商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会 第1号
- 発言数
- 13 件
- 登壇者
- 7 名
- 会派数
- 1
- 開催日
- 1978/04/20
会議録
○山崎小委員長 これより商工委員会エネルギー・鉱物資源問題小委員会を開会いたします。 この際、一言ごあいさつ申し上げます。 このたび、私がエネルギー・鉱物資源問題小委員長に選任されました。小委員各位の格別の御協力をお願い申し上げます。 エネルギー・鉱物資源問題に関する件について調査を進めます。 本日は、特に非鉄金属鉱業問題について、参考人として日本鉱業協会会長庭野正之助君、三井金属鉱業株式会社代表取締役社長尾本信平君、中小鉱業対策推進中央本部長田中雄平君、全日本金属鉱山労働組合連合会中央執行委員長原口幸隆君、全日本資源産業労働組合連合会中央執行委員長遠藤亨君、秋田県知事小畑勇二郎君、以上六名の方々に御出席を願っております。 参考人各位には、御多用のところ本小委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。 参考人各位には、本問題についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見を十五分程度に取りまとめてお述べいただきます。 まず、庭野参考人にお願いいたします。
○庭野参考人 日本鉱業協会の会長を務めております庭野でございます。 金属鉱業につきまして、日ごろから深い御理解、御指導をいただいておりますことを心から感謝申し上げます。中小円高対策法、雇用保険法、離職者対策法、中小企業事業転換法の業種指定につきまして、並み並みならぬ御尽力をいただきましたことに改めてお礼申し上げたいと存じます。 本日はまた、お忙しい中を本委員会を開催されまして、特にわれわれの業界の実情につきましてお聞き取りいただく機会を与えられましたことは、まことに感謝にたえない次第であります。 まず、業界の現況について御説明申し上げたいと存じます。 御承知のように、非鉄金属は国際商品でありまして、銅についてはロンドンの金物取引所の相場、亜鉛についてはヨーロッパ生産者価格等の国際価格に準拠しておりますが、きわめて価格変動の激しい商品であります。しかしながら、銅価が今日ほど長期にわたって低迷しましたのは戦後初めてのことであります。現在、価格はポンド当たり六十セント、日本の価格で三十二万円前後で推移しておりますが、この価格水準では自由世界の鉱山の大半が赤字操業を余儀なくされておりまして、きわめて異常な低水準にあります。アメリカは自由世界全体の約四分の一を占める大生産国であり、世界的な産銅会社が生産に当たっているわけでありますが、銅価の長期にわたる異常な低迷についにたまりかねまして、最近政府に対して、銅の輸入を制限するよう正式に要望を行っております。こうしたことからも、現在の価格がいかに異常なものであるかおわかりいただけるものと存じます。 何ゆえこのようなことになっているかということでありますが、これはいわゆるオイルショックに端を発する世界景気の後退に伴って、銅の需要が大幅に減退したことが大きな原因であります。すなわち、昭和四十八年には、自由世界全体で約七百万トンの需要があったのですが、昭和四十九年、五十年の二年間で百八十万トンも需要が減ったわけであります。これは特にアメリカで八十万トン、日本で四十万トンと、主としてアメリカと日本の需要が大幅に減ったためであります。一方、生産面におきましては、ザイール、ザンビア、チリ、ペルーといった発展途上国の生産のウェートが高いのでありますが、これらの国では銅産業の国有化が進んでおりまして、外貨収入の大部分を銅の輸出に依存しております関係から、銅価の下落を増産によってカバーするという政策がとられました結果、世界的に需給のバランスが崩れ、銅の在庫が累増いたしました。すなわち、ロンドン及びニューヨークの銅の取引所に約八十万トンの銅が在庫され、これが銅相場の頭を抑えているわけであります。 亜鉛につきましては、ヨーロッパの生産者価格に準拠しております関係から、銅に比べて昨年前半までは比較的安定していたわけでありますが、世界的な亜鉛需要の低迷によりまして、昨年五月以来価格が急落いたしまして、それまでトン当たり七百九十五ドルであったものが五百五十ドルまで落ち込んでしまい、これまた生産コストから見てきわめて異常な水準になっております。さきにアメリカの銅の輸入制限の動きについて申し上げましたが、亜鉛業界も輸入制限、関税引き上げを要望しておりまして、世界的な問題となっております。 さきに申し上げましたように、国内価格は国際価格にリンクしております関係上、こうした国際的に異常な価格の低迷に昨年以来の急激な円高が加わりまして、銅、亜鉛ともに国内価格が暴落しております。たとえば、銅は昭和四十九年春ごろには七十万円以上であったものが、現在は三十二万円と半値以下になっており、亜鉛につきましても、昭和四十九年末ごろは二十六万円であったものが、現在は十五万円になっております。国内鉱山は、この影響を一〇〇%受けまして、危機的な経営状況に陥っております。 一方、製錬所は鉱石から地金まで製錬する加工料収入によって成り立っておりますが、その加工料収入が国際的な取引慣行上ドルベースで決まっております関係から、円高によって大幅な減収になっております。一方、生産コストは、エネルギーを中心とする諸物価の高騰、過剰在庫に伴う金利負担の増大等により大幅に上昇しておりまして、現在きわめて苦しい経営を余儀なくされております。 しかしながら、長期的に見た場合、鉱山は減耗性の埋蔵鉱量を経営の基盤としており、採掘が進むにつれていつか鉱量がなくなるものであります。一方、新規鉱山の開発は、現在価格が異常に低迷しているために、すでに開発に着手していたものを除いて、全く進んでおりません。新たに鉱山を開発するには、ポンド当たり一ドル以上の銅価が必要と言われております。現在の価格の倍程度になる必要があるわけです。亜鉛についても同様のことが言われております。 銅需給の今後の見通しにつきましては、アメリカ、日本等を中心に昨年あたりから需要が回復しております。一方、生産面につきましては、アメリカ、カナダ等において減産が進んでおりますが、最近に至って、ザンビア、ザイール、ペルー等の発展途上国も一五%の減産を発表しており、生産と消費がほぼ均衡しております。今年は過剰在庫も減少に向うものと予測されております。事実、ロンドンの取引所の在庫も年初以来若干減少しております。したがいまして、今後は銅の需給は徐々に改善し、いずれ新規鉱山の開発が必要になるものと思われます。 現在、国内鉱山から銅で約七万トン、亜鉛で二十六万トンが毎年生産されております。さきに述べましたように、現在世界的に異常な価格水準にある中で、急激な円高が加わり、国内価格が暴落しているために、鉱山の経営は危機的な状況に陥っており、相次いで閉山がなされております。 私は、かかる異常事態の中で、鉱山をつぶしてしまってはならないと考えます。御承知のように、わが国は、大量の非鉄金属資源を消費しております。銅は毎年百万トン、亜鉛は七十万トンの大消費国であります。その需要を賄うためには、さきに述べましたように、いずれ新規鉱山の開発が必要になります。したがいまして、貴重な国内資源を活用していくことはきわめて重要なことであり、国内鉱山の維持存続を図ることはわが国資源政策の根幹をなすものであると信じております。 業界といたしましては、国による各種の鉱業政策が展開されます中で、先生方並びに政府御当局の御指導のもとに、鉱山の維持存続に最大の努力をしてまいりました。 しかしながら、さきに述べましたように、長期にわたる価格の異常な低迷によりまして、われわれの努力も限界に来ているわけであります。そこで、業界としましては、昨年以来、国による鉱業政策の抜本的確立のために、鉱業基本法の制定をお願いしてまいりました。その中核は、価格の安定を図り、国内資源の活用を図ることであります。 しかしながら、法律の制定には時間がかかりますので、その間の暫定措置として、経営安定融資制度を昨年末にお願いしました。その後、亜鉛の生産者価格は一段と引き下げられ、さらに、円高が進みました結果、事態は一層悪化し、このままで放置すれば国内鉱山が壊滅しかねない状況に立ち至りましたので、業界としては、抜本的な価格安定策として、国内鉱山維持調整基金制度の創設をお願いするに至ったわけであります。 この構想は、非鉄金属の価格が暴騰暴落するという特殊性にかんがみまして、調整基金を設けまして、一定の価格を下回った場合に基金からこれを助成し、一定の価格を上回った場合は基金に積み立てるというものであります。本構想の細部につきましては、十分御審議をお願いしなければならないのでありますが、鉱業の特殊性と現状について御理解いただきまして、本制度の創設に格段の御尽力をいただきますようお願い申し上げます。 また、本制度ができますまでの間、鉱山に対する緊急低利融資を講ぜられるようあわせてお願い申し上げます。 さらに、国内資源の活用を図るための長期的な問題といたしましては、鉱山の坑排水処理を閉山後も永久にやらなければならないという実態になっておりまして、収入がゼロでコスト負担だけが続くということで、大変な負担になっております。これが新たな鉱山の開発意欲を阻害しておりますので、貴重な国内資源の活用を図るために、長期的観点から何らかの対策をぜひともお願いいたしたいと存じます。 次に、エネルギーコストの問題でありますが、わが国の電力料金は、オイルショック以前はキロワット当たり三円であったものが、昨今の数次の値上げにより、現在約三倍に上がっており、鉱山、製錬所の経営を圧迫しております。特に亜鉛製錬では、エネルギーコストが製錬コストの大半を占めており、価格が暴落している中できわめて大きな負担となっております。しかしながら、日本の亜鉛の生産量は自由世界第一位でありまして、国内的にはもちろん、国際的にもこれを維持活用することがきわめて重要であります。したがいまして、なかなか困難な問題が多いこととは重々承知しておりますが、電力料金について特段の御配慮をいただくとともに、小水力発電、地熱発電等自家用電源開発につきまして、格別の助成策を講じていただきますようお願い申し上げます。 以上、いろいろ申し上げましたが、業界といたしましては、これまで、重要な基礎資材である非鉄金属の安定供給のためにみずからあらゆる努力をしてまいりました。これからもこの基本姿勢を貫いていきたいと考えておりますが、今日の状況がきわめて異常な事態であることを御理解いただきまして、特段の対策を講じていただきますよう切にお願い申し上げる次第であります。 どうもありがとうございました。(拍手)
○山崎小委員長 次に、尾本参考人にお願いいたします。
○尾本参考人 尾本でございます。 ただいま協会長から総括的な説明を申し上げました。私は、それに基づきまして若干資料的なこと、データ的なことを御参考に申し上げたいと思います。 「陳述要旨」と書いたもの、これは文章になっておりませんけれども、これをごらん願いながらお聞き取りいただきたいと思います。 まず第一に、「国内資源の重要性」というヘディングをつけておきました。一体日本の国内鉱山資源は貧弱なのかどうかをデータ的に申し上げたいと思います。 そこに書いてございますように、新しい海外鉱山を開発したら一体どのくらいかかるのだということを挙げてあります。 まず、アとして銅ですが、われわれは数年間、ペルー北部のミチキジャイ鉱山というのを計画いたしました。調査は十分済んで、さて建設に入るというところまで参って、いま中断をいたしております。これをごらんになりますと年産銅量は八万トン——八万トンちょっとプラスになりますが、この八万トンというのは、ほぼ日本全国の現在の国産銅、国内鉱山から出る銅と等しいわけであります。これをつくりますのに、鉱山投資額は七億ドル要るわけであります。これは千五百億円になるわけであります。しかもそこから出てまいります銅の値段は、いま協会長が申し上げましたように、一ドル十五セントぐらいないと十分採算がとれないということでございます。つまり、二百二十円で計算すると五十五万円になりますし、二百五十円で計算しますと六十三万円といったような、いまから考えれば高いコストです。 亜鉛の場合も、アメリカにちょうど日本全体と同じような規模の開発計画がございます。アメリカのクランドンというのが年産二十三万トンで、日本の国産亜鉛が二十六万トンでございますからほぼ等しいわけでありますが、これに対する投資額は三億ドルと言われております。六百六十億円ですね。これは円換算いたしますと、二十二、三万から二十四、五万ないと十分な採算をとって開発ができない、こういうことでございます。 さらに、西独のことをそこに書いてございます。西独も、マルク高で相当まいっておるわけであります。最近私どもの会社の社員を派遣いたしまして、ドイツは十三万トンくらいの亜鉛がドイツ国内から出ておるわけでございますが、一体どうなっているのだということを調べに参りましたところが、一トンの亜鉛の値段はどうしても千ドル以上なければならない、こういうことを聞いてまいりました。つまり二十二、三万円から二十四、五万円なければ困るのだと言って、ひいひい言ってまいっておるというのが実態でございました。 いま申し上げたようなことを考えてみますと、国内資源は決して貧弱じゃないのだということが言えると思います。日本の亜鉛の例を申しますと、埋蔵量は世界で第四位であります。鉱石の生産量は第六位でございまして、国内鉱石の自給率は四〇%というわりあいに高い率を示しております。 次のページに移りまして、神岡の例でございますが、四千百万トンの埋蔵量がございます。そこで非常におもしろい例を次に挙げております。技術の向上によって非常に大きな成果を上げてきた。そこにございますように、大正二年、いまから六十年前の採掘品位、どういう鉱石を掘っておったかということでありますが、鉛と亜鉛と合計いたしまして一九・一%という鉱石を掘っておったわけです。そうして一七%以下の鉱石は鉱石ではない、これは捨てておったわけであります。それが現在では何と四・何%というものを掘ってやっているわけでございます。しかもその一番右の方にございます埋蔵金属量はどうかと見ますと、一九%にいたしますと二十万トンしか埋蔵金属量はない。現在は四%ばかりで、四千万トンにもなりましたので、二百四、五十万トンの埋蔵金属量がある。こうなったということは、今日までの日本の鉱山業あるいは働く人たちの努力、研究の結果であります。つまり全然鉱石でないものを鉱石にする努力が続けられてきたことも示されているわけでございます。しかも現在でも採掘するより発見する方が多いわけでございまして、まだまだいわゆるヤングマインであるということが言えると思うのであります。 さらに、ほかの例でございますけれども、最近における秋田県の北の方、北鹿方面における新しい鉱山の発見、鉱床の発見というものは実に大したものでございまして、深沢とか餌釣鉱山というものがどんどんと相当りっぱなものが発見されておるということも忘れてはならないことでありまして、日本の非鉄金属資源が貧弱だからこんなものはつぶしてもいいんだという考えがもしあるとするならば、私は大間違いであるというふうに思いたいのであります。 次に、「日本の非鉄金属の苦しい理由」ということで、これは先ほど庭野協会長からも申し上げましたが、国内の亜鉛の建て値は、そこに書いてございますように二十一万九千円、二十四万六千円、ことしの一月は十六万六千円、十五万四千円、十五万円というふうに毎月毎月下がっておる。毎月毎月下がっておるというのは全部為替のせいであります。一方、この間において賃金も約十倍ぐらいに上がり、電力も五倍に上がる、こういうようなことでどうしてやっていけるかという、経営の範囲外になってしまっているということが言えるかと思います。 次のページに移りまして、国際価格の急落という問題がございます。 これも協会長から申し上げたとおりでございまして、亜鉛の値段は七百九十五ドルというものが五百五十ドルに落っこってしまった。つい二、三日前に六百ドルにまた上がりましたけれども、こういうことであります。この原因は何だといいますと、ヨーロッパにおける製錬会社がいろんな混乱を起こした。これは細かいことは申し上げませんが、いろいろな混乱を起こした。その結果、ヨーロッパのプロデューサーズプライスというものが下がった。そのヨーロッパで下がったことが全世界の資源に影響を及ぼした、こういうことが言えるわけでありまして、その結果として海外ではたくさんの鉱山が休閉山に陥っている。ただし、たくさんといいましても、アメリカとカナダにおいてだけでありまして、その他の国は為替が非常に暴落をしておる。たとえば一番ひどいのはペルーなどでありまして、ペルーの鉱山などは非常に為替が暴落をいたしましたためにむしろ利益がふえておる、こういったような傾向もございます。 そういったようなことで、各国為替の関係が非常に違いますので全世界的な共同歩調がなかなかとれない。しかしながらようやく、ここに書いてございますが、最近急速に操短強化が決定されました。その結果として若干金物取引所の値段は上がったというようなこともございますけれども、国際的に適正価格水準になるのにはなおまだ二、三年を要するのではないかというふうに考えられます。 それなら外国でどんどんつぶれておる会社があるんじゃないかと言いますけれども、ここらと日本と非常に大きな違いは、自己資本が非常に違う。日本は一一%から一五%ぐらいの自己資本しかない。あとはみんな借金でやっている。海外の場合には、大手の企業は相当の自己資本比率を持っておるというふうなことが大きな違いではなかろうかというふうに私は思います。 次に、円高の問題でございますが、これはもう国内鉱山はまさに直撃弾を受けたに等しいということでございまして、壊滅的な打撃を受けたということが言えるわけであります。それなら輸入鉱を製錬しているところはいいんじゃないか、こういうふうにお考えになるかもわかりません。しかしながら、鉱石を輸入する場合には製錬費というものを差し引いてわれわれは鉱石を買います。その製錬費というものはドル建てであります。この製錬費というものが製錬所の収入の唯一の根源であります。この製錬費がドル建てでは円高のためにだんだん減ってしまった。いままで七、八万円もらっていたものが円高のために、円で考えますと、ドルで同じであってもわれわれがもらう製錬費は円では非常に少なくなる。その中から電力代から社長の月給まで払うというようなことになるわけでありまして、これは製錬所も円高の目減りによって大変な困窮に陥ってしまっているということでございます。 この為替問題を考えます場合に、日本の為替は一体いつまでも二百円とか二百二十円とかでいくんでしょうかというようなことを考えてみますと、必ずしもそうでもないだろう。いつの日か、また日本の経済が逆になりますと、二百五十円とか三百円に返ることも絶対にないということはだれも予言できないだろう。そうなった場合に、いまここで国内の鉱山をつぶしてしまったならば、そのときになってほぞをかむのではないかというふうに私は思います。かつて金山を、終戦後金は要らないということで金山をずいぶんつぶしてしまいました。あるいは石炭も五千万トンを二千万トンに減らしてしまった。それでいまエネルギーで困っている。こういうことを繰り返していいんであろうかという感じがいたすわけであります。 次のページに移りまして、電力問題が書いてございます。一番にフィリピンのミンダナオの場合の例というのがございますけれども、これはこの間私、日比経済合同委員会でマニラに参りました。フィリピンもこれは日本のまねをしたわけでありますけれども、ある発電所が一円四十銭、そこへ電気を使うフェロアロイその他の工場をつくった。ところが、第二発電所、第三発電所というふうに水力発電を上へ伸ばしていった。伸ばしていった上の方の電気は非常に高い。常にこれをプールして、発電所が一つふえるごとに一番初めの一円四十銭はどんどんどんどん上がってくる。したがって、一番初めに出たパイオニア的な電気を使う産業は悲鳴を上げてしまったという例がございます。私はそういうのはおかしいじゃないかと言ったところが、それは日本のまねをしたのだ、こう言っております。 日本の電力政策は、常に、原子力発電所をつくった、あるいは火力発電所をつくった、そのたびに、最初につくった水力発電と亜鉛電解あるいはアルミ電解というものがこうなっておったにもかかわらず、それもどんどん上がってしまう。それじゃ企業はどうにもならないといったようなことでございますけれども、オーストラリアのタスマニアのリスドンその他、これは世界の例をいろいろ見ましたけれども、最初に水力発電をつくってアルミの電解をする、水力発電をつくって亜鉛の電解をやる、こう決めますと、この間相当長期にわたって、水力発電ですから油は要りませんので、別にコストアップはない。ほとんどコンスタントに長期にわたって価格を固定していっておるという例が非常に多いわけであります。 この例を神岡においでになった方はごらんになったかと思いますけれども、私どもの神岡の亜鉛電解工場と発電所というのは、一緒に計画して一緒に建設を始めたのであります。しかしながら、ちょうどたまたま日本発送電の計画の時代でございまして、建設の途中からその発電所の方だけは日本発送電に行って、それがいま北陸電力の発電所になっておるわけでありますが、これもやはりいまのシステムですと、原子力発電をつくる、油発電をつくる、油が上がる、それで全部隣の水力発電所の料金までどんどん上がってしまう。はなはだおかしいような気がいたすわけでございます。 (ウ)のところに亜鉛電解の場合と書いてございますが、亜鉛製錬収入、これは外国からもらう製錬費収入でありますが、その製錬費収入の中に占める電力代の割合というものがそこに書いてございます。これは前はもっと低いのですが、五十一年の七月、これでも四八%であります。半分を電力会社に払っておった。それが六七%になり、去年の十一月には八五%になってしまった。つまり、外国から製錬費をもらって製錬をするわけでありますが、そのうちの八五%は現状では電力会社に払っておる。電力会社が経営したらいいじゃないかといったような感じすらするわけであります。 しかも電解という仕事は、とめろと言えばいつでもとめられる、あるいはこの季節はやめてくれと言えばやめられる、まさに水力の揚水ダムのダム的役割りも果たすことができる、非常に電力の供給者としては最もいい需要家であるということも言えるのではないかということを考えるわけであります。 もう少しこういうことをやっていただくためには、電気事業法というものが三十年前につくられた、これが現在もある。このことについて、やはりこれは非常に安い時代でありましたから、何か政策料金でこれを解決しないと全滅をしてしまうというように私は思うのであります。 五ページに移りまして、「国内鉱山の維持対策」、これは先ほど協会長も申しましたように、国内鉱山維持調整基金制度を創設するということと電力の政策料金を決めていただきたい、こういうことでありますが、いろいろなことを考えましたけれども、どうしてもこの調整基金制度を創設する以外にはほかに手がなかろうというふうに私ども考えたわけであります。 その次、「参考」というところがございますが、休閉山をやりますと、地域社会そのものがつぶれてしまう。鉱山の再開は、一遍つぶしますと、もう一遍やったらいいじゃないかと言うけれども、これはなかなかできないというようなことでございます。 神岡の例をそこに挙げてありますが、町の人口は一万八千人、そのうち五千人が鉱山の従業員とその家族であります。町税の収入は八億四千万円、鉱山関係の諸税が三億七千万、休山の場合は町ぐるみで救済をしなければならないというような状態であろうと私は思うのであります。 これを全国に広げて推定をいたしてみますと、全国の従業員が金属鉱山大体一万七千人、そのほかに下請も七、八千人おるでありましょう。これが全部やめてしまったといったような場合には、雇用保険を考えてみましても三百億円というものが毎年要るでしょうということが言えます。それから鉱産税等も入らなくなる、あるいはまた、次のページに移りますが、町ぐるみで対策を講じなければならないということになりますと、これでも百億、二百億の金が毎年要るんじゃないでしょうか。国はそういうことをしなければならないのじゃないですか。四、五百億円のことが、もし全部これをつぶしてしまったら、どっちみちそういうことが要るんでしょう。それなら生かしたらどうですかということが言いたくなるわけでございます。 その次に、鉱山は一次産業として農業あるいは石炭と同様に考えていただく必要がある。本当に農業と同じだと思います。どこにも転化できないものであります。しかるにかかわらず、農業には糖価安定とか蚕糸価格安定とか食肉乳製品の価格安定とかいうものがずらっと法律で並んでおります。これと同じとは言いませんけれども、こういう考え方に立ってひとつお願いいたしたい。石炭は、御存じのように、今年度の国家予算でも一千百億円の援助的なものが出ておるというふうに聞いております。何とかこれをあくまでも生かしていくということでいろいろなことをお考えを願いたい。 三番目に、アメリカもこういうことをやっていますよということで、通商法による輸入抑制、これは先ほど協会長も申しましたけれども、いまクォータ制を敷こうとして公聴会その他を開いております。私どもの方からも行っております。 それからまた、ダンピング法をいつでもかけられる状態にあります。日本にもあるそうでありますけれども、日本にはその法が整備されておらないということでございます。これは私どももカドミウムを輸出いたしまして、ダンピング法にひっかかってアメリカに輸出できないという状態になったこともございます。 また、カーター政権下におけるGSAの膨大な備蓄政策がございます。銅が百十八万トン、亜鉛が百十九万トン、鉛が七十八万トン、すず、ニッケルといったようなものがございます。 それから、非常におもしろいことは、アメリカでは最近になってさらに公害対策を強化させております。ところが、南米とかアフリカから入ってくる銅、これは砂漠の中なんかですから公害対策をやっておらない。したがって、そういう銅がアメリカに入った場合には特別課徴金を取る。その金額が何と五万五千円の課徴金を取るという法案が、上下両院に議員立法で出されておるということであります。そうでなければアメリカの国内鉱山は競争できないんだ、アメリカが公害対策をやるんだから、やってない国から入ってくるものについてはそれだけの課徴金を取って初めて競争になるんだ、こういった法案が出ておるということです。もちろんまだ通過したわけではございませんけれども、そういったこともあわせて申し上げまして御参考に供したいと思います。 どうも御清聴ありがとうございました。(拍手)
○山崎小委員長 次に、田中参考人にお願いいたします。
○田中参考人 私は、中小鉱業対策推進中央本部長の田中でございます。本部長であるとともに、中小鉱業を代表いたしまして日本鉱業協会の副会長を兼務しておりまして、中小鉱業の対策推進に当たっております。 昨秋来の経済界の不況対策でいろいろな対策が打ち出されまして、鉱業関係といたしまして、中小円高対策法、雇用対策、離職者対策法等諸般の施策を実施していただきまして、先生方の御尽力に対し、心からお礼を申し上げる次第でございます。 これから、戦後最大の不況に遭遇しておる金属鉱業界の現状と問題点を話し、それから対策についてお願い申し上げますが、ひとまず御認識を賜りますために、鉱業界の概要について御説明申し上げます。 昭和五十二年四月現在の全国稼働鉱山数は、金属鉱山九十六鉱山、非金属鉱山七百五十四鉱山、合計八百五十鉱山でありまして、このうち中小鉱業者の経営に当たるものは、金属鉱山で八十六鉱山、非金属鉱山で六百八十二鉱山を数えます。 また、従業員につきましては、金属鉱山で一万七千名、非金属鉱山で二万名、合計三万七千名でございまして、このうち中小鉱山では二万三千八百名を占めております。この数字は、十年前の昭和四十二年の全鉱山数千七百六十七鉱山、従業員七万九千名と比較いたしまして大幅な減少となっております。 当本部は、北海道から九州に至ります全国八地方に地方本部を持ち、この地方本部によって運営をしております。関係鉱種といたしましては、金、銀、銅、鉛、亜鉛等の金属鉱物と珪石、ろう石、粘土、石灰石等非金属鉱物を網羅しておるのでございますが、本日は、これらの鉱種のうら、問題を生じております金属鉱山を中心に意見を申し上げます。 私がこれから申し述べます点は、最近急速に進んでいる国内鉱山の閉山問題につきまして、その問題点及び今後の鉱業政策について取り上げ方などお願いを申し上げる次第でございます。 まず、第一の点といたしまして、今次不況の原因でございますが、先ほど庭野協会長また尾本社長から詳しく説明がありましたので省略いたしますが、これは要するに、国際価格の異常な低落と為替相場の変動による急速な円高移行による非鉄金属国内価格の異常な低落によって生産コストを大幅に割り込み、企業の経営が困難に陥ったということであります。銅について申しますと、近年の高値で七十万円を超したものが現在三十二、三万円、亜鉛について言えば、二十六万円を超したものが現在十五万円と、かってない低価格に落ち込んでおります。このため、生産コストとの間にかなりの価格差を生じ、鉱山の経営が困難となり、本年に入って松木、新宮、鰐渕鉱山を初めといたしまして、近く紀州、尾去沢鉱山の閉山、秩父、八茎鉱山の縮小が決定しております。すでに御承知のごとく、生野、足尾、別子等の大鉱山はすでに姿を消しておりますが、このように次々と国内鉱山の火が消えようとしております。 わが国鉱業は、明治以来経済の興隆に貢献してまいりました。特に戦後の復興に果たした鉱業の役割りは非常に大きなものがあります。先年のオイルショックで、われわれ国民はいやというほど資源の重要性を認識いたしました。変転きわまりない国際情勢のもと、近年各国で資源ナショナリズムが主張されている折から、いたずらに手をこまねいて鉱山を閉山に追い込むことは国益に反すると思う次第でございます。さらに、今後の探鉱いかんでは、一層の有望な資源の開発の可能性が十分に存在しております。これは近年探鉱により発見され、現在わが国金属鉱業稼行の中心になっている秋田県の黒物鉱床がその証左であります。このように世界的にも優秀な資源が発見される可能性を十分に秘めているわが国の鉱床賦存状況から見まして、国としてももっと積極的に資源政策をとるべきと私は確信しておる次第でございます。 私の申し上げておることは、庭野協会長あるいは尾本社長のおっしゃったことと重複している面も多々あるかと思います。しかし、重複している面があればあるだけ、その重複している分は重大なことなんだ、私どもの真の叫びなんだというふうにお聞き取りを願いたいと存じます。 海外の鉱山は、ほとんどが露天採掘でありますために、今回のような不況で採算がとれなくなった場合、一時休山する措置がとられるわけでございます。アメリカ銅鉱山が多く休山しておりますのがその例でございます。このやり方ができれば、価格回復の後は比較的容易に稼働に移れます。しかし、日本の鉱山の場合、ほとんどがというより全部が坑内採掘でありますために、簡単に休閉山ができません。それは水の問題があるからであります。閉山によって坑内は当然水没するわけでありますから、再開しようとしても、水没後の坑内再開発は鉱山保安上ほとんど困難でございます。私どもが、閉山即資源の放棄であると申していみのはこのことであります。 次に、鉱山と市町村とは昔から一体不可分の関係にありました。鉱山の発祥によって生い立った市町村が多数ございます。北海道の下川町、秋田県大館市、花岡町、花輪町、宮城県鶯沢町、茨城県日立市、岐阜県神岡町等がその代表的なものでございます。これら市町村のほとんどにとって鉱山は最大の企業体であります。いま尾本さんがおっしゃいましたように、雇用関係はもちろんのこと、設備投資の発注、坑木、火薬等の諸資材及び日常生活物資の購入、はたまた鉱石、資材の輸送関係の請負であるとか発注であるとか、地元経済に及ぼす影響は非常に大きく、鉱山の盛衰によりまして市町村財政の明暗、否、市町村の存立まで云々される事態を生じようとすることがしばしばございます。 最近の一例を申し上げますと、去る二月に閉山いたしました松木鉱山所在の秋田県大館市は、二百十六名の離職に伴いまして約八百名の人口流出を結果しております。そして年間十三億円の経済基盤を喪失しております。このような大きな問題を投げかけておる次第でございます。 先般、国会におかれましては、一般的な経済不況に対処するために、波及効果の大きいと目される公共事業を中心とした大型な予算を議決されましたが、鉱山の閉鎖というものはこのように、いままで申し上げましたように大きな波及逆効果をもたらすものであるということにも御着目願いたいと思うのでございます。 次に、わが国の鉱山におきます探査、採鉱、選鉱等の鉱山の特殊技術につきましては、世界的にもきわめて高い水準を維持しております。これは一朝一夕で培われたものではございません。閉山によってこれらの技術者を失うことは、今後わが国が必要とする資源を海外開発に求める場合でも重大なそごを来すことになるので、閉山を何とか回避し、これらの技術を温存させておくべきであります。 以上の諸点は、閉山という重大危機について御理解を願うために申し上げましたが、次に、この対策について申し上げたいと思います。 まず第一は、早急に鉱業基本法を制定していただきたいということでございます。 いままで申し述べましたとおり、単に企業の危機を救うということばかりでなく、国の政策として、国益を守る観点から国内鉱山を正しく位置づけていただきたいのでございます。そしてその内容の根本は価格を中心にした経営の安定化であります。農業、林業にはすでに基本法があり、同じく一次産業である鉱業に基本法があるのが当然であると私は思います。 ただいま述べました基本法の制定で経営の安定化を望んでいるわけでございますが、法律の制定までにはなお相当の日時を要すると考えられますので、その間に国内鉱山が壊滅してしまうおそれがございます。この異常事態を回避すべき緊急対策が必要でございます。国内鉱山の緊急事態に備えるための基金を設け、価格の異常低落時にこの基金をもって経営を安定させ、価格の高騰時には再び基金に戻し入れをして将来に備える、こういった仕組みを持った国内鉱山維持調整基金制度の創設をお願い申し上げたいと存じます。 なお、さらに超緊急の差し迫った事態に対応するために、制度の設立までのつなぎ融資についてぜひ御配慮を賜りたいと思うのでございます。 第三番目に申し上げたいことは、探鉱の促進策でございます。 現在政府におかれましては、三段階探鉱方式によりまして有望鉱床の発見に努められておりまして、かなりの成果をおさめていることは深く感謝申し上げるところであります。まだまだ探鉱の余地は十分にありますので、国による広域、精密調査の拡充と中小鉱山の探鉱助成策である新鉱床探査費補助金制度の拡充を強く要望申し上げます。 第四に申し上げますことは、閉山後の水処理の問題でございます。 鉱山を閉じることにより収入は当然皆無になります。ところが、この上にさらに閉山後の環境対策が重くのしかかってくるのでございます。すなわち、鉱業権者であった者は、鉱害を防止するために必要な措置をとる義務が現状では未来永劫に課せられております。このことは、一般製造業のように工場を閉めれば公害源が断ち切られるのと異なりまして、企業に大変な負担がかかっている問題でございます。こういった重い義務があるために今後鉱山を開発する意欲に大きな阻害となっておりますので、閉山後の企業負担の軽減について特にお願い申し上げる次第でございます。 以上、四項目について対策をお願い申し上げましたが、金属鉱山業界は、るる申し上げましたとおり、目下異常なる事態を迎えているということでございまして、国内鉱山は壊滅寸前にあるということでございます。資源が枯渇したのではなく、りっぱな資源がありながら、一時的な外的要因で壊滅するというところに問題があるのであります。 去る昭和五十一年四月二十八日、衆議院商工委員会におかれましては、鉱業政策の抜本的拡充を決議されておりまして、国内鉱山の重要性は国会の場ですでに御認識いただいているわけでございますが、具体的な施策の実施について、とにかく一日も早く何らかの手を打ってほしいと願う中小鉱山業者の心からなる叫びに対してどうか格段の御配慮を賜りたく、お願い申し上げます。 本日は、当委員会におきまして発言の場をちょうだいいたし、先生方の御清聴を賜りましたことを厚く御礼申し上げます。ありがとうございました。(拍手)
○山崎小委員長 次に、原口参考人にお願いいたします。
○原口参考人 全日本金属鉱山労働組合の委員長をしております原口です。 本日、参考人としてお呼びいただきまして、われわれの産業に対する関心を深く向けておられることについて感謝を申し上げます。さらに、最近各政党の方が現場に調査団を派遣されましていろいろ実情をごらんになっていることについて、われわれとしても心強く、またありがたく思っている次第です。 産業の危機的状況に当面して、そこに働いている労働者は、現在非常な雇用不安、生活不安、産業に対して将来どうなっていくのであろうかという不安に囲まれております。このため休閉山、縮小、合理化が相次いでおりまして、地域社会にも深刻な影響を与えております。昭和四十年には約四百の金属鉱山が稼動しておりまして、従業員も四万六千六百人ほどおりましたけれども、五十二年四月には九十六鉱山、一万六千九百人と約四分の一に激減をいたしました。 ことしに入って、松木鉱山、新宮鉱山が閉山。尾去沢鉱山、紀州鉱山、鰐渕鉱山に閉山提案が出されております。また、八茎鉱山、相内鉱山、大泉鉱山、中竜鉱山、多里鉱山、日向製錬所等で大幅な人員縮小計画を打ち出しておりまして、さらに岩手鉱山、神岡鉱山、古遠部鉱山、下川鉱山でレイオフを実施するなど、わが国金属鉱業の歴史にかってない深刻な事態が進行しております。 日本の金属鉱業は、これまで貿易、資本の自由化、その他の多くの試練を経てまいりましたけれども、今日の危機は、価格の暴落、円高問題やあるいは電力料金など電力エネルギーコストの大幅な上昇などが、従来の要因、たとえば価格形成問題、鉱害問題に加重されまして、鉱山部門はもとよりでありますけれども、製錬部門も危機にさらされ、まさに全面的な危機であるという点で、従来とは内容的にも質的にも異なっていると考えております。 現在のような状況下では、国内鉱山は一、二を残して壊滅するおそれがあると通産省でも分析をし、製錬所も赤字操業で完全な国際競争力を失っているというふうに判断しており、一刻も早く抜本策を確立しなければ、今日の金属鉱業は崩壊につながらざるを得ないというふうに思います。 そこで、金属鉱業の全面的な危機に対処して抜本策確立が急務であろうと思います。資源有限時代、これは単に物理的な意味だけではなく、政治的な意味においても資源有限時代を迎えまして、特に資源の少ない日本にとっては、今後の安定的な経済発展を図るためには、国内資源を確保し、その最大限活用によって自給率を高めることはきわめて重要な政策課題であると考えます。 その意味で、十分な鉱量があるのに、価格の異常な変動で採算がとれないという理由で閉山に追い込まれるということは、今後絶対にあってはならないというふうに考えます。他の産業と違い、鉱山は一たんつぶしてしまうと再開は不可能であります。 しかし、現状では休閉山に追い込まれ、その処理には膨大な国費や企業負担あるいは自治体財政がつぎ込まれております。仮に国内鉱山が全部閉山をしたとすれば、労働者に対する雇用保険給付等諸経費が約一千億近い。鉱害等環境対策費、これは主に企業側でしょうが、長期に続いていくであろう対策費が膨大な金額に上ることは間違いありません。また、地方自治体に及ぼす過疎化対策費等については、先ほどの松木鉱山の例も出されましたけれども、これまたはかり知れない膨大な金額になるのではないかと考えます。かの昔有名であった足尾銅山は、当時三万八千人の人口を抱えておりましたけれども、現在は製錬所を中心として町の人口わずか六千人であります。このように数千億円の後ろ向きの費用がかかるという現実を見詰めたときに、私たちとしては、その何分の一かで前向きに鉱山、製錬所を救済し、今後の産業を防衛するというところに焦点をぜひ向けていただきたいことをお願いを申し上げます。 さらに、今日雇用問題を抜きにした産業政策はあり得ないと思います。長年の経験と恵まれない環境のもとに培われてきた鉱山労働者の持っている高度な熟練労働、特殊技能を維持育成することは、今後の、国内はもとよりでありますけれども、国外の資源確保の上からもきわめて重要な課題でありますし、労働者の雇用の安定のために早急に抜本策を確立をすべきであると考えております。労働者の産業離脱は産業の崩壊に直結いたします。 これまでの鉱業政策の出発は、かなりさかのぼるのですが、三十七年五月七日に衆議院の本会議で採択されました「自由化に直面する金属鉱業危機打開に関する決議」というものが一つの大きな出発点になっていたと思います。その決議は、抜本的な金属鉱業政策を樹立し、金属鉱業の安定的発展と雇用の安定を図ることを求めたものでありました。しかし、国内鉱山を保護するため鉱業審議会が設けられまして、探鉱助成、探鉱融資、備蓄などの諸制度は確かに前進をいたしましたけれども、抜本策の確立にはまだほど遠く、決議の趣旨は完全には生かされていないし、いまこそ決議の精神に立ち返り、抜本策を確立すべきであると考える次第です。 先ごろの四月十一日の衆議院の商工委員会でも、政府当局の方から現行諸制度では金属鉱業の危機を救う抜本策ではないという趣旨の答弁をされておりますし、行政の立ちおくれも強く指摘されました。また、現在鉱業審議会の鉱業政策懇談会で今後の鉱業政策のあり方が検討されておりますが、答申も三月予定のものが大きくおくれております。基本対策の手おくれによって危機がさらに深刻化されることを心配いたしております。すでに問題は政策的、政治的に判断をするという段階ではなかろうかと私には考えられます。したがって、鉱業審議会の審議は審議として精力的にやることは当然でありますけれども、政治の場における産業に対する大きな判断をひとつお願いをしたい。本委員会の審議に私は大きな期待を寄せる次第です。 まず、鉱業政策の基本姿勢を明確にすることが必要であろうと思います。そのため、国内鉱山、製錬所を守るという立場、位置づけを明確にし、その安定と自給率の維持向上を目指すバックボーンとも言うべき金属鉱業等基本法を制定することが必要であると考えております。こうした基本法によって日本の金属鉱業の将来展望を明るいものとし、労働者の雇用安定を図るべきであると考える次第です。 この基本法の制定については、早急に制定を期待するわけですけれども、それなりの手続なり時間も必要であろうと考えますが、国内鉱山、製錬所も含めまして、私たち働いている者の立場から言えば、待てない、それまでもたないという危惧があります。したがって、当面の緊急対策を確立し、限界的状況下にある金属鉱山の危機を救うことがどうしても必要だろうと思います。危機の原因の中で価格の極端な暴落というものがありますけれども、銅、鉛、亜鉛等主要鉱産物の生産費を保障する国内鉱山維持調整基金制度というものを設けることがぜひ必要であると考える次第です。 かって金属鉱業等安定臨時措置法、これは昭和三十八年から昭和四十三年までの時限立法でありましたけれども、この法律のもとに日本銅鉱業振興協会が設立されまして、銅交付金制度が確立された経緯が過去にございます。こうした安定臨時措置法的な、今日に合うような今日版を前述の考えを織り込んで緊急に立法化していただきたいというふうに考える次第です。また、基金制度の予算化に時間がかかるとすれば、当面の緊急つなぎがどうしても山の支えとして欲しいことは当然であります。 また、電力料金等のコストアップが価格に転嫁できない非鉄金属産業に対する電力料金の問題も、われわれ労働者にとっても重大な問題であります。御承知のように、たとえば亜鉛製錬において電力がコストの大部分を占めるというような状況で、利益、そろばん勘定からだけ言えば、海外において亜鉛製錬をした方がいい。海外に流出するという危険性さえ将来感ずるわけであります。そういう意味からいっても、雇用不安につながるわれわれの重大な関心事になっております。 以上、考えを述べさせていただきましたけれども、今通常国会から来るべき臨時国会には金属鉱業安定化のための立法を制定し、その制度の裏づけとなる補正予算を組み、さらに鉱業基本法制定化へつなげていただくことをお願いをして、陳述を終わらせていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○山崎小委員長 次に、遠藤参考人にお願いいたします。
○遠藤参考人 全日本資源産業労働組合連合会、略称資源労連の中央執行委員長遠藤亨であります。 私どもの組織は、非鉄金属鉱山、製錬所、金属加工等非鉄金属関係産業労働者を組織母体といたしておりまして、同盟傘下にありまして今日まで一貫して産業民主主義に徹した労働運動を推進をしてまいっております。われわれは、みずからの生活の基盤であります非鉄金属鉱業を産業に生きる労使の自助努力によって守るとの基本的な考え方に立って、今日まで生産性の向上なり健全にして民主的な労働運動という基盤を基本にいたしまして、労使関係の形成に長年じみちな努力をしてまいりました。特に、私どもといたしましては、後ほど詳しく述べさせていただきますが、非鉄金属鉱業の特殊性にかんがみまして、鉱業政策の確立と推進がぜひとも必要と考えまして、今日まで業界、地方自治体と共同で、他の労働団体に先駆けて、積極的な行動を一体となって推進をしてきたと確信をいたしております。 このような長年にわたる努力にもかかわらず、われわれの非鉄金属産業はいまや風前のともしびの状態に立ち至っておると申し上げてもよろしいと思います。私ども非鉄金属産業に生きる者として、労働者として、何が何でもこの危機を脱しなければあすはないとのせっぱ詰まった状況のもとで、わが国産業の基幹となる非鉄金属産業の将来にわたる存続を図るためには、今日まであらゆる自助努力をしてまいったわけでありますけれども、現実は自助努力だけではもはや立ち行かない状況に逢着をいたしておりまするし、先ほど来それぞれの参考人の方々から申し述べられておりますように、ぜひとも産業政策の確立、すなわち国内鉱山維持調整基金制度の発足を見ていただきたい。すなわちそれまでには、市況が適正に回復するまでの間でも緊急の特別救済をぜひお願いをいたしたいと考えておるところであります。 私は、改めて申し上げるまでもございませんけれども、非鉄金属鉱業に働く労働者といたしまして、われわれの産業は国民生活に不可欠な基礎原材料を供給してきたということに誇りを持っておりました。そういう基本的な考え方を持っておりました。しかしながら、われわれの産業は他の諸産業とは基本的に異なる特殊な面がありまするし、それゆえにまた内外の経済変動の波によっては大きく影響され、それだけに深刻な苦しみを受けてきておるという現実であります。 すなわち、非鉄金属産業というものは典型的な国際市況製品であるということでありまして、したがって、価格や需要が国際的に大きく変動するために、変動があるたびに産業、企業の業績は大きく影響を受けるということになっておりまするし、これまでの経験では、残念ながらよい時期は少なく、悪い時期の連続であったということを申し上げてもよろしいと思いまするし、われわれ労働者の生活もその都度大きな波をかぶり、打撃を受けてまいりました。しかし、私どもは今日まで労使一体となってがんばり抜いてきたと確信をいたしております。 こういう前提に立ちますと、次に申し上げたいことは、鉱石は有限であり、鉱石があるところでなくては働く場所がないという宿命を背負っております。そこに他の加工業とは本質的に異なった特徴があると思いまするし、しかも国際市況の低迷に対処するために高品位の鉱石を掘り出すことによって、国内鉱山の寿命は短縮されることになるわけであります。鉱山は一たん閉山すれば再開することはほとんど不可能であります。雇用の場も国の大事な資源も失われる結果になるわけであります。 そしてその特殊性というものは、鉱石の賦存状態やその形状は自然に決まっておるものでありまするから、したがって、国際経済競争を行う場合には、どんなに私どもの産業、企業自体が一生懸命努力をいたしましても、限界があるということを申し上げざるを得ないわけであります。 同時にまた、私どもの非鉄金属鉱山は僻地に多くございまして、地域社会の開発発展に大きく寄与をいたしておりますことも事実でございます。また、地域社会との共存共栄の関係にあります。鉱山がなくなることによりまして地域社会に与える影響は多大なものがございます。鉱山労働者のみならず、地域住民の方々を含めまして路頭に迷うことになるわけでございます。 さらに、鉱山というものはもともと鉱物が多く賦存をするところにあるわけでございまして、言うならば、鉱山付近に有害物質が自然に多く存在をすることは当然のことでありますけれども、それが操業による環境汚染と混同される傾向にあります。また、鉱山、製錬所を休止をした場合も、半永久的に環境対策工事のコスト負担を現実に強いられているという姿でありまするし、戦前、戦中の国策に協力をしての操業にかかわる環境対策工事なり、一たん認可基準で認可をされたものが、認可基準の変更によりまして再びその責任を負わされるような実態もあります。これがすなわち他の鉱山のコストを大幅につり上げるとともに、新規国内鉱山開発疎外の大きな要因となっているわけであります。 以上が非鉄金属鉱業の持っております特殊性でありますが、このような特殊性ゆえに他の産業以上に重荷を背負って、今日まで黙々と努力をしてきたわれわれの努力をぜひとも御理解をいただきたいと思っておる次第であります。 一方、非鉄金属鉱業は、昭和三十七年の貿易の自由化、さらに昭和四十八年のドルショックによりまして大打撃を受けましたけれども、労働組合としては、閉山、大幅操業変更等大きな犠牲を払いながらも、労使の努力によって一つ一つ克服をしてまいりました。 しかしながら、減速経済下の市況の長期低迷、円高によります国内金属価格の低落によりまして産業全体が本当に危機に立ち至っており、すでに多数の私どもの仲間が現実にわれわれの組織から離れていっております。残っておる鉱山も、銅価で言えば十数年前と同じ三十二万円、亜鉛価格で言えば一年間に二百五十ドルも下落をした。言うならば、先ほど数字を鉱業協会長、尾本社長、それぞれ申し上げておられましたような現実の姿であります。われわれは、このような価格では、生産性の向上と低位の労働条件で産業の存続に必死に努力をしてきたわけでありますけれども、現実に必死の努力をいたしましても組合員、家族の生活基盤が失われることは避けられない重大な状況にあります。 製錬所、金属加工等につきましても、円高による収益減、電力料金、燃料費を初めとする諸経費の値上げ等によりまして壊滅的打撃を受け、省エネルギー等のあらゆる努力によってもコストアップを吸収することはできず、特に亜鉛製錬等の電力多消費型の企業におきましては、事業の存立自体がきわめて重大な問題になっておる。 こういうことを考えますと、私ども労働組合は、このような産業の苦しさを自覚をしながら、さらに産業、企業存続のために、いままであらゆる合理化策等についてもみずからの問題として主体的に受けとめて、歯を食いしばってがんばってまいりましたけれども、いま現実に、われわれの地下産業労働者同士でありますが、石炭の現状、国から手厚い保護助成をいま石炭は受けておりますが、この地下産業労働者であります石炭の皆さんの最低賃金も、御承知だと思いますが、日額四千二百二十五円、私ども非鉄金属鉱業の最賃は四千五円に甘んじざるを得ない実情にあります。私どもが産業を守るために積み重ねてきたこの真摯な努力をぜひともお受けとめいただきたい。 そして今後の産業をどう求めていくか。私どもは、収支相償わなくなったものを国に全額を負担してくれとか国有化してくれとか、無責任な他力本願のお願いをしているのではありません。非鉄金属鉱業は国の重要な基礎資材であります。各国とも、それぞれの国の実情に沿った、非鉄金属産業のそれぞれの実情に応じた保護助成策が講じられておりますが、わが国の場合は、もともと鉱山自体が競争上不利な自然条件に置かれている上に、国際市況製品であるとか、環境問題とか、とかく経済ルール外の要因によって大きな影響を受けておるわけでありまして、これからわれわれは、企業なり産業の労使だけの努力では、企業、産業自体を存立させていくことはできない。ぜひとも国のお力によって具体的な政策を御樹立いただきたい。 われわれは、自分たちの産業はわれわれ自身の血と汗で産業として自立をさせ、われわれの生活基盤をみずからの手で守りながら、今後とも国の産業経済の重要な一翼を担う決意をいたしておるところでありますが、これまで申し上げました非鉄金属鉱業の重要性、すなわち特殊性をぜひとも御理解いただきまして、われわれが今日まで努力をしてまいりましても手の届かない部分について、国家としての適切な助成策を強く要請をさせていただきたいと思っている次第であります。 以上が資源労連の姿勢であります。 政策の実現に対する内容でありますが、基本的には、皆さんのお手元にお届けをさしていただいておりますように、非鉄金属鉱業の持つ特殊性を踏まえまして、長期的な施策という意味でぜひとも鉱業基本法の制定を強く要請をいたしたいと思いまするし、危機的状況にある非鉄金属鉱業を救助し、産業を継続する観点から、国内鉱山維持調整基金制度の創設と、基金発足に至る間の緊急特別融資の実施をお願いをいたしたいと考えておるわけでありますが、そのためには、さらに具体的に環境問題についての取り組みについて抜本的な御検討をお願いをいたしたいと考えておりまするし、またさらに、電力料金の引き下げ策の実施等について具体的なお願いを申し上げたいと思いますが、それぞれコメントをつけてございますので、ぜひ御参考にしていただければと思う次第であります。 以上が、私ども資源労連といたしましての具体的な鉱業施策として実現を要請する内容でありますが、最後に私は、この非鉄金属産業の重要性なり緊急性なり多様性からいたしまして、本問題の具体的な検討に当たっては、超党派による現地視察を含めた掘り下げた御検討をぜひともお願いをいたしたい。われわれ組織といたしましても、検討の際に必要な資料の提供等あらゆる面に御協力をさしていただきたいということを申し添えまして、私の参考人としての意見にかえさしていただきます。 ありがとうございました。(拍手)
○山崎小委員長 次に、小畑参考人にお願いいたします。
○小畑参考人 わが国の鉱業界が危急存亡のとき、各党の諸先生の深い御理解のもとに、超党派によって対策を御検討いただくような機運になりましたことに対し、まずもって心から感謝を申し上げますと同時に、鉱山所在の自治体の代表の一人として意見を申し上げる機会を与えられましたことにつきまして心からお礼を申し上げます。 私は、鉱業県秋田県の知事として在職二十四年、労使の差別なく鉱山の盛衰に喜びも悲しみもともにしてまいりました。しかし、わが国の金属鉱山の長い歴史の上で今日ほどの危機はないということをはだ身にしみて痛感しておるところであります。 まず、秋田県における鉱山の実態を率直に申し上げますと、本年一月、大館市にあります松木鉱山は、銅品位三・三%の高品位の鉱量があるにもかかわらず閉山のやむなきに至り、百六十六名の従業員は涙をのんで山を去りました。引き続き三月には、古遠部鉱山のレイオフ、さらには、日東金属相内鉱山はその三分の二に当たる百二十名を解雇の予定であり、また、千二百年続いた尾去沢鉱山も、ついに閉山間近にあります。これまでも、四十五年以降二千二百人の鉱山熟練労働者が泣き泣き鉱山を去っておるのでありますが、これによって旧尾去沢町の地域はその中核となるものを失い、地域社会の形成ができなくなるのであります。 現状のまま推移するならば、銅単みの鉱山はもちろんでありますが、比較的有利とされております黒鉱鉱山も含めまして、国内の金属鉱山は半年をまたずして、その大半が壊滅するものと考えております。 鉱山従業員の地元で消費する所得額を見ますと、たとえば五十一年度で、大館市では年間三十七億円、小坂町では四十四億円であります。また、下請関連企業の鉱山への依存度は、大館市では二十二社、年間売り上げ十七億円、小坂町では六十社、二十八億円に達しておりまして、地元経済に対する鉱山の果たす役割りはきわめて大きいのであります。 ただいま、莫大な公共事業で内需の拡大を図ろうとしておるのでありますが、一方において、地域経済に大きな影響を及ぼすこの鉱山の休廃止を手をこまねいて座視するということは、国家としてもゆゆしい問題でなかろうかと思うのであります。 また、わが国産業の基礎原材料の安定供給源である国内鉱山を失いますことは、海外開発の拠点を失うと同時に、製錬所の存立も危うくすると同時に、地域住民の社会生活を根底から揺るがす重大な問題でありまして、国家として見過ごすことのできないきわめて大きな問題であると存じます。 しかし、鉱石はなくなってしまったのではないのであります。たとえば秋田県の北鹿地域では、国、県、企業の探鉱努力によって、昭和四十八年には深沢鉱山が開発出鉱され、五十二年からは餌釣鉱山が開発に着手し、また、大館市北東部では獅子ケ森鉱床を発見するなど、新しい山が次々と誕生しておる現状であり、また、既存の鉱山でも新規鉱床が発見、開発されておるのであります。しかし、現在のような金属価格では、高品位の部分を抜き掘りするよりなく、これが鉱山の寿命をも大きく縮めることとなり、ひいては探鉱意欲も減退しておるのが現状であります。 同じ第一次産業であります農業につきましては、米はもとより、肉、卵、野菜に至るまで曲がりなりにも価格の支持、保証がございます。しかし、わが国工業の基礎原材料であります非鉄金属に対しましては、一昨年ようやく備蓄の制度ができただけでありまして、これとていまだ十分の効力を発揮するに至っておらないのであります。 この際、御参考までに秋田県独自の施策について簡単に申し上げますと、鉱害問題が社会問題化する以前の昭和四十三年、大館市を中心とする大規模鉱床の開発を促進し、その鉱害を防止するため、秋田県単独の事業として、月三万三千トンの選鉱鉱滓を、大館市から能代市まで米代川沿いに六十八キロメートルのパイプによって流送し、能代市の海岸砂丘地に平面堆積させ、これを浄化して無害の水として放流するという世界に類例のない事業を総工費三十億円をもって完成し、県の責任において鉱害の処理を行っておりまして、現在も順調な安全管理が行われております。また、流送されました鉱滓の利用については、流送開始当時から研究を進め、一昨年、国から重要技術開発費補助金をいただきまして軽量骨材の試験工場を建設し、企業化に向かって鋭意研究を続けております。 また鉱山に対する県独自の探鉱補助制度は昭和三十二年から実施しており、昭和五十三年度分はこれが四千万円となっており、さらに、県独自による電気探鉱の予算は、二地域で千七百万円余を計上するとともに、国から新鉱床探査補助金が交付されるまでの間、金利三%によるつなぎ融資を実施する等、鉱山の生命である探鉱に対しましては、県としてもできるだけの施策を行っておるところであります。 また鉱山が不況に陥った五十年度からは、不況対策資金融資として、五十年度十億円、五十一年度五億円、五十二年度八億円を金利七・六%で融資してまいりましたが、さらに五十三年度は思い切って当初予算に、中小八鉱山を対象に県が六億円を無利子で県内三銀行に預託し、銀行からは二倍の十二億円を三・九%の金利で一年据え置き五年償還で緊急の融資を行い、その損失補償は県議会の議決を得まして県が行うことにしており、これは鉱山側からは干天の慈雨のように喜ばれておりますが、これとても九月までの危機を回避するのが精いっぱいであると考えております。そしてまた、もうどんなに低利、長期の融資でも、融資だけではこの鉱山危機は打開できないということを痛切に感じております。 このように、鉱山県秋田といたしましては、県内の鉱山を運命共同体のように考え、ありとあらゆる対策を講じておりますが、地方自治体の力にはおのずから限度があることは申すまでもございません。 こういう危機をいかにして打開するか、私どもは、経営者側、労働三団体と相談いたしまして、昨年の七月十三日、各党の代表の方々と懇談をいたしたのでありますが、その結果、当面の対策はもちろんでありますが、やはり根本的には鉱業基本法を制定して、金属鉱業に対する国の政策を確立しなければならないということに意見の一致を見たのであります。 以来、経営者側、労働三団体と鉱山所在の自治体の三者で小委員会を持ち、四カ月間精力的に検討いたしました結果、十月末に、第一には目標生産量の策定、第二には価格の維持安定、第三には抜本的な探鉱助成策、第四には環境の保全、第五には雇用の安定策を盛り込んだ鉱業基本法の骨子について意見の集約を見たのであります。 この法制化への具体的な動きの一つとして、十一月一日の金属鉱業危機突破全国総決起大会で、各政党、政府関係各大臣に要望いたしましたが、さらに九月二十七日を第一回として現在まで五回にわたって開かれております鉱業審議会鉱業政策懇談会で、私も委員の一人として、鉱山の苦境と鉱山地帯の現状を強く訴え、業界、労働団体の委員の方々ともども、当面の対策と抜本的な対策について強く要望申し上げておるところであります。 しかし、鉱業を取り巻く情勢は昨年十月以降急速に悪化し、銅は三十二万円、頼みとしておりました鉛、亜鉛も十五万五千円に急落し、円の為替相場は二百二十円を割るまでに高騰したのであります。このままでは、鉱業基本法ができたといたしましても、その法律が発効するまでの間に国内鉱山はほとんど壊滅の状態となるおそれがあるのでありますので、この際はとりあえず、価格の維持安定に重点を置いて対策を講じなければならないと判断し、昨年の十二月に緊急融資を通産省にお願いすると同時に、鉱業政策懇談会においても、価格維持安定制度の創設に関し、一つの素案をもってお願いを申し上げたところであります。しかし、肝心の通産省からはいまだ何らの対策が示されず、事態はますます悪化をたどり現在に至っておりますことは、まことに遺憾に存ずる次第であります。 そこでこの際、四つの点についてお願いをいたしたいと思います。 まず第一に、ぜひ国内鉱山維持調整基金制度をつくっていただきたいことであります。 国内鉱山の現状打開に当たっては、先ほど申し上げましたとおり、もはや一般的な融資のみでは困難でございますので、この際、地方自治体も業界も基金の一部を負担いたしますので、国においても大幅な出資をいただき、この基金制度を設けていただきまして、これをもとに長期の超低利融資を行っていただきたいと存ずる次第であります。念のため申し上げたいのでありますが、この基金はいわゆる価格差補給金的なものではないのでありまして、鉱山が経営の安定できるぎりぎりの価格を設定し、それ以上になったときはこの基金にこれを戻すということにしたいと思うのであります。 また、重ねて申し上げたいと存じますが、地方財政も大変な危機にありますけれども、われわれ鉱山所在の地方自治体といたしましては進んでこの基金に出資をいたしたい、こう考えておりますので、私どもの窮状も御了察いただきたいと思うのであります。 第二には、国内鉱山維持調整基金制度を創設するためには当然法律が必要と考えます。また、補正予算も必要と存じますので、この基金制度が実現するまでの間若干期間がかかるとすれば、その間のつなぎ融資として低利の緊急融資をぜひともお願いいたしたいと思うのであります。 第三には、鉱業基本法の早期制定であります。 国内鉱山及び製錬のわが国経済に及ぼす重要性は改めて申し上げるまでもないことでありまして、その経営の安定と自給率の維持向上のため、国の総合的政策を明らかにした基本法をできる限り速やかに制定されますように特段の御配慮をお願い申し上げたいと思います。 第四には、電力料金の問題であります。 秋田県には二つの亜鉛製錬所があり、規模としてはわが国最大の製錬所であります。今月の十二日に、県内の鉱山、製錬所の所長さん、労働組合の委員長さん方にお集まりいただきまして、現状の打開策について協議しました際、特に製錬所関係の方々から、電力料金が製錬コストの大半を占めるので、亜鉛価格の極端な低落と現在の円高状況ではとうてい経営の維持存続はできないので、ぜひ料金の低減について緊急対策を講じていただきたいという強い訴えがございました。今後亜鉛製錬所を安定的に維持していくためには、この際電力料金の大幅な低減について政策的に特段の御配慮をお願い申し上げたいと存じます。 以上、四点についてお願い申し上げましたが、最後に、この小委員会の諸先生におかれましては、ぜひ、わが国の産銅量の約半分を産出しております秋田県の鉱業情勢をおそろいで御視察いただき、各方面の切実な声を十分お聞きくださいまして、今後の政策策定の御参考にしていただきますようにお願い申し上げ、私の意見陳述を終わりたいと存じます。 ありがとうございました。(拍手)
○山崎小委員長 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 参考人各位には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚くお礼を申し上げます。 本日は、これにて散会いたします。 午後零時四分散会