本会議 第24号
- 発言数
- 42 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1978/04/20
会議録
○議長(保利茂君) これより会議を開きます。 ————◇————— 議員請暇の件
○議長(保利茂君) 議員請暇の件につきお諮りいたします。 渡辺朗君から、四月二十四日より五月三日まで十日間、宇都宮徳馬君から、四月二十五日より五月九日まで十五日間、福田一君から、四月二十七日より五月四日まで八日間、奥野誠亮君から、五月一日より八日まで八日間、右いずれも海外旅行のため、請暇の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、いずれも許可するに決しました。 ————◇————— 日程第一 人質による強要行為等の処罰に関する法律案(内閣提出)
○議長(保利茂君) 日程第一、人質による強要行為等の処罰に関する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。法務委員長鴨田宗一君。 ————————————— 人質による強要行為等の処罰に関する法律案及び同報告書 〔本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔鴨田宗一君登壇〕
○鴨田宗一君 ただいま議題となりました法律案について、法務委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、最近における人質による強要行為の実情にかんがみ、この種の強要行為に対する処罰を強化する等の措置を講じようとするもので、その主な内容は次のとおりであります。 第一は、二人以上共同して、凶器を示して人を逮捕しまたは監禁した者が、これを人質にして第三者に不法な要求をしたときは、無期または五年以上の懲役に処するものとする。 第二は、暴行もしくは脅迫等により、人を抵抗不能の状態に陥れて、航行中の航空機を強取し、またはほしいままにその運航を支配した者が、当該航空機内にある者を人質にして、第三者に不法な要求をしたときは、無期またば十年以上の懲役に処するものとする。 第三は、人質による強要罪を犯した者が人質を殺害したときは、死刑または無期懲役に処し、その未遂をも処罰するものとする。 第四は、この法律の罪の国外犯を広く処罰し得るものとすること等であります。 委員会におきましては、三月二十四日提案理由の説明を聴取し、自来、慎重に審査を行い、去る十八日質疑を終了し、直ちに採決を行ったところ、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。 また、本案に対し、乱用の防止を内容とする附帯決議が付されましたことを申し添えます。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(保利茂君) 採決いたします。 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ————◇————— 日程第二 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案(内閣提出) 日程第三 漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(保利茂君) 日程第二、農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案、日程第三、漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案、右両案を一括して議題といたします。 委員長の報告を求めます。農林水産委員長中尾栄一君。 ————————————— 農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案及び同報告書 漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔中尾栄一君登壇〕
○中尾栄一君 ただいま議題となりました両法案につきまして、農林水産委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 まず、農業災害補償法及び農業共済基金法の一部を改正する法律案について申し上げます。 本案は、畑作物共済及び園芸施設共済に関する臨時措置法の施行の実績等にかんがみ、昭和五十四年度から恒久的な畑作物共済制度及び園芸施設共済制度を創設し、農業者が不慮の事故によって受けることのある損失を補てんして、農業経営の安定を図ろうとすること等を内容とするものであり、その骨子は、 第一に、畑作物共済における対象農作物は、バレイショ、大豆、小豆、インゲン、てん菜及びサトウキビ並びに政令で指定する農作物とし、その対象農作物が気象災害、病虫害等によって損害を受け、その減収量が一定割合を超えた場合に、その超えた部分の数量に応じて共済金を支払うこととし、農業者が支払う共済掛金に対し、国がその五分の三を負担すること、 第二に、園芸施設共済における特定園芸施設及びこれにあわせて共済に付された付帯施設または施設内農作物が、気象災害、火災等によって損害を受けた場合、その損害の程度に応じて共済金を支払うこととし、農業者が支払う共済掛金に対し、国がその二分の一を負担すること、 第三に、畑作物共済及び園芸施設共済の本格実施に備え、農業共済基金の業務範囲を拡大すること、 第四に、農業共済団体等の家畜診療施設の法的位置づけを明確化すること等であります。委員会におきましては、四月十一日政府から提案理由の説明を聴取し、四月十二日、十八日の二回にわたり審査を行い、四月十八日質疑を終了、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。 なお、本案に対し、附帯決議を付することに決しました。 次に、漁船積荷保険臨時措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。 本案は、最近における我が国漁業を取り巻く国際環境の変化に伴う漁業事情の推移等にかんがみ、漁船に積載した漁獲物等の積み荷について生ずることのある損害を適切に保険する制度の確立に資するため、漁船積荷保険臨時措置法に基づき、昭和四十八年十月から五年間の予定で行っている漁船積荷保険の試験実施を継続し、新たな漁業事情のもとにおける保険設計を行う必要があるため、同法の効力に関する同法附則第二項の期限を五年から十年とし、五カ年間延長しようとするものであります。 委員会におきましては、四月十八日政府から提案理由の説明を聴取し、四月十九日に参考人からの意見聴取を交えて慎重な審査を行い、同日質疑を終了、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対して附帯決議が付されました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(保利茂君) 両案を一括して採決いたします。 両案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、両案とも委員長報告のとおり可決いたしました。 ————◇————— 日程第四 恩給法等の一部を改正する法律案 (内閣提出)
○議長(保利茂君) 日程第四、恩給法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。内閣委員会理事村田敬次郎君。 ————————————— 恩給法等の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔村田敬次郎君登壇〕
○村田敬次郎君 ただいま議題となりました恩給法等の一部を改正する法律案につきまして、内閣委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 本案は、昭和五十二年度における公務員給与の改善に伴う恩給年額の増額並びに普通恩給の最低保障額の増額等の措置を本年四月一日から実施するほか、公務関係扶助料の最低保障額及び傷病恩給の基本年額の特別の増額、寡婦加算及び遺族加算の増額等の措置を本年六月一日から、加算恩給の減算率の緩和等の措置を本年十月一日から、それぞれ実施しようとするものであります。 本案は、二月一三日本委員会に付託され、二月二十一日稻村国務大臣より提案理由の説明を聴取し、四月十三日より質疑に入り、慎重に審査を行いましたが、その詳細につきましては会議録により御承知願いたいと存じます。 かくて、四月十八日質疑を終了いたしましたところ、村田委員より施行期日に関する修正案が提出され、趣旨説明の後、採決の結果、全会一致をもって修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。 なお、本案に対し、恩給改定の実施時期についての特段の配慮、最低保障額の引き上げ、扶助料の七割給付、加算年の金額計算への算入、旧日赤看護婦等に対する処遇措置、老齢福祉年金の支給制限の撤廃、以上六項目にわたる附帯決議が全会一致をもって付されました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(保利茂君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は修正であります。本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。 ————◇————— 日程第五 液化石油ガスの保安の確保及び取 引の適正化に関する法律の一部を改正する 法律案(内閣提出)
○議長(保利茂君) 日程第五、液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。商工委員会理事中島源太郎君。 ————————————— 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔中島源太郎君登壇〕
○中島源太郎君 ただいま議題となりました液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、商工委員会における審査の経過と結果を御報告申し上げます。 本案は、最近の液化石油ガスの消費量の増加及び供給の態様の変化に対応して、液化石油ガスの消費先における災害の発生を防止するため、液化石油ガスの保安規制の強化を図ろうとするものであります。 その主な内容の第一は、 液化石油ガス販売事業者の規制についてでありまして、液化石油ガス販売事業者に対し、その保安責任をより明確にし、液化石油ガスの供給のための設備について、保安上の技術基準に適合する義務を課すとともに、液化石油ガス販売事業者に、液化石油ガスによる災害の防止に必要な事項を消費者に周知させる義務を課すことであります。また、液化石油ガス販売事業者が行うことになっている消費設備の調査業務については、都道府県知事が認定する認定調査機関に委託することができるものとすることであります。 第二は、液化石油ガス設備工事の規制についてでありまして、液化石油ガス設備の工事は、都道府県知事が免状を交付する液化石油ガス設備士でなければ作業に従事してはならないこととし、特定の液化石油ガス設備工事を行う者に、一定の事項を都道府県知事に届け出させるとともに、工事を行ったときは、氏名等を表示させ、工事記録と配管図面を保存させることであります。 第三は、液化石油ガス器具等の規制についてでありまして、液化石油ガス器具等のうち、特に災害の発生のおそれの多いと認められるものを第一種液化石油ガス器具等として政令で指定し、現行の検定制度及び登録・型式承認制度による規制を存続し、それ以外のものについては、第二種液化石油ガス器具等として、その製造事業者及び輸入事業者に対し、事業開始の届け出、技術基準の適合義務を課すことであります。 なお、通商産業大臣は、災害の防止に特に必要があると認めるときは、液化石油ガス器具等の回収その他必要な措置を命ずることができること等であります。 本案は、三月二十四日当委員会に付託され、四月十二日河本通商産業大臣から提案理由の説明を聴取した後、審査を行い、四月十八日質疑を終了し、採決の結果、本案は全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。 なお、本案に対し、附帯決議が付されましたことを申し添えます。(拍手) —————————————
○議長(保利茂君) 採決いたします。 本案は委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(保利茂君) 御異議なしと認めます。よって、本案は委員長報告のとおり可決いたしました。 ————◇————— 日程第六 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案(内閣提出)
○議長(保利茂君) 日程第六、国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。文教委員長菅波茂君。 ————————————— 国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔菅波茂君登壇〕
○菅波茂君 ただいま議題となりました国立学校設置法及び国立養護教諭養成所設置法の一部を改正する法律案について、文教委員会における審査の経過及び結果を御報告申し上げます。 本案の要旨は、上越教員大学、兵庫教員大学、福井医科大学、山梨医科大学及び香川医科大学を新設し、信州大学ほか三大学に六学部を、上越教員大学、兵庫教員大学、愛知教育大学及び富山医科薬科大学にそれぞれ大学院を設置し、筑波大学に医療技術短期大学部を併設し、千葉大学工業短期大学部を廃止すること、また、富山医科薬科大学に和漢薬研究所を付置し、放送教育開発センターを新設するほか、新設の五大学を含め、昭和四十八年度以後に設置された国立医科大学等に係る昭和五十三年度の定員を定めるとともに、北海道教育大学養護教諭養成所ほか二養護教諭養成所を廃止しようとするものであります。 本案は、去る三月二十三日当委員会に付託となり、同月二十九日政府より提案理由の説明を聴取し、自来慎重に審審をいたしました。 特に、教員大学については、神戸大学学長で国立大学協会教員養成制度特別委員会委員長でもある須田勇君外五名の関係者を参考人として招致し、忌憚のない意見を聴取しましたが、その詳細は会議録により御承知願いたいと存じます。 かくて、昨十九日本案に対する質疑を終了したところ、自由民主党小島静馬君から、施行期日等に係る修正案が提出され、また、小川仁一君外一名から、日本社会党及び日本共産党・革新共同の共同提案に係る教員大学・大学院の設置に関する規定を削ることを内容とする修正案が提出され、提出者からそれぞれ趣旨の説明を聴取いたしました。 次いで討論に入り、日本社会党を代表して嶋崎譲君から、原案及び自由民主党提案の修正案に反対、日本社会党及び日本共産党・革新共同の共同提案に係る修正案に賛成の意見が、次いで公明党・国民会議を代表して有島重武君から、原案及び両修正案に反対の意見が、次いで民社党を代表して曾祢益君から、日本社会党及び日本共産党・革新共同の共同提案に係る修正案に反対、原案及び自由民主党提案の修正案に賛成の意見が述べられました。また、日本共産党・革新共同を代表して山原健二郎君から、原案及び自由民主党提案の修正案に反対、日本社会党及び日本共産党・革新共同の共同提案に係る修正案に賛成の意見がそれぞれ表明されました。 続いて採決に入り、日本社会党及び日本共産党・革新共同の共同提案の修正案は賛成少数をもって否決、自由民主党提案の修正案については賛成多数をもって可決、修正部分を除く原案については賛成多数をもって可決、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(保利茂君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。 ————◇————— 日程第七 原子力基本法等の一部を改正する法律案(第八十回国会、内閣提出)
○議長(保利茂君) 日程第七、原子力基本法等の一部を改正する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。科学技術振興対策特別委員長岡本富夫君。 ————————————— 原子力基本法等の一部を改正する法律案及び同報告書 〔本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔岡本富夫君登壇〕
○岡本富夫君 ただいま議題となりました原子力基本法等の一部を改正する法律案につきまして、科学技術振興対策特別委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 わが国におけるエネルギーの長期安定的な確保を図るため、原子力発電を中心とする原子力の開発利用を推進するという政府の方針が明らかにされておりますが、現在、必ずしも期待どおりの進展を見せていないのが実情であります。 政府は、このような現状を打開して、原子力の開発利用を円滑に進めるため、原子力行政体制の基本的なあり方について検討する必要があると考え、原子力行政懇談会を設け、その意見を求める等の検討を行ってまいりました。 本案は、この原子力行政懇談会の意見等に基づきまして、原子力委員会から分離して原子力安全委員会を設置すること並びに原子炉の安全規制行政の一貫化を図ることを主目的として提案されたものであります。 本案の主な内容は、 その第一は、原子力安全委員会の設置でありまして、原子力安全委員会は、原子炉の設置等に係る安全規制を中心に安全の確保に関する事項を所掌するものとし、学識経験者の委員五人をもって構成するとともに、委員長は互選によるものとしております。 第二は、原子炉の設置、運転に関する行政機関の安全規制体制を一貫化することでありまして、実用発電用原子炉については通産大臣、実用舶用原子炉につきましては運輸大臣、試験研究用原子炉及び研究開発段階にある原子炉については内閣総理大臣がそれぞれ一貫して原子炉の規制を行うものとし、各大臣が原子炉の設置を許可しようとするときは、あらかじめ原子力委員会及び原子力安全委員会の意見を聞いて、これを尊重しなければならないこととしております。 本案は、去る第八十回国会に提出され、昨年四月二十一日本会議において趣旨説明と質疑が行われた後、同日当委員会に付託されました。委員会におきましては、五月十一日宇野国務大臣から提案理由の説明を聴取した後、質疑が行われましたが、結論を得るに至らず、今国会まで継続審査に付されてまいりました。今国会におきましては、福田内閣総理大臣及び関係各大臣に対し質疑を行い、また、参考人の意見を聞く等、慎重な審議を重ね、昨十九日質疑を終了いたしました。 引き続き、自由民主党及び新自由クラブから、原子力基本法について、原子力の開発利用は安全の確保を旨として行うものとすること及び原子力安全委員会の権威と権限を高めるため所要の規定を加えること等に関する修正案が提出され、討論の後、採決の結果、本案は多数をもって修正案のとおり修正議決した次第であります。 なお、本案に対し、原子力安全委員会の委員等の人選その他に関する附帯決議が付されましたことを申し添えます。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(保利茂君) 討論の通告があります。順次これを許します。石野久男君。 〔石野久男君登壇〕
○石野久男君 私は、日本社会党を代表して、ただいま上程されました原子力基本法等の一部を改正する法律案並びに自民党、新自由クラブ提出の修正案に反対の討論を行わんとするものであります。 政府の説明によると、改正法案は、原子力船「むつ」の事故の教訓に学んで、原子力の安全性を確保するために行われたというのであります。しかしながら、その実態は、石油ショックの衝撃を受けたわが国のエネルギー対策に籍口して、不況対策と雇用の増大を原子力産業の開発促進に求めようとする考え方から、その行政上の手続や規制を現業官庁のもとに分割しようとする意図に貫かれているのであります。原子力基本法をこのような魂胆で改悪することに対し、わが党は断固反対するものであります。(拍手) そもそも、原子力平和利用に係る安全性の確保なるものは、核戦争反対と同義語の重みを持つものであります。 原子力基本法は、その制定議会において提案者が述べているように、広島、長崎に投下された原子爆弾による被爆の悲惨さをはだで受けとめている日本人が、その実感の中から論議を重ね、日本学術会議の意見をも受け入れて、原子力の軍事利用に絶対反対、平和利用に当たっては、民主、自主、公開の三原則を遵守すべきことを基本理念、精神として、そのための規制を一元的に規律したものであります。自来、立法府は、この考え方に基づいてすべて立法措置をしてきたものであります。 すなわち、公害対策基本法がその第八条において「放射性物質による大気の汚染、水質の汚濁及び土壌の汚染の防止のための措置については、原子力基本法その他の関係法律で定めるところによる。」と規定しているように、放射能に関する一切の行政措置を本法に帰一するとして立法してきたのであります。このたてまえは、不文律のうちに、立法府も国民もこれを認めて今日に至っているのであります。このことは、国民の原子力行政に信頼を寄せる根幹となっているものと確信いたします。 しかるに、改正案は、このような基本法の安全規制の一元的帰一性に対し真っ向から対決して、現業官庁優位、業界指導型に三分割するものであって、安全性の確保、民主、公開の原則の実践を損なうことは必至であります。とうてい賛成できません。 本法改正の動機となったものは、原子力発電炉の打ち続くトラブル、そしてその頂点となった原子力船「むつ」の放射線漏れ事故であります。 私は、諸君とともに、原子力船「むつ」の事故の教訓は何であったかを考えたい。 教訓の第一は、原子力利用に関する今日の学問、技術、知識は未熟であり、原子力舶用炉はまさに研究実験の段階であるということ。 第二に、わが国の原子力行政が開発を焦って、安全性を軽視していたこと。 第三に、原子力委員会の基本設計と運輸省船舶局の詳細設計並びに工事施行の間に一貫した連絡、連携が全くとられていなかったこと、さらにその責任の所在が全く不明確であったこと。 第四に、あえて言うならば、原子力にふなれな造船屋が原子力舶用炉という高度の科学技術を安易に取り扱ったということであります。 国民はこの教訓を率直に受けとめて、わが国原子力行政の開発優先を厳しく批判し、原子力行政が安全第一の政策を確立することを強く求めたのであります。科学技術特別委員会においても、各党ともそのことに合意してきたところであります。 しかるに、総理大臣の諮問機関である行政懇談会は、「特に原子力については、エネルギー計画の中において位置づけを明確にしてその必要性を国民に訴え、推進する必要がある。わが国にして、今後もいたずらに時をむなしゅうして、原子力政策の確立を怠るならば、後世の国民に対する責任が厳しく問われなくてはならない」と開発推進を強要するがごとき答申を行ったのであります。 行政懇は果たして安全確保に目を向けていたと言えるのでありましょうか。安全を優先すべきであるという世論は全く無視されているのであります。総評を代表して委員となっていた酒井一三氏が、この行政懇のあり方が企業寄りで、開発推進一方の論議であってがまんができぬと、不満を表明して委員を辞任したのは、まことにさもありなんと言わざるを得ません。 法案に対する反対理由の第一は、現行法では総理大臣のもとに一元的に帰一している炉の設置許可権を三省庁に分化させることであります。 行政庁の一貫性を確立するという名目で安全性を確立し規制する安全審査の権限を、開発促進を任務としている現業官庁に持たせて、果たしてその成果は期待できるだろうか。設置許可権を付与するということは、今日まで発電炉、舶用炉のトラブルがすべて現業官庁の安全軽視に基づいていることを見抜いている国民の不信感を逆なでするものであって、余りにも露骨な業界奉仕の行為であります。とうてい賛成できるものではありません。原子力の安全性に対し、横断的、一元的に規制力を確立している現行基本法の規制体系は、本改正法案によってみじめにも打ち崩されることは、まことに残念であります。 反対する第二点は、原子力安全委員会を新たに設置して、安全規制を重視しているがごとく国民を欺いているが、この委員会は、国家行政組織法第三条機関にすることを拒否されているのであります。規定づけられた第八条機関は、法的には第三者に対する発言権はもとより、その及ぼす能力は何一つ持っていないということであります。 提案説明によると、炉の設置許可権者を三分割することによって安全規制に不安と不信が生じるので、原子力安全委員会がダブルチェックの機能を持つことによって、安全性の確保が一層確実になるというのであります。しかし、八条委員会は、どのように法律の文言で補強修正しても、八条委員会の権限の域を越えることはできません。しょせん総理大臣に対する諮問機関、耳打ちをする以上の力量を発揮することはできないのであります。原子力安全委員会は、まさしく安全審査の専門業務に携わるのでありまするが、三省庁に対するダブルチェックの権威は、法的に何ら担保を与えられていないのであります。 反対する第三点は、原子炉安全専門審査会を法定機関から政令機関に格下げすることであります。 原子力安全委員会の具体的な仕事は、原子炉安全専門審査会が仕切っていることは御承知のとおりであります。さきに、原子力安全委員会を第三条機関にせず、八条委員会にしたことは、安全に関するダブルチェックの法的根拠を与えないことを指摘したところでありまするが、安全専門審査会を法定機関から政令機関に格下げする政府の意図は、どのように弁解しても、安全軽視の本質を暴露しているのであって、国民が原子力の安全性を求めている真意を解せず、国民を愚弄するもはなはだしいと言わざるを得ないのであります。 反対の第四点は、新たに設置許可権を付与される省庁にそれを受けとめる体制が全く用意されていないという、まことに理解に苦しむ事実を指摘しなければなりません。 例を運輸省にとれば、全く受け入れの体制の整備が用意されていないのであって、その理由をただすと、原子力船「むつ」は、この改正法案が成立すれば、研究実験船として科学技術庁の所掌に入るからだと言うのであります。実用原子力船はさらに十年近くも後になるであろうという見方であります。法案の審議を急ぎ、商工委員会、運輸委員会などとの連合審査すら受け入れようとしない自民党議員の態度と、受け入れ体制を全く持っていない運輸省のこの実態を対比して、果たして、この改正法案の真のねらいは何か、疑わざるを得ないのであります。 本法改正の動機が、原子力の安全性を確立するための行政改革を求めた国民の要請にあったとすれば、この改正案は、国民の要請を逆手にとって、開発推進の実権を現業官庁に与えるという政府・自民党の企業サイドの改正であって、賛成することはできないのであります。 自民党の修正案について意見を述べれば、改正原案よりは若干の前進を認めることにやぶさかでありませんが、原案の本質を変えるものではなく、これに賛成することはできません。 以上、日本社会党を代表して、原案並びに修正案に反対の討論を終わります。(拍手)
○議長(保利茂君) 大石千八君。 〔大石千八君登壇〕
○大石千八君 私は、自由民主党を代表して、原子力基本法等の一部を改正する法律案の政府原案並びに委員会修正に対し、賛成の意を表するものであります。(拍手) 資源の乏しいわが国において、今後とも経済の安定成長を図り、雇用を確保し、もって国民生活の向上、福祉の充実を図るためには、将来にわたってエネルギーの安定的供給が確保されなければなりません。 しかしながら、現在のエネルギーの大宗を占める石油の長期的供給は、必ずしも十分に確保されていないのが実情であり、したがって、わが国のみならず、世界各国において、石油代替エネルギーの開発が急務となっているところであります。 わが国におきましては、石油にかわる準国産エネルギーとして現実に供給を拡大する可能性を有するのは、原子力のみでありまして、原子力の平和利用を強力に推進していくことが必要不可欠となります。 このため、わが党は、従来から、安全研究の推進、安全行政体制の整備など、安全の確保に十分配慮しつつ、鋭意原子力開発利用の推進に努めるよう、政府に対し強く要請してきたところでありますが、必ずしも期待どおりの進展を見ていないのが現状であります。 これは、わが国民の間において、現在の原子力委員会体制、原子力安全行政体制がいまだ不十分であり、さらに一層の原子力安全確保体制の充実が望まれていることによるものと認識するものであります。 このような状況を打開し、今後とも原子力開発利用を円滑に推進してまいりますためには、原子力に対する国民の信頼を確保し、国民の理解と協力を得るために、万全の努力を払うことが必要であります。 この観点から、原子力行政体制の基本的なあり方について検討するため、内閣総理大臣のもとに、原子力行政懇談会が三十四回にわたって開催され、学識経験者、労働者代表、原子力発電所を有する地方自治体代表者などの意見を聞くとともに、内閣に原子力行政体制改革強化推進連絡会議が設けられ、鋭意検討が進められてきたところであります。 その結果、原子力の安全の確保に万全を期しつつ、原子力に対する国民の十分な理解と協力を得るためには、原子力行政体制の改革が必要であるという結論が得られ、原子力基本法等の一部を改正する法律案が政府において作成、提出された次第であります。 本改正案は、新たに原子力安全委員会を設けることと、行政庁における安全規制行政の一貫化を図ることを目的としたものであります。 すなわち、第一は、これまでの原子力委員会が開発と規制の両面の機能をあわせ持ち、両者を有機的に結合することにより原子力行政を進めてきた体制を改め、安全確保に関する事項については、従来の原子力委員会から分離し、別途の体制で臨むこととし、新たに原子力安全委員会を設け、行政庁の行った安全審査を国民の健康と安全を守るという観点から再チェック、いわゆるダブルチェックを行おうとするものであります。 第二は、原子力安全規制に関し、基本的な安全審査から運転管理に至る一連の規制行政に一貫性が欠けている点に対処して、原子力の安全確保についての各行政庁の責任関係を明確にすべく、原子炉の区分に応じ、内閣総理大臣、通商産業大臣及び運輸大臣が、それぞれ一貫して規制行政に当たることとするものであります。また、これに伴い、各行政庁においては、所要の審査、検査体制の強化も図られることとなっております。 これらの諸措置により、原子力の安全確保体制の一層の充実が図られることになり、ひいては原子力の開発利用についての国民の理解と協力を得ていくための基盤が整うことになるものと確信いたします。 さらに、科学技術振興対策特別委員会において、原子力基本法で安全の確保の理念を明らかにするとともに、原子力安全委員会の権威と権限をより高める趣旨の修正が行われ、原子力の開発利用における一層の安全の確保が図られることになったところであります。 以上の理由に基づきまして、原案並びに委員会修正に全面的に賛成の意を表明し、討論を終わります。(拍手)
○議長(保利茂君) これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○議長(保利茂君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。 ————◇————— 日程第八 昭和五十三年度における財政処理 のための公債の発行及び専売納付金の納付 の特例に関する法律案(内閣提出)
○議長(保利茂君) 日程第八、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案を議題といたします。 委員長の報告を求めます。大蔵委員長大村襄治君。 ————————————— 昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案及び同報告書 〔本号(二)に掲載〕 ————————————— 〔大村襄治君登壇〕
○大村襄治君 ただいま議題となりました昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案につきまして、大蔵委員会における審査の経過並びに結果を御報告申し上げます。 この法律案は、昭和五十三年度の租税収入の動向等にかんがみ、同年度の財政運営に必要な財源を確保し、もって国民生活と国民経済の安定に資するため、昭和五十三年度の特例措置として、財政法第四条第一項ただし書きの規定により公債を発行する場合のほか、一般会計において特例公債を発行することができることとするとともに、日本専売公社の専売納付金の納付の特例を定めようとするもので、その内容を申し上げますと、 第一は、特例公債の発行等についてであります。 まず、昭和五十三年度の一般会計歳出の財源に充てるため、予算をもって国会の議決を経た金額の範囲内で、特例公債を発行することができることといたしております。 次に、特例公債の発行は、昭和五十四年六月三十日まで行うことができることとし、同年四月一日以後に発行される特例公債に係る収入は、昭和五十三年度所属の歳入とすることといたしております。 また、この法律の規定に基づく公債の発行限度額について国会の議決を経ようとするときは、その償還の計画を国会に提出しなければならないことといたしております。 なお、この法律により発行される公債については、償還のための起債は行わないものといたしております。 第二は、日本専売公社の特別納付金の納付についてであります。 まず、日本専売公社は、昭和五十三年度限りの措置として、通常の納付金のほか、積立金のうち千五百六十九億円に相当する金額を昭和五十四年三月三十一日までに国庫に納付しなければならないこととしております。 次に、この特別納付金に相当する金額は、積立金の額から減額して整理することといたしております。 本案につきましては、参考人を招致してその意見を聴取する等、慎重に審査を行い、景気の動向と本年度の経済成長の見通し、歳入歳出両面からの財政再建の方策、長期財政計画の導入の必要性、減債制度のあり方、国債管理政策の確立と公社債市場の整備、専売特別納付金が公社経営に与える影響等、財政金融政策をめぐる各般の問題点につき、熱心な論議が交わされましたが、その詳細は会議録に譲ります。 かくして、昨十九日質疑を終了いたしましたところ、綿貫民輔君外二名から、自由民主党、民社党及び新自由クラブの三党共同提案に係る、施行期日を「公布の日」に改めることとする修正案が提出されました。 次いで、原案及び修正案を一括して討論に入りましたところ、自由民主党を代表して保岡興治君からは賛成の旨の、日本社会党を代表して大島弘君、公明党・国民会議を代表して宮地正介君からは、それぞれ反対の旨の、民社党を代表して永末英一君からは賛成の旨の、日本共産党・革新共同を代表して荒木宏君からは反対の旨の、新自由クラブを代表して永原稔君からは賛成の旨の意見が述べられました。 次いで、以上の原案及び修正案について採決いたしました結果、修正案及び修正部分を除く原案はいずれも多数をもって可決され、よって、本案は修正議決すべきものと決しました。 なお、本案に対しましては、附帯決議が付せられましたことを申し添えます。 以上、御報告申し上げます。(拍手) —————————————
○議長(保利茂君) 討論の通告があります。順次これを許します。沢田広君。 〔沢田広君登壇〕
○沢田広君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました昭和五十三年度における公債の発行及び専売納付金の特例に関する法律案に対し反対の態度を表明し、討論を行うものであります。 この法案は、いわゆる赤字国債であります。本年の予算において十兆九千八百五十億円にも達し、史上最高のものとなりました。本案は、このうち約五〇%を占める四兆九千三百五十億円にもなり、歳出対比一八・四%であり、予算の国債依存度はまさに三七%、三分の一は国債という異常の事態を生じたのであります。 このような異常の状態を生じた最大の原因は、積年の自民党政府のとった施策に根本的な誤りがあったことを指摘せざるを得ないのであります。(拍手) その最大の原因は、高度成長を前提とした大企業擁護の財政運営にあります。いまやドル保有も二百九十億ドルを超えるに至りました。輸出一辺倒の政治と激しいインフレ下以降における適正な税制の確立を怠ったことに最大の原因があるものと存じます。この傾向はいまだ改まらず、さらに、財政破綻の道を歩むことは必至であります。 今日、戦後最長の不況下に陥り、回復の展望もなく、国民生活は円高不況におびえ、失業、物価高、老後、医療、教育等々に悩み、苦しみ、国民の多くの人々があすへの希望すら失いかけているのではないでしょうか。総理はこの現状を果たして御存じなのでありましょうか。 景気の回復はできず、これからはよくなる、今度はよくなる、今度こそは間違いないなどの政府答弁のむなしさと裏切られている国民感情は、福田内閣の支持率二〇%に表現されているのではないでしょうか。 ますます政治不信を増大させ、富と所得の格差を拡大させ、寡占、独占の市場支配が行われ、賃金の抑制、省力化のもとの首切り、公共料金の引き上げ、福祉の後退となっているではありませんか。個人消費約一二%増も、拡大への何らの施策も講ぜず、消費者物価六・八%上昇見込みの中への賃金すら低額に抑え込もうとしているではありませんか。 全野党の要求した一兆円減税も、景気の回復、個人消費拡大の重要な要素であるからでありました。政府・自民党は、これすら三千億円に圧縮し、みずから政府公約七%成長を放棄しているものと言わざるを得ません。 この姿勢に対し、勤労国民の多くは、大きな怒りとなってあらわれることは必至であり、強い権力がすべてであるという姿勢を速やかに改め、反省すべきと存じます。 私たちは、このような事態になることをおそれ、一兆円減税、企業優遇税制、特に特別措置法の改正、利子配当の総合課税、高額所得の累進率の引き上げ、交際費課税並びに資産再評価税などを提案し、この実現を迫り、格差の解消、不公正の是正こそ今日の財政の最大の課題であると主張をしてきたところであります。 前三木総理ですら、今日の政治目標が「乏しきを憂えず、等しからざるを憂える」と問うたではありませんか。この積年の政府の怠慢は許しがたいものと言わなければなりません。この立場から、本案にまず反対する最大の理由が存在するわけであります。 私は、以下、公債発行並びに専売納付金の問題点を指摘し、その反対理由を明らかにするものであります。 その第一は、国債の累積とその負担の問題であります。 国債は昭和四十年以降毎年増加の一途をたどり、いまや惰性となり慣習化され、国債の発行が財政運営の上に恥ずべき状況にあることの認識に全く欠如し、また、財政法の本旨にも反するものであります。 この累積赤字の残高は実に四十兆円を超え、昭和五十七年には百兆円を超えると言われております。赤ん坊からお年寄りまでが一人当たり四十万円あるいは百万円という莫大な負担を負うこととなるのであります。一方、公債の償還の目途、計画は全く立たず、国民はいつこのツケがくるか不安におびえているのが現状でありましょう。政府は、この赤字脱却の道として、一般消費税などの導入を考えて、時至らばと企図しておりますが、断じて許されるものではないと存じます。 第二の問題点は、そもそも国債は政府に対する信頼でもあります。国民はみずからの生活に還元されることを期待し、市中消化が行われ、かつ、目減りの心配のないものでなければなりません。現状はその信用は失われ、個人消費は、公定歩合の引き下げ、郵便貯金の金利の引き下げなどによって、わずかに二〇%近くになったと言われますが、依然として金融機関の割り当てであり、企業保有がほとんどであり、その対応は全く国民不在と言わなければなりません。 第三の問題は、財政運営の問題であります。 本年の償還額は三兆二千二百二十六億円にも達し、国債発行高の三分の一を占めるに至っております。まさに財政の硬直化が始まっていると申せましょう。赤字国債の償還のために赤字国債を発行するを得ないなどの批判が生まれるゆえんでもあると存じます。 また、不急不要の行政の節約を行うことが必要であります。国債に対する歳出に当たる各省は、全くその価値、貴重性を感ぜず、割り当てされた予算を消化することだけにしか念頭にないことは断じて許されません。これらは各年度の会計検査院の報告が例示し、示すところであります。 最後に、総理大臣、現下の景気の回復に、雇用の確保に、福祉に、生活水準の向上に役立ち、公約七%成長を果たして果たし得るものでありましょうか。この大量の公債が市中に出回り、コストプッシュ、過剰流動性、投機、マネーサプライの膨張等々、インフレの懸念、不安が潜在的に進行している事実をどう認識されておられるのでありましょうか。 経済の福田と言われた総理も、いまや内外の施策から、不況の福田、後手後手の福田、スローモーの福田などと言われることは、単に福田総理の汚名だけではなく、国民全体の生活にとってゆゆしい事態であります。その責任はまさに重大であると言わなければなりません。 一方、専売納付金千五百六十九億円を政府に納入する内容は、政府の失政のしわ寄せの一つであり、公共企業体の自主性を阻害し、労使の企業への熱意、努力を喪失させるだけであります。 借りるなら別であるかもしれません。法の名のもとに、御用金調達になることは許されるものではありません。加えて、民営移管などが流布されている今日、労使も将来に対する懸念、不安を一層増加させ、双方の信頼関係を傷つけるものと言わなければなりません。今後、起こり得る専売関係の紛争は一に政府の責任に帰すと申せましょう。また、このことが、積立金の減少に伴い、たばこの値上げにつながることも予見しなければなりません。ゆえに、今回の提案を私たちは了承することができないのであります。 以上、政府、関係者の反省を強く求め、反対の討論といたします。(拍手)
○議長(保利茂君) 後藤田正晴君。 〔後藤田正晴君登壇〕
○後藤田正晴君 私は、自由民主党を代表いたしまして、昭和五十三年度における財政処理のための公債の発行及び専売納付金の納付の特例に関する法律案に対して、賛成の意見を述べるものでございます。(拍手) わが国経済は、緩やかな拡大基調を続けてはおりますが、総体として景気回復の足取りはなお十分とは言えません。雇用情勢も依然厳しいものとなっております。他方、経常収支は大幅な黒字基調を続けており、円相場の急騰によるデフレ効果が懸念される状況と相なっております。 このようなわが国経済を取り巻く厳しい内外情勢に対処して、景気の速やかな回復を図るために、政府においては、すでに成立を見た昭和五十三年度予算において、公共事業等の積極的な拡充を図るなど、思い切った財政運営を行うこととされており、過日、公共事業の上期契約率の目標をおおむね七三%程度に定めて、その円滑な施行に万全を期しておる現状でございます。私は、このような財政面における積極果敢な措置が、公定歩合を初めとする金利水準全般の引き下げ等、金融面の措置と相まって、着実な景気の回復、雇用の拡大を確保して、経済の先行きに対する国民の不安感を払拭できることを確信いたしておるのでございます。(拍手) ところで、昭和五十三年度においては、歳入面では、酒税及び有価証券取引税の増収を図るとともに、新たに石油税を創設するなどの措置を講ずるほかに、さらに財源の確保と地方財政対策等にも資するために、昭和五十四年五月中に収納される税収について、年度の所属区分を変更し、これを昭和五十三年度所属の歳入として受け入れることにいたしておるのでございます。しかし、なお十分な租税収入を確保できない状況にあり、他方、歳出面では、投資的経費と経常的経費に分けて検討を加えて、投資的経費につきましては、景気の回復を早めるため、積極的に規模の拡大を図ることとする反面、経常的な経費につきましては、財政節度の維持に努める見地から、極力その規模を抑制することといたしておりますが、特に緊要な施策については、社会経済情勢に相応じて、重点的にその充実を図ることといたしておるのでございます。 このような歳入歳出両面の状況にかんがみ、政府は、昭和五十三年度においても引き続き特例公債の発行に依存せざるを得ず、また、日本専売公社から通常の専売納付金のほかに、特別の納付金を受け入れる必要があるとしておりますが、私はこれに対して、財政経済の現状にかんがみまして、基本的に賛成の意を表明するものでございます。(拍手) もとより、このような措置は、あくまで特例的な措置であって、特例公債に依存する財政からできるだけ早く脱却することが財政運営の要諦であることは申し上げるまでもございません。そのため、立法府も行政府も一体となって努力しなければならないことを、この際、私は改めて強調いたしたいのでございます。政府においては、今後、従来以上に財政収支の改善に全力を尽くされるよう強く要請するものでございます。 以上、私は、昭和五十三年度における特例公債の発行及び日本専売公社の特別納付金の納付が真に必要にしてやむを得ないものであると考えますとともに、わが国財政が、できる限り早く、このような特例措置を必要としない状態に復帰できるように要請をいたしまして、本法律案に対する賛成の討論を終わります。(拍手)
○議長(保利茂君) これにて討論は終局いたしました。 —————————————
○議長(保利茂君) 採決いたします。 本案の委員長の報告は修正であります。本案を委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○議長(保利茂君) 起立多数。よって、本案は委員長報告のとおり決しました。 ————◇—————
○議長(保利茂君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時九分散会 ————◇————— 出席国務大臣 法 務 大 臣 瀬戸山三男君 大 蔵 大 臣 村山 達雄君 文 部 大 臣 砂田 重民君 農林大臣臨時代 理 国 務 大 臣 安倍晋太郎君 通商産業大臣 河本 敏夫君 国 務 大 臣 稻村左近四郎君 国 務 大 臣 熊谷太三郎君 ————◇—————