社会労働委員会 第17号
- 発言数
- 150 件
- 登壇者
- 12 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1978/04/27
会議録
○木野委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び大原亨君外六名提出、原子爆弾被爆者等援護法案の両案を議題とし、質疑を行います。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平石磨作太郎君。 〔委員長退席、羽生田委員長代理着席〕
○平石委員 まず厚生大臣にお伺いをいたします。 特別措置法によって各種手当が出されて、原爆被爆者に対する処遇がなされております。これについて統計を見させていただいたのですが、非常にばらつきが多い。県によれば、非常に多く処遇がなされておる人もおりまして、たとえば保健手当にしろ、あるいは特別手当にしろ処遇がなされておる。県によれば特別手当あるいは健康管理手当、こういった処遇が行われておりますけれども、各県によって非常にばらつきがある。もちろん、これは被爆者が多いところもあれば少ないところもありますから、やむを得ない点もございます。やむを得ない点もございますが、たとえば高知県あたりを見ましても特別手当なんかはゼロなんですね。三百五十人も被爆者がおりますけれども、手当はゼロだ、こういったようなことが出ておりますし、各県によって、そういったばらつきが非常にあるというような統計が出ております。これは一体何に原因があるのか、ひとつ所見をお伺いしたいのです。
○松浦(十)政府委員 まず第一に、先生、特別手当にお触れいただきましたが、高知県では現在、特別手当の受給者は一人おるわけでございます。この特別手当につきましては御承知のように、それぞれの被爆された方を厚生大臣が認定するということになっております。これは中央の原爆の審議会におきまして、そこで専門家の方々が御検討いただきまして、そして認定いたすということになっておりますので、認定は全国統一的に行われておるわけでございます。そういう意味では、特別手当につきまして特に県のばらつきがあるというのは、それぞれの県の実情というのは、それほど反映していないのではないかと思われます。ただ、それ以外の、たとえば健診なり、あるいはそれに伴いまして、また健康管理手当というようなことになりますと、ある意味では、先生ちょっと高知県にもお触れいただきましたけれども、やはり、そういった健診をやる施設といいますか、そういったものが県によって、いろいろ多い県もございますし、少ない県もあるというようなことから、やはり健診の受診というようなことについては、ある程度のばらつきが出ているのではないかというふうに思われる節もございます。
○平石委員 これはやはり行政指導といいますか、PRといいますか、施設の面も、被爆者の団体の皆さんからお聞きしてみますと、指定医療機関が非常に少ない、遠いところにある。手近で、できないといったような意見がたびたび出てまいります。そのように施設の、いわゆる指定医療機関を見てみましても、これも非常にばらつきがあって、その点に影響が出ておるのじゃないか。 それから各県の取り組み方、PRの仕方、これなども相談に行っても十分な相談相手になってもらえないというようなことを、たびたび話に聞くわけですが、そういう面から見て、行政というものが全国的に、画一的にと言うてはおかしいのですが、少なくとも立法の趣旨が被爆者に十分に行く届くように行政指導をもっと強化して、あるいは研修会を開くなり、あるいは相談業務を行うというようなことをしてほしいと思うのですが、どのようなお考えか、お答えをいただきたい。
○松浦(十)政府委員 確かに、先生おっしゃるとおり指定医療機関が少ないという声は私ども、しばしば耳にいたしております。この件につきましては、各都道府県の衛生部に対しまして、そういう要望が強いのだから、できるだけ被爆者の声をよく聞いて、そうして指定医療機関をふやすような努力をしてほしいということは常々指導いたしております。 それから、もう一つ相談の問題でございますが、実は昭和五十三年度に新たに予算を設定いたしまして、各都道府県のそういったことに当たる職員を集めて、この人たちに、そういった相談のやり方といったようなことを、講習会を開いて十分認識させて相談業務に当たるというふうにいたしたいと考えております。
○平石委員 それから健診の場合の一般検査、精密検査ということが出ておるわけですが、この中で七つの項目がございますが、非常に老齢化もしてきたといったようなことから、これに心電図も入れてほしいという意見が非常に強いのですが、この点はどのように考えておられるでしょうか。
○松浦(十)政府委員 心電図を入れてほしいという御要望、よく伺っております。ただ心電図と申しますのは、先生御承知のように、一つには心電図を実際とる勘所もある程度必要でございますし、それから、それをとるための技術者というのも必要でございます。それからまた、それを読んでいただくお医者さんも必要でございます。そういう意味からしまして、現在のところ心電図を実際にまんべんなくやるということになりますと、現在のわが国の医療の状況からは、さしあたりは、とても無理ではないか。そういうところから、やはり一般検査を行いまして、それで必要な方に精密として心電図をやっていただくというのが実情に合っているということで、現在、心電図は入れていないわけでございます。
○平石委員 これは、いま言ったような事情はありましょう、いろいろ技術者の問題もありましょう。ところが各県の保健所あたりも心電図がない。だから結局、指定医療機関へ、遠いところを足を運ばなければいかぬといったようなことで、非常に不便だという面もございますので、できれば、ひとつ心電図を早く項目に入れて、整備を促進していただくように要望しておきたいと思います。 それから外務省お見えになっておりますか。この原爆について、現在の原爆二法というものでは十分な被爆対策ができないという観点から、国家補償の精神に基づく被爆者援護法の制定、これの要望が非常に強い。しかも、これは過去三十年間、悲願として被爆者団体等が要望しておることなんですが、これについて、これから少しお伺いをしてみたいと思うわけです。 ところで、この原爆投下が違法性があるのかどうか。このことについて、当時、日本政府はアメリカに対して抗議文書を出しております。この抗議文書は、ここの資料を見てみますと「本月六日米国航空機は広島市の市街地区に対し新型爆弾を投下し、瞬時にして多数の市民を殺傷し、同市の大半を潰滅せしめたり。」中略しまして「右地域内にあるものは交戦者、非交戦者の別なく、また男女老幼を問はず、すべて爆風および輻射熱により無差別に殺傷せられ、その被害範囲の一般的にして、かつ甚大なるのみならず、個々の傷害状況よりみるも未だ見ざる惨虐なるものと言ふべきなり。抑々交戦者は害敵手段の選択につき無制限の権利を有するものに非ざること及び不必要の苦痛を与ふべき兵器、投射物其の他の物質を使用すべからざることは戦時国際法の根本原則にして、」それからさらに中略しまして「広範囲にわたり帝国の諸都市に対して無差別爆撃を実施し来り多数の老幼婦女子を殺傷し、神社仏閣学校病院一般民家などを倒壊または焼失せしめたり。而して今や新奇にして、かつ従来のいかなる兵器、投射物にも比し得ざる無差別性惨虐性を有する本件爆弾を使用せるは人類文化に対する新たなる罪状なり。帝国政府は自からの名においてかつまた全人類および文明の名において米国政府を糾弾すると共に即時かかる非人道的兵器の使用を放棄すべきことを厳重に要求す。」というように、国際法及び人道の根本原則に反するのだという抗議文書を提出しておるわけです。これが当時の日本政府の見解であったと思うのですが、どうでしょうか。
○柳井説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生から御紹介がございましたように、昭和二十年年当時、広島の原爆投下の直後でございますが、当時、交戦状態にございました日本政府が、この新型爆弾によって老幼婦女子を含みますところの多数の犠牲者を出した、この未曽有の惨禍を前にいたしまして、これは人道的に非常に遺憾であるという立場から強く抗議をいたしておる次第でございます。このことは当時の状況といたしまして当然の措置であったというふうに考えております。 また現在も、このような破壊力という面から申しましても、また放射能その他によります後への影響という観点から申しましても、人道的に非常に遺憾な兵器でございますので、これが究極的に廃絶さるべきであるという点においては変わらないわけでございます。 ただ、厳密な実定法の議論といたしまして、これが当然に違法であるかどうかという点につきましては、国際通念といたしまして、これが違法であると断定し得るまでには、まだ残念ながら固まっていないというのが私どもの認識でございます。
○平石委員 当時の政府は、これを違法だと言っておるわけですね。いまの御答弁で、現在はやはり核廃絶、このことはやらなければならぬ。ただ違法性があるかどうかについては、まだ客観性がないというように変わっておるわけですが、これは国家行為の連続性から見た場合に非常におかしいということになると思うのですが、なぜ、そのように変わったのか、もう一回お答えいただきたいと思います。
○柳井説明員 お答え申し上げます。 当時の政府といたしまして、これは先生よく御存じの当時でございますけれども、古くから成立しておりますところの害敵手段の制限に関する諸条約、ヘーグ条約その他がございましたけれども、そのような条約の精神から申しまして、国際法上問題があるのではないかというふうに判断したものであろうと思われます。 ただ、現時点に立って冷静、客観的に実定法という観点から詰めてみます場合におきましては、先ほど申し上げましたとおり、残念ながら、まだ国際通念として、これが違法であるというところまでは固まっていないというふうに言わざるを得ないという考えでございます。
○平石委員 いまのお答えで、国際通念で、まだその域にまでいっていない、こうおっしゃるわけですが、やはり日本は唯一の被爆国であるという反省に、まず立って、非核三原則というのが国会決議にもなり、また日本のいわば国是となっておるわけですね。その非核三原則が国会決議になり国是となるということは、日本が唯一の被爆国だということの認識と、さらに核兵器に対するいわゆる残虐性、そして、こういった兵器の根絶ということを世界に向かって宣言をし、さらに被災を受けたということの大きな反省が込められた非核三原則だと思うわけです。そういう非核三原則をいま国是としてとっておるという状態から考えたときに、やはり一方で被災者が長年こういった形で悲惨な状態にある。しかも国際法規の実定法には決まってなかった、こういったことを、いま、おっしゃいましたけれども、この東京地裁の判決、これは確定判決となっておるわけです。いま、おっしゃったようなことを被告である国は主張しておったわけですよ。だが、それはこの確定判決の中で裁判によって退けられておる。少なくとも、あの確定判決は、違法だということを断定しておるわけですね。これはどのようにお考えになりますか。
○柳井説明員 お答え申し上げます。 ただいま御指摘がございました地裁の判決というものを私ども承知しておりますが、その中で原爆が違法であるというような考え方が披瀝されているわけでございます。ただ、国際法の問題といたしましては、これは先生御承知のように国際社会が主権国家の集まりでございますので、これの実定国際法としての解釈が国際的に固まるというためには、やはり国際社会におきましての大多数の主権国家あるいは国際機関等におきますところの主張というものが、これは違法であるというふうに国際通念として固まっていくということが必要であると思います。これは国際的な面で、そのような進展が見られることが必要であるというのが国際法の実定法的な考え方でございます。
○平石委員 いまの御答弁では、どうも十分に理解ができないんですが、少なくとも国家の機関である裁判所が判決をした。しかも、それは判決理由の中ですから、国は控訴はしていないけれども、ほかに、これについての裁判はないということから考えてみますと、少なくとも国家の意思としては、これは違法であるということを司法機関は判断したわけなんです。 それから、この判決にありますけれども「国家は自らの権限と自らの責任において開始した戦争により、国民の多くの人々を死に導き、傷害を負わせ、不安な生活に追い込んだのである。しかもその被害の甚大なことは、とうてい一般災害の比ではない。被告がこれに鑑み、十分な救済をとるべきことは、多言を要しないであろう。」ということが判決の末尾にあるわけなんですが、やはり単なる法律論で片づけるというんでなしに、そういったことを踏まえて、政治的な判断としての国家補償の精神に基づく立法措置が、外に向かって核廃絶を叫び、国際通念に持っていくまでの政府の努力と相まって、国内における、そういった被災者の処遇を国家補償の精神のもとに私は判断すべきだと思うが、厚生大臣いかがです。
○小沢国務大臣 おっしゃることも私は一つの見解といいますか、理解ができるわけでございますが、やはり戦争という行為を決定した国の責任という点から、問題をずばりとらえるか、ただ、そういう行為というものによって、いろいろ行われました事態、あるいはその結果生じた国民の被害というものについて、これをどういうふうに国内の政治、行政の場で救済なり、あるいは手当てをしていくかという問題になりますと、私は、そうした戦争責任という面からする配慮も加えなければいけないけれども、ずばり、それが即国家補償という、すべての面で、そういう法律上の考え方を適用していくかということになりますと、これはやはり、それぞれの事例によって私どもは考えていかなければならぬと思うのでございます。 ずばり国家補償をそのまま適用するという場合には、どうしても、そこに具体的な特別権力関係というものが国との間に成り立っていくという要素がないと、国家補償の問題をずばり適用していくということはいかがかというような考え方で終始今日まで来ているわけでございます。しかし、国家補償的配慮をどうしてもしなければいけないというような事例も中にはあるだろう。そういう意味で、この原爆被爆という特殊な、特別な事態というものを考慮して、そこに、ある程度、国家補償的な配慮というものをしていく必要があるんじゃないか。こういうようなことから、一般の社会保障立法と比べてみて手厚い、しかも医療給付については所得制限等もしない、そういう制度を立案をしたというのが実態じゃないかと思うのでございます。 そういう意味で、いろいろ御議論はございましょうけれども、やはり国家補償で、すべてを一から十まで貫いていくといたします場合には、どうしても、そこに国家との特別権力関係にあるということを何らかの意味で立証していかなければいけないものでございますから、そういう点からいいまして、戦争という行為を決定した国家の責任というものと、さらに国家との特別権力関係のもとにあるという要素を加えて初めて純粋な国家補償というものが考えられてくるわけでございますので、原爆被爆者の点は、先生おっしゃるように、わが国のいろいろな原爆被爆国としての事情等を考えていきますと、先生のような御立論も、あるいはできるかとは思いますけれども、この辺については私ども従来とも考え方を一貫してまいりました。いま申し上げたような一般の社会保障にしては、やはり国家補償的配慮をもっと加えていかなければいかぬ特殊な事情だ。しかし、同時に国家との特別権力関係を純粋に考えていくわけにはいかないから、国家補償ずばりでは、なかなかいかぬのだ。したがって、その中間的なものであるというようなことでございます。 ただ、おっしゃるように唯一の被爆国であり、今後とも私どもの国が原子爆弾の全面的な禁止に向かっていかなければならないという事情から見ますと、保護あるいはその他の措置については、できるだけ手厚くしていくのが本当ではないだろうかと思いますので、今後とも内容改善については努力をしていきたい、こういう考えでございます。
○平石委員 非常に長い答弁で時間がなくなって、いらいらしておったのですが、いま大臣がおっしゃったように、やはり国は特別権力関係というものに固執するわけです。だから違法性で加害があった、国家行為によっての加害を受けておるのだから補償にという考え方を持って、特別権力関係は抜きにして話を進めたわけですが、いまの原爆二法の中には、いま大臣の答弁にあったように身分関係、特別権力関係になかった要素が入っておるわけですね。だから、純然たる社会保障ではございません、国家補償でもございませんという、いわゆる中間的なものが中へ入っておる。これを四十九年に、そういった形にしたということは、私がいま申し上げたことが、大臣の答弁となっては出てこないけれども、やはりその根底にあるのだということが言い得られる。 時間がありませんから、もう論議はいたしませんけれども、さらに、もっとこれを一歩進めたらどうかというように思われるのですが、特別措置法の中で、やはり所得制限が出ておるということ。この所得制限は、私が前段申し上げたようなたてりから言い、また大臣の答弁のたてりからいっても、この所得制限というのは廃止ないしは緩和の措置をやはり進めるべきだと私は思う。これを廃止する意思があるかどうか、ひとつお伺いしてみたい。
○松浦(十)政府委員 先生御指摘の所得制限につきましては、これは年々改善をいたしております。たとえば健康管理手当につきましては、昭和五十二年度約九三%が所得制限を受けない受給者になれるわけでございますが、五十三年度はさらに前進いたしまして九五%の改善ということになっておるわけでございます。年々このように改善しておりますが、私ども厚生省といたしましては、昭和四十七年度以来要求といたしましては所得制限の撤廃ということで常に要求をいたしてきておりまして、その中で、ただいま申し上げましたように、徐々ではございますが、ずっと緩和がよくなっていくという方向を来しておるわけでございます。私どもはさらに今後も緩和、撤廃という方向で検討していきたいと思っております。
○平石委員 そこで、各種手当となっておるのですが、これを総合して年金という形にならぬものかどうか、大臣の御意見を伺いたいのです。
○小沢国務大臣 総合してということは、ちょっと無理じゃないでしょうか。いろいろ手当については、その性格等がございますものですから、これはちょっとむずかしいのじゃないかと思いますが、年金化ということについての御要望が始終出ておりまして、ただ、現在の手当は御承知のように終身、手当を出すわけでございまして、これはいわゆる他の手当とちょっと性格が違ってきておりまして、まさに年金的な性格になっておるわけでございますので、私ども強いて、これを年金にしなければいかぬとは思っていない。現実に続いていく年金的なものでございますから、この点は特にこだわる必要はないのじゃないかというふうに考えております。したがって、所得制限の緩和に向かって、できるだけ努力をしていきますことによって同等の結果を来していくのじゃないかと思いますので、私どもは形式にこだわっていないということでございます
○平石委員 形式にこだわってなければ、それは年金に変えていただいてもいいことだと私は思うのです。それぞれの各種手当については、それぞれの目的があってのことですから、それは一遍に総合するということはむずかしいかもわからぬけれども、私は年金という名称の中で、そういったものを生かした、一つの段階をつけた年金というものも技術的には可能だというように理解をしておるわけです。 それと、この引き上げということについて今年も改定案が出ました。一〇%の引き上げということですが、被爆者の現実の実態というものを考えたときに、これはやはりもっと引き上げを行うべきではないかというように私は感じます。したがって、努力はしていただいておるのですが、今後この引き上げについても、それからいま言う年金の問題についても、あるいは所得制限の撤廃についても前向きに、積極的に御検討いただきたいということを要望しておきたいわけです。 それと、ちょっと、さきの質問で忘れたのですが、一般検査のときに問診がない。もう病院へ行っても血液を採血されて、そしてあとは尿を取ってください、お医者さんにも全然会わずに済ましておるというような実例をよく聞くのですが、これはやはりお医者さんがじっくり話を聞いて、問診をして、聴打診もやってあげないと、精密検査までいかなければならぬ患者を取りこぼすということが相当事例の中に出ております。これも時間がないから申し上げませんけれども数字的にも出ておる。だから、これはやはり問診を入れるべきだと思うのですが、どうです。
○松浦(十)政府委員 確かに先生おっしゃるとおりでございまして、問診の意義は聞くことだけじゃなくて、十分患者さんとお医者さんとが接触して、それぞれ医師と患者の間が、いい人間関係で話し合えるということが非常に重要だと思います。そういう意味合いにおきまして私ども本年度、問診票というのをつくりまして、実際にそれを検査のときに使っていただきたいというふうに予定いたしております。ただいま学者に依頼いたしまして、どのような問診票がいいのかという検討をいたしておりますので、今年度後半からでも実施に移せるものなら移したいというふうに考えております。
○平石委員 終わります。
○羽生田委員長代理 次に、谷口是巨君。
○谷口委員 私は、今回上程されておる原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案について、三十分間質問をいたしたいと思います。 「昭和50年原子爆弾被爆者実態調査(事例調査)」というのが厚生省公衆衛生局企画課から出されているわけでございますが、私も肉親を三人、原爆で失った立場から考えて、この中に出てくる一人一人の気持ちが本当に胸に響く思いがするわけであります。「調査の結果」としてこの中に述べられておりますけれども、「事例調査では統計といった資料は得られない。これに相当するものは、客体の生のコトバである。我々はそのコトバの意味を分析することによって、原爆は人間に対して何をなしたか、或は被爆者はいかなる苦しみを苦しみ、したがってその思想的営為がどこへ向うかを知ることができる。」というようなことが述べられているわけでございますが、私は全くそのとおりだと思うわけであります。 まさに原爆は人間の生きる肉体的条件と社会的条件を一瞬にして奪ってしまう。そして瞬時にして死亡あるいは苦しみ抜いた末の死亡、あるいは生存した者も生涯いえない苦しみを負って今日までやってきていることが実情であります。貧困と病苦、そして孤独という、その三重苦に追いやられているのが現状であると言っても、決して私は過言でないと思うわけであります。そして、その苦しみは現在もなお数多くの人々が受けているわけでございます。しかも、それは自己の責任ではない、余儀なくされた悲惨な結果を受けているわけでありますから、特別の考えを持って政府が取り組んでいくことは当然であるし、今後ますます強い決意で厚く遇していかなければならないという考え方で、私は質問をしておるわけであります。ところが、本人ががんばることは当然でございますけれども、これはどうしても本人だけで片づけることができない、いろいろな要素がございます。したがって、政府からの非常に強い援助の手が伸べられなければならないわけでございますが、その点について私はいろいろ質問をしたいわけであります。 そこで、第一番に伺いたいのは、いま長崎として最も要望し、陳情し、繰り返してきましたところの、いわゆる適用地域の拡大については、私は前回も質問いたしましたけれども、どのように厚生省として考えておられるのか、まず基本的なことを伺っておきたいと思います。
○松浦(十)政府委員 地域拡大につきまして、昭和五十一年度に、先生もよく御承知の残留放射能調査というのを実施いたしました。と申しますのは、現在それぞれの地域に、どのくらい残留放射能があるかということを調べれば、あの爆発の当時に、どのくらいの放射能を受けたかということが逆算できるであろう、こういう想定のもとに残留放射能調査を行ったわけでございます。その結果、現在まで得られておりますのは、これはストロンチウムとセシウムについて調べたわけでございますが、それから考えますと地域的に特に差はないという結論が出ておるわけでございます。ただ一部の地域におきまして、ちょっと、ほかの地域と異常に高いというような地域も出ておったわけでございます。 そういうことからしまして、こういった残留放射能調査が、そのままでストレートに読めるだろうかという疑問がございますので、もう一度、昭和五十三年度におきまして、残留放射能の調査をさらに補足的にやるということを現在、計画いたしておるわけでございます。そうしましたならば、その結果を十分科学的に判断いたしまして、そういった科学的に考えられるというような点から、この問題を考えたいというふうに考えております。
○谷口委員 現在、科学的な調査をやっているということでございますけれども、この結果は、すでに一回はもう出ましたね。その出た結果について伺いたいと思う。
○松浦(十)政府委員 ただいま申し上げましたように、前回に行いました調査では、特にその地域によって、たとえば距離等によりまして残留放射能の量が違うという差はなかったという結論がございます。 〔羽生田委員長代理退席、委員長着席〕 それからもう一つは、たとえば西山地区といったような特定のところでは異常に残留放射能が高い、こういうような結論が出たわけでございます。そういうようなことから申しまして、なぜ西山地区だけ高いのか、西山地区だけでございませんで、ほか二、三ございましたが、なぜ、そういうのがそういうことになるのか、もっと精密に調べなければ、きちっとした当時の状況を把握することができないだろう、こういうことでございます。
○谷口委員 残留放射能の検査だけが、いわゆる科学的な根拠になるというふうな考えであるのか、あるいはその他にも調査する方法があるとお考えなのか、簡単にひとつ答えてください。
○松浦(十)政府委員 現在のところ、この残留放射能の調査というのが一番適当なものではなかろうかというふうに考えております。
○谷口委員 いま答弁の中にありましたが、考えられないような地域に残留放射能がたくさん出た場合もあるように聞いております。西山の場合を私は聞いておりますが、それ以外にも出たのですか。場所は要らないから個所だけで何カ所。
○松浦(十)政府委員 広島では二地区でございます。長崎では西山地区以外三カ所に若干高いところが出ておる、こういうことでございます。
○谷口委員 じゃ、ことしの予算が計上されているわけでございますが、その予算の使用によって、さらに精密な調査を行われるのでございましょうが、もし、これが具体的に、あるいは科学的に、どういう状態で結局なったかということが明確になれば結構だけれども、もし、ならないときには、いわゆる残留放射能が異常に出たところの取り扱いはどうなさるのですか。
○松浦(十)政府委員 それはもちろん、ことしの調査で、それがどうして、そういうことになるのかというようなことが最大の眼目の一つでございますので、十分それを検討するわけでございますが、いまの段階で、その高いというのも、ちょっとほかより異常に高い、こういう意味でございまして、それ自体から、そこのところが人体に強い影響を与えるほどのものであるということまでは必ずしも結論されておりませんので、ストレートに、そこから対策ということには、さしあたりのところは結びつかないというふうに考えております。
○谷口委員 これは大臣に伺いたいのですけれども、戦後三十数年たちまして、要するに本来ならたくさん出るべきところが出ない。そして予想されないようなところが出てくるということ自体も、あるいは一面考えれば科学的な調査かもしれないが、非科学的な調査かもしれない。そういう立場から、地元が非常に不合理だと考えている、いまの地域の範囲ですね。これについては大臣、将来どのような方向で考えていかれようとなさいますか。
○小沢国務大臣 地域拡大につきましては、主として長崎で問題を提起をいただいているわけでございまして、逐次、実は御承知のとおり広げたわけでございますが、まだ、それでも非常に不公平、公平を欠くというような地元の御意見等がございますので、そこで私どもは、それを受けて調査を何回もいたすわけでございますので、調査の結果を見ないと、私がいまここで結論めいたものを申し上げるわけにいかないのでございますが、地域的に、そういう科学的な調査というものだけで住民の方が納得するかどうか、これは確かにおっしゃるようにいろいろ問題もございますので、これらは私も、もう少し他の要素等もいろいろ勘案したものを、現地の皆さんからもよく聞いてみて総合的に判断をしたいと思っておりますが、何はともあれ、やはりまず科学的な基礎調査というもののデータをとりませんと、それがやはり基礎になると思いますから、その辺のところを今年度の調査の結果を待ってから私は総合的に判断をさせていただきたいと思っております。
○谷口委員 何か理解できるような、できないような非常にむずかしい答弁でございますが、要するに、あなたは現地の声を聞いてということですが、一度、長崎へ来てくださいよ、現地に。現地の声を聞いて、そして判断していただきたい。これはまた後ほど御意見も伺いますが、この問題はこれで終わります。 次でございますが、従来から、いわゆる被爆者手帳の交付について非常に現実的に矛盾な点が幾らもあるわけです。その問題に関連をして伺うわけでございますが、審査は非常に厳格でなければならないことは私も当然と思います。国民の税金で行うのですから。だけれども、その申請に対する取り扱いが、私たちから見ると、ややもすると余り事務的に流れて、そうして、あるいは温かみがないのじゃないかという気がするのですが、このことの基本的な考えについて、いわゆる条文とかなんかじゃなくて、取り扱いの基本的な精神的な面について、私は大臣からまず最初伺っておきたいと思う。
○松浦(十)政府委員 当然、手帳の交付でございますので、確かに私どものルールといたしましては、きちんと客観的な証明ができるということが非常に必要だというふうには考えております。ただ、戦後も相当たっておるわけでございまして、そういう意味では必ずしも一〇〇%きちんとしていなくても、考えられる範囲において間違いないというふうに考えれば手帳が交付されるということがあっても、それはいささかも、おかしいと思っておらないわけでございまして、そういう意味で本当に被爆をされた方がもらえないということがないように、できるだけ配慮したいというのが私どもの気持ちでございます。
○谷口委員 私は大臣に答弁を求めたのですが、大臣、重ねて伺います。全く同じですか、御意見は。
○小沢国務大臣 いやしくも被爆者となるべき方々に対して被爆手帳が交付されないというようなことがあってはいけません。ただ、その際に一応要件になっておるものが、なかなか見当たらないという場合には、その要件の構成について、できるだけ柔軟な態度で臨みなさい、そして、いやしくも、そういうような事例がないようにしなさいという方針で指導いたします。
○谷口委員 大臣を初め非常に温かい精神で取り扱っていらっしゃることを私は認識をいたしました。しかし、現実に私は一つの問題を取り上げたいと思う。厚生省は私が申し上げたので、すでに御存じだと思いますが、特例でございますけれども長崎県の諌早市に居住されておるKという方、この方は非常にIQが低い。物もろくすっぽ言えない。人がああしろ、こうしろと言えば、それは何とかやれる。だけれども非常に不幸な立場にあるのです。この人が、実は長崎県に書類を出して、それが却下されまして行政不服審査申し立て書を出したのです。ところが先ほどの大臣の答弁、局長の答弁からいくと、私は若干うなずけない結果が出ていると思う。このことについての見解をまず聞いておきましょう。
○松浦(十)政府委員 簡単に申し上げますが、要するに、いま先生がおっしゃったような被爆者の方に、そういうような状況がおありであったためであろうかと思いますが、その内容について、いっぱい矛盾点が出ておった。特に私ども厚生省としては、あくまでも書類審査ということになっておりますので、書類上そういった矛盾点があったということで一応棄却処分にしたということでございますが、いま先生がおっしゃったような御事情があるということであれば、これは私ども、もっと現地に十分調査させたいと考えております。
○谷口委員 いまの答弁からいきますと再調査をするというような意思でございますね。念のために私は、もう一つ状況を明確にしておきたいと思いますが、実は御承知のように当時は長崎市内に、たとえば食糧だとか、あるいは衣料品だとか、そういうものを持って入っただけでも有資格者であったわけですね。この人は諌早の市役所に勤めていたのです。当時は戦争中でございますが召集も来ないような方ですから、普通の体でなかったのだけれども、確かに、ふだんなら雇われないのだけれども正式の職員であった。市長の証明が出ております。その人は、ほかの方と同じように長崎市に食糧を持って入りましたというのですが、書類を出せば、あるいはその当時は、いまみたいな厳格な審査がなかったらしいので、みんなもらったらしいのです。ところが残念ながら非常に不幸な立場にあったために除外された。 最近になりまして体も弱ってきたし、兄さん夫婦がめんどうを見ているわけですけれども、本当なんだから何とかしていただきたいということで百方手を尽くしたわけですが、字が書けないのだから代筆にならざるを得ない。理路整然と物を言えないのだから、どうしても第三者がある程度そこにいろいろなことを入れて書いたかもしれません。しかし、本人が連日出てくる犠牲者を場合によって素手でも扱ったというのですけれども、大八車に積んで臨時の火葬場まで持っていって、みずから焼いたということは、だれも認めているのです。 しかも長崎県に出された書類に一つ欠落しているものがある。現在、諌早市の課長をなさっている陣野正さんという方が、私は間違いなく一緒に遺体を焼きましたという供述書をつけて厚生省に出した。しかも、その陣野さんは「長崎の証言」の第六集の中に、この遺体の処理について事実を述べているのです。ただ、そこにこのK氏が出てこないだけであって、状況判断として、いたことは間違いない。これは大臣が言われ、局長が言われた精神から言えば当然該当しなければならない。実際の話、私は実情を聞いてもらい泣きしてきました。しかも私が長崎県に問い合わせたら、この供述書はそのとき長崎には出ていなかったのです。だから不服審査申し立て書に本人がつけて出したのです。しかも「長崎の証言」というものも、実は電話をしたときに、いま読んでおります。読みました、こういう段階で、政府に出されてきたのを単なる書類の食い違いがあるということで、この供述書もその他も認めないという立場をとっている。 いろいろあったと思うけれども、私は本当に血の通った政治としては、ちょっと短慮ではなかったか、私にはそういうように考えられてしようがないのです。係の人は一生懸命にやられた。私たちもそれを責めたくはない。却下されたには却下された理由があったのでしょうけれども、本当に苦しい、救わなければならない人を救わなくて——一説によると当時は非常に無造作にもらえた。いろいろな批判も一面にある。しかし年をとって、どうにもならなくなってきているのです。再調査するということだから私は一応納得しますけれども、大臣、私はこのことについて一生懸命やっていらっしゃることは知っている。しかし、単なる書類だけ、条文だけで判断することは、日本の政治また大臣の精神にも反することじゃないかと思うのだが、率直な大臣の意見を聞きたいと思うのです。
○小沢国務大臣 早急に再調査をいたします。
○谷口委員 大臣が再調査するとおっしゃったから、私は大臣初め皆様方の温かい気持ちを信じますけれども、こういうことをひとつ十分わきまえてもらわなければ困る。こういうことからも大臣に現地に来てもらいたい。忙しいでしょうけれども、あなた大物だから、たまには一日ぐらいあけたっていいでしょう。今度、長崎で幸い慰霊祭があるから、要請がありましたら長崎に来てくれる用意がありますか。
○小沢国務大臣 広島と長崎には、いつも総理大臣なり厚生大臣がそれぞれ手分けをして参ります。私がどちらの方に回りますかわかりませんが、できるだけ両方とも私自身行って皆さんの実情もいろいろ承りたいと思っておりますが、いまのところ、まだ明確にお答えできません。
○谷口委員 大臣の非常に前向きのお言葉でございますが、私のひがみかもしれないけれども、広島と長崎と比べた場合、遠いせいなのか何か力不足なのか、どうも大物はあっちの方に行って、小物と言うと言葉は悪いけれども、長崎は不満な点がたくさんある。したがいまして大臣、大物ですから、広島に出られるなら長崎もぜひ出てください。もう一回、切なる長崎県民の声を代表して申し上げておきます。
○小沢国務大臣 私はむしろ、記念日の行事に行って、お参り申し上げ、慰霊の言葉を申し上げて、すぐ帰るよりは、それ以外の——もちろん、そのときに残って、いろいろ調査もしたり、お話も聞いたりすることをやればいいのでしょうけれども、実は他の先生方からも強く、そういうことを言われております。前から問題点がいろいろあって、なかなか出渋っているようなところもあるようでございますが、それはそれとして、主管大臣としては現地の生の声を聞くことが大事だと私は思いますので、その日になるか別の日になるかわかりませんが、必ず両地域とも私はお訪ねをしてみたいと思っておりますから、どうぞ、その節はまた、いろいろよろしくお願いいたします。
○谷口委員 大臣の非常に人情味あふるる答弁をいただきまして、県民を代表して、お礼を申し上げたいと思います。それは必ず実行してくださいよ、言うだけではだめなんですから。 では質問を先へ進めます。 私は大臣に伺いたいのですけれども、社労あるいは本会議でも再三附帯決議がなされるのですね。私も、つぶさに見ました。私はもともと社労に入っていないので、なかなか発言の機会がないのですけれども、きわめて熱心に読みました。毎回のようになされている、この附帯決議に対する大臣の認識は、どのようなものですか。
○小沢国務大臣 これは国会の附帯決議でございますから、その都度申し上げておりますように、慎重に検討しまして、その御趣旨をできるだけ、われわれとしては尊重して行政に反映させる、これがもう当然のことだと思っております。
○谷口委員 それなりに努力されていることと私は思います。だけれども、私たち地元の人間からしてみますと、もっともっと努力をしていただきたいという気持ちが非常に強いわけですね。援護法がなかなか実現しない。したがって、いろいろな問題で、がんばっていただきたいのですけれども、たとえば特別手当については生活保護の収入認定から外していただくように検討していただきたいということが述べられたはすでございますが、その検討はどうなってきておりますか。
○上村政府委員 原爆関係のいろいろな手当の中で特別手当というのは生活援護的な性格を持っておりますので、これをまるまる収入認定から外すということはできません。 ただ、そこで私どもも、いろいろ工夫をしておるわけでございますが、生活保護法の運用上こういった特別手当を一応収入認定した上で、被爆した人の特別な事情、栄養補給等々があるわけでございますが、それに対応するために特別手当の半額相当額、現在は一万五千円と七千五百円があるわけでございますが、そういう放射線障害者加算制度というものを設けまして、こういった人たちの最低生活費のかさ上げをするという措置をしておるわけでございます。さらに五十一年十月からは、この加算のほかに暫定的な措置を講じまして、実質的には特別手当の六割が手元に残るような特別な取り扱いをしておるわけでございます。
○谷口委員 まるまる認めるわけにいかないとか、大蔵省みたいなことを厚生省が言ったのでは話にならぬと思いますよ。厚生省は大蔵省にやんやん交渉しなければならぬ立場ですから、まるで大蔵省から雇われてきたような、そういうことではまずいと私は思うのですよ。そういう点で、もう一歩の努力を願いたい。 また、所得制限の撤廃も強い要望があるわけです。同じような答弁が出ると思いますが、こういう問題についても今後ますます強い大きな努力をお願いしたい、このように私は思うわけです。 最後に、私は大臣に締めくくりの答弁をいただいて終わりますが、先ほどから申し上げましたように被爆者手帳の問題もほんの一例であります。現在おくればせながら申請をしている方々のいろいろな事情を御存じだと思いますが、たとえば被爆後、非常に健康であった。したがって自分は国のお世話にならなくとも自分でやっていくのだという決意をした人も中にはいたのです。それから、もし自分の子供あるいは孫が将来、被爆者であるというがために、いろいろなことで不幸な目を見るようなことがあったのでは大変だからということで、被爆者ということを隠した方も現実にあるのです。そういう問題を考えてみると、年をとってきて、世間の実態が、だんだん子供が親のめんどうを見なくなってきた。そうなってくると、何とかしてもらえるものはもらいたいとなってくるのはいたし方ない。しかし、もうすでに三十年もたって証明書を出せと言ったって無理な話なんですよ。しかも証明した人が、自分が申請したとき、どう書いたか、もう忘れているのです。真実なら忘れるはずはないと思うでしょうけれども、不思議とこれは食い違いが出てくる。そういう問題も勘案しながら、これも含めて厚生省の福祉面のいろいろな事業について本当に温かい気持ちを持って応待していただきたいということを私は念願しながら、あなたの最後の答弁を求めて質問を終わりたいと思います。
○小沢国務大臣 もう、おっしゃる気持ちをそのまま私どもも持ちまして、そういう個々の事例がございましたら対処してまいりたいと思います。
○木野委員長 次に、西田八郎君。
○西田(八)委員 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律案の審議が毎年行われるわけで、私も、これで三回かそこら質問をするわけですが、ずっと議事録を読んでみますと、何でこんな質問をしなければならぬのだろうかと自分でも疑問に思うぐらい毎回同じ質問をしているわけです。それはやはり政府の被爆者に対する態度と、われわれの考えるものと、いささかの食い違いがあるからだというように思うわけです。 昨年、私は、どうして原爆被爆者が国家補償の対象にならないのかという質問をいたしております。それに対して渡辺厚生大臣は、戦争の責任はあるし、被爆された人は気の毒であるけれども、しかし他の法律との関係において、これができないのだという答弁でありますし、佐分利局長の答弁では、国家補償ではないけれども社会保障の性格を持って、この法案はでき上がっておる、したがって、それは同じことだ。同じことなら、なぜ国家補償と言わないのだと言うと、そこでも答弁があいまいに逃げておるわけです。 アメリカでも最近、二世でミネタさんという方が下院におられて、原爆被爆者の救済をしようではないかというような運動が起こってきておる。こうした世界的な情勢、あるいは、せんだっては韓国から密入国をしてこられた孫さんは、被爆者手帳を渡さないということで交付を請求しておられましたが、福岡地裁では、たとえそれが密入国者であろうとも、原爆を受けた人に対して国は治療の責任があるという判決が出ておる。したがって孫さんに被爆者手帳を交付しなさい。しかし今度は密入国は認められないということになると強制送還をされてしまうので、果たして、この判決どおりにいけるかどうかは別として、少なくとも、そういうふうな動きが出てきておるときに、もうぼつぼつ政府も、そうしたいままでの見解を正すべき時期に来ておるのではないかと私は思うのですが、これに対して厚生大臣はどのようにお考えになっておるか、お聞かせをいただきたいと思います。
○小沢国務大臣 私は、ずばり国家補償という観点から被爆者対策をやるということについては、やはり、いろいろ疑義があると思うのです。これはなぜかといいますと、国の責任をあらわす場合に、国家との特別な権力関係にある人について初めて国家補償というものが行われるわけでございます。しかし、原爆二法というものは、戦争という一つの意思を決定した国の責任を、原爆という特別な被害について考えなければいけないという観点から立案をされておりますものですから、そこに社会保障の普通の立法よりも、さらに進んだ配慮をしている。したがって、その配慮を最高裁の判決では国家補償的配慮があるのだというふうに御指摘をいただいたものだと思うのでございまして、したがって、この原爆二法の性格は、国家補償そのものの観点からつくられたものではないけれども、国家補償的配慮を十分してある法律だ、こういうように私どもは理解をいたしております。したがって、問題は名よりも実じゃないかと思いますので、私どもは、この精神に基づきまして今後とも内容を充実していこう、こう思っております。
○西田(八)委員 国家補償的というのは、今度の裁判でも使われておる言葉ですけれども、国家補償的配慮というものと国家補償とは全く違う、それは全く言葉のあやではないか、精神の上では同じことだと思うのですね。 そこで、いま国の権力関係というお話が出たわけですが、そうすると、あの当時の戦争というものは、国家総動員法というような法律があって、全部がいつでも動員させられる体制にあったし、また戦時体制ということであって、だれもかれもが国の戦争遂行という一つの責任の中で生活させられておったのではないかというふうに思うわけです。したがって私は、端的に言うならば焼夷弾でけがをした人も、あるいは無差別爆撃によってけがをした人も同様に補償すべきであろうと思うのですが、しかし、それは一歩を譲るとしても、この原子爆弾というものが国際的に初めて使われたものであり、かつ他の爆弾やあるいは銃弾で倒れたとするなら、そのけがは一時的であるし、残ったとしても、後に残ったその障害は、いわゆる人体の、どういうふうに言ったらいいか、ちょっと表現はむずかしいのですが、それは生活の中で許容し得られる範囲の障害ということになりはしないか。しかし、原爆の放射線による障害は外見上は全然わからない。しかし本人には耐え得られない障害であると同時に、それはただ単に本人だけではなしに、後でまた質問をしますが、二世にも三世にも影響を及ぼす、そういう障害を持っておる。これはおのずから違うものがあるのではないだろうかというふうに私は考えます。 私自身が身内の中に被爆者を抱えておるわけであります。そういう関係から私自身やはり生活の上にかなりな不安と心配というものを、これはもう外見にあらわせないものを持っておるわけですね。したがって、そうした特殊な事情にあったということを配慮するということは考えられぬかどうか。それを一般の戦争被害者と同等に扱うということ自体に問題があるのではないだろうか。したがって、タブーとされてきたアメリカにおいても、やはりそうした被害者を救おうという運動がいま熱心に展開されておる。下院に法案が提出されて三年余りになるようでありますが、最近ようやく、その小委員会等で議論をされるようになってきたというのも、そうした認識の上に立っての措置ではないだろうか。したがって、当時の状況と現在の状況とは、おのずから国民あるいは関係者の認識も変わってきておるときでありますから、いつまでも権力の行使いわゆる依命行為であったかどうかということだけにこだわる必要はないのではないかと思うのですが、いかがですか。
○小沢国務大臣 まさに、おっしゃるように、この二法は放射線の被害という特殊事情というものを非常に配慮したものだと私は思うのでございます。それをさらに御立論のように国家補償ということで、すぱっと割り切るかというところに見解の違いが若干ある、若干だろうと思うのです。アメリカの方は医療費についての保障を、いま立法で考えておられる。私どもの方はもっと進んでいるわけでございまして、したがって援護の特別措置法というものをあわせて考えますと、判決で言うように相当、国家補償的配慮が貫かれていると思っております。 野党の皆さん方が御提案の国家補償に基づく援護法というお考えでございますが、私どもは、どうしても国家補償をずばり適用ということを考えます場合には、いろいろな意味で、従来の立法といいますか、法律上の考えからいって少し無理ではなかろうかということでございまして、中身については、アメリカはいま遅まきながら医療費についての問題をやろう、こうしておるわけでございますし、両方あわせて考えていただくと、相当国家補償的な配慮が貫かれている、かように私は考えておるわけでございます。
○西田(八)委員 ということは、たとえば、いろいろ手当が支給されていますね。特別手当、健康管理手当、保健手当、医療手当、介護手当、いろいろな手当が支給されておるわけででありますが、その中には、やはり年金と目されてもいいようなものさえあるわけです。ところが、それが年金とならない。そこにわれわれの主張との相違点が出てくるわけですね。したがって私も、別に提案しておる被爆者援護法の提案者の一人として、ぜひとも、この援護法を通過させたいという気持ちを持って臨んできておるわけですが、これが数年たなざらしになったまま、しかも援護法を制定してほしいという直接被爆者の願いというものは三十年近く続いておるわけですね。それにもかかわらず、それが制定できない。しかも、それによく似たいわゆる措置法と医療法がある。どうして、そういうことになるのだろうかということを考えてみますと、やはりその辺はもう政府当局が考え方を転換するかどうかということにかかってきておると思うのです。 したがって、いままで議論をしてきたけれども、どうもその辺は手当やその他のことについての意見の上では、ずっと集約されて一致してくるけれども、では最後にということになってくると、言葉のあやで、国家補償的配慮、いわゆる社会保障法としての現行二法と国家補償をずばりうたっておるわれわれの提案との食い違いが出てきておるわけですが、ぼつぼつ、この辺で、それを一本化する時期に来ておるのではないだろうか。 特に、手当を交付されておる人が去年現在で三十六万四千人と言われておるわけですから、この程度の人は一億一千万の人口の中では限られた人員だし、もうこの人たちもぼつぼつ亡くなっていくわけですね。これは直接被爆が原因ということではないにしても、人間のいわゆる天寿というものによってでも亡くなっていかれる方が多いということになってくると、ますます減少していくような感じがあって、私はせめて、それらの方々だけにでも安心してもらえるような方法を打ち出す、それが本当の政治の姿勢ではないかというふうに思うわけです。もうぼつぼつ、その時期が来ておるというふうに思うのですが、大臣の所感はどうですか。
○小沢国務大臣 この問題は私自身、非常に困難な問題の一つだと思っておりまして、おっしゃるように、どっちかに、ぼつぼつ結論をつけなければいかぬ時期だろうという仰せは、もう私ども、よくわかるのでございますが、やはり、例の私どもが主管しておる援護法の考え方と全く同じで、この問題を扱うということについては、どうしても私どもは踏み切れない点がございます。 したがって、いま単に、この手当を年金化すれば、それでいいということになりますと、また、いろいろな考え方はあれですけれども、いわゆる国家補償といいますと、そうはなかなかいかぬだろうと思いますし、そういうことを考えますと、非常にめんどうな問題でございますから、現実に放射線の被曝の特殊的な状況、精神的、肉体的な状態にある方々に、できるだけ私どもは援護なり医療の措置をやらせていただいて、それでひとつ現実の問題として解決をさせていただきたいと思っておりますので、まことにどうも意に沿わないかもしれませんが、現在のところ政府としては、それ以上進めないという事情も御理解をいただきたいわけでございます。
○西田(八)委員 とにかく時期はもう、そういう時期に来ておるというのは何人も認めることでもありますし、昨年、総理の施政方針だったと思いますが、ことしは仏教で言う三十三年だということを言われた。私も真宗の門徒でありますが、三十三年を済ませますと次に五十年まで大体、法事というのは行わないしきたりになっておるわけです。したがって、その間に、すべてのことは終わらせようということが一般的な家庭のしきたりでもあるわけですね。これは門徒だけの話だろうと思いますが……。 したがって私は、やはり国のこうした戦争のいろいろな問題についても、もうぼつぼつ、そうした形でけりをつけていい時期じゃないか。すべてをなくしろというのじゃなしに、整備するものは整備するべきではないかというふうに考えるわけです。ちょうど時期的にもいい時期であるので、ぜひともひとつ、そういう方向で、直接その法の対象になる人たちの希望でもあるわけですから、善処されんことを強く要請をしておきたいと思います。 次に、昨年同じように質問をした中で海外居住者の問題。アメリカは、いま言ったような形で医療保障を行おうという法律が整備されつつある、提案されつつあるということで、まだ日の目を見るかどうかはわかりませんが、特に問題になるのは韓国ですね。これは終戦直前というか、その瞬間までは同じ日本人であったわけなんです。そして日本人として国家総動員法、徴用令等において徴用され、あるいは動員されて、そして日本へ来て強制労働をさせられておった。軍の方は強制ではないと言うかもわかりませんが、一般的には強制だというふうに理解されておるし、いまはもう強制であったというふうに、はっきりされておる。 そういう中で被爆された人が、いま韓国へ帰って原爆症で非常に悩んでおられる。それに対して、核禁会議あるいは労働総同盟等を通じて、いろいろなカンパ等が行われて、二、三年前に診療所等も建てられたと思うのですが、それも十分でない。そして先ほどの孫さんのように、治療を受けるために密出国をしてくる、日本側から言えば密入国をしたというような切実な問題もあるわけです。したがって、これを一体どのようにして援助するのか、援護するのか、重要な問題だと思うのです。 しかし、これは日韓平和条約等によって、そういう医療行為その他についての条約等も細かく決められておることだろうと思いますから、国際法上非常にむずかしい問題もあろうと思うのですが、そこで何か日赤を通ずるか、あるいは他の民間団体を通じてというお話をし、また要望をしておいたわけですが、その後、厚生省として、それらのことに対して何らかの措置をされたか、研究をされたか、ひとつお伺いをしたいと思うのです。
○松浦(十)政府委員 いずれにいたしましても基本問題としては、日本と韓国という国と国の間の問題でございます。そういたしますと、こちらの方から向こうへ、こういうことをすると言い出すというのは、いろいろ外交上の問題があるわけでございます。そういう意味からいきまして、やはり韓国の方から正式に外交ルートを通じて、そういうふうな話があれば、私ども十分それについて対応するということは考えたいと思っておるわけでございます。 ただ先生、民間団体、日赤等と、こういう話でございますが、通常いろいろな国との関係で日赤等で話し合いが行われる場合でも、実際は外交上も、ある程度話があって、そして実態は民間団体が動くというような形であるわけで、従来も、そういうふうに動いてきたというふうに私ども聞いておるわけでございまして、そういう意味から、そういうふうな外交的にも、ある程度、裏話があり、そして具体的に民間というふうにならないと、ちょっと動けないというのが実情でございます。
○西田(八)委員 ところが核禁会議等は日韓交流をやって、総会を開いたりするときには韓国被爆者代表なんかに来ていただくように招請をしたりしておるし、また、労働総同盟の方では定期的交流をしておられるわけです。そのとき必ず、これは話題になるのですね。だから、その話題になったことは、私は少なくとも外交当局なり、あるいは厚生省の耳に入っておると思うのですが、そうした話は一回も聞いておられませんか。
○松浦(十)政府委員 先生おっしゃるような、そういった方々が、そういうことをしていることは伺っておりますし、たとえば、いろいろな翻訳をするというようなことがございましたときに、私ども、お手伝いをどこかにお願いしてほしいというようなことを聞いたときには、やはり、そういうことの御援助もするということは従来もいたしております。
○西田(八)委員 そういうことを聞いておられたら、私、去年もこれで要望しておいたわけですが、こちらから一回、医師でも派遣して、いろいろ診断もしてみましょう。あるいは場合によっては外交を通じて、そういう患者を受け入れて治療もいたしましょうというような話というのは、まだ進んでいないのですか。
○松浦(十)政府委員 先ほども申しましたように、どうも、こういう問題というのは、こちらから、あなた、こうしましょうと申し上げるのは、いまのもろもろの情勢から考えますと、非常に失礼に当たる可能性もございまして、きわめて微妙な状況にございますので、それは先ほど申しましたように御要望があれば、医師の派遣その他考えられるわけでございますが、こちらから声をかけるということは、ちょっと、いま現在のところ問題があるのではないかというふうに私ども判断しているわけでございます。
○西田(八)委員 それでは重ねてお伺いしておきますが、民間団体、いわゆる核禁会議等で、そういう運動を起こそうというような決議をなされ、そういう運動が起こってきたときには、厚生省としては、それに対して、できる限りの協力をする、そういう姿勢があるかどうか。
○松浦(十)政府委員 ただいま申し上げましたように、あくまでも外交問題にひびが入っちゃうと、もう話になりませんので、やはり、そういうところもきちんとした上でということで、先生の御意見はそのままお受けいたしたいと思います。
○西田(八)委員 これは、ただ単に韓国だけでなしに、元日本人ということになれば台湾もそうなんですね。それから南方諸島にも、あるいは何人かおられるかもわからぬ。そうした幅の広い意味で——原爆を落としたのはアメリカなんです。アメリカが国際法上禁止された武器を使ってやったわけですから、これはアメリカに全責任を持たすべきだと思うのですが、アメリカ自体この問題については、できるだけさわりたくないという気持ちもあるようで、今度のミネタ法案というのが通るかどうかわからぬというような状態の中にあるとするならば、やはり被爆者を出したのは世界で日本だけしかないわけです。最近いろいろ研究の中で放射線障害その他を受けておられる方があるかもわからぬ。しかし、それは戦争行為として行われたものでなしに、したがって戦争行為として受けた被爆というのは日本人だけですから、やはりこの点は日本が積極的に国際舞台で活躍すべき場所でもあろうと思うのです。したがって、そういう要望があった場合には、ひとつ、ぜひとも協力をしてほしいということを重ねて要望をしておきたいと思います。 そこで先ほど長崎の方からもお話が出ておったわけなんですが、二キロ以内という限定をされておるわけですが、これは二キロ以外のところでは、そういう原爆症と診断されるような患者は出ていないのかどうか。
○松浦(十)政府委員 必ずしも、そうは申し上げられませんで、認定の方の中には、その外の方もいらっしゃいます。
○西田(八)委員 そうすると二キロ以内というのは、もっと拡大解釈していいということですね。
○松浦(十)政府委員 ただいま申し上げましたのは、いわゆる認定疾病にかかった方がおられるかどうかというような意味合いで、二キロ以外の方もいらっしゃいます。こういうふうに申し上げたわけでございます。
○西田(八)委員 私の質問が悪かったと思うのですが、保健手当が二キロ以内の直接被爆者という枠が設けられていますね。したがって二キロを超してでも、そういう人がおったとするならば、この二キロの枠について、先ほど長崎での地域の拡大の問題が出ておりましたが、同様なことが広島でも言えるのじゃないかと思うのですが、その点について、この枠をある程度広げるという考え方はないのかどうか。
○松浦(十)政府委員 先生いま御指摘の保健手当というのは、いわゆる病気ではなくても、そのとき二キロメートル以内の中におられた直接被爆の方には保健手当を差し上げます。こういうことでございます。先ほど長崎でお話がございましたのは、いわゆる健康診断地域を広げてほしい、こういう御要望でございましたので、ちょっと、いまの二キロの問題とは直接につながっておりません。 それで先生のいまの御質問は、保健手当を支給する範囲が現在二キロになっておるが、それを広げる気はないか、こういうふうにお伺いしてよろしければ、現在のところ、国際放射線防護委員会、ICRPという国際機関がございますが、そこで勧告を受けました被曝量二十五レムというふうな考え方をとりまして、この二十五レムという数字をとりますと、現在の二キロに線を引いておけば、それの外は二十五レム以上受けるということがない、こういう判断のもとで、この二キロというのを引いておるわけでございます。 なお、前回こちらの委員会で御質問いただきましたときに、アメリカで原子爆弾の実験に伴いまして被曝した方に、いろいろ健康被害が出ているのではないかという問題があるというようなこともございました。そういうことからアメリカでも、いろいろこういう問題について今後研究が進むのではないかと思っております。いずれにしましても、そういった研究の結果、いまの私どもの考え方と違うような問題が起こってまいりましたならば、そのときは私どもとして検討したいと思っております。しかし現段階におきまして特別、新たな知見というものもございませんので、この線でいきたいというふうに考えております。
○西田(八)委員 ところが被爆者関係からは、その枠を拡大してくれ、これは援護局の方にも要請があったと思うのです。実際に、そういう犠牲者は二キロ以外からは出ていないのですか。その二十五レムという放射線を受けた患者というのはいないのですか。
○松浦(十)政府委員 先ほど申し上げましたように、二キロ以外の方でも、いわゆる原爆による病気だということで認定された患者さんはいらっしゃいます。
○西田(八)委員 第五条の二で「爆心地から二キロメートルの区域内にあった者又はその当時その者の胎児であった者に対し、」というふうに規定されていますが、これは多少拡大されて、それ以外でも、いま言う診断を受けた結果これは原爆症であるという認定をされれば、それはいいということになるわけですね。
○松浦(十)政府委員 おっしゃるとおりでございます。いわゆる認定疾病というのは、もちろん距離も関係ございますが、それは必ずしも二キロという線でなければならぬというようなことはございませんで、その審査いたしましたときに、その専門家の間において、いろいろ検討して、これは認定疾病である、こういうことで御意見いただければ当然認定疾病ということで、二キロにとらわれることはございません。
○西田(八)委員 そこで、最近いろいろ原子爆弾の研究がどんどん進んで、昨年も私、同じようなことを聞いておるわけですが、新たに原爆症として、これが被爆に起因する障害だというようなことでの疾病ということが従来のものからふえてきておるかどうか。
○松浦(十)政府委員 先生がおっしゃいますのは、病気の名前といいますか種類がふえているかという……。
○西田(八)委員 そうです。
○松浦(十)政府委員 実際問題として、それほど大きな変化はございません。大体において申し上げますと、約三分の一が悪性新生物、それから約三分の一が肝臓機能障害ということになっておりまして、こういった比率は大体ずっと最近も変わっておらないと思います。ただ、最近どうかとおっしゃいますと、いままで余りなかったのでございますが、乳がんにも放射線の影響があるのではないかというようなこともございまして、最近、乳がんの認定というのが行われております。
○西田(八)委員 三十年たっても、まだ、そういうようなことで新しい障害というか、被爆に起因するのではないかというような疑わしきものが出てくるという現況なんですね。これに対して、いわゆる放射線というものについて医学の方でも相当研究されておるのだろうと思うのです。政府としても、これに対して本当に進んで研究をしておられることだと思うのですが、どの程度までそれを進めておられるか。どの程度というとむずかしい質問になると思うのですが、被爆者の実情に即して、いろいろな障害が出てくると思うのです。何か最近は、がんにも関係があるようなことも言われておるわけなんですが、そうした点についても、かなり進んではいるのですか。
○松浦(十)政府委員 どの程度進んでいるかと言われますと、むずかしい問題でございますが、一つは放射線影響研究所、あちらの方でずっと研究を続けているのは先生御承知のとおりでございます。それからまた放射線医学総合研究所というのが科学技術庁の所管のもとにございますが、こういうところでも、その放射線の影響というのは当然研究をいたしておるわけでございまして、この辺は私どもとしては十分な研究が行われているというふうに考えております。
○西田(八)委員 十分研究が行われておると思うということなんですが、本当にどうなんでしょうね、これはどの辺まで影響するものなんでしょうね。特に最近、二世問題が出てきておるわけですが、そうしたことで何か具体的な臨床例は出ておりませんか。
○松浦(十)政府委員 放射線で、どういう病気を起こすかというのは非常にむずかしい問題でございまして、放射線による病気という特定な病気はございませんで、通常あるすべての——すべてとは申しませんが、放射線によって出てくる病気というのは、放射線じゃなくても出てくる病気ということでございます。そういうことから、放射線の影響によって、どれがどうなったかということについては非常に微妙な問題がございます。 そういうことで、いろいろな研究が行われているわけでございますが、特に、ただいま先生御指摘いただきました二世への影響という問題でございますが、これは放射線影響研究所が、前のいわゆるABCC時代からずっと、そういうことについて研究をいたしております。 一つは、原爆被爆者のお子さんの死亡調査でございます。これは被爆者から生まれたお子さんについて死亡状況をずっと追っかけておりますが、これにつきまして現在までのところ特に被爆をした両親の方から生まれたお子さんが、普通の受けない方のお子さんに比べて特に死亡が多いということは言えないという結果が出ております。 それから白血病というのは、非常に放射線の影響として鋭敏に出てくる疾病でございますが、同じように被爆者のお子さんの白血病と、そうでない方の白血病というのを比較研究しておりますが、これにつきましても、いままでのところ特に差があるというような答えは出ておりません。それから現在さらに精密に、その被爆者の二世の方の血液に変化があるかどうかというようなことを、昭和五十一年から研究をやっておるわけでございますが、これはまだ研究の途中でございますが、少なくとも現在までの三十年間のいわゆる疫学的な調査におきましては、特に二世の方に何らかの影響があるというようなことは出ておらないというのが現状でございます。
○西田(八)委員 ここに調査があるわけですが、傷病状況というのを調査されておるわけですけれども、これは全体での傷病だろうと思うのですが、傷病があった者の割合が五八・八%、非被爆者は二九・四%ということで約二倍になっています。また、やはりこういう調査で見ても、これは厚生省が調べられた調査で、私は資料持ってきておるわけですが、そういう点から見ると、やはり被爆をされておられる方の方が、一般の方よりも傷病率が高いというような調査が出ておるわけですね。したがって、やはり放射線を受けた者は受けてない者に比べて非常に、何というか体を損ねやすいという形があるのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうかね。
○松浦(十)政府委員 これは西田先生御承知の五十年の調査で、被爆の世帯の方は一般の世帯よりも傷病になった方のいる割合が多い、こういうことでございます。そういう意味で、確かに学問的には非常に究明されるのはむずかしい問題でございますが、そういった影響があり得るだろうということは考えられるわけでございまして、そういう意味から健康診断地域を設けて健康診断をしていただき、それから十の、本年度から十一の疾病をお持ちになっている方に健康管理手当を支給する、そういった制度がなされているわけでございます。
○西田(八)委員 そういういろいろな障害を背負っておられるわけで、たとえば就職する場合とか、あるいは最近は何ですか、せんだって私の方のこういう運動をしておられる滋賀県の支部長をしておられる方、こういったような方々が陳情にお見えになったわけですが、そのとき、いろいろ話している中で、普通の人よりも結婚が十年おくれた。なぜかというと、私は被爆をしているということが原因で、話がまとまりかけると、つぶれるのだ。どうもおかしいということで、仲人さん、仲に入られた方がいろいろ原因を探ってみられると、なかなか相手方が口を割られない。そこで念を押して、そう言わずに、本人の一生の問題にかかわるのだからということで問い詰めていくと、実はあの人は原爆を受けておるらしいが、そんな恐ろしい人と一緒になって、もし子供にかたわでもできたら、これは大変だというような配慮から、御本人は別としても御両親が承知をされないというようなことで、まとまりかけた縁談も三回崩れ、やっと四回目に結婚をした。したがって、いまは正常に幸せな家庭を送っておりますけれども、子供も、したがって遅い子ができたので、五十近くになっておられるわけですけれども、まだ一番上の子供さんが小学校四年生代だというようなことで、非常に大きな心配をしておられるということでありました。 したがって、そういうようないわゆる普通では考えられないハンディというものが、こういうような被爆を受けた方には症状として出てこなくても、そういう何といいますか、障害がついて回るわけですね。したがって私は、普通の焼夷弾やあるいは銃撃でけがをしたり負傷したりという方なら、非常に気の毒にということで、それはそれで済んでおるけれども、被爆者になってくると、その後まだ疑われる。あるいは、ひょっとしたらという、そういう疑いを持たれる。これはもう生活していく上でも耐えられない問題ではないかと思うのですね。私はそういうことを考えてみると、これらの方々に対して、ただ医療的な措置だけでなしに、やはり精神的にも負うハンディが多いわけでありますから、したがって私は、そういうことも含めて考えていかなければならぬというふうに思うのです。そうしたことについて厚生省援護局あたりで、そうした被爆者の実態というものを本当に親身にお世話し、また実態を本当に克明に御調査なさっているのかどうか、ひとつ伺っておきたいと思います。
○松浦(十)政府委員 先ほども申しましたように、昭和五十年に被爆者の方の実態調査ということをいたしまして、先生いま御指摘いただいたような疾病の状況とか、あるいは収支の状況等を調べたわけでございます。なお同時に、先ほども御質問いただきましたが、いわゆる事例調査というようなことで、そういった調査をいたしたわけでございます。
○西田(八)委員 したがって調査の結果、出たものに対しては、ひとつ親切に、いろいろな形で指導あるいは援護しておくというような必要がますます出てきておるのじゃないだろうか。話が途中でそれてしまいましたが、二世の方々について先ほどちょっと御答弁をいただいたわけですが、顕著に出ているというような例はございませんか。
○松浦(十)政府委員 先ほど申し上げましたように、一つの調査は死亡調査、それから白血病調査、それからたん白構造に対する遺伝学的影響調査、こういうのをやっておるわけでございますが、現在までのところ、いわゆる二世じゃない普通の方から生まれたお子さんとの間に特別の差異はない、こういう結論でございます。
○西田(八)委員 しかし、実際に被爆された方のおなかから出てきたいわゆる二世、あるいは、もうすでに、その人にまた子供ができているわけですね。ですから三世ができているわけですが、その人たちの心配というのは本当に私は絶えないだろうと思うのですよ。ですから、そういう人たちに対して、いま、いろいろ実態調査もされておるようですが、定期的に、毎年というわけにはまいらないかもわかりませんが、少なくとも追跡調査をしながら健康診断ぐらいはしてやらなければいかぬと思うのですが、どうでしょうか。
○松浦(十)政府委員 実は、そういう被爆者の方の二世の方に健康診断をという御要望は承っております。ただ一方、今度は反対に、健診なんかやらないでほっといてくれ、そんなことをやられると、先ほど先生のお話のように結婚のときも差し支えるから、そういったことはやらぬでほしいというようなこともございますし、同じように実態調査をやることに対しても非常に反対される方々もいらっしゃいます。非常に、この問題につきましては、いろいろなプラス、マイナス両面からの微妙な問題を含んでおるわけでございまして、私ども、お気持ちはよくわかるわけでございますが、どういうふうな方策がそういう方々に最も安心していただけるかということを、さらに検討をさしていただきたいと思います。
○西田(八)委員 先ほども申し上げるように、数が限られているわけですから、直接、被害を受けた人の意思に基づいて、ぜひとも、できるだけの処置をしてあげてほしいというふうにお願いをしておきたいと思います。 これは私事にわたって、まことに申しわけないのですが、私自身も長年苦しめられてきたわけです。最近になって、ようやく元気を取り戻しましたので、そういうなにはないのですけれども、二人目の子供が生まれたときには、貧血は起こすわ、わけもわからぬのに、ひっくり返ったりするし大変だということで、大津の日赤で診てもらい、いろいろ問診の中で、実は広島で被爆をしております。直接放射線を受けていないのでありますが、法に定められている一週間以内に爆心地から約三百メートル離れたところに帰って来て、おやじの葬式なんかしたものですから、それがあるのではなかろうかということで、ずいぶん精密に調べていただきました。いまのところ心配はないという診断を受けました。しかし必要なら原爆手帳をと言われたのだが、手帳までもらうことはないでしょうということで、お断りして今日に至っているわけですが、二人目の子供が、どういうわけか、いろいろの病気をしましたものですから、ひょっとしたらと悩んだわけです。しかし幸いにして、いま大学に行って元気にしておりますから、そういう問題はないと思うのですが、やはり身内にそういうのがいますと本当に心配なのですね。もしかしたら、ひょっとしたらという万が一の最悪の事態というものを想像するのが人間の常でございます。したがって、直接被爆をされた方、当時胎内におった人は、そういう話を聞かされると本当に不安が絶えないと思う。そういう不安が少しでも除去されるように、ひとつ今後もそういう面についての調査なり、あるいは施策というものを拡充して努力をしていただきたい。特にお願いしておきたいと思います。 最後に、そういう関係で、実は十五、六年前になりますが、広島県が出したのか市が出したのか、ちょっと覚えておりませんが、原爆で死んだ人に弔慰金を支給するという話がありまして、葬祭料であったのかどうかわかりません、とにかく五万円という金が渡された。長男がいまでも広島に住んでいるものですから、長男のところに来たけれども、遺族のものでありますから、きょうだい全部に相続権がある。欲しいのならきょうだい三人だから三分の一ずつしなければならぬがという照会がありました。そんなお金をもらうわけにもまいらぬ。墓も兄貴の方で守りしてもらっているのだからということで、私の方はそれの権利放棄をしたわけですが、そのとき非常に喜んでおられました。そういう意味で、わずかの方々でありますから、亡くなられた方に対して何らかの方法で国が直接弔意をあらわす。ただ単に八月六日の平和記念祭に行って総理大臣あるいは厚生大臣が弔辞を読むだけでなしに、何らかの形において、それをあらわすべきではないかと思うのですが、これについて、どういうふうにお考えになっておるか見解を伺いたい。
○小沢国務大臣 西田先生のお話を聞いておりますと、本当に直接の被爆者の御家庭でいらっしゃいますから、私も胸を打たれるわけでございますが、どうも他の方々との均衡という点で、戦時中にはいろいろな事件がございますので、これを考えますと、なかなか、そこまで政府として踏み切るのは困難でございます。お気持ちは十分わかるのでございますが、原爆で亡くなられた方々について、いま直ちに、そういうことを考えることは非常に困難だと思っております。他の均衡等も十分よく考えまして、引き続き検討はさせていただきますが、現在のところは、いろいろ影響等もございますものですから、戦争による被害は各地にまだ残っておるわけでございますので、私ども気持ちの上では率直に理解はいたしますけれども、政策あるいは立法の形で、これにおこたえすることは、今日の段階では、もう少し各方面の問題点もよく見まして、いろいろ検討させていただきたいと思っているわけでございます。
○西田(八)委員 それは大臣としては、そう答えざるを得ないでしょうね。ほかの法律との関係があるわけだから、これだけ特別にというわけにいかぬだろうけれども、いろいろと考えたら本当に当時の状況というのは大変だったと思いますよ。それはその場に居合わせなければわからぬ問題で、だれが、どう想像しようといったって想像のしようがない。実際に見なかったことは夢にも見ないと言われるほどでございますから、見なかった者に想像せいと言われたって、できないかもしれません。 〔委員長退席、羽生田委員長代理着席〕 しかし特殊な殺戮兵器でもって命をなくした人、しかも戦争がなかったら、それはなかったことなんですね。確かに大阪、名古屋、東京と空襲がありました。焼夷弾を大量に落とされて焼け死んだ人もたくさんおられると思います。亡くなったということについては同じだと思うのです。しかし、そのむごたらしさということからいけば想像を絶するものがあるわけですから、そういう点で被爆された方々が本当に特殊だということに限定をされて、ぜひとも特別の配慮をお願い申し上げたい。先ほども言うように、仏教で言う三十三回忌の年でありますし、それぞれ遺族の方々、いろいろな自分の信ずる宗教に基づいて行われたことだと思いますが、そういう方々に対して国として、この辺で弔意を表しておくということ、これが一つのけじめになるのではないかと思うわけです。いろいろ事情はあろうと思いますけれども、ぜひとも特別の御配慮をお願いいたしまして、私あと十分ほど時間があるわけですが、ちょっと個人的な都合で質問をこれで終わりたいと思います。
○羽生田委員長代理 次に、浦井洋君。
○浦井委員 現在、政府提出の原爆二法の一部改正案と野党が共同提案しております被爆者援護法案について並行審議がされておるわけでありますから、まず大臣の所信をお伺いしておきたいと思うわけでありますが、私は、結論から申し上げると、前国会から継続審議になっておりますが、野党が共同提案をいたしました被爆者援護法の制定に野党とともに政府・自民党は力を尽くして、この際、踏み切っていくべきだ、このように考えておるわけであります。 言うまでもなく原爆投下というものは明らかに国際法に違反しておるし、当然そこで賠償についての請求権が出てくるわけであります。ところが、その請求権についてサンフランシスコ条約で日本政府が請求権の放棄をした、そういう経過があるわけでありますから、この際、政府が責任を持って、被爆者の生活と、それから健康あるいは心をいやしていくという点で、野党が共同提案をしておる被爆者援護法案の実現に政府も努力をすべきであるというふうに思うわけであります。 しかも、現在提出されておる被爆者援護法案というのは、これは被爆者の方々も当然老齢化してこられて、いままでたくさんの方が亡くなられ、そして被爆者の方々が苦労して生活をしてこられた、がんばってこられた、何とか自分たちが生きている間に援護法案を実現をさしたい、こういう非常に真摯な気持ちで、昨年、被団協を初めとした被爆者の方々が、昭和四十九年に提出をした被爆者援護法の内容を大幅に変えて、そしてより現実的なものにつくり変えて提出をしたものでありまして、そういう点から見ても、やはり被爆者の方々の要望から見て、あれはぎりぎり最低の線である、そういうふうに私は思うわけであります。そして、そこには言うまでもなく目的の項に国家補償をきちんとうたっておりますし、全被爆者と、その家族についての生活と医療、これを国が責任を持って保障していくというものであって、これはもうぎりぎり譲れない全被爆者の願いだというふうに私は思うわけであります。ぜひ、これは実現をさせるべきだというふうに私は強く考えるわけでありますけれども、これらの点についての大臣の所信をお伺いをしておきたいと思います。
○小沢国務大臣 野党の皆さん方の御意見やら、あるいは被団協のお訴えやら十分理解をするわけでございますが、私どもは、いまのところ先ほど来、申し上げておりますように国家補償に基づく、ずばりそういう観点からの立法ということについては、どうしても同調できないのでございまして、ただ被爆者の現実の実態等を考えまして、医療並びに援護の方法につきまして今後とも一層改善に努力をしていく、こういうことで、ぜひ御了解を得たいと思うわけでございます。
○浦井委員 現在の二法が改善をされておらないとは私も言わないわけであります。しかし、前回のこの委員会で大臣が何度も強調されておったように、原爆医療法にしろ、あるいは特別措置法にしろ、非常に国家補償的な配慮がその底に流れておる。だから、これを強化、改善をしていけばよいのだということを大臣はしきりに言われておるわけでありますけれども、しかし、被爆者の方々が求めておられる国家補償という精神と、現行二法のあり方とは非常に次元が違うものだというふうに私は考える。そういう点で、やはりここで前国会から継続されておる野党共同提案の被爆者援護法案の制定が私は必要だと思うわけでありますが、重ねてひとつ大臣の前向きの決意を聞いておきたいと思うわけです。
○小沢国務大臣 せっかくの浦井先生の御意見でございますが、先ほど前段で申し上げました意見が、私どもの今日の段階では、もうこれ以上出ることはちょっと困難でございますので、内容の点について実質上できるだけ被爆者の皆さん方のために私は全身の努力を傾ける、こういうことで御理解をいただく以外にはないと思います。
○浦井委員 大臣の御答弁、はなはだ遺憾に思います。やはり私どもとしては、あくまでも被団協を初めとした被爆者の方々の切ない強い要求の線に従って、これからも努力をしていくということを改めて大臣に申し上げておきたいと思います。 さて、現行二法の改正の問題でありますが、二、三の疑問点についてお尋ねをしたいと思うわけであります。 まず第一番は保健手当の問題であります。局長にお尋ねをするわけでありますが、なぜ二キロという線引きをやったのか。というのは、その中で、その線引きのために保健手当が受けられる人と受けられない人との間に段差ができてしまう。これが非常に被爆者の方々の中で波紋を呼んでおるということであります。厚生省がやられた五十年の実態調査を見ましても、精密検査をやって異常のある人が、二キロ以内が一八・五%、それから二キロ以上が一六・四%。とてもこれは有意の差があるとは思えないわけですし、二キロ以上の方々の中からも認定患者が出てきておるわけでありますから、これはやはり見直しをして、被爆者の方々によけいな要らぬ心労をかけないように、そのために努力すべきではないかというように私は思うのですけれども、どうですか。
○松浦(十)政府委員 まず第一に、二キロという問題は保健手当の問題でございまして、保健手当というのは、二キロ以内で被爆された方につきましては、現在、疾病の状態になくても、いろいろ御心労等もあろうかということで保健手当というのがあるわけですから、これは逆に健康の方に出ている手当でございます。 それから、その次の外に広がっておりますのが健康診断地域があるわけでございます。そして、そういう健康診断地域におられる方でも、健康診断の結果、例の十の疾病、今年度から十一になるわけでございますが、その十一の疾病の状態にある方につきましては健康管理手当というのが出ておりまして、いわゆる被爆者手帳の所持ということになるわけでございまして、そういう意味では外側の方でも御病気になった場合においては、そういうふうな手帳の交付もございますし、健康管理手当の支給もございます。 また、いわゆる認定患者の問題につきましては、これはもちろん距離の問題で、こうでなければならぬというのはないわけでございますが、どのくらい被曝量があったかということは当然、参考になるわけでございまして、そういうことを含めて認定委員会で認定をいたすわけでございますが、それは必ずしも、あるところに線が引かれてということにはなっておらないという事情でございます。
○浦井委員 局長は毎回そう言われるわけでありますけれども、ここで一応二キロという線引きをしたというところで、相談員の方などに聞いてみますと、二キロという線が、手帳の交付制度の当時から一つの目安として決まっておる。保健手当というのは五十一年にできるというようなことで、制度にかなり時間的なずれがあるために、いろんな矛盾が起こっておる。たとえば、これは一例でありますけれども、国鉄長崎駅で被爆した。これは二キロ外になるそうであります。ところが、よく調べてみると、その方は国鉄長崎駅構内ではあるけれども、少し離れた石炭置き場で学徒動員として石炭を運んでおった。この石炭置き場自身は二キロ以内である。こういうようなケースがあって、そこらが原因になって非常にさまざまな矛盾が起きておるというようなこともあるので、ひとつこれは、いますぐに見直しをしますということは局長も言われないだろうと思うのですけれども、そういうことも含めてよく検討していただきたい。被団協の皆さん方の要望の中にも 「保健手当の「二キロ直接被爆者」というワクを拡大すること。」という要望もあるわけでありますから、よく検討していただきたいと思います。 それからもう一点、この枠拡大という点で入市者の問題であります。これも松坂先生などのデータによりますと、原爆投下後、日の浅いうちに爆心地に近いところに入市した人の中からは、認定患者も含めて、かなり異常者が出ておるということでありますので、もちろん保健手当は健康保持のためだということではありますけれども、やはりこれは入市者はだめだというふうに一概に決定してしまわずに、何らかの見直しが当然あってしかるべきではなかろうかというふうに私は思うわけでありますが、一応局長の答弁を求めておきたいと思う。
○松浦(十)政府委員 ただいまの先生の入市者の問題でございますが、これは、たとえば放射線医学研究所の橋爪先生の御意見等もあるわけでございますが、結局、被曝ということは、一つは核分裂のときの放射線、それから第二に中性子線が地上に当たりまして、そこで生じた誘導放射能によるもの、それから第三に、いろいろな粉みたいなものが飛んできて入るというようなものが主なものだろうと考えられるわけでございますが、現実問題として入市するというのは、原爆が爆発してから、ある程度時間がたってから入っているわけでございまして、そういたしますと中性子線が地上のいろいろな物質に当たって、そこで誘導放射能を持つ物質をつくった場合のほとんど大部分のものは非常に早く放射能が下がっていく、御承知のように指数的に下がっていくわけでございますので、そういうことからしまして、直爆でない方の放射能の受けた量は、それほど多くないのじゃないかという判断のもとで、こうしてあるわけでございます。
○浦井委員 そういうことが果たして、いまもそうであるし、これからもオーソライズされるのかどうかということは学者の間でもいろいろ疑問点があるわけであります。 先ほど申し上げた厚生省自身の五十年の実態調査を見ても、精密検査で異常のある人のパーセンテージが、入市者がこれまた一六・三%、これに比べて現在、保健手当が支給されておる、これは当然でありますけれども胎内被爆の方は、分母の数の差はあるでしょうけれども、七・一%というふうなことでもあるわけですし、やはり保健手当の支給該当の枠の拡大というようなことは、ぜひ、これから見直しをしていただく項目につけ加えていただきたい、このことをお願いしておきたいと思います。よろしいですか。返事はいいです。そこで、うなずいていただいたので大体うんと言っていただいたと思うわけであります。 次に、認定問題についてお伺いをしたいわけであります。 まず、最近の認定の状況は一体どうなっておるか。申請数、認定数、もちろん却下数、具体的な数字、典型的な数字をひとつ出していただきたいと思うのです。
○松浦(十)政府委員 まず第一に、昭和三十二年からの申請件数八千八百八件、これは五十一年度末でございます。八千八百八件ございまして、そのうち認定数は七千三百七十件でございまして、率といたしますと八三・七%ということになっております。それから最近の五カ年を申し上げますと、千八十二件の申請でございまして、そのうちの認定は四百九十九件ということで認定率は四六・一%ということになっております。
○浦井委員 五年ということでまとめられたわけでありますけれども、確かに認定率が低くなっておることは疑いないと思うのです。大体、厚生省としては、なぜ低くなってきたのか、この辺の原因については、どう考えておられますか。
○松浦(十)政府委員 被爆からの時間が短いうちは、いわば当然、申請して認定されるというケースが非常に多かったと思うわけでございます。しかし、そういった方々の認定が終わりまして、だんだん年数がたってまいりますと、最近では必ずしも当然、認定されるというような状況にない方も相当多く申請してこられるというのが実態で、そういうことから、だんだん時間がたてばたつほど、その申請に対して認定されるという率が減るというふうに考えております。
○浦井委員 やはり被爆者の人たちにとってみますと、年もとってくるし、体の調子はだんだん悪くなるということで、いままでは認定が部分的には強い要求でなかったかもわからぬけれども、要求は熾烈になってきていると思うわけです。 そこで私は認定について要望をしたいわけでありますけれども、一つは認定基準がないということであります。これは非常にむずかしい問題でありますが、政府として専門の学者の先生方の手も煩わしながら一応の認定基準をつくって、それが部分的あるいは総体的に実情に合わなければ、また手直しをするというような体制をつくる。それで補完をしながら流動的な形での一応の認定基準をやはり、つくるのが筋ではないかと私は思うわけでありますが、それが第一点であります。 時間がないので列挙いたしますけれども、それからもう一つは、昭和三十二年に医療法が制定された。その制定前に行われたいろいろな治療によって、いろいろな後遺症が残っておる。たとえばよく問題になります白内障の手術後の後遺症であるとか、あるいはケロイドであるとか、あるいは骨折などをやりまして、それで機能障害を残しておるとか、こういうような場合にやはり認定をするような条件をつくるべきではないかという点が第二点であります。 それから最大の問題は、これはケロイドとか白内障の場合に、これまた該当するわけでありますが、医療行為を伴わない場合には、現在の場合には、これは手術をするのだから、もう一遍するということで再手術をなさいというようなことで却下をされておるケースがよくあるというふうに聞くわけでありまして、といって、いまさら老齢化して手術をするのもというように方には特別手当が支給されないというようなことになるわけでありまして、いやいやながらでも手術をせざるを得ないというような矛盾もあるようであります。だから、この要医療性という点についての配慮をお願いしたい。 この三点であります。
○松浦(十)政府委員 最初の認定基準の問題でございますが、先生御存じのとおり、非常に個々に、全部の状況で認定をいたしておるわけでございまして、一律に一つの基準をつくって線を引くというのは、場合によったら自縄自縛にもなりかねないという問題もあるわけでございます。そういう意味で現在のところ認定基準というのは特に決めてございません。ただ、たとえば「医事新報」等に松坂先生がいろいろ問題点を具体的な例としてお書きになっておるので、何となく、その中から基準的な考え方がにじみ出ておるというようなもののあることは、よく先生も御承知のとおりかと思います。ただ、いろいろと例数が蓄積してまいりましたので、そういった蓄積の中から何か考えられないかということは私ども当然、意識の中に持っております。 それから第二の後遺症の問題でございますが、特にケロイド等の問題が大きいのだろうと思います。これも先生御指摘のように、いわば手術をするといったものに対しては認定ということになるわけでございますが、単なる、かゆみというようなものについて現在のところは認定をいたしておりません。 それから第二の、医療をしなければ認定にならないじゃないかということでございますが、これも現在、法律のたてまえ上、医療ということで認定患者ということになるので、もちろん特別手当は二種類ございまして、認定されれば、現に医療を行っていない状態である場合には低い方の額ではございますが、特別手当の給付は行われているという実情でございます。
○浦井委員 第三点でありますけれども、要医療性の問題、これはケロイドであるとか白内障などの場合は原爆起因性ははっきりしておるわけであります。だから、やはり被爆者の利益を考えるといいますか、そういう点で配慮していただきたい。要医療性がないということで却下をする。たとえばケロイドの方で、二キロ外で被爆をしてケロイドが発生をしたというようなケースの場合、そこで却下をされてしまうと保健手当ももらえない、健康管理手当ももらえないというケースもあるわけですから、その点は審議会の方でも十分に配慮をするように、厚生省からの考えをもって審議会にお願いするということが必要ではないかと私は思うわけです。 それから大臣に、この認定の問題でお尋ねをしたいわけでありますが、認定はやはり大臣がされるわけであります。審議会に諮問をして、答申が返ってきて、それを大臣が決定をされるわけでありますから、いま私が申し上げたような事情も勘案をしながら、単に医学的にというと、しゃくし定規的になりやすいので、その辺を加味した決定を大臣にやっていただくように、こういうことを要望しておきたいと思う。これはいま局長が言われた「医事新報」の松坂先生の論文の最終のところにも、そういう御意見が出ておるようでありますので、その点はぜひ大臣にお願いしたいと思うのですが、どうですか。
○松浦(十)政府委員 まず私からお答え申し上げますが、この審議会は、非常な専門家の方、同時に現地の医師の方にもお入りいただきまして御議論いただいて、先生がただいまおっしゃったような御意向もいろいろ踏んまえて、私どもとしては、いわゆる、できるだけ甘くと申しましょうか、そういう形で運営されているのが実情でございます。ただ、そこでも、どうしても医学的な見地から踏み越えられないという問題があるわけでございまして、そういう点は私ども専門家の御意見は十分尊重しなければならないと考えております。
○浦井委員 ちょっと、その前に大臣に。やはり、こういう認定行為なども、疑わしきは被爆者の側に有利にという精神で、ぜひやっていただきたいと思うのですが、どうですか。
○小沢国務大臣 やはり医学的にきちっとするということが第一原則だと思うのですが、その場合に、なかなか黒白はっきりしないというような場合には、なるべく救済の趣旨が通るような方向で認定をいたします。したがって、率直に言いますと、先生がおっしゃったように疑わしいものは皆やるんだ、こういうことでもありませんけれども、まさに、はっきりしたものは別でございますが、いろいろ見解が分かれているようなものは、なるべく救済の趣旨が通るような認定をする、こういう考えでやっていきます。
○浦井委員 疑わしいというのは、いろいろな見解が分かれておるということの同義語のように私は思います。だから疑わしきは被爆者に有利にということでやっていただきたいと思う。被団協の方々の要望の中にも「放射能医学が原爆についての後遺に関し必ずしも十分な見解を示していない現状においては、現に疾病に苦しんでいる被爆者の実情に即した認定を行うこと。」こういう切実な要望がありますので、この点は認定決定権者である大臣に強く要望をしておきたいと思うわけです。よろしいですね。 それから次に、被爆者の方々もかなり老齢化されてきた。もちろん二世の問題もありますけれども、その中で先ほど申し上げたように病気も、いろいろと老人病と結合をしながらの病気が多発をしてきておるという状況は厚生省もよく御存じだと思うし、また、ここで改めて、こういう事態になったので被爆者全体の健康管理の問題というのがかなり重大問題になって、厚生省としても腰を据えて、もう一遍見直していただきたいという感じを私は持っておるわけであります。 そこで、まず最初にお尋ねしたいのですけれども、原爆医療法で定められておる健診の件数というのは、たとえば一年で結構ですが、最近、五十一年度なら五十一年度の健診の数、一般検査がどれくらいで精密検査がどれくらいであるか。それから年二回の定期健診の数字と、それ以外の年二回の希望の健診、この数字をちょっと教えていただきたい。
○松浦(十)政府委員 まず一般検査でございますが、これは五十一年度の実績でございます。定期が三十八万五千九十四件、それから希望によるものが一万八千二百九十六件、合計四十万三千三百九十件でございます。 精密検査につきましては、ただいまの定期のものは八万八百八十五件、希望が八千五十九件、合計八万八千九百四十四件でございます。
○浦井委員 その数字を見てもわかりますように、四十万件余りのうちのほとんどが定期健診の一般検査なり精密検査である。ということになると、希望健診の果たす役割りというのは一体どうなのかという問題が出てくるわけであります。さらによく分析をしてみますと、医療機関であるとか保健所などに聞いてみますと、いまの数字を活用すると、定期健診ほぼ三十八万五千件ぐらい。これは年二回でありますから、たとえば二で割る、そうすると十九万件である。その十九万件の中で被爆者の方が、これはなかなか実数がつかみにくいですけれども、三十六万人というような形で計算をしてみたといたしますと、三十六万人のうち一番多くやられておる定期健診でさえも五二%ぐらいしか受けておられない、こういう数字になるわけであります。よく被爆者の健診をやっておられる医療機関であるとか保健所に聞いてみますと、入院したり通院したりしておる人は、それなりに自分の体に非常に関心を持っておられて、そういう方がむしろ一般検査なり精密検査を進んで受けられるという話であります。そうすると、残りの四八%の方というのは、医療保護がありながら、一般検査、精密検査の制度がありながら、その恩恵といいますか、それを活用しておられないということになるわけであります。そのように分析をしていくと、私は、この問題はかなり大問題ではないかというふうに思わざるを得ないわけであります。 そこで、提案でありますけれども、これも被爆者団体の方から毎年言われておるわけでありますが、一般検査というのは局長もよく御存じのように、きわめて簡単なものであります。打聴診、視診、問診から始まって血沈であるとか血球計算、血色素、尿検査、ふん便検査、血圧測定というような形で法定をされておるわけでありまして、これはいまの医学、医療の発達に即して非常に不十分なものであるというのは、医者である局長もよく御承知になっていただけるだろうと思うわけであります。だから、これが被爆者の方に反映をいたしまして、一般検査を受けてみても余り病気は見つからぬというような声が非常に高いというふうに聞いておるわけであります。だから、この際、思い切って一般検査の項目をふやしてはどうかということが一つであります。 それから、特に埼玉県なんかでは、いろいろと県議会などでの働きかけもあって、一般検査、精密検査というツータッチ方式でなしにワンタッチ方式でやる。初めから、かなり精密な検査をやってしまうというようなことが、恐らく県の単独事業であるだろうと思うのですけれども、すでに、そういうやり方がとられておる。これは単に医療の上から必要なだけでなしに、自治体にとっても、むしろワンタッチでやった方が、よい意味で事務の合理化につながるという意見さえもあるわけでありまして、これは一般検査の項目を思い切ってふやすことと関連をして、ぜひ検討をしていただきたい、これが第一点であります。 それから、時間がないので続けて言いますと、前回の審議のときにも出ておりましたけれども、少なくとも一般検査の中に心電図はぜひ入れていただきたい。たとえば健康管理手当の申請をする。その中で一番多いのは現在、循環器障害であります。そういうことを片っ方でにらみながら一般検査の項目を検討するとしたら、やはり最重点、最優先は心電図検査ではないか。何か聞きますと医療機関の中に心電図がまだ普及しておらないからというようなお話でありますが、私はそんなことはなかろうと思うわけであります。これはネックがないわけでありますから、ぜひこれは来年度ぐらいから実行をしていただきたい。去年の十月ですか、肝機能検査が入っておるようでありますけれども、これはぜひやっていただきたい、このことが第二点であります。 それから、大阪府などの経験によりますと、府が独自で一般検査の受診奨励金をつけた。一回につき千円奨励金を上げますということによって、一般検査の受診率が飛躍的に高くなったということも聞いておるので、これはぜひ検討をしていただきたいと思うわけです。 それから第四点は精密検査について、医療機関の側から見ての精密検査の額でありますが、現行四千二十円ということでありますので、これはどこから見ても少ないわけであります。これは特定疾患が十種から十一種にふえて、それで潰瘍を伴う消化器疾患というものが入ったわけでありますから、やはり胃の透視などをやっても、ちゃんと賄えるような額にすべきではないか、こういうふうに私は思うわけでありますが、その四点について、ちょっとお答え願います。
○松浦(十)政府委員 まず最初に一般検査の件でございますが、実は本年度予算要求といたしまして潜血反応を考えたわけでございます。ところが、その後に至りまして審議会等の意見で、潜血反応を見るのに、前の日にちゃんと食い物をコントロールできるか。そんなものをしても、むだじゃないかというような御意見もありまして、そういうことで要求はいたしましたが、今年はおりているわけでございます。そういう意味で、一般検査このまま固定するということじゃなくて、私ども役に立つものがあればふやしたいという気は持っておるわけでございます。 それから心電図につきまして、いま先生から逆におっしゃられちゃったわけでございますが、いままでのところ私どもは、どうしても設備、技術者、読む人そういう関係の問題で、すぐ心電図というのは、ちょっと無理ではないかという考え方を持っております。 それから、ちょっと前に戻りますが、ワンタッチ方式どうかということでございますが、これもなかなかワンタッチになりますと、ずっと時間もかかるし、非常な施設も要るということでございます。ただ最近の、先ほど御指摘の肝臓機能検査は、これはいわば半ワンタッチみたいなことで、一般検査の中で肝臓検査が必要だということになれば、そこでやるというようなセミワンタッチになっておりますが、こういう方法も、先生の御指摘もございますし、何かいい方法があれば、いまのセミワンタッチみたいなことも考えられるのではないかというふうに考えます。 それから、受診の奨励金を出さぬか、こういうことでございますが、これは受診はいつでも窓を開いているわけでございますので、奨励金を出してということまでは現在のところ考えておりません。 それから最後の、予算単価安いじゃないかということでございますが、これも平均的な感じで実績で私たち積んでおるわけでございますが、これから、ますます精密の内容も濃くなることだと思いますので、さらに来年度以降、予算の上で大いに検討したいというふうに考えております。
○浦井委員 その最後の精密検査の額の問題でありますが、これは全体ではないでしょうけれども、私が聞いたところでは、やはり自治体の方から、余り項目をふやしてどんどん請求をしてくれるなというような声も一、二聞かぬこともないわけでありまして、そういうことは厚生省はもちろん指導しておらないだろうし、被爆者の健康を守っていくという上では、やはり積極的にやれというような形での指導をお願いしたいと思うわけです。 それから健康管理の問題について、率直に申し上げて、これからは循環器と同時に悪性腫瘍の問題がかなり出てくるわけでありまして、これについて対策というのがきわめて不十分ではないかと私は思う。やはり一般検査の項目を見ましても、あるいは精密検査の項目を見ましても、過去の血液疾患中心主義というのが抜け切っておらないような感じがするわけでありまして、やはり循環器とともに、患者さんといいますか、被爆者の方々に十分な細かい配慮をしながら、悪性腫瘍対策に重点を置いてやっていただきたい。それで後でちょっと一言、御答弁をお願いしておきたいと思うのです。 それから、もう一つの問題は、これも医療機関の問題でありますけれども、診断書の手数料の問題であります。これは健康管理手当の診断書あるいは特別手当の診断書、いずれも知事あてですね。これについては患者さんの自己負担というかっこうになっておりまして、前回五百円であったのが、今度行ったら三千円取られたとか、あるいは五千円請求されたというようなことで、はたと困られるというケースがあるわけであります。それから大臣あての、審議会あての認定の申請書、これが実際上、医療機関の負担になっておる、手間賃といいますか……。そこで、やはり医療機関の方では、もう手続がややこしいので、よそへ行ってくださいというようなことで、結局は被爆者の方に、いろいろとデメリットが出てくるというようなことも聞くわけであります。だから、これは診断書をつけるのに、診断書料を点数であるとか何らかのかっこうで設定するのは、他の公費医療では見られませんというふうなお答えになるかもわかりませんが、たとえば、これは比較するのは無理かもわかりませんが、公害医療などは、これはきちんとやはり診断書料という形で定額を決めておって、必要に応じて改定をしていっておるわけでありますから、制度として、厚生省がその気になれば、やれないことはなかろうというふうに思うわけでありまして、ぜひこれはやっていただきたい。 いずれにしても、被爆者の方々の負担にならないように、というのは医療機関の方に負担をかけると、これが被爆者の方にやはり転嫁されるおそれがありますから、そういうことも含めた、かゆいところに手の届くような措置が、これから健康管理という重視されなければならぬ課題の中の一環として出てくるのではないか、私はそう思うわけでありまして、これらの点についての局長の御意見をひとつお伺いしておきたい。
○松浦(十)政府委員 まず第一点の悪性腫瘍の検査の件でございますが、確かにおっしゃるように、いまの検査項目が悪性腫瘍につながるものは少ないじゃないか、全くそうでございます。ただ悪性腫瘍の検査を、どういうふうなものを取り込むのがいいのか、悪性腫瘍の検査に、いろいろな確率の高いいい方法があるかという問題もあろうかと思いますが、そんな点を含めまして、さらに検討させていただきたいと思います。 それから診断書料の件でございますが、健康管理手当の申請につきましては、私どもの考え方といたしましては、手当を受給することができるようになるわけでございますから、そういう意味では、この程度の負担はひとつお願いいたしたいというふうに現在考えておるわけでございます。それから、認定疾病に関する診断書につきまして、これは今度は逆に医療機関の負担にしてあるというようなことでございますが、この点につきましても、ほかの制度との関連もいろいろあるわけでございまして、そういう点も、ほかの制度との均衡といったようなことを考えながら検討していきたいということでお許しいただきたいと思います。
○浦井委員 以上でありますが、大臣にひとつ、冒頭に申し上げた被爆者援護法案の制定に一層の努力をしていただくことを要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
○羽生田委員長代理 この際、午後三時まで休憩いたします。 午後零時四十五分休憩 ————◇————— 午後三時二分開議
○木野委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案及び大原亨君外六名提出、原子爆弾被爆者等援護法案の両案に対する質疑を続行いたします。森井忠良君。
○森井委員 原爆医療法は昭和三十二年にできました。特別措置法は昭和四十三年に成立をいたしました。いずれにいたしましても、制定以後かなり長い年月を経過しています。その間、たとえば昨年の本委員会におきます附帯決議、あるいはことしの最高裁判所の判決等々、いろいろ言うなれば世の中は変わってまいりました。 そういうことで、この際現行二法を一本化いたしまして、名称も原子爆弾被爆者等援護法にしてはどうか、こういうふうに私どもは考えているわけでありますが、大臣の見解をお伺いしたいと思います。
○小沢国務大臣 御質問の御趣旨については、さまざまの困難は予想されますが、大臣として、その実現のために努力をしてまいりたいと思います。
○森井委員 現行の特別措置法でいきますと、諸手当の中には、もう年金と同じように扱われているものがあります。たとえば特別手当等もそうでありますけれども、この際、被害の深刻な者に対するものにつきましては大幅な増額を図るとともに年金としたらどうか、こういうふうに私、考えるわけでありますが、この点につきましても、大臣の所見を伺っておきたいと思うわけでございます。
○小沢国務大臣 各種手当のうち、一部のものはすでに実質的に年金化している実態にも着目しつつ、制度の改善に努めたいと思います。特に、被爆者の中でも原爆の被害を最も強く受けておられます認定被爆者に支給される特別手当につきましては、その改善に努力いたします。
○森井委員 原爆で亡くなられた方の遺族の皆さんの切なる声は、せめて国がお線香代でも出してもらいたい、こういう声でございます。この際、そういった強い要望から考えますと、原子爆弾による死没者の遺族に対しまして弔慰金をぜひとも支給してもらいたいという声があるわけでありますが、この際、大臣の所信のほどを承っておきたいと思います。
○小沢国務大臣 現行の被爆者対策は、被爆者が放射能の影響によって疾病にかかりやすく、また治りにくいなど、特別の需要に対しまして各種手当の支給を行い、福祉の向上を図っておるところであります。 御質問の件につきましては、死没者に弔意をあらわすための具体的措置について、他の均衡を考慮しつつ、これから検討いたしたいと存じます。
○森井委員 次は、外国人被爆者の問題でありますが、外国人が被爆者対策の強化を要求をいたしまして、結果といたしまして最高裁判所の判決が出たわけでありますが、この趣旨にのっとりまして外国人被爆者対策をもっと明確にしてもらいたいと考えるわけでありますが、いかがですか。
○小沢国務大臣 外国人の被爆者につきましては、これまで、適法に一カ月以上滞在する者に限り、原爆医療法に基づき被爆者健康手帳を交付して被爆者対策の対象としてきたわけでございます。 今後の取り扱いにつきましては、今回の最高裁判所の判決の趣旨を踏まえまして、日本国内に現在する限りは、その理由のいかんを問わず被爆者対策の対象として、その適正な運用に努めてまいりたいと思います。
○森井委員 次は、被爆二世の対策でございます。 これまでの厚生省の態度は私も承知をいたしておりますけれども、それにもかかわらず被爆二世の皆さんが、健康にも不安がある、生活にも不安がある等々の理由によって、二世対策を強化してもらいたいという声がございます。この点はいかがでしょうか。
○小沢国務大臣 原爆の放射能の影響が被爆者の子孫に及ぶかどうかにつきましては、これまでに行われました白血病の発生率及び死亡率等の比較研究などの結果によりますと、現在の医学的見地からは影響があるという結果は出ていないところでございます。したがって、現在のところは被爆者対策の対象としていないものであります。 今後とも、被爆二世に対する原爆放射能の影響については引き続き究明に努力する所存でありますが、特に、この問題は被爆二世の結婚、就職等にも関連する非常にむずかしい問題であり、慎重に対処する必要があると考えております。しかし、被爆二世の健康面の不安については私どももよく理解できるところでありますので、たとえば調査研究の一環として、申し出による希望者に対しましては健康診断を実施するなど、この面で何らかの措置が講ぜられないものかどうか、真剣に検討してまいります。
○森井委員 次は、沖縄の被爆者対策でございます。 大臣御案内のとおり、昭和三十二年の医療法制定以降、復帰の前の昭和四十一年まで実は医療法の適用がございません。したがって、言うなれば自弁で自分の病気を治さなければならないという、本土の人と比べますと、かなりの差別があったことは事実でございます。何とかしてもらいたいという声が、これもまた非常に強まっておるわけでありますが、大臣のお気持ちのほどを承りたいと思うわけでございます。
○小沢国務大臣 この問題につきましては、事情は私どもも理解できないことはございません。しかし、他にも福祉年金や沖縄における一般戦災者の補償にも波及する問題でありますから、その取り扱いについては慎重に対処する必要があると考えておるわけでございますが、しばらく時間をかしていただきたいと思うわけでございます。
○森井委員 最後に、私どもは、いままで本国会に被爆者援護法を提案いたしておったわけでございます。しかし、本委員会における審議の状況を勘案いたしまして、この際、皆さんの御同意を得て撤回をいたしたいというふうに考えているわけであります。そこで私どもといたしましては、政府の対応を見守りまして、政府の対応によりましては、私どもの党、それに公明党・国民会議、民社党、共産党・革新共同さらに新自由クラブの皆さんと相談をいたしまして、また私どもの援護法案を提出いたしますということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。 —————————————
○木野委員長 この際お諮りいたします。 第八十二回国会大原亨君外六名提出、原子爆弾被爆者等援護法案について、提出者全員から撤回の請求がありました。本案は、すでに本委員会の議題となっておりますので、これを撤回するには委員会の許可を要することになっております。 本案の撤回を許可するに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木野委員長 御異議なしと認め、撤回を許可するに決しました。 —————————————
○木野委員長 これにて内閣提出、原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する質疑は終了いたしました。 これより本案を討論に付するのでありますが、別に申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○木野委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。(拍手) —————————————
○木野委員長 この際、竹内黎一君、森井忠良君、大橋敏雄君、和田耕作君及び工藤晃君から、本案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 その趣旨の説明を聴取いたします。竹内黎一君。
○竹内(黎)委員 私は、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党及び新自由クラブを代表いたしまして、本動議について御説明を申し上げます。 案文を朗読して説明にかえさせていただきます。 原子爆弾被爆者に対する特別措置に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 昭和五十三年三月三十日の最高裁判所の判決もあり、国家補償の精神に基づく被爆者の援護対策について、その制度の改善に対する要望は、ますます強くなつている。 よつて、政府は、来年度までにこの趣旨に沿つて、現行二法を再検討し、被爆者の援護の充実を期するとともに、本法の施行に当たり、次の事項についてその実現に努めること。 一 各種手当のうち一部のものは、すでに実質的に年金化している実態にも着目しつつ、各種手当の額の引上げ、所得制限の撤廃、適用範囲の拡大(地域を含む。)等制度の改善に努めること。 一 原爆病院の整備改善を行い、病院財政の助成に十分配慮するとともに、その運営に当たつては、被爆者が必要とする医療を十分受けられるよう万全の措置を講ずること。 一 特別手当については、生活保護の収入認定からはずすよう検討すること。 一 原爆症の認定については、被爆者の実情に即応するよう改善を検討すること。 一 被爆者に対する家庭奉仕員制度を充実するとともに、相談業務の強化を図ること。 一 被爆者の医療費については、全額公費負担とするよう検討することとし、さしあたり国民健康保険の特別調整交付金の増額については十分配慮すること。 一 被爆者の実態調査を今後の被爆者援護施策に十分活用するよう努めるとともに、被爆による被害の実態を明らかにするよう努めること。 一 被爆者とその子及び孫に対する放射能の影響についての調査、研究及びその対策について十分配慮するとともに、原爆医療調査研究機関相互間の連絡調整を図ること。 一 沖縄在住の被爆者が、本土並みに治療が受けられるよう専門病院等の整備に努めるとともに、沖縄の地理的歴史的条件を考慮すること。 一 死没者に弔意をあらわすための具体的措置について、他との均衡を配慮しつつ検討すること。 以上であります。 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○木野委員長 本動議について採決いたします。 本動議のごとく決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○木野委員長 起立総員。よって、本案については竹内黎一君外四名提出の動議のごとく附帯決議を付することに決しました。 この際、厚生大臣から発言を求められておりますので、これを許します。小沢厚生大臣。
○小沢国務大臣 ただいま御決議いただきました附帯決議につきましては、その御趣旨を尊重いたしまして、鋭意検討してまいります。 —————————————
○木野委員長 なお、ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○木野委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○木野委員長 次回は、来る五月九日火曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時十七分散会