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84回国会衆議院1978/02/21

法務委員会 第5号

発言数
181
登壇者
11
会派数
2
開催日
1978/02/21

会議録

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 これより会議を開きます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所牧事務総長、大西総務局長、勝見人事局長、井口民事局長、岡垣刑事局長及び原田家庭局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ――――◇―――――

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 内閣提出、裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、これを許します。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 裁判所職員定員法についての審議に入るわけですが、現在最高裁判所は、裁判官が十五人、その他調査官なりそれから書記官なりいろいろおられると思うのですが、現在は全部で何人くらいいて、その内訳はどういうふうになっておるわけですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ただいまの稲葉委員の御質問、最高裁判所のということでございましょうか。(稲葉(誠)委員「はい」と呼ぶ)といたしますと、現在、最高裁判所事務総局におります職員が一千五十名ばかりおりまして、そのほかに秘書官、調査官、裁判所書記官といったようなものがそれ以外におる、こういうことになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 だから、全部で何人ぐらいいるのかということなんです。その内訳はわかりますか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 それでは申し上げます。  昭和五十二年度におきます裁判官以外の裁判所職員でございますが、最高裁判所が千百三十二名、それから高裁が千三百五十名、それから地方裁判所が八千二百七十五名、簡易裁判所が四千四百六十五名、家庭裁判所か五千八十名。裁判官以外の裁判所職員の機構別の予算定員は以上でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 私の言うのは、最高裁判所だけに限って聞くと裁判官が十五名でしょう。それから、調査官が何名いるとか秘書官が何名いるとか書記官が何名いるとか、そういうことを聞いているわけなんですよ。それがどういうふうにふえてきているのか、あるいは減ってきているのかわかりませんけれども、それを聞きたいわけなんです。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 最高裁判所の裁判官以外の職員の予算定員の推移ということで申し上げますが、便宜昭和四十年と五十二年とで申し上げますと、行(一)職員が四十年が八百三十三名、五十二年が八百三十四名、行(二)職員が四十年が二百九名で五十二年が二百四名、医療俸給表の職員が四十年が六名で五十二年が十一名。合計いたしますと、昭和四十年が千四十八名、五十二年が千四十九名でございます。  なお、そのほかに秘書官が十五名、調査官が二十名、書記官が四十八名、これは四十年も五十二年も全く同数でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そこで、最高裁の事務総局にいる裁判官、これは私の方の連絡がちょっと不十分であったのであれですけれども、十五名の最高裁判所の裁判官は別ですが、そうでない、判事の資格を持っておる人が最高裁判所には全部で何人ぐらいおられるわけですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 いまの稲葉委員の御質問はいわゆる充て判の御質問であろうかと存じますが、最高裁判所事務総局におります裁判官資格を有する職員が合計四十四名でございます。なお、そのほかに裁判所調査官が二十八名、三研修所に三十四名の裁判官がいる、かようになっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、最高裁判所で判事の資格を持っていて裁判に当たらない人――調査官は別だと思うのですが、相当おられるわけですが、それが判事でなければならない理由ですね。たとえば、総務局長はなぜ判事でなければならないのか、人事局長はなぜ判事でなければならないのか。民事局長、刑事局長はわかりますよ。それから、経理局長がどうして判事でなければならないのか。まだいっぱいいますね、給与課長とか任用課長とか。ああいう人たちはどうして判事でなければならないのか、そこら辺がよくわからないのですね。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ただいまの点は当委員会におきましてもたびたび御質疑がございまして、その都度お答え申し上げる点でございますが、稲葉委員重々御承知のように、最高裁判所の司法行政事務は裁判官会議がつかさどるわけでございますが、事務総局はそれを補佐する立場にあるわけでございます。その事務総局が裁判官会議を補佐しております司法行政事務の中には、たとえば裁判官の人事あるいは裁判所の規則の立案、あるいは施設等を含む裁判に必要なもろもろの経費を財政当局にお願いしていろいろな折衝をするといったような、裁判事務に非常に密接に関係する仕事がたくさんあるわけでございます。それらのうちで、裁判所といたしましては、どうしても裁判官の経験のある者がやるのが適切で、かつ司法行政を円滑に遂行することができると考えましたポストについて裁判官をもって充てておるわけでございます。  ただ、私どもといたしましては、裁判官不足ということが言われています折から、それらの人数をしぼりまして、できるだけ多くの裁判官が現場で現実に裁判ができるようにいたしたいということで、これはかねがねそういうように考えております。これも御承知と思いますが、かつて裁判官をもって充てておりましたポストでも、裁判官以外の一般職の裁判所職員で賄い得る限りにおきましては、だんだんそういう職員をもって充てるというふうな施策も考えておるところでございまして、できるだけ裁判官を事務総局等司法行政事務に使わない、そういう観点での施策は常々考えておるところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 きょうは経理局長は来てないわけですけれども、経理局長がなぜ判事でなければならぬのか、またよくわからないのです。何も経理をやるために裁判官になったわけじゃないのでしょう。それなら公認会計士になった方が早いので、どうして経理局長が裁判官でなければならないのですか。  それから経理局の下に何かいろいろな課長がいますね。そういうのも判事が大分いるわけですか、どういうふうになっているのですか。     〔委員長退席、保岡委員長代理着席〕

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 経理局には経理局長とそれから総務課長、主計課長の三名が裁判官をもって充てられております。経理局にはそれ以外にも相当数の課長のポストがございますが、それ以外は全部裁判官以外の裁判所職員をもって充てられているわけでございます。  ただいま仰せの、経理局長それから総務課長、主計課長といったようなものがなぜ裁判官でなければいけないかということでございますが、これは先ほどもちょっと申し上げましたように主として大蔵省との予算折衝をいたすわけでございますが、その際におきまして、何と申しますか、実際の裁判所の施設を使うものはやはり裁判に使うわけでございますから、それから裁判所で要求しておる予算、その金自体はやはり主として裁判に使う予算でございますから、全部が全部というわけではございませんが、経理局の重要なポストには裁判の経験のある者がその経験に即して大蔵省と意見の交換をするというようなことをいたしませんことには十分にその実を上げることができない、こういう観点から、過去数十年にわたりまして三人のポストについては裁判官をもって充てている、こういうことになっておる次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 まあ話を聞いてみますとわかったようなわからないようなことですけれども、それでは経理局長、主計課長などの場合は裁判官がそういう公認会計士みたいな勉強をずっとしておられるわけですか。研修所でそういう科目があるのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 個人的にそういう勉強をしたことがあるかどうかは私存じませんが、経理局長、総務課長、主計課長等になるについてそういう勉強を組織的にしたということは聞いてはおりません。ただ、私の御説明が悪いかもしれませんが、局長、総務課長、主計課長等がそういう仕事をしておるわけではございませんで、たとえば公認会計士的な仕事があるといたしましたら、それはそれ以外の職員が現実にはやっておるところでございまして、そういうものを総括する仕事を局長、課長等はやっておる、こういうふうに御理解いただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 私は、そこまで判事がやらなければならないのかというのはちょっと理解できないのです。  それから、経理局長のいたところの裁判所は非常にりっぱなのができるけれども、そうでないところは余りりっぱなものができないんだという説が大分あちこち流れているのですね。たとえば一つの例は前橋。前橋の裁判所へ行くと非常にりっぱな四階建てで、エレベーターで、すっごい裁判所ですね。それから比べると、ぼくのところの宇都宮なんかひどいです、これは。やはりあの前橋は、経理局長はあそこで何か所長をやっていたのですか。岩野さんもやっていましたね。それからまただれかやっていましたね、それは答えは要らないですけれども。だからそういう説が流れてくるんで、それはあれで構いませんけれども……。  そこで、私が大阪で試補をやっていたときに、ちょっと民事の陪席をやっておられた浦辺衛さんという方がおられますね。これは裁判官をやめられましたが、体が悪くてやめられたのか、ずっと検事をやっておられた。私はお顔を拝見したことがないのでよくわかりませんか、「ある裁判官の回想記」という書物がここにあるのですが、それを見ますと、いろんなことが書いてありまして、たとえば六十三ページのところに、戦後の特別な時期かもわかりませんけれども、昭和二十三年三月に「最高裁判所刑事部の事務官に任命された」と書いてあるんですね。「当時最高裁の事務局に勤務する者は、裁判官の資格があっても、高い報酬をもらう裁判官にはならずに裁判所事務官に任命されたのである。実際に裁判をする者のみが高い裁判官の報酬を受けるべきであるとの建前から、事務局勤務の裁判官が率先してそのような待遇に甘んじたもので、最高裁判所も当時はいわば創業の理想に燃えていたのであった。」こう書いてあるのですが、これは、いまの判事が最高裁の事務局に行ったらば事務官になっちゃって給料が減っちゃったということが仮にあったとしたら大変なことですから、そういうふうなことを奨励するわけではないのですが、これは実際にはどういうことなんですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 裁判官の任用、給与制度に関連することでございますので、私から答えさせていただきたいと存じます。  沿革を申し上げますと、司法行政は戦前にもあったわけでございまして、裁判所法施行以前におきましては、司法省でやはり司法行政をやっておったわけでございます。その当時から司法省の枢要なポストにはいわゆる有資格者が当たっておったわけでございますが、当時司法事務官という地位で司法行政をやっていたものでございます。  給与面から見ますと、当時は高等官官等俸給令、それから官吏俸給令によりまして、判事でありましても、それから司法事務官でありましても、異なるところはなかったわけであります。戦後の改革によりまして、裁判所がみずから司法行政を行うようになったわけでありますが、御承知のとおり、裁判官の給与体系とそれ以外の裁判所職員の給与体系というものが全く違ったものになったわけでございます。したがいまして、しばらくの間でございましたけれども、司法行政に携わる者は、裁判所事務官に転官した上で携わっておったということでございまして、その際の給与は、ただいま浦辺元判事が書かれておりますように、多少給与額が下回って、裁判所事務官として司法行政の面に当たっておったわけであります。しかし、先ほど総務局長からお答え申し上げましたように、司法行政にはどうしてもいわゆる有資格者をもって充てることが適当であるということでありましたが、給与が減額となることでありますと、やはり任用の面でも問題になりますので、昭和二十四年の最高裁判所規則第九号、司法行政上の職務に関する規則というものを制定いたしまして、最高裁判所の指定するポストにつきましては裁判官がその身分を保有したまま司法行政に関与することができることとされたわけでございます。なおこの規則は、現在も一部改正はされておりますが、現在に至っているわけでございます。したがいまして、いま御説明申し上げますように、浦辺元判事が最高裁の刑事局にお入りになったころは、いわゆる制度の手当てがなくて、やむを得ず裁判所事務官という辞令をもらって仕事をしていただいていた、いわば過渡期における現象だというふうに御理解いただきたいと存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 これは私も過渡期の現象だというふうに思うわけですが、しかし、これはいまでも教育界では現実にあるのですよ。たとえば各県において、市の小学校や中学にいる人が国立大学の付属の中学や小学校の教員になりますと、給料が現実に減るのですよ。そういうふうなことがあるわけですが、それはそれであれとしまして、そうすると、それは規則でやったというのはどういうわけですか。なぜ法律でやらなかったのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 事務総局のポストは、御承知のように一つの職でございまして、何とか局長、何課長というのは職でございまして、裁判官という官から職に充てるという関係で、これは規則で持たれるという考え方で規則で行われているわけでございます。御承知とは存じますが、調査官、研修所教官等につきまして、これは官から官へということになっておりますので、裁判所法の附則で法律上の手当てをしておる、こういう関係に相なっているわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いまの規則と法律との関係ですが、これは私の理解するところでは、当然法律の方が優先するというふうにいま理解しているわけですが、やはり浦辺さんが書いた「刑事訴訟規則の立案に関与した話」というのがあるのですが、そのときに、これは恐らく非常に訴訟規則の立案を急いでやられたのだと思うのですが、私の知っている方もここに出てきますが、柏木判事が、後から名古屋大学に行かれて、いまやめられておりますが、私の試補のときの指導官ですが、それから栗本さんなんか出ておられますが、岸部長が、最高裁のいまの岸さんですね、「全般的な総括調整という分担であった。」こういうことを言われて、そのときに「規則と法律の効力について問題があり、学者方面では法律優先説が強かったが、岸部長は規則と法律とは効力において優劣がなく、新法が旧法を破るという説であった。」と、こういうふうに言われておるのです。いま最高裁にいる岸さんでしょう。これはどういうことを言っておられるわけですか。規則と法律とは効力の優劣がなくて新法が旧法を破るという説であったという、これはどうなんですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 いま御指摘の浦辺元判事の本に書いてありますところでは、岸部長、当時の刑事部長でございますが、何か同位説を述べられたかのように書いてございます。同位と申しますか、優劣がないという、そういうふうな考え方を述べられたように書いてございますが、私どもとしては現実に岸さんがどういうお考えかは存じませんし、御承知のように法律と規則の関係につきましてはいろんな考え方がございます。最高裁判所の判例でも、どの考え方というふうにはっきり打ち出した判例は恐らくないのではないかというふうに考えております。ただ、私どもといたしましては、規則をつくります場合に、法律に違反したっていいのだという考え方でつくっているわけではございませんで、一応法律の範囲内で規則をつくっておる、それがいままでの規則をつくる際の私どもの考え方でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、法律と規則との間にどっちが優劣するかということの確定した考え方というか、確立した考え方がないのですか。当然法律優先説だというふうにぼくらも思っていたのですが、そうではないのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 いま稲葉委員御指摘のように、学説上は法律優位説が通説ということになっておりまして、最高裁判所といたしましても、事務総局ではやはりそういう考え方があったからこそ規則を法律に抵触しない範囲でつくる、そういうことで進んできておる、こういうふうに御理解いただいたらよろしいと存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、後に書いてある規則の三十三条三項の規定、「同条項によると、「決定又は命令をするについて事実の取調をする場合において必要があるときは、法及びこの規則の規定により、証人を尋問し、又は鑑定を命ずることができる」と規定している。この規定は、刑訴法四三条三項の「決定又は命令をするについて必要がある場合には、事実の取調をすることができる」という規定を明らかにはみ出しているからである。」こういうふうに浦辺さんは言っておられますね。これはどういうのですか。これは間違いですか、あるいは間違いでないのですか。あるいは間違っているとすればどういうふうにするのか。どっちが間違っているのか。規則を直すのかどうするのか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘の点でございますが、刑事訴訟法四十三条の三項では「決定又は命令をするについて必要がある場合には、事実の取調をすることができる。」それから規則の三十三条の三項では「決定又は命令をするについて事実の取調をする場合において」、ここまで法律と同じでございますが、「事実の取調をする場合において必要があるときは、法及びこの規則の規定により、証人を尋問し、又は鑑定を命ずることができる。」と書いてあるわけでございまして、事実の取り調べをするときに証人を尋問し、または鑑定を命ずることができるのかできないのかということは、刑事訴訟法四十三条三項の解釈にかかわることであろうと存じます。この浦辺判事の書物を読みます限りにおきましては、浦辺判事は四十三条で「事実の取調をすることができる。」と書いてある条文の中に証人尋問等はできないというふうにあるいはお読みになっておるのではないかというふうに思われます。そういう説がそこにある以上はあるということになると存じますが、この「事実の取調をすることができる。」という条文から果たしてそういうふうに読むことができるかどうか、これは一つの問題でございまして、読むことができないという立場に立てば、法律と規則の間には何らの抵触はないというふうに考えられるであろうと存じます。この四十三条の三項の解釈につきまして、そういう解釈ができるかできないかは非常に問題であろうかというふうに私どもは存じております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 実際の実務ではどういうふうに行われているのですか。

岡垣勲最高裁判所事務総局刑事局長

○岡垣最高裁判所長官代理者 刑事訴訟規則に関することでございますので私からお答え申し上げます。  実際の場合、その規則に書いてあるとおりに証人調べをしたりすることになる場合もあるわけでございます。それは任意で調べられる場合、これはもちろん問題ないわけでございますが、問題は強制の取り調べかできるかどうかという問題にかかってくる場合でございまして、そういう場合もございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 刑事訴訟規則の立案の場合は、前もってというか、どういう形で立案するのですか。それは法務省なり日弁連なりと十分協議をしてやるのですか、あるいは規則だからというので最高裁でつくって、それでただ送付するだけだ、こういうことですか。この前私どものところへも刑事訴訟規則の改正か何かのあれが回ってきたのを記憶しておるのですが、どういうふうにしてつくるわけですか。

岡垣勲最高裁判所事務総局刑事局長

○岡垣最高裁判所長官代理者 では刑事訴訟規則のことに関連してお答え申し上げますが、規則をつくる必要があるというふうに考えましたときには事務局の方で一応案をつくりまして、それから刑事訴訟規則制定諮問委員会というのがございますが、その諮問委員会にお諮りする。諮問委員会にはもちろん弁護士会側からも委員が出ておられる。そこで十分討議をしていただいた上で、その結果を考えて裁判官会議でお決めになる、こういう手順になるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そこで定員法の質問にだんだん入っていくわけですが、一つは、会社更正法に基づく会社の整理、これはいまたとえば東京とか大阪には独立の部があると思うのですが、実際にはどういうふうにして行われておるのですか。実は東京の場合、私どもの聞いた範囲では、何か非常に事件が多くて会社更生のを出してもなかなか進まないんだということが従業員側からよく言われるのです。聞いてみると、何かそうでもないようなことがあるらしいのですが、現状はこれはどういうふうになっておるわけですか。

井口牧郎最高裁判所事務総局民事局長

○井口最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  東京地方裁判所で会社更生事件の申し立て後に処理が渋滞しているということは、私どもの調べた範囲ではないと思います。  多少お尋ねの趣旨と外れるかもわかりませんけれども、ただ、こういうことがあるのではないかと思います。最近では、実は会社更生事件は、不況にもかかわらず四十九年以後ほぼ横ばいという状況でございます。ところが、それに反しまして破産、和議等が急増しております。これは要しますに会社更生法の適用すら受けられないほどひどい倒産をしたという案件がふえているのではないか。しかし、その倒産会社といたしましてはなるべくそれに適切な手続で処理をしていってもらいたいという願望を持っておるわけでございまして、東京地方裁判所のこの事件を専門に扱います部の窓口には始終いわば会社からの相談が参っておるようでございます。したがいまして、たとえばこの事件は会社更生では無理だ、あるいは商法によります会社整理の手続の方がいいのではないかといったようなことであれこれ折衝と申しますか意見の交換などがなされて、結局、あるいは申し立てがなされない、あるいは整理の申し立てがなされる、あるいは破産にいってしまう、そういうようなことで必ずしもスムーズに事件が進行していないものがあるやに承知しております。これは別段裁判所の事件の処理がどうという問題でございませんで、その倒産の案件がどういう程度であるかということによってかなり解決の糸口を見出すのに困難を来しておる、さようなことではないかと私は理解いたしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 会社の更生でも整理でも、裁判官がそういう企業の実態に触れて計画を立てるのは大変な労力だ、こう思うのです。     〔保岡委員長代理退席、委員長着席〕 ここら辺のところは相当専門的に裁判官が勉強しているというと語弊がありますが、やっているわけなんですか、あるいは若い判事補か何かにやらせるという形を現実にはとっているわけですか。東京、大阪の場合には部が独立して、民事九部ですか、独立してやっているわけですね。そこら辺のところはどういうふうになっているのですか。

井口牧郎最高裁判所事務総局民事局長

○井口最高裁判所長官代理者 お尋ねのとおり、現在専門の部のございますのは東京地方裁判所と大阪地方裁判所だけでございます。私ども、いまお尋ねのような御懸念といいますか、むしろ似たような懸念は実は絶えず持っておるわけでございまして、いかにして今日的な会社更生事件の処理が適正に行われるかという点について全国の裁判所に御尽力いただいているわけでございますけれども、その方策といたしましては、東京、大阪あたりでの事件処理のいわばノーハウと申しますか、そういった文字に書きあらわしにくいようないろいろな苦労があるわけでございまして、そういった情報を御参考に全国にお流しするというようなことも必要ではないかと思いまして、ある種の資料などをすでにお配りしたものもございますし、現に作成中のものもございます。東京、大阪では別段専門的に勉強をするという機会があるわけではございませんけれども、事件の処理を通じまして管財人等と意見を交換し、あるいはその関係会社の担当者と事件の処理についていろいろ意見を交換する場が絶えずございます。そういった機会を通じまして徐々に知識、経験を得てまいっておる、こういう実情でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 東京では何人ぐらいがいまそれに従事されているわけですか。今度は二人ふやすわけですね。その二人ふやすというのはどこへどういうふうにして配転するわけですか。

井口牧郎最高裁判所事務総局民事局長

○井口最高裁判所長官代理者 現在東京地方裁判所では、たしか裁判官が裁判長以下五名でこれに当たっておると思います。今度本委員会で御審議をいただきます裁判官の配置につきましては、なお今後の事件の増減等を考えまして今後検討いたします問題でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それから、これに「差止訴訟事件の適正迅速な処理を図るため」、こうありますが、この差しとめ訴訟というのは具体的にはどういうのを言うわけですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 差しとめ訴訟と申しますのは、たとえば公害等の原因となるような行為が起きて後に損害賠償を起こすというような場合は、この法案でも出てきております特殊損害賠償事件ということでございます。そういうふうな事件をあらかじめ差しとめることを求める訴訟、これが差しとめ訴訟ということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、具体的にはどういうような主文になって、どういう効力があるわけですか。

井口牧郎最高裁判所事務総局民事局長

○井口最高裁判所長官代理者 お答え申し上げます。  現在、差しとめ訴訟事件は非常に多数係属しておりますけれども、裁判がなされた目ぼしい事件としては、稲葉委員御承知のように大阪空港の事件が現在最高裁に係属しておりますが、午後何時から何時まで飛行してはならない、そういう形になるのが一つございます。あるいは、たとえば発電所の建設差しとめということになりますれば、今後現在建てようとする発電所の建設をしてはならないというような形になるものもございます。その事案に応じていろいろな主文が出てまいろうかと思います。これは請求が認容された場合のことでございますけれども……。  以上でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 ただ、してはならないというだけで、それだけの効力しかないわけですか。現実にしてしまったら、それはどうなるのですか。

井口牧郎最高裁判所事務総局民事局長

○井口最高裁判所長官代理者 いささか釈迦に説法ということになりますけれども、この主文をどうやって強制執行するかという大変技術的な問題がございます。それとの絡みで、どういう請求の趣旨であり、どういう判決主文を出せば強制執行に親しむかというふうに逆に問題がございますわけで、これがまさに一つの議論として現在各事件でいろいろ検討されておるところでございます。したがいまして、現に空港の差しとめ事件は強制執行まで至りませんでしたけれども、あれを仮に強制執行しなければならない事態になったらどうなるかという問題はまた別途あるわけでございますが、これはたまたま係属中の事件でございますので、それ以上のことは差し控えたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 命令は出るけれども、その執行が具体的に一体どうやって行われるのか。もしそれに違反した場合どういう効力があるかとか、いろいろな非常にむずかしい問題が出てくるのじゃないかと思うのですが、東京とか大阪は別として、地方の、ことに支部のような場合には、若い未特例判事補にそれをやらせておるところがあるのではないですか。あるいは断行の仮処分、日照権のあれに基づいて建築してはならないというふうな断行の仮処分などを若い判事補にやらせる。近ごろいろいろな形の仮処分の申請が出てきて、ことに断行的なものがふえてきている。この前判事補の人に偶然会って話をしたのですが、名前は申し上げませんが、非常に困っているんですね。断行の仮処分だから非常に影響が大きい。自分でどうやっていいかわからないので、あっちの本もひっくり返し、こっちの本もひっくり返し、それだけ勉強しなければならないけれども、実は困るのだという話をされておったのです。そこで最高裁としては、率直な話、未特例の判事補にどういうような仕事を現実にやらせておるわけですか。最高裁がやらせているわけではないけれども、どういう仕事をやらせているわけですか。特に刑事の陪席や民事の陪席になるのはわかりますけれども、そのほか仮処分なんか単独でやらせておるのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 裁判事務の分配のことでございますから、本来は各裁判所、本来と申しますか当然のことでございますが、各裁判所でそれぞれ裁判官会議におきまして事務分配として定めておるわけでございます。それが一般的にどういうふうになっておるかということについて私ども承知している限りで申し上げますと、たとえば保全処分事件につきましても、簡単な仮差し押さえ事件というようなものについては、いわゆる未特例判事補が単独でやっておるという事例もあろうかと存じますが、仮処分、特に断行の仮処分といったようなものにつきましては職権特例以上の裁判官がやるとか、あるいは合議体でやるとかいうふうな取り扱いが一般ではなかろうかというふうに存じております。なお、たとえば家庭裁判所の事件につきましても、少年事件等は三年未満の人にはできるだけやらせないとか、そういうふうに複雑困難な事件につきましてはできるだけ若い判事補の方々に単独でやらせるような事務分配はしないという方向で、各裁判所は事務分配を行っておられるものと私どもは承知しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 一般的にはそうなんですが、ことに支部の場合にそういう場合が起きてくるようですね。最高裁としては未特例判事補を五年の間、率直な話、余り仕事がないというので、何か仕事をさせるようにしようじゃないかという話があるように聞いておるのです。刑事や民事の陪席だけではどうも時間が余ってしようがないから、何かほかの仕事をできるだけ未特例の判事補にさせたいというようなことですが、そういうふうな考え方でもあるのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 確かに最近新任の判事補の採用の数もかなりふえておりまして、そういう意味では一時に比べまして未特例判事補の事務量と申しますか、事件との関係では事務量が減っているというふうに言えるであろうかと思います。ただ、そうは申しましても、私どもといたしましては、合議体の陪席以外に、先ほども申しましたような簡単な事件についてはやるということで事務分配が行われていると承知しておりまして、それ以外に仮に何かやるといたしましても、それは合議体の一員としてできるだけやる。本来の訴訟事件でないものにつきましても、そういうことでやられておると思います。仮処分事件につきましても、たとえば実際の新人でございますね、たまたま職権特例以上の判事がいない場合に、新人が単独でやるという場合もあるいはあるかもしれませんが、最終的な判断をやります場合には、できるだけそういう経験の少ない判事補が最終的な判断を行うことがないような形で実務の運用が行われておると承知しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 私の聞いた範囲では、非常に困っちゃって、本をひっくり返してもなかなかわからぬからということで、所長のところに聞きに行ったり何かしているらしいですね。そういうのは裁判の独立というのを害さないのですか。それはどうなんですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 その点はいま私どもでも実務をやります場合同じでございますが、わからないことか多くて、たくさん本をひっくり返したり判例を見たりするわけでございますが、それの一つの手段と申しますか、たとえが所長に何かを聞くといたしましても、それは本を読むのと同じことではなかろうかと考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 訴訟指揮ということで、いろいろ問題があるわけですけれども、それについて若干お聞きをするわけです。  変なことを聞くのですけれども、まず一番問題になってくるのは、たとえば現実の問題として、証人尋問のときに証人は起立して宣誓しなければいけませんね。そのときに傍聴人も立て、検察官も弁護人も立て、それから民事の場合でも両当事者も立てと言う人もいるし、そうじゃなくて証人だけ立てばいいんだという人もいる。これは一体どっちが正しいのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 稲葉委員十分御承知のとおり訴訟指揮権は裁判長の専権でございまして、いまおっしゃいましたような事例につきましてどれが正しいかということは、ちょっと私も申し上げかねるところでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 では刑事局長に聞くのですけれども、条文では証人が起立して宣誓しろと書いてあるだけでしょう。ほかの者は立てと書いてないんでしょう。そこら辺のところで、立つ立たないでいつもごたごたしているのですよ、傍聴人は立て立たないということで。条文では立つ必要がないんだと書いてあるということで。それは、私の聞いた範囲では、何か刑訴のあれのときに、たとえば横川敏雄さん、あの人のときは、証人だけ立てばいいというふうに条文に書いてあるんだから証人だけ立てばいいんだ、ほかの人は立たなくてもいいんだと言うし、どっちが正しいのですかな。

岡垣勲最高裁判所事務総局刑事局長

○岡垣最高裁判所長官代理者 証人宣誓の場合、起立して宣誓しろということは、だれがということは書いてありませんで、宣誓は起立してこれを行うべしという形になっております。そこで、その条文自体から見ますと、そうすると全員起立しなくてはいけないのか、あるいは当の本人だけ起立すればいいのか、そのどちらにも解釈する余地がございます。従来どうしておったかと申しますと、それは旧法時代からずっと民事も刑事も両方とも法廷の全員が立っておったわけでございます。ところが、戦後いろいろ諸外国の実情などを視察いたしますと、たとえば欧米なんかの国ですと宣誓する場合に証人だけがバイブルを持って宣誓しているというふうなことで、必ずしも全員が立つということばかりではないなということがわかったことが一つあります。  それで一体どれがいいのか、どう解釈したらいいのかということを改めて考え直してみると、ちょうどその後ぐらいに、今度はいわゆる学生事件というのが起きました。あれでは、今度は何でも反対ですから、裁判所が立てと言えば座りますし、座っていろと言うと立つわけです。それで実際訴訟を指揮します裁判官としまして、従来みんな立っているから立てと言いますと座る、そうすると法廷で立てと言うのに座っているのをそのままに置いておいては法廷の尊厳といいますか威厳が保てませんから、では出ていけというふうなことになったり、強制するようなことになります。そうするとごたごたするわけですね。そうするとその日の審理がとまってしまったり、いろいろなことになります。そうなると、これは解釈としてどちらでもとれるということであるならば、無理してこんなことをして訴訟をとめるよりは、では座ったままやろうかというふうな考え方も出るわけでございます。学生事件でそうやればほかの事件ではそういうことをするわけにいかない、ですから全部の事件についてもう立たないでやる、そういう一つの行き方もできてくるわけでございます。ですからルートとしてはもともと解釈として両方あったので、よくよく考えてみれば、立たないでもいいじゃないかという解釈から、立たせない人もいる。それから自分の体験から、これはごたごたするからやめておこう、両方できるのならというような多少の経緯を経てやらない人もある。いや、そんなことを言ったってだめなんで、昔からそういう解釈ではないから全部立たせるんだ、立たないやつは出しちゃうという形でおやりになる方もある。いろいろな形があるわけでございます。それが結局法律の解釈であり、また訴訟指揮の、裁判のやり方の問題でもありますので、刑事では現在いろいろなやり方があるのが現状でございます。  以上でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 刑事でも民事でも非常に困るんですね。立っていいものやら、立たない方がいいのやら、立ちかけたら座りなさいと言われるし、弁護人は代理に座れと言われるし、困っているのです。条文では、証人だけ立てばいいようにとれるというふうに横川さんだかだれだか言っていたように思うのですが、それはどっちでもいいですが……。  そこで、問題となりますのは、たとえば刑事の場合に裁判官がいまどのくらいの手持ちを普通持っていることになるのですか。民事の場合はどのくらいになるのですか。何かこの前聞いたら、民事の場合には三百件くらい持っていても別にどうということはないんだという話もあったんですがね。刑事は回転が早いからそんなにたくさん持つわけにいかないでしょうけれども、そこら辺はどういうふうに事務量というか、適正な件数といいますか、それを見ているわけですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 裁判官一人当たりどれだけの手持ち件数があるかということにつきましてはいろいろの考え方があるわけでございますが、一応単独事件を取り扱うことができる職権特例判事補以上ということで考えまして、それも支部等を含めますと事件の非常に少ないところもございますのでなかなか算定がしにくいので、地方裁判所の本庁について職権特例判事補以上の裁判官で事件数を考えてみますと、およそ民事につきましては二百件くらい、刑事につきましては九十件くらいというのが件数と裁判官の関係から出てくる数字でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると裁判官はそれだけのものを持っていて、特別な労働強化というか、そういうふうなものにはならない、民事の場合は寝ている事件も相当あるしということもありますから、そういうふうに考えてよろしいですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 事件の質との関係もございますので、いま申しました手持ち件数で果たして労働は過重であるかどうかということは一概に申し上げにくいと思いますが、少なくとも私の体験からいたしますれば、民事につきまして手持ち二百件というのは決してそう大変な事件ではない、そういうふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いままではたとえば、どなたの答弁だったかわかりませんが、民事の場合は三百件ぐらいが普通だ、適量だというふうな答弁があったように思うのですよ。そのうちの一割ぐらいは大体寝ている、あとは簡単な事件もあるから、こういうふうな話ではなかったですか。いま言うのは二百件ぐらいになっておるけれども、普通の裁判官は二百件以上三百件近く持っているのではないですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 民事につきましてただいま申し上げました数字は、地方裁判所本庁全体に通じて申し上げました数字でございます。これをたとえば東京とか大阪とかいう大都市の裁判所について見ますと、これも御承知のように、いわゆる特殊部というものがかなりございまして、行政事件ですとか労働事件ですとかというものは、いわゆる特殊部におきまして、主として合議体でやっておるというふうな関係もございます。そういう関係がございますために、一般の通常部へ行きます事件は、比較的、たとえば行政、労働部というところに比べますと軽い事件が行っておるという関係がございますので、件数で言いますと、恐らく二百件ではなくて、二百五十件あるいは三百件の部もあるいはあるのではなかろうかというように思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうしますと、刑事の場合、一人の裁判官につき何人ぐらいの書記官が普通必要だというふうに考えられるわけですか。開廷にもよりますけれども、一週間のうち大体二開廷ないし三開廷ですね。民事の場合でも二開廷ないし三開廷、和解や何かも入れるかもわからぬけれども。民事の場合には、一裁判官に何人ぐらいの書記官が必要だというようにお考えなわけですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 書記官の数といたしましては、およそ一開廷について一人現在員がおるというのが現状であろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いや、一開廷に一人と言ったって、一人いなければ開廷できないのだから、それはいるのでしょうけれども、そうじゃなくて、刑事の場合でも民事の場合でもそうですけれども、同じ裁判官の場合、この事件は甲書記官の事件だ、乙書記官の扱い事件だというふうに、普通みんな分けていますね。それは書記官が一判事について三人ぐらいいるのが普通ですか、あるいは二人ぐらいが普通だというふうに事務量からして考えるわけなんですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 先ほどの私の御説明がちょっと不十分でございましたのであるいは誤解をしたかもしれませんが、たとえば裁判官が週に三開廷をするといたしますと、一開廷当たり書記官が一人要るから三人ついておるという関係になっておるということを御説明申し上げたわけでございます。たとえば東京地方裁判所等で民事部に例をとってみますと、週に一回合議をやり、裁判長と右陪席があと二開廷ずつ単独をやるというふうな例が多うございます。その分についてみますと、週に五開廷ということでございますが、そういうところには五人書記官がおるというのが普通であろうかと思います。  なお、先ほど仰せになりましたのは、いわゆる係書記官制と申しまして、ある一つの単独係に二人の書記官がおるといたしますと、甲、乙の書記官にそれぞれの事件を割り振って、その事件については、特定の書記官に聞けばいろいろな進行がよくわかるということになるわけでございまして、そういう係書記官制をとっておるというのが一般でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、裁判官の数と書記官の数が大体三倍ぐらいの形で進行していって、その程度になれば、大体書記官の数としては適正だ、こういうふうに言えるわけなんですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 事件の数が関係いたしますために、ちょっとはっきりした数字を申し上げかねる面はございますけれども、事件が非常に多くて、一開廷あたりも非常に多数の事件が入っているというような場合に、大体書記官が一人ぐらいということでございますが、事件の数との関係におきましては、週に一・五開廷ぐらい立ち会っている書記官もおるわけでございまして、結局は、ある裁判体をとってみまして、その当該裁判体で何人対何人がいいかということは、必ずしも固定的に申し上げかねる面がございまして、事件との関係でございます。先ほど一開廷と言いましたのは、ちょっと事件数の少ないところでそういうことがあるということで、一・五開廷ぐらい立ち会っている書記官もおるというふうに御理解いただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 最高裁判所では、全体の高裁、地裁の判事の数、書記官の数、事務官の数、それが実際定員と現員と、現在いる者とどのくらい違いか各地裁ことにあるか――意味わかりますか。こういうことです。最高裁は、裁判所全体として、現在の定員と実際にいる者との違いなり、それから高裁管内での実際にいる裁判官なり書記官なり、各高裁管内ごとにまとめた現在いる者の数、これは資料として出すのですよ。いやいやながら出すわけだ。だけれども、各地裁ごとの、裁判官や書記官や事務官や何かに全部分けて、定員と実際にいる者の数との違いは、何か資料を要求しても、最高裁としてはそれは困ると言って出さないのじゃないですか。出さないとすれば、その理由はどこにあるのか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 地方裁判所各所別の定員、現在員というものでございますが、これは従前からも御説明申し上げているかと存じますが、必ずしも固定的なものではないわけでございます。極端に申しますれば、事件がふえればふやす、事件が減れば減らすということでございまして、それ以外に、定員を決めます場合にいろいろな要素を勘案いたしまして、非常に苦労して決めているわけでございますが、そこら辺のところの事情が、十分に説明いたしませんとあるいは誤解を起こす場合もある。それを御説明いたしますためには、具体的な人事の問題にもあるいは立ち入って聞かなければいけない場合もございまして、そういうふうないろいろなことを考慮いたしまして、細かい各所別の数字につきましてはひとつ御勘弁いただきたいということで、従前終始してきていると存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それが出ないから、各地裁別の実際の人数がどれだけ足らないかというのが出てこないわけなんですね。その各地裁別のものを出さないところに、何か非常に、裁判所でどれだけの判事が足りないのかとか書記官が足りないとかという実際の姿がわからなくなってしまっている。いまあなたの御説明を聞いても、そこに率直に言うと予算上のいろいろなからくりか何かあるのかもしれぬけれども、何かからくりがあるので、それを出すのを非常に拒んでいるというふうにも前にちょっと聞いたことがあるのですが、どうもいまの説明では何かちょっと、なぜ出せないのかよくわからないですね。それがわかってくると、はっきり現在何人ぐらい足りないのかということかわかるのですかね。何かそこにからくり――からくりと言うと語弊があるけれども、行政技術的というか、そういうふうなものがあるのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ただいま仰せのような予算上のからくりがあるわけでは決してございません。先ほど来申し上げておりますように、各所別の細かい定員と申しますのは、いろいろな要素が絡み合ってつくられておるものでございますし、そう固定的なものでもございません。したがいまして、そこら辺の説明を十分した上でないとできない。ところが、その説明をいたしますためには個別的な人事の問題にも立ち入らざるを得ないというようなところがございまして、ちょっと御勘弁いただきたいと思います。     〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それから、ことに支部の場合、乙号支部は一人ですけれども、甲号支部は三人ですね。三人の裁判官がおらないところというのは甲号でどの程度あるのですか。それからまた、沖繩の石垣かな、甲号で裁判官が一人もいないところがありましたね。そういう点はどういうふうになっていますか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 甲号支部のうちで一人も裁判官がいないというのは、いま仰せになりました沖繩の石垣支部でございます。それ以外に三名に満ちません庁が約三十庁ばかりございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 その三十庁を補充するために裁判官をふやすということは当然考えていいと思うのですが、どうしてそういうことをしないのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ただいま申しました三十庁ばかりの甲号支部の事務量でございますが、もちろん三人分はないわけでございます。たとえば石垣支部について見ますと、これは恐らく三分の一人分ぐらいの事務量しかないだろうと思います。それ以外の二人しかおらないような庁につきましても、恐らく二人分ぐらいあるかあるいは二人分以下というようなことになりまして、あとの一人分につきましては、結局事務量がそれだけないということになるわけでございます。それをあえてその三十庁ばかりに最低限三名を全部置くといたしますと、それは勢い他の本庁とか大きな甲号支部にしわ寄せがいくわけでございますし、そういう裁判官の効率的な配置という観点からいたしますと、甲号支部だからといって全部三人置くというわけにはなかなかまいらないわけでございます。  そのほかに、合議事件との関係、合議率との関係もございます。甲号支部は合議事件をやるわけでございますが、合議をやるためには三人いなければいけないわけでございますが、単独事件をやります限りでは、事務量に相当するだけの人数があればそれはそれで処理することができるわけでございます。ところが、その合議事件につきまして、本庁あたりと違いまして、田舎へ参りますほど大きな事件は少のうございますし、民事につきましてはもう本当にわずか、刑事でもかなり少ないのではないかと思います。そういたしますと、そういう合議事件が時たま行われるたびに最寄りの本庁または支部から填補するということで何とか仕事は賄っていける、そういう関係もございますので、あれやこれやで現在のところ三十庁ばかりは三人に満たない人員しか配置されていない、こういうことに相なっておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それはみんな甲号支部でしょう。そこで、その三十庁の中で一人しかいないのと、それから二人だけのところとあると思うのですね。私ども釧路地裁の網走支部を視察に行ったことがあるのですが、これはどういうふうになりましたか。それから、網走からちょっと行ったところに北見支部というのがある。あそこは甲号ですか乙号ですか、またそれはどういうふうになりましたか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 網走支部には裁判官が二人、北見支部には一人配置されているということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 北見は甲号支部でしたか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 網走支部は甲号でございまして、北見支部は乙号でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると網走の場合は相当大きなところですし、釧路から網走へ行くのもなかなか大変だと思うのですが、どうして三人を置かないわけですか。そんなに事件はないですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 網走支部はかなり大きな支部ということには相なろうかと存じますが、昭和五十一年度で事件を見ますと、民事については五十件、刑事は百件ばかりでございます。それを二人でやっておるということに相なっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、たとえば民事の場合は、甲号支部だから合議でやるということはないわけですね。控訴も本庁へいってしまうからないわけでしょうね。ただ刑事で合議事件がありますね。それはどの程度あるわけですか。填補で行くのはおおよそどの程度なんですか。     〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 先ほど申しました刑事事件約百件でございます。そのうち合議事件が何件あるか、ちょっと手元に資料がございませんが、一般的な合議率からしますと十件かその程度のことであろうと存じます。その際には北見支部から網走支部へ填補に行っておる、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それから簡易裁判所で裁判官がおらないところ、常置してないところが相当あるわけですね。そういうところがどの程度あるのかということと、それから仮処分の場合にそういうところは非常に困るわけだと思うのですが、どういうふうに処理しているわけですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所で裁判官が常駐しておりませんところが百五十庁ほどあるかと存じます。裁判官はふだん大体特定の曜日を決めまして最寄りの簡易裁判所等から填補に行っておるという例が多いだろうと存じますが、緊急な事件がありました場合には、臨時にそういうところへ参りますとか、あるいは電話等で連絡した上、またその日でなければならないというのでなく、たとえば翌日でもいいというふうな場合でありましたらそのときに行くというふうに、緊急の事件につきましてはしかるべく電話等で連絡の上で、できるだけその事件に相応した処理がとれるような体制をとっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 簡易裁判所で裁判官がいないのが百五十もあるというわけですが、そうすると調停なんかは受け付けているわけですか。裁判官がいないでやっているわけですか、あるいは裁判官が出てきた日にしか調停はやらないということになっているのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 先ほど申しましたように、最寄りの簡易裁判所等から裁判官が日を決めて参っておりますので、受け付けはふだんやっておりますけれども、その裁判官が参りました日に法廷も開くあるいは調停もやる、こういう事務処理体制をとっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、調停などはせいぜい一週間に一回あるいは二週間に一回ぐらいになってしまうのではないですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 填補の回数はその当該非常駐庁の裁判事務の量にもよることでございますが、週二回行くなら二回、週一回なら一回、調停も、その期日に開く関係上、そういう期日の間隔になろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 どうして百五十も簡易裁判所で裁判官がいないのを最高裁としては放置、と言っては言葉は悪いかもわかりませんがそのままの状態にしておくわけですか。簡易裁判所の判事の場合は法曹資格がなくてもなれるわけですから、内部的な任用でできるわけですから、もっと採用してもいいのではないんですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 簡易裁判所で百五十庁ばかり裁判官がいないということでございますが、当該裁判所の事件の数を考えてみますと、非常に少ないところが大部分でございます。〇・一人分とか〇・二人分とかいうところが大多数を占めておるわけでございます。まあ、そういうところでも国民のためには簡易裁判所があった方がいいという観点からは、そういうところにはやはり少なくとも、裁判官は常駐できませんでも、職員がおって、ふだん受け付け等やるということになるわけでございます。  そこで、その簡易裁判所判事百五十庁全部埋めるだけどんどん採用すればいいではないかということでございますが、これはこれでまた簡易裁判所判事の質との関係もございます。それで、いわゆる特任の簡裁判事を急速にふやしていいかどうかということとも関係いたしますので、なかなかそういうところまで埋めるということには現在のところいかないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 簡易裁判所で百五十庁も常駐の判事がいないところがあるわけですが、交通の発達によって管轄の区域が非常に変わってくる場合が出てくるわけですね。たとえば、その地方の甲なら甲という支部へ行くよりも、本庁へ行った方がずっと近い、ずっと近いけれども本庁では受け付けない、しようがないものですから支部へ行くと、支部へ行くためにはバスを乗り継いだりなんかして、もう一時間以上もかかっちゃう。本庁へ行くのは二十分ぐらいで行ける、こういうことが交通の変化によって非常に出てきているわけですね。そういうのがあちこちにある、こう思うのですが、管轄の区域の変更の問題について、総務局としては何か考えられないのかということが一つと、それから元来管轄というのは内部の事務の分配だから、支部へ出すものを本庁へ出してもいいわけですね、これは。ところが本庁の方じゃすぐ回付しちゃうわけです。事件が減るからかもわからぬけれども、回付しちゃうという形がよくありますが、それも関係者に連絡なしに回付しちゃう場合もあるのですが、だから交通事情の変化によって本庁の方が近い場合には本庁の方で受け付けるように指導したり、あるいは管轄区域を変更する、こういうことも十分考えられていいんだと思うのですが、その点はどういうふうになっているのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 まず、簡易裁判所の管轄区域の関係でございますが、確かに御指摘のように最近非常に交通事情等も変わってきておりますので、簡易裁判所の中にはあるいは甲簡裁へ行くよりは乙簡裁へ行った方がいいというふうな、そういう管轄区域の部分が出てきているところがあろうかと存じます。これはこれで全体として考えなければいけない問題であろうと存じます。  それから、支部と本庁への事件の受け付けの関係でございますが、これは御承知のように、本庁と支部との関係は法律上決まっておる関係ではございませんで、当該地方裁判所なら地方裁判所の事務分配の問題ということに観念上はなるわけでございます。ただ、そうは申しましても、一応支部設置規則というものによりまして、一応の管轄区域が決まっております以上は、たとえば両当事者の同意があります場合は別でございますが、そうでない場合に、みだりにと申しますか勝手にと申しますか、管轄区域の違うところへ出して、逆の当事者の立場もございますので、一応は管轄区域に従った受け付け受理をするということにならざるを得ないのではないかというふうに考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 たとえば、私どものところに日光の近くに今市というところがあるのですが、そこに簡易裁判所があるわけですね。そうすると、刑事事件やるのについても、身柄の場合は身柄が宇都宮の拘置所に入っているわけですよ。それから、検事も判事も弁護人も全部宇都宮から行くわけです。それで被告人も宇都宮から行くわけですね。それで今市へ行って窃盗やなんかのやつをやっているわけですね。終わると拘置所の人が全部また宇都宮へ帰ってくるわけですね。非常に何か困るので、そういう場合なんかを当事者、刑事事件ですから当事者の同意ということはちょっとあり得ませんけれども、本人が宇都宮の拘置所に入っていれば宇都宮の拘置所に入っているということで、そこで宇都宮の簡裁でできるということになるのじゃないですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 私、刑事が専門でございませんのでよくわかりませんが、あるいはそういう場合でございましたら、宇都宮に被疑者、当時における被疑者がいるということで、現在地ということで宇都宮へ起訴すれば、それはそれで宇都宮簡裁で処理できるという場合ではなかろうかというふうに存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そういうのがあちこちにあるのですね。だから非常に困るので、そういう点は一遍やはり再検討する必要があるのではないか、こう思うのです。  そこでもう一つの問題で、審理の促進を図るということ、これは非常にいいことなんですが、そのことを決して悪いことだということを言うつもりはございません。当然過ぎるくらい当然なことなんですが、それで、最高裁としてはどういう統計を審理に関連して各地裁からとっているわけですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 統計といたしましては、民事、刑事、家事、少年、それぞれの事件につきましてその中での一定種類の事件につきましては、それぞれの事件についての事件表というようなのをとっておりますし、それ以外に月報、一カ月当たりの審理既済、未済件数といったようなもの、それから年報というようなものをとっておりますほかに、それぞれの局におきまして、地裁の事務処理上必要な統計を若干とっておろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 その月報というのは民事も刑事も両方とるのだ、こう思うのですが、各地裁から直接最高裁へ送られてくるのですか。それで、その内容は一体何なんですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ちょっといま正確に記憶しておりませんが、その月報等につきましては、地方裁判所から高等裁判所を経由いたしまして最高裁へ来る、そういう経路になっております。  内容的には、当該庁の事件の流れでございますね。何件今月受け付け、何件既済があって何件未済として残っておるというようなことが内容でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それを毎月とる必要がどうしてあるわけですか。それは非常に弊害があるのですよ。  それから、それは各裁判官ごとにとっているのですか。それは地裁では各裁判官ごとにとっていて、そうして高裁へ報告するときには各裁判官ごとでないかもしれませんが、そこら辺のところはどういうふうに実際はなっているわけですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ただいまの月報の関係でございますが、地方裁判所を離れて高裁へ出します場合には、もちろん当該庁全体としての事件数が出ておるだけでございますから、個々の裁判官がどうという数字は出ていないわけでございます。  ただ、それぞれの地方裁判所で、資料課に統計係というのがございまして、そこで集計いたします段階におきましては、それぞれの部からやはりとりませんことには集計できませんから、そういう意味では、それぞれの部から数字を集めておると思います。ただ、その場合におきましても、特定の裁判官がその月に何件ということにつきましては、恐らく資料課においてもわからないのではないかというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 特定の裁判官が何件事件を落としたかということがわからなくて、その部で何件事件を落としたかということがわかりっこないわけですから、特定の裁判官が事件をその月にどれだけ落としたかということがわからないはずはないと思うのですよ。その資料というか統計をとっているのじゃないですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 月報の集計の段階におきましては、資料課は恐らくわからないと存じます。ただ、それぞれの庁におきまして裁判官会議で事務分配等を決めるわけでございますが、そういうものの資料として別個にそれぞれの部の事件を集めておるところはあろうかと存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 裁判所へ行きますと、率直に言うと、たとえばある裁判所、どこの裁判所か忘れましたが、裁判官よりもむしろ裁判官付の書記官の中で、民事の場合、あの裁判官は今月何件事件を落とした、こっちの裁判官がそれよりずっと少ないということで、書記官同士で何か一種の対抗意識を燃やして競争しているのですね。裁判官は、月末になってくるととにかく今月中にこの事件を落としたいといって盛んに和解を勧める、そういうような例がなきにしもあらずというのですね。そして、それを非常によく書記官同士で知っているというかやっているわけです。たくさん落とした裁判官が成績がいいということになって、それがだんだん東京の方へ近づいてくる。しかし必ずしもそうでなくて、ただ落としただけだって内容がだめならあれですけれども、そういうことで非常な競争をやっているのですよ。とにかく、今月中に何件民事で事件を落としたかということで、大変なことですわ。それで無理に和解を勧めるということが相当行われているのじゃないですか。だから、何も月に何件事件を落としたかという統計をとらなくてもいいのじゃないかと思うのですが、どうして月ごとに統計をとらなくちゃいけないのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 私どもの方でとっております統計に関して申し上げているわけでございますが、全部の事件についてとっているわけではございませんが、かなりの事件についてとっていると思います。それは年に一回統計をとりますだけではやはり年間における事件の推移も全くわからないわけでございますし、司法行政上いろいろな施策を講じるに当たりましては、少なくともどういうふうな事件の傾向があるかということは把握しなければ困るわけでございます。  先ほどおっしゃいました、書記官同士が、どれだけ落としたということで張り合っているというようなお話もございますが、これはこれで統計とは全く関係がなくて、それは隣の係が何件落としたということは書記官でもわかりますし、裁判官でもわかることでございます。ただしかし、私の理解しております限りにおきましては、その事件を落としたことが何も自慢になるとか、事件を落としたから東京に近づいてくる、これは人事局長でないとわかりませんが、そんなことでもなかろうと私は信じておる次第でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 だけれども、ある裁判官が月にこれだけ事件を落とした――落としたというのは判決もあるし和解もあるしですけれども、それは最高裁の方で個別的に、この裁判官がこうだということは何かの資料でわかるのではないですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ある裁判官がある期間にどれだけの事件を落としたということは、最高裁判所としては個別的資料によってもわかる体制にはなっていないというふうにはっきり申し上げられると思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうですかね。この前ある人に会ったら、ある裁判官の話か出たときに、この裁判官は――刑事ですがね、判決を下してから判決の原本かできるまでに非常に時間がかかる、それで余り成績がよくないのでいいところに行けないのだということを最高裁のある人が言っておられましたがね。これは、人事局長、そういうことあるのですかな。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 各裁判官の担当しております事件の処理、多くの場合は判決ということになろうかと思いますが、その点につきまして、私ども人事当局といたしまして、ある特定の判事が、先ほどからお話が出ております何件処理したか、あるいはその内容についてどうであるかというようなことをデータをとっているようなことはございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 人事局の場合は、だれがどうということは言えませんけれども、各判事のいろんな人柄から何かまで実によく知っているようですね。個人的なあれまで知っている。あれは酒飲みだとかなんとか、そんなことまで知っているようなところがある、たまたま知ったのかもしれませんけれども。余りこういうことを聞くとあれですけれども……。  審理の促進を図るということは私もいいことだと思うのです。それはいいのですが、この前私も関係したことで、最高裁が非常にうるさいから今月中にぜひ事件を落としてくれ――民事ですよ、月末の和解ですよね。月末の和解で何とかまとめてくれというわけですよ。どうしてだと言ったら、最高裁かうるさくてしようがない――しようがないと言わなかったけれども、うるさいのだと言っていましたがね。だから姿勢が最高裁の方を向いてしまっているのですね。そういう統計を何か各人別にとっているのじゃないか、こういうふうに思うのですがね。それをまた各裁判官は意識してやっておるように理解できるのですがね。非常に一生懸命事件を落とした人が今度はある高裁の方へ転出したわけですね。そしてたまたま話をしていたら非常に喜んでおった。いままで判決を書く立場から今度は人の判決を見る立場になりましたなんて非常に喜んでおられたのですがね。それは姿勢が最高裁を向いてしまって国民の方に向いてないのですね。だから非常に強引に和解を勧めている。ことに代理人のいない間に和解を進めてしまって、代理人が行ってみたらもう和解ができてしまっていたというのですね。それで当事者は納得したのかと聞いたら、いや納得してない、じゃもう一遍和解をやり直してくれと言ってやり直してもらった例もありますね。そういうようなことで非常に強引に訴訟の促進を図るという例が出てきていますね。  そこで、審理の促進を図るということのために訴訟関係人との間に紛争が起きているというようなことは、何かあなたの方でつかまえておられますか。起きた場合があるというようなことについてつかまえておられますか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 そういう紛争について継続的な統計等をとっているわけではございませんし、私、必ずしもその点の所管でもございませんので、刑事事件なんかにつきましてはときどき耳にすることもございますが、民事事件等ではそういうふうな事例は余り聞いていないわけでございます。  先ほど、ある裁判官が和解をするについて最高裁判所がうるさいからやってくれというような話があったかのようなお話もございましたが、少なくとも最高裁判所が本人に直接なり、あるいは長官、所長等を通じて特定の裁判官に事件処理のことについて何らかの話をするということは全く考えられないことでございまして、もしそういうことがあったといたしましたら、その裁判官が和解を進める過程であるいはそういうようなことをちょっと漏らされたのではないかというような感じがいたしますが、最高裁判所がそんなことを言ってきたなんということは考えることが全くできないような出来事でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 考えることができない出来事だと思うのですが、裁判官の目が国民の方に向かないで最高裁の方に向いちゃっているのですね。絶えず最高裁を意識しているのですよ。いろいろなこともあるでしょうけれども、そういう印象を非常に受ける場合がある。また、最高裁のことは全く意識もしない人もあるのですね。意識しないで悠々として裁判をやっている。裁判をやっているというか真実の追求のためにやっている人がいるのですね。そういう人は非常に評判はいいのだと思うのです、ぼくらから見ると。ところがそういう人は支部長かなんかで終わってしまうのですね。それで余り上へいかないというような場合もたまにはなきにしもあらずだ、こういうふうに思うのです。  いずれにいたしましても、そういうふうなことと、今度は家庭局長が来ておられますから、お聞きをするわけですが、家庭裁判所の裁判官を各地で減らしておるというようなこと、そういうことがあるのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 全国に家庭裁判所がたくさんございますから、それぞれの庁であるいは若干減っておるところはあるかもしれませんが、逆にふえておるところもあろうかと存じます。私どもが知り得た範囲におきましては、最近におきまして、家庭裁判所の実際やっております裁判官、実働しております裁判官の数が全体としてはほぼ横ばいでありまして、決して減っておるわけではございません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 家庭局長おられるので聞きづらいことなんですけれども、家裁が、何といいますか地裁と比べて軽視されているわけでは決してないと思うのですが、何となく裁判官が家裁にいるのが腰かけ的なように意識されておるのではないか、こういうふうに思われるわけなのです。その例になるかならないかは別として、たとえば東京家庭裁判所の所長というものがくるくるくるくるかわるわけですね。くるくるくるくるか、くるくる程度かよくわかりませんが、とにかくよくかわりますね。極端な人は半年ぐらいでかわったのじゃないですか。どういうわけで家庭裁判所の所長か――青木さんかだれか半年くらいでかわったのじゃないですか。どうして東京家裁の所長がこういうふうにくるくるかわるのですか。これは何となく家庭裁判所が軽視されているような印象を受けてくるのですよ。ちょっと東京家庭裁判所の所長がずっとどの程度かわったか、年間のものをちょっと調べてくれませんか。私の記憶では半年くらいでかわった人がいるように思うのですが。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 ただいまのお尋ねにつきましては、手元に正確な資料がございませんので、後で調査してお手元に差し上げたいと存じます。  東京家庭裁判所の所長につきまして、特に短期間ということでいま任命していただいているつもりはございません。ただ、最近は一カ所における所長の任命期間が数年前よりはある程度短くなっていることは事実でございます。なお、東京家庭裁判所所長につきまして、具体的な方に関係するわけでございますが、高裁長官にお出になる方が比較的多いことは御承知のとおりでございます。高等裁判所長官の任命につきましては、全国八高裁でございますし、定年ないしそれに伴う関連異動として高裁長官の任命が行われるわけでございます。高裁長官になっていただく方の選定といいますか、裁判官会議でお決めいただくわけでございますが、いわば適材適所として高裁長官に登用される方が東京家裁の所長から出ておったということもこれまた事実でございまして、そんな関係からほかの所長の平均在任期間よりはあるいはちょっと短くなっているかもしれませんが、一概には申せないというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 確かにそうですね。大体仙台か札幌の高裁長官に行くのが多いようですけれども、それはそれとして、何かいかにも東京家裁の所長が高裁長官へ出るまでの腰かけ的な印象を家裁の人たちに与えているのじゃないか、こういうふうに思うのです。これはまずいことだと思うのですね。家裁一筋に行った人もいます。やめちゃったけれども、たとえば森田君みたいな人もいますけれども、だから家裁にいる方が、ずっと家裁にいるというつもりよりもむしろ早く地裁へ行きたいということを、意識的にか何かよく知りませんが、お考えになっていらっしゃる方も多いのじゃないかと思うのですね。だから家裁から今度は地裁へ移るのに、非常に家裁の期間が短くて地裁へ移ってしまう人もいるでしょう。三カ月ぐらいで家裁をあれして地裁に移っちゃう人もいるのじゃないですか。三カ月はオーバーかもわからないけれども、半年くらいかな。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 具体的にどういう方がそういうことであるかよくわかりませんが、一般論として申し上げますと、一応判事補と判事に分けて考えていただきたいと存じますが、判事補の場合は、家庭裁判所勤務も経験させるという意味もありましてある程度短期間になろうかと思います。判事の場合はほかの地裁と同じように考えておりまして、大体三年ぐらいがめどになっているというふうにお考えいただきたいと存じます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 判事補の場合は、未特例なり特例なりちょっとわかりませんが、家庭裁判所に大体どの程度いるのが普通なんですか。非常に短い期間じゃないですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 先ほど判事補というふうに一括して申し上げましたが、三年未満の判事補とそれ以上の判事補というふうに区別していただきたいと存じます。三年未満の判事補につきましては、原則として家庭裁判所勤務をなるべくさせないというふうな方針でやっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いま言ったのはどういう理由かということが一つ。  それから三年未満と五年未満とで分けますね。どういうわけで三年未満とか五年未満とかで分けるのですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 端的に申し上げますと、家庭裁判所の事件は単独で処理することになるわけであります。たとえば少年事件をとってみますと、少年事件といえどもいわば任官早々の判事補に単独で担当してもらうことはいかがかというようなことで、やはりある程度経験を積んだ裁判官に担当してもらうというような趣旨で、特に家庭裁裁所における判事補の活用といいますか働き場所としては、三年未満の判事補については先ほど申し上げたとおりでございます。  なぜ三年、五年という区別をするのか、こういう御趣旨でございますが、御承知のように判事補十年間に大体原則として三カ所転任していただくということになりますと、三年、三年、四年になりますか、三年、四年、三年になりますか、そこからくる三年ということと、それから御承知のように三年たちますと簡裁判事の資格が出てくるわけでございますが、現在は判事補で簡裁の事件をやっている者がほとんどおりませんけれども、そういうような区別。それから五年というのは御承知のように職権特例がつく年限でございます。人事当局といたしましても、いわば裁判官に十分に働いていただくためにできるだけ職権特例のついた判事補につきましてはそれなりの仕事をやっていただくというような考えで、さっき申し上げたように三年、五年というようなことが出てくるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 職権特例を五年にするなら、判事補を五年にするということも当然考えられていいわけだと思うんですがね。なぜ判事補を十年もやらなければならないのですか。何か判事補という名前がいやだ、十年も判事補という名前でいるのはいやだという人もいるんですね。だから判事になりたくないと言う人もいる。それなら五年に判事補をしたらいいんじゃないですか、それはできないのですか。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 判事補十年を経過して判事になりますという、そういう任用の形は、御承知のように新憲法下、裁判所法でそういうことになったわけでございます。これが制定されました当時においては、裁判官の任命につきましてはいまのような形をそのまま予想しておったかどうかは必ずしもよくわかりませんが、何はともあれ戦前と違いまして単独制の裁判をやるんだというようなこともございまして、十年たって初めて判事になるというふうな法制ができ上がったわけでございます。これも稲葉委員重々御承知のところでございますが、そうは申しましても、外部から判事にばっと入ってくるという人がどんどんあるわけでもございませんし、やはり判事の給源としては大部分が判事補ということに相ならざるを得なかったわけでございまして、その関係で、実際の事件処理との関係もございまして、一応判事補五年で判事と同じような仕事ができるということで、暫定的な措置と申しますか、そういうことで判事補の職権の特例に関する法律というものが制定されたわけでございます。もちろんその事態そのものはまだ変わってないわけでございますが、ただその法制をそもそも五年に改めますということは、これは裁判官制度そのものに対する根本的な改革でもございますし、まだまだ検討をしなければならないということで、早急に判事補職権特例法を廃止して、たとえば五年で判事にするというふうな形での制度の改革ということは、なかなかいますぐに決めかねるということに相なろうかと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そこで、家庭裁判所でたとえば少年事件の審理などが行われますね。私ども付添人として出ることもあるのですが、実際に付添人として出て何をやっていいのかよくわからないので非常に困るんですが、調査官には非常に優秀な人がおるわけです。大学の心理学出た人、社会学出た人、非常に優秀な人が調査官におるわけですが、だから調査官が、いわゆる試験観察という形でやる場合が非常に多い。試験観察が済んで、その後に処分を決めるというのが非常に多いわけです。これは私は非常にいいことだ、こういうふうに思うのですが、そのときに補導委託というのが行われるわけですね。いまその補導委託先が全国的にどの程度あるのか、それからどういう標準でそれを選んでおるのかということですね、それをまずお聞きしたいというふうに思うわけです。

原田直郎最高裁判所事務総局家庭局長

○原田最高裁判所長官代理者 お答えいたします。  補導委託先は現在全国で約四百カ所ということでございます。この補導委託先の開拓の手順でございますが、補導委託先の開拓につきましては、平素から首席家庭裁判所調査官が中心になりまして、少年保護に理解のある委託先を開拓するということを常に念頭に置いてやっております。その開拓しましたところでもって、各家庭裁判所所長が、その報告に基づきまして、設備、規模などを勘案して補導委託先として適当であると認めた場合には、あらかじめその適当と認めた補導委託先の御了解を得た上で補導委託先になっていただくという運用をしております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それはよくわかるのですよ。私の聞きたいのは、補導委託先がどういうようなジャンルといいますか、に分かれているかということをお聞きしたがった。たとえが工場みたいなところがありますね。それからお寺みたいなところもあるし、それからキリスト教のあれもあるでしょうし、いろいろ補導委託先が分かれているわけです。それから何とかという名前のついたのもありますが、そういうふうなのを分けてみるとどういうふうに分かれるんだろうか、こういうことをお聞きしたいわけなんです。

原田直郎最高裁判所事務総局家庭局長

○原田最高裁判所長官代理者 補導委託先としましては非常にバラエティーがございまして、建設業だとかあるいは塗装業だとかあるいは商店、商業あるいは宗教家というふうなところで、広範に職種はわたっております。その組織、規模なども、わりに小規模なところから、いま先生のお話しになりましたようにかなり大規模なところもある、こういうようなことに相なっております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それで私のお聞きしたいのは、宗教的な関係の補導委託先がある、こういうふうに思うのです。

原田直郎最高裁判所事務総局家庭局長

○原田最高裁判所長官代理者 ございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 どの程度ありますか。

原田直郎最高裁判所事務総局家庭局長

○原田最高裁判所長官代理者 この実数は実はつかんではおりませんですけれども……。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 補導委託先は民間のあれなんですが、それに対して国としてはどういうような援助というか、補助というか、それをしているわけですか。そこら辺もよくわからないのですが。

原田直郎最高裁判所事務総局家庭局長

○原田最高裁判所長官代理者 稲葉委員お尋ねの点は、補導委託費というものであろうと存じます。少年法の二十九条に条文がございますが、家庭裁判所は委託先に対して、委託によって生じた費用の全部または一部を支給することができる、こういうことになっております。これが補導委託費と申すもので、予算措置も講ぜられております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 私がお聞きしたいのは、補導委託費はそれでいいんですが、幾らぐらいかということを聞きたかったのですが、それはそれとして、率直な話、そこを逃げ出す少年がある程度いますね、補導委託先を。それは宗教的なことをやらせられるということ、たとえば毎朝起きて仏様を拝まされたり何かされるというようなことから、それはもちろんある程度厳しく訓練しなければならないことはわかっているんですけれども、宗教団体的なものであって宗教を半ば強制するというようなところがある程度あるんではないのですか。

原田直郎最高裁判所事務総局家庭局長

○原田最高裁判所長官代理者 補導委託先から逃げ出す少年がいるのではないかというお尋ねがございましたけれども、たまにはあるようでございますが、最近ではほとんどないようでございます。  また、宗教団体というようなところに委託されております少年につきまして宗教的な面での強制がないかという趣旨のお尋ねかとも思いますが、受託者が宗教を強制したとか、あるいは少年や保護者からそのようなことで苦情が出たということは、最近に関する限り聞いておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それから、これは補導先を選ぶのは非常にむずかしいので、信用のあるところでないといけないわけなのですが、その調査は、いま首席調査官という話がありましたが、首席調査官に任せておるわけで、家裁の裁判官はタッチしないのですか。ということは、それは一つの例なのですが、家裁の場合はほとんど調査官が事実上の資料をつくって調査をしているわけですね。家裁の裁判官というのは、率直な話、それをうのみと言うと語弊がありますけれども、事事上それに従っておる。江田五月君の書いたものを読むとそうでもないようなことも出ていますけれども、実際には調査官の非常に詳細な報告と違った裁判をするということは余りないのではないですか。

原田直郎最高裁判所事務総局家庭局長

○原田最高裁判所長官代理者 なるほど、試験観察中は、家庭裁判所調査官が随時委託先などに出向きまして詳細に少年の動向を観察して、それをもとにして報告書を出すわけでございますが、それはそれで、裁判官の手元に参りましたときには、裁判官も十分慎重に目を通しておるわけでございます。うのみにしておるのではないかというお話がございましたけれども、それは多くの場合に裁判官と調査官の意見が一致したということに尽きるのではないか、このように考えます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それはうのみにしているという言葉が悪かったのですが、実際は調査官に非常に優秀な人が多いのです。私ども接した中でもわかりますが、実にりっぱな人がいます。人柄もいいし、少年に対する愛情も非常に豊かで、非常にりっぱな方がおられるのですが、そういう人の待遇が、率直な話十分でないというふうな印象を私は持つのです。内部から上がっていって簡易裁判所の裁判官になれるなら、一定の者に対しては、レフェリーシステムというやつですか、これで調査官の優遇――優遇という言葉は悪いかもわかりませんが、そういうふうな問題についても考えていいのではないか、こういうふうに思うのですが、こういう点についてはどうなのですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 まず待遇面の給与の関係でございますが、現在の家庭裁判所の調査官の素質は、稲葉委員御指摘のとおり非常に優秀だというふうに私どもも考えております。  現実の試験といたしましては、上級甲の試験をいたしまして、しかも相当多数の応募者の中から採用しているわけでございまして、その処遇についても十分考えているつもりでございます。結局上級甲と同じ待遇をしているというふうに御理解いただきたいと存じます。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 家裁調査官の中には、稲葉委員御指摘のとおり非常に優秀な方がたくさんおられます。ただ、家裁調査官をいまおっしゃいますように優遇するにつきまして、レフェリーというまた別個の官職をつくることが家裁調査官の優遇になるのかどうかということもございますので、あわせてお話を伺っておきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 裁判所職員定員法の一部改正についてのきょうの質問は全体の十分の一ぐらいですけれども、この次またやらせていただくことにして、きょうは、二時間近くたっていますから、これで一応終わります。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 次は、横山利秋君。

横山利秋日本社会党

○横山委員 事務総長はおいでになりましたか。――事務総長がおいでになりました機会に、本法案に関連をいたしまして、最高裁の基本的なとも言うべき諸問題について、法務大臣にも関連をいたしますけれども、伺いたいと思います。  まず第一に、私は、質問に先立って、歴代の最高裁長官の、裁判所時報等に載りました訓示を熟読玩味いたしました。本来私の希望するところは、この間理事会で申し上げたのですが、三権分立ということはあるけれども、最高裁の実態というものを私どもがよく承知して、最高裁で裁判の運営が十分に行われるためには、年に一回法務大臣の所信表明があるならば、最高裁としても国会に対して自主的に希望なりあるいはみずからの行っている諸問題についての所見を述べ、そしてわれわれが援助すべきことがあるならば、またそれらについて協力をするにやぶさかではないから、その点は自主的に最高裁の判断にまつところではあるけれども、お考えになったらどうか、こういうふうに理事会でお勧めをいたしました。     〔委員長退席、沖本委員長代理着席〕 ところが、御遠慮をなさいました。どういう意味で御遠慮になりましたか、事務総長、御意見を伺いたいと思います。

牧圭次最高裁判所事務総長

○牧最高裁判所長官代理者 最高裁判所といたしましては裁判をいたすのが本来のたてまえでございますし、裁判と申しますとほかの省庁その他行政各部門と異なりまして、司法の運営、司法行政の円滑な運営というようなことに限られておりますので、特に申し上げることもございません。その面については従前も努力してまいりましたし、今後も努力いたしたいというつもりでおりますので、その点を御承知いただければ結構かと思いまして御遠慮させていただいた次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 さはさりながら、実際一つの法案が出るといたしますと、そういう理屈であるならば最高裁はここへ来なくてもいいのです。法務省がすべて代行して答えればいいわけです。しかし、実際問題となりますとそうはまいりませんので、総長を初め各局長においでを願いまして、ただいま同僚委員の非常に具体的な質問がございましたが、そういう具体的な質問をして御答弁をいただいて、そしてわれわれが納得して、それじゃ少な過ぎるじゃないか、それじゃこうしたらどうか、こういう意見が出てくるには、形式論はともかくとして、実質論としてはやはりどうしても最高裁が国会へ来ていろいろ意見の開陳をしなければなりますまい。そういう点から考えると、私どもか要求するのでなくてもいい、自主的に最高裁が、私どもが質問をしなくても、最高裁における現状と要望点というようなものが年に一回あった方がいいのではないか。私がそういうことを強く言いますのは、御存じのように予算の独自な権限が最高裁にあるからであります。かつてそれは一回も行使されたことはございません。あなた方は法務省に頼んで、法務省は大蔵省に頼んで年間の予算が決められる。そういう各省とは違って、最高裁だけは法務省がやってくれたことに異存があるならば国会に独自に請求する権限を法律によって認められておるわけであります。そのことについての最高裁の観念がこのごろ少し希薄ではないかと私は思っています。なるほど最高裁の予算というものは建物と人件費が大体大宗を占めて、建物をつくれといって二重請求権を行使するのも大人げない、人が足りないといって請求権を行使するのも大人げないという気持ちはあるのでありましょうけれども、しかし、これから私初め同僚委員が最高裁についていろいろ質問する過程では、何とか一回はそういう立場に立った行動をきちんとしてもらわなければいかぬのではないかという気持ちがやはり内部にある。同時に、そういう権限があるということを土台にしてあなた方も発言をしてもいいのではないか。その意味で、私の意見として、年に一回ここへ出てこられて、単に質問に答えるというばかりでなくて、最高裁としては今日の運営はこういう状況であります、こういう点か今後の問題であります――最高裁長官の歴年の新年の言葉なりあるいは長官訓示を読みますと、実に興味深いと言ってはなんでありますけれども、最高裁の向かうべき方向、向かいたい方向というものがかなり具体的に書かれておる。そういう具体的に書かれておることを実践する方法は何かというと、私は率直に言いますが、ここしかないのです。それはもちろん法務大臣に頼まれて法改正も予算請求もいろいろとなさるでありましょう。けれども、それではここにあります諸般の問題が、長官が言って、それを実践するための方途が十分ではないではないか、まさにこれは絵にかいたぼたもちで、学者が自分で自分の意見を言っているにすぎない。もちろん最高裁内部で処理することもありましょう。けれども、ここに書いてあるのは、遠慮しいしいではありますけれども、法律改正なり予算要求なりきわめて示唆に富むことが実に多いのであります。そういうことについて事務総長や各局長が、こういう長官訓示なりが長官の個人的な意見ばかりでなく、あなた方もやはりそれに参画されての内容だとするならば、私がお勧めする国会の舞台というものについてもう少し積極的におなりになる方がいいのではないか。重ねて御意見を伺います。

牧圭次最高裁判所事務総長

○牧最高裁判所長官代理者 裁判所の予算に対し、まして温かい御配慮をいただきましてまことに感謝しておるわけでございます。  横山委員御指摘のように、裁判所に対しましては二重予算の請求ということが与えられております。その点はわれわれも十分承知いたして司法行政の運用に当たっているつもりでございます。  ただ、確かにいままでそれが行使されたことはございません。それは当委員会の方々初め皆様方の御協力によりまして、幸いにして従前そういう必要を見なかったということで行われなかったわけでございます。  各最高裁長官があるいは訓示あるいはあいさつにおいて述べているところにつきましては、われわれ司法行政の面に携わる者といたしまして十分努力してまいりたいというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ちょっと時間をとるかもしれませんが、私の手元にあります最高裁長官のあいさつを、歴史的と言うにはちょっと新しいのが多いのでありますが、お互いに考えてみたいと思います。  四十一年一月の横田喜三郎長官の新年の言葉の中心は、四十年九月に第二回のアジア会議があったことに触れまして、そして日本の裁判制度その他について各国の裁判官の関心を非常に集めた。「法による世界平和の世界会議」にも触れている。  それから特筆すべきことは「この新しい年には、いろいろなことが期待されます。その一つは、弁護士会と裁判所の関係の改善であります。率直に申しますと、臨時司法制度調査会の意見の実現をめぐつて、この関係は一時かならずしもしつくり行きませんでした。しかし、さいわいに、双方のたえまない努力によつて、去年の後半から、しだいに相互の理解と協調のムードが進み、ある程度まで、すでに現実の態勢となつてきました。新しい年には、この態勢をさらに強化しながら、司法制度の適切な改善に向つて前進したいものです。」  また、宅調の廃止について触れまして「近代的執務体制の確立は、いわば裁判所の公約でもありますし、」と述べています。  四十一年六月、最高裁判所長官の訓示はきわめて膨大にわたっています。第一には、新しい裁判官の指導育成の問題にかなりのページを割いて、そこで法というものについていろいろと高い次元から、社会の秩序と平和の第一次的な基礎は法であること、第二に、その法の支配に関してきわめて密接なつながりのあるものが裁判である。裁判において中心的な地位に立つのは裁判官。もとより裁判は裁判官だけで行われるものでなくて弁護士と検察官の参加のもとにその協力によって行われる等に触れて、新しい裁判官の指導育成の問題がきょうの第一の問題であると言われています。  また、家庭裁判所の充実強化について一章を起こしています。  最後の項では、正月のあいさつと同様、「世界の法の日」の意義についてきわめてたくさんの字数をとって、最後に「それだけではありません。さらにいっそう重要なことは、新しい憲法の下に、われわれ日本国民が永久に戦争と国際紛争解決のための武力の行使を放棄し、そのための戦力を保持しないこととしたことであります。このような日本は、平和を確保するために、なにかの平和的方法によらなければなりません。この平和的方法は、結局において、法によることであり、法を発達させ、法を尊重し、法の支配を徹底させることでしかありません。国内でもそうでありますが、国際間でも同じであります。現代の社会では、国内社会であると国際社会であるとを問わず、秩序と平和を確保する基礎となるものは、結局において、法であり、法の支配であります。わけても戦争を放棄し、戦力を保持しない日本としては、この方法によるほか、平和を維持する道はありません。この意味で、日本こそは、どの国よりも率先して、「世界の法の日」を認め、世界における法の支配を徹底させるように努力すべきであると思います。」等、戦争を放棄し平和を一番基本とする日本としてはと、憲法に基づいた理論を展開されております。  四十二年の横田さんの新年の言葉できわめて特徴的なものは、「最近のロンドン・タイムスの日本に関する特集記事は、日本では、経済の高度の成長に対し、政治のだらしなさが著しい対照をなしていることを指摘し、さらに、変動する世界において、最も顕著な対照をなしている国は中共と日本であり、前者においては、精神をもつて物質を克服しようとする無謀な試みかなされているに対し、後者においては、」つまり日本です。日本においては「物質が支配ないし優先しているというようなことを述べている。」として、これはロンドン・タイムスを引用されたのでありますが、結局それを横田さんが受け入れて新年の言葉を述べ、このような批判を受けるわが国の現状がきわめて憂うべきものであり、新しい司法制度が発足してから二十周年に当たる昭和四十二年を迎えるに当たり、以上のことを強く感ずると述べられました。  同年七月一日の最高裁判所長官の訓示は、日本国憲法が施行されてから満二十年に当たるとして、法の支配を究極的に実現するものか裁判所であると前提を置いて、「裁判の迅速もこれに劣らず重要なことであります。裁判の遅延を解消することは、絶えず指摘されている課題であるにかかわらず、今日なお十分にその改善の実があがつていないことは、まことに遺憾なことであります。裁判の遅延する原因は、複雑多岐にわたりますので、われわれとしてはあらゆる角度からこの問題を検討し、これに対処していかなければなりませんが、裁判所の人的機構、物的施設の拡充強化が迅速な裁判の実現のためきわめて重大な関係にあることは申すまでもありません。」として、裁判の迅速をきわめて重点的に説き、それから法曹人口の問題に触れて、司法修習生の数と受け入れ体制について、これに応ずる効果的な教育方法の確立、再検討の必要を訴えています。  最後に、法廷とその周辺の管理及び警備について一言するとして、「法の定める正当な範囲を逸脱し、法廷内外の秩序と平和を乱して、ついに手続の円滑な進行を妨げるにいたつたときは、断固としてこれを排除しなければなりません。最近、とくに刑事事件において、被告人を支援する多数の者が、裁判所職員の指示に従わず法廷に乱入して審理を不能にし、」等々のことについて、「長官、所長の各位におかれては、事件の審理にあたる裁判官の法廷秩序維持の権限および能力にはおのずから限界があることに思いをいたされ、担当裁判官との緊密な連絡の下に、事態に即応した適切な管理の態勢を整え、司法の正常な運営に遺憾なきを期されるよう切望してやみません。」としております。  四十五年一月、石田最高裁長官は幾つかのことに触れました。  それは「十年程前から世界の法曹の間に法を通じての世界平和の運動が始まり、さらにその間世界裁判官会議が組織され、」バンコクでも行われた。そして京都での会議、東京での会議、二つの会議が行われておる。  「ところで昨年は司法の独立を、特に裁判所において強調せねばならぬ事態が一度ならず発生した。所詮、これは昨今の社会情勢の険しさを反映するものである。このような時期に際してこそ、裁判所は憲法のもと、法の支配を確立すべきその本来の責務を一層深く自覚し、いかなる勢力にも迎合することなく、どのような圧力にも屈することなく、あくまで中立、公正にその使命を遂行しなければならない。裁判のこの公正は単に公正であるというばかりでなく国民がこれを信じて疑わないものであることが必要である。そのためには、われわれ裁判所に職を奉ずる者は、均しく、それこそ薄氷を踏むような思いを以て、私生活のはしに至るまで一切の行動を慎しみ、いかなる點においても世の疑惑を招くことのないよう心がけねばならないのである。」と最後には裁判所内部の問題に触れました。  四十五年七月には、長官訓示において法の支配に再び触れまして「裁判官は、何よりもまず、職務の遂行にあたって、不偏不党、独立不羈、いかなる勢力にも動かされることなく、不当な圧力にも屈することなく、ただ、自己の良心に従い、憲法および法律にのみ基づいて厳正公平に職務を行なう心構えを堅持すべきであることは、いうまでもありません。わが国の裁判官は、健全にして清白、よく公正を持して国民の厚い信頼を得てまいりましたが、われわれは、このよき伝統を承継して、いつそうその精華を発揚するように努めなければなりません。」として青法協に触れられたわけであります。青法協について、直接青法協とは言っておりませんが、その時代の問題として「職業的倫理として、おのずから制約のあることを自覚し、裁判の公正について国民の疑惑を招かないための心構えとして、裁判官は、偏執に陥ることなく、中正の態度を堅持するよう不断の自戒と内省を重ねることが」必要である。  また、新年のあいさつのように、学生を中心とする集団事件の適正迅速なる処理と法廷の秩序維持の問題に言及をされました。     〔沖本委員長代理退席、委員長着席〕 そして審理の妨害、訴訟の進行等、法廷の秩序維持について「弁護人の中にさえ、少数ではありますが、これら被告人の言動に同調する者がありますことは、遺憾にたえません。」として、関係方面と密接な連絡をとれと指摘をしています。  四十九年一月、村上最高裁長官は非常に社会の激動に触れました。省略をいたしますけれども、要するに石油、資源不足、国際的規模も深刻だ、資源の海外依存度の高いわが国繁栄の陰に低迷する不安と焦燥、物資の買い占め、交通公害、医事、福祉等々に触れまして「このような諸情勢は、司法の分野にも新たな問題を投げかけずにおかない。現代社会の生み出すこれら社会的問題は、政治や経済にその解決をまたなければならないことが多いが、同時にそれが法律問題に転化され、司法上の解決が迫られることが多いのも最近の特徴である。ひとつの社会的要求が情報化時代の波に乗って大衆運動に組織され、集団訴訟等として裁判所に持ち込まれるようなこともしばしばみられる。かつては研究者や法律実務家のみが専門とした法律学が、一方ではその領域の拡大と専門化、細分化を遂げつつある反面、種々の情報手段を通じて一般大衆へとその底辺を広げ、激しく対立する諸集団の立場や主張が法律の言葉を用いて法廷の内外で展開されるということも極めて多くなつた。このようなときにあって、裁判所の進むべき道には、まことに厳しいものがある。これらの社会的利害の対立をよく調整することか現代司法に課された重大な課題であることはいうまでもないか、具体的紛争の解決は常に一般化を伴うことを考えるとき、いまだ必ずしも法理論の確立をみていない分野の多いこの種の事案の解決は決して容易ではない。」として、司法の権威を高からしめるよう研究をしておかなければならぬと述べています。  四十九年七月、最高裁の庁舎が完成したことを祝いながら「最近みられる新しい類型の訴訟の処理に当たっても、裁判所は、その責任と権限の範囲内で職責を全うすることか」必要だ、こういうことについて強調をされ、そして司法修習生の実務修習について懇切に、もっとひとつ教育に努力をしてくれと述べています。  五十二年一月藤林長官は、やはり前年の新年の言葉のように、社会情勢に再び触れて「このような状況の中にあって、裁判所のみが、独り、社会情勢に孤立無縁で存立し得るものではない。裁判所の本来の職責である裁判の分野においては、各種の新しい類型の事件やその処理に多大な困難を伴う事件か増加しつつある。この種の事件の中には、その抜本的解決を政治・経済にまたなければならないもの、三権分立の下で、裁判所に与えられた紛争解決権能に必ずしも親しまないものなども散見されるが、いずれにせよ、具体的事件に応じた適切な処理を図るためには、これまでにない工夫と負担とを余儀なくされていることは間違いない。」と再び触れて、最後は「他方、司法行政の分野においては、昨年夏、米国裁判所から我が最高裁判所に突如として求められた、いわゆる免責保証問題など、従来にはなかつた新しくかつ困難な問題が生起してきている。また、極めて特異な例とはいえ、いわゆるニセ電話事件なるものが発生し、これまで、我々の先人が営々と築いてきた裁判官の中立公正さに対する国民の信頼に、一まつの影を落したことは、誠に遺憾に堪えない。」としています。  五十二年六月、長官は、裁判官その人に対する信頼なくしては、この裁判制度の全しは望み得ないことを銘記すべきであるとして、鬼頭判事補が職務外の非行を理由として罷免の裁判を受け、地位を失うに至ったことについて、まことに遺憾にたえない。「この事件を契機として、裁判官の執務の在り方や服務に関する規律などが、改めて問われるに至りました。」「このことは、まず、個々の裁判官の努力にまつべきものではありますが、司法行政の衝に当たられる各位の配慮を必要とすることも少なくありません。多年の経験が後進の指導に生かされる態勢を整え、裁判官の自由かっ達な気風の中にも堅実な服務の慣行を確立することに努めるなど、職務の適正な遂行と官職の信用保持に資するよう、最善の努力を尽くされることを望みます。なお、私は、昨年のこの会同におきまして、裁判権の行使を積極的に支えるための司法行政の在り方について言及しましたが、今日、訴訟の複雑化、集団化等に起因する事件処理の困難性は、昔日の比ではありません。これに対処するためには、裁判所としても、執務の態勢そのものに一層の検討を加える必要があります。」  本年の一月、岡原長官は、まず「特筆すべきは、法あるいは司法への公然たる挑戦ともいうべき一部過激派分子によるいわゆるハイジャック事件であり、また、最高裁判所庁舎への火炎びん投入事件等の無謀な」問題が発生をしたとして、再び民主主義の原理について説き起こし、そして「近時、一部の事件に限ってではあるが、法廷における法曹としての活動においてすら秩序を無視した言動が見られる折から、法の支配こそが民主主義国家の存立の基礎であることを改めて強調」をしたいとして、したがって「また、法が国民のものであるということは、その運用において、国民の常識にかなうものでなければならないことを意味する。いかに精ちな法の解釈も、それが国民の常識のらち外にある結論を導き出すならば、到底国民を納得させることはできないであろう。我々が法を解釈し、適用するに当たっては、極めて困難なことではあるが、いわゆる社会の通念ともいうべきものを正確に見定め、国民の総意とかけ離れない線において結論付けていくことを心掛けなければならないと思う。」  それから最後にやや政治的な問題に触れまして、「保革伯仲、多党化、中道政治志向等の諸事象に見られるような必ずしも安定していない政治情勢」及び社会的には「国民の価値観をますます多様化させ、紛争を深刻化させていく。また、最近における科学文明の目覚ましい発達は、国民生活に多大な利便を与える反面、騒音、大気汚染、水質汚濁、薬害等の副作用をももたらすこととなった。これらの社会的諸現象は、国民の権利意識の高揚と情報化時代の波に乗って様々な法律問題に転化され、裁判所に持ち込まれてくる。公共的施設がもたらす利益か優先するか、付近住民の環境的利益を重視すべきかが論議される各種公害、環境行政事件、既存の法律的知識に加えて、医学的化学的検証をも要求される食品、薬害事件等々がそれであり、これらの複雑かつ大量の事件を適正、迅速に処理するため、裁判所は、従来の法律的知識を超える英知と識見を要求されているといってよい。誠に、新しい酒は新しい革袋に盛らなければならないとの感を深くする。我々は、これらの点に深く思いを致し、希望と自信をもつて、一層の研さんに努め、自己の権限と責任の範囲内で在るべき司法の実現に最善を尽くさなければならないと思う。」  私の手元にございますのは四十一年からでございますが、中には私もこれはどういう意味かと思うこともないではありません。ありませんが、少なくともここ十年間の社会事象を的確にとらえて、そして最高裁としてなさなければならないことを示唆し、その実現に長官の決意を秘めておるわけでありますが、いまここで私が読み上げた点をとらえてみましても、一体それはどうなったんだという点がきわめて多いと思います。これだけのことをおっしゃりながら、一体最高裁は、しからば歴代長官の言っておるような、たとえば激動する社会情勢に対応して一体機構はいかに改善されたのか、いかに人員は充実されたのか、長官が示唆しておる法律改正の希望というものは果たして緒についておるのかどうかと考えますと、まことに私は残念ながらこれがマスターベーションに終わっているのではないかということを思わざるを得ないのであります。だから私は、最初に言いましたように、全国の裁判官に対してそういうことであるならば、いま一歩最高裁としてもこれらの所信なりやらなければならぬことについて、いま少しの熱意と行動があっていいのではないか。したがって、これらの長官の訓示とか年頭の辞というものを何も国会に配れとは私は言っているわけではありませんが、それに該当するような報道が、皆さんの二重請求権問題もあることを踏まえて、一言、適切な方途があっていいのではないか、こういうことでございます。重ねて所信を伺いたい。

牧圭次最高裁判所事務総長

○牧最高裁判所長官代理者 重ね重ねありがたいお言葉をいただいて感謝いたしております。私ども司法行政の任にあります者といたしましては、いまお読み上げになられました歴代最高裁長官の示された裁判所の基本的な姿勢ということに向かって精進、努力してまいったつもりでございますし、今後もその面に向かって一層の努力をいたしたいと考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 少なくとも最高裁と法務省それから日弁連、法廷の円滑な運営を図らなくてはならぬ三つの要素であります。その三つの要素の中で、私どもの立場から言えば、法務大臣さえおれば、あなた方はいなくてもいいのだ、まあ国会の理屈から言えばそういうことなんですね。あなた方はきょう出席しなくたって、法務省さえそこにおれば、あなた方は国会の仕事を法務省に頼んだのだから、何も出てこねばならぬことはないだろう。現に私どもはあなた方に対して来てもらいたいという要求の権利はないのですから、あなた方がいやだ、法務省にしゃべってもらってくれと言えばそれまでのことなのであります。ところが現実はそうはいかないのであり、かつ、いま政治問題化しておりますこの特例法の問題につきましても、私は毎回の法務委員会であるいは理事会で、いま少し法務省と最高裁と日弁連との信頼関係を確立することが必要なのではないか。その意味では、法務省はここで言いたいことを言う、それから日弁連も言いたいことを言っている。それであなた方は、これだけの言いたいことがありながら、それか一体、こじきのおかゆみたいなものだ、言うばかりで、ちっとも実践については、法律的に法務省にお願いしておるから、自分たちは言うことはない。それならもう予算の二重請求権なんか取り上げてしまいましょうか。実行がないんだから、あっても、それをやろうとする熱意も努力も、それをてこにして行動する準備も何もないのですから。もう五年に一回か十年に一回ぐらい私ども二、三の者がそれを問題にするだけであって、知らぬ人がほとんどでありますね。最高裁の権限を知らぬ人がほとんどである。そんな眠っていることなら、予算の二重請求権なんて必要ではないのなら、何も現実的必要性というものはないのじゃないかとすら疑われるわけであります。特にきょうあなたにおいでを願いましたのは、少し目を覚ましてもらわなければ困る、最高裁。どうも白亜の石の中におられるものだから皆さん冷たくなっちゃっているのじゃないか、血が通ってないのじゃないか、こういうふうに疑問が生ずるぐらいなのであります。お隣で長々と聞いておられた法務大臣、どうですか。私の言っていることをどうお考えでございますか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 横山さんが、裁判制度、裁判所のあり方等について非常に理解を持っていただいて、しかもそれに正常な運営のために情熱を傾けていただいておりますことを、本当に心から敬意と謝意を表します。  先ほど事務総長からもお話がありましたが、これは私どもが、行政府でございますけれども見ておりますと、裁判所は、歴代の長官がいろいろな場面でおっしゃっておるような、それを実現したいということで誠意を尽くしておられる、かように考えております。  ただ、予算の二重請求権の問題等が今日まで行使された歴史はない、こういう御指摘でございますが、裁判所というところは、言葉が適当でないかもしれませんが、場合によっては武士は食わねど高ようじというような一面もあるわけであります。やはり国家、社会全体、国の財政等も考えておられるわけでありまして、その範囲で、先ほど来述べられましたような趣旨を実現していこう、こういうことに誠意をもって今日まで来ておられる、かように私は考えておりますが、いろいろ横山さんのお話もありましたから、裁判所は一段とそういう決意を新たにされたこと、かように私は見ております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法務大臣は前に裁判官訴追委員長でありました。私も訴追委員なのであります。私はこの間の裁判官訴追委員会におきまして了解を得ました。それは、今度裁判官の定員の法律がかかる、伝えられるところによりますと、いわゆる弁護士抜き裁判の特例法がかかる、法務省が言っておることは、弁護士が悪い、先ほどの長官の訓辞の中にも一節ございましたように、弁護士が裁判遅延のために戦術として行使しておるのは見ておられぬ、だからこういう法律をつくるのだというお話があるので、私は訴追委員であって、訴追委員会は書類をもらうときにいつも秘扱い、親展の書類をもらうわけであります。私は訴追委員としては頭の中に入れるけれども、どこまで秘扱いなのか限界はわからぬけれども、自分の頭の中に入っちゃっている問題がある、だから弁護士だけがみんな悪くて検察陣はみんなよくて、裁判官がみんないいという論には私は納得できない、これをすべて公表するとは言わぬけれども、裁判の状況がどういうものであるか、裁判官にどんな非違行為があるものであるか、それを私は頭の中に入っているものを、頭と口とはツーツーだから言わざるを得ぬが、勘弁してくれ、こう言ったわけであります。そうしたら新委員長は、横山委員は非常に良識のある人ですから良識を信ずる、だから法務委員会でやってもらって、その結果、良識であったかどうかは後で判断する、こういうことになりまして、お許しを得て裁判官の非違行為にこれから言及をいたしたいと思う。  一般の庶民の感ずる裁判所及び裁判官というものは本当に公正にして高潔、神様のようで、ある意味では、逆説的に言うと浮世のことを何も知らずに法律の解釈だけやっておる。だから、裁判官は生きているんだろうか、一体銀座で一杯飲むことがあるんだろうか、そういうふうに見がちなのであります。ところが、訴追委員会に提起されております訴追事案を見ますと一昭和二十三年から今日に至りますまでに新受理事案数が四千百八中、最高裁判所長官請求二、一般請求三千八百九十七、職権二百九である。ただし、三十五年以降職権事案はない。  訴追、訴追猶予事案数の年度別内訳を見ますと、訴追されたのか十一、実員五、訴追猶予が十二、実員七であります。これは訴追委員会へ出たものであります。  審級別・高裁管内別の被審査裁判官数の調べを見ますと、五十一年十二月三十一日までに審級別被審査人数は三千五百七十、各高等裁判所別被審査人数が二千七百三十六人。  ところが訴追請求人、これが私ども訴追委員としてはけしからぬところがあると思いますが、二回以上請求した者を見てみますと、十回以上請求した者が十三、九回が二、八回が五、七回が六、二回が九十七というふうに、たくさんでやってくるものもさはさりながら、一人が何回も何回も裁判官の訴追請求をする、いわゆる訴追屋というものかございます。そういう問題は私どももよく考える、そして判断の基礎にしておるわけでありますか、審査事由関係訴訟事件数の内訳を見ますと、民事事件が五一・一%、行政事件が六・三%、刑事事件が三二・七、家庭事件か六十八で二・九、その他が百六十六で七・〇、二千三百七十三の計になっております。  私が先般法務大臣に、あなたは訴追委員長をやっておられて、この裁判官の非違行為、首切るか首切らぬか、首切らぬにしてもちょっとまずいなと思っておる裁判官か実に多いが、これは訴追委員会において一々処理したのを最高裁は知っておられたか、こんなことをやっておってと思うだろうけれども、知っておられたかと言うたら、そのときに言われた最高裁は、通知は受けておりません、その事案の審査、調査があれば末端から報告をしてくるにとどまっておりますという話でございますが、訴追委員会における事案、それが仮に訴追請求をされないとしても、問題があると言われた事案が少なからずありますが、それについて最高裁としてはどういうふうにお考えになっていますか。それは訴追委員会のことである、われわれはあずかり知らぬことだ、こういうふうになっているのですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 現行法下における訴追制度、弾劾裁判所制度のもとにおきましては、当然に私どもが訴追委員会ないし弾劾裁判所の方から記録といいますか資料をいただくというようなたてまえにはなっておらないわけでございます。しかし、私どもといたしましては、裁判官の非行等についてでございますので十分の関心は払わざるを得ないと思いますけれども、制度的には特に訴追委員会との関係において資料をちょうだいいたしたいという立場にはないというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それは立場にはないということはわかる。わかるけれども、現にそういうまずい裁判官がおるということについては、立場がないから、まあ聞きもしない、知りもしない、そんなことは聞いても仕方がない、知ろうともしないということだと理解していいのですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 知ろうともしないのかというお尋ねでございますが、私どもといたしましては、もしできれば、お知らせいただいても、むしろ私どものこれからの裁判官のあり方について十分反省する資料になり得ると考えております。前回の委員会でもお答え申し上げましたが、現在のところは、統計的な数字あるいはその内容等についての概括的な資料はいただいているというのが現状でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 今度は訴追請求を受けた、そうしたら訴追委員会の決定がある前にやめてしまった、依願免官、こういう事案が実に多いのであります。これは一体どう考えたらよいのだろうか。ずいぶんたくさんある。  さかのぼれば、昭和二十三年、「平野力三の公職追放は、時の内閣官房長官西尾末廣が曽根次長を立会わして、牧野審査委員長に金銭を贈与し、牧野はその一部を委員二名に贈与し、その結果決定されたものである」旨をある会合で言った裁判官、問題になりまして、二十三年に依願免官。不訴追。  それから「昭二四・四・一八偽装離婚をし、妻に船橋市内において他人名義でいわゆる売春宿「たなか」を経営させていた。」という裁判官、これはどうして不訴追になったかわからぬですが、二十六年十月十三日に依願免官になったので、十月二十二日に不訴追にした、こういうわけですね。訴追請求が出て、そしてその決定が出る前に依願免官だからやむを得ず不訴追にしたことになるでしょう。  それから「労基法違反被告事件を担当判事が他に転出したため配てんをうけ、昭二六・三~同年六月の間、旅館「美乃屋」において二一回にわたる酒食の供応をうけ、六・一五無罪の判決をなした上、六・二五と二九の二回にわたり酒食の供応をうけた。」また、集団強盗被告事件についても「菓子折一箱、現金二千円を収受し、各事件を自己の担当に振りかえ、昭二七・二・六、Bに対して請託に応じて執行猶予五年を付した判決(懲役三年)をなした。」「関税法違反事件が自己に配てんされたところ、被告人の義弟から昭二七・一・二五、「富久屋」において酒食の供応をうけ、昭二七・二・二〇、その請託に応じて寛大な判決をなした上、被告人の知人から三・三頃「富久屋」ほか一ケ所において酒食の供応をうけた。」これも依願免官。  「昭二七・一〇・一施行の衆院選立候補某氏の講演会に出席、選挙事前運動的挨拶と演説をした。」十月十八日に依願免官。翌年の二月十四日に不訴追。  それから、これはひどいです。「妾を自宅に同居させ、家庭の不和が絶えない。」「近在の不良を自宅に出入させる等親しく交際している。」「昭二五・一二・一五頃自宅において興行師と飲酒泥酔の上、農協に行き居合せた組合長ら三名に暴行を加え、農協の器物を損かいした。」「主食配給に関し、役場職員に対し脅迫的言辞を弄した。」「裁判所係属事件について、関係者を自宅に召喚審理している。」これが昭和二十八年一月二十四日に依願免官。二月十四日に不訴追。おかしいじゃありませんか。  それからその次は広島、「任官前の昭二三頃から人妻と不倫の関係をもち、三人の子をもうけながら、認知扶養せず、昭二七任官と同時に他女と結婚した。」三十一年四月十六日に依願免官。三十一年十一月十五日に不訴追。  その次は山口、「請求人と結婚後他女と不倫の関係をなしている。」「請求人を虐待し、十分な生活費を渡さない。」「台北大学卒業証明書を偽造し、虚偽の履歴一学歴一を申告した。」「医師を脅迫強要して虚偽診断書を作成させ、病気を理由に欠勤しているのに、友人と深夜まで飲酒している。」全部読むとえらいことだが、「請求人は被審査裁判官の三番目の妻であるところ、二番目の妻との離婚の条件として同女の叔父の刑事事件につき量刑を軽くしてやるようにとの請託をうけた。」三十一年十二月十七日依願免官。二日越えて十二月十九日に不訴追。  和歌山、「酒気をおびて公判廷に臨み、傷害被告事件について法定刑以上の罰金三万円(法定、二万五千円)に処した。」「同公判に先立ち、被審査裁判官所属部書記官補某について「芋虫のような字を書き、仕事もロクにしないので留置場にぶち込んでやめさせてやれ」と罵倒した。」これが三十一年三月六日依願免官。同年十一月十五日不訴追。もちろん、これらいま読みました問題が発生したのは、依願免官になる前ですよ。  名古屋、「昭和三〇・七頃、少年収容継続審判のため、瀬戸少年院に出張した際、遅れて到着したため既に少年は作業に出て不在だったことに憤慨し、院長以下職員に「裁判所をなめるな」など暴言を吐いた。」また、「同庁係属昭三一年少年保護事件において、昭三一・七・一九調査官が少女は全身皮膚病のため医療少年院収容意見を申立てたところ、「警察でもことわるような病気の少女を裁判所で面倒をみる必要はない」といって、その後審判不開始の決定をした。」「事件審理中、事務机に両脚を投げ出し、そっくり返える等の態度をした。」「下級職員を馬鹿野郎呼ばわりした。」「昭二九・六・二六岡崎市内料亭「たなげん」における岡崎北地区福祉保護司総会に来賓として招待されたが、遅参したため、空席の末席に案内されたことに憤慨し、司会中の保護司を殴り、料理を足げにして退席した。」これが裁判官かね。「家事事件において「お前のようなおいぼれが後見人になれるか」と暴言を吐き、調停事件において関係者と口論の上「お前のような奴は監獄に入れてやるからポリを連れて来い」と暴言を吐いた。」「自ら、指定した昭三一・八・一三の調停期日に自分は目下休暇中であると言って庁舎内で囲碁をなし、事件関与を回避した。」これが三十二年九月九日に依願免官。越えて十月十日に不訴追。  名古屋、名城大学理事長地位確認請求事件において「当事者より感謝状と七宝焼花瓶(二万五千円相当)、清酒二升を収受した。」三十四年六月二十六日依願免官。一日あとの六月二十七日に不訴追。  水戸、「昭三三・八・四夕刻竜ケ崎市内飲食店において飲酒の上、「俺は判事だ」等放言し、帰宅させようとしたバーテンに暴行傷害を加えたのち一たん退去したが、深夜、再度同店を訪れ、マダムに「今夜つきあえ」等暴言の上警察署に連行された。」八月十九日依願免官。立件せず。  大分地裁、「昭三八・一二・二三に判決書未作成のまま判決を言渡し、その後なお判決書の作成を怠り、判決言渡から約二年六月後の昭四一・六・一漸く当事者に判決正本を送達した。そのほか、昭和三七・九・一〇結審後未判決事件二件、昭三八結審後未判決事件一件、昭三九結審後未判決事件一一件がある。」昭和四十一年七月十日に新聞に出て、八月六日に依願免官。そして立件せず。  大阪高裁、「京都地裁の執行官が、強制執行の仮処分を早めてやると金融業者から十数万円の物品を受取った贈収賄事件について、同執行官と金融業者に頼まれ、昭四四・一〇・二八、一一・五の両日、京都市内の料亭に知人の京都府警交通機動隊長を招き容疑者二名と酒食をともにし、その席で捜査情報を尋ね、金融業者から預った現金八万円を右隊長に渡した。」四十四年十二月二十三日依願免官。立件せず。  鹿児島地裁、これはいわゆる有名な、私が法務委員会でずいぶん質問した問題でありますが、「鹿児島新報」「国民協会」自由民主党の「自由」、裁判所広報にきわめて右翼的な記事を掲げ、裁判所においてもそういう言動が強かった裁判官でありますが、四十五年十二月三十一日に依願免官、四十六年の二月五日に不訴追。  福島地裁、「昭和四九・九・二二午後三時三〇分頃から四時三〇分頃までの間に、株式会社エンドーチェン福島支店売場において婦人服上下一着(時価九、八〇〇円相当)、乾電池二個(時価一九〇円相当)及び男性用チック一個(時価二八〇円相当)を窃取した。」四十九年十月四日依願免官。これは四十九年十月三日に戒告が行われておりますね。そして依願免官、立件せず。  一体これはどういうことなんでしょうかね。これが裁判官でしょうかね。こういうばかげたあるまじきことをやったのが裁判官であるということは、要するに裁判官も人間であるという以外には何物でもないのであります。人間であるからこういうことが起こるので、裁判官ならこういうことは起こらないという保証は何もないということなんであります。  いま申し上げたのは、訴追された中で訴訟指揮に関係するようなことは、法廷内のことは余りないのです。またわざと私も余り言いませんでした。けれども、一つ私に疑問が生じますのは、訴追委員会に出るあるいは新聞に出る、そうしたら、ある時期になって突如として依願免官で、願いによって官を免ずるのでありますから、退職金もきちんと払うし、恩給も出しておるだろう。そういうふうになっていく仕掛けが全部そうなんです。それはちょっとおかしくないかと私は思うのです。そうすると、最高裁の同業意識といいますか、同僚意識というものがずっと全部に働いているのではないか。訴追委員会で係争中だったら少しは依願免官をさせるのも待ったらどうですか、訴追委員会の結論が出るまで。訴追委員会の結論が出たら退職金も何ももらえないのでいまのうちにやめてしまえ、そうすれば退職金もみんな上げるからと、こういう裁判官、裁判所内部の同業意識、そういうまずいことは外に出さないように身内で始末してしまう、そういう意識が働き過ぎているのではないですか、どうなんですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 ただいまお示しいただきました事実がすべてそのとおりであるとするならば――訴追事由ないし訴追申し立て書に書かれた事実かというふうに拝承いたしましたけれども、もしこれが全部事実であるとすれば、それこそ先ほどおっしゃったようにとんでもないことだというふうに考えております。  なお私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、訴追事案について逐一御報告いただいているわけでございませんので、ただいまお示しの訴追申し立てと依願免との関係につきまして逐一お答え申し上げることができませんけれども、私どもといたしましては、安易に御指摘のような依願免官制度をいわば悪用して、同僚をかばうというようなことはしていないつもりでございます。  なお、お尋ねがあるということで私どもの方で調べてまいりました例を申し上げますと、昭和三十三年の四月でございますが、訴追請求されたある判事の場合に、訴追決定前の六月八日に退官願を提出しましたけれども、最高裁といたしましては、内閣への申達をおくらせまして、訴追決定後になりまして、訴追決定後なので、免官を留保されたいという意見を付した上、退官願を内閣に提出しております。  次に、二十三年の四月九日でございますが、ある裁判官が退官願を提出いたしましたが、最高裁は正式な申達手続をとりませず、内閣に対しまして、非行の嫌疑があり、罷免訴追の請求を受ける可能性があるので、退官願の申達をしおくにとどめ、免官手続を差し控えることにいたしたいとの意見を付しまして、退官願のその書類だけを送付するにとどめた例がございます。  二十三年の十月十六日に退官願が出た裁判官につきまして、最高裁が訴追委員会に対しまして訴追請求を行いまして、内閣に対しましては、近く訴追決定が予想されるので免官を保留されたいという意見を付しまして、退官願を申達した例がございます。  最近では、御承知の鬼頭判事補の訴追請求を行っているわけでございます。  なお御指摘の点でございますけれども、裁判官弾劾法の四十一条には「罷免の訴追を受けた裁判官は、本人が免官を願い出た場合でも、弾劾裁判所の終局裁判があるまでは、その免官を行う権限を有するものにおいてこれを免ずることができない。」こういう条文がございます。私どもといたしましては、いわばこの規定を逆用して訴追決定前に依願免で処理しよう、御指摘の同僚をかばうという趣旨での処理というものにつきまして、いたしていないつもりでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私がいろいろといま事例をもってお話をしたのは、私が勝手に脚色をしてはいない。ただ私が冒頭に申し上げましたように、良識をもって訴追委員会の頭の中に入っているものを話すと言ったのでありますから、私の勝手ではない。あなたが何か、私が言ったことが事実とするならばということは、きわめて意味が大きくなるのですから、もしも私が言ったことが裁判所としては異論がある、事実と異なるということであるならば、別途これは整理しなければならぬことですから、そのつもりでおってくださいよ。  あなたは、これらの私の述べたことが、事実でないがごとき印象をいま答弁された。そういうふうに理解してよろしいのですか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 どういうことで私どもにお示しいただいたかよく存じませんけれども、その書類の内容でございますが、訴追申し立て、人の申し立て事由にとどまっているということであれば、訴追委員会の方におかれまして事実として確定されたのかどうか私ども存じ上げませんけれども、その辺が私どもにとりまして不明確でありますので、事実であるとすればというふうに申し上げた次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 だから事務総長、もとへ戻るのですけれども、少なくとも、訴追請求人の言うことをわれわれ訴追委員会がそのまま聞いておるということは決してあり得ないのですよ。そこに法務大臣が訴追委員長として、前任者でいらっしゃるのですが。かなり調査員が調べて、そしてこの記録に残していくわけですからね。何かいまの話を聞けば、訴追請求人の言っておることをそのまま書いたのではないか、それでは困るよと言わんばかりの話であります。それは訴追委員会の私どもに対する冒涜だと思うのです。もしもそういうことが議事録に残って、私の言っているのが客観性を欠くとするならば、一回過去にさかのぼって、全部この私が申し上げた事案を調べてもらいましょうか。  私がこういうことを申し上げたゆえんのものは、冒頭に返りますけれども、長官が言っておることが十分に、まず長官のいろんな訓示の中の裁判官の神聖、執務態度、そういうものについて長官の言っておるとおりになっておりませんよ。それから第二番目に、弁護士ばっかりが悪いのじゃありませんよ、三者それぞれ反省しなければならぬですよ、こういう意味で問題提起していることをお忘れないように。  この次は検察審査会の問題をやろうと思っているのです。お互いに三者それぞれ反省が足らないという気が私はするわけです。三者がそれぞれ反省をしないで、弁護士だけが悪いのだという論理が、この法務委員会でまかり通ることに私は賛成できない。いまの裁判所に起こった事象をどういうふうに解決するかということの基本的な問題は、三者の信頼感を回復しなければいかぬ。けさの理事会でも私は委員長に申し上げておる。法案を審査して、これが適法に委員会で採決して通ればいいという問題ではないのではないか。われわれが考えることは、お互いに法律の専門家が法廷に集まってやるんだから、あらゆる法解釈を駆使して、戦術を行使してやるのでしょう、私は専門家じゃないからよくわからぬけれども。だから、ここへ出ていかぬといって、ここをきゅっとふたを閉めれば、今度はこっちで何か戦術を考えることはあたりまえのことじゃないかと私は政治家として考える。だから、何はともあれ、三者の信頼感を回復しなければ、今度は弁護士が悪いから弁護士に制肘を加える方法を考えて、法律を通してくれだけでは済まぬではないか。そんなことなら幾らでもまだ方法はあるよというばかりでなくて、三者の越えがたいみぞというものをますます拡大してしまうのではないか、そういう立場からあなた方も反省をなさったらどうか。それを、訴追委員会にあるやつは、そんなものは請求人が勝手に書いたんでしょう、それをまる写しする訴追委員会もちょっとおかしくありませんかと言わんばかりのことを言われたのでは、前訴追委員長だって恐らく心中穏やかならざるものがあると、いまそこで笑っていますけれども、私は思う。私だってそうですよ。公的にここへ立って、おまえの言っているのは、訴追請求人が言ったことをまるのみにして言っておったんではこけんにかかわるよと言われたような気がするんだ。  いまの結論は後にしまして、今度は訴追審査事案中に訴追ないしは訴追猶予の決定があった事案であります。これもいまの話のように、訴追請求人の言ったことをそのままかと言われたのではもうがまんがなりませんから、そのつもりで聞いておってくださいよ。  二十三年、「懇意な丁弁護士より同人ほか一名が関係する農業会の業務等に関し視察並びに魚粕にしん入手のため秋田市方面に旅行するにつき協力してほしい旨依頼され、これを承諾し昭和二三年一月六日より同月一三日まで秋田市に旅行するため勤務先裁判所を無断で欠勤」それから「商取引に関し同人らを秋田市の関係方面に紹介あっせんして商談成立に尽力し、浜松市へ帰って後の二月中頃まで勤務先裁判所において自己名義で右商談取りまとめ電報の発受を行い、その結果、船便で送られてきたするめが、仕向地の相違で静岡県へ荷揚げできずに結局商談は破棄され、その出荷証明書も第三者の手に渡ってしまったのであるが、これを知るや、右証明書の取戻し及び商談を元に戻すべく尽力するとともに、右するめの枠を東京都より静岡県へ譲渡せしめる手続に協力、さらに同年三月一三日頃右するめが闇物資として警察に摘発されるや所轄署に赴き、係官を難詰するとともに事件を不問に付するよう強要」これが七月一日訴追状提出、十一月二十七日不罷免判決。首切るまでもないということになったのでしょう。  次、大月簡裁、「昭和二二年一〇月中、物価統制令違反事件被疑者大月町在住のI家を谷村区検察庁が家宅捜索を実施する事実を事前に探知し、検察官が到着する以前に同家に至り、被疑者の妻に「Iは留置された、家宅捜索もあろうから織物類は他に隠した方がよい」と申し向け、右捜索による押収の目的物を同家から持ち出させた。」「谷村簡易裁判所において、罰金の略式命令を受けたAの相談を受けた右Iからさらに相談を受け、取りあえず、正式裁判の申立をするよう教え、のち他の裁判官に分配された同事件を自己の担当に振り替え、これを審理する過程で、職権をもって取り調べた証人か偽証事件を惹き起こした。」二十三年十二月訴追状提出、二十五年二月不罷免判決。  川口簡裁、「昭和二八年一月以降川口簡易裁判所において、下部職員の監督を怠り、諸帳簿の記入の不正確、上級庁に対する虚偽の事件処理報告、略式命令請求事件の長期未整理等を放置し、その結果、昭和二九年三月三〇日、三九五件の略式命令請求事件を刑訴第四六三条の二、同法附則七、九項により失効せしめた。」「昭和二七年四月頃より、各種令状用紙に署名押印したものを下部職員に保管せしめ、被審査裁判官不在の場合等は同職員の判断により所要事項を記載してこれを交付させ、その保管責任を明らかにしておかなかったため、ついに職員組合や新聞社に右令状一〇数枚を入手された。」「昭和二七年九月頃知人の依頼を受け、裁判所に事件として係属していない私人間の紛争事件に介入し、自己の地位を利用して早期解決をはかり、またその事件が刑事事件となって逮捕状が請求されるやこれを交付した。」「略式命令を交付送達するため、被告人に対し裁判所に出頭することを求めたが、これに応じなかった数名に対し、昭和二八年一、二月勾引する要件を欠くにも拘らず、勾引状を発して、裁判所に引致せしめた。」三十年の八月三十日訴追状提出、三十一年四月六日罷免判決。  厚木、「昭和三〇年四月中、自己が調停主任である境界確認等調停事件の現地調停の帰途、調停委員二名とともに調停申立人より一人前約八百円相当の酒食の供応を受けた。」「右事実について昭和三〇年五、六月頃横浜地裁所長に投書がなされたことを知るや、調停事件の被申立人の親類筋に清酒を持参供与して、投書者が何者であるか調査を依頼し、また、昭和三二年六月になって、右事実につき訴追委員会の調査することとなるや、急遽右調停申立人に二千四百円を届け、自己と調停委員の分は当時割前の支払を受けた旨述べてくれと依頼した。」三十二年の七月十五日訴追状提出、九月三十日罷免判決。  京都地裁、これは鬼頭判事補の問題で、御存じのように、五十二年二月二日訴追状提出、三月二十三日罷免判決。  谷村簡裁、「昭和二四年中、調停主任裁判官として調停成立の期日に立ち会い、当日は両当事者本人が出頭せず、いずれも代理人が出頭し、しかも同人らには代理権の証明がないにもかかわらず、これを確認することなく調停を成立させ、さらに当日はじめて立ち会った書記官補に注意を与えず、ために調停調書にいずれも本人が出頭したように誤記するに至らしめ、かつ同調書に裁判官としての署名をするに際しても、これを看過した。」二十五年六月二十六日職権。これは訴追猶予の決定があった事案であります。十一月十日に決定。  名古屋、「昭和二六年中、刑事事件の主任裁判官として証人の庁外尋問に参加し、裁判長が立会書記官に対し調書作成のため証人の供述内容を口授したことに関して反対し、意見の相違を来たすや、無断で室外に去り、じ後立ち会うことなく、そのまま帰宅した。」昭和二十六年七月十八日職権、十月十日決定、訴追猶予。  山口、「昭和二七年中、所属裁判所管内所在のH市役所首脳部に対する横領被疑事件について、親戚であるH市長から相談を受け旅館において市役所及び警察署の幹部らと会談して酒食をともにし、帰宅直後、右事件の揉み消しとも解される書簡を右会談に同席した警察署の刑事課長あてに託送した。」二十七年八月二十七日請求、二十九年十一月十二日訴追猶予決定。  函館簡裁、「昭和二八年中、担当した数被告人に対する常習賭博被告事件の判定宣告に際し、判決書の記載に相違して執行猶予を付すべからざる被告人にこれを付して宣告し、事件確定後、検察官が実刑記載の判決書謄本に基づき同被告人に対し収監指揮をした結果、右の相違が判明し、検察庁から照会を受けるや、執行猶予付の判決書を作成し、既往の実刑記載の判決書と差換えさせた。」二十八年六月二十九日職権、十一月六日訴追猶予決定。  大阪地裁、「昭和二八年ごろ、部の事務総括者、並びに被告人百余人に及ぶ騒擾被告事件の裁判長として、」被告人が法廷で荒れた、そしていろいろなことがあったにかかわらず、「適切な措置をとらなかったため、しばしば法廷の混乱を招来せしめた。」二十九年四月十六日請求、十一月十二日訴追猶予決定。  東京地裁、「昭和三八年中、裁判長として担当したA、B被告人に対する贈賄詐欺被告事件の判決宣告を行う際、判決理由告知中に、A被告人の弁護人ではあったが、当時既に解任されていた弁護士について、「C弁護人の尋問は子供だましの尋問である。裁判所はそんな尋問にはだまされない。こういうことでよく試験が通ったものだ。私はC弁護士としての資格を疑う。C弁護士は、この法廷で裁判所に対し悪態の言いたいだけを言った。ところが今日の判決には辞めてしまって出ても来もしない。」と弁護士の悪口を言いたいほうだい言って、三十八年八月十六日請求、四十年五月十七日訴追猶予決定。  札幌、いわゆる長沼訴訟、長沼基地訴訟事件のいわゆる平賀事件に関連する問題でありますが、これが四十四年十月二十一百請求、四十五年の十月十九日に訴追猶予と決定をいたしました。  これは訴追及び訴追猶予の決定があった事例なんであります。先ほどのものはそうではなくて、審査事由に起因して退官をした。  そういうことのほかに、今度は裁判官分限法に基づく懲戒事案の事例がここにございます。これもまあ一々読み上げたら本当に大変でございますけれども、私がつくづく思うには、これだけのものをずっと見て、一体どうなっておるの、世間からは神様であり、品格きわめてよろしく、まあ世間から見るとおり、裁判官でございます、そうですかというふうに見られておる人に、かかるたくさんの問題が年々歳々あるということはどう考えたらいいのだろうか。こういうことがいま法廷内における訴訟指揮の中には、法廷指揮の中にはあるのですけれども、これがいわゆる法務省の言う弁護士抜き裁判の直接原因の問題と関連なしには考えられないと私は思っている。私かまあ長々と、まだこれは裁判官分限法の事件を読み上げれば、もっと皆さんがびっくりするような事案が幾つもあるのですけれども、そういうことについて、一体どういうふうに――これは株式会社の社長だとかお役所とは違いますから、最高裁としてやりようはいろいろ違うと思うのです。違うと思うけれども、これじゃ裁判官の品位もくそもあったものじゃありません。こういう者が裁判官であって、それが何となく執行猶予を付すべからざるものを付したり、あるいは刑法に基づく最高限を超して判決をしたり、あるいは書き直したり、あるいは警察から勾留したいから許してくれと言ってきたら、一々夜の夜中はめんどうくさいから、書記官に紙を預けておいて、自分の判こを押しておいて、持っていけ、持っていけ、おれが寝ておっても、おまえがいいと思ったらそれでやっておけ、そういう裁判官がおるというのは、一体どう考えたらいいでしょうか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 ただいまお読みいただきました訴追の決定があった事案及び訴追猶予の決定があった事案につきましては、私ども正式にお知らせいただいておりますので、存じ上げております。  なお、裁判所側のそれぞれの事案に対する処分といたしましては、最初に読まれました静岡地裁の分は戒告、次に大月簡裁の件は過料、川口簡裁の件は過料、厚木簡裁は罷免判決があったわけでございますので、裁判所といたしては何もいたしておりません。最後の鬼頭判事補の件につきましては、御承知のとおりでございます。  なお、訴追猶予の決定があった事案につきまして、最初の谷村簡裁の件につきましては戒告、次に名古屋高裁の件につきましては戒告、それから函館、山口、大阪、これらの件につきましては、裁判所側としては何らの措置をいたしておりません。  次に、東京地裁の八王子支部の件につきましては、裁判所法八十条による最高裁判所の注意、それから札幌地裁の案件につきましては、先ほど申し上げました裁判所法八十条による注意を二回にわたっていたしております。  先ほどお示しの案件につきましては、以上のとおりでございます。  なお、申し添えさせていただきたいと存じますが、先ほどの事案につきまして、私といたしましては、決して訴追委員会の立場をないがしろにするつもりで申し上げた趣旨ではございません。私どもといたしましては、その内容について御報告をいただいておりませんので、まあ先ほどのような発言で、もし全部事実であるとするならばという趣旨で申し上げた次第でございますので、御了解いただきたいと存じます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 事務総長の御意見を一遍伺いたいと思います。

牧圭次最高裁判所事務総長

○牧最高裁判所長官代理者 昨年度の鬼頭判事補の問題を含めまして、過去に過ちを犯した裁判官がおるということについては、まことに遺憾にたえないところと思っております。したがいまして、昨年度の長官、所長会同におきましても、最高裁長官から、規律保持の問題について特に言を費やされたわけでございまして、裁判官の身分等のこともございますので、裁判官同士、お互いに切磋し合って、今後こういうことの起こらないように努力してまいりたいというふうに考えて、せっかく努力いたしておるところでございます。  なお、依願免本官の点について先ほど来お尋ねがございましたので、過去においても依願免本官の場合の事由につきましては十分調査しておっただろうと思いますけれども、今後も申請がございました場合には、その事由を十分調査いたしまして、疑惑を受けることのないように努めてまいりたいと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この問題の最後に、これは私は公表してもいいと思うのでありますから、国会にもずいぶん陳情が来た問題でありますから、この東京の女子の司法修習生に関する問題について結論的に意見を聞きたいと思うのであります。  これは訴追委員会におきます決定であります。四人の判事に対しまして  各被審査裁判官らについては、いずれも罷免の訴追をしない。      理由   当委員会が調査した結果によると、被審査裁判官らは、いずれも東京地方裁判所所属の裁判官であり、かつ、川嵜裁判官は司法研修所事務局長として、その余の各裁判官は同研修所教官として、同研修所に勤務していたものであるが、昭和五一年四月二七日ころから同年六月二六日ころまでの間に、それぞれ各別に、当時同研修所において修習中の同年度採用第三〇期司法修習生に対して後記のように、表現上多少の強弱や相違はあるものの、等しく女子修習生の修習意欲を減殺させるような、しかも、女性に対する差別的発言と受け取られるおそれのある発言をしたことが認められる。右発言の場所、相手方、具体的内容等は、概ね次のとおりである。すなわち、(一)川嵜裁判官は、同研修所の公式行事である見学旅行の際開かれた懇親会二次会の席上、約一〇名の男子修習生に対して、「男が生命をかける司法界に女が進出するのは許せない」などと、(二)中山裁判官は、ソフトボール大会後のクラス懇親会の席上、一名の女子修習生に対して、「女性は修習を終了した後法曹の道を進むことなく家庭に入って堆肥としての役割を果すのがよい」などと、(三)山本裁判官は、前記見学旅行の際、往路の東京・沼津間の列車内において、三名の女子修習生を一名ずつ自席に招き、「修習生になって両親は愚痴をこぼさなかったか」「勉強好きの女性は理屈っぽいから嫌いだ」「法律家となるより家庭に入る方が女性の役割として大切であるから、それを勧める」などと、(四)大石裁判官は、女性を含む十数名の修習生が同裁判官宅を訪問した際「女性は産休などで他人に仕事上迷惑をかけるので同僚はよい顔をしない」などと発言したものである。   被審査裁判官らの右各発言は、裁判官であり、かつ、司法修習生の教育・指導を担当する立場にある者の発言として甚だ穏当を欠くものといわなければならず、また、あたかも相互に意思を相通じたかの如く、一時期に集中して、同種内容の発言をしたことは重くみなければならないが、裁判官の身分保障の重要性にかんがみ、かつまた、裁判官弾劾法の規定に照らし、訴追請求人らが言うように、右各発言のゆえをもつて直ちに同法の定める裁判官罷免事由に該当するものとは認められないので、被審査裁判官らについていずれも罷免の訴追をしないこととする。   なお、被審査裁判官らの前記各所為は、法の下の平等、職業選択の自由、生存権の保障、勤労の権利等憲法上の基本的人権にかかわる重大な発言であって、このような発言をしたことは、裁判官弾劾法二条にいう裁判官としての職務上の義務に著しく違反したとき、もしくは、裁判官としての威信を著しく失うべき非行があったときに該当するから、いずれも罷免の訴追をするのが相当である、との少数意見のあったことを附記する。    昭和五二年一一月八日           裁判官訴追委員会  この問題についてはずいぶん私も訴追委員会で議論もし、ここでも同僚委員がいろいろと質問をしたことなんでありますが、これはあなた方としては一体どういうふうに処置されましたか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 川崎事務局長及び山本教官に対しましては司法研修所所長から書面注意を行ったわけであります。  なお、ただいまお読み上げきなりました訴追委員会の御決定の趣旨は十分拝承いたしましたし、今後ともこのような、いわば男女差別というようなことがないように努めたいというふうに考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 あなたが努めたいということをどういう方法で、管下裁判官及び裁判所内部に指示をしましたか。

勝見嘉美最高裁判所事務総局人事局長

○勝見最高裁判所長官代理者 この問題が生起いたしましてから、司法研修所所長が全修習生を集めまして、前期の修習終了の際の訓示の中でこのことに言及いたしまして、将来このようなことのないようにという所信表明をいたしております。  なお、私どもの内部におきましては、長官事務打ち合わせ等におきまして、従来の経過及び訴追委員会の決定の内容をお知らせいたしまして、各裁判官そういうことのないように自粛自戒すべきであることにつきまして打ち合わせをしていただいた次第であります。

横山利秋日本社会党

○横山委員 事務総長に伺いますけれども、こういう事例を私が延々とやりますと、とてもじゃありませんが、時間がかかるわけであります。私はまた幾つも幾つもあなたに――あなたは就任されてからまだ余り間がないのでありますからこの際聞いておきたいことがあるわけですが、必ずしも事例を挙げるのが目的ではありません。一つには、裁判官も人間であるという善意を確かに持ってはいるのですけれども、世間はそうは思っていないのですから、そういう事例があるのだからあなたの方も十分注意をしなければならぬ。部下を信頼することもさはさりながら、現にこれがあるのだから、人ばかり悪いことを言っておってはだめですよ。弁護士だけが悪いのだ、おれの部下は皆まじめなんだというわけにいきませんよということが一つあります。  それからもう一つは、一体いまの最高裁が人事管理をしておって全国の裁判官を全部掌握できているのでしょうか。私は、機能的に少し問題がありはせぬかという気がするわけであります。いま最高裁、高裁、地裁と並べてみまして、やはり地裁が、第一線で一番忙しいのも忙しいが活躍をしている。最高裁はいろいろな問題の掌握に忙しい。しかしまあ、私がそう言うと少し問題があるかもしれぬけれども、高裁のウエートが少し少な過ぎはせぬか、最高裁が全部の人事管理を初めいろいろなことをやるということに無理があるのではないか。もう少し高裁に裁判官会議というようなものに出して、地方自治あるいは裁判官のお互いの切磋琢磨、そういうやり方をしませんと、最高裁が全部上からにらみをきかせておって、みんなお互いに戒め合うことだけで最高裁の鼻息をうかがっているような最近の傾向、そういうことに人事管理上問題がありはせぬか、最高裁の裁判所の運営上問題がありはせぬかということを私は考えるわけです。  話はちょっと違いますが、去年でしたか国鉄の総裁が、もう運賃は国会で余り御厄介にならぬでもいいようになった、余り国会及び政府に依存し過ぎた、これから実力者は地方へ出す、地方の地域の鉄道、地域のいろいろな官公庁との協力、そういうことに少し力を注いで人事の再配置をすると言っていました。それとこれとは余り比較にはなりません。なりませんが、あなた方は国会に余り足を踏み入れない。年に一回か二回かこうやって集まるだけである。自分たちで全部おやりになるだけであります。自分たちで全部おやりになるから、やりやすいものだから、最高裁中心主義というものがいま起こっておるのじゃないかという感じがするわけであります。これはいまそうだ、そのとおりだ、おれもそう思っておるというわけにもいきますまいけれども、私がいま例を引きましたのは主として裁判官の人間性という人事の面から描き出したわけですが、そういう人事管理上の問題についても少し考え直す点がありはせぬかと思うのですが、あなたの御意見を伺いたい。

牧圭次最高裁判所事務総長

○牧最高裁判所長官代理者 おっしゃること十分理解できるわけでございます。  最高裁判所は人事をすべて行うということではございませんで、高裁管内の人事というものは高裁が行う、あるいは地裁の管内の分は地裁が行うということにいたしまして、ある程度の事務の分配はいたしておるわけでございます。また人員の配置等につきましても高裁等において若干の調整ができるようにされております。すべてを最高裁判所が握るのがいいということではございませんで、私どももその事務の分配については現在あるのがすべていいというふうには考えませんけれども、いまおっしゃられましたような点も含めまして、将来は事務の分配についてはさらに一層検討を続けてまいりたいと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 もう説得をしよう、私の言いたいことをすべて言おうとすると、どうも時間がかかり過ぎて、先ほどの稲葉さんじゃないけれども、まだ十分の一しかできておらないのでありますが、ちょっと方向を変えてみたいと思います。  少額事件の処理体制であります。  アメリカの状況と日本の状況とを調べてみました。最近の新聞にも興味を持って――去年も本年も投稿があります。これを見ますと、大変興味があるというか問題がある。鬼頭判事補の問題で簡裁がにわかにフットライトを浴びたわけでありますけれども、これを引用いたしますと、鬼頭判事補は軽犯罪法でやられたのだけれども、「都心の簡裁でも月に一、二件程度。女性のあとをつけた、飲食店で暴れたなどだが、略式で処理される方が多い。東京簡裁で五十一年に受け付けた刑事の訴訟事件は千二百余件。渋谷簡裁は六百余件。ともに九割までが盗みだという。」「売掛金などの支払いを命じるのも簡裁の仕事だが、これには“お得意さん”がある。豊島簡裁では五十一年に民事の訴訟を約七百件受け付けたが、うち二割がA家庭用品会社の関係だ。同社は関東一円でミシン、電機、ベッドなどの月賦販売をしており、代金の取り立てができなくなると同簡裁に持ち込む。東京簡裁でもカメラ、医療器具の月販会社が大口の常連だ。」「海外旅行が盛んになるにつれて、国際電電会社からの支払い命令の請求もふえた。海外に電話をかけたのに料金を払わないというケースで、同社が全国の簡裁に支払い命令を求めたのが五十一年度は八千五百余件。未払い料金は五億二千万円にもなったという。」「庶民同士のささやかな貸金、家賃、不動産などの訴訟もあるが、簡裁の利用度が高いのは、やはり大会社だ。」こういうことは調べましたアメリカでも同じような傾向のようであります。要するに簡裁は、初めは本当にこの設立の趣旨は、きわめて庶民同士のささやかな問題、それを庶民にかわって簡単にひとつやってあげるということであったのが、いつの間にやら大会社の消費者いじめと言っちゃ語弊があるかもしれぬ、消費者が払わなければしょうがないんだけれども。しかし大会社の消費者を加害者とする簡裁利用が余りにも強いという傾向は、これは一遍見直す必要があるんじゃないかということでございますが、どうでございますか。

井口牧郎最高裁判所事務総局民事局長

○井口最高裁判所長官代理者 簡易裁判所におきます民事事件ができるだけ手軽に利用されやすいようにということは、たびたび当国会の附帯決議でもお示しいただきましたとおりでございまして、その後私ども鋭意簡易裁判所において、民事訴訟法に定められました特別の活用に努めてまいっておる次等でございます。くどくどは申しませんけれども、起訴を口頭でできるとか、呼び出しも簡単な方法でできる、あるいは必ずしも準備書面によらないで弁論ができるといった点がその特徴かと思います。そうでございますけれども、現在の簡易裁判所の民事訴訟もしょせん民事訴訟法の一類型でございますので、運用による簡易化には限度があろうかと思います。しかし、その限度の範囲内で努力はしておるわけでございますけれども、決して一般の方々に非常に利用しにくいような運用はしておらないつもりでございますが、現実にそういった取り立て会社などが多く利用しておるというようなこともあるいはあろうかと存じます。  なお、そのほかに私どもとしては、調停手続による簡易な解決、それからいわゆる支払い命令でございますか、特則手続によってかなりの程度事案が解決されているものと存じております。一応そういうふうにお答えしたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ここで、最高裁の皆さん、私が申し上げておることは裁判官の悪口を言うたからといって、それを弁解するにきゅうきゅうとして回っているようでは困るし、それから、私がいま少額事件の問題の処理体制を言うのも、これは何とかせにゃいかぬという意味で申し上げているのですから、事態がこうだああだでなくして、前向きにお互いに研究して、それならどうしようか、どういう方法があるかということを前向きでひとつお答えも願いたいし、私もいい答えがあるならば、それはそうだ、それならば国会も協力しようじゃないかということになるわけですから、現実の事態に認識の相違があるならばともかくとして、そういう傾向があるならあるで、改善策をひとつやはり考えてもらわなければいかぬと私は思うわけです。  どうなんですか、簡裁がそういうきわめて簡単に、庶民の願いを訴訟というむずかしいやり方を経ずして、あるいは弁護士さんにも頼めずに、駆け込み、大岡裁判みたいにやってくれるんだということを知らぬということが、まず一番の根本じゃないでしょうか。知らぬからあなたの方は、簡裁が暇だからといって管轄の金額を三十万円に上げる、今度は五十万円に上げるというふうにして上の方に伸ばしておるけれども、下の方に、もっと庶民にこういう簡裁の駆け込み訴えのやり方がありますよ、これでどうも皆さんがまだめんどうだと言うならこういう方法を今度やりましょう、長官のお話のようにこういう複雑多岐な庶民の新しい諸問題が続々発生しておるんだから、どうぞひとつおいでくださいと言って大々宣伝をやるとか、あるいはこういう方法を今度やはりとってみようというふうに考えぬですか。ここで、実際はこういうことでありますというような説明だけでは、何の意味も私はないと思うのであります。  そこで、いろいろな資料をとってみまして改めて整理をいたしますと、少額裁判所というふうに問題が最初出て、日弁連からそれはちょっとおかしいよ、それは簡易弁護士、準弁護士制度を持ってくるんじゃなかろうかとかいろいろ批判は出ておるけれども、そして弁護士会としても、法律扶助制度の拡充を含めて解決に取り組んでおるというのが結語であって、これは法律扶助制度の問題とは次元が私は違うと思うのであります。  そういう少額裁判所、仮に仮定をいたしまして、それが必要な理由は、民事紛争について現在の訴訟制度が一般大衆になじまない理由として、訴訟金額が一千万円の事件であっても一、二万円の事件であっても、訴訟手続が同一であること、少額裁判所を必要とする人々は一般的に知識が乏しいこと、代理人によらなければ完全な訴訟活動が不可能であること、多額の費用がかかること、時間がかかること、こういうことが何とかしなければならぬと言われておる原因だと思います。  そこで、一般市民のために身近な紛争を手軽に解決するための少額裁判所としては、訴訟金額が十万円以下であって、金銭の給付訴訟に限ること。手続が簡易化されること。訴え、答弁、手続が簡略化され、立証手続も弾力的なものとすること。事件処理の迅速化が図られること。訴えの提起後速やかに証拠調べが始まり、しかも在廷証人や当事者本人中心の徹底した集中審理が行われ、時には証拠調べ後直ちに判決がおりること。四番目に、裁判所が後見的な役割りを果たし得るものとして、極端な当事者主義は制限し、裁判官が証人尋問を行い、事情によっては債務者に分割払いを命ずるなど、適切な措置をとることもできること。五番目に、裁判所を利用しやすくするために、当事者は口頭によってなすことにし、必要やむを得ない書類は書記官が作成してやったり、働く人々のために夜間にも法廷を開くことができること。六番目に、この裁判所の判決に対しては控訴、上告は認めず、憲法との関係上最高裁判所に特別上告をすることのみ認める。この特別上告は確定を遮断しない。七番目に、この裁判に携わる裁判官は、定年後簡易裁判所判事に任命された裁判官、弁護士十年以上の経験者から任命された裁判官とすること。  これが整理をいたしました少額裁判所の一つの私の問題提起でありますが、一方においては、現在の簡易裁判所で少額裁判部を設けたらどうか、そしてそれには特例を設けたらどうか。少額裁判所をつくることは非常にいろいろな問題が起こるならば、簡易裁判所の中へ少額裁判部を設けたらどうか、そこで諸般の手続を省略したらどうかという意見もございます。  アメリカ合衆国におけるいろいろな状況をお話しすると時間がかかりますので以上でございますけれども、この現在の状況は余りにも電電公社や大メーカーの取り立て機関にウエートが実際問題としてかかっておる。そういうことは、それは知識があるのだからそこを利用したっていいと言える。けれどもそれじゃ私どもはどうも納得できないので、そういうところはまた別に、こんなところを利用せずにほかの方法でやってもらいたいし、そういう商売のために簡易裁判所を利用するようなことだったら制限を付したらどうかとも思われるのです。その改善策について御意見を伺いたい。

井口牧郎最高裁判所事務総局民事局長

○井口最高裁判所長官代理者 事が立法政策にも関しますので、あるいは後ほど法務省からもお答えがあろうかとも存じますけれども、私どもいわゆる少額裁判制度というものを全く考えていないわけではございません。過去にも内部的に検討してみたことはあるわけでございます。ただ問題は、先ほど申しましたように、現在の民事訴訟の枠内で簡易化するには限界があるということと若干関係があるわけでございます。  と申しますのは、これをこれ以上簡易化するとなれば、かなり大幅に裁判官に対する訴訟法上の制約から解放するという結果にならざるを得ない、私はさように考えます。これは裏を返せば、ある意味では裁判官の権限、あるいは裁量権と申してもよろしいかと思いますが、これを広げるということにならざるを得ないわけでございます。少しくどくなりますが、現在のように訴訟法上ある程度がんじがらめの制約をしておりますのはそれなりに理由があるわけでございますけれども、それでは弾力的な運用にも限界があるということでございますが、そういったふうに裁判官の権限をかなり拡大して、いわばインフォーマルな裁判ができるようになった場合に、これを利用する国民に果たして納得が得られるであろうかどうかという点に私実は若干の危惧を持っておるわけでございます。  それからもう一つ、これもただいま横山委員御指摘になりましたけれども、この裁判に対して不服を許すかどうかという問題も大変なポイントであろうと思います。これを非常に簡単に不服が許せるようになりますと、先ほど申しました支払い命令の裁判に対する不服と選ぶところもなくなってしまうという意味で、それ自体独自のメリットがあるいはなくなるのではないか。結局のところ不服はめったに許さない。そして裁判官がいわば、ちょっと表現が悪うございますけれども、かなり自由に裁判をするということが現在の日本の国民性にうまくマッチするかどうかの点について、どうも私なりに踏ん切りのつかない面があるわけでございまして、現在のところ私どもとしての内部的の検討の域を出ないというのは大変遺憾なことでございますけれども、さように御了承いただきたいと思います。  なお、これはもうつけ足りでございますけれども、英米等の少額裁判所におきましても取り立て業者などが非常にその乱用といいますか、大幅に利用しているという点と、それからもう一つは、やはり手続的な保障に若干問題があるというような批判もなされているように承知しております。  現在裁判所の方から申し上げられます点は以上のとおりでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私がきょう問題提起をしているこの少額裁判所にも関連をいたしますが、要するに最高裁、裁判所として自分たちが運営していることについての改善策、長官の訓辞にもありましたが、その訓辞の中で前向きに、これは法制的な改善が政治の段階で必要であるというふうに示唆しているものがある。いまの少額裁判所、結論は必ずしも私の好むところではないけれども、それでも問題があるということはお認めになったようであります。  それから、今度は判決で明らかに法改正を必要とする――しないまでも、たとえばカネミ油症の問題がそうでありますが、いろんな問題提起をしている。いわゆる製造物責任の問題です。これで判決が出たんだから、今度それと類似するような事件はまた裁判やれば勝てるだろうということになっている。けれども、カネミ油症の問題でも七百人かかって十年かかってようやく勝ったわけですね。もう一遍同じ事案だから勝てるといっても、それだけのことをしなければならぬ。しかし判決で、製造物責任の問題はもはや牢固として判決の事例の中に加わって、それで厚生省や法務省や経済企画庁が外国へ行って製造物責任の調査もしてきた、こういう状況になっておる。また一方、先年私が提起したのですが、交通訴訟で、判決はしたけれどもその執行が統計によるとほとんどうまくいっていない、空判決に終わっておるという問題がある。離婚などの調停ないしは訴訟も、まとまったけれども後はうまくいっておらぬ、払ってくれぬという問題がある。判決すればいいという問題じゃないような気がするわけです。  そうしますと、最高裁は両方の訴えを判断して判決をする。判決についても、黙っておってもこの判決を見れば政府が何かしなければならないだろう、またそれを期待するという判決があるし、自分のやったことをちっとも後ろを振り返らずに、判決した以上はそんなものはおれの責任じゃないよというようなことであっていいだろうかどうか。私が聞きたいのは、判決をした後の念査、判決した後裁判所の判決が一体どういう結果をもたらしているか、それは誠実に履行されているかどうか、履行されてないとすれば一体どんな問題がそこにあるのか。あるいは確定判決した内容で、これは政府が善処してほしいというようなものについて最高裁は一体どういうふうに政府に話をしているのか。また政府の方は、これらの判決は場合によっては国が――訟務局長が国を代表してやるのですから、この前私が言ったように、訟務局長は勝てばいいだろう、国の訴訟代理人だから勝てばいいだろうではいかぬでしょう、ときには負けた方がいい、あるいは負けた場合には関係各省に責任を持って、負けた以上はこれを履行してもらいたいという履行責任を求める権利義務というものが法務省にあるのではないかということを言ったのですが、御両者から、最高裁からは、判決をすればいいだろうだけでなくて、判決後の実行はいかにあるべきかということを調査して、それを判例や判決のときに反映することをおやりにならないのか、あるいは判決をしたことによって、それが国なりしかるべきところへ、そんな命令権はありはしませんけれども、期待をするということをどういうふうに方法をなさるのか。法務省はこれらについて一体どうお考えになるのか、お伺いしたい。

井口牧郎最高裁判所事務総局民事局長

○井口最高裁判所長官代理者 横山委員から交通事件の空判決につきましてたびたび御指摘をいただき恐縮に存じております。私ども、いま交通事件を中心におっしゃられましたので、例を交通事件にとって申し上げたいと思います。  この問題これはあたりまえのことでございますけれども、ポイントは、要するに加害者の支払いの意思と支払いの能力、この二つに尽きるのだろうと思います。裁判所の対応といたしましては、要するにこの支払い意思の十分にない者にどう対処するかということと、財産が散逸したり、あるいは財産が隠匿されていないように計らうにはどうしたらいいかということに尽きるかと思います。これは、昨年もこの委員会で矢口総務局長がお答えしていることではございますけれども、私どもとしてはできる限り早く事件を解決するということと、できる限り履行のしやすい方法を選ぶというこの二つが大きなポイントだろうと思います。早く解決をするということになりますれば当然、これもしばしば申し上げていることでございますけれども、判決をいたします場合には全国かなりの庁に現在交通の専門部が置かれておりまして、できる限りの迅速な処理に努力をしておるわけでございます。  それから、履行のしやすいような方法ということは、裏を返して申し上げれば、訴訟に来ました場合にも、なるべく和解による解決に持っていく。これは、現在の数字を申し上げますと、全事件の五四、五%を和解で解決しているわけでございまして、全民事事件で申しますと三〇%余りでございますか、かなり高い利用度がこれでおわかりいただけるだろうと思います。それからもう一つ、やはり合意による解決の方法としては、御承知のように調停がございます。交通の調停事件はここ十年くらい常に訴訟の件数を上回るくらいの数で利用をされているわけでございまして、これ自体かなりの成果は上がっているものと存じております。  そこで、横山委員の御指摘の、裁判所が判決その他の解決の後をどうフォローしておるかというお尋ねでございます。あるいはおしかりを受けるかもわかりませんけれども、私ども司法行政の事務として履行状況の調査をすることが不可能であるとは考えておりません。しかし、幸か不幸か、判決による場合と和解、調停による場合とでどの程度履行状況がいいか悪いかというデータが過去にもすでに出ておりまして、これも横山委員御指摘のとおりでございます。そういう意味では明らかに判決による解決よりは合意による解決の方が、先ほど申しました支払い意思という面でも当事者に履行しやすいという傾向があらわれておりますので、私どもの目下の仕事としては、さらにこの履行状況の調査をいたしますよりは、むしろいかにして迅速に、しかも履行しやすいような解決に持っていくかという方面に力を入れることが先決じゃなかろうか、かように考えておるわけでございます。  以上でございます。

大西勝也最高裁判所事務総局総務局長

○大西最高裁判所長官代理者 ただいま横山委員が離婚の調停等のことについてお触れになりましたが、家庭局長がおりませんので、ちょっと私かわって申し上げたいと思います。  離婚の調停その他家事審判につきましては、やはり調書あるいは審判が債務名義になるわけでございますから、強制執行がそれによってできるわけでございます。ただ家事の関係につきましては、事柄か親族間、親子、兄弟、夫婦間のことでございまして、必ずしも強制的な執行になじむものではない。しかも金額が少額なものが多うございますし、継続的給付、継続して毎月幾ら払うというふうな形のものがかなり多うございます。そういうようなこともございまして、家事審判、家事調停の関係では、昭和三十一年に御承知の履行勧告、履行命令、それから寄託というような制度が家事審判法、家事審判規則で設けられたわけでございます。その制度の運用の状況をちょっと概略申し上げますと、まず履行勧告、履行状況の調査、勧告、これは主として家庭裁判所の調査官がやっておるわけでございますが、これは件数としては毎年ふえておりまして、最初にできました昭和三十二年当時と比べますと、昭和五十一年度ではおよそ二倍に近いような件数になっております。その履行勧告の結果どういうことになったかと申しますと、一部の履行をも含めますと、履行勧告の既済事件の中で大体四分の三、七五%くらいはともかく履行されたということになっております。この事件はそもそも任意に履行しない場合に初めて行うものでございますから、そういう意味では、任意に履行されましたものを含めますと、家事の調停それから審判についてはかなりの履行がなされておるというふうにうかがえるのではないかと思います。  なお、寄託金といいまして、調停等に定められた金額を債務者側か家庭裁判所に寄託いたしまして、それを債権者に渡すというような制度もございまして、この件数も毎年少しずつふえておりますし、寄託金の受け入れ総額もかなりの金額になっております。  以上、家事の関係をちょっと付加して申し上げます。

枇杷田泰助法務大臣官房司法法制調査部長

○枇杷田政府委員 ただいま御指摘のように、判決で決まりました内容が実現されないということは大変な問題でございますので、もしそのように実現を妨げているようなことが法律制度の中にあるというふうに考えられました場合には、法律の改正、改善に努めるようにいたしたいと思います。  なお、私どもといたしましては、個々の事件の結末がどうなっておるかということを必ずしも追跡する立場にはございませんけれども、そのような問題は新聞、雑誌等でもしばしば提起されるところでもございますし、法制審議会の場においてもいろいろな方からも提言がなされることでございますので、そういうことを十分に踏まえた上で、隘路の打開には法改正という場を通じて考えてまいりたいと思っております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これはどこもそういう手足がないし、判決後の実施状況及び判決によって政治として考えなければならぬこと、そういうものが全然等閑視されておって、ここで私どもが思いつきで話をしたり聞いたり、新聞で拾い読みするようなことではならぬと私は思うのであります。ですから最高裁でやれるか、あるいは調査部でやれるか、あるいは訟務局でやれるか、あるいは一遍にすべての判決に対して調査ができないとするにしても、一つの問題について、事案について調査をするか、あるいはまた法務省の内部で調査ができなければどこかしかるべき機関に委嘱して調査をするか、少なくとも判決が公正に出、そしてその判決が実行される、そして判決が出たことについては政治の上でこれが整理されていくということでなければ、裁判に対する一層の信頼を期待することができないのではないか。しかも冒頭読み上げました長官の訓示の主流をなす新しい問題、激動する社会において、多様性のある価値観の非常に異なる多方面の問題があって、現在の法規、規定においてはそれを吸収することがやや困難である、その点については裁判官も勉強しなければならぬけれども、政治に期待するところが大きいと、そういう表現であったかどうかわかりませんけれども、そういうふうなことが最高裁長官の最近における一つの中心課題であるとするならば、まじめにそれをどこから取り上げていくか、それは長官の意思というよりと裁判所がいま悩んでおる重要な問題であるとするならば、これはどこかで取り上げてどこかで整理をしていく、その一番近道は裁判の結果どういうことができておるのかということをまず拾い上げてみる、そこから前進をするということが必要ではないかと私は思うのですが、法務大臣いかにお考えになりますか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 おっしゃる気持ちはよくわかるわけでございますが、争いがある、それをどうしても個人間で解決ができなければ裁判制度にかけて黒白を明らかにしていく、こういうことでございます。これは刑事の問題じゃありませんけれども、刑事の場合は国家がその裁判の結末をつけるということになる。民事の場合はこれは個人間の問題でありますから、黒白を判断をして、そこまで追及して国家の力でやるかどうかということは、これは相当問題があると思います。そのために裁判なり判決なりあるいは調停等で債務名義ができれば、当事者の支払い能力あるいは支払い意思等に関係があるわけでございますけれども、その判決によってあるいは債務名義によって、どうしても任意に払わなければ強制執行するという手段が講じられておるわけでありますが、そこまで国家として、国の機関として最後まで見届けることが一体できるのかどうか。おっしゃることは気持ちはよくわかりますが、検討しなければならぬと思いますけれども、非常にむずかしい問題じゃないか、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の申し上げたのは、二つの方面があって、一つは空判決やあるいは調停、訴訟の夫婦別れの実行ができないという問題と、もう一つはカネミ油症のような判決の中における製造者責任という政治課題の投げ込まれた問題、二つの側面があるわけです。私はきょう第三番目にその製造物責任の問題を取り上げようと思いましたところが、余りにも時間かなくなって、同僚委員がそれも取り上げるというのでありますから後刻に延ばしますけれども、いま私はこの二つの側面を提起しておるのでありまして、しかもその実行の方法を具体的に示して言っておるわけでありますから、その調査が、あなたのおっしゃるように国家がすべての責任を負わなければならぬことはないというのは少し飛躍が過ぎるのです。なぜ空判決に終わっておるのか、それは裁判のあり方についてまだ問題が残っているのではないか、あるいはまだ判決後の強制執行力を持ったやり方があるわけでありますが、そのやり方について知識がないのではないか、示唆することが十分にできていないのではないか等々の問題があるはずでありますから、私はそうすべてがすべて空判決のときに政府か全部めんどうを見てやれと言うつもりはありません。しかし、そのことについてもまだ保険制度が残っておるわけでありますから、保険制度の研究、改正によってできないことはないと私は思うのであります。問題は、そういうふうな方向でやるためには、一体空判決はどんなものがあるのか、どういうことを改善すればそれができるのかという点を調べてもらいたい、こう言っておるわけであります。  長い時間でございますから、製造物責任やそのほかの問題は次回に回しますけれども、一番最後に、法務大臣が私に答弁されるならこの機会にお答えをいたしますという懸案の問題があったはずでございますが、何ともおっしゃらないのはどういうわけでございますか。二回にわたって閣議でお話しになったにかかわらず、きょうまだ御答弁かないということは、答弁ができないということでございますか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 お尋ねのないのにこっちから出しゃばると怒られはせぬかと思って……。  具体的におっしゃらないけれども、サラ金の処理の問題かと思います。これはしばしば、前からでございますが、横山さんからも御指摘があった。私もたびたび申し上げておりますように、率直に申し上げて、一つの社会問題として見逃すべきものじゃないという気持ちを持っておるわけでございます。  そこで、政府といいますか、内閣においては、この前も申し上げましたが、この扱いの機関といいますか、担当する機関というのが明確でないようなかっこうになっておる、これはおかしい、こういうことで閣議等にも話題を出して、この問題の解決の何かの手段を講じなければならない。そこで、横山さんはどこか担当省をというお話でございますが、官房が中心になりまして目下実態を調べ、そしてこの方の育成、反面においては取り締まり、こういうものを早急にまとめよう、いまこういうふうな作業をしているということだけを申し上げておきます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それは、この間申し上げたように待っておれません。実は私どもの手元で、私が二年前に一つの私案をつくりました。昨年公明党から国会に議員提案か出ました。それから、自主規制に関しまして業界、関係方面から案が出ました。その三つを集約をいたしまして、私どもとして一つの案をつくったわけです。私どもとしては、自民党の某氏が私どもと相談して現行法はでき上がっておる、超党派の議員提案が現行法でございます。その下地もございますので、いま申しましたような各方面の意見を整理、集大成をいたしまして、ここに貸金業の規制に関する法律案の成案を得たわけです。それで、いま各党の中でそれぞれ各党の内部相談をずっと始めておるわけであります。これは何もあなたに責任を負わせるつもりはないのだけれども、法務省もこの問題の非常に重要な役割りをしておるわけでございますから、ひとつこれを差し上げますから、関係の、いまのお話で言えば、総理府がさしあたりのお茶とコーヒーを出し、席を出すところだそうでございますから、これをひとつ関係方面に回していただきまして検討しろと言ってくれませんか。――それでは、大変長時間恐縮でございましたが、やはりまだ問題が残りました。別な機会に質問することにして、一応終わらしていただきます。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 いまのをちょっとお答えいたします。  ありがとうございます。まずお礼を申し上げます。これは大蔵省あるいは検察庁、法務省、経済企画庁、この実態に合うようにしなければならないということで、いま急いでやれということで鋭意やっておりますから、参考としてこれは検討させていただきます。ありがとうございました。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前十時理事会、十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後二時三十八分散会

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