法務委員会 第23号
- 発言数
- 99 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1978/05/10
会議録
○鴨田委員長 これより会議を開きます。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 ただいま本委員会において審議中の刑事事件の公判の開廷についての暫定的特例を定める法律案について、明後十二日金曜日午前十時から、参考人として日本弁護士連合会より出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————◇—————
○鴨田委員長 法務行政に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 実は、いわゆる白ろう病、いまは正式の名前は何というのですか、これについて昭和五十一年十月十九日に告訴、告発が検事総長にあったのですが、その件について捜査の経過などを聞きたかったのですが、法務省関係がおくれておりますので、林野庁の方にお尋ねをしていきたい、こういうふうに思うわけでございます。 そこで、去年の七月二十八日に高知の地方裁判所で、いわゆる白ろう病訴訟について判決があったわけですが、これについては、あなたの方で高松高等裁判所に控訴をしておるというふうに聞いております。あなたというか、被告は国になっておるから、法務省の訟務局長を呼んでおけばよかったかもわかりませんが、事実上は林野庁だと思いますが、この一審判決の中でいろいろ述べておられることについてまずお伺いをいたしたい、こういうふうに思うわけです。 このいわゆる白ろう病というものについては、どういうものであるかということから、ひとつ詳細に、素人にもわかるように説明を願いたい、こういうふうに思います。
○阪本説明員 ただいまお尋ねのいわゆる白ろう病とおっしゃったわけでございますけれども、私ども実はこれは振動障害と申しておるわけでございまして、これは削岩機やびょう打ち機、チェーンソー等の身体に影響を与えます機械を使用する業務に従事したため生じましたレイノー現象及び神経、骨、関節、筋肉、腱鞘等の疾病を総称しまして振動障害、かように申しておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それは、原因はどういうところから起きるわけですか。
○阪本説明員 ただいま申し上げましたように、チェーンソー等振動が体に伝わることによりまして、特に末梢でございます手のあたりにいろいろ障害が出ることによって起きる病気でございます。
○稲葉(誠)委員 いや、手のあたりにどういう現象が起きて、その障害はどういうような支障を来すか一こういうことなんですが……。
○阪本説明員 いわゆる末梢の循環障害でございますとか、それから神経機能障害でございますとか、それから運動機能に障害を来すというふうに考えております。
○稲葉(誠)委員 そうすると、いわゆる白ろう病という人、被災者の方は、あなたの方の関係は、林野庁は国有林関係ですね、現在どのくらいおるというふうに考えられておるわけですか。
○相賀説明員 お答えいたします。 五十二年十二月末現在で、国有林事業に従事いたしまして職業病と認定された者が三千三百十名でございます。
○稲葉(誠)委員 そういう機械の導入は、これはチェーンソーというのですか、私も営林署へ行って見たことがありますが、いつごろから始まって、どういうふうな理由でいわゆるチェーンソーというものを使用するようになったわけですか。
○相賀説明員 国有林におきましては、昭和二十八年から二十九年にかけまして現地適応試験を行いましてチェーンソーの導入を図ってまいりましたが、昭和三十二年に、従来のものに比べまして性能の向上、軽量化の図られたチェーンソーがわが国に導入されたのに伴いまして、国有林へのチェーンソー導入も本格化してまいりまして、昭和三十七年には国有林の伐木造材作業はほぼ全面的にチェーンソーの作業となったわけでございます。
○稲葉(誠)委員 素人でよくわからないのですが、チェーンソーというのはどういう意味なんですか。
○阪本説明員 動力エンジンをもとにしまして、チェーンでもって回転をさせまして木材を切る道具でございます。
○稲葉(誠)委員 そのチェーンはわかるのだけれども——チェーンは鎖ですか。ソーというのは何ですか。
○阪本説明員 ソーというのはいわゆるのこぎりのことでございまして、チェーンに歯がついておりまして、それが高速回転することによりまして木を切る装置でございます。
○稲葉(誠)委員 二十八年のチェーンソーの導入の際に、これによって将来障害が発生するかどうかということについてはどういうふうに考えておったわけですか。
○阪本説明員 お答え申し上げます。 チェーンソーは、戦後アメリカから輸入をされまして、二十六年あたりから商社等でも輸入をしたわけでございますが、そのころアメリカあたりでも広く使用されておったわけでございまして、日本では三十二年ごろから、ただいま御説明申し上げましたように導入したわけでございますけれども、当時、広く世界でも使用されておったわけでございまして、その当時、世界のどこの国にもこのような振動障害というふうなものがチェーンソーの使用によって起きたというふうな事例はまだ聞いていなかったわけでございまして、当時、木材需要が増大する中にございまして、国民生活に不可欠な木材を伐採するために必要な機械ということで導入したものでございます。
○稲葉(誠)委員 しかし、そのチェーンソー導入の際に、障害が発生することについては予見可能性があったんだ、だから機械導入に際して安全衛生上の調査研究を行うべき責任があった、この点について不足があったのではないか、こういうことが高知の裁判所の判決の中に出ておるように思うのですけれども、この点についてはどういうふうにお考えなんですか。
○相賀説明員 チェーンソーの導入当時におきまして、削岩機とかびょう打ち機等の使用によります振動障害はすでに職業病に指定されておったわけでございますけれども、チェーンソーは、いま申し上げました削岩機、びょう打ち機等とは構造上も使用上の実態も大きな差異がございまして、チェーンソーについても同じような振動障害が生ずるというようなことは、当時においては予測をしておりませんでした。
○稲葉(誠)委員 削岩機等の使用による振動障害が職業病に指定されていた事実からして、振動機械を導入することによって——振動機械というのだから振動するのでしょう。ぼくも動かしてみましたけれども、これはずいぶん重いですね。とてもあれだったですが、職業病に指定されていた事実からして、振動機械を導入することによって、それが労働者にどのような事態を引き起こすかは、林野庁としては十分に予知し得たはずのものであり、何ら事前の調査研究すらせずに使用させたことは、使用者たる当局の義務不履行として責任をとるべきだ、こういうようなことが高知の裁判所の判決で言われているのじゃないですか。
○相賀説明員 先ほども申し上げましたように、削岩機、それからびょう打ち機はいわゆる打撃工具でございまして、こうふるうわけでございます。振動そのもので目的を達成する機械でございます。これは私が申し上げるまでもなく、先生の方がお詳しいわけでございますが……。また、これは削岩等のきわめてかたいものを対象といたしまして、身体の重量を機械にあずけて仕事をする、こういう機械でございます。 これに対しましてチェーンソーは、構造的にも、また使用の実態からいたしましてもこれとは異なっておりまして、重量も削岩機等よりは軽うございますし、振動も伝わり方が違うということで、チェーンソーはびょう打ち機とか削岩機と類似の機械とはどもは認識をしていなかったわけでございます。
○稲葉(誠)委員 それが昭和三十四、五年のころには、障害発生の危険性の指摘や、そういうような申し出というか、それがだんだんわかってきたのじゃなかったのですか。そういうふうに判決は言っておるのじゃないですか。
○相賀説明員 昭和三十四年に、私どもの林野庁で所管しております林業試験場におきまして調査をいたしたことがございますが、これはチェーンソー使用による疲労症候について、主に作業員への主観的な症候を調査する目的で行われたものでございます。したがいまして、しびれであるとか蒼白等の現象も疲労症候の一つとしてとらえられておりまして、これをもって今日いうところのいわゆる振動障害の起こることを予見することは困難であったわけでございます。
○稲葉(誠)委員 いまの試験をやりまして、それからいままでと違った積極的な対策をやるようになったのですか。
○相賀説明員 それ以後いろいろこの振動障害の防止のための対策を講じておるわけでございますけれども、四十四年以前に林野庁が実施いたしました早期発見のための対策も講じておるわけでございますが、若干具体的に申し上げますならば、四十年には健康診断実施要領を作成いたしまして実施をいたしたわけでございます。それから、全国の管理会議を開催いたしまして、このレイノー現象の診断、治療についての指導等も三十九年以降行っております。それから、レイノー現象の訴え者の経過表の備えつけ、それから衛生管理者の現場の巡視の実施、これらを昭和四十一年以降実施しております。またレイノー現象の病理それから治療に関する研究を大学病院等に四十年以降委託調査をお願いいたしておる次第でございます。
○稲葉(誠)委員 昭和四十一年に人事院が振動障害を公務上の災害として認定したことがあるようなんですが、それはどういうような経過から、そしてどの程度のものを認定したわけですか。
○相賀説明員 その点につきましては、ちょっと申しわけないわけでございますが、詳細な経過等、私ちょっといま記憶いたしておりませんので、さよう御承知いただきたいと思います。
○稲葉(誠)委員 人事院が振動障害を公務上の災害として認定したということはわかっておるわけですか。
○相賀説明員 それは、四十一年の七月に人事院がそういうあれをしたことは承知いたしております。
○稲葉(誠)委員 だからどういう経過から——あなた、そのころ職員部長じゃなかったんでしょうけれども、どういう経過から公務上の災害として認定したのかわかりませんか。
○阪本説明員 お答え申し上げます。 先ほどお話しございました三十五年ごろ、長野営林局管内で作業員の方が蒼白現象があるというふうな訴えがございまして、その後三十九年ごろにそういう訴えがふえてまいりまして、名古屋大学の山田先生が名古屋管内で健康診断を実施されまして、そのとき、これはチェーンソー等の振動機械に基づく疑いが濃厚である、かような趣旨のお話がございまして、それらを踏まえまして、人事院でも林野庁とともども現地のいろんな調査等を実施をした上、四十一年七月に職業性疾病として決定したわけでございます。
○稲葉(誠)委員 いまあなたの言われた名古屋大学の山田という教授は山田信也先生だと思いますが、この方の書いたものを基準にして私はいま質問をしているわけです。このときに、白ろう病の病塚を白ろう現象に狭く限定して障害を増大させた。四十一年人事院が振動障害を公務上の災害として認定した、その後にも白ろう病の病塚を白ろう現象に狭く限定して障害を増大させた、こういうふうに高知の裁判所の判決の中では判断されているのじゃないですか。
○相賀説明員 振動障害の認定に当たりましては、レイノー現象に限らず、神経炎であるとか関節炎であるとか腱鞘炎なども含めて総合的に判断して認定を行ってきたわけでございます。以上でございます。
○稲葉(誠)委員 それで一審で、何か認定開始があってから多数の患者が発見されているのに、積極的な作業規則、それから機械使用の中止などの予防措置を怠ったというふうに判断されておるわけですが、認定開始後多数の患者がまず発見されたのかどうかということが一つですね。それから、積極的な作業規制をしたのかどうか。そういう機械を使えばこういう振動障害が起きてくるということがわかったんでしょうから、機械使用の中止というような、こういうような病気が起きないような予防措置を一体やったのかやらないのか。やったとすればどの程度やったのか、こういうようなことについてはどうなんですか。
○阪本説明員 人事院の方が四十一年の七月に職業性疾病にしたわけでございますけれども、すでに四十年にそのようなたくさんの訴え者があったわけでございますので、四十年の三月に特殊健康診断要領を定めまして、訴え者を健康診断をしまして、その中で罹病者と思われる者を人事院の方に協議をいたしておるのでございます。 それから、いろいろな対策ということでございますけれども、先ほども御説明申し上げましたように、この振動障害の原因がやはりチェーンソーの振動に起因するというふうなことでございますので、できる限り振動量を少なくするということがまず肝要であろうというふうなことから、その辺の研究を四十年に進めまして、四十一年度には防振ハンドルという、従来使っておりました機械の振動値を三分の一程度まで減衰させるような装置を取りつけまして、四十一年度から実施するようにしております。さらにこの振動を与える影響の因子といたしまして、チェーンソーの切れ味というものが非常に問題になるわけでございますので、その辺の切れ味をよくするための目立てというものの研修もこの四十一年度に入りまして実施をしてございます。さらに四十年の秋にも、特殊健康診断要領をさらに改正をいたしまして、それ以降年二回ずつ健康診断を実施するなど、予防対策について実施をしてきておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 機械使用の中止というようなことは考えられなかったのですか。
○相賀説明員 チェーンソーにつきましては、林業労働の軽減、それから労働安全の確保を図る、それから能率の面でもすぐれているということで、諸外国でも一般に使用されておったものでございまして、国民生活にも必要な木材を切り出すためには不可欠なものであるということでチェーンソーを使用したわけでございますが、その後チェーンソーの使用に当たりましては、四十四年に労働組合とも協議を行いまして、各種の予防対策を講じながら使用しておるわけでございます。さらに振動障害の起こらないような機械の開発、導入を図るなどいたしまして、この問題については真剣に取り組んでおるわけでございますが、今後も振動障害の発生の予防につきましては諸施策を講じてまいりたい、かように考えております。
○稲葉(誠)委員 いまのお話だと、外国の場合はそこで同じような——外国と言ってもどこのことかよく知りませんが、職業病が発生をしているわけですか、どういうふうになっているのです。
○阪本説明員 四十五年当時でございますけれども、諸外国にいろいろ職員を派遣しまして調べたわけでございますけれども、アメリカ、カナダ等あるいは西欧諸国ではそのようなケースが余り見られないわけでございまして、東欧諸国でそのようなケースが見られたと考えております。
○稲葉(誠)委員 そしてその東欧諸国ではそういう現象が見られて、そこでそれらの国々ではどういうような措置をとっていたわけですか。それからアメリカやカナダ——アメリカ、カナダなんて木材の産地ですね。そこではそういう現象が起きないというのはどういう理由からなんです。
○阪本説明員 東欧諸国でどういう予防がなされておったかということでございますけれども、ソ連におきましても最初そういう振動障害が出たわけでございますが、機械の改良等がなされて、年度はちょっと忘れましたけれども、さらに使用時間の規制等も考えたというふうに聞いております。 それから、アメリカ、カナダ等でございますけれども、私どももなぜアメリカ、カナダ等に当時そういう事例がなかったのか、なぜ発生しなかったのかちょっとわかりかねておるわけでございます。
○稲葉(誠)委員 東京大学の勝沼・根岸学説というのはどういう学説なんですか。この学説を林野庁としてはどういうふうに活用したのか、あるいは逆に活用しなかったのか。まず、この勝沼・根岸学説というのはどういう学説なんですか。
○阪本説明員 東大医学部の先生でございまして、この先生方にいろいろ委託調査等をしたわけでございますけれども、私もいま実はその詳細について存じておるわけではございませんけれども、聞き及んでいるところでは、九州だったと思いますけれども、いろいろ事業所等を調べましたところ、特定の事業所等にのみ発生をしておるというふうなことから、多分に精神的、心因的な要因も見られるということがございまして、それからこの先生方が心因説を唱えられたというふうなことも一面においては言われておるというふうに聞いております。
○稲葉(誠)委員 そうすると、あなたの方としては、東大の勝沼・根岸学説というものを積極的に活用して、これらの振動病は多分に心因的なものである一それはあらゆるものに心因的なものか加味されるのはこれは程度の問題で、交通事故だってある程度の心因性はあるわけですから、何でもある程度はあるわけですけれども、そういうふうな学説をあなたの方ではとって、そのことによって、事実に即して調査を続けようとする研究者たちを排除した、排除というと言葉は悪いかもわからぬけれども、その心因説をあなたの方で非常に重用視した、こういうことなんですか。
○阪本説明員 ただいま心因説を重用してこれに臨んだのではないかというお話でございますけれども、先ほど申し上げましたように、これは医学部の先生のそういう紹介があったわけでございまして、それが全面的にそうであるというふうに私ども考えておりたわけではございません。
○稲葉(誠)委員 この振動障害が全身的な疾病であるのに、手足のレイノー現象だけに限定した、そしてその確認を管理医に限定した、こういうことが言われておるわけですね。これはどういうことなんですか。医師の選択の自由とかなんとかを認めなかったのですか。それから、振動障害が全身的なものなのに、手足のレイノー現象だけに限定した。林野庁の上の方はそうはとってなかったかもしれませんけれども、下部へ行くとそういうふうにとった。下部当局の対処についての不当性というものが判決の理由の中に出ておりますね。それはどういうことなんでしょうか。それで、その後具体的にどういうふうにしましたか。
○相賀説明員 医者の選定の問題でございますが、これは管理医に限らず、限定いたしませんで、公立病院とか大学病院等のお医者さんによる診断によっても認定して差し支えない、こう私の方で下部に対して指導いたしております。 それで、管理医につきましては、当時振動障害についての専門的なお医者さんが少なかったというような事情の中で、国有林野事業の職員の健康管理、それから現地の事情に最も詳しい、精通されているお医者さんでございますので、林野庁としてはこれらの管理医に振動障害の診療、治療についての理解を得られるよう努めておったわけでございますが、現地における振動障害の早期発見、早期治療に、この管理医を中心といたしまして努めてきたわけでございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、あなたの方としては何をこの裁判の中で——損害賠償の裁判ですね。あなたの方は控訴していることはまた後で聞きますが、あなたの方としては原告側の言い分に対してどういう点で争ったのですか。その争ったことについて、林野庁の意見が入れられたのか、あるいは法務省の訟務局が中心となってやったのか、そこら辺の連携は具体的にどういうふうにやったわけですか。
○相賀説明員 高知の地裁におきます判決の理由といたしましては幾つかの項目が挙がっておるわけでございますけれども、その主な理由といたしましては、チェーンソー導入当時、振動障害の発生が他の類似機械から予見できたにもかかわらず調査を怠ったというような点。それから、昭和三十四年から三十五年のころ、振動障害の発生が明確になったにもかかわらず、漫然と放置しておったではないか、昭和三十八年のアンケート調査以降も誠実に取り組まなかったではないか。それから、公務災害の認定に当たっては、振動障害が全身的な疾病であるにもかかわらずレイノー現象に限る傾向があり、また医者も管理医に限っていたため認定がおくれた。また、認定者にも機械を使用させたではないか、さらに増悪させたではないか。それから、振動障害が発生している以上、機械の使用を中止するか予防のため措置を講ずるか、いずれにしてもやるべきであったのに、四十四年までこれをやらなかったではないか。こういう点が主張の点でございまして、裁判所でもそれが認められて国が敗訴したという経緯でございますが、これらの理由につきましては、先ほどから御説明いたしておりますように、私どもとしてはそういうことではなかったという主張をしておりまして、その主張は認められませんので高松高裁の方に控訴をいたしている次第でございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、あなたの方としては、そこまでの判決が出ておるのにチェーンソーの使用を今後も継続していくということなんですか。チェーンソーの使用をやめることはできないの。だって、これだけ患者の方々はどんどんふえていくのじゃないですか。
○相賀説明員 チェーンソーをなぜ使用しておるかということにつきましては、先ほども申し上げましたようにいろいろな理由があって、国民経済的にも非常に重要な問題である、木を切り出すということは重要な問題でございまして、能率的にもあれだし、安全衛生の面からもチェーンソーがあれだということで使用いたしておるわけでございますが、その後、使用時間の規制等予防対策については組合とも協議いたしましてかなり進めておりますし、それから、振動の少ない機械の導入であるとか、リモコンチェーンソー等のように機械を手から放してリモコン式に使うような玉切り装置というような新しい機械の導入等を図りまして対処しておるわけでございます。あるいは振動の少ないロータリーチェーンソーを導入するとかいうようなことで、機械の改良等々も図りながら、使用時間の規制等いろいろな対策を講じながら使用しておる次第でございます。したがいまして、先ほど申し上げましたように、振動障害の認定者は現在までに約三千三百人いるわけでございますが、最近の年次では発症状況は漸次減少しておる傾向でございます。
○稲葉(誠)委員 昭和四十五年に、組合との間に時間規制の協定をし、昭和四十八年に機械改良や入院治療についての協定を結んだ、このことは事実のようですが、これもあなたの方から進んで結んだわけじゃないでしょう。組合の方から非常にやかましく、これはもう病気の問題は人権問題だということを何回となく言われて、その中からこういうものを結ばざるを得なかったんだ。労働者の側からの引くに引けないぎりぎりの要求といいますか、それに押されて結んだ、こういうことじゃないのですか。
○阪本説明員 四十四年に時間規制を始めまして、使用する機械等につきましても、労働組合と協議をして使うというふうな形になったわけでございます。ただいま先生のお話では、労働組合からの強い突き上げがあったのではないか、かようなことでございますが、何分この振動障害自体が三十年代から四十年の初めにかけましてはまだ医学的にも非常に不分明な分野が多かったわけでございまして、振動数と使用時間等の因果関係についてもなかなかわからない、かような次第であったわけでございます。四十年にいろいろ問題が出た段階で、林野庁段階にも、振動障害の対策委員会を設けるだとか、あるいはレイノー現象対策委員会、これはお医者さん等を中心にしました助言を得る会でございますけれども、そういった研究あるいは大学等に対する委託研究といったものをいろいろ積み重ねながらやる中で、四十四年度のいろいろな対策が出てきたものでございます。また、当然組合からもそういう要求があったことは事実でございます。
○稲葉(誠)委員 これだけの判決が出て、仮執行の免脱がついてないので、一億四千万円ですかの現金を仮に支払うというか、払ってあるわけですね。そこで、あなたの方としてはこれはあくまでも、現実にこういうような病気の人が出ており、苦しんでおって、一審で非常に明確にいろいろな人を調べてやっておるのに、最後まで争うつもりなのか、そこら辺のところではあなた一存では答弁できない、こういうことなんですか。
○相賀説明員 一審の判決の内容につきましては、私どもとしては必ずしも了承できない点が多々ございますので、控訴審でその点について私どもの主張を改めて申し上げて裁判所の判断をいただきたい、かように考えておる次第でございます。
○稲葉(誠)委員 それは一々法務省の訟務局と相談しているのですか。
○相賀説明員 これは法務局の方でやるわけでございますので、当然私どもは相談をいたしてやっておるところでございます。
○稲葉(誠)委員 その問題についてはまたいずれ、係属中の事件ではありますけれども、別の機会にあれしたいと思います。 いずれにしても、こういうふうな職業病が出て、そして十分な対策を講じないで、ほったらかしておいたと言うと言い方が過ぎるかもしれませんけれども、裁判でそこまで指摘されておるようなことから見ると、林野庁側に、安全義務というか使用に対する注意義務というか、いろいろなものが足りなかったのではないか、こういうふうに考えられるのです。だからそこら辺のところは十分今後注意して、こういうふうなものがもう出ないように完全な対策を練ってもらいたい、こういうふうに思うのですが、それに対しては今後どういうふうにやっていくわけですか。
○相賀説明員 この振動障害につきましては、林野庁といたしましてもきわめて重要な問題と認識しておるわけでございます。先ほどからも申し上げておりますが、振動が直接人体に伝わらない玉切り装置、あるいは振動の少ないロータリーチェーンソーの導入、それから振動機械の使用時間の規制の徹底、それから振動機械を使わない他作業との組み合わせを進めるとともに、保温設備の整備でございますとか、特殊健康診断の実施であるとかいうような各種の予防対策を講じてきておるわけでございますが、今後もこれらの諸対策を強力に続けてまいりたいと思うわけでございます。今後とも振動障害の発生を未然に防止する必要があるわけでございまして、従前から実施しているもののほかに、先ほどもちょっと申し上げましたが、チェーンソーを遠隔操作いたしまして伐倒するリモコンチェーンソーの導入、実用化もやることになりましたし、振動機械の年間の使用時間の規制、それから振動機械を使用しない期間、いわゆる隔離期間と私ども申しておりますが、一定の期間機械を使用しない期間を置くというようなこと、あるいは振動機械使用者の年齢制限を行う、たとえば五十五歳以上の方には持っていただかないということをいたしまして、積極的にこの対策を進めてまいりまして、今後は振動障害の発生しないように最大の努力をいたしたい、かように考えております。
○稲葉(誠)委員 刑事局長にお尋ねをいたします。 昭和五十一年十月十九日告訴告発状、告訴代理人が小池弁護士以下、告発人が全林野労働組合、日本労働組合総評議会、林政民主化中央共闘会議というので、検事総長布施健さんに告訴告発が出ているわけですね。これについて、結論はまた後で聞くことといたしまして、捜査の経過はどういうことでございましたでしょうか、少しく詳細にお述べ願いたい、こういうふうに思います。
○伊藤(榮)政府委員 御指摘の事件は、昭和五十一年十月十九日、最高検に対しまして告訴告発がございました。被告訴告発人が合計四十六名でございます。元林野庁長官、当時の林野庁長官、それから元東京営林局長外の方々であります。告訴人はただいま仰せになりました団体を代表する個人の方々であります。 この事件につきましては、受理いたしました五十一年十月十九日、東京地検に移送になりまして、以来東京地検で捜査をいたしました。これと前後いたしまして、全国でほかに十四の地方検察庁におきまして、それぞれ営林局長あるいは営林署長等を被告訴告発人とする告訴告発がなされましたので、それらにつきまして東京地検を中心としまして全国一斉に捜査をいたしまして、たしか全部で参考人の数にして四、五百名調べますとともに、いろんな文献等も精査し、かつ諸外国の状況等も調査をいたしまして、そして最終的にことしになってから処分をした、こういうことでございます。
○稲葉(誠)委員 その処分というのは結論としてはどういう処分なわけですか。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど申し上げましたすべての庁の受理事件につきまして、本年三月二十日、すべて同日でございますが、告訴告発に係る傷害罪について成立が認められない、それからまた事案にかんがみ業務上過失傷害罪の成否についても検討いたしましたが、これにつきましても犯罪の成立が認められないということで、いずれも嫌疑なしということで不起訴処分に付しております。
○稲葉(誠)委員 それは、たとえば現場の検証などもやっておるんでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 現場検証もある程度やっておるようでございます。
○稲葉(誠)委員 そのある程度というのはどの程度ですか、ほとんどやってないんじゃないの。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど申し上げました総論的な部分の捜査を担当しました東京地検においてやっておるそうでございます。
○稲葉(誠)委員 東京地検でやっておるとなると、東京地検——東京にそんな山なんかないんじゃないの。
○伊藤(榮)政府委員 前橋の営林局管内でやったということでございます。
○稲葉(誠)委員 いや、前橋の営林局管内というのは前橋の地検でやった。前橋地検へも告訴しているわけですからね。あそこに沼田の営林署があるから前橋地検でやったんじゃないの。東京から行ってやったのですか、一カ所だけ。
○伊藤(榮)政府委員 何カ所検証をやったか、詳細を私いまデータを持ちませんが、少なくとも一カ所やっておる、それは東京地検がやっておる、こういうことであります。 東京地検が元あるいは当時の林野庁長官が被告訴人である事件を担当しまして、そして最高検の調整によりまして東京地検で総論部分を全部やる、それから先ほど申し上げた外国文献の精査とか、今度国内の文献等の精査あるいはチェーンソーで実際に木を切る現場の実況見分、こういうものは東京地検で全部まとめてやったようでございます。
○稲葉(誠)委員 いや、その学術文献の調査などは東京地検でやるのは結構なんですけれども、東京地検に学者も多いし、法務省に学者も多いからそれはいいのですが、東京地検はどこでやっているんですか、特捜部ですか。特捜部の中はいま幾つですか。財政、金融とそれからあとどういうふうに分かれているんだっけ、特捜部はいま。
○伊藤(榮)政府委員 特捜部の分かれ方もさることながら、刑事部で捜査を担当いたしました。
○稲葉(誠)委員 普通、告訴告発は特捜部でやるんじゃないのですか。
○伊藤(榮)政府委員 刑事部に公害係というのがありまして、その所管と一番近いということで刑事部の公害係検事が中心になってやったようであります。
○稲葉(誠)委員 中心となってやったようですと言うけれども、公害係というのは何人ぐらいいるの、だれ、中心は。
○伊藤(榮)政府委員 公害係検事は一名でございます。
○稲葉(誠)委員 その当時やった検事はだれだっけ……。それはそこまで——後で調べればわかるから……。
○伊藤(榮)政府委員 具体的な氏名及び人数は定かでありませんが、公害係検事が主任検事になって、数名の検事の応援を得てやった、こういうことであります。
○稲葉(誠)委員 公害係の検事が一名しかいないというのも、これもおかしな話だと思うのですけれども、公害に対してその程度の熱意しかないのかどうかよくわかりませんけれども、それはいまここの問題じゃないから別といたしまして、何かこう、きわめておざなりに現場検証をやった程度じゃないのですか。東京の検事が前橋の営林局へ行ってやるというのも、高検の検事が行ってやるならわかるけれども、地検の検事が行ってやるというのも何だかちょっとおかしな気もするけれども、全国的にあるからそれをまとめて東京地検で総括した、こういう意味だというふうにお聞きしますけれどもね。 どの程度の現場検証をやったんだろうね。現場の作業員からも何の話も聞いていないらしいじゃないですか。ただ行って何を見たのかな、山を見たのかな、木を見たのかな、チェーンソーを見たのかな。何を現場検証したのです。
○伊藤(榮)政府委員 私も、何をやってきたのか詳細は聞いておりませんが、チェーンソーによる木を切る実験などをやったそうでございます。
○稲葉(誠)委員 チェーンソーによる木を切る実験などをやったそうでありますというのは、だれが何をやったんです。検事が自分でやってみたの、これ。余りそこまで細かく聞いちゃ悪いかもわからぬけれども、ちょっとぼくも特例法の方の関係でそっちの方があれだったものですから、これ十分にあなたの方へ細かいあれを——一般質問のときにはもっと細かくいろいろな点をお知らせしないとあなたの方で準備ができないわけで、法案のときはもうそれはおかしいので、あなたの方で準備しているのだけれども、一般質問のときにそこまで細かいことをあれする暇がなかったものですから、あなたの方も十分な答えができないのは無理もない、こう思うのですが、何か現場の作業員から何も聞かなかったらしいですよ。ただ行って機械を見て、山を見て——山を見ただけじゃないだろうけれども、現場検一証ということからいくと何を検証したのかなと思って、ちょっとよくわからぬが、その機械で木を切ってみるというのは検証じゃないでしょう。それも検証になるのかな。何をやったんだか、よく聞いてくださいよ。
○伊藤(榮)政府委員 よく聞いて御報告してもいいわけですが、私がいま聞いている範囲では、東京地検の検事が、チェーンソーによる被害が発生したと言われますその前橋営林局管内の山へ行きまして、自分で切ってみたか、だれかに切ってみてもらったのか、見せてもらったのか、そこまで報告を受けていませんけれども、チェーンソーというものはどういうもので、それで木を切るとどういうふうになるかということを実況見分した、これは実況見分だろうと思いますが、そういうことをやったそうでございます。なお個々の作業員の方とかあるいは被害者の方々、こういう方々につきましてはそれぞれの検察庁でやっておる、こういう状況でございます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、それぞれの検察庁でどの程度調べたんですかね、これ。何だか余り調べてないように、きわめておざなりにやっておって、初めからこういう告訴告発は無理だという先入観があって調べたのではないか、こういうふうに思われるのですね。 それから、どんなものを押収したのです。何か、作業員を強制的にというか、セットしてというか、順番や何かつけて作業をやらせる操作日程表というのがあるそうですね。こういうようなものも何か押収してないところが多いそうですね。
○伊藤(榮)政府委員 そういう一般的な総論部分につきましては東京地検で全部やったようでございますので、あるいは先ほど申し上げた地方の検察庁ではやっていないかもしれません。
○稲葉(誠)委員 すると、東京地検では何を押収したんですか、処理としては。
○伊藤(榮)政府委員 大変申しわけありませんが、押収品の品名まではちょっと調べておりませんので、また必要があれば調査の上御報告いたします。
○稲葉(誠)委員 必要があればじゃない。必要があるから聞いておるんで、必要がなければ聞かないんで、時間がもったいないから、あなた、よく調べてくださいよ。それから、現場検証に行ったと言うが、一体何をしに行ってどんな模様だったのか、よく聞いておいてくださいよ、また別の機会に聞きますから。これは、私の方も十分にあなたの方に連格してなかったんですから、きょうの場合はそれ以上のことを聞くのはあれだと思いますが……。 それから、参考人の出頭というか呼び出しなどはどういうふうにやったんですか。これもちょっと、まだそこまでのあれは無理かもわからぬけれども直接本人にやったのか、営林署を通じてやったのか。
○伊藤(榮)政府委員 大変申しわけありません。不勉強で把握しておりませんので、調査をいたしまして、後日御報告いたします。
○稲葉(誠)委員 別にそれは不勉強じゃないんです。こっちがそこまで細かい通告をしていないので、それはこっちが悪いんだからね。その点はこっちはフェアですよ。法案のときは違いますよ。 林野庁、これはどうしたんだ。これはどうやって呼び出したの。それも不勉強か。
○相賀説明員 実情につきましては十分把握いたしておりません。
○稲葉(誠)委員 実情について把握してないったって、あなたの方が告発されたんじゃないの。あなたの方が告発されたんだから、実情——これは、どこがあなたの方の所管なの。告発されたので、別にあなたの方としてはノータッチだったのかな。 何か業務命令で出頭させたりしたようなところがあるんじゃないですか。呼び出しが来るでしょう。そうすると、業務命令で出頭させているところもある。宮崎、札幌、鳥取などはそうだというのですが、そんなことをさせているの。
○相賀説明員 職員の場合は、旅行命令を出して出頭さしております。
○稲葉(誠)委員 旅行命令……
○相賀説明員 公務出張といたしまして、そういう意味でございます。
○稲葉(誠)委員 何か、捜査の中で、告訴告発人からいろいろな上申書が出されておると思うんですよ。それらについても、何か十分な調べをしてないのじゃないですか。どうも、何か余りよく調べないで、もう先入観を持って、こういうような告訴告発は無理だ、あるいは政治的な意図に基づいてやっているのじゃないかという形で、十分な調べをしないのじゃないかというふうに思われるんです。地検が忙しいのはよくわかりますけれども、どうもそういう感じがするのです。 この捜査の過程の問題については、改めて私の方から項目を細かく書いてあなたの方に出して、それに基づいて答弁をしてもらうようにしましょう、きょうはここでそれを求めるのは無理ですから。きょうはこの問題については第一回の質問ということにしておいて、第二回にまた林野庁にも来ていただいて、そこで質問をしたい、こういうふうに考えております。
○鴨田委員長 次回は、明後十二日金曜日午前九時四十分理事会、十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後二時四十四分散会