商工委員会 第14号
- 発言数
- 264 件
- 登壇者
- 29 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1978/04/04
会議録
○野呂委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、特定不況産業安定臨時措置法案を議題といたします。 本日は、参考人として、日本労働組合総評議会常任幹事宝田善君、全日本労働総同盟調査局長河野徳三君、ゼンセン同盟会長宇佐美忠信君、全国造船重機械労働組合連合会書記長高橋正男君、日本鉄鋼産業労働組合連合会書記次長千葉利雄君、全国紙パルプ産業労働組合連合会中央執行委員長土橋昭富君、日本繊維産業労働組合連合会副書記長中島道治君及び全日本造船機械労働組合中央執行委員長畑田薫君、以上八名の方々に御出席を願っております。 この際、参考人各位に一言ごあいさつ申し上げます。 参考人各位には、御多用中のところ本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。 本委員会におきましては、目下、特定不況産業安定臨時措置法案について審査を行っておりますが、参考人各位におかれましては、本案についてそれぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただき、今後の審査の参考にいたしたいと存じております。 なお、議事の順序でございますが、最初に御意見をそれぞれ十分程度お述べいただき、次に委員の質疑に対してお答えをいただきたいと存じます。 それでは、まず、宝田参考人にお願いいたします。
○宝田参考人 特定不況産業臨時措置法案に関する総評の見解を申し上げます。 なお、この後で総評関係のいわゆる構造的不況産業と言われる産業に関係する組合の方々が意見を表明いたします。その場合には、それぞれの産業の実態に即してこの法案の持つ意義を産業の実情に立って説明し、かつ法案に対する見解を述べられるかと思います。そこで、私は、本日、意見表明の機会を持ち得なかった関係組合もほかにございますから、それらの組合の意見も含めまして、まずトータルな立場からの包括的なこの法案に対する見解と、次に各組合に共通する意見、この二つの点に焦点を当てまして、大きく言って三つの柱について意見を述べたいと思います。 まず第一の柱は、この法案の一般的な性格についてであります。法案の題名にもありますように、これは特定の不況産業に対する過剰設備の処理についての特定の対策をとろうとするものであります。それゆえに、法案の条文にもありますように、個々の産業が、循環的な不況ではなくて、過剰生産能力が長期にわたって継続することが見込まれているかどうかということの判断がそれぞれの産業に即して検討されなければなりません。そしてまた、そういう過剰能力があるとしても、その処理が果たして不況からの脱出、雇用の安定にとってその産業ではどれほど有効であるのか、他の諸政策との併存なくしても効力があると見られるかどうかなど、これまた個別産業の不況の原因と現状、将来展望に即して判断されなければなりません。さらに、設備の処理は、短期的には雇用の場の縮小、それも国家の政策で促進されるという側面もありますから、当然雇用減少の懸念の直接的な影響として考えられます。 本来、このような過剰設備の処理ということを産業政策として採用する根拠は、その過剰設備の圧力を取り除くことによって中期的に産業の安定を増大させ、それを通して雇用の安定性を求めるという、いわば中期的な効果が本来の目的であろうと思いますが、この中期的な雇用の安定性の追求と、いま申し上げました短期的な雇用面へのマイナスの影響の双方を合わせて考えたときに、労働者にとってこの法案が有利かどうか、これが各産業の労働組合にとってはこの法案に対する最大の判断基準であります。 その場合に、過剰設備と現存する雇用の状況の関係も各産業によって異なっておりますし、また、労働集約的な産業と資本集約的な産業では、そのあらわれ方も当然変わってまいります。さらに、産業全体としての話と、大手と中小や関連産業あるいは下請を含めた場では、具体的な影響のあらわれ方が異なってくることは大いにあり得ることであります。また、中期的な効果の予測にしましても、それぞれの産業の具体的な状況によって意味が変わってまいります。 こういうように抽象的、一般的にこの法案の性格を述べてきた理由は、この法律というものは、冒頭に述べましたように、特定の産業課題に対する特定の政策なんでありまして、通常の場合にはまずあり得ない産業政策、いわば緊急避難的な性格のものだからでありまして、必ずしも一般論的な判断のみでは律し切れない側面を持っていると思うのであります。これが労働者の雇用にとって全体として有利に働くか不利に働くかということが、まさに産業の状態によって異なることがあり得るという特殊な法律であります。労働組合として雇用を守りたいという同一の尺度で見ましても、その効果は産業によって相違し得る。したがって、労働組合が雇用にとって有利であれば賛成し、不利であれば反対するというのは、これは組合原則からいって当然でありますから、総評としましては、それぞれの産業の実態に即した各組合の態度というものを承認してきたところであります。この一般的な性格とその個別具体的な発現、この弁証法的な関係の認識が、今度のこの法案の産業政策立法化に当たって非常に重要であろうと考えます。 次に、第二の柱として、以上のような認識論を前提としまして、次にさらにこの法案の持つ内容上の問題点についで五点ほど意見を申し述べたいと思います。 その一つは、過剰設備の過剰率についての認識の問題であります。この点については、経営者や政府と労働者の間にはかなり相違がある場合があります。たとえば稼働日数というものが、中期的に週休二日制への移行を迎えた今日、全くそれを配慮しない基準で中期的な将来の稼働率を測定するというふうな問題は妥当であるかどうかということであります。 また二番目に、産業によっては、設備の廃棄を実施しましても、その分が輸入攻勢あるいは日本資本の海外生産と逆輸入、商社の戦術あるいは銀行の出方等々によりまして、設備の廃棄が必ずしも産業や雇用の安定につながらないと見られる産業もあり得ます。 また第三に、さらに言うならば、いわゆる構造的な不況、過剰設備現出の原因そのものにメスを入れたような非常に包括的、体系的な産業政策、そういうものとあわせないと、この政策の効果さえ期待できないという場合もあり得ます。そういう意味で、われわれは、中期的な視点に立った産業政策というものを前提にしないと、この法律の効果さえ危ないということも懸念するところであります。そのことは、過去から現在まで行ってきました過剰能力の推定値の変動あるいは設備廃棄の実施の効果が常に事前の予測と食い違ってきたという経験が繊維産業、合板その他で見られたところであります。それゆえ、われわれとしては、どうしても自本の産業構造の中期的なあり方についてまず政府は一本政策を立てるべきである、それとの関連でこのような政策を特定の産業政策として考えるべきだということを期待するところであります。 第四に、過剰設備の処理というのは設備の量の減少ということにとどまらない。それは、産業によっては業界の再編成、大企業支配の強化、中小企業の淘汰という形をとりやすい、あるいは下請や関連業界にとっては、経済的な必然性という形をとって整理の強化を迫るのであります。そういう質的な問題を内包している。特に造船産業などのケースでは、大手の船台では小さな船はつくれるが、小さな船台では大きな船はつくれない、いわゆる不可逆性というものを持っております。それゆえ、従来も分野別の受注の調整等々を通産省は行政指導でも採用してきたところでありますが、それが今回の場合に一体この分野ということの問題は産業の中でどう扱われるかという問題があります。こうして各方面におきまして中小企業にしわを寄せないやり方というものについて、もう少し具体的な施策が用意されておるかどうか、このことは具体的な場なので政策が問題であります。 第五に、地域経済に非常に深刻な影響を与えることが予想されます。過剰設備の整理のインパクトは、地域にとって今日深刻な問題を持っている。従来わが国の産業政策あるいは雇用政策では、概して産業レベルの問題、業種の問題が重要でありまして、地域の問題というのは比較的軽視されてきた。しかし、このことは今日の日本の雇用からいいますと、時代に合わなくなってきている。そういう意味で、地域というものを今度の法律に関連させてどう考えるかというのが新しい時代の問題として登場してきていると思うのであります。そのことについての具体性がないということであります。 それから最後に、三番目の大きな柱といたしまして、労働組合の立場からは、これに賛成する組合も、必要悪あるいはやむを得ないとする組合も、反対の組合も、皆共通に持っておる意見というものがあります。それは二つありまして、一つは労働組合の参加の問題であります。第二は雇用対策が既存のものから一歩前進するかどうか、この二点であります。 第一の点に関して言いますれば、雇用に直接関係するようなこの種の特殊な政策というものが、労働組合から見ますと、自分たちのあずかり知らないところでその枠組みが決定されてしまうというような制度を立法化することはとうてい容認することができない。処理を行うべき過剰設備の種類あるいはその能力の合計とか処理の方法、事業の転換等々は、一体だれがどういう根拠で審議し決定するのか。それによって直接の影響を受ける労働者も、当然そのことについて協議にあずかる当事者でなければならないと考えます。また、産業ごとの特殊事情というものは、すでに申し上げましたようにそれぞれの状態を持っておりますから、どうしても関係労組の参加というものがなければ労働者の意見は十分表明できないと思うのであります。 その意味において、われわれは、まず安定基本計画に含まれる内容を審議いたします関係審議会、共同行為実施の可否を議論する関係審議会について労働組合の参加というものを法に明記すべきであると考えます。なお、この共同行為は、指示ではなくて勧告に緩めるべきだという見解を持っております。また、共同行為の実施の決定に当たっては、当然、事前に労働組合の意見を通産省は聞くべきであります。 さらに、このような政策が具体的な事業におりていった場合に、個々の事業者が安定基本計画の定めるところに従って設備の処理等を行う場合には、事前に労働組合との協議というものをすべきであって、そのこともまた法案において義務づけることをわれわれは要求するものであります。そのことがなければ、第十条に述べているような事業者、国、都道府県の雇用安定に対する「配慮」とか「必要な措置」等々は、経営者だけとの連絡だけでは現実的な活用というものは実際図れないと思うのであります。 そして最後に、不況産業信用基金についても同様でありまして、それが銀行と企業にのみ有利に扱われないというためには、雇用の安定にも生かされるというためには、評議員に労働組合代表の参加を認めていただきたい。また、債務保証の利用についても、個別事業の労組の同意というものを条件としてもらいたいというのが参加問題であります。 第二に、雇用の安定の内容につきましては、この法案の持つ影響にかんがみまして、第一条の目的から、すべて経営の安定ということだけではなくて、雇用の安定及び関連中小企業の安定を明記していただきたい。それを目的に含めてもらいたい。また、安定基本計画にも同様の趣旨を盛り込んでいただきたい。計画というものは、設備だけではなくて、それに関連する雇用の面についても検討がされなければ、片手落ちではないかと思うのであります。 さらに、第十条には雇用の安定という条項がありますが、事業者、国、国及び都道府県の「必要な措置」というものの内容をもう少し前進的に具体的にしてもらいたい。もしそれが従来のいわゆる労働行政ですね、雇用保険法や特定不況業種離職者法等の内容を一歩も出ないものであるとするならば、この第十条というものは繰り返しにすぎないのではないか。今度の場合には、市場競争の結果ではなくして、国の特定の施策の結果として雇用の不安定を促進するおそれがあり得る場合でありますから、一般的な対策を超えた特別の措置を考慮すべきではないか。さもなければ、雇用安定の重視という条文というものは形容詞にすぎない。 最後に、信用基金の目的が、設備処理に関係をいたします下請対策、雇用対策等にも利用し得ることを、雇用保障の面を明記していただきたいということを思います。 最後に、労働政策とこの政策の関連でありますけれども、この法案における不況産業の規定と特定不況業種離職者臨時措置法における特定不況業種との関係というものを明らかにしてもらいたい。と同時に、共同行為の内容決定に当たっては労働大臣との協議ということを入れていただきたい。 以上が労働組合側の希望であります。 終わります。
○野呂委員長 次に、河野参考人にお願いいたします。
○河野参考人 河野でございます。 時間も限られておりますので、この法案に対するナショナルセンターとしての基本的な考え方にしぼって申し上げたいと思います。 今日の不況産業の原因についてはいろいろ取りざたされておりますけれども、われわれは主として次の四点にあると考えております。 〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕 第一は、何と申しましても政府の経済政策の失敗でございます。第二点は、今日、日本の需要構造あるいは産業構造は歴史的な変化の過程にあるわけでございますけれども、それを政府、業界ともに的確に見通し得なかったこと、そこから当然出てくる産業構造ビジョンの欠如といったことが第二の原因になっていると思います。第三点は、エネルギー価格の急騰でございまして、これがさらに産業構造の変化を促進をさせてきているという側面があると思います。第四点は、特に開発途上国を含めた世界的な国際競争力の構造が変化してきているといったようなことが今日の構造不況の原因になっていると思いますけれども、これらはいずれも個別の業界、企業の対応能力を超えたものであるということがまず第一に強調されなければならない点であろうかと思います。 そうして今日そこから発生しております現象形態は、まさに膨大な設備過剰という現象でございます。そうしてこの構造不況は、今日いわゆる雇用不安を深刻化させておりますし、また、景気回復の足を引っ張っている最大の要因になっているわけでございまして、そういった意味からいたしましても、この構造不況産業における過剰設備の解消という問題は、今日当面する最も重要な課題であるとわれわれは認識をしているわけでございます。 ところで、こういった過剰設備の解消の問題でございますけれども、まさに当の構造不況業種の体質がきわめて弱化しているわけでございますし、さらに先ほど申しましたように、こういった構造不況を生み出した背景といったものが企業の対応能力を超えたところに発生しているとするならば、当然こういった施策については国の強力な施策あるいは助成といったものが必要であるし、また、それなくしてはこういった問題を解決することは不可能であるとわれわれは考えているわけでございます。 われわれ同盟は、この問題に関しましては、すでに昨年の九月に、政府に対して一定の政策を採用するよう申し入れをしているわけでございます。繰り返しになりますけれども、その要旨をここで改めて述べさせていただきたいと思います。 まず第一に、構造不況対策の基本方向でございますけれども、第一は、関係の各業界がそれぞれの自己利益に固執しないで、国民的見地に立って、今後ほぼ二ないし三年の間に問題を解決するという共通目標を設定をしなさい。また、政府はそのように指導しなさい。 第二は、当該業界、企業の最大限の自主的な努力を前提としながら、政府の強力な施策を柱として対策を実施しなさい。その際、もちろん構造不況業種の実態はそれぞれ異なるわけでございますから、それぞれの実態に応じた多様な政策手段が必要であろう。 それから第三点は、こういった対策を単に不況業種の目先の救済に終わらせるのではなくて、将来の望ましい産業構造というものを的確に見通した上で、それに適合する方向に沿ってこういった問題の解決を図ること。 以上を基本的な姿勢といたしまして、さらに具体的な対策といたしましては、第一は、設備の廃棄ないし凍結をやりなさい。これは、たとえば二、三年あるいは数年先の技術水準とか、あるいは需給関係であるとか、あるいは産業構造等を展望して、その上で設備過剰と判断される業種については設備廃棄をすべきであるし、また、その間に需給が均衡して、現在持っている技術水準がその二、三年先にも適合できると判断されるような業種については設備の凍結を進めなさい。この場合に、そういった設備の廃棄や凍結は業界の自主的な合意によることはもちろんでございますけれども、問題はまさに緊急の問題でございますし、したがって、政府は積極的に合意の形成を指導しなさい。場合によってはそれに介入すると同時に、この場合もちろん関係労働組合の意見を十分に聞くべきである。 さらには、カルテルの弾力的な運用をすべきである。設備廃棄ないし凍結を必要とする業種については、公正取引委員会は緊急避難措置として一時的に独禁法の運用を緩和し、あるいは弾力化し、また、政府はそれぞれの業種の必要に応じて時期を失することなく必要なカルテルの結成を指導すべきであるということを、先ほど申しましたように、われわれはすでに昨年の九月に政府に対して申し入れているわけでございまして、今回ここに提出されております臨時措置法案は、まさにわれわれのこの申し入れの趣旨に沿ったものであるとわれわれは判断いたしまして、基本的にこれに賛成でございます。そうして、一日も早くこの臨時措置法が今国会において成立することをわれわれは強く期待をしている次第でございます。 ただし、二、三の問題点を指摘させていただきたいと思います。 第一点は、アウトサイダー規制の問題でございます。 これは御承知のように、この法案の作成過程においても非常に大きな問題になった問題でございますけれども、今日の構造不況産業の実態を見ますと、全部の業種とは言えませんけれども、特に一部の業種については、アウトサイダー規制をやらない限りこの法案の所期の目的を十分に達成し得ない状況にある、そういった実態にあるということは否定し得ない事実であろうと思います。 しかし、御承知のように、これに対しては相当強い反対論が各方面から寄せられているわけでございますけれども、これは主として、この法案の期間が切れた後においてもアウトサイダー規制をやりますと、行政当局の強い行政指導がそのまま残っていくのではないか、そして自由な競争体制というものがそれによって大きく阻害されるのではないかという懸念に発しているのではなかろうかとわれわれは判断をしております。 先ほど申しましたように、この措置法はあくまでも緊急避難措置でございますので、この法案の役割りが終わった後においては、可能な限り自由な競争体制に復帰をさせるということをこの問題と関連をして政府はその姿勢として示すべきであろう、そういったことを前提にして、必要ならば、この法案の実効を期するためにむしろアウトサイダー規制はこの法案の中に盛り込むべきであるとわれわれは考えております。 第二点は、安定基本計画の策定については、この法案の中に関係審議会の意見を聞くとありますけれども、その関係審議会に労働組合代表の入っていない審議会もあります。さらに、この問題を審議する最も重要な審議会であると目される産業構造審議会については、ナショナルセンターから各一名の委員が選出をされておりますけれども、この問題を具体的に審議する部会には、労働組合代表はとうてい参加できないという構成になっております。したがって、この際、一日も早く労働組合代表が各部会の審議に参加できるように、産業構造審議会に対する労働組合代表の大幅な増員をぜひともやるべきであるとわれわれは考えます。 それから第三点は、雇用問題でございますけれども、この構造不況産業において今後設備の廃棄あるいは凍結が進むといたしますと、特に地域の雇用に対して重大な影響を与えるおそれがありますし、現にそれは発生をしているわけでございます。したがって、国全体としての雇用政策を完備、充実させていくことはもちろん必要でございますけれども、特に地域に承ける雇用の創出については今後特段の考慮が必要であろうと考えます。 第四点は、先ほども申しましたけれども、こういった設備の廃棄、凍結をするにいたしましても、全体としての今後の産業構造に対するビジョンというものがしっかりしておらないと、必ずや失敗する運命にあるわけでございますから、政府はそういった産業構造ビジョンを早期に策定をし、これをもって業界に一つの目標を与える、あるいは誘導の機能を果たすといったことをぜひともやるべきであると考えます。 最後に、これはこの法案とは若干離れますけれども、いずれにしても、構造不況産業における雇用問題の解決というものはそう簡単には進まないわけでございます。一方では、先ほど申しましたように各地域においても必要ですけれども、国全体としてやはり雇用機会の創出を図っていくということが必要でございますので、今日、五十三年度における目標とされております成長率七%を政府はぜひとも実現をして、こういった構造不況産業の問題がスムーズに解決されるような環境条件というものをぜひとも十分に整備をしてほしいということを特にお願いをいたしまして、希望として申し上げまして、同盟としての意見にかえさせていただきたいと思います。 以上でございます。
○中島(源)委員長代理 次に、宇佐美参考人にお願いいたします。
○宇佐美参考人 代表的な構造不況産業と言われます繊維産業の労働組合を代表いたしまして、この法案に対する見解を申し上げたいと思います。 時間がございませんから、先に結論を申し上げます。 私ども繊維の立場から言いますと、景気が回復いたしましても抜本的な産業の立ち直りを図ることが大変困難だ。いま多くの業種で高率の操短を継続しているわけでありますが、それをいつまでも続けるわけにはいかない。そうであるとするならば、過剰設備処理は不可避のことであります。これを円滑に推進し、産業の安定を図るため、法律、政策面での総合的施策が必要である、こういうことで、この法案につきましては基本的に賛成であり、早期成立を強く要望するものであります。 ただ、この法案につきまして、幾つかの問題点がございます。 マクロ的に申し上げますと、特定不況産業安定臨時措置法ということになっているのですが、しかし、その中身は、実際は過剰設備の処理を円滑に行うことが主体になっているわけでありますから、何かこの法律ができることによって構造不況業種が安定するのだという印象を与えることになりかねない。ですから、本来ならば、これは特定不況産業過剰設備処理臨時措置法と言うべき性格のものではなかろうかと思います。 そこで、問題点を四点申し上げます。 第一点は、当面の過剰設備処理のための債務保証に限定されており、しかも安定のための総合的施策に欠けている。それからまた、予定されております信用保証基金の規模が余りにも小さ過ぎる。具体的な名前が挙がっております合成繊維業だけでも、過剰設備処理を行おうとすれば一千億以上の資金を必要とする。そうであるといたしますと、百億の保証で一千億の資金の運用では余りにも少な過ぎるということが指摘できると思います。 二番目は、アウトサイダー規制が外されておりますので、実効に疑問がございます。私どもの産業は、かつて何回か操短を繰り返してまいりました。その都度、多くの労働者が犠牲をこうむったわけでございます。少し景気がよくなると設備が拡大されてくる、悪くなると操業短縮。今回、ここで過剰設備の処理が進みまして、また情勢が変化することによって増設、新設が行われるということがございますと、同じような事態の繰り返しを招くおそれがあるわけでございますので、この際、アウトサイダー規制を明らかにしておくことが大事であろうと思います。 三番目は、業種指定、安定基本計画の策定並びに実施過程におきまして、労働組合並びに労働者の関与のあり方を明確にする必要がある。 四番目は、雇用安定の条項が抽象的でありますので、この点をさらに明確にしていくことが大事であろうと思うわけであります。 なお、その他この法案に対する具体的な要望といたしましては、業界、企業が特定不況産業の業種指定を申し出る場合は、事前に労使協議を行うことを義務づけるべきである。 第二点は、業種指定並びに基本計画の策定に当たって意見を徴する関係審議会には、必ず当該業種労働組合代表を参加せしめる。繊維の場合には、繊維工業審議会がございまして、私ども参加いたしておりますが、そういう産業に関する審議会がない場合には産業構造審議会においてということでございますが、その産業構造審議会に当該業種代表が参加する道を開くことが大事であろうと思います。 三番目は、安定基本計画には過剰設備処理に伴う雇用安定計画を明確にすることが大事である。特に合繊のように地域経済に非常に大きな影響をそれぞれの事業所が与えているわけでありますから、そういうところの過剰設備処理につきましては、労働者の雇用問題もきわめて深刻でございますし、地域経済そのものも大変深刻な事態を迎えることになろうと思いますので、その雇用安定計画を明らかにしておくことが大事だ。 四番目は、安定基本計画の実施に当たっては、各段階での関係労働組合との協議を明確にすること。 五番目は、先ほど申し上げましたようにアウトサイダー規制を盛り込むようにしてもらいたい。 総合的な安定対策につきましては、一つは、積極的な財政金融政策を展開し、内需の大幅な喚起を図るとともに、円高是正のための措置を講ずること。 二番目は、秩序ある貿易体制を確立すること。国内で需給バランスをとるための設備処理が行われましても、輸入につきまして全く何らの施策なしということになりますると、この安定化の方策が無意味になってしまうおそれがあります。 そこで、短期、中期の繊維品輸入のガイドラインを設定し、輸入の秩序化を図ること。 それから、国際繊維取り決めが現在ございまして、これに基づきましてアメリカ、EC等は二国間協定を結び、貿易の秩序化を図っているところでありますが、わが国の場合には、このMFA協定に参加いたしておりまするが、二国間協定は今日どことも行っておりませんし、これの具体化のための段取りが大変おくれているのではないか。 それから、繊維の輸入関税につきましては、日本はアメリカ、EC諸国と比べましても最低でございます。そこで、せめて欧米水準並みに近づける努力が必要であろうと思います。 四番目といたしましては、積極的雇用対策を推進するということで、現行制度の積極的活用によって雇用の安定を図ることと、雇用創出のための諸政策を積極的に展開してもらいたい。また、職業訓練制度の改善、充実を図ってもらいたい。それから、過剰設備処理に伴う雇用調整に当たっては、各企業が自社内または自企業グループ内において雇用の確保を図るよう国は積極的に指導をしてもらいたい。 以上、本法についての私どもの見解を申し上げましたが、この機会にわれわれの産業の概要について少し申し上げてみたいと思います。 時間がございませんから、雇用の問題にしぼって申し上げたいと思います。 お手元にお渡しいたしておりますゼンセンの資料の表をちょっと見ていただきたいと思います。十ページの第一表でございますが、昭和四十九年四月から五十二年十二月までの間に繊維産業労働者は合計二二・四%の減少を見ておりまして、その中で化繊で二七・八%、紡績では四一・一%の減少を見ているわけでございまして、この法律に対しまして解雇促進法とかいろいろ言われる向きもございますが、これをこのまま放置しておきますと、それこそ弱肉強食、そして何らかの形で過剰設備の処理が行われることになり、そのことによって雇用不安は一層増大する。そうであるならば、これを円滑に進めるような法的な手だてが必要だということでございまして、私ども、雇用情勢が深刻であればあるほど、この法の必要性を認める立場をとらざるを得ない。 私どもの組合員だけを見ましても、ピーク時六十万若干超えておりましたが、今日では四十九万三千で五十万を切るというような状況でございまして、流通労働者も組織化五万が加わっての結果でございますから、繊維関係組合員は約十五万人ほど減少を見ているということでございますし、四十九年の二月から本年の三月までの間に、私どもの組織の中の合理化件数も七百五十六件に上り、倒産企業百四十九、工場閉鎖百十、希望退職募集百八十二件、その他出向等三百十五件、このことによりまして離職を余儀なくされた組合員は二万六千三百六十五名に及んでおります。 なお、合成繊維が国際的にどのような地位を占めているのか、これは十五ページの第六表に記載のとおりでございまして、日本の合成繊維の世界的なシェアは七七年で一四・三%、アメリカが三四%、西欧が二二・七%でございますが、韓国、台湾等におきましては、一九七二年韓国が一・三%が七六年には三・六%まで伸びる、台湾におきましても七二年一・六%のシェアが七六年では三・二%というようなことでもって、七七年には約八%ほどのシェアを占めるというような状況になり、特にナフサ価格の割り高の問題、国内需要の停滞の問題、国際的な繊維消費量の停滞の問題、開発途上国の追い上げ問題、このようなことで構造不況と言わざるを得ないような状況に立っているわけでございます。 これは何も合成繊維だけではございません。二ページから十三ページの第四表に記載のとおり、繊維関係の各業種におきまして二割前後の過剰設備処理が今日すでに行われておりますし、今後、綿紡績、毛紡績におきましても過剰設備処理というような事態を迎えるというようなことになるわけでございまして、そういう状況の中で、私ども何としても雇用安定を図りたい、そのためにいま申し上げましたような見解をまとめたわけでございます。 以上、若干時間を超過いたしましたが、私の見解の発表を終わりたいと思います。 どうもありがとうございました。
○中島(源)委員長代理 次に、高橋参考人にお願いいたします。
○高橋参考人 高橋です。 造船産業の今日の深刻な情勢について御理解をいただくために、若干情勢について触れてみたいと思うわけであります。 石油ショック以来、造船会社の倒産はすでに三十九社に及んでおります。昨年だけでも二十二社、今年に入りまして五社が倒産し、関連企業十社が倒産に及んでおるわけであります。その負債総額も二千億に達しております。昭和四十九年から今日まで、造船業から離職した者は五万一千名に達しており、今日段階の仕事量の見通しから推定いたしますと、さらに四万名程度の余剰人員と言われているわけであります。 世界的に海運不況であります。したがって、船腹は過剰であり、受注は激減いたしまして、五十三年度の操業度は、四十九年を一〇〇といたしますと三〇%、さらに五十四年が何と四%という程度に落ち込む見通しであります。特に最近の異常な円高、第三国の追い上げ、既契約船の大量キャンセル等によりまして、大勢として今日の仕事の手持ち量が今年の七月、八月までしかありません。したがいまして、今後も倒産が続出するというきわめて深刻な情勢にあるわけであります。 確かに、わが国の造船産業の建造能力は千九百万総トンと言われておりまして、いかに市場が回復いたしたといたしましても、過去のような大量受注は絶対にあり得ないと思うわけでありますから、設備過剰ということについては否定できないわけであります。現在、海運造船合理化審議会で供給能力の削減について具体的な検討を進められていますが、雇用問題を含めて慎重に対応していただきたいと強く要請するものであります。 造船業は労働集約産業でありまして、また関連産業のすそ野が広く、地域経済に及ぼす社会的影響はきわめて大きいものがあるわけであります。現実に、九州の一つの造船所が希望退職を募りましたが、それを苦にして自殺をしたというようなきょうの朝刊の報道もあるわけであります。 ECの主要造船国について見ますと、日本より仕事量は持っておりますけれども、雇用確保優先の立場から、西ドイツを除きまして、国有化さらには公営化が進められておるわけであります。本日のUP通信によりますと、スウェーデンにおいては建造コストの約四五%を政府が直接助成をする、さらにノルウェーにおいては四〇%、英国においては三一%、西ドイツにおいては二八%も建造コストに対して政府が助成して、雇用優先の政策をとっておるわけであります。 このような情勢から特定不況産業安定臨時措置法案についての意見を申し上げます。 私たちの基本的な理念と申しますのは、雇用確保優先であり、労働諸条件の維持向上のために仕事量の増大を図っていただきたいということが緊急な課題であります。今日まで産業政策を政府並びに各政党の皆様方に要請してまいりましたが、ぜひとも今日の危機を打開するために、政治の場で私たちの政策要求を実現していただきたいということを強く要望するものであります。 この法案については、構造改善を推進するために必要な法案と考えております。したがって、安定基本計画の策定、実施に当たっては、関係労働組合代表の意見の反映をぜひともさせていただきたいということであります。 二点目については、過剰な供給力を削減することは雇用問題に影響を及ぼすものであります。したがいまして、雇用確保を前提としたある程度の操業度を維持することが絶対必要であります。したがいまして、財政措置を講じ、内需拡大に向けて仕事量の増大を図っていただきたいということであります。 第三点目は、設備の廃棄、凍結については、労使間の事前協議制を義務づけていただきたいし、さらにまた地方自治体、関連企業労使代表者などと、雇用問題を重視した事前の話し合いがぜひとも必要であるというふうに考えます。 資金量の問題でありますが、すでに負債総額は二千億ということでありますから、資金量の増額、さらに裏保証が必要とされておるわけでありますが、これの改善、さらに返済期間の延長等を図っていただきたいということであります。 第五点目は、政府は早急に中期的なまた長期的にわたる産業構造ビジョンを策定し、それを指針として示していただきたいということであります。 具体的な産業政策について、重複すると思いますけれども、まず、公共事業の優先発注など、政府、地方自治体において配慮していただきたいということ。さらに、官公庁船の代替建造の飛躍的増大を図っていただきたいこと。さらにスクラップ・アンド・ビルド方式の導入、さらにはLNG船の建造促進、環境保全のためのSBT、COWの設置、さらに石油備蓄、浮体構造物、公共的な海洋開発の促進を図っていただきたい。さらに、中小手対策の問題でありますが、長期低利の事業資金の融資設備の買い上げ、債務のたな上げなど抜本的な措置を講じていただきたいことをお願い申し上げまして、私の意見にかえたいと思います。 ありがとうございました。
○中島(源)委員長代理 次に、千葉参考人にお願いいたします。
○千葉参考人 私は、この法案の対象業種の筆頭に挙げられております平電炉の労働者を組織する組合の立場から、この数年来つぶさに体験をし、あるいは見聞きしてまいりました事実に即しまして、意見を申し上げたいと思うわけであります。 まず、初めに結論を申し上げさせていただきますと、私どもとしましては、平電炉業を今日の構造不況から早く脱却をさせて、産業の再建と残された労働者の雇用の安定を図るためには、過剰設備の廃棄が何よりもいま必要であり、しかもそれは、この産業の疲弊の状態あるいは非常に根強い過当競争体質というものからいたしますると、企業の自主努力だけに任せておったのでは、とてもじゃないけれどもなかなかこれは実現をしないと判断をしておるわけでありまして、ぜひともここで国の強力な指導と支援をこの設備廃棄に関してお願いをいたしたい。したがいまして、これを法的に裏づけるところの本法案をぜひとも一日も早く今国会において成立をさせていただきたい、これを強く希望しておるというのが私どもの結論的な立場でございます。 御承知のように、平電炉業と申しますのは、石油危機を契機といたしましてさま変わりに実需の構造的な減退を受け、非常な需給ギャップを生じてしまったものでございますから、非常な構造不況に陥りましてすでにまる三年を過ぎ、四年目に入ろうとしております。この間、企業は大変な累積赤字を出し続けておりまして、東証第一部上場の主力企業ですら、すでに過半数が債務超過という準倒産状態に陥っているということでございます。 この間、労働者がこうむった苦しみというものは、これは言葉に尽くせないものがございます。大量の失業、賃金が抑制されて物価上昇との関連で実質生活がどんどん落ちておる、こういう状態でございます。人員整理だけをとりましてみましても、私ども鉄鋼労連が把握している限りで、昭和五十年の六月からことしの一月までの約二年半に、全員解雇が六件約千百人、希望退職の募集が二十八件、約三千九百人、合せて五千人の人を結局雇用調整の対象にせざるを得なくなりました。平電炉業全体で見ますると、同じ期間で、下請関係を含めまして、恐らく一万一千人が離職せざるを得なかったと見ております。これは、五十年四月現在の在籍人員四万五千人に対しまして、実に四人に一人が結局離職をさせられたという状態でございます。 もちろん、組合としましては、この間全力を挙げて雇用調整の人員の枠の圧縮だとかあるいは大幅な退職金の支給等の退職条件の改善などをやってまいったわけでありまして、一定の成果はそれなりに上げてきたわけでございますけれども、結果としてこれほどの大量の離職を余儀なくさせてしまった根本原因は、何と申しましても、余りにもこの産業の不況状態が深刻かつ長期にわたっておりまして、倒産、全員解雇を覚悟するか、しからずんばある程度部分的な雇用調整をやって企業を存続させて最大多数の幸福を貫くか、このどちらかという二者択一の選択に迫られまして、かくてやむなく産業の再建等による最大多数の雇用確保を優先させざるを得ない立場から、希望退職そのものについてはこれをある程度受け入れる、そして内容を是正させる、こういうことをせざるを得ないというのが実情でございます。 このような犠牲を私ども払いながら、あえて産業の再建と残る者の雇用の確保を求め続けてまいっておるわけでありますけれども、この前途自身が大変まだ非常に不安定である。その最大の要因は、言うまでもなく巨大な過剰設備の存在ということであるわけであります。 平電炉の設備能力と申しますのは、昭和五十二年末現在で粗鋼換算で約二千百万トンと見られます。これに対しまして、現在の生産はせいぜい年率で千四百万トンそこそこで、七百万トンの巨大な設備余剰がいまあるわけでございます。しかもこれが一体いつまで続くか、今後とも長期にわたって解消する見込みはないわけでございます。 昨年の二月に発表されました平電炉基本問題研究会の報告によりますと、いまのままで設備能力を抑えたとしても、昭和五十五年度においてなお三百三十万トンないし五百三十万トンの需給ギャップが残る、こう言っておるわけでありますけれども、これは実は平電炉の主製品である小棒と中小形形鋼につきまして、五十五年度の需要量を五十二年度の実績見込みに対して最低でも二八%、多い場合は四四%伸びるという、実は結果的にはそういう計算を前提としての算定なんでございます。一年前にこういう判断があり得たのだが、すでにその後さらに状況が悪化して、いまとなってはこれは非常に過大過ぎる見通しである。過大過ぎる見通しを前提として三百三十万ないし五百三十万トンの余剰がある、こういうことでございますから、実態はもっとこれを上回って、長期にわたって設備過剰は残り続けるのではないかと考えられるわけであります。 典型的な市況産業でございまして、かつ非常に過当競争体質の強い平電炉の場合には、こんな巨大な過剰設備の圧力のもとでは、とてもではないが、長期に見ての市況の安定と採算のある程度の回復というものは期待できるわけがないわけでございます。しかもこの産業は、非常に巨大な累積欠損を抱え、超過債務を抱えておる。そして現状すでに企業体力が疲弊の限りを尽くしておる、こういう状況でございますから、この産業が安定し、雇用も安定するためには、今後長期にわたってある程度採算性の維持が図られなければならない、こういう状態にあるわけでございます。 もっとも、ここへ来まして平電炉業の市況は多少回復をいたしております。トン当たりで五万二千円ぐらいだったものが六万二千円ぐらいに、約一万円ぐらい回復をしておる。もちろん反面でくずが上がっておりますから、利ざやはさほど伸びてないわけでありますけれども、どうにかやっとフローでの採算線に乗り始めておるという状況がいまのところ生まれておりますけれども、これはもっぱら小棒工業組合による非常に厳しい約五割近い生産抑制を前提として初めて生じておることでございまして、一たん何らかの事情でこの生産調整そのものが停止ということになりますると、苦しい財務状態で、そうして減産のコスト負担にあえいでおりますから、個別企業がいまとめておる設備の再投入を含めましておのおの自身が過度な生産拡大に走る、結果としてたちどころに市況は暴落し、どろ沼市況へ逆戻りするという状況になるであろうことは、これは明白であると考えられるわけであります。 こういう事態を避けながら、本当にここでこの産業の再建を軌道に乗せてしまうためには、現在一応休止状態に置いている過剰設備というものを、この小棒工業組合による生産調整が維持し得られる間に、早く明確に廃棄、持ち込んで、需給不均衡の根源を構造的な面からしっかり是正をしていくということがどうしても必要であるわけでございます。 ところが、この過剰設備の廃棄というのは、業界の圧倒的多数自身もが基本的に合意しているにもかかわらず、その実際の実施になりまするとどうもはかどらないというのが実態でございます。 その理由はいろいろあろうかと思いますけれども、主要なものとしましては、企業の財務処理上これは非常に困難である、債務超過でもってバランスシートが崩れているときに、さらに設備を、資産を落とすということは大変むずかしい。しかもそれに伴っては当然資金が要る、こういったことがまず大きな問題でありましょう。 それからもう一つは、やはり業界の過当競争体質でございまして、うちはやってもいいが、よそは果たして一緒にやるであろうかという疑心暗鬼が非常に根強いということがもう一つの原因でありましょう。 こういうことによりまして、この業界の自主的努力だけではこの一番いま求められている廃棄のタイミングを失してしまって、うかうかしておりますと結局時期を失って、この産業の再建そのものが挫折をするというおそれが目下のところきわめて強くなっておると私どもは判断をするわけでありまして、どうしてもここでこの法の裏づけによる政府の強い指導と支援が必要とされるわけでございます。 なお、このような行き方に対しまして、今日、たとえば業界過保護であるとかあるいは市場自由経済の根幹を脅かす統制的な方法であるとかいう非難が投げられておるわけでありますけれども、石油危機というのはまさに昭和大恐慌に匹敵する巨大な驚くべき経済変動であったわけでありまして、このような異常事態が起こったときには、当然のことながら、政府たるものが特別立法によって国の強力な支援と援助というものを民間経済に立ち直るまでの間与えるというのはあたりまえなことではないだろうか。しかもこれはあくまでも緊急避難として時間的な制約を持ってなされるものであるわけでございますから、そうであるならばこれは自由経済を脅かすという非難も当たらない、こう考えるわけであります。 以上、いろいろ述べたわけでございますが、具体的にこの法案を見ますると、なお幾つか、二、三お考えいただきたい点がございます。 その一つは雇用対策面の充実であります。設備廃棄に当たって当然雇用安定に配慮を払わなければいかぬということは、法案中にも一応は書いてあるわけでありますが、何と申しましてもウェートが小さく、かつ抽象的な感は免れないわけでありまして、これをより具体性あるものにするために、たとえば本法案に依拠しての設備廃棄については事前に労働組合との協議を企業に義務づけるといったような点はぜひ考慮いただきたい。もう一つは、関係審議会等への労働組合代表の参加もぜひ御考慮いただきたい。 いま一つの大きな問題は、設備廃棄ないし新増設規制の共同行為に際してのいわゆるアウトサイダー規制の実施でございまして、これにつきましては大変むずかしい問題と思いますけれども、過剰設備廃棄を真に実効あらしめるためにはこれは非常に必要なことであって、ぜひともまげて御検討いただきたい。 以上が具体的な要望意見でございますが、何としても、何よりもお願いしたいことは、本法案を今国会においてぜひとも、これは角をためて牛を殺すようなことは避けていただきたい、早期に成立させていただきたいということが一番のお願いでございます。特にわれわれ平電炉といたしましては、産業再建によって最大多数の雇用を維持しなければならぬということをよくみんなが理解し合うからこそ、構造改善が必要であることを理解するからこそ、耐えがたきを耐えて、この際譲れるものは譲るという形で、職場を一万一千人が去っていっておるわけでありまして、この人たちの犠牲を無にしないためにも、ここでぜひともこの根源をなすこの設備廃棄をきちんとやっていただけるような御配慮をお願いしたいことを特に申し上げたいと思うわけであります。 なお、私どもは、この法案は、今日なされるべき数多くの構造不況産業対策のうちの、特に法の裏づけによって緊急的になすべきことに特に産業間共通の問題に限ってとりあえず打ち出したものだという理解に立っておるわけでありまして、これはこれとして、今後政府が必要とされる多くの産業政策、たとえば平電炉について申せば実需の積極的な拡大策、あるいはくず鉄価格の安定などといったような事柄でございますとか、それから雇用安定のためのいろいろな諸施策、こういうものをさらに強化することを当然のこととして求めたいわけでありまして、それを前提にこの法案の早期成立をお願いしておるのだということをつけ加えまして、私の意見を終わらせていただきます。
○中島(源)委員長代理 次に、土橋参考人にお願いいたします。
○土橋参考人 不況カルテルを実施中の段ボール原紙及び家庭用薄葉紙を組織に抱えている紙パ労連の土橋でございます。 特定不況産業安定臨時措置法案について、四点にわたって意見を述べたいと思います。 まず第一点は、この法案が制定されることを前提にして、各企業では、軒並みと言ってよいほど設備廃棄にかかわる合理化が提案されていることでございます。昨年の十月二十五日に本委員会で日本製紙連合会の副会長である本州製紙の栖原社長が参考人として意見を述べられたときは、一〇%の設備廃棄がいわゆる構造改善の目標でした。その後、通産省の指導で二五%の設備廃棄が方向づけられると、申し合わせたように、人減らしを初めとする合理化が提案されるようになりました。首切り、配置転換、出向、賃下げ、賃金ストップ、期末一時金の切り下げ、諸手当の削減、定年延長の中止、定年年齢の引き下げ、再雇用期間の短縮、福利厚生費の削減、廃止、パートタイマーの首切り、下請関連企業の整理などがその内容です。 この法案が審議される以前からこうした先取り的、便乗的な共同行為が行われることは、独占禁止法に抵触する疑いがあるので、私たちは、人減らし提案に関しては、少なくともこの法案が発効するまでたな上げにすべきであると企業に抗議をしておるところでございます。通産省の行政指導が労働者の不安をかき立てたことを、私たちは非常に遺憾に思っております。私たちの組織は現在約三万五千人ですが、この三年間に約千八百人が人減らし合理化の犠牲になっております。この法案が制定されますと、一層深刻な事態を迎えることになると心配をしております。 第二点は、生産能力の算定及び廃棄率の決定と、私たちが要求している週休二日制の関係です。製紙は戦後、毎週機械をとめていました。私たちは連続操業に反対してきましたが、高度成長の始まった六〇年代から連続操業が一般化して、年間三百六十五日のフル操業も出てまいりました。三組三交代制では十分な休養がとれないので、私たちは四組三交代制を要求し、六〇年代後半からこれを実施させました。段ボール原紙は、昨年九月二十日から不況カルテルを実施中です。現在抄紙機の運転日数は、品種及び日産能力によって違いますが、月十五・五日から二十二日になっております。月のうち半分近く休転している現在こそ週休二日制を実施すべきであるというのが、私たちのかねてからの主張でございます。 いまや週休二日制は、労働者の一致した要求です。西欧先進国では、紙パルプでも夏に三週間ないし四週間一斉休転をして、バカンスをとっています。円高に象徴されているように、わが国の長時間労働には強い批判があります。国際的な公正競争の観点からも、週休二日制は必要だと思います。 ところが、通産省紙業課は、段ボール原紙は月間二十八日運転、年間三百三十六日の操業を前提にして生産能力を算定しています。一方、需要は実質GNPの伸び率に弾性値を乗じて計算し、そこから稼働率をはじき出しています。この試算では、三年後の一九八一年の稼働率は七二・六%にしかならないので、二五%の設備廃棄を行うべきだというのが廃棄率の算出基礎でございます。このやり方できわめて単純な計算を行いますと、週休制の休転にすれば、稼働率は七七・九%になります。隔週週休二日制の割合で休転すれば、稼働率は八五%になります。 生命と健康を害する深夜労働の伴う三交代制度、とりわけ経済的な理由による連続操業は、極力制限すべきであるというのが私たちの一貫した主張でございます。労働者は、フル操業を前提にした機械の従属物としてではなく、人間性の回復を強く要求しています。月間二十八日稼働を前提にし、GNPの操作で設備廃棄率を算定し、あるいは容易に変更するやり方には、私たちは承服しかねます。 通産省紙業課は、国際競争力を高めるためにということで、設備廃棄一本やりの設備の処理を指導しています。設備廃棄を行えば、企業の考えることは、縮小された設備でフル操業を実施したいということです。そうなれば労働者は、人減らしをさせられた上でさらに労働強化を強いられることになります。設備の処理については、格納、休止を優先し、廃棄は最小限にとどめるべきであると考えます。 第三点は、法案の具体的な内容です。この法案は設備廃棄を主眼にしています。信用基金の創設によって銀行や商社が不況産業に投下した資本の回収を容易にするところに、大きなねらいがあります。設備廃棄によって職場を奪われる労働者に対する雇用保障が明確になっていません。この法案の十条に「雇用の安定等」がうたわれています。そこで、私たちは、通産省に対して、この条文を裏打ちする具体的な施策は何かを問いただしてまいりましたが、明確な回答は得られません。 設備廃棄という重大な産業政策の変更に当たって、生産の担い手であり、当事者の一方である労働者の納得を得ないでこれが強行されることに、私たちは反対せざるを得ません。設備廃棄一本やりの設備の処理は、どうしても系列企業や中小企業の老朽マシンが対象になります。これは中小企業の淘汰、大企業中心の産業再編成につながります。また、私たちは、設備廃棄に伴って締め出しを食う下請関連企業のことを考えなければなりません。 この法案の「目的」、「安定基本計画」、「事業者の努力」、「雇用の安定」、「信用基金」などの各条項に、雇用の安定と関連中小企業者の経営の安定に努めるという趣旨を盛り込み、修正されるように要求します。 また、特定不況産業の指定、安定基本計画の決定、共同行為の内容の決定、雇用の安定、債務の保証等、重要な各条項に関しては、産業別労働組合及び当該労働組合と十分協議を尽くし、一方的に強行しないという歯どめをかけるよう修正していただくことを望みます。 第五条は、「共同行為の実施に関する指示」とありますが、これはやりようによってはもろ刃の剣になる危険性が多分にあります。やはりこの点は 「勧告」に改めるべきであると考えます。 政府の責任で共同行為の内容を決定する際は、これによって生ずる失業を防ぎ、雇用を確保する観点から、主務大臣は労働大臣と協議することを義務づける必要があると思います。同時に、その協議する手続とその具体的な内容を明確にすることだと思います。単に労働大臣と形式的な協議をしたということでは、意味がありません。労働大臣は首切りの受けざらをつくることに終始するようでは、積極的な意義がなくなります。失業の予防に力点を置いた補強をしていただくよう、強く要請します。 第四点は、ぜひとも明確にすることをお願いしたい点です。 その一つは、第二点とも関連しますが、設備の処理の定義です。段ボール原紙の場合、長期の格納、休止は設備の処理に該当しない、また、ドライヤーに穴をあけたりドライヤーの一部を撤去することによる生産能力の削減もこれに該当しない、とにかく国際競争力を高めるために次第に老朽化したマシンを廃棄することだというのが通産省紙業課の指導です。しかし、私たちが要求している週休二日制が実施されれば、廃棄率も違い、事態は大きく変わってまいります。設備の処理についてはもっと柔軟な解釈、適用ができるように、何らかの形で明確にしてほしいと思います。 二つ目は、関係審議会への労働者代表の参加ですが、この点につきましてはすでに各参考人が申し上げておりますので、省略をしたいと思います。 以上をもって私の意見といたします。
○中島(源)委員長代理 次に、中島参考人にお願いいたします。
○中島参考人 繊維労連本部の中島でございます。 組織しておる労働者が直接この法案には関係を持っておりませんけれども、産業関連の関係で、中小繊維労働者の立場から、この法案について大略四点について御意見を申し述べたいというふうに思います。 第一点は、このような法案審議に当たり、従来の政府、業界の産業政策、経営政策の反省がまず前提に立たなければならないというふうに考えます。 高度成長時代の企業の強気な投資、いわゆるスケールメリット論による生産規模の拡大、これを促進した銀行と政府側の責任、反省が十分なされずに、当面の行き詰まり状況のみをクローズアップして、このような場当たり的緊急避難政策があたかも正当性を持つかのような議論が先行していることに対して、きわめて問題があると言わなければならないと思います。しかも、該当する業界の経営陣のトップなり、従来の政策推進者としての政府・通産省の反省の声は少しもなしに、該当業種の取り巻く環境条件が変化したことだけを大きな理由に取り上げているにすぎません。 合繊業界で言うならば、戦後復興の過程、とりわけ朝鮮戦争以降の手厚い合繊産業の保護育成政策、さらには昭和四十二、三年から四十七、八年の間の後発メーカーの進出、企業競争としての増設ラッシュ、一貫した規模の拡大、すべて業界と通産側の強気な需要予測に支えられて鼓舞激励されてやってきたわけです。したがって、そのことの主体的な責任は一体どうなるかということをきちっと踏まえた上で、この種の議論をしていただきたいというふうに思います。 また、今日東南アジアからの追い上げを云々しておりますけれども、その合繊設備の大半は日本の大手合繊企業の進出になるものであり、いわば日本人の手で建設され、急速に生産力化したものであります。たとえば問題になっております合繊大手メーカーの帝人は、韓国で鮮京合繊を初め東南アジアに約十件進出しており、東レは約二十件進出しております。つまりこのように化合繊メーカーで東南アジアに進出してない企業はほとんど絶無というふうな状況の中で、そしてそれが日本の今日の繊維中小企業の経営を、労働者の雇用を大きく圧迫しているということを見据えた上で、ぜひ議論をしていただきたいと思います。 これらに対して全く反省を欠いたまま今回の過剰設備処理問題に取り組んだのでは、政策効果の実効も期しがたいと思います。必要なのは、設備廃棄を前提とした企業の統合、合併と再編成の前に、従来の政策体系の見直しこそ必要だと思います。特に国民生活優先の上に、国の経済的中期計画の中で、日本の繊維産業、とりわけ輸出比率五割を超え、しかも円高問題を抱えている合繊産業をどう位置づけるかということを明確にしてかかっていただきたいと思います。 第二点は、過剰設備廃棄についての労働組合側の参加、協議、同意と、設備廃棄されたものの行方の監視が必要であると思います。 過剰設備廃棄と雇用問題については後の項で意見を述べますが、特に産業転換先の不明確な場合、基本的に反対せざるを得ないと思います。仮に緊急やむを得ない場合においても、まず過剰設備廃棄申請に当たって、当該労使間の労使協定書の提出を義務づけるべきであると考えます。 今日、この法案では当面合繊だけが特定されておりますけれども、原糸段階の設備廃棄は、当然川中、川下の繊維中小二次加工部門の雇用問題と、一定の時期を置いて重要な関連性を持つことが想定されます。したがって、この部分との関連を明確にした上で設備廃棄の基準を考えると同時に、輸入規制との関連についてもお考え願いたいと思います。 また、過剰設備買い上げの基準と価格の根拠について、少なくとも業界と政府の密室的な作業でなくて、その根拠を社会的に公表されたいと思います。 この法案の第三条第二項に、「前号の設備の処理と併せて行うべき当該設備の新設、増設及び改造の制限又は禁止」となっておりますけれども、設備の更新または改良を妨げるものではないとなっております。とすれば、設備更新の際の改良と前文の「改造」とは一体どのような関連を持つのか、つまり一定の設備廃棄を行っても、設備更新の際、改良と称してより生産性の高いものを導入すれば、一定の廃棄をしても、それは設備廃棄が生産力としてはつながっていかないという問題があります。したがいまして、恐らくこれは企業秘密と関連がありますけれども、この点をどう位置づけるかということについての一考が必要であろうと思います。 次に重要なのは、設備廃棄のスクラップの処理方法とその確認であります。かつて合繊を除く繊維産業は、数回にわたる構造改善あるいは日米繊維協定の際設備廃棄を行ってきましたが、全部が全部完全に破砕され切ったと果たして言い得るのかどうなのか。破砕されたと称して、織機や紡機などはペンキを塗りかえて、日韓経済援助の中で生き返っているという例さえ聞いております。また、合繊プラントは、設備処理に当たって全く解体するのか、あるいは開発途上国に輸出するのか、その場合、当該国の企業なり政府とどのような市場協定をやるのか。したがって、その処理方法と確認について、業界のみの密室的な処理方法と形式的な報告という形にとどまらず、きちっとした社会的な監視が必要であろうかというふうに考えます。 第三点は、過剰設備処理をやるならば、それとの関連で繊維の輸入についての一定の規制は不可分の問題であり、その具体的な方法を明確にすべきであると考えます。 それは、過剰設備廃棄を行っても、輸入についての一定の規制がない以上、設備廃棄を一体どこまでやっていくのか、その歯どめさえつかめないと思います。そしてこのことは、同法の言う経営の安定にはつながらないと思います。したがって、合繊は国全体の繊維消費の五割を超えている段階にあることからも、国内産業としての繊維産業と、そこに働く労働者の雇用、とりわけ中小企業の経営なりそこで働く労働者の雇用、国民衣料の安定的供給などを守る立場で、一定の規制政策というものを具体的に立てる必要があると思います。 次に、国内における設備廃棄と合繊企業の海外進出との関係であります。国内で設備廃棄をやって、今後も開発途上国に合弁企業を設立し、進出させていくつもりなのかどうか、明確にすべきであると考えます。 一体、日本の国内の繊維労働者の職を奪い、利潤を求めて低賃金を利用しての開発途上国にこれ以上進出することが、企業の営業活動の自由という名のもとにおいて許されるのかどうなのかということについての検討を、ぜひお願いいたしたいと存じます。したがって、今後設備廃棄を必要とする業種の新たなる進出については国会での審議事項にするとか、あるいはこの種企業の海外営業活動の活動報告について、国会で特別委員会を設けその報告を義務づけるなど、多国籍企業との関連でぜひはっきりしていただきたいと思います。 第四点は、設備廃棄の計画を作成するに当たって、当該労使の協議と合意を必要とするように明記すべきであると考えます。 本法案の第十条では、「配慮しなければならない。」という形をとって、当該企業の事業主に対するいわば精神的協力義務だけをうたっております。これではきわめて不十分であります。特に繊維産業にとってみますと、たとえば昭和四十六年の構造改善の場合、あるいは四十九年の構造改善の場合、すべて一定の配慮をしなければならないという精神的条文だけでした。最後の答申案と言われる五十一年の十二月の繊工審の答申でも、できるだけ配慮するという意味合いしか述べておりません。しかも昭和四十年代と昭和五十年代では、雇用情勢の大きな変化がございます。したがいまして、設備廃棄に当たっては、必ず当該労使の合意と、その計画についての労使協定書を明確に出させるようはっきりすべきであるというふうに思います。これがなされない以上、かつての繊維産業のように、スクラップだけが企業の都合上一方的に進行し、人員整理のみがこれに伴って後追いの形でなっていくという形になりかねないと思います。 また、これとの関連で申し上げますと、単に当該企業の本工労働組合だけでなくて、いわば臨時工、パートについての雇用保障なりその再就職の援助計画についても含まれるべきであるということを明示すべきであると思います。 最後に、特定不況産業信用基金の運営に当たっても、労働組合代表を参加させるべきであると思います。この信用基金制度が、かつて過剰設備投資を促進した銀行の債権確保の国による制度的保障のみになって、労働者の雇用保障と労働債権が軽視されてはならないと思います。 〔中島(源)委員長代理退席、山下(徳)委員長代理着席〕 したがいまして、労働者側の雇用の問題、労働債権の確保についても、賃確法のように一定の基準を設けた保障をこの信用資金の中でぜひ考えていただきたいというふうに思います。 以上で私の意見を終わります。
○山下(徳)委員長代理 次に、畑田参考人にお願いいたします。
○畑田参考人 全造船の畑田でございます。 私は、造船の立場から意見を述べたいと思います。 現在、特定不況産業安定臨時措置法案が審議の過程にありますが、すでに造船の場合は、この法案を受けた形で、運輸大臣の諮問機関である海造審の造船施設部会で、設備廃棄を前提とした構造改善の審議が進められようとしているところであります。こうした事実関係が先行していることに大きな疑問を感じているものであります。すでに業界筋では、設備廃棄率五〇%論も出されておりますし、また、二五%から三〇%の設備廃棄説も流されているわけであります。造船業の仕事量は、ここ二、三年が最も落ち込む状況にありますが、四、五年先、すなわち昭和五十七年から五十八年ごろには需要回復に向かうと見られているのであります。運輸省の需要見通しも、昭和五十五年におきまして国内船を含めて年間六百五十万トンの需要が見通されているわけでありますけれども、しかし、これもせいぜい二年先までの議論しかされておらないわけでございまして、それから先の需要動向、造船産業の将来展望も明らかにされない中で、ここ二、三年のどん底という限定された時期を判断基準にして設備廃棄を論ずるのは、いささか短絡的にすぎないかと考えているわけであります。 しかも昨今の構造改善論議が、設備廃棄だけが先行をして、労働者の雇用問題が置き去りにされていることに大きな問題点があると考えています。今回の構造不況法案におきましても、特定不況産業における企業の経営安定を目的として、そのための設備処理と債務の保証を行うことになっておりますが、雇用問題については事業者の配慮と国の努力がうたわれているにすぎませんで、雇用の保障が明確でないわけであります。 さらに、法案の第十条第三項では、国及び都道府県は、適用事業労働者の離職を前提にした職業訓練の実施、就職あっせんのみについて明示をされているわけであります。これでは失業の予防ではなくて、法的に摩擦なく人員整理を行う首切り合理化法案であると言わざるを得ません。造船業の場合は労働集約型でありますから、設備廃棄は直ちに労働者の解雇につながるおそれが多分にあるわけであります。総合重工業である大手企業は別としまして、造船専業である中小造船は、直接的にそのことがあらわれてくるのであります。私は、今回の法案の企業経営優先、雇用問題置き去りの政府案に対しましては、強く反対せざるを得ないわけであります。 今日の情勢のもとで構造改善を議論する場合は、仕事量が減少したから設備をつぶして労働者を削減するということでよいのかどうか、そういう発想だけであるならば、低成長下における政策とは言えないのではないかと考えるわけであります。もちろん需要の創出も考えていかなければならないわけでありますが、限られた需要の中でこれを食い延ばし、雇用確保と雇用機会の創出を考えていく必要があると思うわけであります。いま完全失業者が百三十六万人にも上り、さらに増大する状況のもとで、雇用問題は社会的な問題となっており、雇用問題の抜本的な解決策が政府の施策としても最優先されなければならないのではないかと考えているわけであります。そのために、いまこそ労働時間の短縮、ゆとりある労働の実現を図るべきであると考えるわけであります。 そうした立場からこの法案に対しての意見を申し上げますと、第一点は、先ほど申し上げたような状況からいたしまして、労働者の雇用安定、保障を明確にしてもらいたいということであります。 造船不況が言われてからこの三年間で、すでに五万一千人が削減されていますが、設備廃棄ということになれば、先ほど申し上げたように、造船の場合は即労働者の解雇ということにつながっていくわけでありまして、きわめて深刻な事態と危機感を強く抱いているものであります。したがって、本法案の第一条の「目的」、第三条の「安定基本計画」、第四条の「事業者の努力」、第十条の「雇用の安定等」、また「信用基金」などの各関係条項に、雇用の安定に関する条文を明確に打ち出してもらいたいと考えるわけであります。 第二点は、造船の場合、中小分野を明確にすることが前提でなければならないと考えています。 かつての造船業は、大型船は大手、中型船は中手、小型船は中小手という建造分野がつくられ、その範囲で企業競争が行われてきたのでありますが、最近の造船需要が中小型船に変わり、大手が中小の分野に進出することによって中小造船が大きな影響を受けて、倒産、経営危機に追い込まれているのが現状であります。設備過剰といいますが、こうした状況を見ますと、端的に言えば、大手が過剰であって、その影響を中小が受けているのであり、そうした実情からしますと、むしろ大手、中小企業の分野協定が明確にされなければならないというふうに考えているわけであります。そうしなければ、直接中小造船の場合は雇用問題につながっていくわけであります。 また、日本の造船産業の年間建造能力は、千九百万トンとも、また二千万トンとも言われているわけでありますが、造船会社が千五百社ある中で、大手八社だけで七〇%から八〇%の建造能力を占めており、こうした途方もない企業格差と構造を抜きにしたままでの設備処理等の施策先行は、造船産業の根本的な解決にはならないのではないかと考えられるわけであります。 第三点は、関係労働組合との協議、合意を明確にしてもらいたいということであります。 冒頭指摘しましたように、本法案では、雇用問題について「配慮」と「努力」という精神規定にとどまっておりますように、雇用の軽視が労組の無視につながっているのではないかという懸念を持っているわけであります。重大な産業政策、産業構造の転換につながる設備処理等の問題については、生産の一方の当事者である労働者、労働組合との協議と合意を得ることは当然であります。設備廃棄が労働者の雇用と労働条件に深くかかわっていることも先ほどから申し上げたとおりであります。 個別企業段階で解決し得ない産業政策上の問題であり、しかも法的措置が講じられる事態であるとすれば、関係の産業別労働組合並びに当該労働組合と十分な協議を尽くすべきであります。また、関係審議会への参加、労働組合との協議については、当該の産業別労働組合また単組段階におきましても複数組合が存在する場合、差別的な取り扱いをせず、同等な取り扱いを強く望むところであります。全造船は、海造審への参加について長い間要求をしてきておりますが、今回ようやく造船施設部会の専門委員として参加が認められたわけでありますが、正式の委員ではありません。こうした取り扱いは、労働組合でありますから同等の扱いをするように、この際強く要請をしておきたいと存ずるわけであります。 第四点は、関連中小、下請企業の安定と雇用安定についてであります。 造船産業は、造船企業千五百社に対し、下請企業が約四千社、関連工業千六百社と、関連下請企業が最も多い産業の一つであります。労働者数も最盛期の昭和四十九年時点では、本工十八万四千人、下請労働者九万人、関連工業労働者八万七千人、合計三十六万一千人と言われてきていましたが、昨年十二月末時点では三十一万人と、五万一千人が削減されています。その内訳は、本工一万六千人、下請二万八千人、関連工業七千人となっており、関連下請労働者に大きくしわ寄せをされているのが実情であります。これが設備廃棄ということになりますと、下請関連企業は大きく切り捨てられることになります。したがって、関連中小企業の経営安定と関連労働者の雇用安定について、本法案の関連条項の中で明文化する必要があると考えております。 第五点は、関係都道府県など地方自治体の意見具申並びに意見聴取の措置を講じてもらいたいということであります。 造船業は、御承知のように地域集中型であり、同一地域に幾つもの造船企業が集中をしているのであります。しかも関連企業を含めますと、地域経済に与える影響はきわめて大きなものがあります。全造船機械は、こうした地域性を重視し、かねてから関係自治体に対し造船対策会議の設置を要請してきているところでありますが、すでに幾つかの自治体では設置をされているのであります。設備処理等についてこれらの地域の意見反映ができるように、規定の明文化をしてほしいと思います。 以上、雇用問題のかかわりを中心に申し上げましたが、これで私の意見を終わりたいと思います。
○山下(徳)委員長代理 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。 午後一時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時十八分休憩 ————◇————— 午後一時五分開議
○野呂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 これより参考人に対する質疑を行います。 念のため申し上げますが、発言の際は委員長の許可を受けることになっております。また、参考人は委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、あらかじめ御承知おき願います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。辻英雄君。
○辻委員 本日は、参考人の皆さんには大変御多忙で、特にこのような経済情勢の中で労働組合の責任者としていろいろ御心労の多いことだと思いますが、当委員会の御審議に御協力をいただいて、貴重な御意見を御陳述いただきましたことに対して厚くお礼を申し上げます。今後の参考にさせていただきます。 なお、御発言の中で理解のできにくい点がございましたので、私から質問をさせていただきますが、大変時間が制限されておりますので、言葉遣い等が失礼なことにわたるかもしれませんが、時間節約の趣旨でございますので、御了承を得たいと思います。 御意見の中に、雇用の安定がきわめて重要であるという御発言でございまして、ごもっともだと思いますが、その場合の雇用の安定として目指しておられる中身につきましては、それぞれの参考人の御陳述の中で相当ニュアンスの違いがあるようにも受け取れました。これは申すまでもなく、個別の設備廃棄を強いられておる特定不況業種のそれぞれの企業の中における絶対的な雇用安定、つまり一人も離職者を出さないという意味ではないというふうに理解しております。むしろ全体としての国の労働市場の中においてどのように安定していくかということだと理解しますが、この点につきまして、宝田さん、いかがでございますか。
○宝田参考人 私の立場は、冒頭申し上げましたように、それぞれの産業と労使関係といいますか、労働の事情によっていろいろ特殊性があるということをまず前提に置いて物を考えます。もっと一般的に申し上げまして、いかなる企業においても現在の雇用を動かすなというふうなことを申しましても、資本主義でありますからそれは無理であります。だから、ほかの参考人の方も申し上げたと思いますが、転換先がないのにやめよと言った場合には一体どうするのかというふうなことを問題にするケースもございます。国際的に見ましても、全部固定ということではなくて安定でありますから、安定の中身をどう考えるかというのはいろいろ多様にございます。
○辻委員 ただいまの御見解であれば、私どもも納得がいくわけでございます。 そこで、具体的な雇用対策をどうしていくかということになりますといろいろございますが、皆さんもすでに御承知のように、前国会におきまして特定不況業種離職者臨時措置法というのが議員提案で提出されまして、これは各党全部が賛成されて成立した法案であることは御承知のとおりでございまして、この法律の第一条の目的の中に、「雇用の機会が著しく減少している状況の下で、特定不況業種に係る事業分野において一時に多数の離職者が発生することが見込まれること等」にかんがみてこの法律をつくるのだ、こういう趣旨になっておりまして、事の順序としましては、この不況産業の設備廃棄等を含めましたいろんな諸施策と、それから出てくる離職者の諸施策というのは相互不可分でございますが、事の筋合い上むしろ離職者の方の受けざらから先に用意をしたということは、私は非常に賢明であったのではないかと存じておるわけでございまして、この法律がすでに施行されまして逐次活動しつつある、そういう状況で、雇用対策についてまことに何もない中でというような、私の取り違いかもしれませんが、そういう御発言があったように思いますが、この点については、大ぜいでございますので、ひとつ代表されまして、宝田参考人と河野参考人から御意見を承りたいと思います。
○宝田参考人 それぞれの参考人の方のお考えもあろうかと思いますが、私は、午前中に申し上げましたように、あれは普通の市場状況、市場メカニズムのもとでの失業に対する一般的な今日の労働行政上の雇用対策でありますね。このことについては、野党の方も賛成されましたけれども、内容上非常に不十分なものであるということは言えると思うのであります。労働組合もまたそう考えております。 今回の問題は、そういう失業だけではなくて、この法案によって失業が促進されるという効果を持つ場合もあり得る。その場合に、あとの雇用はあの法律でいいじゃないか、それ以上考慮しないというのであればわれわれの態度もまた変わるのでありまして、そうじゃなくて、たとえば債務保証をする場合にでも、そのお金は雇用問題の方にも回るかどうかとか、この法律を立法することによりまして離職者対策法を超えましたプラスアルファといいますか、一歩前進というものをわれわれは要望しているのであります。
○河野参考人 離職者措置法については、われわれは、おっしゃるとおり今回の措置法と関連を持った一つの措置であると考えております。 ただ、それで内容が十全であるかというと、必ずしもまだそうは言えない面があるのではないか。たとえて申しますと、賃金補助ですね。たとえば、その期間が果たして十分であるかどうかといった問題もございますし、それからさらに、特に関連企業をどう把握するかといった点についてさらに改善の余地があるとわれわれは考えておりますし、同時にまた、じゃあの法律だけでこの問題が片がつくかというと、そうじゃなくて、私も先ほど申しましたけれども、もっと積極的な雇用創出といったことも十分に考えるべきである、こう考えております。
○辻委員 ただいまこれ以上言いますと議論になりますが、基本的にはこの不況を乗り越えて成長率七%の経済に持っていく、それの間たとえば公共事業で大幅の離職者を吸収する、恐らく今度の計画で十七万人ぐらいの数になると思いますが、そういう新しい雇用創出につきまして必要なことは、これは申すまでもないが、基本的にはいま河野参考人が言われましたように、この特定不況業種離職者臨時措置法というのは現在の産業構造の転換等からくる不況業種の離職も含めて、景気変動だけでなくて、いま申し上げたような離職を含めた対策を昨年時点において立てたものだと私ども理解をしておりますが、なおいまお話しの、たとえば下請の場合の業種指定がどうなるのか、これはすでに運用において解決されつつあると私は理解をしておりますが、この点については、また時間もありませんので、私は基本的にはそういう受けざらができているんだという御理解で受けざらを活用する方向で御努力を願いたい、参考に希望を申し上げた次第でございます。 もう一つ、各参考人の御意見の共通の御発言の中に、労働者あるいは関係労働組合の意見を聞くように、それをさらに明確にするようにという御発言でございましたが、私は、これは従来の歴史を見てまいりますと、労使の間の話し合いというものは各組合によりまして非常にニュアンスが違った歴史がある、かように思います。 解雇される当該の——合理化といいますか、設備廃棄のされます当該の企業におきまして、その影響を受ける労働者と企業と、設備廃棄とそれに伴う雇用の問題について十分話し合いをされることは、もう当然のことであると私ども思います。また、でき得れば、産業レベルにおける労働組合が、率直に言ってしっかりした組合があれば、その組合と使用者側と話されることもまた結構なことだと基本的に思っておりますが、その話し合いの前提として、労使関係の信頼感というものが各組合なりあるいは産業別組合によって非常に違っておるという点が非常に問題でありますので、果たしてそういうことは法律をもって一律に書くべきだというような御意見が正しいのか、そうじゃなくて、各組合ごとの態様によって善処されるのがいいのか、相当問題があるんじゃないか。 画一的に意見を聞けというような書き方をすることが妥当かどうかは、過去のたとえば石炭の合理化の歴史等においても多少疑点がある。むしろ組合と使用者側との率直な信頼関係の問題だ。法律で強制することじゃないのだ。政府がつくります審議会の中に産業別組合の代表者が発言をする機会を保障しろということは、むしろ政府の問題でありますから、それはある程度法律に書くべきかどうかという問題として取り上げることだと思いますが、この点につきまして宇佐美参考人の御意見を伺いたい。
○宇佐美参考人 私ども取り組みました具体的な例から申し上げてみたいと思います。 かつて日米繊維協定が結ばれまして、そのときに繊維の織機等の買い上げが実施されました。国からの資金も出ました。そのときに、その資金が出される前に当該労使の話し合いが十分行われたかどうか、行われないままでその資金が使われるということについては問題があるということで、繊維工業構造改善事業協会が窓口になっておりましたから、そこの運営の委員会の中に私ども労働組合代表も参加をし、そしてその資金の使途につきまして事前にチェックをし、問題がある場合にはその資金の支出についてチェックをしていくというようなことをやってきているわけでありまして、そういう点からいたしますると、今回の法案は若干どうも物足りない点があるわけでして、そういう点で、今度政府資金が出るわけじゃございませんけれども、それにしてもこの法律に基づき労働者にも大きな影響のある過剰設備の処理を行うわけですから、それに対して労働組合の代表が十分参画できる、発言できる機会というものをつくってもらいたいということでございます。 もちろん今度は、労使だけの問題に関しましては、私どもの例で言いますと、合繊の各社社長と私ども合繊労使首脳会談を持ちまして、今後計画を進めるに当たっては事前に協議をしようということになっているわけでありまして、ですから、労使自主的に行うべきものと、それから法の裏づけによって行うべきものと、両面あるんではないかと思います。
○辻委員 ありがとうございました。 そこで、御意見の中には、通産大臣が指示カルテルを出すときにも当該の労働組合の意見を聞けというようなこともあるようでありますが、労働組合というものの基本は、私は、やはりいま宇佐美参考人が言われたような労使が基本で話ができる体制があることが前提だ、特にまた、労働組合に関係のある基本計画の策定については、何らかの形で当該の組合の意見が反映できる機会を審議会等に保障すべきだ、これはごもっともであろうと私思いますが、法律の問題かどうかはまた別個議論があると思いますけれども、御趣旨はごもっともだと思います。 その場合、参加ということの意味合いが非常にいろいろにとられておる。極端に申しますと、ドイツのような国柄なり労使のしきたりの違うところにおける経営参加というものと、日本のように自由な経営者と自由な労働組合がそれぞれの分野において自己で責任を持つんだという場合と相当違う。場合によりますと、たとえばこのたびの不況に基づくこの法律の運用あるいは設備の廃棄等というのは、一部参考人からお話がございましたように、非常に緊急なものである。したがってこういう法律もつくられておる。この法律がなくて、早急な合理的な処理ができなければ、なし崩しに倒産、崩壊に追い込まれざるを得ないというのが不況業種の現状だと思います。 そこで、これを早急に処理をしていかなければならぬというたてまえに立っておるときに、果たして労働組合の意見の表明あるいは話し合いというものが、公述にお出になっている組合以外にもいろいろありましょうと思いますが、そういうところで円滑な話し合いができるのか、どこまでのことを組合は担保されようとするのか、いろいろニュアンスがあろうと思いますが、これを鉄鋼労連の千葉参考人に私は御意見を承りたい。
○千葉参考人 たてまえ論として組合がいろいろなことを申す場合もありましょうけれども、構造不況産業の実態の中では、ほとんど圧倒的な大勢が実情をよくわかっておりまして、最大多数の幸福のために産業の再建を非常に重視するという立場で事を進めておりまして、鉄鋼の場合でも、希望退職等につきまして、一方的な解雇は絶対に許しておりませんが、筋を通した形の交渉によって問題を解決するという実績がすでにあるわけでございまして、その点は、むしろ民間労働組合の良識を御信頼いただきたいというふうに考えます。
○辻委員 私は、鉄鋼労連の皆さんの御苦心もよく存じておりますので、ただいまの千葉さんの御発言、信頼をしろという御趣旨はよくわかります。でき得べくんば、全部の労働組合の労使関係の中でそのような信頼のもとに必要な話し合いが行われまして、とるべき緊急な措置が速やかにとれますように、労働組合の皆さんのいろいろな御立場、御意見はございましょうけれども、私どもとしてはそのような希望を申し上げておきたいと思います。 次に、鉄鋼労連の千葉さんに先ほどお伺いしましたので、引き続きお尋ねしたいと思いますが、このたびの廃棄処理をします場合に、安定計画を策定して、それに基づいて業界が自主的に廃棄をしていくということが基本であり、それが自由経済のたてまえだし、業界の自主性のたてまえだと私は思いますが、この法律で規定しておりますように、短期間に緊急にしなければならないのにそれだけではできない場合に、通産大臣から、主務大臣から指示をしてカルテルを行うということでありまして、これはやむを得ない緊急の措置だと私も存じます。 その場合に、先ほどの千葉参考人の御公述の中で、アウトサイダーをどう規制するか、こういう問題が出ておるように思いますが、法文にもございますように、業者の大部分で業者活動としても大部分だということを踏まえてこの申し出を受けて措置に入るわけでございますが、たてまえ論としての自由経済というものは基本的に大変大切なことであって、それを壊すようなことをやると、一見よさそうだけれども、そのことはかえって経済あるいは当該産業の健全な発展を阻害すると私は考えておるわけでございますが、現在の平電炉業界で、お話のような過当競争もありますけれども、仮にそういうことを法的にやった場合には、指示カルテルそのものの性格から、これは通産大臣が別に罰則をかけるわけでもない、強制力をかけるわけでもない、安定基本計画をやりやすい形に持っていくので通産大臣が指示をしてつくってもらう、こういう基本になっておるのに、アウトサイダーに対してだけ何か強制力を持たせるのだということはたてまえ上もおかしい。それならばみんなに強制力をかぶせる、あるいは全体として官僚統制でやっていくことに近づいてしまうのではないか。 もう一つには、経済の変動がこのように非常に激しいものですから、二年なら二年区切って、三年なら三年区切って、その業界を他から遮断するということが本当に妥当なことなのかどうかということになりますとにわかに予断しがたいのであって、そこは経営者の良識並びに通産行政の適正な指導にまって処理する方が総合的に妥当だと考えますけれども、重ねて参考人の御意見を伺いたい。
○千葉参考人 これはあくまでも大変緊急的な措置でございまして、まあ二、三年の間を限って、異常に生じている状態を切開手術をするという限りである程度規制的な要素を強めるということは、決して一般的な意味での産業の基本的な活力なり、市場経済の持つメリットを脅かすものにはならないと私どもは強く考えます。 そしてそのアウトサイダー規制につきましては、法技術的にはよくわかりませんけれども、実体論から申しますると、やはりこれをなくしては、一方で新設を自由ほうだいにどんどんやっているという状態のある中で設備廃棄がなされても、実際上その設備廃棄の持つ需給均衡化への意義がなくなってしまうという実情も明瞭であるわけでございますから、どうしても実体論としては何らかのコントロールというものが加えらるべきではなかろうか。 しかも受益的な見地から見ますると、いま現にアウトサイダー的行動があるわけでございますけれども、一方で圧倒的多数の人が、大局的利益を考慮してそれぞれ大変な犠牲を払って調整活動をやっておる。そのときに、何らそういう犠牲を払うことなしに結果としてのメリットだけを最大限に享受して、そしてそれを正当化するために自由経済論をぶちまくっておるという状態は、これは社会連帯的な見地から見まして決して妥当とさるべき姿ではない。やはり苦しむなら、異常事態の異常切開なんでありますから、関係するすべてが一様に苦しんで、公平に苦しんで、全体として立ち行く状態を早くつくるということの大義に、自由経済とは言いながら、すべての個別企業もこういうときにはついてもらわなくてはならない。それを要求する法的権利というものがデモクラシーの上においても明らかにあると私は考えておりますので、その実態から出発して、法技術的な諸問題を解決して何らかの形でこれを生かしていただくようにお願い申し上げたいというのが私の意見であります。
○辻委員 これは大変議論のあるところだと思いますので、御意見として承りますが、平電炉業界その他を含めて今日これだけの構造的不況の中で、設備廃棄を国の法的な力ないしは融資まで含めて援助を受けてやっておる段階で、その業界の中で新規設備をつくるということは、いまの時点では一般的にはよほどのところでなければそれは考えられないのではないか。もしそういうような状態であるならば、この共同行為自体の存立の基盤があるのかどうかということがむしろ問題になるのではないかというような気も私はいたしますが、これは個々の業界の細かい実情はわかりません。私どもはあくまでも一般論として先ほど申し上げたように思いますし、同時にまた、そういう実態を克服されますように、これはむしろ、業界の方は本日お見えになっておりませんけれども、労働組合側の方も協力されまして、そういう不当な過当競争を平然とやるような業界の体質そのものの改善のためにはお互いに努力をしていかなければならぬのじゃないか。安易に法的な力にいくかどうかにつきましては、私としては最後まで疑問を留保させていただきます。 時間がありませんので、次に、お話の出た中で、労働時間短縮、週休二日ということを、これは紙パルプの土橋参考人だと思いますが、申されました。一般的に労働時間が労働生産性の向上に見合って短縮されることが望ましいということは、これは私が申すまでもない。しかし、あくまでもこの労働時間の短縮というのは、労働生産性の向上なり企業の付加価値の長期的な増大に見合って、その利益をある程度は賃金に持っていって、ある部分を時間短縮に持っていくのだ、こういうことであろうと思います。したがいまして、時間短縮の一般論としては御意見は承れるけれども、この不況の中で、設備を廃棄して相当な労働者を場合によっては離職させてもなお危機に頻するような産業の中で、いままでやれなかった労働時間の短縮をやろうということは、私は、この場合意味がはなはだ納得できない。 特に、これはもう参考人も御存じだと思いますが、昨年発表されました一九七五年の世界の労働時間統計等によりますと、日本の労働時間が三十八・八、西ドイツが四十・四、フランスが四十一・七、アメリカが三十九・四と、細かい開発途上国は別にしまして、そういう数字が出ておる。基本的に日本の労働時間が終戦前のような特別の長労働時間でもないのに、いかにも日本が長労働時間で日本産業が維持されていると考えることは大変な誤りであり、誤解を招くもとでもあると私は思っております。この不況のさなかで、不況からの立ち上がりの中で、その生産性の配分をどこに持っていくのだ、悪く言えば水増し雇用を温存するような考え方ではとてもやっていけないのではないかと思いますが、その点について土橋参考人の御意見を重ねてお伺いしたいと思います。
○土橋参考人 私が申し上げたのは、特に紙パルプ産業というのは大変特殊な産業でございまして、先ほど申しましたように、昼夜運転の連続操業でもって、一年間にわずかしかとめない大変労働環境の悪い産業ですから、そういう意味では、現在の設備廃棄計画を労働者の時間短縮によって相当縮小することができる。もちろん労働者の時間短縮をカルテルに使うわけじゃないのですけれども、私どもとしてはそういう計算もしておりますし、また、労働生産等につきましては、すでにトップ企業においてはアメリカを凌駕している現実もございますし、労働環境の悪さからいって、労働者の福祉の面からも考えるべきじゃないか。そういう一つの対案的な数字等も持っておりますけれども、いままでのところ通産省の指導は設備廃棄一本やりで、そういったものについて一切考慮が払われていないという現状から申し上げた次第でございます。
○辻委員 紙パの特殊事情は私も細かく存じておりませんが、一般的には、いま私が申し上げましたように、不況を乗り越す中で賃金をどれだけ物価に見合って確保していこうかという日本の労働界全体が非常に苦労しておられる段階で、いま直ちに週休二日というような大幅な時間短縮ができるのだと考えられるのは、希望としてはわかるけれども、きわめて不可能に近いのじゃなかろうか。 〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕 その時間を、いまの紙パの労働時間の三直四交代は鉄鋼なんかでもやっておられると思いますけれども、それをどう処理していくかというのは、むしろ設備を淘汰して不況産業を立ち直らせた上で考えなければ、私は絵にかいたもちになるのじゃないかと心配してお尋ねした次第であります。 なおいろいろお尋ねしたい点もありますが、ちょうど持ち時間がなくなりました。いろいろ貴重な点について、あるいは失礼に当たるかもしれぬような質問をいたしましたところにもかかわらず、御丁重にお答えいただきましてありがとうございました。今後の審議の十分の参考にさせていただきます。ありがとうございました。 委員長、これで終わります。
○山下(徳)委員長代理 岡田哲児君。
○岡田(哲)委員 春闘のさなかで大変お忙しい皆さん方が、本委員会のために貴重な時間を割いていただきまして、貴重な御意見を聞かしていただきましたことを厚くお礼を申し上げます。 まず、最初にお伺いをしたいと思いますのは、高度成長が続いてきた、それが現在のように低成長に入った、今後安定成長の道に進んでいきたい、こういうふうに言われているわけでありますが、当然高度成長の残したものとして過剰がある、こういうふうに認識をするわけであります。その過剰があるということを認識しながら、過剰があることはわかっているのだが、その過剰についての認識が個々の単産、単組で相当異なってきていると私は考えているわけであります。総評の宝田さんは大体それらしいように承ったわけでありますが、同盟の河野さん、その辺はどういうようにお考えになっておられるのか、ちょっとお伺いをいたしたいと思います。
○河野参考人 お答えいたします。 過剰についての認識でございますけれども、これは、たとえばいま絶対的な設備過剰があるとしましても、それが将来とも設備過剰が残っていくのか、あるいは構造不況とはいえ、景気全体が回復すれば操業度がかなり上がってくる見込みがあるのか、そういうところは各産業によって違うわけですね。したがって、当然そこには、過剰についての認識の違いといいますよりは、事実の違いが明らかに存在しているということは言えると思います。したがって、そういう実態に即してそれぞれの業界でこの法案に基づいた具体的な措置がとられるべきであると考えております。
○岡田(哲)委員 総評もそういうことでいいわけですね。
○宝田参考人 はい。
○岡田(哲)委員 これは共通した考え方でそういうふうに私どもも認識するわけでございますが、当然組合側の意見を、安定基本計画をつくる場合にも、その他の場合にも、常に反映できるようにしてもらいたいという皆さん方の意向であります。私どももぜひそうなければならぬと思うのでありますが、その意向を反映する場合、一体どういう形のものになるのか、お伺いをしたいと思うわけであります。総評、同盟に一言ずつお願いをしたいと思うわけであります。
○宝田参考人 午前中すでに申し上げましたけれども、私は、過剰能力がどのくらい存在するかとか、どこにどの程度あってどの程度の処理が必要かということをめぐりましても、産業ごとの差だけではなくて、ある一つの産業につきましても労使の見解が違う場合も起こり得る。いずれにしましても、何かを根拠にしてある産業の過剰能力の度合いなりその性質なりを決めなければ、安定計画は立たない。その場合に、なぜ労働組合が排除されなければならないか。産業によっては、過剰能力の処理がそのまま雇用の縮小に直結する場合も大いにあり得るわけですから、言ってみれば被害者といいますか、雇用に関しては当事者なんでありますね。 ですから、目的から始めまして、経営の安定に資するためと並んで雇用の安定ということも入れてもらいたいと言ったのはそういう意味でありまして、そういうことになりますと、実態的には安定計画の中身が短期的には雇用の運命を決める、あるいは中期的な雇用効果も決めるかもしれないということについて当然組合の発言の場が与えられていいのではないか。ということは、それを実際には政令で決めますが、必ず関係審議会の議を経てと書いてありますから、その審議会に産業別組合の代表をぜひ入れていただきたいという形だと思います。
○河野参考人 労働組合の意見を反映させてほしいという場合に、大別して三つの段階があると思います。 一つは審議会でございます。これは先ほども申しましたように、関係審議会というのは幾つかありますけれども、労働組合の代表が入っているところもありますし、入っていないところもある。われわれが一番重視しているのは産業構造審議会でございますけれども、これは先ほども申しましたように、ナショナルセンターから、たしか一名ずつだったと思いますけれども入っておりますけれども、部会の審議には一名では参加できません。したがって、こういった個別の問題について、特にこの法案と関連する問題については事実上審議に参加できない、こういうことになっております。そこで、審議会の人数は法律で決まっているのかどうか知りませんけれども、もしそうであるならば、できれば早急に法改正をして、部会審議に十分に参加できる体制をつくってほしい、もしそれが不可能ならば、当面、専門委員をぜひとも出していただきたい、そこで十分に意見を述べる機会をつくっていただきたい、これが第一点でございます。 それから、先ほどゼンセンの宇佐美会長からもお話がございましたけれども、やはり自主的な産業別労使会議の場でこういった問題を十分に論議する必要があると思います。われわれは、産業別労使会議の設置については積極的な姿勢を持っておりますけれども、業界によってはそれがなかなかむずかしい業界もないわけではございません。たとえば機械金属なんかでありますと、機械金属で業界が一つにまとまっているわけではございませんで、いろいろな細かい業界がたくさんあるわけですね。組合の方は一本です。そうすると、産業別労使会議の場をつくろうとしても、経営側の体制に問題があってなかなかそれができないし、また、つくったとしてもそれがスムーズに効果的に運営できないという問題がございます。こういった問題は、これはぜひとも経営側の方で十分な対応をしてほしい。せっかくわれわれが話し合いの場を持とうとしても事実上持てないし、また効果的な運営ができない、こういう問題があります。ぜひとも改善を働きかけていただきたい、こういう点でございます。 それから三番目は、もちろん企業段階での協議の問題でございます。同盟の場合は、労使協議会を設置する、同時にまた、そこでの労使協議の機能を強化して、単に企業が経営内容であるとか一片の報告にとどめるという意味ではなくて、もっと労働組合が企業の運営の方向について積極的に発言をする、あるいはそこで共同の合意を形成するというところまで持っていくべきである、こういう主張をしておりますけれども、では経営者側が全部そういう積極的な姿勢を持っているかというと、必ずしもそうではない。そのことがむしろわれわれの側から見れば労使協議制の発展を妨げている一つの大きな要因になっている、こう言わざるを得ない実情にありますので、そういった点についても、これは政府あるいは皆さん方、ひとつ改善に御努力をお願いをいたしたい、こう考えております。
○岡田(哲)委員 いま河野さんが言われましたように、確かに経営者側もなかなか意見がまとまらない場合もある。それと同じように、労働側もそういう場合もあるのではないかという心配を私はするわけであります。ともすると、こういういまの時期でございますから、極端に言うと、総評であり同盟である労働側が、個々の問題についてむずかしい点はありましょうとも、一つの大綱についてはやはり一致していくという方向を示さない以上、なかなかむずかしいのではないかという気がしてなりません。その辺、なかなかお答えしにくい点があるかもしれませんが、総評、同盟、それぞれちょっと御意見だけ聞いておきたいと思います。
○宝田参考人 先ほどは安定計画の作成について聞かれたと思いましたので、関係審議会と申し上げましたが、実際この法律を施行する場合には、現場ですね、個別の事業者が行うことが多いわけですから、当該の労働組合と協議すべきだということは午前中にすでに申し上げました。 いまの御質問は、一つの職場に複数の組合がある場合とか、そういうことの意味だと理解してよろしいのでしょうね。 私どもとしては、労働者というのはさまざまな見解を持つ権利がある。ですから、労働組合というのは、あらゆるものについて統一見解をつくるのは組織としてつくるのでありまして、組合員というのはまたいろいろな意見を持っていてもよろしい。ただ、その審議に当たって民主的にといいますか、少数意見も考慮しながら、やはり結論は一つしか決められないということは往々にしてあります。むしろ一般的であります。 一つの事業所に複数の組合がある場合に、それが一致する保証は必ずしもないわけで、さまざまな見解があってもむしろいいのではないか。場合によっては一致する場合もあるでしょうし、違う場合も、違う意見を持つという権利は認めていいんじゃないか。 ただ、現実問題としまして、ある一つの事柄を処理するときには、どうしても組合の方は統一性を求めないとなかなかそのことが実現しないというのは、国会に対するわれわれの減税要求その他でもいろいろ経験しているところであります。だからといって、全部の政党が同じ見解に立てというわけにはいかないので、議論をしながらある統一見解を絶えず求めるということは、同じ労働者仲間でありますから努力はいたしております。ただ、複数の組合がある場合に、片方だけとしか相談しないでもよろしいというふうな形で物事が進められますと、意見表明の機会で差別が起きやすい。何かの結論を引き出すときに、どうしてもそれは多数派の意見が通るということは実際問題としてあり得るわけですけれども、意見を聞く機会を平等に与えるということは、結論を一つ出すということとは矛盾はしないと思うのであります。ですから、国会でも、ある政党が絶対多数を持っていれば少数政党の意見表明の機会はなくてもいいのかと言えば、そうはいかない。ただ結論は多数派の政党のとおりの意見は出るかもしれませんけれども、それと似たような、そういうアナロジーをもって組合の場合も考えていただければ、結果のいかんより前に、少数であるがゆえに意見表明の機会がないということのないように御配慮を願いたいというのがわれわれの気持ちであります。
○河野参考人 いまおっしゃった問題、企業の段階でも産業別の段階でもあり得ることだと思います。ただ、ここで御質問の趣旨は、一般論ではなくて、特に緊急な解決を要している構造不況業種の問題を、言葉は悪いかもしれませんが、どう処理するかという問題について御質問なさっているんだろうと思います。 そういたしますと、確かに見解の相違がある、しかし、緊急に事を解決しなければならない、いずれかの結論を出さなければならない、議論が平行線をたどったままでいつまでもやっておりますと、先ほど御質問者の言葉の中にもありましたけれども、結局はなし崩し的な倒産、なし崩し的な全員解雇という事態に追い込まれてしまうわけですから、そういった事態を避けようとすれば、しかもなかなか意見が合わないということになれば、われわれはわれわれの見解を挙げて実行するという場合はあり得るわけでございまして、特に緊急の場合にはそういう事態があってもやむを得ない。ただ、そういうことですから、なるべくならお互いの合意でやってほしいし、また、現実的な対処を相手側もなるべくとってもらえるようにひとつお願いをしたい、こういうことでございます。
○岡田(哲)委員 私も、ぜひそういうふうにしていただくように御努力を両方にもお願いをしておきたいというふうに思います。 それから、非常に細かい問題でありますが、心配をいたしますのは、特に造船関係に多いんじゃないかと思うのでありますが、廃棄をする、当然労働者の問題、雇用の問題が出てまいります。そのときに、本工と社外工、臨時工というのが造船界にはたくさんあるわけでありますが、本工だけは確保しよう、社外工については処理していこう、こういう動きが当然出てくると思うのであります。そのときに、本工は当然組合をつくっているわけですから、労働者が守る、しかし、その関連する下請の関係の社外工、社外労働者については、連れ子、まま子みたいな感じでいってしまうんじゃないかという不安があるわけであります。こういう労働組合の意見は聞くんだが、社外工についての意見はなかなか反映しにくいんじゃないかと心配をするわけでありますが、その辺、特に社外工を抱えているのが造船に多いので、畑田さんにお伺いをしたいと思います。
○畑田参考人 本工と社外工との関係については御指摘のとおりで、雇用対策という面からは、同じ労働者でありますから、私どもも下請問題については非常に頭を悩ましているところでありまして、これまでも下請の組織化等についてもいろいろ努力してきているわけですけれども、全造船の場合四つの組合しか組織できないという状況で、午前中申し上げたように、下請労働者が大変多い中でほとんどの部分が未組織という状況であります。そうした状況の中で、それらの意見の反映をどのようにさせていくかということについては、これは組織がないわけでありますから、直接のそれぞれの下請労働者が意見を述べるという体制がとれていないわけなんで、それらを産業別的な立場で代弁できるような措置がとれないかどうか、私どももそういう点をいろいろ考えているのですけれども、なかなかむずかしい問題ではないかと思います。 そういう点では、特に下請労働者等を含めたそういう未組織、これは造船だけに限りませんけれども、やはり地域的な雇用対策ということの中でこうした下請労働者の問題を、これは地域の場合は具体的であり直接的でありますから、それらについての反映あるいはその対策についても細かい対策が立てられていくのではないか。そういうことで、特に造船の場合は、午前中申し上げましたように、地域自治体等の中においての行政並びに労使三者構成による対策委員会等の設置等もいたしておりますから、そういう中に下請企業の業者代表は入っているわけなんですけれども、残念ながら、未組織という状況の中で労働者代表の選定ができないものですから、それを含めての対策、検討というのが非常にできないということでありますので、そういう点では、全造船といたしましても、県評、地区労を通して、下請労働者についての雇用対策というものをその地域の雇用対策の中にできるだけ取り入れた中でやるように努力をいたしておるわけであります。しかし、こうした産業構造、特に設備廃棄等の問題等々の事態になってきますと、これは産業にかかわる問題ですから、そういうことの中では産業別として下請労働者の雇用問題も含めた立場で全造船としてはできる限り対応していきたい、このように考えております。
○岡田(哲)委員 同じ質問ですけれども、高橋さんにちょっと御意見を聞きたいと思います。
○高橋参考人 臨時工というのはほとんどありませんけれども、協力工というのが多いわけであります。それは造船産業が非常に波がありまして、その波の高いときに協力工を入れて工程を崩していくというのが造船の今日までの状態なんです。 造船重機労連の場合はすべてが事前協議です。下請の解雇問題、さらに設備関係、出向、配転、全部が事前協議、労使が一致しなければやらせないわけで、特に協力工の場合については、造船産業がこのような不況でありますから、ほかの業種に親会社があっせんするようにそういう努力をしているわけなんです。それに耐えられないところが離職していくというような事態なわけであります。したがって、われわれは何としても離職させないで雇用を守るようにまず財政措置で仕事量をふやしてもらおうじゃないか、そういう形で産業政策を出して御要請申し上げているわけであります。 たとえば国民の環境保全、流通改善、そういう点に対して空港問題とか、さらには石油備蓄問題とか、それはもう空港問題を取り上げても成田で大変な大騒ぎをしているわけですね。内陸では狭いためになかなか大変じゃないか、それでは、二百海里時代でありますから海上を活用したらどうなのか、そういう仕事量をふやして協力工まで守るというのを基本にしているわけであります。 ですから、ぜひその辺をお願いしたいし、あと親会社に対して、社会的な責任になっているわけですね、完全失業者が百四十万に近いわけでありますから、親会社にほかの業種にあっせんしろ、こういう形でやっておるわけであります。したがって、本工も一万六千ぐらい四十九年から減少しているし、協力工というのが二万六千ぐらい。そういうふうに、本工だけがいいんだという形でなくして、働く造船労働者すべてが救われるような方策をいままで労使協議でもやってきたわけであります。そのようにして守っていかなければいけないのじゃないかと思います。
○岡田(哲)委員 残念なるかな、幾ら守ろうとしてもどうしても守れ切れなかったというのが多く出てくるのじゃないかという心配なのであります。未組織といいますか、実際組合組織の中に入っていないのだが、その方々が離れていくという状態を考えますと、ちょうど炭鉱を思い起こすのですけれども、やはり地域的に物を考えなければならぬ。そういう組織されていない労働者をどのようにしていくかという点が私ども非常に心配なのでありますが、やはり造船それ自体が幾らやろうと思ってもなかなかできにくいというお話がいまありましたように、これはどうしても地域で何とかしていかなければならぬ。そういうふうにしますと、県評なり地区労なりというところでこの人たちの一つの組織化ができるかどうかわかりませんが、そういうように考えるのですが、その辺の仕事はやはり総評になると思うのですけれども、総評、どうでしょう。
○宝田参考人 産業の方から労働者がほうり出されますと、その産業ではもうめんどうを見ない、縁が切れてしまう。特に日本の場合には労働組合も企業別組合でありますから、産別組合加盟の組合員のままで失業という状態がないわけですね。その点、ヨーロッパの場合には産別組合として編成されていますから、失業中の組合員と就業中の組合員と二種類の組合員で組合が構成されているという原則がまずあります。このことが日本の場合非常に特殊な問題を生んできまして、最近のように低成長になりまして失業者が産業に帰れない場合には、現実問題としては地域問題になってしまうのですね。これは地域で処理をすればいいということではなくて、そうではないんだけれども、現に取り上げているのが自治体であるとか、あるいは組合で言えば県評、地区労であるというかっこうになってしまっているところに日本の悲劇があるわけですね。 そのことはもっと根本的にさかのぼりますと、今日までの日本の政府の産業政策に問題があったんじゃないか。高度成長時代には過疎過密という問題が起きた。だけれども、過疎のことも過密のことも産業議論をしているときは余り配慮に入れないで、ある産業が伸びればいいというかっこうで産業政策を見てきたんじゃないか。あるいは一国の経済政策もGNPがどのぐらい伸びるかということをまず考えまして、せいぜい落ちてくるのは公共投資がどのぐらいかというのが経済計画の大筋だったわけです。それに個別の産業育成政策が乗っかっていた。地域問題というのは三全総か何かで別にお考えなさいということで、産業論を考えるときに地域的な視点というのがなかったから、今日のように北海道はどうする、沖繩をどうする、裏日本をどうする、福岡をどうする、兵庫をどうするというふうなことが起きてきている。これもせんじ詰めますと企業が減っていくところから出てくる雇用問題ですけれども、ストレートに地域であるというふうに肩がわりしてしまうわけにはいかないと私は思います。 ですから、これから日本の産業ということを考えるときには、産業の地域配置とか地域ベースということを一本置いていただきたい。ですから、業界に見合うような縦割りの産業論的な産業政策と、ローカリティーといいますか、ロケーションといいますか、アロケーションといいますか、地域的な配置もあわせて考えませんと、なかなか産業政策というものがいままでのようなかっこうのイメージではもう合わないのじゃないかというような感じがいたします。 そこで、そういうことをいまわれわれは非常に痛感しているわけですが、そのことを頭に置きまして雇用の問題を考えますと、どうしても現実問題は地域でカバーしなければならないということで、いま自治体に盛んにお願いしまして雇用関係のいろいろな協議会をつくったり、三者で、経営者と労働組合と自治体というようなかっこうでいろいろ処理をせざるを得ない。そのときは、産業団体は知りません、経営者も知りませんというふうなことになったのじゃ困るので、産業というものを地域に割って雇用の問題にいま取り組もうとしている、これが第一点であります。至るところに自治体レベルで雇用問題の協議会をつくってくれということで運動をやっております。 それからもう一つは、日本の労働行政というのは非常に複雑怪奇でありまして、現に中高年者手帳なんかでも、あるいは今度の離対法の適用でもおくれているわけですね。なかなか複雑怪奇でわからない。言いかえますと、失業者はいまの法律のもとでどれだけ権利を持っているかというのがなかなかわからない。労働省にそういうパンフレットをつくってくれと言ってもつくらない。職能給の手引きはつくりますが、そういうものはつくらない。仕方がなくて、いま春闘共闘と総評で、失業者がどれだけの制度を利用できるかというパンフレットをつくって、下へ流している現状なんです。労働省ではやってくれない。 そういうことを考えますと、現にある複雑怪奇な法体系、雇用に関する法体系と職安と個人の失業者との間には非常に大きなギャップがある、ですから、何とかしてこの失業者の権利をちゃんと活用するためにも、だれかめんどうを見るような人がどうしても地域で欲しいわけです。それをわれわれは県評地区労でやりたいが、残念ながら、やはり財政的にも人的にも能力がない。本来の業務で手いっぱいであります。 そこで、いまわれわれが考えておりますのは、炭鉱のときに、あっせんといいますか、めんどうを見る方をたしか配置した経験がございますが、そのようなことをいま新しく考えていただきませんと、御質問にありましたような組織を持ってない方が失業した後の手が何にも打てない。このことは、例がいいかどうかわかりませんが、たとえば生活保護法というのがありまして、個々の生活保護を受けたい人の権利を満たすためには、やはりめんどうを見られるような委員の方が配置されていますね。あれに似たような、日本の場合には失業者のめんどうを見て、どういう法律が使えるかとかどういう訓練が受けられるかとか、そういうことを親切にめんどうを見てやれるような一種のヘルパーといいますか、そういう方をやはり何らかの形でお考えを願いたい。そういうものがないと、御質問のようなところの手はなかなか打てないというのが現状でございます。
○岡田(哲)委員 実は皆さん方にそれぞれお伺いしたいわけでありますが、私の持ち時間が来てしまったものですから、非常に残念でありますが、本当にきょうはどうも御苦労さまでした。 これをもって終わります。
○山下(徳)委員長代理 清水勇君。
○清水委員 まず最初に、参考人の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。 非常に長期にわたる不況の上に、ついに二百二十円台まで割り込むというような円高、そういう状況の中で、よしんば景気が多少回復をしても果たして産業が立ち直れるかどうか、こういうような状況に置かれる皆さんが労使関係等を通して大変に御苦労をいただいている、このことについてはまずもって心から敬意を表したいと思います。ことに、今日大変にお忙しい折でありますから、お越しをいただくこと自身大変だったわけでありましょうが、貴重な御意見をお聞かせをいただいたことを、私からもお礼を申し上げたいと思います。 さてそこで、時間も限られているわけでありますから、くどく言葉を使いながらお尋ねをするというようなことは許されませんので、できるだけ簡潔にお尋ねをいたしますので、参考人の皆さんにもよろしくひとつお答えを賜りたいと思います。 まず最初に、土橋参考人にお尋ねをいたしたいと思います。 実は私は、ここにも持ってきておりますが、昨年の十月二十五日の商工委員会の議事録がございます。 〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕 その際、製紙業界を代表する立場で業界の栖原副会長がいろいろと御陳述をされたわけでありますが、時間の関係で議事録を読むことは省略をいたしますが、一口に言うと、過剰設備は一〇%を目標に廃棄をしようといま努力をしている、ところが各メーカーはなかなかむずかしい状況だ、四、五%程度しか希望が集まらない、できれば廃止でなく設備の休転というものを併用をさせてもらいたいという希望が強い、こういうふうに指摘をされております。 ところが、先ほど土橋さんの御意見を承る中で、通産省の指導がその後加わって二五%の廃棄という方向にいま業界が動いている、こういうお話でございました。そこで、私は、時間的に言えば非常に短い間に何ゆえに業界の言う一〇%という目標が二五%というような大きな数字に変化を来しているのか、少し理解ができませんので、とりわけ本法案でも、本来設備の処理は業界の自主努力にまつ、これを大前提にしているわけでありますから、それらを踏まえて土橋参考人、どのような所見をいまお持ちであるかお聞かせを願いたいと思います。
○土橋参考人 たしかその後の状況の変化等もあって、必ずしも先般栖原参考人が述べた一〇%というものが適切であるかどうかということは問題があると思うのですけれども、少なくともいま日本の紙パルプ産業が設備を破棄しようとしている。これは戦前、戦後を通じて、戦争中の一時期を除いて、軍需工場に転用されたという時期を除いては初めての経験でございまして、しかもパルプのマシンというのは、一系列数十億ないしは百数十億もするようなマシンを破棄する。大変大きな影響を持つわけでして、私どもも通産省に対して、その計算の根拠についてあれこれ折衝を持ってきているわけなんですけれども、そういう意味では、この二五%の設備廃棄というものについては私ども自身が大変大きな疑問を持っている、こういうふうに考えている次第でございます。
○清水委員 重ねて土橋さんにお聞きをしたいと思いますが、これはいずれにしても、過剰な設備をめぐって、どうも先ほど来皆さんの御所見を承っても、あるいは先般業界代表の御意見を承っても、見解が一致をしているわけではなしに、政府筋の見方もまたギャップがある。言葉をかえて言えば、率直に言うと、政労使の間に認識なり判断なりの違いがあるようにうかがわれるわけであります。 そこで、先ほど土橋さんからのお話の中で、たまたま生産能力の算定及び廃棄率の決定、それと週休二日制の関係に触れられておりました。そこで、お尋ねをしたいわけでありますが、御意見によると、通産当局は月二十八日、年間三百三十六日の操業を前提にし、したがって二五%の設備廃棄が必要である、こういうような判断をしていると指摘をされているわけであります。ところで、土橋さんの御主張のように、今日労働省の報告などを見ても、製造業でも約四八%ほどが何らかの形で週休二日制を実施している、こういう状況でありますから、そういう前提で仮に週休二日制を紙パルプ産業で実施をする、こうした場合に、先ほど稼働率の数字が述べられているわけでありますが、つまり設備の過剰率といいましょうか、これはパーセンテージで結構でありますが、どの程度になるというふうにお考えでしょうか、お聞かせいただければありがたいと思います。
○土橋参考人 設備の過剰率というものを正確に計算したわけじゃないのですけれども、少なくとも通産省の計算ですと、一年三百六十五日のうち二十九日しか休転しない。ということは、片方においては設備廃棄をしながらも、片方においては昼夜兼行の完全操業と申しますか、連続操業と申しますか、こういうものを一層強化していくというような矛盾があるわけでして、私どもとしてもこういう問題については過去昭和三十年代からやってまいりましたけれども、大変大きな問題になるのではないか。 したがって、私ども自身としては、別に私は先ほど完全週休二日制と申したわけではないので、隔週週休二日制の制度をとった場合であっても、少なくとも五十二日休転をするというような中でも、まあわれわれが休みをとって減産をするという意味じゃないのですけれども、労働者福祉という面からも相当の過剰生産の緩和になる。すでにまた片方においては、零細企業でつくっております家庭用薄葉紙というのは、この四月末まで不況カルテルを実施しているのですけれども、ここでは週五日制、まさに完全週休二日制を、就業規則を変えて、そして労働協約を改正して、業界が自主的にやろうとしている。しかも中堅企業、大企業である段ボール原紙が、片方では二五%設備を廃棄しながら、片方ではフル操業をする、こういう矛盾があるということを申し上げておきたいと思います。
○清水委員 これは一言で結構なんでありますが、ときどき通産の指導ということがお話に出てまいりますが、現にお話にあった週休二日制の実施をめぐる労使間の交渉等の場面で、何か通産の年間三百三十何ぼという運転体制というのでしょうか、つまり操業についての指導というものが週休二日制の実施についてブレーキになっているというようなことがあるのかないのか、一言だけで結構ですから、お聞かせください。
○土橋参考人 私どもは、産別として統一要求として各企業に週休二日制の要求を出しておりますけれども、実は通産に対しても何回か折衝を持っているのですけれども、先般の折衝におきましては、通産としては一貫して、もし週休二日制というものを通産の指導でやるとすれば、これは独禁法違反になる、片方においては構造改善事業という名前において通産主導型の設備廃棄カルテルが実質的にやられようとしておる、こういう現状にあるということをひとつ御認識願いたいと思います。
○清水委員 最後にもう一点土橋さんにお聞きをいたしますが、先ほどの御発言の中で、この法案の成立を前提とした設備廃棄にかかわる先取り的あるいは便乗的な合理化提案が出ていて、これは問題だ、こういうふうに述べられたと思います。もとより私も設備の処理ということは必然的に労働者の労働条件、とりわけ雇用等の上に重大な影響を来すわけでありますから、当然に、合意を得るような、交渉を通して解決が図られるというようなことが前提でなければならないというふうに思っているわけでありますが、何か今日そうした合理化提案をめぐる交渉について問題点とお考えになっておられるようなことがおありになるのかどうか。また、実は私も本委員会で質疑をする際、通産大臣から、特に設備の処理などということについては、労働組合の協力が得られなければできるものじゃない、こういうことを大臣みずから見解として披瀝をされているわけなんでありますが、そうした方針に合致をするような形なのかどうか。先ほどの提案に触れてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
○土橋参考人 先ほども若干申し上げたのですけれども、いま実は各企業におきまして、通産省指導とそれから社長会決定ということによって、軒並みに人減らし、首切り合理化が提案をされているという現状でございまして、その一例を申し上げますと、先日、二十七日の日に、中央板紙という会社、この社長は藍綬褒章をもらったりっぱな方なんですけれども、八百十三名いる従業員のうち二百六十四名に勇退をしてもらいたい、労働者に勇退をしてもらいたいということなんですけれども、そして、その勇退した人たちの生活を見るために、残った従業員は一〇%の賃金カットをしてそれに充てる、勇退者が少なかった場合にはさらに賃金カットを多くする、こういう提案がされておりまして、実はこれもマシンを二台廃棄する、通産省の指導、社長会の決定ということでございまして、これは明らかに本法案の先取り的な合理化が進行中である、かように申し上げたいと思います。しかもこうした会社が実は黒字の会社なんですね。黒字会社がこういうことをやっている。これはほんの一例でございまして、数え上げればたくさんあるわけですけれども、一例として申し上げておきたいと思います。
○清水委員 次に、宇佐美参考人にちょっとお尋ねをいたします。 先ほど中島参考人の御意見を承って感じたわけでありますが、合繊業界においては東南アジアなど途上国の追い上げを云々する向きがあるけれども、それらの発展途上国の合繊設備の大半というものは日本の大手合繊企業の進出によるものである、こういうふうな御意見がございました。それで、一例として帝人が十件とか東レが二十件とかという数字も例示をされておりましたし、それらからの逆輸入といいましょうか、これが日本の業界、とりわけ中小企業などに圧迫の原因になっている、こんなふうな言われ方をされたと思います。 そこで、何も合繊だけではなしに、この種の傾向は他の産業、業界にもずいぶん指摘をされるわけなんですが、宇佐美さんとしてはそうした見方についてどういう御所見を持っておられるのか、お聞かせいただければありがたいと思います。
○宇佐美参考人 ただいまの問題につきましては、すでに七、八年前から私ども繊維の経営者に指摘をしていたところでございまして、余り積極的に進出し過ぎると、結局自分で自分の首を絞めることになるおそれもあるから、そこは自粛をすべきだ。ただし、マクロ的に言えば、開発途上国の場合も、比較的労働力を多く使用し、資本が少なくてしかも外貨をかせぎやすい産業を興さざるを得ない。資本のない国々ですから、何らかの形でこの資本進出の面で協力しなければならぬ立場はわかるが、しかしそれはおのずと限度を考えるべきだ。いっとき、もし日本の資本が出ない場合には、アメリカなり西ドイツの資本が入ってくる、だから日本が出た方がベターだというような議論も業界の中にはあったわけですが、しかし、今度は二国間の貿易関係ということになると、その単品ごとの比較じゃなしに、トータルで出超か入超かを比較しなければならない、そうなった場合に、日本が韓国等への進出をし過ぎる場合には、必ずその貿易上の摩擦の中で議論が起きてくるおそれがあるではないかということで、私ども指摘したところでございまして、この議論は実は私どもの内部ではもう終わっていることでございまして、今日ではもう海外への資本進出はきわめて少ない、皆無のような状況になってきつつある。 逆輸入の状況につきましては、御指摘のとおり、いまそれらの国が輸出競争力を持って、製品の形で輸入されてきているというのが現状です。
○清水委員 重ねて宇佐美さんにお尋ねをいたしますが、あわせて中島さんから、たまたま廃棄をされた織機等の過去の繊維産業におけるこの設備廃棄というものを通じて見た場合に、たとえばペンキを塗りかえて、日韓経済協力と称する形で韓国にこれが輸出をされていくとか、そういった現実にはつぶされたはずの機械が生きているという歴史的経過があったじゃないか、こういうふうな御意見を出されていたと思います。 そこで、今度の合繊の場合を想定して、綿紡等における織機と違って、合繊の場合のプラントというものはそれ自身非常に価値の高いものでありますから、これを解体をするのかしないのか、あるいは解体をしない場合には輸出という形で海外へプラントを出していく、こういうことになるのかならないのか、これはよくまだわからない問題ですけれども、いずれにせよ廃棄をされるであろう設備の処理の行方というものは、十分にこれは監視をされなきゃいけないのじゃないか、こういう御指摘がございましたが、この点、いかがでしょうか。
○宇佐美参考人 最初御指摘の、たとえば織機等の買い上げの場合にこれが的確に行われていたのかどうか、この点につきましては、やみ織機等が出てきたというような経緯を見ますると、必ずしも適切ではなかった。繊維のブームが起きてまいりましたときにそれらが稼働をし、需給のバランスをさらにまた崩すというような結果があったことは事実。あるいはまた、ある業種によりましては、紡機のスクラップをしたかと思ったら、それが今度は過疎地帯、東北等で軒下紡績というような家内労働的な人たちを使っての生産体制が起きてきているというようなことも事実ですが、ただし、海外の関係につきましては、開発途上国も中古の品物を買うというんじゃなしに、このごろはもう近代的な設備を持って、そしてその競争力をつけるというような体制になってきている。 もちろん、今度は合繊のプラントということになりますと、相当大がかりなものでございますから、当然私ども、これからその繊維の需給問題は、国内だけで見るのではなしに、国際的に見ていかなければならない、そういう観点からいたしますと、当然行方についても事前に十分確認をする努力をしていきたいと思っております。
○清水委員 いまたまたま宇佐美さんから、国際的な関係においてこれから見ていかざるを得なくなる、私も同感なんですが、そのことに関連をして、先ほどの御発言の中で、あるいは中島さんもそういう御指摘をされていたと思いますが、いわゆる輸入の関係をどうするのか、こういう点でお触れになっておられるし、たとえば秩序ある輸入という言葉遣いをなさったり、もしくは欧米並みの関税率に引き上げるべきじゃないか、こういう御指摘もございましたが、いずれにしても設備に過剰がある、だから廃棄ないしは処理をする、そして一定程度の需給のバランスを確保したとしても、輸入自体が野放しであるということになれば、やがて近い将来再び設備過剰という問題が出る。つまり悪循環の再生産というような状況がどうしても予見をされる。ですから、いまの廃棄をされる設備の行方をどうするかということとあわせて、やはり輸入の規制をするのかしないのか、これをどうするのかということもこれは非常に重要な課題になるのじゃないか、こんなふうな感じを持っておるのですが、その辺、先ほどの御意見に触れてもうちょっと具体的なお考えがあったらお聞かせをいただきたい。
○宇佐美参考人 繊維産業の場合、国際的にもいわゆるかつてのような自由貿易原則というのはもう余り論じられていない。そうじゃなしに、やはり秩序ある貿易体制の確立が必要だ。そういうことで、いまから四年ちょっと前に国際繊維取り決めというあのMFA協定ができまして、それに基づいて、輸入急増によりまして市場撹乱等のおそれがあるような場合に、あるいはまた市場撹乱が起きたような場合に、これはセーブすることが可能だ。ただしその全体的な貿易を減少させてはいけないということで、漸増方式で、二国間協定の場合には六%を上限にして漸増をさせていく、そういう中身の協定であるならば、これはMFA協定に基づく二国間協定ということで国際的にも認めていこうということになっているわけでありまして、アメリカでもECでもその協定に基づいてすでにその二国間協定を積極的に行ってきている。そういうことで、韓国等につきましては相当枠を下げて、そして協定をするというような努力が続けられている。 日本は、国柄からしてなかなかそこまで踏み切れないということで、どこの国ともその協定を結んでいるわけではないわけで、私どもが政府当局に要請していることは、たとえばここで需給バランスをとる、需給バランスがとれますと何とか水面上の価格に戻ってくる、そうなってまいりますと、そこで安い物がどっと入ってくる危険性があるから、そういう場合に日本に輸入が急増にならないように、また、そういう急増があった場合にはいつでも二国間協定を結ぶ交渉を開始するということを、ひとつ相手国に十分事前に警告を——警告という表現はどうかと思いますが、事前に伝えておくことが必要だ。 それとあわせてもう一つは、いま製品輸入というのが非常にふえてきているわけですから、これは繊維全体の構造改善をもっと積極的に進めて、そうしていわゆる消費者が直接買う製品価格というものがそれらの輸出国の価格との間に大きな開きのないように、要するにもっと端的に言えば、日本の製品の価格も下げるという努力が一方行われてくることも大変大事なことではないかということを指摘しているわけでございます。
○清水委員 次に、畑田さんにちょっとお尋ねをしたいのでありますが、先ほどこの法案に触れて、政府は雇用の安定と言うけれども、結局受けざらは離職者法くらいしかないんじゃないか、したがって、失業の予防なり雇用の安定なりと言ってみても、どうもそういうことにはならないんじゃないか、こういうことから造船業界の具体的な状況に触れられて御指摘がございました。 そこで、先ほども岡田委員の質問にお答えをいただいておりますが、とりわけ組織化が非常におくれている関連下請中小企業等における雇用不安というものは、ただでさえその不安度が高いわけでありますから、こうした部門で働く労働者の雇用問題に関連をして、この機会ですから、何か具体的な御提案がありましたらお聞かせをいただきたい。ことにさっきのお話で、たとえば幾つかの県で造船対策会議などが設置をされている、こういうお話があったように承りましたが、その後、この対策会議はどういう効果を上げておられるか、これも時間の関係で簡単で結構でありますが、お聞かせをいただければありがたいというふうに思います。
○畑田参考人 下請対策の問題でございますけれども、なかなかむずかしい。先ほど申し上げたとおりであります。いま私どもとしては、もともと雇用のこうした二重構造自体に問題があるわけなんですけれども、今日のような状況で雇用問題が非常に緊急な重要な課題になってきていますから、下請の本工化の要求をしてきているところなんです。これもなかなか思うように進んではいませんけれども、ただ、中小の場合は下請の依存度が非常に高いわけでありまして、本工と下請が大体半々というぐらいの構成でやられてきておりますから、実際の作業段階の中では同じような工程の中に組み込まれてやられている状況です。そういうことの中で下請を減らすということは、それだけ作業工程に支障を来してくるわけで、それらを本工が穴埋めしなければならぬ、こういう関係になって、単に量を減らせば事が解決するという問題ではないわけでありますし、この際、やはり雇用確保が重要な課題になってきていますから、下請といえども雇用確保の立場から本工化をしていくべきではないか、こういうことで、一つの例でございますけれども要求はしているということと、もう一つ、何といっても未組織でありますから、やはり組織化し、そして労働者の団結権の中でみずからの権利を守っていく、こういうことに運動的にはしていかなければならないということで、努力をしているところであります。 造船対策会議の効果ということでございますけれども、いままだ具体的にこうということ等はありませんけれども、特に東北石巻にあります山西造船、日魯造船等々、そのほかの地域もありますが、特に倒産をしているところに対する地域的な影響が非常に大きいわけでありますから、自治体等の中で一定の公共事業、その中で何とか作業量を確保していくということで、宮城の石巻あたりにおいては、県、市において橋梁の十億円程度の資金でなされる工事量を山西造船にやらせるとか、いろいろそういうことが対策会議の中で討議をされて、できるだけ雇用を確保していく、こういう努力がされてきつつあります。その他の地域の中でも、造船問題が非常に深刻になってきつつありますので、それらについてのいろいろな対応がいま検討が進められている、こういう状況でございます。
○清水委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。
○野呂委員長 渋沢利久君。
○渋沢委員 大変長時間、お疲れで恐縮でございますが、さらに若干お尋ねをさせていただきます。 私の伺ったのにもし間違いがあったら失礼をいたしますが、この法案について基本的に結論的には賛成だという御意見をいただいたと思います総同盟、ゼンセン、それから全国造船の高橋さん、鉄鋼の千葉さん、四人の方の御意見を、まず一、二の点でお尋ねしてみたいというふうに思うわけなんです。 これは先ほどどなたかからもお話がありましたが、この法案自体は、一つには国の産業政策、国の施策の失敗というものが背景にあったということは、これはもう明確なことであります。通産省は、一定の産業政策、ビジョン、中長期政策、一定の需給見通しなども明らかにしながら、石油ショック以後の状況の中でも業界に対しては一定の設備投資を誘導するような行政指導も、施策もあったと私どもは理解しているわけであります。すべてを政府の施策の面にだけかけるという言い方は当たってないと思いますけれども、しかし、そこを全く除いて今日のこの不況状況あるいは特定不況産業といわれる業界のこの厳しい状況というものはなかったと思うわけであります。 さらには、いまもお話ありましたように、一定の業界の、たとえば海外の低賃金へ飛びついて、そして逆に今日、ある意味ではみずからの手で、判断の錯誤から業界自体があおりを食うというような逆境をつくり出しているというのは、企業家の見通し、判断の間違いというものとも全く無関係に今日の不況状況があるというふうに言える性質のものではないと思うのであります。 構造不況業種というのは一体どういうことでいったらいいのか、大変むずかしいことだと思うのですけれども、そういうことの中で、やや表現は悪いけれども、しりぬぐい法案というものになっていることだけは、これは間違いのない法律だと思うのですけれども、にもかかわらず、先ほど来の参考人の皆さんの御意見を伺いましても、また、業界の事実が示しますように、どんどん首切りだけは果敢に行われているわけですね。生々しくきょうまた皆様からもお話を伺いましたが、組合を指導されておられる立場から言えば、自発的な退職の意思を労働者から募るなんという対応がだれも好ましいと思ってやっておるわけではないわけで、そういう意味では大変胸を打つ響きがあったのですけれども、一言で言えば、政府の政策破綻とか経営者の無能、無責任あるいは錯誤とかいうようなものとは全く別にして、現実にはそのしわ寄せは労働者だけには確実に、大量にこの不況の中で犠牲のあおりを食っているというように生々しい事実がございます。 しかし、先般来政府の態度を委員会等で質問しておりますと、需給計画いろいろ出したことはあるけれども、それに基づいてどういう投資をするかしないか、そんなものは企業の判断の問題であって、政府の責任を言われても困るという言い方があるわけですけれども、いまやある意味では国の施策として、国の力を借りてこの特定不況産業の対応を考えるということであれば、これは宇佐美さんでしたか、単に過剰設備の問題というより、全体としての安定策、総合的な施策があって、その中での過剰設備の問題ということでなければ、一皮むくとこれは単に債務保証だけという御指摘もあったと思いますが、そのとおりだろうと思うわけでございます。ですから、いま不況産業対策に国が乗り出すということの中では、まず雇用を確保してと、先ほど千葉さんでしたか高橋さんでしたかの御発言の中にもありましたが、稼働率を上げる前提として雇用を確保する。いまの不況対策の中で、過去の責任は問わないとしても、まずいま連日刻々にして経営の側は、やむなくといいましょうか好んでといいましょうか、とにかく労働者に合理化をかけてきているというような状況の中で、やはり国の施策としては、まずそこに歯どめをかけるということが施策の出発点だろうというように私どもは考えまして、そういう点でぜひ四人の参考人の方の御意見を伺いたいと思うのですけれども、この法案は、そういう政府の責任ある法律として、不況産業対策としての姿勢ということで御判断なさって一体十分なものかどうか、どうお考えだろうか。 これは先ほどもお話がありましたが、去年できた離職者対策の臨時措置法、これといわばうらはら、二者一体だ、本当は同時に出すべきものだったという御意見がよくあるわけです。つまり言いかえれば、今度の法律はどうしても過剰設備と一緒に労働者の首を切る法律だ、その方の受けざらは去年つくった法律——政府がつくったんじゃなくて、あれは労働四団体の御要望にこたえて、議会が議員立法でつくったのですけれども、いずれにしてもそれで受けていくんだ、こういうことですが、一方では雇用を創出するような政策が全くないわけですね。 それで、三池の山をつぶしたようなときには、高度成長政策の中でとにかく二十万からの労働者の吸収力があった。だから何となくおさまったようなところがあるけれども、いまのような全体の状況の中で出される失業の問題、こういうことを考えますと、これはやはりここで政府が乗り出して特定不況産業対策とおっしゃるならば、皆さん御指摘のとおり、これ以上は失業者を出さない政策、失業の予防を前提とした雇用の確保、そのために必要なあらゆる援助、もちろん経営安定のために過剰設備の廃棄も大きな問題です。これを否定するものじゃない、大いになる。いろんな手を打たなければならぬ。しかし、常にその施策の前提に雇用の問題をきちっと踏まえないとならぬ。 労働組合の組織、流れにはいろいろございますけれども、そしてきょうの御発言にもいろんなニュアンスがあるという受けとめ方をされた方もあったかもしれませんけれども、私は、この一点では、いまの労働運動を、たくさんの労働者の生活を預っていらっしゃる皆さんの立場から言えば、完全に一致する点だろうという意味で、そういう姿勢が今度の法案審議にもそのまま反映するという意味で、きょうの参考人の皆さんの御発言に非常に期待をし、注目をいたしておるわけでございます。 まず基本的な背景といいましょうか、問題点として、いまの点について簡潔にお答えいただければ幸いでございます。
○河野参考人 失礼なことを申しますが、質問者に質問できないのでまことに困るのでございますけれども、いま雇用確保とおっしゃったんですが、個別企業の現在働いているところから、その場所から一人も首切りを出さないということを前提にして考えるべきであるとおっしゃっているのか。もしそうであるならば、いままでその点についてはすべての参考人、宝田さんも含めて、それは今日の状況で言えばきわめて困難であるということをおっしゃっているわけです。 ですから、われわれの対応としては、千葉参考人からまた後で意見があると思いますけれども、いまの構造不況産業のもとにある企業から一人でも首切りを少なくしていくということのために最大の努力をしていく、これは当然の前提でございますが、にもかかわらず、やはり一定の雇用調整というものが発生せざるを得ない、それがまさに構造不況産業の実態であるわけです。そこで、まさにおっしゃったように全体としてどうやって雇用を確保、安定させるかということも一方で考えていかざるを得ない、つまり両面作戦をとらざるを得ないという状況に今日置かれていると思うわけであります。 ところが、そういった全体的な雇用の安定確保というものを、今日出されております措置法案の中にすべて盛り込むことができるのか、また盛り込むべきものなのかということになると、私は法律の技術的な詳しい問題は知りませんけれども、必ずしもそういったものではないであろう。今日、御承知のように、政府では雇用基本計画というのをつくっておりますけれども、これ自体でも一つの問題があるわけで、そういったものを全面的に見直すとか、あるいはさらに補強をしていくとか、そういった全面的な対応の仕方が雇用の問題については今日最も必要である、こう判断しているわけです。ですから、措置法の中では措置法の中で可能だと思う点について、雇用の保障をもっと充実するようにわれわれは要求しておりますし、措置法の外に出る問題についても、それぞれの法案、それぞれの施策の中で最大限の努力をするように今日まで要求をしてきている、こういうことでございます。
○宇佐美参考人 今日日本経済そのものが高成長から低成長というか、安定成長に移行していくその過程の中で、産業構造の転換というものがどうしても行われることにならざるを得ないのではないか。そういうことになってまいりますと、その転換していく産業、それからさらに今度発展していく産業、いろいろあるところに私どもの大変な悩みがございまして、そういう点で、構造不況業種ということでいまいろいろ法による過剰設備の処理の進展というのが具体化されようとしているわけでして、そういう中にあって私どもは雇用確保に最善の努力を図るようにしていきたいが、しかし、さりとて、いま河野参考人が言いましたように、それじゃ企業の中だけで完全にその雇用の確保ができるかということになると、それはそうなり得ない事態もあるわけなので、そこで、その人たちができるだけ円滑に他に移り得るすべをぜひ講ずるようにしていきたいものだと考えているわけです。
○高橋参考人 造船産業全体を見ますと、世界的な視野でながめないと対策が出てこないと思うわけであります。特に西ドイツ、ヨーロッパの主要な造船国は、設備の廃棄なり縮小をやっておるわけであります。日本の場合も、きわめて肥大化した設備があるわけでありますから、当然この転換を余儀なくされるわけであります。 具体的にどうなのかというと、造船産業というのは、きわめて労働集約産業であるとともに、技術集約産業であると思うわけであります。その技術をどう生かすかということは、やはり国の経済全体の視野でながめていきたい。そうしますと、その技術を生かすためには、何としてもそれに類似した職種に進出して雇用を安定するという立場ですから、日本の経済を総合的に考えてみる必要があるだろう。 そうすると、一つはエネルギー問題であります。これはクリーンエネルギーとしてLNGというのがたくさん入っております。しかしながら、日本でつくった船は一隻もありません。これは一隻三百億以上もするわけでありますから、エネルギー対策上どうしてもこれを建造する。これは全日海と話しまして合意に達しましたので、近いうちに政府に要請したいというふうに考えます。さらに、かけがえのない海を守るために、既存タンカーについてのSBT方式なりCOW方式、これはIMCO総会で決議された内容でありますが、そのような仕事をふやせば雇用が守れる。さらにまた、石油の備蓄、これは外貨減らしにも円高圧力を避けるためにも当然だろうと思います。ですから、そういう総合的なものを含めれば、大体年間五千億から六千億の仕事量を創出していただけば雇用が守れる、こういうふうに考えておるわけであります。 私たちは、おんぶだっこで何でも政府政府ということも言えないわけであります。労働組合みずからもそれに対応してまいらなければならない。したがって、二十三万組合員から一人五千円ずつ集めて友愛救援基金という制度をつくって、中小企業の債務保証、賃金、労働債権の問題についての保証なり貸し付けをやろうという形で、いま職場討議をやり、五月の中央委員会でそれを確認しようと思います。約十億でありますから、労金なりに預託すれば三十億から四十億の資金運用ができるわけであります。この安定臨時措置法を見ましても、債務保証基金というのは中小企業だけじゃなかろうと私は思うわけであります。ですから、労働組合自身も中小企業に向けて倒産のショックをやわらげていく、こういう総合的な面に対して対応していかないとこの危機は乗り切れないのじゃなかろうか、そのように考えて政策要求をしているわけであります。
○千葉参考人 この法案は、今日求められている全般的な意味での構造不況対策あるいは雇用安定対策という見地から見まして非常に限局されたものであって、その限り、これだけでは不十分であることはきわめて明確だと私ども思っておりまして、御指摘については全く同感でございます。にもかかわらず、とりあえず緊急に処理しなければならぬ需給均衡化のための過剰設備廃棄はこれを必要とするがゆえに、これはこれでひとつ成立をさせてほしいというのが私どもの立場でありまして、御意見そのものについては全く同感であります。 それにしても、雇用の積極的創出というものと、可能な限り余剰であろうとも雇用を抱え込みながら、出血なしに状況へ対応していくというあり方を追求することは非常に重要であって、われわれも全力を挙げてそれを要求しております。少なくとも、多少とも吐き出すような過去の蓄積があるところでは現にそれをやらせておる。鉄鋼大手五社のごときは、明らかに約一割以上の余剰雇用を抱えておりますけれども、一人の首切りもいままで出させないでおります。しかしながら、累積債務がべらぼうになっておりまして、三千億からの焦げついているような融資があって、累積赤字がどんどんどんどんふえていく、そういう中でこのまま進めていけば、結局、資本主義でございますから、個別企業的にはぶっつぶれてしまう以外にないという状況のところで一体どうするかということになると、そこではやはり雇用調整も、希望退職というのをわれわれは許容限度の限界としておりますが、自主的なものであるならばある程度場合によっては認めざるを得ないという現実が、資本主義の法則の貫徹という形で存在するわけであります。それに対してはやはり社会全体で抱えていく、そのためにも、一般的な雇用創出をさらに強めることによって転身できる場をつくっていただくという対応しかないのじゃなかろうか、そういうことは考えますけれども、基本的には御趣旨ついては全く同感でございます。
○渋沢委員 もう時間でありますので、一点だけ。 宇佐美さん、いまのお話でもありますように、その辺は法律できちんと一定の歯どめをかけるといたしますと、宇佐美さんの方で出されたこの文書の中にもありますように、指定から始まって全体的にこの事業をやっていく上での各段階での労働組合の事前協議制といいますか、つまり労働組合の合意を得てやれ、これは現行法では全く歯どめになっておらぬわけですよ。配慮するとか審議会に出るなどというのは、ある面ではもう決め手にならぬわけでして、特に当該業種の事情は、一口に不況と言ってもそれぞれ違いますから、その辺の合意事項というものを法文に明確化しないと、皆さんの御指摘が全く生きてこない。それでも賛成だということにはならぬのじゃないだろうかと推察をするわけであります。この点について、それがやはり一番重要なポイントだと思うのですが、最後に一言それをお尋ねしておきたいと思います。
○宇佐美参考人 そのとおりだと思います。幸い繊維の場合は、たとえば四月に労働組合が参加して需給協議会が開かれます。あるいは繊維工業審議会に参加している。だけれども、これは全般的に見ますと必ずしもきちっとしてない面があるから、そこをきちっとしていただきたいということであります。
○野呂委員長 松本忠助君。
○松本(忠)委員 本日は、特定不況産業安定臨時措置法の審議に際しまして、労働界で指導的なお立場にあるナショナルセンターの幹部並びに繊維、造船、鉄鋼、紙パルプ等々日本の産業労働者の代表とも言える方々の御出席を得て貴重な御意見を伺うことができることになり、法案審議につきまして大変有益でありました。私に与えられました時間は約四十分でございますので、その中で何点かの問題について御意見を伺いたいと思うわけであります。 まず最初に、日本労働組合総評議会常任幹事の宝田参考人と全日本労働総同盟調査局長の河野徳三参考人のお二人にお伺いをいたしたいわけでございますが、御承知のように、この法案は、構造不況業種が申し出をしたときに特定不況産業について実態に即した安定基本計画を策定する、そして計画的な設備の処理を促進するということにあるわけでございまして、設備の処理は即労働者の雇用の不安定につながる、また設備の廃棄は労働者の首切りにつながる、こういう論点から、第二章の第十条におきまして特に「雇用の安定等」という項を起こしまして、「その雇用する労働者について、失業の予防その他雇用の安定に配慮しなければならない。」と規定されているわけでございます。しかしながら、事業者が一方的にこれを行うというのでは不安が残りますので、この第十条の中に、当該労働組合と協議をしつつ、単に条文にあるところの「失業の予防その他雇用の安定」を図るためというだけでなく、配置転換または教育、訓練その他必要な措置を講ずるように努めなければならないというふうに修正をさせたいとわが公明党は思っているわけでございます。この点につきまして、まず両参考人から御意見を伺いたいわけでございます。 もう一点、河野参考人からお話があったと思いますが、産構審のメンバーにつきまして、三十余名の現在の委員の中で労働界を代表するのは総評の富塚事務局長だけでございます。私は、この産構審のメンバーというものはかえるべきである、労働者の代表の数をふやすべきである、このように思うわけでございます。しかし、実際問題としてこれをすぐ実行することは不可能だと思うわけでございます。そこで、皆さんの御意見の中にもございましたけれども、関係審議会の意見を聞く場合に、労働者の代表の数を四分の一以上三分の一未満というふうにすべきではないかと私は考えるわけでございますが、この点についていかがでございましょうか、まず、ナショナルセンターのお二人からこの問題について御意見を伺いたいわけでございます。
○宝田参考人 おっしゃられました二つの点について、私は全面的に賛成でございます。 第十条というのは内容が非常に不明確でありまして、先ほどの質問者の中にもありましたけれども、もう離職者対策法でいいのだという趣旨でこの法律はできておるというのでありますと、雇用面において何ら前進がない。あれはいわゆる不況業種と言われているものの対策でありまして、市場の原理によって起きた場合も適用になるわけですね。今度の場合は、国が特定の対策を立法化することによって、法律が必然的に失業を引き起こすという危険性も産業によってはある程度あり得るわけですから、一般的な既存の労働行政から一歩前進するようなものが当然どうしても欲しいということをわれわれはかねてから要望しております。したがいまして、第十条の内容について具体化を図るという修正は賛成でございます。 それから、二番目の産構審の問題でありますけれども、これもおっしゃるとおりで、われわれは全面的に賛成であります。 なお、参考のために、いまわれわれが考えておりますことの一部を申し上げますと、日本の場合にはいわゆる審議会法みたいなものが整備されておりませんで、産構審にしても税調にしても、その他もろもろのいわゆる審議会なるものの性格論が体系化されていない。したがって、悪く言うと隠れみのであったり、そういうことになっている。国際的に審議会なるものは一体どういうところにレーゾンデートル、存立基盤があって、どういう機能を持つべきかということについて、総評としては実はいま見直しを考えております。が、残念なことに、国会の立法考査局に尋ねても、どこに尋ねても資料がない。辛うじてありますのは、いわゆるアメリカ型の審議会という考え方とフランス型の審議会という考え方がございます。そのくらいしか日本に参考資料がないのでありまして、一体これでいいものかということをわれわれは大変懸念をしております。 もう一つ、われわれがなぜこういういろいろな審議会に参加ということを最近要求するようになったかといいますと、これは時代の変化でありまして、一昨年ですか、ILOがノルウェーのオスロで国際シンポジウムを開きましたときも、最後のファイナルレポートで、いまは参加というのは、参加すべきか否かではなくて、どういう参加をするかということが論じられる時代になったということを述べております。労働組合は、単に経営者と労働条件だけ交渉しておれば済むという時代ではない。それでは健康とか安全とか平和とかいろいろなものは守れない。ソシアルな制度を整備しないと特に老後であるとか生活が守れないということになりますと、さまざまな分野でやはり参加ということを考えなければならないという意味で、日本のいまの産構審とか税調とかもろもろの審議会というのは、一昔前の時代おくれの構成になっております。特にいろいろな審議会で、フランス型のように労組代表何名というふうな規定がなしに、ある場合には学識専門者扱いで、うるさいから一人いれておこうとか、こういうことをやっておったのでは、現代の時代問題に相応しないと考えますから、私はお考えに全面的に賛成でございます。
○河野参考人 第一点の、配置転換等について法律の中に明記したらどうかということでございますけれども、ここにあります失業の予防その他雇用の安定に努力するという規定そのものは抽象的でございますけれども、では果たしてそれが配置転換とか特定の施策に限定することができるかどうかということになりますと、必ずしもそうではないのではないか。もっといろいろな施策がある得るのではないか。私の考えでは、たとえば法案はこのままにしておいても、では努力するという内容はどういうことなのか、施行規則で明確に定めるとかいった方法もあり得るのではないか、こういった点については同盟としても検討をしてみたいと考えております。 第二点でございますけれども、われわれは従来から一貫して参加経済体制の実現ということを言っていますし、審議会にも参加を主張しているわけです。宝田参考人から時代の変化ということがありましたけれども、われわれは従来から一貫しておるので、そういう声が強くなったというのはまさに時代の変化ではなかろうか、こう考えておりますけれども、話がちょっと横へそれて失礼しました。 労働組合代表を三分の一ないし四分の一にするということでございますが、原則的にはそうでございますけれども、ではストレートに労働組合代表そのものが三分の一ないし四分の一参加しなければならぬのかというと、われわれは必ずしもそうは考えていないので、たとえばその一部は労働組合代表そのものが参加し、残りについては労働組合が指名をする学識経験者が参加するというかっこうでもいいのではないか、あるいはその方が、労働組合の見解を学識経験者に代弁をしてもらって、より体系的に意見を述べてもらうということがむしろベターであるということも考えられますので、そこは必ずしも固定的には考えていないけれども、もう一度申しますが、少なくとも労働組合の意見を代表する者が審議会において三分の一ないし四分の一は選出されなければならないという点については、全く賛成でございます。
○松本(忠)委員 次に、ゼンセン同盟の宇佐美参考人、それから日本繊維産業労働組合連合会の中島参考人、お二人にお伺いいたしたいわけでございます。 この法案の柱は、何と申しましても安定基本計画の策定にあると思うわけでございます。そこで、その安定基本計画を策定するに当たりまして関係審議会の意見を聞くことが規定されております。関係審議会の委員さんの考え方の基本にあるのは、どうすれば計画的な設備の処理ができるか、その期間がいかに定められるべきであるか、あるいは設備の処理とあわせ行うべき当該設備の新設、増設、改造の制限または禁止はどうしたらいいか、または処理にあわせ行うべき事業の転換はどうしたらいいか等々、言うなれば事業者サイドに立っての考えが基本的な考えであって、この設備の処理に伴って雇用が当然不安定になるわけでございますけれども、労働者の雇用の安定について何ら考慮が払われておりません。また、これらの製造業者に関連するいわゆる下請中小企業者の経営が不安定になることなども少しも考慮されておりません。そこで関係審議会の意見がまとまってしまっては大変なことになってしまいます。そのことを私は恐れるわけでございます。 法案の審議の過程においても、審議会の運営によりましてそうしたことがないようにするというような答弁が、いままでも当局からあったわけでございますけれども、この関係審議会における審議の基本的な姿勢として、法案に列挙されている条文以外に、雇用の安定とかあるいは関連中小企業者の経営の安定を図る、こういうことを忘れずに安定基本計画を定めるべきである、このことを条文に明記すべきであると私は思うわけでございます。午前中にも各参考人からこうした御意見がございましたので、この点は重複するようでございますけれども、改めて確認の意味においてお二人からお伺いをいたしておきたいと思うわけでございます。
○宇佐美参考人 午前中にも申し上げましたように、安定基本計画には過剰設備処理に伴う雇用安定計画を明確にすること、これが伴いませんと、雇用問題について幾ら条文があっても、それは実効の上がらないものになってしまうおそれがあるということですから、私どもは、これはぜひ入れていただきたいものだと考えております。
○中島参考人 ただいまの御質問の御意見のとおりだと思います。特に、一定の産業連関を持つから、関連中小企業の代表と、それから単に産業別の多数派組合だけでなくて、複数組合の代表についても意見を述べる機会をぜひ与えていただきたいと思います。 さらにつけ加えますと、従来の審議会のあり方が、業界のトップの部分と通産省の間でほぼ大綱ができ上がってしまって、事後承認を受けるような形で審議会の運営がなされておりますから、これらについても運営の面でも特に改善を図られるようお考え願いたいと思います。
○松本(忠)委員 宇佐美参考人に重ねてお伺いしますが、いまお話ございましたように、雇用の安定の方は特に強調されましたけれども、私は、やはり中小企業の経営の安定という問題は、非常に日本の産業の上からいっても重大な問題だと思うのでございますので、私はそういうふうに申し上げたのでございますが、宇任美参考人は、特に雇用の安定という問題についてのみお話があったわけでございますけれども、この点について、いわゆる関連中小企業の経営の安定という点はどのようにお考えでございましょうか。
○宇佐美参考人 いま問題になっております合繊産業というのは、大変すそ野の広い産業でございまして、合繊を川上といたしますと、川中、川下の中小企業が数多く存在している。いま川中、川下が一番苦しんでいるのは何かといいますと、今日こういう情勢の中で、大もとの合繊企業が大変な事態になっていることのために加工賃等がなかなか上がらないというようなことで、結局大もとがぐらぐらしているから下の枝がさらに苦しむ、しわ寄せがそちらへ行ってしまうということになっているわけですから、まず第一には、幹になる合繊企業というものを安定させることが大変大事だ。ですから、繊維産業におけるシェアも、合繊の場合にはもうすでに五八%くらいになってきている。繊維産業、合繊がどうなるかということが中小企業に大変重要な大きな影響を与えるということを、私ども非常に深く認識しておりまするので、その安定のための施策を緊急事態としてぜひ講じてもらいたい、こういうことでございます。ましてや、今度は過剰設備の処理、いまでも不況カルテルの場合もそうですけれども、ユーザーなり関連業界の意見を聞かずして事を運ぶということは許されないことでありますから、私どもは、関連の業界の意見を聞くというのは当然のことだと考えております。
○松本(忠)委員 それでは次に、造船関係のお二人、全国造船重機械労働組合の高橋参考人と全日本造船機械労働組合の畑田参考人のお二人にお伺いをいたしたいと思います。 この法案の審議に当たりまして、私どもは、中小造船所として都内の江戸川あるいは横浜の新子安などの工場も実態調査をいたしました。また、大手の造船所として横浜で著名な工場も実態調査をいたしました。大手は大手なりに、中小は中小なりに、それぞれの大きな問題を抱えて大変な不況の荒波の中に、経営者もまたはそこにお勤めの労働者の方々も非常に大変で、難局に対処しようとしているそのお姿を目で見、はだで感じて帰ってきたわけであります。 そこで、造船の方の受注の残というものはもう山は見えております。新しい受注は当分望めそうもないわけでございますが、こうした中で、どこへ行っても、予算が通ったればいわゆる官公需の発注、これを早くしてほしいという意見がございました。確かに仕事はやっても金が入らないということでは困るわけでございまして、その点は、官公需でございましたら前受金もありますし、労働者の賃金の支払いということも一応確保できるわけでございます。官公需ならばその点は安心でございますから、これをねらうのは当然でございますけれども、いわゆるこの官公需の造船という問題は、防衛庁の自衛艦であるとか海上保安庁の船、巡視船艇あるいは水産庁等々の船、もう限られたものでございますし、そうしたものが予算の許す範囲の中で発注したといたしましても、この発注量では、現在の造船の仕事のできる可能の数字から見たれば一時しのぎだ、このように思うわけでございます。 そこで心配をするのは、この官公需が仮に出た場合に、大手が話し合いをしまして、それも要するに大手という限られた八社ばかりが話をし合えば、全部さらってしまうのではなかろうか、そういうことになりますと、結局中小というものには官公需は回ってこない、こういうふうになるのではなかろうかと心配をするわけでございます。特に、大手に勤めていようとも、中小に勤めていようとも、労働者の諸君は、何よりこの景気の悪い、見通しの暗い、そうした中におって、どうしたらよろしいかということを真剣にお考えになっていらっしゃるわけでございますし、小さなパイをどう分かち合ったらいいのかということではないかと思います。しばらくの間みんなでがまんしよう、がんばろう、こういうふうな連帯の精神というものが私は必要ではなかろうかと思うわけでございます。 〔委員長退席、山下(徳)委員長代理着席〕 そうした意味において、造船関係のお二人の参考人から御意見を伺っておきたいわけでございます。
○高橋参考人 官公庁船の前倒し代替建造をお願いしているわけでありますけれども、いままでの状態から申し上げますと、保安庁の巡視船、これについては大体現行就航しているのが三百五十トンぐらいで、二百海里時代でありますから、こんなものではどうしても海洋秩序は守れないということで、大体一千トンぐらい、その船については系列関係で中小企業関係にこれはやらせる。技術的な問題が、これは高度な要請をされるわけでありますが、それはもう親会社が指導をするという形で、お互い業界そのものが協調姿勢で、話し合いで分け合うということにしているわけであります。 したがって、あとは海洋汚染を排除する小さな自治体の船、消防艇等については、優先的に中小企業の方に発注するように、業界としてもそのような方向で地方自治体の方にも要請をしているわけであります。当然この艦艇関係の問題については技術的に大手が中心にならざるを得ないと思うのです。したがって、大手がそういう艦艇関係中心に受注しますと、その他についても中小手の方に仕事を分け合う、こういうようなことをこれは業界に対しても私たちが主張をしているわけであります。 ですから、具体的に申し上げますと、もう非常に仕事量が少ないわけでありますから、ある程度、たとえば二五%の仕事をとったら足踏みをして、そして中小企業の方に回るような、業界全体として、これはアウトサイダーでなくても、造船工業会、中型造船工業会、小型造船工業会というふうに、業界総ぐるみで協調姿勢をとるように強く申し入れておりますし、一部そのような方向で現在発注されているということを申し上げます。
○畑田参考人 御指摘のとおり、大手、中手の関係が、午前中にも申し上げましたように、現在の需要が中小型船に変わってきたということで、中小の分野に大手が進出をしてくる、こういうことで非常に困難な状況になってきているわけであります。そこらの関係もどのように調整をしていくか、そこらの問題がいまきわめて重要になってきておりますので、これらの点については、承るところによると、過般の商工委員会で運輸省の船舶局長も、中小の分野調整については海造審の審議の中での一つの大きな柱になるとも言われておりますように、そういう点についての審議を非常に期待しているところであります。 いま御指摘の官公需の関係の問題でございますが、私どもも、保安庁の巡視艇あるいは地方自治体等における指導船その他の官公需の関係については、中小に優先発注をするように要求をいたして、努力をしてきているところであります。 艦艇関係については、これは大手で従来はやられてきているところでありますけれども、私どもは、こういう軍需的な生産については賛成できない立場を従来とってきているわけであります。したがって、不況対策、仕事確保ということのために、こうした防衛庁関係の兵器に通ずる生産拡大について求める考えは持っておりません。そのほかのいろんな国ないしは自治体等における官公需があるわけでありますから、いろいろそういう点について、特に自治体等を中心に、地場産業という関係もありますので、優先発注をするような要求をしておりますし、また、造船全体としてはここ二、三年のところがきわめて厳しい状況にありますから、そういう点については老朽船の代替、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドによる当面のつなぎということの中でこうした方向を推進していただきたい、こういうふうに考えているところであります。
○松本(忠)委員 もう一度宝田参考人と河野参考人にお伺いいたしたい点がございます。 それは、主務大臣が関係審議会の意見を聞くべきことが定められておるわけでございますが、その審議会に当然当該事業者の労働組合の意見が反映されなければなりませんし、そこに組合の方に御出席になっていただくということになるわけですが、その事業体にAB二つの労働組合がある。その場合に、AB両方の組合からそれぞれ同数の委員が選出されていて意見を述べたけれども相反する意見、こういうふうになった場合、それからもう一つは、組合員数が三分の二を超えているAと三分の一のBとの両組合が、これは組合員数に比例して委員が選出された、そのAB両組合員の意見が相反した場合、審議会としてはどっちの意見を安定基本計画の中に入れるべきであるかということについて、ナショナルセンターとしてのお考えを聞かせていただきたいと思うわけでございます。
○宝田参考人 そういうケースは、すでに現在労働関係では最低賃金審議会とかさまざまのところで経験を積んできておりますから、かなりこなせると思います。ただ、労働側であるから意見が一致しなければならないということは必ずしもないので、たとえば労働四団体からILOに代表を出すとかいろいろなこともいままでありますし、統一ということを求める努力ということではやぶさかではありませんが、やはりそれぞれ見解の自由を持っていますから、合わない場合もあります。それはやはり審議会全体の多数決ということでお決めになられることは仕方がないと思うのであります。ただ、私が言いますのは、参加できない、発言できないという事態をまずなくすことが先で、入れば入ったような対応はそれぞれの組合がすると私は信じます。
○河野参考人 現在の審議会には、ほとんどの場合、一方だけが出て一方が出ないという形はだんだんなくなってきているわけです。その場合、意見が違う場合でございますけれども、やはりなるべく一致させるように努力しなければならぬことは事実ですけれども、特に緊急に解決を迫られているという場合には、基本的には多数決に従ってやっていく、決定をする、こういうこと以外に方法はあり得ないと思います。
○松本(忠)委員 最後に、日本鉄鋼産業労働組合の千葉さんにお伺いいたします。 平電炉の状態は、私どもも大きな関心を持って見てまいりました。一面、平電炉の場合は、構造不況産業の代表的な問題として、設備の廃棄ということに対しては業界自体が自助努力をしている点は私も認めるわけでございますが、その中になかなかその意見にくみしない者があるということも事実でございます。こうした問題について、アウトサイダー問題等々についていろいろと御意見も出ております。先ほどの御意見の中にもそれがあったわけでございますが、これが全くいままでは別に、アウトサイダーの問題に対しましては、政府の答弁の中ではこれを規制しないでもできる方法があるということでやってまいったわけでございます。特にこの問題に対して、平電炉としての関係の労働組合として御意見があるならば、お伺いをいたしておきたいと思います。それが一点。 もう一つは、特に建設事業そのものではなくて、建設に対する材料を供給しているところの生コンであるとか小棒であるとか、こういった方の業界を代表してというと何でございますけれども、きょうはそういった方から出ているのは特におたくだけでございますので、お伺いしておきたいわけでございますが、要するにこれから公共事業がかなり大幅に地方にも出てくると思います。もちろん大型プロジェクトのものもあれば、また地方地方に小さなものも出てくると思いますが、こうしたものに対しまして、要するに仕事の取り合いというものが当然起こってくると思うわけでございます。そうしたものに対してやはり平均化して仕事が行くように望むわけでございますが、なかなかこれが実際の問題とするとできません。と申しますのは、いわゆる役所なれば、役所というものは、もう前年からの実績がなければだめだ、あるいは実績があり、そしてまたその仕事をできるだけの人間を抱え、機械を持っているというようないろいろの制約があるわけでございますが、こうしたものがあることは事実でございまして、新規の参入ということはなかなか、見積もり参加すらできないというような状態が地方においては多いわけでございます。これに対しまして千葉参考人としてはどのようにお考えであるか、この点をお聞かせを願って、私の質問を終わりたいと思います。
○千葉参考人 アウト規制につきましては、先ほども申しましたとおりでございまして、やはりこの需給調整の実効を上げる意味からも、それから事のよって起こった原因において、アウトと言われるものの非常にオーバーな、過当競争的な設備拡張が全体の設備過剰の大きな原因になったということ、さらに、それをみんなでがまんし合って調整しようとしているときに、その調整努力にくみしないで結果だけを漁夫の利的に占めて恥じないというあり方、こういうあり方に対する社会的な観点から見た問題性、この両面から推しまして、やはりこれは法律上いろいろむずかしい点はありましょうけれども、そこを突破して、何とか臨時的な措置としての規制をこれに及ぼしていただきたいという見解を、私どもは依然として強く繰り返さざるを得ません。 それから、第二の御質問でございますけれども、大変残念ながら、私どもは、建設業に建設資材たる小棒、形鋼を提供する産業に働いている者でございまして、建設業そのものには大変実は暗いわけでございまして、ちょっと御質問に対して責任のある意見を述べることは能力がございません。どうぞお許しください。
○松本(忠)委員 それでは、千葉さんにもう一点だけ伺いますが、要するにそのアウトが非常に特定の建設業者に対して安い横流しをするということが間々あるわけでございますが、この点についてはどのようにお考えでございますか。
○千葉参考人 これは最も好ましくないことであります。しかしながら、自由経済体制でございますから、販売そのものを何らかの形で強制的に規制することは残念ながらできない。好ましくないけれども、そういうものを直接規制することはできない。したがって、全体としての需給バランスというものを適正化することによって、そのような好ましくない不合理な状態というものが自然に市場メカニズムの中で解消されるようにしていく以外にないであろう、こういう見地に立っております。
○松本(忠)委員 八人の参考人の方々から貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございました。 以上で終わります。
○山下(徳)委員長代理 宮田早苗君。
○宮田委員 不況産業に従事される方々を組織されております皆さんですから、本来なら全員の方にお聞きをしなければならぬわけでございますが、二十分間という時間でございますので、それができかねるわけでございます。 そこで、まず、全部に関係はございますけれども、造船の高橋さん、畑田さん、お見えでございますのでお聞きをいたしますのは、不況業種不況業種といいましても、その業種より以上に、関連をいたします業種という定義はなかなか困難じゃないかと思いますが、それらの方々が非常に多いわけでございまして、本来その人々に大きなしわが寄せられておる。問題は、法律がいろいろできておりますものの、なかなかその法律の適用の業種に指定されない範疇にあるわけでございまして、この点について非常に残念と言わざるを得ないわけであります。ところが、労働組合を指導なさる皆様方は、日ごろからそれらの人々に対しましていろいろな御指導をなさっておるはずでございます。あるいはまた、この指導のあり方についてもいろいろあるわけでございますから、教育問題なりあるいは組織をされるなり、あるいはまた雇用問題についてのいろいろな条件という問題についてもいろいろな配慮をなさっておると思うわけであります。その点について、ひとつこの際でございますから、直接御指導なさっております造船の高橋さん、畑田さんに、いままでいろいろそういう問題について取り組んでおられる事例を二、三挙げていただければ、案外参考になるのじゃないかと思うわけでございますので、その点からまずお聞かせ願いたいと思います。
○高橋参考人 私どもは、各都道府県に造船産業危機突破対策委員会というものを設置して、そして地方ごとに公共事業等の自治体に対する協力要請もやっておるわけでありますが、具体的に教育上の職業訓練等の問題について、実は私は職業訓練法を抜本的に改正していただきたいという要望があるわけであります。特に、今日までの職業訓練というのは、中卒程度の初級的な技術習得の域を出ていないんじゃないかと思うわけであります。 しかしながら、今日の不況を見ますと、造船産業は陸上部門、特にプラント関係に進出しております。この比率が全体的に造船が三五ぐらいであり、陸上が六五程度に変化している、構造的に変化しているわけであります。それも特にアラブ関係、ですからアラブ語を教育訓練課程の中に織り込んで、そして海外等へのいろいろノーハウの輸出、さらには技術指導、そういうことが今後日本にとって重要な部門になるんじゃなかろうかというふうに考えているわけであります。 したがいまして、具体的に今日まで造船から離職したという数字を申し上げましたけれども、それは技能が、技術集約産業として大体五百種類くらいの技能を持っているわけであります。その技能を生かすには、自動車産業に出向させてみたり、さらには一部の企業においては鉄鋼産業に配転してみたり、いろんな形をとられているわけであります。ですから、いま何としても持っている技術を類似的な職種、業種に伸ばすという方向で、労使会議でも実は問題提起をしているわけであります。したがって、労働組合自身が職業教育、そこまで手を伸ばしておりませんけれども、方向性については、抽象的でありますけれども、労働組合もあらゆる新しい分野に進出する方向で、それぞれの労使会議の中で問題提起をしているというのが実情であります。
○畑田参考人 御質問の関連労働者との関係、あるいは職業訓練その他等の具体的な取り組みの問題でございますけれども、正直に申し上げまして、私どもとしては非常に不十分であると思っています。 何と申しましても、現実には企業内組合という状況から十分抜け出し切れない弱点というものを持っております。そういう点で、いろいろとその中にあっても、関連労働者との関係についてできるだけ緊密な連携をとるという立場に立っているわけですけれども、とりわけ先ほどから申し上げておりますように、下請労働者との関係については、未組織状態という状況にありますから、そうした組織化の中で対応をしているつもりでありますし、これらの職業訓練等の問題については、今日の状況等の中にありますから、私どもなりにそれなりの研究をして、これからのそうした取り組みをどうしていくのか、具体的に考えていかなければならないだろうというふうに考えております。それらの取り組みについては、率直に反省として非常に不十分であるということを申し上げておきたいと思います。
○宮田委員 千葉参考人にお聞きをいたします。 鉄鋼業、本日は平電炉というお立場でここにお見えになったわけでございます。平電炉も、鉄鋼業全体からいいましても、もう三年来の不況ということでございまして、平電炉一つとりましても、さきに説明されましたように四千九百七十一人ですか、ところが、関連する人を含めますと一万一千人になんなんとしておる。鉄鋼業全体が、高炉の大手メーカー一つとりましても、余剰人員として一割は抱えておるはずなんでございまして、これは御存じのとおりであります。余剰人員が一割おるということは、それに関連いたします業者といいますか、企業といいますか、それも同時に一割以上の、何万人という余剰がおる計算になるわけでありまして、それらをこれからどうするかということでいろいろ対策しなければいけませんが、きょうは平電炉という問題について、三年来この不況に対してどう対処するかということから労使でいろいろ話し合いを進め、結果としてここまでまいったということなんです。 そこで、一般的には、平電炉業界では設備廃棄をした場合に、もうすでに済んだんじゃないかという論が一つあるということと、さらに言いますと、さらに新たな雇用調整が発生するのじゃないかという両論出てくるわけでございますが、その点について、新たに雇用調整が発生するか、もう済んだから設備廃棄だけで終わるかどうか、この点をひとつお答え願いたいということと、それからもう一つの問題は、いままで一万幾らという離職者が出てまいりましたが、これらの離職者が果たして新しい職場を見つけて再就職の機会があったかどうか、その点をお聞きをしたいということなんです。 平電炉の場合は、御存じのように、さきにできました離職者対策法ができる以前の問題でございますから、恐らく離職者対策法の適用を受けております人々というのは、ほんの何百人程度じゃないかと思うわけです。こういうことを考えますと、できます対策が後手後手ということになってきておりまして、皆さん大変その点はお困りじゃないかと思いますが、それらのことについて、ひとつ千葉さん、ここで率直に御意見として聞かせていただきたい。 以上です。
○千葉参考人 実は平電炉だけに限って申しますると、余りにも長い不景気、余りにも債務超過的な企業の吸収余力の喪失という条件の中で、遺憾ながら結果的にかなり雇用調整が進んでまいっておったものでございますから、目下のところは、現有稼働設備に見合う人員の範囲に雇用そのものは調整されてしまっておるというふうに判断せざるを得ないのじゃないかと思っております。 大まかに申しまして、二千百万トンの能力のうち約四百万トンぐらいがいま休止状態にございまして、千七百万トンぐらいがまだ現役として置いてある、それに対して千四百万トンの生産でございまして、現役に対して八十数%の稼働率、全体で見ると六七%の稼働率、こういうことでございます。千七百万対二千百万を見ますと、全能力に対して約八〇%ぐらい現役が残っておる、こういうことでございます。 これに対して雇用調整は、大まかに申しまして二十数%に及んでおりますから、大体その雇用調整は現有設備に見合った人員にまでもういってしまっておる、こういうふうに考えます。したがいまして、四百万トンのうち三百三十万トンを切りましても、そこにもう人はついていない。したがって、直接これが新たなる出血を起こすという状況にはないと私どもは判断いたしております。 しかしながら、鉄鋼業といえどもほかにたとえばフェロアロイ産業というものを抱えておりまして、これは非常に深刻な構造不況産業にいまなりつつあるわけでございまして、このような状況のところでは、この設備廃棄との関連で鋭い雇用問題とセットの形での発生が予想され得ますし、それから、同じ労働組合同士として多くの造船その他の状況では似たようなことがあると思われますので、私どもとしては雇用面での充実策を、他の労働組合の代表とともに、同じ考え方で御要望申し上げておるというのが実情でございます。 それから、第二点以下の問題でございますけれども、大変残念ながら、御指摘のとおり離職者対策法案はわれわれ去年の夏からお願い申し上げておったわけでありますが、できた時点ではすでにもうあらかた平電炉の場合は済んでおりまして、これが実際に均てんできる数というのは大変限られておるわけであります。一方、離職者の状況は、追跡調査が大変むずかしいのでありますが、一通りどこかへ移っても結局そこをまたやめて、かなりの部分が季節労働者的な状態に落ちていっているという状態にあるようでございまして、これはまことに深刻な問題である。この問題に対する決め手としては、どうしてもやはり景気の早期な回復によるトータルとしての雇用創出、雇用回復を図る以外に道はないように思いますが、失業保障的な面での、つまり一般的な失業給付の面で社会的にしばらくの間抱え込む、この異常な失業状態を社会として抱え込むという面での手厚い努力というものをお願い申し上げたいものであると考えておるわけでございます。
○宮田委員 宇佐美参考人にちょっとお聞きしますけれども、ゼンセン、繊維も長い間の不況で悩まされておると思うわけです。今度のこの法案、もう皆さん御存じのとおりでありまして、当初のいきさつ、これができるまでの経緯といいますか、それはもう御存じと思います。出てきた法案は、いま皆さんの目の前にございますそのとおりでございまして、特に私考えますと、せっかくこの法案をつくります以上は実効を上げなければならぬ、実効が上がらなかったら何にもならぬわけでありますから、実効を上げるための最大のポイントというのはアウトサイダーの規制、私はそう思うのです。もしそれが極端に言いますと野放しということになった場合に、果たしてこの法案に言います目的が完遂できるものかどうか、その点についての御意見を率直にひとつ聞かしていただきたいということなんです。 しかし、もうすでに提案されております法案ですから、アウトサイダーの規制というところまでいかなくても、それにかわる何かの期待というものがあるはずでございます。行政指導一つとりましても、ただ行政指導でと言えば抽象的過ぎますので、どうもこうもならぬわけでございますが、行政指導するにしましてもどういう行政指導を欲せられるか、こういうことについて御意見がありましたら、ひとつお聞かせ願いたい。まず宇佐美参考人にお願いします。
○宇佐美参考人 アウトサイダー規制が伴わない場合に、一体実効が上がるのかどうかという点につきましては、私は大変疑問が残る。しかし、現実もしこれができなかったときに一体どうなのかという点でございますけれども、第一に必要なことは、資金の裏づけをきちっとするということだと思います。先ほど申し上げましたように、余りにも資金の裏づけが小さ過ぎる、それでは乗ってくる人が大変ちゅうちょしてしまうんじゃないか。ですから、まず第一に、信用保証基金を百億だなんていうのじゃなしに、もっとふやすような努力をしていただきたい、一千億にもさらにふえるということになってくれば、その面で協力者をできるだけ多く得ることが可能になってくるのではないか。 後の行政指導につきましては、どういう措置がいいのか、私どもきょう特に案を持ってきているわけではございません。ただ言えますことは、繊維の場合ですと、いままでその需給見通しをしっかりつかむことが大事だということで、労働組合も大体参加いたしておりますが、需給見通しを立てる協議会がつくられておりまして、そういう点で産業の実態というものをできるだけ周知させて、そしてその関係者みんなが協力し合う機運を積極的につくり上げていくことが、大変大事なことではないかというふうに考えております。
○宮田委員 二十分間もうたったようでございますが、もう一つの大きな問題は、この法案では抽象的でございます労働組合の参加の問題についてでございます。皆さん方の参考意見がこの面について集中しましたし、強調されておりますので、いずれこういう点についてはお互いに連絡しながら何らかの方法を考えなければならぬと思っておるわけでございますが、この参加をする場合に、ただ参加をするという、意見を申し述べるという、これだけでなしに、協議までという、もう少し言いますならば協議決定までという——協議決定ということになると、またいろいろ意見の相違も出てくるんじゃないかと思いますが、河野参考人と、それから総評の宝田参考人おられますから、どの程度までの参加を労働組合の許容限度としてお考えであるか、簡単でよろしいですから、お答え願いたいと思います。
○河野参考人 理想とすれば、協議決定まで労働組合でもどうしても参加を広げたいということでございますけれども、現実にはなかなか多くの障害があるということでございます。少なくとも、たとえば企業段階におきましても、あるいは産業別労使の段階におきましても、あるいは審議会の段階におきましても、いろいろな案をつくる段階から労働組合が参加をし、その意見が取り入れられる、そういう体制をぜひともつくりたいし、つくっていきたい、またつくってほしい、こういうことでございます。
○宝田参考人 審議会における労働組合のかかわりによってかなり違うと思います。私は、年金であるとか労働行政関係であるとか、そういう直接自分たちが当事者であるようなものについては、やはり協議決定までの権限が欲しいわけでございます。それから、税調とか何かにわれわれもいろいろな団体の一部として参加する場合には、それなりの権限といいますか立場が欲しい。とにかく発言権がないのがむしろ現状でありますので、最低限まず権利をつくって、中身はそこで議論しながらということを考えております。
○宮田委員 どうもありがとうございました。
○山下(徳)委員長代理 安田純治君。
○安田委員 八参考人の方々、一日われわれにおつき合いいただいて貴重な御意見を聞かせていただきまして、大変感謝しております。 全部の参考人にお伺いしたいことはやまやまなんでございますけれども、時間が私どもの方は十五分と限られておりますので、全部の参考人にお伺いできないかもしれませんが、あらかじめ御了承いただきたいと思います。 そこでまず、本法の中身を見てみますと、設備処理を主な柱としているということについては、ほとんど争いがないと思うのです。したがって、安定基本計画の内容も、ほぼ設備処理に限られていると言わざるを得ないわけです。 そこで、紙パ労連の土橋参考人にお伺いしたいのでございます。先ほど土橋参考人は、この法案の目的、それから安定基本計画、事業者の努力、雇用の安定、信用基金などの各条項に、雇用の安定と関連中小企業者の経営の安定に努めるという趣旨を盛り込む修正をせよと言われたように私伺ったのでございますけれども、これは安定基本計画の中に、失業防止、雇用の安定あるいは関連中小企業の経営安定のための措置が、設備処理と同格で並べられねばならない、こういう主張と私は受け取ったのですが、そういうふうに伺ってよろしいんでしょうか。
○土橋参考人 そのとおりでございます。
○安田委員 これは労働組合の立場としては、雇用安定を図るということで当然の御主張だと私受けとめるわけです。 次に、基金の件でございますが、債務保証につきましてこういうことをしてもらえば企業の金利負担の軽減になる、こういうことは事実だと思うのです。長期的には確かにそうだと思いますけれども、しかし、考えてみますと、一時的には廃棄による特別損失の計上などで企業の財務内容が形の上で悪化するということで、これがまた人減らしの口実にもなるのではないかと心配を持つわけでございます。 そこで、また土橋さんにお伺いしたいのでございますが、全国紙パルプ産業労働組合連合会が発行されました討議資料(その2)「当面する緊急課題について」という冊子を見ますと、その三ページにこういうことを述べられておるようです。「パニック時に、誤った増設、増産を指導した通産省が、まず第一に今日の事態の責任を負うべきであるとの立場から、国が責任をもって中小企業の経営の建て直し、救済に当るべきことを要求する。また同時に、通産省の指導に乗って、金を出し、企業に増設、増産をやらせた銀行、商社もその責任を負って、金利負担の免除、繰り延べなどの措置をとるべきことを要求する。」このようにこの紙パ労連の出された冊子を拝見しますと書かれておるようでございますけれども、これは失業防止、雇用安定を図る労働組合として、また当然の正当な主張だと私は思うわけです。 日本共産党・革新共同は、現在の過剰設備を招いた銀行、商社の責任、列島改造型設備投資をあおり立てた責任を明確にして、応分の負担をさせることがまず大切だと考えておるわけでございます。三方一両損という話がありますけれども、不良債務といいますかそういうものが解消して、銀行、商社にとっては大変結構な話、企業にとっても金利負担などで身が軽くなる、労働者だけがしわ寄せを食うというのは、三方一両損どころの騒ぎではない。しかも本来、構造不況の問題については、労働者に何の責任もないはずだと思いますので、この点で、銀行、商社などの責任、したがって応分の負担をさせたいという考え方についてどうお考えか、まず、紙パ労連の土橋参考人にお伺いしたいと思います。
○土橋参考人 設備廃棄で最も打撃を受けるのは労働者でございまして、しかもいままでパニック時に、通産省は増設命令増産命令を出してきたわけなんです。先般通産省と交渉をしたわけなんですけれども、通産省は命令を出すような権限はないとおっしゃっていたわけなんです。しかし、事実そういう命令によって増設、増産がなされて、今日の現状になっておるわけなんです。さらに、銀行あるいは商社等から、どんどん設備投資をさせるような方向で金が動いてきた。したがって、その影響を一番受けているのが、商社、銀行系列のいわば後発の中堅企業であるわけなんです。しかもこの中堅企業が、今日大変な金利負担に追われて、債務超過というような状態になっているわけです。これは一部においてはすでに金利たな上げあるいは引き下げ等が行われていますけれども、やはりもっと国の責任あるいは銀行、商社の責任において、金利のたな上げあるいは引き下げ、支払いの繰り延べということもやるべきであって、その犠牲を労働者に一方的にしわ寄せされるようなことはがまんがならないということで、実は三月七日に総理大臣あてに申し入れ書でもって以上の趣旨を言っておる次第でございます。
○安田委員 同じ質問でございますが、商社、銀行に対して応分の責任を負わせるべきだし、それはこの法案の中できちっとさせるべきではないかという考え方について、総評の宝田参考人及び繊維労連の中島参考人にお伺いしたいのです。
○宝田参考人 商社その他の責任ということについて条文ではっきりさせるかどうかということは、私はちょっと問題があると思うのは、そういうふうに確定し切れるかどうかという問題がありますね。誘導ということの責任はまだ一般的に解明されていませんから、直接の指示とかなんとかいうことの立証が問題だと思います。それから、今度は実態論として言いますと、いまかなり大きな企業の倒産とかいろいろな問題については、ナショナルな救済政策が現実問題として効いておりますね。日銀が発動するとか、あるいは大手の銀行間とか商社間とか、さまざまな対策が可能であります。そういうものと比べますと、やはり中小企業とかその他については野放しといいますか、落ちるときはもう何も手がないという意味からいいますと、何らかのことをやらなければならないということは感じます。それが今度の法案の場合には、特に中小関連について目的からずっと重視をしていってもらいたいというわれわれの希望になってあらわれているというふうに御理解願いたいと思います。
○中島参考人 こういう問題が起きますと、安田先生がおっしゃったように、よく三方一両損とか大の虫を生かすために小の虫を殺すとかいう、いわば資本の論理で活動が行われるときに、一般社会の通常の論理を援用してごまかしてしまう例がたくさんあると思うのです。特に労働者の直接生活権に関する問題についてそういう怪しげな一般社会の論理で考えるというところに、私は大変問題があろうかと思います。特に繊維の場合でも、大手商社あるいは銀行その他が、いわゆるワンセット主義で、系列にたくさん自分の影響力を強めるために、せっせと勧めて設備拡張をやらしたわけです。したがって、法文上どうこうあれ、実際の中で、たとえば金利のたな上げとかあるいは軽減とかいう形の、みずからやったことについてみずからの始末をきちっとつけるような形がとらるべきであると考えます。 なお、この点に関連してもう少し申し上げますと、中小企業の争議において背景資本の問題を出しますと、一時大手商社、銀行なんかについても対応は少しよかったのですけれども、最近、これらの団体交渉を求めるという形になると、警察官を導入してそういう大手資本との交渉に対して弾圧するという気配がありますので、これらについては国会の方でも厳重に監視されたいと思います。
○安田委員 実際、誘導ということの効果なり誘導の実態なりがはっきりしないにしても、少なくとも労働者は設備廃棄によって被害をこうむる、あるいは被害をこうむるおそれが非常に大きいことだけは明らかである。しかし、労働者がこの特定不況産業に当たるような職場へ就職したのには、何の見込み違いも過失もあるはずはない。ところが、銀行、商社が金を貸して担保を取っているわけですから、金を貸した見込み違いは少なくともあることは間違いない。一方は過失がない、一方は過失がある。それは故意的な責任まで、つまり誘導、あおり立てをしたかどうかということまでは争いがあるにしても、こうなりますと、どうしてもやはり銀行、商社の責任、応分の分担ということは何としても考えてもらわなければならないのじゃないかと私は思うわけです。 その点で中島参考人、非常に明快に断ぜられましたけれども、私もそれは全く同感に思うのですが、おっしゃいましたように、背景資本が系列会社をわれ知らぬというので捨てていく、一時対応はよかったけれども、最近またそういうふうになってきた。それはやはり国の姿勢、われわれ立法府の姿勢も、こういうときに大企業を免罪せんがごとき言動が多少でもあらわれるところに彼らが高姿勢になる原因があるのじゃないか、非常に遺憾に思っておるわけであります。 そこで、繊維労連の中島さんに最後にお伺いしたいのですが、各参考人とも、安定基本計画の策定あるいは業種の指定のそういうあらゆる段階で労働者の協議が必要であるということについては、ほとんど御意見は一致されていたと思うのですね、形はともかくとして。ところが、中島参考人だけは、協定書を添付させるような義務をというふうに、非常に強く具体的に申されました。これは非常に特徴的だと思うのですが、この協定書の添付を義務づけろ、これは業種の指定の段階でも安定基本計画の策定の段階でも、こういう御主張のように伺いましたけれども、それでよろしいのかどうか。そういう場合、協議で足りない、協定書の添付を義務づけた方がいいのじゃないかという御提案、御意見、この理由をひとつお伺いしたいと思います。
○中島参考人 協定書の添付を義務づけることを要求いたしましたのは、多数組合と少数組合があった場合に、多数組合とだけ話をして、そして労働者の総意であるがごときことで全部やってしまう、そういうことがかつて日米繊維協定のときもあったものですから、したがって、その経験からも、少数組合といえども、事は生活権の問題でございますから、きちっとした双方の協定書を添付すべきであるというふうに考えます。大変いやな話ですけれども、つまり申請に乗っからないと退職金が出ないとかなんとかという形で、おどしをかける例が多いわけです。したがって、少数組合といえどもそういう権利をぜひ保障していただきたいというふうに思います。各段階で必要だと思います。
○安田委員 どうもありがとうございました。 時間が来ましたので、ほかの参考人の方にもお伺いしたいことがあるのですけれども、これで私の質問は終わりたいと思います。
○山下(徳)委員長代理 大成正雄君。
○大成委員 大変長時間にわたりまして、参考人の皆さんお疲れでございます。最後でございますので、ひとつ御協力をいただきたいと存じます。 時間の関係もありますので、合繊、造船といったこと、時間があれば最後に、総評、同盟の代表の方にお聞きしたいと思います。 最初に、合繊関係でございますが、私は、本法が成立してその効力を発生したにしても、日本のこの産業構造の改革にどれだけ貢献できるかといったことは、なかなかむずかしい問題だと考えております。特に合繊の場合には、この設備廃棄以前の問題としてナフサの問題、途上国との輸入問題、こういったことが先ほど来御指摘のとおりでございます。 そこで、いま業界が一部グルーピングを進めておるわけでありますが、共販会社等のグルーピングと同時に、また合繊の再編成は石油化学の再編成にこのまま結びついていかなければ、本当の意味の構造政策は成り立たないというふうに考えておるわけであります。したがいまして、石化、合繊両業界の組合の皆さん方にとっても、この業界の再編成というのは重大な問題だというふうに理解をいたしておるわけでございますが、そういったこと等に対する考え方が第一点。 第二点としては、率直にこの合繊問題は韓国問題であるとも言われているように、わが国自身が協力したその結果が、所産がブーメラン現象として皆さん方を苦しめているといった結果になっているわけです。アメリカの労働者がこの輸入規制等については相当の力を発揮しているわけでありますが、御組合等においてはそういった不当廉売関税の適用等についてどのように考えておられるか、それをもあわせて承りたいと思います。
○宇佐美参考人 いま合繊関係の再編問題が出てきているわけでありますけれども、これはちょっと経過を申し上げますと、いっとき合繊というのは、繊維全般の不況の中でもまだよかったのです。在庫もそんなにふえていない、微増の状況の中で価格が急落を始めた。これは何かというと、結局各企業の国内におけるダンピング競争があった、いわゆる安売り競争があった。そういう点からいたしますと、何らかの形で共販会社等のグルーピング化をしていくということが大変大事なことだ。私どもも、汗してつくられたものがコストを割って販売されるということはよくないことだ、国際的にもダンピングはよくないということであるわけですから、国内でもコストを割るようなことは許されるべきではない、そういうことで、こういうグルーピング化の方向につきましては、そういう安売り競争を防止する上で大変大事なことだということで、方向性としては私どもはこれを是認する。ただし、そこにどう雇用の問題が起きてくるのか、そのことを大変気にいたしております。 それから、韓国等の問題につきましては、さっきも触れましたように、主として合繊の糸、綿で入るよりも製品で入ってくるという率が高い。このことについての基本的な対策を繊維業界全体が考えていかなければならない問題だ。 そのことよりも一番問題は、アメリカ等の合繊綿の価格が日本の価格と比較して大変安い、そういうものにつられていわゆる出血輸出のような状態が続いているところに問題がある。そこで、ではアメリカが一体コスト割れで物を売っているのか、あるいは原料、コストが安いためにそれでも採算に合って売っているのか、そこらの点が大変重要な問題でございまして、この点については、私どもも労働組合なりに十分研究を進めて、競争力を保つという努力をしていきたいものだと考えているところでございます。
○大成委員 ありがとうございました。 畑田さんですか、造船も同様に本法以前の問題として重大な問題を抱えております。重病人が手術するというならば、手術に耐えられる体質をつくることがまず先に立たなければならない。スクラップ・アンド・ビルドであるとか、あるいは官公需船の耐用年数を繰り上げて発注を促進するとか、あるいは途上国に対する資本協力であるとか、あるいはナショナルプロジェクトを推進するとか、いろいろなことがいま言われておるわけであります。船も造船もすべて一切が法律的には政府の許可手続によって今日まで進められ、集積した結果がこうなったわけですから、国の責任において手術に耐えられる体力をつくるという、仕事を創出するということが非常に大事なことだというふうに私たちは理解しております。 それがためには、スクラップ船の公団ぐらいはつくって思い切って対応していかなければ、解撤作業そのものも進まないというふうにも理解をしておるわけでありまして、現場認識として、組合の責任者として、目先何を要求するかということになれば、人事を要求する、こういう立場だろうと思うのですが、そういう意味において、この解撤船等の仕事の創出に対して組合としてはどのように対応していこうとしているのか、どのような要求をしておられるのか、まず承りたいと思います。 〔山下(徳)委員長代理退席、委員長着席〕
○畑田参考人 仕事創出の問題につきましても、私どもこれまでいろいろ三年間、それぞれ産業政策という形の中で要求をいたしてきております。その中で、スクラップ・アンド・ビルドの問題なり、あるいは二重底の問題なり、その他のいろいろな要求をいたしておるわけでありますけれども、しかし、いずれにいたしましてもこれらの措置は当面の対策でありまして、今後の造船産業の将来のあり方をどのように求めていくのかという一つの課題があるだろうと思います。 これらの点について、やはり従来のような二年分も三年分もの需要量があるという状況がとうてい今後は望めないという状況にありますから、そういう点については、やはり新たな需要創出としてのいろいろな海洋構造物とかその他の新たな需要創出を図るための研究開発、こういう点についても一層努力をしていかなければならぬだろうし、その点については、一産業、業界ということだけではいけない面も、そういう面にわたってきますとかかわってくると思うので、そういう点には政府としての研究援助その他の政策的な援助が必要になっていくのではないだろうかというふうに考えております。 もう一つは、もちろん雇用という面からそうした仕事の創出ということも重要でありますけれども、もう一つは、午前中の意見の中でも申し上げましたように、今後の低成長下の中で、一定需要量が、仕事量が限られた中でやっていくようになっていくということになりますならば、いわゆる雇用確保のための雇用創出、雇用機会をどのようにつくり出していくか、このことを真剣に考えていかないと、仕事の面だけでは解決しないんじゃないか。そういう点では、現在企業段階で進めておりますような労働時間の延長だとか、定年の切り下げだとか、あるいは賃金カットだとか、そういう方向ではなくて、やはり労働時間の短縮、あるいは週休二日制、あるいは労働密度を緩めてゆとりのある労働ということの中で雇用の創出を図っていく、こういう取り組みをしないと根本的な解決にはなっていかないのではないか、このように考えているところでありますけれども、いわゆる個別企業の段階ではそういう面にいけないという状況がありますから、これはやはり政治的、政策的な立場の中で、もっと政府がそういう点についての総合的な雇用対策として取り組みを進めていただく必要があるんじゃないかというように思っております。したがって、当面の対策と将来展望に立った対策というものを考えていく必要があるし、造船の場合は、そういう点に向けての抜本的な立場からの問題のとらえ方と研究、検討をしていかないと解決にならないのではないか、このように考えておる次第であります。
○大成委員 時間がありませんが、宝田さん、河野さんにできれば承りたいと思います。 目下春闘が進められておりますけれども、二百二十円を割るような厳しい円高不況あるいは構造不況、一般的なそういうムードの中での春闘で御苦労の多いこととは思いますが、ともかくこの御参列いただいているような不況業種の組合の皆さんと、一面また、苦しい中にも日が当たっているといった円高差益を十分吸収して利益の配分が可能であるといったこと、あるいは親方日の丸といったそういう不況知らず、こういういろいろあるだろうと思うのですが、日本全体の労働者のすべての利益をお考えになっておられる皆さん方とされまして、この構造不況に働く労働者の地位の安定確保の問題、あるいはその労働力の質と量の再編成の問題とか、いろいろむずかしい問題があろうと思いますが、大まかな質問ではございますけれども、この機会にひとつお考えをお聞かせいただきたいと思います。構造不況業種に働く人たちに対して全国組織の組合としてどのようにお考えになっておられるかを、大まかではございますか、承りたいと思います。
○宝田参考人 今日の社会に人並みに生きるためには、たばこの値段は別に所得で差があるわけじゃなし、社会的な生活費というものは、どこの企業に働いているかとか、不況産業であるとかないとかいうことにかかわらず、ほぼ一定でありますね。これは学校の修学旅行の経費も別に差がないわけでありますから、いろいろな意味で、ナショナルセンターとしましては、労働の重い軽いとか、労働時間が長い短いとか、そういう当然出てくるディファレンシャル、違いですね、そういう賃金の差は認めますが、いわゆるディスクリミネーション、賃金差別ですね、人種が違うとか、性が違うとかなんとかだ、職場が違うというふうなものは極力なくすというのが賃金政策の一般論であります。ですから、われわれとしては、やはり世間並みの労働条件というものを、中小であるとか不況であるとか、そういう条件にかかわらず、やはりできるだけ守るべきだというのが原則でありますね。決してその差を認めるわけにはいかない。中小だから低くていいとか、不況だから低くていいというふうなことは原則としては認められない。 だが、現実問題としてやはり格差があったり、賃上げに格差が出てくるということは、これは実態でありますから、やむを得ないと思うのでありますが、それをまともに肯定しますと、やはり賃金というのは支払い能力で決まっちゃうんだということになりますので、われわれとしては、一般論といいますか、原則はあくまで原則、問題は原則からのずれといいますか、そういうふうにして問題を見ていきます。ですから、やむを得ないときはやはりやむを得ないのでありまして、そのことをどうこう言っているわけじゃない。しかし、そのことによって原則は変えないという立場をナショナルセンターはとっております。
○河野参考人 構造不況産業の労働者全体に対して何を望むかということでございますけれども、何といっても、まず当面の五十三年度については、政府が目標としております経済成長を確実に実現すること、これがまず第一だと思います。同時に、それは中長期にわたっても安定的な経済成長を実現すること。それから、望ましい産業構造をその中でぜひとも実現をしていくこと。三番目には、実はこれが最も重要なことでございますけれども、雇用保障体系というものをより体系化していくということ、これがぜひとも必要なことである。 当面の賃金の問題につきましては、確かに原則的には格差が拡大するということは望ましいことじゃありませんけれども、かといって、お話のとおり状況のいいところもあるわけでございまして、そういうところが、じゃ取れるものを取らないかということになりますと、よく言われておりますように、七%成長を実現するためには一定の個人消費支出の拡大が必要であるけれども、それさえもできないとますます悪循環に陥るということになりますから、構造不況産業においても可能な限り賃上げをすると同時に、取れるところはまたそれなりの状況に応じて可能な限り高い賃上げを実現していく。そこで当然格差が発生しますけれども、それは日本の産業構造がもっと望ましい形になった場合に、再びまた着実にそれを縮小していくという努力をわれわれはしていかざるを得ないということだと思います。
○大成委員 ありがとうございました。ちょうど時間ですから……。
○野呂委員長 以上で参考人に対する質疑は終了いたしました。 参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、ありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。(拍手) 参考人各位には、御退席いただいて結構でございます。 速記をとめて。 〔速記中止〕
○野呂委員長 速記を起こしてください。 ————◇—————
○野呂委員長 内閣提出、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案を議題といたします。 提案理由の説明を聴取いたします。河本通商産業大臣。 ————————————— 特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○河本国務大臣 特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。 本法律案は特許協力条約を実施するための手続を定めることを主たる内容とするものであることにかんがみ、特許協力条約の概要についてまず御説明を申し上げます。 特許協力条約は、近年における国際的な経済活動の緊密化及び技術交流の進展に伴い、外国における特許権の確立がますます重要となっている状況にかんがみ、外国出願の容易化、各国の特許庁における審査に要する労力重複の軽減を図ることを目的として一九七〇年に採択されたものであり、一八八三年の工業所有権の保護に関するパリ条約以来の画期的な条約であります。本条約によると、一つの国際出願をすることによって同時に複数の外国へ出願したのと同様の効果が与えられます。また、国際出願がされると、それが新しい発明であるかどうかについての事前調査、すなわち国際調査や予備的な審査、すなわち国際予備審査が行われ、その結果は出願人及び関係国の特許庁によって活用されます。 特許協力条約に加盟すれば、外国への出願が容易となり、外国における特許権の確立に大いに資するとともに国際間の技術交流を促進することとなるため、わが国が今後とも技術立国、貿易立国として発展していく上においてきわめて有益であり、また、本条約は特許の分野における開発途上国援助を行うことを目的としており、この点においても意義深いものであります。 特許協力条約はすでに本年一月二十四日に発効しており、いわゆる特許大国である米国、ドイツ連邦共和国、フランス、連合王国、ソビエト連邦を初め十八カ国が加盟しております。また、わが国が本条約を締結することにつきましては、今国会において御承認をいただいたところであります。 本法律案は、この特許協力条約を実施するために必要な手続を定めるとともに、特許法等関係国内法の整備を図ろうとするものであります。なお、本法律案につきましては、昭和五十一年六月から工業所有権審議会において慎重な審議を重ねた結果、本年二月に「特許協力条約への加盟に伴う特許法等の改正に関する答申」が提出され、この答申に基づきまして作成したものであります。 次に、本法律案の概要について御説明を申し上げます。 第一に、本法律案は、特許協力条約の規定を受けまして、国際出願、国際調査及び国際予備審査についての特許庁と出願人との間の手続を定めることとしております。具体的には、日本語で日本の特許庁に国際出願をすることができることとし、国際出願をしようとする場合の提出書類、それに欠陥がある場合に特許庁長官が行う手続の補完、補正の命令、特許庁長官による国際出願日の認定、手数料を納付しない場合の措置等について規定しております。また、国際調査、国際予備審査に関しましては、特許庁長官は審査官に国際調査報告、国際予備審査報告を作成させることとし、その場合の手続、出願人の補正書、答弁書の提出等について規定しております。なお、特許庁が受理する国際予備審査の請求の件数につきましては、当分の間は、これを制限することができることとしております。そのほか、国際出願の手続の正確かつ円滑な遂行の確保が強く要請されていることにかんがみ、特許庁に対する手続の代理を行う者の資格につき必要な規定を設けております。 第二に、わが国の特許または実用新案登録を取得しようとする国際出願について、これを現行法の国内手続につなぐために必要となる特許法及び実用新案法の改正を次のとおり本法律案の附則において行うこととしております。 すなわち、わが国を指定国に含む国際出願は、その国際出願日にわが国にされた特許出願または実用新案登録出願とみなすこととし、出願書類が外国語で作成されている国際出願については、原則として最初の出願の日から二十カ月以内に翻訳文を特許庁長官に提出しなければならないこととしております。この段階以降は、この翻訳文に基礎を置いて出願の処理または審査を行うこととしており、そのための所要の規定を整備しております。なお、国際出願が正確に翻訳されなかったために、出願に係る発明、その出願に基づいて与えられた特許等の範囲が原語の国際出願の範囲を超えることとなる場合については、審査の段階では異議申し立てにより拒絶することにより、また、特許または実用新案登録後においては無効審判の請求とそれに対する権利者の訂正審判の請求とを組み合わせることによって措置することとしております。そのほか、翻訳文の国際公表、条約に基づく補正の取り扱い等につき規定しております。 第三に、弁理士の業務に国際出願に関する事務を追加することに伴う弁理士法の改正、特許庁が国際調査及び国際予備審査に関する事務を行うことに伴う通商産業省設置法の改正等を本法律案の附則において行うこととしております。 なお、本法律は、特許協力条約がわが国について効力を生ずる日から施行することとしております。 以上が、この法律案の提案理由及びその要旨であります。 何とぞ、慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いを申し上げます。
○野呂委員長 以上で提案理由の説明は終わりました。 本案に対する質疑は後日に譲ることといたします。 ————◇—————
○野呂委員長 内閣提出、特定不況産業安定臨時措置法案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中村重光君。
○中村(重)委員 運輸大臣が時間の関係でお急ぎになるようですから、先にお尋ねをすることにします。 造船業の不況回復の見通しというのはどうなるんだろうか。この間、真藤造船工業会会長に委員会に参考人としておいでいただいてお尋ねをしたのですが、五〇%の設備廃棄だ、それにしてもいま三百万トンぐらいの受注量しかない、きわめて深刻な意見を聞かしてもらった。もちろんそれは陸上部門もありますから、造船だけということではないわけでしょうけれども、それにしても問題なんだというように思うのですが、見通しをどう立てていらっしゃいますか。
○福永国務大臣 中村さんがお話しのように、造船業はいま非常に苦しいあえぎの中にあるわけでございます。そしてこれがもうすぐによくなるというような見通しでもございません。世界一を誇っていたわが国の造船業が、ここに参りまして世界的に需要が減退した、日本それ自体でもなかなか容易でない事態にある、こういうようなことでいろいろなことが加わり、かてて加えて、円高等の現象からいたしましていま注文を差し控えるというような状態でございますが、もちろん船の場合はいつまでもそういうことではないと思います。ある程度たちますと船をつくらずにはいられないということもあるわけであり、そういう場合に、わが国はほかの国よりも優秀だし、注文もやがて来るということにはなりましょうが、漫然とそういうことで安心はとてもしていられない、こう思うわけでございます。五〇%云々というような程度までと言う人もあるし、まあそこまでいくまいと言う人もあるのでございますが、そこらあたりは、いずれにしてもそういう言葉が出るほどに深刻であって、いま中村さんのおっしゃる見通しということにつきましては、近い将来にはがらっとよくなるというようなことはまだなかなかむずかしい、こう言わざるを得ないと思います。
○中村(重)委員 たしか日経新聞で対談をしている。そのときも真藤さんはただいま私が申し上げたようなことを言っておられたのですよ。委員会ではそこまではおっしゃらぬのではないかと思ったところが、委員会でも言われた。いま日本の造船の建造能力というものは二千万トン程度ですね。現在その四分の一程度の受注量しかない。世界全体で一千万トンといいますから、これは大変な事態で、真藤さんが言われる五〇%の設備廃棄ということも、現在の情勢からいうならば奇想天外のことではないということになるのですね。そうすると、五〇%の設備廃棄をやって、今度はどうなるんだという問題がまた起こってくるわけですね。 それと、真藤さんが述べられた意見等を裏づけすることになるのかどうかわかりませんけれども、いま造船施設部会で脇村義太郎さんが座長になって討議を進められて、六月をめどに建議をするということなんですね。いま審議をいたしておりますこの法律案が動き出すのがちょうどそこらになる。大体そこを目安にしていま討議に入ったんだろうと思うのです。そうすると、ここで基本計画をお立てになるんだけれども、その基本計画というのは業界の意見がやはり中心になっていくだろうと思う。いまの脇村委員会で議論している問題を尊重するということになるわけでしょうか、どうなんですか。
○福永国務大臣 いろいろその種の御検討をいただいておりますが、そうした高度の専門的知識等も加えた御検討に対しては、われわれは大いにこれを尊重して対処する、こういうことでありたいと存じます。
○中村(重)委員 申し上げたように、仮に五〇%の設備廃棄をやって、そして現在受注をやっている状態からいたしまして、外国からの受注難というものを、五〇%設備廃棄をしても一〇〇%の操業率の確保は期待が持てない。どうして食いつなぐのかということについては、官公庁船のスクラップ・アンド・ビルドですね。船齢がもって十三年とか十五年とか言っておるのですが、それをスクラップしてもらう、そして優秀な船につくりかえをしてもらうということを政府に強く要請したい、こう言っている。それから民間に対するスクラップ・アンド・ビルドということで協力を求めたい。船主協会の意見も運輸委員会で聞いてみたのですが、協力の方向ではあるわけですが、さて財政的な措置をどうするかという問題が出てくるわけですね。これに対してはいま船主協会と造船工業会との事務レベルで詰めの段階に入っているということですから、前向きの取り組みであろうということは考えられます。そうしたことに対する見通しをどうお立てになっておられるのか。協力可能かという点。 それから、官公庁の船、たとえば巡視船であるとか監視船であるとか、まだいろいろあるわけですけれども、そういうものもやはりスクラップ・アンド・ビルドということで計算の中に入れておられる。そしてこれで生き延びていくんだ。それで、大臣がお答えになったように、いつまでもこういう状態ではないだろう、船は寿命が来るんだから発注もあるだろうというような、それは単なる希望的観測ではなくて、ある程度の期待感は持ってもよろしかろうと思うのだけれども、そう甘いものではない。これは単に造船の経営者の問題とか労働者の問題だけではなくて、造船業というのは地域経済に密接な関係を持っておるだけに、これはきわめて重要な問題点であるわけですから、そこらに対する大臣の見解をお聞かせいただきたいと思います。
○福永国務大臣 官公庁船のスクラップ・アンド・ビルドというようなことは大いに進めなければならないし、民間でもそういうようにあってもらうように、われわれの施策としてはぜひそういうふうに向くようにいろいろ心配しなければならない、こういうように思います。その他輸出船もかなり多いのでございますから、どうしても輸銀の資金を確保する等の処置等も要るのでございますが、私は、実はこの節ほかの大臣各位等とも相談しながら、船そのものの需要の確保ももちろんしなければなりませんが、先ほどから中村さんも御指摘のような事態等もございますので、船は大いにやるのではあるが、同時に、必ずしも船でなくても何とか造船の技術が生かせるようなものをつくる。そういうことから、今度の公共事業等についても、橋その他船の関係で仕事が何とかなるようにいろいろ心配してくれるようにというので、建設大臣等にもそういうものを考えてくれ、特に造船が不況であえいでいるような地帯へそういう仕事をというようなことである程度話をし、よく理解してくれて対処してもらっておりますが、これがさて急に大量にというわけにはなかなかまいりません。 そこで、これはもうちょっと時間がかかるかと思いますけれども、そんなことを言っておったのじゃいけないので、多少先になってもというような観点からは、たとえば新空港のようなものを、海洋構築物を浮体のようなものでつくるというようなことにすれば、環境問題等の解決等にもなるし、そしていままでそういうことをやっていなかったものにそういうことをやるということになれば、自然造船関係の仕事もふえるしというようなことで、そういう新需要の開拓ということにもっともっと積極的でなければならない。正直に申しまして、それがすぐあすそういうことということにはなりませんけれども、だからといって見逃しておったのじゃ、そういう新需要の造出ということはできませんので、ぜひそういうことにも特段の力を注いでいくべきだ、こういうように考えております。
○中村(重)委員 おっしゃるように、新しい需要の開発ということ。それから、造船の場合も、この間から石川島播磨で新しい船を開発してブラジルに輸出をしたということがありますね。これは河本通産大臣が一番専門家でいらっしゃるので、後でお尋ねもしたいのだけれども、大手はそういう方面に力を入れなければいけないのじゃないですかね。先ほども参考人として労働組合の代表八人にここへおいでいただいた。その前は経営者の方々においでいただいていろいろ御意見を伺った。大手は陸上部門が六五%といいますね。船はわずか三五%だというのですよ。それから、造船技術者というのは五百種類ぐらいの技術を持って いるということですから、いま大臣がお答えになったように、きわめて多角的なそういう方向に積極的に取り組むということが必要だ。 だから、私が大臣に申し上げたいのは、こうして委員会で質問がある。当然だと思えば、それはそのとおりだからやらなければならぬ、こう言う。ただ委員会だけの質疑応答という形で終わるという感じがしてならない。そういうことであってはいけないのだと私は思うのですよ。多様な技術を持っているけれども、船だけしか使えない労働者というものは相当な数、これは圧倒的多数だというようにしか考えられないですからね。してみると、具体的な問題としてどうするか、船の建造についてどうするか、LNG船の問題についてはどうするのだ、どこが隘路か、いま一隻つくっているけれども、今日までテストだにしていない、どこに問題があるのかといったように、やはり大臣に突っ込んでいってもらわなければいけない。 もう一つは、五十三年度の予算は、景気回復というので超大型予算をお組みになった。公共投資だ。なるほど私どもは公共投資を否定するものじゃない。ないのですが、それと変わらないぐらいの迫力でもって船をつくるということに取り組んでいかれたらどうですか。古い船はつぶしたらいいですよ。そして新しくつくればいい。 きょうは海上保安庁からもお見えになっていらっしゃるのだけれども、現在の巡視船の状態はどうか。いろいろ海難事故というものが起こってきている。ところが、船がないために十分なそういう調査もできない、捜索もできない、そういう深刻な事態が起こっていますよ。 この間、二月二十八日に突風がありましたね。大変な大しけを食って船が沈没、行方不明ということがあった。私の県でも二十八日に、竹島丸というのだけれども、十二時三十分ごろ無線で連絡があった。毎日十二時から十二時半までに連絡する、こう言っている。ところが、三月一日は連絡がない。三月二日も連絡がない。連絡がないからどこかで避難をしているんだろう、仮泊をしているんだろうというようなことで、それをああいったような異常な天候の中で、毎日十二時から十二時半までに連絡があるのが慣習だからあるだろうというような安易な気持ちでもって、無線局の方から積極的に状況を調べようとしなかった。そうして今度は、船には僚船がありますから、僚船が、竹島丸の姿が見えないので、どうしているんだろうというので無線を送ってみたところが、返事がない。これはおかしいというわけで無線局の方へ連絡して、無線局が今度は三月三日に送ってみたところが、何にも返ってこないです。返答がない。それで初めて、おかしい、これはやはり遭難をしたんだろうということで動き出したのですよ。 中二日以上ブランクがあるのですよ。ああいったような異常な状態だから、毎日十二時から十二時半までに連絡がある、だけれどもこういう状態のときは平常なときのような態度であってはならぬ、そういうことでないといけない。しかし、その後は海上保安庁長官が本当に陣頭指揮をして、従来にないような取り組みをしたことは私は認めるのです。認めるのだけれども、やはり船が不足をしているためにおのずから制約があるのです。 もう一つ、長崎県に第二十八恵比須丸というのがある。これも同じように二十八日に遭難をしているのです。三月の十五日に、おかしいな、どこからも連絡がないからといって動き出したのです。十五日間ブランクですよ。そして今日に至るまで、どこへ行ったのか、破片すら出ないものだからわからない。手の打ちようがない。 そこで今度はどうすると思いますか。これはいま研究を海上保安庁もしてくれていると思うのだけれども、船の木切れも何も漂流をしていないものだから、失踪ということになると除籍ができないでしょう。除籍ができなければ保険金がもらえないですよ。働き手の者は恐らくもう死んでおるだろう。しかし、破片だってないから葬式も出せない、除籍もできない、保険金ももらえない、家族全部がどうにもならぬような状態に陥るのです。この問題はこの問題として、やはり運輸大臣が関係大臣とも話し合いをして結論をお出しいただかないと余りにもかわいそうだと思う。 それから、こういう事態に陥るということも、役所の単なる怠慢という形で片づけられない。飛行機にしても限度がある。船にしても限度がある。こういう実態ですから、老朽船をつくりかえるスクラップ・アンド・ビルドはそれなりに必要なんだけれども、それだけでは不足なんだから、やはり新しく船を建造していくということでないと、これは大変な社会問題であり、人道問題になると私は考える。このことについて大臣はどうお考えになるのか。 単にそうしなければならぬ、そう考えますというのではなくて、大臣は非常に情熱豊かな人柄であるということは私もよく承知しているわけですから、あなたのそのような情熱、その人柄、その責任感というものを私はこういう問題の解決のために積極的に取り組んでもらうということでないといけないと思う。お考え方をお聞かせいただきたい。
○福永国務大臣 大変有益な御注意等もいただきまして、ありがたく存ずる次第でございます。 実は私、今度運輸大臣になりまして、ちょうど時期的に、まあそれまでに予算等についてはある程度の折衝が進んでおった時期でございましたが、御指摘のように二百海里時代に入って、海上保安というような見地からはもう大変広い海域になったのでございますから、ここで画期的にそういうものをふやす、ましていわんや、先ほどのお話のように古いやつはスクラップ・アンド・ビルドをやるというようなことで、私、確かに就任いたしましてすぐに命令をしたのでございますが、ある程度進行しておりました。今度としてはそう大臣のようなむちゃくちゃにふやすことはできないというような話等がございましたが、私は正直に申し上げます。最初に考えたとおりにいかなかったことを残念に思っておりますが、それだけに、ただいまお話のあるようなことについては、次の年度の予算と言っていたんじゃちょっと遅いと私は思います。これについては何らかのタイミングをとらえて、ぜひいまのお話のあったようなことを頭に置いての措置を講じたい、こういうように思っております。 役人なんてものはと言うとまずいが、役人なんかは、中村さんや私どもがこうだと言って画期的にというようなこともなかなかなにで、前の年がこうだったから何%、何十%増してということになりやすい。そこで、そういうところは、われわれのような者が、そういうことではいかぬのだ、ましていわんや、ここで二百海里時代に入ったという大きな変化のあったときにそういうことにすべきだ、いまや日本は海洋国として何よりもそういうことが大切だ、こういうように思います。しかし、先ほどもおっしゃるように、そう思うだけではこれは話になりませんので、ぜひできるだけ早くそういうことにいたしたいと思います。 竹島丸、第二十八恵比須丸等の事例もお引きになりましてのお話、何しろ私、そのお話を伺いながらそう思いました。船がそういうことになった、海上保安庁の船、特に飛行機なんかを載せたやつも今度つくったわけですが、こういうものがうんとあったらそういうことにならなかったかもしれぬというようなことを考えますと、本当に急いでその種の措置を講じなければならないと思います。 そこで、御指摘になりました委員会だけの質疑応答でなくとおっしゃるのも、まことにそうだと思います。ここの応答の結果がこういう結果になったというように必ずいたしたい、こう思っております。多少やればできるようなことを言っていただきましたが、なかなかそういくかどうかは別といたしまして、ある程度何とかそういうことを、できることなら大変ほめていただけるようなことになれば結構なんです。せいぜい努力いたしたいと考える次第でございます。
○中村(重)委員 大変熱意のある前向きな答弁で、私は期待をいたします。 そこで、向井次長お見えですから、除籍の問題等含めて私が具体的な問題について触れましたね、それらの点。それから、現在の巡視船であるとか監視船は——これは自治省でないとよくわからないのだろうけれども、あなたの方でつかんでおられる限り、時間の制約もありますから、ひとつ中心的なことをお答えください。
○向井政府委員 お答え申し上げます。 まず、海難の点でございますが、数字的なことを少し申し上げますと、昭和五十二年におきましての要救助海難船舶二千三百六十九という数字になっております。結果的には、五十一年に比べまして、天候の状態等が若干良好であったというようなこともあって、一一%ほど減っておるというような状況でございますが、それにしてもかなりの海難船舶が出ておるということでございまして、その中に先ほど具体的に御指摘ございましたような、関係者の方に非常にお気の毒でありますが、遺憾な結果になったという事例も確かにございます。これに対しまして海上保安庁といたしましては、船艇三百十二隻、それから三十六機の航空機というのが現勢力でございまして、これが百四十五の基地に配備されておりまして常時即応体制を整えておる、さらに、海難多発海域に対しましては前進哨戒等の手段も講じておるというようなことで、できるだけの努力はいたしておる、現場の方では一生懸命やっておるというのが実情でございますが、先ほど申しましたような悲しむべき結果を生じておるということに関しては、まことに残念に存じております。 それから、最近の実情でございますが、先ほど大臣からも申し上げましたように、領海の拡張、二百海里漁業水域の設定等に伴いましていわゆる新海洋秩序の時代に入りまして、海上保安庁の業務が飛躍的に増大してくる、これに対応いたしまして、現在のところ先ほど申しましたような三百十二隻の船艇、三十六機の航空機、これは全管区に配備されておるわけでございますが、全国的にも応援体制をとりまして、ソ連漁船が出漁しております北方海域等に重点的に配備をして、現在までのところ何とか円滑な業務の実施は確保しておるということでございますが、このような応急体制というものをいつまでもとっておるわけにもまいりませんので、五十二年度から予算的措置を講じまして、大幅な船艇、航空機の増強が図られつつある。具体的に申しますと、三千八百トンのヘリコプター搭載型の新鋭巡視船三隻、千トン型の新鋭巡視船十隻、三十メートル三十ノット出ます高速巡視艇八隻、大型航空機三機、中型ヘリコプター十機等がこの間に増強のめどがついたということでございます。 これによりまして、一応漁業水域の監視等も現在よりは格段に充実するし、いま先生御指摘の海難に対します対応体制もより一層充実されるという見通しはございますが、しかしながら、今後の情勢といたしましては、やはり新海洋秩序の進展、海洋法会議の状況等もございますが、どのような情勢の進展があるか、かなり流動的な面もございますので、その辺のことも踏まえ、それから、御指摘ございました海難の実情とこれに対する対応体制の充実ということもより一層考慮いたしまして、これらの体制を整備すべく懸命の努力をいたしてまいりたいというふうに考えております。 このような船艇、航空機の増強におきましては、老朽した船艇の代替ということも当然考えられるわけでございまして、先ほど申しましたすでに予算措置のとられております分におきましても、耐用年数経過分の代替建造として計二十一隻の巡視船艇が計上されておるというのが、現在のところの実情でございます。
○中村(重)委員 海難船の除籍の問題。
○向井政府委員 この問題につきましては、ただいままだ検討中ということでございます。
○中村(重)委員 深刻な問題として私はお尋ねをしたわけなんですが、大臣、いまお聞きのとおりだ。こういう問題でも検討中。お役所だから、検討しないで何もかもやりなさいとも言えないのかもしれぬけれども、現実とは余りにも遊離するわね。 それと、いま次長の答弁を聞いておっても、いかにもこれで満足しているようにしか聞こえないんだよ。実際五日かそこらですよ、いままで捜査は。話にならぬじゃありませんか。ただ、今回のような海上保安庁として大きな黒星になるものだから、私は、ずいぶん努力をしておりますということで、あなた方の立場が悪くならないように申し上げたんだけれども、どうもあなたの答弁を聞いていると、これでもう満足でございます。それで大丈夫でございますと言わんばかりの答弁なんじゃ話にならぬな。わずかな期間でしょう。今回の私が挙げた竹島丸とか恵比須丸の場合は、黒星だから力こぶを入れられたのですよ。普通はそういうことをやっていない。いままで私も、何回もこの海難事故の問題については出先の連中と折衝して、もっとやりなさいと言って相当厳しく頼んで、一日延期してやるというそんな状態ですよ。出先は、船がないのでどうにもならないですと言うのですよ。あなたの方は役所の中にでんと座っておられるから、そういう生々しい事実はおわかりにならない。 だから、もっと積極的に、船をつくってください、これは船足が遅くてどうにもなりません、もっと大きいのでないと海が荒れたときはどうにもならないのです。こういう実態でしょうが。こういうことをじゃんじゃん大臣に言いなさいよ、いまのような大臣が前向きの答弁をしたのだから。そういう迫力のある、打てば響くような対応でないと話になりません。肝心かなめのあなたの方が、そういうような御満足でございますといった態度じゃ話になりません。十分ひとつ反省もしていただかなければならないというように思います。 そこで、LNG船についての見通しはどうですか。
○福永国務大臣 こういう方面に大いに意を注いでいかなければならないと考えておりますが、率直なところ、いままでのところではまだ大したところにいっていないことを非常に残念に思うわけでございます。私は、この問題、せっかくのこういうものをもっともっと伸ばして、世界に先んじてうんと開発をしていくということになればと考えておりますが、詳細は局長の方からお答えさせることにいたします。
○間野説明員 LNG船につきましては、特に日本船でぜひつくりたいという希望もございまして、関係方面集まりましていろいろ研究いたしております。非常に近いものが具体化いたしますと、とりあえず五隻程度、五十四年度に着工して五十七年度から就航するものが具体化する可能性は非常に強いということで、関係方面でいま問題点を詰めております。 それから、それ以外にも非常に大きな話では、カナダの北方にあります天然ガス油田から北米の方へ持ってまいるということで、砕氷LNG船の引き合いですとか、メキシコ湾からやはり北米向けというものが幾つかございまして、それぞれ関係者の間で検討はいたしております。 ただ、いつも問題になりますのは、LNGのプロジェクト自体が常におくれぎみであるということで、船の建造自体もなかなか具体化しないで先へ延びていくという現状ではございます。
○中村(重)委員 通産大臣、いかがですか。これは所管大臣ではないのだけれども、現在閣僚中唯一の権威者でいらっしゃるので、この間OECDとかECの中で二重底その他の問題が決議等もなされたが、いまのLNG船の問題の見通し等について、国務大臣として一つの考え方を聞かせてくださいませんか。
○河本国務大臣 船の方は運輸省の方から御答弁になるのがよろしかろうと思いますので、私は、エネルギーの面から、日本としてどこでいまLNGを確保しようとしておるかについて、荷物の面から申し上げてみたいと思います。 現在わが国が輸入しておりますLNGは、アラスカ、ブルネイ、それからインドネシア、アブダビ、この四カ所でございます。数量は千五百万トン前後になろうかと思います。 なおこのほかに、いま、輸入計画が数年後に具体化しつつありますものが方々にございますけれども、その一つはインドネシアで、この春から輸入を開始しておりまして、現在七百五十万トン輸入しておりますが、これを三百万トンないし四百万トン増量をしてもらいたいという要請を受けまして、いま研究を開始したところでございます。でありますから、七百五十万トンプラスアルファということになります。 それから、イランのいわゆるカリンガス計画というのがございまして、これは電力会社が輸入するわけでございますが、数年後に二百五十万トンイランから輸入することになっております。これも近く軌道に乗ると考えます。 それから、マレーシアから六百万トン輸入することになっておるわけでありますが、これは先方が船を手配しておるようであります。 それからなお、ソ連のヤクーチャの開発計画が進んでおりますが、これはまだ試験段階でございまして、本格的な採掘にかかっておりません。 そういうことで、一九八五年、昭和六十年には現在の千五、六百万トンの輸入を四千二百万トンまでふやしたいということでありますから、相当大量の船が要ることは事実であります。ただしかし、いずれもここ一、二年のことではない。いまも運輸省からお話がございましたように、五十四年にスタートして五十七年に完成というのが一番早いのだというお話でありましたね。それも順調にいってそういうことでございますから、いまお話を聞いておりまして、日本の造船企業は現時点で困っておるわけですから、数年先は世の中は当然変わると思いますから、現時点を一体どうするかという非常に重大な課題があるわけでございます。だから、現時点の問題と数年先の問題と両方並行して研究されるのがよろしかろう、こう思いながら聞いておったところでございます。
○中村(重)委員 運輸大臣、いまエネルギーの立場から通産大臣もお話しになったのです。現時点の問題、将来の問題ということから考えると、いま置かれている深刻な造船不況をどう回避するかということについては、業界からも強く要求されているスクラップ・アンド・ビルドの官公庁船あるいは民間船の協力ということ、そしてLNG船の問題も、もう一隻はできていてテストがまだできていないという状態、これもようやく技術も認められ、日本で建造するという可能性も期待が持てるというわけです。積極的に当面の危機を回避する努力はしてもらわなければなりませんが、先ほどの決意のほどで理解をしたわけであります。 そうすると、将来計画の問題を含めて関連をしてくるのは、いま審議をいたしております特定不況産業安定臨時措置法、これは仮に五〇%の設備廃棄という建議がありましても、それをそのとおりやるのかどうか。さらに、これをやります場合に、格納であるとか休止であるとか廃棄であるというような、方法はいろいろあるわけでありますから、だから運輸大臣としてはこの法律がどうしても必要であるとお考えになっていらっしゃるのかどうか。 そうすると、百億という出資、それの十倍の信用基金の信用保証というのは一千億になる。これは造船が仮に五〇%でも設備廃棄するということになってくると、いま考えているような資金の枠では話にならぬということになる。それらの点に対して運輸大臣はどうお考えになっていらっしゃるのか。
○福永国務大臣 現時点でどうすべきか、近い将来にまたどうすべきか、いずれについても考えなければならないわけでございますが、私は、造船業界のようなこういう業界について特に考えますことは、たとえば三年後とか四年後にこういうことが期待できるという観測が行われるとするならば、それはそれなりに、いまどんなに歯を食いしばっても数年後に備えるという意気込みも出てこようと思うわけでございます。そういう面から、私は、まさに政治というのは先が明るい見通しになるような施策をしなければならないということを強く感じております。 先ほどちょっとお触れになりましたIMCOでの話も、まあ世界でいろいろ意見の合わなかったこともどうにか話がまとまったわけでございますから、分離バラストタンクの問題あるいは原油洗浄装置の問題等につきましても、せっかく決まったようなこと、日本ばかりでなく、世界がそういう点に留意して、世界でそういうことを採用するとすれば、仕事は日本が一番うまいのでございますから、やはりある程度仕事量もふえるということになりましょうが、まあそれはほんの一例でございましょう。 いずれにしても、いま御指摘のように、この場をどうするかという観点からいたしますと、ぜひいま御審議をいただいております法案を御審議いただき成立させていただきたい、こういうことではございますが、それは同時に、要するにある程度廃棄するとかつぶすとかということでございますから、そういうことだけではいけないので、どうしても先に明るい見通しになるような措置を並行してやらなければいかぬ。船はもうどうせつぶすことっきりだというような感じが出ては大変まずいと思います。こういう大事な、そしていままで世界に誇ってきた産業でありますだけに、私は先ほどから申し上げているようなことでありたい。したがって、この種のことに必要であるということになります資金等については、私どももできるだけ努力をして、政府もよくやったということでありたい、こういうように思うわけでございまして、まあそういうようなことをいろいろ考えつつ、今後に対処したいと存ずる次第でございます。
○中村(重)委員 いまお触れになったように、この法律は設備廃棄だ、いわゆる後ろ向きだ、それだけではどうにもならない。私どもがこれを審議するに当たって決定的なものとして問題視しているのは、前向きにどうするのかという問題がないということです。この法律で後ろ向きも前向きも一緒に法制化できるのかどうかという、議論の分かれるところでございましょうし、まあむずかしいことだということはそれなりに理解をします。しかし、それじゃ前向きをどうするかということは明らかにしていかなければならない。下がりっ放しというのじゃ、これは話にならないのですからね。運輸大臣の考え方は一応そこへ出たわけですから、前向きというものが並行してあるいは優先して考えられなければならない、労働大臣にも後で、それと関連をして雇用問題というのがきわめて重要でございますから、お尋ねをいたしますが、前向きの問題については、後で河本通産大臣の意見も十分伺ってみたいと思っているところです。 そこで、具体的な問題として、中小と大手の事業分野の調整がやはり必要だろうと思います。通産省の方で事業分野の確保、調整に関する法律というものも出まして、これはいま動き出しておりますが、かつては大手は大型を、中手は中型を、小さい企業は小型をというようなことで、おのずから分野というものがあった。いまはもうそういうことでなくなって、タンカーがとれないものだから、大手が大は小を兼ねるでどんどん中小の分野を侵している、中小は悲鳴を上げる、そういう状態になっていますから、やはり分野調整というものが必要だろう。冒頭大臣がお答えになったように、新しい技術の開発、陸上その他新しい分野を開発していく力があるわけですから、大手はそういう方面に力こぶを入れてもらう、そうして地域と密接な関係を持ちます中堅のようなところは、やはり民間のスクラップ・アンド・ビルド、そういう方向にできるだけ力を入れていくというような、そうした分野づけというものが行政指導の中でやはり強力に推進されていく必要があるのではないかと思うわけでございます。これは労働問題との関連もあってきわめて大切な問題であるわけでありますから、あなたのこの点に対するお考え方をお聞かせいただきたいということと、それから、中小対策といたしまして解撤事業の問題があるわけであります。 五十二年度の予算では、前は利子補給であったのを、補助事業ということで一億四千数百万円の予算を計上したわけであります。平電炉の不況から、スクラップか非常に価格が下がってしまって採算がとれないというので、五十二年度の予算は計上したがこれが消化ができなかったということで、五十三年は予算計上がなされていないという実態であるわけでありますから、いま事情も非常に変わってまいりましたし、相当助成をふやしてでもこうした仕事を与えるということ、需要を創出していくということ、そういうことが私は大切であると思いますから、この二点についてお考え方をお聞かせいただきたい。
○福永国務大臣 まず第一点の、大きなのと中小との分野をというお話でございます。御説全く同感でございまして、ぜひそういうことであらしめたいと思います。 そこで、当面行政的にそういうことに大いに努力をする。まあ法律でそういうことを決めるというのも、またいろいろ考慮すべきところもあろうと思うのでございますが、その立法措置はともかくといたしまして、ぜひ効率的に、先ほどからお話しのような適当な分野で、その両者が大きいのも中小のも何とか仕事をやっていけるようにと——いまでも確かにいろいろやっておりまして、私の答弁要旨なんかには幾らか書いてありますけれども、われわれから見るとそれは本当に大したことはないのでございますよ。ですから、本当に実効あるような措置を講ぜしめるようにぜひやりたい、こういうように存じます。 解撤事業につきましては、実は私も初め、あんまり専門家でもありませんし、新しい予算では載ってないのでこれはどういうことだと言ってなにしましたら、先ほども中村さんおっしゃったような事情等もございまして、前に計上したが、その割りに使われなかったというような事情等もあったようでございますが、それはそれなりに特殊の事情があってそうなったので、いまやそういうことであってはならない。これもやり方によってはりっぱに事業として成り立つと思います。でございますから、その種のことについてはやるつもりなら何か方法がございますと思います。私も関係の局長等にそれは言ってあることでございまして、予算がないからどうというようなことでなくて、ぜひやれるように措置いたします。そういうようにいたしまして、この苦しい状態のもとにある造船業にお役に立つことは、もう大小を問わず急速に促進するということで進めたいと存じます。
○中村(重)委員 事業分野の方は、造船に関する限りむずかしくないですよ、建造許可が要るのですから。建造許可でもってチェックしていけばできる。新たな法律をつくる必要はない。つくればなおいいということでしょうけれどもね。一番やりやすいのが造船ですよ。通産省なんてそんなことはなかなかやりにくい。何もかも法律をつくっていかないと、行政指導にも限界があるということになるのですから。あなたの方は建造許可があればむずかしくないでしょう、許可をしなければいいのだから。チェックしていけばいい。ですから、やればできる、やらないだけの話だ、こういうことなんでね。 解撤事業もそうなんです。これはやはり大手の協力も必要なんです。私が申し上げたスクラップ・アンド・ビルドの問題との関連もここへ出てくるわけですから。実態は、無理をしてでもやらないと、これはどうにもならないです。だから、いままでの発想を転換してしまうということです。そういうことで対処してほしいということを強く要請をしまして、運輸大臣への質問はこれで終わりますから、どうぞお引き取りをいただきたい。 そこで通産大臣、いまも運輸大臣といろいろ議論をいたした前向きか後ろ向きかの問題です。法案の名称は特定不況産業安定臨時措置法。設備廃棄をやって、後ろ向きをやって安定ということはどういうことか。それは切るものを切ってしまって身軽くして、そして経営を安定させる、安定だから安定だ、こういうことで、禅問答じゃないけれども、そういうような答えになるのかどうかわからないのだけれども、どうも安定臨時措置法という名称というものが、特定のものの犠牲——あるいは端的に申し上げさせていただけば、これは銀行の再建法じゃないか。これが一番潤う。笑う。そして労働者と関連中小企業が泣くのだ。特定のものを笑わせないで特定のものを泣かせない、そういうようなことをやらないと、私は安定の法律案だということにはならないと思う。 そこで、本当に名実ともに安定する施策というものはどういうことなのか、どうしたらよろしいのか、どういうことを考えているのかということについて、ひとつ通産大臣の御見解をお聞かせいただきたい。
○河本国務大臣 特定不況産業に対する抜本的な対策は、やはり思い切った景気対策をやることだと思います。内需がそれによって拡大をいたしますと、いわゆる構造不況業種の問題は、半分以上あるいはほとんど全部解決するわけであります。いま全産業の操業率が平均して七五%だ。中には一〇〇%近いものもありますけれども、中には五〇%以下のものもある。こういう状態でありますからいわゆる構造不況業種という問題が起こってくるわけでありまして、産業全体の操業率がさらにここで一〇%でも上げられるような政策を仮に強力に実行すれば、大半の問題は解決する。だから、構造不況業種に対する最大の対策というものは、やはり強力な景気対策だと私は考えております。 ただしかし、ここ五年間くらいを想定をしてみますと、五年以上先のことはよくわかりませんけれども、大体五年間くらいを想定してみますと、オイルショック以降の産業の構造変化によりまして、ある業種はますます忙しくなっておりますけれども、ある業種はどうもここ当分の間はむずかしい、このように判断されるものも相当あるわけであります。そういう業種は、その業界の大多数の方々が希望されるならば、一番の根本は過剰設備の問題でありますから、過剰設備の廃棄のために政府は若干のお手伝いをいたしましょう、こういうことでございまして、実際は、業界が自発的に、政府のお世話なんかになりませんよ、そういう法律ができても自分たちは自分たちの力と工夫でやりますよ、こういう業界があれば一番いいわけであります。現に一、二の業界はそういう業界がありまして、私はそういう業界を高く評価しておるわけでございます。 この法律ができたからといって、決して強制するものではございませんで、こういう仕組みがありませんとどうしても困る、こういう業界も多々ございますので、こういう仕組みをつくっておいて、そして業界の大多数の方々が、それではひとつ相談してこの仕組みに乗ってみようじゃないか、こういう場合にだけ利用していただく、こういうことでございまして、この法律ができますと何か強制されるのじゃないか、こういう誤解等も一部にあるのですけれども、決してそういうことではないわけでございます。
○中村(重)委員 大臣の考え方はわかったです。わかったのですけれども、現実にいまそれぞれの業界でもうすでに取り組みをやっておる。そしてこの法律が動き出していくと、今度は基本計画をお立てにならなければならぬ。その場合に、不況業種対策と構造不況業種対策ということと、そこは私はちょっと違ってくると思う。いま稼働率七〇%程度ということになってくると、もうすべてが不況だ、特定の好況業種は別にいたしまして一般不況だということになる。そうすると、景気対策をやるにいたしましても、いま大臣が一〇%というお話がありましたが、そういうことは期待もしておられないだろうし、また、国際的な関係といったようなものもあってそういう情勢ではない。そこをどうするかという問題になって、基本計画をお立てになって、そしてそれに基づいて自主廃棄でやる、カルテルによる廃棄をやる。 それから、指示カルテルという形にいまこの法律の中身は構想していらっしゃるわけですから、その場合に、もし景気回復をするとこんなに廃棄をする必要がないのだがというような形になりましても、廃棄してしまってからではどうにもならない。その廃棄をする場合、負担の大きい方を先に廃棄をするということにだってなりかねない。要するに老朽設備というものはもう減価償却が終わってしまって、身軽くなっておる。優秀設備というのは身軽くなっていない。だから、どうしても負担の軽減をするという形になってくると、そういう優秀なものを廃棄するということになりかねない。そうすると、景気回復との関係が出てくるわけでございますから、それに対してどうするのかというような問題が、私はこの法律を動かすについて大きな問題点となっていくであろうというように実は考えるわけでございます。 だからして、業者が希望すればこうしてやるんだよというそういう簡単な問題ではないのであって、結局いま置かれている実態の中からやはりそういう廃棄という方向に業者も強くこれを望み、基本計画を立てなければならぬということになってくるでしょうから、そこらのめどをどう置いておられるのか。たとえば七%成長という場合に、この設備廃棄というものがほとんど必要がなくなってくるのか。それらの関連もあわせてひとつ考え方をお聞かせいただきたい。
○河本国務大臣 七%成長がことしの経済政策の一番大きな目標でございますが、それじゃ七%成長をやりまして、五十三年度末つまり来年の春どの程度の平均の操業率かといいますと、今度新しい統計の方法ができましたが、この新しい統計の方法でいきますと、大体八〇%強ということでございます。五十四年度も総理は予算委員会等を通じて七%弱の経済成長を続ける、こういうことを言っておられますから、まあ数%なお上がると思いますが、それにいたしましても五十四年度末で八十数%というのが現在の目標じゃないかと思うのです。その程度しか操業率はいまのところ上がらない。 でありますから、先ほども申し上げましたように、ほぼ五カ年間を想定いたしますと、十幾つかの業種では相当設備が余る。ある業種では二、三割、ある業種では六、七割も余るのじゃないかと思います。そこで、ある業界で過剰設備の廃棄をしたい、こういうことでもう大部分の方々が同意をされてそういうお申し込みをされる、そういう場合には政府の方でも安定基本計画をつくることになるわけでありますが、その場合、やはり各方面の意見を聞くことが私は必要だと思います。各方面の権威者の意見をよく聞いて、そして間違えないように判断をしていく。いま、新鋭設備を廃棄したら一体どうなるのだ、こういうお話も出ましたが、そういうことも含めまして、さらに内需、貿易、幾つかの諸問題を含めて総合的に判断をしながら安定基本計画をつくっていくということが大切だと思います。だから、安定基本計画をつくるということが一つのキーポイントだ、こう思っております。
○中村(重)委員 大臣が触れられたようにあらゆる方面の意見を聞くということ、これは当然であるわけです。設備廃棄をする、ところが、実際は景気が回復して、そしてまた新しい設備をつくらなければならぬ、それが時間的ずれもあって、今度は値段がどんどん上がってきたということになってくると大変なことになる。農業政策なんかそれがありまして、百姓は政府の言う逆なことをやっておれば間違いないんだ、それが百姓の思想みたいになってしまって、そういうことに通産行政の場合もならないという保証はない。かつて織機を七十万機でございましたか廃棄をした。いつの間にやら六十六万七千機かやみ織機があらわれたんですね。そしてまたそれを買い上げなければならぬという事態が起こってきた。そういったような問題。それから、鉄鋼なんかの場合でもそうなんでしょう。通産省の見通しというものは一億五千万トン、この設備を奨励をした。そして現在一億トンを割るという状態。そうした通産省の見通しという問題は、非常に大きく日本の産業経済に影響を及ぼすわけでございますから、絶対に悔いを繰り返さない、反省をしなければならないということがないような対処の仕方でなければならないということを私は強く望みたいわけでございます。非常な不安を実は持っているわけであります。 そこで、当面の問題として繊維なんかのことですけれども、これは乱暴な提言であるかもしれませんけれども、政府が余っている繊維製品を買い上げて商品援助というようなこと——商品援助をするといったようなことは相当抵抗がある。物を援助する、特に米なんかそうだそうでありますけれども、抵抗が非常に強いということですが、そういったことが考えられないのかどうかというような点。いずれにいたしましても、需要の創出というものについては、これはがむしゃらと言ってもいいぐらいに取り組みをやらないと、私は今日のこの不況、そして構造不況というものを回復していくということはむずかしいであろう、こう思うのでありますけれども、いかがですか。
○河本国務大臣 私もいまお述べになったこと、全く同感でございます。消極的に消極的に考えますと、たとえば先ほど来運輸大臣との間に造船問題についての質疑応答が続いておりまして、私もその質疑応答を通じて感じましたことは、船だけをつくるというのであれば、あるいは二割とか三割、非常に惨めな状態にいまの造船設備はなってしまうのじゃないか、こう思います。 しかし、先ほど来、海上浮体構造物、そういう新しい分野の仕事をどんどん開発をしていく、これは去る二十五日の内需拡大の関係閣僚会議でも海上浮体構造物の積極的な開発ということを決めておるわけですが、そういう分野の開発、それからさらに、最後の方でも中村さんお述べになっておりましたが、たとえば中小造船に対して解体事業を奨励することによって仕事をつくり出していけばいいじゃないか、こういうお話がございましたが、造船業というのは、私は船をつくるだけが造船業じゃないと思うのです。ときには船を解体するのも造船業だ。船が足らないときには船をつくったらいいし、船が余ったときには船を解体すればいいわけでありますから、そのようにやはり創意工夫をこらして、一方で仕事をある程度積極的につくり出していくということを考えながら、どうしても万やむを得ない設備だけは廃棄する、こういうことにしませんと、設備廃棄をいたしますとどうしてもやはり雇用問題に火がついてくると私は思うのです。 いろいろ受けざら等も考えておりますし、それからまた積極的に対応策も考えていくということになってはおります。しかし、いずれにいたしましても、それはあくまで消極的なことでございまして、雇用問題にともかく累が及ばない、問題が波及しないということを考えていくことが一番大事だと私は思います。そういう意味で、ただ単に消極的だけに考えないで、できるだけ知恵をしぼって積極的に仕事をつくり出していく、そして設備廃棄をするにしても最小限にする、雇用問題に火がつかないようにしていく、こういう工夫がどうしても必要である、そういうことを考えながらこの法律の運用に当たっていきたい、このように考えておるわけでございます。
○中村(重)委員 藤井労働大臣、御見解を伺いたい。 あなたが労働大臣に就任されたときに、テレビでだったか新聞かで、福田総理から、これからの労働行政は労働省の枠組みだけで解決できぬ、総合経済政策の一環として進めてくれ、こう言われたというように語っていらっしゃるんですね。労働大臣、非常に意欲十分であった。 私はあなたとは同期生という関係もありますが、委員会等でも一緒に非常に苦労をともにしてきた間柄である、しっかりやってくれるだろうなということで期待感を持っていたのですが、その期待感が裏切られたとは申しませんよ。申しませんが、構造改善政策というものも労働大臣抜きでは考えられない。それから、設備廃棄や事業転換のための制度改革というものも、労働組合の理解と協力がなければ決して成功するものではない。そういったことから考えてまいりますと、労働大臣はこうした点についてどの程度理解をしているのであろうか、どの程度意欲的にこの法律案に対しても意見をお述べになったのであろうか、そして将来ともに計画に基づいて今度は廃棄という形につながってまいりますから、それに対してどう対処しようとお考えになっていらっしゃるか。残念ながら、法律原案の中にはあなたの役割りがちっとも出ていません。これでよろしいとお考えになっていらっしゃるのか。 福田総理からこう言われたということに対して意欲十分であったあなたは、それは単に総理からこう言われたということで語っただけなのか。意欲十分であったことは、これはやる気十分でやろうと構えていらっしゃるのだろうと思うのであります。ところが、こういう具体的な問題になってくると、どうしたんだろうかというようなことで首をかしげざるを得ませんので、考え方をお聞かせください。
○藤井国務大臣 激励を込めたお気持ちのにじみ出る私への最初の中村委員の質問、ありがたく受けとめてお答えをいたします。 まさに私は、就任以来、労働行政が従来のような労働省の枠組みだけで問題は解決できない、こういうことで、やはり雇用の安定のためにはいかにして需要を拡大をするかということ、この問題抜きには解決ができない、こういったことで終始今日まで来ておるつもりでございます。 先般も三月二十五日、経済対策閣僚会議でいろいろ協議をいたしましたときも、先ほど運輸大臣からもいろいろお話がございましたが、私自身、自分のなわ張りからはみ出したようなことではあるけれども、たとえば解撤事業の問題、あるいはまた洋上工法による海上構築物、ただ単に従来の石油の海上備蓄の問題とかいったことよりももう一歩発想を変えた、先ほど通産大臣からもお話が出ておりましたけれども洋上空港の問題、こういう問題まで取り上げていくとか、あるいは二百海里時代になったのですから、海上保安庁の巡視艇あたりはひとつ思い切ってふやすことは一石三鳥ではないか、こういったこともいろいろ話して現在に至っております。 ここら辺を裏づけるためには、やはり現在の予備費であるとか財投の弾力条項の活用とか、こういったことだけではどうしても処理できない、やはり補正予算というものが結びつかなければ相ならぬ、こういった事態も私は考えまして、一応言いっ放しということになっておりますが、いずれ通産大臣も、先ほども雇用問題について大変理解ある御答弁があったように、非常に積極的なお気持ちを持っていただいておりますから、必ずや御期待にこたえるような方向に前進するであろう、このように考えております。 それからもう一つ、今度の特定不況産業安定臨時措置法に、雇用問題、労働大臣というものは一体つんぼさじきで何をしておったのか、こういうふうな意味の御質問でございますけれども、決してさにあらず、私は通産大臣に積極的にお話をいたしまして、第十条に雇用の安定ということを明記していただいたのであります。そして安定基本計画の策定であるとか、あるいはまた共同行為の指示、こういった問題は事前に協議するというので、これは事務的な覚書をつくって処理する、こういうことにやりまして、それも表に出したらどうかという御意見もあろうかと思いますけれども、私はやはり、いかにして過剰設備を処理して、そして経営を健全化して、そして企業を守っていくということ、結果的にはそれが雇用の安定につながるのではないか、それをそのままほっておいて結局倒産になって大変なことになるというよりも、やはりこの法律は法律として一本その点に筋を通すということの方があるいはいいかもわからない、こういう考えがありまして、一応内容的には十二分に歯どめをして、雇用安定については第十条で明記する、こういうことにやったわけでありますから、その点はひとつ御理解をいただきたい、こう思うわけでございます。
○中村(重)委員 無関心であったとは言いません。しかし、第十条の訓示規定なんかで済ませるようななまやさしいものではないということを申し上げる。 それから、覚書は、計画段階あるいは廃棄の段階において話し合いをするということを確約しておるということも伺っております。しかし、このような重要な影響をもたらす法律案に対しましては、働いている労働者、関連の中小下請業者、あるいは地域の都道府県の知事や市町村長は言うまでもなく、住民の大きな関心事であるわけです。通産大臣に期待するとか、中でこういう覚書を取り交わしましたというようなことで、これは国民が納得するものではないということです。表に堂々と出るべきです。 この法律案は、通産大臣だけではなくて、運輸大臣であるとか関係大臣は主務大臣として出てまいりますが、少なくともこの法律の運用は、おれも主務大臣になるんだというぐらいの構えで対処していかれるのでないと、そんな雇用問題というものを軽視したら、どの政党の内閣であろうともすっ飛びますよ。 いま百三十六万の完全失業者でしょう。そして企業が抱いているところの過剰労働力というものは、百万とも言われ、二百万とも言われる。この不況が立ち直らないでこのまま続いてまいりますと、この過剰労働力は町に放り出されるという結果になる。失業者というものは幾らになるかわからない。有効求人倍率というものも若干上がったと言いますが、五四%とかということでございまして、本当に深刻なのであります。 また、あなたはいま、雇用安定のために現在過剰であるところの設備を廃棄しなければならない、そのことが雇用の安定につながるのだ、そうおっしゃいました。そうではないと私は言いません。確かにぜい肉は切らなければならぬ。そうしなければ健全になりません。だけれども、その設備廃棄だけでとどまるのか、労働者は首切りということにならぬのか、下請は締め出されないのか、そういったようなことをどの程度真剣にお考えになったのか、そこを明確に納得のいくような数字を挙げてお答えをいただきませんと、あなたのせっかくのお答えでありますけれども、理解はいたしますが、私どもは完全に納得するわけにはまいらないということであります。 そこで、造船業の問題につきましてもいろいろ議論を運輸大臣とも私はいたしましたが、現在の雇用量というものを確保していくためには、造船はどの程度の操業率であれば首を切らないで雇用量を確保していくことができるのか。真剣にこの法律案に関心をお持ちになり、話し合いもされた、将来ともにやっていこうとお考えになっていらっしゃるならば、私はそこらもつかんでいらっしゃるであろうと思いますから、お聞かせをいただきたいと思います。
○藤井国務大臣 中村委員の御発言の御趣旨は、私も本当にむしろお礼を申し上げたいような気持ちも浮かんでまいります。 ただ私は、御理解いただきたいと思いますことは、これは決して雇用の問題を無視しているとか労働者の生活の安定を考えていないということではなくて、むしろ逆に、労働大臣というのは、申し上げるまでもなく、労働者の生活の安定と福祉の向上というのが双肩にかかった使命でございます。 ただ、その産業が生き延びるためにはどうやったらいいかという最終的判断というのは、政府部内においてはそれぞれの所管大臣というのがやはり最終的決定をせざるを得ない事実があるのではないか。たとえが適当でないかとも思いますけれども、「船頭多くして船山に上る」ということになったんでは、これは結局アブハチ取らずになるということではいけない。そこへ私は、やはり提案された側の方を考えながら、われわれとしてはその主体はこれはこれとして考えたらいいではないか、そして労働省としては雇用安定資金制度の活用、それと特定不況業種離職者臨時措置法、こういったものが受けざらとなって、相呼応してやっていくということでこの危機を突破する。何とならば、現在の日本の産業がいわゆる質的に転換をしている、こういう置かれた時代の認識を持つならば、そういったことを全体的にやっていくということによって、この雇用問題も結果的には確保できる、こういう考えを持ったわけでございますけれども、御指摘の点も私は十分理解をいたします。
○中村(重)委員 私どもは、この法律案を審議するに当たって一番大きな問題点としては、やはり雇用なんです。関連中小企業即これも雇用なんです。私は、いまがいままでこの法律案に対して、後で触れますけれども、修正の問題については与党と精力的に続けてまいりました。結論も出ているわけであります。ところが、やはりこれが後ろ向きであることに変わりはない。きょう三大臣並んで私の質問に対してお答えをいただく、それによって最終的な態度を実は決めよう、賛成、反対という最終的な態度を決めなければならぬ、こういうことで、今日まで同僚諸君が質問をしてまいりましたが、まだ解明できない点について触れますとともに、態度決定のためにお答えを実はいただいているところでございます。 あなたが謙虚な気持ちで主務大臣を尊重していこうとすることはわかりますけれども、内部の問題だけのことではない。事国民に対して、そうして深刻な問題に非常に不安を持っている労働者に対して、どう理解をさせ納得をさせていくのか、あなたの一言一言というものに私は注目をしておるというように考えているわけです。残念ながら、あなたのその意欲というものはわかりますけれども、具体的なことでないと理解ができない、納得しない。設備を廃棄する、しかし労働者は首にしません、一部の配置転換はこういうことでやらなければなりませんというようなお答えがここで出てまいりますならば、それならわかる。やはりぜい肉は切る、こういうことに実はなるであろうというように思いますが、そこまでここできっぱりしたお答えを聞くのは、国会活動を続けてまいっております者といたしまして、私のいまの質問に対する的確な答えというものはいささか出しにくい、少し無理な要求でもあろうと思いますが、しかし、そういうことでないと、働いている労働者、中小企業の人たちは不安を一掃することができないのだということなんです。その点を十分考えてもらわなければなりませんが、ともあれ、雇用の創出ということが一番大きな政治課題であると私は考えます。 社会党におきまして、いま地方自治体に新たな雇用創出をさせなければならぬということで、余りひもをつけないで地方自治体で考えさせる雇用の創出を図るための、予算要求のときも政府折衝を続けてまいりましたし、いま単独でもって立法をしておりますのも、最小限度のものとして政府与党も耳を傾けられる筋合いのものであるというように私は考える。雇用創出の問題としてどうしようとお考えになっていらっしゃるのか、企業内の雇用の確保の問題、いま申し上げた点でありますが、その点を今後どう対処していくのかということが一点。 それから、雇用創出のためには、時間短縮であるとか残業規制であるとか週休二日制であるとか定年延長であるとか——また身障者の方々の雇用、これは全く賃金の保障はありませんよ。月にわずか二万円かそこらで、ただ日々昼食を出してもらうというだけで今日働いている身障者、精神薄弱の子供たちがいるということもお考えにならなければなりません。そして身障者の雇用は、大企業ほど割り当てられている雇用率の達成をしないではありませんか。そうでしょう。納付金をやっているのだからいい、雇用をしなければならぬという責任を金で解決しようというのが今日の大企業の姿勢ではありませんか。私はそういうことは許されてはならぬと思う。 ましてや、これほど雇用問題がやかましく言われているときに、通産大臣が監督をするところの公益事業において、結婚退職というものが今日まで続けられておるという実態もあなたはお考えにならなければいけないというように思います。結婚したらやめなさい、公益事業でそういう状態であります。全部の公益事業がそうだとは申しません。そういうものもあるのだということを具体的な例として実は申し上げるわけであります。 以上、私が触れましたようなことについてどうお考えになっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたい。
○藤井国務大臣 多岐にわたっての御質問でございますが、前の御質問との関連で、私はやはり現在のこの五年続きの不況で、雇用問題は不況脱出とともに政治の最大課題であるという認識において、いまいろいろ御指摘になりました問題点すべて私もこれを意識しております。 ところで、現在御審議中のこの法案に関連をして、雇用安定資金制度というのが積極的に活用されるならば未然に失業を防ぎ、そして事業内で職業転換の訓練をやる、こういったことも事業主が積極的にやろうと思えば国がバックアップするわけでありますから、そういうようなことをやって、どうしてもやはり離職しなければならぬということになると離職者臨時措置法によってこれが対策をやっていく。それから、中高年齢者を雇う事業主に対して中小企業の場合には三分の二のこれまた助成をする、そういうようなことをやり、同時に、企業は企業で経営の合理化をやっていく、これらが総合されていき、片やいま産業構造が変わっておるという時代でありますから、やはりそういう方向へ向く事業を新しく生み出すという配慮、またそれに配置できる職業訓練をやっていく、職業訓練法の改正もそういう時代の要請にこたえ得るような対策をやっていくというようなこと。 それから、消極的な面でありますけれども、先ほどちょっとお触れになった時間短縮の問題、週休二日制の問題、こういった問題は、仕事を分け合うという面からも、あるいはまた国際的協調、日本人の働き過ぎという面からいっても、あるいはまたお互いの生きがいという面からいっても、ぜひ積極的に取り組むべきである、こういうことによってみんなが仕事を分け合っていくという観点は、これからの低成長時代に入る日本の雇用対策としても考えるべきであると私は思います。 また、現在婦人の職場における男女平等の問題、こういった問題について御指摘の点も十分配慮しなければならぬ。ことしはすでにもう去年から国内行動計画によってこれが実施を計画的にやっておるわけでございますし、身障者の問題、これまた御指摘のような問題を私たちも意識してこれが改善を積極的にやっていく、こういう手配をいたしております。 いずれも大いに激励を受けましたきょうの御質問を踏まえまして、今後も大いにがんばりたい、このように思います。
○中村(重)委員 離職者法というのは議員立法ですから、私は、この法律の効果は効果として評価をしたいと思いますけれども、これは一時しのぎにすぎない。これに余りオーバーな期待をしても問題の解決にならぬ。 実は、予定をいたしておりました質問事項の半分も消化ができないうちに割り当て時間が来てしまって、困っているわけですが、ちょっとばかり時間が過ぎるかもしれませんが、委員長、お許しをいただきたい。 それで、締めくくりに入らなければなりませんが、通産大臣、実は信用基金の問題についても、造船は当初お考えになっていらっしゃらなかったのでしょうから、百億、一千億の保証というのじゃ話にならぬ。それから、金利をどうするのか、裏保証をどうするのか、裏保証をすることのできない者にはそれじゃどうするんだというようなことだとか、これは同僚諸君の質問に対しては、まだ決まってない、検討中だ、これは困るんです。大臣、これが雇用問題の次には一番大きな問題なんですね。だから、今日もう採決をしなければならぬような段階に至るまで考え方が明らかにされないというのじゃ、話にならないのですよ。それらの点に対してひとつお答えをいただきたいというように思います。 それから、例示している業種がありますね。ですから、例示していない、政令でもって無限にこれが広がるというようなことになっても問題がありましょう。したがいまして、これは雇用問題も関連してくるわけですから、こういうものを政令指定をしたいということであらかじめひとつ委員会に御相談をいただく、相談という言葉が的確でなければ報告をして、そして委員会の了承を得るというような運用の仕方が必要ではなかろうかというような感じがいたします。それらの点に対してお考え方をお聞かせください。
○河本国務大臣 信用基金は、大体当初は百億前後を予定しておりまして、保証額はその十倍、こう考えておったわけでありますが、しかし、その後変更いたしまして、必要な資金は幾らでも追加していく、こういうことにしませんと本当の対策はできませんので、大蔵大臣と通産大臣が相談をいたしまして、これは臨機応変にできる、そのように内容を変更いたしております。 それから、金利の問題につきましては後で局長から答弁をさせますが、裏保証の問題につきましては、取引の商社、取引の銀行、こういうところに、全部ではありませんが、ある程度の裏保証をやってもらおう、こう思っております。 それから、現在考えておりますこれから指定しようとしておりますいわゆる候補業種につきましては、これも局長から答弁をさせます。
○濃野政府委員 信用基金の運用につきまして、まず保証の問題、それから規模の問題は大臣から御答弁ございました。 金利の問題でございますが、金利は、これは設備の処理に必要な資金、運転資金でございましょうが、主として担保抜き資金等でございましょうが、これはいわゆる民間の金融機関と当該業者との関係の問題でございます。したがって、一律に幾らということを決めるわけではございませんで、民間ベースで決まる問題でございます。 ただ、私どもといたしましては、やはり設備処理までして業界の立て直しをしていこうということにつきまして安定基本計画をつくり、自主的な努力を前提にしながら設備処理を進めていくわけでございますから、その際、金融機関なりあるいは商社その他の関係事業者が、やはりこの設備処理に全面的な協力の体制をとってもらう必要がある、こう考えております。そういう観点からいきましても、こういう担保抜き等を中心としました保証の対象となる資金の金利は、できるだけ安く、協力の体制をとってもらうことを強く期待しておりますし、必要に応じまして、今後そういう方向で産業所管官庁としての態度を表明していきたい、かように考えております。 指定業種でございますが、指定業種につきましては、私どもこの法案の作成の段階に当たりまして、法定の四業種のほか、当省の所管業種といたしましては、化学肥料等の肥料業界、それから塩ビの業界、それから板紙等の紙業界、それからフェロアロイの業界、それから繊維の中で綿紡、毛紡あるいはスフ紡という紡績業界等々の対象候補業種を頭に入れております。 先ほど御質問の趣旨でございますが、この業種の指定は法律が施行されて一年以内にやるということになっておりますが、私どもはできるだけ早く対象候補業種を決めまして、いわゆる候補業種の政令指定をいたしたいと思いますが、しかるべき段階で、御要望のございましたように委員会等に報告等の手続をとりたい、かように考えております。
○中村(重)委員 これで終わりますが、先ほど来触れましたように、この法律の今後の運用という問題について、雇用問題、地域経済の問題、あるいは関連中小企業の問題、及ぼす影響が非常に大きいだけに、私どもといたしましては重大な関心を持って慎重に審議をしてまいりました。残念ながら、この法律案の中身では、雇用に対する労働組合と経営者との協議の義務づけもない、労働大臣と主務大臣との協議という道も表にはあらわれていないといったような点、それから、大きな影響を受けるところの都道府県知事の意見を求めるとか、あるいは国と一緒になって対策を講ずることであるとか、いろいろな点において不十分ということよりも、全くこれは単なる銀行に対する債権保全、その犠牲を先ほども触れましたように労働者あるいは関連中小企業者が受けるにとどまる。この法律は単に基金法ということで、いまお答えがありましたようなこの法律の中身からいたしますと、そういうものでよかったのだとすら考えられるわけであります。 したがいまして、私どもは少しでも弊害をなくするために修正をするということで、与党と折衝を続けてまいりました。与党も、雇用問題の重要性、この法律案の野党から主張される問題点ということについても真摯に耳を傾けて、私どもの修正に対して応ずるという姿勢を傾けられたということに対しては、心から敬意を表し、それを評価いたしたいというように思っているところでございます。 修正で足りないところは附帯決議といったようなことをもって補っていくということも考えなければならないと思いますけれども、さて、先ほどから何回も触れましたように、この法律案が後ろ向きの法律案であるということ。前向きということは、構造不況業種をなくするということは、通産大臣がお触れになりましたように景気回復にかかるのだ、それもそのとおりだと思います。だがしかし、現在の福田内閣の政治の進め方、景気回復のあり方というものからいたしますと、残念ながら七%成長というものも期待できない。消費者物価はいま非常に下がってきたとはいいながら、一方において公共事業というものを推進していくという面から、セメントの値上がりであるとか、あるいは小棒の値上がりであるとか、あるいは土地の価格の値上がりであるとか、いろいろな面においてまた問題点も出てきている。したがいまして、波及効果というものも大きく期待はできないということになってまいりますが、不況はなかなか立ち直りができない。したがって、この計画が立てられ、そして廃棄という形に発展をしていくであろうその及ぼす影響が非常に大きいということを考えてまいりますと、修正はするけれども、やはりこの法律の持つ性格、危険性というものを解消することにならないという考え方を、お答えの中からいたしましても、私はその不安というものをここで消すことができなかったということは、非常に残念に思っているわけでございます。 問題は、私どもの質疑の中で指摘をいたしましたことに対して耳を傾けて、批判も批判として十分受けとめて、弊害をなくするように対処してもらいたいということを強く要求いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○野呂委員長 長田武士君。
○長田委員 ただいま審議中であります特定不況産業安定臨時措置法案の質問に入る前に、緊急課題でありますところの円高問題について、一、二お伺いをしたいと思います。 まず、一ドル二百二十円の大台を割り込んだことは、輸出関連産業、中小企業に対して壊滅的な影響を及ぼし、倒産及び雇用不安の激増は必至の情勢であります。まことにこの問題は深刻であります。 そこで、これらの輸出関連産業、中小企業に対して緊急措置を講ずる必要があると私は考えるのでありますが、通産大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。
○河本国務大臣 三月中旬に中小企業の状態について調査を始めました。最近ようやく結果がまとまったわけでありますが、なおここ数日間の激しい円高が続いておりますので、さらにまた範囲を少し狭めまして、ごく最近における緊急の状態を調査いたしております。これまでの調査では、やはり相当な影響が出ておりますので、何らかの対策が必要である、このように理解をしております。 もし調査のもう少し詳しい点につきまして必要とあらば、中小企業庁の長官から答弁をさせます。
○長田委員 対ドル円レートが二百十円台に突入いたしまして、政府は円高によるメリットを積極的に活用する政策を推進することが私は必要だと思っておるのです。たとえば電気、ガス等の公共料金ですね、これを値下げすることなどによって、円高差益を国民に直接還元をする。そしてその国民のコンセンサスを得て、総合的な対策が積極的に行われなくてはならない、そのように私は考えておるのですが、大臣、この円高によるところの差益、これについて還元する御意思があるかどうか、この点についてお伺いします。
○河本国務大臣 昨年の初めは二百九十円台であったわけでありますから、非常に大幅な円高であります。でありますから、輸入される商品はいずれもその分だけ安くなっておるはずでございます。だから、おっしゃるように、これだけの大幅な円高が起これば、当然国民にその為替差益というものを還元をするということが政治の大きな課題であろう、私はこう思っております。近く関係閣僚会議も開かれますが、そこでは多分強力な施策によりまして円高による差益の還元、こういう方向が打ち出されると考えております。 ただしかし、それは基本的な考え方でございますが、業界ごとに事情も違いますし、商品ごとにやはり事情も若干違っておるようでございますから、実情に合ったようなことをやりませんと、かえってやぶへびになりますので、その基本方針に沿って、実情に合った差益還元ということを図っていきたいと考えております。
○長田委員 それでは、本法案に対する質問に入りたいと思います。 この法案につきまして今日まで審議をしてまいったわけでありますが、本法案は、深刻化した構造不況業種、これについて安定基本計画に基づいて債務を保証する、そして過剰設備の処理を行う、構造不況からこれを立ち直らせていく、こういう考え方であろうかと思います。私も、不況が長引く中にありまして、これに追い打ちをかけるような円高という状況下にありまして、構造不況業種がこのまま放置されておけば不況の回復がさらにおくれてしまう、そのようなことも当然考えられますし、ここに総合的な対策を講じなければならない、私も当然そう思っておるわけであります。そうした意味において、一つの対策といたしまして、本法案での施策に一部の修正を加えれば私たちは反対するものではない、そう思っております。 しかし、その運用については幾つかの疑問がありますので、順次お伺いをするわけでありますが、まず初めに、安定基本計画の作成についてでありますが、いままで基本的な考え方が述べられてきたわけでありますが、具体的にどうされるのか、その点が明確になっておりませんのでお伺いをするわけであります。 まず、本法案の第三条において、主務大臣が安定基本計画を定めるときは、関係審議会の意見を聞くことになっておるわけでありますね。通産省所管の平電炉、アルミ製錬、合繊、化学肥料、綿・スフ紡、毛紡、段ボール原紙、フェロシリコンなどの十業種が構造不況業種と考えられるわけでありますが、平電炉、アルミ製錬、合成繊維の各業種について、安定基本計画を作成する場合にどの審議会に意見を聞くのか、まずお尋ねをいたします。
○濃野政府委員 お答え申し上げます。 この安定基本計画の策定に当たりましてどの審議会に聞くかということでございますが、この法律にございますように、本法上は「その目的からみて適当と認められる審議会」、こう書いてございますが、ただいま御指摘の三業種につきましては、まず平電炉でございますが、これは昨年以来いろいろ検討を進めてまいりましたが、産構審の鉄鋼部会の中に平電炉設備小委員会というものをつくりまして、そこでいろいろ議論を進めてまいりました。それから、アルミ製錬につきましては、同様に産構審にアルミ部会を設けまして、ここで議論をやってまいりましたので、これら二業種につきましては、大体この二つの既存の小委員会、それから部会というものを使っていくことになるのだろう、こういうふうに私どもは考えております。 それから、合繊につきましては、これは産業構造審議会でございませんで、繊維工業審議会、これを活用することになろう、かように考えておりますが、既存の部会に諮問をするか、あるいは新しい部会を設置してこれに諮問をいたしますかは、現在、担当の局で検討中でございます。
○長田委員 産業構造審議会及び繊維工業審議会に聞くということでありますが、具体的にどのような手順をとるのか、まず、これらの審議会に安定基本計画はどうあるべきかといったような諮問をすることから始まるのかどうかですね、この点お尋ねをいたします。
○濃野政府委員 審議会の審議のやり方はいろいろでございますが、従来の大体の基本的な考え方から申しますと、ただいま御指摘のございましたように、通産大臣から審議会に、たとえば平電炉でございますれば、この法律によりまする安定基本計画はいかにあるべきかという諮問をいたしまして、それに応じて、平電炉でございますればこの小委員会で諮問を開始する、こういうことになると考えております。
○長田委員 私も、当然審議会に諮って、検討方法や作業方法を決め、いつごろまでに結論を得たいというようなことを明確にしておく必要があると思いますが、この点いかがでしょうか。
○濃野政府委員 御指摘のとおりでございますが、審議会の諮問は、こういういわゆる構造不況業種の設備処理のあり方についての検討でございますので、なるべく早く結論を出すという要請が一つございますが、同時に、法案審議の過程でいろいろ御審議、御質問がございましたり、あるいは参考人等の意見聴取の中にございましたように、できるだけ広く関係者の意見を出して慎重な検討をするというこの二つの要請がございまして、したがいまして、その要請を満たすために、各業種別に抱えている問題も違いますし、やり方は違ってくると思いますが、あるいは必要でございますれば、そういう部会の中にまた専門の小さなグループをつくって、その業種の抱えている大きな問題をそのグループ別に処理をするというようなことも必要になってくると思いますが、これはすべて諮問後、関係の部会あるいは小委員会で、ただいま先生御指摘のような取り運び、進め方について、関係者の間で十分検討して決めるべきことではないか、こういうふうに考えております。
○長田委員 先ほど御答弁がありましたとおり、自主的な検討ですね、小委員会あるいは部会で行う、そういう御答弁でありましたけれども、自主的に検討や作業を行う場合、部会ないしは小委員会で進めるということは当然でありますけれども、この場合、既存の組織といたしまして、平電炉の場合には鉄鋼部会平電炉設備小委員会、アルミ製錬にはアルミニウム部会とアルミニウム部会基本問題小委員会、合成繊維については総合部会や需給貿易部会などというように、種々の部会や小委員会があるわけであります。これらの組織で具体的な作業、検討、これを行うのか、あるいは新しい組織をつくってやられるのか、この点、もう一度御答弁願いたいと思います。
○天谷政府委員 平電炉につきましては、産構審鉄鋼部会の平電炉設備小委員会で検討することになると思いますけれども、鉄鋼部会に労働組合の代表が入っておいでになるのでございますが、小委員会の方には入っておられませんので、組織等につきましては改めて労働組合の代表の方もお入りになるように改めたらよろしいのではないかと思っております。 それから、アルミにつきましては、昨年のアルミニウム部会の委員の人選を行いますときに、アルミ産業の労働組合が統一をされていないというような事情がございまして、アルミの労働組合の方がお入りになっておらないのでございますけれども、その後アルミ産業の労働組合の統一化が昨年九月に行われましたので、今度アルミニウム部会におきましてこの問題の議論をいたしますときには、労働組合の代表を御参加いただくというようなことがいいのではないかと考えております。
○長田委員 ただいま御答弁ありましたとおり、鉄鋼部会や繊維関係の総合部会及び需給貿易部会には労働者の代表が入っておるわけであります。アルミニウム部会には労働者の関係者が入っておりません。そこで、当部会に労働者の代表を入れるべきだと私は考えておるのですが、また、入れるとすればどなたを入れられるのか、この点をお伺いいたします。
○天谷政府委員 労働組合の代表の方につきましては、通産省が一方的に決めるわけではございませんので、労働組合の方と御相談しなければいけませんから、御相談まだ済んでいない段階でここでお名前を申し上げるということは、ちょっと御遠慮さしていただきたいと思います。
○長田委員 産業構造審議会鉄鋼部会のメンバーの中に日本鉄鋼産業労働組合連合会委員長入っておりますね。そういう人をこういう中から選ぶのは当然筋じゃありませんか。何のためにあるのですか、これは。
○天谷政府委員 失礼いたしました。いま私が御返事を申し上げましたのは、アルミについて申し上げておったわけであります。鉄につきましては、すでに宮田義二委員長が参加しておいでになりますので、改めて追加の必要はないわけでございます。
○長田委員 私は、安定基本計画の作成の段階で、雇用安定や関連中小企業の経営の安定が十分に配慮をされるような審議会でなければならないことから、どのような組織で行うかは大変重要な問題だろうと考えております。ただいま関係者の方々に委員として参加していただいて審議を進めていきたいとの御答弁があったわけでありますが、平電炉業は、去る五十二年二月に平電炉基本問題研究会が報告を出しているように、考え方はある程度まとまっているようでありますので、これを例にとってさらに具体的にお伺いをしたいと思います。 まず初めに、安定基本計画を作成する場合に、平電炉業は産業構造審議会の意見を聞くのかどうか、お伺いをいたします。
○天谷政府委員 そのとおりでございます。
○長田委員 それでは、審議運営について産業構造審議会に諮問するのかどうか。もう一度言いましょう。審議運営について産業構造審議会に諮問するのかどうか。
○天谷政府委員 基本計画について諮問をするわけでございます。審議運営の仕方につきましては、一般に産構審の審議運営の要領が決まっておりますので、それに従ってやりたいと思います。
○長田委員 それでは次に、平電炉は、過剰設備の廃棄約三百三十万トン必要であるという考え方がまとまっておるわけですね。この前提となった需給見通しや報告を出した時点と現在では、経済状況が変化いたしておるわけであります。もうすでに一年たっておりますから。今回、安定基本計画を作成する場合にはこの見直しをするのかどうか、お尋ねをいたします。
○天谷政府委員 改めて産構審を開くわけでございますから、そこの委員の皆様の御意見を伺わなければいけないことはもちろんでございます。ただ、その当時から一年たっておりますけれども、あのときの結論でございますと、昭和五十五年でもマキシマム五百九十万トン、ミニマム三百九十万トン多い、こういう結論でございまして、その一番小さい三百九十万トン、このうち高炉分六十万トン引きますと三百三十万トンになるのでございますけれども、これを廃棄すべきである、これが絶対的過剰であるということを昨年二月の研究会の答申は言っておるわけでございまして、これが大幅に変わることは余りないのではなかろうかというふうにわれわれは考えておりますけれども、いずれにいたしましても、それは審議会の各委員の御意見を聞くべきことでございます。
○長田委員 安定基本計画を作成するには、海外の経済状況や為替レートの問題、また国内の需給見通しや輸出入の問題、あるいは内外における環境の変化などがありまして、大変むずかしい問題だろうと思います。こうした不確定要素の多い問題を検討するのは、平電炉設備小委員会のみで行うのはちょっと荷が重いのではないか、このように私は考えるのですが、この点いかがでしょうか。
○天谷政府委員 平電炉設備小委員会でよく御検討いただきました上、さらに鉄鋼部会にも諮りたいと考えております。
○長田委員 次に、需給見通しが決まりまして過剰設備が明確になるわけですね。次に、どういう設備を処理の対象とするのか、たとえば平電炉の場合は一つのラインになっておるわけでありますから、どれを処理するかということは非常に利害が絡むわけですね。これは部分的に廃棄できません。そういう問題が出てくるわけでありますが、そういう問題をどう処理されるのか、どう解決するのか、具体的にひとつお示しを願いたいと思います。
○天谷政府委員 設備の処理につきましては、当事者の御意見を尊重するということが根本であるというふうに考えております。平電炉につきましては、昨年二月以降、通産省の方で平電炉の企業に対しまして、個別に事情聴取を行っております。どういう設備を廃棄しようと考えておいでになるのかということを個別に当たっておりまして、この個別の聴取の結果を全部集計いたしますと三百三十万トンを少しオーバーするというような状況でございますので、私どもはこういう企業の御決意を尊重していきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。 ただもう一遍、この審議会等を開きます場合には、また各企業に対して、昨年以来経済情勢が変化しておるけれども、その後で処理計画の中身は大きな変化を見ていないのかどうか、これはなお当たる必要がございますけれども、私どもは、基本といたしましては各企業のその廃棄の計画を尊重したい、こういうふうに考えております。
○長田委員 さらに、大臣も雇用問題については格別な配慮をする意向を明らかにされておりますが、これをどこで検討されるのか、お尋ねをいたします。
○河本国務大臣 この法律を運用いたします場合に、安定基本計画をつくるということが一番大事な点だと考えておりますが、その場合に、やはり労働側の代表、それから地域の代表、それから中小企業、下請関係の代表、こういう方に入っていただきまして、そこで十分議論をしていただきましてその上で作成をしたい、そういう審議会の議論を通じて安定基本計画にそれが反映されるようにしたい、このように考えております。
○長田委員 安定基本計画について順次検討した後、総合的な判断を聞くというようなことは行われないのかどうか。この場合には産業構造審議会の鉄鋼部会となるのか、あるいは平電炉設備小委員会となるのか、この点はいかがでしょうか。
○天谷政府委員 小委員会におきまして満場一致の意見であれば、小委員会限りでやる方が時間を節約できるのではないかと思いますけれども、なお小委員会におきまして若干議論がある場合には、鉄鋼部会まで上げて検討したいと思います。
○濃野政府委員 ただいま平電炉の問題についての御質問でございますが、御質問の趣旨を体しまして、一般的な産構審の審議会と部会と小委員会との運営の基本方針をちょっと御説明申し上げておきます。 産業構造審議会におきましては、大体ほかの同種の審議会と同様に、通常は会長の同意を得れば部会の決議をもって審議会の決議とできるという規定がございます。したがいまして、ただいまの例でございますと、鉄鋼部会長が審議会の会長に相談をされまして、これはもう鉄鋼部会の問題として処理をしていいということでございますれば、部会の決議で審議会の決議といたします。それから、小委員会の決議は通常は部会の審議に付する、こういうことになっておりますが、緊急やむを得ない場合には、部会長の同意を得れば部会の決議とできるということで、小委員会の決議は原則として部会まで上げるというのが産構審の一般的な運用でございます。
○長田委員 最終的な判断をする場合、鉄鋼部会及び平電炉設備小委員会が既存の組織のままであったならばこの中で相談して決めよう、こういうことになるわけでありましょうが、実際問題、見通しは、利害が対立するために妥協を繰り返してしまって、あるいは政府の調整や指示に依存せざるを得なくなってしまう。そういう意味では、総合的な判断が、環境の変化等から来る微妙な情勢を遮断したものになってしまうのじゃないかと私は思うのです。 そこで、鉄鋼部会や平電炉設備小委員会にも関係者をさらに入れて、広く意見を求めるというような対策が必要ではないか、このように思いますが、どうでしょうか。
○天谷政府委員 平電炉につきましては、現在の委員で大体よろしいのではないかとわれわれ思っておりますが、なお、各方面の御意見を参照して検討したいと思います。
○長田委員 それでは、さらに具体的にお尋ねをいたしたいのでありますが、審議会の運営について国民の批判が強いというようなこれまでのあり方であってはならないと思うわけであります。また、審議会の運営、予算にとらわれて、雇用の安定や関連中小企業の経営の安定及び地域経済への影響などの配慮に欠けることがあっては当然なりません。そこで、関係者の意見が審議会に十分反映するような通産大臣の決意をお聞かせを願いたいと思います。
○河本国務大臣 審議会の意見は非常に大事ですから、最もいい答申をつくってもらえるように、私はよほどその都度臨機応変に工夫していかなければならぬと思います。いずれにいたしましても、審議会の運営には十分配慮いたします。
○長田委員 次に、第三条の「安定基本計画」と第四条における「事業者の努力」との関連についてお尋ねをいたします。 まず、第四条に「設備の処理その他の措置を自主的に行うよう努めなければならない。」とありますが、私は、この第四条の事業者の努力規定については、個々の事業者が、安定基本計画に従い、自己の判断によって自主的に設備の処理を行うのが基本であるとの認識に基づいて当然設けられたものである、そう考えるわけでありますが、公正取引委員長、見解をお尋ねをしたいと思います。
○橋口政府委員 そのとおりでございます。
○長田委員 通産大臣、この第四条の規定についてどう認識されておりますか。
○河本国務大臣 公正取引委員長と同意であります。(長田委員「大臣も公取委員長も何も言ってないじゃないか」と呼ぶ)
○橋口政府委員 長田委員が御指摘になりましたとおりの内容と私も了解いたしておりますが、もう一回申し上げますと、設備の保有、拡張、縮小、廃棄というようなことは、これは個々の事業者の基本的な財産権の運用の問題でございまして、したがいまして、個々の事業者が第一義的に判断すべき問題だ、こういう点から申しまして第四条が設けられたというふうに了解をいたしております。
○長田委員 個々の事業者が自主的な努力をすることが大前提である、こういうお考えのようでありますが、私は、この安定基本計画を見れば個々の事業者がどの程度設備処理をしたらいいか具体的にわかるように当然示さなくてはならないと思います。この点どうでしょうか。
○濃野政府委員 御指摘のように、四条で設備処理に関する基本的な考え方が上がっておるわけでございますが、そういたしますと、先ほど御指摘のように、自分が自主的に努力をする場合どういうことをやったらいいかということが安定基本計画を見ればわかるということにする必要があると思います。具体的に申し上げますれば、大体多くの業種におきましては、設備処理の方式がある程度一定の比率を前提に進められるということが考えられますので、その場合には、大体自分の業界において占めておりますシェアその他を勘案して、自分としてはこう進めればいいということがわかると思いますし、それから、単なる一律の設備処理というのは若干むずかしいという場合には、当然のことながら、この安定基本計画をつくります段階で、その業種としてどういう設備処理に個々の事業者が取り組めばいいかという設備処理の基本方針といいますか、取り進め方が議論されまして、それが基本計画に定められると思います。それに従って独自で、または共同して設備処理を進める、こういうことになるのではないかと考えております。
○長田委員 個々の事業者が対応できるような安定基本計画が示されるわけですね。その場合、個々の事業者が計画に従って設備処理等を行った場合、信用基金による債務保証の対象となるのかどうか、この点どうでしょうか。
○濃野政府委員 ただいまの御指摘の点は、結論といたしまして、安定基本計画に従って行う設備の処理を信用基金の債務保証の対象とするということで運用していきたい、かように考えております。
○長田委員 安定基本計画に従っておれば、この基金が利用できるということですね。 では、独占禁止法に基づく不況カルテルによって設備処理をした場合、本法案の信用基金による債務保証は受けることができますか。
○濃野政府委員 独占禁止法による不況カルテルの認可を受けて行う設備の処理がこの安定基本計画の線に沿っておる場合には、債務保証の対象に当然なると考えております。
○長田委員 本法律案第三十九条の二項で、債務保証の対象となるのは、「安定基本計画に従って行う設備の処理のため必要な資金」等の借り入れについてでありますが、この「従って」という意味は、一〇〇%基本計画に従わなければ対象とならないという意味なんでしょうか。
○濃野政府委員 私、物理的に一〇〇%全部がとは、この条文の精神を理解しておりません。要は、安定基本計画が定められまして、その定められたことに従ってその業種としての設備処理の目的が達せられて、この業界の安定が期せられるという場合には対象になると私考えておりまして、たとえば百万トン設備処理という場合に、それが仮に九十万トンであるという場合に、九十万トンの設備の処理が行われるという目安があるという場合に、これも百万トンに達しないから保証の対象にならぬというのは、私どもとしては運用上考えるべきでない、このように考えております。
○長田委員 先日通産大臣は、私の質問に対して、安定基本計画はガイドライン的な性格のものであると答弁をされたわけであります。私もそれほど厳密なものにはなりにくいのじゃないかという考えを持っておるわけでございますが、そうなりますと、この安定基本計画に従って自主努力によって設備の処理を行う場合に、債務保証の適用対象については幅を持たせて運用すべきではないかと私は思います。いま九〇%という話があったのですが、基本的な考え方はどうなのでしょうか。
○濃野政府委員 私は、ただいま九〇%という意味で申し上げたのではございませんで、要は、この安定基本計画の線に沿いまして業界全体の設備処理が終局的に行われることによって業界の安定が達成されるという見通しがある場合には、保証の対象にしていいと考えておりまして、それが九〇%であるのかあるいは八〇%であるのか、その辺は業種、業態によりましていろいろな考え方があると思いますが、具体的に決めざるを得ない、こういうふうに考えておりまして、その点は業種によりまして弾力的と申しますか、幅を持って考えてしかるべきではないかと考えております。
○長田委員 そうなりますと、ケース・バイ・ケースということですか。どうもはっきりしないのですけれども、第四条に「事業者の努力」の規定というのがありますね。この精神というのは、ケース・バイ・ケースではなくて、やはりある程度七〇%であるとかあるいは八〇%達成すればこの信用基金については十分弾力的に活用いたしましょう、採用いたしましょうというふうになりませんと、この事業者の努力規定というのは絵にかいたもちになってしまうのではないかと私は危惧しているわけでございますが、どうでしょうか。
○濃野政府委員 私ども、この対象業種は、この法律による設備処理の仕組みに乗ってまいります大前提といたしまして、その業界の数、かつ事業活動の上での大部分の事業者の申し出を前提に、安定基本計画の策定、設備処理が始まるわけでございまして、そもそも業界の大部分の方がやろうじゃないかということで始まるわけでございますから、設備処理安定基本計画が定められ、通常の場合には協力をして自主的に設備の処理を進めていこうということで始められるわけでございまして、したがって、ただいま九〇とか八〇とかいろいろな数字を申し上げましたが、やはり初期の自主的な解決への努力の意思は最後まで貫かれて業種としての設備処理の目的が達成される、つまり目的が達成できないという見込みのない限りその点は弾力的に対処をしていいのではないか、このように考えております。
○長田委員 次に、第五条の共同行為の実施についてお尋ねをしたいのでありますが、本条文に「事業者の自主的な努力のみをもってしては、」安定基本計画が「実施されないと認められる場合」とあるのは、具体的にはどのような状態なのでしょうか。
○濃野政府委員 これは、法律的には次のような場合を私ども予定しています。 第一には、法律にございます事業者の自主的な努力だけではないというその言葉の解釈でございますが、その業界の実情から申しまして、個々別々にはあるいはカルテルの話し合い等では進めないという場合が一つでございます。 それから第二に、先ほど申し上げましたように、そもそも設備処理のこの法律の仕組みに乗りますには、大部分の方の申し出でやるわけでございますから、そもそもその業界といたしましては、設備処理をやっていこうという大部分の方の意思が最初から出ているわけでございます。しかし、実際には、安定基本計画を定め、やってみますと、当初予定したようにはなかなかいかないという、まさに自主的努力ではいかないという二つの場合があるのではないかと思います。 ただ私ども、ここでは、「自主的な努力のみをもってしては」というのは、トライをしてみたが、一遍やってみようということで努力はしてみたがだめだということのほかに、ただいま私が二番目に申し上げましたように、一応安定基本計画までつくってみたけれども、実際にやろうとするといろいろな利害が対立してできなかったという二つの場合を私ども前提として考えております。
○長田委員 たとえば、安定基本計画に示された設備の処理の八〇%は自主努力によってできるけれども、残りの二〇%は自主努力によってもできないとなった場合、共同行為の発動を行うのかどうか。その場合、残りの二〇%に対して行うのか、それとも全体について行うのか、この点どうでしょう。
○濃野政府委員 八〇%設備の処理が自主的にできた場合にいわゆる指示カルテルを発動するかどうかというのは、先ほどとの関連でございまして、その業種が八〇%やれば、もはやいろいろな環境から見てそれ以上指示カルテルによってさらに残りの二〇%をやる必要があるかどうかという判断が一つございますが、仮にあと二〇%を国の立場から見てやる必要があるという場合には、ただいま御指摘の八〇を引きました残りの二〇について指示をする、こういうことになると考えております。
○長田委員 次に、本法律案については具体的に懸念される事項が非常に多くあると私は思うわけでありますが、特にこの法律案で予期されておりますところの構造不況産業に働く労働者の雇用の問題、また、そうした構造不況産業に関連する下請中小企業の経営安定の問題などが山積をいたしておるわけであります。さらに、その地域の経済に著しい悪影響と壊滅的打撃を与えてしまうおそれさえあると考えられるわけであります。こうした場合には、主務大臣に対して都道府県または関係市町村長は意見を申し出ることができるようにしておくべきではないかと私は考えるのです。これらについて、本法律案の規定は、そうした面に配慮が欠けておると言わざるを得ません。したがって、私は、ぜひとも本法律案を修正して、実りのある法律といたしまして成案させるべきであると考えておるわけであります。政府としてこの法律案がより機能を発揮するべく全力で取り組むべきであると考えますが、いま申し上げました何点かについてはいかがでしょうか。
○濃野政府委員 ただいまの御指摘の点につきましては、特に地域経済との結びつきの非常に強い不況業種もございますし、私どももこの設備処理の問題を取り上げるに当たりまして、検討の前提として考えなければならぬ重大な問題だろうと考えております。したがいまして、大臣からも審議の過程で御答弁がございましたように、基本計画の作成あるいはその前の候補業種の指定、それからカルテルの指示等々に審議会の場を通じまして審議をお願いするということになっておりますので、その審議会の場におきまして、必要がある場合には代表の方にいわば審議に参加をしていただく、あるいはその場で審議会のメンバーにはならないといたしましても、特に地域的な結びつきの強い産業の問題を取り上げる場合には、お申し出等があれば当然のことでございますが、そうでない場合におきましても、関係の地方公共団体等から十分地域としての御意見を伺いまして、その御意見を反映をさせていくということで運用に努めていきたいと考えております。
○長田委員 続いて、通産大臣にお尋ねをしたいのでありますが、本法律で期待するほどの効果が発揮されなかったときに、政府が望まなくとも、業界の保護を求めるプレッシャーグループの力によって、アウトサイダーの規制や独占禁止法の緩和措置などの新たな対策を要望する動きが表面化してきた場合、政府はこれにどのように対応されるのか、お尋ねをいたします。
○河本国務大臣 これは仮定のことでございますから、ちょっとお答えしにくいのですけれども、この法律ではアウトサイダーの規制はしない、こういうことですから、この法律に関連してアウトサイダーの規制をするということはございません。
○橋口政府委員 戦後三十年間の日本経済の経緯を見ましても、その中におきまして構造転換あるいは構造不況に伴う産業転換という歴史的な事実があったのでございますけれども、その場合は、昭和二十二年に制定されました独占禁止法の基本的な骨格を変更することなく日本経済は対処をしてまいったのでございまして、ただいま先生から御指摘がございましたような、将来独占禁止法の緩和を求める動きというようなことが起こり得るかどうか、私は、仮にそういう事態が起こりましても、昨年改正強化されました独占禁止法の運用によって日本経済は十分対処し得る、こういうふうに考えております。
○長田委員 政府が一たん手をかしてしまいますと、民間がそれに依存してしまって、一つの対策が十分に機能しないで行き詰まると、次の対策が当然必要とされるわけですね。いわゆる行政と企業との悪循環が始まってしまうんじゃないかと私は思うのですね。そうなりますと、構造不況業種をそのまま温存してしまうということにもなるわけでありますし、さらには不況の回復をおくらせていく結果にならざるを得ないと思うわけであります。そういう意味で、企業の自己責任を明確にするためにも、このような動きには断じて妥協することのないように、大臣の決意をお伺いいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○河本国務大臣 たびたび申し上げておりますように、こういう法律ができましても、実際には各業界で、そういう法律なんかあてにしませんよ、自分たちの工夫と努力でやりますよ、こういうふうにやってもらうのが一番いいと私は思っているのです。したがいまして、この法律ができました場合に、自主的な努力ではどうしてもやりにくい、やはりこの法律に依存していこう、こういう業界があった場合、いろいろやってみたけれどもどうもうまくいかぬ、また何かしてくれ、そういうことを言われましても、これはきりがないことでございますし、やはり援助するのには限度というものがありますから、そこは心得て指導していきたいと考えております。
○野呂委員長 安田純治君。
○安田委員 時間がありませんので、問題をしぼって御質問いたします。 今日までの質疑を通じて本法案の欠陥といいますか、問題点が大分明らかになってきたと思います。 第一点は、本法の主な柱は設備廃棄にあるわけで、それだけではこれら業種が安定するとは思われないわけです。この点は通産大臣もお認めになっておられるようで、設備廃棄以外の諸般の施策をとる必要がある、こういうふうに従来の質疑の中でおっしゃっておったように承知しております。つまり本法案は名が体をあらわしていないのじゃないか。極端なことを言えば、羊頭を掲げて狗肉を売るといいますか、特定不況産業の安定法だと言うけれども、そのほんの一部の施策にすぎないというふうに言わざるを得ないのですが、その全般の施策のための法案のように読めるわけで、なぜ設備廃棄以外のそうしたいろいろな施策をこの法案に盛り込めなかったのか、この点を一つ伺いたいと思います。 それから第二点は、過剰設備に対する銀行、商社、あるいは高炉系ですと系列親企業などの責任が明らかにされていない点であります。各業種によって異なる過剰設備の原因を捨象して、過剰設備の現状、つまり結果の態様のみを取り上げたのが本法案だと言わざるを得ないと思うのです。過剰設備を招いた根本原因及び責任の所在を明らかにして、それについての対策がなければ経営の安定はあり得ない。結局政府は次々と新たな助成を打ち出さねばならないということになる。私どもの方の工藤委員がこの間、打ち出の小づちというような言葉でこれを表現しましたけれども、そういうことになるのではないかと危惧されるわけであります。過剰設備を招いた銀行、商社あるいは親企業の責任をどう考えるか、またはその責任に応じ、応分の負担を銀行などにさせるべきではないか、この点についてお考えを伺いたいというのが第二点です。 第三点は、雇用の安定についてでございますが、この法案では、首切り、配置転換などによる労働者の犠牲を防ぐきちっとした歯どめがないと言わざるを得ない。これは先ほどからも同僚委員が大分発言しておりましたけれども、この点をどう考えるか。 この三点について、まずお伺いしたいと思います。
○河本国務大臣 まず、第一の御質問でございますが、設備廃棄ですべての問題が片づかないではないか、こういうことでございますが、もちろんすべての問題は片づきませんけれども、いまいわゆる構造不況業種と言われております業界の大部分の問題最大の課題は、設備の廃棄にあると私どもは考えております。設備の廃棄をやれば、まずまずその業界は立ち直りのきっかけができるわけでございますから、そういう意味で、今回は設備の廃棄を中心にこの法律案の御審議をお願いしておるということでございます。 それから、銀行とか商社は責任を持つべきである、こういうお話でございますが、これは私どももそのように考えております。したがいまして、保証枠を設定いたしまして設備廃棄に必要な資金を貸し出す場合には、関係の銀行や商社に裏保証をしていただこう、こう思っております。 それから、雇用問題でございますが、これは非常に大事なところでございます。そこで、安定基本計画をつくります場合に、労働側の代表、それから下請企業、取引先の中小企業、それから地域の代表、こういうところの意見を十分聞いて、そういう意見が反映されるような形で審議会を運営しながら審議会の答申を得たい、このように考えておるところでございます。
○安田委員 この法案の「目的」の中に、たとえば雇用安定ということを入れるとか、あるいはいまの法案の第三条の二項三号を見ますと、「第一号の設備の処理と併せて行うべき事業の転換その他の措置に関する事項」とございますが、「その他の措置に関する事項」の中に雇用の安定のことが入らないのかどうか。もしそうだとすれば、明文でここに「雇用の安定を図るための措置を含む」と仮に入れた場合、この法案の運用が、現在審議している原案と全く雇用の問題について違ってくるのかどうか、その点についてはいかがでしょう。
○濃野政府委員 この法律は、ただいまでも審議の過程を通じまして御答弁申し上げておりますように、構造不況問題の解決の共通的な問題でございます設備の処理の促進ということの仕組みをつくるというのがこの法律の内容でございまして、したがって、雇用の安定ということが設備の処理を進める大前提として非常に重要であることは、私どもも、たびたび繰り返し申し上げておるように、十分な認識を持っておりますが、たとえば三条の「安定基本計画」の内容は、そういう意味で設備の処理に関する直接的な、対象設備を何にするか、設備の処理量をどうするか、そのための新増設をどうするかというような直接的な問題を基本計画の中にしたい、したがって、三号も、私どもが考えておりますのは、「事業の転換その他の措置」と申しますのは、たとえば生産の受託、委託の関係でございますとか、あるいは販売の提携問題とか、むしろそういう設備の処理、さらに一歩進みまして、何と申しますか業界の今後のあり方というような問題を基本計画の中にする、こういうつもりでおったわけでございまして、雇用の安定ということは最終的な目的ではございますけれども、この法律による基本計画の内容にするのはいかがか、こういう感じで法案の作成に当たったということでございます。
○安田委員 きょう午前中から夕方まで、参考人の方々の意見を聴取したわけですが、そこでも異口同音に、雇用の安定が非常に重要だということは痛切に訴えられておりますし、そのやり方として労働組合あるいは労働者との協議、安定基本計画の策定あるいは業種の指定、いろいろの段階においてぜひそういうことをしてもらいたいという意見も痛切に述べられておるわけであります。ですから、どうもこの法案で見ますと、三条の二項三号の「その他の措置」には雇用の問題は入らぬのだというふうになる。そうなると、どうしてもこれをどこかに明文ではっきりさせないと、まさにこの十条の一項の「その雇用する労働者について、失業の予防その他雇用の安定に配慮しなければならない。」という文章は、まことに無力なものであるということをますます浮き彫りにするように思うのであります。その点、通産大臣いかがでしょうか。
○濃野政府委員 私も本日参考人の方々の御意見をずっと承っておりましたが、御指摘のように雇用の安定問題ということが非常に重要である、私もそういう認識をますます深めたわけでございます。しかし、繰り返しになりますが、この法律は、設備処理に直接関連する問題これを計画の内容にし、そしてそのためのいわば仕組みをつくるというのが法律でございまして、雇用の安定ということが非常に重要なことであり、そのためには、たびたび御答弁申し上げているように、審議会の場その他審議の場を通じて労働団体代表者の御意見等を十分拝聴する、あるいは具体的に各事業者が設備の処理をする場合に当該会社の労働組合との間で十分な協議が行われること、これは当然でございますが、この法律の内容をなすこの法律の明文の規定にそれがなるかどうかということになれば、これは別の問題ではないか、こういうことでこの法案を作成したわけでございます。
○安田委員 この法律の目的を見ますと、「もって国民経済の健全な発展に資することを目的とする。」と書いてありますが、どうもこの設備廃棄によって国民経済の健全な発展に資さないんじゃないか、失業者が町にあふれ出るような状態になるんじゃないかということを非常に危惧するわけであります。 それはともかくといたしまして、銀行、商社あるいは系列親企業などの責任については、われわれはそういう責任はある、この過剰設備についてあおったという認識をしております。仮に一歩下がっても、見込み違いによって過剰な投資をしたということは、これは争えないんじゃないかというふうに思います。認識と結果の不一致といいますか、まさかこういうことにならないだろうと思ってやったのかもしれませんけれども、たとえて言えば自動車の暴走と同じで、まさか人をひくと思わないでアクセルを踏んだところが、それで人をひいてしまうような状態になった。これはまさに法律上の過失そのものでございますから、そういう意味で、積極的にあおったかどうかについて認識に多少違いがあるにしても、これは銀行、商社、系列親企業などの責任については免れないというふうに思うわけです。これにやっぱり応分の負担をさせないということは、一つは社会的不公正にもつながるというふうに思います。 三方一両損ということでよく言いますけれども、労働者は、この特定不況産業の業種に就職するについて、過失も何にもないわけです。しかしながら、こうした業種に過剰設備をせしめた銀行、商社、系列親企業などは、そういう点では過失がある。それを三方一両損というようなことでは相済まないんではないかと思います。しかも銀行、商社は全然損しない。三方のうち二方だけが、あるいは労働者だけが三両損するというようなことになるのではないかというふうに思うわけです。 たとえばこの特定不況産業安定臨時措置法に基づくいろいろな施策をするについては、銀行などの金利の免除やあるいは一部債務免除、返済の繰り延べなどを条件として本法の施策を発動するというような制度だって考えられるわけでございまして、先ほど通産大臣が裏保証とおっしゃいましたけれども、これは法的な強制力もない。中身も、先ほどから伺っておりますと、どうもはっきりせぬ、こういうような状態で、結局はこうした過剰設備を生ぜしめた責任のある者の免罪をしておるというふうに言わざるを得ないと思います。 このような姿勢であるから、三月三十一日の日経新聞によりますと、「構造不況法案生ぬるい」ということで、「産業界の不満爆発 政府はゲンナリ」、こんなことが書いてあります。「ある担当官は「政府案が完全無欠だとはいわないが、業界も“おんぶにだっこ”の意識が強過ぎはしないか」と苦りきっていた。」という新聞報道もあるわけでございます。 このように見ますと、なぜこのように業界が開き直るといいますか、おんぶだっこというような姿勢を示すかというと、やはり一番もとになった商社、銀行、こうしたものの免罪をしておるという姿勢から、そうした責任者に対して協力を求めるよりは、ただひたすら政府に協力を求めて、おんぶだっこというような業界の姿勢になるんではないかというふうにも思えるわけでして、この点について最後に通産大臣のお考えを伺いたいと思うわけであります。
○河本国務大臣 これは先ほど申し上げましたように、信用基金の保証を得まして設備の廃棄に必要な資金を借り入れする場合には、取引先、ときには銀行の場合もありましょう、ときには商社の場合もありましょう、あるいはときには双方の場合もありましょうが、やはりその裏保証を得て必要な資金を借り入れする。だから、やっぱり応分の責任を果たしてもらう、応分の手伝いをしてもらう、こういうことになっておるわけであります。 それから、内容につきまして、もっとしっかり応援をしてもらいたいというような意見も一部にあるように聞いておりますけれども、やはりそこにはおのずから限度というものがございまして、いわゆるおんぶにだっこ、そういうことはできませんので、こういう法律ができましても、むしろこういう法律に頼らないでその業界が立ち直っていこう、これくらいな気魄を持っていただきたいと私は思っておるのです。一部の業界は、そういうことでやってみよう、こういう業界もあるようでございますから、それは私は高く評価しておるわけでございまして、政府の援助にはおのずから限度がある、こういうことでございます。
○安田委員 時間が来ましたのでこれで終わりますが、応分の負担は裏保証だと言われますけれども、これはなっておるとおっしゃいますが、法文の上ではどうもそうは読み取れない。行政指導でおやりになるということだろうと思うのです。しかも中身が法案の審議の過程において必ずしもはっきりせぬ。どの程度の裏保証をどうするのだ、金利はどうするのだ、いろいろな問題があると思うのです。この問題がはっきりしないままこの法案を審議しておるわけでして、労働者の犠牲に対する歯どめもなし、過剰設備を生ぜしめた銀行、商社の責任についても免罪をしておる、応分の負担をさせるということについても法律の明文上は何もあれがないということで、どうも私どもとしては賛成しかねる法案だと思うのですが、この点については、時間がございませんので、ぜひそういう点も考えて、この政府原案にそうこだわらずに今後考えていただきたいということを御注文申し上げて、私の質問を終わります。
○野呂委員長 以上で本案に対する質疑は終了いたしました。 速記をとめてください。 〔速記中止〕 〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕 〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕 〔委員長退席、中島(源)委員長代理着席〕 〔中島(源)委員長代理退席、委員長着席〕
○野呂委員長 速記を起こして。 —————————————
○野呂委員長 特定不況産業安定臨時措置法案に対し、武藤嘉文君外四名から、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブ五派共同提案に係る修正案が提出されております。 この際、修正案について提出者より趣旨の説明を求めます。岡田哲児君。 ————————————— 特定不況産業安定臨時措置法案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○岡田(哲)委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、提案者を代表して、私から提案の趣旨を御説明申し上げます。 修正案は、お手元に配付されておるとおりでありますが、修正点の第一は、目的に、雇用の安定及び関連中小企業者の経営の安定に対する配慮を加えることであります。 第二は、安定基本計画に定める事業の転換その他の措置には、雇用の安定を図るための措置を含むものとし、安定基本計画は、雇用の安定及び関連中小企業者の経営の安定について十分考慮されたものでなければならないものとすることであります。 第三は、関係審議会が安定基本計画について意見を定めようとする場合には、あらかじめ、主たる事業者団体及び労働組合の意見を聞かなければならないものとすることであります。 第四は、事業者が設備処理等を行うに当たっては、労働組合または労働者の代表と協議して雇用安定措置を講ずるよう努めなければならないものとすることであります。 第五は、国及び都道府県は、関連中小企業者の経営安定に資するための措置を講ずるよう努めるものとすることであります。 第六は、都道府県知事は、地域経済に著しい悪影響がある場合には、主務大臣に対し、意見を申し出ることができるものとすることであります。 最後に、主務大臣及び労働大臣は、特定不況産業の労働者の雇用に関する事項について、相互に連絡、協力しなければならないものとすることであります。 以上が修正案の趣旨であります。 委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○野呂委員長 以上で修正案の趣旨の説明は終わりました。 —————————————
○野呂委員長 これより原案及び修正案について討論に入ります。 討論の申し出がありますので、これを許します。安田純治君。
○安田委員 私は、日本共産党・革新共同を代表し、特定不況産業安定臨時措置法案に対する反対討論を行います。 反対理由の第一は、「特定不況産業」における人減らしに拍車をかけるものとなっていることであります。 本法案は、特定不況産業の実態に即した安定基本計画を策定し、不況の克服と経営の安定を図るとしているのでありますが、その柱である安定基本計画の内容は過剰設備の処理の促進に限定されており、他方、失業防止、雇用安定については設備処理を前提とした上に訓示規定にとどめており、失業防止に実効性のある歯どめは何もなく、設備処理に伴う人減らしの道の地ならし法となっているのであります。 平電炉、アルミ製錬、合成繊維、造船の法定四業種を初め予想される特定不況産業では、すでに大幅な人減らしが行われておりますが、これら産業が本法による指定を受けるならば、政府の定める安定基本計画すなわち設備処理計画をてこに、より一層の人減らしに突き進むことは明らかであります。特定不況産業の指定、安定基本計画という名の設備処理計画は、まさに、「人減らし促進産業」のお墨つきを与え、その実施に手をかすものにほかならないのであります。 第二は、過剰設備を招いた原因を捨象し、現在の事態に責任を負うべき者を免罪した上、責任のない国民へのしわ寄せを図っていることであります。 政府は、これらの業種における過剰設備が「予測せざる経済事情の変化」によって起こったとし、あたかも不可抗力のように言うのでありますが、これは事実に反するものであります。工藤晃議員が本法案審議で明らかにしたように、現在の過剰設備は、石油危機後の需要の停滞、減少が顕著となった時期に、政府の誤った需給予測などをもとに過大な設備投資を続けた結果であります。 そして、この無謀な設備投資については、当該産業の事業者とその親企業、商社、金融機関が一体となって進めたものであることは、周知の事実となっております。したがって、これら産業の安定については、銀行、商社などが応分の負担をするべきであります。 ところが、本法案においては、銀行、商社などの責任については全く不問に付したばかりか、逆に「特定不況産業信用基金」の債務保証によって、銀行、商社などのリスクを肩がわりするものとなっているのであります。政府は銀行、商社に裏保証させると答弁しておりますが、それはあくまで行政指導ベースであり、法的裏づけは何もありませんし、どの程度裏保証させるのかも明確な案を持たないといういいかげんなものです。 このように、本法案は、銀行、商社に責任をとらせるどころか、国家資金による銀行、商社の保護を図るもので、とうてい国民の容認できないものであります。 第三は、指示カルテルの問題であります。 この指示カルテルは、独禁法の不況カルテルにおいてはできない市況回復後のカルテル続行とそれによる価格つり上げを図るもので、独禁法に風穴をあけ、物価の上昇を招くものであります。 このように、本法案は、経済の構造的危機のもとであらわれた結果としての過剰設備にのみ対応しようとするもので、過剰設備を招いた原因すなわち構造的危機そのものに対応するものとはなっていないため、目的に掲げた「不況の克服と経営の安定」どころか、銀行、商社の保護を図りつつ雇用失業問題を一層深刻にするものにほかなりません。さらに、経営効率を主眼とする設備処理、減量経営の趨勢として、下請企業、関連中小企業へのしわ寄せ、企業の集中、合併が促進され、危機の拡大再生産を準備するもので、このような法律は国民本位の立場からは絶対に容認できないものであります。 なお、修正案につきましては、銀行、商社の保護はそのまま残され、雇用の安定を図るための措置といっても、それはあくまで設備処理とあわせて行う措置としてのもの、つまり設備処理を前提としたもので、その後始末にすぎず、本法案の銀行、商社保護、首切り促進法としての性格を変えるものではありません。 したがって、積極的には賛成し得るものではなく、日本共産党・革新共同は、修正案そのものへの態度は棄権とするものでありますが、本法案には、以上の理由により反対するものであることを主張して、討論を終わります。
○野呂委員長 以上で討論は終わりました。 —————————————
○野呂委員長 これより採決に入ります。 武藤嘉文君外四名提出の修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○野呂委員長 起立総員。よって、本修正案は可決いたしました。次に、ただいま議決いたしました修正部分を除いて、原案について採決いたします。修正部分を除く原案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○野呂委員長 起立多数。よって、本案は武藤嘉文君外四名提出の修正案のとおり修正議決すべきものと決しました。 —————————————
○野呂委員長 次に、本案に対し、山下徳夫君外四名より、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブ五派共同提案に係る附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者より趣旨の説明を求めます。松本忠助君。
○松本(忠)委員 ただいま提案いたしました附帯決議案につきまして、提案者を代表して、提案の趣旨を御説明申し上げます。 まず、案文を朗読いたします。 特定不況産業安定臨時措置法案に対する附帯決議(案) 政府は、現下の構造不況業種の深刻な事態にかんがみ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。 一 景気浮揚対策の一層強力な推進を図るとともに、構造不況業種の実情に応じ、官公需の拡大等その他積極的に需要の創出に努めること。 二 安定基本計画に従つた設備処理の実効を十分確保するため、共同行為に参加しない事業者に対しても強力な行政指導を実施すること。 三 雇用保険法に基づく雇用安定資金制度、特定不況業種離職者臨時措置法に基づく措置等の充実に努め、その積極的、弾力的運用を図ることにより、構造不況業種における失業の予防対策及び離職者対策に万全を期すること。 四 特定不況産業信用基金の債務保証については、設備処理の進捗状況等に応じ資金の充実に努めるとともに、構造不況業種の設備の処理に伴い、関連中小企業者の経営の安定及び雇用の安定を図るため、金融の円滑化等必要な措置を講ずるよう努めること。 五 安定基本計画の策定に当たっては、輸入の動向を十分考慮するとともに、輸入の急増によって構造不況業種に重大な被害が生じるおそれがある場合には、随時適切な措置を講ずること。 六 設備の処理に当たつては、業種の実情に応じ、設備の廃棄を必要最小限にとどめるよう努力すること。 七 本法の施行に当たつては、労使協力して構造不況を克服するよう必要に応じ適切な指導を行うこと。 八 設備の処理に伴う地域経済への悪影響を配慮し、地域経済の維持を図るため、法的措置を含め適切な対策を検討すること。 以上であります。 附帯決議の各項目の内容につきましては、審査の過程及び案文によりまして御理解をいただけるものと存じますので、詳細の説明は省略させていただきます。 委員各位の御賛同をお願いいたします。
○野呂委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○野呂委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。 この際、附帯決議について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。河本通商産業大臣。
○河本国務大臣 ただいま御決議をいただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、構造不況業種対策の実施に遺憾なきを期してまいる所存であります。
○野呂委員長 お諮りいたします。 本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○野呂委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○野呂委員長 次回は、明五日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後九時三十六分散会 ————◇—————