商工委員会 第5号
- 発言数
- 89 件
- 登壇者
- 11 名
- 会派数
- 2
- 開催日
- 1978/02/21
会議録
○野呂委員長 これより会議を開きます。 通商産業の基本施策に関する件、経済の計画及び総合調整に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。板川正吾君。
○板川委員 過日行われました通産大臣、経企庁長官、公取委員長の所信表明、あいさつについて若干質問いたしたいと思います。 質問に入る前に、いま報道されております永大産業の倒産について、一、二冒頭に質問してみたいと思います。 きょうの新聞等によりますと、政府も、永大産業が戦後最大の規模の倒産である、関連企業に影響するところが非常に大きい、また、たくさんな顧客を現に持っておる、あるいは雇用対策、こういう問題を非常に重視されて、金融的措置や救済対策をとりつつあることは私も承知をいたしておりますが、通産大臣はこの永大産業の倒産の原因というのを一体どこにあるとお思いになりますか、この原因について一言承っておきたいと思います。
○河本国務大臣 原因は幾つかあると思いますが、やはり最大の原因は、永大産業全部の事業量のうち四五%を合板が占めておったということでありまして、合板業は、御案内のように、ここしばらく非常に悪い状態が続いておりまして、そのために永大産業も合板分野から相当な悪い影響を受けまして、これが重荷になっておったということであります。住宅部門は一時非常に落ち込んでおりましたけれども、最近はやや持ち直しまして前途に明るさが見え始めておったということでございますから、やはり一番大きな原因は合板業の不振、こういうことではなかろうかと考えております。
○板川委員 合板という事業は、三年赤字が続いても三月景気がよくなるとその三年の赤字を取り返すというぐらい、まあ三年ほど前にそういう時期があったのでありますが、あるとき赤字が続いても、一たん好況になりますとその赤字を一挙に取り返すという体質を持った事業なんです。 私は、この永大産業の倒産の第一の原因はワンマン経営にあったんじゃないだろうか、こう思いますね。たとえば山陽特殊製鋼あるいは興人、この永大産業、皆一代で産をなしたワンマン社長のもとに急成長した会社、その急成長した体質の中に蹉跌の道を歩んできた、こういうことが原因じゃないかな、こう思うのです。合板会社が全部つぶれておるなら別ですけれども、そうじゃないのであって、永大産業がつぶれた原因はワンマン経営が大きな要因ではないか。 第二は、私は銀行の責任というのが非常に大きいと思うのですね。ワンマン経営に迎合して融資をどんどん行ってきて利益を受ける、そして経営が悪化すると、これはもう退却をして損をしない。もうけるときはもうけて損をしないという、その虫のいい銀行の体質というのがこの倒産を助長した一つの要因だろう、こう思います。私は、この永大産業及び関連事業者の救済対策にやはり銀行自身も大きな責任を負うべきだ、こう考えますが、大臣はいかがですか。
○河本国務大臣 銀行側もその点は十分責任を痛感せられまして、後始末につきましては、大蔵省の指導等も受けながら、また通産省からもいろいろと要請をしておりますので、最大限の配慮を払っておると思います。 特に私どもが一番配慮をしなければならぬと考えておりますのは、永大産業の手で家を建てた方々、これはメンテナンスの問題等がありますので、こういう方々の不安というものを一掃しなければなりませんし、そういう方々には迷惑をかけないようにしなければならぬと思います。 それからもう一つは、現に契約をしておって家を建築中の方々、こういう皆さんにも当然御迷惑をかけないようにしなければならぬと思いますし、それから関連の中小企業、下請企業、こういうところに対してもいろんな配慮が必要かと思います。 被害を、また悪い影響を最小限度に食いとめるために、関係各省間で昨日来引き続きまして打ち合わせをいたしております。通産省では、大阪通産局に緊急の対策本部を設けまして、幾つかの対策を関係各省の出先機関と連絡をとりながらいま進めております。そういうことで、関係の金融機関もこの後始末につきましてはできるだけの配慮をしておるところでございます。
○板川委員 関連中小企業に連鎖倒産が起こらないようにひとつ通産省としても万全の対策をとっていただきたい、こう思います。 それでは、本論に入りたいと思います。 通産大臣に伺いますが、経済見通しについて伺いたいのです。政府は、御承知のように、五十三年度の経済成長七%。この七%がアメリカから押しつけられたか約束なのかは別といたしまして、米国側の関心は、七%というよりも、経常収支の黒字を本当に日本が六十億ドルに減らしてくれるのかという点にあると私は思うのです。七%の成長率というのは、経済の総合政策の帰結として、内政上、雇用問題、物価問題と関連して重要であります。しかし、外国が関心を持っておるのは、七%の成長率というよりも、黒字を日本が六十億ドル程度にことし減らしてくれるかどうか、これが私は外国の強い関心の的であり要請でもあろうと思うのであります。 この黒字六十億ドルというのは、内閣全体の責任もさることながら、やはりこれは通産省、通産大臣が主として貿易上黒字六十億ドル程度にとどめるような当面の責任を持っておる、こう思います。その意味において、この五十三年度経常収支六十億ドルを実現する可能性はいかがなものでしょうか、この点についてお伺いをいたします。
○河本国務大臣 いまお述べになりましたように、ことし五十三年度の経済成長目標七%という高目の目標を設定いたしました理由は二つあるわけであります。その一つは、このことによりまして景気の回復を図りまして雇用問題を少しでもよくしていきたい、こういう景気の回復による雇用問題の安定という問題が一つであります。それから、国際的には、昨年のような大幅な黒字を日本が引き続きまして計上をいたしますと、やはりそれが引き金になりまして世界で保護貿易が台頭する懸念がございます。どうしてもやはりこの保護貿易の台頭を抑えまして自由貿易という原則を守っていくということのためには、日本は引き金にならないことが大切であります。そこで、会計年度五十二度におきまして百億ドルを相当超えると想定されております経常収支の黒字を五十三年度にはほぼ半減をしたい、そのことによって保護貿易の台頭を抑えていきたい、世界経済全体に悪い影響を及ぼさないようにしたいというのが第二の目標でございまして、いまお述べになりましたように、七%成長を達成することによって六十億ドルという黒字に減らそうということでありますから、ここに大きな主眼があるわけであります。 現状は、それじゃ七%の成長を達成すれば自動的に六十億ドルの黒字になるかといいますと、必ずしもそれだけでは私はならぬと思います。そこにはいろんな工夫、またいろんな努力というものが必要でありますが、ただいまのところは、何としてもこの六十億ドルという経常収支の黒字は達成しませんと、昨年に引き続きまして日本は国際社会で信用を失うわけでありますから、通産省といたしましても万全の対策を尽くしていかなければならぬ。また、それに対して通産省は非常に重い責任を担っておるということは、十分自覚をいたしております。
○板川委員 私、申し上げましたのは、外国の関心は七%というところよりも——七%は、どっちかといいますと、国内的に重要な政策なんです、雇用問題、物価問題を含んでおりますから。ただ、外国が関心を持っておるのは、七%という成長率の数字よりも、経常収支を六十億ドルに減らすということに重大な関心を持っておるだろう、こういう意味で、その六十億ドルという黒字にとどめる当面の責任は通産省にあるんじゃないか、私はこういう意味で、通産省としては六十億ドルの方に重要な関心を持つべきだろうという意味を申し上げたんです。それで、その見通しについて、そういう方向で努力するという程度のお話ですが、私は、これが非常に重要だということを一言強調しておきます。 それから、この七%成長率、経常収支六十億ドルの黒字を前提とした場合に、五十三年度の円レートは一体どのくらいに想定をされておるのでしょうか。この点を伺います。
○澤野政府委員 お答え申し上げます。 経済見通しを策定いたしますときの円レート、これは、将来を見通すことはやはり円レートというものの性格から非常に困難なものでございますので、実際に経済見通しを策定する時期の約一カ月前の円レートの平均をとっております。 五十三年度の見通しにつきましては、大体二百四十五円程度のレートで推計いたしておりまして、将来どうなるかということを申し上げる立場にはございません。
○板川委員 一応策定する前のレート、二百四十五円を基礎として考えておられる、それから円が上がればまた数字は変わってくる、こういうことですが、それはそれで承っておきましょう。 通産大臣、この夏西独のボンにおいて主要国の首脳会議が行われると言われておりますが、この会議では経済問題が中心になっておると言われております。そのときに諸外国の関心は、日本の経常収支六十億ドル黒字という見通しに集中してくると私は思うのであります。 最近の貿易収支の現状から見て、この六十億ドルの黒字という目標を達成するということが、可能性がありますか。最近の一月、二月の情勢でありますが、去年は百億ドルを超えると言われておりますが、ことしそれを半減して六十億ドル黒字に抑える、こういうことは最近の情勢等を見て、六十億ドル達成は貿易上可能と見ておりますか、どうお考えですか。
○河本国務大臣 七月の首脳会談の一つの大きな議題は、これはいま御指摘がございましたように、自由貿易の原則を守るためには一体どうしたらいいか、こういうことで、当然東京ラウンド等との関連においていろいろ議論があると思います。 そこで、日本がことしの目標としております六十億ドルの経常収支の達成は現時点において可能であるかどうか、現在の貿易の数字から考えて一体どうか、こういう御質問でございますが、現時点はまだ五十二年度中でありまして、ようやく第一次補正が先月通った状態でありますから、まだ国内の景気回復によりまして貿易の収支関係が改善されたというところまでは行っておりません。また、私は六月ごろまではそんなに大きな改善はないのではないかと思います。やはり相当大きな改善が目立ち始めますのは、五十三年度予算が実行に移されまして、そしてやはり若干時間が経過をいたしまして、それが大きな効果をあらわしてくる、相当景気浮揚に役立ってくる、こういう事態になって、そこである程度貿易収支の改善が進むのではないか、このように想定をしておるわけであります。でありますから、現時点の数字でどうだと言われましても、現時点の数字はなお改善されていない、しかしながら、将来の展望はいま申し上げたとおりである、このように考えております。
○板川委員 私は頭の中に入れて質問したのは、昨年の輸出認証統計を見ますと、前半が低くて後半上がっているのですよ。この前半が低くて後半上がっている、いまその上がっている状態を横ばいないしそれからふえている、こういうことになっておるように見るので、たとえば自動車の対英米輸出の近況とかあるいは鉄鋼の輸出など、前年と比較してみますと、昨年規模あるいは昨年より少な目に抑えようとすると、ことしの後半相当下げないと、こういう状態で上がってきていますから、こう下げないと、昨年と大差のない数字というわけにいかなくなって、結局昨年よりも二割も三割もまた多いという結果になるんじゃないか。そういう意味で、この西独ボンにおける首脳会議の前にはある程度山の形を調整しておく必要があるんじゃないだろうか、こういうふうに頭の中で考えて質問したわけでありますが、まだ二月も過ぎておりませんから、私は、この四月、五月ごろの見通しを輸出認証統計などを見ながら調整するときが来るんじゃないだろうか、こういうふうに考えておるわけですが、この点は一応議論として指摘しておくにとどめたいと思います。 次に伺いますが、黒字六十億ドルに抑えるためには、まず輸入を拡大することが一つの条件だろうと思います。そのために七%成長率というのが必要なことになるわけでありますが、輸入を拡大し、第二は経済協力を積極的に拡大してドル減らしをする必要がある。第三に輸出を調整する必要があるんじゃないか、こういう必要がある時期が来るんじゃないかという意味で申し上げておるのであります。 ところで、これは経企庁だと思いますが、五十三年度の予算を見ますと、経済協力費は伸び率において下がっておりますね。予算が二〇%超えているのに経済協力の伸びは一六%。本来なら、ドル減らしをするためには経済協力というものを拡大しなくちゃならないのに、実際減らす、減っておるというのはどういうことなんですか。
○澤野政府委員 お答え申し上げます。 先生のおっしゃいます五十三年度の経済協力費は減っておるということは、ちょっと数字上は違うのでございます。(板川委員「比率が」と呼ぶ)五十三年度でございますか。——じゃ、私の方から御説明を申し上げますけれども、五十三年度の一般会計予算では、五十二年度が二千百三十六億円という経済協力費に対しまして、五十三年度は二千六百三十四億円、これは四百九十七億円の増ということになっております。 また、この経済協力を表明いたす場合に、政府開発援助がどの程度であるかという、いわゆるODAというものがどういうものであるかということがよく言われるのでございますけれども、五十三年度におきます政府開発援助の予算ベースで申しますと、これはGNP比約〇・三〇となりまして、六千三百億円前後でございます。これは、五十二年度のGNP比〇・二八でその実額が約五千五百億円に対しまして、一五・八%の増となっておるわけでございます。したがいまして、予算ベースでは少なくとも相当の経済協力に対するウエートを置いておるということでございまして、数字的に、また比率的に申しましても、予算ベースでは確かに上がっておるわけでございます。 ただし、五十一年暦年の実績というものは、五十年の実績に比べまして、事実これは支出ベースでは下がったわけでございますが、これは五十一年のことでございまして、これからの問題といたしましては十分ふえておるとわれわれは思っておるわけでございます。 ただし、この点は経済企画庁が担当ではございませんで、どちらかと申しますと外務省でございますけれども、私、経済企画庁の立場からお答え申し上げております。
○板川委員 かつて海外経済協力はGNPの一%を目標にするという時代があったのですね、十年ほど前に。ところが、最近はそれが〇・三%台になってきて、来年はその〇・三%が比率が下がっている、こういう意味で私、実は指摘したわけなんです。黒字減らしのために有効な海外経済協力をもっとやるべきだという意味で、比率が〇・三何がしから〇・〇幾つ下がっているというのは、やはり日本の当面とる態度としては消極に過ぎるんじゃないか、こういう気持ちで実は申し上げたのでありまして、できればこういう点は次の補正予算のときにはもっと拡大するような措置をとるべきではないか、こう思います。
○澤野政府委員 ちょっとその点……。 申しわけございませんけれども、一%と申しますのは政府開発援助じゃございませんで、民間の資金の流れも全部含めたものでございまして、いま議論になっております〇・三〇とか〇・二八と申しますのは政府開発援助でございまして、これはDAC、OECDにおきます開発援助委員会というところで先進国の統計をとっておりますけれども、その平均が五十一年平均で〇・三三でございます。ですから、〇・二八から〇・三〇、だんだんと先進国の水準に近づきつつあるということで、一%とは大分あれが違っておりますので、その点ひとつよろしくお願いいたします。
○板川委員 それはわかりました。 通産大臣に伺いますが、日中長期貿易協定が、御承知のように、民間代表の経済人の努力によって成功いたしました。これは日中友好を願う国民の願望を実現したものとして、その努力を私どもは高く評価いたしております。これによって、わが国エネルギー資源の安定供給上から大変有益な結果をもたらしますし、また、長い間戦争して迷惑をかけた中国に、わが国の工業製品がその建設に役立つということは、今後の日中友好を促進する意味からも大変重要な、歴史的な協定であると思います。 政府は、これを民間経済人の協定と理解せずに、政府自身の協定と思って誠実に実行すべきだ、こういう態度をとるべきだと思いますが、これは一民間経済人の協定で政府は直接関知したものじゃないと、まさかこういう態度をとることはあるまいと思いますが、この際、通産大臣の所見を承りたいと思います。
○河本国務大臣 今回の日中貿易の長期協定、これは両国にとりまして非常に大きな意義を持っておると思います。そこで、政府の方といたしましても、この協定が円滑に推進できますようにあらゆる支援をしていきたいと考えております。また同時に、将来この協定が拡大する方向に、これまた政府の方もあらゆる支援をしていきたいと、このように考えております。
○板川委員 政府も大いにこれを歓迎して、将来これがさらに拡大するように努力していきたい、こういう所見でありますから、承っておきます。 日中長期貿易協定によれば、七八年−八五年の八年間で二百億ドル以上の貿易が予想されておると言われておりますが、特にその中心である中国原油は、五年目の八二年には千五百万トンが決定をされておる。さらに八五年には三千万トンが予想されておる。八五年三千万トンという数字は、百万キロワットの原子力発電にするならば二十一基分に相当する量であります。非常に大きい量でありますが、問題は、御承知のように、中国原油はパラフィンが多くて重質油のために、特別な分解装置が必要とされております。政府は今度の予算で一億円調査費をつけられておりますが、その特別な分解装置をつくるために若干コスト高になるのであります。同じような重質油で、しかも割り高であったというので、昨年アラビア石油は国内引き取り体制がなかなか思うようにいかなかったわけでありますが、中国原油も結局アラビア石油と同じように、国内引き取り体制が可能なのかどうか、これは私は将来やはり問題になると思います。 そこでまず、先発のアラビア石油の問題で伺っておきますが、通産省は、石油業法によって、五十三年度以降の石油の供給計画を立てる時期に来ております。すでにわが国の産業界、経済界が開発をしたアラビア石油、御承知のように生産能力は二千八百万トンであります。昨年わが国で引き取ったのは、そのうち四百八十万トンであります。アラビアカフジ原油が海外に輸出したのが二百何十万トンですか、これを合わせましても七百十万トンしか実はアラビア石油では生産をしなかったのであります。二千八百万トンの生産能力を持ちながら、実は七百十万トンしか生産をしなかった、二千万トン近く海の底へ捨ててしまった、こういう結果になったわけであります。 このアラビア石油の引き取り体制をことしは一体どうされるのか。それは石油供給計画に乗せて、そして各社に割り当てて引き取ってもらう、こういうことができないようでは、中国原油を買ったところで、やはり同じ結果になるんじゃないでしょうか。ですから、現に二千八百万トンの生産能力を持っているアラビア石油の国内引き取りはことし一体どのくらいを計画として持つつもりであるか、これをまず一つお伺いをいたします。
○橋本(利)政府委員 御指摘のアラ石が生産しております油の中でその大半を占めておりますカフジ原油が重質で高硫黄であるといったようなところから、軽質化しつつあります国内の需要に合わないということに加えまして、世界的に原油の需給が緩慢になっておる。さらには昨年の上期におきますいわゆる二重価格制、こういったものが影響いたしまして、特に五十二年度はアラ石原油の引き取り量が減少いたしたわけでございます。私たちといたしましては、せっかくの自主開発原油でございます。企業の開発意欲を阻害し、ひいてはわが国のエネルギーの安定供給を阻害しないようにということで、この自主開発原油の引き取りにつきましてはいろいろと努力いたしているところでございます。 直接のお尋ねでございますが、五十三年度につきましては二十万バレル、大体一千万キロリットルを超えるアラビア石油の輸入を前提といたしましてその引き取り策を進めてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○板川委員 昨年一年間のカフジ原油の国内引き取りは四百八十三万トンです。それからカフジから海外に輸出したのが二百二十八万トン、カフジの製油所で使ったのが百八十一万トン、合計八百九十三万トン、こういうことになっております。これは向こうから出された資料ですが、この国内引き取り四百八十三万トンというのを五百万程度ふやして一千万程度にします、いまのお話はこういうことですね。そうしますと、まだ一千五百万トン近く——去年は二千万トン以上アラビアの海の底に置いてきたわけですから、まだそれでも千五百万トンは国内引き取り体制がない、こういうことですか。
○橋本(利)政府委員 生産能力から計算いたしますと、御指摘のようなことになろうかと思います。 御承知のように、アラ石のわが国への持ち込み量の最高が、従来までで千三百万キロリットル程度であったと記憶いたしておりますが、第一次的には来年度は二十万バレル、一千万から一千二百万トン程度までを目標として、漸次増量していく方向に持っていきたい、かように考えているということでございます。
○板川委員 アラビア石油から国内に輸入したものは、四十四年が千六百六十万トン、いままでのデータを見ますとこれが最高のようです。ところが、それがいま一千万トン弱しか輸入ができない、こういうことになるわけですね。その上に、来年は中国原油を七百万トン引き取りをしなければならない。これはどうやって引き取りをするのですか。中国と五十三年度七百万トンという約束が今度の協定の中にありますね。これはどういうふうにして国内引き取り体制を詰めるのですか。
○橋本(利)政府委員 中国原油の引き取り量は、来年が七百万トン、五年後に千五百万トンという数字になっております。これは年々漸増させていくということでございますが、この数字をはじくに当たりまして、わが国の石油企業あるいは電力会社が現実に受け入れられる数字というものを基礎にして算定いたしておるわけでございまして、当面、中国原油につきましては、従来のままでも大丈夫かと思います。特に、ことしは六百五、六十万トンまで入るわけでございます。 むしろ問題は、将来的に長期にわたってこれを安定的に増量していくということになってまいりますと、いわゆる重質油分解装置の導入ということが必要になってくるかと思います。いずれにいたしましても、中国原油の引き取りは当面の間は問題がない、将来の対応ということで重質油分解装置の導入を図ってまいりたい、かように考えております。
○板川委員 中国原油は主として電力関係で引き取らせるから、七百万トン来年約束しても大丈夫だ、アラビア石油は昨年二千万トン取り残しがあるが、ことしは幾らかふやしてその取り残しが千五百万トンぐらいになるだろう、こういうことです。 日本の資本が開発した海外における石油、いわば準国産原油ですが、こういう政策原油というのが引き取れないというのは、一体どこに原因があるのですか。外国での自国産の原油を引き取らせないで、海外から輸入したのを優先的に引き取らせるというような石油政策をとっている国がありますか。この石油業法による供給計画を立てるときに、三億トン近く輸入するのですから、アラビア石油は生産能力があるのですから、あと千五百万トンなぜ国内に優先引き取りができないのですか。その理由をひとつ明らかにしてください。
○橋本(利)政府委員 先ほどもお話が出ておりましたように、カフジ原油の油の性格というものが、必ずしも国内の需要に合わないということだろうと思います。ただ、そういった商業ベースで考えておる限り、いわゆる政策原油というものの引き取りがうまくまいらないということもございまして、私たちといたしましては、先ほどもお答えいたしましたように、いかようなる対策を講じてでもこういった自主開発原油の輸入というものを促進したいという立場で考えておるわけでございます。 先ほど先生から、石油業法に基づく供給計画を策定する際にそういったものを織り込んだらどうだというお話でございました。具体的にはプロラタ方式で輸入したらどうかという御意見かと思います。私たちも、プロラタ方式なるものが政策原油を引き取るに当たりまして最も直接的で有力な政策手段であるということは十分承知いたしております。御承知のように、四十八年以降、従来から実施しておりましたプロラタ方式を廃止するに当たりまして、当時の石油審議会の意見も徴して決定しておるというような経緯もございますので、私たちといたしましては、そういった先生の御指摘も踏まえまして、石油部会でプロラタ方式も含めまして政策原油の引き取り方策について積極的に検討してまいりたい、かように考えておるわけでございます。 その間、いささかなりとも経済性の回復と申しますか、経済性の付与と申しますか、そういった観点に立ちまして、原重油関税キロリットル当たり百十円、バレル当たり七セント程度に相当するかと思いますが、そういった関税引き下げの措置を講じたいということで関係法令の改正について現在お願いしておる、こういう段階でございます。
○板川委員 昨年は、その価格についてカフジとクウェートの価格差があって割り高だから高いものは買えない、こういうことで業界が中止しておった。今度はその点では関税の還付があって、お隣のアラビアン・ヘビーと価格差がなくなってきているわけですね。だから価格については文句はないわけだ。確かにアラビアのカフジの原油は重質油であることは事実ですが、それは軽質油を輸入する会社に優先的に割り当て、引き取ってもらう、そういうことをやればできないことはないのじゃないですか。現に隣のアラビアン・ヘビーですか、同じ油質を持っておりながら、メジャー系はそれを軽い石油と合わせて使用しているんですね。だから、アラビア石油も合わせて使ってもらったらいいんじゃないですか。そのためには割り当て制度、プロラタ制度を復活したらいいんじゃないか。プロラタ制度が現行法ではできないというふうにお考えなんですか。できないのですか。いまのこの石油業法なりの解釈からできないと考えているのですか。
○橋本(利)政府委員 法律的に可能であるかどうかという御指摘でございますが、プロラタを一言で言えば、やはり行政指導ということになろうかと思います。ただ、その行政指導を根拠づけるものといたしまして、毎年供給計画をつくる、この供給計画に従って計画的に生産し、計画的に輸入するというふうになっておるわけでございますので、この供給計画を円滑に効率的に実施していくという過程におきまして、事実上プロラタ方式というものも行政手段として可能である、こういうことになろうかと思います。
○板川委員 「石油輸入計画届出書」という石油業法に基づく書式がありますね。この書式を見ますと、「原油および粗油」として、海外開発原油のカフジ原油、北スマトラ原油、そのほかの原油というように業者が届け出するようになっておるのでしょう。そして供給計画の中で——石油業法の目的は安定的な供給を確保することですから、準国産原油が一番安定的な供給体制なんでしょう。それなら千五百万トン、ことしもみすみす海の向こうに捨ててくるという手はないじゃないですか。この石油業法に基づいて届け出を出させて割り当てをして、そして業者がどうしても割り当てを拒否したならば、それはそれで名前を公表するなりあるいは行政指導をされたらいいんだゃないですか。初めからことしはアラビア石油千五百万トン、もう海の向こうに、開発可能なやつを引き取らない、こういうことを前提にして計画を立てるというのはおかしいのじゃないですか。 私は、この問題は前も取り上げて、来年は何とかするのかと思ったら、それは結局五十歩百歩で大したことはない。幾らか色をつけただけだ。これはやはりエネルギー庁長官は、私企業の問題だから通産省は依然としてこれに介入すべきでないという立場をとっておるのですか。そんなことであなた、石油の安定供給なんというのは将来できませんよ。どうお考えですか。
○橋本(利)政府委員 プロラタ方式を行政指導でということを申し上げましたが、ただいま御指摘のありました輸入の届け出書、これは届け出でございますから、そのこと自体は法律的には届け出にまたざるを得ない。ただ、その届け出を見ながら、それを基礎として行政指導するということでございまして、それは法律上の問題じゃなくて、供給計画並びに届け出に基づくところの行政指導、こういう関係になろうかと思います。 それから、ただいま先生、私企業云々ということを御指摘になったわけでございますが、私の真意は、私企業だからどうのこうのということではございませんで、本件はいわゆる政策原油という立場で考えるべきであって、アラ石以外にも政策原油を扱っている企業はたくさんあるわけでございます。したがって、私の真意は政策原油をわが国の長期エネルギー政策の一環としてどう考えるかという立場であって、そういった意味において、たまたま訪れた新聞記者にさような私企業という言葉を使ったところから誤解を招いておるわけでございますが、政策原油の重要性、この引き取りの必要性ということについては、私は非常に強い関心とまたエネルギー政策の重要な一環としての認識は変わっておりません。
○板川委員 この様式は、通産省がつくっている様式ですよ。業者からそれを届け出させるのでしょう。それはやはり通産省として供給計画を立てる上に必要だから、古いあれですが、カフジ原油、北スマトラ原油、その他の原油という欄をつくって申告をさせて、それを供給計画の中に織り込む、通産省として必要があってこういう様式をつくって届け出をさせておるのだろうと思う。全くこれに関係ないならこんなことを書く必要はないのであって、ことしも依然としてこの千五百万トンわが国に国産開発原油として引き取るべきものを引き取らないことを放置するのは、私はエネルギー政策上問題だ、こう思っておるのですよ。これは大臣からひとつ答えてもらいたいのです。外国で、自分の国の企業が海外開発をして当てて成功した油をその国内で引き取らないなんという政策がどこの国にありますか。あったらひとつ言ってみてもらいたい。 また、エネルギー政策の基本というのは安定的な供給を確保するというのが最大のポイントですよ。そうしますと、外国からその都度買うよりも、わが国が開発した原油が一番安定的な供給源ではないのですか。私は必ずしもメジャーというのを敵視するものじゃありません。しかし、メジャー系の企業がその本国でも許されてないような自由を日本に強要するというのは、日本を従属国と見ているのじゃないか。また、メジャー系が引き取らないというのは、それはいわゆる大国主義であり、われわれが中国問題で言う覇権主義につながる行為だと思うのですね。自分の母国でも、アメリカでも、まず優先的にそういう国内原油を割り当てて、それから輸入原油を割り当てておるのじゃないですか。その自分の母国でもそういうことを許されないのを、日本だけにそれを要求するというのは、私はメジャー系の不当な要求だと思うのです。それならそれで堂々と通産省は反論をして、エネルギー政策上あなたの国と同じようにわれわれもまず国産原油あるいは政策原油を優先引き取りします、そのために皆さんの御協力を願うという話し合いをしたらいいんじゃないですか。なぜそれができないのですか。
○河本国務大臣 いまアラビア石油の問題が議論になっておりますが、これに類した議論はまだほかに幾つもございまして、たとえば、日本政府はイラク政府との間に、三、四年前に、十カ年間に合計九千万トンの油をイラクから引き取るという契約をいたしました。毎年の引き取り量もその政府間協定の中には明記してあります。ところが、残念ながら、その政府間協定ですら、実際は、現在は半分くらいしか実行できない。イラク政府からは非常に強い抗議を受けておるわけでございますが、これは要するに世界全体で石油はいま過剰状態であるということが一つ、それからわが国の消費が伸びないということ、ここに一番の原因があるわけでございまして、アラビア石油なども実はもっと引き取りたいという考え方は変わらないわけでありますけれども、やはりその背景に、いま言った世界全体の需給関係があるということであります。 それからもう一つ、前はわが国が開発した石油というものは非常に大きな権利というものが認められておったわけでありますが、これもオイルショック前後からだんだんと産油国の国有化が進んでまいりまして、大規模な開発石油というものがほとんど全部国有化の方向に向かっております。したがって、これは自分が開発した油だから自分がこれだけの権利があるというかつての主張は全然できない、すべてその国の判断に支配される、こういう状態になっておるということであります。もっとも、小規模なものはそういう制約は受けておりませんが、大規模なものは全部国有化の方向にあるということであります。 それから、こういう石油過剰状態のときには、どうしても油の品質によりまして取引量が決まります。そこで、先ほども長官が申し上げましたように、五十三年から若干の重油関税をアラビア石油に対しましては、その他一、二も対象になっておりますが、減免することによりまして取引条件を幾らかでも有利にしよう、そういう対策も進めておりますけれども、いずれにいたしましても、抜本的にはいま申し上げました需給関係というものが背景にあるものですから、なかなか思うようにはいきません。しかし、お説のような御趣旨は私どもも十分理解できますので、できるだけその方向に持っていきたいと考えております。
○板川委員 お話のように、イラクと日本政府間で約束をしました契約引き取り量が七八年から八三年の五年間で毎年一千万トン、その時期が来ているわけですね。それもこれも合わせてアラビア石油を問題としたのでありますが、趣旨は政策原油です。政策原油の中でも一番は、やはりわが国の企業が海外で開発したものを優先的に引き取るというのが当然ではないだろうか。それから政府間協定あるいは今度の財界人における一これは政府間協定と同じような意味において優先引き取りをすべきだ。 昨年はアラビア石油については、価格が高かった、だから引き取れないという説であった。今度はそういう意味では価格は差がない。重質油だというのなら、軽質油のところにブレンドして、二千万トン輸入する会社に百万トン引き取ってもらう、こういう方式をとれば、軽質油の中にブレンドすればそれはできるわけです。だから、アラビア石油そのものを、重い石油を全部おまえのところで引き取ってやれというのではなくて、メジャー系の企業に幾分でも応分の割り当てをしてそれをブレンドして使ってもらう、こういう方式をとれば、千五百万トン海の底に置いてこなくても間に合うわけなんです。やってやれないことはないのです。現にカフジ原油と同じ重い油をメジャー系ではそうやってブレンドして使っているのですから、使えないと言うはずはないじゃないか、こう思うのです。 このことばかりに余り時間を食ってはどうかと思いますから、いずれにしましてもそういう問題がありますぞ、こういうことをひとつ大臣念頭に置いて、わが国の企業が海外で開発をして成功したものを国内で引き取らないなんというばかげたエネルギー政策は、一日も早く解消してもらいたい、こう思います。 では、次に行きますが、原子力発電の建設について、私は大臣に、ひとつ一時これを中断したらいかがなものかな、こういうことを提言してみたいと思うのであります。 原子力発電の建設が政府や関係者の計画よりも大変おくれております。政府は、立地促進のために、五十三年度交付金を二倍にふやして札びらで促進を図ろうとしておりますが、私はこれでも成功しないと思います。人命の安全に関する問題は金だけで解決しないからであります。この際、私は、急がば回れということわざがありますように、原子力発電の建設を一時中断、考え方として三年ないし五年間凍結をして、新しい許可をしないで、その間専門家による徹底的な原子力の安全論争をさせて、その安全論争を通じて国民の合意を得るような時間をかけたらいかがなものかな、こう考えているわけであります。 幸い、政府の長期エネルギー需給の見通しの中には、中国原油の輸入というのは計算に入っていなかったと思うのであります。中国原油八五年三千万トンというのは、百万キロワットの原子力発電の二十一基分に当たるわけでありますから、その分だけでも原子力発電の建設をおくらすことも可能だという考え方もあります。この際、原子力の建設を一時中断して、徹底的な安全論争を通じ、そして安全性を研究することで国民の合意を得ることが先決ではないか、近道ではないかと思いますが、これに対する大臣の見解を承りたいと思います。
○河本国務大臣 原子力発電を推進する上におきまして何が一番大事かといいますと、いま御指摘がございましたように、やはり安全問題だと思います。それから環境問題だと考えております。 すでに原子力発電につきましては二十年前から取り組んでおりまして、わが国といたしましては、将来石油に対する依存率をできるだけ下げていきたい、こういう中期的あるいは長期的な配慮のもとに、御案内のように、何回か計画を変更いたしましたけれども、現在は一九八五年三千三百万キロという目標を想定しておるわけであります。これは、とにかくこれだけの目標を達成することによって石油に対する依存率というものを下げていきたい、こういう考え方であります。 世界全体の動きを見ましても、原子力発電を大きく前進させていこうという考え方は、米ソ両国はもちろんでありますけれども、ほとんど全部の国々がそういう方向に行っております。でありますから、安全問題と環境問題は非常に大事でありますけれども、むしろもうすでに問題は出尽くしておるのではないかと私は思うのです。でありますから、地元との十分な対話を通じまして計画を円滑に促進していくということが大事であると考えております。
○板川委員 世界的な動きなどを見ましても、スウェーデンでも原子力許可について厳しい条件がつけられてきた、しかもそれが保守系内閣によってその法律が成立を見ている。あるいは西独、フランス、こういう国においても原子力発電について住民の合意を得られないで停とんしておるという状況、こういう世界的な状況から見ますと、いっそのことひとつ安全論争を徹底的に起こして、その中で国民の合意を受けた方が早いのではないか。そういう意味において私が考え方を申し上げたのでありますが、これまたやがて社会的な、そういうことを必要とする時代が来るかもしれません。ひとつ念頭に置いていただきたいと思います。 次は、国内未開発の小水力発電をもっと積極的に展開されたらいかがなものかな、こういうことで大臣の見解を承りたいと思います。 安全性について国民の合意を得てない原子力発電に莫大な金をかけておる。それよりも、まず私は前提として、国内に未開発の小水力発電を地方公共事業と位置づけをして、通産、農林、自治省などが協力をして開発すべきではないだろうか、こう考えておるわけです。 わが国は、戦時中、戦後、エネルギーの絶対的不足時代には、農林省、自治省が中心となって地方の小水力発電を行ってまいりました。その名残として、現在、県営あるいは市町村営ですが、公共団体が経営しております小水力の発電所が全国で百七十九カ所もあります。そして単価が五円とか六円とか安い売電価格であるにかかわらず、五十年度では百七十九カ所の発電所で四十三億も利益を上げておるわけであります。 この戦前のわが国の小水力発電計画に参画をいたした経歴を持つ、中部電力系におりました織田史郎という人の最近の研究論文によりますと、現在、日本には五百キロワット以上の小水力発電の可能な適地が二千二百三十五カ所もあり、そしてその開発をすれば三千万キロワットの発電の純増が可能となる。揚水までを入れますと五千万キロワットと言っておるのでありますが、完全にふえるのは三千万キロワット。その建設費は五千億程度でよい。まあ時間が十五年ないし十八年かかるようでありますが、そういう小水力発電をやるべきである。 原子力発電は、百万キロワット一基が三千億程度最近はかかっておりますから、そういう原子力発電の建設費などから比較すれば全く問題にならない数字であります。三千万キロワットというのは原子力百万キロワットの三十基分に当たるわけでありますから、とにかく非常な大きさを持っているわけであります。これを県営とかあるいは市町村営とか農協経営、こういうふうに経営形態を任せて、そして地方公共事業として促進したならば、わが国のエネルギー政策として非常に有益ではあるまいか。通産省は農林省、自治省と協力をして、クリーンで国内資源でもあるこの小水力発電の開発を検討すべきだろう、こう思うのです。わが国の水力発電はまだ半分しか開発をされていない、こういうことでありますから、この小水力発電の開発をひとつ地方公共事業と位置づけておやりになる気持ちはないでしょうか。これについて御見解を承りたい。
○河本国務大臣 水力エネルギーそれから地熱エネルギー、これは国産のエネルギーでありますから、できるだけこれを有効にかつ広く利用していかなければならぬことは当然であります。ただしかし、やはり採算性の問題もあろうと思います。いま三千万キロを五千億でできるというお話でありますが、果たしてその計算が正確かどうか、これまた検討しなければならぬと思いますし、中には採算に合いにくいというところもあろうと思います。それからまた、小規模電力でありましてもやはりそれぞれ地元ごとに問題がありまして、地元との話し合いが果して円滑にいくかどうか。こういう問題もありますけれども、しかし、原則的には、国産のエネルギーを有効に利用していくということ、著しく採算割れをしない限りはやはり私は積極的に研究をしなければならぬ課題だと思います。 〔委員長退席、山崎(拓)委員長代理着席〕
○板川委員 この織田史郎という人は、ただ町の研究家じゃないのです。実際戦前の小水力発電を担当した人であり、農林省の要請を受けてわが国の包蔵水力を全面的に調査した担当者でもあります。主査として調査した方のようでありますから、全く荒唐無稽な論理ではない、こう思うのです。しかし、これが一〇〇%正しいかどうかはまた別として、小水力を開発するということはわが国のエネルギー政策にとってまさに必要ではないか、こう思いますから、特に原子力発電というのはなかなか思ったように進みませんぞ、そのかわり国内資源を開発したらいかがなものかな、こう思って提案したわけでありますが、ひとつ御検討を煩わしたい、こう思います。 次に、鉄鋼不況対策について大臣にお伺いをいたしたいと思います。 不況の鉄鋼業の対策として、大臣は予算委員会で、一千万トンの国家備蓄、五千億程度の融資、こういうことを念頭に置いて発言をされ、検討する、こう言われておりましたが、一体大臣の構想は具体的にどのようなことを考えておられるのだろうか、いつごろまでにどのような規模でどのような方法でこの国家備蓄あるいは融資というものをおやりになるのだろうか、ひとつこれを大臣からお伺いをいたしたいと思います。 それで、この二、三カ月鉄鋼の市況が非常に変わってきておりますね。価格が大体七千円から高いのは一万円近くも、このところ昨年の十一月かをベースにいたしますと上がっております。在庫も減りつつありますが、そういう鉄鋼市況の現状というのを念頭に置かれてこのような国家備蓄あるいは五千億程度の国家融資、こういうことをお考えになったのかどうか、この点もあわせて承っておきたいと思います。
○河本国務大臣 鉄鋼備蓄に関する構想は、これは私の構想ではございませんで、予算委員会で、そういうことをやったらどうか、こういう建設的な御提案がありましたので、そこで私がそれを受けまして、それでは積極的に検討いたしてみましょう、問題点を解きほぐしてみましょう、こういうことを申し上げたわけでありまして、いま問題点を事務当局で研究をさせておる段階でございます。結論は出ておりません。 ただ、鉄鋼業の現状を申し上げますと、最近はある程度価格も回復の傾向にあります。御指摘のとおりであります。ただしかし、何しろ生産を年率に換算いたしまして九千四百万トンというここ数年間の最低の水準にガイドラインを置きましていま指導しておる、こういうきわめて低い水準の生産である、そういう背景のもとに、つい先般まで約九百万トンばかりありました在庫もだんだん減ってまいりまして、いま七百万トンという適正在庫に近づきつつありますが、そういうことを背景にいたしまして、一方で公共事業もある程度進みましたので、値段が若干回復したということであります。非常に低い水準に生産を抑えておるということが背景になっておりますから、現在の価格の動向は、私はまだ決して楽観を許す状況ではないと考えております。 それから、一昨年の秋には御案内のように一億一千五百万トンという水準まで回復をしておりましたので、そのところから比べますと二割以上の減産ということになっております。そういうことから、現在も海外の幾つかの国と開発輸入契約をしておりますが、その長期契約の最低量——若干のアローアンスはあるようでありますが、その最低量をさらに二割くらい割り込んでおる。二割の分は契約違反を相手に押しつけて無理やり引き取らない、こういうことでございますが、やはりそういう国際問題も背景にあるということ、それから原料の引き取りをずいぶん減らしておりますから、したがって、この面から国際収支の問題にも大きな影響が出てきておる、こういう背景もございます。 しかし、鉄鋼の生産というものは常に景気動向と並行いたしまして大きく伸びたり、また大きく縮小したりいたしますので、こういう動向も当然見きわめなければならぬと思います。いずれにいたしましても、なかなか大きな問題でございますから、あらゆる角度からいろいろな問題をよく研究いたしまして、こういう事態に対処して、一体どうすればいいかということを総合的に判断をしてみたいと思っております。
○板川委員 予算委員会で、御承知のように、公党の代表に対して検討しますとおっしゃったのですから、私は検討しておるんだろうと思います。しかし、おやりになるなら、大体どういう方向でどのような手段でいつごろまでにやるかということぐらいは、そろそろ大臣としても構想をお持ちじゃないだろうかと思うのです。最近鉄鋼価格が非常に上がってきているということももちろん承知の上での発言だとすれば、一体鉄鋼に対する国家備蓄というのはどういうことになるのか、われわれも実は重大な関心を持っておるわけでありまして、担当の局に聞きますと、それは私どもはよくわからないから、大臣に直接お聞きになってください、こう言うものですから、大臣に直接聞いておるんだけれども、どうも大臣の言うことも、まだ検討中のようでありますが、しかし、検討の方向なり柱なりわかったら、ぜひこの商工委員会にもひとつ報告をしてもらいたい、こう思うのです。 というのは、これはやはりいろいろなことに関連してくるからであります。ある新聞の社説で、鉄鋼対策について、大臣の鉄鋼対策に対する発言についていろいろ意見を述べて、しかし、鉄鋼対策を大臣がおやりになるならば、その前に非鉄金属に対して対策をもっと強化すべきだという主張が社説にございました。非鉄金属鉱業でありますが、この非鉄金属は規模では鉄鋼にはるかに及びません。しかし、不況の深刻さにおいては非鉄金属の方がはるかに厳しい、こう思います。 〔山崎(拓)委員長代理退席、中島(源)委員長代理着席〕 非鉄金属は、御承知のように、国内鉱山を持っておる会社、あるいは長期に鉱害施設を守っていかなければならない義務をしょっておる会社、あるいは鉱石を海外から長期輸入契約によって輸入してこれを製錬しておる会社、多様な形態を持っておるのであります。しかも、その主たる製品は、銅、鉛、亜鉛でありますが、その価格は、国内の需給に関係なく、ロンドン取引所で決定をされて相場が決まっていく、こういうことになっておる。 国際商品でありますから、ロンドン相場で決まるという状態になりまして、国内鉱山はそのために採算が合わない。採算が合わないから廃鉱すれば、これは二度と再び掘り直すわけにはいかなくなる。だから、最低限どうしても鉱山を維持しなくちゃならぬ、こういう特徴があるわけであります。鉄鋼の場合には高炉をとめておけばいいのでありますが、非鉄金属の場合には鉱山をやめちゃうというわけにはいかないというむずかしさもあるわけであります。また、僻地対策、地場産業あるいは雇用問題という点も含んでおりまして、この鉄鋼対策と同様に金属鉱業安定対策というのを私はもっと強化してほしい、こう思うわけであります。 従来、御承知のように、一昨年から備蓄融資が認められて、ことしも百五十一億円の融資が認められてまいりましたけれども、まだそれでは十分じゃないのでありますが、実は金属鉱業等安定臨時措置法というのが前に法律があったのです。三十八年にできて、四十二年か三年に廃止法が出て廃止になったのですが、金属鉱業安定法的なものを通産省としてお考えになってもらいたいと思うのですが、考える気持ちはございませんか、検討する気持ちはないでしょうか、お伺いをいたします。
○橋本(利)政府委員 鉱山の需給安定臨時措置について、かつてあったような法律案を準備しないかという御指摘でございますが、現在、鉱業審議会の中で、国内の鉱山あるいは製錬所のあり方等について検討いたしておるわけでございます。御指摘の法案は、貿易の自由化に対処して準備されたものでございますが、すでにもう廃止されておるわけで、現在の貿易政策との関連、あるいはそれに必要とする財源措置をどう講ずるかといったような問題を含めて検討中である、こういうことでございます。 ただ、先ほども御指摘のありましたように、非鉄金属業界は国際相場の下落で非常に不況に呻吟しておりますので、御指摘の備蓄制度のほかに、雇用保険法、あるいは特定不況業種離職者臨時措置法、あるいは円相場高騰関連中小企業対策臨時措置法、こういった緊急立法を極力活用することによりまして、当面の緊急避難的な措置として対処いたしておるわけでございます。
○板川委員 私が申し上げているのは、そういうお葬式的な、閉山していったのを雇用対策で救えということを言っているのじゃない。国内の金属鉱業関係を何とか育成していくような方向で、特に価格安定について非常に強い布望があるから、価格安定対策を中心にして金属鉱業の安定対策を、前の法律と同じとは言いません、前もあったんだが、そういう法律をいまの時代に合わせてお考えになる気持ちはありませんか。やめていくところには特定不況産業離職者措置法で十分対策してありますというのでは、これは私の質問にまともに答えてないので、私は、前向きに検討していただけませんかと言っているのです。大臣、どうですか。
○河本国務大臣 いま非鉄金属は、最近の円高、それから国内の埋蔵量が非常に少なくて規模が小さいということ、それからいろんな経費がずいぶん高くなりましたので、そういう幾つかの影響を受けまして採算的に行き詰まってしまいまして、国際競争力を完全に失っておるというのが現状でございます。しかし、非鉄金属という業種は、いろんな角度から考えましてこれは非常に重要な業種だと私どもも理解はいたしております。 そこで、現在は、いま長官が言いましたように、幾つかの対策は考え、立てておるのです。中には緊急対策もありますし、あるいは中には三段階方式のようなある程度中期的な対策もございます。あるいはまた、一昨年からは備蓄なども始めております。しかし、いずれも非鉄金属業界を抜本的に救うものではありませんので、そこで、鉱業審議会に一体どうしたらよいかということをいま議論をしていただいております。ただしかし、根本的には完全に国際競争力を失ってしまっております。こういう業種はほかにもあります。そこで、そういう環境の中においてこの問題と一体どう取り組んだらよいかという非常にむずかしい問題でございますので、なかなか結論が出てまいりません。 いまお述べになりましたことは、抜本的な価格安定策はないかということでございますが、これはやはり鉱業審議会の答申を待ちまして、その上で判断をしたい、こう思っております。
○板川委員 あと十分しかありませんから、先へ話を進めていきますが、ぜひ検討していただきたいと思います。 円高利益の還元措置について伺いたいと思いますが、円高差益を大きく受けているのは、石油、電力、都市ガスだと言われております。これらの業界の昨年一年間二百九十三円から二百四十円に値上がりした為替差の利益はどのくらいか、ひとつ承りたい。 時間がありませんから、その次も一緒に申し上げますが、政府はどのような方針でこの円高差益を国民に還元しようとしておるのか。特に電気、ガス事業は、法律によって原価方式が定められておって料金が決定されております。したがって、この為替差の利益が明らかだと思うのでありますが、それをどういうふうに還元されるのか。 しかし、金額は非常に大きくても一世帯当たりは少額だということも考えられますが、これは私の私見ですが、渇水準備金的に為替差利益をつけ出しをしておいて、それを取り崩すときに国民の同意を得るような説明をつけたらいかがなものかな、これだけ為替差利益がありました、それはっけ出しをしておいて、渇水準備金みたいに、こういう場合にそれを引き出しました、こういう方式をして国民にその収支を明らかにしたらいかがなものかな、こう思います。これが一点です。 次に、もう一つはナフサの問題でありますが、ナフサ価格をいつまで現状のように不安定のまま放置しておかれるのか、放置すべきではないという考え方であります。きょうの新聞を見ると、石油業界と石油化学業界でナフサ価格の話し合いがつきつつあるようでありますが、まだついていない。 二万九千円というナフサ価格は、業法による標準額決定の際に設定された価格でありまして、その当時若干割り高であったことは否めません。しかし、石油化学業界が比較しておりますように、スポット物を扱うロッテルダム価格とじかに比較したり、あるいは天然ガスが大量に産出をしてナフサの需要がどっちかと言うとオーバーぎみな西欧価格に比較をして西欧並みに引き下げようというのも若干無理があるのじゃないだろうか、そう思いますから、石油業界が円高利益を還元する一つの方法として、この辺で生産、需要両業界で合意のできる新価格を、これは政府もあっせんといいますか中へ入って指導されたらいかがなものかな、そうしていつまでも不安定であるこのナフサ価格に一つのピリオドを打ったらいかがか、こう思いますので、この為替差利益とあわせ、その処分の措置としてどう考えておるか、伺っておきます。
○河本国務大臣 電力業界とガス業界には為替差益が相当大きな数字が出ております。企業によってまちまちでございますが、全体を平均いたしますと相当な金額になります。 そこで、いろいろ配慮いたしました結果、ことしは電気、ガス料金とも見直しまして値上げの年にも当たるわけでありますが、少なくともそういう差益がありますので、五十三年一年は電力料金、ガス料金は上げないということ、そして、上げない据え置きの期間もできるだけ長くしていくということ、こういう方向で、先般業界と相談の結果、そのように行政指導することに決定をいたしました。 それから、ナフサの問題はいまお話しのような実情でございます。そこで、何とかしなければなりませんので、半年ばかり前から両業界で精力的に話し合いをしておりましたが、最近になりましてようやく結論が出かかっております。もう一歩というところまで来ておりまして、何とかこの機会にかねてのこの懸案の問題を解決をしたいということで、通産省も両業界の話し合いを支援をいたしまして、妥結をするようにいまいろいろあっせんをしておるところでございます。近く結論が出るのではないかと考えております。
○板川委員 電力料金とガス料金でありますが、値上げの期間は延ばしたということだけでは、実は国民の側から見るとよくわからないのです。もともとそのころ値上げ時期に来ているんじゃないかと思っているのを、一年おくらしたからこの利益をどれだけそのために使ったというようなことがわからないと、一年おくらした、半年おくらしたから、それで為替差利益は全部吐き出したのだというだけでは、国民の方からいうとわからないと思うのです。だから、横に、それだけの利益がありました、これはこういうことで取り崩しましたということを明白にする必要がある、こういう意味を申し上げておるわけでありますが、御検討を煩わしたいと思います。——時間がございませんから、恐縮ですが、検討していただきたいと思います。 中小企業庁長官に伺いますが、協同組合の育成の問題であります。 官公需法によりますと、中小企業者の受注の機会を確保するために毎年閣議決定をされて、その内容を各省庁に中小企業庁長官、通産大臣の名で通達をしております。その内容の中には、地元業者をなるべく使えとか、あるいは分割発注をなるべくしなさいとか、協同組合を育成して、中小企業の組合である協同組合にできるだけ受注の機会を拡大しなさい、こういう趣旨のことを毎年通達をされておるのでありますが、実は協同組合を中小企業者が結成をいたしましても、官公需を受注する場合には、資格審査を受け、登録をされなくちゃならない。 ところが、その資格審査を受け、登録をされるのは、基準が普通毎年一月、そして申告によって格づけあるいは登録名簿に載せる、こういうことが四、五月ごろ行われる、そして一月幾日に申告を外れたものはその年一年間はその機会がない、こういうことで、せっかく協同組合をつくっても、官公需を受注する指名入札に参加できないといううらみがあるわけであります。 東京都では、協同組合に限り随時格づけの受け付けをし、指名台帳に登録をしておりますが、この東京都のように協同組合に限り随時格づけの受け付けをし、指名台帳に載せるような措置を、ことし官公需で閣議決定をされた場合に、その旨も一緒に通達するようにしてもらいたいと思いますが、いかがですか。
○岸田政府委員 協同組合の入札資格を随時与えられるようにすべきではないかという御提案でございますが、まず、国の場合におきましては、従来から官公需担当官会議等におきましてその旨の打ち合わせをし、随時受け付けを行っておるところでございます。五十一年度の随時受け付けの件数が約二万六千件に上っております。 問題は地方公共団体でございまして、地方公共団体の場合には、御承知のとおり、地方自治の関係もございまして、国に準じて措置をするというような形になっておりますものの、国のように直接的にどうこうということが言いにくい面がございます。ただ、そうは申しましても、せっかくそういうい星形で協同組合を育成しようということを国の方針としても決めておるわけでございますから、いまお話がございましたように、今後私どもが国の方針を決定をしそれを地方に流します場合に、いまの御指摘のような点を推進するようにということを申し添えて、そういう方向で前進できるようにしていきたいと思っておるところでございます。
○板川委員 もう一問、せっかく公取委員長おいでになっておりますから、公取委員長に一言。 最近の報道によりますと、公取は、目下実施されている小形棒鋼業者の団体法による不況カルテル及びそのアウトサイダー規制命令、これは一月から三月までに対しまして、最近小形棒鋼の急騰や市況の状況から見て、不況カルテルを中途で解除するように通産大臣に申し入れたい、こういうことが伝えられておりますが、その申し入ればすでにやったのか、それともいつやられるのか、その点ちょっと伺っておきたいと思います。
○橋口政府委員 独禁法に基づきまして認可をいたしました不況カルテルにつきましても、また、中小企業団体法に基づきます調整規程としての安定事業につきましても、認可後あるいは実施後の需給の状況、あるいは生産、在庫の状況、価格の動向等につきましては常時監視をいたしておるわけでございまして、端的に申しますと、昨年末に終了いたしましたセメントについての不況カルテルの多少の反省も含めまして、現在実施中の団体法上の調整カルテル等につきましても、全般的に見直しをそれぞれの主務省にお願いをいたしておるわけでございまして、特に価格につきまして上昇の傾向の見られます物資につきましては、調査をお願いいたしておるわけでございます。したがいまして、いまお示しがございましたように、正式に通産大臣に対して公正取引委員会から申し入れをする、こういう手続はとっておりません。 小形棒鋼について申し上げますと、先週の初めごろから事務的に通産省に御調査をお願いしておるところでございまして、その内容についていま調査を進めておる段階でございます。
○板川委員 結局、団体法九十条四項によるいわゆる措置請求としてまだ申し入れてない、こういうことですね。しかし、そういう意思を持っておるということは、四月以降これを認めることはむずかしい、こういうことの一種の意思表示だろうと思いますが、団体法の規定による措置請求をしたとしましても、それは官報に公示されて一カ月後ですから、実質的には同じになってしまいますね。そういう意味で、この発言は、四月以降はむずかしいぞ、私はこういう一つの意思表示と受けとめておったわけであります。 時間をちょっとオーバーしましたが、以上で終わります。
○中島(源)委員長代理 清水勇君。
○清水委員 予算委員会と並行しておるわけでして、大臣の日程もあるようでありますから、時間の関係で当初の予定どおりの質問が必ずしもできないと思います。したがって、不足する点はまた改めて質問をする、こういうことにしたいと思います。 さて、早速ですが、通産大臣にまずお尋ねをしたいことは、この一両日きわめて憂慮すべき事態が起こっている。その一つは、先ほども議論がございましたが、負債二千億を抱えて永大産業が倒産する、もう一つは、新たに円高の傾向が起こってきている、昨日のロンドン市場では二百三十六円台、東京市場の終わり値も二百三十九円、こういう傾向を示しているわけでありまして、そのいずれもが、これからの経済運営、あるいは政府の景気の見通しというものにかなり大きな影響をもたらすのではないか、こういうふうに私は考えますが、大臣のこの点についての所見をまず承りたいと思います。
○河本国務大臣 一つは、永大産業の問題でありますが、この問題は非常に大規模でありますので、ユーザー関係に被害が及ばないように特別の配慮が必要かと思います。それから、あわせて、中小企業、下請企業に影響が及ばないように、これまた特別な配慮が必要かと思います。政府の方では、関係各省、数省ございますが、これが昨日来緊密な連絡をとりましてずっと打ち合わせをいたしておりますが、同時に、通産省は、大阪の通産局に緊急対策本部をつくりまして、いま申し上げましたような対策に万全を期すために、いま大阪の現地におきましてもそれぞれ具体的な対策を練っておるところでございます。 それから、最近のここ一両日の円高の問題は、これは日本銀行かあるいは大蔵省からお答えになるのがいいのかと思いますが、最近のここ一両日の事態には、私どもも今後この動向を十分注意してまいりたいと考えております。
○清水委員 いずれにせよ、私は、この二つの事態というものが、とりわけ円高の問題はさらに進行を続けるという見通しもあるわけでありますから、いわゆる政府の経済運営にも重大なかかわり合いのある問題だと思いますので、十分に留意をしてもらいたい、こういうふうに希望いたしておきます。 ところで、先ほども多少の議論がございましたが、私は、まず大臣に、七%の経済成長を握るというか、達成をするというか、一つのかぎとして挙げられるものの中に、たとえば政府が発表している主要経済指標を見ても、個人消費支出の五%、あるいは住宅支出の一〇%、さらに民間設備投資の六%強のそれぞれの伸びというものを見込んでいる、これが七%成長を支える一つの柱になるんじゃないか、むろん公共投資を中心とした大幅な政府の支出で景気を回復をするいわばてこにしていきたい、こういうことも言われているわけでありますが、いま私が申し上げたような点にいわば七%成長を支える一つのポイントがあるという認識を持っておられるのかどうか、承っておきたいと思います。
○河本国務大臣 政府の基本的な考え方は、この五十三年度予算にきわめて大規模な公共事業を計上しておりますが、これを上半期、特に四月ないし六月に集中して契約を執行していくということ、このことによりまして民間経済を刺激し、そしてその活力を回復していくということ、その分野はいまお述べになりました住宅あるいは民間設備投資あるいはまた国民の消費活動、こういう民間経済全体に対して大規模な公共事業を一挙に集中することによって大きな刺激を与えていこう、こういう考え方でございます。したがって、民間経済がある程度回復するということを非常に大きく期待しておるわけであります。
○清水委員 いま大臣のお答えの中に、思い切った公共事業を前倒しで発注をする、このことを通じて景気の回復を促したい、こういう趣旨のお話があったように思うのでありますが、しかし、私は、財政というものを見る場合、たとえば高度成長期と異なって、今日のような非常に厳しい、しかも長期にわたる不況が進行している、こういう状況の場合に、果たして財政が呼び水という役割りを果たし得るかどうか、つまり、財政という呼び水をつぎ込めば、後は個人消費支出あるいは民間の設備投資といったようなものが続いてどんどん出てくるというような時代ではどうもないのじゃないか、こういうふうに思わざるを得ないわけでありますが、この点で大臣は財政の果たす役割りというものを少し過大に評価をされていないかという疑問があるものですから、所見をお聞かせいただきたいと思います。
○河本国務大臣 確かに、いまお述べになりましたことがキーポイントでありまして、そういう問題点はあるのです。それともう一つは、ことしだけ七%をやって、一体来年以降どうするんだ、こういう問題もございます。そこで、来年以降の問題については、先般総理も、五十四年、五十五年は七%に近い成長、七%弱の成長を目標としたい、そして日本の経済を一刻も早く安定させたい、こういうことをお述べになっておりますから、この点ははっきりしたと思うのです。 ただ、これだけ冷え切った経済の中で、財政を少々つぎ込んだからといって果たして民間経済が動いていくのかどうか、これは疑問じゃないかといういまの御指摘は、確かに問題点でございます。そこで、適当な時期に、六、七月ごろには、果たして政府の期待しておるような効果が出ておるかどうか、こういうことをやはり調べてみる必要があると私は思います。そして、計画どおりいっておれば大変よろしいわけでありますが、万が一にも計画どおりいかない、どうも思わしくない、こういう事態がありといたしますならば、そのときはそれに対して必要な対策というものを緊急かつ大胆に打ち出していかなければいかぬ、こう思っております。少々大規模な財政を組んだならば、それですべてがうまくいくんだ、そういう安易な考えでは決してないということでございます。
○清水委員 そこで、私は、財政もさることながら、どうしてもここで経済の構成要因としては最も大きい個人消費支出というものをどうするか、この点が大事な問題になっていくのじゃないかと思うのです。政府の見込みによると、名目で約一二%、実質で五%の個人消費支出の増を期待されている。私はそれはそれでいいと思いますけれども、ただ問題は、それを裏づける具体的な根拠に非常に乏しい。たとえば予算委員会等でもしばしば言われているように、ことしの春闘におけるベアはどうも去年より落ち込んで七%くらいだと思う、こういう見方を政府はしている。同時に、主要経済指標によれば、消費者物価の上昇率を六・八%というふうに見込んでいる。そうなると、いわば差し引きゼロで、実質所得は横ばいをするというような、こういう状況にならざるを得ない。 ところが、春闘の影響なんというものはそれほど大きくはありませんという企画庁長官の考え方も示されておりますけれども、しかし、今日五千三百万人の勤労者の賃金というものは、多かれ少なかれ何らかの形で春闘のベアの影響を受けているということは、これはもう紛れもない事実なんです。したがって、そういうことを考えてくると、これだけ膨大な勤労者層の実質所得がふえない、こういう前提で、果たして個人消費支出のいま言うような五%の実質増が期待できるのか。私は、どうもできないのではないかと思わざるを得ないのですが、その辺はいかがでしょうか。
○澤野政府委員 お答え申し上げます。 個人消費支出の重要な構成要目といたしましては、個人所得の増加ということが見込まれておりまして、個人所得の増加率は、五十三年度において一一・六%を予想いたしております。その個人所得の増加率一一・六%のうち、雇用者所得が占める割合、これは非常に高いものでございますけれども、雇用者所得の伸び率が一一・〇%、その雇用者所得のうち、一人当たりの雇用者所得の伸び率は九・四%で、さらに雇用者数の増加率が一・五%、したがいまして、雇用者所得が九・四%プラス一・五%で一一・〇%ということになります。その他、個人業主所得、農林業主所得等を合わせました個人所得の増加が一一・六%ということになっておりまして、こういう個人所得の増加の傾向、それから先ほど先生お示しになりました消費者物価指数が非常に鎮静して六・八%程度ということで、先行き明るい見通しであるということから、個人消費支出の増加ということが約一二%あるというのが企画庁の計算でございます。
○清水委員 私に言わせると、実質成長七%達成をするために幾つかの要素というものを確保しなければならない、それがために、個人消費支出についてはこれこれの数字が必要だというような感覚で、どうも数字の方を合わされているような感じがしてならないわけですけれども、現実にいま言われるように雇用者所得が一一・〇%伸びるというふうにはじき出されている、その根拠自身が乏しいんじゃないかというふうに私は言わざるを得ないのです。 時間もありませんから、余り掘り下げて述べることは残念ながらできませんけれども、たとえばベースアップが低率にとどまったような年は、平均的に見てボーナスなどの伸び率も低い。また、そういうような状況の際は、いわゆる所定外賃金と言われます残業賃金なども余り伸びない、こういうことがごく常識的に考えられる。 また同時に、雇用所得者以外の所得というようなお話がありましたが、たとえば農業所得者について言えば、今日百七十万トンの米の減反がある。トータルをして、農家一戸当たりどうも十万円くらいの減収ということになるのではないか、こういうことが具体的な数字として示されている。あるいは個人事業所得者にしても、今日のような深刻な状況というものを勘案をした場合に、これがかなり伸びるなどということは残念ながら期待できない。だから、いま言われるように、総体的に一一・何%伸びる、そして六・八%の消費者物価上昇率を引き算をするとこういう数字が出てまいるんだというふうに、それはそろばんの上ではなるかもしれませんが、実態としては非常に無理があるんじゃないか、私はこう思わざるを得ませんが、どうですか。
○澤野政府委員 お答えいたします。 いま申し上げました数字は、個別の積み上げというよりはマクロ的な積み上げでやっておるわけでございまして、マクロ的な積み上げと申しますのは、雇用者所得の個人所得に占める割合が六二%、それから、お話がございました農林業を含めました個人業主所得が一四・五%というように、それぞれの項目について積み上げておるわけでございます。それをマクロ的に計算いたしておりまして、決して逆算して合わせているわけではございません。 それから、先ほどお話しでございましたボーナス等の特別給与、定期給与等との関係で申しますと、雇用者所得を一〇〇といたしました場合の賃金、俸給はそのうち八〇でございまして、その賃金、俸給の中で定期給与と特別給与、これがボーナスとか時間外給与というようなものに分かれるわけでありますけれども、定期給与は五九、特別給与は二一という割合になっております。その定期給与の中でいわゆる所定内給与というのが五四あるわけでございまして、個人所得全体の中で雇用者所得が六二占めまして、そのうち所定内給与はそれの五四を占めるというのが企画庁長官が予算委員会で御説明申し上げた数字でありまして、これは、先ほど申しましたように、それぞれの個人所得を計算いたします場合には、雇用者所得とか個人業主所得、個人の財産所得、法人企業から個人への移転といったような一つ一つの項目につきましてマクロ計算で積み上げたということでございます。
○清水委員 いまの問題はもう少し時間をかけて別の機会にやらしてもらいたいと思いますが、そこで大臣、いまの説明を聞いていられてもわかると思いますけれども、たとえば雇用者所得が総体的に伸びなければ個人消費支出も伸びない、こういうことにつながっていくわけでありますが、いまの説明とは逆に、私は、残念ながら、現状では雇用者所得というものは総体的にそう大きく伸びることが期待できない。 ですから、この際、実質五%の個人消費支出というものの増を期待するためには、より具体的な問題として、たとえばベースアップを二けた台くらい期待をする、あるいは、きょうから本格的にやりとりが始まるはずでありますが、野党五党が共同をして具体的に修正要求をする所得減税であるとかあるいは福祉年金の引き上げであるとか、こういう実質的な所得を向上させるための対策というものが非常に重要なポイントになるというふうに思いますが、この点、通産大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
○河本国務大臣 ベースアップの問題は、民間の当事者同士の話し合いによるわけでありますが、しかし、これをある程度高い水準に持っていこうということのためには、やはり現在のような景気の動向ではなかなかむずかしいと私は思います。その前提としてはどうしても景気の回復を急がなければならぬ、こういう大きな課題があるのではないかと思います。 それから、減税等を中心とする予算修正問題は、与野党できょうから話し合いが始まったようでありますから、その推移を見て判断をしたいと思います。
○清水委員 私は、実は個人消費支出の問題とあわせて、民間設備投資の問題についてもただしておきたかったわけでありますが、残念ながら、大臣の都合もあるようでありますし、きょうのところは先へ進むことにいたします。 民間設備投資の問題についても、永大産業の倒産に何も言葉をかりるわけではありませんが、製造業をめぐる環境は非常に悪い。そこで、非製造業部門に期待をかけると言われるけれども、商業やサービス業の環境も必ずしもいいとは言えない。少々サービス部門で伸びを期待することができるといってみたところで、民間設備投資そのものの中に占めるこの部門のウエートというのは非常に小さい。だから、大した役割りを果たし得ない。そこで結局、しばしば大臣が言われるような電力というものに期待をつなげられようとされているのだろうと思いますけれども、これとてもなかなか四兆円プラス一兆円というような期待に沿え得るような状況ではないのじゃないか。細かく言う時間がなくて残念でありますが、たとえば個人消費支出にも問題がある、民間の設備投資支出についてもいささか心配がある、こうなってくると、七%成長の見通しそのものにどうも狂いを生ずるのじゃないか、五十二年度と同じような結果を招来するのじゃないか、こういう心配があって仕方がないのですけれども、この辺、大臣はどのような所見をお持ちでしょうか。
○河本国務大臣 やはりいまお話しのように、幾つかの問題点はあるのです。あるのですけれども、政府の方が最大限の経済成長を設定いたしましたのは、雇用問題と国際収支の調整問題、この前提としての高目の成長、こういう判断でありますので、これは政府がしばしば言明しておりますように、あらゆる政策手段を尽くして万難を排してこれをやり上げたい、こういう考え方であります。 さっきも申し上げましたように、私は、やはり五十三年度はできるだけ頻繁に見直しをしまして、その都度計画がうまくいっているかどうかということをフォローアップしていく必要があると思います。そして万が一路線が狂っておるということであれば、さっき申し上げましたように、その都度それに必要な十分な対策というものを機敏に打ち出していく、これはもうぜひ必要である。そしてまた同時に、あらゆる政策手段を尽くすということ、財政だけではなく、金融あるいは貿易あるいは産業政策、すべての政策手段をこれに集中していくということ、こういうことがぜひ必要だと考えております。
○清水委員 それでは、先へ進むことにいたします。 公取の委員長もお見えのようでありますから、次に、いわゆる構造不況法案の問題について基本的な問題だけを若干ただしておきたいと思います。 まず最初に、いろいろと複雑微妙な経過があったわけでありますが、聞くところによると、きょうの閣議でこの法案の提出を決めたというわけでありますが、決めたわけですか。——決めたようでありますが、これは通産大臣にお聞きした方がいいと思いますが、この法案はいつ国会に提出をされる予定でしょうか。
○河本国務大臣 きょう閣議で正式に決定をいたしましたので、できるだけ早く提出をすることになっております。
○清水委員 できるだけ早くということは政府の気持ちとしてわかるのですが、大体いつごろになりますか。
○河本国務大臣 本日だそうであります。
○清水委員 そこで、この法案をめぐる本格的な論議は法案審議の際にやりたいと思いますから、避けます。 まず最初に、これは通産大臣に聞いておきたいと思いますが、現行独禁法の二十四条の三では、たとえば販売、生産、価格あるいは設備の制限についての規定もされているわけでありまして、当然構造不況法案が規定をする設備の処理という共同行為が独禁法で認められる、こういうふうに私は見ておりますし、また、かねて公取委員長もそういう考え方を述べておられるというふうに記憶をいたしております。 にもかかわらず、公取からもあるいは経済法学者の間からも大変な批判がある、あるいはマスコミ等からも厳しく批判的な論調が浴びせられる、わが社会党初め各野党も同法案についてはかねて重大な関心を払い、批判的な立場から問題視をしてきている、ところが、それにもかかわらず、最終的には官房長官裁定などというような政治手段まで講じてこの法案を提出する、私はどうもそれまで固執をされる気持ちがよく理解できないわけでありますが、どういうことなんでしょうか、お聞かせをいただきたいと思います。
○河本国務大臣 いまの二十四条の三の問題でありますが、これは何分、現在のいわゆる構造不況業種というものは、その背景から考えましても大変深刻でありますし、さらに数多くの業種が構造不況業種の範疇に入っておりまして、なかなか大変な事態になっております。そこで、過剰設備を廃棄をいたしまして本格的な再建の緒につけるというのには、やはり相当な時間がかかると思うのです。三カ月や六カ月ではできないと思います。そういうことで、今度の法律も五年間の時限立法ということでお願いをしているわけであります。そういうことから、やはり新しい法律によって抜本対策をやった方がよろしい、こういう判断のもとに今回の法律をお願いすることにしたわけであります。
○清水委員 それでは、公取の委員長にお尋ねをしたいわけでありますが、いまこの特別な長期の不況、しかも各業種にこれがわたっている、それゆえに、言ってみれば緊急避難としてやむを得ない政策を新しい法律に求めようとしている、そんな意味合いのお話があったように思います。私は、独禁法、とりわけ二十四条の三というものの運用等を公取委で考えられる場合、当然に今日のこのような構造不況産業に対する何らかの措置をとることが公取の立場からも考えられていたのではないのかといった感じを持つのでありますが、その点、いかがでしょうか。
○橋口政府委員 この問題は、去年の十一月の当委員会で西中委員にもお答えしたところでございますが、独占禁止法二十四条の三は、先生御承知のように、業界と申しますか、事業当事者が合意をして公正取引委員会に対して認可を申請するというたてまえになっております。つまり、事業者の自発性と申しますか、任意性と申しますか、そういうものがベースになっておるわけでございます。 一方におきまして、構造不況業種が大変深刻な状況にありますことにつきましては、よく承知をいたしておるわけでございまして、昨年の十一月、ここでお答えを申し上げましたように、独占禁止法二十四条の三の運用によって相当程度対応できるのではないか。ただ、従来の二十四条の三の運用方針につきましては、一般的な不況状態、短期間で需給が回復するような一般不況の状態についてこの法律を適用するというように、公正取引委員会が運用方針につきまして制約条件をみずからに課しておったわけでございます。 そういう四分の一世紀の運用の慣行というものもございますが、最近のような構造不況業種の状態等から考えますと、従来の公正取引委員会の運用方針に対しまして転換を加えて、新しい方針を出すことによって対応できるんではないか、こういう考え方を昨年十一月委員会として決めたわけでございまして、そういう点で申しますと、今回の不況法案との関連におきましても、業者なり業界の一部が共同して設備を廃棄する、そういうお申し出があって二十四条の三の要件に該当いたします場合には、検討の上認可することは可能だというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、今回の不況法案は、二十四条の三で対応できないそれ以降の事態についてのいわば措置であるというふうに考えております。
○清水委員 大臣も予算委員会の関係で急がれているようでありますから、そこで、質問の順序を少し変えて、大臣にお尋ねをいたしたいと思います。 実は、これまでも産業政策と独禁政策はしばしば対立的であったというふうに思います。この際に私が問題にしたい、あるいはただしておきたいと思うのは、どうも通産省には、産業政策の方を優先させて独禁法の適用除外を拡大していく、そういういわば不当な意図がありありとしているんじゃないか、こういう感じがしてならないのです。この点でも前に公取委員長がどこかで発言をされておりますが、独禁政策は産業政策のしもべになってはならないと言われることは当然な発言だと私は思います。 そこで、大臣にお尋ねをしたいのは、この法案の準備の過程で通産省がいろんなポーズをとられたわけでありますが、通産省のとった態度というものを見ていると、去年の改正強化をされた独禁法を逆なでするような、そういう態度であるとしか言いようがない、あるいは独禁法の骨抜きをねらっているのではないかという批判もあるわけでありますが、そういう批判が出るのもこれまた当然である、こんな感じがするわけでありますし、また、そういう批判にこたえて、通産自体も当初の原案を大幅に後退をさせるということがあったわけでありますが、私は、こういう点について、通産当局として大臣はどのような反省を今日持っておられるのか、お聞かせを願いたいと思います。
○河本国務大臣 私どもは、日本の立場から言いますと、自由主義経済という経済の仕組みが一番いい仕組みである、このように判断をしております。そういう観点から産業政策を打ち出し、また、公取は独禁政策という立場からいろんな御意見をお述べになるわけであります。また、学者は学者の立場からいろんな意見を述べるわけでありますが、世の中にはいろんな意見があるわけでありますから、やはりそれぞれの意見を活発に開陳をして、そしてお互いが謙虚な気持ちで相手の意見に耳を傾ける、こういう中で一つの方向を模索していくということがいいのではないかと思います。 そういうことでありますから、私は、法案作成の過程で、通産省は通産省としての意見を堂々とりっぱに述べていく、しかし、相手の意見もよく聞いていく、そういう中で調整をしていくということは大変結構だ、こう思っております。
○清水委員 どうぞひとつ御退席ください。 そこで、まだ私正式に法案を見ていないわけですから、正確な議論をすることはできないかもしれませんが、すでに明らかにされている内容を見ながら考えてみたいと思います。 そこで、一つのポイントとして、法律上業種を特定をしない、政令で包括的に幾つかの業種指定を行っているというのが一つの特色だと思います。たとえば一般論として個別の業種指定は考えられないことではないと私も思いますが、このように法律で特定せず政令で決めるというやり方は、結果において業種を無限に拡大するおそれがありはしないか、こういう心配があるわけでありますが、公取委員長としてはどのような歯どめがあると考えておられるか、お聞かせを願いたい。
○橋口政府委員 通産当局からお答えいただくのがあるいは適当かと思いますが、独占禁止法の立場から歯どめということでございますから、一応意見を申し上げさせていただきたいと思います。 この法律の規定によりますと、政令による業種の追加指定が可能になっております。法案の内容から申しまして、主務大臣の指示に基づいてカルテルを結成する、こういうことでございますから、したがいまして、対象になる業種の限定性と申しますか明確性というものはよりはっきりしておいた方が私はベターであるというふうに考えるわけでございまして、実は折衝の過程でそういう主張もいたしたのでございますが、その結果といたしまして、法律に列挙しておりますもの以外の個別の業種指定につきましては、法律施行の日から一年以内に限定する、つまり一年以内に勝負をつける、こういう考え方になっておるわけでございまして、おっしゃいますように、業種の限定につきましてはいろいろ制限がございますから、決して無限ではないわけでございますし、それから時間的な限定もございますから、つまり構造不況業種というものはこの際できるだけ早い期間に業種の内容を確定して施策を行う、こういう思想が出ておるわけでございまして、こういう点で適当ではないかというふうに考えておるわけでございます。
○清水委員 個々の内容については、最前申し上げたように、法案審議の際にまた申し上げることにいたします。 実は、これは通産にお尋ねをするわけでありますが、今日の不況業種について、先ほど来大臣からお話のあるようなそういう状況について、今後の見通しを立てるというようなことは非常にむずかしいことじゃないかと私は思います。早い話、去年典型的だったセメントという不況業種が、いまやフル操業に入っているというような状況がある。ついせんだってまでの小棒についても、品不足を来し、価格が大幅に値上がりを示し、通産当局はあわてて増産を指示しなければならないというような状況も生まれている。したがって、私は、過剰設備の廃棄というものをベターとする、こういう見方よりも、実際には休止か格納で済む、こういう状況というのが多いのじゃないかというふうに思うわけでありますが、この辺をどう見ているか。 また同時に、仄聞をするところでは、通産省内部に、廃棄ができなければ結局のところ労働者の解雇もできない、こういう考え方があるという説もあるわけでありますが、事実だとすれば、これはゆゆしい問題だと言わざるを得ないと思います。今日雇用が非常に重大な政治課題になっている、そういう折に、最終案では雇用条項というものが設けられ、私どもから見れば抽象的で問題にならぬという感じを持っているわけでありますが、そういうふうな手だてを講ぜざるを得ない状況もあるわけでありますから、この辺を簡単にひとつ聞かせていただきたい、こう思います。
○山口(和)政府委員 廃棄のほかに、長期の格納あるいは休止の方式によって設備処理を図ることができるんじゃないかという御指摘でございますが、私どもも、そういった業種によりましては、格納方式あるいは休止方式が最も適合しているんじゃないかというような業種もあろうかと思います。したがいまして、この法案では、設備処理の中には廃棄のほかに長期の格納もしくは休止というのも含めて対象に取り上げていくという考え方で臨んでおる次第でございまして、その辺は業種業態に応じて適切に対処していくということが必要ではなかろうかと考えております。 それから、過剰設備の廃棄が、人員削減のためにそういった考え方が出ているんではないかという点でございますが、そういった点については、従来から構造不況業種というのは長期間遊休設備を抱えていろいろ不況にあえいできておるわけでございまして、そういう中で企業経営の実態に応じて雇用問題というのをいろいろと苦労しながら、たとえばほかの事業部門への配置転換とかあるいは関連会社への出向とか、そういった形ですでに構造不況業種に属する企業の中でいろいろ努力は行われております。が、私どもも、そういったことによって設備の廃棄と同時に雇用問題について、雇用を減らすんだということではなくて、雇用の安定を図りながら設備の廃棄による業界の安定ということが図られるようにいたしたいと考えます。そういう意味で、雇用につきましては、御案内のような雇用安定資金制度、あるいは昨年成立いたしました特定不況業種離職者臨時措置法等の活用によりまして十分対処していくということができればと考えておる次第でございます。
○清水委員 それでは、次に移りたいと思います。 私は、ここで中小企業対策に関連をして一、二お尋ねをしたいと思います。 まず最初に、最近林野庁が、国有林の販売代金について現金による早期収納促進策というものを推進をされております。年度内の払い下げ代金、どうも現在の見通しでは予定どおり入ってきそうもない。そこで、去年の十二月ごろから国有林材の現金販売の方針を強化しております。ところが、国有林への依存度の非常に強い中小の木材とか木工業界を抱えている町村など、つまり自治体の中には、国有林材を確保するための資金を業者があるいは業界が金融機関から借りられるよう、自治体が元金や利子や延納利息について、たとえば二億円あるいは三億円というような損失補償をする、こういうケースも現に出ております。まさに林野庁のこのやり方というものは、ひとり業界のみならず零細な自治体をも苦悩の中に追い込んでいる、こういう実態があるわけでありますが、この点について中小企業庁長官は承知をされておりましょうか。
○岸田政府委員 今回御質問をいただきましたのを契機に、そのような事情があることを承知をいたしました。ただ、私どもの聞いております範囲内では、林野庁は日ごろ取引先の中小企業の実態をよく知っておられますし、その辺の事情は十分勘案をしながらおやりになっていただいているのではないかと思っておるところでございます。
○清水委員 私は、そういう御答弁でありますから、それならば林野庁に聞かなければならぬわけでありますが、現金で代金の決済をさせる、そのことが、今日のたとえば中小製材業などは通産当局も去年の六月には中小企業信用保険法に基づく不況業種の指定をしたり、それよりさかのぼって三月には中小企業の事業転換臨時措置法の業種指定もやっている、こういうくらいに現実的に資金面等についても大変な苦境にあるということを知っての上だということに、私はいまの長官の答弁をお聞きをしたわけなんでありますが、そうだとすれば、そういう深刻な事態をよそにして平然と現金で収納させるなんというようなことをやることは、果たして実情を知っているということが言えるのかどうか。もし知っていてやったんだとすれば、これは暴挙だというそしりを免れないと思うのですけれども、この辺はいかがなものでしょう。どちらからでもいいですけれども、お聞かせください。
○高野説明員 お答えをいたします。 林野庁は、国有林の仕事の中で、丸太とそれから立ち木のまま売ります立木販売と言っておりますが、その二つの形で販売をいたしているわけでございます。 販売いたします際に、いま先生お話しございました延納制度というのがございまして、量とか金額で一定の基準がございまして、それに基づいて延納制度で運用しながら販売をいたしております。実は、この数年来国有林の特別会計の財務事情あるいは資金事情が大変厳しくなってきておりまして、五十二年度につきましても、木材価格が私どもが最初に考えておりましたような水準まで達しないというような事情などがございまして、昨年の秋ごろから、いま御指摘ございましたような延納期間の短縮でございますとか、あるいは一部現金でお支払いをいただく、こういうようなことをやってきております。 木材業界におきましても大変厳しい経済状態にございますので、私どもといたしましては、一律にいま申し上げましたような運用をすることなく、たとえば一般公売の場合には全部現金でいただくとか、あるいは制度上決められております期間よりは延納期間を短縮して買っていただくとか、そういうことをいたしましたり、あるいは随意契約で販売いたします際につきましては、相手方の資金事情あるいは経営の動向、こういったものを個別に十分配慮いたしながら、相手方と話し合いの上で延納期間の短縮なりあるいは現金での収納をしていただいている、こういうようなことでやっているわけでございます。 なお、延納期間を短くいたしましたり、あるいは現金でお納めいただくというようなことになりますれば、市中銀行からお金をお借りになるというケースが出てくるわけでございますが、そういった場合につきましては、林業信用基金という債務保証機関がございますが、そういったところと連携を保ちながら、一般市中銀行などから資金ができるだけ円滑に買い受け人の皆さんの方に回るようなことを、林野庁あるいは営林局長の段階で努力をいたしながら御協力を仰いでいる、こういうようなことでございます。
○清水委員 時間もありませんから先に進まざるを得ませんが、しかし、これは高野さんも理解をされていると思いますが、中小の業者から見ると、林野庁というのは、昔から、帝室林野局などというサーベルを下げた時代からの非常にこわいイメージがございまして、余り無理をさせないんだ、話し合いでスムーズにいくようにしているんだというような、ここでは柔軟な言い方をなさるのですけれども、しかし、現実には、うっかり抵抗をしたり反対をすることはできない、言われれば言われたような形で、現金で決済せざるを得なくなってしまう、もしそれをやらなければ、県外の大手業者あたりが来て買い占めていく、高いマージンのついた材を今度は買わなければならない、そういうネックも出てくるわけですから、結局は泣き寝入りをせざるを得ないという現実があるわけですよ。 しかし、背に腹はかえられないというわけで、近隣、近在の自治体に泣き込んで、何とかしてもらえないだろうかということになる。たとえば、村や町によっては、鉱工業生産の半数ぐらいを握るというような、そういうシェアを占めている木材業界もあるわけですから、材が手に入らない、それがために倒産をしたり、大量の失業者が出たりしては困るというわけで、これまた無理算段をして、さっきのような損失補償をする。下手をすれば、これは債務保証につながるおそれがあるわけですね。わずか十億円そこそこの村の財政しかないようなところで二億も三億もその補償をするというようなことは、本来あり得べからざることなんですよ。しかし、現実にはそれをやっている。 何と言われてもやらせざるを得ないようなところに林野庁の新しい施策で追い込んでいるのではないか。たとえば、年度を越して延べ払い契約をした業者に対しても、三月二十五日までに払えば〇・一五七の還元金をくれる、納めろ、納めろというようなことを盛んにやっている。こんなことは、同じ国の機関であって、たとえば中小企業庁等は、業種指定もして、大変だからめんどうを見なければならぬと言っている。ところが、林野庁は、いま言ったような非常にひどいやり方をする。ぼくは、これは中小企業庁としても放置をしておくのではなしに、このようなやり方はこの際やめるという前提で検討をし直すようにしてもらいたいと思いますが、中小企業庁長官、いかがでしょうか。
○岸田政府委員 せっかく御指摘をいただきました問題でございますので、私どもも、林野庁でやっておられる具体的な措置を私どもなりに勉強させていただきまして、中小企業者が非常に不利な扱いを受けるというようなことについては、極力是正を図るように措置していきたいと思っております。
○清水委員 私は、いまの点については、必要があれば通産大臣が農林大臣とも相談をして、早急に問題の解決を図ってもらいたい、改善をしてもらいたい、こう思いますが、いかがでしょう。
○岸田政府委員 中小企業庁といたしまして、林野庁とよくお打ち合わせをさせていただきたいと思います。
○清水委員 もう一つ中小企業庁長官にお尋ねをしたいのでありますが、実は円高問題を契機として、輸出関連企業が、単に価格競争力だけでなしに、いわゆる非価格競争力を持たなければならない時代に来ているんじゃないか。私も新しい時代の要請と見ております。去年の十二月に、円高不況で非常に深刻な燕だとか三条だとか、その他の幾つかの産地を訪ねる機会もございまして、自治体なり関係業界の皆さんとも懇談をいたしましたが、実は、そういう際にも、非価格競争力をどうつけるかということについてたくさんの注文なり御要望がございました。 そこで、時間の関係で続けて質問をいたしますが、たとえば新しいデザインあるいは新製品、こういったものを開発する、あるいは品質の向上といったようなものを図る、これが必要だということは皆承知をしておるわけですけれども、ただ、現実には、わかっていても先立つ資金がなくて思うようにいかない、こういうことだと思います。そこで、私は、こうした新製品とか新技術の研究開発等については、単に近促法等で特別なめんどうを見るというだけではなしに、特別な新しい融資制度といったようなものを設けてみてはどうか。非常にむずかしい問題も含まれてはおりますけれども、たとえば条件によって成功払いといった制度も考えてみる、こういうような形でより前向きに、積極的に非価格競争力を身につけていくというような施策を考える時期に来ているんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
○岸田政府委員 これからの国際環境の中で、中小企業としては競争力、なかんずく非価格競争力が非常に大事な要件になってくるということは御指摘のとおりでございます。昨年の中小企業白書におきましても、その間の事情を分析しまして、価格競争力の面では発展途上国の追い上げが非常に急激になっておる、これからの生きる道は非価格競争力であるというようなことも申しておるところでございます。 これを支援いたしますために、いまお話がございましたように、各般の施策を現にとっておるところでございますが、その中で金融面の措置につきましては、従来から逐次金利の低減等を図ってまいりまして、これがうまく使えるようにという努力をしてまいったところでございます。それに加えまして、御承知かとも思いますが、中小企業の技術開発のための補助金がございます。これも年々予算の額を大きく伸ばしてまいっておりますし、また、その成果もあらわれておるというふうに思っておるところでございます。さらにまた、振興事業団の活用という面でも、振興事業団自身が中小企業向けの設備の開発をする、あるいは今後の計画としまして、府県が開発した技術を中小企業に利用していただきやすくする、こういった仕事もいろいろ計画をしておるところでございます。 各般の制度は用意をされておるわけですが、これをいかにしてうまく使っていくかという点につきましては、私どもも、今後特に気をつけてやっていきたいと思っておるところでございます。
○清水委員 時間が来てしまいましたので、これ以上の質問はきょうできなくて、はなはだ残念なんであります。とりわけ、実は省エネルギー問題でエネルギー庁長官と工業技術院長にお越しをいただいて、たっぷりとその御所見を承ろうというつもりでお忙しいところを煩わしてはなはだ恐縮なんでありますが、近々に一般質問の折にこの点については重ねて質問をさしていただくつもりでございますので、きょうは御容赦をいただきたいと思います。 それから、中小企業専任大臣の問題については、残念ながら、大臣が退席をされてしまいまして、岸田さんを相手にいろいろ言ってみてもちょっとどうかと思いますから、またこれは別の機会にさしていただきたいというふうに思います。 以上で終わります。
○中島(源)委員長代理 次回は、明二十二日水曜日午前十時理事会、午前十時三十分から委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後一時二十一分散会