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84回国会衆議院1978/05/10

文教委員会 第19号

発言数
182
登壇者
9
会派数
4
開催日
1978/05/10

会議録

菅波茂自由民主党

○菅波委員長 これより会議を開きます。  著作権法の一部を改正する法律案を議題とし、提案理由の説明を聴取いたします。砂田文部大臣。     —————————————  著作権法の一部を改正する法律案     〔本号末尾に掲載〕     —————————————

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 このたび、政府から提出いたしました著作権法の一部を改正する法律案について、その提案理由及び内容の概要を御説明申し上げます。  この法律案は、許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約の締結に伴い必要となる国内法の整備を図ることを目的とするものであります。  許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約は、いわゆるレコードの海賊版に対する国際的防止措置を講ずることを目的として、一九七一年に、ユネスコ及び世界知的所有権機関が中心となって作成されたものでありますが、わが国においても国内レコード製作者が海賊版レコードの横行により被害をこうむっている実態、主要先進国がすでにこの条約を締結していること等にかんがみ、この条約を締結することは意義あることと考え、今国会において別途その締結について御承認をお願いしているところであります。  この条約の締結によりわが国が負うこととなります義務は、他の締約国国民であるレコード製作者が製作したレコードを、その無断複製物の作成または当該無断複製物の輸入もしくは頒布から保護することでありますが、今回の著作権法の一部改正の趣旨は、この条約上の保護義務を果たすために必要な規定の整備を行うことにあります。  著作権法は、すでに国内のレコード製作者を、その製作したレコードの無断複製または無断複製レコードの輸入もしくは頒布から保護しているところでありますが、今回の条約の締結のために、この著作権法による保護を受けるレコードの範囲を拡大し、条約によりわが国が保護の義務を負うレコードを追加することが、この法律案の主たる内容であります。  このほか、この条約が定めるレコード製作者の保護の内容と著作権法によるレコード製作者の保護の内容との間に若干の相違があるため、これを整備することといたしております。  以上が、この法律案の提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御賛成くださるようお願いいたします。

菅波茂自由民主党

○菅波委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。     —————————————

菅波茂自由民主党

○菅波委員長 質疑の申し出がありますので、これを許します。中西積介君。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 著作権法について質問をする前に、緊急に一点だけ質問をさせていただきたいと思うのです。  大臣にお伺いをしたいと思いますが、戦後の教育は基本的理念を、戦前の教育勅語とは異なって、憲法あるいは教育基本法に置いて進められたと思いますけれども、この点についてはいかがでしょう。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 戦後の教育は、憲法の定めるところ、教育基本法の定めるところを基本にして行われているものでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 そこで文部大臣は、この教育をつかさどるに当たっての国家公務員としての最高責任者として、憲法あるいは教育基本法を遵守して、その推進役を果たさなくてはならないということを私は思うわけでありますけれども、この点はいかがでしょう。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 御指摘のとおりでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 五月三日に金沢市で自主憲法制定国民会議主催による第九回自主憲法制定国民大会が開かれましたけれども、ちょうど憲法記念日に当たる日でありましたが、この大会の目的なり趣旨、そして自主憲法制定国民会議なるものの設定された目的、趣旨というものはおわかりですか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 おおむね承知をいたしております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 ということになりますと、この第九回自主憲法制定国民大会における前総理大臣岸氏などの発言等を見ますと、憲法を遵守するという立場でなしに、改憲を目指す会議であるということはおわかりですね。この点はどうでしょう。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 そのように伺っております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 そこで、私が聞いた証言によりますと、この集会に文部大臣は祝電を寄せられたというが、本当でしょうか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 私は祝電を差し上げておりません。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 この点については、この証言が正しいかどうか、自後、私の方で再度調査をいたしまして、次回に明らかにしたいと思います。いずれにいたしましても、このような大会なりあるいは会議に向けて、大臣としてのあるべき姿というのは、先ほどから大臣の答弁の中で示された方向でもってやられなくてはならぬというだけに、特に慎重を望むわけであります。この点についてはこれで終わらせていただきます。  著作権の問題について具体的に一、二質問をしてみたいと思いますが、まず第一に、著作権法第一条でありますが、この第一条に「この法律は、著作物並びに実演、レコード及び放送に関し著作者の権利及びこれに隣接する権利を定め、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、著作者等の権利の保護を図り、もつて文化の発展に寄与することを目的とする。」こう記述されておりますが、特に大臣にお伺いしたいと思いますのは、教育文化政策のあらわれとしてこの問題をとらえることが必要だと思うわけでありますけれども、この点はいかがでしょう。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 御指摘のとおり、私もまた同感でございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 そこで、昭和四十五年に著作権法の改正をした際に、第六十三回国会で、文教委員会における衆参両院の附帯決議なるものがあります。衆議院のものを挙げますけれども、「政府は、著作権法の重要性にかんがみ、次の点について、特に留意すべきである。」ということを前文とし、一に「著作権法は、著作者等の権利の保護を第一義的な目的とすることにかんがみ、今後の法の運用に十分配慮するとともに、その趣旨において著作物利用の公正な慣行が育成されるよう、著作権思想の普及等についてなお一層努力すべきである。」と決議されておるわけであります。  そこで、この著作権思想の普及などについてどのように四十五年以降、約十年にもう近いわけでありますけれども、普及のために努力をされたのか、具体的にお示しをいただきたいと思います。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 衆議院の当時の文教委員会の附帯決議の第一項についてでございますが、現在もなお努力をいたしておりますが、一般社会人を対象といたします著作権講習会、図書館館員を対象といたします図書館等職員著作権実務講習会、都道府県著作権事務担当者を対象といたします都道府県著作権事務担当者講習会、この三通りの講習会を開催をしてまいりました。昭和五十三年度から新たに、情報伝達手段の発達に伴います新しい著作権問題に対処をいたしますために著作権問題研究協議会を開催することにいたしております。また、講習会の開催とあわせまして、著作権関係法令集あるいは著作権法ハンドブック等を作成頒布をいたしまして、著作権思想の普及に努めているところでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 いま説明がありましたように、三講習会と研究協議会等を開いてやっておられるということでありますけれども、私は一つの例を挙げながらお伺いをしたいと思います。  たとえば著作権法三十条の問題一つを取り上げてみましても、個人あるいは家庭内での使用を目的とする場合には複製が認められておるわけであります。ところが、これは現在大変な問題になっておることはもう御承知のとおりであります。他人の権利を侵害してはならない、人権を尊重するというこの著作権法の思想、この思想を私は割り切って、子供だからいいのではないかとか、あるいはわずかなものであればよろしいのではないかという、こういうぼかし方でなくて、むしろ積極的にいかにこのことを周知徹底をさせるかということがきわめて重要な課題ではないか。むしろこのことを定着をさせることが、いま教育の荒廃をめぐる論議の過程の中でも大変問題になっておる人権問題あるいは他人の権利の問題というものをあわせて、大変重要な課題ではないかと思いますけれども、この点はどうでしょうか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 著作権が法律で明確に確立されましてからまだそう長い年月がたったわけではございません。法律で制定されまして以来、各方面にずぶん著作権というものの権利というものが認識もされ、普及はされてきてはおりますけれども、全国民的に、もうその底辺まで著作権という権利の重要さというものが認識され確立されているかというと、まだ全うしたとは言い得ない現状にあると私も考えます。先ほど述べましたような努力をさらに根強く続けてまいらなければならないという気持ちを持つものでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 私は、先ほど主張いたしましたように、むしろ積極的に教育の場の中でこのことについても取り入れてやるべきではないかと考えるわけなんです。この点はどうでしょう。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 教育の中に取り入れていくこと、子供の時分から、そのような権利というものが貴重なものなのだ、またそれを守らなければならない義務ということもあわせて、教育の場で私は取り上げていくべきだという気持ちがいたします。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 この人権尊重あるいは著作権思想なるものが、このように、本格的になったのは四十五年の法改正からだといたしますと、まだまだ行政の中におきましてもこの点が定着あるいは固定をしていない。特に芸術文化に携わる人々を保護しないということは、教育文化政策がまだ不十分だということを意味するものだと私は思います。そういう点で、企業あるいはメーカーあるいは放送事業者等に気を使っておるのではないかというような気がするわけなんです。ですから、先ほどの教育の部分にもあるいは学校教育の部分にも、子供のころからこれを定着させるのとあわせて、日本の教育文化政策、このことをやはり発展させるということからいたしましても、何としても行政の中にこのことの定着、固定を図るべきではないかと思うのですが、この点はいかがでしょう。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 私は、やはり時代の変遷、社会の変転に伴って、教育の内容も当然新しいものが取り入れられていくべきだと考えます。たとえば、いま御指摘の著作権のこともそうでありますし、消費者問題というようなものもきわめて最近社会の中に定着しつつあることでございますから、行政の場にこのようなことが真の定着を見ますのは、やはり教育の場から始めなければいけないと私も考えます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 このように、一国の教育あるいは芸術文化政策の成熟度というのは、この著作権法の内容を検討すれば大体これによってバロメーターとしてはかれる、こう言えるのではないかと私は思うわけであります。そういう意味で、今回の大臣の答弁については、一応私たちとこの点に関する意思あるいは心構えについては統一できたと私は理解できるわけでありますけれども、そのように認識してよろしいですか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 私はそのとおりに御認識いただいて結構でございます。先ほど放送関係者等に気を使っているのじゃないかというお話がございましたけれども、私はやはりそういう人たちが真っ先にいま現在、著作権というその権利の意義を認識してくれなくては困る、そういう意味で気を使います。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 いま強調された点を含めて私も同調できるわけであります。  そこで今回の、先ほど提案のありました、許諾を得ないレコードの複製からのレコード製作者の保護に関する条約、これに伴って著作権法の一部改正が提案されたわけでありますが、この点について一、二お聞きしたいと思います。  まず外務省に、小林参事官お見えのようですけれども、お聞きしたいと思いますが、一九七一年、昭和四十六年、このレコード条約が作成されたわけでありますけれども、それ以後、今八十四国会まで国会での議決を得ることができなかったわけであります。その間における経過、なぜこのように長引いたのか、この点、おわかりであればお答えください。

小林俊二外務省国際連合局外務参事官

○小林説明員 近年わが国は、著作権関係の国際条約の加盟あるいは改正条約に対する加盟についての体制の整備に努めてまいったわけでございますけれども、このレコード関係の条約加盟もその一環としてこの国会において御承認をいただいたということでございまして、近年において一貫してとってまいりましたそうした条約関係の整備の順を追っての作業の一環である、その結果であるというふうに御承知いただいてよろしいかと思います。なお、この条約は現在なお二十八カ国の加盟国を数えるのみでございますけれども、七三年に発効いたしまして七八年まですでに数年間を経ておりますので、この機会に一刻も早くという気持ちもございまして御承認をいただいたということでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 外務省小林参事官の後もあるのですけれども、もうこの際にあわせましてお聞かせ願いたいと思います。  いまお答えになりました、条約は順を追ってやられておるという、こういう答弁でありましたけれども、その必要性なり、あるいはこれがきわめて重要な案件であるという重要度だとか、その認識の仕方の中に機械的なものみたいな感じがしたのでありますけれども、この点はどうでしょう。

小林俊二外務省国際連合局外務参事官

○小林説明員 ただいま申し上げましたその他の今日すでに整備の済みました国際条約といたしましては、ベルヌ条約ブラッセル改正条約というものがございます。これが一九七四年に加盟いたしております。それからベルヌ条約パリ改正条約というものがございます。これが翌年の七五年。また万国著作権条約パリ改正条約というものがございますが、これが昨年、一九七七年に受諾いたしておりまして、これらの条約は、レコード保護条約に比べますとより基本的な性格のものであるということは申し上げることができるかと存じます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 ということになりますと、基本条約なりそういうものが大変遅くなったので、このレコード保護条約が本年に入ってきた、こう理解をしてよろしいですか。

小林俊二外務省国際連合局外務参事官

○小林説明員 一般的に申しますと、すでにわが国が採択に当たって賛成票を投じ、その後発効しており、したがってわが国としてもこれに加盟することが適当であると思われながら、なおかつその批准手続が進んでいないという条約が非常に多数存在することは事実でございまして、この点につきましては、すでに今国会中に衆参両院の外務委員会におきましてその促進についての御指示をいただいたような経緯もございます。したがって、そういう一般的な状態のもとにおいてのことでございますので、その点についておくれがあったということは私どもとして責任を感じておるところでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 そのように批准手続が大変おくれておるという中からこれがおくれてきたということを理解いたしました。それぞれの外務委員会におきましてもこの点についての批准を早急に終わるべく指示があったということでありますけれども、これとあわせましてもう一つだけお聞きしたいと思います。  一九六一年、昭和三十六年にローマで三十九カ国集まりまして採択されました実演家、レコード製作者及び放送事業者の保護に関する条約、一般に言う隣接権条約でありますけれども、これは批准手続がずっとおくれておるという、そういうものの中の一つとして数えてよろしいかどうかですね。

小林俊二外務省国際連合局外務参事官

○小林説明員 この隣接権条約につきましては、単に機械的にあるいは業務の上からいってその批准手続がおくれておるということだけではございません。この条約は、その隣接権というもの自体の国際的な熟し方と申しますか、そうした面における国際的な物の考え方あるいは慣行の確立といった面からなお若干様子を見ていく必要があるといった未熟な面があるということが、この条約にまだ加盟いたしておりません理由としてまず第一に挙げられることであろうかと思います。国内におきましては、私どももちろん専門家でございませんけれども、著作権法によりましていわゆる隣接権も取り入れられており、国内の関係者についてはその保護は行われておるというふうに承知いたしております。問題は国際的な面においてこれを保護するかどうかという点でございまして、そうなりますと、国際的にこういった隣接権の保護というものがどの程度確立しておるかということが大きな影響を持つわけでございます。隣接権条約はなお二十カ国の加盟を数えるのみというふうに聞いております。その中には、もし隣接権条約が日本において批准される場合には恐らく日本からの受け取り額が最大になると思われるアメリカもまだ加盟してないという状態であるように伺っております。したがって、この点につきましてはなお国際的なそういった物の考え方あるいは慣行の整備というものを念頭に置き、なお国内における関係者の意見の調整を図りながら、なるべく早い機会にこれが国際的に広く受け入れられていく方向で日本としても取り組むべきだろうというふうに考えております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 いま説明がありましたように、隣接権については慣行なりあるいは熟し方が未熟である。しかし、この隣接権なるものは国内法の中には取り入れられておるということであります。国内法に取り入れられ、そしてしかも具体的には国内ではこのことは実施されておるわけであります。そしてあわせて、いま説明の中に二十カ国しか加盟してない。先ほど言いましたレコード保護条約二十八カ国と二十カ国というのは大きな差はないものと私は思うわけです。ただこれが少数であるということの意味は余り通用しないのではないか。しかも、先ほど申し上げましたように、一九六一年のこの隣接権条約の思想なりあるいは精神というものは国内では生かされておるのに、それが国際的にされないというところにまた大変問題があるのではないかと私は思うわけです。この点は後で大臣にまたいろいろお伺いしますが、そのように問題点だけ指摘をしまして、一応外務省の考え方はわかりましたので、文部省の方に質問を移していきたいと思います。  そこで、いまありましたように、レコード保護条約なるものの経過等については一応出てまいりましたけれども、文化庁にお伺いしますが、著作権法の一部を改正する必要というのはこのレコード条約を批准することによって生じてきた。特にこの中で、先ほどの説明等から、またあるいはいろいろ皆さんの方からいただきましたものを見ましても、あるいは参議院で論議されている内容を見ましても、海賊版に対する問題等を含めていろいろな問題があるのでこれを出されたということでありますけれども、その主たるものだけ簡単に説明いただきたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 レコード条約の批准によりまして対外的にレコード製作者の権利を保護する必要が生じたわけでございます。現行法におきましても、国内的には、国内のレコード製作者、法文で申しますと、「日本国民をレコード製作者とするレコード」それから「レコードでこれに固定されている音が最初に国内において固定されたもの」、そういったものについてはすでに保護されております。しかしながら、今回レコード条約批准という運びになりますと、そのほかに外国でできたレコード、これに対する保護を日本国においてもする必要があるということでこの改正をお願いしておる次第でございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 外国版のレコード、これをもって今回の法の一部改正をするという大きな意味があるわけでありますけれども、そこで、それとのかかわりの中で、いま問題になっております海賊版といわれる、外国でつくられどんどん入ってきておるのが相当数ありますが、そういうものについての実態がどうなっておるのか、国内なり国外における調査等がどのようになっておるのか、この点、わかればお聞かせ願いたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 直接私ども海賊版の実態を調べる手だては持っておりませんけれども、国際レコード・ビデオ製作者連盟、IFPIという団体がございます。そこで調べました結果によると、一九七六年における海賊版レコードとテープの概要は、世界全体で二億五千万セット、金額にいたしまして千二百億円に上るというふうに数字が出ております。そのうち非常に多くの部分をアジア太平洋地域が占めておりまして、九千五百万セット、三百二十六億円というのがアジア太平洋地域になっております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 アジア太平洋地域を中心とする九千五百万セット、そして金額にすれば三百三十六億円という、全体の四分の一を超える数値になっていますね。特にその中で、資料を見ますと、台湾あるいはインドネシアあるいは韓国、マレーシア、シンガポール、こういうところを中心としてされておるということでありますが、このことの影響がどう国内的に出ておるのか、その点について把握されていますか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 具体的には数字をもってその影響というのはなかなかむずかしゅうございますけれども、一つには、わが国の国内のレコード業者、レコード製作者の権利がそれによって阻害される、あるいは海賊版の横行によってわが国の実演家の権利が阻害されるというような状況が生じておるものと考えます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 そうしますと、今度のこの保護条約締結、そして国内法の改正によってそれが大きく規制でき、あるいはそれを取り締まることができるのかどうか、そういう問題を含めて、この点、どうですか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 現実的な法の執行の段階において、いろいろこれはむずかしい問題があろうかと思います。非常に小さな零細な規模の企業のようなものがそういうものを流すとかというようなこともございますし、現実の取り締まり上にはいろいろむずかしい問題がございますけれども、少なくとも法的根拠ができますことによって、そういうものの取り締まりが一段と強化されるであろうということは期待されるわけでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 この内容については、まず第一に、文化庁における、先ほど申し上げましたように行政側の著作権法そのものに対する認識の拡大と、そして先ほど答弁の中にありましたように、数的にどのようになっておるかということが具体的に把握できない弱さ、そういうものがまだあるわけです。ということは、行政的にはまだまだ多くの問題を残しながらこの法の改正をした。そういうものがあるという前提に立ち、一応こういうものがあって、そこら辺で国内調査なりそういういうものがまだ不十分だと思いますけれども、この点はどうなんですか。ただ単に文化庁のみでなしに、法律ができれば他のいろいろな機関を使ってでも、こういう点は今後どう発展をしていくのか、この点についてお伺いします。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 文化財、特に著作権関係の仕事につきましては、わが国におきましては従来、戦前等はかなり後進国的な様相が強くて、著作権という無体の権利を保護する体制が不十分でございました。それではいけないということで、もちろん戦前から著作権法はございましたけれども、まず法制的に強化するということにいままで文部省、文化庁は精力を注いでまいりました。そして、とにかく法制的には国際的に見ても一等国並みの著作権制度をつくり上げるということにいままで大変力を注いでまいりました。著作権法の全面改正を何度か行いまして、いまや国内の情勢を見ますと、隣接権も含めました、大体すべてにわたりました保護ができ上がっておるわけでございます。ただ、まだ不十分な点は、いま御指摘のとおり隣接権の国際的な保護というようなことまで及んでおりませんけれども、そういう制度的な整備にいままで実は力を注いでまいりました。ただ問題は、制度的な整備だけではなくて、それが現実に国のすみずみまでにわたってその考え方が普及され、実施されるということ、著作権がいろいろな面において保護される実態をつくり出すということが、まだまだ私どもに課せられた大きな仕事であろうと思っております。それで、おおむね制度的な整備も大部分でき上がりましたこの段階において、先生の御指摘のような実態にわたって実効を確保する方向へわれわれもっと努力しなければならない。そのためには、関係の各省庁とも十分連絡をとって仕事を進めてまいりたいと思っておる次第でございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 このレコード条約、先ほどから外務省小林参事官の答弁の中にもありましたように、いままで、基本法を含めて著作権全体のそういう普及なり、あるいは法の制定なり、あるいは条約の締結なりがおくれてきておるという条件の中であっただけに、今回のこれは一応の前進として受けとめるべきだと私は思いますけれども、いずれにしてもまだまだその点が不十分だということの認識は、この点も大臣、お認めになるでしょう。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 率直に認めます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 そういう中で、四月十八日、参議院の文教委員会において四点にわたって附帯決議がなされております。この附帯決議を見ますと、おおよそいままで問題になっておる大部分のものはここに集約されておるのではないかと思うわけであります。言いかえますと、この法の一部を改正するという討論の過程の中で著作権法の不十分な面、すべてのものがここに附帯決議として大体出てきているのではないかということを感ずるわけでありますが、この点の認識はどうでしょう。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 先般の参議院における御審議におきましても御指摘のような点がいろいろ論議されまして、その結果、ここにございますような附帯決議となったわけでございまして、それぞれの事柄につきまして大臣からも善処するということを申し上げたわけでございます。おっしゃるとおり、この点になお残された問題が残っておろうかと考えております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 そこで、まず第一に出ております隣接権条約の問題でありますけれども、先ほども外務省にお伺いしたところでは、内容的にまだ未熟の部分あるいは慣行等の違い、あるいは少数であるという言い方をしましたけれども、私は、このレコード保護条約二十八カ国に比べまして二十カ国というこの数値からいたしましても少数だという認識はいたしませんが、いずれにいたしましても、ここにありますように「すみやかに加盟すること。」このように附帯決議ではなっております。  そこで、文化庁としては、レコード条約とこのローマにおいて採択されました隣接権条約との違いがどこにあるのか。年度から申しますと、七一年度にレコード条約、そして六一年に隣接権条約、むしろ年度的には逆転しているわけですね。ですからどうしてもそこがわからないのですが、レコード条約とどういうところが違っておるのか、この点を明らかにしてください。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 いわゆる隣接権保護条約とレコード保護条約は、本質的な方向においては同じ性質のものであると私ども考えております。非常に古い意味の著作権でなく、それに隣接するもっと幅の広い著作者の権利を保護しようという考え方においては、同一方向を向いておるものと考えております。それで私どもも、基本的には、国際的にもこの隣接権が保護されるということ、したがいましてこの隣接権保護条約に参加するということについては、今後の課題としてできるだけ早い時期に参加するということは賛成でございますし、そういう方向で考えております。  それで、実は隣接権保護条約の中の一部分のレコード製作者の部分だけが先取りされた形でレコード保護条約ということで、後からできましたのはそういう意味でございます。この点についてとりあえず緊急にまず押さえようじゃないかということで話が出てまいりまして、レコード保護条約が出てきたわけでございます。  そこで、やはり条約に加入いたしますためには、これはただ観念的に加入するだけではいけないので、加入した場合に国際的な信義にもとらないだけの国内の実態が熟する必要がございます。したがいまして、私どもは現在直ちに隣接権条約全体に加入するということにはまだ踏み切れておりませんけれども、レコード保護条約につきましては、これはいまや加入できる状態に至ったという判断もございまして、外務省にもお願いして加入することになったわけでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 いまのお答えによりますと、大体本質的には同じであって、だからここにありますように「すみやかに加盟する」という、このことが決議となって出てきた。ところが、いまお聞きすると、レコードだけが先取りされまして、このレコード条約なるものが本年このようにして締結をされるという状況になってきたようであります。そこでこの速やかに加盟せよという決議が出てきた、その附帯決議がされた意味というのは重重おわかりだろうと思うのですね。  ただ、いま答弁では、国内における実態がまだ未熟であるという物の言い方を、先ほどの外務省と同じような言い方をしておるわけでありますけれども、しかし、少なくともそのように本質的に同じだし、先ほども申し上げましたように、国内法の中にはこの精神もすべて取り入れられておる、だのにまだ国内の実態が未熟だということがどうしても私はわからないわけですね。この点はどのように理解をしたらよろしいのか。国内法の中に取り入れられ、これはやらなくちゃならぬということもわかっており、レコード条約は先行してやっておるという条件の中にありながら、依然として加盟しない。だからこの中で残るのは実演家あるいは放送事業者、こういうものが残るということになるわけでしょう。ということになりますと、そこは私は同次元でもやるべきではないかと思うのだけれども、加盟をしないという理由がどうしてもわからないわけです。この点、どうなんでしょう。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 隣接権保護条約の中に含まれております隣接権の権利の内容は、一応わが国の国内法におきまして隣接権というものの定義がなされ、保護されておるわけでございますけれども、実態がはっきりしない。どこまでの範囲がどういうふうに保護されるべきかということ、法文上ははっきりしておるわけでございますけれども、その結果がどういうふうに社会のいろいろな面に影響を及ぼすかということ、もちろんそれば中心的には著作者の権利の問題でございますけれども、同時に利用関係にも当然響いてくるわけでございます。著作権というものが、その著作者の固有の権利であると同時に、ある意味においては公共的な利用というものが図られなければならないという面も一方で持っておるわけでございます。そういう面との調整とか、そういういろいろな問題がございます。  それからもう一つ、国際的に見ましても、今度は国際条約に加入するといたしますと、それぞれの国で、ほかの国がどういうふうになっているだろうかということも考えなくちゃいけません。そのそれぞれの国の隣接権に対する物の考え方もまだ十分固まっていない面もある。そういうようなことも配慮して、もう少し検討の上、もちろん方向といたしましては加入という方向で私どもも努力いたしたいと思いますし、国内的な問題につきましては、われわれできるだけ加入できる実態ができるような方向での努力はいたしてまいりたいと思っております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 お答えを聞いておりましてなかなか理解しにくい面がたくさんあります。少なくとも、先ほど申し上げましたように、レコード条約が先行するということになりますと、同じ隣接権を持つ実演家あるいは放送事業者というものが切り離されるということがどうしても私には理解できないわけですね。レコードの製作者については、レコードの面だけは、先ほど答弁がありましたように内容がある程度把握でき、そして具体化され、そしてこれはやはりやらなくちゃならぬということになるようであるなら、少なくとも実演家につきましてもあるいは放送事業者などについても、その実態が、その範囲がやはり同じように掌握できるのではないかと私は思うのです。だのにそこができないということがどうしても私はわからないわけです。特にこういう実演家あるいは放送事業者などの権利を侵害するということになるわけでありますし、あわせまして、今度は外国の実態なりあるいは外国における隣接権がどうなっているかということがわからないというのも、これは外国であろうと国内であろうとこの隣接権なるものの差というのはそんなにあるはずはないわけなんですね。ですから、その掌握ができない、範囲がわからないということはきわめて不十分な答弁ではないかと私は思います。  ですから、いま、もう少しその点の認識なりあるいは実態把握というものを早急にやっていただくということが大変重要ではないかと思うので、この点についての決意なり考え方なり、大臣、どうでしょうか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 国内ですでに法制化をされております著作隣接権、ようやく定着をしてきたという表現が私は正しいのだろうと思いますが、こういう状況の中で、外国人であります著作隣接権者の権利を新たに保護するという意味のいわゆる隣接権条約、これをわが国で直ちに施行いたそうといたしますと、率直に申しますと国内の関係当事者に少なからぬ経済的影響があることはもう御理解いただけるところだと思います。その経済的影響というものが、たとえば放送事業者でとどまるものなのか、それとも放送事業者から先へ行って音楽を楽しむ人たちのところまで及んでいくものなのか、このような点にも問題がありますだけに、やはりこのような著作物を利用しようとされるいろいろ各界の方々の見解を統一して条約には加盟をするべきものだと考えるわけでございます。  さらにもう一つ、そういう見解統一を関係当事者の間に進めていきますときに、その人たちの理解を得るために非常にむずかしい障害になっておりますのが、わが国と非常に文化的つながりの深いアメリカ、フランスがこの条約にまだ加盟をしていないという事実。日本だけが加盟して、日本の著作隣接権がどう守られるのか、一体それはどういう量であるのか、今度は外国の著作隣接権をどう守らなければならない義務が新たに起こってくるか、それはどれだけの量であるか、こういうふうなことがやはり関係各界でもまだ明確になっていないものでございますから、その見解統一に至ってないわけであります。しかし、文化庁といたしましてはそういった関係団体に対しまして、非公式にではありますが、この条約の締結についての見解を問いましたり、文化庁のありますだけの資料を提供をいたしましたり、その見解統一に努力をしてきているところでございます。  なお、文化庁自身で先ほど中西委員の御指摘のありましたような実情についてまだつまびらかになっていない点もございますので、そういう調査を側面やりながら、関係者の間の見解統一に一段の努力をしなければならない。著作隣接権というものは外国人の場合でも守るべきだという基本的な考え方があるわけでございますから、特に先般の参議院の文教委員会でもこのような附帯決議もいただいたわけでございますので、むしろ私どもといたしましては御支援をいただいている内容の決議であると心得まして、なお一段の努力をしたい、かように考えるものでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 なぜ私がこのことを強調するかと申しますと、特に日本の場合にはこの隣接権条約なるものに加盟をしておらないということもありまして、外国版のレコードなんかを使う場合にこの使用料等については払わないという実態があるわけですね。そういう点から考えましても、やはり何としても、先ほど申し上げましたように日本の文化的あるいは教育的、すべての水準がこれら著作権法の制定と一体的なものなんだということを考え合わせてまいりますと、どうしてもこの条約に加盟をする、そのことがきわめて重要であるわけであります。特に外国の方々から日本の場合にはいま大変な経済的進出、輸出をめぐっていろいろ問題にされておると同様に、こういう問題等についてもやはり同じ認識が諸外国の人々になされておるということになりますと、やはり日本の権威といたしましても、あるいは文化的水準をどう維持するかということから考えても、何としてもこれは私たち克服をしなければならぬ問題ではないかということを考えるわけです。  そういう意味で、基本的にはあるけれども、いまいろいろ理由を挙げられました、米国がやってないとか、フランスがやってないとか、あるいは関係当事者、経済的な影響がどうだこうだということを言っておりますけれども、この点については一定の見通しとその目安をやはり立ててやらないと、およそいままで日本の条約批准なりあるいは法の施行等につきましても、当分の間だとかなんとかいうことがつけば必ずこれがずいぶん長いこと引き延ばされていくという、いままでの長い経緯がありますだけに、一定の年限なり何なりを考えてこの点の努力をしていくということがあればお答えをいただきたいと思います。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 ただいますぐに、いつまでということを申し上げることは非常にむずかしいと思います。しかし、積極的な努力をいたしまして、可及的速やかに各関係者の統一的な見解を求めたい、その上に立っての加盟を図ってまいりたいと考えます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 これだけに時間を費やすわけにいきませんが、大臣の、積極的にしかも可及的速やかにこの点については批准なりあるいは加盟、これに努力をするということで、一応この質問については終わりたいと思います。  二つ目に、五十豊年四月十八日、参議院の決議案の二つ目にあります「商業用レコードの二次使用料については、実演家及びレコード製作者と二次使用者との間に十分な協議が行われ、適正な基準が設けられるよう配慮すること。」とあります。そこで、「協議が行われ、適正な基準が設けられるよう配慮する」とあるわけでありますけれども、この協議がどのようになされたのか、特に商業用レコードの場合には大変多くの問題を抱えておりますだけに、まず第一に協議がどういうふうにいままでされてきたのか。  それと二つ目に、「適正な基準が設けられるよう」とありますけれども、この問題になっている適正基準というもの、現在の基準がどうなのか、基準は何なのかということを明らかにしてください。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 お答えいたします。  商業用レコードの二次使用料の問題につきましては、昭和四十五年におきましていわゆる著作権法の大改正が行われたわけでありますが、それにおきまして取り入れるに際しまして、文化庁といたしましては、法施行後どのようにこの二次使用料を算定するかということにつきまして、当事者であります芸団協及びレコード協会とNHK及び民放に対しまして話し合いをお願いをいたしたわけでございます。その話し合いにつきましてはさらに法律が施行になりました四十六年に引き継がれまして、いろいろな話し合いの上、とりあえずの額を決めたわけでございます。私ども文化庁といたしましては、この二次使用料の額につきましては合理的な、一つの理論的な算定基準を設けるということがきわめて適切であるという考え方で臨んだわけでございますが、当時におきましてはまだそこまでの合意が達成できなかったわけでございます。  その後も話し合いが行われまして、昭和四十九年には関係当事者の間でとにかく理論的な合理的な基準を設定しようという線までの話し合いができまして、五十一年の三月三十一日までにそれをつくるのだという、時期についての話し合いも行われてまいったわけでありますが、それが五十一年度末までにできませんで、さらに五十二年度、つまり五十三年の三月三十一日まで持ち越されてきておるわけでございますが、なおことしの三月三十一日までの間におきましても、その合理的な基準の中身につきましては実は合意に達しないまま、本年度引き続き現在行っているわけでございます。その間、関係当事者の話し合いによりまして順次、パーセンテージは年度によって違いますけれども、五十二年度におきましては三〇ないし四〇というようなかなりの改善も行われたわけでございますが、なお合理的な算定基準は話し合いのまま本年度に継続されているという状態であります。文化庁はこのような状態の中で、さらに関係当事者の話し合いに積極的に入りまして、合理的な算定基準が得られるようにいたしたい。なお、合理的な算定基準の原案は、芸団協及びレコード協会から放送事業関係者には一応提示をしておるという段階でございますが、まだこれについての最終的な合意に達せられないという状態でございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 協議、そして適正基準、いまお話を聞きますと、四十九年から話し合いが起こりまして五十一年度末という二年間の経過を経て、さらにまた五十二年度いっぱいをかけての検討をされたようでありますけれども、その結果がまだ出てないということになりますと、この適正基準というものがどういうものであるかということが大変問題になってきておるのではないかと思います。ですからこの三者、NHKあるいは民放を含むこの放送事業者と、レコード協会、芸団協と言われる三者の話し合いがつかないというのもそこにあるのではないかと思います。ですから、その適正基準というのが何を意味しておるのか、この点を明確にできるならお答えをいただきたいと思うのですが。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 これにつきまして、諸外国におきましても必ずしも一定ではないわけでございまして、たとえば一例を申し上げますと、スウェーデン、デンマーク等におきましては、レコードの一分当たりの単価を関係当事者で決めておるという方式もございますようですが、西ドイツ、フランス、イギリスあたりにおきますと、いわゆる商業放送の場合、広告料収入の何%というふうな定率を用いておるようでございます。先ほど私から申し上げましたように、現在提示されておりますところの、民放側あるいはNHK側に対する定率の申し込みといたしましては、NHKに対してラジオにつきましては受信料収入の〇・一二%というような基準の提示をいたしておるようでございます。また、民放に対しましては、同じくラジオ放送の場合につきましては営業収入に対して一・一二五%を乗じた額というような定率を申し込んでおるようでございます。ここらの率が適切であるかどうかというようなことにつきましては、かなり慎重な検討を要するわけでございますし、相なるべくは当事者間におきましてそのような合意に達するというのが最も適切ではないかと考えるわけでございますが、話し合いの状況等に即しながら、文化庁といたしましても十分責任のある検討等を並行的にいたしたいというふうに考えておるわけでございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 この使用料の場合に、恐らく文化庁としては世界各国のこのような使用料についての金額あるいは定率などなどを調べておると思います。いま私たちが調べた中で、たとえばNHKの場合には一分間に五・五円ですね、現実上。そして民放の場合が九・六円。それに基づく五十二年度の支払われた額は、NHKが五千二百万、それから民放が一億二千六百万、こういうことになっていますね。ところが、いま言われましたスウェーデンの場合には一分間に千四百円という金額になっておるようであります。といたしますと、この倍数からするとこれは大変な倍率になるわけであります。この資料を見ますと、NHKの場合、音楽でやっておるのが洋盤で六三・七%、それから邦盤の場合が一六%で、合計七九・七%という大変な率になっています。ですからそれ以外といういわゆる実演等については二〇・三%しかやっていないということになるのですね。これはラジオの場合でありますけれども、民放の場合にはこれが、邦盤が五五・七%であり、洋盤が三八・七%に上るわけですね。合計しますと九四・四%。ですからレコード以外ということになりますと五・六%しか使われていないということになるわけです。ということになりますと、これから明らかになるように、結局レコードの使用料が大変低いという、そのことによって結果的にはレコードばかりを使うということになって、生のものはほとんど使わないという結果がここから出てくるわけですね。  ということは結果的に何を意味するかというと、いわゆるそのような実演という、こういう面での向上、あるいはこれに精を出す人たちがだんだん少なくならざるを得ないし、できなくなってくるという条件が出てくるわけです。ということは、日本におけるたとえば芸術なら芸術、あるいは歌唱なら歌唱、あるいは音楽なら音楽演奏なり、こういうものを実際に高めていくという努力というのはここからは出てこない。そのことは認識いただけると思うのですね。  いまもし、この金額だけを申しましても、この洋盤を使っておるやつをスウェーデンの千四百円に引き直しますと、NHKの場合に一は百七十六億七千万円かかると言われるし、民放の場合が四十億二千七百万円必要だと言われる。合計二百十六億九千七百万必要だと言われますね。このことを考え合わせてまいりますと、商業用レコードの二次使用に対する措置が全くなされていないと言われてもいいくらいのものになっておるのではないかということを強く感じるわけであります。先ほど申し上げる芸能実演家の出演チャンスなどがほとんどなくなるという傾向はここから出てくるわけなんですね。  そういうことを考え合わせてまいりますと、先ほど申し上げる日本の文化水準引き上げのためにも、そしてまたさらに実際に使っておるという、権利に対する侵害ということから考えても、いち早くこの点を具体的に調整をし、そしてさらにこれを引き上げるという、要求がなければ別ですけれども、たっての強い要求があるわけであるだけに、何としてもやらなくちゃならぬと思うわけでありますけれども、この点、大臣どうでしょう。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 やはり、二次使用料をどこに基準を求めていくかということにつきましては、実演家なり演奏家なりあるいはレコード製作者と二次使用者の間の直接的な協議にまたなければならないと思います。ただ、諸外国と比べますといかにも二次使用料が日本では安いという現実を私も承知をいたしておりますので、いわゆる使用者側がそのことを十分に認識をしてもらいたい、こういう気持ちで、実はその話し合いが何度かとだえかけたりなんかするたびに文化庁はそのあっせんに努力をしてまいったことでございますけれども、今後も、諸外国の金額のレート、日本のレート、これを現実的な問題として使用者側がよく理解をしていただくような願いを込めて、この努力を続けてまいりたいと思います。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 具体的にもう少し入りますなら、少なくともやはりこの問題については、先ほどから申し上げるように、放送事業者が大変な利益をこのことからは得ておるということに裏返せばなるわけですね。そして、むしろ生のこういう演奏家なりあるいは実演者なり、そういうものを圧迫しておる事態が具体的にこの数字からいたしましても明らかになるわけでありますだけに、いまたとえばある国では三者が協約を結んで、四十年間なら四十年間にわたっての協約を結ぶ、そしてそれに基づいて、たとえば五〇%を生のものにする、そしてあとの五〇%をレコードだとかそういうものでこなしていくという、こういうやはり事態が具体的にあるわけなんですね。ですからそういう、何と申しますか、レコードの無制限大量使用を法的なり何なりで規制をするか何かいたしまして、あるいは積極的にこの話し合いをさせることによってこれを具体化して、その割合なり何なりを、法的にできなければ政府指導なり何なりによってやるという意思が文部省には果たしてあるのかどうか、この点、どうでしょう。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 どうも、法律でそのようなことを決めてかかるということは必ずしも私は好ましいと思いません。ですけれども、いまある国ではとおっしゃって御指摘のありました実演家の技術の向上と申しますか、そういう文化、芸術の向上を図りつつ、レコードによるそういう演奏家の人たちの出場頻度が減ってしまうようなことを防ぐ、そのような話し合いが関係者の中で行われることが大変好ましいことだと思います。やり方についてはひとつ私どもに検討させていただきたいと考えます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 それで、もう極端な言い方をしますと、番組編成、これは自由ですからね。放送法三条によってこのことが位置づけられています。ところが問題は、電波の持つ特殊性、このことから考えまして、少なくともやはり文化発展にこれが寄与する、そういう側面をやはり持たせるべきではないか。ということになりますならば、これを番組編成の自由ということによってのみ律してはいけないし、極端な言い方をすると、私物化するようなかっこうではこれはいけないのじゃないかということを私は感じるわけなんですね。そういう意味で、何としても私はその点の政府指導なりをさらに強めて、いま検討していただくようになったわけでありますけれども、ぜひ、この点については深く検討し、そして早急にやはり手がけるべきではないかということを考えるわけです。この点、もう一度決意なりを……。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 どういうやり方が日本の文化、芸術を高めるためにいいか、どういう方策が、いま政府指導とおっしゃいましたけれども、可能であるか、このようなことを検討させていただきたいと思いますが、同時に、一つどうしても考えておかなければなりませんことは、ラジオなりテレビなり、見ている人、聞いている人にとりましては、流れてくる音楽がレコードから流れてきているのか、演奏家の演奏が聞こえているのか、電波に乗って耳に入るものはなかなかそこはむずかしいところだろうと思うのです。実演家の出演頻度を高めていくということは、これはまた別に私どもといたしましてはもっともっと努力をしてそういう機会をつくっていく、生の音楽にいろいろ国民一般が触れていただく機会をふやしていく、こういうこともまた必要であろうと考えますが、この努力を続けながら、いまおっしゃいました電波に乗る音、それはレコードによる範囲がだんだん広まってきておるようでございますので、どういうことができるかということをひとつ検討させていただきたいと考えます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 最後、どういうことができるだろうかということの検討をさせていただきたいということで、ちょっとごまかしみたいな感じがするのですけれども、もうくどくは申し上げません。いずれにしても、使用料が大変諸外国に比べて安いということとあわせて、このような実演家の出演チャンスなりそういうものが低いということ、このことはもう数値からいたしましても具体的に出ておるわけでありますだけに、文化庁としてはこういう具体的な資料等を早急に調査なりをさらに進めていただいて、この点をいち早く処置していただくことをお願い申し上げたいと思うのです。  それから三つ目に出ております「放送・レコード等から複製する録音・録画」いわゆる複製の問題でありますけれども、ここにありますように「現在行っている検討を急ぎ、適切な対策をすみやかに樹立すること。」こういう決議になっておるわけであります。  これは私も昨年の文教委員会で問題として取り上げた経緯があるわけでありますけれども、ここでやはり一番問題はテープレコーダーあるいはビデオの蔓延、そして私的複製が法改正で四十五年になされまして、附帯決議の中の二に出ていますね。これを見ますと、「著作物利用手段の開発は、いよいよ急速なものがあり、」云々ということで、「著作権審議会における検討を経て、このような課題に対処しうる措置をさらに講ずるよう配慮すべきである。」という決議が上がっています。それに基づいてこの審議会の中に専門委員会なるものがいろいろ設けられたようでありますけれども、この審議会の中の専門委員会で調査した結果がどういうようになっていっているのか。そして、特にテープレコーダーあるいはビデオの複製に関する第五専門委員会なるものが二つ目のために設置されておるようでありますけれども、ここではどのような調査あるいは討論がなされておるのか、この点を明らかにしてください。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 御指摘の問題につきましては、現在いろいろな新しいこういう器材、機器等の開発に伴いまして、大変むずかしい問題であるということは私どもも存じております。それで現在著作権審議会の第五特別小委員会が進行中でございます。この問題について特に取り上げましていろいろ問題点を整理し、要点を取りまとめる、こういう方向でいま審議が続行中でございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 昨日も第五委員会が行われたのではないかと思います。大体一年半でもって結論を得るというような言い方のようでありますけれども、これがどのような経過を経ておるのか。もう数回繰り返されておりますけれども、その経過がどうなっておるのか、この点を……。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 第五小委員会につきましては、昨年の十月から設置をされまして、大体毎月一回ぐらいの頻度で開催をいたしております。先生御指摘のように昨日も行ったわけでございますが、現在のところ、いろいろ一般的な討論の段階で出てきた問題点を整理をいたした上で、さらに問題ごとに議論を詰めておる段階でございます。  それで問題点といたしましては、まず、著作権法第三十条による録音、録画の許容から生ずる問題ということでいろいろな問題点が指摘をされておるわけでございますが、たとえば、録音、録画機器の非常な盛行によりまして、いわゆる著作権者及び著作隣接権者の経済的な利益が不当に侵害されているという意見があるわけでございまして、芸団協等からもそのような陳情が昨年三月参っておるわけでございますが、そのような事実についてどう判断するか、あるいはどういうような立証ができるのかというようなことでございます。  これは一例でございますが、さらに、仮にそのような経済的な損失があるという場合に、それらをどのように救済するかという方法につきましても、芸団協等からは昨年三月、いわゆる西ドイツ方式の採用ということの法改正を含めた陳情が参っておるわけでございますが、これにつきましては委員の先生方に実は西ドイツ、ヨーロッパ等の調査もしてきていただきまして、それらについての調査結果もこの小委員会で開陳をいただいておるわけでございます。  さらに、西ドイツ方式のような、録音、録画機器の販売価格の上に上積みをする、つまり録音、録画機器、ハードの面からフォローをしていくという方法しかないのかどうか。仮に実演家等が録音、録画の盛行によって経済的損失を受けているということが事実だとすれば、それの救済策といたしましては、たとえばハードの面からではなくてソフトの面と申しますか、実演料だとか放送料だとかいうような面、あるいはレコードの二次使用料の増額とか、そういうような問題からも別途検討すべきではないかというような意見も委員の中から出てまいっております。特に機器メーカーの方からも問題提起がありまして、そういうことに関する問題点。  さらに、これは当然のことでございましょうが、適法な三十条の私的利用についてまでも、西ドイツ方式の適用によりますと消費者が最終的に負担をすることになるが、果たしてそういうような対策は妥当であるのかどうか。これは委員さんの中に一般婦人の代表の方あるいは高等学校の校長先生等も入っておりますが、教育的な面あるいは一般消費者の面から、西ドイツ方式は最終的にはいわゆる適法な使用をなさっておる方々にまで負担をかけていくことになるが、そういう政策は果たして文化政策なり教育政策として妥当なのかどうかというような突っ込んだ意見も昨日かなり出たわけでございます。  詳細につきましては御質問によってまた申し上げることとして、いままである程度いろいろ意見が出てまいっておりまして、実はまだ整理する段階ではございませんが、一応論点を整理した上、それぞれの論点ごとの意見を闘わしております。それも途中でございまして、毎月一回行うことによりまして、私どもとしましては来年三月あたりまでには、できたらそれらに対するところの考え方及び国としてこの際いかなる対策が考えられ得るかというようなことをまとめていただきたいと思っております。実は、先生方も御承知のように、複写、複製の問題につきましては、フランスでは税金を課しておるという方法もございますが、いわゆるハードの面から、録音、録画機器の購入、販売価格にプラスするという西ドイツ方式、これはイギリスあたりで検討しているという調査が出ておりますけれども、一体どういう方法をとればいいか、各委員さんごとにかなり意見が出てまいっておりますが、私ども一緒になって勉強しているということでございます。まだ抽象的でございますが、そういう段階でございます。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 そこで、いまお答えいただきました西独方式について、委員は西独に調査に行き、その結果を明らかにした上でまたいろいろ論議をした。その中には、この西独のような、機器の値段に上積みをするとか、あるいは実演料だとかあるいは放送料、二次使用料、いろんな面で考えるという各種各様な意見が出ておるということに理解をしてよろしいですね。  そこで、文部省なりあるいは文化庁なりが、いま国としてのいろいろな調査というものがおくれておるということは先ほどからのあれでお認めになると思うのですね。そういうことになりますと、実演料あるいは放送料あるいは二次使用料というものが、十分調査なりあるいは具体的に把握できないという面が多々あるんではないかと私は思うのです。ということであれば、その中でいま最もとれるとすると、機器、この製造、そしてその販売というものははっきりするわけでありますから、これにたとえば百分の五なら百分の五を上積みするという方式のようですけれども、そういうことが考えられてもいいのではないかと思います。  というのはなぜかと言いますと、複製機器の普及状況というのは、時間が余りありませんからもうここでは申し上げませんけれども、五〇%以上の大変な普及率。この点についても文化庁あたりでは調査なり現状がどうなっておるかということの認識がまだまだ十分ではないんではないかと思うのです。五十一年に芸団協あたり、あるいは音楽団体が調査した結果等によりますと、大変な普及率で、いま、四十六年には想像できなかったような普及率になっておるわけですね。そういう面から、もしこれがこのままの状態でいきますと、実演家というものは機械的に失業せざるを得ないというところに追い込まれていく。そのことは、いわゆる芸術なりいろいろなこういう文化的な面の後退を生ずることにつながっていくわけでありますだけに、しかも、それは今度は、小さな子供、もう小学校から中学校、高等学校の全部の子供にわたってそれを使っておるという実態等もあるわけでございまして、権利侵害意識というものがそこには全然ないというようなことも考え合わせてまいりますと、何としても著作権法の三十条の「私的使用のための複製」については何らかの形で早急に手がけ、改正をすべきではないかと思うわけです。この点についてどうですか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 先生が御指摘になりました機器の、ハードの方のつかまえ方は比較的容易であろうかと思います。しかしながら、それが実際どういうふうに使われておるか。いまの三十条に該当するものがどの範囲であるかというような問題につきましては、かなり慎重な調査も必要としています。それからなお、先ほどもちょっと次長から申し上げましたけれども、三十条に違反しない使用まで含めて負担するような形で一律に西独方式をとるということがどうだろうかという基本的な議論もございますので、いまの段階におきましては、私はまだ三十条改正というようなところまで踏み切る段階ではないと思っております。ただ、実演家の権利を保護しなければならない、実演家の活動分野を広げなければならないという御趣旨自体は賛成でございますが、もう少し慎重に検討させていただきたいと思います。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 いま直ちに改正はできない、そういうお答えでありましたけれども、ただ、機器に上積みをする場合には、それと無関係の人にそれがかかる可能性がある、これだけが問題だろうと私は思いますね。この部分だけです。ところが、いろいろの調査なりでほかの部分でのものがもし実態として把握できるなら私は余り問題ないと思うのだけれども、しかしそれを把握するについては大変な期間と大変なエネルギー、そしてしかも内容的にそれが十分なものであるかどうか、この機器に上積みをするということと相対的に考えてですね、それが具体化されてないだけに、まだそこでの論議が停滞をしていると思うのです。ですから、いち早くそういう面での調査をやることが先決なんですよ。いま、三月までに一応の対策なり何なりを考えると言っておりますけれども、いままでの各専門委員会の論議というのは、私たちが要求をし、私たちが期待をするような論議の内容にはなり得ないんではないか。特にこの第五の委員会のメンバーをずっと考えてみますと、たとえばこれには学識経験者らしき者が五名、権利を有する者が三名、放送事業者が二名、メーカーが二名、通産関係の方が一名、消費者、教育がそれぞれ一名ずつ、こういうことになっているわけです。こういうことになってまいりますと、それぞれが利益代表者的なものになって、こういう討論にいたしましても内容的に深まらないという実態があると思う。  ですから、いち早く科学的な調査というものを遂げていく、そのことを先行させながら論議をしていかないと、このことについての論議なりが三月までに固定するということにはならないのじゃないかと考えるわけです。そういう意味で、この点の調査の仕方等につきましても、いままでより以上に積極的に、しかも、もう少し熱意を持ってやっていただくことが大変重要だろうと考えるわけですが、その点が一つ。  もう一つは、三十条の私的な複製においては、「その使用する者が複製することができる。」と結ばれています。ところが三十五条を見ますと、「学校その他の教育機関において教育を担任する者は、」云々とありまして、「ただし、当該著作物の種類及び用途並びにその複製の部数及び態様に照らし著作権者の利益を不当に害することとなる場合は、この限りでない。」というただし書きがありますね。ですから、改正ができずとも、著作権法第三十条にただし書きを入れるべきではないかという考え方を私は持つものです。  先ほど申し上げた、積極的にどのように調査をし、三月までに間に合わせ、そして固定化させるかということが一つと、二つ目に、三十五条のただし書きと同じものを三十条に入れるべきだと私は考えるのですけれども、この点についてどうでしょう。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 実態調査の点につきましては、私どもできる限りの努力をいたしまして実態を把握するように努めたいと思います。  第二点につきましては、調査会の結論等もありますし、これはやはり各方面の意見を聴取した上で決めるべき問題で、いまの段階においてはその方向がよろしいというふうに考える段階ではないと私は考えております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 お答えは大変簡単で、これだけはっきりしたわけですが、この点は時間がありませんので論議を続けることができません。したがって、先ほど申し上げた第一点を早急にしていただき、その結論的なものとあわせて三十五条のただし書きとのかかわりというものを考えていただく、こういうことを検討していただくようにお願いをしたいと思います。  四つ目の問題はとうとう触れずにしまうわけですけれども、何と申しましても、ここに書いてありますように「教育及び芸術文化の普及向上」という面からいたしましても、この物品税というものは大変問題があります。ですから、こういうものもあわせまして、いままで申し上げてまいりました四つの点、特に文化政策の面で力を入れなければならぬだけに、最後に、大臣がおれば一番いいのですけれども、おられないので、文化庁の決意なりをお聞きして終わりたいと思います。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 レコードを物品税の対象から除外してほしいということは、文化庁が年来希望いたしておるところでございまして、毎年の税制改正の要望の中には含めております。他の著作物との権衡において物品税を除外してほしいという考え方は変わりませんので、重ねて要望してまいりたいと考えております。

中西績介日本社会党

○中西(績)委員 では、以上で終わります。

菅波茂自由民主党

○菅波委員長 午後一時に再開することとし、この際、休憩をいたします。     午前十一時四十四分休憩      ————◇—————     午後一時五分開議

菅波茂自由民主党

○菅波委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  著作権法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山原健二郎君。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 著作権法が昭和四十五年に論議をされましたときの四月九日にこの衆議院文教委員会で附帯決議が出されています。先ほどの中西議員の質問とかなりダブる面がありますけれども、一項ずつどの程度に進んでいるかということをお聞きしたいと思うのです。  この附帯決議をお持ちだと思いますが、第一項は「著作物利用の公正な慣行が育成されるよう、」「なお一層努力すべきである。」という附帯決議になっておるわけです。  この点について、この実態を少し申し上げてみますと、実は先日、各党の国会議員が呼ばれまして、たくさんの著作権団体と赤坂プリンスホテルで懇談会を持ちまして、その席上でも一番多く出ましたのが下請化の問題でございます。そのときに、たとえば大林清さん、日本放送作家組合の理事長の発言でございますけれども、こういうふうに言われたのです。これは四月三日に行われて、各党から議員が出ておりました。  大林清さんの発言は、「下請けの問題が各団体に共通する最も大きな不満のもとであり、民放の放送番組の九十何%は下請けだというふうに聞いている。一例では、ある映画製作会社では連続ドラマの発注を受けると、下請けにおろし、社員は何もせずに遊んでいる。一本につき百万円の利潤をピンハネしても十三本で千三百万円になるが、これで社員の給料を払い、下請けは、アルバイトをたくさん使って安く仕上げる。このような状況で、はたして日本の放送文化という口はばったいことが言えるかどうか。企業である以上、幾らもうけても良いわけだが、国民の電波を使っている企業であり、日本の文化に大きな影響をもたらす企業であれば、この状態では放送文化の程度は限りなく落ちていく。」こういうふうに指摘をされました。  それから江見俊太郎さん、この方は日本放送芸能家協会の常務理事でございますが、この人も次のように発言をされたのです。「フランスなどもドラマは下請けに出しているが、下請けのほうが番組予算が多い。しかももし問題があったときは、あくまでも局が責任をもつし、それでも解決できない場合は、最終的には政府が援助をし何らかの解決方法をとるといっている。」これはフランスへ行かれて調査をされた結果、そういうふうに申しております。  それからもう一つ、これは日本放送作家組合の常務理事の寺島アキ子さんですが、この場合は放送作家から見た現行著作権制度ということで、下請問題について次のように報告をしています。「現在、下請けの会社によって製作される番組の八割から九割までは、脚本の著作権が買い取られている。それも、放送局なら一回の再放送しかできない程度の料金を上乗せして、買い取っているのだ。前述したように、ただでさえ少い製作費から、正当な買い取り料など払えるはずがない。その点について、この十年来放送作家組合は、放送局に対しても、映画製作会社に対しても、再三にわたってその不当さを訴えているが、もともと製作費の軽減と合理化が製作を下請けにまかせる目的であるから、放送局は耳を借そうとはしないし、映画製作会社は下請けの苦しい立場を考慮してほしいと繰り返すばかりである。たしかに、映画製作会社の経営は楽ではないようだが、民間放送局は、毎年増収増益を繰り返している。放送作家組合は、使用者側が改善する気がないのならば、組合員が買い取り契約に応じないようにするほかはないと、現在その態勢をすすめている。」  三人の御発言と報告書をいま読んだわけでございますが、このような事態から見ますと、八年前に著作権の大きな改正が行われまして、そしてその附帯決議につけられたこの「公正な慣行が育成されるよう、」「なお一層努力すべきである。」という点が、実態としてはそうなっていないのではないかということをこれらの発言が示しておると思いますが、この点についてどういうふうに検討し、解決していったらいいのか、このことを最初に伺いたいのです。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 ただいま御指摘になりましたような問題が放送番組の制作をめぐってあるということにつきましては、私どもも関係の諸団体の方方とのお話し合い、あるいはいろいろな文書、陳情等で十分承知をいたしておるところでございます。ただ、これの改善のためということでその直接的な問題につきましては、事柄の性質上、やはりお互い同士のお話し合いで十分解決していただくのが基本になろうかと思うわけでございまして、私どもの立場からはそういう意味でいろいろ期待を申し上げておるところでございますが、それらのお話し合いにつきましてさらに十分な協議ができるように、今後文化庁としてもできるだけの配慮はしていかなければならぬと思っておるわけでございます。  文化庁ができるものといたしましては、著作物の利用の公正な慣行の中で、文化庁自身が、長官が認可をいたしたりあるいは長官が裁定をいたしたりする権限のものもございますので、そこらあたりにつきましては適切な裁定なりあるいは認可ができるように従来からも行っているところでございまして、けさ方から御指摘になっておりますレコードの二次使用料等の問題につきましても、今後とも努力をいたしていきたいと思うわけでございますし、さらに一般的には、これはやはりわが国民全般の著作権思想の普及徹底ということが基本でなければならぬと思いますので、ここら辺の点につきましては、文部大臣からもけさ方答弁をいたしましたようないろいろな講習会を通じまして、国民にPRをいたしておるというところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 その講習会というのには、その会社関係の方たちも出ているのですか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 講習会は三種あるわけでございますが、今年度また新しくもっと広げた講習会をいたしますが、従来のものにつきましてもそういうような関係の方々の参加も求めて、現に参加を得ております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 これは幾通りも実態があるようですが、テレビ映画の例を見ますと、結局下請化の問題で著作権が守られていないというのが、これは著作権者側の一致した見解のように思うのです。たとえば千二百万のテレビ映画をつくる場合に、元請のところで三十万円とか五十万円とかいう、ピンはねと言っていいかどうかわかりませんが、まず取りまして、そうして下請に回す。そして下請でもまたたとえば百万円のピンはねをやる。今度はその次に孫請へいく。孫請へいったときにはもう一千万ぐらいの制作費しか出てこない。それがさらにひ孫請までいってしまうというような例から、結局どういう結果になるかといいますと、制作費が切り詰められて、そうして全く安く、早く、そしてよいものはもうできないというかっこうになってくるわけです。これは日本の文化にとっても非常に重要な問題でございまして、いま講習会等のお話も出ましたけれども、先ほど言いましたように、フランスの場合とはまた日本の場合は状態が違いますからそれは一概に言えないのですけれども、かなり政府側の指導力といいますか、そういったものが出ないと、全くこの寺島アキ子さんが述べておりますように、いわば一面実力行使みたいなことをしなければならぬような事態まで起こってくるわけです。そういうことを考えますとこれは大変なものでして、むしろ著作権者側よりも企業側といいますか会社側といいますか、その方の認識をかなり強めなくてはならぬというふうに思うのです。  それで、会社四季報という本を見ますと、日本の例ですが、現在の不況の中でも放送会社というのはずいぶんもうけているのだなということを感じておりまして、東京放送の場合、これはもう数字に出ていますのでこれを見ますと、この利益のつかまえ方が正しいかどうかは別にしまして、この会社四季報に出ておるそのままを申しますと、東京放送が昭和五十年三月に利益が十一億から十八億です。ところが昭和五十二年三月の数字によりますと三十九億円というふうにはね上がるんですね。それから五十三年の三月になりますと、これは予想ですが、四十二億円に利益金がなるだろう、こういう状態です。それから日本テレビの場合を見てみますと、五十年三月に七億、五十一年三月の決算で十二億、それから五十二年の三月になりますと三十三億というふうになりまして、五十三年度に四十一億と、物すごい利益があるわけです。これは、この二つの会社だけ名前を言って大変恐縮ですけれども、ほかの会社も大体似たり寄ったりで、この不況のさなかでも放送会社というのは相当の利潤を上げているわけです。  その利潤のもとになるのが結局この下請化の問題ではなかろうかというふうに感じまして、下請化にしていくということと同時に著作権がここでないがしろにされる。そしてできる作品は、安くて、質がだんだん落ちていくというような、幾重にもこの問題が絡みついておるわけでございまして、その上に、この下請が赤字なものですから、結局制作費が少なくなるからあるいは安いタレントなんかを使う、アルバイトを使う、こういうような形で自転車操業をやっているわけです。そうしておるうちに倒産をする。倒産をしてしまえば俳優さんにも全然金が回ってこないというようなかっこうですが、ここのところを何とかしなければならぬと思うのです。  次長さんがいまお答えになりましたけれども、これはここへ鋭いメスを加えまして、そして双方の話し合いもここで十分させ、それから文化庁としてもかなり強い姿勢で指導すべきではないかと思うのですが、文化庁としてはそういうことをする必要はない、そこまで立ち入るべきではないとお考えなのか、講習会程度でいいというふうにお考えなのか、それらをもうちょっと伺いたいのです。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 先生御指摘のような問題につきましては、先ほど来から申し上げましたように、私どもも問題点であるということで、何とか、事柄といたしましてそれぞれの両者のお話し合いで自主的に解決されるようなことを期待をいたしておるわけでございます。私どもが番組編成の中身に当然タッチすることになるわけでございまして、それにも限度があろうかと思うわけでございまして、私どもといたしましては、著作権の立場からは著作権思想の普及徹底ということと、長官の権限を適切に行使することによって、公正な慣行というものを確立するために努力をしていく。  なお、先ほど言い忘れでございますが、特に映画だとかあるいは子供用のアニメーション映画の振興というような面につきましては、これは文化の振興というものを別途な観点から、助成金も映画につきましては一千万円、それから子供用のテレビ用アニメーション映画につきましては六百万円というようなものを差し上げて、必要な制作費が十分賄われることによってりっぱな映画ができますように振興を図ってまいる。そのような面からの施策を今後とも拡充してまいるということが本筋ではないかと思うわけでございまして、お互いの話し合い等につきましては、事あるごとに関係者につきましていろいろ要望はいたしてみたいというふうに考えるわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 ここで著作権法の第二十九条の矛盾といいますか、これについて少し触れてみたいと思うのです。二十九条の一項と二項の矛盾ですね。これが下請の問題と関連をしまして、たとえば一項では映画制作が「製作者に帰属する。」ということになっております。結局監督やあるいはその他シナリオライターとかそういう者の著作、いわゆる著作者の著作権というのが会社に帰属するということですね。それからその二項では、今度は「映画製作者としての当該放送事業者に帰属する。」というふうになっておるわけですが、ここでたとえば下請の場合になりますと、下請の場合に一項へ返ってきて、著作者の著作権というのはここで完全になくなってしまう。そういう矛盾が指摘をされておるのですが、その点についてはどういうふうにいままでお考えになっていますか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 放送番組の制作の場合の下請につきましては、ただいま先生御指摘のとおり、二十九条の第一項によって処置するということでございます。これは、二十九条そのもの自体、四十五年の改正のときにいろいろ御論議もございまして、私どもといたしましては、附帯決議等も出ておりますので、いろいろ諸外国の状況等も調査をいたしておるところでございますが、なおその後格段の諸外国の顕著な立法例というのも出てないまま今日に至っております。そういう点につきましてのいろいろ問題点等につきましては今後とも検討してまいりたいとは思っておりますが、ただいまのところはそういうことでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 この点は当時から問題になっておりたわけで、いまのところ著作権者側の一致した見解としては、削除または改正をしてほしいというのが一致した見解のように私は受け取っているわけですがね。     〔委員長退席、唐沢委員長代理着席〕 当時からずいぶん映画監督者の方たちからも反対の意見があったままこういうふうになってきたわけですが、この二十九条の場合、テレビ局が作成する場合にはこの二項が生きてくるわけですが、下請になってきますと今度は下請が一項に戻ってしまって、戻るといいますか、一項になって、著作権は全部下請のを持っていく、こういうかっこうですね。だから、その点からもこの実情としては二十九条はずいぶん問題が出てきたように私思うのです。  それからもう一つ、二十九条はこれは明らかに誤りだということですね。いわゆる映画の著作権は製作会社に帰属さすということの誤りといいますか、そういったこと。もともと著作権者とは第十六条によって、いわゆる「制作、監督、演出、撮影、美術等を担当してその映画の著作物の全体的形成に創作的に寄与した者」ということから考えまして、この二十九条はこれは当然考えなければならぬ時期を迎えておるのではないかと思います。その点、これは特殊な例として映画が一番大きな問題になっておりますが、これはいまいろいろ次長の方からお話がありましたけれども、これについてメスを加えるといいますか、二十九条問題を各団体と十分話し合って、あるいは削除、あるいは改正をしていくという腹を持っているかどうかですね。この点はいかがですか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 映画のいわゆる著作権につきましては、一般の著作物と違いまして、著作者である監督等に帰属せしめずに、特に、映画製作について参加契約をいたしておる場合には当該映画製作者に帰属するということで、法律でもって明定をいたしたわけでございます。この趣旨につきましては、もう先生十分御承知のとおり、映画制作の態様が、関係者が非常に多くて、多くの方々がタッチをされる。一方、映画製作におけるところのいわゆる企業的責任ということで、相当莫大な経費というものがこれに投入されているという実態があるとか、あるいはこれを利用する際に十分統一的な処理ができるようにしていないと利用の不便があるというようなことから、諸外国の立法例等もほとんどが映画製作者に帰属させているというような実態等も考えまして、この映画製作者に帰属さしたわけでございます。ただし、監督さん等の経済的な利益につきましては、監督さん等の団体と映画製作者の団体と別途契約を結びまして、経済的な問題で不利がないような措置にはいたしておるようでございますので、私どもといたしましては、いまのところ現行法でまいって差し支えないのではないかと考えるわけでございますが、関係者の方々からの改正の要望がつとにあるところでございます。御意見も承っておるわけでございますので、諸外国の状況等、あるいは国内のそういう関係者の状況等も考えながら、今後におきましていろいろ検討はいたしたいと思っておるわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 映画監督の監督協会の発表しておる数字を見ますと、大体平均年収が三百六十万ということになっていまして、もちろん多くの収入のある有名監督さんもおいでと思いますが、平均して三百六十万という金額ですね。こういう数字が出ていまして、かなり問題があると思うわけです。  それから、二十九条の問題は、いまのお話でございますと、とにかく監督等については幾らか経済的な面で考えていくということで、二十九条そのものを改めて検討する、要望があるからそういう点については検討するというお話でしょうか。その辺が少し消極的なような感じがしまして、もう一回申し上げますけれども、二十九条の根拠があいまいだと私は思っています。しかもこれは当時から問題になっておったということですね。特に現状から見ますときわめて非現実的になっておるという点、この点を指摘したいと思うのです。  それからテレビ映画に至っては協約も全くないということでございますから、ここらの問題、また著作権者側からの要求というものを考えましたときに、これは当然正式に検討していいんじゃないか。NHKの場合はともかく予算審議で国会でも審議されますけれども、民放の場合は全く空洞化されておるわけでございまして、そういう意味で、先ほど数字を申し上げましたように物すごく利潤は上がっているのですが、結局制作するものは質がどんどん低下していく、こういう状態があります。  それからさらに、二十九条一項と二項の矛盾は先ほど申し上げましたが、結局このためにむしろ下請化を促進をしておる向きがあるわけです。そしてそのためにむしろ悪用される。そして著作権法の精神というものがここで逆転をしていくという結果を生み出しているんじゃないかというふうに思うわけです。結局、下請が発注主より大きな権利を持って、外国にまで売れる、こういう状態があるわけです。  こういったことを考えますと、この問題については前々から問題になっておりますし、もう少し積極的な検討をしていく必要があるんではないかというふうに思います。ちょうど著作権法の一部改正の問題が出ておるときでございますから、著作権の問題はこの委員会でもなかなか問題になりがたいわけでして、そういう意味でたまたま今度の法律改正案が出たときを契機にしましてもう一度この問題についてメスを加えてみる。それで、次長さんがおっしゃるようにいまのままでいいという御意見も出てくるかもしれません。しかし、それにしても余りにも矛盾が現実に起こっておるという点を考えますと、検討する必要があるんじゃないかと思うのですが、この点、もう一回お答えいただきたいのです。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 ただいま御指摘の問題につきましては、すでに附帯決議がつけられた経過もございますし、その後私どもといたしましても世界の状況等を調査もいたしているところでございますが、そういう点を十分総合的に見守りながら検討する態度を今後とも続けてまいりたいと思っております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 次に、この附帯決議の二項でございますが、これは先ほどずいぶん詳しい御質問がありましたのでダブるかもしれませんけれども、この二項は御承知のように、「今日の著作物利用手段の開発は、いよいよ急速なものがあり、すでに早急に検討すべきいくつかの新たな課題が予想されるところである。よって、今回改正される著作権制度についても、時宜を失することなく、著作権審議会における検討を経て、このような課題に対処しうる措置をさらに講ずるよう配慮すべきである。」  こういう附帯決議でございますが、現在、カセットやテープレコーダーあるいはビデオテープなどが急速に開発され普及しておる状態の中で、結局レコードは買わない、演奏会へも行かない、舞台、寄席等にも行かなくなるというような状態の中で実演家たちの働きの場所がなくなってくるという問題があるわけです。そこで先ほどの御質問のように、著作権法第三十条の問題について、現状に合うようにしてほしいという要請書も出てきておるわけでございますが、西ドイツのような賦課金制度をとるか否かは別としまして、要するに著作権者を保護するという立場で結論を出すべきだと私ども考えておるわけでございます。先ほどの御答弁では来年の三月までに結論を出したいというお話のようであったと思いますけれども、いまの検討の進捗状況、それはどの辺まで来ておるのでしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 すでに御答弁申し上げましたように、テープレコーダー、ビデオ、複写、複製問題につきましてはすでに報告書をいただいておるわけでございます。これらにつきましては問題点を整理して共通理解を図るというのが主たる目的であったわけでございますが、この録音、録画の問題につきましてはさらに一歩進めまして、これに対する国としての対策を立てたい、そこまでひとつ論議をお願いいたしたいということで、昨年の十月からそれにふさわしい審議組織をもってお願いをしてまいっております。毎月一回ぐらい開催をしてもらっておるわけでございまして、先ほど具体的にも申し上げましたように、いろいろ論点を整理し、それぞれの論点ごとにさらに議論を深めていくということをいたしておるわけでございまして、それに伴う対策等についての御提案の向きもございますので、それらの対策をどうするかということも含めて御審議を願っているまだ途中でございます。いまのところ来年三月には御答申をいただきたいというようなことで鋭意進めておるということでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 ついでに、いま著作権侵害の問題も起こっておるようですが、たとえば視力障害者の場合、図書館などで本を朗読してあげるというようなことがなされていることも御承知と思います。それが著作権侵害ということで問題になっていますが、これは文化庁、どういうふうにお考えでしょうか。視力障害者の方に本を読んであげるということは、これは当然文化を享受するという意味で大事なことです。それから同時に著作権の問題もまた大事なことですね。この二つを矛盾なく解決するのには、私は、これらの問題については国が助成をするとかいう方法で双方が解決できるのじゃないかと思うのですが、これについては何かお考えを持っておりますか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 その問題につきましては、御承知のように現行著作権法三十七条におきまして、「点字図書館その他の盲人の福祉の増進を目的とする施設で政令で定めるものにおいては、もつぱら盲人向けの貸出しの用に供するために、録音することができる。」ということに相なっておりまして、一部の御見解では、一般の公共図書館等にまで広げて、そういう盲人用のテープの録音ができるように広めるべきじゃないかというような御意見もあるわけでございますが、これにつきましては、著作権法制定当時いろんな論議の末、点字図書館なりあるいは政令で限定をした福祉施設ということに限ったわけでありまして、これは著作権者側の御意見等もございまして、一律に法律でそのようにするのではなくて、むしろケース・バイ・ケースによる著作権者側の自主的な判断に運用を任すべきじゃないかというような御意見の中でこういうような法律になった経過があるようでございます。あるいは、いま先生御指摘のように、そういう著作権保護体系の中でこれを考えずに、福祉政策なりあるいは教育政策の範疇の中でこの問題は取り扱っていって、ボランティアがもう少し盲人が喜んでもらえるような施策を、著作権処理もした上で適切にできるようにしたらどうかという御指摘かと思うわけでございますが、この点につきましてはあるいは教育政策なり福祉政策の観点からの議論かと思うわけでございまして、私はいま御意見は御意見として拝聴させていただきまして、これに対してどうするかということにつきましては文化政策の観点からも検討させていただいたらどうかと思うわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 次に、附帯決議第三項ですが、これは御承知のように「写真の著作権」ですね。これも公表後五十年ということで、当時ずいぶん問題になってきたところでございます。それから「著作隣接権の保護期間」の問題、これは発表後二十年ということですが、この問題もあります。「レコードによる音楽の演奏権の及ぶ範囲」というのがあります。一応この点は進められておるように思うのですけれども、その次の「応用美術の保護等」、これらはいまどんなふうな検討がなされているのでしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 先生御指摘の問題は、写真著作権の問題応用美術の問題、あるいはレコードによる音楽の演奏権の及ぶ範囲を音楽喫茶等よりももう少し広げたらいいのじゃないかというような問題、これにつきましてはそれぞれ問題の性質が違っておりまして、私どもといたしましては附帯決議の趣旨に基づきまして、それぞれ問題ごとに、諸外国の状況だとかあるいはわが国の国内における著作物の利用状況だとか、あるいは関係者の御意見等を踏まえながら、個々的に著作権課において検討をいたしておるところでございまして、附帯決議の御趣旨につきましては十分意を体しながら臨んでおるつもりでございます。個々的にお話があればお答えいたしたいと思いますが、全般的にはそういう態度でおるわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 この間の参議院での附帯決議がまた出ておりますが、その中で二次使用料の問題でございます。  これは先ほど質問がありましたが、一つは、レコード協会と芸団協に対して放送会社からいわゆるつかみ金が出ておる。つかみ金というのは正しいかどうかわかりませんが、それをレコード協会、芸団協が二分の一ずつ受け取っておるという形ですが、まず第一番に、それが非常に少ないということは先ほども指摘がありました。それから要求としては、いわゆるブランケット方式を使用してもらいたいという要求があるわけです。この点では、いわば行政指導の面で話し合いを進めて、いまの国際的に見ても大変低劣な十五分の一などという、ある国との比較ではそんな数字が出てくるわけですが、先ほどちょっと私御答弁を聞き漏らしたのですが、これらについて文化庁、文化行政としてどういうふうな御指導をなさっているか、伺いたいのです。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 先ほど来申し上げましたように、このレコードの二次使用料をどういうふうに関係団体の中で決めていただくかということは、法制定当時から問題意識として文化庁は持っておりまして、法制定の中で関係者にお集まりをいただき、検討を開始しておるわけでございますが、法施行後、昭和四十六年以後も、文化庁の要請により、芸団協とレコード協会及びNHK、民放の方々にお集まりをいただいて、この問題について話し合いをした経過がございます。その中で、つかみ金というよりは、むしろ合理的な算定基準というものを、諸外国の例も参照しながら、お互いの合意の中で設定していくことが望ましいのじゃないかというように当初から考えておりましたが、昭和四十九年度に至って四者間でその合意には一応達したものの、その中身につきまして五十一年度末までを一応めどにして合意に達すべく、期限をつけて話し合ったわけであります。しかしそれができませんで、またことしの三月末を目標にしましたがそれもできないで、現在、本年度に延長してその話し合いをいたしております。すでに芸団協あるいはレコード協会から合理的な基準の案も提示をいたしておりますが、これについてはまだお互いに合意に達しないという状態のまま、文化庁といたしましてもこの問題については放置できない状態で、適切な話し合いがつけばそれにこしたことはない、つかない場合には最終的には文化庁がお互いの合意の中で話し合いに入って決めていくということもあるいは必要かと思いますが、いまのところ、お互いの話し合いで解決していただきたいという方向でお願いをいたしておるところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 またちょっとそれますけれども、今度の改正法案で、この海賊版をなくするということで、外国で製作されたレコードを日本で勝手に複写してまた売ったりすることを禁止しているわけですが、聞くところによりますと、たとえば香港とかあるいはフィリピンとかあるいは台湾とか韓国等において日本の海賊版がずいぶん横行しておるというふうな話を聞くわけです。もちろん加盟していない国々でございますからそれには歯どめはないわけですけれども、大体この辺の実態はおつかみになっているでしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 その点につきましては私どもの方から正確な数字を調査する手段もございませんが、国際的な団体の方でこれをつかんだ数字はございまして、その数字につきましてはもし必要であれば申し上げたいと思いますが、残念ながら東南アジアが世界的にも一番海賊版が横行しているというような数字が現状でございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 次に、ローマ条約の問題、これもお尋ねになりましたから少しダブりますけれども、結局、芸団協の人たちに話をお聞きしますと、今度の法律の改正にはもちろん賛成だ、しかしやっぱり多少ひっかかる面があるというお話ですね。物を保護するよりも人を保護するのが先じゃないかという意味で、このローマ条約に加盟するということをもっと積極的に推進すべきではないか、むしろ本来日本が先に加盟すべきではないかというお考えを持っておるわけです。  それで、もうこれは文化庁十分御承知のことでございますけれども、たとえば去年の十二月に行われましたジュネーブにおける会議がございますね、その中で芸団協の常任理事の浜坂福夫さんが報告しておりますが、最初に聞きますが、このジュネーブの会議、これは文化庁、日本政府代表はどうして参加しなかったのですか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 その会議につきましては、日本はまだメンバーでございませんので出席をしなかったということでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 メンバーでないアメリカの場合は、かなり著作権についてのアメリカ政府内部の重要なメンバーである方が出席しておりますがね。そういう意味で、これは出席したかしなかったか、しなかったのが悪いということを申し上げているのじゃないのですけれども、このローマ条約について消極的な態度があるんじゃないかということを感じまして質問をいたしておるわけです。  ここで浜坂さんが、これは加盟もしていないが、でもこの会議の実質審議の冒頭に発言を許されておりまして、彼は二十分間、日本の現状について発言をいたしております。それをちょっと読み上げてみますと、   日本には一〇七社の民放局と一つの公営放送NHKとがありますが、NHKは一局といっても東京に一つのセンター、地方に六つのローカルセンター、各都市毎に六一の支局、合計で六八局で構成され、巨大そのもので、全日本はもちろん東南アジアの広大な部分と日本の人口一億人以上をフォローしています。   さて、試みにNHKのデーターから皆さんに興味ある分析をお知らせいたします。   NHK全ラジオ放送番組中、音楽番組は二六・三%であり、そのうちレコードを使用してつくられる音楽番組は実に八〇%。そして更にその中でローマ条約を批准していないために、日本の実演家の権利の全く及ばない外国製作のレコード使用が六四%になることを示しています。結果としてこれらレコード使用のために音楽家に与えられた出演のチャンスはわずかに二〇%にすぎないのです。   このデーターを基にして一曲を平均二分三〇秒として計算してみますと、六一二万曲分に相当し、この曲数分だけ私共音楽家が出演したとすれば、一番組平均三〇分として、実に五二万六千番組分に相当するわけです。   現在NHKと実演家との間には、基本的な出演料の協約がありますので、この番組に平均二五人の出演を仮定し、この出演料をかけてみますと、実に一、一三六億円にもなるわけで、本来実演家が得るべき収入を失っているばかりか、一方でまたローマ条約に加盟していない当然の結果として他の国のアーティストにも何一つの代償をも支払っていないことはまことに不都合といわざるを得ません。  かなり、全体の報告としては遠慮した形で出されておりまして、日本政府を責めるという立場では出ていないのでございますけれども、しかし、ローマ条約に加盟していないことによって起こるところの不利益は、一つの例をいま私申し上げたのですが、こういうふうに具体的にあらわれていますよ、同時にこのことが外国の芸術家に対しても不利益を与えていますよという報告になっていると思うのですね。  このことは御承知かと思いますが、これについて文化庁としてはどういう検討をなされておりますか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 ただいま御指摘になったような事実につきましては私ども大体承知をいたしておるわけでございます。したがいまして、そういう事態がそのものとして直ちに妥当であるということについては、私どもとしても確かに問題があることだと思うわけでございます。ただし、私どもの態度といたしましては、まず著作権法の大改正の中で、ローマ条約を参考にした制度ということで隣接権制度を導入いたしまして、その法律制定後は、これの妥当、適切、適正な運用を図るということで現在まで努力をいたしておるところでございます。たとえば先ほど来からも御指摘のレコードの二次使用料の問題につきましても、これは、わが国で著作権法で取り入れましたいわゆる隣接権というものの権利の公正な慣行を樹立させたいということで、関係当事者の話し合いを精力的に進めさせている一つの例かと存ずるわけでございます。こういうような、国内的には十分ローマ条約を受け入れられるだけの準備というものをさせたいということで若干の改善も加わってきておるわけでございます。  ブランケット問題につきましては、JASRACと民放、NHKとの関係につきましても現在アイエヌジーでございまして、文化庁が関係当事者の中に入りまして、音楽著作権についてのブランケット契約による新規認可というものを何とか実現させたいというふうに努力いたしているところでございます。  そのような国内体制というものを整備をするかたがた、諸外国の国際的な関係等も十分見ながらこの批准の時期というものを見定めたいということでまいっておるわけでございます。御指摘の点につきましての問題性というものは十分認識をいたしているところでございますので、今後とも、国会の先生方の御指摘等もあることでございますし、さらに誠意を持ってこの問題に対処したいという考えでおるわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 この問題については先ほど文部大臣が、可及的速やかに加盟問題について検討されるというふうな御答弁であったように思いますが、その点、確認の意味で、そうでございましょうか、お答えいただきたい。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 隣接権条約への加盟につきましては、関係当事者の見解統一になお一層努力を払ってまいりまして、可及的速やかにこの問題を解決いたしたい、かように先ほどお答えいたしましたとおりでございます。  ただ一つ、その隣接権条約に加盟をいたしますことが、日本のいわゆる放送業界でレコードを使う頻度が減って実演家を使う頻度がふえることには直接は結びつかないと思うのです。この問題はやはり、隣接権条約と直接結びつくことではありませんだけに、演奏家の活動範囲がより一層広まりますことは別の問題として私どもは努力しなければならない、このように考えております。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 この問題については、先ほど文化庁長官でしたか次長さんでしたか、実態の把握を国内の場合もしなければならぬという御発言だったように思いますが、そうでしょうか。そうとすれば、どういう実態を把握するというふうなお考えか、お聞きしたいのです。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 その点に関しまして、私といたしましてはこういうふうに理解いたしたいと思うわけでございます。つまり、ローマ条約を批准した際に、現状におきましては関係団体の間で利害が不一致でございますし、意見もまた違っておるわけでございます。こちらの方のそれぞれの考え方をさらに話し合うという点の必要性は今後あるわけでございますが、そこらあたりの利害の関係がどういうふうになるのかということにつきましては、いろいろな調査、先ほど来からの指摘もございますが、なおそういう点についての十分な、正確な、信憑性のあるものはまだできていないという状態でもございますので、そういう点についての資料というものを順次明確にしながら話し合いの材料を提供して、国内の体制というものを整備するために努力していきたいというふうなことではなかったかと思うわけでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 最後に物品税の問題ですが、これは私は前にも辻久子さんのバイオリンの問題を例に引いてお聞きしたことがあるのですけれども、芸術家の楽器購入等の場合、たとえばバイオリンその他、これは数百万、数千万という金額のものでございますが、これは芸術を生み出す一番のもとになる楽器でございます。そういう意味で、これについて物品税を課するということを、率直に言えば非課税にすべきではないかということを主張してきたわけです。それ以来何年かたちますけれども、この点についてはどういう御努力がなされておるんでしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 音楽家に対する楽器の問題につきましては、私どもとしまして、一貫して、でき得るならばこれが免税になるということが望ましいと考えて、その方法につきまして大蔵当局等とも相談しながら検討してまいっておるわけでございます。一五%の税率でございますが、免税にできるならばしたい。しかしながら、免税にする場合に音楽家とだれが認定するかというような問題もあるようでございます。それからさらに、いわゆる所得税の必要経費として減免をするという方法もあるのではないかということを検討いたしておるわけでございまして、この場合には耐用年数でその楽器を割りまして、十万以上の場合には耐用年数で割って、その毎年毎年のものを必要経費として所得税から控除できるという制度もあるようでございます。そこらあたりの控除制度の枠の拡充というようなことでまいるか、その点について若干検討が残っておりますが、すでに答弁をいたしておりますように、できましたら免税という措置でまいる、それができなければ何らかの意味で必要経費所得税控除というものの拡充というような方法、いろいろ考えまして今後努力したい。そこの点が若干ただいま検討が残っているところでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 この数年来その一五%は動いていないのですね。あるいは所得税についての操作をするとかいうような検討中ですね。いささか改善されたということがあるのかどうか。どうですか、いまのところまだ検討しておると……。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 遺憾ながらまだ具体的な改善結果は出ておりません。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原委員 最後に、大臣にお伺いしたいのですが、私は、この問題はやはり著作権法第一条だと思うのです。著作権者の保護ということ、そしてもって日本の文化の創造と発展を期するという、これが著作権法の一番大事な基本でございます。何を考える場合におきましても、やはり著作権者の保護をするという著作権法の精神というものが常にど真ん中に座って、そしていろいろな指導やその他が行われる必要があると思います。いまお話が出ましたように、二十九条の問題にしてもそうです。三十条の問題にしてもそうですか、確かに利害相反するものがあるわけですから、どの場合でも問題の解決はそうスムーズにはいかないということはわかります。わかりますけれども、著作権法の精神から言うならば、著作権者の保護をするという、このことを忘れてはならないと思うのですね。  これはもう文化庁も一番大事なところをしっかりと押さえていかなければならぬと思いますが、しかし、とにかく何かしようとしても抵抗がある。その場合の抵抗というのは、私が判断するところでは、相当企業側、会社側のいわゆる圧力といいますか、そういうものが絶えず作用して、日本におきましてはいわゆる著作権者の権限が、せっかく法律はあるのだけれども空洞化されたりあるいはないがしろにされたりしておる。その非常にいいあらわれが先ほど言いました下請の問題。もちろん下請はだめだなんということを言っているのじゃありません。けれども、それが著作権者の権限を奪い取っていくということは許しがたいことでございまして、そういう点で改善すべき点は改善をしていかなければなりませんが、その意味で決して会社側、企業側の圧力に屈服してはならぬ。その点、著作権者の保護という点を十分に踏まえて今後の著作権問題に対処していくべきである、こういうふうに強調したいわけです。困難な問題はもちろんわかりますけれども、その点を忘れてはならぬということで、今後、幾つかの提案もされましたし、中西さんからも幾つかの問題が出されていますが、これらに対処していただきたいと強く要請したいと思いますが、この点についての文部大臣のお考えをお伺いしたいのです。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 四十五年に著作権法の大改正が行われましてから、著作権の思想の普及に努力を続けてまいったところでございます。先ほど中西委員にもお答えをいたしましたが、定着しつつあると私がお答えをいたしましたのも、なお全しとは私自身、自信の持てない状態であるからでございます。やはり、御指摘のとおりに、著作権というものの価値をあまねく国民の皆さんに十分認識をしていただかなければならないことでありますが、特に、著作物を国民に提供してくれている、媒体になっておられる方々こそ一番著作権というものの価値を正しく認識していただかなければならない方々であると考えますので、ただいま山原委員御指摘の趣旨を、従来も持っておりましたけれども、なお一層肝に銘じまして努力を続けてまいりたい、かように考えるものでございます。

唐沢俊二郎自由民主党

○唐沢委員長代理 池田克也君。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 本委員会で著作権の問題がこのように話題になるのはそうしばしばではないと私は思っております。  先ほど提案の趣旨が大臣から御説明ありましたように、今回の著作権法の一部改正は条約の締結に伴ってなされたわけでありますが、著作権法全体を見ておりますとかなりいろんな問題があると思うのです。     〔唐沢委員長代理退席、委員長着席〕 最初に、これは大臣の認識として、たまたま今回こういう問題が条約とともに出てまいりましたが、今後の問題として、著作権法の持っている問題点をどんなふうに認識していらっしゃるか、お伺いしたいと思います。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 やはり基本的には、今回のレコード条約加盟、そしてその条約加盟に基づきます御審議いただいておりますこの改正案、私は一つの好ましい前進であるということは自信を持って申し上げられると思うのです。  しかし、もう国際的にも隣接権条約というものはすでに現存しているわけでございます。わが国がそれにまだ加盟ができていない。アメリカやフランス等、日本と非常に文化的なつながりの深い大国もまた加盟をしていない。そして国内におきましては、その隣接権条約というものに対する価値判断が、おられる場所場所によって、当事者によって異なる。この統一的な見解を図る努力がまだ残されているわけでございます。  それから、いろいろな社会情勢の変化に伴って、四十五年に大改正をいたしました後、各種各様の問題が出ておろうかと思います。たとえば、先ほどからも御議論にございますし、当院の当委員会での附帯決議ももう以前にもあったことでもございますが、大変なオーディオブームでございまして、しかもそれは青少年に多いわけです。年とった者でも、私なんかもその一人なんですが、そうなってまいりますと、FMチェックしてそれを録音する。全く私的にそれを楽しんでいれば問題がない。しかし、それを人に譲るとか分けるとか、そうするとまた新しい問題ができてくる。そのようなオーディオブームが起こる前ならばいざ知らず、これだけたくさんの家庭にそれだけの施設ができてきた、ここで著作権というものをどう守っていけばいいのか。やはり確かに新しい問題が出てきております。このような問題、従来からも文化庁で審議会に小委員会を設けていただいて検討を続けてまいりましたけれども、なおこの御検討に拍車をかけて文化庁も努力をしていかなければならない、このように考えるものでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 そうしますと、三十条の改正、それから隣接権条約の加盟、大きく言うとこの二つの問題についていまの答弁で具体的なお話があったわけであります。これについては、審議会ということがいまお話に出ましたけれども、審議会も来年の六月にはメンバーの入れかえというような、任期が来るところとなるわけでありますが、めどとして、この三十条の改正や隣接権条約の加盟等についていつごろをめどにしてできるのでしょうか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 もう少し時間をかしていただかないといつというめどは実は明確になりませんが、いま審議会の第五委員会には、今会計年度末までには何とかお答えをいただこう、こういうことでお願いをしているところであります。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 第五委員会、第五分科会はそうなんですが、残りの四まではすでにレポートが出ております。特に第四などはおととしの秋に出ているわけですから、もうかれこれ二年半近い歳月が流れている。この第四委員会なんかでは具体的に西ドイツ方式の採用なども着、実に取り入れろという答えが出ているのですが、こういうことについてのアクションが少し遅いのではないか、私はこういう感想を持つのですが、大臣、いかがですか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 余り遅いわけでもないのです。西ドイツ方式を取り入れたらどうかというお答えもいただいているわけでございます。西ドイツ方式というものについて、実は大ぜいの方の御意見もすでに伺いつつあるところでございますけれども、やはり人そのところどころ、非常にむずかしい考え方がございまして、先ほども私ちょっとお答えいたしましたが、本当に私的に楽しんでおられる人とそうではない場合をどこでどう線を引くか、非常にむずかしい問題があるわけですね。FMチェックでなくても、レコード十枚ぐらいから、レコード十枚というと恐らく歌ならば百曲あるいは百二、三十曲になると思うのですが、その中から好きな歌だけ選んで、自分でカセットテープに編集をして二十二、三曲のものにして、それを自分で楽しんでいる、そういう息子さんを持っておられるお母さんで地域婦人団体協議会を代表される方の中には、自分の子供が自分だけで楽しんでいるものが、なぜ西ドイツ方式でカセットデッキによけいなお金を払わせられることになるのか、どうしてもそれが理解できないという御意見もまたございましたり、大変むずかしい問題があるものですから、統一的な見解をまだつかみ切っていないというわけでございます。なお一層努力を続けさせていただいて、何らかの方法を考えなければならないことでございますからいましばらく検討をさせていただきたいと思います。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 もう一つ私が問題意識として持っておりますのは、先ほど大臣の山原委員に対する答弁の中にも出ていましたが、媒体という人たちの著作権の理解というものですね。たとえば著作者の著作物を活字にしたり、あるいは雑誌や単行本にしたりして編集して出すわけであります。こういう一つの媒体というものが、著作権法上の保護というものからかなりおくれた位置に置かれておるのではないか。隣接権の場合には、放送、有線放送、実演者というふうにはっきりと定義されておりますが、著作権法上は俗に言う編集権みたいなものははっきりとしていない。これは課長さんからお伺いしてもいいと思うのですけれども、最近の形からいきますと、たとえば小説にしても、編集者というものがある面では非常に大きな創作の役割りを占めているのですね。たとえば歴史にしても、もともとの材料を持ち込む場合もあります。あるいは創作意欲をかき立てるために徹夜でがんばってついている場合もあります。私もそういう経験をしてきた一人なんです。いろいろな意味で著作権というものが著作者だけに与えられている。それにかなり大きな貢献をしてきた人たちにとっては、正直に言って何もないのですね。ですから、ある雑誌に連載物が載った、その連載物が完結をした途端に別の出版社から本になる。そこで、営々として努力してきた編集者にとっては、あるいは編集者を集めて給料を払って経営している出版社にとっても、何のメリットもないのですね、こういう点におきましては。私は、そういう点では、契約だからといってもやはり同じく文化に貢献をしていると思うのですね。そして著作権の概念というものがわりと狭く決められていて、そういうことの配慮というものがなされていない。私はそれを大変残念に思っているわけです。著作隣接権の問題になりますと、演奏家の方々の保護の問題、それから、後ほどまた触れさせていただきますけれども、社会に余り出ていない問題かもしれませんが、私はこういう問題もぜひ大きな関心を持って政府としても注目をしていただきたい。たとえば写真一枚にしても、グラビアを飾っている写真にしても、モデルを連れてき、レイアウトをし、あるいはファッションのそうした小道具を集め、全部まわりでやって、カメラマンはシャッターを押すだけ、コマーシャルの言葉じゃありませんけれども、押すだけで一切の著作権限がその撮影者に独占、と言ってはなんですけれども、そういう状況になっているわけですね。  私は、こういう機会ですので、著作権というものの広範な解釈、そしてそれに伴うところのそうした行政上の運用と言ってはなんですが、正直申しまして法改正も必要じゃないか、そういう気持ちを持っているわけです。いま私が申し上げた幾つかの実例について、大臣も恐らくはそういう状況を御推測される立場におありだと思いますが、こういう問題は役所の中で全然話題になってないか、その辺、お伺いをしたいと思うのです。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 大変むずかしい問題だと思うのです。ただ、基本的に申しますと、著作権というものの枠をそう広げることがいいだろうかと、私は実は迷います。ある場合には意匠法がそれを保護することもございましょうし、契約という形で民法がそれを保護していることもございましょう。しかし、いずれにいたしましても、そういう著作権というものの価値、文化活動というものの価値、それを多くの国民の皆さんに十二分に理解をしていただくところからいろいろな問題の解決が生まれてくる。したがって、文化庁が、また文部省もそうでございますけれども、これからそのような権利価値というものを普及をさせていく、正しい認識をより深め、普及をさせていく、そのことにこそ努力が必要なのであって、いまおっしゃったように写真一つにしても、レイアウトだとかいろいろな問題があると思うのです。写真を入れる額も問題がございましょう。しかし、それは著作権の枠を広げて解決できることとは必ずしも思えないような気持ちが私はいたします。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 私、隣接権の問題からそちらの方へ話を広げたのですが、隣接権の中では、そうした枠の広がりといいますか、いわゆる隣接ですね、活字媒体や、そうした紙に固定された著作に関してはいま申し上げたような実態で、なかなか保護しにくい状態でございます。  そこで、この問題だけをやっていても時間に限りがありますので、ちょっと派生的に別の問題をお伺いしたいのです。  文化庁には紛争解決あっせん委員というのが法で決められております。あらかじめ申し上げてなかったのですが、これは一年間にどのくらい持ち込まれているのでしょうか、おわかりでしたら。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 当然のことながら年度によって若干違いがあるようでございますが、三、四件から六、七件という状態のようでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 非常に少ないのですね。ここにまた問題がある。いわゆる著作権そのものは私権ですから、親告罪として、侵害された本人が問題を持ち出さなければならないわけです。しかし、私も美は著作権問題をめぐって法廷で争った経験がありますけれども、ほとんど裁判の判例はないですね。そんなある面では和解のような形になってきている。やはり、法律がこういう形であり、保護するという観点に立つならば、普及が十分じゃない、そして、たとえばそういう紛争解決のあっせん委員などというものが置かれていることすら多くの方々は御存じない。また、記録保存所などがきちっとあって、さまざまなそうした、音に関しても活字に関してもあるいは映像に関しても、国会図書館や放送博物館や、そうしたところにきちっと保存されている、こういうようなことも御存じないのですね。私はそういう意味ではもっと普及をさせていかなければならないと思うのです。  そこで、先ほどの問題にちょっと関連してお伺いしますが、記録保存所は今日町に流れているそうしたいわゆる著作物を十分に把握しているでしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 著作権法第四十四条におきまして記録保存所というものを設けることが規定されておるわけでございますが、これにつきましての記録保存所は現在NHK、民放、各県にもございます。そういうところでありますが、さらに文化庁におきましては東京近代美術館フィルムセンターということでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 ですから、そういうものがあることは私も承知している。そこにちゃんとそうした保存がされているかということなんです。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 私どもとしましては適切な状態で保存されているというふうに考えておるわけでございますが。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 どのくらい捕捉していらっしゃいますか、流されているテープやそうしたものを。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 もちろん常に各県にありますものの全部を調査しているということでございませんが、昨年度、文化庁から職員を派遣いたしましてそれらの保存状態は調査はいたしました。参りましたところはすべて適切に管理されておったという報告に接しておるわけでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 それじゃ、文化庁には著作権原簿というものが、著作権が登録されている原簿があるわけでありますが、これはどうですか、町にいろいろな著作物がはんらんしておりますが、これは大体適切に原簿に登録されているでしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 これは先生も御承知のように、著作権の発生は別に様式を要求いたしていないわけでございます。したがいまして、すべてのものがすべて登録をして初めて著作権として権限が発生するというわけではありませんので、すべてのものが登録されているということではございません。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 いま私がなぜこういう問題を幾つかお伺いしたかといいますと、著作権法というものについて非常に世間で知られていない部分がある。著作物がいわゆる著作権としてきちっと公のところに登記される、登録原簿に記載される、または音でも映像でもそうした公の機関に保存される、こういうシステムなんかも、私が調べたときは、きょうは時間がありませんので余り細かいことは申し上げませんけれども、十分に周知されないまま、日常忙しい作業の中で回転されていっている。著作権というものの運用について、文化庁がこれを所管していらっしゃるのであれば、もう一遍そういう問題を一つ一つ洗い直していただいて、そしてさらに、現在決められている法規の中で保護される、そうしたシステムがあるわけですから、そうした問題を普及徹底されるべきじゃないかと私は思うのですね。  きょうはたまたま著作権の問題が俎上に上がりましたので私はそういう要望を申し上げたわけでありますが、本論に入って、私がきょうこの法案審議に当たって問題にしたいのは実演家の利益という問題であります。  今回の法改正では、いわゆる海賊版のレコードの問題が大きくクローズアップをされてまいりました。この海賊版レコードについて、いわゆるレコード製作者というのは大きいものから小さいものまでいろいろあると思います。参議院に参考人がおいでになりまして述べられた記録を拝見しますと、ほとんど大手のレコードメーカーが香港あるいは東南アジア地域でそうした海賊版の被害をこうむっておる、こういう実情でございましたが、私は大手と申し上げましたけれども、大部分大手だというふうに私は理解しておりますがそれに間違いないでしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 実態といたしましてはそういうふうに考えてよろしいかと思います。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 つまり、大手のレコード会社はこの法律で守られているかもしれません。しかし、私は著作権の問題を考えるときに、この陰にあって、一人一人のいわゆる演奏家という方々の権利というものが十分に保護されているかどうか、私はここに大きな問題意識を持つわけであります。もうすでに何度もお話が出たかもしれませんけれども、隣接権とはそもそも実演家、レコード製作者、さらに放送事業者の三者である、こういうふうに定義をされているわけであります。この隣接権という定義の中の実演家とは一体どういう種類の人々を指すんでしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 実演家につきましては、著作権法では第二条の第一項四号に定義がございまして、「俳優、舞踊家、演奏家、歌手その他実演を行なう者及び実演を指揮し、又は演出する者をいう。」ということでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 この実演家の権利の保護というのはどういう形で行われているんでしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 権利の保護といたしましては、著作権法でいわゆる隣接権というものを与え、かつそれの権利の行使につきまして、いろいろ権利侵害があった場合にいろいろな制度を設けておるなどでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 ところが実演家はお一人お一人です。集団じゃございません。したがって、権利侵害があっても泣き寝入りしている場合がある。すでに法そのものの中にも、隣接権自体は保護期間が二十年と、著作権本来から比べますとずいぶんと短いものになっています。映画に入れることを同意いたしますと、その映画の複製については権利主張ができません。また、放送される実演の有線放送や、自分が許諾を与えて録音したレコードなどによる実演の放送、有線放送等には許諾権が与えられていません。放送に同意すると、それ以後の番組のリピートとかネット放送については放送事業者との間の特別な規定がある。こういう状態で、実演家の保護という点については法自体もかなり引っ込んだ形になっていると思うのですね。それは事実でしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 これは御意見かと存ずるわけでございますが、いろいろ評価はあろうかと思いますが、日本の著作権法は、先ほど来からお話の出ておりますローマ条約を参考としておりまして、その限りではいわゆる国際的水準を行くものであると考えるわけでございまして、著作権と著作隣接権と比べた場合にどうかということについては、これはまたいろいろな比較はできようかと思いますが、おおよそ隣接権として国際的水準は行くものだというふうに考えたいと思うわけでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 いま私が申し上げたくだりは、実は佐野いまの大学局長がある著書で質問に答えている部分なんですね、私の感想ではなくて。要するに、いわゆる実演者の利益というのは非常に権利主張のしにくい形になっている。ですからそれを逆に、法ではさまざまな配慮のもとに守るような体制にしてあげなければならない。弱い者の立場です。逆に言うと。放送事業者はむしろ大きな企業であります。そういう意味では、法律自体の問題もあるのですが、その運用の中でそれを保護していかなければならないと私は思うのですね。先ほど大臣もおっしゃっておりましたが、私はきょう、その一つのわかりやすい例としてカラオケの問題を取り上げてみたいと思っているのです。  私が見た資料では、音楽関係の労働組合の方々がいわゆる音楽春闘会議というのを持たれまして、三月三十日に文化庁に対して申し入れをしたそうであります。これに対して、文化庁としてはカラオケブームの対処について検討することを考慮している、こういうふうに答弁をされているわけであります。これは事実でしょうか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 いま先生の御指摘の事実は、著作権課でいろいろお話し合いがありましたときに、文化庁として十分そこら辺のお話は聞いておきまして、文化庁として必要な検討はしたいというふうなことは申し上げた経過はあるようでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 現在、文化庁として、このカラオケというものにどういう問題点が含まれているとお考えになっているか、現在までの分析状況をお聞かせいただきたいと思います。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 カラオケの盛行の実態に伴ういろいろな問題点があるわけでございまして、特に実演家の保護という問題につきましてはしばしば国会におきましても御指摘になっておるところでございます。  そういうような問題のほかになお著作権として一、二、問題があるのではないか。一つは、最近の事実のようでございますが、カラオケの海賊版というものがごく最近出回っているケースもあるようでございます。これはレコード協会の方におきまして必要な調査、告発等の準備をいたしておるということでございます。そういうような問題点が一つ。  それから次の問題点は、著作権法の問題に関係いたしますが、カラオケテープによる実演家の機械的失業の点は御指摘になっておるわけでございますが、これに対します法制度の問題といたしましては、著作権法附則第十四条におきまして、いわゆるレコードによる音楽の演奏につきましては、隣接権者につきまして録音権はありますけれども公の演奏権は与えていない。これにつきましては、附則十四条におきましていわゆる音楽喫茶等のものに限定いたしまして公の演奏権を認めておるということでございます。実演家の利益を擁護する立場からは、いわゆるカラオケはレコードとわれわれは考えるわけでございますので、カラオケの使用によるレコードの二次使用料的なものが隣接権者に与えられなければ実演家の保護としてはできないということになるわけでございまして、これにつきましては、著作隣接権の中でレコードの二次使用料を認めておるのは放送業者と有線放送業者だけでございますので、この問題については法制度の問題に関係いたしてくるわけでございます。そういうような問題点については将来の課題として研究をすべき問題ではなかろうかというふうに考えておるわけでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 そうすると、名曲喫茶というのは認められているわけですね。これはどうですか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 いわゆる著作権としましては認められておるわけでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 しかし二次使用の支払いとしては認められてないわけですね。いまの次長のお話を伺いますと、検討する、つまり、カラオケというものを使って営業をしている場合には、そこからのいわゆる隣接権者に対する何らかのそうした金銭的なものを考えなければならない、こう理解していいですか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 私どもの考えといたしましては、カラオケというものがこんなにまで非常に近近のうちに普及したということは、一応は国民大衆にとって非常に簡便な手段で音楽が楽しめるということではなかろうかと思います。また、これに対するいわゆる音楽喫茶、バー、キャバレー等におけるところの普及につきましても、簡便な手段で普及できるということもあったかと思うわけで、こういうものが一時的現象であろうとは考えられないのじゃないかと思うわけでございます。したがいまして、恒久的な姿で実演家を保護するということからいいますならば、いわゆる放送ないしは有線放送が行うところの商業用レコードの二次使用料だけという問題につきましては問題が残るのではなかろうかということでございまして、直ちに私どもがこれについての必要な検討をするということではなくて、問題点として、将来の課題として考えるということでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 ちょっとさっきの答弁より引っ込んじゃったですね。九十七条の改正ですよね。要するに、放送それから有線放送プラスそうした音楽を使って営業をしている人たちをやはり九十七条にも含めよう、それを検討する、そういうことですね。もう一遍そこのところを、非常に重要なところなんです。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 附則第十四条におきます音楽喫茶ないしはバー、キャバレー及び劇場、この三つが現在指定されておるわけですが、ここにおきましては当然レコードの二次使用、カラオケの二次使用ということまでが隣接権の対象として認めなければならないわけで、現在はそれは認めていないわけでございます。そこらあたりの問題点を私どもとしては意識をしている、将来の問題としてはこれは研究しなくちゃならぬ課題ではないかというふうには思っておるわけですが、直ちにいますぐこれに対しまして検討を始めるというところまでは、まだもう少し時勢の状況等を見たいという考え方でございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 将来の問題として、検討しないのですか、検討する方向にあるのですか。その辺、もうちょっとはっきりしてください。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 将来の課題として研究する課題ではあるというような問題意識は持っているということでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 そうすると、課題として紙に書いておくということだけですか。

吉久勝美文化庁次長

○吉久政府委員 そこらあたりにつきましてはまだ詰めて考えておりませんが、今後における時代の推移だとか、あるいは国会における論議等の方向性等も考えまして十分検討したいというふうな考え方でございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 大臣、いかがですか、お聞きになっていて。これは相当大きいのです。正直言って、機械的失業ですね。バンドマンの方々が仕事がなくなっちゃっている。要するに、いままで盛り場の風俗営業のお店で小さなバンドが入っておった、あるいはピアノを弾く、こういうことで生計を立てていた方がかなりあるわけです。小さく見積もっても四千人の労働組合があるわけです。こういうような方々が、このカラオケの出現によって時間が短くなった場合があります。たとえばいままでは一晩何時間かやったのがもう半分でいいというようなことになって、二軒かけ持ちみたいになったり、あるいはそういう派生的な状況の中でだんだん仕事を失っている。こういう実態で生活権が脅かされている。この問題は社会問題としてもう新聞にもかなりたくさん書かれておりますし、組合の方々も本気でことしあたりは運動を展開されているのですね。いまの次長の認識は紙に書いて課題として一応とどめおくという、とてもこれではおさまらないぐらいな大事な問題になってきているのですね。これは大臣はお聞きになっておられて、当然御関心のある問題ですし、そういう社会的な状況になっていることも御承知だと思うのです。このいま問題になった九十七条に追加して、いままで放送、有線放送という状況だったのにプラスして、そうした、あらゆるとまでは言いませんけれども、営業用に使っているところの二次使用というもの、これを具体的に法律を動かす、そして法改正もしくは運用の点で何かそういう形をお考えになるという御意思はありませんか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 カラオケというものが非常に大衆に受けて、テープの数など、ちょっと驚くほど大きな数になってきております現状は承知をいたしております。これがなお、さらにふえていくのか、そういうことに十分関心を持っていきたいと思うのです。ですから、いま御指摘のようなことも将来の検討課題だと考えますけれども、ただ、飲食店その他でカラオケによって小編成のハンド等が出演機会が減っている、二次使用料をカラオケのテープからも取ることにすることによって生の演奏家の仕事量を回復できるかどうか、ちょっと私、別の問題もそこにあるのじゃないかという気がいたしますので、そのこともひとつあわせて、それはそれで大事なことでありますから、それらのことも十分関心を持って検討いたしたい、かように考えます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 検討していただくということです。いまおっしゃるように、二次使用料を徴収することによって必ずしも問題が解決しない、私もそう思います。ただ、多面的な問題が必要だと思いますね。  そこで、若干問題が変わりますが、音楽大学の卒業生というのは毎年どのくらい出ているのでしょうか。これは大学局長が見えておりませんけれども、音楽大学の卒業生がどういうところへ就職しているか、こういう状態について私も関心を持っているわけです。調べましたところ、ある音楽大学で四百六人の卒業生がいまして、その中でいわゆる楽団員となった人は六人だというのです。あとは全部教員もしくは楽器会社の町々にあります小さなピアノ教室、そういうところへ就職をされている。日本の文化の水準を高めなければならないし、その一番の行政的な責任者に大臣はお立ちになっていらっしゃると思うのですが、食えない、言葉は悪いのですけれども、いわゆる音楽の演奏家では食べていけない。東フィルの労働組合の例が新聞に出ておりましたが、全員大学卒で、平均年齢三十三歳、月収平均十一万円ですね。不景気の上にカラオケブームにアルバイトも奪われ、もう背に腹はかえられません。百円玉一個でフルバンド演奏を売る、こういうような状態になって職場は奪われてきている。その結果として、数多くのデータもございますけれども、そうした、一生懸命音楽を演奏し、隣接権者として日本の文化に貢献をしようという若い人たち、若い人たちばかりではありません、年輩の方も含めてでありますが、この方々の生活権が脅かされている。私はこれは重大な問題だと思うのです。きょうはお答えいただけないと思いますが、機会がありましたら、ぜひ大臣、音楽大学の卒業生がどのくらいの就職の機会を得て、どういう暮らしをしているか、こういう実演家の生活の実態を一遍お調べいただくわけにいかないでしょうか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 その問題、一遍勉強させていただきたいと思います。  ただ、明確なお答えになるかどうかわかりませんけれども、そういう輸入音楽といいますか、クラシックファンもずいぶんな勢いでふえている。ロックのファンもふえている。したがって、そういうレコードの売り上げもまたふえていっている。需要がだんだん高まっていっているのに、生の音楽家の職場が同じようにふえていってはいない。やはり日本の現代文化振興のための大事な一つの問題点であると思います。私どもが第二国立劇場を早く建設をして、これは建物を建てるだけでは済まないという気持ちが実は私はしているわけでございますが、第二国立劇場ができて、第一国立劇場が伝統芸能を保存、保護していくように、第二国立劇場で現代芸術にできるだけ、たとえば生の音楽にもっと大ぜいの方が触れていただく機会をふやしていこう。その二国の中で何をプロモートしていくかとなりますと、シンフォニー一つ考えましても、なかなか自前では営業的な経営が困難な状態にある。二国をつくりますからにはその中身のことも、これはよほど腹を決めて新しいやり方を考えなければならないのじゃないか。そこで、あるいは国が一つの責任を持つことも考えなくてはならないのじゃないだろうか、そのようなことも実はいま勉強しているところでございます。またそうでないと、そういうことが何か考えられませんと、音楽のファンがどんどんふえていってレコードの売り上げがふえていっているのに、生の演奏家の職場がふえていかないというのはどこかに何かの欠陥があるわけでございますから、音大卒業生の就職の行く先とあわせて、そのようなことを少し勉強させていただきたいと思います。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 これは非常にいいお話ですね。私は二国の場所選定については注文しましたけれども、二国をつくることは私も賛成です。それと同時に、いま大臣がおっしゃるように、生演奏を聞かせる機会というのをこれは国の責任で考えるということを大臣はおっしゃった。これは非常にいいことだと思うのです。(砂田国務大臣「考えねばならないのではないかということです」と呼ぶ)どうなんですか。御遠慮なさらないでいただきたいと思うのです。私はこの問題は国民的な大きな問題だと思うのです。テレビやレコードは普及しています。しかし、ある音楽鑑賞団体がいわゆる公益として、小学校や中学校にバンドを送って、オーケストラを送って生の音楽を聞かせる、そのことによってどれほどか子供たちが喜んでいる、そのことによって、どちらかといえば激しい受験競争の中で、砂漠とまではいきませんけれども、かなり厳しくなってきている学校教育の中で生のそうした機会があるということは、私は非常にいいことだと思うのです。いま大臣は考えなければならないとかとおっしゃったのですけれども、もう一遍その辺、正確に御決意としてお伺いしたいのです。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 二国の建設が終わりますのはまだ大分先でございますから、恐らく私は文部大臣はもうやっていないと思うのですね。ですが、二国はできた、その中身はどうするのだ、何をプロモートしていくのかということを、いまのバレエであるとかシンフォニーオーケストラであるとか、そういうものの経営状態を見ておりますとこれは何か国も考えなければならないのではないかなということを感じておりますので、率直にお答えをしたわけでございます。もう少し先のことでございますから、いまから決意であるとかこうやるとか、残念ながらまだ申し上げる時期ではございません。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 せっかくいいところまでお話が出たのに……。  しかし、私、こういうことを申し上げたいと思うのです。これは日音労が文化庁に対して申し入れをしております。「日本の文化生活に重要な役割を果しているポピュラー音楽(ライトミュージック)では、機器の発達と普及により生音楽激減の被害は計り知れないものがあり、このためこの分野の衰退は著しく、貴庁は勇断をもって大衆音楽文化発展のためポピュラー音楽にも積極的に助成を考慮し、その実現を図っていただきたい。オーケストラに対しても助成するように。  私は、大臣の最初のお話は、国として責任を持って二国と同時に生音楽の機会をつくるというお話のように承りました。文化庁長官もお戻りで、恐縮ですけれども、この助成ですね。そうして生の音楽の機会をもっと私はつくっていかなければならないと思う。何も私はカラオケを目のかたきにするわけではありません。これはまたこれで、一つの社会現象として伸びていっていることは私は結構なことだと思います。しかしその陰で、本当の演奏家が機会を失い、日本の音楽水準が落ちるということになることは嘆かわしい。せっかく音楽大学を卒業されても、さっきおいでにならないときにもお話ししたのですが、四百六人の音楽大学卒業生で楽団に入った方が六人しかいない、こういう状態は私は本当に嘆かわしいと思うのですね。したがって、この助成をもっと強化する、こういうことは文化庁長官、いかがでしょうか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 各種芸術団体に対する助成の措置は従来から文化庁も力を入れております重点予算の一つでございまして、五十三年度におきましてもかなりの増加を見ておるわけでございます。なお、先生の御指摘のような現状からいたしますると、そういう方面の助成を拡充しなければならないと私ども考えておりますので、今後とも努力してまいりたいと思っております。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 長官がお帰りになりましたので、実はここに持ってきたパンフレットなんです。が、これはカラオケなんです。カラオケなんですが、カラオケの演奏をバックにしてお客さんが歌を歌うのです。バックにして自分が歌った歌を足して、そしてパックにしてお客さんに売るというのです。値段は千五百円だそうです。こういう機械をこうやって宣伝して売っているわけです。そういう機械が開発されているわけですね。これは著作権から見てどうなんでしょうか。著作権法を侵害しているのじゃないかと私は思うのです。演奏されているのですよ。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 著作権思想の普及につきましては私どもかねてから努力いたしておりまして、いろいろなテープ等の機器のパックの中にも、これは私的利用の範囲を超えたら違法ですよという指導をいままでもしておるわけでございます。そういう点から見ますと、いまのようなことが仮にあるとすればかなり疑問があると思います。よく検討してみたいと思います。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 参考までに申し上げますと、新聞の記事ですけれども、要するに、レコード協会が市場調査など監視を強めているけれども、バーやスナックの中には客寄せの手段としてカラオケのほかに客の歌を録音もしくはビデオ録画するところもあって、取り締まりに頭を悩ませている。  レコード協会が取り締まりに頭を悩ましているというのですね。こういう状態を文化庁としてはどうごらんになりますか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 いわゆるカラオケブームそのものでございますね。素人の人がああいうもので歌うということ自体、これは国民の中にある歌が普及していくことでございまして、それ自体をとやかく言うべきではないかとも思います。しかしながら、それに絡みましていまのような著作権の不当使用というようなことが起こってくるとすれば確かに問題があろうかと思いますので、その点は十分調べまして、どういう手を打ち得るのか、またどういうところとの関連が出てくるのか、十分検討を進めて対処いたしたいと思っております。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 この取り締まりに頭を痛めている。つまり、現実に生活が脅かされる。そして、自分たちがある契約のもとにスタジオで吹き込んだテープが町に出ていった、それが三十条で私的に利用されている分には問題がありません。それが営業に使われている。先ほど次長の御答弁だったのですが、この次長の答弁では、カラオケブームの中で、九十七条にうたわれている二次使用の問題として、いわゆる営業に使われている、もっと広範な地域における問題もカバーするような方向で考えている、こういう御答弁があったわけですが、長官も同様でいいでしょうか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 今後の大変大きな課題として、私もそのように意識いたしております。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 最後になりますけれども、第四委員会で答申が出ておりましたが、要するにコピー公害の問題、ゼロックスとか、そういうふうな複写、こういうものに対してさまざまな問題提起が今日なされております。先ほど大臣からも、西ドイツ方式というのはかなり問題があって、会の中でも、あるお母さんなどからはおかしいじゃないか、そういう意見も出ている。しかし、少なくともそういうような私的使用、三十条を超えたさまざまな状況というのが今日出てきておる。友達を集めて聞かせる、貸してあげる、こういう行為がかなり普及してきたわけです。三十条を見直して改正するというお考えはないでしょうか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 複製の問題につきましては、確かにいろいろ検討すべき課題があるということ、それから機器そのものに西独方式でかけていくというやり方、それも一つの提案でございます。そういうことはわかります。しかしながら、やはりこれは実態なり、それからその及ぼす影響、それから、先ほど文部大臣から申し上げたかもしれませんが、三十条の正当使用をしておる人たちにまでその費用がかかっていくという問題とか、そういう問題をもう少しはっきりさせませんと、いまの段階で、こういうふうにしたらいい、あるいは改正を必要とするというところまで踏み切った結論は出しにくい状況にあるわけでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 先ほど長官のおいでにならないときに出ました問題ですが、係争です。著作権をめぐる裁判あるいは紛争解決のための委員会がございますね。これについて一年間に三、四件しか持ち込まれてない。今日、そういうような公に明るみに出ている、そうした著作権法上の争いというのはそうたくさんあるわけじゃないと思うのです。しかし、隠れたところにさまざまな侵害というものがある。むしろこういう協会のようなところが一生懸命になって追っかけて取り締まりに苦労している、しかし、実態としてなかなか追いかけ切れない。私は、著作権法全体の中で幾つも幾つもこういう問題が出てきていると思うのです。たとえばモータードライブのカメラというものが最近出てきております。モーターで一秒間に何こまというように撮りますね。こういうような問題も一枚一枚著作権が発生するのか、いろいろな問題が出てくるわけです。それからまた雑誌などにおける小見出し、いわゆる文章というものの中に見出しがあります。これなども厳密に言えば著作人格権、一々著者に小見出しを相談しなければならない問題ですね。こういうような問題をずっと洗ってみますと非常に問題が多いわけです。  そういうような意味で、この著作権法全体を時代に合わせて見直していく。昭和四十五年の改正の時点でも附帯決議がなされまして、かなり広範な問題提起がなされておりまして、それはやっていらっしゃると思うのですけれども、ここへ来て、先ほど来の議論のように具体的な問題が幾つも上がってまいりました。これは文化庁としてもう一遍ずっと見直していくという御意向はないでしょうか。

犬丸直文化庁長官

○犬丸(直)政府委員 御指摘のように、いま高度情報社会とかいうような世の中でございまして、いろいろな形の新しいアイデア、観念を伝達する方法とかいうものは日進月歩でございますので、著作権制度もそれにマッチしていかなければならないという基本的な姿勢は当然そのとおりだろうと私どもも考えております。ただ、いままでのところ、日本は著作権関係においては、従来、後進国と言ってはおかしいのですけれども、十分新しい情勢に対応していなかったのを、最近、著作権法を全面改定いたしまして、ようやく法制的にはほぼ欧米一流国並みのものになってまいった。いまはそういう段階でございます。それで、そういうやっとでき上がりました現在の法制が本当に定着するように、単なる制度の上だけでなくて、そういう努力をまずしなくてはいけない。もちろんそれと同時に、将来の社会を目指してどうあるべきかということも検討しなければならない。そういう両面の課題を持っておると私は思いますので、いますぐ、また著作権法を全面改定するというようなところまでまだなかなかまいりませんけれども、長期的にはさような観点から検討を続けてまいりたいと思っております。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 最後に大臣に、この著作権法の問題のやりとりをずっとお聞きになっていらしたと思うのですが、いまの生演奏の問題、私はこだわるわけじゃありませんけれども、ぜひこれは前向きで具体的な対策、施策をお考えいただきたい。大臣、第二国立劇場ができるころには在任しないかもしれないなんておっしゃっておりましたけれども、大臣が在任された間につくり上げた大きな業績というものは後世に残るものだと思うのです。以前にも、公共の学校や建築物の一%の予算を使って美術的な装飾をつくったらどうだというような提案もありました。私は、砂田大臣の在任中に、生演奏家のそうした機会を保障し、さまざまの若い人たちに、全国津々浦々に生のオーケストラを聞かせる、こういうことができるならば、砂田文教政策の後世に残るすばらしい事業になるのじゃないか。検討することを考えるなんというのじゃなくて、ぜひこれを前向きで検討していただきたいのですが、最後に重ねてですが、いかがでしょうか。

砂田重民自由民主党文部大臣

○砂田国務大臣 大変ありがたい御支援の御発言をいただいたわけでございますが、生演奏に直接接していただく機会をできるだけふやしていく努力は当然しなければなりませんし、これは先のことではなくて直ちにやってまいります。まだはっきり最終的に決まっているわけじゃございませんけれども、ちょうどことしの芸術祭の文化庁の自主番組というようなものも音楽をテーマにということでほぼ固まっておりますので、そういう機会もふやしていこう、ただいまそういう姿勢でいるわけでございます。できるだけ大ぜいの国民の方方に生演奏に接していただく機会をつくるためのいろいろな努力をいたしまして、好ましい方向へ向かって、少なくとも在任中にともしびだけはともしておきたい、かように念願をいたすものでございます。

池田克也公明党・国民会議

○池田(克)委員 終わります。

菅波茂自由民主党

○菅波委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————

菅波茂自由民主党

○菅波委員長 これより討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。  著作権法の一部を改正する法律案に賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕

菅波茂自由民主党

○菅波委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決いたしました。  なお、ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

菅波茂自由民主党

○菅波委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————     〔報告書は附録に掲載〕     —————————————

菅波茂自由民主党

○菅波委員長 次回は、来る十二日開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二分散会      ————◇—————

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