文教委員会 第4号
- 発言数
- 210 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1978/03/03
会議録
○菅波委員長 これより会議を開きます。 日本学校安全会法及び学校保健法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求の件についてお諮りいたします。 本案について、本日、参考人として日本学校安全会理事長渋谷敬三君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○菅波委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 なお、参考人の御意見は委員の質疑に対するお答えでお述べいただくことにいたしますので、御了承願います。 —————————————
○菅波委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。水田稔君。
○水田委員 学校における災害については、長年の懸案であったわけですが、現在の安全会法が三十四年の四月に制定されまして給付を行ってきたわけであります。が、それは内容的にもきわめて不十分でありますし、また給付の期間等についても不十分であったわけであります。特に最近の情勢というのが、教師の通常のいわゆる注意義務を果たしておってもなおかつ損害賠償等の問題が起こってくるなど、多くの問題が起こってきた中で、昨年のこの文教委員会で、何とかしなければならぬということで、特に死亡と不具廃疾について、いまの制度と別の制度で何とか救済の方法をという考え方がまとまったわけであります。 それに対する提案でありますが、学校災害を考えるときには、まず災害を起こさないということを考えなければならない。そして、起こった場合にどう救済するか。この学校安全会法というのは起こった場合の救済だけであります。そして、学校で災害が起こらないようにするためには、一つは物的な条件というものがあるわけです。一つは人的な条件があると思うわけです。ところが、高校とか短大とか高専、大学、幼稚園などには法律で設置基準が定められておるわけでありますけれども、義務教育の小・中学校については設置基準というのがないわけです。あるのは補助金要項の中で決めてあるわけでありまして、これは安全に対する基準ではないわけであります。その安全を考える場合、義務教育諸学校についての設置基準をまず決めるということが必要ではないかと思うのでありますが、大臣のお考えをまずお伺いしたいと思います。
○砂田国務大臣 基準につきましては、先生御指摘のように、学校教育法施行規則等におきまして大綱が定められておりますけれども、御指摘のようにこれは補助の絡みでございます。おっしゃるとおりでございます。安全基準といたしましては、児童、生徒の安全を確保いたしますために、技術的基準と設計計画に関するもの、維持管理に関するもの、両面から考えなければならないと思うのですが、このような基準を定めようといたします場合に、日常におきます事故防止はもとよりでございますが、非常時の場合の生徒、児童の安全確保、これも含めて、学校施設にかかわるすべての危険を防止するための技術的水準というものを内容とする必要がございます。しかし、このような意味での安全基準を定めますことは、たとえば、今日、施設の設計計画につきましては、技術的基準は建築基準法等によって規定をされておりまして、この法令に基づいて施設の安全性が担保されることがたてまえとなっておるわけでございます。仮に建築基準法等とは別に安全基準を定めようといたしましても、児童、生徒の行動、性情や、学校建物に対します機能上のさまざまな整合性と申しますか、そういうことを考えますと、基準値というものを定量的に決断することがなかなかむずかしい点があるわけでございます。また、施設の維持管理の面では、設置者が行いますのがたてまえでございますが、これを行うに当たりましては、設置者が、当該地域と申しますより、むしろ学校の立地条件、それに基づいた学校設計あるいは気象条件等も踏まえて、自主的な判断に基づいて実施するという考え方が学童の安全を確保するという意味からも一番適切ではないか、このように考えまして、安全基準というものを建築基準法等から離れて別に決めてない実情にあるわけでございます。
○水田委員 いまの大臣の答弁は、現状やむを得ない。そこで起こることは、文部省が学校の安全基準についてきちっと決めてそれを守ることができてないところで起こる。義務教育の子供は、本人が行きたくないという意思があっても全部行かなければならぬ、必然的にそこへ行かなければならぬ、そこで起こることですから全部責任を負わなければならぬ、逆に言えばそういうことになるわけです。 内容的に言いますと、たとえば建築基準法というのは建物の強度の問題であって、そういう意味の安全性であって、そこで、十分な注意、判断力がまだ発達してない生徒、児童が、しかも集団で、限られた先生の管理下にあるということで危険が存在しておる。それに対する安全というものは基準法では全くないわけであります。それが一つ。もう一つは、たとえば補助金にしても、最近大分改善されましたけれども、全部が見られてない面が部分的にはあったわけですね。そういうものは全く地方の負担ということになっておった。そこらを含めて安全ということを考えれば相当な金が要ることは確かで、いまの補助金というものを大幅にふやしていかなければならぬと思うのです。そういう点は全く触れられないで、建築基準法とか、あるいはそれは地方の立地条件によってそれぞれが考えたらいいというのは、いわゆる学校の安全ということを文部大臣が考える考え方としてはきわめて消極的というか、逃げておる、そういう答弁としかとれないわけです。ですから、確かにいまは法律に規定もないし、補助金要領というのは、とにかくこれだけの人数ならこれだけの面積というような基準で金を出していくということだけですから、安全ということをもう少し積極的に考えるならば、何らかの措置をこれから考えるという姿勢がなければならぬと私は思うわけです。その点についてもう一遍大臣の御答弁をいただきたい。
○砂田国務大臣 義務教育諸学校の大部分を占めます、財政措置を伴います公立義務教育諸学校の学級編制及び教職員定数の標準に関する法律や、義務教育諸学校施設費国庫負担法等の基準は、そんなにまで安全を考えないで行われているものではございません。文部大臣に学童の安全を守る義務は当然あるわけでございますから、安全のことを考慮しながら決めております細則でございます。 建築基準法につきましても、建物の強度だけのことを建築基準法で決めているのではございませんで、廊下の広さであるとか踊り場であるとか、そういう点につきましても、安全という観点からも建築基準法は決められているところでございますので、管理局長から建築基準法の内容について少し御説明を申し上げたいと思います。
○三角政府委員 建物の関係に関しましては、大臣から御説明ございましたように、国の体制といたしましては建築基準法の体系で施設の安全性につきましても担保されるのがたてまえになってございまして、もちろん、先生御指摘のように、建築基準法の非常に中心的な規定といたしましては建物の構造、強度、そういった面でございますけれども、あわせまして、基準法並びにその施行令におきまして、環境衛生の確保に関する事項とともに安全確保に関する面が基本的に規定されておりまして、ただいまちょっと大臣から申し上げましたような階段、踊り場というような規定もございますが、たとえば木造などの校舎の場合の構造耐力でございますとか、構造計算の仕方でございますとか、それから耐火のためのいろいろな手当て、防火壁でございますとか、屋根裏まで届く間仕切り壁をつくるべき基準でございますとか、階段、廊下あるいは屋上広場の手すりでございますとか、その他ございますが、一々全部挙げるのはなんでございますが、安全確保のための規定がなされておるのでございます。 それからもう一点つけ加えまして、いろいろな面で、義務教育施設費国庫負担法に基づきます建物の面積でございますけれども、これにつきましては年々改善を加えてまいりましたが、明年度の予算で約二八%の改善をいたすべく、予算でお願いをしておるところでございます。
○水田委員 この論議は幾らしてもだめだと思うのですが、そもそも十分な注意能力というものが発達していない子供が義務的に集団でそこで生活する。だから十分してもなおかつ起こるということで、学校安全会法もできたし、今度の改正もやろうとするのですが、いまの金を流す補助の基準、いまの建築基準法では、そういう子供の集団でおるところに対する安全ということまでは決めていない、実際には、一般的な建物全体の中での基準にしかすぎない。子供の安全だけに限定した基準はないと思うのです。最後に一つだけ大臣にこの点についてお伺いしたいのですが、いまの学校の施設で安全については心配ない、こういうぐあいにお考えかどうか、お伺いしたいと思います。
○砂田国務大臣 当委員会で、昨年の国会で十分御審議をいただきまして、こういった互助共済の制度、給付、その他まことに不満足なものである。私といたしましては大変好ましい方向の結論を当委員会でお出しをいただきまして、それを受けて今回の安全会法改正になったわけでございます。したがって、やはりそれは児童のために、両親のために、そして教師のために、いろいろな方途を多角的に望んでいたします改正でございますから、教育内容が非常に活発に充実されていくことを希望いたしながらの改正でございますので、安全を守るための施策等につきましても、まだまだ私どもはさらに改善の努力をしていかなければならない、かように考えておりますので、その努力をしてまいりますことは明確にお答えをしておきたいと思います。
○水田委員 それでは具体的に、一つは物的な条件でお伺いしたいのですが、現在危険校舎というのがまだまだ大分あるわけであります。これは自治省の公共施設の状況調査によりますと、一九七五年の調査ですから、もうすでに三年たっておりますから若干違うと思うのですが、学校比率では小学校で二六・八%、中学校で二〇・九%、面積比率では小学校八・三%、中学校五・三%、こういうぐあいになっているわけです。一体現状というのはどういうぐあいに文部省としては把握をされておられますか。
○砂田国務大臣 五十二年五月一日現在におきます調査がございますが、それによりますと、小・中学校の要改築面積、危険校舎と言われるものでありますが、五百六十六万平米ございます。 あわせてお答えをさせていただきますが、これらの改築対象面積のうち、設置者でございます市町村が改築計画を持っております、その計画で当面実施可能なものは、五十二年度二次補正と五十三年度予算、この十五カ月予算で市町村自身が持っております五十三年度改築分をすべて受けていこうということで、二百三十五万平米を十五カ月予算で解消をする、そういった十五カ月予算を補正と五十三年度本予算に計上したわけでございます。いままでやっておりました五カ年計画でいきますと、これは毎年七、八十万平米の新しい危険校舎が出てくるわけですから、五カ年計画のテンポでいきますと追いつきません。そこで三年で何とかやりたい。三年でいけば追いついていけることになりますので、ことしのこの十五カ月予算で取り組みます二百三十五万平米、このペースでまいりますと、市町村にそれぞれ三カ年計画を立てていただいてやってまいりましたならば、大体三カ年で六百五十二万平米が、五千五百点まで点数を緩和をいたしました上で六百五十二万平米が三カ年で解消可能だと思いますので、まさに追いついていけることになるわけでございます。こういったことで老朽校舎による危険から児童たちを解放していきたい、かように考えて努力しているところであります。
○水田委員 同じように、屋体というのは、そこで激しい運動をやるわけでありますから、その状況というのは決して無関係ではないと思うのですが、屋体の面積の不足する学校ですね、特に屋体が小さい、面積が足りないというようなところは特に込み合う。激しい運動をやるわけですから事故が起こる率は多くなると思うのです。そういう点で、屋体の不足する学校比とか面積比は一体どういうぐあいになっているか。これは自治省の一九七五年の調べがありますが、文部省の方で調べた数字をまずお聞かせいただきたいと思います。
○砂田国務大臣 いま管理局長が資料を出しておりますので、その前に私からちょっと補足させていただきますが、先ほど私がお答えをいたしました危険校舎の五十二年度の調査数字、それからこれから取り組んでいこうとしております数字の中には危険屋体も入った数字でございます。
○三角政府委員 失礼いたしました。 屋体の保有の状況でございますが、昭和五十二年度の調査で申しますと、全国の小学校で保有しているのは、校数で申しまして八三%、したがいまして保有しておらない学校が一七%、中学校で申し上げますと、保有しておるのは八九%、屋体を持たない学校が一一%、そういう状況になってございます。
○水田委員 面積比はどうなっていますか。
○三角政府委員 面積比についてはいま手元に調査資料がございませんので、お許しがあれば後刻御報告させていただきます。
○水田委員 さらに、安全会の資料によりましても運動場による事故というのが大体三分の一を占めているわけですね。数字を見ますと、非常に狭いところでは激しい運動ができないからむしろ少ない。それから、基準よりやや少ないところが事故が一番多くなって、基準どおりあり、基準をオーバーするところは事故が少ない、こういうことですから、グラウンドの整備ということも大変大事なことなんですが、これらの状況。そしてまた運動場の材質ですね。アスファルトが、転んだ場合すぐけがします。その次が土で、芝生が、けがが一番少ないということでありますが、そういう整備の状況は一体どういうぐあいになっておりますか。
○柳川政府委員 運動場の舗装状況につきまして、文部省で、ちょっと古い調査で恐縮でございますが、五十年に調査をいたしております。それによりますと、ほとんどの道府県ではアスファルト化した個所はきわめて少ないという状態でございます。たとえば北海道では小学校で四校、中学校で一校がコンクリート舗装しておる。あるいは群馬県で小学校一校のみがアスファルトである。それから神奈川県が若干高うございますが、小学校十三、中学校三がアスファルト、小学校五校がウレタンという舗装をしておる。それから新潟県で小学校一がアスファルト。あるいは大阪では一カ所というように聞いておりますが、東京都の関係がこの面の舗装がかなり高うございまして、小学校で七百九十四校、それから中学校で三百二十六校、計千百二十校、六三%ほどの地域が学校で舗装がなされておるということでございます。 それで、最近舗装につきましては、全天候方式のかなり進歩した舗装が東京都内の学校でも進んできておりますので、これらの運動場の舗装についてどういう技法のものが最も適切であるのかということにつきまして、いま財団法人の体育施設協会の方にこの面の研究をお願いしてございまして、近くその研究報告をいただける段階になっております。それらの結果を待って私どもの方もさらに研究を進めてまいりたいと考えておる次第でございます。
○水田委員 材質の問題よりもむしろ、運動場の広さの問題基準の問題がいま答弁なかったわけですが、基準はどういうぐあいに守られておるのか、その数値をお知らせいただきたいと思います。
○三角政府委員 運動場の面積についての調査資料は、全体につきましては私ども持ち合わせておりません。
○水田委員 運動場の整備というのは、校舎と同じように基準があって、それがちゃんと守られなければ事故が起こるということは、安全会のいわゆる給付の状況から見てそういう資料からも出ておるわけですから、これは大事なことです。それについて資料がないということですね。それでは整備のしようも予算のつけようもないと思う。言うてきたところだけ出すということでは本当に全体的な運動場の整備はできないと思うのですが、そのことを大臣から一言お答えいただきたいと思います。
○砂田国務大臣 御指摘のとおりだという気持ちがいたします。そして、運動場がきちんと適当な広さをとれないという状態が大規模校に特に多いと思うのです。やはりこれは分離をしていっていただく。大規模校の分離のときに優先的にこれを補助採択して、大規模校を分離させるときに校庭、運動場というものを確保していかなければならない。この問題は、校舎整備の補助申請がありました場合、分離の可能性について検討していただいて、できるだけ大規模校の分離新設について文部省としても積極的に対処していこう、こういうふうに考えます。
○水田委員 大臣、私の次の質問のお答えを先にいただいたことになるのですが、マンモス校ほど事故が多いということですね。いまの補助金というのは、統合の場合は、一生懸命過疎地帯を統合しろ統合しろと言って、なかなか通学しにくいようなところまで統合しろと言って勧めて補助金を出すわけですが、マンモス校を分離する場合、一体補助金というのはどうなっていますか。大臣のいまの答弁なら、そういう点もきちっと裏づけをいたします、こういうことにならぬと先ほどの答弁が実のあるものにならぬわけですが、その点ひとつ。
○三角政府委員 文部省といたしましては、大規模校の分離にかかる校舎の整備につきましては、補助の申請がございました場合にこれを優先的に採択することにいたしておりまして、したがいまして、大規模校の分離は、私どもとしてはこれの促進に協力いたしたいという方針でございます。したがいまして、補助申請の際には、分離の可能性というものを、一般の増築の申請がございました場合にも、その状況によりましてはこれを分離することの可能性が全然ないのかどうかということにつきまして検討していただくようにいたしておりまして、そういうことで極力、分離新設が可能な場合にはそういう形で行われるように指導をいたしておるのでございます。
○水田委員 では、次の人的な条件の問題ですが、いま小・中学校一クラス四十五人、全部が全部そうではないわけでありますが、これで、一人の教師で十分目が届き切るかどうかというのは問題だと思うのです。一体文部省の方では、四十五人なら一人で十分安全という、事故が起きないという点でどう見ておられるか。 それからもう一つは、事故が起こる場合というのは、中学校で技術とか体育あるいはその中でクラブ活動など、そういう場合には全部が全部免状を持っておる者でやれないという状況にあるわけです。そういう中で事故がわりに起こっておるわけでございますが、こういう人的配置の問題については一体どのようにお考えになっておるか。あるいは、養護教諭は一応必置制になっておりますけれども当分の間ということで現在の充足率が七五%ぐらい。事故が起きて、養護教諭がおらなければ全く免許のない先生がけがの手当てをする、応急的な処置をせざるを得ない、こういう問題などもあるのですが、そういう点についてはそれぞれどのようにお考えになっておるか、お伺いしたいと思います。
○砂田国務大臣 学級編制と教職員定数につきましては、現在第四次の五カ年計画を進めているところでございます。同計画では、三個学年複式学級の解消等学級編制基準の改善や、小規模校のいま御指摘の免許外担当教員の解消、あるいは養護教員の配置率の改善等、種々の改善をただいま図っているところでございます。今後の学級編制基準と教職員定数につきましては、教育上きわめて重要な課題でございますので、そういう認識のもとに、五十三年度におきます過密過疎地域の学校の実態や、標準法の完全実施後の教職員の配置の状況等について全国的な悉皆調査をいたすわけでございますが、努力をいたしまして、できるだけ早く、この調査結果をもちまして慎重に検討をしたい、かように考えているものでございます。
○水田委員 それからもう一つは、教師の仕事の質的なものですが、一週間に三十時間の授業時間を持つ教師が二四%ぐらいということですから、これを週六日として一日五時間になるわけです。それだけですべてが終わるわけではございませんで、そのための準備なり、あるいは雑務などが相当あるということは御承知のとおりでありますが、こういう授業の内容で、また一人の先生で四十五人に十分目が届くかどうかというのは問題だと思うのです。安全会の給付で不十分ということで訴訟になった中に、教師の責任あるいは管理者の責任ということで、最近の判例というのはむしろ普通の注意義務を払っておってなおかつそこで起こった場合の責任を問われるという事態も起こっておるわけですが、その授業の時間というものについてどういうぐあいにお考えか、お伺いをしたいと思います。
○諸澤政府委員 先生の一週間の授業時数をどのくらいが適当と考えるかということでございますが、第一次の五カ年計画を立てました三十三年のスタート時におきましては、小学校が二十六時間、中学校が二十四時間、高等学校が十八時間ということでやりました。その後、定数を次第に充実してまいりました結果、四十九年の教職調整額を実施します場合の実態調査によりますと、高等学校で十五時間強、中学校で十八時間強、小学校は二十三時間強ぐらいであったかと思いますが、かなり減っておるわけでございます。ただ、先生御指摘のように、非常に極端に多い場合があるではないかという御指摘がどうもあるようなんでございますが、それは教員構成その他いろいろ特殊な事情があるかと思うのですが、いま大臣がお話し申し上げましたように、五十三年の早々に、教員の配置、勤務状況の実態調査を悉皆調査でやりたい。その中にいまの勤務時間の問題も含めて調査をいたしまして、いま御指摘のように非常に極端な場合等は特に念を入れまして、教育委員会等から実地調査もできればやってもらって、どこに問題があるのかということもあわせてこの際調査をしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○水田委員 では、具体的な救済制度について御質問したいと思うのですが、私どもは、死亡は一時金、しかし不具廃疾については特に一生続いていくわけでありますからぜひ年金制度ということで考えてまいったわけでありますけれども、今度の安全会法の一部改正では、不具廃疾については一時金ということになっておるわけであります。なぜ年金制度をとらなかったのか、お伺いしたいと思うのです。
○砂田国務大臣 昨年当委員会で御審議をいただきました御結論も、年金の制度を導入しろということでございました。ただ、私どもが今回改正をいたしますにつきまして年金のことも当然、国会の御意思があったわけでございますから勉強もいたしました。しかし、年金というものは、やはり将来の国民の生活水準や物価、そういった諸事情の変動によって年金水準を引き上げる必要も当然年金には想定されるわけでございます。その改定に必要となります財源、その財源を将来の児童、生徒の保護者に負担をさせるということはもちろん適当でございませんし、これを全額公費負担とすることも、他にいろいろあります社会保障制度との均衡上困難でございまして、したがって、将来の年金財源の見通しが立たないということもありまして、年金制度に踏み切れなかったわけでございます。また、年金給付を教育行政の分野で行います場合には、年金のことでございますから、その給付期間を限定するという問題も起こってまいりますし、生涯にわたって子供の生活保障をするということでありますれば、これはまさに社会保障の分野の問題になる、こういった考え方から年金という制度はとらなかったわけでございます。
○水田委員 これは基本的な論議の分かれ目だと思うのです。先ほど来申し上げますように、私どもは、義務的にそこには危険があると考えられても行かなきゃならぬ、そういう中で起こった事態だから、本来ならば無過失賠償も考えたいけれども、全体の制度の中でそこまで行かない。そこで予防接種法——これは、それをいわゆる社会保障と見るのかあるいは損害賠償と見るのか、ここらあたりも決めつけてないわけであります。そういうものの横並びで考えたわけでありますから、いま大臣の言われたように、今度の案も、社会保障としてという考え方そのものではないと私は思うのです。ですから、大臣の言われたのが社会保障ですということならこれは違った形になると思うのですが、予防接種法は年金制度が取り入れられて、これは取り入れなかった、そういう点が何としても理解しにくいわけであります。その点、もう一遍お答えいただきたいと思います。
○柳川政府委員 小委員会で御熱心な御討議を賜りまして、廃疾年金の創設につきまして私どもも予算要求の過程でそれなりの努力をしてまいったわけでございますが、いま御指摘の予防接種法によります健康被害につきましては御指摘のとおり年金制度がとられていますが、予防接種は、伝染病の蔓延の防止という社会防衛の一環として強制的に行われているものでございまして、その被害事故に対する補償はまさに国家補償的性格をもってとり行われておるということでございます。 これに比しまして、学校事故の態様につきましては、御案内のとおり複雑かつ多岐にわたっておりまして、その原因や責任の所在の面から見ましても、学校側に責任のある場合がございますし、また不可抗力的な事故もございます。さらには子供の不注意や心臓疾患など、明らかに子供の側に素因があるというような事故も少なくはないわけでございます。このような学校事故の実態から見まして、学校で起こったすべての事故を対象としていわゆる保障的な立場で年金制度を確立するということにつきましては、他の制度との均衡等で大変困難なことでございまして、仮にこのような保障的な年金制度を設けるといたしましても、その給付水準やあるいは給付対象の範囲等につきまして制約を受けざるを得ないというような、他との均衡の面から問題が生じておったわけでございまして、この面で、学校事故の救済に関する大方の要望に逆にこたえ得ないという面の問題が生じました。 そこで、これをさらに詰めていきますと、各省庁あるいは関係方面の合意を得てこの面のことを創成していくということには相当長期の検討も要するという問題でございましたので、私どもといたしましては、小委員会で御審議賜りました趣旨を十分生かす、しかも学校事故のすべてに及んで救済の措置をとっていくということをあくまでも互助共済の制度を基本にいたして取り組みました関係上、先ほど大臣から御説明申し上げましたような面からも、廃疾一時金の大幅な改革ということで今回対応したという経緯でございます。
○水田委員 最終的にはまだまだ詰めなければならぬ問題がたくさん残っておるということですね、物の考え方の点では。大臣、先ほど社会保障、こう言われたのですが、それはちょっと御訂正いただきたいです。この制度は、文教委員会の論議もそれだけならもっと簡単に結論が出ておるわけで、そういう危険が存在するところへ義務的に行かなければならない。完全なあれができていない、安全というのは。どうしても起こる危険性が存在するという中での、やはり社会保障だけではない一面を持っているということだけはひとつ、先ほどの答弁ではその面が抜けておるように思います。そういう中でつくった制度ということで、御訂正いただければありがたいと思います。
○砂田国務大臣 先ほどの答弁が少し言葉足らずでございました。生涯にわたって子供の生活保障をするという意味の年金という考え方をするとまた違う分野の問題になってしまう、そういう意味のことを実は申し上げたのでございます。どうぞ御理解いただきたい。
○水田委員 実際にこの制度でやりましても、残念ながら日本のいまの経済の仕組みからいって貨幣価値は下がってくるわけでございます。それからことしも医療費は九・六%上がってくる。こういうことがずっと続くわけですが、そういう中で死亡とか不具廃疾の場合の給付については、毎年というわけにはいかぬにしても、何年間かすれば当然この支給額については見直しということが必要だろうと思うのですが、そういう点について、スライドについてはお考えになるのかどうか、お伺いしたいと思います。
○砂田国務大臣 おっしゃるように、医療費が変わりましたり、あるいは社会経済情勢の変化にやはり対応していかなければなりませんことは当然でございます。従来掛金負担をしておりませんでした義務教育諸学校以外の学校の設置者や国が財源負担をする、そして父兄負担の増なしに今回の改善措置を努力をしたわけでございまして、将来の医療費の値上げ、また社会経済の体制の変化に伴います見舞金等の給付改善を行います場合は、当然、将来ということを考えれば出てくるわけでございます。その場合にまた改善について考えてまいらなければならない、かように考えます。
○水田委員 その場合に、今回は設置者負担も若干ふやし、それからいままでの高等学校や私学も負担をふやしていくわけでありますが、一番問題なのは父母負担の問題なんです。この点については、そういうスライドをやってもふやさない、こういう方向というのは、われわれはぜひそうしてもらいたいと思うのですが、大臣のお考えをひとつ聞かしていただきたいと思います。
○砂田国務大臣 やはり、先生の御指摘は将来問題でございます。将来に対処していかなければならないということを象徴いたしておりますということは先ほどお答えいたしましたけれども、これを改善いたします場合の学校の設置者負担、父兄負担、国庫負担、それはやはりそのときにその均衡を考えながら措置をし、対処しなければならないと考えます。
○水田委員 そこで、今度の制度で新しく設置者負担、これは市町村について義務教育諸学校については十円ですから、当然これは財政需要基準額の積算の単価に、交付税の積算単価に入れられるべきだと思います。それから高等学校、保育所というのが新しく入りますから、そこらあたりはどうなるのか。それから私学の場合は当然私学振興の中で考えなければならぬと思いますが、そこらあたりは一体予算の裏づけといいますか、設置者に対する裏づけはどういうぐあいになっておるか、お伺いしたいと思います。
○柳川政府委員 このたびの改正に当たりまして、義務教育諸学校以外に高等学校等の非義務教育諸学校につきましても設置者が掛金の一部を分担するというたてまえをとりまして、保護者、設置者相互の協力によりまして学校事故救済の実が上がることを期しておるわけでございますが、御指摘のとおり、この設置者の負担分につきましては、国立につきましては国立学校の特別会計で財政措置を講じておりますし、また公立につきましては御指摘のとおり交付税の単位費用の積算の中で計上していただくということにいたしておる次第でございます。なお御指摘の私立高等学校につきましても、経常費助成につきましての裏づけが交付税でなされておりますし、経常費の単位費用の中に当然にこの設置者の負担分は含まれておるというように受けとめておる次第でございます。
○水田委員 そこで、今度の制度で、これまでは安全会に対して事務費だけの負担があったわけですが、今回は給付についての支出もあるわけであります。その国庫支出について、直接教育活動中の災害ということに限定したのは一体なぜか、このことについてひとつお答えいただきたいと思います。
○柳川政府委員 このたび、学校の災害に関します共済給付に関しまして特に新たに国庫補助を設けましたこの趣旨でございますが、これは小委員会でも大変御心配を賜ったところでございまして、学校の事故につきまして、学校側に責任があるという理由からではなく、あるいは教育活動中の事故発生をめぐって訴訟が提起されまして、児童、生徒側が教師の責任を追及する、そのようなことによりまして子弟間の信頼関係の崩壊を招いたり、あるいは事故の発生を懸念する余りに教育活動が消極的になるということの面が多く発生しておるということを御心配をいただきまして、この事態を打開して、より積極的な教育活動の展開を期すようにという御指摘があったわけでございまして、このたびの国庫補助も、学校教育のより積極的かつ円滑な展開を期するという観点に焦点を置いたわけでございます。その面から、国庫補助の一応の積算に当たりましては、学校が積極的に進める教育活動に焦点を合わせまして、その面の事故発生の件数に対しまして国庫補助を積算していくという積算の仕方をとったわけでございますが、これはあくまでも国庫補助の積算の問題でございまして、実際に安全会が給付を行う場合に当たりましては、休憩時間等の問題につきましても当然に学校管理下における事故としてこれをとらえて、授業中の事故等との間には差をつけていかないということで処理していくわけでございまして、たまたま他の共済保険等との関連がございまして、この共済給付事業に相当多額の国庫補助を行うというところに積極的な教育活動の展開という、学校教育の特性を十分配慮した補助策であるということの観点を明確にするというようなことから、そのような直接の教育活動に、積算上、対象をしぼったという経緯でございます。
○水田委員 安全会の問題でありますが、今回国庫補助制度が給付についてつくられるわけですが、現在、義務教育諸学校における、義務教育の学校における安全会の加入率というのは九九%になっております。そうなると、いままでは事務費だけですから、給付は任意の共済でもいいですけれども、今度は給付に対して国の金が入ってくる、こういう中で、一%でも落ちるということはこれはきわめて不公平ということになりますが、そこらあたりで、今回の制度改正に合わせて義務教育の学校に関しては全員とにかく安全会加入ということをすべきではないか、このように思うのですが、お考えはいかがでしょう。
○柳川政府委員 御指摘のとおり九九%と、ほぼ全員に近い、国公立の学校につきましては加盟を得ておりますが、なお一部の市町村で、かつて、設置者側の責任が明確に確定しました際に、安全会が給付いたしました給付額を安全会は代位請求いたします、その事件等をめぐりまして加入を取りやめたというような地域が残っておるわけでございますが、今回の改定におきましては、この代位請求権の問題につきましては、あらかじめ設置者において十円の掛金をしていただくということによって、設置者側の責任賠償の問題が確定いたしました場合にも改めて請求しなくても済むような措置を講じておりますので、その面の従来ありましたような問題は解消するということもございますし、またこのたびの給付内容の改善によりましてかなり大幅な改善措置がなされたわけでございますので、私どもは、この法律の成立を待ちまして、特に未加入の地域につきましてはさらに強力な加入の指導をいたしてまいりまして、一〇〇%実現を期してまいりたいと考えておる次第でございます。
○水田委員 安全会、おいでになっていますか。 先ほどの、いわゆる教育活動中の災害に限定した、これは国が金を出す場合の積算の方法、安全会の運営の場合はなお幅を持った給付ということの答弁があったわけですが、安全会としては一番問題なのはきわどいところですね。これは学校教育がきちっと学校の中だけでということではない。外もあれば、あるいは授業時間を外れてという、いろいろあるわけです。そのボーダーラインのところで問題が起こるわけです、こちらで見てもらえない、訴訟になるという問題が。それば、今度の改正に合わせて、安全会としては、給付のいわゆる学校教育活動の範疇に入ると思われる範囲はどのくらいを、新しく今度少しは改善しようとしておるのか、あるいは従来の安全会の運営の基準の中で判定されようとしているのか、お伺いしたいと思います。
○渋谷参考人 いま先生御指摘の問題は、安全会の給付の対象といたします学校管理下の範囲の問題だと思うわけでございます。これは、日本学校安全会法施行令、政令で決められておりまして、それに基づきまして安全会の定款で具体的に決めておるわけでございます。一つは、教育課程に基づきます正規の授業中、それから二つ目には、学校の教育計画によりましてやります課外指導、それから三つ目には、児童、生徒が学校に登校いたしまして授業が始まるまでの始業前、それから授業の間、お昼休み等の休憩時間など、それから授業が終わりましてあるいはクラブ活動などをいたしますが、学校から帰るまでの放課後でございます。この始業前、休憩時間、放課後、それから通学途上、登下校、大体登下校はいわゆる教育活動とは関係ございませんが、実際に教育活動をしておる、これは学校の中でなく修学旅行とか臨海学校とか、外でもございますが、一応いま先生御指摘の問題で考えられるのはすべて対象にいたしておりまして、今回の改善に伴って新しく広げるという問題は起きないのではないか。大体考えられるものは現在すでにすべて対象にいたしておりまして、それで余りこのことにつきましてはいままでもトラブル等はございません。なお、つけ加えますと、国庫補助金の積算は、教育活動中について国庫補助金が積算されたというふうに了解しておりますので、安全会の給付そのものは、さっき申し上げましたような休憩時間中であろうとすべて従来の管理下の範囲は対象になる、そういうふうに理解いただきたいと思います。
○水田委員 現行の安全会の給付の中で、一つは医療費の給付というのが五カ年間で打ち切りなんですね。軽微なけがというのはいいんですが、一番困るのはやはり重傷で、しかも五年で治癒しないで、さらに将来にわたって後遺症が残る不具廃疾という問題、そういうところが一番給付期間では問題になるわけです。この点についての改善を考えられるお考えはないかどうか。これは安全会になりますか……。
○柳川政府委員 支給期間の延長の問題につきましては、大部分の場合が、療養期間が五年を超えるような傷病である場合は廃疾見舞金の支給の対象になるということでございますので、このたび廃疾見舞金の相当大幅な改善があったわけでございますので、これで、廃疾の認定がなされればそれに応じた見舞金の支給がなされる。これによって自後の療養等に備えていくであろうということで、このたび特段の延長は行わなかったということでございます。
○水田委員 一番問題は、たとえば植物人間のような、どうにもここからよくもならないということで不具廃疾の最高をもらったとしても、五年で打ち切られれば、当然それはあとずっと尾を引くわけです。特に起こる場合というのは脳障害の場合が一番多いと思うのですが、そういう場合、これまでに問題は全くなかったわけじゃないわけですから、例外的にそういうものが全く予想されないわけじゃないですから、そういう点について、ここでは改正しないにしても、そういう現実があるわけですから、検討されるお考えがあるかどうかを伺っておきたいと思います。
○柳川政府委員 五年後の医療費の負担問題は確かに起こってくるわけでございますが、このたびの、たとえば一級ですと千五百万円の廃疾見舞金の支給ということで、これらの運用問題もあろうかと思いますが、この面で対応できる、現在はそういう考え方で取り進めておるわけでございます。今後いろいろな形での現象があるいは起こってくる場合があろうかと思いますが、これはその実態に即してまた研究してまいる課題であろうと思っております。
○水田委員 さらに、いまの給付では、健保で大体認められた、そしてその差額を見る、こういうことですから、たとえが薬剤についても、健保に認められていない薬剤を使う場合には当然見てもらえない。それから差額ベッドの問題あるいは介添え、これが一番困るわけで、完全看護と言いながら看護婦さんはつきませんから、ほとんどそれを見る。一家の主人公が働いて、給料を全部入れても介添え費が賄えないというのがいまの現状であるわけです。ですから、こういう点についてはやはり改善をしていかなければ、片一方、死亡不具廃疾については従来に比べれば大幅な改善を図っていくわけでありますから、こういう点の改善も当然私はすべきだと思うのですが、その点、いかがでしょう。
○柳川政府委員 御指摘の健康保険対象外の経費につきましてどのような対応をするかということでございます。安全会の給付事業は互助共済の制度でございますが、これ自体公的な制度として設けられておるものでございますので、やはり医療費の算定に当たりましては健康保険で認められる額を用いるという原則を崩せないという経緯がございます。それで、この健康保険に含まれていない費用を医療費の対象とすることは医療保険制度全体を混乱させるという面からこの実現を見ておらなかった次第でございます。なお、この面は、今後の各健康保険制度等の問題の一連の問題としてとらえてまいりたいというように考えております。
○水田委員 現在、歯の治療について、二本欠けた場合には十四級に該当して見てもらえるわけでありますが、一本だけ欠けた分は全く対象にならないということがあるわけですね。実際、歯が欠けた状況を考えてみれば、一本でも大変不自由な話でありますから、ここらあたりを何らか救済する方法はないのか。 それからもう一つは、安全会の給付をいただくためには当然診断書その他の文書が要るわけですが、日本医師会が取れと言って指導しておるようでありますが、たとえば五、六千円の請求に、お医者によってただの人もあるのですが、二千円くらい文書料を取るわけですね。二千円の文書料を取られたのではこの安全会の給付というのは全くありがたくないわけです。現実にあるわけですが、こういう点の改善についてやられるお考えはどうでしょうか。
○渋谷参考人 歯の廃疾の問題でございますが、これは日本学校安全会法施行規則、文部省令でもとは決まっておりますので、後で文部省の方からもお答えいただきたいと思います。実際に運用しております私どもの立場から申し上げますと、現在、施行規則では、歯を折損した場合一番低い十四級で三本になっております。省令上は三本になっておるわけです。そこで、現場の御要請が非常に強いものでございますので、運用上、前歯へ門歯、切歯というのでございますが、前歯に限りまして、省令上は三本なんですけれども、二本欠けた場合でも、両隣の歯にブリッジをかけ、支台歯として使った場合は、両隣の歯が健在歯であっても支台歯として使った場合は四本に認めるということで、前歯に限って、運用上、二本の場合も両隣の歯を支台歯として使えば認めておる、そういう運用をいたしておるわけでございます。 そこで、いま十四級は十五万円でございますが、今度の改正になりますと十四級は三十三万円になるわけであります。そこで、三本なり二本ですと三十三万円の廃疾になるわけで、前歯一本はゼロだではオール・オア・ナッシングということで大変問題があると思いますし、現場から要請があるのでございます。ただ、廃疾の等級というのは、いろいろな公的制度で廃疾の程度、等級が決まっておりますが、非常に均衡その他むずかしいものでございますので労災のをすべて使っておりまして、ですから安全会限りで特別な程度、等級をつくるのは大変むずかしい問題があると思います。そこでこの法令の規定、基準を逸脱しない範囲で、運用上できるものはできるだけやりたいと思っておるわけでございます。 それから二番目の問題は、安全会法が成立いたしました時点におきまして文部省が日本医師会に御協力方をお願いいたしまして、当時、安全会の給付に必要な医療等の状況をお医者さんに書いていただくといいますか、証明していただくについては無料で協力しようということで、日本医師会に通知を出していただいたのでございますが、日本医師会は、要するに医師会長の通知というのは別に強制力があるわけではございません。現実的には、全国的に見ますといまでも御協力いただいておるところが多い。それから仮に文書料を取る場合でも非常に安くやって御協力いただいておる。たまに、いま先生御指摘のような、あれほどのものを取るところはないと思いますが、そういうことで、この問題は日本医師会がいろいろ協力してやるというお気持ちがございましても、そこは拘束力がございません。そこで支部におきまして、県にも医師会がございますので、できる範囲の御協力をいただいておるという実情でございます。
○水田委員 歯の問題はなかなかむずかしいようですが、一本欠けても両方にブリッジをかけると三本になりますから、ほかの制度との関係もありましてむずかしいとは思いますが、実際問題として今度給付が上がればいままでよりさらに差がつくわけですから、一本だけの人は大変困るわけですから、そこらはさらに検討していただきたいし、それから文書料については、強制力がないわけですが、それぞれの支部を通じてそれぞれの府県の医師会と、安全会の制度、趣旨をさらに詰めていただいて、お話していただいて、例外にせよ二千円も取られることのないようにぜひしていただきたい。これは要望として申し上げておきます。 あと運営の問題について。この安全会の運営の中には審査会というのがございます。これは学識経験その他いろいろあるわけでありますが、この中に、これは子供の災害の救済でその親が物を言う場所が全くないというのはおかしい話です。それから、現実に注意義務を払ってけがをさせないように見ておる教師、あるいはそういう問題を専門に、子供の保健、健康ということを仕事としてやっておる養護の教諭など、そういう者の代表は全く入っていないわけですね。これはぜひ入れていただきたいと思うのですが、審査会にそういう方々の代表を入れるということについての考えを聞かしていただきたいと思います。
○渋谷参考人 先生御指摘のように、日本学校安全会支部組織規程というのがございまして、各支部に審査会を置くことにいたしております。もう一つ、各支部にその組織規程によりまして運営審議会というのを置くことにいたしております。運営審議会というのは安全会の業務の運営につきまして重要事項を審議する、あるいはいろいろ御意見をいただくという趣旨のものでございます。それから審査会は給付の請求につきましての審査ということでございますが、いま御指摘の保護者といいますか、保護者の方々は、どちらかと言いますと運営審議会の方にお入りいただく方がよりふさわしいのではないかと思うのでございまして、運営審議会には現在PTAあるいは保護者等から八十三人が入っております。それから審査会の方には保護者は現在十人入っておるわけでございます。それから、この審査会はそういう組織規程で置くことにいたしておりますが、発足のときに理事長名で、学校管理下の範囲に明るい人、それから医師、歯科医師等医療関係の専門家、その他学識経験者のうちからお願いしてほしいということで、そういう通知が出ておりまして、そういうようなことで医師と歯科医師あるいは柔道整復師、薬剤師の方、それから校長先生等が多くなっておりますが、現在教諭の職にある方は四人、養護教諭の職にある方が七人入っておりますが、御指摘の御趣旨はよくわかりますので、今後も各支部の実情に応じまして、運営審議会の方のメンバーと審査会のメンバー、両方にそれらが適当にうまく入るということが望ましいと思いますが、構成を今後も検討していきたいと思います。
○水田委員 先ほどの歯の問題で、文部省の方からもと安全会が言われたのですが、全く答弁がなかったので、その点、文部省の見解もひとつ聞かせておいていただきたいと思います。
○柳川政府委員 渋谷理事長から御説明申し上げましたとおり、廃疾の等級の決定につきましては労働者災害補償保険制度にならって決めるということで従来きておりますし、また、これが一般にとられておる措置でございます。この辺を別個に独自の等級の確定というのはなかなか困難な問題でございますので、理事長が申し上げましたとおり、私どもは、安全会の運用の妙と申しますか、児童、生徒の事故の実態に適切に対応できる運用の問題として努力をしていただくことを期待してまいりたいと思っておる次第でございます。
○水田委員 最後に、この安全会の運営、給付について審査会で決定します。不服があっても、これは再審といいますか、不服審査の機関というのはないわけですね。これはやはり、公正な運営をする場合は当然そういう制度を設けるべきではないか。これは、文教の小委員会の委員長報告の場合はちゃんとそういう規定も入れておったわけですね。現行安全会の規定にはたしかそれがないはずでありますから、これは設ける必要があるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○柳川政府委員 安全会の共済給付につきましては、それ自体契約に基づくものでございまして、いわゆる行政不服審査法にいいます処分に当たらないというものでございますので、法律上の審査会の設置はこの際取り上げておりません。ただ、御指摘のとおり、給付の適正を期していくということの必要があろうかと思いますので、審査業務及び給付の決定につきまして、医師、法律家等の専門家を構成員とする審査機関を安全会本部に設置するということを現在考えておりまして、安全会の方でこの面の設置につきまして検討をいただいておるところでございます。
○水田委員 終わります。
○菅波委員長 伏屋修治君。
○伏屋委員 さきに水田委員から詳細にわたっていろいろな問題が出されましたので、重複する点があると思いますが、その点は御了承願いたいと思います。 まず最初に、国民的な学校災害に対する厳しい認識に立った世論、また先国会における学災小委員会の審議等を通じまして、文部大臣の趣旨説明の中にもございますが、「学校教育の積極的、かつ、円滑な実施を図るため、」という提案理由がございます。私どもも、その学校教育の積極的な推進、また円滑な推進ということを願う余り、世論もいろいろと考える中で、無過失責任主義を取り入れた学校災害補償法というものを立法してはどうか、こういう考えで小委員会にも臨んだわけでございますが、今回はその立法には及びませんでしたけれども、学校安全会法の中において給付が大幅に改善された、このことについては一応の評価をするものでございます。そういう面におきまして、文部省におきましても大蔵省との財源の折衝、いろいろな苦慮された問題が多かったと思います。 そこで一点、文部大臣にお伺いしたいことは、何を一番の根拠にこの国庫補助制度を創設することについて主張されたか、その文部省の見解をお伺いしたいと思います。
○砂田国務大臣 お答えいたします前に、前の国会で当委員会、特に小委員会におきまして非常な御努力をいただきまして、おかげでこういう改善をとることができましたことを、お礼を重ねて申し上げておきたいと思います。 今回のこの制度の充実は、学校教育を積極的に展開をしていくために欠くことのできない教育政策上の重要課題でございますので、国は、教育活動中の学校災害にかかわります設置者の負担についてその軽減を図り、安全会の互助共済事業の円滑な運営に資するために国庫補助制度を導入したものでございます。
○伏屋委員 今回の安全会法の改正につきまして、義務教育関係の学校は従来どおりでございますが、非義務教育学校の設置者が、いよいよ法律が成立した時点から共済掛金の一部を負担していかなければならないことになってまいります。そういう公私立学校の設置者について、掛金の財源負担をどのように講じていこうとしておるのか、その辺をお伺いしたいと思います。
○砂田国務大臣 義務教育以外の学校の設置者が負担をしていただかなければなりません共済掛金につきましては、国立学校は昭和五十三年度予算で、公立学校につきましては地方交付税で措置をしているところでございます。なお、私立学校につきましては設置者が負担をすることと相なりますけれども、別途、国及び地方自治体から経常費助成の充実に五十三年度予算でも努めたところでございます。
○伏屋委員 そこで、私学の経常費補助について先ほど水田委員にお答えされまして、経常費補助の中にそれが含まれておる、こういうように体育局長の方からの御答弁がございました。この点を再度確認をいたしたいと思いますが、数字的に申し上げていただかなくても結構ですが、それは、配慮は十分にされておるという見解でございますか。
○柳川政府委員 経常費の補助につきましては、私立学校以下につきましても直接に国が助成措置を講ずる、また地方交付税で単位費用の裏づけをするということになっておりまして、経常費それ自体を個々の、これは何の経費である、何の経費であるというように分解いたしまして、それぞれに対して助成あるいは交付税で裏づけていくという形は必ずしもとっておりませんで、およそ学校の維持経営、教育運営に必要な経費全般につきましてこれを積算し、それに対する財政措置を講じておるということでございます。したがいまして、この設置者が法律に基づきまして掛金負担の義務を生じます、この財源につきましては、当然に経常費の積算に組み込まれるということで御了知賜りたいと思います。
○伏屋委員 そこで一つお尋ねしたいと思いますことは、今度設置者の負担が十円プラスされるわけでございます。その十円分が今回の改善案の死一時金の千二百万あるいは廃疾見舞金の千五百万に該当すると思いますけれども、この法案の中に免責の特約というのがございます。免責の特約で、第二十条の二にございますが、「安全会が災害共済給付を行うことによりその価額の限度においてその責任を免れさせる旨の特約を付することができる。」とございます。で、その十円分がそれに該当すると考えておりますけれども、いままで地方交付税というものが、国の財源の貧困がゆえに満足な地方交付税交付金がなかった。そういう面で、そこに追い打ちをかけるように学校災害が起こってきたということから、この改善前にも、やはり設置者がいわゆる管理者災害の損害保険、そういうものに対して預金をすることにおいて財源の不足をカバーしていく、そういうようなことが行われておったわけでございます。しかも地方交付税の一部がそれを見ておったといういままでの経緯でございます。そうなると、この免責の特約において、千二百万あるいは千五百万を超える分においては損保の問題がそこに生じてくるのではないか。地方財源の貧困ゆえにそういう問題が出てくると考えますが、その辺、どう考えておられるのか。地方交付税で今後非義務教育学校の財源を措置していくと言っておられますけれども、地方交付税の実態はそういうふうな実態でございます。そこら辺はどういうふうにお考えですか。
○柳川政府委員 御指摘の、設置者の賠償責任が確定した時点におきましては、設置者はその賠償責任の支払いを生ずるわけでございます。これが今回の改定で死亡一時金千二百万という範囲にとどまっておれば安全会の共済の給付でこれに対応できるわけでございますが、御指摘のとおり、それを上回った場合、二千万、三千万というようになった場合は、その超過分について設置者がさらに賠償責任を負うわけでございます。これにつきましては、かねて市長会あるいは町村会におきまして賠償責任制度の保険を持っておりまして、これに各市町村が加入いたしておりまして、その面から、この賠償責任の財源の確保を保険制度でこたえておるということでございます。この辺の問題につきましては、今回安全会がこれにつきまして直接これとのかかわりを持っていくという形は現在のところまだ考えておりません。安全会は安全会の給付事業を行いまして、その安全会が行った給付の限度においては、改めて賠償請求権は行使しないで済むような措置をしたわけでございます。その場合に、従来でございますと三百万円の死亡一時金でございましたが、これは、安全会が給付いたしますとその分を安全会の方は第三者の責任としてまた設置者に代位請求したということでございますが、その面は、今回はそれぞれ各設置者があらかじめこれを分担し合うということで、十円の掛金をもってこの代位請求の必要が生じないようにしたということでございまして、死亡一時金三百万円を千二百万円にあるいは廃疾見舞金四百万円を千五百万円に上げた、この給付財源は十円ではございませんで、義務教育諸学校におきましては国の補助金十二億円、また非義務教育諸学校におきましては設置者の負担約六億円、それから国の補助金三億円、それをもって充てることによりまして今度の大幅な改善がなされたということでございます。したがいまして、十円の方は特約の分というだけでございます。
○伏屋委員 先ほどの質問にもございましたけれども、今回の場合は国の補助において大幅の改善をされたわけですけれども、年々医療費が一〇%くらいでアップしております。共済掛金のサイクルも、大体三年に一度の掛金値上げというようなサイクルをとっておるようでございますが、次年度、五十五年ということが考えられるわけでございます。このように、現在の教育の父兄負担を考えていくときには非常に重負担でございます。それに加えて医療費がアップし、また国の財源の不足というようなことから、そのしわ寄せが父兄に参らないかということが私どもの一番心配するところでございますが、その辺のことを詳細にお答えいただきたいと思います。
○砂田国務大臣 将来、医療費の値上げによって給付財源の不足を来すような場合には、やはり互助共済という制度の趣旨からいたしましても、共済掛金の改定によって財源措置を講じるというのを基本に考えてまいらなければなりません。国庫補助につきましては、保護者の負担及び学校設置者の負担との均衡を考慮して措置をしていかなければならない、かように考えておるところでございます。
○伏屋委員 そのようにぜひお願いしたいと思います。 安全会法施行令の七条の中に、設置者が保護者から掛金を徴収する割合が示されておるわけでございます。その割合は十分の四から十分の六の範囲で徴収するということになっておるようでございます。しかし現実は、ほとんどが十分の四をとらないで十分の五をとっておるようでございます。しかも、東京あるいは大宮というようなところでは保護者の負担はゼロである、こういう実情もございます。そういうことからしましても、保護者負担というものを今後その割合を低めていくというようなお考えはあるのかないのかということをお聞きしたいと思います。
○砂田国務大臣 義務教育の保護者の負担分につきましては、やはり原則的には学校の設置者がこれを判断するべきものでございますので、国で一律に直ちにということは考えておりません。
○伏屋委員 それともう一点、学校安全会があるという認識、これが一般の御父兄の中に非常に薄いということは事実だと私は考えるわけでございます。学校において事故に遭遇した、そしてそれが安全会給付によって給付を受けた、こういう御父兄については非常に関心を持っております。特に重度の場合は特に関心を持っておられます。しかし、それ以外の御父兄の方というのは案外関心をお持ちではないように思います。学校安全会法の第一条の目的の中に「学校安全の普及充実を図る」とありながら、案外この安全会の具体的な内容については御存じないのが実態ではないかと思います。それも、いわゆる掛金は出しておる、その出しておるという認識が薄い。これはどうしてかと言いますと、やはり何といいましても学年の初め、五月の何日でしたか、そこまでにお金を納入しなければならない。学年の初めは御存じのとおりいろいろな、教科書から一切合財含めて出費の非常に多いときでございます。そういう中で百五十円を出しておるということで、安全会というものに対する具体的な認識が欠如しておるのではないか。その面におきましても、もっと学校安全の普及充実というものを図ってまいらなければならない。その辺は具体的にどうお考えになっておられるのか。
○砂田国務大臣 先生御指摘のような理由からこの制度のことを御存じない保護者も多いと考えられますが、同時に、やはりこういう事故のようなことは自分のところの子供は大丈夫だというお気持ちになりがちでございます。今回の改善によりまして、給付額の引き上げとともに国庫補助も行われることになりましたので、私は従来よりも加入率が高まるということを期待をいたしておりますが、やはりおっしゃるようにこの普及宣伝はやらなければなりませんので、こういった面の普及に積極的にひとつ取り組んでまいりたいと考えております。
○伏屋委員 現在、安全会の加入率は、先ほどの御質問の御答弁を聞いておりますと九九%ということでございますが、これだけ安全会給付が改善され、大幅に給付が整えられてまいりました、そういう点から、今後、入っていないところももう強制加入させる、そういうお考えがあるかないかということをお尋ねしたいと思います。
○砂田国務大臣 やはり、法律上義務づけられて加入をいたしますよりも、学校の設置者が一人一人の保護者の合意を得て契約をいたします現行の制度の方が互助共済という趣旨にふさわしいと私は考えます。今回の改善が行われまして、私どもがこれの普及に努力をしてまいりましたならば、もう必ず一〇〇%に近づいていく、かように考えますので、強制加入の制度はとりませんけれども、なお一層の普及に努めてまいりたいと考えております。
○伏屋委員 安全会の中のいわゆる国庫補助の内訳を見ますと、先ほどもお話がございましたけれども、国の補助は教育活動外には補助をしていない。教育活動内、活動中に対する補助である。それはいわゆる大蔵省に対する積算の基礎であって、具体的な運用については従来の学校安全会法の中にある学校管理下、そういうことで考えていく、こういうような安全会理事長の御答弁もございましたが、再度その点を確認したいと思います。
○柳川政府委員 安全会の給付事業に対します補助はまさに学校教育の特殊性、児童、生徒を心身ともに健全な人間に育て上げていくという学校教育の重要な目的を積極的に達成するというところに趣旨を置いたわけでございまして、他の共済給付との関連もございますので、この学校教育の特殊性という観点から積極的な補助を行うということの姿勢をとったわけでございます。 〔委員長退席、唐沢委員長代理着席〕 そのために、いま御指摘のとおり、学校側が積極的に推進する教育活動そのものを一応の積算の対象としたということでございまして、それによって積算してまいりますと、実際に保護者の現在の百五十円という掛金負担を増額しないで死亡一時金の四倍の大幅な改善も実現するというような面もあったわけでございまして、このことによりまして、父兄負担の増高を来さないでこの改善が実現したということでございます。したがいまして、安全会の給付に当たりましては、先ほど御説明申しましたとおり、学校管理下の作用としてあらゆる教育活動をとらえてまいりまして、それに対する事故を手厚く救済していくという基本姿勢は今後とも続けてまいりたいと思っておる次第でございます。
○伏屋委員 それに関連しますけれども、学校の安全会給付に対するいろいろな手続、これは現場の学校におきましてはほとんど養護教諭がこれを担当しておるようでございますけれども、大都市における大規模校ほど学校事故が多発でございます。そういうことから養護教諭の本務というものがどうしてもおろそかにならざるを得ない。またそのほかに、安全会給付の手続、申請上のいろいろな書類整備、そういう繁雑な事務、そういうこと、また事故多発、こういうことから考えますと、養護教諭の本務というものがますますおろそかになってくるのではないか。そういうことを考えていくときに、この養護教諭のそういう本務に携わらせるための配慮、いわゆる人的配慮というものはどのようにお考えになっておられるのですか。
○柳川政府委員 養護教諭の配置につきましては、教職員の定数改善の中におきましてそれぞれ計画的な推進を図っておるところでございまして、来年度完成いたします第四次の教職員定数の改善におきましてはたしか約七五%の学校に配置を見込んでおります。さらに今後、この面の充足につきましては、次の第五次改善計画の重要な課題であると私ども体育局の方としては考えておりまして、その面の要望を担当部局の方にはお願いしてまいろうと考えておる次第でございます。
○伏屋委員 安全会給付の審査というものは、先ほど御答弁にありましたように、審査会がございまして、その審査会の構成メンバーによって審査するということでございます。しかし、先ほどの学校管理下における災害という解釈におきましても、安全会法の中を見ましても実に細かに細分化されております。そういうようなことから考えますと、その審査によって受ける給付に対するいろいろな不服が起こってくるのではないか。そういうものに対してそれを審査するいわゆる不服審査機関、先ほども御質問ございましたが、そういうものを設けてまいらないと、これだけ大幅な給付改善につながっておりますので、それだけにいろいろな面での審査不服が起こってくるのではないか。そしてさらにまた、学校管理下におけるその対象範囲というものは非常に細分化されておるということからもそういうことが予想されるわけでございます。そういう面におきまして、先ほどはそういうものは置かないという御答弁でございましたが、やはり横並びに考えましても、私学共済法等を見ましてもそういう不服審査機関を設けておるようでございますが、その辺はどのようにお考えですか。
○砂田国務大臣 安全会の災害共済給付契約に基づきますので、行政不服審査法に申します処分ということには当たらないわけです。そういう意味合いから法律上の審査会というものは設置はしないと先ほどからお答えをいたしております。ただ、審査業務、給付の決定というものが、これはもうまさに適正でなければなりませんので、その適正を期しますために、医師、法律家等の専門家を構成員といたします審査機関を本部に設置をして、こういった問題に対処していく、こういう考えでいるわけでございます。
○伏屋委員 さきに水田委員が学校の安全管理について非常に細かい御質問をされましたが、今回の法改正におきまして、いままでは普及充実を図るということでございましたが、それがもう少し強くなりまして、「安全点検その他の保健又は安全に関する事項について計画を立て、これを実施しなければならない。」と、義務化されておると思います。そういう面につきましても今後文部省が計画、実施に当たる、そういう安全基準というようなものを考えておられるのか。いま考えておられないとすれば今後そういうものを考えていこうとするのか、その辺のことをお尋ねしたいと思います。
○三角政府委員 先ほど水田委員からの御質問に大臣からも若干お答え申し上げましたように、学校施設安全基準というものを考える場合には、児童、生徒の安全を確保するための技術的な基準といたしまして、学校施設の設計計画に関するものと、それから施設の維持管理について考えるべきものとがあると存じております。 これにつきまして、先ほど御答弁申しましたように、施設の設計計画に関する部分につきましては、現在の国のシステムでは建築基準法ないしはその関係法令によって技術的な基準が規定されておりまして、これらの法令に基づいて施設の安全性を担保するというたてまえになっております。それから、仮にこの基準法とは別にさらに安全基準といったものを定めるといたしますと、児童、生徒の行動の態様でございますとか、それに対応する学校建物に対する機能上のいろいろな要求、これをかみ合わせていかなくてはならないわけでございますが、こういっな部面についてのいろいろな基準の基準値と申しますか、公約数的なものを定量的に定めていくことについてはいろいろな問題がございまして、必ずしも簡単に決めることがむずかしいのでございます。 それから第二点の維持管理の面につきましては、これは本来学校の設置者ないしは管理者がその責任において行うものでございますが、これにつきましてもやはり地域地域におきますいろいろな社会環境でございますとか立地条件でございますとか自然的な条件等もございまして、それらを踏まえて具体に自主的な判断でいろいろなことを決めていくということが望ましいのでございます。 それで、いま申し上げましたような点からやはり現場での非常に周到な注意、それから基準的なものがたとえ設けられたとしても、ここまでやればそれで足りるということでもございませんし、そういったことがございますので、私ども文部省といたしましてはこれまでも、施設の設計面につきましては学校施設設計指針というものを定めまして、これに安全上の留意事項を記述して、学校建物を建設するに当たっては十分これに留意してほしいというふうに指導いたしてまいりました。それからもう一つ、学校建物の維持管理の手引きというものを作成いたしておりまして、学校建物の維持管理の一環として、施設の安全管理に当たってこれを参考にするようにというふうに指導しておりまして、いろいろ文部省の主催いたします連絡会、研修会等において、その都度十分な配慮をするように注意を喚起しておりますが、なおこういった指針ないしは手引きについては、情勢の進展に応じて改定ないしは改善を図って指導を充実してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○伏屋委員 建築の基準に対する手引きとか、あるいは教育については安全教育の手引きというような形で現実にあるようでございます。しかし、この義務づけされた法改正においてさらに安全基準を強化していくということになってまいりますと、かなり現場には混乱が起こってくるのではないか。現在安全教育の手引きによって現場の先生方はそれぞれ安全教育の立案、実施を行っておられるようでございますが、さらに安全ということにおいての基準ではございますけれども、それが教育に混乱を起こさせない、そういう意図を十分に持ちながらその基準を制定していかなければならない。具体的に建築基準法というようなものに基づいていろいろとやられるということも御答弁ございましたけれども、鉄筋校舎なんかを見ましても、いわゆる防火には強くても地震に弱いというようなものがございまして、お互いに矛盾するような面がございます。いわゆる防火シャッター等が廊下に設置されております。そういうものが強度な地震に遭遇したときには子供たちの逃げ道をふさぐということになってしまいます。そういうようなことを考えてみましたら、建築基準法も本当に見直さなければならないと思いますし、また文部省の建築基準等々を考えてみますと、学校の校舎の中にベランダを設けるだけの予算はございません。そういうことから、地方の方がそういう安全性を考えながらベランダを設けておるというところも現実にございます。そういうようなことも考慮に入れて、現場の混乱を起こさせないという配慮を十分にしながら安全基準というものを考えていっていただきたい、このことを御要望したいと思います。 その次に、保健法の改正の中で、五十四年度からいよいよ養護学校が義務化されてまいります。そしてその人たちがそれぞれ市区町村の中で健康診断を受けなければならないということがございます。しかし、現実においてそれらの病めるお子さんを持つ親御さん方のお気持ちというものは非常に複雑だと思います。その点で、各市町村に、その子供さんが義務教育にたえられるのかどうなのかというようなことを具体的に見ていく就学指導委員会というものをつくっておるように聞いておるわけでございますが、それがどのような整備状況であるか、その設置状況、それから専門医等の配置はどのように進んでおるのかということについてお尋ねしたいと思います。
○砂田国務大臣 養護学校教育の義務化が円滑に実施されますためには、その対象になります心身に障害を持っておられるお子さんの障害の種類と程度を的確に判定をして、対象児に対して養護学校への適切な就学指導を行うことがきわめて重要なことでございます。このために、文部省では、医師、教員、職員及び児童福祉施設等の職員、その他心理学や教育学の専門家等、各方面の専門家からなります就学指導委員会をすべての教育委員会に設置をして、教育委員会の行います就学指導を適切なものとするように、四十九年来補助をいたしながら指導をしてきたところでございます。ほとんどの市町村をカバーできておりますけれども、いまなお残りました部分については五十三年度でこれが完璧を期さなければなりません。五十三年度予算にもその費用を計上をいたしまして、五十三年度ですべての市町村をカバーできる、こういうことでただいま取り組んでいるところでございます。
○伏屋委員 この問題は非常に複雑微妙な問題の絡む問題でございますので、その点を十分に配慮をしていただきながらその設置を進めていただくことを要望いたしまして、質問を終わりたいと思います。
○唐沢委員長代理 午後一時二十分に再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時二十二分休憩 ————◇————— 午後一時二十三分開議
○菅波委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 日本学校安全会法及び学校保健法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。中野寛成君。
○中野(寛)委員 学校安全会法の給付内容を改善するために、新しく、国がその給付にかかる経費を負担するという一つの大きな前向きな姿勢をとられたことに対して、一つの成果と評価をし、敬意を表したいと思います。同時に、本委員会でもこれまで真剣にそのあり方について論議をしてまいりました技術的な面、具体的な面が、それなりに今日までその審議の中で確認をされてきていると思います。そういう意味で、きょうは若干基本的な問題のみをお尋ねをして確認をさせていただきたいと私は思うわけであります。 さて、ここに上程されている内容は、日本学校安全会法の改正という形でございますが、今日まで、互助会方式ではなくてむしろ学校災害補償法という形でやるべきだという主張がかなり大きな主張として述べられていること、これは御承知のとおりでございます。そこで、それがどうして今回もいわゆる互助会方式でなければならないか、それにはそれなりの理由が私はあろうと思うわけであります。 それからもう一つ、この安全会法を強化する、もしくはこの制度が存在しなければならない理由も審議の中でやはりはっきりしておかなければいけないのではないかと思います。もちろん、文部大臣の御説明の中に「学校教育の積極的、かつ、円滑な実施を図るため、」こうなされているわけでありますが、この制度がなければ積極的かつ円滑な実施が図れないのかと、逆説的にもしお尋ねしたとしたらやはり大変変なかっこうになってくるのではないか。むしろ、こういう制度があろうがなかろうが、日本の教育の中でより子供たちのたくましい体と優秀な知力、そして健康な徳育がなされなければならないわけで、あくまでもこれはその中のごく一部を担う手段にしかすぎないと思うわけであります。そういう位置づけをやはり基本的にはっきりしておかなければならないと私は思います。 それから、純技術的な問題でありますけれども、該当される方々にとっては裁判によらずして迅速に補償がなされるというところに一つの大きな意味を語っておられるわけでありまして、このような目的がきちんと発揮される制度が整備されてこそその意味があろうかと思うわけであります。 そういう意味で、私はまず最初に大臣及び本日の参考人に、このあり方、終局的に、今回出されたこれは将来より充実させていくためのワンステップなのか、これが一つの目的であったのか、そしてそれがワンステップだとすれば、将来どうあるべきか、そのことについてどのようにお考えになっておられますか、お聞きをさせていただきたいと思います。
○砂田国務大臣 先生御指摘のとおりに、こういった措置がなされなくても児童、生徒たちの安全を守りつつ学校教育の積極的かつ円滑な実施が行われるように努力をいたすことは文部省の責任でもあり、設置者の責任でもあり、教師の責任でもあることは申すまでもございません。ただ、今回の改善をとりましたのは、被災いたしました児童、生徒の救済をより迅速適切に行うことを志願いたしまして、あわせて、そういう事故によってわが子を失った親の気持ち、そういう観点から見舞金も改善し、その結果として、教師たちの気持ちがより積極的に、逡巡することなしに、安全を守る努力をいたしながら、そのもとで学校教育のより積極的な、より円滑な実施に資したい、かような考えで、当委員会の御努力にこたえなければならないという考え方から改善を図ったものでございます。 将来のことをお尋ねでございましたけれども、この制度は互助共済的な制度でございます。その他にもいろいろな制度がございますけれども、社会経済の変遷あるいは医療費の改定等がありましたときには当然次々に改善されていくべきもの、かような考えに立つものでございます。
○渋谷参考人 昨年、衆議院文教委員会に学校災害の小委員会が設けられまして、その際も参考人として意見を申し述べる機会をお与えいただいたわけでございます。その際、死亡なり廃疾の見舞金は、できれば予防接種並みの金額を次の目標にいたしたい。それから非義務教育の関係につきましても、学校設置者の共済掛金一部負担といいますか、そういう導入はできないものか。それから希望といたしまして、給付事業にも国の補助金が支出していただければ大変ありがたいというような趣旨のことを申し述べたと思っております。その後文教委員会におかれまして鋭意御審議いただき、報告をおまとめいただきました。それから文部省におかれましてもそれを受けまして予算要求をされまして、廃疾のところが、年金ということがいろいろな関係で一時金ということになりましたが、実際に給付事業をあずかっております私どもといたしまして、今回の抜本的な改善によりまして、大変、より一層、学校現場、学校教育の円滑かつ積極的な実施にお役に立てるのではないかというようなことで、本当にありがたく思っておる次第でございます。 なお、将来の問題でございますが、とにかく安全会発足以来十八年目にして、ほぼ、国も給付事業に補助を出していただく、非義務教育につきましても設置者が一部負担をするというような抜本的改善で、いわゆるその安全会の制度の基本的な考え方なりなんなりは一応基盤が整備されたと思っておりますので、今後さらに時代の進展に応じましていろいろ整備の問題は起こってくると思いますが、現時点では相当の抜本的な改善ではないかということで、大変ありがたく思っておる次第でございます。
○中野(寛)委員 私は、渋谷理事長のお答えとして、お立場上その枠を越えられないのかもしれませんが、今日まで実務を担当してこられて、多くの悩みや矛盾、そのほかのことを感じてこられたと思うのです。そして、もちろん文部大臣ではないわけですから、それをみずから提案するということにはならないかもしれませんけれども、むしろそういう中から、こうあってほしい、またはこの制度はこうあるべきだというものが、むしろ現場の声としてやはりより一層積み上げられていくということでなければならぬだろうと思うのです。単に、給付が低いから給付を今年度は予算に応じてひとつこの程度までは上げてくれぬかということを要求するということだけ、または、いろんな給付額がふえてきた、物価が高くなってきた、そうすると時代のあれに合わないから掛金もこの辺で値上げしなければいけないんじゃないかとか、そういう全く技術的なことだけでそのお仕事がなされているとしたら、大変、何というのですか、消極的な姿勢だとしか考えられないということになってしまうと思うわけであります。 いま私が冒頭お聞きしたがったのは、学校の安全を守るために、現在ある制度を基盤にしながら、しかし将来、より一層幅広い法体系だとか、社会の要求、そういうものにこたえてこう改善していくべきだという一つの指針というものが出されてこそ、ある意味では現在のお仕事に一つのプロ意識というか、職業意識というか、使命感というか、そういうものを発揮されることになるのではなかろうかというふうに思うわけでありまして、そういう観点から実はいまお尋ねをしたわけであります。そういう意味では、御担当しておられます渋谷理事長からむしろ積極的に文部省に対して一つの提案がなされる、それを受けて文部大臣を初め担当者の皆さんはまたみずからの希望やみずからの使命に基づいた新しい提案というものがなされていくということでなければならぬだろうというふうに思うわけでありまして、そういう観点から実はお聞きをしたかったわけであります。もう一回、そういう意味において、単にいまの仕事を守るということではなくて、一つの使命感の上に立って、今回ここまでこうできたけれども将来はこうありたい、それは制度の改正やそのほかのことも含めて何らかのやはり御見解をお持ちだと思うわけでございまして、お聞かせをいただければと思います。
○渋谷参考人 安全会法を文部省が最初に立案した当時も、この給付事業にも国庫補助をお願いできないかというような問題があったわけでございますが、発足のときはそれは実現はいたさなかった。ただ、国は事務費のめんどうを見ようということになったわけでございます。いま先生の御見解でございますが、私どもは現時点におきましては、昨年学級小委員会で参考人として申し述べましたのが現時点におきます目標でございまして、それを今度の予算及び法案でおおむね達成していただいた、こう思っておるのでございまして、次の段階の問題につきまして、私どもとしては、さらに飛躍的にこれを補償とかあるいはいろいろな考え方というものは現時点では持ち合わせておらないのでございます。現時点では、非常にいろいろな角度からいろいろ考えられた、しかも抜本的な改善がなされたものではないか。もちろん、制度、予算でございますから、いろいろ言えば切りはないと思いますけれども、大体そういうつもりでございます。
○砂田国務大臣 これは文教委員会、また特に小委員会の御意向が明確にあったわけでございますから、それを受けての改善でございますだけに、この安全会法改正が成立をさせていただき、五十三年度予算が成立いたしました後、この改善に沿って学校安全会が理事長のもとで運営されていくわけでございますので、特に改善をいたします初年度のことでもございますから、私どもの方からむしろ積極的に現場の声を渋谷理事長から十分に承ってまいりたい、かように考えるものでございます。
○中野(寛)委員 私はあえて、よく言われます言葉を、大変失礼ですが申し上げますと、いまの御答弁をお聞きして、何かこう受け身で、いわゆるお役人的な感覚といいますか、そういう印象を実は持たざるを得ないわけであります。むしろ、たとえば今回でもそうでありますが、災害の補償または事故の補償という感覚よりも、安全をいかにして保っていくかということ、そしてそこから漏れた部分については責任を持ってそれを補完をしていくという姿勢というものがなければいけない。そういう意味では、安全を守ることへの積極的な姿勢というものがこういうものには常にやはり基本的になければならぬ。そしてそこから当然一つの責任の所在というものがはっきりしてき、そしてその責任者がその責任に見合って対応していく体系というものが、学校災害補償法の提案も含めて真剣に論議されなければいけないのではないか。私どもはむしろ学校安全保障法、保障という字が違いますけれども、ぐらいにこれからこれを練り上げていくという姿勢が必要ではないんだろうかというふうに思って、実はお尋ねをさせていただいたわけであります。しかし、これもやはりこれからの論議の課題だと思います。文部省とともに、これからその努力を重ねていきたいと思います。 次に、いま大臣の御答弁の中にも出てまいりましたけれども、教育に対する責任というものは、社会だとか、学校だとか、親だとか、あります。その安全を守る責任者は一体だれであるのか。もちろん、その責任というのは金銭的なことだけを指すのではなくて、それぞれの分野や態様というものがありながら責任というものが決まるだろうと思います。そこについてどういうふうにお考えでしょうか。
○砂田国務大臣 御質問の趣旨からいたしますと、非常に積極的な意味の、学校教育全体について児童、生徒の安全を守る、そういう御趣旨の御質問だろうと思いますが、そういう意味から申しますと、直接の責任は設置者にございます。設置者が学校の安全を守るためにいたさなければなりませんそういう法令等については文部省に責任がございます。また私は御両親にも責任がある、かように考えるものです。
○中野(寛)委員 いまおっしゃられたそのこと、私はまさに、親にも責任があり、教師にも責任があり、設置者にも責任がある、そしてそれを総合的に守っていくその責任がまさに文部省にあるだろうと思います。そして私は、その責任をみんなで分担し合うということ、そしてその精神が大変必要だと思います。掛金の問題についてもそういう意味で、単にだれかの責任を免れさせるということで掛金の問題が論じられてはいけないのではないか。先ほど申し上げました学校安全保障法的なものにもしこれが推移していくことができるとするならば、そこにそれぞれの立場の皆さんの責任のあり方といいますか、持ち方というものを明記していくということがやはり必要ではなかろうか。親の注意や、学校に対する通告もしくは連絡等が完全になされておれば事故が防げたというケースもやはりあるだろうと思えます。そういう意味で、単にこの今日あります制度がだれかの責任を免れさせるというための目的でつくられるとするならば、私はそれはやはり間違いだと思います。こういう考え方についていかがお考えでしょうか。
○砂田国務大臣 児童、生徒に対して、その安全を守るということで責任の回避できる大人は一人もいないという気持ちを私は持っております。
○中野(寛)委員 そのような観点に立ちましてみんなが努力をしながら、この制度があるなしにかかわらず、ましてやこういう制度が一つの目的を持ってできたとすれば、当然そこには一つの大きな教育的効果がなければならないでしょう。いま私は、日本の教育で最も望まれていること、それはたくましい心身を持った人間として育てられることであろうと思います。 実は、私も先日、生まれ故郷に約二十年ぶりで帰ってまいりました。私が子供のころに泳ぎました海岸は水泳禁止になっておりました。私たちはむしろ、その海岸で、そして岩場の中にもぐり込みながら、海の生物と遊びながら、波の動態や、岩場の中におればどういう危険性があるかを身をもって学んだし、そして、そういうわれらの回りには常に先輩たちが一緒にいて、それを指導し遊んでくれる、そういう心の触れ合いがありました。しかしいまは、その村では残念ながらその海上は水泳禁止、そして子供たちはどこで泳いでいるかといえば、海岸とまさに壁一つしか接していない学校にできたプールで泳いでいるわけであります。これは本当の教育なんだろうかと疑問を持たざるを得ませんでした。いまわれわれは、もやしっ子をつくろうとして、または箱入りの息子や娘をつくろうとして教育を論じているのではないと思います。まして機械人間やロボットみたいなものをつくろうとしているのでもない。たくましい発想力、感覚、体力を持った、そういう子供に、人間教育をやろうとしている。私はそこにこれらの問題の基点がなければならないだろうというふうに思うわけであります。 単に学校を整備する、または運動場に合成樹脂を敷き詰めて、そして学校の安全が守られるようになったと考えることの方が、むしろ私は感覚的にはおかしいのではないか。場合によっては、学校の運動場というのは雑草が生えておってもいいのではないでしょうか。雑草を引き抜く、そして自分たちで整備をする、石を拾って集める、それもまたりっぱな教育なのではないだろうか。それを整備することを怠っていいとは申し上げません。むしろそのような自然環境の中で教育を行っていく。そのことのために最終的な保障制度としてこのような安全会法というものが整備をされていくというのであれば、それにはきわめて大きな意義があるだろうと思うわけであります。そういう意味で教育のあり方そのものを考えなければいけないでしょう。ですから、いまこうして一つの前進を見たこの制度、その中で、いま申し上げましたような意味での効果というものはどのくらい期待できるのでしょうか。いままでの欠陥を単に埋めただけなのでしょうか。こういうものを受けて、私は教育そのものもやはり同時に前向きに考えていきたいというふうに思うわけでありますが、そのことについていかがお考えでございましょうか。
○砂田国務大臣 御指摘の御趣旨のような教育目的を適切に積極的に果たすためには、事故が起こったときにそれにどう対応するかということだけで、すべて解決するものではございません。御指摘のとおりでございます。だんだん自然に親しむということがむずかしくなってまいっております社会環境の中で、学校体育が果たさなければならない役割りが非常に多くなってきているわけでございます。そういう観点から、文部省の体育局予算も昨年に比べますと二七%の相当大幅な増額を図りました。自然に親しむ機会を持ってもらうための新しい施策等も五十三年度予算に盛り込んだわけでございます。学校体育を重視して、予算面でもそれをふやし、またそのことをより一層、教員の皆さんにも設置者にも学校の管理職にある方にも理解をしていただき、学習指導要領の改定ももちろんその一つでございますけれども、総合的な対策を立てて、もやしっ子ではない個性豊かな強い子供たちの成長を期していきたい、かように考えるものでございます。
○中野(寛)委員 その大臣の御答弁の内容に従って、またたびたび繰り返して御答弁されております大臣の御信念というものを十分理解できるわけでありまして、そのことが本当の意味で具現されることを私も心から願いたいというふうに思うわけであります。 さて、若干先ほど来の御質問の中でも触れられておりますけれども、今回の改正にかかわらず、やはり心配な面が二つ残されております。一つは、年金制度が欠落されたことであります。私は、亡くなった方を粗末に扱っていいとは申しません。しかし、本当に問題が生ずるのは、亡くなった方の場合はこれはもうどうしようもないという現実にわれわれ直面するわけでありまして、むしろ問題が後に残るのはいわゆる廃疾者、障害を受けた方であろうと思います。そういう方々には、これは一時金では償えない。それは償うということではなくて、むしろその廃疾者がみずからの生活というものを、それも独立して営める、または独立して営めない部分があればそれを補完する、そのことがきちんとなされなければ、この制度の持っている意味の何か非常に大きな部分を取り残したような気がしてならないのです。ですから、単に年金制度というものがほかの制度との整合性やぶつかり合いの中でむずかしいというだけでは済まされないと私は思います。もしそれがむずかしければほかの制度を変えていく、むしろほかの制度を充実させてこれをその中へ盛り込んでいく、その積極的な姿勢がなければ抜本的な対策にはならないであろうというふうに思います。文部省自身として、年金制度をむしろ取り入れる意欲を示されて、そして予算編成段階で要求を出されたこともよく承知をいたしておりますが、残念ながらそれは予算をまとめる段階で欠落してしまった。しかし、それはその段階であきらめていいものではないと思います。この中に年金制度が、財政の中だけで盛り込めなかったのか、制度上盛り込めなかったのか、またはほかの法体系との整合性の中で盛り込めなかったのか、その理由というものがあろうかと思います。それをはっきりさせていただくことは、次の対策にきわめて大きな意味を持つと私どもは思います。そういう大きな観点からひとつお答えをいただければと思います。
○砂田国務大臣 小委員会結論で年金導入という御結論をいただいたことでございますし、文部省といたしましても当初、年金の導入について真剣に検討をしたのでございます。しかし、政府部内でいろいろ議論をいたしました段階で、障害年金等の他の社会保障制度との関連、同時にまた年金額の改定を行います場合の財源措置の見通し、こういったことで検討すべき問題がたくさん残ってしまった、結論を得るに至らなかった、そのために導入を見送ったものでございます。
○中野(寛)委員 それでは今後やはり来年、再来年と、そのことの実現のために努力をしていただけるものだと思うのです。今後のお考えとしてどのようにお考えでございましょうか。
○砂田国務大臣 他の年金制度を文部省は所管をいたしておりませんために、これの年金制度をこの制度に導入いたしますことは非常にむずかしい問題であると思います。しかし、私どもといたしましては、文教委員会の御意思はもう明確になさったわけでございますから、そのことを忘れてはならないと思いますので、努力はしてまいります。
○中野(寛)委員 この制度の中に年金制度を取り込むということだけではなくて、やはり他の制度の中でそれが補完できるとすれば、そしてそれが、この学校事故の問題だけではなくて、労働災害だとかそのほかあらゆる事故、災害に備えられる社会保障制度というものが整備されれば、もちろんそれにこしたことはないと私は思います。しかし、そのすべてを文部大臣が管轄されるわけではありませんが、このような観点からも問題点を大いに指摘していただくということはやはり大事なお仕事であると思いますし、そしてまた国務大臣としての仕事でもあると思うわけであります。むしろ、私がうがった見方をすれば、単に制度だけの問題ではなくて、他の整合性と同時にやはり財政的な問題が一つひっかかったような気がしてならないわけでありまして、このことは、むしろこの制度を支える一番大きな柱、それが本来は年金制度という感じが私はしてなりません。そういう意味でなお一層の御努力をお願いしたいと思うわけでありますが、その年金制度のこの中に占める位置づけについて、大臣、どのような御感覚でございましょうか。
○砂田国務大臣 他の年金制度にもいろいろ不備があることと思います。こういったことの改善につきまして、文部大臣としての限界はございますけれども、閣内におきます発言は積極的にしてまいろう、かように考えます。
○中野(寛)委員 次に、もう一つの心配の種として未加入者対策の問題があるわけであります。互助会方式の一つの最大の欠陥はこれと言ってもいいかもしれません。強制加入ということではない、そして国が責任を持ってすべての学童に対して補償するという制度でもない、がゆえに未加入者というものが残ってしまう。しかしここに大きな問題がある。個人個人は加入したい。けれども、たとえばその自治体でまとまらないというケースがあるかもしれませんし、いろいろなケースがあるだろうと思います。しかし、やはりこういう制度というものはすべての学童に適用されてこそ初めて意味がある。往々にして、こういう制度に加入しない、そういうところがある意味では、安全意識が欠けているとは申し上げませんけれども、ややもすると安全対策さえも見逃しかねない態勢というものがその地域に存在するということが考えられないだろうか。むしろ、保険を掛けた人は、掛けるぐらいの心構えがありますから安全に気をつけて事故に遭わない、また病気にかからない、そういう心理的なこともあるのではないでしょうか。私はそういう観点から、この未加入者対策の問題はまたきわめて大きな意味を持つと思います。このことについては今後どう対処されるおつもりでしょうか。
○砂田国務大臣 先ほども御議論がございましたけれども、すでに公立の義務教育学校では九九%までに達しております。やはり保護者一人一人の方々に十分このことを、この制度を理解していただいて、まだ未加入の方に加入を説得をすると申しますか、理解を求めるといいますか、また未加入の学校についてもそういう努力をすることによって、積極的に学校全体の安全を図るということが、学校の側においても保護者の側においても、また設置者の側においても、より一層その考え方が浸透もしてまいりましょうし、また互助共済というたてまえからいたしましても、私はそういう方向で一〇〇%を達成することを目標にして努力をしていく、この方がいいような気持ちがいたしますし、それが可能であるというふうに考えております。
○中野(寛)委員 体育局長、そのことで何か具体的な今後の方針がございますか。
○柳川政府委員 このたびの給付事業の改革に当たりまして、大幅な改革をする、特に死亡一時金につきましても四倍の改革をするという、小委員会の御方向に沿った努力をしたわけでございますが、この実現につきましては、現在の学校安全会の給付事業が互助共済契約によって成り立っておるというところに一番の基本がございまして、そのゆえに、他の強制加入の制度との均衡、整合性の問題をある線で壁を置きましてこの実現を見たということでございます。したがいましてこの辺の問題は、強制加入にして加入を義務づける、その形でいった場合に果たして今日の改革ができたか、大変困難だったというように感じておる次第でございます。学校教育の目的自体が児童、生徒の自主性を尊重していく自発性を涵養していく、またみずから健康、安全かつ幸福な生活を営む習慣を養うという大目標があるわけでございまして、そういう学校教育の展開に当たりまして、児童、生徒が自発的な、また自主的な自覚ある行動をとっていく、これに対して学校が積極的な教育の推進を図る。また、監護責任を負われておる保護者が、監護の責任の立場から常に学校と、子供たちの心身の状態等についての連携を相互に十分とり合うというような観点で教育はその効果が上がるわけでございます。こういう面に立って互助共済のこの制度は十分生かして、今後あらゆる面の改善に、その基盤に立って取り組んでいく方が現在の段階では対応しているということでございます。 なお、大臣から申し上げましたとおり、社会保障の観点からこの年金問題については各方面での論議が種々なされておるわけでございまして、私ども、年金の問題につきましては常に関心を持って、それとの比較、判断をもとにしながら将来にわたりまして研究はしてまいりたいと思っておる次第でございます。
○中野(寛)委員 技術的な面はこれからもたくさんなされるであろうと思います。運用について十分御注意いただき、むしろ該当者の皆さん方が出ないことを願いますが、もし出られた場合の迅速な対処というものを特に私もお願いをしておきたいと思います。いま申し上げた年金制度、未加入者対策、そして何よりも責任の分担を明確にした次の段階へのワンステップを十分な御検討の上で踏み出していただく、その前向きの姿勢をこそ心からお願い申し上げて、質問を終わります。 ありがとうございました。
○菅波委員長 山原健二郎君。
○山原委員 安全会法の改正につきまして、最初に、これくらい各党が一致しまして、ときにはぎくしゃくとしたこともありますけれども、とにかく何とか救済措置を前進させなければならぬということで、昨年一年間精力的に取り組みました小委員長初め小委員の皆さんに、私は本当に敬意を表明したいと思いますし、また、これにこたえて文部当局、大臣初め体育局長、安全会の皆さん方がここまでこぎつけたということは、これはじみな仕事ではありますけれども、昨年、今年を含めましての国会での大きな出来事の一つではなかったかと私は思います。そういう意味で関係者の皆さんに敬意を表明したいと思いますし、同時に、先ほど文部大臣からも、今度改正はされてもまだ残された部分については発展をさせなければならぬというお話がありましたので、そういう点で、今後も一層この救済制度の確立の方向に向かって前進をすべきだという気持ちを持っておる次第でございます。 幾つかの点について、今後私たちが検討し、さらに、なし得れば全会一致してもっと進めていくべき問題について少し触れてみたいと思うのです。 一つは、今度の改正が、死亡者につきましては三百万から千二百万、それから廃疾見舞金が、一級が四百万が千五百万、二級が三百六十万が千三百三十万、こういうふうになっているわけです。それから、七級までの年金制の導入ということが当初文部省案であり、また小委員会の案でありましたが、これが全部一時金になったということでありますけれども、一時金になったについての文部省のいままでのお話を伺いますと、将来掛金を支払う者が過去の廃疾になった者の救済をすることになるという点が一つ挙げられておるように思います。もう一つは、年金制度にすると毎年受給人数がふえる、こうなるといわゆる資金が増大するということで、結局文部省としては一時金を出す。年利六分七厘でございますか、くらいで、安全会が窓口となって金融機関に預けて、その利子で年金の役割りを果たす。そうすれば、年百万、百五十万になる、こういうお考えのように思うわけです。すでに安全会では金融機関との間で取り決めが行われつつあるという状態ではないかと思いますが、間違っておったら訂正してください。 この一時金の問題について、たとえば重度のものについては、家屋を直したりあるいは暖房を入れるとか車いすを買わなければならぬとか、そういう費用が一時に要るわけです。そういう意味では一時金というのは確かに利点があるわけです。しかし一面考えますと、実際上の問題として、一時的にお金がかかるということと、それから今後の治療あるいは診断、リハビリテーション、職業訓練などを考えてみますと、一時金だけでいいのかという問題が当然出てきます。それから本人だけでなくて、親たちの心労、苦労というものも大変なことばいままでしばしば取り上げられてまいりました。たとえば岩手の小野寺さんの場合は、お母さんがつきっきりでやってこられてずいぶん苦労されたわけです。それから神奈川の今野君のお父さんの場合は、夫婦別れをして、仕事をやめて私がめんどうを見なければならぬというようなことをたしかテレビでも言っておられたわけでございます。現在の医療制度が貧困な状態にございますから、結局こういう看護料も出ない。付添看護婦のことを考えましても、現在ずいぶんお金がかかるわけです。そうしますと、一時金だけでいきますと恐らく十年ももたないだろうという感じが私はするのです。 したがって、被災者の実情に見合った救済ということと同時に、回復して、教育を保障されるということが本来国のやるべきことではないか。私は原則的なことを言っておるわけでありますが、いろいろな形でこういうふうになったのだけれども、しかし、実際考えてみると、一時金はくるのだけれども、リハビリその他を考えますとかなり長期化していく。しかも基本は、この子供たちが回復をして、教育を受ける権利を行使できるように国がやっていくというのが学校災害に対する国の基本的な姿勢でなければならぬのではないか、こういうふうに考えるわけでございますが、この考え方について、大臣、または局長でも構いませんけれども、お答えをいただきたいのであります。
○柳川政府委員 まさに御指摘の、被害者の実態にかんがみまして廃疾年金制度を創設して手厚い給付を行うということが小委員会の御意思でございました。私どももその線に沿って努力は重ねてまいったわけでございますが、予防接種法の水準にならうような廃疾年金を多種多様な学校事故につきまして全面的に適用していくということが、他の共済制度との均衡、社会保障制度との整合の観点から大変に困難であったということでございまして、もとより事故の事由あるいは被害の態様は多種多様でございますが、何よりもすべての事故に対して手厚い対応がしていけるということをまず第一の主眼にいたしまして、その面から、低い形での年金制の実現ではなく、高い水準を保ちたいということから廃疾見舞金の大幅な改定ということで当面この問題に対処するという措置をとったわけでございます。したがいまして、将来にわたって療養の実態その他の問題でなお問題は残るかと思いますが、今日の時点で重度の者に対する廃疾の一級に対しまして千五百万という他に類のない額の支給をする、またこの運用でこれに対応してまいりたいということの措置に落ちついたということで御理解をいただきたいと思う次第でございます。
○山原委員 私の言うような見方、また小委員会でしばしば討議された中身から申しますと、もちろん改善された点は先ほど申し上げましたように私も評価しますが、まだまだ不十分な点があるわけだと思っています。したがって、私は、互助共済の限界というものを今回の改正の中で感じておりまして、もっと枠を広げ、年金制度を導入していく、そのためには国の資金を投入するということも必要だと思いますし、そういう意味では、ここまで来たのですが、さらにこれももう一歩前進をさせて、国による補償制度を将来にわたって追求をしていくべきだ、こういう考えでございますが、この点は大臣、これからも発展させなければならぬというお答えがありましたが、そういう国の補償制度の確立に向かって前進をしていくという私どもの考え方について、大臣の見解をお伺いをいたしたいのであります。
○砂田国務大臣 学校事故の発生の態様が大変複雑多様であることは御理解をいただいているところでございます。その原因や責任の所在の面から見ましても、学校側に責任のある場合や、不可抗力的と見られる事故のほかに、子供の不注意あるいは疾患等、子供の側に原因があるという事故もまたあるわけでございまして、このような学校事故の実態から考えてみますと、学校で起こったすべての事故を対象としていわゆる無過失責任主義に基づく補償制度を創設するということは、現行の法体系下では困難であると思われます。また、このような制度を仮に設けるといたしました場合に、給付水準や給付対象の面で他の制約をまた受けざるを得ない、そういうことに相なりまして、従来とってまいりました、学校安全会が努めてまいりました仕事に対する大方の御要望をまた別の面から満たすことがむずかしくなるということも出てまいったものでございますから、いま直ちに無過失責任主義に基づきます学校災害の補償制度というものはどうもいまの法体系になじみにくい、率直に申し上げますが、こういう悩みを実は持つものでございます。他にございますいろいろな制度とかね合い等も考えて研究をしていかなければならぬことでございますので、ひとつそういうふうに御理解をいただきたいと思います。
○山原委員 その点に悩みをお持ちで、現在の諸情勢といいましょうか、そういう意味からこういう形態になったわけでございますから、そのお気持ちはわからぬではないのですけれども、もともと小委員会ではそういう方向にずっと前進しかかっておったという事態も把握されまして、今後の進展に私たちも努力をすべきだと思っておるわけでございます。 二つ目の問題は、特別廃疾見舞金を一級から三級まで適用するということで、これは三十五年にさかのぼる。そして一級は四百万、二級が三百万、三級が二百万、こういうことになるわけでございますが、この点について、これはいわば過去の方々に対して一定の福音を与えるという点では大変喜ばしいことだと思っておるわけでございます。 ここで、いままで委員会でもずいぶん事例として出ました、たとえば岩手の小野寺君、それから山形の近野君。小野寺君の場合は現在裁判で敗訴しておるように思います。それから山形の近野君の場合は裁判で勝訴しておるという事態があります。それから高知県の植村君、神奈川の今野君、埼玉の大谷君、そのほかたくさんの方が廃疾状態で苦労されて、一家挙げて悲嘆のどん底に陥っているということなどが今回の改正の基礎になっているわけですね。だから、私は、この人たちのいままでの苦闘というものに対してどのような処遇が今度の改正で行われるかという点を、具体的にお聞きして大変恐縮でありますけれども、たとえば岩手の小野寺君の場合は現在医療が継続しています。継続しております場合には一級の千五百万という金額が考えられるのではないかと思うのです。それから近野君の場合は、これもそうでしょうけれども、これは裁判との関係がありますからそれが相殺されるという結果になるのではないかと思っているわけです。それから植村君の場合は、かつて安全会から三百万の支給がなされておりますが、今回の措置によりまして四百万の追加というふうな状態になるのじゃないか。それから、いま医療が継続しておる方たちは、そういう点で岩手の小野寺君のような状態に処遇が、と言ったらおかしいのですが、なるのではなかろうか。たとえば神奈川の今野君の場合もいま医療継続中と聞いておりますから、今度の措置によって千五百万の一時金という、こういう計算になるのか。これは私の計算が間違っておるかどうか、大変具体的で恐縮ですが、一般的にそういうふうに考えてよろしいでしょうか。
○渋谷参考人 大変具体的なお話でございますので、具体的にお答えいたしたいと思います。 小野寺さん、これは一関高等専門学校、柔道の練習中の事故でございまして、まだ五年になっておりませんので、現在学校安全会から医療費を支給中でございます。いま先生御指摘のように、これは訴訟になりまして、第一審で敗訴し、控訴中だと思うわけでございますが、この方の場合は、五年間医療費の支給が終わりますと、恐らく一級に該当して一千五百万円を支給することになるのではないか。訴訟の関係もございますが……。 それから山形の近野さんの場合でございますが、これも現在訴訟中でございますが、これは体操のつり輪の練習中の事故でございます。すでに一級の廃疾見舞金を支給済みでございます。そこでこの方の場合に特別廃疾見舞金がどうなるかと、こういうことでございますが、特別廃疾見舞金は、そのために国庫補助金が三億円計上されまして、安全会の繰越積立金からあわせ充当いたしまして、安全会の定款の改正によりまして、災害共済給付に付帯する事業として来年度行う予定にいたしておりますが、その場合に一つ、損害賠償金を受けた場合はやはりそれとの兼ね合いを考えざるを得ないということがございますので、近野さんの場合は訴訟の行方がちょっと関係してまいると思います。 それから高知高専の植村さんの場合でございますが、これは柔道中の事故でございますが、すでに一級の廃疾見舞金を支給いたしております。それから、これは国立高専でございまして、国の方からも、損害賠償金でなく見舞金的な金額が出ております。損害賠償金としてでなく、見舞金的に出ておりますから、この方の場合は、来年度、五十三年度におきましてもなお一級の状態にありますれば四百万円の特別見舞金を支給するということになろうかと思います。 横浜の中学校の今野さんの場合、これは水泳練習中の事故でございますが、現在医療費を支給中でございます。この方も恐らく、五年たちまして、あるいは医療中に治癒して廃疾が固定いたしますれば廃疾見舞金を支給することになると思います。その等級等につきましては、現在資料をちょっと持ち合わせませんが、相当の重い廃疾見舞金になろうかと思います。 大宮の大谷さん、これも柔道練習中の事故でございまして、すでに一級の廃疾見舞金を支給いたしております。五十三年度におきましてもなお一級でありますれば、恐らく特別廃疾見舞金四百万円支給の対象になろうかと思います。ただ、この方の場合、損害賠償との関係がちょっといま資料がございませんが、損害賠償との問題がなければそういうことになろうかと存じます。
○山原委員 大変具体的なことをお聞きして恐縮でございましたが、これは年金にすれば年間百二十万から百三十万ぐらいのものが毎年出ていくという、五十三年度から続くわけですが、それに比べてみますと、過去の場合はかなり安い金額の状態に置かれておりまして、すでに医療費打ち切りになった場合に、四百万としましても、この医療費継続中の千五百万に比べますと大分差があるわけでございます。それからまた、過去の方たちはこういう状態の中で大変苦労してきておるという面から見ましても、たとえば日弁連の方のお考えでは大体二倍から三倍の金額にすべきだという御意見も出ておるように思うのです。そういう意味で、特別廃疾見舞金につきましても、今後この見舞金の金額を引き上げるということも改善すべき点ではなかろうかと思います。これは御答弁は要りませんが、私はそういうふうに考えているわけです。 次に、三つ目の問題として、医療費の五年打ち切りの問題でございますが、これは文部省が要求された時点では、文部大臣が必要と認めたときにはその延長もあり得るという立場をとっておりましたが、今度はこのことが消えておるわけでございます。これはどういうふうに解釈したらよろしいか、伺っておきたいのです。
○柳川政府委員 このたびの改定で、廃疾見舞金の額の大幅な改定の実現を期しているわけでございますが、これとの関連もございまして、療養期間が五年を超えました方々はそのほとんどが廃疾としての認定を受ける形になるということが見込まれますので、その後の療養につきましても、この廃疾見舞金の支給、またこれの運用において対応できるのではないか、医療費の負担も可能となるということの観点から、支給期間の延長はこの際行わなかったという経緯でございます。
○山原委員 私のこの点に対する考え方を申し上げておきますと、本来、見舞金は支給して、さらに医療費は見るべきだという考え方でございます。廃疾の場合ももちろんでありますけれども、内臓疾患あるいは通院などの医療を当然受ける子供たちに対しましては、文部大臣の実情に見合った延長措置というものも復活しておいていいのではないか、こういう考え方を持っております。これは意見を申し上げておきたいと思います。 四番目の問題として、今回国庫負担をするということになったわけですが、この理由ですね。これはいままで文部省の方としては厚生省等に対して説明をされておると思いますが、その説明のポイントをお聞かせいただきたいのです。
○柳川政府委員 学校教育の積極的かつ円滑な展開を図るということを趣旨といたしまして、その観点から学校事故をめぐります各種の紛争等の問題を除去していく、その面から教師の積極的な活動を期待されるという観点に立ちまして、このたび共済給付事業そのものに対して国の補助金を導入するという考え方に立った次第でございます。
○山原委員 国庫負担の理由としては、たとえば生存権の問題とか、学習権の問題とか、発達権、成長権の問題などがあると思いますが、文部省としては厚生省に対して発達、成長権という説明をしておるんではないでしょうか。
○柳川政府委員 厚生省関係の社会保障のいろいろな関連がございますが、もとより学校におきましては児童、生徒の心身の健全な発達を期するということが学校教育の目的そのものでございます。この児童、生徒の心身の健全な発達を図っていく教育の推進という、もっぱらその観点で説明してまいりました。
○山原委員 私はそのことは正しいことだと思っております。いわゆる児童たちの発達、成長していくという意味で学校災害に対する救済制度を強化していくということから考えますとその点ではいいわけですが、同時に、その考え方から見ると、現行の廃疾認定基準が現在労災の準用となっているわけであります。この労働災害の点と、子供たちの発達や成長あるいは学習に見合った基準とはおのずから異なるものがあると私は思うのです。それはまた小委員会などでずいぶん論議をされたところでございます。たとえば、私は運動機能の障害が残ったら廃疾と認めるべきだという考えを持っております。現在は正常機能の四分の三以上になった場合と、こうなっているわけですが、子供たちの教育の場におけるさまざまな教育権といいますか、そういう点から考えますと、労災の基準というのではやはりなじまないのではないかというふうに思いますが、この点はどういうふうに論議をされたでしょうか。
○渋谷参考人 廃疾の程度、等級の問題は大変にむずかしい問題といいますか、そこで、現在労災、公務員の災害補償あるいは自賠責保障法の関係その他いろいろな公的制度で廃疾の程度、等級を決めておりますが、すべて労災の基準そのままを使っております。ただ、私ども、その基準を運用する上で、これも関係各省によってかなり厳しい、子供であろうと大人であろうとすべて同じでなければならない、そういう見解もございますが、安全会といたしましては、この基準を運用する上におきまして、成長過程の、発育さなかの児童、生徒でございますので、その法令、定款による基準の趣旨を逸脱しない範囲で、運用上、ただいま御指摘がございました関節の機能障害で四分の三というところも、児童、生徒の発育段階に照らしまして少し緩和した運用をいたしております。そういう考えで、運用上できるだけ、先ほどの歯の問題とか関節の曲がり方の問題とか、この四分の三をちょっとでも欠けたら見ない、そういうような運用はいたしておりませんで、余り逸脱するとちょっと法令の基準の違反になりますけれども、できるだけ弾力的な運用を図るようにいたしております。
○山原委員 いま理事長のお話、弾力的運用というふうに考えていいと思いますが、たとえばその点で、もう御承知だと思いますけれども、学校安全会東京都支部の運営審議会が廃疾見舞金給付基準などの改善についてという要望を出されております。それによりますと、労働力と異なり、心身発達の過程にある教育の場に起こった事故に起因する廃疾にふさわしいものにせよという要望が出ていることは御承知と思います。まさにそういう意味でこの適用についても、いま理事長がおっしゃったような、さらにそれをもっと一歩進めた形の要請が当然今後も出てくると思うのです。 その点でちょっと例を挙げて申し上げますと、現行規定によりますと、ひざ関節の機能障害による場合、正座できなくなり、柔剣道を行う際、また日常生活において障害のある場合、労災の場合はひざの関節が、十センチの間隔があるという点が出ておるわけですが、子供の場合には五センチでも大変でございます。そういう点から考えますと、これは当然廃疾の中に入れてよいと思うわけです。そういう措置をとる必要があるんじゃないか。それからひじ関節機能障害の場合、たとえば鉄棒とか球技など体育時に支障がある場合、また鉛筆を十分に握れない、差し支えがあるような場合、一般の労働者にとってはそれほどのことでない場合でも、子供にとっては勉強するとき一番大事なところ、こういう障害が出てくるわけですね。これでは労災の基準では間に合わないという問題があると思います。それから視力障害の場合が、めがねをかけて〇・七になれば認定しないということでありますけれども、これも学校で黒板を毎日見ながら教育を受ける子供にとりましては、そういう規定はやはり不十分だと思います。それから歯の三本未満は折れた場合にだめだということになっていますが、これは子供の成長ということから考えますと、前歯三本折れると食事も十分にできない、こういう現実の問題がずいぶんあるわけですね。聴力障害の場合にしましても、たとえば現在四メートルのところから普通の声を出してそれが聞こえるか聞こえないかというのが労災の問題でありますが、これは現在ではもっと科学的に判定できるオーディオメーターというようなものもありますし、こうしたものを駆使して基準をつくるのが正確なやり方ではなかろうかと思います。 私は、いま申し上げましたように、以上のような子供たちに見合う基準を検討するために、科学者やあるいはお医者さんあるいは養護の先生方などの意見を十分取り入れて、こういうものに対する基準の検討をぜひしていただきたいと思うのでありますが、こういうことをお考えになっておるかどうか、伺っておきたいのです。
○柳川政府委員 廃疾の認定の問題につきましては、労災の認定基準をもとといたしまして現在取り組んでおるわけでございますが、このたぐいの子供たちを対象としたものといたしましては、自賠法等におきましても労災の基準を対象としておるというような経緯もございましてこのような形をとっておる次第でございます。いま御指摘の点が多々ございますが、これらにつきましては、先ほど理事長から申し上げましたような、当面運用の問題として取り組みながら、かつ研究をしてまいりたいと思っている次第でございます。
○山原委員 五点目の問題としまして、医療費の給付の問題ですが、これにもやはり欠陥があるように思います。すべてを一挙に解決するわけにはいかぬことですからいろいろ申し上げてもいかぬわけですけれども、問題点だけは指摘しておきたいと思うのです。たとえば差額ベッドの問題があります。それから付き添いの場合ですね、子供の場合、これは現実にあったことですが、大島で災害が起こりまして、そして夜、船に乗って両親がついてくるわけですけれども、来るともう夜間になっておりますし、病院に入ることもできない、宿泊をする、こういう費用というのは実はばかにならないわけですね。こういった点、医療費の給付につきまして子供の場合には特別な措置が必要ではないかという考えを私は持っておりますが、これらはいまのところ全く検討されていないのでしょうか。
○渋谷参考人 差額ベッドまで安全会の給付で見るということは、社会保険といいますか、安全会の制度も公的制度でございますので、自由診療とか差額ベッドまで見るのはちょっと、といいますか、かなり問題がある。社会保険の制度をむしろ混乱させるといいますか、そういう問題があろうかと思いますが、ただ、御指摘のような問題があることは事実でございますので、医療外給付といいますか、毎月の療養に要する費用が五千円を超えました場合は家族負担分の三割に加えまして一割を加算する、現在そういう医療費の決まりになっております。たとえば高額療養費の場合、ある月、療養に要しました費用が三十万円であるといたしますと、現在社会保険の方で高額療養費の本人負担は三万九千円どまり、七割給付でございますと九万円家族負担になるところを三万九千円でとどめておるわけでございますが、安全会は、その本人負担になります三万九千円にプラス三十万円の一割、三万円というものを加算をして給付いたしております。たとえば予防接種の場合、医療手当というのがございますが、あれも入院とかなんかの場合でございますが、あれも毎月ごとはたしか最高一万五千五百円だと思います。そういうようなことで、医療外給付的な趣旨で、入院したりお医者さんにかかりますと何かとお金がかかりますので一割加算という給付制度をとって、先生御指摘のような点を少しでも補えるような仕組みにいたしておるわけでございます。
○山原委員 定時制高校の場合ですが、健康保険に入って、昼働いておるわけで、十割給付ということで、この場合には安全会から出ないと思います。でもこれは、本人も掛金を掛けている互助共済の立場からいいますと、ちょっと片手落ちではなかろうか。少なくとも見舞金等の支払いは検討されるべきではないかと思います。検討されておるかもしれませんが、それはいかがですか。
○渋谷参考人 これは安全会創設のときから意識して問題にいたしまして、定時制の生徒の場合は、本人が健康保険に入っている場合もございまして、そちらから十割給付になるわけでございますが、定時制の生徒の場合はもう大半が勤労青少年でございます。勤労青少年が学校でけがをいたしましたりしてお医者にかかれば大変な費用負担ということもございますので、その点は、健康保険に入っております定時制の生徒の場合も、ほかの児童、生徒と同じ医療費の給付をいたしております。
○山原委員 では次に、学校の先生、教員、それから個人といいましょうか、あるいはPTAなどが自発的な活動として登山あるいは海へ行ったりする、スポーツ、レクリエーションといった場合の事故について、学校長の認知している場合は対象にすべきだと思いますが、この点はどうですか。
○渋谷参考人 いま御指摘の問題は、学校管理下の範囲に入るか入らないかという問題になるわけでございますが、教育課程に基づく授業を受けているとき、その次に学校の教育計画——教育課程に基づくものではなしに、学校といたしまして教育計画を立てまして課外指導を行うということがございます。端的な例が臨海学校、林間学校、そういったようなものでございます。そういう、学校といたしまして夏休みなどにそういう教育計画を立てまして行ったものは課外指導といたしまして管理下の範囲に入るわけでございますが、PTA主催、あるいは社会教育活動として行われたというようなものは、遺憾ながら学校の管理下には入らないということになっております。
○山原委員 実情はよくわかったのですが、これがわりあい消極的な教育活動を誘発する結果になっていまして、調べてみますと、校長先生も、たとえば海へ行く、山へ行くという場合に承認を与えないのですね。帰ってきて事故が全くなかったときに初めて承認をするというような例がずいぶん多いのです。そういう点が、本当に子供と接触をしていく、あるいは子供と山野を駆けずり回る、先ほどもお話がありましたが、そういう面の消極性が生まれてくるということもいけないわけでして、そういう点の検討も必要だと思いますし、また学童保育がいま非常に普及しつつある現状でございます。これなども実情に合わせてその範囲を広げていくべきではないかという考えを私は持っておりますが、これは時間の関係で御答弁はまた伺うとして、今後の改善点として出していきたいと思っています。 それから、申請の手続上の問題があります。これは私どものところへも、学校災害についてわりあい学校が申請を渋るという状態、ある人の場合は二年間なかなか出してくれない、これはお医者さんの診断との関係もありましてそういうことがありますので、直接請求権とでも申しましょうか、親が教育委員会あるいは安全会へ申請をしていくという制度の道は開いておくべきではなかろうかと思うのですが、この点はどうお考えになっていますか。
○渋谷参考人 その点は、第一義的には学校の設置者が学校からの資料によりまして安全会に請求をするということになっておりますが、保護者も請求する道を開いてございまして、保護者自身が教育委員会を経由して安全会に請求する。ただ、学校で起きた事故でございますので、そちらの災害報告書は親としては書きませんから教育委員会を経由しないといけませんが、親が請求する道はそういうぐあいに開いてございます。
○山原委員 次に、手続上、文書料の問題でございます。細かいことを言って恐縮でございますけれども、一応ただしておきたいと思います。日本医師会、薬剤士会、歯科医師会、国立大学病院、それから自治体病院の一部、これは文書料を無料にしているという安全会との間の紳士協定みたいなものがあるわけです。ところが、厚生年金病院、国立病院、日赤などの医療法人は文書料を取っておるようであります。これはたとえば八百円とか千円とか五百円とかいう金額ですが、月々二千円の給付をもらって、こういう病院へ行った場合には千円とか八百円とかいう文書料を取られますから、実際には半減するという事態が起こっています。これは積極的に申し出をして無料にすべきではないか。医療機関と話し合いをしてこういう点は解決できないものかどうか。この点はいかがでしょうか。
○渋谷参考人 先ほどもちょっと申し述べましたが、安全会創設の際に文部省は日本医師会その他の御協力を得まして、一応日本医師会その他とそういうような通知といいますか、協定をしていただいておるわけでございまして、それも現実には個々の医師その他にまで拘束力はないのでございますけれども、全国的に見ましてかなり御協力をいただいておる。取る場合もかなり低い金額で御協力をいただいておるわけであります。そこであと県立病院その他は県の条例がございまして、その減免の規定を適用してやっていただいておるというようなことでございますが、一部、ときどき先生御指摘のような問題がございまして、支部の運営審議会等にも医師会関係その他から委員に入っていただいておりますので、それら各支部ごとに関係方面にいろいろ要請し、御協力方を極力お願いいたしておるわけでございます。全国的には何とか無料なりあるいは低額のあれで御協力いただいておるわけでありますが、ただ、事実上のそういう問題でございますので強制力まで持ちませんので、ごく一部にかなり高額なものを取られるということもあるようでございます。それも支部ごとのそういう努力によりまして、余り高額なあれは実際問題としては取らないといいますか、大体において御協力いただいているような実情でございます。
○山原委員 これはぜひ、こういう制度の問題、国会でもこれだけ問題になったことですから、国立病院とかそういうところは当然話をして、文書料を取らないように実現をしていただきたいと思います。 次に、この法律が実施された場合、これはどういう事態が起こるかということでございますが、直接給付金を支払う末端の事務体制が、これは互助共済の制度としては全くないと言っても間違いではないと思うのです。そのために養護教諭がこの事務をやっています。しかも、この養護教諭というのは御承知のように六十数%という形で、全校必置にはまだなっていないということですね。この方たちが大変なんです。一例を挙げますと、この医療費を毎月仕分けをして、そして子供に渡す。何千何百何十何円、もうきちっと小さなお金まで仕分けをしてきちっと子供に渡さないと大変なんです。それを渡すこと自体が大変なわけですね。親も仕事に出ていますから一々行くわけにいかぬものですから、結局子供に、小さいお金の場合渡していく。そしてこの養護教諭の方たちは、病院に行っていわゆる学災の認定文書をつくってもらう。その督促、こういうことで、もちろん学校にもよりますけれども、大規模学校の場合はもう手いっぱいというか、やりきれないという状態が出ています。 これは東京都足立区の花畑小学校ですが、ここは養護教諭の方が二人おいでになります。学級は三十六学級で、月々六十件持っているのです。これは月々その仕分けをしなくちゃならぬというわけですね。ところが、その仕事は保健室でやっているわけですけれども、最近は子供の事故が多くて、あるいは体力が弱ったり、最近は入試時期を前にしまして体育の時間に倒れたりする子供が相当多いのです。気分が悪くなる、保健室へ来る。そこではお金の計算をしておる。どれだけ子供たちが保健室へ来ておるかといって調べてみますと、これは東京都の四十八学級の学校でございますが、一日六十三人も保健室に来ています。平均しますと一日四十八人という数字です。大体どれだけ子供たちが保健室へ一日に来るかといいますと、十八学級で十五・六人という平均になっています。このめんどうを見なくちゃならぬ。屋上で事故が起こったということで、養護教諭の先生は屋上へ駆け上がらなければならぬ。そうすると、目の前で仕分けをしているこの金額を子供たちの目にさらすわけですから、これをまたざっと集めて袋かなんかへ入れて屋上へ走っていく。これが毎日繰り返されているわけですね。養護教諭というのはいつも走り回っておりまして、学校の中では救急車と呼ばれておるという、こういう事態です。そこへ今度またお金が来ます。高額なものはそれは何とかして親を呼んでくるのだろうと思いますが、ところが少額の場合、持っていくわけにいかないわけですね。そうしますと結局子供に渡して、おうちへ帰って判を押して持ってきてちょうだい、こうなりますと、子供はその親の判を押してくるのですが、途中で着腹といったら悪いんですけれども、お金が消えて親に届いてないなんということがずいぶんあるらしいんです。それで結局最後には養護教諭が疑われるというような事態が起こって、小さな金額ならもう自腹を切って払っても疑いを晴らすとか、これは実は現場の実態を聞きまして、今度の改善をなされたことは結構なんですが、このままの体制では大規模学校の場合にはこれは相当の混乱が起こるというふうに考えまして、これは何とか処置をしなければならぬと私は思ったわけです。幾つかの学校に問い合わせてみましたが、大体そういう状態なんですね。これは局長どうされますか。 これは安全会の問題というよりも文部省の問題でもあろうと思いますが、いわば互助共済という制度でこれほど末端機関の事務体制がないというのは珍しいわけですね。それだけに学校安全会のいままでの体制というのが特殊な状態にあったという点も言えるわけで、安全会を責めるわけにいきませんけれども、しかしこの体制をほっておくわけにいかないので、これは今度の法改正と同時に、末端の養護教職員の皆さんの体制というものをどうするか、これはぜひ考えていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
○砂田国務大臣 五十二年現在で養護教諭の配置率がまだ五〇%にしか達しておりません。大変残念な事態、申しわけない事態でございます。五十三年度が第四次の教員定数改善の最後の年でございますので、小・中学校の四分の三に達するまで配置し得るような改善を五十三年度予算でいたしておりますが、なお全校に当然配置しなければならないことでございますから、残余のものにつきましては今後ともその改善に努めてまいりたいと思います。
○山原委員 いま大臣が改善をされる御意向があるようですからこれ以上申し上げませんが、これは体育局の方でも実態をちょっと調べていただいたらかなりの問題がありますので、この点はぜひそういうことのないように。もう養護の先生が本来の仕事ができぬような状態で、これは安全だ何だといったって大変なことでございますので、ぜひ調査もしていただいて、これに対する適切な対応、大臣がおっしゃったようにしていただきたいと思います。 次に、もう時間を余りとりませんが、学校保健法の問題について、今度の学校保健法の改正につきまして御質問いたしますが、学校のすべきことは決めています。しかし、設置者や国の安全管理の点について触れていないというのが私は非常に欠陥だと思っておるわけです。たとえば、学校が環境衛生検査あるいは安全点検その他の保健、安全に関する計画を立てるというようなことが書かれておりますし、また学校において施設及び設備の点検を行い、修繕など危険防止の措置を講ずるというようなことが書かれているのです。では、実態に即して見ますと、こういう安全対策というのはこれは先生方一番頭を痛めておるところで、こういうことは現実にやっているわけですね。ずいぶん努力もされておるわけですが、その努力と同時に、いま必要なことは、設置者の方がそういう努力に対して適切な措置、たとえば予算上の措置などをとることが必要ではないかと思うのです。たとえば学校のプールを点検するといっても、このプールの点検の場合に、電気系統の検査なんというのはこれは学校の能力ではできないわけですね。そういった場合にこれも設置者の責任といいますか、そういう仕事といいますか、そんな点はもっと具体的に設置者並びに国がそれに対してどう対応するかということがないと、これは子供たちの安全を万全に守ることはできないと思うのですが、その点の保健法改正の性格はどういうふうにお考えでしょうか。
○柳川政府委員 このたびの改正におきまして、学校においては健康診断のほかに新たに環境衛生検査あるいは安全点検その他の保健または安全に関する事項について計画を立て、これを実施しなければならぬという規定を置いたわけでございます。さらに学校環境の安全につきましての規定を設けたわけでございますが、このことは、事故を未然に防止するということの重要性の趣旨を徹底していくという観点に立ったものでございまして、特に「学校においては」という規定を置きましたことは、当然に、学校を設置する設置者の管理機関であります教育委員会もこの法の定めるところによります実行につきまして責任を負っておる次第でございますので、それらの意も含めてこの改正をしたわけでございます。ただ、従来この面につきましては安全指導等の徹底を図って、各学校でそれなりに御努力をいただいてきておるところでございまして、またその実行にそれぞれの設置者においても努力をされておるところでございますので、特に今回の改正に伴って必ずしも新たにすぐにこういう財源措置を必要とするという問題でないという受けとめをいたしまして、今後この面の実効あるような点につきましての指導と、各設置者、学校における取り組みを求めてまいりたいと思っている次第でございます。
○山原委員 次に、学校の安全基準の問題です。 これはけさほど、どなたかの先生から御質問があったように思いますが、具体的な例を挙げますと、今回消防法の改定によって階段ごとに防火シャッターをつけなくてはならぬ、こういうことに消防法のたてまえからなってまいります。このシャッターをやりました場合に、廊下の広さとかそういうものもありますが、このシャッターには子供たちが出入りする出入り口があるわけですね。しかし半分しかないわけでございますから、階段からおりてくる子供たちが四列で駆けおりてきて、今度はそこへ来るとぐっと詰まってしまって二列になる、ここで混雑が起こる、将棋倒しになるというような問題が予想されています。消防法のいうままにならざるを得ない、というのは学校安全基準というものがないわけですから、消防法のたてまえからいえばそれが実施される。学校安全基準がないからそれを受け入れざるを得ないということで、かえって混乱が起こるというような問題が出るわけです。この学校安全基準というものはつくらなければならぬものではないかと思いますが、その点は先ほどたしか質問がありまして御答弁なさったようですけれども、ちょっと聞き漏らしたものですから、これはどうでしょうか。
○三角政府委員 先生ただいま御指摘の問題につきましては、学校につきましてはいまおっしゃいましたような状況が予想されますので、シャッターではございませんで、防火とびらといったような形で消防法の考えていることが実施されるように指導しておるわけでございます。 安全基準につきましては、先ほどもお答え申し上げたところでございますが、やはり建物の設計、建築につきましては、国のシステムといたしましては建築基準法及びその関係法令に基本を置くというたてまえで、それらにのっとってやってまいるということでございます。それから施設関係の維持管理の面での安全の問題でございますが、これにつきましては設置者の側でいろいろ考えていただく。やはり地域の社会環境でございますとか立地条件あるいは自然条件等もございまして、一律の公約数的な基準を定めましてそこまでやればよいといったたぐいのことでもございませんので、先ほど先生もおっしゃっておられましたように、現場での非常に周到な注意を払っていただくということも基本でございます。そういうことでございますが、文部省といたしましては、学校施設の設計指針というのが一つございます。それからもう一つは、学校建物の維持管理の手引きというものをつくっておりまして、それによりまして、いろいろな研修会あるいは連絡会議等の場合にも指導いたしますし、それから補助金によりまして建物を建てますときにはできるだけこの設計指針にのっとって建てていただくようにという指導をいたしておるわけでございます。なお、設計指針につきましては、最近の状況にかんがみまして若干これを改善し、手直しを行うべく目下検討中でございます。
○山原委員 設計指針ですが、これは非常に抽象的なんですね、留意するとか、危険がないように設計をするとか。改善するとおっしゃいましたが、もう少し積極的な立場をとらないと改定をされる場合にこれでは不十分だと私は思いますので、その点、検討していただきたいと思います。せっかく学校側が安全計画を立てましてもお金の保証がない。そうすると結局安く仕上げていくというような問題があるわけですね。たとえば木材の値が上がった。したがって、体育館が、私どもの子供のときは体育館は木でやっていましたからわりあいやわらかい感じを受けたんですが、いまは東京都なんかコンクリートです。そうすると関節炎、擦過傷というのがずいぶんふえています。廊下、腰板なども木材はほとんど使っていないという状態ですね。したがって、教室の中の寒さというのが暖房を入れても、上から暖まってきますから子供たちの一番大事な下のひざのところが暖まるまでに東京の冬の場合は約二時間か三時間かかるのだそうです。そういうセメントの中に子供たちが閉じ込められているというような状態ですね。 それから校庭については国の補助金がありませんから、結局東京などでは土ぼこりが立つというのでコンクリート、アスファルトにするわけですね。そうしますと事故がぐっとふえる。東京都中央区の場合には、何かよくわかりませんがウォークトップというのを張っているそうです。これをやりますと擦過傷、打撲傷がずいぶん減っておりまして、このウォークトップは一平米わずかに四千七百円でできるそうであります。こういうものを、設置者が少し気を使ってお金も出してやれば、また国の補助対象にすれば、擦過傷あるいは打撲、そういうものがずいぶん減るわけです。これは子供の成長にとっても非常に重要なものだと思います。東京の中央区で校庭の調査をしておりますが、東京都事務職員研究協議会というのが五十一年の十一月に発表しておりますのを見ますと、アスファルトからウォークトップにかえますと、擦過傷は、かえる前が千六百六十二人、それが七百二十五人に減っております。裂症は百三十九人あったのが三十二人に減っております。骨折は十二人でありましたのがゼロという数字が出ております。この調査の結果から言いますと、少し手をかし、工夫をすれば、少しお金を足せばずいぶん大きな効果が上がりまして、子供たちの安全を守れるという数字だろうと思います。 いろいろな創意が先生方の中にもなされておりますし、いま東京都の教員組合なども学校施設の安全点検運動というのを行いまして、校庭の広さとか、屋上やプールの利用状況などについてかなり創意に満ちた安全基準の調査をなさっておるように思います。こうして考えますと、最近起こった事故でも、たとえば世田谷で起こりましたプールの漏電事故、それから愛知でありました救命袋で子供が落ちて事故を起こすという問題、これなども、先生方は自分で救命袋へ入って点検をしていますけれども、たしか六十番目の子供が事故を起こしているわけですね。そこまではとても先生方の手では気を配ることはできないわけでございます。したがって、こういった点を考えまして、現場の先生方の創意工夫あるいは教育委員会などのいろいろな調査、そういうものをお調べになって、文部省の学校施設設計指針というものをせっかく出しておられますが、抽象的なものでなくて、学校を設置した場合にもっと国の補助の対象を広げていくというようなことが必要だろうと思うのです。 まあ、最後になりましたが、結局は、この安全会法を改善されたことはいいことでございますけれども、本当に安全を保障するという意味におきましては、この前も問題になりました学級定数の四十五名を解消して、一人一人に手間がかけられるような学校体制をつくるとか、あるいは危険校舎やプレハブの校舎をなくするとか、養護教諭の増員をするとかする必要があると思うのです。大臣、専門的な仕事をしておる養護教諭の方たちは、大体六百人の生徒であったら一人で、朝子供たちの顔を見て、この子供はきょうはマラソンさせてはだめだとか、この子供は体の調子が悪いからこういう指示をしなければならぬとかということができるのだそうです。六百人は大体掌握できる。先生方、知っておられると思いますけれども、そういう状態です。そう考えますと、やはり学級定数の問題あるいは教員数の問題、養護教員をふやす問題、そういうものが総合されて学校災害を防ぐという大きな立場になると思います。いろいろと私は細かい点まで申し上げてお聞きをしたわけでございますが、今度の法改正に当たりまして、結局はこの法をさらによりよいものに前進をさせていくために、本委員会もさらに打って一丸となって、文部省もこの点では応援をしてよいものにしていくと同時に、学校安全の基本であるところのこういう危険校舎をなくすとか要員をふやすということが肝心な問題であろうと思いますので、最後に文部大臣のこれらの点についての御決意を伺いまして、私の質問を終わります。
○砂田国務大臣 児童、生徒のために、学校での安全をより一層確保いたしますために総合的な観点から努力をしてまいりますので、どうぞ引き続いて御支援をお願い申し上げたいと思います。
○山原委員 終わります。
○菅波委員長 大成正雄君。
○大成委員 最後でございますので、簡潔に御質問させていただきたいと存じます。 まずもって、本委員会が、この学校災害に関連いたしまして小委員会まで設置をされてこの制度の改善のために御努力をいただきました点について、衷心から敬意と感謝を申し上げる次第でございます。 結論から先に申し上げまして、私ども新自由クラブとしては、この制度の改善には、暫定的な措置として、きわめて不十分なものがありますが、同意をいたしたいと存じます。しかしながら、本制度の今後の発展のために、若干の質問と意見を申し上げさせていただきたいと存じます。 この制度が社会的に問題になってまいりました理由は、いわゆる安全会の見舞金という制度のあり方の問題、また見舞金の額そのものがきわめて低きに過ぎたという問題、それからもう一つば教育基本権の問題、こういった立場から法理論的にいろいろな問題提起がなされてきたということだと理解をいたしておるわけであります。であるとするならば、本法の今回の改正は基本的な問題の解決にはなってはおらないわけであります。もとより、この見舞金の額が死亡の場合に四倍にも引き上げられた、こういった格段の進歩が見られることは、私どもその努力を評価するにやぶさかではないわけでありますけれども、憲法二十六条一項の教育を受ける権利、あるいは国家賠償法第一条あるいは第二条等との関係のいわゆる無過失責任制の問題、あるいは民法七百十五条、七百十七条といったこととの関連の問題あるいは世界的にはILO、ユネスコの教員の地位勧告の六十九項との関連の問題、あるいはフランスや西ドイツ等の先進国のこの種制度の事例、こういったこと等に照らしまして、あくまでも本法の改正は見舞金としてこの問題の前進がある、こういうことでありました。私どもの西岡試案として提出いたしました、いわゆる補償金と見舞金と分けて考える。補償金はあくまでも国の責任において行う、見舞金は設置者、父兄との共済制度による、こういった発想というものは採用されなかったわけでありまして、この点についてはきわめて遺憾と言わなければなりませんし、また、全国の父兄とともにそういった最終的な目標に向かって今後とも私どもは努力をしていきたい、このように考えるわけであります。 さてそこで、まず第一に承りたいわけでありますが、本法の改正に当たって、文部大臣としては、私どもが庶幾する、あるいは多くの父兄たちが庶幾するようないわゆる無過失責任制までに至らなかった。今回のこの国庫補助の道を切り開いた、十八億の国庫補助を得たということは、その努力は評価をいたしますけれども、無過失責任制というところまで範疇を越えることができなかったということに対する、まず文部大臣の御所見を承りたいと存じます。
○砂田国務大臣 学校事故の発生の態様がまことに複雑でもありますし多様でもございます。その原因や責任の所在の面から見ましても、学校側に責任のある場合や不可抗力的と見られる事故の場合もございます。そのほかにも、率直に申し上げますと児童、生徒の不注意や心臓疾患等、子供の側に原因のある事故も少なくないのが実例の示すところでございます。このような学校事故の実態から見まして、学校で起こったすべての事故を対象として、いわゆる無過失責任主義に基づく補償制度というものを創設いたしますことは現行の法体系上非常に困難であったわけでございます。また、仮にこのような制度を設けるといたしました場合に、補償制度でありますからには給付水準や給付対象などの面で別のまた制約も受けることになってくるわけでございまして、学校安全会が従来取り組んでまいりました安全会の仕事、それに対します大方の要望をかえって満たすことができない事態も考えられまして、適当ではないという判断をせざるを得なかったわけでございます。
○大成委員 ただいまの大臣の御答弁の趣旨からいたしますと、この共済制度的な、また見舞金的な発想の域を越えないという従来の枠組みの中での御意見だ、このように考えるわけであります。いずれかの時代に、ただいまの文部大臣のような御所見の内容が、法理論的にも変わった発想からこの制度に対する御意見が述べられるような時代になるように、私どもそれが近いことを期待してやまない次第でございます。 そこで、ただいまのような御意見だとしますと、見舞金の額が格段に引き上げられたとはいえども、民法上の損害賠償による請求を妨げるということはできないと思うのですが、まずこの点を承りたいと思います。
○砂田国務大臣 おっしゃるとおりでございます。
○大成委員 ただいま御答弁のとおり、確かに裁判事例は減ってくるとは思うのですけれども、その基本的な権利、これを押しとどめるわけにはいかない、こういうことでありますが、実際問題として、ここまで見舞金を引き上げることによって、過去の裁判事例からしてその訴訟の請求件数というものはどの程度に減ってくるというふうに推定されますか、その点を承りたいと思います。
○柳川政府委員 現在案件になっております訴訟の件数が三十七件程度と承知しております。これは確定の判決にいくまでの間に相互の示談によって調停がなされるというようなケースも多々あるのでございますので、これにつきましてどの程度これが減少するか、また、この死亡見舞金の千二百万の額あるいは今回の特別見舞金を支給する等の問題との対応でどの程度の案件が係争のものから和解に達するか、いまのところ私どもとして見通しは立てられないと思います。
○大成委員 次に、過去の本制度の実態からいたしまして、いわゆる学校の設置者が民間の保険会社との契約による学校管理者賠償責任保険制度、こういった制度との契約をしてきておる事例があります。また同時に、自治体そのものが、この見舞金が少なきに失したために、いわゆる条例を制定してこれにある程度対応してきたといった事例もあります。そういったことに対して、今回特約の免責条項が設けられたわけでありますが、この免責条項の法制化によって、これらの自治体の条例あるいは民間の保険会社等との契約、こういったことの関係はどのように理解をし、またどのようにそういった制度が変化してくると思われるか、その点を承りたいと思います。
○柳川政府委員 現在市長会あるいは町村会等で損害賠償責任の保険制度をとっておりますものにつきましては、かなりのものが今回の改善によりまして賠償責任を免れるということになるとは思いますが、大きな事故につきましては、先ほど大臣が御答弁申しましたとおり、民法上あるいは国家賠償法上の問題を残します。しかし、これらはなお任意に行われておるものでございますので、直ちに安全会の給付事業と結びつくという形にはならないということでございますが、一般に、他に学校体育以外の社会体育における事故に対しまするスポーツ安全協会の給付事業、あるいは高等学校等でPTAが独自に行っております損害保険制度等のこともございまして、これらにつきましてはなお安全会との関連も考慮しながらいろいろ関心を持って対応してまいりたいと思っておる次第でございます。
○大成委員 たとえば、死亡事故の事例を挙げましても四倍に見舞金額が引き上げられておるわけであります。また廃疾見舞金も引き上げられておる。こういったことからいたしますと、民間の保険会社の設計というものは、いわゆる従来の低い見舞金の金額を基本にした設計になっておると思います。これはそうですね。だとすると、今回の制度の改善によって、その保険契約の設計内容というものは変わってこなければならないと思うのです。したがいまして、文部省としては関係保険会社と直接、この制度の改善によって既存契約の保障条件のレベルアップが当然なされなければならない、このように思うわけでありますが、その点に対する御所見を承りたいと思います。
○柳川政府委員 現在自主的に行われております保険につきましては、今後その必要がなくなる場合が多うございます。ただ、これは自主的に行っているものでございますから、いまこの面につきましてはできる限り学校安全会の事業の方で吸収できるものは当然に吸収していくということの観点に立ちまして、該当の県と保健課の方でも相談を始めておるところでございます。ただ、これに吸収できない問題が、また御指摘のように賠償責任の保険制度も別途でございますので、これらとの関連は今後研究課題であろうというふうに考えます。
○大成委員 ただいまの御答弁、ある程度正確ではないかと思うのですが、そういった民間保険会社等と契約をしておる設置者の数は非常に全国的に多いわけでありますから、この制度の改善を契機に、文部省としては、アンケートといった言葉が適当でしょうか、ともかくこの制度の改善によって、保険契約を廃棄するとか、あるいは廃棄にはまだ至らない、さらにもっとむしろ給付条項を改善するように保険会社の方に要求をしていくとか、いろいろな意見があるだろうと思うのです。ですから、この制度の改善を契機に、文部省としてはまず、ニーズを吸収をする、いわゆる特定の調査をしてその実態を把握していただく。同時に、それらの実態を把握した上で、保険会社を招致をして設計、積算の根拠をさらにレベルアップしていく、こういった方向が望ましいと思いますので、これは意見として申し上げておきます。 次に、いままでの見舞金の制度からいたしますと、いわゆる父兄の社会保険におぶさってきたというところが非常に多かったわけであります。お父さんの入っておる健康保険あるいは国保、こういったものによってその後被災者がその治療等の恩恵に浴してきたということだと思います。本制度の改善によって、他の社会保険との関係はどのように理解するか、承りたいと思います。
○柳川政府委員 従来、国民保険あるいは健康保険に加入しておる、その扶養家族としての立場からの給付を受けるものにつきましては、その給付を受けた上で、さらに欠けているところにつきまして安全会の方で療養給付を行ってきたという内容でございまして、今回の改善におきましてもこの面をそのまま踏襲して行っていきたいと思います。
○大成委員 次に、念のためにこれは承るということでありますが、この見舞金額が相当引き上げられました。所得税法あるいは生活保護法による給付あるいは福祉年金、こういった家庭全体の収入との関係で、この見舞金額が引き上げられたことが何らかの不利益なりあるいは損害なりというか、そういったことは全く考えないでいいかどうか、この点、承りたいと思います。
○柳川政府委員 生活保護の問題につきましては、見舞金の支給との関連で制約を受けることがあり得るかと存じますが、そのほか、給付につきましては税制上も非課税の対象になるというような内容がございますので、その面で、総合的な関連においてはそう支障なく給付事業が行えるという感じでございます。
○大成委員 私も税法を確認して言っているわけではありませんので、あいまいなところはお許しいただきたいと思いますが、念のために申し上げますが、もし、この給付を受けて、確定申告をする場合にその見舞金の申告が漏れておった場合に、過少申告として後から追徴されることはないかどうか、その根拠はどこにあるかということをはっきりとここでお示しをいただきたいと思います。 それから、お年寄りがおられる家庭で年金の給付を受けている家庭の場合に、その年金の給付がとまるようなことがないかどうか、その点の根拠をもう一回お示しいただきたいと思います。
○柳川政府委員 日本学校安全会法に、第四十条「公課の禁止」という規定がございます。「租税その他の公課は、災害共済給付として支給を受ける給付金を標準として、課することができない。」という規定がございまして、これに基づきまして、所得税法その他におきましても所得税の非課税扱いになっておる次第です。
○大成委員 福祉年金はどうですか。
○柳川政府委員 福祉年金とこの共済の給付との調整規定は特にございませんが、この共済給付金が支給された場合にそれは非課税の対象になるということでございますので、福祉年金との絡みの問題は生じないというように感じております。
○大成委員 この福祉年金の場合は事例はそう多くはないと思いますけれども、念のためにこれは文部省の方としてもよく御調査をいただきたいと思います。公共事業に土地を売ってもある程度の金が入った場合には年金がとめられますから、これは課税じゃございませんので、給付がとまってくるわけですから、その御家庭に年金支給対象者がおった場合に問題が起こっては気の毒でありますから、ひとつ念のために確認していただきたいことをお願い申し上げておきます。 次に、この災害の範囲の問題でありますが、今回の改正によってこの災害の範囲が拡大した面はどの部分であるかを、具体的に事例を挙げてお示しいただきたいと思います。
○柳川政府委員 このたびの改正は給付の額の大幅な改定をいたしたわけでございまして、災害給付の対象範囲につきましては、学校管理下における事故を対象とするという従来どおりの線と変わりございません。 〔委員長退席、唐沢委員長代理着席〕
○大成委員 これは放課後であるとか夏休み中の災害であるとか、あるいは登下校時であるとか、もちろん登下校時は二分の一ですか、いろいろあると思うのですが、いま私が挙げた幾つかの事例に対してはどのように確認してよろしいでしょうか。
○柳川政府委員 学校が授業として行います教育活動及びいま御指摘の放課後における部活動、あるいは校外におきまして学校が計画して実施する学校行事に該当いたします修学旅行、林間学校、臨海学校、課外指導その他の関係につきましては、やはり学校の管理下におきます責任ある教育活動ととらえまして、その面におきまして発生した事故はすべて対象にするという姿勢でございます。
○大成委員 登下校時二分の一という、その判定の根拠はどういうところにあるのでしょうか。
○柳川政府委員 登下校時は直接の教育活動そのものでございませんし、また直接学校の管理作用が及ぶという形ではございません。また事故の態様が他の第三者の事由による等の場合が多うございますが、そのような状況であっても、しかし発育盛りの過程にあります児童、生徒の登下校の問題でございますので、これにつきましても学校管理下の事故に準ずる扱いとして取り扱っていくということから、二分の一の給付額を決定しておる次第でございます。
○大成委員 その解釈はいろいろ意見の分かれるところでございます。われわれ父兄の立場から、家庭を離れて、行ってまいりますと言って家の敷居をまたいで出た、また、ただいまと言って帰ってくる、その間は、父兄の立場からするならばもう学校に一切お任せしているのだといった父兄の気持ちは事実だろうと思います。同時にまた、この登下校のあり方についても学校教育の一環としてやはり教育者は責任を持つべきだ。もちろん高等学校とかそういう高学年の場合は別でありますが、特に幼稚園、小学校等の場合には、やはり登下校に関する責任も当然教育者として持つべきだ。しかるがゆえに、幼稚園や小学校においては、その登下校のルール、あるいはそのあり方等に対する、あるいはその団体活動に対する指導を強化しているはずだし、また当然そうあるべきだと思うのであります。いま私が申し上げたようなそういう考え方からするならば、登下校時に起こった事故はその子供にも責任があるのだから半分だといった発想は、私どもは理解できない。もう一回、これは大臣に御答弁を願いたいと思います。 〔唐沢委員長代理退席、委員長着席〕
○砂田国務大臣 登下校時の問題は、当文教委員会の小委員会でもいろいろ御議論のあったところでございますが、やはり学校内におきます事故と程度の差とは申しますか、そういうものがあることも——現実問題としては、たとえば道路事情でございますとか交通安全教育は学校で当然行いますけれども、交通安全を確保するために学校自身がそれの全責任を負うというわけには、そこまではどうも割り切れない、こういった事情を勘案いたしましてこのような措置をとったわけでございます。
○大成委員 何歩か譲ってそういった意味合いも認めるとしても、それが半分だという解釈が正しいかどうか。これはやはりこういう国会の場において論議する場合に、それが正しいのだということは言い切れないと思うのです。ですから、この点については大臣にお任せいたしますが、さらにもっと前向きな解釈ができるように、特に幼稚園、小学校等の場合には登下校も教育の一つだ、こういう解釈の方にもっと比重を移した判断がなされ、また給付がなされるように、これは希望を申し上げておきます。 次に、登下校時の交通災害の場合に、交通災害保険との関係でありますが、それとこの給付との関係を承りたいと思います。
○渋谷参考人 自動車損害賠償保障法の方の対象になる事案がかなりございます。それで、安全会法の施行令によりまして、他の法令の規定によりまして補償なり損害賠償を受けたような場合は、その価額の限度で安全会は給付しないということになっておりますので、自賠責の対象になる事故は比較的早く損害賠償が行われ、金額が決まっておりますので、あちらの対象になるものはそちらの問題、ただ、向こうの対象になりまして、向こうの方の金額がうちの安全会の方の見舞金の金額より低い場合はその差額を出すことになりますが、損害賠償の方が高い場合は支給しない、そういう関係になっております。
○大成委員 いま委員長お聞きのとおりでありまして、私は、自賠責の給付とこの災害の見舞金とは意味合いが違うと思うのです。交通事故に遭って、二分の一であっても何でもともかく見舞金は別に出すべきだ、このように考えます。これは筋が通らないと思うのです。私、本委員会の委員でありませんし、私どもの西岡とも十分協議はいたしますが、ともかく本委員会の諸先生方におかれましても、この登下校時の交通事故の自賠責の給付とこの見舞金とは意味合いが違うのだ、あわせ給付が行われるのだという原則が成り立つようにぜひひとつ重ねての御検討を願いたい。これは要望として申し上げておきます。 次に、小学校の場合に登下校時にヘルメットを着用することを義務づけている学校は全国でどのくらいあるかをお知らせいただきたいと思います。
○柳川政府委員 全国的にヘルメットの着用の実態につきまして掌握いたしておりませんが、埼玉県における実態につきまして承知しておるところを申し述べます。埼玉県におきましては、小学校で七百九十三校中三十校、実施率四・三%、中学校で三百五校中十五校、実施率四・九%。これは中学校は自転車通学を許可している学校のみでございます。このような実態でございます。
○大成委員 委員長も含めて私どももそうでありますが、私たちの小学校時代にヘルメットをかぶって学校に行くなんということは想像もつかないことだと思います。もちろんその効果を期待しながら父兄との合意の上でそういう制度がなされておると思うのでありますが、文部大臣は、ヘルメットをかぶって登下校をするこの子供たちの姿というものに対して、文部大臣という一つの職責上どのような御所見をお持ちでしょうか。
○砂田国務大臣 あんなぶかっこうなものを大体子供たちはかぶりたがらない、私はそう思うのです。そのような交通事情が醸し出されておりますことに大変大人としての責任を感じもいたしますし、そういった通学時におきます交通安全につきまして、地域の道路事情、交通量、交通環境等、学校での実態に即した適切な交通安全指導というものの責任の大きさを思い、ヘルメットの学童を見ますと胸を打たれる思いがいたします。
○大成委員 これは文部省の指導の一環として何らかの指示がされたことがあるのでしょうか、それとも地域の教育委員会の一つの方針として独自なものとして、あるいは地域的なものとしてなされているのでしょうか。
○砂田国務大臣 文部省が指示したことはございません。地域の実態に応じての地域社会としての御判断であろうと思います。
○大成委員 全国的な、そういうヘルメット着用を義務づけておる、また指導しておる、そういった学校を、先ほど埼玉の事例を挙げて御説明になられましたが、念のために全国の実態を調査をされまして、近い機会にこの委員会に資料として御提出を願いたいと思います。これは委員長、御要望申し上げておきます。 次に、中学生の場合、小学生の一部もありますが、自転車で通学する子弟が非常に多いわけであります。この学校に乗ってくる自転車に対して、自転車の整備状況について何らかの措置がなされておるでしょうか、伺いたいと思います。
○柳川政府委員 自転車に関する安全教育の問題につきましては、児童、生徒等の自転車の利用状況、地域の道路事情等を勘案いたしまして、必要に応じ特別活動等におきまして学校において計画的に指導を行うようにいたしております。このための手引きといたしまして、昭和四十七年に小学校安全指導の手引き、また昭和五十年に中学校の安全指導の手引きを作成いたしまして指導の指針にいたしておる次第でございます。また、自転車の安全な乗り方に関する調査研究を五十年度と五十一年度の二カ年にわたりまして行いまして、五十二年、本年度からこのための安全教育指導者講習会等におきまして具体の指導に当たってきているということでございまして、それぞれの学校において、児童、生徒が乗用する自転車について具体の点検等を行っている学校ももちろんございますが、この辺の実態につきましてはなお詳細調査したものはございません。
○大成委員 全国自転車小売商協同組合が全国四十七都道府県で自主的に、学校に乗ってきておる子供の自転車の安全検査をした報告があります。この内容を見ますと、約五、六〇%の車が要修理といった、部分的に修理なり整備をしなければならぬといった個所の指摘がございます。もちろんブレーキであるとかハンドルであるとかスポークが曲がっておるとか、いろんな事例がありますが、そういうことと同時に、自転車にそういう故障があるために交通事故に結びつき、それによって死亡事故なり負傷につながったという結果が非常に多いわけであります。特に自転車の故障があったために死んだというのが五十一年の警察庁の統計からいきますと千百七十数名に及んでおります。特に就学児の故障死亡事例が非常に多いといった事実があります。 あえてそういった実態からして申し上げるわけでありますが、ただいま局長がおっしゃいました、自転車を使って登下校するその安全教育、これはもちろん大事ですし、大いにやっていただかなければなりませんが、その使用しておる自転車そのもののいわゆる技術的な安全点検、整備といったことが非常に大事です。局長は自転車がいまどこで売られているかは御存じだと思うのですが、ともかくスーパーマーケットやデパートで、ただ値段だけで目玉商品として売られているといった現在の状態であると同時に、いわゆる生活用製品安全法という法律がありますが、その法律の特定商品として、Sマークと言いますが、安全を義務づけられた、そういった状態にはいま自転車はなっておらないわけであります。そういう状態のもとにおいて売られた車が児童、生徒の登下校に使われているといった状態でございます。要するに、昔のわれわれの理解する自転車屋さんがある一定の技能資格を持っておって、そうして子供さんの体重なり身長なり足の長さなり、そういったものに合わせて自転車を調整をし、整備をし、緩んでいるネジも締めて、そして与えているなら結構なんです。そうじゃないのです。そういう実態を踏まえながら、学校に乗り込まれておる自転車の技術的な安全点検、整備というものをぜひひとつ御検討願いたい。そのことがいささかなりとも死亡事故なり負傷事故を減らす。ブレーキ一つが故障しているのをほったらかしにしたまま、子供がその自転車に乗ったがために事故につながったということであるとするならば、まことに遺憾だと思います。いまの子供たちはただ乗ることしか知りません。私たちの子供のときのように、自分で自分の乗っている車を油でみがくようなことはしません。そういう状態ですからあえてそういうことを申し上げさしていただいたわけであります。 最後に申し上げますが、本法の改正によって、いわゆる学校の先生が現場で積極的な教育を幾らか改善できるかどうか、教育の積極性が改善できるかどうか、こういった点の懸念を承りたいわけであります。と申しますのは、いままでのような制度、いま現在ももちろん根本的に解決されておりません。無過失賠償制までいっておらない、単なる見舞金といった制度でありますから、いつ裁判が起こされるかわからぬといった状態に置かれているわけでありますから、基本的には解決しておりませんけれども、ともかく学校の先生が、プールに入れるにもおっかなびっくり、跳び箱を跳ばせるにも危ないからやめておけとか、器械体操にしても鉄棒にしても、もし事故でもあったら大変だ、こういうことで教育の現場に弱気が出る。事実そういう状態だろうと思うのですが、そういった現場の先生の教育に対する弱気というか、消極性に対して、むしろ元気いっぱいの、少しぐらいけがしたって平気だというぐらいの、そういう子供を教育していくというファイトというか、そういうものを私たちは期待するのですが、この制度の改正によって文部大臣はどのような指導をされていくかを承りたいと思います。
○砂田国務大臣 教育現場の学校におきましていま御指摘のようなきわめて積極的な教育指導がなされるように、私は、学校安全会法を改正して、確かに、この問題は文教委員会で御結論をいただきましたことを背景にして、役立つものであることは御理解をいただけると思いますが、これだけで完璧を期せられるものではございません。やはり直接学童、生徒に接します教師の皆さんの心構えも大事なことでございます。こういったことを十分御理解を求めて、そういう指導も続けていく。また、そういった現場の教育の内容がより積極的に、かつ円滑に運んでまいるように総合的な施策を講じつつ、完璧を期すために努力をしてまいる、このことをお答えとしておきたいと思います。
○大成委員 締めくくりといたしまして、私は、学校教育法第五条に無過失責任主義による学校災害補償制度が明確化されなかった、このことはきわめて遺憾であり、またそういう方向に本委員会としてもこの制度の進歩、発展をぜひ図っていただきたいことを心から希望すると同時に、この見舞金額が格段に引き上げられた本委員会並びに関係者の御努力に衷心から重ねて敬意と感謝を申し上げまして、私の質問を終わります。
○菅波委員長 木島喜兵衞君。
○木島委員 今回の法改正といいましょうか、一つは学校災害であり、一つは保健法その他の問題であります。学校災害に関しましては、一つは給付の改善でありますが、これはもう多くの方々からお話がございましたから私は触れません。なお、この委員会に設けられた小委員会は安全会の運営とかあり方については触れておらなかったのでありますから、またこれはきょう多くの方々から御質問がございましたから、これまた私は触れません。そうすると、その小委員会で触れなかった学校安全ということについてだけ、災害関係ではちょっとお聞きをいたしたいと思っております。 一つは、今回、安全ということを法にうたったことは、いままで法にうたわれておる保健ということのつけ足しのようなものなのか。保健と安全というものが対等の位置に並んだと理解していいのでありましょうか。このことは、御提案の中にもありましたように、給付を改善する、これは先ほどございましたように、学校安全会ができてから法そのものの改正は今回が最初であります。そういう改正をするに当たって、災害を受けた者に対する措置と同時に、いかにしてそれを出さないかということから安全というものをうたったわけでありますから、私はそれに敬意を表するのでありますし、その前向きな積極的な姿勢を大変評価するだけに、そのことは、保健という言葉だけしがなかったわけですね、それを今度安全を入れたわけでありますから、そのことはっけ足しというようなものではなしに、保健と安全というものは対等というような位置づけでもって今回提案されたと理解してよろしゅうございましょうか。
○砂田国務大臣 お答えをいたします前に、前国会でこの問題の小委員長として非常な御尽力をいただきましたこと、心からの敬意と感謝をまずもって申し上げるものでございます。 先生はただいま、学校教育法の十二条に書かれております保健という言葉の解釈をどうなのだと御指摘になったのだと考えます。私どもは、心身ともに健康な国民を育成することが学校教育の重要な目的でございますので、そのために小学校では、健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うことを目標としております。十二条に書かれておりますことと十八条の精神と、そのような観点から従来から使われておりました学校保健という概念を解釈すれば、安全管理ということも保健という言葉の中に含まれる。対等のものかという御指摘でございましたけれども、保健という言葉の中には安全もまた含まれるという、そういう解釈をいたしまして取り組んだわけでございます。
○木島委員 もし保健という言葉の中に安全が入っておるならば、今回は法改正は不要なはずであります。要りません。第二条で保健という言葉が入っておるのでありますから、その第二条にわざわざ安全ということを今回入れる必要はない。改正の必要はありません。私はきょうは法律論だけをやろうと思っているのですが、仮に、保健という中に安全が包含されるものであるとすれば、そしてそのことの理解のもとに法体系全体が整備されているならば、文部省設置法第十一条「体育局の事務」第一項にも、学校保健及び学校安全の向上、二に、体育、学校における保健管理、学校安全のための補助に関すること、三は、体育、学校保健、学校安全等の基準の設定に関すること等々、設置法において体育局の仕事で保健管理と安全管理というものを別個に分けておるのです。ですからそういう意味で、保健という中に安全が入るならば、そういう解釈でもって法体系を統一するならば、設置法第十一条を変えなければならぬということになります。同時に、先ほど申しましたように、保健という中に安全が入るならば、今回の法改正は不要であります。完全に不要です。なぜなら、現在の法律で「学校においては、児童、生徒、学生又は幼児及び職員の健康診断その他その保健に関する事項について計画を立て、」でありますから、それを「児童、生徒、学生又は幼児及び職員の健康診断、環境衛生検査、安全点検その他の保健又は安全に」と直すことは全く不要であります。
○砂田国務大臣 小学校では、健康、安全で幸福な生活のために必要な習慣を養うことを考えてまいらなければなりませんので、そのような観点で従来から安全教育と安全管理の充実を図ってまいったところでございますけれども、さらに事故防止の徹底を期する、そういう意味をもちまして今回の法律に明記いたしたものでございます。学校保健という概念を広く解釈いたしますならば安全管理も含まれる、こういう考え方でございますけれども、本日の各議員の御議論、ただいまの木島委員の御指摘の点については、今回は私どもは学校教育法の第十二条、また学校保健法の題名というものは改めない、こういうことでこの国会に臨んだのでありますけれども、将来さらに安全管理の充実ということを考えますと、これを図っていく過程において学校教育法のことも十分検討しなければならないということを本日改めて私は感じたものでございます。
○木島委員 大臣、全く知らないわけじゃないんです。率直に言って、安全についてのこのことを保健法に入れるということは、先ほど申しましたように、災害者の救済ということのために安全会法を直す。すると、そのことを飛躍的に直すならば起こさないためにという議論が起こるということが気づかれまして、そこで、言うなればあわててお入れになったけれども、そういう意味では対等なんです。対等なんですけれども、しかしそのためには大変に法律全体というものをもう一回大きく見直さなければならないという要素が出てくる。いま大臣おっしゃいましたように、この学校保健法というのは学校教育法の第十二条から出ているわけであります。第十二条にも安全という言葉はないわけであります。そうすると法十二条まで直さなければならないということになってくる。そういうところを、解釈として保健の中に安全も含まれるということにしたのでありますけれども、先ほど申しましたように、そういう解釈でもって法律用語の特定をするなら、設置法十一条も変えなければならぬということになります。逆に言うならば、今回それを入れなくたって済むということになるわけです。ですから、いま大臣が今回はとおっしゃったところが実はそういう意味だろうと私は御推察申し上げますから、よって、そういう意味では、今後の問題点として、保健というものと対等に考える。というのは、保健というのはいま安全も含まれるとおっしゃったけれども、保健法を見れば全部いままでの保健のものだけですよ。健康診断とかその他いわゆる病気にならないため。災害じゃないですね。宣言法、宣言的なことが入っただけです。ですから、これを対等に考えて、病気にしない、事故を起こさせない、そして子供の成長を守るとすれば、対等でなければならぬはずでしょう。とすれば、実は学校保健法という言葉が正しいかどうか、まずそこからいかねばなりません。もし大臣がおっしゃるように、今回はということでもって保健の中に安全も入るなら、その入る立場でもって全法律を直さなければいかぬのです。そういう問題を私は含んでいると思うのでありますので、まず第一にそういうことを承ったわけであります。 そこで、急ぐということでございますから、そういう法改正をしていきますと、先ほど管理局長は山原さんの御質問でしたかに、安全基準をつくらぬでいいみたいなことを言っていましたが、これは誤りです。先ほど申しましたところの文部省設置法第十一条の中では、明らかに基準をつくることは文部省の仕事になっております。第十一条の第三項「学校における体育、学校保健、学校安全、学校給食及び災害共済給付の基準の設定に関すること」というのは、文部省設置法によって体育局の事務として決めておるのであります。だから先ほどの管理局長の答弁は誤りであります。すると、先ほどこの基準をつくるかつくらないかという話がございましたが、これをつくるとなると、これは文部省設置法第二十七条による保健体育審議会に諮問することになるのが今日までのしきたりであろうし、またこれを諮問しなかったならば審議会をつくるところの意味もないわけであります。そうすると、保健体育審議会の仕事は「体育、学校保健及び学校給食に関する事項を調査審議すること。」ということになっておる。学校安全が抜けておるわけです。ですから、そういう意味では設置法二十七条も変えねばならないということになるのではないのか。病気にしない、事故を起こさせないというものが対等であるとすれば、そういう法体系全体を直さなければならぬだろうと思うのです。この点は、同じような意味でもって環境衛生検査というのが今回も入りましたけれども、これまた同じことだと思うのです。病気にしない、事故を起こさせないというものが対等である限りにおいては、そういうように法全体を今後洗い直すという必要に迫られておると思うのでありますが、この点はいかがでございましょうか。
○砂田国務大臣 非常に重要な御指摘でございます。きょう一日、この安全会法改正についての各先生方の御議論を承ってまいりました。ただいま、前国会で小委員長をお引き受けになりました木島委員の重要な御指摘もございました。子供たちの健康を守っていくということ、さらに安全を確保していくという問題、まだまだ私どもの努力の足らざることを痛感いたしたものでございます。ただいま御指摘の建築基準法との兼ね合いの問題、そしてまた審議会そのものの持っております性格が安全ということを含めて考えられていなかった従来の経緯、このような法体系上の各問題がいろいろまだ残されているという気持ちを非常に強く持たされましたので、将来さらに安全管理の充実を図っていく、児童たちの健康増進を図っていく、こういう過程におきましてひとつ真剣に検討させていただきたいと考えます。
○木島委員 なお念のために申しますが、この安全基準に関しましては、昭和三十二年の七月三十日に保健体育審議会会長事務取扱から、学校における安全の保持について「安全検査の基準を法的根拠に基き明らかにする。」ようにという勧告をしておるのです。これが昭和三十二年であります。それが今日なされておりません。そういうことも含めてそのことを諮問すると、この間も問題になりました学校環境衛生基準——きょう渋谷さんいらっしゃるかな、実は渋谷さんの本には大変うまいこと書いているんだ。渋谷さんの「新学校保健法の解説」という本を見ると、三十九年の六月に答申があって、そして四十七年十二月の保健体育審議会でもまたさらに早くやれという意味のことを言っておるのですね、薬剤師等も含めて。そして、まだなっておらぬけれども、「この答申を受けて文部省体育局にこの実施基準作成のため専門家による作成協力者会議が設けられて、昭和四十九年度中の作成を目標として鋭意検討が進められている。」と書いていらっしゃったのであります。すると、環境衛生は今回の法律改正にはあるわけですね。それが三十九年に答申が出て、四十七年に催促されて、そして渋谷さんは、いま関係者を集めた作成協力者会議が設けられて、四十九年度中に作成を目標としておると言って、それからまた三、四年たつんだ。と同じように、そういうことが続いておって、安全というものを今回法の上に、保健法にもうたったけれども、環境衛生基準については多少私の意見もありますよ。それからその基準をつくったからといって直ちに施行規則に全部を入れるとか入れないとかということは、これは大変に配慮しなければならぬところの要素はたくさんありますけれども、私はいま申し上げているのは、保健法の中に保健と安全というものを、児童の健康のために、成長のために、両者を対等に並べたというそのことの意識というものが、いままでのような文部省の態度でもってやったならば果たしてできるんだろうかということがあるものでありますから、法体系なり、あるいは安全基準をつくることについて触れただけであります。もう、あと言いたいことがありますけれども申しません。 大臣がたびたび、他を責める前にまずみずからを省みるとおっしゃった点は、大変に敬意を表するのであります。したがって、たとえば設置者が、あるいは学校が安全のためにというその前に、文部省として、国として、先ほどいろいろ御意見がございましたように、物的、人的の諸条件を整備せねばなりません。これは安全会の資料等から見ましても、事故の原因を分析しますと、先ほども山原先生からお話がございましたように、グラウンドの材質とかあるいは狭さとかと事故というものの関係が明確に出てきておる。あるいは判決の分類をしていきますと人的関係というのはこわいような気がする。こんな条件の中で、現在の人的条件の中でもって、教師に責任あるとされることの判決が非常に多いわけですね。もし、そのことの判決に従って、逆に言うなら、そういうことがあったんだから、だからそういう人的配置をやらなければいけませんよと言われたら大変なことです。たとえば体操でもって、助手を一人つければよかったのに、それがないから教師の過失だと言われたでしょう。もしそうなら、体操の時間は全部助手をつけなければいかぬです。先ほどお話がございました熊本の柔道の場合だって、専門の先生でないわけです。ところが、PTAの関係でもって、公務でもってよそへ出た、その間に起こった事故がその先生の過失になったのでしょう。とすれば、そういう原因の分析やあるいは判決の分類をしますと、大変にこわい気がいたします。 それだけに、いずれ申し上げますけれども、義務教育の設置基準というのがまだないわけです。法的に言えばそこから出発しなければならぬわけです。これはなかなかむずかしい要素もあります。しかし、大学や短大や高専や高校、幼稚園にはあるのです。義務制だけがないのです。学校教育法の施行令だけなんですね。私はだから、たとえば今回の法改正の中で、法改正をする学校保健法の中に保健室を設けることなんてあるのですよ。法体系として非常におかしいと思うのです。学校設置基準があれば当然その中に入らなければならぬのに、学校保健法の中に、学校をつくるときは保健室をつくらなければならぬなんて決めるなんというのは大変におかしいと思う。私はそういうことを申し上げますことは、繰り返しますけれども、保健とは別個だ、対等のものである、そういう意味では、法体系から直すという意気込みがいまいろいろ申し上げたところのことにつながってくるのだろうと思いますので、そういう点を申し上げたのであります。それで、もう保健の方は終わります。保健法の改正の中に、再来年度からの養護学校の義務制についての就学前の身体検査がありますが、この前に、それに絡んで大臣が予算委員会の一般質問の中で川俣健二郎君の御質問にいろいろとお答えになっていらっしゃいます。これは、大臣の御答弁を要約すれば、原則は原則としても、しかしケース・バイ・ケースでもって子供の幸福を第一に考える。原則というのは、これはまた後に申しますが、設置義務と就学義務と両方という原則だけれども、ケース・バイ・ケースであって、その場合、就学指導委員会は父母や学校等と相談して制定すべきことだという趣旨のお話だと思うのであります。 そのことを前提としまして、たとえば、盲聾のときには学年進行でした。ことしは一年、来年は二年と。今回の義務制は、今度は一緒なんですね。一緒ですから、今日すでに特殊学級におる子供がもしも就学義務だと判定委員会で、政令の二十二条の二ですかな、あの基準によって判定される、そこによって養護学校に行かなければ就学義務を果たしたものでないんだ、こういうことになりますと、全部やらされるわけです。そういうようなことは画一的に強制移行というようなことを考えていらっしゃらないんだというように理解してよろしゅうございますか。
○砂田国務大臣 そのとおりでございます。特に盲聾の場合と違いまして、学年進行ではございませんから、なおさらケース・バイ・ケースで考えていかなければ適切な進学指導にはかえってならない、私はこのように考えているものでございます。
○木島委員 基準なんかでも、たとえば精神薄弱者の場合IQの二五ないし五〇程度はいままでは養護学校に入れる、しかし就学する養護学校がないときは特殊学級に入れるとなっているわけですから特殊学級に行っているわけですね。この数およそ六分の一だろうと言われているのです。すると、特殊学級の一学級は十二人ですから、六分の一だと二名ずつです。現在、全国の特殊学級のうち二名ずつ全部やらされるわけですね、もし就学義務だと、そこへ行かなければ就学義務を果たしたものでないんだと言われたら。ですから、いま大臣の御答弁でわかりましたけれども、そういうように理解をいたします。 とすると、たとえば現に、それは特殊学級に入るべきものであるか、養護学校に入るべきものであるかは別といたしましても、非義務であったことも含めて、現在普通学校に入っておる子供がたくさんおるわけですね。それはそれなりに人的、物的な条件を整えた、それにたえ得る子供というふうに限定されましょう。けれども、そのことをその他の子供たちも、他の子供たちの親たちも、教師も、みんな一緒でもって協力して、そしてやろうじゃないかというところがたくさんあります。私、大臣の所信表明の中で連帯ということを特に強く主張なさっていらっしゃることは、今日連帯がないということから連帯というものを特に主張なさるんだと思うのであります。しかし、いま申し上げる状態はみんな連帯をしている。教育法第一条は「国家及び社会の形成者として」という。国家、社会の形成というものは、いろいろな人間、さまざまな生きざまをする人間たちが集まっておる、その連帯ということが一つなんでありましょうから、そういう意味で大臣がおっしゃっている。そうすると、たとえばいま申しました非常な身体障害者を、みんなが理解をしながら、みんなが協力しながら、連帯をしながら一つの教育をやっていこうとする。ある意味でこれは教育の理想像だとも私は思うのです。ごらんのとおり、アメリカなどはそれが普通になっております。特殊学校、養護学校に入れるというのが原則でなしに、普通学校に入れることが原則になっておる。したがって、そういう意味では、これからもそういう希望する子供たちがあって、そして条件が整う、すなわち車いすなら車いすの子供が行けるような施設ができて、それをみんなでやっていきましょうという条件ができれば、それをまた強引に引き離して養護学校に入れというようなことではないと理解してよろしゅうございますか。
○砂田国務大臣 何度かお答えをしたわけでございますが、養護学校の義務化ということの原則は、もう二度と繰り返す必要がないかと思いますが、やはり就学させる義務と設置をする義務の二つがあるということが原則でございます。いま木島委員は、諸条件が整えばということを前提にしておっしゃいました。まさに私が考えておりますケース・バイ・ケースで、これは子供さんの立場に立って、どの道を進むのがその子供さんのために一番幸せであるかという、諸条件が整ったらそれはそのように、ケース・バイ・ケースで事は判断されるべきものだ、就学指導委員会の任務もまたそこにある、このように考えるものでございますから、さよう御理解をいただきたいと思います。
○木島委員 急ぎます。 いまおっしゃいました就学指導委員会というものは、これは法的根拠を持っておりません。そして同時に、その構成者たちが必ずしも権威ある者であるかどうか。いま大臣がおっしゃったように、大変に重要さを増してまいります。それだけに、そしてまた同時に、IQというものが一体どれほど決定的な要素を持っているものだろうかということもありますのでなおさらであります。 私、いまこんなことを申しますのは、一つはちょっと腹立たしさというようなものを持っておるからであります。というのは、御案内のとおり憲法二十六条では、国民はひとしく教育の権利を有するという教育権がある。教育基本法第十条で、そのための条件整備が教育行政の目的とされている。子供たちに教育権があり、その教育権を保障するために条件整備の義務を国が負っておる、あるいは自治体が負っておる。なのに、養護学校を今日までつくらず、そして入れない子供たちには入学の猶予や免除を願い出ろ。願い出るのは、施設をしないのだから、入りたいとおっしゃるけれども入れないのだからちょっと勘弁してくださいと願い出るのは国の方ですよ。なのに、逆に願い出さしている。そういう状態を今日まで繰り返してきていながら、そして今度義務設置にするから、だからこれで入らなければ就学義務を果たさないんだ、これには罰金刑があるんだぞという式の高飛車な態度に出はしないかという、教育の基本の問題に触れるような気がいたしますから、だから大臣のおっしゃるように、条件の整わないところに子供を入れたら子供たちの教育権の保障になりません、けれども、条件が整っているなら、条件という中にはさっき言いました周囲の子供たちも大人もみんなでやろうという連帯、そういうものがあるものまで否定してはいかぬだろうという意味で申し上げたのであります。 ところが、いま大臣とそのように確認をし合えるとしますと、今日までの通達の中に、ややもするとそういう私がいま懸念をするような言葉があるんです。これは今日なお生きておるんです。たとえば昭和四十八年十一月二十日に出ましたところの事務次官通達の「就学義務に関する事項」の中に、「したがって、昭和五四年四月一日からは、精神薄弱、肢体不自由又は病弱の程度が学校教育法施行令第二二条の二に定める程度の子女の保護者は、その子女の満六歳に達した日の翌日以後における最初の学年の初めから満一五歳に達した日の属する学年の終りまでこれを養護学校の小学部及び中学部に就学させる義務を負うものであること。」という通達が出れば、言葉上、行かなければ就学義務を果たさないと理解するという言葉になります。あるいは昭和三十七年十月十八日の通達にもやはりあります。これは精神薄弱者あるいは肢体不自由者、病弱者、身体虚弱者等、みんな同じ表現でありますけれども、「施行令の表精神薄弱者の項に規定する程度の精神薄弱者は、養護学校において教育すること。ただし、就学する養護学校がないところにあっては、養護学校が設置されるまでの間、特殊学級において教育してもさしっかえないこと。」いままでは特殊学級でいいですよ、今度は設置したのだからそこに行かなければだめなんですよとなりますね。この辺は表現の問題なんだろうと思うのですが、ちょっと……。
○諸澤政府委員 御指摘の四十八年の通達でございますが、文部省がいまの学校教育法の関係規定から御指摘の養護学校における就学義務というものをどういうふうに解釈しているかという、その基本をまず申し上げたいと思うのであります。 二十二条あるいは三十九条ですかを読みますと、保護者は、その保護する学齢児童、生徒を小学校または中学校または盲学校、聾学校、養護学校の小学部、中学部に就学させる義務を負う、こう書いてございますから、その限りにおいてはそれぞれの学校の対応関係というのは必ずしもこの条文からだけは出ない。しかし、七十一条の規定では、盲学校、聾学校、養護学校というものはそれぞれ盲者、聾者、精神薄弱者、肢体不自由者云々といった障害者に対して小学校、中学校等に準ずる教育を行い、あわせてその欠陥を補うために、必要な知識技能を授ける、それでその障害の程度というものは別に政令で定めます、こう書いてありますから、法律からだけでは、どれだけの障害の程度の者が特殊学級へ行くかということは明らかになりませんけれども、しかし、少なくともその障害者とそうでない者との対応関係はそこに出てくる。そこで、学校教育法の法律の条文からだけ読んで考えるならば、保護者はその保護する子弟というものをそれぞれ対応する学校へ就学させる義務を負うというのがやはり本来のたてまえであろうというふうに考えるわけでございます。しかしながら、いま御指摘のように、それならばそれは絶対的かと言えば、それは個々のケースについて考えた場合に、先生はただいまいろいろの条件が整ったならばとおっしゃいましたけれども、別な言い方をすれば、それはやはり教育上の理由からして合理的な事由があるというふうに判断されれば、例外的に、障害を持っておる子供が普通の学校に入ってもそれは直ちに法律の二十二条なり三十九条に違反するということにはなるまい、こういうふうに考えているわけでございます。したがって、いま先生が読まれた通達はまさに前段のところをたてまえ論として書いたわけでございますから、今後も十分その趣旨とするところは私どもも徹底させまして混乱の起こらないようにしたい、こういうように思っているわけでございます。
○木島委員 だから、いま私が読んだ通達は大臣の意思に相反するということになると思うのですよ。というのは、行政は偉いんだ、通達が出るとそのとおりやるのだから。そういう意味ではいまおっしゃるように、そのような大臣の意思が入れるような措置をぜひお願いしたいと思うのであります。 ただそこで、前段のことになるのでありますけれども、大臣も川俣さんの質問の中で「私は、障害を持っておられる子供さんの立場で一切考えるべきだ、この考えを貫く気持ちでございます。原則としては、養護学校の義務化という問題は就学の義務と設置の義務と双方ある、それが障害を持っておる子供さんの一番の幸せであるという私の信念は揺るぎませんけれども、」と言ってらっしゃるのです。しかし、私、この信念ということには多少いちゃもんをつけたいのです。それは、その前にあるものは、現在の学校教育の諸条件の整備の実態からしてそういう信念になるということだと思うのです。そうなると、アメリカでもやっているのですよ。しかし、その条件は完全には大変ですが、昨年の春、カーターが完全に差別教育をなくするというあれを出したでしょう。私、実はどんな条件をつくっているかという具体的なことを大変知りたいところなんですが、それのためにアメリカに行きたいのだけれども金がなくて行けない。これは別としまして、そういうことをやっているわけです。たとえば、アメリカの教育視察団が来ましたな。日本の特殊養護学校を見まして、大変に感心した、大変よく整備されています、だけれどもうちはこういう特殊なものではないのですから、普通の学校にあるのですから参考になりませんと言うのですね。ですから私はその辺は、本来普通学級と一緒に、それは突き詰めると連帯になりますがね、それは条件の整備が前提になりますよ、しかし条件が整備したらその方がいいのか、条件は整備しないままに隔離する方がいいのだ、分離する方がいいのだ、養護学校には義務入学でなければいかぬのだ、例外は別としても、ということでいいのかどうかは、私は大変に議論のあるところだと思うのです。それは憲法二十六条の「能力に應じて、ひとしく教育を受ける権利」という、その「能力に應じて」ということと「ひとしく」という絡みではずいぶんと議論のあるところでありますから、きょう私は、このことはきょうの議案とは直接関係ありませんから申しませんけれども、そういう立場で大臣のお考えをいま一度御整理いただければ大変幸せだと思います。
○砂田国務大臣 養護学校の整備のあり方が完璧のものであるというような傲岸なことは申しません。そうも考えておりません。まだまだこれが整備に努めてまいらなければならないことはもう理の当然でございます。 先ほどのお話のその通達の問題も、先ほど私が先生にお答えをいたしました原則の部分の通達であろうと思います。原則は原則として、たびたび、私が川俣先生にお答えをいたしましたのも、川俣先生は幾つかの事例を挙げられました。そういうレアケースの場合に、それを引き離してというような、そんな無情なことはするべきではないと私は考えましてお答えをしたわけでございます。そのような例外が当然起こってくることでございますから、先ほど先生は法的なものではないとおっしゃいましたけれども、就学指導委員会に持っていただく任務はそういう意味からも非常に重要なものがございます。ここで慎重に考えていただき、検討をいただき、また御両親の御意見も十二分に聞かしていただき、学校の側のお気持ちも十分に聞きました上で判断をいたしました結果を教育委員会に上げる。また教育委員会の方でも判断つきかねるようなことはさらに教育委員会から就学指導委員会に重ねて諮問もしていただこう。念には念を入れて、ともかく情のない扱いをしたくない、こういう運営をしてまいりたいと考えておるものでございます。どうぞひとつその真意は御理解をいただきたいと思うのです。 まだまだ養護学校の整備に努めてまいらなければなりませんし、また必ずしも養護学校に入ることが世間から隔離をされるというだけではないという気持ちもございます。また、親御さんの中には、現在あります養護学校をごらんになって、あの先生方の涙ぐましい御努力の姿を見られたり、養護学校の教室にできております安全を確保するための設備等、あるいは体に障害のある方に対する器材の整備等をごらんになって、ここへ預けたいと思われる方もあるわけでございましょう。そういうことを私はケース・バイ・ケースで、無理のないことをやっていきたい、子供さんの幸せの立場に立って、障害のある子供さんの幸せということを基盤に置いて考えていきたい、かように考えるものでございます。
○木島委員 最後に一点、これは質問せぬで、私の意見だけ述べて最後にまとめていただきますが、これは局長さんの方がよろしいのですが、将来、学校教育法二十三条の猶免は義務制とのかかわりでどうなっていくのだろうか。というのは、たとえば七十五条の2に家庭訪問教師がありますね。在宅者に家庭訪問教師を置く。在宅者も養護学校に籍を置いて家におる。したがって、訪問教師も養護学校に籍を置いて、そして家庭訪問をする。現在は数その他でもってできませんが、なっていくべきだろう、施設もしかり、とすれば免除がなくなるのじゃないのか。二年待ったら学校へはいれるとか、猶予はあってもいいかもしれませんが、いますぐ免除をなくすことはちょっと困難だけれども、養護学校の義務制から言って、そして七十五条2の家庭訪問教師をいま申しますように養護学校の教員、教員は講師であれ何であれ、そして在宅の人はその養護学校の在籍者であって家庭におる、あるいは施設におるという方向に持っていけば、免除はなくなっていく。なぜなら、この免除というのはずいぶん長い間からの議論のあるところでありますから、したがって、そういう方向に向かって進もうとしておるのか否か、そのことを最後にお聞きいたします。
○諸澤政府委員 養護学校教育を義務制にした場合に、最終的に訪問指導を受ける対象になる子供がどのくらいあるかという見通しも実はまだ正確にはございませんが、五十三年度はたしか七千名ほどになっております。そこで、訪問指導のやり方、あり方ですけれども、私どもも、いまの学校教育法の規定を見ました場合に、学校教育というのは必ず学校に集めてやらなければならぬという排他的な制限規定はないように思いますので、おっしゃるように、病院なり自宅なりで療養をしておる子供についても学籍を持たせ、正規の学校の先生がその症状に応じて訪問して、養護訓練等を主とした教育をする、つまり、学校教育の一環として行うという方向でこれをやりたいということで検討しておるわけでございます。その点は御指摘のとおりでございます。 ただ、そうした場合に、それでは免除はなくなるかという問題ですけれども、これはいろいろ聞きますと、学齢児童あるいは生徒の中にも、心身の障害の程度が、まず生命の維持が第一だ、あるいは医学的治療を専一にしないととてももたないという子供さんもやはり残るであろう。そういう場合に、形式として、そういう子供さんもいつかは教育の対象になり得るという希望を持たせて猶予にしておくのだという考え方もあろうと思います。思いますけれども、従来の考え方でいきますとそこのところは免除というふうに一応けりをつける。けりをつけるというのはいけませんけれども、それと、それから猶予して様子を見るというのと、二つあるのではなかろうかと考えておりますけれども、なお少し検討させていただきたいと思います。
○木島委員 猶予、猶予で学齢年齢をするりとということもあり得るわけよ。だから、今日までずいぶん議論された問題の免除というものを、これは議論するとまた、理屈はいっぱいあるけれども、そういうことも含めて十分前向きに、やはりこういう点は志向する方向というものをきちっと持っておかないといけない。そうでしょう。いまの家庭訪問教師は謝金だそうですね、謝礼金だそうですね。そうすると身分というのは一体何だかわからないですよ。アルバイトだ。アルバイトと言っては悪いけれども、大体先生のやめた人か何かということになるかもしれませんが、したがって、そういうことも含めてそういう方向を明確にしておけば、それに向かって、後戻りのない施策が順次とっていかれますね。そういう点をぜひお願い申しまして、私の質問を終わります。 どうも失礼いたしました。
○菅波委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時四十一分散会