予算委員会 第6号
- 発言数
- 238 件
- 登壇者
- 25 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1978/02/03
会議録
○中野委員長 これより会議を開きます。 昭和五十三年度一般会計予算、昭和五十三年度特別会計予算及び昭和五十三年度政府関係機関予算、以上三件を一括して議題といたします。 この際、昨日の矢野君の質疑に関し、福田内閣総理大臣及び村山大蔵大臣から発言を求められておりますので、これを許します。村山大蔵大臣。
○村山国務大臣 昨日、当委員会において公明党矢野委員から御指摘のございました、財政収支試算の各ケースと経済審議会企画委員会の暫定試算による将来のわが国経済の姿との間の整合性の問題につきましては、もっぱら財政の立場から各種の試算をお示ししたこともあり、整合性を欠いたケースが含まれていることは御指摘のとおりでございます。 御指摘を受けました財政収支試算に関する問題につきましては、御趣旨を踏まえまして、政府として早急に善処いたしたいと存じます。
○福田内閣総理大臣 昨日、矢野委員から、この試算は減税反対、増税プロパガンダのためにつくられたものではないかとの御発言がありましたが、この試算は、特にそのような目的のためにお出ししたものではございません。さよう御了承願います。
○中野委員長 総括質疑を行います。矢野絢也君。
○矢野委員 昨日来、委員長初め与野党の理事各位、さらに委員各位に御理解と御配慮をいただきましたことを、まず最初に御礼を申し上げたいと思います。 さてそこで、先ほど総理からも、この財政収支試算は増税のためのキャンペーン、あるいはまた、野党が要求しております減税要求、これをお断りする減税お断りのプロパガンダではない、こういう意味の御発言がございましたし、また大蔵大臣よりも、私が指摘いたしましたとおり、この試算が整合性を欠いたケースが含まれておる、したがって整合性のある方向で、私が指摘した趣旨を踏まえて善処したい、このような御答弁がございましたので、そのような資料が速やかに出されることを御要望申し上げるとともに、この件についての私の質問を留保させていただきたいと思います。 そこで、次に進みたいと思いますけれども、まず総理と法制局長官に伺いたいと思います。 わが党は、議会制民主主義の原則を堅持しながら、国政に主権者たる国民の意思を一層的確に反映させたい、これを目的として、特定の限られた事項について国民投票制度を検討してみたらどうか、こういう考え方を持っております。 その理由は、国会議員の選挙は、民意の国政への反映について重要な意義を持っておりますけれども、それはいわば包括的委任という意味合いが強い。個別的、具体的な問題について直接国民の意思を問うには必ずしも十分でない点がある。したがって、国民投票制度は、代議制や議会制民主主義のもとにおける国民意思の国政への反映についての補完的な機能を果たし得るのではないか。さらにまた、国民投票制の実施は、主権者たる国民に直接国政参加への道を一層開くことになって、民主政治に新たな活力を与えることになる。こういった点を私たちは評価しておるわけでありますけれども、ここで問題になりますのは、この憲法におきましては、間接民主主義というものを大前提にしておる。そして国民投票制度というものは、やはり国民に直接意思を聞くというわけでありますから、直接民主主義という原理に立っておると思うわけでありまして、憲法上、この相対立する両概念の調整がどこまで可能であるかということがまず大事な問題であろうと思うのです。私たちは、この国民投票の結果に法的拘束力を与えることは、間接民主主義の根幹に触れることで、憲法上それは容認の余地はないのではないか。つまり、具体的に特定事項について、国民投票でその過半数の同意を得なければ国会は法律の制定ができないとか、あるいはまた、法律の成立を国民投票による国民の承認にかかわらしめていくとか、あるいは国民投票の結果を国会が必ず立法化しなくちゃならないとか、そういう国会の立法権を法的に制約するものは、やはりまずいのじゃないかと考えているわけでありまして、しかし、特定な重要事項につきまして国民の助言を、アドバイスをぜひ聞きたい、こういう姿勢は、国民主権主義から見てむしろ正しい、好ましいことであると思います。 そういう意味で、法制局長官にお尋ねしたいわけでありますが、もう一つの前提は、この国民投票をすべき決定は、憲法の間接民主主義の基本構造からも、たとえば内閣がこの国民投票を発議するというのではなしに、国会の決定、発議によって国民投票を行う、このような二つの前提、簡単に言いますと、国民投票はあくまでも助言的、参考的な効果を持つものである、さらにまた、国民投票に付することを決定するのはあくまでも国会である、この二つの前提に立つとき、私はこれは憲法上容認される考え方である、こう思っておるわけでございますが、長官の御意見をまず伺いたいと思います。
○真田政府委員 お答え申し上げます。 現行の憲法がいわゆる間接民主制をとっておることは、これはもうおっしゃるとおりでございまして、憲法の前文なりあるいは四十一条ないし四十三条あたりの条文から見ましても、これは明らかに間接民主制を国の統治の機構の基本原理として採用しているわけでございます。憲法自身が、それに対する例外と申しますか、直接民主制を書いている事項もございます。たとえば憲法改正に対する国民投票とか、あるいは最高裁判所裁判官の国民審査の制度とか、あるいはいわゆる地方特別法の制定に関する住民投票、こういうように限定的に憲法は直接民主制を容認しておる、こういうふうに私たちも理解いたしております。 したがいまして、たとえ法律をもっていわゆる住民投票制を設けるといたしましても、いま申しましたような憲法の趣旨から見まして、その住民投票の結果が法的な効力を持って国政に参加するという形に仕組むことは、これは憲法上恐らく否定的な結論になるのだろうと思いますが、ただいまおっしゃいましたように、法的な効力は与えない、どこまでも国会が唯一の立法機関であるという憲法四十一条の原則に触れないという形に制度を仕組むということであれば、まずその点は憲法に違反しない。しかも、どういう事項についてこれを国民投票に付するかということについても、国会自身が決めるということであれば、それはやはり国会が国権の最高機関であるという原則にも触れないであろう。したがいまして、個別的な事案につきまして国民全体の意思を、総意を国会がいろいろな御審議の参考にされるために国民投票に付するという制度を立てることが、直ちに憲法違反だとは私も思っておりません。 ただ、そういう制度を立てるについては、たとえば国民投票制度の管理、執行をどこにさせるかとか、あるいは国民投票にかける議題、つまり国民に問いかけるその問いかけ方をどういうふうにして作成するかとか、あるいはまた、国民の総意を正確に投票の結果に反映させることを担保するためにはどういう制度が必要かとか、いろいろ技術的な問題はあろうかと思いますが、立法論はともかくとしまして、憲法論的に申せば、おっしゃいましたような歯止めがあれば、これは憲法違反になるとは考えておりません。
○矢野委員 憲法論としては違憲ではないという御答弁でございまして、これはこれで結構だと思います。 もちろん、国民投票制度は、国民から信託を得ている議会人がみずからの責任を放棄して、その選択を国民の反対とか賛成とかという単純な形にゆだねてしまう、責任放棄じゃないかという批判、あるいはまた、国民投票というのは国民主権主義の名におけるファッショにつながるのではないかという懸念、あるいはまた、その乱用は国論の分裂を促進するのではないかというような心配、あるいはいま長官がおっしゃったような技術上の問題等々、これからの制度のための立法化ということになりますと、やはりいろいろむずかしい問題があると思うのです。これはやはり時間をかけてゆっくり議論しなくちゃならぬ。ただ、憲法違反でないというお答えを承ったので、きょうはこの程度にしておきたいと思いますが、たとえ助言的、参考的な意味合いであっても、これの持つ政治的な意味というものは私は非常に大きいのではないかと思うわけでありますが、その点についての総理のお考えを簡単に伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 あなたの党から国民投票論、また先般、あなた御自身が高崎で記者会見をされましてそういう御所見を述べられて、これがまたマスコミに大きく取り上げられて、それをまたもとにいたしまして、かなりいろいろな角度からの議論がある。私も関心を持っておるわけでございますが、きょうのお話で非常に明快になった点は、公明党の皆さんがおっしゃっておる国民投票、これは憲法のもとにおける考え方、その枠内の問題だ、つまり間接民主政治、この原則のもとで考えておる問題なんだ、こういうことなので、ですからその点を非常に明快にしておく必要があると思うのです。何かそれが混同されて世間で議論をされておるという面がかなりある。 そこで、二つに問題を分けて、憲法の枠を外れることじゃない、こういうことになりますと、これは私どもはよく考えることがあるのです。いろいろ立法なんかを国会にお願いする、そういう際に、これは国民全体がどういうふうに考えておるかなというようなことをよく考えることがあります。ありますから、そうすると、そういう際に国民の意見を聞くということになると、国会が国会活動の使命を達する、その上の資料といたしまして、また別の角度から、国会とは別に、広く国民の意見を聞く、こういうことだろうと思う。いわば国会のイニシアによるところの世論調査だ、こういうことだろうと思いますが、私は、そういうドことが有益であるという場面もこれはあると思うのですよ。でありまするから、そういう際の、国会がそのイニシアにおいて国民の意見を聞くその仕組み、そういうことにつきまして各党間でお話をしてみるということは、これは大変有益じゃないか、そのように私は考えます。
○矢野委員 五十三年度予算の問題に質問を移したいと思います。 この予算は所得減税がないということが一つの特徴、あるいはまた、不公平税制の是正を見送っていらっしゃるということが特徴、さらにまた、一般会計予算の社会保障関係費六兆七千五百二十三億、これは対前年比、去年に比べまして伸び率は一八・六%ということになっておりますが、予算全体の伸び率が二〇・三%ということから見ますと、それよりも低いのです。さらにまた、公共事業が三四%も伸びておるということから見ると、この福祉というのは非常に少ない。このことしの福祉関係の予算の伸び率は、昭和四十六年度以降七年ぶりに低い伸び率だと思います。四十九年度の伸び率が三六・七%、五十年度の伸び率が三五・九%、こういったことから見ますと、この一八%という低い伸びはまことに福祉切り捨て、国民不在の予算である、こう言わざるを得ないと思いますし、しかも、ことしの福祉のプラス分については、四月から実施しないで、おおむね十月ごろから実施するなどという、いわば予算上半分しかかからぬようなけちくさいやり方をしていらっしゃる、これは非常に批判されるべき点であると思います。 そういう予算の性格についていろいろ御質問をしたいわけでありますが、まず宮澤経済企画庁長官に伺いたいのでございますが、最初六・七%の経済成長を予定しておられたが、達成できなかった。その原因は予想外の円高にある、その見通しが誤っておったことは認めると総理はおっしゃったわけでありますけれども、まるで円高が六・七%を達成させなかった原因であるかのごとくおっしゃる。もちろん、それが原因の一つであることは間違いありませんけれども、もっと大きな原因がほかにあると私は思うのです。これは原因と結果のすりかえじゃないかという気がするわけです。 と申しますのは、御承知のとおり経済というものはいろいろな波を描いておりますけれども、五十年の一月から三月ごろは経済はどん底にあった。しかし、五十年の四月から五十二年の三月までは少しずつ上昇してきておる、まあ不況ということに変わりありませんが。そして五十二年の四月は、私どもの判断では、景気循環のサイクルからいけば後退期にあるという判断を持つわけですね。それは、たとえば鉱工業出荷指数を見ますと、前期比、五十二年の四月から六月はマイナスになっておる、あるいは生産もやはりマイナスになっておる、さらにまた機械受注も去年の四月から六月はマイナスになっておる、あるいは住宅の新設着工戸数も四月から六月はマイナスになっておるというふうに、明らかに昨年の四月の時点では景気は後退期になっておると思うのです。したがいまして、この景気後退期にあるにもかかわらず、福田さんは、いまによくなる、いまによくなるというような、非常に調子のいい予言をしていらっしゃったわけでありますが、この景気後退期において当然内需の停滞があった。この内需の停滞というものが輸出ドライブ、輸出のプレッシャーになった。そしてこれが経常収支の黒字の拡大につながった。そしてそれが円高、そしてまた、その円高が再び景気後退の方に足を引っ張るということになる。あるいはまた、この内需後退というものが過剰在庫というものをもたらし、かつ、この過剰在庫が、せっかくにしきの御旗にしておられた公共投資の乗数効果、波及効果というものを、在庫が過剰であったがゆえに波及効果を弱くしたという点もあるわけですね。つまり、円高というものがこの六・七%を達成できなかった原因であるというよりも、昨年当初における景気判断の誤り、誤診、そしてまた、その誤診に基づく処方せんの書き違い、こういったことが円高を招いた。円高は天から降ってきたわけじゃない。昨年の内閣の経済政策の失敗がむしろそれを招いておる。もちろん、外的要因があることは無視しておりません。これはあることはわかっておるのです。それ以上に円高を加速させたのは内閣の失政のせいであると私は思うのですよ。この判断が誤りであるかどうか。 つまり私が申し上げたいことは、経企庁長官の後に伺いたいわけでありますが、円高という思わざる、いわば災難みたいなもので見通しが狂ったのだという、よそごとみたいな言い方をなさらないで、むしろ、円高を招くに至った内需停滞、輸出ドライブの拡大、黒字の拡大、あるいは公共投資の乗数効果の減退といったことについて、いわば経済運営の失敗についての反省を総理はお持ちなのかどうかということを、宮澤さんの後に総理に伺いたいと思います。
○宮澤国務大臣 六・七%の見通しから五・三%への見通しの下方修正は一・五ほどの修正でございますので、そのうちでいわゆる円高というものが五十二年度を通じましてどのぐらいになるであろうか、いろいろと試算がございますけれども、〇・五%ぐらいに当たるのではないかと見られますから、したがいまして、それですべてを説明するというわけにはまいりません。矢野委員の言われましたようなことが、ことに五十二年度の上半期において主な原因であったろうと思われます。 ただ、御承知のように、政府がその事態にかんがみまして、九月にあれだけの施策を財政を中心にいたしましたけれども、ちょうどその後に円高が参りましたので、したがって、立ち直ろう、立ち直らせようとしているときに円高が来た、こういうことはまた事実であったろうと存じます。
○福田内閣総理大臣 私は、昨年の国の経済を顧みてみまして、一つ、私どもとして大きな誤算があるのですよ。これは本会議でも申し上げておるわけでありますが、経常収支、これがよもや百億ドルを超える黒字、そういうようなことにはとてもなるまい、年度初頭においてはこれがマイナスの七億ドルだ、こういうところまで見ておったのです。また、そう見る背景というものがあったわけですね。これは業界でも大体そういう見通しを言う。また、企画庁を中心とするマクロ計算からもそういうことになってくる。まあその辺になるのだろうか。また、その根拠となるもので、これはいま御指摘もありましたが、在庫の趨勢の見方ですね、これがかなり在庫調整が年度の途中において進んでいくだろう、そして景気がよくなる、よくなれば在庫保持のために海外からの輸入がふえてくる、そういう過程を通じましてこの経常収支、これが黒字が縮小されていくであろう、こういう見方をしておったわけでありますが、なかなかその在庫調整がうまくいかぬ。これは見込み違いであります。 それから、それに大きな関連があるわけでありまするけれども、輸入が一向にふえてこない、また設備投資活動が国内では起こってこない、こういうようなことになり、そこでその傾向がわかってきた。それに対する対策としては、私はそう間違ってはおらなかったと思うのです。そういう傾向を是正する、そのためには、やはり政府が財政で需要を喚起するという方向をとらなければならぬというので、御承知のような施策が継続してとられた、こういうことでございます。
○矢野委員 この問題、次に行きたいと思います。 経常収支七億ドルの見通しが百億ドルを超える黒字になっちゃったということについて、見通しが誤ったということでしたけれども、そうなる背景というのは、先ほど申し上げた内需がいかに落ち込んでおるかという見通しの誤り。当然、内需がなければ、日本産業は輸出に向かわざるを得ないわけですよ。だから、その内需拡大のために大胆な福祉の拡大、減税をやりなさいということを昨年私たちは要求したわけです。この議論は昨年のことでありますから、これ以上言いませんが。 いま経済企画庁長官は、円高によって〇・五という数字をデフレ効果としてお出しになりましたけれども、ことし経常収支を六十億ドルにするという約束をしていらっしゃるわけで、これは容易ならざる目標だろうと思うんですよ。仮に五十二年度実績見込みを百二十億ドルと仮定いたしますと、つまり六十億ドル減らさなければならぬということになりますね。百億ドルと見れば四十億ドル減らさなければならぬということですね。いずれにしても六十億ドル経常収支を減らすということは、当然デフレ効果として働くわけでありますが、計数上六十億ドルの国際収支の黒字を減らすということは、どの程度のGNPに対するデフレ効果になると思われますか。
○宮澤国務大臣 その点は、円高のデフレ効果という計算でございますとできますけれども、今回の場合は、一つの計画があって、そこから突然経常収支を六十億ドル減らしていくというのではなくて、御承知のように内需を振興していって、その結果として経常収支が六十億ドル減る、こう考えておりますので、したがって、それにかわるものといいますか、その内需の振興という形の結果としてあらわれますから、そのこと自身のデフレ効果というのを計算するのはむずかしいのではないかと存じます。
○矢野委員 私どもの計算によりますと、二百四十円で計算しまして六十億ドル、これは一兆四千四百億円ですね。これに減少デフレーター、海外経常余剰デフレーター、これを一・八として計算いたしますと約八千億円ですね。さらに実質GNP乗数効果を一・五というふうに仮定して掛けますと、約一兆二千億円というような計算になると思うのです。これはたとえば一つの仮定の計算だろうと思いますけれども。これは実質GNPが百十一億というふうになっておりますから、約一%のデフレ効果ということになると思いますね。こういう想定も試算としては成り立つと思うのです。円高で〇・五ということ、あるいはまた経常収支を六十億ドル減らすためにもまた一%程度、こういう想定で次の議論をしていきたいと思うのです。 大蔵大臣に伺いたいのですが、五十三年度予算を策定されるに当たっていろいろ御苦労があったと思いますが、当然経済状況その他のいろいろな見通しがあったはずですね。この五十三年度予算を策定されるに当たって、五十三年度の円相場は幾らであるという仮定で計算をされましたか。
○村山国務大臣 これは特に財政支出を決めるときにはやっておりませんで、歳出に伴う基準外国為替相場、これにつきましては決めているところでございまして、端的にお答えすれば、財政支出全体との関連において特に円為替相場が幾らになるかということは使っておりません。 ただ……(矢野委員「二百六十二円ですね」と呼ぶ)ええ。基準為替相場は、過去の六月から十一月までの実績をとりまして二百六十二円にした。そして、今後はやはり同じフォローアップ方式で、過去六カ月のものをその月に適用する、こういうことだけ決めたわけでございます。
○矢野委員 まず、五十三年度予算の策定に当たって、余りそういう計算はしていないというお答えがあって、私が重ねて二百六十二円ですねとお尋ねすれば、そうだとおっしゃっておる。 総理、あなたは本会議や予算委員会で、予想外の円高によって見通しが狂ったんだということを再三おっしゃっているのですよ。ところが、景気を回復するため、七%にするための予算、その策定の基盤として二百六十二円の計算でなさっておる。あるいはまた、それはあくまでも外貨との関係での数字だとおっしゃるのなら、その算定の基盤としての円相場についての基本的な考え方がない。こんなことでいいのでしょうか、総理。またことしの暮れになったら、予想外の円高のためにというようなことになるのじゃないでしょうか。
○村山国務大臣 総理大臣がお答えする前に私からお答えいたしますが、いま二百六十二円という基準為替相場は、別に歳出の基礎でも何でもございませんで、支出官レートでございますから、外国に出張するときに仮置きの計算でございます。そして、一ドル二百六十二円ということで計算いたしまして、実際にはその出張するときの相場に置きかえるわけでございます。日銀からそれを出しますときには、そのときの相場で出しまして、その差額が一般会計の差増ないし差益に上がってくる、計算の根拠だけでございます。
○矢野委員 いま私が宮澤さんにお尋ねしておるように、円高によって〇・五のデフレ効果がある、あるいはまた、六十億ドルの経常収支を減らすためにも、私の試算によれば約一%のデフレ効果があるというふうに、この七%を達成するためにはどれだけの円相場で予算を組んでおるのだという点がきわめて重要な要素になってくるのです。その基準の数字をお持ちでないということになれば、これは予算審議の前提がなくなってしまうじゃありませんか。 大蔵大臣、それでは、ことしは何ぼで円相場が推移するという前提でことしの経済の七%をお考えになっているのですか、また、その予算編成の基準にしておられるのですか。これは経企庁長官にも伺っておきたいと思います。
○宮澤国務大臣 昭和五十三年度の経済見通しを立てるに当たりまして、政府は、御承知のようにクリーンフロートの立場をとっておりますから、為替相場を予断するということは適当でないと考えました。したがいまして、見通しの作業を始めました一番最近の月、昨年の十一月でございますが、十一月の平均相場が二百四十五円でございましたので、輸出入等の計算には、二百四十五円ということを計算の基礎といたしております。
○矢野委員 この問題は非常に重要な、つまり、また年末に間違いましたというようなことにならないために、あえて私は御質問しておるわけでありますけれども、さらに議論を深めていきたいと思うわけであります。 五十三年度の経済運営を考えましたときに、五十一年に比べまして五十二年がどういう点について問題点を克服し得たか、そしてまた、五十二年が五十三年に持ち越した重要な、経済に襲いかかってくる要素というものはどういうものがあるかということを考えてみなくてはならぬと思うのです。 五十二年度の五十一年に比べての克服点というのは、一つは物価の安定ということがあると思うのです。これは、申し上げておきますけれども、福田さんがなさったというよりも、不況だから物価が下がったと言った方がより正確でございまして、不満そうな顔をしていらっしゃいますけれども、事実、そうなんです。もう一つは、資源価格は比較的安定しておったという点もございました。 さらにまた、それ以外の要素もあろうかと思いますけれども、特に問題にしなくてはいかぬのは、五十三年度の経済に重苦しくのしかかってくるであろうと想定されるいろいろな要因、これはやはり計算しておかなくてはいかぬと思うのです。 一つは、昨年は二百九十円台から二百四十円前後というふうに円が約五十円動きましたね。昨年の、五十二年度の円相場平均を考えますと、大体二百六十円というところであろうと思うのです。初めが安くて後半が高くなっておりますから。二百六十円というふうに昨年の平均を想定しますと、五十三年度は二百四十円ということでスタートしておるわけでありますから、五十三年度経済は去年に比べて約二十円高というハンディを持って経済のスタートをしなくてはならぬ、そういうことになろうと思うのですよ。これは去年よりももっと深刻に考えなくてはならぬ要因だろうと思うのです。ことし、五十三年度は、通期で二十円高というハンディを去年に比べまして負ってスタートしておるわけです。しかも、これは当然、先ほども御答弁がありましたとおり、デフレ効果というものが伴っておるわけです。 しかも、ことし、いろいろな国際的な経済会議が予定されておるわけでありますが、去年はまあ円高、アメリカからの強烈な圧力ということで大分おたおたされたわけですけれども、ことしはそれ以上のいろいろな外圧というものがあるのではないか。私は、総理が七%という旗を高く掲げられることは結構でありますけれども、むしろ、ことし予想される国際的ないろいろな摩擦、これを国民の前に率直にやはり説明しておかれた方がいいんじゃないかという気がするのですよ。 一つは、この二月に日本とECとの通商交渉がございますね。この通商交渉、二月七日にEC外相理事会、対日要求がまとまって出てくると想定されます。 あるいは四月の六日にEC閣僚会議。あなた方、たかをくくっておられるかもわかりませんけれども、並み大抵のことじゃないと私は思っておるのです。まず、ドイツの立場から言いましても、これは主として通貨問題になろうと思いますけれども、戦後を考えましたら、ドイツマルクは二倍に高くなっているけれども、日本の円は約五割しか高くなっていないという批判があるのですよ。マルクはもう二倍にも高くなっておるけれども、円は五割しか上がっていない。あるいはまた、スミソニアン以降では、マルクが一上がったとすれば、円は〇・五しか上がっていない、マルクは倍も上がっているんだというドイツの不満があるわけです。こういったEC諸国の日本に対する不満、特に通貨面において、さらにまた通商規制という面において、かなり強烈なものがあるんじゃないか。いや、これはアメリカと違って遠い国のことだとおっしゃるかもわかりませんけれども、事通貨に関してはヨーロッパの方が影響力が大きいことは、もう皆さんよく御存じのとおりです。 さらにまた、第三幕として、ガットの東京ラウンドの問題がある。ここで輸入規制、いわゆるセーフガードというものをどう決めるかという問題もありますね。 あるいはまた、UNCTAD、豪州、ニュージーランド、ASEAN、こういった国との交渉もある。特に問題は、ボン会議、首脳会談、さらにまた、十月に予定される日米通商の再会談、こういった問題を考えますと、ことしは、福田内閣が年末まであるのかないのか私は知りませんけれども、また年末になると、予想外の外圧によって七%が狂ってしまいました、なんという気楽な話になってしまうのじゃないか。それでは国民はたまったものではない。 そこで、私は具体的に一つだけ伺っておきたいのでありますが、IMFの第二次協定の問題、これがわが国も批准をしておるということでありますが、将来の国際収支の均衡、日米共同声明で、ことしは六十億ドルです。来年五十四年は均衡です。五十五年以降は赤字ですという約束をしていらっしゃるわけでありますけれども、このIMFの暫定委員会の動向、特に各国の通貨につきましてガイドラインを決めて、その一定の帯の中で変動させる、このガイドラインを超えるものについては監視をしていく、つまりオールフロート制の中の一定の固定相場制みたいな感じ、ガイドライン、こういうものにことしじゅうになるのでしょうか、どうなんでしょうか。この辺の御見解を承りたいと思います。
○村山国務大臣 いま矢野先生のおっしゃったのはローザ構想の話ではないかと思うわけでございます。一定の幅を置いて、ドル、マルク、それから円、これは前の財務次官でありましたローザがそうやったらどうかと。私は一つの考え方だと思うのでございますが、ただ、それまでの過程には幾多の困難な問題がございまして、日本、アメリカ、西独を見ておりますと、現在のインフレ率が第一違います。それから、国際収支の状況が全く違うわけでございます。ですから、それらの問題が今後各国の協力によりましてバランスがとれた後でなければ、この構想はなかなか実現不可能だと思っておるのでございまして、確かに今日の各国の通貨が非常に変動しておりますから、できることならそういうようなことが望ましいと私は思うのですが、その条件達成までにはまだ相当の幾多の試練を経なければならぬのではないか、そのように考えておるところでございます。
○矢野委員 私がいま、ことし予想されるいろいろな海外との会議をるる具体的に申し上げたのは、いずれにしても、ことしのわが国経済は内外ともに相当強烈なあおりを食らうおそれがある、そういった点を想定して経済政策なり財政運営をしていかなくてはいけませんよということを申し上げておるわけでありまして、特に、そういったためにも輸出ドライブというものを低める努力、そのためには内需をもっと積極的に拡大する努力というものが必要だろうと思うのです。 ところが、そういう立場から見まして、この五十三年度予算案は非常に心配な点がたくさんあるわけです。いろいろな要因がございますけれども、順番に伺います。 まず、在庫の調整の問題です。総理は、五十二年度経済の見通しの中でも、在庫調整はちょっと見通しを誤ったということをいま述べられたわけでありますけれども、これは宮澤さんに伺いたいのでありますけれども、新聞報道で見る限りは、どうも在庫調整についてはわりかた楽観していらっしゃるような報道がなされております。何か三月ごろまでに大体めどがつくのではないかというような言い方をなさっているようでありますけれども、五十三年度の在庫調整についての見通しを聞かせてください。
○宮澤国務大臣 せんだってから、この問題についてお尋ねがございまして申し上げておりますことは、ただいま在庫関係の指標について少しずつ動意が見える、底入れという感じではなかろうかと存じますけれども、しかしなおジグザグの感じもございますので、もう少しいたしませんと、はっきりした方向だということまで確とは申し上げられない、こんなような御答弁を申し上げております。 私としましては、たとえば石油価格関係でありますとか、アルミでありますとか、特殊なものはございますけれども、大体今年度末、明年度の初めごろには在庫調整が、ほぼ大きな部分については済むのではないだろうかということを、ただいまの指標の中から感じておるわけでありますが、なお、これがはっきりしたそのような傾向をたどると申し上げるのには、もう一、二カ月の指標を見なければならない、こんなような感じで見ております。
○矢野委員 実際の企業活動に従事しておる経営者から見た場合、冗談じゃないわという感じでいまの答弁を聞いていらっしゃると思うのですよ。 たとえば流通在庫の面で申し上げますと、確かに改善されている要素はあると思うのです。これは本当は改善と言えないと思うのです。要するに、注文があったら注文しましょうというふうに変わってきただけのことであって、先行き見通しが厳しいから、流通段階において商品をストックしておくのはかえって危険だ、だから注文をもらってから注文しましょうというような傾向に変わってきているから、流通在庫が改善されているにすぎないのですよ。しかも、生産者製品在庫率指数は、昨年十一月の数字で一二四・九です。つまり、在庫指数と出荷指数の在庫率指数は一二四・九というふうに、非常に悪いですね。特に原材料在庫に至っては一四七というふうに、べらぼうに原材料の在庫はたまっておるわけです。特に国際収支を改善するという立場から見ますと、わが国は輸入をふやすためには主として資源の輸入という面が多いわけでしょうけれども、その資源の輸入という面の原材料在庫というのは圧倒的に滞積しておるということですよ。ですから、この傾向は輸入の拡大にもつながらない、むしろこれを抑制する効果がありますし、しかも、景気を回復するという意味でも非常に大きな圧迫材料になっておる、このことを指摘しておきたいと思うのです。 もう一つの要素は、企業収益の低下、ひいては賃上げ率低下というパターン。春闘ベースというものをどのくらいに想定していらっしゃるのか。これは政府の関与することじゃありませんとおっしゃるでしょうけれども、少なくとも消費の計算をなさっているわけでしょうから、かなり高い数字を見込んでいらっしゃるわけですね。ですから、春闘のベースアップの見通し、こんなものはしておりませんという返事は絶対にできない。そんなことをしたら、これは消費の見通し自体狂ってくるわけでありますけれども、どのくらいに見ていらっしゃるのですか。
○宮澤国務大臣 まず、在庫の問題でございますが、製品在庫のうち、先ほど矢野委員の言われました在庫率指数、十一月の指数を仰せられました。これはしかし、昨年の五、六、七、八月までは一三〇を上回っておりましたものですから、ここのところ、それが一二五というようなところへ来ておりますことは、かなりの改善があるのではないかと存じております。ただし、言われますように、原材料在庫につきましては、この動きは非常に鈍うございます。 それから、企業家の心理との関係でございますけれども、景気が先行きが非常に悪いということで、企業家の立場から言いますと、適正在庫と考えられておるものの物差しをどんどん下げてくるという気持ちがございます。荷もたれがいたします。それから、将来上がりそうだということになりますとよけいに持ちますけれども、物価が安定しておる、やや低落ぎみだというときにはなお評価減が出るということから、そういう心理も私はあったであろうと思いますので、これは経済全体の見方を企業家が多少変わったなと見ることによって、その辺の感じは変わってくるのではないかと思っております。 それから、次に消費の問題でございますけれども、御承知のように消費の主体になりますのは雇用者所得、これがただいま言われました春闘に関係いたします。そのほかに個人業主所得、個人の財産所得、個人の移転所得等がございます。雇用者所得は、全体のうちでほぼ六割を占めておりますが、春闘の対象になります所定内賃金の部分は、その六割のうちの五割四分ぐらいでございますから、全体のほぼ三割というふうに御承知を願いたいと存じます。 それで、春闘を云々いたしますことは政府としていたすべきことでございませんが、一人当たりの雇用者所得は、昨年も決して高くはございませんでしたけれども、今年そこまで行くことになかなか困難があるのではないかという感じは持っておりますけれども、しかし、春闘そのものについてあれこれ申し上げることは適当でないというふうに存じます。
○矢野委員 パーセンテージは何ぼぐらいに計算しておりますか。
○宮澤国務大臣 ちょっとそれでは、その前に御説明をさせていただきます。 いわゆる私どもが雇用者所得と申しますものは、まず所定内賃金……(矢野委員「その辺はようわかっております」と呼ぶ)これはしかし、恐縮でございますが申し上げさせていただきます。よく御存じでございますけれども。所定内賃金、所定外賃金。所定内賃金が一応春闘の対象になります。それから特別給与、これはボーナス等でございます。それからさらに役員の給与でございますとか、退職金等々がございまして、雇用者所得を一〇〇といたしますと、直接春闘の対象になります部分は五〇ちょっとぐらい。御存じでございますが、これだけ申し上げさせていただきまして、さて、一人当たりの所得でございますが、私ども一応九・四ぐらいではないかというふうに置いております。
○矢野委員 くどいようですけれども、その見通しは、昨年のベースアップの実績に比べて高い基準で想定されたのか、あるいは低い基準で想定されたのか。上なのか下なのかということです。その辺もう一遍ちょっと言ってみてください。
○宮澤国務大臣 少し下回っております。
○矢野委員 五十一年度の消費の実績は三・九%だったのですね。そして五十二年度の当初の見通しは五・四%というふうに見られたわけです。しかし、結果は五十一年度と同じ三・九というところに落ちつきそうなんですね、五十二年度の実績見込みは。五十一年も一三・九、五十二年度の実績見込みも三・九。最初の五・四という見通しはみごとに外れました。しかも、この五十二年度の実績見込み、外れて三・九でありますけれども、なおかつ昨年は物価調整減税、さらにまた予算修正という形における減税というのがあったわけです。あってなおかつ五・四の見通しが三・九に下がっちゃったのですよ。しかも、いまお聞きすると、ことしは春闘相場というのは去年よりももっと悪くなるだろうという想定で計算していらっしゃるわけです。この春闘相場が高くなっているということは消費拡大の要素として見られますけれども、むしろ低く見ていらっしゃるというのは、消費を、去年は五・四の見通しが三・九になりました、一方では減税がありました、ことしはない、しかも一方では、ベースアップは去年よりも悪く見ておりますという前提になるわけですね、宮澤さん。ことしの春闘の、つまり消費拡大要因としては去年よりも弱いという前提に立っていらっしゃる。ところが一方では、去年はまだ減税があったのです。ことしは減税という前提が全然ない。それでことしの五・三%消費がいくのだという見通しは一体、私、経済学で素人ということでわからないのかもわかりませんけれども、これは常識としてわからないんじゃないでしょうか、この五・三%ということしの五十三年度見通し。去年は五・四の見通しだったけれども、三・九に下がりました。ことしは、客観条件はいま申し上げたようないろいろな条件がありますね。なぜこれは五・三になるのでしょうか。簡単に、ひとつ明快に論理的にやってくださいよ。
○宮澤国務大臣 先ほど申し上げましたことの続きになりますが、雇用者所得につきましては、名目で一一%見ておりますわけで、昨年が一二・一、五十二年度が一二・一でございますから、おっしゃいますように名目で少し低くなります。しかし、個人業主所得については五十三年度は高いと見ております。個人の財産所得につきましてもそのように考えております。しかしながら、全体の可処分所得といたしますと、やはり雇用者所得のウエートが大きゅうございますから、五十二年度の方が少し高い。その点まで、大体御指摘のとおりであります。 その次に、いわゆる消費性向をどう見るかということにつきまして、五十三年度は、政府は、申し上げましたような経済運営を考えておりますし、さらに、物価の安定ということはまず安定基調にあると考えましたので、多少消費性向を、ほんのわずかですが、少し見てもいいのではないか、こう思っております。 それから、三・九と五・三と言われますのは、そのとおりであります。名目で申しますと、これは実は一一・四と一一・九でございまして、少し高うございますが、それほど大きな違いはない。そこヘデフレーターがかかってまいりまして、これは主として、御承知のように消費者物価が主な要因でございますが、デフレーター、五十二年度の場合七・二でございますが、五十三年度の場合は六・二と見ておりますので、これを実質に引き直しますと名目よりは大きな違いになっておる、かようなことでございます。
○矢野委員 消費性向が少しばかり上がるだろうという逃げ道を用意されておるようでありますけれども、百貨店とかチェーンストアの売り上げが五十二年の十月から十二月は落ちておるということぐらいは御承知だろうと思いますがね。売り上げは落ちているんですよ。昨年減税を行いましたときには、たしかあれは、私の方の調査によりますと、五十二年の七月から九月ごろには、所得減税の影響で消費は多少回復しておる。そこまでこうなっておりましたけれども、少しばかりこうなりましたね。そして円高によってこうなっておるわけですね。先ほども私、円高のデフレ効果ということを具体的に伺っておるわけでありますけれども、この円高というものは確かにデフレ効果があることをお認めになっておるわけです。しかも百貨店、チェーンストアの売り上げは、十月から十二月は確かに落ちておるのですよ。それがことしになってよくなったという傾向は一向にないわけです。それなのに、ことしは去年よりは消費性向がよくなるでしょうという前提を置かれるのは、余りにも空想的に過ぎるのじゃないでしょうか。
○宮澤国務大臣 確かに、ただいままでのところ消費につきましては、生産と違いまして、余りいい指標があらわれておりませんが、私ども考えますことは、来年度の政府の経済見通し、経済運営がそのとおり推し進めていかれますならば、操業率も稼働率も上がってまいるわけでございますし、物価の安定はまず間違いない、こう考えております等々のことから、何がしか消費者の信頼感というものは回復するであろう。しかし、非常に大きなものは見込むわけにまいりません。御承知のようにわが国の消費性向は、大体昭和四十年ごろから石油危機の直前までは八〇ぐらい、それを超えておったわけでございますが、石油危機を契機にずっと一遍落ちまして、それから多少ずつ回復の傾向にあるというふうに見ておりますので、一ポイントも実は見れば大き過ぎるか、それ以下のもの程度のことの消費性向の回復を見ておるということでございます。
○矢野委員 総理、この論理はまた別の矛盾が出てくるのです。私は、消費性向はそう上がらないだろう、ということを先ほどから申し上げておりますけれども、昨年私たちが所得減税を要求いたしましたときに、消費性向が低まる方向にあるので、減税したとしても貯蓄に回るばかりだ、減税なんか必要ないのだということを盛んにおっしゃっておったわけでありますけれども、いまの企画庁長官の御答弁では、どうやらことしは、減税をしても貯蓄に回るなどという論理は、総理、余り使えなくなりましたね。どうでしょうか。
○宮澤国務大臣 それにいたしましても貯蓄性向はやはり二三ぐらいはあるということは、私ども依然として考えております。つまり、私が消費性向を高く見て貯蓄性向を低く見たかと申しますと、実はそういうことは現実的でないと思っておりまして、やはり貯蓄性向が二三ぐらいはあるであろう。これは昨年と多少、ですから一ポイント以下の違い程度しか見られない。
○矢野委員 ですから、この議論を詰めていきますと、五十一年も一子九、五十二年実績見込みも三・九、ことしは五・三の見通しだけれども恐らく三・九、四ぐらいのところになってしまうのではないかという私どもの分析、これは多くの民間経済研究所もそういう分析をしておるわけです。政府の消費の見込みは大き過ぎるという。いや、そうじゃないんだと言うためには、消費性向が上がるという議論を、そういう仮説をお出しなさる。その仮説にあくまでも固執なさるならば、所得減税というのは非常に消費を喚起する効果が大きいですよという私どもの主張をまた認めることになる、こういう矛盾があるのですよ。これは後ほどまた具体的にしていきたいと思います。 そこで、大蔵大臣に伺いたいのでありますけれども、政府固定資本形成の下方修正というのが最近目立ち過ぎるのですよね。五十一年度は一兆三千億円下方修正をされました。五十二年度は八千億円下方修正しておられる。いずれにしても、鳴り物入りで公共投資あるいは政府支出というものが景気を引っ張るんだとおっしゃっているわけでありますけれども、その鳴り物入りの政府支出、特に固定資本形成については、五十一年度も五十二年度も下方修正になっておる。この事実をお認めになりますか。
○村山国務大臣 いまのお話、恐らく国民経済計算ベースのお話だと思います。 おっしゃるように五十二年度におきましては、当初資本支出が十八兆二千五百億、それが名目で十八兆になっているわけでございます。恐らく最大の原因は、やはりデフレーターの関係が最大に響いているのじゃないかなと見ているわけでございます。卸売物価が当初五・四%、これに対しまして経済見通しのあれによりましては〇・六というところでございますから、この辺が決定的じゃなかろうかと思っているわけでございます。
○矢野委員 この要因は、公共投資が非常にいろんな隘路があって予定どおり進まなかったとか、地方財政の関係とか、いろんな問題があるわけですけれども、五十二年度のこの政府固定資本形成、まさかまた下方修正ということにならぬでしょうな。この辺の確信をひとつ聞かしてください。
○村山国務大臣 消化につきましては、かねがね申し上げておりますように、全力を挙げまして私は、編成以上に大事な問題だと思って努力してまいるつもりでございます。したがって、ことし見通されました物価、特に卸売物価でございますが、二・七ということを五十三年度は見ているわけでございます。これの動きがどうなるか、消化が完全にいくかどうか、この二点にかかっておると思っております。
○矢野委員 民間需要を喚起するという立場から見ましたときに、五十三年度予算案の持つ問題点は非常に多いわけです。実質七%、名目一二%成長、これを目標にしていろいろやっていらっしゃるわけでありますけれども、この五十二年度の名目GNPは、宮澤さん、百八十八兆でしたね。これを一二%成長させるんだというわけですから、プラス一二%、つまり名目GNPで二十二・六兆引っ張り上げなくちゃいかぬということになりますね。しかし、この五十三年度予算のあれでいきますと、昨年度予算に比べましての五十三年度予算の政府の支出増は約六・一兆、中身は一々申し上げません。政府経常支出と政府資本支出、その合計、五十二年度が三十八・五五兆円ですね。それから五十三年度が四十四・六五兆、四十四兆六千五百億、その差が六・一兆ということになるわけですね。つまり、五十二年度に比べて政府支出が六・一兆ふえておる。しかし、名目GNPを一二%上げるためには二十二・六兆引き上げなくちゃならぬ。この差というものはつまり十六・五兆ですね。去年に比べてプラス二十二・六兆、政府の方は六・一兆プラスですね。だから、その差十六・五兆を引き上げなくちゃならぬ、こういうことになりますね。ところが一方、いままでの実績を見ますと、その差の十六・五兆にならねばならない内訳ですね、個人消費支出、民間住宅投資、民間設備投資、民間在庫投資、これらを合計した内需は、政府当初見通し百五十四兆に比べまして実績見込みは百四十六・七五兆円ということになっておるわけで、つまり去年の場合は七兆二千五百億円足りなかったわけですよ。つまり四・七%誤差があるということになるのです。 そこで伺いたいことは、この六・一兆の政府関係のプラスというものがGNPを二十二・六兆円引き上げる力があるのかどうかです。引き上げる力がなければ、幾ら七%だ、名目一二%だとおっしゃっても、私は初めから絵にかいたもちに終わってしまうと思うのですよ。しかも去年の実績見込みからいきましたら、すでに七・二五兆円マイナスということが出ておるのです。去年の場合四・七%誤差が出ておるのです。にもかかわらず、ことしこれができるという保証はどこにあるのでしょうか、経企庁長官。
○宮澤国務大臣 これも矢野委員には申し上げるまでもないことでございますけれども、政府の固定資本形成の差そのものがすぐにGNPの差にあらわれるというわけではもちろんございません、その問相関関係がございますことは申すまでもございませんけれども。 それで、ただいまのことを成長の寄与度から申し上げればお答えになろうかと思いますが、ちょっと恐縮ですが、個人消費支出で申しますと、これは名目で申し上げますが、いわゆる一一・一%のうちで五十二年度は六・五ほどでございます。それから政府支出は三・一ほどでございます。それから五十三年度の一二%のうちでは、個人消費支出が六・八、政府支出が三・二、こんなような形になっております。
○矢野委員 細かい数字の話は余り適当でありませんから省略いたしますけれども、とにかく個人消費の面でも住宅でも、設備投資も在庫投資も、実績見込みと当初見通しを比べますと、昨年は全部見込みが外れているのですよね。これは間違いのない事実です。そして昨年よりも大きい成長率七%を掲げていらっしゃって、その乖離が当然非常に大きくなってくるはずだという私たちの議論、これに対する反論としては、いまのお答えは全然答えになっていなかったわけです。恐らくそのギャップというものは主として設備投資で賄わなくちゃいかぬというようなことで、せんだっても多賀谷書記長の御質問にいろいろお答えなさっておりましたけれども、非常に矛盾がありましたね。 それはさておきまして、電力部門で約三兆円、通産省ベースで将来の電力の需給関係を見れば発注ベースで五兆円、こういうことであったわけでありますが、この電力以外の設備投資ではどういったことを想定していらっしゃるか、通産大臣に伺いたいわけです。特に、一般の民間設備投資につきましては、企業の利潤率と金利水準というものが乖離しておる。設備投資は明らかに減少の傾向にあるわけです。これはやれやれと言ったって、企業家はもうこりごりしているわけですよね。四十七年、四十八年、何だかこれからも成長が続くかなと思って設備投資したら、がくんと悪くなってしまって、そのためにずいぶん過剰設備、過剰人員で苦しんできておる。だから、設備投資をふやすことに期待すると政府は気楽におっしゃいますけれども、企業家の立場からいけば、そんなおだてに乗ってやったらまたえらい目に遭ってしまうということになるわけでありまして、設備投資部門についての伸びをどのように、電力はもう議論が済んでおりますから触れませんが、それ以外の部門でどういうことを想定していらっしゃいますか。
○宮澤国務大臣 最初のお尋ねに対しましては、すでに矢野委員が御質問の冒頭に、五十二年度の政府の経済見通しが思うようにいかなかったのは在庫の問題であろうと仰せられまして、私もそれが大きな原因であったと考えておるものでございますから、したがって、五十三年度でどうして好転を見込めるかとおっしゃいましたことは、やはり同じところの問題だと御承知でいらっしゃいますので申し上げなかったわけでございます。 それから、設備投資でございますが、せんだっても申し上げましたけれども、五十三年度中に稼働率指数が九二ぐらいにはなる。しかし、稼働率にいたしますと八〇ちょっとでございますから、大きな設備投資が製造業に起こると期待することは現実的でない。したがいまして、名目で三%ぐらいしか製造業は見ておりませんで、非製造の方に一四、個人、金融に一一ぐらいを見ております。ウエートはこの節は製造業は非常に小さくなっておりますから、それで九・九%という数字が積み上がるわけでありますが、製造業の中で主なものはどんなものかと仰せられまして、ウエートの大きいのから申しますと、鉄鋼が大きゅうございますが、これは伸び率はマイナスと見ております。輸送機械も鉄鋼ほど大きゅうございますが、これもマイナスと見ております。電機機械がややプラス、それから石油はかなりのプラスと考えております。それから電力はウェートが大きゅうございます。これは先刻御承知のとおりであります。以上、通計で、製造業で申し上げましたように名目三%。ただ、そのうちいわゆる大企業分については一・八ほどしか見ておりません。非製造全体で一三・八でございます。あと個人、金融おのおの一一・八、三・八程度。したがいまして、製造業については大きな期待ができない。これは稼働率から見ても明らかではないだろうか。非製造のうちで、電力には相当な期待をする。この節、非製造、個人、金融のウエートが高まっておりますので、全体としては九・九という数字はまずまず穏当なところではないかと考えております。
○矢野委員 設備投資の半分以上を占めておる非製造業あるいは農林水産業、農林水産業が一〇・三%ですね。それから、非製造業部門も非常に多い。こういったところに対する投資促進の具体的な施策というのは何もないんですよね。たとえば投資促進のために投資減税を考えているんだ、こう政府はおっしゃっておりますけれども、まずこれは対象になっていない。あるいはまた、スクラップ・アンド・ビルドが対象から外されておる。ですから、設備投資についてやはり政府の見通しが外れる一のではないか、恐らく外れる、こう思っておるわけでありますが、通産大臣に先ほどの御質問とあわせて伺いたいのであります。 公共投資ですね、この公共投資そのものが大幅な設備能力の増強に結びつかないのではないかという心配を私たちはしているわけです。一部道路舗装材とかセメント関係、こういうところで生産性向上のための投資が仮に行われるとしましても、それ以外に公共投資が誘発すると思われる設備投資の増大、どういう分野があるでしょうか、これが一点。 それからもう一つ大事なことは、何といっても外貨減らしがことしの重要な課題になっておりますけれども、こういう輸出依存型産業、鉄鋼とか自動車、家庭電器、こういう輸出依存型産業に対しての直接需要、代替効果というもの、つまり公共投資というものが輸出依存型産業に対してはどれだけの需要を代替してくれるか、提供してくれるかということについても非常に重大な疑問があると思うのです。こういった点について河本さんの御意見を聞きたいと思います。
○河本国務大臣 設備投資の内訳につきましては、先ほど宮澤長官がお述べになりましたとおりでございまして、金額で言いますと、全体として二十五兆六千五百億円と想定しておりまして、そのうち製造業は比較的そのシェアは少ないわけであります。先ほど鉄鋼の設備投資についてやや減少ぎみだというお話がございましたが、これなどは実際はほとんど生産設備の拡大につながるものではございませんで、昨年来からの継続事業、それから公害投資、省エネルギー投資、そういう内容のものばかりでございまして、生産設備の拡大のものはほとんど入っておりません。したがいまして、現在のような操業率のもとでは大きな期待はないわけであります。でありますから、先ほど企画庁長官がお述べになりましたような内容になっております。
○矢野委員 私は、在庫調整の問題、消費の問題、それから設備投資の問題等いろいろ伺っておるわけでありますけれども、どうもこの七%成長につながるような迫力のある盛り上がりがこの財政で期待できるのであろうかという私の心配、疑問点に対する納得のできる御回答がなかったように思います。いずれまたこの問題は引き続きお聞きするとして、次に雇用問題に話を移したいと思うのです。 これも重大な社会問題になっておるわけですね。それで、鉱工業生産の面から言いますと、四十八年、これはピークであると言われておりましたけれども、これらもやはり現在七%伸びてきているのですよ。よろしゅうございますか。それから、経済成長率も、不況だ不況だと言いながらも、GNPは四十九年よりも伸びてきているわけですね。労働生産性指数というものも伸びてきておる。私がこの数字をなぜ申し上げているかといいますと、確かに鉱工業生産もGNPもふえてきておるけれども、当時失業者が六十七万であったのが、現在は百二十七万というようなことになってきておる。つまり、GNPがふえておっても、鉱工業生産がふえておっても、失業者が六十万人もふえておるわけなんですよ。これがこの雇用問題について非常に考えねばならぬ大事な問題なんです。端的に申し上げれば、ただGNPを上げればいいのだ、財政を拡大して成長率を七%にすれば雇用がふえるのだという、そんな単純な問題ではないということをこの数字は示しているわけですよね。GNPもふえ、鉱工業生産も四十八年、四十九年当時よりもふえておる、にもかかわらず失業者が六十万人もふえておるというのは、要するに成長率を上げるという間接的な政策ではこの雇用問題は解決しないということを、いま申し上げた数字は物語っていると私は思うのです。やはりこういう構造的な不況が進んでいる場合には、むしろ逆に直接的な雇用政策というものを推進する必要があるのじゃないか、そういう立場で御質問をしたいわけであります。 まず、労働大臣にお伺いしたいのでありますが、雇用保険を受給なさっている方々、失業で大変苦しんでいらっしゃる方々が雇用保険を受給しておる、こういう方々が全体で約六十六万人いらっしゃる。そして、建設関係は約七万人、全体の一〇・五六%、製造業部門では二十六万三千人、全体の約四〇%ということになるわけでありますが、この数字が正しいかどうかということが一・点。この数字を私の方で申し上げたのは、また労働省でつかんでおりませんなんて言われると話がめんどうになりますので、非常に親切な聞き方をしておるわけであります。 さらに、この雇用保険を受けておる全体の一〇・五六%の建設関係の方々は、確かに公共事業によって雇用が吸収されていく、この効果はもちろんあると思うのですけれども、たとえば繊維関係の人はこの雇用保険は六・四%ですね、しかも製造業部門で四〇%も雇用保険を受けておる。こういう方々に公共事業でどれだけの雇用吸収効果があるのか、これをひとつ伺いたいと思うのです。
○藤井国務大臣 お答えいたします。 雇用保険の対象失業者の数字につきましていろいろお尋ねがございまして、おおむね具体的な数字は私が心得ているのと同じでございまして、詳細は政府委員をして答えさせます。
○矢野委員 公共投資の雇用効果です。
○藤井国務大臣 この問題、確かに効果はあると私は思いますが、ただ、数字的にどういう効果かという具体的な面については、まだこちらの方で詳細は承知いたしておりません。経済企画庁を中心にいま公共事業施行推進本部、本部長は大蔵大臣でありますけれども、関係者が数字を詰めておるというふうに聞いておりまして、労働省として、公共事業に対してどのような失業者がこれに配置されるか、動員されるか、こういったことに、制度上日本では仕組みができておらない、このように理解しておるわけでございまして、こういう問題を今後どうするかという問題は、大きな政策的な問題だというふうに承知いたしております。
○矢野委員 ここで一もめしたいような気がするわけでありますけれども、きのうのこともありますので、きょうは遠慮しておきますけれども、総理、私がここで指摘しておりますことは、四十八年のオイルショック以降のデータで見まして、経済成長率とか鉱工業生産、労働生産性、これは伸びておるが、失業者は逆に増加しておる、これは事実なんですよ。ですから、福田さん流の経済成長率などによる雇用の確保を図るやり方はやはり限界があるのではないか。間接的な雇用政策というのは限界があるのではないか。いまも労働大臣は、雇用保険を受けておる製造業部門の四〇%に公共投資というものはどういう影響があるか、つかんでおりませんというお話ですよ。こんな不謹慎なことは本当はないのですよ。 そこで、私は外国の例を引くのはいやなんですけれども、たとえばアメリカでは、GNPだけじゃなしに、全国青年自然保護隊などというようなことを考えまして、これだけで三万五千人の雇用を直接つくる、青年地域社会保護改善計画というようなもので三万人の雇用を直接つくる、あるいは低所得層世帯に属する方々、こういった失業者を対象にして十三万八千人の仕事を直接つくるという政策をやっておるわけですよ。その観点が現在の政府の政策には欠けておるのではないか。複雑労働でない単純労働、これをどのようにしてふやしていくかということが、今日の失業救済には非常に決め手になると思うのです。これはたとえばの話ですが、東京湾のヘドロ退治をやる、あるいは瀬戸内海や伊勢湾や大阪湾のヘドロ退治をやる、これは自然環境を守るという意味からも非常に有意義な事業です。しかも一方の、失業を救済するという直接効果もある。このような大きなプロジェクト、あるいはひとりきりや寝たきりのお年寄りを親身になってお世話をする、そういう巡回部隊とでも申しましょうか、それを何も十年、二十年雇用せい、そういう意味で申し上げているのじゃないのです。たとえば三年間、お年寄りを大事にするためにこういう部隊をつくるから、いま仕事がない人来てください−基礎的な訓練は当然必要だと思いますよ。そういうたぐいの直接雇用政策というものを大胆におとりなさるお気持ちはありませんか。私たちの今回の予算修正の要求、これは各党具体的に話し合いがありますけれども、そういった観点からの直接雇用創出政策というものをぜひ要望したい、こう考えているわけなんです。いかがでございましょうか。
○福田内閣総理大臣 およそ国家の施策は、総合的な施策もあるし、それだけでは足りない、それに対しまして個別的な対策もある。たとえばいまの経済政策を大観してみましても、GNPを上げる、つまり経済全体のかさ上げをするという施策を一方においてとる、しかし同時に、個別の中小企業対策だとかあるいは構造不況対策だとか、そういうものを並行してやる、そこで政策というものが完全なものになっていく、こういうふうに見ておるわけですが、やはり雇用政策についてもそうだろうと思うのです。国全体の経済の規模を拡大する、これがやはり中心だ。それから、そういうことだけで救い切れない問題がいろいろあるわけです。たとえば地域的な問題をどうするかという角度からは、地域的に雇用がどうなっているかということに着目をいたしまして、いろいろな施策の配分をその実情に応じて企画をするとか、いろいろそういうことがあるだろうと思いますが、個別の施策だけでというわけにはいかぬ、やはり総合的な対策と個別の施策とは相並行して目的を達するのじゃないかと私は思います。
○矢野委員 私、何も個別だけでやれと申し上げているわけじゃないのでありまして、要するに、極端な例を申し上げれば、繊維関係に勤めておった女性が、公共投資重点の予算で公共投資の仕事がふえるからということだけでは、まさかそんな若い女の子にシャベルで仕事をせいと言うわけにもいかぬでしょう。もっと多角的、多面的な雇用創出政策というものをつくらなくちゃいかぬよということを申し上げているわけでして、特にこの際伺っておきたいことは、不況克服のために労使関係というのはきわめて重要だと思うのです。民間労働組合あるいは経営者というのは、互いに職場を守り、企業を守り、生活を守るという立場から、真剣な話し合いの場が持たれてきているように私は思います。しかし、官公労におきましては、一面において改善が見られる、このように思いますけれども、すべてがうまくいっているというわけじゃなさそうであります。またいろいろなトラブルがあるように国民の批判が——むしろ国民の間では、官公労、経営側も労働側もより一層努力してもらいたいという声があるように私は思います。たとえば国民に大変な迷惑をかけるストライキなどについては批判が強いわけであります。 そこで、私この際伺っておきたいのでありますけれども、スト権問題、公共企業体等三公社五現業についての問題でありますけれども、すべての労働者に対する労働基本権というものはひとしく尊重しなくちゃならぬ、したがって、スト権というものは認めなくてはならぬという立場にわが党は立っております。しかし、スト権を認めることと争議行為に一定のルールを設けるということはまた別の問題だというふうに思っておるわけでありまして、したがって、いわゆる条件つき一括付与という立場でスト権を付与すべきである、このように公明党は考えておるわけです。スト権をよこせということでストライキをやるということほど国民にとってわかりにくいこともないし、こういうストライキを起こさせること自体、今日の経過を見ました場合、これは政府の怠慢であり、責任だろうと言わざるを得ないと思うのですよ。ですから、三公社総裁もそれぞれ公式発言として、条件つきスト権付与ということをかつて表明をされておるし、当時の総理もそれが正式見解であるという発言もしていらっしゃるわけですね。 そこで、総理に伺いたいわけでありますが、スト権についての総理の基本的な考え方をまず伺いたいということが一つ。もう一つは、公共企業体等基本問題会議、一月中旬から審議が再開されておりますが、公労協に対する意見聴取が終わり次第、起草小委員会というものを発足させる、五月か六月ごろに結論を出す、こういうふうに言われておるわけでありますけれども、政府は、この公共企業体等基本問題会議の結論を政府の考えとして採用するという立場であるかどうかということ。そして、そういう結論が出された場合に、政府の態度は公労法あるいは公務員法その他関係法の改正をいつの国会でなさるおつもりなのかどうか。この三点について、もう時間も余りありませんから簡潔にお答え願いたいと思います。
○安倍国務大臣 三公社五現業のスト権問題につきましては、いまお話がございましたように、公共企業体等基本問題会議の意見を徴しておるところでございまして、これは一昨年の九月から毎月一回というふうなベースで精力的に審議を進めておりますが、大体現在までで実質的な討議を終えまして、本年の五、六月を目途に結論を出すべく、いま二月からその取りまとめに入っておるわけでありますが、結論が出ましたら、その結論を十分に踏まえながらこれに対応していきたい、そして政府としては結論を待って方針を決定するわけですが、それに関連して諸法制を改正しなければならぬというような場合には、その段階で国会に御審議をお願いをしたい、こういうふうに予定をいたしております。
○矢野委員 公共企業体等基本問題会議の結論を踏まえて対処したい、速やかにその関係法案を国会に提出したいという意味の御答弁でありましたけれども、総理も同様でございますか。
○福田内閣総理大臣 ああいういきさつで政府は、基本問題会議ですか、あれに諮問をいたしておりますので、その答申を待って、それを尊重しつつ結論を出したい、かように考えます。
○矢野委員 時間がございませんから次に急ぎたいと思いますが、住宅問題について伺いたいと思います。 まず、建設大臣にお答え願いたいのですが、民間住宅の建設、五十二年度も二兆円下方修正ということになっておるわけであります。つまり、見込みよりも実績が少ないということになっておる。五十三年度も十五兆円という見通し。五十二年度は三・九%ふえるという見込みであったけれども、五十三年度は何と九・八%ふえるという見通しに立っていらっしゃるわけですね。住宅についての五十二年度の三・九という見込みが、五十三年になるといきなり九・八というような、べらぼうに大きく数字が飛躍する、この辺に七%成長論の大きな弱点の一つがある。消費、設備投資、在庫調整、その他弱点があることは先ほど指摘したとおりでありますけれども、住宅につきましても非常に弱点がある。九・八%、いや、できるのだ、ローンその他いろいろな改善をしたじゃないかとおっしゃっておるわけでありますが、これも大変皮肉な言い方になりますけれども、五十二年一月から十月までの住宅戸数を見ますと、民間資金による建設戸数というのは、前年同期比で四・五%、約二万戸減少しているわけです。そして住宅金融公庫による住宅建設の数は、前に比べまして二万三千戸ふえておるわけです。つまり、公的融資をふやした、確かに二万三千戸ふえました。しかし、民間資金による建設戸数は同じ数だけ減っているわけです。これは結論から申し上げれば、そういう公的ローンの拡大というものは、確かに利率が下がるという面では非常にプラスだ、非常に結構なことだと思うのでありますけれども、ふえた分だけ民間資金で減っておれば、これは戸数全体としては少しもふえておらぬということになるわけですね。それでなぜことし九・八%というような、それこそ前代未聞の大きな伸び率を見込むことができるのだろうか、私は不思議でならないのです。この点についての建設大臣のお答えを聞きたいと思います。
○櫻内国務大臣 ただいま御指摘のような住宅状況にあることは、私も率直に認めます。そこで、先生も御承知のように、昨年は一次補正の折に、住宅金融公庫の個人融資十万戸をふやすというような景気刺激策をとったわけでございます。それによって公庫のものは順調にふえておると思うのです。 御心配は、民間の方のことでございます。そこで今度の予算措置の中におきましては、先生も御指摘のように、民間についてはどうしたか、民間がふえる傾向があるのかないのか、こういうことになるわけでございますが、第一には、民間における土地手当てというものが果たして十分いけるものかどうか、こういうことで、土地の手配につきましては、たとえば民間のデベロッパーの土地造成について開銀なり住宅金融公庫の融資条件を緩和するというような措置をとる、また個人のものにつきましても三百五十万円までの宅地の融資を今度考える、拡大したわけでございます。そういうようなことで相当ふえるのではないか。これも全く非公式のものでありますけれども、たとえば住宅金融公庫の融資に外れた者の希望調査をしてみますと、八〇%ぐらいの者は住宅金融公庫のものを欲する、しかし二〇%ぐらいの者は自力でやるという傾向を持っておりますので、それこれ勘案をいたしまして、一方において住宅金融公庫の融資条件を緩和するということによる大幅な拡大、また民間における需要も潜在的に相当あるものである、こういう認定のもとに、また御指摘の七%の目標に向かうべく、やはりこういう個人消費をも刺激する住宅投資が必要なのではないかということで、多少は無理があると思いますが拡大政策をとった、こういうわけであります。
○矢野委員 何を言っておられるのかさっぱりわからぬという感じでありますけれども、とにかく七%成長の重要な柱として民間住宅建設を実質一〇%程度どうしても伸ばさなければ七%にならぬのでしょう。いま大臣もおっしゃっておるように、それについては非常に困難な問題もあるのだ、非常に率直な御回答だと思いますけれども、確かに困難な事情があり過ぎるのです。土地問題とか公共公益施設負担の問題とか、あり過ぎるのですよ。そういう問題を全然手をつけないで、ローンの方だけうまくかさ上げしておりますから一〇%いけるでしょうというような安易なことでは、初めから七%成長は無理でしょうということになってしまうのですよ。 そこで私、住宅問題について逐次お尋ねしますけれども、土地を持たない都市サラリーマンあるいは所得の少ない方々の唯一のよりどころというべき公営住宅や公団住宅、この建設がいま後退しておる、減っておるわけです。これは私、非常に問題だと思うのですよ。住宅困窮者や所得の少ない人に対する住宅政策面での切り捨て政策だということになってしまうのです。 ですから、総理に特に申し上げておきたいことは、住宅政策というものは景気政策としても重要であります。非常に重要です。しかし、景気政策であるとともに、それ以上にこれは福祉政策という面も忘れてはいかぬわけです。確かに全世帯に対する戸数というのはほぼ匹敵するぐらいになってきておることは私も認めますけれども、問題は、そういうふうに所得の少ない方々や土地を持たない方々に対してどういうふうに家を提供するか。手が出ない。そのために公営住宅や公団住宅をもっとふやすべきじゃないでしょうか。特に公団住宅の新築空き家、これは狭いとか高いとか遠いとかという悪評さくさくたるものがありまして、空き家が多い。これはまさに公団は怠慢であると言わざるを得ない。逆に、安い家賃で立地条件のよい既設の公団住宅の空き家募集、これは年四回あるわけですけれども、数十倍、数百倍の応募者がおるのです。それこそ祈るようなつもりで申し込んでおる。一方では、あいておる。むしろ具体的な提案として、このあいておる公団住宅の居住条件を改善する、二世帯の分を一世帯に壁をぶち抜いてでも広くして、場合によっては地方自治体に一定の契約を結んで、公共住宅としてあいている建物を利用させる、こういう考えはありませんか、総理。
○櫻内国務大臣 公営、公団の未利用空き家、非常に多いことは御指摘のとおりであります。これには社会経済的な要望、そういうものの変化も相当ございましてこのような結果を生じておるわけで、現在鋭意それらの改善について、ただいまお話しのような二戸を一軒にするとか、また古いものの建てかえにつきましては、そういう需要に見合うように配慮するとかいうような努力をしておるわけであります。 ただいまの、地方公共団体に公営として提供したらばどうかという御提案でございます。これは前にもお答えしたような気がするのでありまするが、いまの法的から言いますとなかなかむずかしい点がございますので、これは研究をさせてもらおうと、こういうお答えをした記憶がございます。
○矢野委員 法律のために政治があるんじゃないのです。国民のために法律があるわけですからね。現に、あいておる家がごろごろしておる。法律があるからなかなかできない。これは逆立ちの議論でして、そういうことなら速やかに法律改正をなさって、そういう方向で努力なさるべきだと思いますよ。 それから、三大都市圏における住宅需要、これは非常に強いわけでありますけれども、宅地に適した土地が全くないわけじゃないのです。あるのですよ。たとえば首都圏の場合、不動産業者の所有する土地は八千ヘクタールぐらいあると言われておりますし、あるいはまた個人所有の土地十万ヘクタールあるなんという見方もあるようでありますけれども、こういう土地をどうすれば宅地として住宅建設促進に活用できるかということを本気で考えなければいかぬときが来ていると私は思うのです。まあこれにはいろんな問題点があります。たとえば、都市問題専門家の中には、そのために固定資産税の効果的な運用、市街化区域内の未利用地の宅地化促進のための課税強化、こういった意見を述べる方もおります。あるいはまた、こういう意見を述べる人もおるのです。個人の長期譲渡所得税における譲渡益、これは非常に税金が高くなっておる。だから、動きたくても動けないということになっているから、もう売れない。だから、変な話になりますけれども、不動産関係の方々は毎朝出勤すると新聞を見て、死亡広告を見るというのですよ。死亡広告、なぜ見るか。まあ新聞に死亡広告が載るぐらいの人は土地を持っておるだろう、それを見てすぐ駆けつける、弔問じゃなしに、土地を売ってくださいということで駆けつけるというのは大変えげつない言い方になるかもわかりませんが、それほどこの秘密な地域、つまり市街化区域といいますか、首都圏における土地というのは、ないのですよ。だから、どんどん値上がりしているのですよ。国土庁が発表している数字なんて、あれはでたらめでして、本当の首都圏における土地の値上がりは、三割も四割も上がっていますよ、実際問題として。裏金でやるとか、いやもういろいろなテクニックを弄して土地は高くなってきているのです。ですから、いま申し上げた個人の長期譲渡所得税における譲渡益、この二千万円を超える部分につきましては、国債を買うことを前提にして、これを義務づけて税率を軽減してあげる。私は、一方的に税率を軽減することには反対なんです。土地国債とでも言いましょうか、そういう国債を持つことを義務づけて税率を軽減してあげる、こうすれば売ろうかという気持ちにもなるのですよ。こういった提案も、ある専門家にあるわけです。こういうこと、どうでしょうか、総理。これは総理にお考えを聞きたいと思うのです。
○福田内閣総理大臣 住宅問題を考える場合に、土地ですね、宅地を度外視してこれを考えるわけにはいかぬところへ土地問題そのものがきておる、そのような認識でございます。しからば、その宅地の供給をどうするか、これは非常にいろいろ問題があるわけです。いま税の面の御指摘でございますが、いま個人が土地を手放す、その場合二千万円を超えると総合課税になる、こういうことになりますね。これを緩和するということは、流動化という側面から見るとかなり有効な手段であろう、こういうふうに思うのです。ですから、どうかこれを検討してみてくれぬかなあと言って、検討も各方面にお願いをしておるわけでありますが、同時に、それに対しまして、やはりそういうことにしますと、これは土地成金を優遇することになるのだという有力なる説も出てきまして、この問題は五十三年度の税制問題としては触れずじまいになっておりますが、確かに私は問題があると思うのです。もう少しこれは、世論がどういうふうにおもむいていきますか、そういう成り行き等も見て考えなければならぬ問題かと、このように思うわけであります。 その他、税の面、いろいろ問題があります。五十三年度税制改革におきましては若干の政府提案をしておりますが、いろいろの局面がありまして、なかなかデリケート、むずかしいこともあることも御承知を願いたいと思います。
○矢野委員 土地問題の解決をなさらないで民間住宅建設約一〇%の伸びというのは、これは頭から無理な話になっちゃうんですよ、実際問題。 宮澤さんに伺いたいのですけれども、あなたが主宰していらっしゃると伝えられておる平河会が発表しました「中期展望に立つ経済改革の提案」この中で、市街化区域内の土地所有者について、一定の広さ以上の所有地に集合住宅か公共施設を建設して財政上の特典を受けるか、それとも所有地の地価を公示価格のまま十年以上凍結するかの選択を迫る、そういう意味の考え方を発表しておられます。この提案も、住宅供給促進の観点から見ましても非常に有効な方策だというふうに評価が高いわけでありますけれども、この際、これは宮澤長官と言うよりも宮澤さんと言うことなんでしょうか、御意見を承りたいと思います。
○宮澤国務大臣 私、ただいまこういう仕事を仰せつかりましたので、このところ一緒に勉強する機会が少のうございますけれども、何人かの友人がことし提言いたしましたのは、ただいま御指摘のように、ことに大都市において大きな、ある一定以上の土地を持っている人たちに、それを公的な目的に提供することに対していろいろな意味での奨励策、助成策をとるという一方で、そうでない場合には、もし譲渡があったときには、その場合の価格というものは公示価格でやはり制限をすべきではないか、こういう趣旨の提案でございます。この点はつまり、所有権というものは、もとより私有権というものは尊重しなければならない、しかし、その使用権というものについては、それが公の目的によるとよらないとについて政府がある程度の奨励、助成、あるいは場合によりまして多少の制約、これを加えることもやむを得ないのではないか、こういう考えで、在来からそういうことをいろいろ議論をいたしておりまして、何人かの友人が今年そのような提言をいたしたわけでございます。
○矢野委員 公共公益施設の民間デベロッパーの開発負担ですね、これが非常に大きな問題になってきているわけです。詳しいことはもう申し上げるまでもないと思いますけれども、学校用地や校舎、道路、上下水道、河川改修、消防署、保育所、公園緑地、こういったことをデベロッパーが負担すると大体原価の五〇%ぐらいまでなるという見方もあるのですよ。これはデベロッパーに負担さすのはそれでいいじゃないかという問題じゃないのです。このデベロッパーが負担した分はそのまま入居者に、その家を買う人に価格転嫁されておるわけでありますから、その分だけ一般入居・者が高いお金を払わなければいかぬということになっておるわけですね。本来これは国とか地方自治体がやらなければいかぬ仕事ですよ。それを国や地方自治体がやらないで、結局入居者がその分まで持たされておる。こういうことをほうっておいたのではだめだと思うのですよ。 さらに、入居者から見れば、いま申し上げた価格転嫁があって、さらに固定資産税とか都市計画税とか、不動産取得税とか登録免許税等、価格転嫁された高い値段にそういう税金がかかってくる。これは二重の負担になる またもう一つ、団地外の地域の方々からも当然いろいろな要望がありますね。いままで団地がなかったところに突如として団地ができる。そのため、たとえば上下水道、汚水処理場、その他河川の改修、取りつけ道路、さまざまな要望が出てくるのも、これまた当然のことだろうと思います。これも本来、国や地方自治体がやらねばならぬ仕事、これをデベロッパーに持たしておる。周辺の地域の公共公益施設まで入居者が持たされてしまう、こういうことになっておるわけですね。 私は、何もデベロッパーにもうけさせろと言っておるわけじゃないのです。結果的に入居者に負担が転嫁されるということは二重、三重の、踏んだりけったりのことです。こういうことをほうっておいて、ローンをふやしましたから住宅は去年に比べて一〇%伸びます。これはまさに片手落ちな、政治の名に値しないやり方だと思いますよ。 そういうわけで、法と行政、これは非常に一体性を欠いておる。地方自治体がそれぞれ指導要綱というものをつくっておる。地方自治体の立場から、財政難だから自分の力じゃできないからデベロッパーに持たせるというこの事情は、わからないでもないですよ。いいことじゃないけれども、これはわからないでもない。もちろん、入居者としても最低負担しなければいかぬ公共公益施設があると思いますが、もう少しこういったことについて、国、地方自治体、デベロッパー、入居者、これに関する負担区分についてのルールづくりというものをなさるべきだと思うのですけれども、これは時間もありませんから、総理にその点についてのお答えを伺いたいと思います。
○村山国務大臣 いまの御質疑は非常に重要な問題でございまして、かねて国では、御案内のように、人口急増地域についてのデベロッパー等への負担を軽減するために、学校その他については補助率のかさ上げ等をやっておることばもう御承知のとおりでございます。これは地方団体とデベロッパーとの負担区分をどうするかというところに、最終的に需要者にどういうふうにかかってくるかという問題になるわけでございます。その意味で、ことしはそういう問題につきましては、単独事業でございますけれども、公営公庫の方の資金を張りつけることにいたしまして、資金コストをうんと安くいたしまして、例の臨時道路それから臨時河川、臨時高等学校、こういうものも、単独事業は安いコストで地方側に財源手当てしてございます。一方、デベロッパーにつきましては、今度新たに入れまして、いわゆる公共関連施設をつくったような場合に自治体に三百億ばかり補助金を出しまして、それによりましてデベロッパーの公共負担をできるだけ少なくする、こういう措置がことしはある。(矢野委員「民間デベロッパーと理解してよろしゅうございますか、三百億は」と呼ぶ)それは公共団体にやるわけであります。そうやりますと、結局、いままで公共分を少しよけい出してくれというのが自然になくなるわけでございますから、デベロッパーに対してやるわけではなくて公共団体に対してやるわけでございます。 それからなお、立てかえ工事(矢野委員「団地造成について公共団体が使うということですか」と呼ぶ)そうでございます。それから従来、これは公益関連施設でございますが、立てかえ施行の公団とか、宅地公団、住宅公団、この幅を大幅にやっておるわけでございます。これが間接的に地方自治団体の負担の軽減、あるいは資金の手当てをつけることによりまして反射的にデベロッパーの、したがってまた需要者の負担を軽減する措置としてはそのようなことをやっておるわけであります。 それから、直接デベロッパーに影響いたしますのはむしろ税制の問題でございまして、御承知のように今度二〇%の適正利益率という範囲を外しまして、そこで土地公示価格一本で縛りをかけたわけでございます。したがって、もし適正利益率の方が従来、価格として高い水準にあって、そして公示価格の方が低いというところがございますと、その分は非常に下がるわけでございます。したがって、それによりましてもわれわれは多く期待しているのでございます。 なお、ついでに申し上げますと、いわゆる都市周辺の土地供給というのは、御承知のようにAB農地が大部分なのでございます。これについては、いま四分の三総合という制度がございませんで、比例税率なのでございます。ことしはたしか二〇%フラットの税率でございます。ですから四分の三総合をやってない。実はことし限りなのでございます。ですから私は、AB農地の所有者に、来年からはもとへ戻るのですよ、ことし一ぱい軽減税率が適用になるということを実はよく知ってもらって、ことしのうちにぜひ供給していただきたいということを、この機会に特にお願い申し上げたいのでございます。
○矢野委員 住宅問題、土地問題、問題点がいろいろとたくさんありますが、時間も参りましたので、少しばかり時間が残っておるようでございますが、これは冒頭の財政収支試算につきましての資料をお出しいただけるということでございますので、そのときに再び質問をさせていただくことを委員長にお願い申し上げまして、質問を終わらしていただきます。どうもありがとうございました。
○中野委員長 午後一時より再開することとし、この際、休憩をいたします。 午前十一時五十七分休憩 ————◇————— 午後一時一分開議
○中野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。塚本三郎君。
○塚本委員 いま日本の経済は、大変な不況の中にあえいでおります。したがいまして、私は、民社党を代表いたしまして、主に福田総理を中心にいたしまして、景気回復の問題点につきましてお尋ねをいたしてまいりたいと存じております。私は、極力具体的な提案をさせていただきますので、具体的にお答えをいただきたいと存じます。外交、防衛その他の問題は他の委員が続いて質問をさせていただきますので、主に経済の問題を中心にして進めてまいりたいと思います。 ただ、その前に一つだけ、懸案になっておりますロッキード事件につきましてだけ、一、二お尋ねをしてまいりたいと存じております。 さきの大久保証言によって、いわゆる灰色高官六名に対し金銭が渡されたことが法廷で明らかにされました。その事実関係については、本来公判の場で明らかにされるべきだと私たちは思っております。そのためには、被告として起訴されていることが必要条件であります。御承知のごとく、橋本、佐藤の両氏以外の四名は起訴されておりません。したがって、その事実関係の究明は公判の場では不可能でございます。法律ではなくして、政治責任の問題として国会で究明されなければならないと私たちは判断いたしております。昨日の矢野質問に答えて、総理も法務大臣も、事件の究明について国会に対し、政府としてできるだけ協力するとお約束をなさいました。公判には直接関係のない、起訴されておらない四名について、捜査当局の資料を出すことをお約束いただきたい。特に金銭の授受に関する資料を出していただくことを政府の方でお約束をいただきたいと思います。いかがでしょうか。
○瀬戸山国務大臣 これまでも申し上げておりますように、ロッキード事件のいきさつ、これが今後の政治運営、行政運営等に大きな関係があるかもしれない、そういう問題を究明して国政を正しい方向に持っていかなければならない、これはだれしも考えるところでありまして、国会においてそういう問題点を究明せられる国政調査権に、政府としてあるいは法務省として御協力申し上げることは当然のことであると考えております。考えてはおりますが、いまお話しの、起訴されておらない各位に対する捜査記録、調書、これを出したらどうか、出せ、こういうお話でありますが、これは残念ながらそうは簡単にいかないわけでございます。 と申しますのは、なるほど、あの事件で現在起訴されておりますのは、あの関係では二人でございますが、これは全部一連のものでございまして、事件の内容そのものが一連のものでございます。大久保証人が、こういう計画でこれこれの政治家に金銭を渡さなければならないというところまでいま証言をいたしておりますが、その先がどういうふうに実行されたのか、あるいはその他の起訴されておらない各氏に対するものがどういうふうに動いたものであるか、こういう点はこれから裁判の場で、いわゆる公判の場で解明されていかなければならない。御承知のとおり、いまの刑事訴訟の運営はすべて公判廷で明らかにする、かようになっておるわけでございまして、起訴されておらない各氏に対する捜査当局の記録というものも全部これに関連があるわけでございます。率直に申し上げて、いま、この事件は裁判における解明の微妙な段階でございまして、起訴されておらない記録であるから外に明らかにしていいというものではございません。こういうものは全部、今後の裁判所における、起訴されておられる各位に対する解明の中でそういう資料が重要な役割りを果たす場面が出てくると考えております。 そういうことでありますから、いま起訴されておらない、裁判に関係ないのだからという御趣旨にはちょっと応じかねるということを申し上げておきます。
○塚本委員 それでは、政府はどういうことで協力をなさるとおっしゃるのですか。私は、このロッキード事件に対する大変な国民の関心があって、そうしてこの金銭授受の流れがどうなっておるかということの中で疑惑を持っておりましたところ、自民党さんや政府においては、起訴されていない人に対しては青天白日の扱いをしておいでになるのです。それはそれで、政府や自民党さんの姿勢としていいかもしれません。 しかし、突如として政府の特使でおいでになった方や、現にここにもすでにおいでになる先生方が、金を渡したとこういうふうに法廷で言われると、事実でないとすると、先生方でも私はお気の毒だと思うのです。法律に関係がなくても、やはり道義的責任というものは政治家には一般の人以上に厳格に国民は求めておいでになると思うのです。それを、公判ではっきりするまでは、起訴されてないけれども、関係があるから出せませんと言いますと、そうすると、渡した、しかしもらっていないとかつておっしゃっておられたのですから、本当にもらっておいでにならないとするならば、大久保証言は間違いであるということを、はっきりとぬぐってあげるのも国会の仕事ではないでしょうか。同僚の議員といたしまして、証人が公判ではっきりとおっしゃったならば、その疑いは晴らしてあげなければいけない。 しかし、国民の中では、そう言ったって、やはり大久保さんがそう言ったんだからもらったんだなというふうに思う方が、私は八割ぐらいそういう判断だろうと思うのです。それだったら、はっきりと政府は協力をなさると言うのだったら、野党もみんなはっきりしなさいと言って、金銭の流れのそういう資料をお出しなさい、それができなかったならば、ロッキード特別委員会に証人喚問をさせていただいておりますので、それに応じていただいて、そこで御本人から、こういうふうで、大久保さんのおっしゃったことはこういう間違いがあるんじゃございませんかと、当事者からきちっと説明していただくことが国会議員全体の信用を高める意味になると思います。 ロッキード特別委員会が一年間かかって余り前進しないの屡政府と自民党さんが御協力をなさらないからだという判断を私たちは持っております。この際はっきりと、国会議員はそういう意味では全然関係ございません、与党、野党を問わずそのことを、自民党の議員さんであっても、国会議員はと世間ではおっしゃるのです。だから、渡したと公判で証言をなさった以上は、それでは証人喚問にだけはきちっと御協力いただいて、そうして名指しされた先生方は、みずから潔白を国民の前で、その灰色なるものを純白にしていただく必要があるのではございませんか。総理、いかがでしょう。
○瀬戸山国務大臣 ただいまも申し上げましたように、私自身があの事件の内容をつまびらかにしているわけではございません。御承知のとおりに大久保利春証人は、こういうふうな計画でそれぞれの人に金銭を渡すというところまでいま証言をしているわけでございます。それがいかなる経路でどういうふうに渡ったかということは、これからの裁判の解明にかかっているわけでございますから、先ほど申し上げましたように、そういう微妙な段階で捜査の記録を外にお出しする、これは幾らおっしゃっても、いまのところ不可能でございます。
○塚本委員 総理、三名の起訴された向こう側にみえる人は、囲いの中に入っておいでになる人は、捜査ではっきりしていただけばいいのです。しかし、三人の囲いの中にみえる人のために証言を求めたところ、囲いの外の、自由においでになる、そういう先生方の名前が四人も出てきたということになりますれば、それをきちっと解明をしていくのは、もう裁判の舞台じゃないと思うのです。やはり灰色といわれる、法律に触れないけれども、何度も申し上げまするが、政治的、道義的責任を明らかにするという意味において、これは自民党さんが積極的に、野党は全部要求をいたしておりますので、もう総理が国民の前で疑惑を解明するという決意をなさることが、この問題解明に協力するとおっしゃった裏づけであろうと思うのでございます。自民党の総裁としてリーダーシップを発揮なさることがいま一番国民から期待されておると存じます。総理、どうでしょうか。
○福田内閣総理大臣 塚本さんは一つ誤解があるようですね。私の承知している限りにおきましては、大久保証人は、例の四人の方にお金を渡したと、こう証言はしてないのです。そういう渡すという計画があったことを伝聞している、こういう証言をいたしておるわけでありまして、その点は、何かいまのお話に前提となっておったのではお話もゆがんでくるのではないかと思いますので、念のため申し上げるわけであります。 それはそれといたしまして、いまお話しのように、私も、この起訴をされているお二人の方は公判廷でとにかく黒白がつく。ところが、この四人の起訴されていない方は、いろいろ言われながらも本当に黒白を、けじめをつけるという場がない、それは国民の側から見ても大変不明快なことのように感ずるでしょう、また、そんなことはなかったと信じておられる四人の方々、この方々にとりましてもその場がないということはまことに残念なことだろう、こういうふうに思うのですが、とにかくその場がないのですから、これはしようがない。しかし、二名の起訴されておる方に関連いたしましてある程度の解明、それは進むかもしれません、こういうふうには思いますよ。それは、ある程度のことは関連してこの解明が進むことはあり得る。しかし、本質的な解明ということにはならない。そうすると、やはりこの問題は、けじめをつけんとすれば国政調査権、こういうことになる。国政調査権発動の場におきまして政府に対してどういうことを要請されるか、その要請を見なければ、そういう問題につきましてどうのこうのということは申し上げられませんけれども、要請が出た場合におきましては——いま問題は公判にかかわる問題である。でありまするから、自然、その公判を円滑に進行させるという上での制約はあります。しかし、その制約の範囲内におきましては政府はできる限りの御協力を申し上げる、こういうことを言っているのです。ですから、調査権の方は、政府に対してどういう要請をするか、要請を出していただきますれば、これは公判の関係でできませんとか、これはできますとか、こうお答えできるわけでございます。 また、私の裁断で、決意一つで決まるのだということ、これは四人の方を証人として喚問する問題についてのことでございますか。
○塚本委員 そうなんです。
○福田内閣総理大臣 そうだといたしますれば、これは国会にロッキード調査特別委員会もあることでありますから、その場におきまして各党においてひとつ御相談願いたい。その相談の過程において自由民主党が私のところへ意見を求める、こういう段階はあろうと思いますが、まだそういう段階に来ておりませんです。
○塚本委員 この問題は、私は主たる議題ではございませんが、突然そういう証言がなされたので、この点だけは尾を引いてはいけないと思って、しかも証人を求める場合、私ども民社党は、この予算委員会で予算の審議に対してじゃまになるようなことは避けたいと思っております。景気回復を優先すべきだという立場に立っておりますので、証人の喚問をロッキード特別委員会において行っていただけないか、こういう考え方を持っております。そのとき、早急に開いていただきまして、証人喚問が、もう新聞記事等でおわかりのように、野党の各党は一斉に四人の先生方の喚問を要求いたしておりますので、議題になるでしょう。そのときには、総理は自民党の総裁としてイエスということを返事をしていただきますことが、違うとおっしゃっておる先生方の疑惑を晴らす意味においても、国民の前ではっきりとしていただくことが必要だと思いまするので、その点だけ、リーダーシップを発揮していただきまするよう、御返事をいまここでいただけませんか、もうそうなるに決まっておりますから。
○福田内閣総理大臣 これはいま申し上げましたとおり、ロッキード委員会において、各党が出ておるわけですから、そこで御相談願って、政府に対してあるいは自由民主党に対してどういう要請をするか、こういうことになると思いますが、自由民主党総裁といたしましては、自由民主党から相談がありますれば、その際、私の意見を明確に申し述べます。
○塚本委員 明確に申し上げるというのは、了承していただくように返事をいただける、それを明確になさったというふうに私は受けとめて、次に進みたいと思います。ノーという明確じゃ困るのです。(福田内閣総理大臣「そういう意味じゃないです」と呼ぶ)違うんですか。じゃ、もう一度はっきりしてくださいませ。
○福田内閣総理大臣 私が明確にと申し上げましたのは、自由民主党から相談がある、その際、総裁として明確に意見を述べる、こういうことでありまして、それがイエスであるかノーであるか、そういうようなことは、その経過等を十分聞いた上でなければ判断できない問題であります。
○塚本委員 それじゃ、見解だけ申し述べておきますが、証人として出ていただくというだけですよ。罪人であるということを承認してくれと言っているのじゃないのです。それは国民は疑いを持っておるのですから、そして大久保証人が渡したという——私とも渡したという証言をしたと受けとめておるのです。国民の八割以上はそう思っておるのです。恐らく自民党支持の方でも国民は、渡したと大久保さんは言ったと受けとめておるんです。さすれば、自民党の四人の先生方はもらってないと発言をしてみえるのにかかわらず、八割はもらったという、灰色よりも黒に近いような形で受けとめられてみえます。したがって、それは証人の喚問に応じていただきまして、そして私たちがこうだこうだと言うのじゃなくて、先生方は、こういう経過で、大久保さんは間違った証言をしておりますときちょっと言っていただく自由がありまするし、また国会議員としては、そういうことはなかったと言っていただきたいのです。自民党さんだけが悪くて野党がいいというような言い方は、世間では通用しないのです。国会議員というのはこういうやつだというふうに全体に思われてしまうことが、私たちにとっては心外なんでございます。したがって、そういうことはなかったとはっきり言っていただける舞台にもなり得ることですから、そういうチャンスをつくることになお反対なさるということば、やはりクロだな、だから総理も一緒にかくまって逃げたいんだな、テレビをごらんいただく国民はそう思いますよ。やはり国民は聡明なんです。きちっとその点の行方をごらんいただいておりますから、総理みずから、われわれの真情を聞いてちょうだいということを、名指しされた方々を舞台に出していただいて、そして野党の質問なり、与党の先生方も一緒に同数おいでになるのですから御質問いただいて、きちっと、いわゆる灰色の部分、裁判の手をつけていくことのできない、そういう不起訴の部分についてはっきりと国会の舞台、どういう舞台がいいか、これからとおっしゃるけれども、もう国会以外にはないと思うのです。したがって、ロッキード特別委員会なら予算進行にも妨害にならぬでしょうから、私たちは予算とは絡めませんということをはっきり申し上げることも民社党はできます。ですから、それをはっきりなさることが、疑惑をかけられた四人の先生方だけではない、国会議員全体の名誉のためにも必要だと思って申し上げておるのです。よろしゅうございますか。御答弁ありますか。 それでは、そういう希望を申し上げておきますので、野党から要求が出されたときには、それを踏まえて御判断いたきたいと存じます。 さて、本題の経済問題に移りたいと思います。 もう各党の代表からもるる論説されたことでございます。総理は昨年の二月三日、「今日の経済情勢は、私は、大局的に見まして順調に動いておる、こういう認識でございます。」これは昨年の二月三日のことであります。それから夏の七月三十日には、「景気は緩やかな回復基調にあると思いますこれは七月三十日の御発言であります。なお、秋の十月七日の演説では、「六・七%前後の成長、これは私は実現できる、こういうふうに思います。」十月の御発言であります。 一体これはどこに根拠があったのか。このことによる見通しの誤りが輸出へ集中豪雨のごとく流れ込んで、国内を期待しておったけれども国内の需要が伸びなかったので、輸出の方にとなだれ込んでいってしまった、その結果、円高を招来するに至ったのであって、円高の予見ができなかった。円高は天災ではないと思います。その点を謙虚に反省しまして、その間予測できなかったというふうな言い方もできますけれども、私ども野党はやいのやいのと、それではできませんぞ、できませんぞとおっしゃったし、私たちも責め立てたのです。それを楽観論だけを十月まで振りかざしておいでになった。 こういう経過からいたしますならば、今後の経済運営に対しては、やはり自民党と政府だけではなくして、野党と共同で責任を負おうじゃないか、どんどんとおっしゃってください、こういう謙虚な姿勢がまず出発だと思いますが、いかがでしょうか。
○福田内閣総理大臣 昨年一年を回顧しますと、私は大変残念な年であった、こういうふうに思います。ちょうど昨年のいまごろは、ことしは何とか景気回復というか、安定成長実現の年にしたい、そういう意味で「経済の年」と言ってきたのです。確かに昨年は「経済の年」で終わったわけですが、その「経済の年」は安定成長実現の「経済の年」じゃない、非常に波乱重畳の「経済の年」に終わってしまったのです。大変、事志と違いまして残念ですが。 いま顧みまして、事がそういうふうに運んだゆえんのものは何かといいますと、これは国際収支です。この見通しが大変狂っておった、このように思うわけでありまして、昨年のいまごろは、経常収支でいいますと七億ドルぐらい赤になりそうだ、こういうふうに見ておったのです。この見通しは数カ月のうちに、だんだんと間違いであるということがわかってきたわけでありますが、しかし、結果におきましては、それがマイナスどころじゃない、赤どころじゃない、黒の百億ドルを超える、こういう状態になってきた。そこが私は、昨年大変な見通しの間違った点だったと思うのです。 そういう状態でありますから、私どもは輸出については相当気をつけなければならぬ、輸出にそう経済の成長を期待するということはできない、こういうことになりました。そして、輸出に対する態度、これはずいぶん気をつけた。気をつけたけれども、とにかく一昨年の下半期、ちょうどわが国の輸出諸産業が波に乗ったわけです。その勢いというものがずっと続いておって、経済の成長、五十二年における成長そのものには輸出はそう貢献しておりません。おりませんけれども、とにかく高い調子の成長が続く、かといって輸入がふえるという情勢でもない、むしろ輸入が減る、こういうような情勢。そこでますます経常の黒字というものが幅が大きくなる。そういう中でまた円高というような現象が起こってきて、これがまた、かなり大きな水をかけるということになってくる。 そういうことで、私ちょっと見まして、安定成長路線というものへの軟着陸、これが一年ずれた、こういうふうに思っているのですが、私はそういう昨年の経済の動き、それに対する見通しの狂い、そういうものを謙虚に踏まえまして、そしてことしはひとつ間違いなきを期してまいりたい、これが政府の責任だ、このように考えております。
○塚本委員 いま総理は謙虚に踏まえてとおっしゃって、参議院の予算委員会でもそういう御発言を私は伺いました。特に村山大蔵大臣などはずいぶん恐縮な陳謝の発言がありました。 そこで、日本銀行総裁おいでになっていますか。森永日本銀行総裁に申し上げたいと思います。 ちょうど昨年のいまごろと記憶いたしております。私はこの席から、総理、あなたに対して、景気回復に一番大切なことはまず金利の引き下げでございます。金利を引き下げ、そして減税をして大衆消費を盛り上げ、そして公共事業をたくさん発注し、民間の投資を拡大する、幾つかの施策がありますが、その第一は金利の引き下げでございます。公定歩合を引き下げになる御意思はありませんか、それがまず景気回復の一番大切なことであります。こう私は提言をいたしました。 総理は、相当謙虚にそのときに、下げる必要があるようなニュアンスをこの席からお述べになった。現に、それを敏感に察した記者の諸君から、明くる日の新聞の見出しでは、公定歩合引き下げか、としてインタロゲーションマークをつけて、その公定歩合の引き下げの期待の記事が出ました。私もそれで景気回復の第一歩を踏み出すなと期待をいたしました。 そのとき日銀総裁がすぐ水をかけたのです。やる意思はありません、こうおっしゃったのです。ともかく、いま日本の経済を左右されるのは、総理大臣と大蔵大臣と同等ぐらいに、日本銀行が責任があるのでございます。総理大臣や大蔵大臣はずいぶん国会でこのことを追及されて、それこそもう民社党、第三打ぐらいになったらそう言ってくれるなというお気持ちがあるくらい指摘をされて、それに対して受けとめておいでになる。日本銀行総裁が一番責任者だと私は思います。この際はっきりとその過ちを国民の前に認めて、その姿勢を変えていただきたいと思います。いかがでしょうか。
○森永参考人 公定歩合の操作は、あらかじめ予告してすべきものでございませんので、最後の決定の瞬間までは、大変申しわけないことでございますが、考えておりませんというようなお答えになるわけでございますが、それにもかかわらず、経済情勢の推移いかんによって考えなければならぬことは、常時申し上げておった次第でございまして、昨年の三月の場合も、私どもといたしましては、タイミングあるいは下げ幅等につきまして最善の考慮をいたしたつもりでございますが、その点につきまして皆様からいろいろと御批判がございましたことは、私どももよく承知いたしております。ただいまの塚本先生の御意見につきましても謙虚に耳を傾けておる次第でございまして、今後の金融政策運営上の反省の資に供したいと思っておる次第でございます。 昨年のことにお触れになりましたので、そのときは最善を尽くしたつもりでございますが、その後の経過においていろいろな御批判がございましたこともまた十分わかることでございますので、御批判には謙虚に耳を傾けておりますことを重ねて申し上げたいと思います。
○塚本委員 日銀総裁、謙虚だけじゃだめなんです。私は、責任を感じてきちっとやっていただきたい。だって、予告することはできないことぐらい承知しております。二月の初めに総理大臣がここで、すぐイエスとおっしゃりたかったのでしょうけれども、日本銀行を差しおいてはそれはすべきじゃないとおっしゃって、総理はずいぶん配慮して御発言をいただいたと思うんですよ。それだったら、一週間ぐらいの時間を置いて、よく御指示をいただいておやりになったらいいものを、すぐ明くる日には、やる意思はありませんと。その結果はどうなりましたか。不景気だけじゃなくて、歳入欠陥は八千億です。一昨々日わが党の竹本委員の質問に対して、大蔵大臣はずいぶんここで謙虚にお謝りになった。八千億の歳入減ということは、会社ならば社長さんは完全に更迭ですよ。おやめになるんです。やっていかれないんですよ。そういう形になった、その引き金になったのはあなたですよ。しかも、四月になって、そしてまた七月になってと、こう小出しにばかりおやりになる。こんなことだから、じりじりしてしまって、総理にどろを塗ったのはあなただということをお感じになりませんか。私ども、本当に金融機関のなさるやり方というものは——政治はここできちっと、曲がりなりにも国民の前で各代表が論述をしていただきます。日本銀行だけは依然として法王のような姿で、経済界を裏から間違った方向にやっておいでになるということを、改めてその責任を感じて、ここで発言していただきたい。
○森永参考人 今後における政策運営上の反省の資といたしておりますことは、先ほど申し上げたとおりでございます。当時の事情につきまして御理解いただきたいことは、何分にも預金金利との関係がございまして、三月にはとりあえず急いで実施いたしましたために、普通預金金利だけしか下げられなかったわけでございまして、それでその後の経過にもかんがみまして、四月にそれをさらに一%と大幅に追加し、また九月にかなり大幅に引き下げたわけでございまして、私どもといたしましては最善を尽くしたわけでございますが、何分にも国際収支があれだけ大きくなり、そのために円高が起こってくるという、その辺の見通しを誤ったことは、何といっても私どもの失敗でもございまして、経済の経過といたしましては大変申しわけないことになったわけでございますが、それにつきましては、個々の公定歩合の引き下げということもさることながら、大いに反省をいたしておりますけれども、国際収支の見通しにつきまして的確なところを見通せなかったということ、並びにそれを背景にして非常に急テンポの円高が十月以後起こってまいりましたこと、その点を見通せなかったということは、何といっても私どもの失敗でございまして、私どもも責任を感じておる次第でございます。
○塚本委員 十分注意をしていただきたいと思います。 さて総理、きのう一日審議が中断いたしましたのは、財政収支の試算表を大蔵省から出されたことでございます。あの夜、まだ新聞に発表されていない段階で、先にわが党にも大蔵省から説明においでになりました。恐らく各党に大蔵省から説明に回ったことだと思います。その夜、ある中小企業のおやじさんと懇談をしました。この話をいたしましたら、そのときにこういうことを言うのです。あっ来年から増税になるんですか、それじゃ投資はやめましょう、こうなんです。端的な発言なんです。私たちは、単なる減税のための攻防戦を展開するのではなくして、真剣に、七%の経済の成長をさせなかったら国内は大変なことになる。しかも、国際的な問題も御承知のとおりであります。いかにも不用意ではありませんか。もちろん、わが党の立場を申し上げてみまするならば、健全化のためのいわゆる見通しを立てろと野党が要求したことは事実です。ある新聞にも載っておりました。出せ出せと言われるから出したらしかられた、分に合わぬじゃないか。なるほど、それだけを言えばそうなんです。しかし、増税案を出せと言ったのじゃないのです。財政を再建するための案でございますから、まず、こんなに四十兆、五十兆という借金がありますということはわれわれは知っておりますよ。だから危惧の念で、計画を出せと言ったことは事実でございます。それにあなたたちは悪乗りをしてみえるのです。財政の再建の計画を出せと言ったならば、まず、経済がどれだけ伸びていくのか、七%と総理はお約束なさったが、来年をどうするのか、五十七年までの経済の成長の見通しを立てて、そうして成長率がこれだけだから、自然増収がこれだけでございますという、いわゆる財政を言う限りは、経済の予測と中期計画をきちっとお示しになれと言っているのです。それがなかったら、自然増収の見通しが立たぬでしょう。だから、きのうみたいに一日中断してしまうのです。にもかかわらず、なおこれだけの金が足りないのですという形が出てくるでしょう。そのとき、すぐにおっかぶせて増税というような案をつくらずに、これだけ足りなかったならば、昨年から総理がお約束なさっておいでになるように、行政改革はここまでやります。したがって何兆円あるいは何千億円は自主努力によって節約をさせていただきます。したがって税収をこれだけプラスをしていただかなければ困ります。この三本を立てることが財政の再建計画ではないでしょうか。それを、減税を要求しておるときに増税案だけをばかっとぶつけてくるものだから、これはおかしなことになって、議論が変な形になってしまうでしょう。 もう一遍申し上げておきます。あくまでもこれから五十七年まで、いわゆる借金をゼロにしようとなさる考え方には、民社党は賛成です。しかし、それならば、まずことしは七%、さすれば、自然増収は一二%なら一二%、来年はどれだけ伸ばすのでございましょうか。これをはっきりなさらないと、自然増収がどれだけ税が伸びていくということはわからないでしょう。少なくとも私どもは、この際、ことし七%、来年も七%伸ばします。こういうことをきちっとお約束をなさることが、いま総理の決意を実現させる一番大切なことだ。といいますのは、公共投資は皆様方が税収でおやりになる、足りないところは借金の国債の発行でおやりになる、これは計画どおりにいくとしましても、国民は自分でこうして見て、やはり政府の期待にこたえて設備投資をしていきたいという気持ちはあるのです。しかし、ことし設備投資をどっかりとやって、減税の案も出ました、しかし来年は増税でございます。もうやめたと、こうなるんですよ。だから、少なくともことしと来年と二年は経済成長は七%でいきます。だから国民も協力してください、こういう姿勢がなければいけないと思うのです。大蔵大臣、いかがでしょうか。
○村山国務大臣 第一の、これは収支試算でございまして、増税計画を出しているわけではございません。
○塚本委員 その点のお答えは結構ですから、来年の見通しを言ってください。
○村山国務大臣 これは恐らくみんなそこに出ておると思いますが、企画委員会の方の暫定試算で計算しておりますので、成長率は五十四年、五十五年、一二・五%、これは試算の前提でございます。それから以降は一一・五、一一・五という試算を立てているわけでございます。 いまのお話の、歳出についてはどういうふうに考えておるのか、いきなり負担増だけで消すのかというお話でございますが、それはそうではございませんで、ケースCで見ていただきますと、大体、一番整合性のとれているところでございますけれども、振替支出は実は一五%で伸びるということが前提になっているわけでございます。したがって、振替支出一五%と申しますと、五十三年度だけとりますと一八・九でございます。社会保障は御案内のように一九・一でございますけれども、その中に含まれておる振替支出は一八・九でございますから、ですから当然ここで予定しておりますのは、振替支出についても保険料のかなりの負担増を求めなければ一般の方から出てこない……
○塚本委員 大蔵大臣、ちょっと待ってちょうだい。私は、そんな細かい数字のことを扱うつもりはないのです。これは税額のことに触れないというお約束を総理はなさったんだから、私の言うのは、来年の経済成長率がどれだけと予定をしておいでになるかということを聞きたいのです。
○村山国務大臣 一二・五%予定しているわけでございます。この試算では。 それから歳出についても、それぞれその基準的なもので相当の節減、これはもちろん行政改革もございましょう、補助金の整理もございましょう、その他あらゆる方策をやりまして、大体こういうことになる。それから振替支出以外の一般経費につきましても、全部そういう形でございまして、従来よりは歳出はうんと圧縮するという前提のもとで、試算として計算されておるわけでございます。
○塚本委員 総理大臣、大蔵大臣に聞きますと、一生懸命まだそれを、未練たらしくその試算表をごらんいただいておるのでございますけれども、ことしは七%の成長を何が何でもということで、ずいぶん責任のある御発言をいただいておりますので、国民は、ことしはなるほどわかった、無理だろうという気持ちはありながら、大体もうこれで実現ができなかったなら、総理大臣責任とらなきゃならぬな、そこまで追い詰められたな、それならば、総理はあらゆる意見を謙虚にお聞きになって、何が何でも七%まで押し上げていかれるなあという客観情勢はできたと思います。だから、不安を持っておりながら、国民はついていこうという気持ちになりつつある。しかし、来年はどうか、増税、これじゃだめなんでしょう。だから、一二%と大蔵大臣おっしゃったが、もう単純にいきましょう。ことし実質七%いわゆる経済成長いたします。来年はそれじゃ単純に実質で何%、ことしと同じように七%を成長させるということを国民の前にお約束をなさって、少なくとも二年間は設備の投資をしても有効に働きます。そうして雇用の増大から消費にこたえられます。こういう形を国民の前におおよそ言明をしていただくことが一番必要だと思います。総理大臣、どうぞおっしゃってください。大蔵大臣だと細かい数字であれですから。
○村山国務大臣 経済企画庁のあれでは、実質六%強をちょうだいしているわけでございます。
○塚本委員 経済企画庁のをちょうだいしておりますということではいけませんので、内閣総理大臣福田赳夫先生から、七%やりますということで、国民に、だから民間の設備投資も協力をしてください、こういうふうにお約束をなさる必要があると思いますが、いかがでしょう。
○福田内閣総理大臣 五十三年度は、これは七%と御承知のとおりですが、これを含めまして五カ年間大体六%周辺の成長ということを考えておるのです。平均いたしまして。ただ、その過程においてどういうふうな推移になるかと申しますと、五十二は七、五十四はそれより多少引っ込むと思うのです。五十五年度はまたそれより多少引っ込む、こういうような先細いというか、そういうような傾向になる、こういうふうに思いますが、五十四年度をお尋ねでございますが、これはかなり七に近い六%台である、このように御承知願いたい。
○塚本委員 総理、七に近いという、六%から七に近いという御発言がありましたが、数字でなくても結構です。そこまで、こんな激動のときですから、これはいま出せということも、また拙速になって答弁のつじつまが合わなくなります。それよりも、やはり国民の前に、ことし七%、来年も七%近いという言葉で私も了承しておきましょう。だから、国民よ、政府の公共投資のこのレベルについてきてくださいということでないと、景気回復にならないと思うのです。だから、その点をやはりもう一遍、七%に近いということを、まあ近いということは六・五以上というふうに、以下ならば遠いということになるでしょうが、六・五以上というふうに受けとめて、七%に近い。ただ、先細りというような表現になりますると、どうしてもびびってしまうのです。この際は、何が何でも景気回復のためにやっていくべきだというふうに思っておりますし、もっと私たち民社党の立場で申し上げるならば、恐らくこれから予算修正が出てくるでしょう。そのときに、できなかったらこれは責任をとっていただくというだけじゃだめなんです。できなければ、途中でさらにそれでは七%に上乗せできるようにするために、謙虚にまた私たちは協力をさせていただきますから、途中で弾力的に、六月ごろになりましたらこれは無理だなとか、これならば大丈夫だとか見通しが立つと思うのです。そのときに、もしこれでは七%むずかしいなと思ったら、もう一度私たち御相談いただきまして、七に上乗せできるように弾力的に機動的に動けるような対処をしていかなかったら、責任をとるだけじゃいけないと思う。何が何でも七%に乗せます。その一番大きな要諦は、来年度五十四年度も一七%あるいはそこに近いだけいきます。こういう、旗を振ってついてきなさいと言って、国民がお任せできるという総理大臣の姿勢が必要だと思います。そういう理解のもとにやっていただきたいと思いますが、総理、いかがでしょう。
○福田内閣総理大臣 七%成長ということは、これは国民も大変期待しておると思います。しかし、同時に、これは国際社会が大変な期待、関心を寄せている問題でありますので、これは政府といたしましては責任を持ってこれが実現を期す、こういうふうにいたしたい。 もし実現されなかったらどうだ、こういうお話でございますが、七%成長というのは、七%成長ひとり歩きしているわけじゃないのです。これは国際収支経常黒字の問題があります。また、雇用の情勢、これが非常に大きな絡まりを持つ。また同時に、企業稼働率が一体どうなってくるのだ、これとも非常な深いかかわり合いを持っておるのですが、それらと見合わせまして、これは何か対策をとらなければならぬという際には、これはもちろん機動的な対策をとってまいる、こういう決意でございます。
○塚本委員 その考え方を五十四年度も同じようにひとつとっていただきたい。また、そういうような姿勢を示していただけるものというふうに受けとめてまいりたいと思います。 そこで、具体的な問題でまいりたいと思いますが、そういうような経済の回復の中で、政府は公共投資に重点を置いておられるようでございます。私たちも、それが景気回復にとって最も大きな柱の一つというふうに認めております。しかし、それと同じように、減税や福祉もまた大衆消費ということから、消費力を高めるという意味において大きな柱と野党は主張いたしておるわけでございます。特に私ども民社党は、立党以来、福祉国家の建設を訴えて十八年、政治の要諦は、貧しきを嘆かず、等しからざることを嘆くのだ、こう叫び続けてまいりました。私たちまだ現役で働ける昭和の人間は結構です。しかし、明治生まれの方々は、おれたちがこのような国家につくり上げてきた、にもかかわらず、七十になっても、文明国と比べてみるとき、経済大国だ、世界からはドイツとともに最もお金持ちだと言われておる、だれがお金持ちにしたのだ、おれたちじゃないか、明治の方々はみんなそうおっしゃるのです。にもかかわらず、そのお年寄りに対するいまの国家のもてなし方というものは−もっと下のものもたくさんあります。途上国は。しかし、文明国と比べたとき、国家の握っているお金に比べてみると、いかにも親不孝ではないでしょうか。そういう意味で私たちは、この際、そういうお年寄りに対する福祉年金、あるいは母子家庭あるいは心身障害者や原爆の被災者、こういう人たちに対する福祉年金について、経済大国にふさわしい——一昨年福祉元年とおっしゃったけれども、わっとおやりになったが、ぽつんととだえてしまったような感じがいたします。公共事業に対する伸びは三四・五%、十五カ月分合わせますと四三%を超えるという事業費の伸びであります。しかし、福祉年金等については、政府のいまの試算によりますと二〇%を割って一九・一%。したがって、この際、老齢福祉年金につきましては、一万五千円を一万六千五百円とかさ上げをなさった試算でありますが、わが党は、もう三千五百円乗せて二万円になさったらいかがでしょうか、かくして、政府の試算よりも民社党はさらに三千五百円ずつ上乗せをして、少なくとも二万円といえば、いまの金額ではそんなに使いではございません。しかも今日、大幅に借金をしてでも景気を回復しょうとしておりますから、減税ならば、総理がよくおっしゃるように、預金に回してしまって経済効果は出ないとおっしゃる。しかし、福祉のお金ならば、まずは、過去の統計によりますと、みずからかせぐことのできない人、将来への貯蓄の必要ない人であります。したがって、いただいたお金は、孫にあげるなり自分の生活なり、何らかの形で使っていただけるのです。だから、消費拡大には、年金、福祉のお金を出していただくことが最も適切な景気回復の一本の柱だと考えて、政府の提唱なさるよりも私どもは約三千五百円ずつプラスをする。そうすると総額で三千億近くでございますけれども、いずれにいたしましても、そういうふうに野党は要求しておりますので、謙虚にその意見を聞いて、そのような考え方に乗っていただくわけにいきませんか、どうでしょうか。
○村山国務大臣 総理がお答えになる前に、私からちょっと答えさせていただきます。 御承知のように、現在、老齢福祉年金は一〇%上げまして、物価が七・六でございますので、それよりは上乗せいたしまして一万六千五百円にいたしたところでございます。 それで問題は、いま国民年金の全体の状況がどうなっているかということは、なかなか大変でございまして、もう積立金制度というのは事実上崩れておるわけでございます。今後、老齢化がどんどん進んでまいりますと、この財政負担は大変なことになるわけでございまして、そういう意味で、国民年金を含めました公的年金自体の見直しを根本的にやらざるを得ないという状況にあるわけでございます。そういった観点から申しますと、福祉というものは、われわれは、根本的に直すまでの間はやはりどうしてもバランスの問題というものを考えていかなければいけない。特に拠出年金でございます五年年金あるいは十年年金を考えますと、老齢福祉年金でございますけれども、二万にすればはるかにふえるわけでございます。ですから、全体の国民年金、さらには公的年金との全体の整合性なくして、ある年次にある特定の政策目的のためにやるということはいかがなものであろうかという点で、われわれは非常に疑問に思っているところでございます。
○塚本委員 総理大臣、おわかりのように、あなたに御質問申し上げて年金のことを聞いていたら、総理大臣がお答えになることがいかがかとお思いになったら厚生大臣に答えさせるのですよ。それを大蔵大臣が出てきて、整合性の問題から、低い物価の七・何%と比べて一〇%で上がりましたという答弁をすると、みんな怒りますよ。そんな国家財政を無視して言っているというふうに国民に受け取られたら心外なんです。総理大臣がおっしゃったら日銀総裁が打ち消してみたり、総理大臣と担当の厚生大臣にお聞きしょうと思ったら大蔵大臣が出てみたり、村山総理大臣になったわけじゃないのですよ。考え方がばらばらになっておったのではだめなんです。野党だって財政のことは承知しておるのです。大蔵省からこの五つの案で、きのうも問題になった案を持ってこられたときにでも、このままいけば足りなくなることは承知しておる、しかし、具体的にいわゆる税の問題だけで来なさるなということを申し上げたのです。すぐ財政のことをおっしゃるのです。そんなことを言っておったら、国民から見たら、野党は無理難題ばかり言うなということなんです。そんななめたやり方はいけません。私たちは財政の大変なことも承知しております。しかし、それだったら今度三七%なんという借金をなぜなさったのでしょうか。そんな冒険をなさったということは、一にも二にもやはり景気を回復しなければならないということが大前提で皆さん方がんばっていただいたのでしょう。そのときに、一々そんなことを大蔵大臣がしゃしゃり出るなんということはだめです。どうでしょう、総理大臣。
○福田内閣総理大臣 私は、この予算、五十三年度は非常に大事だというので、年末には、特に各党の党首の皆さんにもお集まり願いまして御意見を拝聴するということまでいたしたのですが、いま塚本さんは財政のことを言うなと言うが、財政もいまはなかなかえらいことなんです。そういう中で、さて五十三年度において安定成長路線をどういうふうにつくっていくか。そうしますと、民間の設備投資、なかなかこれはそう多くを期待するわけにいかぬと思うのです。電力投資なんかはお願いできないことはないと思いますけれども、その他一般にはなかなかむずかしい。輸出につきましてはこれはよほど自制しなければならぬ、こういうときなんです。そうすると、どうしても財政でこれを盛り上げるほかはないのです。 さて、それでは財政でどういうことがあるか、こういうことでありますが、皆さんから、大体減税はどうだ、また福祉を充実する、これはどうだ、なお公共事業という問題、これはあえて否定するわけじゃない、こういうようなお話ですが、財政が非常に窮乏している中でさあどういう施策がいいかということは、これは私は選択の問題だと思うのですよ。公共事業がいいのか福祉がいいのか減税がいいのか、あるいはその一つを選択するか、あるいは二つを選択するか、あるいは三つ全部薄くやるか、こういうようなことだろうと思いますが、私は、文句なしに、いまの景気情勢ということを考えますときに一番何がいいかと言えば、これは財政の中でも公共事業をやるのが一番いい。これは学者の中でも大体定説として、一番すぐれた効果を持っておる、こう言うのですね。これをやって、そうしてみんなのふところがよくなる、そういうことを通じてまた消費購買力も出ていくということで、全体として国の経済が盛り上がる、この形が一番好ましいのじゃないか、こういうふうに思うわけであります。 しかし、私どもはそう思うけれども、野党の皆さんからは、この際福祉を充実せよ、また減税というものも考えろ、こういうお話でございますが、私の立場としますと、いろいろ御意見を承っておる、その趣はよくわかる、わかるけれども、要するにどれを選ぶかという選択の問題じゃありませんか、政府の言っておるこれにも耳をかしていただきたい、このようなことを訴えるというほかはないのでございます。私どもも粘り強く、しっこく私どもの立場を申し上げますけれども、また皆さんのお考えも十分承らしていただきたい、かように存じます。
○塚本委員 総理のようなそういう考え方は私も正しいと思っておる。選択の問題なんです。だから財政の問題じゃないのです。どちらを優先するかという選択で財政を言うのだったら、三七%も借金の上にさらに借金を重ねたこと自身が問題でございます。それをしもやって——私たちは、公共事業をやることが最も効果があるということはわかるのです。もっと政府と与党の立場で言えば、福祉ならば上げてしまっただけになりますけれども、公共事業ならば国家に残る、そういうことに執着をなさる気持ちも私は十分承知いたしております。同じ使うので同じ効果ならば、国家のために公共事業として国民の財産として残るものと、使ってしまうためにただ上げるものとの差というものも、それは与党や政府を背負っておる皆様方の立場も私は十分理解した上で、だから小出しに私は上積みを申し上げておるだけです。県知事さんたちが帰ると、こんなにたくさんいただいた、消化不良になるんじゃないかというようなことをおっしゃるのです。 〔委員長退席、栗原委員長代理着席〕 だから、消化不良になるのではないかと言われておる六千億あるいは八千億という金を目当てにして、そういうもので実は福祉の問題を充実をしていただいて、そして減税にがばっと取ればそれは預金に回るという昨年の総理の御発言を繰り返すだけではつまらぬので、まず福祉ならば、そういう方ならば預金よりも使ってくださるであろう。しかも、いま他国と比べたときに金が余っておる、円高だといってお金持ちと言われておる立場ならば、お金持ちにしたのはだれだ、おれたちじゃないかと七十代の方はおっしゃるでしょう。そうするならば、若者——若者でもないかもしれませんが、まだ昭和生まれであります。昭和生まれの私たちが、御苦労さんでございました、もう老後だけは御心配くださるなと上積みをさしていただくことの私たちの気持ちもおわかりいただかなければいけない。そういう意味で、物価は七%台です。福祉は一〇%です。公共事業は四三%です。こう言ったら、ばかにするなよとお年寄りはおっしゃるでしょう。だから、もう少し上乗せをしてちょうだいよということで私たちは要求をしておるわけでございます。 さらに上乗せ三千五百円、厚生大臣、いかがでしょうか。
○小沢国務大臣 福祉を預かる厚生大臣が先生の御意見に反論をするというのは、大変奇異に感ぜられるかもしれませんけれども、私どもは、福祉年金及び五年年金等の経過年金については、いずれ再検討をしなければいかぬだろうと思うのです。しかし、その場合に、この福祉年金の性格自体をどういうふうに持っていくべきか、やはりこれをきちっとした上で思い切った増額を図るべきであって、また同時に、その財源調達方式を、私は遺憾ながら昭和生まれでありませんで大正でございますが、もしわれわれ若い者が、いま現に働いている者が年とった方々に何か報いるとすれば、一般の税金から全部考えるべきなのか、あるいはまた、われわれ働いている者がこのお年寄りの福祉年金に応分の負担をしていくべきものなのか、また、その程度が一体二万円でいいのか、あるいは三万円でなければいかぬのか、こういう点も十分よく検討しまして、また同時に、御承知のとおり福祉年金についてはいろいろ、ほとんどもう九割四分見当の方々に上げているわけでございますが、その中には、特別児童手当や福祉手当やその他母子福祉年金等をいただいている人と比べて、相当の所得の格差のある人もあるわけでございますし、そういう点もいろいろ検討いたしまして、特にひとつ今年いっぱいぐらいをかけてこの方向を決めたいと考えておりますので、いま、ただ老齢福祉年金だけを若干上乗せをすればいいんだとは考えていないわけでございますので、この辺の検討を十分さしていただきたい。そうして老後保障の観点から見て福祉年金というものを、この経過的な年金をもっと根本的にはっきり老後保障の性格づけをした上で改善をしていきたいと思っておりますので、この点はひとつぜひ御了解をいただきたいと思っておるわけでございます。
○塚本委員 厚生大臣の御意見はわかります。特にあらゆる年金がごっちゃになっておりますから、拠出制でも五年、十年制の問題から無拠出から、いろいろありまするから、これは根本的にきちっと整理していただくということ、そのときに抜本的に大幅にという言葉も好意的に受けとめさしていただきます。この問題は、やがてこの予算採決に至る過程において相談をさしていただかなければならぬことだと思いますので、これ以上深く金額の問題等詰めるつもりはございませんので、含みとして考えておいていただきたいと存じます。 さて、減税について一言また触れておきたいと思います。 昨年は、たしか三千五百億円という物価調整減税の上に野党の要求三千億を上乗せしていただきまして、六千五百億円という国税の減額をしていただきました。ことしはそのまま増減なしでいこうというお考えのようでございますが、そうすると、六千五百億円だけ結果的に損をした形になってくるのではないでしょうか。したがって、この際、物価調整で三千五百億、そして上乗せ三千億、両方合わせると六千五百億減税していただいて去年と同じことということになるでしょう。それで消費が伸びなかった。このままいったならば大衆消費はますます伸びないという形になりはしませんか。総理大臣、いかがでしょう。
○福田内閣総理大臣 ことしは物価調整減税ということを考えておりませんから、それだけ、物価が上がった、それに伴う負担の増加、こういうことはあるわけです。それから、五十三年度は五十二年度の特別減税がございませんから、その分だけもまた負担の増加、こういうことにはなる。なりまするけれども、他方、財政規模をあれだけ拡大しまして、そして公共事業を大いに進める、そして経済活動は活発になる、そして国民のふところぐあいもよくなる、こういうようなことで、国民の消費支出は、五十二年度実績見込み三・九%、こう言っておるわけですが、これが五%を上回る上昇になるだろう、こういうふうに見ておりますので、税の局面だけでとらえていただかないで、国の政策全体が一体どうなるのだ、その中で国民一人一人の生活はどうなるのだ、そういう立場で御判断願いたい、このような気持ちでございます。
○塚本委員 減税によって景気回復をしようとするならば大幅な減税が必要である、川又経団連副会長がこういう発言をしたということが、昨日からきょうにかけて報道されております。全くそのとおりだと思うのです。私ども民社党の立場から申し上げてみますと、この際大幅にがばっと減税と言っても、これは政府、なかなかお受けいただけないことは承知いたしております。したがって、率直に申し上げまして、途中で七%に達しなかったときには、それこそ二兆円くらいがばっと大衆消費の要求をしてみたいと思っておりますが、いまそれを言ったのでは恐らく真っ向から与野党が対立するだけで、この話し合いは進まないのではないかというふうに私たちは思っております。そこで、少なくともこの際、物価調整というと語弊がありますけれども、物価調整までは至らぬにしても、不公平を改めるというある程度の減税だけはやはりのんでいただかなければいけないのではないか。しかも所得だけじゃなくして、幾つかの方面でのんでいただこうという形で不公平だけはなくしていきたいというふうな考え方に立っておりますので、この点を含んでおいて、あと金額については相当に詰めていかなければならぬというふうに思っておりますので、了承をしておいてほしいと思います。どれくらいの金額の要求をしまするか、これは野党の中でも相談をしまして、そして与野党の折衝になってくるのではないかというふうに思いますので、いまここで私が幾らと言って、お互いに抜き差しならない立場になりますと、弾力的な運営にはひびが入ると思いますので、要求をいたしますので、減税要求につきましては謙虚に受けとめていただきたいと存じます。 そこで、私は特徴的なものを去年ちょっと触れてみたのですけれども受けていただけなかったが、ことしはぜひやっていただきたい。わが党だけではなくして、公明党さんも、そして新自由クラブさんも要求しておいでになるように伺っておりますが、教育費減税。 いまサラリーマン家庭におきましては、最も大変なことは何だといいますと、子供の教育費の問題、そして住宅ローンの問題、この二つが最も大きな重荷になっております。特に私学振興等につきましては、相当に追いかけて助成法によって進んではきておりますが、それでも去年すでに年額五十万円、こういう声が大学においては出ておるようであります。したがって、この際総理、どうでしょうか、教育は高校も大学もぜいたくだという意見もなくはございませんが、しかし、国家有為の人材をつくるためにその保護者が出す入学金、そうして授業料、これだけは経費として損金算入をする、所得の中からたとえば公立ならば十万円、私立ならば五十万円。いずれにしても、十万円は安かった、五十万円は高かったという議論がありますが、しかし、国家有為の人材をつくるために子供に親が払う金ならば、どうせ国家も学校に対して助成、国立ならば一〇〇%、そして私学でも相当に出しておりますから、これ以上上積みするという方法もありますけれども、しかし、この格差をなくするためにも、十万円ならば十万円が経費でございます。そして五十万円なら五十万円は経費でございます。こう言って所得の中からそれだけは損金算入をするという教育費減税、これをお考えになって実施をなさったらどうでしょう。 公立と私立と合わせて私ども試算してみますと、去年の計算ですけれども、高校だけこれをやっていただきますと、約五百億円の減税になるのです。父兄が負担いたします大学から高校から専門学校まで、全部で約一兆円の月謝及び入学金を払っていただいておるのです。だから、これを経費として落とすということになれば、それに対するいわゆる所得から基礎控除を引いて経費で落として残る金額でいきますと、昨年の計算ですけれども大体千五百億になるのです。大学ならば大学だけ、公私立専門学校合わせて一千億、高校だけならば五百億、これだけの減税になるわけでございます。しかし、子供を持った親にとっては、これは大変な負担の軽減になるわけでございます。だから、教育に対して国家はまるまる金を出しておることを思ったならば、国家有為の人材を育てるために経費として損金算入をするということは、学問奨励の上からも必要なことだと思いますが、総理大臣、こういう考え方はいかがでしょう。
○福田内閣総理大臣 そのお考え、私、理解できないわけじゃございません。しかし結局、教育に対しまして、これは非常に大事な問題ですね、この大事な教育に対して国が一体どういう役割りをするか、こういう立場から考えるべき問題だろう、こういうふうに思うのです。そういう際に、国が歳出、つまり予算措置の上から考慮するという方法もあれば、あるいはおっしゃるように減税というような立場で考慮するという行き方もあると思うのでありますが、しかし、やはり税を納めている人、納めていない人、それに等しく平等に国が助成し関与するというたてまえからすると、やはり歳出でこれをやっていく、これが筋じゃないか、そのように思うわけです。税で援護するということになれば、納税しておる人、その人の援護にはなりましょうが、所得税を納めていない、こういうような本当に援助を必要とする人には裨益はない、こういうことにもなりますし、また税の制度という立場からいいますと、税というのは公平がいいのです。一律にみんなが納税をする、それで、いささかの例外というようなことはよほどの場合でなければこれを容認すべきでないというのが、国会の皆さんの御意見でもあり、国民の感情でもあるのじゃないかと思う。そういう際に、だんだんとそういう特別措置は整理していこう、そのときに、今度は新しく教育減税という特例措置を認める、これもいかがなものであろうかというような感じがしてならないのですが、私も事務当局には、教育減税をひとつ研究してみてくれなんということをお願いしたこともしばしばあるのですよ。あるのですけれども、いろいろ考えてみますと、国が、一般的な国としての立場から、広く公平に国民全体に行き渡るような財政措置による教育援護、これをやることがいいんじゃないかな、こういうふうにいま固まってきておる、こういうことでございます。
○塚本委員 それで一貫して総理及び自民党さんが通されるならいいのですよ。公平であること、当然のことなんです。だけれども、特別措置がいっぱいあるじゃございませんか。もう税の体系はごちゃごちゃになっておること、御承知のとおりでしょう。だから、こういういい減税のときに、公平であるべきだ、受ける人と受けない人とあるんだ、こんな理論では世間は納得しないと思うのです。だから、私はそういうふうな特別措置は本当に何にもございませんよというようなことが——今度だってあらゆる部面でまたそういう特別措置が、投資減税からあらゆる点が出てきているじゃありませんか。だから税なんというのは、そのときに応じて立体的に幅を広げ、上下にいろいろな差をつけて運用しておいでになるのですよ。そのときに、この問題だけ断わる理由として、公平が原則でございます。それで国家が金を出してやっております。そのとおりです。だからこそ国立ができておるのです。公立ができておるのです。だけれども、いまここにこういうふうな弾力的運営をすることがいかがでしょうか、こう言うんで、確かにそれでは、私は一歩譲りましょう。 大学は四十何%しか行っておいでになりませんので、来年なり再来年に譲るとして、ことしは高校だけでも、もう高校ならば八〇%か九〇%は進学しておられるのですから、これに適用するならば、まずは公平でございましょう。しかも、高校生を持った親といいますと、大体二百万円以上の所得者ですよ。いま二百万円以下で生活なんかできませんね。だから、税の対象になる人が恐らく九〇%を超えると私は思います。だから、これなら不公平にはならぬと思いますから、どうでしょう、私は大学までということを一歩譲らしていただきまして、五百数十億になると思いますが、高校生だけは私立と公立を問わず、その経費を所得からの税の対象から外すという考え方ならば公平の原則に適合するというふうに思いますので、そこまで譲りますが、どうでしょうか。それはおやりいただく意思はありませんか。
○福田内閣総理大臣 高校の場合もやはり公平原則の問題と引っかかる問題があるのですね。つまり、高校へ通学さぜる家庭、それにも所得税を納める家庭もあれば、納めない家庭もあるのです。いま塚本さんのお話によりますれば、これは所得税を納める家庭はそれなりの均てんをするでしょう。しかし、納めない家庭はどうするのだ、こういうことになる。そういう矛盾を解決する道というのは、やはり私は国が歳出の面において、所得税を納める人も納めない家庭も、これは全部同じ立場で教育援護を国から受ける、こういうシステムの方がむしろ理論的じゃないかというような感じがしてならないのですが、これはどうもお話を承っておりますと平行線のようでありますが、私の感想はそうでございます。
○塚本委員 確かに、納めない人もある程度はあると思います。しかし、納めないような人の家庭は、逆に援護の助成を家庭にいただいておるような家が多いのでございます。まず高校生を持ったくらいの年代といいますと、十五、六のところ、そして親が二十代重なりますと、大体四十代ごろから私ども五十代ぐらいの、税を一番割合として負担を重くされておるところの中間層だと思うのです。これが一番の税負担に悩んでおるところです。率から言いますと。そうしておいて、しかも支出では、いま言いました、ちょうど住宅の月賦の支払いがあり、子供の授業料がある、入学金がある、一番ふくらんだ中間層が一番重荷になっておるから申し上げるのであります。だから、単純一律に、総理は逃げ場のためにそういうことをおっしゃいますけれども、しかし、この層が、高校生を持った家庭の層が一番負担に悩んでおるんだ、そのことに私は焦点を当てて申し上げたつもりでございます。しかし、このことだけで時間を費やす意思はございませんので、私は後の機会にもう少し詰めさせていただきたいと思います。 次に、住宅の対策に移りたいと思います。 総理、今度は大幅に公共事業の予算化を進められた。これは私は、先ほどから申し上げておりまするように、公共投資は大きな景気回復の、そして国家の打つべき手だということは積極的に評価をしております。ただ、どうでしょうか、このたくさんの金をがばっとことしは公共投資のために使うのですね。かつて見ないような大きなお金を使うのです。そのお金を使うときは、やはりきちっとした国家の目標というものを定めて、ありていに言いますならば、三全総ですか、第一次の国土総合開発計画で拠点工業地域をつくった。そして第二次は、その拠点を中心にして結んだ新幹線を中心とするところのネットワークをつくってきた。今度は第三次でもって、そのネットワークの中でいわゆる工業と国土の立体的なものはある程度進んだけれども、生活環境がよくないというところから定住圏構想というものが出ております。私は、国土庁の発表したそういう計画的な行き方を賛成いたしております。そういう立場でいきますると、今度のいわゆる大型の公共投資というものは、定住圏構想という生活環境を整備することが一番大切だということをうたっておいでになる、これはいいことです。この構想に結びつくような公共投資であるべきことは当然だと思うのです。ところが、見てみると、まだ新幹線ネットワークやそういうようなことの第二次の総合開発の中に肩入れしてしまって、第三次の定住圏、生活環境を中心とする予算にはなっていないような感じがするのでございます。 日本の国は社会資本が立ちおくれておるということを何度か総理はおっしゃいました。しかし、社会資本といっても、新幹線だとか高速道路だとか、あるいは本四の大型架橋なんというのは、世界にない、トップクラスだと私は評価いたしております。おくれてないのですよ。おくれておる社会資本とは何かというと、定住圏だと思うのです。だから、もう第二次のそういう構想というものは区切りをつけて、国土庁が定住圏構想ということを打ち出しておいでになるのだから、直ちに第三次の国土総合開発計画という哲学をきちっと打ち立てて、それに結びつけたところの——金を使えばいい、建設屋さんに仕事を与えれば資材も消化してくださるであろう、まさかそんな安易ではないと思いますけれども。だが、よく調べてみますと、いま一番ないのは何でしょうか。住宅でしょう、学校でしょう、保育園、病院、あるいは通勤手段、下水、こういうようなものがいま一番不足をしておると思うのでございます。だから、定住圏構想というはっきりとした国家建設目標に結びつけるような公共事業に重点を置く御指導をなさることが正しいのではないかというふうに思いますが、いかがでしょう。
○福田内閣総理大臣 ただいまのお話の点は、私も全くそのとおりに思います。それで今度、大規模の公共事業を五十三年度において執行します。執行しますが、これはただ公共事業を何か手当たり次第というわけじゃないのでありまして、いま御指摘のように、三全総、定住圏構想というものがあるわけです。その背景といたしましては、昭和五十年代前期五カ年計画、これがあるわけでありまして、それらを背景といたしまして、国の公共投資は長期的にどうやっていくのだ、こういう長期展望も政府は持っておるわけです。その長期展望をにらみながら、そのうちの何がしかを既定の計画よりも今度は繰り上げて執行するというものがかなり多く出てくる、こういうことでありまして、御指摘の住宅の問題、それに特に関連のある下水道の問題、上水道の問題、学校、病院だとか保育所でありますとか、そういう諸施設に重点を置いてこの公共事業を執行する、こういうことになると思います。 ただ、いま新幹線のお話がありましたが、いま東北新幹線と上越新幹線、着工しているのです。あれを中途半端で置くわけにはいかないのです。やはりこういう機会にああいうものを早くやってしまうということ、これは私は非常に時宜を得た処置じゃないかと思いまするし、また、あれに伴う雇用の吸収、これは非常に多くを期待できるわけでありまして、そういう面も配慮しながら、中途半端に大規模公共事業を残しておかない、早くこれは片づけてしまう、こういう考え方をとるのは私はそうゆがんだ考え方じゃない、こういうふうに思いますが、お話、全体としてはまさにそのとおりに考えてやっていきたいと思います。
○塚本委員 大型のそれを私は否定するものではございませんけれども、雇用の増大にとっては、住宅や学校や病院や、あるいはまた保育園や下水やあるいは通勤手段等は、これは大工さんを初めといたしまして多くの中企業、小企業が非常に潤うのでございます。そういう意味において社会的に非常に活気が出てくるということですから、ぜひこのいわゆる定住圏構想といいますか、生活環境を中心にする、家庭と職場との環境をよくするためにこれを重点的に使っていただきたいということを、総理も賛同いただきましたので、強く希望しておきます。 そこで、特に私はその中で、住宅の問題をさらに深く取り上げてみたいと思います。 今度、公庫からの貸し付けが四百五十万が五百万になりました。これでは実際まだ少ないのです。どうでしょう、これは六百万まで貸し付けをふやしていただいたら。これくらいのことを思い切ってなさった方がいいんですよ、どっちみち貸すのですから、あげるんじゃないのですから。そうして政府、本当にやる気になったなあというふうにやっていただくことが大切ではないかということでございます。いまの木造だけではなしに、マンションですか、鉄筋に対する購入費も七百五十万という、百万円かさ上げしたことになっていますが、どんなに安いところを買おうとしても一千二、三百万はするのでございますから、やはりこれもせめて八百五十万くらいにかさ上げして、貸してあげる金額ですから、使ってください使ってくださいということで一生懸命やっているところですから、五十万円上げましたと言わずに、やはり木造ならば六百万円、鉄筋のマンションならば八百五十万円、せめてここまで貸してくださるならば、すっと利用者が乗ってくれるというような状態になってくると思うのです。だから、多いにこしたことはありませんから一千万円と言いたいところですけれども、まあ八百五十万、そして木造で自分でつくる場合には六百万、この程度の貸し出しの規模になさった方がよろしい。枠を広げるように昨年も私たちが予算修正のときに言いましたら、来年は大幅に伸ばしますと大平幹事長が私どもにお約束なさったんですから、それくらいのことはなさるべきだと私は提言しておきます。いま細かいことをここで総理や大臣にお答えしていただかなくてもいいと思いますが、やがてこれらも詰めた話し合いをしていただきたいと思ます。 なお、住宅ローンの利息の問題でございますが、五・五%という利息でございます。総理、公営住宅などには、こちらが建ててあげて入っていただくのですよ。ところが、自分が借金をして、自分が金をつくって建てるのですよ。先ほどの矢野発言のごとくに、自分の金でつくるのです。それで、つくれば幾つかの取得税から登録税からかけて、その上、つくった明くる日から固定資産税を納めていくのですから、全く割りの合わない話なんです。にもかかわらず、マイホームといって自分の家をつくりたがっているのです。私は、もう自分の家はつくりたくないから政府つくってくれ、地方公共団体つくってくれと言っていてくれたら、日本の国の将来はもう悲観的だと思うのです。こんなにたくさんの負担があっても自分の家がつくりたいというこの希望は、日本国民の建設的な前途を示しておると思うのでございます。だから、まあ利息はいいから君のものにしようや、できたならば、いわゆる税金だけはまともに納めろや、金利ただでもいいから、あなたのものでつくってちょうだいと政府は言うべき立場にあるのじゃないでしょうか。いままで高い利息を取っておるものだから、お笑いになりますけれども、しかし、こちらはちゃんと一銭も取らなくても市営住宅、県営住宅、そして住宅公団の賃貸をつくっているのでしょう。 〔栗原委員長代理退席、委員長着席〕 だから、それを自分でつくって、自分の持ち金と借りた金と、そうして、つくったものに対してあらゆる税を負担するのですから、だから金利ただだって私は引き合うんだろうと思うのです。公営住宅と比べてみたら。その引き合わない方に建設的に国民が志向しておるという、この善意と建設的な気持ちを裏切ってはいけないと思うのです。 そういう意味で五・五%というような利息じゃなくして、公定歩合だっていまは四・二五%でしょう、日本銀行が貸し付けておるところの金利でさえも。まして、これを四%に下げようという空気さえもあるところを、長期に返済する、利益は一銭も生まない。しかし自分たちの住まいをよくして生活環境のために生涯骨を埋めようとする考え方ならば、そういうようないわゆる公庫融資に対しまして金利を下げるということは、私は至極当然だと思うのでございます。こういう意味から五・五%を三・五%、二%ぐらい下げるのが至当ではないでしょうか。財源やいろんなことを言い出したら切りないですよ。切りないけれども、それだったら公営住宅をごらんください。それでさえも、どんどんおやりになっておるのでございますから、こういう公庫金融というものは二%下げるべきだ。それから、公庫金融の対象にならない人たち、民間から借りておるところの金利、こういうものにつきましても七・九か八%ぐらいの金利払っておいでになるのですね。これは大変なんです。だから、こういうものも思い切って、公定歩合が四・二五%なんだから、住宅金融だから四・五%ぐらいになるように、三・五%ぐらいのその差というものは国が利子の補給をすることを考えてあげたらどうでしょうか。 私たちは幾つか、こういうことを提言化しました。そして総理のお約束なさった七%成長に対して、公共の事業の投資に対する方向だけではなく、民間がみんなそれに乗っかっていって、よくなっていきまするように、ついでに言いまするならば、いままで民間から借りておる既存の高い金利というものも、これからの問題については、すでに契約した分についても一%ぐらいは国が補助してあげたらどうでしょう。 こういうふうに具体的な住宅建設に向かって、定住圏構想の中心、柱が住宅なんだ、そして住宅に伴って学校や公民館や保育園や上下水道がついてまいりますから、まず、これを理想どおりにきちっとつくっていただくということが柱だと思うのです。そのときに、これもこうします。これもこうしますというような利子補給等のやり方でもって攻めていくというような形になさった方が、ことしは公営住宅や公団住宅の建設が例年に比べて少ないのですから、それだけ金融公庫のマイホームに力を入れておいでになるのだから、それならば金利に対する、こういう幾つかの引き下げ方法をいたしまするから、幸い、こういうところに流れ込んでちょうだいというふうな誘導作戦をとっていくことは、建設的な国民の志向にこたえるべき考え方だというふうに思います。 一つ一つ申し上げて聞いておりますると時間がなくなりまするので、あと細かい点は後ほど詰める機会があると思いまするから、基本的なこの民社党の提言に対して、総理大臣から大まかに答えていただきたいと思います。
○福田内閣総理大臣 「長袖よく舞い」ということがありますが、ふところさえ豊かでありますれば、あれもやりたい、これもやりたい、いっぱいあります。ありますが、先々の財政のことを考えますと、どうも、しみったれたことを言うようでございまするけれども、なかなか、そうあれもこれもというようなわけにいかない。これはいろいろ国の立場として、国民生活を豊かにするというためにやらなければならぬことがありますが、限られた財政の中でやるとすれば、やはり何が一番効率的なんだろう、どの程度が、ということを考えざるを得ないかと思うのですが、やはり住宅の問題とすると一番問題は、金融の角度から言うと償還期限、これが長いということが大変私は大事なことじゃあるまいか、こういうふうに思うのです。 そういうことに着目いたしまして、政府は政府として、できる限りのことをいたしておるのですが、いまはとにかく五・五%という公庫金利を、さらに三・五%、これはやはり、それだけ税金が要るのです。税の負担になってくるわけですね。税を財源としなければならぬことになる。あるいは民間の住宅ローン一%金利を下げろ、こういう話ですが、これとても、また税を集めてそれを金融機関に回さなければ、そのことはできないわけでありまして、なかなかむずかしいのじゃないかと思いますが、一番いい方法は、やはりこの際としては償還期限を長くするということじゃないか、私はそんなとらえ方をしているのですが、なお、いろいろ検討させていただきます。
○塚本委員 私ども民社党は、政府を批判するばかりではいけませんので、こうなさったらいかがでしょうかと、幾つかのことを提案いたしまして、そして論戦をしておるわけでございます。反対する限りは、こういう案がありますよということで申し上げておるのです。 先ほど、国土庁の発表いたしました三全総を総理にお聞きしたのも、これ以上よけいに借金をしておやりなさいと申し上げておるんじゃないのです。先ほどから申し上げておりまするように、地方自治体の知事さんたちが消化不良になるじゃないかと言うほど、公共事業に対してお金をつぎ込んでおいでになる。恐らく六千億から八千億ぐらいは使い切れないのではないかと言われるほどの公共事業があるのだから、それを削って、こちらに持ってきて使ってください。第二次の新幹線中心のそれにいまだ後追いをなさるよりも、新幹線は一本でなければ途中で飛び越えるわけにいきませんから、それはそれでおやりになることは結構ですが、重点を定住圏構想、生活を中心とするやり方だとおっしゃったから、それならば一番中心が住宅でございますから、これを切って、こういうふうにお持ちいただきますること、これが国家の基本ではないでしょうか。 建設省、国土庁の国民にお示しになった、まだ生活環境としては十分じゃありません、産業が急速に発達をして巨大化した大都市の中にあって、生活環境がよくないというふうに、わざわざ三全総の計画が出されておる。それに総理が乗っておいでになるとおっしゃるから、結構なことでございます。それならば住宅にということで、これだけ余分にやれと私は言っておるのじゃないのです。重点をこちらに置きますとおっしゃる、結構なことです。だから、こういうふうにして、このいわゆる公共の大事業というものを住宅中心にお移しなさいよということを私は提言をいたしておるわけでございますから、何も、これ以上のことを財政を圧迫するような追加で申し上げるつもりはありません。無理なことは、大蔵大臣が出てきてまた御説明いただかなくても、私どもも、これはいたく感じておりますので、その中でやりくりをして、その焦点が一致したならば、そういうふうにしていただきたいということでございますから、含みおいていただきたい。 一つだけ、そのとき土地問題です。これも先ほどの矢野さんの発言にありましたように、土地の問題が住宅に対しては大変なネックになっておる。本当は幾つかの問題で法律の改廃を必要とすると思いますが、とりあえず、いま、そういうことができないとしても、先日、本会議でもって、わが党佐々木委員長から御質問申し上げました、先ほど建設大臣からもお答えいただきましたが、自治体に対して、デベロッパーと自治体との間に公共負担に対するルールづくりが必要だということを建設大臣がおっしゃった、まさにそのとおりでございます。それがために自治体に対して三百億という、いわゆる土地対策の住宅関連の予算があるという御説明をいただきました。 私たち民社党は、この際、公共負担が五〇%を超えてはなりません。したがって、ルールづくりの、そのルールとして提言いたしておりますのは、土地開発に対しては二五%以上の負担は地方公共団体が負担をしていただきたい。二五%と、ここで切ったらどうでしょうか。それ以上のものは地方自治体がおやりなさい。そうすると地方自治体にはお金がありません。三百億つぎ込んだだけじゃ問題にならないと思うのです。そこで自治体は地方債を発行します。その三百億を自治体の発行する地方債の利子補給に使うということならば、ぱっとこの活用範囲は広がってまいりますし、負担というものが二五%で切られるならば、民間デベロッパーにしろ、あるいは公団の開発にしましても——公団のごときは学校までつくらされるのですからね。いずれにしても公私を問わず、開発するときの負担が二五%を超えるものは地方自治体が負担しなさい、そして、その借金の利子補給にこれを充てる、こういう構想を、さきの党首会談でも総理に対してわが党から提示いたしました。こうするならば、宅地協会などの試算によりますと、現在、民間が求めております住宅に対する宅地の価格が三分の一ほどは下げられる、こう言っておるのです。いいことじゃないでしょうか。せっかく予算化をしていただきましたので、そういうふうにお使いいただくということが大切だと思います。建設大臣いかがでしょうか。
○櫻内国務大臣 塚本先生の御提言のような方向にいっておる、こら思うのです。三百億のことでは足りない、これが一概には言えませんけれども、五%から一四、五%ぐらいな効果は出るのではないか、こう思うのです。そこで現在、公共施設につきましては、公的開発分では三一・一になっております。それから民間分で二三・二、住宅公団分で二四・九でございますが、恐らく先生の御指摘は、公共、公益両方の施設を合わせてのお考えだと私は思うのです。そうなりますと、公的開発分は現在四五・五%になっております。民間開発分が三二・五になっておりますので、これを三百億円程度のことでは余り下げ効果はないと思うのでありますが、しかし方向としては、その方向で考えまして、そして関連公共公益施設整備などに必要な起債などは充当率一〇〇%でございますし、それから、この利子につきましては六・五%まで軽減するような措置をもとっておりますので、一気に御趣旨の線までいきかねる、その方向だけは私どもも十分理解しておる、その線に沿っていきたい、こういうふうにお答え申し上げます。
○塚本委員 ぜひ、ひとつ進めていただきたいと思います。 方向を変えまして、私は経済の本体に移ってまいりたいと思います。 総理大臣、いま世間では円高円高ということで、円高に暮れ円高に明けたというふうに言われておる状態で、初めて円が国際通貨との関係でこんなに思い知らされたことはないと思います。そうして、そのことによって、いま大変な問題が起こってきております。通産省におきましては、円高対策法だとかあるいは特定不況産業の臨時特別措置法だとか、いろいろな形で円高による被害を一身に集めてみえる、そういう業界に対する対策に大わらわでございます。しかし総理大臣、よく考えてみますと、円高というものはそんな悪いことだけでしょうか。私は貧乏人でございますから、円が高くなったことは、素直に考えて一面いいことじゃないかというふうな気持ちがあるのです。 かつて十五年前までは、輸出をしてドルをかせげ、それには奨励金までつけた時代がございますね。何もない日本の国において、かせぐに追いつく貧乏なしと、国民は経営者も労働者も一生懸命に働きました。おかげで国際経済競争の中で勝って、お金がもうかって、そうして去年の初めは二百九十三円持っていかなければ売ってくださらなかった一ドルの品物を、二百四十円で結構ですから買ってくださいと相手方から言っていただけるほどの、いわばお金持ちになったわけでございます。一生懸命やって勝ったのでございます。金持ちになったのでございます。国家という立場から考えてみたときに。だから何のことはない、経済戦争における勝った私たち経済界が一番どしゃ降りのような非難を受けて、そして迷惑で、通産省は、その後始末ばかりに追われておる、こんなばかな話ないじゃございませんか。 素人が考えても、私は円高というものは結構なことだ。ただ、一生懸命お金持ちになった、そのお金を、今度は有効に円を活用できないところに、まだそれでなおかつ売ろう売ろうということだけが中心になるから、円高で、二百九十三円いただけたものが二百四十円しかいただけない、いただけないという方向だけであって、買う方ならば二百九十三円持っていかなければならなかったのを二百四十円で買えるようになったのであります。資源のない日本の立場からするならば、こんな結構なことないじゃないか。だが、結構なことないじゃないかという円高のメリットを生かし切れない政治の貧困、これを私たち政治家は反省をして改めていくべきだ。だから町へ行ってみなさい。政治がないのだというのです。行政で事務的な仕事ばかりしておるから、売ろう売ろうということになるのだ。だけれども、もっとこれを活用していくという方法が一面にあってこそ、円高はマイナスもあればプラスもあるのだという状態に移っていくのでしょう。政治が生きておるという姿、円を生かすということが大切ではないでしょうか。総理大臣、これをどうお考えになりましょう。
○福田内閣総理大臣 お話の筋はわかります。非常に大づかみに見るとまさにそのとおりでございますが、しかし、円高が及ぼす影響は国民に対しては千差万別でございます。たとえば業者をとってみますれば、輸出を主にやっておるという業者につきましては、これは重圧ですわね、輸出がやりにくくなる、こういうことでございますから。しかし、輸入をよけいやっているという業者がありますれば、それは安く物が買えるのですから、これはもう福音、こういうようなことになる。大体、輸出輸入とんとんの商売をやっている、こういうような人については影響はゼロだ、こういうようなことなので、与える影響総体として見ますると、まさに塚本歩さんのおっしゃるとおりでございますが、しかし、その影響というものは全体として来るのじゃなくて、与える対象となる企業により、あるいは個人により千差万別なものですから、国民にいろいろな感情をもたらすということになるのだろう、こういうふうに思います。
○塚本委員 私は、これを生かす方法を、国民が強く希望しておることを具体的に申し上げてみますから、乗っかっていただきたいと思います。 まず、牛肉の問題を取り上げてみましょう。 きのうの朝のテレビで肉の問題を二日間にわたって奥様方が取り上げておりました。ある主婦は、指定店に行ったところ、一世帯三十グラムしかあの輸入のチルドビーフを分けてくださらぬから、二時間でなくなってしまう、こういうようなことを言っておられた。だから、どこを見ても輸入肉売り切れという札が張ってある。また、ほかの主婦は、いや、もう輸入肉というのはおまけみたいなものですよ、つけてあるだけで、たまにぶち当たればいいところだ、こういうふうなことを言っているのです。 私は東京を見て、東京では独身でございますから、遅く帰るときに若い人と一緒に見ると、ときどきあるのです。そんなにまずくないと思うのです。私はこの問題は大変重要だと思いましたので、今度改めて聞いてみたのであります。そしてわざわざ買いに行ったのです。そうしますると、ある店では一番、縁の方にきちっとあったのです。百グラム百六十八円と覚えております。いい肉だな、それはなるほど、きちっとあるなと思ったのです。もう一軒行ってみましたら、ないのです。輸入肉と書いてあるのは全部空になっているのです。縁の方に三つだけ置いてありました。これを聞いてみたら安いのです。こんな大きなので、三百グラムぐらいでしょうか、六百円という札がついておりました。国内肉は千八百円と三千円です。見てもほとんど変わりませんけれども、六百円でございました。ところが、済みませんけれども、それは筋があって、かたいのです。店員さんがこう言うのです。やわらかい肉はないのかと言うと、やわらかい肉はもう売り切れてないのです。これは残っているけれども、かたいから買っていかれないのです。それでは配給はないのかと言うと、幾らでもあるのですけれども、しかし一カ月分を三十日で区切って出していくのです。やわらかいのはすぐなくなってしまうのです。三つか四つだけは残っておるのでございます。それでは、なぜそれをきちっと欲しいだけ並べないのかと店員さんに聞いたら、いや、そんなことをしたら、こちらの高い肉が売れませんよ、こうなんでございます。率直な実感でございますね。だから、高い肉は売れませんから、言うならば、もっと安い肉を売りたいという業者があると思うのです。それを、おまけでございますとか、あるいは三十グラムでございますとか、まともに出したならば一カ月のうち一週間しかありませんというようなことをさせずに、もう少したくさん、きちっと出すというようなことをおやりになったらどうでしょうか。農林大臣、いかがでしょう。
○中川国務大臣 外国から入っておりますチルド肉は、大体月三千トンほどを消費者に渡しております。そのうち月五百トン、それが御指摘の安い肉、ちびっとということのようでございます。これもだんだんふやしてまいりまして、御指摘もございましたので、二月からひとつ倍ぐらい出したい。全部出せばいいのでございますが、実は国産牛肉とのバランスといいますか関連においてこれは売るという仕組みでございますので、全部そういうふうにはまいりませんけれども、二月からは倍にしたいし、また、これは輸入肉だけじゃなくて、肉を安くすることについては、また御質問があればあれでございますが、生産費の引き下げや、特に流通コストの引き下げ、こういったことも思い切ってやって、それから朝市というようなものもやったりして、いまの問題とあわせて総合的にやっていきたい、こう思っているところでございます。
○塚本委員 農林大臣、希望があって、指定店ということで指定店がもっとたくさん欲しい、私のところでもやりたい、私のところでもやりたいと言ったら、希望に応じられますか。
○杉山政府委員 指定店は、従来は八百店ございましたものを二千二百店まで今日、拡大いたしております。それ以上にも、さらに指定店を希望する店もあるいはあるかと存じます。ただ、数量全体につきましては、先ほど農林大臣からもお答えいたしましたとおりに、国産牛肉との価格あるいは需給との関連でもってその総枠を決めるということでやっておるわけでございます。したがいまして、今後ともふやす努力はしてまいりますが、おおよそ、あらゆる要求全部にこたえるというような形には、なかなか運用しがたいところがあるわけでございます。できるだけ、与えられた条件の中でこれをふやしていく、そういうふうに運用をしてまいりたいと考えております。
○塚本委員 たとえば、ここで指定店二千二百十一というのが出ておりますけれども、そのうちの半分、千六十八というのは東京なんです。東京の人口は一割なのにもかかわらず、五割東京には出しておるのです。これはどういう意味かわかりませんけれども。そして地方にはそれが少ないのです。私は名古屋におりますけれども、見てみますと専門店四十七と出ておるのです。四十七といいますと、十六の区がありますから、一つの区に三軒しかないのです。これでは買いに行く乗り物賃の方が高くなってしまうのですね。だから、もう少しこれは広げたらどうでしょうか。 しかも、畜産事業団の配っているところを見ると、関西主婦連なんというような主婦連のところに配っておって、何で肉屋へ配らないというような配り方が出てみたり、あるいは畜産の組合なんかずっと全国があるかと思うと、兵庫県という単独の県が出てきてみたり、こういう不ぞろいがずいぶんあるのです。何か特殊的なことがそういう中にあるかどうか、肉のことは私よく存じませんけれども、庶民が見たら、これは不思議だと思うのです。だから、関西の主婦連にやるのだったら、名古屋市の婦人会が分けてちょうだい、自分たちでばっと配れば手数料も要りません、あるいはまた横浜のそういうふうな団体が言ったら、そういうふうにお分けいただけるのか。そういう分け方についても従来の経緯もあるでしょう。しかし、農林大臣もしばしばおっしゃるように、流通が問題だとおっしゃるならば、従来の流通について手をつけることはむずかしいかもしれません。しかし、輸入の問題だけはストレートに、従来の流通とは別個に−業者のためにやるなら、従来の流通は尊重しなければなりません。消費者と畜産農家のためにやるならば、政府が直接に手をつけられる立場ですから、そういうふうな希望するところにずっとおやりになって、根本的に量をふやしていただくだけではなく、そういうルートを改めていただくということが大切ではないでしょうか。抜本的に、畜産事業団から配っていただきまするルートについても、これは改めて希望に応ずるという約束を、大臣、ここでしていただきたいと思います。
○中川国務大臣 まず第一番目の、名古屋で指定店が少ない、(塚本委員「名古屋だけじゃない、東京以外は少ないのです」と呼ぶ)ですから、大消費地、東京というようなところからスタートいたしておりまして、それが中心になっていることは事実なんです。しかし、肉もふえてまいることでございますから、だんだんと大都市からそう暑いった地方へといくように努力をしてまいりたいと存じます。 それから、輸入肉一般の売り渡しについて、いろいろ異論もあるところでございますので、この流れの仕組みについても検討して期待にこたえるように前向きでやっていきたい、こう思う次第でございます。
○塚本委員 やはり円高のメリットというものを——肉の金額は国家としては大したことじゃないと思う。だけれども、片一方においてデメリットで、とにかく円高で損した損したという話ばかりが出てくるのですから、精神的にも、こんなによくなった一面があるじゃないかということを国民にきちっと知っていただくような努力をなさる、輸入の問題でもそうだと思うのです。総理も、かつて、ヨーロッパに対するドルというものは売り過ぎじゃない、旅行者がどっさり買ってきているから、その旅行者の費用を見たらそんなに黒じゃないとおっしゃった、まさにそうだと思うのです。ということは裏を返すならば、まともに輸入の方法がないものだから、行ったときだけリュックにいっぱい背負ってくる、トランクにいっぱい詰めてくる。肉など、ことしの正月は羽田空港に五トンも旅行者がぶら下げてきたなどという変な新聞記事になるでしょう。こういう円のメリットというもの、高くなったメリットというものを生かしていただきたいということを強く御期待申し上げ、要望申し上げておきます。 次に、いまのは消費の問題ですが、産業界として、いま特に重要な問題になっておりまするのは、鉄を初めとする基礎産業がピンチに立っておることは御承知のとおりでございます。鉄の業者なんか言うのですよ。鉄は国家なりと言ったけれども日本沈没でございます。こう言うのです。ある業界は言うのです。塚本さん、もうどうだろう、業界ぐるみで会社更生法の適用申請をしたらどうだ、こうおっしゃるのです。黒字は一軒もないのですから、業界ぐるみで会社更生法の適用を申請して、金利たな上げをお願したらどうでしょうか、こう言うのです。事態はそういう深刻な状態になってきておることも御承知のとおりです。 これは二十八日の新聞ですけれども、こういうことが出ております。鉄鋼各社では高炉の火が次次に消えている。高炉九社六十五基のうち十九基が操業停止、二月末までにさらに三基が火を落とす。全体の操業率は七〇%を割った。全従業員二十万人のうち一〇%は余り、新日鉄では七万七千人のうち約一万人は余り、各社は一部を自動車業界に出かせぎに送り、みえも外聞も捨てて、国から訓練調整給付金を受けるため、雇用調整の業種指定を受けようと、労働、通産両省に要請中である。日本一と言われる新日鉄でさえも一万人の雇用調整をしなければならない。ということは、こういう大きな企業がここまで至るには、その下におりまする三百から二、三千という中堅企業の半分ほどは、すでにいかれておるのですよ。まずはクッションになる中企業、そして中企業もまた小企業、孫企業を犠牲にしてここまで来たというのですから。そして背に腹はかえられず、今度は親方までこういう形になってくる。だから仕方なくアメリカへ輸出していったら、アメリカからえらくしかられてしまって、ダンピングだとかいうようなことで大変な国際問題、関係のない自動車や家電にまで当たり散らしがいくというような状態になっておることは御承知のとおりでございます。こういうような状態だから、大きいところがそこまでいくには、実は中企業や小企業はもはや半分くらいはいかれておりますぞということですね。 この事態の認識を踏まえていきますとき、私が提案いたしますることは、これがだめになりますとどういうことになるか。御承知のように、原料はみんな買っているのです。買っている長期契約を四〇%もキャンセルするから、もう二度と日本には売ってやらぬぞといって相手方は怒るわけでしょう。だから、私はそういうことを考えますと、ある程度これを買って生産をして、しかし製品にして売ればアメリカもECも大変なことになるから、だから半製品でもって、インゴットとかビレットとかという鉄のかたまりでもって備蓄をしておいたらどうでしょうか。あと二〇%手を加えればすぐ板にもなれば橋梁にもなれば形鋼にもなるという形で、半製品をこういうふうにやっておけば、いついかなるときでもこれがどんなふうにでも向けられるという形になると思うのであります。私は昨年もその提言をしておいたはずです。そうしますとドルを減らすことができる。長期契約で、相手方、たとえば南米、アメリカ、カナダ、オーストラリア等はかんかんに怒っておるでしょう、契約の実行をしないのだから。だから、これをある程度引き取ってあげるということで国際的な信用を高めることができる。そうして、いまこれは一〇%でも二万人ですよ、その下の人たちを入れたら三万人から五万人の人の雇用不安を解消することができる。さらにまた、操業度七〇%を割っているから、どうしたってどこかで採算を合わせなければならぬから高い値段になってしまって、企業はみんな赤字になっているが、この企業の経営を潤沢にさせることもできる。さらに言うならば、いまこれを売らなくたって、持っていればいいじゃありませんか。ダラー安で困っておるときに、しかられて損をして売るよりも、これを半製品にして持っておって、そうしてやがて世界の景気が回復したときに売ってやればいいじゃないでしょうか。いわば、経済というのは弾力的に運用すべきだと思うのです。どしゃ降りのときには下まで流さずに、ダムのようにプールしておいて、そうして渇水のときにこれを適当に流すというのが多目的ダムです。経済でも、経済安全保障の立場からそういうようなことをする。いま円が高いということですから、四万円のくず鉄が二万円で入るでしょう。二万円以下だと言われております。こういうときにどんどんと買ってあげて、半製品なら、油もやりたいのですが油は場所がないし器がないが、鉄だったらどんと野積みしておけば、いいじゃありませんか。一千万トン積んでみたって、五万円だって五千億で済むでしょう。これはやっちゃうのじゃないですよ。買って持っているのですから、景気が回復したときにこれが六万円、七万円になって、製品にしてやるならば、金利をつけてみたって、二年、三年先に売ったって損はしないはずなんでございます。雇用の増大が図れるじゃありませんか。そしてまた、いま下請の諸君が半分も離職しておる、こういう諸君をもう少しまともにしてあげるというために、いわゆるつくってしまうものも、大型の橋梁も必要でしょう。だけれども、何でも来いというふうに備蓄をしていくというやり方は利口な方法だと思うのでございます。どういう方法で備蓄をするかということば専門家に任せるとしても、そういうところで円高のメリットを生かせということを提言したいのでございます。通産大臣いかがでしょうか。
○河本国務大臣 鉄の問題について御提言がございましたが、まず、鉄は基幹産業中の基幹産業でございますから、鉄が大幅に減産をいたしますと、非常に広範囲に深刻な影響が出てまいります。 現在の生産状態を申し上げますと、一年三カ月前は年率換算一億一千五百万トンの生産をしておりました。この五十二年度の第四・四半期、現在は九千四百万トンという水準まで落ち込んでおります。そういうことで、溶鉱炉の三分の一が火が消えておるというきわめて深刻な状態になっております。したがいまして、私どももその影響するところは非常に大きく、かつ深刻であるということを憂慮いたしております。 もし、いま塚本さんのお述べになりましたようなことを仮に実現をするといたしますと、この経済効果は非常に大きなものがあると思います。そして、きわめて早くその経済効果はあらわれてくると思います。私は、経済効果という面から言えば一番早くて一番大きい、このように思いますし、それからさらに外貨減らしという御指摘がございましたが、もちろんその面でも大きなプラスだと思います。それから外国との長期契約を、約束を破らぬで実行できるじゃないか、こういう御提言もございましたが、それもそのとおりだと思います。それから経済の安全保障、こういう面からも大きな意義があると思います。ただ、むずかしいのは備蓄のやり方だと思うのです。業界としてはいま非常に体力が衰弱をしておりますし、幾つかの問題点を抱えておりますから、業界の力ではなかなかやりにくい。そこで、やはりこれをやるとすれば国がある程度力を貸しまして、そして業界の負担にならないような形で、いま申し上げた、また御指摘になりました幾つかの問題点を解決するような方向で研究をしなければならぬと思います。 大変有意義な御提言でございますので、関係方面と十分相談をいたしまして検討を続け、至急に結論を出したいと思います。
○塚本委員 さすが経済人だけあって、通産大臣は前向きの答弁をしていただいて、うれしく思います。これはあくまで塩づけにしていただかないと何もなりません。かえって重荷になるのじゃだめなんでございます。雇用が拡大される。少なくとも一万人あるいは二万人と言っている、これを食いとめて、そしていま崩れつつある中小企業、下請企業を何としてでも守ってあげなければいけない。こういうところまで崩れたら、心理的に、もうこれは基幹産業までだめだぞ、ということをぜひ食いとめていただくように強く希望いたします。幸い、すでに非鉄金属等は四百五十億円かけて備蓄をやってきておりますので、どういう形がいいのか、あくまでその点は専門の当局にお任せをいたします。これは国家が責任を持って備蓄をさせるような方向、形についてはお任せいたしますけれども、雇用不安をなくすこと、長期契約の対外信用を回復すること。アメリカ等にこんなにいやがられて、そして損をして安売りをしなくて、国が買ってきちっとプールしておいて、金利をつけても、やがて景気が正常になったときには十分に採算がとれるという見通しの中でこれを実行していただきましたならば、いわば、アメリカが食糧備蓄によって世界における食糧のプールをしておるように、日本は世界一の鉄ですから、その世界一の鉄がだめになることは世界の産業に影響を及ぼすことですから、もう鉄のことなら日本がプールしているんだ、高くなったらここが安く出して安くしてくれる。いわばインフレの峰を低くして、そして不況の谷底を浅くする。上と下の、この床と天井との間においてこそ自由経済というものは成り立つのであって、天井も何もなかったら弱肉強食の世界になるということを考えて、ぜひ具体的に実行していただきたいということを私は重ねてお願いをいたしておきます。 それから、同じように繊維はいま致命的な問題になっております。これはよく調べてみると、円が高くなって材料が安いのにかかわらず、国内における合成繊維のごときはナフサが一向に安くなっていないのでございます。通産大臣はかつて油の危機のときに一キロ二万九千円でお骨折りいただいたのですが、いまや国際相場は二万一千円にまで下がっておるのです。だからこの差が、どうでしょう、八千円からあるのです。こんなことじゃ、繊維業界にどれだけ政府がつぎ込んでやったって、これは焼け石に水になるのです。ところが、自分のところでよそからナフサを買ってこようと思っても、タンクがないものだから、石油業界がその足元を見ておってなかなか値段を下げてくれない、こういうことです。繊維産業及び化学製品に働く三百五十万がこのためにいま危機に陥っておる、御承知のとおりであります。この雇用対策のためにも一、通産大臣、乗り込んでいただいて、そうして値段を国際価格まで下げなさいという御努力をなさって、さっきの肉と同じように、産業界にも、円高のデメリット、しりぬぐいの仕事だけでなくて、もっといい仕事で、通産大臣、骨を折っていただくべきだと思うが、どうでしょうか。
○河本国務大臣 ナフサの価格は、ヨーロッパの水準と比較をいたしますと、確かに日本の水準はいまお述べになりました程度の差はございます。非常に大きな差はあります。そこで、現在五十二年度といたしましては、当初予定しておりましたナフサの輸入の七百五十万トンにプラスいたしまして百五十万トン、合計九百万トンの輸入をいたしまして値段の引き下げをある程度図っておりますが、ただ、いまお述べになりました価格の差はヨーロッパ渡しの値段と日本との価格の差ですから、ヨーロッパで買って、これをまた日本へ持ってくるということになりますと、その差は若干縮まるわけです。それにいたしましても相当大きな差でありますので、先般来、業界同士の話し合いが精力的に続いておりました。第一段階といたしましては、とりあえずは業界同士の話し合いである程度合意に達した線でひとつ妥結をしてもらいたい、抜本的には、非常に大きな差がありますから、これは少し時間をかけて業界の体質改善等を図りながら、政府もお手伝いをして解決をしたいが、とりあえずは業界同士の話し合いで処理してもらいたい、こういうことで、いま第一段階の最終段階に来ております。近く妥結をすると思います。
○塚本委員 このように、円高のデメリットばかりわあわあ騒いで、国民が暗いのですよ。材料も安くなってきた、だから国民に、こういうふうないい点もあるんですと、もっと明るい前向きの、政治は生きておるのだということで、うんと通産大臣、がんばってやっていただきたい。いまの鉄の問題にしても、肉の問題にしましても、ナフサの問題も、こうして安くなって入ってきました、そうしてこちらではこうやって国家の財産がたまっております。先日の本会議の御答弁のように、いわゆる三百八円と二百四十円の換算をしてみると一兆三千億円損いたしました、損いたしましたけれども、こういう安い物が入ってきて、国家にこういうものがあります。だから、損しただけぐらいは国家の財産として別に円高のメリットで残っております。こういうふうに国民に説明できるようにするのが生きた政治だと思うのでございます。それをどんどんやっていただいて、お札ばかり持っておるのじゃなくて、いわゆる札も金も非鉄金属もあるいは鉄鋼も、こういうものは国家の財産なんだ、全部総計すると、円高というものはマイナスもあるけれどもプラスもあるのだ、こういうことをきちっと操作するのが生きた政治だというふうに思いますので、うんとがんばっていただきたい。 中小企業問題に移りたいと思います。 公定歩合が四・二五%に下がりました。中小企業金融公庫という、一〇〇%政府の融資の金融が依然として、以前契約したものは九%のものも八・九%のものもあります。公定歩合の二倍以上になっておるのですよね。高利貸しでもこんなひどいことないぞという中小企業者の声が聞こえてまいります。これを一挙に下げて、六%までに下げるのが政策金融じゃありませんか。市中金融でさえもほとんど六%で貸しますよ。国だけがなぜ八%台、以前のものはまだ九%のも残っておる。これはお下げになるべきだと思いますが、どうでしょうか。
○河本国務大臣 中小企業金融は、新規のものは大分下がりまして、原則七・六%になっております。ただ、以前の金利の高い時代のものが相当残っておりまして、この分につきましては、不況業種に属する中小企業に限りまして、先般来、引き下げを関係方面と折衝をいたしまして決定をいたしました。これは八%台になっておりますが、ただ、商工中金だけは資金の調達方法が若干違っておりますので、なお九%をちょっと超えるところで残っております。
○塚本委員 通産大臣、八%とおっしゃったのですけれども、八%なんというのは、公定歩合四・二五%なんですよ。市中金利が六%で貸しているのですよ。これはやはりいけませんよ。少なくとも六%台まで下げるのが常識じゃないでしょうか。商工中金は、ワリショーという皆様方からいただいたそれは高い八%台の利息を払っているから、利子補給なり何なりしなければなりませんが、中小企業金融公庫という、一〇〇%政府が行っている金融機関ぐらいはすっと下げるような工夫をなさるべきだと思いますよ。もう一遍……(「総理、答弁」と呼ぶ者あり)総理という声がありましたが、総理大臣、いかがでしょう。金融の素人の判断というものがいま大事なときなんです。やりくりの形じゃなくして。もう一遍申し上げますよ。公定歩合が、日銀から出すのが四・二五%、市中銀行でも六%で貸しておるときに、下げたとおっしゃって七・六%、八%台が政府が中小企業育成のための特別安い金利でございます。おかしいじゃありませんか。これはやはり、技術的なことはお任せしますが、何らかお考えいただくのが筋だと思います。総理大臣、どうでしょうか。
○福田内閣総理大臣 これはいま通産大臣から申し上げましたように、過去に貸し付けいたしました貸出金のコスト、これはもう古い高金利のときのコストであるものですから、したがって、いま低金利になってきた、その低金利と歩調が合わない、こういうことになってまいりますが、新しいこれからの貸し付け、これはいまの金利水準のもとにおいて決められるところの金利でございまするから、これは安くなっている。古いお客さんの金利をいま下げるということになりますと、これはまたいろいろ財政措置の問題とか、そういう問題に絡まりますので、なかなかむずかしいのじゃないか、そのように思いますが、とにかく政府金融でありますから、国民が納得するようにしなければならぬ、こういうふうに思います。
○塚本委員 時間がございませんから、順々にきちっと総理にも御理解いただけるように説明申し上げることができぬのは残念ですけれども、金融機関というのが今度の一番犯人なんですよ、こういうふうにしたところの。日銀総裁も、最初に御注意申し上げたように、とにかく金が余っているからそれやれそれやれと言って、借りに行かなくたって、電話かけて呼びつけて、貸してあげるからどうだと言って、銀行だけじゃないんですよ、中小公庫まで、優良企業に向かって設備投資を勧めたんですよ。商社の買い占めだって設備投資の過剰だって、全部金融機関がリードして、こうしなさい、こうしなさいと言ってやっていたんですよ。それで、機関がそう言ってくださるからといってやったんです。中小企業金融公庫から借りるのは金利は高いけれども、政府が貸してくださるという、優良企業としてのお墨つきだけのメリットでございますと言っているんですよ、業者は。こんなことはいけませんね。最初のおつくりになった政府の考え方は、市中金利は高い、だから政府が奨励して産業回復のためにと言って出したのが、いまや反対になってしまっている。時代に即応しないやり方なんです。しかも、いま申し上げたとおり、以前に借りた人が犠牲者なんですよね。わざわざ呼びつけておいて、借りなさい、設備をしなさいと言って勧めておいて貸したのですから、こういうときになったら、金利はたな上げにさせていただきますからがんばってくださいと言ったって、私は罰は当たらないと思うのでございます。 だから、そういう意味でこれはもう一遍、いわゆるどれだけにするというところまでは、突然の総理に対する御質問ですからまだお答えいただけないとしても、既契約分について市中金利と比べて政府は恥ずかしくないかということです。だから、これは少なくとも六%——七・六%と通産大臣おっしゃったけれども、六%までお下げなさい。私たちの仲間で経営者がおりますけれども、書記長、ぼくは市中金利で、四・二五%で借りておりますよというのが、民社党の議員の中だっておるのですよ。優良企業ならば公定歩合の四・二五%の市中金利で借りていますよと言うのですよ。そこまで民間の金融機関はいわゆる協力しているのです。政府は倍じゃありませんか。これはいけません。何らかの形で——財源とかそういうことを聞いたら、それはやりくりはまた調べなければなりませんが、私たちはそんな力はありません。だが、国民の素朴な要望ですから、しかも以前に借りた人は、そういうふうに政府の勧めによって、生産計画にのっとって中小公庫から借り入れたところの人たちですから、政府にこれのめんどうを見ていただくということが必要だと思います。いかがでしょうか。
○村山国務大臣 お話の趣旨はよくわかるのでございますが、御案内のように、いま市中のプライムレートは七・六%、これが現在一番長期金利の安いところでございます。それに対しまして政府金融機関、特に中小企業金融機関は、御案内のように一番高いところで七・六、それから七・五、七・二、七、六・九五、六・九、たくさんございまして、それで、いま一番安いのは、今度法律でもって円高緊急対策がございますが、これは予算措置を講じまして五・五%にするつもりでございます。いまちょっと、通産大臣からの御説明がございませんので、それをつけ加えさせていただきます。 それからなお、既往の金利につきましては、御案内のように、特に高いものにつきましては不況業種その他手当ていたしました。しかし、金融は本来個別的事情によるわけでございますので、一般的に、非常にお困りの方、こういうものにつきましては、全部に対して銀行局長通達を出しておりまして、そして猶予なり条件変更なり、そういったことは個別にひとつ十分打ち合わせていただきたい、こういうことを申してその弾力性を図っているところでございますので、どうぞひとつ十分御利用願いたいと思います。
○塚本委員 わかりました。大蔵大臣、個別にそういうふうに折衝すれば、中小公庫も商工中金等も、市中金融は相当弾力的にやっているところもありますが、中小公庫についてもそういうふうに弾力的にやれるような指示は出るわけですか。
○村山国務大臣 さようでございます。それぞれ個別的事情に応じまして相談するわけでございます。
○塚本委員 わかりました。それではそういうふうにぜひ強力に指導しておいてちょうだい。いろいろなことでこれから、テレビごらんになった人が、電話かけてちょうだい、頼みますといっぱい来るのです。そのときに、違いますと言われると恥をかきますから、大蔵大臣、きちっとその点は考えに置いて金融機関に指示をしておいていただきたいと思います。 それから、銀行法の改正でありますが、わが党は歩積み両建ての禁止を法律的に実行しなさいということを強く要求いたしておりました。それからもう一つは、いわゆる大企業の集中融資ということ。物の買い占めをやったことも、あるいは今度の設備過剰も、大きいところにどさっと貸したということが最も大きな原因になっておるのです。それは経営者が予測できなかったということだから、一義的には経営者ですけれども、しかし、それについて拍車をかけたのは金融機関だと思うのです。大きいところにどさっと行くものだから小さいところに金が回らなくて、平均的な成長ができなかったということ等もあり、一つ危なくなるとがさつといってしまうので、銀行はいわゆる自己資本の一五%以上を同一企業に貸してはいけないということを民社党は提案いたしております。たとえば五百億の資本金のある都市銀行ならば、一つの会社に対して一五%だから七十五億以上は貸してはいけません。それ以上になりますとよそに金が流れていきませんということと、大きいところがひっくり返ったらその負担はどうするんだ、銀行が危なくなりますよということを言って、銀行法の改正を提起しておきましたが、銀行法の改正がどんな程度になっておりましょうか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○村山国務大臣 両建て歩積みにつきましては、御承知のように厳しい取り締まりをやっております。特に金利面で、もしそういうことがあるなら、その分は公定歩合に〇・二五%しかできない、つまり四・五%しか金利が取れないという厳しいあれがあります。それから両建て歩積みがありましたら、それはその貸付金と相殺できるということを契約書の中に書きなさい、これも励行さしておりますので、この方はいまどんどん減っておりまして、数字ははっきり覚えていませんが、たしか一・三%ぐらいになったのじゃないかと思っております。問題は、その債務証書をとらないで、いわゆるにらみ預金というのがあるわけでございます。これもいまどんどん下がっております。特にその場合には、いざというときには経営者の責任も追及するということを言っているのでございます。ただ、これを法律でどうするかということになりますと、これはいろいろなケースがございまして、債権者の方の利益でやっている場合もございますし、それから、ある意味で言いますと債務者の方の利益でやっている場合もございます。メーンをかえたいとか、いろいろなことでやっているのもございます。あるいは両方の利益が合致してやっている場合もあるわけでございまして、下手をして、それならやらないということになれば、信用度からいって金利が高くなる、それは自分たちの企業の信用にかかわることであるから、だからやらないという場合も考えられるわけでございまして、私はやはりこれは運用で厳しくやる方がよろしいなと、こう思っているのでございます。 第二点の大口規制の問題は、ちょうど石油ショック以後の昭和四十九年に出したわけでございます。御案内のように自己資本の二〇%、それぞれ銀行によりまして三〇%、四〇%、こういう規制を設けたのでございまして、それはいまそのまま運用しております。ただ、最近のように、先ほどいみじくも先生がおっしゃいました電力であるとか鉄鋼であるとか、これはいま大変な資金需要があるわけでございますので、あのときの通達の弾力条項を適用しないとかえって全体にまずい場合がございますので、そういった点はそういったことで運用さしていただいているわけでございます。 現在、銀行法の改正のもとでの審議の経過を申し上げますと、大口規制の具体的のやり方は、動態的な金融であるから、それを法律でやることはいかがなものであろうか。しかし権限だけは、つまり大口規制について具体的に監督できるという権限は銀行法の中に求めておいた方がいいのじゃないか。しかし、それを法律であるいは政令であるいは省令でやるということは、動態金融の立場からいっていかがなものであろうかというのが、いまの銀行法の改正の大体の経緯でございます。 ちょっと間違いました。先ほどの預金金利の方は、預金金利プラス〇・二五%でございます。ですから、一年ものでございますと……。
○塚本委員 それはわかっています。もう時間が少ないから、一、二どうしてもお聞きしておきたいことがありますので先に進みますけれども、銀行法の改正をやはり具体的に、二〇%と言わず一五%になさった方がいいのです。それで、基本的にいろいろ御調査なさっておいでになるようだけれども、企業なんか調べるのだったら、いろいろなことをおやりにならなくたって、つぶれた企業を見てみたら、どういう指導の仕方をしてこういうふうになったかということがすぐわかるのですよ。どうでしょう、この際、安宅産業の社長さんと、貸した住友銀行でもお調べになったら、すっとわかるのですよ。そんなことをおやりになったら一度にわかるのですよ。こういう轍を踏みなさるなということをおやりになった方がいいんです。どうでしょう。
○村山国務大臣 これは第一義的には、言うまでもなく銀行がみずからの責任において企業とやるところでございますが、問題になったケースはもちろん大蔵省の方では大体調べておることで、将来の銀行の貸付態度についての指導方針にしているわけでございます。
○塚本委員 最後に中小企業の問題、通産大臣に強く御要望申し上げておきますが、中小企業者のおやじさんが亡くなって、息子さんが後を経営しようとするとき、株を譲渡します。そのときに——これは通産大臣より大蔵大臣になりましょうか。株の譲渡になりますと、中小企業というのは、大企業と違いまして交際費を余り使いませんで、内部留保を非常に一生懸命やりますから、五百円の株でも、大体評価してやりますると三千円とか五千円とかという評価をするのです。そうしますと残った金額について、五百円できちっとやっても、あなたのところは三千円の評価でありますから二千五百円は贈与でございます。これが千株になりますと二百五十万円、二千株になると五百万円の贈与でございますということで、がっぽりこれで贈与税を後から取られるのです。売ろうとしてみたって、それじゃ三分の一工場を切って持っていってちょうだいというわけにいきません。だから、これを売るということで大騒動をするのです。資産評価であると言ったって、従業員もおりますし、あるいはまた借金の抵当に入っているときにおやじが亡くなったということでやりますと、経営ができなくなってしまうのです。ところが税の徴収が、いま非常に苦しいものだから、苛斂誅求とは申し上げませんけれども、きちっと細かくやられますると、結局のところだめになってしまうのです。だからそれをねらって、親会社が株を買ってやろうということやなんかをして、系列化でみんな取ってしまうという形が出てきてしまうのです。だからこの際、相続に対しては、農業者の場合、後継者が、二十年間ですか、農業をやる場合においてはこういう条件という緩和がありますように、中小企業の場合も経営を続行するためには、やはり特別に、そういう株の譲渡はきちっとしなければなりませんが、評価替えの算定だけは考慮をしていただきたいと思います。最後にこのことを御質問申し上げて、質問を終わります。
○村山国務大臣 これは政府委員の国税庁長官から答弁してもらいます。
○磯邊政府委員 ただいま先生御指摘の中小企業、特に同族会社で上場されてない株式の相続税並びにそれの譲渡された場合の贈与税の計算の問題でございますけれども、その評価の問題につきましては、まず個人の財産の評価とのバランスを考えてわれわれが計算しているというのは御高承のとおりだと思います。つまり会社の規模に応じまして、大法人、中法人、小法人に分けまして、それぞれ類似業種比準方式、それから純資産価額方式、それからその両者の組み合わせというようなことをやっております。したがいまして、われわれが評価をいたしますときには、個人の相続財産と、それから会社の経営者の、会社形態をとっているがゆえにその相続財産の価額というものがアンバラスがあるといけないということで、このバランスを中心に考えて、現在のやり方につきましてはそのバランスはとれているものとわれわれは考えておるわけであります。ただ、御指摘のように、経営者外で、そういった同族法人で経営にそれほど関係のない一般の同族株主、その人につきましては、同族会社の一般株主とのバランスを考えまして、その評価を緩和する意味におきまして、現在学識経験者にお集まりいただきまして、緩和の方向でいま検討しているということでございます。 なお、御指摘ございました納付の問題につきまして、御承知のように相続税の納税の猶予につきましては、一般の場合は五年でありますけれども、特にそういった同族会社の役員の方等におきましては、その株式を発行している会社が保証をすることによって、これを十五年間延ばすという方式をとっていることは御高承のとおりでありますけれども、かねがね御指摘ございましたので、ただいまこの評価の方法につきましてはせっかく検討中でございますので、その点御了承をいただきたいと思います。
○中野委員長 これにて塚本君の質疑は終了いたしました。 次に、不破哲三君。
○不破委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、経済の問題、それから安保、防衛の問題、それから大学問題、こういう問題を中心に、政府の内外政策について総理以下関係閣僚に御質問したいと思います。 まず最初に経済の問題ですが、円高問題、これは昨年の年初めの二百九十円台という円レートが、昨年末には二百四十円台にまで下がって、それが数カ月推移している。こういう中で日本の経済や産業には大変な困難が生まれたわけですね。これはもう御承知のとおりですが、そういう状態の中で、日本の特に輸出関連産業、これがまず最初の直接の打撃を受けたわけですが、輸出関連産業、特に中小企業の多い諸産業が、二百四十円レートという現在の円高の状態でどういう困難な状態にあるのか、政府がその点をどう認識されているか、最初に河本さんから伺いたいと思うのです。
○河本国務大臣 今回の急激な円高の影響は、輸出を中心とする中小企業には非常に大きな致命的な影響が出ております。そこで、二、三日前に円高対策のための中小企業の緊急対策を決めていただいたわけでございまして、これをできるだけ早く実行に移したいと考えております。
○不破委員 それで今度の予算案、それから政府の財政経済政策全体が、そういう円高に対して日本の経済や産業、特に困難な条件に直面している諸企業をどう守るか、国民生活をどう守るか、そういう角度から一つの柱にして編成され、打ち出されているということは、総理以下、そのたびごとに強調されていることですが、その円高対策という場合、二百四十円レートという状態の中で日本経済がどう生きていくのかという対策もあれば、二百四十円レートというレート自体が非常に問題だから、この円高自体を解決する、つまりもうちょっと実勢に近い円安の状態をつくり出す、こういう政策目標を立てること、これも対策だと思うのですが、その点で私はまず伺いたいのは、政府は来年度七%成長とか、それを実現して国際収支の黒字を減らすとかいう目標を立てておられますが、そういうことを実現することによって円レートそのものはどういうところへもっていかれようとしているのか、その点の政策目標を明確に持って仕事をしているのかどうか、その点、総理にまず伺いたいのです。
○福田内閣総理大臣 ただいま変動為替制にありますものですから、為替は実勢によって動くほかはない。そこで、特定のレートを想定いたしましてそれに近づけるという、そういう政策運営はいたしておりません。おりますのは何かというと、変動為替制でありますから実勢に応じて為替相場が変動する、変動しますけれども、その変動が乱高下といいますか急激なことにならないように、そういう配慮でやっていくということなんです。 予算もそういう配慮が大前提で編成されておるということは、いま昨年を顧みてみますと、為替が国際的に非常に不安定だった、その要素はアメリカの国際収支が大赤字である、こういうことも一つ。それから、わが国の円の場合におきましても、それにかてて加えまして、円といいますか、わが国の国際収支が大変な大きな黒字状態であった。この日本側とアメリカ側の原因が両々相まちまして、円為替の不安定、それから昨年の九月末以来の急上昇、こういう現象になったわけですね。 そこで、わが国とすると、アメリカに対して、アメリカの赤字状態を是正することを求める、これは一つ大事なことです。同時に、わが国自体といたしまして黒字の是正、そのためにはやはり内需を振興するということが非常に大事なことになってくる。その内需の振興とすると、ほかに手段がないものですから、財政にその役割りを求める、こういうことにいたしております。
○不破委員 いまの、変動相場制だから特定な目標を持たぬという総理の発言なんですが、総理自体が、去年の円の急上昇は予想もしないことだった、こういうふうに言われているわけですね。そして、その予想もしない急上昇の結果、二百四十円というレートに到達しているわけだが、質問を変えてみますと、では一体、このレートが日本の円の値打ちから言って、実際の力から言って妥当なもので、この程度のレートで大体今後の経済の運営、産業の運営あるいはいろいろな経済活動を考えていかなければいけないと思われているのか、それともそれは、総理がいろいろ説明しているように、アメリカの国際収支のドル不足、石油の輸入とか、それによるアメリカのドルの問題とか、あるいは日本の国際収支の黒字の大幅な累積、そういう原因によるもので、その原因を取り除いていく努力によって円がもっと落ちついた相場に安定していくということを目指しているのか、私はその点を伺いたいのです。 というのは、たとえば円の値打ちのはかり方というのはいろいろありますけれども、実際に円高と言うけれども、国内で暮らしている国民の使う円が非常に値打ちが高く上がっているわけじゃないのですね。たとえば一九七一年の十二月に、スミソニアンの協定で円が三百八円に決められた。それから現在まで、アメリカと日本の国内のドルと円の値打ちがどれくらい変動しているかということを調べますと、消費者物価にしてみるとアメリカが、そのときから去年の夏の数字が出ていますが、最近の数字で大体四九%の上昇ですよ。ところが日本の消費者物価は、同じ期間に大体九一%ふえているわけですね。だから、国内で消費者が物を買う購買力という点で値打ちを見ると、スミソニアンで三百八円に決めたときから現在までの変動は、むしろ円の方が値打ちが下がっている。ドルの方が国内の購買力から言えば値打ちが上がっている。それから卸売物価で見ますと、大体同じ期間にアメリカが六九%、日本が七〇%ですから、これは大体とんとんですね。だから、国内で消費者が物を買ったり、あるいは企業が物を取引したりする円の購買力、国内の値打ちという点から言えば、むしろ円の方が割り安になっていて、ドルの方が割り高になっている。マルクとドルの関係は逆になっていますから、この面ではマルク高になるのはある程度うなずけるわけですけれども、そういう点で、国内の購買力、値打ちという点から言えば円安になっているのが事実なのに、それが国際的な為替取引になりますといろいろな事情で、特に日本の国際収支の大幅な黒字の累積、アメリカの赤字の累積、こういう両方の事情が大きいわけですが、それによって急激な円高が生まれている。 この事態を認識したときに、この値打ちのばかり方はいろいろあるのだけれども、政府がこれから国際収支も減らす、国内の経済成長も高める、そういうことで円高対策を立てるという場合、こうやって実勢以上に上がった円を、抑えて下げる方向に目指すのか、それとも、ともかく二百四十円ぐらいのレートでこれはがんばるから、このレートでやれるように国内の経済の立て直しといいますか、それを図るという立場に立つのか、あるいは円高という傾向はこれからさらに続いて、二百三十円、二百二十円になるかもしれない、そういう前提で経済の運営に当たるのか、これは政府の円高対策の目標としては、ずいぶん違った結果が生まれると思うのですね。その点で、変動相場制だからそういうことはわからぬということであきらめないで、ともかく来年の経済を目指し、再来年の経済を目指して日本丸の運営をやろうという福田総理ですから、こういう点ではどういう政策目標を立てられておるのか。二百何十何円という細かいことまで聞きませんが、このいまの二百四十円というレートを大体あきらめて、このままで行こうとしているのか、それともこれを緩和することによって、より実勢に近いものに円を引き下げることによって日本経済の再建を図ろうとしているのか、その大筋のところを聞かしてもらわないと、政府の円高対策の趣旨というものがはっきりわからないと思うのですね。七%成長ということも、アメリカから文句を言われない程度に問題解決するという意味なのか、国民が悩んでいる二百四十円の円高を解決する手段なのか、それにもかかわるわけですから、明確な見通しといいますか、政府の意図するところを伺いたいのです。
○福田内閣総理大臣 どうも不破さんはなかなか引き出しが鋭いというか、あるいはお上手といいますか、ですが、これはなかなかひっかかりにくいのです。つまり、まあ私が円はいま高過ぎると考えるか安過ぎると考えるか、こういうことになってくるわけで、高過ぎる、こういうふうに考えるとすると、もう少し安くするということになるのだろうし、安過ぎるというふうに考えるなら、もう少し高くする政策をとるだろう、こういうふうにおとりになるだろうし、お答えはなかなかこれはデリケートでありまして、お答えいたしがたいと言う方がむしろ素直かもしれませんけれども、これは私は、どういうふうに答えるか、デリケートな問題で、非常に重大な影響もありますので、ぜひ御勘弁願います。
○不破委員 黙秘権を行使すると言われるのでしたら、これはそれ以上聞いても押し問答になりますから言いませんが、私は、言う言わぬにかかわらず、いまの日本の円の実勢を考えると、これは引き下げるという政策目標を立てて、そのために経済成長を図るとか、そのためにこういう財政政策をとるとか、そのためにこういう国際収支対策をとるとか、そういうものが柱に立たないと、何か円高でヨーロッパでもアメリカでも輸出の問題で評判が悪いから、それで、なだめるだけの国際収支政策ということになったのでは、本当にいまの円高不況から脱却するための政策という意義づけが国民には納得しかねると思うのですね。この点はやはり内心のうちでも大いに研究、検討されて、私たちは、いまの三百八円レートから現在までの円の値打ち、ドルの値打ちの変動から考えても、少なくともどう控え目に見ても、去年中小企業庁が調べられて、中小企業産業では二百六、七十円レートが採算ぎりぎりラインだという結果も出ていますけれども、少なくともそこまでは円を引き戻すという決意で、福田さん断固たる決意とよく言われますが、ここでおっしゃらないでもいいから、そういう決意で当たっていただきたいということを申し上げて、次へ進みたいと思うのです。 それで、その決意——決意は私が一方的に言ったのだから押しつけませんが、そういう気持ちでいまの円高問題を考えるとき、円高の原因は何か、それをどういう政策で取り除くかという問題をやはり突っ込んで考える必要があるわけですね。それには、国際問題ですから外国の側の事情もあります。これについても昨年来いろいろ議論されてきました。私どももそれについて言いたいこともうんとありますが、同時に、日本の国内の側の理由ですね。外国の側の問題は交渉で解決するものですから、日本だけで気張って片づくわけではないわけですけれども、日本の国内の円高をもたらした理由、特に円高の引き金になった国際収支があれだけ急激に黒字が累積したという問題は、原因の主なところを見定めてそれに手当てをしないと、ただ経済成長だけで考えてもこれは片づかないわけですね。 それで、この点は本会議でも、衆参両院通じて何回か伺っていることですが、この国内の原因について、総理は、国内が不景気だったからぐあいが悪いんだ、これは景気を立て直して七%成長すれば、円高をもたらした国内的な原因の大半は解決するということを大体言われてきましたが、私どもは、輸出の急上昇をもたらした問題についてメスを入れないと、ただ成長論だけではこれは解決がつかないだろうということを考えているわけです。その点についてこれまでも何回かお聞きしたのですが、輸出の急上昇をもたらした根本といいますか、日本の経済の構造問題にメスを入れないでも、景気の伸長を図って七%成長を実現すれば黒字の累積は解決できるというようにお考えかどうか、その点、改めて念のためといいますか、伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 不破さんは、今回の円高といいますか、経常収支の大幅黒字、この理由を日本経済の構造に主たる理由があるのだ、こういうところに結びつけてお考えになっておられるのではないか、そのように思いますが、私はそうは思わないのです。そういう側面も全然ない、こういうふうに全部は否定してかかりませんけれども、一番大きな理由は、石油ショック後世界が大混乱をした、その大混乱いたしました国々の中で、わが国がそのショックからの立ち上がり、これを最も成績よく能率よくやってきた、その結果というものが去年、おととしぐらいに至ると相当はっきりしてきた、特に物価の、その物価の中でも卸売物価、これは貿易物価でありますが、これが非常な安定基調になってしまった、そこへ持ってきて、たまたまアメリカを中心といたしまして世界が、貿易だ、経済の成長だ、そういういろいろな角度から見ましてわりあいに活発な景気上昇の傾向を示したわけです。その日本のショックからの立ち上がり、それのぐあいがよかったということと、世界の空気が一昨年の下半期に大変明るいものになってきたというのが重なり合いまして、わが国の輸出急増という現象が昨年後半に顕著にあらわれてきた、こういうふうに見ておるのでありまして、私は構造的な要素からだというふうな受け取りをいたしておりませんです。多少そういうことはあるかもしれませんが。
○不破委員 構造的な要素を多少認められたのは、本会議よりも多少進んでいると私思うのですけれども、しかし、この問題を考えてみますと、たとえばいまドルショックのときの話をされましたが、ドルショックの後、世界全般が大体不況にかなり見舞われたわけですね。ところが、それからの輸出の広がり方を見ますと、世界全般が大体、七三年から七六年、どの国を調べてみても、輸出のふえ方というのは一・五倍から六倍なんですよ。ところが、日本だけがその中で一・八倍という際立ったふえ方をしているわけですね。 それで、私がなぜ構造と言うかといいますと、その輸出のふえ方というのは、日本の輸出関連産業が全部一様にふえているわけじゃないのですね。集中豪雨型といって有名になりましたが、自動車、鉄鋼、それから電機関係ですね、この三つの部門を合わせただけで実は日本の輸出総額の大体四〇%ぐらい占めておるわけですけれども、この部門が何とぞの三年間に二・一倍にふえているわけですよ。これを引いて、それ以外の部門の輸出のふえ方を見ると、大体一・六倍ですから世間並みなんですね。世界のイギリスやドイツや何かがふやしている輸出の量と、いま言った御三家と言われる鉄鋼、自動車それから電機関係以外の部門がふやしている輸出の量はとんとんなんです。この御三家だけが非常に異常な、三年間で二倍以上というふえ方をしている。だから私は、ここで構造問題ということを考えざるを得ないと思うのですね。 政府のこの「やさしい経済白書」というのをちょっと読んでみますと、この輸出がふえたのは「日本の商品には海外市場で他の先進諸国の商品を上回る価格競争力」があったからだ、つまりその価格競争力は全般にあるわけじゃないので、ほかの産業はみんな二百四十円レートになると大変なんですけれども、その中で際立って価格競争力の強い、非価格競争力もありますが、こういう産業が中心になって輸出を急増させた、この問題を見ないと私は円高対策というのははっきり出ないと思うのです。私も計算してみました。この前、参議院の本会議で宮本議員が質問したときに、日本の輸出と言ったって全部がやっているわけじゃないので、大手の五十社が日本の輸出の五〇%を占めているという発言をしましたが、もっと突っ込んで考えてみると、いま言った鉄鋼の五社、新日本製鉄、日本鋼管、住友金属、川崎製鉄、神戸製鋼、それから自動車の五社、トヨタ、日産、いすゞ、東洋工業、本田技研、それから電機の五社、日立製作、東芝、松下、三洋、ソニーですね、この十五社で計算してみると、七六年度には日本の輸出全体二十兆円弱の三割の六兆円を占めているのですね、輸出を。七三年から見てみると、七三年にはこの十五社で二兆七千億円台の輸出、七四年には四兆円の輸出、七五年には五兆一千億円の輸出、七六年には六兆七百億円の輸出、大体毎年一兆円内外この三産業の十五社だけで輸出がふえている。一兆円の輸出増と言ったら、これはそのときのレートによって違いますけれども、国際収支でいいますと三十億ドル台から四十億ドル台ですね。それぐらいこの三産業の大手五社、十五社だけでふやしているわけですよ。 私は、やはり日本の輸出の問題を考える場合に、全般を一律に考えるのじゃなしに、実際にこういう異常な輸出のふやし方をしている、そしてその結果が国際収支の黒字になり、円高になり、その結果が日本経済、産業全体に被害を及ぼしている、この構造の問題にメスを入れないと、ただ大ざっぱな——大ざっぱと言うと悪いんだけれども、国民総生産の総合計算で七%とかいうことだけ言って輸入の増だけを期待したのでは、いまの国際収支の問題、それから外国との関係においても、福田さんが期待されるような結果は生まないんじゃないか、どうしてもここにメスを入れる必要がある、こういうふうに考えるのですが、お考えいかがでしょうか。
○福田内閣総理大臣 非常に明快に申しますと、輸入、七%成長という成長政策ばかりに頼らぬでほかのこと、不破さんの話では国内経済の構造問題に思いをいたせ、こういうようなお話ですが、何ですか、輸出の方の規制、これをしたらどうかというお話かとも思うのですがね。もしそうだといたしますれば、もういま今日この時点で、輸出でそう諸外国から非難を受けている、こういう問題はないのです。一昨年の下半期には確かに集中豪雨というようなことで諸外国に御迷惑をかけた、そういう傾向もあったものが一部にあったと思うのですが、いまそういう問題がない。私どもが、しかし将来そういうおそれが出ちゃ困るなと思っておるのは自動車の関係でありますが、これは政府も業界も、国際の動きがどういうふうになっているか、これからは非常に注目しておりますが、その他につきましては、私どもの気づく範囲におきましては輸出の面においてそう問題はない。もしそういう問題がありそうだということになりますれば、業界で自主的にやるとか、あるいは政府が発動いたしまして指導いたしますとか、いずれにいたしましても国際社会に迷惑をかけるというようなことはないようにいたすという考えでございます。
○不破委員 私がそれを言いますのは、結局こういう産業では、先ほど経済白書を引用しましたけれども、他の国に比べても非常に高い国際競争力、価格国際競争力、つまり低コストで物をつくって輸出する、これが力になっているわけですね。それで、この低コストというのが、これがただ技術が進んで、もうどこへ出しても恥ずかしくない条件でその低コストが実現されているというのならば、これは日本の経済力の発展として大いに評価できるけれども、実はそうでない。いままで国際競争力を高めるということをいわば至上の命題にして、競争力が高くてコストが低いのが日本の資本主義で美徳だということになっていて、高度成長のときにもずっとそれでやってきているわけですね。私も鉄鋼産業に関係していたことがありますけれども、組合の側からですが、鉄鋼でも十年、二十年前には、いかにして国際競争力を高めるかということで、これが柱になればどんなことでもがまんもするし協力するという雰囲気が、産業全体非常にありました。ところが、この三つの産業が非常に高い国際競争力を持った結果、それが日本の高輸出、鉄鋼で言えば、ある時期には世界の総貿易量の二七%を日本で占めるような、そういう状態までつくっわけですけれども、そういう状態をつくって、その結果が円高になって響いてくるのだとしたら、これはそれぞれの企業の努力に任せるということでは済まないはずになってくるわけですね。しかも、私は後から言いたいと思うのですが、その低コストの下には、実は近代的な日本の経済から言っては考えられないような暗い部分がいまだにある。それがいままで国際競争力の増強という大義名分で、いわば日が当たらないで来たんだけれども、こういう事態になってくると、ここに日本の政治としても経済としてもメスを入れないとこの問題は解決しない、そういう見地からお聞きしているわけなんです。それで、最近も一聞いたのですけれども、たとえば、いま福田さん、自動車が心配だと言われましたが、日産自動車がことしの正月の下請系列を集めた新年会で、二百二十円レートに備えて、二百二十円まで円が高くなってももうかるように単価を引き下げろという指導方針がずっと流れているという話を聞きました。東芝でも同じような方針が下請の系列に流れている。つまり、そういうことで低コスト体制がさらに強化されて輸出ドライブがかかっていく、これがまた、いまの二百四十円さえ崩してもっと円高を激しくしてこういう悪循環に入り込んでいく、そういう心配を非常に持っているわけですよ。 具体的に言いますと、さっき政府の白書にもあったように、こういう産業の国際競争力は価格の面でも非常に高い。その秘密はどこにあるかというと、技術ももちろんありますけれども、大きく言って二つあると思うのです。 一つは、日本の本工労働者ですね、この本工労働者の賃金がまだヨーロッパやアメリカに比べても低いけれども、それだけじゃなしに、一人一人が働かされている量というのはけた違いに高いわけですね。これは、労働環境とか労働時間とか賃金という面では立法もありますし、組合もなかなかがんばっていろいろやるから、この面ではいろいろ問題が前向きに進みやすいのだけれども、たとえば一人の労働者がどれだけの機械の台数を持つかとか、コンベヤーのスピードをどれくらいにするかとか、そういうことに関しては歯どめがない状態ですね。だから最近も、ある研究者が、同じ機械産業の日本とヨーロッパを比べてみて、日本では労働者が同じ機械を八台持っているのに、フランスでは三台しか持っていない、イギリスでは二人で一台持っている、この点のけた違いの働かされ方に驚いたという話をしていましたが、ここに私は一つ問題があると思うのです。 もう一つの問題は、本会議でも瀬長議員から伺いましたが、社外工、下請の問題ですよ。これは、たとえば典型として少し例を挙げてみますと、鉄鋼で言いますと、いまアメリカのUSスチールが、たしか従業員十八万七千人くらいで年間大体三千万トン台の生産、いま不況で落ちていますが、やっています。 〔委員長退席、山下(元)委員長代理着席〕 ところが、新日本製鉄は従業員八万人で、いまUSスチールよりもたくさんの粗鋼生産をやっているわけですね。これくらい違う。これは何かというと、八万人の新日本製鉄の本工労働者のほかに七万人を超える社外工が働いているからなんですね。これが非常に低い賃金、労働条件で働いている。こういう形で鉄鋼ではやられている。自動車はどうかといいますと、自動車ではトヨタがいま四万五千人の従業員で、昨年で言いますと、大体年間二百六十万台の生産をした。ゼネラル・モータースはどれくらいいるかというと、七十三万五千人の従業員で、これは七四年の数字しか手に入りませんでしたが、六百六十九万台の生産ですね。生産は三倍足らずだが、従業員は十八倍の従業員でやっている。フォードを見ると、四十六万五千人の従業員で五百万台の生産をやっている。生産は二倍弱だが、従業員はやはり十倍以上。この違いがどこから出てくるかというと、これは皆さんも御承知だと思うのですが、トヨタの場合で言いますと、トヨタの下に二百社、三百社と言われる部品メーカーが下請的にある。その下に二次、三次、四次、五次まで下請のピラミットがあって、下は、本当に家族だけで働く下請業者から、従業員九人、十人というような小さい業者から、全部で、数を数えたことはないので正確な数字は私もわかりませんが、数千に上る業者がトヨタの生産を支えておる。ここに日本の生産の特色があると思うのです。 私は、これを全部本工に切りかえてアメリカ並みにしろということを言っておるわけではない。しかし、この日本の近代産業を支えておる下請とそれから親企業の関係、これは本当に公正なといいますか、ちゃんとした取引関係にあるのかというと、ここに国際的に持ち出せないような実に暗い関係があって、支配的だ、こう考えるから、私はその問題を日本経済の大きな問題として取り上げてみたいと思っておる。構造問題というのはそういう点なんです。この問題、具体的に質問;その点でおわかりでしょうか、私の問題提起した意味は。
○河本国務大臣 貿易の基本的な問題について問題点を提起されたわけでありますが、まずその前に、やはり日本は資源が全然ない国でありますし、それから人口が非常に多い、こういう世界でも一番不利な条件にあるということを考えなければなりませんし、それから、わが国は貿易立国である、貿易によって国が生きておる、こういうことを考えなければいかぬと思うのです。 それで、二、三の業種の国際競争力の問題、貿易関係の問題を御指摘になりましたが、しかし、鉄などでもこれから気をつけなければならぬ点は、中進国の追い上げが非常に激しいということであります。たとえば、昨年の鉄の貿易のおよそ一割以上は、最近急速に中進国が追い上げて、占めております。低賃金でありますし、かつ近代技術を生産設備に取り入れておりますので、競争力がますます強くなりつつある、日本は追い上げられる立場にある、こういう状態でありまして、決して将来楽観できる状態ではありません。 それからさらに、国際競争力のことについてお話がありましたが、日本産業全体にまんべんなく国際競争力をつけるということは不可能なんです。中には、どうしても国際競争力がだんだん失われまして貿易戦線から脱落する、こういう業種もあるわけですね。だから、将来国際競争力の十分維持できるという業種を育成いたしまして、そして貿易立国としての立場を堅持していかなければならぬ、こういうことでありますので、やはりいろいろな角度から物事を判断しなければならぬと思います。
○不破委員 それで私、この問題は、下請といいますと、通産省の調査でも、大体日本の中小企業の六割を占めておるわけで、非常に大きな問題だけに、ひとつ具体的な事例で御質問したいと思って、トヨタの関係ですね、これはたまたま例として選んだので、特別にトヨタに個人的な怨恨があるわけじゃないのですけれども、その例として選んだのでそれで申し上げますが、現地にも何回か行って、足を運んで調べてみると、非常に問題が山積しておるわけですね。 それで、この点では公正取引委員会の委員長にもおいで願っておるはずなので、いまの下請立法に照らしてもどうかということも伺いたいのですけれども、たとえば、トヨタで有名な方式にかんばん方式というのがあるのです。これはかなり前に開発された合理化の方式で、生産ラインをずっと動かしているときに、それぞれのラインで必要な部品を在庫にためないために、ジャスト・イン・タイムといって、必要なときだけそこに持ってこさせる、そうすれば部品在庫が要らなくて、経費が少なくて済む、簡単に言えばそういう方式らしいのですが、その方式を取り入れただけで半期数百億円利益が上がったと言われるくらいのものなんですね。それを自分の社内の合理化の手段としてやるのならば、まだ被害が外に及ばないわけですが、最近の特徴というのは、いまでは一次の部品メーカーもその式でやられ、二次の部品メーカーもそれでやられるということで、小さい業者まで含めて三次、四次、五次という下請業者全般にその影響が及んでおる、これが最近の特徴なんです。それで、下請代金支払遅延等防止法では、まず第一に、公正取引委員会などの指導として、業者に発注する場合、納期やそれから値段や量や、そういうものを書面によってきちんと発注する、その書面に従って納品させるということが、たしか下請関係の指導の大前提といいますか、いろいろな点で問題を解決していく大前提として、公正取引委員会も中小企業庁も重視していると思うのですが、その点は、たしかそうですね。
○橋口政府委員 お尋ねがございました一番最後の点からお答えを申し上げたいと思いますが、御指摘のとおり、親事業者が下請事業者に対しまして発注をいたします場合には書面の交付が必要でございます。また、交付すべき書面に記載する事項につきましても委員会規則で定めておるわけでございます。発注数量、金額、支払い期限等がその内容となっております。
○不破委員 ところが、そのかんばん方式なるものの影響がいま下の下請の方にまで広がっておる。すると、この根本が変わってくるわけですね。確かに前の月に注文書が来るのです。しかし、これは内示と書いてあって、これはいわばごく大ざっぱな予定であって、それに従って仕事をしたのでは間に合わないわけですね。実際の注文は前の日に電話で来る。それで、前の日の三時に注文が来て、翌朝十時までには全部届けろ。ひどい場合には、大体毎日四回届けさせられるわけですね。十時、三時、十時、三時とか、九時半、十 一時半、一時半とか、一つの部品をその生産の流れに応じて三回も四回も届けさせられる。しかも、どれだけ注文が来るかということは前の日の発注書もには書いてないわけですから、徹夜しなければ間に合わないような量がいきなり来ることもあれば、翌日全く遊んでしまうこともある、こういう発注の仕方に、かんばん方式の結果、かなりのところは変わってきておるわけですね。私が聞き取りした業者でも、相当数の業者がそういう点で苦情といいますか、悩みを言っていました。そして、徹夜しなければできないようなものがいきなり来るから、あらかじめ見込み生産をしている。車種が変わったときには、全くそれは見込み生産だから業者の負担になる。こういうやられ方が——政府の方は下請振興基準で、納品の仕方を合理化せよ合理化せよ、下請の利益を守るようにせよという指導をしているはずなのに、そういう逆行する仕方が実際に進んでいる。 公取委の委員長に伺いたいのですが、そうやって実際の発注が注文書以外のやり方でやられるということが支配的になった場合、これは下請法の第三条に対して疑義があるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○橋口政府委員 トヨタ自動車工業のかんばん方式につきましては、昨年から当委員会でも問題として取り上げておるわけでございますが、正確に申しますと、昨年の三月七日に日頭で注意をいたしまして、最終的には七月に問題の解決を見ておるわけでございます。 当方から指摘をし、指導いたしました事項といたしましては、ただいま御指摘がございましたように、注文の内容をはっきりするということが第一点でございます。注文書の記載事項を明定するということでございます。 第二点の問題は、お話にもございましたように、最初に納入の内示量というのを決めます。その内示に従って実際に生産をして、所定の時間までに所定の量を届けるわけでございますが、最初の内示の量と届けましたときに実際にトヨタが買い入れます数量との間に相違が出てまいりますと、これは下請事業者にとっては大きな問題でございます。また、内容によりましては下請代金支払遅延等防止法の違反にもなるわけでございまして、まず内示数量とかんばん数量との一致を図ること、これが第二点でございます。 第三点は、かんばん方式を強制しないということでございます。下請事業者がかんばん方式を欲しない場合には通常の注文形態をとるというのが第三点でございます。 第四点といたしましては、モデルチェンジ等の理由で、発注した部品を引き取らない場合には適正な損害賠償をする。 この四点につきまして指導をいたしまして、当方の調査では、七月に最終的な返事がございまして、その後の状況をフォローいたしておりますが、トヨタ自動車工業に関する限りは、先方の当方に対して報告いたしました内容の施行について大きな問題はないという確認をいたしております。 ただ、第二点の問題といたしまして、トヨタ系列の諸会社にかんばん方式が波及しているという問題でございますが、この点につきましてもいろいろ問題についての指摘を受けているわけでございまして、こういうケースにつきましても、トヨタ工業に対すると同じ方針で今後指導をいたしてまいりたいというふうに考えております。
○不破委員 私が調べたのは七月一日以後の状態ですから、公取委で調べて解決したという以後に依然としてそういう問題がある。ここにはやはり、いまの法律の問題点もあるのです。いまの法律は、トヨタ自動車が直接発注する一次の部品メーカー、この関係はトヨタの責任になるけれども、そのずうっと末端までは責任が及ばないという仕組みになっているわけですね、この法律自体が。ですから、トヨタが直接発注する大きな部品メーカーというのは豊田織機であったりあるいはトヨタ車体であったり、それ自体が非常に大きな企業ですから、この大きな企業とトヨタの間の関係はいわば身内的な合理化ができるけれども、それが実際に波及していった場合には、一番下で生産を支えている、一番保護を要する業者が大変な目に遭う。これは依然として解決していないという問題なのですね。 それから二番目に、それはいわば問題の序の口で、罰金制度というのがまた非常に広くしかれているのです。たとえば、そういう注文の仕方で納期が攻め立てられて、それでおくれる、おくれた場合には罰金を取られる。大抵の業者がこの罰金でおどかされていますが、その罰金の払わせ方がどういう基準になっているかというと、そのおくれによって親会社の生産系列が何分とまったか、そのとまった分の損害を払え。それで聞いてみると、大体そういう下の業者は一時間、経費を含めて工賃千二百円から千八百円台ぐらいのことで仕事をしている。ところが、親会社の生産がそれでとまるということになると、これは低いところで一分間六万円だとか、トヨタになると一分間何十万円だとか、そういう計算でその損害を支払えというふうにおどかされるわけですから、それこそどんな無理をしても前の日の生産注文に翌日応じるということになるわけですね。 それで、私自体が確認したことでも、ある場合にはやはり千万円単位の罰金を取られているケースがあるのです。その場合、調べてみると、トヨタから材料の支給がおくれたためにその会社の部品の生産がおくれて、そのためにトヨタの、親会社の生産がとまった。そうしたら千万円単位の罰金を支払わされたというケースまであるわけですけれども、実際に支払わされなくても、そういう罰金制度ということでおどかされて、そして本当に泣きながら無理な生産をやっているという状態がある。 これも一つ、二つの例じゃない。私はたくさんの例を聞いたわけですけれども、これも下請法の第四条に言う「下請事業者の責に帰すべき理由がないのに、下請代金の額を減ずる」という、親事業者にとってはやってはならないことをやっている例だと考えるのですが、いかがでしょうか。
○橋口政府委員 下請代金支払遅延等防止法が昭和三十一年にできましてから、公正取引委員会が中小企業庁と相談をして所管をいたしておるわけでございますが、いままでの行政の重点は、どちらかと申しますと支払い条件とか手形期間とか決済条件とか、そういうところに重点が指向しておったわけでございます。これは、法律の題目が下請代金支払遅延等というふうになっておりますから、そこに重点が指向されておったのはやむを得ないことだと思いますが、ただいま先生がおっしゃいましたような実取引の面におきましての値引きとか買いたたきとか、あるいは返品とか、そういう問題についての苦情とか申告が最近とみにふえてきております。したがいまして、私どもといたしましても、従来からの行政の方針に対しまして多少の修正を加えまして、実取引につきましても調査の重点を指向したいというふうに考えておるわけでございます。これは細かい点でございますが、昭和五十三年度の公正取引委員会の予算にも、多少でございますが、そういう面の経費の充実が図られておるわけでございます。いまおっしゃいました罰金制度それ自体どういうふうに見るかという問題はございますが、恐らくはケースによっては不当の値引きということになる可能性もあろうかと思います。そういう点につきましては十分調査をいたしたいというふうに考えております。
○不破委員 それから、これは自動車という、人間の安全を扱う産業としては重大問題だと私は思うのですけれども、生産スピード第一主義のために親会社が部品の検査工程を省略するという傾向が非常に強くなっているのです。それで、ある場合には、大量の品物を検査できないから加工過程で検査すればいい、つまり部品を引き取って加工過程へ入れて、悪ければ結果でわかるだろうというようなことを公然と言われる場合もある。それから、ノー検体制といって、検査は業者の責任だ、つくったものの責任だ、だから親会社としては検査なしでやるとかいうことを指導として言われる場合もある。こういう点で検査責任を下の業者に負わせて、親会社が安全を扱う会社でありながらこれを省略するということが非常に進んでいることを聞いて、寒くなったわけです。 その場合にはまた罰金制度が伴うわけですよ。どういうことかというと、ある部品をつくる、親会社が引き取る、当然、たてまえからいえば検査して引き取るわけですが、検査をしようがしまいが、その部品を引き取って生産工程に入れて、その工程に問題が起きた場合には、問題が起きた工程の損害の全部を支払え。だから、これは、だんだん工程が進んで、たとえば四次の下請業者が三次業者に部品を渡す、三次業者の段階で損害が発見されたら被害は少ないけれども、これがまた発見されないで二次業者のところに行って発見されたら賠償額が二倍ぐらいになる。とうとう最後のトヨタ自動車のところで発見された場合には、これがもっとふくれ上がるわけですね。今度はそれが発見されないで売られて需要者のところで発見された場合でも、その責任は全部下請業者が負え、こういうシステムがまた非常にひどくなっているのです。 私、ここに、そういうことを取り決めた、豊田織機というトヨタ自動車の直系の部品メーカーで、もとから言えば親元会社ですが、それが二次の業者と結んだ協定を持ってきておりますけれども、これは非常に驚くべきことが書いてあるのです。たとえば工程に不良が起きた場合ですね、工程に不良が起きた場合には、その全責任をその下請業者が負う。それで、その工程の不良がどの業者の部品によって生まれたかという判定は親会社がやる。一方的なんです。そしてその場合、親会社が検査して引き取ったこと、検収を行ったこと、それから検収を行ってずいぶんだってから事故が起きたとか、たとえ親会社が検査した後であっても、それによって下請業者の責任は免じられない。そしてその中には、こうやって故障が起きた場合には、その部品の故障だけではなしに、かかった費用全部を支払えということがちゃんと明記された契約なんですね。これもいま公取の委員長が言われた、やはり不当な値引きに当たると思うのですが、そういうことが平気でやられている。これは自動車の安全にかかわる重大な問題であると私は思うのです。 それから工賃の値引きなんというのは、これは下請立法に幾らあっても、工賃を協議して決めるというところはほとんどないのですね。どんなに一般経費が上がり、人件費が上がっても、大体部品の単価はここ五年、十年据え置きがあたりまえで、多くの場合には大体一年ごとに五%下がるのがあたりまえというふうに言われていて、もう一番下の業者ですから設備、技術の進歩もないわけだけれども、それをやりくりして毎年五%やらされる。たしか公取と中小企業庁が連名で去年の十一月二十四日に、単価の一方的切り下げはやらないようにという通達を出されたと思うのですが、その後でも、もう円高なんだから、これこれの値引きをせよという指示が大抵の下請業者に行っている。先ほど公取の委員長が、そういう実態面についてはいままでほとんど手が回りかねたと言われるので、これ以上実態について伺いませんけれども、そういう苛斂誅求という言葉がまさに当たるような状態の上に、自動車という日本の国民の安全にかかわる、輸出の柱の一つになっている近代産業が成り立っている。私は、これは日本経済の問題として決して放置できないし、下請立法二りあるわけですけれども、やられている政府も、基本的にはその点は考えは変わりないと思うのですけれども、事実はそういう事態が進んでいるわけですね。 私が問題にしたいのは、通産省の調査を見てみますと、中小企業と言われる製造業の中で大体六割、三十五万の下請業者がある。それに対して国は、下請振興法とそれから下請代金支払遅延等防止法と二つの法律を持っている。この法律は、先ほども言いましたように、親会社の責任が下まで及ばないとかいろいろな不備があります。たとえば一千万円以下の資本の企業の間の関係とか、一億円以下の資本の間の関係にはタッチしないとかいろいろな不備がありますけれども、たとえその不備に目をつぶっても、いまの下請立法の基準に照らしても違法な事態が、私どもがちょっと調べただけでも至るところに散見されるのに、それが実際にはそこまで立ち入って改善できないでいる。私は、そこにいまの政府の産業指導上の非常に重大な問題があると思うのです。法律がある。しかし、この法律が守られていない。これを守らせる仕組みもない。そこに問題があると思うのです。法律があるんだから、その違反だと思えば訴えればいいじゃないかと言われるかもしれませんが、これがなかなか訴えられないわけですね。 公取の委員長に伺いますが、たとえばこの二、三年で、下請取引の不公正問題について下請業者から公取委に訴えのあった件数はどれぐらいでしょうか、最近二、三年で結構ですから御報告願いたいのです。
○橋口政府委員 お答えいたします前にちょっとお断り申し上げておきたいと思いますが、先生が御指摘になりました事項は、主として下請代金支払遅延等防止法の適用になるケースについてのお話でございます。しかしながら、よく考えてみますと、これは親子関係の取引だけではなくて、日本の流通機構に内在する問題もあると思います。昨年、絹織物を中心として予算委員会でも御質問があり、その後公正取引委員会で実態を調査したのでございますが、まだ最終案はまとまっておりませんが、それを見てみましても、各流通段階におきましていろいろな慣行というものがございます。取引上の慣行がございます。値引きとか、歩引きとか、歩積みとか、難引きとか、いろいろな問題がございます。したがいまして、これは下請法の運用のみで一〇〇%解決することはなかなかむずかしいのじゃないかというふうに私は考えております。 それは別といたしまして、お尋ねがございました、下請業者から具体的ケースについて公正取引委員会に申告のございました件数は、昭和五十二年は大変ふえておりまして、実は例年の倍ぐらいになっております。正確に申しますと、五十二年の四月からことしの一月までで三十四件でございます。その前の年、五十一年度が十五件、五十年度が十件ということであります。おっしゃいますように、親事業者との関係等もございまして、具体的なケースについて、こうしてほしい、こういう事実があるという申告の件数というものは、たかだか年間数十件というのが実情でございます。
○不破委員 それで、倍にふえたと言って三十数件なんですね。全国に三十五万ある下請業者の中で、そして公正取引委員会にこれは法違反じゃないかと言って訴える数が五十年で十件、五十一年で十五件、五十二年で三十数件だ。私ども公取へ行って調べましたら、この訴えるケースというのは、もう親子関係を断ち切って、もうこれであきらめて今後契約を継続しないというふうに思い切った企業だけだというのです。ほとんど。継続しようという企業はこれは訴えようがないわけですね。そうするとこれは、実際下請業者の弱い立場はだれでもわかるわけですから、法律をつくってこれを守らせようと思ったら、行政の側でそれを守らせるだけの責任体制が最小限必要だと私は思うのです。つくった法律がうやむやになって守られない。せっかく国会で通しながら、それが実行されない。そういう状態をなくするためには、どうしても行政の側でそれだけの体制が要ると思うのですね。 では、そのことに主に当たっているのは公正取引委員会と中小企業庁だと思うのですけれども、ここで私その体制のことを伺いたいのですが、下請振興法によるいろいろな振興措置じゃなしに、親企業との関係で特に代金支払遅延等防止法、そういうものの違反事項について行政の側から主導的に調べるための要員、人員というものは、わが行政当局には一体どれくらい配置されているのか、公正取引委員会の方から伺いたいのです。そのための担当者ですね。
○橋口政府委員 具体的なケースにつきまして下請事業者から申告がございますのは三十数件でございますが、それではそういう活動しかしていないのかと申しますと、それはそうではございませんで、公正取引委員会と中小企業庁と分担をいたしまして、主として公正取引委員会は親事業者に対しまして一定の様式に基づく書面の調査をいたしております。中小企業庁の方は主として下請事業者に対して調査をいたしておるわけでございまして、その件数が、公正取引委員会の担当いたしております対象親事業者数が、昭和五十一年が一万二千件でございます。それから、五十二年四月から十二月までにすでに八千八百件の調査をいたしております。その書面調査によりまして、その中から検査の対象にすべきケースというものを取り出しておりまして、それが大ざっぱに申しまして大体千件ないし千三百件年間にございます。それに具体的な申告件数、それから、中小企業庁から勧告等の措置をとってほしいという措置請求という規定が法律にもございますが、その規定に基づく請求等がございまして、それらを合わせますと大体年間千四百件くらいの処理をいたしておるわけでございまして、三十数件というのは具体的ケースについての申告であるということをお断り申し上げておきたいと思います。 それから、どのくらいの人間がおるかということでございますが、これはお答えするのはちょっと恥ずかしいのでございますが、公正取引委員会の本局の下請課が十六名でございます。それから地方事務所が全部で十名、両方合わせまして二十六名でございます。この人数は最近ほとんど動いておりません。昭和五十三年度の予算におきましては、定員管理が大変むずかしい中で全体として十五名の定員増が認められたのでございますが、これは率直に申しまして、改正独禁法の施行関係の事務に主として当たるということでございますから、下請関係の職員は大体二十六、七名で推移するだろうというふうに考えております。
○岸田政府委員 下請関係の事務は、中小企業庁自身及び通産局において処理をいたしております。五十一年の実績におきましては、約三万件の調査対象に対して書面調査を行い、実態把握を行っておるという状況でございます。これに必要な人員でありますが、通産局におきましては定員として十三名用意されておりますが、これは調査の時期には中小企業課の職員が随時応援をするという体制で処理いたしております。 それから中小企業庁自身におきましては、下請振興の仕事と取り締まりの仕事、これは融通をして仕事をいたしておりますが、八名の人員を用意いたしております。
○不破委員 福田さん、こういう体制なんですよ。私調べましたら、公取の下請課に十六人おられるわけですが、検査官として実際の仕事に当たっているのは六人だというのです。いろいろな事件があるのに。二人一組になって三チームで動いている。それから全国に、札幌、仙台、名古屋、大阪、広島、高松、福岡と地方事務所があるけれども、そこで下請の専門の責任者がいるのは名古屋と大阪と福岡だけで、これはたった一人で動いているわけですね。 〔山下(元)委員長代理退席、委員長着席〕 それで三十数万の下請業者を守れと言ったって守りようがない。中小企業庁、通産局も、これは全国を含めて、通産局の十三名は全国だと思うのですけれども、合わせて二十名。だから、実際に当たっている人の話を聞くと、もう書面調査でわかる範囲は限られていて、それで実際の下請関係までタッチしてやるといっても、実情ではこの人員じゃ無理だ。いまの行政が大企業中心に偏るとか、いろいろな問題をわれわれ言いますけれども、福田さんもたしか瀬長議員への質問に答えて、下請問題、社外工問題は心しなければならぬと言われましたけれども、ところが、心するためにはやはりそういう手だての体制が要るわけですね。三十数万の下請業者は、自分からはなかなか自発的に問題が出せない。ところが、トヨタのようなかんばん方式が始まれば、それが業者全体に大変な影響を与えることはわかっているし、円高になれば至るところで二割切り下げろ、三割切り下げろと言われていることは、産業界を知っている者ならだれでも知っているわけです。そういうところへすぐ行政が、実際に調べ、手を出せるような体制がなければ、どんな下請立法をつくっても、これは絵にかいたもちになると思うのですけれども、その点ではこの立法の改革、共産党は去年五月にいまの下請立法の改革というのを提案しましたが、立法の改革と同時に、それを守らせることのできるような体制の強化、これはぜひ考えていただきたいと思うのです。 昨年の党首会談のときにも、行政改革について私ども意見を申しまして、行政改革で全般として不急不要の部門といいますか、手の削れる部分を合理化して削る、これは賛成だ。しかし、そういう国民の立場に立って法を守り、ちゃんと国民の利益を守るために必要な人員、それは確保するようにということを申し入れましたが、特に下請という日本の産業全般にかかわる大問題については、言葉だけじゃなしに、心だけじゃなしに、やはりその法律を実行できる体制をぜひ政府として検討していただきたい。これが私の総理に申したい点なんです。いかがでしょうか。
○福田内閣総理大臣 調査し、相談してみます。
○不破委員 その体制という点では、いま中小企業庁長官が言われた、それから公正取引委員会の委員長が言われた体制、これは足りないという感じは福田さんもお持ちじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。それも調査しないと感じが出ませんか。
○福田内閣総理大臣 責任あるお答えをするには調査し、相談をしなければできないでしょう。いま私は、あなたからいろいろお話を伺いましたけれども、政府の方でもよく実情を調査し、相談をする、こう申し上げているわけであります。
○不破委員 私は重ねて言いますが、この問題をいま考えることは、日本経済の円高に連なる問題ですね、これを解決するためにどうしても必要だということで申し上げているので、本当に国民生活を守るという立場から言えば、これはどうしてもやらなければいけないことですから、ぜひその点は十分納得のいくまで調査をされて、われわれが納得のいくような解決策を相談していただきたいと思うわけですが、次に進みます。 いま、輸出関連の巨大産業の問題点の一つの側面を指摘したわけですけれども、もう一つやはり企業の行動で非常に私問題を感じていますのは、不況業種ですね、ここでの行動にいろいろな問題がある。具体的に取り上げたいのは繊維の問題です。この委員会でもずいぶん繊維のことをいろいろ言われましたが、私は、繊維不況という問題を考える場合、最近の輸入問題、特に韓国からの輸入問題、これが繊維不況を激しくする大きな要因の一つになっていることは否めない事実だと思うのですが、河本さん、いかがでしょうか。
○河本国務大臣 繊維産業の一つの大きな課題は韓国からの輸入問題ではないか、こういうお話がございましたが、確かにそれは一つの大きな課題であります。
○不破委員 特に、調べてみますと、最近五年ぐらいで、韓国からの繊維の輸入は八倍以上になっているわけですね。昭和四十六年と五十一年を比べると八倍以上になっていて、最近では大体日本の総輸入量の四割くらいを占めている、こういう状態が続いているわけですね。 それで、私この問題で特別に重大だと思うのは、これが国と国との関係一般で律しられない問題があるということなんです。つまり、韓国から日本に繊維を輸入している業者の相当部分、これが日本系企業だということですね。日本からどんどん資本を韓国へ投資をして合弁企業をつくっている。この合弁企業が大体日本の繊維の中小企業と競合するようなものが多いわけですが、メリヤスだとか、それからときには大島つむぎのような郷土産業とか、いろいろなところに被害が及んでいますが、そういうものを韓国から逆輸入してくる、これが韓国からの繊維の輸入の非常に大きな部分になっているわけですね。その点について通産省ではどういうような認識をお持ちでしょうか。
○河本国務大臣 いま御指摘のような事実は確かにございます。
○不破委員 それで、しかもほかの場合と違って、特に韓国への企業の進出ですね、それから繊維の産業、これはほかの資本の進出、ほかの地域やほかの部門での繊維の進出とは非常に違った内容を持っているわけですよ。私どもジェトロの関係の資料を見てみますと、ジェトロの推定では、昨年あたり韓国から輸入したものの四分の一はこういう日本系企業じゃないかという推定に当たるような数字を出しているようですが、通産省で調べた海外進出企業調査でも、これは五十二年版の「わが国企業の海外事業活動」という調査によりますと、海外進出をしてそこからどこへ商品を売るのか、仕向け地の先別調査をしますと、韓国に進出した企業の大部分が、平均大体四四%は日本に輸出するのだ、韓国の現地で消費するのは三四%、日本へ輸出するのが四四%、こういう数字が出ていますけれども、繊維の場合にはそれがもっと激しくて、韓国で日本と合弁でつくった繊維企業が現地に売るのは一六%、日本へ輸出するのが六八・五%、まさにこの企業は、大体現地の市場に参加をして現地の経済活動に参加するというよりは、現地の労働条件を利用して日本の市場に攻め込む、それを主目的にした企業だということが非常にはっきり出ているわけですね。私は、これは非常に大きな問題だと思うのですよ。 大体繊維というのは、最低賃金法でも地域別、業種別の最低賃金が一番しかれているところでしょう。つまり、それだけ国内では抜け駆けの競争をとめて、そうして最低賃金をしいて、この条件で繊維産業を成り立たせようということが一番政府の施策の集中しているところですね。それでしかも不況だから、政府がいろいろなてこ入れもする。その産業の中で日本の資本が韓国へ出ていって、韓国の労働賃金というのを調べてみると、日本の最低賃金の大体三分の一、日本の繊維労働者の平均賃金の大体五分の一、こういう賃金ですから、技術は日本のもの、原料も日本のもの、市場の知識や何かも全部日本並みの知識を持っていて、労賃だけは五分の一、そういう企業と日本の国内の中小業者が競争させられたのではたまったものじゃないわけですね。 これは一般にある国と日本との貿易の問題というよりは、やはり日本の資本の行動の問題だから、これについては政府の側からいっても、こういうむちゃな、特に政府がてこ入れしているような不況業種をそういう不当な競争条件で脅かすような資本進出というのは、当然取り締まるべきだ、そう私は考えるのですが、いかがでしょうか。
○河本国務大臣 最近の日本の近隣諸国のいろいろな分野での追い上げというものは非常に目覚ましいものがございまして、いまは繊維のことをお話しになりましたが、先ほど私は鉄鋼のことについても少し述べましたけれども、鉄鋼などでも近隣諸国の追い上げが非常に厳しい。日本にとって、輸出面でも将来は大きな競争相手になる、こういう動きは確かにあります。 ただ、韓国の貿易全体を見ますと、日本の方がなおはるかに出超になっておるわけですね。向こうは大幅な赤字になっておる。こういうことも考慮しなければなりませんし、それから、やはり安くてよい品物が他の国から入ってくるということのためには、わが国としてどう対応すべきかということでありますけれども、その場合には、合理化して対応する方法が一つと、それからもう一つは、幾ら合理化しても対応できない、こういう場合には他の分野に転換をしていく、つまり、他の国が、発展途上国がまねできないような分野に日本自身が転換をしていく、こういう二つの方法があろうかと思うのです。繊維の分野では、生糸とか絹織物などは韓国との間には二国間協定がございますけれども、全体としての二国間協定というものはないわけでございます。しかし、いま申し上げましたように、貿易全体としては日本の方が大幅黒字になっておる。こういうことを考えますと軽々には判断しにくい。いろいろな角度からいろいろな問題を総合的に検討してみなければならぬ課題だと思います。
○不破委員 ちょっと通産大臣は誤解されておるのですが、私は貿易の制限を言っているわけじゃないのです。その話をいましているわけじゃないのです。日本の企業が特に日本の市場を主目的にして韓国へ出かけていって、低賃金で日本の市場を攻めるというようなことは、日本の企業の行動として資本を投下するときに取り締まるべきではないかと言っているわけです。これは国と国の貿易ではなしに、日本の政府及びこれは日本銀行が関与しますけれども、その海外投資を認めるか認めないかという問題ですから、これはいま河本さんが言われたような国と国の貿易の問題とは違うと思うのですよ。 それからまた、たとえばいま合理化で対応できない場合と言われましたが、先ほど私、工賃のことを言いましたけれども、一番新しい七五年の数字で、いまのレートで比べてみますと、繊維労働者の労賃は、日本では平均して十一万三千八百七十八円です。同じ年に韓国では二万三百九十円なんですね。五倍違うわけですよ。それから衣服で言いますと、衣服関係の労働者が日本では九万六千一円、韓国では一万五千三百四十三円。これだけ労賃が違うわけでしょう。それで資本は日本のもの、技術は日本のものを持っていく、原料も日本のものを輸入する。さっきも言いましたように、市場関係の知識や仕組みも日本の商社がかんで全部同じものを使う、工賃だけは五分の一だというのでは、これと日本の中小業者が、特に韓国に進出した日系の大企業と競争しろと言ったって、これは幾ら逆立ちしたって競争できないわけですね。 安ければ安いほどいいというのなら、なぜ日本では特に繊維に最低賃金法をしいて、その地域では同じ業種ではこれ以下の賃金で労働者を雇ってはいかぬ、そこまで条件を縛っているのかということまで問題になるわけですよ。だから、これは当然政府がいまでも権限を持っているわけですから、日本の中小企業や産業に対して重大な影響を及ぼすときには、海外投資は自動承認ではないという仕組みもちゃんとあるはずですから、そういうものをちゃんと使って、その面でも日本の不況産業を正当に守る、日本の大企業自体による侵害から守る、その責任を果たす義務があると思うのです。 これはいま河本さんが言われたように、繊維だけではなくて、最近では、電気機械等の部品とかあるいは電子機械の部品までが海外へ出ていく。海外へ出ていって海外の市場に参加するのなら、これはまたそれなりの理屈があるわけですが、それを持ってきて今度は日本の市場を攻める。こういうパターンというのは、少なくとも経済の倫理といいますか、道理からいっても当然控えるべきだし、それを破るものについては政府がその権限によってやはりちゃんと取り締まる。それをやらなければ日本経済の責任は果たせないし、幾ら国内で不況対策と言っても、まさに穴があいたざるで水をすくうみたいなことになるのじゃないか、この点を言っているわけです。その点について明確なお答えを聞きたいと思うのです。
○河本国務大臣 実はこの議論は毎国会出てくる議論でございます。すなわち、発展途上国のいろいろな産業投資に対して日本が協力すべきか、してはいけないか、こういう問題でありますが、いま御案内のように、世界全体、資本も自由化の傾向にいっておりますし、貿易もとにかく自由化の方向にいっておる、すべてが自由化の方向にいっておるのであります。もし、いまお述べになりましたような事態が起こるのを恐れて日本が投資をしない、あるいは金を貸さないという場合には、アメリカ資本あるいはまたヨーロッパ資本が当然出てくると思うのです。だから、発展途上国の産業の近代化ということは、日本が手伝おうと手伝うまいと、これはとうとうたる世界の流れだと私は思います。でありますから、それをとめることはできないと思うのです。だから、それに対応するような、日本の国内でのできるだけの対策を立てていくというのが私は基本的な考え方だと思います。
○不破委員 いまの為替管理の規定でも、わが国経済に重大な悪影響を及ぼすおそれがあると認められる投資は自動承認しないという規定がちゃんとあると思うのですが、河本さんはその規定も否定されるのですか。
○河本国務大臣 これはよほどのことがあれば私は話は別だと思いますが、原則的には資本自由化の方向でありますから、繊維にいたしましても、あるいは電気機械にいたしましても、鉄鋼にいたしましても、たとえば鉄鋼などでも浦項の製鉄所は日本が投資をしたわけでありますが、そのためにいま日本の大きな競争相手になっておるわけです。だから、競争相手になるかもわからぬから投資はやめよう、こういうことをいたしますと、当然その国はアメリカやヨーロッパから資本を導入して近代産業を築くと私は思うのです。日本が投資しなかったからといって、その計画はやめるはずはないわけです。だから、やはりよほどのことがない限り発展途上国の産業の近代化のために日本としては協力を頼まれた場合には協力をしていくというのが、私は原則でなかろうかと思います。
○不破委員 河本さん、話をすぐ一般論にかえてはいかぬですよ。私は発展途上国の投資一般を問題にしておるのじゃないのです。先ほど来言っておる韓国の繊維産業への投資は性格が違っている。その主要な部分は日本の市場に割り込むための日本の資本の進出にある。その現地の経済に参加して現地の需要を満たすために進出するというのではなくして、まさに日本の市場へ低賃金を利用して割り込むための進出にある。そしてその結果が大きな要因の一つになって、政府は今度この国会に構造不況産業についての対策の法案を出そうというわけでしょう。繊維も入っているわけでしょう。つまり特別の法案をつくって対策を立てなければいけないような事態に繊維産業は置かれている。これはよほどの事態じゃないのですか。河本さんの話だと、あの規定があってもよほどの事態がない限りというのは、それこそ日本であらゆる産業が全部なくなってしまうような、そんな事態でもなければ河本通産大臣はみこしを上げないようですけれども、現に国会で特別な立法措置をとらなければいけないような、政府が提案しなければならないような、そういう事態に繊維産業は置かれているじゃないですか。そのときにそういう日本の市場への割り込みだけをねらった、低賃金の利用だけをねらった、そういう資本ぐらいはちゃんと政府として一つ一つ吟味して規制すべきだ。 大体、聞きたいんですが、この国内の産業に重大な影響を及ぼすときには、自動投資でなくて、規制しなければいかぬという規定を政府が活用して、この投資はだめだといままで言った例がありますか。それを伺いたいです。
○河本国務大臣 調査をいたします。
○不破委員 福田さん、また調査の話が出たんですけれども、私が調査したら一例もないんですよ。規定の上ではこういう規定があって、海外進出は自由化されている、しかし、国内の産業に悪影響を及ぼすときには、政府が責任持って、自動じゃなしにとめますよ、とめることができるんですと規定がちゃんとありながら、みんなそれを頼りにして期待しているのだが、規定がありながらいままで一度も規定を使ったことがないですね。 私は、こういう態度でいろいろな産業にそういうパターンが広がっていったら、幾ら国内で不況産業対策をやってみても、まさに別のことをやっているわけですから、片っ方の手では。福田さん、通産大臣はどうもこの点は頼りにならないから、通産省に任せないで、この点でもちゃんと一貫して、不況産業を守るなら守るということがちゃんと政府の行動に貫けるように、せっかく設けられているこの規定をむだにしないように、この点をよく研究してもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
○村山国務大臣 いまは直接投資に関する恐らく外為法の規定ではないかと思うのでございます。 いま通産大臣が言いましたように、世界の流れは資本の自由な交流、相互の資本市場の発達という方向に向かっているわけでございますし、また貿易についても同様でございます。わが国の立場で申しますと、何と申しましてもやはり貿易立国であり、また、その前提として資本市場がお互いによくなるということが日本の利益にも合致し、また世界の大勢であると思うのでございます。いま外為法にありますのは後で調査いたしますが、恐らく日本の資本の内部蓄積がまだ非常に少ないときに、資本逃避防止の考えでできておったのではないかと思うのでございます。ですから、いま直接投資については規定はありますけれども、事実上は日銀の自動認可制のようなものにほとんど変わっておる。そういう意味で、どちらかと申しますと、資本のお互いの直接投資についてはいま自由な方向に向かっているわけでございます。 お話は、その結果として日本にそれの輸出品が向かってくる、こういう問題でございますが、私はやはりその面は、自由貿易の原則から申しますと、基本的にとめるということはなかなかむずかしい問題なので、ちょうどいろいろなダッシュがあるときに二国間でおのおの相談いたしまして、これは程度の問題でございますから、そこでやはり合意を見ているということがいまの基本的な考え方ではないか。私は程度問題だと思っているのでございます。
○河本国務大臣 先ほどの件につきまして大体実情がわかりましたので、政府委員から答弁をさせます。
○藤原政府委員 繊維関係につきまして、私の所管でございますのでお答えを申し上げます。 OECDの資本自由化コードによりまして自由化することになりまして、資本投資の自動許可制になっていることは御承知のとおりでございます。重大なる影響のある場合にはチェックすることができることになっていることもお示しのとおりでございます。繊維関係につきましては、仰せのような深刻な事態があり得るということでございまして、場合によりまして申請を取り下げるよう行政指導をするという方法をとっておりまして、現実に出てきたものを不認可にしたというものはございませんが、事前の措置でもちまして一応の対策をとっておる、こういうことでございます。
○不破委員 大蔵大臣、「外国為替管理令に基づく許可事務等の委任について」という通達なんですよ。はっきり出ているんですよ。自動承認制が大綱だが、そういう場合には自動承認制の例外にするとはっきり出ているわけですから。大蔵大臣もそういうことを知らないようでは、この点は全く空文で、実際実行されていないということの証拠みたいなものですから、この点は大事な問題なんで、本当に日本の産業を正当に守る一貫性があるなら、決して軽視することなしに確実に実行してもらいたいと思うのです。 時間の関係もありますので、次へ進みますけれども、福田さんは本会議の答弁の中で、私たちがいろいろな大企業問題を言うと、偏狭な大企業敵視政策だということをよく言うのですけれども、われわれは別に大企業を敵視したりなくしたりしょうと言っているのじゃなくて、個人的な恨みのないことは先ほど申し上げましたが、その大企業が日本の経済の枠の中でやはり不当な圧迫や横暴をやっている。このことは取り除かなければいけないし、政府がまた不当に特権的にこれを保護するというやり方もこれは改めなければいけないということを、経済の民主主義の問題として言っているので、そういう角度からいまの二つの問題を申し上げたわけですが、その点は誤解のないように、大企業が日本の国民全体のために経済の基本的なレールの中で働くように、それがわれわれの当面の主張だということを申し上げておきたいと思います。 次に、防衛問題、安保問題に移りたいのですけれども、福田さんは、今度の国会の施政方針演説の中で、防衛問題を大いに論議をしたいと言われました。ただ、いまの日本での防衛問題の論議というのは、一体日本に自衛権があるのかないのかとか、そういう一般論の域はもうすでに過ぎているわけですね。ここまで大きくなって、世界第何番と言われるような戦力を持った自衛隊が、果たしていまの憲法の枠の中でちゃんと合憲上の武力として認められるのかどうか、これは憲法学者の中でも、認められないというのが多数意見だ、こういう問題がある。それから二番目には、いまの自衛隊は、日米安保条約ということによってアメリカとの非常に緊密な連動関係にある。これが果たして本当に日本の自衛力として働いているのかどうか、こういう問題があるわけで、そこが国民的な論議の焦点だと思うのですね。 だから、私たち、日本の防衛問題について大いに論議するのは結構なんですが、この二つの問題をきちんと道理に立って議論しないと、理性的な議論をやらないと、国民的な合意は防衛問題でなかなか得られない。それが大事な問題だと思うのですよ。そういう角度から、きょうは私、安保条約に関連して幾つか事実を挙げて質問したいのですが、つまり日米安保というものが日本の防衛のためだけでなしに、むしろ日本の安全を危なくする、そういう事態が進んでいることを私たち非常に深刻に考えているわけですが、そういう点について幾つか御質問したいと思うのです。 一つは、昨年東京の近辺の柏という千葉のある市にアメリカがロランの施設、ロランという通信所ですね、ロランCという送信所の基地を新たに設けるということが日米間で合意されて発表されておりますけれども、このロランCという基地は一体どういう目的と機能を持った基地なのか、そのことをまずどう認識されているのか伺いたいと思うのです。
○金丸国務大臣 ロランC局の件につきましては、軍事、非軍事を問わず、航空機あるいは船舶の支援をするということが主眼でありまして、現在、日本にも御案内のように、北海道、沖繩、南鳥島あるいは硫黄島にあるわけでありまして、私はこれは問題がないと思うわけであります。
○不破委員 このロランCというのは、アメリカの特にポラリス潜水艦、これに関連した核戦略の中で特別な位置を持っているものですが、その点は長官はどうお考えでしょうか。
○金丸国務大臣 軍事、非軍事を問わずということでありまして、アメリカのポラリス潜水艦が核兵器を積んでおってもこれは問題でないと私は理解いたしております。
○不破委員 つまりアメリカのポラリス潜水艦、これはグアムに大体十隻配備されておりますけれども、これは核戦争のときには非常に重要な部隊ですね。このポラリス潜水艦の活動について非常に役割りを果たしている通信基地だということはお認めになるわけですね。
○亘理政府委員 ロランCは、ただいま大臣から御答弁申し上げたとおりでございまして、これはいわば電波灯台というようなものでございまして、長波の電波を受けまして航空機あるいは艦船がその位置、方位を正確に判定するためのものであるわけであります。このロランCの受信機とかチャートはだれでも利用でき、購入できるものであるわけであります。軍用に限らない、民間も、あるいは国籍のいかんを問わず利用できるものであります。 それからまた、私どもの承知するところでは、長波の電波でありまして、海面下の透過限度というのは五メートルぐらいのものであるということも聞いております。したがって、いまお話しのような点の関連は私どもはあり得ないというふうに考えております。
○不破委員 これは非常に認識が浅過ぎると思うのですね。たとえば私ども、このロラン問題を研究するのに、国会図書館にある、アメリカの上院、下院の軍事委員会や歳出委員会、そこでロランCの問題が十何年来議論されているわけですが、その記録も全部調べて、どういう位置を持っているかを明らかにしてきたわけですが、たとえばこのロランCを世界的に設置し始めたときに、アメリカのこれを管理しているのは沿岸警備隊の長官ですが、長官が何と言っているかというと、このロラン施設というのは皆戦略構想を基礎につくられたもので、商業的構想に基づいているものではない。それらが商業的に用いられているという事実は基本目的に照らしてみれば付随的なことだと、もうはっきりしているんですよ。だからこれは、国防総省が金を出して全部つくっているわけですね。たまたま電波を出しているから民間も使えるから使ってはいるが、基本目的は戦略問題だ、これは全部の議事録を通じて一貫して変わらないアメリカの立場です。最近でも一九七五年三月にシラーという沿岸警備隊の長官が、われわれの海外のロランCとロランAの基地はすべて国防総省の必要に応じて運転されていると。まず、これが国防目的でつくられた基地だということをはっきり私は御確認願いたいと思うのです。 それから、いま海面下五メートルくらいしか使えないから潜水艦には使えないということを言われましたが、ここに私、アメリカの海軍年鑑を持ってきました。この海軍年鑑七三年版ですが、そこにはアメリカ海軍研究所の報告が出ているんですね。その報告で何と言われているかというと、現在は、完全に潜水した潜水艦が使えるのはオメガとロランCだけである。いろいろなものを開発をやっているけれども、オメガという、世界に八つある基地ですね、これは八つあって世界全体を覆えるから便利なんだけれども、本当は精度が低いわけです。精度の高い場合にはロランCが要るわけですね。オメガとロランCだけである。これが、この二つのシステムを長期にわたって続けさせる中心的要因である。海軍の研究所が書いた報告がアメリカの海軍年鑑に出ているわけですよ。だから、そういう点では政府がロランCの基地を東京のすぐそばに認めたわけだから、それぐらいのことは御承知の上で、この本は国会図書館にもみんなあるわけですから、それぐらいのことは調べられて、実際に東京近辺にそういう基地を置いていいかどうかということを考えられなければいけないと思うのですが、いまの御発言ですと、全然そんなことはない。全く事実に反する評価ですね。その点についてはどうでしょう。
○亘理政府委員 繰り返すようでございますが、一般の船舶、航空機の航行の安全を確保するための支援装置ということでありまして、おっしゃるような特別の軍事的意味に限られたものではないというふうに思っております。
○不破委員 いまの長官の発言はもう違っているのですよ。一回目の発言は、そういう事実はない、今度は軍事的利用に限られたものではない。つまり、そういう原子力潜水艦のための誘導という軍事的目的があることは認められるわけですね。
○亘理政府委員 そういうことを申し上げたわけではございません。先ほど申し上げたとおり、もちろん軍事用の航空機、艦艇も利用できるも一のであります。それから民間の航空機、艦艇も利用できる、それからアメリカであれ日本であれ、その他の国であれ利用できる、こういう一般的な施設であるということを申し上げたわけであります。
○不破委員 このロランCがポラリスにどれだけ重要かというと、これは確かに五メートルぐらいですが、深く入るところまでやれる通信施設はアメリカでもまだ開発されていないのですよ。しかし、アンテナを出して通信を受けたんでは明らかにキャッチされるから、少なくとも海面下でキャッチできるというので、このロランCがいよいよ戦争行動のときにポラリス潜水艦の非常に重要な基地になるわけですね。そこに特別な意義がある。ところが、そこから重大な問題が出てくるわけですが、アメリカは核戦力を持っているとき、これはないにこしたことはないのだが、核戦力を発動するというような核戦争の事態ですね、その核戦争の事態の中で何を想定しているかというと、ロランCを含む通信施設は脆弱な部分である。アメリカが脆弱な部分とか、たとえばこれもマルコム・キューリーという国防総省の防衛技術研究局長が七五年、おととしの下院軍事委員会で証言した内容ですけれども、弾道ミサイル潜水艦つまりポラリスに対してメッセージを送れる施設として通信衛星やロランその他を挙げた上で、これらのシステムは現在のところ核戦争に生き残る能力がない、そういうことを言っているわけですね。この生き残る能力がないとか脆弱だとかいうことは何を意味するか、防衛庁長官、御存じでしょう。
○金丸国務大臣 そういう核兵器を使われるということになれば、脆弱とかその問題につきましては、いわゆる人命がなくなる、こう解釈すべきじゃないかと思います。
○不破委員 これは、もし核戦争という不幸な事態になったら、第一撃の攻撃目標になるということなんですよ。つまり、北海道の十勝太とか沖繩の慶佐次とか柏とか行ってみますと、現地の人たちには、これは平和な基地だ、電波灯台だということを政府はいつでも説明しているのです。ところが、設置したアメリカの当局者は何と言っているかというと、これは生き残る能力がない。やはりアメリカの下院に出された報告では、艦隊用弾道ミサイル潜水艦との通信に用いる地上固定基地は残存能力がない、そういう非情な評価を前提にして議論しているわけですね。だから、そういうところは全部核攻撃の対象になるのだから、核戦争になったら、それまではこれが使えるけれども、そうなったら、そうでない、空中からポラリスの誘導ができるようなそういう通信施設の開発ということに、いまアメリカは盛んに力を入れているわけです。 けさの読売新聞に、きのう発表された七九年度の国防報告が出ていました。何と書いてあったでしょう。ヨーロッパで戦争が起きたときでもアジアに波及するおそれがある。一番攻撃される危険があるのはアメリカの海軍と通信施設だと書いてあったでしょう。つまり通信施設というのは、ロランCやオメガというようなそういう米軍の施設なんですね。ここに私は重大な問題があると思うのですよ。政府はよく核のかさ、核のかさと言うけれども、われわれはかさに入っているのではなくて、一番危ないかさの柄を持たされているわけですね。その柄を持たされていながら、これは安全だと住民に言って、確かに見ればアンテナが一本立っているだけですから何の変哲もないように見えるけれども、核戦略という非常な論理の世界では、これは一番危険な存在なんです。現にいままでオメガというのは世界に八カ所、そのうちアメリカ領が二カ所ですから外国には六カ所です。そのうち一つが対馬に置かれている。ロランCというのは世界に二十三カ所、そのうちアメリカ領土内が八カ所ですから、外国には十五カ所です。そのうち何と日本に四つあるわけですね、いまでも。硫黄島に南鳥島、北海道に沖繩と。それに今度は柏がつくわけでしょう。 それで、長官にお聞きするのですが、このオメガやロランCの海外基地の中で、人口密集地に置かれているような基地があるかどうか、御存じでしょうか。
○伊藤(圭)政府委員 私どもが知っておりますのは、ロランCの設置の個所、実際に置かれているところというのが具体的に人口密集地とか、そういうのはわかっておりません。
○不破委員 それでロランCを許可するのだから、驚いたものだと思うのです。私は、二十三カ所全部地名を調べて、各国大使館に問い合わせました。大体どこの大使館に行っても、自分の国の地図を広げても、ロランCが置かれている場所はなかなか見つからぬわけですね。大使館から観光局を紹介されて、観光局なら僻地まで知ているだろうというので調べてみると、それでもわからぬところが多いのです。かなり調べ上げましたが、大体は離れ島とか、広大な地域に人口がせいぜい何十とかいう、グリーンランドとかアイスランドの外れとかノルウェーのみさきの先とか、全部そういうところ。大体柏のように半径十キロ以内に百万も人間がいる、そういうところにロランCをつけようなんというのは、海外では今度の柏基地が初めてですよ。そういう危ないことを何も調べないで、その目的を、どういう機能を持っているか本気で調べればわかることを調べないで簡単に許可し、それを電波灯台だ、平和な灯台だと言ってだまして国民に押しつける、知らないでやったにしてもだまして押しつけることになるわけですね。この責任をどう考えるのか。その事態がわかってもなお強行するつもりなのか、そのことを伺いたいと思うのです。
○亘理政府委員 ロランCの施設を非常に危険な施設のようにおっしゃるわけでございますが、先ほどから申し上げておりますとおり、これは一般的な航法支援施設でございます。その所在も何ら秘密でも何でもない、その性格上当然その位置を明らかにして一般に利用されているものでございまして、これは非常に危険なものであるとおっしゃる意味は、私ども理解しかねるわけでございます。
○不破委員 ほかの委員の方がわかるのに、専門家がわからない、こういう専門家にこの問題を扱われていると思うと本当に寒けがするわけですが、位置がわかって固定されているから危険なんでしょう。だから、アメリカの方は、いよいよ戦略を考えるときには、これは固定基地だから残存能力がない、生き残る能力がない。これはこれで戦争までは使うけれども、生き残る能力のある通信施設をどうやって開発するか。いま空中から飛行機で、ロランCのかわりに戦時には——日常は使いませんから、戦時にはやる体制で考えるとか、いろいろなことを研究していますよ。 総理、大体問題の性質おわかりだと思うのですが、そういう危険性を持つ、しかもきのうの国防報告で、ヨーロッパで戦争が起きたときでさえ一番危ないのはアジアの通信施設だと言われているような基地を、平和な施設だと言って、そのまま十分な吟味をしないで住民に押しつける、このことをどうお考えでしょうか。
○福田内閣総理大臣 きょうは不破さんの一方的な話を承っておるわけですが、私が防衛庁から聞いているところでは、これは平和の灯台、電波灯台である、こういうことで広く平和的目的に利用されておる、こういう話でございます。たまたまポラリス潜水艦が利用することもある、あり得る、こういうだけの話でありまして、これは私が聞いておるところと不破さんのおっしゃることとは大分違いがある、このように思います。
○不破委員 福田さんも国民の一人としてどうもだまされている部類に結果として属すると思うのですが、私ども、調べたアメリカ側の証言その他、全部提供しますよ。全部提供しますから、それを十分吟味された上で柏の、人口百万、東京の隣になるところにそういう施設を設けるのが適切なのかどうか、改めて検討願いたいと思うのですが、いかがでしょうか。私どもが提供する資料は全部アメリカ側の資料です。
○伊藤(圭)政府委員 いま先生が、大変危険なものであるというふうなお話でございましたけれども、アメリカの核戦略体制というのは、御承知のようにICBMそれから水中にもぐっておりますSLBMといいますかポラリス潜水艦、それから長距離爆撃機でございます。したがいまして、そのポラリス潜水艦が利用しております一つの通信施設というものを目的に破壊するというようなことは、きわめて考えにくいことでございまして、その一つの基地をたたくということによってICBMの攻撃というものも覚悟しなければならないわけでございますから、いま先生が強調されておりますように、その一つの基地があるということがきわめて危険であるというふうには考えておりません。そしてまた、先ほど来施設庁長官から御説明いたしておりますように、正確な位置を知るために軍事にもまた非軍事にもこれは利用されているというふうに考えているわけでございます。
○不破委員 アメリカの国防総省はそんな楽観論に立っていないのですよ。自分がいかにこれを使っているかよく知っているから、原子力潜水艦にはオメガとロランCしか使えない、しかも最後に発射するときにはロランCが必ず要るのだと知っているから、これは生き残れないということを重視しているわけですね。世界にオメガは八つ、それからロランCは二十三ですよ。それしかないのですから。西太平洋関係には、日本に置かれているものと、あとミッドウェーとハワイと南方諸島にちょっとあるだけですね。それだけの位置を日本が占めさせられているわけですから。私は、防衛庁の、アメリカ側が何を公に言っているかも十分研究していない証言だけで済ませないで、政府としてぜひ責任ある検討をしてもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
○亘理政府委員 私どもも、米側からの情報をしさいに受けて御答弁を申し上げている次第でございます。
○不破委員 私は、単なる口頭の情報じゃなしに、ちゃんとアメリカの上院、下院というところで、アメリカの軍や沿岸警備隊や海軍の研究所、国防総省の代表や、そういう者が公式に証言していることだけをいまここで言っているわけですよ。それをちゃんと吟味して態度を決めるのがあたりまえじゃないでしょうか。総理、答弁を求めます。
○福田内閣総理大臣 不破さんの一方的なお話だけで判断するわけにいかぬ問題であります。よくとにかく調査いたしまして決定いたします。
○不破委員 では、調査の上の再検討を約束されましたので、私、次の問題に移りますが、次は沖繩の問題なんです。 本会議で瀬長議員が演習の問題を提起しましたら、福田さんは、アメリカは平和のためにいるのだから演習してもらわぬと困る、じっとしていられたのではかなわぬのだ、正確な発言どおりじゃありませんが、そういう意味のことを言われました。しかし、私はこれは非常に重大な問題だと思うのですね。 たとえば、福田さん、沖繩でいまどの程度に演習がやられているか、どれぐらいの回数、演習によって沖繩の県民が被害を受けているか、演習回数を御存じでしょうか。
○福田内閣総理大臣 私もそこまでは承知しておりませんです。
○不破委員 これは那覇の防衛施設局から県、市町村に連絡がある数だけです。アメリカがこの日に演習をやると。それを累計してみると、去年の一月から十月までの約三百日に、水域の演習が千六百六十八日ですよ、陸上の演習が二千百七十六日、合計三千八百四十四日分の演習をやっているのですね。あそこで二十水域、十四地域が指定されていますから、大体一日に十二カ所から十三カ所で演習がやられている勘定になるのです。しかも、これは広大な水域、地域で一つの日数に何種類もやることがありますから、連日そういう十数回の演習がやられている。そういう事態に沖繩の県民が置かれている。日本の領土である沖繩がまさにそういう基地になっている。そのことをまず私ははっきり認識していただきたいと思うのです。そのために、県民の被害、県知事や県議会からずいぶん政府にも陳情していると思いますが、たとえば県道をまたがって百五十五ミリ砲が実弾射撃やられておる。去年五回もやられています。その間は封鎖して使えないとか、漁業水域にアメリカの水陸両用部隊、戦車部隊が乗り出してきて演習をやるとか、そういうような被害がそれこそ多発しているわけですね。聞くところによりますと、県知事や県議会が幾ら政府にそういう問題を陳情しても、なかなか政府は、そういう問題を取り上げて日本の国民を代表して米軍と交渉してくれないという苦情を、私どもずいぶん聞きますけれども、そういう問題は、演習は大いにやってもらったら結構ということじゃなしに、それによる被害、祖国に復帰した沖繩の県民がそれによってどんな物理的、精神的被害を受けているかをよく考えられて、政府としてしかるべき折衝をしてもらいたいと考えるのですが、まずその点伺いたいと思うのです。
○金丸国務大臣 米軍の駐留ということは日本の平和と安全に不可欠であります。また、米軍が演習するということは、いわゆる練度を高める、向上させるということでございますから、これについて米軍が考えることは軍として当然だと思うわけであります。ただいま演習の数が非常に多いというお話を承りましたが、私も最近防衛庁長官になったばかりでありますが、私の報告を受ける範囲におきましては、一それほど多いなという印象は受けておりません。
○不破委員 いま私が挙げた数字は、これはあなたの管轄下だと思うのですが、那覇の防衛施設局から県や市町村に来た数字なんですよ。だから、どうもやはり報告というのは政府の上の方には余り正しく上がらないようですけれども、ちゃんと報告の流れも整えて、正確な認識を持ってこの問題に対処して、そして県民の正当な要求、知事や議会のこともよく聞かれて、やはり国民の代表としてしかるべき折衝はしてもらいたいと思うのです。 次に進みますが、その演習の内容ですね、これがまた非常に問題なんです。たとえば、いま長官は日本の安全を守るための活動は戦力なんだということを言われましたけれども、私ども最近、昨年やられたいろいろな演習について調べてみました。 ちょっと委員長、総理に資料を渡していいでしょうか。
○中野委員長 どうぞ。
○不破委員 委員各位にはお配りしてありますが、原文を添えてありますので……。 それで、時間もありませんので手短に申し上げますけれども、たとえばこの演習の一つの特徴は、大体、日本が外敵に攻められたときにアメリカ軍がどう動くかということを想定した演習はほとんどないわけですね。いま行われている演習の大部分が、朝鮮半島で戦争が起きた場合に沖繩米軍は何をやるかという演習です。 たとえば、去年の十二月三日から十八日まで、沖繩で一連の演習が、本国からも監督官が来てやられました。それの一つの部隊の資料を私ども手に入れたわけですが、「パープル・プローズ」演習というのですが、これは「華麗なる散文」とかいうふうに翻訳されるそうですけれども、沖繩の海兵隊の演習ですね、これはどういう事態を想定しているか。「南キムチ共和国にあきらかに脅威を与える北キムチ人民共和国の重要な攻勢的強化が探知された。」キムチといえば朝鮮のつけものですから、その南キムチ共和国、北キムチ人民共和国、これが朝鮮を想定していることはだれでもわかるわけですね。しかも「南キムチと米国は軍事援助協定によって同盟関係にある。」その事態のときに沖繩の海兵隊はどう動くのか、その想定と行動の要領をちょっと摘要をつくっておきましたが、そうすると、もうその状況が探知されただけで出動が始まるわけですよ。これは、政府に渡した資料にはちゃんと原文でありますから、吟味していただければ米軍文書とわかると思いますけれども。そうして、もう岩国基地のファントムまでがその北の攻勢が始まる前に、ちょっと状況が探知されると、それだけでもう出動命令が下って南朝鮮に出動する。そして、三日間ぐらいの間に沖繩と岩国にある全軍が逐次命令を受けて出動する、全部前線に展開される、こういう態勢になっている訓練ですね。まさにこれは日本の安全を守るのじゃなしに、沖繩を基地にして朝鮮半島で戦争をやるための演習だと、非常に顕著に、はっきり出ているわけです。これがお渡しした一つの文書です。 それから、この演習の中には、私ども昨年の演習をずっと調べて非常に心配になるのは、核の問題です。 二番目の資料に書いてありますが、二番目と三番目の資料は、今度は海兵隊じゃなしに沖繩にある第一八戦術戦闘航空団、ファントムがいま七十機以上あるでしょうが、そのいわゆるファントム戦闘爆撃機ですね、この部隊の演習なんです。どちらも核にかかわるものなので、私はここで二つまとめて御説明しますが、一つは、嘉手納の米空軍基地で核兵器の重大事故が起きた場合の災害演習、これは去年の九月二十六日にやられています。これは「ブロークン・アロー」といって、核兵器の事故ですね、核兵器が燃えてしまうとか、あるいは核爆発ではないけれども爆発が起きて飛散するとか、そういう事故が起きた場合の災害訓練ですが、この「ブロークン・アロー」という訓練が去年の九月二十六日に行われています。これには嘉手納にいる一八戦術戦闘航空団、それから 一八戦闘支援群その他、全部参加しているわけですね。想定がふるっているのですが、F4ファントムが核を抱えて航行しているうちに極度の操縦困難に陥って緊急事態でおりてきた、そして、おりて十五分後には核兵器が爆発または燃焼した、その際にどう防衛態勢をとるかという演習をやったわけです。これは、大体想定自体が非常に人をばかにした想定だと私は思うのです。核兵器を抱えて爆発の危険のあるものが沖繩の上空を飛んでいて、その危険が近づいたら、人口がたくさんいる嘉手納へおりてきて、そこで爆発するなんということは、本当に日本の国民をばかにした話だと思うのですが、ともかくそういう想定で嘉手納の核事故に対する対応能力をテストした。原文全部翻訳してありませんが、読んでみると、なかなか生々しいもので、それをやったら救急車が飛んでいって、放射能で汚染された地域に入ってしまつて、せっかくの救急車が動けなくなったとか、だれそれは放射能に汚染されて脱落したとか、そういうことまで全部評価して、核兵器の事故が起きたときにちゃんと対応できるかどうか、この訓練を去年の九月二十六日にやっているわけですよ。 それから三番目の資料です。これは、実は沖繩復帰の二年後になりますか、一九七四年の一月からこの第一八戦術戦闘航空団が嘉手納でずっとやっている訓練書です。何の訓練かというと、核兵器をファントムに積んだ場合、いまのアメリカの核兵器は、これはB61というのが大体主要なものですが、もうちょっと古いのでB43というのがあります。どちらも、これは安全装置といって、その錠をかけてしまうと落としても爆発しない、起爆防止装置があるわけですね。安全装置です。貯蔵しているときはいつも安全装置がついたままいるわけですよ。それをファントムに乗り込んで核爆弾を積み込んで、安全装置を外して核爆発が起きるようにする訓練ですね、これを七四年の一月からずっとやっている要領書なんです。そして、その訓練は一八戦術戦闘航空団の全員が受けるんだ。そして重要なことは、この一八戦術戦闘航空団の要員だけじゃなしに第四〇〇弾薬整備中隊、四〇〇MMSといいますが、嘉手納の弾薬庫を管理している弾薬整備中隊の要員も、特別な者はこの訓練に参加しているわけですね。この部隊は嘉手納から動かないわけですよ。嘉手納にずっと常駐して嘉手納の弾薬庫を管理している部隊なんです。その要員もこれに参加をして、そしてこの核爆弾が爆発できるようにする訓練、それから特に、その核爆弾を抱えて飛んで行ったファントムがまた嘉手納に帰ってきて、もう一遍弾薬庫にしまえるように錠をかける訓練、これもやっているわけですね。 時間も限られているので、お読みになれば全部おわかりだと思いますから、これ以上詳しい説明はいたしませんが、私、いまから六年前、沖繩復帰の前に、福田さんが外務大臣だったとき、復帰後の沖繩で核投下の訓練を模擬弾でやっている、これは非常に困る、もう復帰後は核がないはずだから、そこで核投下の訓練をやられたのでは日本の非核三原則に反するじゃないかということを警告して、福田さんが、そのことについてはアメリカに厳重に警告して、やらせないようにしましょうというお約束をここでやられたことを覚えているのです。しかし、この約束は守られないで、日本の政府側は申し入れたのだがアメリカに断られて、核投下の訓練もいま続いているわけです。核投下の訓練は続いている。飛行場で核兵器が爆破したときの防災訓練も行われている。それからその飛行機に核を積み込んでいる安全装置の取り外し、帰ってきての取りつけ、その訓練までやられている。こう考えると、これは私どもが前から心配していたように、沖繩に残っている一八戦術戦闘航空団、ファントムというのは、アメリカの軍の戦争の作戦計画の中では明らかに核攻撃部隊として扱われている。その訓練をやられている。核投下の訓練も核兵器の取り扱い訓練も、核爆発の事故の訓練も全部やっているわけですから、そう考えざるを得ないのですが、その点について、あのときの外務大臣として、沖繩には核兵器は残さぬという交渉に当たられた福田さんがどう考えられるか。資料の吟味ということは、先ほどお渡ししたので十分できないでしょうが、これは明らかな米軍文書で、しかも訓練をやった後の結果報告書ですから、その点どう考えられているか、まず伺いたいと思います。
○福田内閣総理大臣 いまいろいろお話がありましたが、これも不破さんの一方的なお話でございまして、私はまだ、この問題につきましての防衛庁側の話を聞いておりません。話を聞いた上、所感を述べます。
○不破委員 それを調べられるということは結構だと思うんですが、私ども、この委員会に、もう大分長くにわたって米軍の資料を提供しておりますけれども、そのどれ一つとして、あれはにせものだったという点で米軍から批判を受けた覚えはありません。これについても、間違いない米軍の資料だということを私どもは確信を持って言えるということだけは申し上げておきます。 それで、特にこの問題で重大なのは、いままで私どもがこういう話をいたしますと、政府側は、アメリカの軍隊はどこへ行くかわからぬ軍隊だ、沖繩にいるときは非核三原則で縛られているが、たとえばどこかへ移った場合、もう非核三原則の外で核攻撃をやる場合もあるのだから、そういう練習をやるのはあたりまえだ、これが大体防衛庁側の答弁だったのです。ところが、きょう提出した二つの核に関する資料は、これは違うのです。そうは言えないものなんです。たとえば核兵器の事故の訓練ですね、防災訓練ですから、これは嘉手納の基地で練習したから、では韓国の烏山の基地へ行ってうまくいくかというと、これはいかないわけですね。国会関係の、国会議事堂の防災訓練をやったら、今度はほかの建物の防災訓練に役立つか。役立つ範囲もあるでしょうが、これはどこへどう動くかということはこの地域によって違うわけですから。それで今度の訓練の計画は、演習やってみると、あそこの通り方が悪かったとか、ここに引かれてある当然の越えてはいけない線を越えたとか、そういうことをずっと吟味しているわけですから、まさに嘉手納基地で核兵器事故が起こることを想定しての訓練なんです。これは米軍の常識では、核がそこに貯蔵をされているか、それとも核を抱えた飛行機が通過する基地に限ってやられていると聞いております。つまり属地的な訓練なんですね。 それからもう一つ、核兵器の取り扱い要領、これも一、一八戦術戦闘航空団は戦争になればどこかへ行くかもしれないが、これに第四〇〇弾薬整備中隊が参加しているということは、私は大変大事だと思うのです。第四〇〇弾薬整備中隊というのは、まさに嘉手納の弾薬庫を管理している部隊で、ここからは動かないわけですね。嘉手納知花の弾薬庫ですから、ここから動かない部隊がファントムと。ヘアになって、核兵器を取りつけたり外したりの訓練をやっているということは、まさに、いざというとぎには嘉手納基地そのもので生の核兵器を積んで発進することがある、そういうことを考えての訓練だということは間違いないと思うのです。これも非常に属地性がはっきりしているわけですよ。 そこで私伺いたいのは、あの沖繩返還協定のいきさつにかかわるのです。あのときに政府側が、アメリカ側は核問題に関する日本政府の態度、政策を十分了解していると一札をとられた、これは事実だと思います。その一札をもって日本の国民は、日本政府の政策とは非核三原則、核兵器を持たず、つくらず、持ち込ませず、これをアメリカが了解したのだと思っているのだが、アメリカの了解事項は、それから後の行動を考えてみると明らかに違う。アメリカ側は、日本政府の事前協議の了解さえあれば核兵器は持ち込めるのだから、沖繩を核兵器の基地として使う可能性があるということを初めから前提にして、復帰後の第一八戦術戦闘航空団、あのファントム部隊の訓練を全部それでやっているわけですね。つまり、日本政府の側からオーケーすることはあり得る、それは当然の前提だ、あり得る。あり得ないと思ったらこれは嘉手納の訓練なんかやらないわけですけれども、あり得ると思って、いざというときの用意のために投下の訓練もやれば、核兵器の取り外しの訓練もやれば、あるいは事故の訓練もやる。あの沖繩返還交渉の結論について日本国民の理解とアメリカ側の理解は明らかに違っているわけですよ。で、政府はいままで、戦闘作戦行動については状況によってイエスもノーもあり得る、つまり日本から出撃して戦争に参加する、このことに関してはイエスもノーもあり得る、しかし、核に関してはどんな場合でもノーだということを明言されてきましたが、アメリカのその後の行動というのは、そのことを腹におさめての行動とは思えないわけですね。核に関してもイエスもノーもあり得る、いざというときには沖繩は核基地として使える、アジアの核抑止力としてはあの戦術戦闘航空団、ファントムというのは戦術核としては有力な部隊ですから、これは十分伝えるということを考えて沖繩に置いているわけですね。明らかにここに違いがあるのです。 この問題についてこれだけいろいろな疑いが出てきている。貯蔵されているかどうかはわからないけれども、嘉手納基地を核戦争に使うつもりでアメリカが臨んでいるということがはっきりしてくる以上、この点についてはもう一遍アメリカと、日本政府側は日本の国民の意思を体して、核に関してはノーしかあり得ないんだ、イエスは絶対ないんだということをアメリカにちゃんと示して、それの前提でアメリカが将来にわたり日本の基地を使うということをきちんとやってもらわないと、いざというときに大変なことになると私は思うのですね。さっきのキムチ作戦の例を見ましても、もう朝鮮の状況が変化したら出動は大変に早いですよ、彼らの計画を見ても。もうそのときに日本の側としてノーとなかなか言えるか言えないか、その暇があるかどうか、われわれ、これを見ても非常に心配です。そのアメリカは、いざというときには日本が了解してくれるつもりで、嘉手納を核攻撃基地に使うつもりでその部隊を置いている、その訓練をやっている。そういう状態をこのままほうっておいたら、非核三原則がいざという場合には守れない。あのときに、非核三原則もいざというときには破る場合もあり得るんだと言った政府側の代表者がいましたけれども、現実にはそういう方に進まざるを得なくなる。福田さんが、われわれが提出する資料を十分に吟味されてからでいいのですが、この点に関して日本の国民の、いざというときの米軍の行動、沖繩基地の利用の仕方についての疑惑を解くために、この点についてぜひ再交渉していただきたいと考えるのですが、いかがでしょうか。
○福田内閣総理大臣 御指摘の点は非常に重大な問題に触れておるわけですが、日米間に、沖繩返還交渉当時のあの経過、あれは何か理解の違いがある、こういうようなお話であり、しかもそれが非核三原則に触れる部面において問題がある、こういうようなお話ですが、これはもう核の問題につきましては、あの返還交渉におきまして非常に神経質に、しかも厳密に話し合った問題であり、またそのことは、当時国会におきましてもるるお話を申し上げておるわけでありまして、この重大な核の問題、わが国の憲法にも準ずべき非核三原則の問題、これに抵触するがごとき日米間に意見の食い違いがある、あり得ざることであります。この問題について日米間で再交渉する考えはありませんです。
○不破委員 あのときにも、アメリカ側のジョンソン次官補が、核の問題でもイエスもあり得るのだ、将来の保留事項だということをアメリカで説明して、私質問したことがあります。そして実際のアメリカの行動ですね、福田さんが交渉をやられて、ここで説明されたもう翌々年には、嘉手納基地での核爆弾の取りつけ訓練ですね、これは一月から始めている。いまは模擬弾でやっているかもしれないが、いざというときにはちゃんとやれるように、嘉手納基地が利用できるように訓練を始めておる。こう違う行動があらわれているわけですよ。だから私は、この資料をそう思って福田さんに、いま生の資料ですね、翻訳じゃなしにコピーそのものをお渡ししたわけですから、それが本当の米軍の資料か、にせものかということをアメリカと交渉されて確かめられても結構です。確かめられても結構ですが、そういう訓練をアメリカ側がやっているということが明らかになったら−明らかに、少なくとも現地の事態は違っているわけですよ。いざというときには使えるつもりで訓練しているわけですから、そこに歯どめをかけるためにもう一遍、この事実に照らして再交渉する、いま即答できなくても、その問題を事実が明らかになったら検討するということぐらいは、はっきりお約束願いたいと思うのです。それは、あのときの交渉に当たられた元外務大臣としても当然の責任だと思うのですよ。交渉の内容と違うことが進んでいるということが明らかになったら、それは確かめる、ただす、そうして、いま日本の国の安全に責任を負っておる総理としては、なおのこと当然やる義務でしょう。私はいますぐ、これを全部十分見ないままで返事をしろと言っているのではないのです。これを十分吟味されて、米軍と確かめられて、こういう演習がなかったとか、こういう訓練はやっていないとかということがはっきりすれば、それは別でしょう。しかし、この文書がそういうことで否定されないで事実だということがわかった場合には、私は、そういう点で国民の疑惑を解き、その疑いのもとをなくするための再交渉をどうしてもやっていただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
○福田内閣総理大臣 先ほども申し上げましたが、いま提起されている資料ですね、これは全く不破さんの一方的な資料なんですよ。私どもは初めてここで聞くわけでありまして、その資料につきまして、私がここで、どういう資料であり、それに対してどういう処置をとるなんという返事ができるはずはありませんです。 ただし、せっかく御提示の資料でありまするから、検討はいたします。そう申し上げているのです。
○伊藤(圭)政府委員 先ほどこの資料を見せていただきましたが、ブロークンアローというこの事故の訓練というのは以前からやっておるわけでございまして、これは全世界の戦術核を持っております部隊では、常にこういう訓練はやっているわけです。それからまた、これは戦術航空団におきましてこういった要領書があるということも一、前の国会で、ありますということを外務省の方から御答弁申し上げております。 先ほど来先生が属地主義だと言っておりますけれども、米軍は属人主義でございまして、こういった関係者というものは世界の各地の部隊に勤務するわけでございますから、こういった訓練というものはやっているということは、すでに四十九年の国会において外務省が米側に確かめているところでございます。
○不破委員 戦術核を持っている部隊は全部やっているといま言ったわけですね。だから私は、こういう訓練をやっているから戦術核を持っている容疑がある、少なくともいざというときには戦術核を使う部隊になる容疑があると言っているわけですよ。
○伊藤(圭)政府委員 日本に戦術核があるということを申し上げたわけではございません。アメリカの装備の中には戦術核を装備している部隊がいるわけでございます。日本以外の基地にそれぞれ勤務することがあるわけでございます。したがいまして、こういった安全の訓練あるいはその取り扱いの訓練というものは、すべてのところに配置されたときに訓練はやっているというのは事実でございます。そういった属人主義でございますので、そういった訓練をやっていなければ、こういった危険なものの取り扱いというものは常に訓練をしておく必要があるということでございますから、この核が日本にあるということとは全く別個の問題でございます。
○不破委員 私の質問をよく理解していないのですよ。この部隊はそういう訓練を必要とする部隊だ。つまり戦術核を扱う部隊だ。これは事故の訓練からも核兵器の操作の訓練からも、投下訓練からもある。つまり嘉手納にある第一八戦術戦闘航空団は戦術核を使う部隊としてアメリカは考えているし、その訓練をやっているし、少なくともその防災訓練と、さっき言った弾薬整備中隊、嘉手納の爆薬庫を管理している部隊が扱っているわけですから、それが属地的にそこでやっている。そのことを、明らかに嘉手納の基地、沖繩の基地は核攻撃には使わないのだという日本側の理解とは違っていると言うのですよ。そのことをちゃんと調べた上で、これがはっきりしたら——吟味するのは結構です。調べた上でそれがはっきりしたら、そういう問題を検討してもらいたいということを私は言っているのですよ。
○伊藤(圭)政府委員 先ほど来申し上げておりますように、四十九年に、属人主義であって、嘉手納の部隊が持っているから訓練をしているのではないということを、アメリカ側もはっきり申しているわけでございます。したがいまして、この兵隊がそこで訓練をしているということと核兵器があるということは、全く違う問題でございます。
○不破委員 総理に伺っているのですよ。 その問題について総理は調べるまで言いました。調べて、こういう事実の容疑があったならば、そういう訓練をやっている容疑があったら、その問題についてどう対処するかの検討をしてもらいたい。
○福田内閣総理大臣 不破さんのお尋ねは、日米が沖繩返還交渉のときのあの核の扱いについて意見の食い違いがあるんじゃないか、こういうような御疑念でありますが、その御疑念、その御懸念は、これはもう不必要でございます。日米間におきましては、当時非常に精細に核の問題につきましては話し合いをいたしまして、アメリカは、わが国の核政策、非核三原則、これには理解を示し協力をする、こういうことになっておりますので、その点につきまして、私はアメリカ側と再交渉する意図は持っておりませんです。
○不破委員 政府は、何が明らかになってももう交渉しないという態度を、この問題に関すると、かたくなに表明するわけだけれども、私は、それでは国民に対する責任は果たせないと思うのです。 この問題は、引き続き国会でもわれわれは追及しますが、この事実を福田さんは調べると言われたわけですから、調べてはっきりして、福田さんの理解と違ったら、当然それについてどう対処するかを考えるのはあたりまえだと思うのです。考えるまで拒否されるというのは解せないと思うのです。その点について、問題はそういう重大な問題があるということを重ねて言って、私は次に進みたいと思うのです。 余り時間もありませんので、最後に一言、大学の暴力の問題について伺いたいのですが、総理は施政方針演説で、国民の生命、自由などに反する暴力による破壊を断固として許さない、そう言われました。しかし、いま暴力の問題で非常に重大なことは、学園の中での暴力、これが一種の社会的な盲点になっている、これが放置されているということであります。 実際に、いま大学の受験期で、多くの高校生や浪人の人たちが受験地獄の中で大学に行こうとしている。ところが、そうやって入った大学が暴力が横行している大学で、先日もありましたが、殺されたり、あるいは教室が占拠されていて、まともな授業を受けられない、こういう状態に受験地獄を通って入った学生が置かれるということが、実は非常に広く存在しているわけですね。私ども実は去年の十二月に、党の全国の組織で全部の大学を調べてみましたら、そういう暴力学生などによる不法な占拠が行われている大学が、十九都道府県三十七大学に及んでいる。占拠されている施設は三十九館百十九室、全部で百五十四カ所に及んでいる。去年、全学連という学生組織が調べたときよりももっと広範にそういう事態が進んでいることが明らかになりました。 そして京大で問題になったように、そういう学生たちは全国的な連絡も全部大学の電話でやる。つまり、政府がそういう不法な活動に対してお金を払っているわけですね。そういうことまでやられている。その点について国会の委員会で私ども何回か提起をしたわけですが、このような状態を放置するということは、実は大学の自治を大学みずから壊すものと言っても差し支えないと思うのです。 そういう点についてこの十二月に問題提起されて以来政府がとった措置ですね、現状についてどう認識されているか、そのことについて伺いたいと思うのです。
○砂田国務大臣 お答えをいたします。 大学当局から文部省が承知をいたしております。大学の施設が占拠されておりますところは東京大学及び京都大学、この二校の国立大学、熊本大学におきまして、熊本大学の生活協同組合に対します施設の明け渡し問題があると承知をいたしております。 学内におきます学生によります暴力は、大学当局が把握いたしておりますものは、昨年の九月一日以降、国立大学におきましては十大学、二十四件、私立大学におきましては四大学で七件発生をいたしております。 文部省といたしましては、学園の秩序維持と暴力行為の根絶につきまして従前から通達を発し、あるいは学長会議等で趣旨の徹底を図る、あるいは学校当局との緊密な連絡のもとに学校当局自身の努力を要請しておるところでございます。大学長もそれぞれ非常な努力をいたしておるところでございます。 いま一つだけ具体例を申し上げますならば、不破先生の御発言の中に電話云々のことがございましたけれども、この電話も今日では学校当局が取り返しているような改善を見ているところでございます。
○不破委員 そうすると、京都大学ではもう占拠されているところはない、それから暴力学生が不法に使っている電話はないというふうに言われるわけですか。
○砂田国務大臣 京都大学では昨年末で七カ所占拠個所がございましたが、学校当局が懸命に説得を続けまして、今日現在ではそれが四カ所に相なっております。 京都大学の昨年の夏休み以降の、過激派学生によります暴力事件が七件ございました。これは大学当局からも承知をいたしております。これに対しまして厳重な警告を発し、あるいは大学の広報等で学長が呼びかける努力を続けているところでございます。
○中野委員長 不破君、時間が来ましたが、一回だけ……。
○不破委員 時間が参りましたのでこれは途中になりましたが、問題点だけ指摘して終わりたいと思うのです。 京都大学の場合、いまだに暴力学生の占拠が続いているわけですが、特に私ども重視しますのは、これが赤軍派と非常に密接な関連のある暴力集団だということですよ。世界で、クアラルンプール事件とかテルアビブ事件とか、赤軍派のいろいろな事件がある。そうすると必ず連帯の旗が上がるのがこの京都大学なんです。 それで昨年、ハイジャック事件が起きて、私ども国会の全員が大変心配して手を打った。その最中に、九月三十日ですが、京都大学では「九・二七日航機HJ−同志奪還斗争断乎支持」こういうプラカードが出て、それを書いた一九八〇行動委員会というのに、その日に大学当局が教室を貸して、そして赤軍派の「よど」号事件のときに逮捕された高原、塩見という二人の早期釈放をかち取る全関西集会というのがあのときに、まさに京都大学の構内で堂々と行われる。そういう事態が実は野放しにされている。まさにここにああいう事件のいわば根があるわけで、この点では、もう時間がありませんので問題の指摘だけにとどめますが、国会がハイジャックの防止法案を取り上げ、世界のためにもこの問題を根絶するということを言っております。そのためにもこういう暴力の放置、しかもこういうハイジャック等の連帯活動の放置ということは、絶対にほうっておいてはいけないし、政府としては当然、文部大臣としても責任ある措置をとる必要があるということを最後に申し上げて、質問を終わりたいと思うのです。
○中野委員長 これにて不破君の質疑は終了いたしました。 —————————————
○中野委員長 この際、公聴会の件について御報告をいたします。 公述人の人選等につきましては、さきに委員長に御一任願っておりましたが、理事会において協議いたしました結果、公述人は 日本大学教授名東孝二君 国債引受団代表者村本周三君 全国障害者解放運動連絡会議事務局長楠敏夫君 日本経済研究センター理事長金森久雄君 一橋大学教授大川政三君 専修大学教授鈴木浩次君 東洋大学教授新田俊三君 平電炉普通鋼協議会会長安田安次郎君 評論家飯田久一郎君 慶應義塾大学教授古田精司君 京都大学名誉教授島恭彦君 名古屋大学教授水野正一君 以上十二名と決定いたしました。 なお、公聴会は、来る二月九日、十日の両日開会いたします。 次回は、明四日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時五十七分散会