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84回国会衆議院1978/02/15

法務委員会 第3号

発言数
189
登壇者
15
会派数
2
開催日
1978/02/15

会議録

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 これより会議を開きます。  裁判所の司法行政、法務行政、検察行政及び人権擁護に関する件について調査を進めます。  お諮りいたします。  本日、最高裁判所大西総務局長から出席説明の要求がありますので、これを承認するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎武三郎君。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 大臣の御出席が少しおくれそうですので、できるだけ大臣に関係のない部分から質問したいと思いますけれども、まず初めに民事局長にお尋ねいたします。  先般、法務大臣の所信表明の中でも司法書士法の一部改正について述べられているのでありますが、具体的に今国会に提案なさるのかどうか、必ずしもはっきりしなかったように思うのであります。司法書士法を一部改正しいわゆる国家試験制度を導入する問題は、司法書士会長年の強い要望であり、当委員会においても昭和四十二年にその早期実現に努力すべき旨の附帯決議を付しているところであり、それから見ましてもすでに十年以上も経過しております。このような事情を考えますとき、今国会にはぜひとも提案していただきたいと考える次第でありますが、まず、今国会に提案される予定であるかどうか、お尋ねいたします。

青木正久自由民主党法務政務次官

○青木政府委員 国家試験制度採用などに関する司法書士法の改正につきましては、日本司法書士会連合会と当局との間で鋭意検討を続けてきたわけでございますが、まだ成案を得るに至っておりません。今後とも、さらに慎重に検討して、でき得れば今国会に提案できるようにしたいと考えております。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 司法書士法の一部改正問題については、日本司法書士会連合会と法務省民事局との間において協議、検討が重ねられているということでありますが、すでに昭和四十二年の附帯決議から十年を経過したままであります。聞くところによりますと、かなりの問題点について司法書士会連合会と法務省当局との間で考え方の一致が見られたようであります。しかし、現在どのような点について協議、検討をされているのかどうか、また、法務省当局としては改正案として、いまのところどのような内容を考えておられるかどうか、その大筋でもお示し願いたいと思います。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 ただいま仰せのとおり、いま検討しております司法書士法の改正は、現在の司法書士の認可制を国家試験制に切りかえることが主眼になるわけでございまして、さような骨子につきましては、連合会とも大筋におきまして意見の一致を見ておるのでございますけれども、私どもから申し上げれば、本筋とはちょっと違う二、三の点につきまして、現在協議、討議を重ねておるところでございます。  それは、まず第一に、国家試験制を導入いたしますと、国民に対しましてこの人が司法書士としての資格を持っておるのだという公証の意味での登録制度が付随的に出てくるわけでございます。この登録を連合会の方では自分のところでやりたい、こういう御希望があるようでございます。しかし、事柄の性質上、国の事務でございますし、いろいろの面を考えますと、司法書士制度のためにも、今日の段階におきまして連合会が登録事務をやるということは決して適当なことではない、かように私ども考えておるわけであります。その点がまだ意見の一致を見ない第一点でございます。  第二番目は、これは大したことないのでありますけれども、現在の司法書士法の一条二項に、他の法律で制限されている事柄については、司法書士がその仕事をできないという規定があるわけでございます。これを削除してもらいたいという御要望があるわけでございますが、これはいろいろなところへ波及する問題でございますし、最近の立法例は、同じようにそういった規定を業法について設けておりますので、削除する実質的な理由は何らないということから、これも私ども、容易に承認できない第二点でございます。  第三点は、これはまことにささいなことなんでございますけれども、国家試験にいたしました場合に、その試験の必須科目の中に憲法を入れてくれという御要望があるわけでございます。これはさほど大きな問題ではないと思いますけれども、今日の公認会計士法とか税理士法とかいろいろの業法がございますが、かような実務家の試験におきまして、憲法を必須科目にしておる例は全くございませんし、司法書士業務につきまして、常識的な意味で憲法を知っておることはもちろん大事でございますけれども、司法書士業務を適確にやれるかどうかということを審査する意味の試験といたしまして、憲法を特に試験科目にしなければならぬことはないと思いますし、受験生の負担の問題もございますし、あれやこれや考えますと、必須科目としてこれを入れることは適当でないのではないかというふうな考えでございます。  以上の三点が、現在さらに討議をしておる、意見の一致を見てない点でございまして、この点が解決できますれば、法案を作成しまして今国会に提案したい、かように考えておるわけでございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 司法書士の国家試験制度の採用に伴い、登録制度を新たに設ける必要があることになります。この登録制度について、御承知のように日本司法書士会連合会は、弁護士会、税理士会等と同じように、日本司法書士会連合会でこれを所管したいという強い希望を持っております。この点について法務省としてはどのように考えているのか。また、司法書士会に登録制度を所管させることが適当でないとするならば、その理由は何なのか。現段階においてこれが不可能であるとすれば、将来においてこれを司法書士会に所管させられることは考えられないのか、お答え願いたいと思います。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 先ほども申し上げましたように、国家試験制を導入いたしますと、国民に対しまして司法書士の資格を持っておるということを公証する登録制度が当然入ってくるわけでございます。さような登録の事務は、事柄の性質上、当然のことながら国の事務であるわけでございます。したがいまして、現在司法書士会の方からこれを司法書士会でやらしてくれ、連合会でやりたいという御要望は、実は私、率直に申し上げまして、はなはだ理解に苦しむところなんでありまして、国の事務をなぜ連合会がいわば下請的にやる要望があるのか、これがいささか奇異に感ずるわけであります。  登録事務と申しましても、これはなかなか手続的には大変でございまして、恐らくは現在のそういった登録を連合会がやっておる例としての税理士会の運用ぶりを見ましてもおわかりになりますように、単位会で粗ごなしの調査をして連合会に上げてくる、結局連合会におきまして欠格事由の有無の調査とかあるいは司法書士として登録することが適当かどうかというふうなことを調査、判断いたしまして登録をやることになるわけでございますが、そのためには担当の相当の職員といろいろの費用を要するものと思われるのであります。  そういった登録事務というのは適正に行われなければならないのは当然でございまして、理由もないのに登録を拒否するというふうなことに相なっては困るわけでありますし、また、登録すべからざる者を登録するということになっても困るわけでございますので、その登録事務が適正、しかも迅速にされなければならぬということから考えますと、この事務はなかなか費用、手数を要する大変な仕事だと思うのであります。そういう仕事を国からの一銭の補助もなしに連合会が下請的にやるということは、むしろ物の考え方としては逆じゃないかというふうに思うのであります。そういった事務の性質上、やはり国が責任を持って、その負担においてやるべきものだという一つの性質論が考えられるわけでございます。  それから、現実論といたしまして、いま申しましたような登録事務を、単位会、県単位に設けられております司法書士会あるいは連合会自身がその事務処理の負担にたえるかどうかという現実的な問題があるわけであります。現在、司法書士制度の充実発展のためにはいろいろのやらなければならない仕事があるわけでございまして、連合会におきまして鋭意努力されておるわけでございますが、そういう本質的な、しなければならない仕事も、率直に申しまして必ずしも十分とは言えない状況にあるところへもってきて、国のそういった事務を下請的に相当の金を投じてやることが果たして司法書士制度の充実発展のためにはいいのかどうか、そういった現実の問題があろうかと思うのであります。それから、税理士会あるいは弁護士会、まあ弁護士会はこれはちょっと別にいたしまして、税理士会が登録制度を税理士連合会でやっておるわけでございますが、国の事務でございますので、当然のことながら、その登録事務の運営が適正、迅速にされているかどうかというふうなことを、やはり国としては責任を持たなければならぬということから、現在の税理士法をごらんいただきますればわかりますように、大蔵大臣あるいは国税庁長官が一般的な監督権、総会の決議の取り消し権あるいは役員の解任権等の権限も持っておるわけでございます。これはやはり登録を連合会でやるということになりますれば、国の事務をかわってやっておるわけでございますし、さらに御承知のとおり登録には登録免許税を納めなければならぬ、その徴税機関としての機能も果たしておるわけでございまして、それやこれやで、やはり国としては当然その事務運営について監査監督をしなければならぬということが必然的に出てくるわけでございます。そういうふうなことを司法書士会連合会が今回の登録をやります場合に考えてみますと、私は決して好ましいことではないと思うのであります。本来の国の事務をいわば下請的に、一銭の補助金も出さないで連合会にやらして、そしてそれが国の事務なるがゆえに、いま申しましたような監査あるいは監督権を国が持って、いろいろの報告を徴したり、帳簿を監査したり、あるいは総会の決議までいろいろ干渉するというふうなことは決して好ましいことではないのじゃないかというふうに思うわけでございまして、それやこれや考えますれば、私は、現在連合会が要望しておられる登録を連合会でやるということは、むしろ本末転倒の話でありまして、とうていこれは受け入れるわけにはいかぬ、かように考えておるわけでございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 司法書士法の一部改正に関連しまして、現行司法書士法第一条第二項という規定が実は司法書士会内部で問題になっております。同項によりますと、司法書士は司法書士法第一条第一項に掲げる業務であっても、他の法律によって制限されているものについては、これを行うことができないものとされておりますが、司法書士会においては、この規定があるために司法書士の職域が現に侵害され、あるいは侵害されるおそれがあると言っております。果たしてそのようになるのかどうか、同項が置かれている法律的意味はあるのか、同項に何らかの法律的意味があるとすれば簡単にこれを取り除くことは問題であると思いますが、法律的意味がないとすれば、司法書士会の要望もあるので、これを削除することも差し支えないと考えられます。この点については、先ほどもお答えになったみたいに、法務省当局は消極的なようでありますが、それはどういう理由によるのか、お答え願いたいと思います。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 ただいまの二項の問題でございますが、これは決して法律的に意味がないというふうなものではございません。一番近い例を申し上げますと、御承知のとおり土地家屋調査士法が制定されておるわけでございまして、土地家屋調査士の業務は、登記のうちでいわゆる不動産の表示に関する登記、つまり土地建物の調査、測量をいたしまして、その結果に基づいて、その不動産の現況を登記簿に明らかにするための不動産の表示に関する登記事務を調査士が行っておるわけでございます。もしもいまお示しの一条二項の規定がないといたしますと、司法書士も不動産の表示に関する登記事務か行えることになるわけでございまして、これは本来のその登記の権利関係の登記と不動産の表示に関する登記の実質的な相違から考えますと、妙なことになるわけでありまして、現在二項がありますために、司法書士はそういったいわば技術的な土地建物の調査、測量、その結果による不動産の表示に関する登記申請手続というものが司法書士の業務から除かれておる、できないことになっておるわけでありまして、そういう意味から申しましても、この二項の規定は法律的に十分意味のある規定でございますし、また、弁護士法との対比で考えますと、裁判所、検察庁あるいは法務局にいろいろの書類を提出して手続を行う、さような司法書士の業務というのは、法律事務に関連することは当然でございます。したがって、もしも二項がございませんと、弁護士法の弁護士の業務であるものが、裁判所、検察庁、法務局にいろいろの手続をする際におきまして、本来の弁護士の業務も司法書士ができることになるのかどうかというふうな法律上の疑義が出てくることは当然でございます。現在その二項の規定がございますので、依頼人の嘱託を受けてその趣旨に従って書類を作成して提出することは司法書士の業務でございますけれども、たとえば即決和解の申し立てをしてくれという依頼人に対して、いわば法律的に判定をいたしまして、即決和解よりは訴えを提起した方がいいというふうなことを司法書士がやるといたしますと、これは弁護士法違反になるわけでございまして、さような点が、弁護士法との関係におきましても、この一条二項の規定が物を言っておるわけでございまして、これを削除するということは、さような意味から私どもは適当でないというふうに思うわけでございます。  司法書士会の心配される、この一条二項があるために、これからいろいろの立法で司法書士の業務が侵されるおそれがあるのじゃないかということでございますけれども、これは一条二項を削除いたしましても、他の立法で司法書士の業務を他の業法に取り込むというふうなことは法律的に可能なわけでございまして、一条二項を削除したからさようなことが心配なくなるということでもないわけでありまして、これはまさに立法府におきまして各業法の調整の問題として御検討願わなければならない問題でございまして、決して一条二項があることによって連合会が心配されるような事態はない、かように私は考えておるわけでございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 先ほどもお答えになりましたけれども、もう一遍聞きますが、司法書士の国家試験制度に関しまして、試験科目の一部に憲法を入れてほしいという強い要望がございますが、法務省当局はこれについてもまずいという御見解を先ほどもお述べになりましたが、一番の焦点は何なのか、お答え願いたいと思います。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 これは、科目に憲法を入れるかどうかは、先ほどもちょっと申しましたように、必ずしも現在の業法で憲法を必須科目にしておるものはないというふうな横並び論とか、あるいは司法書士業務それ自体、実務家としての試験を考えますと、憲法は必須科目にする必要はないのじゃないかというふうなこともございます。はなはだみみっちい話をして恐縮でございますけれども、現在、司法書士のこの試験を受ける方も、いろいろの職についておられる方もございまして、試験が日曜日一日で終わるようなことにしておるわけでございます。さような意味から、たとえば検察庁に提出する書類を作成するのが業務でございますから、本来申しますれば刑事訴訟法なんかも必須科目にしなければならないのでございますけれども、さような科目を入れてまいりますと、どうしても一日で試験ができないことになりまして、非常に受験者の負担になるというふうなこともあるわけでございます。  そういうこともございますが、私は一番気になりますのは、実は現在の認可制を国家試験制に切りかえました場合に、必然的に起こってくる問題は、既得権の問題でございます。現在の司法書士は、地方法務局長の認可によってその資格を得ておるわけでございます。それが法務大臣の実施する国家試験ということになりました場合に、現在司法書士になっておる方たちの既得権をどうするかという問題が法制的には当然起こってくるわけでございます。例を申しますと、土地家屋調査士法が制定されましたときに、同じような仕事をしておった人たちがおったわけでございますが、調査士法が国家試験になりましたときに、一定の期間内に特別選考試験を実施する、その試験に合格しなければ調査士の資格がなくなるというふうな経過措置が設けられておるのでございます。それと同じような問題が、今回の国家試験導入に際してやはり問題になってくるであろうというふうに思われるわけであります。しかし、これを実質的に考えますと、現在の司法書士の既得権を奪うような形の立法は適当でないというふうに私は思うわけでございます。  さような意味から考えますと、現在行っておる選考試験と同じような内容の試験が国家試験に切りかわっただけだというふうな姿にすべきでなかろうかというふうにも思うわけでございまして、憲法を入れることによりまして、いや、実務家と違ってもっと高度の法律家になるのだというふうな考えが出てくるといたしますと、少なくとも現在の司法書士については憲法の再試験をしなければならぬというふうな問題にも発展するおそれがあるわけでございます。その辺のところをいろいろ考えますと、司法書士の業務の実質を考えまして、憲法というふうなことは、常識的には十分知っておいてもらわなければならぬことではありますけれども、あえて必須科目にする必要はなかろう、こういうふうな程度の考えでございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 司法書士会におきましては、司法書士の業務の改善、資質の向上を自主的に図るという見地から、新規に司法書士会に入会する者等に対しましては一定の実務研修を法律上義務づけるようにすべきであるという意見があります。また、いわゆる自主懲戒権の問題については、昭和四十二年の当委員会において、司法書士の懲戒制度についても、司法書士会において「自主的措置がなし得るよう、育成指導すること。」という附帯決議がなされておりますところから、司法書士会において自主的に懲戒権を行使することができるようにすべきであるという強い意見がございます。  これらの問題はいずれも重要な問題を含み、簡単に結論を出すことができないと考えられますが、今回の改正においてこの問題を取り上げるのかどうか。また今回の改正においてはこれを取り上げる予定がないとすれば、将来の問題としてこの問題に積極的に取り組むべきであると考えられますが、法務省当局はこの点についてどのようにお考えなのか、お答え願いたいと思います。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 第一点の研修制度でございますが、これは私どもも趣旨においては結構なことだと思うのであります。ただこの研修は、やはり司法書士が実務を実際に行う準備としていろいろ実務的な訓練をするということでございますが、司法書士は報酬を受けてやる、平べったく言えば一種の商売でございますから、これを国におきまして修習制度を設けるということはいかがなものかというふうに考えるわけでございます。そうなりますと、司法書士会の連合会あるいは単位司法書士会において研修をやっていただくというふうなことになるわけでございますが、これなんかも、先ほど申しました登録の関係で、やはり登録事務をやるぐらいの余裕があるならむしろ研修制度を司法書士会がやるように一歩一歩準備してもらった方がいいのではないかというふうに私ども考えるわけでございます。したがってわれわれといたしましては、司法書士会連合会あるいは単位会ができるだけ早い機会にさような研修制度が実施できるように、できるだけの協力はいたしますけれども、現段階ではちょっと、連合会あるいは単位会において研修をやるだけの体制なりあるいは力はまだ持っていないというふうに、失礼でございますけれども私は考えておるわけでございまして、将来の問題として鋭意努力してまいりたい、かように考えるわけでございます。  それから自主懲戒権の問題でございますが、これは附帯決議の趣旨は、できるだけ司法書士会あるいは司法書士会連合会の運営が自主的にされる、国がよけいな干渉をしないというふうな意味で附帯決議がなされているものというふうに理解するのでございますが、それはそのとおりだと思うのであります。したがって、先ほど申しましたように、登録制をきっかけにして国がいろいろ監査監督するというふうなことはむしろ好ましくないと申し上げたのもその趣旨でございます。ただ、非違を犯した、違法なことをやった司法書士に対する懲戒処分権を連合会に与える、これは、弁護士会がその例でございますが、人情の常からいたしまして仲間が仲間を裁くというふうなことは、これはなかなかできるものではないわけでございます。しかし国民に対しましては、国民に迷惑をかけた司法書士の資格をそのまま認めておくというわけにはまいらない。したがって本来の懲戒処分権というものは、私はやはり国が持っておって、国民に対して責任を全うすべきものだろうというふうに思うわけでございます。しかしその前の段階におきまして、単位司法書士会なり司法書士会連合会が会員の指導育成という意味から、懲戒処分権という形ではなしに、その一歩手前の段階における、いろいろ会員の指導を強化する、あるいはいろいろの制限を加えるという、そういった自主的な、一つの自粛と申しますか、さようなことは十分連合会あるいは単位司法書士会でできるような体制には持っていくべきだろうというふうに考えておるわけでございまして、この点も将来の問題として、できるだけ早くそういった形になるようにはいたしたい。これにはやはり単位会なり連合会がその面での努力をしていただくことが先決でございまして、さような努力の結果を待って考えてみたい、かように考えておるわけでございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 司法書士の質問は一応終わりまして、刑事局にお尋ねいたします。  一九六〇年代に入ってから、過激分子による航空機の乗っ取り、在外公館の占拠、いわゆる要人の略取、殺害等、各種不法事犯が世界各地で続発し、国際社会に深刻な問題を提起するに至っております。わが国においても、昭和五十年の在クアラルンプール合衆国大使館の占拠事件に引き続いて、昨年九月ダッカ空港日航機乗っ取り事件が発生し、政府は人質の人命尊重の見地から再度犯人の要求に屈し、多額の身のしろ金の提供にとどまらず、拘禁中の被告人また受刑者を釈放せざるを得ませんでした。これは法秩序を確立して、民主主義体制を堅持する上から、とうてい看過し得ない容易ならざる事態であり、このようなことが繰り返されるならば、法秩序に対する国民の信頼が崩れ、国家の存立自体まで危うくなりかねないところであります。しかも、この種事犯は、最近における人命尊重の思想を逆手にとった、まことに卑劣な犯罪であるとともに、模倣性、伝播性を有する犯罪であり、その防遏は緊急事であります。  ところで、さきの第八十二国会において航空機強取法の一部改正がなされ、航空機を強取した者が当該航空機内にある者を人質にして第三者に不法な要求をした場合、これを無期または十年以上の懲役に処することとされましたが、過激分子による人質犯罪は、航空機強取を手段とするものにとどまらず、あるいは大使館占拠、あるいは一般市民を直接逮捕、監禁する等の手段に訴えることも予想されます。このような航空機強取以外の手段による人質犯罪に対しても、この種事犯の実態に即応した立法措置を講じ、万全の対策をとる必要があると考えられます。法務省ではこのような航空機強取以外の人質犯を処罰する法律の立法準備を進めていると聞いておりますが、その内容及び作業の進渉状況についてお答え願いたいと思います。

青木正久自由民主党法務政務次官

○青木政府委員 お尋ねの点でございますけれども、人質による強要行為のうち、過激分子によると通常予想されるもののうち、二人以上の者が共謀して、かつ凶器を示して犯される特定の行為、これを処罰すること、さらに、航空機の強取による場合も含めまして、その犯人が人質を殺害した場合に、死刑を含む法定刑をもって臨むということを内容といたしました規定の新設につきまして検討を重ねてまいりました。その要綱案ができましたので、法制審議会に諮問したわけでございます。その結果、二月十三日に全委員の御賛同を得た答申を得ましたので、ただいま立案作業を進めておる次第でございます。でき上がり次第、今国会に御提案申し上げる方針でございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 現行刑事訴訟法は、一定の重大事件について弁護人がいなければ裁判が開けないという必要的弁護制度を定めておりますが、連合赤軍事件、連続企業爆破などの過激派事件の裁判で被告人と弁護人とが一体となり、いわゆる法廷闘争戦術としてこの制度を逆用し、正当な理由もなく弁護人が不出頭、退廷、辞任などを繰り返して裁判をストップさせ、おくらせているという実情があります。たとえば、著名な事件を見ますと、浅間山荘事件など連合赤軍事件の裁判では、弁護人の不出頭、退廷で合計十回の公判が流され、三菱重工本社爆破などの連続企業爆破事件では、弁護人の不出頭、退廷で合計六回の公判が流され、弁護人の辞任により、半年の間裁判が開けなかったと伝えられております。また、過激派の支援するある連続殺人事件では、審理がほとんど済まされ、検察官の論告、求刑が終わったあと、弁護人の辞任、解任が繰り返され、六年経過した現在でもまだ第一審の裁判も終わっていない状況であると伝えられております。  裁判は適正かつ迅速に行われてこそ、国民の被害感情を満足させるとともに、それによって有罪となった者を更正させること、同種の犯罪を防止することに有効に働くのであります。弁護人が被告人と意思を通じて、必要的弁護制度を逆用して違法、不当な法廷闘争を用い、裁判をおくらせていることはまさに裁判の否定であり、法の支配を基本理念とする民主主義の破壊にもつながると言えます。このような状態は裁判の異常事態であり、一刻も早く正常な裁判に戻すために、必要的弁護の例外を設ける特例法を立法化する必要があると思いますが、この点、一部の過激派事件の裁判の実情と、このような特別法の立法化の必要性について、大臣、お着きになったばかりで恐縮でございますが、御意見を承りたいと思います。

藤永幸治法務大臣官房参事官

○藤永説明員 大臣か見えましたが、質問の当初大臣が聞いておりませんので、私からお答えさせていただきます。  いま山崎委員御指摘のとおり、連合赤軍事件あるいは連続企業爆破事件、または一般刑事事件ではございますが著名なピストル連続射殺魔のような事件などにおきまして、これらすべて必要的弁護事件でございますが、そのような過激派の関係いたしました事件につきまして、弁護人が被告人と意思を同じくいたしまして、いわゆる裁判粉砕闘争、裁判拒否闘争ということで、正当な理由がないのに裁判所が指定いたしました公判期日に出頭しないとか、あるいは裁判長の許可を受けないで退廷する、あるいは法廷の秩序を乱して裁判長から退廷を命ぜられまして法廷外に出ていく、あるいは訴訟を遅延させる目的で公判期日中であるとかあるいは公判期日の直前で辞任してしまうというような戦術がとられますために、公判期日に予定されました審理が全く行い得ない、審理がストップしてしまうというような状態が生じております。この結果、訴訟が国民の期待に反しまして著しく遅延するというような実情にございますことは、山崎委員御指摘のとおりでございます。  このように被告人、弁護人が、意図的に弁護人が法廷にいないという状態をつくり出していく、そのことによりまして刑事裁判における正常な審理が被告人、弁護人の恣意的な闘争戦術で左右されてしまうというようなことは、現行法が全く予想しなかったところでございます。このような事態は全く異常な事態と言うべきでございまして、これをそのまま放置しておくというようなことになりますと、訴訟手続の進行につきまして裁判長の適切な訴訟指揮に従って訴訟の進行に協力するという当事者である検察官及び弁護人、被告人側の当然の義務を前提といたしました現行制度の趣旨を没却してしまいますし、また山崎委員が正当に御指摘になりましたように、刑事、司法の目的達成そのものが困難になってしまうわけでございます。したがいまして、このような異常な事態に対処し、刑事裁判の運営の正常化を図るためにも、当面の措置といたしまして、必要的弁護事件の公判の開廷につきまして暫定的特例を定め、一定の厳しい要件のもとに弁護人がいなくても開廷、審理することができる必要性があると考えまして、必要的弁護の例外規定をつくります特例法を準備しておる段階でございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 この特例法に反対する一部の人々は、一部の過激派事件の裁判で弁護人が正当な理由がなく法廷に出頭しなかったり、裁判長の許可なくして退廷したり辞任したりするのは裁判所の強権的な訴訟指揮によるものであると述べられております。私は一般の事件の場合と同様、過激派事件の裁判でも裁判長の公判期日の指定、弁論の整理、証拠の採否などは適正に行われていると信じております。しかし、もし仮に弁護人側で裁判長の訴訟指揮で違法、不当であると思うならば、その是正を図るのは刑事訴訟法等に決められた異議申し立て、上訴などあくまでも法律の認める枠内で行うべきであり、退廷、不出頭、辞任などの実力行使による違法、不当な法廷戦術によるべきでないことは言うまでもありません。一部の過激派事件の裁判において異常な事態が生じている原因について、法務大臣はどのように考えているのか、御所見を賜りたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 まずおわびを申し上げておきますが、予算委員会の都合でおくれましたことをお許しいただきたいと思います。  いまのお尋ねでございますが、刑訴法の特例をいま準備いたしております。これについては世間の一部にいろいろな意見があることも承知をいたしております。そこで、これはいろいろな意見がありますから、後でお話が出ると思いますが、私どもは、憲法、刑事訴訟法といいますか、いわゆる法治国家の一つの決まりでございますが、これは円滑に行うのが法治国家の一部を担当しておるわれわれの責務である、かように考えております。ところが、全部じゃありませんけれども、全体の刑事事件からすると、きわめて少数の事例であると思いますが、先ほど藤永参事官から御説明申し上げましたような事例があるわけでございます。これで裁判が進行しない、こういうことでは憲法なり刑事訴訟法の、公正迅速な裁判をして人権を守り、公共の福祉を図るという目的をきわめて阻害している。これは望ましいことではないのであります。でありますから、これに対しては何らかの、そういう好ましからざる行動をチェックする措置をとる必要がある、こういう意味で、この特例法といいますか。これを御審議を願おう、かように準備しておるわけでございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 ハイジャック防止対策の一環としまして、今回の特例法案を近く提出すると説明されております。現実にもこれまで、日本赤軍のハイジャック事件で犯人に奪い去られた者のうち、大部分が公判継続中の被告人でありました。確かに、一部過激派事件の法廷での法無視、裁判否定の異常事態が続くと、過去のハイジャック事件と同様の、被告人の奪取等を目的とした将来のハイジャック事件の誘引となります。また、法秩序維持に最も重要な裁判が弁護人らの違法、不当な法廷闘争によりじゅうりんされていると、国民の法秩序に対する信頼とこれを守る決意が動揺し、将来のハイジャック防止のため、強力で有効な対策を十分とることができなくなります。そのような意味で、特例法の立法化がハイジャック防止対策の一環として必要であると考えられますが、この両者の関係についての法務大臣の御見解を承ります。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 この法案を提出しようと準備いたしましたのは、たまたまダッカ・ハイジャック事件に関連して出てきました。しかし、これは、ハイジャックをこれで防げるという、それだけの問題ではないということは御理解ができると思います。問題は、たまたまハイジャック事件によって関連があって、そういうものとつながりのあるような関係で公判が遅延をしておるという事情もある。これは法秩序全般に関係があるわけでありますから、これをやはりこの際整備をしておく必要がある、こういうことで考え出したものでございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 必要的弁護の例外規定の新設について、当初は刑事訴訟法の一部改正で行う予定であると伝えられておりましたが、法務大臣の所信表明によりますと、当面の特例措置を決める法律案として本国会に提出する予定であると言っております。刑事訴訟法の一部改正案でなく特例法案として提出しようとされた理由はいかがなものでございましょうか。お伺いいたします。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 法制審議会から答申がありました内容は、刑事訴訟法二百八十九条の特例、第二項というようなかっこうで、そういうような場合のチェック規定といいますか、その必要があるという答申があったわけでございます。しかし、それでも私は構わないと思いますけれども、これにはいろいろ御意見がある。何か現行裁判制度に変更を加えるのではないか、弁護権全般について将来刑事訴訟法の根本原則を曲げていくんじゃないか、こういうあたり私は誤解だと思いますけれども、誤解にいたしましても曲解にいたしましても、そういう意見があることは事実でございます。また、そういうことになってはならないわけでございますから、できるだけそういう誤解を生じないように、あるいは誤解をしていただかないように、こういう趣旨で、今度は単独立法としてやる方がややベターである、こういう考え方で立案をいたしまして、さらにその案を法制審議会に御相談をして、これもまた承認をされた、こういういきさつでございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 一部の過激派事件で、弁護人が被告人と一体となって必要的弁護の規定を逆用し、正当な理由かなく弁護人が退廷、不出頭等を行い、裁判をおくらせる場合は、当然その弁護人が弁護士法による懲戒の対象となるはずであります。弁護士会は、訴訟のルールを無視する弁護士に対し、適正で迅速な懲戒を行うことによって、法廷でのこのような弁護人の違法、不当な法廷闘争戦術を防止することができると思われますが、弁護士に対する懲戒の実情はどうなっているのでございましょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 弁護士法に懲戒の関係の規定があることは申し上げるまでもございませんが、御指摘のような違法、不当な訴訟活動を行いました弁護士に対しまして、刑事訴訟規則三百三条によって、裁判所が弁護士会に適当の処置をとることを請求いたしましたり、あるいは何びとでも、懲戒事由があると思いましたときには所属弁護士会に懲戒の請求をすることができるわけでございます。このような形で懲戒をすることができることとなっておるのでございますが、私どもで調査いたしました結果によりますと、昭和二十八年から昭和五十年までの間に、延べ十三名の弁護士に対して刑訴規則三百三条による措置請求が裁判所からされ、また、昭和二十七年から昭和四十五年までの間に、延べ十七名の弁護士に対して訴訟関係者から弁護士法による懲戒請求がなされておりますが、懲戒を受けた弁護士は一名もいない状況でございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 仮に特例法が立法化されましても、裁判所による国選弁護人の選任の前提となる弁護士会の国選弁護人の推薦がスムーズになされなければ、一部の過激派事件の裁判の正常化が十分に実現するとは言えないのではないかと思います。そのためには、アメリカで行われております公設弁護人制度や、ヨーロッパ諸国で行われている、弁護士以外の法曹資格者を国選弁護人に選任できる制度を設ける必要があるのではないかと思われます。  そこで、法務大臣に、国選弁護人の選任の実情及び公設弁護人制度の新設等についての御所見を承ります。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 本来ならば、かような特例法を制定するということはない方が望ましいと私は思っております。  ほかのことになりますけれども、先ほど刑事局長から弁護士法の懲戒等に関する規定の説明があって、実情を申し上げましたが、私は率直に言って、裁判官、弁護士あるいは検察官、この法曹三者によって刑事事件の裁判が進行するわけでございますが、これについてのチェックの方法がそろっておらないと私は思っております。御承知のように、裁判官に対してはああいう特権がありますから、弾劾裁判法によって不適格な裁判官はこれをチェックするという制度が別にあるわけでございます。検察官についても、検察官適格審査会という第三者機関があって、不適当な検察官はこれをチェックする、こういう制度があるわけでございます。弁護士も同じ裁判に対する重要な役割りを果たしていただく立場にありますが、これに対しては、現在のところは弁護士法にその規定がある。これは自律の規定とされております。本来ならば、自律でこれがうまく動くのが理想でありますが、現状はなかなかそういかないのが実情であります。望ましいことは、やはり第三者機関によって責任あるチェックの制度があるべきである、こうなりますと、私はこういう特例法は要らないのじゃないかと思います。また、そういう不部合というとちょっと差しさわりがあるかもしれませんが、ことさらな遅延、妨害の挙に出られるという、弁護士であるまじき、弁護士法の規定や刑事訴訟法の規定に反するような行動をしてもらわなければ、何もこういう制度をつくる必要もないわけでございます。しかし、現実にはそういうことがある。ありますから、できれば第三者機関としてのチェック制度をつくるのが一番いいんじゃないかと思います。しかし、これはそう簡単に、いま直ちにというわけにはいかないと私は思います。でありますから国選弁護人についても、内情は言いません、弁護士会のお話もいろいろ聞いておりますが、それは名誉に関しますから言いませんが、なかなか簡単にいかない。でありますから、これは別の制度をつくる必要があるかもしれませんが、もしこういう制度をつくりましてもなおかつうまくいかない場合には、さらに別途の方策を検討しなければならない、こういうことになろうと思います。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 今回の特例法のように、一定の要件のある場合に弁護人なしで裁判を行う制度に関する外国の立法例についてお尋ねしてみたいと思います。  英米では必要的弁護制度自体はなく、被告人が弁護人の弁護を受けるという憲法上の権利を放棄した場合には、どのような事件であっても弁護人なしで裁判をすることができると聞いております。また、ヨーロッパ大陸の国々でも、弁護人が違法、不当な法廷活動を行う場合には、それに対処するためのそれ相当の規定を設けているようでありますが、これらの点についての外国の立法例はどのようになっているのか、お尋ねいたします。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘のございましたように、まずもって英米法系の国々におきましては必要的弁護という概念がございません。特にアメリカにおきましては、被告人の意思に反して無理に弁護人を付することが憲法違反だということになっております。  一方、ヨーロッパの大陸法系の国々におきましては必要的弁護の規定がございます。これらの国々におきます弁護士に対する監督その他の点について申し上げますが、たとえば西ドイツにおきましては、検察官の訴追に基づきまして名誉裁判所が弁護士の懲戒処分を行っております。また、国選弁護人を容易に得られるようにいたしますために、弁護士以外の者、たとえば大学の法学教授あるいは一定の年限を経た司法修習生を国選弁護人に選任できることといたしております。  またオーストリアにおきましては、懲戒委員会によって不当な行状のあった弁護士が懲戒されますが、検事長が最高控訴懲戒委員会に対する不服申し立て権を持っておりまして、最終的には連邦司法大臣が監督権を行使することとなっております。また国選弁護の関係におきましては、弁護士以外に大学の法学教授、司法修習生、その他の国家公務員、これを弁護人に選任することができるようになっております。  フランスにおきましては、まずもって刑事訴訟法で、不当な行状のありました弁護士に対して二年以下の拘禁刑を科することができることになっておりますほか、検事長などの申し立てによりまして弁護士会評議会が弁護士の懲戒処分を行っておりまして、この処分に対してさらに検事長が裁判所に対して不服申し立てをすることができるようになっております。また国選弁護の関係では、弁護士以外の者、代訴士と略しておりますか、これを弁護人に選任できることになっております。  なお、アメリカ合衆国におきましては、不当な行状がありました弁護人に対して一千ドル以下の罰金または六月以下の拘禁刑が科し得るものとされておりますほかに、弁護士会の事前審査を経まして裁判所が懲戒処分を行うこととされております。また国選弁護の関係では、御指摘のような公設弁護人という制度がございまして、活用されておるようでございます。  以上でございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 必要的弁護の例外規定を設ける特例法と憲法との関係についてお尋ねしてみたいと思います。  憲法第三十七条三項は「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する辯護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、國でこれを附する。」と規定しております。この規定の意義について、最高裁判所はこれまで幾つかの判決で、被告人に弁護人を依頼する機会を与え、その自由な行使を妨げてはならないことであると解しております。伝えられる特例法案によりますと、被告人と弁護人か意思を通じた上での訴訟遅延目的の弁護人の辞任、解任、正当な理由のない弁護人の不出頭、退廷の場合に、弁護人なしで裁判できるとするものであります。しかも、被告人はいつでも新たに弁護人を選任したり、弁護人が欠席、退廷戦術をやめて法廷に帰ることにより、弁護人のある裁判に復帰することができるのであります。このように、被告人にとってその弁護人を選任する権利、あるいはまた裁判で弁護人の立ち会いを受ける機会はいつでも与えられており、これが妨げられることはありません。弁護人抜き裁判というのは、被告人の意思に反して法廷から弁護人を引き抜いて裁判をするという印象を与える点で誤った表現であると思います。特例法案は、被告人と弁護人が意思を同じくして、弁護人が訴訟のルールを無視して勝手に法廷から抜け出た場合に、被告人、弁護人の身勝手で不法な実力行使のあったために裁判がストップしてしまう状況を放置することは許されないから、その間でも裁判を進めることができるようにするものであります。  このような理由から、特例法は何ら憲法の規定に触れるものではないと思いますが、この点についての法務大臣の見解を問います。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 よく世間では、この特例法といいますか、準備をしておるのに対して、憲法違反であるとかあるいは暗黒裁判であるとかいう言葉を発する人がありますが、私どもは、さようなことはためにする議論か曲解である、かように考えております。いま山崎さんからお話のありましたように、何ら憲法三十七条には違反するものではない。これは被告人に弁護人選任の権利を与えておるのであります。これを妨げようとする法律ではございません。準備をしておるのはそういう趣旨のものではございません。裁判を停止あるいは裁判を妨害するために、いわゆる必要的弁護の二百八十九条ですか、これを逆用して、弁護士が法廷にいなければ裁判は進まないんだ、こういう挙に出ておるわけでありますから、これは憲法や刑事訴訟法の許す行動ではない、かように考えでおります。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 伝えられる特例法案は要件が不明確で、裁判所によって乱用される危険があると一部で批判されておりますが、そのような乱用のおそれがあるのかないのか、お聞きいたします。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 まだ国会へ御提出申し上げておりません法案の準備段階のことでございますから、立法技術的な細かい点にわたります点は御勘弁いただきますが、私ども、要件を十分厳格にしぼりまして、乱用のおそれが全くない、こういうものとして御提案申し上げたいと思っておる次第でございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 必要的弁護の例外規定を設ける法律案を立法化するについて、法曹三者の間で協議をしたのかどうか、お尋ねいたします。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 この立案の経緯を若干御説明申し上げます。  昨年のダッカ・ハイジャック事件の後を受けまして政府に設けられましたハイジャック等非人道的暴力防止対策本部で、ハイジャック及びハイジャック類似行為の防止対策等につきまして真摯な検討が行われ、さまざまな具体的な施策が講ぜられておることは御承知のとおりでございますが、その過程におきまして、過激派による一部裁判の著しい遅延を何とかしなければいけない、この促進を図るための刑事訴訟手続に関する法律の改正を検討することというテーマが出たわけでございます。そこで、早速私から日弁連の事務総長に連絡をいたしまして数度にわたって面談をいたし、二つの提案をいたしました。それは一つは、最近の異常な事態に対処するためには二百八十九条の必要的弁護の特例を設けるか、弁護士の懲戒に関する制度的保障すなわち弁護士の懲戒が国民の監視のもとに行われる、そういう制度的保障をするか、どちらかの措置が必要であろうと思われる、それからもう一つは、国選弁護人の選任がスムーズに行われていない現状にかんがみ、公設弁護人の制度の導入等を検討しておる、この二点を説明いたしまして、日弁連の意見を求めました。  これに対して事務総長の御返事は、懲戒の問題はこれから必ずこうやるというふうにお約束できるような次元上に遺憾ながらない、国選弁護の方はなお努力の余地がある、従来スムーズにいかなかった一部のケースがあるけれども、今後日弁連としても指導性を発揮して、国選弁護人の推薦については前向きで大いに努力をする余地がある、こういうお答えでございました。  そこで、国選弁護人制度に手をつけることはこの際差し控えて、日弁連と裁判所御当局との今後の御努力に期待をするということにいたしまして、提案のうちの前者すなわち必要的弁護の例外規定、これのみを立法化のための立案作業に取り上げることとしたわけでございます。さような状況でございまして、私といたしましては、立案の比較的早期の段階から日弁連の方にも御連絡を申し上げ、もちろん最高裁判所にも御連絡を申し上げながらやってきたつもりでございます。  ところが、昨年十一月八日、防止対策本部で防止対策要綱を発表いたしました。その翌日、日本弁護士連合会におかれましては、会長名で必要的弁護の例外規定をつくることに反対である旨の声明を発表されまして、以後、いわば非常に妙な言い方でございますが、取りつく島がないということで、その後は法制審議会の場等におけるお話し合いにとどまっておる次第でございます。

山崎武三郎自由民主党

○山崎(武)委員 終わります。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 次は、横山利秋君にお願いいたします。

横山利秋日本社会党

○横山委員 いま山崎委員と法務省側との一問一答を聞いておりまして、まだこの法案が出ておりもせぬのに法案の審議に立ち入って委員会でやるというのはどうかとは思いますが、しかしもう出たところでございますから、同僚諸君とともに少しその問題を最初に触れて、お互いに考えたいと思います。  いまお話を聞いておりますと、一番最後の刑事局長のお話でございますが、一回言ったけれども取りつく島がない、すぐに反対をした、こうおっしゃるんだが、新聞の社説なり評論の投稿を見てみますと、どっちもどっちだという感じがしたわけであります。片方が評論に原稿を出すと、すぐ法務省は対抗的な評論を出す、これではどっちもどっちだという感が免れがたい。そして最初の案が急遽いまの特例法のようになった経緯も私どもにはよくわからない。  私は法務大臣にまず聞きたいのですが、あなたはこの間新年の名刺交換会へお出になってこういうことを言っていらっしゃる。これは日弁連の新年の交換会でありますが「全ての国民が法律にしたがうことを期待することは必ずしもできない。そこで国民に代って国民が幸せに暮らせるような社会を作るために、裁判所、弁護士、法務省があるのです。」途中を省略いたしまして「健全な法治国家を維持していくためには裁判所、あるいは弁護士会、法務省が、時には共同で、時には個々にその責任を果さなければならない重大な時機だとおもっている。」そして最後に「新年にあたりまして、三者が一体となってお互いに励まし合い、力を合せて国民の付託にこたえたいと感じております。」日弁連の新年——すでに日弁連か反対の声明を出した後でも、法務大臣としては、三者が法治国家として協力することが最も大事だ、こういうことを言っておられる。ところが、客観的に見ますと、この特例法にしても監獄法にしても、あるいは少年法にしても、このごろどうも余りにも日弁連と法務省、最高裁の関係は円滑でない。これは単に特例法ばかりでなくて、いろいろな意味から言っても憂慮すべきことだと私ども法務を担当いたします国会議員としては考えておるわけです。したがって、新年の名刺交換会で法務大臣が、春のあいさつだとはいいながら、三たび声をそろえて三者の協力、共同を言っていらっしゃるのですから、この特例法の問題がいま中心ではありますが、もう少しあなたの胸奥の中には、本来あるべき三者の協議というものについての信念をあなたはお持ちだろうと思うのであります。この点についてどうお考えになっているのか、ひとつ御意見を伺いたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 日弁連の新年会でごあいさつを申し上げた内容はそういうことであると思います。これは別にメモや原稿を持ってやったわけではありませんから、私の率直な所感を申し上げたのであります。いまもそれは変わりません。でありますから、やはり刑事裁判においては法曹三者、刑事裁判以外においても、法治国家には専門職として——法治国家は国民全体がその気にならなければならぬと私は思いますが、これは率直に言って理想論でありまして、なかなか望めない。でありますから、国家はやはり法務省なりあるいは裁判所なり、あるいはまた弁護士という職業を定めて、専門職によって国民の負託にこたえる、かような制度になっておると私は解しておるわけであります。でありますから、そういう三者が、先ほど御指摘ありましたような、私が述べましたような気持ちでやっていただくということが法治国家ではきわめて大切である、かように考えております。  しかし、それもなかなか理想的にいかない。全部がそうじゃありませんが、個々の問題になりますとどうしても意見が食い違う場があって、必ずしも三者か一致する、こういうわけにはいかないのが現状でございます。  それから、内容は申し上げませんが、この問題については、いわゆる特例法を設ける問題については弁護士会内部にも大きな悩みがあるように私は想像いたしております。そういう事情でありますから、足並みが一致するということは、望ましいのですけれども、いまのところではなかなかうまくいかぬのではないか、これが私の現状の認識でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 先ほどの刑事局長の説明によれば、事務総長にも話したということですね。あとは取りつく島がない。けれども、法務省の刑事局長ですよ。あなたは法務大臣ですよ。あなたが信念として三者の協議が必要で、円満な関係が必要だと言うならば、あなた自身が熱意が足らないんじゃないですか。そういう信念を持っておいでになるならば、胸襟を開いて日弁連の会長とお話しになる、あるいは最高裁とあわせて三者協議を一遍やってみる、その努力を何もしていないじゃありませんか。私が言いたいのはそれなんですよ。法務省は、売られたけんかだから買わずばなるまい、評論でやられたらこっちも評論で返す、国民を相手にして双方の声明合戦をやる、大人げないと私は思うのです。もし本当にあなたの方が慎重に考えておったならば、最初の案からいきなり特例法に変わるはずはないと思うのであります。特例法に変わったというのはどういう意味ですか。最初の案があって、今度はどうも調子が悪いので特例法にしようか。——今度また調子が悪かったからどうなさるつもりですか。私は、その段階で少なくとも法務大臣が最高の判断をする場合において、もう少しあなた自身か——刑事局長に聞いているんじゃないですよ、法務大臣に聞いているのですよ。あなた自身が三者協議の基本的な理念に沿って努力をすべきことではないか、いまからでも遅くないじゃないか、こう言っているのです。  それからもう一つは、いままでお二人の話を聞くと、何から何まで全部弁護士が悪いという議論ですね。本当にそうでしょうか。私は、現場の弁護士が出廷しなかったという理由についてまだ定かではありません。けれども、弁護士が出廷しなかった、それで裁判が行われなかった、その形而上の問題だけをとらえて、すべてが弁護士が悪いというふうな判断は果たして適当でしょうか。  いま、弁護士についての非違行為、懲戒委員会の状況などの話がありました。私もかつてここで弁護士の非違行為を二回にわたって取り上げている。だれも答弁しなくてもよろしい、この議事録を通じて私は日弁連に申し上げることがある、と言って二回非違行為を取り上げました。その結果、日弁連は全国懲戒委員長会議をお開きになって、国会の意向に沿って自粛をされたわけであります。私は効果が上がったと思います。けれども一方で、私は裁判官訴追委員をしています。この間もここでその問題を取り上げました。あなたも法務大臣をおやりになるまで訴追委員長をやっていらっしゃったから、私と同じように裁判官の現状についてもよく御存じのはずです。もちろんこの間言ったように、この訴追委員会に訴追された裁判官がすべて悪いと言っているわけじゃない。訴追屋ともいうべきおかしな人間がおって、何でも裁判官を訴追すればいいと思っている人間もいると私は思っています。けれども、その中には、裁判官を訴追委員会で訴追を決定する、つまり首を切るまでには至らぬけれども、どうも感情的な裁判官だなとか、こういうことは少し考え直した方がいいとか、あるいは例の訴追された裁判官、網走の関係の裁判官にしたって、あるいは訴追委員会が特に文書をもって最高裁に申し入れた女性司法修習生に関する問題だって、われわれ訴追委員としては、裁判官の中にも、これは首切りには当たらぬけれどもおかしいなと思っている者がずいぶんあるじゃありませんか。あなたも御存じのはずじゃありませんか。それを、この特例法の審議に当たって弁護士だけがすべて悪い、まさにそう言わんばかりのお話であります。私は、出廷していない、そのために裁判がおくれたというならば、その一つ一つの現象を、もしも法案が国会へ提出されたならば、一遍精査したいと思います。そうしたら、一人一人の裁判官、一人一人の事案についてここでもう一遍何から何までやることになります。果たしてそういうことが適当であろうかと思います。裁判官には訴追委員会がある、弁護士には懲戒委員会がある、検察官には検察官適格審査会がある。その運用が十分であるかどうかという点も、まだ私にはいろいろの経験上言えることがあると思うのであります。それが、何かいまの質疑応答を聞いていますと、弁護士だけがすべて悪いという論理に展開されそうな気がするのですが、それではいかぬ、それでは三者の反省が足りない、それでは日弁連なり弁護士を納得させるわけにいかぬと私は思う。国民の皆さんだって被疑者だって弁護士を頼りにしているわけですから、法廷のいろいろな戦術と言ったらおかしいけれども、弁護士の戦術があるなら裁判官だって戦術があるでしょう。検事だって戦術があるでしょう。それぞれの戦術が合法的に、民主的にいかに行われるかというのが裁判の実体じゃありませんか。私は商売人じゃありません、弁護士じゃありませんけれども、素人から考えたってそういうことは思われるのですよ。それを、弁護士の特に悪い戦術だけが問題になって、その戦術を駆使せざるを得ない状況に追い込まれたときに、裁判官の法廷指揮や、あるいは検察官の指揮が果たして完璧であって何らの非違を受けることがないというふうに断言されますか。大臣、どうですか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 横山さんが法曹三者について非常な情熱を傾けていただいておりますことに、深く敬意を表します。  それから、私がこの問題について努力が足らなかった、あるいは情熱の傾け方が足らなかった、こういう御指摘がありましたが、それも見方でありますから、これはあえて反論はいたしません。  それから、全部の弁護士さんがおかしいという考えは全然持っておりません。私率直に申して、全部知っておるわけじゃありませんが、私の認識では、おおよその弁護士さんはそういうことは無関係であるという感じを持っております。ここで個々の事件について御審議願うのは結構ですけれども、やはり裁判を拒否する、こういう考え方のもとに活動される弁護士さんがないとも限らない、そういう事例があるわけでございます。それはもちろん裁判官も人でありますから、すべてが十分ではないと私も思います。検察官にしてしかり。しかし、やはり裁判で活動することは、公正な、しかも迅速な裁判をして法律の実を上げる、法治国家の実を上げるという方向で活動してもらわなければ始まらないのじゃないか。法治国家の実を上げないために活動するということは、私は正当な活動とは考えられない。こういう事例がある——ないことを望みますか、ある場合に、これから御審議を願おうとするこれが成立いたしますれば、その法律が作用をする、こういうことであろうと思います。  それから日弁連との関係でありますが、先ほど伊藤局長から経過を申し上げました。私は、こういう問題を考えました当初に、日弁連会長とも話し合っております。これはもうその内容は申し上げません。しかし、その後の事態は御承知のような事態でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の問いに答えてないのです。あなたは弁護士全体が悪いとは思わない、一部が悪いとおっしゃる。私もそれは否定しません。しかし、私の理論は、裁判官がすべて悪いと思わぬけれども、一部の裁判官は悪いのがおりますよ、検察官でも同様ですよ、と言っている。それはあなたはわざと答えないのです。物事すべてそうだと思うのですよ。みんなまじめにやっているばかりじゃないので、非違行為をする者が中にはおるのです。したがって、それをいま法案審議に当たって、この具体的な事例の中で弁護士だけが悪い、そうして、弁護士だけが悪いからこの法案を出すという言い方は筋が通らぬと私は言っている。  それから、御記憶を呼びさまさなければならぬのですが、四十五年五月十三日、裁判所法の一部を改正する法律案に対する参議院の附帯決議、「今後、司法制度の改正にあたっては、法曹三者の意見を一致させて実施するように努めなければならない。」同じく、四十六年、民事訴訟法等の一部を改正する法律案に対する衆議院法務委員会の附帯決議、「政府及び裁判所は、司法制度の改正にあたり、在野法曹と密接な連絡をとり、意見の調整を図るように努めるべきである。」また、同法案に対する参議院法務委員会の附帯決議、「第六十三回国会における裁判所法の一部を改正する法律案に対する附帯決議第一項の趣旨にかんがみ、本法律案の提出経過において意見調整に不充分な点があった。よって今後再びそのような事のないよう留意すべきである。」こういうわれわれの意思なんです。これは私の意思じゃありません、国会の意思なんです。ところがこれらの意思が、先ほど申し上げたように、監獄法しかり、少年法しかり、またはこの特例法しかり、余りにも最近そういう傾向が多過ぎる。そしてその言い方が、あなた方から言わせるならば弁護士会が悪いという言い方になってきておって、これでは三者の協力体制というものは十分じゃないんじゃないか。この際、ひとつお考え直しをなさるべき基本的な問題ではないかと思います。  それから、これも私、本委員会で言うたことがあるのですが、ハイジャック対策としてこの特例法が生まれるということに奇異な感じがするわけです。私に言わせれば、ハイジャックをしようとする人間は、刑務所から赤軍派を引っ張り出そうとしたときに、未決であろうと既決であろうと関係ない、生きておればそれは引っ張り出したいですよ。奪取したいですよ。もしもハイジャック対策というなら、ハイジャックの被疑者はみんな早いところ殺しちまえばいい。どんどん殺しちまえばいい。そうしなければ意味がないですよ。未決だから奪取したい、既決だから奪取しなくなる、そんなことはないですよ。そうでしょう。私は、突然としてハイジャック対策としてこの持例法が出てくることに奇異な感じがするわけです。まさかと思うのですけれども、敵は本能寺で、積年の問題をこの際にハイジャックに事寄せて解決しようという、そういう気持ちがありはしないかとすら私は考えるわけです。これが、特例法で弁護士抜きで裁判をやって、早く既決で刑務所にほうり込んだら、ハイジャックは、あれは既決だからまあやめておこうということになりますか。ならぬですよ、そんなことは。だから、ハイジャック対策として問題提起されたことはおかしい。純然たる裁判遅延問題じゃないですか。純然たる裁判遅延問題ならば、その角度で論及をすべきであろう。いまこの問題にそう時間とっても、法案も出ておらぬから——さっき山崎君をたしなめたのですけれども、まあもし出ればまたやりますけれどもね。しかしいずれにしても、私はもしという冠詞をつけるのはやめておきなさいよと、こう言うのです。  それよりも私がお勧めしたいのは、一回胸襟を開いて、この特例法ばかりじゃなくて、日弁連と、そうして最高裁と三者協議を、トップ会談を一遍なさいよ。あの特例法ばかりじゃありませんよ。監獄法だって少年法だって、話し合いをして政治的な解決をしなさい。私は、三者が会ったところで、それじゃこの条文の何条はこうしよう、これはどうしよう、そういう具体的な解決には決してならぬとは思いますよ。思いますけれども、しかし相互の信頼感を一遍取り戻さなければいかぬ。三者で、裁判の遅延についてはお互いに自主性を持って、お互いに協力し合うという申し合わせをなさったらどうですか。その申し合わせをすることによって、とにかくこの特例法について一たん提案をやめたらどうですか。もしその申し合わせが実行されなかったときには、またお互いに考えようじゃありませんか。こういう言い方は失礼な話ですけれども、法務省と日弁連とのけんかに、私どもとしては仲裁はそれしかありません。しかも、この特例法を出すことによってハイジャックがなくなるというなら、私も場合によっては賛成もしましょう。しかしハイジャック対策ではないんですから、それをもう一遍根っこへ、もとまで戻って、いまの法曹三者の基本的なコンセンサスをすることの方が問題ではないか、私はそう思うのです。法務大臣、あなたが新年会であいさつされたのは一杯きげんでやったのだとはおっしゃるまいと思うから、綸言汗のごとし、ひとつあなたの信念をお聞かせを願いたい。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 日弁連の新年宴会といいますか、新年名刺交換会だったと思いますが、これは一杯きげんではありません。まだ酒が出る前のあいさつでありますから、一杯きげんではございません。  それから、国会の衆参両院の法務委員会で数度にわたって、法曹三者が協議をして、できるだけ意見の一致を見るように努力しよう、こういう御決議になっておることも承知をいたしております。これが一番望ましいことであります。しかしそうでなく、どうしても意見が一致しなければ何にも制度の改革等進まないのだということになりますと、これは非常な支障を来すおそれがある。必ずしも意見が一致しない場合があるわけでございます。もちろん努力はしなければならない。現状においては、これは弁護士会の内部の事情は私は詳細に知りませんけれども、弁護士会の内部そのものもなかなか意見一致しないような状態があると私聞いておりますが、それはなかなか困難であろうと思います。それは困難であるからということで、いつまでもじんぜん日をおくらすというわけにいかない。でありますから、いませっかくの御提案でありますけれども、これからこの法案を整備いたしましたら国会に提出するという準備をいたしておりますが、これをやめる気持ちはございません。  それと、ハイジャック云々の話がありました。もちろん、先ほど山崎委員の御質問にも答えましたように、これでハイジャックは対策ができる、こういう考えを持っているわけじゃありません。根本は、先ほども申し上げましたように、法律があり、刑事訴訟法その他たくさんありますが、法秩序を維持するということが大前提になっておるわけでございます。日本赤軍派の見方は、いろいろあると思いますけれども、これは日本の場合においては、日本の現在の法秩序を認めないという立場で彼らは活動をいたしておる。そういう一連のものでありますから、やはりそれに関連がないとは言えない。これでハイジャックが、既決であろうが未決であろうが要求すると連中は要求するのですから、これで裁判が早くなったからハイジャックが防遏される、こういうふうに考えておるわけでありませんので、やはり現行法治国家の制度を否認してかかる立場に対しては対策を講じなければならぬ、一連のものである、こういう意味であの対策要綱に出ておるわけでございます。     〔委員長退席、山崎(武)委員長代理着席〕

横山利秋日本社会党

○横山委員 もう一つだけ伺いますが、あなたは三者会談をやったところで、まとまるものはまとまる、まとまらぬものはまとまらぬ、そういうきわめて普遍的な話をしましたけれども、私は、まとまるかまとまらぬか知らぬけれども、とにかく誠意を尽くすべきだ、あなたが新年の名刺交換会でおっしゃったことは、誠意をもっておっしゃったとするならば、いまのこの三者の合意、信頼感、そういうものを修復しなければいかぬ。だから、この法案を出す出さぬということについて、いまここであなたは法務大臣として、もう出しませんと言うわけにはいくまいけれども、せめて野党が三者協議を一遍やってみよ、お互いに誠意を披瀝してぶつかり合って、お互いに解決点を、あるいは合意点を見出してみてはどうですかということまでお否定なさってはいけませんと思うのですが、どうなんですか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 あなたの誠意を込めての御勧告といいますか、それはありがたく受けるのです。ありがたく受けるのですけれども、この案件に関する限り、態度を見ておりますと、話し合いで決まるということはとうてい不可能であろうと思っております。私は日弁連会長と二回会っておりますが、しかし、それ以上のことは申し上げません。でありますから、残念ながらこの問題で三者意見が一致するということは、私の見方ではちょっと不可能であろうと考えておりますから、御了承を願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これに時間を余りとっても、法案が出ておりませんからなんでございますけれども、私は、少し大臣がかたくなに過ぎると思う。もしそういうかたくなであったならば、最初の原案を特例法に変えた趣旨がわからぬ。少しでも条件を緩和して話をしたいという気持ちがあったなら、なぜその段階でも、なぜいまでもやらぬだろうかということを不思議に思うのです。言った以上はそれをやるというなら、なぜ最初の原案から特例法に変わったのか等々いろいろ意見がございますけれども、これだけ申し上げたんですから、あなたもここでは、横山君わかった、おまえの言うことはわかったけれども、まあここではこうしか言えぬのだという顔をしていらっしゃるようだから、次の問題に進みます。  今度は、あなたのところのショバの中でとんでもないことが起こっております。「住宅公社汚職法務局ぐるみ接待」こうきたですね。まことに「東京法務局でも汚職 渋谷出張所の係長逮捕 登記事務えこひいき 司法書士から十数万円受け取る」、この記事が新聞にずらっと載りまして、私も正直なところがっくりいたしました。まことに残念しごくだと思った。いまこの内容に余り触れるのは時間がございませんから、こういうことの起る背景というものについてどうお考えであるかということをお伺いしたいと思うのです。  一つは、法務局の仕事が登記事務などが多過ぎる。何かこれによりますと「渋谷出張所の場合、土地だけでなく、マンション、雑居ビルの権利の委譲に関する申請も多く、一カ月に七千件の登記変更の申請が出される。」、こういう状況ですから、早くやってもらおう、早くやってもらおう、ちょっとあなた、ひとつ済まぬけれども早くやってくださいね、と言うていって、ああ、ありがとう、ありがとう、と言ってネオン街で供応を受け、費用の全額のめんどうを見、小笠原諸島の観光旅行に行ったこともあるという事例もそういうところに起こるのではないか。それからまたもう一つは、公共嘱託によって業務の水準化を図るということを私も前から言っておるのだけれども、そういうことが必要ではないか。それから、基本的に司法書士の品位の向上を図ることが必要ではないかということがこの中から痛感されるわけであります。  それで、いまの山崎委員の質問にも関連をするわけですけれども、そういう意味合いでは、今度提出が予定される司法書士法の改正は、私はこういう問題があればあるほど喫緊の問題である、必要な問題である、そして大いに本委員会で司法書士のあるべき姿、法務局のあるべき姿、そういうものについて論ずる必要が痛感されると思うのであります。その法案が出たときにいろいろとまた議論をしなければなりませんが、ただ法案を提出されるに当たって、先ほども民事局長の御答弁を聞いておったわけですが、いまポイントは登録制度にあるような気がします。これも先ほど否定的な御意見がございました。しかし、幸い山崎委員が委員長席にいまお座りになっていらっしゃるから、私は大変いいことだと思うのでありますが、山崎委員も私ども野党も、ほとんど超党派でこの際登録制度に踏み切るべきだという考えを持っておるわけでありますね。ここのところはいろいろ大臣も民事局長も御判断をしていらっしゃるようですが、政治的にひとつ判断をしてもらわなければいかぬと思いますよ。それは登録制度をやることの是非論あるいはそれに伴う諸問題、そういうものをわれわれも勉強しています。けれども、そういう勉強を超えて、どうもいまの山崎委員の質問、いま委員長でございますが、委員長の御質問の状況を聞いておりましても、与野党共通して登録制度はやるべきであるという考えであります。だから、ひょっとしてあなたの方が判断を間違えて登録制度抜きで国会へ法案を持ってこられますと、議員修正ということになる可能性があるわけであります。それでは法務省としても決断が足らぬことになるので、この際一遍われわれ与野党の感覚、いまの状況を十分再検討された方がいいのではないかと思いますが、これは民事局長はさっきの立場がありますから、法務大臣からひとつ政治的判断を伺いたい。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 まず渋谷法務局における不祥事件、これは御指摘いただきましてまことに遺憾なことであるわけでございます。法務局のみならず、全公務員がそういうことがあってはならないわけでございまして、まことに申しわけない事態であります。これに対しては刑事上の処分は今後行われると思いますが、法務省としては懲戒免職をし、また全法務局、それから司法書士会等にも厳重にそういうことのないように、国民の信頼を失うことのないようにという通達を出して、注意を促しておるところでございます。今後とも十分そういう方面には気をつけていきたい、かように考えます。  そこで、司法書士法の改正の問題でございますが、いま準備を進めております。一番の問題点は、司法書士の登録を司法書士会連合会にやったらどうかという問題点であるわけでございますが、これは利害得失いろいろございまして、率直に申し上げてそれがいいのかどうか、私、決断に迷っておる状況でございます。いいことでありますれば決断するに構いませんが、最初にかような制度をつくりますときに、一方将来禍根を残すようなことになりますととんでもない結果になりますから、そこを慎重に考えておる。事務当局ではいろいろこの観点から検討を重ねて、いまの段階でそういうことをして、将来むしろ司法書士会が非常に困るといいますか、窮地に陥るというとちょっと強過ぎますが、そういう事態になるおそれがある、また事の性質上そういうことをしていいかどうか、こういう点があるわけでございますから、もう少し検討させていただきます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 登録制度をやったときに、かえって司法書士会が困りはせぬかというお話のようであります。問題は、私はそこへ尽きると思いますね。私ども国会議員ですから、各団体とのつき合いがお互いにあるわけでありますが、その各団体の中では司法書士会連合会というのはまじめな組織だと思っています。まあ大臣も香川さんも、関係の役所の人はみんな出ておられるから、その辺のことはわかっておると思います。その団体が登録制度をやらせてくれと言っておる。おまえいいか、やれるのかというところなんですよ。やれるのか、やって、あなたみそつけたらかえっていかぬぜという親心であったならば、それが究極的にあなたが判断に迷う原因であるならば、これは十分注意をさせてやらせましょう、やらせる方法があるのですから。十分方法はあるわけです。社会的責任を持っている団体ですから。ですから先ほど私が申し上げたように、これはどうも与野党ともに皆口吻でおわかりのようですから、賛成なんですから、国会へ出てきた法案を登録について大修正する、そういうことのないように、あなたの方で、そうか、国会の意向はわかった、それならこの際踏み切れと法務大臣が香川さんに言えば、大臣がおっしゃることですから、それじゃそうしますと言うに違いないのですから、その辺ひとつ十分お考えを願いたいと思います。  第三番目は成田の鉄塔の問題でございます。この成田について、私もどちらがどうという意味でどちらに味方するという立場では必ずしもございません。これは申し上げておきます。しかしその成田鉄塔の撤去に際する司法的手順について悪例を残すおそれがあった、こういうふうに考えられてならないのであります。「第二要さい」は、公団がまだ買収していない民有地に建てられた。こうした場合、ふつうは裁判所に民事上の手続きで、妨害物撤去の仮処分を申請する。撤去が緊急に必要と認めれば、裁判所が決定を出す。昨年五月、すでに完成しているA滑走路の端に反対派が建てた鉄塔の撤去は、そうした通常の手続きで行われた。B滑走路は建設予定地の買収で難航している。三月三十日の開港に直接のかかわりはない。民事手続きをとっても、妨害物撤去の緊急性がただちに認められるか、どうか。そこに公団側が即決型の刑事手続きを選んだ背景があるようだ。しかし、航空法違反の証拠がための形をとりながら、実際には鉄塔そのものを強行撤去するのは捜索、差し押さえの範囲を超えていないか、といった疑問も法律学者のなかにある。」たとえばある学者は「建築基準法違反の建物があったとしても、警察が直接とりこわすことはできない。それなのに、今回の“便法”が許されるとすれば、証拠保全の名目で、警察がどんどんとりこわすこともできる、というのだ。」あるいは「捜査権の乱用ではないか、妥当性を欠く措置だ、という意見は出始めている。証拠収集に名を措りて、別の目的を達成するいわば“敵は本能寺”式の捜査技術は、別件逮捕や、わいせつ出版物を押収するのに、証拠収集なら一冊でいいのに、全部没収していく、などの例がある。今度の警察の措置にみんなが驚いたのは事実だろう」という学者の意見がある。これらの点は、裁判官が差し押さえ令状を出した判断をも疑うというところまで進んでおるわけであります。  成田の空港の開設について、政府が一生懸命になっている気持ちはわかる。けれども、そのために手段を選ばず、将来に悪例を残す強硬なやり方が一体いいということになるであろうかどうか。ずいぶんこれは、法学者及び私どもこういう仕事に携わっておる者についても疑問がわくことであります。この点をどうお考えになりますか。

若田末人警察庁警備局警備課長

○若田説明員 直接今回の執行に当たりましたのは警察でございますので、また法務当局のお考えもあろうかと思いますが、警察の立場について御説明を申し上げたいと思います。  あのいわゆる横堀要塞と申しますのは、昨年末から建設にかかっておりましたので、この間警察において十数回、それから公団におきましても数回、進入表面以上に建ちました場合には違反になるということで、そういうことはやめるように警告を繰り返し行ってきたところでございますが、これに反対する人たちは開港阻止というようなことを正面からうたいまして、これを二月三日までは一応合法の範囲内で、進入表面以下でつくっておったわけでございますが、四日から五日にかけまして、深夜から未明にかけて一挙に制限されました高さより二十一・八メートル超過するような違法物件を建てたわけでございます。したがいまして、警察といたしましては、現に犯罪が行われておるというような状況でございましたので、これを放置する場合には警察の責務が全うされないというような立場で、刑事訴訟法二百十八条に基づきまして、裁判官の令状御判断をいただきまして、その令状によって執行いたしましたものでございまして、今後に悪例を残すというふうには考えていない次第でございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 しかし、B滑走路は三月三十日の開港に直接関係はないのでしょう。そして、証拠保全のために写真を写しておけばいいのでしょう。それをどうしてこういう強硬なやり方で、悪例を残すというような方法でやらなければならぬのか、そこが私どもにはわからない。最初の第一要塞のようなやり方で何でいけなかったのか、法律の適用を誤っておりはせぬか、こう言うのです。

若田末人警察庁警備局警備課長

○若田説明員 昨年五月六日にいたしました第一鉄塔、第二鉄塔と言っておりますものは、御指摘のとおりに民事の仮処分でいたしたわけでございますが、これは大分前に、昭和四十六年から四十七年にかけてできたものでございます。当時公団の方の御意見を伺いますと、私どもも当時この衝におりませんでしたけれども、その当時の話を伺いますと、まだ空港はできておりませんで、その開港の見通しがつかないというようなことで、それまでの間に倒してもらえればというようなことで警告を繰り返し、自主的な撤去を要請をしてきておったそうでございます。しかしながらその間に数年間たちまして、そして滑走路もでき上がり、今日開港を間近に迎える、あるいは慣熟飛行等が間もなく行われる、そういう緊急性が出てまいりましたので、数年間もたっておりますこともございまして、民事の仮処分によりまして根っこからあれを撤去をいたしたというふうに承知をいたしております。  今回の場合には、現にまだいわゆる現行犯として行われておる状態でございまして、先生御指摘のとおりにB滑走路はもう少し時間がかかるかと思いますけれども、A滑走路につきましてはすでに開港の日時も三月三十日というふうに承っております。B滑走路については数年おくれるかと思いますが、これはいずれこちらの方も使うというような見通しだというふうに伺っております。そういう中にあって、ああいう違法な物件を、しかも二十メートルを超すような違法な物件を、警察が現に行われておりますものを放置する限りにおいては、あらゆる場所に、向こうの情報によりましてもまだ数カ所ああいうものをつくって抵抗する、あるいは開港を妨害する、こういうことを言っておるわけでございます。そういう違法な行為を警察としては責務上見過ごすわけにはいかない。  それからまた、ああいう物件がやや不動産的な要素を持っておるではないか、それについてはいろいろ学者の意見もあるではないか、こういう御指摘でございますが、あの物件は二階までは、先生テレビ等でごらんのとおりに確かに壁等もつくりましてやや建築物的につくっておりますけれども、それから上、警察が差し押さえた分につきましては、まだいわば現在つくっておる状態でございまして、あの二階の上に載っけたにすぎない、それは簡単に取り外すことができるというような状態でございました。いわば現行犯で逮捕する場合には、刑事訴訟法にもございますけれども、逮捕の場においては令状なしにでも犯罪に関連する物は差し押さえることができるわけでございます。また刑法十九条等によりますと、そういう犯罪組成物件はいずれ押収される物件でございます。あるいはまた、そのまま放置して保管をお願いするというようなこともあり得ますけれども、いまつくっている連中の言動等からした場合に、彼らにそれを形状変更しないでそのまま保管をしてくださいと言ったところでそれは期待できない。そういうような状況下で、あえて裁判官の適正な御判断をいただいて令状をいただいて執行したわけでございまして、念には念を入れてやっておるところでございまして、適正な執行をやったというふうに警察は考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 政府や警察当局の気持ちはわかる。私はそれは同情するにやぶさかではない。気持ちはわかるけれども、法律の執行者として、それに対して感情的になったりあるいはまた疑問の残るようなやり方をするのはいかがかと思う。敵が敵ならこっちもこっちだ、目には目、歯には歯を的な感じがやはり免れがたい問題だと思う。まあ十年をけみする成田の問題でございますから、非常な忍耐と努力が要ることについては私も同情するにやぶさかではないけれども、あくまでその忍耐と法的に誤解の残らないようなやり方をしないと、やはり問題が千波万波を呼ぶ。そしてそういうやり方をすれば、反射的にまた新しい問題が起こるということを私は想像せざるを得ないのです。国民の中で成田の問題について非常に関心があって、そして政府や警察も死傷者も出ているから気の毒だなという同情がある。その同情をバックにしてやるというのは大変言い方が適当ではないかもしれませんけれども、やはり国民世論をバックにして忍耐を続けなければいかぬと思う。それが、もうがまんがならぬ、やっちまえというようなやり方ですと、また新しい問題が発生をすると思う。これは私の意見でございますが、大臣どうですか、いまのやりとりをお聞きになりまして、私の主張に多少なりともあなたは御賛成なさる人だと思うのですが、どうですか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 横山さんの御意見に賛成するかというお話でございますが、横山さんのお気持ちもわかる、率直に申し上げて。しかし、いかがでしょう。あの事態は、私は現場の詳細は知りませんけれども、あれは空港を絶対使わせないという目的でやっておるようであります。わが国は法治国家と言われておりますが、その法治国家を破ろうとしておる、現にそれをやっておる、こういうときに見逃すということは、あれだけでなしに、やはり法治国家全体からいって法の秩序を維持する上からは私は見過ごすわけにはいかない。そういうところが、率直に申し上げてけじめをつけるところにつけない習慣が日本のこの法治国家の乱れを来しておる最大の根源であると私は思いますが、やはりやるべきことはやらなければいけない。そういう意味で、横山さんのがまんするところはがまんせい、こういう気持ちはわかりますけれども、がまんとかなんとかいうことではなしに、やはり根本に触れた解決をする以外にないのじゃないか、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 私の言っているのは大事なことなんで、成田空港をつくるという政府及び場合によっては国家目的があるとしましょうか、しかしそのことが、政治目的が優先して、そのためには現行法を乗り越えてもいいんだという危険性があると言っているのですよ。いま適法にやったとおっしゃるけれども、これほど問題を波及させるような、論議を生むようなやり方に一歩入ったということなんです。そこのところを、法務大臣としてあくまで法秩序を維持するということであるならば、執行においても法秩序のもとにおいてやる、疑問の残らないようにやる、そう言ってもらわなければ法務大臣らしくないじゃありませんか。いつの間にあなた、総理大臣になられたのですか。私の言っているのはそういうことですよ。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 私は、先ほど来警察当局から御説明があるように、違法に行われたとは見ておらないのです。もちろん、国家権力、これは国民の委託を受けてやっておるわけでありますが、それを執行する場合には法の範囲でやらなければならぬ、これは当然のことである。法を逸脱し無視してやるということは厳に憲法その他の法律が許すところではございません。

横山利秋日本社会党

○横山委員 これはもうかたく私は警告をしておきます。こういうような疑問の残る手順でやられるということは後に大変悪例を残すことになると警告をしておきます。  途中でございますが、次に、大臣にかねてお約束を願いましたら、大臣、閣議で話題にしてくださって御苦労さまでした。サラ金の問題と台湾人の問題です。  私がこの間くどく言いましたように、次回の法務委員会で、サラ金についてはだれが、どこの省が、どこの大臣が責任を持って法案づくりなりサラ金対策をきちんとするか、それをお答えを願いたいと申しましたところ、わかりましたと言って閣議で問題になさったそうです。このサラ金と台湾人の問題についてだれが担当し、責任を持って処理してくださることになったのですか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 サラ金の問題は、私自身がいまの社会問題になっておるこの状況を見逃すわけにいかないという考えをふだんから持っておる。そしてこれはいま申し上げましたように、国民の政治をあずかっておる政府として、ただ心配ばかりしておるようなことで対策が進まない状況になっておる、これではいかぬじゃないかという考え方で、横山さんの御指摘もありましたが、やはり各省に関係があるようなかっこうになっておりますから、どこで主管してやるという状態でございませんが、どういう措置をとるか、あるいはこれを抑制しながらどう弊害を除去していくか、こういう問題点を詰めて、そしてもし必要ならば立法措置等を講じなければならない、あるいは行政措置を講じなければならない、こういう事態でありますから、各省協議会をつくっておりますけれども、各省ばらばらのようなかっこうになって一向進んでおらない。こういう状態ではいかぬからということで、率直に申し上げて、この間の閣議において、これは官房長官が中心になってどこに責任庁をつくってそれをまとめていくかということを決めてもらいたい、いまそれを……(横山委員「まだ決まっていないのですか」と呼ぶ)まだ決まっておりません。いまそれを調整中でございます。  それから台湾人の請求権の問題、これはどこを責任庁にするという簡単なものじゃないようでございます。これは請求権のものによってそれぞれ担当の政府といいますか省といいますか、それがきちんとやるべきものである。どこかに一本化してやる、こういう問題ではないようでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 二つともお答えが、せっかくお骨折りを願ったのにかかわらずまだお答えをいただけないようですが、いつごろまでに一体そのお答えがいただけるのですか。私がここで問題提起したのは去年の春なんですよ。一年有余たっているのです。  それで私ども政党政治家側としても、政府の小田原評定にいつまでも任せるわけにいかぬというわけで、いま各党で相談しておるわけです。そして、できるならば超党派でサラ金に関する法案を提出したい、こう思っているわけです。けれども、私どもの相談が、あなたの方でどこに出したらいいやらわからぬでは困るのです。国会の方がもうどんどん進行し始めたわけですね。だから、これはいつごろまでにその判断をしていただけるのですか。一庁五省がもう一年有余小田原評定をやっておって、閣議で問題になって、それがいつまでたってもわけのわからぬようなことでは政府も怠慢ですよ。もうすでに御存じかもしれませんが、都道府県では条例をつくっているところ、あるいは指導要領をつくっているところ、サラ金一一〇番をつくっているところ、あるいは二、三の県で政府に意見書を出しておるところ、あるいは弁護士会で一一〇番をつくったところ、あるいはこれは余り感心しないのですけれども、町の人たちが自分たちが被害者の会を組織しているところ、そういうところのように、カラスは鳴かぬ日があってもサラ金の新聞記事が載らぬ日はないですよ。それにしても余りマンマンデーじゃありませんか。いつまでにその責任のところを決めてくれますか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 いつまでとここでお約束は残念ながらできませんが、できるだけ早くさっき申し上げましたようなことを進めたい、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 どうも余り感心しない話で、ここで私が初めて言ったことなら、まあそれじゃそうしましょうか、お願いしますと言うのですけれども、一年も前から言ってきて、最初に大平大蔵大臣に質問したのは二年前、そして質問主意書を出して内閣から答弁書をもらったのが一年前、そして閣議で問題になってもなおかついつのことだかわからぬ。余りじゃありませんか。余り政府もひどいですよ。それで各省が全部そのかずけ合いをやって、法務省は、おれは利息の問題だけだ、おれは手足がない、経済企画庁は、必要と思うけれどもおれのところも別にどうしようもない、警察庁は、おれのところは後追いで、犯罪があればやるのだけれども、指導はおれのところの責任じゃない、大蔵省は、そんな小さなサラ金のようなことをおれのところでやれるか、自治省は、仕事ばかりあるけれどもおれのところがやらなければならぬことではなかろう——いつまでたっても同じですよ。  台湾人の問題でもそう。後でまたもう一つ問題を出しますけれども、この種の政府の縦割り行政の被害、そして近代社会においていろいろ各省に関係のありますものが山積しているのです。そういう問題について決断が非常に政府は足らない。それで何かといえば総理府だと言う。総理府は、私のところは腰かけとテーブルとお茶とコーヒーを出すだけで、わしのところがやれるはずはありませんよ、お取り持ちだけはしますよ、いつまでたってもそういうことなんです。それは、もう大臣、閣議でおっしゃったのだから、いつまでということはないでしょう。次の閣議で決めてくださいよ、責任持ってくださいよ、責任を。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 数年前から、横山さんが指摘されているそうでありますが、私は、最近横山さんからお話を伺い、伺うばかりではなくて、あなた自身がおっしゃるように、毎日新聞に出ておる、社会問題となっておる、これは放置できないという気持ちがあるわけでございます。でありますから、次の閣議でと言ってもすぐでございますが、できるだけ速やかに決めることにいたしたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 綸言汗のごとしでございますから、もう一遍私にこんなことを言わせぬように、大臣に恥をかかせるようなことはなるべく避けたいと思いますから、この次には、ぜひお願いします。  もう一つ、大臣に伺います。  あなたの所信表明を熟読玩味しました。私は随時の法務大臣の所信表明を、いつも熟読玩味しておる。恐らくこれは、総理大臣が本会議で演説なさると同じように、各局の御意見を整理されて、そしてあなたのお気持ちがこの中ににじんでおると思うのですね。そういう意味合いにおいて、私は法務委員として、大臣の所信表明はここでお読みになった、ああそうですかと言って、聞き逃しをしないつもりでございます。そのつもりで、この文章におきましても、あなたがいろいろな角度で、あなたの人間味を含めて、一生懸命にこれからこういうことをやるのだというふうにお考えをなさって、ここでお話があったものだと思いますから、どうぞひとつ、所信表明の中には責任を持ってもらいたいと思います。  それで、その中で、法秩序ということについて前文で力説をされ、そのほか各所で法秩序を言っておられます。そこで、法秩序の関係でお伺いいたします第一番は、憲法の問題であります。法務大臣としては、憲法擁護ということが最もあなたの——それは、総理大臣だって各省大臣たってそうでございますけれども、あなたが一番憲法擁護に中心を置いた仕事、憲法の番人、法律の番人としてなさっておられることだと思うのであります。その点では、私ども、まあ野党が、建国記念日の問題について余り感心しない顔をしておることはおわかりだと思うんですね。政府は総務長官をして出席せしめました。それならば、憲法記念日にあなた自身が御出席をなさるお気持ちはありませんか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 憲法を尊重し、これを守るということは、当然のことと考えております。憲法記念日の式典といいますか、そういうものに出るかというお話でありますが、見でおりますと、憲法記念日の式典はいろいろ多様であるようでございます。でありますから、その際にどういう措置をとるかは、そういう時点で考えたい、かように考えます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 そんなことを、いろいろあるなんということを言ったって、私の聞いていることを素直にお聞きになれば、現憲法を記念する会ですよ。政府がそれを主催してやって、憲法記念日を祝い、そして現行憲法を守るという意味における記念日を政府がやり、そして法務大臣が御出席をなさったらどうか、こういう意味で言っているわけです。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 政府が憲法記念日をやったことは過去にありますけれども、最近は御承知のように、やっておらないわけでございます。やるかやらないかは政府がどう決めるかでございますが、そのときに考えたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 ちょっとそっけないですね、あなた。そっけないですよ。私の言わんとする気持ちはおわかりのくせに、そっけないのですが、少なくとも現憲法を守る責任者が法務大臣であり、そして護憲の問題については、また憲法のもとにおける法秩序というものについてこれほど力説されている人が、憲法を守り、そしてそれによる法秩序をきちんとするという立場があれば、政府の憲法記念式をやるべきであって、おれが出るという立場をとられることが憲法擁護の法務大臣として一番適切な発言ではある。もう建国記念日は済んでしまったことですから言いませんけれども、もし建国記念日に総務長官が出てやるというのであったら、それよりももっと高い次元にある憲法記念日をこれは政府がやるべきであって、おれが出るという立場をこの際、法務大臣としてとられたらどうかとお勧めをしておるのですが、どうですか。     〔山崎(武)委員長代理退席、委員長着席〕

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 憲法記念日の式典といいますか祝典といいますか、これを政府がやるかやらないかは、今後検討しなければならないことであります。私は、できるだけやった方がいい、かように考えますから、今後相談をいたします。

横山利秋日本社会党

○横山委員 法秩序の維持の表明について、私は、法務大臣としてこの中に言及をすることは大変つらいとは思うけれども、最近の警察官のあり方について、あなたに聞いてもどうかと思うのだけれども、少し看過することのできない問題が続発していますね。警察官が女の子を殺したり、酔っぱらい運転をしたり、あるいは間違い犯人をつかまえたり、それから検挙についても、私の名古屋でも、二億八千万円の拐帯犯人がいまもって行方不明だし、最近の検挙状況というものは大変悪くて、それによって国民の信頼感が少し薄れておる。検察についてはまだ問題がないようでありますけれども、そういう点について、法秩序の維持の中における警察官のありようについて、国民の信頼が非常に薄れておることをどうお考えになりますか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 法を守る立場にある、法秩序を維持する立場にある警察官の中に、いま御指摘のありましたような、法に反するといいますか、犯罪に走る、こういうことがたまさかあるわけでございます。これはきわめて遺憾なことであります。警察当局としても非常な重大な反省をされ、また教育あるいは社会生活等について、そういうことがないようにということで、いま大きく指導をされておるところであるようでございます。何しろ数多くの、やはりこれは人間でありますから、いいことでありませんけれども、たまにはああいうことがあって、国民の皆さんにまことに迷惑といいますか、信頼感を失うようなおそれがあるということは今後とも厳に慎まなければならない。  それから、犯罪の検挙の問題でありますが、これも横山さん御承知のとおり、これは犯罪があれば全部検挙したいということで全力を挙げておるわけでありますが、実際問題として、なかなかそれが手に及ばない場合があるわけでございます。これは警察当局として、警察からもお話があると思いますが、それこそ心血を注いで努力しておられることは、横山さんも認められると思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 この問題につきましてはまた別途な角度で取り上げますけれども、法秩序の維持を力説される法務大臣の所信表明の中における法秩序の維持の中で、もう看過すべからざる問題は、警察官に対する国民の信頼が低下したということであることを、あなたはもちろん、警察当局にも指摘して、また別途な角度で取り上げたいと思います。  時間がなくなりまして大変恐縮でございますから、ひとつ後で整理をしていただきたい点をまず申し上げます。  それは刑務所、拘置所の問題であります。この間、静岡の地震がございました。承れば、刑務所、拘置所ではその被害状況を調査されたそうであります。これは別途、資料を出してもらいたいと思う。私が心配をいたしますのは、いろいろ言われる大地震あるいは大火、そういう場合における、刑務所の中における未決、既決の人に対する監獄法の定めは決まってはいます。決まってはいますけれども、いまの刑務所の移転問題その他がたくさんございますが、現在の刑務所の施設の状況は一体どんなものであるか、改築の計画はどういうものであるか、それを大地震対策、天災地変対策を含めてひとつ資料として提出をお願いをいたします。  それから、附帯決議につきまして通知をしておきましたが、四項目の附帯決議について実施状況をきょうはただすつもりでございました。一つは社債に関する第二項の実施状況、二つ目は犯罪予防に関する実施状況、三つ目は被害者補償規程の改正後の状況、四つ目は司法共助の強化について、等は、ここ二年ばかり本委員会が決議いたしました附帯決議の中で、特にその実施状況を念査をいたしたい問題でございます。文書をもって本委員会に提出をお願いをいたしたいと思います。  最後はカネミ油症事件の判決に関連する問題であります。これはまさに歴史的な判決だと私どもは判断し、各マスコミはもちろん、学者の中にも、この内容について、大きな話題を投げかけておるわけであります。  私はきょう、五つの質問をしようと思いました。一つは、製造物責任法を制定する必要があると思うがどうかという問題であります。第二番目は、こういう判決に対して、国を代表している法務大臣が判決に対処してどういうことを考えておるのか。それは、第三番目の民法改正の必要があるのではないか。第四番目は、消費者被害救済法の必要がないか。第五番目は、薬品など国が製造を許可した責任を今後どうするかという問題が残る。第六番目は、この種のものをするとするならば、訴訟についての改善をしなければならないことになる。たとえば相手方及び第三者の所持する証拠方法を強制的に裁判所に提出させるための制度、少額被害の救済のための制度、第三番目は、クラスアクション等、特定の者が多数の被害者の利益を代表して救済を図るための制度、第四番目は被告が第三者を訴訟に引き込むための制度等の訴訟、そういうことを改善をしなければならぬことになるのではないか。第七番目は、これも先ほどのサラ金と同じようなことでありますが、一体どこの省が責任を持って立案をするか。もうすでに御存じのように、各省が外国へ行かれて、そしてその報告書を提出をされました。その報告書は、一応外国ではこうであったということにとどまっておりますけれども、文面の中から推察されることは、私がいま申しましたような数々の問題を提起しておる、そういうふうに考えるわけであります。ほうっておけば、この問題は判決が出たけれども、政府は何もしない、そして、また同じようにこれからこの種の裁判の判決が出る、そういう必然性をもう予知できるわけであります。したがって、判決をこれからどんどんつくっていって、それが一つの社会的よりどころになるというような言い方もありますけれども、それにしても、十年も裁判をして、ようやく判決をし得る、しかもそれが、判決が出て効果があるとするならば、ほかの人もやはり裁判に訴えなければその効果を享受することができない。なれば、もはや製造物責任法の制定というものは時代の趨勢ではないか。それを一体政府はどこの省が責任を持ってやるのかという問題がまた出てくる。経済企画庁、法務省、それから今回のものでは農林省、厚生省も関係をいたしましょうか、あるいは総理府等々がまたかずけ合いをして、おれのところが何も責任を持ってやらなくてもいいということになりそうなんであります。  しかし、基本的に私が考えるところは、民法が基礎になるわけでありますから、法務省がこの問題についてまず先鞭をつけて、民法の改正あるいは単独法としての製造物責任法の制定あるいは訴訟制度の改善ということに一番大きなウエートを占めるわけでありますから、法務省が全力を挙げてこの問題に取り組まなければならないのではないか、こういうふうに考えるわけでありますが、いかがでございますか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 先ほど御指摘のありました各種資料については、委員会からお求めになればそれを提出することに準備させます。  それから製造物による被害の問題、これは現在日本ばかりではありませんが、現代社会の課題であろうと思っております。しかし、これはいわゆる責任問題、過失責任、無過失責任等の法律の根本に触れる問題もありますし、またそういう産業の育成等について重大な関係もありますから、慎重に検討しなければならないと思っております。御指摘のように、海外の状況等も検討しておるわけでございまして、法務省単独でやるかどうか、これは別問題といたしまして、真剣に検討を進めなければならない、かように考えております。

横山利秋日本社会党

○横山委員 それでは、本件につきましては別途次回の委員会におきまして、具体的に政府の考えを聞くことにいたします。  最後に、これは苦情でありますが、もう一つ所信表明について私の意見を大臣に申し上げておきます。各局、法務省全体に関する各種の考え方が具体的に出ておるのにかかわらず、私のひが目かもしれませんが、「第二」と書いてあります四ページ目、保護局関係、それから矯正局関係、この項においては何らの具体性がない。お読みになっていますか。「第二」と書いてあります四ページ以降、保護局及び矯正局関係の文章は全く具体性がない。きわめて普遍的、抽象的でありまして、熱意のほどがうかがわれぬ。大臣、そう思いませんか。作文が書いてある。それではならぬのであります。私は別途次回にこの保護局及び矯正局関係の問題について具体的な問題提起をしようと思うのですけれども、所信表明の全文を通じて、私が言いましたように、ずいぶんいろいろと具体的にあるなと思うけれども、これは、局長が何とおっしゃったか知りませんが、大臣の所信表明でございますから、あなたとしてこの種の問題について少し熱意が足らないんじゃないか、あなたの角度がこの辺が弱いんじゃないかという気がしてならぬわけであります。これは私の皮肉でございますか。皮肉で終われば結構でございますけれども…。この種の問題について、大臣が御自分の在任中にもう少し具体的にこういうことをするという点を挙げてもらいたいと思うのです。どうですか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 具体的にというお話でございますが、保護あるいは矯正、これはもうここに書いてあるとおりでございまして、これを推進して実績を上げなければならぬ。どこの項に力を入れ、どこの項に力を入れておらないという気持ちではないわけでございます。

横山利秋日本社会党

○横山委員 答えになりませんな。

石原一彦法務省矯正局長

○石原(一)政府委員 大臣を補佐する立場から、矯正局長としてのこの大臣の所信表明に入れていただきたい点を私の方からも大臣にお願いしてございますので、答えさせていただきたいと思います。  先ほど老朽の矯正施設の現況、これに関連しての大地震対策という資料要求もございました。これはわれわれ検討いたしまして、委員会から御要求がございますればお出しいたしますが、私どもがこれを明確に申し上げませんのは、とにかく犯罪者を隔離いたしまして矯正教育をいたすところでございまして、そこにおける施設の現況を余り詳しく申し上げますことは、市民並びに受刑者あるいは非行少年に無用の御心配をかけるということをおもんばかるからでございます。同じように、具体的な方策につきましても、やはり一番人権に密接に関連する部署でございまして、具体的に申し上げるのはいかがかという点で簡単にしてございます。しかしながら、現在の法務省の矯正、これは保護局長おいでになっておりませんが、恐らく保護も同じでございますが、矯正、保護において理念とするところはここに全部盛り込まれているところでございまして、御質問がございますれば、人権その他に差し支えない限りにおいてはお答え申し上げる用意はございます。しかしながら、われわれの仕事といたしましては、どうしても具体的に申し上げかねる部分があることも御理解願いたいとともに、私どもといたしましては、決して法務省の中におきまして、矯正、保護を低めに見ているとは考えておりませんし、努力を重ねている点につきましても御理解を願いたいと思います。

横山利秋日本社会党

○横山委員 一つ先ほど忘れましたが、次回のために……。きょうは総会屋を取り上げる予定でございましたが、時間がございません。できましたら、総会屋に対する現在のリストあるいは検挙事犯のリスト、そういうものをあわせてひとつ本委員会に提出をしてもらいたいと思います。  まだ大分残っておりますが、時間がございませんので次回に回します。

加藤晶警察庁刑事局捜査第二課長

○加藤説明員 総会屋のリストの件でございますけれども、これは本来捜査のために作成いたしましたものでございます。それを提出いたしますということになりますと、個人の名誉、人権ということがございますので、これにつきましてはちょっと差し控えさせていただきたいと思います。  それから、検挙事例ということでございますれば、これは可能な限り準備いたします。

横山利秋日本社会党

○横山委員 やむを得ません。では検挙事犯だけ   。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 午後一時三十分再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後零時四十五分休憩      ————◇—————     午後一時四十六分開議

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。稲葉誠一君。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 最初に刑事局長にお尋ねするわけですが、この前の予算委員会で私どもの大出議員がソウルの地下鉄の問題などに関連して質問をしたときに、あなたが、その質問の経過を聞いておられたのですが、何か深い関心を有するというような発言をされたように大出議員からも聞きましたし、新聞でも拝見したのですが、どうしてそういうような発言をされたのか、そのときの気持ちというか背景といいますか、それを最初に御説明願いたいと思います。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 当日の大出委員の御質問の要点は、いままでずっと審議内容を聞いておって、犯罪があるのかないのか、あるとすればどんな犯罪があると思うか、こういうお尋ねでございました。  そこで私がお答えしました趣旨は、私もずっと伺っておったわけですが、現在大出委員が御指摘になっておる事柄は検察当局においても深い関心を持っておる問題でありますので、検察に対する指揮権をお持ちの法務大臣を補佐する立場として、犯罪になるとかならぬとか、何罪になるとかいうようなことは申し上げかねますと、こういう趣旨でお答えしたわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、深い関心を持っているというのは、具体的にどういう点に深い関心をお持ちなんでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 検察当局が深い関心を持っておりますのは、国会における御審議の全経過並びにこれをめぐるマスコミ報道等、こういうものによって報ぜられております事実関係等につきまして深い関心を持っておる、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、深い関心を持っているから、だからどうするということになるんですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 どういうことにするか、あるいはしないか、そういうことを含めて深い関心を寄せておる、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、今後の国会の審議その他の状況の発展によっては、これが犯罪の嫌疑ありとして捜査当局によって捜査をされるという可能性も十分——十分というか、それはあるというふうに承ってもよろしいですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 いずれにいたしましても、ソウル地下鉄問題と言われております問題について、いまのところ検察当局が犯罪の嫌疑ありと認めて捜査を開始しておるというような事実はないわけでございます。仮定の上に立っての御質問でございますが、私も仮定の上に立ってお答え申し上げれば、犯罪の嫌疑が認められるに至れば捜査を開始するものと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 犯罪の嫌疑が認められるということになれば捜査を開始するのはあたりまえなんですが、だから、犯罪の嫌疑ありと認められるまで捜査当局としては静観をしているのか、あるいはそうではなくて、そういう方向にある程度積極的に踏み込んでいくということなのか、そこら辺のところはどうなのですか。ただ国会の審議待ちだ、あるいはマスコミというか、そういう資料の提供されるのを待っている、こういうだけなんですか、あるいは積極的な姿勢というものもそこで当然考えられるということなんでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 犯罪の捜査の手順として、犯罪の嫌疑を認めて捜査に着手をする前の段階で、俗に内偵と言われるような段階があるわけでございますが、およそ犯罪捜査の前提となります内偵につきまして、いま内偵をしておるとかしていないとか言うことは、事柄の性質上厳に避けなければならぬ問題だと思っております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 これは内偵しているとかしてないとかそんなことをここで言えというのも無理な話で、それはそうすれば証拠隠滅が行われることははっきりしています。  そこで、大臣にお聞きしますけれども、いま言ったような話の中でそれが犯罪の嫌疑がありということになれば、大臣としては捜査当局を激励して徹底的に事実関係を洗って捜査をするということ、これはあたりまえのことですけれども、そういう覚悟であるというふうにお聞きをしてよろしいですか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 稲葉さんも御経験があることでございますが、ああいう問題がありますときには、それこそ重大な関心を持って、それが犯罪事実がありという認識を持てば当然捜査に入って、犯罪ありとすれば処断をする、これは当然のことだと考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それではその推移というものを私も見守りたい、こういうふうに考えるわけですが、これは聞くのも余りあれですけれども、これは刑法犯だけでなくて、商法上のいろいろな刑事罰の規定がありますね。いまの状況では、むしろそういう方向に行く場合も考えられるのではないかというふうな点については、いかがでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 検察当局が関心を持つ場合には、あらゆる罰則を頭の中に置いて関心を払っておるわけでございますので、そういう意味からいいますと、ただいま仰せになりましたような、刑法だけでなくあらゆる罰則を頭に置いて関心を寄せておる、こういうふうに思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それでは、その問題はこれからの問題になりますからその程度にしておくわけですが、きのう予算委員会で横路委員がいわゆる俗にいう灰色高官ということについて質問をしておるわけですね。これに対して法務大臣が答えておるわけなんですが、そこで、この経過——経過といいまするか、法務大臣もその中で、四人の人がそれぞれの金銭をもらった、だけど二人の人は時効にかかっておる、二人の人は職務権限がなくて不起訴になったのだ、こういうふうな答弁だったというふうに聞いておるわけですが、結論はそれはそれとして、そういうふうに犯罪を構成するかもわからないような——構成するとは言いませんけれども、かもわからないような金銭のもらい方をしておるということについて、大臣としてはどういうふうにお考えになりますか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 これは検察庁の捜査の段階でそういう認定をしておる、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、捜査の段階でそういう認定をしておるということはわかりますが、三木内閣のときのロッキード問題に関する調査特別委員会、昭和五十一年十一月二日、ここで田中伊三次委員長が、「時効で不起訴になった者、職務関係はないがトライスターの売り込み等に関して金銭を受け取った者など五名、すなわち三十ユニット関係五名をとりあえず政治的道義的責任がある者といたしたいと存じます。」こういう関係で秘密会に入っていったわけですね。このとき瀬戸山さんも理事として列席をされておられるわけですが、夜遅くなって、そのときに当時の法務大臣が、「ただいまの委員長の御提案により政治的道義的責任ありといたされました五名、」云々ということで説明をし、刑事局長の安原さんがそれについて説明をしておるわけです。それから、四日に政府の報告書というものが出て、各人別にそれを読み上げ、それから各人がそれに対して弁明をいたしておる。こういう経過になっておるわけです。私も列席しておったので思い出しますが、この政府の報告書なるものは三木内閣のときの政府の報告書ですけれども、福田内閣のいまになってもこの政府の報告書というものは間違いがないのだ、こういうふうに法務大臣は理解されるわけですか。どこか訂正するところがあるというふうにお考えなんでしょうか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 稲葉さんも御承知のように、ロッキード事件に関係があると認められる人々の中で、いわゆる灰色高官という問題が出て、これは、世間ではそう言っておりますけれども、国会では政治的道義的責任を問われる立場にある人、こういうことと思いますが、それを明らかにせいという強い要求があったわけでございます。しかし、法務省といいますか検察当局といたしましては、犯罪ありと認めた以外を世間に公表するということは厳に慎まなければならない、こういうことは御承知のとおりでございます。でありますから、国会で政治的道義的責任を問う立場にあるのは国会、国民でありますから、どういう者を一体世間で言う灰色高官、国会でおっしゃる政治的道義的責任に当たるものと言われるのか、これを決めてもらわなければ、出せ出せと言われても、こちらからこれが道義的責任があるのですなんと言う立場にないわけでございますから、そこでかくかくの事情にある者がそれに当たるのだ、それに当たる者があったら出しなさい、こういうことになって、秘密会で捜査の段階においてそれに当たると認められる人々を報告した、こういうことになっておるわけでありますから、それは捜査によってそういうふうに事情を明らかにしたわけでありますから、いまそれが変わるとか変わらないとかいう問題ではないわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 これは、国会において政治的道義的責任があると認定をされて、資料を出せと言われて、そして法務省当局というか当時の内閣が資料を出したものであるわけですね。だから、国会は政治的道義的責任がこの四名にあるということを認定をして、あなたも理事としてそれにずっと列席をされておられたわけですね。そうすると、この四名の方に対して、あなたも、現在でも、政治的道義的責任はある、こういうふうにお考えなんでしょうか。そうでないと話はおかしくなるのではないでしょうか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 国会の立場で、さようでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いや、国会の立場でなくて、国会の立場かどうか知らぬけれども、法務大臣としてやはりいまの四名の方は政治的道義的責任があるというふうに、あなた自身も法務大臣としてお考えになるのですか、こう聞いているわけです。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 それは国会で決められた基準に当たると思われる人、こういうかくかくでございますということで出してありますから、現在も変わりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それらが道義的責任ありと認められた根拠について、安原さんが五十一年の十一月二日にこういうふうなことを言っておるわけですね。最終的にどういうことからこれが認定されたかということについて言っているわけです。「この認定に当たりましてもロッキード事件の捜査の過程において得られました資料、すなわち、全日空関係者及び丸紅関係者の供述、米国におきます嘱託証人尋問の結果等によりましてかような認定がなされたものでございます。」こういうふうに言っておるわけですね。これはそのとおりだ、だれが見てもそう思うわけですが、そうすると、この四人の方の事実関係というのをこの議事録で見たり報告書から見るというと、一番目の方は副島勲、二番目の方も副島勲、三番目が伊藤宏、四番目が副島勲、これらの人からもらったということになっておるわけですね。そうすると、当然副島なり伊藤宏の検察庁における供述というものが重要なポイントとなって、検察庁なり法務省当局は、いま政府の報告書というふうなものを提出する根拠にした、なったというか、そういうふうに考えるのが通常だ、こう思うのです。その他のものももちろんありますけれども、直接のあれとしては副島並びに伊藤、こういうふうな検察庁における供述が大きなポイントを占めていた、こういうふうに理解をするのでございますが、そのとおりでよろしいでしょうか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 秘密会で前局長が申し上げましたその中身の詳細については御勘弁いただきたいと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いや、私の聞いているのは、安原氏が説明しておるわけですね。副島からもらったとか何とかずっと言っておりますね。それから伊藤氏からもらったとも言っているわけでしょう。何かいまの話、ちょっとよくわからなかったんだけれども、何だというの。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 タイミングが悪かったようでありますからもう一回お答えいたしますが、安原局長が御説明申し上げた事柄の内容の詳細については御勘弁をいただきたい、こう申し上げておるわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いや、それは、御勘弁いただきたいと言ったって、議事録があるのですよ。秘密会だからぼくも議事録なんてないんだと初め思っていたら、秘密会だけれども議事録が、とめてなかったのですね。そのまま議事録全部出ているのですね。そこに書いてあるんだからしようがないな。だって、それは市販されているんだからどうにもしようがない。それから十一月四日、これは秘密会ではないでしょう。これは秘密会ではないですね。そこで、やはり報告書の中にそれが全部出ていますよ。副島勲なり伊藤宏が出ているでしょう。副島が三つ、伊藤宏が一つ出ているでしょう。だから、これは秘密会だから勘弁してくれと言ったって、十一月四日の各人が弁明した方は秘密会じゃないんだし、これはちょっと話が聞こえ  ないんじゃないかな。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 副島が三回渡し、伊藤が一回渡したということは御報告申し上げたとおりで  ございますが、さような認定の根拠にどういう人  の供述あるいはどういう証拠、そういう細かい具体的な問題点を申し上げることは、間もなくその点の立証をしなければなりません公判との関係がありますので御勘弁いただきたい、こういうわけ  でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 三月六日と二十日ですか、副島  のあれがあり、四月に伊藤の証人尋問がありますね。そこで、恐らくそのことは証人尋問の中に出  てきて、あるいは余り公判のこと言うのはあれですから差し控えますが、そうなってくるというと、検察庁がこれだけの報告書をちゃんと出しておるということから見て、副島なり伊藤というもののまず供述が、認めた供述であるか否認した供述であるか聞きませんよ、これは後でわかることだから聞きませんけれども、その供述がなくて、供述調書がなくてこういうような政府の報告書を出すわけはないでしょう。これはそのとおりだと思いますという答えだね。それはそうだよ。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 御想像にお任せいたします。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 御想像に任すといっても常識的な想像以外にありませんが、そこで、私も実は三月六日以降の副島のあれなり四月の伊藤の公判廷における供述というものを非常に重視しているわけです。これは恐らく満天下が重視しているんだ、こういうふうに思います。検察当局もこれを重視している、こう思うのです。  そこで、きのうの予算の一般ですか、横路委員の質問に対する答えの中で、刑事局長の答弁で「具体的な全日空ルートの公判状況は、大久保証言で三千万円用意したところまで進んだ。金銭授受の具体的立証についてはこれから進む。」佐藤、橋本のところは括弧してありますからあなたが言ったことではないでしょうが、「二人の金銭授受は四人と密接不可分、証拠一体の関係にあり資料を出すわけにいかない。」こういうふうにあなたは答えていますね。大久保証言で用意したところまで進んだ。確かにそうですね。あれは報告してもらったというところですから、自分が渡したというのじゃありません。  そこで、「金銭授受の具体的立証についてはこれから進む。」というのは、いま言った副島並びに伊藤の証人喚問だ、これはあたりまえですけれども、これもそういうことでしょう。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 大体そのとおりです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 大体でなくてそのとおりだよ。だが、あなたの方としてそれは答えるわけにはいかないな。  そこで、よくわからないのは「二人の金銭授受は四人と密接不可分、証拠一体の関係にあり資料を出すわけにいかない。」というあなたの答弁があるわけですね。ここら辺のところがよくわからないのですが、考えられるのは、たとえば副島なり伊藤の供述調書というものが全部の、たとえば起訴されている二人と起訴されてない三人ないし伊藤の方は一人になるが、そういう関係を含めた一体の調書になっているから出せない、こういう意味なんですか、あるいは調書が——恐らく何回も調べているんだろう、こう思うのです。そうすると、たとえば二階堂氏なら二階堂氏の関係、これならこれの関係というふうに調書が別になっておれば、本人の方でも出してもらってもいいという人もいるんですから、これは出せるんじゃないですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 検察官の冒頭陳述にもあらわれておりますけれども、大久保が三千万円用意したときのそれぞれの金の行き先別の分け方、これが後にだんだん変わってまいりまして、平たい言葉で言うと、一山三千万円という金を幾つかに分けまして一気にくるくると届けるというような感じの案件でございますので、すべての証拠関係が、だれに渡した分、かれに渡した分というふうにはなっておりませんで、全部つながってしまっておる、こういうことでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、あなたが、立証がほぼ終わった段階で、裁判所に提出した資料については要望があれば詳細に報告するというふうに答えた。これは「焦点採録」で議事録じゃありませんから多少の言葉の違いはあるんだろうと思うのですけれども、これは一歩前進だというふうに書いてあるところもあるのですが、ぼくはちっとも一歩前進でも何でもないと思うのですよ。あなたの答えているのは、裁判所に提出した資料についてということは、公開の法廷でやられておって秘密会でも何でもないのですから、公開を禁止しているわけでも何でもないわけでしょう。公開の法廷で、裁判所に出した資料について要望があれば詳細に報告するなんというのはあたりまえのことじゃないですか。あなた、どう思います。これはあたりまえのことでしょう。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 当然なすべきことをお答えしたつもりでおります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それが一歩前進だと書いてあるからぼくもそういうあれだと思うんだけれども、これは一歩前進でもない、あたりまえのことなんです。  そこで問題は——一歩前進じゃないや、前向き答弁という意味か。国会の要望があればって、国会の要望があったってなくたって、それは当然、ここへ報告するかロッキードの委員会に報告するかは別として、いままでの経過からいって、出すのがあたりまえのことだと思うのです。  そこで、立証がほぼ終わった段階というのは、一体いまの段階で何を言うのかよくわからないのですよ。検察官の立証が終わった段階だと言うのか、弁護人の立証か終った段階と言うのか——弁護人の立証が終わった段階と言えば、あと二、三年か、もっとかかるんじゃないかな。検察官の立証はわりあいにスムーズに進んでいるから、わりあい早く終わりますね。どういう意味なんですか。どういう質問で、どういう意味で言われたのですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 私にも、その立証がほぼ終わった段階という言葉の意味はよくわかりません。それは横路委員が間もなく金銭授受の立証に差しかかるから、なるほどそれは山場だ、しかしそれが終われば、ほぼ立証が終わってくる段階になるではないか、そういう段階になっても資料が出せないのか、こういうような趣旨のお尋ねでございましたから、裁判記録そのものは裁判所が保管しておりますから、法務省から出すというようなことはとうていできませんけれども、検察官の公判活動についての国政調査ということでございますれば、公判が進んだそこまでの段階の検察官の活動につきましては詳細御説明申し上げます。こういう趣旨でお答えしておるわけでございます。したがいまして、いま御引用の新聞記事の前半分は横路委員の発言部分で、その詳細云々というのは私の発言部分でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、あなたとしては、国会から要望かあれば——これは単に個人の要望ということではいけませんね、委員会の正式の要望でなければいけませんけれども、要望というか要請、それがあった段階においては、いつごろ何が出せるということなんですか。ちょっとはっきりしないのです。そうすると、検察官の立証が終わった段階で検察官はこれだけのことをしたんだ、しかも証人はこういうふうに答えておるんだというふうなことを含めて、国会から要請があれば報告する、こういうことですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 たとえば、大久保の証言が終わりましたこの段階で大久保の証言の詳細を説明せよ、こういう御要望があれば説明いたしますし、それから仮に副島、伊藤宏が証人に出まして証言をいたしました場合に、そのやりとりの詳細はどうか、こういうことであれば、当然御説明申し上げます。また、仮に検察官の手元でつくりました書類のようなものが公判廷へ顕出されましたような場合には、当然検事朗読が行われるわけですから、そういう所要の手続を経たものについては詳細御説明申し上げる、こういうつもりでおります。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 副島なり伊藤なりの供述がどう出るか、これはわかりませんけれども、あなた方の予想は——予想というとおかしいけれども、予期は大体考えられるわけだけれども、それに対して、四人の方は真っ向から、そういう事実はないのだ、こう言っておられますね、大臣。そうでしょう。それについて、法務省当局の政府報告書と四人の方のいわゆる弁明とは正反対ですわね。それに対して、四人の方はどうして、法務省なり、三木内閣あるいはそれから続いた福田内閣の見解と違うことを言われるのですかね。法務大臣、どういうふうにお考えになりますか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 私、四人の方全部がどう言っておられるということは承知しておりませんが、(稲葉(誠)委員「あなた、出席しているもの。全部だ。」と呼ぶ)四人の方全部じゃないと思いますが、それはどちらでもよろしいですけれども、これは、捜査に当たった検察としては、そういう認定をする資料を持っておるということ。ですから、これは非常にむずかしいというか、微妙なところでございまして、裁判でございませんから最終決定には至らないわけですね。そういうことだと思います。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いやいや、政府なり何なりの報告書に反することを四人の人が言っているわけでしょう。そうすると、なるほどな、そのとおりかな、四人の人の言っていることは正しいのかなと思うのか、あるいはこれは、おれたちの考えているのと違うと思うのか、どっちなんですか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 それは検察の立場としては、検察が調べたのが正しいという考えでやっておるわけでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 検察の立場でなくて、法務大臣の立場としてどうなのかと聞いているのです。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 むずかしい御質問でございますが、私は検察を信用しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 これ以上聞くのもなかなか聞きづらいし、答えづらい質問だ、こう思うのですが、私も、そういうようなことの中で今後の公判の経過を見守っていきたい、こういうふうに考えるわけです。  そこで、さっきから質問がありました刑事訴訟法の一部改正の話が出た、特例法なんかが出てきましたよね。この問題で余りあれして、そのぺースに引き込まれるのは警戒しなければいかぬ、こういうふうに思っていて、質問をやめようかと思ったのですけれども、せっかくですから、一つだけ聞いておきますが、一体、刑事訴訟法の中の必要的弁護のところの何々の二として記載した場合と、それから何とかの特例法ですか、いや、特例法と記載した場合と、これは形式的には違いますよ。形式的には、片方は刑事訴訟法の改正、片方は特例法だから、全く違うわけです。形式的に違うことはよくわかっているのですが、実質的に一体どこが違うのですか。そこのところですね。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 午前中大臣がお答えいたしておりましたように、当初、刑事訴訟法の一部改正ということでいこう、こういうことでございましたが、現在では、暫定的特例法というような形でまとめたいと思って準備をしておるわけでございます。  そうなりました経緯を若干御説明いたしますと御質問に対する答えになってまいりますので、ちょっと御説明させていただきますが、法制審議会における御審議の経過等におきましても、かような条文は法曹三者にとってはなはだ不名誉な条文であって、決して本来好ましいものではない、しかし、今日の異常な状況に対処するためにはやむを得ざる立法である、こういう御意見が非常に多うございました。  そういう御意見が多うございましたのをまず踏まえて、考えてみますと、現在の刑事訴訟法と申しますのは、訴訟に関係します法曹三者がすべて良識を持って行動するものであることを前提につくられております。その中へ、ごく一部の弁護士さんであるにしましても、そういう良識からはみ出した弁護士さんが存在することを前提とする条文を挿入しますことは、やや違和感を免れないわけでございます。さらに、この異常な事態は、他の抜本的な方策によって解決することが全く不可能ではないと考えられるわけでございまして、そうなればこの条文は要らなくなるわけでございます。そういう諸点を考えまして、刑訴そのものをいじらないで暫定的特例法にする、こういうことにしたわけでございます。  ただいまの説明からおわかりいただけるかと思いますが、暫定的特例法という形をとりましたことによって、違ってまいります大きい点が二つございます。一つは、別に一条設けまして、そこにこの法律制定の趣旨を明らかにいたしますことから、最近、一部の過激派等の裁判に見られる異常な状況、こういう状況のものに対処するための方策であるということが明らかになると思います。それからもう一つは、当面の措置でありかつ暫定的措置であるということを明らかにすることによりまして、この準備しておりますものが立法化されました暁にも、法曹三者で、さらに法曹三者以外の関係者も英知を集めまして抜本的な改善策を図るということによって、なるべく早い機会にこの法律を廃止する段階に行くことが期待される、そういう性格を明らかにすることになるわけでございまして、そういう意味で、刑訴そのものの改正と、暫定的特例法という形をとります場合には、実質的に相当な差があるものというふうに考えております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いま刑事局長の言ったのは実質的な差ではないですよ、形式的な差じゃないですか。  それじゃあれですか、裏を返せば、刑事訴訟法の改正の場合には、一部の、過激派か何か知りませんが、そういう分子のものだけに適用するのではなかった、ほかへも広げるつもりであった、それから、時限的な立法でもなく、恒久的な立法だったんだ、そういうことを、あなたの言っていることは意味しているのですか。そういうふうにとりますよ。そういうふうにとらざるを得ないんじゃないですか。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 刑訴の中へ入れれば恒久的立法になることは、そのとおりでございます。  それから、刑訴の中へ入れれば全部の事件に適用があり、暫定的特例法という形をとれば一部の事件にしか適用がない、そういう関係になるのかと、こういうふうなお尋ねでございますが、私は、いずれにいたしましても、ごく一部の事件にしか適用がない、その点は同じであろうと思います。ただ、刑訴本体に入れることによりまして、一部の、私どもは宣伝と言っておりますが、のように、弁護人抜き裁判が結局全事件に及んで暗黒裁判になるというような全く理由のない、私は言いがかりだと思いますけれども、そういうことが喧伝されるということ自体、まことに望ましいことではありません。そういう点は立法上も謙抑的に配慮しなければならぬだろう。私どもが考えておるねらいを超えたようなことを腹の中で思っておるかのような言いがかりを受けることは、これでいささかなりとも避けられるのじゃないか、こういうふうに思っておるわけです。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 いや、言いがかりの話は別として、それはまた、どうでもいいと言っちゃ悪いが、別な話であって、それじゃ刑事訴訟法の一部改正という形でいっても、今度の特例法でいっても、実質的には法の運用そのものについてはちっとも変わりないということでしょう、結論的には。そういうことでしょう。ちょっと待ってください。刑事訴訟法のときに、うんと広げてそれは適用する、それから恒久的立法だ、恒久的立法でずっとやっていくんだという考えであったとするなら、今度の場合とうんと違うけれども、最初の段階から一部のものに対して適用し、最初の刑事訴訟法の改正の場合でも時限的な立法だということを考えておったというのでしょう、説明は。それならば今度の特例法だってちっとも内容は違わないじゃないですか。実質的には運用はちっとも違わないということになるんじゃないですか。だから、形式的な問題は別ですよ、私の言うのは。言いがかりをつけられるとか、いろいろな悪宣伝がどうとかこうとかということは別として、内容は違わないんじゃないですか。大臣でもどっちでもいいや。どうも私はわからぬが……。

伊藤榮樹法務省刑事局長

○伊藤(榮)政府委員 大臣がお答えになります前に、私から申します。  そういうような要件に当てはまる状況ができたときの法律的効果、そういう観点からすれば、いま御指摘のように全く違いはございません。それを実質的と言うなら、御指摘のとおりでございます。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 いま刑事局長からお答えしたとおりでありまして、そういう事態に対処する観点から見ると、少しも変わりありません。  ただ、刑事訴訟法は、御承知のとおり原則として弁護人を当然につける制度になっておりまして、この基本原則を別に曲げたといいますか、別の道を開いたと、こういう印象を与えたくない。刑事訴訟法に入れるよりも、いま刑事局長がるる申し上げましたように、特異の事象に対するものだけである、こういうことに明確にしようということでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それは、印象を与えたくないとかなんとかということは、立法技術の問題あるいは国会の法案を通すためのテクニックの問題であるということじゃないのですか。いや、それははっきりしている。だって、いま刑事局長が言った答弁の中からも出てきているんじゃないですか。実質的にはちっとも違わないですよ。まあ、それはそれとして……。余りこれに深入りするとペースに巻き込まれちゃうから、ここら辺にしておきますけれども……。  それから大臣、瀬戸山法務大臣の所信表明がありますね。この中で、いろいろこう書いてありまして、おしまいの方に国際人権規約の問題が出てきているわけですね。「国際人権規約の批准が問題となっておりますが、法務省としては、その趣旨、目的に照らし、早期批准か望ましいと考えております。」と、こういうふうになっておるわけですが、これは大臣、国際人権規約全部を言っているわけですか。A規約、B規約があるわけですね。そして、その中では、たとえば公務員のスト権の問題なんかも出てきているわけでしょう。そういうものも全体を含めて「国際人権規約の批准が問題となっておりますが、法務省としては、その趣旨、目的に照らし、早期批准が望ましいと考えております。」と、こういうことを所信表明の中に言われたわけですか。これはどういうわけなんですかね。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 細部については人権局長からお答えさせますが、わが国の憲法は、こう言っては失礼ですけれども、世界に冠たる人権を尊重する憲法になっておると思います。国連においても、やはりそういうむしろ日本の憲法に照らしてみてのような人権宣言その他をやっておるわけでございまして、ですから、世界の大勢に日本だけがおくれるということは適当でない、そういう考えを基本的に持っております。具体的な国内法との関係は、これはいろいろ調節をしなければならぬ問題がありますから、どういう形になりますか、直ちに国内法でそれに応じられないところは留保をつけてでも批准をしなければならぬ、こういう考え方でございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 所信表明ではその点についてのあれが非常に簡単なものですから、よくわからないのです。  そうすると、たとえば国際人権規約の中にはA規約、B規約がありますけれども、大臣、自民党の中でこれに反対する動きも相当強いわけでしょう。その中で法務省としては「早期批准が望ましい」こういうふうに簡単に言われておるものですから、そこで疑問が出てきておるわけなんですよ。自民党の中では、たとえば公務員のスト権の保障の問題、それから消防職員の団結権の問題、公休日の俸給支払いの問題、初等教育の完全無償化、中高等教育の漸進的無償化、その他いろいろな問題がありますね。そうすると法務省としては、これはどの点を留保して、どの点を批准したいというふうに考えておられるわけなんですか。

鬼塚賢太郎法務省人権擁護局長

○鬼塚政府委員 法務省の関係といたしましては、批准について特に支障のあるものはないという結論になっております。先ほどおっしゃいましたスト権その他については労働省とかいろいろほかの省の関係があると思いますので、そちらの方のことを申しますのは差し控えさせていただきたいと思いますが、法務省といたしましては、慎重に検討いたしました結果、現在のところ特に批准について支障のあるものはないという結論に達しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 それは具体的に言うと、どういう点とどういう点なんですか。

鬼塚賢太郎法務省人権擁護局長

○鬼塚政府委員 先生も規約の内容は十分御承知だと思いますが、非常に膨大なものでございまして、刑事関係の手続規定などもたくさんございますので、法務省の関係と言えば非常にたくさんあることにはなりますが、特に問題となっておりましたのは、これはA規約とかB規約ということで簡単に申し上げてよろしいですか。——それではA規約、B規約というふうに申させていただきます。A規約の六条一項がその一つでございました。これは勤労の権利の保障でございます。この中に、すべての者が自由に選択し、または承諾する労働によって生活費を得る機会を求める権利があるという趣旨のことがございまして、これが、やはり外国人もこのすべての者の中に含まれるということでございますと、現在出入国管理令の四条で外国人は在留資格を定められております。たとえば、観光客のビザで入った者は観光以外のことはできないたてまえになっております。そういうような者が働いた場合に、これは働く権利があるのではないかということで、そういう保障があるのではないかというような問題。これは入国管理局の問題でございまして、入管局長がおられればより適確な御説明ができるかと思いますが、おられませんので、私の理解しているところで申し上げますと、そういう問題が一つでございまして、従来検討されておりました。しかし、これは現在の国内法の解釈上別に批准に差し支えないという結論に達したというふうに聞いております。  それからもう一つは、B規約の二十条、これは、第一項が戦争のための宣伝の禁止、それから第二項が差別等の唱道の禁止の条文でございます。これにつきましては刑事局で検討されておりまして、問題点といたしましては、表現とか出版とか思想の自由との関連はどうか、それからあと国内立法で全部これをカバーするということになりますと、構成要件を定めることが困難ではなかろうか、いわゆる罪刑法定主義との関係の問題というようなことが主な問題とされていたというふうに聞いております。しかし、これも検討の結果、批准について特に支障はないという結論になったということで解決いたしております。  そういうことで、その二つの条文が問題になっておりましたけれども、法務省といたしましては批准について特に支障はないという結論に達しております。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 在日外国人に年金や児童手当を支給するというのがありますね。これはBの方ですか。これは留保するのですか。これはあなたの方に関係ないんだけれども、入管局長を呼んだらよかったんだけれども……。

鬼塚賢太郎法務省人権擁護局長

○鬼塚政府委員 いま御指摘の点は年金でございますね。そういう社会保険関係の事項は厚生省に関する事項であろうということで、当省では検討いたしておりません。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 そうすると、全体をまとめて、どれを留保して、どれをあれするかということは、どこでどういうふうにやって決めているのですか。

鬼塚賢太郎法務省人権擁護局長

○鬼塚政府委員 これは条約のことでございますのでやはり外務省が主管でございまして、それぞれ人権規約の各条文の内容を、所管としての各省と協議して、あるいは調整いたしまして、そういう総合的な判断をしているようでございます。

稲葉誠一日本社会党

○稲葉(誠)委員 ちょっと時間が早いかもわかりませんけれども、私の質問は一応これで終わります。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 次に、西宮弘君。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 ただいま稲葉委員が国際人権規約について質問をいたしましたので、私もこれに関連をいたしまして若干お尋ねをしたいと思います。  実はこの前の国会でこの国際人権規約を早く批准すべきである、こういう質問をいたしましたが、その際に、大臣は就任直後でございまして、したがって私もまだ十分わかっておらない、こういう御答弁があったわけであります。無論そのとおりでありまして、就任間もないときでありましたからその点はやむを得なかったと思うのであります。ですから私は、今度の国会までにそういう点について大臣としてどういう検討をされて、どういう方針を示されるかということに非常な関心を持っておったわけであります。ところが、先ほど稲葉委員も朗読いたしましたように「法務省としては、その趣旨、目的に照らし、早期批准が望ましい」こういう見解を述べられたので、その点は、私の昨年の質疑に近づいたというような意味で、私は大臣のこの所信表明を非常に歓迎したわけであります。私はぜひ人権規約はこの国会で批准をしてもらいたい、政府が提案してもらいたいということを強く念願をするわけでございますが、大臣にこのいわゆる人権の問題、人権擁護の問題、この点についての基本的なお考えをお尋ねしたいと思うのであります。  およそ日本の政府で人権擁護というのを取り扱っているのは、むろん法務省以外にはないわけですね。ですから私はその点で、法務省の仕事はもちろん人権擁護だけではありませんけれども、日本の政治というか日本の政府というか、その中に占める人権擁護に関する法務省の任務というものは非常に重大だというふうに考えておるのですが、これは当然大臣もそのようにお考えだと思いますけれども、一応基本的な方針を伺っておきたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 御承知のように、日本の憲法は人権を中心にしてどうあるべきかということを規定しておる、大部分の規定がそうなっておるのです。でありますから、民主主義国家として人権を尊重するといいますか、当然なこととして各般の施策を進めていかなければならない、かように考えておるわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 当然わかり切ったことをあえてお尋ねをいたしましたのは、これは法務省入管局で出した書物でありますけれども、それには法務省を人権擁護の府と呼んでいるわけですよ。たとえば文部省が学問、教育の府であると同じように、人権擁護の府、これが法務省なんだ、こういう言葉が入っているわけです。私も非常にそれは共鳴をしたわけです。人権擁護の府が、日本人の人権擁護については法務省の重大責任だ、こういうことを明らかにした一つの表現だと思うので、ぜひそうあってほしいということを私は願うわけです。  これは大変に脱線をして蛇足でまことに恐縮なんでありますが、私は、この人権の問題あるいは今度の人権規約の批准というような問題は、当然に大きく発展をしてまいりまして国際社会においてこの問題が十分に定着をしていくということが、今後の人類の平和維持、そういう点について非常な重大な役割りを果たすものだと考えておるわけですが、私が脱線とあえて申し上げたのは、私は国会の中にあります世界連邦国会委員会というものの事務局を担当しているわけでございます。それで、この委員会では何とかして国会の決議をもって世界連邦を建設をするということを進めたいというふうに考えておりまして、その要請に対しまして瀬戸山法務大臣もあるいは園田外務大臣も、その他たくさんの皆さんがこれに署名をしていただいておるわけであります。しかし実際問題としてはいろいろこれから検討する問題がたくさんありますから、なかなか署名をいただいたからすぐあすからでもできるというものではありませんけれども、そういう運動を行っております。  国会にこの委員会が設置をされましたのは昭和二十四年十一月二十日でありまして、終戦の全くのどさくさ、混乱の真っ最中であったわけでありますが、そのときに国会では衆議院から二十四名、参議院から二十五名、約五十名の当時の議員が出席をいたしました。当時の出席者の顔ぶれを見ると、松岡駒吉、北村徳太郎、山崎猛、三木武夫、鈴木義男、水谷長三郎、笹森順造、森戸辰男、小坂善太郎などという、全くの日本の政治をリードした大先輩が列席をしているわけであります。そして、そこできわめて次元の高い、われわれは国際連盟から国際連合に移って、それを飛躍させて、さらに発展をさせて世界連邦をつくるのだ、こういう大理想を掲げて、それに向かって懸命な努力をしようということを誓ったわけでございます。私は、そういういわば非常に崇高な任務を持った委員会が国会の中に存続をしているということを大変ありがたいことだと考えておるわけです。私は全く事務局の仕事を担っておるだけでございますが、しかしそういう立場にありますので、特に人権の問題について重大関心を持っておるわけでありまして、この国会でもまたいろいろお尋ねをしていきたいと思うわけでございます。  それにつけて大臣、ちょっと私も参考までに、現在の鬼塚局長を起点にいたしまして過去にさかのぼって十人ほどの局長の方々について少し調べてみたのであります。調べたと言うと語弊がありますけれども、そうすると、過去において人権擁護の問題にタッチをされたという方はたった一人しかないわけです。そうすると、いかにもこれもやはり単なる法務省の人事配置の便宜のために局長のいすに座るというようなことでしかないのじゃないかという感じがしたり、特に問題なのは、在任期間が非常に短いわけですね。いまの鬼塚局長から逆に上がってまいりますと、一年十一カ月、二年九カ月、二年三カ月、一年ちょうど、一年四カ月、二年二カ月といったようなことで、非常に短いのですね。どうもこれでは全く便宜主義的な人事じゃないかという感じがいたします。私は決して現在の鬼塚局長が不適当だというようなことを言っているわけでは毛頭ありませんで、私は法務省における大事な役割りだというふうに考えておりますので、ぜひ現在の局長にも大いにがんばっていただきたいということを期待しておるわけでありますが、いかにもそういう短い在任期間などから見ると何となくそういう感じがしてならないのでありますが、そういう点について大臣はどういうふうにお考えですか。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 その前に、世界連邦の話も出ましたが、わが国の憲法自体が、そういう世界連邦でもできると世界の平和が保たれ、各国、民族が平和でいけるのじゃないかということを念願してできた憲法のように私は受け取っております。そういうことで、前々からわが国でもまた世界的にもそういう運動が行われておる。だれしも、特に日本の場合は、世界の平和がなければ生きていけないという立場にあるような日本でございますから、特にそういう点には重大な関心、それを希望しておると私は思います。思いますが、世界の実態はなかなかそうでないところに困難さがあるわけでありますが、わが国の外交でもあるいは政治の姿勢でも、やはりそういう願望を秘めながら進めていくというのが日本の姿勢であろうと思っております。  それから人権擁護局長が二年か幾らでかわっておるというようなお話でございますが、これは国家公務員でございますから、一手に二十年も三十年も、まあよその国ではそういうところもありますけれども、なかなかそうは実際問題としてはいかない。しかし人はかわりましても基本姿勢はそういうことでございまして、特におっしゃるように人権を主として担当しておる法務省の基本方針は変わらないわけでございますから、それを忠実に遂行していく。人がかわっても同じでございますので、一人だけが就任してから死ぬまでというわけにまいらないのでございますから、その点は御理解をいただきたい。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 大臣の答弁は十分理解できるのであります。ただ私が申し上げたのは、ぜひ大臣も局長の選任等に当たりまして、十分この人権擁護の重大性を認識して、そういう点で人事配置をしてもらいたいということを申し上げたのでありますから、そういうふうに御理解いただきたいと思います。  そこで、そのいわゆる国際人権規約を批准をしても法務省としては支障がないということが結論になったといういまの人権局長の御答弁でありましたので、きょうは民事局長あるいは入管局長にもおいでをいただいておりますので、少し細かい点でお尋ねをしたいと思います。  たとえば、今度のあの規約が承認になりますると、A規約の三条によりますると男女は全く平等である、こういうことが規定をされておるわけですね。そこで、一つ問題になるのは、日本の国籍法なんですよ。これがいわば父系主義というのでしょうか、たとえば、父が日本人の場合には子供は当然に日本の国籍を取得する。つまり、母は外国人であっても国籍を取得する。ところが逆に、父が外国人の場合には、母が日本人であっても子供は当然には日本の国籍を取得しない、こういう現在の国籍法ですね。これは、実は私も仙台で具体的にこういう問題で相談を受けて、全くてこずったわけですよ。それで、さんざん苦労していろいろ調べてみると、全くそういうことになっておって、まあ規則だからやむを得ないというようなことになったのだけれども、今度男女平等ということになると、そういう点も一掃されましょうか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 男女平等の原則は、今回の人権規約の批准よりも現行憲法が規定しておることでございますので、私どもといたしましては、現行憲法のもとにおきましても、ただいま御指摘の国籍法の父系主義は憲法に抵触するものでない、かように考えておるわけでございます。  と申しますのは、全く形式的に男女平等の姿をとるという考えを推し進めますと、父または母のいずれかが日本人であるときにはその子供は日本人、こういう姿になるわけでございます。そうしますと、御承知のとおり、それぞれ何ぴとがその国の国民であるかというのは、これは主権の問題として各国が決めることでございまして、いま申しましたような男女平等を徹底した形の日本国籍を与えることにいたしますと、当然そこに二重国籍の問題が生じてくるわけでございます。一般的に、これは世界各国の共通した理念として二重国籍はできるだけ避けようという要請が一方にあるわけでございまして、その要請との調整の問題が生じてくるわけでございます。さようなことから、やはり二重国籍が生ずることによる弊害と、形式的には父系主義をとっておることの理念的な問題とのいずれに重きを置くべきかという選択の問題になろうかと思うのでありまして、さような選択としてわが国の国籍法は父系主義をとっておる。それなりに十分合理的な理由がある。かような意味で、現行の国籍法の父系主義は日本国憲法には抵触しないという考えをとっておるわけでございます。したがいまして、今回の人権規約が批准になりましても、ただいまのところ私どもとしてはその考えを変えるつもりはないわけでございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 日本の憲法がすでに男女平等をうたっておって、したがって日本の国内では、日本の国内法として何ら支障がない、こういうお話でありますが、今度はいわゆる国際人権規約ですから、これを批准するということになれば日本人も外国人も同じように扱うということは当然な要請だと思うのですね。したがって、私は、それを批准するというならばやはりそこまでいかなければ徹底しないと思います。ただし、いま局長の言われた二重国籍は好ましくない、できるだけ避けたい、これはそうだと思いますけれども、それは男でも女でも同じことだと思うのですよ。だから男ならば、男の子供は直ちに日本の国籍を与える、女である場合は、女の子供は与えない、こういうやり方は、これはもう明らかに二重国籍云々の問題ではない。二重国籍ならばどっちの場合でも同じことが言えると思う。そういう問題になるが、今度は国際規約なんですから、その際にやはりこういう問題は根本的に解決をしておかないと後々問題が残るというふうに私は思います。どうですか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 私の説明があるいは不十分だったかもしれませんが、父母が正式に婚姻して生まれた子供の場合がまさに父系主義といわれる、父親の国籍と子供の国籍が同じになる。父親が知れない場合には、母親が日本人であります場合には当然その子供は日本人になるわけでございます。つまり正式に婚姻した日本人男と外国人女の間に生まれた子供が日本の国籍法から言えば日本人になる。その場合に、もしも日本の国籍法を改正いたしまして母の国籍も取得するんだということになりますと、日本人男と外国人女の間に生まれた子供は日本国籍と当該母親の外国国籍を取得する。ここで直ちに二重国籍が生ずるわけでございます。もしもこれを逆にいたしまして母系主義をとりますと、よその国で外国人男と日本人女の間に生まれた子供はその夫、つまり父親の国籍に属するということに外国がいたしますと、日本の場合に母親の国籍を取得するとなれば、ここで二重国籍が生ずる、かような意味で二重国籍の問題が生じてくると申し上げたわけでございます。だからいずれも、どういうふうに規定をいたしましても、一つの国になってしまえばこれは問題ないのでございますけれども、各国それぞれ国籍法のたてまえが違いますので、二重国籍の問題は必然的に生じてくる。それをできるだけ避けようとする意味で、大方の国がとっておる父系主義を採用しているというふうな関係にあろうかと思うのであります。その辺のところは、ドイツにおきましてはただいまお説のような方向に近づいた国籍法の改正をいたしておりますので、それらも見比べながら今後検討しなければならない問題だと思いますけれども、やはり一方で国際条約としては、各国は二重国籍の生じないように努めろという条約もあることは御承知のとおりでございまして、その辺の調整の問題として今後検討しなければならない、かような趣旨でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 検討していただきたいと思うのですが、その検討のついでに、もう一つ、帰化の問題ですね。これも男子の場合には三年間の在留期間を必要とする、女の場合にはその要件がない。これは男子を重視したというのか、あるいは男子は非常に大事だから特にそういう要件を厳しくしている、女の方はそれほどでないというので軽く見ているのか、あるいは女の方を逆に尊重して、女の場合は条件を緩和しているというのか、どっちかわかりませんけれども、とにかくここのところはアンバランスなんですね。こういう点も当然国籍法上の問題として問題だと思うのですが、どうですか。

香川保一法務省民事局長

○香川政府委員 ただいまのお説は、日本人の女性と結婚した外国人男の場合には、一般には、たとえば居住要件としまして日本に五年間継続して居住しなければならぬ。その要件を緩和しまして、外国人男の場合に三年間でいいというふうに緩和しておるわけでございます。それが今度は、日本人男と結婚した外国人女の場合には居住要件は何ら要らないということにしておるわけでございまして、これは見方によりますと、その男女不平等というか、外国人女の方を優遇していると申しますか、そういう見方がなされるだろうと思うのであります。これを男女平等にしようということになりますれば、日本人女と結婚した外国人男については居住要件が要らぬということにするか、あるいは日本人男と結婚した外国人女の居住要件が現在要らないところを三年間にするかという、どちらかが歩み寄るということになるわけでございます。  ただこの辺は、一体日本の夫婦生活といいますか家庭生活というものの実態というものが、やはり生計の維持という面では夫が働いて妻が家庭を守るというふうなものが、いい悪いは別にいたしまして、そういう形態が圧倒的に多いわけでございます。国籍法は、たてまえとしてはやはり外国人を日本人にする場合には生計が十分立つものでなければならぬということを一つの大きな要件にしておるわけでございます。そういう要件に照らして考えますと、主として生計というものが夫によって賄われておる日本の社会の実態を見ますと、やはり日本人男と結婚した外国人女の方が要件を緩和して帰化を認めた方が合理的ではないかという考え方が出てこようと思います。  さような考え方で現行の国籍法ができておるわけでございますが、これについては女性優位だという意味で男女平等に反する——一般に男女平等というのは、女の方が低いということから起こってくるのでございますけれども、国籍法は逆の現象として男女不平等じゃないかということが議論されるわけでございますが、この辺のところは私はいままでのいろいろの検討の結果を申し上げますれば、やはりそういう形式的な平等ということでなしに、やはり実質に応じた合理的な、そこに差があっても、かえってその方が外国人女の日本人男と結婚した者の帰化を容易にして、かえっていいんじゃないかというふうに考えておるわけでございますが、いろいろの御議論があるようでございますので、これも今後とも検討を続けたい、かように考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 ぜひ検討していただいて後に問題を残さないようにしていただきたいと思うのですが、私どももこれからまた機会を得ていろいろ気づいたことがありましたらまた御参考に申し上げたいと思うので、ぜひその辺は根本的に考えていただきたいと思います。  それからその次は、さっき人権擁護局長がたとえばということで例を挙げられたのでありますが、それはA規約の六条によりますと、いわゆる労働の 権利というのがうたわれておるわけですね。ところが、その出入国管理令の二十四条の四号によりますると、外国人の場合は勝手に職業を変えちゃならないということになっているわけですね。その入国する場合の許可条件に定められた以外の職 業についてはならぬということになって、それを勝手にやると、そのために退去を命ぜられるというようなこともあり得るわけですね。そのときはどうしますか。今度は、この条約を批准するならば、そういう外国人が職業を変えるというような場合には差し支えない、こういうことにいたしますか。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 ただいま先生の御質問にお答えする前に、ちょっと御説明いたしますと、おおよそ国際条約というものは、たとえばいまさっきの質問に出ました男女平等の問題にいたしましても、これはおのおのすでに各国がいろいろな父系主義であるとか、またそうでない国とかいろいろございます。それがぴったり各部全部合わないとだめだということになると、これは条約というものはできないものでございます。したがいまして、その精神はうたうのでございますが、こういう多国間の条約の場合は、それについて現行の各国いろいろな事情があっていろいろなことをやっているのも、あるマージンを認めているわけでございます。  したがいまして、その論法を私ただいま先生の御質問にも当てはめたいのでございますが、労働の自由がある、したがって入管令上しかあれは資格を取って資格外活動をしてはいかぬということになって、日本で許した外国人は何らかの資格をとる、その資格以外のことはしてはいかぬ、これは労働の自由と相反するではないかという先生の御指摘だと思いますが、これは私たちの方も問題があるのではないかと思いまして、実はこの条約に加盟している各国の例を、実例をずっと過去に徴して調べました。それによりますと、わが方の現行のやり方でもいいのだ、差し支えないという結論に達しましたので、法務省としては、この点に関しても各国の例に徴して現行法を変える必要がない、そういう結論に達しましたので、批准差し支えなしという結論が出た次第でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 大臣にちょっと一言お尋ねいたしますが、ずいぶんいろいろ、いま申し上げたような事務的なというか技術的なというか、そういう問題点がたくさんあるわけです。法務省としてはこの国際人権規約を批准するについては支障ない、こういう態度を決められたのだそうですか、それは現行法令は一切動かさないという前提に立って決めたのですか、あるいは時によったらば現行法令も手直しをする場合もあり得る、そういうこともお考えになって決めたのでしょうかね。——じゃ人権擁護局長。

鬼塚賢太郎法務省人権擁護局長

○鬼塚政府委員 先ほど申し上げましたように、法務省の関係の方の条文を検討いたしまして、批准をするにつきましては特に支障がないということでございまして、国内法の現行法で果たして全部賄い得ると断言できるかどうか、その点についてまではっきりしているとは考えておりません。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 わかりました。それでは、場合によったらば国内法を手直しをするということもあり得るというそういう前提に立って批准差し支えなしという結論を出されたんだということでありますから、担当の局長の皆さんも必要に応じては国内法を改正する、できるだけ、何といいますか、日本人、外国人の隔てなしに人権が保障される、そういう点で、そういう方向でぜひ足並みをそろえてもらいたいということをお願いしたいと思うのですが、いまの職業選択の問題ですね。これなどもやはり入国のときの状況と、やってみたらどうも事情が違ってきた、話が違うというようなことで変わらざるを得ない、商売変えなくちゃならぬというような必要は、これはわれわれ日本人の場合でも絶えず起こる問題なんですから、いわんや事情に疎い外国の人たちはそういう問題にぶつかるというのは、むしろわれわれ以上じゃないかと思うのですよ。だからそういう際に、いままでのように職業を勝手に変えたらすぐ退去命令だというような、これは余りにも酷じゃないかという感じがするのですが、局長、いかがですか。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 具体的な問題になってまいりますと、たとえば私が申しましたのは、観光の目的で日本に入ってくる、こういう外国人は、査証申請の場合に、私の日本へ来る目的はあくまでも観光でございます。この査証をとって入ってきてキャバレーで働く、これは目的外活動でございまして、外国人といえども観光で入ってきてそういうキャバレーで働くような、これはできないことで、人権条約はそこまで認めているわけじゃございません。それから職業を変えて——だから何らかの形で、たとえば一つの会社で通訳をやるのだとか、英語の先生をするとかいうことで、それから今度はまたこういう職業に変えた、これはわれわれとしてよく本人の事情も聞いた上で、できるだけ流動的に現在も考えておる次第でございまして、これは職業の異動の自由を制限しているということにはならない、こう考える次第でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 時折新聞の社会面等に、南の方の国から来た女性等がいま局長が言われたようなそういうことで問題を起こしている、あるいは覚せい剤などを運んでくるとか、そんな記事等が出ますから、無論玉石は十分区別をしなければならぬと思いますけれども、しかしもし現行法でいくのだということであれば、そういうきわめてまじめな、そしていま申し上げたように国内の事情にも非常に疎い人たちですよ。その点ではわれわれ以上に大変苦労している人だ。そういう人がそのために制約を受けて重大な結果を招く、退去命令だといったようなそういう重大な結果を招来するというようなことのないように、これはくれぐれもお願いしておきたいと思います。ですから、この機会にその辺も十分洗っていただきたいと思うのです。  それから同じような意味で居住移転の問題ですね。これはB規約の十二条でありますが、これも外国人登録法の場合には居住地が勝手に変えられないわけですね。そういう点について、これは居住移転の自由という点で重大な制約になるということがあるわけであります。その点、どうですか。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 ただいまの御質問でございますが、外国人登録法は居住の自由を制限しているとは私は解釈いたしておりません。ただ居所を変えましたら市町村に届けてくださいということを言っているだけでございまして、あなたが届けているところから一歩も動いてはいかぬという規定にはなっておりません。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 私の言い方が悪かったと思うのだけれども、私も決していまのが制約をしておらぬということはわかっています。これは最高裁の判例にも二つほど出ているはずですから、それは居住の自由、移転の自由を奪っている、そういう状況でないということはわかっているけれども、とにかく一々届け出なければならぬ、それを怠っているとこれまた強制退去だ、こういうことになるわけでしょう。私はこういう機会に、これはこういう問題、根本的に洗い直す機会なんですから、そういう点ももう少し条件を緩和していいのじゃないかというふうに思うのだけれども、どうですか。細かいことは申しません。どこをどういうふうにということは言わないけれども、もう少しこの辺は考え直してもいいのじゃないですか。ことに外国人といいましても韓国人、朝鮮人というような場合には日本で生まれたというような人たちがむしろ大半だ。そういう状況のもとで、そういう厳重な扱いをするということはきわめて実情に沿わないというように私は思うのだが、どうですか。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 これは諸外国の例もいろいろ研究しております。日本人につきましても住民登録はしているわけで、居所を変えたらまた区役所の方へわれわれとしても届け出ておるわけでございまして、外国人だから特にということではございませんで、やはり外国人にも同様に居所が変わったら届け出てくださいということでございます。これは国のいろいろな問題の行政の基礎になる、だれがどこに住んでいるかということはいろいろな行政の基礎になるものでございますので、この点は、どこへ住んで何しようが届けなくてもいいというところまではとても踏み切れないのじゃないかと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 しかもこれに対して、たとえば居所にしても、届けを出し、その証明書を絶えず携行しなくてはならぬわけですね。それに違反するということになると三万円以下の罰金だ、こういうのですね。日本人の場合だと、住所変更に伴って届け出をするという義務があります。しかしそれに背いたときは二千円以下の罰金なんですね。だからその辺から見ても、日本人の場合と大変な違いがあるということはきわめて歴然としておる。だから、日本人だって届け出するじゃないか、それと全く同じだという程度の軽いものでは決してないと思う。私はその辺にずいぶん重大な不平等があると思うのですよ。どうですか。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 その点についてもわれわれ常に検討をしている次第でございます。これはいろいろまた関係各省とも相談すべき問題でもございますが、どの辺が妥当な線かということはなかなか意見の一致もむずかしいのでございまして、今後検討課題といたしたいと思っております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 今後の検討課題だと言うならば、ぜひ検討してもらいたい。特に今度の国際人権規約を批准するということは、これはいまさら言うまでもなく、世界の各人の間にそういう不平等がないようにということで、それを目的にした人権規約なんですから、だからそういう趣旨に従っていまのような点は徹底的に検討してもらいたいということを強く要望しておきたいと思います。  これはどなたにお尋ねをしたらいいのかわかりませんが、同じ外国人で今度は外国人同士の中に不平等があるという問題があり得るわけですねたとえば今度のB規約の二十六条は、すべて人は法の前に平等である、一切の差別を認めないというような趣旨がうたわれておるわけです。ところが日本に住んでいる韓国人と朝鮮人の間に、これは大変な違いがあるわけですね。あるいは台湾籍の中国人も朝鮮人と同様でありますけれども、そういう点に大変な違いがあるわけです。これはやはり大きな問題、しかもこれは何もいまに始まった問題ではないので、終戦と同時に起こった問題ではあるわけですね。ですから、非常に長い懸案の問題だけれども、私はやはりこれはこの機会に十分検討して解決をしなければならぬ問題だというふうに考えるが、いかがですか。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 わかりやすい例から申しますと、ヨーロッパにヨーロッパ共同体というのがある。ヨーロッパ共同体に加盟している国民は、国境を越えて自由に働きに行ったりいろいろな自由をお互いに許し合っているわけです。日本人がヨーロッパに行っても、ヨーロッパ大陸でヨーロッパの国同士が享受している自由はないわけです。これは差別だ、けしからぬと言っても、それはヨーロッパ諸国が条約を結んでそういう約束をしているわけでございます。ラテンアメリカでも同様のことでございます。  ただいまの在日の外国人に不平等があるじゃないかというお話でございますが、これは戦後の経過で、日本と韓国が基本条約を結びまして、韓国人については歴史的ないろいろな関係があって、そういうある程度の特典が与えられておる、こういう次第でございまして、それじゃ朝鮮人、台湾人にはどうか、これは将来また別の機会に解決する、こういう過程になっているわけで、まだ後者の方は解決に至っていないという過渡期でございまして、いずれこれは解決する問題であると私は考えております。  だから、現状をとらえて、これが不平等ではないかと言われたら、なるほど一部分は優遇措置がある、これは条約、国と国との約束でそういうことになっている、だからこっちはほってあるのかというと、いや、これはいずれ解決すべき問題だとわれわれは考えておる、こういうことで御了承願います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 なかなか了承できない問題なんですけれども、しかしいままでの沿革なりいろいろそういう点がありますから、それは困難であることは私ども十分わかっています。しかしこの問題も、これは何といったって三十年もかかっている問題なんですから、こういう機会にしかるべき妥当な結論を出すということが絶対に必要だと思うんですね。そういう趣旨で、そういう方向でぜひ取り組んでもらいたいと思います。  入管局の資料によると、私ども配付してもらった資料でありますが、その中を見ると、日本人の扶養親族、つまり日本人が養っている親族、外国人である妻、子、そういう人を指すんだと思いますが、そういう場合には直ちに在留資格として例の四条の一の十六というやつを適用して、上陸が許可になるわけです。しかし今度は、日本人を扶養する者といいますか、つまり夫が外国人である場合、このときは一体どうなっているのか、この書物では明らかでないわけですね。したがって、そこにもまた差別があるんではないかというふうに私どもは疑いたくなるわけだけれども、その点はどうですか。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 ちょうど、いまさっきの先生の御質問に民事局長が国籍法の関係で答弁をいたしましたのと大体同じような物の考え方だと思うのでございますが、やはり日本の家庭を支えるのがどちらかということを中心に物が考えられていると御理解いただきたいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 それじゃ、やや似寄ったような問題ですけれども、婚姻によって永住許可を申請するというような場合に、取り扱い上、男女の区別はありませんか。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 永住もやはり父系主義といいますか、その要素が入っていると思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 以上見てきたところによると、今度の規約は、せっかく男女の平等であるとか、あるいは人間である以上、国籍によって差別をしないというようなことが基本原則としてうたわれているにかかわらず、ずいぶんいろいろな点に不平等あるいは差別が残存しているということは、私は非常に残念だと思います。だから、この機会にそういう点を徹底的にそれぞれ洗い直してもらいたいということを言いたいと思うのです。  もう一つ入管局長にお尋ねをしますが、つまり強制退去を命ずる場合に、これは出入国管理令の三十九条によると、収容する際に主任審査官という人が令書を発行することになっているわけですね。日本人の場合ならば当然に裁判所が発付する、そういう令状というのかな、それによって身柄を拘束されるわけですね。それに対して、いまの外国人の強制退去のための収容というのは、要するに主任審査官という全くの行政官ですね、これが命令書を出すということは、これまた私は今度の条約に違反するというふうに思うのですが、いかがですか。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 ただいま先生の御質問の点は、主任審査官が出すといいましても、恣意的に簡単に出せる手続ではございませんで、ちょうど裁判手続と同じような段階を経て出るわけでございます。非常に似通った過程でそれが出るという仕組みになっておる。これは入管令で決まっているわけでございます。  それから、これが人権規約に違反しないかというと、これも日本の入管令はアメリカの入管令と非常によく似ている次第でございます。各国にいろいろなイミグレーションに関する法律を持っているわけでございまして、決して統一的なものでもございませんし、日本の入管令が各国の類似の法律に比べ非常に厳しいということにはならないと考えております。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 その主任審査官が出す場合でも非常に慎重にあるいは厳重に審査をするのだ、それは全くそのとおりでしょう。そのとおりだろうけれども、その裁判官から出る令状によって身柄が拘束されるという場合と、一行政官によってやられるという場合はこれは根本的に違うわけですよ。これは全然違うわけだ。だからその点は重大な差別だと思いますよ。そういう点は当然にこの機会に是正されなければならぬと私は思う。それは手続が慎重だとか複雑だとかいうような問題ではない。全く次元の違った問題ですよ。だからその点は十分考えてもらわなくちゃならない問題だ。どうですか、もう一遍答えてください。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 ただいまも申しましたように、諸外国の類似の法律とも比べてみまして決してわが国の法律が厳しいということは言えないのじゃないかと思っております。なお委細につきまして、私いま手元に資料がございませんので、後日先生の方へ御説明したいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 それでは資料がないそうですから後でまた聞かしてもらうし、十分考えてもらいたいと思います。  いずれにいたしましても、法務省としては今回批准をするに支障ない、こういう判断をされたということでありますが、そういうふうに方向づけたことは私は大変結構だと思います。というのは、前回の国会で私が言ったように、国際人権規約の批准がおくれているのは法務省が一番抵抗しているというか、法務省に問題があるのだ、こういうことをこれは新聞が書いているわけですよ。朝日新聞の社説が書いている。だから早く法務省は結論を出してもらいたいということを強く要請をしたわけだが、それがここまで来たということは評価をしますが、しかし以上挙げたような数々の問題があるわけですから、ぜひその点は十分に検討して対策を誤らないようにしてもらいたいということを強く申し上げておきたいと思います。  そこで、ちょっと今度は問題が変わりますけれども、局長、いわゆる在日韓国人で、韓国に渡った途端に政治犯としてつかまってしまったというような人がたくさんあって、そういう人の問題を私も何回かお尋ねをしてきましたけれども、いまここでお尋ねをしたいと思うのは、いわゆる登録原簿が閉鎖されてしまったという人ですね。これは本人にとってはまさに大変重大な問題だと思うのだけれども、私はそういう意味で閉鎖はされても彼らの永住権なり居住権なり、それは潜在的にはなお残っているのだというふうに考えるべきだと思うのだけれども、これは大きな問題ですからむしろ大臣にお尋ねをしたいと思うのだけれども——では局長、まず答えてください。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 在日韓国人の方で、韓国へ渡られてそこで刑を受けられて帰れないという人のことを言っておられるのじゃないかと思いますが、御承知のとおり、日本の法律によりますと再入国許可の期限は一年でございますが、それを経過した場合にはわれわれの方としてはしばらく、半年以上待ちます。実際上、閉鎖は相当待ってから閉鎖する。これは待つというよりも事務手続上そうなるのでございますが、半年から十カ月ぐらいの後に閉鎖されることになるわけでございます。遺憾ながら、やはり現行制度は法律を変えていかない限りそういうことになる次第でございます。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 現行制度は私もよくわかっております。  そこで、大臣にお尋ねをしたいと言ったのは、彼らは、人によって事情が違う人もありましょうけれども、ちゃんと日本に生活の根拠があって、日本には妻や子供も待っている、あるいはいろいろな商売をしている、こういうような人も何人かおるわけですよ。そういう人はもう明らかに日本に帰ってきたいわけだ。帰ってきたいわけだけれども、全く不可抗力で帰れなくなってしまった、こういう状況にあるわけです。そういう人には少なくとも日本における居住権というようなものが潜在的には存在するのだ、こういうふうに理解すべきだと思うのだが、その点だけ大臣から、ぜひそのとおりだというお答えをしてもらいたいと思います。

瀬戸山三男自由民主党法務大臣

○瀬戸山国務大臣 細かい規則は知りませんけれども、一定の期限が経過するとこちらの登録が閉鎖されることになっておるそうでございます。しかし、また条件が整えばこちらに帰ってくることができる、こういうことでございますから、検討はいたしますが、そう大した重大な問題じゃないような気がいたしますが……。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 それは本人にとってはまさにきわめて重大な問題だと思うのです。また、それはいまの規則どおりにいけば、全く新しい手続として日本に入国をする、そういう申請をしてビザをもらうということになるわけですよ。だからそのとおりの手続を踏むのだということになればこれは大変なことになる。これはとても簡単に帰ってこれるかどうかわからないという心配があるわけです。だから、私はそうではなしに、日本にちゃんと生活の根拠があるとか、たとえばこの前も私は具体的な例を挙げたけれども、四十四、五年日本に住んでおって、ここでりっぱなお店を経営している六十一ばかりになる御老人が行ったわけです。この人がつかまってしまって、現実にそういう状態に置かれている。後に残っている家族は商売をやるのに困っているわけです。こういう人は一刻も早く帰りたい。しかし、それが全然新しい手続を踏んでということになるとこれはどうなるかわからぬということになるわけだから、そういうことの起こらないように、私は潜在的に云々と言ったけれども、そういう言葉にこだわるわけではありませんから、そういう実情を見て、そのときにはもう実情に従って、あくまでも実情を基礎にして判断するのだ、こういうふうに答えていただいても結構ですが。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 また新しく申請していただくわけになるわけですけれども、具体的に申請が出ました場合には、その人は過去に四十何年もここにおられた方、終戦前からおられた方で、家族もみんなこちらに住んでおられる、そういう事実を十分考慮に入れて、その他のいろいろな考えるべきことも考慮に入れました上でその許可、不許可を決定する次第でございますから、その点はただいま私の申しましたことをひとつ頭に入れていただきまして、ここで許可、不許可をはっきり言うわけにまいりませんけれども、ひとつおくみ取りを願います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 いま四十何年おったという人の一例を挙げたのですけれども、つかまっている人たちはみんなそれぞれその事情は違うと思います。日本にいた年数も違うだろうし、あるいは特に若い人たちは、二十代の人なんか期間は短いけれども恐らく日本で生まれたというような人が相当数いるんだと思うのですね。こういう人は明らかに日本の社会の中で、日本の社会の一構成員として今日まで生きてきているのですから、そういう場合には、いま局長の言われたようなそういう方針で簡単に許可をするということをやってもらいたいと思います。一言だけ答えてください。それで終わりにします。

吉田長雄法務省入国管理局長

○吉田政府委員 ただいま先生のおっしゃったことを十分考慮に入れて対処いたしたいと思います。

西宮弘日本社会党

○西宮委員 時間がなくなりましたので質問はいたしませんが、実は外務省からも来ていただいたはずです。せっかく来てもらって大変恐縮なんですが、いわゆる政治犯という名のもとに韓国にいま私が言ったような状況でつかまっているという人がたくさんおるので、どういう人がいるのか、あるいは人数なり、わかるならば人名なり、そういう点をぜひ明らかにしてもらいたいということを私はお願いしたい。特に周囲の人たちが、家族を含めて、状況がわからない、生きているのか死んでいるのかわからないというので非常に困っている人があるので、二人ほど具体的に挙げますから控えておいてもらって、後で御返事をください。  一人は金勝孝というのです。立命館大学を卒業して京都に住んでおった人です。もう一人は金達男というのですが、長野県の人で、長野県の民団の青年部の委員長などをやっておった人です。前者は懲役十二年、後者は無期懲役という判決を受けておるのですけれども、その後の状況がわからないというので心配しておる。ほかの人のもぜひ教えてもらいたいと思いますが、とりあえずこの二人については調査をして、後で結構ですから教えてくれませんか。

鴨田宗一自由民主党

○鴨田委員長 次回は、明後十七日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時四十二分散会

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