外務委員会 第18号
- 発言数
- 206 件
- 登壇者
- 17 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1978/04/27
会議録
○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を閉会いたします。 委員の異動について御報告をいたします。 去る四月二十六日、佐藤三吾君が委員を辞任され、その補欠として上田哲君、か選任されました。 —————————————
○委員長(安孫子藤吉君) 漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び北西太平洋における千九百七十八年のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件及び北太平洋の公海漁業に関する国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を便宜一括して議題といたします。 政府から、順次、趣旨説明を聴取いたします。園川外務大臣。
○国務大臣(園田直君) ただいま議題となりました漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び北西太平汗における千九百七十八年のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 日ソ両国の旧交回復以来二十年余の長きにわたりサケ・マスを中心とする北西太平洋の漁業資源の保存管理に貢献してきた北西太平洋の公海漁業に関するわが国とソ連邦との間の条約は、ソ連側の廃棄通告により、本年四月二十九日をもって失効することになりました。したがって、サケ・マス漁業の取扱いを含め両国の漁業関係の枠組みを定める新たな協定の締結が必要となり、政府は、昨年の九月以来三度にわたる交渉をソ連政府との間で行ってまいりました。最終的には、去る四月十一日に中川農林大臣が訪ソして、イシコフ漁業大臣との間で交渉を行いました結果、今般妥結に至り、四月二十一日にモスクワで、わが方中川農林大臣及び垂光駐ソ大使と先方イシコフ漁業大臣との間でこの協定及び議定書の署名を行った次第であります。 この協定は、七カ条の協定本文から、また、議定書は、四項目の本文から成っております。 協定本文は、両締約国の漁業の分断における互恵的協力を発展させることを目的として漁獲技術、増養殖技術の改善等漁業の分野における協力の促進、北西太平洋の距岸二百海里水域の外側の水域における遡河性魚類を含む漁業資源についての協力の具体的措置は毎年画政府の間で作成される議定書により決定すること、協定の目的達成のため日ソ漁業委員会が設置されること等の事項を定めております。 議定井は、協定の規定に基づき、一九七八年のサケ・マスの漁獲について、漁獲量、操業水域、漁期、議定書の規定に違反した場合の取り締まりの手続等を定めております。 この協定及び議定書の締結により、両国は、漁業資源の保存・管理及び最適利用に関する日ソ間の協力の推進を今後の日ソ漁業関係の中心に据えるとともに、北洋漁業において重要な地位を占めるサケ・マス漁業の操業を本年においても継続し得ることとなりました。 よって、ここにこの協定及び議定書の締結について御承認を求める次第であります。 次に、北太平洋の公海漁業に関する国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 現行の北太平洋の公海漁業に関する国際条約は、昭和二十七年五月九日に東京で署名され、昭和二十八年六月十二日に発効して以来、北太平洋における漁業資源の保存・管理に大きな役割りを果たしてまいりましたが、米加両国が条約の適用区域において新たな漁業管理権を設定したことに伴い、現行条約を改正する必要が生じました。よって、日米加三国は、合計四回にわたる交渉を行いました結果、昭和五十三年四月二十五日に東京において、本大臣とカナダ側ランキン駐日大使及び米国側マンスフィールド駐日大使との間で現行条約を改正するためのこの議定書の署名を行った次第であります。 この議定書により改正された北太平洋の公海漁業に関する国際条約の主要な内容は、次のとおりであります。 第一に、現行条約に基づいて設置されている北太平洋漁業国際委員会は維持されることとなります。 第二に、我が国サケ漁業に関し、操業禁止区域の設定、漁期等の具体的規制措置が定められております。 第三に、取り締まり及び裁判管轄権については、二百海里水域の外側においては裁判管轄権は旗国に属することが確保されております。 第四に、北太平洋の漁業資源に関する科学的研究の推進及び調整について規定しております。 この議定書の締結により、北太平洋におけるわが国サケ漁業の安定的操業の継続が確保されるとともに、北太平洋の漁業資源の保存に関し引き続き日米加三国間の緊密な協力関係が維持されることが期待されます。 よって、ここに、この議定書の締結について御承認を求める次第であります。 以上、二件につき、何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことをお願いいたします。
○委員長(安孫子藤吉君) 以上で説明は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○戸叶武君 私は、次の三点にしぼって、当面の緊急の問題に対して御質問いたします。 韓国の航空機がソ連において問題を起こしたということは非常に不幸なことでありますが、まだ真相はいろいろ究明中の模様でありますけれども、それに対してわれわれが軽率な批判を加えることは慎みますが、何といっても後味の悪い、人間尊重の時代に人間の命を粗末にせざるを得ないような厳しい国際間の形相は私たちとしてもこのままに黙視することはできないというような人道的な義憤を感じざるを得ない面が多々あるのであります。しかし、それと同時に、韓国の問題というふうにこれを区切るのでなくて、日本の国民は非常にいまの福田内閣の外交方針に対して不安感を増大しておるのであります。 外交には慎重を要するということが原則になっておりまするけれども、福田さんは一体何を考えているのかわからないというのが、自民党内部においても、あるいは一同においても、われわれ国会人としても、何か国民から質問を受けたときに何を考えているのかわからないというふうに返事をせざるを得ないような状態が醸し出されているということは、いままで日本の外交慣例の中においてないことだったと思うのです。外務大臣は、この間、私が外野の方から球を投げて、本当にあなたは福田さんを信頼しているのかと言ったら、非常にしていることを説き、見解は一致しておるということを言いましたが、その後における状態というものは、自民党内におけるところの、あるいは園田さんと福田さんとの間にギャップができたとか、あるいは公然と放たれる大平殺しというようなささやき、次期政権をめぐって何か暗い一つの印象を与えるような陰湿な政争が繰り広げられている。この内閣に国の運命を託してよいかという一つの問題提示がなされているのですが、重ねて園田さんに、園田さんと福田さんは一体ということですが、一体、これはどうしたことかということに対して質問を行います。
○国務大臣(園田直君) しばしば御注意を受けますが、私は総理の部下でございまして、総理の指示に従い、一体となって外交行政を推進いたしております。
○戸叶武君 いまSALTIIの兵器制限交渉がアメリカとソ連の間で難航を続けておりましたが、これが急角度で米ソ間において協定可能の模様が出てきたということですが、それに対しては園田さんはどういう情報並びに見解を持っておりますか。
○国務大臣(園田直君) 御承知のとおりに、ハンス国務長官が四月の二十日から二十二日まで訪ソして、国際問題等につき、ブレジネフ書記長及びグロムイコ外務大臣と会談を行いました。なお、SALT交渉に関しては、SALT新協定の残された問題について双方の立場は幾らか接近した旨が共同発表されておりますが、目下のところ、詳細についてはまだ承知をしておりません。わが国としては、両国が核大国の責任を十分自覚して、速やかにSALTII協定が締結されるよう希望しているところでございます。
○戸叶武君 いま外務大臣は、幾らか進展したという、深刻なSALT問題に対しても前進があったことを受けとめておりますが、日中関係は幾らか前進する模様ですか。
○国務大臣(園田直君) いまの御質問は、きょう発表されました、ブレジンスキーが二十日前後に訪中をするという、米中の関係でございますか。
○戸叶武君 いま日中の問題がだんだん最後の解決点に来たと言いながら、幾らか前進しているかなと思うと、途中でいろいろな雑音が入り、主として自民党の中からですが、そうしてぶち壊し専門の言動も公然となされている模様でありますが、総理大臣並びに総裁の地位にある人は党並びにいまの政府の人々に対して統制力を持っているのでありましょうか。
○国務大臣(園田直君) 誤解をいたしました。 日中問題については、尖閣列島の問題が起きましたが、今日今朝の状態では、もう数日来、領海内には一隻も漁船はおりませんし、領海外においてもレーダーその他で見ても見当たらないということで、尖閣列島をめぐる事件そのものは解決をしたわけでございます。なお、これについての回答もあったわけでありますが、両国は日中友好関係を進めていくという基本線については、この問題にかかわりなくやろう、こういうことで意見がまとまっております。したがいまして、日本としては、この尖閣列島の事件は終わりましたから、その後両国が話し合って、めどをつけて交渉に進む、こういう段取りでだんだんと努力をしているところでございます。 党内その他について御異存もございますが、総理が決意を固められて御理解を願うということになれば、これは党でありますから、最後は交渉再開の方にいけるのではなかろうかと推察をいたしております。
○戸叶武君 いまの園田発言は非常に慎重な発言です。総理が了解を願うということになればと言うけれども、まだ了解を願ってないんですか。
○国務大臣(園田直君) 総理も努力をもうすでにしておられるようでございます。
○戸叶武君 春日遅々とはよく言ったものですが、これは驚いたですね。 そこで、この間、国会開会中において台湾に現職の国会議員の人が大量に蒋介石の三周忌ということでおいでになったということですが、その中に外交旅券を出している向きもあるように受けとめている同乗者が私に訴えてきておりますが、外交旅券が発行されたのでしょうか。それは外務省の——園田さんが知らないことかもしれませんが、どういう手続であの旅券を出されたか。外交旅券を出したとするならば、これは日本が外交交渉を持たない国に国会議員が行くのに外交旅券を発行するということになると一つの問題ですが、いかような処置、手続をとられたか、改めて承ります。
○国務大臣(園田直君) 外交旅券は発給いたしておりません。
○戸叶武君 同乗したところの人たちが、日の丸にべたべたと判が押してあるバッグが税関を、何ら税関にとがめられることなく、とにかく通過したので、非常に奇異な感じに打たれたというので、多く台湾を往来する日本人もありますので、その情景を見て、一体、台湾に対して政府は特別な処置をとっているのかどうか。これがもしそうだとするならば、中国は一つだという形において割り切ってきた日本政府なりアメリカの中国に対する長い間の対処の仕方が異なってきたと見なけりゃならないのですが、いかような事実の上に立っておりますか。
○国務大臣(園田直君) 向こうの税関でどのような待遇をしたかわかりませんが、外交旅券は決して出しておりません。
○戸叶武君 そこで承りますが、中国は一つか二つかというのは、山田さんの回答でなくて、これは歴代の外務大臣が、きのうは私は大平さんにもあるいは小坂さんにも承りましたが、全部煮詰めてきた問題であると思うのであります。いま自民党における中曽根さんなり何なりのいわゆる大平殺しの手と言われるのは、中国は一つだという外交ルートを通じての基本路線と異なるような意見を公然と出してはばからないという態度にはきわめて私たちは奇異な感じに打たれるのですが、いかようなものでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 私は、総務会長が台湾問題について発言されたことを聞いていないわけでありまして、これについての批判は避けたいと思います。
○戸叶武君 これは、私は、園田さん、中曽根さんだけを敵視するわけではないけれども、外交にはおのずからルールがあると思うのですが、あなたは、一体、中国は一つだと考えておりますか、二つだと考えておりますか、歴代の外務大臣とは異なった見解の上に立っておりますか、この点を承ります。
○国務大臣(園田直君) わが国の方針は、歴代外務大臣が言っておりますとおり、日中共同声明で明確に書かれておりますので、その点を私も一貫して踏襲しております。
○戸叶武君 外務大臣としての責任ある地位に中曽根さんは立ったことがないから、外交を知らない人の言動として、外交的無知という感覚の受けとめでそれを受けとめることができるかもしれませんが、一般には、とにかく自民党内において独立国としての台湾を守らなけりゃならない、アメリカの一部にあったチャイナロビーと同じような見解がいまごろになって台頭しているという、この現実をどういうふうにあなたは見ておりますか。
○国務大臣(園田直君) 政府としては、共同声明に署名した責任者でありますから、この線で一貫をいたしております。いま党内でいろいろ意見があるということを新聞で見ておりますが、これは私の論ずべきことではないと考えます。
○戸叶武君 中国は一つだという見解は、蒋介石も毛沢東も周恩来も、イデオロギーやその政治的立場は抜きにして、中国民族を背景とするリーダーの一貫した考え方であるということをあなたはどのように受けとめ、読み取っておりますか。
○国務大臣(園田直君) 中国の内部事情は別として、政府としては共同声明に書かれた線を一貫して守っております。
○戸叶武君 蒋介石の偉大であった点を、香港における最近の評論家の報道の中には、蒋介石は戦争終局の混乱時代に上海の現状を見て、国民党の幹部が腐敗、堕落し、兵器はアメリカから送られた優秀なものがあるが、道義的に退廃して、このままの状態の国民党を率いて政治をとることの危険を痛感して、道義的に当時廉潔であった共産党に暫時の間政権をゆだねなければならないという決意を持って台湾に渡ったということすら論議されている状態であります。いかに政治の上におけるモラルというものが重要であるかということを身をもって蒋介石は体験し、蒋経国に命令して、屯積、すなわち国民党のボスがやみ物資を屯積して物価をつり上げるのに対して厳罰をもって臨ましたのでありますが、現実において何らの成果が上げられなかった。この絶望感を胸に秘めながら台湾に蒋介石は渡ったということが論じられております。 これは参考までに、蒋経国氏の現在の立場は、蒋経国も相当な人物でありますが、蒋介石や国共合作に反撃を加えて、後においてソ連時代には父にも対抗したような人物であります。屯積問題のときには陣頭に立って苛烈な弾圧をやった人であります。中国は一つだという蒋介石が与えた一つの教訓というものは蒋経国は守っていると思います。そういう点において、やはり私はこの辺は一つの中国研究の上において重要な課題でありますが、台湾における蒋経国一派の人たちは、いわゆる蒋介石の夫人であった宋美齢氏はアメリカにあってかつてチャイナロビーのコントロールをやっていたと言われております、また蒋経国は北京にも通じ、あるいはソ連の方からも働きかけがあると言われております複雑怪奇なときに、日本の外交的な経験を持たないこの総務会長の言動というものがどれだけ世間を騒がし、国の内外に不信感を与えているかわからないのであります。 これで外交を福田さんなりあなたなりがいまのような調子で前進させることができると思いますか。それともアメリカに行って——アメリカすらもシュレジンジャーの流れ、国務省におけるSALTの問題を中心としてソ連とこの危機を打開しようという流れ、こういう二つの流れの相通ずるものがある、その上に立ってアメリカの意向を確かめた上で、日中平和友好条約を前進させようというところに重点を置いているのかどうか。その点、私はアメリカに行くのはいたずらな参勤交代じゃないと思いますから、その心境をしかと承りたいのであります。日中平和友好条約の問題はアメリカから帰ってから軌道に乗せるということですが、軌道にはそういう手順を経なければ乗らないような状態なんでしょうか。
○国務大臣(園田直君) 日米首脳者会談で日本と中国の関係についてアメリカの意見を聞くということはございません。日米首脳者会談とは関係なしに、日中関係は進められるべきものであります。しかし、物理的、時間的に、現実には帰国後交渉が進められることになるかもわかりません。
○戸叶武君 偶発的に一致したというんですか、このごろは偶発というのがはやりますから。 いずれにしても、これは奇怪なことでありまして、単に尖閣列島の問題だけじゃありません、竹島の問題、北方領土の問題——北方領土の問題でも今度農林大臣が来ておりますから、農林大臣もなかなか園田さんに負けない硬骨漢だから一発承りますが、あなたは新聞によっては親ソ派と書かれておったので、恐らく親ソ派というのは日中平和友好条約慎重派——このごろむずかしいんで、慎重派と言わないで私のようにファシスト集団と言うと誤解を招くというから、自民党の中だけは慎重派で通じますが、世間ではファシスト集団と言っているのが慣例になっておりますが、その親ソ派の大臣がソ連に行って幾らかうまいこと結果的に免れたかどうか。きわめてシビアな厳しい形において、領土問題や日中平和友好条約とは別に、重要問題においては対処されたんじゃないでしょうか。あなたが一番それは痛切に感じたと思いますが、その点をしかと中川さんから承りたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 私が訪ソする前、外務大臣とお会いをいたしまして、今度の交渉は外交問題と絡ませない、漁業の問題について話し合ってくるということで意見の一致を見たわけでございます。したがいまして私の交渉は日ソ間の漁業ということに限ったわけでございます。 福田総理からも親書をいただいておりましたが、このことの内容も漁業の関係を通じて日ソ間が友好裏に進められるように、こういう趣旨のものでございました。八回、九回と会談をイシコフさんとの間に行いましたが、すべて日ソ間の漁業問題でございます。 最後に、親書に対する回答ということであったと思いますが、コスイギン首相とも会談の機会を得ました。これは調印が行われます二十一日の午後八時、その前の三時半に約四十分間のお話し合いをすることができましたが、この際に、コスイギン首相から、いま日ソ間は非常にいい関係にある、なおよりよくするためにわが国が示してあります条約について研究し、そしてこれが締結されるように福田総理にお伝えを願いたいという話があったことは事実でございます。このことに対しましては、私は、四つの島の問題、そして平和条約というのがわが国の主張であることは首相閣下も御理解いただけると存じます。しかし、せっかくのお話でありますから、福田首相にはよくお伝えをいたします。漁業の問題その他いろいろ話がありましたが、国際間の問題としてはそういう話がありました。その後、それに対しましてコスイギン首相から私に対して理解してほしいという話ではあったが、私からも理解してほしいということで、重ねてのお話があった程度でございます。 したがいまして、私が親ソ派であるか、保守反動ファッショであるか私にはわかりませんが、私とても国を愛し、日中もよくしなければならないが、取り巻く国際環境もよくしたい、そのことが日本のためである、平和のためである、こういう信念のもとに政治活動をしているのであって、あなた方からファッショなんて言われる必要は毛頭ありません。
○戸叶武君 いや、いまの答弁を聞くと、なかなかりっぱな愛国者で、やはり私はそのことをとやかく言うんじゃありません。特にあなたのことに対しては私は一度だってそういう意味の誤解をしたことはありません。正直にあなたが言ったから、けさのテレビにおいても、ソ連側において色をつけたというわけじゃないですが、二百海里以内において日本側にもっと譲るような一つの発言をしていますけれども、これは時間が参りましたから、私はほかの関連でまた質問させていただくかもしれませんが、お互いにイデオロギーや国境は違っても、理解し合っていくならば、私はそこには変化が起きると思うのです。革命は心の問題です。人々の心をかち得ないでエコノミカルなマテリアリズムだけでもって、原爆や力ずくでもって民族をとにかくひねるということはできないと思いますので、私はいまの答弁を聞いて、お互いに理解を深めることができたということに対して、私はこれで質問を打ち切ります。
○小野明君 中川さんも農林大臣になられて二つの漁業交渉をおやりになったわけであります。日米加の漁業交渉並びに日ソの漁業交渉、二つの大役を果たされたわけでありますが、この評価をお聞きをいたします前に、けさのテレビ報道によりますというと、大臣の日ソ交渉に同行をされました亀長大日本水産会会長、彼が若干モスクワに残られたようですが、彼に対するイシコフ漁業相の申し入れといたしまして、二百海里内の漁業について漁獲物の二五%相当を支払って、日ソ共同操業を行いたい、この提案があっておるようであります。これは亀長さんが昨日記者会見をおやりになっておるようであります。 この回答は五月十日までに回答をしてもらいたいという希望のようでありますが、今回も十七億何がしの漁業協力費か、名称ははっきりいたしませんが、払うようになっておると聞いております。今回のこのイシコフ漁業相の新たな申し入れと言えますが、これについてどう対応されるのか、これをまずお尋ねをいたしたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 今度私が参りましたのは、昨年、ソビエトから破棄通告がありました日ソ漁業条約、これにかわる協力関係の協定を結びたいということで参ったわけでございますが、その際、民間の代表としての亀長水産会長にも御同行願ったわけでございます。 そこで、会談の途中でございましたが、専門家同士の話し合いを少しやってもらおうということで、私とイシコフさんが二人になった際、イシコフ漁業大臣の力から、日本の業界あるいは団体から二百海里内での操業をさしてもらいたいという話があるが、貴大臣の意見はどうかというお話でございました。実は、私もこの仕事が終わったならば、この点について意見を交換したいと思っておりましたが、この問題については二つ問題があると存じます。一つは、こういう方式によりますやり方が日ソ、ソロ両協定で決めました八十五万トン、これとどういう関連を持つのか、これを侵食するようなことがあっては困るということが第一点でございます。第二点は、わが国の業界が勝手にあなたの国と話し合いをされたのではわが国の業界のバランスがとれなくなりますので何らかの国内でのバランスをとる必要があります。問題は二つわが国にとってはあるのでありますと、こう申し上げたのでございます。 それに対して、イシコフ漁業相は、確かにそうでしょうなと、わが国としては八十五万トンの方に影響を与えようとは思っておりません、全く別のものでございます、特にクォータで決めた八十五万トンとは関係のないエビ、カニ、こういったものについて関心を持っておりますと。そういうことなら私の方も結構でございますと。第二番目のバランスの問題ですが、各個ばらばらに話をすることはいいけれども、最終的窓口は大日本水産会をもってコントロールするようにしたいと思います、それも結構でしょうねという話でございます。 ついては、もう一つ関連をしてコンブの問題があります、高碕・イシコフ会談によってできた日ソ友好のかけ橋が残念ながら二百海里時代を迎えて消えております、どうかこの問題も民間との話し合いにおいて友好のかけ橋が再びかけられるようにお願いをしたいのですが、いかがでございますかと申し上げたら、それも結構です。では具体的にどうするか、民間との話し合いでございますから、並行して亀長水産会会長と向こうのしかるべき責任者との間で話し合いを行いましょうということで話し分ったわけでございます。話し合いは私どもが帰りますまでにまとまりませんで、亀長会長は今週残りまして交渉を重ね、昨日帰国をいたしたのでございます。帰国したところの報告によりますと、コンブについては、入漁料について開きがあり、今回は話し合いがつきませんでしたが、追っかけまた話を続けて、ことしの操業期に間に合うように努力をしていこうという合意を見たようでございます。 共同開発の問題についてはおおむねの了解を得ましたが、どの業界をどうするかというようなことについては業界内の調整をした上においてソ連との話し合いをまた進める、こういうことになっておるようでございます。 いきさつと結果のすべてでございます。
○小野明君 そういたしますと、これは民間が進められるところではあるけれども、大臣としては、この申し入れについては大体受け入れてもよろしいという御意向でございますか。
○国務大臣(中川一郎君) 条件が整えばあえて反対するものではない。大日本水産会が民間としてどのようにまとめ上げて、どういうかっこうでやるかという内容を見た上で判断をいたしたい。話し合いすることすらお断りするようなものではない、こう思っております。
○小野明君 そうすると、水産会としては二五%の入漁料という点についてはどういう意向でございましょうか。
○国務大臣(中川一郎君) よくわかりませんが、向こう側の言い分では、二五%というのは日本側の団体なり会社が言っていた数字だと、こういうことを言っておったそうでございますが、これは向こうから言ったのではないと、その辺のところは業界がどうなっておるか亀長さんの方で調整されることと存じます。
○小野明君 それでは次にまいりますが、最初に申し上げました日米加の漁業交渉、日ソの漁業交渉、これをまとめ上げられたわけでありますが、これについての評価について御意見を承りたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、昨年は二百海里第一年目でございました。ことしは二年目であると同時に、遡河性サケ・マスを中心とする母川国主義の初年度である、このように受けとめております。そういう調整が日米加、日ソ間に行われた年である。御承知のように、国際海洋法におきましても、あるいは主要国の多くが遡河性サケ・マスは母川国主義である。わが国も昨年の二百海里法案におきましてそれを承認いたしておるところでございます。こういった中において、今後、日米加、日ソはいかにあるべきかということが今回の交渉であり、いまお願いしておる協定、議定書の内容だと存じます。 御承知のように、二百海里も厳しいと同時に、遡河性母川国主義についても非常に厳しいものがあったと存じます。私といたしましては、昨年、二百海里の調整によって六万トンが二万トンに減るという激変がありましたので、ことしは、そういった変化がなしに、何とか従来の操業ができるように、こういう基本方針で進みましたが、やはり遡河性サケ・マス母川国主義から言って、これは廃止すべきであるという相手側の強い主張との間に非常な開きはありましたが、厳しい条件とはなりましたものの、この点は私の不徳のいたすところであり、特に関係する漁民の皆様に対しては申しわけないという気持ちではありますが、こうした新しい時代においてもなおかつ、それぞれ日ソ間あるいは日米加間において、厳しい条件ではありますが、無条約状態を避けて、今後資源を大事にしながら、サケ・マス漁業というものを通じて友好関係を保ちつつ、今後も操業が継続的にできるという成果を得ましたことはまずまずの成果であり、特に相手側が、両国ともそうでありましたが、処罰を旗国主役ではなくしてそれぞれ管掌した国が処罰をするという、わが国の主権を侵す意見がありましたが、旗国主義を貫き得たということは、まずまず国家の主権を守り得たものとして評価をいたしておるところでございます。
○小野明君 日ソの条約に入ります前に、北部太平洋水域の関係では、カナダの二百海里水域内におきます漁業関係の条約が未成立である、目下交渉中ということでありますが、これにはどういう問題がありますか、あるいはまたこの成立の見通しはいかがですか。
○国務大臣(中川一郎君) 日加間における二百海里の話し合いは、まずまず問題がなく進められまして、あした署名の運びとなる予定でございます。
○小野明君 そうしますと、ことさらにカナダとの間には問題はないというふうにお考えでございますか。
○国務大臣(中川一郎君) いろいろな条件はありますけれども、まずまず問題はないと、こう理解していただいて結構でございます。
○小野明君 それでは、次に、日ソの漁業の協力締結についてお伺いをいたしますが、この漁業交渉に臨むに当たって、ねらいといたしたところ、重点、そして先ほどもちょっとお話があったようでありますが、この成果等について御説明をいただきたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 御承知のように、従来の日ソ漁業条約は破棄をしたいという昨年の申し入れがあり、この四月二十九日をもって破棄されるわけでございます。そこで、これにかわるものをつくろうではないかという鈴木・イシコフ会談の話し合いもありまして、昨年米交渉を進めておりましたが、本格的交渉はこの二月の十五日からモスクワにおいて、わが方は松原公使を団長とし、松浦部長等のメンバーによって話し合いを進めてまいりました。 わが方の基本的方針は、従来の漁業が確保されるように、ただ資源確保のためには、技術なりあるいはふ化事業等のような増養殖事業については協力したい、こういう基本方針のもとに話し合ってまいりましたが、当初、向こう側から、沖取りは全面禁止であるということを基本として話し合いが進められました。幸い、三月末になりまして、本年は操業を認めてもよいという話となり、引き続きまして、四月の初め、私のかわりに農林省顧問内村前次官を派遣いたしまして交渉に当たらしたわけでございます。その交渉過程において、水域については、三角水域を除くけれども、漁業してよろしいし、漁獲量は三万五千五百トンとする、こういう案、そのほか裁判権の問題であるとか漁期の問題であるとか、厳しい条件ではありましたが、そういった内容が示されました。 そこで、二十九日の無条約状態も迫りますし、五月一日からは出漁しなければならぬという時期も迫りましたので、四月十一日モスクワに向かいまして、イシコフさんとの間で話し合いを進めたわけでございます。 私の示しましたものは、ことしは不漁年であるから、若干の漁獲量の減少はやむを得ないとしても、三角水域は大事な漁場であるので、これはひとつあけていただきたい、資源を大事にされる向こうの気持ちもわかりますから、技術なりあるいはふ化場等については前向きに検討したいと思っております、どうか日ソ友好のかけ橋でもあります、きずなでもありますこの漁業交渉がうまくいきますように、漁民のためのみならず、日ソ間のためにも御理解、御協力をいただきたいということで交渉に臨みました。 向こう側からは、新しい時代であり、資源を大事にするということであの程度のものを示したのであって、これだけでも相当私としてはやったつもりだ、どうかひとつあのぐらいなところで話し合いを進めてもらえないかと言いましたが、私としてはのむことができないということで話し合いが進み、中間におきまして、理解もできるので、三角水域のうちのあの窓について窓をあけてあげよう、西から束に向かって帰ってくるサケ・マスをあそこで取れば相当取れるではありませんかと。そうして漁獲量も七千トンふやしていただいて四万二千トン。 その間、いろいろ議論がありましたが、旗国主義の問題とか漁期の問題とか、特に規制の問題とかいろいろと話し合いを進めまして、最終、私としては三角水域の底辺の部分をもう少し上げてもらいたい、この点を相当粘り強く最後までお願いしたのでございますが、どうしても資源確保上あの線は上げるわけにはいかない、西をあけただけでも精いっぱいである。大事なサケ・マスを本国に帰すためにはあの線は上げるわけにはいかぬと非常に難航いたしまして、私も非常に苦しい立場に立ったのでございますが、これ以上並行的に交渉を進めてみても無条約状態となったり、あるいは出漁ができなくなったりすることはむしろマイナスであり、これ以上粘ってもソ連側は譲る空気はないというふうに判断をいたしまして政府にも請訓をいただき、今度の協定、議定書の内容で話し合いを終えることとし、二十一日調印の運び、こうなった次第でございます。
○小野明君 農林大臣はこちらに帰られまして、今後五年間は沖取りができる、こういうふうに記者会見をなさっておられるわけであります、そうですね。で私はその根拠というものが那辺にあるかということに非常に疑問を感じております。 それはきのうの夕刊ですが、これは朝日ですか、イシコフ漁業相が見解を述べておられるんですが、やはり日本の北洋漁業における沖取りを全面的に禁止をするという長期戦略といいますか、変わりはない。そしてさらに、この日本の沖取りの禁止については最終的な決定はまだ下してはおらず態度を保留しておるんだ、こういうふうに報道がされておるわけであります。 さらに、五年有効論について見ますときに、なるほど協定には日ソ間の漁業協力あるいは日ソ漁業委員会の設置というものは五年間ございます。ただ、サケ・マス漁獲に関しましては、これは先ほどお話がありました取り締まりの問題についてと同様に、一年限りになっておりますね、議定書になっていますね。これは裁判管轄権とサケ・マス漁業と漁獲最の問題については一年限りになっておる議定書であるということになりますと、この協定については大事な柱が一本、五年間という大事な柱が抜けておるんだと、こういうことが議定上は言えると思いますね。 それにもかかわらず、大臣が五年間はできそうだと、大臣が言われるんですから、よほどのこれは確信がないと言えないと思うのでありますが、この点の保証についてはどのようにお考えですか。
○国務大臣(中川一郎君) 今度の協定は向こう五年間の期限であり、その後は一方が破棄通告しなければ自動的に延長する、こういう趣旨の内容でございます。ただ、御指摘のように、サケ・マスに関しては、利用等を含めて毎年議定書によって政府間で協議をして決める、こういうことになっております。 だから来年からなくなるという判断をする人もあるかもしれません。しかし、私は、五年間のうちの最初の一年の議定書をまとめたわけでございます。最初の一年に当たりまして、ことし一年限りの話ではありますが、これから先の資源論も考えながら決めた初年であって、今後新たに資源論が変わってきたり、あるいは操業等について相互間に考え方の違うような事態が発生してくれば、ことし話し合った議定書による内容は大きく変更されるかもしれませんが、ことし話し合った分は来年も継続され再来年も継続される、変更される理由は向こうにはないのではないか。新聞に沖取りは禁止とイシコフさんが述べられておりますが、これは前々から言っていることであって、そういう中ではあるけれども、従来の操業ということを考え、あるいは日ソ間を考えて、こういう中間的な措置をとってくれたわけであり、これが一年限りであって来年からはだめであるというようなことは記事の内容にもありませんし、私どもの話し合いの中にもございません。言ってみれば五年の分の一年ではあるけれども、五年のうちの初年でありまして、必ずこれは継続されなければならないし、私は全体の議論を通じて、この程度のことは、五年ぐらいはやってくれるものと、こう信じ、そしてまたそうあるべきと、こう思って取り組んだ次第であり、そう評価しておるわけであります。
○小野明君 やはりイシロフ漁業相の日本の漁業に対するかなりの配慮というものもこれはあるようですね。その辺は交渉に当たられた大臣が言われるのでありますから、そうあってほしいとは思いますけれども、やはり海洋法に言う母川国主義あるいは強硬な日本の沖取り禁止、この意向から見ましても、漁獲量におきましてもこれは容易でないということが危惧されるわけですね。この五年間の沖取りについて、そういった点についてことしのような状態がさらに来年も続くというふうには考えられませんが、いま少しひとつ御説明いただきたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 今度話し合いをいたしまして感じましたことは、母川国主義ができたからということだけではなくして、やはりソビエトという国は資源を大事にする。特にヨーロッパ等において失いました操業、漁獲というものをやはり前浜でこれを取らなければソビエトそのものの食糧政策がやっていけないという深刻な面もあるわけでございます。残念ながら、この三角水域を初め、今度話し合いをしてまいりました四万二千五百トンの大部分のサケ・マスはソビエトへ帰るサケ・マスでございます。その帰ってくるサケ・マスを日本が沖取りするわけでございますから、しかもその中には未成魚という将来に向かって非常によくなるものまでも含めて取るということについては、これはソビエトとしてはなかなか耐えがたいことであることを痛切に訴えておりました。これには私も日本の実情も大変であるが、ソビエトの実情も大変であるということを理解を示さなければならないということを感じたわけでございます。しかも、その中において、西から入ってまいります道を、全面的にあのせっかくの窓をあけてくれたというのはイシコフ漁業相の相当の理解ある姿勢だろうと存じます。 したがいましてソビエトが今後どう出てくるかは、資源が今後どのように推移するかということであって、大きな変化がなければ、この経度のものは日本の漁民に取らしてやろう、こういう配慮があって初年度を迎えたものであり、来年度以降また意地悪でやるんだというようなふうに受けとめて、わが国の内部から取れなくなるだろう取れなくなるだろうと、むしろソビエトを喜ばせるような発言をする人の頭の中が私にはわからないと言いたくなるぐらい、もうあちらへ行っても来年はだめだだめだと、やってやろうかと思っている人の頭まで変えさせるような発言をされることは私には納得できないのでございます。
○小野明君 そう言われると、私がそういう世論をつくるかのように言われて、はなはだ心外なんです。日本の沖取りが禁止されることによって大きな打撃を受けるわけですからね、私は、この大臣の五年間有効論に対してその保証を求めておるわけですよね。 そこで、時間もないが、議定書に関連して当局間の書簡というものが交されまして、いわばこれは大臣の誓約書みたいなものでしょうが、今後のわが国北洋漁業に対する指導方針、これの主なものをひとつ御開陳いただきたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) ちょっといま聞き漏らしたんですが、指導方針ですか。
○小野明君 今後のわが国の北洋漁業、これに対していかなる点に重点を置いて指導をしていくかということです。
○国務大臣(中川一郎君) 北洋漁業につきましては、昨年、二百海里調整を終わりました。先ほども申し上げましたように、母川国主義の問題もことしが一応の打ち上げができたということでございますので、今後は、この権益を守るために、よりよい関係を日ソ、日米間に結んでいくと同時に、操業等についても批判をされることのないように、やはりソビエトが言っております資源論というものについてわが国も率直に評価をして、資源を大事にするということの中に、秩序ある操業をしかも長く続けるようにしていきたいというのが基本的考え方でございます。このようにまた漁民の皆さんにも指導をしていきたいと思っております。
○小野明君 そうしますと、イシコフ言明もあるけれども、あくまでも大臣はサケ・マスの沖取りを主張していく、こういうおつもりですか。
○国務大臣(中川一郎君) イシコフさんは、原則であって、これを廃止するとは言っておらないわけです。原則はそうであるけれどもということでこういう結果になっておることでございますから、その原則ではあるけれども配慮をしてくれておるこの道を何とか守っていただくように、われわれも誠意を持って操業するなり、あるいは話し合いを進めていきたい、こういうわけでございます。
○小野明君 最後に、議定書に関連しまして当局間の書簡というものをわざわざつけなければならなかった。そこで、これはことしの二月六日の新聞報道でありますが、「サケ・マス業界の奇怪な内幕」「霧に包まれた〃北洋伏魔殿〃」こういう記事がございます。これは新聞記者の大手の母船に対する乗船を拒否しておる、乗った者は一人もいない。しかも、これは水産庁長倉の部屋で「国益を損ずる文章を公にしないこと」という一文を書かされた。もちろん、これは当然のことではありますが、「伏魔殿」という名称をつけられ「奇怪な内幕」と、こういうふうに書かれ、「母船団に同乗できた記者はついに一人もいない。」こういう報道がされておるわけです。 こういうことから見まして、北洋漁業に対して反省すべき点があるのではないか。この点を今後の北洋漁業に対する指導方針いかんという中でもお答えを願いたかったんです。この点についてはいかがですか、こういう事実はあったんですか。
○国務大臣(中川一郎君) 新聞その他にいろいろ言われておりますが、今度の交渉経緯において、ソビエト側から、このようなことがあるからけしからぬという話は一切ないのでございます。なぜ国内でこのようなことが出るのか私にはわかりません。私としては、そのようなむちゃな操業はしていないものと、こう信じております。 ただ、向こうとの話し合いにおいて、規制はしっかりやりましょう、それは資源を大事にしなければならないからですと。そこで裁判権も向こうが持って、二度と再びできないようにしたいというのでありましたが、公海でありますから、どんなことがあっても裁判権をお譲りするわけにはまいらない。そこで向こう側としては、では裁判権はそちらでやってもらってもいいが、罰金を取って不正なものが起きないようにしようという話がありましたが、罰金もわが国ではおたくの国と違いまして裁判なしに取るわけにはまいりません、できますのは行政上の措置だけでございますと、これは許可をするときに、こういうことをした場合には操業停止あるいは操業権を取り上げる、こういうようなことは裁判にかけずにできますので、その道を通じて規制をいたしたい、こういうことをかなり時間はかかりましたが申し上げまして、罰金ではなく、双方が共同で監督をし、その結果については行政上の措置としてこれをとる、もちろん漁業法その他法律に違反をいたしますことをするならば、これは裁判でもって処理をいたしますがということで話し合いがついたわけでございます。 したがいまして、向こう側から新聞に書いてあるようなことがあるのでけしからぬ、だからこうするというような話ではなくして、やはり将来に向かって資源は大事だからやりやすく操業ができるようにやろう、こういうことからいま育ったような、わが国の主権を犯さない旗国主義の裁判権と行政上の指導措置によって正しい操業ができるように、こういう仕組みにしてきた次第でございます。
○小野明君 わが国といたしましては、やっぱり海洋資源にたん白を求めざるを得ないという実情もあります。しかしながら、大臣は交渉においては一言も出ない、こう言われるけれども、イシコフ漁業相の新聞に送りました所見では、資源荒廃の責任は日本にあるんだ、こういうことをはっきり言われておりますね。これについては大臣はどうこれに対して反論を、いまの御答弁ですと反論を加えたかのように思いますが、この点についてはどうお考えですか。
○国務大臣(中川一郎君) これはもうイシコフさんが言われるのは当然であり、また言われるまでもなく、資源というものを大事にしなきゃいけない。私は過去においてそのようなことはなかったと信じておりますけれども、この上とも資源を大事にするという観点から、わが国もあるいはわが国漁船もこの点については十分守り、その精神を生かしていく操業をやっていただくように十分指導してまいりたいと存じます。
○小野明君 終わります。
○田中寿美子君 中川農林大臣は北海道の漁民に支持されていらっしゃる方でございます。今回、ソ連に行かれたときも大変意気込んでいらっしゃいましたけれども、結果として禁漁区が大きく広げられ、それから漁獲量も思っていた以上に減らされ、協力費も払わなければならない、結果として減船もしなければならないという状況になりました。このことについて、報道によりますと、中川農相はくやし涙に暮れたとか書かれましたけれども、私なんかもこれまでその北洋漁業についてそんなに熱心に考えてみなかったものですから、毎年毎年何かソ連から押しまくられているような感じがしておりました。ところが、今回、この条約について勉強しながら、また報道などを次々と見ておりまして、本当にこれは大変な日本の漁業全体に大きな転換期が来つつあるんじゃないか、そういうことを農林大臣御自身も非常に痛感されたんじゃないかと思うんですね。 ですから、いま小野委員の質問の中で、北洋漁業の漁民がむちゃくちゃな漁業をやっていたとは思わないけれどとおっしゃいましたけれども、恐らくそういう事実も反省しなければならない点があるということを十分御存じだと思います。しかし、そのようなことを口にすることは大変これは——農水委員などはみんな多少そういう立場をこれまでとっていたと思います。しかし、日本の漁業資源、いや世界の漁業資源を守っていき、そして日本がその食糧資源をちゃんと手に入れていくということのためには、現実をちゃんと直視しなければならないというふうに思います。 いま小野委員がちょっと引用されました、きのうの朝日新聞の夕刊のこれはイシコフ漁業相に対して朝日新聞が質問書を出して、その答えをとったものでございますね。それはサケ・マスの沖取り規制について基本的な考え方を聞くというポイントと、それから七九年以降、今後の北洋公海でのサケ・マス漁業の行方をどうするか、こういうところに焦点を置いた質問書でございます。 その答えの要点は、一つは、北洋のベニザケ、シロザケを中心とするサケ・マス資源の荒廃は日本漁船による沖取りと未成熟魚の乱獲が原因で、事態は深刻だということを言っております、イシコフさんが。それからもう一点は、ソ連の漁業専門家たちは公海での漁獲は全面禁止をしろということを勧告している。そういう状況だけれども、日本のこれまでの伝統的な漁業のことを考えると、そういうことはできなかった。それから第三点として、今後の日ソの漁業協力は拡大していきます。そして日本から提案のあった人工ふ化の問題、それについての技術協力ですか、こういう問題に関しては興味を持っておりますという答えをしているわけなんですね。 これらの答えを中川農林大臣はどのように受けとめなさいますか、お伺いしたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 昨日夕方出ました朝日新聞によるイシコフさんの回答といいますか、意見は、私が交渉したときと一つも変わっていない。 資源は大事である、そして専門家たちは沖取りは全面禁止すべきだと、そういう意見なのだけれども、従来の操業を考えれば、この程度のことはして差し上げたいという気持ちがありありと出ており、しかも今後も資源を大事にする中に考えていこうということだと思うんです。しかも、ふ化場等についても非常に興味がある、今後前向きに考えていこう、こういうことで、あくまでも資源を大事にしながら、日本の漁業者に経済的な波乱が起きないように、こういう思想でございますので、今後もわが国が資源を大事にする、こういう立場で操業もし、話し合いもしていくならば、私は、狭い道ではありますけれども、長期といいますか、かなり長期に、いついつまでとは私は申し上げられませんけれども、イシコフさんが健在で、そしてわれわれが粘り強く話し合っていくならば、この導く灯は消えないものと、こう思っておるわけでございます。
○田中寿美子君 いま大臣がおっしゃいましたように、相当の日数をあちらにいらっしゃったのですから、いま要約されて出てきたものはみんな話し合いの中に出てきたポイントだろうと思います。 ただ、来年についてはどうですかということに対して、ことしの操業の状況によるというようなことを育っておりますね。ことし約束に違反するようなことがあったら、これはどうなるかわからないということで、私は中川農林大臣も違反に対しては非常に手厳しく厳罰に処すというようなことをおっしゃっているように見ておりますが、それでそのポイントの中の今後の日ソ協力は拡大すると言っているのは、これは何を意味しているかということ、それから人口ふ化について日本が提案したことに興味を持っているという答えなんですね。これは日本が技術協力するから、予算を出してソ連の中に、シロザケですか、のふ化の技術を提供しようということを申し出られたのだと思いますが、それに対してソ連は乗り気だったのか、それとも大してこれは問題にしなかったのか、興味を示すという言葉になっておりますが、これはどういうことだったのか。
○国務大臣(中川一郎君) 私が当初申し上げましたように、資源保護はふ化場あるいは河川の開発、こういうことによってやっていこう、そのためには共同としてわが国も応分の負担をいたします、そして資源を守っていきましょうという提案をしたわけです。 そういう言い方もちょっと私は悪かったのかもしれませんが、三角水域をあけてくださいと言ったら、資源がだめになります、だから私はそういう方面で穴埋めしようとしているではありませんか、こういう話をしたら、三角水域を開くための代償としてそれを言うのであれば、それはもうお断りするより方法がありませんという言い方ではあったわけです。しかし、その問題は大事なことだから考えてはおるけれどもというよりは、むしろイシコフさんはこの点についてはもう古くから非常に興味を持っておられるわけなんで、これはイシコフ・高碕会談あるいは河野会談のときから言っておられて、非常に興味を持っておられるのですが、いよいよ詰めの段階になったらそういうことを書こう、前向きでこれをやっていこう、それには日本も応分の協力をするということを書こうという段階になりましたら、実は、わが方の技術者の間でまだ何をし、どういう設計でどういう効果があるかわからない、日本で成功しているというのはシロザケが成功しているのであって、ベニザケが成功しているかどうかはわからない、日本ではまだ成功しておらないことですから。であるから、その点については十分もっと積極的に研究しよう、そしてできるように努力をお互いにしよう、こういうことではあったわけです。しかし、文書の上に書かれましたことは、たしか資料の交換を行うという程度にはなっているわけです。資料交換をしながら技術的な見通しを得てやっていこうということでございますので、向こうはとりあえず三角水域あるいは漁獲量との取引をするほど熱心ではありませんでしたが、やはり長期的には非常に興味は持っておられる、こういうことだと思います。
○田中寿美子君 私の沈みました資料によりますと、ソ連ではもうすでに二十一カ所ぐらいふ化の実験場ですか、そういうものをして幾らか成功しているように伺っておりますね。日本は大変技術が進んでいる国ですから、日本でももうすでに可能性としてはシロの場合は一〇%ぐらいの遡河ができるだろうというようなことを読みましたけれども、ソ連でもうすでに非常に膨大な予算をとってやっているときに、日本がわずか何百億ぐらいでしょうか、出して、その技術協力をするというようなことじゃ大してありがたくもないというふうに思ったのかどうか、そういうふうに私は感じましたが。
○国務大臣(中川一郎君) 松浦部長から少し説明させます。
○説明員(松浦昭君) ただいま先生御質問のように、わが国の技術は、特に北海道それから本州の北部のふ化場を中心といたしまして非常に高い技術を持っておりまして、回帰率が二・二%ぐらいまで上がっております。さらにこれを高める技術があるということで、いま開発中でございます。ソ連も確かに二十数カ所のふ化場を持っておることは事実でございますが、まだ回帰率は一%ぐらいでございまして、これを高める方法というのがわが国の技術の導入によって可能であるというのがわれわれの立場でございます。ただ、ソ連側の学者が申しましたのは、北海道の環境とそれからシベリアの環境は大分違うので、事前によくお互いに打ち合わせをし調査をし、また設計をしてみなければ、北海道の技術を直ちに導入するには時期尚早ではないかという点でございます。その点において議論が違っていたということでございます。
○田中寿美子君 それで、大臣ね、本当の国益というのは、北洋漁業で漁獲する量をたくさん獲得してくるということではもうないんではないか。公海においてそういうことをする、つまり沖取りというのは日本だけがほとんどやっているんではないかと思うのですが、そういう時代ではなくなってきて二百海里時代に入った。日本も二百海里時代に入ったんですから、その二百海里の中で魚の資源が賄える方向に、いままでは遠洋漁業にどんどん出ていっていたのをやっぱり切りかえなければならない時期に来ているんじゃないかというふうに思うのですが、いかがですか。 たとえば、発展途上国がそれぞれ皆だんだん二百海里を宣言するようになった。資源ナショナリズムというのは私は目覚めれば当然のことだろうと思います。日本はいままでどこにもじゃまされないで世界の海から漁獲をしてきた。しかし、よく乱獲と言われるけれども、もうそういう時代ではなくなってきた、それが非常に端的に北洋漁業にあらわれてきている。伝統的に長い間とってきた漁場であるから、これに依存しているわれわれ国民あるいは漁民、そしてそれに関連する水産加工業の人たちなんかを考えますと、簡単ではないけれども、しかし、全体として漁業のあり方自体を、世界の海洋秩序が根本的に変革されつつあるときだから、そういうふうにスイッチしていくことが大きく言えば国益なんじゃないか。小さくと言うか、具体的に言えば、農林大臣は今回北洋漁業に関連した権利を守るために非常に奮闘されたと思いますけれども、そういうふうな考えをお持ちになっておりますかどうですか。
○国務大臣(中川一郎君) サケ・マスは二百海里とは直接関係ないわけです。たとえば今度わが国の二百海里の中でとれますサケ・マスも実は母川国はソビエトなんです。わが国の母川国としてのサケ・マスはソビエトの方の二百海里の中にもおるわけなんです。要は河口でとる、帰ってきたところでとる、こういうのが世界の動きなんです。ですから、わが国も母川国であるわけです。でありますから、母川国として、二百海里とは直接関係なく、ふ化場をつくったり、あるいは環境をよくしたりして回帰率を上げて、たくさんサケ・マスが河口、いわゆる定置というやつですが、とれるように努力をする。 そこで、それじゃ沖取りは一切あきらめるのかということでございますが、これも海洋法の単一草案にも書いてありますように、従来の実績がある場合、社会的経済的混乱を起こさない、こういうことも配慮しようということでございますので、やはり長い間伝統的に操業を続けてきたこの地域における漁業者に社会的経済的混乱が起きないように、一昨年に比べて半分になったわけですから、それだけの童、そしてまた漁業秩序を守って、これぐらいのことはお願いしていってもそう世界の趨勢に逆らうものではない、こういう考え方で話し合いをしていけば、これは私は認められるのではなかろうか。単にいままでのように毎年何ぼか減ってきたということではなくして、こういった基本的考え方でこの問題は対処していきたい、こう思っているわけでございます。
○田中寿美子君 北洋漁業に関しては、私はそうだと思います。全体として日本の漁業のあり方ですね、二百海里時代に入って、これまでのようにどこでも世界の海を漁獲して歩くということはできなくなるんではないか。だから、日本も、それぞれの国が二百海里の中を非常に守るわけですから、二百海里の中に十分漁業資源を育成していくという、そういうことはお考えになりませんかということです。
○国務大臣(中川一郎君) 二百海里時代を迎えまして、それぞれの国が二百海里を宣言し実施しておるわけです。ところが、それぞれの国によって考え方が違うわけです。たとえばニュージーならば魚には興味がありませんから、どうか酪農品をたくさん買ってください、そうしたらとらしてあげますという国もありますし、メキシコその他のように技術協力をしてください、そうすればとっていただいて結構ですという国もありますし、いろいろありまして、長い間、北洋のみならず、世界じゅうの遠洋漁業をやってきたわが国としては、従来の実績があるから、なるべく確保されるように、それぞれの国の希望に応じた対応をして、そして従来の実績を守るようにしていきたい。 かたがた、わが国の二百海里も大事にして、外国にばかりお願いするということだけではなくして、並行して、サケ・マスにおいては先ほど申し上げたようなことをすると同時に、沿岸整備事業というものも二千億で計画しておりますので、これを前倒しに積極的にやる等々、あるいは技術会議等でそういった技術開発というものも相当あると思うのです。こういういままではただ海洋に依存しておったという漁業から大きく転換をして、海外における漁業権益はなるべく確保する、同時に前浜も大事にしていく、こういうことに積極的に取り組まなければならない時代だろうと、こう思うわけであります。
○田中寿美子君 それでは、母川国主義のことについて少し伺いたいと思います。 先ほど農林大臣も二百海里時代は第二年目に入り、母川国主義は初年度だというふうな説明をなさいました。海洋法会議では遡河性の魚類については母川国主義というのを認めるのが大勢でございますね。そういう世界の大勢に対して、日本も原則的にはそれを認めた立場をとっていらっしゃると思います。アメリカあるいはソ連などの母川国主義あるいは日本の考える考え方、それぞれ少しずつ違いがあるように思いますけれども、その辺はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
○説明員(加藤吉弥君) 先生御指摘のとおり、海洋法会議、現在第七会期を迎えておりますが、その会議の場におきましては、いわゆる母川国主義というものが世界の大勢になっております。アメリカ、ソ連、カナダ、こういう国はその考え方に立って母川国主義、つまり遡河性の魚類が二百海里の外、全回遊域にわたって起源に属する母川国に所属する、そういう立場をとり、それをおのおのの国内法に法制化しているわけでございます。これは確かに従来の海洋秩序あるいは漁業秩序に対する非常に大きな変更であろうと思われます。日本も大体こういう考え方をとっておりまして、昨年の五月に公布されました漁業水戒に関する暫定措置法においてもほぼ何様の考え方をとっております。 しかしながら、海洋法の単一草案においても、一方において母川国主義というものを認めると同時に、伝統的な漁業国に対してその経済的な混乱を最小限にすべしという規定を設けており、特に日本のような遠洋漁業、サケ・マス漁業を伝統的に行ってきた国に対する立場にも正当な考慮を払っているわけでございます。 米ソ、それから日本、それを比べた場合にどういう差があるかという点につきましては、一言でいえば、米ソは沖取り禁止、母川国主義というのを非常に強く打ち出しており、日本は、その原則に立ちながら、しかし従来の漁業の実績というものを確保する、バランスをとった考え方に立っている、こういう差が認められるのではないかと思います。このような日本の立場は決して弱いものではない。現に、日ソ交渉は、先方の沖取り禁止という非常な強い原則に対してわが方が伝統的な漁業の継続という主張をぶつけまして、その結果、議定書に書かれておりますとおり、今年についてのサケ・マスの漁獲が認められたわけでございます。このような経緯から照らしてみても、伝統的な実績というものはある程度尊重されており、またその実績もできておる、かように考えております。
○田中寿美子君 私も、いまおっしゃったとおりだろうと思います。 で、アメリカは一九七六年の漁業保存管理法の中で母川国主義について非常に強いものを出しております、排他的漁業管理権という言葉を使っております。すべての遡河性魚種については漁業保存水域を越え、それぞれの魚種の回遊水域全域にわたる、そういうことを言っております。ですから排他的漁業管理権なんていう非常に強い言葉を使っている。ソ連の場合は、主権的権利というような言葉を使っておりますね、遡河性魚類についてはその回遊水域における遡河性魚類にも主権的権利は及ぶと。日本は、昨年の漁業水域に関する暫定措置法、この中で「我が国は、漁業水域の外側の海域においても我が国の内水面において産卵する遡河性魚種については管轄権を有するとの見地から、国際的協調の下に、当該海域における遡河性魚種の適切な保存及び管理に努めるものとする」というふうに言っております。ですから、日本も母川国主義を認めている。そうしなけりゃもう海洋法会議においては孤児になるだろう。日本は非常に大きな漁業国でございますからそうだろうと思うんですけれども、その際に、長い間の伝統を持って世界の海で漁獲をしていた日本の実績、それからそれを無視した場合には、経済的社会的な大混乱を起こす心配があるというものについてはこの限りでない、というのが海洋法会議の草案の中にも出ておりますので、私は、そういう意味で、日本のこれまでの既得権というようなものをどこの国でも一応認めざるを得ないということ、だろうと思うんです。 そこで、これは外務大臣にお伺いしますが、いま第三次海洋法会議ですが、日本の立場というのは、いまのように母川国主義を認めていく、この方針でおいでになり、また海洋法会議の結論がいつごろどういうふうに出ていくだろうというふうにお思いになりますか。
○説明員(久米邦貞君) 海洋法会議におきましては、ただいま先生が御指摘になりましたとおり、母川国主義というのが大勢を占めておりますのは事実でございます。わが国といたしましても、この母川国主義はこれを認めて、母川国主義の考え方に立った上で、わが国の伝統的な漁獲、経済的混乱を回避し、わが国の利益を最大限に確保していくということで海洋法会議に臨んでおります。 海洋法会議の成立の見通しにつきましては、現在、ジュネーブで第七会期が開かれておりますが、ここで一番問題になっておりますのは深海海底の鉱物資源の開発をめぐる国際制度をどういうものにするかという点でございまして、それ以外の問題につきましては大方方向が固まってきておりまして、この深海海底の問題につきまして今会期で実質的な合意が達成されますれば、ここ一、二年のうちに何らかの解決が見られることを期待しております。
○田中寿美子君 いずれにしろ二百海里時代、母川国主義の時代というふうになってきたわけでございますが、それで先ほどもちょっと農林大臣に今後の方針についてお伺いしたんですけれども、たとえば今回は三割以上削減で、ですから船も減船しなければなりませんですね。にもかかわらず、太平洋流し網漁業をやっている小型漁船ですか、太平洋小型漁船の建造されたものが、これも報道によって見たんですけれども、実際あるべき大きさよりはずっと大きいものをどんどんつくっている。これをみんな出したら割り出て量をはるかにオーバーするような、昨年は六万二千トンであったけれども、実際にはその倍もとっているの ではないかというふうに言われているわけですね。それをチェックすることは、それぞれの国が自分の主権で自分の方の責任においてチェックをするというようなことで、ある部分はほとんど見られないで、それでどんどんとっていったというようなことがあったんではないか。今回、そのようなことをやったら、これは協定に違反してくるから、減船と同時に、船の大きさなんかについてもこれは気をつけなければいけないんではないかということなんですが、それはどういうことでしょうか。
○説明員(松浦昭君) お答えをいたします。 確かに新聞の報道にあるような事実につきましては私どもも知っております。特に、この船は太平洋の小型の流し網でございまして、北海道庁の管轄になっておるわけでございますが、私どもも従来からさような船が建造されないように、また、そういうものが漁業の許可の対象にならないように厳重に指導してまいったわけでございますが、先生おっしゃいますように、協定の遵守という立場から申しますと、かような船が今後操業が継続されるということは大問題でございますので、現在、北海道庁を通じまして厳重な指導を行っております。
○田中寿美子君 それで、大臣ね、減船させられる者への補償の問題ですけれども、昨年なんかもその前から見れば非常に減ったために国からの補償と同時に共補償というのをやっております。それは漁業者にとって相当な負担であるというふうに聞いておりますが、今回、その補償はどういうふうになっていくか、つまり漁民対策というものも十分にやることが北洋漁業そのもののあり方を徐々に転換させていく上では非常に必要なんじゃないかなと思うんですけれども、どういうふうになさいますか。
○国務大臣(中川一郎君) 昨年も実は減船をいたしております。昨年のやり方は、共補償と政府の交付金、この二本立てでやったわけでございます。 そこで、また昨年やった措置に引き続いてことしやりますと、まず減船される側から言えば、魚がとれなくなるにもかかわらず共補償を負担している、このものをどうするかという問題が一つあるわけでございます。それから残ります方々には、昨年の共補償がある上に、さらにまた共補償というものができるかどうかという問題、あるいは今度は減船の割合が非常に大きいわけですから共補償の額も大きくなければならない、こういう二重の問題が重なっておりますので、そのことはわれわれも十分承知いたしておりますから、去年の措置の上にどういう措置ができるか、そしてまた、どうやらなければならないか、業界並びに財政当局とよく相談をして早急に結論を出したい、こう思っておるわけです。いずれにしても、やめられる方の生活が安定するように、また出漁される方も経済的な漁獲行為ができる、こういう見通しを立てたい、こう思っておるわけです。
○田中寿美子君 それには水産業界自身も考え方をある程度転換させる必要のある部分があると思うんです。今度のような減船だとか漁獲量の制限だとか禁漁区の拡大は絶対に受け入れられないというようなことを言っている業界の状況が報道されておりますけれども、それでは済まない問題で、したがって今後に対してこういった補償、補償でいっていいものではないだろうと思うんですね。ですから、どういう政策があるのかを伺わしていただいて、私、最後にしたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) これにはやはり業界の理解もないと、先ほど言ったように、おれのものだからとってくるというようなことでは国際的に許されるわけはないわけです。そこで、減船のやり方も、できれば協業でやるとか、たとえば三そうを二そうにするとか、二そうを一そうにするというような従来とはやっぱり変わった考え方も取り入れて、いずれにしても秩序ある操業ができるように、昔のように乱獲してすべてを——というようなことはなかったとは思いますが、そんなように言われるようなことがいずれにしてもないように、長期にこの漁業が維持できるようにわれわれも指導し、われわれも協力しますが、業界自体もそういった気持ちになるように十分指導してまいりたいと思っております。
○田中寿美子君 水産庁あたりではそういう何かプランがないんでしょうか。ただ補償をし、減船は三隻に一隻するとかというようなことで済まないんで、非常にたくさんの人が関係してくるわけですし、さらに船だけではなくて水産加工業で働いている女性も相当いるわけですね。だから、そういうものをどういうふうに積極的な政策で吸収し生活を立てさせながら、日本の漁業自体が世界の大勢に合うものに切りかわっていくというような大きなプランがあってしかるべきだと思うんですね。そのようなことは当然農林大臣は指示していらっしゃると思いますが、水産庁には技術者も相当の人が日本にはいるわけで、そういう人たちが提案するようなことも含めて、政策があったら聞かしていただきたいと思います。
○政府委員(森整治君) 御指摘の問題でございますが、従来ともいろいろ対応してまいっておるやり方といたしましては、昨年の北洋の減船の際に、一つは、まず減船と同時に、逆に調査船なり、それから監視船に使うとか、そういうことでできるだけ予算措置も講じまして相当の隻数は活用をする。たとえばオキアミ——南氷洋のオキアミでございますね、そういうところでございますとか、海山というのがございまして、そういうところのいろいろ開発の調査船に使う。それからいろいろ今度監視船に水産庁が、また保安庁の方にも活用していただくというようなことでいろいろ対応するということが一つでございます。 それから、もう一つは、減船といいましても、これは表と裏とがございまして、裏というのは裏作的な話でございます。たとえて言いますと、カツオ、マグロあるいはイカ釣りあるいはサンマ、そういうように季節を両方合わせて終年操業をしているわけでございます。したがいまして、そちらにウエートをかげながら漁労をしていくという形がどうしてもあるわけでございまして、だから減船で一挙に全部やめられないという問題がまた逆にあるわけでございます。そういう面での対応を何とか考えていけないか。 いずれにいたしましても、百隻を越える船の転用ということになりますと、右から左にすぐ漁場があるということではございません。そういうことで、比較的カツオ・マグロ業あたりはわりに海洋の漁労が自由でございますから、これもいろいろ制限されておりますが、それやこれやをあわせながらとりあえずの対策を講じているというのが現状でございます。一応、お答えになるかどうか知りませんけれども、いままでそういう形で対応をしてきているということでございます。
○田中寿美子君 大臣、大きなところで、いままで私ずっと申しておりますように、日本の漁業のあり方そのものについて、農林省、水産庁、それだけじゃありませんが、すべての政府の機関、あるいは漁業団体も含めて、新しい転換する時代に向かっての指導ということを今後やっていかれる御決意があれば、それを聞かしていただいて終わりたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 先ほど米蔵論がありましたように、二百海里時代あるいは母川国主義というものは非常にそういう漁業に頼っておった日本にとっては厳しい時代だと思うわけです。そこで、先ほど申し上げたように、できるだけ利益を守ると同町に、やはり資源は前浜で育てる、こういうことにすると同時に、いま長官が申し上げたように、漁船の配置等についてもいろいろと総合的に組み合わしてみなければならないかな、再編成をしなければならないかなと、こう思っておりますが、何分にも昔からあります権利関係でございますから容易ではありませんが、新しい漁業秩序の漁業権の再配置というようなものも工夫してみなければならない時代に来ておる、こう思って真剣にこれから研究してみたいと存じます。
○田中寿美子君 終わります。
○渋谷邦彦君 今回、大変厳しい日ソ漁業交渉において大変な努力をされて、それなりの成果を持ち帰った農林大臣に対しまして私も敬意を表したいと思うわけでございます。 先ほど来からの質疑応答を伺っておりましても、いま日本を取り囲む状況というものは予断できないほどの非常に厳しい環境に置かれているということは、これは周知の事実であろう、こう思うわけでございます。 〔委員長退席、理事鳩山威一郎君着席〕 農業者あるいは漁業者、日本の基本的な経済を支えてきたというふうな担い手であったこの農業者、漁業者——農業者は一方において減反を強いられ、漁業者は減船を強いられる、こうした過酷な現実を踏まえて考えた場合に、一体、これからの行方というものはどうなっていくんだろうか。恐らくきょうこうしてこの外務委員会において質疑応答されていることについては、特に北海道を中心とする地域の漁民の方々も死活問題でありますだけに重大な関心をやはり打ちながら見守っているに違いない、こう思うわけでございます。したがいまして、今後、こうした、農業はともかくといたしまして、漁業につきまして、いまもお話があったようでございますが、これを根本的に洗い直して考える必要があるのではないだろうか。 漁獲量が減らされ、そしてまた操業区域が狭められる、今回も非常に厳しいそういう条件をのまなければならなかった、じゃ来年はどうだろうか、毎年毎年同じようなことを繰り返しながら一進一退を続けるということで果たしていいものであろうか、ということは消費者の立場に立って考えてみた場合でも共通のやはり関心というものを持つに違いない、このように思うわけでございます。したがいまして、今後、短期、中期、長期というような展望を考えた場合に、総合的に今後の日本の漁業のあり方というものをここで見面す必要があるんではないか。と同時に、先ほどもちょっと触れておられたようでありましたけれども、いわゆる沿岸漁業あるいは近海漁業とどう連動させながら、いままで長い歴史の中においてたん白源として吸収してきたこの無というものをどう一体これから取り扱っていったらいいのか、生産者の立場そしてまた消費者の立場に立って、いま農林大臣として今後の展望をどうお考えになっていらっしゃるか、それを最初にお尋ねをしておきたいと思うのであります。
○国務大臣(中川一郎君) 御指摘のとおり、ここ数年来登場してまいりましたこの二百海里問題というのがいよいよ現実のものとなり、昨年、ことしと第一年目、第二年目という厳しい中にあるわけでございます。 〔理事鳩山威一郎君退席、委員長着席〕 そこで、先ほど来申し上げておりますように、二百海里に対する対応というのは各国それぞれ違うわけでございます。アメリカはアメリカなりの考え方、ソビエトはソビエトあるいは豪州、ニュージー等々違いますが、第一年目、第二年目で大体この厳しさの実態、そしてこれに対応するあり方というもの、ルールというものが定着してくるのではないか。去年、ことし厳しいからといって、さらにまたアメリカがだんだんだんだん追い出すとは私は思っておりませんし、ソビエトの二百海里においても今後それほど大きな変化があるものではないと思いますが、出てまいります現実は非常に厳しいものがありますので、それぞれ対応すると同時に、長期にこれが確保できるよう、外交の面なりあるいは漁業協力なり各種の対応を講じて安定したものに定着をさしていく、こういう努力がまず必要だろうと存じます。それでもなおかつ相当の過去の遠洋における漁業権益を失うわけでございますので、この点については、わが国も反省すべきところがあった、どちらかと言えば前浜を大事にしないで遠洋を中心にしておった。今度はやはり少資源と言われる日本でもありますし、しかも恵まれた海域を持った日本でもあります。これらについては率直に見直しを行って、国民の大事なたん白質であります魚をこれまた安定的に供給できる、こういうふうに本当に原点に立ち返って、ここ二、三年来いろいろやってきておりますけれども、さらにこれを促進して国民の期待にこたえるようにしなければならない。そういった場合、また漁業者対策としては、やはり権利関係も少し洗い直すぐらいなことをして、今日に見合った、あるいは将来に見合った漁業のあり方というものをも含めて検討しなければならない、こう思っております。 いずれにしても、二百海里の厳しさというものを、私も今度ソビエトに参り、日米加をやり、ニュージーとの対応、豪州との対応、いろいろやってみまして非常に厳しいことを受けとめておりますが、いろいろまた御指導、御意見を承りながら、よりいいものにしていきたい、こう考えるわけでございます。
○渋谷邦彦君 大綱的にはおっしゃるとおりだと思います。ただ、現実的な問題として、早急に解決の糸口を見出していかなければ間に合わない場合もあるんではないだろうかということをわれわれは考える場合がございます。 たとえば、こうした厳しい情勢の中で、生産者の立場であるこの漁業者が果たして将来漁業者としての可能性というものが一体どうなんだろう。これは私自身がいろんな漁港やあるいは漁業従事者の方々にお目にかかってもそうであります。実際に、近海あたりで従事する漁業者の声を聞いておりますと、魚群が探知されたときには、そりや操業ができる場合があるけれども、われわれのように中小零細の漁業者にとってはいつ一体そういう魚群が来るのか、そういう探知もできない。しかし、そうとは言っても先祖伝来漁業者として家を継いできた経過を考えてみると、どうしてもやはり漁業でもって生き延びていかなければならない。それで二十トン、三十トンクラスの漁船をいわゆる銀行ローンでもってつくったはいいけれども、結局、漁獲量が非常に乏しい、そこへ持ってきて魚価がたたかれる。こういうようなことの繰り返しでは一体漁業者としてどう立ち行くことができるんだろう、近海漁業者にとってもそういう大変深刻な声があることは御承知のとおりだと私思うんです。そうして考えた場合に、政府といたしましても、何とかそういう漁業者が立ち行くような方途の一つとして栽培漁業も積極的に取り組んでいかなきゃならぬというような考え方を表明されたことを記憶しております。しかし、現実問題としては、果たしてそうしたことがきわめてタイムリーにいま進んでいるんだろうかというような疑問がやはりぬぐい切れない。 そこへ持ってきて二百里海の問題あるいはサケ・マスの今回の大変厳しい条件というものが折り重なってまいりますと、当然、遠洋漁業者が今度はへさきを変えて沿岸であるとか近海に出漁しなければ立ち行かないというような、非常にそういう面での競合というものがこれから大変厳しい様相を呈しつつ起こってきはしまいかというようないろんな絡みを考えますと、ここでやはりある程度政府は政府として整理をしてあげながら、漁業者の行方というものはこういま政府としては責任を持って考えている、こういう方向で取り和んでいくから安心せいというようなことを、こうした機会に明確に打ち出されるべきではあるまいかというふうに私ども考えるわけでございますけれども、そうしたいろんな絡みの中で今後の漁業者としての活路というものをどういうふうに与えていったらいいのか、その辺はどのようにお考えになっていらっしゃるか、御見解を伺いたいと思います。
○政府委員(森整治君) 確かに先生の御指摘の問題は非常に重要な問題でございまして、日本のやはり基本的には沿岸の見直し、大臣の育っていられる前浜の振興ということに尽きるわけでございます。 それに伴う技術なり、最近の増養殖は相当進んでおりまして、具体的に申しますと貝類なり藻類なりハマチの養殖、こういう沿岸漁業構造改善事業を計画的に進める、それから栽培センターということでいろいろ各県に助成をしながら種苗を供給していくというようなこと。それから増殖事業、サケ・マス、エビ、マダイ、そういうようなものの放流によりまして増殖が可能なものにつきましてはすでにいろいろ措置が講ぜられておるわけでございますが、サケ・マスにつきましては五十五年には十五億尾の放流をする。そうしますと、仮にこれを計算いたしますとどのくらいかといいますと、現在四万トン沿岸でとれていますが、それの倍帰ってくるはずであります。これは一・五の回帰率を掛けまして計算いたしますと、そういうことになる。これは五十五年で、ただいまいろいろ大体計画どおり計画的な事業をやっております。それから国の栽培センター、西日本につきまして、今度北日本にもつくる、冷水系の魚種を対象としました北日本の栽培漁場をつくる。それからいろいろ今後、先ほどもお話に出ました大陸だなの斜面の調査だとか、いろんな開発の調査を行うということで新たな漁場というものを確保する。こういうようなことを通じまして沿岸、沖合いというものの漁業というものを相当伸ばしていかなければいけないんじゃないかということでございます。 もちろん遠洋漁業につきまして、漁業外交なり、いろいろその他の手段を通じまして漁場を確保していくということは当然のことでございますけれども、むしろウエートとしましては、これから新しくふやしていく、また、その可能性が非常にあるというのはやっぱり沿岸の漁業ではないだろうか、こういうふうに考えて、そういう面からいろいろ普及なり活動なり、漁民へのそういう指針というものをもとにいろいろ指導してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○渋谷邦彦君 いまおっしゃられた計画、これも私存じておるつもりでございます。ただし、まだその緒についたというその印象がぬぐい切れないんではないだろうか。もちろん直ちに日本近海を平均的にいまおっしゃったような計画に基づいて一斉にということは大変これは困難であろうと思うんですね。 私は、そうした計画に基づく可能性というものを通じまして、五年後にはこうなる、十年後にはこうなる、二十年後にはこうなりますよと、したがって漁民の皆さん方、政府がいま打ち出したその計画に基づいて全力を挙げてこれに取り組むがゆえに、安心して、いまのところは厳しいけれども、その厳しさを乗り越えてひとつがんばってくれというような、そういうことを与えるわけにいかないのか。そしてまた、与えながら漁民に対してもその理解を深めていただくような措置というものはとれないのか。私は先ほど一つの例を申し上げました、これは三重県の一帯の話を私申し上げているんですけれども。実際は森さん自身がそういう現場へいらっしゃったこともあると思いますけれども、われわれはもう地元へ帰れば、日常そういう方々に会っていろいろ深刻な話を聞いているんです。かかるがゆえに、果たして大丈夫なんだろうかという、われわれ素人が考えてもそういう深刻な反応というものを受けるがゆえに、やはり安心感を与えてあげるというそれが政治じゃないか、こう思うんです。その点どうなんですか。五年先はこうだ、十年先はこうだ、二十年先はこうだという一つの方向づけというものをしながら、漁民に対する、いわゆる生産者に対する安心感を与えながら、何とかいまの実情というものを乗り越えていくような方向へ持っていかせることはできないものか、いかがでしょう。
○政府委員(森整治君) 私どもやっぱり一千万トンの漁獲を確保していくというのは並み大抵なことではないというふうにもちろん思っております。ただ、今後の漁獲なり消費の動向の中で、やはり多獲性魚というものが中心にどうしてもならざるを得ないのではないだろうか、全体の中では。そういたしますと、そういうもののいろいろ消費をふやしていくというようなことの措置も必要でございますけれども、私が申し上げたいのは、そういう沖合いなり沿岸なり、それぞれ一つの具体的な計画に基づいて、いま先生が御指摘になりましたように、もっと具体的な対策を通じて漁民に訴えていくということが必要であろうというふうに思います。 そういう意味では、今度、構造改善事業、これをもう一回見直す必要があると思います。そうしてそれを実際に現場の計画として推進していく体制と、その哲学、その思想というものを改めて練り直すというふうにしたいと考えております。それから沿整事業もございます、これも具体的な計画としていろいろ対応策が講じられております。それからもう一つ、漁村の環境の整備を図っていくということも一つの事業として最近取り上げて、ことしから実施されていく予定にいたしております。これらの要するに総合されたものが現場におきまして、一つの今後の漁民の指針というふうになるように、今後、私ども具体的な計画、そういう指針をつくってまいりたい、こういうふうに考えております。
○渋谷邦彦君 いま確かにいみじくも今後に対する抱負の一端を御被露なさったんだろうと私思うのです。言うなれば、いま非常に大きな転換期という段階だろうと思うのですね。もちろん御専門のお立場でいろいろな地域それぞれに分析もされ、その分析の結果を集約されて、今後政策の上にどう一体反映していくかということをいまお考えになっているさなかだろうと思うのです。 ところが、計画と実行、これが非常におくれる場合がある。したがって先ほど申し上げたような、そこに起こるいろいろな矛盾現象というものから漁民が非常に不安感に襲われるということは、これはここ数年来の一貫した漁民が受けとめる心情ではなかったろうか。いま言うなれば、大変極端な表現で言えば、もう一刻を争うと申し上げても言い過ぎではないくらいの立場に立たされているのが生産業者である漁民の実態ではないだろうか。その辺どういうふうにお受けとめになっていらっしゃいますか。
○政府委員(森整治君) 率直に申し上げまして、先生御指摘のとおり、やはりこういう転換期に当たりまして、非常に漁民の方々が不安といいますか、そういう気持ちに駆り立てられてくるということは否めない事実だと思います。したがいまして、私どもといたしましては、できるだけ実態をよく説明しながら、やはり先ほど申しましたように、今後の指針みたいなものを出しまして理解を得ながら今後の行政を進めていかなければいけないのではないかというふうに考えております。
○渋谷邦彦君 要するに、大変どぎつい言い方かもしれませんけれども、生かすのか殺すのか、そういう段階なんです。あなた方はこうしたことを御存じですか、おやじの苦労を子供には絶対受け継がせない、これが中小零細漁業者の実感なんですよ。全部が全部ではないかもしれません。しかし、ほとんどと言っていいのがいま置かれた漁業者の立場ではないか。 ですから、そういう観点に立って、先ほどから申し上げている最近のいろいろな日本を取り巻く国際情勢の厳しさというものを考えた場合に、その計画を練っておる間に、だんだんだんだん実際に移すその手段というものがおくれていく、かみ合わない、この点をどう一体調整をしていかなきゃならぬのか、本当に漁民が立ち行くような方途というものが考えられるのか。これはむしろ政治的な判断という立場に立って中川さんの御見解を求めた方が私はよろしいのかと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 私も北海道でございますから、魚の本場でございます。確かに、わが国の漁業というのは、遠洋とか北洋とか、そういうところに力点があって、沿岸漁業に対する配慮というものは少なかったと思うのです。たとえば漁港の整備一つ見ても、一番立ちおくれておるということでございます。 でありますから、今回を契機にして、思い切り漁港ならばはっきりこのぐらいでやります、あるいは沿岸整備事業なら地区別におろして、この地域は将来こうなりますと親切丁寧に将来を示して、そうして年次別計画を立ててやっていく。あるいは構造改善もあるわけですから、そういったことを、余り複雑にするとあれですが、できれば地区別に一つのものにまとめて、こういうようなことになるのですよという、まあ農業に示す営農設計のようなものをやはり地区別におろすくらいのことをやるべきではないか、こういう反省に立って、もっとしっかりひとつやってみたいと思いますので、しばらく時間をかしていただきたいと存じます。
○渋谷邦彦君 森長官が先ほどちょっと答弁の中で触れられておった国民の消費量、最近この嗜好が大分変わってまいりました。イワシとかサバ類というものは余り好まれない状況になってきた。むしろ高級魚に消費者の願望というものがつながっているようであります。これも全部が全部とは言えないかもしれません。 したがって魚種の別はともかくといたしまして、年間一千万トンというその数字も先ほどおっしゃられておりましたけれども、いろいろな種類の無知というものが大体一千万トン確保できれば一億一千万の国民の消費にかなうことができるのだと、その消費の面から今度考えた場合どうなるのか。それはどういうふうに受けとめておられますか。
○政府委員(森整治君) 一千万トンと申しましたのは、非食も含んでございますが、食用はそのうちの七五%ということになりまして、その多くの部分は、やはりサバ、イワシの多獲性魚といいますか、そういう種類にどうしてもならざるを得ないと思います。その中で生鮮といいますか、そういう嗜好の中でそのまま食用に供せられるものというのは、私はどうしても最近の消費者の好みとしまして、たとえば骨だとか、そういうものがない形の嗜好のことを言っておるわけでございますが、そういうものと、いま申しました多獲性魚のものと、スケトウを中心としました加工食品、そういうものとに分けられると思いますが、大体、いま申しました一番最初のものと、それから塩乾類によりますいまの多獲性魚の塩乾——薄い塩味のものがいま伸びておる。一番停滞をしておるのが、遺憾ながら、一番とれておる多獲性魚の消費、それがむしろえさ等に回ってしまうというのが現状でございます。そういうわけでございますから、やはりいまの日本の食生活の中で多獲性魚をもう少しいろんな形で消費していただくということをひとつ中心に考えていきたい。それからもう一つは、オキアミ等、新しい資源、これを開発しながら消費へ結びつけていくということが必要だろうということを考えておるわけでございます。 大体の考え方としましてはそういう考え方で、今後、食生活の中で動物たんぱくで畜産が半分、魚が半分、そのウエートが大分落ちてきていますが、それに負けないように、また安いそういう多獲性魚というものを消費するということを考えてまいりたい、こういうふうに考えております。
○渋谷邦彦君 長官のいま安い、また鮮度の高いということはおっしゃるとおりだと思うんですよ。ただ今回のサケ・マスのように農林大臣が大変御苦労なさって七千トン上積みしてこられた、それでも前年度に比較をすると相当量が減っておるわけですね。そのほかの魚類についても同じことが言えると思うんです。 ここで、消費者の立場から考えた場合に、量が減る、当然のことながら希少価値を生み、値段が高くなる。最終的には消費者がその高い値段を背負わなければならない。しかも、今回、ソビエト側に十七億六千万円という漁業協力費ですか、これの提供の申し入れがあったというふうに聞いております。言うなれば、形を変えた入漁料と言ってもいいのかもしれません。これがプラスアルファとして加わった場合に、さらにその魚価というものが高くなって、消費者に及ぼす影響というものは、またこれ物価上昇への一つのきっかけをつくるのではないか。その辺はどのようにわれわれは整理をして受けとめたらよろしいのでしょうか。
○政府委員(森整治君) 確かに漁業協力費なども一つのコストとしての要素にはなり得ると思います。ただ、それは大きな額ではないと思っておりますが、今回、全体といたしまして六万トンから四万トンに漁獲のクォータが下がった、二万トン下がったということ。そういうことが今後サケ・マスの価格にどういうふうに影響してくるだろうかということを考えますと、一つは、現在、在庫状況を調べておりますが、比較的去年に比べますと在庫がまだ相当あるようでございます。 その前に、サケ・マスの価格というのがどういうふうに推移してきておりますかといいますと、去年の四月ごろから非常に上がりまして、その後下がりまして、ことしの三月からずっとわりに落ちついて推移しております。そういう中でいまの在庫がある。それから不足量があるとはいうものの、もう一つ、昨年のいわゆる、私ども言いたくない言葉なんですが、定着しちゃったので使った方がいいかもしれませんが、魚離れという言葉がございますが、価格が上がるために消費が落ちた。これは今度の白井でも指摘をしておりますけれども、事実でございます。それがまた価格が戻ってきて、また消費を戻していくという一つの収束の過程にあると思いますが、そういう経験を経ておりますから、業界——小売も卸もあるいは輸入業者も、そういう今度の問題につきましては慎重に対応すると思います、また、して考えていると思います。もちろん輸入数量は若干ふえるのが当然でございますが、そういうことで十万トン、十一万トン程度の全体の消費というものが恐らくそう御心配のようなことにならずに推移していくのではないだろうか。また、そういうことにつきましては私ども十分監視をしていくつもりでございます。
○渋谷邦彦君 しかし、それにいたしましても量が減るということになれば生産費が高まるわけでしょう。生産費が高くなれば、その流通段階でも当然それなりのアルファというものが加わるわけでございますので、あながちマグロのように商社が買い占めをしてストックしているというような場合と私は違うと思うんですよ、品が少ないんですから。生産費が上がればそれは生産費をカットしますか、それとも消費者にいままでと同じような値段で供給できるという何か調整の仕方があるんでしょうか、単純なことでございますけれども。
○政府委員(森整治君) 実は、水城が減るというよりもクォータが減るわけですから、それに見合う減船はせざるを得ないだろう。したがいまして出漁する方々はそれで一応経営的に成り立つような隻数だけ出る、そこで取るというふうに考えておるわけでございます。したがって、あと問題は、国内で沖取りによりますサケ・マスというのは価値があるといいますか、日本の市場の取引では一番重要なウエートを占めているわけでございますから、それがどういうふうに今後価格の形成のメーカーになっていくんだろうか、それに伴ってその六万トンから四万トンに減った分、あるいはそれ以下での輸入が行われてくるだろうというふうに考えておるわけでございます。それを含めまして、もう一つ去年からの在庫が結構あるという判断、その三つの要素を含めまして、いま私御答弁申し上げたつもりでございます。
○渋谷邦彦君 そうしますと、生産費が多少高くなることは常識だと思うのです、いずれにしろ減船するしないは別にしましても。在庫と輸入というものでバランスが十分とれて、現行価格というものが大体維持できるというふうに見ているわけですか、重ねて確認でございますけれども。
○政府委員(森整治君) 私どもは、そういうふうに見ておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 かつてマグロの件は何回も話題にされたような経過がございまして、もうわれわれいやと言うほど苦い思いをした経験があるわけです。しかし、こうしてサケ・マスというものが高級魚でなかなか一般の消費者の口には入らぬというようなことになりますと、そのまた危険性というものが起き得ないとは私は限らないと思うんですね。そこで、そういう商社やなんかに対して、いままで行政指導の結果、果たしてどういう実効が上がったのかどうなのか。なるほど魚は安い、これは魚離れにはならないと、そういう確信がおありになりますか。
○政府委員(森整治君) やはり水産物というのは、日本の国民の長年の中心の動物たん白としての嗜好からいろいろな位置づけから成り立っておると思います。したがいまして国内産——最近は非常に輸入物も多くなってきておりますけれども、全体の動物たん白の中の肉と魚とのバランスから申しますと、中心ではあるけれども、やはり豚なり鶏なり、そういう肉の消費というものが、最近の傾向から、またコスト的な問題から、今後伸びてくる、だけれども、やはりそれは値段との関係だと。したがいまして、その値段が肉に対抗できるものでない限りは衰退をしていくということになるわけです。 そのことは十分関係者、それはむしろ流通の業界の人たちも非常に最近は痛感をいたしておるわけでございまして、当然、いろんな、流通の合理化という言葉がいいかどうか別にいたしまして、流通経路が多様になってきている中で、私どもはやはりそうもう高い魚を求めていく時代ではないということを口を酸っぱくして漁民の方々にも申し上げておりますし、それは大手の会社の方々にも申しておりますし、流通業界の方々にも当然申しておるわけでございまして、恐らく去年からことしにかけてが一つの転換期にあるんではないだろうか、また、これで落ちついていかせるように、私どももあらゆる面から努力をしてまいりたいというふうに思います。
○渋谷邦彦君 確かに経済企画庁あたりでも、いかにして大衆魚をうまく食わせるかということで腐心をしているようです。しかし、実際には大衆魚——先ほど私若干触れましたけれども、いわゆる希少価値の高い高級無というものに大体最近偏りつつある。その辺も整理をしながら、消費者の立場というものを常に当事者はお考えになっていらっしゃると思いますけれども、必ずしもかみ合わないできた、これが実態です。だから魚離れなんということがいみじくも言われるわけですので、そういうことが全くこれからはないということは、なかなか全くということは不可能かもしれませんけれども、そういう方向へ全力を挙げて取り組んでいただきたい。これは生産業者を助ける意味も含まれる、連動するわけですから。その点を特に私は今回の協定を通じまして、それに関連する問題として、強く要求しておきたいと思うんですね。 それから、先ほどオキアミの話が出た。これは新しいたん白源として脚光を浴びていることはわれわれも知っております。さてそこで、中川さん、先ほど二百海里は世界的な趨勢というお話の中で、要するに端的に言えば、さらにこれからも厳しい事態になるであろう、それはわかります。ただね、地域によっては大変、日本の漁業者にぜひ来てくれないかというようなところがあるんですね。これは先般も、きょうは領事移住部長は来ていないかもしれませんけれども、中南米の奥の方、あれはどういうふうにまとまったかどうか知りませんけれども、一万五、六千人の漁業従事者を迎えるだけの用意はあると、それがどういうふうにその後煮詰まっているかどうかわかりません、こういうところもあるわけです、一例を挙げれば。ですから、新しい地域の開発というものがそういう形になってやはり総合的に進められるということが望ましいんじゃないかということ。 それから、実際に魚を食べる国民と余り食べない国民、いろいろあるわけです。最近、ソビエトあたりは、肉牛が非常に減産をしているために、そのたん白源を魚に求めるというようなことから大分厳しい状況に追い込まれて、二百海里問題がその先端を切ったんだろうというふうに言われておりますね。確かに一方においては牛だとか豚が少ないために魚に頼ろうと、いろいろな国があるだろうと思うんですね。しかし、一方においては、またいま申し上げたような例もある。やはりこういう点も一考に値するばかりではない、具体的にこれを進めることが漁業者としての活路を新しい天地に求めて開かしめる方途ではあるまいか。で特に中南米、あるいはアフリカ、それからオーストラリアだとかニュージーランドのさらに南の方、そういった地域についての実際の調査もすでに進んでいるはずでありますし、また、そういう隣接する国々といろいろな話し合いも持たれているというふうに私は思うんです。で、その状況というものはどういうふうに進んで、これから日本としてかけがえのないそういう地域の開発というものに望みが託せるのかどうなのか、こういったところを総合してお述べをいただきたいというふうに思うわけです。
○説明員(松浦昭君) ただいま渋谷先生御指摘のとおり、なかなか北洋の方の漁獲がむずかしくなってくる実情から、いままでは採算的に合わなかった地域でございますけれども、中南米の地域あるいは豪州、ニュージーランド、またパプア・ニューギニア、さらにアフリカの諸国といったような水域に目をつけまして、ここに進出をしていかなきゃならないという実態はまことにそのとおりでございます。その中でも、たとえばアルゼンチンにつきましてはすでに協定が結ばれまして、この水域に入れるといったような状況になりまして、またチリ等につきましてもここに入ってくる、あるいはメキシコにつきましてもそのような話が進められているといったように、逐次、着実にそのような話を進めておるわけでございます。 ただし、これらの地域におきましては、幾つかのやはり向こう側の条件がございます。また、自然環境から申しましてもなかなかむずかし点もございまして、一挙にこれが進むということにはなかなかまいりません。また、先ほど大臣もお触れになりましたように、ニュージーランドにつきましては畜産物の問題等が絡みまして、別の問題でむずかしい問題が出てくるというようなところもございますが、国際協力事業団あるいは海外漁業協力財団といったような資金あるいは技術を活用いたしまして、できるだけこれらの地域に今後ともわが方の漁獲努力を展開していくという方式はじみちにとっている次第でございます。
○渋谷邦彦君 残余の質問については、再開後に行わさしていただきたいと思います。
○委員長(安孫子藤吉君) 午前の審査はこの程度にとどめ、午後一時十分まで休憩いたします。 午後零時三十八分休憩 —————・————— 午後一時十四分開会
○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び北西太平洋における千九百七十八年のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件及び北太平洋の公海漁業に関する国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を一括して議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言願います。
○渋谷邦彦君 次に、お尋ねいたしたいことは、協定の第二条でいろいろ日ソ間における協力のあり方について取り決めがなされているようでございます。午前中にも若干こうした内容についての質疑応答があったようでございますが、大変これは専門的な分野にわたる中身ではないだろうかというふうに思います。 ただ、われわれが直感的に感じますことは、こうした取り決めというものが具体的にどういう方法に基づいて実効というものが上がっていくんだろうか、確認の仕方があるんだろうかということでございますね。その点、確認の意味でこの機会にお尋ねをしたいと思いますので、お述べをいただきたいと思います。
○説明員(松浦昭君) 漁業協力協定第二条に基づく協力につきましては、ソ側も非常に積極的でございまして、私どもとの間に専門家同士でいろいろ話し合った次第でございます。その結果、漁業の分野における科学技術協力の基本方向という文書を作成し、また、これに基づく本年の具体的な計画も話し合って決めてまいりました。その結果、主たる内容としては、資料の交換、共同研究、専門家を相互に派遣すること、それから種苗、これは稚魚とかあるいは卵でございますが、これを交換する、といったようなことを内容にいたしまして具体的な取り決めをいたしてまいった次第でございます。 特に注目すべき点を申し上げますと、ソ側がわが方からの協力につきまして特に要請いたしておりました注目すべきポイントといたしましては、先ほど大臣がお触れになりましたサケ・マスの人工ふ化増殖に関する資料、これをぜひ欲しいということを申しておりましたことと、またサケ・マスのみならず一般的に栽培漁業、増養殖漁業につきましても資料をぜひ欲しいといったようなことを申しておりました。それから漁労に関しましては、特に魚群探知技術あるいはトロールの技術といったようなものについての資料が欲しい。それから、なお注目すべき点としましては、従来までにございませんでした加工、保蔵、冷蔵といったような分野での資料あるいは専門家の交換といったようなことをいたしたいということを言ってまいりました点が非常に注目された次第でございます。 わが方も、また、この協力協定によりまして、たとえば魚苗の知識の交換とか、あるいはオキアミの技術の交換とか、そういったことができるようになっておりまして、この点につきましては双方とも利益がございますし、また、将来、これが日ソの漁業関係をより一層発展させるために非常に有効な手段だというふうに考えている次第でございます。
○渋谷邦彦君 昨年、日ソ、ソ日漁業協定が締結された際の条約の内容にも、これと共通したものが盛り込まれていたように記憶をしております。したがいまして、これは今回に限った問題ではなくして、日ソが協力し合って漁場の確保、資源の開発等々、それに基づく資料の交換。その資料の交換に基づいて具体的にもう効果があらわれているのかどうなのか、むしろこれからその効果を待たなければならないのかという問題。これはなかなか専門的な判断にまたなければならない分野かもしれませんけれども、一見すると海水、淡水、いろんな技術的な交流、資料の交換というものを重ねながら行われていくんだろうというふうに思うわけでありますが、何か具体的にいまその結果としてあらわれているものがございますか。
○説明員(松浦昭君) すでにこの協力につきましては、一九五七年につくっておりますところの日ソの科学技術協力協定というのがございまして、これに基づきまして毎年資料の交換あるいは専門家の派遣等はやってまいったわけでございます。特に、わが方にとりましては、たとえば魚苗の知識といったようなものはこれからかなり吸収したケースもございますし、またソ側にとりましても、たとえば増養殖技術等につきましては、相当彼らは技術を吸収していったんじゃないかというふうに考えられます。特にサケ・マスの人工ふ化場には何度も訪ねておりますし、また、同時に、そのほかの、たとえば栽培センター等におきますところのわが方の技術、これはかなり克明に向こう側は勉強して帰った次第でございます。 しかしながら、まだ専門家の交換の人員等につきましても限られておりますし、また資料につきましても限られた範囲でしかなされていなかったわけでございますが、この協定を結ぶことによりまして、さらにこれを拡大してまいりますれば相当な効果があらわれてまいるというふうに考える次第でございます。
○渋谷邦彦君 いままでの漁業操作と言った方がいいんでしょうか、の点を考えると日本の方がはるかにレベルが高い。これは漁具等についても同様のことが蓄えるという評価がなされているようでございます。そうしますと、ソビエトの方から提供される資料とか技術というものについては、そうわが方としては得るものが非常に少ない。果たしてこうしたいろんな資料の交換、技術協力というものをやって、日本にとってはどれだけのメリットがあるのかという点はいかがですか。
○説明員(松浦昭君) 確かにわが方の漁労技術は相当進んでおるものでございますから、あるいは加工技術の分野においてもソ連をかなり抜いておりますので、わが方が向こうから得るよりもわが方が向こうに与える方が大きくなるという事態であるとは思います。 しかし、われわれにとりましても、たとえばソ連が行っておりますオキアミの技術あるいはその加工の技術といったようなものを知ることは非常に重要でありますし、また、魚苗の知識、先ほどから申しておりますが、これらについてはかなりの知識を吸収したと思います。さらに、今後、必要な項目といたしましてわが方が期待しておりますのは、環境馴化——ちょっとむずかしい言葉でございますが、要するに、ソ連産のスズキとか、あるいはコイとか、あるいはそのほかの幾つかの魚がございますが、ペリアジなどという魚もございます。こういったかなり成長が早くて、しかもわが方の淡水等に適応ができるはずの魚を稚魚の段階で向こうから入れまして、これを環境に馴化したいというようなことによりまして、わが国の水産に寄与するということも期待できますので、われわれもこの技術の協力によって得る点はあるというふうに考えております。
○渋谷邦彦君 次に、今回の取り決めに従って、特に禁止されている区域についての侵犯というものは、日本政府としても自主的に規制というものを強化する方針が、中川さん自身お述べになったようでございます。ただ、従来二百海里が宣言された後におきましても、いろんな手続上の問題あるいは言語の問題、初めての経験等々ふなれな点があって、日本の漁船が大変ソビエト側に拿捕されたという苦い経験を持っておりますし、また不当と思われるような罰金というものも取られたということを味わっているわけであります。 今回は、むしろ日本側として、そうした侵犯をした場合には、初犯においては二週間でございますか、それから累犯の場合にはその年一年間は漁業に従事することができないというような方針を打ち出されたように伺っておりますが、この点は間違いございませんか。
○国務大臣(中川一郎君) 間違いございません。 ただ、追加いたしますと、ソビエト等がやる場合は、単純なミスだとかというようなことで本当に軽微なものでもばちっとやられる場合がある。その点はひとつ専門家同士で話し合って、そういう間違いのものは見逃すといいますか、軽くするといいますか、そういうことも専門家同士で打ち合わして技術的な点の意見の交換、めどというようなものもつくって適正を期すようにしてきた次第でございます。
○渋谷邦彦君 今回、日本として自主的にそういう事態を引き起こさないための措置としてはよく理解できると私は思うのです。ただ、大型の場合は別といたしまして、中小漁船の場合、悪意を持って侵犯するということはまず考えたくないんですね、例外はあるかもしれません。そうした場合に、事前の防止策として、海上保安庁なりがその地域を遊よくしながら、侵犯のおそれがあると思われる場合には、警告を発するとか、何とか被害を最小限度に食いとめるような方向というものが考えられないものかどうか、この点いかがですか。
○説明員(松浦昭君) ただいま私どもの方で考えておりますことは三つございます。 まず第一は、まだモスコーに専門家を残してきておりまして、実際の操業日誌の書き方その他につきまして、まだ細かに打ち合わせをしております。これはきちんとまとめましてそれを漁民に指導したい。それによって日ソ双方の誤解によりますところの侵犯事件、こういったものを激減させていきたいというふうに考えるわけでございます。 それから第二に、何と申しましても、出漁前の指導ということが非常に重要だと思います。したがいまして日ソ間で話し合いました事柄につきましては、徹底的に漁民を指導するということをやってみたいと思います。 それから第三に、監視、指導の体制でございますが、水域が狭くなりましても、わが方の水産庁の監視船はそのままの隻数を維持いたしまして、特に警戒すべき水域というものを重点的に指導していくというつもりでございます。特に、わが方の監視船に乗り組みますところの監視員につきましてもベテランを配置するということで人選も進めておりまして、万全を期してまいりたいというふうに考えている次第でございます。
○渋谷邦彦君 せっかく海上保安庁の方においでをいただいておりますので、重ねて関連しながら申し上げるのですが、当然、海上保安庁としても水産庁と緊密な連携のもとに、いま申し上げたように監視体制——監視という言葉も私は余り好んで使いたくないのです。できるだけ事故防止ということから連係プレーというものが当然要求されてくるだろうと思うのですが、何回か当委員会でも私問題にしたことがございます。 現在の海上保安庁の配備された舟艇あるいはヘリコプターで万全を期することができるのかどうなのかという問題。そしてまた今回も初めての試みでありますだけに、当初だけでも何とか総力を挙げてその地域における事前の対策というものが現在考えられているのかどうなのか、この点いかがですか。
○説明員(森孝顕君) 海上保安庁におきましては、サケ・マスの漁期を前に、事前に十分漁船の乗組員あるいは船主その他の関係者に対しまして、海難防止講習会とか、あるいは巡回講習会といった機会を利用しまして、十分に関係法令の周知徹底を図るということを本年も実施していく所存でございます。 また、現場におきましては、まず航空機等によりまして、現場における漁船の操業の実態というものを十分に把握いたしまして、巡視船をそれらのサケ・マスの操業海域に前進哨戒いたさせまして、そして水産庁の監視船と密接な連携を図りながら海難の救助体制をとりますとともに、法令の遵守励行、こういったことにつきまして万全の指導体制をとりたい、かように考えております。
○渋谷邦彦君 現在の体制で万全が期せられるとの確信がございますか。
○説明員(森孝顕君) 先生御承知のとおり、昨年、海洋二法が施行されまして、これに伴いまして五十二年度以降ヘリ搭載型の巡視船あるいは千トン型巡視船といった大型巡視船の整備、あるいはまた航空機の整備といったものを鋭意図っておるわけでございますが、これらも加味いたしましてサケ・マスの安全操業体制に万全を期したいというふうに考えたわけでございます。
○渋谷邦彦君 いずれにしても、もし体制に不備の点があれば、十分その点は考慮もされていると思いますし、いまおっしゃったような方向に向かって事なきが得られるように万全を期していただきたい、こう思います。 限られた時間が参りましたが、最後に、いずれにしても、これから大変厳しい情勢を踏まえて、いろいろ鋭意検討もされ分折もされ努力もされていらっしゃる農林省といたしましても、今後いろいろな事態の変化というものが私は考えられると思いますし、それに円滑に敏速に対応できるように、ぜひこのことを要望しながら、漁民の安定、消費者の安定を図っていただきたい、中川さんに特にこの点をお願い申し上げておきたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) しかと承りまして、しっかりやりたいと思います。
○立木洋君 大臣、今度の日米加の漁業交渉、さらに引き続き日ソ漁業交渉で大変だったと思うんですけれども、今度の両方の漁業交渉の問題をめぐっていろいろ新聞紙上でも報道されております。先ほどその一端を、批判的な見解も大臣は述べられましたけれども、日本の外交の対応の仕方として誤算があったんではないかというふうな一部の報道もありますし、あるいは一方では、沖取りが禁止されるというふうな状態の中で、四万二千五百トンですか、そこまでよく努力されたんではないかというふうな評価等々もありますけれども、今度の両方の漁業交渉全体を通じて、大臣としてはどのように評価なさっておられるのか、その点最初にお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) 正直申し上げまして、私は、昨年二万トンが減っておりますから、ことしは二回続いてそう大きな変化はなくして妥結できるものではないかと、こういう判断に立っておったことは事実でございます。また、それを裏づけるものとして、技術協力といいますか、栽培センターないしはふ化場等というものについて相当前向きで協力するならばという感じを持って訪ソをしたわけでございます。行ってみて、私の予想外だったのは、単なる二百海里時代とかあるいは母川国主覇ということではなくして、資源を大事にしよう、この資源というものは本当に大事な時代なんだ、これはわが国にとってばかりじゃなく、日本にとってもこういう資源は大事にしましょうと、この点が非常に私としては攻めにくいといいますか、反論しにくいといいますか、それはいかぬという材料にはならなかった。この点が誤算と言えば誤算、甘いと言えば甘いと言えると思います。 ただ、ああいう厳しい中ではありましたが、こういう新しい母川国主義とかあるいはまた資源を見直す時代にあって、イシコフさんが一番大事な三角水域の一部をあけてくれたこと、それから旗国主義というものを認めてくれたこと、漁獲量も若干なりともふやしてくれた等、まあまあ厳しい中にはよくやっていただいたなあという感じもございます。 ただ、結果としては、申し上げますが、三割方の減船をしなきゃならぬ。長年操業してきた人が北洋から離れる、こういう実態が残ったことは事実でございますので、この点は残念であり、申しわけないなあ、こういう感じでございます。
○立木洋君 日ソ漁業交渉もさることながら、日米加漁交渉の段階で新しい漁業水域規制が出されて、それを日本が認めた。その時点で、事実上ソ連側としても新しいまた禁漁区を出してくる可能性というのももうその時点から想定されたと思うんですね。ですから、日米加漁業交渉の段階で、もう少し、もちろんアメリカ側が資源の問題を提起しておると思うんですけれども、こういう禁漁区をさらにふやすという点では、伝統的な漁業実績については急激な打撃を与えないという海洋法の単一草案の内容もあるわけですから、もう少し日米加漁業交渉の段階で努力ができなかったものだろうかというふうな感じがどうしてもしてならないんですが、その点はどうだったんでしょうかね。
○国務大臣(中川一郎君) その点は、実は、ソビエトと昨年二百海里調整をやったわけですね。しかも二万トンの調整を——八万トンから六万トンにしたわけです。それに対応するアメリカの調整ということで、多年の問題ではありましたが、二百海里時代を迎えて、ソビエトはああいう対応をしたのだから、あのラインを百七十度の線まで、すなわちアリューシャン列島二百海里の先端まで持ってきてもらいたい、その対応がソビエトの去年やった分に対するものである、こういう受けとめ方で、まるっきりソビエトにやってアメリカにやらぬというわけにはいかぬ、こういう判断のもとに、五度押し返して、百七十五度でございますか、しかも百七十五度というと、アメリカの二百海里水域も相当わが方に入るといいますか、操業水域に入るわけです。 その点もイシコフさんにあったんですが、アメリカの二百海里はこうあったのを、こっちの力を削って縦に調整したんで、ソビエトがやった対応をアメリカにやったまでのことで、しかも二百海里の中を許してくれているということから言えば、アメリカがやったからまたさらにやらなきゃいかぬということはないんじゃないでしょうか、こういう式のお話をしたところでございます。それが私の考え方であり、そう思っておったんですが、向こうとしては、アメリカが減った分ということもありましたが、要は、その資源がなくなったら困るので、三角水域、すなわち下から上がってくる分だけは、これはあけてもらいたいということだったわけです。ですから、束から入ってまいりますあの地帯は縦にずうっとあけてあげたんだから、まあこれだけあければ相当できるだろうし、自分の誠意も理解してほしい、こういうことであったと存じます。
○立木洋君 アメリカやカナダが北米産のサケ・マス資源の保存上いろいろ悪い影響が出てくるからということが主張されたというように新聞で見たわけですが、アメリカ側がこういう新たな規制を設けた根拠といいますか、そのアメリカ側の主張ですね、アメリカやカナダ側の主張、それに対してまた日本側としてはどういうふうな主張をしたのか、その両者の主張の内容について若干説明していただきたいんです。
○説明員(北村汎君) アメリカ側の主張の根拠は、一昨年の四月にアメリカで成立いたしましたいわゆる二百海里法に基づいて、アメリカが遡河性の魚種に対してはもう全回遊水域を通じて管轄権を持つ、こういうことになったので、現行のこの三カ国の漁業条約はそれに不一致の点があるから、その不一致をなくすように再交渉するということで臨んできたわけでございます。 当初、先ほど農林大臣からも御指摘がありましたように、アメリカの主張は非常に厳しいもので、一匹でもアメリカのサケが泳いでおるところは、これはもう日本に入ってもらっちゃ困るということで、東経百六十度とか百六十五度、そういう非常に広範な禁止区域を設定することを要望してきたわけでございます。それに対して、ただいま大臣からもおっしゃられましたように、わが国のサケ・マス漁業の安定的な操業、そういうものを考えて、仮に混淆水域においてアメリカあるいは北米系のサケ・マスが一、二%ぐらい混獲されるというようなことがあっても、その大多数が他のサケであるならば、そこでの操業はさしてもらいたいということで非常に強くがんばりまして、その結果、向こうの二百海里の中も、それから公海においても、ある種の制限、すなわち操業開始日とかあるいは操業隻日数というような制限をつけるということはございましたけれども、とにかく一つの地域をあけさせるということにいたしたわけでございます。
○立木洋君 日米加漁業交渉で、もう少し努力してもらいたかったという気持ちはどうしてもぬぐえないわけですけれども、日米加漁業交渉の場合には、サンフランシスコ条約が結ばれて三年後ですか、一九五三年に発効して、あの時点ですでにサケ・マスについては西経百七十五度以東については自発的に規制をするというふうなことが設けられて、それを事実上日本としては受け入れてきた。今度新しい二百海里の段階になって、そういうふうな経緯を踏まえてどうしても強力に交渉ができないというふうな問題が日米加漁業交渉の内容としてはあったんではないだろうか。そういうことがひいては今度また日ソ漁業交渉にはね返って、アメリカで認めておるのに何だと、これは新聞の記事ですけれども、そんなにおっしゃるんだったらひとつアメリカの方に要求してサケ・マスをとらしていただいたらどうですかなんてなことを書いている新聞もあったわけですが、この間も外務大臣が言われておりましたけれども、特定の国に対しての交渉姿勢の場合には、どうしても弱くなりがちな側面があるというふうなことも大臣は別の問題で認められておったわけですけれども、そういうふうな懸念というのは今回の場合全くないわけですか、その点どうしてもはっきりさしておかないと。
○説明員(北村汎君) ただいま先生御指摘のとおり、サケ・マス漁業については長い歴史がございます。戦前の一九三〇年ごろから日本とアメリカとの間ではいろいろやりとりがございましたし、それから戦後すぐにトルーマン宣言がありました。そして講和条約が発効してから、その講和条約の第九条によりまして日本は関係国と漁業条約をつくらなきゃならぬという義務を負ったわけですが、その漁業条約ができるまでの間、吉田・ダレス書簡というものによって日本は自発的な抑制をやったわけでございます。そういうようないろんな歴史的な経緯があり、そして一九五二年に交渉され、五三年に発効した現行の日米加漁業条約におきましては、公海上に西経百七十五度の線を引いて、その以東では自発的にこれを抑止するということが決まったわけでございます。これは公海における漁業というものは原則として自由であるべきであるという考え方は、これは当時においてはあったというわけでございます。ただ、その場合に、漁業実績のない国はそこではとらない、それから漁業実績のある国は過去の実績以上にはとらないというような、そういう考え方に基づいて日本側としては自発的に抑止するんだということで、大体、当時としては考えられていた混淆水域のあたりが西経百七十五度であろうということで、あそこに線を引いたわけでございます。 ですから、もともとの考え方はやはり実績のないところではとらないということでありましたので、そういう線引きになったわけでございますが、その後、いろいろ科学的な調査も進み、北米系のサケ・マスは西経百七十五度を越えて西の方にも来ておる、こういうようなことで、それから二百海里時代に入りましたし、アメリカの二百海里は相当広く、そこの西経百七十五度よりも西に入ってきております。そういうようなことで、先ほど申し上げましたように、禁止区域あるいは制限区域というものを設けざるを得なかった次第でございます。
○立木洋君 母川国主義といいましても、これは主に問題になっておるのはアメリカ、ソ連、カナダというところですね。今後もやはり、先ほど農林大臣も言われましたけれども、遠洋漁業の問題についても沖取りの問題についても全くやめるということではもちろんない。やはり伝統的な漁業の実績を尊重しながら相手側ともよく話し合って、可能な限りやっていけるというふう努力もさらに続けられるんだというお話ですから、日米加漁業交渉についても、あるいは今後の日ソ漁業交渉についても、統一的に対策を立てながら、こちらの主張が筋が通るような、先ほど大臣は一部では誤算もあったかのように述べられましたが、そういう点は十分に外交折衝の問題としてもやっていく必要があるんではないかと思うんですね。 話は変わりますけれども、先ほどの答弁でも出ておりましたが、二百海里の新しい時代になって沿岸、沖合い漁業という問題が非常に重視されてきたし、政府としてもこれは重視しなければならないということは再々申し述べられているわけですが、予算としてもふえましたですね、沿岸漁業整備の予算もふやされているわけですが、しかし、五十三年度の予算の内容から見ますと、いろいろと巨大な開発のプロジェクトを含むいわゆる公共事業というのが沿岸で大量に行われる。たとえば苫小牧の問題にしましても、あるいはむつ小川原ですか、それから秋田湾、志布志湾、さらには原油の備蓄構想なんかに伴う原油洋上備蓄等々の問題、こういうふうな開発が沿岸でどんどん進められている。これは今度沿岸漁業を重視しなければならないと言われておりながら、やっぱりどうしても影響が生じてくるんじゃないかと思うんですね。こういう沿岸部における開発というのが沿岸漁業やなんかに対してはどういうふうな影響があるというふうにお考えになっておられるのか、その点お答えいただきたいと思うんです。
○政府委員(森整治君) 私どもは沿岸の漁業を振興していくという立場でございますから、少なくともそういう漁場を失わせるようなことは余り好まないということの立場でございます。ただ、全体として、やはりいろいろ開発事業、あるいはことに最近は電源開発の問題あるいは原子力発電の問題、そういうことからしますと、どうしても海を使うということは避けられない現実でございます。そこで、私どもは、そういう影響が漁業に対しましてあるという前提で——当然あるわけですが、そこの漁業への影響なり周辺の環境に及ぼします影響というものを調査いたしまして、そういう影響が最小限に食いとめられるように配慮すると同時に、地元あるいは関連の漁業者の同意を前提にいたしまして、最近のあれで言いますとアセスメントを行いまして、その被害が最小限にとどまるよういろいろ対応をしていくということでおるわけでございます。大局的な見地からの開発、これはやむを得ないというふうに思います。
○立木洋君 政府がやったと思うんですけれども、全国の主要漁業の総点検調査というのを何年か前におやりになったと思うんですが、埋め立てや公害による漁業権を放棄しなければならなかった面積がどの程度の面積なのか、それから公害などによる突発的な漁業被害が年平均どの程度、何件ぐらい出ているのか、それから公害による沿岸漁業の被害は生産量に換算すると一体どの程度になるのか、そういう点については調査の結果はどうなっているでしょうか。
○政府委員(森整治君) ちょっと突然のお話でございますが、現在の手元の資料でお答えいたしますと、いろいろ油、赤潮、そういう以外のものの公害によりますいわゆる突発的な漁業被害ということで言いますと四百六十六件、被害額三十五億ということになっております。これは内水面も含めてでございまして、海面につきましては三十二億、二百四件でございます。
○立木洋君 遠洋漁業については先ほど言ったような減船をしなければならないような事態になってくる、一方では沿岸漁業の振興ということで予算をふやして努力をしながらも、しかし、それも埋め立てだとか、あるいは開発等々で漁場が狭められていくということになってくると、これは漁民にとっては大変な問題になると思うんですね。こういう点についてはやはり漁民にそういう被害を及ぼさないようなもっと強い立場を農林省としては確立する必要があるんじゃないかと思うんですよ。今後の沿岸漁業とそういう開発とが競合するような場合、どういう基本姿勢で臨まれるのか、その点、大臣のお考えをお聞きしたいんですが。
○国務大臣(中川一郎君) こういう時代でもありますし、こういう時代じゃなくても水産資源というものは非常に大事なものですから、しかも長期的に日本民族永遠の宝ですから、それを粗末にするようなことがあってはならないという原則はまさにそのとおりでございます。しかし、だからといって日本に工業立地は一切許さないというわけにも、これもまたまいらない。電気は要らないというわけじゃなくして、電気がなければ何もできないいまの日本でもございますから、どちらも国策として必要なことだと思うんです。 そこで、被害を与えない地域あるいは被害のない方法、こういったことに十分配慮して、最小限度の被害、できるならば被害なしの工業立地、こういうようなところへ一生懸命努力する、細心の注意を払う、こういうことで接点を求めていく以外にないだろう、こう思います。いずれにしても厳しい時代でございますから、その辺のところは十分われわれ水産、海を守る者として頭の中に入れておきたいと存じます。
○立木洋君 沿岸漁業の開発というのは大臣が言われたように非常に重要で、今後重点の一つになるわけですから、ぜひその点やっていただきたいと思います。 それで、今度の遠洋漁業のこういう事態に関して減船の見通し、三割ぐらいになるだろうというふうなお話が出されておりますが、これに対して、午前中の質疑でも出されましたが、大臣十分おわかりのように、共補償ではとてもやっていけないというふうな声が漁民の中では大きな要望になっておると思うんですね。少なくとも基本的には政府補償でやっぱりやるという方向でぜひ努力していただきたいと思うんですが、その点重ねて大臣の決意をお伺いしておきたいと思うんです。
○国務大臣(中川一郎君) 去年、共補償しながらの減船をやって、さらに今年でございますから、去年のような仕組みでは対応し切れない。やはり共補償が非常に厳しくむつかしいという前提で、できるだけの財政措置を講じて、出る人も残る人も成り立つような方向を責任を持って見出したい、こう思います。
○立木洋君 この点も基本的には政府補償という方向で努力がされるように重ねて要望しておきたいと思います。 それから、けさのニュースでも出されておりましたけれども、亀長大日本水産会会長ですか、ソ連のリパーノフ魚類海外輸出公団総裁との間で今度六件ぐらいの共同事業をやらしてもいいというふうな意向だというふうにニュースでは報道されておりましたけれども、この共同事業についての政府としての基本的な考え方、それからどういうふうな対応で臨まれようとしておるのか。一応、新聞では森長官の話は見たわけですが、新聞でははっきりしないので、重ねてお伺いしておきたいと思います。
○国務大臣(中川一郎君) このことは先ほど触れたところでございますけれども、そういった動きのあることは私どもも承知いたしておりました。そこでソビエトへ参りまして、イシコフさんとの話し合いの間に向こうから触れられまして、日本の業者あるいは団体から共同事業をやろうと言ってきておるんだが、あなたの方はいかがな態度でございましょうか、こういう話がありましたので、私も相談したいと思っていたところでございます。やる場合、問題が二つあります。 一つは、日ソ、ソ日で決まりました八十五万トン、六十五万トン、こういったやり方に対してこの共同事業が影響するのではないか。極端な言い方をすると、今度の共同事業方式が八十五万トンに及ぶようなことになっては困ります、突破口になるようなことがあっては困るということが第一点と、ソビエトと団体あるいは業界との話し合いを面接やって、ほかの業界との今度はバランスの問題があります。そしたらイシコフさんの方から、八十五万トンとは全く関係がありません、日本とのクォータで決めたような魚種は対象としない、カニとかエビのような大陸だな資源のようなものでございますが、そういうものについて話し合うのであるから御心配はありません。 第二番目の、業界について抜け駈けといいますか、バランスを壊して自分だけよくなるというやり方に対しては、大日本水産会を窓口にして国内の調整を図った上で対応したいと思っておるんだ、それは結構でしょう。こういうことになり、それにコンブの問題も加えて、ひとつ大日本水産会を窓口にして話し合いをしたいと思います、それは結構だということで、向こうのリパーノフさんとこちら側の亀長さんとが話し合って、きのう帰ってまいりましたが、共同事業についてはかなり向こうの意向もわかったようですし、いま亀長さんのところで業界内の調整を図って、水産会としての案ができましたならば、それをまた見せていただいて、先ほど言ったような、わが国の日ソ、ソ日の漁業関係ないしは他の業界との関係において問題がないということが確認されれば、これを阻むものではない。しかし、内容をよく見てみませんと、まだ話し合いの段階ですから、いまいい悪いを言う段階ではない、こういうわけでございます。
○立木洋君 今度の場合でも、当初沖取りは認めないということから事実上若干とってもいいようになったわけですが、それについても実際的には入漁料にも匹敵するかのような四・五%というのが課せられて、今度の共同事業でも事実上入漁料を二五%ですか、払うというふうなかっこうになるわけですね。実際上今度の二百海里の時代になってきて、ソ連側としてはそういう入漁料を取って行うというふうなことが基本的な政策になるんではないだろうかというふうなことも一部では言われているようですけれども、その点、交渉に当たった大臣としてソ連側との折衝の過程で感じた感触はどうでしょう。
○国務大臣(中川一郎君) ですから、その点を心配いたしましたので、二百海里内でとっております八十五万トンにそういった入漁料による操業というようなことになっては大変でございますと、こう申し上げたので、そういうことは絶対ありません、二百海里の魚とは関係なしに、エビとかカニのようなものについて、これは大陸だなの資源でございますから、そういったものだけについてやるんだ、こういうお話でございますので心配はないと存じます。 なお、二五%は何かソビエトが要求したように伝えられておりますけれども、私の聞いた交渉過程では、こちら側から行った団体なり業界がその程度出してやらしてもらいたいという、そちら側からの申し込みである、こういうような言い方をしておるようでございまして、その辺はわかりませんが、二五%というのもどういう実態であるか、大日本水産会の亀長さんからもまた聞いた上で判断したいと思います。
○立木洋君 この二五%の実態を調べていただくというのはそうなんですが、これは絶対影響がないと言ってもなかなかわからぬでしてね、今後の事態で。事実上、共同事業ではこれだけ金が払われていると言って今後の交渉の中で実際上の入漁料がさらにつり上げられるというようなことになってくると、これはどうしても問題にならざるを得ない。今後の交渉には影響がございませんと言っても、だから二五%というのは余りにもそれは多過ぎるんではないかという感じがあるんですけれども、その点はもう今後に影響しないということをきちっとけじめをつけながら、その量の問題についてもはっきりさしておく必要があるんじゃないかと思うんですが。
○説明員(松浦昭君) お答えをいたします。 先ほどから大臣は八十五万トンには影響がないんだということを申し上げておりましたのですが、これの根拠はあるわけでございます。 と申しますのは、二百海里の中の政府間の交渉で確定いたしております漁獲量あるいはその魚種というものにつきましては、これは日本の二百海里内のソ連船の操業と、それからわが方の漁船のソ連の二百海里操業というものが一種のパッケージになっておるわけでございます。したがいまして、もしも向こう側がわが方に対して入漁料を取るというふうなことがございましたならば、わが方も向こうに対して取る、こういう関係になります。また同時に、ソ連といたしましては、他国に入漁料を取られるということも非常に心配しておる次第でございまして、さような点から今回の四・五%云々のお話もあくまでも入漁料という形ではない、これはソ連の自然産卵場あるいは人工ふ化場におけるソ連の経費の支出、これを補てんしてもらいたい、こういう考え方に基づいておりまして、入漁料的な色彩を持つことはむしろきらっておるわけでございます。 しかしながら、民間の場合には、先ほど大臣からわが方から言っていったんじゃないかという、そういうようなお話もわれわれもちょっと聞いたわけでございますけれども、さような民間ベースの話し合い、その中において出てきた話でございまして、八十五万トンには私どもは影響はないというふうに考えております。
○立木洋君 最後ですが、毎回、この漁業に関する協定あるいは条約等の審議をするたびに厳しくなっておるという事態を痛感するわけですが、それにつけてもいわゆる新しい海洋秩序をつくり出していくという時代の中にいまあるわけですから、日米の海洋秩序を何とかして保持しようということだけではもうだめだということも一面の真理として私は言えるでしょうし、そういう意味では海洋国としての日本の今後の漁業のあり方はどうあるべきかというふうなことは国際的な舞台においても積極的な立場をやっぱりとっていく必要があるだろうと思うんです。そういう点も十分に検討していただきたいし、以上幾つか述べました点についても農林大臣にしっかりがんばってほしいということを最後に要望して、私の質問を終わります。
○和田春生君 午前からの質疑で問題点は大方出ているようでございますが、できるだけ重複を避けまして幾つか重要な点を確認し、あわせて今後の漁業政策についていろいろと要望したり注文をつけておきたいと思います。 最初に、日ソ漁業協力協定についてでありますが、これは御記憶のことと存じますけれども、昨年の十月二十五日、鳩山外務大臣時代にこの委員会におきまして、また去年の十二月二十月に現在の園田外務大臣、中川農林大臣御列席の席上で私はこの問題を取り上げました。沖取りが全面禁止と、こういう線でソ連が態度を強硬に打ち出してくるのではないか、それに対する備えはよろしいかということを申し上げたわけであります。そのやりとりは省略をいたします。御存じと思いますから一々申し上げませんけれども、やはり案の定それを前面に押し出してきた。そうした中で大変奮闘なさって、ともかく四万二千五百トン、純粋公海部分で二万八千トンという沖取りを確保されたわけですから、その御努力は多としたいと思うんです。まことに残念な結果ではございますが、ともかく沖取りは認めさした。 しかし、先ほど米の質疑に対する農林大臣のお答えを聞いておりますと、来年以降大丈夫だろうというニュアンスが非常に強いわけです。それに対してがたがた騒ぐのは何か日本の方で沖取りをやめさせるような動きではないかということがあったんですけれども、私は、そうではないんでありまして、やはり相手のある交渉ですし、端倪すべからざるソ連が相手でありますから、そういうことを十分に考えながら、その際の対応策というものを考えていく必要があると思うんです。 そうした意味で重ねて私は確認をしていきたいと思いますけれども、来年、再びソ連が沖取り全面禁止という線で交渉に臨んでくる、漁獲量の取り決めに臨んでくるという可能性はないんでしょうか。
○国務大臣(中川一郎君) 私が交渉した限りにおいては、こういう感じを持っているんです。 三角水域は譲れない、これはソビエトへ帰ってくる資源のある地域である。そこでせっかくの話であるから、窓口はあけておく。あれは絵を見ていただきまするとわかりますが、その上はアメリカの二百海里の中になるわけです、その上に今度は帽子がかぶさってベーリング海があるわけです。そういう三つと、それから四十四度以南と、それから日本の近海、そういう分け方になっております。 そこで、何ぼソビエトがいろいろ言ってみても、まず第一審目に、日本の近海を禁止することはないだろうし、四十四度以南よりまた下にしてくれというあれもないだろうし、それからアメリカの二百海里の中もこれもいかぬという論拠もない。要は、従来どおりのというか、しっかりした操業さえすれば、これから当分の間こういう方式でやっていって資源は守り切れる、こういう判断だったろうと思うんです。ことし一年だけ資源を守ってということではなくして、これからも資源が守られるのは残った三角水域であるということでございますから、従来のように、だんだん下がってきたから、だんだん追い出されるんだろうとすぐ類推する必要は私はないんじゃないかと本当に思っているんです。ただ、来年になってまた資源の状態について変わったことがあったり、あるいは操業について何かまた日ソ間を悪くするような操業態度というようなものがあれば、これは別ですが、まずまず今年の状態は、ことししっかりした操業をしていけば、そう変わったことが出ない、こう私はもう本当に思っているんですが、長い間だんだん狭められてきたものですから、ソビエトだからやられるだろうと、こう考えられるのもまた無理はないと思いますが、私は純粋にまずまずいけるものと、こう思っておるわけなんです。
○和田春生君 実は、私は、この問題に大分前から首を突っ込んで、すでにもうはるか以前からそういう傾向にあることを指摘してきたわけですけれども、たとえば農林大臣は今度行ってみて資源問題を大変大切にしているということを痛感したとおっしゃいました。私は、最初から二百海里時代というのは資源戦争の時代だという認識なんです。ですから、ソ連が資源を大切にするというふうにお人よしには考えていないわけでありまして、それは日本の近海で操業しているソ連漁船がいろんなものを投棄する、それが日本の漁船の網にかかる、引っ張り上げたかん詰めの中身等を調べてみれば何をやっているかということは大体見当がつくわけですね。つまり資源問題を持ち出しているのは、もちろん資源は大半にしなくてはならぬけれども、資源戦争、その面からいけば母川国主義というのは自然な考え方で、おれの国から出てきたものはおれのものだ、沖で取るということはけしからぬのだという発想が出てくると思うんです。 これは日本の場合でも、最近サケの増養殖をやっておりまして、河口定置網で大分たくさんとれるようになってまいりました。もっとこれが発展していって北海道の沖合いでどっかよその国が来て日本産のサケ・マスを沖取りしているというようなことになれば、下手をすると血の雨を降らすようなことになりかねない問題があるわけですから、そうすると、仮に資源を愛護するからこれぐらいならいいだろうということではなくて、むしろことしの漁獲量というのは余り一挙に減らしたんではいろいろ問題も起こる、日ソ関係のグローバルな配慮というものも働いて、あの程度のものは認めた。しかし、だんだん厳しくなってくると、そうなった場合に、われわれは何をバーゲニングパワーに使うのか、その場合にどう対処するのかという基本的な心構えがなければならぬと思うんです。記録に残る国会ですから、いや多分全面禁止になるかもわからないなんていうことは間違っても農林大臣はおっしゃらないと思うんですよ。しかし、やはり日本の政策としてはそういうことはなければいかぬと思うんです。そういう点で大変農林省もまた外務省も、日本の政府は根本的な認識と取り組みの基本姿勢が甘いんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中川一郎君) 従来からの動き等から見れば、そう考えられるのも無理もないことだと思うんです。しかし、私は、正直言って二百海里あるいは母川国主義というものが初めて出てきて、そして最初の対応をしたわけです。そうして資源論から言ってここだということで五年間の協定を結び、そのうちの一年分を決めた。末年まただんだん減らすということがあるかもしれないけれども、私は五年間の約束の初年度である、これで当分やってみよう。 しかし、これは毎年話し合うことになっているが、重大なる変更があればまた変わるだろうし、また若干の変更はあるかもしれませんが、まずまずいいもんだと思うことが一つと、もう一つは、ソビエトも実は日本と同じ立場にあるところがあるわけです。いわゆる諸外国に行ってお願いをしなきゃいかぬ、今度もニュージーに行くとか。ですから、自分の国が排除するという徹底したことをやれば、これはもうまた返り血を浴びるという半面もあるわけなんです。先ほど松浦さんが言ったような問題があるもんですから、余り過酷な急激な変化を相手に与えるようなことをソビエトがすれば、ソビエト自身も世界各国からやられる口実をつくる、こういう二面がありますので、神様ならぬ身、しかも相手のあることですから、私は断言はしませんけれども、まずまず心配なかろう、こう正直に判断しているわけなんです。
○和田春生君 これ以上深追いはいたしませんが、三度も四度も、だから言わぬこっちゃないということにならないように、特に希望いたしておきたいと思うんです。 さらに、これも同僚委員から何度か取り上げられた問題でございますけれども、きのう伝えられました例の共同漁業の問題について農林大臣から何度か確認がございました。私も、この点について表面的に見ますと、日本の漁船の操業範囲が広がる、そこで認められる漁獲量はプラスアルファですから、入漁料二五%のようなものを除けば、まあいいではないかという見方も成り立ちますし、あらゆる手段を講じてそういう活動を認めていくというのも原則的に私は悪いことではないと思うんです。ただ、相手はソ連政府という一つなんです。こっちは日ソ漁業交渉は政府なんです、そして共同漁業は民間なんですね。そうした場合に、八十五万トンと六十五万トンですけれども、これまた私が何度も指摘したように、ソ連としては、お互いの二百海里内を漁獲量で等量主義、イーブンに持っていこうという考え方があるんではないか、まさにそれを打ち出してきているわけなんですね。まだ二十万トン差があります。したがって、それは入漁料と認めて、ほかにも及ぼすということは考えられないけれども、八十五万トンの枠以外にこの共同漁業で日本漁船はプラスアルファの魚をとっているではないか、そうすると、ソ連二百海里内の総漁獲量はこれこれの量になっておりますよ、日本の近海でもっととらせと出てくる可能性はあるんじゃないですか、交渉技術の問題ですから、これは。
○国務大臣(中川一郎君) この二百海里内における等量主義というのは、ソビエトの昨年における交渉のときも非常に言っておったところですから、今後も出てくるだろう、これにどう対応するのかということになるのだろうと思います。 ここで余談になりますが、来年の二百海里についてはことしの秋イシコフさんが日本に来て、私の方で招待をしてお話し合いをしましょうということで話すことになって、向こうも十月、日にちはまた追ってお知らせする、こういうことになっておるわけですが、その場で来年からの二百海里について話し合うことになります。 ただ、先ほどもちょっと申し上げましたように、今度の入漁料による共同事業というものが八十五万トンのうちの二十万トンになるのか全部になるのかは別として、そういうことにされることは一番困るのですということははっきり申し上げたんです。そうしたら、それは全然性格が違います、八十五万トンのクォータに入るような魚種はいたしません、今度もサケ・マスあるいはスケソウ等については原則としてやりたくない、こう言ってきておりますし、特殊なカニとかエビというような八十五万トンに影響しないものを対象にしてやるんだと言っておりますから、言葉の上では、そのような影響はないというふうに判断もしておりますし、向こうも何度も八十五万トンには影響は全くありませんと言っておりました。
○和田春生君 ちょっと問題点、違うんですよ。八十五万トンの中に食い込んでくるとは私も思っていないんです。 しかし、その八十五万トンの中に同種のカニ、まあズワイガニとかあるいはスケトウも入っているわけですね。そうした場合に、八十五万トンのほかに、共同操業による漁獲竜というものは明らかに日本側としてはソ連の二百海里でとっている総量枠になるわけです。それを日本の二百海里内におけるソ連の漁獲量と結びつけてきて交渉で持ち出されてくる、そういう可能性の問題を言っているわけですが、大臣は首を振っていらっしゃいますからね、この問題もこの席上であんまり言いませんけれども、ことしぐらいは目をつぶって、ある程度実績が出てきたときに、それやこれやを取引の材料に使われるという可能性は、私は、相手がソ連だから十分にある。八十五万トンの枠に入ってくるということを言ってないんです、そんなことをしたら協定違反ですから。そうじゃない、これがやっぱり交渉駆け引きの有力な材料として、こっちがとらしてもらう形になるわけですから、使われるんではないか。 したがって、私がここで念を押しておきたいのは、そういうようなことにならぬように、それはきちんとするところはきちんとしておいて、この共同操業というものをどう処理するかというふうに考えていただかないと、一時これで参加した漁船の人たちがよかったと思ったけれども、気がついてみたらそれが裏目に出ておったというもろ刃のやいばに使われる可能性があるので、その点を警戒してくれ、こういうことを言っておるわけですから、しかと聞いておいていただきたいと思うんです。
○国務大臣(中川一郎君) しかと承りました。そのようなことのないように、今後取り決めに当たってはしっかりしておきたいと存じます。
○和田春生君 次に、この協定の結果生じた減船問題についてお伺いをしたいと思うんです。 これは水産庁長打からお答えいただければ結構ですが、どれだけの減船規模をお考えになっていますか。
○政府委員(森整治君) 一応、三割という線で検討を進めております。ただ、母船式につきましては、三割といいますと、母船二隻を減船し、母船四隻という操業、それに伴います独航船をどうするか、こういう問題がありますが、母船式につきましては三隻の母船で操業をして、それに付属します独航船がどれだけつけられるか、要するに独航船はできるだけ減船の数は少なくして、母船三隻で独航船がどのくらい考えられるだろうかということも検討をいたしております。
○和田春生君 ちょっと水産庁長官に確かめたいんですけれどもね。母船式と独航船と分けておりますが、確かにそういう区別はあるんですけれども、母船式というのは、それに付随している独航船は船員が乗っているんですよ、人間がおるんですよ。そういうお考え方はおかしいんじゃないでしょうか。ややもすれば中小零細企業をできるだけ大事にしよう、私もその考え方に異論はないんです。ところが、前回の減船でも母船は四〇%、独航船は約二七%という減船だったわけです。今度も中小の方を助けようというような発想で、母船の方にウエートをかけていく、母船を持っているのは大手の会社だからいいじゃないかと、乗組員の方はどうなるんです、水産庁の頭にないんですか。
○政府委員(森整治君) 当然、そういう問題も考えてはおります。ただ、要するに、今回の問題は操業水域が非常に狭められたわけでございます。そこで、四隻の母船で操業するのがいいのか三隻の母船で操業するのがいいのか、その選択という問題、非常に私はむずかしい問題だと思います。確かに先生御指摘の問題もございます。ただ、将来を考えた場合に、三隻でも多いのではないかという、そういう考え方も実は内心では持っておるわけでございますけれども、どこでどの程度が一番妥当なものかというのは、結局、今後関係の方々、いろんな方々が関係してまいりますから、これらの方々の意見を伺った上で、全体の調整の上で、全体に納得いただくという線におさめるのが、こういう種の問題でございますから、絶対的に何が正しいということは私はないと思います。総体的なそういう利害関係の調整の上で最終的には判断をいたしたい、こういうふうに考えております。
○和田春生君 この点については、こういう状態になってまいりますとだんだん先細りなんです。で共補償等もかなり考えられる、残ったところについてはそれなりのメリットがある、大手の会社にはある程度力がある、だから、そこに厳しくても船員対策は何とかなるだろうというような考え方は次第に許されなくなってきていると思うんですね。 で業者というものが一方にある、一方は乗組員として働いている者がおるわけです。船主の方は一口で言えば減船補償をしてもらう、漁業が紡げられないということは非常につらいことかもわからないけれども、転業その他のことはあるわけです。ところが、そこのところで首を切られた乗組員の方はしばしば使い捨てになるんです。非常にそういう点が問題になって漁業離職者の臨時措置法もできているわけですけれども、母船と独航船というふうに分けて、母船の方にこの際やっぱりうんと泣かして何とかつじつまを合わせようなんという考え方だけは断じてしないようにしてもらいたい。それは働いている者の立場から、そういうことは許せないと思うんです。農林大臣、いかがですか。
○国務大臣(中川一郎君) 全くそのとおりでございまして、これはソビエトなんかでも何か資本家の人が全部やっていて、これを切ることが資本家をいじめるのだというふうな発想に直結しやすいんですけれども、御指摘のとおり、中身は本当の労働者が多数被害を食うわけですから、そういう発想は全くあってはならないと思うんです。ただ、あの水域に四隻やるのがいいのか三隻でやるのがいいかという単なる技術論から結論を出すだけであって、独航船を助けて母船をという思想で対処してはならない、こういう意味で業界その他とも話し合ってみたいと思っております。
○和田春生君 やはり一種の撤退作戦でもあるわけですから、そういう場合の犠牲の負担とか割合というものについては、いま大臣がおっしゃったような考え方で対処されることは結構でありますけれども、何かとらわれた考え方で、一部のものに犠牲をより多く押しつけるということがないようにぜひ配慮をしていただきたい、このことを希望いたしておきたい、こういうふうに考えるわけです。 同時に、今回、相当の減船が出るわけですけれども、減船補償、とりわけ職を失う乗組員対策という面について、基本的にどういうお考えで取り組もうとしておられますか。
○政府委員(森整治君) 先生も御承知のように、基本的には、このための法律の措置によりまして昨年も離職者の対策を講じたわけでございますが、今回、どの程度実際に出ますか、昨年の北洋の経験からしてある程度の離職者の出ますことは避けられないという判断をいたしております。そこで労働省、運輸省ともよく連絡をとりまして、離職者の対策につきましては万全を期してまいりたいというふうに考えております。
○和田春生君 大変抽象的ですが、仮に母船式に例をとれば、一船団、付属独航船を含めて千名としてもなかなか大変な数なんですね。二船団なら二千名になっちゃう。その離職者対策というのは容易なこっちゃないので、水産庁長官がそんな何かありきたりのことを言っておったのでは不安で仕方がないので、こういう対策をいま考えておる、こういう手を打とうとかというようなことは主な項目があってしかるべきじゃないですか。特に今日の不況のさなかですよ、もちろん労働省、運輸省というものと協力をしなくちゃならぬことはわかっておりますけれども、現場を扱っておる、減船をする主体は農林省、水産庁なんですから。
○政府委員(森整治君) 独航船、母船、いろいろ性格は違いますが、御承知のように、やはり裏作があるわけでございまして、一応、昨年の北洋の経験からしますと、約半分の現実の離職者があったようでございます。それをめどに一応の試算をしますと、三割といたしまして約二千人、そういう規模の離職者が出る可能性があるというふうに判断をいたします。そこで、その二千人につきまして、いろいろ水産庁系統の都道府県の主管課を通じまして、今後の離職者対策につきましてはよく関係各省との連絡をとりながら、よく指導をしてまいりたいというふうに思っております。
○和田春生君 これは大臣にもお聞きしたいんですが、やはりこうなってまいりますと、相当きめの組かいいろいろな対策をとる必要がある。特に今日の不況と雇用不安の世の中でありますから、いろんな施策についても大変やりにくい時代だと思うのです。たとえば、そういう乗組員の補償、こういうような面についても減船補償等の中できっちりその部分について必要なものは確保させるという手だてを従来以上に指導をしてはっきりさせる、あるいはそういう乗組員とか、あるいは減船になったものをさらに有効に利用することを考える。そうして漁業離職者臨時措置法、そういう適用その他についても事務的にもたつかないようにきちんとした手を打っておく。 同時に、今後離職する漁業労働者というものを、将来のいろいろの転換やその他に関連をして総括的に管理をして、需給関係というものを的確につかんでいく。もちろん漁業は陸上と違って裏作というような複雑な関係があることは私ども承知いたしておりますが、一体、どれくらいはみ出しておって、どれくらい需要があって、どうなっていくのだということを、労働省などとも協力をしながら、やはり漁業官庁である農林省、水産庁が主体になって、そういう労働力の動勢を把握しながら、総合的な需給対策というものを進める基礎をつくっていく必要があるんじゃないか、こう思っているわけですが、その点いかがですか。
○政府委員(森整治君) 確かに御指摘の問題そういう時期に来ていると思います。せっかくの先生の御意見でございますので、きょうの御意見を参考にさせていただきまして、一段と配慮をしてみたいというふうに思います。
○和田春生君 これはひとつ農林大臣も十分お考えいただいて、後始末という点についても抜かりのないようにしていただきたい。後始末がいいかげんになりますと、今後政府が何を言っても信用しないし、だんだん関係者の協力が得られなくなれば何もうまく進まないことになりますので、日ソ関係あるいは日米加関係等の今後の対処とともに、特にそういう点に積極的な対策を望みたいと思いますが、よろしゅうございますか。
○国務大臣(中川一郎君) 昨年も、北洋対策を特別対策ということでかなりやりましたけれども、法律的措置等々がありますが、さらにきめ細かく離職されます方の立場に立って、できるだけのことをいたしたいと存じます。
○和田春生君 最後に、日米加漁業条約に関しまして、外務大臣に一問だけお伺いいたしたいと思います。 この条約が調印される場合に、イルカの問題が大変大きくクローズアップをされたというふうに報道されているわけです。その事情については、もう時間もございませんから一々細かくお聞きいたしませんけれども、あのイルカの問題というのは、風習の違い、また日本の報道機関ではなはだセンセーショナルに、一部では大変おもしろおかしく大きくやられて思わざる反響にあわてたという面もあったと思うんですけれども、やっぱり今後の漁業問題にイルカというのは相当尾を引いていく、特にアメリカその他においては政治的にこれを利用するという動きがあると思うんですね、選挙民の感情に訴えて。そういう形で、ただでさえむずかしいいろんな交渉に障害を生じてははなはだまずいわけでございますから、大っぴらにやるということもどうかと思いますが、状況の違い、環境の違い、慣習の違い、そういう点をきっちり説明をして、誤解や偏見に基づく日本に対する不当な批判や交渉の障害が生じないようにする必要があると思うんです。その点について再々御努力はいただいておりますが、最後にひとつ確認をしておきたいと思います。
○国務大臣(園田直君) イルカの被害については、日本の漁業ばかりでなくて、米国の方でも被害を受けておるわけでありまして、ただ、米国は現場でこれを隠して殺している。日本ではあのようなことなので、これが大々的に新聞等に報じられて、イルカは特別の人間に近い動物であるという人々から非難を受けたわけでありますが、いろいろ来る講義というのは一々漁業に対する被害をもう少し説明をすると納得されるような状況でございます。しかし、それにしても不当に非難を受けることも大変でありますから、今度米国に参ります際には、この点は十分説明をする準備をしているところであります。 なお、また、いま御発言のとおり、漁業被害防止のために何か他に適切な方法がないか、こういうことを検討しておりまして、このための研究を行うことにしております。さらに、日本と米国の科学者間において、かかる研究結果の交換の目的で討議の場を持つことも検討いたしております。よく注意して行ってまいります。
○和田春生君 よろしくお順いいたしまして、質問を終わります。
○三善信二君 今回、日米加では北太平洋の公海漁業に関する国際条約ができ、また、日ソ間では漁業の分野における協力の協定ができたということは、私は私なりに高く評価しているものでございます。 と申しますのは、二百海里時代になって、二百海里の内部、二百海里の外側、既存の漁業秩序というもの、国際的な漁業というものが非常に壊れてきた、それをどうやって新しく秩序づくりをするかということで、昨年は二百海里の内についての秩序づくりができた、今回は二百海里の外について一応の秩序づくりができたというようなことで、日本の将来の国際漁業に関して一応の指針というのが、少なくとも日米加あるいは日ソの間でできたというようなことについて高く評価をしているわけでございます。それにつきましても、今回は、再三の交渉をされた外務省、水産庁の担当の方々、日ソには中川大臣が行かれて、大変に粘り強く努力されたことにつきまして、心から敬意を表しているわけでございます。 大臣おられませんので、私、多少細かい点を、特に日米加、日ソともに日本政府代表として努力された松浦部長に対して、若干の御質問を申し上げたいと思います。できるだけ重複を避けたいと用心います。 一つは、日米加、日ソ二百海里の内部についての漁業協定はすでにできた。今回は、その外の問題である。この内外を通じて、二百海里の漁業交渉に当たられた松浦さんとしては、アメリカとソ連、この両国が二百海里に対する基本的な態度といいますか基本的な考え方といいますか、これは全く一緒であるか、多少ニュアンスの違いがあるのか、その辺を概括的でいいですから感触をお聞かせ願いたいと思います。
○説明員(松浦昭君) 私も、アメリカとの交渉及びソ連との交渉を担当いたしてまいりまして、いろいろな面で両国の同一な点及び相違点を感じたわけでございます。 まず、同一な点から申しますと、先先もただいまおっしゃいましたように、去年が二百海里の総決算と申しますか、枠組みをつくり、ことしはいわば二百海里外の枠組みをつくったわけでございますが、たとえば母川国主義といったような点でで米ソ双方とも望んでまいりました、こういう点では全く同じだったということが言えます。また、二百海里内の規制につきましても、これもまた同じような側面があったというふうに考えまして、二百海里内につきましても双方とも厳しい態度だ、かように考えます。 しかしながら、相違点を申しますと、またきわめて特徴的な点があるわけでございまして、たとえば、まず二百海里内の問題について考えてみますと、アメリカにとりましてはアメリカの二百海里内の無を保護するということがもっぱらでございまして、外国にとりにいく分野というものがなかったという点が彼らの交渉態度においてかなりの違いを見せてきたというふうに考えております。特に、ソ側は、ある意味ではその意味でわが方に対して強く当たってきた要素もあるわけでございます。と申しますのは、ソ側といたしましては、たとえばECあるいはアメリカ、カナダの水域におきまして自国が相当たたかれていた、それを何とか自分たちの二百海里内で取り戻さなければならぬという、そういう意識もありまして、さような意味での二百海里の交渉が一段と厳しかったという点が相違点として考えられております。 それからまた、母川国主義という点につきましても、これは非常に大きな点では双方とも一致しておりましたけれども、しかしながら、やはりアメリカの場合には、一応母川国主義をとりましても、その方法手役につきましては、従来までわが国との関係ではいわゆるアブステンション・ラインを中心とした考え方をとっておりましたのに、いわば水域規制ということで、それを中心にしてわが方に大きい影響を及ぼしてきている。ソ連の場合には、水域規制も加えましたが、やはりクォータ中心という考え方で、いわばわが国に対する適用の態様と申しますか、手段というものにつきましてはかなりの違いを見せているというふうに考えられます。それらの点でも幾つかの相違は感じられました。
○三善信二君 具体的な実態で、今回の日ソの漁業協定の中で、ソ連の場合は二百海里は前面禁漁、二百海里の外でも、特にサケ・マスについては厳しい規制をクォータと漁区について加えた。アメリカの場合は、二百海里内のサケ・マスについても一部開放して日本の漁獲を認めた。ここは非常に違うんですね、同じ二百海里の内でも。その辺のところはどういうふうに解釈したらいいのか。というのは、アメリカの方が多少いろいろな面から弾力的なそういう二百海里に対して見方をしているのか、ソ連の方が非常にまた厳しいというような一般論的な見方ができるのかどうか、その辺の実感を知らしていただきたいと思います。
○説明員(松浦昭君) ソ連がサケ・マスにつきまして二百海里内の漁獲を禁止いたしましたのは、今回の交渉よりもむしろ去年の交渉が主でございました。要するに、二海里内のサケ・マス資源につきましては当然ソ連は主権的な権利を持っておる。これはサケ・マス以外の魚を含めての権利でございますが、その主権に基づきまして昨年すでに二百海里の中ではサケ・マスはとれなかったわけでございますが、これは恐らくアメリカの場合と違いまして、もうすでにアメリカの場合にはいわば西経百七十五度以東につきましてはわが方の船は入らないことになっておりますから、それにアメリカの二百海里内は特にアメリカのアラスカの周辺水域において守らなければならぬというような要素はアメリカの場合はないわけでございまして、さような点では違いがあったかと思いますが、まずとにかく沿岸水域でもって守らざるを得ないということから、ソ連は二海里の中を禁止してきたんだというふうに考えられます。 ところが、これに対応いたしまして、アメリカの方は、アリューシャンに張り出しておりますところの二百海里、これは全面的に最初は禁漁ということを言っておりました。その先端でございますところの東経百七十度線までとにかく日本の漁船は入れないという態度でまず臨んできたわけでございます。したがいまして、このような状態になりますと、アメリカのサケは最後の一匹までとれない、そういう態度でまず出てきたわけでございますが、交渉団が努力をいたしまして、五度これを押し戻す、さらに北の公海の部分をあけさせる、百七十五度の内側でございますが、公海をあけさせるということをいたしたわけでございます。したがいましてアメリカの態度は二百海里の中をあけたという意味では、確かにソ連に比べまして、その態度が緩やかであったということは申せますけれども、しかしながら、総体の漁獲量の中でアメリカの系統のサケの占める割合とソ連系統の占めるサケの割合とを考えますれば、アメリカの態度は非常に厳しかったと言わざるを得ないというふうに考える次第でございます。
○三善信二君 それから、先ほど来資源論の話が大分出ておりますが、特に中川大臣も、今回の交渉では、資源の保護ということに対して非常に厳しい姿勢があったということでございますが、一体、サケ・マスの日ソの交渉において、サケ・マスの資源論争というのか、日本側の科学者、ソ連側の科学者はどういう主張をそれぞれやったんでしょうか。
○説明員(松浦昭君) この点は最も長く論争した点でございました。と申しますのは、ソ側の科学者の主張は、非常に長期的な観点からの資源論でございまして、過去二十年間の長期的な観点に立ちますと、かつて日ソ双方でとっていた魚の量が大体三十万トンから四十万トンあった。これが現在の時点では、その半分ぐらいしかとっていないということで、そのような長期的な傾向、ダウンワードの傾向が将来も続くんだ、したがって非常に資源状態が将来悪くなる、こういう立論でございまして、わが方の科学者の談論は、これに対しまして、むしろ最近は上向きになっている、こういう議論をいたしたわけでございます。 特に、最近五カ年間の平均的な回遊量と去年、ことし回帰してくるはずの回帰量等を比較してみますと、たとえば西カムチャッカのベニザケ、それからアムール川のシロザケを除きましては、大体、上昇傾向にあるというのが日本の科学者の見解でございまして、これはソ側もあえて否定はできなかったはずでございます。さらに加えまして、私どもが力説いたしましたのは、昨年行いました二割から二割五分の減船、さらに出漁期の調整といったようなことが非常に効果がございまして、現実にソ連の川に帰りました回帰量が約二十四万トン、それからソ連の漁獲量も十四万トンでございまして、これは一九五七年以来の数字であるわけでございます。ただし、この中は注釈をつけておかなければいけませんが、大臣も再三申されましたように、シロとべニにつきましてはまだ決してよい状態ということは言えないわけでございまして、むしろ回帰量の中心はマスだったと言わざるを得ないわけでございます。しかし、総体の漁獲量はかなりソ側の沿岸におきましても上昇しているということを申しまして、このような規制措置を今後とも続けていけば、必ずや資源はよくなるということを私どもは議論をいたしたわけでございます。これに対しまして、ソ側は、まだ一年しかたっていないということでもあるから、したがって十分その効果は判定できないというのが向こう側の立論でございまして、この議論は平行線に終わりました。 しかしながら、私どもは、先ほど大臣が今後五カ年間ということもお触れになりましていろいろお話しになりましたが、今回、また減船を続けていたすわけでございます。その効果は明らかにソ連の沿岸に影響が出てくるというふうに私どもは考えておるわけでございまして、ことしの回帰量というものはさらに上昇するであろう。もちろん、ことしは不漁年でございますから、その要素を入れなければなりませんが、さような回帰量が期待できるということでございまして、漁獲努力量を減らせば、当然その分だけ資源は回復するという前提に立つわけでございまして、さようなことがあらわれ、またわが方が取り締まりをきちんとしていくという体制をとりますれば、決して将来現状程度の操業を続けていくことは不可能でないということでございまして、さような資源論の裏づけからも大臣は言っておられるというふうに私は思っておるわけでございます。
○三善信二君 最近の傾向を見て、ソ連側の沿岸漁獲、川に帰ってくるサケ・マスの量というのがだんだんふえているというようなことは現実に言えるわけですね。
○説明員(松浦昭君) そのとおりでございます。ただし、申し上げましたように、マス中心でございますが、ベニも若干よくなっております。
○三善信二君 その資源論に関連して、いつもソ連側で、イシコフ大臣なんか日本の人工ふ化事業を取り入れたいということを言っておられるけれども、交渉の当初は、いつもそういう話が相当出てくるけれども、最後になると、しりすぼみになって、なかなかその問題がうまくいかない。もう十年前からそうなんですね。これは、一体、ソ連は日本の人工ふ化事業、そういったことをもっとソ連に取り入れれば、ソ連の資源ももっと早く回復するのだというようなことはわかっておられるにかかわらず、なかなかそれをやらない、やろうとしない。何かソ連側に都合の悪いことでもあるんでょうかね。
○説明員(松浦昭君) このお話は、三善先生も御承知のように、もう河野・高碕大臣のころからイシコフ大臣とずっとやってきたことでございまして、私どもも、十分さような要望というのはソ側にもあると。したがって、これは交渉のてこになると思いまして、実は交渉の当初から事業費百億円、シロを中心にしました人工ふ化場十二カ所、または実験センター四カ所ということで金額や計画を明示して、向こうに対してその提案をいたしたわけでございます。これに対しまして、ソ側の科学者が申しましたのは、二つの点を挙げておりまして、一つは、北海道でやっております非常に回帰量の高い現在の技術、これをそのままソ連の水域で適用いたしましても、たとえば水温の関係あるいは河川の大きさの関係、そういった関係から北海道の技術をそのまま持っていっても直ちに適用できないのじゃないか、したがって、それを適用するには実験的な段階をしばらく置かなければならぬ、こういうことを申しました。いま一つは、非常に効果がおそい、これから建設して、そこから資源が帰ってくるまでには非常に長い時間がかかる、したがって直ちに交渉の基礎になり得ないというのが向こう側の意見でございました。 イシコフ大臣は、非常にこれに興味を示されまして、さらにこれを前向きに進めるようにというお話はございましたけれども、先ほど大臣からもちょっとお触れになりましたように、交渉のてこということで、たとえば三角水域をあけるとか、あるいはクォータ量を増大させるとか、そういったことのてこにはならなかったということでございます。したがいまして、われわれといたしましては、きのうの夕刊にもありますように、イシコフ大臣が依然としてこれは興味があると言っておられますので、やはり将来の交渉に備えまして、このような事業というものは粘り強く向こうと話し合っていきたいというふうに考える次第でございます。
○三善信二君 手っ取り早く言えば、それはとらせないようにするとか、漁区を締めるとか、漁期を短くして、できるだけとらないようにするというのは、これはもう単純なやり方なんですね。しかし、資源というのは、やはりこれをどんなにふやしても、一定限度はどうせ消耗するわけだから、その消耗する範囲内ではとっていく、元金を減らさないようにとっていくというのが、これは資源論なんですね。そういうことからすると、手っ取り早い方法だけやっても、やはり長い目で見た資源の保護、また資源の増殖というのを考えるなら、当然、ソ連側も、早くそういう人工ふ化事業等を日本と協力してやってもらいたいと思っておるわけですけれども、なかなか実現しない。ひとつ今後ともこの問題はしつこくソ連側と折衝されたらいいと思うのです。 で、関連しまして、ニシンも日本は禁漁したわけですね、禁漁されたというのか、ソ連側は、ニシンの資源が回復すれば、将来もまた日本も一緒にとろうというような話もあったのですけれども、ニシンの問題なんか、やはり交渉の過程で、資源論として一応出てまいるんですか、現在。
○説明員(松浦昭君) 今回の話し合いはサケ・マスが中心でございまして、ニシンの問題はむしろ二百海里内の問題でございますから、日ソの漁業協定、この分野での議論になります。したがいまして今回の話し合いの対象にならなかったというのは事実でございます。ただ、聞くところによりますと、大分ソ連の資源が回復してきたという話も聞いておりますので、ぜひわれわれに資源が回復した以上は二百海里内でとらせろということは主張したいと思っております。
○三善信二君 この前の交渉のときに、そういう問題も出たんだろうかと思ってちょっとお尋ねしたんですが、それと国内のサケ・マスの人工ふ化事業というもの、これも一生懸命やっておられるんですけれども、現在、四万トンか四万五千トンぐらいですかね、帰ってくるのが。一番多いときが六万トンぐらい日本の川に帰ってきておると。これはやりようによってはまだもっともっと伸ばせるということも言えると思うんです。それからもう一つは、サケ・マスの帰ってくる川の南限が茨城県の那珂川、それから日本海の方は富山県まで。最近は、石川県なんかでも大いに人工ふ化事業をやりたいというようなことを言っているし、そういう問題も含めて、もっと積極的にこの問題と取り組むという姿勢はないんですか。
○政府委員(森整治君) 国内のサケ・マスの増殖でございますが、私どもとしましては大分力を入れてやっておるつもりでございまして、帰ってまいります親魚を確保するということのためにいろんなことをやっておるわけでございまして、御承知のように、増殖施設の整備でございますとか、ふ化放流事業、国営民営いろいろやっておりますが、あと、確かに河川の問題、河川の環境保全ということも最近の趨勢からしますとやっぱり重要な問題ではないだろうかというふうにも思っております。 それから、御承知のように、少し金をかけまして技術会議で大型プロジェクト研究ということで事業を行っておりまして、農林省に研究費としては五十三年度一億九千万円ですから二億近い金、農林省の研究費としては相当気張った研究費を組んで大型のプロジェクトといたしまして回帰率を向上させる。いまオホーツクで四・四%の回帰率になっております、オホーツク海の方面では四・四%。北海道全体としますと二・二%ですが、そういう回帰率の向上。それから増殖地域の拡大、いま先生御指摘の問題だというふうに思いますが、それから新資源の造成ということを目標にいろいろ計画を立ててやっているわけでございます。
○三善信二君 サケ・マスの人工ふ化事業で、いままであんまり考えたこともないし、一つは、やはり川がきれいでないと帰ってこないわけですね、人工ふ化事業ができない。で、いっそのこと、河川をきれいにするとか改修するとか、なかなかサケ・マスのふ化事業と組み合わしてやるというのはむずかしいかもしれませんけれども、そういったことをもう少し、所管省が違うなら違うで、そういうところと一緒になって、もっと河川をきれいにしていくという事業もふ化事業の関連の一つの事業として取り上げるような、そういう姿勢はないんでしょうかね。
○政府委員(森整治君) 御指摘のように、河川の浄化ということはサケ・マスの増殖にとって重要な問題でございまして、水産庁でも河川の障害物の除去に対します助成、これは事業として行っております。それだけではどうにもなりませんで、やはり基本的には公害あるいは河川工事あるいはダムの設置、そういう場合に水産サイドからの意見を相当申し上げるということ、それから公害関係で汚濁防止につきまして関係機関へいろいろ御協力を要請する。そのほかに密漁も取り締まる、そういうことが間々あるわけで、それやこれやいろんなこともございます。確かに新しく河川をふやしていくということ、それから既存の河川の環境を守っていく、そういう両方の面から、これだけ海外からの沖取りに対する批判があるわけでございますから、そういうものにこたえて国内の関係者にも御協力を要請していくということは非常に重要なポイントではないだろうかというふうに考えております。今後、その線で対応をしてまいりたいというふうに思っております。
○三善信二君 一般的にはいろんなことをやっておられるんでしょうけれども、たとえば北海道の特定の川、余り大きい川でなくていいんですよ、そういうところを実験的に取り上げて、何かモデル的につくっていくというようなことも考えてみたらどうですかね。
○政府委員(森整治君) 全般的に言いますと、それに関連して申し上げますが、太平洋岸と日本海側と非常に回帰率が違うわけでございまして、簡単に申しますと、太平洋岸の方が非常に回帰率が高い。北海道でもオホーツクが四・四に対しまして日本海の方は〇・三五%ということで襟裳の東が二%、こういうふうにいろいろ回帰率が違っておるわけです。本州でも太平洋岸が〇・八五で日本海側が〇・六二ということでございます。こういう点からいたしますと、ある意味では北海道の東、オホーツクというのはほとんど利用しておる。逆に言いますと、そうでない方をもう少し充実していく必要があるし、内地と北海道の問題でございますが、北海道だけでなしに、内地も含めましていままで回帰率の低いところをもっと高めていくということをいろいろ考えるべき余地が相当あるのではないかというふうに考えております。
○三善信二君 最後に、減船の問題ですけれども、昨年二割減船し、ことしまた三割ということで、各委員の方々からそれぞれ大変心配されていろんな御質問がございましたけれども、二年続けて減船をするというのは大変なことだ。で去年のやり方は交付金を出すとかあるいは共補償をするとか、そういうことで一応できた、ことしは共補償をしたものがまた減船される、そういったダブルの問題があるわけですし、いままでのようなやり方でこの減船対策というのを考えるのか、それともいままでと少し違って、減船されたものについてはひとつ手厚くめんどうを見るというようなことをやっていただかないと混乱が起きるんじゃないかというのが一つ。 それから、減船された船をあるいは調査船に向けるとかあるいはほかの漁場に向けるとか、そういうような問題も、なかなか漁場もなくなって向けるところもないでしょうけれども、みんなが苦労しているわけだから、やりくりしてそういう点も一生懸命めんどうを見るとか、そういうことも考えてもらったらどうかと思っております。その点をひとつ十分配慮してやっていただきたいと思います。
○政府委員(森整治君) 確かに救済対策は昨年と違う要素がございます。共補償が非常に困難な事情にあるということはもう御指摘のとおりでございます。ただ、何といいますか、共補償が全然ないというか、それだけ評価されない。いわゆるのれん代というのがことしはもう全然ないんだというふうに考えますと、あとは結局政府でめんどうを全部見なきゃいかぬという形になります。 ただ、この場合も、去年の例を申し上げますと、共補償が全然ない場合に、特別救済金は五年分の利益引当額を限度にしたというふうになっております。そういたしますと、去年のそれじゃ共補償、政府の救済金を含めまして、やめた場合に、補償金を全体でどのぐらいもらえたかということを比較しますと、かえって去年やめた方がよかったということになってしまうという計算になるわけです。それではまた実態といいますか、実際のバランスから言うと非常におかしい。理屈から言うと、今後のサケ・マス漁業についてはのれん代なんていうのは考えられないということを言いますと、そういうことになってしまうわけです。 それやこれやございまして、一概には全部言い切れないわけでございまして、いろいろ今後の漁業の収支の状況、そういうようなものを全部材料を乗せて、あとは関係者漁業者、その団体の方方、それから御承知のように母船の独航船とこちらの中型の流し網の関係がございますが、全体の総合的なバランスを考えながらよく御相談をしながら決定をしてまいりたいというふうに思っております。
○三善信二君 業界の内部でいろいろ相談をされ、混乱がないように、ひとつできるだけそういういろんな角度から検討して十分やっていただきたいと思っております。
○政府委員(森整治君) それからもう一つ、答弁漏れで、いろいろ調査船なりそういうことで活用せよということで、これはいますぐ右から左にということで材料をここでお答えするだけのものを持っておりませんが、そのことは十分念頭に置きましてもう少しいろいろ活用の道というのを考えてみたいと思います。
○矢追秀彦君 時間がありませんので一言ずつお伺いしますけれども、まず、漁業の問題は全部出てしまいましたが、一言だけお伺いしておきたいのは、二百海里時代あるいは母川国主義に世界の大勢がなる。これに対する対応がすべて私はどうもおくれておる。どうしてもっと先を見越してすべてができなかったのか。絶えず後追いといいますか、母川国主義ということになるとすればもっと早く養殖のこととか、先ほど出ておりました河川の問題等は手をつけておかなかったわけですが、絶えず見通しを誤り、後からばかりやっておる。最後に迷惑するのは漁民であり、またそれによって影響を受ける日本国民ということになるわけですから、その点はどうも私はふっ切れないんですけれども、その点が第一点。 第二点として、母川国主義というのは大勢としてはやむを得ないものですけれども、果たしてこの母川国主義というのは科学的に見て絶対正しいものなのかどうか、こう考えざるを得ないのか、その点をお伺いしたいと思います。あともう二つは別の問題ですから、まずこれで。
○国務大臣(園田直君) 二百海里時代、母川国主義と新しい時代に向かって世界が激しく動いておる。これに対応する処置等は農林大臣からお答えしたとおりであります。したがいまして、わが外交をつかさどる外務省としては、この二百海里、母川国主義というものが何のために起こってきたか。これはそれぞれの国が資源の保護、増殖という点に重点を置いてきた、そのためにだんだん大勢となってきた、こう考えるわけであります。日ソの関係にしても、ソ連の方は北欧からは締め出され、米加からはまた締め出されて、沿岸国としてそれぞれ主張しているわけであります。 そこで、これに対応する問題の第一は、この新しい時代が何で起こったかという原因をよく認識をして、やはり各国各所に漁場を持つわが日本も、それぞれの沿岸国において資源の保護と資源の増殖ということに寄与する。また、操業するについても、その点十分認識をしながら資源の保護、増殖に意を払いつつやるということから始めなければならぬと思います。と同時に、いままでのように一カ所に重点を置いていることだけではならぬので、南方を初め諸所に漁場はあるわけでありますから、豪州、ニュージーランド、各所に漁業の交渉をやっておるところでありまして、ニュージーランドはうまくまいりませんでしたが、これも含めて各所でこの交渉はだんだん進んでまいると希望を持ってやっておるところであります。と同時に、また農林省の方では沿岸漁業あるいは養殖漁業、こういうものを考えてやっていただく。農林省と外務省がよく緊密に連絡をして、そういうことを考えながらこれに対応する処置をやっていきたいと考えております。 母川国主義については大勢になりつつあるところでありますが、これは魚の種類によっていろいろ違うことでありましょうし、専門家でありませんから、私これについてははっきりしたお答えはできぬわけでありますが、御承知のとおり大勢は逐次そういうふうになっておるわけであります。
○説明員(松浦昭君) 私の方から水産庁の立場でお答えをいたします。 確かに二百海里時代が非常に急激に参りました。しかも海洋法という国際的な取り決めができる前に、一方的な二曹海里時代というのが到来いたしまして、そのスピードが非常に速かった余りわが方の対策がそれに必ずしもフィットしなかった面があったということは先生御指摘なさっているとおりであると思います。ただ、私どもといたしましては、やはり闘いつつ戦線を整理するということの必要性がありましたために、このような事態が起こっておるわけでございまして、私ども先生のおっしゃることを十分頭におきまして、今後とも決して立ちおくれにならないように、国内の体制の整備、その他を進めてまいりたいというふうに考えるわけであります。 さらに、母川国主義の点でございますが、母川国主義というものが起こってまいりました基礎は、単に川に魚が自然産卵をしに帰ってくるということであれば、このような議論は起こらなかったんだろうと思います。やはり河川に手を加え、さらに人工ふ化増殖をし、そして育てるサケ・マスというものが出てまいりましたために、そこでやはり母なる川を持っている国が主権を持つというような考え方が出てきたんだろうと思います。また、わが国も非常に多くの金を人工ふ化増殖に使っていますから、われわれもやはりこの国会で去年お通しいただきましたように母川国主義をとったわけでございます。したがいまして、このような全体の世界の大勢が母川国主義に移ってまいりましたその事情は受けとめまして、その中で既存の伝統的な漁業というものの経済混乱を最小限にするということのためにわれわれの最大の努力を払っていくという姿勢でまいりたい、また、それが今後あるべき姿ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○矢追秀彦君 済みません。時間を超過して申しわけないんですが、これは全然違う問題になりますが、一つは、きょうの報道で、尖閣列島周辺にまた漁船が六十隻ぐらい来ておるという、一たん引いたのでこれはまあよかったなと思っておったのにまた来たと、これをどう思われるか、また、これが交渉再開とどういうふうな関係を持つのか、それがまず第一点。 次に、大韓航空機事件、この間私も質問をいたしましたが、ワシントンポストの報道で、スパイ飛行をしたのでこれに損傷を加え、着陸をさせたと、こうなりますと大変問題がまた出てくると思います。ソ連側が正しいとすれば、今度は大韓航空機、民間航空機を使ってスパイ活動をしておった、それに日本人が乗っておった、こういうことはやめてもらわなくちゃいけませんので、そういう問題が出てきますので、大変むずかしい事態になるのではないかと思います。この点についてお伺いしたいと思います。 これで終わります。
○国務大臣(園田直君) まず、尖閣列島の周辺の現状から申し上げます。 二十六日の二十一時十分、魚釣島の西北西三十一海里、領海外十海里付近の海域で約十隻の中国船がレーダーで確認をされ、その後それが三十隻から四十隻にふえた。二十七日七時現在では、魚釣島北西約十九海里以遠の海域に約六十隻が散在をし、操業または漂泊中である。本日の午後の一時、状況に変化なし。わが方は巡視船十隻、航空機四機。こういう報告が入っているわけであります。それ以前はレーダーにもその姿は見えなかったわけであります。 この状況は、少し見えなくなったのがまた出てきたということではありますけれども、領海外のことでありますし、十海里、九海里も離れているわけであります。したがって、これを静かに児守っているわけでありますが、しかし、船がふえたから、またなくなった船が近寄ってきたからといって一々変化すべきものではなくて、操業をしておる、漂泊しておる船がだんだん集団を解いて点在をしながら本国の方へ帰っているということだという見通しのもとに、これを見ておるところでありまして、これによっていままでの方針が変わることはない、このように考えております。 それから、次に大韓航空機事件の問題でありますが、ソビエト連邦及び関係諸国にはそれぞれ事実の確認をし、事実についての情報を求めているところでありますが、新聞では、たとえばミサイルの破片であるとか、あるいはスパイを働いたとか、いろいろ言われておりますが、まだそれを確認するだけの情報はこちらは持っておりません。鋭意情報収集中でございます。したがいまして、事実の確認をいたしませんと、なかなか今後の折衝にどのような方法で折衝をするのか、どのような証拠を持って交渉するのか、こういうことになってまいりますから、慎重に情報を収集している段階でございます。
○委員長(安孫子藤吉君) 他に御発言もないようでありますから、質疑は終局したものと認めます。 これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。 まず、漁業の分野における協力に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定及び北西太平洋における千九百七十八年のさけ・ますの漁獲の手続及び条件に関する議定書の締結について承認を求めるの件を問題に供します。 本件に賛成の方は挙手をお願いします。 〔賛成者挙手〕
○委員長(安孫子藤吉君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。 次に、北太平洋の公海漁業に関する国際条約を改正する議定書の締結について承認を求めるの件を問題に供します。 本件に賛成の方は挙手をお願いします。 〔賛成者挙手〕
○委員長(安孫子藤吉君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。 なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さように決定をいたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後三時十三分散会 —————・—————