商工委員会 第31号
- 発言数
- 11 件
- 登壇者
- 4 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1978/05/26
会議録
○野呂委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、特に非鉄金属鉱業問題について調査を進めます。 まず、本件の実情調査のため、去る二十三日から三日間、秋田県に委員を派遣いたしましたので、派遣委員から報告を求めることにいたします。松本忠助君。
○松本(忠)委員 非鉄金属鉱業に関する現地調査の結果につきまして、派遣委員を代表して御報告申し上げます。 派遣委員は、山崎拓君を団長に、板川正吾君、岡田哲児君、後藤茂君、松本忠助、玉城栄一君、宮田早苗君、安田純治君、大成正雄君の九名でありまして、他に、現地で佐々木義武君、川口大助君、川俣健二郎君、佐藤敬治君が参加されました。 日程は、五月二十三日から五月二十五日までの三日間であります。現地では、小畑秋田県知事、仙台通産局等から実情の説明を聴取した後、釈迦内鉱山、秋田県の鉱滓流送施設、小坂鉱山、尾去沢鉱山の現地視察を行い、会社、労働組合、関係自治体から、それぞれ説明及び要望等を聴取いたしました。 次に、視察個所の概況を簡単に申し上げます。 まず、釈迦内鉱山でありますが、当鉱山は、大正年間に現在の日本鉱業の前身である久原鉱業によって探鉱が始められましたが、優良鉱床の発見に至らず、その後、昭和三十六年から日本鉱業花輪鉱業所の支山として探鉱が再開され、昭和三十七年以降、十一の鉱体を順次発見いたしました。操業開始は昭和四十年九月からでありますが、昭和四十八年六月に至り、日本鉱業から独立して、釈迦内鉱山株式会社となったものであります。 現在の従業員数は、直轄四百二十八名、請負百十名であります。昭和五十三年度の月産予定は粗鉱二万八千トンでありますが、昭和五十二年度には三十万九千トンの粗鉱採掘を行っており、主要な鉱種は、銅、鉛、亜鉛であります。 私どもは、当鉱山の第三立て坑から入坑し、三百十メートルレベルの第四鉱体採掘のための掘進現場を視察いたしましたが、当鉱山は地盤が軟弱で、上部に家屋も存在しているため、採掘に当たっては鉄筋入りセメントモルタルで人工天盤をつくり、また、採掘跡は地表沈下を防ぐため十分な充てんを行っているとのことであります。 次に、秋田県の鉱滓流送施設でありますが、昭和三十年代後半から、大館市周辺で高品位の黒鉱鉱床の発見が相次ぎ、新規の大型鉱山の建設が行われましたが、これに伴って、選鉱廃津の処理が問、題となったのであります。 このため、昭和四十三年に、秋田県が責任を持って管理運営に当たる財団法人秋田県パイプ流送鉱業公社が設立され、昭和四十四年一月から本格操業が開始されております。業務の内容は、深沢、松峰、釈迦内の選鉱工場からパイプ流送された廃津を滝の沢第二ダムに集め、ここで木くず等の異物を除去し、適当な濃度に調整して高圧スラリーポンプにより能代まで全長六十八キロをパイプ流送し、能代海岸に構築した堆積場で安全な処理が行われております。昭和五十一年度の送泥量は約四十万トンとなっております。こうした秋田県の勇断による鉱津処理施設の建設によって、大館市周辺は公害発生及び環境破壊等の悪影響を未然に防止することができたと言えるのであります。 次に、小坂鉱山でありますが、当鉱山は、いまから百十六年前、文久元年に創業され、当初は銀山として採掘が行われておりました。以来、多くの変遷を経て、戦後、同和鉱業小坂鉱業所となり、現在に至っております。 最近の従業員数は、鉱山部、製錬部、病院等を含めて、直轄千百四名、請負二百五十三名であります。昭和五十三年度の月産予定は粗鉱四万三千トンであり、昭和五十二年度には五十五万四千トンの粗鉱を採掘しております。主要な鉱種は、銅、鉛、亜鉛であります。 次に、尾去沢鉱山でありますが、当鉱山は、いまから約千二百年ほど前に発見されたと伝えられており、明治以後は現在の三菱金属鉱業株式会社が経営し、昭和四十七年に分離して、尾去沢鉱山株式会社となったのであります。しかしながら、最近は優良鉱床に恵まれず、ついに今月末をもって閉山を余儀なくされるに至ったのであります。 昭和五十二年度の粗鉱生産は二十三万トンで、主要鉱種は銅であり、昭和三十年の盛んな時代には約三千名いた従業員も、現在直轄二百十五名、請負四十九名となっております。また、従業員の平均年齢は四十八歳で、ほとんどが地元での再就職を希望しており、工場誘致による雇用機会の創出が今後の緊急かつ重要な課題であります。 次に、関係者からの要望事項及び私どもの調査の結果につきましては、当委員会のエネルギー・鉱物資源問題小委員会で別途決議案を取りまとめており、その経過報告と重複することになりますので、省略させていただきます。 最後に、私どもの現地調査に際しましては、地域住民を初め関係者の熱烈な歓迎を受け、深く感銘を受けたのでありますが、あわせて、非鉄金属鉱業の振興策の確立につきまして、より一層責任の重大さを痛感してまいった次第であります。 以上、簡単でありますが、報告を終わります。
○野呂委員長 以上で派遣委員の報告は終わりました。
○野呂委員長 次に、エネルギー・鉱物資源問題小委員長から、小委員会における調査経過の報告を聴取いたします。山崎拓君。
○山崎(拓)委員 エネルギー・鉱物資源問題小委員会における金属鉱業の問題に関する調査の経過並びに結果について御報告いたします。 御承知のとおり、現在、わが国金属鉱業は、価格の長期にわたる大幅な低下及び急激な円高等により、戦後かつてないほどの危機的な状況に陥っております。 改めて申すまでもなく、金属鉱産物は国民経済上不可欠の基礎物資でありまして、その安定供給の確保はきわめて重要な政策課題であります。現在、わが国の金属鉱山数は九十四、従業員数は約一万七千人に減少しておりますが、その産出する金属鉱産物は、いわゆる三段階方式による探鉱の成果、あるいは労使の協力による生産性の向上等によりまして、銅においては六%、鉛においては一八%、亜鉛においては三三%等、相当の供給比率を確保しているのであります。このような国内鉱山は、最も安定した供給源でありまして、国内資源の有効活用とその安定的発展を図ることは、わが国の経済的安全保障上の見地からも当然のことであります。このことは、雇用問題、地域経済の問題、さらには鉱業技術の保全継承の問題等からも重要であることは言うまでもありません。 ところが、金属鉱業は、鉱産物が国際商品である関係上、その価格がLME価格やPP価格に準拠することになっており、他の産業のように、生産費を基礎として価格を決定することができない特殊な事情に置かれているのであります。したがいまして、国際市況が低落いたしますと、十分な鉱量を持ちながらも閉山せざるを得ないとか、高品位部分の採掘によって鉱山の寿命を縮めるという事態にも立ち至るわけであります。今日のように、石油危機を契機として世界経済が大きく転換し、国際市況が長期にわたって、しかも、銅について言えば、四十九年に約六十二万円だったものが三十三万円になるなど異常な低落を続け、加えて、急激な円高という事態におきましては、鉱山、製錬所を含め、金属鉱業の苦境は存立の危機に瀕していると言って過言でない状況に立ち至っているのであります。 このような金属鉱業の深刻な事態に対しまして、本小委員会におきましては、去る四月二十日、労使の代表並びに鉱業県である秋田県知事を参考人として意見を聴取いたしましたが、その意見はおおむね共通でありまして、新たな鉱業政策として、鉱業基本法の制定、国内鉱山維持調整基金制度の創設、緊急低利融資の実施、休廃止鉱山の坑廃水処理に関する対策、電力料金の低減措置等について要望されたのであります。次いで、四月二十七日には、各委員から政府に質疑を行い、五月二十三日から二十五日までは、商工委員会の委員派遣として、秋田県北鹿地区の釈迦内鉱山、小坂鉱山及び今月末で閉山する尾去沢鉱山を訪れ、現地の実情をつぶさに視察してまいったのであります。その詳細は、松本忠助委員の報告のとおりでありますが、現地におきましても、秋田県知事、大館市長、小坂町長、鹿角市長を初め各鉱山の労使から、こもごも、四月二十日の参考人の意見と同様の要望を熱心に訴えられたのであります。特に尾去沢鉱山におきましては、労働組合の委員長から、千二百年の歴史を持つ尾去沢鉱山の閉山をもって最後の閉山となるよう、鉱業政策の確立を図られたい旨の涙ながらの発言があり、深い感銘を受けたのであります。 本小委員会におきましては、この間、随時各党間の協議を行い、金属鉱業の安定緊急対策の樹立に取り組んでまいりましたが、これまでの審議及び委員派遣の結果に基づきまして、さらに検討を加えました結果、今日の金属鉱業の危機に対する対策は、さきに述べたような金属鉱業の特殊性にかんがみ、価格の低落時に国内鉱山の稼行が保障されるような制度的仕組みの確立を基本とすべきであるという共通の認識を基礎とし、本日の小委員会におきまして、ただいま委員各位のお手元に配付しておりますとおりの結論を取りまとめ、これを委員会の決議とされるよう提案することと決定した次第であります。 以下、その案文を朗読いたします。 金属鉱業安定緊急対策に関する件(案) 現下の金属鉱業は、石油危機以降の世界経済の低迷を背景とする需要の減退による国際価格の長期かつ異常な低水準と急激な円高による国内価格の暴落により、国内鉱山の閉山、レイオフがあいつぎ、製錬所もエネルギーコストの急騰等の事情により極めて困難な経営に立ち至る等、かつてない危機的な状況を示しており、雇用及び地域経済に重大な影響を及ぼしているのみならず、このまま推移すれば、一般的に資源の乏しいわが国の貴重な国内資源を喪失するに至るおそれがあり、わが国経済の安全保障上も重大な問題になつている。 よつて政府は、このような事態に対処し、最も安定した供給源である国内資源を確保し、その有効活用を図る見地から、金属鉱産物の国際商品としての特性に配慮しつつ、わが国金属鉱業の安定的発展を図り、国内鉱山の適正な存立を確保するため、次の点について速やかに適切な措置を講じ、もつて雇用及び地域経済の安定に資するべきである。 一 国、地方公共団体及び関係業界の出資等による基金を設立し、金属鉱業の経営の維持安定に必要な特別の措置を講ずる制度を確立すること。 二 当面、緊急事態にある国内鉱山等に対しては、昭和五十三年度予算における新鉱床探査費補助金等の機動的、弾力的執行を図るとともに、関係業界の協力を得ること等により、経営の危機の回避に努めること。 三 金属鉱山における鉱害・保安問題の重要性、特殊性にかんがみ、坑廃水処理等、鉱害・保安に対する国の施策の拡充強化について早急に検討すること。 右決議する。 以上であります。 この内容につきましては、案文によって御理解願えると存じますが、若干敷衍いたしますと、第一項は、国際価格の乱高下による国内鉱山への悪影響を防止するためのものでありまして、価格低落時には一定の基準に基づいて無利子の融資を行い、価格回復時に返済させるというような制度を確立することが必要であるとするものであります。 第二項は、第一項の制度の確立には所要の立法措置及び予算措置が伴わなければなりませんので、それまでの間、緊急事態にある国内鉱山に対しては暫定的なつなぎの措置を講じ、経営危機の回避を図ることが必要であるとするものであります。 なお、第三項については、特に申し上げることはありませんが、尾去沢鉱山におきましては、閉山後も坑廃水処理等に月々二千万円もの経費を要するという事実があるのでありまして、閉山後一定期間経過後における坑廃水処理等の責任分担については、そのあり方を検討されたいという要望がありましたことをつけ加えておきます。 何とぞ小委員会の結論を当委員会の決議とされますようお願い申し上げ、小委員会の報告を終わります。
○野呂委員長 以上で小委員長の報告は終わりました。 —————————————
○野呂委員長 ただいまの小委員長の報告中、金属鉱業安定緊急対策に関する件について決議されたいとの要望があります。 小委員長から提案のありました案文どおり決議するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 この際、通商産業大臣から、ただいまの決議に対し発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣。
○河本国務大臣 ただいま御決議のありました金属鉱業安定緊急対策に関する件につきましては、御決議の趣旨に沿いましてできる限りの努力をしていく所存でございます。
○野呂委員長 なお、ただいまの決議の議長に対する報告及び関係方面への参考送付等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次回は、来る三十日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十時四十六分散会