内閣委員会 第4号
- 発言数
- 323 件
- 登壇者
- 23 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1978/02/16
会議録
○始関委員長 これより会議を開きます。 環境庁設置法の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。上田卓三君。
○上田委員 まず、福田総理は先般の二月六日の予算委員会で、本質論としてはアセスメント法案をぜひつくりたいとしながらも、いわゆる経済の活力との関連もあり、注意深く調整するとの慎重な姿勢を見せたわけであります。また、長官の所信表明を見ても、今後の課題として「生産、消費その他の社会的諸活動のさまざまな要因を含め、より快適な、自然とも調和した人為的な環境をつくっていくことがあります。」こういうように述べておられるわけであります。 昨年末にわかに政府なりあるいは自民党に強まっていると伝えられる景気刺激策といいますか、そういう中で、それらがもう何が何でも第一である、こういう観点から少し公害公害と言わぬでおいてくれ、こういうような空気が経済界にもあると聞いておりますし、とりわけ環境問題を取り上げております環境庁においてもそういう姿勢があるやに聞いておるところでありますが、それらが総理なり長官の発言ともなっておるように思うわけであります。その点、経済との調和という関係について、長官の基本的ないわゆる環境行政に対する姿勢を、まずお聞かせ願いたい、このように思います。
○山田国務大臣 環境保全について万全を期するためには未然防止という措置を十分遺憾なきを期する、こういうことが一番有効であり、かつ効率的な方法である、またその環境問題に善処していく一番大事な点である、こう考えておりまするので、そういう見地から環境影響に関する評価制度というものを確立することが必要だ、こういう見地で環境影響評価法案というものを重要な法案としてぜひ出したいということで努力してまいったことは、上田委員御案内のとおりであります。 ただ、この問題について、重要点でなかなか関係方面との調整ができなかったという状況であったわけですけれども、今日においていろいろ景気回復、内需拡大というような見地から開発という問題がいま一つの重要な大きな課題になっているにかかわらず、この環境問題というものはいずれにしても十分対処されていかなければならぬということについて、全くその点についての基本方針には変わりはございません。したがいまして、今日においても、いまこれを必要とする基本方針に立脚して、できるだけ関係方面との問題の調整を図って、ひとつ法案提出ということに尽力していきたい、これが私の方針でございまして、この点の方針には変わりがないということについて御理解いただきたいと思います。
○上田委員 長官から基本的に従来と変わりがない、こういうようにお聞かせをいただいたわけでございますけれども、しかし、どうしても福田内閣が五十三年度の経済成長率を七%に持っていくと、やや自信がありそうでなさそうな部分もあるわけでございますけれども、そういう状況の中で、とりわけ公害問題がおろそかにされるというような懸念というものは、大臣のそういう答弁があるにもかかわらず、なおやはり国民の中に強くあるのは事実であろうと、私自身もそういう懸念をいたしておるところでございます。 たとえば環境庁自身、いわゆる五十一年度版の環境白書でこのように述べておるわけであります。「環境基準の達成など環境保全に要する経費は、安定成長下といえども、国民が良好な環境を選択する限り減少するものではなく、これまでと同様以上に上がることが予想される」、こういうように述べております。まあ安定成長下でこそ環境行政の試練の時期が始まろうとしている、その真価が世に問われている、こういうように率直に危機意識を訴えておられるわけであります。 また四十九年度版の環境白書にも「環境基準が人の健康を保持する上で維持されることが望ましい基準である以上、「石油危機」により基準が左右されることはあり得ない。」こういうように、経済が上向こうと下向こうと、またそれが安定成長であろうと、経済に関係なしに、人間の健康というのですか、快適な環境保全という意味でそういう姿勢はいささかも変わるものでないということがこの白書でも明確に述べられておるわけですけれども、しかし、不況の今日こそ環境行政の真価が問われると言っても過言ではない、こういうふうに思うわけであります。 そういう点で、不況からの脱出ということで環境基準が左右されないなら、まさしく公害防止は経済発展と調和させるものだというような、そういうやぼったい発言じゃなしに、経済にも増して公害問題が最優先さるべきだ、こういう環境行政の原点というものを、やはりこの際お互いに確認する必要があるというように思うわけでありますが、その覚悟のほどというものをひとつ長官からお聞かせ願いたい、このように思います。
○山田国務大臣 ただいま私も申し上げたところでございまするけれども、環境問題、ことにただいま御指摘ございましたわれわれの健康についての問題は、これは人間の生命という基本的な問題にかかわる問題でございまするから、したがって、この問題については、十分その点の基準というものが達成されるようにという点について、これは最優先的に考えていかなければならぬという基本方針については全く変わりがない。どうかこの点を御理解いただきたいということを重ねて申し上げておきたいと思うわけであります。
○上田委員 大臣の心強い、そういう決意を聞かしていただいたわけでありますけれども、問題は、五十三年度の予算あるいは五十二年度の補正を見ましても、七%経済成長率を達成するという立場からいわゆる大規模な公共投資、公共事業、とりわけ大型プロジェクトが集中して開始されるということになっておるわけでありますが、そういう点で、過去二回にわたりましてそれが流産というのですか日の目を見なかった環境影響評価法、いわゆるアセスメント法案を今国会でぜひとも政府の責任で提出して、そして法律として成立をさせていただきたい、このように思うわけであります。そういう点で、今国会に環境庁としてこの法案を提出し、成立を図る、そういう気持ちであるのかどうか、それがどのようになっているのかということをお聞かせ願いたい、このように思います。
○山田国務大臣 御懸念の点については、事実、閣議においても私は、この非常な開発問題にかかわらず、環境維持の重要性ということについては特に発言して、皆さんの了解を求めているような次第でございます。したがいまして、本法案、繰り返し先ほどから申し上げましたように、すなわちこれは環境保全の前提条件であるそういうものの制度が早く確立されることが一番具体的には有効な方法であるというその確信に立脚して、ぜひわれわれとしても各方面との折衝を遂げて、何とか御要望に沿う形でやりたいという決意でいま努力をいたしておりまするので、どうかその点御了承いただきたい、こう存ずる次第でございます。
○上田委員 再度お聞きしますけれども、長官、今国会中に法案を提出するのですね。
○山田国務大臣 その目標を持ちまして尽力いたしている次第でございます。
○上田委員 それでいいわけでございますけれども、各省と折衝というのですか、とりわけ通産なり建設省にいろいろ意見があるということで、去年はああいうような状況になったわけでありますけれども、その問題点というのは何が問題点であり、どのように煮詰まりつつあるのか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
○信澤政府委員 折衝の過程にございますので、細部にわたってお話しすることは差し控えさせていただきたいと思いますが、率直に申しまして、いろいろな事業、大きな事業をやります場合に、事前に環境影響評価をやらなければならない、この点の認識においてはどの省庁にも異存はない、こういうように考えておるわけでございます。 問題は、それを具体的に制度として実施いたします場合に、これはいろいろな態様の事業があるわけでございまして、それをいわば横断的に一つの方式を決めていく、ここにいろいろな問題点が出てくるわけでございます。さような意味でこれは解決不可能な問題点ではない。つまり基本的な認識においては、共通の認識を持っておるわけでございます。したがって、いろいろな業態に通ずることでございますから、やや最大公約数的な面も出てくるかもしれませんが、そういう点の調整をいたしますれば問題の解決は、むずかしい点はもちろんございますが、私どもの努力の範囲内で今後できるのではないか、こういう見通しを持っております。
○上田委員 国民はこの法案の早期成立を希望しておるわけでありますから、ぜひとも全力を尽くして何が何でも法案の成立を期していただきたいし、われわれも全面的に協力を惜しむものではないということを申し上げておきたい、このように思います。 次に、私は先般の国会でも取り上げましたいわゆる韓国向け廃油の輸出の件でございますが、廃油の輸出というものが禁止されてほぼ一年たった、このように考えておるわけであります。とりわけ大阪の大正区の尻無川の栄運輸、それから門真市内にございました光陽運輸、また大阪市の鶴見区にあります有宏運輸に放置されておりました千四百二十五本の廃油のドラムかんの処置でございますが、その後どのように処置されたのか。また最終的に処理した業者名と処理本数、それから日時及び処理の負担者名をすべて公開していただきたい。すべて適法に完全に処理されたと果たして断言できるのかどうか、その点についてお聞かせ願いたい、このように思います。
○三井説明員 厚生省でございます。 ただいま先生お尋ねの点でございますが、この問題となっております栄運輸、光陽運輸等に保管されておりました廃油は、御承知のとおり、岐阜に事務所がございます五大起業というところから持ち込まれたものでございますが、この五大起業というのが、実は現在その責任者が行方不明になっておりまして、本来ならばそれが自分で責任を持って処理すべきものでございますけれども、その点の責任の追及なり、あるいはその責任の実行なりということが事実上できません状態でございます。 したがいまして、大阪市がこれを指導いたしまして、直接にこの栄運輸なり光陽運輸なりに持ち込みました収集・運搬業者でございます高部砿油というところが責任を持ちまして、それを栄運輸なり光陽運輸なりから持ち出して処理をするということで作業を進めましたところ、現在一応、問題となっておりますその栄運輸、光陽運輸、それから鶴見区にございます有宏運輸等からは全部ものがなくなりまして、相当数のものはしかるべき処理施設を持っております処理業者によって処理されつつございます。それから若干のものは、まだ高部砿油の場所に保管されておるという状況でございます。 数値でございますが、ちょっと細かくなりますけれども順次申し上げますと、まず山本組というところ、これは処理業者でございますが、十本持って行っております。それから滋賀県にございます高島化筵というところでございますが、ここに百本。兵庫県にまた別にございます山本というところに二十五本。協和興業、これは静岡県でございますが、これが最初十六本、後から四十六本、合わせまして六十二本ですか、持って行っております。そのほかに奈良県の誠和興業というところに最初五十一本、それから六十一本、二百十四本と、合計いたしまして三百二十六本でございますか、持って行っております。さらに三重県にございます東洋石油化学というところに二百七十四本。そのほかに高部砿油を通じまして、岡山県でございますとか静岡県でございますとか、そういうところに三百七十二本持って行っております。そのほかに排出企業が引き取るということを申し出たのもございまして、これは厳密に申しますと、排出企業から出たそのものであるかどうかという点につきましては相当の議論がございますけれども、一応排出企業が自分のところで引き取ろうということを申し出まして、自発的に引き取ったというものが四十本ございます。それと、現在まだ高部砿油において保管しておる二百十六本というもの、これを全部合わせまして、総数千四百二十五本で合っていると思いますが、こういう状況でございます。 それから処理業者に引き取られましたものにつきましては、大阪市が指導いたしまして、それぞれその焼却なり適切な処理なりということをやっている途中でございます。全部のものが処理されたということではないと思いますけれども、現在それぞれの施設によって処理されつつあるという状況のように聞いております。それから高部砿油に残っております。これは大阪府の八尾市にございます二百十六本でございますけれども、これも高部砿油の——これだけじゃなくて、ほかのものもたくさんあるわけでございますから、そういうものと合わせまして、順次処理業者のところへ持ち込んで処理していくという計画のように聞いております。したがいまして、私どもといたしまして、大阪市が直接に指導しておるわけでございますけれども、こういうやり方で順次適切に処理がされていくものというふうに考えております。 それから責任問題でございますけれども、当初申し上げましたように、本来ならば、その五大起業というところが最終収集をし、それからこういった倉庫業者のところに持ち込んで放置しておったわけでございますから、この五大起業が経済的にも、それから処理の実行行為についても当然責任を持つべきはずでございますけれども、それがないという状態におきましては、事実問題として、そこへ持ち込んだ高部砿油が自発的に責任を持ってやっておるという状況でございますので、これはそういう方法が当面やむを得ないのではないかというふうに考えております。 それから栄運輸という、これは保管を引き受けました倉庫業者でございますが、これが一部分費用を高部砿油に払っております。私ども受けました報告によりますと、六十万円ほど払っておるようでございますが、それからまた、栄運輸が高部砿油を通じないで直接に十本分ほどのものを和歌山県の山本という業者に持ち込んでおりますけれども、こういったものが、栄運輸が直接に払っておるようでございます。 先ほど申しましたように、本来五大起業が全面的に責任を持つべきものでございますので、それがないという状態で考えてみますと、どうしても便宜的な問題として考えざるを得ませんので、栄運輸と高部砿油との関係において、話し合いによってこういうふうな処理がされたということで、まあそれがいいとか悪いとかという評価は別としまして、そういう状況でございます。 それからなお、蛇足でございますけれども、こういったような形で、五大起業という運搬業者が処理まで一緒に引き受けて、こういった不祥事態が起こりましたことでございますけれども、その後、廃棄物処理法の改正がございまして、現在の時点から考えてみますと、やはり排出企業というものがその最終的な処理まで十分に責任を持つ、あるいはその処理が十分になされるということを見届けなかったというふうな問題点がございます。ただ、これはその当時の時点で考えてみますと、法律的に直ちにどうこうという議論にはなってまいらないことでございますけれども、いまの時点から考えてみますと、やはりそこのところは大変遺憾であったという感じがいたします。 そういうふうなことも含めまして、一部の企業におきましては、現物を引き取るというふうなこともやっておるわけでございます。現在の時点から考えてみますと、そういった新しい角度の問題が出てまいると思いますけれども、当面こういう形で、直接に栄運輸に持ち込みました高部砿油というのがいろいろ行為を行いまして、現在、全体的に適切に処理されておるという状況でございますので、私どもといたしましては、こういう方向で処理するのは、一応妥当な考え方であるというふうに考えておる次第でございます。
○上田委員 何かこう聞いていますと、問題が解決しているような、そういう錯覚をさせるような答弁ですが、何にも問題は解決していないのです。これは大阪の三カ所にあったところの廃油ドラムかん、この公害を全国にばらまいたというだけなんです。韓国へ持って行くことができなかったために。それだけじゃなしに、これは高部砿油というところにまだ二百十六本あるのですね。これは私の選挙区なんです。この三カ所を追及した結果、その一部が私の選挙区に並べられるという状況があるのです。和歌山とか三重とか。これは国会議員の先生方も、選挙区にそういうのが大阪から来たのか、一体それは最後はどういうふうに処理されるのかということで、今後大きな問題になると私は思うのです。 そういう意味で、やはり全国的に、もう会社名で言いますと十社以上ですよね、そういうものに全国的にばらまかれたのだけれども、それが最終的にどのように処理されようとしているのか、これは最後までわれわれは見届けたいと思いますし、その点について、一体それが最終的にどうされるのかということについて、やはりあなたの方で最後まで監督してもらわなければ、結局は業者なり、あるいは国民が迷惑を受けるわけですから、その点をひとつ明らかにしていただきたい。とりわけ、この高部砿油に二百十六本のドラムかんがいまなお山積みにされておるわけでありますが、これをどうするのですか、聞かしてください。
○三井説明員 高部砿油を通じまして持ち込みました、たとえば高島化筵でありますとか協和興業でありますとか、そういったところの処理業者は、それぞれ廃油につきましての処理施設を持った業者でございます。いずれもそれぞれの県の許可を持ち、十分な処理施設を持っておるということで、これは今回の事件に関連いたしまして大阪市がそれぞれの処理業者を調べまして、その事業所であれば十分な処理施設があるという判断をしておるものでございます。したがいまして、単に場所が変わったというだけでなくて、やはりそこで処理をしておるということであるというふうに考えております。御承知のとおり、廃油につきましては、処理と申しますのは焼却という方法でございます。炉に入れまして燃やすわけでございます。そういう形で最終的な処理をしていくということでございます。 それから高部砿油にまだ残っております二百十六本でございますが、これも高部砿油が全体的に昨年の八月以来だんだんとこういうふうに方々へ運び出しまして、現在この二百十六本という数まで減ってきたということでございます。いまのところいつ幾日までに全部なくなるということはちょっと私ども聞いておりませんし、直ちにお約束もしかねるわけでございますけれども、高部砿油の商行為の一環といたしまして、ほかにもいろいろ廃油を扱っておる業者でございますから、そういうものとあわせて順次処理をしていくという形で処理されております。大阪市はこの辺のところを十分に監視をしておるわけでございますので、第一次的には大阪市の監視に任せまして、それからもちろん私どももその状況について逐一報告をとっておりますので、今後もし異常なことがございましたら直ちに手を打てるという事態で状況が推移しているわけでございます。 それからなお、それぞれのところの最終処理が全部済みました段階では、大阪市を通じまして私どもも最終的な報告はとるというふうなつもりでおりますので、御了承いただきたいと思います。
○上田委員 最終処理について最後までひとつ目を光らせて、そそうのないようにしていただきたいし、とりわけまだ最終的な処理業者に渡っていない高部砿油について、経営難という問題と同時に、五大起業との話がついていないということでありますから、十分に指導してもらいたい、このように思います。 それと同時に、何といいましても法律の改正以前であったというものの、やはり排出企業の企業責任というものは免れない、こういうふうに私は思うのです。そういう点で、この千四百二十五本の中で排出企業が持ち帰ったのはたった四十本ですね。五社だけなんですね。五社が四十本持ち帰っただけであって、あとは企業責任を免れるというのですか。法律改正以前だったという形で誠意を見せていないわけでありますけれども、今後もさらにこういう点についてやはり監視をしていただきたいし、持ち帰った四十本が一本どのように処理されるのかということについても、ひとつ目を光らせていただきたい、このように思います。 特に私が問題にしたいのは、そういう無責任な排出企業、欲も得もあったということもあるかもわかりませんが、とりわけ栄運輸にしても光陽運輸にしてもこれで大きな損をしているのですね。たとえば栄運輸は岡山県の旭油化に搬出したところの二百二十五本中の百本分の処理料を負担させられた上に、パレット代とか倉庫料とか運送料等で合計四百五十万円の欠損を出しているのですね。それから光陽運輸はパレット代、それから破裂したドラムかんの後始末、その他の保管商品の損失料などで百七十一万円の損を出しておるわけであります。光陽運輸については、年末に倒産寸前ということでありまして、私もちょっと努力さしていただいて、制度融資などもしてやっと越年したというようなことなんですけれども、やはりこういう部分について、ただ単に商行為として割り切れるのかどうか。そういう意味で、やはり排出企業の責任、そして費用分担というものを考えないと、大企業は結局わずかのお金でそういう公害をたれ流ししていこうという姿勢があるわけでありますから、私は、やはりそういう業者に対してしかるべき代価を支払うということがあってしかるべきだと思うのですが、その点についてどのようにお考えですか。
○三井説明員 この事件に限って申しますと、排出企業が五大起業なり、あるいはその五大起業以前にまた別の処理業者なり運搬業者なりが介在したのかもしれませんけれども、排出企業とその処理、運搬業者との関係において一体どういう契約があって、幾らの代金を払ったかというようなことは、実は私ども個別には詳細に把握しておらないわけでございます。通常の場合こういうものはおおむね口約束でございまして、いまからどうであったかというようなことを追及いたしましても、恐らくちょっと不可能であろうというふうに考えております。 このこと自体につきましては、大阪の府警本部の方で五大起業が無許可で収集・運搬業をやったということで捜査をし、現在書類送検をしておるというふうに聞いておりますけれども、そういったふうな関連を通じましても、一体契約関係で排出企業がどういう責任を持ち、それからどれだけの経済的な負担をすべきかということを決めるのは大変むずかしいという問題がございます。ただ、私ども、先ほどもちょっと申し上げましたように、制度改正が行われました後の現在の時点からこの問題を考えてみますと、大変無責任であり、遺憾であったということは間違いなく言えるわけでございますので、そういう観点から排出企業の自覚を促し、今後適正な監視をしてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○上田委員 いずれにいたしましても、やはり法改正の以前のものであったとしても排出企業の企業責任は免れない、私はそういうふうに思っておるわけでありますから、そういう点でやはり欠損の出ているそういう企業、あるいはこれからも出ると思うのですが、法的には云々ということはあったとしても、やはり商道徳というのですか、そういう会社はもうけている会社なんですから、自覚して、その点について費用の一部でも負担するというような形で十分にひとつ指導していただきたいし、いわんや法改正以後の問題については、排出企業の責任ということをひとつ明確にしていただいて強力な指導をしていただきたい、このように思います。 それに関連して申し上げたいわけでありますけれども、廃油ドラムかんを満載したまま二カ月余り海をさまよった高共丸事件と言われるものが表面上解決して、一年二カ月ほど経過いたしておるわけであります。この高共丸の廃棄物処理費などの負担問題が解決されていないと一月七日の新聞に掲載されておるわけでありますけれども、これがその後どうなったのか、その点ひとつ関連してお聞かせ願いたいと思います。
○三井説明員 一昨年の秋に高共丸という船が廃油を積み込みまして陸揚げするところがなくて、方々うろうろしたという事件でございます。これもこの五大起業の事件と大変よく似ておりまして、その当の責任を持つべき処理業者が倒産をいたしましてその責任を持てなくなっておる、しかも責任者が行方不明になっておるというような状況でございます。それで、直接に船を持っております山本海運というところが、これは愛知県にございますけれども、豊田ケミカルという廃油処理施設を持った会社でございますが、そこへ物を持ち込みまして、現在そこで相当量処理をしつつあるという状況でございます。御指摘のように、費用の点につきましてはまだ未解決でございます。これは、その豊田ケミカルという会社を見つけますにつきまして、一民間の山本海運といういままで廃油とは何の関係もなかった船会社でございますから、どういう業者があって、どういう能力があるかということを全く知らなかったものでございますから、私どもも協力いたしまして、その豊田ケミカルという会社を紹介したというような経緯がございます。 ただ、費用の点につきましては、これは法律のたてまえだけから申しますと、そもそもその船に積み込むにつき冒して責任のありました、これは三基実業という会社でございますけれども、そこが責任を持つべきものであったわけでございますが、それがいなくなっておるという状態で考えますと、事実問題としては、やはり豊田ケミカルに処理を依頼いたしました山本海運というところが支払うべきことであろうという問題になってまいります。 私ども、そういうことで、民間同士の問題でございますので、直接にはどうこう口を出すべき立場ではないと思いますけれども、ただその豊田ケミカルという会社が、そのことにつきまして何ら関係のない第三者が後から処理を頼まれたというようないきさつもございますので、そこのところが結果的にこれに巻き込まれて損をするというようなことがあっては、今後いろいろな問題もございますので、これは一つ問題であろうかという認識は持っております。そんなふうな観点で、いろいろなところに費用、一部山本海運が自分で負担するというのももちろんございますし、それからいろいろな関係のところに費用を負担させるというような話もございます。私どもそういったことにつきまして、いろいろ報告も受けておる状況でございますけれども、現在進行中でございますので内容につきましては、ちょっと差し控えさせていただきたいと思います。
○上田委員 この豊田ケミカルというのは、高共丸の積み荷の九割以上の処理を引き受けたわけですね。結局その処理費は二千八百万円要る。ところが、その支払いを受けたのは山本海運のたった五百万円だけであるということです。この豊田ケミカルによると、処理を引き受けた際に、厚生省のだれか知りませんよ、厚生省側が、経済的には迷惑をかけない、だから頼むということで保証されたので引き受けたのだ、こういうことを言っているらしいのですけれども、そういう点で、結局、費用の問題について最終的に排出企業に処理費を負担させるのか、それとも厚生省がこの費用を分担するのか、どっちなんですか。このことをはっきりさせてあげないと、善意の処理業者というのですか、豊田ケミカルを厚生省はだました、ペテンにかけたということになるのじゃないですか。その点どうなんですか。
○三井説明員 豊田ケミカルがこの処理を引き受けますときに関係しておりました者で、もしそういうことを言ったとすれば、それは私でございますけれども、その当時のいきさつから申しますと、厚生省がその処理費用について責任を持つというふうなことは言ったことはございません。 ただし、その当時の状況をいまから思い起こしてみますと、廃油が船に載っておりまして、一体どんな種類の廃油であるのかというのは、実はだれも見た者がないという状況だったわけでございます。本来責任を持つべき三基実業の穴吹という責任者が行方不明になっておりまして、一体どんなものが載っておるか、どれだけ載っておるかということは全くわからないという状況でございますので、その処理費用が幾らかかるかというのは、実は全くわからないという状況だったわけでございます。ただ、その当時の通常の相場とそれから本数とから考えていきまして、先ほど先生おっしゃいました五百万という金額で一応よかろうということであったわけでございます。あとのものにつきましては山本が順次払っていくというようなことで話が一応ついておった。もちろん、この点につきましては紙に書いた契約書があるわけでもなくて、口の上の約束でございます。 それでその山本が、じゃ一体どうやってその金を調達するかという問題が出てくるわけでございますけれども、もちろんこういうそもそも民間企業から排出されました廃油を民間の処理業者が処理するという問題でございますので、だれが出すにいたしましても、公の負担においてそれをやるということは決して許されないというように考えておるわけでございますので、そういう公的に処理をするという関係は一切考慮外でございますけれども、そのときに、先生御指摘のように、排出企業の責任はどうかという議論が当然出てまいります。私ども先ほどから申し上げておりますように、これも法改正前の問題でございますから、法律的に直ちにこれだけの責任があるということを確定することは大変むずかしゅうございますけれども、いまの時点から考えてみると、やはり遺憾であるという感じは当然ございます。そういうふうなことをも含めまして、いま山本側とそれからそういった関連のところといろいろな話し合いを進めておるというようなところでございます。
○上田委員 排出企業の責任、当然あるわけですけれども、あなたの責任も大きいですよ。責任あるあなたが豊田ケミカルに対して、経済的に迷惑をかけないからと言ったのじゃないですか。迷惑をかけているじゃないですか。それから高共丸のいわゆる山本海運ですかに支払いをさせる云々と言ったって、この山本海運自身が五百万円の立てかえ分、それから船員費、それから陸上運賃など合計四千万円負担しているじゃないですか。結局高共丸自身、山本海運自身が四千万円これで支払いしなければならぬという羽目に陥っている。また、片や豊田ケミカル自身が莫大な損失を受けているということなんですよ。だから、この二つの業者に対してこれ以上迷惑をかけられないですよ。問題は、経済的に迷惑をかけないと言ったのだから、この人たちに対してやはり何らかの形で費用の軽減を図るべく、費用分担をしてあげるべきです。そのために、排出企業に分担させるのか、あるいは厚生省自身がそれをするのか知りませんが、いずれにしてもそういうところで処理しないと、結局弱いところにしわ寄せさせるというような結果になるのじゃないですか。大企業と厚生省は、結局こういう高共丸の山本海運あるいは豊田ケミカルを言葉巧みにごまかして、そして損をさせているじゃないですか。これはどうするのですか。答えてください。
○三井説明員 ただいま申し上げましたように、厚生省が豊田ケミカルに対して経済的な迷惑はかけない云々と言ったようなことはございません。これはあくまで豊田ケミカルと山本海運との関係においてそういう契約が、口頭の契約でございますけれども、できておるということでございます。先ほども申し上げましたように、その費用を最終的にどこから調達してくるかという問題につきましては、法律的にどうこうという議論よりも、実態として豊田ケミカルに迷惑をかけず、しかも山本海運もできるだけ被害を少なくするという形で、現在そういう方向でいろいろな関係者の間の折衝が進んでおりますので、その折衝を見守っていきたいというふうに考えておる次第でございます。
○上田委員 いずれにしても、豊田ケミカルなり、あるいは高共丸のいわゆる山本海運なりに厚生省の責任で排出企業と折り合いをして、やはりそういう費用の捻出方について強力な努力をしてもらいたい。その点どうですか、努力してくれますか。
○三井説明員 私どもが直接に排出企業と、それから山本海運なり豊田ケミカルの間に立ってあっせんをするというふうな立場ではございませんので、そこのところはなかなかむずかしい問題はあろうかと思いますけれども、ただ山本海運にこれ以上の被害を与えないという角度から、いろいろな協力をしてまいりたいというふうに考えております。
○上田委員 この問題だけじゃないのですよ。後から私が問題にするところの故紙の問題とか、あるいは屠場問題、一切そうなんですよ。結局、最終的に、それならもう変なところへ不法投棄できない、処理できなくなってきたら、あなたのところへ持って来たらどないするの。これはどないしたらよろしいやろ。厚生省の玄関にでもこういうものを持って来たら、どないするの。それは不法投棄だと言って、警察につかまったところで、そんなの知れてるわ、背に腹はかえられないということで、最後の手段に訴えてきたらどないなるの。そのときに、いや、われわれ努力したのだけれども、やむを得なかったのだということで、国民は納得しますか。最後のそういう手段に訴えなくてもいいような、余り弱い者をいじめたらだめですよ。そしてやはりあなたのような地位にある方が、言うた、言わぬということは、私はもう追及しませんけれども、やはりあなたの言葉のニュアンスで信用するのですから、民間の人は。そのことを、やはり十分に留意していただきたいと思うのです。 それから時間の関係もございますので、次に進みたいと思うのですけれども、尻無川のいわゆる廃油放棄事件、われわれこういうふうに言っているわけですけれども、発端は、韓国への廃油輸出というところにあるわけでございますけれども、韓国の釜山におけるところの破裂とか流出とか悪臭等の二次公害の発生というものがあったがゆえに、こういう問題が大きくクローズアップされてきた、こういうように私は思うわけでありますけれども、大阪市の環保局の、いわゆる軽油だけでも、韓国への廃油輸出は、東亜環境貿易の昭和五十年の六百七十トン、それから五十一年の二千六百トンがあるわけでありますけれども、韓国に輸出された廃油はどのようにその後処理されたのか、実情を調査して、ぜひとも報告願いたいのですが、どうですか。
○三井説明員 外国に輸出されましたものがどうなりましたかということにつきましては、私ども、実は直接の担当でもございませんし、調べるべき直接の手段を持っておりませんので、関係のところと相談いたしまして、調査いたしたいと思います。
○上田委員 いずれにしても、韓国へ行っていると言ったって、日本の排出企業から、日本から持っていったものですから、最終的にどういう処理をされているのかということは、私は責任があると思いますので、最後までひとつ調査をして、実情について御報告願いたい、こういうように思っておるわけであります。 韓国への悪質な廃油輸出なり、あるいは高共丸事件、こういう問題。さらには、昨年十一月の十七日の参議院の商工委員会で指摘されました韓国への廃油輸出と称して、沈没の難破事故に見せた不法投棄。さらにまた、釜山に運ぶ途中、玄界灘で投棄する事例などのように、廃油等の産業廃棄物処理に絡む悪質、不法なケースが多い。保険金を掛けておいて、難破船が沈没したのだというように見せかけた例とか、あるいは玄界灘で投棄するというようなことが起こっておるわけでありますけれども、こうした事件を再三再四引き起こしているという最後の責任、私は、最終的にはやはり排出企業の責任、厚生省の指導という、あるいは当然これは環境庁それ自身の仕事でもあるわけでありますが、そういう点について、毅然としたこれに対する決意というものを、過去の例を含めて、今後の決意というものを一回聞かしていただきたい。これは長官にもぜひともこのことについて関連してお答え願いたい、このように思います。
○三井説明員 先生御指摘のとおり、確かに廃油に関しまして、大変不祥事件が多かったというのは、全く私どもも痛感しておるような次第でございます。そういうことがございまして、昨年の法律改正の施行ということになったわけでございますが、いずれにいたしましても、改正になりまして、それによりまして、排出企業が処理の最後まで責任を持つという体制が制度的には一応できたというふうに考えておるわけでございます。ただ、仮にそうであるにいたしましても、すべての廃油の個々のものにつきまして、行政サイドで監視して回るということは、事実上不可能でございます。したがいまして、やはりそういう制度があるということを排出企業がよくよく認識いたしまして、その考え方に沿って適切な処理をしていくということがぜひ必要であるというふうに考えております。 私ども、そういう考え方から、改正後の企業に対する指導といたしまして、企業の中における処理体制の責任の明確化ということを強く指導しておる次第でございます。企業の中におきまして、廃棄物につきまして、一体だれがどういう体制で責任を持つか、それから処理をする際には、一体どういう方針で処理をするか、あるいは外部に委託をするときには、一体どういう考え方で委託をするかということをきちんと決めておけというふうな指導をしておるところでございますが、先生御指摘のとおり、今後一層そういう方向の指導を強化して、こういう事件が今後起こらないようにいたしたいと考えております。
○上田委員 後から山田長官は出られることですから、最後に答弁していただきたいと思いますし、また、三井さんからもお願いしたいのですけれども、私の方からこれらの問題について若干見解を述べて、最後の質問にしたい、このように思います。 まず第一の原因は、やはり産業廃棄物の処理は排出者の責任であるという原則、これはあたりまえのことですよね。自分が出したものは自分で処理するということがなければだめだというふうに私は思うわけでありますけれども、そういう点で、排出企業の無理解、自分たちでそれを処理するのだという理解が非常に足らないということが第一原因であろう。特に産業廃棄物の処理費用を、いわゆる生産活動に伴う必要経費とする認識がないのですね。それも含めて、生産活動に伴う必要経費なんだ、やはりそういう認識がなければいけない、そういうものはもう別のものだというような認識があると私は思うのです。そういう点で、その処理責任を処理業者に転嫁している。本当にわずかな費用で転嫁しているというところに最大の原因があるだろう、こういうふうに思うわけであります。 それから第二の原因としては、国が産業廃棄物処理業を、いわば静脈産業として、産業構造上、正しく位置づけることを怠ってきたのではないか。屎尿処理と同一次元でとらえているのではないか、こういうふうに思うのですね。そういうような考え方に立っておるのではないか、こういうふうに思うのですが、私は、これは大きな間違いではないか、こういうふうに思っておるわけであります。産業廃棄物処理業者については、その従事者の多くは、いま差別されておりますいわゆる同和地区の人々が非常に多いということ、あるいは在日朝鮮人、韓国人あるいは差別されている沖縄県民の方々が、そういう一番いやな仕事をさせられて、結局損させられている。何かそこにもうかるものがあるのじゃないか、あるいはそれ以外に仕事がないから、それに集中せざるを得ないということにもなっておるわけでありますが、そのほとんどが零細企業者であるということを十分に踏んまえていただきたい。大企業はこういうところには手を突っ込まないのです。もうかるのであったら、大企業はやりますよ。やらないということ自身は、産業として成り立たぬというような考え方を持っているから、そういう状況になっているのだということを踏んまえていただきたい。 それから処理業者は排出企業のいわゆるコスト引き下げ要求と過当競争の中でますます苦しい立場に追い込まれている。したがって、第三の原因は、やはりこうした業界の実態に対する国なり地方自治体の無知、無理解にあるわけでありますから、そういう点で以上三点の問題に対して明確に、やはり国の方が責任を感じて指導するということでなければならない、こういうように思うわけであります。 そういう点で、いわゆる産業廃棄物処理法の改正というものは、そういう基本的な姿勢がないままにこの法規制をしているものですから、結局いたずらに罪人をつくるだけに終わっているわけです。その罪人とは何かというと、そういう最終的な終末処理をさせられる中小零細業者が何か悪の権化のように、国民から見たら、あいつはあの最終どこへ持っていきよるのか、わしらのところへ持ってくるのじゃなかろうか、こういうような形で排出企業の責任がほったらかしにされて、一番終末、まあ言うたら最後のばば抜きみたいなものですよ、一番いやなやつをつかまされたその業者が国民から一番きらわれるというようなことになり、そのことが差別につながってきているわけであります。 私はそういう三点の問題について、基本的に環境庁長官なりあるいは厚生省として再度そういう決意というものを国民に披瀝していただきたい、こういうように思うのです。
○山田国務大臣 廃棄物の処理、また清掃の件に関しては、法律の定めるところによって適正にこれが保管処理されなければならない、そういうことによって環境上遺憾のないようにということを考えております。したがって、ひとつ関係庁ともよく相談いたしまして、十分やっていきたいと思います。 いま法の根本に関するお話、なかなか御見識を伺いましたけれども、そういう点についてもいろいろまた検討してみたいと考えております。
○始関委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時三十二分休憩 ————◇————— 午後一時四分開議
○始関委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 環境庁設置法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続行いたします。上田卓三君。
○上田委員 午前中の質問に続きまして、お聞きいたしたいと思います。 産業廃棄物処理につきましていろいろ問題点を指摘してまいったわけでありますけれども、そういうものを要約しますと、次の四点にしぼられてくるのではないか、こういうふうに思いますので、厚生省側の回答をいただきたい、このように思います。 まず一点は、排出企業に対する企業指導を強め、適正処理費用を生産の必要経費として認識させるということが必要であろう。二点目でございますけれども、処理業者の組織化による過当競争の防止と排出企業に対する対抗力の確保ということが必要である、このように考えるわけであります。三番目に、排出企業、収集・運搬業者、処理業者の三者契約による経済的地位の確保ということがどうしても必要であろう、このように思います。最後に、公共関与を含めて中間処理施設の設置及び最終処分地の確保の推進ということが必要になってくると思うわけであります。 特に大阪においては、私の所属しておりますところの部落解放同盟であるとか、あるいは部落解放同和地区企業連合会とか、あるいは中小企業連合会、その他廃油処理組合あるいは再生資源近代化協議会、廃油不法投棄等企業責任を追及する会などが大阪府や関係市町村と一緒になって、いわゆる産業廃棄物処理業界の近代化施策の実施を要求しておるわけでございます。そういう点で具体的に大阪において非常に問題が多いわけでございますが、一歩前へ進めて、そういう近代化のための具体的な施策というものを近く府、市と煮詰める話になっておりますが、そういうものに対して、厚生省としてもぜひとも強力な御指導と御援助をいただきたいということを御要望申し上げ、お答えをいただきたい、このように思います。
○三井説明員 ただいま先生から御指摘のありました産業廃棄物の処理の問題点につきましては、いずれも大変ごもっともなことである、私どもも全くさように考えておる次第でございます。 まず第一番の排出企業が処理の費用を十分にコストとして認識していないという問題でございますけれども、従来そういう傾向が大変ございまして、そういうことがいろいろな不祥事のひいての遠因、原因であったというふうに考えておる次第でございます。私ども、午前中にも申し上げましたように、その点につきまして排出企業を十分に指導いたしまして、その費用を惜しむことがないように、それから同時に確実に処理ができるように最後まで見届ける責任を持つということを中心に、今後とも一層強力に指導してまいりたいと考えております。 それから二番目の、処理業者の育成強化あるいは組織化といったような問題でございますけれども、現在廃棄物処理につきましては排出企業が自分で処理をするということもございますし、それからそういった処理業者に委託をいたしまして処理するということもございます。あるいはまた公共関与というようなこともございますけれども、経済的な産業活動であるということ、それからまた主として民間企業の活動としてやられるというようなことを考えてみますと、やはり民間の処理業者が適切に経済的な分業として廃棄物処理を担当していく、それが経済的にも、社会的にも合理的に行われるということは大変結構なことであるということで、私どももそういった方向で今後、処理業者の健全育成に努めてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。いろいろな処理業者があることは事実でございますので、私どもとしても、その業界におきまして健全な処理業者が育つよう各般の指導をしておるところでございますけれども、現実に、先日来いろいろな処理業者の団体ができつつありまして、その中で、担当の行政官庁、都道府県であるとか市町村であるとかというようなところと十分連絡をとり、その地域の産業廃棄物の処理を適切に担当しているというようなものにつきましては、私どももその県なり市なりと協力をいたしまして、できるだけの御協力を申し上げたいと考えております。 それから三番目の三者の契約の問題でございますけれども、やはり三者が対等の立場で、それぞれの責任を明らかにし合いながら、適切に廃棄物処理を担当していくといったことにつきまして、私どもとしてもそういうことのルールを確立していくということを今後の指導の重点に置いてまいりたいというふうに考えております。 それから公共関与の問題でございますけれども、実は私ども、公共関与をすべき全国的に考えまして一番大きな問題は、やはり最終処分場の確保という点であろうというふうに考えまして、実は現在御審議をお願いしております予算案におきまして、広域最終処分場の基本構想を取りまとめるということで予算の審議をお願いしておるわけでございます。これは御承知かと思いますけれども、それぞれの自治体あるいは企業が最終処分場を単独に設置するのは大変むずかしいという事情があるわけでございますから、これを国のレベルに引き上げまして、国のレベルにおいてそういう構想を取りまとめ、それに個々の自治体なり企業なりが参加していただくというふうな形で、共通の問題としてこれを処理するという方向で現在、具体案を模索中でございます。 中間処理施設につきましても、もちろん同様の問題を含んでございます。ただ中間処理施設の場合には、地域的にずいぶんいろいろな問題の違いがございますので、それぞれの地域におきまして、適切な中間処理施設を公共において一体どういう部分を担当すべきかというような問題、それぞれの自治体ごとに問題点を明らかにしていただきまして、具体的な構想として考えていただければ、それにつきましての応分の御協力というのはさせていただきたいと思います。ちなみに、私どもの方で、そういった都道府県段階におきましてそういう中間処理施設なり、あるいは最終処分場なりにつきましての計画をつくる、計画を構想するための費用につきまして補助金を出すという制度を現在持っておるところでございます。 具体的に先生御指摘になりましたけれども、大阪府それから大阪市も、いずれも産業廃棄物の処理の問題につきまして、行政当局が大変積極的に取り組んでおられるところでございます。聞くところによりますと、行政当局と処理団体あるいは排出企業等との関係も大変密接な関係でうまく動いておるというように聞いておりますので、具体的な御相談をいただければ、私どもできる限りの御協力を申し上げたい、かように考えております。
○上田委員 次に、われわれ日本人は動物たん白を多くとり入れる機会に恵まれてまいったわけでありますけれども、特に輸入肉の問題で国会でも議論され、国民大衆も大きな関心の的になっておるわけであります。 そこで、いままで多くは国内の畜産農家を保護するという立場で、調整金の問題なども、あるいはとりわけ関税というような形でも、保護されてきておるわけでありますけれども、それらが最終的には、やはり全国に散在するところの屠殺場で屠殺、そして解体されて、そして食肉業者によって消費者の門口までそういうものが流通されていっておるわけでありますけれども、肝心かなめの屠場を中心としたところの食肉産業というものは、皆さん方も御存じのように、わが国においては伝統的にいわゆる被差別部落の住民の仕事となってきた経過があるわけであります。そういう点で、いまなお部落を差別する用語として牛殺しというような、こういうような形で部落の人間が全部牛を殺しているのだというような、部落の中では三分の一、ときには部落全体にそういう産業に携わっている方もおるわけでありますけれども、そういうように表現されるぐらい、食肉産業というものと同和地区の住民との関係は、切っても切れぬ関係にあっただろう、こういうふうに思うわけであります。ところが、残念ながらいわゆる屠場の現在の実態というものを考えた場合に、まさしく公害の発生源として国民から忌みきらわれておるという現状がありますし、いわんや被差別部落住民自身がその公害によって日々悪臭とか騒音とか、本当に犠牲者の一人であるにもかかわらず、いつの間にかそれらが加害者のような形で差別の対象になってきているということがあると思うわけであります。 そういう点で、私は農林省なり厚生省の責任を強く追及したいわけでありますが、とりわけ環境庁においてそういう屠場問題が果たして環境行政の中に位置づけられておるのかといいますと、ややもすれば農林省、厚生省の範疇でらち外に置かれている、環境行政の中からも差別的に放置されていると言っても過言ではなかろう、こういうように考えるわけであります。 私も大阪の松原というところに住んでおるわけでありますが、この松原は全国二番目の屠場を抱えている地区でもあるわけでございまして、大阪にはたくさんな屠場があるわけでございますけれども、とりわけ昭和四十四年に同和対策事業特別措置法が制定されて以後、屠場の増改築というのですか、近代化については、同和事業の一環として施策が進められておるわけであります。ところが、この法律はこの内閣委員会で政府提案によって各党の御協力をいただいて法案ができたわけでありますが、来年三月に十カ年の時限立法が切れるというような状況になっておるわけであります。 そこで、私が質問したい問題は、過去九年間に、公害環境という立場も含めまして、あるいは衛生という立場も含めまして、どれだけ屠場の近代化、環境整備のために取り組まれてきたのか、そして五十四年度以降においてどれだけの残事業が残されておるのか、それとのかかわり合いで特別措置法というものを強化、延長する気があるのかどうかという点で、環境庁なりその他の省において基本的な問題について、まずお答えをいただきたい、このように思います。
○岡部説明員 先生御指摘のように、屠畜場の整備につきましては、最近非常に近代的なものが要求されており、近代的な処理体系というものの充実を図るために、逐次老朽化の施設から整理統合、改築等を進めてきておるところでございます。四十五年末では全国で六百八十七カ所の施設でございましたが、五十一年末では五百四十一カ所、約百四十カ所が整理統合されたと、数字上ではなっておるわけでございます。この間、三百二十四の施設につきまして、特別地方債によります融資によりまして、整備を行ったところでございます。 なお、先生御指摘の同和対策の一環としての屠畜場整備対象施設としては三十三施設でございます。 今後とも畜産及び食肉の流通あるいは消費の動向を勘案しながら、さらに都道府県におきます屠畜場の整備計画を総合的に調整を図りまして、さらに施設の拡充を図りたいと考えておる次第でございます。
○上田委員 御存じのように、食肉業者あるいは屠殺場にまつわるそれらの従事者の多くは、被差別部落の住民であったり、在日朝鮮人、韓国人であったり、あるいはいわゆる沖繩県民を初めとする、本当に社会の底辺に苦しむ人々が多くそういう事業にかかわってきておるわけであります。そして、それらが同時に、そういう差別的な先入観念で結婚とかあるいは就職とかあるいは交際とか、いろいろの面で差別的な待遇を受けてきたということは事実あるだろうし、現実に全国で統廃合されて五百四十一ということでありますが、その多くが同和地区に所在しているとはいうものの、所在してない地域においてでも、先ほど申し上げたそういう方々がやはり多く関係しているという事実はいまなお変わらないように思いますし、特に六百八十七が五百四十一に整理統廃合されたということ自身に、端的な言葉で言うならば、とりわけ諸官庁が、屠場の近代化については厚生省でございますが、厚生省のそういう無策というのですか、そういうことから、いわゆる屠場経営が成り立たない、そして公害の発生源として市民から糾弾を受けるというような状況の中、また同時に地方自治体の赤字の原因というような形で厄介視されていって、そうしてそういう屠場が閉鎖されていく、多くの業者の死活の場でありながら閉鎖されていって、だんだん減っていっているという状況があるわけでありますから、そういう点で、私はやはりもっとこういう屠場というもの、あるいは食肉産業というものを十分ひとつ、まあ生産者保護という形でいろいろやかましく言われておるわけでありますが、それじゃ、その一番きらわれる仕事をしている人たちがどこまで国の施策の保護を受けておるかというと、全く差別的にしか放置されてないと言っても過言ではない、こういうように考えるわけであります。 特に私の住む松原では、ちょっと例を申し上げますと、松原の市立屠場の食肉生産というのですか、あるいは屠殺数というのは全国で二番目であるということをさっき申し上げたわけでありますけれども、年間で牛五万頭、豚で六万頭解体する、いわゆる東京の芝浦屠場に次ぐ第二の屠殺場であるということでありますが、この松原屠場の汚水処理施設あるいは汚物処理施設だけでも年間経費で約五千万円、五十一年度の決算でございますけれども、そういう支出を要しておるわけであります。特に私が問題にしたいというように思うのは、この松原の食肉生産、食肉のうちの四%を松原市の市民が消費しているわけでありまして、あとの九六%以上は大阪府下を初めとする関西一円で消費されているということがあるわけであります。ところが、この屠場経費というものが松原市の特別会計で賄われているという状況がありまして、五十一年度の累積赤字だけでも八億一千九百万円、五十二年度は、これは予想でございますけれども、九億四千八百万円という数字が推計されるわけでございまして、五十二年度一年度だけでも一億二千八百万円の赤字が出ておるわけであります。そういう点で、隣の羽曳野市の向野の屠場においてもしかりだし、堺においても、大阪市の屠場においても、豊中の屠場あるいは兵庫を初めとする、また東京周辺の関東一円の屠場においても同じ実情にあるのではないか。全国の屠場の財政というものが果たしてどういう形になっておるのか。それに対してしかるべく手が打たれておるのか。そういう点で、とりわけ屠場の近代化と同時に、そういう赤字解消というものに対して基本的にどう考えておられるのか、その点について明確なお答をいただきたい、このように思います。
○岡部説明員 厚生省におきましては、まず安全で衛生的な食肉が生産されるという立場から、屠畜場におきます獣畜の適正な検査あるいは衛生的な取り扱いというものを重点にいたしまして、これらに関する設備整備を中心に対処してきたところでございまして、先生御指摘の経営の実態については、私どもその内容を十分承知しておりません、まことに申しわけございませんが。 それで、現在公営の屠畜場につきましては、先生御指摘のように特別会計というようなかっこうでございますが、これは地方財政法に定める公営企業でございまして、その経費は当該企業の経営に伴う収入をもって充てるということが原則になっておるわけでございますので、その点もお含みの上、今後——この経営の実態については十分承知しておりませんです。
○上田委員 いずれにいたしましても、屠場の近代化あるいは整備というものは五十四年度以降も相当数残ってくるのではないですか。その点で同和対策事業特別措置法の延長問題も絡めて一体後の計画はどうなっておるのか。その点について先ほど申し上げたわけですけれども、お答えがなかったのです。担当の課長が実情がよくわからないというような無責任な発言というものは、私は許せませんよ。答えてください。
○岡部説明員 五十三年度以降の計画につきましては、現在同和地区関係のものにつきましては、十八施設が改善の計画があるということを承知いたしております。
○上田委員 十八の施設を何年でやるのですか。あと何年かかるのですか。
○岡部説明員 これはそれぞれ市町村によって実情が違っておりまして、私ども五十三年度以降という計画で承知しておるということでございます。
○上田委員 五十三年度で同和対策事業の法律は切れるのですよ。切れたら、どうするのですか。もうやめておくのですか。その点どうなのですか。答えてください。
○岡部説明員 いわゆる積み残しの分につきましても、従前同様これを推進いたしたいと考えております。
○上田委員 御存じのように、同和対策事業特別措置法ができてから、屠場のいわゆる近代化については、同和対策という位置づけがされて進められてきたわけであります。それ以前はいわゆる同和対策事業という位置づけがなかったわけでありますけれども、五十三年度以後にこの十八の屠場を近代化しなければならぬということになりますと、法律が切れたら今度は同和対策でないということになりますと、それでなくても地方自治体が赤字で苦しんでおるという状況の中で、そういう同和対策事業のいわゆる特典というのですか、現在でも不十分でありますけれども、そういう点でこの改善というのは行き詰まってくるのではないのですか。どうなんですか。
○岡部説明員 現在、計画の、私ども承知しておるものにつきましては、従前どおり推進いたしたいと考えております。
○上田委員 時間の関係もありますから……。 この法律の所管であります総理府の長官から、先般の予算委員会で、同法の延長を含めて、今後改善の努力をするというお答えをいただいておるわけでありますから、そういう点、厚生省においても積極的に同法の内容の充実、それから延長という線で努力していただかなければ、この屠畜場の改善というのはできないわけであります。とりわけ地方財政が非常に赤字で苦しんでいる、この赤字の解消にもならないわけでありますから、そういう点で今後ひとつ十分に勉強して、努力をしていただきたい、このように思うわけであります。 さて、環境庁長官もお見えなんでございますが、そういう点で、先ほど申し上げました屠場というものを中心にして、いわゆる血液とかあるいは内臓物から出る汚水とか汚物とか、そういう形のものを含めて、周辺の農家とかあるいは近郊の都市などでは、だんだん住宅であるとか建て売りがふえてきたために、目下そういう意味で公害問題で騒がれている。その中では部落に対する差別的な考えから、そんなもの問題にしたらこわいのだという形で、差別が潜在化するという問題があるわけでございますが、そういう点で、環境庁長官として、ぜひともこれは厚生省なり農林省なりに任すのではなしに、もっと積極的にひとつ全国の屠場の実態を調査していただきたい、このように思います。そういう点で、十八ということでありますけれども、それ以外のたくさんの屠場、特に民営業者任せの部分もあるわけでありますから、こういうものは公設、公営でないから関係がないのだというようなことではだめだ、私はこのように思いますので、ひとつ厚生省と一緒になって、そういう全国の実態調査というものをやっていただけるかどうか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
○山田国務大臣 公害の防止とよりよき環境の保全、これはわれわれの任務でございます。いま先生お申し越しの点、まだちょっと私も勉強が十分でございませんけれども、御趣旨を体してひとつできるだけ努力をしたいと思います。
○上田委員 屠場なりあるいはその屠場に従事する労働者あるいは出入りの業者、いわゆる流通問題も含めて、われわれは非常に大きな関心を持っておるわけでございますが、そこで、特に国内産の牛肉が非常に高い、世界一である。あるいは、たとえばニュージーランドであるとかオーストラリアからせっかく安い輸入牛が入っても、結局調整金とか関税などで高くついてしまうというような問題があるわけでありまして、そういう点で、小売店などでは指定店というような制度を設けて、国内の食肉と輸入の食肉を区別して価格表示をさせるというようなこともしておるようでございますけれども、とりわけ私が疑問に思うのは、レストラン用の輸入肉は、レストランは皆輸入肉を使っていながら、これは輸入肉である、アメリカの肉でありますということを何も表示しておりません。小売店に対してだけで、レストランなどにはそういうことはさせないということは、全く差別的な扱いだというように思うわけでありますけれども、私は、この問題は後刻、この内閣委員会で農林省の設置法の問題もございますので、そのときにも申し上げたいし、またとりわけ食肉問題そのものにつきましては、振興事業団の理事長なども出席していただき、また農林大臣も出席していただいて、篤と質問申し上げたい、こういうように思うわけであります。 特に私がここで関連して御質問申し上げますのは、いわゆる畜産振興事業団というのがあるわけでございますが、この五十二年度の事業費が三百二十七億円に上っておるわけでございますが、それらの巨大な金額が、果たしてどういう団体にどのように助成されておるのか、その実態について御報告をいただきたい、このように思います。
○杉山政府委員 畜産振興事業団は、輸入肉につきまして、これを国内産肉との調整上、調整金をとって、これを差益として蓄積いたしておるわけでございます。この差益につきましては、一部を積立金として積み立て、残りを助成勘定に繰り入れて、国内牛肉生産の生産振興あるいは流通の改善、合理化といった事業に対して助成いたしているわけでございます。 どういったところに使っているかということでございますが、対象としては農協でありますとか、県の農協連あるいは全国の農協連、こういった生産者団体、あるいは肉用牛の価格安定基金の全国協会でありますとか、県肉用牛価格安定基金、こういった価格安定のために設けられておる公的な基金、そういったものを中心にして対象として助成をいたしているわけでございます。 個別に申し上げますと、きわめてたくさんの事業になりますが、大きなものといたしましては、畜産経営安定対策事業といたしまして、畜産農家に対する借入金の利子補給の事業、これが先ほど申し上げましたものとは別に、都道府県の信連でありますとか、社団法人の中央畜産会、こういったところを対象にして百三十二億出されております。 それから、そのほかに流通関係の主なものといたしましては、食肉流通合理化対策事業、これは小売店の共同仕入れによって、国産牛肉を一般の家庭に一定価格で安くお届けするという事業でございますが、これらに対しまして三十四億五千万円を出しているというようなことがございます。 そのほか大きなものとしては、肉用牛の生産振興対策事業、これに四十七億円を出しているわけでございます。
○上田委員 いま報告をいただいたわけですけれども、これらの多くの費用がどうしても生産者と言われる畜産農家の保護策としていろいろ使われておるようでございまして、とりわけ私が問題にいたしておりまして、屠場にまつわるいろいろな施設整備の改善が非常におくれている、公害の発生源になっているということを先ほど申し上げたわけでありますが、畜産農家、そして流通過程に介在する博労さんも含めてそういう業者、それから屠殺、そしてそれを枝肉にして食肉業者の仲介で消費者に渡るわけですから、本来ならば、これらというのは一貫して農林省が管轄すべき問題ではないか、こういうふうに私は思うわけであります。当然屠場という問題がありますから、あるいは食肉衛生という立場がありますから、これは厚生省が関係することを認めることもやぶさかではないわけですけれども、何か屠場そのものに関係するということですね。あるいは食肉業者の問題については、農林省は非常に冷たいと思うわけです。そういうものがこの畜産振興事業団のこういう補助事業ですか、そういうものにも端的にあらわれているのじゃないか、こういうように私は思うわけであります。特に、三十四億円の予算を計上して、食肉流通合理化対策事業というのがあるわけでございますが、この中身というものは、一体どないになっておるのか。たとえば食肉業者の共同施設であるとか、あるいは協業化の実際の促進とか、あるいは汚水、汚物の悪臭除去の技術開発であるとか、あるいは屠場の労働者とか食肉業者の安全衛生設備の充実とか、あるいは食肉に関する研究の推進とか、いわゆる食肉の衛生対策事業とか、そういうような部門にまでもっともっと対策を講じるべきだ、こういうように私は思うわけであります。この事業団のそういう助成対策事業の中に当然入ると思うわけでありますが、そういうものに対して今後積極的に対策をしていただけるのかどうか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
○杉山政府委員 事業団の助成事業は、先ほども申し上げましたように、確かに対象としては生産者の団体、こちらの方を多く向いて出ていることは事実でございます。ただ、生産者対策として出されたものも、その実質的な効果は、供給の安定なり生産性の向上ということはやはり流通段階、消費段階にも及ぶ話であって、生産段階のものだから、消費者にメリットがない、流通段階に効果がないというふうに区切るものでもなかろうかと思います。 ただ、最近の食肉をめぐる問題は、確かに流通問題について世の中の関心も集めておりますし、私ども見ましても、流通関係にいろいろ問題をはらんでいると思います。そういう意味におきまして、事業団の助成も直接流通段階を対象にした助成、特にこれは五十二年度から重点を置いて行うということにしてまいっておるわけでございます。先ほど御説明いたしました三十四億、これもまさに直接流通段階を強化する、改善、合理化していくための助成事業として取り上げたところでございます。 その中身として何があるかということでございますが、これは繰り返しますが、国民に対して安定的に一定の価格でもって国産牛肉を提供する、そのための共同仕入れの事業に携わる販売店に対する助成あるいは産地と消費地を直結するためのモデル販売店を設置するための助成事業、あるいは生協の行いますところの消費合理化促進事業、あるいは生産地におきますところの食肉センター、これに対する出資というもろもろの形を通じての助成、こういったものが対象として取り上げられているわけでございます。 そういう中で、屠場に対する助成は取り上げられないのかということでございますが、これは役所の組織のことを申し上げて大変恐縮でございますが、もちろん流通の全過程の中で屠場の占める役割り、重要性というのは、ますます重要性を増しこそすれ、今後そのウエートが高くなると思われるわけでございます。私ども、そのことは十分承知いたしております。ただ、役所の組織として、全体の流通体系そのものについての整備を図ることは私ども考えておるわけでございますが、屠場自体の整備は、これは厚生省にお願いする形にならざるを得ないわけでございます。そこで、いろいろ連携をとりまして、先ほども御答弁ありましたが、流通段階の整備とあわせて、屠場にも整備をお願いする。そして、厚生省ともその点そごのないように十分今後の行政の展開を図ってまいりたいというように考えておる次第でございます。
○上田委員 不十分ですけれども、時間の関係で、今後十分なる努力をしていただきたい、このように思うわけであります。 食肉は、非常に高い。特に、牛肉が高いというような形で言われる中で調整金の問題、関税の問題も問題になりながら、実際は、何か食肉業者、いわゆる流通過程に大きな問題があるのじゃないか。私は、全然問題がないとは考えません。やはり改善すべきものは改善しなければならぬと思いますが、いつの間にか諸悪の根源が食肉業者にあるような誤解を国民に与えておるのじゃないか。あるいは一部マスコミがそういう形であおっておるのじゃないか、こういうように思うわけであります。 特に問題は、輸入肉が高いという問題あるいは国内肉自身がやはり高くつくという問題は、日本の畜産行政というのですか、農政そのものの欠陥にメスを加えなければならない問題であろう、こういうように考えておるわけであります。そこに問題がありながら、いつの間にか伝統的な部落産業と言われるところの肉屋さんが悪いのだというような形で言われておるところに大きな問題があるのではないか、私はこういうように思うわけであります。実際、それは一部には非常に暴利をむさぼっているというように見られる業者があるかもわかりませんけれども、私も肉屋の町に現実にいま住んでいるのです。本当に朝二時か三時ころに起きていますよ。そうして、電話で生産地と連絡をとって、屠場の中では血みどろになって、たとえばそれで牛が暴れてけがして、あるいはとうとい命をなくすという場合もあるわけです。しかし、それに対して何らの対策がなされていないわけですね。いわんや食肉業者に雇われているというか、従事している労働者の生活というのは非常にみじめな状況があるわけでありますから、そういう点で、屠場そのものについては厚生省であったとしても、それにまつわる流通過程の業者がたくさんおられるわけですから、そういうものを明朗化するという意味でも、もっともっと対策を強化していただきたい。 特に、ここに私は、文芸春秋の二月号を持ってまいっておるわけですが、この中で、ちょっと読み上げますけれども、「若手の記者であるIさんは情熱をこめて、「大阪、神戸の屠畜場、食肉市場の検査官は買収されているんですよ。検査員はメクラ印を押しているんです。だから、内臓の悪いもの、食肉の不合格品がフリーパスしているんです。」「もし、これを正常な検査にすれば検査員は枝肉をつり下げるフックで頭を割られるのですよ。」こういうような、本当にこれが事実なら大きな問題じゃないか、私はこういうように思うわけでございます。しかしながら、私が聞く限りにおいては、これはいかにもこじつけであり、事実無根であるということで、これは本当に未解放部落に対する、あるいは食肉産業に対するいわれのないところの差別発言だということで、抗議をぜひともやってもらいたいという形で聞いておるわけでございますが、その点について、特に屠場の監督官庁であるところの厚生省、それから枝肉市場の問題もございますので、やはり農林省において、こういう事実を調べたのか、そうして、それに対してどういう態度をとるのかということをひとつ明確にしていただきたい。 先般、大阪府の衛生部長とこの問題を討議して、これは検査技師さんですか、そういう方々が真っ向から反対して怒っているということで、神戸とも連絡をとって云々ということを言われておるわけでありますが、国としてどのように考えておられるか、お答え願いたいと思います。
○岡部説明員 先生御指摘のとおり、私ども、この記事につきましては、捏造であろうと考えております。それで、御指摘のように大阪とか神戸とか、名指しでこういうふうに書いておりまして、先般も全国の主管課長会議におきまして、少なくともこういう指弾を受けないように、検査員の検査の厳正についてさらに指示したところでございまして、また、大阪、神戸に、ただいま打ち合わせをいたしまして、少なくとも大阪府におきましては、文芸春秋及び筆者に対しまして抗議文を出すということを聞いております。
○上田委員 農林省はどうですか。
○杉山政府委員 ただいまの文芸春秋の個別具体的な問題は、厚生省からお答えしたとおりだと思いますが、先ほど上田先生御指摘のように、牛肉の流通問題一般にある問題それが若干すりかわって肥大化された形で特定の問題として取り上げられているという感じは、私どもも行政の立場から感ずるわけでございます。こういった問題に対してどう対処していくかということは、実態を正確に知らせて、できるだけしんぼう強く世の中の人の理解を待つという形で進めるべきかと考えるわけでございます。その点、最近は一時期に比べましてかなり落ちついた論調になってきた、この先は比較的まともな形での議論なり、私どもの事業の展開ができるというふうに考えております。今後ともそういうことに努めたいと思っております。
○上田委員 今後とも厚生省なり農林省において、こういう事実があるならば徹底的に究明していただきたいと私は思います。ないなら、やはり文芸春秋なりそういう記者とも会って、この人自身はそういう誤解をしているわけでありますから、人から聞いたという話なんで不確かなものが多いように思いますので、そういう点で、やはりこの問題は国民の前に明らかにしていただくように要望しておきたいと思います。 次に、再生資源かごみかと言われるくらい故紙が大きな問題になっておるわけであります。特に総理大臣などもいわゆる資源有限だ、省資源だというようなことで、再生資源というものをやはりもっと考えていかなければならぬということで、産業廃棄物の問題も含めて産業対策として大きく取り上げられようとしているわけですが、この故紙の、昨年末大きな暴落があったわけですけれども、今日では故紙業者が営業できないという状況の中で、もしこういう者が仕事をやめるということになりますと、ひとえにこれはごみになってしまうわけで、地方自治体はこれによってごみ焼却をするために莫大な費用がかさむというようなことになってくるわけでございます。この点について、通産省が特に関連しておりますので、どのように考えているかということをお聞きしたいわけであります。 御存じかもわかりませんけれども、一月末の大阪での行商者の集荷業者への納入価格はダンボールでキロ当たり十三円、古新聞でキロ当たり十二円、古雑誌でキロ当たり八円にまで暴落をいたしておるわけでありまして、一年前の相場の最低の水準をさらに下回っているという状況でございます。本当にいわゆる再生資源業界の絶対多数はぎりぎりまで追い詰められておると言っても過言でないわけでありまして、現在大阪には行商者が約三千五百人おるわけでございまして、一日の商い量は自動車を持つ行商者で四百キロ前後ではないか、こういうふうに言われております。キロ平均の価格として十一円ということになりますと、仕入れ値がその三分の一ということのようでございますから、大体一日三千三百円くらいの水揚げになるということでありますが、これについては自動車のガソリンあるいは経費というものを差し引かなければならぬわけでありまして、実際、いいときで一日二千五百円ほどの収入にしかならぬというような現状であるわけであります。これは自動車を持っている方の話でありまして、自転車でやっているという人はこれの半分の二百キロぐらいしか商いできないのじゃないか、こういう状況にあるわけでありまして、雨が降れば仕事ができないということで、もう大変な状況に置かれておるわけであります。 そういう点で、政府は、四十七年の物価暴騰時に故紙の上限価格をキロ四十五円と設定した経験があるわけでありますけれども、現在の不況下でこの物価高の時期にキロ平均十一円ではとうてい生きていけない、こういうように考えるわけであります。そういう点で、まずこの下限価格をこの際きっちりと設定する必要があるのではないかということと、それからもう一つは、公的な機関の介入によるところの買い支えというのですか、いわゆる備蓄の問題を含めて、業者は零細でありますから自分たちの力ではできないわけでありますから、そういう点でいわゆる備蓄の施設とか土地も含めたところのそういう即効的な施策をぜひとも考えていただきたい、このように思っておるわけであります。その点についてひとつ明確にお聞かせをいただきたいと思います。
○小野説明員 先生いま御指摘いただきましたように、昨年の暮れからことしにかけまして故紙価格が大変な勢いで暴落したわけでございます。私どもは、こういった価格暴落によって故紙の回収というものが行われなくなるというふうなことは、再生資源の確保という観点からも非常に重大な問題であるということで、従来、故紙の価格を維持するためには何よりもその故紙を使ってつくります製品の方の価格維持が必要であるということで、昨年も不況カルテル等を通じましてこういった製品価格の維持、したがって、製品価格を維持することによって製紙メーカーが故紙を高く買うというふうな道が開けるように努力してまいったわけでございますけれども、昨年の暮れから急に落ち込んできているということでございまして、これもよく見ますと、それほど供給オーバー、需要が減っているということではございませんで、それほど需給に変化がないにもかかわらず故紙価格だけ落ちている。それの一番大きな原因はやはり紙製品の、持にダンボール製品の価格がその時期から急激に下がってきておりまして、そのためにメーカーが原材料の買いたたきに入っているということであろうかと思います。したがって、私どもとしては、今後ともこういった製品価格の改善というふうなものに努力し、それを通じまして故紙をできるだけ高く買ってもらうようにメーカーに指導していきたいというふうに思います。 それから、いまの下限価格の問題でございますけれども、価格につきましては私ども、直接なかなか介入しにくいわけでございますけれども、メーカー等には、とにかく回収の方々の生活が保障できるような価格で買ってくれ、そのために必要とあれば、とにかく製品価格維持のための政策は講じたいというふうなことでメーカーを指導しておるわけでございます。 それから備蓄でございますけれども、備蓄につきましては、かつて、昭和四十九年に価格が非常に暴落しましたときに総額で三十億ばかりの備蓄が行われたわけでございますけれども、現実にはほとんど効果がございませんで、備蓄をしている最中にも価格が下がり続けたという経緯がございます。それからまた、最近では、東京地区の故紙業者が備蓄を一部始めておるわけでございますけれども、やはり価格にはほとんど影響がないというようなことでございまして、備蓄の効果というものは、どうも考えられているほどこの市況対策には役立たないのではないかというふうに考えております。
○上田委員 かつて通産省の幹部は、故紙は宝なり、こういうふうに述べた方もあるわけでありまして、先ほどからも言いましたように、もしこれが再生資源に回さずにごみということになりますと、焼却の費用はキロ当たり大体二十円から二十五円ぐらいかかるわけですね。だからいかに業者が安く、十一円で買い入れているわけですから、それをごみにしたらどれだけ高くつくか、それを資源にすればどれだけ国民の幸せにつながるかということでありますから、この末端に働いている、こういう零細な業者をぜひとも守ってやっていただきたい、こういうふうに思うのです。大阪だけでも、ごみになってないということだけで、もしかこれをごみにすれば年間で二十数億円の余分な費用が、自治体予算がかかるということでありますから、十分ひとつ含んでいただきたいし、これらの業者の多くが被差別部落の方々を初めとして、先ほど言ったそういった社会の底辺にあえぎ苦しむ、差別された人々がこういう仕事に携わっておるわけでありますから、そういう点で特に、今度大阪の被差別部落を通産省なり建設省なり厚生省なりは実態調査されるということでありますから、故紙関係の方もぜひともあわせて実態調査をしていただきたい、このように思うわけであります。 さて、それに関連して最後に一点申し上げたいわけであります。これは私の住む松原のことでございますけれども、松原の若林というところに松原市がごみ焼却炉を建てるということで地元で反対運動が起こりまして、そして市の方は半分ほど買収しているのですけれども、あとの半分、大事な部分が未買収ということで、住民からの仮処分の訴えがありまして、いま裁判ざたになっておるわけでございます。そこで、市の言い分というのですか、そういうものは、焼却炉のサイズも決定し、煙突の高さも決める、こういう形で住民を説得しているわけですけれども、地元では排ガスの問題で、これは公害の発生源になるから絶対反対だということと同時に、環境庁においても、あるいは厚生省においてもやはりこういうものを一方的に市と相談してやるというのじゃなしに、十分地元の実態を調査して、特に環境影響評価、そういう法律の問題もありますけれども、その点について十分事前に評価をしていただいてやるということでないと、事業を先に進めて後からそういうものについて検討するのだということにはならないのではないか、こういうように私は思っておるわけであります。 特に、地元ではごみと言っておりますけれども、ごみと資源とを一緒くたにして現在焼却炉で燃やしている面があるではないか、そのことが焼却炉をさらに痛めつけるというような面もあって、分別収集ということで、地元では自分たちの町のごみは自分たちで処理しようじゃないかというような形の運動も起こっておるわけでありまして、そういう点でこれは故紙との関係も含めて、再生資源として役に立つものは役立てる、これは国民の、住民の協力も得られなければなりませんけれども、やはりそういう行政の手厚い施策というものが当然必要ではないか、こういうように私は思いますので、そういう点で、松原での焼却炉の建設問題については、住民の納得が十分得られるように地元の意向を十分に参酌するということで、ひとつお答えをいただきたい、このように思います。
○森下説明員 お答えいたします。 昭和五十年に松原市が処理量三百トン程度の焼却炉をつくるというようなことで計画を出しましたところ、五十一年一月に住民の方々から工事に関する、準備関係の工事、こういったものも含めて工事全部を差しとめるというふうな訴訟が出ておるわけでございます。こういったものは幾つかの候補地を選びまして、その候補地の中でそれぞれアセスメントといいましょうか、環境影響評価をやりまして、最もよろしいという土地を選んで買収し、かつ住民の御協力を求めるというふうなやり方なんでございますが、事情を聞いてみますと、土地を求めることが先に進んでしまったというふうなことがあって、住民の方々への説明も十分ではないというふうに私どもは受け取っております。 現在係争中でございますので、この結果を見なければわかりませんけれども、こういったものについては、先ほど申し上げましたとおりに、手順といたしましては、複数の候補地からしぼっていくという段階で十分な評価をして、納得をしていただくというふうなこと、こういったことは、これは五十年の問題でございますけれども、昨年、今年、先生御承知のように幾つか出ている問題がありますものですから、こういったことがないように準備の段階から慎重にやれということで都道府県を通じて指示いたしております。御指摘ございましたような方向で今後改善していきたいと思います。
○始関委員長 上田君、時間が来たようですから、一問だけにしてください。
○上田委員 時間も来たようでございますので……。地元も絶対反対であると納得しておりませんし、私自身も市のやり方に対して納得できてないわけでございますので、そういう点で本省においても十分慎重にこの問題について検討もし、軽率な行動をとらないように強く要望して、私の質問を終わりたいと思います。 ありがとうございました。
○始関委員長 鈴切康雄君。
○鈴切委員 環境庁設置法の一部を改正する法律案に関連いたしまして、私は、国立水俣病研究センターに関しての諸問題、それからもう一つは、主として東京国際空港、羽田空港の騒音の問題、もう一つは公害健康被害補償法、中でも排ガス問題について、三つにわたって御質問を申し上げたいと思うわけであります。時間が一時間半というふうに決められておりますので、時間の許す限り質問をさせていただきます。 初めに、環境庁に付属機関として国立水俣病研究センターを設置するというふうになっておりますが、設置の構想並びに将来計画については、どのようにお考えになっていましょうか。
○山本(宜)政府委員 お答えいたします。 水俣病研究センターを設置いたします目的といたしましては、現在、水俣病のよって来る原因あるいは治療方法等につきまして、いまだその病気の性質から未解明の点が多々あるわけでございまして、そういう意味で医学的調査並びに基礎的な医学的な研究をしていこうという構想でつくられておるものでございまして、これによりまして今後水俣病対策の一端が推進されるもの、かように考えておるわけでございます。
○鈴切委員 当初水俣病の対策総合センターの設置構想があって、地元の水俣では治療と研究、それにリハビリを行う総合センターを要求していたのでありますけれども、実際にはいまお話があったように、医学的調査及び研究ということでスタートさせるということであります。これは必ずしも地元の声や願いが反映されているというふうには思えないわけでありますけれども、その点についてはどうお考えになりますか。
○山本(宜)政府委員 この研究センターの設置に当たりまして、専門の先生方にお願いいたしまして、その構想を練っていただいたわけでございます。建設準備検討会というような名称でその内容をいろいろ御検討いただいたわけでございますが、その中で、水俣病に関する医学的な調査研究を行う、こういうぐあいに御答申といいますか、お答えがありましたので、それに従った線で建設を計画してまいったのでございます。
○鈴切委員 私の質問に答えていただきたいわけでありますけれども、地元の水俣では、治療とか研究、リハビリを行う総合センターをつくってもらいたい、こういう考え方が強かったわけでありますけれども、今回の場合においては、全く医学的調査あるいは研究ということだけにとどまってしまったということで、大変に地元の方では、当然このセンターができたということは一歩前進であるにしても、十分声を反映したものではないというふうに思っておるわけであります。その点についてはどういうふうにお思いになるかという問題と、それから具体的にはどういう調査研究をされようとしておられるのでしょうか。
○山本(宜)政府委員 現在、研究の内容といたしましては、水俣病の原因、これは現在有機水銀による魚の汚染によって起こるものである、その魚を多食することによって起こるものである、こういうことになっておるわけでございますけれども、これが人間の体の中でいろいろな多彩な症状を示しておるわけでございまして、これらの原因ということの究明によって今後の対策に通じるものがあろう。こういったような基礎医学的な、いわゆる生化学的あるいは生理学的、または病理学的な研究をしていこうという側面と、一つには臨床的な患者さんの治療に役に立つような研究をしてまいりたい。また水俣病の疫学的と申しますか、その地域社会におきます様子というようなことの研究を踏まえまして、今後の対策に役に立てていこう、このようなところが大きい柱となっているわけでございます。 また、現在の計画が当初の地域の人たちあるいは患者方の御要望と違う点があろうではないか、こういうお尋ねでございますが、今後の問題といたしまして、この計画の拡大等を検討してまいっていきたい、かように思っておるわけでございます。
○鈴切委員 やはりこういう研究センターができた以上は、水俣病にかかっておられる患者の方々が一刻も早く治りたい、治療をさせてもらいたい、あるいはまたリハビリをやってもらいたいという要望が強いわけであります。それがないということ、因果関係の調査研究が主力になってしまったということ、これは地元の方々が大変に落胆をされている原因ではないかと思うわけであります。 今度の水俣病研究センターの職員は八名でございますね。八名でスタートされるということでありますけれども、当初、大蔵への要求では二十名を考えておられたわけでありますが、それが大きく変更しなくてはならないという状態になったわけであります。当初の設置構想どおりの研究センターには、八名であるということになれば、なり得ないというふうな問題が起こってくると思いますけれども、その点については、どうお考えになりましょうか。
○山本(宜)政府委員 先生御承知のように、現在、研究センターは、本年度末でおおよそ建物の外枠ができ、内装も完成するわけでございますが、こういう研究施設につきましては、中に機械器具というようなものの整備をいたしませんと、本来の仕事が発足できないわけでございまして、そういう意味で、職員につきましては昭和五十三年度で六ヵ月八人という定員が認められたわけでございます。当初の計画と本年度の定員の認められたものとの差がございますけれども、これは今後さらに運営の発展のために努力をして、ふやしてまいりたい、かように思っておるわけでございます。
○鈴切委員 当初六ヵ月予算で職員が八名でスタートするということでありますけれども、八名の職員の仕事の内容、そして俸給体系というものはどういうふうになるのか。また、研究センターの機構はどのようになるのでしょうか。
○山本(宜)政府委員 現在、八名という内容といたしましては、所長が一名、部長が二名、それから室長が二名、課長が一名、その他二名、こういうような規模になっております。 研究の内容に即しまして、臨床部門を担当する者、基礎研究部門を担当する者、さらには総務、庶務というようなことを担当する部門、こういうぐあいに分けておるわけでございまして、基礎的な研究部門の中には疫学的な研究あるいは病理学的な研究、こういったような人をさらにその中に入れてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○鈴切委員 当初、職員二十名として考えられた仕事の内容、俸給はどういうふうにお考えであったのか。また、そのときの機構はどういうふうに現在と違うのか、それについてお伺いします。
○山本(宜)政府委員 これは将来への構想という形でございますが、私どもの内部的に持っております構想といたしましては、さらに基礎的な研究部門あるいは臨床的な部門の中に小さいパートをふやしていきまして、それによっての全体の拡充を図ってまいりたい、かように思っておるわけでございますし、総務部門につきましても、現在の体制をさらにさらに拡大してまいりたい、かように思っておるわけでございます。 また、職員につきましては、臨床部門につきましては医療職の方をお願いしたいと考えておりますし、研究部門につきましては、所長を初めといたしまして、研究職の方をお願いいたし、総務部門につきましては、総務課系統につきましては行政職の方をお願いしたい、こういうような形になっておるわけであります。
○鈴切委員 水俣病は公害の原点であるというように言われておりますけれども、これは多くの方々も認めるところであります。ゆえに、因果関係をより正確に立証し、一刻も早く水俣病認定申請をされている者に結論を出すべく、また救済をしなくてはならないと思っております。そのためにも水俣病研究センターに期待するものは非常に大きいわけでありますから、わずか八名でスタートをするという水俣病研究センターは、本来の設置構想を十分に満たし得るかどうかということについて大変に疑問でありますけれども、その点について大臣、どうお考えでしょうか。 〔委員長退席、村田委員長代理着席〕
○山田国務大臣 御承知のように、水俣病については根本原因を解明しなければならぬという基礎的な研究が非常に重要なことでございまして、したがって、そういう総合的な研究ということを主にして、ひとつこれで必要にこたえていこう、こう考えておるわけでございます。したがって、当初は、先ほども説明がございましたけれども、それの機器の充実等々と相まって、その準備から始めまして、順次、数年をもって本来の姿に持っていきたい、こういうことで努力いたしてまいる所存でやっております。
○鈴切委員 水俣病研究センターの必要性から言えば、今後数年のうちには当初の構想どおりにしていくということでありますけれども、そうなれば当然研究員等も増員をしていく、当初の計画どおりに持っていこうというお話であろうかと思うわけでありますけれども、となりますと、第四次削減計画、すなわち定員法との絡みが出てくるわけでありますが、その点については、どういうふうに補っていかれるつもりでしょうか。
○金子政府委員 定員関係でございますので、私からお答えいたします。 環境庁では、定員削減計画による五十三年度の計画削減定数は六名でございます。また、環境庁全体といたしまして、公害研究所を初めとしてこれから定員をなおふやしていかなければならない部門が非常に多うございまして、水俣病研究センターだけに多数増員を取るということは非常にむずかしい情勢にございます。 五十三年度で申しますと、ふやしていただいた定数が四十三名、それに対して計画削減が六名、差し引き三十七名がネット増でございます。その中で水俣病研究センター関係で八名を確保することができた。もちろんこれで十分とは思っておりません。先ほど大臣が申し上げましたように、数年かけて人員を確保してまいりたい、このように考えております。
○鈴切委員 五十年度の公害白書の中に、水俣病研究センターという、仮称にその当時はなっておりますけれども、「国は、水俣病研究センター(仮称)を設置し、水俣病についての医学的研究を実施する。この場合、研究推進のため大幅に流動研究員制度の活用を図る。」こうなっているわけですが、これはどういうことを意味しているのでしょうか。
○山本(宜)政府委員 流動研究員の考え方でございますが、この水俣病というものの研究につきましては、わが国でもそうたくさんの研究者がおるわけではございませんが、現在のところ、医学系統におきましては、熊本大学、鹿児島大学あるいは新潟大学、そのほか幾つかの大学におきまして水俣病のことを専門としておる方がおられるわけでございまして、これら研究センター以外のところで水俣病に関する研究をしておられる方を、ある研究目的のプロジェクトを立てました段階で、一定期間この研究所に来てもらって、プロジェクトのチームを組みながら研究していこうという制度でございまして、そういうことを活用することによりまして、国内の各方面の研究者の総合的な知恵が集められる、こういうことを考えた方法でございます。
○鈴切委員 水俣病の認定申請の処理状況についてお伺いいたしますけれども、熊本、鹿児島、そして新潟、大体三県にまたがっているわけでありますが、認定の申請と、それに対しての認定と、未審査件数はどれくらいあるか、それについてちょっと御報告ください。
○山本(宜)政府委員 現在手元に持っております資料が昨年の十二月末現在でございますが、まず、数の多い熊本県から申し上げますと、現時点におきまして、認定申請をしております人たちが五千八百六十三名おります。その中で申請を取り消された方もおられまして、検診と審査を必要とする方々の数が五千八百二十五名になっております。現在までに認定を受けた方が千六十七名、棄却という処分を受けた方が二百八十一名、未処理の方々が四千四百七十七名という数になっております。 鹿児島県におきましては、認定申請者が現在までのところ千九十六名、取り下げが十三名、したがいまして、処理を必要とする人が千八十三名、そのうち、現在までに認定を受けた方が百八十七名、棄却の処分を受けた方が二百七十二名、未処理の方々が六百二十四名となっております。 阿賀野川の下流流域におきます水俣病につきましては、新潟県と新潟市に分かれておりますが、新潟県の認定申請者は千百十五名、取り下げが八名、したがいまして、処理を必要とする件数が千百七名、現在までのところ認定を受けた者が三百五十三名、棄却を受けた者が四百四十九名、未処理の件数が三百五名となっております。 新潟市におきましては、認定申請者が八百三十名、そのうち取り下げた者が三十四名、したがいまして、処理を必要とする件数が七百九十六名、その中で認定を受けた人が三百十五名、棄却の処分を受けた人が三百三十名、現在までの未処理件数が百五十一件、かような数になっておるわけでございます。
○鈴切委員 被害者の立場に立ってみるならば、認定処理を早急に推進してもらいたいというのはやはり当然のことだと思いますけれども、現在はどのように処理をされておられるか、今後どのようにこれを推進されていくのか。私は大臣に最後に聞きたいわけでありますけれども、地元だけに任しておいては認定処理が進まないわけであります。ですから、そういう意味において環境庁では、厚生省と話し合った上において、医師の派遣を含めた応援体制をおとりになるのかどうかという点についてもお聞きします。
○山田国務大臣 この認定業務の促進ということにつきましては、地元の非常な要望にこたえて、われわれも昨年の六月二十八日に水俣病に関する関係閣僚会議において政府の対応策を申し合わせておることは、御承知のとおりでございます。 この申し合わせの趣旨に基づいて、対応策の中心施策であるところの月間百五十人検診、そして百二十人の審査体制を関係各省及び熊本県の協力を得て整備に努めているところでありまして、昨年十月から熊本県においては、この体制のもとに認定業務が進められているという実情でございます。この体制整備ということとあわせて、県の認定審査会において判定が非常に困難だとされている事例につきましては、症例研究会などによる研究の推進ということを図っておりまして、熊本県の検診機能を強化するためのさらに施設整備等に補助金等も増額いたしまして、施策の充実強化を図ることにいたしておりまするほか、御承知のように、先ほどもございましたけれども、現地の水俣に研究センターというものも設置する等、いろいろなことで努力いたしておるようなわけでございます。この症例研究会によって研究の推進を図るというのも、ちょうど昨年の十二月からそういう体制をしいたということでございますので、その線で何とか促進を図りたいということで鋭意努力いたしているような次第でございます。
○鈴切委員 水俣病の認定患者が今後どれくらいふえるかということはわからないわけでありますし、またそういうことになりますと、補償金額の総額もなかなか見通しがつかないという状況に実はあるわけであります。 そういう意味において、現在チッソは、御存じのとおり大変に企業としてもピンチのような状態にあるわけでありますが、そういう問題について政府の方針を聞きたいわけでありますが、村山大蔵大臣は、一月二十四日の水俣病閣僚会議において、日本開発銀行融資等について、国や政府機関による特別融資を筋違いであるといって拒否をしたと言われておりますけれども、チッソ救済についてどうお考えになり、またどのような基本方針で臨まれるのか。この村山大蔵大臣の筋違いということについては、地元としては大変にショックを受けているわけでありますけれども、その点についてはどうですか。
○大場説明員 去る一月の水俣病関係閣僚会議におきます大蔵大臣の発言は、日本開発銀行の融資は産業の開発等に要する設備資金に限定されておりまして、チッソの補償費用を融資することは法律上できないという趣旨を申し述べたというふうに聞いております。
○鈴切委員 仮にチッソの負債額からいいますと、これがどんどんとふえていくということになりますと、不幸にして倒産というような事態も起こらないとも限らないような現状にありますが、そういう場合に、補償金の支払いが不能になるような場合が予測されるわけでありますけれども、それに対してどういうふうに政府は対応策をお考えでしょうか。
○信澤政府委員 たまたまチッソという具体的な名前が出ましたけれども、一般論として申し上げたいと思いますが、お話のように、損害賠償の責任を負っている者が倒産その他によって消滅をしたという場合には、これはもう債務を履行すべき者がないわけであります。したがって、その場合を想定しまして、国としてどのような対応策をとるかということについては、現在のところ政府としての統一的な見解をまとめてはおりません。 ただ、具体的なお話として出ておりますチッソの問題につきましては、私どもはやはりチッソについては、いろいろ問題がございますが、できるだけ財政の健全化を図りまして、そして補償の義務を十分に履行していただきたい、こういう観点からこの問題には対応すべきであろう、このように考えているわけでございます。
○鈴切委員 これからどれだけの認定患者が出るかわからないということは、債務の総額が実際にはわからないわけであります。そうした場合に、果たして会社更生法の適用が受けられるかどうかという問題も出てくるわけでありますけれども、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○信澤政府委員 所管でございませんので、間違っていたら後で訂正をさせていただきますが、会社更生法と申しますのは、あくまで更生の見通しがあるという段階で、裁判所の判断等をいただいて措置されるものというふうに承知いたしておるわけでございます。いまお話しのように、非常に莫大な、しかも見通しのつかない債務を将来にしょっているという場合に、会社更生法の適用がすんなりできるかどうか、これはいろいろ問題があるのではないかというふうに想像されるわけでございます。 したがいまして、私が先ほど申し上げましたのは、チッソを何とか存続させる、そして補償の債務を履行させる、このことは患者の救済ももちろんでございますが、チッソがあちこちに工場を持っておりますが、水俣市に持っております工場が水俣市の経済なり何なりに与える影響というのは非常に大きいわけでございまして、そういった地域の雇用問題等を含めた社会的な経済的な影響を考えますと、やはりこの際は、いろいろな意味で考えました場合、チッソを存続させながら補償の履行をしていただく、こういう措置を第一義的には考えるべきではなかろうかというのが私どもの考えでございます。
○鈴切委員 チッソをこれからもできるだけめんどうを見ながら立ち直らしていくというわけでありますけれども、それに対して政府は、それでは具体的な案をお持ちなんでしょうか。
○信澤政府委員 先ほどもお話が出ておりましたように、閣僚会議ができておりまして、現に先月の二十四日にもこの問題について御討議、御議論をいただいたわけでございます。したがいまして、その段階での結論は、官房長官の総括によりますれば、いずれにしても、いろいろ知恵を出し合って政府部内でさらに検討していこう、こういうことでございますので、私ども事務の立場といたしましては、そういうような結論を踏まえて、いろいろな問題点等について事務的には検討を進めているということでございます。
○鈴切委員 熊本県知事は、この問題は非常に重要な問題であるということから、チッソの救済問題の解決策として、地方債発行による肩がわりという案、すなわち、県債の発行で、熊本県が実際には実害を受けない、つまりチッソに償還能力がない場合は政府が保証する、あるいは水俣病の認定業務を国が肩がわりして行うというようなことを政府として考えてくれるならば、県債を発行してチッソに融資をしてもよい、そういう発言をしているわけでありますけれども、それに対してどういうふうにお考えになっていましょうか、大臣。
○山田国務大臣 御案内のように、水俣病の被害者が大体現地に集中しておるという事実そうしてまた、このチッソというものの存続ということに、地元の方も一番大きな雇用の点等で利害関係を持っておるということでございますので、こういう問題について、やはり地元がいろいろなことを考えていただくということがいろいろな意味で必要ではないかと思っております。 いまのお話の点については、まだ地元の方からは具体的な提案を受けておりません。したがって、そういう点は、これはわれわれとしても一般の立場では、先ほど局長が答弁しましたように、いろいろな事態を頭に入れて検討はしておりますけれども、そういう地元の案を待って考えていく、こういうことが本当は非常に実際的ではないかというような意見を持っておる次第でございます。
○鈴切委員 そうしますと、地元の方から案が出てきてないから私どもはどうのということが言えないというお話でありますけれども、それでは熊本県の方ですでに県知事が言っている、県債の発行で熊本県が実害を受けない、つまりチッソに償還能力がない場合は政府が保証するとか、あるいは水俣病の認定業務を国が肩がわりして行うというような、そういう具体的な問題については、これは直接は熊本県がやってもらうにしても、政府はそれをバックアップする、こういうふうに理解していいでしょうか。
○山田国務大臣 まあ熊本県が言ってこなければ考えないという種類のものではございませんけれども、具体的な提案の点については、これはいろいろ根本的に何とかする必要があるということの認識にはわれわれ立っているわけでありまして、その提案を待って、関係各省もございますので、よく協議してひとつこの問題を考えていきたい、こう考えております。
○鈴切委員 環境庁がそのような逃げ腰では、こういう問題はなかなか後に残って、本腰を入れなければとても思うように解決できませんよ。 今後の対策として、ちょっとお伺いしたいわけでありますけれども、現在の公害健康被害補償法はPPPの原則に立っているわけでありますけれども、現実に加害企業に支払い能力が消失した場合の対応策が実際にあるのか。ないとすれば今後これをどう補完していくのか、当然これについては環境庁としてお考えになっているはずでありますから、それについてお伺いいたします。
○信澤政府委員 お話のございました公害健康被害補償法のうち、いわゆる第二種地域にかかわる疾病、つまりいま問題になっております水俣病の場合でございますが、この場合には原因者である企業の汚染という事実と、それから水俣病という疾病の発生というものに因果関係がきわめて明白だということでございます。したがいまして、いま補償法の体系でやっておりますのは、このような疾病につきましては、補償法という法律を媒介にいたしますが、財源はすべて原因者である、本件の場合でございますればチッソに特定賦課金という形で求める、こういうたてまえになっておるわけでございます。ただ現実の補償というのは、先生御承知のように、この法律から離れてしまいまして、認定を受けますと、チッソと患者との間のいわゆる補償協定というものがございまして、そちらの方で現実の損害賠償が行われているという実態でございます。 そこで、それが補償協定じゃなくて、仮に法律どおり法律の給付に引き取った場合、その場合にどうかというお尋ねにさしていただいてお答え申しますが、御指摘のとおり、いま申し上げたように、具体的にその給付財源を払う者は特定しておりますが、その特定しておる者がなくなってしまうわけでございますので、先ほどの一般的に公害について責任を負う者がなくなった場合と同じように、事実問題として補償の給付ができなくなる、こういう事態が発生するわけでございます。 そこで、この問題は法律制定当時想定をしていなかったような事態でございますので、立法的にあるいは予算的にどのような配慮をすべきかということについて検討しておりますが、先生もおっしゃっておりますように、いわゆる汚染責任者の責任と申しまするか、汚染者負担の原則と申しますか、こういうものとの兼ね合いというものは大変むずかしい問題だと思いますが、それを十分念頭に置きながら制度的にどう処理すべきかということをせっかく私ども部内で詰めておる段階でございます。
○鈴切委員 いまもお話がありましたように、公害健康被害補償法制定当時は、こういう時点を考えていなかったわけですね。現実の問題としてこういうふうなことになりますと、これをそっくり公害健康被害補償法で当てはめるということもなかなかむずかしい。言うならばこれに対する特別な立法か、あるいはそれに対して補完する何物かをつくらなければならぬわけですね。だから環境庁長官、この問題はやはり真剣に考えておきませんと、ただ単にその成り行きを見てということでなくして、環境庁長官としてはどうお考えになっているか、その点についてもう一度。
○山田国務大臣 まあいわば、ちょっと法の盲点みたいなことになっているのは、ただいま局長から話があったとおりでございまするけれども、事柄は非常に大事な事柄でございまするので、したがって、いろんな法の解釈も含めて、そういう場合にどうやるかということについては、ひとつ真剣に検討いたしたいと、こう思っております。 なお、われわれはこの問題では大変関心を持っておりまして、決して逃げ腰なんというわけじゃないので、結局本当に真剣に検討していくためには、現地の方からの提案というものを待って、そうしてひとつわれわれも非常に真剣に検討していきたい、これが実際的なんじゃないかという私の考え方を真剣に申し上げているつもりですから、その点、御理解いただきたいと思います。
○鈴切委員 この問題は、もう一つ聞いて終わりにしますけれども、公害患者とそれから会社側で取り決められた補償というものは、これは公害健康被害補償法よりもはるかに高い水準であるということは御承知のとおりでありますけれども、公害健康被害補償法に、もしそういう場合かさ上げをしなくてはならないという事態になるわけですけれども、特例をお設けになられるのか、あるいはそれに伴うものについては何かほかの立法をしなければならないのじゃないかという感じがするのですが、その点についてはどうお考えでしょうか。
○信澤政府委員 実は御指摘の点が一つの研究課題でございます。おっしゃるように、補償協定と法律に基づきます給付との間には相当格差があるわけでございます。したがいまして、仮に補償法の給付だけでいくということになりますれば、これは恐らくすでに補償給付を受けた患者さんと新しく受ける患者さんとの間に問題が起きると思います。同時に、先生お話しのように、水俣病患者についてだけ補償法の方の体系での給付水準を上げるということになりますれば、この法律は第一条にも書いてございますように、患者の救済を公平かつ迅速にやるということでございまして、公平の原則に反するということになるわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、最終的にはあるいは補償法へ来るかもしれませんが、しかし、現在ある補償の姿、この姿を何とかして維持する、そういう方向でまず考えるということが先決ではないかというふうに思っております。
○鈴切委員 それでは、次の問題に移ります。 航空機騒音に係る環境基準についてお伺いいたします。 航空機騒音に係る環境基準はWECPNLにより定められておりますけれども、空港近接区域の騒音については、この基準により判断することは私は大変に不適当であると考えております。 〔村田委員長代理退席、委員長着席〕 なかんずく東京国際空港、すなわち羽田空港に近接する羽田地区、大森地区においては、この基準だけではもはやどうにもならない。住民の生活環境を確保するためにもっと適切な指標をつくるべきであると私は考えるわけでありますけれども、その点についてはどうお考えでしょうか。
○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問にございました航空機騒音の環境基準のWECPNLでございますが、これはあらゆる点で理想的であるかと言われますと、確かにいろいろ批判があることかと思われますが、現在の段階では、これは国際民間航空機構及び国際的なスタンダードな組織の中においても実情をいまの段階では最も多角的に把握して評価ができる表示であるということでございまして、私どもは現在の段階では、やはりこれを採用するということが中央公害対策審議会の答申としていただいておりますので、いずれ将来また非常にいい方法ができれば、そのときの議論となりましょうが、現在の段階では国際的にも通用し、採用されているこの方式が最善と心得ております。
○鈴切委員 いまも御答弁がありましたように、必ずしも最善であるとは限らないと言われたところに問題があるわけであります。それはWECPNL七十という基準によれば、離発着の回数は騒音値によっても、また昼夜によっても異なるにしても、七十ホンあるいは七十五ホン、八十ホンについての騒音の可能性も包含しているわけですね。空港近接の区域は、離発着に関係なく相当大きな騒音があって、住民は生活環境が破壊されているわけでありますから、そういうことから考えますと、空港に近いところでは、離発着に関係なく、やはり一番高い騒音を環境基準として決めるべきではないだろうか、こういうふうに私は思うのですが、これは大臣、どのようにお考えでしょうか。
○山田国務大臣 航空法の方ではそういうような規定もあるようでございますけれども、環境基準としては、やはり従来のものによるほかない、こう考えておる次第でございまして、なお補足的に局長から説明をさせたいと思います。
○橋本(道)政府委員 いま大臣からもお話がございましたが、航空法の中に異常な飛び方をしてやかましい音を出してはいけないとかいう条項がございます。それから騒音の限度の問題がございまして、これはピーク値として押さえるわけでございます。そういうことで、騒音塔がございまして、その騒音塔を通るときの音の限度を押さえるというのが、この法律に基づいた告示で本当は確保されるべきなのでございましょうが、これは、実は今度は航空保安の上から非常に問題が起こるということと、一台ずつの飛行機をはっきりつかまえるというところになかなかむずかしい問題も中に出てくるということがございまして、現在この運用としては、騒音塔を通過するときの音の限度というのは、航空法関連で法律そのものとリンクしておりませんが、決めております。その点ではピークを押さえているというものが一応制度上あることはございます。しかし、環境基準といたしましては、時間帯別に昼夜の時間帯のウエートを分けてやっているというところのやり方で、しかもピークレベルについての平均もWECPNLでは扱われるわけでございますので、平均としての問題があるという御指摘は確かにおありになろうと思いますが、現在の段階ではやはり用い得る国際的にも受け入れられる最善のものではないか、こういうことでございます。
○鈴切委員 国際法的にいわゆるWECPNL七十というものが通用しているから、だからそれでいいというのではないと私は思うのです。少なくとも環境庁は住民の方々の健康、生命を守るという重要な立場にあって判断されなければならないわけですから、そういう点について、国際法でそう決まっているからそれでいいというのではなくして、たとえばエンジン調整をして相当大きな音を出しておる、そういうふうないわゆる騒音については、これには全然対象になっていないわけですね。となりますと、私がいま申し上げましたように、羽田とかあるいは大森地区においては、離発着よりもあの空港内におきますところの騒音が非常に大きいということですよ。そういう問題をやはり考えてあげなければならない時期に来ているのじゃないだろうか、こう私は申し上げているのですから、その点について環境庁が国際規定で決まっておるからもうそれでいいのだというようなことでは、環境庁の必要はありませんね。環境庁があるという必要はないと私は思うのですが、もう少し前向きに答弁してくださいよ。
○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問は航空機騒音に係る環境基準ということでありまして、飛んでいるときの条件ということで、現在は決めておるわけでございまして、地上にあってエンジンテストをしているときの場合は、これは実は環境基準というよりもむしろ防音、消音装置をつけてテストの時間帯を押さえるということで、通常協定等で対処をされておりまして、これを法律条項とせよということの議論としてはあり得ることかと思いますが、現実的には協定として押さえられているということでございまして、私どもはそれを無視しているわけではございませんが、それは作業条件の時間帯、それから消音装置の性能ということで対応することができることではないかというぐあいに存じておるわけです。
○鈴切委員 羽田空港で大体五分に三機の割合で飛行機が飛んでいるわけでありますから、エンジン調整とか、そういうことが常に行われているわけです。だから羽田地区とか、あるいは大森地区を除けば、確かにいまの基準ということについてそう決して云々という問題ではないと思うけれども、しかし隣接区においてはそういう問題があるということ、これに対して何らかの方法をとる必要はないだろうかと私は申し上げているわけでありますから、それについて考えるとか、あるいは検討してみようぐらいは言ったっていいじゃないですか。大臣、いかがですか。
○山田国務大臣 空港周辺の騒音ということは、何しろ住民にとっては大変に大きな利害関係の問題だと思います。これはそのときどきいろいろなことも起こると思うのですけれども、実際の状況というものをよく加味して、どういうふうにしてそういう点、いろいろ住民の苦労を除くかということについては、やはりわれわれは十分に検討して、対処していく必要があろうかと思います。そういうつもりで臨んでいきたいと思います。
○鈴切委員 空港周辺の住民の方々から鼻血が出るという問題が実はあるわけであります。大阪空港の周辺の児童が原因不明の鼻血に悩まされているということが伝えられたわけでありますけれども、それについて環境庁としては調査をされているわけでありますが、原因が何であったか、すでにおわかりになっているのではないかと思いますが、御答弁願いたい。
○山本(宜)政府委員 昭和四十九年に大阪の国際空港周辺におきます航空機の騒音あるいは航空機の排ガスと鼻血との関係につきましての調査を行いまして、その結果を一昨年、五十一年の十二月に発表したわけでございます。 この調査結果を見てみますと、航空機の排ガスを主体といたしました大気汚染のレベル及び航空機騒音と鼻出血との関係につきまして、結論的には、疫学的及び臨床医学的な結果を総合いたしまして、明らかな関係は見出せなかった、こういう結論になっております。 その結論のところを見てまいりますと、「現在のところ臨床医学的には鼻出血の原因、あるいは鼻出血を来たす疾患等はある程度解明されてはいるが、航空機排出ガス等の大気汚染や航空機騒音のような環境汚染物質もしくは環境汚染質と鼻出血との関連については未だ明らかな関連性を認めたという報告はなく、未解明の分野として残されている。大気汚染物質や騒音等の環境因子と鼻出血との関連性の究明については、今後の医学の進展が期待されるところである。」かような報告になっておりまして、その環境因子あるいは環境汚染物質との関係は解明されておらなかったという結論になっておるわけでございます。
○鈴切委員 それは問題ですね。実は羽田空港の問題で、沖合い移転で住民大会が開かれたわけであります。私、昨年の暮れその場所に出席したわけでありますけれども、出席したときに、その住民の方々の中からいろいろな意見が出されました。その意見を出された中に、主婦の方とそれから子供の方が鼻血が出てしようがない、こういう訴えを聞いたわけであります。となりますと、大阪においてもこういう原因不明の鼻血に悩まされたことがある。しかも東京国際空港、羽田空港においても同じような状態が醸し出されているという現状において、ただ原因がわからないということだけでこれを済ましていいであろうかという問題が実は出てくるわけであります。 環境庁長官にお伺いしたいわけでありますけれども、少なくとも同じような状況の中にあって鼻血が出るという訴えを出しているわけでありますから、当然もう一度東京国際空港の近辺の住民の方にそういう鼻血が出る問題等を取り上げて、これは航空機排ガスと鼻血との因果関係があるかどうかということをもう一度お調べになったらいかがでしょうかね、大臣。
○山本(宜)政府委員 大阪国際空港周辺で調査をいたしました内容を若干詳細に申し上げまして、御理解をいただきたいと思います。 大阪周辺の調査におきましては、空港に比較的近い地域、あるいは離れた地域の小学校の学童あるいは幼児というような人たちを対象にいたしまして、汚染質の影響のあるところ、ないところというように分けまして、それらの間の比較をしたわけでございますが、それらの間の比較におきまして特に差が認められなかったということから、いま申し上げましたような航空機排ガスと鼻出血とを関連づけることができなかった、こういうような結論を出しているわけでございまして、このようなことから、現時点におきましては、さらに医学的な何かの進展を求めない限りにおきましては、同様な結果が得られるのではないか、かように考えておるわけでございます。
○鈴切委員 私は大臣に聞いているわけです。 大臣、羽田の方にもこの間住民大会で、鼻血が出る、子供の鼻血が出て、そのために神経が高ぶってどうしようもなくて転地療養をした、そういう訴えがあるわけですよ。よく調べてみますと、やはり鼻血が出る、そういう実態があるわけです。この際、環境庁であれは、通り一遍の結果が出たからといって、それは大阪の方でそれが出たわけです。またさらに東京の方でも出たということになれば、これはやはり真剣にやらなければならないのが環境庁の役目でしょう。ですから、どうかそういうことで前向きにこれに取り組んでいただきたいのです。
○山田国務大臣 ただいま部長からもいろいろ説明がありましたけれども、事は健康上の問題でもございますので、いろんなことを検討してみまして、ひとつ前向きに対処することを考えてみたいと思います。
○鈴切委員 それについては、たとえば航空公害防止協会が地域の医者の協力を得て巡回医療相談を行っているというようなやり方がありますから、環境庁としては、これは関係機関に応援を求めてやるとか、そういうことで、いま大臣が前向きに検討してみようというお話でしたから、やはり何といっても原因不明の鼻血が飛行場の近所の方から出るということ、これは重大問題だと思いますから、やっていただきたいと思います。 次に、航空機の排ガスの大気汚染についてでございますが、大気汚染に対する航空機排ガスの影響はどのような程度だというふうにお考えになっておられるか。特に空港に近接した地域においてはNOXにおける瞬間汚染濃度は非常に高くなると考えられますけれども、住民の健康に障害を及ぼすことはないでしょうか。
○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のございました点、昨年伊丹空港にエアバスを導入いたしますときに、最初に汚染予測をいたしました。汚染予測の方は、これは現在の段階ではまだ短時間ピークの予測の技術というものはなかなかございません。非常にむずかしくてございませんで、実際に実測をするということで伊丹の空港にすぐ隣接したところでいろいろはかりました。それから今度は、本当にエアバスを入れてみまして、そこで隣接したところではかりました。そしてやってみますと、一体差が出てくるかというところを非常に調べたわけでございますが、風の方向が、ちょうど風上に飛行機があるというときに、統計的に検定をすると有意の差が出るという程度で、大きな差は本当にあらわれてまいりません。 そういうことで、伊丹空港のバックグラウンドの濃度と、それからそこに入ってきますごく近辺のある特定の地点では、風向が向いたときに若干有意の差が出るが、問題になるような濃度は出ないということでございます。 ただ、これはNO2につきまして非常に関心が高いわけでありまして、私どももそういうものは汚染予測の方法等を十分検討していかなければならぬと考えておるわけでございますが、大気汚染の関係では、むしろ悪臭の問題の方が伊丹の場合には住民に迷惑をかけておるという状態は認められるということでございまして、これはジェットが向きを変えるときにちょうど吹き出す先のところの、かなり先でございますが部落がございます。そこの家の方にそういう苦情があるということで、これはいろいろテストをしてみますと、確かにその問題はあるということでございまして、これは健康影響というよりもむしろ生活妨害という問題がございます。 窒素酸化物につきましては、これは予測をし評価をすべきことでありまして、今後も続けてまいりますが、いまの段階でこれが心配だというところまでにはまいっておりません。
○鈴切委員 大臣、いまお話があったように、窒素酸化物については大変に関心を持っているというわけですね。羽田の方では、先ほど申し上げましたように大森南、羽田地区には排ガスがまとまってばっと出てくるわけですよ。そうしますと、瞬間的にはかなり高濃度の窒素酸化物が充満をするというような状況下にあって、いまなかなかはかりにくいとはおっしゃっておりますけれども、しかしこれはかなり関心を持っていただかないと、ただ単に数値だけは低いからというのではなくして、まとまって出て、そして充満をするときの瞬間の汚染というものは大変だと思いますし、これが毎日毎日そういう状態であるということになりますと、健康にも大変影響するということですから、関心を持ってやっていただけませんでしょうかね、大臣。
○山田国務大臣 窒素酸化物に対しては、これはなかなかむずかしい面もありますけれども、それだけにいろいろ調査研究なんかも一生懸命になってやっておることは、先ほど局長からも申し上げたとおりでございます。しかしながら、これは毎日の問題でもありますし、なおひとつそういう面をいろいろ調べてみまして、何をなし得るか、そういう点も関係機関とも連絡をとりまして、また考えさしていただきたいと思います。
○鈴切委員 東京国際空港の羽田沖移転についてお伺いいたしますけれども、東京国際空港の周辺の住民及び東京都並びに地元の大田区とか品川区の地方自治体は、空港を移転させるよう強く要望いたしております。空港は、現在の位置にある限り、どのような運用をしても周辺の騒音問題等の公害を除去することはまず不可能であり、早期に移転をすべきであると考えておりますけれども、空港の移転に対して、環境対策上の見地から環境庁としてはどのようにお考えになっていましょうか。
○山田国務大臣 航空機の騒音防止という見地から、飛行場が市街地から少しでも遠ざかることが一般的には好ましい。そういうことから、環境庁としては羽田空港の沖合い移転という計画については関心は持っておりますけれども、まだ具体的な内容をわれわれは聞いておりません。したがって、関心は持っているけれども、現段階において具体的な意見を申し述べる段階には至っていない、そういう状況でございます。
○鈴切委員 昭和四十六年の十二月二十八日に環境庁長官から運輸大臣あてに「環境保全上緊急を要する航空機騒音対策について」という勧告が出されているわけであります。それは離発着についてもかなり厳しい注文をつけておりますが、それに対して昭和四十七年三月二十九日に運輸大臣丹羽喬四郎氏から環境庁長官大石武一氏あて「航空機騒音緊急対策について」、東京国際空港にはこういう条件で今後やってまいりますと、こういう内容が入っております。特に離発着の規制というものについて必ずしも守られていないようでありますが、その後運輸当局に対してどのような指導をなさったでしょうか。
○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘の問題につきましては、運輸当局の方に対して私どもも折を見て、いつでも勧告をなるべく早く遵守をするようにということは申しております。全体としまして確かにまだ一カ月に数十便、十一時以降飛ぶものが中にあるということがございまして、ただその傾向はだんだん減ってきていることは間違いございません。あのときの運輸大臣からの返答の中に、国際民間航空機構の中での会議に行ったときに十時半以降ということにしようというのがあったわけでございますが、国際民間航空機構の中で各国の航空会社はやはりいろいろ、こっちから飛べば向こうに非常に早朝に着くとか、いろいろな問題がありまして、なかなか発言の機を得ないというのがいまの運輸省当局の実情だそうでございます。ただ、私どもは環境庁長官の勧告として出しておるわけでございまして、できるだけこれを遵守するようにということで申しておりますので、その点御了解をお願いしたいと思います。
○鈴切委員 了解はできないのです。実は、運輸大臣から環境庁長官に、航空機騒音緊急対策について東京国際空港としてはこうやってまいりますということを確約しておりますね。その内容について御説明願います。
○橋本(道)政府委員 いま御指摘のあった深夜の便のところだけに限って要約して申し上げますと、こういうことでございます。 「指針達成のための方策」としまして、「規制の強化」というところの中に「航空機の発着は午後十時から翌日午前七時までの間(ただし、東京国際空港における国際便については午後十時三十分から翌日六時までの間)、緊急その他やむを得ない場合を除き行なわないものとすること。この場合、東京国際空港における午後十時三十分から午後十一時までの間の現行の国際便については、次回のIATA(国際航空輸送協会)のスケジュール会議までは、発着を認めることとし、午後十時から午後十一時までの間の国際便の発着は、原則として海上を経由して行なうものとすること。」ということでございます。
○鈴切委員 この昭和四十七年の三月二十九日の内容はちょっと違うようですね。「東京国際空港」については、「ジェット機の発着は、午後十一時から翌日午前六時までの間、緊急その他やむを得ない場合を除き行なわないものとする。」二番目に「ジェット機による午後十時から同十一時までの間及び午前六時から同七時までの間の発着並びにプロペラ機による午後十時から翌日午前七時までの間の発着については、原則として〇四及び一五離陸並びに二二及び三三着陸により行なうものとする。」こういうふうに環境庁長官に出されておりますが、これで間違いないでしょうね。
○橋本(道)政府委員 先ほど私が申し上げましたのは少し誤りまして、これは環境庁長官から運輸大臣への勧告の中の場所でございます。いま先生のお読みなさいましたのは、運輸大臣から環境庁長官あてに返答としてあったものでございまして、運輸省としてはそれだけの約束をしているからには、当然すべきことであるというぐあいに私どもは考えております。
○鈴切委員 やはり運輸省から少なくともそういうことを確約しているわけでありますから、それを守らせなければならないわけですね。 緊急やむを得ない場合というのはどういうことなんでしょうか、具体的に。運輸省の方からおたくの方に出ているわけであります。
○橋本(道)政府委員 きょう運輸省の方がおられませんので、私は正確な答弁をいたすことができません。これは相手の空港の管制塔との関係とか、いろいろのことがあるのだろうと思いますが、そういう点につきましては、運輸省の方に伺いまして、また先生にお答えをいたしたいと思います。
○鈴切委員 緊急やむを得ない場合というのは、このおたくの方へ出した書類ですからおたくの方にないなんということはないわけであります。当然運輸省から環境庁に提出をしたものでありますから、おたくの方に資料としてないなんということはあり得ないわけでありますけれども、まあ私の方から申し上げますと、緊急やむを得ない場合というのは、「航行中の航空機に異常事態が生じた場合」、「航行中の航空機内における搭乗者に異常事態が生じた場合」、「捜索救難活動のため発着する場合」、「緊急の取材活動のため発着する場合」、「台風等から航空機を避難させるため発着する場合」、「特異な気象条件のため、燃料を緊急に補給する必要が生じた場合」、これが緊急やむを得ないという運輸省から環境庁の方に出されているいわゆる条件であります。 となりますと、それではお聞きいたしますけれども、東京国際空港におきまして、昭和五十一年度において離発着の状況というものが大変に、決められた時間以外に飛んだという状況が出ておりますけれども、具体的にどういう数字であるかお知らせ願いたい。
○橋本(道)政府委員 この具体的な数字につきましては、これは運輸省から環境庁あてに通報いただいた数字でございまして、この数字の根拠につきましては、運輸省の方が責任があるわけでございますが、私どものところに参りましたものは五十一年の一月から五十二年の九月までのものがございまして、このうち五十二年九月の午後十一時以降の離着陸の状況、ジェット機といたしましては離陸が六十二機、着陸が十七機、計七十九機でございます。
○鈴切委員 その中で、いわゆる緊急やむを得なかった場合というそれに適合するのは何機なんでしょうか。
○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問に対してお答えをする材料を持ち合わせておりませんので、運輸省に照会をしてみます。
○鈴切委員 それから、決められた離発着回数以外に、前後一時間は離発着に対しての方法が定められているわけでありますね。それは先ほど私が申し上げましたとおりでありますけれども、その離発着の方法が定められているその定めに基づいてどのような内容であったかということを御存じでしょうか。
○橋本(道)政府委員 そこまで詳細には存じませんが、海上の北回りの方を一方通行にするとか、そのような条件を出しておるということを存じておりますが、非常に専門的な、また主管省庁でなければわからないことでございますので、運輸省の方にこれを照会してみないとお答えできません。
○鈴切委員 そこで大臣にお伺いするわけでありますけれども、環境庁はかつて昭和四十六年に運輸大臣に対して「環境保全上緊急を要する航空機騒音対策について」の勧告を行ったわけであります。ところが勧告に対して運輸省は、報告を出してこういうふうにやりましょうということを確約されたにもかかわらずいまの御答弁、環境庁も余り内容的には御存じないし、それからまた運輸省も実際には守られていないわけですね。こういう問題について野放しにしていいとお思いになりますか。大臣はもう一度そういうことに対して厳しく勧告する必要があると私は思うのですが、その点についてはいかがでしょうか。
○山田国務大臣 われわれとしては、基準が守られ、また勧告がちゃんと守られていくということは、これは特に監視網を持っているわけではございませんけれども、責任上そういう立場にあることは当然でございます。したがって、いまお話しのような情報がいろいろ得られたならば、また報告によってそういう点に気づいたならは、当然そういう点について先方が守ってやるように、われわれとしては運輸省の方に大いに接触しなくちゃいかぬわけだと考えております。この点について、なお今後とも、でき得れば地方庁あたりの協力も得ながら、できるだけそういう勧告等が守られるようにひとつ努力したいと思います。
○鈴切委員 守られる努力をするのは運輸省であって、環境庁は住民の生命あるいは健康を守るために、ことに夜間、早朝の騒音は非常にまずいという観点で勧告されたわけですから、運輸省は確約をしたにもかかわらず守られていないという現実に対して、環境庁としては、やはり運輸省に対して何か物を申さなければならない立場ではないでしょうかと私は申し上げているわけです。
○山田国務大臣 私が努力と申し上げましたのは、むろん当面の運輸省に対してそういうように物を申そうというわけでございます。
○鈴切委員 鉄道公害の対策についてお伺いいたします。 新幹線鉄道に関しては、問題を抱えつつも環境基準を設定して対策を進めておりますけれども、一般鉄道に関しては、公害防止の目標さえ実は設定されておりません。一般鉄道であっても沿線住民には騒音、振動の被害を与えているので、新幹線と同様に環境基準を設定し、公害対策を進めるべきであると私は思うわけでありますが、従来環境庁が講じてきました対策の内容と今後の方針についてお伺いいたします。
○橋本(道)政府委員 いま先生の御質問のございました在来鉄道の騒音に係る環境基準の設定問題でございますが、これは設定ということを前提といたしまして五十年度、五十一年度、五十二年度には、騒音の実態調査とアンケート調査を全国いろいろな種類の路線についていたしておりまして、五十三年度と五十四年度で防止技術の内容と、その費用効果等の問題を詳細に調べることにいたしております。その結果を待って、在来鉄道に係る環境基準を設定していきたいという方向でやっておるわけでございます。
○鈴切委員 そうしますと、調査の結果はいつごろまとまり、また基準としてはいつごろできる予定でしょうか。 実は品鶴線の問題ですけれども、品鶴線が品川、大田のところを通っておるわけでありますが、新幹線がその上を通っております。新幹線については基準もあり、防音壁とか電波の集中化あるいは防音工事助成等についてはやっているわけでありますけれども、貨物の品鶴線は全然それがなされていないわけです。しかも新幹線は大体昼間通るわけですけれども、品鶴線の貨物の場合においては、ほとんど夜通るという状態ですね。しかもレールも老朽化して音は激しいし、おまけに鉄げたでありますから相当大きな騒音を発するために、近ごろ住民の間では新幹線よりも品鶴線の貨物の方が困るという苦情が頻発しているわけです。そういう意味において、これはこのままほうっておくわけにはいかないわけですから、それについて御答弁を願いたいと思います。
○橋本(道)政府委員 いま先生の御指摘のございました品鶴線につきましては、五十一年度に調査をいたしております。これは非常にいろいろな実態が全国にございまして、そういうことで五十年度と五十一年度と五十二年度に実測とアンケートと、物的被害等をずっと調査をいたしておりまして、これを全部総合して解析しなければならないということと、もう一つは騒音振動問題といいますのはいろいろほかの、たとえばこの場合ですと、国鉄問題と道路交通騒音振動問題とが横並びということがございます。そういうものを全部整理した上で方針をきちっと決めなければならないというような具体的な問題があるわけでございまして、そういうことで五十三年度、五十四年度に技術調査をいたしまして、それが全部取りまとめられてから今度は基準設定に入る。これは私も何とかもっと早くできぬものかと思いますが、とにかく非常に大変でございます。現在いろいろな人が使っている線をやるわけでございますので、そういうことで、正直に申しまして、まず三年後に環境基準ができれば一番早いということでございます。
○鈴切委員 それはとにかく鋭意努力をしていただきたい、こう思うわけであります。 最後に、時間もいよいよなくなってまいりましたけれども、公害健康被害補償法の問題についてちょっとお聞きしたいわけであります。 昭和四十九年十一月二十五日に「公害健康被害補償法の実施に係る重要事項について」と題する中央公害対策審議会の答申が出されました。この中に「当審議会が意見を求められた地域指定の要件等に関する資料は必ずしも十分ではなく、大気の汚染の程度は現時点においては硫黄酸化物を指標として表さざるを得なかった。」とありますけれども、それはどういうわけなんでしょうか。 また、排ガス公害が非常に深刻な東京都において環状七号線の沿線の中で世田谷、杉並、中野、練馬の四区が地域指定から外されている理由はどういうことなんでしょうか、お伺いいたします。
○山本(宜)政府委員 当時の中央公害対策審議会の答申の意味するところは、硫黄酸化物の汚染によって地域の指定を考えていくということと、窒素酸化物による問題については今後のいろいろな知見を待たなければならない、こういう趣旨が含まれておるわけでございまして、現在、東京都における指定の問題につきましては、指定要件の中の窒素酸化物の具体的な指標化ということが一つの問題点となっておるわけでございます。従来から窒素酸化物の健康に及ぼす影響に関するデータの収集、解析には努めているわけでございますが、国際的にもまた国内においても、健康被害に関するデータがなかなか少ないわけでございまして、したがって現在までのところ、現状の環境大気中に存在する程度の窒素酸化物と健康被害との因果関係というのが明らかにされていないわけでございます。したがいまして、窒素酸化物を現在直ちにそれをもって地域指定要件の具体的な指標とすることは困難でございまして、今後なお窒素酸化物による健康影響については、その調査手法の開発あるいは動物実験によるデータ、そのような必要な調査研究を実施していこうと思っておるわけでございます。 先生御承知のように、硫黄酸化物を指標といたしましたのは硫黄酸化物が測定しやすい、そういうことによって、いわゆる化石燃料を燃焼することによって起こる大気汚染の一つの指標として考えられたわけでございます。が、その後窒素酸化物の測定方法等も進んでまいりましたし、また硫黄酸化物も減ってきたという現状でございますので、その問題につきましての今後の知見をいろいろ待ちたい、こう思っておるわけでございます。 なお、硫黄酸化物につきましては、御承知のように四日市あるいは川崎等、いわゆる著しい健康被害の大変悲惨な事例を私ども経験したわけでございますが、窒素酸化物につきましては、現状におきましてはそのような経験もいまのところないわけでございまして、そういう意味で今後これを指標とすることにつきましての知見を集めるべくいろいろな調査を進めているところでございます。
○鈴切委員 その公害健康被害補償法に基づいて実は世田谷、杉並、中野、練馬、この四区は地域指定から外されているわけであります。そのために東京都では、気管支ぜんそくあるいは慢性気管支炎等の公害病にまつわる方々に対して、大気汚染による健康障害に対する医療費の助成に関する条例を設けなければ総体的な公害患者を救うことができないということで救済措置をとっているわけであります。世田谷においては千四百九十四名、杉並においては九百九十一名、中野においては七百五十七名、練馬においては七百六名という方々に対して東京都としては特別に救済措置を施しておるわけでございます。 こういうことから考えまして、必ずしも硫黄酸化物だけというのでなくして、窒素酸化物の影響による指定地域を外されたところも同じくかなりの患者が出ているわけでありますから、そういう点についてやはり窒素酸化物についてもこれを対象にしながら、そして公害健康被害補償法に基づく救済措置をとりませんと、地方自治体では取り残された方々を救済しないわけにはいかないわけであります。国の方は地域指定から外すにしても、東京都としては全部の方々をやはり救済しなければならないわけでありますので、約四千人に及ぶ方々、東京都では認定されながら国には認定されない、公害病患者として国の補償を受けることができないという状態ではまずいのじゃないかというように私は思うのですけれども、それについて国としては何らかの方法を講ぜられるおつもりはありますか。
○山本(宜)政府委員 先生御承知のように、この公害健康被害補償法による第一種の問題につきましては、四種の疾病を指定しております。慢性気管支炎、気管支ぜんそく、ぜんそく性気管支炎、肺気腫、しかしこの四種の疾病につきましては、大気汚染によって増悪されるあるいは発生するというものもございますが、そのほかの原因によって起こることもございます。すなわち非特異的な疾患であるということから、指定の要件といたしまして汚染の度合いということを勘案し、かつその中におきます非特異的な疾患につきましては、これを拾うというような趣旨で仕組まれておるわけでございます。したがいまして、都におきます制度は十八歳未満の方だけを対象にしておりますが、私どもといたしましては、やはり非特異的な疾患をこの補償の対象にするという意味からは、窒素酸化物による健康影響というようなことも学問的にしっかりしたものを踏まえませんと制度の中に持ち込めない、かように考えておるわけでございまして、現在におきましては、鋭意学問的な解明の問題を待っておるわけでございます。
○鈴切委員 東京都における硫黄酸化物濃度は、昭和四十一年−四十三年をピークにして減少しておると言われております。また固定発生源が少なく、硫黄酸化物の発生が少なくなってきていることも事実であります。しかし、中公審の答申にもあるように、「近年、硫黄酸化物による大気の汚染は、相当改善されてきた反面、窒素酸化物等による汚染が相対的にクローズアップされてきた。」ということは事実だと書いてあるわけですね。となりますと、政府はやはりこうした事実を踏んまえて、東京都における特に環状七号線をはさんでいるところの先ほど申し上げました四区については、まだ指定されていないわけでありますから、そういうことで再検討を行なわれるおつもりはあるかどうか。
○山本(宜)政府委員 東京都の二十三区につきましては、現在までのところ十九区が指定されておりまして、先生おっしゃるように四区が行政区画の観点から言いますと未指定でございますが、これにつきましては、四十八年及び四十九年に基礎調査をいたしました。その後、資料の追加提出等をいたして検討いたしましたが、現在の指定要件を満たしていないということでございます。そういう意味で現在、未指定でございますが、先生御指摘の点は、自動車の排ガス等による窒素酸化物の汚染によって問題が起こっているのではないだろうか、こういうことの御指摘だと思います。したがいまして私ども、窒素酸化物に係る健康影響ということにつきましての各般の研究調査を進めまして、その答えを得ました上で指定の必要があるかどうかということを判断してまいりたい、かように思っているわけでございます。
○鈴切委員 時間が一時間半のお約束でございますので、最後であります。 やはり硫黄酸化物は年々減少してきているのだ、それに比べて窒素酸化物が大きくクローズアップされてきているという中にあって、四区においても東京都が救済をしなければならないいわゆる公害患者が出ているわけでありますから、当然二十三区の中から四区を外すということによって、東京都としても大変に財政が苦しい中にあってそれを救済していかなければならないわけでありますので、そういう点についてもう少し環境庁としても、窒素酸化物についての影響というものを調査していただきたい、このように要望して、質問を終わらしていただきます。
○始関委員長 受田新吉君。
○受田委員 山田環境庁長官、環境庁というお役所はどういう生い立ちであるかは篤と御存じで御就任になっておられると思います。環境庁が生まれた時代の要請は何でございますか。
○山田国務大臣 環境庁の任務というものは設置法に明定されているとおりでございまするけれども、当初は、その当時これが生まれた環境から、公害というものを防止しようという点、また自然を破壊から守っていこうということに非常な重点が置かれて発足してまいったように了解しております。
○受田委員 お互いの生活環境を整備して、健康で文化的な生活を営み得る環境づくり、そのための諸条件をりっぱに整えていく任務で生まれた、それはもう環境庁設置法の趣旨に明確に書いてあるわけです。 そこで、環境庁は新しいお役所、昭和四十六年ですからまだ七年しかたっていない役所で、そこで官房長及び四つの局長さんたちも各省からお集まりになっておられる。ある意味に解すれば、寄せ集めの役所であるということになるのですけれども、現在環境庁の局長クラスの出身省はどうなっているかを御説明願いたい。
○金子政府委員 局長及び次官について申し上げますと、合計六名でございますが、厚生省が四名、農林省が一名、大蔵省が一名でございます。
○受田委員 大半は厚生省から来ておられる。いわば厚生省の新宅というような意味にも解せられることでございます。 そこで、長官としても、その新しい役所の権威を高めるために、おととし総理府令を施行されて顧問制度をしかれたわけです。現に顧問はどなたを委嘱しておられるのですか。
○金子政府委員 顧問の定数は四名でございますが、現在任命されておるのは三名でございまして、そのお名前は、加藤一郎さん、内田俊一さん、船後正道さんでございます。
○受田委員 御三人の経歴、顧問としての適格性を御説明願いたい。
○金子政府委員 加藤一郎さんは東京大学の法学部の教授でございまして、かつては東京大学の総長をされたこともある方でございます。御専門は法律でございますが、なかんずく環境法令について近年非常に深く研究をしておられるように承っております。 それから内田俊一先生は、かつて東京工業大学の学長をされた方でございまして、技術関係の最高権威者の一人であらせられると承っております。 それから船後正道さんは、前環境事務次官でございまして、環境行政のエキスパートというふうに私どもは理解いたしております。
○受田委員 御三人だけで、なお次の用意がしてないのでございますか。
○金子政府委員 私どもといたしましては、このほか経済ないし経済学の分野などにおきまして適任者があれば、さらにもう一方お願いしたいというふうに考えております。
○受田委員 顧問制をしいて環境行政の円滑な運営に努めたいという趣旨であれば、定数をりっぱに整えてやられればいいわけです。そうむずかしく考えなくてもいいわけです。 もう一つ基本的な問題として、環境庁の地方の調査官は、行政管理庁の職員がその職務を行っているわけです。つまり行管の職員を環境庁が使って、その業務の遂行に関しては環境庁長官が指揮監督する、そして行管の任務を遂行する点においては、行管の長官がこれを指揮監督するという、この調査官なるものは二様の監督を受けている。二重監督を受けているわけです。ほかの省にない非常に奇妙なスタートをしている。当時、この問題を持ち出されたときに、私から当時の三木環境庁長官、そして保利行政管理庁長官それぞれに、田中内閣の昭和四十九年の五月ごろでした、田中内閣のナンバーワン、ナンバーツーと称せられる大物が環境庁長官と行管長官におる間にただしておきたいというて質問をしたことがございます。一人の公務員が二つの役所の仕事をするというようなへんてこなことは早くおやめになってはどうか、暫定措置としてはやむを得ないということであるが、やがては環境庁の専任の職員が就労すべきであるという私の提案に対しては、十分検討したいという答弁でございましたが、自来四年たっておる今日、この二重監督を受ける職種についての検討をされたのかどうか、御答弁を願いたい。
○金子政府委員 調査官制度は、お説のとおりわが国では非常にユニークな制度でございますが、わが国の環境行政は、環境庁が法令をつくり環境基準をつくるような仕事をいたしまして、地方公共団体がその実務を担当する、こういうたてまえに一応なっております。しかしながら、そういうたてまえの中にありましても、環境庁といたしまして、直接自分たちの手で地方の現地について調査を行い、情報を収集しというような要請が出てまいりますし、また地域住民におきましても、地方公共団体に陳情などをするほかに、国に対しても相談なり陳情なりを地方においてやりたいというニーズがあるように見受けられます。 そういう状態でございますので、環境庁に地方支分局を設けることが認められて、それに必要な定員が認められれば、それによって行うということも考えられるわけでございますが、何しろ環境庁はまだできまして数年、育ち盛りでございまして、環境庁本体に必要な定員も、行政整理の声の高い折からなかなか認めていただけない、こういう状態でございますので、地方支分局などをつくる問題は大分先の問題としてまだ見送っている、こういう状態にございます。 調査官自身につきましては、三年有余の間に次第次第に環境業務に精通されてこられまして、近ごろは大変いい情報が私どものところに入るようになってまいりましたし、また地方におきましても、調査事務のほか相談業務などをかなりよくやってくださっているように思っております。
○受田委員 地方支分局、管区行政監察局の職員を調査官として環境庁が用いているわけなんです。その数はいま何人でございますか、スタートのときからふえておりませんか。
○金子政府委員 発足当時三十名が、現在四十七名になっております。
○受田委員 十七名ふえて四十七名、スタートは三十名であった。その四十七名は、総定員法の枠内操作で十七名ふやすということになったのか、あるいは環境庁の特殊の事情を考慮してそういうかっこうになったのか、お答え願います。
○金子政府委員 行政管理庁内部の振りかえで対処されたように承っております。
○受田委員 行政管理庁、きょうはどなたか来ておられますか。——この前来られた監察局長来ておられるね。辻さんも来ておられる。 行管にお答え願いたいのですが、行政管理庁というお役所は、国の行政を管理し、あるいは監察し、必要に応じて勧告権を発動するというお役所です。非常に各省ににらみのきくお役所が、環境庁の出先の職員である調査官だけは御自身の役所の職員に環境庁の仕事をさしておるという異例の措置をとっておられる。そうなると、行政監察も行政管理も両面とも身内が環境庁におることになるのでございまするから、公平な管理や監察ができなくなる。その点、たった四十七名、人数が少ないのです。これはもうはっきり行管の職員でなくて、環境庁の調査官としてぴしっと独立させた任務を遂行させるべきである。行管の職員が環境庁の職員を四十七名も兼ねて、両方の仕事がごちゃごちゃになってくるというようなかっこうで、おれは一体親分がどっちか、行管長官からも監督を受ける、環境庁長官からも監督を受ける。地方の行政監察局長でさえも、沖縄の行政監察事務所、これはみんな両方から監督を受けるのです。二人の長官から監督を受ける。明らかに二重行政、二重監督、私は、そういうことをこの際ぴしっと独立して筋を通すべきだと思うのです。山田長官、あなたは外交畑の御出身で、非常に大空のような広々した気持ちで世界をながめてきた人です。行管の職員をあなたが、自分の環境庁の仕事をやる部分については、失礼ながら行管長官よ御了承願いたいと言って指揮監督しておられるわけです。よその役人をあなたが使っておられるのです。私は三年前に申し上げた。隣の屋敷からタケノコがうちの屋敷に生えた。隣の行管庁の屋敷から環境庁の屋敷へかきねを越えてタケノコが生えた。このタケノコの所有権はどうなるか。ちょうど根元は隣であると言っておれの方のタケノコだ、生えた方はおれのところに生えたからおれのものだと言うようなものです。明確にこの職員の任務を区切るべきでありまして、そろそろあいまいな職員を四十七名も置いておく時代よさようならとなさるべきではないかと思うのですが、長官の決断のお言葉を願いたい。
○山田国務大臣 できれば独立な出先を持つ、これが仕事が徹底していく、これはまさに受田委員の仰せのとおりだろうと思います。昨今は公務員の定員縮小とかいろいろなことがあって、思いながらも心ならずもというような点があったのじゃないかと思います。私といたしましては、いまのお申し出も踏まえて、さらにひとつこの問題努力してみたいと思いまするけれども、その間においては、ひとつ広々した気持ちで十分本領を発揮するようにやっていきたいと思います。
○受田委員 長官の御所管の中には渡り鳥の問題もあるわけで、国際的な渡り鳥をあなた御担当になっておられるのだから、渡り鳥だからあちらの国と日本の国を渡る、つまり行管庁と環境庁を渡る公務員というようなものにもなるわけですが、この辺でぴしっと区別を立てられるべきだし、また行政管理庁としてもいかがでしょうか。総定員法の問題もありますけれども、こうした大事な環境行政を担当する職員については、定数を四十七人分くらい増員するについて、だれも各党とも反対する者はおりません。環境庁というお役所さえつくってあげたのです。そこで調査の重い使命を帯びる、府県単位ではいけない、数県にまたがるようなお仕事を、調査し資料を集める、苦労される方々の四十七名の人数をぴしっと環境庁職員として採用することにだれ一人反対する人はおらぬと私は思うのです。行管としても踏み切ってしかるべきではないか。御答弁を願いたい。
○辻政府委員 この問題につきましては、本制度が発足いたしました際に受田委員からいろいろと御指摘をいただきましたこと、経過は十分承知いたしております。確かにただいまお話しのように、この措置は特例的な措置でございますが、その事務の内容が限定的でございますし、それから私どもの役所と環境庁、御承知のようにいずれも総理府の中にございまして、政府全体を通じます総合調整的な業務をいたしておるわけでございます。それから一方におきまして行政機構の簡素化という要請がございますもので、このような措置をとったわけでございます。
○受田委員 行政簡素化という問題ではないのです。つまり、環境庁をせっかくつくって、こうした重い環境行政を担当する職員たった四十七名、初め三十名だったのが十七名ふえるような状態になっておる。それほど要求が多いのです。四十七名の人員を、一方では減らす部面もあるのですから、ふやす部面は当然ふやすべき問題でございますから、ふやす部面の方で減らす部面との調整をとりながら四十七人をやればいいのですからね。別に全体の問題としてかれこれ言うているのではなくて、当然ふやすべき職種であるという意味で私が提案したので、これは行管、定数を環境庁に渡す御意思はいまのところございませんね。いまそこの環境庁長官は何とかしておれの専任職員にしたいと言うておられましたが、行管はおれの方の職員を環境庁に送るのだという主張をお曲げにならぬかどうか。
○佐倉政府委員 現在私どもの出先の管区局、地方局で環境庁の長官の指揮を受けた調査官が仕事をしておりまして、いままでの経験に照らしまして、この仕事はかなり地についてまいったわけでございます。 設置の理由は、先ほど管理局長からお話し申し上げたとおりでございますけれども、私ども監察の仕事と環境庁の調査官の仕事は、長官の指揮系統をはっきりと区別してやっておりますし、環境庁の出先をつくる問題につきましては、私どもここで云々するあれではございませんけれども、現在かなりうまく動いているというふうに理解しておるわけでございます。でございますので、ここ当分こういう組織でやっていくのがいいのではないか、そういうふうに思われます。
○受田委員 私は筋を通した提案をしておるわけです。行管の職員、それが環境庁の職員をええぐあいにやりよるからまあまあええんだということです。つまり地方支分局の管区行政監察局に環境庁の職員が一緒に共同して生活しておるわけです。それは環境庁の仕事と行管の仕事は別だという立場で、職員に職務を明確に区別してお仕事をさせなさいと私は言うておるのです。行管の方は、環境庁に送った四十七人分は行管になくても済むほどもう環境庁に愛用された職員だということになれば、それはもう別に外せばいいじゃないですか。行管の方の職員は四十七人少なくて済むということで、環境庁に送り切ればいいのです。上げるのです。そんなに練達の士になったのなら、喜んでお送りしてあげればいい。そして行管に必要かあれは新しい職員を採用すれはいい。——これは余り言いますまい、大変御苦労されておるようだから。しかし、私の申し上げていることは、非常に筋を通すべきであるという意味であえて申し上げて、ユニークな制度として愛用されているというような意味でなくて、本質的な問題として私は提案しておる。 そこでもう一つ、この地方支分局の中に環境庁の仕事をする、行政相談の仕事をする分野があるのですね。その行政相談員は環境庁の行政相談員でもあるのかどうかです。
○佐倉政府委員 行政相談課及び地方局に置かれました行政相談担当の職員につきましては、これは一般的なわが庁の、行政管理庁の行政相談を担当しておりまして、環境問題に関する行政相談は、管区及び地方局に置かれております首席調査官及び調査官の方へ持ち込まれました行政相談については、環境庁長官の指揮を受ける首席調査官ないし調査官がこれを担当しております。
○受田委員 ちょっとわからぬところがあるのですがね。行政相談員の中には、環境庁の行政相談員の任務を帯びることにはなっていないのかということです。
○佐倉政府委員 行政管理庁長官の指揮を受けます行政相談担当職員の方に、環境問題の行政相談、住民から苦情が持ち込まれました場合には、これは一般の手続と同じように、環境調査官の方へあっせんするというようなことはしますけれども、管区の行政相談及び地方局の行政相談担当の職員で、直接環境問題を担当する相談課員が特にいるわけではございません。
○受田委員 なかなかむずかしいことで、私はよくわからぬ。 環境庁のお仕事で行政相談をする問題がたくさん出ておると思うのです。公害関係などというのは、もう行政相談がたくさん出てくる。それは当然行政相談員が受けて立つべきである、私はそう思うのです。そしてこれを管区の上司に、正規職員に報告して処理をしてもらうという筋と思うのですがね。どうですか、それは。
○佐倉政府委員 御説明が少し錯雑いたしましたけれども、行政相談の職員は、一般の行政相談と同様に環境の問題も取り扱うことはございますけれども、首席調査官及び調査官の方に持ち込まれました環境及び公害の問題の行政相談につきましては、そちらが一次的に取り扱っております。 以上でございます。
○受田委員 行政相談員というのがおるのですね。薄給でほとんど交通費もろくに出せない職員がおる。その行政相談員の扱いはどうなっておるのですか。
○佐倉政府委員 行政相談委員が受けた一般の行政相談及び苦情の問題につきましては、一般の取り扱いと同様に、行政相談課の方へ持ち込むことがございます。
○受田委員 私、もう余り掘り下げてやることはやめましょうが、局長さん、いいですか、行政相談員というのは、地方の名士あるいは奇特の人が進んで奉仕的に協力してくださって、その数はいま全国で何万になりましたか、その人数の方々、この方々は、行政管理庁や環境庁のお仕事を第一線で、皆さんから苦情、要望を聞いて処理しておる。その人が、ある特定の人の要望があって、そこへ訪問して事情を聞いて、そして管区行監に戻ってきて報告をする途中で、いわば公務執行中に交通事故等で負傷した、公務傷害を受けた。この方々は行管の末端の仕事を担当して、任務を果たす途中で公務傷害を受けた、あるいは死亡したというときは、どういう扱いになっておるのですか。
○佐倉政府委員 現在のところ、特別の制度はございません。民法の適用を受けて補償される、こういうかっこうになります。
○受田委員 行政相談員が、いわば行管の末端の仕事を担当しておるのですね。公務に従事しておる、その途中で公務死亡あるいは公務傷害になったら、民法の規定で処理するという。一般の人と一つも違わぬじゃないですか、それなら。 それはやはり、こうした重い公務性を持った職務についている人には、公務傷害、死亡については、一般の公務員に準ずる扱いをする法律改正をすべきだと私は思うのですよ。これは公務執行中の事件で、個人の問題じゃないのですよ。職務を遂行する途中で起こった事件、ある不幸な人の要望を聞いて、行監にその報告をして処置を要望する途中で公務死亡あるいは傷害を受けたというようなときは民法の規定というのは、一般の人と、ほかと違わない。つまりそれならいま何ら特典はないということになる。
○佐倉政府委員 ただいまの問題は、委任者と受任者の間の関係に立って補償要求ができるという民法の六百五十条ですか、これの規定が適用という以外の制度はございません。
○受田委員 それは一般の国民と全く同じじゃないですか。ちっとも特典がない。公務執行中の特典じゃないです。それでは。これは学校の校医さんが、非常勤的な勤務しかしない校医さんが、執務中においてはりっぱな公務傷害の処遇を受けておるのです。それと全く同じじゃないですか。行政相談員が公務を行っているうちに負傷し、あるいは亡くなった場合は、学校の校医さんの場合と同じじゃないですか。民法の規定で受任者、委任者の問題じゃない。それはだれでもの問題だ。その問題は、公務執行中に起こった事件だけは国家が特別の公務員に準じた扱いをするという法律をつくるべきだと私は思う。国務大臣が長官一人しかおらぬから、国際的視野に立つ、外国はここはどうなっておるかを含めて御答弁願います。
○佐倉政府委員 この問題は、国が行政相談委員にその仕事を委嘱しているわけでございますので、普通の一般の公務員とは若干立場が違う点もございます。いろいろ議論のあるところでございますので、検討はしたいと存じますけれども、ただいまの制度は、先ほど申し上げたような制度になっておるわけでございます。
○山田国務大臣 相談員の身分、ステータスについては、これは行政管理庁の所管でございまするけれども、いわゆる指揮監督の系統ということになりますれば、これは相談員の場合は恐らく他の行政管理庁の業務についてやっておるのだろうと思います。しかしながら、その社会的な身分等にかんがみて、そういういろいろな話が出てきたときには、無論そういう話も聞いて、そしてそれを取り次ぐというようなことは、それは実際問題として当然あり得ることかと思います。
○受田委員 当然あり得るというのは、公務に準じた扱い、一般公務員の取り扱いに準じて取り扱うべきであるという意味のことですか。いま法律がないとおっしゃった。行監局長は、残念ながらそういう法律がない、民法の規定でやるのですとおっしゃる。しかし、公務執行中という点においては、もう委嘱して公務を執行されておるのですから、公務執行中のとき、公務執行中でないときのことじゃないですよ。公務執行時間中の事故、これはやはり一般公務員と同じような公務傷害あるいは死亡の処遇にすべきではないか。法律の規定がなければ、これをつくってあげて、末端で苦労されるこれらの、薄給じゃない、もう薄志にもならぬ、いま幾らお金をもらっておるかを含めて、答弁願いたい。この方々にせめて公務員に準じた御苦労をされる人に、けがをしたり亡くなったりしたときだけはぜひ補償してあげるべきだ。なければ法律をつくるということで、国務大臣として、国務大臣は行管長官の担当でなくて、おれの仕事もあるかもしらぬが、もともと相談員というのは行政管理庁の相談員ではないかなということであなたはいま考えておられるが、この際、あなたは国務大臣として行管長官も一緒に含んだ仕事をやっておるのだという意味で、国務大臣が一人しか残念ながらここにおられない、だから山田先生にその点をいまお尋ねしたわけで、できればこれは法律をつくってこれらの人を救ってあげる、ひとつ愛情のある行政というのを必要とする。そうしたら、行政相談に進んで危険を顧みず末端で御苦労されているこの方々に報いましょうや。そうしたら、いい仕事だと国民に喜ばれますよ。
○山田国務大臣 これは公務員の制度の全般に関することだと思いますので、その所管の方とも御趣旨の点を伝えて、ひとつ十分研究することにいたしたいと思います。
○受田委員 それでは話を進めます。 このたびの法律改正、これはたった一つ水俣病のセンターをつくるということになっております。われわれは、水俣病の患者からも地域の人からも痛いほどに繰り返し繰り返し文書をもって、口頭をもって、あるいは電話をもって要望をお受けしております。各党とも水俣病については異常なばかりの関心を持っていらっしゃる議員さんばかりです。したがって、このたびこの問題について、国立水俣病研究センターの設置をされることは当を得ていると私は思うのです。かつて三木環境庁長官が現地へ行かれたときにこれはお約束された問題であると思うのですけれども、地元の依頼に対して研究センターの設置を確約されたと聞いておるが、これは私の考えは間違っていますか。
○山本(宜)政府委員 かつて三木長官時代に水俣を訪ねられたときに、患者並びに地元の人たちからの要望にこたえてこの問題が考え始められた、かように聞いております。
○受田委員 そういうスタートからのいきさつがあるわけで、われわれとしてはもっとこれは早く、ことしを待つまでもなくもう二、三年前にすぐ着手してしかるべきであったと思うのです。 そこで、この国立水俣病研究センターというものは、かつて阿賀野川に第二水俣病が発生したという当時騒がれた問題もあるのですが、新潟大学で研究をしておる。また鹿児島大学でも熊本大学と一緒に水俣病を研究している。そういうこれらの大学の研究については、相互連携を図りながらこの国立水俣病研究センターが能力を発揮するということになるのかどうかです。
○山本(宜)政府委員 熊本県の水俣にこの研究センターを設置するわけでございますが、先生御承知のように、現在水俣病につきましての専門の先生と申しますのは熊本大学、鹿児島大学、新潟大学というようなところにおられるわけでございまして、今後この研究センターの運用に当たりまして、流動研究員というような方式を採用いたしまして、新潟の先生にもある一定時期こちらの研究所に来てもらって共同的な研究をするというような方式をとることによって成果が得られるのではないか、かように将来の考えとして考えておるわけでございます。
○受田委員 かつて新潟県阿賀野川の流域で発生したと言われる第二水俣病、当時ちょっと騒がれたけれども、その後沈黙しておるようです。その処理はどうなっておるのでございますか。
○山本(宜)政府委員 現在、健康被害補償法の指定地域といたしまして、新潟県の阿賀野川下流流域並びに新潟市の阿賀野川下流流域というところも指定地域になっておりまして、昭和五十二年十二月末現在におきまして、新潟県の地域からは認定申請者が千百十五名出ておりまして、その中で三百五十三名が認定され、新潟市の地域からは八百三十名の認定申請がございまして、三百十五名が認定されております。現在もその方法による救済の措置がなされている、かように御理解いただきたいと思います。
○受田委員 この水俣病の国立の研究センター、それはさっき指摘した新潟、熊本あるいは鹿児島の専門の先生たちの力をかりながら研究が進められるのかどうかということで、それは原則としては別に考えない研究センターかどうかです。
○山本(宜)政府委員 現状から考えまして、水俣病の臨床的あるいは基礎医学的な研究というのは、先ほど申し上げましたように熊本大学、鹿児島大学、新潟大学の先生方の中に大変多いわけでございますけれども、医学研究の基本的な病理学的な研究あるいは生化学的な研究というようなことなどを考え合わせますと、今後はそれらの大学に限られることなく、この方面の研究をしたいという人たちの意欲を集めまして、この中の職員に迎え入れるというようなことも考えられると思います。
○受田委員 今度の予算案を拝見したところ、水俣病対策の推進費として九億五千八百七十九万円余の計上がされておる。これは汚染者負担としてチッソにも負担させるという前提に立っておるのかどうか、お答えをいただきます。
○信澤政府委員 御指摘の問題でございますが、公害にかかわる費用と申しますといろいろございます。たとえば患者救済のための費用とか、あるいは公害防除の施設をつくるための費用、こういう問題は当然いま先生お話しのように、汚染者負担の原則に基づいて、企業ないしはそういう事業活動をやる方が支弁をするということになります。ただし、いろいろな公害行政に関連する行政的な事務経費というのがございます。いまもお話しいたしております公害病であるかどうかの認定事務というのは、いわばそういう行政事務であるわけでございますので、これらの経費については、従来から国あるいは地方公共団体がいわゆる公費をもって負担するというたてまえでまいっております。
○受田委員 私、この国立水俣病研究センターというものはいささか遅きに失した設立であるが、願わくはひとつこの世紀の悲劇水俣病の抜本的対策として、りっぱな成果を上げてくれるように祈ってやまないのです。せっかく官庁が行政改革で整理されようとする中で、環境庁の付属機関として一つだけ新しい役所をつくる、それは各党が水俣病の患者たちに愛情を寄せる成果であるということを踏まえて、せっかくよい答えが出るように骨を折っていただきたい。 最後に、もうたくさんのことをお尋ねする時間がありませんが、一つだけ私が非常に気にかかっている問題があるのです。それは硫酸ピッチの問題です。石油を精製する途中で流れ出る硫酸ピッチです。新潟県、秋田県などは明治時代から小さな企業が石油を一生懸命に掘り出しておりました。いまはもう往年の面影もなくなりましたけれども、その石油を精製する過程で出る硫酸ピッチを地中に埋めたりして、当時はそうした廃棄物の弊害というものも感じないから、廃棄物処理についても非常にむとんちゃくであった。むとんちゃくであったゆえに、非常に不幸な事態も起こってきたわけですけれども、しかし現に新潟とか秋田などには、その硫酸ピッチを埋めてあるところがたくさんあるはずなんです。どこに埋まっておるか。かつての企業は、いまはもう営業をやっていない、あるいは倒れて歴史の遺物になったにすぎない企業もあるわけですけれども、どこに埋めているかは調べればわかると思うのです。これがやがて弊害を醸し出すようなことがあってはならぬ。土地造成等のときに埋めたところがざっと表面に出て住民に被害を加えるということがあってはならない、廃棄物の処理に対する厚生省の対策室もありますし、環境庁の立場からも、両方からこの硫酸ピッチの処理についての御所見を承りたい。
○二瓶政府委員 ただいま硫酸ピッチの環境汚染の関係につきましてお尋ねがあったわけでございますが、現在のところ新潟県なり秋田県等から特に硫酸ピッチによります環境汚染、ただいま先生のお話がございましたように、過去に埋め立てたことによる汚染という問題が具体的に報告は何も来ておりません。ただ、先生からのお話もございましたので、十分その面は、関係の面にもさらに照会をして実態を把握してみたい、かように考えます。
○三井説明員 古いやり方でございますけれども、昔、石油を精製いたしますときに、硫酸を使いまして石油を洗うという形で石油精製をやっておったわけでございますが、その過程で硫酸ピッチというものができまして、これは大変処理がしにくいものでございます。現在こういうものは生じておらないわけでございますけれども、過去においてそういうものがあったわけでございます。 それで、廃棄物処理法ができました後でございますと、これはそれをつくりました者が処理の責任を持つ、あるいは処理能力のある処理業者、これは技術的には処理可能でございますし、現実にそういう処理をする施設を持った処理業者等もございますので、そういうところがやるわけでございますけれども、廃棄物処理法ができます以前にすでに、いまから見て必ずしも適正でない処理がなされてしまっておるものにつきましては、廃棄物処理法によって改めて措置を行わせるということは大変むずかしい問題であろうと考えております。
○受田委員 これは各所にあるわけです。私の県にも問題のところがある。いまの廃棄物処理法は昭和四十六年でしたね、それ以後はいろいろな対策が用意されておるけれども、それ以前は法の規制もないわけだから一応どこかへ始末したわけだ。それがいまになって災いを起こしているわけです。これは決しておろそかにできない。だから、廃棄物処理法制定の前に行ったそうした廃棄状態を十分調査して、これを被害あらしめないように防止する責任が私は政府にあると思う、いかがですか。これは政府責任なしという問題じゃない。事実うちの県にもそういう問題が起こって、紛争の種になっておる。これをどう処理したらいいか、私自身も政治家として非常にいま悩んでおる、苦労しておる。お答えを願いたい。
○三井説明員 法律的に申しまして、だれに一体どの限度で責任を負わせて処理をさせるかということになってまいりますと、先ほどの繰り返しになるわけでございますけれども、現在の制度でございますとその辺大変明確になっておりますので、これは具体的に責任の範囲を明らかにできるわけでございますけれども、それ以前のものにつきましては、私どもが所管しております廃棄物処理法におきまして、特定の者に命令をし経済的な負担をさせることは、ちょっと困難な状況であろうかと考えております。
○受田委員 非常にのんびり構えておられますが、硫酸ピッチはかつて軍隊も使っていた。そのときも出たわけです。そしてこれらは消石灰で、酸とアルカリと中和して処理する方法もあるのですか。それは具体的にあるのなら、それをどういうふうにしてやれということを指導すればよいし、それから硫酸ピッチは一体どのぐらいたったら消えるものか、ある期間を経たときにはもう被害がない状態になるのかどうか、そういうものの専門の答えをしていただきたいのです。非常にのんびり構えておられるから、私気になる。
○三井説明員 技術的な問題は私、必ずしも正確に存じ上げておらないので、恐縮でございますけれども、処理方法といたしましては、確かに中和をするという方法もございますし、それから膠質土というようなもので処理をする、あるいは硫酸第一鉄等と併合処理というふうな技術的な方法、それから新しい方法といたしましては、炉壁に十分な材料を使いました焼却炉で焼却をするというふうな技術もあるわけでございます。先ほど処理ができると申しましたのは、そういう設備を持った焼却炉があるわけでございますけれども、そういうことでいろいろな方法がございますが、いずれにいたしましてもなかなか厄介でございますし、コストもかかるようでございます。 それから、こういうものを単純に放置しておきましても、一方硫酸というものも、そのもの自体わりに安定なものでございますし、その場合、要するに廃油と廃酸の混合物というのをお考えいただければよろしいわけでございますが、両方とも安定な物質でございますので、通常の状態で放置しておけばそのままの状態で残っておるという性質のものであるように聞いております。
○受田委員 そのままの状態で残っておるというものをそのままにしておいては困るじゃないですか。このことは秋田県、新潟県にもあるし、われわれのところには旧軍隊の用いたところにもいろいろある。全国のこういう硫酸ピッチの残されている個所を厚生省の方ではお調べになられたか。同時に環境庁としてもこの問題に取っ組まれておるのか。いま非常にのんびりしておられるようで非常に不安です。そして、これは国が責任を持って処理しなければいけないような問題になってくる、もう企業責任者がいなくなっている、そういうふうなところはどうなるのかお答えをいただきまして、この問題は質問を終わります。
○二瓶政府委員 硫酸ピッチの問題、非常にのんびりしておるということでおしかりをいただいているわけですが、実はこの問題につきまして、環境上の汚染ということで具体的にこうだという話を、申しわけないのですが、聞いたことがないわけでございます。したがいまして、先生からただいまも御指摘がございましたし、その面につきまして所管の厚生省なり、それから先ほどお話もございました新潟なり秋田なり、関係のある向きにつきましては、どういう状況かというのをよく聞きまして、その実態が本当にゆゆしいものであるのかどうか、その辺もまず最初に把握をして、それによって後の対応ぶりを所管の厚生省の方とも十分協議して考えていきたいと思っているわけでございます。
○受田委員 よろしい、御苦労でした。 おしまいに、あと二分ほどあるようですから、時間を厳守しますから一つだけ。 環境庁の業務の中に公園がある。公園の中に、東京では千鳥ケ淵墓苑それから北の丸公園、皇居前の公園、これは東京の市民に大変な潤いを与えておるわけで、環境庁としては大変いいものを用意して国民や市民を喜ばせていらっしゃる。その中の千鳥ケ淵墓苑の管理責任者として、ここへ祖国のために亡くなられた無名戦士の方々をお祭りしているという認識をお持ちであると思うのです。単なる公園ではない。お国のために亡くなられた護国のみたまがお祭りしてあるという認識に立って管理しておられるかどうかをお答え願いたい。
○出原政府委員 千鳥ケ淵墓苑につきましては、昭和二十八年に閣議決定をなされまして、その後昭和三十四年に竣工したものでございますが、御指摘のように、各地で亡くなられた方を、現在二十九万五千柱に及ぶ戦没者の方々のお骨をお納めしておるわけでございます。そういった特別な性格にかんがみまして、あるいはまた広く一般の国民が参拝することをも考慮いたしまして、簡素、清浄、荘厳な雰囲気と環境が維持されるよう特段の配慮を怠らないようにして管理いたしておるつもりでございます。
○受田委員 私は、この千鳥ケ淵公園、そして道一つ越えれば靖国神社。靖国神社には具体的な祭神のお名前でお祭りしてある。それから千鳥ケ淵公園にはいまお話しのように無名戦士の、どなたのということはわからないが、大陸であるいは大洋で亡くなられた方々の御遺骨を納めておる、これは全くわれわれの気持ちから言えば、祖国のために亡くなられたみたまをお祭りしてあるという意味で、心から感謝と敬愛の情を込めてお参りをしておるわけです。ただ事務的な処理で、公園としてこれを管理監督されるというものでなくして、本当に大事なみたまがお祭りしてあるという気持ちを十分育てるような雰囲気を育てることを要望しておきます。 時間が来ましたから、これで質問を終わります。
○始関委員長 馬場昇君。
○馬場(昇)委員 私は水俣病関係について多くの質問をいたしますので、簡明にお答えいただきたいと思うのです。 まず第一に、チッソの経営危機が言われております。その経営危機と言われるチッソの経営内容について、政府に説明があったかどうか、いつだれが説明に来たか、このことをまず聞いておきたいと思うのです。これは、まず通産の方に聞きます。
○児玉説明員 チッソの経営状況につきましては、随時会社側の方から報告を受けております。(馬場(昇)委員「だれがいつ来たかということだけで、あと内容はいいです」と呼ぶ)これはいろいろな方が見えておるわけでございまして、社長、副社長、専務、総務部長、そのほかいろいろな関係者が見えております。
○馬場(昇)委員 環境庁長官にはこの経営危機の経営内容について説明がございましたか。
○山田国務大臣 直接には説明を受けておりません。
○信澤政府委員 私のところに昨年の十二月に、副社長がこういうものをもって関係の筋に経営内容について御説明いたしておりますと、こういう書類を持ってまいっております。
○馬場(昇)委員 通産にお聞きしますけれども、現在政府としてはチッソの経営内容をどのように把握しておられるのか、お答えください。
○児玉説明員 チッソの決算期は四月から三月というふうになっておりまして、昨年の九月が中間決算の時期に当たったわけでございます。経常収支で見ますと、昨年の九月は八億円余りの赤字が出ております。今度の三月期は、まだ現在進行中の時期でございますので、はっきりわかりませんが、チッソといたしましては、何とか後半の半年を経常収支ではとんとんの線に戻したいということで経営努力をしていると聞いております。
○馬場(昇)委員 重ねてお尋ねしますけれども、いまの状況は、向こうが言ってきたのをそのまま信じられておるのですかどうですかということと、いまの額で、世間で言われておりますように経営危機、大変なことだというように御理解なさっているのですか。
○児玉説明員 ただいま申し上げました数字は、経常収支についてお話をいたしたわけでございます。会社の損益を見ます場合には、このほかに特別損益というものがございまして、その中の特別の損失の部分に、御承知のように患者の補償費その他各種の出費がございます。これを加えますと大変な赤字になっておることは先生も御承知のとおりでございまして、私どもといたしましても、現在の経営状況がきわめて重大だという点は認識しております。
○馬場(昇)委員 これは通産に向こうが言うてきたのをそのまま信じて、非常に重大だと考えておられるというぐあいにいま聞こえるのですけれども、あなたの方からチッソに出向いていってそれを検査して、これは真実であるか真実でないか、このような調査をなさったのか、検査をなさったのかということを聞いておきたい。
○児玉説明員 チッソもただいま上場会社でございまして、有価証券報告書等も公表されているわけでございます。そういうものをベースにいたしまして私どもは承知しております。先生のおっしゃるように、会社の方まで出向きまして一々裏づけをとっているというようなことはいたしておりません。
○馬場(昇)委員 結論としては、会社の言うことをいろいろ書類を見ながら通産としては信じておる、こういう御答弁です。 もう一つここで申し上げておきたいのですけれども、私は実は信じていないのです。というのは、私は二十年近くこのチッソの会社とかかわり合いを持ってきましたけれども、たとえば組合の要求、組合の闘争というのが前進していきますと、常に、危ない危ない、危機です。危篤ですと、こういうことを言ってきたのです。さらに、患者さんたちの交渉要求が熾烈になりますと、これまた、あした倒れるか、あさって倒れるかわからない、こういうようなことを言ってきておるわけです。だから、オオカミが出るぞ、オオカミが出るぞということをずっと言ってきて、出なかったわけでございます。これは私だけではなしに、特にこれにかかわりのあります熊本の人あるいは水俣の人は、実はいまこれを信用していないのです。信用している人もおるかもしれませんけれども。 こういう点について、たとえば通産がまともにこれを信用しておられるといういま御答弁をいただいたのですが、それならば、こういう状況でこういう検査をして、こういう調査をしてこうこうしかじかでいまの経営危機というのは真実ですということを、やはり一番当事者の熊本県民等に通産はやはり説明する義務があるのではないか、こういうことについて通産の御意見を聞いておきたい。
○児玉説明員 会社の経営状況につきましては、先ほど申し上げましたようにチッソも上場会社でございまして、有価証券報告書というものを外部に公表しておる、そのためにはいろいろな形での決算内容についてのチェックが行われているわけでございまして、私どもとしては一応それを信用して差し支えないのではないかというふうに思っておるわけでございます。
○馬場(昇)委員 私が質問したのは、あなた方は危機だ危機だと認識しておるけれども、これはうそではないかと思っておる熊本県民がたくさんおる。それに対して、われわれはたくさんだまされてきたのですから、通産省もだまされておるのではないかと思う人がたくさんおるわけですよ。だから、それを誤解を解くような方法を何かやるのかやらぬのかということを聞いておる。やらなければやらぬで結構ですから……。
○児玉説明員 繰り返して同じことを申し上げるようで恐縮でございますけれども、これは数字というものは非常にはっきりした形で外部に出ているわけでございまして、単純にいろいろな交渉事の過程で、困っているとか困っていないということを言っている議論ではないわけでございます。決算につきましても、そういう形ではっきり損失は損失という形で出ているわけでございますので、私どもとしては、それを十分に御理解いただければ、事の実態はおわかりいただけるのではないかと思うわけでございます。 ただ、一つ申し上げなければならないと思いますのは、決算で、非常に内容が悪いにもかかわらず、現実につぶれてはいないではないかという点があろうかと思いますが、この点につきましては、ここ数年間、金融機関が、借入金につきましても、元本のたな上げでございますとか、金利の軽減でございますとか、いろいろな手を打っているために、今日一応の事業活動を継続しているという実態があるということを申し上げておきたいと思います。
○馬場(昇)委員 次に、チッソの救済について、どういうことをしてくれということをチッソからあなたの方に、あるいはチッソ以外から、興銀などからあなたの方に、こうやって救済してくれということのお話があったかどうか。これは通産と環境庁長官にも、こうして救済してくださいというようなチッソからのお願いがあったかどうか、両方から聞きたい。
○児玉説明員 チッソの方からは、ただいま申し上げましたように、数字の上ではっきりと困っている状況が出ておりますので、何とか手段を講じて、患者への補償が円滑に行われるように配慮してもらえないかというふうに話を聞いておりますが、具体的にここをこうしてくれとか、あそこをこうしてくれというふうな形では、話は聞いておりません。
○山田国務大臣 私の方には、具体的にそのことについては申し出がございません。
○馬場(昇)委員 通産省が県債発行ということで、私が見ますと、意図的に世論づくりをしておる、世論操作をしておるというような気が私はいたします。たび重なる報道が行われておるのです。その中で、通産省筋だとか通産省首脳だとか、こういう者がこうこういうことを言ったというような形で報道が行われております。 特に一月十二日、これは水俣の市民の代表が陳情に来ておったころでございますけれども、これは各紙一斉というほどではございませんけれども、次のようなことが出ておりました。熊本県が、地域産業振興を目的にした県債を発行し、それを政府の資金運用部が引き受ける。この金をチッソに転貸して患者への補償金、医療費支払いに充てる形をとりたい、これが通産省筋、通産省首脳の言明として、幾つかの報道機関に報道されております。こういうことを通産省で、この記事にあるようなことを考えたのか、あるいは発表したのか、お尋ねしたい。
○児玉説明員 ただいま引用なさいました新聞の記事では、通産省筋とか通産省首脳というふうになっているようでございますが、私ども担当の者、あるいはその担当から関連のございます省内のいずこの部分を見ましても、私どもの方から県債というものを起こして、そういうふうにやるべきであるというふうな考え方を表現したことはございません。
○馬場(昇)委員 いま言われたのですけれども、このことは一度ならず二度、三度もそういう同じようなことが何回でも行われるのです。いま聞いてみると、県債問題について一度も考えたことはないというようなことをおっしゃるわけでございますが、それならば、それはそれでいいですから、事実無根のことが報道されて、世の中の国民がそれを信じるような報道がなされているわけですから、通産省は、そういうことをしたことはなかったのだ、そういうことを考えたことはないのだ、事実でないことを国民が信ずると大変ですから、それを否定するような行動というのはとられましたか。そうしてまた、私は事実を少し知っているのです。首脳というのが、だれがどういうことをしゃべったかということを、私は事実を知っております。実際言われているのですよ。そういうことで、あなた方、大臣じゃないからなにですけれども、調べてみて、そういうことを言った者はいなかったとはっきり言い切られるか。いなかったならば、さっき言ったように、そういうことが報道されているのは事実無根でございますという、たとえば声明を出すとか、だれかの談話を出すとか、そういうことをなぜしなかったのか。それからさらに、今後こういうことが行われないようにきちんと通産省はやるのか。あわせて答弁してください。
○児玉説明員 なかなかむずかしい問題でございますけれども、先ほど私、申し上げましたように、そういうことを言った事実はございません。今後につきましても、仮にそういう報道がいろいろ行われたということにつきましては、最大限に気をつけて行動いたしたいと思います。
○馬場(昇)委員 やはりこの場所で言われますと報道されるかもしれませんけれども、あなた方が積極的に、本当に熊本県民の立場からしますと、苦しめられた水俣の立場からいたしますと、通産省がうそのチッソの報告を、さっきあなたは、数字を信用するとおっしゃいましたけれども、感じとしていつもだまされていますから、それを信じながら、しかも県債という形で世論を誘導しておる、操作をしておる、こういうぐあいにあなた方は思われている。そう思われていると、何したって国民は信用しませんよ。そういうことですから、あなたの方で、そういうことはありませんということをやはり何らかの形で国民にわかるような方法をとるべきだと私は思います。 その辺について再度聞きたいのですけれども、長官、あなたは、二月十日の、これも報道機関に出ております。県債発行の問題で、地元の責任でやるなら県債も考えていかなければならない、こう言われたということが報道され、県債に条件つき賛成だ、このような立場で報道がされております。あなたは、このことを発言なさったのですか、どうですか。
○山田国務大臣 それは報道そのものは正確じゃないと思います。ただ、御承知のように、水俣病は地元にとっても非常に大事な、皆さんが大きな関心を持っている問題であることは御案内のとおりでございます。したがって、このことを動かしていくという見地に立って考えてみると、私個人としても、その立場からすれば、やはりこの救済を要する患者が現地に集中をしているというこの事実、そしてまたチッソについてとやかく言って、いろいろな話が出ておりまするけれども、チッソがつぶれないということについては、これは雇用の見地その他の見地から、やはりこれまた現地が一番関心を持っておられるところの、また持たなければならない問題ではないだろうか。そうしてみれば、いろいろあるけれども、やはりこういう点については、ほかにPPPの原則やいろいろなものもあるし、いろいろなことを考えてみると、現地自身がこの解決については熱意を持って、そしてイニシアチブをとって考えていくということじゃないとなかなか実際問題として動いていかないのじゃないか、こういう私の感触を申し上げた次第でございます。
○馬場(昇)委員 長官、あなたにはチッソからあるいは興銀から、経営危機の内容ということについても説明もない、そして具体的にどうして救済してくれということも言ってきていない。そういう中でこの報道を見ますと、あなたがいま言われたように、たとえば患者の補償は絶対にやらなければならない、あそこのチッソがつぶれて従業員が路頭に迷う、家族を路頭に迷わせてはいけない、あそこの市を崩壊するようなことをさせてはいけない、これはみんな一致しておるのです。われわれはその立場で質問しているのです。それを否定しているものではないのですけれども、問題はここで県債というものにしぼっていま言っているのですけれども、そういうことで頼まれもしない、具体的に言わない、それをあなたが県債ということを、私は後でなぜこだわってこういうことを言っているかということを言いますけれども、通産省が県債という世論づくりをやっているように私には思える。環境庁長官が、たとえばPPPの原則を守りながら、さっき言ったように患者補償、従業員の雇用、地域の振興、これは守る、必ず責任を負ってがんばるということを言われるならわかるけれども、県債やむなしと言われるのが私にはわからないのです。あなた、県債ということを言われたのですか。
○山田国務大臣 県債やむなしなんということは私は申しておりません。ただそれは、知事もわれわれの水俣病の関係閣僚のところへ協議会のときに来られて、とにかく何とかしてほしいという、そういう点についてのお話がございました。このとぎチッソの点についての、知事自身ではありませんけれども、発言等もございましたが、とにかくいろいろな具体的な提案はないのですから、したがって具体的なことを申し上げるあれにはないけれども、とにかくいろいろな案を含めて現地自身というもののイニシアチブが必要ではないかという趣旨の、私の個人の感触を率直に申し上げたわけでございます。
○馬場(昇)委員 そういうことについては後でまた聞きますが、あなたが県債ということを一言も言っていないということをいま理解をしたわけでございます。 もう一つ具体的に聞いておきますけれども、何か大蔵、自治、通産、環境など各省が、ある自民党の議員を中心にしてチッソ問題研究会というのをつくっているというような報道が行われておる。このチッソ問題研究会というもので資金運用部引き受けによる県債発行を通じ、補償金支払いを支援する、こういうことを決めたというぐあいな報道も行われておるのです。 そこで聞きたいのですが、内閣官房長来ておられると思うけれども、関係閣僚会議、この下にそんな各省庁が集まったような研究会があるのかないのか。それから、これはもうたくさん名前が出ているのを聞きたいのですけれども、環境庁はこういうのがあるのかないのか知っておられるのか、また参加しておられるのか、通産はこれに参加しておられるのか、この問題に対しての理解を聞きたい。
○木戸説明員 御説明申し上げます。 馬場議員御指摘のような研究会があるということは承知しておりません。ただ、水俣病に関する閣僚会議がございまして、その閣僚会議を開くための関係省庁の連絡会議、こういうようなものは随時開催しております。
○信澤政府委員 研究会というものがあるかどうか、私存じておりませんし、私どもの所管は先生御承知のように環境保健部でございますが、保健部の職員でそのような会合に参加している者はございません。
○児玉説明員 そういうものが存在するということについては承知しておりませんし、そういうものには参加いたしておりません。
○馬場(昇)委員 いままでいろいろなことを質問申したのですけれども、事実にないようなことがたくさん報道されておるというところに、この水俣病救済問題の問題点の根源があると私は思うのです。これは具体的に県債にしぼって、県債問題でいまたくさん質問しましたけれども、ほとんど事実にないことばかりです。ところが、それがまさに世論づくりみたいに報道に流れておる、ここに非常に問題を感ずるわけでございまして、私は基本的にこの問題で加害者の謙虚さというか、あるいは責任感というか、こういうものが全然感じられない。初めて患者第一号が発生いたしましたのが昭和三十一年ですよ。それからずっと抑えに抑えられ、そうして政府が本当にチッソがたれ流した水銀が原因でこれが公害病だと認定するまで十二年間かかっているのです。それからずっとまた抑えられてきております。 たとえばチッソをとってみますと、完全にチッソはこれを押し隠し、押しつぶそうとしてやってきました。それから水俣市役所というのはチッソの総務部と言われるように手先になって隠そうとしました。押しつぶそうとしたのです。また政府は御用学者を派遣して、水銀がチッソに全然関係ないのだというような宣伝もやって、ずっと押し隠して二十年この問題をやってきたのです。責任逃れをやってきたのですよ。またしかし、その間患者は苦しい中から立ち上がって、次官通達というのも出たじゃないかと言われるかもしれませんけれども、次官通達は患者が立ち上がって要求したから出ました。四千八百万を限度に補償が出ている、患者が立ち上がって裁判で勝ったからですよ。補償協定がいまできております。それは適用されておりますけれども、これは患者が東京駅の前のあそこで長い間座り込んで、チっソの経営者がおらない状態でも座り込んでやった、途中で川本君なんかに弾圧が加わった、これも公訴棄却の判決が出たのです。全部加害者と、いわゆるチッソと行政というのは抑える側に回って、患者の闘いによってこの問題が発展してきたのです。 ところが、ちょうどきょう考えることは、当時ずっと抑えられ続けたのですけれども、それがまたいまの時期に、この状態を見ておって、最初抑えたときのあの悪い手口が再現したような気がするのです。そうしてさらに言うならば、チッソと興銀と通産が最初抑えるときには組んでいたのですから、それがまたここで手を組んで、患者補償を完遂するということを口実にして責任逃れをして、そうしてそのしりぬぐいを県債ということで地方住民に押しつけようとしておる、私にはこう受け取れてならないのです。さらに言うと、興銀とチッソは公害患者というのを人質にとっておって、つぶれたら補償できませんよ、そう言いながら県債というものを出させて、そうしてこの補償の責任から自分たちは逃れていこう、こういうことをわれわれは何回でも経験したのですから、実はそういう感じがしてならないのです。 そこで私は長官に聞きたいのですけれども、いま不況だ不況だと言われる中で、公害問題が後退しようという状況さえも出ているのです。だから私は聞きたいのですが、長官、絶対に私がいま言ったような手には乗らない、くみしない、公害行政を後退させないという決意をここで明らかにしていただきたいと思うし、また通産にも、私がいま言ったような手口をあなた方の先輩がやったのです。あなたがやったかどうか知らないけれども。そういう手口には乗らない強い決意があるかどうかということについての御答弁をまず聞いておきたい。
○山田国務大臣 これは今日でもチッソ自身というものが当面の第一の責任者であることは明らかでございます。したがって、この問題の打開のためにはチッソ自身が最も当面の責任者として対策を考えていくべきだ、こう思っております。したがって、この問題はやはりチッソ、そしてそれに一番利害関係を持つのが地元じゃないか、チッソ主導で、地元もよくそこら辺のところを見きわめて、そしていろいろ対策を立てられるがしかるべきものだ、こういう見解でございます。
○児玉説明員 私ども現在この問題に取り組んでおります基本的な姿勢は、先ほども少し触れましたが、チッソがいまのような状況に陥った場合に患者の補償金の支払いが円滑にいくかどうかということと、それから地元からも、水俣市の皆様初めいろいろお話を承っておるわけでございますけれども、地域経済の疲弊問題あるいは雇用問題、そういうふうな観点から何とかこれを悪化させないような方法がないかというふうな姿勢でこの問題に対処しております。
○馬場(昇)委員 私はいまあなた方が言うたことはこの後質問するのですよ。もっと切実に具体的にこうしたらいいじゃないか、私ども一番感じていますから、それは具体的にやりますが、いま私が答弁を求めたのは、チッソ、興銀、通産、これがぐるになって、患者補償というものを人質にとりながら県債を出せと言う。県債が出るようになると、患者補償からもチッソと興銀は抜けられるのです。私は興銀なんかはチッソはもう支払い能力がなくなるということは見ておると思うのですよ。チッソが支払い能力がなくなったら、患者たちは補償要求を政府には来ぬですよ。必ず興銀に行きます。興銀がどういうことをしたかということを知っているのですから。そうしたら興銀が補償の矢面に立たされると想像するのは当然でしょう。そういうことを考えて、この際県債にしてもう自分たちは身軽になっておこうということを考えておるのじゃないかと私は思うから、そういう悪い魂胆には、長官、くみしてはなりませんよ、通産省、くみしてはなりませんよ、これについてどうですかという質問を私はしているのです。簡単ですから、答えてください。
○山田国務大臣 いまお話があったような実際の魂胆その他のことは、いま私はよくわかりませんが、しかしながら、そういう魂胆に巻き込まれる、そんなことを支持するつもりもなければ何も私は持ってはおりません。ただ、要するに事柄の性質上、この救済問題が変な支障を来さないようにということをただ念願している立場に立って考えているだけであります。
○児玉説明員 私は先ほども申し上げましたような決意でこの問題に対処しておりまして、そういう意味におきましては、先生のおっしゃるようなことに巻き込まれることはないと確信しながら仕事をいたしております。
○馬場(昇)委員 いま長官が後半で言われました大変なことにならないようにということは、だれよりもだれよりも強く感じています。だから具体的には、後でこうしたらいいという提案をするのですけれども、私は、それに入る前の心構えを実は話しているのです。 そこでもう一つ問題点をやりますけれども、さらに最近私が重大に感じるのは、PPPの原則を踏み外す議論が頭を持ち上げてきた、横行しつつあるという感じがいたします。その内容はもう長官もお聞きになって知っておられるとおりと思うのですけれども、たとえば一九七二年OECDで提唱されたPPPというのは、公害防止負担費用は原因者が払うというものであって、公害未然防止のコスト負担は企業が負うと定めたもので、すでに発生してしまった公害の善後策の負担を企業に負わせたものではない、こういう主張が経済界の一部から盛んに最近言われておる。だから、補償金を払うのじゃないのです。公害防止事業のコストのための資金を企業が持つのがPPPの原則だ、これが一九七二年のOECDの決定の内容だ、日本は間違うておる、こういうような意見の横行でございます。しかしこれは、もう長官がちゃんと御承知のとおりと思うのですけれども、わが国における汚染者負担の考え方というのは、いま言いました環境資源を含めた資源の最適配分を図るというPPPの意図を越えて環境保全政策上重要な考え方になってきておるということは、もう長官御承知のとおりでございます。環境を汚染する者は汚染の防止、環境の復元及び被害補償に要する費用を負担するという考え方は、わが国においては公害対策基本法やそれに基づく公害防止事業費事業者負担法、公害健康被害補償法を通じて基本的な考え方となっておるわけでございます。だからいま言いましたPPPのOECD決定のときの模様を持ち出して言う議論は、わが国に定着しておるPPPの原則、それに基づいていろいろな法律もできておるということと全然違うわけですから、長官、このことをはっきり確認しておくべきであるし、この場所で、PPPの日本政府の考え方というのはこうだということをはっきり言明していただきたいと思うのです。
○山田国務大臣 ただいま馬場委員が御指摘のとおりの基本的な行き方と解釈に立ってわが方は通してきているのでございまして、この点については何ら変更はございません。
○馬場(昇)委員 そこで、少し話を進めますけれども、実は四十五年からいろいろな公害関係の法律ができ、いろいろ議論もしてきたのですが、たとえば公害基本法とかいろいろさっき言った法律、公害防止事業費事業者負担法とか、特に公害健康被害補償法、こういうものの議論、それから公害のいろいろな議論の中で、公害企業が補償金を支払えなくなったときにはどうする、こういうことについての議論は私は余り聞いていないのです。これについて議論をしたのか。この倒れた場合に補償をどうするのか、これについての長官の考え方を聞きたい。
○信澤政府委員 汚染者負担の原則の考え方については、先ほど先生もお話しになり、大臣から御答弁したとおりでございます。この問題につきましては、昭和五十一年の三月十日に「公害に関する費用負担の今後のあり方について」という形で、中央公害対策審議会から御答申をいただいているわけでございます。その中では、まさにお話のように公害防除費用だけではなくて、公害環境復元に関する費用あるいは患者救済等に関する費用、こういうものを汚染者負担の原則の中に含めて考えるべきだということを申しておるわけでございます。 問題は、そういう負担の責任を負う者がなくなった場合でございますが、実は、これについては必ずしも適切な言及がなされておりません。簡単でございますが、若干読み上げさせていただきますが、「汚染者が負担することが原則であるが、汚染者が不明、不存在等の場合、事実上負担の追及が不可能であり、その結果、状態が放置され、あるいは被害救済が行われないこととなる。この場合、農用地、河川、港湾等の汚染に対する原状回復事業や、健康被害、生業被害等深刻な被害の救済については、国民の生活の維持、民主の安定、不公平の是正、農漁業政策等の政策上の配慮等種々の観点から加害及び被害の態様にてらし個別に公費負担が妥当かどうかを判断する必要がある。また、これとあわせ、又は独立して民間団体からの寄附金等により救済を行っていくことも費用負担のあり方として考えられる。」と、非常に抽象的に、しかもいろいろな具体的な対応があるので、一義的な解決策を示すのは困難だ、こういうことを申しておるわけでございます。
○馬場(昇)委員 いま読み上げられたのは、これは環境庁あるいは政府の方針ですか。それが一つ。 それから長官、やはり支払えなくなったときどうするかということについて、これはなかなかむずかしい問題だということは私もわかりますよ。しかし、これはもう今日の状態では、やはりああせいこうせいということは別にして考えなければならないし、ある程度いろいろな国民に向かってこういうものを問いかけ、議論するということは必要じゃないかと思うのですよ。だから倒れた場合どうするかということについて、今後どういうぐあいに検討なさろうと思っておるのかということ。 それともう一つ、やはり当面ここで特に私は、水俣病の関係からでもはっきり聞いておきたいのは、これは倒れたら打ち切るのだということじゃなしに、とにかくいかなることがあっても患者の補償はやるべきだという、まだ検討してないわけですから、どうしてやるかは別にして、そういう原則というのは、環境庁としては持っておられるかということについて、あわせて質問しておきたい。
○信澤政府委員 大臣の御答弁の前にちょっと補足させていただきますが、先ほど私が読み上げましたのは中公審の答申でございまして、いわゆる政府の統一された見解ではございません。しかし……(馬場(昇)委員「それが統一の見解になっているかということを聞いているのだよ」と呼ぶ)したがって、現在、統一見解ではございませんので、環境庁としては、こういう考え方で対応したいということを、答申の形で私は申し上げたわけでございます。
○山田国務大臣 この問題の重要性ということについて非常に大きな関心を持っていることは、先ほど指摘したとおりですけれども、正直に申して、万一加害者が払えなくなったらどうするかという点については、補償法においても、いわばそれを予想していなかったというのが、率直に言って、当時つくったときの状況じゃないかと思います。したがって、今後そういう場合にどうするかということは、確かにこれは真剣に対処方を研究しなければならぬ問題だと私は思います。 ただ、これは補償関係の病気ということになりますと、ずいぶんいろいろなことにわたっておりますので、この点の救済をどうするのかという点については、いまお話もありましたけれども、私は、なおいろいろな観点から検討を要する問題だという点を申し上げる以上には、ここではちょっとお答えできない点をひとつ御了承いただきたいと思います。
○馬場(昇)委員 やはり好むと好まざるとにかかわらず、補償金を支払っている企業が倒れた場合に補償をどうするかということは、考えなければならぬ問題ですよ。だから、そういうことは考えると言われたから考えてもらいたいのですけれども、ここで最低、いま塗炭の苦しみを受けて火の粉をかぶっている、危篤状態にある水俣病患者の気持ち、少なくともそこにしぼって、いかなることがあってもこの水俣病患者の補償はやるべきであるというお考えをお持ちですか、どうですか。
○山田国務大臣 水俣病というものが深刻な問題だという点、しょっちゅう考えている問題ですから、まさに御指摘のような個人的な気持ちで言えば、私はそういう気持ちでございます。 また、法制的な問題でいいますと、いろいろな点がございますので、これはなお検討を要することかと考えております。
○馬場(昇)委員 環境庁長官が、いま個人的な気持ちとしては補償すべきであると思うと言われた。私は、環境庁長官に聞いているわけです。この問題については、しかし長官、いまみんな議論しているのは、総理大臣だって、官房長官だってあるいは通産大臣だって、閣僚会議に入っておるメンバーは、いかなることがあっても患者に補償をしなければいかぬとみんな思って、対策を考えているわけですよ。だからこの辺については、総理大臣も補償しなければならぬ、官房長官もそう言っている。関係閣僚会議でも、水俣病患者の補償をしなければならぬ、そのためどう考えるかというので、みんな一致した見解が出ておるのですよ。 あと、そのことを聞きたかったのですが、大臣がちょっと席を外されるということですから、これは政府の統一見解として、水俣病患者の補償はいかなることがあってもやり抜くという立場でいま対処しておるのに、いま長官の話を聞いておると後退したような意見なので、そんなことを聞いたら患者さんたちは大変心配しますから、その辺については個人の見解でなしに、もう一遍明らかにしていただきたい。
○山田国務大臣 補償をしてあげなければいかぬということについては、みんないま御指摘のように考えていると思います。 ただ、その仕方とか範囲とかいろいろなことについては、いろいろな問題を考えなければいかぬ点があるから、それで、そういう点のことを私は申し上げたわけでございます。
○馬場(昇)委員 大臣が途中で予算委員会に行かれるそうですから、はなはだ残念ですけれども、また帰ってきてもらいたいのですが、おられるうちに、もう一つ大事なことを聞いておきたいのです。 いま対策を立てる基盤についていろいろ考え方などを聞いたのですが、もう一つ大変なものがございます。たとえばチッソを救済する基盤というのは、先ほど言いましたように、企業とか行政が責任をとるということがまず基盤にあって、対策を考えなければならぬということ、企業とか行政が責任を完遂するという考え方が一つ。もう一つは、チッソの経営危機というのが本当であるのかうそであるのかということを国民が正しく理解することが第二。第三は、先ほど言われたように、PPPの原則はきちっと守る、これも原則。そういう基盤の上に対策を立てなければならないのですが、もう一つ基盤がある。それは、患者の発生数の見込みなんです。これがなければなかなかむずかしいと私は思うのですよ。だから、それについてお尋ねしたいわけでございます。 これは御承知のとおりですけれども、認定患者がすでに鹿児島と熊本だけで千三百三十二人、これは二月一日現在です。そのうち死亡者が二百四十人でございます。そして現在申請して未処理になっているものが両県合わせまして五千百八十二名です。そうして、いまの状況を見ますと、月々に百名ぐらいずつは新しい申請者が出ております。こういうことについての今後の見通しはどうなっておるのか、環境庁長官は一体どういう見通しを持っておられるのか。全然見通しはありませんと言われても結構です。こういう見通しを持っておりますと言われても結構ですから、端的に答えてください。
○山田国務大臣 この認定の促進方ということはわれわれも一生懸命になっておる。症例研究班等も設けて、これについていろいろ協力をしておることは御承知のとおりであります。 ただ、しかし、今後の見通しという段になると、これは正直に申して、何ともまだ申し上げられない。これが現在の実情でございます。
○馬場(昇)委員 私にも見通しはわからないのですよ。しかし、わからなかったら対策はとれないのですよ。どうしてわかろうとするかというところが環境庁長官の姿勢でなければならないし、行政でなければならないと思うのです。わからないといまおっしゃった。わからないようなことをこうしてわかるようにする、そこがなければ前向きの公害行政、環境庁長官とは言えない。 余り時間がございませんので、私はそれについて提案したいと思うのですけれども、この水俣病の二十年の歴史の中で一度だって実態を明らかにしようというまじめな総合調査は行われていないのです。何回かの検診が行われました。これは私に言わせれば幕引きの、切り捨ての検診にしかすぎませんでした。水俣病といいますと、本当に小さい針の穴、いわゆる審査会という針の穴を通ってきたその分子の部分、あるいは小さい針の穴に押しかけてきた申請者の部分、ここだけを考えるのが水俣病だとあなた方は考えてずっとやってきたのです。それは間違いないことです。しかし、ここで私が言いたいのは、その小さい針の穴を通ってきた分子だけ、そこに押しかけただけが水俣病の対策じゃないのです。あの不知火海沿岸に三十万人ぐらいの住民が有機水銀で汚染されておるのです。この分母というものが全然明らかにされていない。行政は、押しつぶそうとしたものだから、こんなものは自発的に調査しようという気は全然なかった。だから一度だってまじめに総合調査をしようとしたことはなかったのです。だから実態がわからないという結果が二十年たったいまになって出てきているのです。そこで、水俣病について分母を調べなさいということ、調べるのも健康被害だけではなしに環境がどういうぐあいに汚染されたかということ。水俣病と言われるように、社会科学的に水俣がどんなに分裂され、あるいは対立状態になったか。水俣市が住民にどんなことをしたか。教育の問題にしてもしかりです。就職の問題で差別されました。結婚もできないと言われた。こういう問題すべてを含めた水俣病の実態というものを総合調査する必要があろう、そういう意味で何回か私は提案しておるのですけれども、水俣病総合調査法という法律でもつくって、それですべてを明らかにして、その上で対策を立てなければいけないと私は思うのです。このことを前の石原長官に言いましたら、水俣病総合調査法というものをつくって総合的な調査をやるべきだ、そのことを関係閣僚会議に相談して実施したいという答弁もなさっているのです。このことについて山田長官の御見解を聞きたいのです。
○山田国務大臣 いまの御提案について、前長官へのお話の件、私はちょっと、ただいまのところ承知しておりませんけれども、長い間いろいろ御苦心をなされ、心配され、そして考えられた提案かと思います。そういう意味において、私もいま何とも即答はできませんけれども、そのアイデアを研究させていただきたい、こう申し上げたいと思います。
○始関委員長 ちょっと、長官が中座されますから。
○馬場(昇)委員 また長官が帰ってこられてから、いまの問題をもうちょっと詰めたいと思いますけれども、次に移ります。 具体的ないわゆるチッソ救済、こういう言葉を使うと患者さんは反発するのです。先ほどから言いますように、私は使いますけれども、これはあくまでも、患者の補償を完遂すること、あそこに千五百人おります従業員の雇用を守ること、その家族の生活を守ること、関連企業の倒産もなく、そこに働く人たちの生活を守ること、五万幾らおった人口がいま三万七千人しかいない、こういう水俣市の商店街を守ること、そういうものを総称して私はチッソ救済ということを言っておるつもりですから、そういうぐあいにお聞き取りいただきたいのですが、さっき問題にしました地方債について、いわゆる熊本県の県債について、いまから自治省にお尋ねをいたします。 この地方債の問題で自治省にどこからか相談があったか。どこからかというのは、チッソ、興銀、さらに言えば、通産の話はなかったと言うのだからなんですけれども、そのほかどこからか地方債問題について自治省は相談を受けたかどうかということをまず聞いておきたい。
○石原(信)政府委員 どこからも相談を受けたことはございません。
○馬場(昇)委員 どこからも相談がないと言われるが、実は水俣の市長は、通産も自治省も了解をした、あとは起債の枠をどれだけにするのか、償還の方法をどうするのか、こういうことが残っておるだけですというようなことを報道機関に発表しているのです。しかし、これは、ここでは言いませんけれども、相談がなかったということをきちっとしておきたいと思うのです。 そこで、今度は法律論争ですけれども、現行の地方財政法で、県債を出して、補償金支払いのためにそれをチッソに貸す、こういうことができるのかどうかということをお教えいただきたいと思うのです。
○石原(信)政府委員 地方財政法第五条第一項第二号に、貸付金は地方債の対象にできるという規定がございます。地方財政法第五条第一項第二号では、その貸付金の内容について特に法文上制限しておりませんから、文面からいたしますと、これが可能かどうか一概にわからないわけであります。ただ、従来、貸付金に対する起債の許可、いわゆる転貸債でありますが、これにつきましては、転貸の対象となる事業についてその地方債を起こす団体が何らかの形で行政責任を有している場合、かつ、その転貸の対象となる事業が多くの場合は建設事業である、第三に、私どもが転貸債を許可する場合には、これは貸付金でありますから、貸付金が償還される可能性がある、償還について心配がない、こういう三つのケースについて転貸債を許可いたしております。したがいまして、御指摘のような件については転貸債というものは非常にむずかしい、このように考えております。
○馬場(昇)委員 自治省の人が、地財法の文章からいって可能かどうかわからぬ、こんなことを言っていいのですか。地方財政法の法律の条文が私たちにはわかりません、そんなことで自治省は行政をやっているのですか。それからいま言われました五条一項二号というのは、そこをいまあなたは引用されまして、そこの貸付金のところだと言われたので私もそこを見たのですけれども、最大限に読んでみても、どんなに譲って考えてみても、公共性があること、回収可能が前提だと私は思います。この問題が地方債ということに出てきたそもそもの発端は、もう銀行は金を貸せないからということですよ。銀行は金を貸せないということは、回収見込みがないということです。回収見込みがあれば銀行は貸すのだから。だから、興銀が回収見込みはない、貸せない、貸したら背任になるということだから、地方債というふうに来たわけです。ところがあなた、回収可能じゃないとだめだと言ったら、銀行が貸さぬのは回収が不可能だからだ。そんなのに住民に責任を負わせるような起債などあり得ないと私は思うのです。そしてまた、地方債というのは、いろいろ理屈は並べたいのですが、時間がありませんけれども、これは県独自の企業ならともかく、いずれにしてもチッソというのは五井とか水島というのが主力ですよ。水俣というのは主力ではないのです。チッソというのは大企業で、熊本県の企業ではないのです。日本全国の企業でしょう。そういうこともあるわけですし、たとえば起債能力ということを考えてみた場合に、いま大体補償金を月に六億ぐらい払っています。今後、見通しとして四月ごろから月に八億くらいになると思う。だから、年に百億くらいの補償金支払いになってくるはずです。そういうのを熊本県が起債でどんどん起こしていく、これは私は、一県の能力を超えておる、こういうぐあいに思うのです。こういう点について、法律解釈、実際の運用を含めて、自治省は、あなた方は許可する権限があるのですから、これについて許可できるのかできないのかということを答えてください。
○石原(信)政府委員 私は、初めに地方財政法第五条第一項第二号の条文の書き方について御説明申し上げたわけでありますが、実際の地方債の許可制度の運用におきましては、ただいま先生御指摘になりましたように、償還の可能性あるいはその対象事業に対する起債団体の責務の所在、公共的な義務があるかないか、あるいはその償還可能性について問題があるとすればその団体の財政に及ぼす影響、こういったいろいろな点を勘案して起債を許可するかどうかを判断するわけでありまして、私どもは本件に関しては正式な要請は受けたことはありませんけれども、きわめてむずかしい、困難である、このように考えております。
○馬場(昇)委員 熊本県民はよくわからないのですよ。というのは、やはりヘドロ方式、ヘドロ方式とこう言うのです。それは、もう御承知のとおりに、二百三億円の水俣湾のヘドロ公害防止事業、その中で県債が百九十三億出たわけですし、その六五%の百二十六億というのがチッソ負担、これを熊本県が起債を起こして、五年据え置き三十年償還、万一のときには八、二方式で大蔵省が八持つ、自治省が二持つ、こういう保証をとって熊本県が起債を起こしておる、こういうヘドロ方式という前例があるじゃないか、だから今度もできないはずはなかろうと、こう単純に考えがちなんです。ところがこれはやはり港湾のヘドロ除去事業、公害防止事業、公共事業でできたことであるし、考えてみますと、この償還というのも大変だろうと私は思うのです。実は。私は、この水俣病の救済問題は、熊本県民が心を一にしなければ何にもできないと思うのです。ところが誤った情報を入れておくと心が一つにならない。そういうことを考えて、ヘドロ方式とは違うのだというようなことなんかは、ぜひ自治省なんかも事あるごとに県を指導し、市を指導していただきたい。水俣の市長というのはこのことを、今度市長選挙やりましたら選挙運動で使っているのです。これ以外にないと。そんなことはどうでもいいですけれども、そんなに間違った理解をしておりますから、間違わぬように指導をしていただきたいということについて申し上げておきたいと思うのです。 次に、大蔵省にお尋ねしたいのですけれども、二月九日自民党の熊本県連の役員の方々が自民党三役にこの問題で相談に来ておられます。私は直接聞かなかったのですけれども、人づてに聞いたわけでございますが、また新聞にも出ておりますけれども、来られた自民党の熊本県の役員の方々は、日本開発銀行法を改正して開銀融資によってチッソ支援をしていただきたいと、こういうことを要請なさっておるようでございます。これに対して、大平幹事長は早急に党として具体策を環境部会等で考えてみたいという御返事をなさっておるようでございますし、中曽根総務会長も、県や企業でどうにもならぬことは当然国が対応すべきだ、いまはその時期に来たものと判断するというようなことを言われたということを、人づてに聞いております。そこで大蔵省に聞きたいのですけれども、開発銀行法を改正してチッソに補償金支払いができるようにする、こういうことが可能であるのかどうか。さらには、そのことがPPPの原則とどうかかわり合ってくるのか。PPPの原則は環境庁であろうと思うのです。だから、大蔵省には開発銀行の問題、それからPPPの原則とのかかわりについては環境庁にお尋ねしたい。
○大場説明員 日本開発銀行法を改正して補償金の支払いができるようにできるだろうかという問題かと思いますが、御承知のように、日本開発銀行は産業の開発等のために設立されました政策金融機関でございまして、事業資金でない補償金を融資対象とするように法改正するということは非常にむずかしいと思います。
○信澤政府委員 いまの御答弁のように、貸すことはむずかしいということでございますから、それとの関連でPPPがどうなるかということはいかがかとは思いますが、私どももいろいろな場合を想定して先ほど来大臣も申し上げ、私も申し上げておるわけでございますが、どんな措置をとる場合でも汚染者負担の原則からはみ出すようなことはしないと、こういうことを申しておりますので、いわばその限界はどこにあるかということは絶えず研究しておるつもりでございます。結論ではございませんが、やはりある程度の、と申しますか、将来チッソが返済するというような条件で、その間のつなぎの融資をするというようなことは、ケースとしては幾つか想定できるわけでございますが、そのケースいかんによっては、PPPのたてまえからいっても許容される場合があり得るのではないか。しかし、それはきわめて限定的である。そういう問題を、逆にこういう場合ならいいというようなことをやや具体的にいま詰めておる段階でございまして、先ほども申し上げましたように結論を得ているわけではございません。
○馬場(昇)委員 地方債もできない、開銀法の改正もできない。 次に、こういうことを私は聞いております。これは内閣官房の方から出たということですけれども、何か特別立法をして救済する方法はないかということを内閣官房の方で検討なさっておるということを聞きました。それで、内閣官房来ておられると思いますから、そういうことはどのような特別立法というのを考えておられるのか、こういうことをお尋ねしたいわけでございます。 実は、前にこういう議論をしたことがございます。水俣病は世界の公害の原点と言われ、原爆にも匹敵する被害が出ておるわけでございますが、原爆被害者の救済が一般の戦災者よりも違った救済を特別にしてあるわけでございますし、交通遺児の救済も、交通事故以外の事故で親を失った人の救済と多少変わっておるように私は聞いておるのですが、そういうことで、世界の公害の原点の水俣ということで、特別な考え方を導入してきて、そこでもって特別立法というものを考えておられるのかどうか。こういうことを何か考えてみたらどうかということを提案したこともございます。 それからもう一つは、やはりPPPの原則があるわけでございますから、何か経済界全体が相互援助するというような法律をつくってやる方法はないのか。たとえば、いま公害健康被害補償協会というのがありますけれども、こういうものを資金面で充実させるとかなんとか、いろいろ考えられるわけですけれども、その特別立法をしてはというぐあいに官房で話が出ておるということについて、事実かどうか、事実とすれば、いま私が言ったようなことは議論なさっておるのかどうかということについて、官房にお聞きしたい。
○木戸説明員 御説明申し上げます。 チッソの救済のためのいろいろな具体的な方策については、環境庁、通産省その他関係各省において目下検討中でございます。内閣官房というのは元来調整役でございますので、まだそのように内容も固まらないのに、特別立法をしてはどうかというようなことを申し上げる筋合いでもございません。事実そういうことを申し上げたということはございません。 馬場議員御指摘のような、いろいろな観点があるわけです。たとえば経済界の協力というのもやはりチッソを救済するための一方策であろうかというふうに考えるわけでございますが、これらの点も含めまして、いろいろ関係各省でいま検討中でございます。
○馬場(昇)委員 これはまた、関係閣僚会議というものがございますから、後でもう少し詳しく質問したいのです。そこで議論をします。 そこで、またもう一つ申し上げたいのは、これは実は私どもが提案をしておることです。やはりチッソは救済すべきだということは、先ほど言った理由で考えております。そこで私ども社会党としては、興銀だとか三和銀行だとか、いわゆるチッソに融資しておる銀行団、こういうところから融資をやはりさせるべきだというような考え方を持っているのですが、その前に大蔵省に聞きたいのですけれども、いま興銀とか三和とか、全部を言う必要はありませんけれども、そういう主力銀行はどのぐらいチッソに金を貸しているのですか。
○大場説明員 有価証券報告書によりまして申し上げますが、昨年三月末でチッソの長期借入金は四百十一億円になっております。短期の借入金は十一億円でございます。長期借入金四百十一億円のうち、日本興業銀行からの借入金は百十四億円、三和銀行からの借入金は六十二億円になっております。
○馬場(昇)委員 興銀なり三和がこれ以上チッソに融資すると銀行法に違反し背任罪に問われる、こういうことをよく言われておるわけでございますけれども、この興銀の百十四億、三和の六十二億、これよりびた一文でも出すと銀行法違反で背任に問われるのですか。大体その辺の限界というのを大蔵省はどう考えておられるのですか。
○大場説明員 チッソの関係金融機関がチッソの運転資金なり設備資金を融資することは望ましいことでございますが、債権保全上の問題がある場合には、やはり預金者保護の本旨に立ち返りまして、かかる金融機関の問題を考える必要があろうかと思います。幾らを超えたらその問題が出てくるかということは申し上げにくいのでございますけれども、そのような問題があるわけでございます。 それからさらに、これは長期信用銀行法第七条でございますけれども、確実な担保を徴する等特別な考慮を払うことによって貸し付けを行わなければならないという規定があるわけでございます。その点から申し上げますと、民間金融機関が行う融資にはおのずから限界があるというふうに私は考えております。
○馬場(昇)委員 いま興銀が百十四億貸しているわけですけれども、これが銀行法違反のすれすれかと言っても、なかなか答弁はむずかしいのですけれども、そこで、いまチッソは一月から三月までの間で三十億、これはあそこの社長が言ったので、本当かどうか知りませんが、支払いをしなければならぬ。十一億というのは資材の繰り延べとか在庫販売でできたけれども、あと十九億円足らない。いつ手を上げるか、パンクするか、倒産するかわからぬ、こういうことをあそこの野木社長は言っているのです。興銀とか三和とか、あるいはほかにまだ農林中金とかいろいろありますね。この十九億円の金を、これで不渡りを出して倒産するという状況があるならば、これを当座関係金融筋から出すのは銀行法違反になりますか、どうですか。
○大場説明員 十九億円という数字は承知してないのでございますが、二月、三月は数億円程度の支払いではないかと思いますが、当分の間このような補償金の支払いに支障はないものと思っております。
○馬場(昇)委員 いまよくわからなかったのですが、チッソが当分の間補償金支払いに支障を来さないとお考えなのか、あるいは興銀なんかがこのくらいの金を融資するのに支障がないと考えておられるのか、どっちなんですか。
○大場説明員 チッソの補償責任が全うできるよう、それぞれの関係者が知恵をしぼっているということでございます。
○馬場(昇)委員 それが三月までは見通しがあるということですね。だから三月まで不渡りなんか出さぬということでしょう。
○大場説明員 当分の間というふうに申し上げておるのでございます。
○馬場(昇)委員 そこで話はまたもとに戻りますけれども、興銀だって三和銀行だって担保を取ればいいわけだし、返ってくる可能性があればどれだけでも貸していいわけですから、政府が、興銀とか三和とかそういう関係金融機関に、貸してあげなさい、万一の場合には保証いたしますよと。補償の仕方にはいろいろあると思うのです。補償するときに日本銀行どうするのか、いや補償するときに特別立法をつくるかは別として、いずれにしても、おまえたちいま困っているから貸しておけと、政府の保証が出たら灰にならないわけですから、貸せるのですか。
○大場説明員 政府の保証があれば銀行が貸せるかという問題として考えれば、政府の保証があれば貸せます。ただ政府の保証自体に問題があります。
○馬場(昇)委員 政府の保証自体ということにつきましては私も問題を感じて、どういう補償か、さっき言った特別立法をするとかなんとかいろいろあると思うのですよ。だから、ここはそこまでいきませずに、政府の保証があれば貸せるということで、とどめておきたいと思うのです。そこで、今度は環境庁にまたお伺いしたいのですけれども、これは大臣がおらなければ、まあ大臣よりも詳しい人がおるかもしれませんが、銀行が株を持ち、経営に口を出し、利益も上げておるというのがいまの日本の産業構造ですから、そういう意味の立場においては、いわゆるPPPの原則、汚染の原因者の一端に銀行も入るのじゃないかと私は思うのです。たとえば興銀を例にとりますと、あの江頭という社長は——興銀とチッソの関係はもう御存じと思いますけれども、新日本窒素肥料というて草創の時期からのつき合いなんですよ。ものすごく景気がよかった。ものすごく興銀ももうけたと思うのですけれども、江頭さんという社長さんは三十九年から六年半あそこの社長をなさっておって、この人は興銀から行かれて、興銀の常務でした。ついこの間まで副社長をしておりました藤井洋三さんというのは、興銀の参事から送り込まれた人です。そしていま石井さんという常務も興銀から送り込まれた人です。株を持ち、資金を融資し、こういうぐあいに経営陣を送り込んでおる。こういうことを考えた場合には、やはりPPPの原因者の一翼に入れていい。公害の患者さんたちはもうちゃんと入れているのです。実態は御承知のとおりと思うのです。そういう現状にもなっています。そういうことから、興銀というのはPPPの原因者の一翼を担うべきであるとも私は考えておりますし、かつて安宅問題等でも取引銀行が負担というものを背負ったという例もあります。いろいろ立場は違いますけれども、興銀の責任というのはやはり免れることはできないのじゃないかというぐあいに思うのですが、具体的にPPPの原因者の一翼を担うのか。次に責任というものはどう考えておるのかということについてお尋ねしたい。
○信澤政府委員 大変むずかしい問題でございまして、実は結論めいたものをいま直ちに申し上げるわけにはいかぬと思います。ただ、従来から私ども汚染者負担の原則と言ってまいりましたのは、いわば法律的な責任を負う、こういうことで申してまいっておるわけでございます。したがって、反面PPPにつきましては、いわば道義的と申しますかモラルの意味での責任、こういう意味合いもあろうかと思うので、少なくとも後者の意味で、これはいろんな関与の態様によって違ってくると思いますけれども、ある程度といいますか相当程度金融機関がその企業の経営について支配力を持っているというような場合に、法的にはともかく道義的にはやはり責任を負うべき立場にあるという場合があると思うわけでございますが、それをしも含めてPPPと言うかどうか、ここのところはもう少し検討させていただきたいというふうに思うわけであります。
○馬場(昇)委員 そこで、道義的な責任は当然あるわけですし、実際的にもそうなると思うのです。この現実というのは否定はできない問題だろうと思うのです。 次に、水俣病関係閣僚会議について御質問を申し上げるわけでございますが、これは安倍官房長官が座長をなさっておるわけでございます。 いま、幾つかのチッソ救済の方法が問題になりまして、お答えもいただいたわけですが、いろいろあるわけです。私は、社会党が提案した方法が一番可能であろうというぐあいに思うのです。そして、これが早いし現実に適合していると思うのですが、いずれにいたしましても、チッソ救済の対策の基本方針というのは、この関係閣僚会議でお出しになるのかどうか。また、ここでないと出ないのじゃないかと私は思うのですが、チッソ救済策の具体的な基本方針というのはこの関係閣僚会議で出すのかどうかということについて、これは内閣官房が世話役になっている、官房長官が座長ですからね、官房にお伺いしたいと思います。
○木戸説明員 チッソの救済策は、水俣病に関する閣僚会議の当面の最も重大な課題でございます。救済策には環境庁、通産省のみならず多くの省庁が関係しておりますが、重要な問題についてはこの閣僚会議で意思統一を図り、基本的方向を見出していくべきものと考えております。
○馬場(昇)委員 よくわかりました。 そこでもう一つ質問ですけれども、この関係閣僚会議というものにたとえばだれが提案をするのかということですね、救済策に限って言えば。たとえば認定とかということについては、いろいろ環境庁が提案されたということも聞くのですが、この救済策については具体的な、これがよかろう、あるいはこれとこれのうちどれでしょうか、いわば提案者なんです。これはどの省庁になるのか。官房が出すのですか、環境庁が出すのですか、通産が出すのですか。この間の二十四日のことを見ますと、皆さんどなたも触れたがっておられなかったような状況でしたから、だれが提案する責任者かということを聞いておきたいと思うのです。
○木戸説明員 救済の具体的な方策については目下検討中でございますが、救済策は複数の政策の組み合わせでやるということも考えられますので、結局救済策という場合には、当該救済策を担当する省庁があるわけでございます。関係閣僚会議というのは、横の連絡を図って意思統一を図るということでございますので、現在の段階でだれが提案するということは申し上げられませんけれども、それぞれやはり政策についての責任官庁がございますので、そこの省が提案をする。そこで、いろいろ閣僚会議で議論をいたし、意思統一を図って、これで行こうという基本的方向が出てくる、こういうことになろうかと思います。
○馬場(昇)委員 では、具体的に聞きまして、通産省ですか。たとえば通産省が物を考える、たとえば通産省が銀行融資をやろうと考えたら大蔵省に相談するとか、あるいは通産省が県債で行こうというなら自治省に相談するとか、そういうことでチッソ救済の責任官庁と言うといろいろあるとおっしゃいましたけれども、ここの場合通産省じゃないかと思うのですがどうですか。
○木戸説明員 基本的な責任官庁と申しますと、患者の救済という面からは環境庁でございますし、本来チッソの経営健全化といいますか、経営指導の問題は通産省でございます。しかしながら、具体的に個々の施策をとるという場合には、当該省庁に必ずしも限らないわけでございますので、その辺はだれが提案するというのはその具体的な方策いかんによる、こういうふうに考えられます。
○馬場(昇)委員 重ねて聞きますけれども、具体的方策いかんによるというと、関係閣僚会議でもって方針を出す、その方針に従うところの官庁で具体策をつくる、こういう意味になるのですか。たとえば一月二十四日の閣僚会議で救済策の協議が行われておるわけですけれども、これはその後の官房長官の発言ですけれども、関係各省庁が今後協議して抜本的な対策を立てる、こういう結論だったということを言っておられるわけですね。関係各省庁というのはもうわかっているわけです。それで協議して具体的な対策を立てる。じゃその閣僚会議の座長は官房長官ですけれども、救済策の音頭とるのはだれかということを、いまその方針によって決まるとおっしゃるけれども、この具体的省庁と打ち合わせするとき、極端に言うと、集まってくださいと言うのはだれか。集まったときに、じゃどうした方法がいいでしょうと言うときに、各省庁が意見を言ったとします。それをまとめるのは事務局レベルではどこですか。そういうことをしなければ全部が責任を、ああこれはさわらぬ神にたたりなしと言って責任逃れしたら、一つも進まない。その証拠には、一月二十四日からずっと閣僚会議があるけれども、なかなか具体策が進まないのですね。そういうことはどうなっているのですか。
○木戸説明員 先ほども申し上げましたように、イニシアチブをとるのは、患者の救済という面からは環境庁であり、企業の経営健全化という面では通産省でございますので、その両省が中心となるべきものと考えますが、実際の具体的方策ということになりますと、それは通産省、環境庁で実施できないという問題につきましては、それぞれの省庁でやっていただく。それで施策が整合性を保たれるように、総合的にできるようにということにつきましては、この関係閣僚会議で調整を図って、基本的方向を見出していく、こういうことであろうかと思います。
○馬場(昇)委員 なかなかすっきりしない。すっきりしないから責任転嫁をして進んでいないという現状がわかるような気がするのですけれども、やはり官房長官が座長というならば、たとえば官房副長官の道正さんがその連絡調整をとっているということも事実私は聞いておりますけれども、官房長官が、早くやろうとか、あなたのところでひとつ案をつくってみないかとか、そのリードをとるべきだというぐあいに思います。だからこの辺について、これは私の要望ですけれども、官房長官がリードをとって早く具体策を立てるようにということと、もう一つ申し上げておきたいのですけれども、とにかくいつごろまでにこの結論を出そうか、チッソ救済の具体策の結論をいつごろまでに出そうかと考えて閣僚会議は議論しておられるのかということも聞きたいのですが、それがわからなければ、とにかく官房長官音頭をとって、いつごろまであなたの方でこういうことを検討してくれないかとかそういうことをやるべきだ、こういうぐあいに思います。そこら辺についてどうですか。
○木戸説明員 議員御指摘の点につきましては、閣僚会議のいわば下部機構として関係省庁が随時連絡会議を開いております。内閣官房はそれの調整役、場合によっては推進役というものも果たしておりますので、問題の重要性にかんがみまして一月二十四日の閣僚会議を開いたわけでございますので、鋭意検討を進めたいというふうに考えておりますが、この問題の第一義的な責任者である会社自体がどうしようというのかという点がはっきりしておりませんし、また先ほどからもいろいろ各省からも御答弁しているように、既存の制度の枠内で解決を図ることが困難な問題が多いわけでございますので、いつということは申し上げられませんが、事の重大性にかんがみ早急にということで内閣官房としても対処をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
○馬場(昇)委員 やはり会社が言ってこないとか、あるいは熊本県が言わないとかということじゃなしに、閣僚会議がこの問題についての最高の決定機関なんです。だから、さっきその調整役、官房が推進役もするのだとおっしゃいましたから、ぜひ官房長官が推進役となり、また各省庁の連絡会議も官房がやられるわけですから、ここで推進役になって早く結論を出すように、これはぜひやっていただきたいと思うのです。 そこで、この問題について再度、これは環境庁にも官房、みんな関係するのですけれども、チッソはつぶしてはいかぬということは皆一致した見解ですし、その中で五井工場とか水島工場とかありますけれども、この問題、水俣病の重要性を考えますと、水俣工場をやはりつぶしてはいけない。あそこを強化発展させる、こういうこと、チッソをつぶさない、水俣工場も強化発展させる、こういうことでチッソを指導するということを実は官房長官、前の園田さんからも、それから環境庁は前の三木長官からも、そして通産省なんかに陳情に行きまして各大臣からもその原則は聞いております。だから、この原則を、代表されて環境庁からでも、救済の問題ですから、通産からでも、そういう原則に今日も変わりはないか。チッソはつぶさない、そして水俣工場もつぶさない、強化発展させる、そういう方向で政府としてはチッソを指導する、この原則は変わらないかどうかをお尋ねしておきたい。
○信澤政府委員 チッソを存続させるということの目的の一つは、先ほど来先生がるるお話しのように、一つは患者の救済でございます。それからもう一つは、やはりいまお話にございましたように、水俣市にあります工場、これがある特定の事態になりました場合に起こるであろう雇用その他社会的、経済的な影響というものは大変大きいというふうに考えますので、いわばほかにも問題があるかもしれませんが、この二つの観点から、やはりチッソを存続させながら、片方では患者救済に全力を注がせる、同時に地域経済の発展にも寄与するようにさせる、ここにある、この考え方においては恐らく政府部内においては、従来から一貫しておるというふうに考えております。
○馬場(昇)委員 方針はいま代表して、政府部内で一致しておるということでございますからそれでいいのですけれども、通産の方にまたこれはひとつお願いをしておきたいのですが、やはりチッソの経営者というのはなかなか謙虚じゃないのですよ。そして最近は、救済するのはあたりまえじゃないかというような、一面から見ればおごり高ぶっているし、どちらかというと投げ捨てたという、そういう感じもします。 そういうことで、私が聞いていることで、こういうことはあってはならぬと思いますけれども、これは環境庁にも聞きますが、ひとつアクションを起こそうじゃないか、患者救済ができませんよということを患者に申し入れようじゃないか、そうしたらみんな驚いちゃって、ああそれはチッソを救済せにゃならぬと世論が沸くんじゃないかと、そういうことまで考えているのじゃなかろうか、全く考えてはいけないようなことを考えているのじゃなかろうかといううわささえ入ってくるように、何かしら謙虚じゃないし、何かこう責任を感じない。こういうチッソの経営者の態度というものは、やはりきちんと指導をしていただきたいと思うのです。 たとえば、労働組合なんかに対しましても、この間選挙がありましたところが、これはもう余談ですけれども、皆さん全部にお世話にならなければならぬのだから、チッソの企業なんかはやはり全市民あるいは各政党にお世話にならなければならぬから選挙は中立がいいのじゃないかと言ったら、そうしますと言ったって、事実そうじゃなかったし、それから、チッソの支持する候補者をやらなかったという従業員を差別待遇しておる、こういうことさえもあるわけです。 そういうことを含めながら、ぜひチッソ経営者の姿勢をきちんと正すというような指導を、これは通産ぜひやっていただきたいと思うのですが、いかがですか。
○児玉説明員 先ほどからお答えいたしておりますように、私ども、このチッソの問題に取り組む場合には、患者の補償の円滑な遂行と地域経済と雇用、こういうような観点からやっているのでございまして、チッソの経営者について何かめんどうを見てやろうとかなんとか、そういう発想で基本的にやっているのではございません。先生のいまお話しになったようなことは十分胸に畳みまして、今後仕事をしていきたいと思います。
○馬場(昇)委員 じゃチッソ救済の問題は一応以上でおきまして、次に、検診、審査、認定の問題について環境庁に御質問申し上げます。 熊本県知事が認定の処分をおくらせておるのは違法であるという不作為の判決が出ましてから、環境庁、もう足かけ三年になります。まる一年以上過ぎました。現在、この認定業務については違法な状態がもう一年以上も続いておる、こういう状態でございます。現在未処理が五千人ぐらいおりますけれども、これを解消する計画はどうなっているのか、そしてこの違法状態はいつ解消しようと思っておられるのか、はっきりお答えいただきたい。
○山本(宜)政府委員 先生御承知のように、昨年の十月から従来の検診体制を三倍に拡大いたしまして鋭意検診を進め、審査会の審査等も進めておるわけでございますが、当時、昨年の六月の時点で滞留している申請患者を一つの目安にいたしまして、三年間で解消するという計画を立てたわけでございますが、御承知のように、その後の申請者がふえてまいっておりますので、これにつきましても、さらにこの検診体制を拡大するようなことをひとつ考えていかなければならないであろう。そういたしませんと、なかなか当初の計画どおり三年の目安での解消がいかないというようなことでございまして、その辺につきましても、鋭意問題点をいろいろと検討しているところでございます。
○馬場(昇)委員 環境庁の長官も謝られたと思うのだけれども、熊本県知事も患者に対して、こういう違法状態が続いてもう一年間もこれを解消し切らないということは申しわけないといってわび状を入れているのですよ。長官は入れられたかどうか知りません。熊本県知事はそんなに苦しい状態に追い込まれておるのです。そして、御承知のとおりに、熊本県議会はこの認定業務を返上しようという議会の意思を決議しておる、こういう状態もあるわけです。 端的に一言で答えてもらいたいのは、五千人いまたまって、月々に百人ぐらいずつふえてきている、だから通常ペースで、あの裁判は二年以内ぐらいでやればというような、年数は言っておりませんけれども、二年以内ぐらいでやらなければ違法ですよというようなことがあの判決の中でわかるわけですが、それは通常ペースとしますと、いま三年にも五年にもなっておる人がおるわけですから、この違法状態はいつ解消するのか、どういう計画でやっておるのかということを一言言ってください。
○山本(宜)政府委員 検診を促進するということで違法状態を解消しよう、そういう計画でおるわけでございますが、この検診につきましても、やはり専門の先生が得られないというような点が一つの問題でありますし、また、常勤医をふやすというような方向で、さらにこの体制を固めてふやしていくということしかないのではないか、かように思っております。
○馬場(昇)委員 実際問題として違法状態を解消する計画がないというのがいまの環境庁の実態ですね、いまの答弁を考えてみますと。そういうことである。毎回私は言っているのですけれども、本当に促進しようとあなた方が思うと、できるのですよ。 ただ、こういうことはいまあなた方がやっているとは言いませんけれども、従来ありましたよ。たとえばチッソが年間五人なら五人しか補償金の支払い能力がないというときには、審査もずっと五人ずつぐらい何年か続いたことがあるのですよ。それでチッソの支払い能力に見合った分の認定しかしなかったということが何年か続いたということもあるのです。そのことはもう言いませんけれども、だからチッソの支払い能力を考えて、そして認定審査をセーブしておったという経験があります。いまそうやっているとは必ずしも言いませんけれども、そういうおそれなしとしない問題で、たとえばこの際、地域集中検診方式というのを私は何回も提案しているのです。 ある時期にたくさんのお医者さんを結集して、いま月に二回ぐらいやっておるのを、たとえば夏休みなら夏休みにたくさんのお医者さんに、夏休みじゅう四十日なら四十日とか、全部はいかぬでしょうけれども、集まってもらい、病院のお医者さんに集まってもらい、そして地域へ出ていって検診をし、そこで審査をする。そうしたら違法状態の解消は一挙にしてできるのですよ。そういうことをやってはどうか、そして違法状態を解消して、通常ペースでその後はやっていけばいいわけですから。そういうことをなぜやらぬのかということが一つ。 もう一つは、余り時間もございませんけれども、熊本県が国での検診、審査、認定をやってくれと皆さん方のところへ言ってきている。そして地方債を出すと。全く話にならないのです。地方債とこれを取引みたいな報道をされておりますけれども、取引じゃなしに、取引なんかなくてもこれは熊本県にとってみればしなければならぬ問題。これについて法律を改正して、審査、認定を国でやれ、これに対する考え方。 それから、さらに一歩譲って、わからないという人が六十二名おるのです。このうち六十一名は亡くなっておられるのですよ。そして、保留という方々が千三百人ぐらいいまおります。これは六回ぐらい出したって、保留、保留となる人がおるのですよ。少なくとも、わからないという人とか保留という人にとっては、この分だけ国でやってくれないかというような要求があっております。これについては内閣官房にも聞きたいのですけれども、それに対して環境庁の答えを聞きたい。そしてきのうかの新聞に、内閣官房の方から、必要とあらば、わからないとかあるいは保留とかいうのを中央で法律でも改正して審査をしたいということを官房で検討しながら、それを地方債のえさにすると言えば語弊がありますが、そういう考え方も含めながら、そうやって、そして道正副長官が症例研究班の椿座長のところに会いに行くとかということが新聞に出ているのですよ。このことは、道正さんはその認定の権限はないわけですけれども、そういうふうに新聞に出ておるということを含めて環境庁と官房からお答えいただきたい。
○山本(宜)政府委員 昨年の六月に現在の検診促進方式を考えたときに、私はその後引き継いだわけでございますけれども、こういう議論が内部にあったわけでございます。かつて集中検診をした経験がございますが、そのときにいろいろと問題点がございまして、患者さんあるいは地域の住民との間でいろいろなトラブルがあったやに聞いております。したがいまして、私ども現在考えておりますのは、いまの体制が若干ゆっくりではございますが、この検診を進める中で全国のいろいろな大学の専門の分野の先生方に参加をしてもらいまして、そこで経験を積んでいただく、その上で次の集中検診のステップは考えたらどうだということを実は内々私自身は考えておるわけでございます。 御承知のように、水俣病の検診と申しますのは、非常に高度な専門知識が要るわけでございまして、神経内科的な診断につきましても、単に神経内科を専攻したというだけではなかなかうまくいかないということがあるわけでございますので、そういった方向で考えたいと思っておるわけでございます。 次に、熊本県知事の方からひとつ国でも、国でもというか、国で認定あるいは審査の業務をやってくれ、こういうお話でございますけれども、これは現在の法律のたてまえから言うと、御承知のようにできないわけでございます。したがいまして、現在症例研究班という一つの制度の中で最大限できる方法といたしまして、三県の認定審査会の先生方の衆知を集めることによって、少しでも判断がスムーズにいき、判断しやすいようになるという一つの手だてとしていまやっておりまして、御承知のように、十一月の末からすでに三回ほど開かせていただいております。 これは内容的なことはちょっと外に申し上げにくいのですが、その後の熊本県の認定状況から判断いたしまして、また認定審査会の先生方のつぶやき等から判断いたしまして、これが判断条件プラスアルファということで促進に役立ち、保留を少なくする方向に役立っておるように思っておりますので、この方向をしばらくは続けていきたい、かように思っておるわけでございます。実は私自身も月々申請者がふえておることにつきまして大変苦慮しておりますが、そういったような全体の体制整備を整えながら、集中検診方式へ持っていったらどうだろうか、かように思っておるわけでございます。
○木戸説明員 議員御指摘の新聞記事の件でございますが、大変不正確な点が多うございます。認定業務の促進、それから県の認定業務の促進のための手助けのための症例研究班の設置ということにつきましては昨年の六月二十八日の閣僚会議におきまして「水俣病対策の推進について」という書面による申し合わせがあるわけでございまして、これに基づきまして先ほど来から環境庁が御説明しているような、百五十人検診、百二十人審査というような体制ができ上がっているわけでございますので、内閣官房としてもその方針を支持しているわけでございますので、そのような一部認定事務を国に引き揚げるというようなことを内閣官房から申し上げるというようなことは全くございません。
○馬場(昇)委員 集中検診でかつて問題を起こしたと言われますけれども、これは患者さんたちをものすごく動物扱いにしたような、名前を言えばいろいろ語弊がありますけれども、一部に反発を起こしたので、集中審査方式をとっても問題が起こらないような方法があるということを患者自身も言っております。だからその辺はぜひ御理解いただきたいと思うわけでございます。また熊本県議会は委任事務返上を決議しておるのですから、今度これが余り進まなければ、今度は沢田知事は返上しますよ。そういうことがございますから、ぜひひとつ考えていただきたいと思う。また患者側から言わせますと、認定の制度が被害者救済になっていないし、極端に言うと、暗黒裁判だというようなこと。たとえば医者だけに任せ切って、本当に法で言う救済という行政救済というのがないとか、いろいろありまして、この問題もありますけれども、これはきょうは時間がありませんので、とにかく患者の意見を聞きながら、あるいは熊本県の意見を聞きながら、私は、認定は県でやるべきだと思うのです。しかし促進が早まるようには全力を挙げてひとつやっていただきたいと思うのです。やろうと思えばできないことはないと思うのです。 そこで、長官が帰られましたので、最後の質問をいたしたいと思います。もう時間がありませんから、前の部分は省略しまして、本日ここに提案になっております環境庁設置法の水俣病センターについて御質問を申し上げます。 今日提案されておる水俣病センターを見てみますと、政府の約束というものと全然違います。政治家とか政府はうそを言うということを現地の患者さんたちを中心に現地の住民は言っております。これは事実です。私も、また政府はうそを言った、政治家はうそを言う、こういうぐあいにこの提案を見て思いました。 具体的に言いますと、昭和四十八年五月、当時の三木環境庁長官は、私も一緒に隣に並んでおって、約束をされる場所に立ち会っておるのですが、そのとき三木さんは何と言われたか。あの悲惨な、状態を見ながら、政治をやる者の責任を痛感したと。また、いろいろいい言葉を言われた後でこう言われた。水俣病の研究、治療、リハビリ、作業などを行う総合センターをつくります。公害の原点の水俣に世界に通用するりっぱな施設をつくります。こういうことを言われた。そうして皆さん方にたくさんきょう来るときおみやげを持ってきたかった、しかしたったこれ一つですと。質問がございました。いままで来た政治家はみんないいことばかり言って、うそを言う、今度はやるのでしょうね。だから私は大ぶろしきを広げなくて、一つ持ってきたのです。やりますという発言を私の横でやられたのです。 それからもう一つは、あの患者に木下レイ子という患者がおりますが、これは私の教え子なんです。その木下レイ子の娘さんが田中総理大臣に手紙を書いたのです。新聞にも載りました。そうして、私は金なんか要らないのです。自分のお母さんの体を治してもらいたいのです。世界じゅうで一番偉いお医者さんを日本に呼んでもらって、そして治すようなことを研究してください、治してくださいという手紙を田中総理大臣に木下レイ子という患者の娘が出したのです。田中総理大臣はそれにこたえる返事を出しておられるのです。それも新聞にも載っておりました。 そういうことがあって、またほかにもたくさんあります。私は何回となくこの場所でこの問題について質問いたしまして、答えも聞いておるのです。それでできたものがいまのような研究だけの、今回はわずかに八人ですか、そういうことです。 そこで、もう時間がありませんから一括して言いますけれども、治療面がないのです。患者は金は要らぬと言うのですよ、体を治してさえもらえば。だから治療してもらいたいのです。治療面が全然ない、入院設備も全然ない、そしていま少しでも安らぐために、はり、きゅうでもしてもらいたい。はり、きゅう部門を置いてくれ、それもない。それから患者を発掘するという体制が全然ここにはない。そういう意味から検診体制もない、診査体制もない。それで、医者が足らぬ足らぬと言われますけれども、この二十年間医者を養成しようということを政府はわざとやらなかったですよ。だから、ここをつくるときにここでお医者さんを養成してください、その養成機関も十分でない。三木さんは総合センターをつくる、あなた方患者さんたちが、若い患者が結婚してお産もする、じゃお産の世話もいたしましょう、育児の世話もいたしましょう、そして働きたい者には作業の訓練もいたしましょう、就職のあっせんもいたしましょう、こういうりっぱな総合センターをつくるのですよと言われたのです。 そして次には、石原長官も、私が言いましたら、水俣病については心配しているから、環境庁の出先機関としてここに水俣病の相談の窓口をつくってはどうか、それもよかろう、こういういろいろな約束をなさったのです。そして石原さんは私や新聞にもこう言われました。この問題、というのは水俣病の問題ですけれども、この問題の正確な解決をいたずらにおくらそうとか阻もうとする要因が政治にあるならば、それが何であろうとも、私自身が言ってきた文明批判というものを政治の立場で具現するためにそういう者たちと私は正面から闘う、こういう決意を言って、石原さんもすべてのことを約束されました。 そこで私が言いたいのは、こういう約束をしたことを今度の設置法では実現できないでしょう。これを長官は先ほどどなたかの質問に答えて、充実していきますよ、要望にこたえますよと言われたのですけれども、この約束を守ってください。そしてぜひ二期工事、三期工事、こういう約束をしたことは守られるように環境庁長官としてやっていただけるかどうか。石原さんは二期工事、三期工事もやって、そういう方向にいきたいという答弁をなさっております。そこで新長官の御意見もここで聞いておきたい、こういうぐあいに思います。 それから、ついでと言えば語弊がありますけれども、石原長官が、この一月に環境庁から職員が行って、このセンターで若い患者さんがどこで仕事ができるか相談して、たとえば庭の掃除をするとかフラスコを洗うとか、あなた方が働けるところへ雇いますよ、一月に環境庁から行ってその相談をしますよと言われました。そしてそのほかに、今度はこれと別ですけれども、とにかく若い患者の就職を世話するために財団法人というものをつくって、きちんと国で就職の世話をいたしますよ、こういう約束をなさったのです。ところが、今度はあなたになったら財団法人をつくらぬというようなことを言われておる。こういう問題についての長官の御見解を聞きたい。
○山田国務大臣 三木長官を初めといたしまして、いろいろお約束あるいは声明なすったようなことがあったのが実現されていないということであれば大変遺憾でございまするが、皆さんも真剣になってやろうと思ったその熱意で帰ってからも尽力されたことであろうかと思います。 なぜこういうふうになってきたかということについては、実はそのいきさつを私は、つまびらかにしておりません。いろいろまた事務当局から必要があれば補足の説明をさせていただきたい、こう思います。いろんな事情があったのかと思いますが、それも十分ひとつ洗ってみて、実行可能な範囲で、先ほど申し上げましたように、できることはできるだけのことを私は誠心誠意やりたい、こう考えている次第です。 なお、石原前長官が言われた、財団法人をつくってそれでやりたいというお話、これは私も石原前長官からお聞きいたしました。ただ、最初は胎児性の方々に対するものとしてその話を進めていったところが、さらに広く若い連中も含めてやってもらいたいのだというお話がその後出てきて、それではなかなか財団法人だけでカバーし切れないのじゃないか。そうしてみれば、三全総による地域開発の一環として、これは当時そのお話が国土庁長官との間にも出たそうでございますけれども、その一環として考えていきたいということに考えが変わってきた、その話もしたということでございました。なお、しかしながら、自分の言明しないのもあるので、そういうふうに変わってはきたけれども、自分の方としてもひとつ議員連盟等もつくって、この問題のために違った形ではあるけれどもがんばりたい、それについてひとつぜひまた環境庁としても力をかしてもらいたいというお話がございました。十分そういう点の成り行きを見、問題解決に少しでも寄与するように私もできるだけのお手伝いをしたい、こういう考えでございます。
○馬場(昇)委員 もう時間が来ましたから、最後に一言。 長官、尽力してきただろうと言われるけれども、尽力してないのですよ。だからこうなったのですよ。そこのところをきちんと押さえていただきたいし、だから私はあなたに尽力しなさいとまた言っているのです。しかし、いま出ている法律のここをこう修正せい、あそこをこう修正せいということはきょう求めていないのです。だから、あなたに最後に確認したいのは、多くの人々が、政府の関係者が言われた約束を、全部が全部と言うとなんですけれども、原則として約束を守ります。そしてそのあかしとして、石原さんも約束されました二次計画というものを検討する姿勢があるかどうか簡単に答えてください、これで終わりますから。
○山田国務大臣 もう私も先ほど申し上げましたとおり、目的達成のためにいろいろこの点尽力もしますし、ひとつ検討させていただきたいと思います。
○馬場(昇)委員 二次計画を検討しますか、それを答えてもらいたい。これは石原さんは治療面等を含めて二次計画を検討すると言ったでしょう。
○山田国務大臣 現在の設置法は御承知のとおりでございます。二次計画の問題については、今後の問題といたしましてひとつ検討させていただきたい、こう思います。
○馬場(昇)委員 終わります。
○始関委員長 次回は、来る二十一日火曜日午前十時理事会、十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時三十八分散会