決算委員会 第5号
- 発言数
- 227 件
- 登壇者
- 20 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1978/04/12
会議録
○楯委員長 これより会議を開きます。 昭和五十年度決算外二件を一括して議題といたします。 本日は、裁判所所管及び法務省所管について審査を行います。 この際、お諮りいたします。 裁判所所管の審査に関し、国会法第七十二条二項の規定による最高裁判所長官の指定する代理者から出席説明する旨の要求がありました場合は、これを承認することとし、その取り扱いは委員長に御一任願いたいと存じますが、これに御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○楯委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○楯委員長 それでは、順次概要説明を求めます。 まず、裁判所所管について、概要の説明を求めます。牧最高裁判所事務総長。
○牧最高裁判所長官代理者 昭和五十年度の裁判所の決算の概要について説明いたします。 昭和五十年度裁判所所管の歳出予算額は、千二百三十六億四千四百七十万円余でありましたが、この予算決定後、さらに、七十二億六千六百四十三万円余増加し、合計千三百九億千百十三万円余が昭和五十年度歳出予算の現額であります。 右増加額は、予算補正追加額四十六億九千四百九十九万円余、大蔵省所管から移しかえを受けた金額五億九千六百七十万円、昭和四十九年度から繰り越した金額二十五億四千百五十八万円余の増加額と、予算補正修正減少額五億六千六百八十五万円余であります。 昭和五十年度裁判所所管の支出済歳出額は、千二百三十七億二千百七十五万円余でありまして、これと歳出予算現額との差額は、七十一億八千九百三十八万円余であります。 この差額のうち、翌年度に繰り越した金額は、八億七百五十八万円余でありまして、不用となった金額は、六十三億八千百七十九万円余であります。 この不用額の内訳は、裁判所職員の俸給手当等の人件費六十一億七千六百二十二万円余と、その他の経費二億五百五十七万円余とであります。 昭和五十年度裁判所主管の歳入予算額は、八億五千三百七十五万円余でありまして、昭和五十年度の収納済歳入額は、八億四千八百四十五万円余であります。 この収納済歳入額は、右の歳入予算額に対し、五百三十万円余の減少となっております。 この減少額は、庁舎敷地の交換による交換差金及び相続財産で相続人不存在のため国庫帰属となった収入金等の増加がありましたものの、保釈保証金の没取金及び民事訴訟費用弁償金等の収納が予定を下回ったことにより生じたものであります。 以上が、昭和五十年度裁判所の決算の概要であります。 よろしく御審議のほどを、お願いいたします。
○楯委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。松田会計検査院第二局長。
○松田会計検査院説明員 昭和五十年度裁判所の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。 簡単でございますが、説明を終わります。
○楯委員長 次に、法務省所管について法務大臣から概要の説明を求めます。瀬戸山法務大臣。
○瀬戸山国務大臣 昭和五十年度法務省所管一般会計歳入歳出決算の大要を御説明申し上げます。 法務省主管の歳入につきましては、歳入予算額は六百六十六億五千八百四十八万円余であります。 これに対しまして、収納済歳入額は六百十七億七千八百十九万円余であり、予算額に比べ四十八億八千二十九万円余の減少となっております。 この減少しました要因は、罰金及び科料五十二億四千二万円余、刑務所作業収入四億三千四百六十一万円余が減少し、過料六億六千三百二十七万円余が増加したことによるものであります。 次に、法務省所管の歳出につきましては、当初予算額は二千二百七十九億三千百五十九万円余であります。これに予算補正追加額六十四億八千九百四十九万円余、予算補正修正減少額十二億五千三百九十五万円余、前年度からの繰越額三十四億三百二十六万円余、予備費使用額五億六千四百八十六万円余、差し引き九十二億三百六十六万円余が増加されましたので、歳出予算現額は二千三百七十一億三千五百二十五万円余となっております。 これに対しまして、支出済歳出額は二千二百五十一億千八百七十一万円余であり、その差額は百二十億千六百五十四万円余となっております。 この差額のうち、翌年度へ繰り越した額は二十億八千七百八十万円余であり、不用額は九十九億二千八百七十三万円余で、不用額の主なものは、人件費であります。 支出済歳出額のうち、主なものは、人件費千八百四十五億七千二百五十三万円余、外国人登録事務処理経費六億九十三万円余、登記事務等処理経費三十四億七千三百八十五万円余、検察事務処理経費十三億千八百三十四万円余、矯正施設における被収容者の収容、作業等に要する経費百二十二億千十五万円余、補導援護経費二十二億五千四百五万円余、出入国審査及び被退去強制者の収容、送還等に要する経費三億千六百八十二万円余、暴力主義的破壊活動団体等の調査に要する経費十四億六千二百三十七万円余、施設費九十億千三百十万円余となっております。 以上、昭和五十年度法務省所管一般会計歳入歳出決算について、御説明申し上げました。 よろしく御審議を賜りますようお願い申し上げます。
○楯委員長 次に、会計検査院当局から検査の概要説明を求めます。松田会計検査院第二局長。
○松田会計検査院説明員 昭和五十年度法務省の決算につきまして検査いたしました結果、特に違法または不当と認めた事項はございません。 簡単でございますが、説明を終わります。
○楯委員長 これにて説明の聴取を終わります。 —————————————
○楯委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場猪太郎君。
○馬場(猪)委員 最近のわが国の海外との交流というものは非常に多くなってまいりました。それを受けて法務省の方でも現在の出入国管理令についてすでに四十二年当時から改正の準備を進めていらっしゃるわけですが、諸般の事情でなかなか改正のところまでいっておりません。したがって、事実に適合しない点もずいぶん出てきております。特に昨年度の出国の場合三百万を超え、さらに入国も百万に近くなるというような状態で、ますます外国との交流や、特にアジアとの交流というものは激増いたしておりますが、法務省としてこれにどういうふうに対処をなさっておるのか。そして最近の見通しについて、ひとつ法務大臣からお答えいただきたいと思います。
○吉田政府委員 ただいま先生から御指摘のありましたように、毎年非常にわが日本人の出国も増加しておりますし、外国人のわが国への入国も増加しておる次第でございますが、それに見合った人員の増加というのはなかなかむずかしゅうございまして、政府の増員を抑制する基本方針にのっとりましてできるだけ人力を省く方向を検討しておるわけでございますが、一方機械力を導入するという方法も考えております。また事務を合理化していくという方法も考えております。しかし、それを余り進めますと、非常にミスといいますか、取りこぼしが出てくる。その辺の兼ね合いが非常にむずかしい次第でございますが、鋭意合理化と機械化を進め、一方できるだけ増員をしていただくようにお願いしている次第でございます。
○馬場(猪)委員 事務の合理化だけじゃなしに、法律改正の問題も含めてどういうふうになっておるかということです。去年までの経過は報告でわかりますけれども、最近の動向をお伺いしたいということです。
○吉田政府委員 先生御承知のとおり、過去四回にわたりまして入国管理令の改正を国会に出してお願いしたわけでございますが、残念ながらなかなか国論がまだ統一されておりません。審議未了に四回とも終わった次第でございます。ただ、法務省といたしましては、いずれこれは改正をしたいということで、現にその改正案をつくるスタッフを法務省内に、入国管理局の中に参事官を筆頭として置きまして、日夜その準備を進めているところでございます。
○馬場(猪)委員 法律の上から言ってもなかなか法務省の考えていらっしゃることが、それぞれの考え方がある政党の利害関係もあったりして、統一できないということでおくれておる。四年もおくれておるわけですね。さらに、先ほどの話を裏返して言えば、まだまだ機械化、合理化も進んでおらないし人員も不足しているということで、何もかも足らない状態でいま出国、入国の管理事務をやっているという状態だと思います。しかも一方では、最初にも申し上げましたとおり出国も、それから入国も非常に多くなってきておる。特に、昨年総理も東南アジア方面へおいでになった。そして四十四億に及ぶ援助をお約束なさって、成功だと本人はおっしゃっておる。しかし、実際にはそのふえた大部分が東南アジア地域であり、そしてその人たちが出国したり入国したりすることによって、日本人の行動を目で見、また体で感じて帰られて、そしてそれもよきにつけあしきにつけて全部がその国の人たちに伝わるということですから、この外国の方々が来られたりあるいはわれわれ日本人が出かけたりするということについては、非常に重要な問題だと思います。 その中でこういう増加に伴ってまた問題点もたくさん起こっておると思いますが、出入国の管理というこの報告書なんかによりますと、ずいぶんといろいろと問題が起こっております。特に不法入国だとか資格外活動等も非常に激しく、そしてまたそういった問題がいい面だけじゃなしに、逆に悪い面をその国の人たちに伝えているということもあると思いますので、資格外活動等について摘発件数も非常に飛躍的に増加しておりまするが、最近の状況についてお教えいただきたいと思います。
○吉田政府委員 ただいま先生から御指摘がございました資格外活動でございますが、非常に近年増加してまいりました。これはわが国の経済が非常に発展いたしまして近隣諸国との格差が非常に出てまいった次第でございますが、それに伴いまして、要するに、日本へ来れば何かお金がかせげるという一つの実態がございます。したがいまして、正規に入ってきていただいてそういうことをなさっていただくということはわれわれは全然干渉しないのでございますが、要するに観光客として入ってきて、それでナイトクラブで働くとか、いろいろファッションモデルをやるとか、また特に社会的に問題になった売春行為が行われるとか、そういう現象が出てまいっております。これはもう一つ、昔は東京、大阪のような大都会だけに限定されていたわけでございますが、最近の傾向といたしましては、これが地方の町に広がっていっている。これは一つは日本人のそういう娯楽といいますか、エンターテインメントにおいて田舎でもやはり毛色の変わった人が飲み屋にいるということが客を寄せつける宣伝の非常にいい材料になるというようなことから、だんだんそういう外国人が田舎のナイトクラブなんかに出現するという傾向が出てきております。 それが正規な形で入ってきていただければいいんですが、いま申しましたように、正規といいますと、保証人であるとかいろいろな審査がございますので、それはなかなかまともに申請したんじゃとても許可にならない。したがいまして、観光で入りますと、観光というものは在外公館でわが国は観光立国の見地から非常に簡単に査証を発出しております。したがってこれは短期間である。したがいまして、観光査証で入ってくると非常に入国がしやすい。これを利用しまして入ってくる。それからわが国はヨーロッパ諸国と査証免除協定を結んでおりますが、そうしますと、短期に入ってくる場合は査証が要らないで入ってくる。こういう点を利用いたしまして、正規の目的以外の活動をいろいろ行うという現象が出てきていることは事実でございます。
○馬場(猪)委員 いま言われたように、観光ビザで入ってきてほかの仕事につくというのが非常に多い、しかもそれがいわゆるホステス業であるとか時には売春までやっておるということで、非常な害を流すような結果になっておるというのですが、そういうことをとめられないのはどういうような隘路があるのですか。この中にもいろいろな状態の中で隘路があるとおっしゃっているのですが、どういう点を隘路として考えていらっしゃるか。
○吉田政府委員 一番大事なことは国民の御理解を得るということでございます。外国人が正規の許可を取らないでそういう活動をするというのは違法であり、そういう者は摘発すべきであるということを国民全体が認識していただくということが一番のポイントじゃないか。これはむしろときには逆でございまして、そういうふうな摘発に参りますと、お客さんが一緒に楽しく飲んでいるのに入管が何を邪魔するかとしかられることがたびたびございます。それからお客さんが一致協力してそういう女の人を逃がしてやるとかいう現象が実際問題として起きているわけでございます。私がここで一番強調したいのは、国民一般にそういうものは違法であり、外国人がそういうことを日本の国で行う場合にはやはりちゃんとした許可を取って行うべきである。したがって、私たちの方でその取り締まりを行うときに非常に協力していただきたい。また一部では非常に協力していただいております。 これは御承知のように、私どものオフィスというのはなかなか網の目がございませんで、ことに田舎なんかでそういう現象が起きていましてもわからない。だからときどき一般の市民から通報がございます。そういう意識を持っていただいた方からは通報があって、その通報に基づいて、警察とも協力いたしまして現場に踏み込むわけでございます。そういうことは大体夜行われるわけでございまして、十時以後とか深夜がクライマックスになるわけでございますが、人手の問題とか超過勤務手当の問題とかそういうところがまたネックでございます。 大体そういうところでございます。
○馬場(猪)委員 どんな点に隘路があるのかと言うたら国民の理解がないからだと言われるんですね。それじゃ行政としては何もやらなくてもいいのですか。行政としては結局予算の関係で人も不足している、行政としての対応策全くなしに、国民が悪いからだというお答えなんですが、これはおかしいじゃないですか。
○吉田政府委員 いや、私は国民が悪いとかそういうつもりで言ったんじゃないのです。協力が非常に必要だということを申し上げているわけでございます。 いま申し上げましたように、たとえば田舎の方でそういう現象か起こっていても、通報をいただくと、こちらはそちらに出かけるわけでございます。全国の各都市都市に全部オフィスを置くといたしますと非常な人数が要るわけでございますが、警察はわりとそういうネットワークを持っておられますので、警察にもよくお願いしている、こういう次第でございます。 それからまた、そういう背後には大体において日本人の組織グループがあるわけでございます。外国人が事情がわからずにぼっと入ってきて田舎で働くということは実際問題としてなかなかむずかしい、それをあっせんする一つの日本人の業者的な人がおられるというのが現状でございます。それで、できるだけわれわれの方としては、業者の方々を集めまして、どういうことをしたら資格外活動になるのかということもよく御説明申し上げているわけでございます。ホテル、レストラン、そういう業界に、こういう人は雇えないのですよということも御説明し、また印刷物も配る、そういう努力はいたしておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 上陸のときにいろいろなチェックはできないのでしょうか。従来からたびたび問題を起こしている者についてしょっちゅう供述書をとったり審問したりしていろいろなものが出てきていると思うのですよ。そういうことも参考になるでしょうし、上陸のときにはいま以上の何らかのチェックはできないのでしょうか。
○吉田政府委員 チェックはできるだけやっております。 たとえば観光で入ってくる、一月日本に滞在するとなりますと、普通の場合その一月間に払うべきホテル代とかなんとかを現金で持っていなくてはいけないわけですけれども、ちょっと怪しいと思いますと、ブースで、あなたは現金を幾らお持ちでしょうかとお聞きしたりしておるわけです。そうしますと一万円ぐらいしか持たないのがございますので、あなたは一月間日本に滞在するということでお入りになって一万円でどうされるのですか、こういう質問をしてきてだんだん摘発されるわけでございます。もちろんブースでもできるだけのチェックはしているつもりでございます。 それからまた、同じ人が頻々と出入りする。そうすると、この人はどうも観光で一年に何回も出たり入ったりするということになりますと、やはりこちらもその人を注目し、また今度日本へ入ってこられたときに十分事情をお聞きするわけでございます。 それから、従来ひっかかった人たちのブラックリストがございまして、そうした方が二度来られると、やはりお帰りいただくとか、こういうこともやっている次第でございます。
○馬場(猪)委員 そういう入国のときのチェックなどで昨年度は大体どれくらい挙がっておりますか。「出入国管理 その現況と課題」の中でも「取締上幾多のあい路があるほか諸般の事情から現状においてもこれをはるかに上回る未摘発事案があるとみられる」こう書いてあるわけです。いわば摘発しているのは氷山の一角だ、ごくわずかだと言われておるわけです。実際は推定どれくらいあるのか。そして昨年度どれくらいの件数を皆さんの方で摘発できたのか。
○吉田政府委員 最近の数字を申しますと、これは摘発した全体の数字でございますが、四十九年が百七十五件、五十年が二百四十七件、五十一年が二百四十一件、五十二年が二百十四件となっております。その中で、要するに飛行場を通るときにチェックできたとか、入ってから町のキャバレーで摘発したとか、いま手元にブレークダウンはございませんが、必要ならまた後ほど先生のところへ御説明に上がってもよろしゅうございます。
○馬場(猪)委員 これが氷山の一角だと言うんだから、推定どれくらいと考えておられるのですか。
○吉田政府委員 それは倍以上はあるとは思います。摘発できているのは半分以下だというふうに私自身考えております。
○馬場(猪)委員 倍以上だと言われるのは何かやはり根拠があるのですか。
○吉田政府委員 根拠と言われますと、第六感みたいなものでございます。
○馬場(猪)委員 出入国管理事務所では六感で仕事をしていらっしゃるのですか。そんなあいまいなことで問題は解決しないですよ。
○吉田政府委員 いや、わかっていたらちゃんと何件と言えるわけでございまして、わからないから第六感と申しておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 しかし六感にしても、余りにもずさん過ぎやしないですか。警察当局なんかとも、関係諸機関と、上陸のときだけじゃなしに、その後も含めていろいろ連絡していらっしゃるはずなんですよ。そうすると、警察としてどれくらい件数が上がっているのかとかということ、そういったこともみんなわかっているはずでしょうし、そういうものを総合的に考えて大体これくらいだ、そういうような数字は出てくるのでしょう。ただ単に六感ということはないでしょう。それでは余り失礼じゃないですか。
○吉田政府委員 これはなかなかむずかしゅうございまして、たとえば密告がある。密告があって現場へ行ってみると、もぬけのからになっていたり、そういう場合があるわけですね。そういうのを積み重ねていって、それからわれわれカバーできてない地域もございますし、そういうことから推測していって、倍以上じゃないかと申し上げているわけでございまして、全然根拠がないといって、それじゃ倍以上というのなら証拠を示せと言われますと、これはちょっとできません、こういうわけでございます。
○馬場(猪)委員 なかなか諸般の事情から現状で摘発が十分いかない、「諸般の事情」というのはどういう事情ですか。
○吉田政府委員 まず、やはり人が足りないということは言えると思います。いまさっきも申しましたように、入国管理局の地方の事務所というのは、飛行場のあるところとか港があるところとか、そういうところに事務所を持っておりまして、内陸部、たとえば長野県なんか一つも事務所はございません。奈良県なんかもございません。そういう県がたくさんございます。滋賀県も何も事務所がございません。そういうふうに全然カバーできてないところはたくさんございます。そういうところについてはやはり地方の警察に御協力をお願いするということでやるよりしようがございません。そういう現状でございます。
○馬場(猪)委員 上陸以後でも、結局パスポートを持ってなかった場合には違法になるわけでしょう。そうすると大体において、それこそ六感でこれはおかしいと思えば、警察に通報してそういう点検というのはやっておられるのですか。
○吉田政府委員 もちろん警察官は、随時怪しいと思った外国人にパスポートであるとか外国人登録証の提示を求めている次第でございます。ただ、これを余りやり過ぎますと、またこれに対する反発がございまして、なかなかその辺の兼ね合いというのはむずかしいわけでございます。 怪しいと思いましたらもちろん提示を求めるわけでございますが、先ほど日本人の組織があると申しましたけれども、大体そういうたぐいの人は日本人のボスが全部旅券を預かるわけでございまして、本人に持たしてない場合が非常に多うございます。
○馬場(猪)委員 大体逃亡を防ぐためとかいうことで持たしてないのでしょうけれども、それならばよけいに持ってないということで摘発しやすいのじゃないですか。そしてまた先ほど局長自身も言われたように、いまや現地とこちらとブローカーや暴力団組織とかいったそれぞれ構造的なものになっているのでしょう。せんだってもフィリピンでも殺人事件があっていまだに解決がついていない。これもみな暴力団とのかかわりということも云々されているわけです。 そうすると、警察においても暴力団の撲滅のためにはずいぶんといま努力していただいておりますし、暴力団組織等についても十分のリストもお持ちだと思うのです。ですから、入管の方からそういう連絡が十分にいったら、摘発の件数というのはもっと上がるんじゃないですか。
○吉田政府委員 もちろん警察とは密接な協力をやっておりまして、情報はお互いに全部交換いたしております。それで、いま申しましたように摘発件数も年々増加しているわけでございまして、カバーされないところはあるかもしれませんが、これは今後も努力して大いに摘発し、そういう不正な外国人をなくするようにしたいと考えております。
○馬場(猪)委員 警察からお見えになっておりますね。警察庁の方でも、いま局長の方からお話があったのですが、どの程度の連絡を受けてやっていらっしゃるのか、ひとつ現況をお教えいただきたいと思います。
○長岡説明員 全国の警察におきまして出管令違反で検挙した件数を申し上げますと、昭和五十一年が二百二十六件、二百十九人、五十二年中が二百七十三件、三百六人ということでございまして、これらの検挙に当たりましては、当然事前または事後におきまして、入国管理局の出先の管理事務所と密接な連携をとりまして情報交換をしながら検挙しているわけでございます。その協力状況、情報交換の件数がどのくらいであったかということはちょっといまわからぬのでございますけれども、これだけの検挙をするに当たりましては当然かなりの協力体制がなければできない。したがいまして、当然十分な密接な連携をとって仕事をやっているというふうに考えておるわけでございます。
○馬場(猪)委員 しっかりやっているから摘発件数がふえているんだ、局長こうおっしゃるのですが、それ以上に入ってくる人も多いということでしょう。果たして摘発件数が質的にふえているのかどうかということはわかりませんよね、実態をつかまえていらっしゃらないのだから。入管の方でもつかんでいらっしゃらないし、警察の方ではどの程度それをつかんでいらっしゃるのですか。
○長岡説明員 ただいま出管令違反の検挙状況を申し上げたわけでございますが、このうち資格外活動の件数は出ておりませんので、資格外活動が事由になって検挙された件数、人員、これはちょっと不明でございます。その資格外活動が実際にどの程度あるのかということでございますけれども、これはかなりあるのじゃないかとは私ども思いますけれども、実際にこのうち何%で、件数がどれくらいであるかというのは、ちょっと申し上げかねるような状況でございます。
○馬場(猪)委員 入管の方は勘でそういう件数を摘発しているんだとおっしゃるのですが、警察の方はそういう点は非常に細かくいろいろ研究していらっしゃると思う。推定数字というのはどれだけか、お持ちでしょうか。
○長岡説明員 自信を持って推定どの程度ということをちょっと申し上げかねるような状況でございますが、資格外活動につきまして、観光目的で入国いたしまして売春をしておったという資格外活動でございますけれども、これにつきまして申し上げますと、五十二年中警察庁に報告がありましたのは三件、五十三年中、ことしになりましてから二件でございます。
○馬場(猪)委員 そんなに少ないんですか。
○長岡説明員 ただいま売春につきまして申し上げたわけでございますけれども、売春は昨年五十二年中の検挙は約五千件でございます。しかし、このすべてについて具体的な事例を警察庁に報告させておるわけではございませんので、そのうち特異な変わった事件としまして報告があったものの中から外国人の女性の売春に係るものがただいま申し上げた件数ということでございます。したがいまして、実際にはかなりの、これの何倍かの数字があるだろうというふうに考えております。
○馬場(猪)委員 入管の方も推定数字もはっきりわからない。ただしかし人数は少ないんだ。ある程度の数字をつかまえて、それにはこれだけの人がいるとかというのが必要でしょう。警察の方も推定数字はまだわからない、はっきりしたものをつかんでおらない、非常にあいまいですね。これじゃ本当に資格外活動を封ずるようなことができるんでしょうか。
○吉田政府委員 本当に先生にその推定数字を申し上げられるなら、われわれの方でそれを摘発に行っているわけでございまして、その根拠が推定でこのぐらいだろうという非常に漠としたものですから、漠としてなければわれわれは現場へ人を派遣して押えているわけでございますから、その辺のむずかしさというのをちょっと御理解賜りたいと思います。
○馬場(猪)委員 それじゃ、そういうことを犯させないようにするためには、出国のときには現地でどういう手を打っておるわけですか。たとえばタイならタイあるいはフィリピンならフィリピンから出るときに、外務省との連絡はどういうふうにやっておられるんでしょうか。
○吉田政府委員 出国のときと申しますと、それはたとえばタイでございましたらタイ国人とタイ政府の問題でございまして、これはわれわれ内政干渉するべきでない。ただ、日本政府が介入するとしたら、ビザを大使館で出さない、そういう点だけでございます。その人が何ぴとであってどうでというなにはその国民とその政府との関係、こういうことで、したがいまして、大使館にビザの申請があったときに十分審査するわけでございますが、先ほども申しましたように、ブラックリストというものがあるわけでございます。もちろんバンコクのわが大使館もそういうものを持っております。そういう人の申請に対してはビザは出しません。そういうことで防いでいるわけでございます。 それから、少し怪しいと思いましたら、もちろんその人にいろいろ事情を、なぜ日本へいらっしゃるのかとか日本へいらして何をなさるつもりなのか、それは日本に行く限りだれか知っている人があって、あなたの世話はだれがするんだとかそういういろいろなことを聞くわけでございますが、そういうことでできるだけチェックするわけでございます。 ただ、このごろまた査証を今度は偽造するというのも一部出てきております。今度はまた偽造査証を羽田で見破るということも努力いたしております。
○馬場(猪)委員 それじゃ外務省の方お見えになっていると思いますが、いまの実情というものを十分踏まえて、現地では外務省はどういうふうなチェックをしながらビザの発行をやっていらっしゃるのか、お教えいただきたいと思います。
○高瀬説明員 ただいまの先生の御質問の件でございますけれども、先ほど吉田入管局長が申しましたように、観光ビザと申しますのは一部の共産圏諸国とかあるいは一部諸国を除きましては、従来は現地の大使館限りで査証を発給してきたわけでございますけれども、昨年来特にタイ国の女性が本邦にやってまいりまして、売春活動等資格外活動をやるというような事態が問題になりましたので、昨年の八月以降観光査証で、特にタイ国の女性が観光査証を申請した際は、すべて本省に経伺いたしまして、本省でその辺をチェックするというような措置をとってまいりました。 それから、最初タイ国でこういう女性方がビザを申請してきたわけでございますけれども、タイの大使館が観光査証の申請について非常に厳しい態度をとってきたということがわかったものでございますから、これらの女性はタイの大使館をあきらめまして近隣の大使館に行きまして査証の申請をするというような事態になってまいりましたので、その近隣諸国に対しましても本省の方から訓令を発出いたしまして、近隣の諸国でタイの女性から観光査証の申請があった場合にもすべて本省に経伺する。それで本省におきましては、先ほど入管局長が御説明しましたように、たとえば最近頻繁に日本にやってきているというような場合はこれはちょっと怪しいのじゃないかとか、あるいは日本においていわゆる保証人というのがございますけれども、そういうようなのについてもいろいろその身元調査等をいたしまして、資格外活動をやるおそれのあるような女性につきましてはもう入国は認めないというような方針をとる等、いろいろな施策を講じている次第でございます。
○馬場(猪)委員 ビザに必要なものの中には、たとえば所得の証明であるとか、それから日本人の保証人であるとか、銀行預金帳等、そういったようなものをとっておられるわけですね。そういうものからある程度の追跡調査というのはうまくいかないのですか。
○吉田政府委員 もちろん摘発いたしました場合には警察とも連絡をとりまして、大体必ず背後に要するにブローカーと称する日本人がいる。またバンコクの中でそういう女を集めている人、これは現地の人が多いわけですね。そういう人の背後関係を非常に徹底的に調べて摘発はやっております。
○馬場(猪)委員 先ほど吉田局長も最近にせのビザが発見されたというふうに言われておりますが、現地においてはそういうにせのビザについてはお気づきじゃなかったのでしょうか。外務省の方にひとつ。
○高瀬説明員 ただいまの点についてでございますけれども、結局偽造の査証と申しますのは彼らが勝手につくって飛行機に乗って羽田の方にやってくるわけでございますので、現地の大使館といたしましてこれをチェックする方法はないというのが実情でございます。
○馬場(猪)委員 そういう状況があるということは、ただ単に普通の正式なビザでうまくさばき切れないということから、そういう偽造団というものができているわけでしょう。ですから、そういう背景というものがあるのですよね。そういう背景を現地の領事館あるいは大使館あたりでもつかんでいらっしゃるのかどうか。当然それぞれの組織というものをある程度、それは外国のことですから自由にはいかないでしょう、日本の警察権を行使できないのですから。しかし、そういう背景というのは十分につかんでいるのでしょう。
○吉田政府委員 摘発いたしましてそういう背後関係がわかってまいりますと、もちろんわが外務省を通じてわが大使館に、タイの何という人がこういうことをやっている、そのあっせんで偽造の査証が出ているというようなことは、即刻通報をしている次第でございます。
○馬場(猪)委員 外務省や警察当局、あるいはまた売春防止に関しては総理府とも十分連絡をとっていらっしゃるのですか。
○吉田政府委員 総理府との関係は、これはハイジャック対策本部がございますので、ハイジャックに関係することでございますと総理府と連絡をとることにいたしております。ただ一般的な、キャバレーで資格外活動をやるというようなことは、一々総理府には通報しておりません。
○馬場(猪)委員 観光という名前で売春の女性を輸入しているというような形でしょう、結果的に見れば。そうすると、ますます入国者がふえていく中で、売春行為を強いられたような人たちが日本の暴力団に引き取られてそして本国に帰ったときに、それがどういうふうにその国に伝わるでしょうか。そして、それが日本に対してどういうふうな国民感情を持つでしょうか。
○高瀬説明員 ただいま先生の御指摘がありましたように、確かにタイあたりではジャーナリズムあたりに、タイ国は売春についても輸出しているんだというようなことでジャーナリズムあたりには非常に悪い影響を与えているんじゃないかというふうに考えております。
○馬場(猪)委員 そして、そういう橋渡しをしておる者がまたあるわけですね。そうすると、そういう暴力団組織と結びついたり、ブローカーと結びついたりしている旅行業者というものもまた問題になると思うのですが、運輸省はお見えになっていますね。きょうは運輸省の方、航空局の方だけですか。それでは旅行関係、観光関係の方は見えていませんか。——それでは、観光関係の方お見えになっておらないのですが、せんだって「旅行業界の皆様におうかがい申し上げます。恥という字をご存知ですか? あなたのサラリー、ボーナス、そして配当の一部分が、女性の春をひさいだお金からしぼり出されている、という事実に目をつぶらないで下さい。」と精華旅行社社長林秀格さんですか、こういう意見広告を出しているのは入管の局長さん御存じですか。
○吉田政府委員 いや、私いま初耳でございます。
○馬場(猪)委員 台湾の林さんという業者の方がこういう意見広告をずっと三ヵ月ほど出し続けているのですね。そしてそれに対して日本の観光業者がずいぶんその業者の林さんに対して圧力を加えているのですね。ということは、組織的に日本の旅行業者自体も手をかしているということじゃないでしょうか。そういうことも入管の局長さん、御存じなかったのですか。
○吉田政府委員 お互いの業者間でいろいろなことがあるというようなことは聞いておりましたが、その広告自体については私初耳でございます。
○馬場(猪)委員 業者間にあるということは御存じだったわけですね。そうすると、業者間に対してある程度そういうことを起こさないような指導とかあるいはまた懇談とかいうことはなさっておりますか。
○吉田政府委員 先ほども申し上げましたように、そういう業者を各地方地方で集めまして、外国人がこうした場合は資格外活動になります、こういう人は働けませんという説明は行っております。
○馬場(猪)委員 説明をしているだけですか。
○吉田政府委員 説明して、それに違反したら摘発ということになるわけでございますが、観光業の監督というのは私のところじゃございませんので、それ以上はちょっとできないと思います。
○馬場(猪)委員 そうなれば、担当官庁である運輸省と十分連絡をとって、これこれこういう業者はこういうことをやっているじゃないかというような情報提供とかそういうことをやっていらっしゃいますか。これは私のところの仕事ではないのだからということでほっておかれるわけですか。
○吉田政府委員 もちろん現場現場では連絡をとっております。それからわが方でブラックリストをつくっておりまして、そういう業者が扱うなには許可しないという方針をとっております。
○馬場(猪)委員 そういう指導をなさって、どれぐらいの程度、処分をなさったり摘発なさったり、あるいはまた、運輸省の方お見えになっていませんけれども、どれぐらい免許の取り消しをやったというふうなことは御存じないですか。
○吉田政府委員 私の方で、そういう外国人があっせんできないということになりますと、私ども許可いたしませんから、そうしたらそれでだんだんつぶれていくとかそういうことになって、その人自体の営業許可というのは、私まだそのことだけで営業許可停止になるかどうかちょっと存じませんが、私のところに外国人がそういうことで働く許可がとれないということになって、実質上その営業が成り立たなくなるという結果論が出てきているようでございます。
○馬場(猪)委員 売春の輸入をしているだけじゃなしに、出国の方にもいろいろ問題があるようですね。日本からの出国は五十二年度で三百十五万一千四百三十一人ですか、これだけ四年間も不況が続いておるにもかかわらず、前年に比べて一〇・五%の伸びを示しておる。こういう状況を見ると、外国から見て、日本は不況だ不況だと言うけれども結構豊かな国じゃないか、ドルも余っておるし、ということで、日本に対する見方というのは、幾ら苦しいんだ苦しいんだと言ってもなかなかそういうことば理解してくれないと思うのですよね。しかもその八三・六%、二百六十六万三千七百七十一人が観光だということで一位を占めているというふうに、この出入国管理の現状の中に書いてありますけれども、世界の人々と交流を深めて、視野を広め、そして国際的な感覚を広めるということについてはどんどんと海外に行くべきですけれども、その非常にたくさんの八三%以上を占めるような観光客の大部分が目的がまた非常に大変だというふうに言われておりますが、そのことについては局長御存じですか。
○吉田政府委員 日本人が海外に出国するというのは、憲法上保障されている国民の権利でございまして、ただその人が犯罪を犯しているとか、そういう旅券発給拒否事由が、これは外務省の問題ですが、ない限り、やはり外務省としては旅券を出すし、出したらそれは出国する向こうの国が入れてくれるなら出国できるということが現状だと思います。
○馬場(猪)委員 出入国管理令でとめてくれと言っているのではないのですよ。現状御存じですか、そういうことを御存じですかと聞いている。
○吉田政府委員 三百十五万人出ておられますので、中にはいろいろな人もおられるのじゃないかとは思いますが、人間の醸し出すことでございますので、多々いろいろなことがあるとは想像しております。
○馬場(猪)委員 入管局で出しておられるこの資料を見ましても、非常に男の方の比率が高いんですよ。三百十五万のうちで非常にアジアが多いわけですが、たとえば台湾なんか見てみますと、九三%が男の方、韓国も九四%が男の方、そしてその目的が売春行為だとよく新聞の記事にも載っておりますし、そして現地の雑誌や観光案内誌にまである程度そういうことが触れられておるのですね。こういう状態について、外務省としては現地の状況をどういうふうに把握していらっしゃるのでしょうか。
○野口説明員 いまの点についてでございますが、確かに最近非常に日本人の海外旅行者がふえまして、その多くがアジア地域である、その件につきましで特に日本の新聞、それから現地の報道等でこういう問題があるという点も存じておりますが、ただ現地の政府の方から、こういうことがある、したがって問題にしてくれということはいままで来てございません、私どもの承知している限り。 いずれにしましても、こういう問題があることは、日本に対する評判という点からも、もし仮に事実であるとすればいかがなものか、そのように存じます。
○馬場(猪)委員 もし仮にあるとすればと言われているのですが、実際の実情というのは余り把握していられないのですか。
○野口説明員 私どもの課の方では、邦人の援護関係、こういったこともやっておりますので、仮に邦人がそういった関係でトラブルに巻き込まれるということになりますと、もちろんうちの方でこれを援護するということもございますけれども、一般的に警察の方から詳しい数字をもらうとかそういうことがない限り、具体的に通常言われていますことが実際問題としてどのくらいあるかということはなかなかわかりかねる問題でございます。
○馬場(猪)委員 たとえばタイあたりを見てみますと、いろいろな雑誌やあるいは新聞等を見ますと、タイ国あたりではトルコぷろやマッサージ等が非常にたくさんあって、ホステスが大体十八万一千人からおる、ホテルでの売春専業の者が二万五千七百十九人、あるいはトルコぷろが千五百八十九軒あって三万二千百六十二人、そしてそこへどっと日本の団体の旅行団がしょっちゅう押しかけていっておる、タイの外貨獲得の第三位がこういう収入だというような記事がたびたび載っているのです。こういうことについては、実態を十分御承知なんですか。そしてお調べになったのでしょうか。
○野口説明員 お答えいたします。 いまの件でございますが、そういうことがあるということは私の方でも承知してないわけでございませんが、ただ、具体的に数字がどうとかそういうことになりますと、もちろん向こうの当局の方から通報がない限りうちとしてはわからないわけでございますが、もちろん外務省の地域課の方では別な観点からつかんでいると思います。ただ、うちの方としましては、邦人の保護という観点からつかんでおりますものですから、そういったことに関係してこないとなかなかわからない点があるということでございます。
○馬場(猪)委員 お隣の韓国あたりの新聞なんか見てみましても、日本人の観光客が非常に多い。一日の観光が大体三千人ぐらい毎日押しかけておる。そして週末なんかになると一日に四千人から来るというようなことも言われております。そしてその七〇%が日本人の観光客だと言われております。しかも、その日本人の観光客が行って泊まるところは、日本の企業が出資をしてつくったホテルであるとかそういったところが非常に多いというようなことも報告されております。そしてまた、有名なキーセン観光と言われているようなものも、公認だけでも二千人あり、非公認を入れると一万人もあると言われております。そこへ目立った形でどんどんと日本の観光客が行っておるし こういう状態について、幾ら福田総理が経済援助をお約束をしたりアジアの国々と仲よくしましょうと言っても、こういう状態が続いておるような状態の中で、果たして本当のお互いの国の交流というものは図れるのでしょうか。 法務大臣、こういう実態についてどうお感じになるのか、ひとつお答えいただきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 いまお話しのようなことを私直接現認しておりませんが、いろいろうわさ等で聞いておるわけでございます。先ほど来各省事務当局からいろいろ御説明がありましたが、これはどうでしょうか、これを日本国内で取り締まるというわけにもまいらない。率直に申し上げて日本人のこれはマナーの問題だということで、従来から大きく問題にされておりますけれども、たとえば海外観光を扱っておる業界等でも、日本人のマナー、売春だけじゃないでしょうけれども、もう少しマナーを正しくしないと、せっかくのそういう海外と日本人との心からの親交というものはできないじゃないか、こういうことが従来から観光業界等でも指摘されておるようでございます。 御指摘のようなことは、確かに諸外国との親善友好というものに必ずしもいい結果が出ない、かように考えますが、これはまさに私は日本人個人個人のマナーをよくする、ここにお互いに注意しなければならぬところじゃないかと思いますが、法律的にどうするこうするというしろものでもない、非常にむずかしい問題だと思います。
○馬場(猪)委員 日本人のエコノミックアニマルぶり、あるいはセックスアニマルというような言葉でも言われるような状態が続いておる。しかも、ますます国際間の交流がふえていっておる中で、幾ら法務省の方で出る人、入る人の管理をやったって、幾らやったってこれはもう押さえ切れないわけでしょう。もっとやはり基本的な問題でそういう状態を起こさせないような何かをつくり出さなければいけない。法律だけでは済まない問題だと思うのです。 そういう意味では、法務大臣の所管とかそういうことではないけれども、結局出入国管理ということで直接の人の出入りをあずかっている役所として大きく発言をしていただいて、内閣全体の問題としてこういう風潮を改めさせるような何かをやはりなさなきゃならぬと思うのですが、その点で法務大臣の意欲をひとつお伺いしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 いまおっしゃるように、これは法律でどうするこうする問題じゃないと思います。これはやはり日本が世界の国家として尊敬を受ける立場にだんだん来ておりますが、そういうところから特に近隣のアジア諸国等からは必ずしも感心されない、こういう状態があらわれてきておるのではないかと私も思うわけでございますから、そういう点について、機会があれば各省庁と話し合いをして、特に海外等における日本人の行動について、教育と言うとおこがましゅうございますが、啓発を図るように努めなければならない、かように考えます。
○馬場(猪)委員 時間がなくなりましたのですが、そうして三百万以上の人が出ていき百万近い人たちが入ってくる。その大部分がまたこれ航空機なんですね、飛行機なんです。入国出国とも大体九六・七%、それから日本人の入出国についても九九%くらいまで航空機で出るということですよ。それが今日、羽田が過密になったという原因で、羽田がその九九%のうちの六八・九%、約七〇%くらいを請け負う、だからこれは過密の状態をつくるのはあたりまえなんですよ。そして羽田が過密になったから成田をつくるということでしょう。言うならば日本の春を売ったり買ったりするお客さんをどんどん運ぶために羽田が足りなくなって、そして成田をつくっているようなことに、結果から見ればそういうふうになっているのではないでしょうか。これはもう運輸省の担当の方にお伺いすべき問題じゃないかもわかりませんけれども、結果的に見てもそういうことが数字の上からは出るのですが、ひとつどういうふうにお感じになっておるか、お答えいただきたいと思います。
○松尾説明員 成田国際空港は、長期の航空輸送需要に対応するものといたしまして来月の二十日に開港をいま準備いたしております。いま先生御指摘の中の観光問題につきまして、確かに御指摘のような問題の点があろうかと思いますが、観光の需要増につきましては一般の国民生活の向上あるいは余暇の増大、そういったことで日本人の観光需要が増大しておるものと考えております。非常にまじめな観光も多々あるかと思いますので、これ自体が一概に悪いと言うわけにもいきませんが、私どもとしてはこういった航空機に対する需要というものに対応しましてやはり必要な国際飛行場の整備を早く行わなければならない、このように考えて、いま早期開港で進めてまいっておる段階でございます。
○馬場(猪)委員 時間が参りましたし、航空局の方にそういうことをお答えいただいてもしようがないけれども、実際には一生懸命やっておられても春を売ったり買ったりすることに貢献しているだけなんだ、そういう結果にしか終わってないんだということもひとつ心得ておいていただきたいということで、終わりたいと思います。
○楯委員長 次は、村山喜一君。
○村山(喜)委員 まず私は初めに、法務大臣が二月九日に本院の法務委員会で述べられました所信表明の中で「法務行政の使命は、法秩序の維持と国民の権利の保全にあると考えております。」こういうことを言われておるわけでございますが、そういう立場から当然の発言であると考えますので、その内容の問題を、具体的な貸金業、サラ金の問題についてお伺いをいたしておきたいと思うのでございます。 この問題は、私の方から申し上げるまでもございませんが、最近のマスコミ関係の中でもサラ金の悲劇というような形の中でいろいろな事例が取り上げられておることは、大臣御承知のとおりであると思うのでございます。そこで、この関係の法律を見てまいりますと、出資の受入、預り金及び金利等の取締等に関する法律、利息制限法、それから議員立法であります貸金業者の自主規制の助長に関する法律、この三つがあると考えるわけでございます。 そこで、この刑罰規範になっております出資法の最近の違反事件の処理状況はどういうふうになっておるかということから、まず法務省にお尋ねいたしておきたいと思うのです。
○伊藤(榮)政府委員 サラ金の関連で問題になりますのは出資法の五条の高金利の制限違反の関係でございますが、その受理、処理状況を申し上げますと、昭和五十二年におきまして全国の検察庁で受理いたしました出資法五条違反事件は一千十七件でございまして、このうち七百八十九件を起訴し二百六十九件を起訴猶予その他の処分にいたしておりまして、起訴率は七四・六%、こういったところでございます。
○村山(喜)委員 法務省の法務年鑑五十一年の七十五ページに統計表が出ておりますが、その中で財政経済関係事件の中で受理いたしましたものと、起訴したもの、不起訴処分にしたもの、昭和五十一年は千三百六十一件の受理という統計が出ておりまして、そのうち起訴が七百六十六件、こういうことでございますが、これは間違いございませんか。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど五十二年度の出資法五条違反事件について御報告申し上げましたが、ただいま御指摘の五十一年の法務年鑑の統計、これも間違いございません。
○村山(喜)委員 そういたしますと、五十一年よりも受理したものは数が減っておりますね。ということは、それだけそういうような事件が少なくなった、こういうふうに考えてよろしいんですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまお挙げになりました関係の数字、それから五十二年の数字を見ますと、五十二年の受理件数が五十一年に比してやや減っておりますが、昭和五十年以前を見てみますと、少ないときでは三百件、多いときで七百件台、こういうことでございますので、五十一年度から検挙件数が非常にふえておる、五十二年にやや数字が減っておりますが、私どもは大局的に見ますと取り締まり件数において横ばいではないか、こういうふうに考えております。
○村山(喜)委員 そこで、これはどこが所管をするという状況にないようでございますが、実態調査というものを大蔵省がやっているようにも新聞に報道をされておるのですが、どういう実態になっておるのかというのは把握をされておりますか。
○伊藤(榮)政府委員 先刻御承知のとおり、サラ金問題はこれに関係します省庁が多数にしっておりますので、六省庁が集まりまして検討を重ねておるわけでございますが、その検討の一つのテーマとして実態調査ということがございます。そういう関係で、それぞれの省庁で担当しておる分野に即しまして実態調査をいたしておる、こういう状況でございます。
○村山(喜)委員 そこでお尋ねをいたしますが、大蔵省は、そういうような関係で、調査を自分の権限で行った事例がございますか。
○吉居説明員 調査の報告あるいは調査、さらにまた届け出の受理というような事務につきましては、政令によりまして大蔵大臣から各都道府県知事に委任しているところでございます。したがいまして、大蔵省が独自にいままでやったということはないわけでございますけれども、私どもがいまつかんでおります実態と申しますのは、たとえば貸金業者の届け出数でございますが、五十二年十二月末で十六万四千件、こう相なっておりまして、そのうち個人につきましては十二万九千件、それから法人につきましては三万四千件、こういう数字を得ております。 また、先ほど先生御指摘になりました議員立法によります自主規制法、これによりまして各都道府県には協会ができておるわけでございますけれども、この協会加盟の会員数というものについても私どもは得ておりまして、これも五十二年の十、一月末で約一万三千件、こう相なっております。さらに、各協会では金利につきまして定款で最高限を決めておりますが、これにつきましても、大体日歩二十五銭から二十八銭程度、こういう数字を得ております。
○村山(喜)委員 法務省の刑事局長は、事件の経緯から見まして、どのような人が被害を受けている、どういう人が利用している、そういうようなことが実態としてわかっておりますか。
○伊藤(榮)政府委員 私どもが取り扱いました高金利事犯を通じて見る限りにおきましては、中小企業と申しますかむしろ小企業の経営者でございますとか、中には一般家庭の主婦というような者が高金利で金を借りて困っておるという状況がうかがえるようでございます。
○村山(喜)委員 実態がまだ明確になっていないようでございますが、私たちが聞く中では、六人のサラ金業者がおりまして、一人一社の割合でつくって、だから六人で六社、そして長崎で二億円もうけて、起訴されまして、罰金を三十万円払ってそれでおさらばをしてしまったという事例があるように聞いているのです。同じ業者で支店をつくっておいてそこをたらい回しをやる、あるいはアドオン方式を用いまして利息を先取りする、そうして一日おくれたら契約不履行で全額支払う、そういうような契約書を取り交わして、そして大変なあくどい暴利をかせいでいる。あるいは現行の法律の中で、十日間貸して十五日分の利息を取ってそして一月に三回転する、四十五銭の金利を取ってそれを三回転するわけですから百三十五銭という金利を取っている業者もある。 そういうような状況の中から、最近は、主人に黙って借りてそしてそれがばれて子供を道連れにして亡くなっていく主婦の人もおってみたり、あるいは蒸発をしてしまったり、大変な状況が新聞等で報道をされているわけでございます。 こういうような状態に今日あるということは、非常に問題が解決をしていない。われわれ国会議員の立法の府を含めましてそういうような立法政策の怠慢であると同時に、行政の上から見ましても、放置をしてきたその怠慢というものは、これは否定できないのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。 そこで、政府はいま、関係があります大蔵、自治、法務、警察、経済企画庁、それに総理府を加えまして六省庁で検討中だ、こういうことでございますが、これの座長格は、一体どこが取り仕切ってやっているのかということでいろいろ尋ねてみるのですが、座長格がいないのであります。世話役という者がいない。そこで、本気になってこの問題と取り組んでいこうという政府の姿勢というものはないのではないだろうかとさえ疑うような気がするのでございます。 そこで、この問題は、刑罰規範であります出資法の問題と、それから私法上の効力を定めましたいわゆる利息制限法、これに対して最高裁の判決が三十九年十一月十八日と四十三年十一月十三日に出ているわけでございます。その中で、法律は金利の最高限を定め、これを超える金利の定めは超過部分につき無効である旨規定がしてありますが、判例を読んでまいりますと、「右制限を超過して支払った利息は元本に充当され、且つその充当により計算上元本が完済となり、なお超過支払利息があるときはその返還を請求できる」という判断を示しているわけでございます。 ということは、それだけ消費者の利益というものを判例の中で明示したものだというふうに受け取らなきゃならないわけでございますが、本来ならば、そういうような判断が示された段階で、この出資法と利息制限法の問題をとらえて立法の措置によりまして措置をしていかなければならなかったにもかかわらず、それが今日まで放任をされてきた。ですから、行政上は民事上の無効行為を業とするものを放置してきて、そして黙認してきた。そういうところから今日のこういうような悲劇が生まれて、サラ金地獄というものが出てきているのだと思わざるを得ないのでございます。 したがいまして、問題は、出資法に定めるいわゆる取り締まりの限度金利と利息制限法との関係の谷間をどうして埋めていくのかということが一番大事な問題だと考えておるのでございますが、そういうような意味においては、これに対する取り組みの姿勢は、民事上も行政上も刑法上もやはりどうしても規制をしなければならない段階に来ている。そういうことから、六省庁それぞれの協議、検討をされておるのですが、いま聞いてみると、自分の守備範囲の中でしか検討が行われていない。それを一歩前進をさせて、瀬戸山法務大臣が言われておりますように、法秩序の維持と国民の権利の保全にある、こういうふうにお考えになっているとするならば、私は、もっと推進をされてしかるべきではないだろうかと思うのでございますが、法務大臣はこういうような状況が国民の中に出ていることに対しまして、こういうような状況に立ち至っている今日の状況をどういうふうに改革をしようとお考えになっているのか、その点をお伺いしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 村山さんも御理解願っておると思いまするが、いわゆる中小、小の方でしょうけれども、その金の貸し借りでございますから、まさに民事的、個人の契約自由のもとで行われているわけでございます。 ただ、それにしても、利息制限法は、一定の制限を加えて、制限以上は法律上は無効である。個人の了解でやっておっても、これが法律問題となると、裁判ざたになると無効になる、こういう仕組みになっておるわけでございます。 もう一つの出資法ですが、簡単に出資法と申しますが、これは金利の最高限を日歩にして〇・三%ですかに決めて、これ以上は処罰をする、こういうことになるわけでございます。 そこで、現在は、先ほど刑事局長から申し上げましたように、処罰の関係では、出資法以上の金利の場合、一つの弊害としてありますのは、取り立てが過酷に失する、あるいは脅迫、暴力等によって取り立てる、こういう事態もありますから、そういう両面の刑罰規定を適用して摘発をしておる、これが現状でございます。 先ほど申し上げましたように、個人の自由契約に基づくものと言いながら、最近国民生活向上に従っていろいろそういう高金利の金を利用するという傾向が非常にふえまして、したがって、その結果から、先ほど来おっしゃるように、いろいろ報道されておるような深刻な場面が出る傾向が顕著になっておる。これはおっしゃるように政府としては放置できない事態である、一つの大きな社会問題になっておる、こういう考えから、サラ金問題は相当前から政府部内でも議論をされておるわけでございますが、国会でも非常に議論をされておる状態であります。私も村山さんと同じような気持ちで、これは放置すべきものでない、単に個人の契約自由というだけでこの社会問題を見逃すわけにいかないという立場で、率直に申し上げて、いま立ち向かっているわけでございます。 そこで、閣議等においてもどこが所管かわからない状態で、それぞれ各省に関係ある部分でやっておるだけでは済まない問題である。何かの立法措置を講じなければ、ただ罰則を定めて処分するだけでは問題は解決しないと思います。やはりそれだけの国民生活上、社会上の必要性があってこれは出ておると思いますから、一般の市中銀行等の金融機関だけでは済まされない、こういう必要性から出てきておる。でありますから、貸金業者の自主規制法等ができておりますけれども、これだけでは足らない。全部の貸金業、庶民金融が悪いというわけではありませんけれども、弊害も相当出る面もあるわけでございますから、何かこれをまとめて、こういう金融が円滑に行われて、国民の需要にこたえるような組織的な面も考えてやらなければいけない。しかし、弊害として出てくるものはこれは規制をして、国民生活に悪い影響が起こらないようにしなければならない。こういう両面から新しい立法措置を講ずる必要がある、私もそのような考えを持っております。 ところが、私も詳細は知りませんけれども、これは千差万別ということ、先ほど報告がありましたように、いま十六万以上もそういういわゆる貸金業をしている者がいる。これもいろいろな仕組みがあるようでございますから、まずその実態を調べなければいかぬじゃないか。実態を調べなければ、角をためて牛を殺すようなかっこうになってもいけない、こういうことから、大蔵省が中心になって現在実態を調べてもらっております。 相当集計ができる段階にきておると私は閣議等では聞いておりますが、その上で利息制限法の利息で現在の社会情勢で一体適切なのかどうか、あるいは出資法の一〇九・五%の最高限が適切なものであるのかどうか、こういうものもあわせて、これは大きな経済問題でありますから、法務省だけの考え方ではいけません。各省庁が実情に合うように相談をして、それから、育てる面としては相当な資格を有する者、事前にそういう資格があるかどうかをチェックする制度をつくり、そして各行政とのつながりを求めて悪い方に向かないように、こういう仕組みをした法律が必要だ、私はそう思っております。 でありますから、ぜひそれを速やかにしたい、こういう考えですけれども、いま申し上げましたように、いろいろな組織、仕組みがあるようでありますから、そういう実態をつまびらかにしないと簡単にはできない、こういう実情にありますので、気は焦っておっても長くかかっておるというのが正直なところであります。しかし、いつまでもそういうことをやっておってはいけない。閣議の中でも、六省庁関係しておりますが、一体どこが責任庁かわからない、こういうかっこうではいかぬじゃないかということで、いま相談をしておるところでございますから、できるだけ早く実情に合って、しかも有効に機能するような方法を講じたい。 その前にも、先ほどアドオン方式とかいろいろおっしゃいましたが、利用者にわからない仕組みになっておるところに大きな問題がある。重ねて申し上げますが、やはり自由契約でありますから、そういう資金を借りて将来返済能力があるのか、それが生活に非常な悪影響を及ぼす事態になるのかならないのか、この判断はお互いに利用する人みずからにしてもらいませんと、何もかも行政府が保障するわけにいきません。そういう判断ができるようなことを利用者に明らかにする必要がある。明らかにならないようなことをやっておるようなところもあるようでございますから、そういうところを行政で、現在指導できるところは指導してもらっておるようでありますから、立法する前にそういうこともしてもらわなければならない。 いずれにいたしましても、これは国会にお諮りをして何かの立法をしなければならない。しかもできるだけ速やかにしなければこの社会問題は解決しない、かように考えておるわけでございます。 〔委員長退席、馬場(猪)委員長代理着席〕
○村山(喜)委員 瀬戸山法務大臣のいまのお答え、了解いたします。 それで問題は、いまさら申し上げるまでもございませんが、サラ金殺しというのですか、中には仮企業みたいな幽霊法人をつくりまして、印鑑証明を三十枚くらいポケットの中に入れて、一日に二百万ぐらいサラ金業者を借り歩いて、そしてどこに行ったのか調べてみたら幽霊だというので、まじめな金融業者が倒産をしている、そういう事例もあるやに聞いております。 そこで、いまおっしゃるように、国民の中にそういうニーズがあるのですから、処分するだけでは結局解決しない。それを利用している人たちがおるわけですから、その人たちが内容がわからない形の中で判こをとられて、非常に不利な状態の中でやられている。相互の契約条項といっても、取り交わしをしていないで判をつきなさいというようなことで借りている事例等も多いようでございます。 それで、最高裁の判決も出ているわけでございますし、いまの状態は出資法の第五条の制限に触れない限りにおいては利率の約定がいかに利息制限法の制限を超過しようとも民事的にも有効である、利息制限法は単なる裁判規範にすぎないというような誤った認識が行き届いてしまっているようなことでは困るわけでございますから、そういうような意味において、今日法の谷間をどういうふうにして速やかに埋めていくのか。しかも、その間にはやみ金融の発生を抑えていかなければなりませんし、借り主の立場から公正であり適当であり妥当である、業界としても遵守ができるような利率を強制する。また法律に従って営業しているまじめな業者に対しては、制度的な資金の導入をやらなければならないというようないろいろな解決しなければならない問題が山積していると思うのです。 〔馬場(猪)委員長代理退席、委員長着席〕 要は、政府がこの問題について責任を持ってやる決意があるかどうか。御案内のように、福田内閣の閣僚の御一人でもございますし、政府としてそういうような態度を決めるのだったら閣議でそれを決定して、とにかく一定の見通しをつけて、さっきおっしゃるようにできるだけ早くということでございますが、今国会には間に合わなければ次の国会には出すというぐらいの目安を示してもらわなければ、社会的な不安が今日出ている問題に対する対応の仕方として、行政府としての責任を負うたその責任を果たすことにならないのではないだろうかと思うのでございますが、これに対する法務大臣の決意のほどをもう一回お聞かせをいただきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 今国会というわけには率直に申し上げてまいらないと思います。最近の調査実情をまだ聞いておりませんが、いずれにいたしましても、これは政府としても、恐縮な言い方でありますが、国会としても、放置すべき問題ではないと私は思います。でありますから、少なくとも次の通常国会あたりには間に合うように努力すべきものである、こう考えておりますので、私も努力をしたい。現にこの国会にある政党からこれに関する法案等が出ておる状況でございますから、そういうことも参考にして研究する体制にいましているわけでございます。
○村山(喜)委員 ぜひそのように推進していただきたいと思います。 そこでもう一点、法務大臣にお尋ねいたしたいのでございますが、日本弁護士連合会の方から「無実の罪に苦しむ人を救うために 再審法の即時改正を訴える」というパンフレットが私のところにも参りました。そこでいろいろな事例を引いて、五十二年二月十五日、仙台高裁の那須隆さんの無罪判決、二十八年間の冤罪の問題等も例を引いてございます。いまそういうような問題で懸案になっているのが二十一件あるということも書いてあるのでございますが、稻葉法務大臣のときに、国会で改正の必要性を認めて準備を進めているという表明があった、そういうことも書いてございます。そこでこの問題については五十年五月二十日の白鳥決定の問題をめぐりまして、疑わしきときは被告人の利益にという刑事裁判における鉄則が適用されることが判示されたということを書いてあるわけでございますが、私たちも、そういうような意味においては無実の罪に苦しむ人を救うためには再審法の即時改正が必要であるというふうにも考えるのでございます。 これに対して法務大臣としてはどういう御見解であるのか、私、この際承っておきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 申し上げるまでもないことですが、無実を有罪にするということば断じてあってはならないことでございます。裁判は真実を発見して、そして真実有罪であればそれに適当な処断をする、こういうことでございますから、無実の者が処断を受けるということはあってはならないことでございます。しかし、裁判といえども人間のやることでありますから、これが絶無というわけにはいかないで、御承知のような確定判決がさらに再審によって長い年数の後で無罪になったという事例もあるわけでございます。これについてはまことに遺憾といいますか残念なことだと受けとめております。こういうことについては捜査上も裁判上も十分注意しなければならない、かように受けとめておりますが、いまおっしゃったように、証拠上疑わしいというのは、疑わしきは罰せず、これは裁判の原則でございますから、これも当然なことでございます。 しかし、再審事由の云々ということがしばしば言われますが、細かいことは事務当局から、もし必要があればお答えいたしますけれども、わが国の刑訴法にあります再審事由は決して狭いものだとは私どもは考えておりません。再審事由を広げるということはどういうことか細かに存じませんが、何でも再審ができるのだ、そうおっしゃるわけじゃないでしょうけれども、そういうことでは一審、二審、三審制度をつくっておるのは、過ちを犯さないために念には念を入れて裁判をするという意味で三審制度ができておるわけでございますから、それでも間違っておる場合がなきにしもあらず、そこで再審制度ができておるわけであります。でございますから、それをむやみに何でも再審になるような制度につくるということは適当ではない。現在私どもが考えておりますのは、いまも申し上げましたように、刑訴法に数個の再審事由が並べてありますが、これ以上に広げなくても再審の問題は解決する、かようなのがいまの私どもの立場でございます。 ただ、私どもがもう少し検討を要するということを考えておりますのは、やはり再審という問題になりますと相当知識を有し、綿密な調査等必要でありますから、その点についてはそういうことのできない人には国選弁護人をつけてやる必要があるのではないか、再審を申し立てようとする事由のある人には国選弁護人をつけてやる必要があるのではないか、あるいは再審事由についていろいろ検討する場合に、収容中の被告人であればその弁護人等との交通をもっと自由にしてよく検討する機会を与える必要があるのではないか、こういう問題について欠けておるところがあるように思います。でありますから、そういう点をできるだけ早く改正したい、かようなことを検討しておるのが現状でございます。
○村山(喜)委員 刑訴法の四百三十五条の六号、これは法律の内容を条文的にながめると非常に窓口が開かれているようにも感ずるのですが、しかしこれではどうにもならない、やはり六号を抜本的に改正をして再審要請の要件の緩和、理由を拡大してもらいたい。そうでないと、いま非常に不幸な形の中で、那須さんのように新しい犯人が名乗り出たために無罪になったというようなものが、もしそういうような事例がなければいつまでもそういうような形の中でつながれておったわけでございますから、過った裁判によって死刑にするというようなことさえもあり得ることになる。そういうような意味で、何でもかんでも再審に持ち込んでよろしいということではなくて、そこにはやはりそういうような一つの限界はあるものとしても、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠をあらたに発見したとき」というのを「原判決に影響を及ぼすべき重大な事実誤認があると疑うに足りる証拠をあらたに発見したとき」というふうに改めるべきであるという意見が出ていることは、大臣御承知だと思うのです。 これについては、先ほどの大臣の御答弁を聞きますと、消極的に解するような、あるいは否定的な発言のように受けとめたのでございますが、ここら辺は十分打ち合わせをされた上でそういうような態度の表明ということになったのでございましょうか。改めてもう一回お尋ねをいたします。
○伊藤(榮)政府委員 大臣がお答えになりますと思いますが、その前に若干の御説明を申し上げます。 ただいま御指摘のような形に再審の理由を広げるという御提案が日本弁護士連合会から出ておることはよく承知をしておりまして、その大綱は大臣にも御説明申し上げておるところでございますが、率直に申しまして、日本弁護士連合会が御提案になっております再審理由を拝見いたしますと、現在の一審、二審、三審制度における裁判の上告理由よりももうちょっと広がっておるわけでございまして、そうなりますと、結局現在の三審制度の上に第四審を置くというような感じになりますので、そこまで広げることは、結局第一審から第三審までかけて、裁判官が一生懸命過ちなきを期してやっておるその点を根本から疑ってかかるような感じも出てまいりますので、適当ではないのではないかというふうに考えるわけでございまして、諸外国の例等に徴しましても現在の刑事訴訟法の再審事由というものはおおむねバランスがとれておる。ただ、従前その解釈、運用にいささかかたいところがございましたのが、御指摘のとおり白鳥事件判決以来、最高裁も正しいあるべき解釈に変えてきておるということで、その後、御指摘のように那須さんの事件を初めといたしまして、世間の納得を得るような結果が出ておるように思うわけでございます。 ただ、私ども率直にこの再審手続を見てまいりますと、ごらんのとおり条文の数も少のうございまして、そういう関係から、先ほども大臣がおっしゃいましたけれども、再審請求をしようという人に対する援助とか、準備のためのいろいろな手だてという点においてもう少し配慮をする余地があるのではないか、そういうことがございまして、日本弁護士連合会の再審手続に関する改正の御提案の中にも、そういう手続面の事項をたくさん御指摘になっております。 それで、それらの中には傾聴に値するものが多々あるというふうに私ども考えておりまして、予算措置もちょうだいをいたしまして、再審制度の改正のための検討作業を現在鋭意やっておるわけでございます。そういう状況でありますことを御説明申し上げたいと思います。
○村山(喜)委員 わかりました。それでは、そういうような面の検討が進められているということでございますから、それらの検討の結果を待ちたいと思っております。 そこで、時間の関係がございますので、私は裁判所の方にお尋ねをいたします。 最近、裁判が遅延をしているというようなことがいろいろな角度から言われているようでございますが、その実態はどういうふうになっているのだろうかということで、統計的なものはないだろうかといろいろ探したのでございますが、裁判所の統計というのは、世上公表されているような統計資料というものが果たしてあるのかないのか。最高裁あたりでそういうようなものをお出しになっている事例がございますか。そのことが第一点。 それから、しかしながら関係の方には統計的な数字があるんだろうと思うのでございますが、第一審のいわゆる刑事裁判の平均的な審理期間というのは、あるパンフレットによりますると、昭和四十五年で六・四ヵ月かかっている、それから昭和五十年度は六・三ヵ月かかって、決して遅過ぎる裁判とは言えない、こういうような資料も拝見をいたしたのでございますが、実情はどういうふうになっているのか、御説明をいただきたい。それから民事上の裁判の問題も、そういうようなものがあるとするならば現在はどういうふうになっているのか、現況について説明を願いたい。
○大西最高裁判所長官代理者 まず御質問の第一点でございますが、裁判所の統計といたしましては、「司法統計年報」という大部なものを裁判所としてはつくっておりますし、その他、概況でございますれば、毎年「法曹時報」という雑誌に民事、刑事それぞれの事件の概況を登載しておるところでございます。 それから、第二のお尋ねの民事、刑事の訴訟事件の審理期間でございますが、まず刑事の方から申し上げますと、一番最近でわかっております昭和五十一年について、先ほど村山委員がおっしゃいました平均審理期間ということで申し上げますと、原則的な第一審でございます地方裁判所の刑事の通常の第一審事件について申し上げますと、昭和五十一年で五・七月ということになっております。それから民事でございますが、これも同じように、地方裁判所の第一審の既済事件の平均審理期間ということで申し上げますと、昭和五十一年度におきまして十五・八ヵ月、こういう数字に相なっております。
○村山(喜)委員 そういたしますと、私は先ほど五十年度対比の数字を申し上げたのですが、それが正確であるとするならば、これはおくれているのではなくて、促進されるような状況になっているというふうに受け取ってよろしゅうございますか。
○大西最高裁判所長官代理者 まず民事事件につきましては、逐次審理期間が延びておる傾向にはございましたが、およそ四十七、八年ごろを境にいたしまして、審理期間が少しずつ短くなる、こういう傾向でございます。刑事事件につきましては、その年度によりまして、その年度に終わりました事件の審理期間の平均をとっておりますので、多少の長い、短いはございますが、およそここしばらくの間、ほぼ横ばいというふうに申し上げてよかろうかと存じます。
○村山(喜)委員 そこで、私はここにこのパンフレットしか持っておりませんので、「司法統計年報」あるいは「法曹時報」という雑誌にそういうような統計的な数字は出ておりますということでございますので、四十五年は、第一審の場合の平均審理期間は幾らですか。五十年は幾らですか。そこに数字ございませんか。
○大西最高裁判所長官代理者 まず地方裁判所の民事通常第一審の既済事件について申し上げますと、昭和四十五年の平均審理期間は十二・七ヵ月でございます。それから五十年が十六・一ヵ月でございます。それから刑事の地方裁判所、第一審でございますが、四十五年が六・四月でございます。昭和五十年が六・三月でございます。
○村山(喜)委員 わかりました。そういたしますと、いまの大西総務局長の御説明では、民事の方は四十七年をピークにして短縮の方向へとおっしゃいました。刑事の方は横ばい状態だとおっしゃったのですが、この数字から見てまいりますると、どうも刑事事件についてもだんだん短縮をされる方向にある、こういうふうに受けとめざるを得ないのでございますが、それは間違いでしょうか。
○大西最高裁判所長官代理者 民事についてもう少し前のところから申し上げますと、たとえば四十年におきましては十二・〇月でございまして、先ほど申しましたように四十五年が十二・七ヵ月、それから少しふえてまいりまして、四十八年には十七・二月というふうになっております。それからだんだん少なくなってきておりまして、十五・八ヵ月、こういうふうになっておるわけでございます。 刑事について申しますと、昭和四十年が五.七月でございまして、その後毎年少しずつ上がったり下がったりしておりますが、そういう推移を経まして、昭和五十一年度においても五・七ヵ月、こういう数字が出ておるわけでございます。
○村山(喜)委員 刑事裁判というのは、私はやはり慎重にやらなければならない問題だと思います。そういうような意味において、慎重さというものを要請をされるという立場から考えてまいりますならば、これは決して遅過ぎる裁判だというふうに言えないのではないだろうかという印象を受けました。 そこで、それに対する回答は結構でございますが、次にお尋ねをいたしますのは、いまそれぞれの地方裁判所に、特許部とかあるいは破産部とか、そういうような部を置いているところがどの程度ございますか。
○大西最高裁判所長官代理者 ちょっといますぐ資料が出てまいりませんが、記憶で申し上げますと、特許部は東京、大阪の各地方裁判所にございますし、破産部も同じように東京、大阪にもございますが、ほかに一、二あるところがあるかもしれません。大体そういう大きな裁判所に特許部、破産部等の専門部が置かれておるわけでございます。
○村山(喜)委員 最近医療事故の問題あるいは薬害の問題あるいは公害に関する被害救済の問題、いろいろな損害賠償裁判というようなものが提起をされている。それには裁判官の皆さんも医療の専門知識というのですか、そういうようなものを持たなければならない。しかし、それは裁判をやりながら勉強しなければならないというようなことを考えてまいりますと、そういうような医師のミスであるとかあるいは患者のエゴであるとか、そういうようなのを判断をされるのに、やはり医事専門部のようなものを設けて裁判に当たるべきではないだろうかという意見等が出ておるわけでございますが、そういうようなものについて検討をされたことがございますか。また検討されるお気持ちがございましょうか、お尋ねをいたしておきます。
○大西最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のように、医療過誤事件と申しますか、医事関係の事件は最近だんだんふえてまいっております。裁判官は医学の専門ではございませんので、そのような事件の処理に当たりましては非常に苦労をしておるわけでございます。その種の事件につきましては、普通の場合は、そういう裁判官が持っておりません専門的知識の補充をいたしますために、お医者さん等に鑑定をしていただきますというようなこともやっておりますし、そのほかにも裁判官は一般的にそれぞれ協議会等を開きましてお互いに研究いたしますとか、専門の図書について勉強いたしますとか、そういうようなこともやっておるわけでございます。 そこで、村山委員御指摘の専門部を置くということを検討しておるか、今後検討する予定があるかということでございますが、現在医療過誤事件、およそ全国的に見ましてまだ千件には達していない、九百件ちょっとというくらいの件数でございます。 先ほどちょっとお話に出ましたような特許事件でございますとか、破産事件でございますとか、そのほか交通事件、それから執行保全事件というふうな非常に大量に起きてまいります事件がございますが、そういうふうな事件につきましては、そういう事件を大量かつ類型的に処理するということが非常に便宜でございまして、そういう意味で逐次専門部が置かれておるわけでございます。ところが、この医療過誤事件につきましては、ただいま申し上げましたように、事件数も必ずしも全国的に見てそう多いわけではございません。同じように医療過誤と申しましても、診療科目から言いましても、内科がございますし、外科がございますし、眼科もございます。それから、診療の過誤というふうに簡単に申し上げましても、その中のどこに誤りがあったかということでいろいろ分類をしてみますと、たとえば診断の際の過誤でございますとか、治療の際がどうであったかとか、手術がどうであったとか、注射がどうであったとか、輸血がどうであったとか、いろいろな種類の事件があるわけでございまして、それぞれの種類の事件がそれぞれそう多いというわけではございません。 したがいまして、そういう類似の事件が必ずしも多くないということからいたしますと、現状といたしましては類型的処理をするメリットは必ずしも多くないというふうに言えようかと思います。私どもといたしましては、現段階ではもう少し事件の推移を見た方がいいのではないかというふうに考えておるわけでございます。 なお、最後につけ加えさせていただきますが、こういう専門部を設けるということは最高裁判所がやっておるわけではございませんで、それぞれの裁判所が裁判官に対する事件の分配ということでお決めになるものでございますが、いま私が申し上げましたような考え方からそれぞれの裁判所においてはまだ専門部を設けるには至っていない、こういうふうに御理解いただければよろしいかと存じます。
○村山(喜)委員 検討を願っておきたいと思います。 そこで、最後にお尋ねをいたしておきたいのですが、われわれも余り裁判所にはそう関係がないもんですからついつい、それぞれの地方裁判所にもどういう裁判長がおられるかというようなことはわからないような状況でございまして、私はこの決算委員会で裁判所の問題を検討をするということになったものですから、いまどういうような状況にあるのかということで、あいさつかたがた鹿児島の地方裁判所に初めて、といっても裁判所長に会いましたのは初めてでございますが、参りました。いろいろ話をお伺いをして、これは法務委員会の人たちがおいでになったときにお配りなさった資料だそうでございますが、これをいただいてきました。 行ってみますと、これは知っておったのですが、地方裁判所の所長と家庭裁判所の所長と併任になっている。事件数から、家庭裁判所の事件数などを聞いてみますと、九州では二番目または三番目というような状況で、わりあい多いようでございます。 そこで、そういうようないわゆる独立した裁判所あるいは併任をやっているそういうような裁判所、いろいろあるわけでございますが、それに対するいわゆる基準というのは、これは事件の件数でやっておるのだという答えだけでは答えにならないと思いますので、何らか客観的に判断ができる基準というものがありまするならばお知らせいただきたい。
○大西最高裁判所長官代理者 現在、地方裁判所、家庭裁判所、それぞれ全国で五十庁ずつあるわけでございますが、ただいま御指摘のように、家庭裁判所の所長につきまして専任の所長が置かれておるところと、地方裁判所の所長と家庭裁判所の所長の兼任と、ほぼ半数ずつくらいあるわけでございます。 そもそも家庭裁判所に専任所長を置く基準は何かということでございますが、何と申しましてもまず第一にはそれぞれの家庭裁判所の事務量と申しますか、もっと簡単に申し上げますと事件量、事件の数ということがまず第一の基準になるわけでございます。鹿児島は、福岡管内では二番目か三番目かというお話でございますが、年によって多少の変動はございますが、おおむね三番目くらいのところであろうというところでございます。確かにその鹿児島よりもう少し事件の少ないところでも、福岡管内で専任の所長が置かれておるところもあるわけでございますが、これは実は、事件の数もさることながら、それ以外にもやはり建物がどうかというようなことも一つの基準と申しますか、そういうことになっておるわけでございます。所長が両方を兼ねて、両方の裁判所の総括をするという場合に、庁舎が遠く離れておりますとなかなかそういうこともむずかしいわけでございますが、同じ庁舎を両方が使っておるというふうな場合には、そういうことも比較的容易にできるわけでございます。 そういうような関係もございまして、現に鹿児島はそう遠く離れているというわけではございませんで、一つの建物ということでございますので、そういうようなことも勘案いたしまして置かれていないということになるわけでございます。 そのほかにも、もう少しつけ加えて申し上げますと、全国的に見ました場合に、各高裁管内のバランス、専任所長が置かれている家庭裁判所のバランスということも一つの要素として考えられておりまして、そういういろいろな観点から考えました結果、現在ほぼ半数ぐらい専任所長が置かれておる、こういう現状になっておるわけでございます。
○村山(喜)委員 わかりました。 それで私は、この際要請を申し上げておきたいと思うのですが、われわれ国会は立法機関でございますが、「司法統計」とかあるいは「法曹時報」という雑誌には出しておるのだけれどもというようなことで、法務省あたりはりっぱな法務年鑑とかあるいは犯罪白書とかいうものを国民にわかるように出されておる。裁判所の場合も、国民の理解を得るという意味でそういうようなものも必要な限度において十分検討していただきたいというふうに要請を申し上げておきたいと思うのでございます。 なお、法務大臣、いまいろいろいわゆる弁護人抜きの裁判の問題等が当該委員会で論議をされることになっておるようでございますが、その中でどうも最近は裁判が遅延をしておるというようなことの理由がことさらに大きくPRされておるように伺いましたので、一体そういうような裁判がどういうふうな状態にあるのかということを聞きましたところ、横ばい状態であるというふうに聞いたわけでございます。そういうような点からこれらの問題についてはわれわれとしても慎重に対処していかなければならぬと考えておりますので、その点を申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
○楯委員長 午後一時三十分再開することとし、この際休憩いたします。 午後零時四十四分休憩 ————◇————— 午後一時三十四分開議
○楯委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。春田重昭君。
○春田委員 今回の成田事件の教訓として新規立法の動きが出ているわけでございますけれども、本日の新聞を読む限りにおきましては自民党案という形で骨子が出ているわけでございます。 そこで、大臣にお聞きしたいわけでございますが、成田開港に伴うもろもろの法律があるわけでございまして、現行法では土地収用法とか建築基準法また航空法、その他警職法等があるわけでございますけれども、今回の新規立法が出された背景として、こういう現行法が不備であるがゆえに出されてきたのではないかと思います。自民党案という形になっておりますけれども、大臣としては今回のこの特別立法につきましてどのような御感触をお持ちなのか、まずお聞きしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 成田事件は御承知のようなことでございました。成田空港の問題についてはいろいろ御意見があることも承知しておりますが、わが国としてはどうしても相当規模のある国際空港が必要であるということで十数年間努力をして、いよいよ開港直前というところでああいうことになりました。いずれにしてもああいうことで空港が使用できない、暴力行為によって破壊されるということは、私は全国民がそうだと思いますけれども、法治国家としては断じて許すべからざる行為だ、かように考えておるわけでございます。 ああいう事件が起こりましてまことに残念でございますが、ああいうことは将来二度とあってはならないことでございますから、そういうことにならないようにするためには現行法で一体足りないのかどうか、これはこの前の本会議でも申し上げたわけでありますが、特に法務省、憲法及びその他の法律によって社会秩序を維持し、国民の平和と安全を図るという職務を担当しておるものといたしましては断じて許すべからざること、これが前提であります。 そこで、いまお並べになりましたようなものも含めて、ああいうことが全然起こらないようにすることができないのかどうか、現行法をつぶさに、十分適用し措置をして、ああいう事態を防除するといいますか排除する、ああいう事態にならないような行政ができないのかどうか、そこを十分詰めて、それでもなおかつ現行法ではこれ以上はああいう事態にならないということは保証できない、こういうことでなければ新立法はすべきでないという立場で今日まで来たわけでございます。 そこで、関係各省庁に詰めをしてもらいまして、現行法でできないと思われるところは、いわゆる団結小屋その他の空港使用を不可能にしようという勢力がたむろする場所等を処置する方法がない。要塞とかなんとか言われている二つのものは犯罪行為との関連で御承知のような措置をいまとっておりますけれども、これを撤去して、ああいう不安を今後に残さないようにすることは現行法では及ばない、こういう結論でありますから、さっき申し上げましたように何とかああいうおそれが再びないようにすることはどうしても必要である、それには新しい立法を国会でお願いしなければならぬ、これが私どもの政府としての立場であります。 しかし、これは重要な問題でありますから、国会の皆さんにこれで行こうという方法をとってもらうことが最良である、こういうことで党の方でいろいろ御相談を願っておる、これが現状でございます。
○春田委員 きょうの新聞では、この特別立法はあくまでも建物の撤去が主眼となっているわけでございますが、ただいまの大臣の答弁からすれば、治安立法的な新規立法も必要ではなかろうかとお考えになっているように、私ちらちらいま感じたわけでございますが、あくまで今回の特別立法に対しましては、来月二十日が開港の予定になっておるということで、やはり各党の合意がなかったらできない、そういう面があるので、一応日にちが迫っている、そういう面で暫定的な措置であって、その後いわゆる治安立法的な色彩の濃いそういう法律を提出してくるのではなかろうかという見方もあるわけでございます。 大臣のいまの答弁から若干私もにおわないことはないと思うのですけれども、その辺は全くお考えになっていないのか、将来はそういうのが出てくるおそれがあるのか、御答弁願いたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 よく治安立法という言葉を使われる場合があるわけでありますけれども、私は、日本の、わが国の憲法はまさに平和で安全で国民が自由に濶達に活動できる社会をつくろう、こういうことを願っておるといいますか、そういうたてまえでできておると思います。国民もそれを期待しておる、これがいわゆる民主主義国家の、平和国家としての原則であろうと思います。でありますから、治安立法がいかぬとかいう議論がありますけれども、それを崩す場合には、やはりそれを崩されないような立法措置を講じなければならない。 御承知のとおり、申し上げるまでもないことでございますが、行政は法律以外のことはできないわけでございますから、法律を国会で制定してもらってそれを施行する、これが行政の任務でございますから、もしそういうものが必要であるというならば、治安立法という観念に驚くことはないと思います。 しかし、さっき私が申し上げましたのは、そういう立場で申し上げているのではありません。たとえば、治安立法というと、何かいわゆる国民の言論あるいは表現の自由を規制する、そういうふうにとられがちでありますが、わが国の憲法ではそういう立法は許さないと思っておりますし、またしてはならない、かように思っておりますから、そういう意味の治安立法ということであれば、私ども自身はやろうと思いませんし、やってはならない、こういう立場でございます。
○春田委員 自民党内には、今回の治安立法に対しましては、必要ないという意見、いわゆる現行法を最大限に利用していけという意見と、現行法でも不備があるから当然新しい治安立法をつくるべきであるというのと、意見が分かれているように聞いておりますけれども、大臣の個人としての見解は、大体どちらの方にお考えになっていますか。
○瀬戸山国務大臣 私も自民党員でございますが、自民党の議論にいま参加しておりませんから詳細はわかりません。もちろん自民党のみならず国民の間でも、そういう意味の強い意見があると私も思います。しかし、正直に申しまして、立法のときによほど慎重に物を考えておかないと、また災いを起こす場合もありますから、現在はそのようなことは、先ほど申し上げましたようにわれわれは考えておりませんし、またやってはならない、こういう考えを持っております。 こういう場合にはいろいろな意見が出ることは当然でございまして、その意見の中で、わが国の憲法のもとにおいて、しかも国民が安心する道はどうだ、こういうことを追求する、これが私は正しい道ではないか、しかも冷静にこういうことに対処しなければいけない、感情的に何かの意見にすぐ飛び上がって事を決める、こういうことは将来にわたって禍根を残すおそれなしとしない、こういう立場で物を考えておるわけでございます。
○春田委員 続きまして、ロッキード事件について若干大臣の感触を聞きたいわけでございますが、いよいよこの事件も大詰めの段階を迎えているような感がするわけでございます。 一月三十日の大久保証言、それに続く三月六日の副島証言、そして今月に入りまして三日の伊藤証言、これによって、新聞報道などを読んでみますれば、九十ユニットは除いて三十ユニットについてはほぼ解明されたんではなかろうか、このような報道もされておるわけでございますけれども、大臣としてはどのようにお考えになっているのか。
○瀬戸山国務大臣 詳細といいますか、具体的な問題については刑事局長の方が適当だと思いますが、いまロッキード事件の裁判、いろいろなケースがあるわけでございますが、相当進んでおります。 いわゆる丸紅、全日空ルートと言われますか、三十ユニットの問題については、いまおっしゃったような立証の段階が相当進んでおりますが、まだこれはあの程度の立証の段階でございまして、いろいろ検察の提起いたしました公訴事実あるいは冒頭陳述、それと証言とが必ずしも合致しておらない、起訴事実をあのままで直ちに立証できるという段階にないように見られるわけでございます。検察陣としては、当然のことでございますが、起訴した以上は責任を持って起訴しておると思いますから、それを立証する責任がある。これは今後にまだ残されておる部分がたくさんあると思いますから、まだあれで終わった、こういう段階ではないと思います。
○春田委員 そこで、政府はこれまで二回、五十一年の十月と五十二年の二月、中間報告をしておるわけでございますけれども、ほぼ一年経過したわけでございます。そういう点からすれば、この三十ユニットがある程度めどがついた段階でこの中間報告をする必要があるのではなかろうかと思うわけでございますけれども、現時点ではそのようなお考えをお持ちなのかどうかですね。
○瀬戸山国務大臣 いわゆるロッキード事件は過去二回にわたってロッキードの特別委員会を通じて中間報告をいたしております。その際に、まあ三木内閣時代からでございますが、全貌を国民の皆さんに明らかにすべきである、こういう国会の議論に応じて明らかにしたい、適当な時期に明らかにしたい、こういうことを政府はお答えしておるわけでございます。私もさような考えを持っております。これはもう政府全体として結論を出さなければいけませんが、担当の国務大臣としてはさような考えを持っております。 しかし、現時点の模様では、過去二回中間報告いたしました以上の御報告はつけ加える余地がないわけでございますから、全容をさらに報告せよということに国会から要求がありますれば報告をいたさなくちゃなりませんけれども、十分捜査をいたしましたけれどもあの程度になっておりますから、それ以上のことはつけ加える余地はないわけでございます。 でありますから、もう少し細かいこと、内容にわたってということになりますと、やはりただ事件として裁判が進んだというだけではなしに、ああいう事件が再び起こらないような行政のあり方その他をいろいろ今日まで検討してきておりますが、そういうものを含めて、いわゆるロッキード事件の総括的な報告をするのが適当じゃないか、かように私は考えております。 まだ裁判が途中でございますから、いまの段階では適当な時期ではないのではないかというのが偽らざる気持ちでございます。
○春田委員 いわゆる灰色と言われた方々が四名おられるわけでございますけれども、これらの方々がいろんな場所で発言なさっておるわけでございますけれども、この発言の内容と、いわゆる裁判が進行する中で公判における証言が明確になるにつれて、非常に違いが出てきているわけです。そういう面におきましては世間からも政治的、道義的なそういう声というのは高まっておるわけです。そういう高まる世論に対しましても、一年も経過したわけでございますし、いわゆる現時点ではどうかとしても、近々中間報告をする必要があるのじゃなかろうかという考えを私たちは持っているわけでございますけれども、現時点ではなくてもいわゆる近い将来そういうお考えはないのかどうか、重ねてお尋ねしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 近々というのがいつのことか、これはなかなかですけれども、近い将来というわけにはなかなかいかぬのじゃないかと率直に考えております。 御承知のとおり裁判が進行中でございますから、検察としては自信を持ってやっておる、これは当然のことでございますが、裁判の結果違わないとも限りませんから、これはわからないことでございます。そうならないように検察陣は証拠によって立証に尽力しているところでございますから、まだまだ、近い将来といっても、近いにもほどがありますけれども、いつごろと、こういうことを判断する時期ではない。いずれにいたしましても、さっき申し上げましたように、国会で問題になっておるし、政治の大きな問題でございますから、それじゃいついかなるときに全容を報告するかということは、政府部内はもとよりでございますが、国会の当該委員会等ともよく相談をしてからやらなければならない、かように考えているわけでございます。
○春田委員 中間報告も明確でないまま総括講評を聞くのはなにだと思いますけれども、従来からの論議の中で、総括講評というのはいわゆる裁判が終わった段階、これは結審した段階を示すのかどうか、確認しておきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 全容報告につきましては、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、国会の当該委員会を中心とする御意思等を十分反映してなすべきものだろうと思います。 ところで、先ほど来の御質問は要するに三十ユニットについてはおおむね明らかになったのじゃないかという前提のもとにいろいろ御議論がなされておるように思うのでございますが、実は全日空ルートにいたしましても、私どもの理解では検察側の立証はこれからである、これからが一番むずかしいところに差しかかるのであるというふうに考えております。と申しますのは、贈収賄等の事件におきましては、通常は金の流れというものは当事者が認める場合が多いわけでございます。今度の事件は若干例外があるわけでございます。結局争いになりますのは、その金の性質いかんというところが検察当局にとっては正念場の立証になるわけでございます。 そういう観点から言いますと、これまでの大久保、副島、伊藤三証人の証言を総合いたしましても、賄賂性の認められる金銭の授受があったとして有罪の判決を書くに足りる客観証拠は明らかに不足しておるわけでございまして、その意味で、たとえばそれらの証人が検察官のところで述べました供述調書を証拠申請するとかいうような方法によりまして、その当該のお金の趣旨というもの、性格というものを立証する、これが一番検察にとって大事なところだろうと思うわけでございまして、現在そういう段階にございますので、検察官の所期する立証が十分尽くされたかどうか、これを見守った上でないと、大臣といたされましても報告の時期の御判断ができかねる、こういうことではないかと思いますので、御理解をいただきたいと思います。
○春田委員 いずれにいたしましても、このロッキード事件というのは非常に国民が関心を抱いているわけでございまして、政治の威信回復のためにも重要なポイントであろうと私は思うわけでございます。過去にも東京地検の看板がおろされて幕引きされたのかというような報道もされておりました。どうかひとつそういうことを国民に与えないように、前向きにひとつ今後進んでいただきたいと思います。 続きまして、去る三月十日福岡地裁の小倉支部ではカネミ油症判決の中で、被告であるカネミ倉庫株式会社とともに製造メーカーである鐘化の方にも慰謝料の支払いを命じ、責任を負わしたわけでございますけれども、この件につきましては法務省としてはどのような御見解をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 いまお尋ねの裁判は、これは裁判のことでございますから、ここでそれがいいとか悪いとか言うことは適当でない。どういうことをお尋ねかわかりませんが、いわゆる鐘化というんですか鐘淵化学とかいう会社が、これは控訴しておりますが、第一審の裁判が適当であるかどうかということを、こちらじゃわかりもしませんし、また、とやかく言うべき立場にもないわけでございます。
○春田委員 いや、私はその中身を問うているわけでございますけれども、要するにこの裁判では、直接の原因であるカネミ倉庫がPCBを食用油に混入させ、それが消費者の台所に入って被害が出た事件でございますけれども、PCB製造元である鐘化にも責任を課した、そういう判決でもきわめて注目されるものである。こういうことで私は大臣の、また法務省の見解を聞いたわけです。当然民法七百九条による判決の結果だと私は思いますけれども、これから質問をいわゆる集団訴訟制度や、また事業者の無過失損害賠償制度、こういうものに展開するわけでございますので、まずもってその感触を聞いたわけでございます。 そこで、きょう経企庁の方がおいでになっておりますけれども、最近消費者被害の調査結果を発表なさいました。時間がございませんけれども、大体概要につきましてひとつ要約でまとめて御説明願いたいと思います。——どういう意味ですか知りませんが、経企庁が来てないみたいでございますけれども、被害者の調査を一月やっているわけです。それで、それに対する事後処理状況等も詳しく発表されているわけでございますけれども、ほとんどが泣き寝入りまたは不十分な救済であきらめている、そういう結果が出ておるわけでございます。 そこで私は、こういう現行制度は非常に消費者サイドに立ってないということで、現行制度には消費者保護基本法や民法等があるわけでございますけれども、これを補完する意味で新しい法が必要ではないか、またそういう声も高まっております。 一昨年の十月、国民生活審議会消費者保護部会という中で答申を出しておりますが、その答申の内容に、集団訴訟制度や消費者被害救済基金制度及び企業の無過失責任賠償制度の必要性を非常に強く主張しているわけでございますけれども、法務省としてはどのような御見解をお持ちなのか、伺いたいと思います。
○香川政府委員 一般法の民法は、御承知のとおり故意、過失を不法行為の要件にいたしておるわけでございまして、これはそれなりの合理的な理由は現在でもあるわけでございます。したがって、一般法としての民法におきまして、ただいま御指摘のような無過失責任をとるということはいかがかという感じがいたしております。 ただ、いろいろの製造物の実態に応じまして、このような過失責任の原則というものをいかように修正すべきかということば十分検討するに値する問題だというふうには考えております。
○春田委員 民法を改正するというのは大作業になると思いますし、非常に困難だと思いますけれども、現在の民法では無過失はうたっていないし、過失でなかったらいけないわけでございます。 そこで、消費者の救済というのは、結局民事訴訟法で、裁判で訴えるよりないわけでございますが、御存じのように裁判というのは非常に時間がかかる、経費もかかる、手続等が非常に複雑ということで、結局消費者が泣き寝入りするというのが多いわけでございます。この制度はすでにアメリカ等では実施していると聞いておりますし、ヨーロッパ等においてもそういう機運が高まっていると私たちは聞いているわけでございますし、わが国でも地方自治体等においては消費者保護条例等を三十四都道府県と聞いておりますけれども、そういう細かい配慮もしているわけでございまして、この立法化が叫ばれているわけでございます。 いずれにしましても、経企庁か通産省あたりが中心になってやると思いますけれども、最終的には法務省としてもそちらの方に入っているわけでございますので、どうかそういう点前向きな検討をお願いしたいと思います。 いずれにしても、経企庁来ておりませんので質問になりませんので、そういう法が出てきた場合においてはひとつ前向きに検討していただきたい、このことを要望しておきます。 続きまして、麻薬、覚せい剤の問題でございます。 昨年暮れからことしにかけまして、芸能界の大麻汚染を初め麻薬、覚せい剤犯罪というのが非常に広がっているわけでございますけれども、最近の事件の中身をいろいろ分析してみますと、従来の暴力団員から一般大衆、特に主婦や学生、また労働者、そういう人までに広がっていると聞いているわけでございます。先日も、中学生になる女の子がお嫁に行けないというので警察に自首したというのを聞いておるわけでございます。このように、麻薬、覚せい剤という問題は大きな社会問題として発展しておるわけでございます。 警察庁の方にお尋ねいたしますけれども、最近の麻薬事犯と覚せい剤事犯の現況、取り締まり状況、この辺から説明していただきたいと思います。
○長岡説明員 麻薬、覚せい剤事犯の取り締まりの実態でございますが、まず覚せい剤事犯について申し上げますと、御承知のとおり、昭和四十五年から覚せい剤事犯は増加の傾向を示しておりまして、昨年一年間、全国の警察におきまして検挙した件数は二万三千七百六十五件、一万四千四百四十七人に上っております。これはこの八年間に二十倍以上の急増ということになっておるわけでございます。また押収量でございますけれども、昨年は全国の警察で六十五キログラム押収しておりまして、ここ十年来最高の記録を示しておるわけでございます。 次に麻薬でございますが、いろいろございますが、大麻、ヘロインを中心にいたしまして麻薬事犯は増加の傾向をやはり示しておるわけでございます。昨年一年間、全国の警察で検挙した件数は千四百十八件、千百六十三名に上っておりまして、これは前年度に比べまして二〇%の増加でございます。押収量は大麻約百十三キログラム、ヘロイン四キログラムというふうになっております。 ことしになりましてからもさらに増加の傾向がございまして、現在のところ、全国統計では二月末まで出ておりますが、これを見てみますと、覚せい剤、麻薬とも検挙件数、人員、押収量、いずれも昨年の同期の二倍以上になっておるというような傾向を示しておるわけでございます。
○春田委員 厚生省に麻薬取締官というのがいるわけでございますけれども、ただいまの説明ばいわゆる警察庁管内の概況報告でございますが、厚生省としての取り締まり状況、検挙件数、こういう点を説明していただきたいと思います。
○山田説明員 ただいま警察庁の方から麻薬、覚せい剤事犯の大体の概況の御説明がございましたが、厚生省所管の麻薬取締官事務所で扱った件数はどのくらいかというお尋ねでございますので申し上げますと、覚せい剤取締法の関係では、昨年、件数として二百五十四件、二百八十七名を検挙いたしております。 それから、麻薬取締法あるいはあへん法、大麻取締法、この三つの法律を一括して申し上げますと、この三法に違反した事犯件数百九十三件、人員にして二百四十五名の検挙を見ております。
○春田委員 ただいまの説明にもあるとおり、その被害は非常に拡大されておるわけでございますけれども、その絶滅に対する対策でございますけれども、いかなる方法をとっておるのか。最初に警察庁、それから厚生省、それぞれ分けて説明いただきたい。
○長岡説明員 ただいま御説明申し上げましたように、麻薬、覚せい剤につきましては、特に覚せい剤でございますが、近年非常に急増しておるわけでございます。それで、その急増の背景にどういうような特徴があるかということをちょっと先に申し上げますと、一つは、これらの麻薬、覚せい剤のほとんどが外国からの密輸であるということでございます。 それから二番目は、これも大半が暴力団の組織による密売、密輸が行われておるということでございます。 それから三番目に、一般の国民の間にかなり蔓延しておりますけれども、これは国民の間にまだまだ、警戒心と申しますかこの有害性についての認識が低いというような問題点が指摘できるのじゃないかというふうに考えております。 そこで、警察といたしましては、まず第一に、外国からの覚せい剤等の供給に対処しまして、これらの覚せい剤等の大半が韓国、香港、タイ、台湾等の海外からの密輸によっているということから、密輸の取り締まり体制の強化を図りまして、特に関係諸国の捜査機関と協力してこの供給を断つということを進めておるわけでございます。 それから第二に、暴力団の関係でございますが、この密輸、密売によりまして暴力団が巨額の暴利を得ております。したがいまして、暴力団を中心とする密売組織の粉砕と申しますか検挙を徹底していくということを推進しているところでございます。 それから三番目には、一般国民が案外簡単にこういうもめに手を出してその犠牲になっているという実態もございますので、一つには広報活動を強化してまいりたいということでございます。昨年覚せい剤中毒者等の手記をまとめましていろいろ話題を呼んだわけでございます。これも広報活動の一環でございますが、広くこの薬害を国民の間に訴えてまいりたいと考えております。 それから、厚生省あるいは大蔵省その他関係機関と十分に協力しまして覚せい剤の中毒者対策の推進を図ってまいりたい、このように考えております。
○山田説明員 厚生省の方といたしましても、この種麻薬、覚せい剤犯罪に対処する方針は、ただいま警察庁の方からお話あったことと大筋において変わりはないわけでございまして、まず第一に、この種犯罪の摘発、防止に全力を挙げていくということで、特に密輸のもとをたたくようなことを新年度から積極的に進めてまいりたい。このため近隣諸国とのいろいろな連絡、協調を密にしながら密輸の防止に努めてまいりたいというふうに考えております。 それから、対策の二番目といたしましては、これもいまお話があった点でございますが、一般国民に麻薬あるいは覚せい剤等の有害作用を十分啓蒙するということは必要だというふうに考えておりまして、毎年五月、六月に不正大麻あるいはケシの撲滅運動というものを全国的に展開しておるところでございますが、本年もこの運動を進めたいというふうに思っております。また秋に、十月、十一月でございますが、麻薬あるいは覚せい剤犯罪の撲滅運動を全国的に本年も展開していきたい、この種の全国運動を通じて一般の人に麻薬、覚せい剤の有害作用の知識のPRを図ってまいりたいというふうに考えております。 それからなお、その麻薬、覚せい剤犯罪を犯した人たちで中毒になった人たちの措置につきましても、この中毒者に対する措置をさらに強化して運用してまいりたいというふうに考えております。
○春田委員 そこで警察庁の方にお尋ねいたしますが、先ほどの報告にもあるように、この八年間で検挙数は二十倍になっているということが答弁されたわけでございますけれども、そこで警察官の人員の件ですが、検挙数においては約二十倍になっておるけれども、それを取り締まる人員はほとんど変わっていないという現況でございます。これではハエを追っているようなものであって、やはり次から次へと事件が出てくる。そういう面から言ったら、いまの対策というのがいろいろ述べられましたけれども、どんなりっぱな対策を立てたとしても、やはり取締官が少数であってはどうしようもないわけですよ。こういう点で、要するに取締官の強化拡充、増員の問題ですね、予算等の問題もあると思いますけれども、そこら辺はどのようにお考えになっていますか。
○長岡説明員 現在、全国の警察におきましてこのような特別法令違反の取り締まりをやっておる警察官が約三千名ございます。これは麻薬、覚せい剤だけではなくて、売春あるいは風俗あるいは銃砲の取り締まりあるいは公害事犯の取り締まりと広くやっておるわけでございます。三千名ほどおりますが、そのうち麻薬、覚せい剤を担当しておる警察官はどのくらいあるのかということを昨年調査したことがございますが、全国で五百名足らずでございます。そういう実態でございますので、私ども決して十分だとは考えておりません。 したがいまして、現在私ども考えておりますのは、一つは暴力団の取り締まりを担当しております刑事警察官、これもやはり全国で三千名ほどおりますので、そういうふうな警察官と密接に連携をとってさらに強化を進めていくということが一つと、それから麻薬取り締まり専従の警察官の増強ということでございますが、これにつきましては、五十四年度にはぜひ実現いたすべく実は内部で検討しておるということでございます。
○春田委員 警察活動は非常に複雑だと思うのですよ。そういう面ではやはりそういう専属の警察官が必要じゃないかと思います。先ほど説明もあったように、五十二年度をとらえてみても、全部合わせれば約三万二千件の件数が出ておりまして、それが五百名ぐらいの取締官ではとてもじゃないが取り締まれないと思うのですね。こういう取り締まった、いわゆる検挙した数も氷山の一角じゃないかと思うのですよ。そういう面においては、長官に言うのが筋かもしれませんけれども、事務当局としてもどんどん進言して、いわゆる人員の増枠を図っていただきたいと思うのです。 さらに、厚生省の方には麻薬取締官がいるわけでございますが、現在何名ぐらいいますか。
○山田説明員 全国八ブロックに百七十名配置されております。
○春田委員 全国で合わせて百七十名というのは非常に少ないと思うのですよ。そういう点で、先ほどの検挙数からしても年間三百件足らずという形になっているわけでございますけれども、いわゆるこの取締官の増員というのはお考えになっていますか。
○山田説明員 私どもといたしましても、最近の麻薬、覚せい剤事犯の現状にかんがみまして、麻薬取締官の増強、増員というものが非常に好ましいというふうに考え、従来から努力しておるところでございますが、御案内のとおり、政府全体の定員抑制の方針もございまして、なかなかむずかしい問題がございます。今後とも私ども事務当局としては、増員の実現を努力するつもりでございますが、人の問題は、現在百七十名ということで非常に限られた人数でございますけれども、私どもとしては増員を目指しつつ、与えられた人間の範囲でできるだけ効率的な捜査、取り締まりに当たってまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
○春田委員 厚生省の方にさらにお尋ねいたしますけれども、先ほどの対策の中で、中毒患者に対するいろいろな対策をお述べになられたわけでございますけれども、いわゆる覚せい剤患者の入院措置の問題です。 ここに新聞がございますけれども、昨年の八月、「覚せい剤中毒による精神分裂症と幻聴」と診断され、通院中の暴力団幹部が、「警察官を撃てば話を聞いてくれる」と猟銃を警官に発砲、負傷させた。その後、男は大阪地検で鑑定の結果「覚せい剤乱用で幻覚、幻聴を起こすなど心神喪失状態だった」として不起訴処分となった。この際同地検は「このまま釈放すると危険」と大阪府に精神衛生法で強制入院の措置を求めたが、大阪府衛生部公衆衛生課の鑑定医が拘置所で調べた結果、「犯行時は別として現状では強制入院の必要はなく、通院で足りる」とし、男は釈放されてしまった。こういう記事が載っているわけでございます。 このように、覚せい剤患者というものは麻薬患者と違いまして強制入院ができないわけです。精神衛生法では、要するに認定基準というものがありますけれども、これは非常にあいまいである。その他、認定基準以外に、自傷他害の疑いがあった場合は入院させる、こういう形になっているわけでございますけれども、警察庁の方に言わせれば、覚せい剤事犯の約四分の一、二五%がそういう前科持ちである、いわゆる中毒患者であった、こういう統計も出ていると聞いておりますので、強制入院は非常に必要ではないか、このように思っておるわけであります。現在精神衛生法があるわけでございますけれども、この辺を改正して、覚せい剤患者についても麻薬患者と同じく強制入院させる必要があるのではなかろうかと思いますが、どのようにお考えになっておりますか。
○目黒説明員 御指摘の点でございますけれども、精神衛生法によりまして、結論から先に申し上げますと、改正をするということは現在の時点では考えていないわけでございます。 しかしながら、なお現在この覚せい剤の慢性中毒者の診断、治療あるいは入院といったようなものにつきましては、精神医学上の総合的な判断に基づきまして、御指摘のとおり行われているわけでございまして、私どもといたしましては、このような専門的な判断とそれに基づく入院ということで、人権等の問題もございますので、その辺を配慮しながら、今後とも効果的に運用をしていくように指導してまいりたい、このように考えているわけでございます。
○春田委員 きょうは厚生省の方からは説明員の方しかおいでになっておりませんので、これ以上論議しても結果としてある程度の線しか出てこないと思いますので、きょうは法務省所管でございますので、一応結構でございます。 そこで、法務省の方にお伺いいたしますけれども、検挙したその処理状況でございます。起訴される人と起訴猶予になる人があるわけでございますが、麻薬事犯の起訴率と覚せい剤事犯の起訴率、最近の事例でも結構でございますので御説明願いたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 私ども捜査の結果、犯罪事実ありと認めました場合に、検察官といたしましては、これを起訴するか起訴猶予にするか、二つの道を選ぶわけでございます。起訴した人員と起訴猶予にした人員を分母といたしまして、起訴人員を分子として得られます数字を起訴率と言っております。御説明の前提といたしまして、昭和五十一年の統計によりますと、業務上過失致死傷事件いわゆる自動車事故事件を除きます刑法犯の起訴率は、平均いたしまして五七・九%でございます。大体毎年五八%、五九%、このあたりが起訴率でございます。これを前提としてお聞きいただきたいわけでありますが、昭和五十二年度におきます起訴率、これをお尋ねの案件について申し上げますと、覚せい剤取締法違反事件の起訴率が八八・九%でございます。それから麻薬取締法違反が八八・五%、大麻取締法違反がやや低うございまして五八・五%、かような数値になっておりまして、いずれも一般事件の起訴率よりも相当高くなっておる、こういう状況でございます。
○春田委員 覚せい剤、麻薬患者、この起訴率はかなり高いわけでございますが、大麻取締法による患者といいますか、処理される人というのはいま言ったように五八・五%、非常に低いわけでございますが、これはどういう原因なんですか。
○伊藤(榮)政府委員 覚せい剤は、申し上げるまでもなく、ほかにいわゆる使い道のない、覚せい剤効果を生ぜしめるためにもっぱら使われるものでございますし、それから麻薬取締法の麻薬はヘロインが中心でございますが、これまたそういう作用を得るためにもっぱら使われるわけでございますが、その二法と違いまして、大麻取締法は、大麻の栽培等に関する規制も含んでおりますので、そういった大麻を許可なく栽培したというような案件が相当ございますので、それらの者については初めてやったとか、ついうっかりやったという者につきましては、起訴猶予処分になることが多いわけでございます。 それからもう一つ、一般の麻薬すなわちヘロインなどと大麻と違いますのは、ヘロイン等は覚せい剤と同様に暴力団が資金源として売りさばくという傾向がきわめて顕著でございますので、特に処断が厳しくなるわけでございますが、大麻の方はどちらかといいますと暴力団の介入は薄うございまして、これは利幅が薄いということもあるでしょうが、一般の人が好奇心からたしなむというような場合が多いわけでございまして、そういう場合に初犯であって、かつすっかり悔い改める心構えができておるというような場合には一回だけ勘弁しようかというような措置をとる場合が多うございますので、数字が大分違っておる、こういうふうに思います。
○春田委員 起訴率は非常に高くなってきているわけでございますが、一部では、昨年暮れから起こりました芸能人の大麻事件でございますけれども、芸能人であるがゆえに軽いのではなかろうかという意見もあるわけです。たとえば東京地裁である俳優が覚せい剤を使用して執行猶予の判決があって、その一ヵ月以内に再犯を犯しているわけです。それにもかかわらずファンがいるということで、社会的に葬られるのはかわいそうだ、こういうことで、特別に実刑にしないで再び執行猶予になったということがあるわけでございますけれども、法務省としては、もうちょっと裁判所が厳しくすべきだという御意見もなさったと聞いておりますけれども、こういう点を考えて、いわゆる芸能人、有名人に対しては甘いんじゃなかろうかという世間の声もあるわけですよ。これに対してどのようにお考えになりますか。
○伊藤(榮)政府委員 新聞紙上等で報ぜられましたいわゆる芸能人の事件、これが起訴されないで起訴猶予になっておる事件が相当あるということでございまして、これは事実そのとおりでございますが、起訴猶予にいたしました案件はすべてが大麻の関係で、初めて吸ってみたというような案件がほとんどでございまして、芸能人でない普通の方でもそういう処理が行われるわけでありますが、芸能人なるがゆえにマスコミに登場いたしますので、芸能人に対してだけ甘いような御印象をお受けになったのかもしれませんが、いわば一般の取り扱いである、こういうふうに考えております。 それから、先ほど御引用になりました執行猶予の判決を受けて一月たつかたたないうちにまた覚せい剤に関与いたしまして起訴されたのに、再度の執行猶予を裁判所がつけた、こういう事案がございましたが、これは明らかに私どもから見まして緩きに過ぎるというふうに思いましたので、検察当局においては検事控訴をして高等裁判所で是正をして実刑判決にしてもらおう、こういうふうにやっておるわけでございます。 いずれにいたしましても、数年前にこれらの法律の法定刑を上げていただきまして相当厳しく対処できるようになったわけでございますが、なかなかまだ裁判所の実際の判決がこれについてきてくれません。そこで、私どもといたしましては、検察当局にお願いをいたしまして、覚せい剤あるいは麻薬の恐ろしさというようなものを裁判上十分立証し、かつその被告人の背後関係とかあるいは暴力団組織とどういうつながりがあるか、そういう悪性立証になお努力を続けまして、実際の裁判がもう少し社会の実態に合った水準まで上がるように大いに努力をいたしたい、こういうふうに思っておりまして、各検察庁に事あるごとにそのように指示をしておる、こういう実情でございます。
○春田委員 時間が参りましたので、最後に大臣の御感触を伺いたいわけでございますけれども、現在総理府が中心となりまして対策本部を設けておるわけでございますけれども、対策本部を設けておる割りには非常にそういう事件が次から次へと起こっておるわけでございます。そういう面におきましては、やはり対策本部を設けた以上は結果としていわゆる検挙数が減ってこなければ意味がないわけでございますので、麻薬、覚せい剤事件というのは非常に、一般に及ぼしている影響を考えたときもう見過ごすことはできない現況にあると思うのですね。そういう点で、法務省としても、参画している一省として大臣の決意を聞いて、終わりたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 おっしゃるように麻薬あるいは覚せい剤がだんだん広がっておる、これは国民の健康、社会秩序に非常に大きな悪い影響があるわけでございますから、せっかく御意思等体してもっと進めたい、かように考えております。
○春田委員 終わります。
○楯委員長 安藤巖君。
○安藤委員 去る三月二十六日の成田空港に対する暴力集団の乱入破壊事件についてお尋ねをするわけですが、法務省当局としてもこの事件の捜査については千葉地方検察庁に特別捜査本部を設けて捜査を開始しておられるというふうに聞いておりますが、そのとおりですか。
○伊藤(榮)政府委員 三月二十六日の成田におきます事件につきましては、現在百六十五名の被疑者を勾留取り調べ中でございます。起きました場所の関係から申しまして、千葉地方検察庁でこれを扱っておるわけでございますが、今日のところ、東京を初めとする関東一円の検察庁から約四十名の検察官等の応援を千葉地検に出しまして、鋭意取り調べに当たっておるところであります。
○安藤委員 ところで、時間の順序から言いますと、第九ゲートそれから第八ゲート、この間にマンホールからの侵入があったというふうに事実はなっているようですが、警察の方では最近この二つのゲートからの暴力集団の侵入、そしていろいろな火災びん投てき等の行動が、マンホールから侵入をして管制室を破壊するための陽動作戦であったというふうに認定をしておられるようですけれども、検察当局もそういうふうに考えておられるのかどうか、お尋ねします。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど申し上げましたように、百六十五名を勾留して鋭意取り調べに当たっておるわけでございますが、まだ検察当局としてはそれらを総合して事態の最終判断をするに至っておらないようでございまして、いまだ私どもに対してはお尋ねのような点についての見解の報告がございません。いずれ処理が熟しました段階には当然報告があるものと思っております。そういう状況でございます。
○安藤委員 この当日、成田空港の近辺あるいは成田空港内の、たとえば空港警察の建物がございますけれども、その建物の一角とかそういうところへ検察官が出張しておっていろいろ情勢を見守るというようなことはなかったのでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 当日、検察官が行っておったようでございます。
○安藤委員 その検察官は何人ほど、どこに行っておられたのか、そしてその目的は何かをお尋ねします。
○伊藤(榮)政府委員 検察官が検察事務官とともに現地へ赴いておったということの報告は受けておりますが、何時から何時までどこにおってどういうことをしたかというところまでの報告をまだ聞いておりませんので、必要があれば後刻聴取いたしまして御報告申し上げます。
○安藤委員 検察官が警察に対して一般的な指揮を行うことができるというのは知っておりますけれども、具体的な事件に当たって現場付近に出張するということはなかなか異例なことだと思うのですね。だから、この私の質問は四十五分間、もう大分過ぎましたけれども、その間にお調べいただいて答弁していただきたいということをお願いしておきます。 そこで、この二つのゲートが暴力集団に突破されて侵入をされたという点につきましては、警備の状況が手薄であったのじゃないかとか、警察は何をしておったのだとかいういろいろな批判が新聞紙上でもなされております。検察庁で設けておられる特別捜査本部でも、もちろん暴徒の集団の行動は当然のことだと思いますけれども、この警備の状況がどういうふうになっておったかということも当然お調べにならなければならぬと思いますので、その辺についてお尋ねしたいと思うのですが、もし法務省の方でお答えできない点は、警察庁の方からも来ていただいておりますので、お答えいただければ結構だと思います。 まず、二つのゲートにもそれぞれ警備隊が配置されておったと思うのですけれども、当日、暴徒の集団がこのゲートに侵入を図って突入してくるかどうかという点について明確な判断があったのかどうか、それをまずお尋ねしたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 当時の警備の状況は犯罪の立証と関係がある場合が多いわけでありますから、その点についても検察庁で必要な範囲で調べておると思いますが、何分夜を日に継いで調べをしておる最中でまだ報告に接しておりませんので、できましたら警察の方からお聞き取りいただきたいと思います。
○若田説明員 事前にそういう情報があったか、察知しておったかという御質問でございますが、漠然とした関係で、彼らの目的が空港突入を図るだろうというような情報はございました。
○安藤委員 第一から第九までゲートが設けられておったと聞いておりますが、このうちの第八と第九のゲートが現実に突破されたわけですけれども、たとえば七とか五とか六とか、一、二の方は全体の状況から見ても余り影響はなさそうに思われるのですけれども、そういう危険なゲートは暴徒が突入してくる可能性が濃い、だからここは特に厳重に警備をする必要があるのだというような指示をしておられたかどうかということなんです。全般的にとにかく突入する危険性があるからということでは非常に漠然とした指示だと思うのです。そんな指示だったのでは一たまりもないのじゃないかという気がしますので、その点をお尋ねします。
○若田説明員 いまお尋ねのとおりに、情報というものはそう簡単に詳細が入るものではございません。鋭意努力はいたしておりますけれども、特に具体的なゲリラの情報ということになりますと、いろいろ調べてみますと、過去の事例からいたしましても、彼らのある幹部の中枢の一部の者だけが計画を持っておりまして、当日ついてくる者に教えるというような感じでございますので、そういうきめの細かい情報というのはなかなか事前にとれないのが実情でございます。したがいまして、先ほど申しましたように、これはよくあの周辺で集会が行われる場合にはあるわけでございますが、空港に突入しようというような一般的な情報はあったわけでございまして、これに対して十分備えておったわけでございます。 余り細かい、どこにどういう配備をしておったかということにつきましては、今後のこともございますので御勘弁をいただきたい点もございますけれども、一番申し上げたいことは、当日の集会、大ぜいの者がいつも集まりますのが三里塚の第一公園または第二公園と申しまして三里塚の方でございまして、この間入ってまいりました九ゲートとか八ゲートと全く反対の方向でございます。そちらの方向に第一公園がございまして、そこに十二時から約八千の人たちが集まって集会をいたしております。それから、当日の計画では、岩山コースと言いまして空港の三ゲート、四ゲートを通りましてのコースと、大清水コースと申しまして第二ゲートの方を通っていくコース、二つに分かれてデモ申請が行われておりました。大ぜいの人教でございまして、そういう人たちがフェンス沿いに行進をいたしますので、過去にもフェンスをいたずらされましたので、そちらにかなりの部隊を配置しなければならない。それから、いま御指摘のとおりに空港にはゲートが十ございますが、さらに八には八の一、二、三というふうにゲートがございます。したがいまして、合計十二ぐらいのゲートになると思います。重要な個所はまたそれ以外にも守らなければなりませんし、あるいは沿道も守らなければなりませんし、外にも重要な航空の基地がございますし、それから鉄道沿線等についても配置をつけなければならないというようなことで、多方面に当日の警備がわたったわけでございます。 そういうことで、デモの方の警備にかなりの人数も要りましたけれども、今回入られました八の二のゲートの方、九ゲートの方にもそれぞれ内張りといたしまして最低一個小隊、これは三十名くらいでございますが、それから外回りにそれぞれ遊動的に、そういう事態があった場合に対処するというようなことで別の部隊を配置しておりましたし、署の方には署員が三十名で別の部隊をつくり、十名が管理棟付近を警羅しており、当時たまたま五人がマンホールから出てくるところに出っくわして、二十人マンホールから出てきた直後見つけたようでございますが、追いかけまして、そして五人は外の方に逃げ、十五人が管理棟に入り、そのうちの五人を管理棟の玄関口でつかまえた、こういうような状況でございます。
○安藤委員 そうしますと、各ゲートを守備しておる機動隊に対して、このゲートに暴力集団がいろいろな手を使って突入してくる危険性がきわめて濃いのでそのつもりで警備をしろというような、それでもまだ具体的じゃないのですけれども、それほどの具体性を持った警備の指令といいますか指示もなされていなかったようにお聞きするのですけれども、情報がはっきりわからないということで……。 そこで、これはある新聞に載っておったのですが、やはりそういう手落ちがあったのじゃないかと思うのです。ある警備本部の幹部が前日の、十五日に、「各ゲートには、いままで通りデモが終わった後で火炎ビンを投げつける程度だろう。闘争拠点の第二要さいに対する取り組みがやはりヤマで、仮にゲリラがひん発するにしてもそれは夜だ」安心しておったわけですね。それから「第八ゲート近くには、新しく建てた機動隊宿舎がある。今度はねらってこないだろう」というような判断を持っておられたので、おのずとそういうような考え方あるいは姿勢あるいは準備というか、それぞれのゲートを守っておられる警備隊に先ほどのような程度しか警備の指令というのが届いていなかったのじゃないか、だからいともやすやすとやられてしまったのじゃないかという気がするのです。 そこで、何もいやみを言うわけじゃないのですけれども、きのうの夕刊のコントにこんなのがあるのですよ。「黙って見ていた青い空」「リンゴの歌だネ」と聞いたら「いや、成田の機動隊の歌だ」こういうふうにやゆされているような状態にあるわけなんですね。 そこで、時間の関係でまず第九ゲートの関係からお尋ねしたいのですが、新聞の報道によりますと、パトカーが先導してきたようなかっこうで暴徒集団の二台のトラックの前を走ってきて、そしてあけてくれと言うのであけたら、暴徒集団の車がとびらをあけたところに突っ込んできた、そして空港内に入って、後はパトカーが先導するような形で管制塔の方、管理ビルの方へ来たというような状況なんです。いまうなずいておられるからそのとおりの事実関係だろうと思うのです。あらゆる新聞がそのように言っております。 そこで問題は、このトラックには、前の車にドラムかんがたくさん積んであって、後の車には火炎びんがたくさん積んであった。もちろん暴徒の集団も乗っておったわけですけれども、彼らが火炎びんをたくさんつくって持っているというような情報は警察の方としては持っておられたか、まずその点をお尋ねします。
○若田説明員 ただいまお尋ねの件についてでございますが、あそこは御承知のように東京都内等と違いまして大変に奥行きの広い——三里塚方向はまだ人家もございますが、特に上の辺田といいますか菱田といいますか、潮来寄り、茨城寄りの方は、ある意味で非常に彼らの拠点になる方面でございます。そして、その前にいろいろ捜索等もやりまして、彼らの団結小屋に火炎びん等をしまっておるような場合には捜索で押収をするというようなことをやっておるわけでございますが、最近は彼らもそういう警察のやり方等を知っておりまして、直前にどこからともなく自動車に火炎びん等を積み、オートバイで先導と申しますか、様子を探りながら、警察の部隊の検問場所をくぐり抜けながら来るというのが実情でございまして、当日も、星華学院と言っておりますけれども、この地点で直前になりましてドッキングをいたしたのをキャッチいたしまして、それから以後対応をとるわけでございますが、一部十分な態勢がとれなかったというようなことでございまして、火炎びんが一般的に成田で出るだろう、そういう予想はいたしておりましたが、この際このトラックに火炎びんをたくさん積んで来るというのは、直前まで判明いたしておりませんでした。
○安藤委員 彼らが火炎びんを使うだろう、ということはどこかでつくって運んでくるだろうというのは当然の推測なんですが、現実には第八ゲートへ突入してきたトラックの中には積んであったわけですね。だからそういう情報が入ったときに、そのトラックは第八ゲートの前に忽然と姿をあらわしたわけではなくて、それに通ずる道路を走ってきたわけですから、その間にストップをかけて、こういうものを積んでいるのか検問をして——とにかく異様な形のトラックであることは間違いないですから、警察の方できちっとチェックをすることができなかったのか。火炎びん取締法という法律もあるわけですから。そして検査をすれば、これはゲートへ到着する前に事前にチェックをすることができたのではないかと思うのですが、どうですか。
○若田説明員 私どもが彼らの動きを察知いたしましたのが一時ちょっと前のことでございまして、約七百、これはデモの方には全然参加をしない、第四インターを中心とした彼らの集団であったわけでございますが、これに対して横堀の方におりました機動隊が、御指摘のとおりにすぐにこの阻止に当たりまして、そして中断をいたしましてそこで三十名逮捕をいたしまして、あとの四百名を阻止したわけでございます。 それで、要するに凶器になっておりますような、前を改造したような自動車を中心といたしておりますので、徒歩の部隊があとの四百は抑え、そこで三十名を逮捕したわけでございますけれども、その半分以下の人数がその部隊の規制を切り抜けて、しかも、八の一ゲートと言っておりますけれども、その方向にできておりますバリケードを破って八の二ゲートの方に来たということでございまして、その間、そういう情報をキャッチいたしまして八の二ゲートについておりました部隊が、普通の道であればバリケードがございますので、御指摘の機動隊の宿舎かございますので——けさの朝日新聞の図面でおわかりかと思いますが、普通の道ですと機動隊の宿舎の東側、すなわち図面で右側の方を通ってくるものということで予想をいたしまして、かなりの部隊がそちらの方に出向いていったわけでございます。ところが、そういうあれではなくて、彼らはバリケードを破って宿舎の裏側を真っすぐ来たというようなところで、ちょっとした間隙をつかれたというのが実態でございます。 それで、星華学院というところで一応武器、自動車と七百がドッキングをいたしたわけでございますが、それから八の二ゲートまでは約一キロ足らずぐらいかと思いますけれども、十分少々ぐらいで来るような地理的な関係にございます。
○安藤委員 ゲートが破られた後のことよりも、もっと前にチェックできなかったかということをお尋ねしているのです。星華学院からの距離云々ということをおっしゃるのですが、この車が星華学院でそういうものを積んだのかどうか。星華学院で忽然としてその車が製造されたわけではないと思うのですね。そこへ来るまでにもあちこち走ってきたのだろうと思うのです。そして、当日はヘリコプターも上空でいろいろ警戒態勢に当たっておったということも聞いております。だから、そこからの無線の連絡等々でどうして事前にチェックすることができなかったのか、これが私の一番大きな疑問なんですけれどもね。それはいまおっしゃるように情報が入りにくかった、それから星華学院からほんの一キロで、時間的には十分程度とおっしゃったですか。とてもじゃないが捕捉することができない状態であった、こういうことをおっしゃるのですけれども、火炎びんで何かかんかやりそうだということは事前にわかっておったわけですから、その前にどうしてこれをチェックすることができなかったか、これが私の一番大きな疑問ですね。そこに大きな手抜かりがあったのではないかと思います。 もう一つはパトカーなんですが、このパトカーはいろいろ警備の状況を見たり連絡をしたり、あるいは暴力集団の動向などを見て帰ってきたというふうに聞いておりますけれども、いつごろから二台の暴力集団のトラックの後ろからついておったのか、あるいは彼らから攻撃をされておるような状況にあったのかどうかですね。その辺はきちっとお調べになっているかどうか。いかがですか。
○若田説明員 ただいまお尋ねの、パトカーの前に事前に措置できなかったかということでございますが、大分離れた、朝日台三差路といいまして星華学院からちょっと出たところで、先ほど申し上げましたように一つの機動隊が規制をいたしまして、四百の者はそこでとめ、三十人を検挙いたしておりますので、その点は御了解いただきたいと思います。 それで、火炎びん法違反とかその他の法律違反もあるんだから、星華学院まで来る前にそこで事前に何か規制をしておけばよかったではないか、こういう御趣旨の御質問かと思いますけれども、これも情報が入ればそういうこともできるかと思いますし、また警備戦術的に見ました場合に、大変遠くまで部隊が出ていって規制した場合にまたほかの方で陽動的にやられるということもございますので、非常に細かい戦術的な問題になりますと、余り遠くまで出かけていってやっておりますと虚をつかれるというようなこともありますので、そう遠くまでは、仮に情報がありましても、行くべきか行かざるべきかということはあろうかと思います。 次に、ただいまお尋ねのパトカーにつきましては、これは直近の情報をとるというようなことで、九ゲートからわずか出たところで、ちょうど星華学院のところで分かれまして、二台の車と三百の赤ヘルの連中——七百のうち四百は後で切られるわけでございますけれども、三百の連中が八の二に向かうわけでございます。それと分かれて、別な方向でホリデーインというのがございますけれども、そちらの九ゲートに向かう方には一般の歩いてくる連中はついてきませんで、自動車だけ二台が来るわけでございます。これがトラック一台に九人が乗って九ゲートの方に来るわけでございますが、ちょうど自動車が九ゲートを出てしばらくしたところでぶつかるわけでございまして、そこで火炎びんで攻撃を受けるということで、これもほかの道から入るか、何かほかの手段があったかと思いますけれども、まことにぐあい悪いことでございますが、御指摘のとおりに、閉鎖しておりましたバリケードをあけてパトカーを入れさせたところを、後ろから追っかけてきたトラック二台ももろともに入られるという形になった。先導したようなということですが、先導ということはもちろんいたしません。ただ、火炎びんを投げられて警察官も大分犠牲者も出ておりますので、それを避けるというような形で入ったわけでございますが、ちょうどそこをふさいでおりましたバリケードがあいたということで二台に入られてしまいまして、そして中の方の管理棟の前とターミナルビルまで行きましたのですけれども、後から転進してきました部隊によって、あるいは署におりました部隊によって、乗っておりました九人ともそこで全員検挙をいたしておるというような状況でございます。
○安藤委員 パトカーがとにかく入れてくれというようなことで、せっかく閉めてあった第九ゲートを開いたということになっているが、ほかに何か方法をとれたのではないか、確かにその辺はおかしい、ミスだ、まあそれに近いようなことをいまおっしゃったのですが、その辺のところはそのパトカーの責任者といいますか、その警官から、どういう状況であったのかということはきちっとお聞きになってみえると思うのですが、どうしてそういう処置がとれなかったかという点はどうでした。
○若田説明員 私もまだ詳細はあれですが、そういう状況で、後ろからトラック二台で猛烈な勢いで来たというようなことで、やむを得ず警察官も入りまして、まあそういうようなことで、そこで拳銃も発射をいたしておりますけれども、できる限りのことは防止すべくやったということでございますが、何しろトラックから火炎びんを投げつけながら来るというような状況であったので、やむを得ずそういう形になったということでございまして、それ以上詳細のことについては現在のところまだ聞いていない状況でございます。
○安藤委員 最初に破られた第九ゲート、破られるきっかけになったパトカーを入れさしたというその問題ですね。これが一番のきっかけでしょう。だから、そのきっかけになったパトカーの責任者に、どういうような状況であったのか、なぜあけさせたのか、あけさせれば、後ろから来ていることがわかっているのですから、突破をされるということは火を見るよりも明らかだと思うのですね。それをあけさせたというのは一体どういうことなのか。まだ聞いてないというのは、まだ捜査を十分やっていないということになりはせぬですか。最初にこれはきちっと聞いておくべきことじゃないのですか。どうですか、そういう点は。
○若田説明員 事実関係につきましては、現地の責任者は聞いておると思いますが、私の関与します範囲では、そういう状況で後ろから火炎びんをパトカーに投げつけられたというようなことで、トラックはパトカーより大きいわけでございますので、物すごい勢いで追っかけてきたので、そのまま置いておったのでは——あるいはほかにいろいろな方法もあったかと思いますけれども、そこの警察官としてはやむを得ず最善の策といいますか、自分では最善の策と考えて入れてもらったというようなことで、結果的にはそういう形になりましたけれども、やむを得ない措置ではなかったかというふうに感じております。
○安藤委員 詳細には聞いてないけれども、やむを得ない措置ではなかったか、そう思っているということですね。しかし、それが第一番に破られているのですよ。その責任は非常に重大だと思うのです。 今度はあけた方の、機動隊の責任者の方です。そちらの方からはその間の事情は聞いておられますか。
○若田説明員 パトカーの乗務員、それからそこにおりました機動隊双方から、現地の千葉県警察の責任者が聞いたのを総合いたしまして私ども伺っておるわけでございまして、それに基づいてお答えをいたしておるわけでございます。
○安藤委員 しかし、それはほかにいろいろな方法を取り得たのではないか、万全な措置をとったのではなかったのじゃないかというような点について、まだ判断は出しておられないということになりますか。
○若田説明員 私どもが現在聞いておる限りでは、パトカーの警察官としては、そういう非常に凶悪な者が突然あらわれてやられたということで、やむを得なかった、そういう判断をいたしております。
○安藤委員 どうも突然突然とおっしゃるのですが、突然として忍者のようにわいたわけじゃないでしょう。ゲートに来るまでの道路を走ってきたわけですよ、そのトラックは。だから、機動隊の方だってわかっているし、パトカーの方だって、後ろ向きに出たところだと言いながらも見えぬことはないと思うのです、突如としてそこにあらわれたわけではないのですから。だから、その点について何か重大な判断の誤り、とった処置の誤りというものがあったのではないかということを私は問題にしているのです。 そうしますと、いまのところ、事情を聞いた範囲では、パトカーのためにゲートをあけたのは緊急やむを得ない措置であったという判断ですか。
○若田説明員 そのとおりでございます。
○安藤委員 それでは、その問題についてそう押し問答しておってもあれですから、今度は第八ゲート、特に第八の二の関係についてお尋ねしたいのですが、これは時間的には午後一時三十五分ごろに乱入されたというふうにいろいろな報道は語っております。だから、そういうふうに私も理解するわけなんですけれども、ここヘトラックを改造をして、暴力集団の言い分によると改造装甲車というように、フロントガラスには鉄の窓枠をつくって、それから網戸をつくって、そしてフロントバンパーは取っ払ったのかどうかわかりませんけれども、その前にブルドーザーのような大きな鉄のつめみたいなものを立てて、溶接でそれをぴちっととめた、そういうようなかっこうの車で来たわけですね。だから、この車はどういうようなコースを通って、あ、いまあの車が来るなというようなことは何メートルぐらい前から機動隊の方ではわかっておったのか、そしてそれを阻止するためにどういうような行動をとったのかという点は、お調べになってみえますか。
○若田説明員 先ほど御説明いたしましたとおりに、一般の八千人のデモ隊とは別のグループでございまして、星華学院に集まりました時点で警察がキャッチをいたしておるわけでございますが、そのうち自動車二台が九ゲートの方を回って、いわば北側、西側と申しますか、そちらの方を回ってくるわけでございます。そして、あとの車二台、いま御指摘の改造をいたしました車一台を含めました車二台と七百の徒歩の集団が来るわけでございますが、それをキャッチいたしまして、朝日台三差路というところがございます。星華学院からちょっと離れたところでございまして、そこで機動隊が一応規制に入るわけでございますが、ちょっと横の方におりました機動隊がそちらに急遽転進をいたしましたので、ちょうど間に割って入るというような形になりまして、そこで三十名逮捕をいたしまして、そしてあとの四百は後ろの方へ逃げる。そこで、先ほどから御説明いたしておるとおり、伺もしなかったのではなくて、阻止をし逮捕をいたしたわけでございます。そして転進をいたしましたために、前の方に逃げた三百と車二台が八の二のゲートの方に来るわけでございますが、これも普通の道を通りますと、先ほど御説明しましたように、図面で言いますといわゆる東側、機動隊の新しくつくりました宿舎の右側の通りを通ってくるのが普通でございます。その裏側はバリケードで一応とめられておるわけでございます。したがいまして、八の二ゲートを内側で守っておりました一個小隊はほかの一個小隊と一緒になりまして、機動隊の宿舎の方の普通通ってくる道の方に前に出て防止をしようとしておったところでございますが、そういう装置をしておるということもございましたしというようなことで、バリケードを破って裏側の方から入ってきたというのが実情でございます。
○安藤委員 この改造された装甲車なるものは、彼らのこの近くのどこを起点として出発をしてきたのかという点はわかっておりますか。
○若田説明員 先ほどから申し上げておりますとおり、私どもがキャッチをいたしましたのは星華学院のグラウンド近くでございまして、これは七百の部隊といいますか、向こう側の集団の徒歩で来た連中とは別に、別の方向から来て、そこでドッキングをしたというふうに承知いたしております。
○安藤委員 そうしますと、星華学院へ来る前は普通の形のトラックであったのか、星華学院へ来る前からもうこういうふうに改造をされておったのかという点はわかっておりますか。
○若田説明員 残念ながら、先ほどから御説明いたしておりますとおり、星華学院に来ましたときにはそういう形になっておりましたので、どこでそういうものが施されたのか、以前のコースについては承知をいたしておりません。
○安藤委員 とにかく異様な形をしたトラックが走っているということで、付近の住民の人から警察の方へ連絡をしたというような話も聞いております。ところが、警察の方は、ああそうかという程度で、別にそのことに対して手を打つというようなこともなかったという不満の声が出ているということも聞いているのですが、こういう形をした、改造をされたへんちくりんなかっこうのトラック、これは道路交通法や道路運送車両法の規定に違反する車として警察の方ではストップをさして、検査をして、走らせないというような方法をとることができるんじゃないですか。
○若田説明員 御指摘のとおりできるようでございます。道路運送車両法の六十七条に違反することになると思いますが、警備現場と申しますのはこれ自体、この連中と機動隊が遭遇いたしますと火炎びんも投げてきますし、あるいはもう火炎びんも持っておりましたでしょうし、必ずしも行政法規の道路運送車両法にまつまでもなくいろいろと規制はできるだろうと私は思います。もはやそういう法律違反の形態の問題ではなくて、部隊配置の問題とかそういう警備戦術の具体的なことになってくるかと考えます。
○安藤委員 まさにおっしゃるとおりだと思うのです。これはとにかく成田空港を襲撃するということでつくられたので、一つの凶器として彼らは使うだろうという位置づけで見ておられたということはわかるんですね。そうなればこそ、先ほどから私が言っておりますような火炎びん取締法もあるし、いろいろな現在の法律でもって取り締まる方法はあったんではないか。そのうちの一つとして道交法、それから道路運送車両法の関係で、星華学院へ来る前に警察の方でそれをちゃんとキャッチをしてチェックをしておれば、第八ゲートの二を突破してきたのをとめることができたんではないかと思うのです。星華学院を出発してからではもう時期が切迫しておって、とてもじゃないがそんなことはできないとおっしゃるならば、どうして星華学院へ来る前にこれをチェックしなかったのかという点をお聞きしたいのです。星華学院へ来るまではどこをどうして来たか全くわからぬというわけですか。
○若田説明員 先ほども御説明申し上げましたように、現地をごらんいただきますとわかりますが、大変広大な地域でございまして、東京都内等での極左の動きに対しては、道路も決まっておりますので警備戦術的にいろいろ手も打てるわけでございますけれども、特に成田のいわゆる茨城県側の方は御指摘のとおりに大変広い地域で、私も全部にわたって検問をしっかりすべきだと思いますが、現実の問題として空港本体を守らなければならない、あるいは道路を守らなければならない、あるいは外に空港の機能を果たすためのいろいろな施設もございます。それから鉄道も守らなければならないというようなことになりますと、私どもとしてもやはりできるだけ外周でそういうものをとめたいという気はございますけれども、実際に具体的な戦術として限られた人数でやるのには、ある程度近くのところで破られないような形でいくべきだ。ですから、非常に広い範囲で遊撃的に動ける部隊ができればそういう手も打っていきたい。今後の一つの課題だと思いますが、そういうものを早目に発見をいたしまして対処するというふうにやらなければならないし、そういうことで、ある部隊をわざわざ転進をさせまして、七百のうち半数以上はとめ、そして三十人も検挙したということも、また御了解をいただきたいと思うわけでございます。
○安藤委員 範囲が広大だ云々ということをおっしゃってみえるんですけれども、とにかく彼らがいろいろな手段を使ってやってくるということを判断される中には、トラックを使って突入することだって考えられるということも当然考慮に入れておくべきではなかったかと思うのです。そうすればそのトラックをどういうふうに使うかということもいろいろ考慮に入れて、どういうふうに搬入してくるかとか、トラックはたんぼの中とかあぜ道は通れない、ある程度しっかりした、幅のある道路でないと通れないわけですから、その辺のところをチェックするとかというような方法でできるんではないか、あるいはできたんではないかということをいま思っているのです。 そこで、これは法務大臣に一言お尋ねしたいのですけれども、特別法云々というようなことを聞いております。先ほども同僚委員の方からの質問に対して言っておられたのですが、いま私がいろいろお尋ねしているように用意周到、万般の準備を整えて目を光らせておれば、たとえばいまの改造装甲車なるものを事前にチェックするにしても、道路運送車両法とか道路交通法とかという法律できちっと警察官がチェックすることができる、あるいは火炎びんをたくさん持ち込んでいるという疑いがあれば火炎びん取締法という法律もできておるわけですから、これを便って規制することもできる。そのほか、警職法云々ということもございますが、既存の法律を十分活用すればきちっと制圧する、あるいは事前に規制をするということだってできるのではないかと思うのです。 まず既存の法律を十分活用してやればこれがあるいはできたのではないかという反省、これが一番大切じゃないかと思うのですが、その点いかがでしょうか。
○瀬戸山国務大臣 あの事件を見ておりまして、警察は一万三千人を動員して警備に当たっておられたということでございますが、結果から見ますると、これはいろいろ問題があるわけでございまして、二十六日に事件が起こり、二十七日の早朝、内閣といたしましては御承知の新空港対策閣僚会議を開きました。そこでどう対処すべきかというときに、先ほど申し上げましたようにああいう事態を絶対起こしてはならないことは明らかでございます。しかし、ああいう事態を見て直ちに新しい制度をつくるかどうかというよりも、現在の法制でああいう事態に対処できるのかできないのか、これをまず綿密に検討する必要がある、その上であらゆる法律を駆使してああいう事態を防ぐことができないということであれば、国民全体があれは防がなければならぬという当然な考えでございますから、そのときには新しい立法を備えなければならない。しかし、その前に現行法令で処理できるのかどうか、どこかに欠陥があったんじゃないか、こういうことを詰めてみる必要があるということで今日に至って、先ほど申し上げましたようなことが必要である、こういう結論を出しておるわけでございます。
○安藤委員 時間が来ましたので最後に一つ、証拠物件の押収手続の関係についてお尋ねしたいと思うのです。 先ほど私がいろいろお尋ねしました改造装甲車、それから第九ゲートの方から乱入してまいりましたドラムかんとかあるいは火炎びんを積んだ自動車、これは押収手続はきちっと済んでおるわけですか。済んでおるとすれば、どういうふうに保管をしておられるのか、まずお尋ねをいたします。
○若田説明員 彼らが使用いたしました自動車等については、規制をした際に遺留をいたしまして逃走いたしましたので、現在、空港の敷地の、資材置き場と言っておりますが、そこにおいて保管をいたしております。
○安藤委員 空港の空き地に保管をしておられるということですが、これは私の方で撮ってきたその写真なんですが、こういう状態ですね、それからこういう状態です。全く野ざらしのままですね。これは押収手続をされて保管をしてあるというのですが、この車は暴力集団のだれかの所有なのかあるいは盗難車なのか、盗難車だとすれば、いつ、だれが盗まれたのかという点はもう調査なさっているのかどうか。こういうふうに野ざらしで放置されていると、先ほど言いましたように鉄枠だとか、つめだとかが溶接されておるわけですけれども、この溶接がいつごろ行われたかというようなことまでわからなくなってしまうのじゃないかと思うのですが、いかがでしょうか。
○若田説明員 現在その点も含めまして鋭意捜査中でございます。何しろ大ぜいの被疑者も逮捕いたしておりますので、その点も含めまして鋭意捜査いたしておりますが、車についてはナンバーも取っておりますので、現在ほとんど盗難車の例が前例として多いわけでございますが、多分これも盗難車になるだろうと思いますけれども、だれの所有であるかということについては判明いたしておりません。
○安藤委員 だから、私が心配するのは、盗難車であるかどうかということも判明していないし、あるいは盗難車であるとすればだれが盗まれたということもわかっていないということだと、捜査はどういうふうにされるか私はわかりませんが、こういうふうに野ざらしで放置をされているということになりますと、たとえば溶接をしたときに酸素を使うのですが、専門家の話によりますと、溶接をしたのがいつごろかということがわからなくなるんだそうです。これは盗まれたのだとすればいつごろ盗まれたのかという見当をつけるのも非常にむずかしくなってくる。指紋だって消えてしまう。もちろんこれはプレートナンバーなどなしで走っていた車ですからプレートナンバーはないにしても、エンジンナンバーというのがあるはずです。エンジンナンバーは刻印されているはずです、何もあなたに捜査の方法を教えるわけじゃないのですけれども、そういうようなものもさびていけばわからなくなるわけです。 だから、こういう野ざらしにされているということは、大事な証拠物件の証拠価値が薄くなる、強いて言えば証拠の散逸につながるんじゃないかと思うのです。それを放置されておられるんじゃないか。だから、警備の方もいいかげんずさんだったけれども、後の捜査の方もずさんじゃないかというような非難を受けることになりかねないと思うのです。だから、きちっと保管して、早速証拠物についても、いま私が言いましたように、ほかにもあると思うのですが、捜査を開始すべきだと思うのですが、いかがですか。
○若田説明員 先ほどから申し上げておりますとおりに、被疑者の方を調べますとともに、証拠物件についても十分な捜査をしているところでございます。
○安藤委員 もう一点だけ。 だから、保管はしてあるとおっしゃるけれども、野ざらしのままで、特にエンジンのナンバーなんか捜査をしておられるということでもなさそうです。それはずさんではないか。きちっと捜査を早速開始して、あるいはそれが手が届かないならば、せめて屋根のあるところにでも置くとかいうことを考えるべきじゃないかということを言っているのです。どうですか。
○若田委員 十分の措置を講じてまいりたいと思います。
○楯委員長 刑事局長から答弁の補足があるそうですから……。
○伊藤(榮)政府委員 先ほど三月二十六日当日における空港署への検察庁職員の派遣の問題、お答えできませんでしたが、私の記憶でちょっと申し上げたところを訂正しながら正確に申し上げますと、当日午前十一時から午後八時まで、千葉地方検察庁の主任捜査事務官一名が空港署へ赴きまして待機をしておったそうでございます。参りました目的は、もし当時の情勢にかんがみまして犯罪現象が生じました場合に、千葉地方検察庁と連絡をとること及び現場を自分の目で見て、検察庁独自のいわゆる土地カンを得る、こういう目的であったようでございます。
○安藤委員 終わります。
○楯委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十四分散会