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84回国会参議院1978/05/02

外務委員会 第19号

発言数
8
登壇者
3
会派数
2
開催日
1978/05/02

会議録

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  国際情勢等に関する調査を議題とし、政府から中東問題に関する報告を聴取いたします。愛野外務政務次官。

愛野興一郎自由民主党外務政務次官

○政府委員(愛野興一郎君) 本日は、外務委員会の開催をいただきまして、政府として中近東地域をどのように位置づけ、その重要性をどのように見ているか、中近東に対する外交をどのように進めているか、中東問題及び石油情勢の動向をどのように見ているか等につき、御聴取いただきますことを心から感謝申し上げます。  ただいまから簡単に御報告を申し上げます。  まず、中近東情勢は、世界の平和と安定に多大の影響を及ぼすのみならず、近年、中近東諸国は、その石油資源、そこから派生する財力を背景として国際政治、経済面で大きな影響力を有するに至っております。特に中近東地域に石油供給の八割、全エネルギー源の六割を依存し、同地域諸国との貿易が総貿易額の二割を占めるわが国にとりまして、同地域の平和と安定並びに同地域諸国との友好関係の維持・強化は死活の重要性を有するものであります。  以上のような認識を踏まえて、わが国は、中近東諸国の最大の関心事である中東問題につきましては、安保理事会決議二百四十二が全面的に実施され、かつ、パレスチナ人の国連憲章に基づく正当な権利が承認、尊重されることによって、中東地域に公正かり永続的な平和が一日も早く達成されることが望ましいとの基本的な立場をとってまいりましたが、かかる立場は国際的にも従来高く評価されてきているところであります。  わが国は、かねてより中近東諸国との間の各種分野における友好協力関係の増進を図るべく努力してきた次第でありますが、その一環として本年一月園田外務大臣がわが国の外務大臣として初めて中近東諸国を公式親善訪問し、わが国としてこれら諸国の工業化及び中東問題の平和的解決に対しどのような貢献ができるかという点を中心に率直に愚見を交換し、これら諸国の立場やわが国に対する期待につき理解を深めるとともに、積極的な文化交流等を通ずる心と心の触れ合いを強調することにより、これら諸国との相互理解と信頼関係の増進に大きく寄与することができたのであります。  わが国としては、右訪問の成果を踏まえて、今後とも中近東諸国に対する経済技術協力の拡大に努めるとともに、人的交流、文化・スポーツ交流等を一層活発化し、それによって中近東諸国との間に多角的な協力を基礎とした心の通じ合う緊密な友情の連帯を築き上げていきたいと念願しております。  なお、中近東諸国との友好協力関係の緊密化に伴い、これら諸国のわが国に対する期待も高まりつつありますが、これに関連して、内外において、これら諸国に対する協力の約束がとかく実行を伴わないとの批判があるやに取りざたされております。しかし、政府による約束に関する限り、わが国は誠意をもってその実行に当たっており、このような批判は、これら諸国がたとえばわが国政府と直接関係のない一私人の言葉を政府の約束と受け取る結果生ずるものもあると考えられますので、政府としては、今後とも、政府間の公式チャネルを通ずる意思疎通の拡充強化を図ることにより、かかる批判、誤解を生ずる余地のないよう努力していきたいと考えておるところであります。  最近、特にこの一年の間に、中東情勢には幾つかの重要な発展がみられるに至っております。特に中東和平問題につきましては、カーター大統領の就任以来、米国は独自の和平構想を提示しつつ、ジュネーブ和平会議の早期開催を目指して積極的な外交努力を展開いたしましたが、昨年六月のイスラエルにおける政権交代等のため成果を上げるに至りませんでした。その後、昨年十一月のサダト・エジプト大統領のイスラエル訪問という画期的な出来事を契機としてエジプト・イスラエル間の直接交渉が開始され、同年十二月のベキン・イスラエル首相のエジプト訪問、本年一月の政治・軍事両委員会開催を通じてエジプト・イスラエル間で交渉が進められましたが、双方の立場の十分な歩み寄りは見られず、本年一月には交渉が中断されるに至りました。その後、本年二月のサダト大統領訪米、アサトン米特使の往復外交、三月のベギン首相訪米等を通じ米国による積極的な調停工作が継続されましたが、それにもかかわらず、パレスチナ問題、イスラエルの占領地撤退問題等に関する双方の立場の隔たりは大きく、両国間の和平交渉は再開されるに至っておりません。一方、サダト大統領の和平イニシアチブはアラブ世界内に大きな波紋を生じております。いわゆるアラブ急進派諸国は、昨年十二月及び本年二月にそれぞれ首脳会議を開催し、サダト路線反対の共同戦線を結成し、これに同調するソ連を初めとする社会主義諸国等との連帯強化を図りつつあり、他方、穏健派諸国はおおむね事態を静観しておりましたが、本年三月のアラブ連盟理事会において、アラブ首脳会議の早期開催の必要性、アラブ連帯のための委員会の結成等につき合意し、アラブの連帯回復への動きを見せ始めております。このようなアラブ世界内の動きは、去る三月中旬のイスラエル軍によるレバノン南部侵攻事件とともに、これからの和平の動向との関連で注目を要するところであります。  いずれにせよ、今後の中東和平交渉の成否いかんは、イスラエルがこれまでの立場を変え、譲歩の姿勢を示すか否かによるところが大きいものと見られ、そのためにも、イスラエルに対して影響力を有する米国が今後どこまでイスラエル説得の努力を行うかが注目されるところであります。  一方、石油問題につきましては、中近東が石油を中心とするエネルギー資源の宝庫であり、世界における石油の確認埋蔵量の約六〇%が中近東に集中し、世界の石油の約四〇%が中近東で生産されていることは周知のとおりであり、今日、中近東の石油生産及びそれに伴い中近東産油国に流入する膨大なオイルダラーは世界経済の動向を左右する状況にあります。  一方、米国を除く主要先進諸国経済の低迷とアラスカ、北海、メキシコ等新規油田の生産開始の結果、世界の石油需要は現在緩和基調で推移しており、かかる背景のもとにサウジアラビアが日産八百五十万バレルの上限枠復活の措置をとり、アラブ首長国連邦も生産カットを行っております。石油価格については、昨年十二月のOPECカラカス総会で事案上凍結されましたが、最近のドル減価問題にかんがみ一部産油国の間には石油価格値上げ等を求める動きがあり、その関連もあり五月上旬OPEC非公式閣僚会議が開かれることになっております。  しかしながら、長期的に見た場合には、一九八〇年代以降、特にその後半において石油需給関係が逼迫することが一般に予想されており、中近東産油諸国、特に大幅な増産余力を有するサウジアラビアの石油政策には、わが国としても深甚の注意を払う必要があると考えております。  わが国の中近東政策は、流動きわまりない同地域の情勢の的確な把握と将来のビジョンを踏まえたものでなければならず、そのために、政府といたしましては、常に対中近東政策のあり方をレビューしていく所存であります。  本日、ここに、中近東をめぐる諸問題に関して、委員の皆様方と率直な意見交換を行い、討議を尽くしますことは、今後のわが国の対中近東外交を進めていく上においてまことに有意義かつ時宜を得たものであり、政府といたしましても、本日の討議の結果を十分参考としつつ、今後のわが国の対中近東外交の一層の推進に努力する所存であります。  それにつけましても、中近東外交推進の任に当たるわが国外務省、特に中近東地域の在外公館の強化が必要であると痛感しております。近年、委員各位の御理解と御協力をも得て、人員、機構、施設の各方面にわたって相当の充実、強化が見られますことは大変喜ばしいことでありますが、欧米先進諸国と比較いたしましても、また、中近東のわが国外交に占める比重の増大に伴う事務量の急増及び厳しい気候、風土、生活環境等を勘案すれば、いまだ十分とは申せません。このことは各党の委員の皆様方、並びに中近東方面の派遣ミッションからも指摘されておるところでありますが、今後とも、わが国の対中近東外交実施体制をさらに強化、充実するため、委員各位の一層の御指導、御理解、御協力をこの機会にお願い申し上げる次第であります。  どうもありがとうございました。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 次に、千葉中近東アフリカ局長。

千葉一夫外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(千葉一夫君) ただいまの政務次官の御報告につきまして、若干補足させていただきたいと思います。  まず、そこの地図をごらんいただきたいと思います。  中近東と申しますが、外務省におきまして中近東をどうやってとらえておるかにつきまして申し上げたいと思います。  まず、あちらの地図にございますが、一番右の端にアフガニスタンがございます。最近、クーデターが起きましたので新聞等にも報ぜられておりますが、あのアフガニスタンが外務省のとらえております中近東の東の端であります。今度はこちらの地図をごらんいただきますが、ここに北アフリカのモロッコがございます。このモロッコが同じ意味におきまして中近東の西の端であります。すなわち、中近東といいましても北アフリカの一部分を含んでおるわけでございます。これはどういうことかと申しますと、皆様御案内かと存じますが、アラブ文化が浸透して北アフリカ及びスーダンはアラブ圏に属しているからでありまして、政治的経済的文化的社会的、すべて中近東としての様相を備えているからであります。  そこで、ここには見えませんが、ここにアフガニスタンがございまして、アフガニスタン、イラン、トルコ、この三つがいわゆる北辺諸国でございまして、位置が北に属しておりますけれども、同時にいわゆる非アラブでございます。次に、ここにございますサウジアラビア、イラク等々ペルシャ湾津の諸国、これらが一つの大きなグループでありまして、その共通点は産油国であるということでございます。中に非産油地帯もございますが、おおむねすべて油が出るというわけでございます。そこでこのうちのイラン、アフガニスタン、及びこれらの国々は中近東二課と申します課でやっております。  次に、ここにシリア、レバノン、イスラエル、ヨルダン、エジプトとこう並んでおりますが、これらがいわゆるアラブ・イスラエル紛争の当事国でございます。これらの諸国を中近東一課というところで見ておりますが、同時に、先ほど申し上げましたスーダン、リビア、チュニジア、アルジェリア及びモロッコも所管いたしております。  これらの地区におきまして、いかなるところにわが国の在外公館があるかと申しますと、アフガニスタンはカブール、あそこに大使館がございます。次に、イランはテヘランに大使館がございます。それから南の方に、ここにホラムシャハルという、地図には出ておりませんが、港町がございます、そこに総領事館がございます。イラクはバグダードに大使館がございます。トルコはアンカラに大使館、イスタンブールに総領事館がございます。シリアはダマスカスに大使館がございます。レバノンはベイルートに大使館がございます。イスラエルはテルアビブに大使館がございます。ヨルダンはアンマンに大使館がございます。エジプトはカイロ、スーダンはハルツーム、それぞれ首都に大使館がございまして、リビアにつきましてもトリポリ、チュニジアにつきましてはチュニス、アルジェリアについてはアルジェ、モロッコにつきましてはラバト、それぞれの首都に大使館がございます。  次に、中近東地区におきまして大きな問題は何であるかと申しますと、先ほど政務次官から御報告いたしましたように、アラブ・イスラエル紛争の和平の問題でございます。さらに、わが国にとって非常に重要な問題は、これも同じく御報告申し上げましたように、石油の問題でございます。一  そこで、これらの問題を中心に簡単に補足させていただきますと、和平問題につきましては、昨年、エジプトのサダト大統領がエルサレムを訪問しまして、非常に劇的な進展を見たことは御承知のとおりでございますが、その後交渉はいろいろ停滞しておるというのは御案内のとおりでございます。  そこで、その対立点につき申し上げますと、三つございまして、ほかにも若干ありますが、大体大きなのはこの三つでありまして、パレスチナの問題というのがございます。すなわち、イスラエルが占領いたしております地域、それからイスラエルが建国した際に占領した地域にパレスチナ人が多数居住しておったわけでありまして、いまだにイスラエルの統治下あるいはイスラエルの占領下におるわけでございます。さらには、広く中近東のアラブ諸国にわたりましてパレスチナの難民が存在しております。これらのパレスチナ人がその固有の自決権というものをいかにして発揮し得るかという点でございまして、アラブ側は、もとより、ただいま申し上げましたパレスチナ人の自決権あるいは何らかの形のパレスチナの国家の樹立ということを主張しておりますのに対しまして、イスラエルとしては、これは単に自治のみを認めるのだということを言っておるわけであります。この点につきまして、どうしてもこのパレスチナ問題が避けて通れない点でございますので、交渉がその点で停滞しておるわけであります。  もう一つは、主としてエジプトとイスラエルの間の問題でございますけれども、エジプトのたとえばシナイ半島という広大な地域をイスラエルが占領しておりますが、ここからの撤退がエジプトにとっては最大の急務であります。しかしながら、イスラエルとしましては、種々の理由から全面撤退というものを拒んでおるわけでありまして、これがまた一つの大きな交渉停滞の理由でございます。  最後に、エルサレムは、御存じのとおりキリスト教のみならず、イスラム教、ユダヤ教の聖地でございまして、現在、イスラエルがこれを占領しておりますが、これにつきまして、それぞれの宗教の聖地でありますゆえに、特にアラブ諸国の宗教でありますイスラム教の非常に大きな中心でありますために、ここをどうするかというのが大きな問題でございます。ただし、交渉もまだそこまではいっておりませんので、先ほど申し上げましたパレスチナの問題及びその占領地撤退の問題が最大のいま焦点になっております。  そこで、これにつきましては、経過は詳しく申し上げるのは省略いたしますが、せっかくサダト大統領の劇的なイニシアチブで始まりましたこの和平の話し合いもこれらの問題でとんざしまして、ことしに入りましてから、たとえば軍事委員会、政治委員会というものがありまして、これによってエジプトとイスラエルが話をすることになっておりましたのがいずれも停止いたしております。結局、ただいまのところは、アメリカが仲介いたしますとか、あるいはイスラエル、アラブ双方の比較的下のレベルの人の往来等によって話が続けられているわけであります。  アメリカとの関係におきましては、ベギン首相が前回行きまして、非常にカーター大統領との間に考え方にみぞがあることが発見されたわけでありまして、たとえば先ほど政務次官から申し上げました国連決議二百四十二号という根本的な決議でございますが、これはたとえばイスラエルがいま占領しておりますヨルダン川の西岸地区には適用されないといったような解釈をベギンが打ち出しておりまして、この辺が非常に大きな問題になっているわけでございます。そこで逆にサダト大統領が訪米いたしまして、意外に人気があると申しましょうか、サダトさんの主張というものがアメリカの世論に受け入れられつつある、こういう状況になっておりまして、この辺から気長に解決の端緒が見られるんではないかとわれわれは期待いたしております。  今度、ベギン首相がまた訪米いたしますが、それに先立ちましてカーター大統領が——これは新聞で伝えておるとおりでございますけれども、四月三十日付のエジプトのアル・アハラム紙がカーター大統領とニューヨークタイムズ紙記者との会見を報じまして、この中でカーター大統領が従来の考え方とちょっと違って、中近東和平というものはヨルダン川西岸におけるパレスチナ独立国家樹立なしに達成できるということを言いまして、また、ただいまのこのヨルダン川西岸の将来はベギン・イスラエル首相の考えのようにパレスチナ系アラブ人に自治を与えることで解決できる、こういうことです。さらには、恒久平和はイスラエル軍が占領地から完全撤退しなくても達成できる、こう言ったと伝えられております。実は、われわれはまだ十分その点確認しておりませんが、広くこのように報道されておりますので、言っておりますことは必ずしも従来の立場と完全に変わったわけじゃございませんが、しかしながら、ニュアンスといいましょうか、重点の置きどころがイスラエル寄りに傾いたということは言えるんではないかと存ぜられます。この辺につきまして今後いかなる影響があるか、われわれとしては注視いたしておる次第でございます。  なお、先般、イスラエルが南部レバノンに侵入いたしましたことは御存じのとおりでございまして、これにつきましては国連軍が編成されて、現在入っており、イスラエル軍も徐々に撤退しておりますが、同時に、多数の二十万にも上る南部レバノン住民がイスラエルの戦火を避けて難民と化したわけであります。  これらの問題に直面しまして、国際世論は相当強くイスラエルを批判したわけでございますが、日本も、たとえば三月二十日に、レバノンにおきますイスラエルの軍事行動につきまして、イスラエルが早く撤退するように呼びかけた外務省情文局長談話を公表しております。さらには、四月の二十八日に、ただいまのイスラエルの侵攻によるレバノンの難民に対しまして、その窮状を見かね、わが政府としては五十万米ドルを緊急援助として支出いたしたわけであります。このように日本といたしましても中近東和平につきましては種々の観点から座視しておるわけではございませんので、できるだけのことをしておるという点をちょっと簡単に御報告申し上げたいと思います。  次に、石油の問題に入ります前に、ちょっと従来と違いました点で、中近東諸国が日本をいかに見ておるか、こういうことにつきまして、先ほど申し上げましたわが在外公館に対し、この参議院の外務委員会の御審議があるということで、それまでに間に合うようにただいま申し上げました中近東諸国における日本のイメージについて報告せよ、こういう訓令を出しました結果、全公館から報告が集まってまいりました。  これを一々全部は申し上げませんが、全般的に見ますと、対日認識は年々向上しつつあるということ、それからいまだに経済分野に著しく偏重しておる、日本のイメージが経済的なイメージが非常に強いというわけでありますけれども、エコノミックアニマルであるといったような非難的なイメージよりか、むしろ自分の国の経済発展の模範としよう、そういったような概して友好的なイメージが支配的である。具体的に申し上げますと、工業先進国としての日本の経済技術協力に大きな期待が抱かれておるというわけであります。ただし、この反面としまして、日本がどのくらい貢献しているのか、そういったようないわばこの期待にこたえる日本の実績というものがまたその日本のイメージのよしあしというものに緊密につながっているということも事実であるようでございます。したがいまして、わが国としても、今後これらの期待に十分にこたえるのだという姿勢を示し、かつ実行していかなくちゃいけないといいますのがこのわが出先公館の一致した見方であります。  なお、中近東諸国と申しましても、御存じのとおり、たくさんございまして、その中でも大きく分けますと、いわゆる穏健諸国というのがございます。たとえばサウジアラビアとかイランとかエジプトでございますが、こういうところは、中近東地域の安定的発展の観点から日本が非産油国等に対して援助してくれということを期待しております。それから、いわゆる急進諸国、私はこの名前は余り好きじゃございませんが、穏健に対して俗にそう言っておりますが、たとえばアルジェリアというような国がございますけれども、これらの国も、経済に関します限りは、日本がやはり経済大国としてのこの地域における責任を果たしてくれと、たとえば俗に言います対米追随一辺倒でなくて、もうちょっと考慮を払うようにしてくれといったような見方もあるようでございます。いずれにしましても、日本につきましては、日本は政治色の薄い経済大国として認識しつつも、やはり経済大国でありまして、世界経済に及ぼす日本の非常に大きな影響から言いまして、これらについても中近東に対する好意的な日本の動きというものを非常に期待しておる。これらはただいま申し上げましたいろんな傾向の国々に一貫してここに厳然としてあると思われます。  時間もございませんので、ごく代表的な国につきまして申し上げますと、エジプトとしては、日本に対するいま申し上げましたようなよい評価が定着しつつある。特に日本のアラブ紛争に対する態度というものが非常にこのごろ評価されつつある。たとえば先般パレスチナ・ゲリラがイスラエルの民間のバスを襲撃しまして相当多くの犠牲者が出た事件の後に、イスラエルがわが政府に対しまして、ここにPLO事務所というものがございます、パレスチナ解放組織の事務所でございますが、これを閉鎖してくれということを言ってきましたが、わが方としましては、それは日本の政府として介入すべき性質の問題ではないと言って、実際上これを断ったわけでありますが、たとえばエジプトではこれは非常に高く評価しておるということでございます。そしてエジプトとしましては、和平に関連してイスラエルに対して日本が影響力を行使してくれ、あるいは国際世論を喚起してくれ、こういったような期待を持っておりまして、これは先ほど政務次官から御報告いたしました園田外務大臣の中近東訪問の際、サウジアラビアでも同じようなことが言われております。  なお、エジプト一国としましては、日本の対エジプト経済協力を非常に評価しておりますが、特にサダト大統領自身再三にわたってスエズ運河の拡張計画への日本の貢献というものにつきまして、いろいろとおほめの言葉をいただいております。これは具体的には五洋建設と申します会社がやっておりますが、非常に評価を上げておるわけであります。そして結局はエジプトから見て、アメリカは別として、日本と西ドイツは最も頼りになる二大経済大国だというふうに見ておるようでございまして、もちろん、その反面としては日本としても責任を果たしてもらいたい、そういったことでございます。  次に、非アラブ大国のイランでございますが、イランにつきましては、せんだって外務大臣同士の話し合いにおきまして、これは園田外務大臣が現地を一月訪問したときでございますが、両国の世界政策の基本は完全に一致しておる、そういうことでございまして、同時に、この機会を逃すと、せっかくサダト大統領が始めたこの中近東の和平のイニシアチブというものがもしうまくいかなかった場合、長い間和平は来ないんじゃないかという心配がありますので、ぜひ日本としてもこれについて積極的に支持し貢献してほしい。それからイランというものはペルシア湾における平和の維持者であるという非常に大きな自信を持っておりまして、そのための軍備も持っておりますが、特に油田地帯を守るということでありますが、日本としてもその点をもっと認識してくれ、こういったようなことを言っております。  具体的な二国間の問題では、イランがやっぱり油の切れた後に備えて工業立国を考えておりますので、日本がもっとこれに協力していってくれということを言っております。同じことは産油大国のサウジアラビアも言っております。サウジアラビアとしましては、日本が油をくれくれといったようなさもしい態度ではなくて、堂々とこれらの国々の将来の国づくりに協力をするんだという点を見せてくれという強い期待を持っております。それから、さっき申し上げましたように、油を産しないところのアラブの穏健諸国、エジプトでありますとかスーダンでありますとか、そういうところについて援助をしてくれと強い期待をしております。  ここでイスラエルについて一言申し上げたいと思いますが、イスラエルはどうやって日本を見ておるか。これは皆様御案内のとおり、イスラエルはただ一国の小さなユダヤ人の国であるのみならず、世界中にユダヤ人が散らばっており、特に経済界におきまして、あるいは科学、文化の世界におきまして強い影響力を持っております。アメリカについては非常に顕著でございますが、そういった観点からイスラエルはどういうふうに見ておるかということを大使館に訓令で聞かせましたところ、こういう報告がございました。  一口に言いますと、強い波風は立っていない、しかしながら曇り空である。それはなぜであるかといいますと、イスラエルとしては非常に苦労している国でありますので、アラブに対して日本が非常に配慮を払わざるを得ないという点はよくわかる。しかしながら、余りにもアラブに遠慮して、イスラエルと伸ばしていくべきとイスラエルが考えております通常の貿易でありますとか、あるいは相互理解の増進といったようなこと、これらはもっとやってくれてもいいんじゃないかと非常に屈折した複雑な心理状態にある、こう言われております。この辺につきましては、もとよりわれわれとしてもよく認識しておるわけでございますが、この点を常にやはり頭に置いて、しかも日本の国益を損なわないようにやっていきたいと思っております。  以上は、ただいま申し上げましたように、日本の中近東におけるイメージでございます。  次に、簡単に石油につきまして補足さしていただきますと、石油は、先ほど政務次官から御報告いたしましたように、生産カットをしております。それは現在俗に言う石油のだぶつきがあるからでありまして、そのために値上げもなかなかできないといったような状況でありまして、この点につきましてはわれわれ消費国にとって比較的いい状況でございますが、しかしながら、はっきりいたしておりますことは資源有限であるということであります。かつ、現在、いわゆるだぶつきの大きな原因は西側の先進国におきます経済の停滞でありますので、これらがいずれ回復いたしますと、やがては、特に八〇年代に入りますと石油の需給逼迫がまた起きるであろう、そうなると、また値段がぐっと上がるんではないか、こういうことが心配されております。  いろいろこれらにつきましていろんな推定がございまして、どのくらいの生産量に八〇年代はなるであろうか、どのくらいの値段になるであろうかといういろいろな推定がございますが、これらにつきましてはまた後ほど御質問に応じまして詳しく申し述べたいと思いますので、現在は小康状態であるけれども、八〇年代がすぐ目の前に迫っており、このときにはなかなかそうは済まない、日本としてはこれらに対する対策をやっぱり真剣に講ずるべきでありまして、何といいましても、その中心は、これらの産油国から見て日本はかけがえのない国なんだという点を印象づけ、また実績をつくることであると思います。  大変雑駁でございますが、以上をもちまして補足説明を終わらしていただきたいと思います。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 以上で報告は終わりました。  速記を中止してください。   〔午前十時三十四分速記中止〕   〔午前十一時四十九分速記開始〕

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 速記を起こしてください。  午後零時三十分まで休憩をいたします。    午前十一時五十分休憩      —————・—————    午後零時三十一分開会

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を再開いたします。  速記を中止してください。   〔午後零時三十二分速記中止〕   〔午後二時五十分速記開始〕

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 速記を起こして。  本日は、中東問題について速記を中止して自由討議を行ってまいりましたが、委員各位の御熱意により活発かつ有益な意見の交換ができ、当委員会の国際情勢等に関する調査につきまして貴重な示唆が得られたものと存じます。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時五十一分散会      —————・—————

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