予算委員会 第12号
- 発言数
- 280 件
- 登壇者
- 35 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1978/02/14
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 昭和五十三年度一般会計予算、昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。 この際、去る一日の多賀谷君の質疑に関し、宮澤経済企画庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。宮澤経企庁長官。
○宮澤国務大臣 二月一日の当委員会における多賀谷委員の御発言に関連いたしまして、公共事業等施行推進本部が関係省庁の協力を得て関連データを集計しておりましたが、その結果は、お手元に差し上げました資料のとおりでございます。経済見通しにおけるマクロ的な雇用増の見通し等については、同日すでに御説明申し上げたとおりでございますが、今回の集計は各事業ごとの積み上げによる集計値でございます。一つの御審議の資料として提出を申し上げたものでございます。
○中野委員長 多賀谷君。
○多賀谷委員 先般、私が、実質成長率七%達成に関連をいたしまして、設備投資の面で電源開発について質問をいたしまして、資料要求をいたしました。資料は出てまいりましたが、その個所と金額が書いてあるわけであります。ところが、それが果たして実行可能であるかどうか、環境その他の問題でかなり住民の反対があるという点に対する資料が、遺憾ながら出ておりません。あるいは役所ではなかなか無理かもしれません。しかし、残念ですけれども、二月十日の朝日ジャーナルの「景気刺激に水をかけた芦浜原発汚職」という中で、電源地域の現状についていろいろ資料がありますけれども、これはなかなか実行が困難であるということを示しておるようであります。これについては、時間もありませんから言及いたしませんけれども、私も、これはなかなか予定どおりいかないのではないか、かように思うわけであります。 そこで、いま政府からお示しいただきました公共事業による労働者雇用増加数について、若干質問をいたしたいと思います。 本来、七%実質成長を決めたのは、決して外国からの圧力ではなくて、雇用保障のために七%が必要であった、こうおっしゃっておるわけでありますから、しからば、一体雇用はどういうようになるのですか、こう聞きましたところが、そのデータが、経済企画庁のきわめてマクロ的な資料しか出なかった。そこで私は、個別的に要求をいたしたわけであります。そこで政府の資料は、十万人という資料が出ました。十万人というのは、公共事業直接労働需要量の増加でありまして、あとの七万人という資料が、残念ながら出ないのであります。これは地方単独事業あるいは国鉄、公社等の設備による需要だ、それによる労働需要の増加である、こういうことであって、遺憾ながらこの資料は出ませんでした。 そこで私は、これが果たして本当に労働者の雇用数の増になるかどうかというのが非常に疑問なんです。なぜ私があえてこういう資料をとったかと言いますと、かつて石炭合理化法が出ましたときに、一体どういうように労働者を使うのですかと言いましたら、当時の西田労働大臣が本会議において、油須原線というのを建設してピーク時においては一日三千人使います。こう答弁をされた。ところが実際は、地元でわずかお茶くみ三人しか使わなかったという例があるわけです。でありますから私は、そういう点で、果たしてこれが本当にこれだけの労働者を使うかどうかというのはかなり疑問があるわけであります。一体この資料を出された当局は、本当に十七万人の雇用増になり、それがまた完全雇用の面からいって完全失業者が少なくなると見るのかどうか、これをまずお聞かせ願いたい。
○宮澤国務大臣 御指摘のように、お目にかけております資料は、いわゆるマン・デーの計算をいたしましてそれを集計いたしておりますので、したがいまして、これだけ全部が新規の雇用になるというふうには申し上げがたい点がございます。すなわち、いわば既雇用、現在雇用されておりながら十分な就労機会がないというような人々がまず十分な雇用に入るという要素は、現在のわが国の情勢から見まして、間違いなくそういう部分があると存じますので、この十七万人全部が新規の雇用であるというふうに推定することは、私は若干の無理があるであろう、新規雇用はそれより何がしか少ない、既雇用がそれだけ十分に雇用機会を得るという部分が相当あると考えなければならないと存じます。
○多賀谷委員 これは機械化との関連はどういうように見られておるのか。 時間がありませんから、もう一点は、雇用増というならば、労務費の関係でいわば一番低い道路整備がなぜ多いのか。道路整備は労務費から見ると一四%しかない。治山治水は二二%です。港湾漁港空港が一六%、住宅が一六、下水道環境が二三、農業基盤整備が二〇%、林道工業用水が三七%、災害復旧が三四%、こういう労務費の割合になっているわけです。ですから、雇用問題が重要であるとするならば、雇用について一番寄与しない道路整備がなぜ多いのか、これをお聞かせ願いたい。
○長岡政府委員 お答え申し上げます。 第一点の、機械化が計算されておるかどうかという点でございますが、建設省、運輸省等によって労務費の計算の仕方が違いますけれども、最近の実績に基づきます推計、たとえば労務量の原単位計算とか、あるいは運輸省でいえば積み上げをやっておりますので、最近の機械化は織り込まれておると存じます。 それから第二点でございますが、確かに御指摘のとおり、公共事業の種類別に労務費率は違うわけでございます。雇用関係を重視する立場から申し上げますれば、御指摘の点はごもっともだと存じますが、ただ公共事業につきましては、また各事業ごとにそれぞれ目的を持っておりまして、一例だけ申し上げさせていただきますと、雇用の吸収量の非常に多い下水道を実施しますためには、その上物である街路をやらなければ下水道の整備が進まないといったような関係もございまして、雇用重視は当然のことながら、それだけで事業別の配分が割り切れないという点も御了承いただきたいと存じます。
○多賀谷委員 総理、この雇用保障が公共事業を伸ばす最大の目的であるとおっしゃった。そうすると、一番雇用吸収率の低い道路整備がなぜ一番高いのですか。雇用の面から見るとするならば、物の考え方が逆じゃありませんか。これは政府が出した資料ですよ。ですから、雇用問題というのは考えていないのじゃないか、こう思いますが、どうですか。
○福田内閣総理大臣 この予算は、経済の七%成長を実現し、もって経常収支、これの大幅な黒字を縮減するという対外的な要請にこたえる、それから対内的には、これは雇用、それから景気の上昇、こういうことをねらっておる、こういうことでありますが、しかし、それは雇用といいましても、景気といいましても、その二つのことだけでというわけにはいきません。私は、施政方針演説でも申し上げましたが、この機会は、われわれのおくれておる国土の生活環境、これの整備をするのに非常にいい機会なんだ、そういうことで国土全体のことを踏まえて、その中で雇用という目的を達成する、こういう考え方なんです。でありますから、雇用の立場から言えば、能率のいい、そういうことを考えながらやることは当然でありますけれども、雇用の面からそう有効でないというような道路、こういうものにつきましても着目をしている、こういうことでございます。
○多賀谷委員 結局、雇用確保ということが主になっていないのですね、従になっている。いまの総理の発言からこう言わざるを得ない、こういうように思います。 なぜか。もう一つ問題がある。これはほとんど不安定雇用ですよ、残念ながら。このうち常用はどのぐらい入るのですか。ほとんど不安定雇用でしょう。これが五十四年、五十五年ずっと続くならば安定雇用になりますね。しかし、この労働者はみんな不安定雇用ですよ。これはどういうようにお考えですか。
○福田内閣総理大臣 成長は五十三年度でやめになるわけじゃないのです。五十四年度も五十五年度も五十六年度もやっていく。しかも五十四年度、これはかなり高い成長ということを考えていくわけでありまして、ですから、五十三年度の七%成長経済、それで雇用に対する配慮は経済政策としてやらないのだというわけじゃないのでありまして、ずっと雇用ということをにらんでやっていくわけなんです。特に私はしばしば申し上げているわけです。資源・エネルギー有限時代だと。そういう立場から言えば成長は低い方がいいのです。しかし、雇用ということを考えるとそういうわけにはいかぬ。そこで雇用という要請と資源エネルギーという別の要請との接点、これは大体十年間を展望すると六%ぐらいだ、こういうことなんで、雇用ということは長きにわたって考えている問題であります。
○多賀谷委員 エネルギー・資源有限は全然関係ないじゃないですか、どこに関係あるのですか。全然これは関係ありませんよ、つけたりですよ。これと資源有限の何が関係ありますか、関係ありませんでしょう。総理が、これは雇用が重点ですとおっしゃっているでしょう。七%というのは外圧ではありません、雇用を確保するためですとおっしゃっているでしょう、施政方針で。国内的にはそれを最重点におっしゃっているのですよ。ですから聞いているのです。しかも、これは不安定雇用でしょう。そうすると、これは五十四年も五十五年も、このペースは崩さないのですか、それをお聞きしましょう。
○福田内閣総理大臣 先ほど申し上げましたように、ここ十年以内を展望しますと、六%成長程度のことを考えておるのですよ。そうして五十三年に近い時点は六%よりかなり高い水準。そうして不安定とおっしゃられますが、確かに五十三年度の雇用というものは不安定要因があると思うのです。つまり臨時的な公共事業というような性格のものがかなりありますから、不安定要因がありますけれども、そのうちに企業の設備稼働、これも高まってまいりまして、そうして、それにつれまして民間の設備投資も始まってくる、そこで安定した雇用という面に労働力は移行していく、こういう傾向になるわけなんです。そういう傾向を踏まえながらとにかく六%、これは雇用関係を非常に重視しておるという、そういう考え方に基づくものであります。
○多賀谷委員 簡単にお答え願いたいと思いますが、公共事業はこのペースで五十四年も五十五年もいくのですかと聞いているのです。ほかのことを聞いているんじゃないですよ。成長率を聞いているんじゃないですよ。
○村山国務大臣 いま積み上げ計算で出しましたのは、多賀谷委員御承知のとおりに直接のものだけでございまして、十七万人と推計されるわけでございますが、当然波及効果があることは御案内のとおりでございまして、ですから、マクロでもっと大きな数字が出ているのもその点でございます。 もう一つは、社会資本というものはお互いに相関連していることは、先ほど主計局長から言ったとおりでございまして、先ほどは下水道の例を挙げましたけれども、たとえば街路をつくりますと民間設備投資を誘発する等のことがございます。したがって、社会資本というものは、ここにあらわれている労務費率だけで物を考えるべきではないので、相互に関連していると思うのでございます。 それから、第三点の来年からどうなるかという問題でございます。しかし、そこはやはり全体の成長率が決定的だと私は思うのでございまして、実質的にはことしと余り変わりのない六%、ことしもまあ六%でございますが、来年も六%強ぐらいのところを考えております。公共事業につきましては、この前の試算、これは試算でございますけれども、一四%ぐらいの伸びを考えております。しかし、そこではやはり最後に問題になるのは実質成長率、それがやはり雇用を吸収していくであろう、公共投資については少しスローダウンいたしますけれども、問題になるのは私は実質成長率だと思っておるのでございます。
○多賀谷委員 きわめて明確でないですね。公共事業がこのペースでいくのですかと聞いているのは、建設業としてはクレーンを入れるかブルドーザーを入れるか、こういうことを考えなければならぬでしょう、それも入れられない。そうすると臨時で雇うだけだ。そうして、事業としては非常に不安定でありますからなるべく繰り延べていきたい、そうして労働者の方はやがて解雇される労働者である、こういうところへだれが行きますか。そうして、いま失業しておる者と建設労働者は必ずしも合わない。地域的に見るとどうですか、求人倍率が〇・一のところから一・二、これだけの地域差があるのですよ。これをどう配分するのですか。配分計画もないでしょう、第一、合わないでしょう。この公共事業をずっと地域別に見てみると、むしろ恐らく逆で、このなにでいけば、わりあいに失業者の少ないところがよけいいくことになる、失業者の多いところは余りいかないことになるのです。これはひとつ府県別に後に出してもらいたい。そうすると、いまの有効求人倍率との比率が一体府県でどうなるのか、これは非常に重要な問題ですよ。一方においては建設労働者の足らない地域が出る、一方においては依然として失業者が余っておる地域が必ず出る、こういう非常なアンバランスを繰り返す、これが問題じゃないですか。 それからもう一つ、私は非常に遺憾に思いますのは、これが安定成長、今後の日本経済の進む方向にこの事業が行ってないということですよ。むしろ過去を追うた、過去のいわばわれわれの間違いであったのではないかと言われる路線を走ったということです。ですからこれは、ひずみが拡大しますよ。そういう点に問題があるのじゃないですか。どの事業をとってみましても、なるほど需給ギャップはそれについては少し縮小されるかもしれないけれども、これはいまから行く路線に向かって進んでおるのじゃないでしょう。これだけ十兆円も十一兆円も赤字を出すのに、国債を発行するのに、いまから行く路線に走るべきですよ。そういう点が全然されてないというのは、私は非常に残念である。 それから、労働省は今後一体どういうように雇用状態を見ておるのか。 まず総理から、さっき私が言いましたように、いまからの路線をどうして走りませんか、なぜ過去の高度成長のやった事業をそのままやるのですか、この質問についてお答え願いたい。
○福田内閣総理大臣 私は、施政方針演説でも非常に明確に申し上げているわけです。五十三年度はトンネルの出口が見えるのだ、しかし、その出た先はいままでの来た道じゃありませんよ、つまり高度成長社会じゃありませんよ、安定成長社会ですよ、もう量よりも質をとうとぶところの、静かな、落ちつきのある社会ですよ、そういうことを言っているわけです。私は、安定社会ということをもうずいぶん前から言っておるわけでありますが、ことしの施政方針でも、誤解のないように、われわれはもと来た道へ帰っていくのじゃないということを力説しておるのです。しかし、いま今日この事態を考えますときに、これは非常に深刻な経済状態だ、これを直さぬで一体どうして安定社会が実現できるのかということで、臨時異例の措置として財政主導型の景気政策をとっておる、こういうことでありまして、決してもと来た道へ帰ろうとしておる、そういう考え方は全然持っておりません。
○多賀谷委員 産業構造といい、エネルギー節約、資源節約時代といい、そういうことを言われておるにもかかわらず、その方向に行っていない。むしろ、ここで公共事業が来年、再来年度落ち込むと、需給ギャップはまだ拡大をし、ひずみが大きくなる。傷口が大きくなるような方向の公共事業をおやりになっている、これを私は注意しているわけです。その方向に行っていないじゃないですか。 そこで私は、残念ながらこの不安定雇用を増大をする計画には承服できない。そうして、この計画が一体府県別でどういう展開をされるのか、その府県別の求人、求職倍率との関係がどうなるのか、もう一度資料を出してもらいたい。そうして、本当の意味における雇用確保の方向に行っているのかどうか、これを検討いたしたいと思う。 時間がございませんので、最後に、予算修正について総理の決意を聞きたいと思います。 自民党の中には、断固として修正に応ずべきものではない、いろいろ勇ましい意見が出ておるようであります。いま野党間で、政策担当者の間でいろいろ案が詰められております。やがて与党に持ち込まれるわけでありますが、こういういわば非常に柔軟な中に、早く予算を通過させたいという国民の希望を入れて、いま各党は動いておるわけですよ。 そこで総理は、そういう情勢の中で、この野党の予算修正に対して一体どういう対応を示されるのか、いままでかなり柔軟な態度というように見受けられる点がございましたが、それに間違いないかどうか、お聞かせ願いたい。
○福田内閣総理大臣 私は、基本的な態度といたしまして、政府が原案を出したのだからそのメンツにこだわって事を処理するというような、そういう考え方はとらぬ、これはもうはっきり申し上げます。ただ、いま御審議願っている予算案、これはとにかくずいぶん長い間かかりまして考えに考えて御提案をいたしたものでありまして、さあ皆さんの統一されたお考えがどういうふうになってくるか、まだそのお考えも聞かない今日のこの段階でございますが、私どもは、いま新聞等に報ぜられておる皆さんのお考え方、あれよりは、わが自由民主党が推進し政府が提案いたしましたいまの予算案の方が今日この事態に適切な案ではないかなあと、こういうふうに思っております。いずれにいたしましても私は、メンツというような、そんな考え方はありません。その点だけは明らかにしておきます。
○多賀谷委員 そういたしますと、野党が出します修正項目については十分対応する気持ちがある、こういうように承っていいですね。
○福田内閣総理大臣 野党の皆さんから正式に御要請がある、それは謙虚に承ります。しかし私どもは、私どものつくったこの案はいまこの段階とするとベストのものである、こういうふうに考えますので、私どもの考え方につきましてもひとつよくお聞き取り願いたい、このように思います。
○多賀谷委員 最後に、委員長、要望でありますが、この公共事業がいよいよ施行される、そうすると、いま各府県で比較的失業者の少ない地域と非常に失業者の多い地域がございます。そこで、その公共事業はどういうように配分されるのか、それとの関連はどうか、資料を要求しておりますので、委員長の方で、ぜひひとつこの予算審議中に出していただくように要望していただきたいと思います。
○長岡政府委員 事務的な問題でお答え申し上げますが、府県別の配分となりますと、公共事業の実施計画の個所別が終わりませんと府県別の配分ができません。これは予算が終わるまでに下準備はさせていただきますが、最終的な決定は予算成立後になるわけでございます。したがいまして、府県別の御要求資料は予算審議中に提出申し上げるのは無理だと存じます。
○中野委員長 多賀谷君、御了承できますか。
○多賀谷委員 大体、方向でいいのですよ。大体わかるでしょう、それはもうぴしっといかなくても、大体わかるでしょう。それはわかりますよ。私は府県の単独事業まで言っていないのですから、十万人のところでいいのですよ。推進本部の十万人の範囲で大体わかるでしょう。やはりこれだけの失業者の分布率が違うのですよ。違うときに、失業者を対象にして公共事業をやるというならば、失業者の多いところによけい配分が行くのが当然でしょう。ですから、そのことぐらいあたりまえでしょう。
○中野委員長 多賀谷君に申し上げますが、理事会で協議しまして、できるだけ御要望にこたえるようにいたします。出ないものはどうしても仕方がありませんから、御了承願います。 これにて多賀谷君の質疑は終了いたしました。 次に、去る六日の川俣君の質疑に関し、中川農林大臣から発言を求められておりますので、これを許します。中川農林大臣。
○中川国務大臣 去る二月六日の本委員会において川俣委員から御指摘のあった問題点は、三点であったと理解いたしております。 その第一点は、ペナルティー措置は撤回したらどうかという点であり、第二点は、余り米の取り扱いについて、対策に協力した者と非協力者との間で差をつけずに政府は買い入れるべきではないかという点であり、第三点は、自治体や農民に強制する以上は、法律が必要であるという点であったかと思います。 これら御指摘の点に対する農林省の考え方でございますが、まず、第一点の、ペナルティー措置は撤回せよという御指摘につきましては、政府が考えております目標未達成の場合の転作目標の加算等の措置はペナルティーという性格のものではないということに御理解を賜りたいと存じます。これは、いわゆる正直者がばかを見るという不公平な結果となることを防ぐための必要最小限の公平確保措置でありまして、対策の推進上ぜひ必要なものと考えておりますが、これについて農林省はペナルティーないし罰則という説明をしたことは全くございません。 次に、第二点の、余り米の取り扱いについて、協力者と非協力者との間で差をつけずに政府は買い入れるべきであるという御指摘でございますが、予約限度超過米、いわゆる余り米につきましては、転作に対する協力農家であると非協力農家であるとにかかわらず、政府買い入れは行わず、自主流通ルートで販売させることといたしております。しかしながら、公平確保の見地から協力農家と非協力農家との間に一定の差を設けることは必要と考えますので、協力農家の超過米につきましては、転作目標の達成を奨励する見地に立って、特に円滑な流通を図るための適切な措置を講ずる考えであります。 最後に、第三点の、地方自治体や農民に強制する以上は、法律が必要であるという御指摘につきましては、従来の経験等から見まして、この対策は何よりも農家その他関係者の理解と協力によって進めることが不可欠でありまして、法律によって強制することは適当でないと考えている次第でございます。 以上、何とぞ御理解を賜りたいと存じます。
○中野委員長 川俣健二郎君。
○川俣委員 補正の予算委員会とこの予算委員会の総括と、二回にわたって、今回出された水田利用再編対策、この論議を深めるのにどうにもならないのは、一片の通達でこれだけの大きな問題をやろうとするところに無理があるのじゃないか。国会挙げて、国挙げて、将来の食糧問題、そして米以外の自給率を高めるという大きな問題を論議するのに、この予算委員会で大蔵大臣が初めて二千百二十億という財政措置を提案するだけでは事足りないのじゃないか、こういうことから論議が深まったわけです。 そこで、ひとついまの農林大臣の問題でどうにもひっかかる問題をもう少し確認しておきたい。 その前に総理にもう一遍お尋ねいたします。 私がこの問題を取り上げたのは、どうもこの一片の通達でやってしまおうという考え方は、これは総理の姿勢というか、理念に非常にかかわりがあるのじゃないか。後ろで、私はちょうど席が後ろですから、聞いていますと、総理の考え方が、非常に微妙かもしらぬけれども変わっていっているような気がします。通達行政が非常に多くなったし、補助金行政が非常に多くなったし、それから建国記念日に後援するというのから今度は参加するという、そういうようにだんだんに変わっていっているんで、これはやはりひとつこの辺でただしておかなければならぬ。しかし、総理は、これは法律規制でやるべきではなくて話し合いで、何と言ったってつくるのは農家ですから、十分に法律にはなじまないので、連帯と協調という精神でやっていこうという考え方を終始言われた、その考え方は変わりありませんか。
○福田内閣総理大臣 ただいま農林大臣から申し上げましたように、この問題は、これを法律で政府が強権的にやっていくという、そういう行き方になじまないのではないか。やはり一つ一つの農家に、それを地方自治団体やあるいは農業団体を通じて理解と納得をしていただいて初めてこれが円滑にやっていけるのではないか、そんな感じがしてならないのです。川俣さんの御所見、これは私もよく理解はできますよ。できますけれども、この問題の性格上、行政措置でやった方が、この円滑な実施ということになるのじゃないかな、こういうふうに思います。政府といたしましては協調と連帯、この精神で、どこまでも農家の納得を得た上、実施していきたい、このように考えています。
○川俣委員 そこで、私たちも決してこういう問題は強圧的に、法律的にペナルティーをとってやるべきだという考え方じゃない。そこで法律と通達というものを、後ろに座っている法制局長官に、あなたの筆を加えたものを読んでみますから、これをもう一遍確認します。 「「通達」は法律に基き上級行政機関がその指揮監督権の行使として発する文書の名称として用いられてきた。」従来はですね。「但し、行政指導的な趣旨により通達を下部機関に出してもよい。また、それが通例になって来た。」ところが、三番目に――違ったら言ってくださいよ、これはあなたが手を加えたのですから。そのとおり読みます。第三番目は、「国民に対する強制力(権利の制限・義務の設定)を伴う行政行為は、法律に基ずかなければ行うことができない。」これはよろしいですね。きわめて常識的ですけれども、まず確認。「従ってこの生産調整の措置(いわゆる世に云うペナルティを含む。)は協力願いであって、必ず之に従わなければならないものではない。」これもきわめて常識的なことですから、よろしいですね。
○真田政府委員 ただいまお読みになりましたことは、そのとおりだと思います。つまり、繰り返して申しますと、初めのうちは通達、通達というふうにおっしゃっていましたので、それで通達というのは、それは従来の伝統的な行政法学上は、法律に基づく指揮監督権のある上級機関が下級機関に対してその指揮監督権のあらわれとして、文書でいろいろなことを指示する、それが本来的な意味の通達でございますが、最近、ただいまお読みになりましたように、その内容が行政指導である、つまり法律的な拘束力を持っておらない行政指導を内容とするような事項についても、それを通達という名称で流しておるという例が最近かなり多くなってきておる。そして、今回のいわゆる水田の再編利用も、どうもそれを裏づける法律がございませんから実質はやはり行政指導であって、それで都道府県知事なり、ましていわんや農民の方を法律的に拘束するというものではないという趣旨でございます。
○川俣委員 それで農林大臣、先ほどの三項目の回答の中で――そのほかいろいろとありますよ、ありますが、特に大事なのは、総理なり法制局長官との質疑応答の中で、農林省も理解できると思います。しかも農林大臣がおっしゃることも理解しました。決してペナルティーということを言った覚えもないし、罰則を加えようという考え方もない。ただし、実際問題、この前お見せしましたように、各県各町村は、「ペナルティー(罰則)」規定だから注意願いたいという通達を各家々に渡しておる。この現実を見た場合に、この文書については、誤解を撤回するということだけではなくて、やはりこういうような趣旨を徹底するという通達を出すかどうか、ぜひ答弁願いたい。
○中川国務大臣 目標未達成の場合の目標補正等の措置につきましては、先ほど申し上げましたように、いわゆる正直者がばかを見る結果になることを防ぐための必要最小限度の公平確保の措置でありまして、本対策の推進上ぜひとも必要なものと考えておりますが、非協力者に対する制裁とか罰則といった性格のものでないことは先ほど申し上げたとおりでございます。しかしながら、御指摘のように、末端において一部に誤解があるようでありますので、この点につきましては早速通達を発しまして、この誤解をなくすように取り進めてまいりたいと存じます。
○川俣委員 通達を出すと私も確認しましたので、時間がありませんからもう一点だけ、せっかく総理並びに各大臣が並んでおられるこの総括質問ですから、私はどうしてもこの辺で確認しておきたいのは、古米処理の問題でございます。 これは一農林省だけではどうにもならない財政上の措置の問題がある。キャッシュそのものはかからないにしても、損金処理その他でかなり膨大なものである。そこで、会計検査院にもう一遍確認したいのですが、昭和四十二年からの古米が残っておる。そして、四十二年からの古米を食わせられておるというわけではないが、少なくとも古米と新米との比率は東京では三五%対六五%。三五%の古米を食わせられておるわけです。そこで農林大臣も、農政に御努力されているその中で、なるべく消費拡大の意味で、ビールや水割りを飲むんじゃなくて日本酒という言葉まで言われておる。しかし、農政というのはそうじゃなくて、国民が自然とまた米に戻るという農政を考えなければならぬということを考えると、たとえば、米どころに行ってせっかく駅弁を食べようと思ったらまずいという声はどうしても否定できない。したがって、私はこの際、総理、大臣居並ぶところで、農林省だけでなくて、政府を挙げて、この辺で一遍古米を徹底的に整理する、こういう考え方に立たなければ、片や生産調整でやってみたところで、順々に古い米を何割かまぜて食べさせられるということになると、消費はだんだんに減っていくという悪循環になる。 そこで、私はこの前、あえて会計検査院に求めたのですが、本年度の一つのテーマとして、この古米の検査を徹底的にやるという姿勢があるかどうか、もう一遍確認したいと思います。
○阿部会計検査院説明員 先生御指摘のように、古米がだんだんふえてまいりますということは憂慮すべき事態であると思いますので、本年の検査におきましてはこの問題に力を入れて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○川俣委員 時間が参りましたけれども、もう一点だけ。 いま混乱の中でも、非常に苦しいながらも、町村長を通じて割り当てをやっておる盛りです。私が不思議なのは、国家機構である食糧事務所とか統計事務所、農政局を通じて余り相談がないのですね。あれはどういうわけだか自治体だけを通じてあれをやるという、その辺は、非常に時間がないので、こういうような問題は一般質問で同僚議員ともども関連でやっていきますが、ひとつ国挙げて生産調整をどのようにやるべきかという考え方をぜひやってほしいということをあえて居並ぶ大臣諸公に申し上げて、私の質問を終わります。
○中野委員長 これにて川俣君の質疑は終了いたしました。 続いて、去る一日の小林君の質疑に関し、金丸防衛庁長官から発言を求められておりますので、これを許します。金丸防衛庁長官。
○金丸国務大臣 先ほど配付しました資料は、本委員会における小林進委員のお求めに応じて作成し、提出したものであります。これは、自衛隊が御指摘のあったF15及びP3Cを保有することとしても憲法が禁じている戦力にはならないとの判断について説明を述べているものであります。
○中野委員長 小林進君。
○小林(進)委員 私は、政府の、F15及びP3Cが戦力ではないというこの回答をいただきまして、いまさらながらに、そのうその大きいことに驚いておるのであります。 そこで私は、一言だけ申し上げておきたい。それは朝鮮戦争が勃発したときに、マッカーサー氏は、当時吉田首相に対して七万五千人の自衛力をつくることを指示をいたしました。吉田氏はこの指令を受けて一九四九年警察予備隊をつくったことは、これは皆様御承知のとおりであります。そのときに、マッカーサー元帥の側近であった米軍事顧問団の幕僚長フランク・コワルスキー大佐がそのことを日誌にこう書いている。「これから時代の大うそが始まろうとしている。日本の憲法が全く空文になったことが世界に明らかにされようとし、そして大砲も戦車も、戦闘機も、飛行機も戦力でないという大うそが始まろうとしている。」これはいまも歴史に残っているのでありまするから、これを私は政府も皆肝に銘じておいていただきたいと思うのでありまして、これから今日まで、日本政府は終始一貫してうそを言ってきている。国民の言う戦力と政府が解釈する憲法第九条の戦力とは、戦力に二つがあるというふうな、こういうむちゃな解釈をしているのでありまして、こういう大うその中の国会の中でまともに闘い得る議員が一人もいなかったといったら後世史家に笑われますから、私はあえてこれを申し上げておきますが、これから先は、もっぱらわが党の戦力専門家であります大出委員に譲りますので、私はこれで終わりにいたします。
○中野委員長 大出俊君。
○大出委員 大変な名演説の後でございまして、困るわけでありますが、時間が大変短いのでございますから、ずけずけ要点を申し上げまして、私はこの文書は撤回をいただきたい、こういうふうに思っております。かつまた、石橋さんが質問いたしました栗栖発言にも触れたいのでありますが、これも責任ある処置をおとりを願いたい、こう思っているのであります。 そこで、法制局長官に念のために承っておきますが、この戦力についての統一見解、佐藤達夫法制局長官の時代の近代戦争遂行能力というのがいろいろな変化をいたしてまいりまして、四十七年十一月十三日の参議院の予算委員会で、吉國さんから、最終的に近代戦争遂行能力というものと多少ニュアンスを変えてこういうことにするという説明がありました。 それが「戦力について、政府の見解を申し上げます。戦力とは、広く考えますと、文字どおり、戦う力ということでございます。そのようなことばの意味だけから申せば、一切の実力組織が戦力に当たるといってよいでございましょうが、憲法第九条第二項が保持を禁じている戦力は、右のようなことばの意味どおりの戦力のうちでも、自衛のための必要最小限度を越えるものでございます。それ以下の実力の保持は、同条項によって禁じられてはいないということでございまして、この見解は、年来政府のとっているところでございます。」年来となっておりまして、四十七年十一月十三日の予算委員会で吉國法制局長官が説明をした。 この間、真田さん、あなたが答えておられましたが、この年来とっている戦力解釈と同じである、以後変わっていない、こういうことだと思うのでありますが、その点だけ、変わっていなければいないとお答えいただきたいのでありますが、いかがでございましょう。
○真田政府委員 先日私が発言をいたしまして御説明いたしました中身は、従来の政府の考え方と変わっておりません。従来の政府の答弁の当該個所がもし御希望であれば、お読みしても結構でございます。
○大出委員 私も、前後十回ぐらい戦力論争をやっておりますから、中身を説明していただかぬでも頭に入っておりますから結構でございます。変わっていないという、実は御確認をいただいた。 そこで、この間の小林委員の質問は、この戦力解釈について、いまここに書いてあるとおりにあなたはここでお述べになったんだから、そこで、それじゃ一体F15というようなものはこの戦力解釈からいけばどういうことになるのか説明してもらいたい、こう小林委員が質問しましたら、その具体的な、つまりF15だ云々だという点については防衛庁から御説明をいただきたい、あなたがそう答えた。そこで防衛庁の方が立とうというところで、小林委員の方からそれを文書にして答えてくれ、こういうふうになった、これが前回の経緯であります。 そこで承りたいのでありますが、きょうお出しをいただきました「F-15及びP-3Cを保有することの可否について」これは一体防衛庁の、先ほど私が指摘しました、説明を求めたわけでありますが、具体的な説明は防衛庁からとおっしゃったのですが、単なる防衛庁が出した説明、それを文書にしたというものなのか、政府の統一あるいは防衛庁、そういう意味での見解なのか、説明なのか。単なる防衛庁の説明というふうに受け取ってよろしいのか、あるいは統一見解なのか、ここのところをひとつはっきりしていただきたい。
○金丸国務大臣 政府の見解にはいままで食い違いがないわけでありまして、統一見解を出すというときは、食い違いがあるとき統一見解というものを出すのであろうと私は思っておるわけでありますから、説明ということで御理解をいただきたいと思うわけであります。
○大出委員 そうしますと、これは防衛庁の単なる説明だというふうに受け取っていいわけですね。念のため、はっきりしてください。
○金丸国務大臣 政府の見解という中には、法制局もありますしすることですから、それを含めてということであろうと思うわけであります。
○大出委員 そうすると単なる説明じゃないんですか。
○金丸国務大臣 説明ということは、防衛庁も政府の一環でありますから、政府の考え方というようにとっていただいても結構だと私は思うわけであります。
○大出委員 わかったような、わからないような答弁でありますが、統一見解なら統一見解と言えばいいのだが、片方じゃ説明だと言ってみたり、ぬえみたいなものです。本来まあ防衛庁のやっていることがぬえだから、法制局長官も、これはするりするりとどう逃げるか考えているので、相変わらずの答弁なんですが、そこで一つ承りたいのは、戦力に関する見解は変わっていない。旧来政府がとってきた見解をそのとおりあなたが述べたと言っているわけでありますが、変わっていない。そうすると、まずこの説明か何かわかりませんけれども、何とも上に表題が書いてありませんから説明なんだと思うのですね、統一見解と書いてないのだから。時間がありませんから主要点を申し上げるのですが、この中で、F15にかかわる爆撃装置、これは今回は、ファントム導入の時期と違ってそのままつけておる。空中給油の装置もそのままつけておる。そのことが、今日まで政府の解釈、統一見解等がたくさん出ておりますが、抵触をしないという趣旨になっておりますね。 そこで承りたいのですが、しからば一体、F4ファントムのときに爆装を外した、爆撃装置を外している、今回は爆撃装置をつけておく、しかも旧来の政府の統一見解に触れない、こうなっているわけでありますが、そこのポイントを、なぜ触れないのかを承りたい。
○伊藤(圭)政府委員 御説明にも書いてございますが、F15という飛行機は要撃戦闘能力を主目的として開発したものであって、爆撃機能というものは付随的なものであって、通常の戦闘機が保有する程度のものであるという判断をしていただいたわけでございます。そのことにつきまして具体的に防衛庁の方から国防会議に御説明いたしまして、御判断をいただいたわけでございます。
○大出委員 大変大きな問題がいま答弁の中に出てまいりました。そこで、明らかにさせていただきたいのでありますが、このF15というファイターボンバーは要撃主用であると、こう言うわけですね。爆撃は付随である、これは明らかなごまかしでありまして、ベトナム戦争の戦訓によりまして、ファントムは、ミグ23にどんどん、どんどん落とされる、莫大な被害を実はアメリカは受けた。それはどういうことかと言えば、つまり飛行機の性能上、翼面荷重というのが高いものですから、どうしても格闘能力がない、ロケットに羽をつけたようなものですから。離陸速度は速い、瞬間速度も高いけれども、戦闘能力がない。これが最大の論点になりまして、アメリカ国防総省は金を出すからというので民間の航空会社に開発を命じた。これが14になって出てきたり、15になったり、16になったりして出てきたわけでありまして、本来アメリカという国は要撃機の必要を持たない国であります。これは皆さんお考えになればわかる。日本があって、沖繩があって、ミクロネシア群島という大基地があって、アメリカ本土がある。航空母艦は山のようにいる。よっぽどばかな国でなければ、アメリカ本土に攻撃に行くばかはない、不可能ですから。ソビエトといえども、はるかかなたですから距離的に遠い。そうなると、どうしてもアメリカというのは要撃性能を必要としない。ところが、ベトナム戦争でたくさん落とされたというところに、改めて格闘能力のある、空戦に強い飛行機をということで、その面をファントム級の飛行機にプラスをしたというだけなんです。これは。決して要撃のためにつくっているのじゃない。そこのところをごまかして、要撃性能が高いから――それはアメリカの飛行機をながめてみて、どれが要撃性能が高いかと言えば、比較的15が高いというだけであって、要撃のための飛行機ではない。ここのところが明らかに間違っております。ごまかしております。 もう一点承りたいのは、大変にこれは足の長い飛行機であります。しかも二百五十キロの爆弾を十八個ちゃんと積めるようになっている。だから、とんでもないところまで行って爆撃ができる、こういう性能の飛行機であります。足の長さをどのくらいにお考えでございますか。
○伊藤(圭)政府委員 先ほど大出先生が御指摘になりました、アメリカが要撃戦闘機を持ったことがないというお話でございますけれども、五〇年代の初めに、ソビエトが長距離爆撃機を持った時点で、アメリカが要撃専門の飛行機を考えた時期が確かにあったわけでございます。そして、その後、いま御指摘のございましたベトナム戦争におきます。いま、ミグ23とおっしゃいましたが、私の記憶しておりますところでは、」実際に交戦をしたのは、ミグ21だったかと記憶しております。このミグ21との空中戦闘の経験からいたしまして、やはり今後は空中戦闘能力というものを重視しなければならないというようなことが中心になりまして開発されたものだということでございます。 足につきましては、要撃といいますか、対空戦闘のために急激に上昇する能力といたしましては、二百五十海里が行動半径でございます。それから標準兵装いたしました支援戦闘に従事いたしますときは、二百八十海里の行動半径がございます。
○大出委員 防衛庁の資料によりますと、いま二百八十海里と言いましたが、全くこれは素人にわからぬように書いてあるのですね。どう書いてあるかといいますと、対地支援ということで考えると、このF15というのは約二百八十ノーチカルマイルですね、二百八十海里。ここで、標準兵装で二百五十キロ爆弾を十二発積んで要撃をする、対地支援をする、こういうふうに書いてあるのです。 では、伊藤さん、一体これは二百八十海里行って、F15というのは、滞空時間はどのくらいあるとお考えですか。二百八十海里飛んでいった、そこで要撃をする、二百五十キロ爆弾が十二発積める、こうなっておる、あなたのところの資料は。皆さんがこれで見ると、二百八十海里しか行けないように見える。では一体、滞空時間、本当にどのくらいありますか。
○伊藤(圭)政府委員 いま申しましたのは、対地支援行動、すなわち爆弾を持って行きますときの二百八十海里でございますが、その場所におきます行動その他を含めまして、通常の場合に何分とかというふうな形ではなくて、そこで十分任務を果たして帰ってこられる時間、それを行動半径というとらえ方をいたしておりまして、私どもは、その場所で何分滞空できるかということは、はっきり存じていないところでございます。
○大出委員 そういうことだから困る。いいですか。これはいま大変権威あるとされている「航空情報」ですけれども、これだってちゃんと詳しく書いてある。あなた、後で見てください。ちゃんと「航空情報」にF15の性能を細かく分析しています。これは一番新しいデータ。ここに図面を書いてありまして、三百ノーチカルマイル、防衛庁のは二百八十海里の例がここへ出ていますが、これが二十海里ふえて三百海里、さらに五百海里、そこで要撃をする。対地支援もあります。ここできちっと計算して出ておりますのは、増槽、つまり補助タンクです。補助タンクが三本つきますけれども、三本つけて、三百海里のところまで行ったら、何とそこに二・七五時間おられるのですよ。そこで哨戒時間が二・七五時間。さらに、五百海里のところで、三本の増槽をつけて行きますというと、一・九〇時間。それからファストパックというのが両翼に一つずつつくようになっております。これに燃料を入れられる。それまで使うと三百海里、あなたの言っている二百八十海里からもう二十海里先に行ったところ、そこで何と四・二五時間哨戒できる。しかも五百海里のところでも、ファストパックを二本つけるというと三・五〇時間哨戒していられる。これば大変に足の長い飛行機だ。単なる格闘戦闘機じゃない。 しかも、もっと大変なことは、最大航続距離というのはどのくらいあるかというと、五千キロあるのです。「航空情報」をごらんになったらおわかりでしょう。すでにそれだけの標準兵装で普通の兵器を載せて、ファンボローのエアショー、航空ショーというのがございますが、ここに出場して、飛んでみせている。ファストパック二つに燃料を入れていると五千キロ。五千キロといいますと、ソビエトの話が出ましたが、あなたはさっきミグ21と言ったが、ミグ23というのは幻の飛行機と言って、落とされるだけで落とせなかったから、わからなかったのです。ミグ25もそうなんです。ミグ21は落とせるからわかる、それだけの差ですよ、それは。そこで、ミグ25、SU20、TU28P、これはソビエトの有名なファイターボンバーだ。単なる爆撃機じゃない。これでも四千キロですよ。ソビエトがなぜこれをつくったかというと、モスクワとベルリンの間が千六百十六キロメートル。四千キロありますから行って帰ってこられるのですよ。パリへ二千四百八十五キロメートル。これでも無理をすればソビエトの飛行機は行って帰れる。ところが、それよりも長く飛べるのだ、このF15というのは。 これだけ大変な飛行機を買うについて、旧来の統一見解だ何だというものは一切無視して、何事ですか、でたらめ言っちゃいけませんよ。私が滞空時間を聞いたら何分なんて、何分どころじゃない、四・二五時間もいられるものを。石川県の小松基地から北の平壌まで八百キロしかないんだ。ファントムで二十分で行っちゃう。それよりも速い、それよりも航続距離のはるかに大きなF15を今度は買おうというのでしょう。ごまかしちゃいけませんよ。ちゃんとしたデータを、あなた、なぜ出さない。だれが見たってわからぬものしか出さない。まことにもってけしからぬ、私はこう思うのです。 そこで防衛庁長官に承りたい。旧来の統一見解がございます。時間がありませんから、それを表に出して、イエスか、ノーか――これは憲法に触れますから、事と次第によっては私は審議ができません。 爆撃装置をつけないことになったのは、増田甲子七防衛庁長官と私の議論なんです。その前に石橋さんと佐藤総理、増田甲子七防衛庁長官の、足が長い短いという議論があるのです。足が長いものは持てない。憲法に照らして持てないことになった。それを一生懸命手直しをしようとされた。制服の方の突き上げもあったのでしょう。当時、どこかの防衛局長は、爆装がつけられる飛行機を買って、わざわざつけないと答弁をするばかがいる、こういう批判までした時代です。そこで出てきたのがこのやりとりなんです。なぜこうなったかと言いますと、簡単なことじゃない。要点だけ申し上げます。 鳩山さんが総理のときに、皆さんが御存じの、相手から攻撃を受けた場合に座して死を待つよりも相手の基地をたたく、憲法はそのことを禁止していないと思うということを言った時期がありました。これが大問題になりまして大議論になった。そこで政府が統一見解を出した、これが最初です。船田国務大臣の答弁であります。「わが国に対して急迫不正の侵害が行われ、その侵害の手段としてわが国土に対し、誘導弾等による攻撃が行われた場合、座して自滅を待つべしというのが憲法の趣旨とするところだというふうには、どうしても考えられないと思うのです。」これは鳩山さんの答弁なんです。「そういう場合には、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度の措置をとること、たとえば誘導弾等による攻撃を防御するのに、他に手段がないと認められる限り、誘導弾等の基地をたたくことは、法理的には自衛の範囲に含まれ、」――「法理的には自衛の範囲に含まれ、」と言うのですね。「法理的には」と下がって物を言っている。「法理的には自衛の範囲に含まれ、」つまり現にたたくというのではない。「法理的には自衛の範囲に含まれ、可能であるというべきものと思います。」というところで一遍切って、鳩山さんが後からつけ加えて答弁している。「私が」と、ここで言っているのですよ、これは鳩山さんです。「昨年私が答弁したのは、普通の場合、つまり他に防御の手段があるにもかかわらず、侵略国の領域内の基地をたたくことが防御上便宜であるというだけの場合を予想し、そういう場合に安易にその基地を攻撃するのは、自衛の範囲には入らないだろうという趣旨で申したのであります。」つまり、たたけばというようなことで、ほかに手段があるのだけれども、たたいてしまうというのは、実は憲法というものがあるから自衛の範囲には入らない。座して死を待つよりはたたけと言ったけれども、そういう意味なんだと弁明をいたしまして、ここからまた議論が発展をいたしました。 そして、いまうちの委員長になっております飛鳥田一雄氏、彼が質問を続けまして、ここにもう一つ統一見解がある。もう二つ出てまいります。飛鳥田さんの質問というのは、「飛んで来る無線誘導弾は侵略だから、これに対して防衛できる。だがしかしその根拠地に行って根拠地をつぶすのは自衛の範囲を逸脱している。一体どうなさろうというのか、一つ伺わしていただきたい」鳩山さんがこれに対して答えているのです。「私は戦闘のことはよくわかりませんけれども、攻撃する力、出かけるということは自衛の、あそこに書いてある直接の侵略に対して防衛するという範囲外に出るものと思うんですが、それに対して、出ないでもって、こっちも同じようなたまを撃ったらいいだろうと思います。」つまり、こっちから出ていくということはしない、出ないということをはっきりお答えいたしております。つまり、こっちからは出ない。 さらにこれが論議が発展をいたしまして、伊能繁次郎さんが防衛庁長官に翌年おなりになった。ここで統一見解が出されております。伊能さんの答弁、つまり、「現在の時点では、法理的にはこういう解釈ができるけれども、」さっきの解釈です。「相手をたたくという武器は持たない、」こうはっきり統一見解をお出しになった。法理的にはたたけるけれども、たたく武器は持たないということで了解してくれというわけであります。鳩山さんがああいう答弁をしちゃったが、この方は憲法改正をうたったのだからしようがないけれども、しかし、法理的にはたたけるけれども、武器は持たない、こうなった。だから、私はこれをとらえて増田甲子七さんに、これは政府の三回目の統一見解なんだが、以後変わった議論はない、あなたはこういう統一見解をお認めになるかと言ったら、増田甲子七大臣が、統一見解を認めます。「変わっておりません。」統一見解をお認めになったのならたたける武器を持つべきではない、ここで足が長いんだからたたけるのだけれども、たたける武器を持たないという憲法に立脚をする立場から爆装を外す、こうなったのです。これが私と増田さんのやりとりですよ。 これが明確な統一見解。だから爆装を外した。だから、爆装をつけるということは、安易に要撃能力中心で爆弾を持って爆撃するのは付随的なことなんだ、だから憲法に触れないとか、旧来の統一見解に触れない、今度は爆装をつけておきますというのは全くのペテンです。大臣いかがでございますか、大臣、お答えください。そういうでたらめ言っちゃいけません。
○金丸国務大臣 ただいまの、いろいろの統一見解を述べ、最後の統一見解につきましては、やはり私は、侵さず侵されずという考え方が日本の防衛というものはなければならぬ、こう思っておるわけであります。専門家のあなたといろいろ論争しても、とても私は太刀打ちはできない。ただ問題は、お互いに申し上げたいと思うことは、本当にこのままエスカレートしていったらどうなるんだろう、第二次大戦の憂き目を見なければならぬのじゃないか、こういうところが問題点だと私は思うわけであります。 先ほどの栗栖発言の問題にも触れましたが、そういう点について、そういう制服がおるということはけしからぬというような考え方であると私は思うわけでありますが、そういう意味でシビリアンコントロールとか文民統制とかいうような問題は、まさにきょうの日本の防衛の根幹だ、精神だと私は思うわけでありまして、それにつきましては、先生のような議論をされることも結構だと思うわけでありますが、あくまでも私は、いわゆる次の時代のためにも、いままでのような、第二次世界大戦のような姿にしてはいけない。それには政治家がどうするのだ。政治家の姿勢というもの、あるいは福田内閣の姿勢、あるいは防衛長官の姿勢、そこに私はあると思うわけであります。
○大出委員 いま私が申し上げました経緯に基づいて増田さんはこういうふうに言っておられる。いいですか。これは四十三年十月二十二日の私の質問議事録です。 増田さんの答弁は、「衆議院の段階において足が長いのはいけないと言った時代もあります。しかしつまるところは、最後の決着は同じ理論でございます。同じ理論に戦闘機のXを選ぶ場合に」次の戦闘機を選ぶ場合、「足が長かったりいろいろいたしましても、結局爆撃装置を施しませんということで、私も総理大臣も結論はそういう結びになっております。」こう言っているのですね。だから御了解願いたい、つまりFX、次の戦闘機を選ぶ場合に足が長い、これは憲法との関係でむずかしい問題がある、たたく武器になりますから。だけれども、結局爆撃装置を施さない、爆撃装置をつけないということで佐藤総理と私の意見が一致してそれを結びにしたのだから御了解願いたい、こう言っておられる。 かくて私は最後に念を押しまして、「だとすると、今度はあなたがお求めになるFXなるものにも爆装はないでしょう」と念を押したら、増田国務大臣が「爆撃装置は施しません。」これで決着がついている。これがいまF4EJに爆撃装置のついていない理由です。 しかも、もう一点この際明らかにしておきたいのですが、その後さらに論戦がございました。これは石橋さんでございます。ここで、もっと詳しく、実はどの範囲までということを政府は統一見解でお出しになった。これはFST2をめぐる議論であります。このFST2をめぐる議論で、これは増原防衛庁長官であります。いいですか。これは審議が中断をいたしまして、半日つぶれて翌日に政府が統一見解をお出しになった。だから、これに対して石橋さんから「何キロ以上ならば攻撃的な兵器になるから憲法上許されない、」石橋質問です。航続距離は何キロ以上になれば攻撃的な兵器、つまり鳩山さんの、質問についての統一見解、たたく武器は持たないという見解、これに触れるから、「何キロ以上ならば攻撃的な兵器になるから憲法上許されない、何キロ以内であるならば、これは足が短いんだから攻撃的な兵器というには当たらない、許される、その限界は一体どこなんですか。」と増原氏に聞いた、統一見解を踏まえて。このとき統一見解を出しているのですが、増原さんはその統一見解の中身を説明した。「わが国の」これは増原さんの答弁です。「わが国の地理的条件に基づきまして、周辺海域」海です。「周辺海域あるいは上着陸地点」日本の沿岸です。敵が入ってきて上陸する、着陸する、周辺海域、もっと手前になって上着陸地点「等における支援の戦闘機として動くわけでございまするが、そうした場合のわが国の地理的条件から考えまして、周辺諸国のいわゆる基地に届くということが、一つのわれわれが考えなければならぬ距離である。」そして、だから「周辺諸国の基地に大体届かないというものは、距離の短いものは、いわゆる許されるもの。」いわゆる憲法上許されるもの。「周辺諸国の領海、領空深く入っていけるものは、許容されざる足の長さ。」憲法上認められない足の長さ。こういうふうに、ここで「何百何十キロが境であるかということは明確に出ないわけでございまするが、地理的条件を考えますれば、この大体の見当は出るわけでありまして、」こう答えている。 私がさっき申し上げましたように、ファントムでも石川県の小松の基地から、あそこにファントムを並べておけば、平壌まで二十分で行っちゃうのですよ、八百キロだから。そうでしょう。行って悠々帰ってくる。帰ってこられるどころじゃない、ぐるっと回ってこられますよ、この飛行機は。こういうものに爆装をつけるというのは、憲法上も、旧来たび重なる政府の統一見解にも、明解に違反をしている。そのことをお認めにならぬというなら、議事録をお読みになってくださいよ。それでもお認めにならぬというなら審議はできませんよ。この国の将来のこれは大変な問題だ。断じて認めない。総理いかがです。
○伊藤(圭)政府委員 ちょっと技術的な問題を先に御説明申し上げたいと思います。 まず、ファントムが爆装を全部とったという御議論でございました。私も過去の国会における論議をずっと読んでまいりましたけれども、現実にファントムというものは最大で五百ポンドの爆弾を二十四発積むことができるわけでございます。したがいまして、その爆装という内容だと私は思うわけでございますが、当時いろいろ御議論の中にございました、ファントムというのは、これはきわめて破壊的な爆破力を持っている、そして命中精度もきわめていい。したがって核爆弾を搭載する管制装置、それからブルパップという空対地のミサイルを発射できる装置、それと爆弾投下のための計算装置、これを除いているわけでございまして、いま先生が御指摘になりましたように、爆撃能力というものが全部なくなったというわけではございません。したがいまして、今度のF15にいたしましても、もともと核爆弾は搭載できませんし、それから空対地の、ミサイルというものも搭載できないわけでございます。したがいまして、ファントムのときに御議論の中で残すことになっておりました爆弾の懸吊装置、そういうものは残っているということでございます。 なお、先ほど私が御説明申し上げました中で、いま先生が御指摘になりました五千キロ近くを四時間も飛んで来られるというのは、確かに何にもつけないで最も経済的な飛び方をいたしますと五千キロでございますけれども、先ほど私が御説明いたしました、いわゆる戦闘任務を持って急速に上昇していったような場合に、一応対地支援戦闘では二百八十海里の地点で五分間の戦闘能力、それから要撃戦闘につきましては三分間の戦闘任務というものを予定しているわけでございますそういった性能を持っているというふうに判断しているわけでございます。
○大出委員 二つございますが、いまのお話に反論しておきますが、当時宍戸さんが防衛局長さんでいらっしゃいまして、増田さんが防衛庁長官でございます。ところが、なかなか御勉強至らず、間違った答弁ばかりされるので、私が一々直し直し質問している。これは議事録をお読みになれば一遍でわかる。これは伊藤さん、あなたは当時たしか広報課長をおやりになっていたんですか、あなたを呼び出したこともありますが、あなたもよく御存じのとおり、とんでもないものまで外してしまうというので、レーダーなんていうものは、空対空のレーダーも空対地のレーダーも一緒なのに、レーダーを外すとおっしゃるから、そんなものを外したら空対空の戦闘ができない、間違っていませんかと、私どもが質問を一々して、外すものを決めたんですよ、当時は。コントロールボックスまで外すったって、コントロールボックスは何にもない。ただ核管制装置がここにあればそれが表示されているだけなんです。全くそれは話にならぬいきさつ。 それで残したのがはっきりしているのは、爆弾をぶら下げる懸吊装置、これを置いてこれに爆弾をつける、あとはのぞいて目視照準で落とす、それだけ残すことになった、そうでしょう。だから、それだけ残すという爆装ならばいいですよ、わかりますよ、それならば対地支援だけなんだから。この中の爆装を残すというのは限定がない。いまの御答弁で言うならば、その懸吊装置を残すというなら、いまF86がやっているんだから、そのことを指摘してはいない。あなたの言っているこれからすると、要撃性能中心で爆撃は付随的なものだから爆装を残すと言われれば、全部残ってしまう。はっきりしてください。大臣、いかがです。答えてください。いまの懸吊装置だけ残すというんなら、それでわかる。旧来そういう意識統一をしている。それなら周辺諸国に脅威を与えない。
○伊藤(圭)政府委員 ファントムのときに落としましたのは、爆弾投下の計算装置と核管制装置とブルパップの誘導制御装置でございます。このことによりまして、目視による爆撃というのは可能であったわけでございます。 今度のF15におきましては、もともと誘導弾、核爆弾はございません。そこで、爆弾を落としますときのアーマメント・コントロールセットというのがございます。これはいわゆる空対空ミサイルの発射にも使うわけでございまして、これを切り離して落とすということはできません。したがいまして、目視照準で爆撃をするときの計算というものは、これで可能でございます。
○大出委員 どうもいまの御答弁は、大体その範囲にというふうにお下がりになった感じがします。念のために申し上げておきますが、ブルパップというのは空対地のミサイルでございまして、私が、この間の横須賀の原潜寄港等をめぐる論争のときに、海原防衛局長にこれを詰めましたら、核でございます。ブルパップは核でございます。両用と一般に言われるが、実際には核でございます。こうなった。だから、ブルパップと核爆弾というのは、日本の非核三原則から論議の対象にならない。したがって、増田さんや佐藤さんと本会議でも私はこれを論争母いたしました。本会議場で再質問に立たしていただいたのでございますけれども、つまり、ブルパップや核爆弾というものは対象外である、非核三原則なんですから、持ち込まないのだ、使わないのだから。したがって、通常爆弾のみの議論をして爆装を外した。お読みになればわかります。だから、あなたの方で後退されるのなら、その辺は、こう後退をしてこの限度にすると言っていただかなければ困る。だから、お考えいただいて、時間の関係もございますから……。 いまの御答弁、わからぬわけじゃない。レーダーというものは、空対空だって使うんだし、空対地だって使う。同じレーダーを取ってしまうわけにはいかない。そこらのところはわからぬわけではない。だから、そういうお話ならば、そこのところはひとつ皆さんの方で整理をして、こうすると後で言っていただきたい。これは長官お願いしておきます。 そこで、次に空中給油の装置でございますけれども、空中給油装置について、いま日本には空中給油をやる給油機はない。ここでこの間、将来ともに持たないという答弁を防衛庁はなさいました。そうなると、いま沖繩の嘉手納におりますが、アメリカのKC135、これしかない。そのことを想定をするのかどうか。実は参議院でごまかしばかりございまして、参議院のときに防衛庁は再三再四ごまかしたのだが、それが全部ばれてしまいまして、結果的に外したわけです。だから、このごまかし答弁のあげくの果てにそうなったのですが、それでもそのときの皆さんの解釈は、予見される将来、空中給油を受けなければならぬような周辺の情勢にない、ないから、空中給油をやめて地上給油だけにする、こういうことになった。予見される将来が変わったのなら別だ。そうでなければ、これまたおかしなことになる。 というのは、こういうことなんですよ。あなた方、空中給油装置を外すについて、第一に、こういうでたらめを言った。ファントムの空中給油装置の問題がこの三月二十二日の予算委員会で取り上げられるまで、自衛隊は、ただの一度も空中給油装置の地上給油を行ったことはない。にもかかわらず、空中給油装置は飛行機についているけれども空中で使っていない、地上でその給油装置で給油しているのだから必要なんですと答えた、一遍も使ったことはないのに。ばれてしまった。 次に、空中給油装置を地上給油に現に使っていると答弁して、国会の質疑を切り抜けようという方針をとりました。久保防衛局長は、議事録にも明らかなように、再度にわたって、自衛隊でやっているのかという質問に対して、やっているのだと答えた。さらに、一点給油ならば八分だが、空中給油装置を使えば四分という虚偽の答弁を行った。一言もない。謝ったのだ、皆さん。 第三に、しかも、三月三十日、百里基地を視察した予算委員六名に対して、あたかも日常的にこの地上給油が行われているかのごとく作業を行って見せた。視察に行ったら、ファントムをとめておいて、空中給油装置を一遍も使っていないのに、わざわざ使っているようにやって見せた。ふざけた話ですね、これは。自衛隊が二点給油の実測をしたのは、このときと、二十二日の質問の翌日、衆議院の楢崎議員らが現地を視察したときの、たった二回だけ。ごまかした。これはばれた。 四番目、これらのうち二点給油作業の実測も、防衛庁が事態を糊塗するために、空中給油装置用のアダプターを、地上給油するためのアダプターを、急いで三菱重工の小牧工場から借りてきて行った。これらの相次ぐ国会に対する擬装工作は許せないという問題になった。 第五番目に、さらに久保防衛局長は、四月三日の予算委員会でこの擬装が、ごまかしたことが明らかになると、自衛隊ではやっていなかったのですが、実は三菱重工のデータを借りて答弁したのだと釈明をした。その後調査してみたら、三菱重工でもこの実測をしたことは全くなかった。まるっきりでたらめ。 第六に、つまり、国会答弁の骨子となっておりました八分、四分という、つまり空中給油装置を地上で給油するというやつ、全く架空の数字であって、このことは防衛庁も認めました。また、その後の調査をいたしてみまするに、諸外国の文献等に徴しましても、このような都合のよい数字はありません。空中給油装置を地上で使っている国がないからですよ。こういうごまかしまでやった過去があるというのに、これは長い議論はしませんが、ぬけぬけとこの中にまた、空中給油装置は置いておきます。そして前回の空中給油装置を外すときに、将来予見される周囲の情勢というのは、空中給油装置を使うような情勢はないということをお認めになっている。それが、八〇年代まで使うのだから、予見される将来が変わる、いまそんなばかなことを言うなら、防衛庁の国防白書はみんな変えなさい。認めません、そんなことは。断じてだめです。防衛庁長官、いかがですか。――総理、ここまで来たら答えてくださいよ。
○福田内閣総理大臣 いま大出さんが御指摘の問題ですね、F15、これの爆撃装置の問題。また空中給油施設を存置する、こういう問題。これは国会衆参両院とも、いろいろ問題を指摘されておる、そういういきさつもありますので、政府としては、これは相当慎重にこの問題を論議したのです。国防会議にいたしましても、去年の夏ごろから始めまして数回の国防会議を開催いたしまして、これは爆撃装置、また空中給油施設、これを存置することが適法であるかどうか、この点をずいぶん慎重にやったわけです。結局、これは法的に支障はない、こういう結論になりまして、そして国防会議といたしましては、内閣総理大臣にその意見を具申し、それに基づきまして内閣総理大臣は予算の編成をする、こういうことになったわけであります。いまはそれに対しまして、大出さんからなおいろいろ問題点の指摘がありますが、そういう慎重な検討の結果、予算に組み入れる、こういうことにいたしましたので、これは、ただ単に突如としてこういう予算を編成したというわけじゃないのです。ですから、御疑問がありますれば、どこまでも政府は、検討した結果を率直に御説明申し上げます。
○大出委員 総理は、防衛問題というのは、経済の福田さんですから御無理だと思うのですが、答弁になっておりません。 私が申し上げておるのは、F15を買うこと、そんなことを言っているのじゃないのですよ。私は、何しろどうせ皆さんが多数でお買いになるのだから、そうだとすれば要撃性能の高いものを買うべきだという意見を持っていた。私の持論です。私の立場からするとそんなことは認められない。認められないが、どれか買っちまうと言うなら、F16というのは、アメリカの国防長官シュレジンジャー氏の、シュレジンジャー飛行機と言われる飛行機なんです。売り込みの先鋒だ。そんなものを買わすわけにはいかないでしょう。F14というのは海軍機でしょう。可変翼ですから、これにもいろいろ問題があります。だから、そういうことから言えば、これはF15にまとまるだろうというぐらいのことはわかっている。だけれども、先ほど来申し上げている、憲法に触れる。だから鳩山さんの時代から、船田さんの時代から、伊能さんの時代から、増原さんの時代から、各党がずっと議論をしてきて、爆撃装置を外したわけですよ。そうでしょう。目視照準の懸吊装置まで外せと言っちゃいない。対地戦が必要なんだから、これは初めからつけることを認めている。だから、私がさっき申し上げているように、憲法解釈や統一見解というものを抜きにして、爆撃装置をくっつけたままでやっていきますと言われたんじゃ、後に引き下がるわけにいかぬ。日本の将来の国のあり方にかかわる。これだけは断じて後に引けない。それは袋だたきになろうと担ぎ上げられようと、私は動きませんよ。空中給油装置も、これだけでたらめなごまかしだらけで、これは一種の犯罪ですよ。そうでしょう。そういうことをやって決着がついて、皆さんはそれに対して理論づけをして、将来予見される周辺のところに空中で給油をしなければならぬ、アメリカのKC価を持ってこなければならぬようなことはないと言って外した。それを今度分析を入れかえるというようなことをするんなら、国防白書以下、防衛庁の分析を全部変えなければいかぬ。そんなことで空中給油装置をつけておきますなんということを言われては困ると言っている。わかりますでしょう。ペンディングにしておきます。 もう一点つけ加えますが、だからこそ、こういう栗栖さんの議論が出てくる。これは防衛庁長官にどうしても聞かなければいけませんが、栗栖さんの言っているのはこういうことなんですよ。皆さん方なかなかのみ込めない点がありますから、私は改めて紹介しますが、栗栖さんが言っているのは、「世に攻撃的軍備と防御的軍備とを区別して、前者は平和を脅威するが、後者は許容しうるものとする説がある。」いまやっている議論はそうなんだ。憲法に基づいて防御だ、日本は防衛なんだ。つまり「世に攻撃的軍備と防御的軍備とを区別して、前者は平和を脅威するが、後者は許容しうるものとする説がある。しかし、かくの如き区別は、所詮困難と言わねばならない。」と言って、フォン・ゼークト将軍、ドイツのこの人の言葉を引用して、いまの国会論争を片方から批判しているわけであります。そうして本人は、「右の言は決して、現在も引続きわが国内で行われている論議に対する批判ではない。」と、ちょっと真ん中に書いている。これは私どもはまことにかちんとくる。あなた方が言っていることを頭から否定しているのです。そうでしょう。そして「外国からの誘導弾等による攻撃に対しては、独立国としての自衛権を持つ以上、座して自滅を待つべしというのは、憲法の趣旨ではなく、万やむを得ぬ最小限度の措置として、その基地を叩くことも可能である。と言えば、現在では一部の人に耳ざわりかも知れないが、昭和三十年代の国会における政府答弁は正にこうであった。」さっき私が引例した鳩山さんの答弁。だが、これは議論をして、攻撃的だから武器は持たない、これが政府統一見解で終わっているのですよ。そうでしょう、この議論というのは。それを、耳ざわりだろうと言いながら、わざわざこれを述べている。そうして「防御手段のみを以ては、わが行動圏外から威力を発揮する攻撃行動には有効に対処しえない。」と言い切っちゃっている。防衛庁の方針は全部間違いだという。「何時、わが基地や策源がやられるかも知れぬという心理的拘束力を相手方に与え得ない武力は、先方の攻撃企図を未然に防止する効果に乏しいものと言わねばなるまい。然らば、「専守防衛」と「抑止力保持」とは並存し難い概念である。」これはどういうことになるのですか。相手国に対して、日本の飛行機が、いつ策源や基地を爆撃するかもわからぬ、そういう兵器を日本が持ち、そういう組織をつくらなければ抑止力にはならぬと言う。明確にここに書いてあるじゃないですか。そして、専守防衛と抑止力保持とは併存しないと書いている。 ここで一遍、防衛庁長官に聞いておきたいのですが、あなたは、新聞で見るところによりますと、この間もここでお答えになりましたが、八日の陸上自衛隊第一空挺団降下初めのときに、防衛的脅威を与える、恐れられない自衛隊ではだめだと、防衛的脅威という発言をされている。いままで脅威という言葉は、憲法九条の二項ではなくて一項に基づいて、皆さんが使ってこなかった。一項に明確に、相手に武力による威嚇はいけないとなっておるからです。ところが、あなたは一歩前に出て、専守防衛の防衛的脅威と言った。ところが、あなたの一歩出た発言でさえ、統幕議長栗栖さんの発言によれば、それはナンセンスなんですね。「「専守防衛」と「抑止力保持」」――抑止力というのは脅威を与えるということですよ。「並存し難い」と言うのだから、あなたの言っていることは間違いだということになる。そういう統幕議長さんをあなたはそのまま置いておかれるのですか。アメリカのカーター大統領は、シングローブ中将が朝鮮半島で在韓米軍撤退反対だと言っただけで、呼びつけてやめさせたでしょう。それがシビリアンコントロールでしょう。あなたが言っていることと正反対なことを言っていて、最後に何と言ったか。これじゃ捨てぜりふですよ。「軍事的にそうであっても、政治的な制約がある以上、その範囲で努力すべきは当然である。しかし、」と、ここにまた「しかし、」がある。「しかし、この際、一般国民が専守防御の限界を充分認識していないと、万一の場合、無力の悲哀に愕然とするであろう。」専守防衛、専守防衛なんと言っていると、いざというときに「無力の悲哀に愕然とする」と、こう言う。それじゃ、自衛隊なんかあったってなくたって一緒。日本国憲法というものがあればこそ――私だって、戦争中の予備士官学校の教官ですよ。何もそんなこと言われなくたってわかっている。わかっているが、日本国憲法というものがあればこそ、お互いに専守防衛に徹してやろうというつもりでやっているのでしょう。それが日本の国民の将来の平和のために末代まで必要だからとやっているのでしょう。それをしょてっぺんからこういうふうに、しかも統幕議長から言われたんじゃ黙っているわけにいかない。私は栗栖さんに国会に出てきていただきたい。出てきていただきたい。あなたはどういうつもりでこういうことを言ったのか聞きたい。あなたは厳重注意した、以後はそういうことを言わないとあなた、言ったというならば、それは国会で言ってもらいたい。いかがでございますか。こういうことだから、これと爆装をつけておくというのは連動している。F15に爆装をそのままつけておけば、栗栖さんの言っている、いつ相手の国に自分のところの策源や基地を攻撃されるかわからない、それで初めて防衛が成り立つという栗栖さんの言っているところに持っていこうということになる。だからなお、これは認めるわけにいかない。はっきりしてください。
○金丸国務大臣 栗栖発言につきましてはまことに遺憾でありまして、その内容につきましては私も何回か答弁をいたしたわけで、その内容は御存じだと思うわけでありますが、私は、いわゆる専守防衛と抑止力が併存しがたいようなことを言うことにつきましては、まことに愕然といたしたわけでありますが、本人を呼びまして再三注意をいたしたわけでございます。厳重な注意をいたしたわけでありまして、ぜひひとつ、今後このようなことがあるとするならば厳重な処分をいたしたい、こう考えておるわけでありますから、その辺でお許しを願いたいと思うわけであります。
○大出委員 この参議院の議事録並びに新聞発表を見ますというと、栗栖さんは参議院で、第一に、統幕議長は天皇の認証官であるべきだという発言、二番目に、二十日に任命を受けた後、宮内庁に記帳に行くというところ、三番目に、総理を異例の訪問をして定期的に軍事情勢の報告をしたい、こういうふうにお話しになったりいたしまして、大きな三番目として政府筋の一連の説明が、言いわけが参議院の委員会でありました。 その後でまた問題をお出しになって、これは栗栖さんです。つまりシビリアンコントロールは「現代国家には必ずしもそぐわない。制服が主体となるべき運用面もある」のだというふうにお述べになっている。シビリアンコントロールは「現代国家には必ずしもそぐわない。制服が主体となるべき運用面もある」のだというふうにおっしゃっている。これは私は穏やかでない。そこで最終的に処置はなさいました、三原さんが長官で。三原さんが長官で、この自衛官、つまり統幕議長の発令をなさった後の皇居への記帳は謹慎して行かない、この際遠慮したい、本人が申し出て、三原さんが了承して行かなくした。で、三原さんが栗栖さんへ厳重注意をした、こういう形になっているわけですね。一応の処理はできていますが、私がいま議論をいたしましたF15の爆装、給油装置等等の問題とこの発言は絡む。しかも、防衛庁長官の言っている防衛的脅威ということに真っ向から、相入れない概念だということでぴしゃっとこれを否定するとなると、そんなことで防衛庁長官やっていけませんですよ、これは。だから私は、どうしてもこれは出てきていただきたい。そして、先ほどの爆装は、懸吊装置、目視照準、そこまでは認めますけれども、憲法に触れるから、統一見解違反だから、おやめいただきたい。給油装置も、こんなにでたらめな答弁、うそ八百を並べてきた。だから、自今つけませんと言っていてまたつけるということは筋が通らない。この三点を明確にしてください。でないと私は質問を続けられません。
○金丸国務大臣 先ほど来からお話を申し上げておるわけでありますが、再三にわたる発言、文章等、まことに不穏当だということも十分わかっております。どうぞひとつ、あなたも私の性格を知っておることでございますから、処分の問題についてはお任せ願いたいと思います。
○大出委員 これはお任せ願いたいと言われたって、ちょっと、お任せいたしますというわけにはまいらぬわけでございまして、つまり三点、私指摘しておりますが、どれも満足に御答弁いただいてない。しかも憲法の条項も挙げ、しかもその統一見解もるる述べました。だから私はその点、私の質問なんだから、この爆装を外したのは。黙って引き下がれませんね、これは。無理なこと言ってやしませんよ、私は。
○中野委員長 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○中野委員長 速記を始めてください。 大出君に申し上げますが、防衛庁長官から一応答弁をさしていただきまして、しかる後にまた、それぞれの処置をしたいと存じます。金丸防衛庁長官。
○金丸国務大臣 爆撃装置は専用のものがないので取り外すことが物理的に不可能である。F4は爆撃専用装置を有していたので取り外した。また、F15の空中給油装置はどのようになっているかというお話もあるわけでありますが、最近の軍用機のほとんどは空中給油装置を持っており、F15も持っている。特に戦闘機の空中給油装置は、空中における哨戒時間の延伸を図り、不意の空中侵攻に対し迅速にこれに対処するために装置しておる、こういうことであります。
○大出委員 先ほど来御説明しておりますように、憲法に絡むということで長い議論になりまして、統一見解が三回も出されて、さっき私が増原さんの統一見解と申しましたのは、及ぶ範囲、相手の領空、領海、ここに及ぶものはいけないということになるという、はっきりした見解がございます。それと真っ向から抵触いたします。したがいまして、そうでございますかとは申し上げられないわけでございますから、これはやはり皆さんの方でもう少し御相談をいただいて、何らかの形での処置をお願いしたいので、私はこの質問を留保させていただきたいと思います。
○中野委員長 後刻理事会でこれよく協議をいたしまして、政府から適当なる統一見解を出させるような措置をいたしたいと存じますので、大出君の留保を認めまして……。 これにて小林君、大出君の質疑は終了いたしました。 以上をもちまして総括質疑は終了し、午後から一般質疑に入ります。 午後一時より再開することとし、この際、休憩をいたします。 午前十一時五十七分休憩 ――――◇――――― 午後一時一分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより一般質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。奥野誠亮君。
○奥野委員 私がお尋ねしたい焦点を明確にする意味におきまして、私見をいろいろ申し上げることがございますが、その点、あらかじめ御了解を賜っておきたいと思います。 最初にお尋ねしたい問題は、インドシナ三国の難民にかかる問題でございます。世界の難民は、一千万人に及ぶと言われていますし、国連難民高等弁務官事務所が一九七三年に扱った難民の総数は、二百三十万人であったと記しています。ベトナムの戦争が終わってもう三年になりますのに、今日もなおインドシナ三国から他国に逃れ出ようとする人たちの続いていることは、まことに不幸なことであります。ベトナムから海を越えてアメリカに渡った人たちが十五万を超えていますし、ラオスとカンボジアと陸続きになるタイに逃げた人たちも十五万人になっております。ベトナムから小舟を使って二百キロから三百キロの沖合いに出て、そこを通る外国航路の船に救いを求める。運よく救われるのは、小舟を手にした者の二割を切るとも言われているようですが、難民を乗せた船が日本の港に着く。そこで上陸を求めて一時上陸を許されたのが、三年前で百数十人、二年前で二百数十人、昨年で八百数十人、合計して千二百人を超えていると承知しております。難民十五人を乗せた船が日本に寄港し、一週間の停泊中に荷物の積みかえを終えましたけれども、なお難民を引き取る国が決まらなかった。そのために難民の一時上陸も許されないで、その船はやむを得ずその難民を乗せたままで出港していったわけであります。しかし、そのうちの二人は妊娠していたので、ここで十五人が二人と十三人に引き裂かれ、二人だけが上陸を許されたという話を聞いたことがありました。私は福田総理に、ASEANで心と心の触れ合いを叫んでこられたが、日本のこんな話を聞いたら、そんな言葉を信用しなくなりますよと申し上げたことがありました。 そこで、伺いたいのでありますが、現在は、その難民の引き取り国が決まっていなくても上陸が許されるようになったかどうか、難民関係閣僚協議会を設けられましてから、その後に方針の変更があったかどうか。 もう一つは、これまで日本に寄港した船に救われてまいりました難民のうち、上陸を許されなかった者が何人あったかということをお尋ねしておきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 仰せの難民問題は、率直に申し上げて非常に気の毒な立場でありますから、できる限り人道的な立場でこれを手当てをしたい、こういう方針でやっておりますが、さればといって、全部これを受け入れて日本の国内で処置ができる、かようなことでもございませんので、一定の条件のもとで一時受け入れをしておる、こういう状況でありましたが、いまお尋ねの点については事務当局から御説明をいたさせます。
○吉田政府委員 ただいま大臣から御答弁のありましたように、法務省としては人道的に処遇することを念頭に置いて対処することとしておりまして、救助船舶が本邦に入港いたしましたときは、国連難民高等弁務官がこれらのものを難民と認定し、定住先国のあっせんや本邦滞在費の負担保証があった場合は、一時的に上陸を認めております。ただし、救助船舶が外国船舶である場合には、それに加えて、さらに当該外国政府の引き取り保証を取りつけることにいたしております。 次に、お尋ねの、船舶に救助されてわが国に入港した難民のうち、現在までに千二百六名が上陸を許可されております。そのうち八百四十二人がすでに外国に出ていっており、現在三百九十一名が残っておる次第でございます。四十五件、現在許可しておりますが、そのほか三件だけは許可されなかったケースがございます。
○奥野委員 時間の関係がございますので、要点だけ簡潔にお答えいただきたいと思います。 いまお話のありました、日本に上陸した難民をその後引き取ってくれた第三国すなわち難民の出国先と、出国別員数はどうなっているかということ。それから、十一月から二月は海が荒れていますが、三月になると海が静かになる、また日本ヘベトナムの難民が上陸を求めてくるようになると予測する向きが多いようでありますが、この点もお教えをいただいておきたいと思います。
○吉田政府委員 出国難民数は、ただいま申しましたように、二月十三日現在八百四十二人でございますが、その出国先の状況は、米国に向かって六百六十人、スイス四十一人、パラグアイ三十二人、イギリス三十人、カナダ二十三人、フランス二十人、ノルウェー十五人、オランダ十一人、その他十人となっております。 なお、いまは海が荒れていますが、三月以降はどうなるかという御質問に対しましては、過去三年の例から判断いたしますと、三月で海が静かになってくると、やはりわが国に向かってくる人が増加してくるのじゃないかと思われます。
○奥野委員 私は昨年暮れ、国連難民高等弁務官事務所の日本駐在の職員から、日本に滞留している難民には、一人一日九百円の割合で生活費を支給しているが、一つには、世界各地で行っている難民保護のための費用を、日本もできるだけたくさん分担拠出してもらいたい、なろうことなら日本が国連の費用を分担している八・六%を参考にしてもらいたいものだということと、もう一つは、ベトナム難民の引き取りに日本も何人でもいいから協力してもらえないものだろうか、これが自分たちのところの希望であるということを言っておったわけでございまして、また、藤沢市内にありますカリタス・ジャパンの施設に収容されているベトナム難民を訪ねましたときに、その施設では、難民一人につき一日九百円の支給を受けているが、そのうち三百円を共通の経費として保留し、暖房用の灯油の購入代などに充てて、残余の六百円は、一律に人数割りで各世帯に支出しているということでありました。 日本政府は、日本に上陸している難民の費用は直接には負担していないと聞いておるわけでありますけれども、難民高等弁務官事務所に世界の難民保護の費用として、五十二年度で拠出した金額は幾ばくであり、その金額が、一九七七年に世界各国が拠出した総額の中で何%を占めているものだろうか。 もう一つは、五十三年度の予算案の中に計上されている日本の拠出予定額とその算出の基礎をお示しいただいておきたいと思います。
○大川政府委員 昭和五十二年度におきます国連難民高等弁務官事務所に対します拠出は、金額で申しますと八万ドルでございます。これは国連難民高等弁務官事務所の通常援助計画に対する拠出でございまして、その計画に対する各国の昨年十一月現在の拠出総額の〇・四%というところでございます。これは非常に少なく聞こえますけれども、同時に昨暦年度におきまして、いまの通常計画に対する八万ドルの拠出とは別に、国連難民高等弁務官インドシナ国外難民援助計画に対して約五十三万ドルを、特別拠出という形で支出しております。それの予算年度は実は五十一年度でございますけれども、支出いたしましたのは昨昭和五十二年でございます。その五十三万ドルの拠出は、同じ七七年中の各国のインドシナ国外難民援助計画に対する拠出の約四%となっております。 それから、五十三年度予算案の中では、国連難民高等弁務官事務所に対しまして総額四億円余りを計上しております。その内訳を先ほどとの対比上ドルに換算して申し上げますと、通常計画に対する拠出は五十二年度と同じ八万ドル、それからインドシナ国外難民援助計画に対する特別拠出としては百四十七万ドルくらいの額になろうかと思います。 わが国は、アジアにおきます先進国といたしまして、この難民問題の解決に積極的に協力すべきであるという基本的な立場から、難民高等弁務官事務所に対する拠出を決定いたしております。昨年はわが国に流入する難民が急増いたしましたので、これに伴って本邦の難民収容団体が難民高等弁務官事務所から受けた援助額が増加いたしました。その事実も計算に入れまして五十三年度の予算要求の算定基準といたした次第でございます。
○奥野委員 若干お尋ねしたいことがありますが、時間の関係で後で申し上げたいと思います。 私は一月前タイへ参りました。タイ政府は新しい難民の入ってくることを食いとめようとしたけれども、逃げてくる人たちがいまに続いているということでありました。タイ国滞留の難民は、三年前で六万七千人、二年前で七万七千人、昨年末で約十万人。タイに逃げてきた難民の総数が十五万人で、そのうち五万人を第三国が引き取ってくれたということでありました。 タイ政府発行の資料によりますと、この多数の難民をタイに居住させる長期的プログラムを考えることは不可能である。しかしながらわれわれは、難民の数がかなり減少した場合、それらのうち何人かをタイに受け入れる可能性を研究している。難民の問題の複雑さを理解して援助してくれた国々に感謝している。解決するにはタイ国だけでは不可能である。これらの不幸な人たちを助けるために、人道主義を標榜する世界じゅうのすべての国家が共通して責任を負わなければならない。われわれは、他の国々が人道主義の名のもとに定住する機会をつくり出す方向に一歩を踏み出し、国家を失った人々がタイ国を離れ、新しい生活を始めることができるように願っていると記しているわけであります。同時に、この資料の中に、こうした難民の受け入れに力をかしてくれている国としてアメリカ、フランス、オーストラリア、マレーシア、カナダ、西ドイツの名前を挙げていますが、日本という名前はありません。 さらに私は、国連難民高等弁務官のバンコク事務所を訪ねて説明を受けました。それによりますと、タイにいるインドシナ三国からの難民に対し滞在費、食料費、医療費、教育費等を含めて、国連難民高等弁務官事務所から一人一日六十円ずつ支出している。その金額は、国境に居住している住民の生活と比べて豊かではないが、必要なものは満たしていると思う。少なくとも九〇%以上には当たっている。不足しているとすれば、その分は救恤金やタイ政府の負担で賄われているということでありました。また、難民保護の費用を分担拠出してくれない国もある、難民を引き受けてくれない国もある、二つともしてくれない国もあると言っていましたが、若干、私にはひっかかるものがございました。 続いて、タイ政府の担当課長の案内を受けまして、バンコクから東北へ二百キロ余り離れたところにありますシキュー収容所を視察してまいりました。タイ国内にある十三の収容所の一つで、二年前に開設されたものです。タイ国の刑務所跡で、その関係から周囲にはたくさんの有刺鉄線をめぐらしていました。もちろん難民のことですから、ここを逃げ出そうとする者は一人もいないということでありました。 そのとき現在で、収容中の難民千八百十八人、ここから第三国に引き取られた者が三千二百五十一人、したがって、二年間にこのキャンプに来た者は五千人余りということになります。引き取りは、各国の大使館の職員がこのキャンプに参りまして本人に面接する。収容所では、本人の出生の時期や場所、ここに来る前の経過、収容所内での生活態度などを書いた保証状を作成しております。この保証状と本人とを見比べながら引き取りの可否を決定しているということでありました。 収容所長の説明では、食費として、十二歳以上には一括して一人一日四十四円、十二歳未満には一括して一人一日三十二円を支給しており、難民の方としてはこれで満足してもらっているということでした。まずそのとおりだと感じました。さらに、医師一人、看護婦一人を常駐させており、一週間に一回、病院から医師が見回りに来る。また、午前にはタイ語を、午後には希望に従って英語、フランス語、ドイツ語を教えているということでありました。 二万五千坪の敷地内をつぶさに見て回りましたが、二十代の青年が満一歳ぐらいの子供をこわきにいたしまして、私に一枚の免状を見せながら、六ヵ月前にラオスのビエンチャンから逃げてきました、何とかして日本に行けないものでしょうかと言うのです。見ますと、その免状は昭和四十七年に講道館から発給された柔道二段の免状でした。柔道の教師をしていたようでございます。命がけで逃げてきたのですが、日本に行きだいばかりにこの免状ははだ身離さずに持っていたわけでございます。 もう一人は、綿々としたためた手紙を用意しておりまして、この手紙でありますが、それには、私はラオスから逃げてきました、ラオスの日本大使館や更洋棉花に関係するところで働いてきた者であり、日本に行きたいので日本の大使館に手紙を出したのですが何の返事もありません、何とかならないものでしょうかという嘆願でございました。 そこでお尋ねであります。個人が営々として財を積んでいく。エゴイストと言われようが利己主義者と言われようが意に介さない。しかし、相当の財をなすようになりますと、社会のことにも気を配らないと社会からつまはじきにされる。日本は敗戦の廃墟の中から立ち上がり、日本株式会社と言われながらも経済の発展に努め、今日の経済大国としての地位を築き上げました。そうなってきますと、やはり世界のことにも心を配っていかないと世界から信頼を失う、世界のきらわれ者になってしまうおそれがあります。協力というのは、利益を分かち合うばかりではなしに、犠牲をも負担し合うことは言うまでもありません。今日、世界には自由社会であれ共産社会であれ、一国でこれを引っ張っていける国はありません。多極化しているとも言われております。これから先、日本はいろいろな運命に遭遇していくことでありましょうけれども、アメリカとの外交関係を基軸にしながらもアジアの心を失わないようにすることが、日米関係にまさるとも劣らない大切なことだと思います。そうであれば、アジアで困っている国、困っている問題があれば、そこから目をそらすのではなく、場合によっては苦難をも分かち合おうとする姿勢が大事だと思うのであります。 〔委員長退席、栗原委員長代理着席〕 一民族一国家のわが国に大量の異民族を受け入れよと主張する意思はありません。しかし、少なくとも難民の中で日本と特別な関係のあった人々があり、これを保護する企業なり慈善団体なりが日本に存在するなどの場合には、この難民を日本に受け入れ、さしあたり定住を認めるくらいの姿勢は打ち出してほしいと私は思います。これまでの日本の姿勢では、大使館が難民の手紙を受け取っても返事のしようがなかったかもしれません。しかし、難民の命をかけた手紙には親切に対応するだけの日本の姿勢であってほしいのであります。私が挙げた二人についても、大使館が話を聞いておくくらいのやさしさを示してほしいと思います。これらの点についての外務大臣の所見をお伺いしておきたいと思います。 あわせて法務大臣、総理府総務長官のお考えもお示しいただきたいと思います。
○園田国務大臣 ただいま御指摘のようでありまして、世界各国から、日本の難民に対する取り扱いについては不当な非難がございまして、各国から日本は非難が集中されておるところでございます。そこで、昨年九月二十日、関係閣僚協議会を開きまして、この一時滞在を円滑に受け入れ、そしてこれを親切に待遇するように申し決めをいたしましたものの、その根本は、やはり定住問題が解決されるところが一つの大きなつぼであると考えます。 なお、一生懸命に避難者への日々の給付、それからお世話等はやっておるものの、非難がありますのは、避難所がいままでなかった、それからよその船が持ってきたときに、よその船でございますから受け入れが手間取ると、結局それに対する非難が出てくる。なおまた、存じませんでしたが、いま御指摘のような手紙を出しても大使館が返事を出さない、あるいは収容所に行って何となしにめんどうを見る、こういうことがきわめて大事でございまして、いまやこのままほっておくと、日本は人道的見地からの物の考え方をしない国である、こういう非難さえ出てくるところでございますから、私の方では、特に在外公館等には、もう一遍こういう点に留意をして、この非難を受けないように、なお国内的には定住問題についても関係各省と相談をして、日本は自分の方で受け入れないでよその国へ全部押しつける、こういうことを言われないようにすべきであると考えております。
○瀬戸山国務大臣 問題は、おっしゃるように、難民を日本に定住させるかどうかという点でございますが、まあ何とか定住の方法をということで各省検討しておるわけでございますけれども、何しろ、御承知のように非常に人口の多いところで、生存競争が激しいわが国の状況で、ああいう難民の方が安定して生存できるような状況ができるかどうか、そういうところに確信を持てない点が現在あるわけでございまして、先ほど申し上げましたような程度のお世話をいたしておる。 そこで、従来は国連の高等弁務官、この事務所だけに拠出しておりましたが、五十三年度からは、御承知だと思いますが厚生省所管で、日赤その他民間でお世話しておりますから、そういう方面にも助成金を出そう。それからもう一つは、法務省所管でありますけれども、昨年から続いておりますが、千葉にある少年院の不用になったものを改造して、そこに収容施設をつくろう、こういうことをやっておるわけでございますが、定住の問題についてはもう少し各省庁で検討を要する問題になっておるわけでございます。
○稻村国務大臣 お答えいたします。 総理府といたしましては、難民対策室を窓口といたしまして、国内に住むベトナムの難民に対して種々いろいろな対策を講じてまいったわけであります。しかし、いま御質問の点についてはいろいろと問題もあるかと、こう思いますので、各省庁十分連携のもとに検討を加えてまいりたい、こういうふうに思っております。
○奥野委員 問題のあることでございますから方針の確定が手間取っているのだろうと思いますけれども、せっかく昨年、関係閣僚協議会も設置していただいたことでございますので、ぜひ推進していただいて、外務大臣がお述べになりましたように世界じゅうから批判を受けているようないまの態勢は、できる限り早くその誤解を解くなり、あるいは積極的に理解してもらえるような姿勢になりますことを期待いたしておきたいと思います。 いろいろ申し上げたいこともございますが、外務大臣が大変理解のある姿勢をおとりいただいているようでございますので、その御努力に私は期待をいたしておきたいと思います。総理府総務長官はまとめ役でございますので、よろしくお願いを申し上げておきたいと思います。この手紙だけひとつ外務大臣に受け取ってもらいたいのです。 次に、在外公館の問題についてお尋ねをしたいと思います。 世界は政治、経済その他で大きく変わりつつあります。南の北に対する影響力も漸次強くなってまいりましたし、ECの団結も強固を加えてきております。わが国が政策を決定するには、世界の情勢を的確に把握し、事態の変化におくれないように適時適正な判断を下していかなければなりませんし、時には相手国の立場にも立って考えてみる努力も必要でございます。日米間の通商関係は一応の決着を見たわけでありますが、そのころ外国から日本を見ますと、日本は安売りしている、ダンピングしている、そのくせ関税障壁を設け輸入抑制して国際収支の黒字幅を増大させている、黒字が世界の一方に偏らないように、そして世界の経済取引が円滑を欠かないように苦労しているのに、日本は理解が乏しい、これでは保護貿易の主張を抑え切れない、西ドイツは黒字を利用して発展途上国への援助を厚くしているが、日本の援助は十分でない、日本は世界経済の中に溶け込もうとしない、加えて防衛もただ取りだなどと批判されていた話を聞きました。反面、わが国では、外から円高を押しつけられている、輸出が抑圧されている、安くて質のよいものを利用し合う自由貿易に反する行動は人類の福祉につながらないとの反発も強いものがございました。 私は、このような相矛盾する風潮を見て、これまで日本の在外公館がどのような役割りを演じてきているだろうかと考えるようになったわけでございます。今日は情報過多の時代であります。海外にもマスコミや企業などの代表者もいますし、政治家相互の往来も頻繁であります。しかし、やはり在外公館が絶えず的確な情報の収集に努め、日本政府がタイミングを失わず適時適正に判断を下せるようにする、また日本国民に世界の情勢を、海外に日本の考えを理解させるなどの任務は、依然として大切なことであります。また、国際社会に生きる日本として、わが国の産業、経済、防衛等の政策決定に時期を失せず果たす外務大臣の役割りは重要性を増していると考えております。また、そうした日本の政策決定のあり方でなければならないと考えているものであります。 なおまた、さきの日米通商交渉に触れて物を言いますならば、アメリカの国内にもろもろの意見が沸騰する、やがでアメリカ政府が態度を決める、そうした態度を決定する前に、アメリカの諸情勢を日本政府が理解し、それに対応して必要な対策を決定していく、先手を取っていく、それが政治だと思います。後追い後追いの交渉にはしない、そんなことにも役立つ在外公館であってほしい。アメリカ政府が決定した態度を伝える以前にどのような活動をし、どのような情報連絡をしていたかということを重視したいのであります。しかし、私はもうこれ以上、さきの通商交渉を批判することはやめておきたいと思います。 戦後は、在外公館へ外務省以外の役所からの出向者が多くなりました。専門家のいることは心強いことであります。しかし、その反面、一部の在外公館では、大蔵省からの出向者は情報を日銀の出先を通じて、通産省からの出向者はジェトロの出先を通じて、有力な出先を持たない省の出向者は私信をもって、それぞれ親元の出身省に連絡する。ときには在外公館以外の場所で執務している出向者もいることがあります。大使は重要な部分でつんぼさじきに置かれているわけでありますから、情勢の総合的な把握ができない、判断にも甘さが出てまいります。私は、縦割り行政を一切否定するものではありません。親元への通信に反対するものでもありません。しかし、同時に、横に連絡を十分とって、各分野を総合した上で大使がタイミングを失わず結論を出していくことの重要さを強く感じているものであります。在外公館は外務省の一機関ではありますが、対外的には日本政府を全面的に代表する責任を持った機関であります。大使にはそれぞれの自覚を深くしてほしいと思います。大使は在外公館の内部はもちろん、外部についても常に横の連絡を保ち、総合的に情勢を把握して、日本政府を代表する機関にふさわしい存在であってほしいのであります。 このような現状に対しましてある外務省のOBは、大使が出向組に責任を持たせてないのだ、大使館で重要な政策にかかる討議をする場合には出向者を加えないのだ、だから出向者が大使から離れていくんだ、大使自身に掌握力を欠いているところに問題があるのだ、こう私に教えました。また、ある外務省のOBはこれとは反対に、在外公館からの公信が少ないので出向者の私信を禁じたこともあるが、もはや何ともできない状態に陥ってしまっているのだと嘆いておったわけでございます。私は、外務省側にも、他の各省側にも、双方に責任があると言いたいものでございます。 戦前、内務省の持っておりました府県知事の任免権を内閣に移そうという議論がありましたとき、内務省は、人事権なくして内政の責任は負えないと、強い姿勢でこれを拒否したことがありました。外務省は在外公館の人事権は全面的に持っているわけでありますから、各省からの出向者に対して、その執務の姿勢について厳しい態度をとってしかるべきだと思います。同時にまた、人材は得がたいかもしれませんが、時には大使に言論界、経済界等から新しい血を入れ、あるいは外務省OBからも起用して刺激を与えることを考えてはどうかとも思います。在外公館の現状をどう認識し、また、その機能の充実にどう取り組み、外務大臣の職責をどのように果たそうとされているのか、お考えを伺っておきたいと思います。
○園田国務大臣 ただいまの御意見はきわめて重大な御指摘でございまして、第一に、在外公館の所要地点でございますが、時代とともに、それぞれの国の盛哀とともに、重要さが逐次変わってまいっております。たとえば、もとは米国、英国にきわめて有用な大使を配置した、ここに重点を置いていた。しかし、いまやだんだん変わってきまして、世界各国の人々が集まる地点はどこであるか、あるいは将来大事にしなければならぬ点はどこであるか、こういう配置の点についても重大に考えなければならぬと思います。 なおまた、外務省は戦争中に一時中断をいたしておりまして戦後始まったわけでありますから。機能を拡大しなければならぬわけでありますが、これが一律にやられておるので、この点にも必ずしも十分ではない点もございます。 しかし、それはさておきまして、御指摘のとおり第一は出向者の問題、中には、参りましても出向者かどうかわからぬほど一体になって一生懸命やっておるところもございます。ところが、中には、勉強のために行っているようなかっこうで、自分の所属する省には連絡するが、大使館員としてはなかなかうまくいってない点もあるようで、これは一に大使の人格と統率力によるものであると考えます。 そこで、ただいまは、出先だけではなくて本省にも各省から来てもらって、外務省からも大蔵省初め各省に行ってもらってやるわけでありますが、第一大事なことは、いままでと全く構想を変えまして、在外公館というのは大使初め現地に密着をして、たとえば米国で言えば、いままでは行政府とだけ密接に連絡しておけばよかったものが、いまや行政府と国会の関係は急激に変わりつつございます。そこで国会の情勢あるいは産業界の動向等に密着をして、そして実際につながった情報を集める。そしてまた日本の実情を理解してもらう、こういうことが重点であると考えますので、私としては、査察制度をふやし、監査をやり、できるだけ私が回って監督をし、あるいは文書をもって通知をし、なおまた、いま御指摘のような適当な人があれば、外務省の人事に新しい血を入れることは決してやぶさかではございません。そういう点特に留意をして現在やりつつあるところでございますけれども、将来とも、これはきわめて大事でございますから、この点をやらなければ日本の産業と国際産業とのギャップがひどくなる。そして今度の日米通商交渉みたいな大変な騒動になる。一に、よその国の情勢を国内に警告をし、そして国内の動向の進路を決定し、同時に日本の実情を海外に知らせる、こういうことはきわめて大事であると考えております。
○奥野委員 私も、多くの在外公館におきましては、外務省プロパーの方も各省の出向組の方もよくやっていただいておる、こう思います。しかし、指摘しましたような欠陥が現われておることは事実でございますので、ぜひ外務大臣において十分御配意くださるように、お願いを重ねて申し上げておきたいと思います。 次に、学問の自由に関連してお尋ねをしたいと思います。 先ごろ数名の学生が私を訪ねてまいりました。一部の過激派の学生が大学の構内で、自分たちに反対の考えを持っておる者に対し鉄パイプで殴りかかったり、きらいな教授の講義は妨害して進めさせない、このような実情は広く父母の皆さんにも知ってもらいたい、その力もかりて学園の平和を取り戻したいと申しまして、鉄パイプで殴られ血の吹き出しておる学生の写真を私に見せておりました。また、大学の中に鉄パイプや角材がしまわれている、身の危険が感じられるのです。こう言うのです。少なくとも大学構内の武器貯蔵庫はぜひ撤去させてほしいのです。こうも言ってまいりました。鉄パイプや角材が大学の中にしまわれておるのはどこかと聞きましたら、法政大学、神奈川大学、早稲田大学、同志社大学、京都大学、東北大学、中央大学等の名前を挙げておりました。 文部省では大学の現状は十分把握しておられると思いますが、実態は余り包み隠さない方が解決を促進できるのじゃないかと思うのです。文部省として、これらの学生の希望にこたえるようにぜひ努力してもらいたいと思います。 私は、この話を聞きながら、大学の自治は学問の自由を守るための手段であるのに、手段である大学の自治の名のもとに目的である学問の自由が損なわれておる大学が数多くある矛盾を感じた次第でございます。さきに東北大学では、サークル棟建てかえのための解体に反対して施設の占拠などが行われ、ついに学生処分にまで発展いたしました。その後、極左シンパの方が教養部長に変わった。この部長が、前の部長の行いました二人の退学処分、この二人の退学処分を取り消しまして復学を決定して、施設の占拠が解かれました。しかし今度は、処分した前の学長糾弾が――前部長とその補佐の二教授は、過激派の実力で登校が阻止されているようであります。大学は施設占拠という物理的な混乱は解消したかもしれませんが、過激派学生の暴力で、彼らの反対する教授の講義は阻止されているわけですから、もっと大切な学問の自由は奪われていると言わざるを得ません。さらに大きな傷口をつくったと言いたいのであります。 真理を探求する大学の最もとうとぶべきものは、学問の自由を守ることであるはずであります。文部省は、物の考え方を根気よく理解させ徹底させる配慮のもとに、少なからぬ大学で行われております。一部教授の登校を阻止したり、講義を妨害したりしている蛮行が早くなくなるように期待したいと思います。どのように対処しようとされるか、文部大臣の所見を伺っておきたいと思います。
○砂田国務大臣 お答えいたします。 大学は、学問研究と教育の場にふさわしい静穏な、そして自由な環境を確保する、そして充実した教育、研究を活発に展開して初めてそこにこそ真の学問の自由もあり、それこそ、そのものが学園の自治、そういうふうに私は信じております。これは奥野先生御指摘のとおり私も同様に考えるものでございますが、最近では大学は、一般的に申しますとおおむね平穏な状態にはありますけれども、しかし一部におきましては、奥野委員が御指摘のように、表面まことに平穏な状態に見えますけれども、一部の過激派学生の要求に妥協することによって平穏を確保している、こういう事態がありますことを承知をいたしておりますし、非常に遺憾な事態であると考えております。 文部省といたしましては、学園の暴力排除につきましては、大学の施設が暴力行為の拠点になるようなことが絶対にないように、学内に、いま奥野委員御指摘のような危険物が準備されたり隠匿されたり、そういうことが絶対にないように、学内の秩序維持に対します大学の責務というもの、その重大性を指摘をし続けてまいりました。大学の全教職員を挙げてその責任を全うするよう努力を強く求めてまいりますとともに、刑事上の事件が起こりましたときには、警察当局との緊密な連携を持ちまして、学内秩序を維持するために適切な措置を講ずることなど、大学当局に対して指導をしてまいりましたし、これからもそういう強い指導助言を続けてまいりたいと思います。 文部省といたしましては、各大学がそれぞれ、大学の自主的な責任におきまして学園の秩序を維持するべくせっかく努力はしてくれてはおりますけれども、今後とも大学のその努力を助けてまいりまして、具体的な事例に応じましては大学と協議をしながら、真の学問の自由を確保するために学園の正常化に全力を尽くしてまいろう、かように決意をいたしているものでございます。
○奥野委員 次に、海外子女の教育に関連してお尋ねをしたいと思います。 日本の経済発展に伴い海外で働く人が多くなり、義務教育年齢該当の海外在留子女の数だけでも二万人になっておるようであります。これらの海外在留子女は国の宝とも言うべきもので、海外在留という特色を教育にどう生かしていくかということが、国の将来にも大きな影響を持っているのだと思います。 少年時代は順応性に富んでいるから、できる限り現地に溶け込んでその文化を吸収し、大人になっても現地人の友人を持てる人間に育っていくなら、国にとって重要な役割りを果たせると思います。 父母の海外在留期間の長短や帰国後の受け入れ学校のことなどがあって一律に決めてかかれないかもしれませんが、私は、海外在留子女は、先進国においては現地人の学校に入って学ぶことが第一、発展途上国においては、その国の理解が得られるならば、シドニーの日本人学校やメキシコの日墨学院で行われているように現地国の法制にも適合した学校をつくって、ここに現地人子弟とともに学ばせることが望ましいと思います。やむを得ない場合に日本人のための日本人学校をつくるが、その場合にも運営に工夫を加え、できる限り現地の少年との交流を図り、せっかく海外に出ているのにそれを生かさず、日本人だけの社会に閉じ込めることのないようにすることが大切であります。 それには、一つには外国で教育を受けた人を企業その他社会が積極的に受け入れて、この人材を重視していく体制をつくる、国際的視野で物事を考えていく姿勢を強めていくことであります。もう一つは、帰国後の学校の受け入れ体制を整えることだと思います。 後者については、現に文部省が進めておられる帰国子女のための学校増設などに加えて、外国における体験を評価して、一般の入学試験とは別枠で、別方式の判定で入学させる高校や大学の生まれてくることが望ましいと考えているものであります。先日「海外子女教育」という雑誌で、慶応大学では帰国子女の入学試験について、九月上旬、学部定員の五%程度別枠の入学選考で入学許可を与え、しかも外国語入試科目は英、独、仏、露、中、西の少なくとも六ヵ国語程度に広げ、さらに九月合格者には四月まで日本語及び日本関係の補習講義を行う改革案が真剣に討議されており、ここ一、二年のうちに実現する運びとなるであろうと書いておりました。すばらしいことだと思います。 別枠、別方式の判定で帰国子女を受け入れる高校や大学のふえてくるよう御努力をいただきたいと思うのですが、この点についての文部大臣の御見解を承っておきたいと思います。
○砂田国務大臣 前段の、国際性豊かな日本人を現地での教育を通じて育成していかなければいけない、まことに同感でございます。先生御指摘のような考え方、私も昨年、幾つかの海外の日本人学校を見てまいりまして、開かれた日本人学校を目指して海外でのそれぞれの日本人学校が、充実した、国際性豊かな小さい子供たちを育てていってくれるように、そういういろいろな手だてをとってまいろうかと思いますが、すでにシドニーやメキシコは、現地人の子弟を一緒に入れて一緒に勉強させている日本人学校もありましたり、現地の言語や地理、歴史等を教えておりますテヘラン、ジャカルタ等の学校もございます。現地の学校と姉妹学校の関係を結びまして、課外活動などで交流しておりますクアラルンプール、バンコク、シンガポール等の日本人学校もございます。こういう方向で、それぞれの外国に今日ございます日本人学校が進んでいってくれますことを期待もし、また援助もしてまいりたい、かように考えているものでございます。 後段の、受け入れの体制の整備のことでございますけれども、慶応大学のことは私も承知をいたしておりまして、非常に大きな期待を持っておりますが、高等学校のことを申し上げますと、国立大学の付属の高等学校二校が従来受け入れ体制をとっておりましたが、これを五十三年度で学校の数もふやしまして拡充を図ってまいります。そしてまた、帰国子女の受け入れをやっていこう、そういう私立の高等学校、ICU、暁星中、暁星高校等の援助も新たにやってまいることにいたしております。 大学のことにつきましては、奥野委員がいま御指摘になりました慶応大学も、海外の学期の関係もございますので、これは御承知のとおりに五十一年に省令を改正いたしまして、学年の途中からでも受け入れられるように、九月入学というものが可能であるということにいたしてあるわけでございます。上智、早稲田、ICU、聖心、津田、青山学院、こういうところが、それぞれ大学で受け入れ体制をとってくれております私立大学でございますが、私立大学の経常費補助金の特別補助等も行いながら、この受け入れ体制が私立大学においてもなお一層整備拡充されてまいりますことに協力をしていこう、かように考えるものでございます。慶応大学のような考え方を国立大学の筑波大学でも検討が始まっておりまして、これに協力、援助をしてまいりたい、かように考えるものでございます。
○奥野委員 別枠、別方式の判定で入学者を積極的に受け入れる、ぜひ国立学校で先鞭をつけて進めていただきますようにお願いを申し上げておきたいと思います。 私は先ごろ、海外の日本人学校を見てまいりました。そして、そこの小学部や中学部で相当の授業料が徴収されることを知りまして、憲法二十六条に「義務教育は、これを無償とする。」と書かれていたことを思い出し、幾つかの疑問を抱いたのであります。 そこで、まず法制局長官にただしておきたいと思います。 私は、憲法違反であるとかそうでないとか、そんな形式的なことをここでお尋ねをしようとは思っておりません。もとより日本国憲法でありますから、日本国以外の地域にこの憲法が適用されるとは考えておりません。しかし、日本人である限りは、海外にありましてもその人が日本国憲法のもとにあることには違いはありません。違いはないと思っております。したがって、海外にある日本人にも、国内にある日本人の場合と同様に憲法の精神が生かされ、憲法の権利が与えられるようにすべきだと思いますが、いかがなものでしょうか。 また、海外の学校についても、憲法の精神が生かされ、憲法の精神に沿った運用が行われるようにすることが望ましいと言えると思いますが、いかがでしょうか。 もう一つ、こんなお尋ねをしようとした動機をつけ加えておきます。海外在留者で、日本に所得税を納めているのに選挙権の与えられていない多数の日本人の存在することを知りました。技術的な難点もあって海外在留邦人一般に選挙権を与えることが困難だとしても、さしあたりこういう人から有権者に加えて、海外の声を日本の政治に反映させることがいまの日本にとって特に大切だと感じたのでありまして、そうすることがまた日本の憲法の精神に沿うところだと考えるのであります。あわせて御意見を承りたいと存じます。
○真田政府委員 お答えを申し上げます。 私に対する御質問は二点でございまして、一つには、憲法二十六条の教育を受ける権利あるいは教育の義務、この規定との関連でございますが、ただいまおっしゃいましたように、この二十六条が直接、外国にある、つまり在外邦人の子弟に適用があるとは私どもも考えておりません。それはいろいろ基本的にさかのぼれば問題があるところでございますけれども、どうも、この二十六条の国民の教育を受ける権利、これは裏から言えば国がそういう教育の設備を整えろということでございますので、それは外国にある子弟に対しては直接適用はない。しかし、直接適用がないからと言って国がほうっておいてもいいというものではもちろんないわけでございまして、これは政策問題にわたる点でございますけれども、外務省あるいは文部省、大蔵省あたりよく御相談の上、なるべく在外の子弟が教育を、少なくとも義務教育を安く受けることができるように手だてをとるということが憲法二十六条の精神に沿うということは、もう当然であると思います。 それから第二点の、在外の国民で、少なくとも所得税を払っている者に対しては選挙権が行使できるような方法を研究、工夫してみたらどうかという御趣旨だろうと思いますけれども、これはいろいろ事務的にむずかしい点がございまして、たとえば選挙人名簿の編製、保管ができないとか、そういうことがありましてなかなかむずかしいわけでございますが、そういう点を工夫して選挙権が行使できるというふうにする方が望ましいことも、これまた当然だと思います。 ただ、ちょっと気になりますのは、せめて所得税を納めている者についてやってはどうかというお尋ねでございましたけれども、そういう財産、収入のいかんによって選挙権の行使に区別をつけるということは、これまた別の意味で憲法上支障があるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
○奥野委員 私は、法制局長官に選挙部長になってくださいとか文部省の役人になってくださいと言って、聞いているわけじゃないのです。憲法の精神を聞いているのですから。私が申し上げている憲法の精神は、海外にある日本人であっても、日本人である以上はこの日本国の憲法のもとにあるんだ、これは間違いないんでしょう。ちょっと伺っておきます。
○真田政府委員 それは理屈になりますけれども、憲法の規定にはいろいろありまして、属人的に適用されるものと属地的に適用されるものとございます。二十六条は、先ほど申しましたように属地的に働く規定であるというふうに考えております。それから、選挙権の方はどちらかと言えば属人的に働く、ただ、選挙の執行上非常にむずかしい点があるので行使ができないという現状であるというふうに考えます。
○奥野委員 時間がありませんので、残念ですがこれ以上申し上げません。 あと、もう一つしか伺えないようですが、海外の日本人学校で授業料を徴収されている事情を私ちょっと調査をしてみたのです。そうしますと、やはり授業料を徴収せざるを得ないようなかっこうになっているなと思いました。その一つは、建設費に対する国の補助の仕方でございます。日本人学校の校舎建設費に対しましては、外務省予算に計上されておりまして、借料補助の名目のようでございまして、建設に要した金額の半分を十年に分割して補助しているのです。これはひどいじゃないかな、こう思いました。また、その日本人学校が外務省に補助を求めたら、授業料をふやしたらいいじゃないかというお答えが責任者からあったようでございました。やはり外務省の方でありますから、国内で義務教育施設にどのような補助が与えられているかということを御承知ないからそういう言葉が出てきたのだろうと思うのであります。国内の義務教育施設に対しましては、人口急増の市町村であれば国が建設費の三分の二を負担する。敷地の購入費にも補助しているのです。ですから、これはぜひ国内の施設とバランスを合わせて五十四年度からは是正をしてもらわなければならない、こう思います。もう一つ、人件費につきましても改善の余地があるようでございまして、日本人学校の教員は国から派遣していますけれども、その人数は標準法に基づいて算定された人数の八割に抑えているようであります。現地で相当の事務担当の職員その他を加えて採用して、その経費がかなりの額に上っているようでございまして、これもやはり工夫の余地があるような感じがいたします。 もう一つ、小さい話でありますが、これは外務省にお願いしておきたいのでありますけれども、ジャカルタでは、住宅を借りるのに三年間分の家賃を一括して前払いしなければならない。在外公館の職員には別途の資金がございまして、その資金から立てかえておく、その資金に対して毎月の住宅手当から返済されていく、利子負担は免れる。ところが、日本人学校の派遣教員の方は、三年間分の家賃相当額を銀行から借りて支払うので、毎月の利子が一三・五%のようであります。大変な重圧になっておるようでございます。教員にも、在外職員の利用する資金があるなら差別のないような扱いができないものだろうかということを御検討いただいておきたいということであります。 最後に、海外の日本人学校の教員の派遣に当たっては、わずか四日間のオリエンテーションということでありますが、その結果は、海外に行って歌を聞いて、あの歌は何だろうか、その国の国歌をあの歌何だろうか、こういうような笑い話のようなことも起こったりしておるようでございますので、もう少し長期の研修を行って、現地の事情も理解させた上で出発させるように改善を加えていただきたいと考えるわけでございまして、関係者から一応の御答弁を伺っておきたいと思います。
○賀陽説明員 お答え申し上げます。 第一点につきましては、御趣旨を体しまして今後とも努力してまいりたいと思います。御指摘のような比率でございますが、これをさらに高める方向で努力をしてまいりたいと思っております。 それから第二点でございますけれども、これは派遣教員の定数の問題でございますが、これに大幅な欠員が生じておるということも御指摘のとおりでございまするが、今回の予算案におきまして、文部省の御努力によりまして、地方公共団体が教員の確保に要する経費を国が負担するということが実現の方向で動いておるわけでございまして、これが成立いたしまする場合におきましては、今後欠員は速やかに解消するということを考えております。これを勘案しながら、御指摘の点を今後さらに検討してまいりたい。 最後の点でございますが、御指摘のように住宅手当の限度額、これが必ずしも十分でないために御指摘のような事態が起こっておると思いますが、昨年十月以降、現地におきまして現地銀行からの融資の枠を改善いたしておりますので、この点はかなり改善を見ております。要するに金利を含めました毎月の住宅手当負担額が住宅限度額内におさまるというように住宅限度額が改正されるということが基本的な問題でございますけれども、これはその方向で動いておりますので、今後とも努力をさせていただきます。
○砂田国務大臣 研修が不足をいたしておりますことは私も同感でございます。幸いにいたしまして、五十三年度の予算案で東京学芸大学に研修センターを、もっぱら海外への派遣教員の事前と、それから向こうへ行っております間の研修を目的にしたセンターを設置することにいたしております。いま御審議いただいております予算案の中にそれが含まれておりますので、これを機会にこのセンターを活用いたしまして、より一層充実をしてまいることに努力をいたします。
○奥野委員 時間の関係で通告しておった質問事項が一部できませんで、政府委員の方に御迷惑かけたことをおわびして、私の質問を終わります。
○栗原委員長代理 これにて奥野君の質疑は終了いたしました。 次に、横路孝弘君。
○横路委員 総括質問が終わりまして一般質問に入ったわけですが、いままでの議論を通して、一体日本の経済の現状はどうなって、この大型予算でどう変わっていくのかという姿が明らかになったかと言えば、必ずしもまだ明確ではないのではないかというように思います。私はそのことを中心にしてきょうは少し議論をしたいというように考えておりますが、その前に、先日来のいわゆるロッキード裁判の中での大久保証言に関連をして、幾つかの点について、法務大臣と運輸大臣に初めにお尋ねをしたいというように思います。 ロッキード事件では、実はこれは特別委員会の方でも確認されていることですが、まだ三つの点が未解明だと言われております。一つは、いわゆる児玉、小佐野ルート、この解明、とりわけ児玉というような男がどうして日本の政治や経済の中であれだけ大きな力を持ち得たのかということの解明はまだ十分になされていない。もう一つは、いわゆる三十ユニット、九十ユニット、政治と行政という絡みであります。政治家がお金を受け取って、その結果として行政がおかしくなる、変わっていったというこの問題の解明がもう一つ残されております。同時に、P3Cオライオン、これに関連して一体どういう政治家あるいは児玉、小佐野などのかかわり合いがあったのかという点が、まだ残されている三つの問題点と言われているわけであります。 このうち法務省の方では三十ユニット、九十ユニットの金の流れは、いわゆる検察庁サイドではこれは解明しているわけでありますが、またP3C関連、とりわけ児玉の果たした役割りというような点についてはまだ未解明な問題として残されているというように私は思いますが、いかがでしょうか。
○瀬戸山国務大臣 ロッキード事件についてはいまお説のとおりでありまして、これまで二回にわたって、捜査によって判明いたしました分については中間報告を国会にいたしておるわけでございます。たとえば小佐野あるいは児玉、これの起訴された以外の問題については、犯罪事実ありという認定ができないで今日に至っておる、かような事情でございます。
○横路委員 そこで、私がきょうお尋ねしたいのは、三十ユニット、九十ユニットに関連する問題です。 今回の大久保証言で、福田総理はこの委員会の席上で、六人はその事実がないと言っている、いずれが真相か、真実は一つしかない、これは解明されなければならない、こういう発言をされているわけであります。しかし、起訴されている橋本登美三郎、佐藤孝行、田中角榮を除く四人の灰色高官について言えば、私は、いずれもロッキード社のお金を受け取ったということについては、いわゆる政府サイドではこれははっきりしているのではないかと思う。あのロッキードの調査特別委員会における当時の安原刑事局長の発表によりますと、こういうことになっています。 元運輸大臣の佐々木秀世氏については単純収賄で時効になっている、つまり犯罪を構成する事実はあるけれども、しかし時効で訴追ができない。同じく元運輸政務次官の加藤六月氏にしても、犯罪を犯している事実はあるけれども、刑訴上いわゆる時効として訴追できないのだ。この二人についてはそういう発言をし、二階堂元官房長官並びに福永自民党の航空対策特別委員長については、お金は受け取ったけれども、職務に関する対価という点が明確でないために、この点については犯罪を構成しない。こういう区別をした上で発表しているわけであります。したがって、福田総理がこの委員会の席上で、いずれが真相か、真実は一つしかない、こういうことを政府の責任者として発言をされるということは、当時のロッキード特別委員会における政府の、いわゆる国会の政治的、道義的責任はこの範囲だという当時の田中委員長の指示に基づいて発表した内容と矛盾すると思いますけれども、いかがでしょうか。
○瀬戸山国務大臣 しばしば申し上げておることでございますが、法務省といいますか検察当局といたしましては、犯罪事実をありと見て捜査をする、それによって犯罪事実ありという証拠を確認いたしました際に、起訴すべきものは起訴し、不起訴にするものは不起訴にする。その中で、いまおっしゃったように、二人は捜査の段階ではそういう事実があったと認められますけれども、二人は時効にかかって起訴できない、二人の方については、事実はあるけれども職務権限との関連でいわゆる収賄罪にならない、こういうことで起訴できなかった。これは捜査の段階では明らかだと確信をして処理をしております。
○横路委員 つまり、真実はもうすでに政府サイド、政府の捜査上の真実は明らかになっているのだろうというように私は思います。これに対して、国会でのこの人たちの、いわゆる灰色高官と言われる人たちの弁明によりますと、いずれも金員の授受並びに受け渡しの相手方自身をも知らないと言って完全な否定をしているわけであります。法務省は、これらの認定は証拠に基づいたものである、そしてその証拠は全日空、丸紅関係者の供述並びに米国の嘱託証人尋問の結果だというように発言されているわけでありますが、今回の大久保証言という形で表に出たものも、いわゆる法務省が当時挙げていた資料の一つだというように考えてよろしいですね。――いまの質問の意味、わかりますか。法務省が当時挙げておった資料の一つとして今度の大久保証言というものもとらえてよろしいですね。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど来のお尋ねでございますが、秘密会での論議を前提としてお尋ねいただいておるわけでございまして、私どもとしては、秘密会で申し上げたことを前提としての御質問にはお答えいたしかねると思います。
○横路委員 それはちょっと刑事局長、勘違いされているんじゃないですか。国会の議事録、秘密会で発表したものの後の十一月四日の委員会で、これは田中当時の委員長の方から報告がなされているわけです。弁明を与えるに当たってこういう事実の報告を受けましたという形で。したがって、それは秘密会のことじゃなくて、すでに公にされた内容として議論しているわけでありますから、ここでいまさら二年も前に戻って、いわゆる適当であるとかないとかいう議論をなさるのはいかがかと思いますが……。
○伊藤(榮)政府委員 私どもといたしましては、秘密会で申し上げます以上、秘密が保たれると思って申し上げたわけでございまして、それを前提にしてのお尋ねはお答えいたしかねます。
○横路委員 いや、それはまた去年のいわゆる鯨岡質問の答弁と同じような経過になるのでありまして、ここで、私押し問答はしたくないと思うのです。それは確かに秘密会は秘密会でしたけれども、そこで公表されたことに基づいて国会として措置をとり、そしてその国会の措置の中で内容については公表しておるわけでありますから、これは国会の責任において――ですから、私が言っているのは、その秘密会の内容について議論しているのではなくて、いわゆる国会の認定した内容について議論しているわけですよ。その後の安原刑事局長とのロッキード特別委員会の五十二年三月十六日の議論の中でも、その点は繰り返しもう議論されているのです。ちょっとそれは刑事局長、経過がわからないかもしれませんが、そういうことですから、私の質問は、繰り返しますと、要するに法務省は、これらの認定というのは証拠に基づいたものだ、これは全日空、丸紅あるいは米国の嘱託証人尋問の結果だということで認めておられるわけです。今回の大久保証言という形で表に出たのも、そういういわば法務省が認定をされた作業の資料のうちの一つなんでしょう。こういう話なんです。別にむずかしいことじゃない。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど大臣がお答えいたしましたような認定の資料につきましては、当時秘密会で申し上げた以上には申し上げる内容がございません。
○横路委員 もう一つ先に進めて、これに対して当時の弁明では、加藤六月氏はそのロッキード特別委員会で、今回の法務省の報告は全くの一方通行だ、これが裁判であるならば、これらの資料、供述書が法廷に提出され、黒白が争われるのだけれども、この点堂々と争うことができないのは残念だと述べて、むしろ堂々と争いたい旨を明確に発言をされ、同じく二階堂元官房長官は「法務省当局は全資料を直ちに公開すべきである」という発言をしているわけてあります。 先日の予算委員会の議論で、福田総理大臣も、国政調査権には最大限に協力するということを言っているわけでありますが、これはいわゆる刑訴法四十七条との関係にかかわり合いを持ってくるわけでありますが、大久保証言がなされた以上、この刑訴法四十七条の関係で言うと、すでに公表されてしかるべきだ。とりわけ本人たちがそういう主張をしているわけでありますから、国会に対してこれら四名についてのいわゆる関連資料の提出について御協力をお願いしたいと私は思うのです。法務大臣、いかがでしょう。
○瀬戸山国務大臣 その前に、先ほど来刑事局長お答えいたしておりますのは、さように認定したのはかくかくの資料である、かくかくの証言である、こういうことを申し上げるわけにいかない、かように申し上げておるわけでありますから、御理解を願いたいと思います。 それから、いまおっしゃったように、捜査の段階における資料を公表したらどうかというお話、これはしばしばお話が出るわけでございますが、横路さんは専門家であられるからよく御承知だと思いますけれども、現在この事件は御承知のとおり公判進行中でございます。あらゆる証拠を公判の維持のために検察庁としては提示をして、公判中心主義の公訴を維持するためにも努力をしておる、そういう段階でありますから、これを公にするということは、あるいは裁判官の予見を導く、そういうことになってもいけないし、現在公表するという考えはございません。
○横路委員 五十二年三月十六日のロッキード調査特別委員会で安原刑事局長は私の質問に答えて、人権を守るということも四十七条の趣旨とすれば、人権の主体である取り調べを受けたとされる人たちが、あらぬ疑いを受けたとされる人たちが、その利益を放棄すると言われるならば、それはその判断をする上においての具体的な資料として考慮すべき事情であることは間違いないだろう、こういうぐあいにお話しになっているわけです。そして、現に国会の弁明で、二階堂、加藤両氏は、堂々と争いたい、場合によっては資料を出してくれ、こういう発言をされておりますし、先日の大久保証言に対しても、新聞の伝えるところによりますと、同趣旨を伝えられた方もあるやに私たちは承っているわけであります。そんな意味で、この安原刑事局長の答弁を考えてみても、これはこれからの話で、実はあしたロッキードの理事会が開かれるのでありますが、本人たちがもしどうしても出してくれと言うならば、刑訴法四十七条の趣旨からいっても、これは出して構わないのじゃないですか。総理大臣が国政調査権に協力するということを言った意味は、やはり資料の提出ということをめぐって従来は、ずっと議論がされてきたわけでありますから、そこのところを、ぜひ法務大臣としても総理の意向を受けて、ひとつ御判断いただきたいと思う。
○瀬戸山国務大臣 国会において真相を究明するために協力を求めるとおっしゃることについては、従来から申し上げておりますように、法律で許される可能な限りにおいては御協力申し上げることは当然なことである、かように考えております。 それからいまおっしゃいましたが、関係者と見られておる方々がそれについての資料を出してくれというようなお話があるということでございますが、もちろん人権の問題もあります。また、さっき申し上げたような裁判中の公訴維持の重要な問題もあります。そういうことを勘案して、われわれは現在これを公開するわけにいかない、かような立場をとっておるわけでございます。 それから、一般的に申して、これも横路さん御専門でありますが、捜査をいたしますのは、御承知の国家権力によって与えられた法律上の権力によってあらゆる事実の究明をいたします。これは大きな秘密を要する場合があるわけでございます。あるいは人権に関係する、あるいは人の名誉に関係する。そういうことで、国家公権力によって明らかになったものを一般に公開するということは、今後の捜査その他について支障を来すということもお考えを願わなければいけないと思います。
○横路委員 そうじゃなくて、むしろ人権を守ってやらなければならない、ここで言えばいわゆる灰色高官の人たち、これは本人たちが自分に関する資料を全部明らかにしてくれ、つまりそういう意味で言うと、放棄しているわけですね。自分の権利を守るために、むしろ刑訴法四十七条の趣旨は放棄するから、そのかわり資料を出してくれ、こういうことを言っているわけです。 これはもう一つ刑事局長にお尋ねしたいのですが、大久保証言、伊藤宏、副島、この関連の証言が近いうちに進んでいくわけです。大体三月、四月ぐらいで終わる日程になっていますね。そうすると、この関連の立証というものは大体終わるわけでありますから、少なくともその時点においては、本人たちは出してよろしい、黒白決着をつけるためにむしろ明らかにしてくれというならば、これは国会でももちろん国政調査権という形で一致した上での話ですけれども、私は協力して当然じゃないかと思う。そうでなければ総理大臣が国政調査権に協力する、協力すると言ったって、一体何に協力するのか。これは協力してもらえる最大のものというのは、ある意味では最小のものは、いまはやはり資料を提供してもらうということだろうと思うのです。いかがでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 一般論といたしましては、大臣からお答えしたとおりでございます。 具体的ないわゆる全日空ルートと言われております事件の公判状況でございますが、御承知の公判、大久保証言によりまして三千万円の金が用意されたところまでは話が行っておるわけでございます。これからは被告人が争っておりますところの授受の具体的な状況について検察側の立証が進むわけでございます。この起訴されております二人についての金員の授受は、その余の四名の方の金員の授受と密接一体となっておりまして、証拠不可分の関係にございますので、現在の公判の状況だけからいたしましても、とうてい資料をお出しするわけにはまいらぬ状況でございます。
○横路委員 だから私は、大体終わったあたりではどうですか、こういう質問をしているのです。
○伊藤(榮)政府委員 裁判上の立証がほぼ終わりました段階におきましては、裁判所へ提出されました資料につきまして御要望があれば、詳細御報告申し上げます。
○横路委員 というのは、たとえば弁明の中でも、元運輸政務次官の加藤六月氏は、四十七年十一月一日ごろ金を渡されたというけれども、その日は岡山にいたというアリバイの主張までされているわけですね。そうすると、これはやはり法務省としてきちっとした資料があるならば、そこは出すということでなければならないのじゃないかというように私は思います。したがって、やはりもう少し具体的に特定する方がいいのではないか、本人たちのためにもいいのではないかということですが、いま裁判でおのずからそこら辺のところが起訴されている二人との関連で明らかにされてくるということでありますから、それを待ちたいというように思います。その後での御協力もお約束いただきました。 もう一つは、全日空ルートの関連で、沢雄次、青木あるいは植木、藤原という人たちの外為法事件の裁判があるわけですが、ここでも、これらのお金を何のために受け取ったのか、そしてこのお金を何のために使ったのかということも、今後の検察の立証の中では明らかになっていくのでしょう。
○伊藤(榮)政府委員 そのとおりでございます。
○横路委員 そうすると、九十ユニットの問題にすぐこれはなるわけであります。つまり、これらの全日空の被告の人たちが受け取ったお金は、九十ユニットという形でもって政界に流れているわけですね。この九十ユニットについてはまだ未公表なわけです。これは瀬戸山法務大臣も当時ロッキード委員会の理事でよく経過を御承知だと思いますが、当時の三木総理大臣、稻葉法務大臣、これらの国会の答弁では、要するに国会で一致して基準を決めてくれれば協力する、基準が決まらぬからだめだ、こういうことであのときは三十ユニットだけということになったわけであります。そんな意味で、この答弁の趣旨を、つまり与野党が一致して基準を決めればこの九十ユニットについても、その発表の方法についてはいろいろこの前の経過もありますから議論があるでありましょうけれども、発表するという姿勢そのものは変わっていませんね。法務大臣、いかがでしょう。
○瀬戸山国務大臣 いまおっしゃるように、私もあの当時はロッキード委員会におきまして関係した一人でございますが、問題の三十ユニット、これは三十ユニットと前から決まっておったわけじゃありませんけれども、しばしば申し上げておりますように、検察庁や法務省が、だれだれが灰色高官と決める立場にもありませんし、また決められるものでもない。そこで、政治的責任あるいは道義的責任に当たる者はかくかくしかじかの者である、こういうふうなことを国会でお決めになりまして、それに当たる者はどういう者であるかということでございますから、およそそれに当たる者はこういうことになっておりますということを秘密会で御報告を申し上げた、それが先ほど来お話しになっておるところでございます。 それから九十ユニットのお話でございますが、これはそういうものに当たっておらない、これは捜査の段階の判断でございますけれども、要は、犯罪になるとかあるいはロッキードトライスター売り込みの関連になっておらない、こういう判断でございますから、それにはまっておらない、こういうことでございます。 そこで、先ほど一般論として申し上げましたように、捜査の段階ではいろいろな事実が浮かび上がってくるわけでございます。それを全部世間に公表するということになりますと、将来、場合によっては捜査に協力をしない、こういう事態も考えられますので、そういうものを一般に公表するということは法律上差し控えておる、かようなことでございます。
○横路委員 それは、その当時の自民党の理事としての瀬戸山さんの発言はそういう御発言をされたのだけれども、国会の答弁は、三木総理大臣も稻葉法務大臣も、政治的、道義的責任ありや否やについては国会でその基準を決めてくれ、九十ユニットの八名についてもまさにそうだ、それが九十ユニットのどの部分で政治的責任があるのかどうかということを決めてくれということで、私たちが理事会でいろいろ議論をしたわけでしょう。だから政府の方の姿勢は、国会でもって基準が決まればそれに従いますよと、こういう話だったわけです。それはなぜかというと、ロッキード特別委員会というのは、政治的、道義的責任を明らかにするという議長裁定に基づいてつくられた委員会だからなんですね。いまの御答弁は当時の瀬戸山理事としての発言であって、ひとつこの三木総理大臣と稻葉法務大臣の答弁の趣旨、これは五十一年十一月二日の答弁を初めとして、もう幾らでも同じ趣旨の答弁をされています。いまその立場が変わって法務大臣になられたわけですから、ぜひこの趣旨を受け継いでいただいて、国会で一致した場合には、その基準が決まったときには九十ユニットについても考えるということでぜひお願いをしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 いや、別に前の理事という立場でお答えしておるわけではありませんので、経過を申し上げたわけでございます。でありますから、重ねて申し上げますが、政治的、道義的責任のある者はかくかくの者である、こういうことをお決めになれば、それに当たる者がありますれば秘密会等において御報告することはやぶさかではございません。
○横路委員 それは今後委員会の中でわれわれ相談をしていきたいと思いますし、いずれこれはまた裁判の中でも、この九十ユニット関係は明らかになるでありましょう。ぜひ基準を決めて公表したい。そのときにはいま御協力いただけるという御発言でございましたので、先に進めさせていただきたいと思います。法務大臣、結構でございます。 では、次に運輸大臣。 運輸大臣については、今度の大久保証言で、これらの灰色高官にお金を渡したのはお世話になったからだ、こういう一言があるわけでございます。つまり世話になったというのはどういう意味かというと、全部これが、ある意味で言うと運輸省関係、元官房長官を除けば運輸大臣、運輸政務次官、自民党の方の航空対策特別委員長と、こういうことですね。 そこで私は、前から、検察官の冒頭陳述と運輸省の答弁は食い違っている、裁判の進行の中でだんだん国会答弁のでたらめさというのが明らかになってきたのじゃないか。そこで、政治と行政とのかかわり合いで、航空行政の節々のところで、一体どういうような政策変更がどんな形で行われたのかということをまとめて整理をして報告してくれということをいままで何回も要求してきているわけです。今度の大久保証言の中で、はからずもその運輸省関係者に大変世話になったという形で金が出ているという事実が明らかになりましたので、これを運輸大臣として、多くを申し上げません、従来から指摘している点をきちんと整理をされて国会に報告をされるようお願いをしたいと思うのです。
○福永国務大臣 私は本件について余り詳しく承知をいたしておりませんが、ただいま横路さんのおっしゃったことにつきましては、従来運輸省の関係者もいろいろ聞いていると思います。それをよく調べまして対処いたしたいと存じます。
○横路委員 結局、金を受け取った政治家というのがある程度明らかになってきているけれども、それによってどういうぐあいに行政が曲がっていったのかという、その世話になった趣旨がまだ国会として必ずしも明らかになっていないわけですね。そうすると、再犯防止という措置をとるためにそこら辺のところが非常に大事なんで、ぜひこれは国会に対する報告という報告書の形でつくってもらいたいのですが、よろしいでしょうか。
○福永国務大臣 曲がっていったというお話ですが、私は曲がってないのだろうと思っておりますが、先ほど申し上げましたような趣旨によってよく調べてみたいと思います。
○横路委員 調べてみるじゃなくて、それは報告することを約束しているのでありますから報告してもらいたいと思います。よろしいですね。
○福永国務大臣 いま申し上げましたような調査をいたしまして、何分のお答えをいたしたいと思います。
○横路委員 では、以上でロッキード関連の問題を終わります。運輸大臣、結構でございます。 それで、少し国際収支に関連する問題から入っていきたいと思うのであります。 五十二年度の実績見込みですと、経常収支で大体百億ドルの黒字と言われているわけでありますが、昨年の四-十二月の段階ですでに百億ドルを超えているのじゃないかということで、政府見通しをかなり上回ることになるのじゃないかと言われているわけであります。十億ドル程度ということのようでありますが、これはどういうことになっておるか、ごく最近の新しいところでひとつお答えをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 昭和五十二年の一月から十二月、と申しますのは暦年の方が一年分の把握がしやすうございますので、一月から十二月のIMFベースの暫定数字でございますけれども、経常収支で百十億ドルでございます。ただ、これは一つは暫定の数字でございまして、今度別に四月から十二月までの暫定に基づきます経常収支を季節修正いたしますと、八十四億ドルになっております。
○横路委員 ですから、五十二年の一-三月と同じような経過をたどるというように考えれば、結局はその辺、大体百十億ドルくらいのところに落ちつくのじゃないですか。
○宮澤国務大臣 せんだっての委員会でも申し上げたところでございますが、御承知の十億ドルという緊急輸入の問題がございまして、これはほぼそれに近い額が今年度内に国際収支の支払いに立つというふうに実は考えております。そこで、まず百億ドル、そう狂うことはあるまいというふうに私ども実は考えておるわけでございます。
○横路委員 あの牛場大臣とストラウス大使との間の共同声明、きのうも議論されておりましたけれども、ここに出ている日本としての経常収支についての考え方、経常収支というか、全体的な国際収支についての考え方と、それから昭和五十年代前期経済計画、この前期経済計画の中での目標は、いわゆる基礎収支の均衡というものを目標として計画が立てられてきただろうと思うのです。そして、基礎収支の均衡という形で計画が立てられてきたというのは、やはり何といっても南北問題にこれから日本がまだまだ対応していかなければいけないということが前提になっていただろうと私は思うのですね。そうしますと、当面経常収支の黒字の縮小を図るということばかりじゃなくて、七九年度以降においても均衡化を目指して経常収支黒字の一層の縮小を図る、たとえ赤字が生じてもそれはいいだろうというこの考え方自身は、私はやはりかなり基本的な国際経済の中における日本の立場というものについての修正じゃないだろうかというように考えるのですけれども、そこら辺のところはどのようにお考えになっているでしょうか。
○宮澤国務大臣 その点は私どもこのように考えております。 すなわち、基本的に申しますと、いま仰せのとおり、わが国としては南北問題等々で相当の資本の流出と申しますか、資本勘定は赤になるべき国であるというふうに本来考えておりますから、それだけのものは経常収支でかせいでいかなければならない、長い目で見まして、わが国の姿は、私はそうであろうと存じます。ただ、しかしながら、現在のようにわが国が相当大きな経常収支を持ち、かつかなりの外貨準備を持っておるという事実が片一方にございます。他方で、OPECが少なくとも年間二百億ドルくらいの余剰をため込みまして、OECD加盟国の多くが赤字になっておる。したがって、先進国であるわが国としては、やはりその赤字を分担するとまで申しませんでも、わが国だけが大きな経常収支をためていくことには先進国間の協調に問題があるという事実がございます。したがいまして、ここ当分の間、わが国がこれだけの外貨蓄積もありいたしますから、仮に経常収支が黒字を生みませんでも、なお資本収支で赤字を負担する余裕があるではないか、そういう考え方でございます。 そこで、先ほど仰せになりました牛場・ストラウス声明の中の例の均衡のところでございますけれども、この点は、現在のような状態が続く限りにおいてという修飾がしてございまして、このことの意味は、せんだって牛場国務大臣が御説明になられましたように、いわゆるOPECが非常に大きな黒字を集積させていく、こういう状況が続く限りにおいてというふうに限定をして書かれておるわけだ、そのように了解をしております。
○横路委員 もう一つお尋ねをしたいのですが、「昭和五十五年度経済の暫定試算について」ということで、先日経企庁の方の企画委員会の方でまとめられましたね。これの五十五年度の暫定試算によると、これは経常収支と基礎収支というのはどういう数字になっているのですか。
○宮澤国務大臣 これは経常余剰で出ておりますので、ちょっとお待ちください。――五十五年度海外経常余剰ほぼ一兆円というのを、まず経常収支に相応するものとお考えいただきましてよろしいかと思います。
○横路委員 そうしますと、ますます矛盾してくるのではないか。つまり、五十五年度経済の暫定試算で、国内向けには依然として黒字というのを見ておって、そしてアメリカに対しては、七九年度以降においても均衡化を目指す、それは前提がついているとしたって、五十五年というともうあとわずか先の話ですね。そしてこれは七九年度以降赤字が生じてもそれは認容されるだろう、こうなっているということは、やはり政策としてどうしてもどっちかが場当たり的にやったということでしかあり得ないのではないか。これは牛場さん、どうなんですか。つまり、日本の経済の、後で議論する輸出、輸入なんかの関係なり日本の産業構造から言えば、どうしてもこれはかなり無理だというところで、しかしながらアメリカの、つまりそこに外圧説というのが出てくるのでありまして、形容詞を確かにつけているといって逃げられるかもしれないけれども、しかしそれでは何となく共同声明の後にわざわざ暫定試算を出された数値自身も、やはり方向性としてはもともとの日本の基本的な考え方に立っていると私は思うのです。その辺のところはどうですか。
○牛場国務大臣 アメリカ側に対して今回私どもが申しましたことは、ただいま経企庁長官の言われましたとおりでありまして、現状のようないわば異常な状況が、これは相当長く続くと見なければなりませんけれども、続いている間は、日本としてもいわゆる負担の公平な分担を行わなければならぬということ、この点は日本自体の必要からも、われわれとしてはそういう方針をとるということでございます。それからまた、事実黒字を減らすということが日本の円を押し上げる力を減らすという意味におきましてきわめて必要なことであるということで、アメリカ側に対しては先ほど横路さんが言われましたようなことを申したわけでございます。 その一兆円の話は、実は私は権限外のことでありますので余り存じませんですが、基礎的にもちろんわれわれとしましては、基礎収支の均衡ということでいくのだということは、アメリカ側に対して何度も申しております。ただ向こう側は、いまの事態においてはそれでは困るのだ、どうしても日本にも経常収支の上でもって、赤字と言わぬまでも均衡を目指してもらいたいということでありまして、そういういろいろのことを考えました上で、私がストラウスに申したことが、共同声明に載っておるということでございます。
○横路委員 つまり、政府の政策そのものとしては、国際収支全体をどうしていくか、これは結局は日本の経済をどういうぐあいに先進国間と南北間でもって分業を図っていくのかという位置づけが明確でないところに、やはりこういう矛盾が出てきておるのではないかと思うのです。 ちょっとついでに一つだけ。直接は関係ないのですが、この暫定試算というのは、例の大蔵省の出した財政収支試算のどのモデルを使って計算されているのですか。
○宮澤国務大臣 それはむしろ私どもの暫定試算そのものが、昭和五十年代前期経済計画のいわば追跡として、昨年の末に経済審議会が企画委員会というものを設けましていたしました、この方がむしろモデルを使っておりますものでありまして、それによって昭和五十五年、五十七年の日本経済のフレームを試算してみまして、それを大蔵省が財政試算をされる上で下地にして財政試算をつくった。モデルを使いましたのは実は経済企画庁の方でありまして、大蔵省はそのもとで財政試算をした。もっとも、私どもがこの試算を私どもなりのモデルを使っていたしましたときに、五十七年において特例公債をゼロにするということが、全体の五十年代前期経済計画の目標を損なわずにどのようにすれば可能かという試算は私どももいたしたわけでございます。それはたまたま大蔵省の財政試算のケースCという場合に類似をしておる、こういうことでございます。
○横路委員 そこから議論を始めるといろいろな議論があるのですが、そこで、いまアメリカからの要求が一つある。それから、日本の基本的な政策としては、やはり基礎的収支でバランスをとるという考え方なんだということですね。これは企画庁長官の方に確認してもらった方がいいのかな、日本の基本的な方向としては、基礎的収支でバランスをとるという考え方なんだということはよろしいですね。
○宮澤国務大臣 ただいまのような世界経済が非常に変調な異常事態は別といたしまして、基本的に、わが国はやはり経常収支で何がしかの黒字を生み、そして資本収支で南北問題等の解決を図るというのが本当の姿でございますから、ただいまお話しのように、やはり均衡を図るべきは基礎収支においてである、長期的には私はそのように考えております。
○横路委員 そこで、先ほどから、あるいはこの委員会を通してでも、要するにOPECに集中している二百億ドルというようなお話もございましたけれども、そこで、非OPECの諸国がこの赤字を分担しなければならぬという議論が出てきて、日米間の今度の交渉も、単なる日米じゃなくてグローバルなそういう話なんだ、こういう説明だったわけです。それじゃOPECに流入しているいままでの累積は一体どのくらいなんですか。ドルにしてどのくらい流入しているのですか。どのくらい累積しているのですか。 時間がありませんから、ついでにちょっと質問をしておきますが、それが一体どういう形で流れているのですか。流入したって全部流れればいい。ある程度そこにとどまるのもあるでしょうし、短期資本、長期資本でいろいろ出ていくでしょう。一体どの程度累積されていてどこに流れているのか。これはどういう具合に把握されていますか。
○宮澤国務大臣 一般に言われておりますことは、二千億ドルと言われておるわけでございます。それは、アメリカ、イギリス並びにユーロダラーというふうに一般に想像されておるわけでございます。たしかイギリスの金融機関の試算というようなものは若干あるように思いますが、権威のある数字は実はどこにもございませんので、もし試算でよろしければ、後ほど資料としてお目にかけたいと思います。
○横路委員 日本政府としても、それは大体とらえているのでしょう、アメリカにかなり行っているだろうとか。というのは、つまりこういうことなんです。アメリカに短期資本という形でもって相当流れ込んでいると一般に言われているわけですね。そうすると、アメリカの場合は総合収支で見ればいいわけでしょう。何もそこを全部日本なり西ドイツなりアメリカなりで平等に分担するという議論は必要ないわけですよ。そんな議論を当然この交渉の際にはなされているのだろうと思うのですが、そんな意味で、一体どの程度、どこの国に流れているのかということがわかりますならば、それを資料として提出していただきたい。
○宮澤国務大臣 ただいま政府委員から、わずかですがわかっております程度のことを申し上げますけれども、前段に言われましたことは、確かにアメリカに一部は還流をするわけですけれども、これは債権の形で行っておるわけでありまして、つまりいつでもコールすればコールできる形でございますから、資産として行っておるわけではないということだけは申し上げられると思います。ちょっとただいまのところを政府委員から……。
○宮崎(勇)政府委員 お答えいたします。 OPEC諸国の経常収支の黒字が累積でどれくらいになっているかということにつきましては、いろいろの資料がございますが、一つの国際銀行の推計によりますと、一九七四年から七七年の経常収支の累積は大体二千億ドルでございまして、黒字国の方では、OPECの千五百億ドル、これがほとんどでございます。それから赤字の方では、工業国の千億、共産圏の三百億ドル、非産油の開発途上国が七百億でございまして、そのファイナンスの大部分、約千五百億ドルは民間の金融市場で、あとがIMFのクレジットですとか公的の開発援助になっております。
○横路委員 それじゃ、それはそれぞれのどこの国のたとえば金融機関に流れているのか、わかる範囲で結構でございますので、後で資料として出していただきたいと思います。そこで、つまり南の国に対する経済援助協力というものを拡大していく、その長期資本収支が赤字になるわけですが、この五十三年度見通しで七十億ドルですか、ということになっていますね。この七十億ドル、五十一年度実績から五十二年度、五十三年度と急激にこれが伸びているわけでありますが、一体この中身ですね、本邦資本、それから外国資本と、トータルでどういうことになっているのか。それから本邦資本の内容を、日銀の国際収支月報で見ますと、直接投資だとか延べ払い信用、借款、それから証券投資などの区別になっているようでありますが、これが五十三年度見通しで一体どういう見通しを立てられてこんな大きな赤字になっておるのか、御答弁いただきたい。
○宮崎(勇)政府委員 長期資本収支の最近の傾向は、昭和五十年度がマイナスの二億六千万ドル、五十一年度がマイナスの十六億六百万ドルでございまして、その内容は、五十年度が本邦資本で三十六億九千五百万ドル、外国資本で……(横路委員「それは資料に出ているやつは大体わかるのですが、そうじゃなくて五十三年度……」と呼ぶ)五十二年度については長期資本収支全体としてマイナス五十億ドル、五十三年度はマイナス七十億ドルでございますが、本邦資本が現在のところ流出が続いておりますが、この傾向が続くということで、外国資本については余り大きな変化がないというふうに想定しております。
○横路委員 それで、その中身が問題なのです。つまり、直接投資、延べ払い信用、借款、それから証券投資となっておりますね。これは一体五十三年度でどういう見通しを立てられてこの赤字になったのかということをお答え願いたい。これはむしろ大蔵省の方じゃないでしょうか。
○旦政府委員 この長期資本収支の見通しをつくります際にわれわれが非常に困難を感じますのは、何と申しましても、基本的には内外の金利差ということが一番大きな要素でございまして、過去の趨勢をある程度伸ばしてみるというようなことで算出するよりほかない。海外の金利につきましてはわれわれのコントロールの及ばないところでございますので、そういうところで非常にむずかしいのでございます。 いまお尋ねの五十三年度の見通しにつきまして、それぞれの直接投資、延べ払い、借款等についてどういう見通しを立てておるのかという御質問でございますけれども、われわれといたしましては、たとえば本邦資本の円建て債、最近、御案内のとおり非常に伸びておりますが、これは証券投資の部類に入りまして、これにつきましては、いまの趨勢で伸びればこの程度のものであろうというようなところで推察をいたしまして計算しておるところでございます。この円建て債につきましては、月平均大体六百億円ぐらいということで、これを平年度に伸ばしまして、そのほかに私募債を加えまして推算をいたしております。そういうようなことで、われわれの見通しがある程度できるところはございますけれども、たとえば外国資本の直接投資というようなところでは、向こうから日本にどれだけの直接投資があるかということについては何ともわれわれも見通しができませんので、これらにつきましてはゼロと見るとかいうような大胆な試算をしておるところでございまして、その辺は御了解いただきたいと思うところでございます。
○横路委員 大胆な試算もいいのですが、五十一年度の実績から見ますと、これは何でこういうことになるのかということがさっぱりわからぬわけですよ。それを解説してもらうためには、内容について個別にどういう見通しをしたのだということで、ひとつこの数字を挙げて話をしてもらわなればならぬわけです。日銀のいままでの統計月報を見ておりますと、五十二年度の傾向はややわかりますよ。それから五十三年の見通しを皆さんがどういうぐあいに立てられているかということもやや推察はできますけれども、そこのところは、大分何か差しさわりがあるのですか、その数字を出すことについては。
○旦政府委員 先生御案内のとおりに、国際収支の見通し全体を発表しておる国も日本だけでございまして、ましてその中の分類の長期資本収支の部分も発表しておるのは日本だけでございます。と申しますのは、いかにこの推算がむずかしいかということでございまして、先ほど申し上げましたように、とりわけ金利で非常に大きく動かされます長期資本収支につきましては非常にむずかしい。したがって、申し上げましたような大胆な試算をして、ここのところはこういうふうに置いてみようということでやっておりますので、その辺は御容赦いただきたいと思います。
○横路委員 直接投資や借款の場合ですと、あるいは延べ払い信用と言われるようなものについて、これはある程度予算そのほかの絡みで出てくるわけでしょう。だから私は、大変ここでもって赤字幅を大きくしているのは、やはり証券投資のところ、さっきるる説明がありましたが、あの金額なんというのは大した金額じゃないので、日銀の国際収支統計月報を見ておっても、ここの証券投資のところをかなり大幅に見ているのじゃないのですか。私、こういう質問をなぜするかというと、実は四十七、四十八年のときに、いわゆる外貨準備高が伸びるというのは一つの円高の要素にもなるわけです。そんなことを頭に入れながら、四十七年、四十八年というのは、証券投資十四億ドルレベルのときでさえ外貨準備を隠しているのじゃないかというような意見、批判というのもあったと思うのです。そんな意味で言いますと、この七十億ドルの長期資本収支の赤というのは、南の国に行く部分ももちろんあるのでしょうけれども、そればかりじゃなくて、たとえば外国の銀行の中期債を買うなら買うというようなところに、これは政策誘導でできるわけでありますから、余り多くを申さないでも皆さん方はおわかりだろうと思いますが、そんなようなことでこの証券投資の幅をたくさん見て赤字幅を大きくしているのと違いますか。どうですか、これは。
○旦政府委員 証券投資につきましては、出ていきますものと入ってきますものとを比べてみますと、五十一年度におきましては入ってくる方が断然多かったわけでございます。それから五十二年度におきましても、当初はそういうような見込みでございましたけれども、御案内のように、去年の夏ごろから長期金利が非常に下がってまいりましたので、したがって円建て債が非常に出るようになったわけでございます。先ほど申し上げましたように、五十三年度におきましてこの趨勢がなお続くものとしてわれわれが推算をいたしておりまして……(横路委員「大体どれぐらいの金額ですか」と呼ぶ)丸めて申し上げまして、来年は大体二十八億ドルぐらい、これは私募債も含めまして……(横路委員「差し引きで」と呼ぶ)でございませんで、こちらから出るものだけでございます。それぐらいではないかというふうに試算をいたしております。
○横路委員 二十八ですか。
○旦政府委員 大体そのぐらいということで試算をいたしております。
○横路委員 ちょっと、そうしたら、傾向を聞きますが、直接投資はどうなんですか。ふえるのですか、減るのですか。
○旦政府委員 直接投資につきましては、外からこちらに入ってきます直接投資につきましては全く見込みがございませんので、これにつきましては見込んでおりません。それから、こちらから出ますものにつきましては、大体五十二年度程度のものではなかろうかというふうに見ております。これも全く推算でございまして、そこのところが、確としてその額が絶対大丈夫だということではございませんけれども、一応この程度見ていいのではないかというふうに考えております。
○横路委員 ちょっと一つ結論的にお尋ねしておきますが、この七十億ドルの中でかなりな部分、つまり本邦資本の証券投資の比重がきわめて大きな部分を占めているということだけは言えるのじゃないでしょうか。
○旦政府委員 円建て債で出てまいりますものがかなりの部分を占めているということは申し上げられると思います。
○横路委員 問題は、これから先に、もう一つ進みまして輸出、輸入との関連に今度はなっていくのですが、この日米共同声明ですね、いろいろな立場もあるのでしょうけれども、やはり日本の基本的な方向だけは崩さないでやっていっていただきたい。基礎的収支でバランスをとるという考え方は五十年代前期経済計画の方向でもありますし、まあわれわれもやはりその方向でなければならぬだろうというように考えるわけです。したがって、先ほど詰めるのをやめましたけれども、政策的には基本的に置きながら、しかし日米間も、これは牛場さん、この一番最後にアメリカから点検を受けることになっているのですが、この点検を受けるときに大体どんな姿になっていれば、向こうからさらに要求を受けないで済むのですか。いまから、つまりこれは予算が決まって執行されてちょうど半年目ですね。真ん中でもってアメリカの点検を受けるということですが、この項目を残したということが、実は非常にある意味で言うと、向こう側にいわばこちらを追及する足がかりを残したような気が最後の一項目でするわけです。一体このころどんな形になっていればアメリカは満足するのでしょうか。
○牛場国務大臣 点検を受けると申しますと、何かこちらがえらい監督を受けているようでございますけれども、実はそうではないのでありまして、今度のお話というのは、要するにインフレなき、できるだけ高い経済成長を可能ならしめるために、また保護主義の台頭を抑えるために日米が協力しよう、それからその障害になっている一つの大きなものは日本の経常収支の黒字だから、これを縮小しよう、こういう点で共通の目的を持っているわけでございまして、したがって、そういう共通の目的を達成するために日本がやろうとしていること、アメリカがやろうとしていること、これはお互いにフォローアップしていこうということ、これは当然起こってくるわけでございまして、ここに書いてございますことは、一つは日米高級事務レベルの会議でございますね、これをやろうということと、それから十月に私とストラウスがもう一遍会おうということを日米間で合意しているわけでございますが、十月と申しますと、いま横路さん言われましたように、来年度の半ばをやっと過ぎたところでございまして、そのころにそう来年度全部を見通したことが言えるはずがないので、私は、こういうときに具体的なまた追加的な示唆が、あるいは要求といいましても、これはもちろん交渉して決めることではないのでありますから、日本側の政策についての向こう側の注文と言ったらいいかもしれませんが、それが出てくると私は思っておりません。ただ、そのころまでに日本の経常収支について、基礎的に方向が変わったというようなことが言えるような状況になっていることは、私は非常に必要ではないかと思っております。
○横路委員 つまり、アメリカの保護主義台頭を抑えるということになると、これは全く日米間だけの通商交渉ということになるわけで、いままでの御説明はそうではなくて、まるきりグローバルな観点からやってきたということで、きのうもいろいろと議論があったわけです。 アメリカは、OPEC諸国から石油をたくさん輸入して、最近の傾向を見ると、あそこにたくさん武器を売りつけているわけですね。何をねらっているのか、やはり中東に対するアメリカの戦略的なものというのは一つあるのでしょう。あの石油の輸入というのは、単なる備蓄とだけはどうも言えない、いろんなねらいがあるように思うわけです。その辺のところを日本の基本的な立場を踏まえてぜひやっていただきたいというように思うのです。 そこで、いまも、十月にある程度その経常収支そのものというのはやはり改善をされていなければいかぬというお話があったわけでありますが、ではそれは改善されるのかされないのかということで、ちょっと輸出、輸入の関係についてお尋ねをしたいと思うのです。 いままでの総括における質疑では、主要経済指標を見ますと、輸出は大体伸び率が半分になる、それから輸入は大体八%から一三%に伸び率というのはふえるのだ、そして、それはなぜかと言えば、やはりすべて内需拡大ということの説明だったろうというように思うのです。 そこで、ひとつ輸出から問題にちょっと入っていきたいと思うのですけれども、輸出というのはやはり世界の貿易と非常に関連をしているわけです。従来から、世界貿易と日本の輸出の増加率を名目で見ると、六〇年代は非常に高くて、弾性値は一・八ですね。最近ほぼ五、六年をとってみるとやや落ちて一・六程度ということになっているのですが、五十年代前期計画の場合は、世界貿易と日本の輸出の増加というのは大体弾性値でどのぐらいを見込んでつくられておられるのでしょうか。
○宮崎(勇)政府委員 先生御承知のように弾性値というのは毎年毎年変わる、非常に振れるものでございますが、一応一・一程度でございます。 〔栗原委員長代理退席、委員長着席〕
○横路委員 そこで、来年度に関連して、宮澤さんは、大変国際貿易全体は下がる、低いということをお話しになったのですが、こういう弾性値はどのぐらいでしょうか。世界の輸入と日本の輸出というのは連動しているわけですね。そうすると、金額でいって、世界の輸入金額と日本の輸出金額の弾性値というのは、五十一年、五十二年、五十三年で大体どんなぐあいになっていますか。
○宮崎(勇)政府委員 名目でとります場合と実質でとります場合で若干違いますが、名目でとりますと、五十一年度が一・四、五十二年度が一・一弱、五十三年度は〇・七程度でございます。
○横路委員 五十年代前期計画でいくと大体弾性値一・一。いまのお話は金額比較ですから、金額比較でいくと、弾性値でいきますと世界の輸入の大体七割程度ということになりますね。そうすると、これはちょっと幾ら何でも、過去の日本経済、日本の輸出と世界の輸入との関連でいけば、そこで弾性値を一切ってしまうというのは、円高だからという説明をするのでしょうけれども、そういうことになりますかね。これをもし一ぐらいの弾性値で見ますと、金額の伸びで大体輸出の差というのは二十億ドルぐらい違ってくるのじゃないか。これは私の方の概算ですから、合っているか合っていないかわかりませんけれども。そこのところでかなり皆さんの方ではつじつまを合わせるための操作をやっているのじゃないか。経済は見方がいろいろありますから、いろいろな見方で変わってくるけれども、従来の弾性値から言うと、かなり低いところで見ているというところに一つ問題があるように思うのですが、いかがでしょうか。
○宮崎(勇)政府委員 五十三年度の輸出の見通しにつきましては、昨日も御説明申し上げましたように、マクロモデルを中心に推計をしておりますが、ただいまの弾性値の御指摘でございますけれども、私どもは従来の傾向を入れたモデルを使っておるわけで、先ほど申しましたように〇・七ぐらいというのが五十三年度でございますが、四十八年にも〇・七程度の弾性値を実現したことがございまして、これは世界貿易と日本貿易のずれがあるときには往々にしてこういう現象が起こるわけでございまして、特に恣意的な弾性値を使ったわけではございません。むしろ前提として世界貿易の伸びを最初に置き、国内の需要等を入れたモデルを使って日本の輸出を算出したということであります。
○横路委員 四十七年度は一超えているじゃないですか。五十三年度は〇・七じゃなくて〇・六程度でしょう、見ているのは。
○宮崎(勇)政府委員 〇・七というのは四十八年度でございます。
○横路委員 つまりその理由は何かと言えば、これは円高だ、こういうことになるわけですか。つまり、それほど弾性値が下がる理由は。世界貿易との関連で。
○宮崎(勇)政府委員 一部の国の通商政策ということもあろうかと思いますが、大部分はお説のとおりであります。
○横路委員 そこで通産大臣にお尋ねしたいのですけれども、日本の輸出は、内需不振で輸出に向かう、したがって、その内需が拡大すれば輸出の伸びの方はやや低くなるのだ、それと円高だ、こういうことで輸出の伸びは去年よりも下回るのだ、大体こういう説明だったろうと思うのです。しかし、日本の輸出産業は、産業別といいますか品目別に相当なばらつきがあるわけですね。内需不振のためにあえて赤字覚悟で、つまり操業率を落とすと雇用問題が出てくる、あるいはほうっておくと輸出の市場が荒らされるというようなことで、無理して輸出をしているというような産業部門というのはどういうものがありますか。
○河本国務大臣 通産省の調査では大体わかっておるのです。しかし、どの分野の業種が出血輸出をしておるかということについて発表することはいろいろ問題がありますので、これは差し控えさせていただきたいと思います。
○横路委員 それはわかるのですが、しかし、商工中金の調査などを見てみると推定はできるわけですね。たとえば石油化学のポリエチレンあたりを見ても、稼働率は七〇台ですね。ところが輸出は二〇%ぐらい伸びているということになりますと、稼働率が低くて輸出が伸びているものというのは、わりあい無理しているなというようにこれは受け取っていいのでしょう。
○河本国務大臣 お説のような分野もありますけれども、昨年の数字を見ますと、輸出が伸びました大部分の業種は機械器具、ここで伸びております。
○横路委員 したがって、問題は、内需が拡大するからといってそれではそれに伴って輸出が減っていくのか。たとえば機械が伸びているというのは、産構審の長期ビジョンの中でも、今後はやはり付加価値の高い機械の分野、こういうものに相当日本の産業構造というのは変わっていくのだ。昨年度機械器具がよかったというのは、では内容的に本当に付加価値の高いものに一斉に変わっていった姿として出てきているかどうかということは必ずしも言えないだろうと思うのですけれども、しかし、機械の比重が確かに大きくなっていっているということは言えるわけですね。そうしますと、では内需との関連で、今度の特に財政主導、土木主導型の景気回復で一体こういうところにどの程度の影響を及ぼしていくのか。むしろ、日本の政策としては、付加価値の高い機械分野というのはふやしていこう、そしてまさにその傾向にやや昨年度の傾向というのは来ているということを考えれば、景気対策というのは、つまり黒字減らしと景気対策という関係なんですけれども、それは一律じゃないということが言えるのじゃないですか。幾ら景気対策をやったって黒字減らしには何もならない産業分野というものがもうすでに日本の産業構造の中にある、これがずっと突出してきているのだということをよく学者なんかも分析しているわけでありますが、いかがでしょうか。
○河本国務大臣 貿易についての基本的な考え方は、拡大均衡の方向に持っていこうということが一つですね。それから、いろいろの見通しを立てましても、世界経済の変化、それからやはり各国の経済政策も思うとおりいかない場合が往々にしてありますから、それぞれの国の変化、こういう幾つかの要素がありまして、なかなか見通しが当たらない、こういう一つの傾向がございます。そういうことを受けまして五十三年度の貿易政策でありますが、基本的には拡大均衡の方向に持っていきたいということであります。ただしかし、先ほど来説明がありましたように、輸出はせいぜい七%、金額にいたしますと五、六十億ドル、輸入の方は一三%、金額にいたしますとおよそ百億ドル近く伸ばしていこう、こういうことでありますから、やはりこれを実現するためには相当な工夫と努力が必要だと私は思います。ほうっておいたのではそのままいかない。やはり一つ一つの問題について積極的に工夫をしていく、こういうことが必要だと思います。ただ原則的に言えますことは、国内の景気が悪ければ外国から物を買う力がないわけでありますし、どうしても無理して外国へ物を売るということになりますから、輸入が減って輸出がふえる、こういうことになります。だから、国内の景気が、七%成長を達成することによりまして、ある程度よくなるということになりますと、基本的にはいま言った輸入がふえて輸出は減る、そういう方向に参ることは事実でありますし、そこへ円高の問題が出ておりまして、これはことしの後半ぐらいには相当な影響が出てくるのではないか、特に一部の業種では相当影響が出てくる業種もあろうかと私は考えております。そういうことを勘案いたしまして、昨年の膨大な経常収支の黒字からそれを半減していこうという計画は、いろいろ問題点を御指摘になりますけれども、工夫と努力によってこれはもう実現できる、私はこのように考えております。
○横路委員 つまり相当な工夫と努力が要るということだと思うのです。 で、現状なんですが、いまの状況でいくと、つまり円高が進行しても、たとえばこれは商工中金の輸出関連中小企業の分析ですけれども、これを見ても、かなり輸出の適応力があって、各企業ともども、たとえば円建てに変えていくとか、あるいはコストの引き下げを図るとか、輸出価格の引き上げを図るとか、あるいは商品の内容の高級化を図るというようなことで対応しようということであって、輸出部門を内需に転換していこうというのは、この調査によると六・四%。輸出部門の縮小とか一時中止で対応していこう、つまりもうやめてしまおうというのはわずか二・九%。つまり、いまの一ドル二百四十円ペース、このペースならば何とかそれに対応していこう、適応していこうという力は非常に強く働いているわけですよ。いま言った努力と工夫というやつですね、最後はすべて七%に還元されてしまうわけですけれども、その努力と工夫ということはとりわけどういう分野でどのように必要だというようにお考えになっていますか。
○河本国務大臣 たとえば鉄綱のような問題は、これは御案内のように大体問題が解決されております。家電の中心であるテレビも御案内のように問題が解決されておりますし、自動車につきましては数回の値上げをいたしまして、各国に対する輸出が急激にふえないように、各国の事情等も十分勘案いたしまして国別にいろいろ対応を考えております。 それから中小企業につきましては、二百四十円という水準では、ただいまのところは相当出血輸出で努力をしておりますけれども、現在のような水準が続きますとやっていけないという業種が相当出てくるのではないかということを私は大変心配をしておるのです。だから、商工中金の調査についてのお話がありましたけれども、現状は何とかかんとかやっておりますけれども、暦年で言いますことしの中ごろ以降におきましては、これは相当警戒をしなければならぬ、果たして輸出だけでやっていけるのかどうか大変疑問だと思います。 それからもう一つは、現時点はまだ第二次補正が先月末に通りましてようやく実行に移された直後でありまして、本当に景気は上向いた、まだこういうことではないと私は思います。ややその傾向が出てきた、こういう程度だと思いますが、しかし来月本予算を通していただきますと、これを直ちに四月から執行するための準備も着々進んでおるようでありますし、相当な効果が出てくるのではないか。そういたしますと、現在は輸出中心に物事を考えておりますけれども、やはり内需という面でも相当な需要が出てくる、このように考えております。
○横路委員 いまのお話はきわめて一般的、平均的なお話なので、たとえば稼働率を分類ごとにずっと見ていきますと、この差というのは非常に広いわけですね。構造不況と言われるものを除いてみても、アンバランスというものはものすごく大きいわけです。したがって、この対応の仕方というのも、機械中心にしてやはり伸びるところはどんどん伸びていく。たとえば、いま自動車のお話がありましたが、それは確かに地域を振り分けることによって、アメリカやECの関係をたとえば東南アジアに振り分けるということはできるでしょうけれども、総体として輸出そのものは伸びていくわけでしょう。たとえば自動車の計画も、本年生産計画九百万台でしまう。あと二、三年で一千万台。そうすると、幾ら内需を見たって四百五十万台から五百万台まあ精いっぱいだということになれば、これは中小メーカーなんか特に中心ですけれども、三菱あたりでも、たとえばことし十万台の対米輸出を三年後には十八万台にしようという計画を持っている。つまり、いいところはどんどん出ていくわけです。ただ政策としては、伸びていくところはある程度抑えなければいけないような事態だって出てくるのじゃないですか。通産大臣はかなり悲観的な見方をされているけれども、実際に、私はかなり適応力が強いんじゃないかというように思いますが、いかがでしょう。
○河本国務大臣 これは輸出の問題をいろいろ掘り下げていきますと、商品ごとに、かつ地域ごとに、かつ国ごとに一つ一つ相手国の経済の事情等も十分調査をしながら判断をしていかなければなりませんので、これはなかなか大変なことなんです。 自動車の問題についてお話がございましたが、自動車が伸びたのは、主としてアメリカが中心でありますが、アメリカの自動車市場は御案内のように、アメリカの景気が回復をいたしまして非常に拡大をされております。だから日本の自動車も、ここ二、三年の間にほぼ倍近く伸びましたけれども、しかしそれでもアメリカの主要な自動車会社というものは史上空前の高い利益を上げておるという状態であります。それだけ自動車市場というものは拡大されておりまして、現時点では、少なくともアメリカではトラブルというものは少しも起こっておりません。でありますから、これは国ごとにいろいろ判断していく必要があろうと思うのです。まあしかし、全体としては伸びることは事実であります。しかし造船のように、五十二年度は八十億ドル近い数字が出ておりますけれども、これなどは五十三年度は相当激減するのではないか、こういう種類の業種もございます。 でありますから、業種ごとに国ごとにいろいろ分析をいたしまして、特に気をつけなければならぬのは、一地区に集中豪雨的に日本商品が出ていきまして、その国でトラブルを起こすということになりますと困りますので、そういうことのないように十分ウォッチをしていかなければならぬ。そういう場合には、行政指導によってトラブルが起こらないようにしていくつもりでございます。
○横路委員 時間がなくなってしまって……。実は最後の方にちょっと政策論議をやりたいと思っていますので、輸出の現状の方はこれぐらいでやめたいと思うのですけれども、大体世界貿易との連動から言えば、しかも日本の企業の適応力の強さからいけば、円高の影響が出てきてもかなり輸出は伸びるのじゃないか。もし輸出の伸びが落ちるという乙とになれば、これは円高が逆に言うと進行する、円高が進行することによって輸出が落ちるということはあるでしょうけれども、私はその辺のところ非常に心配するわけで、先ほどそのそれぞれに応じた政策が必要だというお話がありましたけれども、場合によっては、かなり抑えをきかさなければならない部門というのも出てくるのじゃないかということだけを申し上げておきたいと思います。 もう一つは輸入の問題です。これは国内の景気回復との関係が出てくるわけですが、輸入の場合は、鉱工業生産と輸入との関係が一体どうなるのかということが一つ問題だろうと思うのです。 そこで、実質で結構でございますから、五十二年、五十三年、鉱工業生産と輸入との関係はどうなのか。名目の方は予算の見通しを見ればわかるわけでありますが、実質はどうなっているでしょうか。
○宮崎(勇)政府委員 五十二年度の鉱工業生産と輸入との関係の弾性値でございますが、実質で見ますと〇・四程度、五十三年度が約一でございます。
○横路委員 つまり鉱工業生産で、去年に比べて約三倍になる条件が一体あるかないかということに議論はなるわけです。去年の場合は実質で〇・三ですか〇・四ですか、それから五十三年度の場合は一、――一をちょっと上回っているようでありますが。そうすると、問題はやはり在庫の調整の問題、この見方に非常にかかってくるわけですね。ちょっとこの実態について初めに通産省の方からどうですか、在庫調整。これもまたいまの輸出と同じようにかなりばらつきがあると思うのですけれども、一体、どんな品目が進んでいて、どういうものが過剰で残っていますか、通産大臣。
○河本国務大臣 大勢としましては、ほとんど全部の商品について在庫調整は進んでおると言えると思うのです。ただしかし、問題は、現在の生産水準が不況カルテルとか減産指導とかガイドラインとか、いろいろな形で非常に低い水準に抑えられているということ、特に鉄鋼などはここ数年間の最低の水準でありますし、その他の品物も非常に低い水準にいろいろな形で抑え込んでおる。そういう生産の状態の中における在庫の調整ということでありますから、そういう意味においてどの程度にこれを評価するかということはまた別問題だと思います。
○横路委員 通産省はどの程度評価しているのですか。
○河本国務大臣 通産省の考え方といたしましては、在庫調整ができるということは次に生産が上がるという前提条件でありますから、その点は大変結構だと思います。ただしかし、現在の国全体の産業の操業率というものが非常に低い水準でありますから、やはりもう少し高い水準に上がっての在庫調整ということであれば、大変私どもも期待できるわけでありますが、現時点ではまだそこまではいっておりません。やはり本予算が本格的に動き出して、そうして国内需要がもう少し拡大される、生産も上がる、その場合において在庫がある程度適正水準になるということを期待しておるわけであります。
○横路委員 そうすると、余りそう簡単に期待はできないということですね。いまたとえば在庫が減っても、不況カルテルなどによって減産の結果在庫が減っているのもありますし、見ると、あちこちでもって少しずつではあるけれども、減っていることは確かに減っているのですね。しかし、そういうものもあるし、それからあと出荷との関係を見てみますと、出荷が余り伸びないのに在庫調整だけ少し進んでいる。こういうものもあるわけですね。そうすると、やはり商工中金の報告にもあるけれども、企業がいま全体的に減量作戦といいますか、一生懸命いろいろ図っている、その結果として、在庫だって先行き生産価格が上がる見通しはないわけですし、金利だってかかるということになれば、そういう意味での在庫調整が進むというのもあるわけですね。したがって、通産大臣どうでしょうか、出荷が確かに余り伸びないで在庫が進んでいるというのは、いまの企業がそういう現状に対応しようとしていっているその結果として出てきているのじゃないですか。つまり景気が上向いているということよりは、そういう減量という面があるのじゃないでしょうか。これは通産大臣、どうでしょうか。
○河本国務大臣 それは確かにおっしゃることも理由の一つだと思います。ただしかし、昨年の十月に第一次補正が成立をいたしまして十一月から執行に入っておりますし、第二次補正が二月から執行に入っておるわけであります。やはりそういうことによる景気刺激、それの効果もある程度は出てきておる、このように考えます。
○横路委員 それは政府としてはそういう答弁を言わざるを得ないと思うのですけれども、たとえば製品在庫率、まさに出荷と在庫との関係を見ても、水準はかなり低いですね。宮澤さん、これはどうですか。
○宮澤国務大臣 一般に言えますことは、ここで出荷も多少持ち直しておりますし、いわゆる在庫率も、ジグザグですけれども、やや改善があるというふうに私は思っておりますのですが、その中で、もう少し申し上げますと、どうも原材料在庫はやはり重いという感じはいたします。それからもう一つは、消費財の中でいわゆる電気製品、それも電子製品と申しますか、テレビとかステレオとかああいうもの、この二つはどうもまだはかばかしい動きが見えないという感じがしております。あとは、ジグザグですが、大体いい方向に向かっているのではないかと思います。 ですから、問題はやはり原材料在庫が、いまお尋ねの中心でもありますし、ここが輸入というものを結局どれだけ増大させるかという問題のあるところじゃないかと思っているわけです。ただいまといたしましては。
○横路委員 経企庁の方でやりまして今月発表した法人企業投資動向調査報告ですね、これを見ると、やはり商品在庫についても原材料在庫についてもみんな過大である。不足だなんというのは本当にわずかの感じしか持ってないですね。この一番新しい動向調査をやはりもうちょっと素直に見るべきじゃないかと思うのです。いかがでしょうか。
○宮澤国務大臣 在庫率指数は、もうかなり全体としては改善を見ていることは、十二月までのところで……(横路委員「非常に高いですな」と呼ぶ)高いとおっしゃいましても、一二五という水準は、昨年の半ばには一三二ぐらいまでいっておりますから、それからの落ち方はまあまあ順調だ。しかし、物によって先ほど申しましたように問題がございます。 それで、企業家の心理から言いますと、経済の先行きが非常に暗いというときには、どうしても適正在庫水準という、その適正という物差しを下げていく傾向がございます。それからまた価格が安定しているというか、弱含みですと、在庫を持っておりますと在庫の評価損が出るという感じがもう一つございますから、どうしても先行きが悪いときは在庫を整理していこう、これは言われるとおりでございます。 ただいま在庫率指数が改善されておりますこの傾向が、政府の公共投資主導のこういう財政、税制等々で、ここを企業家心理としてどう読むかというところに私はかなりかかるのではないか、ジグザグではありますが。傾向としては、あと私が申し上げておりますのは、そのような企業家の心理の多少の変化というものがいま見えつつあるのではないかというふうに私は考えておるわけなのでございます。これにはいろいろ議論がございますけれども。
○横路委員 この報告書を見ると、これはまさに個別のいろいろな企業に当たった結果でしょう。ある意味で言うと、企業家心理がここに出てきているので、これを見るとかなり厳しいのじゃないか。そしてこれから先はちょっと仮定の話になりますが、もしこの在庫調整が春までに終わらぬと、先ほど通産大臣いつまでとは言わなかったけれども、かなりおくれるというニュアンスでしたが、夏ごろまでもしこれがずれ込むということになると、先ほど一番最初に質問をいたしましたいわゆる鉱工業生産と輸入との弾性値を考えますと、これはずれ込んでいくと、先ほどの一を超える目標を達成するためには、上期は財政、下期は民間と言うけれども、この下半期の民間の弾性値はやや二に近い。二というと、四十七年の好況のときの鉱工業生産輸入弾性値というのは大体一・六から一・七ぐらいの間だったと思っていますが、そうすると、あのときはかなりのインフレだったわけですね。あれ以上のペースで下半期輸入が拡大しないと、実はこの目標を達成できないということになるわけですよ。だから在庫調整のそこのところの読みが、経企庁ひとり一-三月ではける、こう言っているけれども、いまの情勢を見ていると、ややはけてはきているけれども、しかし指数そのものはかなり高い。しかもばらつきがある。ここに来て積み増しが来ているような分野も出てきているということになりますと、これはやはりそう簡単にこの政府の経済見通しのとおりということにはならぬのじゃないかというのが私の考えなんですが、その辺はいかがですか。
○宮澤国務大臣 そこがまさにいま世の中でも私は意見が分かれているところだと思って……(横路委員「しかし経企庁だけよ、そう言ってがんばっているのは」と呼ぶ)いや、必ずしもそうではございませんので、このコップの水がもう半分減ったと考えるか、まだ半分残っていると考えるかといったような、そういう心理の受け取り方の違いというものは、私はやはりあると思うのでございます。私は、概して進んでいくと見ておりますのですが、しかし横路委員の言われます問題意識は私も持っておりまして、ことに在庫の重いのは原材料在庫でございますから、そこでこれが一番輸入に響いていくわけで、在庫調整が、仮に横路委員の言われますように、非常におくれるというようなことになりますと、政府が見ている鉱工業生産と輸入との弾性値というものは相当高くならなければつじつまが合わぬではないかと言われることは、まさにそういうことになります。ですが、私どもは一般的に今年、五十三年の下半期というものはかなりもう在庫調整が進んだ上で、円高もございますので、輸入というものを呼んでいくであろう、そう大きな期待をしておるわけではございませんけれども、政府見通し程度の一ちょっとでございますね、これは見てもいいのじゃないかと思っているわけです。
○横路委員 外務大臣、労働大臣お待たせしておいて、なかなかそこまでまだちょっといかぬものでまことに申しわけないのですが、輸入の問題この辺で終わりたいと思うのですが、ただ民間設備投資を見ても、今度の場合、たとえば製造業の割合というのは非常に低いわけでしょう。どこでもって皆さん方この民間設備投資を見ているかというと、実は個人のところでかなり大幅に見ているわけですよ。非製造業は電力ですね。金融といったってこれは大したことない、というと個人のところで大変大きな伸びと寄与率というものは考えているわけで、個人のところ伸びたって、これは原材料の輸入増になんかつながりませんから。実はそんな議論も少ししたいし、製品輸入等の問題もやりたかったのでありますけれども、問題はそういうことで輸入もなかなか厳しい。きのうも指摘されておりましたけれども、こういうような状況を考えてみると、在庫の状況などを見てみるとなかなかむずかしい。そうすると、輸出は伸びて輸入は伸びないという結果になるのじゃないか、これはこういうことになるわけです。 そこで、そういう状況を踏まえてこれからどういうぐあいにしていくのかという今日の問題は、先ほども指摘しましたように、いわば先進国間の調整という問題と南北問題の調整というその二つの調整を、同時に日本は産業の構造を転換するという形でやっていかなければいけないところに実は来ているわけですね。そこに非常に大きな問題があるわけです。 そこで、この南の国の要求にこたえてわが国の海外協力や海外援助をどういうぐあいに進めていくのか、先ほども奥野委員からいろいろ議論がございましたが、一つは、援助のあるべき姿というのはどうなのかということを少し指摘をしたいと思うのです。そして外務大臣の御答弁をいただきたいと思うのですが、どちらかというと、いままではやはり輸出の市場確保、それから輸入の原材料確保という経済的観点がかなり表に出てきたろうと思うのですね。これはたとえば資料、日本政府のいままでの外国に対する政府開発援助の分野別の内訳を見てみますと、もう圧倒的に鉱工業、建設だとか公共事業開発という分野が非常に強くなってきているわけですね。 そこで昨年、福田総理が東南アジアに行ったときに、フィリピンのマルコス大統領の方から、従来の援助というのはどうしてもインダストリアルプロジェクトだ、もっと医療とか教育とか文化とかマンパワートレーニングあるいは農業、漁業といった民衆に直結する、民衆の一人一人がわかるような援助の分野というものを開拓してもらいたいという要求が、去年のASEAN諸国訪問のときにフィリピンのマルコス大統領から出てきた。これに対して外務省の方は、全く突然としてこういう要求が出てきたので戸惑ったということを、ある人がちょっとあるところで述べているわけなんですけれども、やはり相手国のニーズが何か、つまりこちらの輸出市場確保と輸入の原材料確保という観点、これももちろん、全然必要でないとは言いませんけれども、大事な要素でしょうけれども、同時に相手国のニーズが何かということをやはりしっかりと確かめていく、そういう作業というのは、これからわが国が海外援助、海外協力していくに当たって必要じゃないかと思うんですが、外務大臣いかがでしょうか。
○園田国務大臣 先般ASEAN訪問に総理に同行いたし、今度中近東に参ったわけでありますが、まさに経済、技術の協力は、現在の協力から未来の協力にかじを切りかえるべきときに来ていると思います。いま御指摘のとおりに、市場の確保、資源の確保、もっとひどいのは企業の手先になって、企業進出のお先棒を担いでの経済協力ということでは、所々に問題を起こしております。 そこで、時間がありませんから簡単にお答えをいたしますが、第一は、南北問題を解決するためにいろいろ問題がありますけれども、基本としては、まず国連貿易開発会議における共通基金の設立を急ぐこと、それから次には国連貿易開発会議を活用して、そして南北の対話の継続と促進を図ること、次にはアジアの地域においては特にロメ協定に似たようなマニラ宣言その他を勘案をして、ここにASEANの方からも要求があり、ただいま検討をいたしておりますが、やはり所得安定制度というものをつくることなど、こういうことを中心にしつつ、要は相手の開発の計画、特に中近東については未来に対する国づくり、こういうことに密接に協力をし、理解をし、相手の欲することに協力をするということが必要であって、これがひいては資源の確保になる、このように考えておるわけであります。 ただ、なおまたそれぞれ援助を求める国々においても、目の前のことだけを考えておりまして、必ずしも適当な計画がない場合がございます。工業プロジェクトの設立ばかりを言っておって、真に民衆の求めるものをその国の指導者が考えていない、こういう点もありますので、十分相互理解をして、その理解に応ずる技術と経済の協力をしなければならぬ、このようなことが今後われわれが考えてやらなければならぬことであると考えております。
○横路委員 時間があればいろいろと議論をしたいのでありますが、協力の量と質という問題があるわけです。 問題なのは、DACなどでもいろいろな目標というものは決められておりますね。それから内容的にも、日本の場合ですと、計画はされてもどうも実行されて実際に支出が出ていかないということに対する批判や何かが多いわけです。各省庁それぞればらばらでもってやっているわけでしょう。これをやはり何とかひとつまとめて、外務省が暮れに出しました報告書を見ますと、中期計画として若干の試案、あれは外務省としての試案ですね。あれを何か国としてまとめたものをきちっと出していく。五年間で、政府の援助というのは今後倍以上にしていくということは約束をされているわけですけれども、その場合たとえば対象の範囲を広げるとかいろいろな問題があるわけで、それはある程度の中期計画というのはやはりきちっと政府としてつくるべきじゃないでしょうか。そうしないと、きょうの議論というのは財政の議論は全然していませんから、財政サイドからまたいろいろな議論が出てくるかもしれません。しかしそれに対しても、国民に対してやはり南北間の協調というのは非常に大きな問題であるということを説得するためにも中期計画をきちっとつくって、その中で援助というものを景気動向に左右されないで――いままでのは、民間ベースが主体ですから、景気が悪くなるとぐっと落ち込んでしまうということになっているわけですね。そこら辺がそうならぬような、きちっとした計画に基づく政府の援助というものを理念とともにひとつつくっていただきたいというように考えますが、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 先般外務省が出しましたパンフレットはそういうことをねらって問題を提起したものでございます。
○横路委員 そのねらって外務省でやるのはいいのですが、あれに対して通産の方からいろいろ議論があるようですから。つまり、ばらばらにねらってやるのじゃなくて、きちんと、どこがまとめるところかわかりませんけれども、これは国内経済との対応もありますし、きちっとまとめたものを政府間で調整してつくられるということが必要じゃないですか。
○園田国務大臣 議論をしているうちに一定の方向が出てくるわけでありまして、御承知のとおりに、経済協力については通産省が所管であったりあるいは経済企画庁が所管であったり、そういう面についても問題があるわけでありますが、御指摘のとおりの方向に努力したいと考えております。(「外務省がだらしないからだよ」と呼ぶ者あり)
○横路委員 いや、今度は外務省はなかなかいいのを出しているのです。私は、ほかの役所のやつよりは一番よく、つまり、問題点としてはまとまっているというように見ております。この問題はどうしたって長い目で見ていかなければいけないわけで、これは日本の産業構造とも関係してくるわけで、ちょっと調べてみましたが、たとえば日本の医薬品、医療機器というのは日本のこれからの産業分野ですが、ほとんど東南アジアに輸出として出ていっていないのですね。これは何かというと、医者を日本で養成して送るということがなければ、日本の医療器械だとか医薬品だとかというものがそれに伴って出ていくということにならぬわけですね。つまり人材を養成するということが非常に大きな要素なんですが、これは大蔵省の方は、どうも人件費削減の方向で、来年度の経済協力関係を見ても、人間の増員については、研究員、研修生の受け入れにしても、専門家の派遣にしても、非常におくれていると思いますね。プラント輸出を今後重点的にやっていかなければならないという場合だって、技術者の問題というのは非常に大きな問題になってくるわけです。したがって、これは外務大臣として、ぜひこの辺のところもひとつ御検討され、余り目立たないところに金を費やしていくよう、物に投ずる金というのは見えてはね返ってきますから、そこにわりあいとつける。ことしの予算の投資と経常の分け方なんというのはそこに発想があるのですが、あれは必ずしも感心したやり方じゃないと思うのです。外務大臣の見解を……。
○園田国務大臣 先ほど言われました病院その他の施設についても、その地域その国の住民は非常に希望しておる。そこで病院をつくろうとすると、やはりそこには医師会みたいなものがありまして、反対をする。こういうことから考えまして、人的、学問、芸術等の交流ということは非常に大事でございますので、人的、技術の交流をまず基礎からもう一遍やり直して、これを拡大していかなければならぬと考えております。
○横路委員 経企庁長官結構でございます。それから外務大臣も結構でございます。問題は、本当は中東に行かれた話を実は少しお伺いしたかったわけです。それは何かというと、実はこれから国会で問題になります構造不況、例の法案とも絡んでくるのです。なぜ絡んでくるかというと、つまりブーメラン現象と言われているものがあるわけですね。たとえば中東は産油国ですから、どうしてもプラントを輸出しなければならぬ。そうすると国内の石油化学産業との間にどういう調整をするかという問題は絶えず出てくるわけですね。そこで、本当は少しこの中東の話からそういう議論もしたかったのでありますが、実はもうあと十五分しかないので、中東のお話はまたの機会にゆっくり聞かせていただくことにして、どうもお待たせして申しわけありませんでしたが、外務大臣結構でございます。 そこで、特定不況産業安定臨時措置法というところで、公取の委員長もおいでいただいておりますね。ひとつ簡単にお願いしたいのですが、現在、日本の経常収支黒字ということでアメリカ、ECなどから厳しく注文をつけられているわけですね。とりわけ非関税障壁の問題というのがクローズアップされているときに、また日本は政府と産業界が一体となって何をやっているんだというような疑惑を海外から招くのじゃないかということで、最近の独禁法強化の世界の動きというものについてどうお考えになっているのか、まず最初、本当に時間がないので概略で結構でございます。
○橋口政府委員 最近の海外におきます独占禁止政策の強化の趨勢でございますが、詳細申し上げる時間がございませんので、要点だけ申し上げたいと思いますが、日本と同じような経済社会体制を持っております先進諸国におきましては、一九七〇年代に入りましてからほとんど例外なしに独占禁止政策の強化をやっているわけでございます。アメリカ、ドイツ、イギリス、カナダ、オーストラリア、フランス、おしなべて独占禁止政策の強化をいたしているわけでございまして、考え方といたしましては一九七一年にOECDが勧告をしたということが契機になっております。 その内容を簡単に申し上げますと、大体におきまして五点ございますが、第一は、独占、寡占に対する有効な規制の導入ということでございます。それから第二点は、独占形成の予防としての合併等に対する規制の強化でございます。それから第三点は、カルテル対策としての独占禁止法違反に対する罰則の強化でございます。それから第四点は、いわゆる再販売価格維持制度の縮小ないし廃止でございます。第五点が、独禁法違反行為によって生じた損害に対して、消費者を救済する制度の強化でございまして、後世一九七〇年代の先進国の歴史を編むということになりますと、恐らくは独禁政策の強化ということが一つの特徴になるのではないかと考えております。
○横路委員 構造不況業種の中には、不況による過剰能力の発生、採算割れする、不況カルテルを適用する、価格を回復する、そしてまた生産能力を近代化して設備投資をする、また過剰生産だというようなことを繰り返してきたようなのがありますね。いままでやみカルテルだ、あるいは不況カルテルだということを公取あたりから指摘したものがあると思うのですが、その実態はどうなっておりますか。これも簡単に。
○橋口政府委員 今回の不況は、御承知のように四年以上続いておるわけでございまして、こういう長期の経済の停滞というのは実は初めてでございます。そういう点で申しますと、今回の不況に際しましてのいわゆる不況カルテルの申請件数あるいは認可の件数というものは、過去の昭和四十年あるいは昭和四十六、七年の不況に比べますと必ずしも多いとは言えないと思うわけでございまして、いま先生がおっしゃいましたように、大体において不況カルテルを申請いたします業種というものは相場が決まっておるわけでございますし、またやみカルテル事件等によりまして摘発を受けました業種というものも大体相場が決まっているわけでございまして、その点がいわゆる日本の経済の中にひそむ寡占的な体質として、学者の先生方等から指摘を受けているところでございます。
○横路委員 通産大臣、構造不況と言っても、原因は一律じゃないですね。たとえばエネルギー価格が高騰することによるコストアップ、これで競争力を失う。あるいは繊維、雑貨のように、南の国の追い上げを受けていく。なかなか大変だ。あるいは純粋に不況で需要が減退して過剰設備だ。たとえばセメントなんか、完全にいまの時期は不況から一転して好況産業に変わってしまうということになる。こういう全然別々なものを今回の法案で一律に扱おうというのは無理じゃないですか、原因が違うのですから。その辺のところをどうお考えになっておりますか。
○河本国務大臣 構造不況業種の不況の原因は、いまお述べになりましたように、まちまちであります。ただしかし、共通しておる点が一つございますが、それは設備の過剰であります。したがいまして、今回の構造不況業種の緊急立法というのは、この過剰設備を処理するということのために立法を進めておるわけであります。ただ、原因が違いますから、どうしても将来の見込みがなくて、もう完全にスクラップにしてしまうという業種が大部分でありますが、中には数年先には必ず需要が回復して……(横路委員「どういうものですか」と呼ぶ)たとえばアルミなんかは、これは新しい設備が必要になるということがわかっておるわけでありますが、そういうものは凍結する。だから、対応はいろいろ違いますけれども、とにかく共通しておることは過剰設備が存在しておるということであります。
○横路委員 つまりここで言う安定基本計画ですか、五年間、ただ一体この需給見通しというのはそんな意味できちっと立つのかどうかという問題がありますね。それから、あるいは日本の産業構造転換という観点から言うと、ある程度の生産の部分というのは南の国に任せてしまう、国内はたとえば需給部門だけを受け持つとか、あるいはその内容を変えてさらにそれを残していくとか、問題を出していくと一体何を根拠にして設備の廃棄などを決めるのか、これは大変むずかしい問題ですね。これは一体どういうことを根拠にしてやられるのですか。
○河本国務大臣 非常にむずかしい問題であります。 そこで、まず業界から申し出があったときに、通産省としてはこれを取り上げるということを原則としておりますが、またそこが大変むずかしいものですから、いまこの最後の詰めをしておるところでございまして、なお数日かかると思います。
○横路委員 そこで、この法案の作成に労働省は関係しているのですか。問題は、時間がないから少しあれします。たとえば設備をカットするといっても、装置産業なんかの場合は一つの工場をつぶさなければならぬわけでしょう。工場の操業率を下げるということで解決する問題じゃないですね。従来の法案で対応できないわけですね、一地域全部つぶれてしまうのですから。こういう大事な法案に労働省はどういうかかわり合いを持っていたのですか。
○藤井国務大臣 労働省は表に、新聞なんかの記事には出ておらないようでございますけれども、御説のとおり雇用の安定ということに重大な関係がございますから、われわれとしてはこの法案の成立の過程において目下鋭意熱心に協議を進めておるところであります。
○横路委員 これは全く資本サイドの話になってしまうのですよ。そして私は非常にやり方が、やはりさすがにうまいことを考えると思うのですが、基本計画をつくって、あとは業界に全部任せるということになります。だから解雇が出ても通産は全く関係ないということになるわけですよ。しかも設備廃棄というのは即雇用問題でしょう。だからこれはまだ裁定が出たとか出ないとか言っていますが、労働省、少ししっかりしてこの法案の中にきちっと組み込む、あなた方が意見を言えるような仕組みをつくりなさい。まだ法案として決まっているわけじゃないのだから、どうですか、労働大臣、がんばってやってもらいたいと思います。
○藤井国務大臣 御説ごもっともでございます。ただ問題は、どういうふうな表現の仕方をやるか、歯どめをするか、これはいろいろいま事務方で詰めておる最中でございます。
○横路委員 新聞なんかに出ている内容なんかを見ていますと、労働省などどこにも出てこないわけですね。雇用問題などどこにも出てこないわけでしょう。もっぱら設備の観点からだけでしょう。設備が廃棄されるというのは即労働者がそこで首になるということなんです。だからこの法案の中に何らかの形で労働省が相談にあずかるような仕組みをあなたががんばってつくることを、努力することを約束してくださいよ。そういう仕組みをつくらなければだめですよ。裏でもって話をするだけではだめです。
○藤井国務大臣 雇用の安定という観点から、これが歯どめについて十分配慮いたします。具体的な歯どめの方法につきましては、いま事務方で詰めておる最中でございますから、それを踏まえて御趣旨の線を生かして努力をいたします。
○横路委員 結局、これは通産省の権限拡大ですね。立入検査権と報告徴収権だけ持って、あとはすべて業界に任せるみたいな調子のいい法案なんですね。そしてちょっと公取、公取も少ししっかりしてもらわなければならない。公正取引委員会というのは、独禁法によって独立して職権を行うようにきちっと権限が定められているわけですよ。そういう意味では中立機関なわけでしょう。独禁法上好ましくないということを、公取の委員長の職権に基づいて判断したら、やはりきちっとそこでもって守り抜くということが公取の委員長であるあなたの使命じゃないかと思う。内閣の官房の裁定とかなんとか、一体これはどういうことなんですか。
○橋口政府委員 公正取引委員会は、お説のとおり行政組織法第三条の独立行政委員会でございますが、組織法上は総理府の外局でございまして、法案立案請求権というものは持っておらないわけでございます。成立いたしました独占禁止法のいわば番人という立場でございますので、国権の最高機関でお決めいただきます立法について物を申すという立場にはないわけでございまして、いまお話がございました通産省で立案中の法律案につきましては、一月十八日に通産省から案の提示がございまして、ずっと折衝を続けておるわけでございます。基本的な諸元につきましてはおおよその合意が得られたわけでございまして、いま細部について詰めをいたしているわけでございます。いまお話がございました過剰設備の処理ということが眼目でございますが、一体その場合どの程度の過剰設備の処理をやるかということが一番むずかしい点でございます。したがいまして、私どもの基本的な立場といたしましては、設備の廃棄につきましては、まず個々の事業者がどういうふうに判断するか、次に業界としてどういうふうに判断するか、最終的に主務大臣の指示カルテル、こういうシステムをつくるべきではないかということで意見の調整をしておったわけでございまして、そういう私どもの基本的な考え方につきましては、おおよそ法案において織り込まれておるということになっておりますので、一応それで適当ではないかというふうに考えているわけでございます。
○横路委員 その基本計画というのは、基本計画そのものの立て方によっては、やはり国民の消費生活に非常に大きな影響があるわけでしょう。そこのところは、公取としたって物を言ってしかるべきじゃありませんか。基本計画、まだ法案ができていない段階で中身の議論というものはやりづらいわけですが、一応報道されるところを見れば、この安定基本計画の中に消費者サイドの意見がきちんと反映される、あるいは被雇用者サイドの要求がきちんと反映されるということが必要じゃないでしょうか、いかがですか。
○橋口政府委員 安定基本計画の作成の基本になりますデータあるいは設備の将来展望につきましては、主務官庁が十分な資料をお持ちでございますし、安定計画をつくりますにつきましては、業界の三分の二以上の方の合意が必要でございます。問題はそれから先でございまして、先のことを先ほどちょっと申し上げたわけでございますが、最終段階では主務大臣のカルテルの結成についての指示が出し得るわけでございますから、その場合にどの程度の指示をされるのが適当か、産業政策の立場と独占禁止政策との調和を図る必要がございますから、その点につきましては、個々のカルテルの指示命令につきましては、公正取引委員会の同意が必要だという新例を開くことにしたわけでございまして、そこで十分対応できるというふうに考えておるわけでございます。
○横路委員 時間がなくなりましたが、通産大臣にも、これは設備の問題だけじゃなくて、その裏側にそこに働いている人間の問題があるのだということをぜひ頭の中に入れて、労働大臣の方からいろいろと話がきっとあるでありましょう、その意見をぜひ反映できるような仕組みをひとつこの法案の中につくってもらいたいということを通産大臣にお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○中野委員長 これにて横路君の質疑は終了いたしました。 次に、小川国彦君。
○小川(国)委員 私は、成田空港関係の出店者の問題について最初に質問いたしたいと思います。 空港公団の総裁にお伺いをいたしたいのでございますが、去る二月二日の日に、私が昨年から要請しておりました「空港関係営業予定者名簿 昭和五十三年二月 新東京国際空港公団」というので、これは全部、航空会社から地元の出店者、おみやげ物屋さんからレストラン、食堂、こういうのを含めた名簿が私のところへ届けられたのでありますが、この名簿の内容はいつ確定なすったのでございますか。
○大塚参考人 お答えいたします。 内定は四十七年にいたしておりましたが、その構内営業の承認書を出させましたのは一月末でございます。そして、現在その承認書を渡しつつあるというのが現実の状況でございます。
○小川(国)委員 実は、私はこの問題については、昨年の五月二十七日に第一回の質問主意書を内閣総理大臣あてに提出をいたしまして、六月七日に答弁書をもらいましたが、内容については一切明らかにされませんでした。それから、八月三日に第二回の質問主意書を同じく内閣総理大臣あてに出しましたけれども、その回答が八月十九日にございましたが、これについてもまだ明らかになりませんでした。そして、それについては「事業者として決定した後に公表する意向である」こういうことが八月十九日の回答書にございました。さらに昨年の十月十五日、総理大臣に、この予算委員会の一般質問の中でこの内容を明らかにするように言いましたのですが、「とにかく運輸省というか公団といいますか、そっちの方で店舗を一々明らかにすることは支障がある、こういうことでありますから、そういう率直なお答えをせざるを得ない、」ということで、昨年の十月十五日にも、総理大臣は、提出できないという旨をこの委員会で答弁されたのです。提出できなかった理由というものはどういうことでございますか。
○大塚参考人 お答えいたします。 先ほど申し上げましたように、内定は四十七年に一応いたしておりましたが、私ども、それをはっきり認識をするといいますか、まだ承知をいたしておらなかったということと、内定の段階で発表するということは営業上の秘密その他で困るという営業者の意向もございまして、今回は結局構内営業承認をいたしましたので、ここでほとんど確定ということになりましたので、名簿を作成して差し上げた次第でございます。
○小川(国)委員 そうしますと、承認の確定をいたしましたのは一月末日、この期日はいつでございますか。
○大塚参考人 正式に申し上げますと、二月二日ということになります。
○小川(国)委員 名簿の提出は二月二日ということで、私のところへ参りましたのは「〇〇五」と五番目になっておるのでございますが、これは私が昨年から要請した結果だと思いますが、これは何部つくられて、何部配付されたのですか。
○大塚参考人 五百部つくりまして、現在二百部、関係の向きに配付をいたしております。
○小川(国)委員 いま総裁は、この問題については企業者の秘密がある、それから二月二日に最終決定をした、その段階で公表したと言っておりますが、それ以前にこの業者の一覧が外部に漏れたということはございませんか。
○大塚参考人 さようなことはございません。
○小川(国)委員 私は、ここに空港公団がマル秘という文書で出したものを入手しているわけなんです。ここにマル秘と書いてあるのです。「〇月〇日までマル秘」こういう文書なんです。しかも、これは「新東京国際空港公団」になっておりまして、「構内営業予定者一覧」というので、これは私のところへ提出してもらった名簿よりもさらに詳細でございます。 私どものところへ配られたのは業種別に内容が書いてありまして、たとえば会社名と代表者名と本社所在地と、それからその人たちがどういうところに事務所や店舗の位置をもらうか。一例を申し上げますと、一番最初に出てくるのは日本航空、代表者は朝田静夫、本社は千代田区丸の内二の七の三、それから新空港の中で事務所や店舗の位置は、ターミナルビル北ウイング及び中央ビル、こういうふうな場所を明示してあるのです。もう一つこちらに、私のところに配られた文書、営業面積何平米という内容まで書いた文書が、すでに昨年の段階で一般に流布されているのです。しかもこの内容を見ますと、私がようやくこの二月二日に公団から入手した文書よりなお正確な業者一覧表が、公団のマル秘文書で出ているのです。しかも、これは成田市内では、内装業者、家具店、運送業者、食料品店、いろいろなところにこの公団のマル秘文書がばらまかれておりまして、大混乱になっておるわけです。これについては、どういうふうに総裁はこの文書を確認されていますか。
○大塚参考人 公団としてそういう資料を流布するというようなことはいたした覚えはございません。あるいは事務的に担当者が何か作成したものがどこからか漏れたかということかと思いますが、その辺はよく調査をいたしたいというふうに考えます。
○小川(国)委員 これは私が、国政調査権を侵害する問題ではないか、昨年の予算委員会で総理にまで質問したわけです。総理は、公団は出せない事情があるからやむを得ないのではないかと私に言ったのです。そのとき私は、出せない理由は何か、皆さんが不公正な選考をしているのでなければ、明朗な選考をしているのであれば当然出せるべきものじゃないか、その段階でも出さなかったわけですよ。そうして、その段階で実はこういう、皆さんがコピーしたものが大量に地元にばらまかれておる。こういう実態は、一体公団何をやっているのかということにならざるを得ない。 それから、昨日あなたの方の職員に、一部流れた事実はないかとただしたら、あなたの方の営業部長さんですか、これは県の制度融資の対象となる人を教えてくれというのがあったので、一部紙に書いて出した、こう言っておられるのです。国会で請求した資料としても提出しないものを、そういうようなことで自治体に勝手に職員が流すということが許されていいのですか。
○大塚参考人 公団としては、先ほど申し上げましたように、その全部のリストを公表するというようなことはいたした覚えは全然ございませんが、ただ、県の制度融資につきまして、やはり地元の業者の方で長らく資金的に苦労しておられる方々に県の制度融資を受けさせたい、その必要上欲しいというものについては、その必要な限度において一部県に差し上げたということはあるそうでございますが、全部をリストにしてお渡しをしたということはないはずでございます。
○小川(国)委員 最初に総裁は、一切ない、こういうふうに申されて、いま私が具体的な事実を指摘したら、一部出したというわけでしょう。しかもそれは千葉県の関係の制度融資だけだというのですが、私の入手している資料は、東京の大手の木村屋さんとかユーハイムとか、あるいは雪印乳業とか富士アイス、レストラン西武とか、都内の大手業者、銀座あたりにある一流業者が入った名簿も出ているのですよ。これはわれわれのところへ、国政調査権で求めた方へ提出しなくても、皆さんが、一部必要だという利権的な業者にはこれを出している、こういうふうに理解せざるを得ないのですよ。一体何部、どういう形でこれが外に出ているのか、それをはっきりさしていただきたい。
○大塚参考人 そういう事実はございませんので、もしそれがあれでしたら徹底的に調査をしたいと思いますので、現物をひとつ後刻お見せいただきたいというふうに思います。
○小川(国)委員 私は、入手ルートについては、これは地方自治体の職員がこれを漏洩したということになれば、機密漏洩になりますよ、ですから簡単にあなたの方へ出すわけにはいかないけれども、それは明らかにしろというなら明らかにできますよ。だけれども、あなたの方の職員は一体どうなるのかということですよ。公務員法違反とまではいかないまでも、あなた方の方はやはり公団の職員に対する監督規則があるはずなんです。こういう部内の機密を漏らしてはいけないという規則があるはずなんです。しかも、あなた方が、二月二日に最終的な決定承認をする、それまでは企業の秘密が漏れるから出せないと言って国会で断ってきたものを、勝手に職員がそういう機密を漏洩していいのですか。公団規則にはそういうものはないのですか、罰則は。
○大塚参考人 もし調べましてそういう事実がはっきりいたしましたら、当然適正な処分をいたします。
○小川(国)委員 すでにあなたのところの一番の担当者の部長が、事前に自治体に流したという事実を認めておられるのですよ。空港公団の就業規則第四条二項でいけば、国家公務員法を準用した守秘義務があるのです。これは当然懲戒、減給、停職の処分を加えなければならない。事実を確認されましたら処分なさいますか。
○大塚参考人 私が申し上げておりますのは、今度出したような全リストを公表した覚えはないということでございまして、先ほど私は、そういう最初の先生の御質問と受け取ってお答えをしておったわけでございます。一部、県の制度融資を受ける必要で、必要な限度において出したということは、これはやむを得ないことだというふうに考えております。
○小川(国)委員 これは、公団の総裁がうそをついているとしか思えないわけなんです。制度融資の関係以外の名簿が全部出ているのですよ。あなたは、国会議員の関係とか政府の関係へ配ったと言うのですが、それよりも一般の業者に流れているものの方が正確なのですよ。平米も書いてあって、これは狂ってないと思うのですよ。そういうものが出されるという公団の体制というものについて、あなたは責任を感じませんか。
○大塚参考人 もしも公団の規定に違反してやった者があるということになりますと、私も責任を感じますし、当人の責任も問わなければいかぬというふうに考えます。
○小川(国)委員 この問題で質疑をしていますと繰り返しになってまいりますので、これは皆さんの方がどれだけ外部にどういう部分を出したか、これをひとつ後ほど、当委員会を通して御答弁願いたいと思います。これは委員長、よろしゅうございますか。 次に、今度はその内容なんですが、この出店者の選考に絡む疑惑が非常に大きいわけなんです。皆さんの方で業者選定方針というものをつくっておられるのですが、地元関係というので選考したものは、選考基準がないのですね。ですから、はなはだしい例から言いますと、空港医療施設というのがございまして、空港の地下に病院と歯科医院が出るのです。ところが、歯科医院は現に市内で開業していらっしゃる方で、しかも現在、空港の中の用地部の事務所と管理棟にも歯科医院を出しているのです。今度新しい空港ビルの中にまた店を出している。一人の歯医者さんが旧市内の患者を相手にして、それからまた公団の方へ週三日行っていらっしゃるそうですか、現在、職員を対象に用地部の方と管理棟に行っていて、それから今度できた新しいターミナルビルの地下にまた店を出す。一人の歯医者さんで四つの歯科医院を持てるのでしょうか。三月三十日にオープンという段階で、こういう医療施設に一人の歯科医に許可を与えて、果たしてそういうことができるのか。 それから、皆さんは地元であればほとんど無選考で一〇〇%入れた、こう私に最初答えたのですよ。ところが、あなたの方から後ほど地元の希望者一覧というのを出してもらったら、希望者と選考された者では半分以上おっことされているのです。無選考に近い状態で、地元優先という四十一年の閣議決定があるから全部入れたと言うのですが、たとえばあなたの方で入れた北総菜館一これも非常に大きな面積で旅客ターミナルビルの中央ビル一階に入る。恐らく、北総菜館というから中華料理の店だと思うのですね。この人は、皆さんの方で代替地を提供した農民と同じ扱いで出店させたと言うのですが、この人は代替地を県に一億円で売ったけれども、その代替地にもらったところをまた六億円で売って大変な利益を上げた人なんです。こういう人に無条件で一階へ入れている。それから旅館などは、これも地主だからということで入っているのですが、私はそこまで行って尋ねました。あなたが空港の敷地内に土地を持っておったということは聞いたことがないんだけれども、地主というんだから、どこに持っていたのですかと言ったら、いや、国鉄の引き込み線のところに地所があったと言うのです。国鉄の引き込み線にかかった人がみんな空港のいう農民なら、また希望者は出てくるはずです。これもおかしいわけなんです。 それから、土建屋さんが二軒入っているのです。これがまた、みやげ物業者で入っているのですよ。土建屋さんが空港の中で今度みやげ物を売るのも結構なんですが、普通こういう業者を選定する場合は、その業に経験ある者とか何年以上の経験ある者とかその業界で信用ある者とか、そういう選考基準があるはずなんですよ。これは何で土建屋さんにみやげ物屋をやらせるんだと言ったら、いや、空港にかかった人が社員にいるから、こう言うのです。空港にかかった人が社員にいる会社は成田で何百何千あるのです。そういうのが無選考に等しい状況で選考基準もなく入っているのです。 それから、もっと大きい利権的会社もあるのです。国際空港商事という会社があるのです。枡野寅之助という人が社長で、この枡野寅之助という社長は、三里塚のゴルフ場の土地所有者であった房総興発の関連会社ということで、構内に四ヵ所もの場所を得ているのです。普通の農民が四坪ぐらいのところへこの人は三十坪、五十坪、七十坪という、全部で三ヵ所か、私の調査で四ヵ所に上るかと思うのですが、これも空港にかかったゴルフ場で働いていた従業員を使っていたからという理由らしいのですけれども、この会社も調べてみると、大変大きな会社なんです。地元の農民と同じ扱いを受ける会社かどうか。国際空港商事というのは銀座に本社があって、資本金が三億円です。株主が三井東圧から大成建設から三越から、こういう大手の業者がずらりとあって、枡野さんが社長で、その人が鶴舞カントリーというのをつくっているのですが、この名誉会員には田中角榮さんとか大平正芳さんとか、こういう著名な人をこの名誉会員で迎えている国際空港商事なんです。これも空港の建設が始まってから、空港目当てにこういうふうに看板がえをして、そして関連会社ということで出店の資格を得ている。 皆さんの方で出店者を選んだ要件は、まず第一番に、敷地内に農民があった。それから第二番目に地元ということで、周辺の市町村と千葉県、これが大体地元になった。第三番目が、羽田から移管してきた人が第三番目だ。羽田にいる人は、国際空港が成田に来ちゃうと営業損失を受けるので、これは成田へ三番目に来る。四番目が一般だ。皆さんの方が選考基準でやったのはこの四番目の一般だけで、一番目の地元の農民、それから地元と言われる千葉県内の企業、これは選考基準なしにやった、こういうふうに理解されるのですが、あなた方は一体その選考基準というものをどういうふうにつくって、こういうふうなでたらめな業者の入れ方をやったのか、その点をはっきりさしてもらいたいのです。
○大塚参考人 業者の内定をいたしましたのは、先ほど申し上げましたように四十七年の一月からでございまして、その際に選考方針というものを決定をいたしております。それはただいま先生が大体申されましたように、土地の提供者その他地元の方々というものと、それから羽田で国際線関係の仕事をしておって、成田に移転するために強い影響を受ける者、それから一般の方、大体こういうふうな順序で選考するということでございまして、ことに地元の関係の中では、公団に対する貢献度と申しますか、用地を提供された、その用地の中には代替地ももちろん入ります。そういう意味で直接空港内に敷地を持っていないというものでも、代替地を提供してくれたというような方方は、やはり公団に対する空港建設に対する寄与、貢献者であるという考え方をとっておりますし、用地を提供されなくても、地元であるということだけでも、やはり公団としては地元とともに栄える空港でありたいという考え方から、優先的に考えるというような方針をとっております。 それでは、地元関係者の中ではどういう基準で選考したかということでございます。これははっきり申し上げまして、選考方針というはっきりしたものは、書類では残っておりません。しかし、当時の関係者のことを聞いてみますと、結局、空港に対する貢献度、それから、大体において転業者が多いわけでございます。従来農業をやっておったような方々が土地を公団に提供したために、転業して構内で売店その他をやりたいという方が大部分でございますので、いずれも経験その他はないという方でございます。したがって、それをやられる役員の方々の信用度とかあるいは従来の経験というようなものを勘案しまして選考をした。そして半分ぐらい落ちたというふうに仰せられましたが、必ずしも希望する業種を獲得されたということにはならぬかもしれませんが、大体においてほかの業種等に振りかえていただいたりして、落ちた者の数は比較的少なかった。ただ、千葉県県内全体として見ますと、これは広い意味での地元かもしれませんけれども、相当外れた方々も出ざるを得なかった、こういうふうな結果になっておるというふうに承知をいたしております。
○小川(国)委員 選考方針が残ってないというのは、これは非常におかしいと思うのです。地元の人を優先的にとるというのは、これは閣議決定だから当然のことなんです。ただ、私が質問主意書の中で尋ねましたように、公募の予告期日とその方法、公募者の氏名、公募締め切りの期日、応募者数及び選考結果の公表の期日、選考の基準細目、選考に当たった者の氏名、役職、こういうものを私は前からはっきりさせてくれと言っているのです。皆さんの方で、これは住宅公団でもそうだし、県あたりの住宅公社でもそうだし、こういう店舗を分譲するときは、何平米で、位置はどういうところで、業種は何で、権利金は幾らで、家賃は幾らと、それをちゃんと表に示して、新聞広告まで出して、希望の人は何月何日までに申し込みなさい、申し込みがあった中から信用度を見て選考します。最終的には抽選もします。これが公平なやり方なんですよ。ところが皆さんの方は、いつ募集し始めて、いつ募集を終わったかもわからないのですよ。一遍も公表したことはないと思うのです。大体どういう基準でもってどういう人が申し込み資格があるかも発表したことはないと思うのですよ。だから、いろいろな権力者や公団の縁故者や有力者を頼んで持ち込んだ書類だけをもとにしてあなた方の選考はやった、その中から最も有力なコネを持った人が残った、こういうふうに言わざるを得ないのです。選考方針はないのですか。残ってないのですか。公募の開始時期、締め切り日、それからいま申し上げた地元、地元千葉県、大きいのです。落ちた人は、空港の地主関係で飲食業で十一人、千葉県内で十九人、物品販売業では地主で十七人、県内で十六人と、こう挙げていけば、落ちた人が半分以上いるのですが、こういう人は納得しないと思うのですよ。いつ募集を始めて、いつ終わって、どういう基準で選考されたのか、選考基準がなくて、何やら有力な元代議士の後援会だけがずらり入っているといううわさもあるのです。そういうことでは地元の人は納得しないし、さっき言ったように、しかも公団の出店者名簿が国会に報告する以前に地元に流れているようなわけですから……。どういう基準でおやりになったのですか。
○大塚参考人 先ほど申し上げましたように、成田空港の構内営業につきましては、四十一年に閣議決定がございまして、地元の方々及び羽田でインパクトを受ける方々を優先的に考慮するという方針が決まっております。そして、その線に沿って四十三年ごろから地元その他から希望が出てきておりまして、四十七年にわれわれ内定をいたしますまでに、はるかにその枠をはみ出す希望がすでに出ておりましたので、改めてそこで公募といいますか、大げさに募集をしてそういう人たちを競争させるということになりますと、先ほど申し上げましたように、地元の方々というのは、結局経験のない転業者でございますので、競争ということになると、一般から応募してきた人たちと競争にならないという結果になりますので、四十一年の閣議決定の方針に従った選考方針で選考した、こういうことでございます。
○小川(国)委員 ですから、地元優先はわかると言うのですよ、そこまでは。その土地提供者と千葉県から多数の希望者が出ているのです。たとえば飲食業を希望した人が、土地提供者でも現在飲食業をやっている人もいる。五年、十年の経験ある人もいる、土地提供者でですよ。そういう人が落っこちて、そして、たまたま空港の中にいた人たちを従業員として雇った会社が、土建業で飲食業に入ったり、みやげ物屋に入ったりしていれば、これは何だろうかということになるわけですよ。だから、地元の人であっても土地提供者であれば、どういう営業経験をその後持っているか、どういう営業目的を持って準備をしてやってきているか、あるいはまた千葉県内から選ぶならば、飲食店なら飲食店で、飲食店経験が何年ある人を優先するのか、そういう基準があったら示してもらいたいと言っているのですよ。
○大塚参考人 先ほど申し上げましたように、空港建設に寄与した方々というようなものを相当考慮いたしましたので、そういうふうな選考基準は、先ほど申し上げましたようにつくっておりません。
○小川(国)委員 これは重大な問題だと思うのですね。少なくとも千葉県から相当な会社が入っているのですが、選考基準なしに片っ方が入り、片っ方が落っこったといえば、じゃ、何で片方入れて片方落としたという理由が説明できないじゃないですか。どういうふうにこれは説明されますか。おっこった人たちに、入った人はどういう基準に合格したから入れたんだ、あなた方おっこったのはどういう基準に外れたからおっこったんだという公平に納得できる条件がなければならない。そういう基準なしに、あなた方は、ではどういうのでこれを拾い出したのですか。名前が気に入ったから、成田さんは当たるも八卦当たらぬも八卦で、いろいろいい名前を選ぶ、易者五十人もいますがね、五十軒もあるから。あなた方もそのでんで、名前が気に入ったから八卦によって選んだ、こう考えてもよろしいですか。
○大塚参考人 先ほどから申し上げておりますように、文書にした基準というものははっきりはつくっておりませんけれども、建設に対する寄与度とか、それを経営する、主として役員でございます。役員の個人的な信用とか経験とかその他を考慮して選考するという当時の基準は持ってやった、ただそれが成文化されて今日残っていない、こういうことでございます。
○小川(国)委員 だから、役員を頭に入れて選ぶから、自民党のおえらい人が名誉会員になっているゴルフ場を持っている会社が、役員が気に入ったり、それからあるいは有力な代議士の後援会長のようなことをやっている人が名前が気に入ったから入れるということになってしまうわけですよ。役員の名前だけで選ぶとそういうことになりませんか。
○大塚参考人 先ほど申し上げましたとおりでございまして、結局ゴルフ場にしましても、五十二ヘクタールの土地を公団に提供しておるというようなこともあり、またその従業員の転業先として何か心配しなければならぬというようなこともあって、これに幾つかの業種を割り当てたというふうに私どもは承知をいたしておりまして、いろいろそういうふうな点を勘案をして公平にやったというふうに私は承知をいたしております。
○小川(国)委員 そうすると、いまゴルフ場の話は私も知っておりますが、選考基準は役員の名前だけを基準として決めた、こういうことでございますか。
○大塚参考人 何遍も申し上げているのでございますが、空港建設に対する寄与度とか、役員の信用、経験、資産とか、その他いろいろの関係を考慮して選考した、こういうことでございます。
○小川(国)委員 空港建設に協力した人は、おっこった人も全部協力しているわけなんです。数も同じぐらい役員にいるのですよ。貢献度で言うなら、このおっこった人たちは、私も見ると、地元の地権者が相当いるわけですよ。それから協力者というなら、これはいろいろな意味で地元に協力者がいるわけです。空港のための高速道路が来たり、あるいは国道の改修が行われたり、いろいろなことで協力した人は幾らでもいるのですよ。そういう人たちがみんな選ばれる資格があるなら、みんな申し込んだはずですよ。ところが、公募は全然行われず、しかもその公募の始まった日がないのですね。終わった日がない。あなたの方は一遍途中で区切ったと言うのですが、それ以後も相当、十何社かまた入っているのですよ。だから、初めもなければ終わりもないし、基準もないのですね。こういうことで出店者を決められたのじゃ、落とされた人が納得しないと思うのですね。 これは運輸大臣に伺いますが、私は何回も内閣総理大臣あてに、この問題を公正にやらせるべきだということから、この公募の方法とか時期とか、それからだれが担当してどういう基準でやるのかということを明示を求めていたのですよ。いままで、内閣に対して質問主意書を出すこと二回、総理に質問すること一回ですね。その間、その基準を示さないまま、結果が出てみればこういうでたらめ、これで運輸省の監督が勤まりますか。
○福永国務大臣 この種のことは、申すまでもなく、結論から逆にいろいろの批判が出ることは間間ありがちでございます。ただいまは小川さんから、いろいろ現地で事情をよく御承知の立場からお話をちょうだいしております。先ほどから私つぶさに拝聴をいたしました。空港公団の総裁もいろいろ苦労して答弁しておりましたが、まあ彼の言うとおり、一つの物差しでどうというわけにもなかなかいかぬだろうと思います。 そこで、いろいろお話のございました点等についてある程度の答弁はしておりましたが、要するに、苦心をして総合的判断をしたということであろうと私は聞いておりましたが、一々の事態について私は、どれがどういうわけで妥当であるとか公正であるとかというところまで承知をいたしておるわけではございませんが、その精神において、まさに小川さんが御指摘のようなことであらねばならぬと思います。空港でもそういうつもりでやったのだろう、私はこれを確信をいたしておるわけでございます。信頼をいたしておるわけでございまして、いま直ちに運輸大臣の責任はと言われましても、私は部下を信頼しておりますから、そういう意味で過誤なきを期して彼はやったのであろうと思いますが、いまいろいろ御注意等もいただきましたので、この上とも幾らかでもさらに考え直す余地ありとするならばその措置をとらせますが、いま聞いておりますところでは、大体決まったところで、なかなかそういうわけにもいかぬようにも伺うわけでございます。しかし、先ほどからお話しの点につきましては、私は大いに空港公団、またそれに類似するものが心すべきものである、こういうように存ずる次第であります。
○小川(国)委員 運輸大臣は部下を信頼していると言うのですが、その出店落選者の人たちが一体どう思うか。実は私のところへ出店落選者の人たちからいろいろな手記が来ているのですよ。その中には、昭和四十一年に発足したときに、出店したいと思って公団にお願いに行ったというのですね。そうしたら、ともかく希望の書類を出せと言うので書類を出した。毎年三月になると書類を書きかえろと言うから、また新年度になると名前を書きかえて出した。そうしたら今度は、おまえの会社の役員なり従業員の中に空港関係農民が入ってないと選考からおりるから、そういう人を入れろ、入っていた方がいいぞと言われた。ですから今度はそういう人を給料を払って役員や社員に迎えて、そうしてまた書類を出し始めた。ところが、これが四十七年三月に電話一本で、おまえのところは出店はできないから、こういうふうに断られたというのです。これでは断られた人が納得できないというのですよ。毎年毎年書類を書きかえさせられて、しかも空港の関係農民を役員や社員に迎えれば資格があると言われたから、そういう人に多額の給料を払って今日まで来たというのですよ。そうしたら、電話一本でおまえのところはだめだと言われたというのです。 それからまた、そういう例はたくさんあります。たとえば千葉県の時計商の組合なども、小売店の組合で時計を売る店を出させてほしい、こういうことで要請に行ったというのです。そうしたら、それについてはもうある程度内定者があるからだめだ。決まったのを見たら服部時計店だ。これはメーカーであって販売店じゃないと言うのです。われわれ時計屋に全部卸している唯一のメーカーだと言うのです。その小売店のわれわれが小売店を出したいというのに、販売店舗に入ったのは服部時計店だ。これは千葉県の時計商の連合会からも来ている。 このほかまだ私のところに電話やその他で、落ちたその経過について聞いてほしいというのが来ているのです。ここで述べるいとまがありませんが、こういうことでは三千億の血税をかけてつくった建物の中に、利権の巣窟みたいにこういうふうなつかみ取りで店を取られていいんだろうか、こういう疑問を持つわけなんですが、この点を運輸大臣としてどういうふうにお考えになりますか。
○福永国務大臣 おっしゃる言葉言葉につきましては、そのある言葉についてはそれでいいと私も申し上げたくないことでございますが、今度行われた先ほどから総裁が答弁しております具体的措置につきまして、その措置そのものがいいとか悪いとかいうことは直ちに私の言えるところではありません。 そこで、先ほどからも申し上げるとおり、信頼する彼らがそういう措置をとってやったことではありますが、さりとてこれを御破算にしてやり直すとかなんとか、そういうようなこともこれまた軽率であろう、こういうように思うわけでございます。しかし小川さんがせっかくおっしゃることでございますから、私の方でもなお調査はいたしたいと思います。どれをどうするかということは私申し上げるわけにはいきませんが、せっかくのお話でございますから、それはお話にならぬというようなことを言う意味ではなくして、先ほどから御指摘のごとく、この大事な空港が円満裏にうまく開港になるというこの目的のためには、私はあらゆる努力を惜しまない次第でございます。
○小川(国)委員 これは運輸大臣に申し上げたいのですが、私は個人の利害でこの問題を申し上げているのじゃないですよ。国の行政機関であり、政府機関の一つがこういうでたらめな入居者の選定をやっていいのかということなんですよ。住宅公団でもこんなことはやってないと思いますよ。全国の公社でも、これほどひどいことはやってないと思うのです。 次に、私はもっと運輸大臣に重大な点を質問したいと思うのですが、空港の中に東京航空食品というのとコスモ企業という二社が航空食品の営業者として入っているわけです。この二社はいずれも空港の管理塔の真ん前に、それから真横に、旅客地区、貨物地区にそれぞれ個人の企業の建物を持っているのです。あれだけ広い空港の敷地の中で、空港公団が土地を全部所有したわけです。羽田の空港は民間空港で始まったので、寄り合い世帯のように国有地をめいめいが借地して建てたので、あれだけの建物が全部めいめいの企業の持ち物で登記されていますが、成田空港は土地収用法や公共用地の取得に関する法律までして、強権発動して、それを背景に農民から土地を買い上げたところなんです。そういうところに東京航空食品とコスモ企業の二社はそれぞれビルを建てているんですよ。こういう私企業のビルの建設が果たして認められていいのか。 それからもう一つは、これはどういうわけか、せっかく公共用地で取得したところに、実体個人のホテルのようなものまで建っているわけです。東京航空食品が建てたレストハウスというものは、実質二百室持ったホテルなんです。こういうものまで公共用地の中に含めて取得されたものなのかどうか。何か私ども聞くところによると、建設省の中では、こういうようなものが公共用地の中に入っていいかどうかという疑問の声も出ているそうでございますが、どういうわけか、この二社ともビルを建て終わっているのに、いまだに登記してないのです。これは公団がどういう理由で登記をしてないのか、この辺も疑問に思うのですが、なぜ登記をさせてないのか、これを公団総裁にちょっとお伺いします。
○大塚参考人 機内食の会社につきましては、御承知のように国際線は非常に長距離飛行をいたしますので、この機内食というものが不可欠でございます。しかも最近航空機が大型になり、また便数も増加をいたしまして、急速に機内食の必要というものが高まっておりますので、従来にも増しまして短時間のうちにできるだけ多くの機内食を航空機に積み込みをしなければいかぬという必要があるわけでございます。しかも、ときどき飛行機を欠いたりあるいは旅客の増減等によりまして、積み込む機内食もふやしたり減らしたりということを急いでやらなければいかぬ。それをやりませんと定時に出発ができないということも起こりますし、われわれの立場からいたしましても、スポットを効率的に回転させるという意味からいいましても、早くスタートしていただいた方がいいというような関係もありますので、この機内食については航空旅客取り扱い施設の利便措置として、施設として私は不可欠のものだというふうに考えております。しかもこの二社は、御承知のように羽田で空港の敷地内に現在工場を持ちまして、機内食の供給をいたしております。したがって、国際線がそっくり成田に移れば、当然それにつれて成田へ移らなければ仕事にならないということでございますので、われわれの方としては、これを空港敷地内に移転させるということは当然のことだというふうに初めから考えておったわけでございます。
○小川(国)委員 レストハウスについてはどういう……。
○大塚参考人 レストハウスにつきましても、現在羽田でレストハウスをこの東京航空食品の方は持っております。ただ成田の場合は、これが規模が非常に大きく拡大をされるということになりますが、やはり乗組員の一時的な休憩とか、あるいは出入管理の方から入国禁止者を一時泊めておく施設をつくってほしいという要望もありまして、それらに対する施設としてレストハウスがつくられたというふうに私どもは承知をいたしております。
○小川(国)委員 その東京航空食品は非常に問題のある会社だと思いますのは、東京航空食品には、昭和四十一年の八月一日に、千葉県の農林部長から空港公団に用地部長として入社して、四十六年三月十六日まで同公団の用地部長を歴任してきた人が、今度、四十六年四月、やめた翌月からだそうです。TFK、東京航空食品に入社したのです。ところが、この東京航空食品では、四十七年五月三十日には今度は常務取締役になっているのですが、成田市の隣の富里村の空港農民のための代替地の中に、この私企業が寮をつくっちゃったのです。全部そこは空港農民のための代替農地と代替地の中に、こういう航空食品の会社が工場と寮をつくっちゃった。これが、公団の用地部長をやっていた人が常務で迎えられた会社がこのTFKなんです。 しかも今度の場合には、皆さんが選考基準をおつくりになった構内営業者の選定方針というのは、四十七年の一月十二日に決定されているのです。これだけの業者を選ぶ選定基準は、皆さんの方に聞いたら、四十七年の一月十二日にこの選定方針を決めたんだという。ところが、もうそれ以前に、このTFKとコスモ企業は、ホテルと、それからその機内食の建設を始めちゃっているのです。竣工検査も受けて、それから、四十六年度には、東京航空食品は百八十三万七千円、コスモ企業は四万円と、金額はわずかですが、もう地代を納めているのです。皆さんが選定方針を決定する以前に、こういうふうにこの二社だけが中に入って、しかも、ほかの企業には認められないような独自の建物をつくらせて、公共用地の中に私企業のホテル、あなたはいま、外国から不法入国してきた人のための施設だと言うのですが、聞いてみたら、それはいま五室ぐらいしか使っていなそうですよ。それに二百室もの、ひとり者とツインと両方のレストハウスができているのですよ。これはもう明らかにホテルだと思うのですね。 それで、皆さんの方では何か従業員も泊ると言うから、私、日航その他航空会社に聞いたら、あの中に泊るという会社はないのですよ。日航は日航ホテルをつくっているというのです。あるいはビューホテルへ行くとか、みんなほかへ行っているのですよ。レストハウスへ行くのは――不法入国してくるのも、法務局で調べたら一ヵ月五人か十人で、二百室もつくる必要はないのです。これはもう明らかにホテルなんですよ、実体は。しかも、その会社の常務が、公団の用地部長だった人が常務で迎えられた、こういうことになれば、疑惑はますます深まるわけなんです。なぜ選定基準前にこの二社を認めたのか、これを答弁していただきたい。
○大塚参考人 公団としまして、出店者、中に店を出す者の選定基準というものは、四十七年の一月に決定をいたしたわけでございますが、そのもとになっておりますのは、四十一年七月ですかの閣議決定でございまして、その閣議決定で、地元の者と、羽田で国際線関係で影響を受ける者とは優先的に考慮するということが、すでに四十一年に閣議決定で基本線が決まっております。しかも、これは出店ということではなしに、土地を貸すか貸さぬかという問題でございますので、もうその閣議の基本線に従って、出店の選考方針を決める前にすでに決定をいたしたといったようなわけでございます。
○小川(国)委員 それなら、なぜこの空港関係営業予定者名簿の中に入れたかというのですよ。この中の食品関係の中に、東京航空食品、社長野間英喜、大田区羽田、コスモ企業、社長阿部泰夫、大田区羽田、これは出店者名簿に載っているのですよ。あなたがさっき、この中は二月に決めたと言ったじゃないですか、最終決定を。それが、しかも選考基準は四十七年の一月十二日に決裁になった選考基準でこの中に入った人たちは決めたのですよ。こういうふうにあなたの方は説明しているのです。ところが、それ以前にもう建物の建築確認を受けて、地代まで納めている会社があるというのは、まさにその選考基準を逸脱して行われたというふうにこれは理解しなければならないと思うのですが……。
○大塚参考人 差し上げましたリストの中には、日本航空その他の航空会社も入っておるわけでございまして、空港の敷地内で営業を行う者についてはすべて挙げたということでございますが、もちろん、航空会社などは先ほど申し上げた選考基準で選考したものではございません。選考基準で選考したのは、構内営業として承認を受ける、店を出す者についての選考基準であるということでございます。
○小川(国)委員 TFKは四十六年九月に建築確認を受けて、四十八年十二月二十六日に竣工検査を終わっているのです。それから、コスモ企業は四十七年二月十四日に確認申請を受けて、工事は完了しているのですが竣工届が出ていない。この二社、いずれも未登記なんです。そして、不動産登記法の九十三条でいくと「建物ヲ新築シタルトキハ所有者ハ一个月内二建物ノ表示ノ登記ヲ申請スルコトヲ要ス」、これに違反したときは過料に処すという罰則規定まであって、国民の義務なんですが、四十八年に竣工検査を終わり、四十七年に建築確認を受けた両社が、五十三年の今日まで登記法に違反してまで登記をしていないというのは、一体これはどういう理由ですか。
○大塚参考人 不動産を登記するかしないかは、これは対抗要件でございまして、必ず登記しなければならぬものというふうにはわれわれは考えていないのでございますが、しかし、お話がございましたので問い合わせましたところが、その理由といたしましては……(小川(国)委員「わかりました、知っていますから、それはいい」と呼ぶ)よろしゅうございますか。そういうふうな理由で、まだ登記をしていないのだそうでございます。
○小川(国)委員 その理由は会社の理由であって、公団がこれを公式に認められない理由があるのじゃないか。公団としては、この二つの建物について認めていくのかどうか。 それからもう一つは、レストハウスと言いながら、実質二百十室ものホテルを、シングル百六、ツイン百四、二百十室ものホテルを――これは私、時間がないので、建設大臣に宿題としてひとつ依頼をいたしたいと思いますが、公共用地取得に関する法律あるいはまた土地収用法をもって取得した公共用地に、実質不要なホテル、何かうわさに聞くと、このホテルの地下にバーやクラブまでつくりたいという申請もあったという話も出ておりますが、そういう不届きなものの建設を認めていいのかどうか、これが公共目的にかなうのかどうか、飛行場の必要施設と認められるのかどうか、この辺をひとつ建設大臣には御調査を願いたいと思います。 それから最後に、運輸大臣に、以上申し上げましたように、全般にわたってこの選定方針というものはないということなんです。選定基準もないということなんです。そういう中でむちゃくちゃにこれだけの出店者を決めたこの経過、この内容、こういうものを黙認したまま運輸大臣は開港を迎えようとするのかどうか。よく政府が三千億の血税を費やしたという、その上にこういう利権の巣窟のような実態を許していいのか。この際、こういう選定経過を白紙撤回して、行政の公平、こういう立場からこの選定内容を白紙に戻す、ひとつこういう潔白な運輸大臣の態度をお願いしたいと思います。
○福永国務大臣 方針とか基準がないとか、利権の巣窟であるなどという表現をなさいましたが、私は必ずしもこういう表現がそのまま当たるものとは思いません。これについては詳細にいろいろ検討する必要もあろうかと思うわけでございますが、先ほどから伺っていて、小川さんおっしゃる中にごもっともなところもいろいろ拝聴いたしました。しかし、直ちにもっていまおっしゃるようなことと決めてかかるには、これはしかく簡単なものではないと思うし、先ほどから申し上げておりますように、多数の諸君が、口は余りうまくはありませんけれども一生懸命にやっている、これに対する信頼も私は持っているわけでございます。したがって、白紙でどうこうというお話には、私は直ちに応じるというわけにはまいらない次第でございます。
○櫻内国務大臣 調査の御要求は承知いたしました。速やかに調査をして、お出しいたします。
○中野委員長 これにて小川君の質疑は終了いたしました。 次回は、明十五日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時二分散会