外務委員会 第4号
- 発言数
- 82 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1978/02/28
会議録
○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。 世界観光機関憲章の締結について承認を求めるの件を議題とし、政府から趣旨説明を聴取いたします。園田外務大臣。
○国務大臣(園田直君) ただいま議題となりました世界観光機関憲章の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 この憲章は、観光の振興及び発展を図るため、開発途上国の利益に注意を払いつつ、観光の分野で中心的役割りを果たす政府間機関を設立することを目的とするものでありまして、一九七〇年公的旅行機関国際同盟の臨時総会において採択され、一九七五年発効いたしました。現在、加盟国は約百カ国を数えております。 この憲章は、機関の目的、構成員の地位、総会を初めとする重要な内部機関の権限、予算及び支出の原則等について規定しております。 わが国がこの憲章を締結し、この機関の活動に参加いたしますことは、観光の分野における国際協力に応分の貢献を行うとともに、わが国の観光政策の推進に資する上からも有意義であると考えられます。 よって、ここに、この憲章の締結について御承認を求める次第であります。何とぞ御審議の上、速やかに御承認あらんことを希望いたします。
○委員長(安孫子藤吉君) 以上で説明は終わりました。 これより質疑に入ります。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○戸叶武君 この世界観光機関憲章は発効して三年、先進国ですでに九十八カ国も調印されているということですが、これまで長い間日本がこれを見守ってきたのは、恐らくはこの国際的な機関に加わるのに日本としてはやはり慎重な態度が必要だという考え方から、これを見守ってきたのだと思いますが、その慎重を要した点はどういう点に問題があるのか、その点をお尋ねいたします。
○説明員(小林俊二君) お答え申し上げます。 この機構につきまして、いわゆる観光を含めた先進国が加盟をいたしましたのは、その大多数は過去一年間、最近のことでございまして、この機構が民間の国際機関である前身から改組を経て、今後、どういう方向へ進んでいくかという体制の整備ということにかなりの時間を要しておったのでございますが、日本といたしましては、その前身である同盟に加わっておりました観点から、この機関の動向を注意しておった次第でございます。 そういうことで先進国の加盟もほぼ出そろいまして、いよいよ本格的な活動に入る情勢になってまいりましたので、特に、この機関が国連開発計画——UNDPの実施機関として、観光の分野における低開発国の開発発展に協力する、その分野において貢献するという体制が固まってまいったということも考慮いたしまして、主としてその観点から、この機関への加盟に踏み切ったという次第でございます。
○戸叶武君 国際観光の問題は、今後においてますます活発になると思うのでありますが、各国におけるその状況、主だった国、たとえばスペインとかイタリアとかフランスとかスイスとか、おのおの観光の問題に対しては観光収入ということをも考慮して重視されておりますが、その各国の状況を二、三御説明を願います。
○説明員(杉浦喬也君) 世界の観光の全体の模様でございますが、昭和五十二年、一九七七年におきまして世界の観光客全体で二億四千五百万人の観光客が世界を回っておる状況でございます。 この観光客の中で一番多いような国々を見てまいりますと、まず、観光の受け入れの方でございますが、やはり一番大きいのはスペイン、それからユーゴスラビア、アメリカというような三国が非常に受け入れが大きい数字になっております。一九七五年の数字でございますが、スペインでは約三千万人、それからユーゴスラビアでは二千四百万人、アメリカで千五百七十万人というような数の外客を受け入れております。 それから、観光客としまして世界へ向かう送り出し国の中で大きい国を見ますると、一番大きい数字を持っておりますのはカナダでございまして、これも一九七五年の数字でございますが、カナダが三千四百九十五万人、それから次がアメリカでございまして二千三百万人、次がユーゴスラビアの千三百八十万人というような数の方々がそれらの国から海外へ旅行をいたしております。 なお、世界の観光収入総額でございますが、一九七六年で四百億ドルというのが世界全体の観光収入でございまして、この数字はWTOの統計でございます。 以上、概略御説明申し上げました。
○戸叶武君 スペインやイタリアは観光収入というものに大変な依存を持っておりますので、観光に関する活動並びに支出が盛んでありますが、その観光収入の一番多い国は、どういう順位になっておりますか。
○説明員(杉浦喬也君) 世界の観光収入でございますが、金額的に一番大きな数字を持っておりますのは、収入の面ではアメリカでございまして、一九七五年の数字でございますが、観光収入が四十八億七千六百万ドルでございます。その次に占めますものがスペインでございまして、三十四億ドル、それから次がフランスの三十四億ドル、それから次が西ドイツの二十八億四千万ドル、イタリアの二十五億八千万ドル、こういうようなのが観光の収入を多く占めておる国々でございます。
○戸叶武君 日本はどの程度になっておりますか。
○説明員(杉浦喬也君) 日本は、昭和五十二年、一九七七年の一番新しい数字で申し上げますと、収入の方が四億二千四百万ドル、それからついでに支払いの方を申し上げますと二十一億五千万ドル。差し引きいたしまして、五十二年度では十七億二千六百万ドルの赤字を生じております。
○戸叶武君 赤字の原因はどこにありますか。
○説明員(杉浦喬也君) これは何といいましても、日本から世界に向かって出てまいります観光客が、昨年、昭和五十二年度で三百十五万人となりまして、それに対しまして世界から日本へ参りまする外客が百二万人で、海外に向かってまいりまする日本人が入ってくる外人の三倍以上を占めておるということでございまして、ここで基本的に数が違う。したがいまして、それぞれの国で落とす額が違うというところに赤字の原因があるわけでございます。
○戸叶武君 このごろは黒字減らしというのが日本では大きな課題になっておりますが、黒字減らしというだけに力を入れないで、観光面において、もう少し日本のこのアンバランスな状態を是正していく面があるんじゃないかと思いますが、そういうおくれた面、赤字が非常に多くなっている面はどういうところにあると思っていますか。
○説明員(杉浦喬也君) 外客の誘致という点におきましては、従来とも、国際観光振興会、これは特殊法人でございますが、世界に十六カ所の支所を持っておりますが、ここで海外におきまして日本の紹介、宣伝を強力に実施しておるわけでございますが、何分にも日本の地理的な立地条件といたしまして、世界各国から参りまする距離が非常に長い、それから航空運賃がかなり高い。それから、非常に遺憾でございますが、日本のホテル代あるいは物価全体が非常に高いという、そういう印象を外国に与えております。ある面では、数字的に見ますと、そういった面が確かにございます。したがいまして、どうも日本への受け入れ状況というものは、東南アジアの中におきましても、たとえば香港が百五十万人入っておるとか、タイが百二十万人入っておるとかというような状況に比べまして、日本が百万人をやっと超えたという状況でございますので、なかなかうまくいっておりません。 したがいまして今後の政策といたしましては、先生御指摘のように、この収支のバランスをとるような努力ということがどうしてもやはり必要でございまして、今後、一層日本のいいところを海外に強力に宣伝、紹介をいたしまして、また、受け入れの体制、航空運賃の低廉化等を通じまして、外客を日本にたくさん受け入れるような施策を講じてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○戸叶武君 いまの航空運賃の低廉化というのは、具体的にどういう手を打っておりますか。
○説明員(杉浦喬也君) 団体割引の関係で、かなり個人で参ります場合に比べまして、団体ツアーの運賃が割り安になっております。しかし、外国におきましては、団体もかなり大きな団体を組みまして一機チャーターというような形で世界各国を回るというスタイルがかなりふえてまいっております。日本におきましては、まだそのチャーター便の受け入れということに関しましてはかなり制限がございまして、これはいろんな事情で余りたくさん認めておりません。今後の方向といたしましては、このチャーター便の増加という方向、あるいはチャーター制度の緩和という方向に向かいまして、一層割り安な運賃をここで導き出すということが一つの今後の方向かと思います。
○戸叶武君 アメリカでは、初等教育の教員の大部分が婦人で占められております。その婦人の教員たちが金をためて海外旅行に出るというのが唯一と言っていいほど楽しみになっております。これはフランスにおいてもイギリスにおいても日本においてもずいぶん多くの人に出っくわすんですが、日本でも、このごろは、先生の海外旅行というものが非常に多くなっておりますが、アメリカでは教員の収入というものが相当優遇されておりますが、日本では、いろいろな援助以外の点においては、個人的なあれで海外旅行を楽しむというところまでいまの教員たちのゆとりはできていないと思います。こういう状態だと、グローバルな時代に教育者の見聞を広くするという意味において、日本ではおくれをとる場合があるんじゃないかと思いますが、こういうことに対してはどういう具体的な手が打たれておりますか。——いますぐ答えられなけりゃ後でもよろしゅうございます。 もう一つは、アメリカの金持ちはいまのところ三分の二までは未亡人じゃないかと言われているほどで、男はビジネスで忙しく働かされていて、そうしてもう男が死んだ後で後家ばあさんが金を握っている。——おばさんか、そうするとなかなか口うるさい。だからどうしても優遇して、海外のフランスなりスイスなり、会社の重役たちもそこへごきげん奉仕に行くようにしたらいいし、どうせ海外に出るならば、ちょいちょい帰ってこないで一、二年じっくりと休めるような一つの憩いの場所を選定しなけりゃならないということがずいぶんはやっているようですが、これは日本ではなかなか貧乏の習慣が直らないんで、一晩泊まりの旅行というのがこのごろやっと三日二晩ぐらいのところまでこぎつけたということですけれども、日本では、ホテルで半年なり一年、そういかなくとも一週間や二週間ぐらいそこに腰を落ちつけるというような落ちついたホテルのサービスもないと承っておりますが、そういう面を指導したりなんかするのは、日本ではどういう機関がやっておりますか。
○説明員(杉浦喬也君) ホテルでなるべくゆったりとした滞在で、十分に休養を含めて、観光をしたらどうかということの御趣旨かと思いますけれども、御指摘のように、日本人が海外へ参ります場合のツアーの仕組みといたしましては、これは旅行業者等が仕組んだツアーのやり方で、現在では、かなり各地を転々とする盛りだくさんな旅行日程をもって商品として売り出しておる。個人が自分である場所に長期滞在をして、自由にその国の文化を吸収するというような仕組みをなかなかつくっておりません。最近では、ある個所に若干の日数を組み込みまして自由行動を間にはさむというようなツアーも売り出されてはおりますが、何分にも全般的には日本人のいわば語学の力といいますか、そういう面でなかなか個人でゆったりするというようなゆとりがどうもないようでございます。やはり団体で旅行をして、いわば定食並みの、メニューどおりの旅行がどうしても多くなりがちでございます。 こういう点で、なかなか指導というふうな面でむずかしいんでございますけれども、徐々にではございますが、個人の希望による自由行動、自由な旅行というような方向には少しずつ向かってはいるのではないか。われわれも、それらの動向を十分見ながら、旅行業界に対しまして指導をしてまいりたいと思っております。
○戸叶武君 観光の問題は、観光施設との関連性も非常に密接となります。たとえば森の都のウィーンなんかにおきましては、最低一週間程度は客足をとどめるようないろいろな施設が組まれている。バレーとかオペラとか、あるいは美術館で美術、あるいはいろいろな博物館、あるいはヨット、そういうふうにいろいろな施設が組まれております。日本においては、たとえば京都だとか奈良だとか、観光の宝庫のような土地がありますけれども、奈良で三日、京都で一週間でも足をとめさせるということはなかなか困難なほど、そういう施設がまだ欠けている面があると思うんですが、他との比較においてどういうふうに思っておりますか。
○説明員(杉浦喬也君) 御指摘の点、実情といたしましては確かにそういったような面がございます。諸外国におきまして、美術館とか、あるいは名所旧跡、歴史的な文化の遺産というようなところに人々がよく参るわけでございますが、日本におきましても、なるべくそういうような紹介を海外に向かってやってはおります。京都、奈良あるいは鎌倉、そうしたような歴史的な、非常にりっぱな価値のある文化遺産というものを紹介いたしまして、なるべくそういうところを多く見てもらいたいというふうなことで海外宣伝を行ってはおりますが、遺憾ながら東洋の文化と外国の文化が非常に違いがございます。したがいまして、なかなかそこまで徹底した御紹介ができにくいということでございます。 しかしながら、外客の滞在日数を見てまいりますと、最近、徐々にではございますが、観光客の平均滞在日数が伸びてきております。たとえば昭和四十四年滞在の一人の平均日数を見ますと九・三日というような数字でございましたが、これが昭和五十年になりますと十二・四日というふうに、二日ないし三日程度の滞在日数の伸びが数字上見られております。こうした数字からまいりますると、ある程度、われわれの宣伝といいますか紹介というものを理解をされまして、そうした日本の文化を持った名所旧跡あたりにかなり日数をかけて滞在をされる外人がふえてきたんじゃないかというふうに想像をされるわけでございます。
○戸叶武君 私のところは、日光とか那須とか塩原、鬼怒川などという観光地がありますが、比較的外人が箱根や京都なんかと比べると少ないのは、やはりホテルが不十分であるということと、それからドイツやフランスあたりの旅行会社の人と汽車で一緒になっていろいろな苦情を聞くと、外の便所が不潔であるとか、それからあるべきところにないとか、一体日本人はそういうところの配慮をどうして行わないんだろうかと。やはり日本人は男は立ち小便という癖があるから、それでなかなか直らないんではないかと、私の方も関東の連れ小便というなかなか行儀の悪いところですが、そういう細かいところに手が届いて、有料の施設でもいいからそういうものをしないと、国際観光地日光なんかでも恥ずかしいのではないか。たとえば華厳の滝に行ったときに、やはりひどい目に遭ったというような実例を述べております。 もう一つは、自動車置場の困難、それから自動車のすれ違うところのエプロンというか、道幅を少し広くして、そうしてすれ違いが円満に行われるような、ちょっとした配慮でできるようなことが案外おろそかにされているというような指摘がありますが、そういう観光関係の施設における細かい点の注意は、どこで行っているんでしょうか。
○説明員(杉浦喬也君) いろんな役所に、たとえば駐車場の問題あるいは便所に伴う衛生上の問題で関係がございますが、私ども、運輸省におきましても、まず基本的な施設といたしまして、外人が泊まり得るようなホテル、旅館というものに対しまして登録制度を適用いたしまして、これに税制上あるいは金融上の優遇措置を講じて、外客がコンフォタブルに泊まり得るような施設を完備するように奨励をしております。五十二年の数字でございますが、全国で登録ホテルが三百五十四軒、部屋数にいたしまして五万六千室程度ございます。それから同じく外人が泊まられるような登録旅館でございますが、全国で千五百十五軒、部屋数にいたしまして七万二千百八十四室というように、基礎的な施設につきましては外人が十分喜んで泊まり得るような旅館、ホテルを整備いたしておるわけでございます。 その他の便所とか、あるいは自動車の駐車場等の基本的な諸問題につきましても、できるだけの配慮を講じて、あるいは他の関係官公庁と連絡をとりまして、今後とも、整備をしてまいりたいというふうに思っておるわけでございます。
○戸叶武君 語学の不自由な点がいろいろありますが、パリやベルリンやローマ等においては、留学生やその他がアルバイトで旅行のガイドをやっている人もあると思います。日本では、通訳の資格とかガイドの資格とか、いろいろむずかしいこともあると思いますけれども、変なキャバレーなんかでアルバイトをするよりも、もっと学生たちが、このごろはなかなか語学の達者な者も出てきておりますが、旅行の案内書でもひもときながら、若い清潔な学生なり何なりが案内するという方がよほど私は人間的な触れ合いにおいて有効な場合もあるんだと思うのです。お役所流儀で窮屈にしないで、文化交流というものはそういうところから出てこなけりゃならないと思いますが、こういうことに対してはどういうふうな配慮がなされているんでしょうか。
○説明員(杉浦喬也君) 外国の例と日本の通訳との関係でかなり差があるんじゃないか、もう少しゆったり接触をした方がいいんじゃないかというような御意見でございます。ある面ではまことにごもっともな御意見かと思います。 運輸省でガイドの試験を実施いたしておることは御承知のとおりでございまして、五十二年四月一日現在で、ガイド試験の免許取得者が千八百三十五人、非常に数が少のうございます。その中でも圧倒的に多いのはやはり英語のガイドでございまして、この中の八六%は英語のガイドでございます。そのほかのフランス語、スペイン語、ドイツ語、イタリア語等になりますと、非常に数が少なくなってまいるわけでございまして、こうしたガイドの試験につきましてもかなり厳密なむずかしい試験問題で選抜されてまいるものですから、なかなか数がふえないという難点がございます。そうした点をもう少し、実は、私ども、通訳という観点からいたしますと、法的な問題もございますが、ある程度もう少し人数をふやすような方法を講じなければいかぬのじゃないかという感じは持っております。今後、先生いま御指摘のようなアルバイトで通訳をやらしたらどうかというような点も含めまして、十分検討をしてまいりたいというふうに思っております。
○戸叶武君 だから、それを緩めろというのじゃないが、高級な通訳と一般的なごく旅行者に対する案内ぐらいできるような、ABCの三段階ぐらいの通訳がなけりゃ、通訳を雇うとばかに金がかかって大変だという印象を持たせないで、日本に行くと、十分と言えないにしても、若い学生たちでいろいろなめんどうを見てくれたというこれだけでも、そで触れ合うも他生の縁と言いますが、一つの大きな私は収穫になるのじゃないかと思いますから、その辺のことを十分考慮中の模様でありますが、もう少し、私は、これだけ土曜、日曜と休みもふえ、観光客が殺到するというときには、それに対処し得るような方法を講ぜられてしかるべきだと思いますが、この問題は外務大臣なんか苦労人ですが、どう考えますか。
○政府委員(愛野興一郎君) ただいまの先生の御意見は、私はまことにごもっともであるというふうに考えております。 外国の観光客の問題のみならず、国内の観光客にいたしましても、実は、私、個人的で申しわけありませんが、貸し切りバスを経営いたしておったわけでありますが、どうもいまの先生のお話しのように、たとえば歴史と文化あるいは伝統、こういったものを観光するのではなくして、言うなれば、何かまさに遊覧を主としたような観光のあり方であるものでありますから、たとえばガイドにいたしましても、歴史やあるいは文化やあるいはまた英語なんかは知らぬでも、おしぼりをサービスしたり歌がうまかったりするのが一番よろしい、こういうようないまの日本のあり方であろう、こう思うわけであります。 そういうわけでありますから、外国から来られる観光客に対しても、いま全国に大学の学生さんがたくさんおられるわけでありますから、そういった方がアルバイトでやられて、そして流暢な語学でなくとも、歴史や文化面については非常に勉強をしておられるわけでありますから、そういった方が簡単に役割りを果たしていただくというようなことはまことに好ましいものであろう、こういうふうに思うわけであります。ただ、国内の観光の問題はむしろ外務省よりも運輸省の観光部あたりの所管ではなかろうかと思うわけでありまして、ただいまのは全く個人的な答弁になってしまったかもわかりませんが、先生の御意見はまことに私はごもっともである、こういうふうに考えております。
○説明員(小林俊二君) 戸叶先生から先ほど御質問のございました教員の海外研修の問題でございますが、ただいま事務当局で調べさせましたところ、文部省予算といたしまして年間五千名程度の公立・私立を含めました小中高校の教職員を海外研修に送り出す制度がございます。このための予算が五十三年度政府原案には十三億二千七百六十万円計上されておるということでございます。研修の期間は、一人一カ月内外ということだそうでございます。 こうした制度はもちろん補完的なものでございまして、基本的には、教員の給与その他の改善によりまして個人の資格でそれぞれがそれぞれの必要に応じて海外に出かけることができるようにするということが基本であることは間違いございませんけれども、そうした面を補完する意味で大きな意味があろうかと存じます。
○小野明君 関連でお尋ねをしたいと思います。 構成員の地位の停止、第三十四条に「構成員が第三条に定める機関の根本目的に反する政策をとり続けていると総会が認める場合には、総会は、」三分の二で権利の停止をすることができる、こういう規定がございますね。いままで権利停止を受けた国というのはございますか。
○説明員(小林俊二君) まだこの機構が発足して間もないということもあろうかと思いますけれども、現在までのところ、そういうケースはないと承知しております。
○小野明君 その次は、第三条の2でありますが、「1の目的を追求するに当たつては、開発途上にある国の観光の分野における利益に特に注意を払う。」こういうふうに規定がしてございます。この開発途上国の観光の分野における利益というのは、どういう具体的な意味を持っているんですか。
○説明員(小林俊二君) 先ほど、この機関の発足の経緯について申し上げました際に触れられた点であろうかと思いますけれども、この機関は、一つの重要な役割りとして、開発途上国の観光政策、観光事業の振興の援助ということを大きな目的といたしております。そのために、具体的には国連の開発計画、先ほど申しましたUNDPとの協定によりまして、UNDPの擁しておる技術協力のための資金の一部の実施に当たるという役割りを担っておるわけでございます。で、その対象としては、当然のことながら、すべて開発途上国でございますので、開発途上国が工業化あるいは農業振興ということでとても観光にまで手が回らないといったような面を、そうした援助の観点から補足するという目的のために、この機関は一つの大きな役割りを担っている、そのことを意味するものと考えます。
○田中寿美子君 関連してですけれども、開発途上国の利益に注意を払いつつというのは、いまの御説明で私は理解できましたけれども、日本で、この七条のところの非政府団体の観光団体、それから観光会社が一緒になってJATAというのがありますね。それから国際航空運送協会ですか、IATAというのに参加しているわけですね。こういうJATAに参加している人たちが申請すれば、このWTOに入ることができるということになりますか。そのJATAとかIATAの関係ですね、その点をお伺いしたい。
○説明員(小林俊二君) 賛助会員ということで、民間の観光関係の機関もしかるべき手続を経て承認を受ければ、この機関にアソシエートすることができるように定められておると承知しております。
○田中寿美子君 そうすると、いまJATAに参加している機関もみんなこのことはよく承知しておりますでしょうか。それから、批准するとしたら、参加の希望が出されていますのでしょうか。
○説明員(杉浦喬也君) JATA——日本旅行業協会に参加の旅行業者の点だろうと思いますけれども、前のIUOTOの時代から入っておりますのは、財団法人の日本交通公社が入っております。したがいまして具体的に商売をされます旅行業者は現在までのところございません。今後、どういうことになるかといいますと、いまのところでは、法的といいますか、憲章上は賛助会員ということで参加できるわけでございますが、現在のところでは、参加したいというふうな申し出を私どもはまだ聞いておりませんので、今後どういう態様になるか、注目をしておるところでございます。
○田中寿美子君 じゃもう一点。 実は、日本人の海外旅行が非常に数が多いわけです。特にアジア地域、開発途上国への旅行者が多くて、私ども、婦人団体の活動の中で、特にたとえば韓国とかフィリピンだとか東南アジア諸国に行く日本の観光客が非常にお行儀が悪い。さっき戸叶先生のおっしゃったようなお行儀の意味ではなくて、いわゆるセックスアニマル的な観光客が多いというので、それでJATAにもIATAにも私どもしばしば申し入れをしました。これは運輸省の管轄ですけれども、ちゃんと監督をするように、それから添乗員がそのような外地へ行って遊びを誘導していくような、そういうことをさせないようにという申し合わせをしてもらうように何遍も申し入れしております。特に妓生観光のときなんか非常に厳しく申し入れを何回も婦人団体からしているわけなんです。 今度、WTOに参加する以上は、そういう民間の観光業者たちがちゃんと正常な運営をしていくように、そういう指導が何らかの形でできないかどうか、この辺を伺いたいと思います。
○説明員(杉浦喬也君) いま先生御指摘のような状況は、まことに残念でございますが、特に東南アジア、韓国、台湾等におきまして、どうも日本人のお行儀が悪いというお話は事実のようでございまして、まことに遺憾でございます。こうした点は、やはり日本人が外国に行きまして非常に誤解を生ぜしめることになりますし、ひいては日本全体の理解というものに対して大変な間違った理解をするというようなことにもなりますので、何とかこれを改めていく必要があるというふうに私ども思っております。 運輸省といたしましては、全体的なPR、政府の広報活動を通じまして、国民の皆様方に海外旅行でのマナーを周知徹底をしておるわけでございますが、特に旅行業者に対しまして、たとえば添乗員、よく問題になります添乗員のあり方というものにつきましては、本当にまじめな態度で皆様方を連れていくように教育研修を強めるような指導をいたしております。それからまた、旅行に参加される御本人につきましても、何とかお行儀をよくするようにということで、海外旅行のマナーの周知徹底をするべく、これも旅行業者を通じまして指導をいたしておるところでございまして、何とかそういう面で少しでも改善を図っていきたいというのが私どもの強い希望でございますし、また、そのような方向で指導してまいりたいと思います。
○田中寿美子君 日本が権利停止を受けないように、WTOに参加して(笑声)。外務省はいつも窓口で、実際に指導するのが運輸省ということなんですが、外務省は、その辺しっかりして、みっともないようにならないようにお願いします。
○政府委員(愛野興一郎君) ただいまの海外旅行のマナーにつきましては、外務省といたしましても、基本的には国民一人一人の姿勢あるいは心構えが大事である、こういうようなことで「海外旅行のアドバイス一八」とか、あるいは「楽しい海外旅行のために」というようなものを作成いたしまして、訪問国の風俗、習慣の尊重、あるいはまた法令の遵守、また訪問国の人権の尊重、こういったことを新聞、雑誌、講演等を通じてその周知を図っておるところであります。 いずれにいたしましても、御指摘のようなことは日本国民が誤解されるのみならず、日本国自体が誤解をされるおそれもありますから、こういった海外旅行のマナーにつきましては、外務省といたしましても十分周知徹底を図っていく、こういう方針であります。
○戸叶武君 世界観光機関に参加するに当たっては、日本は、どの程度の負担金を持つんですか。
○説明員(小林俊二君) 千八百万円ほど予定されております。
○戸叶武君 千八百万円というのは何位ぐらいで、一番上はどこで、幾らですか。
○説明員(小林俊二君) 年間千八百万円でございます。西ドイツと大体同額というふうに承知しております。
○戸叶武君 それで、その機関を構成している職員は、どのぐらいの人数になっていますか。
○説明員(小林俊二君) 約九十名、マドリードに事務局がございますが、現在までにそこで働いておるということでございます。
○戸叶武君 その九十名の職員の中に、日本は、言葉の上でも、それからいろんなアジアにおいても特異な存在になっておりますが、参加するように決まった場合には、日本の職員をどのぐらいそこに送り込むことができると思いますか。
○説明員(小林俊二君) 残念ながら、現在のところ、日本人はまだ一人も入っておりませんけれども、これはこのWTOといったような機関だけの問題ではございませんで、国連の諸機関、国連以外の国際機関におきましても、日本人の職員をもっとふやすべきであるということは政府といたしましても常々強く感じておる点でございます。現に、国際連合本部におきましても、日本の分担金の割合からすれば、日本人が百三十名あまりおってもいいというような査定を受けておるのでございますけれども、現実には、その半分内外しか働いていないという現況にございます。そこで何とか優秀な職員を送り込みたいという努力は続けております。 そのために外務省国連局には人事センターというようなものを設けまして、可能なそういう意向のある候補者のリストをつくり、あるいは空席が生じた際のニュースを伝播するといったようなサービスも提供しておるんでございますけれども、残念ながら、これは日本の特殊性と申しますか、言葉の問題ももちろんございますけれども、一つには、終身雇用制ということのために、職業の移動性と申しますか、が非常に乏しい、限られておる。一たん一つの職場に就職しますと定年までそこにおるという日本の特殊な事情のために、職をしばしばかえる海外の現況からくる実情とはかなりのハンディキャップが生じてくるわけでございます。 いまのところ、そういう面で、進んで海外の国際機関に働こうという人々の大半を占めるのは、学校を卒業したすぐの者であるか、あるいは定年間近な方々というようなことでございまして、いずれも海外の国際機関において中堅的な役割りを占める職種から期待される資格を外れる面が多いといったような特殊事情もございます。ではございますけれども、私どもといたしましては、何とか国際公務員としての職員の送り出しを増進したいという点で可能な限りの努力を今後とも続けてまいる所存でございます。
○戸叶武君 郷に入らば郷に従えという言葉がありますが、日本の硬直した官僚制度だけに依存しないで、やはりあらゆる形における国際機関に入っていって、出資はしたが、人をそこに送り込むことができないというのは政府の怠慢のしからしむるところでありますから、そういうぎこちない物の考え方でなくて、柔軟な形において希望者を募れば各方面から私はあると思うんです。そういう意味において、少なくともこのグローバルな時代に、世界の中の日本の位置づけということを考えるならば、どのような国際機関にも日本人がそこに参加するという気構えが大切じゃないかと思います。 そういうことは十分政府においても今後考慮しないと、何か日本は甲らを着た官僚ばかりでぎすぎすしておって、一つもそこに人間味のある対応がないというそしりを受けないとも限らないので、そこいらは余り古風な物の考え方でなくて、動いている世界にどう対応するかという構え方を持ってもらいたいと思いますが、政府の方では、どのような所見ですか。
○説明員(小林俊二君) 先生のおっしゃられるところは、私どもも十分理解し得るところでございます。 ただ、現在までの状態を客観的に分析いたしますと、先ほど申し上げたようなことになるわけでございますけれども、若いジェネレーションはそれなりに国際的な社会で働くことについての柔軟性をも身につけつつあると思われます。言葉の点においても私どもよりもはるかにしゃべること、書くことにつきまして、それぞれに能力を身につける機会を与えられておるようでございますので、海外の旅行などにつきましても、一世代前に比べれば、はるかに自由になっております。そうした国際社会との接触を通じて、そうした気構えというものも若い世代には浸透しつつあるようでございますので、政府の努力もそうした面をとらえて、今後、さらにその成果を確保することができるようになるのではないかという期待を持っている次第でございます。政府としては、そうした事実をとらえて、その成果を発揮できるように今後ともあらゆる可能な努力を払いたいというふうに考えております。
○戸叶武君 最後に一問。 国際観光というのは相手あっての一つの観光事業でありますが、たとえばヨーロッパでチロルのような土地においては、冬は観光収入が非常に多いが、太陽に恵まれない。夏だけでも家を閉ざしてイタリアやあるいは黒海沿岸のルーマニアやそういうところに家族ぐるみで海水浴に、太陽の光と海の水を浴びに行こうというふうな形で出ていっております。ソ連のような国でもカムチャッカにおける太陽と海に恵まれない青少年をピオニールその他の施設で黒海沿岸にずいぶん送っております。 日本では、そういう意味において、今後、日中平和友好条約でも結ばれると、私は、怒濤のように中国からの観光客がやってくるし、ソ連からも、やっぱり人事交流というものが大切だという形で、在来の観光という観念とは違って、このいままでのぎこちない関係をまず人間と人間の触れ合いによって埋めようという一つの新らしいタイプの観光というものの津波が押し寄せてくるのじゃないかと思います。そういうことに対応する姿勢が日本にはできていないんじゃないかと思いますが、その点はいかがなものでしょうか。 世の中というものは、変わり出すと、山の上から雪だるまが転がってくるようにだんだんふくらんで、思わぬ一つの変化が生まれないとも限らないのですが、いまいつも日本の観光事業でも何でも後手ばかり打っているような趣がありますが、先手必勝という、へぼ将棋でも先手は必ず勝つんですが、そういう先取りの考え方というものは日本の硬直した行政組織の中からはなかなか出てこないものでしょうか、どういうものでしょうか、その点はひとつ政務次官からでもお尋ねいたします。
○政府委員(愛野興一郎君) いま先生が申されましたように、国際的視野に立った観光立国というものをわが国も考えていかなければならない時代に来た、こういうふうに考えております。 それは先ほど国際観光収支のアンバランスを運輸省から説明があったのにも示されるように、わが国がすべての国と仲よくするというような基本的国家理念に立っておるとするならば、やはりわが国の観光行政というものは先生が言われたような方向に行かなければならぬという宿命である、こういうふうに考えておるわけでありまして、十分先生の御意見を私どもも体しまして今後に処したい、こういうふうに考えております。
○矢追秀彦君 先ほども出ておりましたけれども、この最初の第三条にあります「目的」のところに、「この目的を達成するため、適当なすべての措置をとる。」こうありますけれども、実際は国際連合開発計画との協力関係において行われるわけですが、このWTOがかなりイニシアチブをとってこの国際連合開発計画へ意見といいますか、考え方なり計画というものが反映できるわけですか、その点はどうなっていますか。
○説明員(小林俊二君) この第三条の三項に、国際連合開発計画の参加実施機関として、協力関係を設定するといったような規定がございますけれども、この協力関係設定のための協定ができ上がっております。その協定ができ上がりましてからまだ間もないという事情もあろうかと思いますけれども、現在のところでは、まだはっきりしたプロジェクトの内容までは私どもは承知いたしておりません。こういうことも実際に加盟いたしますれば、そうした情報についてももう少しきめの細かい知識を得ることができるかと思いますけれども、現在のところは、もっぱら実態的にはその事業の実施についての準備の段階であったというふうに承知しておりますので、今後、しかるべき金額の配分を受けて、この面においてこの機関は積極的な事業の実施に乗り出すものと私どもは期待いたしておりますし、また、そういう方向で、加盟の上は、日本としてもしかるべき努力を払いたいというふうに考えております。
○矢追秀彦君 いまのお話だと、ちょっと私もよくわからないんですが、実際、このWTOで、たとえば七九年なら七九年にはこうするという計画を立てる、それに対して予算がどれぐらいかかる、仮に今回はアフリカ地域を強化するためにホテルをりっぱにしようとか、いろんなことを仮に考えたとしますね、その年次で。そうすると、国際連合開発計画の方からお金をもらって、こちらが実施するようになるのか、この計画の中に入れ込んで実施は向こうがやる、こっちはその意見を言うだけと、そういうふうなのか、その点はいかがでしょうか。
○説明員(小林俊二君) 国際連合開発計画は、いわば資金を総体的に管理する立場にございまして、実際の現場におきます事業は、それぞれの実施機関が担当しております。したがって観光の分野におけるこの開発計画の事業というものは、実際には、このWTOが実施をする。 もっと具体的には、たとえばホテルの整備についての援助というようなことで専門家を派遣するとしますと、専門家の派遣に関する手配はこのWTOが行う。ただ、その資金を計画の方からもらうということでございます。そのためには予算の要求、それから配賦といったような現象が二つの機関の間で行われるわけでございます。
○矢追秀彦君 そうしますと、このWTOができる範囲ですね、「すべての措置を」と書いていますけれども、実際は、いろいろそのケースによっては、たとえばユネスコがやる場合とか、いろいろあると思うんですけれども、その点の色分けといいますか範囲といいますか、その辺は決まっておるんですか。
○説明員(小林俊二君) これは事業そのものは観光開発ということでございまして、分野はある程度弾力的に解されるものと、現在までの専門機関の事業分野の慣行から申しまして、考えております。しかしながら、この第三条の第三項にございますように、観光の分野においては、この機関が中心的な役割りを果たすということでございます。 国際連合とのかかわり合いと申しますか、国際連合との協定ということは、国際連合に関係のある種々の専門機関が重複してむだな事業を行うことがないようにということも一つの観点でございますので、全体としての調整はその枠内で行われるというふうに考えます。もっと具体的には、もし重複する事業が問題となった場合には、その関係した機関が相互に話し合いを行って、そして話し合いの結論を得た上で予算の配賦を受けるといったようなことになると思います。
○矢追秀彦君 かなり漠然として大ざっぱなような感じを受けるんですけれども、一番力を入れようとしておるところは、その観光では何なのか。たとえば観光資源の開発が最重点なのか、あるいは観光資源の保護というのも問題になってくると思いますけれども、発展途上国となりますと観光資源の開発ということが一番主なのかな、あるいはさっき申し上げたようなホテル等の整備というようなことになってくるのかなと思うんですけれども、その点は、大体、どういうことですか。
○説明員(小林俊二君) 具体的な計画につきましては、これはこの機関のそれぞれの審議機構において協議されることになりますので、そこで加盟後に具体的なその審議に参加するということになるわけでございますが、私どもが一般的な形で承知しているところによりますと、低開発国につきましては、主としてその観光制度の整備及び観光施設、ホテルを中心とする施設でございますが、そういう施設の整備という、その二つの面に重点が置かれることになるものと考えております。
○矢追秀彦君 そういった事業をやるに当たりましての財政ですけれども、分担金だけでは、このWTOに集まってくるお金だけではとうていできないわけですから、そのほかの機関から出してもらうようになると思うんですけれども、いわゆる協力をしてくれる機関がこの観光という点についてどの程度理解を持ってお金を出すか、そういった点の見通しというのはあるんですか。
○説明員(小林俊二君) この機関へ先ほど日本としては分担金千八百万円を予定していると申し上げましたが、これはこの機関自体を運営していくためのいわゆる行政経費でございます。で事業の面におきましては、先ほど申し上げましたような国連開発計画、UNDPからの資金というものがその大半を占めることになろうかと思います。そのUNDP枠内においてこのWTOというものがいかなる地位を占めるかということは、いまこの時点においてはっきり将来を見通すことは大変むずかしいことでございます。 これは、一つには、WTOがこの実施機関としていかなる成果を上げていくかという今後の実績にもかかわるところが大きいと思いますけれども、日本は、UNDP、開発計画内におきまして、この審議機関に議席を占めておりますから、そこでしかるべき考慮を払って、この機関のプロジェクトが有意義であると思われる限りにおいてこれを支持するという態度をとっていきたいと存じております。
○矢追秀彦君 そのUNDPでいままでいろいろな事業をやられておりますけれども、観光に関連するようなことについてはかなりやられてきているんですか。
○説明員(小林俊二君) いままでのところ、このWTOがUNDPとの協定関係になかったということもございまして、特に観光という分野においてUNDPがその資金の配賦に大きな部分を与えたということは全くございません。
○矢追秀彦君 そうすると、いままでのUNDPは、大体、鉱業開発とか、そういうことが主体で、観光に絡むようなことは全然やられていなかったと、UNDPについて余り私も詳しいことを勉強していないんですが、現在の財政の状況ですね。こういうものはやり出したら切りがないんで、際限なくお金が要るわけですけれども、いままでの事業の内容からいって財政的にはどうなっているのか。そういう今後このWTOに割くだけの余裕というものが出てくるのかどうか、その点はいかがですか。
○説明員(小林俊二君) これは、現在までのところは、先ほど申しましたように、観光といったような項目で支出が行われたことは全くございませんが、間接的には、たとえば運輸通信部門というようなことで貢献するような面もあったかと思います。今後は、WTOがこの協定を結んだということで、観光という面からこれをとらえて、事業を推進するということが可能になるわけでございますが、その予算の余裕からどの程度のことが可能であるかということは、UNDPに対する各国の拠出金全体の伸びがどの程度になるかということによってかなり影響される面が多いかと思います。 わが国におきましては、このUNDPに対する拠出を少しでもふやそうということで、昨年度は二千二百万ドルであった拠出金が五十三年度におきましては二千五百万ドルに増額といったような状態にございますので、こうした傾向に各国もならって総体的な利用可能資金量がふえれば、WTOに対する援助といったような面におきましても、新しい分野でございますが、可能になるものと考えます。
○矢追秀彦君 いま発展途上国で観光をこれからやるのには、一番問題となるのはやっぱり設備になるわけですか、一番の問題は。
○説明員(小林俊二君) これは各国によってかなり事情が違うと思いますけれども、いわゆるおくれの目立つ発展途上国におきましては、何と申しましても宿泊施設ということが何にも増して観光の観点では重要であると承知しております。
○矢追秀彦君 次に、旅行者の生命、安全あるいはまた健康、こういった面については、このWTOは関係をしてくるわけですか。たとえば昨年問題になりました日本でのコレラの発生、こういうのはWHOの方でやってしまうんで、これはもう一切関係なしということなのか、その点はいかがですか。
○説明員(小林俊二君) そういった疫学的な面における措置につきましては、WHOが第一次的な役割りを果たすということで、このWTOの関連でそういうことが問題になっているということは、目下のところ、ないように承知しております。
○矢追秀彦君 次に、先ほどもちょっと問題になっておりましたが、分担金ですが、この算定の方程式というのはどういう形になっておりますか。日本であったら、もう少し出してもいいのか、これが適当なのか。 というのは、他の機関の分担率から見まして、低いわけですね。たとえばユネスコだったら八・六%、それからILOが八・六%。それに対して平年度にした場合二・五%になるわけですから、その点ではほかの機関への分担金よりは低い。その点はふやすべきなのか、これが適当なのか。また、余りふやすとかえってまた各国を刺激するのか、その点はいかがですか。
○説明員(杉浦喬也君) 分担金の割り当ての方法、基準でございますが、三つに分かれております。 一つは、各国の均等割りでございまして、全体のWTOの当該年度の予算の二分の一を加盟の各国がそれぞれ均等に分担をするというのが一つでございます。それから、もう一つは、それぞれの国の観光収入等の事情によりまして各国別に割り当てられる負担でございまして、残りの二分の一は、このような割合で負担をされるということで、両方を合わせましたものが各国の分担金ということになっております。 で、この割り当て方法を具体的に適用する場合には、現在、全加盟国を五つのグループに分けておりまして、この五つの第一グループから第五グループまでのいずれのグループに入るかということを、それぞれの総会で決定をいたしておるわけでございます。
○矢追秀彦君 さっきお聞きしたほかの機関と比べると、二・五%ですよね、WTOに対する分担金は。ほかの機関よりも少ないわけですけれども、もちろん五%を超えないという規定があるようですけれども、その点で考えて、それはどういうことなのかということです。
○説明員(杉浦喬也君) ただいま申し上げましたような分担基準によりまして割合を決めますと二・五%グループに入るであろうということでございまして、他の機関との関連で多いか少ないかという点につきましては、このWTOだけを見ますと第二グループでございますので、第一グループのアメリカに次ぎます第二グループに入るであろうということで、WTOの中ではかなり高い方の割り当てになっていると思いますが、他の国際機関との関係でどうかといいますと、ちょっと私どもの方では様子がわからないのでございます。
○説明員(小林俊二君) WTOにおきましては、この投票の仕組みが一般の国際機関と比べましてやや特色があるようでございまして、これはその前身である公的旅行機関国際同盟の伝統を受け継いだもののようでございますけれども、その投票権が分担金の割合によって決められておるというように承知しております。したがって、ある特定の国が余りに大きな発言権を持つことがないように、公平にその発言権と申しますか投票権と申しますか、を抑えるという観点から、それぞれ非常に細かくこの分担金の比率が決められておるという面があるようでございます。
○矢追秀彦君 それでは、これは政務次官にお伺いをいたしますが、日本の観光は運輸省が中心で白書が出たり、大体、いままでは運輸省が中心になってきたわけですけれども、これからの時代を考えますと、特に週休二日制がだんだん普及してくればくるほど、余暇、レジャーをどう使うかということで大変問題になってくると思うんです。 政府では、通産省が余暇についてのいろんな開発の研究もされて、もちろん運輸省でもやられておる。それからいろんなものを取り上げますと文部省も関係してくる、環境庁も関係してくる、いろんな機関、いろんな省庁が全部絡み合ってきておるわけですけれども、観光も含めたもう少し大きな余暇、これから老齢化社会という問題もございますので、これは本気になって私は政府の方で機構的にまず整備をしてかからなければならぬのじゃないかと思うんです。 アメリカの場合は、かなりフィッシング、ハンティングについても政府の中に相当大きな機構を持っておるわけです。日本では釣りの場合であれば水産庁の一部のところにわずかの人しかいない。釣りだけ独立した課ももちろんないという、こんな状況ですし、ハンティングの方になれば猟銃は警察、それから動物の方というのは環境庁、いろんな省庁にまたがっていますが、いままでの経緯は皆やむを得なかったと思いますけれども、これから考えた場合、かなりこういった点ではまず機構整備——総理は、行政改革を一生懸命言われておりながら、なかなかできておりませんけれども、そういうことも含めて検討をされるべきだと思うんですけれども、その点についてはいかがですか。
○政府委員(愛野興一郎君) いまの御意見も、非常にごもっともであるというふうに私は考えます。 ただ、日本の行政が縦割りであります関係上、それぞれ、いまお話しのように銃砲関係は警察庁とか、それからまたハンティングの狩猟免許は農林省ですか、というふうにいろいろあるわけでありましょうけれども、そこで、やはり今後週休二日制が仮に徹底をして、そうして余暇の時間が非常に長くなってくるということになりますと、ヨーロッパのように自由にビザなしで行けるというような環境に似た環境をつくり上げていかなければならぬ時代が来るであろう、こういうふうに考えますと、やはり総合的な、いま言われたような対策あるいは方途、こういったものを考えていかなければならぬというふうに私どもも考えるわけであります。 ただ、それは行政改革というような大げさな意味でなくても、たとえば運輸省なら運輸省が中心になってそういったことを考えていくというような非常に視野の広い観点から観光というものを考えていかなければならぬであろうと、御意見は非常に傾聴に値する御意見であるというふうに感じております。
○説明員(小林俊二君) 先ほどの御質問に対する私の答弁で若干正確を欠く面があったようでございますので、訂正させていただきます。 分担金の決め方が非常に細かく、一国が非常に大きな部分を占めるということが避けられている理由は、これは発言権を抑えるという意識的な政策の結果のようでございますけれども、実際の投票そのものは各加盟国が一票ということでございまして、分担金に応じて投票数に差異があるということではないようでございます。結局、その分担金が非常に多ければ、分担金の多い国が間接的には大きな発言権を持つようになることが伝統的にきらわれているということの結果のようでございますので、その辺の関係は、この憲章上の直接的なものではないようでございますので、訂正申し上げます。
○渋谷邦彦君 委員長、一言。 先ほどからずっと御答弁を伺っていますと、一体、この機関は何をやるんだろうということがきわめて不鮮明なんですよね、はっきり申し上げますと。なるほど憲章ですから、具体的な実務については述べられていないのはやむを得ないといたします。目的の第三条をずっと読んでみると、大変耳ざわりのいい項目が並べられているわけです。具体的にこれを実行に移した場合に、どういうこれから経過があるんだろう、日本にとってどれだけのメリットがあるのか、そうした点が全然わからない。それで御答弁それ自体にも非常に不明確な点もあるわけです。 観光を振興して、その国の実情の理解を深からしめるということは、国際交流の上で大事な一つの手だてではあろうというふうに思います。思うけれども、一体、これでどういうふうになっていくんだろう、発展途上国はどういう利益を実際に受けていくんだろう、こういった点が御質問の方では聞きたいんだけれども、答弁がそれにはね返ってこない。ただホテルの施設をどうするとか、それも大事な一つの要件であろうと思うけれども、基本的には一体何なんだという問題ですね。 こういうふうな問題はやっぱり的確にその目的はこうなんだ、実際にこれを遂行するに当たって、今度の公的旅行機関国際同盟というものが果たす役割りというのはこういうものだと。それで日本に及ぼす影響というのはこういうことでこういう効果があるんだ、そしてまた発展途上国においてはこういう一つの利益、恩恵を与えていくことができるんだと。それに対する財政的な措置はこうなっているんだというようなことが、どこか途中で切れる場合があるんですね、まだ非常にその点はわかりませんというようなことで。やっぱり一つのこういう条約案件ということになりますと、これは国際的なトラブルを起こすということに発展しかねない場合があります、この運用の面に当たりましてね。その点は、一体、どういうふうに今回のWTOの批准に当たって政府として受けとめているのか、もう一遍、その辺を整理して、この目的から一体どういうふうに日本の国に恩恵があるのか、発展途上国にはどういう恩恵があるのか、その辺を整理して御答弁いただければよろしいと思うんですがね。
○説明員(小林俊二君) この機関の前身である公的旅行機関国際同盟という国際民間機関の時代におきましては、その主たる活動は、観光に関する統計の作成であるとか資料の収集あるいはディセミネーションであるとかいったようなことであったと思います。その活動はこのWTOにおいてももちろん引き継がれるわけでございますけれども、その民間機関が政府機関に改組された直接の動機は、低開発国、開発途上国における観光開発という問題、そのためには観光開発のための資金あるいは技術、知識といったものがそれぞれの途上国において十分じゃない、援助が必要であるということのために、国連のそういった技術協力面における資金を低開発国のそういった事業に振り向けるための一つの機関となることが最も大きな動機であったわけでございます。したがいまして、その面の事業は従来の民間機関時代にはなかった新しい面でございまして、それが今回成立しましたWTOの最も大きな発足の意義であろうと思います。 で、世界にはきわめてさまざまの国際機関、政府間の国際機関がございますけれども、そのいずれにおきましても南北間の問題といったようなものが非常に大きな問題として浮かび上がってきております。これは保健の問題におきましても、あるいは貿易の問題におきましても、あるいはもっと技術的なその他の問題におきましても、そういった面が非常に強調されてきておるのでありますが、この観光の分野におきましても、そういった低開発国側の意欲あるいは希望、要望といったようなものがこの改組の背後に最も大きな役割りを果たしたというように考えております。 この観光開発というのは、その開発途上国から見て、一体、どういう意味があるのかという御質問でございますが、これはきわめて端的に申し上げれば、いわゆる貿易外収入の増進といった経済的な要請に当たるわけでございます。そうした面から、そうした収入というものが少しでも外貨の収入の増加を必要としておる低開発国側の要望にも沿う一つの手段である。一つの面であるということになるわけでございまして、その面から先進国側としては援助を惜しむべきではないといったようなことにもなるわけでございます。大きく言えば、南北問題の一つの局面を担っておると言ってもいいかと存じます。
○渋谷邦彦君 これは留保しておきましょう。
○委員長(安孫子藤吉君) 本日の質疑はこの程度として、これにて散会いたします。 午前十一時三十七分散会 —————・—————