、向こうもそう言っているわけですから、これは問題になるわけですね。したがってこの領有権の問題を今度問題にしないということは、もう平和条約とかそういうものに関係なく、これはもう日本古来の領土として間違いがない、有効的支配もしているんだ、したがって今度の交渉についてはそういう立場において絡める必要はないのである、こういう立場については一貫して交渉並びに締結に向かって貫かれるんだというふうにここで確認してよろしゅうございますね、これはひとつ外務大臣にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(園田直君) そのとおりでございます。
○和田春生君 ほかにも質問をいたしたいと思っておりましたが、午後一時から衆議院の本会議が開催されるそうでございますので、私の質問はここで終わりたいと思います。
○委員長(安孫子藤吉君) 本日の調査はこの程度にとどめます。 ―――――――――――――
○委員長(安孫子藤吉君) これより請願の審査を行います。 第七六号金大中事件の真の解決に関する請願外五十八件を議題といたします。 まず、専門員から説明を聴取いたします。
○専門員(山本義彰君) 今会期中外務委員会に付託されました請願は、お手元の表のとおり全部で五十九件でございます。 まず、七六号は、金大中事件がKCIAの犯行であることはますます明白となったが、福田内閣はほおかむりをしているので、事件の根本解決を求め、日韓関係の不正腐敗を正すため、国会が金大中氏の原状回復を要求する決議をすること及び金大中事件調査小委員会を設置することを、要請するものであります。 次の一九九号も、同様に、国会が金大中氏の原状回復を要求する決議をすることを要請するものであります。 次に、三六二六号とその次の七一一九号は、いずれも日中平和友好条約を速やかに締結されたいというものでありますが、このうち三六二六号は、わが国が再び覇権を求めないことを内外に表明する立場から日中共同声明を踏まえて同条約を締結されたいというものであり、七一一九号は、平和五原則に基づいて同条約を締結されたいというものであります。 次に、三六二六号は、北千島をも含めた千島列島返還をソ連に対して要求すべきであるが、平和条約の締結なくして問題の解決はあり得ないので、日ソ共同宣言に基づき日ソ平和条約を速やかに締結されたいというものであります。 次に、四八八二号は、国連軍縮特別総会等あらゆる機会を通じて核兵器の全面禁止の実現を図るため最善の努力をされたいというものであります。 最後の五五九〇号は、世界連邦建設促進のために努力すること及び外務省国連局内に世界連邦に関する調査研究を担当する係を設置することを要請するものであります。 以上でございます。
○委員長(安孫子藤吉君) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
○委員長(安孫子藤吉君) 速記を起こしてください。 第四八八二号核兵器の全面禁止に関する請願外一件は、議院の会議に付するを要するものにして、内閣に送付するを要するものとし、第七六号金大中事件の真の解決に関する請願外五十六件は保留と決定することに御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認めます。よって、さよう決定をいたしました。 なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 ―――――――――――――
○委員長(安孫子藤吉君) 次に、継続調査要求に関する件についてお諮りをいたします。 国際情勢等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。 なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。 ―――――――――――――
○委員長(安孫子藤吉君) 次に、委員派遣に関する件についてお諮りをいたします。 閉会中の委員派遣につきましては、その取り扱い等を委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。 本日はこれにて散会をいたします。 午後零時五十七分散会 ―――――・―――――