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84回国会衆議院1978/06/08

地方行政委員会 第25号

発言数
103
登壇者
18
会派数
4
開催日
1978/06/08

会議録

木村武千代自由民主党

○木村委員長 これより会議を開きます。  地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田一郎君。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 それでは、きょうは一点だけ質問したいと思います。  TVガイドという週刊誌がございます。これは四月二十八日付の本を持ってまいりましたけれども、この中にこういうのが出ておりましたので、ちょっと読み上げてみます。「ポルノ映画二本がノーカットで放送」と、こうなっておりまして、「本誌既報の日本テレビが購入したポルノ映画「マダム・クロード」と「リップ・スティック」は、ともにノーカットで放送されることになった。「マダム——」は政財界の大物を相手にした売春婦の物語で、一昨年劇場で公開された時、中学生以下が入場禁止になった作品。一方、「リップ——」も、主演のマーゴ・ヘミングウエーが暴行されるシーンがセンセーショナルな話題を呼んだ。放送するにあたって、日本テレビでは、カットするかどうかの検討を続けていたが、「テレビコードをチェックする考査課が問題はないというので、カットはしません」という。なお放送は、十月以降の「水曜ロードショー」が予定されている。」こういう記事が出ております。  これを読みますと、テレビに、劇場では未成年者は入場禁止になった映画がそのまま放映されるという記事なんです。これは一般市民としては非常に迷惑じゃないだろうか。私も子供二人おりますけれども、非常にこういう問題は困る。私もいろいろな方に相談をしました。こういう記事が出ているんだけれども、あなたどう思いますかと。ずいぶんな方に会いましたけれども、特に女性なんかは、それは困ると異口同音に言っているのですね。これはポルノが悪いのどうのということを現在議論しておるわけではございません。ポルノ映画を見たい方は映画館に行けば見れるのですから。しかし、それをノーカットのまま——このノーカットというのは、映倫の方のノーカットではなくて、劇場で上映されたものそのままという意味のノーカットだと私は思いますけれども、しかし、それでもこれは大変な問題ではないかと思うのです。  そういうことで、本日はこれを取り上げてみました。警察庁と文部省の方と、それから総理府の青少年対策本部の方をお呼びしておりますけれども、ひとつまず文部省の方から、こういう問題は青少年に対してどうかということをお話し願いたいと思います。

柴沼晉文部省社会教育局青少年教育課長

○柴沼説明員 お答え申し上げます。  一般に青少年の非行の原因としましては、各種の要因が複雑に絡み合っておりまして、一概には言えないわけでございますけれども、テレビのいわゆる俗悪番組とか、あるいは自動販売機によるポルノ雑誌の販売などというようなことが一つの原因をなしているように思われて、かねてから憂慮をいたしております。特に、今日テレビは国民の生活に深く浸透しておりまして、いわゆる俗悪番組等が青少年に及ぼす悪影響はきわめて大きいものがあると考えております。その意味で、いわゆるポルノ映画が心身の発達段階の途上にある青少年に対して、また、青少年の視聴しやすい時間帯にテレビで放送されることは問題であると考えております。  ただ、文部省といたしましては、テレビ番組の内容について直接放送局や放送関係団体を指導し得る立場にはございませんものですから、この問題につきましては、総理府の青少年対策本部を初めいろいろ関係省庁と緊密な連絡をとっておりまして、主として次のような三つの方向から対処していきたいと考えております。  まず第一番目としましては、放送業界による自主的な規制を促していきたい。そのために親や教育関係者を初めとする国民一般のこの問題に対する認識を高めまして、その世論を盛り上げて、それを放送業界に反映させていきたいというのが第一点でございます。  それから第二点としましては、地域社会において青少年を守り育てるべき大人たちが、家庭教育、ことに家庭のしつけの問題などもこういうテレビの視聴について非常に大きな問題があるわけでございまして、そういう家庭教育のあり方について学習したり、あるいは俗悪番組の追放のための地域ぐるみの活動を行ったりすることを奨励促進してまいりたい。地域住民が自主的、自発的に青少年の健全育成に取り組む機運を醸成してまいりたいというのが二番目でございます。  第三番目としましては、青少年自体が有害環境と申しますか、こういうテレビとかあるいは自動販売機によるポルノ雑誌の販売とか、そういうような有害環境の悪影響を受けない健全な心身の持ち主となるように、学校教育、社会教育、家庭教育と各分野にわたって積極的に青少年の健全育成を推進していく。このようなことで文部省では現在各種の施策を講じておりますけれども、今後そのより一層の充実に努めてまいりたい、そのように考えております。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 それでは、総理府の方はどうでしょうか。

石瀬博青少年対策本部参事官

○石瀬説明員 御指摘のありました「マダム・クロード」等につきましては、映倫管理委員会におきまして、私どもR指定映画と言っておるわけでございますが、中学生以下の者については観覧させないという形の映画でございますが、そういう映画がテレビ放映されるということにつきましては、青少年に対する配慮が十分でないのではないかと私どもも考えております。従前こういった問題につきましては、いま文部省の方からお答えがございましたように関係する省庁がたくさんございますので、そういったところとも私ども連絡をとっておりますし、それから、私どもの関係しております団体に青少年育成国民会議という団体がございまして、会長が茅誠司さんでございますけれども、毎年定期的にマスコミ関係業界の方々をお呼びいたしまして、目に余るテレビあるいは映画、さらには出版物、そういったものにつきましての自粛をお願いしておるということでございます。定例的にそういうことをやっておりますほかに、いまほどのような問題がありました場合には、個別に国民会議の方とも連絡をとりながら、テレビ会社とかあるいは出版会社とか映画会社の方へ自粛の申し入れをしておる、こういうことでございまして、今後ともそういう努力を続けてまいりたいと考えております。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 それじゃ警察庁の方でこういう問題についてはどのようにお考えか、またどのような手をお打ちになるかということをひとつ御説明願いたいと思います。

森永正比古警察庁刑事局保安部長

○森永政府委員 お答えいたします。  ただいま先生御指摘になりましたポルノ映画をテレビで放映するという問題につきましては、TVガイドで承知をいたしておるところでございますが、出版物とかテレビあるいは映画というようなものが青少年にいろいろの影響をするということについては、文部省と同じような見解をとっておるわけでございますが、特に今回放映されると報道されておるものは、そのうち一本がR指定になっておるわけでございます。これは御承知のように、映倫が中学生以下の少年に見せることは好ましくないと判断したものでございます。このようなものは映画館であればいろいろの規制ができますけれども、これを一般にだれでも見えるテレビで放映するということについては大変問題であろうと思うわけでございます。したがいまして、私どもといたしましては、これはTVガイドだけで承知しているわけでございますから、本当にこれを放映するのかどうか、これをまず確認する必要があろう、確認した上でその内容を十分に検討いたしまして、これが刑法違反になるということであればそのような手続もしなければいけませんし、これが法律違反にならないということであっても、青少年の育成の上で好ましくないということであれば、関係機関あるいは団体等とも十分に協議をいたしまして、必要によっては申し入れをする、あるいはこのような各種団体に対して問題の提起をしていく、こういうような考えでございます。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 三省の方の御答弁を聞きましたけれども、私たち家庭の子供の親が感じるほどの緊迫感ははっきり言ってとても受け取れないのです。  まず聞きますけれども、総理府の石瀬参事官、ポルノ映画をごらんになったことがありますか。

石瀬博青少年対策本部参事官

○石瀬説明員 私も仕事の関係でときどき見ることがございます。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 ごらんになっておわかりになると思いますけれども、いわゆる秘所そのものは隠しているかもわからない。しかし、その行為たるや、また映っている映像というものは完全に性行為をあらわすことがずいぶんあります。そういうものはポルノ映画の劇場で上映しているわけですから、それはそれでいい。しかも未成年は入ってこない。しかしそういう鮮烈な映像が家庭に映って、これは関係省庁と相談したいとかまた申し入れしたいとか、そういうものでいいかどうかということが私たちは問題だと思うのです。  それで、日本民間放送連盟放送基準というのがいまあるのですけれども、この中の「性」というところを見ますと「性に関しては、家庭の聴取者特に青少年を考慮し、品位を重んじて露骨な表現を避ける。」それから「芸術的作品でも、官能的刺激を与えるようなものは取り扱いに注意する。」「性犯罪、変態性欲などの取り扱いは特に注意する。」それから「性心理に関する描写または表現は、性に未成熟な聴取者を考慮して慎重に取り扱う。」「性衛生や性病に関することがらは、医学・衛生上必要な場合のほかは取り扱わない。」とここに出ております。それから「児童」というどころを見ますと、これは児童向け番組の規制なんですけれども、しかし考えてみまして、児童向け番組だから児童だけが見るとか、そういう限定は家庭内ではできないと思うのです。子供たちは、大人番組でも幾らでも見られるわけです。しかし、その児童向け番組の規制の中には「制作に当たっては、特に良い習慣・責任感・正しい勇気などの精神を尊重し、これを傷つけないように配慮する。」それから「暴力や悪徳行為などの場面を取り扱うときは、特に慎重にする。」とここに出ております。それから「児童にふさわしくない好奇心や、冒険心を起こさせないように注意する。」それから「児童の品性をそこなうような言葉や下品な表現は避ける。」こういうふうに非常に子供たちを包んで表現しておるわけでございますが、子供たちはそれだけ見るということはわからないわけです。大人の番組だって見られるわけですから。そういう点に関しまして、ただ申し入れをするだけでいいかどうかということは私は非常に疑問なんです。いままで申し入れをされて、そしてそれを無視された例があったかどうかということを、どなたでもいいからひとつお答え願いたい。

石瀬博青少年対策本部参事官

○石瀬説明員 最近の例を二つばかり申し上げてみたいと思うわけでございますけれども、昨年五月十五日に「エマニエル夫人」というのがテレビ放映されたことがございます。これにつきましては、映画が輸入された時点ではまだR指定制度というのがない時代だったものでございますから、映倫管理委員会の方では、一般映画といたしまして各映画館で上映された、こういうことでございますけれども、私ども関係しております青少年保護育成条例というのが各都道府県にございまして、そういった条例で有害指定をした県もある、こういうことがございました。そういうことで、各府県の方から、何とか中央の方でこれをテレビ放映しないようにしていただけないか、こういう話もございまして、先ほどもちょっと申し上げましたように、青少年育成国民会議というところと連絡をとりまして、青少年育成国民会議を通じましてテレビ会社の方へ自粛の申し入れをいたしましたところ、十数カ所をカットしまして、差しさわりのない形で放映をしているということが一つございます。  それから本年五月八日に、同じく「グレートハンティング」という映画が放映されております。これはR指定の映画ということで、中学生以下の者については映画館では見てはいけないというような種類の映画でございますが、これにつきましても一部の県で有害指定をしたという経緯もございまして、私ども、国民会議とも連絡をとりながらテレビ会社の方へ自粛の申し入れをしている、こういうことでございます。今後も同じような形でやっていきたいと考えております。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 その「グレートハンティング」は、申し入れをしてその結果はどうだったのですか。

石瀬博青少年対策本部参事官

○石瀬説明員 「グレートハンティング」につきましては私自身が見ておりますけれども、やはりライオンが人を食うような場面等もございまして、必ずしも自粛の申し入れがそのまま生かされているというような形ではないように感じております。  ただ、解説者が非常にその点くどくどしい解説をしておりまして、できるだけ差しさわりのないような形で見ていただきたいというふうなことを申していたのを記憶しております。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 解説者が幾ら解説したところで、画面に出ていればもうどうしようもありませんし、ここでいま私が読み上げましたこの記事の中のものは、これはもう警察も文部省も総理府もひとつ申し入れをしていただいて、何とか健全な形で放映をしてもらうような措置を願いたいと思うのですが、それでは、自粛を申し入れした、本当に皆さん方がおっしゃるような有害な方向じゃないようにいくかどうかという確証の問題なんです。いまのような「グレートハンティング」の例もありますから、その点はどうでしょうか。しかも、これは法律事項ではございませんから、向こうが、いや、われわれの良識の上でやりますと言えば、それでおしまいになってしまう。しかし、先ほど三者の方がお述べになりましたように、青少年の育成に対しては非常に害があるということがはっきりしているのですから、皆さん方の方はこれはやむを得ないで済まされる問題じゃないと思うのです。ですから、こういうものを申し入れしたということをたとえばPTAの方に流すとか、ひとつマスコミを使って大きな宣伝をするとか、そういう形で、こういうものと対抗したような形で、こちらもやはり言論の自由があるのですから、向こうもそうかもわからない、言論、表現の自由がありますけれども、しかし、青少年を健全に育成していきたいという立場に立ったときには、そういうこともひとつ必要ではないだろうか。ただ、申し入れしました、それだけではもうどうしようもない、聞かなければ何にもならない。しかも、恐らく保安部長だって、お子様はもうちょっとお年をおとりになっちゃったか、お孫さんはちょっと小さいかもわからない。柴沼さんなんかどうですか、ちょうどそのぐらいの息子さんがいるのじゃないですか。

柴沼晉文部省社会教育局青少年教育課長

○柴沼説明員 私のところには小学校三年生の息子がおります。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 その三年生の息子さんがこれをごらんになって、ノーカットのまま放映された、あなたがお仕事で家へ帰ってこなかった、奥さんもどこかへ行っていた、息子さん一人だけ留守番しておった、それで見た。そういうときの親の感情はどうですか、喜ばしいと思いますか、それを言ってください。

柴沼晉文部省社会教育局青少年教育課長

○柴沼説明員 私、この映画の内容を見ておりませんのでわかりませんけれども、いわば私個人ということではなくて、一般的に家庭のしつけというものが大切ではないかと思っております。また、そういう意味で個人的な話を申し上げると恐縮でございますが、そういういわゆるポルノ映画と言われているものの内容は存じませんけれども、そういうものは見せたくないし、見せないつもりでおります。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 柴沼さんのところはすばらしい家庭のしつけがあるらしくて、子供さんたちはおのずからそういうものは回さないということですね。それはありますよ。しかし、好奇心の強い子供たちなんです。ですから、親は自分の子供たちを信用しているかわからぬけれども、それはどうなるかわからぬ。しかも、内容をごらんになっていないということをいまおっしゃいましたけれども、大体ポルノ映画をあなたはごらんになったことがあるのですか。洋物も日本物もポルノ映画そのものをごらんになったことがあるかどうか。私はそれがいけないと言っているわけじゃございません。しかし、そういう意味ではなくて、それをごらんになったことがあるかどうか。その内容を私、知らないからというような、そんな簡単なことで済むかどうかということです。ちょっと答えてください。

柴沼晉文部省社会教育局青少年教育課長

○柴沼説明員 ポルノ映画の定義というものがどういうものか、私も明確には存じませんけれども、これはいろいろあるかと思いますけれども、海外などへ出張した折に、青少年の健全育成対策がどうなっておるかというようなことでいろいろ見て回ったことがございます。そしてまた、そういう意味でこれがポルノ映画と言えるのかどうかわかりませんけれども、「ラストタンゴ・イン・パリ」なんというのをホノルルでノーカット版で見たこともございます。  いずれにしても、私どもとしては、基本的には放送局に自主規制をしていただかなければならない問題ですけれども、やはり家庭で見せないという態度を持っていただくようなあり方というものが非常に大きなことではないかと考えて、またそういう意味で、先生あるいは迂遠にお考えになられるかもしれませんけれども、一つは地域ぐるみの活動を盛り上げて、放送局の自主規制を促すとともに、家庭教育のあり方についていろいろ施策を進めてまいる、それと同時に、そういうものを見ないような青少年の健全育成というのを学校教育、社会教育、家庭教育にわたって進めていく、そういうことで施策を進めてまいりたい、そういうふうに考えております。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 私はどうもあなたの言うことはわからないのです。家庭のしつけだ、それはそうかもわかりませんよ。もしあなたのしつけがよければそういう有害なものは見ないという考えだと思うのですが、では、それがわかっているなら最初から有害なものは流さない方がいいのじゃないですか。しかも、これは映画館では規制しているんだ、そこに私は問題があると思うのです。だから、どうしても流したいと言うなら、家庭の子供たちの中に入っていってもいいようにカットしていただいて、無害なものにして、それから流す、それが必要じゃないか。それでなければ映画館だって中学生以下にどんどん見せたっていいのですから。映画館ではそれを見せないんだ。そういうものを家庭に持っていくことは矛盾していると私は思うのです。あなたは自分のところがしつけがいいものだから、そうおっしゃる、そういう考えはまずいです。両親が共かせぎのところもあるのですよ。見てはいけませんよと言えば、なおさら見たくなるのが子供たちの心理じゃないですか。どんな優等生だってやはりそこまではできません。未成年がたばこを吸ってはいかぬぞ、それはわかりますよ、しかし親のいないところで吸っている者がずいぶんいるのですから。しつけのいい子供だって吸っているのもいますよ。  そういうことを考えますと、やはり大人の、特に行政に携わる皆さん方がもう少し強気で、しかも世論に訴えて、そうして自粛をお願いしていくとか、そういう形で対処していただきたい、このように思うのです。どうですか。家庭にばかり押しつけないでひとつお願いしたいのです。

柴沼晉文部省社会教育局青少年教育課長

○柴沼説明員 こういう映画が放映されるということは、先ほど申し上げましたように、私どもとしては、一つは内容もさることながら、その時間帯の問題もあるかと思いますし、そういう意味で放送局の自主規制を促してまいりたいと考えますし、それからいま先生からお話しいただきましたように、やはり地域ぐるみの活動とか、そういうものも非常に大切なことではないかと思っておりますし、そういう意味で地域ぐるみの活動、私ども具体的には、たとえばPTAの地域活動促進とか、あるいはまた青少年が地域の活動に携わっていく、もう少し地域の歴史を学習したりあるいは奉仕活動に携わったりとか、あるいはまた青少年団体に加入したりとか、そういうような形で健全育成を図っていきたい、そういうふうに考えております。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 では保安部長に聞きますけれども、大体青少年対策本部の方からこれは申し入れしてもらうのだと思いますけれども、警察の方は、もしそれが流れるというおそれがあった場合には、やはりその方に任したきりで、あとは何もやりませんか。

森永正比古警察庁刑事局保安部長

○森永政府委員 警察といたしましては、先ほども申し上げましたように、刑法に触れるようなことであればそのような手続をいたします。そうでなくても、青少年に有害なものであるということであれば、申し入れなりあるいは関係団体の方に問題提起等をやるということで来ているわけでございますが、これは過去におきまして、昨年一年間で警視庁で三件申し入れをやっております。これについてはそれぞれ内容を修整するとかあるいは自粛するとかいうような措置をとってもらっておるわけでございます。今回の問題につきましても、これは先ほど申し上げましたように、十分に内容等も検討いたしまして、必要であれば関係機関と連絡をとりながら、国民会議の方にお任せするということではなくて、警察独自としても必要であれば警告をし、あるいは申し入れ等をやっていかなければいけないのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 では、石瀬さんにお伺いしますが、親たちは毎日毎日テレビの番組を見ているわけじゃないのですよ。ですから、これは見ちゃいけませんよなんということは言えないわけです。しかも、こういうのを読んでいる人はわかりますが、ほとんど読んでいませんから、こういう申し入れをしたということ、またこういうおそれがあるというようなことは、PTAの連合会へ流すとか、また総理府の広報に出すとかいう形で世論に訴えるとか、もう少し積極的な世論への訴え方はできないものでしょうか。そういうことで青少年の非行化を防いでいきたい、こういうことはどうですか。

石瀬博青少年対策本部参事官

○石瀬説明員 先ほど、ここ一、二年間のうちに国民会議を通じて業界の方へ二件の申し入れをしたという御説明を申し上げたわけでございますが、そのことにつきましては、私どもの方から各都道府県の方へ連絡をいたしておりますし、国民会議の方でも、各都道府県民会議というのがございまして、そちらの方へ連絡をしております。  ただ、おっしゃいますように、PTAの連合会とか、そういうやや周辺の広い関係団体のところまでは連絡しておりませんので、今後は御指摘の点も十分踏まえながら、そういったことがわれわれの努力で行われておるということをできるだけ幅広く知らしめるような努力をしていきたいと思っております。

和田一郎公明党・国民会議

○和田(一)委員 都道府県に流してもらっても、都道府県の方から出てこないわけですよね、個々の家庭の問題でございますから。ですから、都道府県に流したら流したで、それをどうするかという具体的な問題、これが必要です。  それから先ほどもおっしゃいましたけれども、世論を盛り上げるというようなこともございますね。確かに世論を盛り上げる、それから地域ごとの何かそういうのをやる、しかし、すべてこういうものは具体的でなきゃ何にもならないのですよ。抽象的な施策じゃ何にもならない。だから、こういう映画はこうだ、こういう映画はこうしたぞという具体的なものがなければ、われわれ一般人はわからない。そういう点で、総理府の方ももう少し真剣に考えていただきたい。  こんなことを言うと、それはおまえの主観だとおっしゃられるようなマスコミの方もおられるかもしれませんけれども、現在のテレビでも、これはせがれに見せたくないなというのがずいぶんあるわけです。それは私の考えかもしれませんよ、そんなことはないんだ、おまえの頭が古いんだと言われればそれまでですけれども、しかし、一般の人は大体同じようなことを思っているのですよ。ですから、庶民に愛されるテレビでございますので、どうか青少年の育成のためにも健全な形で親しまれていくように、それから親たちが安心できるように、ひとつ今後とも青少年対策本部の御奮闘をお願いしたいと私は思うのです。ひとつ積極的にやっていってもらいたい。都道府県がそれをどうそしゃくして、どう県民に流すかということも考えてもらいたいのですよ。  それから警察の方は、それほど強い姿勢はまずいでしょうけれども、しかし、全力を挙げてそういう面でもお願いしたいと思います。  それから文部省の方は、とにかくそちらが子供さんを預かっておる責任者なんですからね。先ほど三つ申されました、世論を盛り上げる、それから家庭教育——それはそうでしょう、それからテレビの自主規制の問題。世論を盛り上げる、家庭教育、それはわかりますけれども、いずれにしても、そういう不健全なものは、よくわかっている大人が何も与えなければ一番いいのですよ。  そういうことで、ひとつ今後とも本気になって取り組んでいただくことを心から要望しまして、本日の質問を終わります。

木村武千代自由民主党

○木村委員長 午後一時より再開することとし、休憩いたします。     午前十一時四分休憩      ————◇—————     午後一時四分開議

木村武千代自由民主党

○木村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  地方自治、地方財政、警察及び消防に関する件について質疑を続行いたします。渡部一郎君。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 当委員会の貴重なお時間を拝借させていただきまして、公営バス事業に対する今後の方針についてお伺いしたいと存じます。  昭和五十一年度決算によれば公営バス事業は軒並み赤字であり、三十九団体中三十八団体が赤字であり、しかもその金額が例年累増するばかりである旨が報告されております。特に私の選挙区は神戸市でございまして、つとにこの問題については大きな関心を寄せてきたところでございますが、余りにも全国的な状況が悪化しつつありまするため、これに対して抜本的な対策が必要ではないかと考えるに至りましたので、政府の基本的な御方針を改めて伺いたいと存じます。  世界的にも都市バスはことごとく赤字であり、こうした状況を勘案されまして、昭和五十三年二月三日に都市交通整備調査会、松隈会長、元大蔵事務次官から提出されました御提案によりますると、次の四点、すなわち一つは、資本費——減価償却費と利子の全額の公共負担、二つは、企業の負担に帰すべきでない学生割引と老人パスの公共負担の実施、三つ目は、企業として採算に乗らないが行政的要請により運行している行政路線などの公共負担の検討、四、新しい財政再建計画の策定実施など数々の提案が行われているわけであります。  欧米諸国の例をとりましても、公共助成の拡大による公営バスの維持存続について各種のやり方が提案されているように思うのであります。私は、公営バスは市民の足としてあくまでも存続し、一方経営努力が必要であり、かつ相当の努力をしなければならないことは認めるといたしましても、世界的な傾向として都市公共交通の経営悪化という背景があることを踏んまえまして、わが国の公営バス事業に対する対策というものが樹立されなければいけないのではないかと考えるわけであります。このような立場からわが国の公営バス事業の将来をどう考えていかれるか、まずお伺いしたいと存じます  欧米諸国の例を見れば、モータリゼーションの進行に伴い経営環境が悪化し、公共交通は経営難に落ち込んでいるという状況になっておりまするけれども、わが国としてはどうだろうか、特に公共交通事業を取り巻く経営環境の悪化、それに対する改善策は見通しがあるのかないのか、その辺からまずお伺いしたいど存じます。

砂子田隆自治大臣官房審議官

○砂子田政府委員 公営バスの状況につきましては、ただいまお話がございましたが、それぞれ各都市でいろいろ異なるものがございます。ただ、大別いたしまして大都市におきますところの公営バスの事業というのは、御案内のとおり、地下鉄でありますとか国鉄でありますとかというような大量輸送機関の補助的な、補完的な役割りを果たしていることは事実でございまして、そういう意味からのバス事業の将来が非常に大事であることも事実であります。地方都市におきましてはもう御案内のとおりでありまして、公営バスとともに民営バス自身が唯一の公共的な輸送機関でもありますから、これをやはり育成をしていくということは大変大事なことだと思っております。  いずれにいたしましても、今後とも大都市におきましては地下鉄の整備状況、そういうものも考えながら、地方におきましては都市の発展の段階などを考えながら交通事情というものの変化に対応いたしまして、バスの編成なりあるいは経営の合理化なり環境の整備、そういうことをしながら公共機関としての役割りを果たしていくべきだというふうに考えております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 現行制度のままにおきまして事業者の企業努力によって健全経営が実現されるよう数々の指導が今日まで行われてきたところは認めるところでございますけれども、それで本当にうまくいくのかどうか、実現の見通しがあるのかどうか、現在どういう考えでおられるかをお伺いしたいと存じます。

砂子田隆自治大臣官房審議官

○砂子田政府委員 ただいまお話がございましたように、公営バスの事業というのは大変苦しゅうございます。昭和五十一年度の末の決算統計を見てみましても、千二百六十五億に上ります不良債務を発生させておりまして、その経営状況はきわめて厳しいものであることは事実でございます。そこで、政府といたしましても、昭和四十八年度から御案内のとおり地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律をつくりまして財政再建の措置を講じてまいったのでありますが、この再建の緒に当たりまして石油ショックがございまして、そのためにせっかくの再建の対策が若干おくれぎみであることもまた事実であります。そのために昭和五十一年度末におきましては、この再建団体のバス事業だけを考えてみましても、七百五十億の新たな不良債務が発生することになりました。ただ、これはいろいろな意味で、公共団体の御努力によりまして、何とかこの不良債務の縮小に努めるという見地から、それぞれの立場での効率化なりあるいは環境整備なり努力いたしました結果、五十二年度末では約四百億になる見込みでございます。今後とも計画的に不良債務というものを縮小していきますならば、いま問題になっておりますこのバス事業もある程度の再建のめどが立つのではなかろうかというふうに考えております。もちろん、この再建交通以外の問題につきましても、自主的な経営健全化計画をつくってそれぞれ努力をいたしておるわけでありますが、この法律がある間、しばらくの間、この法律に基づきまして私たちも努力をいたしますが、公共団体側の努力をも期待しながら、この再建がうまくいきますように今後とも努力をいたしていきたいと存じております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 経営がかくも困難を感じてまいりますと、大都市の中ではもうすでに冗談のように言われておりますけれども、バスがなければ何とかなるのだ、できれば大都市における公営バスというのをやめたい、もっと露骨に言えば、地下鉄か何かに振りかえたい、また第三セクターに切りかえてしまいたい、あるいはもう率直に民間に売却したい、そういうような声がしばしば上がっているところであります。こういうように廃止してしまっていいものかどうか、公的一元化という問題が諸外国のバス交通では出ているようでありますが、その辺はどうお考えになるかをお伺いしたい。

砂子田隆自治大臣官房審議官

○砂子田政府委員 いまのままでいいかどうかという問題は確かにあろうと思います。特に、先生おいでの神戸では、最近は風見鶏バスのようなものを開発いたしまして、そういうことによる企業努力ということも現実の問題としてそれぞれの地域においてなされていると私は思います。そういう意味で、先ほど申し上げましたように、公共団体の努力というのは非常に大変なものがあろうと思いますが、いずれにいたしましても、ただ、この交通事業の経営の健全化の促進に関する法律の適用のもとに国が利子補給をいたしますとか、あるいはバスの購入費用を補助いたしますとかいう問題のほかに、一般的にやはりどうしてもバス路線を廃止できないとか、そういう問題もございますし、住民の足を確保するということもおっしゃったように大変大事なことでもございますから、特に運輸省におきましても、過疎地域なりあるいは新住宅地というような形における生活必需路線のある程度の助成も行っておるわけでもあります。そういう中で、やはり公営バス自身にも経済情勢に応じながら最近の経営がよくなったというのも、ある意味では適時適切に料金改定をしたということもございますし、企業環境の整備をしたということもございますので、やはり今後ともそういう努力の継続によって健全経営はある程度成り立っていくだろうというふうに見ております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 公営バス事業に対するいまの御答弁を伺っておりまして、努力する面を非常に高くうたい上げられておりますけれども、実際の現状というのは非常にひどいもので、努力という努力をやり尽くしたところも非常に多いと思います。  そこで、公営バス事業に対する公共負担の増大については、先ほど申しました都市交通整備調査会の提案というのがございますので、それに関連してお伺いさせていただくわけですが、資本費の全額の公共負担とか、あるいは学生割引、老人パス等の公共負担とかを国とその大都市との間で折半負担、五〇%負担という提案が行われておりますが、これに対する当局の考えを聞かせていただけないか。できればそうしていただきたいと私の方は思っているわけでありますが、来年度予算等でこれを盛り込んでいただけないか、どういう見通しでおられるかお伺いしたいと思います。

砂子田隆自治大臣官房審議官

○砂子田政府委員 ただいま都市交通整備調査会がまとめました公営バス事業の経営の安定化方策、第六次提案というのがなされておりまして、その中にお話のような提案がなされているわけであります。  ただ、バス事業の中の一つ、その資本費の全額について国が負担をせいというお話がこの中にあるわけですが、御案内のとおり、資本費というのは減価償却と利子負担ということになっているわけであります。減価償却と利子負担というのは、バス事業では、社屋をつくるというのは最近は余りないようでありますので、一般的にはバスの購入費というものにかかる部分が大変多いだろうと思います。そういう意味で、結局、バスの減価償却なりあるいはそれに伴う起債の利子補給なりというのがその大宗を占めるものだと理解をいたしておりますが、その減価償却の問題につきましては、実は、昭和四十八年にこの再建の法律ができましたときに、バス購入費の補助金の設定をいたしたわけであります。このときのバスの償却の期限をおおむね五年といたしたわけであります。その五年の中で、実はそれぞれの償却に見合う引当金を計上しておくのが、これは通常の経理の状態でございます。そういうことをいたしますと、実はもうそれから五年たちまして、償却としては、すでに引当金がそれだけ、補助をもらうだけのものが積み上がっているはずだという前提になっているわけであります。しかし、そうは言いましても、現実に車の耐用年数が十年にもなったりいろいろするものですから、一応私たちの方も、ことしは実はそういう意味では、五十二年度でバスの補助金はもう五年たっているので打ち切りだという話になっておったわけでありますが、いまお話しのように、バス事業というのが、ある意味では再建の胸突き八丁に来ているということもございまして、五十三年度につきましては、大蔵省とこれもずいぶん折衝して、ともかく延ばしてくれという話をいたしまして、実は五十三年度はぎりぎり補助金をつけてもらったわけであります。そういう意味で、これを五十四年度までいくというのは、先ほど申し上げました理屈の上だけから申しますと、大変むずかしい話になっているわけであります。角度を変えるかなにかしない限りは、これは資本費そのものだという形では大変むずかしいのではなかろうかと思います。  それからもう一つは、学割あるいは老人福祉定期という問題がございますが、これも実はバスだけについての議論だけではなくて、公営バスのみならず、民営バス全体を考えなければいけませんし、はたまた、バスだけではなくて、割引をしているのは国鉄その他もたくさんありまして、その中でバスだけをどういうふうに持っていくか、公営バスだけをその中から取り出してどう持っていくかというのは大変むずかしい問題だと思います。これは所管が運輸省でもありますから、いずれ運輸省御当局でもその問題をお考えいただくことにいたしておると思いますけれども、この問題を直ちに、結構ですと申し上げられないのは大変残念ではございますが、どうもこの問題につきましても、直ちに積極的なお答えをいたしかねる部分がございます。そういうことで、今後ともこの公共負担の問題につきましては、公営なり民営なり、両方のバスの問題を含めながら運輸省ともよくお話をしてみたいとは思っております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 先ほど述べられました四十八年度に作成された第二次再建計画、この後にオイルショックがあって、この策定計画というのが事実上吹き飛んだ形になっておりますが、この五年間には赤字が倍増してしまっておる。これで本当に、この法律を推していくことによって大都市交通というのは再建できるのかどうか、本音のところをお伺いしたい。非常にたてまえ的なところで議論が進みやすいのですが……。  それからまた、この新再建計画を、この際もう五年たったのですから、立て直して、本当に立て直すにはどうしたらいいのだという議論をすべきではないか、こういうことも言えるのではないかと思うのですが、その辺、自治省なり運輸省なりではどういうふうに考えておられるのか、どういうように詰めていこうとされているのか、つまり、新しい法制を準備して対処しなければならぬのか、それとも、具体的な行政指導その他である程度詰められるというふうにやろうとされているのか、その辺のところの本音を伺いたいと思います。

砂子田隆自治大臣官房審議官

○砂子田政府委員 バス事業の将来を見通すというのは、私は大変むずかしい問題の一つであろうとは思います。ただ、先ほど申し上げましたように、各公共団体の努力あるいは国なり地方との協力関係というものがある程度この点に結実をいたしておりまして、不良債務の額も、これは路面とバスと地下鉄等いろいろなものがありますが、ともかく五十一年度末の不良債務というのが九百一億でありましたものが、五十二年度末には六百億まで減少する形になったわけであります。この中で、バス事業の不良債務は七百五十億であったものが約六百億に減ったわけであります。われわれ、いまのこの公共団体の計画を見ておりますと、五十三年度末には四百億にこれが縮小されると見ております。そういう意味で、その中でのバスの不良債務というのは、再建団体だけで百六十五億前後になるだろうと見ておりまして、数字から見ますと、これは公共団体の努力、そういうものと相まちまして非常に縮小していることは事実であります。そういう意味から見ますと、この再建計画期間が実は昭和六十二年まであるものですから、やはりもう少しこの推移を見ておきたいと思いますし、いま直ちに第三次再建ということをやりますよりも、こういうことをみんながやはり努力しながらやって、ある程度いけるんだという力をつけることもまた大変大事なことでもあると思いますので、私たちの方では、この計画をいましばらく見ていきながら全体のバス事業の運営をながめていきたい、かように考えておるわけであります。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 もし、ただいまおっしゃいましたように、再建計画をそのままにして推すんだとすれば、それでもどうしてもはみ出してしまう部分、つまり行政路線などの検討をやっていただかなければならないと思っております。たとえばモータリゼーションの進行によってスピードがダウンする、スピードが遅くなるから旅客が減る、都市の人口がドーナツ化するために片道交通がふえる、だから不当な経費が上がる、こうしたところは公営バスでカバーするしかどうしようもない。他に代替路線を走らそうとしても、民間企業はそれを代替する能力を持ち合わさない。そういうところに手を出さない。マイカーも持たない、バスに頼るしかない、そういう弱い市民層に対してしわ寄せがいくような部分を抱えているわけなんですから、その部分についてこの合理化あるいは再建の縮小計画というのをどんどん推しますと、結局切り捨てられていく。たとえば、私の町の例ばかりで恐縮ですが、山の向こう側に新住宅団地が建つ、そこのところにバスで辛うじて出勤できる一群の方々がおられる。そういうところは、バスの赤字を縮小しようとすると一番先に切られてしまう。いままで一時間に三本あったのが二時間に一本というふうになってしまう。そうすると、実際には住めない町になってしまう。私は都会の中の砂漠、荒野と言っておるのですけれども、そういうことになってくる。その場合に、市民の基本的な福祉というものにどうしようもない打撃を与えてくる。こういういわゆる生活必需路線といいますか、こうしたものについては、地方公営企業法十七条の二の負担区分の明確化の原則から見ても、企業負担ではなく、一般会計負担とすべきではなかろうか、私たちは前々からそういう要望を持っておるのでありますが、その点をどういうふうにお考えになるでしょうか。もちろん、公共負担をどこからどこまでするかきわめてむずかしい問題を含んでおり、線をどこで引くかについて全くむずかしいことはよく理解しております。理解しておりますがゆえによけいに申し上げるわけでありますが、この辺を何とか線を引っ張っていただかないと、これ以上の再建計画の促進が住民の一番弱い層にはね返り過ぎる、それを非常に憂えているものですから、ぜひとも御再考を促したい、こう思っておるわけです。

砂子田隆自治大臣官房審議官

○砂子田政府委員 バス事業というのが、実はいまお話しのように大変苦しい状況にあることは事実でありますが、それ自身、先ほど申し上げておりますように、大変公共的な性格を有していることもこれは事実でございます。  そこで、バス事業が単に赤字だということだけで、路線の廃止をいたしましたり、あるいは変更するということはやるべきことではなかろうと私も思います。やはりバスの路線を廃止するというのは、地下鉄とかその他いろいろな交通事情が整備されたという交通事情の変化に対応した路線の編成であってほしいと思います。神戸市などでは、そういう意味での路線の変更をやったと聞いておりますし、先ほど申し上げましたように、風見鶏バスなどというのをその一環としながら一部ではそういう企業の軽減を図ろうとしたことも事実でございます。ただ、私たちは、そういう意味におきまして、単に廃止をするなと言うだけでは事足りないと思いますので、どうしても住民の足を確保しなければいかぬ。しかし、それはとても採算に合わないだろうという路線が当然出てまいるわけでもありますから、そういうところを少し行政路線として何とかてこ入れできないだろうかということをいま実は内々検討いたしている段階であります。これはいましばらくの間時間をかしていただきたいのでありますが、その間にこの行政路線の問題についてある程度の決着をつけたい、それによって住民の足を確保するということについての方針を打ち出したいと思っております。  ただ、この問題は、私たち公営バスだけの問題ではございませんで、やはり民営のバスも一緒になってやらなければならぬ問題にもなってくるだろうと思います。それぞれの路線系統があるわけでして、これが全部カバーしているわけではありませんので、民営のバスについても同様のことが考えられなければいかぬだろうという気もいたしますので、そういう点を、私たちの方である程度の結論が出次第、交通関係の所管をいたしております運輸省とも相談しながら、これが前向きにうまくできますように今後とも検討していきたいとは存じております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 いま大変有力な御返事をいただいて大いに愁眉を開いておるわけですが、いま御検討中のものですから何とも言いかねますが、その行政路線に対する見解なり一応の意向なりはいつごろ表明していただけるんでしょうか。もちろん、それに伴う予算措置、法律的な新しい解釈あるいは行政指導とがパッケージになって出てこられるとは思いますけれども、どの辺で見通しがつくものと理解すればよろしゅうございますか。

砂子田隆自治大臣官房審議官

○砂子田政府委員 いま行政路線の問題を検討いたしておりますのは、私のところと、それから企業の管理者の代表と都市交通の組合の方々に集まっていただいて実は検討いたしているところであります。この結論は、いまこれから各分野におけるそれぞれがどういうことを考えているかという意見を持ち寄ることになっておりまして、この次には都市交通の方がある程度の自分たちの考え方を提起することになっております。そういうものを見ながら、私たちの方の考え、企業者の方の考え、そういうものもあわせながら総体的な議論をみんなでしなければいかぬと思いますので、どうもその期限、いつまでに間に合うかという話になりますと大変むずかしい問題でございますが、私たちも鋭意努力はいたしますので、いつまでという期限につきましてはどうもはっきり申し上げられませんが、なるべく早い時期に結論を出すように努力をしたいと思っております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 この問題につきましては、私が言うまでもなく、行政路線に対する公共負担制度の実現につきましては、地方公営交通事業の経営健全化法の第二次再建計画の発足に当たって、衆議院の附帯決議四十八年六月二十六日及び参議院の附帯決議四十八年七月十一日がございますし、この実現は当然全力を挙げてやっていただかなければいけないと思います。いまそういう姿勢を示されているんですから、これは何とか早く、しかも実りのある実現をしていただきたいと重ねてお願いするわけでございますが、審議官にここまで答弁していただきましたから、これは大臣にひとつ確たる政治的御配慮のこもった御返事をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

加藤武徳自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官・労働大臣臨時代理

○加藤国務大臣 都市バスが非常に厳しい環境下に置かれておりますことは御指摘のとおりでございますし、また第一次の再建計画で目的を達成し得ず、第二次の計画を持っていることは御承知のとおりでございまして、そして企業者の努力と相まちまして漸次その不良債務の減少を見つつあるのでありますけれども、しかしこれはマクロ的に見てそうである、かような数字を審議官が示したのでありまして、個々の企業におきましては大変な苦労をいたしております。  そこで、これを切り抜けてまいりますには、企業みずからが努力をいたしてまいらなければならぬこと、たとえば適切な料金改定等もございましょうし、また合理化をなし得ます面ではさらに合理化を進めていかなければならぬ。このことと相まちまして、政府におきましても最大の配慮をいたしまして、いま説明がございましたように、たとえば新住宅団地等への助成でありますどか、あるいはバス購入費の助成等の措置があるのでありますけれども、しかし、さらに、いま御指摘のありました生活路線等につきましては、もっともっとこの考え方を徹底していかなければならぬ、かような気持ちを強く持っておるのでございまして、そして、経営研究会等で御発表になられましたことも私どものいい参考になるのでありますから、さようなことを参考にいたしながら努力をしてまいりたい、かように考えております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 公営バスの健全化のためには、適正な料金、企業努力、公共助成、こんな柱が必要だということは常に言われていることです。  そこで、その中で言いにくいことでみんなが議論を避けている問題があります。それは明らかに人件費の問題で、民営バスとの比較論というものがかなり政府側の資料にも出てまいりますし、五十一年ですか、これでは一・七七倍である、こういうすごい数字が出ております。公営バスと民営バスを比べますと、民営が地方バスが多く、公営が都市バスが多く、都市における賃金体系と地方における賃金体系の開きがあるという部分は考慮しなきゃいけないし、それを一・七七倍という言い方で統計をとりますとちょっと不穏当ではないかという面があると存じます。しかし、運輸業という特定業種において、民営並みの人件費をそのまま公営に押しつけるというやり方がいくかどうか。また、いままで数次にわたる労働組合と地方公共団体との交渉の結果そうなってきたというものを一遍に切り下げるということも、それはむずかしい点も多々あるだろうと思うのです。したがって、この料金負担について、企業努力についていろいろなことが行われて、結局、人件費の問題が生に表面に出てくる。表面上の議論には出てこないけれども、労務賃金を何とかならないかという形で問題が提起され、どうしようもないというところへ落ち込んできて、話がまたとんざしてしまうというようなことを繰り返しているように見えるわけであります。  この問題についてどういう態度でいかれるのか。もうこの際、公営バスについては、人件費を民間並みに圧迫して、給与単価が高過ぎる、これは減らせという方向で政府はいこうとしておられるのか、それはそれとして十分認めるから、この部分についてはこういうふうに考えていこうという方針でいかれるのかが余り明瞭でないように私は思います。政府の資料を見ますと、やむなく高い賃金でなければならぬという部分を無視しちゃって、ただ人件費としては、一・七七倍というようなやり方で単価を勘定して、企業努力が足りぬというふうに締めつけるということは余りいい結論を招かないのではないか。その点をどういう基本方針で考えていこうとされているのか、御答弁をいただきたいと思います。

砂子田隆自治大臣官房審議官

○砂子田政府委員 バス事業に従事している職員の給与問題に関しましては、この委員会でも前々から御質問がございまして、大臣の方からも、他の公務員との給与の均衡を失しないように定めるべきだ、それについてはそのとおりですというお答えを申し上げているわけでもあります。  バス事業に従事している職員の給与が一・七七倍というのは、実は表定速度を加味しない比率なのでありますけれども、それを表定速度が七割ぐらいだということを前提にして考えてみましても、民営の方よりも公営の方が二一%一般の運転手では高い、事務職員では四七%ぐらい高いという形の数字は運輸省の統計で出ているわけであります。  ただ、この給与単価の問題につきまして、全職種にわたって民営より高いのは事実でありますから、その比率のいろいろなものをどういう形の中で企業努力の中に吸収をしていくかということが大事ですし、現に、バス事業にかかわっている料金というのは一律ではなくて、非常に低いところは六十円のところから、高いところは百十円まであるわけでありますから、それぞれの地域における適合性に従って料金が決定されているものだというふうに理解をいたしております。そういう中で給与が決められているわけでありますから、その給与がその地方における他の公務員との均衡を失するということのないように決めていただければ、私はそれでよいのだと思います。  ただ、一般的に高い理由の一つといたしましては、行政職の給与表の第一表というのがございまして、これを適用している職員が多いからだということはうなずけると思います。そういう意味で、なるべく早く全体的な給与というのが他の公務員との比較においてうまくとれますようにやはり努力をしていくことが大変大事だと思いますし、企業努力によってそういう料金の高さというのが吸収されていくという努力がやはりなされてしかるべきではなかろうか、そういう指導をいたしておるわけであります。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 これは文書を見ましても、私はこの大都市交通の資料を丁寧に見たのは最近ですから、非常に微妙な言い回しが次から次へと労務問題については、賃金問題について続いておるので、私、よくわからない点がある。いまのお話も、こう丁寧におっしゃっていただいたらわかるのですけれども、要するに大都市の交通の方では労務賃金が上がらざるを得ない状況がある。都市と地方との格差がまずある。そして、他の公務員との比較というものがあるから、どうしてもほかの公務員と同じように上がっているという状況がある。こういう事情があるから、ある程度は高いのだ。だから、いまはこの程度でよいとするのか。いまおっしゃっている言葉の後半には、いや、だけれども、第一表とやらを使って、その中でも少し高過ぎるんじゃないかというようなニュアンスもおっしゃっているようにも聞こえるのですね。だから、いまのままで人件費についてはよいとするのか、それとも、もっと大幅に下げていこうと指導されようとしているのか、依然として私はちょっと不明確な感じがするわけですね。両方ねらっておられるように、非常に政治的に言われたような感じがするわけです。そこのところはもう少し明快に言っていただくと今後の討論がしいいのですが、どういうお気持ちでしょうか。

砂子田隆自治大臣官房審議官

○砂子田政府委員 給与の問題に関しましては、冒頭申し上げましたように、この委員会で大臣が、給与が他の公務員との均衡を失しないようにということになっておるものですから、そういう線は、やはりお約束であり、これは守っていくべきだと思っております。  それからもう一つは、給与表の話を申し上げましたのは、一般の運転手の給与、そういうものが一般的には行政職の二を使うべきものが一を使っておるという話のことでございまして、そういうものを是正されていくべきではなかろうか。なかなかこれも一遍にはできないでしょうけれども、おいおいそういう努力をしていただかなければいかぬだろう。そういう中で一つは努力をしていくことが必要です。  それから、高いというもう一つの理由は、民間の人に比べまして公営の方の年齢構成が高いというのもあるわけです。ですから、そういうものを全体を見ながらやはり議論をしなければいけませんので、あながちこれを全部だめだとか、これがいいという議論にはなかなかならないだろうと思います。そういうことを実は申し上げたわけであります。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 じゃあ、そろそろ時間が参りましたようですから、まとめて最後に申し上げたいと存じます。  結論的に見まして、公営バス事業の将来というものは非常に重大なものがあるし、これはあくまでもその経営環境というものを改善するために多くの努力をするべきであると思います。  そして、公共負担の拡大については、先ほど資本費の公共負担の問題、学割パスの公共負担の問題等について検討中とおっしゃいましたけれども、諸外国の例もあり、今後公共負担の拡大については検討していただきたい。  第三に、今後、新再建計画については現在のところ考えておられないようですけれども、少なくともいまの再建計画を推せば全部問題が解決する、再建計画は魔術的な効果を発揮する最後の回答ではなくて、いまやっている中でもいろいろ問題も多い回答であるということをお認めいただいて、今後の対策をより立て直していただきたい、新たに考えてつけ加えていただきたいと思うのですが、その三点についてお答えをいただきたいと思うのです。

砂子田隆自治大臣官房審議官

○砂子田政府委員 ただいまお話がございました答申に基づく二点のうちの一点につきましては、先ほどお話を申し上げたとおりでございますし、後半の部分につきましては、むしろ私の方よりも運輸省の所管でもありますから、お話をよく運輸省の方にお伝えしておきたいと存じます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 運輸省の方、来ておられるようですから……。

梶原清運輸省自動車局業務部長

○梶原政府委員 お答えを申し上げます。  公営バス企業が非常に困難な事態になっておるということは御指摘のとおりでございます。また、民営と公営の経営成績につきましては、御指摘のとおりのような状態になっておるわけでございます。私どもとしましては、公営バス事業を健全に育成発展をさせていかなければ市民の足が確保できない、こういう観点から、自治省でやっておられる助成措置、それに加えまして運輸省でも地方バス路線維持費補助あるいは新住宅地バス路線開設運行費補助を通じて助成を進めてまいったところでございますが、そのほか御指摘のとおりの経営努力、サービス向上対策、それから特に交通環境を改善していくということが非常に重要な時期になっておると思います。現在、三千三百万台自動車がありますが、そのうち三千二百万台が自家用車でございまして、緑ナンバーの営業車の比率がだんだん下がってまいっております。現在、三%程度になっておるわけでございまして、今後交通環境を改善して、特に市民の足を守る都市バスの育成発展のために努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。  また、運賃につきましても、最近、神戸市の市営バスの運賃改定を実施いたしまして、六月一日からやっておるわけでございますが、この運賃改定によりましても赤字幅を縮小するという効果しかないわけでございます。さらに、企業体における経営の合理化、それから先ほど申しましたサービス改善対策、交通環境の改善、もろもろの施策を総合的に進めてまいりたい、かように考えております。  なお、御指摘の学生割引等につきましては、バスの場合は国鉄とか私鉄に比べまして割引率が高いとは言えないわけでございます。どちらかというと、国鉄は通勤の一カ月が五二・一%の割引でございまして、地下鉄は営団でございましたら四八・六%、それに対しまして乗り合いバスは二五%というふうに低いわけでございますが、これにつきましては、他の政策との関連あるいは異種交通機関とのバランス等諸般の状況を十分勘案しながら検討を進めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 大臣に最後に申し上げておきたいのです。  いま論議していただいているのは、表面の非常に一部の部分を論じております。しかし、実際面から言いますと、料金を上げてバランスをとればバスからだんだん住民が離れていく。そして、バスがなくなれば住民は非常に迷惑していくという部分を含んでいます。企業努力とか合理化というようにいま簡単に言われましたけれども、これ以上すれば、その一番本質的な住民を守るという部分がなくなってくるわけなんですね。だから、私は採算合わせのために御努力をいただく部分というものをこれ以上強行しないでいただきたい。そうでないと、バス事業全体がだめになるばかりか、都市住民というものがひどい目に遭うという現実が出ておる。三十九団体のうち三十八団体が赤字だということは、むしろ企業努力がみんな足りないぞと言うには現実の方が余りにもシビアだと思うのです。ですから、これは本質的に考え直していただきたい。交通の基本的な体系論ができていないからこんなことになったという議論は私は申しませんでしたけれども、ではバスがなくなったらどうしたら暮らせるのだという都市住民に対して、政府の方針はこたえていないと私は思うのです。ですから、この問題全部をひっくるめましてもう一回再考慮を煩わせまして、少なくとも現在出ている第六次提案のごときものは早急に現実化していたたくことを——これは最低限ではないか。そして、この問題に対して根本的にひとつ考え直していただきたい。これを強く大臣に御要望したいと存じます。

加藤武徳自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官・労働大臣臨時代理

○加藤国務大臣 大都市におきましては、国鉄や地下鉄で大衆輸送の可能なところもございますけれども、しかし、そうではないところも多いのでありまして、まさにバスは大衆の足だ、かように言えようかと思うのでございます。  そこで、過疎地域におきまする問題もございますけれども、同時に大都市におきますバス問題も非常に深刻でございます。しかし、軽々に路線等の廃止が不可能でありますこともいま渡部議員がるる御指摘になったとおりでございますし、私どももまたさように考えておるのでございます。  そこで、必ずしも的確な対処ができておらないことも承知をいたしており、この点はじくじたるものがないでもないのでございますが、しかし、各公営企業みずからが自主的な再建計画を持ちまして着実に再建を図る、かような努力がなされておるのでございますから、その中におきまして受益者負担の原則を貫いてまいりまして、料金改定等ももとより必要でございますけれども、しかし、料金だけを上げれば事が済むなどというような考え方ではございませんで、結果的には料金が高くなればそれだけ利用者がダウンする、かような面もあるのでございますから、このあたりは運輸省が彼此勘案いたしながらしかるべき認可をいたしていかれることと、かように考えております。  それから、合理化につきましての努力がまだ足らない面が民間バス等と比較をいたしますとありますことも御理解が願えると思うのでございまして、たとえば年をとりました方で、能率的には必ずしも芳しくない人がバス事業等に携わっておりますような場合に、積極的に配置転換等を考えていきますのも一つの方法であろうかと思うのでありますけれども、いろいろなすべき努力がなされることを私ども期待をいたしておるところでございます。  同時にまた、先ほど申しましたように、公的な負担を強めてまいりますこと、これもぜひ必要なことであるのでございますから、運輸省と連絡をとらなければならぬ面は十分な連絡をとり、また大蔵省と相談いたすべき面は積極的に相談をいたしまして公的負担の増高に努めていく、かような努力をいたしまして、最終的にはバス路線の廃止は最小限必要であると仮定をいたしましても、たてまえといたしましては、生活路線は十分に維持でき、そして大都市の交通は守っていく、かような理念のもとに努力をいたしてまいりたい、かように考えます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 ありがとうございました。

木村武千代自由民主党

○木村委員長 加藤万吉君。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 きょうは東京に熊本県の知事がお見えになっております。新聞によりますと、道正官房副長官と水俣病の補償問題、さらにチッソの救済策について政府側との協議が進んでいるという報道がなされておるわけですが、私はきょうの政府側と知事との会談内容は、実はこの地方行政委員会ではきわめて重要な課題を持ち、また投げかけているというように思うわけであります。  もう御承知のとおりでありますが、チッソが水銀による公害患者の企業負担、いわば企業の支払い能力またはその経営自身に危機を及ぼすような状況下にありまして、もし水俣病患者を持たなければチッソはすでに倒産をしているという状況にあろうかと私は推定をするわけです。当然のことですが、地元の県知事といたしましては、従来取り決めてまいりました患者への補償について、あるいは判決により行われているそれぞれの金額について企業の責任においてその支払いを促進させているわけですが、企業は今日支払い能力がもう限界に来ている、こういう状況のようであります。さらに水俣病患者でいま認定申請をしている者が次々にありまして、推定では一万人を超えるのではないかとさえ言われているわけであります。いままで一人約二千万前後補償がかかっているわけでありますから、もし仮に全認定申請者を認定ということになりますと二兆円の金が必要になってくるわけでありまして、こんな膨大な金、率直に言ってチッソの企業としての支払い能力がないこと、これまた事実であります。そこで当然患者の側としてはこれを行政に求めて、熊本県側にこの救済を要請をし、同時にまた地元の関係のある熊本県はこれを政府に要請をする、こういう事態に立ち至っている模様であります。  さて問題は、熊本県がその要請を受けて、いま新聞の報ずるところでは、これを転貸債、いわゆる県債を発行して転貸しを行う、そういう状況にあり、またそれを政府側に要請をしにきょうは道正官房副長官との間で話し合いが進められておる、こう聞いておるわけであります。この問題はしばしば内閣委員会その他の委員会で論議をされております。この間の議事録を拝見する限り、審議官もまた大臣も、この県債の発行については大きな疑問があると答弁をされておるわけでありますが、新聞の報道では、政府側の態度は、県知事を迎えての大枠が内定をした、しかもそれは県債の発行、転貸債の発行をおおむね認める、それを六、四の割合で政府並びにチッソに関係する銀行との間で引き受ける、こういう報道であります。  さて、この事態に対しまして、まず私は大臣に御質問いたしますが、こういう経過並びにきょう午後から行われる知事と官房副長官との間で取り決められようとしておる政府側の態度について、大臣は関与されていらっしゃるのでしょうか。

加藤武徳自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官・労働大臣臨時代理

○加藤国務大臣 熊本県が大ぜいの水俣病患者の救済をしていかなければならぬ、しかし、そのことは当然PPPの原則に基づきまして企業負担である、この考え方には私ども変わりがないのでございます。ですけれども、ただいま御指摘もございましたように、今日の株式会社チッソの経営内容がきわめてよろしくないのでありますから、今後補償が継続し得るかどうか、非常な心配が生じてまいったのでございます。そこで、県といたしましてもいろいろ苦慮いたしておりますし、また政府におきましてもどのような対応策をとるか、このことについていろいろ検討していることは事実でございますが、端的な言い方をいたしますならば、まだ事務段階でいろいろ相談をいたしておるにすぎないのでございまして、私の段階におきますいわゆる閣僚レベルにおきましては具体的な話し合いはまだないのでございます。もう一カ月以上になりましょうか、二カ月前になりましょうか、関係閣僚会議が開かれまして、そしてその席に地元の沢田知事も上京いたしました。沢田知事から希望のございましたことは、当面認定業務で非常に困っているから国が認定するような方向で考えてほしい、かような希望が述べられたのみでございまして、その会議では、いかに補償いたしていくか、また企業をどうやって助けていくことによって結果的には補償がスムーズに可能なような状況をつくるか、このことにつきましての深入った議論はほとんどなされないままに今日を迎えておる、かようなことでございます。しかし、きょう沢田知事が上京いたしておるのでございますから、政府筋ともいろいろ話し合いをいたしましてできるだけ具体化していく、かような段階でございます。  御質問の点の、大臣がどの程度タッチしておるか、かようなことでございますけれども、現段階におきましてはいまだ私が具体的にどうこうと、かような熟度には到達をいたしておらぬ、かように御理解がいただきたいのであります。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 前回の知事の上京は確かに認定問題を中心でありますが、今回の上京は各社新聞そろえて書いておりますように、県債の発行、これの政府側との調整、朝日新聞等によりましては「認定問題は切り離し」、今回は「県債、限度つき保証」こういうタイトルで報道しているところであります。ですから、今回の上京が認定問題が主でないことは明らかであります。  当然のことでありますが、この県債をめぐる政府側との話、しかも県債ということになりますと所管大臣は自治大臣でありますから、自治大臣にしかるべき話が内々にはあったと、これは推定されるわけであります。ところが、この県債の問題をめぐりましては、過般の内閣委員会で石原審議官も御答弁をされておりますし、また大臣もみずからこの県債の発行については大変疑問がある、問題がある、こういう御指摘をされているわけであります。私どもも、県債の発行いわば地方債の発行は、地方財政法第五条に基づきまして何らかの形でやはり行政の責任が有せる条件が備わっている、あるいは建設事業であるとか、あるいは貸付金の回収が可能であるとか、そういう条件のもとに今日まで行われ、また特別債の発行も行われていると聞いているわけです。また事実そうでありましょう。審議官の答弁を引用したわけですが、今回の場合にはこのいずれの条件にも率直に言って当てはまらない。特にこの場合の転貸債の回収という問題については、企業そのものが倒産的な条件にあるわけですから、勢いそれを地方自治団体が負担をするか、ないしは国が負担をするという条件でなければ、この償還、いわゆる回収は不可能な状況ではないか。こうなってまいりますと、しばしば述べておられますように、この県債の発行については地方財政法第五条から見て大変大きな疑問がある、このことは十分指摘をできると思うのであります。私はこれ以上この問題についての内容の討議を行いませんが、私どもの意としては、きわめてこの県債の発行は第五条から見て大きな疑問がある、これは強く指摘をしておきたいと思うのです。  加えて、この県債の償還ないしは国の財政負担については、これまた政府側との話がそれぞれジャーナリストを通して私どもの目に入るわけでありますが、一般会計と交付税でこれを充当する、金額は六、四のことになりましょうか、あるいは全額政府側がそのしりぬぐいをするようになるのかわかりませんけれども、一般会計と交付税でこれを充当する、こう言っているわけであります。これは審議官にお聞きをした方がよろしいと思うのですが、いまそういう事務段階の詰めの話は出ているのでしょうか。

森岡敞自治省財政局長兼自治省税務局長

○森岡政府委員 先ほど大臣から申し上げましたように、チッソの業績が悪化している現況のもとにおきまして、補償、患者救済というものを円滑にやっていくというためには何らかの措置が必要だろうということはあらゆる場所で論議されております。政府部内でも議論しております。しかし、いま御指摘のように、一般会計と交付税でどういう比率で持つとか持たないとか、そういう具体的な話は全く出ておりません。議論はいろいろ出ておりますけれども、事務的な詰めをそういう形でやっておるということは全然ございません。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 私は、前段で述べましたように、このような私企業の転貸債を発行すること自身に大きな疑問がありますと同時に、もしも伝えられるように、交付税によってこれを償還の財源にするということになりますと、これはもう財政法上はもちろんですが、交付税のたてまえから見ても、全くの筋違いだろうと私は思うんですね。もし、公害患者、公害補償がその企業の支払い能力を超えるとするならば、そういう公害を生み出した行政指導、すなわち国の責任においてすべて解決すべきだ、私はこういうように思うのです。結果的には、いわゆる交付税、これは私が申し上げるまでもありませんが、他の地方団体にも大変影響を及ぼすわけでありますから、したがって、交付税ないしは一般会計の熊本県の財政ないしは鹿児島県の財政の中で償還計画を行うなどというのは、まさに大きな間違いであると同時に、交付税法のたてまえからいきましても大変大きな過ちと混乱を招いてくると私は思うのであります。きょうは、とりあえず、いま知事と道正官房副長官との間に交渉がそういう課題を通して行われているという状況でありますので、私はいま一度、これは財政局長、まあ大臣に答弁を願った方がよろしいと思うのですが、もし仮に政府側として県債の発行、同時にそれが特別交付金なり一般財源で一定の枠を見る、こういうような要請があった場合に、大臣の態度はいかがおとりになるのでしょうか、お聞きしておきたいと思うのです。

森岡敞自治省財政局長兼自治省税務局長

○森岡政府委員 県債を発行いたしまして、チッソに融資をして対処するかどうかということは、熊本県自身のその意思によって決まるということでございます。政府が決めることではございません。  そこで熊本県は、いま御指摘の地方財政法五条の規定から申しますと、貸付金の原資として起債をするということになるわけでありますから、お話の中にございますように、回収が可能だということがぜひとも必要でございます。私どもが起債の許可をするに当たっても、それは当然考えなければなりません。  そこで、熊本県が現段階まで私どもに申しておられますことは、国にその債務を保証してもらうということでないとなかなかその措置はとりにくいということを言っておられるわけでございます。私どもも、そういうことはもっともだと思いますので、特別の保証措置というものがなければこれはなかなかむずかしい問題だ、かように考えておる次第でございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 ちょっと私の質問とずれていると思うのです。確かに発行はそうですね。そして、政府がこれを保証する、その県債の性質が、先ほど申し上げましたように、これは財政局長、審議官も内閣委員会等で述べておりますが、幾つかの条件に当てはまる、地方財政法第五条二号でしょうか、これに当てはまる条件の中での発行として許可をされるわけですね。しかし、その条件に合わない、しかも先ほど言いましたように、これからの公害補償金は相当膨大な額になっている。これがPPPの原則、すなわち汚染者負担原則に沿うことはできない。事実上、チッソは倒産状況にあるわけですから、そういう中で、なお残る財源の保証措置を考える場合には、地方団体、市町村あるいは県がこれを負担するなどということは間違いでしょう。となれば、勢いそれはそれの保証の裏づけを与えた国がそれを負担をすることになるのじゃないでしょうか。したがって、私は、そういう形で、たとえば閣議で、あるいは政府側として自治省ないしは自治大臣に要請があった場合には一体どうされるのですか。同時にまた、それが特別交付税になりましょうか、あるいは交付税になりましょうか、それは事務的にはいろいろなことはあるでしょうけれども、そういう形になったときに、そういう制度をおとりになることは、まさに財政法上の間違いじゃないでしょうか。したがって、その場合には当然拒否をされるべきであろうというふうに私は思うわけですが、そういう状況があった場合にはいかがでしょうかということをお伺いしているわけです。

森岡敞自治省財政局長兼自治省税務局長

○森岡政府委員 いま申し上げましたことは、起債の許可をするに当たりましては、回収できるという前提でなければいかぬわけでございますし、また、実質論といたしましてPPPの原則があるわけでございますから、やはりチッソの経営内容というものをよく審査し、精査いたしまして、いまここで県債を発行して一時助けて、それでうまくいくのかどうか、その辺のところをよく見定めなければならないというのが一点ございます。  第二点は、いまお話がございましたように、仮にもし万一のことがあって、現段階では回収可能であるというふうに見定めましても、将来いずれかの時期に困難な事態が生じたという場合のことは考えておかなければならない。それについては、国の立場で的確な債務を保証してあげる措置を熊本県に対して講ずる必要がある。また、熊本県もそういう要請を強くしておるわけでございますから、現段階では、交付税云々ということは、私ども考えておりません。適切な債務の保証によって、熊本県の要請しております条件が満たされるように、せっかくの努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 これは議論をすれば大変な議論になりますし、地方財政法上の基本に触れる問題ですから、いずれ内容的には細かに質疑をする、あるいはお互いの討論をし合える場所を、私はぜひ当委員会でも設定をしていただきたいと思うのです。  いずれにしましても、私どもの見解といいましょうか、この課題を県債で補償していく、転貸債を発行するということに対してもまず疑問を持つし、同時に、それが交付税によって云々ということに至っては、まさに論外であります。そういう立場で対熊本県側、対政府部内の意思統一に御意思を向けていただきたい、こう思います。  次に、去る五月二十九日に神奈川県の藤沢で東急ストアが火災を起こしました。この東急ストアは、私の調査したところでは、現行の建築基準法あるいは現行の消防法については何ら抵触をいたしておりません。いわば現行の法規を完全に守りつつ営業しておったというデパートであります。ところが、ここで火災が発生をいたしまして、焼死者、負傷者それぞれ出たわけであります。私は、この火災の状況を自分なりに調査をしまして、実は、かねてから本院で論議がされておりましたいわゆるビル防災法案がもし通っていたならばということに思いを及ぼさないわけにはいかなかったのであります。幸いにして、火災は最小限で被害を食いとめることができましたけれども、仮定の話ですが、現場がもしこういう状況であったならばということですが、出火現場がたまたま四階でありました。このビルは五階ですが、もしあの火災が一階から起きていたらどういう状況になっていたろうか。さらに、当日は、金曜日の午後でありますが、もし日曜で、五階にある食堂にたくさんのお客がいた場合にはどうなっていたのだろうか。さらに、この火災に対して消防の出動があと五分おくれていたらどうなったのだろうか。この三つの条件をかみ合わせますと、ちょうど大洋デパートあるいは大阪の千日前デパートの惨事と同じ条件を実は繰り返したということを知ったのであります。率直に言って慄然といたしました。  私は、この火災現場から幾つかの問題点を提起をしながら、同時に、今国会でも提案されると、当初は政府予定法案にしておったのですが、提案されませんでした既存建築物の防災法案、これとの関係、特にその中における自治省が所轄をする消防の関係からの意見をぜひとも提起をしてみたいというふうに思うのであります。  この火災が最小限に食いとめられたという原因は、いま言ったように消防に必要な設備はほとんど指摘がされないくらいしっかりしておりました。あるいは建築基準法上の問題点も率直に言ってなかったのであります。しかし火災は四階から発生をして、四階、五階はもちろんまる焼け、屋上に出ようとした子供が焼死をするという事件であります。最小限におさめたこの事態は、実はこういう物理的なものによって最小限におさまったのじゃないのです。きわめて残念なことですけれども、四階から火が出たという自然的条件、自然的条件と言ってはおかしいですが、そういうもの。あるいは消防署の出動がきわめて早かったという人為的条件、そういうものがこの火災を最小限に食いとめた原因だったわけです。もしビル防災法と言われる既存建築物に対する防災法が適用されてスプリンクラーが配置をされておったらどうなったのであろうか。あの火災をもっと早く、しかも四階からだからよかったようなものの一階から出る火もとどめ得たのではないかという感を深くしたのであります。  そういうことで、消防庁にお聞きをしますが、私のいままで述べました消防法上の施設の整備等について、その後検証された結果、手落ちがあったのでしょうか、いかがでしょうか。まずここを消防庁にお聞きをしておきたいと思うのです。

林忠雄消防庁長官

○林政府委員 現在の消防関係、建築基準関係の法規からしてはすべて設備その他は合法的であったというのはおっしゃるとおりでございます。ただ、この運用面で多少まずい点もありまして、あそこまでのものになった。たとえば防火シャッターはちゃんとあったのでございますけれども、シャッターがおりるところに商品が並んでおってシャッターがおり切らなかったというようなことが、仮にこれがおりておれば五階部分までは延焼せず四階で食いとめられ、したがって五階から屋上に上がる階段で亡くなられた小さなお嬢さんのこういった悲劇はなかったという点もございます。  これは繰り返し、査察をすると、そこに商品が置いてあるものですから注意をいたします。それで過去二回、三回と注意を受けて、注意をされたときにはその品物を片づけるのですが、いつの間にかまたその品物がそこへ積み重なったというような状況もあったようでございます。  それからなお、これは法規の問題ではございませんけれども、消火器があったのでございますけれども、これがバンドで固定されておって、その外し方を知らなかったために、これは従業員だと思いますけれども、一本は使われなかったというようなこともあって、運用の点あるいは従業員の訓練の点その他に多少の遺憾があったことは認めざるを得ないと思っておりますが、設備その他につきましては、おっしゃるように現行の法規上からは指摘されるものがなかったということのようでございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 いまおっしゃいましたように、焼死者は再び階段でございますね。通称階段の踊り場というところで亡くなったわけでありますが、防火シャッターが閉まらなかった、煙が煙突状態で階段をはい上がった。問題は、階段の踊り場で死ぬという事件はしばしばあるわけです。いま各デパートとも非常にエレベーター、エスカレーターを取り入れていますから、階段をおりて上がるというお客さんが少なくなりつつあるのです。結果的には、そこは余り使用しませんから、この程度のデパートですと、階段のすみに物を積んでおこうじゃないか、こういうことだろうと思うのです。五階の場合には子供のブランコが防火シャッターの妨害になって、結局煙に巻かれて焼死をするという事態ですね。私はこの一例を見まして、二つ問題があると見たわけです。  一つは、階段に開放性の窓とかドアはつけられないものだろうか。もし防火シャッターが半開きで煙が煙突状態になった場合に、階段を伝わって逃げた人々が、もしそこに開放するとびらないしはガラスがあれば、それを打ち割って煙から逃れることが可能であったのではなかろうか。こうなりますと、階段のところに窓をつけるという、まあ整備上の問題ではなくて建築物の施設上の問題としてこの問題が出ているわけですね。これが第一点です。  それから、何回か注意したけれども、結果的にはやはり階段に物を置いてしまった。というのは、デパートにストックルームがないのですよ。もしストックルームがあったとするならば、その幾つかはストックルームに保管をして、避難階段ないしは階段あるいは防火シャッターの邪魔にはならなかったろうと思うのです。  どうでしょうか。これはいろんなことが重なってはおりますよ。この二つを見ても——現地の消防士は言っているのですが、実は加藤さん、これは設備上消火器を置いたとかなんとかという問題じゃない、建物そのものの構造上の問題だ、そこを解決してもらわないと、われわれとしてはもうこれ以上限界です。こう言っているのですが、この見解についてはいかがでしょう。

林忠雄消防庁長官

○林政府委員 ただいまの御指摘の二点は、私の方というよりも、むしろ建築関係の法規の問題であろうかと存じます。現行法では、特別避難階段には、いま御指摘になったような開口部、つまり煙が逃れて出る口がなければいけないということになっているようでございます。この場合、特に焼死者を出した五階から屋上に上がる階段、これが、屋上に出るところが通常閉鎖されていますために、四階から、防火シャッターが下がらないで五階に上がった煙が、もし屋上の方があいておればそのまま煙突状に屋上に抜けてしまうので何とか避難ができたのが、屋上に出る出口が閉鎖されているために、そこでまた舞い戻って非常に濃い煙になって、結果において小さな娘さんを死に至らせたというようなことであったように思われますので、おっしゃるように、開口部があればこの悲劇も避け得られたのじゃなかろうか。  そこで、建築関係の方でそういうことをなさるかどうか、これはむしろ建設省関係の問題でございますが、防災でございますので、私の方もよく連絡をとり、打ち合わせて今後に対処いたしたいと思っております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 御指摘のとおりですね。まさに消防署の問題ではないのですよ。建築法上の問題なんです。  そこで、既存建築物の避難施設の整備に関する討議が行われ、同時にまた国会もこの法案の提出を待っておったわけですが、今国会では残念ながら建設省側から問題の提起がされない。このままいま終わろうとしているわけですね。  そこで、私は建設省にお聞きをいたしますが、これはかねてから本院でこの法案の提出を望んでおりましたが、その間に、いわゆる既存建築物避難施設整備対策懇談会技術基準部会等で審議をされておるわけですね。既存の建築物の避難施設の整備についてはどのような基準を定めるべきか、同時にそれが結果として出てまいりますれば法令化されてまいるのでありましょうが、この技術的基準の中に、「建築物内の人の避難の安全を確保する上で必要最小限のものに限定すべきであると考えられるが、」恐らくこれが答申内容になってくるのでありましょうけれども、こう出ているわけです。私がいま言った階段にいたしましても、たとえばストックルームを置けという問題にいたしましても、どうなんでしょうか、この技術基準部会では論議がされ、その設置を行うようにいま法制化に取り組んでいらっしゃるのでしょうか。  さらに、私は、「建築物内の人の避難の安全を確保する上で必要最小限のものに限定すべきである」などということは書くべきではないと思うのですよ。必要最小限に限定するなどという、最小限などという言葉はまさに用いるべきではない。避難をするに必要な条件はすべて整えるべきである、こういうふうにすべきだと思うのですが、この二つの点について建設省の方からお聞きいたしたいと思います。

上田康二建設省住宅局建築物防災対策室長

○上田説明員 お答え申し上げます。  まず最初に、いわゆるビル防災法案の問題でございますが、これにつきましては、政府といたしましては既存の建築物について避難施設の整備等によりその防災対策を推進するための所要の法案を作成すべく努力してまいったわけでございます。そして昨年八月以来、学識経験者あるいは関係行政機関、関係業界等代表によって懇談会を設けまして、その中で小委員会を含め技術的基準につきまして鋭意検討を重ねてまいりました。これが先生いま御指摘の技術的基準の案なるものでございます。  この中でこういった技術的な問題がどういうふうに検討されているかということでございますが、この小委員会で検討されました内容はいろいろ多岐にわたっております。現行建築基準法上、この東急ストアには適用されていない現行規定の細かい点との対比において逐一検討されてきたわけでございますが、その中には先生御指摘のベランダの設置等の問題は、いわゆる最終避難経路に関連して、その有効性についての議論が検討されてまいっております。  それから、この技術的基準の案の中で述べられております必要最小限度という問題でございますが、これは建築基準法自体がその目的にうたっておりますように、国民の生命及び財産の安全を確保するために必要最小限度の規制をすることを目的とした法律でございますので、ここで言っております必要最小限度というのは、それに対応する意味の言葉でございます。  そしてその場合に、建築基準法は生命と財産と二つを目的として掲げておりますが、この二つを目的とした最小限の基準となりますと、現行規定がそれに当たるわけでございますが、遡及適用、過去に建設された既存不適格の建築物に対してさかのぼってまで改修させようという内容のこの法律案の中での検討でございますので、ともかく生命の安全確保というところに限定いたしましての最小限度の遡及すべき技術的基準は何か、こういうことを検討したという意味でございまして、必要最小限度というふうに言っておりますのは、生命の安全を確保するために必要最小限度という建築基準法上の思想を受け継いでおるものでございます。  それからもう一点、階段室に窓があればという問題でございます。先ほどのベランダの問題も関係ございますが、現行規定から申しますと、こういった階段には煙を入れないというのが大原則でございまして、そういう意味で現行規定では煙感知の連動式の防火戸を設けるということになっているのはその趣旨でございます。そして特別避難階段の設置を必要とするような場合は、さらに避難階段と一般の売り場との間に付室を設けてそこを一つの緩衝地帯にする、ここで必要な排煙等の機能も持たせる、こういうふうな考え方をとっておりますので、階段室に開口部を設けてそこから煙を出すということは、現在の規定では考えておりません。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 何回も申し上げるようですが、現場の警察官はやはり建物そのものに問題がある、こう言っているわけです。私は今度のこの火災の事件、御遺族の方には大変申しわけないことではありますけれども、最小限の火災でとめられた、ぜひこのことを経験として学んでいただきたいと思っているのです。先ほど私は、たとえば救助出動がもし五分おくれておったならば十人前後の焼死者が出ていたのではないかというお話をいたしました。四階が出火元でありますけれども、そこに事務室があるわけです。事務室は最後まで火災消火のための指揮をとる場所でありますから、そこにいる人は当然最後までビルの中に残るという状態にあります。事務室から出る口は一つもないのです。いまお話がありましたように、防火シャッターで閉まって煙が出ないだろう、確かに煙感知器等によって自動的にシャッターがおりるということにはなっておりますけれども、実際には物が置いてあってシャッターがおりない。中にいた子供たちも全部事務室に駆け込んでくるという状態ですね。幸いに出火場所が四階であり、同時に事務室が四階ですから、煙が下から上がって見えないという状態ではなかったようであります。しかし、もし三分ないし五分その人影を発見することが遅かったならば、あの人たちは焼死者になっていただろう、こういうのであります。少なくとも事務室、最後まで消火のために指揮をとるべき事務室等については非常階段を設ける、あるいはベランダを設けて、そこで人影を発見することができる。仮定の話ですが、もし一階から火が出ていたならば、煙で窓から手を振っている人影が見えなかっただろうと言われるくらいの状態であったようです。  いまお話がありましたように、既存の建物に対する避難施設の整備、これは確かにむずかしいことでしょう。しかし、少なくとも人命を最大限尊重するという今日の消防法あるいは建築基準法のたてまえからいけば、現実にこういう状況が起きた、あるいはそういうところで被災者が出る条件は十分あったわけですから、即刻こういう処置、四階の事務室、最後まで指揮をとるべき事務室等についてはベランダを設ける、ないしは何らかの形でそこが非常の脱出口になっていく、そういう方向をとるべきではないかと思うわけです。  いまお話がありましたように、防火シャッターが閉まらなかった、階段も何回も注意はしたのだけれども、結局防火シャッターの近所に物を置いて閉まらなかった。消防法では、防火シャッターないしは階段にそういう物を置いてはいけないと規定はしていますけれども、罰則規定がありませんね。建築基準法にありますか、消防法にありますか。これは確かめておきたいと思う。同時に、いま言ったような事実関係から見て、バルコニーかベランダをつくることを早急に指導さるべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。

林忠雄消防庁長官

○林政府委員 消防法の面では、いまのような違反行為に対して直の罰則はございませんけれども、措置命令にかけることができます。通常は勧告、行政指導でやりますが、あくまで聞かない場合には措置命令を出しまして、それに対する違反については罰則がございます。

上田康二建設省住宅局建築物防災対策室長

○上田説明員 避難救出のためのベランダの設置の問題でございますが、遡及適用の対象物は、いわゆる避難施設として最低限どういうものが必要であるかということを検討しているわけでございますが、現在のところそういうことは考えておりません。消防隊が救出するという前提で全体の避難計画がつくられているわけではなくて、むしろみずから避難するために必要な階段等の避難施設を安全に確保するということで、建築基準法そのものの体系がそういうふうになっているわけでございます。そういう意味で、今回そういうことは特に考えておりませんけれども、御指摘の点、本来ならば、事務室は防火区画で防火戸が閉まっていればもっと安全な状態で確保されたはずであるというふうに、実はわれわれの方でも担当者に火災の状況を見させた結果では考えているわけでございまして、その辺の事情ももう少し詳しく聞き、検討していきたいと思っております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 バルコニーがあるということはいま一つ大変利点があると言うのです。それは、はしご車で放水をする、その放水の角度が限定されるわけです。しかも四階、五階ですから、最後は屋上の子供を救出したわけですけれども、角度がとれない。中で延焼状態にあるけれども、はしご自身が大変揺れるものですから、足場が悪くて放水角度がとれない。さらに、窓をぶち割って放水し、同時に中に入って救助しようとするのですが、消火の角度が狭いものですから、結果的には消防士が中に飛び込めない。もしバルコニー、ベランダ等があれば、まず放水角度が非常に広くなる、同時に防火シャッターが閉まってなければ現場の発見ができたろう、そして子供が階段に半窒息状態でいることも明らかになったろう、こう言われているのです。ですから、消火するためのセンターのところに仮にそういうものが設置されれば、恐らくそこに閉じ込められた人の救出も十分可能であったろうし、幸いにして今度の場合は、四人でしょうか五人でしょうか、窒息する直前に救出されたわけですが、もしバルコニー等があればそこまでの措置ができる、こう言うのです。  消防庁長官にぜひ要請をしておきたいと私は思うのですが、現場の消防士はそのくらいがんばっているのですよ。もしバルコニーがあれば加藤さんと、こう言うのです。現場の消防官としては、人為的なこと、私どもができることは精いっぱいやりました、しかしなお救出できなかった、そういう状態が施設としてできておればこれは可能だった、こう言うのです。どうでしょう、今度の事件は全くいい一つの経験といいましょうか、あるいは教訓といいましょうか、これにして、いま一遍施設のサイドから、消防庁としてこの既存建築物の避難施設の整備に関する法律について御検討いただけないかと思うのです。  この委員会の技術基準部会のメンバーを見ますと、防災課長ですか、出ていらっしゃいますね。確かに技術的な面で配慮するということも重要だろうと思うのですが、むしろこの法案が今国会に提案されない一番の原因は、率直に言って既存の設備に対する施設負担の過大でしょう、お金がかかり過ぎるということでしょう。それに対して政府側も、いま少し技術的な問題も含めて検討しようということで今回提案されなかったのじゃないかと私は推定をするのです。とするなら、その段階になりますと、技術論という問題よりも現場の消防士がしやすい条件をつくってやるための対政治的な折衝という段階だろうと思うのです。この法案が提案されなかったというその背景は、むしろそういう政治的な条件が強くあったと推察をされますので、この際、基準部会から上げられたその答申、いま幾つか私は申し上げましたけれども、いま建設省からお聞きのように、実はその辺はまだ検討されていませんという内容もあるわけです。それらを含めて、この法案の中身にもっと政治的な意見、同時に技術的な意見を反映されて、少なくとも次の国会等には建設省から提案されるように最大限の努力をされるべきではないかと私は思うのですが、いかがでしょうか。

林忠雄消防庁長官

○林政府委員 私ども防災の立場からすれば、こういう法案の中身は、多少のお金がかかることはがまんしていただいて、社会的責任もございますので、そういう防災ないしは人命救助に役に立つようなものをつくるということをお願いする立場ではございます。しかし、これは政府全体として、法案を出すに当たって、既存の建物にそういうものをつくる場合の難易とか、技術的な問題、経済的な問題、いろいろありましょうから、その間さらにその辺を踏まえて打ち合わせを進めてまいりたいと思うわけでございます。この次にどういう内容のものをお出しになるか、これは主管省の方から御答弁になると思いますが、私たちの方は、できることはできるだけしていただきたいという立場で御相談申し上げるつもりでございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 きょうは、実は建設省の方にお願いをして、この国会に法案の提案ができるあるいは提案していただくということについて責任を持って御答弁の願える人、こういうふうに言ったのですが、それぞれ所用があって出席ができないようであります。自治大臣にお聞きするのはどうかと思いますが、閣議で恐らくこの法案提出の経過というものはあったと私は思うのです。大分の方でも、例の訓練期間中に消防士が死亡するという事故等もいま起きていますね。それほど第一線の消防士ないしは消防団員の人はがんばっているわけです。その人たちが一刻も早くと願っておる既存の建物設備。私は、きょうは気がついた二、三点しか申し上げませんでしたが、恐らく東急の火災を通して多くの問題点が出ているのだろうと思うのです。幸いにして死傷者が少なかったわけですから、ぜひこの教訓、この経験を生かして、次の国会には閣議でお取りまとめいただいてこの法案が提案されるように最大限の努力を払っていただきたいと思うのですが、大臣いかがでしょうか。

加藤武徳自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官・労働大臣臨時代理

○加藤国務大臣 大きなビル等の建築物を持っておりますものはそれなりの社会的な責任があることは申すまでもございません。したがって、防火設備等を完璧にやります上では相当の金がかかることは明らかでございますけれども、社会的責任を果たす観点からいたしましてある程度のしんぼうはしてもらわなければならぬ、かような感じを強く持ちます。今回の東急ストアの災害につきまして、これをよい教訓として私なりの努力をいたしてまいりたい、かように考えます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 ぜひこの次の国会には所管大臣から本院にこの法案の提案が行われるように、最大限に大臣は閣議で御発言をいただき、取りまとめをいただきたい。重ねてお願いをいたしておきます。  次に、カーバイドの爆発問題についてでありますが、私はこの委員会でも横浜におけるカーバイドの爆発事故について御質問をし、その後の措置について御要請をしてまいりました。その後、確かに、各所管の行政機関では、このカーバイド爆発事件に伴う措置、指示をされていることをお伺いをいたしているわけであります。たとえば労働省は、労災事故が多発しておりますから、これに伴って労災事故を起こさないようにということで、五十二年十二月の段階で指示をお出しになっています。また、海上保安庁も、同じく十二月十九日に航行安全指導課長名で指示をなされております。なお、船舶局長名でも海上保安庁ないしは各保安本部それぞれに出されていますし、消防庁もこの指示をなされています。私は奇異に思いました。それは、これだけのことを行い、特に労働省はこの輸入カーバイドの元であります台湾の交流協会台北事務所に対しまして、日本に入ってくるカーバイドに対しては特別の指示をなされておるわけであります。同時に、この台湾の交流協会からも、危険物船舶運送及び貯蔵規則に基づいて気密検査を実施した上で合格したものを輸出をしているという文書が届けられておるわけであります。ところが、こういう指示、示達を行うにもかかわらず、これはカーバイド工業会の保安対策委員会の第三回の調査、五十三年の四月にやっておりますが、四十本のうち依然として十五本、三七%は水漏れの状況にあるのですね。どうなんでしょうか、それぞれの所管庁から指示していることが現実には実行されていないという、こういう状態なのですが、私はまず海上保安庁にお聞きしますが、こういう状態を把握をされていらっしゃるのでしょうか。

辻栄一運輸省船舶局検査測度課長

○辻説明員 この問題につきましては、昨年の暮れに先生から当委員会において御指摘がございまして、すでに私どものとった措置については先生御案内のとおりでございます。  その後、これは私、海上保安庁から聞いてまいったところでございますが、海上保安庁におきましては立入検査を実施しております。事態については、従前のものが立入検査を行っておりませんので、具体的な比較はできませんが、総じて状態は必ずしも良好ではなく、積載方法、ラベル等についての指導を行っておるという状況であるというふうに聞いております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 カーバイドが水と反応しますとアセチレンガスを生み、それが爆発の要因になることは御案内のとおりでありますが、昨年、五十二年の神奈川県の先ほど申し上げました山下埠頭六号バースにおけるドラムかんの移動中の爆発事故、五十二年七月の会社内でドラムかん容器を開かんするとき炭酸ガスパージによる引火事故、さらに千葉県の五十二年九月十二日の切断中における、三分の二まで切断したときに起きた爆発事故、これに対して労働省から交流協会に要望事項を出されておりますね。日本カーバイド工業会の調べたこの台湾製の輸入カーバイドは、五十三年四月、四十本調べたうちで、三月の上旬に輸入したものが十本、三月の中旬に輸入したものが二十本、二月に輸入したものが十本、大体そういう状況だろうというのです。しかも、それが三七%そういう状況にあるのです。一体、労働省が台湾交流協会台北事務所に出された要請とそれに対する回答、結果としてはこういう状況にあるという事態を、先ほどの災害の発生の状態から見て、現在どのようにお考えになりますか。

小村雅男労働省労働基準局安全衛生部計画課長

○小村説明員 お答え申し上げます。  先生御承知のとおり、労働省といたしましても交流協会に非常に厳重な警告を出したわけでございまして、向こうからそれをちゃんと守るということで、私どもそれは一応信用してまいりたいということでございますが、そういう結果として不良なものが輸送中に見つかったということは報告は受けてございますが、この輸送中の問題というものは、私どもは船から陸揚げのところからの問題でございまして、陸揚げ以降につきましては、昨年の横浜港での事故にかんがみまして、陸揚げ時点で専門官による徹底的なチェックというものをやって、安全を確認した上で陸揚げをしておるというような措置をとっておるところでございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 陸揚げ時点でいろいろな措置を講じようということ、これは船舶局長あるいは港湾協会等からも指示が出ています。出ていますけれども、入ってきた品物は、もしもカーバイド工業会の調査が確実なものと確認をするとすれば、いま言ったような現況にあるわけです。そこで私は、船舶局長名で、こういう形の措置をしなさい、あるいは立入検査等も含めて行いなさいと言っているにもかかわらずこういう状況にあるわけですから、私は、これは海上保安庁を通してのことになろうかと思いますけれども、一遍ドラムかんの何本かを抜き取り検査をやられて、一個一個のことの確認よりもある数の中の抜き取り検査をやられて、その実態を一遍確認をしてもらいたい、こう思うのです。  私はなぜカーバイド問題をここで取り上げるかというと、御承知のように、これからは発展途上国がどんどんこういう化学製品を日本に輸出してくる可能性があるわけですね。御承知のようにこれからの発展途上国は、二五%基礎原料、材料を自国で生産する、そういう態勢下に入りつつあって、日本の産業界はその部面からは撤退しつつあるわけですから、塩ビにしましてもエチレンにしましても、そういう分野の輸入がどんどんふえてくる。とりあえずは先進諸国から入ってくるわけですけれども、これからは発展途上国から入ってくる可能性が非常に強くなる。このカーバイド問題の扱い方はその先鞭になると思うのです。そういう意味では、一遍この抜き取り検査をぜひやってもらえないだろうか、こう思うのです。なぜかといいますと、この「はい」崩しの段階に立ち会っている港湾関係の安全コンサルタントといわれる人々は、ほとんど機械屋さんなんです。化学屋さんがいないのです。しかし、通産省から出されている資料等を見ますと、最近化学製品の輸入というのは非常に多いのですね。したがって私は、港湾協会が配置をされる安全コンサルタントも、単に機械でなくして化学関係のコンサルタントを置いてもらいたいという意見があるわけですが、これはさておくといたしましても、そういう状態にあるかどうかということを海上保安庁がまず実態として把握をされる、このことが必要だろうと思うのですが、この抜き取り検査等をやっていただける意思がおありでしょうか、ひとつお聞きをしたいと思うのです。

辻栄一運輸省船舶局検査測度課長

○辻説明員 先生御指摘の問題、危険物全般の問題とカーバイドの問題と両方あろうかと存じます。  危険物船舶運送及び貯蔵規則、これの徹底につきましては、私ども昭和五十年以降地方海運局に対しまして、危険物運搬船を対象としての立入検査を毎年実施するということでこれまでもやってきてはおります。おりますが、何分にも荷物の種類、数量等非常に多いわけでございまして、その結果が必ずしも一〇〇%規則が遵守されているというような実態ではないというふうに認識しております。  そこで、先生御指摘の点については、私どもも全く同感でございまして、近く全国的に立入検査を集中的に実施させるという方針をすでに立てておりまして、ごく近日中に新たに船舶局長の通達を発しまして、この立入検査をやっていくということといたしております。  次に、カーバイドの問題につきましては、これまで私どものほかに、関係省庁が諸種の指導等をしてきたにもかかわりませず、そういうようなぐあいの悪いという報告がありましたからには、これはもちろんカーバイド工業会の調査でございまして、これを一〇〇%うのみにするということは必ずしも適当ではないと思いますけれども、私どもとしても、一応もう一度実態を調査してみたいと思います。その結果によりまして、必要があれば、改めて必要な措置をとっていく、かように考えております。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 次に、消防庁にこの問題でお聞きをいたしますが、カルシウムカーバイドの海上輸送につきましては、いまもお話がありましたように、ずいぶん湿気を呼ぶものですから、厳しい規則の取り決めをしているわけです。危険物船舶運送及び貯蔵規則という規則がありまして、この品物については密封をする、単に密封だけではありませんで、水漏れのない密封、いわゆる水密に密封と、こう規定をしているわけであります。ところが、内地の輸送、特に消防関係の規則でまいりますと、これは密封ということになるわけですね。密封と水密に密封とはずいぶん違う意味ではないかということで、私なりに調べてみました。幸いにいたしまして、消防庁が出しているその解釈を記載した解説文の本がありまして、これは危険物関係法令の解説という昭和三十五年一月二十日に発行した本ですが、これによりますと、密封と水密に密封とはこうなっているわけですね。「収納方法とは、運搬容器に危険物を収納した際の密封の状態等についての規定である。密封とは、固体の場合はその微粉がもれ、又は湿気が入らない程度」でよろしい。水密に密封とは「その他の液体はその液体がもれない程度(水密に密封)である。」こうあるわけです。先ほども申し上げましたように、カーバイドは湿気を呼べばアセチレンガスになるわけですから、当然湿気を呼ばない、すなわち単なる密封、これを先ほどの海上危険物輸送の行為に当てはめますと、たとえばさらし粉あるいは魚のかす、こういうものは密封なんです。いわゆる麻袋ないしは紙袋に梱包して運ぶものは密封でよろしい。しかし、ガス性を起こすようなものは常に水密に密封と、こう規則がなっています。国内法の消防法では単なる密封なんですね。私は、その陸上輸送と海上輸送の違い、そこに対する同一製品に対しての危険物の見方の違いが、結果的には、先ほど労働省がお話しになりましたように、地上に揚がってから事故が起きたのは、そのはしけの段階までは私の方での責任はございません、地上に揚がってからです。こう言われますけれども、その揚がってきた品物に対する危険物の取り扱い規定のその差が、今度は地上で、たとえばこのドラムかんを切るときに、中にガスがたまっておって引火をして爆発した、こういう状態を起こしているのではないかと思うのです。消防庁では、この密封という問題を一体どのようにお考えでしょうか。今度の場合には、示達がやはり消防庁の課長さんから出ておりますけれども、この辺が明らかになっておりません。消防庁の見解をひとつお聞きしたいと思うのです。

林忠雄消防庁長官

○林政府委員 私の方でやや勉強が足りなくて、いま先生に御指摘を受けました私の方から出している解釈というのを、私、実はここで初めて伺ったわけでございます。実は、御質問をいただきまして、きのう調べさせましたところが、このカーバイドの場合の密封というのは、水はおろか、水、気体、すべてが遮断されるという意味で一番高い規制であるというふうに、現在私の方の課では考えているようでございます。  それから、これは海上保安庁の方ではどういう御解釈か、間違っておりましたら御訂正があるかと思いますが、電話で伺いましたところ、水密に密封、さらにもう一つ高いのに気密密封というのがある。カーバイドの場合は、単なる水ではなくて、空気に入った水分も中で反応を起こすのだから、これはいずれ気密密封にしなければいかぬなと考えておられるということでございました。  私の方は、その気密も含めて密封という一番高い規制をやっておるという考え方に立っておるようでございますので、これを変える意思はございませんが、むしろその解釈なるものを、場合によったら私の方で訂正しなければならないかも存じません。私、実はそれを初めて伺わせていただきまして、いまこの場で大変驚いている次第でございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 消防法の政令第二十九条がありまして、その際に、危険物を収納する運搬容器というのがありまして、その運搬容器の中身は、密封、「気密に密封」、「水密に密封」と、こうありまして、「密封とは」と書いてあるのですね。いわゆる固形物がこぼれない程度と書いてあるのです。そうして、このカーバイドは、消防庁の対象ではいわゆる密封という式になっているわけであります。私はやはり陸上輸送でも、最近では、単にトラック輸送だけではなくして、海上で、たとえば瀬戸内海を渡る、あるいは沖繩にカーバイドを運んで、そこでアセチレンガスにして使うということ等があるわけですから、国内の消防法もやはり海上輸送と同じ方向に変えられるべきだ、こういうように私は思うのです。そういう意味では、私の方からのサゼスチョンということを含めて、ぜひひとつこの解説内容あるいは対象のところを書き改めるか、ないしは改正をしていただきたい、こう思います。  そこで、消防庁の危険物規制課長さんがこの間文書を出しておられるわけです。これによりますと、「運搬容器は、腐食、損傷、著しい変形等がない気密なものを使用するとともに、特に口栓、巻締め部及び溶接部の気密性に留意すること。」こう示達を出されております。これはいまおっしゃられましたように、気密なものを使用するというきわめて重要なものをやられておるのですが、同じ危険物規制課長さんが同じ日に、五十三年二月八日ですが、今度は輸入関係業者にあてられている文書には、「腐食、損傷、著しい変形等がない気密なものを使用する」、この「気密」がないのです。「運搬容器は、腐食、損傷、著しい変形等がないものを使用するとともに」というのは、これは、どういうことでしょうね。ぼくは、輸入業者が対象であろうと、各都道府県消防主管部長殿に対する文書であろうと、同一の文章でなければいけないと思うのです。しかも、この全体に係る文は、全体の容器が気密性のものでなければいかぬ、こう言っているのです。後半の部分は、締めつけ部分あるいは口の部分、そういうところは気密性に留意をすること、こう書いてあるのです。ずいぶん違うのですよ。どうなんですか、これは。規制課長さん、もしいらっしゃれば、いなければ担当のどなたか、ひとつ御答弁いただきたいと思うのです。

小池次雄消防庁危険物規制課長

○小池説明員 ただいま先生からの御質問でございますが、この件につきましては、昨年来横浜港あるいは大井埠頭等の調査等も行いまして、さらにまた本年三月七日には横浜港、茅ケ崎工場、こういった工場へ当課の職員並びに横浜消防の職員と、さらにまた茅ケ崎の地元消防職員、これらの方々の同行を得まして実際の現場調査も行いました。そのときには、昨年の暮れの場合はある程度容器に悪いものが認められたわけでございます。現実に行きまして、窒素封入をして気圧試験等も行いまして、そのとき悪いのがありました。また、水を入れましてやったのもあります。さらにまた、その後、三月七日にそのような方法でもって横浜、地元職員を同行して行ったときに見た状況におきましては、十分な、堅牢な気密性のものがございまして、それぞれの輸入ドラムかん等におきましての内容については、そういうふうなものはなかったというような報告を受けております。  さらに、ただいまの御質問の中におきまする規制課長の通達でございますが、この件といわゆる輸入業者に対する件が若干違うじゃないかというような御指摘でございますが、これに関しましては、その考え方といたしまして、危険物の規制に関する規則というものにつきましては、カーバイドに限らず、たとえばマグネシウム、カーバイト以上に危険なマグネシウム等々につきましても、やはり一切、水滴はもちろんでございますが、梅雨どき等におきまして、湿気の高いときにおいて内部に露滴が発生するというよやなことにも相なっちゃいかぬ、この危険物の規則に関する規制の別表におきまする密封というのは、そのような厳しい趣旨があります。したがいまして、カーバイドに限らず、そういうような金属粉等々につきましてもそのような規制があるということでございますので、その辺の趣旨というのは同義語でございます。したがいまして、そのときには、輸入業者等も代表者数名を呼びまして、るる具体的には説明をしてございますることを申しつけ加えさせていただきます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 それなら各都道府県の消防の主管部長にやるものと輸入業者にやるものと同一文書にされたらどうなんですか。著しい変形がない、そして気密性なものを容器として使いなさいということと、この輸入業者に通達を出された口の栓、巻き締め、それから溶接部は気密性に留意すること、それはいわゆる部分ですよ。容器全体については言っていないんですよ。容器全体について言えば、輸入業者にやったものは、「運搬容器は、腐食、損傷、著しい変形等がないものを使用するとともに」ですよ。中身が違うでしょう。しかも、これは同一日にちですよ。ことしの二月八日。ここだけについてどうですか。

小池次雄消防庁危険物規制課長

○小池説明員 この件につきましては、容器の実態の写真等もとってきてまいっておりますので、足りない点等につきましては、写真等により、また現物の指摘によって十分フォローした御指導を申し上げております。したがって、それにつきまして十分その意に沿って輸出業者に対する、たとえば台湾の方の関係者に対してもよくその趣旨を徹底するようにするということを先方さんは言ったわけでありますが、われわれとしてもぜひそういうふうに履行してほしいということを強く要望してございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 恐らくそう指導されたと私も思うのです。ですから、特にとがめては言いませんけれども、文書としてはやはり同一文書にされるのが正しいと思うのですね。各都道府県の消防主管部長には、変形がない気密性のものをと消防庁の危険物規制課長はおっしゃった。輸入業者の方に言わせれば、消防庁危険物規制課長は、変形のないものは使用してよろしい、ただ、口金と溶接部分、その部分だけは気密性を保てと言われた、こう解釈しますよ。恐らく、全員がこれを見るわけじゃないですからね、それぞれカーバイド輸入業者とか特定の人だけでしょうから、そうしますと、現場に、一番末端に流れる文書を読んだ人の間においては、輸入関係はこれでいいんだ、国内の輸送の方がかえって厳しくなっている、こう見ますよ。ですから、これはできる限り早い機会に修正をされるか、ないしは、この部分はこういう内容であるということをいま一遍示達、指示をされてしかるべきだというように私は思います。ぜひそういうように取り扱ってほしいと思うのです。  いずれにいたしましても、このカーバイドの問題は、幸いにして、たとえば塩ビであるとかあるいはエチレン等は、いま発展途上国からの輸入がポリマーで入ってきていますからまだいいですけれども、モノマー等で入ってくるようになると、大変な状況を起こすと思うのです。容器あるいは海上輸送等における爆発事故等が未然に防がれるためにも、やはりIMCOコードを完全に実施をすることです。そしてそのためにいまの段階で必要な条件は、その輸入品の実態調査をしてみる、そこから始めていかなければいけないと私は思いますので  これは海上保安庁は先ほど御答弁をいただきました。同時に、消防庁の方も、陸上における工場での爆発事故も頻々と起きているわけですから、たとえば貯蔵機能はどうなっているのか、あるいはいま規制課長が出されたようなものが完全に実施をされているのか、これまたぜひともひとつ現場の調査を私から強くお願いをしておきたい、こう思います。  カーバイド問題は以上で終わりますが、最後に、先般出されました事務次官通達について御質問をしたいと思います。  大変膨大な事務次官通達でありますので、私は個々の問題を申し上げませんが、特にこの事務次官通達の中で、今回は雇用問題について大変御配慮をいただきまして、私ども雇用問題を扱っている者としては非常に喜んでおります。特に地方団体の事務事業のうち公共事業等については、その地域の雇用の条件等を反映してこの施策に当たるようにという配慮は、私どもこの委員会を通して質疑をしたそれが生かされたものとして、大変評価をいたしているわけであります。  そこで、私は、この次官通達というものが現場の市町村段階で現実に生かされる部面は一体どういうところになってくるんだろうか、たとえばこの次官通達の中でこういう指示があります。「現下の経済の動向にかんがみ、雇用の確保と安定に資するため」云々とありまして、「職業安定機関等との連絡調整を行う等地域の実情に即応して適切に対処されたい。」こういう指示がなされ、同時に、その後、「国の公共事業の地域配分に当たっては、当該地域の雇用情勢を十分配意して行われること」、こう書いてあるわけであります。私は、今回の公共事業が、一つは景気浮揚策、同時に、今日深刻な状況になっています雇用問題にこれがはね返ってくる、それを地方団体と失業者の間できちっと連動させる、このことが今度の公共事業のきわめて大きな要素を持っているというふうに実は思うわけであります。それだけに、その接点のところがきちっといたしませんと、現実には公共事業は起きましたけれども、雇用の面にははね返らない。百二十何万と言われる失業者をそのままの状態に置いている、こういうことになってしまうのではないかという心配をいたしているわけであります。  そこで、この公共事業へ失業者を吸収するということは、その地域の失業者がどういう状態にあるのか。すなわち公共事業のうちでもいろいろな事業があるのでしょうが、その事業のうちで何に適した失業者がそこにどういう形で存在をしているか、この把握がない限り雇用の吸収という方向には進まないのではないか。一体、地方団体がそういう失業者を把握しているのだろうか、こう思いますと、残念ながら私の調べた限りでは、たとえば失業多発地帯と言われている北九州等においても完全な把握がなされていない。いわばこの失業者の動態把握というものは、従来ともそうですか、労働省が本来主管事項として行い、その把握がおおむねなされているのではないか、こう思うわけですね。そうしますと、その実態を地方団体が知るためには、この御指示にありますように、職業安定機関と連絡調整を行うということが絶対上の条件として必要になってくる、こういうように思うのです。次官はこの次官通達を書かれるときに、この職業安定機関との連絡調整というのは具体的には一体どういうことを想定されて示達をなされたのでしょうか。担当の方にお聞きをしたいと思うのですが、いかがでしょう。

大橋茂二郎自治大臣官房審議官

○大橋説明員 御指摘のように大変厳しい雇用状況でございますが、職業安定所におきまして、安定法に基づきまして職業の紹介であるとか、指導であるとか、あるいは雇用保険等の業務をやっております。したがいまして、失業者の状況だとか、求人求職の状況というのは、御承知のように職業安定所は一番よく把握しております。したがいまして、地方公共団体は、現在私たちが承知しているところでは、たとえば地域の雇用対策協議会であるとか、あるいは地域対策本部であるとか、あるいは地域対策審議会だとか、雇用対策審議会だとか、そういうものを設けまして職業安定所がその中の一員に入る、こういうようなことによって関係団体の情報交換だとか連絡調整を図る、あるいはまた団体自身が直接離職なり転職の状況等に対して職安と情報交換を行う、そういうような形において実態に即した対応をしているというのが状態でございます。したがいまして、そこらの実態を踏まえつつ、さらに各地方公共団体が、先ほど言いました職安機関と密接な連絡をとって、何分にもそれぞれの事情というものはさまざまでございますので、それぞれの地域の実態に即した対応策をするということを期待して、以上のようなものを述べたわけでございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 失業者の動態について、職業安定所はそれぞれの地方自治体に報告なり、あるいはこういう状態であるという進言はいたしておりますか。

大橋茂二郎自治大臣官房審議官

○大橋説明員 これはまた労働省の方からもお答えすることかと思いますが、必ずしも仕組みなり制度としてそのような形にはなっておりません。それからまた、市町村といいましてもさまざまな実態がございまして、たとえば小さい町村においてだけで、たとえば広域紹介なんと言われている事態に地方団体だけで果たして対応ができるかということでございますので、むしろそれぞれの地方公共団体が、先ほど言いましたような協議会の場であるとか、あるいは本部の形をとるとか、そういう形において相互の情報交換を行うということを期待しておるわけでございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 私は、この際公共事業だけに限定します。というのは、民間企業でいま単に不況で失業者が出るというだけではなくて、産業構造上の変化から失業者が起きていますから、この場合には職業訓練とかなんとかという、そういうことが必要でありましょう。しかし、そこまで話を延ばしますと相当時間を要しますから、申し上げませんが、どうでしょう、労働省の職安の関係の方にお聞きをいたしますが、職安管内で、各市町村の担当者を挙げて、そこで月に一遍ないしは二月に一遍でもいいですが、定例的に、この地域にはこういう失業者が多く出ました、この地域にはこういう職種の技能を持っている——たとえば今日、米軍の駐留軍の労働者に対する離職者センターがありますですね、あそこで非常にきめ細かないわば職業紹介、職業あっせん的な仕事をやっておりますけれども、そういうことをでき得る基礎的な調査資料として、そういう定例的な会合を持つ、そういうことを指示されるのがいいと思うのです。  いま自治省からおっしゃいましたように、確かに町村まで参りますと、そこまで把握をしていませんというのが実態だと思うのです。しかし職安という単位でやりますれば、相当広範囲の市町村を集めてこういう動態であるということを言うことができると思うのですがね。いかがでしょう。

田淵孝輔労働省職業安定局業務指導課長

○田淵説明員 お答えいたします。  先ほど自治省の方からもお話がございましたように、実は先生の御提案のように、私ども現下の厳しい失業情勢のもとでそういう必要性を考えまして、本年の三月に特に職業安定局長から都道府県知事あてに通達をいたしまして、地域雇用対策連絡協議会というものを新たにこの際設けることを指示したわけでございまして、その連絡協議会には市町村と職業安定所あるいは公共事業関係の行政機関の方々とか、そういう方々をメンバーにいたしまして、いずれも雇用失業情勢が非常に厳しい地域を特に中心にして、現在全国で八十一カ所でそういう連絡協議会が設けられ、定期的にまたは随時そういう情報交換を行う場を設定しておりますので、この地域雇用対策協議会をさらに活発に進めて、先生の御提案の趣旨を十分生かすように地方公共団体と連絡を密にいたしたい、こういうふうに考えます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 これは後で結構ですが、職安の個所は何カ所ありますか。これは後でまとめて答弁してください。  そうなりますと、当然のことですが、それを受けとめる地方団体側の窓口というのがなければいかぬわけですね。したがって、いま各府県で雇用対策室だとか雇用対策委員会だとか、名称はいろいろありますけれども、積極的にその受けとめる窓口をつくられる必要、あるいはそういう指導をされる必要が私はあろうかと思うのです。  どうでしょう、自治省でそういう指導を何らかの形でされるという気持ちといいましょうか、あるいは次官通達に基づく一つの指導方向というものを出されるということはお考えではないでしょうか。  時間が迫っておりますから、いま少し質問を重ねますけれども、その場合に、その雇用対策室なりあるいは連絡協議会のその機関を通して、そこの地域の失業者を公共事業の中に仕事と一緒につけ加えてやらせる。たとえば、ある公共事業が起きた。幸いにして連絡調整機関の中で、こうこうこういう労働者が失業して職を求めている、その求職者をその仕事と一緒につけて、発注と言ってはおかしいですが、契約をしてみる、こういうことも一つの方法ではないか、こう思いますが、この点についての自治省の見解をひとつお聞きをしておきたいと思うのです。

大橋茂二郎自治大臣官房審議官

○大橋説明員 先ほど申し上げました情報連絡の形におきまして、都道府県においては雇用対策本部という形で三十一県が組織を持っております。それから関係機関以外に、いわゆる学識経験者とか、労働界とかその他も入れましたものとして、雇用対策協議会として四十四県というものがやっております。  ただ、先ほど申しましたように、これの取り組み方というものは各県においてさまざまでございますので、果たしてどの程度までがそこで仕事をするかということになりますと、特にいわゆる職業あっせんということになりますと、いまの法律上のたてまえとしましては、国の事務になっております。そこらの原則論というものはやはり崩すわけにはいかない。しかし、その原則論を崩さない範囲内においての地方公共団体としての努力というものは十分されるべきだと思います。  先ほどちょっと公共事業との関連がございましたが、ある県におきましては、たとえば公共事業等の契約をする場合においては、さらに人員を採用する必要があるときは必ず職安を通す形にして採れとかいうような話をつけてやっているというようなものもあるようでございます。その形は必ずしも画一的な指導にはなじまないで、実態に即してそれぞれ対応するようにということで、先ほどの通達の表現にいたした次第でございます。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 最後の質問になりますが、おっしゃるとおり、所管省は労働省であり、現場では職安になるわけですね。やはり失業多発地帯で一番問題になっておるのはその壁なんですね。結局、雇用対策室をつくりました、あるいは雇用対策協議会をつくりました。そして、できればそこで公共事業とセットで人の求職をされる。しかし、それは職安を通してというたてまえですね。これが一つの壁になっておることは事実です。したがって、府県、市町村段階で条例をつくるりとしても、その壁がどうしても取り払われませんと、対策協議会をつくりました、雇用対策室をつくりました、しかし社会的拘束力を何ら持っていない。私は、民間の解雇宣言まで地方自治団体が云々とまでは言いませんけれども、少なくとも公共事業に関する限り、この次官通達を生かしていくとするならば、地方でつくる条例が、ある分野においては職業安定所の権限の分野まで及ぶ、そのところを自治省と労働省と協議をしてほしいと思うのです。そうでありませんと、ところによっては、率直に言って、労働省の方が地方団体の前にはだかつてしまって、実際は、地方団体は雇用創出のための、失業者を吸収するための事業ができないのです。こういう実態があることも事実なんですよ。  私は、ぜひこれは労働省にもお願いをしておきたいと思うのですけれども、単に地方団体における職安との連絡調整だけではなくして、実態としてこれだけの失業者がある、一方では地方団体はこれだけの仕事がある、この接点を見出すための具体的な処置を早急に事務当局間でまず話をしてもらう。同時に、それがたてまえである職安法なり何なりに問題があるとするならば、これは大臣間あるいは次官間で話をしてもらう、このことをぜひお願いをしておきたいと思うのです。どうでしょうか。労働省側から、まず先ほどの答弁も含めてお答えいただきたい。  そして、最後に大臣からも、この辺に対してひとつやってみよう、そういう私が言ったような提案がもしも受けとめられるならば、内容的にはいろいろありましょう。内容的にはいろいろありましょうけれども、そういう壁を一つでも取り除いてみよう、やってみよう、こういうことを労働大臣との間で話し合いをしていただけないものでしょうか。

田淵孝輔労働省職業安定局業務指導課長

○田淵説明員 先ほどお尋ねがございました全国の職安の数でございますが、現在、出張所も含めまして全国で六百八十六所ございまして、これは市町村の行政区画と関係なく形成される労働市場ということで連ねておりますので、安定所がやはり職業紹介の中心になるのが最も適当じゃないかということで職安法がつくられておりますが、職安法の中でも、求人または求職の申し込みの取り次ぎというようなことを市町村にやってもらうことを前提に規定もございますし、これは実質的に職業紹介そのものではございませんが、ほとんどそれに近い形で、現に出かせぎ対策等では市町村に安定所と共同して仕事をやってもらっております実例もございますし、今後とも市町村と十分連絡をとりまして、御趣旨のような公共事業への就労が進みますように、さらに自治省とも十分連絡をとって対策を進めてまいりたい、かように考えます。

加藤武徳自由民主党・自由国民会議自治大臣・国家公安委員会委員長・北海道開発庁長官・労働大臣臨時代理

○加藤国務大臣 職業安定の仕事は、国の仕事というぐあいに明確になっておることは御承知のとおりでございます。したがって、職業安定行政をやっています者と公共団体との連携を緊密化していかなければならぬことは申すまでもないことでございます。がしかし、公共団体みずからが職業安定業務を行いますことは困難でございますから、いま労働省から取り次ぎという表現のお話がございました。まさにこのあたりが現行の接点だろうと思いますから、なお工夫をこらしまして、両者の連携を緊密に保っていく、かような努力をいたしてまいりたい、こう思います。

加藤万吉日本社会党

○加藤(万)委員 ぜひ、いまの点を強化をしていただきたいというふうに思います。  わが党は、御承知のように雇用創出のための法案も当委員会に提案をいたしております。いずれ機会を見まして、雇用創出のための交付金制度の問題、あるいは現行ある、たとえば一般会計その他で繰り込まれております福祉施設の新規の設置の問題等を含めて、私は何回も言うようですが、これからの日本の雇用は第三次産業に移行せざるを得ないという客観性を持っています。そういう意味でのこれからの雇用問題に真剣に取り組んでいただきますことをお願いをいたしまして、質問を終わります。ありがとうございました。     —————————————

木村武千代自由民主党

○木村委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  地方自治及び警察に関する件の調査のため、六月十五日午前十時三十分より、全日本動物輸入業者協議会会長河野通敬君を参考人として委員会に出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

木村武千代自由民主党

○木村委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次回は、来る十五日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時二十七分散会

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