予算委員会 第11号
- 発言数
- 464 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1978/02/13
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 昭和五十三年度一般会計予算、昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題とし、総括質疑を行います。大原一三君。
○大原(一)委員 総理大臣もあと一息ですからひとつ、かぜもお治りになったと思いますので、元気を出してお願いいたします。 最初、私、円高メリットの問題について若干お伺いいたしたいと思うのでありますが、もう皆さん言い尽くされましたように、スミソニアン以来の昨年の数字を見ますと、わが国の円高二丁六%であります。それに比べて西ドイツの場合が五三%という数字が出ているわけでございますけれども、この両国の数字を比較してみまして、ドイツの場合は卸売物価、消費者物価とも大変よく下がっておるわけですね。わが国の場合は、この国内的な波及効果というのが、どうも数字の上でよく読み取れないわけでございます。これは一つには輸入構造、貿易構造の問題が、どなたか御指摘になりましたが、確かにあると思うのでありますが、こういう問題に対する政府の対応の仕方というのもやはり問題になり得るのではないかと思うのであります。 まず最初にお伺いしたいのでありますが、企画庁長官にお願いしたいのですけれども、この円高の影響、つまりドル安の影響が消費者物価にどの程度影響したか。さらにまた五十三年度のお見通し、これは円の見通しはむずかしいと思いますけれども、企画庁のお見通しの中にどの程度お見込みになっておるかを、まずお答えいただきたいと思うのであります。
○宮澤国務大臣 大原委員がよく御承知のようないろいろな事情によりまして、西ドイツに比較いたしまして為替高のメリットが、わが国の消費者物価に非常に及びにくいこと、及び、その効果の判定が困難でありますことは、これは御承知のとおりでございます。 それで、問題への手がかりといたしまして申し上げられそうなことは、現在、卸売物価で申しますと一・五%の対前年度比のマイナスでございますが、この中で円高に要因を求むべきファクターがマイナス二・五ほどあるであろうというふうに推測されます。したがいまして、むしろ逆に申しますと、円高の寄与というものがマイナス二・五あるにもかかわらず、その他の要因によって卸売物価そのものは現在マイナス一・五である、こういうふうに申し上げるべきであると思いますが、そこまでは、いろいろなことでほぼ見当をつけておりますけれども、消費者物価にそれがどのように影響しておるかということになりますと、個々の品目について明らかに申し上げられるもの、たとえば灯油価格でありますとか、あるいは電力ガス料金でありますとか、配合飼料でありますとかいうものについてはかなり言えますけれども、それ以外についてははっきり数字で申し上げることが、現在のところ、どうもむずかしいように存じております。
○大原(一)委員 いま企画庁長官おっしゃいましたのは、一年間の卸売物価一・五マイナス、円高メリットがマイナス二・五、したがって、為替メリットがなければ、そのマイナス一・五が消されて一%の物価の上昇になったであろうというお見通しだと思うのであります。これは素人考えでも簡単に計算できるわけでありますけれども、例の卸売物価指数に占める輸入原材料その他の割合が、たしか一%ぐらいだったと思うのであります。したがって、それにウエートをつけて掛ければ大体計算できるわけでありますけれども、ざっと見ましてドイツの場合は、このスミソニアン以来五三%のマルクの切り上げになっているわけでありますが、四十七年からずっと見てみますと一〇%、一一%、一二%、一八%というように毎年上がっているわけですね。ところが、わが国の数字は、スミソニアン以来、非常な低いパーセンテージで上がってきて、四十九年、五十年は逆にドルが上がった、そして一挙に五十二年に二一%上がったという数字になっているわけであります。 これはどなたにお聞きしたらいいかわかりませんが、長官お答えいただけますか。このドイツの切り上げというのは、政策的に何らか政府がめどをつけて上げていったものか、自然の成り行きなんでしょうか、その辺はどう御解釈になっていますか。
○宮澤国務大臣 御承知のように、マルクそのものはスネークの中心になっておりますし、またマルクとその周辺の各国との通貨は、そのように非常に深い密接な関係にございます。それから、ドイツの貿易支払い構造そのものも非常にマルクによって支払われる部分が多いというようなこと、それからもう一つ大事なことは、大原委員が先ほどから仰せのように、ドイツ人そのものがマルク高によって生活上受ける利益が非常に大きいといったようなことを総合いたしますと、恐らくドイツの通貨当局は、マルクが上がるということについて常に消極的な立場であったわけではない、過去何年間か。急激な上昇には無論、抵抗をいたしたと思いますけれども、マルクが上がること自身は、いろいろなことから考えて必ずしも国益に反するものではないというような、ある程度の許容態度がわが国におけるよりは、過去何年かの経緯を見ておりますと、強かったのではないだろうかというふうに私は想像いたしております。
○大原(一)委員 先ほど申し上げましたけれども、日本の場合は製品の輸入は二〇%、素材、原材料が八〇%、ドイツの場合は製品の輸入が五〇%、つまりマルクが上がりますと、それが直接に輸入物価の値下がりになってはね返ってくる、つまりマルクが上がったことをドイツの国民は非常に喜んでいるわけですね。わが国の場合は、原材料が多いために、その値下がりというのは直接国民にはね返ってこないという貿易構造の違い、そういうものが国民感情の中にあって、どこへ隠れたかわからない、確かに値下がりしてメリットは出ているのだけれども、どこか、いいところへたまっているんじゃなかろうかという疑心暗鬼が国民の中にあろうと思うのですね。 私、両国の数字をいろいろ比べてみたのでありますが、ドイツの場合は、七六年、スミソニアンの当時から比べてみますと卸売物価は八%下がっております。わが国の場合は、七六年一月をとったのでありますが、七七年十二月までに四%逆に卸売物価は上がっているわけなんですね。昨年一年間の円の為替メリットを頭に置いて見ますと、わが国の場合は卸売物価が横ばいであります。ドイツの場合は二%卸売物価が下がっているわけですね。この辺のことをいろいろ考えるわけですが、消費者物価への還元ということを頭に置きながら消費者物価を同じ期間はじいてみますと、わが国の場合は一三%上がり、ドイツの場合は六%というように非常に安定した数字を示しておるのがドイツの指標であります。 しかし、これが全部円高メリットのせいだ、ないしは為替メリットのせいだと私は申し上げるわけではございませんが、過去五、六年のドイツの対応を見まして、それを国内経済へ徐々に浸透をさせていくような、恐らく財政当局、為替当局の判断があったのではなかろうかという印象を強くするわけでございますが、その点わが国の場合、余りにも急激な円高がやってまいったために、そのショックが、マイナスショックの方が非常に強調されやすい、また現にそういう仕組みになっているということですね。この辺は、初めてのことではあるし、政府の政策的対応というようなものがやはり後手、後手に回ったのじゃないかという印象を濃くするわけでありますが、総理大臣、これについての御感想、何かございますか。
○福田内閣総理大臣 為替相場は、わが国で言いますれば円が強くなるということは、総体として見まして、わが国の経済状態が他国に比べていいという一つのシンボルでもある、こういう面がありますので、円の価値が下落するというのに比べますと、これは大観いたしますと非常に好ましいことである、こういうふうに思います。 ただ、今回の円高現象というものは、昨年の九月末IMF総会、あれを契機として起こってきた。そういうことで非常に急激にやってきておるわけです。円の価値が上がるにいたしましても、そう急激に上がるということは、これは大変国内経済に対しましてショッキングな影響がありますので好ましくなかった、こういうふうに考えておりますが、しかし、ああいうことができてしまった以上しようがない。そういう事態に対しましてどういうふうに対処するかということでありますが、大原さん、おっしゃるように、円高によるメリット面、これを活用するということ、これは非常に大事なことじゃあるまいか、そのように考えているのです。とにかく、経済の運営の上におきましては物価の問題が非常に大事でございますけれども、幸いに物価の流れは大変鎮静化してきておる。ことに円高問題が起こって以降の物価情勢というものは鎮静化の一途をたどっておる。この際、わが国の石油ショック以来の難問題である物価の鎮静、これは何とかひとつ成功させなければならぬ、このように考えておるわけでありますが、メリットもありデメリットもある、その中でメリットの面が余り強調されなかった、少しバランスが失われているような感じがいたしますが、思いを新たにしてメリット面を生かすという施策を進めたいと思います。
○大原(一)委員 雇用問題その他には大変な大きなしわ寄せになりますけれども、いわゆる構造不況問題というのも、長い目で見たら企業の自助努力いかんによっては、やはり円高メリットを日本の産業構造、貿易構造の転換という意味からとらえれば、これは非常な大きな試練であり、かつまた日本経済のこれからの飛躍への大きな問題提起をしておるという意味で、プラスの面で考えていくべきではないかと私は思うのです。 その構造不況問題を、いま小手先で何かをやって、何か補助金をやればすぐ直ってしまうんだというような発想が巷間見られるわけです。政府当局としては、やはり雇用問題を中心に果断な手を打っていかなければならないということはわかりますけれども、この構造不況問題というのは一年や二年で解決される問題じゃないと思います。これは産業構造の転換という問題でございますから、やはり長い目で政策の対応をしていかなければならない基本的な日本経済のこれからの政策課題であろうと私は考えるわけであります。したがって、長期的な視野に立って、五年ないし十年という見通しのもとにやっていかなければならぬ政策だと思うのですが、その点の政策的判断が余りにも目先にとらわれ過ぎやしないかという感じをしきりに持つわけですけれども、この点について総理大臣、いかがでございましょうか。
○福田内閣総理大臣 この数年来、世界の社会経済の流れ、これが大変大きなうねりのような形で転換をいたしておるわけです。その転換をする客観情勢、これに合致しない条件の企業、これはどうしてもそのままで立ち行くことができない。そこに構造不況問題というものが出てくる、こういうふうに見ておるわけであります。 お話のように、そういうことで時代の流れに一つ一つの企業がいかに対応していくかという問題でありますから、これはやはり一朝一夕というわけにはいかぬと思うのです。少し粘り強く時間をかけて、そして転換の実を上げる、対応の実を上げる、こういうことだろう、こういうふうに思いますが、まあそういうことで私は、お話のように、また構造不況問題、これを巧みに解決するというか、変わり行く世界情勢への企業の転換、その対応がうまくいきますれば、これは災いを転じて幸せとなすということにもつながってくる、こういうふうに思いますので、せっかく粘り強く努力していきたい、かように存じます。
○大原(一)委員 私は、この構造不況問題の中で企業の自助努力――やはり自由主義経済ですから、何でもかんでも政府がやってくれるだろうというような企業のおんぶ主義を助長する政策はいけないと思います。その意味で、政府もいま赤字財政を抱えて厳しい対応をしようとしておるときでありますし、民間企業に対しても、それ相応の自助努力を要請しなければならぬというふうに私は考えるわけでございますけれども、現在、通産省で計画されておりますところの構造不況業種に対する法案を見ますと、二つばかり大きな問題を抱えております。いわゆるアウトサイダー規制の問題、それから指令カルテル、この二つの問題ですね。これはやはり、ある意味で、どうも行政権の関与が過ぎるのじゃないか。たとえ構造不況業種であっても、経営を長く、非常にうまく合理的に効率的に改革してきた企業もあって、ほかの構造不況業種の中でも、そういう自助努力をされた企業は、しっかりした企業があるのですね。これはやはり、いままでいろいろの企業努力をされてきたわけでありますし、それを十把一からげに何らかの行政権でもってまとめてやろうという考え方、これはやはり余りにも行政関与が過ぎるのじゃないか。そういう意味で私は、現在構想されておる不況業種法案の、その二つについては非常な問題があると思います。通産大臣、その点についてまだ御検討中でありましょうが、私の考え方についていかがでございましょうか。
○河本国務大臣 構造不況業種についての再建法案は、いま最終の段階に来ておりまして、もう数日のうちにはまとまると思います。 この問題の一番の中心は何かと言いますと、やはり、いまお述べになりました、どういう方法で再建するかということでありますが、その中心は、企業の自助努力ということが中心でなければならぬと思っております。それが中心でありまして、政府は企業の自助努力に対して何らかのお手伝いをしていこう、こういう考え方であります。統制的な考え方はできるけ排除いたしまして、自由主義経済の原則を守りながら構造不況業種の再建を図っていきたい、こういう精神でございます。
○大原(一)委員 通産大臣のいまの御答弁で私よくわかりましたが、やはり、さっき私が指摘しました二つの点は行き過ぎだと思いますね。つまり、悪いやつに右へならえというようなことを企業の中へ導入していったら、私は自由主義経済というものはもっていかないと思うのです。そういう意味で、政府の関与というのは、事、企業に関してはあくまでも側面的なものでなければならない。その中へ手を突っ込んでいって右へならえというような政策をとるというのは、やはり行き過ぎではなかろうかという感じがします。どうか、いまの通産大臣のようなお考えで対応していただきたいのでありますが、やはり気になることが一つあるのです。 この前、通産大臣は、鉄鋼は余ったら全部政府が買うと約束されましたね。ああいう政策は、通産大臣、ナンセンスですよ。なぜ鉄鋼だけ買っちゃって、それなら平電炉はどうするのですか、アルミはどうするのですか、合板はどうする、これは全部政府が買い上げるのですか。私は、そういう政策的な対応というのは、これはちょっと目先にはいいけれども、長期的には禍根を残すと思います。その点いかがでございますか。鉄鋼についてお答えいただきたいと思うのです。
○河本国務大臣 先般、本委員会で民社党の塚本書記長から、鉄鋼の半製品国家備蓄についての提案がございました。いま、その提案を受けまして、まあ幾つかの問題点があろうと思いますが、どういう問題点があるか、その問題点を整理をしておるところでございまして、鉄鋼の備蓄を正式に決定をした、そういうことではございません。問題点をいま整理をしておる、こういう段階でございます。
○大原(一)委員 どうか通産大臣、もうかったときには社用消費を十九億円もやっているような企業に、損したからといって今度はまた税金でそれを政府が支えるというのは、私は過保護に過ぎると思うのです。先ほど自助努力と言いましたけれども、やはり苦しいけれども、政府も苦しいのでありますし、民間も苦しい、みんな苦しい、そういう条件の中で、やはり政府のやる姿勢というのが問題だと思うのです。それは買い上げられるならいいですよ、全部買い上げていただいて、鉄鋼だけではなくて、合板も買い上げていただいて、そうしてそれを東南アジアかどこかへ持っていかれるという政策をおとりになるならいいですけれども、ある特定の企業について特定の政策というのは、やはり私は穏当を欠くのではないかということを御指摘申し上げたいわけであります。 次に、円高メリットに関して、石油の問題に入りたいと思うのでありますが、昨年一年間で石油製品の卸売物価の値下がり九八・六%で、一・四%下がっております。その中で下がっているのがガソリンで三%、それから灯油が約四%、軽油が二・四%ですか、下がっておりますが、ナフサは全然下がってないですね、これは私の統計から拾った数字でありますが。それからC重油、鉄鋼や紙パ等工業用の重油、これは横ばいないし若干上がっております。建設のアスファルトは一三%逆に上がっております。そういう状況でございまして、石油会社にはずいぶん上がりが入ったのではないかと言われるのでありますけれども、その割りに石油製品の値下がりは少ないわけであります。もちろん、これが消費者物価にどの程度はね返っているかということでありますが、ガソリンの場合が一・三%消費者物価で下がっております。ぼくが申し上げますのは一年間ですよ。 ところで、いろいろ通産省も御努力なさっているようです。モニター調査等で灯油の値下がり幾らかということでお調べになった数字もいただきましたが、石油三十六社、これの上期の数字は利益が出ております。千二百三十七億の上期だけでの利益でございます。この期間における円高額は二十二円であります。昨年に比べて二十二円上がっている。ところが、下期も大体現在の価格で二-三月が推移するとしますと、二百四十一円で推移するとしまして大体二十六円、今度は円高が出てくる勘定になります。二十二円でもって千二百三十七億円ですね。二十六円でもって計算したら、それより大きなものが出てくると私は思うのです。いま、通産省、資源エネルギー庁長官でも結構でありますが、下期の利益を幾らに見ていらっしゃいますか。そうして、そのトータルは大体幾らぐらいになるとお思いになりますか。
○橋本(利)政府委員 本年度の下期の石油産業における収益見通しでございますが、御指摘のように、為替レートから判断いたしますと上期と同等もしくは若干プラスというふうに見込み得るわけでございます。御承知のように、本年の一月に有力元売企業が平均いたしましてキロリッター当たり二千円の値下げを発表いたしたわけでございます。その他の元売企業も大体これに追随いたしまして、折りからの需給事情等も反映いたしまして新しい価格形成が行われておるやにわれわれ見ておるわけでございます。物によって違いますが、平均いたしましてキロリッター当たり大体二千円の値下げになるのではなかろうか、といたしますと月当たり約五百億円の減収になるわけでございます。そういったレートの関係あるいは市場価格との関係からいたしますと、下期の見通しは、的確には申し上げかねますが、大体上期程度がせいぜいのところではなかろうか、あるいはそれより若干下回るのではなかろうかというふうに理解いたしておるわけでございます。
○大原(一)委員 二千円を値下げされるとそういうことになりますね。現在日石さんですか、プライスリーダーになっていらっしゃるわけですが、二千円の値下げをおやりになって、それがいま各社へ進行中であるというふうにお聞きしているわけでありますが、それがないとしまして計算しますと、これは大変な利益が出る計算になります。上期が千二百億、下期が大体千四百から千五百という数字が出る勘定になってしまうわけです。そうしますと二千七百億の利益になるわけであります。去年が二千二百億ですから、二年続いて大変な利益が出る勘定になるわけです。そして五十三年、仮に二百四十一円で推移した場合には、これは円高差額が少ないために多少利益は減るでしょうけれども、これをトータルしてみますと大体四千億円ぐらいのものになってしまう計算になるわけです。これは私の計算ですから、通産省の計算はまた違うかもしれませんが、こういう見通しで、四千億という数字はともかくとして、二千七百億という利益を卸売物価に全部おろしてみますと、大体三・三%程度全油種について値下がりしなければならぬという計算になるわけです。二億八千七百万キロリットルで。その辺のお見通しはいかがでしょうか、わかりますか。二千円いま下がるとおっしゃいましたけれども、通産省としてはそういった円高メリットに対する各企業の対応について何らかの姿勢をお持ちですか、その辺をお伺いしたいと思うのであります。大臣、いかがですか。
○橋本(利)政府委員 大原委員御指摘のように、円高メリットをできるだけ消費者に還元するということは、私たちはもちろんでございますが、産業界でもいろいろ努力いたしておると思います。ただ、石油について御理解いただきたいのは、先ほど御指摘になった数字あるいは私が申し上げた数字というものは、石油産業全体としてマクロ的にいろいろな前提を置いて試算したものでございます。石油三十六社の中にはいわゆる企業間格差が非常に出てまいっております。上期の千二、三百億の黒字の中にございましても、赤字企業が六社、あるいは赤字繰り越し企業が十四社といったような企業間格差の問題もございます。そういった、一方で消費者への利益還元、一方で石油の安定供給ということを前提としてこの問題には対処すべきだと思うわけでございます。 なお、五十三年度につきましては、ただいま御指摘のような為替レートがどうなるかという問題のほかに、六月におけるOPEC総会で価格がどのように決定されるかといったような問題もございますので、いまの段階で確たる見通しを立てることは困難だという状況でございます。
○大原(一)委員 私は、行政というのは、ただ見通しを立てるだけではなくて、そういった面についてはやはり積極的な対応を示していただくのが行政の筋だと思うのであります。 ところで、石油業界をずっと見ますと非常な問題がある。それは何かといいますと、ガソリンスタンドの問題であります。ようやく業法ができて、これからもう少し秩序のあるレール敷きをしようとされる段階でありますから、恐らくいままでとは違った対応が示されると思うのでありますが、円高で大手元売企業は大変な為替差益が出ているのでありますが、ガソリンスタンドの経営はものすごく悪いですね。これはもう結論から申しますが、乱売、値引き、必要に応じて脱税というような問題も出ておる。非常なガソリンスタンドの乱立競争によって、企業採算がとれるところは非常に少ない。資源庁でもおやりになったガソリンスタンドの採算状況がどうだというのは、悪い、ないしは横ばいと答えたのが半分以上なんですね。もうかっているというか、いいと言っているのは二〇%か二五、六%であります。これは私、大変唐突でありますが、酒屋の免許というのがあります。これは大蔵省で、税務署でよくコントロールされて、面積とかあるいは戸数とか売り上げ条件等を見られてやっていられるからガソリンスタンドみたいな乱売競争はないわけでありますけれども、いまのようなやり方でいったら、親元はもうかり子供はぴいぴいというので、非常にひどい仕組みになっているわけなんです。 これは大蔵省が関係があるのでありますけれども、資源庁長官ないしは通産大臣の御意見をお聞きしたいのでありますが、税務署に移管されて距離制、免許制でおやりになる気はないですか。
○橋本(利)政府委員 揮発油の販売業につきましては、御指摘のように、円高の問題以上に、過当競争性を持っております。ガソリンスタンドの数は全国で約五万七千ございます。本来的に過当競争性を持っておるというのが実態かと思います。さようなところから、昨年来、揮発油販売業法によりましてその秩序ある体制を確立しようということで努力いたしておるわけでございますが、ただいま御指摘のように国税庁に移管して云々あるいは距離制限といったようなことは、一方でやはり自由主義経済をそれだけ阻害する、消費者利益との関連からいたしましても私は適当でないと考えるわけでございまして、むしろそういった過当競争を排除するような方向で指導していくべきだと思います。さようなところから、来年度におきましてガソリン販売業における経営基盤安定のための基金を設定いたしたいということに現在予算要求をいたしておるわけでございます。
○大原(一)委員 自由経済とおっしゃいましたけれども、自由経済の結果落ちこぼれて一つももうからないというのは自由経済ではないのですね。それじゃお酒屋さんは自由経済じゃなくて統制経済ですか。私はそういうことを申し上げているのじゃないのであります。酒は酒税保全法というのがありまして、酒の税金の脱税が進行するといけないからコントロールして、乱売競争して税金逃れをしないようにという法律がある。いま酒の一リットルに占める税金よりもガソリンの方が高いのですよ。四〇%近くガソリンは占めているわけで、酒はたしか三四、五%だと思うのです。酒税保全法ではなくてガソリン税保全法というのをつくられたらいい。そうして、乱売競争によってガソリンスタンドが半分以上も、もうからないで、だれのために仕事をしているかわからないというような状況ですから、円高メリットもガソリンスタンドへ還元されるような温かい政策をとってくださいと申し上げているわけなんですが、その辺はまたひとつ御検討願います。 こればかりやっていると時間がありませんので、次に、飼料の問題に移ります。 農林大臣、五十一年の十二月から五十二年の十一月までの飼料の数字がわかっていますけれども、輸入トウモロコシ、コウリャンのCIF価格は一三%下がっております。加重平均して一三%でありますが。ところで飼料工場、七十社ぐらいあるのですか、この中の工場建て値、なるほどこれは円高メリットが一〇〇%行っちゃって、またこれは一七%下がっておるわけです。国内原料を四割ぐらい使うのでしょうから、この国内原料もしたがって同時に下げられているわけです。これは全農がプライスリーダーになって四割を供給しているから恐らくそういう形になっているのだと思うのでありますが、残念ながら、農林大臣、これが最終消費者、といいますと畜産農家でありますが、これに対する還元が少ないのですね。答えをもう先に申し上げますが、そちらの方の値下がりは六%であります。工場建て値の値下がりが一七%であります。農林大臣、この辺もう少し末端農家へ還元されるような手だてを御検討いただけませんか。お答え願います。
○中川国務大臣 卸の値段を昨年の九月約九%、五千円、六万四百円のものを五万五千四百円に下げ、ことしの一月また三千八百円、約七%値下げいたしております。現在、消費者といいますか、末端価格では六、七%しか下がっておりませんけれども、これは九%に見合うものでございますから若干まだ完全に下がっておりませんし、一月に下げました分はこれから下がる分でございますので、かなり畜産農家経営は飼料価格の値引きによって安定してまいりましたが、さらにこのメリットが末端に行くように行政措置を講じて万全を期していきたい、こう思っておる次第でございます。
○大原(一)委員 これから……(「中間搾取をなくさにゃだめだよ」と呼ぶ者あり)まあ中間搾取といいましても、この中間段階がまた非常に小さい人が多いのですね、この飼料関係では。どうかひとつその辺の御指導をお願いしたいと思うのです。 時間がありませんが、私、次に農業問題に入らしていただきます。 四十六年に二百三十万トンの生産調整をしました。トータルで七百二十万トンの在庫を抱えたお米の生産調整政策を連年とっておみえになります。また五十三年度百七十万トン、在庫三百三十万トン以上という状況の中で、農政は大変厳しい選択を迫られているわけでございます。その面積三十九万ヘクタールといいますのは、九州全体の水田が三十六万ですから、九州全体の水田プラス三万ヘクタールを全部つぶそう。つぶそうというのは語弊がありますが、転作へ持っていこうという政策であります。これは大変な政策なんですね。四十六年に一回農家の頭をぼかんと殴っちゃって、また七年目に一回ぽかんと殴るわけですから、これは殴られる方はたまったものではないのです。私は、やはりここは農家を殴るのじゃなくて、殴る先を間違っているのじゃないかと思うのですね。どこかに農政の根幹に欠けたるものがあったのじゃないかということを思わざるを得ないわけです。これは、もちろんいまは自由主義経済ですから、統制経済であれをやれこれをやれというわけにはまいりませんが、もうこういうことは二度三度と繰り返してはならないと思うのです。 そういう意味で申し上げるわけでございますが、たとえばこの前の総合農政問題、さらにまた選択的拡大ということも必ずしも成功していない。最初は米の生産調整とおっしゃいました。その次が水田総合利用対策、今度が水田利用再編対策、いろいろ言葉はあるのでありますが、やっていることは同じであります。最初三万円が四万円になり、四万円が五万五千円になっただけの補助金農政では、これはやはりもう一回同じことを繰り返す心配があるから申し上げるわけでございますが、まず農林大臣にお聞きいたしますが、集団加算を除いて、私、大ざっぱに所得率を計算してみたわけでございます。五十一年度、まず小麦へかわれ、大豆へかわれというお話でございますが、五十一年度は水稲の反当たり所得は八万二千円でございました。大豆は加算を含めて、集団加算は入っておりませんが、七万五千円、小麦が五万七千円です。金高だけ比較しましても、これでは小麦と大豆をつくる人がいない道理であります。そこで、いただいた数字で、五万五千円の特定作物の加算金を加えまして、仮に五十三年度のバランスを見てみますと、小麦が八万三百円、大豆は八万八千五百円、恐らくお米は、五十年、五十一年の平均をとりますと九万円程度になるわけですね。果たしてこれで小麦と大豆への転作が進められるでしょうか。いかがでございますか。
○中川国務大臣 御指摘のように、日本の伝統的な水稲を昭和四十六年から第一回、五十一年から第二回、五十二年度から第三回と転換をしなければならないことは非常に重大なことでございます。これは生産性の高いものをほかのものにかえるわけでございますし、また、栽培技術が米については日本の農家は一番精通いたしております。そういった事情で作付転換は非常なことでございますけれども、何分にも消費の減退と、さらに生産意欲の増進ということで、昭和四十五年ごろに七百万トンの過剰米、単年度二百二十万トンの過剰というような異常な事態でございましたので第一次の生産調整をやり、まずまず成功いたしたのでございましたが、昭和五十一、二年ごろより再び過剰傾向、これまた第一回と同じように消費の減退、さらに増産意欲の増進、同じ形態でございます。そこで第三回目と言われる生産調整に取り組まなければならないことになりましたが、現在の過剰傾向では、これを避けて通ることはできないのでございます。 そこで、それではほかの作物との関係においてスムーズに移るであろうかという御指摘でございますが、大体五万五千円でそれほど大きな違いはない。それに集団加算を加えまして約七万円になるならば、まずまず米とそう大差のない収入が得られるであろうということでございますが、まだそこに米の方がいいのだという農家の方々もおりますけれども、米よりもほかの方がいいからということまで持っていけないにしても、この米の過剰という問題は、政府の責任でもありますけれども、やはり消費のないところに生産はないということで、生産者であります農家の方々も作付転換には、私どもは理解と協力ということでございますが、やはり理解をしていただいて、消費の動向に見合った生産をやるという責任感もやはり持っていただかなければ、米よりむしろそちらの方がいいからかわるという姿勢だけではこれはいけないのではないか。そのように、もし水田で大豆や麦をつくった人が、畑作農家で同じく麦や大豆をつくった人よりももっともっと有利になるという、その辺の一般の、後でまた野菜等の問題も出てまいりますが、奨励金をもらわずに大豆や麦をつくっていただいている人のこともやはり一方で配慮をしなければならないというところからいくならば、今度の奨励金はまあまあいいところではないか、こう判断しておるわけでございます。
○大原(一)委員 大変奨励金はいいわけです。奨励金なしの値段よりも奨励金の方が高いのですから。それはよ過ぎるわけなんですね。ただ、よ過ぎる、過保護をしながら、転作ができていかないという心配を私は申し上げているわけです。現に、いままでの小麦の転作率というのは非常に少ないのですね。転作面積の割合の中の二%とか四%ですから、小麦へいく心配はまずないのです。いままで。もし仮に米が来年度多少でも上がるということになれば、いきなりこれはバランスを失することになるわけですから、いまの転作問題の中の重要な作目である小麦がそこでドロップするということ、選手から落ちていくということになりますと、これまた重大な問題だと思うのです。 いろいろ申し上げたいのでありますけれども、私は、やはりいままでと同じ、野菜に転作がいくと思うのです。野菜の転作率は、五十二年度一年度で大体平均三五%であります。三十九万ヘクタールの三五%が野菜にいってしまうんですね。これはビニールハウスもつくらぬで安直な野菜に転換する可能性が非常に大きいということであります。しかも、今度の転作面積を見ますと、都市近郊減反率といいますか転作率が相対的に大きいということであります。都市近郊の方が大豆をつくるであろうか小麦をつくるであろうかということになりますと、私はほとんどは野菜にかわっていくだろうと思うんですね。 大臣が御承知のとおり、今年度はもう全く野菜の値下がりというのはひどいんですよ。暖冬暖秋の結果もございましょうが、やはり去年、おととしの転作面積三五%という実績の上に野菜が暖冬暖秋で出たわけでございますから、非常な値下がりになっておる。それが、来年もその三十九万ヘクタールの三五%が野菜にかわったら、これはもう野菜農家というものは来年は全く浮かぶ瀬がないんですね。多少の補助金でもっては、しのげないところへ追い込まれていくのじゃないかと思うのです。仮に三十九万ヘクタールに転作率三五%を掛けまして、これからの農林省の御指導でございましょうが、それを現在の野菜面積に上乗せしますと二二%野菜面積がふえることになります。だから、ことしと同じ作柄であったとすれば、来年は確実に野菜の値段が二二%下がる計算に相なるわけであります。 もちろん、農林省は本年度の予算でりっぱな予算をお持ちになっておる、これはしっかりやっていただきたいのでありますが、野菜共済制度ですね、ハウス園芸を入れて四十九年からおやりになったのですが、残念ながら五十四年度からです。これは五十三年からやっていただくとよかったのでありますけれども、五十玉年度もそういうことを踏まえて充実した政策をとっていただきたいと思うのでありますが、この野菜面積については、農林省は野菜種類別に御指導なさる気があるのですか、野放しにされるのですか、その辺をお承りしたいと思うのです。
○中川国務大臣 先ほど申し上げましたように、同じ作物をつくるのに、水田でつくりますと五万円とか七万円というげたをはきますから、げたのない一般の畑でつくっております野菜農家初めその他の農家に影響があるわけでございます。そこが一番問題のところでございまして、それを三つに区分いたしております。 一つは、幾らたくさんつくっていただきましても価格に支障のない、価格制度のございます麦、大豆、それから飼料作物は肉を通じて保証する仕組みになっておりますし、それから甘味資源作物、これも価格保証がありますから、幾らつくっていただいてもほかの農家には影響を及ぼさないというためにこういった価格制度の仕組みのあるものについては、奨励措置として一万五千円を加算してたくさんつくってくださいという仕組みになっております。 もう一つは、つくられますと洪水になって一般の畑作の作物がまいってしまう。たとえばコンニャクなどはいま余っておりますから、コンニャクをつくられたのではいよいよ暴落で農家はまいってしまうというので、コンニャクほか、たしか七品目については転作をしてもらってはこれは認められません、こういうつくってはならない作物と、あと、野菜のように、奨励もしなければ抑えもしないという作物がございます。この点については、三五%いくのか、何%いくのか、これは価格に影響のない範囲内で転作をしていただきたい。これは国が、何%、何町歩野菜をつくっても結構だ、つくるべきだということではなくして、あくまでも都道府県に、その地域における野菜の動向等を見ていただいて、この程度つくってもいいだろうし、つくるべきだ、あるいはこれをつくられたら困るという行政指導をやっていただいて、地域、地域においてしかるべく生産をやっていただく。場合によっては、県によっては野菜のこういう品種はつくられると困ります。こういうことを農業団体と県とで十分相談をして、計画生産の方向に、市況に動乱を起こさないように、さらに先般また通達を出しまして、野菜農家がことしは暖冬異変で困っておりますから、特に野菜に対してはその点を配慮するように十分行政指導をやっておるところであり、これは今後とも大事な問題でございますから、野菜農家が転作によって苦しむことがないように徹底をしてまいりたいと存じます。
○大原(一)委員 たてまえ論をおっしゃったのだと思うのでありますが、野菜は大変なことなんですね。私、宮崎なんですよ。ハウス施設園芸農家というのがほとんどでありまして、遠隔地輸送で東京、大阪へ送っているわけでありますが、今年度の値段を一応申し上げてみましょうか。キュウリは七月、キロ十二円であります。キロ十二円ですよ。トマトが四十四円、ピーマンが三十六円、カボチャが十円、サトイモが二円、ただというときがあります。 これはやはり大臣、いまのような紋切り型のあれじゃなくて、もう少し指導してくださいよ。県と町村へ任し、農協へ任しておいたらやはり安直なものをつくっちゃうんですよ。ですから、米についてあれだけの御指導をなさるのなら、この辺の指導はもう少し御親切にやっていただきたいというのが私の希望であります。大臣がいま言われなかったその他のもので非常に伸びているものは、まず伸びるものはピーマンですね。それからキュウリ、それからカボチャ、サトイモ、カンショ、レンコンというところにすぐいっちゃうんです。そうするとこの人たちはまた、さっき私が言いました、一番出盛り期で、要するに施設物と露地物が競合するころはもうただなのです。集めたら損だ、箱代が十円というのはこれは本当なんですよ。そういうような事態が起きているわけなのです。しかも、来年の減反率の三五%がいきなりこの上に乗っかったら、これらの野菜農家は、農林大臣御承知のとおり、ガラスハウスまでつくってあげて、十人か六人で三億円も金をかけて、しかもサッシのついた建物ですよ、私の家は戸でございますが、サッシの中にだれがいらっしゃるかというとトマト様がいらっしゃるんですね。このトマト様がただでは、これは救いがないのです。六人で三百万円ずつ年間返していますが、年間所得が二百万円という実態であります。ですから、この辺にはやはりもっときめの細かい御指導をお願いしたいというのが私の希望であります。よろしくその点はお願いしておきます。 それから、私は農業政策で、一番最初申しましたが、何かが抜けておるのじゃなかろうかということで、国会へ通させていただいて、初めて総理大臣にこの前、総括質問しましたときに農地政策をお伺いいたしました。やはり農政の根幹に着目して、何かそこに焦点を合わせないと、また五年に一回、お米で農家をぶん殴らなければならぬような事態に追い込まれやせぬかということですね。現在、専業農家というのは農家の一二%でございます。その人たちが持っている土地は二六%です。総生産額で全体の三五%をつくっていらっしゃるのです。一〇%が総生産額の三五%をつくっていらっしゃるんですよ。これは何もかも入れてでございますが、こいねがわくは、水田再編対策をおやりになるこの十年間に、この一〇%の人を少なくとも二〇%にふやし、二六%の耕作面積を四割ぐらいにふやし、そしてそれらの人が日本の農作物の六割から七割近くを生産するような仕組みを農政の中に取り入れていく必要があるのじゃないかということを考えるわけです。 そうしますと、農林大臣、どうしても農地問題に行き当たらざるを得ないですね。はっきり申して、いままでの農政には農地政策がないのです。そんなことを言いますと、おまえは小農切り捨て論かという議論がすぐ出るわけなのでありますけれども、やはりどうしてもこの農地政策に蛮勇をふるって、農林大臣、せっかく中川農林大臣が登場されたんですから、この際にそういう政策の基本を打ち立てていただきたいと思うのです。それがために申し上げますが、農地法の改革を幾つかやってまいりました。五十年には農振法に伴うところの改革をやり、四十八年には小作料の自由化をやりましたですね。少しずつは現在の農家の実態に合う改革はしておりますけれども、それはむしろ後から手を打っていくということです。後ろ向き農政であります。前向きにこういった専業農家を育成するための政策を、前向き政策を打ち出される必要があると思うのです。 そこでお伺いしたいのですが、請負耕作制度というのがございます。これは、いまの農地法から言ったら脱法行為ですね。そうでございましょう。そういったことをむしろ追認されて、前向きで小作制度を導入されていくつもりはございませんか。
○大場政府委員 農地法の問題につきましては、いろいろいま先生御指摘になりましたように過去に手がけてきているわけであります。四十五年の農地法改正で、標準小作料制度を導入して統制小作料制度を撤廃したとか、あるいは五十年の農振法改正でいわゆる農用地利用増進事業を導入するということで、私どもはそれはそれなりに、いわゆる正式の所有権の移転に伴う規模拡大ということだけではなくて、賃借権、使用収益権移転に伴う規模拡大というものはそれなりの成果は上げているというふうに観念しております。 いま御指摘になりました請負耕作の問題でございますが、これはやはりその経営が、その農用地を自分の経営に取り組んで、安定的に将来経営の一部として活用し得るという保証、そういったものがやはり必要でありまして、そういう意味で耕作権の安定、経営の安定という点からはやはり問題が残る。一つのやはり農地の流動化という意味での創設的な意味は確かにあると思いますけれども、他面、やはりそれがいつ取り返されるかわからない。そういうような、いつ取り返されるかわからないというような権利の上で経営の安定が永続的にできるか、こういう問題は残るので、今後の検討課題としては私どもは残っていると思います。
○大原(一)委員 お説でございますが、私がいま申し上げていることは、要するにマッカーサー御命令によってやった農地改革の目的は達した。そしてそれが小農分立していろいろの農政に矛盾を生んでいる。だから、その農地を耕作権と所有権に分離してその耕作権を転々流通させるような仕組みをつくって、専業農家の育成に集中的に農政のエネルギーを注ぐ方策はないだろうかということを御提案申し上げているわけであります。そういう意味で、私は農地法の抜本的洗い直しを御提案申し上げたいわけなんです。現に、請負耕作も非常に地域によっては広い地域で行われておると聞きます。私は、所有は小農でも、小さくてもいいから大小作主義を主張しているんです。大小作主義によって専業農家をふやし、そしてそれを農政が保護してあげるという仕組みを、柱を農政の中へ立てていかれる必要があるんじゃないか。農林大臣もう専門家でいらっしゃいますから言う必要もないでしょうが、問題はそれはわかっておるんですから、やるかやらないかの勇気だけなんですね、申し上げるのですが。私より専門家でしょう。そういう意味で、農林大臣にひとつその抜本的な農政の転換を農地法から始めていただきたいということでございます。いかがでしょうか。
○中川国務大臣 この農政は、非常にわが国ではむずかしいわけです。少ない面積に多くの農家の方々がいらっしゃる。国際競争力に負けるのも経営規模が少ないからで、自由化をすればたちまち負けてしまうのは一にかかって経営規模にあるわけなんです。 そこで、一時期、御承知のように農地管理事業団というものを提案して、そして小さい農家から大規模専業農家へ農地の移動をスムーズにする政策を昭和四十二、三年ごろやったわけです。これがたちまち野党の皆さんを中心にして小農首切りであるというので、農地管理事業団というものは日の目を見ないでその後経緯したわけでございます。 その後、それでは土地はできるだけ現行法のもとに移動するようにして、無理な農地管理事業団によらずに、利用権だけでも移動するようにということで昭和四十五年農地法の改正を行って、農地の利用権の集積ということをやって今日に至っているわけなんです。これもかなり最近、五十年の農振法の改正や、あるいは農地取得資金や新しい農業改善等で進んではきております。 しかし、ここでまた思い切り専業農家を育てることによって農村から小さな人々が離れた場合、いまの労働事情からいってこれはいかがなものだろうか。失業者の多い安定成長時代を迎えて、小さな方々から利用権だけでも離れるということになって、それだけの人々が労働的に吸収できる社会情勢にあるだろうか。この辺のところも考えてみませんと、一概に中核的な専業農家だけをふやして利用権のない農家離れということが、今日の社会情勢においてとるべきことかどうかということも反面考えてみなければならない大事な課題でございます。しかし、何といっても、生産性をしっかりとしたものにするのには専業農家を育成していかなければいかぬ、こういうことについては十分配慮してまいりますが、改革的な断行をすべきかどうか、その辺、私は思いきりやりたい方ではありますが、若干ちゅうちょしながら今日農政に取り組んでいるのはまさにこの辺にあることも、御理解いただきたいと存じます。
○大原(一)委員 いまおっしゃいましたけれども、農林大臣、実は、第二種兼業というのは半分以上サラリーマンなんですよ。半分以上サラリーマンです。首切られないです。この人たちは。ですからそういったことに着目しながら、やはり乗り出していく機会がいつか。これはもうこれ以上行き詰まってから一番最後にやることは何か、国有化しかなくなってしまうのですよ。そうじゃない。自由主義経済の前進のために、やはりある程度の犠牲は忍んでそういうことをやっていかないと、これまた、アメリカの牛と日本の牛とけんかさせる闘牛士に農林大臣がしょっちゅうなられるというのは情けないことでありますから、私は申し上げているわけであります。 余り農業の問題やっていますとあれですが、国有林野の問題ちょっと申し上げたいのでありますが、国有林野事業特別会計は、いま第二国鉄であります。大変ですね、この赤字は。五年前百億だったのがいま七百億ですよ。毎年赤字は累増。このまま行っちゃったら国有林野は一体どうなるのでしょうか。私は、知恵のある林業家や農家にその国有林を利用させるのが筋だと思う。そのために払い下げとは言いません。払い下げていただけばありがたいのでありますが、転貸ということによって、農林省もおやりになっているのでしょう。何と言うのですか、夏山冬里方式とか夏山冬山方式ということで試験に成功しましたとおっしゃっている。であるとすれば、畜産やあるいはまたその他の農業政策に、いまの国有林を思い切って生かされる方法はないか。 そこで、一つだけ方法論を提案したいのでありますが、現在国有林のあるところ、すぐ林産家へ買えと言ったってこれは無理ですね。ですから、地方公共団体ないしは森林組合へ転貸されることです。もちろん、売ることができるならば、その譲渡については大蔵省から起債の対象に認めていただいて、そういう積極的な活用を図っていただく手だてがあると思うのですが、簡単にお答え願います。林野庁長官で結構です。
○中川国務大臣 国有林の経営が乱れてまいりまして第二の国鉄になりかねない財政状況は、御指摘のとおりでございます。そこで、数年前、ある農林大臣が、国有林野はこれを都道府県有林として経営せしめることが望ましいのではないかという案をお持ちになったことがございます。ところが、国有林からは相当な反発、特に働く皆さんから職場がなくなる――当時の構想は、国有林は公的機能、すなわち治山治水、環境保全だけは国有林として残して、経営林は経営のうまくいっている地方公共団体、市町村に移すべきではないかという構想で、私どもも賛成したところでございますが、その後さらに経営は悪化してまいりまして、今日七百億から千億というような莫大な赤字となりまして、現在のところは財政投融資の資金援助で、木材価格の低迷あるいは公的機能というものも考えまして、地方公共団体に渡すというよりは、むしろ一回、この国有林の経営というものを再建してみようではないかと取り組んでおる次第でございます。 そこで、林道や造林に対しては一般会計からの資金を導入する、こういう画期的なこともやり、以前には先ほど申し上げた財政投融資によってつなぐ、そして二十年、三十年後の国有林のあり方というものを考えながら資金上、財政上の再建を図ると同時に、国有林経営そのものについても機構の合理化等、また働く皆さんにもいままで非常勤であった人を常勤化して励みがいがあるようなこと等々、一回ひとつ国有林を働く人も経営する人も思い直してこれを立て直してみようということで必死の努力をやり、何とかこの非常事態を乗り切って国民の国有林であるという姿に返したい、こう思う次第でございます。
○大原(一)委員 いまの農林大臣の発言を私の意見と全く同じであるというふうに解釈しまして、次に移りたいと思うのです。 次は畜産の問題でありますが、これは大変むずかしい問題をたくさん抱えております。私も調べれば調べるほどわからなくなるのが畜産の問題であります。一番わからないところはどこかというと、流通問題ですね。私は、端的に言って畜産は流通問題であるという認識を持たざるを得なくなりました。輸入についてもそうですね。輸入肉の割合は少ないけれども、畜産振興事業団から先がさっぱりわからない。四百何十円で入れて、千七百円で指定店の場合は売られているわけですが、指定店に行かないところの輸入肉は幾らで売られているかというと、恐らく国内肉と同じ値段で小売は売られていると思うのですね。そこらには膨大なマージンが出ているはずです。 私は、いろいろ数字をいじっているうちにこういうことに気がついたのです。宮崎の話ばかり出して、大臣、恐縮でありますが、宮崎で売られる子牛ですね、それは播州播磨か松阪へ行ってしまうんですよ。宮崎で売られるときはただなんです。本当にただなんです。なぜただかという数字は後で申し上げます。それが松阪へ行ったり神戸牛に化けるときは、国産和牛の最高級、ロース百グラム五千円なんという膨大な値段になってしまう。 そういうことでありまして、五十一年の繁殖雌一頭の値段、これは肥育するのに六カ月か八カ月かかっているわけですが、二十七万円であります。その所得を計算しますと三万三千円。家族労働賃金はゼロです。ただで養っているわけですね。その前、五十年が幾らかといいますと、家族労働賃金が日当八時間で二百五十円であります。そこで、播州播磨はどうなっておるか、これは播州の人に悪いですけれども、幾らになっておるかといいますと、そのとき日当は一万百六十円ですね。これを、この年だけじゃないだろうと思ってずっと調べてみましたら、宮崎は日当が五カ年間平均で千四百四十五円、播州播磨は七千円。これはどういうことなんでしょうね。やはり流通問題ではありませんか。 私はやはりその辺のことを考えて、現在の食肉流通市場の問題に入っていってみたのでございますが、農林省も、これは確かにいま四苦八苦しておられるのですね。御努力は認めます。大いにこれから部分肉市場をつくって、そして複雑怪奇な流通市場に少しずつ合理化の照明を当てようとしておる努力は認めます。しかし、それは東京だけですね。しかも、畜産局長にお伺いしたいのですが、御計画の部分肉市場では、アメリカから入った安いやっと日本の高い牛肉を一緒くたにして部分肉にするのですか、それとも輸入肉と国産肉とを分けて部分肉を出されるのですか、その辺お教え願います。
○杉山政府委員 牛肉の流通事情は、確かにほかの農産物と異なりまして非常に特殊なものがございます。子牛を育てる、その子牛を買って肥育する、その肥育の期間も、長いもの、特別上等なものになりますと、二年あるいはそれ以上もかけるというようなこともございます。それから取引が、生体で取引されて、これが屠場でもって屠殺される、それが枝肉となって、さらにこれが解体されて部分肉になり、精肉になるという非常に複雑な段階を経るわけでございます。この取引につきましては非常におくれている部分があることは事実でございます。 そこで、その取引の合理化、近代化を図るために、できるだけ市場流通に乗せるということで、中央あるいは地方卸売市場の開設を行い、この増設を図ってまいったわけでございますが、現在まで、その市場を通ずる流通は約三〇%でございます。そのほかは地方の食肉センター等を通じて、あるいは直接の取引を通じて末端まで流れるということになっておりまして、各種の形がとられているわけでございます。 そこで、今後の合理化の一つの方向として、既存の市場なり食肉センターを増強するということと並んで、むしろ枝肉価格と精肉価格とをつなげ、価格の連動性を確保するという意味で、新しく部分肉市場を開発してまいりたいと考えているわけでございます。 その部分肉市場において国産肉のみならず輸入肉も取り扱うのかというお話でございますが、現在私ども考えておりますのは、国産肉を扱う機構としての部分肉市場でございます。輸入肉については、従来から、これを末端に届けるために一番合理的だと思われる販売機能を持っております団体を通じて、これを事業団から販売いたしております。このやり方を併存させてまいるつもりでございます。
○大原(一)委員 部分肉市場は国産だけということですが、やはり現在の複雑な流通機構にはっきりメスを入れる。一番困るのは、安いのと高いのと一緒くたになって安いのが高く売られるということです。その辺はやはり消費者はわかりにくいのですね。だって、肉屋へ行って、これは外国輸入肉であるか国産肉であるかわからないのですから。そういったところがやはりわかるようにしていただきたい。せっかくこれからやる部分肉市場でありますから、ひとつお願いしたい。 時間がなくなりました。ただ一つ申し上げたいことは、畜産振興事業団の問題でございますけれども、もう少し畜産振興事業団の機能拡大はできないものでしょうか。流通機構の複雑怪奇な中で、いま畜産振興事業団は輸入肉だけなんですね。むしろ国産肉の中にも畜産振興事業団が入っていかれて、何かきれいな整理をしていって、そこに上がるマージンをもって生産者と消費者へ還元するような政策の立て方、これもさっきと同じで、大変勇気の要る政策であると思うのです。いろいろな利害が絡んでおります。十八団体、二十五市場、ないしは五団体等々、絡みに絡んでおる現在の流通市場を一刀両断にすぱっとやるわけにはいかないと思うのですが、畜産振興事業団の機能拡大によって、そこに上がった利益を生産者、消費者ともに還元していけば、中川農林大臣はアメリカと日本の牛をけんかさせるような闘牛士にならないで済むのではないかと思うのですが、流通機構の改革に大いにメスを入れていただきたいと思うのです。 時間がなくなりました、もう少し申し上げたいのですが、どうしても私、触れなければならない問題に土地政策があります。この問題を質問に差し上げてありますので、若干触れてみたいと思うのであります。 政府の住宅政策は、戸数はどんどん累増しております。しかしながら、宅地の供給は実績統計によれば逓減しております。その逓減度は三大都市圏において最も多い。統計はこういう状況なんです。来年度の政府の戸数計画に対応する宅地の見通しをお持ちですか。それをお教え願いたいと思うのです。
○櫻内国務大臣 主として宅地の不足する地域ということを考えますと、どうしても三大都市圏になると思うのであります。政府といたしましては、従来行われておるこれらの宅地に必要な公共施設整備の補助、これに加えまして今回特に別枠で下水道、街路、いろいろやろう、こういうことであります。また、この別枠でやる以外にも、今度は公共公益施設に対して、公益の方にも考えよう、これは建設省の所管ではございませんが、国土庁の方の事業調整費などの活用の道も開かれておるわけでございます。また、純粋の民間の宅地開発につきましては、住宅金融公庫あるいは開銀などの融資につきまして融資地域の拡大とか条件の緩和を行っておる、さらには土地税制を、御承知のように重課税のものを手直しをする、こういうようなことを総合して、御指摘のような、少しでも宅地の造成に努めたい、こういうような方針をとっておるわけであります。
○大原(一)委員 十分私もわかっているわけですが、実はいままでの政府の住宅政策というのは、戸数から始まっているのです。戸数から始まって上から下へ、宅地は何とかなるだろう、これは間違いですね。発想の転換をして、宅地が幾らありますから戸数が幾らという考え方に転換しない限り、これからの住宅政策はだめであります。 その数字を申し上げます。大体建設省の五カ年計画では、一年間に一万三千ヘクタール必要だとおっしゃっているのです。ところがどうでしょう、この五年間の推移を見ますと、一万三千はおろか、五十年一万、五十一年九千八百、五十二年はさらにそれを下回るという見通しであります。それから大都市におきましては、東京、大阪、名古屋でもって六千から七千が必要であると推定されるにかかわらず、現在のペースは四千から四千五百であります。これでは絵にかいたもちなんですね、住宅政策が。ですから、住宅政策は土地政策であるということは、数字ではっきりここに出ているわけなんです。 そこで、幾つかの提案をこれから申し上げるのですが、時間がございませんからまとめて申し上げますが、第一番目は、五十四年から見直しが迫っておりますところの、自治大臣の御所管でございますが、市街化農地の三大都市圏のAB農地の課税の見直し、これは四十八年の改正の附則に入って、五十一年に見直します。これが見直ししないで五十一年にまた附則に入って、五十四年から見直しますという、ずるずると延ばされてきておるものでありますが、私の考え方は、農地課税は充実すべきであるという考え方でございます。 現在行われております農地課税は、御承知のとおり減額制度があって、宅地並み課税の課税はいたしますけれども、ただし、必要に応じて、市町村段階で固定資産税の旧評価額に対する固定資産税相当額を控除することができる、この控除割合を見ましたら平均五三%減額、そうして面積で約八〇%がこの恩典を受けておるわけですね。そうしてまた数字を見ますと、ではその税制を導入してから一果たして市街化農地の宅地面積化ないしは転用化が進んでおるかというと、毎年逓減しております。したがって経済効果もこれは出ていないということになれば、五十四年度見直しによって、できることならこれを控除をなくして、本当に宅地並み課税に持っていくという問題が一つ。 さらに、現在放置されておるところの面積の一番多い、十一万ヘクタールからありますところのC農地の取り扱いをどうされるかという二つの問題が残されているのですが、簡単にお答え願いたいと思うのです。
○加藤国務大臣 ただいま二つの問題の御指摘がございました。 その第一点は、御承知のようなAB農地が三大都市圏の周辺、百八十三だと思いましたが、市におきまして、いわゆる宅地並みの課税処置がとられておるのでございますけれども、その中で、生産緑地法によりまして農地としてのみ課税いたすものもございますし、いま御指摘ございましたような一定の要件を備えております場合には市町村が減額をいたす処置がなされておるのでありまして、これを見直したらどうか、これが第一点であったと思うのでございます。 それから三大都市圏内におきます特定都市のC農地と、そうではない市街化区域に入っております他の市町村の農地もございますが、このC農地に対して見直したらどうか、これが第二点の御指摘であったかと思うのでございます。 そこで、前段のAB農地につきましては、御承知のように昭和四十八年度に現行制度が創設をされまして、A農地につきましては本年度をもって一・〇、かように適正化が最終的な段階を迎えており、またB農地につきましては五十三年度が最終段階であるのでございますから、いま直ちにこれを宅地並み課税の見直しの対象にいたしますかどうかは慎重に検討いたしたい、かように考えております。 なお、C農地の見直しにつきましては、御承知のように法律でこれを再評価いたす、かように処置をなすべきことが五十四年度まで、かようなことに相なっておるのでございますから、周囲の勘案をいたしながら、また各面の意見を聞きながら検討いたしてまいりたい、かように考えておるところであります。
○大原(一)委員 どうかひとつ、これは前向きで御検討いただきたいと思うのです。先ほど私が申しましたように逆立ち住宅政策というほどの現在の政府のおぼつかない宅地の見通しであるとすれば、ここには宝庫があるのですから、どうかひとつ思い切った政府の対応を示していただきたい。 ところで、農地課税をやります。やりますと吐き出します。吐き出しますが、その受け皿がミニ開発では、これは意味がないのですね。ですから、そこは思い切った区画整理事業の展開が必要であります。現在政府はその区画整理をやるために、三大都市圏における宅地等の供給促進に関する法律という、ややっこしい法律をおつくりになった。これは受け皿政策です。農地課税をやって受け皿をいたします。その中に特定土地区画整理事業、住宅街区整備事業というのがありますが、これを見てみますとほとんどメリットが上がってないのです。三十四地区で二千七百ヘクタール。住宅街区整備事業に至ってはゼロであります。東京は。関西で二十ヘクタール。確かに私、建設省のいろいろの、都市計画法からあるいは区画整理事業、市街地再開発事業等々を見ていきますと、総理大臣、いいことが書いてあって、それを見ますと、いかにもすぐにりっぱなものができそうなビジョンが書かれております。建設省のお役人、大変だと思うのですよ。ああいうビジョンを書かれる。法律を読むのも大変です。十幾つありますからね。いま都市計画法から、上位法から下の下位法までおりてくる。大変です。しかし、このままでは、やはりいま申しましたように絵にかいたもちになるので、その法律の中で一つだけ抜けているものがあるのです。それは私がいま申し上げる所有権と利用権の分離の問題であります。 総理大臣もこれには非常に御関心をお持ちであり、行政管理庁長官時代にりっぱな答申をお出しになっておる。さらにまた、宮澤企画庁長官はやはりそういう構想の持ち主とお聞きしております。瀬戸山法務大臣は、やはりあの行管庁答申が出るころ、苦心をされて、非常な発想の転換をされた方だと聞いております。私は、やはりこの際、三大都市圏だけでいいから、所有権と利用権を分離して、その利用権の何らかの形での公共管理が必要だろうと思うのです。そうしない限り、十幾つある現在のりっぱな法律というものについての実効性が期しがたいわけです。 たとえば、総理大臣、高度利用地区というのがありますよ。フランスやドイツでやっている高度利用地区、これ以下はつくっちゃいけない、りっぱな町にしようじゃないかと。書いてあるのを見ますと、あしたでもできそうに書いてある。ところがさっぱりできない。できないのは、やはり問題は、総理のいわゆる国土は公共的財産であるという、その発想の転換一つなんです。それを入れるか入れないかによって、この絵が、まさに画竜点睛を欠いた絵が生き返るか生き返らないかの境目だと思うのです。 たくさんございますよ。現在所有権の制限をやっているのは、一番ひどいのは調整区域です。家を建てちゃいけないというのですから、これははっきりした所有権の制限です。さらに都市計画法では、都市施設をつくりますと、つくりもしない道路を、世田谷には一キロメートル置きに道路が引いてあるのです。そこは鉄筋コンクリートをつくっちゃいけないというから、土地の値段は安くなるでしょう。ただし、それは線的規制。面的規制はまるっきりないのです。そういうことをやっていらっしゃる。さらにまた、建築基準法じゃ言うに及ばず、高度利用地区においてもやっていらっしゃる。用途指定もしていらっしゃる。ただ、ないものは利用権の公共管理だけなんです。それを導入することによって、やはり現在の都市計画法に一本柱が加わって、世田谷の町が五年か十年たつうちに――あのミニ開発じゃありません。大変な防火地帯で、危険なあの地区が高層化されて、広々とした公園なり緑地ができるのではなかろうか、かように考えるわけであります。 そういう意味で利用権の公共管理を行う。その大前提に、どなたかおっしゃっていましたが、所有権と利用権を離して利用権の転々流通を認めるのも手だと私は思うのですが、総理大臣、もう一歩でございます。その辺についての御見解をもう一度お伺いいたしたいのであります。
○福田内閣総理大臣 御説のとおり、住宅問題は宅地問題をおいて考えることはできない。宅地と住宅問題、これは両者一体だというふうに考えておるわけです。 私も、この問題はいろいろ検討してみたことはありますが、結局、考え方の基本としては、ただいまお話しのように、土地というものにはかなり公共的な色彩の考え方を導入するということ以外にはないと思うのですが、それをどういう程度に導入していくか、その辺が、これから住宅問題の基盤としての宅地問題を考えるかなめになってくるのだろう、このように思います。これはなかなか一朝一夕にという問題でもありませんが、これはそういう心構えを持ちまして粘り強くやっていってみたい、かように考えます。
○大原(一)委員 総理、農業問題も大変な大きな問題であります。食糧の自給率がなくなって将来食糧がなくなったときに、えらい高い品物を買わされて、石油のかわりに食糧を買わなきゃならぬという国になったら、これは日本沈没だと私は思うのです。それが、先ほど言いましたように動脈硬化を生んでおる。土地政策についても、ビジョンはあるが、やはり動脈硬化を生んでおる。たとえば高度利用地区と先ほど言いましたけれども、やっているところはどこかと言いますと、江東地区が一つ、阿倍野地区が一つ、二つしかないでしょう。あれだけりっぱな法律があって、そしてやっているところは、やはり住民との話し合いは当然あるでございましょうが、そういったことで、非常に私権が強いために公権が絶えず遠慮しよる。 土地問題については、ある程度公共の福祉ということを優先させて東京、大阪、名古屋ではやっていただかなければ震災対策も進行しない。少しずつでもいいからそういう前進を現在の法体系の中へ期待をしたいわけでありますが、もう一つ欠けたものがあります。農地課税をやります。私権の利用権の分離をやります。最後は地価の凍結です。これをやらなければ全然意味がありませんね。三大都市圏における地価の凍結、そして農地課税をすれば吐き出す、一方は受け皿は公共管理、さらにまた稠密地域における地価の凍結と公共管理、これらを組み合わせていけばできるわけです。これは頭の体操なんですよ。ただ、政府がそれをやるかやらないかという転換なんですね。 私は、土地が経済に対して非常な負荷量になっていると思うのです。工場をおつくりになるのだって、土地の代金が金利に化けてコストの高いものになっていく。さらにはまた、住宅の高いところに福利施設をつくらなければならない。それが企業の負担になっていく。すべて地価がコストの上昇、企業の競争力を弱めていく。むだなところへむだな費用をかけなければならぬということになりますと、日本の自由経済の活力が土地によってむしばまれることになります。そういう意味で、いま地価の凍結論を、少なくとも三大都市圏で御提案を申し上げたわけですが、この点について、大臣、もう一回お答え願いたい。
○福田内閣総理大臣 地価は、四十七年、八年と、あの辺で暴騰いたしたわけです。しかし、その暴騰に対しまして国土利用計画法というものができて、その立法ができるころから地価は非常に鎮静化いたしまして、今日多少の値上がりを示す動きもありまするけれども、これは多少のことでありまして、地価が他の物価が上がる勢いで上がるというような傾向は全然見られません。 ただ、いま、国土利用計画法におきましては、ある特定の地区が地価が暴騰するという傾向が見える場合には、その地区を指定地区とするわけです。この指定地区といたした場合におきましては地価の凍結ができるわけでございまして、法的には体制は整っておるわけですが、今日地価が国土利用計画法の発動を必要とするというような事態まで来ておらない、地価の動きは、これは大変なことでありますので政府としては注意してまいる、かような考えであります。
○大原(一)委員 総理大臣は、いつまでも総理をおやりになっているのじゃないのですから、総理大臣のあのビジョンは私は非常に賛成なんですから、もういらっしゃるときにやっていただかなければ、あとだれがやるかわからないというような感じがいたします。私はそういう意味で、地価問題も、現在の自由経済の行き詰まりの非常に大きなファクターであって、それにメスを入れなければ活力は出てこないほどがん的症状を呈していると言いたいのです。 総理大臣は地価の上がりが少ないとおっしゃいますけれども、そうじゃないのですね。現在の地価規制区域だって、消費者物価の八〇%、それから何か資材価格の二〇%の加重平均で上げていきますというのですから、これは物価追随連年改定の地価でありまして、規制区域だって地価は上げることになっているわけなんです。 そういう意味で、現在は石油ショックのそういった余波が土地にも影響しておりますけれども、これはいつでも爆発する可能性がある有限の資源、最も有限の資源ですから、やはりこれの値段というものは――それはいまの鎮静は投資の鎮静が影響しているだけの話でありまして、これは一たん火が噴きますと非常に危険な因子であると、かように申し上げたいのであります。 それから、最後になりましたが、私は金融硬直化論ということを申し上げたいのです。財政の対応について幾つか質問したかったのでありますが、時間がございませんので、大蔵大臣にお伺いしたいのですが、私が何を言おうとしているかといいますと、現在の国債発行の増加額と預金の増加額を比べてみますと――国債ではありません。新発債でありますから、政保債、公共債全部でありますが、預金増加額に対して政保債の割合は、五十年度三七%であったものが五十三年度には七割にふえます。一番ひどい例は、都市銀行の預金の増加額六兆に対して公共債六兆円、預金増加額を民間へ回す余力なし。地方銀行の場合は、四兆五千に対して三兆円、七割というものが公共債に吸い上げられていくという感じになってまいります。 しかも、国債発行はどうなっておるかといいますと、それほど金融市場に大きなウエートを持っておる国債が、金利が硬直化されておるということですね。これはいろいろ理由がありますが、政府と引き受けシ団の方で決まるわけでございましょうけれども、自由化されていない。それが結局量的硬直化を生み、かつまた金利の面でも金利政策の硬直化を生んでおる。国債がそれほど大きな金融市場に対するファクターとなってきておるということですね。この前の事業債の決定にいたしましても、国債との差は〇・〇四二、一時は一・二八%あったものが現在〇・〇四二、国債に遠慮しながら、国債はそれを見ながら決まっておる。国債の金利というものがいかに大きなウエートを占めておるかということであります。 この際、大蔵大臣、時間がありませんからお伺いしますが、金利の自由化をおやりになる気はないか。自由化という言葉は大蔵省はきらいますが、弾力化というわけでありますから同じことです。市場入札によって国債を発行され、そして民間金融機関の弾力性を取り戻される御意志はありませんか。ひとつお伺いしたい。
○村山国務大臣 いま、二つの点を大原さんは御指摘になったわけでございますが、一つは、新規預金の増に対して公共債の発行が非常に大きい、だから、そういった意味で一体大丈夫かどうかという問題と、それから国債発行の金利、それが硬直化していないかと、この二点でございます。 おっしゃるように、今度の公共債は大体二十一兆ぐらい考えているわけでございます。新規預金の増は大体一三%ぐらいで伸びるのではないかと思いますので、大体三十三兆ぐらいでございます。単純に比較いたしますとこれはなかなか大変でございますが、御承知のように、その二十一兆のうちで引受機関による分は大体十四兆でございまして、十四兆と比較さるべき問題でございます。なお、日銀のオペあるいは金融機関の金融市場以外への売り渡しといったことを考えますと、大体十兆少し残るのではないかと思います。したがって、大体三割二分程度くらいになって、そして市中金融に回る方が六割八分ぐらいじゃないかと、いまそのように計算しておりますが、それとてもなかなか大変であることはもう言うまでもございません。しかし、現在の金融情勢から考えますと、いまの状況ではまずそう心配ない、将来いろいろな民間資金の需要が出たときにどうするかと、われわれはいまそれを考えつつあるところでございます。 次に、金利の自由化の問題あるいは弾力化の問題でございますが、金利の自由化というのは、端的に申しますと、いまのところ預金金利の自由化というのが一番ティピカルなことでございます。しかし、私は、日本のように間接金融を中心にしておるときには、直ちに金融の自由化をやるということはなかなか大変なことになるであろうと思います。なぜならば、それはやはり収益の高いところにその資金は流れるわけでございますから、省エネルギーの問題とか、あるいは公害対策の問題だとか、採算の悪いところにはなかなか回りにくい金融構造を日本は持っております。そしてまた、現在中小企業に対する金融は主として中小金融機関がやっているわけでございますけれども、万一それを自由化いたしますれば、金融の再編成のみならず、それを通じて中小企業への金融がどうなるかという問題を当然検討しなければならぬわけでございます。その意味で、金利の自由化というのは一つの方向ではございますけれども、私は、やはり現実的に順を追って弾力化からいくのが、日本の現在の金融構造から言っては適当ではないかと思います。 ただ、御指摘の点の国債の発行条件をどうするかという問題は、これはいま大いに弾力化をやっておるわけでございまして、幸いにして公社債市場は拡大しておりまして、流通利回りがかなり自由化されております。これを発行市場の方にどんどん反映させていくということ、これが一つ。それからまた、公共債の発行の態様をいろいろニーズに合ったものにしていく。あるいはまた投資家の立場で申しますと、いろいろな情報を与えておく必要があるわけでございますので、現在いろいろな気配相場その他を全部やっておるわけでございます。 最後に、入札制にしたらどうかという問題でございますが、この問題もいま順次いろいろな点で考えておるわけでございますが、一挙にはいかぬわけでございます。御案内のように、先般、運用部の持っておる物に対しまして一種の入札制度のようなものを実施いたしておるわけでございます。ですから問題は、これは漸を追うておっしゃる方向に持っていくということで、急激にはなかなかいまの金融情勢から合わないのではないか、かように思っておるわけでございます。
○大原(一)委員 もう時間がありませんから、これで終わります。まだいろいろお伺いしたかったのでありますが、総理大臣、もう全部硬直化ですね。この硬直化を打開する道は、これは福田総理しかいらっしゃらないわけですから、土地も硬直、農業硬直、金融硬直、財政硬直、これはもう全く硬直しちゃってどうにもならない動脈硬化症状でありますから、思い切った政策の展開を期待しまして、私の質問を終わります。
○中野委員長 これにて大原君の質疑は終了いたしました。 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(共) 私は、日本共産党・革新共同を代表して、最初に、日本への米軍の核持ち込み問題についてただします。 不破書記局長がこの予算委員会におきまして、米第一八戦術戦闘航空団による核兵器の重大事故を想定した演習や、あるいはまた核爆撃の準備としてのいろいろな訓練、そういう事実を米軍の資料によって示しました。そして嘉手納基地には核兵器が貯蔵されているという疑惑、あるいは核を搭載した米軍機が通過している、入ってくるという疑惑が非常に大きいということを示したわけでありますが、引き続き、アメリカのクレイター米海軍長官が二月七日、米上院軍事委員会で、横須賀を母港とするミッドウェーについて、核攻撃用航空機の母艦としての役割りも果たしたということについて証言したわけであります。 こうしてアメリカの艦船、アメリカ軍による核兵器持ち込みの疑惑はいよいよ大きくなったと言わなければならないけれども、ところが、これまで政府は、こういういろいろな事実や証言が出てくるたびにどういう態度をとったのか。この疑惑を、事実を確かめて晴らそうとしない。調べて晴らそうとしない。そうしてもっぱら、アメリカを信頼すべきであるということを繰り返してきた。お茶を濁してきた。これは大変遺憾だと思います。 私は、この立場から、日本への核持ち込み問題につきまして、以下具体的な質問をしていきたいと思いますが、まず、四十八年十月九日の内閣委員会で、中路雅弘議員がやはりミッドウエーの核兵器積載の疑問についてただしたときに、そのときの久保局長が、アジアにおける米軍の個々の部隊そのものは核装備をしていない、現実に核兵器を持っていないと、こういう答弁をしましたが、防衛庁長官、アジアにおける米軍、これは太平洋軍が展開しているわけでありますが、いまでもこの質問に対して同じような認識、判断を持っておられるか、これを質問します。
○金丸国務大臣 同じ考えを持っています。
○工藤(晃)委員(共) 大変はっきり答えられましたが、米軍当局及び米国政府は、太平洋統合軍司令部が責任を負う地域の中に核兵器が存在する事実は秘密としていない。したがって、太平洋空軍に核兵器があるという事実、これに関しては秘密でないという態度をとっていることを知っていますか。 これは総理に伺います。アメリカ政府が太平洋空軍あるいは太平洋統合軍管轄の地域においては核兵器を持っていることを秘密にしていない。ある、これは認めていいんだという立場をとっている。そうすると、この前の久保局長の答弁並びにいまの防衛庁長官の答弁はこれと反することになりますが、それを知っておりますか。
○福田内閣総理大臣 お尋ねのことは私よく承知しておりませんが、要するに、わが国といたしましては、御承知のとおり非核三原則というものを堅持しているわけです。これは国会の御決議でもあり、私どもは憲法にも似た国是であると、こういうふうに考えておるわけですが、アメリカ政府は、この日本の核政策につきましては十分これを承知しておる、日本政府の核政策の線に沿って行動する、それから、もし非核三原則に反しまして核の持ち込みでありますとか、そういうようなことでありますれば事前協議という方法があるじゃありませんか、こう言っておるわけでありまして、私どもは、アメリカの明確な言明に対しまして、これを信頼していくという態度をとっているわけであります。 〔委員長退席、毛利委員長代理着席〕
○工藤(晃)委員(共) ところが、ここにありますが、これはアメリカ空軍の正式の資料であります。セキュリティー・ブロードキャスターズといって、米空軍保安警備監察官事務所が発行した公式文書であります。この中に、太平洋統合軍司令部が責任を負う地域の中に核兵器が存在する事実はアメリカとしては秘密にしない、したがって太平洋空軍に核兵器があるという事実も秘密でない、ただし、もし国名を挙げて所在を特定されると、その情報については秘密扱いとされる――どこで決まったのか。これは原子力委員会と国防総省合同の核兵器についてのいろいろな情報を、どこまでは秘密にし、どこまでは秘密にしないかという、その区分を応用して太平洋統合軍に当てはめると、太平洋統合軍の司令官の管轄区域、これはアジア、日本をもちろん含みます。そこに核兵器があるということは秘密でない。あるということを認めているのです。 これはアメリカ軍当局としての統一した態度としてそうなんですから、そのことをどうして日本政府は知らないのですか。それに基づいた答弁がなぜできないのですか。この資料をよく見てください。それで、もう一度こういうことを検討してはっきり答弁していただきたいと思いますが、どうですか。こういう資料があるのです。この中に書いてあるのです。答弁し直していただきたい。
○金丸国務大臣 アメリカがよその関係に核兵器を持っておるということについては、私は存知しませんが、日本にはないと信じております。
○工藤(晃)委員(共) 私の質問に答えてないと思うのです。これは内閣委員会で四十八年十月九日に行われた質問で久保局長が答えたときには、アジアに展開している米軍にないという判断、認識、それを示された。そして、いま防衛庁長官、同じ認識だと言うから、違うじゃないか。米軍としては、米軍に聞いたってこのとおり答えるわけなんですから、なぜそういうことを言えないのか。そこで、答弁し直していただきたい。
○伊藤(圭)政府委員 四十八年の久保局長の答弁そのものはいま私手元にございませんけれども、アジアの米軍が核装備をしていないということをそのとおり言っているとするならば、いわゆるヨーロッパの戦線とそれからアジアとを比較した場合に、アジアにおいて戦術核を最初から使用するような事態というものはヨーロッパに比べると少ないので、常時核装備をして哨戒をしたり何かしている公算は少ないというような意味で答えられたものではないかというふうに判断をいたします。
○工藤(晃)委員(共) この前の久保局長の答弁は、アジアにないという政府としての判断を示したんで、公算とかなんとか、そういうことじゃないわけであります。 委員長、そこで、この問題については、ぜひ政府として資料に基づき米国政府に問い合わせ、至急この委員会においてはっきり答弁し直す、そして前に政府が、そしてここでも、アジアを含めての太平洋軍のところには核兵器がないといったようなこれまでした答弁に対して、これをし直す、そういうことを私は求めるものでありますが、委員長、よく取り計らっていただきたいと思います。そして私は、これは質問を留保しますが、よろしいですか。
○毛利委員長代理 伊藤防衛局長。
○工藤(晃)委員(共) 調査をしてからの答弁でいいです。
○毛利委員長代理 答弁してください。
○伊藤(圭)政府委員 その後アメリカが、核弾頭につきましてその所在を明らかにしないということでございましたが、シュレジンジャー長官のときに、ヨーロッパには戦術核の弾頭が七千発、韓国にも核弾頭があるというようなことは述べております。したがいまして、アジア全域を考えますと、それは核兵器といいますか、核弾頭も配備されているということは想像されるところでございます。
○工藤(晃)委員(共) そうすると、前の答弁と違うじゃないですか。さっきはないと、久保局長と同じ答弁だということだったじゃないですか。
○伊藤(圭)政府委員 先ほど御説明申し上げましたのは、久保局長の答弁の御紹介がございましたので、その趣旨は、極東におきましては、その弾頭というものをすべての米軍の兵力が常時装備しているということの公算は少ないというような意味で御説明申し上げたというふうにお答え申し上げたわけでございます。
○工藤(晃)委員(共) これは、こういうあいまいな答弁ではとても国民は納得できませんから、私が先ほど言いましたような趣旨で質問を留保させていただきます。それで、よく調べた上で正式に答弁を求めたいと思います。
○毛利委員長代理 ちょっと理事お集まりください。――工藤さんにお答えします。議事録を見て後ほど理事会で相談をいたします。
○工藤(晃)委員(共) それでは、続いて私は、米空軍航空輸送軍団、MACと言われておりますが、それによる日本への核持ち込みないし一時通過の疑惑が大きいので、この問題について伺います。 これは五十年四月、参議院の外務委員会でわが党の立木洋議員の、三四五戦術空輸中隊の問題についての予算委員会に引き続く質問の中で、これはアメリカ政府に政府が照会したところ、核兵器輸送は西太平洋方面の輸送を担当しているMACの中の第三七四戦術空輸航空団のあり得べき任務の一つであるということを認めました。これに引き続いて聞きますが、その後政府は、このMACが日本にも来ている、横田が使われております。その場合、MACの使用しているどの機種が核兵器輸送に当たっているのか調べましたか。そして、それが日本の基地にふだん見かける機種であるかどうか、それを伺いますが、これはひとつ外務大臣お願いします。
○中島政府委員 まことに恐縮でございますが、先生の御質問の要点、必ずしもよくとれませんでしたので、もう一度お聞かせいただければ幸いに存じます。
○工藤(晃)委員(共) こうやって時間が余りとられるのははなはだ遺憾でありますが、よく聞いてください。 MACが核輸送に当たっている、任務を負っている、そういうことはすでにこれまでの答弁で政府としても答弁している、「あり得べき任務の一つ」といった抽象的でありますが。しかし、そうであるならば、これは日本国民にとって大変大事な問題でありますね。そのときMACの中で核兵器輸送にはどういう機種を使っているのか、政府は当然調べていいと思いますし、その機種が日本へ常時駐留しているのか、飛来するのか、それについても調べていいと思いますが、その点をお答え願います。
○中島政府委員 突然のお尋ねでございますので、その特定の部隊がいかなる部隊であるか、そしてどのような構成を持っておるものか、私は直ちにお答えする立場にないわけでございますが、いずれにせよ、先ほど来総理からもお話がありますように、核のわが国に対する持ち込みは、これは事前協議の対象であることは明々白々たる事実でありまして、そのような安保条約に基づく約束は必ず守るということをアメリカが従来から確言しているわけでありまして、それをわれわれとしては確信しているわけでございますから、そのような何か特別の部隊が、われわれの知ることなしに、事前協議を持ちかけることなしに核を持ち込んでくるということはあり得ないことであるというふうに信じております。
○工藤(晃)委員(共) 私は、日本の核持ち込みについて質問すると事前に通告してあるわけであります。そうすれば当然、問題はしぼられてくるのはあたりまえであります。それで、しかも五十年四月、参議院の外務委員会でこういう政府の答弁があったわけです。MACと言われる米空軍航空輸送軍団は核兵器輸送の任務に当たっている、あるいはあり得べきことである、こういう答弁もしているから、当然これはいま真っ先に問題になるわけであります。 そこで、私はここで問題をもっとはっきりさせたいと思いますが、これもここにあります米空軍の資料によりますと、これはティッグブリーフといわれる米空軍監軍局長のブリーフィングであります。この七五年十二号によりますと、核兵器空輸安全についていろいろ指示を述べておるところで、先ほどのMACが米陸海空軍全軍のために核兵器空輸の任務を遂行していること。それから同じくこのティッグブリーフの七四年十五号では、核兵器を空輸する空軍の輸送機はC141とC130である。C141とC130については、核兵器空輸のための取り扱いに関する秘密のマニュアルが発行されている、これがはっきりしているわけであります。いま首都東京の横田基地には、三四五戦術空輸中隊が来ておりますが、これは嘉手納から七五年九月移ってきたのです。核兵器空輸の任務のC130が十八機常駐しており、さらにC141は多いときで二十回、ごく最近は少なくなっておりますが、一日五、六回飛来するわけであります。 このように米軍の方が、これが核兵器輸送に使われる機種である、こういうことは、政府、少し聞けばわかるんじゃないですか。これは前から問題にされていたわけです。沖繩の嘉手納にいたときから。どうしてこういうことについて調査しないのか、こういうことについて私、ひとつ総理の答弁を求めたいと思います。
○福田内閣総理大臣 私、その話を聞いておりませんけれども、調査するというそのことを政府はお約束をしておるということであれば、調査しておらぬはずはない、こういうふうに思いますが、きょう突然、そういう具体的な特殊な事例のお話があったので、恐らく資料等の用意をしてない、そういうことかと思いますが、御要請があればいっでも調査をいたします。
○工藤(晃)委員(共) いいですか。わが国は非核三原則を持っていて、国民は絶対にこれは守ってもらいたい、守らせなければいけないという立場であります。そこで、先ほどのアメリカ政府の資料が示すように、太平洋軍、太平洋に展開した軍、これはMACはまた別でありますけれども、たとえばそれは核兵器持っているんだ、しかしどこにあるということは言えないんだ、言わないことにしている。そういうとき、アメリカ側はここにあるとは言えないよと言うことは、政府の方はそれがいかにもないかのような証拠になるように考えて、あるいは扱おうとしているけれども、そうじゃないでしょう。向こうは、あるんだけれども、どこにあるかということは言えない、むしろ、どこにあるとは言えないよと言えば、それはない証拠にならぬということがわかるわけであります。 さらに、このMACについて言えば、もうすでにそういう核輸送、核兵器輸送、これが明らかになっているときに、そしてまた日本に、首都東京に、それだけこの任務を帯びた機種が飛来しているときに、非核三原則を守ろうとする政府が、われわれが調べてもこういうことはすぐわかることをなぜ調査もしない、確かめもしない、そこを私は追及しているわけであります。
○伊藤(圭)政府委員 先生の御質問というのは、きわめて端的な御判断のようでございますが、アメリカが持っております輸送機というのはC130、C140、それからC5という大型のものもございます。したがいまして、核兵器を輸送する能力はあるということは当然でございましょうが、だからといって、それが常に核兵器だけ輸送しているというものではもちろんないわけでございます。したがいまして、その核を輸送するためだけの飛行機なんというものは輸送機ではあり得ないわけでございますから、こういった輸送機というものは輸送任務を持って世界の各地に飛ぶということは当然あるわけでございまして、その飛行機が来ること、すなわち核を運んでいるんだという断定ということは、あり得ないことだと私は思うわけでございます。
○工藤(晃)委員(共) 大変とんでもない答弁だと思うのですね。先ほども、たとえば韓国には核があるということは、アメリカもほぼ認めている。どこから運んでくるのですか。やはり嘉手納とか横田を中継して核兵器が運ばれることになるじゃありませんか。それに、ここに示しました内部の資料によってもはっきりC141、C130、これについて、核兵器を輸送するそのための特別のマニュアルを出している、ほかの機種は実は挙げられてない、こういうことも見るわけであります。しかし、何と言っても否定することばかりで、なぜそういう疑いがあるならば調査しないのか、その問題にまた立ち戻ってくるわけであります。 この前、不破書記局長が質問したときに、パープルプローズ演習やブロークンアローなどを示ししました。 〔毛利委員長代理退席、委員長着席〕 総理は一方的な資料だと言われました。ところが、在沖繩の米軍はもう認めたじゃないですか。そういう演習を確かにやりました、こういう核の重大事故が起きたときの演習、これもやっております。これは別に沖繩だけでなしに、あらゆる空軍基地ほとんどでやっているだろう、ということさえ言います。しかし、こういう米軍への問い合わせば、これは政府がやったのですか。そうじゃなしに、通信社や新聞社が、これは大変なことだと思って米軍に問い合わせると、ちゃんと米軍が答える。ところが、政府はどういうわけか、積極的に事実を確かめようとしない。知ろうとしない。国民に知らせようとしない。このことを私が追及しているわけでありますが、どうですか。この前、一方的と言われましたけれども、共産党がいままで米軍関係で出した資料に、何か偽りがあったことがありますか。そういうことも考えて、出したものを一方的と言うより前に、政府がそういうことを真剣に調べないからわれわれが調べなければいけない。その姿勢を正していただきたいと思いますが、総理、お答え願います。
○伊藤(圭)政府委員 せんだっての御質問の際にも、総理はごらんになっておりませんでしたけれども、実は事務的に私どもは、四十九年の時点で同じような、ブロークンアローという訓練をやっているではないかという御指摘がございまして、当時、外務省がアメリカの方にそれを問い合わせております。そのときの米側の回答をあのとき御答弁申し上げまして、こういった核兵器の取り扱いについては属人的なものであって、その核のないところにおいてもそういった訓練というものは常時やっているのだというような返事をもらっているということを御報告申し上げた次第でございます。
○工藤(晃)委員(共) そういうのは答弁にならないと思うのです。先ほど言いましたように、このMACが横田に常駐している、飛来する。そして米軍の方で核兵器輸送に当たっている機種、それが常駐し、常時飛来している、こういう状態。そしてまた沖繩の米軍が、本土の空軍基地も含めてこういう核の重大事故が起こるかもしれない、それに備えた演習をやっているという。ここまではっきりさしているときに、われわれ国民、都民にとったって、これは重大問題であります。こういうときに本当に非核三原則ということを考えられるならば、主張するならば、そういうことを表向き言われるならば、なぜ積極的にこういう問題を確かめないのかということです。 以上、私が提出した諸案件に対しましてもっと積極的に米軍に問い合わせ、あるいは事実を調べる、そのことを最後に総理、この問題での答弁をお願いします。これは総理にお願いします。
○伊藤(圭)政府委員 先ほど来先生の御質問は、とにかく核を保有する能力があるか、あるいは核を運ぶ能力があるかということがすなわち日本に核があるというようなことでございまして、外務省は再三そのことと、それから日本に核があるということとは全く別問題であるということを、従来から御答弁申し上げておりますし、外務省の方でも米側に再三それを確かめているところでございますから、改めて問い合わせるというような必要はないと考えております。
○工藤(晃)委員(共) これは許せないですよ。能力があるからすなわちあるというようなことを私は申していない。しかし、疑惑があるじゃないですか。疑惑があるのを調べないでどうしてそういう答弁ができるのですか。やり直してください。
○中島政府委員 ただいま防衛局長からもお話がありましたように、核を運搬する能力があるという事実から核を持ち込んでおるという結論を出すのは誤っているのではないか。また、核の事故の場合の対処の訓練をやっているということから核爆弾がそこにあるというふうに結論するのは誤りではなかろうか。私どもといたしましては、日米安保条約に基づきまして、およそ核が日本に持ち込まれるということであれば、当然に事前協議が行われるべきものでございまして、アメリカはその約束を誠実に履行するということを言っております。日米安保条約も日米間の信頼関係に基づいて成り立っているものでございまして、アメリカから事前協議の話がない以上、わが国に核は持ち込まれていないという点については政府としては確信を持っておる、したがいまして、そのような疑惑を持ってこれを問い合わせる必要はないというふうに考えている次第でございます。
○工藤(晃)委員(共) この問題は今後も追及しますが、まさに、そこにいまの政府の姿勢があらわれたじゃないですか。非核三原則をどうしても守らなければいけない。そういう姿勢でどうして守れますか。アメリカ軍が持ち込んでいるという疑惑がこれだけ大きくなっている。その時点になってもなおかつ積極的に調べようとしない。アメリカを信頼しなさい、アメリカを信頼しなさい、これをまさに十年一日のごとく繰り返してきている。こういう政治姿勢をまず正さなければいけないと思いますが、私は次の質問に移りたいと思います。 次は、日米通商交渉の問題について伺いますが、総理自身も述べましたし、ストラウス代表も二月一日、上院財務委員会国際貿易小委員会で証言しましたように、アメリカ政府は今回の日米交渉で日本政府がもっと高い成長率を達成する政策をとることを促した、こういうことでありますが、これに関連しまして、一月十三日の共同声明によりますと、七八年度七%の実質経済成長の「目標を達成するため、公共支出に関し既に発表された諸措置を含め、合理的かつ適切なあらゆる措置を講じる」意向である、というふうにこの共同声明になっておりますが、この「合理的かつ適切なあらゆる措置」ということで「あらゆる」となっておりますが、内容は何でございますか。目標がもし達成されない、進行に狂いが出たときには追加措置をとる、大型補正を行う、こういうことまで含んでおるのですか。こういう点について、これは牛場大臣に伺いたいと思います。
○牛場国務大臣 ここで申します「合理的かつ適切なあらゆる措置」といいますのは、これは日本が合理的かつ適切と考えることということでございまして、内容はここに、「公共支出に関し既に発表された諸措置を含め、」とございますけれども、いまの国会で論議を願っておりますいろいろな問題、予算の問題、それから、これは民間の資金の動員でございますけれどもエネルギー関係の建設の促進、そういうものを含んでいるわけでございます。 それから、達成がむずかしくなったときの追加的措置ということでございますが、これは当時はもちろんまだ予算も、いまでもそうでありますけれども、決まっておりませんし、予算の審議中でございますから、そういう追加的措置を考えることは早過ぎるということで、この点は一切コミットしてございませんです。
○工藤(晃)委員(共) 続いてこの点を聞きたいと思うのですが、アメリカ政府が経常収支の黒字、これを早く縮小せよ、赤字にした方がいいじゃないか、こういう要求だったこともはっきりしておりますが、共同声明の中で「日本政府は経常収支黒字の大幅な縮小を達成する方策をとっておる。大臣は、」これは牛場大臣のことでありますが、「一九七八年度においては、大幅に縮小するであろうとつけ加えた。」どうやって縮小するのか、何を通じて縮小するのか、三つ書いてありますね。一つは「内需の拡大」、これは大型予算と関係していると思います。第二は「最近数カ月における円の切り上がりの効果」、三つ目が「外国商品の日本市場に対するアクセス改善の新たな措置を通じて」、しかもまだあるのです。「一九七九年度以降もすべての合理的な努力が続けられる」そして「赤字が将来生じても受け入れられるであろう。」こういうことになっている。ここで、「一九七九年度以降もすべての合理的な努力が続けられる」ということは、いま言った一、二、三を受けてのことだと思いますが、大体そういう内容でありますか。
○牛場国務大臣 大体そういう内容になると存じます。 それから、ここに「現下の国際経済情勢のもとでは」とございますのが、これが一つのポイントでございまして、いまのように毎年四百億ドルくらいの黒字がOPECのふところにたまっておる、こういう状況が続く限りにおいては、日本としては国際的な責任を分担するという意味におきまして、経常収支の黒字の大幅な削減を図るということを申したわけでございます。
○工藤(晃)委員(共) そうすると、この共同声明の内容というのは大変重大な点があると指摘せざるを得ないわけであります。この「内需の拡大」、「外国商品の日本市場に対するアクセス改善」、それに加えて「最近数カ月における円の切り上がりの効果」ということが書かれておりますが、これは昨年円がどんどん切り上がっていってしまって、二百四十円までいってしまった。これはいまの日本経済の実態から言えばきわめて異常な、日本経済の正常な拡大に対しては不利なレートであるということは言うまでもないのですが、もうすでに数カ月間に起きた円切り上げに対しては、政府としてはその効果を待つという立場になるということになるじゃないですか。しかも引き続き、それで効果が出なければ、次の年度もさらに円高が進むことを含めて効果待ちということになるし、また同時に「外国商品の日本市場に対するアクセス改善」、これはいろいろ問題があると思いますが、農業問題をとってみても、今後も日本農産物に対していろいろいま懸念されている重大な影響があると見られるところの市場開放策は次の年度にさらに今後も続ける、こういう内容じゃないかと思いますが、どうですか。
○牛場国務大臣 円の切り上げの効果と申しておりますのは、効果というとえらくいいことを言っているようでありますが、そうではないのでありまして、最近数カ月間に非常に円が上がったために、どうしても明年度になると恐らく日本の輸出に影響が出てくるだろうということを申したわけでございまして、御承知のとおり通貨の変動は当初はかえって逆の効果を生じます。円が切り上がりますと、かえってドルベースにおける輸出がふえるということがございますが、そういうような効果がだんだん消えてまいって、来年度になると恐らく日本の輸出の伸び方が少し減るだろう、こういうことを申したわけでございます。 それから、明年度以降につきましては、もちろんそういうことを要求しているわけではございませんで、この重点はむしろ内需の拡大、それから工業製品の輸入の拡大、こういうことを考えている次第でございます。
○工藤(晃)委員(共) いまのような答弁がありましたけれども、要するに最近数カ月における円の切り上がりの効果といったら、それがいろいろな複雑な過程をとるにせよ、もう数カ月起きた異常な円高というものをはっきり認めて、それが黒字縮小につながるような効果を待つ、こういう姿勢一であるし、しかも、このように「あらゆる努力」をする、今後も「あらゆる」ということを先ほど牛場大臣がはっきり答えられたように、この三つを含んで「あらゆる努力」ということになれば、さらに進むかもしれない円高の効果を待つ、そういうことにどうしてもなるということを指摘せざるを得ないわけでありますが、さらに次の問題に移りたいと思います。 ストラウスが二月一日、アメリカの上院で証言しておりますが、「今回の交渉の最終的成果は、今後のアメリカ側の努力いかんだ。アメリカ側が相当努力しなければいかぬ。それはどういう努力かというと、われわれは政治的決意を維持し、」これは最後のところに書いてあります。「日本がこの共同声明どおりきちっとやるかどうかを確かめる」、この「確かめる」という意味はいろいろ訳されますが、審査をするともとれるような、「方策をとらなければならない。」したがってストラウスは「この成果について検討し、モニターし、六カ月に一度以上頻繁に議会、大統領に報告する、このことを大統領に勧告した。」と書いてあります。 ところで共同声明の方は、ことしの春ワシントンで、次の日米高級事務レベル協議の場で両国間の問題が検討される、あるいはまた十月、牛場・ストラウス協議ですか会談ですかで、いろいろ進展について検討される、こういうことが書いてあります。しかし、ストラウスが言っているのは、こういうことだけでなしに、「今後長期にわたって、六カ月ごと、いやもっと頻繁に日本の状況について審査しそしてまたこれを報告する。」ほぼこういうふうにとられるようなことを書いてありますが、政府はアメリカ側に、今後長期的に繰り返して、こういういろいろの状況について審査を受けるということに対して了解を与えたのかどうか、これについて伺います。
○牛場国務大臣 上院の公聴会におきますストラウスの発言でございますが、アメリカ側の「努力」と言っておりますのは、そのうちの大きなものが共同声明の四項の最後にあります輸入石油の依存度を低下させる、あるいは輸出を増大させるための措置をとる、それからドルを強化する、それから石油関係の法案を九十日間に通す、こういうことを言っておる面が非常に多いと思います。もちろん、あの証言の中に言っておりますように、共通の目的、つまりインフレなき成長でありますとか、保護主義の抑圧というような目標を達成するためには、日米両国が強い政治的意思を持たなければならない、そして福田総理はその意思があると言っておられるので、自分たちもそういう意思を持たなければならぬのだ、こういう意味のことも言っているわけでございまして、もちろん日本の成績を見守ろうということも入っておりますけれども、これは日米の中で合意いたしましたのは、先ほどおっしゃいましたとおりこの二つの点でございまして、そのほかはアメリカが勝手にやろうということでございます。これに対して日本側は何も同意を与えたことも、あるいは文句を言ったこともないわけでございます。ただ、日本のいまの経常収支の黒字というものが今後どうなっていくであろうかということは、恐らく今年におきまする世界的な注目の的になっていることでございまして、日米間のみならずOECDでありますとか、あるいは首脳会議などにおきましても注目されるということで、この点は避けられないところでもありますし、われわれ自身としてもこの問題は十分注目していかなければならないところであるというふうに考えている次第でございます。
○工藤(晃)委員(共) いま牛場大臣の答えられた内容、私はストラウスの証言に関して言っているのですが、ストラウス証言の内容を読めばはっきりしているじゃないですか。アメリカ側がアメリカの要求についていかに日本政府からいろいろ取りつけたのかということが中心になっていて、そして最後のコンタルージョンのところで述べている内容というのは、これはほうっておけば成果は上がらない、成果を上げるのは日本がきちっとやるかどうかそれを見なければいけないのだ、それでモニターが要る、こういうことで、私は、今後長期的にアメリカから審査を受ける、調べるといったって、経済ですから、ただ外面的に統計や何かを見るのと違って、恐らくいろいろな協議みたいな形で行われると思いますが、まるで親会社と子会社の関係みたいにいろいろ協議を行っていく、審査をする、そういうことで了解を長期にわたって与えたのか、こういう質問だったわけでありますが、ともかく長期的な了解は与えていないというふうにとった、それでよろしいですか。
○牛場国務大臣 長期的な了解を与えているわけではございません。ただ、先ほど申しましたように、問題は常に世界的な注視の的になっておるということは、これは避けられないところだと存じます。
○工藤(晃)委員(共) 余りはっきりしない答弁でありますが、それでは次に、この共同声明の内容そのもので、もともとこういう交渉に日本の成長率を何%にするとか、そのための財政経済政策をとるということが議題にされること自体おかしいわけでありますが、それだけでなしに、今後の黒字減らしのあらゆる努力とか、牛肉、オレンジ、柑橘類の果汁の輸入などあらゆる詳細なことが書かれている反面、アメリカ側の国際収支改善についてはきわめて抽象的なことがちょこっと述べてあるだけですね。英文の方でも四行くらいしか述べてない。ただ一つ具体的なことと言えば、石油の輸入を減らす問題では、エネルギー計画が今後九十日以内にアメリカの議会を通るであろうという、まあ確信するとなっておりますが、そういう予測について述べただけであります。日本の方は、これだけやるということをさんざん述べておりますが、アメリカ側は、これが恐らく国会を通ってくれるだろうということしか述べてない。これが今度の共同声明の内容になっているわけであります。 ところが、福田首相が本会議で演説しましたが、「このほど日米両国の間で話し合いが行われ、米国はドル価値の安定に、日本は経常収支黒字の是正にそれぞれ努力することとなったことは、きわめて重要な意味を持つ」こういうように述べたことと、この共同声明の内容と大分違うと思いますが、これは総理、答えていただきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 大体共同声明の本質は、私が本会議において演説をしたとおりなのです。ただ、あの時点はどういう時点かと申しますと、日米間で百億ドルを超えようとする日本側の経常黒字が出るだろう、これは世界の経済という見地から見ても、またその経常黒字の大部分が対米黒字であるという点から見て、アメリカと日本の関係という立場からもきわめて深刻な問題である、そういう問題を抱えておりますから、どうしてもあの当時、牛場・ストラウス会談ということになりますれば、日本の黒字を世界のためにあるいは日米のために減らすかということが問題になるのですよ。そのためのどういう政策をとるんだということが日本側から提示されるということは、これはもう当然のことだ、私は少しも不自然なことはない。アメリカとしても、工藤さんがいまお触れになりましたけれども、非常に大きなことを言っておるのです。とにかく九十日以内にあのむずかしいエネルギー法案が通るであろう、そうしてドルの価値の安定の条件というものが大変いい状態になってくるであろうということを言っておるのですから、これは非常に大きなこと、コミットというわけではありませんが、そういう所感、展望を述べておるわけであります。日本側がいろいろ、約束ではありませんけれども、日本はこういうことをするんだということを申し述べたことは、あのときの会談の性格上、これはもう当然ああいうことであったであろう、そういう性格のものであります。
○工藤(晃)委員(共) 共同声明に書かれているアメリカ側の努力というのは、結局、九十日以内に大体あれが議会を通るだろうというようなことが書いてあるだけなのであります。また福田総理も、円高の原因としてはアメリカの方にも大きな問題があると言った。もしそういう認識とあわせるならば、これはまた大変奇妙なことでありますが、ともかくこの問題、円高危機の原因そのものは、この前、不破書記局長もここで明らかにしたような、非常に低賃金とか下請をいじめる、こういうものを使って大企業の国際競争力をどんどん強めて輸出を伸ばす、こういうことに対して手を打たない、それとあわせて、アメリカに対しての非常に従属的な姿勢を続ける、この二つが重なって起きていることと判断せざるを得ないし、それがまた今度の共同声明の中にもあらわれた、こう見ざるを得ないわけであります。 そこで私は、次に国債の発行問題などについて少し伺いたいと思いますが、政府は七%成長のために十五カ月予算で、そのうち五十三年度については実質三七%とか三八%の国債増発がどうしても必要だ、そういう認識でそうなったわけですか。それはもう簡単に答えていただきたい。
○村山国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
○工藤(晃)委員(共) 政府は、いまこうでもしないと財源がないからやむなし、また最近はそれに加えて、租税の一般的引き上げが必要になってきた、こういうことを盛んに宣伝しています。しかし、われわれの見方は違います。いまの状態の財源難は一体どこから来たのか。私は、三つの点を考えていただきたい。 一つは、過去、大企業のために放漫な財政政策を高度成長政策ということでとってきた。そのため国債費が、四十五年度は二千九百億円だったのが、その後五十三年度の予算によりますと、もう三兆二千億円を超える、これはもう義務教育費国庫負担の倍ぐらい、そういう膨大なものになってきたわけであります。したがって、このことを見ても、過去の財政政策のあり方が、いまの予算の支出の中で義務教育費の倍ぐらいの予算を先取りしてしまう、こういう過去に問題があったのではないだろうか。これについて目をつぶっていいのだろうか。 第二に、現在の問題。現在、わが党がこれまで高度成長型と批判してきた、大企業などに対する特権的ないろいろな減免税、そういうものをなくしてはどうか、また、むだな支出を削ってはどうか、こういう選択に対して、むしろこれは銀行や不動産業者が要求していた法人の土地の重課税を緩和する、こういう選択をする。わが党は、この時点に立っても、いろいろ有価証券取引税の引き上げだとか利子配当所得の源泉分離課税の強化等等いろいろとれば、十二項目ぐらいで一兆円を超える増収ができるし、あるいは軍事費についてP3CとかF15などの装備費などを含めてかなり削る、こういう姿勢をとるならば、それでもまた一兆円規模の財源が出てくるのではないか、こういう現在の選択の問題がある。 そして三つ目に、未来にかけての選択として、もう七%のためには超大型予算でいい、そして未来に対して財政の破綻を加速度的に進める、そういう道を選んでいるのではないか。 この時点で、やはり過去、現在、未来にわたって、自民党のこういう財政政策における責任、これをどうしても考えなければいけないのではないか、こう思うわけでありますが、まずそれについて、総理、お答えを願います。
○村山国務大臣 いま工藤さんは、このように国債依存率が高くなったのは、突き詰めるところ、過去の大企業に対する税制上の優遇が大きな原因ではないか、こういう御指摘でございますが、私は所見を異にするものでございます。 おっしゃるような、いま工藤さんなどが挙げられておる大企業に対する優遇、あれは別に税制上の優遇ではなくて、企業会計原則上普通認められるところでございます。また、別の角度から申しましても、法人税の租税特別措置による減収というのは、恐らく二千二百億程度だと思いますが、一方、交際費課税による増収は逆に三千数百億になっておりますから、法人税全体としては、逆に特別措置によって若干の、千何百億の増収になっているはずでございます。特に租税特別措置による規模別の減収額を見ますと、圧倒的に中小企業の方が多いという点を申し上げたいと思います。 第二点の問題で、それならばなぜこのようになってきたか。一言に申し上げれば、やはり歳出は長年にわたっての高度成長時代の惰性が来たのではなかろうか、歳入の方は現実の経済をそのまま反映しておりますから、そこに大きな乖離が生まれたと思うのでございます。むしろことしはそういう状態にひとつピリオドを打とう、そのために何よりもまず雇用の問題あるいは稼働率の問題、こういう民間企業の方に力をつけない限り、いつまでたっても同じことを繰り返すばかりである、こう思いまして、臨時、異例の措置として思い切った措置をとるところでございます。 しかし、第三点といたしまして、財政の健全化は、これは重要な問題でございますので、今度財政収支試算でお示ししたような形で、今後の経費の節減あるいは一般的な負担の増は避けられないところであろう、かように思っておるところでございます。
○工藤(晃)委員(共) いまのような答弁は毎度聞かされて、昨年も同じころ私がここへ立ったとき――前に大蔵省の主税局長だった方が三人そろって、「エコノミスト」でいろいろ対談すると、いや、あれは財界に言われた税制だとかなんとか盛んに言われておるわけで、その人たちもこういう場でどう答弁するかわからないのですが、このことばかりやっておられませんので、次に移ります。 予算委員会に大蔵省が提出した、もとはパンフとして出されたもの、これは、非常に厳密な検討をされて出したものですか。それを一言答えていただきたい。
○村山国務大臣 お尋ねの点は「所得税減税に対する考え方」ですね。それは、従来公表された資料をもとにいたしまして整理したものでございます。
○工藤(晃)委員(共) 厳密につくったものですか。
○村山国務大臣 できるだけ厳密にしたつもりでございます。
○工藤(晃)委員(共) たとえば、いま政府はずいぶん増税キャンペーンをして、少しどうもキャンペーンに行き過ぎがあるじゃないか。こういうことがあります。「たとえば、「所得税及び個人住民税の減税がなければ、昨年の年収が三百万円で、今年のベース・アップ率が五%の給与所得者(夫婦子二人)の場合、税負担が二万円以上も増えることになるので、この分を減税すべきである。」というような意見が見受けられますが、所得税の仕組みから言って、ベース・アップに伴って所得税額が増えるのは当然のことであり、その場合でも税引後の手取額は増えます。」こういういうことを言っているのですね。 五%ベースアップすると、三百万円だったら三百十五万円になる。ところが、この計算は消費者物価六・八%は入っていないのですか。消費者物価の六・八%を入れたら、三百万の人は実質で言うと、前の年の価額で言うと二百九十五万円になるわけでしょう。しかも税金の方は二万円以上ふえる。どうしてこれが当然のことなのか。消費者物価のことを考えていないのですか。ちょっとそれをお答えいただきたいと思います。
○村山国務大臣 そこのくだりは、工藤さんだとは申しませんけれども、ある種の人たちは、やはり所得が上がると、それは実質所得の向上もありましょうし、名目所得の向上もありましょうが、およそこれだけの負担がふえるというお話をされるわけでございます。それに対して答えたものでございまして、累進構造を持っておりますから、所得の上がった分については税がふえるのは当然の仕組みでございますということで、そこの点では消費者物価の問題に触れておるわけではございません。
○工藤(晃)委員(共) おかしいじゃないですか。政府の経済見通しは六・八%という消費者物価の上昇を織り込んでおるわけでしょう。大蔵省は忘れていないですね。そうすれば、所得がふえると言っても、それで考えれば実質所得は五万円減るじゃないですか。それでなお税金の方は二万五千円ふえる。これが当然と言えるのかどうか、それについて答えてください。
○村山国務大臣 その点については、そのパンフレットとは別のところで答えているわけでございまして、要するに、消費者物価が上がったときに物価調整減税をする必要があるかどうか、その緊急度がどの程度であるかという問題に帰着するわけでございまして、そのパンフの中では、日本は昭和四十年から今日まで各国に比べてその点は十分配意して、そして課税最低限を引き上げております。だから四十年から今日までの課税最低限の引き上げ率とそれから消費者物価の上昇率を見ますと、日本の場合は五割以上課税最低限を引き上げた結果になっております。したがって毎年毎年やる必要は財政の事情によってはないんじゃないですか、諸外国の方はやはり課税最低限を上げておりますけれども、大部分の国は物価上昇率にも及ばない程度のものであると、そちらの方でお答えしているつもりでございます。
○工藤(晃)委員(共) そういうことで言い逃れしても、これはパンフとして大蔵省が出し、また当委員会に出したもので、事実上増税になるのは当然のことであると言って、わざと消費者物価の影響などはここで外して言っている。こういうところに増税キャンペーンの意図がありありと出ているわけであります。実はこの中のいろいろなところを見ますと、どうも良心的につくっていないような個所が多くあるのですが、これをここでやっていますと、一時間とっても二時間とっても足りませんので、この問題については、もっと国民が読んでぱっとわかるようなもの、あるいは委員会に出して恥ずかしくないようなものを出してもらいたいという私の希望を述べまして、次の質問に移ります。 大蔵大臣の財政演説で、一般会計予算編成に当たり投資部門と経常部門とに分ける、これは総理はいみじくも会社方式をとるというふうに言われたのですが、投資的経費は積極的に規模を拡大し、経常的経費は財政節度の維持に努める見地から極力その規模を抑制したということでありますが、こういう会社方式といいますか、こういう新しい考え方、これは五十三年度までか、あるいは今後も続けるのか。今後も続けると言ったら、今後五年とか十年とか、そういった幅で続けるものなのか、そのことだけについてお答え願いたいと思います。
○村山国務大臣 今後も、財政健全化の目的を達するまでは、やはりそのように分類して分析していきたいと思っております。
○工藤(晃)委員(共) そうすると、財政健全化ということを言われましたけれども、今度は、特例公債が経常経費の中で何%を超えなければいいかとか、あるいはこの中で減らしていこうということだけで、今後の財政の健全度を見る判断にこれが必要だ。他方、大臣の演説の中でも、全体としての枠も大事だというようなことを述べておりますが、しかし、こういうように二分割する、全体の枠よりもまずここが大事だという、そういう考え方のために出したわけですね。しかし、そうしますと、福田首相が昨年十月十二日、やはり予算委員会で、三〇%の国債依存は非常に不健全な形で、先進諸国の中でそんな国はどこを探してもありはしない、この状態を放置しておくと経済社会の崩壊につながらぬとも限らぬ、そういうことを言われておりますが、それだけにこの問題をただしておかなければならないと思います。今後は、この二分割を行うことによって全体としての公債の枠よりも、要するにもう特例公債だけで見ていく、もう三〇%のさくを越えたんだからしようがない、そういうような心境あるいは考え方でこういうふうに移ったのか、そこをちょっとはっきりさせておく必要があると思うのです。
○村山国務大臣 全体の依存度ももちろん大事でございまして、三〇%を超えるなどということは私はもう非常な異例の状態であると思うのでございます。今回、投資部門と経常部門とに分けましたのは、何よりもまず経常部門の借入金、言ってみますと、会社で申しますと人件費その他を長期の借り入れで賄うわけでございますから、まずそれから問題を片づけていくという手順の問題を示したにすぎぬわけでございます。
○工藤(晃)委員(共) 大蔵大臣の先ほどからの答弁で、政府はこういう二分割方式、会社方式みたいなものを今後長期にとるということがわかってきたわけでありますが、どうもこういう方式をとると、福祉を抑える仕掛けになってしまうのではないか。その証拠は幾つもありますけれども、たとえば五十三年度財政収支試算、これはいろいろ問題がありましたが、これを見ますと、どのケースをとってみても、今後五年間にわたっての公共投資の伸び、これは大体一六・七でみんな同じであるけれども、振替支出の方は少ない。極端な場合は三・五なんていうのがあります。ところがこれは、また五十一年度、五十一年度に大蔵省から財政収支試算が出されたわけでありますが、それを見ると、どちらも公共投資よりも振替支出の伸びの方が高かったのですが、ここで一大転換が始まったわけであります。いいですか。明らかに大きな転換が始まったわけであります。しかも先ほど言ったように、景気刺激ということから公共投資の方は伸ばす、その財源として建設公債の方は大きくしていく。そうすると、先ほど私も指摘しましたように、国債費というのは経常経費の方に入ってきて、もう五十三年度で三兆円台、昨年は二兆円台、四兆円台、五兆円台、次々と伸びていくわけであります。そうすると経常経費の枠は抑えられる、そしてこの中身はこういうところはふえていく、福祉はどうなるんですか、こういうことになると思うのです。こういう新しい会社方式というのは、一面では特例公債は抑えるという口実で実は建設公債の方については節度を失わせ、他方では福祉を抑えることにどうしてもなる、こう考えますが、その点についてどうですか。
○村山国務大臣 それは今後の中期の経済計画との整合性を持って、そして特例公債をゼロにしてもなおかつ従来の中期の経済計画のトレンドが保てるということを試算上お示ししたわけでございます。 そこで、ごらんになりましても、Cケースでございますと大体振替支出は一四%ぐらいの伸びになっておるわけでございます。公共投資の方もややそれと整合性を持っているわけでございます。もとよりその年々の何をどれくらい伸ばすか、あるいはどれくらい縮めるかというのは、そのときどきの経済情勢に合ってやることは当然でございますけれども、これは中期試算としてお示ししたわけでございます。特に福祉がそれによってうんと圧縮されるのではないかという御心配でございますけれども、その点はその数字で見るように、それほど御心配することはない、やはり大きなウエートを置いているということはごらんいただけるだろうと思います。特にことしの五十三年度の予算で申しますと、昨年の社会保障の部門の伸びは一八・四でございますけれども、ことしは一九・一になっておるわけでございまして、福祉には大きな力点を置いていることはその数字でもおわかりであると思います。
○工藤(晃)委員(共) 私は、二分割方式をとることによって、たとえば同じ大蔵省が五十一年度ベースで出した試算、五十二年度ベースで出した試算、どちらも振替支出の伸びは一六%台で公共投資の方が一五%台より上回っていたのが、ここで逆転したということですから、御心配ないどころじゃなしに、大いに心配しなければいけないのであります。それに加えて、二分割で公共投資は伸ばし、建設公債はどんどん出し、その利払いの方はこちらの方に突っ込んでいくという、こういうやり方でいくと、これが福祉の圧縮になる。これは何度も強調することでありますが、予算というのは、そもそもまず第一に国民に対するサービスとか、資本主義のもとでのいろいろな貧困や困難、それに対して所得の再配分機能、これがどうしてもまず要る。それに景気調整機能ということが加わるわけでありますが、こういう考え方に立てば、速効性のある景気刺激それ一本やりになってしまって、前の方のサービスとかあるいは再配分機能がどうしてもおろそかにされる、それが合理化される仕組みである。現に見通しそのものからしてそうなってきたということで指摘したわけでありますから、決してこれは安心できるものではありませんが、次の問題に移ります。 昨年二月、やはりこの委員会におきまして、私は、公共事業か減税かに最大の争点があるのではない、構造的危機、それがいま問題なんだ、これは少数の巨大な資本が高度の蓄積を推し進めてしまった、その反面、国民には低賃金や低福祉、インフレが押しつけられた、ここにメスを入れる、国民の購買力を高める積極的な対策をとる、生活密着型の公共投資を進める、そうして五年ぐらいで危機を乗り切る、そういう計画をとろうではないか、こういう方向を大いに強調し、従来型の大企業本位の財政の膨張とか景気刺激、その延長をさせる、そういう道をとるか、それともこういったような国民本位の再建の道をとるか、ここに真の争点があるということを言い、またその内容は「日本経済への提言」で非常に詳細に示したわけでありますが、ともかくも、またことし似たような議論を政府は蒸し返しているように思うわけであります。 この点について一点だけ、これは総理、答えてください。公共事業の方がいいというのは主に雇用という点からですか。雇用が伸びる、そして速効性がある。その点ははっきり答えてください。――私、先ほどから総理に答弁願っているのに、どうして大蔵大臣がいつも出るのですか。
○村山国務大臣 いや、私の方から一言申し上げて、後でまた総理から必要があれば御答弁さしていただきます。 おっしゃるように雇用と仕事を増大させるという点で速効性があるのみならず、波及効果から申しましても、経験的にも公共投資はすぐれているということはほとんど常識であろうと思うのでございます。
○福田内閣総理大臣 公共投資の方が雇用並びに資材、これの需要を引き起こす上においてはるかに有効である、かように考えています。
○工藤(晃)委員(共) わが党は、これまでの大企業本位の経済の仕組みを抜本的に改革しなければいけない、それとあわせて二つの柱で市場を拡大しようじゃないか、働く国民の生活をよくしていく、購買力を上げる、こういう柱と、生活密着型の公共投資を伸ばしていく、この二つの柱で市場を拡大する、そしてこの方が実は雇用ということに対しても非常に効果があるのじゃないか。それで、もうすでにこれは宮本委員長が参議院でも本会議で示しておりますが、たとえば経済企画庁が出されました経済月報の中にもある「公共投資をめぐる諸問題」、その中で実は生活密着型、生活基盤の方が産業基盤の方よりも百万円なら百万円仕事を出した場合の効果がある、こういうことも出したのですが、しかし同時に、きょう、委員会におきまして、資料ナンバーIというのを出しました。これは結論は一枚目のところでありますが、結論だけ出して、どうやって計算したかということを示さないのは問題でありますので、後の2、3は計算の仕方が書いてあるわけであります。 これはどういうことかと言いますと、結論的に言いますと、産業連関表とそれから国勢調査に基づく就業者数、これとを合わせていろいろ拡大の効果を比較します。ここでは必ずしも雇用と言っておりません。就業者の拡大の効果。最終需要が同じ単位で出されたときにどの部門はどのような就業者を拡大する効果がある、相互の比較であります。これは人数、絶対数では出しておりません。このうち公共投資を一〇〇とすると家計消費支出が一二一になる、この方が高い。住宅投資なども高いと出ています。輸出というのは大変低いわけであります。これはどうしてそうなるか、そう複雑なことじゃないのです。個人消費が伸びれば、農林水産業だとか軽工業部門だとか、むしろそういう労働集約的な分野へ仕事がふえるということからも当然なのでありますし、また、これは中小企業白書自身にあるように、最終需要一億円当たり個人消費の中小企業への波及が、これは商業・サービス部門を含めて計算してみますと一億四千万円ぐらいだ。しかし国内の総固定資本形成では八千万円、こちらの方が多い。そして雇用者ということから言えば中小企業には六割が働いているわけでありますから、非常にいいということが出てくるわけであります。もちろん、私はこういう計算の限界をよく知っております。いろいろな条件を考えなければいけない。しかし、こういう政府の資料に基づいて別の角度から計算してみても、ただ単純に公共事業は雇用をふやしますということでない別の結果も得てくるわけであります。 しかもこれは、今後長期的に問題を考えるとき非常に大事だと思うのは、長期的に雇用をふやすというときにどこの最終需要が大事かということにもなります。公共事業を一時的に伸ばした、その後は、また失業が出てしまった、こういうことではいけないということで、私があえてこういうものを示したわけでありますが、私はここでこういう政府のいろいろな資料に基づいてもこういう別の結果も得られるから、こういうことを含めて今後本当に真剣に雇用をふやすような方策について、ただ公共事業の方がいいからということにとらわれるのでなしに検討する、そういうことも含めて検討する、そういう点について見解を伺いたいと思います。これは総理にお願いします。
○福田内閣総理大臣 御提出になりました資料、これは政府においても十分検討いたしますが、私どもといたしましては、これは雇用、物資、その需要を造出するという面におきましては公共事業は一番いい、こういうのは相当精査した上の結論でありますことも一申し添えます。
○工藤(晃)委員(共) 一月二十六日、参議院本会議での宮本委員長の代表質問、国民生活防衛と経済の成長プランとを統一した、総合的で国民本位な中期計画が必要ではないかということに対しまして、総理の方からの答弁としまして、五十年代の前期経済計画の考えを基本的に変えるつもりはないけれども、ただし、二年たってずれがあるので、そして三年間の展望を見直し、それに基づく試算を示したいということでありますが、この試算というのはこれから示されるのか。それともこの前の大蔵省の財政収支見通しとその下敷きとなったところの経済審議会が出しました今後三年間の見通しと、あれがそうなのか、別に出すのか、その点についてだけちょっと伺っておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 経済審議会の企画委員会の試算としてございますものが、総理が当時言われました試算でございます。
○工藤(晃)委員(共) もしそうだとすると、やはりこの中期的な計画の抜本的な検討というのは避けられないのじゃないか。なぜかというと、あれを見ますと五十五年度の国民総支出中の個人消費の割合は五〇%ですね、それから五十七年度四八%ですね。いまのいわゆる先進資本主義国という国で、こういうところがありますか。それから、過去の高度成長期を見まして、最初六〇%台であったのが、高度成長で蓄積、蓄積ということでどんどん落ちてしまって、辛うじて五〇・何%という時期がありましたけれども、それはその後少しまた持ち上がっております。私は実質ベースで言っておりますから、それは誤解のないように。いまの政府の政策をそのまま続けると、どうしてもそういう方向に進んでしまうのではないかということになる。政府は個人消費の伸びを大事にしない、そういう方向を今後も続けるということになると思いますが、どうでしょうか。
○宮澤国務大臣 ただいまのお話は、御指摘がありましたように、実質ベースでお話しになっておられるわけでございますが、名目ベースではそういうふうになっておりませんで、五六、五七というようなことになるわけでございます。この点は、実は中長期計画を立てますときにいつも問題になっておる点でございまして、名目では構成比が大きくなっていくのでありますけれども、実質ではそうならないということはどういうことであろうかということでございますけれども、詳しく計算をしている過程を見ますと、結局デフレーターの関係になってしまう。御承知のように、国民消費支出を実質をはじきますときのデフレーターは、かなり消費者物価が大きなウエートを占めるわけでございますけれども、国民総生産そのものはそうではございません。卸売物価の占める割合がかなり大きゅうございますので、そこで結局問題は、中長期にわが国で消費者物価と卸売物価とがどうしても乖離をしていく、そういうところに計算上の問題があるように私ども考えております。
○工藤(晃)委員(共) そのような技術的な問題でこの問題を解釈するのはおかしいと思うのです。それで問題はやはり実質ベースであります。しかも五〇%とか四八%などになった国というのは余り見たことがないし、過去にもなかったわけであります。当然、今後のインフレを考えれば実質で考えていかなければいけないけれども、こういう技術的にならざるを得ないのだ、四八%当然だという姿勢で今後の経済政策を組むならば、やはり福祉は後回しでいいのだ、公共投資だけ伸ばせばいいのだということにどうしてもなってきますし、ここに日本の経済危機をますます繰り返さざるを得ない、そういう選択をしていると見なければならないわけであります。それで、改めて私ば、この「日本経済への提言」などで示したような、もっと国民の暮らしを豊かにする、そういう福祉型の経済拡大に進む、そのことを要求しながら、次の質問に移りたいと思います。 それは対外投資の問題であります。日本の海外での投資残高は、これは許可累計でありますが一七五年末に百五十億ドルに達しております。通産省の「我が国企業の海外事業活動」によりますと、進出企業による海外従業員数は七〇年度十六万五千人、七五年度六十四万三千人とふえております。これはカバー率が大体八割であろうと言われますから、五年間に二十万六千人から八十万人、六十万人弱ふえたということになります。また、この調査によると、特に国内の従業員数に対して海外従業員数の割合が高くなったところ、そういう点で見て高いところは繊維、電気機械、化学、一般機械、輸送機械などでありますが、特に繊維、電気機械で高い。これは企業の海外投資の動機の調査とあわせて見れば当然なんですが、市場の確保と開拓とともに、労働市場の有利性というのが非常に挙げられており、とりわけアジアでそれが著しいわけでありますが、こういう状況があるときに、今後海外における直接投資の増大の見通しを考えながら、中期的、長期的にこういう海外で働く従業員数がどのように伸びていくのか、そういうことについていろいろ検討したことがあるのか、これについて伺いたいと思います。見通しの問題ですね、これは通産大臣にお願いします。
○河本国務大臣 まず最初に、海外投資についての考え方でありますが、わが国はアメリカに次ぐ自由世界第二の経済力を持っておりますし、資源が全然ない国でありますから、世界経済全体が発展するために、海外投資によって世界経済繁栄のために協力していかなければならぬという立場だと思います。 それから同時に、資源エネルギーを確保するという意味においても、やはり積極的に海外投資を進めていかなければならぬ、こういう立場だと思います。 そこで、いま御質問のような、そういう海外投資をした場合に、これが雇用にどういう影響を及ぼすかということでありますが、世界全体の立場から考えますならば、世界経済全体の発展にわが国の海外投資が影響を及ぼしますので、世界経済全体の立場からは、もちろん雇用関係は好転をすると思います。また原則的に、わが国にとりましても好転をするわけでありますが、最近のような発展途上国の追い上げ、こういうことも考えますと、時と場合によりましては、わが国の雇用にとってマイナスである、こういう例外の場合もあろうかと思います。いろいろの場合が想定をされますが、しかし、全体の考え方といたしましては、今後とも積極的に海外投資を進めていこう、こういう考え方でございます。
○工藤(晃)委員(共) いま私、中期的、長期的見通しについて聞いたわけでありますが、これは民間の方ではかなり見通しを出しております。日本経済研究センターなどでは、八五年度の投資によって海外での進出企業の従業員数が三百万人を超えるであろう、その他もいろいろ考えまして、もう間もなく百数十万人になるだろう、日本の完全失業者数を超えるような規模になってきている。これは非常に新しい問題であります。しかも政府の方は、これを大いに奨励しようということでありますので、よけい、ここで、この問題について伺わなければならないわけであります。 ところで先ほど、国内に余り影響ないのじゃないかということでありますが、製造業で七〇年から七五年度の海外進出企業の従業員数を見ますと、約五十万人ぐらいふえたというふうに推定できますが、同じ期間にわが国の製造業の従業員数は、工業統計によっても約四十万人減っております。国内で四十万人減り、海外で五十万人ふえている。これは無関係なんだろうか、どういう関係なんだろうかということで、特に海外投資の先頭に立っている、このもう一つの資料でございますが、ここにはまさにそれぞれの、日本の業界でのトップクラスを並べている。これらの企業は、同時に輸出比率も非常に高めて、国際競争力が強い企業である。輸出中心のトップに立っている企業である。これは三つ目に、国内で人を減らして海外で従業員数をふやしているという関係がよく出てくるわけでありますが、これはへたとえば東レを見てみても、あるいは帝人などを見てみても、はっきり出てきます。これらは、国内よりも海外の方がはるかに多くなってしまっている、こういう関係になるわけであります。東芝の方は、この間に国内で九千四百人減らし、海外で九千五百人ふやす、こういう結果が出てきているわけであります。どうですか。こういう点を見ますと、労働市場志向の大企業の直接投資は、国内の雇用への影響が非常に大きいと思うわけであります。 さらに、これは「わが国企業の海外事業活動」によりますと、特に第三国市場向けであっても、これはいままでは国内でつくって第三国向け、あるいはその進出向けへつくっていた。そこへ生産拠点をつくって、それも雇用に影響すると思いますが、もう一つ、逆輸入という形が非常にふえていることがこの調査で出てくるわけであります。特にアジアでは繊維、電気機械、精密機械などの逆輸入が多くて、ここでの現地法人売上高の仕向け地割合は、日本へ向けたものが、繊維が二三%電気機械が三一%、精密機械が五二%であります。この点につきまして、いまの構造不況をひどくするという見地から、この前、不破書記局長は追及したわけでありますが、このように海外の、とりわけアジアの低賃金を利用して、そして逆輸入をふやすということ、これは日本の雇用にかなり大きな影響を及ぼす、この点はやはり重視しなければならないと思いますが、この点について伺いたいと思います。
○河本国務大臣 海外投資をした場合に、特にわが国の周辺の国々、アジア諸国に投資をした場合に、その国の製品を日本に逆輸入する、そういうことのために雇用その他に大きな影響を及ぼすのではないかというお話でございますが、そういう場合も当然あり得ると思います。しかし、そうだからといって、そういうわが国の近隣諸国から、その国々の近代産業建設のために協力を頼まれた場合には、わが国は拒否するということは、現在の時点では避けなければならぬと私は思います。やはりそういう場合には積極的にこたえていかなければならぬと思っております。ただ、わが国の経済に非常に悪い影響を及ぼすということが当初からわかっておるという場合には、これは例外として行政指導によりましてそれをとめる、こういう指導をしております。
○工藤(晃)委員(共) しかし、いまこれほど雇用の問題が重大な問題になってきている。そうして、何とか雇用をふやさなければいけないとして、財政を計画的にふやそうとする。しかし幾ら努めても、先ほど言いましたような大きな企業は、国内で何千人減らして海外で何千人ふやす、こういう進み方をする。さらに、たとえば精密機械や何かでも、労働集約的な工程を海外に持っていって、それで逆輸入して、そうして国内での人減らしを進める。もちろんアジア、アフリカ、ラテンアメリカの諸国に対していろいろ正しい立場での協力、それは当然のことでありますが、これほど国民が、国の経済が雇用問題を重視しているときに、これが資本の自由化というような名目で投資が野放しにされるというだけでなしに、いろいろ奨励されているということですね。そうすると、せっかく雇用をふやす公共事業とかいろいろ言って計画をつくっても、この大企業がいわゆる海外の低賃金を求めて、そうして利潤を追求していく、こういう方向が野放しでは-いま事実上野放しでしょう。海外直接投資が行政とか言いましたけれども、問題とされるのは繊維と皮革だけで、繊維も、それは十分やられていない。その上、いろいろな金融上、税制上、保険、その他の助成が加えられている。こういうことでは、今後の日本の雇用をふやす計画というのが成り立たないのじゃないかと思うのです。 そういうことにつきまして、これは全般的な問題であります。雇用の問題、経済発展の問題であります。私は昨年も、多国籍企業の問題につきまして政府の対応が非常におくれていることを指摘したわけでありますが、そういう問題でもありますので、今後の雇用を大事にするという見地からも、こういう海外投資に対してもっと重視していくという点について、総理の見解を伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 わが国の経済社会は、とにかくアメリカに次いで自由社会第二だ、そういうところまで来ておるわけでありまして、もうこれ以上わが国の社会経済の発展を考えるという場合に、世界全体の発展をわが国として考え、それに貢献をする、世界全体がよくなる、その中でわが国自体がまたさらによくなるという、その基本的な考え方をとるほかに道はない、このように私は思います。 いま海外投資、そういう問題、これは雇用の見地から慎重にしなければならぬというような御所見でございますが、わが国は海外にも大いに投資すべし、また海外からも投資を大いに受け入れるべし、そうして世界経済全体の中へ溶け込んだわが国経済、そういう形でのみ、私は、本当にわが国を伸ばし得る、こういうふうに思うのです。小さく貝がらの中に閉じこもって、そして人の投資は受け入れません、よそへも投資はいたしません、そういうような姿勢では私はわが国の将来はない、このように考えます。
○工藤(晃)委員(共) いまの総理の答弁を聞いて、国内の財政政策や何か述べるときは雇用が大事だ大事だとあれほど強調されて、一たび大企業の海外投資の問題になると、海外との関係が大事でと言って、雇用問題がどこか吹っ飛んでしまう、こういう印象しか受けないわけでありますが、しかし、このように大企業の直接投資が雇用問題に悪い影響も、先ほどは部分的には認めたわけでありますが、そういう影響を起こしつつある時期に、はっきりとした対策をとることを求めるものであります。 私、最後に一つの問題、商品取引問題についてひとつ質問したいと思います。 五十年に商品取引法の改正が行われました。これは何といっても委託者保護ということで、悪質な業者の取引員のやり口によってずぶの素人の人たちが大変ひどい目に遭う、こういうことを防がなければいけないという立場での改正であったわけでありますが、これは取引所で調停あっせんした紛議件数から見ても、五十年度と比べて五十一年度、五十二年度とふえておりますが、これはもう言うまでもなく氷山の一角であります。昨年末、商品取引被害者の会も結成されましたが、訴えだけでも四百件を超えているということであります。こういうことを見ますと、法が何度も改正されてもやはり同じような被害が出てくるということは、決して国の政治として見逃すことのできない問題だと思います。 そういうことから言うと、まず行政が厳しい態度を示すべきだと思いますが、ことしはちょうど複数取引所及び農林省、通産省共管の取引員の許可更新が行われる、そのときでありますが、こういう許可更新において厳格に審査し、悪質な業者に対しては許可を更新しないという態度で臨むべきだと思うが、どうか、この点について通産、農林両大臣の答弁を求めます。
○河本国務大臣 いまお話しのように、残念ながら五十一年、五十二年と事故が若干ふえております。そこで五十年に、商品取引所の法律ができまして四回目の大改正を行ったわけでありまして、四年ごとに許可を更新することになっております。営業内容、それから営業方針、いろいろな点を調べまして、不適当であると思われるものは許可しないということになっております。最近事故が非常にふえておりますので、この取り扱いは厳正に臨みたいと考えております。
○犬伏政府委員 農林省所管の商品取引所につきましても、ただいま通産大臣から御答弁がございましたように、同様に厳正に対処してまいりたい。 御指摘のように、紛議件数、一時は減少傾向でございましたが、最近再び増大をしております。これに対しましては、厳正な立入検査等を通じて指導を行っておりますが、悪質な法令違反等については営業停止等の処置を講じております。許可更新に当たりましても厳正な態度で臨んでまいりたい、このように考えております。
○工藤(晃)委員(共) 私、質問を先ほど留保した関係からこれで時間余してやめますが、この問題は、私引き続き追及するつもりであります。 これをもって終わります。
○中野委員長 ちょっと工藤君、留保された点は速記録と対照してということになっておりまして、それでもう一つの方の速記録が出てまいりません。したがって、一応御意思は伺っておきますから、時間のありますだけひとつ御進行いただきまして、そして後で理事会で事実上留保すべきものかどうかということを決めますから、どうぞ御進行願います。
○工藤(晃)委員(共) では、それは理事会でやってください。 先ほど農林省から、厳格な処分をするというようなことがありました。しかし、どうも行政の態度として甘さがあったんじゃないか、あるのではないか。通産、農林両省が、五十年の一部改正、施行が五十一年一月でありますが、それ以降に行った法律上の処分である受託業務停止処分というのは通産で二件、農林で四件、全体の事件の割合からすると大変少ないわけであります。 それから、先ほど農林省は、厳格に処分するということでありましたが、特に農林省にかかわる四件のうち、五十二年五月一日の五日間、五十二年十一月七日にかかわる二日間、五十二年十二月二十日にかかわる二日間の受託業務停止というのは、どれも取引所が休む土曜日を含んでいるのですね。受託業務停止と言いながら、取引所が休む土曜日を入れて、あなたのところは停止だということを言っておる。四件のうち三件までそうなっているのです。これは暦をよく繰ってみればわかります。農林省が一番よく知っていると思うのです。どうしてこういうことが起きるのか。これは明らかにもう甘いというよりも、どうも癒着を感じざるを得ないわけでありますが、このことをはっきりさせると同時に、これは特に農林省の問題でありますが、法に基づく処分というのを厳しく行うべきではないか。 ついでにもう一問として、こういう紛議にしろ、いろいろ処分とか行われているわけでありますから、いろいろな調査とあわせて、もう悪質なところはよくわかっているわけでありますから、公表制度をとるべきではないか。これはいままで許可制を実施した七一年以降の紛議件数で通産、農林両省の集計で見ても、特定の取引員に集中している。富士商品、第一商品、エース交易など旧吉原商品グループ、大成商品など大津屋グループ、サンライズ貿易などサンライズグループ、北辰商品などのグループで二十七社、全体二百数十社の一割ですが、約四一%がここに集中しております。これは、最近の被害者の会の調査はこれらのグループが五四%、こういうふうに共通しているわけであります。それだけにこういう処分において、あるいは公表制度ということで厳しい姿勢をとるべきと思いますが、答弁を求めます。
○犬伏政府委員 営業停止の処分の日数の中に休日が含まれておるという点につきまして調べましたところ、御指摘のようなことがございます。ただ、休業日でございましても外務員の活動はあるわけでございまして、その間は営業ができない。それから、やはり営業停止の処分の程度がそこで示されるわけでございまして、それによってもたらされる社会的な信用の失墜、さらにはその後の違反等が発生した場合の勘案事項として大きな影響を持ちますので、単に営業日数あるいは休日が含まれるかどうかということのみをもって判断することは適当ではないと考えております。ただ、処分の内容が適正であるかどうかということについては、その違反の内容、態様に即して適正にやってまいってきておる所存でございますが、引き続き厳正に対処してまいりたいと考えております。 それから第二点の、紛議の内容が特定の業者に偏っておるという事実についてでございますが、これについてはそれぞれの実態等を明らかにして、客観的な基準で見てまいらなければなりません。私どもは立入検査等を通じて、これを客観的な基準に照らして厳正に処理をしていくという考え方で対処をしておるところでございます。
○中野委員長 工藤君、申し合わせの時間が来ておりますから、もう一言だけにして……。
○工藤(晃)委員(共) いまの農林省の答弁というのはまことになっていないわけでございますが、最後に、通産大臣、先ほど厳正な処分をする、あるいは公表制度をどう考えるか、これだけちょっと答えていただきたいと思います。
○河本国務大臣 法律で決められております処分は、まず一番軽いのは戒告であります。不正な事件が起こったときに戒告する。それからその次が営業停止。それから一番重いのは、更新の場合延長しないという営業免許の取り消し、こういうことになります。いまその三段階の処置を通じまして厳正に進めていきたいということを言ったわけでありますが、公表制度ということにつきましては、これはいろいろ問題がありますので、今後もう少し研究してみたいと思います。
○中野委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。 午後二時より再開することとし、この際、休憩をいたします。 午後一時三十二分休憩 ――――◇――――― 午後二時六分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。広沢直樹君。
○広沢委員 まず最初に、財政再建につきましてお伺いいたしたいと思います。 この一年間の財政運営を見ておりますと、補正のときにも私は申し上げましたが、五十二年度の当初予算におきましては、御承知のように財政再建を非常に重視されておる。そして、景気対策も当然考えられておったわけでございます。しかし、第一次補正におきましては、やはり景気対策の追加が必要である、こういうことでございましたが、公債依存度を三〇%に抑えるという姿勢が貫かれておるということで、一応財政再建に対する姿勢もあらわれておったわけでございます。しかし、円高また第二次補正の段階におきましては、御存じのように、そういうことよりも、まず経済、景気の立て直しということに重点が置かれたわけでございます。五十三年度当初予算は景気対策に総力を挙げる、これは、国民経済の安定があって財政再建もあるわけでありますから、当然のことであろうと私は思います。当面する問題としては、財政主導でなければならない。これも十分理解できるわけでございますが、だからといって、財政再建についてはここでおいて、ただ景気対策だけというのではなくて、こういうときにこそ、やはり異常な事態を踏まえて財政運営をどうするか、財政再建についての方途を明確にしていかなければならないと思うわけであります。 そこで、まず最初にお伺いしておきますが、今後の財政再建について、いつを目途にしてどのように取り組んでいくか、基本的な姿勢についてまず大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。
○村山国務大臣 財政の健全化の今後における重要性については御指摘のとおりでございまして、まず、その手がかりとして本年財政収支試算をお示しいたしまして、どれほど国の財政が苦しい状況にあるかということを御理解賜りたいというつもりでおるわけでございます。 いま広沢さんのおっしゃったのは、もう一歩踏み込んで、財政試算にとどまらず、財政計画を検討したらどうか、こういう御趣旨の御発言と受け取るわけでございますが、実は政府部内でも、財政審を中心にいたしまして、五十一年度から、この問題についてどうするか、そのアプローチをしているのでございます。五十一年の秋から始めまして、五十一年度中に大体三回、それから五十二年度中に大体五回くらいやったのでございます。主としてやっておりますのは、各国の財政計画というもの、それと予算制度の絡み合い、こういったものをいまずっと分析しているのでございます。この問題は各国の予算制度にも関係いたしますし、それからまた、その国の持っておる経済政策との整合性の問題、それとも関係があるわけでございますので、現在検討しているのは、その根っこのところを検討さしていただいているということでございまして、引き続きこの作業を精力的に進めてまいりたい、かように思っておるところでございます。 ただ、一言だけ申し上げておきますと、各国とも、財政計画のできているところはいずれもかなりの期間がかかっているようでございまして、短いところでも三年、長いところは五年ぐらいかかっているやに聞いているわけでございまして、なかなか容易のことでないという感じがいたしております。
○広沢委員 大蔵省が中心となりまして、五十一年の九月ですか、各国の財政計画、こういったものがどういうふうに行われておるかということの検討で海外へ行かれておるわけであります。したがって、いまのお話のように、政府としてはこの時点において財政計画を一応策定しようという方向で検討している、こういうふうに受け取ってよろしいのでありましょうか。
○村山国務大臣 さようの方の意欲をいま燃やしているわけでございます。
○広沢委員 そこで、私は総理大臣にまず所見を伺いたいと思いますが、今回、いまも大蔵大臣からお話がありましたように、いわゆる特例債を五年先にゼロにするという目標で試算が出されております。それはAからEまでのいわゆる五つの案が出されたわけでございまして、この問題につきましては、さきに、わが党の矢野書記長が各案の整合性の問題についてその矛盾点を指摘いたしました。それについては政府において追加資料を考えるなりという対策を講じているようでございます。 そこで、その後の委員会のやりとりを聞いておりますと、一応大蔵大臣はC案が、経済企画庁の出した経済の暫定試算に一番近い案であるというふうにおっしゃったわけであります。そこで、一応C案というものを考えてみても、大変な増税ということに相なっておりますが、総理大臣としてこの試算をごらんになって、率直にどういうふうにお考えになるのか、所見を承りたいと思います。
○福田内閣総理大臣 率直に申し上げますが、これは、あれを見るまでもなく心配しておったのですが、いよいよ数字にしてみまして、これから先先の財政が大変だな、さあこれだけ公債が巨額に発行される、何年も何年も続いたらその先はどうなるだろうな、そういう心配でいっぱいでございます。それを一体どうするか、もういまから考えておかなければならぬということでございます。
○広沢委員 それでは経済企画庁長官にお伺いいたします。 要約して一応暫定試算と言わせていただきますが、それによりますと、財政収支改善のバランスのおくれについては特例債解消の目途を一応五十七年度に置いた、こういうふうになっております。そういうことになりますと、いま大蔵省が出している財政試算というのはC案が近いというふうに経済企画庁もお考えになっていらっしゃるのか、どうでしょうか。
○宮澤国務大臣 五十七年度におきまして特例国債をゼロとするということを考えました場合に、経済の各要素がどのような変化をするか、そしてそのことは概して可能であるかないかということを試算をいたしてみたわけでございますが、その中で、ただいま御指摘のように、C案というものが昭和五十年代前期経済計画の意図しておりますところとほぼ整合するという感じを持っております。
○広沢委員 重ねて宮澤長官にお伺いいたしますが、いまそのようなお考えでありますと、これは毎年大変な増税ということに相なるわけでございます。五十三年から五十七年の五カ年間で、果たして五十年代前期経済計画といういわゆる経済の安定成長軌道に乗せ得るかどうか。私は、この財政試算のC案というのを見る限りにおいては非常に困難じゃないか。非常に高度経済成長で景気のいいときも、自然増収の伸びが大体二兆円前後ということがあったわけですが、民間の経済力が非常に強いという状況のときでそうですね。いまは逆さまになっているわけです。そういうときにおいて、五十四年度から五年間で平均しますと二兆円近くの増税ということにならざるを得ない。ここが私は、暫定試算で見る限りにおいては、前半で一応経済成長を高く見て、後半でそれより低く見る、いわゆる安定成長ラインに乗るというように試算の内容から受け取られるわけでありまして、そうすると、暫定試算をお出しになった中の説明に書いてありますように、五十七年度に特例債をゼロにするという仮定を置いたために現状とマッチしない形に相なっているのではないか。そのC案が大体皆さんのお考えになっている案だということになりますと、これを見た国民も、これは大変だ、毎年毎年こういう大増税が行われなければならない情勢になっているということになれば、これからの経済の見通しを立てる国民も企業も大変なショックではないかと私は思うのです。その点は、いわゆる特例債をゼロにするのを一応五十七年度に設定して逆算してあるからこういうふうな形になるのではないか、それが現在の経済の実態にマッチするようなやり方なのかどうか、その点をどのようにお考えになっているか、お伺いしたいと思います。
○宮澤国務大臣 私どもは、この試算をいたしましたときに、五十七年度において特例公債をゼロとするようなことを可能にするための条件はどういうことであろうか、その結果、その他の、前期計画が意図しております目標が達成できなくなってしまっては、これは前期計画の試算としては意味がございませんので、ほぼ達成しつつ、なお特例公債をゼロにするということはどのような条件において可能であろうかという試算をいたしまして、それを大蔵省の方に枠としてお渡しをしたわけでございますけれども、御指摘のように結果として出ましたものは、前期計画で考えておりますもろもろの要素はほぼ損なわれずに達成が可能でございますけれども、その結果は租税負担率は非常な上昇をせざるを得ない、こういうことを示しております。したがいまして、そのようなことはわが国の今後の財政、経済、ことに財政の運営としてどのように判断をすべきかということを私どもとしては判断をしませんまま、大蔵大臣の今後の計画の御立案に参考にしていただきますために、そのような試算をしてお渡しをしたわけでございます。
○広沢委員 そのことはわかりますけれども、やはり五年先に一応特例債をゼロにする。私は、財政再建の第一歩は赤字国債からいっときも早く脱却することである、これは常識であると思うのですね。それは結構なんですが、しかし、やはり最初申し上げましたように、経済の安定があってこそ財政の再建ということが考えられる。そういう考えのもとに、五十三年度も国家財政を総動員してというようなことで、こういうかっこうをおとりになっていらっしゃるわけですね。そう考えてまいりますと、いま言うような形の設定をするものですから、果たして五十四年度にこれだけの増税ができるかということに相なりますね。そう考えてみますと、五十三年度は御承知のように、五十四年五月分までの税収をとって大型予算を組んでいるわけであります。したがって、五十四年度からいま言う二兆円近くの増税ということになりますと、果たしてそれだけ民間経済力に力があるのかどうかということは当然問題になりましょうし、今日の景気回復を見ても、前半は低目、五十三年度の後半にやっとそういうふうに民間経済力に力がついてくるのではないかという見通しに立って、いま論議がなされているわけでございますね。そうしますと、毎年こういうような大増税が行われる計画を示すということは、やはりいまの経済の動きに水をかける結果になるのではないか。しかも、その税目というのが何だかわからない。こういうようなことでございますね。ですから、やはりこの点は、いままでのように現実の問題、実態というものをその中に加味していく考え方でこの財政試算も考えていかなければならないのじゃないか。私は五十一年度の財政試算を出されたときも指摘いたしました。果たしてこれは実態に合うのかどうか。そのときは御承知のように、税収の伸びも弾性値を非常に高く見積って、事実上不可能じゃないかという論議が繰り返されたわけでありますが、案の定、五十二年度においてもそれは無理だということになって、今度は出し直しということになったわけでございますね。 そういうことから考えてみますと、まず五十四年度を展望してみる。今度の経済計画によりますと、五十五年度は一応もう具体的な数値が出ておりますし、そして二年度増した五十七年度も出ている。五十三年度はすでにいま審議中でありますから、経済見通しは出ておりますね。そうすると、大体いままでの出し方とは違って、現実的な問題から可能な状況を割り出していくという提出の仕方でなければ、やはり実態と離れた単なる数字の割り算で均等化したという形で出てくる以外にない。われわれが求めているものはそうじゃなくて、今日のような経済の大変な状況の中でどのようにして財政を再建していくのか、それが実態の経済に及ぼすあり方というのはどうなるのかということが知りたいわけでありますし、当然国民もそのことを求めているわけであります。それが今日の異常な状況の中で経済問題を論議する上においての将来の展望として必要な問題である。ところが、そういう形をお出しになっている。そこに私は議論が非常にかみ合わない問題があると思うので、冒頭に申し上げましたように、いますぐそれを出せということがむずかしいのであれば、具体的に、少なくともこの五年の間に財政計画というものをきちっと出して、その中にはこうしたいという政府の政策意図も含めたものを出してくる。そして、それが毎年毎年の経済の見直しの中でローリングしていくことは、経済は生き物ですから、それが合わなかったらどうこうという問題じゃなくて、そういう現実的なものを論議できるような資料をお出しいただきたい、このように思うわけですが、大蔵大臣、いかがですか。
○村山国務大臣 いま広沢さんのおっしゃったのは、まさに財政計画の話になるわけでございます。この前出しました、去年、おととし出しましたのは、いわば要増税額も何も出ないで租税弾性値一本で出しておったのでございまして、今度はその分が一・二という租税弾性値とそれから毎年における要増税額というものを出した点で、少しは感じが出ておるかなと。それから、おしかりいただきましたけれども、いろいろなケースを出しまして、この道を歩けばこうなる、この道を歩けばこうなるということを、試算の形ではありますけれども、おおよその輪郭がつかめてきた。それが私は今度の試算の、手前みそではございませんけれども、少しは接近したのじゃないか。しかし、いまおっしゃる二点が問題だと思います。 一つは、来年からもしやって、五十七年に特例債の発行をとめるとすると、来年から一兆九千億ぐらいのものができる、これが来年果たしてできるかどうか、経済の情勢が許すかどうか、こういう点が問題になるわけでございます。もとより、その点は大きな問題点になろうということは十分承知いたしておるのでございまして、この点を今後詰めてまいりたいというのが、われわれの先ほど申しました財政計画の問題であるわけでございます。 それから第二点は、いまちょっとお触れになりましたけれども、いま一・二の弾性値でやっているわけでございますが、これはむしろこの国会を通じ、あるいは国民の方々からいろいろこの試算を契機にして論議していただくために、あえてニュートラルな租税弾性値で出したわけでございまして、どの税でもってやるかによりましてそこの弾性値が違ってくることは当然でございますが、その点は謙虚に出したつもりで、論議をひとつ大いにやっていただきたい、このような願いを込めて出しておるのでございます。
○広沢委員 これは見通しの問題でありますから、ここで論議を繰り返しておってもしようがございません。 そこで、私は、この問題について最後に総理に一つお伺いしたいのですが、御承知のように通貨当局も――通貨当局と言えば日銀でございますが、やはり現実性のある計画というものをある程度出していただかないことには、経済の実態の上から非常に大変な問題があるのじゃないかということを示唆する話をしているわけですね。私どもも、いままでのようにこういう計量的な単なる計算じゃなくて、もう少しその中に政府がこうしたいということを含めたようなものを考えてほしい。計画がむずかしいとか試算であるとかいう論議がありますけれども、それがなければ、現在私たちが審議するに当たっても、その内容というものが十分明らかになっていかない。計算すればこんなになるのですというだけでは論議の対象にならないと思います。今日の大変な経済の中で、いわゆる経済閣僚会議、こういうものを設けて経済問題について取り組んでおられるわけでありますが、やはりその経済を動かしていく一つの大きな要素になります財政もこういう状況でございますから、そういう問題を含めて、いま大蔵大臣からお話がございました財政再建へ向けての財政計画をつくっていくという作業に積極的に取り組んでいかなければならない。われわれ国会の方も、やはりこれは経済の基本的な問題として、各党もそれぞれ考え方を持っているでしょうが、国会の場としても論議を深めていかなければいけない。単なる試算が狂った、計数的な計算でありますから実態と合っていない面が非常にありますから、五十一、二年の例のように狂うことは非常に多いわけでございますから、より実態に近づけ、より論議を深め、より財政、経済の将来性を国民の前に明らかにしていくためにも、そういう具体的な、むずかしいむずかしいとこの間から答弁されておりますが、そういうものに取り組んでいく決意があるかどうか、そのことを簡単にお答えいただきたい。
○福田内閣総理大臣 財政計画、これはなかなかむずかしい問題です。時間は相当かかる、そういう前提はありまするけれども、国会の皆さんの方でも御要請もあることでありますので、大いにこれば勉強してみる、このように御理解願います。
○広沢委員 加えて申し上げておきますが、大蔵省の出された試算の性格は、これは言うまでもなく財政運営の需要効果、これを余り考えていない。いわゆる需要効果が非常に低い、影響が少ないということを前提にして、一つのとめた考え方で試算を出すからこういうことになるのですね。われわれが申し上げているのは、財政の需要効果というものは、財政がどういう動きになってくるかという問題を知りたいということでございますから、いま申し上げたように、ひとつ具体的な計画に着手をしていくべきである。そうして早急にそういうものを国会に出していただくように要望しておきたいと思います。 次に、地方財政の問題についてお伺いしてみたいと思います。 さきに、五十一年度地方財政の決算が出たわけでございますが、全国市町村の五十一年度の決算は、歳入が十四兆八千百九十四億円、歳出が十四兆三千七百二十六億円。一応これは黒字になっているかっこうですが、その内容はやはり公債発行というものが大きなウェートを占めているわけでございます。そこで、累積地方債の残高を見ますと、五十一年度決算の地方債の残高、それから債務負担行為も含めて考えますと十兆を超えている、こういうことになりまして、歳入決算額に占める実質債務額というのは実に七七%に達する。将来の地方財政運営に大きな一つの影を落としている、こういうふうに見ることができると思います。 そこで、五十三年度の地方財政計画においても悪くなっていくということが想定できるのです。好転の兆しというのが見受けられないわけです。歳入では、地方債が前年度比三二・九%ふえている。それで歳入の中に占める割合は一一・七%で、国のいまの公債発行の三二%ということから見ますと低いようでございますけれども、地方自治体三千三百有余あるわけでございますけれども、ここには三〇%を超えているところも地方自治体ではあるわけでございます。こういうような異常な状況になってきているわけです。しかも歳入の構造を見ますと、自主財源というのは、地方財政の伸びは都道府県で六・八、市町村民税でも一三・八%、非常に低いわけであります。その他、こういう景気の状況でございますから、法人事業税もほとんど伸びない。個人住民税だとかあるいは固定資産税が若干伸びてそれを支えているというかっこうじゃないか。そのためにこの不足分は、財源対策債といいますか、そのための起債あるいは交付税特別会計の借り入れ、こういうことで全体を補っている、つじつまを合わしている。こういうことが問題になりまして、現在五十三年度からとろうとしておりますいわゆる地方財政計画における赤字を国と地方がどういうふうに分担を考えていくかということが問題になっております。 そこで、私は冒頭から主張として申し上げておきたいのですが、五十年から五十一年、五十二年、五十三年度と財源不足、これに対しましては、地方交付税法に明記してありますように交付税率を引き上げるべきである、これは自治大臣にお伺いいたしますけれども、そのように考えておるわけでございます。これは何回も議論ば繰り返されておりますし、国会の附帯決議だとかあるいは地方制度調査会におきましてもそのことは答申されております。またまた五十三年度の予算要求においても大蔵省と自治省の間では、交付税率を上げようという、予算要求の中では具体化した問題が毎年繰り返されておるわけであります。したがって、その点についてどうお考えになっていらっしゃるのか、自治大臣にお伺いいたします。
○加藤国務大臣 御指摘のように、昭和五十二年度におきましても地方財政の財源不足が未曾有の額になりまして、その不足額は三兆五百億円、かようなことでございました。この不足財源をどのように処置するかにつきましては、これまた、いま具体的に御指摘がございましたように、一部は起債に財源を求めざるを得ない。約一兆七百億円につきましては交付税特会によって処理をいたす、かようなことでございます。 そこで、理想といたしましては交付税額の引き上げが好ましいのには決まっておるのでございますけれども、御承知のような、きわめて流動的なわが国の経済状況でございますし、地方も大変でございますが、国もまた大変でございまして、本年度に続きまして来年度もまた交付税法第六条の三に該当いたしましたが、この条項は、御承知のように、交付税率の引き上げを行うかもしくは地方行財政制度の改正を行え、かようなことでございますから、残念ではございますが、後段の当分の間の制度の改正、この道を選ばざるを得なかったようなことでございます。
○広沢委員 当分の間、財政の事情によっては交付税率を上げることが望ましいけれども、それができなかった、こういう便法といいますか方向をたどらざるを得ない、こういうことでありますが、この処置を、交付税特会の借り入れのうち二分の一を地方が持つ、そして国がまた二分の一を負担する、こういう考え方のようでありますが、そうすると、私はこれを認めるわけではございませんけれども、仮にこうなりますと、その分だけ実質的な交付税率の引き上げになるんじゃないか、二分の一は、便法ではあるけれども。その点はどうでしょうか。
○加藤国務大臣 一兆七百億円の交付税特会の処置は、御承知のように一千五百億円をいわゆる臨特として国が入れることに相なっておりますし、そして一兆五千五百億円につきましては国からの借り入れでございますけれども、しかし実質上、その半ばに相当いたしますものを国が見る結果になっておるのでございますから、見方をかえて申しますと、その限りにおいては交付税率を引き上げたと同じような財政効果が生ずる、かように言えようかと思う次第であります。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕
○広沢委員 やはりそういう便法を講じないで、交付税率を引き上げるという、この交付税法にのっとってこれは考えていくべきじゃないかと思うわけでございます。いいですか、当分の間とはいえども、こういうような便法を講じていくというのではなくて、具体的にこれが実質的な交付税率の引き上げということであれば、そういう処置をとっていくのが適当じゃないか、このように考えるわけでありますが、どうですか。
○加藤国務大臣 交付税率は、申すまでもなく国と地方を通じます財源配分の基本に関することでございまして、そこで流動的な昨今の経済情勢下におきましては、その基本に関することにまでは手がつきませんでして、当分の間の処置をとらざるを得なかったようなことでございます。 なお、私は先ほど一兆七百億円の国からの特会への処置、かように申しましたが、その数字は一兆七千億円から一千五百億円の臨特を差し引きますから一兆五千五百億円と、かように訂正をいたしておきます。
○広沢委員 それでは、五十三年度の地方財政対策を講ずるに当たりまして、大蔵省と自治省は覚書を交わしているわけでありますが、その中に、いま御説明のありました、いわゆる「地方財政が好転し、あるいは地方税財政制度の基本的改正が行われるまでの間」は一応こういう処置をとらざるを得ないということは、この間は交付税率の引き上げというものは実質的にできない、こういうふうにお考えになっていらっしゃるわけですか。
○加藤国務大臣 なるべく早い時期に安定的な地方財政の情勢を築いていかなければならぬのでございますから、そこで、もとよりそのためには地方税収の増徴も考えていく必要もあるでございましょうし、かつまた、仮に国におきましての新しい税目等が創設されます場合には、それをも交付税の対象に持っていかなければならぬ、かようなことを総合的に考えていく必要がございまして、そういう中におきましての交付税率の問題、かように理解いたしておるのでございますから、当分の間はただいま御審議願っておりまするような処置をとっていかざるを得なく、なるべく早い機会に抜本的な処置をとってほしい、かように願望いたしておるところでございます。
○広沢委員 苦しい事情はわからぬでもありませんが、やはり交付税法では地方の財源というものを一応保障しているわけでありますね。国の場合は御承知のように、あれだけの経済の実態に合わして国債を発行するとか、そういうことが機動的にできることになっておりますが、地方の場合はこういうふうに交付税法で、財源の不足というものが続いていく場合においてはそれを補てんしていく方法を考えろということになっておるわけですね。これは地方財政の健全化のためには当然考えていかなければならない処置なんですが、そのために地方財政の計画を策定して国会に提出することを義務づけているわけです。そうするならば、当然財源不足については国が負担すべきでありますのに、いわゆる地方と国が二分の一ずつ負担する、こういうことを一応ルール化していこうという考え方のようであります。 私は、そういう基本的な考え方を見ると、これはやはりおかしいのではないか、その当分の間という、いわゆる地方財政が好転するということは、景気がよくなるということの意味でしょうが、やはり具体的な問題はもう一つの、いわゆる税財政の抜本的改正、これが行われる間と、両方考えられますから、それは具体的にはどういうことを指しているのか、いっそういうことが行われるということをめどにしているのか、ひとつお考えを明らかにしていただきたいわけであります。
○加藤国務大臣 地方財政が好転いたしました場合には当分の間ではない処置ができることは当然のことでございますけれども、しかし、このことは、ことし、来年に急速にそういう状況が来ようとはなかなか予期しがたい状況でございます。そこで、私どもは、なるべく早い機会に行財政の抜本的な改正を行ってほしい、このことを願望いたしておりまして、具体的には、国でも増税を考えざるを得ない段階に来ていると思えるのでありますけれども、地方におきましてもまた同様のことが考えられるのでありますから、片や地方税収の増徴を考えてまいりながら、仮に国が新しい税目等起こします場合にはそれをも交付税対象に加えてもらいたい、この強い願望を持っておりまして、さようなことを総合いたしまして制度の抜本改正、かように理解をいたしているところであります。
○広沢委員 この運用を見ておりますと、私は、どうも交付税法六条の三の二項、地方が地方財政の上から一番問題にしておりますことを空洞化しているように思えてならないわけですね。この当分の間という中に地方財政が好転してくる、好転してくれば大体これでいいのじゃないか、それはそうだろうと思うのですが、こういう状況の事態を想定するからこそ六条の三の二項があって、そのとおり国がめんどうを見ましょう、こういうふうに決めてあるわけでありますから、好転してきたときかあるいは抜本改正のときか、こういうことになるのですから、それならば、いまこういう状況の中でも税財政の抜本改正というのを具体的にどうあるべきかということを検討して明らかにしていかなければならない。こういうような便法処置を講ずるということは、六条の三の二項、いわゆる交付税法の基本的な考え方を空洞化していくことになりかねない。ですから、それを当分の間と断らざるを得なかったのじゃないかと思うのですね。その点については今後十分に配慮していかなければならないことを強く私は申し上げておきたいと思うのです。 そこで、先ほど私は冒頭に申し上げましたけれども、いま国も一般会計については財政収支試算を出して、これからの財政再建というか、あるいは異常な借金情勢の中でこういうふうにやっていかなければいけないという一応の試算はお出しになっていらっしゃいますね。それで、地方の方も財政収支試算、こういうふうにあるべきだという試算を出すべきだと思うのですが、その点についてはどういうふうにお考えになっているのか、もしもその用意があるならばいつお出しになるのか、お伺いしておきたい。
○加藤国務大臣 地方財政の収支試算につきましても当然策定すべきである、かような考え方でただいま鋭意作業いたしておるのでありまして、経済企画庁の暫定試算を基本にいたしながら、大蔵省が策定いたしました国の財政試算をも調整いたしてなるべく早くつくり上げたい、かようなことでございまして、作業が大分進捗いたしておりますので、恐らく今週いっぱいぐらいには作業が完了いたしまして提出できる、かように判断いたしておるところであります。
○広沢委員 試算が出ておりませんからその内容がどうなっているかということはわかりませんが、それだけ作業が進んでいるとするならば――大蔵省が出した財政収支試算を見ますと、五十七年まで一応交付税率は三二%、これは変えないという考え方に立った試算をしているわけであります。幾ら試算としても、これはおかしい。先ほどから申し上げておりますように、地方財政を考えていくならば、いま自治省と大蔵省が折衝しているように、この基本的な地方交付税率を改善していくのだという問題を織り込んで考えていかなければならないのじゃないかと思うのですね。したがって、自治省としては、そういう将来の地方財政の再建を考えていくならば、こういった基本的問題を避けて、ただ数字的な考え方でそれに合わせてつくればいいというものではないのじゃないか。ましてや、先ほどの論議でも明らかになっておりますように、経済計画に基づいて大蔵省の財政試算を見ますと、これは大幅な増税をしなければいかぬ。この増税の中身は何だかまだはっきりしないわけでありますが、それにつけても地方財政の計画を考えるならば、交付税率といいますか、そういうことに大きな影響を与えてくる問題ではないかと思うのですが、その点はどのようにお考えになっているのでしょうか。
○加藤国務大臣 国の収支試算は御承知のような五つのケースを想定いたしておるのでありまして、私どもまた、具体的な作業内容といたしましては、このケースと調整を図りながら運んでいかなければならぬ、かように考えております。 そこで、Aケースの場合を考えましても、国税三税に三二%を乗じました数値のみの計算のほかに、国の支出の中の「その他」の中に相当交付税分がカウントされておる、かような見方をいたしておりますので、さようなことなどを大蔵省と具体的に詰めて、できるだけ、なるほどと御理解がいただけますようなケースを、大体国の場合と同じように五つに分けまして作業いたしたい、かように考えておるところであります。
○広沢委員 どうせ、これは質問が保留されておりますから、その問題には後日触れてくるのじゃないかと思いますけれども、先日も、大蔵省の財政試算五通りに分かれておるけれども、現実の経済計画に合わせて見るならばそれは整合性がないということを、政府はお認めになっていらっしゃるわけですね。ですから、きょうの論議の冒頭にも申し上げましたように、財政収支試算は一応C案が一番近いのだ、確かにそれは経済の暫定試算に基づいて考えると、私もC案が一番近いものだろうと思うのです。ですから、それを基準として考えていかなければならないだろう。そのことを考えていきますと、地方財政の計画の中には明らかに、大蔵省の財政収支試算と基本的に矛盾するものが出てくる。ということは、三二%で、C案の中にも一応それを限定した形で考えている。そうとするならば、五年間に先ほど申し上げました地方交付税率の改正というものは考えないという試算をお出しになることになるわけですね。自治大臣は先ほども、これは基本的な問題である、その方向へ持っていきたいというお考えであるならば、そこを改善していかなければ、これから五年間の地方財政の再建計画というものはできないのじゃないか。そこの整合性をどう考えていくのかということが一番の問題点ではないかと私は思うのですね。そういう基本問題を抜きにして、いま言うような内容を明らかにしないで、ただ数字的な計算をするということは問題じゃないか。そもそも、この試算の問題の中で、これはいままでの試算の状況――前回、五十一年でも地方の財政試算は出ておりますけれども、これは大蔵省の案もそうでございますが、やはりその内容が明らかにならないのですね。一体「振替支出」がどうなっていくのか、あるいは「その他」ということの中へ一緒くたにみんな項目が入っておりますけれども、その内容がどうなるのかという具体的な問題が明らかにならないで、ただ数値だけの計算がなされておる、そこにこの試算と現実との矛盾というものが出てくるのじゃないか。ですから、地方財政における収支試算をお出しになるのであれば、その基本的な問題も含めて十分協議して出してこなければならない。あの大蔵省試算の方で地方交付税率の三二%を限定して考えているから五年間はもうふえませんよという考えでくるのだったら、この当分の間というのは仕方がないのだというお考えなのか。経済計画によれば、この五年間の後半においては一応安定軌道に乗るという考え方に立って暫定試算というものは出されているわけでありますから、そういう状況の中では当然基本的な問題に触れなければいかぬ、私はそう思うわけでありますが、時間がありませんので、その点についての基本的な自治省の考え方を承りたいと思います。
○加藤国務大臣 もとより交付税率の引き上げが好ましいのでありますけれども、しかし地方財政の立場に立ちますと、地方税税収の確保を図ってまいりましたり、また、国から交付税として支出がされますものをも一般財源にカウントいたしておるのでございますが、ただ、それは単にパーセンテージだけの問題ではないのでありまして、先ほど来申しておりますように、国におきましても恐らく増徴等が積極的に考えられざるを得ない財政状況だと判断をいたしておりますから、さような場合に税目をふやしますことが可能であるといたしますならば、三二%でありましても交付税会計に入ってまいりますものがうんと多くなりますことは申すまでもないことでございますから、ただ地方財政だけにおきまして三税の三二%を引き上げますような案をつくりましても、そのことはさほど大きな意味はないと考えられるのでありますから、今後、年度年度におきます国の趨勢との対応において考えていかなければならぬ、かように考えておるところであります。
○広沢委員 自治大臣、それはちょっとおかしいと私は思うんですがね。というのは、先ほど申し上げましたように、毎年毎年の一応大蔵省と自治省の予算要求の中で、五十三年度は大体三八%に交付税率を上げるような折衝をなさっていらっしゃるのですね。現実的に当分の間とられた処置というのを考えてみますと交付税率が大体四〇%に、国が全部交付税法に基づいて処置をしたとするならば四〇%の引き上げをしたと同じような財源処置になっているわけでございますよ。よろしいですか。ですから、当然、地方財政の再建ということ考えていくならば、その点に考えを持った計画でなければならぬわけですし、よろしいでしょうか、それからいま新しい税目対象というものをどうするかという問題がある、ということになりますね。これは当然大蔵省の案の中にもどちらか決まっておりませんけれども、確かにそれも一つの方法ではないかと思うのですね。それならば、それを含めた一つの考え方というものを検討して明らかにしていただかなければ、これはどうしようもないじゃありませんか。現実にやっていることと試算をおつくりになる経過というものが、そういうふうな概念を抜いて、ただ数値合わせの形を出してこられる、検討せられるということは、私は承服できませんね。どうでしょうか。
○加藤国務大臣 地方財政の立場からいたしますと、要は、どのように充実した資金が地方に流れてくるか、このことがむしろ中心でございます。そこで、交付税率の引き上げももとより好ましい姿でございますが、しかし、国と地方で税源を配分いたします基本に関することでございますから、流動的ないまの経済の情勢下におきましては固定的な、また恒久的な処置はとり得なかったのでございますから、いま御審議いただいておりますような交付税会計で特別の処置をせざるを得ない、かようなことでございました。 なお、収支試算につきましては、先ほど申し上げたとおりでございまして、交付税率を上げようといたしましても、それはただ地方団体だけの、自治省だけの作業に終わる心配もあるのでありますから、国の場合との整合性を保ったものにいたしてまいりたい、かように考えておるところであります。
○広沢委員 ですから、私は、そのところは大蔵省の財政試算でも大変問題だろうと思うのですね。大蔵省自身が、交付税率は引き上げないという一つの案を出しておられる。C案が一番近いとおっしゃっているのですから、私はC案で申し上げたのですね。C案の中では、わざわざ「その他」の中から地方交付税というものを取り出して、そしてそれが三二%、それは税収の伸びを考えておりますから数字的には伸びておりますが、基本的な考え方というものは三二%の交付税率は上がらないという考え方で出しているのです。それは、自治省の考え方は現実の問題と私は食い違ってくると思うのですよ。私は、そのことに関しては、やはり大蔵省の財政試算も問題があると思うわけであります。ですから、いままでの基本的な自治省の考え方と大蔵省の財政試算というものは、そこに大きな狂いが出てくる。それを抜きにして、ただそれに合わした試算というものは何の意味合いもないですよと言っているのですよ。そうじゃありませんか。それをそのとおり合わせるのだったら、いま申し上げた地方交付税法の六条の三の二を完全に形骸化した、法律違反的な考え方になるじゃありませんか。この五年間、それはしようがない、そういうことになるのですか。委員長、私はそれが具体的に出てきておりませんから、この問題について議論しておると、いつまでも平行線です。しかし、私はそこに大きな矛盾があるということを指摘しているのですよね。どうですか、もう一遍簡単にお答えください、時間がありませんので。
○加藤国務大臣 先ほど申しましたように、国の試算におきましてはその他の支出が相当の金額になっておりまして、その中に三二%の交付税額が括弧書きで計算されておりますことは御承知のとおりでございます。私どもは括弧書きの三二%のほかに、その他の支出の中においてどのように交付税額が位置を占めるか、このことに非常な関心を持っておるのでございまして、大蔵省の出しましたものと調整はいたしてまいりたいと考えておりますが、たとえばいま御指摘のC案の場合におきましても、私は数字は相当変わってくるのではないか、かような理解をいたしておるようなところであります。
○広沢委員 一応、大蔵省の案が三二%で固定して五年間の試算をお出しになっていらっしゃるわけですね。冒頭で自治大臣は、やはり基本的には交付税率を考えていかなければいけないし、あるいは新たな税目対象があらわれたらそれも加えていかなければならぬ、こういうことでありますから、当然、私はその点が、いま大蔵省の試算も問題になっております点は、自治省のいわゆる地方自治の考え方とそれから大蔵省の試算の考え方とは大変な矛盾が生じてくる、基本問題から考えていきますと。そういうことです。それについての具体的なはっきりした答弁がないわけであります。私は時間が多少残っておりますが、この問題については試算が出てきてからじゃないと、こういう抽象的な答弁だけでは私は納得しかねます。したがって、私は大蔵省の財政試算、それから自治省のこれから出てくるであろう試算、これを見た上で質問をいたしたい。これは留保しておきたいと思いますが、委員長においてお取り計らい願いたいと思います。
○山下(元)委員長代理 委員長において申し上げます。 この件については理事会において協議いたしますので、御質疑を進めていただきたいと思います。
○広沢委員 結構であります。 これは、理事会において十分検討していただきたい。というのは、いまわれわれが財政再建について求めているものは、言うまでもなく、先ほど論議しましたように、大蔵省の財政試算の中にも整合性を欠いている問題がたくさんあるわけです。さらに自治省の案についても、私は、いままでの経過から考えていくならば当然矛盾が生じてくることを指摘して、そのことを十分に盛り込んだ案でなければならない、整合性は整わないということを話したのですが、それについて、いま検討中ということで、具体的な答えがないわけであります。しかし、いまの財政試算の中では三二%ということはもう固定されてしまっているという問題がございます。ですから、それであったならば地方財政の財政試算の中にも矛盾が出てくるという問題を指摘申し上げたわけでございますので、それは十二分に理事会において、この問題についての取り扱いを検討していただきたいと思うのです。 そこで、時間がありませんので、同和対策特別措置法、これは本年度をもって一応十年の時限立法が切れるわけであります。まだ多くの問題が残っておりますが、きょうは、この点については一応関連としてわが党の沖本委員から質問いたしますので、私の質問は以上で終わりにいたしたいと思います。
○山下(元)委員長代理 この際、沖本泰幸君より関連質疑の申し出があります。広沢君の持ち時間の範囲内でこれを許します。沖本泰幸君。
○沖本委員 同和問題につきまして関連質問させていただきたいと思います。 政府の出しております「同和対策の現況」こういう中におきまして、部落における生活の実態を明らかにする指標として、「生活保護の状況」を発表しております。それによりますと、今日の部落における生活保護の状況は、関係府県、関係市町村平均と比べて、大体五倍から八倍の高率になっておるわけです。これは政府の発表です。しかも、六九年と七〇年とを比べるときに、関係府県、関係市町村平均における保護率は減少の傾向を示しておるのに対しまして、部落の場合は逆に増加の傾向を示しておる、こういうことがちゃんと載っておるわけです。こういうことは、部落における産業や労働が不安定であって、劣悪な実態にあることと密接に関係しておるということが言えるわけです。 また、全国の部落の戸数の中で約一割を占める企業の実態は、その大半が生業と呼ぶべきもので、きわめて零細で不安定なものであります。「同和対策の現況」に発表されている資料でも、九人以下の従業員しか抱えていない企業が、全国平均では八五・九%であるが、部落では九一・九%に達しているわけです。 時間の都合で、つまんで二つの点をいま申し上げたわけですけれども、こういう問題を通して考えてみましても、人権や生活や産業、労働、教育、また命にかかわる健康という問題、あらゆる面において、特別措置法が残しておるところのあと一年間、こういう時点において深刻な部落差別の実態が存在しておるということが、この観点からでも指摘できるということになるわけです。 総理がこの間の御答弁でおっしゃっておられたことは、相当の効果はあった、しかし相当のものも残っておることも事実だ、こういう点お認めになっておるわけで、協議会あるいは団体とか各党の意見を聞いて今後やっていきたい、こういうお答えであったわけです。 私は、この法律をつくるときにも参画しておったわけですけれども、振り返って考えてみますと、この法律をつくるとき、私も含めて、全体の考え方が甘かったのじゃないか。法律をつくって施行すればいい――各大臣の答弁で十二項目の附帯決議というものがつけられて、内容を充実していくということになるにはなったわけですけれども、しかし、それもなかなか現状では実効が伴っていない、こういう点が考えられるわけです。 それから長期計画を見てみましても、この十年計画がスタートしてから調査に入っているということですから、前期と後期五年ずつ分けたわけですけれども、前期の五年が終わって大体わかってきた。これは政府の調査でわかったということであって、それから各省がいろいろな具体的な問題を取り上げていきだした。そういうことですから、それまでの各年においてもいろいろ各大臣に御質問もしましたけれども、まだ調査ができていないので、計画についても実態についてもまだわかってないというのが、前期五カ年ぐらいの各大臣のお答えであったと言えるわけです。そういう質問を通して言えますことは、前期五カ年計画が終わって後期に入って一、二年してから、大体政府の仕事が具体的なものがどんどん出てきたということが言えるのじゃないかと思うのです。ですから、その十年間の幅の中を考えてみましても、十年の時限立法がスタートしてからそのままずっと計画的に進んでいったということは言えないわけです。そうしますと、十年の時限立法の中で、それまで各年予算はついておったわけですけれども、実際に政府の手が具体的に入っていったと言えるのは、私の考えでは二、三年、多くて四、五年ぐらいじゃないかということが言えると思いますね。そういうことから考えていきますと、大体十年の時限立法ですから、毎年何かの計画があって、十年間ですべての面が終わるという計画であればこそ十年の時限ということがつけられるわけですが、ところがスタート時期にはそういうものが全然見られなくて、それがどんどん進んでいって、半分以上たってやっと法律が動き出したと言ってもいいような点からいくと、当然延長しなければならない、こういうことが考えられると思うのです。 ですから、延長することが当然であるということになるわけですし、また、この問題が出てきだしてから、むしろいままで見えなかった問題がどんどん表面に出てきだした。出てきた問題というのは、生活保護の実態もそういう中から、同和地域という指定があって、そこで実態調査をしていくから、生活保護を受けている人がどのぐらいおるかという数字も出てきたわけですし、こういうものがなかったら全国平均の中で見ていっているということになるわけですから、そういう点から考えていくと、その面でもやはり生活保護の問題が浮き彫りにされてきた。あるいは、いろいろな問題でいろいろな図書が出ているという問題も浮き彫りにされてきている。就職についてもいろいろな問題が出てきている。こういうことで、むしろこの法律が出てきてから差別問題が具体的に出てきている。それから浮き彫りにされてきている。また、認識も出てきた。だから、よけい差別について人権擁護委員会の方へ問題を持ち込んでいくという問題も出てきている。 こういうことになるわけですから、こういう点からも、十年の問題がいま九年まで来ているわけですけれども、その問題が移行していっている中で、むしろ十年たってみてやっとだんだんわかってきたということになるのじゃないか、こういうふうに私は考えられると思うわけです。ですから、総理のおっしゃる相当の効果はあったという点は、やはり後期の辺で効果があったといえばあったと言えるのじゃないか。だけれども、法律がそのまま効力を発揮して、そして十分な効果を得ていってということは考えられない、こういうことになってきますと、当然延長していかなければならない問題じゃないかと思うのですね。 私の甘かったという点はどうかと言いますと、いわゆる差別の問題を解決するということになると、大きく分けて物と心の面ということが言えるのじゃないかと考えられるわけですけれども、物の面は予算をつぎ込んで仕事をどんどんどんどんやっていけば、あるいは解決が図っていけるかもわかりませんが、心の問題はなかなか解決する問題じゃないということが言えるわけです。 この同和対策審議会の答申には、「いうまでもなく同和問題は人類普遍の原理である人間の自由と平等に関する問題であり、日本国憲法によって保障された基本的人権にかかわる課題である。」という点を指摘しているわけです。そして、「これを未解決に放置することは断じて許されないことであり、その早急な解決こそ国の責務であり、同時に国民的課題である」、こういうふうに部落問題の解決をきわめて重大な国家的課題であると答申しているわけです。また特別措置法の第四条には、「国及び地方公共団体は、同和対策事業を迅速かつ計画的に推進するように努めなければならない。」こういうふうに規定されているわけです。 ところが、いま御指摘したとおり、長期計画はいつ出発したのかはっきりしていない。年次計画というものもなかったわけです。ですから、同和問題の解決の見通しが全然ついていないままで現状に来ている。やっと前期で実態をつかみかけてきた、前期五カ年計画で実態がわかってきだしたという時点にあるわけですから、総理のおっしゃっておられる、協議会あるいは各団体なり地方自治体なり、各党からの意見を十分聞いてから延長するかしないかということでなしに、むしろ国の責務という点に立って、団体側の方からとか、あるいは全国の知事会とか市長会とかあるいは議会筋から、どんどんどんどん決議したり、要請したり、延長してほしいということで、いろんな問題点を指摘しながら出てきているし、各党もいろいろその点について動いて、そして政府に要求している。むしろ逆ではないか。むしろ、いままで申し上げたようなそういう内容からいけば、政府の方が強化延長するというふうなことを国の責任で決めておやりになるのが筋じゃないか。そうあるべきだ。私はそういうふうに考えるわけですけれども、総理、どんなお考えでしょうか。
○福田内閣総理大臣 同和立法の延長問題についての私の所見は、この前も申し上げているとおりでありまして、政府は別に責任を回避するなどという、そういう考え方は持っておりません。ただ、この立法ができたいきさつがあるわけです。これは各党が相談をいたしまして、そしてその結果でき上がったのがいまの同和対策事業特別措置法、そういういきさつもありますので、それから同和対策協議会もありますし、地方団体の御意見、これも薄々はわかっておりまするけれども、また細かいいろいろな御意見等もありましょう。そういう各方面の意見、それから各党ともよく相談をいたしまして、そして決めたい、こういうふうに申し上げておるわけであります。お気持ちはよく私も理解できます。
○沖本委員 大体この間から総理の御答弁は、いまおっしゃったような点で一貫しておるわけです。先日社会党の湯山議員もおっしゃっておられましたけれども、できたいきさつという点を御指摘になって、各党が相談してできたのだと言うのですが、それはちょっと総理、お考えを変えていただきませんと……。湯山さんがおっしゃっていたのですけれども、あの当時も政府からいろいろな問題を出してもらって、政府案を各党が相談したということなのであって、各党が相談したものを政府に出したということには当たらないわけで、これは私もそれをつくるときに一緒に、公明党を代表して御相談しておったわけですから、いきさつは一番よく知っておるわけです。そういう点、総理ひとつ、違うのだ、政府案で、それを各党がどうするこうするでいろいろ検討し合ったのだというふうに御理解を変えていただきたいと思います。 それから、話をちょっともとへ戻しますけれども、総務長官にお伺いしたいわけですが、先ほど申し上げましたとおり、長期計画が前期と後期の二回に分かれたわけですね。スタートしたときには全然実態も何も、同対審の答申案ができたとき、こういう中にはある程度のことがありましたけれども、たとえて言うなら同和地域の指定をどこにするかというようなところから出発していっているわけですから、その中にある内容の問題が検討されているわけではないわけです。ですから、毎年のように御質問はしてきましたけれども、その中で一貫して各省がお答えになったのは、まだ調査ができていないから答えようがないのだ、計画の立てようがないというのが、五年、六年経過するぐらいまでの各省のお答えであったわけです。これは事実なんです。記録を調べてみればわかると思うのですが、その点については長官、お認めになりますですか。
○稻村国務大臣 お答えいたします。 御指摘の点でありますが、五十年度、同和対策の基本的な資料として四千四百八十カ所調査をいたしました。もちろんまだ未調査のところもございますが、これを資料として今後きめ細かい施策を打ち立てよう、こういう意味で行ったわけであります。
○沖本委員 お伺いしたことに対してのお答えじゃないわけなんですけれども、これは四十四年の七月にスタートしたわけです。長期計画を実施するということだったわけです。前期と後期に五年ずつ分けたわけです。分けて、前期の五カ年計画と後期の五カ年計画、こういうふうに二つあったわけなんですね。それで前期の五カ年計画の調査にとりかかられたわけです。ところが、毎年のように各省は、同和問題に対する予算は計上されてきたわけです。しかし、その基礎がどこにあるか、どういう内容でおやりになったか、これで十分だとお考えになるのかという点をいろいろお伺いしてみましても、調査中だからまだわかっていないのだというのが各省のお答えだったわけです。いま調査中ですから、調査中ですからというので五カ年ぐらいたっているわけなんです。前期が終わったからもうわかっているでしょう、だからちゃんとした計画をお見せくださいと何度も言ったことがあるのです。ですから、そういう点からいきますと、これは実態が、政府なりのつかみ方の実態ですね。解放同盟とかそのあたりが実態を調査して、政府がいただいている、私たちがいただいている実態とは大分隔たりがあるわけです。総務長官おっしゃったとおり、まだ未調査のところもあるし、調査してわかったところもある、こういうことなんですが、そういう実態が政府なりにわかってきたのは大分後になってということになるわけです。ですから、十カ年計画の初めからわかっているということは言えないわけです。だから本当は、十年でこういうことをやります。それで十カ年でこの問題は解決します。それが時限立法なんでしょう。十年間でこれだけのことをやっていって、これでもう間違いなく解決できる、しかし実際にやってみたら足らないところがあった、だからあと、足し前するかどうかという話し合いが現状ではないわけなんです。私が申し上げているのは。そうではなくて、そのままずるずる来て、半分ぐらいたってやっと動き出したというのが私が申し上げている点なんです。ですから、その分だけはこっちに延びているでしょうということなんです。だから、十年の時限立法でも、これはもう五年ぐらい何もやってないと言っていいと言えるんじゃないかと思うのですね、政府の立場に立って申し上げてみても。ですから当然延長すべきだということが言えると思うのです。 この前、総務長官はそういう方向で検討してみるということをおっしゃっておられたわけですけれども、そういういま申し上げたような点も、対策室長がおられますから御相談になっていいわけなんですけれども、いま申し上げたようなことを認めながら向こうを向いて検討なさいますか、どうですか。
○稻村国務大臣 お答えいたします。 先ほど総理がお答えになったわけでありますが、ただ、問題は御指摘のように、残工事も相当残されているわけであります。そういう意味から、この法律とは別に、これをどういうふうにして消化していくかという問題は検討していかなければならぬと思います。ただ、ここで申し上げたいと思いますのは、延長を含めてこういったものを慎重に考えてみたい、こういうふうに思っております。
○沖本委員 それで、先ほども申し上げましたとおり、同対審の答申の一番かなめになっているのは、国の責務であると同時に国民的課題である、こういうふうに指摘しているわけです。国民的課題なんです。それを受けて政府案ができ、各党はそれを認め、それで四十四年の七月に十年の時限立法ができたということになるわけですから、国民周知という内容のものになっていかなければおかしいと思うのですね。ところが、極端な言い方をいたすかもわかりませんけれども、同和問題とはどういうものなんだとか、あるいは差別とはどういうことだということを知らない人が現実には多いのです。たとえば、この数年来の間に、八鹿事件であるとか何とかであるとか、いろいろこの予算委員会で相当紛糾したような問題がクローズアップされてみて、それで八鹿とかハチシカとか何だとか、こういうふうな興味をお持ちになっただけであって、差別問題について何が差別に当たるのだとか、同和という名前はどういうことからついて、同和問題とは一体全体何を指すのだろうとか、そういうふうな内容とかいろいろな問題を国民は全然御存じない。そういう問題を抱えている地域はほとんどおわかりになっているけれども、そのほかの地域は御存じないと言って過言ではないという点が言えるわけです。ですから、これが国民的課題であれば、当然国民が知っていただくためのいろいろな処置なり方法なりがあってしかるべきであるというふうに私は考えるわけです。そういうためにむしろ問題点だけをとらえて、予断と偏見的な問題がいろいろ渦を巻いてくる、それからまた、よけい誤解を生んだり予断を生んだり、そういうことで、むしろ差別問題は、解決するより、未解決でも一つと深い問題を掘り起こしていっているということも言えるのじゃないかということが言えるわけです。 そうしますと、十年の時限立法をつくった根本的な精神というものが失われてしまっておるということも言えるのじゃないか、私はそういうふうに考えるわけです。ですから、どうしてもこの法律をつくったときの根本に政府なり各党がもう一度立ち返って、真剣に国民平等の考えに立って、国民的な課題に立ってこの問題を知っていただかなければならない、こういうふうに私は考えるわけです。きょういらっしゃる大臣の皆さんにはなかったわけですけれども、以前お伺いした大臣の中にも、御存じなかったような、もちろん全然知らないということじゃないのですけれども、問題を十分知って質問に答えていただいたということは少なかったということも言えると思うのです。ですから、そういう点を各省ばらばらでなくて、十分この問題をつかんでいただいて、認識していただいて、そして国民が同じ立場に立ってこの問題を十分考えられる場所に出してきていただくというためには、もう一度この法律を考え直して、そして延長して、さらに起こっている問題を掘り下げて解決していかなければならない、こういうふうに私は考えるわけです。この法律ができてから地方自治体ではむしろいろいろと要求がどんどん出てくる、国からの補助は十分出てこないということで、いろいろな問題がそこからも起こってきているということも言えるわけですから、そういう問題を含めて解決するためには、これはどうしても延長する方向で考えていただかなければならない。一番中心になるのが総理府ということになるわけですから、この点について総理府長官、もう一度お考えをお伺いしたいと思います。
○稻村国務大臣 お答えいたします。 同和問題は、憲法に保障された基本的人権にかかわる重要な問題でございます。そういう意味から、物ということも大変大事でありますが、心という問題も組み合わせながら、先ほど総理がお答えになったとおり、延長をも含めて慎重に検討してまいりたい、こういうふうに思っております。
○沖本委員 いまのお答えから余り向こうを向いては進まないと思うわけです。時間の点で細かい点は皆省略して、根本的な問題だけを申し上げていったわけでございますけれども、たとえて言いますと、大阪とか、わりと仕事をどんどん進めている地域と、長官がおっしゃったとおり、やっと実態がわかってきているというところでは、各県でうんと開きがあるわけですね。それから同じ府県の中でも、市によっては全然違った問題が出てきている、こういうことになるわけです。ですから、そういうことも考えていただかないと困ると思うのです。 それから、単純な物の考え方になるわけですけれども、同和事業の中で改良住宅、いわゆる同和措置法の予算で住宅を建てるわけです。それは非常に家賃の点も安いわけですね。そうすると、その地域外の人が、建つのを見て、自分たちが入れないという事柄から、どうしてああいうことをさすのだと言う。逆に今度はそういう問題が起こってくるわけです。そうしていくと、同和の人たちからしてみれば、じゃ私たちはいつまでたっても前と同じような目に遭っておけと言うのか、こういうことになるわけです。議論からいきますと。そういう問題もやはりあわせて解決していかなければならない。ですから、事業を進めていくところにまた問題が起こってくる。そういう問題を同じようなウエートで解決していくためには、やはり相当大きな予算措置もなければならないし、きめの細かい政策がとられていかなければこの問題は解決しないわけです。 そういうことですから、こういう点も十分お考えになっていただきますと、これはどうしても必要だということになるわけですから、総理も各党の意見も聞き、いろいろな点も各団体から聞いて、そういう方向でこれは進めていくからというお答えであるわけですけれども、短い時間でいま御指摘申し上げたような点もひとつお考えいただいて、これはやった分だけいろいろな施策が解決していくということになるわけでございますから、その点も十分お考えになっていただいて問題を把握していただきたい、こういうふうに考えておるわけでございます。 ですから、この時限立法を何年延長強化したからといって決して全部解決したということには当たらないと思うのです。ですからもうできるだけのことをして、そして忌まわしい差別問題をわれわれ国民の中からなくしていって、同じ平等な中で、人権の保障される中で私たちは生活していける環境をつくり上げていくということを果たすことが大事だと思いますので、その点、総理、もう一度よく御検討いただきたいと思うのです。よろしくお願いいたします。 あと少し時間が残りますけれども、広沢さんの質問の留保分がございますので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
○山下(元)委員長代理 これにて広沢君、沖本君の質疑は終了いたしました。 次に、大内啓伍君。
○大内委員 まず最初に、円高問題と経常収支の六十億ドルの問題を中心にお伺いをいたします。 一九七一年から昨年一九七七年までに、日本は、あのドルショックを初めといたしまして、間に石油ショックをはさみ、昨年の円高ショックに至るまで、七年間に七回の実はショックを受けたわけであります。つまり一年間に一回の割合でショックを受けてきた。これはなぜかといいますと、情勢分析の誤りが常にそこにあった。私は昨年の円高ショックをずっとフォローしてまいりまして、やはりこのショックも情勢分析、判断の誤りである。しかし、その見通しの誤りの結果、国民や企業がはかり知れない被害をこうむらざるを得ない、これはやはりお互いに考えなければならぬと思うのであります。 昨年五十二年から急速な円高が起こってまいりまして、本委員会においても相当議論をされたのでありますが、この五十二年中に起こりました円高、私のところにもたくさんの資料が参ってきております。たとえば商工組合中央金庫の調査によりますと、二百四十円によって輸出採算割れが起こった企業は、何と全体の六六%にまで達しております。繊維産業においては、二百四十円では壊滅的な状況が生まれまして、その多くがいま出血輸出の中にあえいでおります。化学産業で見ますと、たとえば二百三十五円から二百三十九円の段階になりますと、百四十品日中何と百三十四品目が輸出不可能になる、こういうデーターが出ております。また造船産業におきましては、昨年四月から十一月にかけましては、その受注量は激減をいたしました。隻数で百三十八隻、百八十五万トンと半減をいたしまして、十一月だけで見ますと、対前年同月比で何と五分の一に落ち込んでおります。 そこで、通産大臣にお伺いをいたしますが、五十二年中に受けた日本の円高の被害、影響というものはトータルでどのくらいになるのか、まずお答えをいただきたいと思います。 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕
○河本国務大臣 いろいろな関係がありますので、正確に数字をもってお答えすることは不可能でありますが、大体の大勢を申し上げますと、いまお示しになりましたように、現在の円レートの水準では大部分の産業が輸出をすれば出血になる。また中小企業は非常に大きな影響を受けまして、ほとんど全部が赤字になっておりまして、このために先般も中小企業救済のための緊急立法をお願いをしたくらいでございまして、非常に大きな影響を受けておることは事実でございます。
○大内委員 円高の被害について一つ一つ洗ってみますと大変な時間を要しますが、いま通産大臣がおっしゃられたとおり、各産業別に大変な被害が起こっておるのであります。これは総理もよく御存じのとおりであります。 そこで、実は本委員会の二月一日の福田総理の答弁におきまして、総理は次のようにおっしゃっているのであります。急速な円高は予想した限度を越えた出来事であったということを私は認める――私はどうもこれを拝聴しておりまして、これだけでは済まないのではないかというふうな感じをしておりますのは、いま円高の被害というのは、申し述べればたくさん、山ほどあるのでありますが、そうした円高というものは果たして不測の事態であったか、もし不測の事態であったとすれば、私は政治責任は免れると思うのであります。しかしそうではなくて、円高は予測し得た事態であったということになりますと、そこには政治責任が発生すると思うのであります。 そこで私は、円高の状況をずっと追っておりまして、円高は予想し得る事態であったということを次の四つの点から指摘せざるを得ないのであります。 と申しますのは、あの一九七二年に、総理もよく御記憶だと思うのでありますが、日米の間で貿易の不均衡が起こりまして、これが繊維戦争に発展していった。そのときの、一九七二年の貿易収支の黒字というのは四十二億ドルちょっとでございました。しかし、あの昭和五十一年の段階におきまして、つまり円高が起こる前の段階において、対米貿易収支の黒字は何と五十五億三千百万ドルにも達した。これはアメリカの全赤字の何と九五%でございました。ECにおいても三十九億ドルを超える貿易の黒字が起こった。福田総理は常々経済の専門家であると自称されているわけでありますが、私はこの数字一つ見ても、これから日本の中に円高が起こってくるぞということは当然予測し得たと思うのであります。そしてそれを裏づけるように、実はアメリカやEC等から、円高に対する猛烈な批判というものが起こってきた。これは総理も御記憶だと思うのでありますが、昨年の一月十二日には、ブルメンソール米財務長官が上院の財政委員会において、日本からの過度の輸出攻勢はもうがまんがならないと真っ向からこれを批判しているのであります。そしてさらにクーパー国務次官は、円切り上げの圧力をこの際アメリカは加えるべきである、こう述べているのであります。そして二月九日には、カーター大統領の経済のブレーンと言われるペンシルバニア大学教授のローレンス・R・クライン氏は、円とマルクの一〇%の切り上げを求めている。そしてさらに五月二十五日には、再びブルメンソール財務長官は、円を切り上げる余地があるということを国際的に言明されたのであります。そして六月十七日には、シェパード・米テキサス・インスツルメント会長が記者会見をいたしまして、円はもっと高くなるべきであると強調した。私はこの種の談話をずっと調べてみた。もうここで述べ立てられないくらいに実はECやアメリカから円切り上げの声が一月から、しかもアメリカの相当な責任者から出ている。ですから、これらの批判から、円というものが円高の中に追い込まれてくるということは当然予測し得たと思うのであります。恐らく総理もこの辺は否定できないと思うのであります。そして、五十二年がだんだん進むにつれてはっきりしてきたことは、日本の数字でも、一-八月の対アメリカの貿易収支がどのくらい黒になったかといいますと、何と四十九億八千八百万ドルも八月の時点で黒字が出てきた。これは大変なことですよ。五十一年一年間分くらいの黒字がまた一-八月の中で出てきた。これは円高の明らかな証拠じゃありませんか。 そこで、いま皆さん方にも資料をお配りをいたしましたのですが、円高の推移というのをごらんいただきたいのであります。円高というのは、昨年の一月四日を契機といたしまして、二百九十二円五十銭をどん底といたしまして、これからどんどんどんどん円高が始まっていったのであります。二百九十円から二百八十円台に入るのはたった二十一日しかかかっておりません。そして二百八十円台から二百七十円台は約二カ月であります。そして今度は二百七十円から二百六十円台までは三カ月、二百六十円台から五十円台が三カ月、二百五十円台から二百四十円台がたったの二十二日間で、今日の二百九十円台から二百四十円の円切り上げが起こったのであります。私はこれらの四つの要因からいたしまして、アメリカが日本に対して要求したものは、一つは円高の誘導であり、もう一つは経常収支において均衡せよというこの二つの点であったと思うのであります。 しかし、これに対して政府のとった態度はどういう態度であったのでございましょう。政府が対策をとったのは九月二十日でございます。円高がずっと起こってしまってからであります。対外経済対策を発表して七項目の作文を発表いたしました。私がなぜあえて作文と申し上げたかというと、これはすぐ見直しが必要になったからであります。そして十月十四日には、総理は八閣僚を集められて黒字減らし対策を指示されております。これが十億ドルでございます。この十億ドルだってやられてはいません。私は当時予算委員会において、あのブルメンソール発言というものが日本の円高を誘導した内政干渉であるということをこの席で訴えました。しかし、いずれにしても日本としては当然対策を行わなければならなかった。そして十二月の六日になって対外経済対策八項目を改めて出された。このときに宮澤経済企画庁長官はどういう談話を発表されたか御存じでしょうか。落第点ではないとこの対策を表現したのです。牛場対外経済相は何とおっしゃいましたか。私はアメリカに行ってこの対策で説得する自信はないとおっしゃった。隣の中川農林大臣はもっとはっきりおっしゃった。これは採点はゼロだ。新聞の談話にちゃんと載っております。円高が訪れながら、そしてこれに対するアメリカ、ECの圧力が物すごい勢いでかかってきながら、経済のエキスパートである福田さんはそれを見過ごしてしまった。見ていたけれども対策をとらなかった。ちょうどネコが魚をじっと見て、よそのネコが引っ張っていくのを待っているようなものであります。 私はこれらのことから、このような事態というものは当然予見し得る事態であった。しかもこの予見し得る事態に対して対策を怠ったがゆえに、先ほど通産大臣が述べられたような、日本の経済全体に、企業全体に、国民生活全体に、はかり知れない悲しみと苦痛を与えた。私はいま野党の議員であるから、政府の皆さんに対して、ただ詰め寄ろうとしているのではない。一人の政治家としても、そういうことに対して、日本政府全体が緊急に、タイミングに対策がとれなかったということについて、野党の一人の議員としても責任を感じている。福田総理は、こうした事態を招来したことに対して、この際率直に遺憾の意を表すべきであると思いますが、いかがでしょうか。
○福田内閣総理大臣 昨年の日本経済を顧みてみまして、いま大内さんが指摘されました国際収支、その中で九月の末から起こりましたあの急激な円高、これはいろいろお話もありましたが、私はこれは本当に予想できなかったのです。ああいう急激な形で来るということは、あるいはだれか日本の中にそういうことを予想した人があるかどうか知りません。知りませんが、私は率直に申し上げましてこれを予測できなかった。じりじりという円高というような動きはあったかもしれないが、あのような急激な形での円高、こういうことは本当に予測しなかったのです。しかし、それが起こってしまった。そのことにつきましては、私は深くこれを遺憾とし、責任を感じております。
○大内委員 初めてこの円高という問題について総理が遺憾の意を表明された。これはお互いの反省事項として、これから国政に誤りなきを期したいという意味で了解いたします。 そこで問題は、今後の円高対策上の基本的課題なのでございますが、この委員会におきましても、経済成長率七%という問題は大変議論がございました。しかし、各国が注目しておりますのは、この七%とともに政府が内外に向かって約束している経常収支六十億ドルをいかにして達成するかにある、そう思うのであります。しかし、私はこの数字をしさいに検討しておりまして、どうもこの数字は、七%と同様に信憑性がないのではないかというふうに実は考え始めたのであります。ストラウス大使は、二月一日のアメリカの上院の財政委員会で、日本が七%の成長目標を達成できるか否かについては私を含めて疑問を持っている――これはまことに情けない話でありますが、アメリカの経済の責任者は、七%の日本政府の公約についてそういうことを議会においておっしゃられている。そしてそのことは、うらはらの問題である六十億ドルについても同様だと思うのであります。もっとも、最近は、日本の言う数字というのは信頼できないというのが世界の通説でございます。それはそうです。昨年、マイナス七億ドルと言ったり、あるいは六・七%と言ったり、そして九月の段階で、あの準閣僚会議においては、経常収支六十五億ドルは必ず達成しますと文書で書きながら、日本が述べた数字は全部狂ってしまった。ですから、七%と出されても、経常収支六十億ドルと出されても、そういうことについて疑問が出てくるというのは、ある意味ではいたし方ないかもしれないのであります。この際、六十億ドルの根拠を経企庁長官からお示しをいただきたいと思います。
○宮澤国務大臣 前回にも申し上げましたけれども、経常収支六十億ドルの内訳は、貿易収支で百三十五億ドルの黒字、それから貿易外収支で七十五億ドルの赤字、差し引き六十億ドルでございます。その中で輸出について申し上げますと、まず五十三年度の輸出は、数量としてはもはや横ばいであろうと考えております。価格で七%程度の上昇を見ておるわけでございます。国際貿易としましては、多分一九七八年は五%ぐらいの伸びがあると思いますけれども、しかし、わが国の場合には、やはり円高に伴う相対価格の悪化というようなもの、あるいは船舶の輸出が明年度は大きくは見られないだろうというようなことから、数量としてはゼロを見込んでおります。それから輸入の方は価格の上昇で五%ぐらい、数量の増加で七%ぐらいと見ておるわけでございますけれども、この数量の七%でございますが、これはいま原材料在庫がかなり重うございますので、いまの段階ですぐに原材料の輸入が起こってまいるとは考えておりませんけれども、今日までるる申し上げてまいりましたように、後半からはある程度わが国の民間の経済活動が起こると見ておりますので、それに伴いますところの若干の輸入増、それから円高の影響を受けまして輸入条件が改善されておりますので、そういうことも考えまして七%程度の輸入増、これは鉱工業生産の若干の増に見合うものでございます。 以上が貿易収支でございますが、貿易外について申し上げますと、輸入が多少ふえることによります海運の支払い増と、あとは観光が残るわけでございますが、円高によりましてわが国から海外に旅行がしやすくなっておりますので、それに伴いまして多少いわゆる海外収支がわが国にとっては支払い超がふえる、こういうことから五十二年度の六十五億ドルから七十五億ドル、十億ドル増の貿易外収支の悪化と申しますか、マイナスと見ておるわけでございます。
○大内委員 いま宮澤経企庁長官がおっしゃられた六十億ドルの算定の仕方というのは、昨年もおととしも一緒でございますね。それで、こういうやり方で昨年の国際収支を見ましても、めちゃくちゃに狂った。狂ったなんてもんじゃありませんね。マイナスが百億ドルも黒になってしまうのですから、普通常識では考えられないようなめちゃくちゃな結果が出た。なぜかといいますと、いま経企庁長官がおっしゃったような算定では本当に六十億ドルの経常収支の黒なんというのは見通せるものじゃありませんよ。一%狂うだけで十億ドルも二十億ドルも違ってきちゃうのですから。したがって、もし本当に日本政府が経済成長率七%と同じように経常収支の六十億ドルというものに信憑性を持たせようとしますと、やはり主要国に対してある程度のめどというものをつけつついまのような算定をおやりにならなければ、六十億ドルというのは本当に作文の数字合わせになってしまう。 そこで私は、それじゃ具体的に聞きます。たとえば、いまお話があったように、五十三年度の経済見通しによりますと、六十億ドルの経常収支の基礎として、輸出は七%しか伸びないだろう、したがってこれは八百五十億ドル。この資料にも書いてありますのでごらんいただきたいと思うのであります。そして輸入は二二%ふえて七百十五億ドルになる。この結果、貿易収支は、七七年の百六十五億ドルから百三十五億ドルに減少することになる。したがって、輸入の一三%増七百十五億ドルというのは、五十二年度に比べまして八十五億ドル増ということになりますね。そうですね。そうすると問題は、五十三年度、この八十五億ドルの輸入増をどこに求めるかということについてめどが成り立たなければ、六十億ドルの信憑性はなかなか証明できませんね。私の見るところでは、これはなかなかむずかしいのです。これから輸入がふえると言ったって、原材料あるいは燃料が一つ考えられます。もう一つは、公共事業をやって内需をやって輸入を刺激していくという一般的なパターンしかございませんね。たとえば輸入をふやすということは、具体的に整理してみればどういうことかといいますと、一つは対日圧力が激化しているアメリカ、ECから輸入をふやす、これが一つありますね。もう一つは、慢性的に入超国である中近東、カナダ、オーストラリア等から一層の輸入増大を図るということですね。もう一つは、貿易構造を大転換いたしまして、どこかから新しい物を買うとか、もっと輸出先をふやすとか、しかし、これはなかなかむずかしいのじゃございませんか。この八十五億ドルの輸入増をどこに求めるのか、これは経常収支六十億ドル論争の重要なポイントでございますので、はっきり御指摘いただきたいのであります。
○宮澤国務大臣 トータルといたしまして輸入が一三%ふえるかどうかということに問題は帰着するわけでございますが、おっしゃいますように、わが国の場合、輸入の多くのものが原材料でございますから、原材料、燃料等の輸入がどうなるかということになろうと思います。現在、原材料在庫がかなり重いことは先ほども申し上げましたとおりでございますけれども、私どもの考えでは、年の半ばごろから経済活動が少しずつ活発になることによりまして原材料の輸入が後半に向かって若干はふえていくのではないかというふうに考えております。 それから、その他、確かにわが国といたしましてはいわゆる円高の問題がございまして輸入がしやすい状況にありますことは御存じのとおりでございます。これは原材料たると完成品、消費財たるとを問わずでございますが、そういう状況にございます。これが円高というものの一つの効果でございましょうから、そういたしまして、米国においてもヨーロッパにおきましても日本に対して輸出をしたい、また、われわれもミッションを送って輸出を何とか、こちらが向こうの物を買おうというような態勢もとっておりますから、一つ一つ何を幾らと具体的に申し上げることは正直申し上げまして困難でございますけれども、一三%くらいの輸入がふえるということは、経済の動き、わが国の昨今のような態勢のとり方から考えますと、私はそんなに実はむずかしいことではないのではないだろうか。大内委員の言われますように、六十億ドルの問題点は輸出にもあるかもしれないが輸入にあるだろうとおっしゃいますことは、私はそのとおりであろうと思います。どれだけの輸入を実際われわれがなし得るかということになかなか問題があるだろうと存じますけれども、一三%程度の輸入でございますと、私はそんなに無理なことではないのではないかと思っております。
○大内委員 私は、そういう一般論では六十億ドルの説明はもうできないのじゃないかと思っているのです。と申しますのは、たとえば輸入が一三%伸びれば、輸出が七%ぐらいの伸びで経常収支が大体六十億ドルだというような、そんな漫然とした話でアメリカに対応できましょうか。そしてECに対応できましょうか。 と申しますのは、いま申し上げましたような問題は、単なる経済循環や経済法則によって実現できるのじゃなくて、日本政府の相当の強い意思に基づく政策決定というものが輸入を拡大するのじゃないでしょうか。あるいは輸出に対して、相当秩序ある輸出というものをしていくことになるのじゃありますまいか。ただ輸入は何%ふえるだろう、輸出は何%にとどまるだろうなどという、そういう大ざっぱな議論じゃなくて、やはり相当の政策決定というものが要求されている。仮にたとえば中近東から慢性的に入超国であるわが国が燃料その他で一層輸入を増大する、これによって、いま私が述べました八十五億ドルの輸入増が仮に実現しまして経常収支が六十億ドルになったとして、これで日本は世界的に申し開きができましょうか。私はできないと思うのであります。アメリカやECの黒字が減らないで、ただ中近東等からの原油輸入等がふえて八十五億ドルが埋まった、はい経常収支六十億ドルができましたと言ったって問題は解決したことにはならないじゃございませんか。その辺どうしますか。
○宮澤国務大臣 それはお言葉ではございますけれども、確かに日米あるいは日本とECという問題もございますけれども、提起されております問題は、本来的にはいわゆるグローバルに提起されておるわけでございますから、したがって、OPECが現在のように年間二百億ドル余りもの余剰をためておるときに、先進国側でわが国のように大きな経常黒字を積んでおることがどうかというふうに提起されておるわけであって、日米間の問題がないとは私申し上げておらないのでございますけれども、日米間の問題が問題の本質ではなくて、やはり先進国の一つとしてのわが国が先進国間の責任をもう少し分かち合うべきではないか、そういうふうに提起されておると思うのでございます。
○大内委員 アメリカもそう言っております。しかしアメリカが日本に出してきている問題は、グローバル、グローバルと言いながらバイラテラルな問題ばかり出してきております。いま各国どこでもそうでございます。あなたの言っていることもきれいごとでございます。私はそんなことを議論しようと思って言っているのではありません。 それでは、昨年度の貿易収支の黒字は幾らですか。日本の統計数字で貿易収支の黒字は百六十五億ドルでしょう。ではアメリカとECと合わせて幾らですか。
○宮澤国務大臣 まず、一九七七年のIMFベースの数字がまだ出ておりませんけれども、アメリカ側が言っていることは、日本との貿易収支のアメリカ側の赤字は八十億ドルちょっとでございます。それからヨーロッパは四十億ドルと五十億ドルの間ぐらいというふうに推計されております。
○大内委員 いま経企庁長官がおっしゃったように、アメリカとECと合わせて貿易収支の、向こうから言えば対日赤字、日本から言えば黒字は約百三十億ドルです。昨年の日本の貿易収支の百六十五億ドルのうち、アメリカとECだけで八割じゃございませんか。そのアメリカとECの問題をグローバルの一つの問題として私どもは議論しますというだけでおさまらないじゃございませんか。だからこそ、ストラウスが来日し、またきょうでもECの問題が議論されるのじゃありませんか。この主要市場に対して日本がどのぐらいの輸出をし、また輸入についてはどのぐらいふやすかというめどを横の面から立てなければ、経常収支六十億ドルなどという議論は全く架空の数字合わせじゃございませんか。 では、具体的に私聞きましょう。その六十億ドル達成の重要な要素の一つである日米貿易の黒字、いま経企庁長官がおっしゃったように、五十二年は八十一億ドル、アメリカの発表でございます。五十三年はこの数字をどのぐらいに減らすという見通しを日本政府はお持ちなんですか。またアメリカはどのくらいだったら納得すると思っておられますか。
○宮澤国務大臣 それを申し上げます前に、わが国が産油国との貿易関係は赤字になりますことは、これはどういたしましても、大内委員もお認めいただけることだと思いますので、そういたしますと、わが国としてはどこかで黒字をかせぎませんければ、それらの燃料、原料を買えないわけでありますから、そういう意味で対米、対ECが黒字になること自身、私は非難を受けなければならないことではないと思います。ただ、それが余りに大きくなっているというところに、二国間のバイラテラルな問題が起こってきているのであろう。したがって、そういう意味では、百億ドルというのは確かに大き過ぎる。六十億ぐらいであれば、わが国がある程度それらの国との間では黒字をかせがなければならないという事実は、これはEC、アメリカといえども私は当然に了解し得るところだと思います。 なお、昭和五十二年度に対米、対ECの黒字をどのぐらいまで縮小するかということは、私どもとして確たるめどを持っておるわけではございません。全体の輸出が減って輸出の伸びが鈍っていくということ及び輸入がふえていくということの反射としてある程度の期待ができるであろう。それ以上のことは、国を分けて申し上げるような積算はしておらないと存じます。
○大内委員 もちろん日本は資源のない国でありますから、当然中近東やオーストラリアその他に対して一方的な入超になる、だから、ある程度他の国から黒字をかせがなければならぬ、そんなことはあたりまえのことであります。たとえばアメリカでも一昨年の段階、五十一年の段階におきましては、ECに対して七十七億ドルの貿易収支の黒字を持ちながら日本に対して非難を浴びせたのであります。私はそんなことを言っているのじゃなくて、しかし、少なくともそういう原則は皆さんはわかっていると思うのです。そういう原則を踏まえつつも、アメリカとの間に問題が起こっているのでしょう。ECとの間に問題が起こっているのじゃありませんか。それは、たとえば昭和五十一年の黒字が五十五億ドルにも達して、もっと減るかなと思っていたら、それよりかもっとたくさんの黒字が五十二年は出たということに対してアメリカは脅威を感じて、日本に対してこれを減らしてくれと言っているのじゃありませんか。 では、別の聞き方をしてみましょうか。一月十三日に牛場対外経済協力相とストラウス大使との間に結ばれたこの共同声明で、対米輸入はどのぐらいふえることになるのですか。牛場国務大臣、お願いします。
○牛場国務大臣 あの共同声明をつくるに当たりましては、日米間の貿易収支のバランスのことは一度も問題になったことはございません。アメリカもそんなことは聞いたことはないのでございます。
○大内委員 委員長、私の質問に答えていただくように言ってくれませんか。共同声明によって対米輸入がどのぐらいふえるかと聞いているのであります。そんな見当違いの答えをしないでください。
○牛場国務大臣 別にそういうことを当時でも論議しなかったのですから、われわれの万でも詰めたことは考えておりませんでした。
○大内委員 そうすると、この共同声明は問題ですよ。こんな国会をばかにした話はありませんよ。この共同声明では十四項目に上る輸入の増大の問題がちゃんと書かれているじゃございませんか。何が協議しないです。
○牛場国務大臣 ですから、あの共同声明でいろいろな措置が書かれておりますけれども、あれをとった結果が幾らになるかということにつきましては、アメリカの方でもそういう計算はしておりませんし、私どもの方でもそういう計算はしておらないのです。ただ、あれによりまして日本の国際収支の動向が変わる、これが一番大事だということが当時の話だったのでございまして、これが今後一年間を通じまして大体日本のグローバルな黒字が六十億程度になるだろうということなのであります。
○大内委員 これは本当に国会をばかにした政府の答弁だと思いますね。この共同声明中では輸入増大を計算し得るものとしてたくさんの項目が挙がっていますよ。たとえば製品輸入関係、現在の二〇%をそれでは何%にするのですか。共同声明中にちゃんと書いてありますよ。
○牛場国務大臣 製品輸入につきましては、当初二〇%を一年間のうちに倍増してくれというような要請がありました。それはだめだ、無理だということを申しまして、アメリカはそれを了解したのであります。製品輸入と申しましても、民間の貿易でございますから、政府のやるものではないのですから、これは民間がどれだけこれによって輸入をふやせるかということは、日本はもちろん努力はする、しかし、そういうことははっきり数字は出せない、何年間に何倍にするなどと言うことはできないということで、アメリカもそれを了解したところなのでございます。
○大内委員 関税の前倒しもちゃんと書いてありますよ。二十億ドルの輸入にかかわるものについて関税の前倒しを実現すると書いてありますよ。
○牛場国務大臣 二十億ドルというのはカバレージのことでございますね。日本がアメリカから輸入しているもののカバレージ二十億ドルについて前倒しを行ったわけでございます。だけれども、その前倒しにつきましては、一体どの品目についてどれだけやるかということは皆違っておりますから、それによって幾らふえるかということはなかなか計算できない。もちろんこの点もアメリカも同意しております。
○大内委員 それでは別の聞き方をしてみましょう。たとえば、この共同声明の第四項におきまして、一九七九年以降は一層の縮小を図る、こういうことが明記されております。これは経常収支についてでございます。そうすると、この交渉で、私の知り得ている情報では、アメリカのストラウス大使は一、二年で経常収支の黒をゼロにすることを主張し、それをのんだ表現が「一層の縮小」という言葉になった、こういうふうにあなたたちの官僚の皆さんから聞いておりますが、これは事実ですか、違うのですか。
○牛場国務大臣 これにつきましても、アメリカ側が非常に早く均衡を達成してくれということを言ったことは事実であります。しかし、われわれの方は、そういう約束はできない、努力はしますけれども、経済は生き物ですから、そういう見通しはできないということを申しまして、先方もそれを納得した結果がこういう表現になっている次第でございます。
○大内委員 この共同声明を見ておりますと、製品輸入関係についていろいろな努力をする、あるいは関税前倒しについてもこういう形で努力をする、十二品目の数量制限の撤廃についても努力する、あるいは農林関係においては牛肉、オレンジ、果汁の輸入枠を増大する、あるいは木材輸入の拡大をやる等々、当然日本政府としては、これからそれらを詰めていけば、このぐらいの輸入がふえるであろうという想定ができる項目がたくさんあるわけなんであります。ですから、牛場・ストラウス間で合意された共同声明で、日本としては、アメリカが要求してきたことについてそれは全部のめないという話はいまたくさん承ったが、しかし、日本としては、この共同声明を発して各項目について約束した以上、しかもそれらは輸入増大にかかわる問題であれば、当然それらについてある程度のめどを持つということがあたりまえだと思う。あたりまえじゃございませんか、そんなことは。そんな無責任な交渉をアメリカとの間にやっているのですか。だから七%だって信用できない、だから経常収支六十億ドルだって信用できないとそう言われるのじゃありませんか。このストラウス・パッケージ、これを実現するためにどのぐらいの輸入増が概算として見込まれるのか、委員長から、出すように言ってください。そんなことでは経常収支の六十億なんて議論できませんよ。
○牛場国務大臣 これは御承知のとおり話がすべてグローバルな話でございますから、たとえば一例をとりますと、日本の造船でございますね、これは来年度は非常に減るだろうということはおのずからあるわけでございますけれども、直接日米間には関係ないことでございますね。ですから、日米間でもって幾ら減るかということは、必ずしもそれは六十億ドルという見通しを立てます際には必要なことではないのでございます。もちろん一応の見通しは立てた方がいいのでございましょうけれども、この間の交渉の際には、日本側から進んで日米間のことを言うのは余り得でないことはおわかりだと思います。ですから、すべてはグローバルなこととして話しましたので、いろいろなことを申しましたけれども、結局は、しかしその程度の目標で日本はやるのだということで向こうも納得しまして、様子を見ようということになっているわけでございまして、いますぐはっきりした見通しを出せと言われましても、これは私そういう数字を計算した事実はないわけなのでございます。
○大内委員 それでは農林大臣に伺いましょう。 このストラウス・パッケージによって日本は牛肉、オレンジ、果汁の輸入枠の拡大というのを約束されまして、国会の中でもあなたは数字を挙げて答弁されました。これをもう一回述べていただけませんか、牛場さんはそういうことは全然約束してないからわからないと言うが。
○中川国務大臣 農産物だけは数字がはっきりしておりますから、これは金額が出るわけでございます。牛肉についてホテル枠を千トンを三千トンにふやすことによって二千トンふえるわけでございます。その分が約千万ドルでございます。そのほか果汁、オレンジの量もそれぞれ決まっておりまして、従来輸入しておりました額が八百三十八万ドル、今回提示しました案が、ふえる分が両方で千七百万ドル、内訳を申しますと、オレンジについて千四百万ドル、それから果汁について三百万ドルふえ、千七百万ドル、合計二千七百万ドルでございます。そのほかに、高級牛肉について三千トンプラスアルファ、需要開発があってできれば一万トンにしたい。その努力分はまたプラスアルファで、二千トンにつき約千万ドルずつふえる、こういうことになります。したがって、三千万ドルから最高五、六千万ドル、農業だけはそういう数字の約束ができておりますから、はっきりいたしておるわけでございます。
○大内委員 これは農林関係だけということでは必ずしもないと思うのです。やはり各省別にちゃんと洗ってみれば、それなりの日本としての努力目標の数字というものはだんだん出てくるはずだと思うのです。ただ、これを対外的に言っていいかどうか、これは国益の問題がございますから、それはそれなりに私は了解をいたします。しかし、アメリカのストラウスと交渉して、何が何だかよくわからないけれども一生懸命努力しますということを約束したというような式の答弁では納得がいきません。 たとえば、通産大臣、製品輸入関係について、日本が二〇%ぐらいしか輸入をしてないということについて、アメリカのみならずECにおいても大変な苦情がある。そして、ECにおいても、今度は製品輸入という問題を一つの目玉として日本に要求し始めてきている。ですから、やはり通産大臣としても、いまの二〇%というものをある程度これはふやさなければいけないなということはお感じになっているでしょうね。いかがですか。そして、どの程度にふやさなければならぬなと思っているのですか。
○河本国務大臣 原則は、いま牛場さんがお述べになったとおりでございまして、工業製品につきましては、実際ははっきりした数字は出てないのです。そこで、できるだけふやさなければならぬことは事実でございますので、来月早々製品輸入を拡大するための大規模なミッションを先方に派遣をいたします。約七十名から成る大ミッションでございますが、十五日間アメリカに滞在をいたしまして、輸入拡大のための具体的な話し合いをいろいろしてくる、こういうことでございまして、今後幾つかのそういう具体的な努力を積み重ねまして、できるだけ製品輸入をふやしていこう、こういうことでございます。現在のところは明確な数字は出ておりませんが、日本として最大限最善の努力をする、そういうことによって昨年の貿易の流れをある程度変えるということで、アメリカ初め世界各国の理解を得たいと考えております。
○大内委員 私は、いま日本の貿易収支の中で、百六十五億ドルのうち八十億ドルに達する貿易収支の黒字を持っているアメリカに対して、しかもアメリカとの間に一月にストラウス大使との交渉までやって、そして、これからアメリカが要求している輸入増大について日本がこたえる中身をほとんどお持ちでないというようなことは、まさに信じがたい問題だと思うのであります。したがって、このストラウス・パッケージによって日本の輸入の増大がどのぐらいふえるのかということは、経常収支六十億ドルの信憑性を確かめる上で非常に重要なポイントだと私は思うのであります。何も、アメリカのみならず、ECを加えますと、先ほど言ったように貿易収支の黒字の八割まで達するわけでありますから、少なくともアメリカあるいはECについては、日本としては大体この程度の考え方を持っている、そして従来の計算と合わせて経常収支六十億ドルになるのだ、こういうような一つの説明ができない限り、この六十億ドルの積算というものは単なる数字合わせにすぎない、六十億ドルという数字は、そういう意味では何の根拠もない架空の数字だと言われてもしようがないと思うのであります。したがって、この際私は、政府に対し、このストラウス・パッケージを実行することによって、どのくらいの輸入増というものを見込まれるのか、また、主要な国別の輸出入の予想を盛り込んだ六十億ドルの説明資料を出していただきたい。経済企画庁長官、いかがでございますか。
○宮澤国務大臣 先ほど農林大臣から、農産物の輸入増に伴う数字はお話しになったわけでございますが、これは申し上げるまでもないことでございますが、非自由化品目でございますから、農林大臣が枠を設定されましたら、その評価は御自分でおできになるわけです。全額入ることを前提にいたしますれば。しかし大部分のものはもう自由化品目でございますから、そのようなわけにはまいらない。これは大内委員のおっしゃること、私お気持ちはわかっておりますけれども、わが国の経済は大部分対外関係が自由化されてしまっておりますから、何がどのぐらいだというようなことは自由化分について言うことは本来無理でございます。不謹慎な意味で申し上げるのではないのですが、どうして経常収支マイナス七億ドルというようなものが見当が違ったかというようなことも、もしわれわれが国別に、品目別にいろいろなものがわかっておりましたら、そういうことは起こり得ないわけでございまして、やはり国内の経済活動の繁閑、世界の経済活動の動き、それが結果として反映されるとしか申し上げることができない。その、いろいろ交渉上の利益、不利益はあるだろうという御配慮はありがたいのでありますけれども、実はそうではなくて、それ以前に、いわゆる自由化された貿易の中で、自由経済で、どこからどれだけ買うかということは、事実上算定をブレークダウンすることがむずかしい。それで申し上げておりますことは、国内の経済活動を振興いたします。それから関税の前倒しもいたします。そして品物によりまして、カラーテレビとか鉄のように、いろんな意味でのわれわれの自主規制と申しますか、そういったようなこともやむを得ずやらざるを得ない、買い付けのミッションも出しますといったようなことを総合して、かなり輸入増、輸出の増のスローダウンというようなことは期待できると存じておりますものの、その減る分、ふえる分の内訳を品物ごとに、あるいは国ごとに示せと言われますことは、いまの日本の自由経済体制では本来できない。農林省は非自由化品目でございますから、枠を設定することによってこれはわかるわけでございます。
○大内委員 私は実は先行きに対して相当の心配を持っているのです。と申しますのは、私自身の調べでも対米輸入がふえるという状況はなかなかむずかしい。ふえてもごくわずかなんです。ECに至っては、これはなかなかふえないのです。そうしますと、経常収支六十億ドルを達成するためにことし八十五億ドルの輸入増大を来そうとしましても、これは勢い中近東その他に対する原燃料の輸入増大がほとんどになってしまいまして、そのことはアメリカとの貿易のインバランスあるいはEC諸国との貿易のインバランスという問題をそのまま残してしまいます。これが新しい、アメリカとの間の経済戦争、ECとの間のトラブルの根源になってくるのではないか。だから、たとえば宮澤経企庁長官がお示しになったような六十億ドルの一般的な算定の基礎のほかに、対米関係はどうする、EC関係はどうするというような、ある程度の輸出入のめどを立てておかなければ、この六十億ドルという経常収支の公約は全くの数字合わせで、根拠のないものになってしまうではないか。そして、これがまた再びたたかれるではないか。だって現にそうなんでしょう。宮澤さんがおっしゃった計算方式でやって、昨年はめちゃくちゃに狂った。そのめちゃくちゃに狂った算定方式をまた説明されて、だから経常収支六十億ドルになるから信用しろと言われたって、信用できがたいじゃございませんか。だから、ではアメリカはどうなるのですか、こう聞いていったら、アメリカのことなんかよくわからない、そんな経常収支の説明ございますか。 これはどうでしょう、私が要求したのです。ストラウス・パッケージによる輸入増はどのぐらいになるか、それから主要国に対する輸出入の増減を盛り込んだ経常収支六十億ドルの算定の基礎をこの委員会にお出しいただきたい、委員長に対して要求いたします。
○中川国務大臣 ちょっと私も、農林省だけが数字わかってという言葉がありましたから、補足させていただきますが、それは非自由化品目でありますから、何ぼ何ぼふやすということから出ます。農林省の中でも関税の前倒し、部分自由化というものをやったのがあるのです。そういうものについて、数字はどうなるかと言われても、これはやはり推計はしにくいものであるということは通産物資と同じ、こういうことになりますので、農林省だけが何か特に数字を出したと言われましては困りますので、補足させていただきます。
○中野委員長 大内君に申し上げますが、お聞き合わせのとおり、なかなか自由化品目を出すということはむずかしいことであろうと思うのです。あなたも御承知のとおり。しかし、もう少し質疑を通じていろいろと引き出していただいて、最終段階、できるだけのことをお互いするようにしたいと思いますので、いまここでこれが出なければと言われてはまことにむずかしい問題であろうと私は思うのですが……。
○大内委員 資料の問題、ちゃんとわかってくださいよ。
○中野委員長 資料の出せるもの……。 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○中野委員長 速記を始めてください。 大内君に申し上げますが、ただいまの点について、できる範囲の資料をば出さしめるよう理事会において取り計らいます。どうぞ御了承の上、質疑を進めてください。
○大内委員 ありがとうございました。 私は、やはり経常収支六十億ドルという数字は、国際的には大変重要な数字でございますから、日本政府といたしましても、これが内外において信頼できるような根拠というものをその時期時期に示していく、これは非常に重要だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。 なお、ECの問題でございますが、二月七日、EC加盟の九カ国の外相理事会に基づきまして、日本政府に対して、対日貿易交渉協力依頼の書簡というものが届いているはずでございます。そこでは、七七年の五十億ドルの対日赤字の削減に直結する明確な保証を四月七日のEC首脳会議までに出してほしいという要望が来ていると思うのでありますが、日本政府はこのECの要請に対してどういうふうにこたえられようとしているのか。特にこれは日米の場合は共同声明というかっこうをとりましたので、ECも共同声明ということを求めているようでございますが、その辺を含めてお答えをいただきたいと存じます。
○手島政府委員 お答え申し上げます。 最近日本の政府がとりました内需を中心とする経済成長政策によりまして、これは関税の前倒しですとかその他の措置を入れましてグローバルにとった措置でございます。したがいまして、ECからの要望につきましても、当面はECに対し、この措置を利用して対日輸出の増加を図るよう申し入れたいと考えております。 さらに、先方からの具体的な要望につきましては、実は本日より事務レベルにおきまして話を聞いておりますので、それを通じてわが方の立場を十分説明したいと思いますし、また、先方側からリーズナブルな要望がありましたときは、これを十分検討していきたいと思っております。 さらに、共同声明につきましては、もし先方がそれを期待するようであるとすれば、こちらも考えてもいいのではないかというふうに思っております。
○大内委員 牛場経済協力相がECに参りました際ですか、総理に対して四月七日のEC首脳会議に出席の要請が来ていると思うのでございますが、総理としてはこの首脳会議には出席されますか。
○牛場国務大臣 ECから去年の十月にジェンキンズ委員長が来まして、そのとき総理に、ぜひブラッセルへおいで願いたいという話がありました。はっきりした約束はないのでございますけれども、好意的に考えようというようなことで帰っておりまして、この間私が参りましたときにも、ぜひひとつ早く総理に来ていただきたいというようなことがございましたが、ただいまおっしゃいましたEC首脳会議に出席する話ではないのです。
○大内委員 それでは、以上で円高及び経常収支の六十億ドルの問題を終わりまして、次に、防衛問題についてお伺いをしたいと存じます。 政府は、昭和五十一年の十一月の五日、閣議並びに国防会議の決定といたしまして、防衛関係費は当面GNPの一%以内にとどめる、こういう決定をされております。しかし、その当面につきまして、当委員会におきましても再三議論が行われまして、当時の三原防衛庁長官は、当面とは四、五年の間で、昭和五十五、六年までである、これは昨年の十月十三日に答弁されておるのでございますが、金丸新防衛庁長官は、三原長官と同様の見解を持っておられますか、お伺いをいたします。
○金丸国務大臣 当面とは、三原長官が四、五年というお話を申し上げたようでございますが、私は、当面ということは、いわゆる内外情勢の変動等があれば変わる場合もある、しかし、変わる場合は慎重に検討するということが当然であろうとは思うわけであります。また四、五年という関係の中で、私は四、五年以上この一%を維持していきたい、こうも考えておるわけであります。
○大内委員 そうしますと、三原防衛庁長官とは見解を異にする、こう解釈してよろしゅうございますか。
○金丸国務大臣 防衛という問題は、国の経済や諸情勢も考えながら、また諸施策を実施する上に調和のとれたというような考え方から言えば、何でもかんでも防衛を上げればいいという考え方ではならぬと私は思うわけでありまして、そういう意味で三原長官が四、五年というお話を申し上げたと思うのですが、私は、四、五年という考え方も妥当だと思うのですが、その四、五年も、できるだけ延ばせることであれば延ばしたい、こう考えておるわけであります。
○大内委員 私は、防衛長官がかわるたびに同じ問題について解釈が変わる、国会の答弁が変わるということはどうもおかしいのではないかなという感じがいたしますが、その問題を追及することは別といたしまして、たとえば三原防衛庁長官は、昨年の八月二十一日、福岡市での講演で、一%のラインを固定する必要はない、こういうことを述べておられます。また、それより先、七月二十二日の国防会議議員懇談会では、当時の倉成経済企画庁長官あるいは宇野科学技術庁長官は、GNP何%に縛られることなく日本の防衛体制を確立すべきだと、その懇談会で主張をされております。ですからこの一%論につきましては、政府の中でも相当の揺れがあるというふうにいま見られるのでありますが、いま金丸防衛庁長官は、四、五年と三原防衛庁長官は言ったけれども、私は場合によってはもっと長くてもいいのだという趣旨のことをおっしゃいました。いま防衛庁では、昭和五十五年から五十九年に至る防衛力整備の五カ年計画の策定を作業中である、こういうふうに聞いておりますし、私も防衛局長からそのことを確認いたしておりますが、しからば、この五カ年計画策定の原則としてGNP一%以内という原則を貫く、そういう方針をお持ちですか、防衛庁長官。
○金丸国務大臣 GNP一%という問題につきましては、先ほど三原長官が四、五年ということでありますが、できるだけ延ばしたいという考え方を私は持っておるわけでありまして、あるいは四、五年になるかもしらぬが、しかし固定的なものではない、固定的なもので期限を予定しているものでもないという意味が当面という意味であろうと私は思うわけであります。しかし、内外情勢の変化によっては変わる場合もある、しかし、現在は変更する考え方はない、こういうことであります。
○大内委員 できれば私の問いにお答えをいただきたいのです。いま防衛庁では、昭和五十五年から五十九年に至る五カ年計画の策定作業を行っております。その五カ年計画策定の原則として、GNP一%以内という原則を貫くのか。それは官僚が答弁することではありません。大臣が答弁すべきことです。
○金丸国務大臣 固定した新五カ年計画というものは考えてはおりません。しかし、計画性というものはなければならぬということでございますから、いわゆる中期見積もりということを防衛庁庁内では考えておるわけであります。
○大内委員 私の問いには答えていただけないでしょうか。その五カ年計画の作業をやっていることは事実だということは、防衛局長もお認めになっているのですから、その計画では一%を守るか守らないかと、こう聞いているのです。
○金丸国務大臣 守っていけると思います。
○大内委員 これは非常に重要な約束でございますから、聞きとどめておきたいと思うのであります。 ただ、私は別の面から、この一%の問題について一つの疑問を持っているのであります。私の理解では、防衛費の決定というものは、日本の法制に立脚をいたしまして、まず自衛隊の任務というものを明確化し、そしてその上に立って国際情勢の正確な把握を行い、その国際情勢の中で、日本の安全、平和にとってどういう脅威が存在するかを見定め、そして、その脅威に対応し得る自衛隊の任務を遂行するためにはどうしたらいいかを考え、同時に、日本がアメリカと結んでいる集団安全保障というものがどういうふうに機能するのかを測定し、そしてそこから防衛費の整備に入る、そしてその結果、防衛予算の予算化という問題が起こるのではありませんか。
○金丸国務大臣 御指摘のとおりだと思うわけでありますが、日本は、日米安全保障条約を強力な抑止力ということも考えておるわけでありまして、先生の発言も、私はそのとおりだと考えております。
○大内委員 何かちょっとおかしいんですね。いま政府のやられていることは、いまの長官のお答えと違うのです。つまり、防衛費の限界というものが先に原則としてばんと決められまして、その枠内で防衛力を考えるという方式を国防会議の決定以下とっている。これは防衛論議が逆立ちしているのじゃありませんか。恐らく防衛庁あるいは政府は、この防衛費については、国民や野党の風当たりを防ごうというこそくな姿勢からいつでもこういうやり方をとってきた。しかし本来、防衛力のあり方というものを考えるのは、防衛費から逆算して考えるのじゃなくて、私が申し上げた順序で考えて防衛力のあり方を算定し、あとはふととろ勘定で決めていく、それが防衛費の決定の仕方じゃありませんかと言っているのです。これはもちろん政治的な問題でございますが、大臣どうなんでしょう。そうすると、いままでの論議は逆立ちしているということをお認めになったわけですな、さっきの議論でいきますと。防衛費が先に来て、それからすべての防衛力が決まっていくというこのやり方は、私は逆立ちしているということを申し上げた。そうしたら、大内委員の言うとおりに賛成でございますと言った以上は、防衛費の立て方は逆立ちしているということをお認めになるわけですな。
○金丸国務大臣 私の申し上げておることは、逆立ちはしていないと思っております。
○大内委員 何を言っているのだかよくわかりません。私は先へ急ぎますが、しかし、防衛費というものは一%を固定して考えているものではないという防衛庁長官の先ほどの発言は、これもやはり重要な発言として留意いたします。 ところで、一九五一年、警察予備隊発足の翌年以来、一九六六年までの十六年間、これは皆さんに資料でも出しておりますが、わが国の防衛関係費は一%を大きく超えておりました。ピーク時には何と二・七八%にも達したことがあるのであります。これに対して、一%以下であったのは一九六七年から一九七八年に至る十二年間でございます。したがって、一%を超えていた方が多いのであります。しかも、この一%以内というのは、その背景には高度成長、GNPの急成長がございました。つまり、GNP一%がわが国の防衛の一貫した原則であったわけではないのであります。それともいまやGNP一%は、わが国の防衛力整備の重要な原則だとお考えになっているのかどうか。とすれば、防衛論としての理論的な根拠というものがどうしてもわからない。それをお示しいただきたいと思います。
○原政府委員 お答えいたしますが、確かに国際情勢を考え、防衛のあり方を考えた上で防衛費を決める、その順序のとおりだと思います。 それで、そういうことを考えまして「防衛計画の大綱」というものが決まりました。「防衛計画の大綱」を実施するについて大体どのくらいの金が要るかということになったわけでございます。「防衛計画の大綱」では、大体現在の規模の部隊に水準としてとどめるということがまずございます。若干の例外がございますけれども、そういたしますと、まず防衛費の中で五五%を占めるのは人件費でございます。人件費は、大体現在の水準、と申しますとGNPがどのくらい伸びるかが非常に大事な要素になるわけでございますが、仮にGNPが六%伸びる――当時はそういう前提がございました。仮にそのGNPと同じだけ伸びますと、GNPの比率は〇・九%と変わらないわけでございますが、その水準で人件費は賄えて若干余裕がある。ことしの予算もそうなっております。それから、維持費でございますが、これも大体その水準でやっていける。残りは新しい装備の費用になるわけでございますが、これも仮に六%伸びるといたしますと、六%というのはことしで申しますと一兆九千億でございますから、六%というと大体千億でございます。その水準だけ伸びるわけでございます。それである程度のことはできる。その上に〇・九%と一%の間には約二千億のすき間があるわけでございます。 そういうことを考えますれば、いまの「防衛計画の大綱」を実施するについて当面、当面といいますのは、GNPの伸び方がどうかというところが大変重要なところであります。そういうことが仮に六%伸びるということでございますならば、一%に至らないでやっていけるであろうという見通しである、こういうわけでございます。
○大内委員 そんなことはわかっております。では前提が崩れたらどうしますか。昨年は崩れましたよ。もし防衛費を当面一%以内に抑えるということを一つの重要な原則とされていくのであれば、成長率の伸びよりか防衛関係費の伸びをいつも下回るか同等に抑えるという原則を確認しなければなりませんよ。防衛庁長官はそれを確認されますか。
○金丸国務大臣 私は、防衛費の一%というものは、先ほど申し上げましたように、内外の諸情勢によっては変わる場合もあるということを申し上げておるわけでありまして、御理解いただきたいと思います。
○大内委員 そうしますと、成長率六%がずっと維持されると一%は守れるのだという御説明があったけれども、その六%が維持できるということは、これはむずかしい問題なんですよ。今度の国会でうんと議論があったのです。ですから、その前提が崩れたら、あなたたちのおっしゃっている一%論というものはすっと吹っ飛んでしまうではないかということを懸念しているから、いままでこうしつこく申し上げているのであります。 たとえば防衛関係費の伸び率はこの五カ年間平均いたしますと年一五・二%の伸びですよ。この間財政収支試算で出されましたGNPの伸びは一一%から一二%ですよ。いままでのベースで防衛費が計上されていったらすぐ一%というのは崩れてしまうのですよ。それを当面は守るのだ、当面は守るのだ、六%の成長率が達成されれば守るのだという、その前提に隠れて一%論で国民をごまかそうとするようなやり方はもうやめたらどうかと言っているのです。私は一%をもっとやれと言っているのじゃないのです。そうじゃなくて、日本の自衛隊を、もっと安上がりで能率的な自衛隊をつくるために努力せよ、しかし、防衛論議をするときに、われわれの防衛力というのはGNP一%以下でございますというような本末転倒の議論を国民にすることはよくないということを申し上げているのです。そういうことは国民を欺くことです。ですから、主客転倒させないで、もっと防衛費のあり方を真っすぐ正していただきたいのです。 現に、いままでの状態でこれから防衛費の問題をやっていけば一%は崩れてしまいますよ。たとえば今度F15あるいはP3Cの導入によりまして、一兆一千億、これは大体八年から十一年計画でございます。これで幾ら新機種を導入したって一%を超えることはないというようなことをおっしゃっていますが、これだって実はなかなかむずかしい問題があるのです。 たとえばこのF15の前のF4EJを見たって、これは皆さんにも資料を差し上げておりますけれども、昭和四十四年に導入した初年度においては一機二十億三千六百万円でした。しかし、それから八年たったら、昭和五十二年にも買っているのでございますが、一機三十七億七千七百万にもなっている。何と八〇%も上昇しているのでございます。 今度は、たとえばF15、これは一機七十億円でございます。あるいはP3Cは一機七十五億円でございますと言ったって、これは五十三年度の単価ではじいているだけで、これから八年後、十年後になってF4EJの轍を踏まないという保証はどこにもない。たとえばP3Cにしたって六四%も上がっているのです。戦闘機に至っては八〇%も上がっているのです。一兆一千億という数字が八年後、十一年後も一兆一千億であるような錯覚を起こさせるような、そういう提案の仕方をしているじゃございませんか。 だから、そういう面からいっても、購入の終了段階でその総額はF15、P3Cでどのぐらいになるであろうと計算されておりますか。
○原政府委員 確かに飛行機は値上がりいたしております。過去の実績を調べておりますが、確かにF4はしまいに非常に高くなりました。四十四年度に導入いたしましたとき――私はいま実質の価格で六%と申し上げまして、五十三年の価格も実質でございます。したがいまして、そのGNPのデフレーターと値上がりとどういう関係になっているかということでございますが、過去のF4の例で申しますと、四十四年に最初の飛行機を買いまして、その後何回かに分けて購入いたしております。四十六年に第二次契約をいたしました。そのときにはGNPのデフレーターの方が一一〇・七にいっておりますが、値段の方は一〇二・九でございます。それから、昭和四十八年のときには、四十四年を一〇〇にいたしましてデフレーターの方は一三四・二%になっておりますが、値段の方は二四%。ただ、確かにいわゆる狂乱物価のときがございました。そのときにデフレーターをオーバーいたしております。五十一年度の契約でございますが、デフレーターが一八〇になったときに二〇三%になりました。ところが五十二年にもう一回契約をいたしましたときは、デフレーターが一九〇・八に対しまして一八六・一、ほぼデフレーターと同じということでございます。P2Jにつきましてもほぼ同じでございます。 したがいまして、今後ひどいインフレがないとするならば大体デフレーターの範囲内におさまる、私はそういうふうに考えております。
○大内委員 本当はその辺をもう少し詰めたいのでございますが、なかなか時間がございませんので、先を急ぎますけれども、いまの一兆一千億という数字は、私は相当オーバーしてくるのじゃないかなということだけを警告を発しておきます。 二月二日にアメリカは七九年度の国防報告、これを出しまして、幾つかの点でやはり日本に対して要求をはっきりさせてきている。アメリカはこれからヨーロッパ、NATOを中心に姿勢を置きかえようとしている、そしてできるだけアジアから手を抜こうとしているということは、あの一九六九年のニクソン・ドクトリン以来一貫したものだということが言えると思うのでありますが、ただ、ここで気になりますのは、この国防報告において、日本は西太平洋地域に空軍力、海軍力及び他の戦力で強力な防衛線を配備する能力を保持すべきである、こう指摘しておりますし、また五月の首脳会談においても、アメリカは決して経済問題だけではなくて、そうした政治問題、防衛分担の問題を出してくるのじゃないか。防衛庁としては、このアメリカの国防報告の傾向からして、日本に対して防衛分担がふえてくるのではないかと私は懸念するのでございますが、その辺はどういう理解を持っておられますか。
○金丸国務大臣 ただいま先生がおっしゃられたようなことはいわゆるアメリカとしての願望で、お互いに自分の国を守るには自助努力してほしいということであろう。また、日本の防衛は、日本の国の考え方で防衛というものを考えるべきであって、アメリカの指図によってやるべきでない、こう私は思っております。
○大内委員 その気概は大変結構だと思うのでありますが、このアメリカの動向に呼応するように、わが国においても最近幾つかの注目すべき発言が出ているように思うのです。これは、本年一月八日の金丸防衛庁長官の、敵に脅威を与えなくて何の防衛か、まことに勇ましい防衛的脅威論、あるいは一月三十日の参議院の予算委員会における真田法制局長官の自衛力変換、そして三つ目には二月七日の衆議院予算委員会における伊藤防衛局長の防衛空母構想といったようなものがそうだと思うのであります。 そこで、本当は一つ一つ確かめたいのでございますが、金丸防衛庁長官の発言ですと、侵略的、攻撃的脅威でなくて防衛的脅威なら構わない、こういう論旨だと承るのでありますが、この議論でいきますと、最も効果的な防衛的脅威というのは、わが国に攻撃をかけてくる相手の基地そのものをたたくことが一番防衛的脅威になる。そうしますと、金丸防衛庁長官は、戦略守勢の防御、つまり相手の震源地をたたくという意味での防衛的脅威を与えることがあなたの発言に最もふさわしいと思いますが、いかがでしょうか。
○金丸国務大臣 そのお話は新聞で報道されたことでありますが、私はその前に、新聞に出た記事のその前に、日本は平和憲法であるから、そういうことを考えて、侵さず侵されずという中で、これを前置きをいたしておるわけであります。もし脅威という言葉が悪いというのであるならば、やはりちゅうちょするような防衛でなければならない、そのためには部隊は精強でなければならぬ、こう言ったわけでありまして、敵に攻撃をかけたりあるいは敵の陣地にいわゆる長距離爆撃機を持っていくという考えは私は毛頭持っておりません。
○大内委員 防衛白書によりますと、脅威とは能力プラス意図であり、大きな軍事力を持っていても侵略の意図がなければ攻撃的脅威は形成されないという趣旨のことが書いてあります。そういたしますと、金丸防衛庁長官の防衛的脅威論、あるいは真田法制局長官の、相手の兵器によってこちらの兵器というものも相対的に変わっていく、もちろんそれは憲法上の制約のもとにおいて。これらの発言を総合してみますと、日本が持ってはならない兵器というのは一体どれとどれとどれになるのか、それを政府の統一見解として明らかにしていただきたいと思います。
○伊藤(圭)政府委員 この持てない兵器というのをすべて分類してお答えするというのはきわめてむずかしいものでございます。といいますのは、攻撃的兵器、防御的兵器というのが、それぞれについて画然と分かれるということはなかなかないわけでございます。しかしながら、その中でも特に純粋に国土を守るためのもの、たとえば以前でございますと高射砲、現在で申しますとナイキとかホーク、そういったものは純粋に国土を守る防御用兵器であろうと思いますし、またICBMとかあるいはIRBM、中距離弾道弾あるいはB52のような長距離爆撃機、こういうものは直接相手に攻撃を加え壊滅的な打撃を与える兵器でございますので、こういったものはいわゆる攻撃的兵器というふうに考えておるわけでございます。
○大内委員 戦術的な核兵器はどうですか。
○伊藤(圭)政府委員 たとえば、戦術的な核兵器の中にもいろいろあるわけでございまして、御承知のようにナイキ八一キュリーズというような防御用の兵器でも、核弾頭をつけるということができるわけでございます。しかしながら、わが国は、非核三原則の政策を貫いておりますので、その意味からナイキの場合にも核弾頭を装備するようなことはできないというふうに考えているわけでございます。
○大内委員 これは別の問題でちょっと重要なことだと思われますので、政府の見解を聞いておきたいのでありますが、アメリカのハロウェー米海軍作戦部長の、米下院軍事委員会に二月七日に提出いたしました軍事情勢の報告の中で、日本に関連いたしまして、きわめて重要なことが出ているのであります。それは、ソ連海軍の第一義的な関心は米海軍のミサイル原潜と空母の撃滅であるという個所なんであります。 いま太平洋側のアメリカの空母の配置は大体六隻と言われております。ミサイル原子力潜水艦は十隻でございます。その六隻の空母のうち常時西太平洋に配置されているものは二隻でございまして、他の二隻はいまドック入りしておりますし、他の二隻はハワイ近辺で訓練をやっている。とすると、この西太平洋に展開されている、ソ連が最大の関心を持っている空母はミッドウェー及びもう一隻ということになります。つまり横須賀に寄港しているミッドウェーは、このハロウェー報告から言いますと、ソ連としては目的中の目標ということになります。これはなかなか重要なことでありまして、米ソに緊張が起こるということはそう簡単に想定すべきではございませんが、少なくともそういう緊張状態になった場合、横須賀はソ連の攻撃対象にならざるを得なくなるのではありますまいか。防衛庁長官、いかがですか。
○伊藤(圭)政府委員 ハロウェー作戦部長の証言でございますが、これはミッドウェーそのものを言っているのではなくて、いわゆる抑止力としての空母の役割りを述べたものだと思います。また同時に、いま先生がおっしゃいましたように、緊張状態になったときに横須賀が最初の目標になるということはちょっと考えられませんで、そういう状況になって空母が港に入っているということはあり得ないわけでございます。そういうことから横須賀が目標になるというふうには考えられないことでございます。
○大内委員 空母がいる、いないによって、その対象だけが攻撃対象になるのじゃありませんよ。やはりその空母を維持している補給基地そのものも対象になるのですよ。そんなことは防衛局長だってよく御存じじゃございませんか。その問題はやはりこれから非常に重要な問題でございますから、日本政府としてもこの辺を十分御留意いただきたいと思います。 そこで、私は自分の質問として日中問題を残しておりますので、お伺いをいたしますが、いま日中条約締結の機運が急速に進んでいる。これは私どもとしても歓迎すべきことだと思っているのでありますが、しかしそれについても、当委員会においても実は日中条約を締結するという場合の日本としての原則的な立場ということについては余り議論がなかったように思うのであります。 そこで、これは総理に、いや外務大臣にお伺いをいたしますが、反覇権主義というこれを本文に入れるかどうか、いろいろ議論がございますが、私は、反覇権主義というのは国際関係を規律する普遍的な大原則の一つだと思っております。ですから、それを入れることは、あの一九七二年の共同声明の経緯からしても当然だと思うのでありますが、ただ、ここで一つ留意しておかなければならないのは、その反覇権条項が事実上ソ連を対象とするというような解釈が成り立ったり、あるいはこの条項の解釈について、日中両国の解釈が違ったままこれを条文化するということは非常にいけないことではないかと思っております。この点についてはどういうお考えでございますか。
○園田国務大臣 反覇権条項の取り扱いについての御意見は拝承いたします。反覇権に対するわが国の立場は、日中共同声明に述べられているとおりでありまして、この立場は現在でも変わっておりません。これをどのように取り扱うか、あるいは次の、第三国に対する問題をどういうようにするか、これは一に条約の中身でございますから、ただいまは答弁をお許しを願いたいと存じます。
○大内委員 私は、反覇権条項という問題については、私がいま申し上げた諸点を十分留意されるように切望いたします。 そこで問題は、もちろん日中平和友好条約というのは日中間の問題でございますが、しかし、これは大国同士の条約でございますから、周辺に対して十分な配慮を加えなければならぬことは当然であります。 そこで、この間園田外相が訪ソをされまして、日中条約の締結について当然ソ連首脳に対して説明されたわけでありますが、これによってソ連に対して手を尽くしたというふうに考えておられるかどうか。と申しますのは、実は園田外相が訪ソされた後に、ソ連の立場として一月の二十四日、ノーボスチ通信はE・カチューラ評論員の論文を掲載して、次のように言っているわけですね。これはよく御存じだと思いますが、一応読み上げてみますと、「日本が反覇権条項に独自の解釈をいくら加えようとも、中国が、この日中条約を日本の外交路線を北京指導部がとっている反ソ戦略に強く結びつけるための道具にしようとしているのは客観的事実である」、こう述べておりますね。そして「日中条約に盛り込まれる反覇権条項を反ソ統一戦線に日本を巻き込む法的根拠として、中国が使わないという保証はない」、こういうふうに指摘しておりまして、ソ連は、園田外相の訪ソによる説明にもかかわらず、理解を示したという状況にはないように思われますが、この辺はどういうふうに理解しておられましょうか。
○園田国務大臣 グロムイコ外務大臣との会談中、中国という言葉は使いませんでしたが、わが国の隣接、南の国が日本をそそのかしてソ連との争いの渦中に入れようとしているという発言がございました。そこで、私は、これに対して次のように答弁をいたしました。御意見は承ったけれども、中国と日本の問題は私の決するところであるから、ソ連の御意見に従うわけにはいかない、ただし、申し上げておくが、日中友好条約は近い将来において締結されるであろう、こう言いましたところ、向こうは、私の話はわかったと、こういうわけで、話がわかったということは私の話の筋道がわかったということであって、日中友好条約締結に理解を示したとは私は考えておりません。
○大内委員 当時の日本のスポークスマンは、理解を示したということを日本の新聞に報道をされたのでありますが、これはいま外務大臣の言葉によって、そうでないということが明らかになったと思うのであります。 私は、ここで非常に重大視しておりますのは、ソ連はプラウダにおきましても、評論員署名によって報復措置という言葉まで使っている。これらの言葉は、実は評論員という署名をつけた場合は、皆さんも御存じのとおり、大体クレムリン首脳の意向を伝える際に用いられるものでございまして、ソ連の政策を直接反映していると見なければなりません。もちろん、私は、日中条約の締結がソ連の報復の対象になるというようなソ連の姿勢そのものに対して私どもは反省を求めなければならぬと思うのでありますが、しかしソ連は、現実の問題としてそういうことを出してきている。これをどのように日本としては受けとめて対応していくのかということが一つ。 日中条約を締結するに当たりましてもう一つ看過できない問題として、中ソ友好同盟条約の中に対日敵視条項があることは御存じのとおりであります。これはもちろん、当時の米ソの対決あるいは中ソの一体化といったような状態の中で締結され、その情勢は今日、米ソの共存あるいは米中の和解、中ソの対立といったように大きな変化がございますので、この対日敵視条項は死文化しているというのは客観的な事実でありましょう。しかし、やはり独立国家として、主権を重んずる国家として重要なことは、形式的に存在する条約でも、それを遵守するということが近代国家の責任でございます。といたしますと、この問題について日本政府としては何らかの提案をするのか。あるいは、廖承志中日友好協会会長あるいは鄧小平副首相らは、この条約は事実上消滅したというような発言もなされておりますので、その発言を日本政府としてはある程度評価して不問に付していくのか。この辺は大事なところでございますので、この辺を二番目にお伺いをしておきたいと思うのであります。 それからもう一つ。この日中条約の締結の手順について、最近何か政府首脳の言葉によりますと、まさにその機は熟した――この間じゅうの総理の発言を聞いておりましたら、機は熟しつつあるというところから、機は熟したになってきて、今度はまさにがついてきた。まさにと、しつつとの間にはどういう変化が起こっているのか。日本はいま待機の状態にあるが、待機をさしているものは一体何か。 それから総理自身、この日中条約締結に際して訪中するという方針をお持ちかどうか、あるいは中国の首脳をお招きするという方針があるのかどうか、一括お伺いをいたしまして、政府の御答弁をいただきたいと思うのであります。
○園田国務大臣 中ソ同盟条約については、先ほど申し上げました会談の中で、私はソ連にこのような発言をいたしております。貴国ソ連と中国はもともと兄弟の国であって、かつては中ソ同盟条約を結んで日本を敵国と決めつけられておる、この中ソ同盟条約を打ち切られるのか、あるいは続けられるのか、それは内政干渉にわたるから私は発言はしないが、いやしくも日本を敵国ときめつけることは困る、こういう発言をしたわけであります。一方、中国においてはしばしば政府並びに党の要人が発言をしておりまして、実態からいってもすでに消滅したと評価はいたしておりますものの、条約締結についてどのように意思を表明し、取り扱うかということは今後の問題であると考えておるわけであります。 それから次に、ソ連からの報復ということがありましたが、これは総理大臣並びに私が施政方針及び外交演説で述べましたとおり、日本の外交基本路線は明確であるわけであります。したがって、その線に従ってやっている以上は、こちらが一国を敵と決め、これに敵対行為をせざる以上は報復などはあり得ないことであって、一部新聞あるいは評論に思惑でこのような評価をされることは不可解である、このように私は考えております。なお、総理が中国においでになるかということは、まだその時期ではございませんので、検討された後、時期が来れば、総理がお決めになることだと思います。中国の要人を迎える、これはだんだん日中の間が詰まってきたわけでありますから、総理としても私としても中国の要人はなるべくお迎えしたいと考えておるわけであります。 機は熟しつつある、熟した、まさに熟した、こういうことはだんだん準備が整ってきておるというふうに御理解を願えればありがたいと存じます。
○大内委員 私の持ち時間が参りました。一言だけ漏らしてしまいましたのでお許しいただきたいと思うのです。 三笠宮御夫妻の訪中ということが伝えられておりましたが、そのようなことを政府としては真剣に検討するのかどうか、一言で結構でございますからお答えいただきたいと思います。
○園田国務大臣 これは政府を通じて行われた申し入れではございません。私も前々から話を聞いておりましたが、正確には新聞で初めて承ったことであります。しかし、これがもし実現するということになれば、当然手続その他で政府にお話があると思いますので、その点で検討したいと思いますが、殿下が、皇族がおいでになるということではなくて、学者が学者の招待を受けておいでになるというふうに私は解釈をして処置したいと考えております。
○大内委員 以上をもって終わります。ありがとうございました。
○中野委員長 これにて大内君の質疑は終了いたしました。 次に、岡田春夫君。
○岡田(春)委員 大分遅くなりましたので総理もお疲れだろうと思いますが、きょうは国民の率直な考え方を私は総理にお伝えをして、少々聞きづらいことがあるかもしれません、ひとつあらかじめ御了承いただきまして質問を始めたいと考えています。 この総括委員会においても再三取り上げられておりますが、今日の世界経済の危機が大変に取り上げられ、叫ばれているわけであります。しかし、これは私の考えでは、基本的には戦後世界を支配してきた基軸通貨であるところのドル、これの国際信認性が喪失をしたのであって、いわばドル体制の崩壊、そしてその反面において第三世界の台頭によるところの世界経済の構造変化、再編成の問題が根底にある、これが今日の世界情勢の基本点である、経済の基本点である。 そこで、こういう中において日本がどのように進むべきであるか。私はこう考えているのです。日本がアジアの一国である限りにおいて、まず何といってもアジアの発展を第一義として広く世界経済に貢献するということでなければならない。そのためには、まず第一に過去の侵略戦争を厳しく反省をしたあかしを明らかにする。これは具体的には反覇権主義の立場を貫徹するということであります。この立場に立って中国を初めとするアジアの第三世界と本当の心の通った連帯を強化するという以外にはないと思います。総理は施政方針の演説その他におきまして協調と連帯とか、あるいはまた全方位外交などという言葉を使っておられますが、私はそういうような抽象的な技術論ではだめだと思うのです。カーター大統領でさえニュー・ワールド・オーダー、新しい世界秩序の体制をつくらなければならないと言っている。こういう基本構想が必要な段階になっている。私はそういう意味でいまきわめて重要であると考えているのは、十六日に調印される日中民間長期貿易取り決め、これは先ほど申し上げた日本の進路から考えるならば、まさに画期的な意義を持っていると言わなければならない。 そこで、第一点としてお伺いをいたしますが、まず第一に今日の世界情勢に対処する総理の基本的な構想はどういうものをお考えになっているか、第二の点は、ただいま申し上げた日中の民間長期貿易取り決め、これに対して総理はどのような御感想をお持ちになっているか。特にこれは金利問題などもいろいろあるわけであります。余り細かい点は総理に私は質問いたしませんが、基本的な考え方をお伺いしたいと思います。
○福田内閣総理大臣 戦後の世界体制をどう考えるか、こういうお尋ねですが、私も戦後、これは戦前と非常に情勢が変わってきた、こういうふうに認識しております。つまり東西関係というのが定着してしまった。戦前には東西関係というものはなかったわけですが、いまや東西がバランスするくらいな二つの勢力として伸びてきておる。それからまた、いま御指摘のように、南北関係、こういう問題が起きてきている。これももう避けて通ることのできない、非常に大きな世界的な動きになってきておる。そこへもう一つ私は、戦前にはなかった一つの大きな問題が出てきておると思いますのは、資源、エネルギー有限という人類意識、これが定着しようとしておる。そういう大きな変化の中で先の世界が一体どういうふうになっていくだろう。私は、いま科学技術というものが非常に発展、進歩してきておる、そういうところから世界がだんだん運命共同体、一つという意識に包まれていくであろうというふうに思うのです。だんだんそういう意識が強化されていく。そしていま東西関係、そういうようなところから軍事的な政治面が非常に大きく取り上げられておりますけれども、そんな大きな軍備を持って相争うというような、そういう国の行き方というもの、それに対する反省というものが必ず出てくる。もっともっと、世界は連帯だ、一つだというような意識で世界政治をやっていこうというような動きがだんだんと強化されていくのじゃないか、そのように見ておるのです。 そういう中でわが日本が、これだけの経済力を持ってきた。そういう状態であるにかかわらず、軍事大国への道は進まぬ、こういう選択をしておるということは、まことに私は賢明だと思うのです。しかも、わが日本というものは、これは軍事国家にならんとすればなり得る、そういう技術も経済力も持っておるわけです。その日本が、そういう道は選びません、こういう選択をしたということは、私は、長いこれからの二十一世紀をにらんでの世界の動きの中で非常に貴重な行き方じゃないか、そのように思います。私はそういう認識を持って日本の政治というものを進めたい、こういうふうに考えておるわけであります。 それから日中の長期貿易協定、これは私は大変結構なことだ、こういうふうに思うわけであります。大体準備はできまして、あとは調印だということのようでありますが、政府といたしましても、この長期貿易協定が円滑に実施されるということにつきまして協力をいたしていきたい、このように考えております。
○岡田(春)委員 いま総理も言われたように、日中の経済交流の問題、非常に重要である。やはりそういう場合に、その政治的な基礎である日中平和友好条約の締結の問題、これはきわめて重要な問題ですね。私はこれから日中平和友好条約の問題について、主として総理にお伺いをいたしてまいります。 その前に、ここにありますが、一月の末に、杉並区一都民という匿名の書簡が私に来ました。これを全部読みますと時間がないから、要点だけ読んでみます。必要があればごらんに入れても結構ですが、この人は昭和十五年に召集になって、いわゆる満州で六年間おって帰ってきた人。この人が、戦争中の経験と今日のことを書いている。簡単に読んでみます。 いま戦争時代を振り返ると、私自身は衛生兵のゆえに直接関係はなかったものの、中国の国民に対する数知れない残虐な仕打ちを現実に見ているだけに、厳しく反省し、心からわびなければならない、これが日本人の義務だと強く感じてまいりました。 それだけに、先年日中国交回復が行われたことは大きな喜びでありましたし、さらに一日も早く平和条約が締結されることを待ち望んでいる次第です。 しかるに、新聞、テレビによれば、福田内閣はいまだに踏み切ろうとしていない。残念な限りであります。 聞くところでは、福田さんも戦時中は南京大使館に勤務されていたとのことです。それなら ばなおさら反省があってしかるべきではないでしょうか。銃はとらなかったとはいえ、戦争加担者の一人ではありませんか。政権についてからこの一年、何をしてきたか、不信にたえません。 覇権に問題があるということのようですが、覇権に反対するのは、かつて侵略行為を行った日本の反省として当然のことです。福田さんがいまだにもたもたしているのは、この反省がなく、また、本気で条約を結ぶ気がないからではないか。この世の中には、やるやると言いながら実際には実行しない人物がたくさんいる。福田さんもこのたぐいではないでしょうか。私の六十数年の人生経験から見て、どうもそんな気がしてならない。どうか日本の将来のために、国会で徹底的に追及してください。 一月二十八日、杉並区在住一都民、六十四歳。 ほかのところは除きましたけれども、重要な点だけ読みました。御感想を伺いたい。
○福田内閣総理大臣 私がいまとっておる対中姿勢について、いろいろの御感想があろうと思います。私のところにもそういう種類のものも参りまするし、また逆の立場からのものもありまするし、たくさんの投書がありますが、しかし岡田さん、私、とにかくこの日中問題、これは真剣にやっているのです。このことだけははっきり申し上げます。 あの共同声明ができてもう五年たったわけです。六年目に入っておるわけです。そして、いまだにあの共同声明に盛られておるところの平和友好条約ができなかったわけですが、私も政権の座について一年余りなんです。四年余りというものは、私の手の届かないところに問題があったわけなんです。私はこの一年余りの間にずいぶん、この日中平和友好条約、これの締結は歴史の流れだ、そしてこれをどうやって締結に持ち込むかということを努力してきておるつもりなのです。で、この間の施政方針演説でも申し述べた、交渉再開の機は熟しつつある、そこまで来たのですから、もう一歩の努力で解決というか、そこが緒につくというところまで来ているのじゃないか。私は交渉再開の機は本当に熟しつつある、こういうふうな認識でございますが、せいぜいやってみたいと思います。
○岡田(春)委員 日中の交渉がいまだに始まらないのは、中国側に何か回答がないからとか、全人代が行われるからそれでできない、何か中国側に責任があるかのごときことがあなたの周辺から流れているようだが、あなたとしては中国に責任があるとお考えになりますか。
○福田内閣総理大臣 交渉再開の機が熟しておりまして、あとは手順、段取りをどういうふうに決めてそして交渉を進めるか、こういうことになっているのです。こういうものは両方の気合いが合致するということだろうと思うのです。それをじっと見ておるわけですが、いまどっちに支障がある、そういうようなお尋ねですが、これはいま日本側に支障がある、中国側に支障がある、どっちと言ってもぐあいが悪いと思うのです。これは私はそっとしておいた方がいい。もう機は熟しているのですから、いま余りつつかぬ方がこの問題を円滑に進める上においていいのじゃあるまいか、そのように考えます。
○岡田(春)委員 いま総理は、その機はきわめて熟しつつある、手順、段取り等があってまだ踏み切れない、こういう話ですね。 そうすると、伺いますが、総理としては、日中の交渉はすでに決断しているのだが、そのための手順、段取りが整っていないという意味でいま進まないのだ、こういうことですか。
○福田内閣総理大臣 私はもう一年間ずっと言っているじゃありませんか。日中平和友好条約、これは締結したい、こういうことを国会に対しまして正々堂々と申し上げているわけで、この考え方はいささかも動いておりません。ただ、交渉を始める手順、段取り、そこまでまだ決めておらない、ただ、その手順、段取りを決め、交渉に入るという機は熟しつつある、こういうふうに申し上げておるのです。
○岡田(春)委員 手順、段取りというのは、主として多分に技術的な、事務的な問題ですね。一月の早々に日本の新聞に、外務大臣が訪中をするということが一斉に出た。われわれ新聞で読むところによると、総理はこの新聞に対して、でたらめもはなはだしいと言って大変激怒されたそうです。このことはどういうことですか。総理は、日中の交渉は大使クラスの交渉で始めたいという意味を言っておられるのですか、どうですか。
○福田内閣総理大臣 あの時点もそうですし、今日でもそうでありますが、まだ手順、段取りが全然決まっておらないのですよ。それが決まればずっと動いていくわけですが、手順、段取り、これが決まって、そうして交渉ということになるのでしょう。それが決まらぬということでありますから、そういう段階で、私は北京に行くのでありますとか、外務大臣が行くのでありますとか、向こうからだれが来るのですとか、そういうようなことはまだあり得ざることなんです。
○岡田(春)委員 どうですか、総理、手順、段取りその他を含めて、この際外務大臣を訪中さしたらどうですか。手順、段取りは一遍に決まりますよ。この点ひとつ、いまの御決意を伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 外務大臣訪中もまた手順、段取りの一つであります。
○岡田(春)委員 それも手順、段取りの一つで、全体としてはまだ決断ができない。大変失礼かもしれませんが、総理の本当の本心は、訪米が済むまでは日中はやらない気じゃないですか、それが本心じゃないですか。
○福田内閣総理大臣 そういう本心は持っておりませんです。
○岡田(春)委員 そうすると、訪米前に日中の再開をするというように私は理解してもよろしいですか。
○福田内閣総理大臣 いま手順、段取りを模索していると、こう申し上げているわけですね。その手順、段取りが、交渉開始が私の訪米前であることもありましょうし、その後になることもありましょうし、私はなるべく早い方がいいとは思っておりますが、いま予断はいたしておりませんです。
○岡田(春)委員 まだそこの手順、段取りを含めて決断ができない、訪米前もあるし訪米後もあるかもしれない。 そこで、もう一点伺いますが、最近、蒋経国が総統に就任するに当たって台湾の独立宣言をするであろうという説が盛んに流れている。そのために総理が踏み切らないのではないかという意見が流れている。これはどうです。また、総理は台湾の独立に賛成なんですか反対なんですか。もしこれに賛成をされたとするならば日中共同声明に反する結果になりますが、これを含めて御意見を伺いたい。
○福田内閣総理大臣 私は、台湾の独立だとか、そんな話を聞いたこともありませんし、私の頭へ去来したこともありませんです。
○岡田(春)委員 いや、御存じなくても、そういう事実かあったらどうです。――御意見を避けられたようですから、私は先に申し上げておきます。台湾の独立に賛成されるというならば日中共同声明に反することになりますから、先に申し上げておきます。 もう一つ、日中問題で最後に、時間がないから伺いますが、いいですか、たとえば交渉再開のために中国側から外務大臣訪中の招請があった場合、総理はこれをお認めになりますか、どうですか。
○福田内閣総理大臣 仮定のことをお答えすることは非常にデリケートでございますが、いままさにそういう手順、段取りを模索しているわけです。そういう中で外務大臣の訪中、これも一つのケースであろうか、こういうふうに考えますが、いろいろな接触の方式がありますから、園田外務大臣の訪中、それは一つのケースではあり得る、こういうふうに思いますが、それが全部ではない。
○岡田(春)委員 いや、それは先ほどあなたもおっしゃったのだが、向こうから招請があった場合にこれを受けますか断りますかということを聞いているのです。
○福田内閣総理大臣 ですから、いま日中間では平和友好条約をどうしようかという問題があるわけなんですよ。それをどういう形で交渉に入るか、こういうことを両方でいま模索している、こういうことでしょう。その交渉開始の第一の段階といたしまして、外務大臣が向こうへ行くがいいか、向こうからこちらへ来るがいいか、いろいろやり方もありましょう。また、外務大臣が行かぬで大使が向こうでやるとか、こっちの中国大使が東京でやるとか、それはいろいろありますよ。ですから、いろいろあるその一つのケースとして、わが国の外務大臣が北京を訪問するということも考えられる、こういうことであります。
○岡田(春)委員 日中問題まだまだあるのですが、これに時間をとっていますとほかに入れませんから、この程度でまとめますが、私が聞いた限り、失礼かもしれませんが、福田さんはまだ踏み切ってない、どうもこの手紙に書いてあるのが大体当たっているのじゃないのか。鄧小平副総理が言っているじゃありませんか、総理が決断すれば一秒で決まる。園田外務大臣、言っているじゃないですか、一月にすでにエンジンはかかっている。これで踏み切らないのは総理ですよ。今日、日中がおくれてしまって今後延び延びになったら総理の責任であるということをお忘れにならないように、これははっきり先に申し上げておきますよ。あなたの責任ですよ。 そこで、次の問題に入ります。今度は国際通貨の問題について入ってまいります。これは総理よりも大蔵大臣の方でしょう。 最初に私申し上げた国際通貨の問題について、今日はドル体制の崩壊、そして新しい通貨をつくる通貨改革の時代に入っている。ところが、どうも政府は新国際通貨に対する方針を持っておらないように思う。その証拠に、総理大臣、どうですか、通貨問題については施政方針で一言も言っていないじゃありませんか。そればかりじゃない。村山大蔵大臣はどうですか。大変安易な考えである。一月三十一日の参議院予算委員会で、将来の方向として金廃貨の方向に行くことは間違いありませんと答えている。私は心配しています。昭和初年の金解禁のときと同じように、後世の歴史家に、村山大蔵大臣がこういうことを言ったぞといって笑われないようにしてもらいたいというのをいまから警告しておきます。昭和初年と対比するのは、福田総理は前から対比されておりますので、昭和初年の恐慌の金解禁と同じようなケースが生まれてくる。 そこで、大蔵大臣、一月の下旬にシンガポールで行われたASEAN五カ国銀行家会議、この会議において、五カ国の中央銀行が金の買い入れを討議して決定した事実がありますが、これについてはいかがですか。
○村山国務大臣 いまの五カ国の銀行の会議については詳細を聞いておりませんので、政府委員から答弁させます。
○旦政府委員 ただいま委員が御指摘になりました、シンガポールで一月の末にASEAN五カ国の銀行家会議があったというお話でございますが、私どもが聞いておりますのは、シンガポールでございませんで、タイのバンコクで、一月二十五日から二十八日にわたりましてASEAN五カ国の銀行家会議があったというふうに聞いております。この会議には五カ国から数カ行の銀行が出ておりまして、その協議しました題目は、私ども出ておりませんけれども、聞きますところによりますと、五カ国間の金融協力、貿易協力あるいは投資協力ということであったというふうに聞いております。
○岡田(春)委員 総理に質問したいのですが、ちょっといま便所に行かれたから後にしましょう。 村山大蔵大臣、これは非常に重要なことですが、六月にチュニスで非同盟諸国中央銀行家会議が開かれることになっている。その議題として非同盟世界決済銀行の設立が取り上げられる。もしこれが決まったら国際通貨の流れは決定的に変わりますよ。これについてどういう情報をお持ちであり、日本の政府の態度はどうですか。
○村山国務大臣 まだその種の情報は入手しておりません。
○岡田(春)委員 間違いありませんからお調べください。間違いありません。 総理がまだ来ないので、それでは金復位の問題に触れたいのですけれども、その前にちょっと一つ触れておきましょう。御存じのLNGですね、石油エネルギー関係です。これを初めとして一部の産品でいわゆるバスケット方式を実施している、そういうのがあるはずです。そのバスケット方式を使っている産品はどういう産品とどういう産品か、またLNGのインドネシアのバスケットは何カ国によっていますか、橋本エネルギー庁長官。
○橋本(利)政府委員 いわゆるバスケット方式を採用しておる商品につきましては、私たちの承知しておる限りにおいてはLNGのみというのが現段階でございます。わが国が関与いたしておりますLNGのプロジェクトはアラスカ、ブルネイ、アブダビ、インドネシア、この四つでございますが、このうちアラスカとブルネイについてはバスケット方式を採用いたしておりません。それからインドネシアLNGにつきましては、いわゆるFOB価格に相当するLNG要素にアメリカを除く十一カ国の平均レートでもってドル表示価格を調整する仕組みが入っております。それからアブダビにつきましては、現在なお交渉中でございますので確たることは申し上げられないわけでございますが、インドネシアLNGと同じような調整のツールが導入されるのじゃなかろうかと考えております。
○岡田(春)委員 総理が戻られましたから総理に伺いますが、国際通貨の問題で当面一番大きな問題は、来月の二十日過ぎから行われるメキシコのIMF暫定委員会ですよ。この暫定委員会で通貨改革が討議をされて、ことしの秋にはワシントン総会で基本構想が決定するんですよ。その情勢になっている。そこで、このメキシコの席上におきましては、あなたがこの前答弁されたローザ構想の問題ばかりではありません、金の復位の問題、あるいはOPECのいま答弁のあったバスケット方式の問題、こういうものが全部それぞれ、ECとかOPEC、ASEANのそれぞれが方針をつくって、そしてそれを提案してくるわけです。現在つくっている最中です。さっき言った、あなたお立ちになりましたが、ASEANの五カ国銀行家会議でも一つの計画をつくっているのです。 そういう状態なのですが、総理は、先日の答弁を伺っていると、通貨の固定相場は理想であるけれども、まだローザ構想には踏み切れないのだ、こういう御意見でした。私はローザ構想だけについて言うのじゃありません。今度の重要なIMF暫定委員会において通貨問題に対する日本の独自な構想をお持ちになっていらっしゃるのかどうか、その構想をお持ちならば、この機会にここでお答えをいただきたいのであります。
○村山国務大臣 総理がお答えになる前に、私からちょっと答えさせていただきます。 通貨問題につきましては、御案内のようにブレトンウッズ体制が崩れまして、変動為替相場に移っておりまして、それはそれでメリットはありますけれども、また多分にデメリットも持っていることは御承知のとおりでございます。しかし、御案内のように、いま二つの問題がございまして、一つはアウトサイダーアレンジメント、これが一月末で切れたわけでございます。あの協定は、国及び中央銀行が金をこれ以上はやらないということでございます。それからまた、IMFの第一次協定がこれから改定されようとしておるわけでございます。第二次協定のおおよその方向は見当がついておりますが、その一番大きな眼目は、やはり金にペッグしないという点でございます。そしてまた現在、かつて金が通貨にペッグしておった時代と違いまして、金の相場についてはいま商品相場として自由に動いておる状況にございますから、もう第二次協定では、金が再びその価値の基準になるということはいまの情勢からない、こういう判断で、従来とっておりました売買に対する数量の問題あるいは価格の問題、これをすべて放任してももう大丈夫だ、こういう方向で、金廃貨の方向で第二次協定が進むと思っておりますし、われわれも現にいまの金の動きから見てさようになるであろう、かように思っているわけでございます。
○岡田(春)委員 いま大蔵大臣答弁した、その第二次IMF協定の発効はいつですか、めどは。答弁は簡単に言ってください。
○村山国務大臣 恐らく秋ごろまでには決まるのじゃないかな……
○岡田(春)委員 秋、そんなことじゃないよ。
○村山国務大臣 六月ごろから交渉が始まるだろうと思いますが……
○岡田(春)委員 あなた、ちょっと勘違いしているよ。交渉はもう済んだんだよ。日本はもう批准しているんだよ。四月ごろですよ。
○旦政府委員 第二次協定改正の発効は、各国の拠出状況から見まして、この春ごろであろうと見通されております。
○岡田(春)委員 大蔵大臣、秋じゃないですよ、春ですよ。 そこで、これによって、先ほども言われたように金の公定価格、これは廃止されます。それから通貨当局の金の売買、これも自由になります。そうですね。そして、さっき言った紳士協定が一月の末で失効した。金の売買が自由になりますよ。いいですか。そこで、これは金復位の方向だと私は見て間違いないと思う。 そこで大蔵大臣、総理大臣でもいい。七五年のランブイエの会議の際に、アメリカとフランスだけで金の復位への秘密の合意が行われている。その内容を御存じでしょうか。しかも、ちょっと皆さんあれかもしれないが、その前の年、フランスとアメリカがマルチニク島において会談をやった。そのときには、エネルギーのIEAに対して、アメリカの提案はIEAをつくりたい、これにフランスは反対したんだ。ところがフランスは、金の復位をやろうじゃないかと言った。これは二人で取引したんですよ。これがマルチニク島の経過なんです。その後で再度、七五年になってからランブイエにおいて、米仏において金の復位についての秘密合というか、秘密協定が結ばれている。この事実――あの当時は三木さんが行ったのですが、総理は、総理大臣の引き継ぎ事項として、重大な問題ですので、引き継ぎを受けていらっしゃいますかどうですか、その事実はどうですか。
○村山国務大臣 われわれの聞いているところでは、その点はアメリカとフランスの最も意見の対立した点であって、ついに何の合意も見られなかった。まさにいま岡田委員の言われることと逆でございまして、秘密協定などというものが結ばれているということは全然聞いておりません。
○岡田(春)委員 あなた、どこからお聞きになったか知らないけれども、一月にパリで行われたIMF先進十カ国の大蔵大臣代理会議、パリクラブですよ、ここでこの秘密合意について議題になって、廃止するかどうかについて討議が行われている。そのとき日本からだれが出ているのですか。松川財務官でしょう。松川財務官からあなたへ報告はないのですか。どうなんです。
○村山国務大臣 その会議は松川財務官が出ておりますが、そういう事実があれば、私に当然報告がございます。そういう事実がなかったので、私には報告がございません。
○岡田(春)委員 そんなことないですよ。あなたには知らせなかったのかもしれない。 ランブイエの問題、牛場さん、どうですか。秘密合意があるんでしょう。あなたは世界経済の専門家だ。ヨーロッパへ行かれたら御存じのはずだ。あるはずですよ。村山さん、知らないだけなんだ。
○牛場国務大臣 どうも私もそういう秘密協定のあることは全然存じておりません。ランブイエのときに、準備段階でちょっと関係いたしましたけれども、その後は私も離れておりましたから、全然存じません。
○岡田(春)委員 大蔵大臣にウマを合わせなくてもよろしい。思っていることは全部お話しください。 金廃貨の方向に進んでいるのではなくて、金復位の方向に進んでいる。その証拠に、一月、フランスの中央銀行の年報では「IMFの発効によって金はいよいよ対外決済に有効に使用することができるようになる」こう書いてある。しかも、一月十二日、フランスの通貨当局は公式に金の買い付けを声明している。どうですか、金復位が始まっているじゃないですか。 そればかりじゃありませんよ。時間がないから私省略しているんだが、もう現にIMFの保有金をあなた、買っているでしょう、日本で。ジャマイカのキングストン合意によって買っているでしょう。局長、どうだ。
○旦政府委員 IMFの加盟国につきましては、金廃貨の方向で、IMFに拠出しておりました各国の金の一部について返還をいたしておりまして、購入をしているということではございません。
○岡田(春)委員 それはいつですか。値段がついておったはずです。いつです。――ちょっと追加して伺っておきます。いつであり、日本は幾ら買い、値段は幾らであって、IMFの現行協定の何条に基づいてやったか。
○旦政府委員 日本につきましては、昨年の一月と十二月にその返還を受けております。(岡田(春)委員「幾ら」と呼ぶ)いま御質問の点につきましては、ただいま調べまして御返事いたします。
○岡田(春)委員 困るね、そんなことじゃ。あなた、大蔵省の国際金融局の五十一年四月の国会に提出した資料に書いてあるじゃないか。あなたは知らないのですか。四十二ドル四十二セントで買っているのでしょう。数量も一緒に言いなさい、幾ら買ったと。
○旦政府委員 五十二年の一月にIMFから返還を受けましたのは、二十五万六千七百六十三オンスでございまして、これはSDR表示で八百九十七万七千SDRでございます。SDRは、公定価格で金は一オンス三十五SDRで評価しておりますので、現行のドルでは四十二ドル二二ということになっております。 なお、十二月にさらに返還を受けましたのが、同じく二十五万六千七百四十九・六一四オンスでございまして、この金額も八百九十八万六千SDRでございます。
○岡田(春)委員 それはあなた、現行IMF協定の第何条でやっている。四条二項でしょう。答弁を早くしてもらわないと、遅くなって時間がむだだ。
○旦政府委員 これはIMFの協定自体でございませんで、各国の理事会で決議をしまして、合意に基づいて行われた返還でございます。
○岡田(春)委員 合意に基づいたのは、協定の何条でやるのです。四条二項ですよ。時間がないから先に申し上げますが、四条二項に基づいてこれは売買するのですよ。
○旦政府委員 この条文上規定をいたしておりますのは、七条の第二項によってこの処分がされたわけでございます。四条の方は、SDRの公定価格の点でございます。
○岡田(春)委員 それは解釈が違います。こればかりに時間をとってはもったいないからやめますが、これは明らかに四条違反です。四条第二項で「基金は、」――基金はというのはIMFは、「加盟国による金の取引のために、平価の上下のマージンを定める。加盟国は、平価に所定のマージンを加えた額をこえる」金額で金を買い入れてはならない、こう書いてあります。これは数字で言えば、三十五ドル三十五セントで買わなければならないのです。ところが、あなたは四十二ドルで買っているじゃないか。高いものを買っているのだよ。明らかに日本の国益に反しているよ。
○旦政府委員 現行協定上、金の公定価格は一オンス三十五SDRでございますので、したがいまして、それはドルに換算しますと四十二・二二ドルであるということでございまして、三十五SDRによります取引は、協定の違反ではございません。
○岡田(春)委員 そう言うだろうと思いましたよ。あなたはそれじゃ、三十五ドル三十五セントというのは間違いですか。間違いじゃないでしょう。これによって三十五ドル三十五セントしかなりませんよ。しかし、こればかりやっていると時間がないから留保します。これは後でやります。 そこで最後に、大蔵大臣、やはりさっき申し上げたように、フランスは買うと言っているのですよね。そうすると、各国買うつもりですよ。ASEANも買うと言っていますよ。OPECはもうどんどんやっていますよ。そういう状態になってきたからロンドンの金市場が上がっているのですよ。二百ドルに近いところまで来ているわけでしょう、いま金一オンスが。どうですか、日本の場合。総理にこれは伺っておきたいのだが、日本の金の保有はわずかに九億ドルですよね。ところがアメリカは何ぼですか。百十二億ドルですか、これは二年ぐらい前の統計で。ドイツは四十八億ドル、フランスは四十一億ドル。イタリア、破産国と言われているイタリアでさえ三十四億ドルですよ。この前から貿易収支の問題がありますね。金を買ったらどうですか、金を。二百三十三億ドルも外貨準備があって、その大半がどこまで下がるかわからないドルで持っていたって始まらないですよ。金を買うべきですよ。金を買ったらどうですか。総理大臣、経済の福田ですから、ひとつ御意見を聞かしてください。
○村山国務大臣 二つの問題がございまして、一つは金廃貨の方向に進んでいるかどうかという問題と、それから日本が金を買うのかどうかという問題でございます。 もうすでに、いまお話しのありますように、金が一オンス二百ドル近くなっておるということは、完全に商品相場として動いているわけでございますので、今後金本位に復帰することはまずない、かように思います。 それから第二番目に、日本が金を買うかどうかという問題でございますが、御案内のように、日本はこれだけ大きな経済大国でございますし、また、日本の動向いかんは非常に大きな影響のあるところでございますので、非常に微妙な問題でございますので、発言を差し控えさせていただきたいと存じます。
○岡田(春)委員 これは総理に伺いたいのですが、総理就任中に買わないと言明できますか。
○村山国務大臣 この問題は将来の通貨問題に及ぼす影響、非常に重大でございます。したがいまして、繰り返しになりますが、どうぞひとつ私の答弁で御了承いただきたいと思います。
○岡田(春)委員 それでは納得ができませんから、これはまた後でやりますが、今度、デノミ問題を総理に伺います。 これは、デノミ問題というのは総理の目玉商品の一つです。ですから、政治責任の問題でもありますね。ところが総理、どうですか。この間ここで答弁されていると、何かデノミは三条件が整わないとやらないんだと、大変慎重な御意見でしたね。それから、その後で官房長官が政府の統一見解を出しましたね。それを合わせて考えると、総理の就任中にはデノミはやらないというように私は理解してもいいのですか。
○福田内閣総理大臣 私は、デノミにつきましては、これはやりたいというふうに思っているのですよ。ただ、やるにいたしましても、これは条件が必要だ。いわゆる三条件ですね。国際収支が安定していなければならぬ、物価が落ちついていなければならぬ、それから景気が正常な状態でなければならぬ。いま物価の状態はまあまあいいところへ来ておりますね。また、国際収支はよ過ぎて諸外国から怒られておる、こういう状態です。景気の状態はまだ正常と言えません。そういうようなことで、私は、いまはデノミをいつ宣言するなどということは考えておりません。いま考えていることは、何とかして物価、国際収支、それから景気、これをとにかく安定させたい、この一事であるということを強調しているのです。
○岡田(春)委員 三条件が整ったならば、できるだけ早くやりたいというのが総理の考えだ、こういうように理解してもいいのですね。
○福田内閣総理大臣 三条件が整い、そして国民が――これは国民にPRしなければならぬ。よく国民が正当に理解してくださるということになれば、この問題は早く片づけた方がいい問題である、そういう認識です。
○岡田(春)委員 大蔵省でやっているデノミの問題などを見ると、大体百分の一に表示変更するというような案が進んでいますね。これは先ほど総理も答弁されたが、インフレにデノミというのは全然影響を与えないのですか。
○福田内閣総理大臣 これは景気に対しましては、経済活動、経済の動きに対しましては、本当に中立なんです。これはよく理解されない場合におきましては、いろいろこれをめぐってゆがんだ動きが出てきますけれども、これが正当に理解されますれば、これはインフレにもデフレにも全然関係のない問題であります。
○岡田(春)委員 そうすると、国内物価、国際物価にも関係、影響を与えない……。
○福田内閣総理大臣 他の経済の動きに対しまして何らの影響のない問題であります。
○岡田(春)委員 それじゃ伺います。 先ほどエネルギー庁長官が言いましたね。こういうふうに数字を出してある。LNGの場合、現在の価格は二・五ドル。この単位は百BTU当たりです。ところが、百分の一デノミを実施した場合には二・六七ドル、七%アップになるじゃないですか。あなたの問題の七%は近ごろえらいはやるんだ。成長率七%、これは、どうも実行できないようだが、これだけは間違いなく約七%アップになりますよ。明らかに変更が出てくるじゃないですか。総理、お調べになっているのなら、デノミの核心についてひとつ御意見を伺いましょう。私、この機会に資料まで出すのですから、説明を全部やってしまいましょう。 バスケット指数、これはインドネシアのLNGの場合、ニューヨークの為替相場で計算をする。七八年の一月二十日現在、日本の円のドル表示は〇・〇〇四一、そして、十一カ国のバスケットの算入各国の通貨合計は五・八四四二五、これを加重平均すると〇・五三一二九。ところが、百分の一のデノミの実施の場合、二けた上がりますから〇・四一、バスケットの中に通貨を合算しますと六・二五〇一五、加重平均は〇・五六八一九。そうすると、前の方の現在の価格をAとし、百分の一デノミを実施した場合をBとして割ると一・〇六九、約七%でしょう。ですから下に、現在価格掛ける一・〇六九イコール二・六七ドル。どうですか、デノミになったら七%アップするじゃありませんか。しかも一総理、LNGというのは、これは国内においても原料に匹敵すべきものですから、国内価格に全部影響しますよ。こういう状態になってきますよ。そればかりじゃない。こういう加重計算が出てくるならば、日本だけではないですよ。LNGを買う国々全体がこれだけ上がるのですよ、バスケットですから。全体がこのように上がってくるとすれば、あなたどうですか、デノミをやった福田さんが非難を国際的に受けるのですよ。この計算、間違っていますか。どうですか、総理。総理、デノミをおっしゃるのだから、これが間違っているかどうか。
○福田内閣総理大臣 この計算は、私にはわかりません。いずれにいたしましても、国際社会において、これにもちゃんとはっきりしてありますが、日本円のドル表示〇・〇〇四一が〇・四一になる、この関係は全然動くわけありません。
○岡田(春)委員 総理、そのことがわからないじゃナンセンスですよ。いいですか。ニューヨークの為替レートで日本の円のドルの表示、これは現在は〇・〇〇四一です。これが一月二十日現在で。それはあなた、ニュートラルで表示変更するだけだ、こうおっしゃるのでしょう。そうすると、それが二けた上がるのだから〇・四一になるでしょう。何でわからないのですか。わかるじゃないですか。
○福田内閣総理大臣 この日本円のドル表示というものは、これでいいのですよ。〇・〇〇四一、これが百分の一デノミの場合には〇・四一になる、それでいいのです。(岡田(春)委員「何がわからないのです。わからないのは何……」と呼ぶ)後の何か、二・五ドルが二・六七ドルになるというのがわからぬと言うのです。全くわかりません。
○岡田(春)委員 どうしてわからないのですか。現在価格に一・〇六九を掛けたら二・六七になるじゃありませんか、あなた。どうしてわからないのです。あなたはデノミをおっしゃったらやはり政治責任がありますよね。その政治責任がおありの場合に、こういうことをやっておいでにならないのですか。あなた自身がやっているかどうかは別問題ですよ。あなたが発表される前に、ここまでのことをお調べになって、されていないのですか。
○福田内閣総理大臣 このことは何のことやらわかりませんが、もしわかったにいたしましても、そこまでのことはいろいろ調べて私が発言しておるわけではないのです。デノミというものは、わが日本の国といたしまして避けて通ることのできない案件である、これは条件が整ったときにはやりたいということを申しておるのであって……。
○岡田(春)委員 これは、その数式というのはそれでは違うのですか、わからないとおっしゃるんだが。LNGは上がる。エネルギー庁長官言ったじゃないですか。バスケット方式だと言ったじゃないですか。バスケット方式なら――あなたは〇・〇〇四一は〇・四一になる、これはお認めになったね。そうしたら、バスケット計算をしたらこうなるのはあたりまえじゃないですか、あなた。バスケットの指数というものはこういう形で出しているのですよ。 政府でだれかこれをわかる人いるのですか。
○橋本(利)政府委員 私が先ほど申し上げましたのは、インドネシアLNGにつきまして、アメリカを除く十一カ国の通貨のバスケット方式を適用している、かように申し上げたわけでございまして、当然米ドルの価値が下落すれば十一カ国の通貨の価値が上昇いたすわけでございますから、その限りにおいてドル表示の価格は上がってくるだろうと思います。ただ、いまここでこの紙を拝見いたしたわけでございますが、日本円のドル表示は百分の一デノミの場合〇・四一というのはこのとおりかと思いますが、ここのバスケット算入各国十一カ国の通貨のウエートが変わってくるのじゃなかろうかと思います。(岡田(春)委員「どういうふうに変わるのですか」と呼ぶ)十一カ国の通貨のウエートというものは現在あるわけでございます。その場合に、日本のドル表示を百分の一デノミやった場合に、そのまま直ちにその十一カ国通貨ウエートに算入するのではなくて、ウエートを勘案してこの十一カ国通貨の中に導入すべきではなかろうか。いま見た段階でございまして十分わかりませんが、そういった点が若干この試算には問題があるのじゃなかろうかという気がいたすわけでございます。
○岡田(春)委員 あなたの言った十一カ国のウエートがこの五・八四四二五ですよ、合計額が。ですからこれの中で、日本の円だけが百倍になるわけですよ。いいですか。これは当然一般論としては、それだけ上がってくるということは間違いありません。先ほど答弁されたとおりですね。そういうことになるじゃないですか。答弁されたじゃないですか。どうなんですか。
○橋本(利)政府委員 私自身通貨のことは十分わからないわけでございますが、いわゆるバスケット方式の場合に、いつの時点を基準として各国通貨のウェートをどういうふうに構成するかということは非常に問題かと思います。その場合に、日本だけがデノミをしてそのままのウェートで算入するということは、他の十カ国の通貨ウエートとの関連からいたしまして、必ずしもこのような数字にならないのじゃなかろうかというのが私の感触でございます。
○岡田(春)委員 総理、よく覚えてくださいよ。いま言ったのは、時期としてというのは一月二十日現在で言っているのですよ、私、具体的に。しかも、あなたウェートをどう置くとおっしゃるけれども、ウェートをどう置くのですか。インドネシアのLNGは一カ月ごとに変わるのですよ。その時価のあれでいくのですよ。あなたはこのことだけは答えられますね。もし、そういう指数というものを変えるならば、デノミをやる前には関係各国の承認を得ない限りは、これはできないでしょう。どうですか。
○橋本(利)政府委員 これも私がお答えすべき筋ではないと思いますが、いわゆるインドネシアLNGに適用いたしております十一カ国のバスケット方式の中における通貨ウエートを、単純に日本のデノミの分だけ入れる場合にはアンバランスになるのじゃなかろうかということを申し上げておるわけでございまして、デノミした暁において十一カ国通貨のレート構成と申しますか、通貨構成、ウェート構成をどういうふうにするかということは、これはまた十一カ国の別途の問題ではなかろうかと思うわけでございます。
○岡田(春)委員 エネルギー庁長官にこれ以上答えさせることは無理です。金融当局、大蔵省、どうしているの、さっきから。あなたの方でやらなければならない問題じゃないですか。通貨の問題を通産省がやっているのですか。――村山さん、ちょっとまだ聞きなさいよ。ちょっと待ちなさいよ。まだ何を質問するかわからない。あなたは、これに対して確信を持った答弁ができるのですか。福田総理はわからないとおっしゃった。デノミの問題ほど国民が重大な関心を払っているものが、こういう問題について、あなたが政治責任のあるこの問題について、この具体的な事実についておわかりにならないというのは見識の問題ですよ、あなた。こんな、これさえもおわかりにならないのですか。LNGのこの問題は重大問題ですよ。あなた、村山さん、適当な答えをしたって、事実と違ったらどうするのですか。これははっきりと答弁してくださいよ。
○福田内閣総理大臣 この表が何を意味するか私にはよくわからぬ、こう申し上げているのです。私が申し上げたいことは、デノミをやった場合に、他のいろいろの経済関係に対しては中立である、いささかの影響はない、こういうことを申し上げたわけであります。
○岡田(春)委員 おわかりにならないというのは、どうしてわからないのですか。「LNG価格のデノミによる変動(試算)」、百分の一切り上げを実施した場合の算式の計算じゃないですか。何がわからないのですか。数字を見たら全部わかるじゃないですか。あなた、お認めになった。〇・〇〇四一が〇・四一になることはお認めになった。それに基づいて試算をした。百倍にした試算の計算をしたのが五・八四四二五、これに対して六・二五〇一五、これを加重平均をすればこうなる。何でわからないのですか。どこがわからないのですか、どこが総理わからないのですか。
○福田内閣総理大臣 この紙が何を意味するかがよくわからないということを申し上げているわけであります。
○岡田(春)委員 書いてあるじゃありませんか。デノミによって変動があるということを書いてあるじゃないですか〇二・五ドルが二・六七ドルになるということを書いてあるじゃありませんか。それがおわかりにならないのですか。字を書いてあるのですよ。字を書いてあるのに――理事さん、どうなった。これがわからないといって、これ以外何と書けばいいのですか。算式を全部書いてありますよ。
○中野委員長 ちょっと速記をとめてくれたまえ。 〔速記中止〕
○中野委員長 速記を始めて。 理財局長。
○田中(敬)政府委員 通貨を担当いたしております理財当局でございます。お示しいただきましたバスケット算入各国の通貨合計というものを計算いたします際に、この十一カ国の中のいずれかの国がデノミを行った場合にどうなるかというような規定は、現行の算定方式に、私これを初めて見るのでございますが、規定がないのであろうと存じます。 そういう意味におきましては、いずれかの国が本来経済的に中立であるべきデノミネーションを行った場合に、それによって他国もあわせて共通に石油価格が上がるというようなことは問題であろうかと存じますので、いずれ私どももこのバスケット算入方式というものを勉強いたしまして問題点を検討いたす所存でございますが、ただいまの感じでは、デノミを行いました際の計算方法というものが従来どおりのウェートで行われるという点に問題があるのではなかろうかと考えております。
○中野委員長 岡田君にちょっと申し上げますが、後ほど試算をいろいろと研究してみて、そして出せるものは出すと言っておるのですから、これは了としていただきたいと思うのです。(発言する者あり) 速記をとめて。 〔速記中止〕
○中野委員長 速記を始めてください。 岡田君に申し上げます。この問題については理事会の扱いとして、後の質疑をお進めくださいますように。
○岡田(春)委員 これは理事会でいろいろおやりになるそうですか、ただ、この際に総理には警告しておかなければならない。 デノミはあなたの目玉商品ですよ。この目玉商品であるデノミというのを、国際価格でLNGが七%も上がるという事実をあなたはお調べにならないで、軽率にもこういうことをされたのだとするならば、あなたの見識を疑わざるを得ないですよ。どこに経済の福田があるのですか。そんなことでは話になりませんよ。国民はあなたを信頼しないですよ。福田さんの言うことは当てにならぬと言いますよ。もし私の言うとおりだったら、あなたはこれはデノミに対して国民に謝ってもらわなければならないですよ。私に謝らなくたっていいですよ。国民に謝りなさい。単なるニュートラルだけではありません、国際価格で上がるものもありますということをあなたははっきり言って、謝らなければだめですよ。あなたは、それだけは決意しておいてください。いいですね。後で委員会まだやると言っているのですから、そのときにやりましょう、次の問題に入りますから。
○福田内閣総理大臣 デノミネーションというのは、これは通貨の呼称の変更でありまして、実体に何らの変更はないのでありますから、御指摘のようなことはあり得ざることだと信じております。
○岡田(春)委員 あなたはそう思っても、事実が違うのです。違うのだから問題になっているのです。 それでは、次の日ソ交渉の問題に入ります。 外務大臣に日ソ交渉で具体的に伺ってまいりますが、その前に総理に一点だけ伺っておきたい。いままでの歴代自民党政府の場合は、あなたも含めまして、日ソ善隣条約というのを日ソ平和条約締結以前にまとめることは、北方四島一括返還の実現の妨げになることになるのでこれには反対だ、したがって善隣条約では領土問題は未解決であるという観点に立っておられるわけですね。そういうように考えて間違いございませんか。
○福田内閣総理大臣 そのとおりに考えております。
○岡田(春)委員 委員長、ちょっとああいうところで数字をああいうようにやっていますが、これは注意してください。ほかの問題に入っているのだから、宮澤さん、こっちへ戻ってください、あなたがいずれ計算しなければならないのだから。 それでは外務大臣、日ソの交渉の席上、グロムイコ外務大臣が突然日ソ善隣条約案を持参したのに対して、園田外務大臣は、文書を預かるが検討の対象とはならないと公式に日本側の態度を表明した、そうですね。そこで伺いたいのだが、検討の対象とならないというのは、一体どういう意味ですか。ソ連側が一方的に押しつけてきたのに対して、日本側としては外交交渉の文書としては認められないという声明ですか。どういう意味ですか。
○園田国務大臣 わが国の主張は、四島一括問題を解決をして平和条約を締結するということが年来の主張でありますから、善隣友好条約は、平和条約を締結した後出てくるべき問題であって、いまの段階でこれを受け付けるわけにはいかぬ、こういうふうに断ったわけであります。
○岡田(春)委員 それは、手続はあなたのおっしやるとおりなんです。ただ、検討の対象にならないとおっしゃったことは、これは外交交渉の文書として認めるわけにはいかないという意味でなければ、これは問題になりますよ。
○園田国務大臣 受け付けてないわけでありますから、外交文書としては認めておりません。
○岡田(春)委員 それなら外務大臣、伺いますが、何で持って帰られたのですか。そのときにお返しになるか、せめて会談が終わったときにテーブルの上へ置いて帰ればいいじゃないですか。どうしてしなかったのですか。
○園田国務大臣 私の方も同時に平和条約の試案を向こうのテーブルに届けましたところ、向こうも同様にこれは受け付けるわけにはいかぬ、検討はしない、こういうことでありますから、お互いにテーブルに置いただけだ、こういうことで帰ってきたわけであります。
○岡田(春)委員 その文書はいまどこにあるのですか。
○園田国務大臣 これはそういう性質のものでありますから、見るべきものでありませんから、これは密封して置いてあります。
○岡田(春)委員 どこに密封して置いてあるのですか。
○園田国務大臣 外務省に置いてあります。
○岡田(春)委員 何で密封する必要があるのですか。あなた、参議院の予算委員会で見たと言っておられるじゃないですか。見たのでしょう。見ないのですか。
○園田国務大臣 私のテーブルに届けたわけでありますから、見たわけであります。
○岡田(春)委員 ごらんになったら、それはロシア語ですか、日本語ですか。
○宮澤政府委員 向こうは、原文はロシア語であり、日本語の訳文も付してあると説明して、両方を出したわけでございます。
○岡田(春)委員 いまの答弁、不適当だ。向こうは、ではない。あなたが見たのはロシア語ですか、日本語ですかと聞いているのです。外務大臣。
○園田国務大臣 両方でございます。
○岡田(春)委員 両方ですね。それではあなた、日本語ならすぐお読みになるのだが、その条約の名前は何と書いてありました。
○園田国務大臣 ソ日平和友好善隣条約、そうなっておったか――ソ日善隣協力条約。
○岡田(春)委員 その日本語をごらんになったときに、これは条約の文体をとっておりましたか、個条書きの形になっていましたか。
○園田国務大臣 詳細は事務当局から、事実でございますから答弁させます。
○宮澤政府委員 条約案として個条書きの形になっていたと記憶いたします。
○岡田(春)委員 条文形式ではないですね。
○宮澤政府委員 条文形式でございます。
○岡田(春)委員 大体そこら辺まではわかりました。 しかし、そこで外務大臣、日本から出した日ソ平和条約案も向こうは同じく検討の対象にならないとしたわけですね。そうすると、ソ連のよこしたものも日本のやったものも、両方とも外交文書としては認められないというのが日本の解釈ですね。いいですか。
○園田国務大臣 そうでございます。
○岡田(春)委員 それならばこの予算委員会に、外交文書ではないのですから、御提出いただけますね。
○園田国務大臣 日本から出したものは試案で、きわめて簡単であります。と申しますのは、経緯を申しますと、モスクワに出かける前に、平和条約とそれから善隣友好条約というものが前から出ておりました、話がありましたから、その中間のものを出す可能性があるという情報を私は聞いておりましたので、その場合に相打ちにするために準備をしていったものでございますから、日本から出したものはきわめて簡単であります。向こうから出したものは文書でなくて、ただテーブルのところに持ってきただけでありますから、これを国会に提出することはいかがなものかと考えます。
○岡田(春)委員 あなたは外交文書じゃないのなら出せるじゃありませんか。外交文書じゃないのでしょう、両方とも。それなら出したっていいじゃないか。どうです。あなた党人派の外務大臣で、そんな国権の最高機関であるこの国会に対して、要請があった場合にお出しにならないとおっしゃるのですか。
○園田国務大臣 こちらが正式に受け付けてない文書でありますから、これを国会に出すと、これが正式にこちらが受け付けたことになると思いますので、出すととは差し控えたいと存じます。
○岡田(春)委員 わかりました。それじゃ、国会には出せないが、何らかの形で発表すると理解してもよろしいですね。
○園田国務大臣 一切人目に触れないように密封をしておけ、こう言ってありますから、発表するつもりはございません。
○岡田(春)委員 あなた、どうして密封して発表するつもりないのですか。発表したらいいじゃないですか。向こうで日本案を発表したらどうしますか。その場合どうするのですか。そういう点もあるばかりじゃない。どうですか、あなたはこれを外交文書でないとおっしゃるならば、むしろ出すべきですよ。その証拠に、もう新聞に出ているじゃありませんか。土曜日の新聞に、新聞の名前を言えばあなた御存じでしょう、東京新聞とサンケイ新聞に要旨が出ているじゃありませんか。もう出ているのじゃありませんか。お出しになったらどうです。
○園田国務大臣 出ております記事は、推測の記事でございます。
○岡田(春)委員 これは、あなたがお読みになった記憶と対照して、当たっていますか、全然当たっていませんか。
○園田国務大臣 全く推測の記事でございます。
○岡田(春)委員 そんなことはない。当たっている部分もある。そんなことない。その証拠に、あなた、どうですか、あの中に平和の永続、善隣の継続ということが書いてあるし、それ以外のことたくさん書いてあります。当たっている部分たくさんありますよ。あなた、全部当たってないとおっしゃいますか。
○園田国務大臣 私はただ一つ、これは領土問題未解決ということが明記してあるかどうかということ以外は関心はありません。
○岡田(春)委員 その点はいかがでしたか。領土問題は書いてありましたか、書いてありませんか。
○宮澤政府委員 先方が渡しましたものは、大臣が検討しないとおっしゃって物理的にお受け取りになったものでございますので、内容について私どもから云々することは差し控えたいと思います。
○岡田(春)委員 私は外務大臣に聞いたのですよ。欧亜局長に聞いたのじゃないですよ。いいですか。領土問題に関心があったから、その点だけは見たとおっしゃったから、領土問題は書いてありましたかどうですかと聞いているのです。外務大臣に。書いてありましたか。
○園田国務大臣 私がこれを問題にしなかったことで御推察を願いたいと思います。
○岡田(春)委員 それでは、領土問題については何ら前進がないと理解してもいいですか。
○園田国務大臣 前進はございません。
○岡田(春)委員 これは書いてあるでしょう、確かな情報を私は持っていますが、日ソ共同宣言の文言の部分があるでしょう。
○園田国務大臣 その内容は申し上げられません。
○岡田(春)委員 あなたは外交文書でないものをなぜ秘密にするのですか。秘密外交じゃありませんか。
○園田国務大臣 両方とも検討しない、受け付けない、こう言って取ったものでありますから、向こうがこちらの案を発表すれば別でありますけれども、こちらから発表する意思はございません。
○岡田(春)委員 外交文書でないなら合意を必要としないじゃありませんか。
○宮澤政府委員 ただいま大臣が外交文書でないとおっしゃいましたのは、双方外交文書としてこれを受け取らなかったという意味でございます。
○岡田(春)委員 外交文書として受け取らないものが、受け取ったら外交文書になるのですか。そんなばかな話はありませんよ。 時間がないからどんどん進めます。日ソ共同宣言ばかりじゃありません。私は東京新聞、サンケイ新聞の一部が当たっているという根拠がある。いいですか。もうこれに入ってしまいましたから、これを読みますが、実は総理、ソ連が友好協力とか協力条約という名で条約を結んでいるのは、いままで六カ国あるのです。それで、この資料にあるとおり、六カ国の名前を挙げれば、モザンビーク、アンゴラ、ソマリア、イラク、インド、アラブ連合、この六カ国です。この条約は一部分を除いて、いずれもほとんど同一の趣旨の条文になっています。私は六つの条約全部調べましたし、ここにあります。必要があればお見せしても結構です。 そこで、ここで問題なのは、日ソ善隣協力条約、園田さん、その協力という言葉が非常に重要なんです。どういう意味かというと、協力というのは政治、経済、文化、科学そして軍事的な協力を含めてこれは意味している。そういう意味ですよ。したがって、日ソ善隣協力条約案は、これは六つの条約と同一類型のものと断定することができる。いいですか、たとえば先ほどから申し上げている新聞報道、経済、科学、技術、文化協力の条項、これは、皆さんに配付をしたこれをごらんください。八ページ。総理大臣、八ページを見てください。この八ページに「経済、科学、技術等の協力拡大条項」、これは四ですね。五には、九ページ「文化交流の拡大条項」、これはお見せしても結構ですが、文章の言葉までほとんど同じです。ですから、いいですか外務大臣、これと同じものが日ソ善隣協力条約の中に入っていることは間違いない。これは間違いありません。ですから、東京新聞、サンケイ新聞がこれが入っていると書いているのは間違いありません。 ただ、ここでひとつ総理も外務大臣もお聞きいただきたいのは、日ソ善隣協力条約の場合には、政治条項と軍事条項についてはきわめて慎重な態度をとっております。そのひな形は、類型は大体インドとソ連の友好協力条約を類型としていることに間違いないと私は見ている。外務大臣どうですか、そうですよ。その証拠に、新聞報道では、これは東京新聞であります。独立、主権の尊重、内政不干渉、永続の平和維持発展の条項が入っていると書いている。あなた、入っていないと言ったけれども、入っている。入っている証拠に、これは印ソ友好協力条約の第一条に書いてある。そのとおりに書いてある。ですから、これは入っていないなんて、あなた、ごまかしてはいけませんよ。国会で、あなた、党人派の政治家がごまかしてはいかぬですよ。やはりこれは入っているなら入っていると言った方がいいですよ。入っているでしょう。入っていないのですか。
○園田国務大臣 私は入っていないとは言わなかったはずでございますが……(岡田(春)委員「入っているとも言わなかった」と呼ぶ)そうです。
○岡田(春)委員 それはどういうことですか。入っているとも入っていないとも言わなかったというのはどういうことです。国会で質問しているのに、あなただけが読んで、しかも私、知っていますよ。あなたはお読みにならなかったけれども、外務省の内部で一生懸命検討していますよ。必要があれば、私、いつかの機会にそれを発表してもいいですよ。全部検討していますよ。あなた、そう検討しないとおっしゃって、ソ連は検討しないと思っていますか。渡した限り検討すると思っていますよ、あなた。そんなばかな話がありますか。
○園田国務大臣 外交文書として検討は一切いたしません。――外交文書として外務省が検討いたしておりません。
○岡田(春)委員 そんなのはおかしいよ。外交文書として検討しないのだったら、絵本でも読んでいるのですか。何か小説か漫画でも読んでいるのですか。そんなばかな話はないですよ。それよりもさっき言った印ソ第一条と同じものが入っていることは間違いない。私は断定する。あなたはどうです。
○園田国務大臣 御推察はなかなかりっぱだと思いますが、私は肯定はいたしません。
○岡田(春)委員 否定もしないのですか。それじゃ否定もしないとおっしゃってください。
○園田国務大臣 御推察はなかなかりっぱだと存じておりますが、肯定はいたしません。
○岡田(春)委員 否定はしないのですか。
○園田国務大臣 御推察を願います。
○岡田(春)委員 あなた、後になって恥をかかないようにした方がいいですよ、これから外務大臣は、それでもう政治家をやめるのじゃないのだから。私はこれは全部入っていると思いますよ。時間をある程度いま理事の方から言ってきていますから、時間がないから先に言いますが、いいですか、これは資料として全部読んだら時間がかかりますから、要点だけ申し上げます。 六カ国の条約の中には「敵対的、同盟ブロック不参加条項」が入っています。その次にこの条約に抵触する他の国際協定への不参加条項」が入っています。六カ国の中には。これは三ページにあります。それから最後に大切なのは六ページ、平和の脅威、侵害の発生の場合の緊急協議条項です。これが入っています。この三つとも入っているはずです。入ってないというなら入ってないとおっしゃい。 真田さん、あなた好きなやつだ。平和の脅威に対する緊急協議条項、安保第五条じゃないですか。安保と同じことだ。
○園田国務大臣 岡田委員に申し上げますが、向こうからテーブルに持ってきたときに、こういうものは問題にならない、受け付けない、検討しない、こう言ったものを国会でその内容を申し上げては、検討したことになるおそれがあるから、私は逃げておるわけであります。
○岡田(春)委員 あなた見たんですもの。検討しなくたって見たんですよ。見たのなら記憶があるかないかと聞いているのですよ。記憶あるのですか、ないのですか。
○園田国務大臣 記憶はきわめて薄い方でございます。
○岡田(春)委員 それじゃ申し上げます。 私の言っている断定の方が正しくて、あなたの記憶は間違っている。そうでないとおっしゃるのなら、そのもので明らかにしてください。違うとおっしゃるなら全部発表なさいよ。発表もできないのなら泣き寝入りですか。
○園田国務大臣 私と岡田委員のおっしゃることが違っておるということは一言も言ったことはありません。ただ、私がここで答弁いたさないのは、向こうから持ってきたものは、私は受け付けない、検討しない、問題にしないと相手にはっきり言っておるわけでございます。その点を御了解願います。
○岡田(春)委員 検討しないのは結構ですよ、あなたは大いにがんばったのですから。私、モスクワでのあなたの交渉は、ある意味で敬意を表していますよ。検討しないとよく言ったと思う。しかし、検討するということと読んだということは、あなた、別事ですからね。読んだとあなたはおっしゃったのですからね。読んだ、記憶にあるのかないのかと言ったら、それはちょっと記憶がないのだというのがいまの答弁でしょう。ところが、記憶がないのならあなたの方が間違っていると私は言っている。これが入っている。そうでないとあなたがおっしゃるのなら、文章を明らかにしなさいと言っている。
○園田国務大臣 私は、文書を持ってきたときに、その場でかあるいは会談が終わってから突っ返すのが当然であると思いますけれども、こちらから出した試案を向こうは突っ返さなかったから、私も突っ返さなかっただけであります。
○岡田(春)委員 それじゃもう一点伺っておきますが、あなた密封したとおっしゃいましたね。密封なんかしない方がいいですよ。どうせ向こうも日ソ平和条約案は外交文書と見ていないのですから、あなたはこの善隣協力条約を、どうですか、あしたソ連の大使館に返したらどうですか。お約束できますか。密封するより返した方がいいですよ。それの方が外交儀礼上重要ですよ。密封したら、これは外交儀礼を失することになりますよ。われわれは検討できませんからお返ししますと言って、お返しなさいよ。いかがです。
○園田国務大臣 向こうの方が平和条約試案を返さない以上、私も返しません。また、こういうものは二国間の問題でありますから、今後どのような変転をやるかわかりませんから、何かの役に立つかとも思っております。
○岡田(春)委員 この問題については私はここまで具体的な提案をしている。それに対して記憶がないとおっしゃる。それでは審議はできない。
○中野委員長 記憶が薄いと言っておるので、ないとは言ってない。
○岡田(春)委員 記憶が薄いなら薄いでもいいです。記憶が薄いと言うし……。だから言えないとこうおっしゃるのでしょう。
○中野委員長 薄いだけで、ないとは言ってないのだから、それでどうぞお進めください。
○岡田(春)委員 これは国会に出さしてくださいよ。
○中野委員長 それは無理でしょう。
○岡田(春)委員 委員長、これは理事会でぜひ御相談ください。
○中野委員長 それはちょっと筋が違うのです。知らぬと言うておるのじゃない、記憶が薄いと……。もう筋は立っておるのですから、ひとつ。――それでは、またその点について理事会でいろいろ協議してみますから、どうぞ先へ進めてください。
○岡田(春)委員 この点一点だけそれじゃ伺っておきましょう。 外務大臣、あなたは記憶がないと称してあえて答えられない。それはいろいろな政治的な立場等もあるのかもしれない。私はそれを理解するというわけにいかないが、かもしれない。 しかし、そこで、平和の脅威という部分で、緊急協議をするという条項があった場合、いいですか、この部分ですよ、この平和に対する脅威、これに対する緊急協議というものについては、われわれとしては賛成できないでしょう。賛成できますか。
○園田国務大臣 そういうことでありますから、私は受け取っていないわけであります。 なお、私は岡田委員の質問に対して、あなたの御推察はりっぱでございますと、ここまで言っているのですから、ここらあたりでひとつ御勘弁を願いたいと思います。
○岡田(春)委員 あなた、そういう言葉でごまかしちゃいけませんよ。りっぱであるということは何を意味するかなんということをいろいろに解釈されるようなことを言っちゃいけませんよ。やはり平和の脅威に対する緊急条項、この問題について、これがもしあったら賛成するわけにいかぬでしょう。わかり切っているじゃないですか。
○園田国務大臣 わかり切ったことを御質問願わぬようにお願いしておるわけであります。 私は、この問題を、そのようなもろもろのことがあるものをこちらが受け取ったというだけでもこれは問題だと思いますので、これは受け取ってない、こう言っているわけでありますから、あなたの御質問の趣旨は十分理解しているつもりでございます。
○岡田(春)委員 それではあなた、お返しになりますね。それほど重大な問題なら、あしたお返しになるでしょう。
○園田国務大臣 さっき申し上げたとおりであります。
○中野委員長 あと十二、三分ありますから、どうぞお進めください。
○岡田(春)委員 あなた、りっぱであって、推測をさせるかのごとき言い方でごまかしちゃいけませんよ。あるというように私は推定して間違いありませんね。私の言っていることはあなたはりっぱである、こういうようにお答えになったのは、あるんだなというように私は理解したいと思いますが、よろしいですか。
○園田国務大臣 そのような条項があるとすれば、そういう条項を持ってきただけでも侮辱だと私は考えておりますから、これに対して同意とかあるいは検討するようなことは断じてありません。
○岡田(春)委員 その意味はよくわかりました。そういう条項の入ったものまで――そういうものがもし入っているとすれば、もちろんそんな侮辱すべきようなことが入っているものは受け取るだけでもけしからぬから、だからこれは受け取らなかった、もちろん入っているのは問題にならぬ、こういう意味ですね。
○園田国務大臣 そういう趣旨でございます。
○岡田(春)委員 わかりました。入っているというのは大体の推定ができるわけであります。これはいずれあなたは――皆さん、自民党の諸君も笑っているけれども、いずれ出るときにわかることですよ。あなたは笑い事では済まない問題ですよ。いずれ出るのですよ。永久に葬られる問題ではありませんよ。その証拠に、宮澤さんが外務大臣のときにもう受け取っているじゃないか、一回。そうでしょう。前に受け取っているんだ。善隣協力条約、そうではありませんか。宮澤さん、あなた外務大臣のときだ。
○宮澤国務大臣 所管外のことでございますので、お答え申し上げません。
○岡田(春)委員 こういうことだ。所管外だって外務大臣の時代の問題を聞いているんですよ。受け取っているんじゃないの。園田さんのときは受け取らないんじゃないの。はっきりしているじゃないか。いずれ発表されますよ。私は忘れないうちにはっきりいまこれを言っておきますから。出ますよ、いま、間もなく。永久に出ないなんということはあり得ませんよ。 私はこれで終わりますが、最後に、――答弁は後でしてもらいますから、ちょっと待ってください。 この記録は、先例もあります。速記録に添付するように理事会で御相談ください。これは先例がございます。私自身の三矢作戦計画の資料は全部載っています。ですから、これは理事会で御相談ください。
○中野委員長 これも後ほど理事会で相談することにいたしますから、どうぞ次の質疑をお進めください。
○園田国務大臣 一言お答えをいたします。 私がこの条約を受け取ってちょっと考えたとか、あるいはこれに耳を傾けたということであれば別でございますが、私はこれを受け付けてない、これを拒否した、こういうわけでありますから、向こうが発表するなら発表した段階で私はこれに論駁をいたします。
○岡田(春)委員 これで私は終わります。 先ほどの件につきましては私は留保をいたします。 それから、この点は、外務大臣として先ほど答弁をされましたが、日ソ善隣協力条約は検討の対象でないから、外交交渉上の文書ではない、このようにはっきりされました。これは間違いないですね。
○園田国務大臣 間違いございません。
○岡田(春)委員 それでは、他の部分は留保をいたしまして、これで終わります。
○中野委員長 岡田君に重ねて申し上げますが、あなたは残余十分ばかりの時間は放棄なさるのですね。
○岡田(春)委員 いや、放棄じゃありませんよ。
○中野委員長 いや、それはそういうお約束ではありませんから、先ほどの問題は理事会まで返事が来ますので、それはそれでよろしいのであって、そしてあなたの時間は進めていただかなければなりません。留保する理由は何もないのですから、お進めをください。
○岡田(春)委員 いや、委員長、ちょっと待って。
○中野委員長 いや、了承いたしません。
○岡田(春)委員 それは委員長、話が違います。
○中野委員長 一遍理事の諸君、話をして……。 ちょっと速記をやめて。 〔速記中止〕
○中野委員長 速記を始めてください。 岡田君。
○岡田(春)委員 私の質問中、LNG価格のデノミによる変動、この問題について若干の質問をいたしました。これについては、政府側からどなたも御答弁がありません。これについては、政府の見解を伺った上で改めて質疑をすることをここで留保をいたしておきます。よろしいですね。
○中野委員長 了承しました。 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。 次回は、明十四日午前十時より開会し、午前中は総括質疑、午後は一般質疑を行います。 本日は、これにて散会いたします。 午後七時十七分散会 ――――◇―――――