公害対策並びに環境保全特別委員会 第17号
- 発言数
- 39 件
- 登壇者
- 10 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1978/05/11
会議録
○久保委員長 これより会議を開きます。 瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。 質疑の申し出がありますので、これを許します。島本虎三君。
○島本委員 瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案、この扱いについてのいよいよ終盤を迎えることになったのであります。それで、ここに各省庁の責任者である皆さんを交えて疑念の二、三について質問し、政府の意向をただしたい、こういうふうに思うのであります。 まず真っ先に環境庁長官、きょうはいろいろ要請があって、長官も御存じのように最後の締めくくり。これは重要法案でありましたから当然、本会議説明を要求し、総理に対する質問があったのであります。遅く出たのと緊急性を有するということですぐ委員会へおろしてこれの審議を始めました。審議の日程は、まさに遅くまでこれを組んでおりまして、いよいよ最後の段階を迎えましたが、しかしその中で、総理の要求に対して与党の皆さんは、環境庁長官は総理と同じような立場でこの衝に当たっているのであるから、こういうように言っているのであります。いまのアセスメント法でも、瀬戸内海環境保全特別措置法になる現行法でも、内容を見てもこれでいいのか、むしろ後ろ向きの感があるじゃないか、こういう声さえ聞こえるのであります。これは歴代の環境庁長官として、あなたの運命を左右する、そういうようなことにもなるのであります。後ろ向きの感があり、こういう言葉さえありますが、それに対して総理を代表する立場で環境庁長官としてどう思っておりますか。
○山田国務大臣 この法案は、瀬戸内海環境保全基本計画の策定、また総量の削減方針の決定などの事項は行政手続の面からいたしまして総理府の長である内閣総理大臣が行うということにしておりますが、改正後の瀬戸内海環境保全特別措置法及び水質汚濁防止法の施行の事務は総理府の中において環境庁が所管することになっております。 そこで、内閣総理大臣に成りかわりまして環境庁長官としての私といたしましては、本法に盛られた諸施策の推進に当たっては、本法の第三条の基本精神によりまして、瀬戸内海の環境保全につきましても、また、このたび実施することになりました広域的な閉鎖性水域の水質保全に当たりましても、万全の決意をもって対処してまいりたい、こう考えておりますので、よろしく御了承を得たいと思います。
○島本委員 海上保安庁長官にお伺いしますが、五十二年度に海難事故、この調査によりますと、衝突が百三十五隻、そしてそのうち十一隻がタンカー、座礁すなわち乗り上げが百十六隻、うちタンカーが十二隻、その他の事故三百十四隻、うちタンカーが十四隻、合計五百六十五隻の海難、そのうち三十七隻がタンカーである。一万トン以上の大型船は衝突が二隻であり、そのうちの一隻、これはタンカーであった。乗り上げの場合には七隻であった。その他三隻である。こういうように言われているのであります。 そうすると、油の流出記録、こういうのから見ますと、現行法の中で海難についての十分の対処ができるのかできないのか、油の流出についての、油濁防止についての対策が十分できるのかどうか伺います。
○薗村政府委員 ただいま先生からお話がございましたように、全国の中で瀬戸内海の交通安全と海洋汚染防止が非常に大事なことであるということは、私どももよく承知しているところでございます。現行法で申しますと、海上交通安全法と海上衝突予防法という法律がございますが、そういう法律のルールと、それからやはり私どもは、一番大事なことは、常時船艇、航空機を重点的に置いておいて、一たん事故あるときの体制にも備えなければならぬ。海上交通安全上事故の予防と対応措置ということが、両方とも瀬戸内海で大事なことだと思っております。それで、全体の船艇の中で、瀬戸内海に、大事なところであるという認識のもとに、百二十三隻のそれらのための船艇を用意し、航空機十機をそのために配備しているということは、全国の中で瀬戸内海の交通安全と海洋汚染防止が大事であるということを私ども平素十分考えているからでございます。したがって、海上交通安全については海上交通安全法と海上衝突予防法の十分な運用によりてやっていきます。それから、海洋汚染防止につきましては、海洋汚染関係の法律の適用で十分やっていきたいと思います。瀬戸内海が重大なところであるということはよくわかっておりますので、今後とも十分な体制でそれに対応していきたいということを考えているところでございます。
○島本委員 長官、現行法の中で完全な対策、対処できるかと聞いたのです。五十二年度でさえも乗り上げ事故、それも一万トン以上のものが七隻も出ている。衝突が二隻、そのうち一隻がタンカーである。そうすると、現行法の中でこれだけ出ている、それも五十二年だけだ。これは暦年度になっていますが、そういうような報告なんです。そうなると、これはできないということになるのじゃありませんか。できるのにこれだけ起きたということになったら、そうすると皆さんの怠慢だということになるのですか。
○薗村政府委員 海上の事故というものは本当に全部一件も起こらないということにしたいのは、私どもやまやまでございます。 瀬戸内海の実情を申しますと、瀬戸内海の航路での要救助海難の件数は先生のいまのお話にちょっと、だんだん減っているということを申し上げて恐縮なんでございますけれども、四十八年二十三件、四十九年が二十五件、五十年が二十件、五十一年が十四件、五十二年が十五件。そのうちタンカーは、四十八年では四隻、四十九年では四隻五十年ではゼロでございます。五十一年は二隻、五十二年は二隻ということで、幸いにしてだんだん減ってきているということでございます。一隻も事故を起こさないように、一たん事故が起こったら大変でございますので、いま先生の数字にもございました五十二年に一万トン以上の船の要救助海難の隻数は全部で衝突二、乗り上げ七、その他三の十二件でございまして、そのうちタンカーは衝突が一件ということでございますが、ぜひこれが全然起こらないように、今後私ども努めていきたいと思います。 具体的に申しますと、四十八年に御承知のとおり、海上交通安全法が施行されましてから瀬戸内海では八つの航路を設定して、その航路の中では航法規制、航行時間の規制、それから警戒船の配備の義務づけ等の規制を行ってきておりますし、またこの航路以外の狭水道、港内等の水域におきましても海上衝突予防法及び港則法に基づきまして所要の……(島本委員「データを求めているんじゃありませんから、もうよろしゅうございます」と呼ぶ)法規制と指導を行って、タンカーの安全の確保に遺憾なきを期しているというところでございます。
○島本委員 それならば運輸省にお伺いいたします。 今度の場合、この瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案、この本法の十七条によって、油濁防止は万全を期するように運輸省にこれを要請する、こういうようなことになっておるのであります。現行法でやることがこれは果たしてできるのかできないのか論議のあったところであります。 いまアメリカでは、昨年カーター大統領が声明を出しました。これは力ある声明であると思いますが、タンカーを二重底にする、こういう規制であります。国際会議にも出したようであります。日本にはいわゆる便宜置籍船、リベリア、パナマにこういうのがあるようでありますが、こういうのは入港させない、こういうような決定もそれぞれ行われているということを聞くのであります。日本でも総理大臣声明が必要なくらいの段階になっているのがこの瀬戸内海環境保全臨時措置法なのでありますが、瀬戸内海の場合は、ことに二百四十キロの狭水路です。そうして、日本は国連統計によっても隻数が一番世界で多い国だ。狭い水路、霧の多い航路、そしてまた、漁船も多いという最悪の水路でございますから、海難事故がしたがって多いのであります。もぐり船といういわゆる日本の便宜置籍船、これは三百隻、河本通産大臣はいや八百隻だ、こう言っているのでありますけれども、大体公称三百隻として、税金も安くて規制も緩くて検査もフリーパスに近いと言われている、そして韓国人を初め外国人が乗り込んでおるということも聞いております。これらの船も当然、瀬戸内海を航行しているのでありますが、安全上いろいろ問題をはらんでいることは御承知のとおりなんです。したがって、タンカーの規制は、政府が環境保全上必要な航行の規制を行う、こういうような義務があることになるわけですから、その対策は十分講じなければならないのであります。この点、運輸省はいかがですか。現行法でも事故があるのですから、今後は、この瀬戸内海法が通った後は一層この対策に当たらなければならないことは論をまちませんが、これらに対してはいかがでしょう。十分ですか。
○三塚政府委員 きょう島本先生から大臣の要求が出ておったわけでありますが、同時に参議院で運輸委員会が開かれておりますものですから出席でき得ませんで、かわりまして政務次官から申し上げさせていただきます。 ただいまの問題につきましては、今日まで問題になってきておる点であります。しかしながら、今日瀬戸内海は昭和四十八年以来、海上交通安全法の施行によりまして八航路を設定いたしましたことは御承知のとおりであります。その八航路の航法規制その他安全に運航せしめるための義務づけ規制を行っておりますことも島本先生御承知のとおりであります。こういう方向の完璧を期することによりまして目的を達成をしていきたい。 また、航路以外の狭い水道でありますとかあるいは港内の水域におきましても、海上衝突予防法及び港則法等に基づきまして、御案内のように厳密な規制と指導を行ってきておるわけであります。 こういう点で、現行法体制で万全を期する、こういうことで来ておりますわけで、先ほど保安庁長官からも申されましたとおり、航空機十機あるいは巡視船艇百二十三隻をこの瀬戸内海に配置をいたしまして安全航行について万全を期しておるという今日の体系にあるわけでございます。 十二分にこのことに注意力を集中をいたしまして御期待にこたえなければならぬ、こういう方向で運輸省としても臨んでおるわけであります。
○島本委員 そうすると、海難事故、これは先般の参考人の意見によってわれわれとしては大いに教わったのでありますが、保安庁の調査資料によっても——私、前に言ったのは五十二年度ですが、五十一年度の調査資料による報告がありました。衝突は百三十六件、乗り上げが百二十八件、これは座礁が多いんだ。そして全国の件数七百九十六件中六百二十二件、約七八%に当たるものが瀬戸内海における事故である、こういうことなんであります。もちろん保安庁はやると言います。保安庁が完全にやるのは海上交通安全法、これは限定された航路の衝突しか防げないわけであります。航路外の座礁、これはどうして防げますか。油の流出事故は座礁によるものが多いのでありますから、これは海上交通安全法では防ぎ切れないということになるじゃありませんか。油濁防止法、確かにありますが、これは故意に流す油濁を規制する、こういうようなことになりますから、座礁して流れる油の防ぎようはどうしてもないわけであります。そうすると、瀬戸内海のような島嶼の多い場所、しかも交通量の多い場所、それの対策として——私が申し上げましたように便宜置籍船三百隻、こういうようなものも通っているのであります。これは私が言ったように従業員、乗組員も他国の人であります。そういたしますと、税金は安い、規制も緩い、検査もフリーパス、そしてこういうようなのが安全上の問題をはらんでいるというようなことに対して何ら考慮を払わないということはおかしいじゃありませんか。したがって、いま言ったような保安庁関係の、運輸省関係のこういうような法律でもやはり油濁防止は防げない、こういうようなことになるじゃありませんか。そうすると、この法律十七条もあるのでありますけれども、それによりますと、これは現行法ではできない規制、こういうようなものの規制をして環境保全に努めなければならない、こういうことに当然なるのであります。したがって、こういうような決意と対処は十分かということなのであります。油は、現行法でやれば全部できるということになっておらない。航路内の衝突は防げるでしょう。しかしながら、座礁は防げない。油は座礁したものから流れる、このことであります。この点、今後もやはり法令の総点検、そして不足なものはきちっとしなければならないのでありますが、この点、十分ですか。やれますか、やりますか。
○三塚政府委員 座礁その他の油の問題でありますが、このことにつきましても、従前、特に本委員会の指摘等もございますものですから、常時この防除体制につきましては、巡視船艇はもちろん航空機、先ほど申し上げましたような出動体制を整えておりますことは御案内のとおりであります。その他オイルフェンス、油処理剤、防除資材を瀬戸内海のそれぞれの海上保安部署に備蓄しております。事件が起きましたならば、迅速かつ的確な防除作業が実施できますように、油回収艇、油防除艇、オイルフェンス展張船等もあるわけでございまして、事故発生の場合には、直ちにこういうものを結集をいたしまして、これに応じていく、こういうことにいたしております。海上災害防止センターに対しましても同時に出動を命ずるわけでございまして、これらの措置等を講じながら、さらに主要港湾に設置を促進してまいりました流出油災害対策協議会を通じまして、民間の応援を要請をいたしますなど、官民一体となりましたこれらの対応策を講ずることによりまして、この問題に対する期待におこたえをしていかなければならぬ、こういうような措置を講じております。 なお、これらの問題につきましては、排出油防除計画等も作成しておるわけでございますが、具体的な点について、保安庁長官からさらに答弁をさせていただければと存じます。
○島本委員 全部やっているのは、油が流れたときの対策でしょう。流れてしまったら、もうすでに汚染されるんですよ。それを前提にした対策じゃいけないじゃありませんかということなんですよ。座礁しても油が流れる。衝突しても油が流れる。いまの法律は、これは限定された航路の衝突、こういうようなことになっておるでしょう。油濁防止法でも、故意に流した場合の規制だけでしょう。そうなると、座礁にしたって、いつどこでやるかわからぬでしょう。こんなのが油濁につながるものであり、この対策がどうだというんですよ。いまおっしゃったのは、「海難等による大量の油の排出の防止及び排出された油の防除に関し、指導取締りの強化、」こういうようなことが十七条で決まっておる。防除の方が、これはもう現行法では不十分じゃないだろうか。したがって、そっちの方も今後はきちっとやるべきではないか、現行法だけでは不足だぞ、こういうことであります。いまのお答えは、残念ながら、流れたときの対策ばかり。よしんば流れたにしてみても、オイルフェンスの下を通って、一メートルもあるような、こういうようなものが流されて何になりますか。やはりそれだけじゃだめなんであります。水島の例を見てもわかるでしょう、起きた後の始末、それよりも、起きない前の対策が必要だから、それに対する対策は今後きちっとしなければならないぞというのです。これをやってもらえますまいか、どうなんですかということなんです。
○薗村政府委員 まず、先生御指摘のございました、便宜置籍船というお話がございました。運輸省の直接の関係のところが来ていないので、私からお答えするのは、あるいはちょっと不適当かもしれないのですが、便宜置籍船は、リベリアだとかギリシャというところに籍を置いて、外国人の船員が乗っているということで、どうしても外国人の船員の中に資質に欠ける者がある。これは特に便宜船に限らず、外国船一般でございますが、どうしても日本の近海に参りますと、その地理になれてないような外国船員が乗っているということで、事故が起こる例がかなりあることは事実でございます。 そこで、基本的に、国際的にどうするかということは、別に国際会議で用意されているようであります。国際的に船員の資質を上げなければいけないということの国際会議が持たれて、外国船員の資質の低いのを上げるようにということが行われているようでありますが、私どもが海上保安庁としてやっております外国船舶に対する海難を防止するための対策といたしましては、私ども、予防のために海難防止の立入検査をやったり、それから年間にそういう指導のことをやりましたりするときには必ず、日本船員よりもむしろ外国船員に重きを置いて、日本船員に対するパンフレットをつくるときには、必ず外国語でパンフレットをつくるというようなことで、外国から入ってくる船舶に対しまして、代理店を通じたり、船会社を通じたりして、パンフレットによって外国人に徹底をさせているというところでございます。 また、これも船舶局の所管でございますけれども、水先人の乗船についても、私どもとしては、外国の船にはできるだけ水先人を乗せて、航行に誤りがないようにということの指導を平素行っているところでございます。 なお、私ども、現行法では、やはり海上衝突予防法によりまして、運航の過誤によって海難事故を起こさないようにということを徹底して、今後とも取り締まりをやっていきたいと思います。 座礁等の点もございます。と申しまして、航路を全部瀬戸内海全体に広げるということになりますと、また、他の漁業との調整の問題が非常に出てまいりまして、航路指定ということはそう簡単ではなくて、すべての人の利害関係の調整を図っていかなければならないという点がございます。しかし、私どもは、現在の海上交通安全法、衝突予防法、港則法それから海洋汚染防止法の運用によりまして、瀬戸内海は特に大事だということはわかっておりますので、今後とも取り締まりを続けていきたいと思っております。
○島本委員 そうすると、環境庁にお伺いしますが、幾らやって、件数は減ったと言っても、やはり事故は起きているのであります。ことにタンカーの事故が消えないのであります。しかし、ここに瀬戸内海環境保全臨時措置法案、水質汚濁防止法の一部を改正する法律案が成立するのであります。そうすると、この十七条にははっきりと、「海難等による大量の油の排出の防止」と、それから「排出された油の防除」、それから「指導取締りの強化」、それから「排出油防除体制の整備」、こういうふうなことがきちっとされているのであります。そうすると、結局は、本条、十七条で、海難等による油の排出の防止の措置がうたわれておりますから、この際、瀬戸内海の環境保全の目的のためにも、大型タンカーの航行規制、外国船、こういうふうな対策、それと水先人の義務制、タンカー航行のいわゆる影響の評価、こういうふうな対策を政令、省令にも載せたりして、行政指導も、世界の情勢に立ちおくれないように確立するのが、本法成立以後の環境庁の、十七条を追っての立場じゃないかと思うのです。いまの、こういうようなものを政令、省令にきちっとさせるようなことに対して、どういうような見解をお持ちですか。
○山田国務大臣 ただいま御指摘の点、運輸省からもいろいろ答弁があったところでございまするけれども、ただいま島本委員の御指摘の点、環境庁といたしましても、事故による油濁事故防止ということは、この航行安全対策の推進については非常に重要な点でございます。したがいまして、所管の運輸省ともいま御指摘のような点も十分考慮に入れて連絡をとりながら、施策の推進については十分の努力を傾倒していきたい、こういう基本的な態度をもって臨む方針でございます。
○島本委員 十分な、基本的なというのを完全なというふうに読みかえるようにして私は理解しておきたいと思います。 なお、瀬戸内海の汚染のもとになっております富栄養化による赤潮被害発生の防除、この問題について通産省にその考え方を伺いたいのであります。 窒素、燐については、赤潮の原因物質と考えて、環境庁長官の指示によって、削減指導方針に従って指定物質を排出する者に必要な指導を行うということになるのでありますが、燐については、いま高分子凝集沈でん、硫酸礬土沈でん等の方法があります。しかしながら、窒素についてはどうなのか、明確にすべき段階なのでありますが、これはまだ不十分であります。したがって、硝酸を使う工場、アクリロニトリルを使う工場、製鉄所などのコークスをつくる、そしてまたこれを使用する大工場、こういうものに対してはやはり野放しの状態になっているのであります。窒素も原因物質の一つであるならば、対策の困難はわかりますが、明確に科学的に措置しなければならないのですが、その間といえども本法の精神に基づいて厳しい排水基準が必要であります。また、従来、通産省が指導してきた水に対しても、クローズドシステムを強化して、瀬戸内海への排水を流入させないように循環利用の指導をもっと強化すべきだと思いますが、通産省としてはこの点、どうお考えになっておられますか。四十九年には、当時の中曽根通産大臣は、責任を持ってクローズドシステムを実施させる、こういうふうに言明しているのでありますが、依然として流れているということはいかがなものでしょう、対策をお伺いいたします。
○野中政府委員 ただいま御指摘のように、クローズドシステムというのは、環境保全上大変重要なことであろうと考えておりまして、私どもも直接的にあるいは間接的にこれが研究開発に鋭意努力しているところでございます。直接的に申しますと、通産省直轄の工業技術院傘下の研究所におきまして検討をさせ、また民間の力をおかりいたしたいということで、重要技術研究開発費補助金を出しまして、窒素あるいは燐に対する対策を鋭意検討中でございます。 しかし、先生もう御存じのとおり、燐の問題についても有機燐についての徹底的な処理方法というものがいまだ開発されておりません。まことに残念に思うわけでございますが、先生の御指摘に沿ってこれが開発研究に今後も努めてまいりたいというふうに私どもは考えております。
○島本委員 クローズドシステムの問題に対しては四十九年に、きちっとやるという大臣の言明があるのです。しかし、依然としてこれが流れているということに対して、これは緩んでいるのじゃないのかと言うのです。したがって、これを完全に処理することができる方式ができるまでの間、クローズドシステムによってこれはもう流さないようにする方法を完璧にすべきじゃないかということなのでありますが、これはいかがなものですか。やっているのですか、やっていないのですか。
○左近政府委員 水質保全の理想的な形といたしましては、いま先生が御指摘のように、クローズドシステムにして水を循環利用するということにいたしまして、一切有害物質を出さないということでございます。したがいまして、いろいろな有害物質についてその手法の開発に努めておりまして、たとえば水銀等については完成しておるわけでございますが、窒素、燐については、先ほど政務次官から申し上げましたように、いろいろ研究を進めておるわけでございますが、残念ながら一部の、たとえば有機燐とか窒素についてはまだ完成した技術がございません。いままでは、極力減少を図っておりますが、抜本的に出さないという制度にはなっておりません。したがいまして、今後クローズドシステムになるような技術開発をするとともに、現在可能な限りにおいて極力減少させていくという指導方針をとっておるわけでございます。
○島本委員 しかし、そのうちでも、製鉄所でコークスを使う、石灰、コークス、鉄鉱石、これなどは一回にやるのでありますけれども、こういうのは野放しの状態です。これに対してはもっと規制をして、きれいな水にして流させる、ことにクローズドシステムをその方面に重点的にやる、これも瀬戸内海の水を清める一つの大きい原動力になるのであります。通産省としてはこの方面を少し甘やかしているのじゃないか、これはもっときちっとすべきだと思います。 運輸省にお伺いするのですが、これは参考人の意見の中に重大な要素として出てきた問題であります。と申しますのは、姫路のLNG基地はアセスメントが十分されておらない。これは完全に安全については再検討すべきじゃないか。ここには特殊タンカーが出入する。十二万五千トンクラスのものである。専門家は頭をひねっているということでありますが、この点等については、現在のままにしておいた場合には、瀬戸内海の油濁防止に対しての安全性というものは完全でしょうか。再考すべきじゃないかと思いますが、この点いかがでしょう。
○薗村政府委員 ただいまの先生のお話は、姫路へLNGタンカーが入るという具体的なお話でございましたが、LNGタンカーは現在、大阪湾で堺等にも入っていると承知しておりますが、姫路にLNGタンカーが入るのにつきましても、海難を防止するためにはどうしたらいいかということで関係者で協議を行って、成案を得て計画を立てておるというふうに私どもは承知しております。
○島本委員 環境庁長官、これは前から問題になっており、まだはっきりした答弁が得られていない問題で、これだけはきちっと解明して終わりたいと思うのでありますが、本法案の中で「内閣総理大臣」という名称が使われておるのが十二カ所、「政府」という名前で出てきているのが五カ所、「環境庁長官」とあるのが九カ所。同じ総理府の中で同じに大臣が行う仕事に対してそれぞれ名前が違っておるのでありますが、これはどう違うのですか、どう使い分けているのですか、きちっとした使い分けができているのですか。「内閣総理大臣」、「政府」、「環境庁長官」、いかなる場合にこれを使うのか、この法律ではどうなっているのか、これについて解明を願います。
○二瓶政府委員 今回の改正案の中におきまして「環境庁長官」、「内閣総理大臣」、「政府」というふうな表現をしておる条項がございます。これらの使い分けの関係でございますが、一つは、「環境庁長官」ということで書いておりますくだりが多々ございます。環境庁は、先生御案内のとおり、総理府の外局ということで設置を見ておるわけでございます。そして長官は国務大臣をもって充てる。それから、環境の保全に関する行政を総合的に推進することを主たる任務とするということでございまして、環境保全につきまして第一義的に責任を負う、そういう行政機関でございます。このため、環境保全関係におきまして環境保全のための行政機関の権限、義務を規定する場合には、一般的に環境庁長官にこれを与え、または課する、こういうことに相なっております。 それから「内閣総理大臣」ということでございますが、環境庁長官は、ただいま申し上げましたように環境保全につきまして第一義的に責任を負う行政機関でございますが、冒頭申し上げましたように、総理府の外局の長ということでございます。そういうことからいたしまして、一つは法律、政令制定等のための閣議請議というのが環境庁長官ではできない、こういうことになっております。それから府省令、総理府令というようなこういう府令を発することは環境庁長官はできないということになっております。したがいまして、環境庁が所掌いたしております事務につきまして、そういうような政令を制定するために閣議請議するとか、あるいは府令を出すというような必要があるときは、これは総理府の長でございます内閣総理大臣におきまして閣議請議を行う、あるいは総理府令を発する、こういう扱いになっておるわけでございます。したがいまして、環境保全関係法におきまして環境保全のための行政機関の権限、義務を規定する場合におきましても、次のような場合は総理府の長であります内閣総理大臣にこれを与え、または課するということにいたしております。それは今回の法案にも多々ございますけれども、政令の制定、改廃の立案等に当たりまして、地方公共団体あるいは審議会等の意見を聞く、あるいは関係行政機関と協議をするというような条項、こういう場合は内閣総理大臣が知事の意見を聞く、あるいは審議会の意見を聞くというような形になっております。 それから基本方針で、閣議に付する案件の立案、たとえば瀬戸内海の環境保全基本計画、これは閣議決定を前提といたしておりますので、こういうものの案件につきましては内閣総理大臣がということで、法案の方にも書き分けておるわけでございます。 「内閣総理大臣」と規定されておることがございますけれども、ただいま申し上げましたような手続的な面で内閣総理大臣にせざるを得ないということでございますので、実質的には環境庁がこれについての処理に鋭意当たるということは言うまでもない次第でございます。こういうことは総理府内に置かれている外局でございます経済企画庁あるいは国土庁も同様でございます。 それから、公害対策会議の議を経るというようなくだりの規定がございます。これにつきましては、この公害対策会議そのものが、環境庁でなく、総理府の付属機関ということで設置をされております。それで総理府の長であります内閣総理大臣がこの公害対策会議の会長というふうになっております。この会議のメンバーは、先生方御存じのとおり、関係各省庁の大臣がなっておりますので、そのバランス上そのようになっておるわけでございます。 それから最後に、「政府」というのがありますが、これはどうかということでございますが、「政府」と規定されておる場合は、これは内閣及びその統括下にある行政機関を総括した意味でございます。国家機関のうちで立法、司法に対する行政というような意味で「政府」という表現を使ってございます。したがいまして政府がこうするというような規定につきましては、それは行政サイドとして責任を持ってこうやるということでございます。 大体ただいま申し上げましたようなことで、「環境庁長官」、「内閣総理大臣」、「政府」ということにつきましては、今回御審議いただいております法案の中でも以上申し上げましたような考え方に基づいて整理をいたしまして、それぞれ各条項に即してそのように規定をいたしておる次第でございます。
○島本委員 前のときよりもわりあいに整理された答弁がいま出たわけでありますが、この点だけは笑い事ではなく勉強された跡が見えます。以前はこうではなかったのであります。しかし総量規制、これは今回の法案の大事な一つの目標にもなっております。こういうようなことをやるのはもう当然、環境庁の長官ということでやってしかるべきではないかと思うのですが、実は総理大臣ということになっておるのであります。しかし実際は環境庁長官がやるのだ、こういうようなことでありますけれども、しかし、これはなおさら環境庁長官と言って、はっきりその仕分けを明らかにしておいた方がなおいいのじゃないか、こう思いますが、しかし、いまのような整理がされてあるとするならば、これをなお強めて、これができたために前より悪くなったなんというようなことが一切ないように、極力戒心して行政を実施するように、心から私は要請しておきます。 これで大体質問は終わらせてもらいますが、決して満足して終わるものではありません。
○久保委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。 —————————————
○久保委員長 ただいま委員長の手元に、東中光雄君より本案に対する修正案が提出されております。 まず、提出者より趣旨の説明を求めます。東中光雄君。 ————————————— 瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に対する修正案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○東中委員 私は、日本共産党・革新共同を代表して、瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由とその説明を行います。 原案は、現行の臨時措置法に対し、燐の規制、自然海浜の保全、総量規制の三点の施策を新たに導入し、瀬戸内海の環境保全を図ろうというものであります。これは現行法の一定の改善であることは明らかでありますが、しかし、瀬戸内海の環境が置かれている深刻な現状からすれば、非常に不十分なものであると言わざるを得ないのであります。 瀬戸内海の自然海岸はすでに全海岸線の四〇%まで減少、にもかかわらず、いまなお七千ヘクタールもの埋め立て工事が行われ、自然海岸や漁場の破壊は一層進行しています。昨年は昭和四十七年以来と言われる赤潮による漁業の大被害が発生するなど、瀬戸内海の富栄養化はますます進み、またタンカー等船舶航行の激増に伴って、油による海洋汚染も、昭和四十二年の三十二件から昭和五十一年には五百十四件という飛躍的な増加を来しております。このように、水産資源の宝庫として、また、その美しい自然で国民の憩いの場として親しまれてきた瀬戸内海の環境はますます悪化しています。 こうした点からするならば、原案は次のような不十分な点を含んでおります。 第一に、埋め立て規制強化、タンカー規制が見送られておることであります。 第二に、赤潮原因物質の一つである窒素の規制が見送られ、燐の規制も指導、助言、勧告にとどまっております。 第三に、自然海浜保全では、保全対象地区が海水浴等に利用され、その利用が将来とも適当であるものと著しく限定されております。 第四に、総量規制は産業の動向等を勘案し、実施可能な限度で行うとする緩い規制であると同時に、この点は環境保全のため必要な規制を行うというこれまでとは異なった考え方を含んでおるのであります。 原案は、以上のような不十分な点を持っており、これでは瀬戸内海の環境の悪化が防げないというおそれすらあります。したがって、私たちはこれら原案の不十分な点を是正して、本法案をより一層効果あるものとするため、埋め立ての規制の強化など、最小限の修正を提案するものであります。 以下、修正案の概要を御説明いたします。 第一は、瀬戸内海環境保全基本計画の目標を、瀬戸内海での環境を工業開発による急激な汚染が発生する以前の状態に回復させることに置くとともに、この計画は国の他の開発計画よりも優先するものであることを明記するという点であります。 第二は、瀬戸内海でのこれ以上の埋め立ては原則的に禁止するという点であります。 第三は、自然海岸の保全は、自然の状態が維持されている海岸はすべて自然海岸保全地区の指定可能地区とし、同地区での開発行為は許可制とするという点であります。 第四は、赤潮原因物質である窒素、燐は条例で厳しい排水基準を定めるという点であります。 第五は、タンカー規制は、政府が環境保全上必要な航行の規制を行うべき義務のあることを明記するという点であります。 第六は、総量規制は「産業の動向、」、「実施可能な限度」等の文言を削除して、環境庁長官が環境基準を維持する上で許容される汚染物質の総量を対象水域沿岸の各県にわたって割り当てる仕組みをとるということであります。 以上、慎重に御審議の上、速やかに可決されますようお願い申し上げます。
○久保委員長 以上で修正案の趣旨説明は終わりました。 —————————————
○久保委員長 これより本案及び修正案を一括して討論に付するのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。 まず、東中光雄君提出の修正案について採決いたします。 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。 次に、原案について採決いたします。 本案に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。 —————————————
○久保委員長 次に、ただいま議決いたしました本案に対し、池田行彦君、水田稔君、古寺宏君、中井洽君、東中光雄君及び工藤晃君より附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。 まず、提出者から趣旨の説明を求めます。水田稔君。
○水田委員 私は、ただいま議決されました瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議につき、自由民主党、日本社会党、公明党・国民会議、民社党、日本共産党・革新共同及び新自由クラブを代表いたしまして、その趣旨を御説明いたします。 まず、案文を朗読いたします。 瀬戸内海環境保全臨時措置法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案) 政府は、本法の施行に当たつて、次の諸点につき適切な措置を講ずべきである。 一、総量削減基本方針の策定に当たつては、内閣総理大臣は、関係府県の意見を十分に聴くとともに、維持すべき環境上の目標を、急速な開発に伴う急激な水質の汚濁が生ずる以前のような状態に回復することとし、当面、海域ごとに指定された環境基準を達成、維持すること。 二、瀬戸内海の環境保全に関する施策の立案及び実施に当たつては、関係府県、関係市町村及び関係住民の意見が十分反映されるように努めること。 三、総量規制に係る指定項目については、CODのみならずその他の汚濁物質等についても総量規制の対象とするよう早急に検討すること。 四、自然海浜の保全については、地方公共団体の努力にのみゆだねるのではなく、国においてもその目的を達成するため、関係法律に基づく開発行為の規制及び行政指導の強化など運用の適正を図ること。 五、清掃、しゆんせつ及び人工海浜、人工藻場の造成など、水質の回復に資する措置を講ずること。 六、下水道の整備について、事業費の重点配分など促進のための措置を講ずること。 七、赤潮発生のメカニズムの解明及び防除に関する総合的研究の整備拡充を図るなど、万遺憾なきを期すること。 八、史跡、名勝、天然記念物等の保全に当たつては、瀬戸内海の特殊性にかんがみ、その指定、管理等に係る制度の適正な運用を図ること。 九、埋立てについては、瀬戸内海の特殊性にかんがみ、その基本方針の厳正な運用を図ること。 十、油濁による海洋汚染を防止するため、大型タンカー等の航行規制の強化などについて所要の措置を早急に講ずること。 十一、総量規制の指定水域又は指定地域については、瀬戸内海のみならず東京湾及び伊勢湾を早急に指定するとともに、琵琶湖など汚濁の著しいその他の水域についても検討すること。 以上でありますが、その趣旨につきましては案文に尽くされておりますので、説明を省略させてただきます。 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手)
○久保委員長 以上で趣旨の説明は終わりました。 採決いたします。 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○久保委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。 この際、山田環境庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。山田環境庁長官。
○山田国務大臣 私といたしましては、本委員会における御審議の内容を十分尊重いたしまして、また、ただいまの御決議の趣旨を体しまして努力いたす所存でございます。 —————————————
○久保委員長 お諮りいたします。 ただいま議決いたしました本案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○久保委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ————————————— 〔報告書は附録に掲載〕 —————————————
○久保委員長 次回は、明十二日金曜日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時七分散会 ————◇—————