外務委員会 第21号
- 発言数
- 42 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1978/05/11
会議録
○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 千九百七十七年の国際砂糖協定の締結について承認を求めるの件を議題とし、前回に引き続き質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○渋谷邦彦君 ただいま議題となりました国際砂糖協定の審議に先んじまして、日中等の問題について、若干のお尋ねをしたいと思います。 すでに本院商工委員会においても、昨日の佐藤・韓念竜次官の会談内容についての問題提起があったようでございますが、重ねてこの問題につきお尋ねをしたいわけでございます。佐藤・韓念竜次官会談の中で相当多くの時間をかけて日韓大陸だな問題についての抗議、こうした形で話が進められたやに伺っておりますが、その辺の実情についてまず最初に理解を得たいためにお尋ねをしたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 昨日、北京時間の十時から十一時四十分まで約一時間四十分、わが方佐藤大使が中国の韓念竜副部長と会談を行いまして、日中関係に関連する諸種の問題について交換を行いましたが、わが方からは堂ノ脇公使及び通訳、先方からは王暁雲アジア司副司長、丁民日本処長代理及び通訳が同席をいたしました。 会談においては、日中友好関係を今後とも維持発展させること及び日中条約交渉については共同声明の趣旨に沿ってその締結に努力するとの双方の態度を明確に確認し合いました。 尖閣諸島については、大局的見地からこれに対処してきたこと及びこれに関する国交正常化の際の日中双方の態度には現在でも変わりはないことが確認されております。 次に、中国側は、日韓大陸だな協定に関し、これは中国の主権を侵すものであるとの中国側の従来の立場を繰り返し表明いたしました。佐藤大使から、同協定は中国の主権を侵しておるものではないとのわが方の立場を繰り返し詳細に説明し、日中間の大陸だなの、境界画定については日中間で、話し合いたい旨述べました。 なお、この会談の中で日韓大陸だな協定に関する部面をさらに申し上げますと、日韓大陸だな協定について中国から触れるところかあり、同協定は中国の主権を侵犯するものであるとの従来からの原則的立場を述べました韓次官の発言に対し、佐藤大使からは、本協定は、東シナ海大陸だなのうち日韓両国にまたがる部分のみ、すなわち中国が国際法上権利主張をなし得ない韓中中間線の韓国側にのみ限定して日韓間で共同開発を行うことを取り決めたものであって、中国の国際法上の権利をいささかも損なうものではない。黄海、東シナ海の大陸だなは朝鮮半島、日本、中国によって囲まれている一つの大陸たなであるから、この境界画定については、すべての関係者が一堂に会して話し合うことか望ましいというのが日本政府の基本的考え方であるが、かかる話し合いの実現性が乏しい現状にかんがみ、まず日韓間にまたがる部分に限り開発することとしたのが本協定であるしわが方としては、中国側と、東シナ海大陸だなのうち日中間にまたがる大陸だなの部分についての境界画定のための話し合いに入りたいと考えており、中国側かこれに応じてくれることを強く望むという趣旨の従来からのわが方の立場を説明し、中国側の理解を求めたわけであります、
○渋谷邦彦君 さてそこで、従来からも多分に懸念された問題が表面化したのではあるまいかという印象を実は持つわけでございます。 確かに、いま経過についてお話を伺いました。日本は日本としての立場かありますし、また、その主張というものも、これからも中国側の理解を求めながら合意に達するというこの作業は当然必要だろうと思うんですけれども、いま伺った話を通じましても、果たして今日までこの問題解決のためにどういう合意を得るための話し合いというものが持たれたのか。少なくとも七四年四月四日、七七年六月十三日、この二回にもわたって過去抗議声明が実は行われていることもございます。さらに、ことしの一月でございますか、外務省の条約局の方か意見調整のために訪中をされまして、しかるべき中国側の方々と話し合いを持たれた。しかし、残念ながら平行線をたどって結論を得るに至らなかったというような実情もあったようでございます。 確かに、日本側はあくまでも中間境界というものを主張し、また中国側が自然延長論というような立場を変えないというところに、なかなか合意が得られないことと、やはり経済権益というものが絡み合っているという問題がありますために、短期間の間に両国間における主張が妥協できるような方向へ果たしていくんだろうか。たまたまいま日中平和友好条約の再交渉への段取りもようやくその輪郭が明瞭になってきたのではないかと思われているときだけに、こうした問題というものは、中国側としての、一面から見ると、真意をはかりかねるという点もあるんだろうと思うんですが、その辺、将来にわたって、この日中条約締結への再交渉に阻害条件とならないのかどうなのか、いかがでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 政府としては、日韓大陸だな協定について、日中間の意見にいまの相違があることはまことに残念でございます。なおまた、中国側がこの協定に対して声明を発し、抗議をするということを軽んずるものではありません。十分その真意は受けとめるわけでありますけれども、佐藤大使から韓次官に説明したように、本協定は中国の国際法三の権益を何ら侵していないという確信を持っております。本協定関連国内法を今次国会で一日も早く御審議を願い、本協定の早期批准を図る政府の方針に何ら変更はございません。また、今後とも、中国側の理解を求めるべく誠意をもって努力を重ねることも御発言のとおりでありまして、努力を続ける覚悟でございます。
○渋谷邦彦君 日本側としてのこれからの主張の展開というものは、いまおっしゃられたような基本的な考方を持って今後も貫かれるんだろうと思うんです。ただ、しばしば当委員会におきましても、確認された問題の一つに、中国側はあくまでもこれだと決めた原則というものは崩さないというようないままでの姿勢というものが確認をされていることを思いますと、こうしたことが未解決のままで果たして日中平和条約締結の阻害条件にならないものであろうかということを私ども大変懸念をするわけなんです。 確かに、これからこの問題の解決に当たってはしばしば会談を持たれながら合意を得るという、そういう段取りというものがつくられていくんだろうと思うんです。日本側としては国際法上主権の侵害というものはない、ところが中国側は明らかにあると、これはどこまでいってもかみ合わない議論だと思うんですね。このかみ合わない議論というものについて果たして、いま申し上げておりますように、理解を得られるという確信に基づいた方向で取り組めるのかどうなのか、その辺は御自信がおありになりましょうか。
○国務大臣(園田直君) この問題に対する中国側の理解を求めるべく鋭意努力は続けますが、また一方、日中友好交渉は、これとは別個に、いま進んできておりまする段階を逐次進めていきたいということは今会談で両国確認したところでございますから、誠意を持ってやりたいと考えております。
○渋谷邦彦君 先ほどの御報告にもございましたように、私どもが新聞紙上で得られたこの内容というものは大変やっぱり厳しく受けとめているわけです。 特に一項目と三項目ですか、中国の主権を侵すものであって、不法かつ無効であるというくだり、また三項目については、日本政府は直ちに主権侵害を停止すべきであり、さもなければすべての結果に全責任を負わなければならない、これは果たして何を意味するのかという問題があるわけでございます。すべての結果とは一体何なのか、そしてそのすべてというものの範疇にはこの日中条約も含まれるものかどうなのかということでございます、この点はどういうふうに理解したらよろしいんでございましょうか。
○国務大臣(園田直君) 日韓大陸だなに対する抗議声明はいままで数回出されたところでありますが、今度出された抗議の文章は新聞に発表されたとおりであります。しかし、これが終わった後、日中問題、尖閣諸島問題を両方が合意しているわけでありますから、いろいろ問題はあると存じますが、日中友好条約交渉は段取りを詰めつつ進めていきたいと考えております。
○渋谷邦彦君 なるほど、先ほど冒頭におっしゃられましたように、会談の前段の話と言った方がいいんでしょうか、第二点の中に盛り込まれた「日中共同声胆の趣旨で、日中平和友好条約を締結することを確認する」と、三項目のうちの一つですね、合意の点に達した。このくだりを見ますと、確かに今回の問題はあながちに阻害するものではないという感じもしないわけじゃないんですけれども、この辺よくわれわれはのみ込めない。会談の内容がいろいろ微妙な点にわたる場合もあったんだろうというふうに感じますけれども、いま外務大臣が、今回の日韓大陸だな問題についてはあながちにこの平和条約締結交渉への足がかりとしては必ずしも阻害条件にならない、あくまでも条約は条約としてこれから推進するということは中国側も恐らくそういう判断でいるに違いないと、このように理解した方がよろしいんでしょうか、
○国務大臣(園田直君) わが方はそういう方針で貫くつもりでございます。
○渋谷邦彦君 そういたしますと、これもこれからの推移というものを見守っていかないと、果たして中国側の真意というものがどこにあるかということは、早計にああだこうだという断定的な結論を下すべきではないだろうという感じもいたします。 いずれにせよ、こうした問題は、やはり日中条約がせっかく機運か出てきた、もう一息というところでなかなか進まなかった、そうこうしているうちにいろいろな問題が液面化してきた、こういうところに、日本外交の手詰まりというものがいつの場合でも指摘されておりますように、大変まずい点がありはしまいか。いろんな思惑絡みだとか先行きの見通しだとか、いろんなまた与党内におけるコンセンサスを得られる問題だとか、いろんな絡みがあったにいたしましても、政府としては断固として貫くという方向へ向かって、決して努力をしていないとは申し上げませんけれども、その努力がなかなか実らずに、とどのつまりは、結果論から見れば、後手後手になってしまった。その後手後手がさらに輪をかけたように非常に困難なものにしちゃう。こうしたことは将来アジアを中心としての外交展開ということを考えた場合に、非常に思わしくない。今回の問題を通じまして、どのようにこれから取り組んだらいいのか、政府が指導的な立場をお持ちになっているだけに非常に心配でならない。こうした私どもの率直な感じに対して、外務大臣としては、大分苦労もされておられるだろうと思うんですけれども、特に日中条約締結へ向かっての世論が起こっているときだけに、これがまた後退をするというようなことになったんでは非常に残念でならない。その辺をもう一遍整理をして、外務大臣としての意のある決意というものをお伺いしておきたいというふうに思います。
○国務大臣(園田直君) 日中友好条約の問題は、いろいろ議論がありますが、もはやこれは外交問題よりも政治問題になってきた。こういうような事件が起これば起こるほど、外務大臣としては、一日も早く条約を締結をしておれは、こういう事件は起こらなかっただろう、今後ともまた延びれば、いろいろ中国と日本の間ばかりでなく、隣接の国々あるいはこれに関連する国々からいろんな問題が出てくるであろう。だとすると、日本外交はよその国の意見によって動いたりとまったり、自主性がないということで、関係のない国々からまで日本外交に対する自主性を疑われて、日本外交は今後正しいことを言っても実行ができなくなるおそれがある。そういうわけで、そういうもろもろの判断から、一日も早く条約締結交渉を再開をして、これにけりをつけるべきだという気持ちが外務大臣の偽らざる気持もであります。
○渋谷邦彦君 私は大変率直な御見解だと思いますね、私も同感です。そうあってほしいと思うし、またぜひ今後の展開については、そのお気持ちをどこまでも貫いていただきたい。そうでないと、確かにいまおっしゃったように、どこを一体日本外交というのはうろうろしているんだろうという大変手厳しい、日中間のみならず、日本を取り巻くいろいろな国々がそういう厳しい批判というものを向けてくることは必然であり、いつの間にか日本はアジアの孤児にならざるを得ないというような、そういうことも決して不可能なことではないというようなことも考えられるだけに、積極的に取り組んでいただきたい。 そこで、確かにこの会談の内容を見ますと、どちらに一体重点を置いているのかということを私なりに受けとめてみますと、やはりその主体は日中条約は共同声明に基づいてこれからもやるんだということを確認されている以上、これは中国側としても、たなはたなとして、とにかくあくまでも日中条約に主眼点を置いた話し合いというものが昨日行われたのではあるまいか、こういう認識を持つわけでございます。したがいまして中国側もそういうようないま姿勢であるならば、これはもうやはりチャンスとしては非常にいい時期に到来しているのではあるまいかということになりますと、別に拙速をとうとぶわけじゃございませんけれども、当然、向こうの意向というものに十分理解を示しながら、さてこれから段取りとして、どういう一体スケジュールを模索しながら、大体どういう時点で、できるだけ早い機会にということはいままでしばしばおっしゃられてきておるわけでございますけれども、さてできるだけ早い時期にと言っても、五月いっぱいが早い時期なのか、あるいは六月いっぱいが早い時期なのか、あるいは次の臨時国会あたりが召集されるときが望ましいのか、われわれとしては政治日程というものは大体想像がつくわけでございますけれども、どこらあたりをいまお気持ちのしでは描いておられるんでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 条約交渉再開への条件づくりは逐次整備されておるものと私は判断をいたします。いまこういう事件が起きましたから、これによってまたいろいろ意見が起こってくるとは思いますけれども、すでにわが方の政府で言われておった尖閣列島問題に対する一応のけりはこれでついたわけであります。堂ノ脇・王暁雲公使の段階ではレベルが低い、もう一段上でということで、その上の大使と韓念竜次官との間で一応のけりはついたわけでありますから、あとはなるべく早く日本の国内の交渉再開の整備をして、交渉再開に移ることが必然の要求であり、しかも今度時期を失するとこれはどのようなことが起こるかわからぬ、こういうことでありますから、よく総理とも相談をして、段取りを詰めていきたいと考えております。
○渋谷邦彦君 確かに私どもが客観的に見た場合、いろんなまだまだ心配の材料が残っていないではない。あえて内政干渉的なことを申し上げるわけではございませんけれども、一番やはり与党内の意見調整をされるということに腐心をされているのではないだろうか、その辺あたりの見通しというものが大体はっきりしてくれば、いまおっしゃったような方向に向かって、最終的には総理が決断をされるんだろうというふうに思うのですけれども、それが早いのか遅いのかという、条件づくりは確かにできたと思うのです。このたびの訪米によっても、一応の日本側の立場というものを説明し、アメリカ側の理解も得られたと、確かに条件づくりとしては、万全とはいかないまでも、相当煮詰まってきたというふうにわれわれも率直に受けとめるわけです。あとは、こういうふうなスケジュールでいつということに、端的に申し上げれば、そういうことになるんだろうと思いますが、まだ残された未解決の問題処理というものを含めて、それが早い時期なのか、あるいは若干延びる可能性があるのか、この辺の感触だけでもお聞かせをいただくわけにいかないんでしょうか。
○国務大臣(園田直君) なるべく早い方がよいと存じて、努力をしておるところでございます。
○渋谷邦彦君 いずれにしても、将来にわたってわれわれが予測しない事態というものが起き得ないとも限らない、あるいはいままで大変懸案とされていたような問題か不問に付され未解決のままできたという経過、そういうものがいろいろ混在しながら前面に立ちはだかるということ、これは非常に残念でたまらないと思うのです。当然、その一つ一つの問題については、これからも整理をされながら、まず基軸になるのが条約締結であるということであるならば、そこに最大の重点を置かれて、そしてまた付随的に起こる問題の解決処理を強力に進めるべきであるまいかというふうに思うわけでございます。 細かい問題をさらにどうこうということをあえてここで問題にはしたくないと思うんですが、経済権益というものが絡んでおりますだけに、この問題処理というものが非常にむずかしいんじゃないかということを先ほどちょっと私触れさしていただきましたけれども、日本としてはあくまでも主権を侵害しない、いわゆる中間境界線というものを画定し、国際法にも違反はしていない。ところが中国側においては自然延長論というようなこと、こうした問題については、外務省としては、もっと話し合いを重ねることによって必ず近い将来においては合意を得られるという確信がおありでしょうか。重ねてこの問題が大変これからも絡むんじゃないかと思われておりますだけに、その辺はいかがでございましょうか。
○政府委員(中江要介君) いまの御質問の内容には、一つあると思います。 一つは、自然延長論か中間線論かという日韓で対立を招きましたような論争というのは、これは日本と中国との間で、日本と中国との間にまたがる大陸だなの境界を画定するときに、あるいは起きるかもしれない問題だろう、そちらの方はそういう話し合いをわが方はしようと言っておりますが、中国はまだそれに応ずる用意がないということで始まっておらないので、これはどうなるかは予見を許しません。 そうしますと、もう一つの問題は、いまの日韓大陸だな協定で画定しているといいますか、引いた線、それを中国が主権の侵害だと言う、わが方は主権の侵害でないと言う、そのときの立場の違いは、自然延長論か中間線論かということではなくて、むしろいま大陸だな協定の共同開発区域の中に含めている部分が、そもそも中国が国際法上主権的権利を主張し得る区域であるのかないのかというところが実は問題で、線引きの自然延長か中間線論かという問題ではなくて、もっと根源の問題だろうと思います。 そういうふうにいたしますと、一つの大陸だなに中国と韓国と北鮮と日本がそれぞれ隣接したり相対しているというときに、その大陸だな全域が中国の主権的権利であるという想定のもとで、その大陸たなに手をつけるときは一々中国等の了解が必要だというその立場は、これは何回も申しておりますように、いまの国際法のルールからは、私どももまた多くの国際社会の国々もとらない立場でありますので、その部分については、先ほど先生もお触れになりました新しい海洋法秩序という大きな新しい国際連合の作業の中でだんだん整理されていくと思うんですが、いま申し上げました点については、ことしの一月にわが方の専門家が中国に行きまして新しい国際法秩序について意見交換したときに、いま言ったような問題も意見交換しておりますし、私どもの期待といたしましては、中国も、主権的権利を主張し得る限界については、いまの国際社会のルールというものにだんだん認識を深めていってもらいたいという期待でおります。 しかし、それが最終的にどうなるかということは、これは相手は相手の立場がありますから、基本的にはやはり日中間が共通の利益、つまりこの地域の天然資源を日中両国の利益のために活用するというのが実は共通の利益でございますから、共通の目的のために話し合いによって解決できるような日中間の信頼関係がさらに深まる、平和友好関係がさらに安定化するということが実はこの問題の実際的解決にも役立つんではないか。そういう意味では、昨日の会談で日中間の平和友好関係を強化するための努力を引き続き継続するということについて、佐藤大使と韓念竜次官の間に十分な理解が得られたということはやはり一つの重要な要素ではないか、こういうふうに受けとめて、いるわけでございます。
○渋谷邦彦君 それでは、ひとまずこの問題はこれで打ち切らさしていただきたいと思います。 次に、昨日も衆議院の外務委員会におきまして、わが党の中川委員がお尋ねをした問題の竹島について重ねてお尋ねをしたいと思うんであります。 先般、当委員会において、いち早く外務大臣から、今回の日本漁船か大量に竹島周辺に操業した、そして韓国側から退去命令が出たというくだりの御報告をちょうだいしたわけでございます。これも多年の懸案でございまして、また蒸し返しするようでありますけれども、これもやはり明確でないという一つの——明確でないんじゃないんでしょうけれども、やはり結論から見れば明確でないために大変心配なことがまた引き起こった。何かやらずぶったくりみたいなことで、本当に一体日本はどうなったんだろうという感じは日本国内の人たちもひとしく見ておるところだろうと思うんです。特に周辺の島根県だとか、竹島に最も近い距離にある、しかも沿岸あるいは近海漁業に携わっているそういう地域の人の立場を考えてみると、大変深刻だろうと思うんですね。 さて、この問題はこれからどういう展望に立って解決の糸口というものが見出されるのか。前にも、私、こうした問題についてお尋ねをしましたし、またここでは確認ということよりも、事態が決してやはり軽視できないというところまできておりますだけに、これからどういう対応措置というものをもって韓国側と話し合いをされるのか、その辺からお伺いしてみたいと思います。
○国務大臣(園田直君) 十一日朝の状況は次のとおりでございます。 現場漁船からの連絡では、日本漁船はすべて竹島から二十海里程度のところで操業しておる。しかしながら、魚がとれないので竹島に近づきたいとしていら立っておる。 次には、きのう十日の午後、境港でイカ釣り漁協の臨時役員会を開いて、竹島の十二海里内に入る、何か起こったらそれは国の責任である、海上保安庁は巡視船を出して日本漁船の保護に当たるべきであるという決議をした、こういう連絡が水産庁の方から入っているわけでありますが、しかし、各組合ではその後まただんだん変わってきて、ここで不測の事態を起こすとかえって今後の漁業に支障があるということで、いまではだんだん静かな方向へ落ちつきつつあるという、これは予測の連絡があるわけでございます。 幸い、韓国の漁船、日本の漁船、韓国の警備艇がおるわけでありますが、両方とも、特に韓国の方もその点は留意をして不測の事態に至らぬような取り扱いをし、日本の漁船に警告を発する場合でも、協力を求める態度でやっているようであります。 わが方としても、これは明瞭にわが国の領土でありますから、これを韓国が領海侵犯と言うことを受け付けるわけにまいりません。むしろ韓国側が話し合いにもとって警備隊を置いたり、こういうことをすること自体がおかしいわけでありますが、さりといって、ここでいま不測の事態を起こすことはこれは将来の日本の漁業に対して大変なことでありますので、状況を見詰めつつ、韓国から須之部大使が帰国しておったのがきょう帰りますので、韓国にも日本の実情を話し、韓国にも善処を求めるよう言っているところでございます。
○渋谷邦彦君 考えてみますと、大変ナンセンスな話なんですね。日本の領土であるというわれわれの判断に立てば、当然、領海内での操業でございますから何ら恥じることなく本当は行われていいはずだと思うのですけれども、それができない。漁民の気持ちにしてみれば、死活問題という差し迫った状況のもとに置かれれば、やはり漁の少ないところでやるよりも竹島周辺でやった方が漁獲量においても違うという判断を常に持っているわけでございますので、危険を冒してまでも、当然これは日本の領海内ではないかということになる。したがって、どういう意味で六海里説をとったのかわかりませんけれども、そこの中に入ってくる場合には退去してくれと。もし韓国側が言っております六海里内に入った場合に、あるいは不測の事態というものが起こるような情勢にあるのか。これもちょっと納得のいかないことなんですね。一体、どこへどうふんまんをぶちまけたらいいのか。確かに漁民の気持ちとすれば、これはあくまでも国の責任だと言わざるを得ないでしょう、持っていき場所がないわけですので。このままの状態をこれからさらに一年も二年も三年もというふうにまた長期的に、そういうどっちなのかわからないという状況を持続させていくということになりますと、いずれの日にか近い将来不測の事態というものも考えなければならぬという、われわれはそういう判断を持たざるを得ないわけです。 そういうことも十分含んでおられるはずだと思いますし、さて今回の問題に対して具体的にしからばどうすればいいのか。漁民の立場も考えてあげなければならない、なかなか大変むずかしい厄介な問題だとは思うんですよ。そういう韓国が竹島を占有して警備隊も置く、既成事実を積み重ねる、それが長引けば長引くほど日本としての支配というものは事実上及ばないということになりかねないという側面も実はあるのではないかということを考えた場合に、これはもう将来に解決をまつなんというのんびりしたことが許されるのだろうか。できるだけ近い将来、また漁民にも納得のいくような方法で理解を与えるための何らかの解決策というものが日韓の間において持たれなければならない。いまどういう方法が考えられるんでしょう。
○国務大臣(園田直君) 外務大臣は、当面の問題としては、日本の政府として日本の漁船に領海外に出ろ言う意思はございません。不測の事態は確かに身を切られるような思いで心配をいたしております。しかし、日本の漁船が実力行動に移るとか、あるいは敵対行為をして正当防衛の口実を与えるなら別でありますけれども、日本漁船が竹島付近で操業をやっている際に、退去を求め協力を求めるということは、これは当然でありましょうけれども、韓国の警備艇等が実力行使をすることは断じてあり得ない。そういうことがあるならば、韓国と日本の関係はいままでの関係とは違うわけでありますから、そういう思いを込めながら、外務大臣は、外務省としては腹を決めてずうずうしくかかっていけと、こういう指令をしておるわけであります。幸い、漁船団の方でも、そういう点はいら立ちながらも理解をされつつ逐次鎮静化しておるということでありますから、祈る思いで見守っておるわけであります。 しかし、今後、これをこのまま放任するわけにはまいりません。いつか私申し上げましたが、いつの日にか、この問題は日本と韓国の約束に従って話し合いで解決をしなければならぬ。話し合いもしない、国際司法裁判所に出ることもいやだ、こう言うならば、日本は、時期をとらえ機を見て、ありとあらゆる手段で、竹島というものは日本国有の領土であるということを主張するべきである。その前に、このような事態がないように、韓国に対して強く話をする必要があると考えておるわけであります。
○渋谷邦彦君 十分その御決意のほどはわかりました。もう貫いていただきたいと思いますし、具体的には、これから日韓定期閣僚会議等も当然予定もされるんだろうと私は思うんです。いろいろな場がぼくはあると思うんですね。いままで、ややもすると、日韓定期閣僚会議においてはこれが浮き上がっちゃって、別な方へ、経済協力、経済的な関係の問題が重点的になって、肝心のこの竹島が浮き上がっちゃったというような経過が余りにも多過ぎたということを十分踏まえていただきまして、この問題についてはいまの御決意の方向に向かってぜひ解決のめどを立てられるように私からも御要望申し上げておきたいと思います。 それで、時間もありませんので、本論を少しやらさしていただきたいと思います。 砂糖ですが、今回、国際砂糖協定というものが締結されることによって、需要供給のバランスの安定、価格の安定というものが保障されるんではあるまいかという点については、これは望ましい協定であろうというふうに思うわけでございます。ただ、いままで農林行政として、少なくとも自給の割合というものをこれからもどんどんふやしていきたいというような判断に基づいて、昭和二十八年にはてん菜生産振興臨時措置法、あるいは昭和三十四年に甘味資源自給率強化総合対策というようなものが樹立されまして、その自給の割合を高めていこうという方向で取り組んでこられたところへ、昭和三十八年、原料糖の輸入自由化とこれが一転してしまいまして、むしろ原料糖による砂糖の供給というものに重点が置かれて現在に至っているんではあるまいか。そうすると、当初のその方針というものが大きく変更されたのか。また、将来自給率を高めるという将来展望はどうなっているのか。この辺について総合的にまずお伺いをしたいと思います。
○説明員(馬場久萬男君) 農林省としては、現在、わが国の国内の農業の生産体制を整備いたしまして、国内の生産が可能なものは極力国内で賄うということを基本にして総合的なわが国の食糧自給力の向上に努めるということを基本に施策を講じておるわけでございます。 お尋ねの砂糖の関係でございますが、御承知のように、国内でとれます砂糖は、北海道のてん菜からとれますてん菜糖、それから南九州、南西諸島、それから沖繩においてとれます甘蔗糖とございます。これらはいずれもそれぞれの地域におきまして、てん菜につきましては北海道の畑作の基幹的な作物、それからサトウキビにつきましては、先ほど申し上げました地域におけるいわば米にかわるような基幹的な作物ということでございますので、そういう地域の基幹的な作物の生産の振興を図りまして、その地域における農家の所得の確保とそれから地域農業の振興、こういうことを図ることが第一であるということで、従来から生産対策あるいは価格対策、こういうものを講じてきておるわけでございます。 確かに、昭和三十年代、四十年代を見ますと、いろいろな外部経済の影響もございまして、生産は必ずしも順調に伸びているわけではございません。また、自給率というような点から見ましても、一たんかなりまで上がったものが下がるというような実情にございますが、最近に至りますと、経済の安定成長への移行ということ、あるいは私どもの方からやっております価格支持政策というようなものの効果もありまして、生産は徐々に上昇をしてきております。私どもといたしましては、先ほど申しましたような地域の作物として振興するということがやはり重要であると思いますが、このことは、一方では、その地域の全体の畑作面積とか、あるいは沖繩なり南西諸島の島の自然的なあるいは経済的な制約とかいうものもございますので、それを無視しての自給率の引き上げということはなかなかむずかしいことだというふうに考えております。
○渋谷邦彦君 もう簡明率直に伺うんですけれども、いまおっしゃっておられる話を聞く限りにおいては、日本の将来というものは、自給の割合というものを強化するとは言うものの、一体どこらあたりに目標を置いて、自給と言うからには余り外国からの輸入に依存しないということに履きかえられるわけだろうと思うんですね。いま国内産糖は約六十万トンでしょう、で、消費量が約三百万トンでしょう。自給の割合を高めるということになれば、いまの六十万トンから百万トンにするのか、あるいは百五十万トンぐらいにだんだん高めていくのか、その辺はどういう計画にたっておられるのか、また進められるのか。
○説明員(馬場久萬男君) 農林省といたしましては、現在、昭和六十年を目標にいたします農産物の生産と需要の見通しというものを一応策定しております。これは昭和四十八年の時点で策定したものですから、若干それまでの生産の発展というようなものを前提に置いておりますが、ここでは大体自給率は二八%ぐらいに昭和六十年ぐらいに達したいという数字を出しておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 昭和六十年で二八%。では将来計画はどうなんですか。
○説明員(馬場久萬男君) 六十年から先のものについては農林省としてはいまのところ特に示してておりません。
○渋谷邦彦君 われわれはすぐ国内産糖と言いますと、それはいまおっしゃったように、北海道のビート、それから鹿児島あるいは沖繩の甘蔗による砂糖ですね。地理的条件あるいは気候条件というものを考えると、北海道は確かに適した地域かもしれませんし、これは連作がきかないといういろんなそういう問題点があるんだそうですけれども、それでもやはり米がとれないその地域、したがっててん菜だとかあるいは小豆であるとか大豆というものに依存する割合というものが当然高まってくるだろうと思うんですね。あれだけ広い地域でございますだけに、まだまだその開発の余地が残されているんではないかというふうに思うんですけれども、特に北海道に限定して考えてみた場合に、このビートの生産量というものは将来どこまで高めていかれる方向をいま持っておられるのか。
○説明員(馬場久萬男君) 現在、北海道で栽培されておりますビートの面積は昨年五十二年で四万九千町歩余りでございます。で、先ほど申し上げました六十年の見通しにおきましては一応七万七千ヘクタールというものを数字として示しております。ただ、これはおっしゃるように、北海道のいまあります土地の中でかなりの部分を農地開発いたしまして北海道の畑作面積全体を伸ばすという前提に立ってできておるものでございまして、現状の北海道の畑作面積は約四十万ヘクタールと言われておりますが、その中で七万七千まで伸ばすということにいたしますと、ほかの作物との関係等でいろいろ問題か出てくるんじゃないかというふうに考えております。
○渋谷邦彦君 それから、一ころ沖繩あたりに参りますと、労働力不足ということもあって大体中高年層の方が中心になってのサトウキビ栽培というものが行われてきたという経過がございますね。それが結局魅力がなかった、砂糖の生産というものについて。結局はもう生産費が十分見てもらえないというようなことがあって大変苦しんだという時期が長く続いたことがございました。最近、ようやくその点については調整金というような仕組みかどうか知りませんけれども、制度等も導入されて、ようやく一息つけられるような段階まで来たということなんですけれども、ただし、まだそのサトウキビ栽培の構造改善ということを言った方がいいのか、まだまだその開発される余地というものは残されているんではないかということが一つと、そのために伴う労働力の確保というものが現在の目標生産量に対して果たしてバランスがとれているのかどうなのか、その辺は農林省としてこれからどういう行政指導をされていくおつもりなのか、その辺あわせてお聞かせをいただきたいと思うんです。
○説明員(馬場久萬男君) おっしゃるように、沖繩におきましてサトウキビ生産が昭和四十八年ぐらいからかなりダウンいたしました。面積も減りました。これは一つには復帰後の沖繩の経済のあり方が変わってきたということがありまして、労働力が農業から他の産業へ流れたというふうなこともあるかと思います。また、価格の問題があったことも事実でございますが、先ほど先生おっしゃいましたように、奨励金というものを法律の定めます価格のほかにさらに加えまして農家手取りをふやしたということもございまして、最近、生産が伸びております。これの将来の面積的な拡大ということになりますと、五十二年が、沖繩だけではございませんで奄美も含めまして大体三万二千ぐらいございますが、それほど大きな拡大の余地はなかろうと思っております。むしろ沖繩及び南西諸島におきますサトウキビ栽培の問題は労働時間が非常に多い。たとえば一昨年の実績で見ますと、大体十アール当たりの労働時間で百六十四時間ぐらいになっております。てん菜は十アール当たりで三十四時間ぐらいでございますから、てん菜の四倍、五倍ぐらいになります。そういうことで、その労働時間をいかに少なくするか、基盤整備をするとか機械を導入するとかいうことによって労働時間の短縮を図るということが農家の所得をふやすことになる、こういうふうに考えておるわけでございます。これはやはり基盤整備、それから機械の導入、機械もしかも収穫のための機械の導入というようなことを積極的に進めるということで、現在、施策を講じております。
○渋谷邦彦君 いまおっしゃられたとおりだと思いますし、ただ、いままで大変疲弊した状況から立ち上がって希望を持ってサトウキビ栽培ができるというまでにまだ相当時間がかかるだろうし、それから忍耐というものを強要されなければならない、やはりそこに、調整金制度なんかも導入されてようやく一息ついたというところに、果たして都会に出た若者がUターンをいたしまして、それでいま言われたような方向に向かって取り組めるような空気といいますか、環境というものが徐々にやはりできつつあるんですか。
○説明員(馬場久萬男君) 沖繩県の県としての方針などを伺っておりますと、やはり沖繩県において観光と並んで農業で県の産業を維持していかなくちゃならぬということで、県としても積極的にそういうことを推進しておりますし、最近は、労働力あるいは若い労働者についても、まだ具体的な数字は持っておりませんけれども、かなり農村部に残る、あるいは戻ってくるという現象があるように聞いております。
○渋谷邦彦君 端的に申し上げると、希望の持てる産業というものに転換しつつあるというふうに理解して、よろしいんですか。
○説明員(馬場久萬男君) 私どもは、国内産糖の生産という観点について見ますと、かなり意欲が高まっているというふうに考えております。
○渋谷邦彦君 次に、この製糖関係についてはいままでもしばしば問題にされてきた一つの大きな点は、投機の対象にされたという経過がありますだけに、非常にこの価格の高低が激し過ぎた。いまはどちらかというと生産量が非常に多いために、むしろ低迷状況を続けている。そういうことから今回の国際砂糖協定というものが結ばれて、特に後発発展途上国についてのバックアップも兼ねた、援助というものを兼ねたそういう背景のもとに今回の協定が結ばれる、それは十分理解できるんですね。 今後、また、そういう投機的な対象にされるということは好ましくない。いつの場合でも受ける被害者といえば消費者であり、あるいは中小のお菓子屋さんである。これはもう論を待たないところでありますし、特にオイルパニックの際には、一番大きなダメージを受けたのはそういう階層の方々である。今回、こういう協定が結ばれて、ようやくその辺が持続的な安定というものが望まれるかなと、われわれもそういう希望と期待を持ちたいと思うのです。 ただ、その中に製糖会社というものが一体どうなっちゃっているんだろうと。端的に言えば、製糖会社というのはクリーニング業と言われておるんだそうでありますけれども、きわめて単純な仕事というようなことから、言うならば、うまみのない仕事というふうに言った方がいいかもしれない。原料糖の輸入がオイルパニック前後から大変厳しいというふうなことから高い砂糖も買い付けなきゃならぬ、いろんな問題が起こって、製糖会社自体の自主的な経営能力というものがだんだん失われて、その辺にいろんな操作というものが商社によって支配的にたってきたんじゃないかということの一つの心配、これからもそういうことがあり得ないか、起きないという保証があるのかどうなのか。 それからもう一つは、製糖会社のいわゆる体質改善というものが農林省あたりの行政指導を通じて行えないものなのかどうなのか。いま農林省の資料によりましても、製糖会社は約三十社と言われておるそうですね、ほとんど借金をしょっている、しかも二百億前後から四百億前後、それがほとんどが商社のひもつきになっている。実際に製糖会社の経営能力というものがまずくて、それでおんぶにだっこみたいに、あと困ったことについては国でもってめんどうを見てくれじゃ、これは本当は経営者としても果たしてその資格ありや否やということになるんでしょうけれども、その事態に至るまでの間に、当然、行政機関として何らかの適切なる指導というものができなかったのかどうなのか。また、将来展望を考えた場合に、そうしたことの可能性というものを十分考えられて、十分製糖会社としても立ち行くような効率のある、そういう行き方に改善されていくという期待があるのかどうなのか。その辺をまとめてお聞かせをいただきたいと思うんです。
○説明員(馬場久萬男君) 製糖会社が商社との関係を持っていることは、当然の経済の活動といいますか、原料糖を外国から輸入する、またでき上がった製品を国内で販売する、いずれもメーカーとしては商社を通じてやっているというのが現状でございますので、関係が深いことはこれは前からそうなんでございますが、御指摘のように石油ショック以降の国際糖価の乱高下、これによる体質の弱体化ということを通じまして、そういう商社から金融面であるいは人事面でかなりの援助を受けざるを得ないという体質になってきているわけでございます。ただ、商社の側とメーカーの側との関係は、製糖会社に限らず、ことに外国から原料を輸入している場合にはあるわけでございますので、これが製糖会社のいわば健全な独自性といいますか自主性といいますか、そういうものを損なうような形になるのは好ましくないと私どもも思っておりまして、そういう点では十分商社がいわゆる製糖会社の自主性を損なうような行為のないように指導してまいりたいと思っておるわけでございます。 じゃ、そういう弱い体質になっています製糖会社についで今後どうするかということでございますが、そういう弱い体質の製糖会社か非常な過当競争をやり、多大の借金をしようという状態になりまして、そのまま放置しますと国内での砂糖の安定的な供給が脅かされるんじゃないかというようなことを考えまして、昨年秋の臨時国会におきまして、いわゆる砂糖売り戻し特例法という法律をつくっていただきました。本年二月からこれを施行いたしまして、暫定的に砂糖の需給の調整を行うということを現在しております。その成果が徐々に上がってまいりまして、現化、砂糖の国内の価格は大体採算点に近い本のに、平均的なものでございますが、なってきておるわけでございます。ただ、これは昭和五十五年の九月までの暫定的な措置でございます。 そこで、国内の需給のバランスをとり、価格の安定を図るという環境整備は、法律の力によりまして現在やりつつあるわけでございますが、その中で製糖会社が今後あるべき形、体質改善、こういうものが行われていく、あるいは少なくともそのための基本的なルールができなくちゃいかぬとわれわれは思っているわけでございます。そこで、現在、製糖業界の中で体質改善のための取り組みを自主的にやるという方向にありまして、私どももそれを指導しておるわけでございますが、今後、業界内のそういう動きを見ながら、できるだけ近い将来に体質改善が行われるような方向に持っていきたい、こう思っているわけでございます。
○渋谷邦彦君 御存じのとおり、体質改善という一環には必ず解雇の問題が関連してくるんですよね。申すまでもなく、三重県の東海製糖の問題、一昨年にあれは倒産の破産先刻をいたしましたね。実際にもういま操業していないわけですが、ここは約八百人の労働者がいるはずです。家族を含めるとやっぱりすそ野が広がりますわね、もう待ったなしで解雇ですね、全員解雇。そういった一つの例というものはほかの精糖会社にもあり得るだろうという危険性がいまでもなおかつ考えられるわけです。約三千社、一万六千名ですか、労働者が。家族が三人としても五万前後ぐらいの人が何らかの形で製糖会社に勤めている。こういう人たちが多かれ少なかれ、こういう構造不況みたいな立場にある製糖会社がきわめて雇用不安定というような状況のもとで、心配にさらされている。 そういういろんな連動した状況というものを考えれば、いまおっしゃったような方向に何としても取り組まなきゃならないはずなんだけれども、どうもやることなすことが時を逸しているんではあるまいか。実際に問題か社会問題として表面化したときに初めてどうしようかと。それは農林省としても限度があると思います、はっきり申し上げて。ここまでは農林省の限界として、行政指導はできるけれども、あとは一切民間ベースでもってやっていただかなきゃならぬ、それはわかるんですけれども、企業自体が非常に弱体だということを考えた場合に、やはり何らかのてこ入れというものを、行政指導なりを通じてアドバイスができないということは絶対考えられないわけですからね。そういう問題を非常に心配するがゆえに、しかも国際砂糖協定というものが締結されるこういう時期に、そういったものがやはり整備されていく必要があるんではないか。いままで申し上げたことはきわめて常識的なことを再確認する意味でいまお尋ねをしたわけです。 だから、ぜひ、そういう点について、投機的な問題だとかなんとかというのは、これは経営者の感覚ということになるんでしょうけれども、それはいいと事はいいかもしれませんね、いずれの場合も労働者だとか消費者だとか中小企業のお菓子屋さんなんかにいろんな問題がそこにかぶさってきたのでは、これはもうとんでもないことになるわけでありますので、国内産糖の生産業者を守る立場からも、また常に消費者の立場を守る上からも、今回の協定に基づいた方向性というものを十分それは含んでおられ、また取り組まれるんだろうと思いますけれども、今後、かつてのような砂糖パニック、ああいう事態か起きないように善処をしていただきたいということを申し上げて、時間が経過したようでございますので、これでおしまいにしておきたいと思います。
○委員長(安孫子藤吉君) 本件に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○委員長(安孫子藤吉君) 速記を起こしてください。 それでは、これにて散会いたします。 午後一時五十七分散会