法務委員会 第28号
- 発言数
- 274 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1978/06/06
会議録
○鴨田委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、民事執行法案及び司法書士法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武三郎君。
○山崎(武)委員 まず民事執行法案について御質問いたします。 民事執行法案を立案した趣旨及びその主要点について御説明お願いします。
○香川政府委員 この民事執行法案に盛られております強制執行と担保権の実行手続、これは現行法では強制執行につきましては民事訴訟法中強制執行編に規定があるわけでありまして、担保権の実行の関係は競売法にあるわけでございますが、いずれもこの競売が非常に時間がかかるということが一つの大きな問題になっておりまして、さらにまた動産、不動産を問わず、競売しました場合に時価よりも相当低い価格でしか売却できないというふうな実態にもございまして、つとにさような点を中心として改正の必要が唱えられておったわけでございます。 今回御審議願っております民事執行法案は、強制執行と担保権の実行手続を一本にした手続法でございまして、いま申しました現行法におけるいわば欠陥と言われておる手続の迅速化と、できるだけ時価相当で売却できるようにするというふうな点を中心にいたしまして、そのほかいろいろの法律関係を明確にする等の規定を設けておるわけでございます。
○山崎(武)委員 強制執行法の改正作業というのは長期にわたって行われてきた様子でありますが、本法案の立案に至るまでの経緯をお述べください。
○香川政府委員 ただいま申し上げましたような必要性から、昭和二十九年に法務大臣が法制審議会に対しまして、強制執行及び競売に関する制度を改善する必要があるとすればその要綱を示されたいという趣旨の諮問をいたしました。同年から審議が開始されたのでございますが、その間におきまして、滞納処分と強制執行との手続の調整とか、あるいは手形訴訟制度の改正とか、執行官法の制定等、緊急を要する立法事項が相次いで起こりまして、それらの審議を先行いたしましたために、この大臣の諮問に対する審議が実質的に始まりましたのは昭和四十三年の暮れからでございます。 その後法制審議会の強制執行制度部会におきまして慎重に検討が加えられまして、そしてその審議の内容を民事局において取りまとめまして第一次試案としてこれを公表し、さらにまた、それを練り直した第二次試案も公表いたしまして、それぞれにつきまして各界の意見をいただきまして、それを参考資料といたしましてさらに部会において審議が継続されました。そして昭和五十二年の二月二十三日の法制審議会におきまして答申案としてまとまりまして、法務大臣に答申されたわけでございます。その民事執行法案要綱に基づきまして立案いたしましたのがこの法案でございます。
○山崎(武)委員 今日の競売場では悪質な競売ブローカーが暗躍して、一般の市民は競売に参加したくないというふうに、また非常に競売には参加しにくいというふうに言われておりますが、その原因は何なのか、また今回のこの民事執行法案によってこの是正が図られたかどうか、御説明願いたい。
○香川政府委員 御指摘のように、現在の競売場における競売に一般の市民が参加することはなかなか容易でない。これは法律的にそうだということではございませんで、その理由として二つぐらい大きな理由が考えられると思うのであります。 一つは、競売場の施設そのものが非常に、裁判所の地下室等にあったりいたしまして、なかなかわかりにくい、のみならず、御承知と思いますけれども、なかなかオープンになっていないと申しますか、非常に薄暗いところで、一般市民が参加しにくいというふうな雰囲気を持っているというふうなこともあろうかと思います。 それからまた、いわゆる競売ブローカーと言われている者がいろいろの手を使いまして、一般の市民が競売に参加できないような状態をつくり出すということが一つの大きな原因だと思うのであります。 前者の問題につきましては、この法案が幸い御可決いただきますれば、来年度予算要求として裁判所から所要の予算の要求をいたしまして、施設の改善を図りたいということが一つでございます。 それから、いわゆる競売ブローカーの締め出しと申しますか、この問題としまして、執行官がそういった悪質な競売ブローカーを競売場から締め出す措置を講ずることができるようにいたしておりますことが一つと、それから、さような不正な手段で落札するというふうな者あるいはその代理人となった者等につきまして、それが明らかになりますれば執行裁判所が競落決定をしないということにいたしまして、さような悪質ブローカーの締め出しを図ってはどうかというふうなことでこの規定を設けております。
○山崎(武)委員 一般的に、不動産競売においては時価より相当安い値でしか不動産が売れないと言われておりますが、その原因は何か、また、本法案によってその是正が図られたか、お聞きいたします。
○香川政府委員 御指摘のとおり、不動産の競売におきましても時価よりも相当低い価格でしか売れない。その理由は、先ほど申しましたように、競売ブローカーが暗躍して一般市民がなかなか参加しにくいということもございますし、また、現在の競売手続では不動産の法律上あるいは事実上の現況把握が十分でない、つまりその不動産を落札した場合に一体賃貸借がついてくるのかついてこないのか、あるいはどういう権利が消滅するのかというふうな点も必ずしも明確になっていない面がございます。そういうことから、今回の法案におきましては、執行官によりまして不動産の現況調査が十分できるような措置を講じまして、そしてそれに基づきまして物理的な現況のみならず法律的な関係、たとえば競落いたしました場合にどういう法律状態の不動産を取得することになるのかというふうな関係を明らかにするための物件明細書という制度を設けまして、これを新たにつくるというふうなこと、それから、一体最低幾らで売れればいいかというふうな、現行法で申しますればいわゆる最低競売価額でございますが、この評価が手続的に問題がございますので、今回の法案におきましては、評価人を選任して十分な評価、正当な評価ができるように措置を講じておるのでございます。 それからもう一つは、これが最も高く売れない理由の一つだろうと思いますけれども、せっかくその不動産を競落いたしました場合、第三者が、債務者でもそうなんでございますけれども、占有いたしております場合に引き渡しを受けることが容易でない、結局のところ、改めて訴訟によって引き渡しを求めてその執行をするというふうなことにならざるを得ない。かようなことでは容易に競落できないわけでございまして、そういった引き渡しを受けるための手数、費用等も勘案して、それだけ不動産が安くしか売れないというふうなことになっておりますので、現在のそういった点を是正するために、この法案におきましては競落人のために引き渡し命令を発しまして、それによって執行ができるということにしようといたしております。 それから、売却する前におきまして債務者とかあるいは占有者がその不動産を棄損するというふうなおそれがあるわけでございまして、そういうおそれがある場合にはそれを差しとめて不動産の価値を保全するというふうな保全命令の制度も新設いたしております。 このような措置を講ずることによりまして、私どもといたしましては、現在批判がございます安くしか売れないという点が相当是正されるのではないかというふうに考えておる次第でございます。
○山崎(武)委員 担保権の実行としての競売においては、強制執行と異なりその申し立てに債務名義を要しないこととしているのはなぜか、お答えください。
○香川政府委員 これは理論的には強制執行の場合と同じように、担保権の実行として債務名義を必要とする制度も十分考えられるわけでございます。ただ、さような制度にいたします場合に、現在は人と人との間の訴訟という形で債務名義が形成されるわけでございますけれども、担保権の実行のための債務名義ということになりますと、人と人との間ではなくて、物に対する競売権と申しますか、いわゆる物的債務名義の制度を新たに導入しなければならぬということになるわけでございます。かような新しい物的債務名義の形成、訴訟手続をわが国の民事訴訟に導入するということにつきましては、裁判所側のいろいろの問題もございますし、これは相当長期にわたって検討を要する問題ではなかろうかというふうに考えるわけでございます。それよりも、今回の法案におきまして担保権の実行手続において債務名義を必要としないということにいたしておりますのは、実質的にその物的債務名義を導入するということに相なりますと、実際の担保権の実行が現実の問題としてなかなか容易でなくなる。現行法は、御承知のとおりそういう債務名義を必要としていないわけでございまして、たとえば賃金債権を保護するための一般の先取り特権という制度があるわけでございますが、この一般の先取り特権を実行する場合に物的債務名義が要るということになりますと、一般に賃金というふうなものはそう高額のものではないわけでございまして、そのために債務名義が要るということに相なりますと費用倒れになるおそれもございます。そういうふうなことから、今日の競売法において債務名義を必要としないで担保権の実行ができるということになっておる、こういったいわば慣熟した制度を一挙に改めるということは、実際問題としていろいろの不都合が生じてくるおそれがあるわけでございます。 さらにまた、現行の競売法におきまして物的債務名義の制度をとっていないことからの弊害というふうな理論的な問題、あるいは実際的な弊害それ自体もさほどないわけでございますので、理論的にはそういった担保権の実行について債務名義を必要とする制度というものは検討に値するわけでございますけれども、実際の実務におきまして今日さような制度を導入するということはいろいろ問題があるということで、物的債務名義の制度を設けていないわけでございます。しかし、担保権の実行といえども人の財産を強制的に売却するわけでございますから、入り口において債務名義を必要としませんけれども、手続の過程におきましていろいろの異議がある場合に、手続を十分整えましてそれによってその所有者等の保護も図るというふうな措置を講じておりますので、私どもといたしましては、債務名義を導入していないことによる欠陥というものは実際問題としてはないのではないか、かように考えておるわけでございます。
○山崎(武)委員 法案の施行期日は昭和五十五年十月一日とされているのはなぜか、お答えください。
○香川政府委員 この民事執行法が成立いたしました場合に、御承知のとおりこの法律の委任を受けております最高裁判所規則あるいは実施規則の制定が必要になるわけでございます。この最高裁判所規則は諮問委員会を設けまして審議願うわけでございますが、最高裁判所の事務当局の見込みといたしまして、この規則制定のためにはまず一年から一年半くらいはかかるであろうということが言われておるわけでございます。さらに、先ほど御指摘の競売場の改善というふうなもの、予算措置あるいはそれによる実施というふうなことも必要になってまいりますし、また制度が大きく変わる点もございますので、一般にPRして周知徹底するというふうな必要もございます。さようないろいろの準備が必要になってまいりますので、御指摘のような施行期日にいたしておるわけでございます。
○山崎(武)委員 次に、司法書士法の一部を改正する法律案について御質問いたします。 まず、司法書士制度の沿革及び現在司法書士が果たしている国民の法律生活における役割りを御説明願います。
○香川政府委員 まず司法書士制度の沿革でございますが、これは明治初年にいわゆる司法職務定制及び訴答文例というものが設けられまして、これによっていわゆる訴状の作成を業務とする代書人の制度が設けられたようでございます。しかし、法律的にこういう制度が確立いたしましたのは、御案内のとおり大正八年の司法代書人法の制定からでございまして、この司法代書人法の制定によりまして、裁判所及び検事局に提出する書類の作成を業とする司法代書人という制度が設けられたわけでございます。昭和十年にこの司法代書人という名称が司法書士というふうに改められまして、さらに昭和二十五年にそれが全面改正されまして現行の司法書士法ということになりました。その後昭和三十一年にいわゆる司法書士会への強制入会制度等の改正がなされ、さらに昭和四十二年に司法書士会に法人格を付与する等の改正がなされまして今日に至っておるわけでございます。 司法書士の制度はさような経緯をたどって今日なっておるわけでございますけれども、この業務すなわち登記、供託あるいは訴訟等に関する書類を作成して、裁判所あるいは検察庁あるいは法務局に提出するというふうなことは、一般の国民の法律生活にとってきわめて密接不可分の問題でございまして、これを司法書士がその責任において代行するということが、現在一般の国民のそういった法律生活を保全すると申しますか、円滑に行うために非常に重要な制度として定着してきておると思うのであります。弁護士がどちらかといえば専門的、訴訟をもっぱらにしたものであるのに対比いたしまして、司法書士の制度は庶民性と申しますか、一般大衆の法律生活の運営に欠くことのできない制度として国民から非常に期待されておると私ども考えております。
○山崎(武)委員 今回の改正の主要な点を御説明願います。
○香川政府委員 今回の改正の主要点、まず第一は、現在の司法書士は法務局あるいは地方法務局の長の認可によって司法書士の資格が付与されるわけでございますが、これを司法書士の仕事の実質から考えましてより資質のよい司法書士をつくり出すという意味から、国家試験制を導入しておる点が最も大きな改正の要点でございます。 第二は、現行の司法書士法には司法書士法の目的とかあるいは職責に関する規定がないわけでございますが、やはりさような目的あるいは職責の規定を明確にすることが司法書士制度の向上のためによかろうということでさような規定を設けておる。 それから司法書士会の自主性と申しますか、さような面から、司法書士会によるその所属会員に対する注意勧告権、あるいは司法書士会連合会の法務大臣に対する建議権というふうなものも認めておるわけでございます。 さような点が主な改正点だろうと思います。
○山崎(武)委員 日本司法書士会連合会は今回の改正案について賛成しているのかどうか。また、本年二月、同会は改正案について臨時総会を開催し、要望決議を行ったと聞いておりますが、その内容及びそれらの要望に対してどのように考えているか、お尋ねいたします。
○香川政府委員 司法書士法の改正につきまして日本司法書士会連合会におきましてはいろいろの角度から改正点を検討されまして、いろいろ紆余曲折を経まして私どもと協議を続けてまいったわけでございますが、結局のところ、いろいろ協議をいたしました結果、今回御審議願っておる司法書士法の改正案どおりで結構だというふうに、むしろその早期成立を要望しておるような状況でございます。 ただ将来の問題として、さらにいろいろ問題、改正検討問題として、御指摘のような本年の二月に総会において決議がされたようでございますが、正式には、その決議に基づく要望は私どもには出てきておりません。むしろ現在の改正案の内容による司法書士法の改正をできるだけ早急にお願いしたいというふうな要望が参っておるわけでございます。ただ、そういった今後の問題、改正検討問題点としての大臣に対する要望等は正式には出ておりませんけれども、私ども聞くところによりますと、たとえば自主懲戒権の制度とか、あるいは司法書士国家試験に合格した司法書士の連合会による登録の制度とか、あるいは業務範囲の拡大の問題というふうな点が、要望問題点として提起されておるようでございますけれども、私どもの現在の考えでは、いま申しましたような点はいろいろ根本的な問題がございますので、改正について現在のところは全く考えておりません。
○山崎(武)委員 今回の改正案によりまして、司法書士の業務の性格が、いままでは書類の作成の段階から、手続の代理、審査請求の代理あるいは一定の法律領域、登記、供託、訴訟等を担うそういう実務家という性格がきわめて濃厚になったということによりまして、司法書士の名称を司法士と改称した方がよろしいのではないかという考え方がございますが、どのようにお考えですか、お聞きいたします。
○香川政府委員 今回の司法書士法の改正に当たりましては、直接そういった名称、司法士でございますか、さような名称への変更の要望は聞いておりませんけれども、昔からこの司法書士という名称がどうもやはり「書」という字があることから代書人の連想があるというふうな感じを持たれまして、改正がいろいろ取りざたされておったようでございます。まあこれは、名は実の賓とか申しますので、あるいはもっとふさわしい、いい名前があればそれにこしたことはございませんけれども、何よりもこの司法書士の庶民性といいますか、そういったことも含めまして司法書士制度がもっともっと一般大衆の法律生活に入っていくということが先決であろうかと思うのであります。かたがた、さような趣旨から名称も、いい名称があればそれに改めるというふうなことも十分検討に値することだろうと考えております。
○山崎(武)委員 従来から司法書士の方々は、本法案の改正の要望の一環といたしまして、憲法を試験科目にぜひ入れてくれという要望が強くございましたが、今回の改正案によりますと、試験科目に憲法を入れておりません。いかなる理由で入れなかったのか、お聞きいたします。
○香川政府委員 今回の司法書士法の改正案での国家試験における科目は、実はさような法律名をもって列挙していないのでございまして、登記あるいは供託に関する事項とか、あるいは刑法に関する事項というふうな大まかな規定になっておるわけでございます。 かねてから試験科目に憲法を入れてもらいたいという要望のあったことは十分承知しておりますが、私どもの考えでは、司法書士の一つの業法のあり方といたしまして、一つの特殊な分野におけるそういう専門実務家のための試験でございますので、一般教養的な意味におけるそういった憲法というふうなものを法律上必須科目にするというのはいかがなものであろうか。他の業法を見ましてもさような例がきわめて少ないわけでございまして、さようなことから、法律上、憲法を試験必須科目にするという改正案にはなっていないわけでございます。しかし、いろいろの面におきまして、憲法常識といいますか、さようなことが必要なことは言うまでもないわけでございまして、かような司法書士の業務の実態から考えまして、司法書士の業務上必要な事項というふうな意味で、この改正案の試験の実施事項の中に憲法が含まれると言えば含まれないこともないわけでございまして、将来国家試験の実施に当たりまして、そういった憲法常識と由しますが、あるいは教養的なそういった憲法感覚というふうなものを試験すればいいというふうに考えますれば、できるようにはなっておると思うのでございまして、今後の問題として検討させていただきたいというふうに思っております。
○山崎(武)委員 現在の司法書士法の報酬規定の中に、相談料というのが法務大臣認可となっております。したがって、司法書士はこれによって各種の法律相談に応じておるのが実情でありますし、また、弁護士さんというのが都市に集中している状況からして、実際問題としまして、登記、供託等の事務に関するもの以外のその他の訴訟等に関しても、実際相談にあずかっているという状況でございます。したがって、司法書士法の業務規定の末尾に、前項の業務に関する相談というのを加えたらいかがであろうかという見解がございますが、いかがでございましょうか。
○香川政府委員 登記、供託あるいは訴状あるいは検察庁に出す告訴状というふうなものの作成、さような手続関係はすぐれて法律実務であるわけであります。私どもといたしましては、その登記の申請とかあるいは訴状の作成等の、本来の司法書士の業務に属しておる事柄につきまして嘱託を受けた場合に、それに関連しての法律相談と申しますか、それは当然付随業務として現行法でもできるというふうに解釈いたしております。ただ、要望の、そういった個々の具体的な嘱託を受けた事件とは別個に、独立して法律相談に応ずるというふうなことを司法書士の業務範囲に取り入れるといたしますと、弁護士法との衝突の問題がくるわけでございます。これはなかなか大きな問題でございまして、また、果たしてさような万般の法律相談を司法書士ができるということにするのが一般国民にとっていいか悪いかというふうな問題、あるいは現在の司法書士あるいは国家試験制導入後の司法書士といえども、そういった万般の法律相談に十分こたえ得るかどうかというふうな点も十分検討しなければならぬ問題でございまして、むしろ現在は、さようなことはもっぱら弁護士の職域ということになっておるわけでございまして、さような点から、そういった法律相談を独立の業務として取り入れるということはきわめて困難であるのみならず、実質的に妥当かどうか疑問なしとしないというふうに考えております。
○山崎(武)委員 終わります。
○鴨田委員長 次に、横山利秋君。
○横山委員 本委員会は、四十二年の七月に、司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律案を通過させました。その際、満場一致四項目の附帯決議をいたしたのは政府もよく御存じのとおりであります。自来まさに十年の歳月を送って、ここに司法書士法の改正が、附帯決議の趣旨を尊重して御提出になったと私は思うのでありますが、そう考えて差し支えありませんか。
○香川政府委員 お説のとおりでございます。
○横山委員 今回の政府の提案は、この附帯決議の第二及び第三、すなわち、第二は「司法書士会及び土地家屋調査士会が、健全に発展し、会員の研修を自主的に行うことができるようにするとともに、懲戒制度についても、自主的措置がなし得るよう」努力をいたすこと、「三、司法書士の試験制度も、土地家屋調査士のそれと同様に、国家試験を採用するよう努力を致すこと。」この二つが、法律改正に当たって院議を尊重されたかどうかということが、私は念査をしなければならないわれわれの義務だと思うのであります。その意味では、率直に言いますと「懲戒制度についても、自主的措置がなし得るよう」努力をいたすことというこの項目については、本法案にどこに出ていますか。
○香川政府委員 司法書士会に懲戒権といいますか、そういうふうな自主懲戒制度を導入することについては、今回は改正いたしておりません。ただ、この問題は非常に司法書士制度の根幹に触れる問題でございますし、やはり司法書士法によりまして司法書士でなければこういつた業務はできない、いわばそういう独占企業にいたしております反面、国民に対しましては、この司法書士制度を活用することによってそれだけの利益が国民にあるんだというふうなことに相なるわけでございまして、さような制度のもとにおきまして司法書士の自主懲戒権というふうなものを直ちに設ける、言いかえれば国がそれについて全然関与しないというふうなことが、果たして国民の期待にこたえる制度としていいかどうかという問題があろうかと思うのであります。ただ、この附帯決議の御趣旨は、できるだけそういった自主性というものを育てるというふうな点にあるように思うのでありまして、今回の法律案におきましては、各司法書士会が、非行をするおそれのあるような司法書士に対して事前に注意、勧告をするというふうな、注意勧告権を設けることによって、この面での御趣旨に幾分でも沿うことになるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○横山委員 それでは、いまのあなたの話によりますと、暫定的にそういうようなことでやっていくというのですが、少なくともこの附帯決議が将来ともに尊重をされる、そしてその完全な実行のために将来ともに検討する、そういうふうに理解してよろしいのか。
○香川政府委員 この附帯決議の御趣旨は、完全に司法書士会に懲戒権を持たせるというところまで言っておるのかどうか、私どもそこのところ、読み方の問題かと思いますけれども、たとえば司法書士会から、懲戒権を現在持っております監督法務局長に対しまして懲戒権の発動を促すというふうな措置を自主的にとるというふうなことは十分考えていいことだと思うのでありますけれども、全く国の手を離れまして司法書士会みずからが責任を持って懲戒権を行使するというふうなことは、将来の問題としてもむしろ妥当ではないのじゃないかというふうに私は考えております。
○横山委員 院議を勝手に解釈してもらっては困るのであります。あなたが、この懲戒制度についても自主的措置がなし得るよう努力をいたすことという国会の院議を自分の都合のいいように解釈してもらっては困る。書いたのは私ども、決議をしたのは私どもでありますから、私どもの解釈が正しいのですから、あなたがこれを最小限にひとつ物を考えたいと思うということは越権行為です。したがって、われわれとしては言葉どおりに素直に読んでもらうために、素直に努力をしてもらうために、ひとつ今後とも追及をいたしたいと思うものですから、念のために申し上げておきます。 そこで、十年目の司法書士法の基本的な論議をするのでありますが、少なくとも今度の案でこの国家試験の採用という第三項目の附帯決議が生まれました。しかしながら、国家試験を採用するということはこれから司法書士になろうとする人の問題であります。そのことだけで本法案が出てきたことではないことは言うまでもありません。この際、本法改正並びに将来に向かって法務省としてあるべき司法書士のビジョン、この法案に基づくあるべき司法書士のビジョン、将来の展望、期待、そういうことについてあなたはどうお考えになって立案をされましたか。
○香川政府委員 司法書士制度の将来のためを考えますと、何といっても個々の司法書士の資質が向上して国民の負託に十分こたえる、さような実力をつけることが肝要だと思うのでありまして、かような意味で、今回の国家試験制の導入というのは、私どもといたしましてはさような趣旨に相当役立つ制度だろうというふうに考えておるわけでございます。さらにそういった国家試験に合格した司法書士でありましても、時代の進展あるいは国民の要請に応じて十分その職務を行えるような、そういった平素の研修と申しますか、さようなこともぜひ必要なことだろう。これは司法書士会連合会を中心にいたしまして単位会あるいは連合会においてそういった研修を実施してもらえれば非常にありがたいわけでございまして、さようなことになりますれば、私どもとしても十分それに協力して、さような研修によって司法書士の資質をさらに向上させるというふうなことを考えるべきだ。 さらに、司法書士の業務範囲は、今日の改正案どおりで将来も十分でないかと私は思いますけれども、さような庶民に密着した、庶民性のある一つの法律相談役と申しますか、あるいは一般大衆の法律生活の円滑な運営ということについてのいわば相談役として司法書士の皆さん方がもっともっと大衆の中に法律というものを浸透させる、そういった役割りも果たしていただければ非常に幸いだというふうなことをただいまのところ考えておるわけでございまして、さような将来の司法書士制度のより一層の充実という点につきましては連合会とも十分協議を遂げまして、それに沿ってできることからやってまいりたいと考えております。
○横山委員 司法書士が社会的責務を尽くし、そして国民に親切に、いまお話しのような法律的知識を備えた専門家として活躍する、そういう過程でどうしても弁護士との関係が問題になってくることは、今日までもしばしば議論がされたところであります。 私は、時間の関係上、愛媛県のある司法書士の弁護士法違反事件におきまして判決をされた判決の一部を引用いたしてあなたの御意見を伺いたいと存じます。少し長いかもしれませんけれども、重要な記録でございますからその部分を朗読いたします。 第三 そこで、右弁護士業務と司法書士業務の関係が問題となる。 司法書士が作成する書類は、訴状、答弁書、告訴状、登記申請書類等、いずれをとってみてもこれに記載される内容が法律事件に関係するものであるから、右書類作成については相当の法律的素養を有し法律知識がなければできないこと勿論である。国が司法書士法を規定して一定の資格を有する者のみを司法書士としその書類作成業務を独占的に行わせ、他の者にその業務の取扱いを禁止しているのは、結局これら国民の権利義務に至大の関係を有する書類を一定の資格を有し、相当の法律的素養のある者に国民が嘱託して作成してもらうことが国民の利益公共の福祉に合致するからである。従って、司法書士は書類作成業務にその職務があるのであるが、他人の嘱託があった場合に、唯単にその口述に従って機械的に書類作成に当るのではなく、その嘱託人の目的が奈辺にあるか、書類作成を依頼することが如何なる目的を達するためであるかを、嘱託人から聴取したところに従い、その真意を把握し窮極の趣旨に合致するように法律的判断を加えて、当該の法律事件を法律的に整理し完備した書類を作成するところにその業務の意義があるのであり、そこに法的知識の涵養と品位を向上させ、適正迅速な業務の執行ができるよう努力すべく、よって以て国民の身近な相談役的法律家として成長してゆくことが期待されるところである(因みに、司法書士法第一条の「書類を代って作成する」旨の規定が「書類を作成する」と昭和四二年法律第六六号によって改正され、「代つて」が削除された)。けだし、法治国家においては、国民が啓蒙され一定の法律的知識ないし常識を有していることを建前としているが、現実は個別的具体的事件について国民一般の法律的知識は全く乏しいものといわなければならず、例えば裁判所提出の書類作成を依頼するについても単に表面的機械的に事情を聴取した上では何をどのように処理して貰いたいか全く不可解なことも多いのであり、これを聴取してその意を探り、訴を提起すべきか、併せて証拠の申出をすべきか、仮差押、仮処分等の保全の措置に出るべきか、執行異議で対処するかを的確に把握し、その真意に副う書類を作成するについて法律的判断がなされるべきは当然であるからであり、このような判断を怠って、いたずらに趣旨曖昧不明の書類を作成して裁判所に提出させることをすれば、却って裁判所の運営に支障を来すことは明らかであり、殊に弁護士の数が比較的少い僻地ではかようにして司法書士が一般大衆のために法律問題についての市井の法律家としての役割を荷なっているといえるのである。 かように見て来れば、弁護士と司法書士はともに国民の法律生活における利益を保護し、併せて司法秩序を適正に保護し、以て法律生活における分業関係に立つものといえる。 まだほかにもございますが、以上がこの判決文の中における弁護士と司法書士との関係を律し、かつ司法書士が国民に親切であり、そして町の法律専門家としての任務をなすべきことを懇切丁寧に判決で述べておるのでありますが、法務省は、この判決のいま読み上げた点について同感でございますか。 〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕
○香川政府委員 ただいま御指摘の松山地裁判決につきましては、現在控訴中でございますので、その点について意見を申し述べるのは差し控えさせていただきたいと思いますが、一般的に考えまして、私ども、司法書士というのは、一部言われておりますように、単に嘱託人からの書類作成をそのまま、嘱託人の言うがまま文字にするというふうな、いわばタイプライターと同じような仕事とは毛頭考えていないわけでございまして、やはり嘱託の趣旨によりまして、その嘱託人の所期する目的を達するにはどのようにしたらいいかという、個々の嘱託事件についてそれを法律的に整序するということ、それは当然できることだというふうに考えておるわけであります。 ただ、その場合に弁護士法との関係で非常に問題になりますのは、その嘱託人の趣旨を法律的に整序する、そういう意味で、法律判断を加えることは差し支えないと申しましても、どこまでが限界かということになりますと、これは抽象的には申し上げられましても、具体的にはなかなかむずかしい問題があると思うのであります。たとえば建物収去なら収去の、そういった訴状の作成依頼を受けた場合に、嘱託人はこうこういう趣旨で収去を求めるのだ、それを法律的に整理して書類を作成することは、ただいま申しましたとおり何ら差し支えないのでありますけれども、その嘱託人の趣旨と違って、さらに法律的にはこういった方法をとった方がいい、あるいは仮処分をやった方がいいとか、そういうふうなところまで司法書士が法律判断をして、嘱託人にそういった措置を勧誘するというふうなことまでまいりますと、やはり弁護士法違反という問題が出てくるのではないかというふうに考えるわけでございます。単に書類を作成といいましても、先ほど申しましたように、タイプライターと同じように、言うがままに文字にするだけだ、さようなことであるならば、わざわざ司法書士法というようなものを制定して、司法書士業務を独占的に司法書士に行わせるというふうな措置を講ずるはずもないわけでございまして、さような趣旨では毛頭ないと思いますけれども、さればといって、嘱託人の趣旨どおりの法律的整序までが司法書士の業務の限界としてやはり守られなければならぬのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
○横山委員 この判決はさらに続けて もとより、前記司法書士の期待像からすれば、右書類作成の嘱託を受けるに当って、依頼人から法律事件について法律相談を受ける場合もあるが、これが報酬を得るのではなく、又右書類作成嘱託の目的に反しない限り司法書士がその有する法律知識を活用して法律相談に応ずることは何ら差支えなく、弁護士法第七二条の規定は何も国民を法律的に無知蒙昧、即ちこれを法律的につんぼさじきに置こうとするものではない。 然しながら、右書類作成の域を超えて他人間の法律的紛争に立ち入って書類作成に関係のないことまで法律事務を取扱うことは司法書士の業務に反し弁護士法第七二条に背反する場合も出てくるものといわなければならない。そこで、同条の解釈をする。 同条に所謂法律事件とは広く法律上の権利義務に関し争があり、疑義があり、または新たな権利義務関係の発生する条件を指し、法律事務を取扱うとはこのような法律事件についてその紛議の解決を図ることを謂い、鑑定、代理、仲裁、相談等がその例として設けられている。 以下、鑑定とは、仲裁とはという解説をいたしておるわけであります。要するに、司法書士が国民の法律生活における利益を擁護し、あわせて、司法秩序を適正に保護し、そして国民の相談に乗っても差し支えはないという立場、限界的ではありますが、それは当然のことであり、あたりまえのことであり、それがなければ、司法書士として親切な司法書士とは言えないではないかというのが判旨になっていると思うのであります。私は、今度の改正案の中でこの問題が一つの焦点であったと思います。弁護士会からいろいろ議論はございましょうとも、少なくとも実態論として、司法書士が町でいろいろと相談に乗っておるという実態を無視して司法書士の期待するビジョンというものはできないのではないかということを痛感いたしますが、重ねて御意見を伺いたい。
○香川政府委員 先ほども申し上げましたように、司法書士の制度のあり方といたしまして、一般国民の、いわば大衆の法律生活が円滑にいくようにということで、さような意味の法律相談相手として司法書士が国民の中に入っていく、司法書士制度が定着していくということは私は非常に好ましいことだと思うのであります。ただしかし、弁護士制度というものが一方にあり、それとの対比で考えますならば、やはり司法書士のできる業務の範囲というものも限界がある。だから、先ほど申し上げましたように、司法書士の本来の業務に関連いたしまして、嘱託人の嘱託の趣旨が十分達成できるようにという意味での法律相談あるいは法律的にいろいろ知恵をかして整理するというふうなことは、これはやって一向差し支えないことだと思うのでありますけれども、一般的に、本来の業務とは関係なしに法律相談をやるとか、あるいはその嘱託を機縁として、関係のない他の法律問題についていろいろ知恵をかすというふうなことに相なりますと、現行法のもとではやはり弁護士法違反という問題が出てくる。その辺のところは、将来弁護士の制度というものと司法書士の制度というものをいかように振り分けるか、その振り分ける際における根本的な基準というのは、やはりどのようにすれば国民のためになるかということに尽きると思うのでありまして、さような問題として今後とも検討はしてまいりたいと思いますけれども、ただいまのところその前提として、やはり国の責任と申しますか、さような、十分国民の信頼にこたえ得る資質の向上ということが何よりも大事なことだと考えておるわけでございます。
○横山委員 法務大臣、私と民事局長との論争、おわかりだと思うのですが、勉強しろ、資質を向上しろ、法律的専門家として一生懸命にひとつこれから研修をしろ、そう言っておいでになる。その点については、私と香川さんとの意見の不一致はないわけです。そうしますと、司法書士が一生懸命勉強して、法律的知識を得る、しかしその法律的知識は余り活用してはならぬぞと言わんばかりの話にも聞こえる。そう思いませんか。私は松山判決を引用して、司法書士が一生懸命に勉強する、法律を十分に知る、国民に対して、それは民法何条でだめですからこうしなさいというふうに言う、それがもう法律相談になっていくということでは、何のために研修しろ、勉強しろ、資質の向上をしろと言っているのかわからないのではないか。だから、いま私が弁護士法を犯せとかなんとか言っているわけじゃないのだけれども、実態的に司法書士のあるべきビジョンをずっと追求していくと、町の親切な法律相談という段階は避けられないのではないか。また法務省がそういうふうに一生懸命やれやれと言っているのではないかと思いますが、なかなか香川さん慎重だものだから、やれやれと言って真っすぐに行ったら、必ずそこへ突き当たるものを、そこへ行ってはならぬというのは論理が矛盾しているのではありませんか。大臣はどうお考えになりますか。
○瀬戸山国務大臣 弁護士業務と司法書士業務の限界ということは、具体的事案でないとなかなか判断がむずかしいのだと思います。これは現在訴訟中であるそうでありますからとやかくここで申し上げるのはちょっと適当でないかもしれませんけれども、おおむね抽象的議論としては、いま横山さんが読み上げられたような趣旨ではないかと思います。 御承知のとおり、現行司法書士法の一条、今度は二条でいろいろ分解してやや詳細に業務を書いておりますが、問題は、こういう業務、いわゆる嘱託されたことが満足に依頼人の期待にこたえるような、正確な書類として間違わないような、司法事務が進むような書類をつくり、その手続を進める、こういう意味の知識なりそういうことを十分勉強する、こういうことでありまして、その間において、いまおっしゃったようにそういう満足な書類や手続をするためには相当の法律知識が要ると思いますから、そういう点を十分勉強することは当然であると思います。(横山委員「余り勉強し過ぎてそれを活用してはいかぬと言うのですか」と呼ぶ)それがいま申し上げましたように非常に限界がむずかしいところであって、弁護士業務との境を侵さない——勉強することは幾ら勉強してもいいのでありますが、弁護士活動をしようというのなら弁護士試験を受けて資格を得ればいいことであります。その限界を超えないように活用しなさいということであります。
○横山委員 だれが聞いても、大臣自身もちょっと舌がもつれるような答弁でありますが、しかしそれは、私が言いましたように強く指摘をしておきたい。親切な司法書士、専門家としての司法書士、国民を十分啓蒙し、教えるということであればその実態に合わしていかなければいかぬじゃないか。 次に、国家試験ということになる。これが法律改正、画期的でございますから、法務省もこれから国家試験の準備その他におかかりになる。国民が非常にそれに対して関心を持つ。第一回国家試験にはずいぶんたくさんの人が新しく応募することになるのではないか。これは一般の人も、それから司法書士会で働いておる従業員の皆さんも、あるいは役所の皆さんも、とにかくこの法律改正によってたくさん応募すると思うのであります。 そこで、私はひとつ現在の司法書士の需給状態をちょっと聞かしてもらいたいのでありますが、ここ二、三年どのくらい合格して、毎年特認がどのくらいあって、そして廃業する人が毎年どのくらいある、プラスマイナスしてどのくらい増加があるかということであります。
○香川政府委員 現在認可しておりますのは、大体四百名から五百名ぐらいでございます。そして毎年やめる人は大体三百五、六十名から四百五、六十名ということになっておりますので……(横山委員「特認が別にあるでしょう」と呼ぶ)それから特認の数は大体百五十名から二百名ぐらいでございますので、差し引きいたしますと毎年百五十名ぐらい司法書士がふえておるということに相なろうかと思います。
○横山委員 概数でありますから私も正確なことを議論しようと思いませんが、あなたの勘定でいきますと百五十名ないし三百名ぐらい純増になりはしませんか。
○香川政府委員 年によりますとさようなことになる年もあるようでございますが、一般的に申しますと、大体四百名から五百名ぐらいが新たに一般から司法書士になっておる。それに特認が大体平均しまして百五十人ぐらいから二百人ぐらいでございますから、合計五百五十名から七百名ぐらいに相なろうかと思います。それに対しまして認可を取り消すということになる、これは死亡も含めてでございますが、それが年間三百五十から四百五十ぐらいということに相なりますので、年によりましてはあるいは純増が三百名ぐらいになる年もございますけれども、一般的に申しますと百五十名から二百名弱というふうな年が統計上は多いようでございます。
○横山委員 毎年の試験の応募はどのくらいありますか。
○香川政府委員 最近におきましては受験者、認可申請者総数一万六千、これは五十二年度が一万六千人でございますが、一番最近において多いのでございます。ちなみに申しますと、昭和四十四年は七千六百人、昭和四十七年で一万一千、そのあたりからだんだんふえてまいりまして、現在、昭和五十二年は一万六千人の受験者がございます。
○横山委員 そこで考えるのですが、いままで純増が百五十名ないし、私の計算でいきますと、いまの最高値をとってみまして三百五十名。百五十名から三百五十名ぐらいの純増である。そして一方応募は年々ふえて、いまの話でいきますと五十二年で一万六千名。第一回国家試験をこれからやるとなると、わっとふえると思うのであります。国家試験でありますから、合格点をどの程度にするかという問題もございますし、国家試験の内容もあるのですが、ここで考えなければならぬことは、司法書士の分布状況、需給状況のことだと思うのであります。試験の採点の方法、内容、合格率ということをどういうふうにこれからおやりになるつもりでありましょうか。ずっとふえるこの応募者と、それから今日の司法書士の業務がここ二、三年来、石油ショック以来非常に減少しておることは言うまでもありません。減少して食うに困ると言えば、物価も上がっておるから報酬の引き上げということが付帯的に生じてくる、過当競争になれば、またこれはいろいろ問題がある、一方では僻陣地における司法書士のありようということがやはり問題になる、そういう点では、国家試験と司法書士の需給についてどういう方針をお考えになりますか。
○香川政府委員 国家試験制度の導入で一番配慮しなければならない問題は、いま御指摘の問題だと思うのであります。ただ現行の司法書士法は、御承知のとおり、法務事務官あるいは裁判所書記官等五年を経験した者、これと同等以上の知識を有する者について認可するというふうになっておるわけでございます。今回の改正案におきましては、この五年を十年に引き上げておるわけでございまして、さような法務事務官、裁判所書記官でも十年以上経験して、さらに法務大臣が司法書士としての知識、能力を有するというふうに認定した者が特認制度として司法書士になれることにいたしておるわけでございます。したがって、形式的に見ますと、現在の統一試験、選考試験は合格者につきましては法務事務官五年以上と同等ということでございますので、おのずからそのレベルでの合格点ということになるわけでございますが、それが十年ということに改正されますと、いわば端的に申しますればそれだけ合格基準というものが上がるということになろうかと思うのであります。もちろん国家試験でございますから、直接需給関係を考えて、年々合格基準を上げたり下げたりするということは趣旨に反することだと思いますけれども、少なくとも合格基準というものはいままでよりも相当上がるというふうに考えておるわけでございます。 率直に申しまして、現在の司法書士業務に属する全体の事務量と司法書士数から考えまして、私は、ある程度全国的に見て飽和状態になってきておるのではないか。 〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕 もちろん地域によりましては司法書士がいなくて困っておるところもございますけれども、全体としては、特に都市におきましては、御指摘のような飽和状態になっていることから、過当競争というふうな好ましくない現象も生じておるわけでございます。 それやこれやいろいろ考えますと、やはり年々、特認の司法書士も含めまして五百名以下に新しい司法書士を認めていくということにしなければかえって弊害が生ずるのではないかというふうに考えるわけでございまして、先ほど申しましたような五年が十年になったことから、見通しといたしまして、従来の基準を引き上げる措置が当然必要でございますが、さようなことを考えました場合に、やはり合格者は全体として四百名以下になるのではなかろうかというふうなこと、したがって特認の制度を合わせまして大体五百人ぐらいというふうなことであれば、さほど需給関係から心配することもなかろうというふうに見通しておるわけでございます。この点今後の問題として、十分御質問の御趣旨を体して検討さしていただきたいというふうに思っております。
○横山委員 結論としてはあなたの御答弁で結構でございますが、その中で多少ひっかかりますのは、五年が十年になった。特認の人はいままで、法務局で五年働いておれば司法書士になる資格がある。それが十年になった、十年になったと何回もおっしゃるのですが、実際問題として、特認で司法書士になる人は平均何年勤続の人がなっていますか。二十五年ぐらいじゃないですか。税理士といい、司法書士といい、土地家屋調査士といい、事あらゆる士職について私はとかく疑問を生ずることがあるわけです。これはかつて税理士法を審議したときでありますが、猛烈に完全国家試験制度を税理士が主張した。これは税理士ばかりではなくて、国民を憲法における公正な競争下に置いてもらいたいということです。おれたちは一生懸命勉強したのに、税務署におって、まあ法人税かあるいは直接税でもやっておった者ならともかくとして、総務、経理系統に何年おったって税務がわかっておるはずがないじゃないか、それが特認でいきなり税理士の資格をもらうということはおかしいではないかという理屈もないとは言えないと思います。だから特認のあり方についても、実際問題として、五年が十年とおっしゃるけれども、二十五年ぐらいたたなければ司法書士に現在なれないという実情が、十年というふうに今回改正になることによって、特認の人たちは大変楽な条件になるのではないか。試験はむずかしくなる、特認の条件は緩和される、こういう結果になるのではないか。いま特認と一般試験とのバランスを考えてみまして、かなり特認の人の比率が多いと私は思うのです。言いにくいことであるけれども、やはりそういう点についても若干の配慮をする必要がありはしないか。試験はむずかしくなる、特認は条件が緩和されるということでは、少しアンバランスになるのではないかと思いますが、どうなんですか。
○香川政府委員 現在法務事務官五年以上ということで司法書士になる資格があるといえばあるのでありますけれども、実際の運用は二十年から二十五年ぐらいの経験者でなければ特認をしていないわけでございます。先ほど申し上げましたのは、現在国家試験的な統一試験というのをやっておるわけでございますけれども、法律の表面にあらわれておる一つの趣旨から申しますと、法務事務官五年、それと同等以上ということになっておる、その同等以上ということの審査として統一試験が今日まで行われてきておるわけでございます。それが司法書士業務の重要性から、今回五年を十年に上げる、そういう形式的な差異が出てまいりました場合に、私どもとしては、それによってさらに特認の選考をより厳しくしなければならぬという趣旨も十分体しておるつもりでございまして、形の上ではいままでの統一試験よりは今度の国家試験の方がより合格基準が高まるというふうに受けとめておるわけでございます。さような趣旨で申し上げたわけでございまして、まあ五年、十年の対比は、統一試験と改正後の国家試験と合格基準が同じであっていいということにはならぬだろうという趣旨で申し上げただけでございます。
○横山委員 私の質問に答えていないです。あなたの部下のことですから大変お答えしづらいかもしれぬが、常識的に言って、試験はむずかしくなる、特認は条件が緩和されるでは、少し不公平ではないかという意味のことを私は言っている。
○香川政府委員 外からごらんになりましてどのようにごらんいただいておるかあれでございますが、私ども内部のあれといたしましては、決して特認の制度を緩やかに現在運用しているわけではないわけでございまして、二十年以上やりましてもやはりそれぞれの試験もやっておるわけでございます。統一試験でない形のものでございますけれども、試験は必ずやっておるわけでございます。今後とも先ほど申しましたような法改正の趣旨にのっとりまして、今日よりも特認の制度が厳しくこそなれ緩やかになることは決してあってはならぬことだというふうに考えております。
○横山委員 私が需給状態と言う意味はいろいろな意味があるわけであります。全般に司法書士の純増をどういう角度で押さえるかということが一つ、それから一般試験と特認とのバランスをどういうふうに考えるか、この二つあるわけであります。まあ法務局で働く職員の諸君の将来の希望ということも一よく考えられることではありますから、私は純理論だけで言おうとは思いませんが、もし私の言うように、試験はむずかしく、特認は軽くなる、そして従来のバランスが崩れていくということでは、国家試験は何のために行われるかという疑問すら国民の中に生ずるわけでありますから、その点は十分私の質問の意味を配慮していただきたい。おわかりになりますか。
○香川政府委員 仰せのこと、その間にいろいろのお考え、つぶさによく理解できることでございまして、御趣旨に沿うようにいたしたいと考えております。
○横山委員 あくまで本法案は画期的な国家試験の採用ということであるから、国家試験の採用が羊頭を掲げて狗肉を売る、大変言葉は悪いのですけれども、狗肉じゃありませんけれども、看板と中身が違うというふうな感じに結果として陥らないように要望をいたしたい。 それから、先ほど同僚委員が質問をいたしましたが、この法案を作成するに当たって司法書士会とあなたの方にずいぶんやりとりがあったようであります。われわれもそれを仄聞いたしまして、残りました三つの問題、登録を連合会で行うこと、一条二項は削除すること、試験科目に憲法を取り入れるものとすること、この三つの問題が結果としては本法案に形の上では取り入れられてありません。私は、この憲法という問題はきわめて常識的な当然のことではないかと思うのでありますが、この第五条司法書士試験、第二項第三「その他司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力」の中に当然憲法も含まれると解釈してよろしいのですか。
○香川政府委員 条文の中に、御指摘の三号におきまして憲法が含まれるという解釈は十分成り立つと考えます。
○横山委員 問題は登録だと思うのであります。登録論争についてここで余り時間をとろうとは思いませんけれども、登録が理論的にいけないのではなくて、登録に付随するさまざまな問題が除去できない、それが除去できたら連合会において行うのも差し支えがない、こういうふうに理解してよろしゅうございますか。
○香川政府委員 現に、御承知のとおり税理士法におきましてはそういった措置を講じておるわけでございます。したがって、私どもといたしまして登録を連合会でやるということが理論的に間違っておるとかいうふうなことは申し上げかねるわけでございまして、今回の法案に取り入れておりませんのは、いろいろの問題をあわせ検討しなければならぬということで、その検討が熟していないというふうに御理解いただきたいと思います。
○横山委員 与野党の中で、もし司法書士法の改正案が上程されて登録制度が取り入れられてなかったならば、つまり登録制度を司法書士連合会で行うことが取り入れられてなかったならば、議員修正をしてでも、この法律案を修正してでも連合会に登録を行わしめようではないかと話し合ったことがございますけれども、しかし本法の成立が十年がかりのことで、国会の内部事情、とにかく法律を通過させるべきであるというコンセンサスでございますので、われわれはさしあたりこの登録が政府の手によって行われることを了とし、かつ、法律案の中にもございますように、単位会を通じて登録申請手続をするという含みも含めて了とはいたします。しかし、いまお話し合いのように、将来もろもろのことが除去できました場合には連合会において登録制度を行うこともあり得るという、いまの局長のお話を了といたします。 第二番目の一条二項につきましては、先ほどの論争で終わることにいたします。 そこで、その次は土地家屋調査士の問題であります。前回の十年前の改正は、土地家屋調査士法もあわせて改正をいたしました。今回、土地家屋調査士とのバランスが若干崩れることが考えられるわけであります。この土地家屋調査士法の改正をあわせて行えなかったのはそれなりの理由があることは承知をいたしておりますが、政府としては土地家屋調査士法の今後についてどういうお考えでありますか、承りたいと思います。
○香川政府委員 土地家屋調査士法の改正もあわせて検討したのでございますけれども、一、二の点につきまして調査士連合会と協議ができないことになりましたので、今後協議を重ねて、まとまりますればできるだけ早く改正法案を御審議願いたいと考えております。
○横山委員 土地家屋調査士の法律を改正するとしたならば、どういう点とどういう点が今後の検討事項になりますか。
○香川政府委員 今回司法書士法の改正として御審議をお願いしておる事項、それと横並びに同趣旨の改正をいたしたいというふうに考えるわけでございますが、ただ一点問題になりますのは、先ほど来論議いただきました特認制度を入れるかどうかという一点でございまして、この点について私どもとしては司法書士法との横並びを十分考えて、何らかの形で特認制度を設けたいというふうに考えておるわけでございます。これが司法書士法の改正と違うと申しますか、横並びで同じ結果になるのでございますが、それが新たな問題としてあるわけでございます。
○横山委員 その特認制度につきましては、これはもう先ほど税理士法を含めてるる私が——一般の試験を受ける人の立場、そういう純理論的な立場がございますので、よほど政府としては、土地家屋調査士あるいは現職で法務省で働いておる人、裁判所で働いておる人、そのほかの役所関係の人というふうに十分に念査をして、説得力のある、双方の理解のものに行われることを私は期待をいたしたいと思います。 次に、この法律が改正されることによって、形の上では国家試験でありますから、これから試験を受けようとする人の問題が中心になるわけでありますが、先ほどるるお話し合いをいたしましたような司法書士のあるべきビジョンということについて、かなりの研究、法律改正の主目的、その内容について研修作業を大々的にやってもらいたいということを私は期待をいたしておるところであります。そこで、一体現在司法書士として開業しておる人たちはこの法律によってどういう影響を受けるかということであり、また受けなければならないのか、研修を含めて現在の司法書士の皆さんに新しい法律として勉強してもらわなければならぬけれども、かって意見がございまして、現在の司法書士の人も一遍全部試験をやったらどうだ、そしてその試験を受けることによって研修も身が入るであろう、だから全部とにかく義務的にやったらどうだ、場合によったら落ちる人もあってもいいではないかという議論すら一遍あったわけであります。現在の司法書士が、物理的にこの法律改正によってどういうことをなすべきであるかという点について、具体的な御意見があったら伺いたいと思います。
○香川政府委員 今回の改正案の国家試験制をとることと密接不可分の問題としまして、現在の司法書士をどうするかということをいろいろ考えたわけでございますが、幸い御理解を得まして、いわば既得権を保護すると申しますか、現在の司法書士はそのまま司法書士としての資格があるという案を御了承いただいて、現在御審議願っておるわけでございます。 ただ、そういうことになりました場合に、当然御指摘のとおり現在の司法書士は、今回の法改正の趣旨を十分踏まえて、先ほど来申し上げておりますように資質の向上ということにもっともっと熱心に取り組んでいただかなければならぬ。その方法としまして、これは今後の問題でございますが、各司法書士会あるいは連合会それぞれの分野におきまして、現在の司法書士の資質を向上するということから、定期的な研修について真剣にひとつ取り組んでいただきたい。そういう研修が円滑に行われ、さらにその研修自身が充実していくというために私どもとしては御協力を惜しまないつもりでおるわけでありまして、さような詳細の実施につきましては連合会と協議を遂げて、できるだけ早く法改正の趣旨に沿った現在の司法書士の資質向上ということを真剣に進めてまいりたいと考えております。
○横山委員 いまお話によれば、政府が積極的に協力するというお話でございますが、協力の仕方にもいろいろあろうと思うのであります。ただ法務省から講師に来てくれといっておしゃべりして、晩飯ごちそうになって帰るというのも協力の仕方でありましょう。それではならぬと私は思うのであります。大体司法書士会と民事局とを私が横目でながめておりますと、どうもあなた方はえらいさま過ぎると思うのであります。この間、正森委員からお話がありましたように、弁護人抜き裁判について東京司法書士会が緊急動議を可決したら、すぐ呼びつけて、なぜそんなことをするのだというような一事をもってしてもはかり知られるように、少しえらいさま過ぎると思うのです。司法書士会が自主的に民間団体として切磋琢磨していく道をおおらかに見守らなければいかぬ。あんなばかげたことが二度とあってはならぬと思うのであります。この間はまあまあということで済んでいるようなことでありますけれども、二度と再び司法書士会の内部規律といいますか、そういう問題に介入して一々呼びつけて文句を言うということがあっては断じてならぬと私は思うのであります。協力のありようについては、銭を出して注文はつけないという協力の仕方もありましょう。一文もあなた方は司法書士会に金を出していないのでありますけれども、研修が全国的に完璧に行われるためにはかなりの費用もかかるだろうし、人員もかかるだろう、いろいろな手配も要るだろう。そういう研修が、金は司法書士会で、運営、人選その他は、まさかと思うのでありますが、あなた方が一々口を出すということであってはなりませんよ。これはいいですね。
○香川政府委員 御趣旨はそのとおりでございますけれども、私は、ときどきは注意を申し上げるとかあるいは小言を言うことも協力の一つだと考えておるわけでございます。研修につきましても、やはりこれはたてまえというかあり方としましては、自主的におやりになることが一番望ましいわけでございますけれども、御相談を受けますればそれについて私ども率直な意見は申し上げる。これは、しかし、それも一つの協力だと私は思うのでありまして、先ほど議論いただきました……(横山委員「呼びつけて協力というのはないですよ」と呼ぶ)呼びつけるわけじゃなくて、つまり来ていただくわけでございまして、こっちから出かけていっても一向差し支えないわけでございますが、そういうことはもう少しお互いおおらかに考えればというつもりで、呼びつけるというふうなことをそんなにえらいさまのようなつもりでございませんで、おおらかにその辺のところはやっていくべきだろうというふうに考えておるわけでございます。
○横山委員 十年前に私が法務委員会で一例を挙げました。司法書士は従業員を雇用しておるわけであります。その従業員を一人雇ったについても地元法務局長に、横山利秋という従業員を雇いましたが、どうぞ認可をお願いいたしますと、どこに法務局長にそんな権限があるか。法務局から給料をもらってそれを渡しているわけではない、自分で一生懸命働いてもうけた金で従業員を雇うのに、一々従業員の何のたれがしを雇いました、御了承をお願いいたしますといって事実上の許可事項にするということは言語道断ではないかと言うたら、そのときに民事局長は、これは大変ごもっともでございますから善処いたしますと答えたのであります。依然として十年それを続けているのはどういうわけでありますか。改善をしてください。
○香川政府委員 これも、補助者の承認ということを地方局長に省令でやらしておるわけでございますけれども、これは決しておっしゃるような趣旨の統制的なものではないのでありまして、先ほど御論議いただきました司法書士の需給関係ということにつながる問題だと私は考えておるわけでございます。つまり、司法書士の補助者が一人できることによりまして、端的に申しますれば半人前の司法書士ができた。現在の実際の司法書士の業務の扱いぶりの実態を申しますと、一人の司法書士が五人も十人も補助者を雇って、まあ笛や太鼓で事件をかき集めて、そしていわば補助者任せに業務を行っておる、主人の司法書士は後ろに引っ込んでおるというふうなのも目につくわけでございます。そういうふうな補助者任せの司法書士の業務ぶりというものが、司法書士会あるいは個々の司法書士がみずから自粛して法律どおりやっていただけるなら補助者の承認というふうな制度は私どもはとる必要は毛頭ないわけでございます。しかし、現実は必ずしもそうはいかないわけでございまして、司法書士の需給関係を考えましても、補助者任せの司法書士というものが、補助者を使って、いわば五人の補助者ができれば二人以上の司法書士が生まれたと同じような関係になる、ここに過当競争の好ましくない現象も生じておるわけでございます。さような意味から、法務局長が補助者を承認するというふうなことは、私も真正面から考えますれば、できれば避けていいことだと思いますけれども、現在の実態を考えますと、そのような方法でしか、いわば補助者任せの司法書士の業務ぶりの是正あるいは司法書士の需給関係の調整というふうなことができないという実態でございますので、やむを得ない措置ではなかろうかというふうに考えております。
○横山委員 それでは香川さん、こうしたらどうですか。それこそ私は司法書士会の自主的な内部規律の問題だと思うのであります。会則なり何なりで、補助者は何人でと司法書士会連合会が決める。会則はいま大臣の承認事項でありますから、そういうことで法務省が了承する、それによって、その枠組みの会則で司法書士会に自主的に運営させる、そして法務局長には、許可でなくて届け出をする、届け出主義にする、それが仮にうまくいかなかった場合には司法書士会の運営の問題としてあなた方が御注意をなさる。そういう条件が整備をされれば省令は改正をする、こう考えてよろしいのですか。
○香川政府委員 実は、この司法書士法の改正が御承認いただけました場合に、改めまして現在の各司法書士会の会則の改正をお願いしたいと思っておるわけであります。 その中の一つの大きな事項としまして、先ほど御心配いただきましたような司法書士の需給関係、それにつながる過当競争の問題、先ほど申しましたいわば補助者の承認制を避ける意味の司法書士会の自主的な規制というようなものも含めまして会則の改正を協議して進めてまいりたい。だから、そういうようなことで自主的にやっていただけることに相なりますれば、私どもとしては何も承認制度を残すつもりはないわけでございます。その点、ひとつ御了承いただきたいと思います。
○横山委員 わかりました。それでは、司法書士会と民事局とがその点についても十分協議されるよう要望いたします。 次に、公共嘱託の問題であります。公共嘱託が本委員会で取り上げられてからこれも十年近いのでありますが、鳴り物入りでとにかく公共嘱託の委員会が全国各県にできて、そしてずいぶん議論に議論を尽くしてセットされたのでありますが、私の見る限り余り効果がないというふうに見ています。なぜ効果がないか、それはあなた方が怠慢ではないかと思うのであります。 かつて報酬の問題でも各省のありようについて触れたわけでありますが、各省、各地方自治体、公団公庫等に、公共嘱託の仕組みについて十分な理解と協力がないところに問題がある。また都道府県に至っては、資格のない嘱託に登記その他のことをやらせておるという問題が発生をいたしました。したがって、せっかくあれだけの努力をして公共嘱託の委員会なり何なりができたのでありますから、この際、ひとつ政府としては公共嘱託について積極的に各省、各地方自治体、公団公庫にこれを宣伝して、十分協力を得るように努力すべきであると思いますが、いかがですか。
○香川政府委員 結果的に公共嘱託の制度がまだでき上がっていないことは怠慢と言われてもやむを得ないことだと思うので申しわけないと思いますけれども、今日、公共嘱託制度がなかなか軌道に乗らないという理由は二つあると私は思うのであります。 一つは、端的に申しますと、受け入れ側の司法書士の方で、それぞれお得意さんとして固定しておるものをいわば平分化するようなことになる問題等を含めまして、受け入れ側の司法書士の方の体制がなかなか十分にでき上がらないという問題が一つあること。 それから、嘱託する側の官庁あるいは公団等におきまして、御承知のとおり、退職した、職員のやめた後のいわば職場として嘱託ということでさような事務をさしておる。こういう人たちがおる以上、各省あるいは地方公共団体、公団からストレートに司法書士の方に嘱託をするということになりますと、そういう退職職員の職場を奪うことになるという問題もあるわけであります。やはりそういった点をあわせて解決してまいりませんとこの制度は軌道に乗らないのじゃないかということで、一つの案といたしまして司法書士法人というようなものをつくって、各省、各公団等のそういった退職後の職員の吸収場所とすると同時に、責任のある嘱託を受ける側の体制を整えるというようなことも考えてみてはどうかというふうに考えておるわけでございますが、この点についてまだ十分司法書士連合会あるいは土地家屋調査士連合会等との協議が調っていないわけでございまして、今後とも鋭意さような方向も含めてひとつ検討してまいりたいというふうに考えております。
○横山委員 せっかく公共嘱託制度があれだけ鳴り物入りでできたにかかわらず、運営が十分でないことを大変遺憾に思っておる人間でございますから、ぜひひとつ仏をつくったら魂を入れるように御努力を願わなければなりません。 次は報酬制度であります。端的に申し上げまして、いまの報酬制度の改正については、日本司法書士連合会と法務省民事局を中心にして相談をなさる、そして話が決まる、それが実態なのであります。ところが制度としては、各県の単位会が決めて、法務局長を通じて個々に大臣に承認を申請する、こういう制度で、実態と規定とは大変違っておる。そのために各単位会で臨時総会を開いて、日司連と法務省との話があったことを全国あらゆる都道府県の単位会が相談をする。ある意味では全く形式的だ。単位会が法務局長に報酬制度の改正を要望をして、法務局長から法務大臣に全国から個々に集まってくる、そういうことは、私はある時期には問題が生ずるおそれがあると見ているわけであります。いま日司連は、きわめて円滑に団結をしておりますけれども、どこかの単位会がそれを認めないと決めた、したがって申請をしない、あるいは規定を盾にしてあくまで法務大臣と自分のところの独自性を主張する、そういうことが規定上はあり得るわけであります。しかし、そういう単位会だけが、報酬改定がされなくてもいいからがんばるということが一体どこまで続くか議論はございます。ございますが、少なくともいまの報酬制度の改正の実態とそれから規定との間に矛盾があって、理論上にも何か、いつか、どこかで問題が起こる可能性があるわけであります。ですから、私の意見は、実態に合わせろ、報酬については日司連が法務局長に報酬改定の申請を出す。そして日司連が民主的な運営を行って、各単位会の意見を吸い上げて要求項目を決め、交渉を一任し、交渉した結果を各単位会が組織内部としてこれを了承する、こうすべきだと思いますが、いかがですか。
○香川政府委員 現在、司法書士の報酬は会則に決める事項となっております。したがって報酬を改定するときには、会則変更という形で法務大臣の認可を受けなければならぬ、かような形式になっておるわけでございます。 この趣旨は結局、各単位会の自主性と申しますか、地域差もございましょうし、会員数等も考えて、それぞれ単位会ごとに自主的に報酬を決めるのが実質的に妥当だという観点からさような法律になっておるものだと思うのでございます。しかし、実際の運用は、御指摘のとおり私どもと連合会で協議をいたしまして、もちろん連合会は総会におきまして各単位会の御要望、御意見を十分くみ上げて、組織体として民主的にそういった報酬改定に取り組んでおるわけでございます。連合会と私どもが協議いたしまして案ができ上がりますれば、それを各単位会に流して、それぞれ単位会の方から会則変更の手続をとって法務大臣に認可申請をしてくる、実態はこういうことになっておるわけでございます。まさに御指摘のとおり、形式的といえばきわめて形式的になっておる。単位会から見れば形式的な手続だけに終わっているというふうになるのみならず、実際問題としまして連合会と私どもの協議が調うのが各単位会の定時総会後であることが多いものですから、報酬改定のためにわざわざ臨時総会を開かなければならぬというふうな手数、費用の問題もばかにならぬわけでございまして、その辺のところは運用上十分御趣旨のような方法で何とかひとつ改善をしてまいりたい。これは各単位会、連合会のどのようにすればいいかということの御希望、御意見も十分承った上でなければ、私どもが勝手にできることでもございませんので、十分協議を尽くしまして、ただいま申し上げましたような不都合あるいは不経済というふうな点の除去という形で改善を図っていきたいと考えております。
○横山委員 司法書士会に関連いたします問題として、法務局におきますさまざまな問題がございます。 最初挙げました四十二年七月十一日の附帯決議の第一項「登記簿と台帳の一元化を急ぐと共に、不動産登記法に定める地図及び建物所在図の整備について最善の努力を払うこと。」第四項「登記所の人員増加、設備の充実等について格段の努力を払い、速やかに自主的に登記事務の適切且つ敏速な処理を行うことができるようにすること。」 この四項の登記所の設備の充実については、十年の間にかなりの進展があったとは思います。しかし、私が先般の法務委員会で申し上げたように、税務署の一人当たりのコスト、税金の上がりぐあいと、法務局における一人当たりのコスト、それから国家収入の上がりぐあいと比べますと、私は、法務局の上がりぐあいの方がはるかに大きいのじゃないかと思うのであります。それにもかかわりませず、国民に向かってのサービス面ではまだまだということが痛感をされます。ひとつあなた方も一回登記所と税務署と行ってごらんください。 〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕 まあ税務署の職員もいばる人もありますけれども、どちらがよりサービス的であるか、どちらがより来た人に対して、至れり尽くせりとは言わぬにしてもそうなっておるか、利益はどちらが多いか、雰囲気はどちらが明るいか、建物はどちらがより近代的であるか、そういうことを考えられると、登記所の人員増加や設備の充実についてなさるべきことがまだいっぱいあると私は思うのであります。いわんや第一項の、登記簿と台帳の一元化、不動産登記法に定める地図及び建物所在図の整備については、十年一日のごとし、何ともならぬ、何とも進展がしていない、そういう感じを私はもう強くするわけであります。これは民事局長よりも大臣に十分、いやというほど記憶をしてもらいたいと私は思うのでありますが、この二項の十年前の附帯決議が大変実践されていないという点について、大臣は国民に向かってどういうお答えをなさいますか。
○瀬戸山国務大臣 この問題は、それこそいやというほどすでに指摘を受けているところでございまして、決しておろそかにしているわけではございません。 ただ、第一項の台帳あるいは地図、この整備が非常におくれていること、全く申しわけないと思っておりますが、何しろ大変な経費と膨大な資料の作成ということでございますから、今後本当に努力をしていきたいということにしたいと思います。 それから登記所の人員増加、設備の充実。設備の面においては、常日ごろ申し上げておりますように、計画的に進めておりますから、これもそう長い将来でなくておおむね設備が完了するという目途を持っているわけでございます。人員の整備、これも毎年いろいろ御議論をいただき、またわれわれも努力しているわけでございますが、満足というか、これで十全だというところまで行っておりませんが、これも従来以上に努力を続けていこう、かように考えております。
○横山委員 ぜひひとつ大臣のお答えが、もう再三伺っておるわけでありますから、形式的なお答えにならないように最善の努力を要望したいと思います。 司法書士に関する最後は、司法書士の社会的な地位の問題であります。 冒頭からいろいろお答えを願ったように、とにかく勉強しろ、とにかく町の法律の専門家になれ、とにかく国民に向かって十分親切な相談に応じてやってもらいたい、そういうことでありますが、司法書士がそういう状況になりますためには、もっと町で活用をさせなければならぬと私は思っています。たとえば人権擁護委員、たとえば保護司、たとえば民生委員、たとえば町の町内会長、たとえば、たとえばと、そういうところで司法書士が小さな自分の事務所にとどまっていないで、社会に対して自分の知識、自分の判断、そういうものについてもっとどんどんと進出をすべきである。そうすることによって、司法書士も社会的な地位、社会的な信頼感というものが高まると思うのでありますが、どうもその点では、司法書士連合会、単位会、司法書士自身も憶病であると思いますけれども、あなた方も人選を何かの形でするときに一向司法書士を推薦していないではないかということを私はかねがね思っておるわけであります。法務局長にひとつ指示を出して、法律改正とともに、研修とともに、司法書士が町の法律専門家として、いろいろな委員を推薦するときに司法書士をどんどんと出してやるように指示をなさいませんか。
○香川政府委員 一般論としまして、お説のようにそういったボランティア活動等に司法書士がどんどん進出するというふうなことは、きわめて結構なことだと思うのであります。ただ、これも私どもの方から押しつけてやるわけにはまいらぬことでありますし、連合会あるいは法務局と司法書士会とで十分協議をさような方向についていろいろやるべきだと思いますけれども、やはり現在の司法書士の業務の実態を見ますと、なかなかそこまでの余裕、時間的な余裕と経済的な余裕も十分でないように私は思うのであります。だから、そういったやはりゆとりのあると申しますか、そういった副業的でない、まあ報酬を目的としないボランティア活動等に進出するには、やはり本来の業務が経済的にも時間的にも余裕があるようなことが先決問題でございまして、さようなことも含めて努力しなければならぬというふうに考えております。
○横山委員 それはあなたの勝手な——貧乏しておるからそんな余裕はないだろうというのは、大変勝手な言い分でございます。私は、少なくともこの法律の趣旨から言えば、ああ結構なことだ、おやりになってくださるならば幾らでも推薦します。どうぞよろしくお願いしますとあなたが言うべきだと思ったのに、失礼な、貧乏しているからそんな余裕はないだろう、そんなばかなことはないですよ。それは中には貧乏している人もあるかもしれません。けれども、この法律の趣旨から言うと、そういうことは非常に結構なことである、ひとつ法務局長に指示して、やっていただけるならばどんどん推薦させます。こう言ってもらわなければ引っ込みがつかないじゃありませんか。
○瀬戸山国務大臣 私もすべての司法書士の方を知っておるわけじゃありませんけれども、私の知れる範囲の司法書士の方は、社会的に非常に努力してもらっておる方をたくさん知っております。失礼でありますが、従来代書人と言われておった時代よりか、社会の信頼というのは非常に高くなっておる。またそれだけの見識を持っておる方がたくさんいらっしゃいます。でありますから、いまおっしゃったようなことは、どの程度御協力いただいておるか、いま私はここでは存じておりませんけれども、おっしゃったことは当然でありますから、先ほども民事局長言いましたように、連合会等と相談して、できるだけそういう方面にも活動していただくようにしたいと思います。
○横山委員 ありがとうございました。大臣はまことに常識豊かなお方であり、香川さんは非常識な方である、そう思います。 時間が参りましたが、私は、民事執行法案については同僚委員に譲るものとしても、けさ理事会で話題になりました点について、確認をしておきたいと思います。 六月三日に、毎日新聞を中心にして、民事執行法五十五条につきまして、非常なスペースをとりまして、労働組合側からこれに対して反論がございました。そこで、時間の関係上、民事局からきょう配付されました文書について一読を願いたいと思います。
○香川政府委員 民事執行法案第五十五条の適用範囲について (一) 債務者は、不動産が差し押さえられた場合においても、その不動産を使用、収益することができるため、執行妨害として、差押えの中の不動産を損壊し、又はその修繕を怠り、その価格を著しく減少せしめるおそれがあるが、現行強制執行法においては、これを直接に防止する規定がなく、その改正は、つとに要望されていたところである。 (二) 本法案第五十五条は、かかる観点から、差押え後の不動産の著しい価格の減少を防止する趣旨で設けられたものであり、同条第一項の「価格を著しく減少する行為」とは、差押え中の不動産を損壊したり、あるいはすべき修繕を怠る等の行為をいい、その行為の主体は、債務者、占有者である。 (三) 以上述べた本条の趣旨から明らかなように、労働組合が自主生産のために会社の工場、倉庫等を占有、管理している場合、不法にその価値を減少する行為をするのでなければ、その占有が差押え前からなされているものであればもちろん、差押え後になされたものであっても、それだけでは、本条第一項に該当しないから、本条第一項の規定により退去命令が発せられることはあり得ず、したがって、本条の規定が労働者の争議権を阻害することに濫用されるおそれがあるとすることは、全くの誤解に基づくものである。 なお、本条第二項の規定による執行官に対する保管命令は、第一項の命令に違反することを前提とするものであるから、第二項の適用がない以上、第二項の規定による命令の発令もあり得ない。
○横山委員 簡単に二つ質問をします。 一つは、七十七条も同種の機能を持つと言われておりますが、七十七条についてもこの解釈で差し支えがないかということが一つ。 それから二つ目は、この第二項に「差押え中の不動産を損壊したり、あるいはすべき修繕を怠る等の行為をいい、」これが「価格を著しく減少する行為」であるというふうに定義されておるわけでありますが、損壊はわかる。ところが「あるいはすべき修繕を怠る等の行為」とは、たとえばここに引用されておりますように「労働組合が自主生産のために会社の工場、倉庫等を占有、管理している場合」赤旗が立つ、ビラが張られる、それが数カ月続く、どうしても雨漏りがする場合もあるかもしれぬ。あるいは、付近から見て、ガラスもみがいていないから非常に汚なくなって、それが第三者から見て価格が著しく減少していくような感じがする。そういう場合に、ガラスをみがかなければならぬのか、雨漏りを修繕しなければならぬのか、あるいはきちんとしておかなければならぬのか。「あるいはすべき修繕を怠る等の行為」というのはどういうことなのか、伺いたい。
○香川政府委員 労働組合が自主生産いたしました場合に、その占有中の不動産の善管義務というものは当然あるわけでございまして、その自主管理から来る、自主生産から来る法律上の義務として修繕という義務が発生するのであれば、その義務を怠って修繕をしないというふうな場合は、いま申しましたなすべき修繕を怠るということになるわけであります。法律的に自主生産しておりますときに、その当然の義務として発生しないような行為は、これはやらなくても一向構わないわけでございますから、なすべき修繕を怠るということには当たらないわけでございまして、例示されましたような、ガラスをふかないなんということは、これは著しく減少する行為ではございませんから、当然含まれないというふうに考えております。 雨漏りは、これは善管注意義務の中には、雨漏りすることによってそれを放置しておけばどんどん建物が腐食して損壊するということになるわけでございますから、自主管理している以上は、雨漏りを放置するということは当然自主管理の法理からも許されないのじゃないか、当然、最小限度の雨漏りを防ぐ修繕はすべきじゃないかというように考えます。
○横山委員 この問題については、また同僚委員が十分質問をいたすと思いますから、以上で私の質問を終わります。
○保岡委員長代理 飯田忠雄君。
○飯田委員 まず最初に、司法書士法の一部改正案について御質問申し上げます。 この司法書士制度は、従来は認可制をとっておられたのですが、これをやめて登録制にされた理由についてお伺いをいたしますが、まず第一に、認可制をこれまでとってこられたのはどういう理由に基づくのでしょうか、お尋ねします。
○香川政府委員 戦前、裁判所が認可をしておりました当時から認可制度は今日まで続いておるわけでございますが、その趣旨は、恐らく、先ほども御論議をいただきましたように、やはり地域によって事務量が違ってまいりますし、司法書士のいわば経済的基盤を確立する意味から考えまして、認可者数がおのずから制限を受けるというふうなこと、さような地域性に重点を置きまして、裁判所の認可、今日では法務局長の認可ということにして調整を図ろう、かような趣旨だと思うのであります。 そういう意味から、認可制自身にはそれなりの合理的な理由が私はあると思いますけれども、一方司法書士の資質の向上というふうな面を考えますと、国家試験制にして、何といっても基本の資質の向上を図る必要がある、その方を優先して考えるべきだというふうな考えで今回改正法案をお願いしておるわけでございます。
○飯田委員 認可制を廃止されました理由は、業者の関係、数の問題とか、そういうものだというふうにいまお聞きしたのですが、そのほかには、特に廃止する理由というものは能力向上ということをお聞きしました。 そこでお尋ねしますが、司法書士の業務内容、特に法律問題を処理する能力がそれほど高くなければならぬのかどうか、能力の程度の問題についてお伺いをいたしたいわけであります。 〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕 これは弁護士法との関係が出てきますので、お尋ねするわけです。
○香川政府委員 司法書士の業務は登記、供託等、法務局に対する手続を代行する、あるいは訴状、答弁書等を裁判所に提出するというふうな業務でございまして、これはいずれも法律事務でございまして、いずれの業務をとりましても相当高度の法律的知識は要るというふうに私は考えております。
○飯田委員 登録制にいたしますと資格を有する者は認可なくして就業することができることになりますが、そうしますと、司法書士の全体の事務量に比べまして業者の数が多くなり過ぎて競争が激しくなるということはないでしょうか。
○香川政府委員 確かに国家試験制導入の一つの大きな問題点はそこだろうと思うのであります。これは先ほど横山委員の御質問にもお答え申し上げましたように、国家試験制の運用の問題といたしましてやはり十分配慮しなければならぬわけでございますけれども、しかし国家試験のたてまえから申しますと、資格試験でございますので、需給に見合った調整を、たとえば合格基準を上げたり下げたりするというふうなことはなかなか困難でもございますし、またしてはならないことであろうというふうに思うのでございます。そういう観点から、先ほど申しましたように、補助者の問題も含めまして、需給関係を十分配慮して運用していくということにつきましてはいろいろ工夫をしなければならぬ問題があるように思うのでありまして、やはり各地域ごとの分布状況等も考えなければなりませんし、また過疎地に全然司法書士がいないというふうなときにどうするかというふうな逆の問題もいろいろございまして、運用についてば十分ひとつ配慮してまいりたいというふうに考えております。
○飯田委員 裁判所事務官とか書記官とか、法務事務官、検察事務官、こういう職におられる方々は、恐らく定年になられたときにほかの仕事におつきになる分野が非常に狭いのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
○香川政府委員 率直に申し上げまして、たとえば私どもの法務局で長年勤めていただいた方あるいは裁判書記官として苦労された方の退職後のめんどうを見るということについて、私どもの努力が足りない、力が足りないことから十分でないことは十分承知いたしております。そういうわずか一つの退職後の職業として司法書士というものもあるわけでございまして、さような趣旨から特認の制度も、先ほど来の需給関係も十分考えながら、さような退職後の人たちの職場として、わずかではございますけれども十分配慮してまいりたいというふうに考えております。
○飯田委員 司法書士につきまして試験制度をおとりになることに対して、私は反対するものではございません。また能力の向上ということについても賛成でございます。ただ、ここでいまお尋ねいたしましたのは、長年裁判所の仕事、検察庁の仕事をやってこられた方々がある一定の年齢に達した以後において、それほど多額の年金、恩給があるわけでもないというときに、就職する先が非常に心細いという問題は、これは重大な問題であろうと思うわけであります。従来公証人制度というのがございますが、公証人制度については特別の御配慮がなされておると思いますが、いかがでしょうか。
○香川政府委員 公証人につきましては、現在、地方法務局長あるいは法務局の局長、部長等をやられた方につきましては、公証人審査会の議を経まして公証人に任命するということをいたしておりますけれども、これは数的にはわずかでございます。一般の法務局の職員あるいは裁判所書記官等についてはこの特任公証人制度の道がございませんので、私どもとしては司法書士のほかに、さらにそういった退職職員の将来の職場というものを開拓することに鋭意努力しなければならぬというふうに考えております。
○飯田委員 この司法書士につきましてもやはり何らかの保護政策をとっていただきたいわけです。つまり、そうした裁判所とか検察庁にお勤めになっている方々の能力向上をするような制度を加味することによって、そうした人たちの将来の職場である司法書士というものの職場を余り圧迫しないように私はお願いをいたしたいと思うものであります。 この問題は議論の問題じゃありませんのでこのくらいにしておきまして、次に、登録手続について司法書士会を経由する、こういうことに決められておりますが、司法書士会へ強制加入をするという規定の意味のようにとれますが、いかがでしょうか。
○香川政府委員 お言葉どおり、強制加入というのは現行法でとられておる措置でございまして、司法書士が資格を得まして業務を実際に行うためには司法書士会に入会しなければならぬということにすでになっておるわけでございます。御指摘の、今回の改正によりまして国家試験に合格して司法書士の資格を取得された方が法律上司法書士になるというのは、登録によってなるわけでございます。その登録は法務局、地方法務局長が行うわけでございますが、これは先ほど来御論議もありましたように、司法書士会連合会の方では登録を連合会にやらしてもらいたいという強い要望があったわけでございますけれども、いろいろ問題がございますので、その見返りと言ってはちょっと語弊がございますけれども、連合会の方が登録をみずからやることを要望される趣旨の一部、もちろん合理的な理由のある部分、つまり各司法書士会が司法書士を十分把握するというふうな意味、さようなことの手助けに若干でもなるかということで、登録を法務局に申請する際には当然会に入らなければできないことに現在なっておるわけでございますから、入会手続とあわせて登録申請を司法書士会を経由して法務局にするというふうな改正案になっておるわけでございます。
○飯田委員 それでは次にお尋ねしますが、司法書士会の法律上の性格はどういうものでございましょうか。これは法人であるか、法人格のない社団でございますとか、その点どうでしょうか。
○香川政府委員 司法書士法による法人でございます。
○飯田委員 司法書士会というこの法人は、これを設置する設置法というものはございましょうか。何か法律の根拠に基づいて設置されておるものでございますか、いかがでございますか。
○香川政府委員 いずれもその設立の根拠規定は司法書士法でございます。
○飯田委員 それでは、この司法書士法の中で司法書士会の設立を義務づけられておるそういう団体でございますか、それとも司法書士が任意につくりました任意団体でございましょうか。
○香川政府委員 司法書士法によって設立を義務づけられておる団体でございます。
○飯田委員 この司法書士会は、今度の法律案によりますと法務局管轄区域内に必ず設立されなければならないように書いてありますが、こういうふうにしなければならない特別の理由がございましょうか。
○香川政府委員 法務局、地方法務局が各都道府県に設けられておりますのに対応しまして司法書士会を各都道府県に一つずつ、つまり法務局、地方法務局に対応する形で各司法書士会が設立される、かようにした方が、つまり司法書士会設立の趣旨あるいは司法書士会運営の意味からいいましても、好都合だというふうに考えて、さようになっておるわけでございます。
○飯田委員 この法務局の管轄区域の広さというのは、大体どのくらいになっておりますか。
○香川政府委員 都道府県に一つずつ法務局、地方法務局がございまして、北海道は、札幌、函館、旭川、釧路と四つ法務局、地方法務局があるわけでございます。裁判所、検察庁と違いまして、法務局所在地には地方法務局はないわけでございまして、たとえば東京で申しますと、裁判所は東京地方裁判所、東京高等裁判所があるわけであり、検察庁も同じでございますが、法務局は東京法務局がございまして、東京地方法務局がない。つまり、各都道府県、北海道四つでございますが、各都道府県に法務局か地方法務局がそれぞれある、こういうことでございます。
○飯田委員 それでは、次にお尋ねいたしますが、そういうところにぽつりぽつりある司法書士会、これを経由しなければ司法書士の手続ができないということを決められました理由は何かございますか。
○香川政府委員 先ほど申しましたように、司法書士連合会におきましては、登録を連合会でぜひやりたいという強い要望があったわけでございますが、その理由の一つとしまして、会が会員を十分把握しておきたいということがあるわけでありまして、これはもっともな理由であるわけであります。そういう意味から、登録制度は、先ほど申しましたようにいろいろの理由によって今回は見送っておるわけでございますけれども、やはり各単位会が司法書士になる仲間といいますか、そういうものを把握する上で、やはり法務局に対する登録申請を各司法書士会を経由してすることによりまして把握ができるということが一つと、それからもう一つ、国家試験に合格いたしましても、ほかの理由でその司法書士となることが適当でない、つまり欠格事由があるというようなことがあるわけでございまして、そういう面を司法書士会がチェックできるならば、その機会にチェックするというふうなことも付随的に起こってくることでございますけれども、これもやはりそういう欠格事由というふうなものをキャッチすれば、司法書士会が法務局にそういったことの意見を具申するということも必要かと存じまして、経由という形をとっているわけでございます。
○飯田委員 司法書士会を経由いたしまして登録申請をすることを義務づけておるわけですが、こういうふうにしますと、司法書士となろうとする者は司法書士会に拘束されてしまうことになります。そこで、こうした一つの団体に拘束されなければ一つの業務が行い得ないということは、憲法で保障しております思想及び良心の自由を侵害するということになりかねないのではないかという疑いも生ずるのですが、いかがでしょうか。
○香川政府委員 これは前に、現在すでにとられておる強制加入、つまり司法書士会に入会しなければ司法書士の業務が行うことができないということにいたしましたときに、やはり憲法上疑義があるかどうかということが問題になって、検討したわけでございます。つまり職業選択の自由との関連で、この問題を考えてみる必要があるわけでございますが、その当時における議論、今日でもこれは維持されると思いますけれども、つまり司法書士がその品位を保持し、その各業務を改善する、つまり資質の向上を図ってりっぱな仕事をやるというためには、個々の司法書士だけではなかなかそういったことができない面もある、やはり、司法書士会に入って、そしてお互いに切磋琢磨し合うといいますか、あるいは研究会を開くとか研修とかいうふうなことも必要はございましょうし、そういうことで、司法書士の資質を向上させるためには、やはり強制加入、会の団体の力でそういう方向に持っていくことがより妥当であろう、こういう配慮、これがいわば公共の福祉ということになるわけでございまして、司法書士の業務は国民の法律生活にとって非常に重要な関連を持っておりますから、その司法書士の資質を向上させる一つの方法として強制加入という制度が現実的にそれなりの実効性がある、これが公共福祉の観点になるわけでございまして、さような観点から職業選択の自由をいわば一部制限しても差し支えない、かような考え方で強制加入の制度ば設けられたわけでございます。 もちろん、おっしゃるように各司法書士会に入会する司法書士の思想、信条は、これは千差万別であるわけであります。司法書士会の本来の会の目的というのは、司法書士の品位を向上し、その業務の改善進歩を図るための会でございますから、それが会の存立目的でございます。したがって、各加入しておる司法書士の思想、信条に影響を与えるような行動をするということは、これは私は法律的にはすべきではないことだろうと思うのであります。たまたませんだってこの委員会で問題になりました、東京司法書士会がいわゆる刑事裁判の公判の暫定特例法案についての反対決議を支持するというふうな決議をすることは、これは一種の政治活動でありまして、かく強制加入をたてまえにしておる司法書士会としてはすべきことではないというふうに私は考えております。したがってそういったことが、今後かく強制加入をとっておる以上は個々の司法書士の思想、信条を拘束するような、それこそまさに憲法違反的な問題になってくるわけでございまして、さようなことのないように十分司法書士会としては考えていただきたいというふうに思っております。
○飯田委員 それでは、もう一つお聞きしますが、司法書士会に官庁の出先機関的な任務を負わせるように見えます。今後のこれは。つまり、司法書士会を通して登録事務をやるということになりますと、結局司法書士会を使って登録事務をやるのだという感じを受けるわけなんですが、この場合に、司法書士会というものは官庁の出先機関的な任務を負わされておるのではないかというふうにも解釈されるのですが、そういうふうな見方をすれば、いわゆる大政翼賛会的性格を司法書士会に持たせることになるのではないかという疑いがありますが、いかがでしょうか。
○香川政府委員 御指摘のような大それたことを考えておるわけじゃないのでありまして、先ほど申しましたように、司法書士がその実際業務を行うには司法書士会に入会しなければできない、かようになっておるわけであります。そうしますと、司法書士の登録を受けることと入会手続をするということ、この二つがないと司法書士の実際の業務はできないわけでございます。したがって、当然入会手続をとらなければならぬわけでございますから、したがって入会手続をとるのとあわせて登録申請をする、むしろその方が便利だろうというふうなことからでございまして、決して司法書士会を出先機関的な扱いをするというふうな、私どもとしてはさような考えは毛頭ないわけでございます。
○飯田委員 それでは、次の問題に移ります。 司法書士の問題ですが、司法書士の業務は、裁判所、検察庁、法務局、地方法務局に提出する書類の作成、こういうものが含まれております。そこで、問題になる点がありますが、民事訴訟というのは、これは法律上弁護士の資格ある弁護人を必要とする制度でございましょうか、弁護士の資格ある弁護人がいなくても民事訴訟は行い得るのでしょうか、お尋ねいたします。
○香川政府委員 弁護士を代理人にしないで本人が訴訟を遂行することは、当然許されております。
○飯田委員 そうしますと、民事訴訟におきまして弁護人を選任しないで必要書類を司法書士に作成させながら訴訟を進行させるということをやった場合に、これは違法となるでしょうか。
○香川政府委員 本人は訴訟を遂行する過程におきまして、それぞれ必要な書面を本人が司法書士に作成を依頼いたしまして、本人の嘱託の趣旨において書面を作成して、それを提出するということは弁護士法違反にはなりませんし、民事訴訟法上一向構わないことでございます。
○飯田委員 そうしますと、そういう業務を進めるということは相当高度な法律的知識がないと困ることになると思います。そこで、司法書士の能力向上というものが条件となって出てくるのではないか、そこで国家試験の必要が生ずるのではないかというふうに想像されますが、そのように解釈してよろしゅうございましょうか。
○香川政府委員 お説のとおりでございます。
○飯田委員 そこで、そういう相当高度な書類をつくる能力のある司法書士——司法書士というものはそういうものだということになりますと、そうした司法書士の資格を得るための試験制度をつくりまして、試験をやって司法書士になるわけですが、こうした司法書士は、法律的な試験をもう少し加えれば簡易弁護人もできるのではないか、つまり簡易裁判所における簡単な簡易事件についての弁護人をする能力もつくのではないか、このように考えられるわけですが、これは従来いろいろの方面の人が議論しておりますのでお尋ねするのです。学者もやっておりますし、実務家もやっております。それで、簡易事件について簡易弁護士制度を考慮することができるのかどうか、この点についてお尋ねするわけですが、もちろんこのためには、試験合格者について司法研修制度をとったり、あるいは簡易弁護人の養成を図るための適当な方法をとらなければいかぬと思いますけれども、そういうことについての御所見はいかがでしょうか。
○香川政府委員 簡易裁判所の事件についての代理人、さような資格業務を司法書士にも与えるべきではないかという御議論は従来からあるわけでございまして、司法書士連合会等もさようなことを検討されておったようでございます。 ただ、これは弁護士法との調整が当然要るわけでございますが、現在御承知のとおり、簡易裁判所判事とか特任検事、さらには副検事、あるいは内閣法制局等で法律実務に高度のまことに法律的な素養を備えておられる参事官経験者というふうな者も弁護士になる資格を認められていないわけでございます。たとえばいまお説のような、司法書士に簡易裁判所の事件をやらせることにすべきだということでありますならば、私は当然少なくとも簡易裁判所判事については簡易裁判所の事件の代理人として仕事ができるようにすべきだと思うのであります。そういうほかとの関係もございますので、それらをにらみながらこの問題は検討さるべきでございますが、もしも司法書士についてそういった簡易裁判所事件をやるというふうなことになるといたしますならば、これは私の個人的な私案でございますけれども、たとえば甲種司法書士とか乙種司法書士というふうに分けまして、そして甲種の司法書士はそういう簡易裁判所の事件ができる、乙種は登記、供託等だというふうなことで振り分けて、それぞれの試験も中身を変えないと、八百屋式のそういう間口の広いことではかえっていろいろな問題が生ずるのではないかというふうにも考えておるわけでございます。そういう点も含めまして検討する問題だろうと思いますけれども、今日におきましては、司法書士よりもさらに、簡易裁判所の裁判官をやっている者、いわばそれだけでは弁護士になれないようなことになっておるのと対比いたしますと、まずそちらを片づけないことには司法書士に簡易裁判所事件をやらせるというふうな措置は法律上とりにくいのではないかというふうに考えております。
○飯田委員 現実の様子を見てみますと、弁護士は大都市に集中をしております。中都市にももちろんおられますが、きわめて小さい小都市あるいは田舎の方にはほとんど弁護士はおいでにならぬという状況でございます。したがいまして、田舎の人が事件をやる場合には大抵裁判を敬遠してしまう傾向があります。そしてまた、敬遠しない人は現実には司法書士に相談をしに行って法律的な知恵をかしてもらってそしてやるという状況で、非常に不便をしのいでおるのが現状でございます。 そこで私は、いまの司法書士の方々が弁護人の能力があるということを主張せんとするものではありません。そうではなしに、司法書士の資格のある人、この人たちにもう一度簡易弁護人試験というものをやりまして、そしてその試験に合格したお方が簡易弁護人になれるということにすれば、相当田舎の方の人たちの困った状況が救済されるのではないかというふうに思われます。もちろん大都市へ行って弁護士さんを依頼すればいいではないか、こういうことも理論的にはそうではございましょうが、実際には旅費も高くつきますし、またそういう都会へ頼みに行くこと自体がこれは大変な勇気の要ることでございまして、現状に合わない状況でございます。そこで、そうした簡易弁護人制度というものを、従来から学者なりあるいは実務家の方が論ずる理由はそこにあると私は想像いたしておりますが、こういうような問題につきまして御検討を、つまり程度の低い者にやらせようということではありません、試験をして通った人にやらせてみたらどうだということであります。たとえば長く裁判所書記官をやっておられた人、こういう人が試験を通られて簡易弁護人におつきになるということも一向差し支えないじゃないかというふうに考えますので、このようなことを御質問申し上げるわけです。こういうような点については、法務大臣はどのようにお考えでございましょうか、お尋ねいたします。
○瀬戸山国務大臣 飯田さんおっしゃるように、残念ながらわが国ではまだ法曹人口が比較的少ない。そこで、地方といいますか田舎では、弁護士さんに依頼することが困難とは申し上げませんけれども、費用その他の関係でなかなかむずかしいところがあると思います。簡単に、ある程度というと恐縮でありますが、現在の弁護士法上の弁護士さんでなくてもできるような事件があるわけでございます。現に簡単な事件等は当事者本人がいろいろ法律を聞いたり、みずから研究したりしてやっている人はたくさんあるわけでございます。そういう実際の必要性が私もあると思います。思いますが、さて、じゃあもう一つ別種の弁護士さんをつくるということは、これはまたいまの弁護士制度との兼ね合いもありますし、どの程度の法律家といいますか、をそういうものにするかということもなかなかよほどこれは慎重に検討しないと直ちに結論が出る、こういう問題でもないと思います。しかし実情は何とかそういう人があったらいいなという実社会の姿というものもないわけではございませんから、十分御意見のあるところを、ほかにもそういう御意見があるわけでございますから、私どもの方としてもいろいろ相談はしてみたい、かように考えております。
○飯田委員 それでは次に、民事執行法についての質問に移ります。 まず最初に、裁判機関と執行機関との分離問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 まずその中で、これも幾つかに分けて質問いたしますが、執行権限のあるなしとか、執行の範囲とか、あるいは執行の方法その他執行手続についての判断を下すのは実質は裁判である、このように考えられますので、これは執行裁判所の所管とすることはいいと思います。が、判決とか決定とか命令等のそういう裁判の実現、それを実施するいわゆる事実行為としての執行は、むしろ司法というよりも法律上の性質は行政ではないかと思われますが、いかがでございましょうか。
○香川政府委員 現行実定法に即して申し上げますれば、執行裁判所の手続としての執行行為というのは、行政ではなくて司法だと思うのであります。ただ、立法論といたしまして絶対司法でなければならぬというものではないと思うのでありまして、これは立法政策の問題だろうというふうに考えます。
○飯田委員 立法政策上行政に入るものを司法機関で行ったり立法機関で行ったりすることもあるといたしましても、それはおのずから性質が違うと思うのです。たとえば立法機関で行う行政、立法機関内部だけに関する行政事務、こういうものは立法機関で行うこともございます。それから司法機関で行う行政といいますものはやはり司法機関内部でのものでございまして、そうした各機関の外の分野について行われる行政を司法が行ったり立法が行うということは、憲法が保障しております三権分立の制度に反するのではないかと思われますが、いかがでございますか。
○香川政府委員 その点に関しましてはお説のとおりだと思います。
○飯田委員 そうしますと、民事執行を裁判所の所管にするというのはやはり三権分立に反すると私は考えますが、これは何か特別の理由があって、何か憲法上の特別の根拠があってこうした民事執行が裁判所の所管になっておるのでしょうか、お尋ねいたします。
○香川政府委員 現行法の手続を見ますと、いろいろの法律判断が要るわけでございまして、それに確定力を持たせるとか拘束力を持たせるいろいろの方法としまして、裁判という形をとった方が合理的だというふうな配慮もあろうかと思うのであります。しかし、たとえば執行官がやります動産執行、これは何も執行官自身は裁判官ではございませんから、したがって、執行局というものを行政機関として設けまして、そこに所属する執行官が動産執行をやるというふうなこと、そうなりますと司法から離れてくるわけでございますが、それでも立法論としては差し支えないことであろうと私は思うのであります。ただその場合も、執行官のいたしました執行処分につきまして不服のある者が裁判所にもう一度判断を求める、そういう道は開いておく必要はもちろんございますけれども、これは一般の行政について司法審査を経るというのと同じ性質のことだろうと思うのであります。立法論としては、考え方はいろいろあろうと思いますけれども、現在の執行手続を考えました場合に、裁判所の仕事として立法した方が合理的だろう、こういう考えでございます。
○飯田委員 強制執行を行うこと自体におきましても、執行官が誤りを来したり、あるいは法律上疑いのあるような問題が生ずることは起こり得ると思います。そういう場合に、その問題について執行裁判所がいろいろ御判断をお示しになることはもちろん必要でありますので、民事執行そのものに執行裁判所は要らないとは申さないのです。執行裁判所も要るのです。執行裁判所が要るのですが、実際に執行を行うのはやはり執行官にやらせるのが正しいのではないか、つまり裁判所が執行するというのじゃなしに、執行官に執行をさせるというのが筋ではないかと私は思いますが、今度の法案を見ますと、裁判所もまた執行をする、こう書いてありますので、その点について疑問を持っているわけでありますが、いかがでございますか。
○香川政府委員 たとえば不動産に対する強制執行を考えました場合に、不動産につきましては担保権とか用益権とかそのほかもろもろの権利関係が複雑に絡み合っておるわけでございます。そういう不動産の競売を実施する機関として現在の執行官が果たして間違いなくやれるかどうかという、そういう問題があるわけでございまして、その点は執行処分それ自身が複雑でございますので、したがって、執行裁判所がやった方がいいというふうな考えなんでございますけれども、しかし、不動産を売却する行為、いわば競売の実施というような関係は何も裁判所がやらなくてもいいことでございまして、それを執行官に実施させるというようなことも当然あり得る。その中でいわば執行裁判所が初めから終わりまでずっとめんどうは見るのだけれども、その過程におけるいろいろの手続について、執行官にやらせればいいというふうなものはそれぞれ執行官がやれることにしておるわけでございます。だから将来の問題として、執行官というものをいろいろの面から育成いたしまして、十分その任にたえるというふうなことになりますれば、さらに相当大幅に執行官の職務ということに移してもいいようなことは十分考えられると思うのでありますけれども、今日はまだそこまでは行っていないのじゃないかというふうなことでこのような案になっておるわけでございます。
○飯田委員 ただいまの御答弁を私こういうふうに聞いたのです。執行官は能力が低いので信用がならぬ、だから、能力の高い裁判所に最後までよくめんどうを見させておかないと困るのだ、だから、今度の法律では執行裁判所に執行任務を負わせる、こういうふうに受け取れるような御答弁だったのですが、もしそういうことでありますならば、これは執行官の能力の問題ですから、執行官の能力を高めることをおやりになるのが筋ではないかと私は考えるわけです。 そこで、この民事執行につきまして任務は二つあるのでして、法的判断を示す裁判所の任務と、それからそれを実際に実施する執行官の任務と二つに分かれると私は理解しております。そこで、裁判所は手を汚してはならないと思うのです。裁判所がそういう物を売ったり買ったりすることに直接手を出すということは余り好ましいことではない、むしろ高い立場から売り買いについての判断を、正確かどうか下しておられるのがいいのではないかと思うわけです。そこで、執行裁判所と執行官、こう二つございますが、執行裁判所はもちろん裁判機関ですから裁判所、執行官はむしろ法務局の所属とするのが合理的ではないかと考えるわけであります。刑事におきましても、裁判所の判決を実際に実行いたします刑務所というのは法務省に属しておるわけなんですが、刑事と民事、法律的には同じものだと私は考えます。民事執行だけが特に裁判所が執行しなければならぬというのは古い考え方、旧憲法の考え方ではないかという気がしてしようがないのです。つまり、裁判所がすべてこういう方面を統括するという考え方になっておるように思います。この際急にこう変えろと申し上げましても無理かとも思いますが、将来の宿題でも構いませんが、こうした裁判所の任務と執行官の任務というものは厳格に分けまして、執行官はむしろ法務省の所管にするということの方が合理的、合憲的だと私は思いますが、こういう点につきまして法務大臣はいかがお考えでしょうか、お尋ねいたします。
○香川政府委員 お説のように、裁判所というのは違法かどうかを審査するところにとどまって、妥当かどうかというふうな分野にまで入らない方が一般論としてはいいと私は思うのであります。執行につきましても、お説のように裁判所が手を汚さないと申しますか、裁判所らしいことだけの職分にしておきまして、そのようなことは執行官等にやらせるというふうなことだとか、今回の法案はできるだけそういった方向には近づけておるつもりでございますけれども、さらに、執行官を法務局に所属させて裁判所から離すというふうなことも一つの御意見ではあります。かつて執行官制度、これは強制執行制度の一環としての執行官制度が法制審議会で議論されました際に、執行局というものをつくって、そこに執行官を所属させる、法務局と同じような意味の執行局というようなものをつくって所属させる。そして、その執行局を最高裁判所が監督するかあるいは法務局が監督するかというふうないろいろの意見があって議論されたわけでございますけれども、いずれも時期尚早、いろいろ問題があり過ぎるというふうなことで結論を得ないまま今日に至っておるわけでございまして、そういう点も含めまして、将来の問題として十分法制審議会等において検討していただくつもりでおります。
○飯田委員 それじゃ次に移ります。 売却の方法とか公告の規定が法案の六十四条にございます。売却の方法を最高裁規則に委任しておるわけなんですが、物を売る方法などを、これらは全く行政事務なんですから、こういうものを最高裁規則に委任するということは、これはちょっとおかしいじゃないでしょうか。最高裁規則によるよりは、むしろ内閣がやるべき問題ですから、政令とか、法務省令でやる方が正しいと思いますが、この点についての御見解はいかがですか。
○香川政府委員 売却の方法も一つの民事執行手続の一環であるわけでありますが、たてまえが執行裁判所あるいはその監督下にある執行官が執行手続を実施するということにいたしておりますので、したがって売却の方法についてもやはり政令よりは最高裁規則で制定した方が落ちつきがいいということでございます。この売却の方法と申しますのは、最高裁規則で予想しております点は、具体的なことじゃなくて、たとえば随意売却でもいい、こういう場合にはこういう売り方でもいいというような一般的な売り方の規制でございまして、弾力的にそれぞれの事案に応じて一番高く簡易に売れるようにすることができる、そういう基準を決めるということを考えておるわけでございまして、やはりそういう意味から申しますと、現在の民事執行法案のたてまえから言って、最高裁規則の方が落ちつきがいいというふうに思いますし、また、執行裁判所が実施する執行手続について、政令で裁判所にある義務を負わせるようなことをやるということは憲法違反の疑いが出てまいります。したがって、さような点も含めまして最高裁規則にいたしておるわけでございます。
○飯田委員 憲法違反の疑いということが出てきましたので、ひとつお伺いいたします。 憲法が決めております最高裁判所規則を最高裁が決め得る範囲の問題ですか、最高裁判所はもちろんこれは司法機関でございまして、憲法の言うところの司法権を行うものでございます。そこで問題は、司法権とは何であるかという内容の問題でありますが、現在の学者の大体のお考え方は、司法権は裁判権、裁判を中心としたものだというふうに考えておるようでございます。そこで、物を売ったりあるいは物を配当したり、そういうような一つの行為、そういう行為は一体司法であるかどうかということが私は問題になると思います。もしこれが司法でなくて行政の分野に入るものであるとするならば、最高裁判所の規則制定権の範囲には含まれないというふうに理解するのが私は正しいと思いますが、この点についていかがですか。
○香川政府委員 立法論としてはいろいろ考え方があると思うのでありますけれども、少なくとも現在御審議願っております民事執行法案におきましては、執行行為、執行手続、執行処分、これが執行裁判所というものでやるのだということにしておりますと、執行処分というものは実定法的に申しますと、やはり裁判という形式をとるごとになってくるわけでございます。したがって、たとえば不動産を競売いたします場合に、競落許可決定というのがなされるわけでありますが、これはやはり裁判であるわけであります。しかし、その売却手続だけを切り離しまして、裁判所から離してほかの機関でやる、行政機関でやるという立法論ももちろんあるわけでございますから、そのときに、この競落許可決定に相当するような売却決定というものがなされますと、それは行政機関である行政処分ということになってくる。したがって、立法としていろいろ考え方がございますけれども、少なくとも現在の民事執行法案におきましては、そういうことは執行裁判所がやるのだということで、裁判の形をとっておるわけでございます。したがって、その裁判について政令でいろいろのことをやるというようなことが問題ではなかろうかというふうなことになりますし、また、裁判所のやる裁判、そういう事態の一つの規則として最高裁判所規則というものをつくるということはきわめて自然なことでありまして、その方が落ちつきがいい、こういう考えでおります。
○飯田委員 大分時間がたちましたので、次の方に参りますが、これは法案の六条関係の問題です。執行官の職務権限についてのところで「職務の執行に際し」「威力を用い、」こうございます。威力というと恐ろしいように感じますが、どういう内容なのでしょうか、お尋ねいたします。
○香川政府委員 これは法令用語でございまして、簡単に言えば実力行使、たとえばバリケードを撤去するとか、あるいは人を入れないようにする、そういったことを意味するわけでございまして、言葉として適当かどうかあれでございますが、法令用語として従来から威力というふうに使われておるわけでございます。
○飯田委員 その次に「警察上の援助」とございますが、これは警察官の援助というふうにしないで、わざわざ「警察上の」とされたのは何か意味はございますか。
○香川政府委員 船舶執行なんか考えますと、海上保安庁の職員の援助を受ける必要がある場合があるわけでございまして、「警察官」とありますとちょっと入りませんので、「警察上の援助」とやっておけば海上保安庁の関係も入ってくる、かような考えでございます。
○飯田委員 強制執行を行いました場合に、執行処分の取り消しの規定がございますが、塾行の実施によって生じました現状変更ですね、それを執行処分の取り消しによって執行前の状態に復する、そういう権利義務が生ずるのでしょうか、どうでしょうか。
○香川政府委員 執行処分が取り消されました場合には、その処分がなされる前の状態に回復する権利義務が当然あります。
○飯田委員 それじゃ、次に移ります。 先ほど、売却のための保全処分についてのことについて労働組合の問題について御質問がございましたので、重複を避けます。そこで、一つだけ念のために伺っておきたいのは、工場占拠とか自主生産ということば不動産の価格を著しく減少する行為となるかどうかという点について、簡単に、なるかならぬか、お答えを願います。
○香川政府委員 自主生産そのものは絶対なりません。
○飯田委員 それでは、時間の関係で省きまして、次に船舶に対する強制執行の問題について質問をいたします。 この規定の中で、端舟その他櫓かいまたは主として櫓かいをもって運転する舟及び総トン数二十トン未満の船舶についての強制執行は、強制競売の方法によらない、こういうふうに書いてございます。そこで問題になりますのは、恐らくこれは動産執行でやる、こういう意味であろうと思いますが、ここで問題になる点は、端舟というのは、恐らく船に積んでおる救命ボートだとかそういうものを意味するのではないかと思いますが、大きな船舶は、全部船舶安全法上の必要からこの端舟、ボートを積んでいるわけです。ボートをおろせば法律違反になって航海することは許されないということになるわけなんですが、こうしたものは船舶の付属物として考えた方がいいのではないかと思います。あるいはこういうものはこれだけ動産執行をして、船は不動産執行をする、こういう二重の執行をするのが正しいというふうにお考えなのかどうか、その点についてお伺いいたします。
○香川政府委員 いま御指摘の、大きな船に積んでおる救命ボートとかそういったたぐいのものは、いわゆる船舶の属具でございます。船舶が二十トン以上でございますれば不動産執行に準じた執行がされるわけでございまして、その場合には当然手続としてはその属具にも及んでいくわけでございまして、差し押さえも売却も全部属具を含めた、つまり救命ボート等を含めた船舶として売られるわけでございます。ここで別のあれにしておりますはしけとか二十トン未満の船舶につきましては、御指摘のように、不動産執行の手続ではなくて動産執行でやるというつもりでございます。
○飯田委員 わかりました。 時間が参りましたので、これでやめます。
○鴨田委員長 午後一時三十分再開することにし、この際、暫時休憩いたします。 午後一時二分休憩 ————◇————— 午後一時三十四分開議
○鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 お諮りいたします。 本日、最高裁判所井口民事局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○鴨田委員長 質疑を続行いたします。西宮弘君。
○西宮委員 私はもっぱら司法書士法の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 局長と第三課長おいでですか。——日本司法書士会連合会ですか、そこの「司法書士法改正についての経過と概要」というところを読んだらこういうことが書いてあったのです。「民事局長は川島一郎氏から香川保一氏に、また直接折衝の当事者となる民事局第三課長は、吉野衛氏から清水湛氏に引き継がれた。新民事局長は、かつて民事局第三課長として長い間全国の司法書士会を熱心に指導され、今日の司法書士制度の基礎を築かれた人であり、また不動産登記法についての非常に優れた学者である。新第三課長も司法書士制度に最も理解ある秀英である。」したがって、これこれで「正に千載一遇の時である」こういうふうに述べられておるのです。まさに斯界の権威者である学者と、それから非常に理解のある秀英である、こういうことで大変な信頼を得ているわけです。 そういう信頼が厚いということは大変結構なことだと思うし、この機会にとにかく改正法案が出てきたということは私どもも高く評価をしたいと思うのですが、この法律はすでにしばしば論ぜられておりますように、長い間のいろいろな沿革を経て明治から今日までたどりついたわけであります。明治五年の司法職務定制の中に定められた代書人、大正八年の司法代書人法、昭和十年の司法書士法の制定、昭和三十一年には従来の特認者の条件を三年から五年に延長する、あるいは地方法務局長の認可を選考による認可というふうに訂正する、あるいは三番目に、司法書士会連合会を強制設立をする、それから同時に司法書士たる者は強制加入を命ずる、昭和四十二年には、この司法書士会あるいは司法書士会連合会に対して法人格を付与するというようなことに、いろいろ変わってきておるわけであります。 ところで今回の法律の改正によって、そういう点において従来以上に司法書士制度に対する認識なり取り扱いなりだんだん変わってきているわけですが、今回はどういう点が変わった、あるいはまたどういう点が向上されたということになるのでしょうか。
○香川政府委員 現行法では、司法書士となるには法務局、地方法務局の長の認可ということになっておるわけでございますが、司法書士の資質をさらに向上せしめるという観点から国家試験制を導入したということが一つでございまして、これが一番大きな改正点でございます。 そのほかは、司法書士の業務範囲といたしまして登記、供託等の行政不服審査法による審査請求の手続の代行ができるようにしたということ。 それからさらに、司法書士の職責規定を設けまして司法書士制度の重要性を法文上はっきりさせたということ。 さらにまた、司法書士となりますには国家試験に合格いたしまして法務局、地方法務局に登録をすることになるわけでございますが、その登録申請手続を各司法書士会の入会手続とあわせて司法書士会を経由して法務局、地方法務局に申請するというようにしたこと。 さらにまた、各司法書士会が自主的に会員の指導育成といった観点から、非違を犯すおそれのあるような司法書士に対しては会が注意勧告をするというふうな注意勧告権、それから司法書士連合会が法務大臣に対して建議する建議権というふうなものを認めるという点が、改正の主な点でございます。
○西宮委員 そういうことをひっくるめて、要するに司法書士なる者に対する評価といいますか、そういう点で、私は国の方針も若干ずつ変わっているのじゃないかということを考えるわけです。つまり、従来はややもすると非常にやかましく規制をする、こういうことが行政当局では非常に強く認識をされておった。たとえば昭和二十九年の次官の通牒あるいは回答ですか、あれらを見ても、そういう範囲を越えないようにということで、規制をするということに非常に力点が置かれておったというような昔を考えてみたりすると、いまお答えになったように、今回いろいろな点で責任を加重する。これは司法書士に対しても、あるいはまたその団体に対してもその点を強化するということが行われておる。そういう点から判断して、司法書士に対する社会的な期待というか、あるいは職業に対する認識というか、そういう評価が変わったのではないかと考えるが、いかがですか。
○香川政府委員 司法書士の社会的な評価というものも、確かに従来からそうあるべきだったと思いますけれども、いろいろのことで必ずしも十分でなかった。それが今日におきましては、その仕事を通じて国民の信頼を得ておると申しますか、司法書士制度が国民の法律生活の非常に重要な助け手と申しますか、そういうふうな意味合いにおきまして、社会的にも信用は非常に高くなってきておるというように考えます。
○西宮委員 私は、必ずしも法律の条文にあらわれなくても、根底を流れておる司法書士に対する認識とかそういうものが、社会においても、同時にまた政府においても正確にとらえられて、しかも、だんだん見方が変わっていく、向上していくということはきわめて重大なことだと思うのです。昭和二十九年の通牒などはもちろん裁判の判決ではありませんけれども、しかし、ある意味においては、司法書士の仕事をしている人たちにとっては裁判の判例以上に厳しい、つまり、自分たちの認可をしたり、あるいはまた取り消しをしたり、懲戒をしたり、そういう権限を持った法務省の最高幹部がああいう通牒を出しておるわけですから、その重みは業界に対して非常に重大な重荷を負わせておった。したがって、これは単に司法書士の業を営む者に対してだけでなしに、司法書士に仕事を依頼する人に対しても、当然規制の措置になっておったわけです。そういう点で重大なおもしになっておったのですが、そういう点が、あの通牒はまだ生きているのかもしれませんけれども、内容的にだんだん扱い方が変わっておるということは明らかに言えると思うのです。 もし、私のいま申し上げたことが違っておったら、指摘をしてください。そうでなかったらば、私は、問題になっておる第一条の二項の問題についてお尋ねをしたいのですが、それは、現在司法書士のやっておる仕事が、ほかの法律ができればやれなくなるんだ、こういう規定でありますが、実際にはそこへ抵触するという法律は何と何であるかということです。
○香川政府委員 現行司法書士法第一条では、まず登記の申請手続をするということが司法書士の業務になっております。御承知と思いますが、土地家屋調査士法というのがございまして、これは不動産の表示に関する登記の申請手続をするわけでございます。したがって、もしも司法書士法の一条に二項の規定がないといたしますと、不動産の表示に関する登記申請手続は、調査士もできますし司法書士もできるということになりまして、ここに衝突があるわけでございます。これは事柄の性質上おわかりいただけますように、不動産の表示に関する登記申請というのは、いわば土地建物の現況を物理的に把握して、そのためには調査測量というふうな技術を駆使するわけでございますが、片や権利に関する登記申請というのはもっぱら法律的な判断でございまして、その仕事の内容に相当差異があるわけでございます。したがって、司法書士はもっぱら法律判断を伴う権利に関する登記申請手続をする、片や土地家屋調査士は、調査測量の結果による物理的な現況の把握ということによって不動産の表示に関する登記申請をする、こういうふうに分業化しておるわけでございまして、それが司法書士法第一条二項の一番実質的な意味のある場合だと思います。
○西宮委員 土地家屋調査士の法律ができるときに、いまの一条二項が加わったというふうに承知をしておりますが、むしろいまのような答弁ならば、いま現に行われているような一条二項ではなしに、あれは、これから法律ができれば、何ができてもできるたびにみんなこちらがだんだん縮まっていくんだという、そういう規定の書き方ですね。そういう体裁は法律の体裁としては大変おかしい。そういう法律が抵触するんだというのならば、土地家屋調査士法、その部分は除外するという規定にすべきだと思うのですね。後から法律が出てくれば何でも片っ端から侵略されていくというようなことは、法律の規定としてはおかしいし、かつ司法書士の諸君に対しては非常に不安を与えると思うのですね。どうですか。
○香川政府委員 将来の立法を考えますと、その立法する際にどういうふうにするか。仮にお説のように一条二項を削りまして、調査士法の方は権利に関する登記の申請はできないとかいうふうなこと——これは調査士の業務は、つまり不動産の表示に関する登記手続に限定しておるわけですから、したがって、そちらの方で権利に関する登記はできないと書くのはちょっとおかしいわけでございます。そうすると、司法書士法の方で、不動産の表示に関する登記手続は除くというふうに書くことになろうかと思いますけれども、そういう立法形式も当然当時考えられたわけでございましょうが、不動産の表示に関する登記申請手続と申しましても、その趣旨からいって司法書士がやっていい分野もあるわけでございます。たとえば、表題部に書いてある表示者の住所訂正というふうなことは法律的な判断だけでございまして、司法書士がやってもいいというふうな解釈の余地があるわけでございます。そういう解釈の余地を残すこともございましょうし、また、御心配になるように、新しく立法して、現在は司法書士の業務分野であるものを別途そういう業法をつくって、それをもっぱらそちらの方でやるということにした結果、一条二項に戻ってきて司法書士ができなくなるということを懸念されるのもごもっともだと思いますけれども、しかし、新しい立法をする際に、これは仮に一条二項がなくても同じような結果のことをやろうと思えばできないことはないわけでありまして、やはり立法府として各業法の調整というふうな問題、あるいは政府提出の場合には、各省の協議ということで調整すべき問題でございまして、私は、理論的には一条二項というのは決しておかしい規定ではなくて、むしろそういう将来の立法によって侵食されることを心配される向きがあるといたしますれば、それは行政府なりあるいは立法府において、調整の問題として考えるべき問題だというふうに考えるわけでございます。
○西宮委員 いま当面の問題としてでなくて結構ですが、これは私はやはり体裁としてはおかしいと思うのですよ。新しい法律がほかにできたらばみんなそっちの方に譲るのだという形は、やはり体裁としてはおかしいと思うので、そういう点もひとつ問題点として将来に残しておきたいと思います。 実情についてお尋ねをしますが、たとえば法務省の職員がつくっております労働組合、いわゆる全法務、そこから出してきておる書類の中に、現在の司法書士の業務について、たとえば過当競争であるとか都市に集中するとか、その他いろいろなことが挙げてありますけれども、恐らくその辺は実際そうだろうと思いますが、その中の一つに「不当粗雑書類の増加」こういう言葉があるのだけれども、つまり法務局等に出す書類が非常にお粗末な書類が多過ぎる、あるいは「増加」だからふえているということを言っているのだが、そういう実態ばどうですか。
○香川政府委員 現在、登記申請の問題で考えました場合に、その書類に不備があって補正を要するというふうなものは、これは各登記所によって若干の違いがございますけれども、多いところで全体の二〇%ぐらい、少ないところで一〇%ぐらい、一〇%から二〇%ぐらい補正を要する書類があるのが実態でございます。 ただ、この点につきましていろいろ調査いたしてみますと、必ずしも補正を要しない問題につきまして、従来の慣例というふうなことで補正をしてもらっているというふうなものもないとは申せません。したがって私は、実質的に本来補正しなければその申請が却下されるであろう、そういった不備なものというのは、大体一割前後じゃなかろうかというふうに思っております。ただ、一割といたしましても、これは本来司法書士が代理人としてやる以上はその根絶をするように努力すべきは当然のことでございます。せっかく司法書士制度を設けましても、そういった事務の取り扱いの粗雑さによって逆に登記所側に負担が増大するというふうなことでは困るわけでございまして、司法書士会あるいは連合会を通じて、そういう業務の改善ということを強くお願いいたしておるわけでございまして、これはおいおいとその実が上がってくるであろうというふうに期待いたしております。
○西宮委員 それでは、これでさっき読んだように、そういう「不当粗雑書類の増加」——増加というふうに書いてあるけれども、必ずしも傾向としてだんだんふえているという状況ではない、むしろ、資質の向上を連合会等にやってもらってだんだん向上しているということならば将来に期待が持てると思うのですが、もう一遍その点だけ簡単に答えてください。 〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕
○香川政府委員 その点は先ほど申しましたとおりでございますが、やはり私どもとしては、何しろ登記所というのは御承知のとおり非常に多忙をきわめておりまして、職員の負担も過重になってきておるわけでございますから、少しでも事務が円滑に処理できるという上におきまして、司法書士の協力といいますか、本来の正しい仕事ぶりをしていただきたいということで、いろいろ連合会、各会でもそういうふうな方向で努力していただいておるわけでございますから、私はできるだけ近い将来において、そういった不備な書類を提出するということの根絶を図りたいというふうに考えております。
○西宮委員 そのためには、一つには研修という問題が大事な問題だと思うのですけれども、局長は前の国会等で答弁をされて、連合会等も研修を大いにやってくれ、たとえば登録制度などをやる暇があるならば研修を一生懸命やってくれというようなことを答弁をしておられるのを記録で読みましたけれども、全くその研修ということは大事なことだと思うのです。これは義務づけるという考え方はないですか。
○香川政府委員 研修を義務づけるというのは、私はちょっと性質上いかがなものだろうかというふうに考えるわけでございまして、義務づけるとなりますと、これはやはり法律で、たとえば司法書士試験に合格した後一定の研修を受けなければ司法書士になれないというふうなことになるわけでございますが、そういうやり方はいかがなものかと若干疑問を持っているわけでございます。 ただしかし、研修の重要性は、だからといって決して下がるわけのものではございません。だから、自主的にひとつ司法書士会あるいは連合会が会員の自覚を待ってそういう研修を充実させていくという方向に、根強い、しんぼう強い努力を傾けていただかなければならぬ、私どもといたしましてもできるだけの協力は惜しまないつもりでおるわけでございます。
○西宮委員 ここにある司法書士会で出しました書類の中に、これは関東甲信越の研修状況でありますが、それぞれ各県ごとにやっている状況が掲載されておりますけれども、その備考欄に、特認者は強制しないとか、特認者はできるだけ参加してもらうとかいろいろなことが書いてあるわけです。私はむろん、今日まで実務を経験してきているわけですから、それだけの十分な実力を持っているということは言えると思うのですけれども、しかし、いままで役所に勤務しておって、これは役所で長い間勤務をしたということは大変な貴重な経験ではありますけれども、ややもすると、非常に偏った一つのセクションだけで、いわばかたわになっているというふうな人だってあると思うのです。だからそういう点は、いわゆる特認の人もそうでない人も、こういう研修を受けるなんという場合には全く同じように研修を受ける、いわばいままで役所に勤務しておって民間人を相手にしておった、その何となく役人の意識が司法書士になって後までもまだ残っているのではないかというようなことをちょっと感ずるので、もしそういう感じがあるとすれば、従来の一般の司法書士にとってもあるいは特認でなった司法書士にとっても、私はむしろ不幸なことだと思うので、そういうことではなしに、みんなが完全に一致協力をしてお互いに融和していく、そういうことが当然なさるべきだと思うのですけれども、そういう点に対する指導方針はいかがですか。
○香川政府委員 今日までそういった特認の者が研修にできるだけ参加するようにというような指導はいたしておりません。 しかし、御指摘のようにそういうことがあるといたしますとこれはまことに遺憾なことでありまして、むしろ積極的に参加して、会員相互間の親睦も大事でございますし、あるいはやはりそういう研修会に出ることによってみずからの足りないところも大いに充足していくわけでございますから、今後機会あるごとに、特認あるいは試験合格者を問わず、研修にはできるだけ参加するように指導してまいりたいというふうに考えております。
○西宮委員 私はこの司法書士のあり方という問題について一番実は大事な問題は、他の業種、特に弁護士法七十二条の問題、これと関連する問題というのが実は大事な問題で、私も質問したい時間の大半をそれに割きたいと思っているうちに余り時間がなくなってしまいましたけれども、いままで、たとえば先ほど横山委員も指摘をしたいわゆる松山事件ですね、その判例等もありまするし、さらにまた昭和四十六年の最高裁の判例等もあるわけですね。そのほか、下級審の判断は幾つもすでになされておりまして、非常に貴重な大事な問題がその中に述べられておるわけですけれども、同じように、たとえば弁護士と司法書士、これが司法秩序を守っていくという中で、お互いにその職務を分担し合うということが当然に期待されておるわけですが、この両者の関係について、基本的にはどういうふうに考えたらいいかということをまずお尋ねしたいと思います。
○香川政府委員 私は、大まかに申し上げまして、やはり司法書士の将来の展望としては、庶民性と申しますか、一般国民大衆の中のよき法律相談相手というふうな役割り、そういう方向に向かってやはりじみちに努力を続けていかなければならぬのじゃないか。やはり、弁護士、これは高度の法律的な知識を要する法廷等の仕事が主でございますから、しかし、そう弁護士には、一般国民としてはなかなか取っつきにくい面も、敷居が高い面もあるかと思うのでありまして、そういうことを考えますと、やはりもっと下におりた庶民性のあるそういったよき法律相談相手というものも必要じゃなかろうか、そういうふうな意味で、弁護士と司法書士というふうなものがそういう分野を分かってやるようなことになれば、国民の法律生活の充実という意味からは非常に結構なことだと思うのでありますけれども、遺憾ながら、現在の情勢におきましてはそういうふうなことはなかなか容易でないわけでありまして、いろいろの努力工夫を重ねていかなければならぬというふうに考えております。
○西宮委員 弁護士の場合に高度な法律知識が要求されている、司法書士の場合もその点については同様だと思うのですが、ただ、数多い一万数千名の司法書士がいるわけですから、その中には必ずしもそこまで到達しておらぬという人もおると思うのですね。それは現に、青年司法書士会ですか、そこでアンケート調査をした結果が詳細に報告されておりますけれども、それなどを見ても、ごく少数ではあるけれども、憲法は読んだことがないという人などもとにかく若干は、ごくわずかだけれどもあるわけで、あるいはまた一部しか読まないというような人は、これはわりに私ども常識から考えると多いのですね。そういう人もあるし、あるいはまた、富山県の司法書士会が行ったアンケート調査ですか、これによりますると、法律判断はできないということをみずから答えている人も若干おる、そういうことを考えると大分落差があることは否定できないと思うのですね。しかし、最近の新しい、いわゆる青年司法書士というような人たちがどんどん勢力を増しつつあるのでしょうから、当然にその学校の教育なども高くなっておるし、そういう点から言うと弁護士とほとんど変わりのない、そういう法律知識を備えているという人は相当あると思うのですね。しかし、おのずからその守るべき限界がありますから、その辺が非常にむずかしいことではありますけれども、要するに司法書士の場合には、その依頼を受けた者、自分に依頼した者、その人から依頼されたものをそのとおりにやるのだ、それを越えてはならぬということがやかましく言われるのだけれども、しかし、これもいまのたとえば弁護士の場合でもある意味においては五十歩百歩だ、依頼人の意思を越えて全く勝手なことを自分でやるというわけにはとうていいかない。しかしその点について、司法書士の場合について「司法書士がたとい依頼人の委任を受けたところでこれをさしおいて自らの判断で事の処理に当ることはその職務に反し到底許されるところではない」、これが松山判決の一節でありますけれども、この点はまさにそのとおりでしょうけれども、これは弁護士の場合だって、依頼人の意思を差しおいて全く勝手なことをやってしまうというようなことはとうていあり得ないのですから、その辺でも私はそうなかなか区別はつかないというふうに思うのですね。そういう点で、どこでその線を引くかというふうにお考えですか。
○香川政府委員 一般的抽象的には、依頼を受けた事件に関する限り、その依頼人の趣旨、どういうことを依頼人が庶幾しているかということを、その目的に照らしましてそれにかなう一番いいように法律的に整理するという程度は、私は司法書士はやってもいいのだろうと思うのであります。右から左にただ言うがままに書類をつくるというのであれば、単なるタイプライターと同じことでございますから、そんなために司法書士法があるのではないということは自明の理だと思うのであります。 ただ、たとえばある事件が依頼されてこういうことをやりたいというときに、それはやめておけ、こっちの方がいいというふうなことは、これは明らかに一つの危険性があるわけでございまして、それをやっていかぬとしているのは、その結果間違ったのでは国民に非常に迷惑をかけるというふうな観点からでございますから、それはやはり謙虚に、そういったところまで踏み込んではならないだろう、それはむしろ弁護士さんに任せるべきだ、私はこういうふうに思うのでございますけれども、やはり具体的なケースごとについて考えませんと、これ一般抽象的にすべてを賄うような基準というふうなものは、なかなか能力がございませんので申し上げかねるのでありますが、ケース・バイ・ケースで考えるべきだろうというふうに思います。
○西宮委員 いまの点も言葉じりをつかまえるわけじゃないけれども、依頼人から依頼を受けて、いやそうじゃない、こっちの方がいいのだというようなことを言うことも、これは程度の問題だと思うのですね。たとえば裁判にするよりも調停の方が早くて、あるいは金が安くて済むのだというようなことを言ったって、決して悪いことではないと思うのですね。ですから、まさにこれなども程度の問題で、その問題にするに当たらないと考えるのですけれども、そういう点がややもすると強調され過ぎて、非常に司法書士の自由な活動というものが拘束をされるということがあり過ぎるのではないかというふうに考えるわけです。この間の松山判決だって、公訴の事実は七つ指摘されて、そのうち有罪だとされたのは三つで、あとの四つは無罪になってしまったわけですからね。ですから、無論これはさらに控訴中の問題ですから、さっき局長は考えを述べるわけにいかないと言われたけれども、そのとおりだと思いますけれども、しかし私ども読んでみても、あの判決は妥当だと思うし、学界からも相当評価されている判決のように私は見ておるのです。ですからその辺は全く五十歩百歩で、ケース・バイ・ケースと言ってしまえばそれまでだけれども、そこが非常に問題を紛糾させる原因になるわけですね。 昭和四十六年の最高裁の判決にもこう書いてあるわけですね。「司法書士は、その業務の性質上、またその有する法律知識の上からいっても他人間の訴訟・法律上の紛争等についても、一般大衆から事件の鑑定や依頼を受け易い立場にあり、そのような機会も多いのである。特に、地方における弁護士の数が比較的に少ない我が国の現状では、司法書士が一般大衆のために法律問題について多大の貢献をしている実情を私どもも認めるのに吝かではない。」こう言われておるわけですね。最高裁の昭和四十六年の判決は多数意見と少数意見に分かれたわけですけれども、こういうことが言われておるわけです。したがって、いまここに言っていることはまさにこのとおりではないか。いわゆる町の法律家というか暮らしの法律相談相手というか、そういう点で気軽に相談相手になってくれる人というようなことで存在をするという実態は、私はこの判例のとおりだと思うのですね。ですから、このことをさらにさらに法律の立案に当たる当局なども認識してほしいと私は思うのですね。 同じようなことで、さっき申し上げた青年司法書士会が富山県で行ったアンケート調査というのを見たのでありますが、それによっても、一般民衆の間に司法書士というのは非常に身近に存在し、かつ、ごく気安く相談できる相手だということで、そういう点が非常に評価をされ、信頼を得ているという点が多いのです。調査をした対象から来た回答の中で、司法書士に相談をした人は二八・六%、弁護士に相談をしたことがあるという人が八・六%、こういう数字になっておる。法律相談等にはなくてはならぬ存在であるというふうに認識をされているという調査の結果が出ておるわけです。 私は、最高裁の判決の一部と、いま富山県で行った実態調査の一部を紹介をしたのですが、そういう点をもっと認識をして指導に当たるということが必要じゃないかと思うので、もう一遍答えてください。
○香川政府委員 法律解釈はいろいろ説もあって、ここで明確にお答えいたしかねますけれども、私は、感じといたしましては、たまたまその近所の人が困っている法律問題について司法書士のところへ聞きに来たというふうなとき、別に業としてやるのではなくて、その相談相手になってやるということは一向に差し支えないのだろうと思うのです。だからケース・バイ・ケースと申し上げましたのは、こういう問題は余りぎくしゃくしないで、もう少しおおらかに考えるというわけにはいかぬだろうかなというふうな意味で、特に田舎における弁護士の少ない地域においての国民の一つの要望でもあるわけでございますから、ひとつそういうところは少しおおらかに考えるというふうなことにいかぬだろうかという感じがいたすわけでございます。
○西宮委員 民事局長のお気持ちはわかるのですけれども、今日まで裁判のケースとして出てきたケースは、司法書士が扱って範囲を逸脱したという点で法律違反だといって問われている、そういう問題だけが判例としてあらわれているわけですね。ですから局長のいまの考えのようなことがなかなか一般には通用しておらないという点が困ったことだと思うのです。 さらに、司法書士がそういう問題にタッチをして範囲を超えたということで問題にされるというような点もありましょうけれども、あるいはまた逆に、司法書士なるものがいろいろ法律相談にあずかる過程で、むしろ不当な法律行為とかそういうものをチェックしていく、つまりそんなことはやめた方がいいというようなこと、そういう面でもたらしている功績というか効果だって必ずあると思うのですよ。たまたま法律問題として、裁判問題としてあらわれるのはそうじゃない、いま申し上げたマイナスのいわば病理的な現象だけが出てくるわけだけれども、世の中では数多い司法書士ですから、参加しているいろいろな事件の中にはその反対のものも必ずあるに違いないというふうに考えるわけです。 そこで私は、これは大臣にもお尋ねしたいのであります。先ほど来、たとえば山崎委員は名称を司法士にしたらどうだという意見を述べられましたし、飯田委員は、弁護士との間に立った補助的な任務を持った司法書士をつくったらどうだという意見も述べておりましたが、私もかねがね、これはさっき申し上げたように、やっていることが五十歩百歩、あるいは局長の言葉をかりて言えばケース・バイ・ケースでないとどっちの領域に属するのか区別が困難だというようなことが現実に行われているわけですから、そういうことになりますと、弁護士の補助機関としての任務を付与するということを考えていいのじゃないか。そうすることによって初めて弁護士、司法書士、そういうものが一つの司法秩序を維持していくことができるというふうに考える。現行規定そのままでいくと、お互いに領域を争うというようなことになってしまって、絶えず見苦しい問題が出てくる。ですから、そうではなしに、両方が相協調するようなことを制度としてつくっていく以外に救う道がないのじゃないかと私は思う。局長もさっき答弁されておったようですが、数多い司法書士にはかなり程度の高い人、低い人、いろいろ区別があるわけですから、試験のやり方も変えなくてはならぬ問題等もあると思いますけれども、それにしても、私はそういうのを制度化していくという時期に今日もうすでに来ているのじゃないかと思うのですが、局長と大臣からお答えいただきたいと思います。
○香川政府委員 先ほど来、たとえば簡易裁判所の手続は司法書士ができるようにするとか、名称もそれにふさわしいものにするとか、いろいろ御意見があったわけでございますけれども、今回の国家試験制の導入によりまして現行の司法書士制度のもとにおける司法書士の資質の向上というのが何よりも大事なことでございまして、それがうまくいきました場合に、将来の問題としていまお説のようなことも含めまして、一体国民のためにはどういう制度が一番いいのか、弁護士制度も含めまして真剣に検討しなければならない問題だろうと考えております。
○瀬戸山国務大臣 先ほどもそれに似たようなことについてお話を申し上げたわけでございますが、司法書士、それを司法士とかいうお話も先ほど出ました。これは御承知のように、司法といいますから裁判所と検察庁その他に法律上の手続について、こう言っちゃなにですけれども一般国民大衆が全部ある程度のそういう知識、技術といいますか、そういうものを持っていなければできない仕事を依頼、嘱託によってかわってやるという、こういうことが歴史的にずっと代書人から進歩してきておるわけでございます。かようなことを申し上げてはまことに失礼かもしれませんけれども、わが国のいわゆる法律制度もだんだん進んでまいりまして、司法書士の皆さんも非常に研さんをされ、会等もつくってお互いに切磋琢磨してそういう国民の需要にこたえたいということで、最近は非常に信頼度が高くなっておる。さっきおっしゃったように町の法律家としてその地域の相談相手になるような状態になってきておる。ですから、ほかに弁護士制度というものもある。その兼ね合いの問題でございますが、抽象的には言えても、具体的な問題でないと限界というものがそう簡単に割り切れないところがあるわけでございます。それでだんだん接点が近くなってくると思います。いま民事局長からも申し上げましたが、そういう意味で、情勢の変化によって、弁護士さんと司法書士の皆さんとは、やはり限界はありますけれども、国民の司法に対する仕事をしてもらっておるわけでございますからその接点はある程度ありますけれども、これは一体となって司法制度の円満な運営をする、法治国家の円満な運営をするということになるわけでございますから、経過においてだんだんそういう問題点を掘り下げて制度もだんだん改まっていくのじゃないか、かように思っております。よけいなことでありますけれども、お医者さんといろいろな物理療法との関係でもそういう限界が言われておってちょいちょい問題を起こしますが、それに似たようなものでございます。だんだんそういう点は調整されて進歩していくものである、かように考えておりますが、いまの段階ではこういうところで今後の進展を見たい、かように考えておるわけでございます。
○西宮委員 ぜひ将来の問題として検討していただきたいと思います。ややもするといま裁判等にあらわれてくる問題は、しかも刑事問題としていまのような違反事件というものが出てくるということはまことに残念なことなので、そうではなしに、お互いに相協調し合って、協力し合って日本の司法秩序を維持していくということでなければならないと思うので、したがってそれが可能になるようなことを制度的にも考えていく、そういう必要性がいよいよ迫っているのではないか、そういう時期に来たのではないかというふうに考えますので、ぜひ将来の検討をお願いしたいと思います。 最後に一点伺いますのは、要するに法務局の、たとえば地方の法務局等も非常に事件が増加をして大変な苦労をしているということであります。このことは恐らく法務当局でも実態を承知しておると思いますが、私の住んでおります仙台では、特に仙台市議会が議決をして陳情書を出してきたわけであります。これはもともとは法務局の職員つまり法務局の労働組合が、仙台市議会に対してぜひこの点を取り上げて政府に訴えてもらいたいということで要請をしたのが始まりではありますが、仙台市議会でこのことを議決をして要望してきておるわけであります。 それを見ると、法務局の仕事の内容がここ十年間に実に五倍強に増加をした、それに対して職員はわずかに一四%の増である、こういう状況でとうていさばき切れない。いままで特に大きく仕事の量がふえましたのは農地改革あるいは列島改造に伴う土地の再分割というような問題であったでありましょうが、今度はさらにまた第三次全国総合開発計画いわゆる三全総、これに伴ってまた土地の移動ということが行われるのでどうしても仕事の量はふえる一方だ、こういうことであります。したがって、これを補う手段として都道府県、市区町村の地方公共団体の職員を初め、公社公団、司法書士、土地家屋調査士など年間七十万人以上の部外の人に援助を受けておる、こういうことを訴えておるのですけれども、こういう事実について、恐らく認識をしておられると思うのだが、どういうふうに対策をとろうとしているか聞かしてください。
○香川政府委員 法務局の登記事務をとりましても現在職員の負担の限界を超えておる、そういう意味では絶対的に職員が不足している事実は否定できないと思います。これは定員抑制の非常に厳しい時世でございますけれども、私どもできるだけ努力して定員増を図っていかなければならぬと思いますけれども、客観的に申しまして、一挙に不足人員を充足するというふうな増員措置は、言うべくしてきわめて困難だと思います。したがって、何と申しましても負担増はあらゆる手段を講じて軽減していかなければなりませんので、たとえば賃金で補うべきものは賃金職員を採用してやるとか、あるいはできるだけ機械化を推進して省力化を図るというふうなこと、それやこれやいろいろ施策を立てて実施中でございまして、現在の職員の負担を考えますとまことに気の毒だとは思いますけれども、いましばらく時間をかしていただいて、あらゆる手を打ってその負担軽減に努力すると申し上げる以外にないのでございますが、幸い財政当局におきましてもそういった現状の認識を十分されまして、私どもから言えば相当の予算措置も講じていただいておる。特に施設、環境の整備につきましても相当の、従来にない予算措置を講じていただきまして、さらにこの努力を続けてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○西宮委員 そういう人が足りないということに対してはだれかが補わなければならぬわけで、現実に市役所とか町村役場とか、そういうところの人が動員をされてやっているわけです。これは自分たちはやはり早く自分の書類を解決してもらいたいというので不承不承でも来るわけですね。だからそれに甘えて、黙っていれば向こうから来て手伝ってやっていくのだ、こういうふうになりがちだ、甘えがちだと思うのです。これは役所としては非常に無責任なことで、本来法務省としてやらなければならぬ仕事をそういうふうに人にやらせているというようなことはまことに不見識きわまると思うのです。 そこで、いま局長の御答弁で、大分改善をされそうだという話でありますが、それでは最後にその点を、具体的にどういう点がどういうふうに五十三年度の予算として措置されたのか、その項目をちょっと聞かしてください。
○香川政府委員 増員につきましては、五十三年度予算におきまして法務局全体としまして百十八名の純増員でございます。 それから施設につきましては、大体ここ三年ぐらい前までは法務局、支局、出張所等の新営につきまして三十庁程度であったわけでございますけれども、五十三年度は九十庁ばかり新営することができるようになっております。 それから、ただいま御指摘の部外応援の関係でございますが、これは土地区画整理とか国土調査というような大量の集団事件でございますが、これが提出されるところは、どちらかといえば田舎でございますので、きわめて小規模の出張所が管轄登記所になっておる。常時事務量としては三人庁とか四人庁程度の事件しかない。そこへ一挙にそういった集団事件がどっと持ち込まれるというふうなことになるわけでございますが、これを常時職員の手によって処理する体制を整えるということはロスが非常に大きいわけでございますので、そういう場合の、たとえば本局の職員が応援に行けばその本局の職員のあいたところを賃金の職員で埋めるとかというふうなこと、そういったことを大いにやっていかなければならぬわけでございます。そういう予算措置も相当数、これは旅費とか賃金予算とかいろいろ分かれておりますが、私ども大体希望する程度の予算を認めてもらっておる。 それからもう一つ、これはいろいろ問題があるのでございますけれども、現在登記所の一つの事務負担として大きなウエートを占めておりますのが謄抄本の作成事務でございます。これが、先ほど事件が全体として五・五倍になっておるという御指摘がございましたけれども、登記甲号事件、登記簿に記載する登記の申請事件というのは約五割ぐらいふえておるわけでございますけれども、乙号事件が非常にふえておる。これは、現在機械を導入いたしましてコピーによってやっておるわけでございますけれども、こういった全く機械的なコピー作業というふうなもの、これは、果たして現在の人手不足のときに、正規の職員がその仕事に従事するというのはいかがなものかというようなことも考えられるわけでありまして、しかもそれが現実の問題として登記所の職員の非常に負担増になっておるという、そういう窮状をさしあたり打開する問題として、いわばそういう機械作業というふうなものを部外に委託するというふうなことでやっておるわけでございますが、これが約三十万件以上庁ぐらいについて実施してはどうかということなんでございますが、しかしこれは本来やるべき登記所の仕事を部外に委託するという、いわばちょっと異質なやり方でございますので、職員全体のコンセンサスを得なければならぬという問題はもちろんでございます。しかし、そういった面の予算措置も、現在五十三年度予算におきましては大規模出張所の十庁分の予算措置が講じられておるわけでございまして、そういった点を軸といたしまして増員を図りつつ、可能ないろいろな手段を使って負担軽減を図っていきたい。部外応援の点も、率直に申し上げますと、言われるまでもなく私どもとしてはまことに申しわけないことなんでございますけれども、しかしこれを一挙に断ち切るということになりました場合に、果たしてそのカバーが急速にできるかどうか、そのはね返りというのは結局国民の方にいくという、これは決して甘えではなくて、いわば責任のある一つの対処の仕方として、いましばらくひとつ地方公共団体の方で御援助願いたいというのが偽らざる心境なんでございまして、しかしいつまでもそういうことを続けていくべきものではございませんので、これも早急に解消を図るべく努力をしたいというふうに思っておるわけでございます。
○西宮委員 私ども、決して一挙に解決をしてくれということを言っているわけではないので、こういうように急激に事務の量がふえたわけですから、一遍に問題が解決するということはとうてい不可能だと思って、徐々でやむを得ないと思うのですけれども、ぜひ抜本的な対策を考えてもらいたいということ。同時にまた、いままで役所が責任を持った仕事を部外に委託をしてやらせるということについては、やはり責任の所在が不明確になるという問題もありましょうから、これは十分慎重に検討してやってもらいたいということを希望として申し上げておきたいと思います。ありがとうございました。
○羽田野委員長代理 長谷雄幸久君。
○長谷雄委員 初めに民事執行法案についてお尋ねをいたします。 まず執行機関の二元性についてお尋ねをいたします。 本法案では、執行機関の二元性が維持されております。そのことは、執行申し立ての段階で、目的財産が不動産であるか動産であるか、または債権であるかを明確にして、これに応じた執行機関に申し立てをすることが要請されます。そこで、目的財産が一見明瞭である場合には問題がないわけでありますが、たとえば未登記の立木の伐採権については、不動産執行説、動産執行説、債権執行説があり、申し立て債権者の判断を惑わすことにもなりかねないと思います。その原因は、執行機関が二つになっているところにあると思います。そこで執行機関一元論が出てくるわけでありますが、この一元論には、もちろん執行官の数や能力の問題、その他もろもろの問題もあることを承知をしておりますけれども、二元論による場合には先ほど申し上げましたような不都合があるわけですので、これをどう対応するか、その御見解を承りたいと思います。
○香川政府委員 民事執行法案におきまして執行機関二元にいたしておりますのは、法律関係が錯雑する場合やはり執行裁判所が責任を持って執行手続を進める、比較的簡単なものは執行官にやってもらうというふうな趣旨なのでございますけれども、お説のように、たとえば未登記立木につきまして一体現行法でどうなるのかという、解釈上いろいろ疑義があるわけでございます。この点は、御承知のとおり最高裁判所の判例では、いわゆる立木伐採権というふうなものを考えまして、それに対する執行だというふうな、その他財産権の執行になるわけでございましょうが、そういう見解が示されておるわけでございます。しかし、この立木伐採権というのは一体実体法上認知されている権利なのかどうか、いろいろ実体法のみならず手続的にも疑義があるわけでございます。今回の民事執行法案におきましては、登記されない土地の定着物というものは全部動産執行でやるということにいたしておりますので、したがって、私どもとしては立木は動産執行でやるべきものだろうというふうに考えておりますが、最高裁判所の判例もございますので、将来この伐採権というものはいかように認知していくかということを、やはり今後の問題としては検討しなければならぬというふうに考えておるわけでございます。 そのほか、たとえば製造中の船舶はどうなるのかというふうな問題があるわけでございます。製造中の船舶という概念が出てまいりますのは、御承知のとおりいまだ船舶でないものを抵当権の目的物とするための概念であるわけでございますが、したがって、抵当権が設定されておるということを考えますと、どちらかといえば不動産執行に近い方があるいはいいのかもしれないのであります。しかし、実際問題としてそのほかの権利が錯雑してつくというふうなことは製造中の船舶については考えられないことでございますので、したがってこれはやはり動産執行にした方がいいというふうに考えてい民事執行法案ではそういうふうにいたしております。そういう点で、いろいろ具体的には、私どもとして、将来問題になっておる解釈のはっきりしない点はできるだけ明確にしたつもりでおるわけでございます。
○長谷雄委員 次に、執行手続における平等主義の原則を維持したことについて伺いたいと思います。 御承知のように、各国の立法例では、ドイツ法系の優先主義とフランス法系の平等主義の対立が顕著でありますが、わが国では、実体法上も執行法上も、フランス法系の平等主義のたてまえをとってまいりました。しかし、平等主義が何も完全無欠であるわけではないわけであります。しかし、さりとて、わが国の実際の取引を考えると、いま直ちに百八十度転換して優先主義をとるということにすることは混乱を招くおそれがあるということは理解できるわけであります。 そこで、従来の平等主義の原則を維持する以上は、その不備、欠陥を最大限に是正することが重要であると思います。今回の法案では、その点についてどのような配慮をしているのか、お尋ねをいたします。
○香川政府委員 基本的な制度のあり方といたしまして、平等主義と先着主義、優先主義というのは従来から議論のあるところでございます。しかし、わが国の実情から考えますと、やはり平等主義を維持すべきものだというふうに考えるわけでございます。ただ、平等主義を維持いたしました場合に、それに伴ういろいろの弊害と申しますか、不都合な場合が出てくるわけでございまして、その一つは、現行法は平等主義をとっておって、しかも配当要求について債務名義を要求していないわけでございます。これが、平等主義に伴うということではございませんでしょうけれども、一つの非常に不都合な場合として考えられようかと思うのであります。したがって、この点につきましては、配当要求は原則として債務名義が要るということにいたしまして、現行法における不備というものを是正したつもりでございます。 それからもう一つは、平等主義をとりますと、配当要求の前後にかかわらず平等になるわけでございますが、さような関係で、差し押さえ債権者等が、一体幾ら配当が自分のところへ来るのかという見込みがなかなかつかぬ点も一つの不備と言えば不備であろうと思うのであります。そういう意味から、配当要求の終期の制度を取り入れまして、あるところで区切りをつけてしまうというふうな措置を講じまして、平等主義の考えられる一つの不備というものを是正しようといたしておるわけでございます。
○長谷雄委員 次に、執行抗告についてお尋ねをしたいと思います。 執行手続の迅速性確保の目的から、執行処分に対する不服申し立てについて、新たに執行抗告という概念を条文に示して、執行抗告を認める場合を限定的に規定をいたしております。これについて、一方では債務者等の適正な不服申し立ての利益は害してはならないという意味から、限定し過ぎではないかという意見があり、また一方では、手続の迅速性の要請から、もっと制限すべきではないかという意見もあると思います。この法案では果たして十分であるかどうか、お考えを伺いたいと思います。
○香川政府委員 今回の改正の大きな目的であります執行手続を迅速に行う、この迅速化というのが改正の一つの大きな柱でございます。 今日、強制執行あるいは競売法の競売におきまして、迅速性を阻害しておる一番大きな原因は、抗告の乱用と申しますか、引き延ばしのために盛んに不服申し立ての制度を利用する、そういう点、現行法は限定がされていないわけでございますので、そこに一つ問題がある。したがって、ある時点においてこれらに不服申し立ての道を開かないことには関係人の利益を害するというふうなものに限定いたしまして執行抗告を認めるということを本法案は考えているわけでございまして、これはいろいろの見方があろうかと思います。あるいは限定し過ぎだということ、あるいはまた少し限定が足りないという見方、いろいろ御議論はあろうかと思いますけれども、私どもが執行抗告を認めるかどうかを決めるときの一つのあれとしては、関係人のこの段階における不服を認めておかないと後で困る、利益を害する心配があるというふうなものに限って認めるというふうな基準で考えたわけでございまして、これでちょうどいいのじゃなかろうかというふうに私は考えておるわけでございます。ただ、この執行抗告でも、率直に申し上げまして、それじゃ、これでいま引き延ばしに使われているのと同じような意味の乱用がないかどうかという点につきましては、若干の危惧はあるわけでございます。これはやはり執行抗告の手続におきまして、最高裁規則でいろいろ決めていただく予定にいたしておりますが、そういう規則も含めまして、できるだけ乱用を封ずる、たとえば執行抗告には必ず理由を記載しなければならぬ、その理由は、ただ不服だというだけでは困るわけでございまして、具体的詳細に書いてもらうというふうなことも工夫いたしまして、執行抗告の乱用を防ぐということも考えておるわけでございます。
○長谷雄委員 次に、法案十三条の代理人について伺います。 この法案の趣旨は、執行手続の特質から、弁護士以外の者も許可を受けて代理人となれることとし、手続の円滑な実施ができるようにしたとのことでありますが、許可についてであります。つまり、弁護士以外の者が代理をできる場合の許可でありますが、その許可の基準については恐らくこの法案の二十一条によって最高裁規則に委任することになると思うわけですが、この基準を定めるに当たって、執行裁判所が許可する場合またはその取り消しをする場合の基本的な考え方についてお尋ねをしたいと思うのです。法務省と裁判所と、両方から御意見を伺えればと思いますが……。
○香川政府委員 これは言葉の性質上御理解いただけると思うのでありますけれども、弁護士でなければならぬとするほどの強い理由もなかろう、しかし、さればといって、だれでも代理人になれるということでも困るわけでございますので、その辺のところを裁判所の許可に係らして、事案に応じて、事柄に応じてその運用よろしきを得てもらうというふうに考えておるわけでありまして、その基準等につきましては最高裁判所規則にゆだねて、そこで弾力的な運用をしていただく、かように法案としては考えておるわけでございます。
○井口最高裁判所長官代理者 お答えを申し上げます。 この法律十三条の趣旨から申しますと、端的に申しまして、できる限りふさわしい者に代理人になっていただくということでございまして、これを裏を返して申しますと、これは弁護士法にも制限規定がございますが、要するに、弁護士にあらずして業として代理人になるというような人たちを排除することが最大の眼目であろうかと思います。 これから私ども、この法案が成立いたしました暁には規則の制定作業に入るわけでございますけれども、一応、現時点で考えておりますおおよその構想は以下のようなものでございます。 まず、執行裁判所に許可の申し立てをいたします際には、住所、氏名、職業といったようなもののほかに、本人と代理人との間柄、これは、たとえば法人で申しますと法人の担当職員、あるいは私人でございますと夫婦、親子、兄弟といったようなごく身近な身分関係を有する者というようなものを考えておるわけでございますけれども、そういった関係を明らかにさせ、さらに、その人に代理をしてもらわなければならない具体的な理由も記載させるつもりでございます。そうしまして、それらの関係の裏づけになるような証拠書類と申しますか、これを私ども専門的には疎明と申しますけれども、証拠書類の添付を要求いたすつもりでございます。 それでもなお裁判所が十分納得がいかないという場合もありましょうし、あるいは、一たん許可をした後で、いま私が申しましたようなふさわしくない者があるいは紛れ込んでいるかもわからないという意味で、事前または事後に、裁判所の方で疑わしいと思いますならば、さらに資料の提出を求めまして、お手元にございますように、十三条の二項で裁判所の方は許可の取り消しも一できる。この両面から、ただいま申しましたような望ましくない人の関与を厳しく規制していきたい。これが大体私どもの構想でございます。
○長谷雄委員 法案五十五条に関して若干お尋ねをします。 この五十五条は、売却のための保全処分を規定しておりますけれども、この規定について、労働者の工場占拠などの排除に利用されるのではないかとの心配が一部にあります。これについての見解を伺います。
○香川政府委員 率直に申しまして、この五十五条の解釈としてさような疑問が出るところが私にはよくわからないのでありますけれども、労働組合が生産管理、自主生産をやるという場合を考えました場合に、これは別にそのこと自体が不動産の価値を著しく減少する行為に当たらぬことはもう当然のことでございます。したがって、生産管理をしたことをとらえてこの五十五条の規定によってそういった命令を出すというふうなことは、解釈としてはとうてい考えられないことだろうと私は思います。 それから、占有を奪ってしまうというふうな点につきましても、これは五十五条の一項でそういう不動産の価値を棄損するおそれがあるときに、それの禁止命令を出すというふうな一定の行為を命ずる命令を出すわけでございますけれども、その命令に違反した場合に同条の二項で占有を奪う規定があるわけでございます。したがって、一項自体から直ちに自主生産中の占有を奪うというふうなことは解釈としてもとうてい出てこないだろうと思うのでございまして、御懸念のようなことは一切ないというふうに断言できると思います。
○長谷雄委員 次に、法案五十九条の関連でありますが、不動産の執行の際に不動産上に存する担保権の運命についてお尋ねをします。 抵当権や先取り特権については換価により消滅することは担保権の性質から当然であることは五十九条一項の規定のとおりだと思います。問題は留置権であります。同条四項によりますと、買受人がその被担保債権を弁済する責任を負う、こういう規定になっております。留置権について優先弁済権を認めるかどうかは立法政策の問題であります。この点は実体法の学者も同意見だと思います。ところで、国税徴収法によりますと留置権は最先順位で配当し、消滅するというたてまえになっております。本法案について留置権に優先弁済権を与えよとの議論もあったのではないかと思いますが、将来の検討課題として抵当権と同じ扱いにすることについてどうお考えか、お伺いいたします。
○香川政府委員 留置権につきまして、現行法のもとにおいて優先弁済権があるかないか、一つの担保物権としては構成されておりますけれども、留置的効力だけにとどまり、優先弁済権はないという説もありますし、また優先弁済権があるという説もあるわけであります。現行の強制執行法あるいは競売法におきましては、これはいろいろ疑義のあることから、解釈に任せようということであえて避けておるのじゃないかというふうに私は思うのでありますけれども、しかし、これはもともと実体法でもって解決すべき問題ではなかろうか。留置権について、そういった留置することによって弁済を間接的に強要して弁済を図るということにとどめるべきか、あるいはさらに優先弁済権としてその担保権としての実行を認めるか、そういうことは単に強制執行の手続法の問題ではなくて、民法自身が解決する問題ではなかろうかというふうに私は考えるわけであります。たまたま法制審議会の民法部会におきましてこれから担保物権法全般についての検討をお願いすることになっておりますので、その中で実体法としていかにあるべきかということを御議論願って、その決着を見た上で、必要があればさらにまた民事執行法を改正するということに相なるのではなかろうか、さような考えでおるわけでございます。
○長谷雄委員 次に、本法案が強制執行法と競売法を統合して単行法にしたことの関連でお尋ねします。 従来二つの手続は必ずしも整合性を持たず、規定の不備もあったりして、学説、判例の解釈も分かれ、実務面でも不便を訴える声がありました。本法案はこれらにこたえたものとして評価できると思いますが、単行法になれば、強制執行と任意競売を、申し立てから配当終了による事件の完結まで差がないようにしなければ一本化した趣旨は貫徹されないと思います。ところが、法案によりますと、両者には差異がございます。その最たるものは担保権実行の競売について債務名義なくして競売の申し立てができる点であると思います。こうした差異のある立法例はほとんどわが国だけではないかと思います。法案では百八十一条から百八十三条で一応の手当てはありますが、競落の効果としては百八十一条により担保権の不存在または消滅を理由には覆滅しないとして債務名義のある場合と同一にして歩調をそろえております。そのことがかえって執行裁判所がその担保権の存否、内容について判断をしていないだけに問題が残るのではないかと思います。 そこで、考え方としては百八十一条ないし百八十三条だけの手当てでは不十分であるので、思い切って債務名義を与えることにするか、またもう一つの考えとして、現行法と同じように担保権の不存在等の場合は覆滅する、こういう考え方があろうかと思います。将来の検討課題にしてはどうかと思いますが、御意見を伺いたいと思います。
○香川政府委員 競売法を統合して民事執行法案を作成いたします場合に、一つの大きな問題といたしまして、いま御指摘の担保権の実行について債務名義を要するものとするかどうかというのがきわめて理論的にも大事な、また政策的にも非常に重要な問題であるわけであります。今回の法案は債務名義を要らないということにいたしておりますが、これは現在の担保権の実行としての競売法の運用におきまして債務名義を要求していないけれども、それが実体的な権利を欠く競売であったという事例がきわめて少ない、そういう実情にあること、それから債務名義を要するといたしました場合には、別に現在の人的債務名義と違った物的債務名義の制度を訴訟法自体に設けなければならないということがあり、これがなかなか問題がたくさんございまして、容易に解決つかない。さらに現在、長年競売法によりまして、たとえば一般の先取り特権について少額の賃金債権についての担保権の実行というものがあるわけでございますが、これを債務名義を要るということにいたしますと、果たして実情に合うかどうか、負担に耐えるかどうかというような政策的な問題もございまして、さような債務名義は要らぬことにいたしたわけでございます。 しかし、それに伴いまして、できるだけ競売手続を安定させる必要があるわけでございますので、御指摘のその競売が、仮に担保権がなかったといたしましても覆滅しない、これが現行法で覆滅することになっておるのが一つの批判の的になっておるわけでございまして、これがひいてはなかなか買い手もないとかあるいは安くしか売れないというふうな形になってあらわれてきておる。だから、この辺のところは比較考量いたしまして覆滅しないという方が全体としてはいい。しかし、そうする上におきましては、担保権の実行手続の中で債務者、所有者の方からの不服申し立ての慎重を期さなければいかぬというふうなことで御指摘のような手当てをいたしまして、これで十分かどうか、運用の問題も含めましていろいろ問題はあると思いますけれども、この辺のところがわが国の現在の実情に一番マッチしたところではなかろうかというふうな考えでございますけれども、今後おっしゃるとおりの債務名義を要することにするかどうかの問題は、慎重に検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
○長谷雄委員 次に、本法案では裁判所書記官と執行官の権限の拡大が見られます。ところが、執行官は独立した執行機関として重要な職務を担当しているので、法規にのっとり適正かつ公平に執行ができるようにすることは、執行官だけでなく裁判所に対する国民の信頼という面から重要であると思います。 そこで、執行官に対する監督、指導並びに研修についての今後の取り組みを伺いたいと思います。 〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕
○井口最高裁判所長官代理者 今回の法案におきまして執行官の権限と責任がきわめて重くなりましたことは御指摘のとおりでございます。私どもは、その意味におきまして、これに対応できる体制をとるためにどのようなことを考えるべきかということがこれからの課題でございますけれども、現在執行官に対する教育の場といたしましては、執行官の研修というものを毎年裁判所書記官研修所というところで行っております。これは主として新任の執行官を対象とするものでございますけれども、それ以外に各地方裁判所を中心に実務の協議会を行っておりますし、その他の機会がございますので、この新法ができました暁には、私どもの方で制定いたします規則も含めまして、新法の趣旨を十分徹底させるために、これらの機会を十分に利用してまいりたいということが一つでございます。 それから、当然のことながら、各種の執務資料もこれを作成いたしまして、各執行官に配付する。さらには、今後任用いたします執行官につきましても、十分新法の運営にたえられるような能力のある執行官を採用したい。 それから、監督の問題でございますけれども、これは御承知かと存じますが、新執行官法によりまして、所長あるいは裁判長などによって指名されます監督官、事務局長、首席書記官などから指名されます監督補佐官という制度がございます。この制度自身は私ども変えるつもりはございませんけれども、こういった監督系列を十分に活用いたしまして、今後の指導、監督に遺憾のないように努力してまいりたい、かように考えております。
○長谷雄委員 大臣にお尋ねをします。 本法案の提案理由説明の際に、大臣は、立法趣旨及び改正の主要点について説明をされましたが、本法案が成立した場合に、その趣旨とするところが十分生かされて関係者の支持を得られるように努力することが望まれるわけであります。特に、手続の細目については、政令や最高裁規則によるところが多いと思われますので、この点について十分な配慮がなされるように要望しておきたいと思います。その点についての大臣の所信をお伺いしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 今度の改正は、御承知のとおり、民事訴訟法、競売法、一つの大きな改革でございますから、改正の趣旨に沿うように関係機関と十分相談をして遺憾なきを期したい、かように考えております。
○長谷雄委員 次に、司法書士法の一部を改正する法律案についてお尋ねします。 初めに、この改正案の第一条によりますと「訴訟等に関する手続の円滑な実施に資し、」とこう書いてあるのですが、ここに書いてある「訴訟等に関する手続」とは何を指すのか。司法書士としてできる業務の範囲は、この改正案の二条一項にございますが、この二条一項との関係でどう理解しているのか。特に二条一項の二号では、裁判所提出書類の作成が書いてありますが、これはいかなる範囲のものを含むのか。弁護士の訴訟代理との関係はどのようになるのか。また、二条一項三号の審査請求の手続についての代理という規定がございますが、この審査請求の手続についての代理ということはどのような内容のものを考えておられるのか、お尋ねをします。
○香川政府委員 第一条の司法書士法の目的規定でございますが、これは「登記、供託及び訴訟等に関する手続の円滑な実施に資し、」ということでございまして、司法書士の業務が登記、供託の手続の代理と、それから裁判所、検察庁等に提出する書類の作成というふうなことになっておりますので、「登記、供託及び訴訟等」といたしておりますのは検察庁の関係の告訴状などがあるからでございますが、そういう手続の円滑な実施、つまり司法書士が依頼人の趣旨に沿うように書類を整備して提出すること、それが入り口でございます。が、それのいい悪いが後の手続の円滑な実施に非常に影響するわけでございますから、そういう登記手続あるいは訴訟手続あるいは供託手続等の手続の円滑な実施に役立つようにということが司法書士法の目的、こういうことでございます。 それから、業務範囲に関する第二条の規定の審査請求の代理でございますが、これは御承知のとおり、登記、供託の申請を司法書士が代理していたしました場合に、それが法律上許されないとか、あるいは書類が不備だということで却下されることがあるわけでございます。そういう却下処分に対しまして、御承知のとおり、行政不服審査法による審査請求が上級官庁にできることになっておるわけであります。これは、登記官のそういう却下処分に対する不服申し立てば法務局長、地方法務局長になるわけでございますが、それに審査の請求をする、それに対して決定があるわけでございますが、さらにそれが不服であるならば、最終の法務大臣に対して再審査の請求をするというふうなことも含めまして、審査請求の手続の代理ということを業務範囲に掲げたわけでございます。
○長谷雄委員 それでは、法案三条についてお尋ねします。 この三条によりますと、新たに司法書士試験制度を規定をしております。従来、法務局または地方法務局の長の選考による認可の制度であったものを改めてこの制度にしたということは、大きな前進であると評価できるわけでありますが、この司法書士試験は、いわゆる能力試験なのか競争試験なのか、どのような試験をお考えなのか、お尋ねします。
○香川政府委員 能力試験、つまり資格試験と言われている類型に入ろうかと思います。
○長谷雄委員 三条一項二号の前段の規定でありますが、この規定によりますと、裁判所事務官、書記官あるいは法務省の法務事務官、検察事務官、こうした方が司法書士になれる、こういう規定であります。これも従来の規定から見ますと一歩前進である、こう評価できるわけでありますが、この中には、規定の文言から見ますと、裁判所と法務省だけが書いてあって、立法府の職員については規定がない。実は立法府の中でも、衆参両院の法制局あるいは法務委員会の職員の方は、長年勤めた方は相当の実力を持っておると私は思います。そうした方がこの規定に書いてない。なぜ書いてないのか、これは排除する趣旨なのかどうなのか、それをお尋ねします。
○香川政府委員 御指摘のような国会職員はここへ入らないのかと申されますと、例示としては掲げてございませんけれども、三条二号の後段で「又はこれと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者」というのがあるわけでございまして、これは該当するならば、前段に掲げてある者以外の者でございましても司法書士となる資格はあるというふうに解釈できょうかと思います。
○長谷雄委員 そうすると、排除する趣旨でない、このように理解してよろしゅうございますね。
○香川政府委員 そんなけちなことは考えておりません。
○長谷雄委員 それでは、それとの関連で伺いますが、二号の後段に「これと同等以上の法律に関する知識及び実務の経験を有する者であって、法務大臣が司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの」とこうあるのですが、法務大臣が認める場合、この大臣の認定の基準として、いま国会職員は排除する趣旨でない、こうおっしゃるのですが、そのほかにどのような方を対象にお考えであるか、お伺いします。
○香川政府委員 いろいろの該当者が出てくると思いますけれども、現在の特認制度の上で、以外の者で一番数の多い者と申しますと、副検事それから警察官、それから、これは例が非常に少のうございますけれども簡易裁判所判事、そのようなものが数多くございます。
○長谷雄委員 次に、登録に関する六条の規定についてお尋ねをしますが、これも従来の規定を改正をして、司法書士名簿に登録をして資格を得られる、こう規定があります。その登録をするについては、管轄区域内に設立された司法書士会を経由せよ、こういう規定があるのですね。それでお尋ねをしたいのですが、司法書士会を経由する場合の会の権限内容をどのように考えているのか、こういう司法書士会を経由する場合に登録を妨げる道を開く心配はないかという趣旨についてお尋ねをしたいのです。
○香川政府委員 これは結局、先ほども申し上げましたが、司法書士が業務を行うにはその事務所を設ける地の司法書士会に入会しなければならぬことになっております。それで登録をすることによって司法書士となるわけでございますけれども、これが法務局、地方法務局の長に登録の申請をする。これを二本立てでやるのもそれなりの理由はあると思いますけれども、司法書士会連合会におきまして、連合会で登録をやりたいという強い要望もございましたが、そういう理由の中のもっともな点も取り入れまして、そして経由することによりまして会員を把握するというふうなことを考えたわけでございます。したがって、会を経由することによって会自身が登録の申請をチェックするなんということは毛頭法律上許されないことでございまして、そういうことは万々ないと考えております。 それで、経由いたします場合に、一般的にはただ取り次ぐだけのことというふうになろうかと思いますけれども、司法書士会におきまして、たとえばその司法書士が現在訴追を受けておる、あるいは逮捕されて捜査中であるというふうなことも了知しておる場合があるわけでございます。こういう者については、その経由の際にいわば登録を妨げる事由を知っておられれば知らしてもらうというような効用もあろうかと思いますけれども、そういうことは直接経由ということによって余り期待しているわけではないのでありますが、そういう効用も一部あるであろうというふうに考えておるわけでございます。
○長谷雄委員 次に、十五条の五の関係で伺いますが、この規定を読みますと、司法書士になるには「司法書士会に入会する手続をとらなければならない。」つまり強制加入を法律で定めた、このように理解してよろしいかと思うのですが、こうした強制加入の制度をとることを、司法書士会の自治権というものがあると思いますが、この自治権と法務省が持っている監督権、それとの関係でどのように法務省はお考えになっておるのかをお尋ねします。
○香川政府委員 実は司法書士は業務を行うには司法書士会に入会しなければならぬ、つまり強制加入の制度というのは現行法で講じられておるわけでございます。今回は登録の申請をするのと入会手続を同時にしなければいけないとしたところにのみ意味があるわけでございまして、これはやはり何といいますか、俗な言葉で申しますればモグリのそういう司法書士をないようにしようというふうなこともあるわけでございますが、登録の申請だけをしてそして入会しないでおくことはとかくいろいろ問題が生じますので、それを同時にしなければならぬということにいたしました。したがって登録の手続をとっていなければ入会は認めない、入会の手続をとっていなければ登録は認めないということにいたしまして、いわばモグリの司法書士、つまり会に入会しないで司法書士の看板をかけるようなことのないようにしよう、こういう趣旨でございます。
○長谷雄委員 答弁が余り明確でなかったので重ねてお尋ねしますが、司法書士会のいわば自治権についてお尋ねをしたいのです。法務省が考えておられる自治権の内容については、どのようなものが適切であるとお考えになっているのか。現在懲戒権については司法書士会は持っていない。これは常に対比されるのですが、弁護士会の場合は弁護士会自身が懲戒権を持っている。こういう自治権の内容についても弁護士会とは比較にならないものがあると思うのですが、どのような内容のものと考えているのかお尋ねをします。
○香川政府委員 司法書士会の役割りと申しますか設立の目的は、司法書士法に明定されておりますように司法書士の品位の向上を図りその業務の改善、進歩に寄与をする、こういうふうな、一つの会に強制加入の制度をとりながら会自身が個々の司法書士の育成を図るということを念頭に置いておるわけであります。それでその自主性と申しますか自主権といいますか、そういうものはどの程度が妥当かということ、これはいろいろ御論議があろうかと思いますけれども、いま御質問に出ましたような懲戒権というものを司法書士会が持つ、これは弁護士法に例があるわけでございますが、私は、個人的な見解で恐縮でございますけれども、やはり国が国民に対して、司法書士法という業法を制定いたしましてこの人に頼まなければいけませんよ、ほかの人はそういうことは一切できませんよというふうな業法というものを制定する際には、国民に対して独占的にそういう業務を行う司法書士なら司法書士というものにつきまして国が責任を持たなければならぬと思うのであります。その責任の持ち方として一番大事な点が、まさに非行があった司法書士について懲戒処分をする、あるいは登録の取り消しまで——資格を奪うといいますか仕事をさせないようにするというものも含めました懲戒権というものを最小限国が持っていなければ国民に対して責任は持てないと私は考えるわけであります。それ以外に自主的にいろいろのことをやることもまた別の観点から必要でございますので、それが司法書士制度を発展させるためにもまた配慮しなければならない面もあるわけでございますから、そういう意味で、今回の法案におきましてはそういう懲戒権は持たないにいたしましても、会員である司法書士の中に非行をするおそれがある者とかいうふうな目に余る行動がある者につきましては、会がそれに対して注意勧告をするという権限を与えておるわけであります。これとうらはらで、司法書士会の各会則におきましては、綱紀委員会というふうなものも設置されておるわけでございまして、そういうものと相まって自主的に非行の防止といいますか、不心得者のないようにするという自主的な活動の面もあるわけでございます。さらに連合会につきましては、大臣に対して発議をする、建議をするというふうなことで、そういった意味の自主的活動も強化するということを一方で考えておるわけでございます。
○長谷雄委員 そうすると、自治権あるいはその監督権についてはこの法案の規定どおりで十分である、このようにお考えだと伺ってよろしゅうございますか。
○香川政府委員 私は、今日の段階ではこれで十分だと考えております。
○長谷雄委員 最後に大臣にお尋ねをします。 司法書士の資質の向上を図り、業務に関する法令及び実務に精通し、公正かつ誠実に業務を行うということはきわめて重要なことであります。そのために政府としても大いに努力をしなければならない、このように思います。ところで、今後の問題として、司法書士の担当する職域、業務範囲について、弁護士法等との関係もございますので、現状を維持するのか、あるいは拡大または縮小の方向で御検討なさる御用意があるのかどうか、どの程度にするのが適切であると考えておるのか、その所見をお伺いしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 先ほども他の委員からも関連したようなお話がありましたが、いま直ちにこれを拡大するとかあるいは縮小するという考えはございません。ただ時世の変化といいますか、司法書士会もずっと向上しておられると申しますか、社会の需要に応じてもう少し何らかの職域の範囲を広げる必要があるというふうな事態になりますれば、それはまた検討しなければならないと思いますが、現在はまだその段階ではないと考えております。
○長谷雄委員 終わります。
○鴨田委員長 正森成二君。
○正森委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、司法書士法の一部を改正する法律案について若干の質問をいたしたいと思います。 まず第一に、この法案を提案した経過についてお聞きしたいと思います。 司法書士法の改正に関連して、司法書士会やあるいは関係諸団体と法務当局との間にいろいろ折衝が行われたと思いますが、そのときに問題点になった重要な点を挙げて、その結末と理由について説明をしていただきたい。
○香川政府委員 いろいろ議論がございましたが、主な問題で残りましたと申しますか、結局はまあ円満に協議ができたわけでございますけれども、その過程におきまして強く司法書士会連合会が要望されておった事項で法案にないのが三つあるわけでございます。 第一点は、先ほども問題になりました現行の一条二項を削る、つまり他の法律で禁止されている仕事はできないという関係でございますが、これは先ほど申し上げましたように、調査士法との関係もございますし、弁護士法との関係もございますので、削ることはかえって混乱させるというふうなことでその要望にこたえられなかったわけでございます。この点も業務範囲の拡大という方向で将来問題が残っていると思いますけれども、その二項を削らなかった趣旨は連合会も十分理解していただいたと思っております。 次の第二の問題は、連合会におきまして司法書士の登録をするという問題でございます。これは現在、大半の業法はそうはしておりませんけれども、例外的に税理士法等があるわけでございます。したがって、そういう法律がある以上は、理論的にそれがおかしいというふうなことは申し上げられないと思いますけれども、実際考えてみますと、本来は登録の制度というのは、行政機関が国民に対してこの人は司法書士でありますよということを公認する、公証する制度であるわけであります。したがって、すぐれて国の事務であるわけであります。これを民間の団体である司法書士会連合会に委託するということはそれなりの強い合理的な理由がなければならぬと私は思うのでありますが、その合理的な理由というのが現段階では認められないのじゃなかろうか、しかもそういう登録を連合会がやるといたしますと、税理士会等の実態を参考にして考えますと、人件費も含めまして年間二千万から三千万ぐらいの金を要しますし、しかも国からは、これは性質上本来はあるいは補助すべきことかもしれませんが、時世柄なかなかそういうことはできない。そうすると、ただで国の事務をやらせる、登録事務のみならず登録免許税の徴収事務までやらせることになるわけでございまして、そういうことは、どちらかといえば国が無理強いして民間に押しつけるという姿勢ということにもなりかねないわけでございます。しかも司法書士会連合会はほかにまだまだ司法書士制度の発展のためにはやらなければならない、そのために金を要する事業もたくさんあるわけでございまして、むしろそういうことに力を入れていただいた方が国民全体のためにはいいのじゃなかろうか、それらのいろいろな考えから協議いたしまして、現段階ではその要望を引っ込めていただいたわけでございます。 それから第三番目は、国家試験の導入に際しまして憲法を試験科目に明記せよ、こういう要望があったわけでございます。これはそれなりの理由はあろうと思いますけれども、実際問題として、こういう専門的な一つの技能と申しますか、そういう試験をやる業法のたてまえとしまして、憲法を試験科目にとっておる業法というのは例がまずないわけでございます。選択科目にしておる業法が一つございますけれども、これはやはり憲法常識というものは当然備えておる、それをいまさら教養的な意味で試験するとは何事だというふうな考え方だと思うのであります。ただ、憲法感覚ということは確かに必要でございますので、先ほども午前中に申し上げましたように、試験の科目としては司法書士法はそれぞれ列挙いたしておりませんが、三号に入ると言えば入らぬことはございませんので、やはりその辺のところは将来の検討問題として考えたい、こういうことで落ちついておるわけでございます。
○正森委員 いままでの各委員の質問にも出ておりましたので簡単にお聞きしますが、今度の司法書士法の改正によって司法書士の性格に変更があったと見るべきなのか、それともそれは大筋において変わっていないというように見ていいのですか。
○香川政府委員 性格には何ら変更がないというふうに考えております。
○正森委員 本法に関連をして土地家屋調査士法の改正も必要だと思いますが、今回それが見送られた理由はどういうわけですか。それから、今後の改正の方向についてお示しください。
○香川政府委員 司法書士法につきましていろいろの改正をするというその改正内容は、調査士法につきましてもそのまま同じように改正したらいいという問題があるわけでございます。私どもといたしましては、同じ法務省で所管いたしております司法書士法、調査士法、しかもこれは登記手続上いわば車の両輪のような形で運営されているものでございますので、横並びということから一緒に改正すべきだと私は思うのであります。ただ、司法書士法はけさほど来御指摘のありましたように、国家試験制を導入すると同時に特認の制度を設けておるわけでございますが、調査士法は、現在国家試験制になっておりますけれども特認の制度がないわけでございます。本来、そういう面から申しまして登記官は調査士の提出した不動産の表示に関する登記申請についての適否を判断するたてまえになっておるわけでございますから、したがって司法書士法との横並びを考えましても当然特認の制度が調査士法に設けられてもしかるべきではないかというふうに考えられるわけでございますが、この点について調査士連合会との間で協議が整わなかったわけでございます。そういう次第もございまして、今回は司法書士法だけの改正にとどめて、しかし今後調査士会と協議を続けまして、幸い整いますれば早急に横並びの関係の同じ改正法案を提出さしていただきたいというふうに考えております。
○正森委員 そのことにも関連いたしますが、今度は国家試験を行うわけでけが、国家試験の合格者と、いままで特認特認と言われておりました人々との比率ですね、それは現在どれぐらいで、将来試験が行われる場合にその比率をおおむね維持されるのか、あるいは漸次国家試験合格者優位の方に変えていかれるのか、その辺のお見込みについて御答弁をお願いします。
○香川政府委員 現在は特認が一に対して一般のあれが三ぐらいの割合だろうと思います。これはけさほども御議論ありましたように、司法書士の需給関係と申しますか、そういう面も十分配慮しなければならないわけでございまして、恐らくは今後も特認と国家試験合格者の比率は同じような状況ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。
○正森委員 いままでは、法務局あるいは地方法務局の長がいろいろ特認を行うとかあるいは認可するということで、司法書士の地域的偏在を防いでいくというメリットがあったと思うのですが、今度から国家試験ということになりますと、恐らく国家試験合格者は当然全国的にどこででも開業ができるということになるだろうと思うのですね。そのときに、地域的な偏在を避けて国民の需要にこたえるために、比較的過疎地にも配置されるというためには、どういう手だてを考えておられますか。そのために特認制度が活用されるか、あるいはその特認制度については一定の地域を限って営業を認めるということになるのですか、そこら辺を答えてください。
○香川政府委員 その点が現在の認可制と国家試験とのいわば一つのメリット、デメリットの絡み合うところなのでございますが、幸い特認の制度が維持できるといたしますれば、これは法務事務官、裁判書記官のみならず、それらと同等以上の能力を持っておる者も特認の対象になるわけでございます。そういう過疎地と申しますか、司法書士がいないような地域については、役所をやめる職員でそこが郷里の人はそこで開業をするということで埋めることもできましょうし、また地域住民の要望によりまして、たとえば村役場に長く勤めておる人でそういう登記の嘱託手続に熟練しておるというような人もおるわけでして、そういう人たちがその出張所の管轄内で事務をやるという条件で、これは紳士協定のようなものでございますけれども、そういう条件つきで特認の制度を活用するというようなことを考えておるわけでございます。
○正森委員 いま紳士協定ということを言われましたが、そうすると、今度法が改正されると、それが明白な条件ということは無理であるということを含んでおるのですか。
○香川政府委員 これは現行法におきましても、法律的にこの地域に限ってというふうな認可は——法務局、地方法務局の管轄区域を異にする場合は改めて認可が要りますけれども、管轄区域の同じ区域内で転々と動かれる場合に法律的に資格を奪うということは、こじつければできないことはないと思いますけれども、それはやはりやるべきことではない、だから、その面で紳士協定と申し上げた趣旨は、現行法におきましてもあるいは改正法におきましても私は変わらないと思いますし、また変えるべきではないというふうに思っております。
○正森委員 念のために伺っておきますが、国家試験の合格者はもちろんそういう点についての一切の制約はない、こういうぐあいに承ってよろしいですね。
○香川政府委員 これは制約しようもございませんので、お説のとおりでございます。
○正森委員 それについて司法書士の試験管理委員会のようなものがつくられると思いますが、どういうような人を試験委員として予定されているわけですか。
○香川政府委員 司法試験のような意味の管理委員会の設置は現在考えておりません。この試験委員になっていただくのは、もちろん実務家、学者あるいは司法書士会からの適当な方というふうな方々で構成していただこうというふうに考えております。
○正森委員 非常に細かい点になって失礼ですが、試験をこれから受ける人に関心がありますのでちょっと伺っておきます。 問題としては論文式、短答式、マル・バツ式などが考えられますが、どういうものを考えておられますか。 また、受験の手数料は幾らぐらいを予定されていますか。
○香川政府委員 試験の内容でございますが、受験者が相当ございますので、第一次試験としては短答式をとらざるを得ないだろう。記述式の試験も第二次試験的にやる予定にしておりますし、口述試験もやるというようなことを考えております。 受験手数料は、現在はたしか千円でございますが、これを改正いたしまして三千円程度に引き上げようかというふうに現在考えております。
○正森委員 いよいよ試験に通って登録をする場合に、今度の条文を見ますと、第六条の二の二項に「前項の登録の申請をした者が次の各号の一に該当する場合には、法務局又は地方法務局の長は、その登録を拒否しなければならない。」拒否することができるでなしに「拒否しなければならない。」こうなっているのですね。いろいろ掲げてありますが、その第三号に「司法書士の信用又は品位を害するおそれがあるときその他司法書士の職責に照らし司法書士としての適格性を欠くとき。」という文言があるわけであります。これは従前の条文にはなかったところでありまして、従前の条文には、そもそも認可されるのでありますから、「認可の取消」のところで第十一条に幾つかの条文があるわけですが、今回の第六条の二の二項の三号のような規定はないのですね。 そこで、私が非常に心配になりますのは、午前中の横山委員の質問にもあったわけですし、私がこの間法務委員会で質問したわけですが、五月二十日の東京司法書士大会が、弁護人抜き裁判について、緊急動議に基づいて、賛成できない、反対であるということを決議しましたら、間もなく民事局に呼びつけられていろいろその事情を聞かれた。そのことについて私が質問しましたら、司法書士会の規約にも、品位を保持するとか会員の親睦を図るという文言があって、一定の法案に対して反対の決議をするようなことは品位を保持するというのに該当しないという香川民事局長の答弁があったと思うのですね。私は、そのときに、弁護人抜き裁判というような国論を二分している問題について賛成できないと言うのがなぜ品位を害することになるのかというように反論した記憶があるわけです。そうしますと、こういう文言が入っておりますと、司法書士の試験に合格した人が受験勉強の最中やあるいは在官のときに——この間弁護人抜き裁判の請願でも、私は国会で受け付けましたら、全司法労組とか全法務労組というのほりを立てて、非常に力強いことに多数の職員が国会に請願に来てくれたわけです。そういうのをカメラででも写しておいて、これは品位を害するおそれがあるというようなことをやられると、これは非常におかしな規定になると思うのです。そういうおそれは全然ないのか、あるいはあるとすればこの間の香川民事局長の答弁は若干行き過ぎであったのか、そこら辺をお答え願いたいと思います。——皆心配しているのですよ。
○香川政府委員 まずもって、この間御答弁申しましたのは、ああいう決議をしたことが品位に欠けるというふうな答弁は私はしたつもりはないわけでありまして、司法書士会というのは、法律で設立の目的が、司法書士の品位を保持し、その業務の改善進歩を図るためにある、そういう目的のためにある司法書士会が、いわば政治活動的な、司法書士会の設立の目的、法律の目的に何ら関係のないことについて、しかも思想、信条のそれぞれ異なる人たちが強制加入のもとででき上がっている司法書士会においてそういった拘束的な決議をすることは好ましくないことではないか、こういう趣旨で申し上げたわけでありまして、決議をしたこと、それに賛成したこと自身がイコール品位を傷つけるというふうなことは毛頭申し上げたつもりではないわけであります。 したがって、それとの関連で御心配になるこの六条の二の二項三号でありますが、仮にそういう決議に賛成したりあるいは反対したというようなことがありましても、これはちょっと場面が違うわけでございますから、信用、品位を害するおそれがあるというようなことには相ならぬと思うのでありまして、こういう規定を新たに設けましたのは、そんなことを考えているわけでは決してございません。現在は認可制でございますから、したがって、たとえば現在刑事公判係属中の者とかあるいは捜査中の者というふうなことは調べればすぐわかるわけでございます。したがって、そういう者は認可しないということでチェックできるのでありますけれども、今度の国家試験制はいわばペーパーワークでございまして、知識の方はなるほど合格したけれども、そういった現在刑事公判手続中だというふうなことは試験のところで明らかになる問題ではないわけでございまして、やはり司法書士業務の国民に対する一つの信頼保持あるいは重要性から考えまして、現在刑事公判中の者を司法書士ということで登録いたしまして、この人にひとつ頼みなさいということの保証を国がするということはいかがなものかということで、登録を拒否しなければならぬというふうなことにいたしておるわけでございます。さような趣旨でございまして、決してこれを御心配になるようなことに使うというふうなことは毛頭考えておりません。
○正森委員 それではそういう答弁がありましたから、弁護人抜き裁判に反対であっても、あるいはその種の性格の運動に参加しても、それだけでは「品位を害するおそれ」ということにはならぬというように理解して、次の質問に移りたいと思います。 試験の内容の問題ですが、この条文にはいろいろ規定がございまして、憲法の点は入っておらないけれども、他の条項の常識的な問題として入るというように言われましたが、実務のベテランとされている方が受けた場合に、しばしば、実務は非常によくできているのだけれども不思議に試験になると落っこちるということを聞くわけでありますが、司法書士試験の目的にかんがみて、もちろん実務ができても理論は何もわからないというのでは困りますが、主として実務に即した問題を出していくということがこういう試験制度には大切な面もあるのではないかというように思いますが、そういう傾向についてはどういうぐあいにお考えになっておりますか。
○香川政府委員 お説のとおりでございまして、私ども現在やっております統一試験においてもしかりでございますが、今度の国家試験におきましても一そういう実務面にウエートを置いた試験をやるべきものだ、司法書士というのは実務ができなければ幾ら知識があっても意味がないものですから、実務面に重点を置いた試験をやるべきだというふうに考えております。
○正森委員 特認者制度というものが設けられて、いままでの五年の経験が十年の経験になりました。しかし、実際問題としては五年の経験で認可されている方はきわめてまれで、長い方は十年、二十年、中には三十年という方もおられましたから、五年が十年になったということで大きな差異はないと思いますが、選考基準としてどのようなものを考えておられるのか。私がこのように聞きますのは、特認者制度が法務当局の労務管理として乱用されるのではないか、私のような者は恐らく香川民事局長に認められないのではないかというような気もするので、選考基準としてどういうものを考えておられるか、もし明らかにできれば概略をお示しください。
○香川政府委員 現在、大体のところ、役人としての経歴が二十年以上たっている者が特認ということになっておるわけでございますが、ただ形式的に二十年たっているからということでそのまま認めるということではなしに、やはり法務局の事務官でありましても、登記いちずに来た人もおられますれば、会計、総務系統の仕事ばかりしておった人もおるわけでありますから、それぞれ経歴によりまして、やはりその都度法務局において選考試験を行いまして、それで基準点に達した者について特認を与える、こういうふうなやり方をとっておるわけでありまして、これは今回そういう経歴のほかに「法務大臣が司法書士の業務を行うのに必要な知識及び能力を有すると認めたもの」ということを法律上はっきりいたしまして、したがってこの趣旨に沿って特認制度を運用していこう、こういうことでございます。
○正森委員 現在の司法書士法でも懲戒の制度がございます。懲戒の点について伺いたいと思いますが、具体的に例を申し上げますと、私はここに新聞を持ってきておりますが、東京都の住宅供給公社の登記事務に関連して贈収賄事件が起こったというのが本年の二月の段階での新聞に多数載っております。これは東京都住宅供給公社が登記をしなければならないが、それを一括して司法書士に代行させておった。名前をこの速記録に載せるのはお気の毒ですからA氏としておきますが、そのA氏は主として供給公社から仕事を任されておったが、それをいいことにして供給公社の管理部管理課のBという男と、それから同じく供給公社のCという男がそれにつけ込んで、車を買いかえたいのだがというようなことで暗に金品を要求する、やむを得ず車を買ってあげる、あるいは飲み食いに行って飲食店のツケを全部回す、はなはだしきは飲みに行くのは必ずしも供給公社の役員だけではなしに、法務局の登記関係の役人が一緒に同行して飲んだり食ったりする、一カ月に百五十万円もツケが回ってくるという場合があった。初めは自分の方に仕事を回してほしいと思ってやったが、しまいにはいや気が差して、実際上は接待を強要されるというような事態になってきたのだというようなことが報道されておるわけであります。またこの二人の職員を連れて熱海へ二泊三日の旅行に招待した。しかし、それは暗に、この招待をしなければ、司法書士はたくさんいるので何もおまえにだけ仕事を回さぬでもいいのだぞということをほのめかされたので、余儀なくそういうようにした、こうなっておるのです。 この事件を見てみますと、都の住宅供給公社の仕事を請け負うと一年間に三千九百八十万円も仕事が来る。だから百五十万円ぐらい月に接待しても半分は残るというようなかっこうで司法書士さんはそういうことをやったというように報道されておるわけですね。こうなりますと、この問題のAという司法書士もこれは贈賄の被告になっておるわけですからいかぬと思うのですが、その根本原因は何であろうかというように考えますと、都の供給公社の担当者の心がけが非常にけしからぬということと、それから、なぜこの人に集中したかといいますと、このごろは登記事務が非常に渋滞しておって、報道を見ますと一つのことで一週間も十日もかかるという場合がある。ところが法務局の役人につけ届けをしておる、あるいは一緒に飲みに行くということになりますと非常に迅速にやってくれる。そこで、あの司法書士さんのところへ頼むと早いということで、これを俗な言葉で特急料と言うのだそうでありますが、特急料が非常に高くつく、とうとう手が後ろに回るというようなことになったんだということが報道されておるわけです。 そこで、私は伺いたいと思うのですが、この人物の場合には懲戒としてどの程度の処分が行われたか、あるいは法務局としてはこの問題の一緒に飲み食いをした都住宅供給公社の管理職の役員だけではなしに、それに同行してキャバレーなどでいい目をした法務局の職員はどういう処分を受けたのか、その点を伺いたいと思います。
○香川政府委員 ただいまのA司法書士、これは調査士業務も関連しておるようでございますが、現在東京法務局におきまして中身の調査中でございまして、これは実は調査中というよりは調査はもう完了しておるわけでございます。ただ、いまお言葉にもありましたように、公社の職員と一緒に法務局の職員が接待を受けたということではなしに、Aという司法書士のそういう公社との関係が明らかになってまいりましたので、私ども、あるいは役所の職員とのそういう供応関係もあるのじゃないかということで調査いたしまして、これは幸い軽微なものしがなかったようでございますけれども、しかしやはり綱紀粛正ということが根本の大事な問題でございますので、さようなAという司法書士に絡まる役所関係の職員の処分をまずしなければならぬ、それから民間に移るべきだ、こういう順序を立てまして、現在東京法務局から関係の役所の職員についての懲戒処分の内議が本省に来ております。いま私どもで検討中でございます。それが済みますれば、次はAという司法書士の懲戒処分を当然考えることでございまして、準備はいたしておりますけれども、民間から先にやるというのはやはり形としてはおかしかろうということで、役所の内部から先にやるべきだということで、現在処分内容を検討中でございます。
○正森委員 私は、司法書士さんのこういう不幸な事件について、ここでとことん追及をしようと思っているのじゃなしに、そういうことが行われるのについては、特急料と言われるように登記事務が非常に停滞している、それは登記関係の職員の人員が足りないとか、あるいは一部に登記業務にコンピューターを導入してはどうかというような声も出ているようでございますけれども、結局いろいろの人員だとかあるいは施設の不十分さというところからそういうものが生じやすい。もちろんそれだけではなしに、人間の心がけが一番大事でございますが、そういうような気がいたしますので、聞いているわけであります。 そこで、その関係でもう一問聞いておきますと、登記協会というのがあるようですね。これは一体どういうもので、どういう仕事をしておるのですか。
○香川政府委員 これは、現在は民事法務協会というふうに名前を変えておりますが、これは民法法人でございます。その仕事の内容といいますのは、いま御指摘の登記事務が非常に遅れる、これは人員不足からくるわけでございまして、その人員不足を少しでも他の方法によってカバーする方策の一つといたしまして、先ほども申し上げましたが、謄抄本の作成の過程におきまして、コピーで謄抄本を作成しておるわけでございます。これは全く機械的な仕事でございますので、その面を民間に委託するというふうなことで急場しのぎはできないであろうかということが検討されまして、そして、民間といっても、何しろ登記所の中で登記簿というものをいじるわけでございますから、単に複写作業に従事するといってもだれでもいいというわけにはまいらないということから、登記協会というものが財団法人として設立されまして、それにコピーの作業を委託するということでやってまいっておるわけであります。現在そういうだけの仕事をしておる財団法人ということでございます。
○正森委員 いま御説明がございましたが、ここに法学セミナーの「司法書士」という欄の時評のようなものが載っているのですね。その中で、いろいろ取り上げられておりますが、そのうちの二つだけ紹介しますと「「立ちんぼ、イライラ、待つのは常識、登記官のミス続発、謄本とり記載の再確認を」。」というようなことが言われて「東京では、登記事件の処理に十日以上を要する登記所が数カ庁にのぼっている。この場合、受け付けられた登記事件が登記簿に記載され、現実に公示されるまでに一週間以上を費やすことになる。」こういう状況があるので、先ほど私がAという司法書士を挙げましたが、特急料が必要になってくるということになるわけです。 そこでもう一つは、登記協会の、いま香川民事局長が言われた点についてもこういう記事があるのです。同じく法学セミナーの記事です。「すべての公益法人がそうであるように、この協会も至極もっともらしい言辞で目的を掲げている。この協会の設立者および理事は、すべて元法務省高級官僚(元法務局長、地方法務局長等)により占められており、法務省との連繋動作によって設立に至ったことは一点の疑う余地もない。」中略「当面第一には激増する登記事件のうち、乙号事件(登記謄抄本の作成)の受託処理に当たっている。乙号事件の処理については、登記所の慢性的労働力不足を解消すべく、法務省はすでに一部繁忙庁において民間企業にその作業を請負わせるという変則的な苦肉の施策をとってきたが、この協会成立とともに、ただちに発註先を外部民間企業から身内たる協会へと変更した。」中略「以上の事実と企画を概観しただけでも、この協会の本質は公益法人というよりも、法務省の外局であると称しても過言ではあるまい。」こういうふうに書いてあるのですね。私は、ここに書かれてあることを全部本当だとは思いませんけれども、しかしこういう指摘があることも事実であります。私は、本来はこういうものは、組合との十分の相談のもとに、納得の得られる範囲でコンピューターを導入するか、あるいは組合との相談で一定の人員を増加するかということで、国の責任で問題を解決するのが筋道ではなかろうかというように思うわけですが、法務大臣なり民事局長の御所見を承りたいと思います。
○香川政府委員 登記協会、現在の民事法務協会についてお読みいただいたようなことは大分事実と違っておりまして、財団法人の役員は確かに元法務局長、地方法務局長になっていただいておるわけであります。全くの無報酬でございまして、しかもこれは、そこにもありましたように、最初民間のああいう複写機を製造している会社に発注したようでありますが、高くついてしょうがない、これはとても金がかかってかなわぬということで、そこで先輩であるそういう元法務局長、地方法務局長の方々にお願いして、そして適宜の金子を拠出していただいて財団法人をつくって、しかも無報酬で、いわば先輩として法務局のためにひとつお力添えを賜りたいというようなことで始まっておるわけでございまして、だから決してそんな天下り先とか、あるいはそこで報酬をむさぼっているというような実態は全くございません。ただ私も、そういった乙号事務の一部を、財団法人であってもそういうものに請け負わせることの是非ということはいろいろ問題があることは承知いたしておりますけれども、何分にも現在の法務局職員の負担過重、それがひいては国民に非常に迷惑をかけておって、登記が十日もかかるというような事態もまれにはあるわけでございまして、そういうことを解消する当面の策としては、やはりそういった機械的な作業だけを民間に委託してやってもらうということはやむを得ないことではなかろうかというふうに考えておるわけでございまして、今後増員その他の、いわば正規の形のそういう措置が講ぜられるまでの間は、この委託という形は続けていかざるを得ないというふうに私は判断いたしております。
○正森委員 なお二、三点伺いたいと思いますが、今度の改正法の第二条の第一項第三号には「法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手続について代理すること。」と定められております。これは従来規定のなかったところでございまして、日本弁護士連合会などは、これは結局弁護士法の七十二条に抵触するものではなかろうかという見解があったことは御承知のとおりであります。そこで、そうだといたしますと、第二条の二項の「司法書士は、前項に規定する業務であっても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、これを行うことができない。」という点とどのように絡めて読むのか、そこら辺について御説明を願いたいと思います。
○香川政府委員 この審査請求の手続の代理を今回明文ではっきり認めることにしましたことから、日本弁護士連合会はこれに絶対反対だという意見書が法務大臣に出されております。その後いろいろ接触いたしまして、というのは、この審査請求の代理はほかの業法では認めておるわけでございまして、したがって、弁護士法との関係が問題になるならば、そういう業法は当然問題になってしかるべきじゃないかということと、それから、登記、供託の代理を頼まれてやった、それが登記所から不適法だということで却下された場合に、その依頼者である国民から見ますと、却下されたものについての不服審査が弁護士さんでなければできないのだ、その大事な申請それ自身を依頼した司法書士が不服申し立て審査請求ができないのだというのは、常識的に言ってきわめて奇異な感じが国民からするであろうと思うのでありまして、また、実質考えましても、その事件について熟知しておる司法書士がしかるべき不服申し立てをかわってやるというのがむしろ素直ではなかろうかというふうなことをいろいろ議論いたしまして、正式には了承したという回答は日弁連からはいただいておりませんけれども、趣旨がわかっていただけたというふうに私は理解いたしております。
○正森委員 この審査請求は、経験則上、いままで年間何件くらいあるわけですか。
○香川政府委員 正式に覚えておりませんが、ごくわずかでございまして、四十件足らずだろうと思います。
○正森委員 この審査請求の結論に不服で行政訴訟になった場合には、当然これは弁護士でなければ担当することができないというように解釈されると思いますが、それはいかがですか。
○香川政府委員 行政訴訟を代理人としてやることは司法書士はできませんけれども、その行政訴訟の訴状を、依頼を受けて司法書士が作成するということはできると思います。また、準備書面も同様でございます。
○正森委員 だから、裏を返せば、訴訟の代理人になることはできないということでしょう。
○香川政府委員 法廷に出る意味でのその代理人ということにはなりません。
○正森委員 一々言葉がひっかかるわけですけれども、もっと素直にすっと答えたらどうですか。あなたの答えを聞いていると、何かこのことについては、将来行く行くは訴訟関係の代理人も認めるかのごとき発言で、それじゃ日本弁護士連合会も、せっかく香川局長との話で、大きな声では反対をしないというように言っていたのが、これならやはり大きな声を出さぬといかぬなというように思うのじゃないですか。
○香川政府委員 言葉が足りないのか、念を入れ過ぎたのかしれませんが、訴訟代理人には絶対なれません。
○正森委員 事務所の設置に関して法務省令で基準が定められると思うのですが、大体どういうようなものを基準として考えておられますか。
○香川政府委員 事務所は一つしか設けてならぬというふうなことはあれでございますけれども、大きさとか、そういうようなことまで規制するつもりはございません。(正森委員「人員はあるのですね」と呼ぶ)人員は、いわゆる補助者というのは、現在の司法書士法施行規則で法務局長の承認になっております。
○正森委員 登録の取り消しで、司法書士が引き続き二年以上業務を行わないときに該当するときは認可の取り消し事由になりますが、その運用状況や認定基準、手続等について、簡略で結構ですからお答えください。
○香川政府委員 例はさほどないと思います。手続は、これは大半の場合は、本人から申し出てまいりまして、形だけ認可取り消しするというふうな事例が多いと思いますけれども、実際問題として、二年業務を行ってないことが明らかでありましても、それぞれのもっともな理由がある場合があるわけでございますから、したがって、形式的に二年やらないからといって、ばさっと認可を取り消すということはやったことはございません。今後もその関係は同じだろうと思います。
○正森委員 これで最後でございますが、懲戒手続が、司法書士会の報告に基づいて発令された例がいままでございますか。今度の新しい法案でも注意勧告というようなこともございますが、注意勧告を司法書士会がした場合には、それを法務大臣に必ず報告しなければならぬ、こういうようになっておるのですか、しかし、それは司法書士会の任意ですか。
○香川政府委員 法律では、注意勧告権を行使いたしました場合に法務局に通知するというふうな規定は設けておりませんけれども、これはいち早く知らせていただいた方がいいわけでございますので、省令でさような規定を設けるかどうか考えてみたいと思います。現在、やはり司法書士会には綱紀委員会というのがございまして、その綱紀委員会でいろいろのことを調査されて、その結果を法務局に知らせていただいて懲戒権の発動を促すという意味でございます。さような例は間々ございます。
○正森委員 終わります。
○鴨田委員長 次回は、明七日水曜午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時六分散会