外務委員会 第19号
- 発言数
- 309 件
- 登壇者
- 18 名
- 会派数
- 7
- 開催日
- 1978/05/10
会議録
○永田委員長 これより会議を開きます。 国際情勢に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。
○土井委員 外務大臣、訪米御苦労さまでございました。 それできょうは、外務大臣が訪米をなさる前に当委員会において質問をいたしましたことをもちましてひとつお尋ねを進めてみたいと思います。 まず、訪米後、日中の平和友好条約についてアメリカが大いに期待しているという向きの報道がなされております。この事柄について、どういう感触をアメリカで外務大臣は感じてこられたか、まずこの点を伺いたいと思います。
○園田国務大臣 お答えをする前に、一週間の日米首脳者会談に対して委員各位から、いろいろ御指導や御配慮をいただいたことを御礼を申し上げます。 この会談で、総理が直接言われたこと以外に、平素各位から御指導を賜り、御注意を受けた点はほとんど私はバンス国務長官との会談で申し上げてきたつもりでございます。 日中友好条約推進については、バンス国務長官も、それから大統領と総理とのじかの会談でも、全体会議でも向こうから意向が表明をされて、ぜひ成功を祈る、こういうことでありまして、なるべくこれはその程度にしておかぬと、いかにもアメリカから言われて踏み切るという印象を与えてはいけませんのでありますが、印象としては全般的な分析、情勢の判断等、全く私とバンス国務長官と意見が一致をいたしておりまして、ブレジンスキーが今度中国に行く話もこれあり、したがってこれから先の大体の見通しもほぼ見当がついてまいりました。成功を祈るということは、さらっと言ったわけではなくて、それをしっかりやってくれというような御意見でございました。
○土井委員 そこでお帰りになってからこの方、日中平和友好条約について五、六月ごろというふうな政治日程が、報道を通じてわれわれの間で認識されているわけでありますが、この内容は交渉再開ということを指しているのか、それとも決着の時期を指しているのか。これはどのように理解してよろしゅうございますか。
○園田国務大臣 御承知のとおりに、米国の考え方を御報告するのは案外楽でありますが、総理の考え方を御報告するととかく問題がすぐ起こってくるわけで、なかなかむずかしいところでありますが、これは最後にハワイで同行の記者団に対して記者会見をされました。そのときの質問は、今後の国内政局と日中友好条約の問題でありました。それについて総理が答えられた中からああいう報道が出たわけでありますが、総理は既定の方針で努力をするということを強調された後、ほかの外交日程等も説明をされて、五月に終わるか六月に終わるかというような軽い話をされたのが、五月か六月かということに報道された、このように私は横におって聞いておりました。
○土井委員 したがって、いま五月に終わるか六月に終わるかとおっしゃっている、その終わるかとおっしゃる中身というのは、一切の事務レベルでの折衝が終わって、いよいよ決着を見るときというふうに理解をさせていただいてよいということになりますね。いかがでございますか。
○園田国務大臣 総理の言われたことをいま実況報告したわけでありますから、それによって御判断を願わなければ、外務大臣が判断をするとまた意見が食い違うとかなんとか言われますから。しかし、現況は先ほど申し上げたとおりでございます。
○土井委員 総理は総理として最高責任者ということでございましょうが、園田外務大臣におかれましては日中問題に対してただならぬ決意のもとに大変熱意を持って取り組んでおられます外交の最高の責任者でおありになるというお立場でございますから、したがいまして、こういう点からひとつこの点をしっかりお聞かせいただくということは今日ただいま非常に大きな意味があるし、また必要なことであろうというふうに考えます。 さて、今週中に佐藤・韓念竜会談が行われるという運びでございますけれども、この会談というのは、外務大臣、尖閣列島の例の問題の処理の会談なんですか。それとも、もう一歩進めまして交渉再開の会談なんですか。さらにもう一歩進めまして、覇権問題等についての会談なんでございますか、どういうことなんでございますか。
○園田国務大臣 佐藤・韓念竜会談は、実は本日行われました。 そこで、いま電報が入っておる段階でありますから、整理をしたらすぐここへ持ってこい、まず外務委員会の各位に報告する、こういう手はずをいたしておりますが、その電報を見ないとわかりませんけれども、この会談というのは、こういう時期になかなかむずかしい会談だと思いますけれども、両方から今後のことについて話をする会談だろうと想像しておりますが、いずれにいたしましても、到着次第お許しを得て報告することにいたします。
○土井委員 到着次第ひとつそのことをここでお聞かせいただいた上でということが順当かもしれませんが、大体今回の会談については外務大臣からの訓令ということに基づく内容に対して話し合うというそもそもの会談であったのかどうか、この点はいかがなんでございますか。
○園田国務大臣 私の方からもなるべく早く会ってということを指示してあったわけでありますが、向こうの方からも会おうじゃないかということで、きょうの会談は、こちらが申し込んでおったのに対して向こうの方から、おれの方からも会いたい、こういうことでできた会談だと思います。
○土井委員 そうすると、内容はお聞かせいただいた上でと再度申し上げなければならないことに相なるかと思いますけれども、当初こちらから会いたいということをおっしゃるときには、どういう内容をもって会談をしたいかというこの内容がございます。この内容については先ほど来申し上げているところで、どういうふうな方向での会談を持つことを日本は希望して向こうに申し入れをなすったのか、この点はどうなっておりますか。
○園田国務大臣 なかなかむずかしい段階でございますので、正直に言うと、私の方は大局的な見地から日中友好条約推進という方向でうまくいくように話をしろということで大枠しか命じておりません。個々のことを、どれを言う、これを言うということはこの時期は余り適当じゃないと考えましたので、大枠だけを言っておったわけであります。
○土井委員 まあ大変だめ押しみたいな質問になりまして恐縮ですが、その大枠とおっしゃる大枠の枠組みはどういう方向での枠組みなのかということが一つはお聞かせいただきたいポイントであります。外務大臣、ただいまそれを聞かせていただくことになりますか。――それじゃ、ますそれをお聞かせいただきます。
○園田国務大臣 ただいま到着いたしました報告は、本日午前十時より十一時四十分まで約一時間四十分、これは北京時間でございます。中国外交部において佐藤大使と韓念竜副部長の会談が行われた。同席者は、大使館から堂ノ脇公使及び通訳、先方からは王暁雲アジア司副司長、丁民日本処長代理及び通訳である。会談内容は報告電報未接受のため、到着次第報告、こういうことになっております。逐次報告が来ると思います。 以上でございます。
○土井委員 肝心のところは後のお楽しみというふうなかっこうになっていくことはまことに不本意ではありますけれども、ひとつ到着次第それでは順を追ってお聞かせいただくことに、この問題はゆだねてまいります。 そこで、外務大臣に対して、これは言うまでもない事柄ではございますけれども、園田外務大臣御自身はこの問題に対して、でき得べくんば早い機会に大臣御自身が中国に行くまでの熱意を持ってこれを実らせたいというふうなお気持ちを、今日も変わりなくお持ちになっていらっしゃる、考え続けていらっしゃると私どもは拝察いたしますけれども、そのとおりに考えてよろしゅうございますね。
○園田国務大臣 つい三十分ぐらい前、参議院の本会議で、日中友好条約成功を祈るとアメリカが言ったんだがどうかという質問を受けました。それに対して私は次のように答えました。 よその国から成功をしたがよろしいとかあるいは慎重にやれとか言われることによって外交の方針が変わるべきものではなくて、既定の方針どおり進むつもりでございます。しかし、国内において親、兄弟からがたがた言われているときに、他人からしっかりやれと言われると心うれしきことでございます。外務大臣としてはこういうことから考えても、すでにもろもろの国が、余り長引いておるといいとか悪いとかこう言ってきたら、日本国民から見れば、踏ん切りつかぬで、よその国から何から言われて踏ん切ったと言われるようなことになっては大変であるから、一日も早くこれはけりをつけたい、こういう答弁をしておきました。
○土井委員 そもそも、一日も早くけりをつけたいということをただいま熱を込めて考えていらっしゃる外務大臣でありますから、外務大臣御自身が一日も早く中国に足を運んでということをやはりお考えになっているはずだというふうにも察知されるわけであります。そのとおりですね。
○園田国務大臣 私は職務でございますから、そういう時期が来ることを望んでおるわけであります。総理の指示を待っております。
○土井委員 この中国問題については、やがて入電次第さらにそれに従って質問をその都度申し上げることにいたします。 さて、アメリカにおいてブレジンスキー補佐官の訪中、訪日、訪韓、この問題をひとつかの地において確かめたいと思うという御答弁を御出発前にこの場所でいただいております。外務大臣御自身、訪米されてそのことを具体的にお確かめになったと思いますけれども、どのようなものでございますか、訪中、訪日、訪韓というこの問題。
○園田国務大臣 訪韓、訪日というのは、私はさほど気にしておりませんでしたが、訪中についてはいろいろ御指導もございましたから、私それについてはこちらから積極的に質問を出して承りました。そこで向こうの返答は、新聞に出ていること以外はここで申し上げられぬわけでありますけれども、私としては相当突っ込んで聞いてきたつもりで、これに対する、どのように判断したかなどということは、非公開の席等でもまたお話しする機会があると思いますが、公開の席上では、申し上げるのは新聞に出ている程度のことでございます。
○土井委員 ただ外務大臣、そういう御答弁をいただきますと、わざわざ外務委員会を国会においてこのように開きまして外務大臣にその都度、大事な外交問題に対して御質問申し上げるという、われわれは国民の代表としてこの場所で外務大臣に質問を申し上げているわけでありますから、新聞さえ読めばそれで事足りるわけでありまして、わざわざ国民の代表としてのこの質問の意味がなくなってくるわけであります。新聞で言っていることでもう事足りるじゃないかとおっしゃることについては、どうもそういう意味からすると、私は質問することについての意味をどのように考えていらっしゃるのかとあえて申し上げたくなるわけです。訪米前に、ひとつこれはアメリカに行って確かめてきたいという御答弁を外務大臣はこの席でなすったというお立場があるわけでありますから、またその質問をした私の立場もあるわけでありますから、その質問についてお確かめになった結果、どのような具体的なことを得て、外務大臣はどのようにそれを理解されていま考えていらっしゃるかということくらいはお聞かせいただかなければならないんじゃないか、このように思います。
○園田国務大臣 ブレジンスキーの訪中については、米国の方では、上海で行った共同声明の線に立って米中関係を進めていきたいという熱意と努力を表明されましたが、ここで意見を交換して、結論と別でありますけれども、相手のこれから先のことなどは、これは申し上げますと、今度は後刻信用がなくなりまして、私に話したことは全部外に漏れるということでありますから、これは委員会を軽視だとかそういう意味では決してございません。向こうの意図であるとか、それから将来に対する見通しというのは相当突っ込んで話されたようでありますから、私はそれを話ししない方が今後のためだ、こういうことでお許しを得ているわけでございます。
○土井委員 ただそれは、ブレジンスキー氏自身がどのようにこの外務大臣のいろいろな問題に対する問いかけに答えられたかという、そのものずばりのことについてお聞かせいただきたいと言っているわけではありません。外務大臣自身がどういう感触をいまその結果持っていらっしゃるかということを中心に置いて私はお尋ねをしておるわけでありますから、これは相手に対して信用を失するということには相ならないと私は思うわけであります。そういうことについてはお答えがいただけると思いますが、いかがですか。
○園田国務大臣 米国の政府は中国との関係をわれわれの考えている以上に重視しておりまして、米中関係を進めていきたい、こういう熱意もまたこれは大変なものだと考えます。具体的には、いろいろ御承知のとおりの問題がございますが、非常にむずかしい問題もあるようでありますけれども、そのむずかしい問題の中に上海共同声明の線に向かって努力をしたいという意思の表明でありまして、これは相当な計画と相当な熱意を持っておられる、こういうふうに判断しておりました。
○土井委員 そうすると、それは米中条約締結に向けて事は動きつつあるということを、感触として外務大臣は得ておられるであろうとわれわれは理解しておいていいわけでありますか。
○園田国務大臣 上海共同声明の線に従って進められていくというふうに御理解願えれば結構でございます。
○土井委員 さて、訪米をされる前に、私はここで、朝鮮半島の問題をどういうふうにこれから考えていくかということは恐らく首脳会談における議題の中でも大切な部分であろうということを認識してお尋ねをいたしました。その節、朝鮮半島にどう取り組むかということがアジアの平和における日本の役割りを具体的に示すものであるということから出発をいたしましてお尋ねをした節、ルーマニアであるとかユーゴなどがアメリカに対してどういう働きかけをし、また北朝鮮との間にどういうふうなお互いの提携が展開されつつあるかということについては、かの地より逐一情報は入っていたという御答弁を外務大臣はされたわけであります。したがって、その動きについては日本の外務省自身もよく承知しているというふうな御答弁もあったわけであります。 さて、中国の華国鋒主席が、就任後初めての海外旅行として訪朝されたわけでありますが、これについても逐一情報は事前に御存じであったと思われますが、いかがでございますか。
○園田国務大臣 事前に存じておりました。
○土井委員 そこで、ただいまになるとこのことはお伺いして差し支えないと思います。この華国鋒主席の訪朝についてどのように外務大臣は評価をされておりますか。
○園田国務大臣 華国鋒主席が就任後海外に出た初めての国に北朝鮮を選んだこと、これは北朝鮮の意向もあって、政治的には非常な関心を持たなければならぬと思っておるわけでありますが、会談の結果発表された文書等は、朝鮮半島唯一の政府は北朝鮮であるというようなことから始まりまして、これは大体想像された程度のことを両方で発表している、こういうふうに判断をいたします。
○土井委員 外務大臣の想像された程度のこととおっしゃるその御想像は、朝鮮半島について、中国も朝鮮の半島の統一に向けて、朝鮮民主主義人民共和国に対していろいろなお互いの話し合いを進めながら努力しつつある、というふうなことをその中でいろいろ外務大臣はくみ取っておられるというふうにも理解してよろしゅうございますね。
○園田国務大臣 中国が中国の観点からそのようなことを考えておると存じます。
○土井委員 朝鮮半島というのは、したがいまして、ただいま一連の世界的な動きからいたしますと、もはや軍事力でいろいろと対決を強めていくということではなくて、軍事力によらない手段でもって、経済的にそれから外交的にいろんな手段でもって何とか朝鮮の平和、統一という方向で事が、努力の積み重ねがなされていっているということをわれわれもよく察知しているわけでありますが、そこで訪米前、私は外務大臣にそういうふうな意味も含めて、一体そういう動きに対して、肝心かなめのわれわれ日本自身が何らかの方途を持って努力すべきだというふうに思うけれども、訪米されるに当たって外務大臣自身は、具体的なことを言えば、朝鮮民主主義人民共和国に対して、従前にない何らかの方法というものを胸のうちに持ったまま訪米されるに違いない、ということを私はお尋ねをしましたら、外務大臣はその御答弁で、いまそんなことをここで言ってしまえば、手のうちを全部明かすことになってしまうから、この外務委員会でその辺を答弁することは勘弁していただきたい、ただ、アメリカに行って帰ってからは、その具体的なことについてほめられるかしかられるか、それはいずれかだというふうなことをおっしゃって、非常にわれわれは期待を持ってお帰りを待ったわけであります。で、おみやげは一体何でございますか。
○園田国務大臣 今度の会談ではお荷物もおみやげもなかったわけでありますけれども、私は、朝鮮半島の問題でいろいろ皆さん方から御指導を賜りながら、東独と西独の問題を非常に関心を持つわけであります。東独と西独は同じ民族が二国間に分裂させられておるわけでありますけれども、その西独は、東独を指導しておるソ連に対し、対話、緊張緩和の道を積極的に行動で示して、そしてじかに西独の首相がモスコーに行くなり、今度はまた体の不自由なブレジネフ書記長が西独に行かれた。こうやって西独自体が東独の背後にあるソ連に向かって話し合いを進めていこう、緊張緩和しようというばかりでなく、東独に向かっても御承知のとおりに貿易または経済援助をやっているわけでありまして、国が二つに分かれておるが、両方とも現実を踏まえながら、民族統一の悲願に向かって、ごくわずかな歩みであるが進まっていっておる。ところが一方、朝鮮半島の方は、東独と違いまして、その両方の背後には、正直に言って米国、ソ連、中国、日本と、複雑に絡み合っている関係もありますけれども、対決しておって、両方が話もしない、こういうことで東独とは非常に対照的な関係にあるわけであります。 そこで、朝鮮半島については、まず米国側から簡単に説明がありました。その説明は、地上軍撤退、またはこれが計画どおりいかぬという場合でも補完の処置は講ずるので、このバランスを壊さないようにやるという説明がありましたが、これはもうさらっと一、二行あっただけで、私もその点について、まあまあ妥当なところでしょうぐらい言っておきました。その先話し合いましたのは、今後北と南と、これはやはり緊張緩和、対話の方向へ持っていかなければならぬが、そのためにはもちろん現実問題として、バランスを失しないようにしつつも、米国もそれから日本も北朝鮮とじかにわれわれが対話をするような道を、具体的に今後問題をとらえてやっていこうじゃないか、そしてそれがだんだん出てきたら北と南と直接対話するような雰囲気をつくろうじゃないかということが、大体、バンス国務長官と私の相談の結論でございます。
○土井委員 そうすると、いまの御答弁からうかがい知れることは、直接一足飛びにやるということは、やはりスムーズに事を進めるという点からしたら適当ではないのではないか。したがって、東西ドイツの例をいま引き合いにお出しになっての御答弁でありますけれども、背後にある国といろいろと連携をとりながら、日本においては、朝鮮民主主義人民共和国に対してやはり交流を持つこの行き方をいまつくりつつあるというふうに理解をさせていただいていいわけですね。
○園田国務大臣 以上申し上げたとおりでございますから、わざわざ西独の話を出しましたのはそういうことでありますので、やはりわれわれ自体が北朝鮮と対話の道を開くと同時に、これと関係の深い国々ともそういうことで話し合い、相談を進めていく必要は当然ある、それをしなければ効果はない、こう思っておるわけでございます。
○土井委員 そういう関連からして、先ほど外務大臣がお答えになりました中での、ブレジンスキー補佐官の訪中は非常に重視されるという意味合いもあるというふうに理解してよろしゅうございますね。
○園田国務大臣 と私は判断をいたしております。
○土井委員 ただいま、じかに日本におきましても日中平和友好条約というものについての締結が一日も急がれるような重大課題でございますから、問題はそちらの方が主になるような気配ではありますけれども、中国に対していろいろな話し合いの中で、事この問題も当然日本側としてはこの動きの中にあると私自身は考えるわけでありますが、外務大臣、それはそのとおりに思いましてよろしゅうございますね。
○園田国務大臣 日本と中国が友好条約を早く結ぶべきだという私の考え方の基礎は、アジアの平和と安定のスタートはここから始まる、こういうわけでありますから、日本と中国が仲よくしただけでは目的を達しないわけでありますから、いまおっしゃったようなことも十分われわれは研究し、検討しなければならぬと考えております。
○土井委員 また中国側からの入電がございましたですか、どうですか。――まだですか。それじゃ、また先に進みます。 御出発前に、国民の目から見ますと非常に気になる問題の一つとして、アメリカ側から、防衛負担というものに対して日本にさらにこれをふやすことを要求されるというようなことが強く今回はあるのではないか。この問題が、一つは質問の中でも私自身取り上げまして御質問させていただいた内容でありました。その節、園田外務大臣は、これは大丈夫、地位協定についてははっきり認識をなすっておられますし、これを逸脱するようなことは断じて認めらるべきじゃない。総理の横に常に外務大臣は同席をされるわけでありますから、一切、この防衛負担というものがアメリカによって押しつけられるようなことを受けることはしないということをきっぱりとここで御答弁になったわけであります。あの御答弁をいただいてから後、報道によりますと、外務大臣御自身は在日米軍の司令官とお会いになってから訪米されたという、そういう事情をわれわれも知っているわけでありますが、在日米軍司令官との間にどういう話し合いをされて訪米をされるということであったのか、この点をお尋ねさせていただきたいと思います。
○園田国務大臣 在日米軍最高司令官と参謀長とそれから幕僚、三名を私が呼んだことは事実であります。 そして私が聞いたことは、第一は、米韓合同演習の演習計画想定、その他、実際の作戦展開、こういうことを詳細教えてもらいたいということで、向こうは地図を持ってきて詳細説明をいたしました。 それから次に私が言ったことは、率直に切り込みまして、防衛分担金の話があっちこっちから出ているようだが、どうも、探ってみても余り煙がない。察するところ、私もかつて、あなたほどではないが、あなたのような立場にあった経験があるけれども、よほどうまくやらぬと考え方は逆にいくぞ。予算は三割削減された。そこへ円高だ。したがってあなたは在日米軍の運用についていろいろ苦労があられるだろう、その苦労をあっちへ行ったりこっちへ行ったりして言われると、かえってできませんよ。合同委員会があり、地位協定があり、その地位協定の枠内でやらなければならぬということになっておるし、この地位協定を変更する場合には国会の承認を受けなければならぬ。したがってそういうことによってかえって逆に締められていきますぞ。なお、今後の問題で、安保体制というものは国民の大部分に大体理解され、定着されたと思う。しかし今後それがうまくいくかどうかということは、一に基地問題になる。どう考えてみても、国会でもしょっちゅうしかられておるけれども、在日米軍のために飛行機が墜落して日本人が亡くなった、けがをした、あるいは自動車でひき殺した。それが米国で裁判されたものなのか、どのように処罰されたものなのか、そういうことがわからぬ。こっちも聞いてない。これはあなた方だけを責めるわけではないけれども、こういうことをやっておっては日本の国民に、本当に、いざという場合には米軍はわれわれを守ってくれるのだから協力しなければならぬという気持ちはなくなりますよ。その例はフィリピンであり、タイの基地問題の騒動であります。だから今後、何かあったらお互いに話しましょう、そしてあなたも、制服組と話して制服組をたきつけないで、私のところへ来てください。ざっくばらんに言うと、そういう話をして行きました。
○土井委員 何かあったら私のところに来てくださいとおっしゃる大臣御答弁の、その何かあったらの中には、防衛負担金についての増額の問題も含めて何かあったらというふうに理解をさせていただいていいのですか。
○園田国務大臣 米軍運用上困難がありあるいは希望があれば、私は一応承って、そこで私が整理をしなければ、そういう地位協定とか合同委員会ということは抜きにしてどんどん出てくると、私はそれはかえってわれわれのためにも米国のためにもならぬと思っておりますから、希望があれば私は喜んで聞いて、そして判断をして、よきあしきを私は言いたいと思っております。
○土井委員 ところで、訪米される前にいろいろとお会いになってそのような話し合いをされた上での訪米であったわけでありますから、首脳会談の中でこの問題が取り上げられるということに相なったのかどうかというあたりはまだお聞かせいただいてないわけでありますが、いかがです。
○園田国務大臣 先ほどちょっと申し上げましたが、私は今後おしかりを受けまた真剣におしかりを受けとめて考えなければならぬことは、やはり基地問題だと思います。そこでそのためには、外務大臣が米国の最高司令官の話も聞かぬということではなかなかうまくいきませんかち、今後時期があったら私はときどき呼んで話を聞くというつもりでおります。しかしそれは訪米の前準備ではございませんでした。ただ私の腹の中には、いろいろ御質問を受けて調べてみますと、どうも米国の政府の方からも防衛分担費の増などという話が出てきそうにない、どこあたりから出ているかという探りの意味も正直言ってあったわけでございますが、向こうの会談では、私とバンス国務長官の会談、総理とカーター大統領との二人の会談、それから、われわれも一緒に出た全体会議で、防衛費についての問題は一言も向こうから出てまいりませんでした。
○土井委員 首脳会談の席では一言も向こう側からは出てこなかったということをいま御答弁の中できっぱりとお聞かせいただいたわけでありますが、その首脳会談以外に、渡米をされまして外務大臣御自身が非常にこのことを評価されている一つに、向こうの議会人との懇談があるように思います。議会人と懇談されることに大いに意義があるというふうにお考えになっているに違いないと私は思いますが、外務大臣はこの点そのように評価されているのでしょうね。
○園田国務大臣 日本外交が、じっと反省してみまするといままで行政府同士の話し合いにとどまっておりまして、いまや米国行政府と議会の関係は相当変わってきております。そこで議会関係とも密接に連絡をする必要がある、そのためには行政府と行政府、それからこちらの方の議員と向こうの方の議員との交流などはぜひやらなければならぬ、こう思っておりましたが、内心、外務大臣の責任として、行政府の方では大したことはないかもわからぬが、議会の懇談に行くと、個々の問題として農産物だとかやれ柑橘類だとか、ひょっとすれば防衛費をもっとふやせなんというような話も出るのではなかろうかなと心の中で若干心配しながら、この懇談会に臨んだわけであります。
○土井委員 若干そういうふうな予想をしながら懇談会に臨まれて、そして懇談の席でどういうことがあったかということを私たちは知るすべもございません。ただしかし、向こうの議会人との懇談をされた後にスパークマン外交委員長やロング財政委員長が記者会見をされておりますが、その席でどういうことを言われたかということは、実は日本のすべての新聞が取り上げられてこれを記事にいたしておりますから、われわれはどういうことであったかを知ることはよくできるわけであります。その中に、防衛負担を増加させる目的で防衛予算をふやすことを日本に対して期待しているというふうな向きの発言があって、さらに、そのためにも日本が憲法を改正することを一つは期待するというふうなことが述べられているわけであります。これは国民の目から見るとまことに見過ごすことのできない内容になってくるわけであります。先ほど中国の問題について、アメリカが非常に日中について期待をするからといって熱を入れるということはおかしな話なんで、何もよその国からとやかく言われるからやるということでは絶対ないというふうな御答弁がございましたが、これも、憲法というのは日本のいわば基本法なんですから、この憲法に対してつくりかえてはどうかなどと、よその国から内政干渉もはなはだしいようなことを言われるということはもってのほかだと思うのです。一議会人の言ったことではないかというふうに軽くお考えになる向きも内々にはあるかもしれません。しかし事柄が事柄だけに、このことに対して黙認をするということは私は正しくないと思うわけであります。外務大臣、このことに対してどのようなお考えをお持ちになっていらっしゃるか、また外務大臣としてこれに対しては何らかの対応を必要とお考えになっていらっしゃるかどうか、この辺をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 上院下院との懇談会はやはりやってよかったと思っておりますが、この雰囲気はわれわれが心配したような雰囲気ではなくて、全くにこにこした雰囲気の中でこの会談は行われました。そして発言等は妥当な発言ばかりであって、下院の方では、実は私はカリフォルニア出身の議員である、そこで材木についてはどうとか、丸太ん棒のままで買わないで工作したものを買ってくれとか、あるいは私はどこどこ州の出身であるが、柑橘類がどうだとか、そういう軽い程度は出ましたけれども、来られた方はみんな日本に来られた方ばかりでありまして、質問の程度も、日本に行ったときに総理はこういう御答弁をされましたがということで、きわめて友好的な雰囲気でありました。 防衛の問題はだれからも出ませんが、一人だけ、宇宙飛行士か何かであられた航空大佐グレンさんが、日本の防衛費は足りないのじゃないか、GNPの一と言っているが、〇・九にようやくいったところじゃないか、もっと防衛費をふやしたらどうだ、こういうことで、防衛分担の話じゃなくて日本の国防というか防衛費に対する質問があったわけでありますが、これも軽い質問であります。 しかしその後、私、気になりましたから、外務省から一人差し向けて、詳細説明してこい、第一に日本の防衛費というのはGNPから言えば〇・九であるけれども、日本のGNPは大きいから絶対の金額を見ると相当なものである、最善の努力を払っておる、それからもう一つは、防衛分担費の話は出なかったけれども、これはドイツと日本と比べてみてくれ、ドイツは日本よりも兵力は大体二倍おります。日本は半分であります。にもかかわらず、今日分担している金額というのは決してドイツに比べて少なくない、そこへなお円高その他もあるであろうけれども、これは政府間同士あるいは議員同士で話すべき問題ではなくて、日本とアメリカの約束によって、合同委員会で審議をして、意見がまとまったらそれは地位協定の枠内においてやらるべきものである、したがってどうだこうだと言うことはできないということで、納得をされたという報告を受けておりましたが、その後ある新聞が議員の一人にインタビューされたらああいうことであったという話は、ワシントンを出てからわれわれ聞いたわけであります。しかし、一議員の発言にしても、いやしくもよその国の憲法に対して、個人的な意見であろうとこういうことを言われることはまことに遺憾でありまして、まあ、しかし考えますると、日本の国内でも、憲法改正なんと言う人もおられるんだなあと思いながら、私は絶えず会談ごとに非核三原則、日本憲法というものを、総理もそうでありましたが、向こうによく理解されるように話してきたつもりであります。 そこで私はこの憲法については、いままでは安全保障、経済協力、アジアの安定ということについて、日本は憲法があるから安全保障については力はかせない、経済協力は応分にやりましょう、こういうなにでありましたが、私はそう思っておりませんので、われわれは誇りある憲法を持っておる、憲法があるから手を出せないのではなくて、人類の先覚者として、力ずくで問題を解決してはならぬ、戦争放棄という誇り高き憲法を持っておる、だからこの誇りだけは守りたい、したがって軍事力による協力は一切できないということは、バンスさんにもカーター大統領にもありとあらゆる場合に私は説明をしてきたところであります。今度の軍縮総会でもそういう演説をするつもりでおります。
○土井委員 外務大臣の御所信のほどはよくわかりました。ただしかし、いまの御答弁の中で、日本国内にも憲法改正についての意見を持つ者もあるというふうな部分があるわけでありますが、これは日本国民として日本の憲法に対してどう考えるかという問題と、外国の、事政界人が公式の場所で、日本国憲法について憲法改正を提唱するのとはわけが違います。ですから、これを同じような意味にお取り上げになるということは、まさか外務大臣の場合ないだろうと思いますので、この点はひとつ重々確認をさせておいていただきたいと思います。
○園田国務大臣 御発言のとおりであります。そういうことで心さびしく思った、こういう意味であります。
○土井委員 さて、韓国についての問題が、最近は朝鮮半島についてのいろいろな対応の中で、いろいろ状況も年を追って変わってきていると言わなければならないわけでありますが、その中で、私ども日本に住んでおる日本人といたしまして、この日本の中に住んでいる数多くの、条約的に法律的に在日韓国人という身分、立場にある人と交流を持っております。残念なことに、私どもがよく知っておりますこの在日韓国人という、条約的、法律的にその身分にある人たちが、母国である韓国に行きまして再び日本に帰ってこない、なぜ帰ってこないかというところが日を経て具体的になったときに、韓国において逮捕されて、そして懲役刑にもうすでに服務しておるというふうな例をよく持つわけであります。 ただいまここで、アジア局長も御出席でありますが、特に外務大臣に私お聞きいただきたいのは、七年という長い間の刑期を、この五月二十七日に刑期満了になって、恐らく通常ならばこれで釈放されるという一例をじかに知っているから、このことについてひとつお聞きをいただいて、そしてこれに対する大臣、局長の御所信のほどをひつお聞かせいただきたいと思うわけであります。 大臣、お忙しいけれども御勉強家でいらっしゃいますから、お読みになっていらっしゃるかと私は思ってお尋ねするのですが、雑誌に「世界」というのがありますね。この雑誌「世界」の五月号の中で、表題は「徐兄弟獄中からの手紙」とついております。実はいま、韓国において獄中にある徐きょうだいの弟さんが書かれた一文をお読みになったかどうか。これはお読みになりましたか、いかがですか。
○園田国務大臣 獄中から訴えるというようなことで、いろいろな経過やその他のことを書いてあることを拝見をいたしました。
○土井委員 これは獄中から訴えるということではないので、弟さんが二人のお兄さんについて、事件の経緯並びに家族の状況、わけてもお母さんの生活というものをつぶさに切々と書いて、これは私は大変感銘を受けた文章なんでありますが、書かれました後、この二人のお兄さんが獄中から家族あてに出されている手紙を、外部でどういう反応があるかということもおもんばかりながら、あえてここに公表するという形で出された文章であります。 これは私は非常に感銘を受けた文革でありますけれども、この中で、この御一家は京都に住んでおられる在日韓国人の御一家でありますけれども、今回、この五月二十七日に七年の刑期満了ということになります方は徐俊植という名前の方であります。五月二十七日にどういうことになるかということを非常に心持ちに、一日千秋の思いで待っているこの御家族の皆さんは言うまでもございませんが、親戚縁者、友人、数多くの方々がこの日本にもいられるわけであります。このことに関して、外務大臣は事実について韓国側にそれなりの確認とそれからできたら、これは決められるのは韓国が決めるわけでありますから、内政干渉にわたるということは配慮すべきだと思いますけれども、しかしながら在日韓国人という立場からすれば、日本政府もこの人の身の安全とか生命、財産等々について、やはり全然無関心でいるわけにはいかない立場におありになるだろうと思うわけてあります。どのような対応をこれについておとりになるかということをまずお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 「祖国の獄中で生きる兄たち」という見出しで出しておられるこの文章は、私も非常に胸に深くこたえながら拝見をいたしました。そこで、内政干渉にわたってどうしろ、こうしろということは言えないかもわかりませんが、こういう人道上の問題は人道上の問題として、それぞれ友好国には訴える道はあると存じます。詳細については局長から答弁をいたさせます。
○中江政府委員 先ほど土井委員御自身もおっしゃいましたように、いま御指摘の方を含めまして在日韓国人と言われます方々お一人お一人には、日本社会と非常に密接な過去と現在の関係があるわけでございますので、お説のように単なる外国人あるいは韓国人ということでは済まされない面は私どももかねがね認識しておりますし、そういう意味で、いま大臣も言われましたように、内政干渉ということにはこれはまいらないことではありますけれども、日本政府として、そういう特殊な地位に、特に戦争の終了をはさんで非常に特殊な地位に立たされている方々でありますので、そういう点に着目いたしまして、日本政府のこういう方々に対する関心の表明というものは、具体的なケースがあるたびごとに、あるいはまたそういうものがございませんでも、しかるべき首脳の間で話があるときには必ずわが方から持ち出して、そしてその人たちの処遇について、日本側のこの関心のほどが十分認識された措置が韓国政府によってとられるようにという話し合いを進めておるわけでございまして、いま御指摘のケースにつきましても、そういう在日韓国人一般についての日本政府の関心が、個々のケースにいかように韓国側によってしんしゃくされるか、最後はおっしゃるように韓国政府の決める問題ではございますけれども、その結果を見守っていきたい、こういうことでございます。
○土井委員 特に徐きょうだいの場合には、自分の母国である韓国のソウル大学に籍を置いておられる半生なわけですね。実家は日本の京都にございますけれども、お父さん、お母さんは非常な苦難を積み重ねてこられて、特にお母さんの場合などは、この「世界」という雑誌の中にも具体的に記載をされているわけでありますが「一〇歳にもならぬうちから、京都西陣の織物問屋などに子守奉公に出ねばならなかった。」というところから始まりまして、このお父さん、お母さんは商売上のいろんな苦難と闘いながら「子供たちが高等教育を受け、成長してゆくことを最大の歓びとして懸命に生きてきた。」というふうにも書かれているわけであります。そして特にこの二人のきょうだいが日本の高等学校を終えた後、母国の大学に進みたいと申し出たときも「欣然としてこれを許した」ということが書いてあるわけであります。欣然として許されたその本国での大学の生活というものが、日本で冬休みの休暇を終えて、また大学の教場に帰ろうというので飛行機に乗って金浦空港に着いた途端に、その後、今日に至るまでの監獄での生活が一九七一年以後展開されたというふうな経過になっているわけでありまして、いま申されました人道上ということから考えますと、在日韓国人について政治犯としてかの地にある例はいろいろございますけれども、目の前に刑期満了が参りました徐俊植さんについては、私は、これは強く韓国側にこの向きを申し入れていただきたい、こういうやむにやまれぬ気持ちであります。と同時に、このことはもう申し上げるまでもないことでございますけれども、いま韓国においては社会安全法がございまして、五月二十七日に刑期満了になりましても、果たしてそれが直ちに自由の回復を意味するかどうかという問題も現にございますので、そういう意味も含めて、私は再度外務大臣に申し入れたいと思います。 と同時に、これはいろいろな在日韓国人の方々についての例もあるかと思いますが、自由の身になったときに、日本に再入国をするについては入管の方の期限が切れておりますので、手続の上でいろいろ再考をしなければならないという問題もあると思いますけれども、当然のことながら、日本としては受け入れる、この善処方が用意されているに違いないと思うわけであります。家族は日本なんでありますから、在日韓国人という地位と身分があるわけでありますから、このことも確認をさせておいていただいて、きょうの私の質問をこれで終えたいと思います。
○園田国務大臣 御発言の趣旨はよく了承するところであり、大臣も同様に考えております。幸い在韓須之部大使がいま帰ってきておりますから、これにも十分私がじかに命じ、そしてその他の問題も御発言の方向に沿うように努力する覚悟でございます。
○土井委員 終わります。ありがとうございました。
○永田委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 外務大臣、訪米後の御出席で大変お疲れでしょうけれども、ここで日米首脳会議にかかわる質問に入る前に、まず竹島の問題についてお尋ねをいたします。 昨日、竹島周辺の日本漁船に対して、韓国側が領海侵犯として即刻退去するように要求をしてきたということが報道されました。この事実関係についてひとつ御報告をいただきたいと思います。
○園田国務大臣 竹島周辺に起きた事件は、韓国の外交部からわが方の在韓古川公使が呼ばれまして、日本の漁船が竹島、領海を侵犯をしておる、直ちに退去するよう処置を願いたい、こういう申し出を受けました。韓国のラジオ放送は、日本の古川公使が退去させるよう返答をしたという放送をしましたが、これは全く事実無根でありまして、わが方の古川公使は、竹島はしばしば言っているとおりわが国固有の領土であって、領海侵犯したとはわれわれは考えていない、したがって、政府がこの操業している漁船団に領海から出ていけと言うことはできない、こうきっぱり拒絶をいたしました。 概略申し上げますと、その後韓国の漁船も参り、日本の漁船が約百そうくらい、韓国の漁船が百そうくらい、そこへ韓国の軍艦が一隻、警備艇が一隻来ておりますが、韓国の軍艦、それから警備艇も、日本の漁船に対して高圧的なことはしてないようで、説得をして協力を頼むというかっこうでやっておるようであります。静かに見守っておりますが、日本の漁船は日本の各港から集まった漁船でありまして、たとえば京都、それから青森、宮城、その他各地から二十杯くらいずつ集まった船でございます。この中で、境港漁業組合は、ここで不測の事態を起こしてはならぬから慎重に、領海から離れたがよかろうということで、ここの組合の船は一番先に領海から少し下がったようであります。もう一つ、漁業組合の方から自発的に、不測の事態が起きないようにということで下がった、こういう現在の状況でございます。
○井上(一)委員 韓国は四月三十日から領海十二海里を実施したわけでありますが、韓国の領海法並びに大統領令には竹島はどのように位置づけをしているのか、お尋ねをいたします。
○中江政府委員 私どもの承知しております限り、竹島は韓国語では独島と書くようですが、そういう固有名詞はどこにも出ていない、こういうふうに承知をしております。
○井上(一)委員 それでは、韓国が今回領海侵犯だという形の中で退去要求をしてきたことは全く不法不当な要求である、このように外務大臣受けとめてよろしゅうございますか。
○園田国務大臣 全くそのとおりでございます。なお、韓国の警備艇等も十二海里外に出ろと言わずに六海里外に出ろと言っておりますので、これはどういう意味かなと思ってこっちも判断に困っておるところであります。いずれにしましても、韓国のやりました態度は不当なことでございます。
○井上(一)委員 きょう報じられるところによれば、政府はたてまえと現実に非常に悩んで、漁船に対する自粛を求めるのではないだろうかという報道がされておるわけでありますが、まさかそのようなお考えは持っていらっしゃらないでしょうね。
○園田国務大臣 わが外務省はそのような考え方は持っておりません。
○井上(一)委員 ここで私は水産庁にも重ねてお尋ねをいたしますが、水産庁としても外務省と意見を異にするというようなお考えはないでしょうね。
○恩田政府委員 水産庁といたしましても、自粛するようにというような指示を出すつもりはございません。
○井上(一)委員 そういうことであれば、その周辺で操業をする日本国の漁民の安全を十分確保していかなければいけない、安全操業に対する万全の措置を講ずる必要がある、私はこういうふうに思うのですが、水産庁としては今日の時点で何か具体的な対策をお持ちでございますか。
○恩田政府委員 ただいまのところ、私どもの方に入っておる情報によりますと、日本漁船は自主的に移動を開始しておるようでございます。したがいまして、現在のところ差し迫った事態が生ずるということは考えておりませんが、私どもといたしましては、すべての情報は境港の漁業無線局を通じまして入っておりますので、常時これと連絡をとって現状把握に努めておる次第でございます。
○井上(一)委員 わが国の漁民に対して、操業しておった地域はわが国の領海内である、何ら韓国から退去を命じられる区域ではないということを認識を持っていただくような措置を講じておりますか。
○恩田政府委員 関係の漁業者の方々に対しましては、従来から、竹島は日本の領土であるということは申し上げている次第でございます。
○井上(一)委員 外務大臣に私はもう一度、決して立ち入り自粛というようなことは、今後も含めてそういう発想には立たないということをここで重ねて確認をしておきたいと思います。
○園田国務大臣 さようなことはいたしません。
○井上(一)委員 さらに私は、過日公表されたいわゆる外交文書の中で、アメリカ政府は、一九五一年にすでに竹島が日本の領土であることを確認しているわけなんですね。これは当時のラスク国務次官補が韓国の要求を退けて竹島が日本固有の領土であるということを明確にしているわけなんです。ところが実際問題としては、外務大臣、いわゆる韓国名独島は韓国領土であるということで韓国は主張している。もちろんわが国はわが国固有の領土であるということは、これまた明白な事実であるわけであります。 実は私は、当時のいわゆる審議状態というものはその報告書のみでしか理解ができないわけでありますけれども、昭和四十年の日韓基本条約を締結した折に、尖閣列島と同じようにいわばこの竹島を事実上のいわゆるたな上げにしていたような節がある、こういうふうにも思うのでありますが、そのようなことはなかったでしょうね。
○中江政府委員 たな上げするというようなことは絶対になかったわけでございまして、それじゃ何があったかといいますと、これは日韓間の紛争である、国際紛争である、どういうふうにして解決するかということにつきましては、紛争の解決に関する交換公文ということで一般的に紛争解決の道をあけましたけれども、あの交換公文が具体的にあの時点で必要であったのはまさしく竹島についての紛争があったからでありまして、これは解決を要する紛争であるという認識であって、この解決をたな上げにするというような認識では全くなかったわけでございます。
○井上(一)委員 いま竹島が両国の紛争地域であるということが、当時からそういう位置づけにあったということが明確になったわけなんです。それならば両国が交換をしておる紛争の解決に関する交換公文というのがあるわけですね、この交換公文によってこの問題は解決すべきではないでしょうか。外務大臣、両国が交わした交換公文によって解決をするお考えがあるのか、いかがですか。
○園田国務大臣 御発言のとおりだと考えております。
○井上(一)委員 それじゃ、この竹島の問題については、四十年に交わされたいわゆる紛争の解決に関する交換公文によって解決をしていくという強い姿勢で取り組むわけでございますね。
○園田国務大臣 そのとおりでございます。
○井上(一)委員 さて続いて、大変御苦労をいただいたわけでありますけれども、日米の今回の首脳会議、その御苦労に対して大変言いづらいことなんでございますけれども、一般的な意見としては非常に内容のない実り薄い会談であったというような評価がなされておるわけであります。ここで具体的に、これまでのあらゆるレベルでの日米外交ルートで繰り返し強調されてきた、いわゆるアジアにおける米国の存在の継続だとか、あるいは保護貿易主義の防止だとか、あるいは日本の経済成長率七%の達成、黒字減らし、七月の先進国首脳会議を成功さそう、それらの従来からの申し合わせの再確認、いわゆる原則を再確認したということにのみ終えたのではないだろうか、このように私は理解をしているわけでありますけれども、いかがでございましょうか、外務大臣。いや、それ以外にもこういうこともあった、あるいはまたこんなこともあった、こういう成果もあったんだという、私のいま申し上げた以外に、もし何か中身の濃い問題点があればひとつここでお示し、お教えをいただきたいと思うのでございます。
○園田国務大臣 今回の日米首脳者会談から、首脳者会談の様相が一変したと考えております。 御承知のとおりに、訪米直前、ドイツの大統領と外務大臣が参りました。このゲンシャー外務大臣と私は七時間半にわたって意見を交換しましたが、この間、ドイツと日本の間の二国間の問題はほとんど出ませずに、将来世界経済をどうやっていくべきか、南北問題をどうすべきか、特にASEANについてはどうやるべきかという世界的な問題が取り上げられたわけでありますが、これは要するに日米首脳会談を前にして、ドイツが日本に対する自分の意向も申し述べたことであるわけであります。豪州から総理大臣と外務大臣が参りました。これもほとんど二国間問題はなくて、このような問題がございました。出発に先立ってASEANの国々からそれぞれ訪米、首脳者会談に対する意向なり希望が寄せられたわけであります。それを背景にして行ったわけでありますが、こういう動向というものは過去、この前のサミット以来一年間、それぞれ保護貿易の抑制あるいは貿易収支のバランスをとる、あるいはインフレを防止するというような問題でおのおのが自分の国の都合のいいように言い張ってきたが、結局経済成長についても御案内のとおりにどこの国も予定どおりにいかなかった。そこで、世界各国はいまや二国間で競り合っておっては世界の問題は解決できない、これはどのようにしてみんなが力を合わせてやるか、こういう動向に変わってきたわけであります。 こういう前提のもとに今度の首脳者会談が行われたわけでありますので、そこで日本としては、日米間にも牛場・ストラウス会談等の余韻が残っておりますけれども、それよりも大事なことは、世界に対する重要な地位にあるアメリカと日本がどのように提携をして経済問題を克服し、どのようにしてアジアの平和と安定を図るか、こういうことが議題になったわけでありますので、日米間の取り決めというのは科学技術協力、核融合または代替エネルギー、太陽熱、こういうものに対して日米がともに協力してやるということ等、いろいろありましたけれども、主として世界の経済動向、サミットをどうやって持っていくかということ、それから特にアジア情勢については相当突っ込んだ分析と話がされたわけでありますので、共同声明を出さなかったというのは、共同声明というのは二国間の案件があって、それがまとまった、あるいは意見が食い違った場合に、後日の証として出すのが共同声明でありますので、今度はカーター大統領と福田総理が率直に遠慮なしに話すということで共同声明にとらわれずにやったらよかろうということで、当初から共同声明を出さないつもりで行ったわけでありまして、特に行政府ばかりでなくて議会、財界各団体と会談をした、こういうことも異例でありまして、新しい首脳者会談の第一ページを開いた、こういう意味において今度の首脳者会談はそれなりの成果があったと私は考えておるところでございます。
○井上(一)委員 外務大臣としては特に経済情勢については大変努力をしたんだ、私は経済情勢についてもさらに伺いたいわけであります。が、アジア情勢の中で、先ほども土井委員から御質問がありましたけれども、当然日中の問題が話されたわけでありましょう。また、九日の閣議でもそういうことが特に総理から報告されておるわけであります。私は多くをお聞きしょうということは考えておりません。しかし、新聞紙上等での私なりの受けとめ方でありますけれども、日中条約の締結に当たって、いわばアメリカとの今回の首脳会議で、いわゆるお墨つきをもらったんだいうふうにも受けとめられるように一部報道されているわけですけれども、私は、園田外務大臣ともあろう人が、日本と中国の二国間の交渉事を日米会談の本題の議題として話されたとは実は思いたくないわけなんです。むしろグローバルな中での中国問題を話されたと思うのでありますけれども、その点はいかがでございましょうか、ひとつお尋ねをいたしたいと思います。
○園田国務大臣 私がいままで日中友好条約締結について、外務大臣として微力ながら努力してきたことは井上先生御承知のとおりでございます。私が一日も早くやれと急いできましたのは、よその国から激励されたり、あるいはよその国からやらぬ方がいいとかいろいろ言われて、それによって日本外交が決まるような印象を国民に与えることはきわめて残念なことであります。したがいまして、よその国からそういうことを言われぬうちに一日も早くやれ、こういうのが私の一つの急ぐ考え方でありました。したがいまして、私は米国のバンス国務長官についてもカーター大統領についても――日本の国内で親きょうだいから私は大分しかられておるわけでありますが、そのためにアメリカの方で何とかうまく言ってもらいたいなどという考え方は毛頭ございません。むしろ、他国からどうこう言われたことによって日本外交が変わるんだという印象を国民の方が持たれることを、私は非常に心配したわけでありまして、ありのままに申し上げますと、日中問題は私とバンス国務長官の場合にも出ました。それから、カーター大統領と福田総理の二人の会談でも出ました。それから、最後に全体会議でも出ました。 そこで、その趣旨は、わが方はアジアの平和と安定というためにはどうしても中国と日本が密接になる必要がある、したがって段々努力をしているうちに、交渉再開の間際になって尖閣列島などという事件が起こってちょっと困ったけれども、これは方針に従ってやるつもりだ、こういうことを総理が言われたら、向こうからは成功を祈るという激励があったわけであります。そこで、私は黙って横で聞いておりました。私には、私に対してバンス国務長官、大統領から日中問題は大事であるという話がありました。米国も米中関係は相当な情熱と計画を持っているようでありまして、米中関係を進めていきたいという熱意があるようでございます。そこで私は、今後もこのままずるずるしておりますと、またあっちからこっちからいろいろなことを言われると、国民の方は何だか日本の外交はよその国から言われてふらふらしておるととられてはいかぬから、一日も早くけりをつけたい、こういうことを考えておるわけであります。
○井上(一)委員 さっき中間報告があったわけでありますけれども、佐藤大使と韓念竜さんとの会議の内容はもう具体的に何か入電があったでしょうか。
○園田国務大臣 まだ参っておりません。来たらこの委員会で一番先に報告いたします。
○井上(一)委員 それでは、それは入り次第、こちらからお尋ねをしなくてもご報告をいただく。 さて、いま日中の問題について日米会談の中で、具体的には成功を祈るというふうにも激励を受けたということですが、アメリカとしてはこの日中条約を世界戦略、いわゆるアジア戦略の一環として考えていると見てよろしゅうございますか。
○園田国務大臣 世界戦略という言葉は間々誤解を受けますけれども、アメリカは必ずしもそう考えていない。率直に言いますと、私は中ソの問題を次のように概略向こうに申しました。 中ソの対立、これは相当激しい。これはいつまで続くかわからぬ、この対立は激しくて複雑である。そこで、中ソが対立をしておると、アジアの方にソ連の軍隊が引きつけられてヨーロッパの方にいくのが拘束されるということで有利だと言う人もおるけれども、そういう中ソの対立を利用して外交をやることは冒険であってきわめて危険である、したがって、わが方のあえてとらざるところ、わが方は中国とも条約を進めるが、また反面ソ連とも友好関係を進めていって、モスクワで私は言ってきたが、時期が来て折があらば日本が調停役に立って中ソの対立を調停したいということまで言ってきたんだ、こう言いましたら、きわめて情勢分析が的確であって、その意見は全く同じである、こういうことでありますから、世で言うように、日本と中国、日本と米国の線によって何となしにソ連を封じ込めるというような戦略はないようでありまして、一方アメリカも、私いろいろ突っ込んで話をしましたが、いろいろあるが、戦争だけは回避をしたいという声は強いようであります。 また一方、ちょうど行っているときに、ブレジネフ書記長が西独を訪問されて、そのテレビが出ました。そしてニューヨーク・タイムズにその写真が出て、いかにも弱り果てたブレジネフ書記長のあれが出たわけでありますが、それについて私はこう言いました。 かつて日本の鳩山総理は、半身不随を押し切ってソ連との友好関係を開きに行った、ブレジネフ書記長があれくらいの弱った体で、しかも、場合によっては恥をかくという覚悟をして西独に行ったということは、西独が緊張緩和と対話の道を広げたいということにこたえてブレジネフ書記長が一身を張って西独に行ってやはり戦争回避の線を進んでおられる、これはわれわれは高く評価をしなければならぬ、こういうお話をしてきたところであります。
○井上(一)委員 ことしの当初、一月だったと思うのですけれども、外務大臣は自民党の外交部会の席上で、まあ受け取る言葉の意味というものは多面的でありますけれども、報道されておるところによると、世界戦略の一環として考えているんだというような報道がなされているのですよ。これはそれじゃ、現時点としてはそういう考えではないということですか、あるいは、この一月時点での外務大臣の報道された談話が十分でないというふうにここで訂正をされるわけですか。ひとつその点をはっきりとしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 私も、その発言は誤解がありましたから、井上さんの質問にお答えをして、おわびをして取り消したはずでございますが、そのとき私は、戦略と言うと誤解があるから、政略というか方略というか、そういうことの意味だ、こう言ったわけでありますが、その意味は、結局アメリカがアメリカとして平和と安定を求めてどのようなことを好ましく思っているか、こういう意味でありまして、現在でも向こうの要人と会談をした後、アメリカは日本と中国が平和友好条約を進めることは好ましいことであると思っておるという私の判断は当たっておった、こう思っております。
○井上(一)委員 外務大臣は、日本外交は日米を基軸にして平和外交を進めていくんだ、こういうことを常々言われていらっしゃるわけです。さらに私は、国民がより理解しやすい、国民がわかる外交こそ私なりの日本外交であり、それが正しい平和外交につながるんだということを常々指摘しているわけなんです。十分平和外交、そして日本の基本的な外交指針を誤らないように。何も日中の問題をアメリカの指示によってわが国は左右されるわけじゃありませんから、これは当然外務大臣が先導役をして、むしろ総理を引っ張ってあなたの熱意をぶっつけていただきたい、こういうふうに思うのです。 しかし、私は問題はやはり今後尖閣列島の取り扱いにあろうと思うのです。たしか四月の十四日だったと思いますが、私がここで外務大臣に質問をいたしました。そのときに、あのような状態で客観的に偶発的だということはどうしても国民は理解しませんよ、納得できません。外務大臣もそれについてはそれなりの見解を示されたわけです。耿副主席も全く偶然の出来事であったということをその後言われておるわけでありますし、偶然でないんだ、故意であるんだというようなことをここできめつけるということは私は毛頭ございません。外務大臣の冷静に事件を処理することがいま大事であるという意見にも私は賛成であります。しかし、いまも申し上げたように、全く偶然の出来事であったという耿副主席のその言葉の政治的重みを考えなければいけない。その言葉の重みをどう外務大臣は理解なさっていらっしゃるのか、この点について外務大臣に、ここで率直に御見解を承っておきたいと思うのです。
○園田国務大臣 中国の鄧小平副主席が言われたことは、一つは、日中友好関係を推進することがきわめて大事であって、これを第一義に置いて大所高所から判断をして、尖閣列島周辺で起きた事件は、あれは政治的に計画的にやったことでないから、お互いにあっさりと処理をして友好条約を推進したい、日中友好関係を進める方が大事だ、それから先だ、こういうふうに私は受け取っておるわけであります。
○井上(一)委員 自民党の方々の中にも、この条約交渉については入り口論に立っていらっしゃる方がまだいらっしゃるわけです。私は園田外務大臣の熱意というものは当初から高く評価をし、期待をしているわけであるのです。七二年の田中元総理の日中正常化のときも、やはりどちらかと言えば、俗っぽい言葉だけれども、いわば見切り発車という形の中で政治決断がその実を上げたんだ。結局最後は、何やかやと言いながら福田総理の政治決断、園田外務大臣のその馬力、そういうことがこの日中を実らせる、私はこういうふうに思うのです。アメリカで成功を祈る、あるいはしっかりがんばりなさいと言われた、そんなことだけで実るものでもないし、実際はわが国の政府がその気になることであり、きょうまさに当を得て大使級の会談がなされた。このことについても私は四月に指摘をしたわけなんです。もうどうですか外務大臣、あなた自身が総理をして、いつも総理の御指示を待ってという答弁があるのですけれども、きょうの時点ではむしろ総理に進言をして、あなたからひとつこうだということを申し上げるんだというくらいの強い御意思をここで示していただけないでしょうか。
○園田国務大臣 日中友好条約の締結について、これがわが日本にとって有利であるかあるいはどのような利益があるかなどという議論があるわけでありますけれども、いやしくも個人の交際でも、どなたと交際すれば得する、どなたと交際すれば損するということはないわけでありまして、広く交際をして、それが損になるか得になるかはその二人の交際の今後のしようによって決まるわけでありまして、少なくともこの日中友好条約はそういう議論の段階は過ぎたわけで、それは五年前の議論であります。いやしくも条約の次に位する共同声明で約束をし、続いて国民の代表機関である最高機関の国会、衆参両方で議決された問題でありますから、やはり外交行政を担当している私としては、この三つの理由からこれを速やかに締結をする以外には道はないと思い込んでおりますので、その方向で努力をする所存でございます。
○井上(一)委員 いや、私は外務大臣の熱意というものについてはもう何ら疑う余地もないし、大変評価をしているのだということを申し上げておるのです。もう時期到来であり、総理に指示をいただくというよりも、むしろ逆にあなたから進言をする。どんな形でどういうような手順でということは別として、きょうすでに向こうからも会談の申し入れがあったんでしょう。だから、そういう折だから、外務大臣から総理に時期到来、まさにきょうだ、今日だという進言をするお考えがおありですかということです。もう一言、その進言をする考えがあるあるいは全くないのだ、このどちらかで結構でございます。
○園田国務大臣 私は総理大臣の部下でありますから、自分が信ずることは意見も申し上げ、総理が決定をすればこれに従うのが外務大臣であります。白米首脳者会談で同じ飛行機で横に座ったのが三十六時間でありますから、その間いろいろ外務大臣は職責上申し上げておりますけれども、これから先、総理大臣をどうだこうだということは言わぬ方がいいと思いますので、決して質問される意味がわからなかったわけではありません、わざとそのように答えたわけでありますから、御了解を願いたいと存じます。
○井上(一)委員 それでは私の方も、園田外務大臣の腹の中というものはもう前々から進言をしているのだ、こういうふうに受けとめさせていただきたいと思います。 続いて、今度は経済問題について私はお尋ねをしたいと思います。 首脳会議で取り上げられた議題の一つが通貨問題でございます。これは昨日の衆議院の本会議でも、日米両国間の通貨安定のために財務当局同士が為替市場の情報を毎日交換することを約束してきた、こういうような答弁があったわけです。具体的にどの程度の情報を交換するのか、どういう約束をされてきたのか、この点についてお聞かせいただきたいと思います。
○園田国務大臣 通貨問題に関連しては、三日の首脳者会談の前日、米国政府の経済閣僚全部迎賓館においでを願って、そこで総理からまず説明をしたわけであります。 そこで、一つは七%経済成長、これについては国内でも異論があり、米国にも果たしてできるかという意見があるようだが、七%成長については十分時間があればどのような論議をしても論破する自信がある、間違いなしにやります。こういう話。次には、通貨に関連をして黒字の問題を総理の方から持ち出しまして、四枚の資料を配って、そしてその中で、その表の目的は、自動車、テレビ、造船、鉄鋼という種類分けにして、日本は明年度にかけては大体このように輸出を規制したい、減らしたいと思っております。過去、何年はどう、何年はどう、何年はどうで、見通しと実績の相違を言って、そこで、さてそのように計画はしておるが、果たして日本の黒字が幾ら減るかということは空白になっておるはずです。それはなぜ空白になっているかというと、幾ら量を減らしてみても、アメリカのインフレがどんどん高進してくれば、量は減ったが数字はふえるということになるので、黒字減らしができるかどうかということは、一に米国の通貨が安定をし、インフレが起きないということが前提になるということから、こちらから通貨問題を切り返したわけであります。 そこで、主として通貨問題については、米国の方が説明をする立場になったわけでありまして、いまの情報交換というのは、カーター大統領じかにこれから毎日情報連絡をして、お互いに通貨の安定に努力しましょう、こういう話があったわけでありますが、さてこれはどのようなことで、どのような話をするかということは、ここ二、三日うちに決まると思いますが、まだ具体的にその場で出ませんでした。
○井上(一)委員 アメリカのインフレ抑制政策なりドルの安定策等についての具体的な話し合いをやった、情報交換の問題についてはここ二、三日中ということですけれども、まだ決定はなされてないが、外務大臣なりあるいは政府としては、そのような情報交換を基礎に、いわゆる通貨介入をすることもあえてあり得るというお考えなのかどうか。一定の基準を設けて双方が介入することによって通貨安定の効果を発揮していこう。単なる情報交換だけでは通貨安定に反映しないと私は思うのです。この点についてはいかがでございますか。
○園田国務大臣 仰せのとおりでありまして、情報交換には対応策が出てこなければ意味がないわけでありますが、いずれにしても、これは日銀とやるのか、大蔵省とやるのか、大蔵大臣の所管でありますから、その点まだ十分存じておりませんので、私が答弁いたしますと間違いになりますから、これは大蔵省の方へ、時期を見て御質問を願えればありがたいと存じます。
○井上(一)委員 私は、このことは非常に大事なことだと思うのです。日米首脳会議の中で通貨の問題をその議題の一つにされて、具体的な効果を求めての政策というか、そういうものが必要であると思うので、後刻で結構でございますから、関係者、いわゆる大蔵当局にひとつ答弁に立っていただくように御配慮をいただきたい。委員長、よろしゅうございますか。
○永田委員長 はい。
○井上(一)委員 さらに次に、日本側が実質七%の経済成長と大幅な黒字減らし達成を再度約束すると同時に、開発途上国に対する政府開発援助を、従来の五年間倍増から三年間で倍増するという約束をしてこられたわけであります。これで一つお聞きします。 これは両国間の正式な約束事であると私は受けとめておるわけでありますけれども、それに間違いがございませんか。 それから、三年間倍増のスタートはいつからなのか。実はけさの新聞に、昨日の商工委員会で「五十一年度のドル表示額の実績をベースとしたもの」であるという統一見解を明らかにしたと報じられておるわけでありますけれども、これは全くもってでたらめもはなはだしい。こういうことがいわゆる信頼を外交の基軸に置く日米首脳会談での約束事であったとするならば、大変なことである。ここでひとつ外務大臣、これはいかがなものなのでしょうか、お答えをいただきたいと思います。
○武藤政府委員 従来から政府といたしましては、政府開発援助を五年間で倍増以上にするということを申していたわけでございますが、その倍増自体につきましては、五年という期間を待たず、できるだけ早く達成するということを目指していた次第でございます。かかる見地から、このたび倍増自体については三年間で達成することを努力目標とするということを表明したわけでございますが、ただいまお尋ねがございましたその基準年次、ドルベースであるかどうかという点につきまして、けさほどの一部の新聞に報道されていたわけでございますが、これは昨日の商工委員会におきまして大変詳しい御質問があったのに対して答えたことでございますけれども、その三年間倍増の趣旨は、先ほど申し上げましたようなことで、昨年の国際協力会議で五年間で倍増以上にするという目標を表明した時点におきましては、その時点において判明しておりました実績は、五十一年の実績でございましたので、五十一年の実績をもととして五年間で倍増以上ということを考えていたわけでございますので、その延長といたしまして、この三年間倍増のベースは勢い五十一年ということにならざるを得ないのではないかと考える次第でございます。 ただ、このドルベースの点につきましては、これも昨日質問にお答えして申し上げた趣旨は、援助の実績というのはDACの統計ということで国際的に比較されるわけでございますが、DACの統計はドルで表示されているということで、一応はドルということが国際的な実績ということになる。ただし、将来ドルベースがどういうことになるかはもちろん現時点で予想できるたぐいのものではない。でございますので、政府当局といたしましては、ドルベースであるかどうかということとは無関係に、ともかく円ベースで開発援助の拡大の努力をするという趣旨のことをきのう申し上げたわけでございます。
○井上(一)委員 あなた、何を言っているのですか。昨年の十二月に経済協力局が出した「経済協力の現況と展望」という中に、今後の事業予算のいわゆるプロジェクションとして、七八年から向こう五年間、八二年までの具体的な数字を挙げて、ここで倍増を出しているじゃありませんか。外務委員会でこういう数字を基礎にして出して、五十一年の実績ベースだ。一体何をわれわれに説明しようとしているか。これはあなたから聞いたってだめですわ。さらに、昨年の四月三十日、総理は「国民総生産(GNP)に占める政府の開発援助費の比率を、今年度の〇・二八%から向こう五年間に二倍に引き上げる方向で検討するよう指示した。」それも、ベースはやはりGNP比〇・二八を二倍にするんだ。昨日の商工委員会での見解が誤りなら、ここで訂正をしなさい。それでなければ、われわれに出してきた資料は全くもってでたらめか。こんなことで審査ができるのですか。経済協力局が出したこれは、私自身が国際協力事業団法の改正のときに、強くこの点については指摘をしたわけです。園田外務大臣、こんなことが許されるのですか。これが日本とアメリカとの公約の一つの大きな柱として、こんなからくりを歴然として、それが何の信頼関係ですか。何の日本外交の基軸ですか。外務大臣からお答えをいただきます。
○園田国務大臣 外務省で出しました白書は五カ年間に倍増とのことで出しているわけであります。したがって、三年間に倍増ということに変わったわけでありますから、当然これについての補正がなければならぬわけであります。ただ、補正となりますとまたいつ出すのか、どうかということになりますから、外務大臣としてはその程度までしかお答えできません。
○井上(一)委員 全く園田外務大臣のおっしゃるとおりです。それが本当なんです。補正をしなければいけない。補正をいつの予算で、いわば私は今年度の予算の中で補正予算を考えるべきだ、こういうふうに思うのです。そうすると、昨日の統一見解というものはきょう訂正をされるのですね、外務大臣。 外務大臣に、まずこれは日米間の公約であるということのお答えと、そして昨日の五十一年ベースが誤りである、われわれに審議の中で提出をされた数字が基礎であるということをここで明確にお答えをいただく。それが政府の統一した見解であるということを明らかにしていただかない限り、私はこの質問は留保せざるを得ない。
○園田国務大臣 私、統一見解は初めて聞きましたので、おくれて申しわけございません。いま拝見をして、それぞれ私の不審の点を説明したわけでありますけれども、最後に書かれた「将来のドルレートは予見しがたいので」こういうことなので、ドルの変更を見越して実際は金はふやさぬでいこうというのじゃないかということが新聞に出ておったような気が、私日本経済か何かで拝見しました。しかし、その後に円ベースでこれを努力するということが入っておりますので、これは当然政府統一見解と私が言ったこととは食い違いはない。補正予算にいつ出すかという問題だけだと思います。
○井上(一)委員 外務大臣、五十一年を基準にして倍増だという、そういうことはこれは誤りであるということですね。
○園田国務大臣 ちょっと、外務大臣、説明を聞いてもわかりませんから、事務当局の説明をもう一遍聞いてみてください。
○武藤政府委員 外務省の資料に出しましたのは、これは確かに先生御指摘のとおり、五十二年を基準といたしまして五年間でGNP比を国際水準まで引き上げる、そのためにはどういう努力が必要であるかということを外務省の研究グループといたしまして試算をしたというのがあの資料でございまして、ですからあの作業は、五年間で倍増以上という公約とは次元の違う、私どもの内部の作業だったというふうに御理解いただきたいと存ずるわけでございます。
○井上(一)委員 いや、外務大臣、私はやはり日米間の両国の約束事である。それが、前のものを基準にしております。ことしは一・四倍になっておるか一・五倍になっておるか、もう何ぽかなっておるわけですね。大臣、私の理論というのはそういうことなんです。われわれに審議をさしたのは五十一年じゃないわけなんです。そのときに外務省は、同じ経済協力局は、五年間で倍増します。こういう数字を出しているわけなんです。これを三年に縮めますという理解をわれわれはしているわけです。だから、ことし当然その補正があってしかるべきだ、こういう理解をしているのです。ところが、五十一年だというのは、どこをだれが決めて、だれが――そんなことをアメリカに、五十一年だとそんなことをお決めになってこられたのですか。外務大臣、五十一年を基礎に倍増、五十一、五十二、五十三年で倍増するのです。こういう約束なんですか。いかがなんですか。
○園田国務大臣 アメリカとの約束はそうじゃありません。ただ、私がわからぬのは、五年倍増の政府の計画と外務省が出した計画とは別個のものだという説明が私にはわからぬわけです。(井上(一)委員「わからないでしょう」と呼ぶ)わからない。そこで、こういうことは数字の問題でありますから、ここでとっちめずに、大胆が了解できるまで説明を聞いた後で、次の委員会でもう一遍御質問願うか、あるいはそれでならぬとおっしゃるならば、もう一遍研究しろ、どっちかにしていただければ結構でございます。
○井上(一)委員 この点については、ひとつ即刻理事の各位に御相談をしていただいて、ここでひとつ、この委員会で明白にしていただきたい。 相談をしていただいた上で、私はきょうにこの問題は明確にしていただく。 なお、これ以外に私はあえて質問の予告をしておきましょう、外務大臣に。 アメリカが公表された外交文書、下山事件にかかわる問題。それから外務省がいわゆるアメリカで情報収集のために依存外交をしておる、この点。さらに、国際人権規約の提出の問題について。三点の質問は留保し、なおこの日米首脳会議における経済問題については質問を留保して、統一した見解を待ってさらに質問を続けたい、こういうふうに思います。
○永田委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 私はまず、先ほど来出ております竹島の問題をめぐりまして若干御質問をしたいと思います。 韓国当局が竹島の日本漁船退去命令という不法な行動をこういう時期になぜ出してきたのか、私は理解に苦しむわけです。日韓大陸棚関連国内法の成立促進へのデモンストレーションではないかとか、あるいは竹島の実効的支配の既成事実をさらに積み上げようとするものではないのかといったことが考えられるわけですけれども、外務大臣は韓国の今回の行動というものをどのように認識をしておられるか。先ほども単に不当な行為である、行動であるというような御答弁があったように思いますけれども、私は韓国側のこうした態度というものはきわめて非友好的ではないか、このように思うわけですけれども、いま一度確認をしたいと思います。
○園田国務大臣 どのようにしてこういう事件が起こったのか、理解に苦しんでおるところでありますが、少なくとも大陸棚問題の国会審議を前にして、こういうことでこの審議が促進されると思ったら、これは韓国の非常な誤りでありまして、むしろ私は非常な障害になると考えておりますが、真意はどこにあるのか、理解に苦しんでおります。
○中川(嘉)委員 私のお聞きしたことと若干御答弁が食い違ったようにも思います。外相がどのようにこの認識をしておられるかという点の一部としてただいまの御答弁があったのかと思います。 今回のこの問題は、韓国政府が竹島付近における日本漁船を韓国領海の侵犯として抗議をしてきた、こういう報道でありますが、政府はこの不法な要求に対してどのように対応するのか。さしあたりこの成り行きを静観するのだというようなことではならないんではないか。やはり先ほどの御答弁をお聞きしておりますと、交換公文によって紛争の解決を図るというような御答弁があったようですけれども、これは当然としても、いま起きている事態というものを含めて、一体具体的にどういう手をいつ韓国に対して打とうとされるか、どのような反応を先方に対して示されるのか、この点について確認をしたいと思います。
○園田国務大臣 韓国からの申し入れに対して、わが方の古川公使が直ちにこれに反論をして、竹島はわが国固有の領土であって、この領海で日本漁船が操業するのは当然のことである、したがって退去を求められるというそのことこそ遺憾である、こういう返答をしておるわけであります。
○中川(嘉)委員 その反論に対して、さらに韓国側政府からの何らかの反論があったかどうか、この点はいかがでしょう。
○中江政府委員 これは竹島につきまして、今度は日本の漁船の領海侵犯という取り上げ方を先方がしたわけでありますけれども、それ以外にもかつて日本の航空機が上空を通過したということで先方が抗議めいたことを言ってきたことがございます。そういう過去の例でも、いつでもそうでございますけれども、先方は先方の立場に立って日本に対して何か言ってくる。これに対して日本側は日本側の立場に立って反論をするということでございまして、それに対してさらに再反論というようなことはなされていない、そういうものの積み重ねが現在に至っている、こういうことでございます。
○中川(嘉)委員 どうもこれまでの経験を見ておりますと、その程度で、個々の問題がしり切れトンボのような形になってきたといいますか、わが国の姿勢そのものが今日までのような姿勢であるということについては、やはり問題の解決に何ら役に立たなかった。そればかりでなくて実質的には韓国の既成事実を彼らがつくろうとする、このことに協力するというような結果になってきているのじゃないだろうか。したがって、私は、いまこそ韓国のこういった不法に対して、厳重な抗議とともに竹島からの警備隊の撤退とか、あるいは施設の撤去というものを申し入れるべきではないか、このように考えますが、政府のはっきりした態度をこの際示していただきたい、このように思います。
○中江政府委員 先生のおっしゃるような考え方もあり得ようかと思いますが、今回の事件につきまして最終的にどういうふうに落ちつくかを見きわめまして、しかるべき措置を検討してまいりたい、こう思います。
○中川(嘉)委員 最終的にどういうふうな形に落ちつくかを見きわめるというふうにおっしゃられるわけですけれども、その前に御答弁いただいた範囲では、こちらからの反論に対して先方は何も言ってこない、その反論を示さない、ただそれだけでございますということになりますと、その御答弁自体といまの御答弁とがどうも――じゃ一体いつまで待ったらいいのだ、いままでと同じようなうやむやになってしまうではないかという、こちらこそその反論をしたくなる答弁ではないかと私は思うわけです。 それでは伺いますが、日本漁船が竹島で今後とも安全に操業をすることができるかどうか、していけるという確証があるのかどうか。たとえば韓国側が武力によるところの強硬措置というものをとるようなことはあり得ないのかどうか。もしあり得ないと言われるならばその根拠はどういうところにあるのか、ひとつはっきりとしていただきたいと思います。
○中江政府委員 先ほど私、行方を見きわめてと申し上げましたのは、一部の報道といたしまして、韓国の警備艇がわが国の漁船に対して退去を求めたというような報道がございまして、これは真偽のほどが確かめられておりません。そういうこともございますので、事実関係を十分に把握した上で、抗議を申し込むにいたしましても、その抗議の前提となる事実を正確に把握した上で行おう、そういう趣旨を申し上げたわけでございます。他方、この水域における安全操業の確保は、日韓漁業協定に基づいて設立されております漁業共同委員会がございまして、従来からも竹島周辺を含むこの水域の安全操業のみならず、よく最近問題になっております日本の北方水域における韓国漁船と日本漁船との操業秩序の問題、そういったものの中で安全操業を確保していく、そういう場合でも絶えず障害になりますのが、その根本にある領土紛争でございますので、領土紛争の抜本的なといいますか、基本的な解決を見るまでは、操業秩序の維持というものは、双方で操業の安全を確保するという努力がなければむずかしい問題でございますので、よく話し合って操業の安全は確保していく、同時に領土問題というその根っこに横たわっている問題については、先ほど大臣も言われましたように、紛争解決の交換公文があるわけですので、その線に沿ってできるだけ早く解決いたしたい、こういうことになろうかと思います。
○中川(嘉)委員 先ほど伺ったように、安全操業、理屈としてはわかりますが、現実問題として、安全操業ということに対しての確証があるかどうか。また万が一先方の警備艇が何か発砲するとかというような、いわゆる武力による強硬措置をとるようなことがあり得ないかどうか。これはここであり得るかどうかということを議論しても、あるかもしれない、ないかもしれないということになるかと思いますが、もし政府がいま、先ほど来の御答弁で、そういう前提で臨む以上は絶対そういうことはあり得ないのだということであれば、もう少しその辺の根拠をはっきりとしておいていただきたい、このように思います。
○中江政府委員 これは、日本側に日本側の立場がありますように、韓国にも韓国の立場がございますので、そこのところをはっきりとしようとすればするほど領土問題に入っていくわけですが、それに入らない程度では、今回の事件が起きましたときに、韓国側ではこれについて、いわゆる通俗的な言い方をいたしますと、力を行使するあるいは力によって排除するとかなんとか、そういうことは考えていないという感触を得ておるわけでございます。そういう意味では、従来この水域でそういうことがほとんど起きなかったということは、そういう暗黙の理解があってのことであるというふうに御理解いただきたいと思います。
○中川(嘉)委員 先ほども述べましたとおり、竹島問題はそろそろ本格的な決着というものをつけるべき段階に来ているんではないかと私は思います。一体どういうときにどういう形で決着をつけるかということになると、何も起きてないとき、そういう状態であろうとも一日も早いにこしたことはないのですけれども、こういう問題が起きてきたときだけに、政府としてもその場だけの、いわゆる事なかれ主義では解決のために何の役にも立たないと私は思うわけです。したがって、竹島問題が解決しない限り、たとえて言えば経済協力は中止するとか、あるいはこれが議題にならないような日韓定期会議、こういったものは開かないとか、このような形をとってでも強力にそういう日本側の姿勢というものを示すべきではないか、このように思いますが、これに対する外務大臣の御見解を伺いたいと思います。
○園田国務大臣 いま御発言なさいましたようなことも含めて検討しなければならぬと考えております。
○中川(嘉)委員 この竹島問題、きょうはこの程度にいたしますが、いずれにしてももっと政府は強力な姿勢でこの問題に対処していただきたいことをこの際要請いたしまして、次の質問に移っていきたいと思います。 それは当然、本日冒頭に伺おうと思っていた総理訪米の問題でございますが、歴代の総理の訪米というものを見ておりますと、いわゆる日米間の共同声明というものを発表するのが通例である。しかし、今回のこの福田総理の訪米については、先ほど御答弁があったとおり、あるいはまた外務大臣も、渡米をされる前の委員会のこの場においても、共同声明のことは、特にこれを発表するとかというつもりがないような答弁がたしかあった記憶がありますが、このたびの訪米においては共同声明は発表されなかった。 〔委員長退席、塩崎委員長代理着席〕 今回の訪米に関して、総理はみずから効果があったんだと言われるならば、日本側が何を述べて、それに対して米側からどんな反応があったかということについてははっきりさせて、責任の所在というものは明確にすべきではないだろうか、そしてこれを共同声明の形で発表するのが当然ではないか。私は、総理が訪米の効果があったあったとはしゃいでおられること自体を非常におかしく思うわけですけれども、そうすると今度の福田総理の訪米というものは、共同声明を発表する事項もない中での訪米であったのか、こんなふうにとらざるを得ないような気もするわけです。そしていわゆる慣例に従ったところの儀礼的な訪米であったのか、ワシントンもうでという言葉もありますけれども、そんな性質のものであったのかとも考えざるを得ないような気がしてならないわけですけれども、大臣はあちらへ行かれていろいろ御苦労なさったことは私もよく存じておりますが、この問いに対して、いやそうではない、こういうことであった、したがって、共同声明は発表するまでもなかったという、その辺のことをもう一度はっきりお答えをいただいておきたいと思います。
○園田国務大臣 共同声明は、御承知のとおりに二国間の案件があり、その案件について議論があったり、また合意をした場合に、二国間の自後の左証のために出すのが共同声明でありまして、近ごろの首脳者会議をごらんになっても、首脳者会議ではほとんど共同声明を出しておりません。というのは、先ほどから言いましたとおり、二国間の案件よりも世界の動向についておのおのどのように相談し合うかということになってまいりますので、率直に遠慮なしに話し合う、こういうことか主であって、共同声明を出すとなるとそれに拘束されるおそれがあります。したがって、自由に論議し、自由に討議をしてお互いに率直に話し合う、こういうことでは、共同声明はない方がかえってやりやすい。共同声明を出さなかったことは、むしろ日米関係が成熟をしたことである、このようにわれわれは判断をしているわけでございます。
○中川(嘉)委員 そうしますと、このたびは日米間の特に問題となるべき案件が全くなかった、そしてお互いに合意したことも一つもなかった、だから共同声明を発表しなかった、こういうふうに解さざるを得ないわけですが、その反面、なぜこの発表をしなかったかをせんさくするつもりはありませんけれども、何かその辺に発表してはならないような日程的なものがあったんじゃないかというようなことも私たちとしては感じざるを得ない。たとえて言えば本日の新聞報道ですけれども、いままで明らかにされていなかった日程として、総理はこのたびの訪米に際してキッシンジャー元国務長官とひそかに会談をしておられる、そうして日中、米中問題について意見を交換した、このように言われておりますが、果たしてその事実があったのか、もしあったとするならばどういう内容の話し合いがなされたのか、この点はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 会談あるいはその他の懇談会で極秘にしている機密の事項はございません。キッシンジャーと総理が会われたことは事実であります。それは最後にワシントンを出る四日の晩だと思いますが、わが方の駐米大使東郷君の主催によって招待のレセプションをいたしました。これは五百数十名おいでになって、非常に重要な前閣僚あるいは前大使あるいは現閣僚がほとんどおいでになりましたが、そのときに総理が疲れておって、総理はもうお休みになったらどうだというので別室におられたわけでありますが、特に重要な方が来られたら呼んでくれ、こういうことで、そこへキッシンジャーがおいでになりましたので、総理は出てきて、そこで話をされたわけでありまして、これは特別の政府の関係でもないし、また現在のことではありませんが、キッシンジャーは御承知のとおりに各地をかけめぐってそれぞれの国内事情に詳しいわけでありますから、どんなものですという意向を聞かれた程度でございます。
○中川(嘉)委員 キッシンジャー氏はそのときに、米中関係についてどういう構想を持っていたか、特に台湾問題の処理についての構想はどんなものか、先ほど秘密にする何物もございませんというお話なので、この辺もちょっと聞いてみたいわけですけれども、キッシンジャー自身は「台湾問題の処理が重要だ。」ということもそのとき述べたそうですし、また「私なりに解決のプランは持っている。」こんなふうな言葉もあったようですが、その辺はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 キッシンジャーの話は、中国については私が一番詳しく知っているんだ、いまでも一番情報を知っている、しかし、私は政府の役人じゃないから何もそういう意見を出す必要もないから出さないんだ、中国の方は日本と早く条約を締結したいと望んでいる、この程度の話でございました。その腹案とか計画等については話はありません。
○中川(嘉)委員 そうすると安心して記事が読めなくなってくるわけですけれども、「私なりに解決のプランは持っている。」もっともらしい報道であるわけですね。それでは米政府はキッシンジャー氏を特使として中国に派遣することもあり得るのかどうかという問題なんですが、この問題についても、現在も月一回はワシントンで中国側と接触を続けているらしい。そうしていつでも中国に行く準備はできているんだというようなことも同氏は言っているそうですが、この点はいかがですか。
○園田国務大臣 先ほどから申し上げるとおり、中国のことはアメリカではおれが一番詳しいんだ、おれの知恵を借りなければできないよという程度の話でございまして、おれはおれなりに意見を持っている、だけれども、自分は担当者じゃないからそれは言わないということでありました。なおまた、現在の政府の閣僚も全部私に相談に来ているというような話で、突っ込んだ具体的な話、計画等はございませんでした。
○中川(嘉)委員 キッシンジャー氏のことですから、そのぐらいの自信たっぷりななにがあったのだろうと思いますが、わが国の場合においても、中国のことは自分が一番詳しいのだ、おれがいなければできないのだという言葉が、特に園田外務大臣の口から一日も早く飛び出してもらいたい、こんな気持ちでいまお聞きしているわけです。 これに関連しまして、福田・カーター会談で総理及び外務大臣は米ソ関係、米中関係あるいは朝鮮民主主義人民共和国との関係の展望等について話し合われたと思うのですが、これらの問題についての米国側からの具体的な政策はどういうものであったのか、この辺はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 先ほどちょっと触れましたが、米国側の意向は、私と同じような意見でありまして、中ソの対立というものを利用して外交を進めていくと危険である、したがって、中国とも友好関係を進め、ソ連とも友好関係を進めたいという意向に間違いないようであります。要するに、抑止力によって戦争を未然に防ぎながら緊張緩和、平和共存の方向に持っていきたいという方向であることには間違いないと私は判断して帰ってまいりました。
○中川(嘉)委員 ただいまの御答弁にも関連しますので伺いますが、今度の訪米で世界の中の日米の役割りという言葉がよく出てきておりました。日本政府としては、この世界の中の日米の役割りに対する図式があるのかどうか、無論、図式もないのに役割りが果たせるわけはないと私は思いますが、この辺を明らかにしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 総理はどの会談でも、第一に日本の憲法を言われて、日本は特別の憲法を持っておる、したがって、世界に貢献するについても軍事力、力をもって貢献することはできないし、したいとも思わない、よって、日本の持っている応分の経済力をもってこれに協力することはやぶさかでない、こういうことが総理の趣旨でありました。たとえば、世界経済の不況の克服、保護貿易の台頭の抑制あるいは各国の貿易バランスの維持、南北問題特にアジアの安定と繁栄、こういうことを話しておられました。
○中川(嘉)委員 軍事力はもちろんあれですが、経済力ですね。しかし、経済政策そのものも一つ間違えば今日のような事態を招来するわけで、わが国の国益というものを十分考えた上での協力でなければならないことは言うまでもないわけですけれども、やはり米中ソの三極構造の中の日本の政策決定ということの方が重要ではないかと私は考えるわけです。こういう意味で米中ソの三極構造の中での日本の政策というものをむしろ外務大臣に私はお聞きしてみたい。 この巨大な三極構造の中でわが国の安全にとっての最大公約数といいますか、これはやはり等距離中立政策以外にないのではなかろうか。三極間に万一戦争という事態が発生した場合、もちろん仮定でございますが、わが国が直ちにこの戦争に巻き込まれないための政策の確立こそが、わが国の安全にとって急務ではないかと考えます。ことに、わが国の立地条件を考えるならば、わが国のとる政策というものはやはり等距離中立以外にはないことはもう歴然としているのではないか。世界の中の日米の役割りを果たすための図式のみでは余りにもお粗末じゃなかろうか、私としてはこう言わざるを得ないわけですが、ただいま申し上げた三極構造というものを踏まえた、もう少し掘り下げた図式というものをここで外務大臣のお口から伺いたいと思います。
○園田国務大臣 米ソの中にある日本、三極構造といいますか、これがきわめて大事であって、これに対する対応が日本の運命を決するということで、米ソ中の対立を緩和し、戦争を絶対に起こさせてはならぬ、こういうことが一番大事であることは全く御意見のとおりでありまして、そういうことを私は主張して帰ってまいりました。
○中川(嘉)委員 時間が限られておりますので、次に日中問題で若干伺いたいと思います。 いろいろ論議が展開されてきているわりになかなか結論めいた御答弁がないわけで、どこからどこまでをどのように信じていっていいのかという疑問が若干出てくるわけですが、今回の福田総理の訪米によって日中交渉は果たして進展するのかどうか。向こうに言われたからどうこうじゃないというお話もありますが、今回の訪米と日中交渉とは全く関係ないものなのか、この辺、まず伺いたいと思います。
○園田国務大臣 今度の首脳者会談と日中友好交渉は全然関係はないと思います。会談でも、ございませんでした。
○中川(嘉)委員 最近、わが国各界の方々の訪中団に対して中国の要人の方が、日中平和友好条約に関連していろいろな発言を行っておられる、そういう報道もたびたびあるわけですが、その発言の責任の所在については必ずしも明確じゃないのじゃないだろうか。経済界の方が行かれたあるいは政党の方が行かれた、そのときに要人がこのように言った、あのように言ったと、いろいろな報道があるので、では一体、どこで、だれがその責任をとるのかということになったときには、これまた全く明確ではない。こういうときこそ、たびたび言われておりますように、大臣みずからが訪中をされる、そのことによって公式の責任者と直接話し合って相互の意思の疎通を図ることが必要ではないだろうか、このように私は思うわけです。園田外務大臣としては、訪中はまだその時期ではないと言われるのかどうか。先ほどあのような御答弁がありましたけれども、訪米後の新たな段階を踏まえてのお答えをこの際いただきたいと思います。
○園田国務大臣 今度の訪米によって影響はないということは、いままでどおり友好条約締結に向かって不変の方針で進むということでありまして、それを進めるについては、いまそれぞれ話を詰めておりますので、それが詰まりまして私の行く時期があれば、私は喜んで行きたいと考えております。
○中川(嘉)委員 これもまたたびたびの御質問になりますけれども、非常に残念なことに、この半年ぐらいでしょうか、それ以前からかもしれませんが、なかなかそういった決断めいたお答えがない。それにはいろいろ原因があろうかと思いますけれども、例の党内調整はすでに完了したのかどうか、もし党内調整がつかないとするならば、――これからが御質問になるわけですが、ある時期には見切り発車ということもあり得るのかどうか、この点はいかがでしょう。
○園田国務大臣 これは総理の決断でありますけれども、党内の御意見等もだんだん出尽くしてくるころでありますし、私もまた党内に行って御理解を得たいと思っておるところでございます。
○中川(嘉)委員 そうすると、日本の政府として見切り発車というものは考えていない、そういうものの調整をきちっとしてからでなければ再開そのものにも入っていけない、こういうふうに了解をしていいかどうか、いかがでしょう。
○園田国務大臣 これはどこの党でもそうでありますけれども、重大な問題で党が一本にまとまるということは大体考えられませんので、党内多数の意見によって方向は決定されることだと思います。
○中川(嘉)委員 現在参議院で日韓大陸棚共同開発協定に伴う関連法案の審議が行われておるわけですけれども、この段階でいわゆる東シナ海大陸棚問題で中国に話し合いの申し入れをする必要はないのかどうか、この問題で将来中国との間に紛争となるおそれは絶対生じない、このように政府は確信をしておられるのかどうか、この点はいかがでしょうか。
○中江政府委員 従来、日韓大陸棚協定に対して、中国側がこれを中国の主権の侵害であるという強い口調で抗議の意向を表明してまいりますたびごとに、私どもといたしましては、日韓大陸棚協定の対象水域もさることながら、いま先生御指摘のように、日中双方にとっては、そのさらに南西に大きく広がっております大陸棚について、日中間で話し合いをする必要があるし、また日本側としてはいつでもその話し合いに応ずる用意があるということを中国側に申しておるわけでございますけれども、現在までのところ、その用意があるという返事はいただいておらないわけでございます。 将来紛争になるかどうかという点は、まず境界画定の話に入ってから、意見の相違があれば、それは一極の紛争ということになるかもしれませんが、まだその話し合いに入っていないわけでございますので、紛争になるかどうかということを判断するのは早過ぎるのじゃないか、こういうふうに思います。いずれにいたしましても、日本の立場によりますれば、大陸棚をはさんで日中両国が相対しておるわけでございますから、その境界画定をする必要がある、そして、その境界を国際的に画定するためには日中間の話し合いは不可避である、こういう考え方でございます。
○中川(嘉)委員 中国が再三抗議を行ってきておることは事実ですし、また、日本政府がこれを当然黙殺するべきではないし、私は、こういったことは、国際儀礼上からいっても、やはりわが方から何らかの回答というものをしてしかるべきではないか、こう思いますので、まあ向こうの出方もあろうかと思いますけれども、その基本的な精神というものを失わずに、あくまでも続けていただきたい、このことを要望しておきたいと思います。 それでは次に、ベトナムの難民問題について二、三伺いたいと思います。 政府は、福田首相の訪米に先立って、ベトナム難民の受け入れということを決定したわけですけれども、これはどのような理由によるか。これまでの政策を変えた理由そのものをまず伺いたいし、今度の措置は人道という理念によって行われたのか、あるいは政治的配慮によって行われたのか、この辺についてまずお答えをいただきたいと思います。
○黒木説明員 御説明いたします。 日本に参りました従来の難民につきましては、政府としましては、とりあえず第三国に定住できるまでの間の一時上陸を許可する、こういう方針で過去三年間ほど臨んできておるわけでございますが、そのとき以来、難民の中で一定の条件のある者については日本に定住をさせてもいいのではないかという意見がございましたけれども、これにつきましては、わが国の国情、社会情勢その他いろいろの問題がございまして、にわかに結論は出ないという状況にあったわけでございます。それで、昨年の九月に、政府におきまして「ヴィエトナム難民対策について」という方針を定めました際も、閣議了解の中の一項目に「ヴィエトナム難民の本邦における定住等の問題については、引き続き今後、検討する。」という一項目も入っておった事情があるわけでございます。自来内部で種々検討しておりましたところ、最近に至りまして、一定の条件のもとで定住を認めてもいいだろうという合意を得まして今度の政策が発表されたということでございまして、これは全く人道に関する結論であると、こういうことでございます。
○中川(嘉)委員 いまおっしゃった一定の条件を必要とするとするならば、それはどういう内容ですか。
○黒木説明員 このたび決定いたしました内容と申しますのは、まず前提条件、条件になじむかどうか問題はあるのですが、まず、本人が日本への定住を希望するということ。それから、日本の社会で今後生活していただくわけですので、善良な社会人としての生活を営むと認められる者であるかどうかということがまず前提にあるわけですが、さらに、そういった人たちの中で、一つは、日本人、外国人を問わないのですけれども、結婚して、夫であり妻であるどちらかが日本に住んでいるというような場合、それから親子関係があるような場合、こういった場合には定住を考えてもいいだろう。 それからもう一つは、親子、夫婦の関係ではなくて、たとえば里親のような方が小さい子供さんを引き取ってめんどうを見る、それも一時的なものじゃなくて、将来にわたってもずっとめんどうを見てくださるというような方があれば、その子供についても定住を認めてもいいのではないか。 それからもう一点は、そういった親族関係ないしは里親ではなくて、日本で将来にわたって安定した生活を営んでいけるという見込みのある人、具体的に言いますとやはり一定の職についてないといけないと思いますけれども、そういった人で、なおかつ、将来本人に万一の場合があった場合をおもんばかりまして、その人について確実な身元引受人というものがございますれば、その本人ないしはその家族につきましても定住を認めたい、こういうのが内容でございます。
○中川(嘉)委員 確かに、ここにもちょっと条件が出ているのですが、「日本人または在日外国人と婚姻、親族関係にある者」、いまの御答弁と重複するようですけれども、「日本に確実な里親のある者」、三番目に「健康で安定した生活を営める職について、確実な身元引受人のある者、と民間の受け入れを前提に」云々と書いてあるが、こういう条件を持たない難民、御承知のとおり受け入れようとするのは着のみ着のままの難民である。そうじゃないですかね。この条件のふるいにかけられてしまうと、もうぶら下がって残っているのはほんの少しになってしまう。これは相当厳しい条件で、よくもこれだけ条件を、里親があるだ、やれ身元引受人がいるだ、こんなのは、着のみ着のままで来た、それこそいまにも船からはい上がりたい、そういう状態の難民には全く当てはまらない、私はこう判断せざるを得ないわけですけれども、こういう条件にこぼれ落ちてしまうような人たち、言いかえればそういう条件を持たない難民について一体どうするんだ、本国送還というようなこともあり得るのかどうか、この辺はどうなんてしょうか。
○黒木説明員 ちょっと説明が足らなくて申しわけなかったのですが、従前どおり、港に着きました難民につきましては、日本国としましては一切これを、国連の保証等の条件はありますけれども、一時滞在を認める従来の方針には変更はございません。それで、一時滞在しております間に先ほど申し上げましたような条件が成就した者、こちらとして定住を認めても差し支えないと認められる者はその中から定住が認められていくということでございまして、先ほど前提条件かと申し上げました、たとえば日本に来ましても日本に住みたくない、アメリカに行きたいというような方があれば、当然これはアメリカへの出国の手続を促進する、こういう形になっていくわけでございます。
○中川(嘉)委員 大臣も御承知かと思いますが、これは記事がありますのでちょっと参考までに一部だけ読んでみたいと思います。 国連難民高等弁務官事務所には定住先のあっせん、救助した外国船の本国政府には引き取りの保証を求めている。これを国連高等弁務官事所だけの保証に簡略化してほしい。外国政府の引き取り保証には時間がかかり、外国船が予定をこえて日本の港に停泊したり、待ちきれず、難民をのせたまま出港した事例がある。 欧米諸国は、これをとらえて「日本が一時上陸も拒否した。これが原因で、外国船は海に漂う難民を見殺しにしている。日本は非人道的だ」と非難している。 と、こんな記事もあるわけなんで、このたび首相訪米の前にこういった決定があったということについては、納得できるところですけれども、やはりただいま申したような条件については不当に厳しいものを感じざるを得ない、このように思います。 これに関連して伺いますが、今回の決定に関連して、それでは立法措置を必要としないのかどうか、単独立法あるいは入国管理法の改正というような法手続が必要ではないかと、このようにも思いますが、この点はいかがですか。
○黒木説明員 今度の決定に当たりましては、国内法はいじらないと申しますか、現行の国内法の範囲内で実施するというふうに私どもは考えて措置をいたしたわけでございます。
○中川(嘉)委員 そうすると、そういう立法措置とか、あるいはいま申した単独立法あるいは入国管理法の改正、こういう法手続は必要ないというふうに解釈してよろしいわけですか。もう一度確認してください。これはこれからいろいろ問題のあるところですから、伺いたいと思います。
○黒木説明員 現在のところ改正は考えておりません。
○中川(嘉)委員 現在のところということですので、これからのことを勘案して、そういう可能性もある、このように私はいまここで了解をしておきたい、このように思います。 ところで、日本の船舶が海上を漂流している難民船に遭遇をした場合、その船長のなすべきことは一体どういうことかということですが、これらを救助するのか見捨てるのか、船長の裁量にゆだねられているのか、政府はこの場合の船長のとるべき措置を指示しているのかどうか、あるいは国際法もしくは国際慣習として何らかの定めがあるのかどうか、この船長のとるべき裁量について、これはいかがでしょうか。
○塩田説明員 お答え申し上げます。 いま御質問の件につきましては、国際条約がございまして、一つは公海条約、それからもう一つは海難の救援救助に関する統一条約、この二つがございます。また、具体的な救助の方法等につきましては、海上人命安全条約等におきましても規定がございます。
○中川(嘉)委員 船長のその場合のとるべき措置、これは一言でちょっと説明していただけますか。
○塩田説明員 ただいま申し上げました国際条約を国内法で施行しておりますのが船員法という法律がございます。その船員法によりまして「船長は、他の船舶又は航空機の遭難を知ったときは、人命の救助に必要な手段を尽さなければならない。」ということになっております。
○中川(嘉)委員 難民の概念については、いわゆる政治的な難民あるいは亡命者、戦乱とか飢饉等による難民、この三つの形態が考えられますけれども、このたび政府が受け入れを決定したベトナム難民は、まずこの第一段階において、この三つを総合したものと見てよろしいかどうか、この点はいかがですか。 〔塩崎委員長代理退席、大坪委員長代理着席〕
○黒木説明員 このたび決定しました、定住を認めようという難民は、わが国に一時滞在を認められているベトナム難民という限定がございまして、広く一般のという趣旨ではございません。
○中川(嘉)委員 一時滞在を認められるその難民ということは、要するに難民そのものの概念ですね。それは政治的な難民、それから政治的な亡命者、それから戦乱とか飢饉等による難民、この三つを総合したものと、それでは考えてよろしいですか。この中でこれとこれはだめですとか、何かそんなものはありますかということですね。
○黒木説明員 今度の決定は、内容的にいま先生の御質問のような種類には分けておりませんで、先ほど来お話のあります。ボートで海上に脱出して船舶等に救助されたベトナムの難民、こういう人たちについての定住ということでございます。
○中川(嘉)委員 そういうことであれば、ボートで脱出をしたその中にこういう三つのタイプの方々がおられた、こういうふうに解釈をしてもいいわけですね。 次に、時間が来ましたので、最後にこれに関連して一問だけ伺っておきますが、わが国は難民条約に加盟する用意があるかどうかですね。私は人道的な見地からも当然加盟する必要がある、こう思いますけれども、この見通しについて伺いたいと思います。
○大川政府委員 難民の地位に関する条約、それからもう一つ難民の地位に関する議定書がございますけれども、この二つは、いわゆる難民の人権を保障して、そのいる国における地位の安定を図るということを趣旨としております。したがいまして、政府としてはもちろんこの趣旨には賛成でございます。ところが、この条約をしさいに検討いたしますと、非常に広範囲の事項にわたっておりまして、その難民に対して保護を提供しなければならない事項が多彩であるということでございますので、外務省だけではなくて、関係省庁とも十分検討していかなければならない。したがいまして、引き続きこの条約の内容について検討を続けているという状況でございます。
○中川(嘉)委員 外務大臣に一言だけお答えをいただきたいと思いますが、この難民の問題です。難民条約には、いまおっしゃった手続的な問題、いろいろな調査とか省庁間の連絡とかいろいろあろうかと思いますが、外務大臣として、やはりわが国としてこういった条約には人道的な立場から一日も早く加入すべきであるという決意のほどを最後に伺って終わりたいと思います。
○園田国務大臣 わが国の条約で、いまのような人道的な問題、人権の基本に関する問題等で条約に入っていないのがまだたくさんあるわけであります。すべてこれに入るとなると、国内の法体系、各省の関係が広いので、これをまとめるのに非常に苦労しているわけであります。しかし、それができないので、日本が人権に対して冷淡であるという不当なそしりを受けていることも事実でありますから、こういう点はそういう障害を克服をして、なるべく早くこれをまとめて、条約に入るようにしなければならぬと考えております。
○中川(嘉)委員 以上で終わりたいと思います。
○大坪委員長代理 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 私は、国際情勢審議ということで、大臣に三つの点でお伺いをいたしたいと思います。 一つは、実は私、個人事になりますけれども、先般社会主義インターナショナルという国際組織で軍縮問題の会議をヘルシンキで開きましたが、それに出席してまいりました。その際にフィンランドの日本大使館、ちょうどそのときに大韓航空のあの事件が起こっておりまして、非常に御苦労をしておられました。その御苦労を多とするものでありますが、私関連してひとつ大臣にお尋ねしたいのです。 聞きましたところ、大使以下タイピストさんも含めまして館員の方はフィンランドにおいて五名である。ですから、こういう事件が起こりました際、大韓航空の事件なんかというときには、大変な御苦労でございました。実際にはモスクワの日本代使館から人が来る、あるいはまたストックホルムの方からも日本大使館の方が応援に駆けつける、この事態というものをどうごらんになりますか。実はフィンランドのような国というのは、国が小さいからとか、日本から離れているからではなくて、こういう言葉を使っていいかどうかわかりませんが、ああいう緩衝国のような状態に置かれているところは、日本の国際的な活動にとっても非常に重要だと私は思うのです。事実、軍縮の問題にしましても、先般の全欧州安全保障会議を初め、いろいろな国際会議がフィンランドで開かれている。貿易が多いとか少ない、遠い近い、そういうことよりも、むしろ日本のこれからの外交の観点から、私は、そういうフィンランドのような国と日本の外交活動を活発化させる必要があると思います。 その一つの象徴的な姿が館員の数というようなところにもあらわれてくる。これについてひとつ大臣のお考えを聞かしていただきたい。今後どのようにしていかれるのか。特にまた最近はネパールの国王さんも日本にいらっしゃるやに聞いております。小さな国かもわからぬけれども、ああいう両陣営の接点にあるような地域というのは、日本のこれからの外交にとっては非常に重要だと私は思いますので、大臣の御見解、抱負をひとつ聞かしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 行政改革等叫ばれておる時期であり、定員の縮小と言われているときでありますけれども、わが外務省は遺憾ながら戦争中、中断をしておりました、その間閉店休業の状態で、それから平時の定員をそろえるに至らぬままにいまの事態を迎えております。したがいまして、よその省と違って、まず本省で、私が大臣に就任してから局長、参事官等、多数の病人が出ております。これは私の責任でもあると考えて、非常に深刻に考えておるわけでありますが、要は定員が不足で、外交事務がどんどんふえてくる、しかもその外交事務が多岐にわたってくる、こういう全般的な定員の問題もあります。もう一つは、いまおっしゃるとおり、館員が五名、七名などというところがありまして、しかも、それがいままでの惰性等で、国に対する序列みたいなものがありまして、それからやられておりますが、これはそうではなくて、いまおっしゃるように東西陣営の接点であるとか、あるいは両陣営の足場であるとか、あるいは情報収集の拠点であるとか、こういう外交上重要な点についてはとりあえず早急に定員をふやさなければならぬ、なかなか困難ではありますが、外交事務を正当にやるだけの定員をそろえていない、私はこのように反省をいたしておるところでございます。
○渡辺(朗)委員 この問題についてはひとつ大臣の積極的な御姿勢で大いに活動を活発化させていただきたいと思います。 第二番目に、中国問題についてお尋ねをいたしたいと思います。 先般、外相も行かれました日米首脳会議の際に、日中の交渉の成功を祈るというカーター大統領からの言葉があったやに聞いておりますが、どういう経緯でそのような言葉が出てまいりましたでしょうか。そこをちょっと聞かしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 今度の会談の中で世界情勢、特にアジアを中心にした意見の交換があったわけでありますが、その一環として、中国に対しては共同声明の線に従って日中友好条約締結に向かって諸準備を進めてきた、ようやく交渉再開の段階になろうというときに尖閣列島の問題が起きて困ってはおるが、大局的な見地からこれを処理して友好交渉を進めたい、こういう話を総理がされましたら、大統領の方から、しっかりおやりください、成功を祈ります。こういう発言があったわけであります。しかし、これは私とバンス国務長官の際にもそういう趣旨の発言があり、総理とカーター大統領二人のときにも同様の発言があった。こういうことから考えてみますると、やはり米国自体が中国に対する積極的な友好関係を結ぼうという意欲がある、それから日本と中国の条約交渉が進むことはアメリカとしても歓迎するところである、こういう趣旨に私はとってまいりました。
○渡辺(朗)委員 そうしますと、外相、ちょっと中断しておりました日中交渉をいよいよお進めになるというふうに、いまのお言葉からも語感として感じられたのですが、これからのいわば交渉日程というような形は、お考えどのようなものでございましょう。
○園田国務大臣 先ほどから申し上げますとおり、米国から成功を祈られたり激励をされたりして日本の外交はとかく左右すべきものでは断じてございません。しかし、かといって、米国の方で歓迎するからといって何もこれに虚勢を張る必要はありませんので、既定の方針どおり私はやっていかなければならぬが、むしろこれがだんだん延びますと、いろいろな国から歓迎されたり祈られたりすると、いかにも日本の外交がよその国の意見によって動かされている印象を国民に与えることは大変なことでありますから、もはやこの事態に来たということは、国内的にも、国際的にも機が熟しているわけであるから、こういうことがないように一日も早くけりをつけるべきである、私はこのように考えているわけでございます。 〔大坪委員長代理退席、委員長着席〕 したがいまして、一時首脳者会議等で中断をされ、尖閣列島で一時停滞をしておりましたけれども、これから先段取りを順々と進めていくべきである、このように考えております。
○渡辺(朗)委員 先ほどからも話が出ておりましがた、尖閣列島問題、これは中国側の方で偶発と政府の高官が発言をしている。そうしますと、日本側の方は、そうでしたか、偶発でしたかということで確認をして、そして進められますか。それとも、そうではない、これは偶発というには余りにも重大な問題であるというような形でその問題を取り上げて交渉の窓口とされますか、そこら辺はどのようなお考えでございましょう。
○園田国務大臣 これは今後かっこよくいくか、ひっかかるかの境でありますから、非常に微妙な問題でありますけれども、少なくとも五年前結ばれた共同声明の線に立ち返って、日本が有効支配をしているところでありますから、これは竹島とかその他とは全然違うわけであります。今後このような紛争がないように両方が努力をすればよいことでありますから、そういう観点から日中友好条約を進めるという大所高所の観点から話は処理していくべきであると私は考えておりますが、具体的には今後にかかる問題でございます。
○渡辺(朗)委員 大臣、ちょっと角度を変えてお尋ねしてみたいと思うのです。 そうしますと、やはりたな上げというような考え方で進めるという形になりますね。いかがでございましょう。
○園田国務大臣 双方が納得すればいいことであって、尖閣列島の帰属をここで決定しなければ交渉に入らぬということでは話は進まぬし、またそれは日本にとっては礼儀ではない、私はこう考えますので、起こった事件は事件として両方が感情的に了解し合い、今後こういう事件が起きないようにという話ができれば、それからは友好交渉に進んでよいと考えております。
○渡辺(朗)委員 私、いままで新聞やら、あるいはいろいろ大臣の口からもお言葉がありましたよく使われるたな上げということなんですけれども、これは中国語に翻訳したら一体どういう言葉を使うんだろうか。大臣はあるいはよく御存じなのかもわかりません。どういう言葉を使うんだろうか、中国語のよくできる方にお聞きしましたら、掛けるというんですね。グワという言葉を使うんだそうですね。グワという言葉は掛け算の掛けるという字でございます。中国には壁にたながございません。みんな、帽子でも服でも目に見えるところにかけておくわけであります。日本ではたなだ、たなの上だということになるとかもいより上ですから目に見えないところに大体置かれてしまう。そこら辺の認識の違い、私は、たな上げといって言っておりますけれども、やはりちょっと受け取り方が双方違うんではあるまいか、そういうことを感じます。中国語に翻訳した際の私の印象でございます。 さらに、中国語のできる方に聞いたら、放一放、ファン・イー・ファンという言葉も使うんだそうです。それは横っちょの方に置いておくという言葉なんだそうでして、たなの上に、目に見えないところに置くのではございません。そういうことですから、やはり大分認識が違っていたのではあるまいか。たな上げという言葉はだれが言い出したのか知りませんけれども、これは何か大臣にお聞きするのはちょっとむずかしい問題かもわかりませんが、この中国語翻訳、たな上げという言葉について中国側は本当に理解しているのかどうなのか、そういう語感の問題を含めて、大臣の御印象いかがでございましょう。
○園田国務大臣 中国は通俗的にはたな上げと向こうが言っておるし、こちらはたな上げではなくて話を後に残す、こう言っておるわけでありますが、結局これは国交正常化のときの認識に立つべきだと考えております。そのときの認識とは、すなわち中国側からこれは話さない、こういうことでございます。
○渡辺(朗)委員 この問題はこれだけにしておきます。 三番目に、私、あと十分しかいただいておりませんので、軍縮の問題についてお尋ねをしたいと思います。 特に、国連軍縮特別総会の問題についてお尋ねをいたしますが、大臣がこれに御出席されるというふうに聞きました。そして大臣のこの総会における演説の骨子もまとまっているやに聞きましたが、いかがでございます。そうでございましょうか。
○園田国務大臣 正式の決定ではございませんが、今度の軍縮特別総会は世界各国が注目している問題であるし、非常に画期的な総会であると存じます。よその国からもほとんど総理大臣が出席をするわけでありますから、そういう意味において、日本からも総理大臣御出席願いたいと最後まで努力をしておるわけでありますが、いまのところ、日程上私が行かざるを得ないことになるのではなかろうかと考えております。 そこで私はこの軍縮総会に行くための諸準備をいま事務当局にお願いしておるわけでございますが、この軍縮総会では、核の洗礼を受けたただ一つの日本民族として、核の廃絶、そしてまた世界に先駆けた交戦権放棄、平和のために精進をするという誇りある日本国憲法、非核三原則及び日本の置かれた立場等を前提にして、私は核を持って困っている国にも核の脅威におびえている各国の人々に対しても訴えたいと考えておるわけであります。なおまた、それをするにつきましては、友好国には連絡をしつつ、私の演説の一つでも実現するようにやっていきたいと考えております。
○渡辺(朗)委員 私は、外務大臣いらっしゃること大変結構なことだと思います。ただ、外務大臣であってはならぬということではございませんで、あえて申し上げたいと思うのですが、世界各国がこの特別総会というのは国連史上初めてのことであり、大変に注目している。大統領なり首相なり元首がやはり大変勢い込んでこれに出席するというような動きがある中で、総理が日程上でどうも都合がつかぬというのは、それほど大きな問題が、障害になるような何か日程がございますのでしょうか。そうでないと、ちょっと熱意のほどが国際的に疑われるのではあるまいかと思いますが、いかがでございましょう。
○園田国務大臣 総理も非常な熱意と関心を持っておられるわけでありますが、総理の外交日程と、それから先般アメリカに行ったばかりであるというようなこと等もあって、なかなか御出席できかねるのではなかろうかと想像いたしております。
○渡辺(朗)委員 じゃ、それはそれとして了解いたすといたしまして、大臣いまおっしゃいました核兵器の廃絶を被爆国の立場から訴える、私大変重要なことだと思います。ただし、今回の国連特別総会は、軍縮問題で三十年間そういうふうに日本は提唱してきた、世界の世論もそういう形になってきた、にもかかわらず、逆に高度の大量殺戮兵器が発展していっている、あるいは軍拡競争が発達した、こういう中から危機意識を持って開かれる。私は、核廃絶だけをする、核兵器だけをやめさせればいいという日本の悲願はわかるけれども、それをどう進めるのかという具体的な提案をしなければならぬだろうと思います。この点について、外務大臣いかがでございましょう。特に、今度は行動計画をつくるはずでございます。その行動計画をどのように用意し、お持ちになって参加されますでしょうか。
○園田国務大臣 お説のとおりでありまして、核廃絶は世界の人類の悲願であり、理想であります。これを冒頭に訴えますが、さてそれをやるについてはそれぞれ段階があり、目標があり、同時にまた、具体的に段階的に進めていくためには、これに賛成する国々の同意も必要でありますから、そういう点はいま具体的に検討しているところでございます。
○渡辺(朗)委員 さらに、この国連特別総会の準備のための七週間の会議が終わりました。最終草案が残念ながらできておりません。国連総会で採択すべき案は、いろいろ参加国の対立もあって草案ができておらない、こういう状態だと聞いておりますけれども、どのような気で対立があり、日本はそれをどのように処理しようといままで努力されましたでしょうか。
○大川政府委員 この軍縮総会で採択される予定の基本的な文書は、軍縮の宣言と軍縮に関する行動計画でございます。いま言われましたとおり、軍縮総会の準備委員会、五回開かれまして、そこでいろいろ各国間でその文書の草案を練ってまいったわけでございますけれども、まだ完全に合意に達しておらず、かなりの個所につきましては、いわゆる括弧書きの中に入れて残っております。したがいまして、軍縮総会自体が始まりましたら、全体委員会のもとで、宣言に関する作業部会とそれから行動計画に関する作業部会と、恐らく大きくいいまして二つの作業部会に分かれて、それぞれのその文書についての最終的な合意を目がけて、引き続き交渉が行われることになろうかと思います。 その中身につきましては、宣言の方はどちらかというと一般的、抽象的な内容でございますので、より対立点が少のうございますけれども、行動計画の方はかなり具体的な問題を取り上げようといたしておりますし、まだ対立している点が多いようでございます。基本的には、いわゆる非同盟諸国が具体的なタイムテーブルをつけて、いついつ、何年までにどういう措置を達成すべきであるという期限をつけようといたしておりますのに対して、西側の諸国、それから東側もそうでございますけれども、なかなか現実にはそういうタイムテーブルを付してまで事前から決めることはむずかしいという観点から意見が分かれている、それが一つの例でございます。
○渡辺(朗)委員 先ほども大臣が大変抱負を持ち勢い込んでいらっしゃる、悲願をこの際に達成をするんだ、それを具体化してもらわないとやはりいけないと私は思います。たとえば核の不使用宣言というような問題が出された場合、伝え聞くところによりますと、西欧諸国の方はむしろこれに対して反対の立場をとっている。非同盟諸国、こういうところは推進の立場をとっている。日本はどのような立場をとられますでしょうか。そういう具体的な行動についてひとつ教えていただきたい。
○大川政府委員 いわゆる核の不使用協定という問題はいろいろな場でいままでたびたび議論されております。申し上げるまでもございませんけれども、核軍縮に対するわが国の基本的な立場は、世界でただ一つの被爆国であるということから、核の廃絶を究極の目標として努力していくということでございます。しかし現実の国際社会におきましては、核の相互抑止に基づく地域的な安全保障の枠組みが現に存在いたしております。これが国際平和を支える一つの基盤になっているということでございます。また、わが国自身も安全を維持するために日米安保条約というものがございまして、アメリカの核抑止力に依存している次第でございます。したがいまして核の不使用協定締結につきましては、将来、核兵器の生産、貯蔵の停止あるいは削減等の具体的な、しかも実効性を伴った核軍縮措置が達成され、諸国家間に相互に信頼関係が醸成された暁にはその締結を考慮することも可能でありましょうが、現在は、いわゆる核実験禁止の全面協定すら締結されていないような状況でございますので、そのような事態では、核不使用協定の締結を提唱することは必ずしも現実的ではないではないかというふうに考えております。
○渡辺(朗)委員 大臣、いかがでございますか。大臣は核の廃絶を訴えられる。だけれども、現実には悲願としてそれはこっちの方に置いといて、目の前ではこれはちょっと無理だということになる。そうすると国連総会で、非同盟の方の意見に対してはネガティブな態度をとらざるを得ない。これはやはり言葉だけの参加であり、言葉だけの悲願をそこで披瀝するにすぎなくなってしまう。ここら辺が大変、現実と言えば現実なんですけれども、私、まことに残念なところであろうと思うのです。たとえばまた、第三者に対して日本は働きかけを具体的にしていかなければうそだと思うのです。中国、ソ連が、軍縮委員会には今日まで参加しておりません。特にフランスが入っておりません。こういった問題も日本はどのように働きかけをしてきたのか。今回軍縮交渉機構をどういうふうにすれば、核保有国であるフランスが参加できる、そして討議の俎上にのる、そういう形に持っていけるのか、こういう点を大臣はどのように進めようとしておられるのか、ひとつ聞かしていただきたい。
○園田国務大臣 おっしゃるとおりでありまして、一つの理想は掲げながら、現実に軍縮総会でどのように段階的に話を進めていくか、こういうことはきわめて重要でありますから、そういうことをちゃんと腹案を立てながらいきたいと思います。 なおまた、軍縮総会といいましても、御承知のとおりに、これに出席をしない、あるいは参加をしてない国もあるわけでありまして、あなたも社会主義の会議で、軍縮会議でこの点を訴えられたようでありますが、われわれとしても中国、フランス、ソ連等に対してこういう問題は働きかけて、そしてみんなが、同盟国も非同盟国も、それから米国もソ連も中国もみんなで平和の道を具体的に探す、こういうふうに努力をしたいと考えております。
○渡辺(朗)委員 それから、いまお話がちょっと出ましたね、包括的核実験禁止、この協定すらがまだできておらない。CTBの問題一つ取り上げましても、もうちょっと日本はよその国に働きかけるべきではなかったかと思うのです。御存じでしょう。国連は、一九七〇年代は軍縮の十年と決めております。外務大臣、日本政府として軍縮のために、日本は国内においてPRであるとか、あるいはいろいろな取り組みであるとか、どういうことをしたのでしょうか。正直言いまして、一九七〇年代はいまや終わりに近づいているけれども、政府が積極的にこれらの問題を取り上げて行事をしたとか、国際的に働きかけたという例を余り聞かないのですが、いかがでございますか。
○大川政府委員 一九七〇年代を軍縮の十年と決めましたのは実は一九六九年の国連総会でございまして、はからずもその年に日本はジュネーブの軍縮委員会に加盟を認められたわけでございます。したがってその間、その六九年の時点から積極的に軍縮委員会の作業に参加してまいりました。幾つかの積極的な提案や、イニシアチブをとったわけでございますけれども、その幾つかの例を申し上げますと、たとえば、先ほどおっしゃいました、包括的核実験禁止条約の締結問題ので中非常に大きな問題はいわゆる検証の方法でございまして、それに関連して、日本は世界有数の地震探知技術を駆使しまして、それを地下核実験の探知に応用できないかどうかということを、日本がみずから音頭をとって提唱いたしまして、カナダ、スウェーデンと一緒に協力して、相当の貢献をしてまいったというふうに私どもは考えております。それは一つの例でございます。 それから化学兵器、ケミカルウエポンズの分野におきましていま条約作成の交渉が始まらんとしておりますけれども、日本も化学兵器の禁止に関する独自の条約案を軍縮委員会に出しております。 それからいま一つは、いわゆる通常兵器の分野で、国際移転の問題について何か現状調査をやっていいのではないかというような提案もいたしたことがございます。幾つかの例を申し上げれば、そういうようなことでございます。
○渡辺(朗)委員 大臣、一つの例としまして、いまお話がありました核爆発の検証の問題について日本が建設的なたとえば提案をした、それは私は多とします。しかし、それとて、ジュネーブの軍縮委員会で小木曽大使が発言しておられるのはことしの三月の二日ではございませんか。そのときに初めて、十年間の中で初めて、東京にいらっしゃい、そしてアドホック地震専門家会議を東京で開催する用意がございますぐらいな話をしている。一度だって招請して、ここで、日本で会議をやりましょう、あるいは東京で、広島でそういうことをやって、国民にもPRしよう、それをしながら、世界に対しても私はやはり、先ほどのフィンランドみたいな例のように、どんどん国際会議なんかを招請しながら軍縮を進めるチャンスをつくるべきだったと思うのです。これからでも遅くはありませんから、積極的にそういう専門家会議やら何かは誘致しながらやった方がいいと思うのです。そこら辺、大臣、いかがでしょう。
○園田国務大臣 今後十分そういう点に留意をして努力したいと考えます。
○渡辺(朗)委員 それでは、私やめますけれども、最後にもう一遍、ヘルシンキでそういう国際的な軍縮会議をやったということだけではなくて、ウィーンもそういうことで場所を提供し、積極的にオーストリアがやっておりますね。あるいはまたベオグラードなんかでもやっておりますね。ああいうような形を日本は大いに進めるべきだと思いますので、ぜひ大臣お願いをいたします。 ありがとうございました。
○永田委員長 寺前巖君。
○寺前委員 先ほど竹島の問題が出ておりましたので、ちょっと気になりましたので、きちんと聞いておきたいと思います。 竹島周辺は歴史的にも日本の国民が、漁民が操業しておったところですが、現状は、竹島周辺における操業が事実上やられない状態にあったのか、やれる状況にあったのか。これが一点。 第二番目に、その竹島周辺に最近何か新しい漁民の側の動きがあったのかどうか。これが第二点。 第三番目に、日本と韓国ともに公海の漁場として操業を行ってきた同局周辺の海域について、引き続き現状どおりの入り会い操業が継続されることは当然だと思うのだけれども、これに対して退去要求をされた。その場で反論をしたというふうにあるが、きちんと日本国政府として、韓国に対する抗議とその操業を確保する手だてをやったのかどうか、この三点について聞きたいと思います。
○中江政府委員 まず第一点の、日本漁船の竹島周辺における操業はいままでどうであったかという点でございますが、竹島周辺という言葉の意味が必ずしも明確に、どの辺までが周辺かということを抜きにいたしますと、竹島周辺を含みまして、あの海域での日本漁船の操業は行われておりました。ただ、竹島に非常に近接した水域、つまり三海里でありますとか、六海里でありますとか、いわゆる領土主権に基づいて領海の主張が行われるであろうような近接した水域にまで近寄って操業したかどうかという点につきましては、いままで日韓双方とも、そんなに近くにまで行って操業するということは少なかったと、これは水産庁の方から聞いておりますが、昔から御承知のように、あの水域で台風その他、海が荒れたときには、竹島というのは一種の退避場の役目をしていた。つまり、波よけ、風よけの役目をしていたということで、島陰に避難するというようなことはあったようでございますけれども、非常に近接した水域に及んでまで操業するということはなかったと聞いております。これは、御承知のように、あの島が深海から急に突出した岩礁のようなもので、いわゆる浅瀬をずっと抱えた島でありませんので、魚群の存在としては、近接して操業することによって妙味のあるというたぐいのものでないんだという説明も私は水産庁から受けておりました。ただ、竹島という島そのものが韓国によって、日本から見ますと、不法に占拠されて、いろいろの施設を持っているということでございますし、無用の摩擦に巻き込まれ、無用のトラブルに巻き込まれないために、日本漁船がいろいろと配慮していたということはあったかもしれない、こう思います。 それから第二点の、今度竹島周辺でいろいろあった、報道されておりますことの中に、漁民の方で何か別な考えなり動きなりがあったのかという点については、これも私どもが水産庁を通じて聞いておりますところでは、特にそういうものはない。たまたま天候が荒れて、イカ釣りをやっていた船が波と風をよけて竹島の近くの方に行って操業を継続したということではなかろうかという説明を受けております。 第三点の、今回の韓国側が退去を要請したことについて、日本政府はどういう措置をとり、また将来の操業の安全について何らかの手を打ったかという点につきましては、その前者については、韓国側の退去要請を含む申し入れに対して、毎回のことでございますが、その場で日本政府は、竹島が日本の固有の領土であるという一貫した立場に立っておるので、韓国側の申し入れを受け入れるわけにまいらないということで反駁しております。それに加えまして、韓国の警備艇が退去要請をしたのではないかという情報もあるものですから、そうなりますと、これは韓国の公の機関による現場における排除ということになりますので、相当重く見なければならない、その事実の確認を待ってしかるべき申し入れをする必要があろうということで、いまはその事実の確認を待っているということでございます。 他方、竹島周辺水域における操業の安全につきましては、先ほど申し上げましたように、現在まで日本の漁船の操業が行われていたその背景に、日本と韓国とでこの島の領有権について争いがあるということを韓国側も念頭に置いて、それを顕在化した、つまり具体化した争い、あるいは力を行使しての実力の争いというようなことに持っていくことを極力避けるという態度に立っているというふうに私どもは受けとめておりますので、その状態が続く限りにおきましては、あの水域を含みまして日韓漁業協定に基づく操業秩序の問題といたしまして、日韓漁業委員会その他の場で、引き続き操業の秩序と安全が保護されるように、双方の漁民の利益のために措置をしていくという話し合いはしていく必要があろうか、こういうふうに思っております。 新しい事態といたしましては、韓国が四月三十日に領海を十二海里にしたという問題がございますが、これは日本の方が先に十二海里にしておるわけでございますので、それについてはお互いに十分情報を交換してやっているということでございます。
○寺前委員 外務大臣に重ねて明確にしておきたいと思うのですが、韓国の一方的占拠を中止させるという問題と、それから公海の漁場として操業を行ってきたこの海域について、従来の実績、従来の状況のもとにおいての入り会い操業の継続が保証されるように、よく調査された上できちんとした抗議を示されるべきであるというふうに私は思うのです。いわゆる静観という形であいまいに事態を過ごさないように処置をされることが必要ではないかと思います。大臣の見解を聞きます。
○園田国務大臣 御発言のとおり、事実をはっきり見きわめた上でちゃんとしたけじめをつけたいと考えております。
○寺前委員 この間の五月上旬における日米の首脳会談について若干の質問をしたいと思います。 五月四日に、日本協会、外交政策協会共催の午さん会における福田総理のスピーチというのがあります。このスピーチを読ませていただきながら幾つかのことを感じましたので、聞きたいと思いますが、世界のための日米の役割りということを強く強調しておられます。 そこで、アメリカは日本に対してどんな役割りを担ってくれと要求したのかを率直に説明をしていただきたいと思います。
○園田国務大臣 今度の会談で、アメリカがどういう役割りを日本にしてくれという要求はほとんどございませんでした。総理と大統領とは、世界の経済、政治情勢の意見交換を行い、その中でお互いに、自分たちがやるべき役割りについて意見を交換したわけでございます。 一口にして言いますと、第一は、自由世界第一、第二のアメリカと日本が世界経済の不況克服をし、インフレを抑え、そして世界経済の好転を図るためにどのように努力をするか、どのように国々に働きかけるか。こういうことが第一。特にアジアについては、アジアの国々、ビルマを含む、この繁栄と安定はきわめて重要であるということで、これについても両国が基軸になって協力をしよう。そこで総理は、このアジアの平和と繁栄のために、日本は憲法があるので、この憲法で軍事的な協力は全然できない、したがって、及ばずながら経済力については若干のあれがあるから、経済力については日本は協力をする、アメリカの方はアジアの平和と安定についてのことをひとつやってもらいたい、こういうことが大体主なことでございます。
○寺前委員 このスピーチの印刷してある二ページを見ますと、こう書いてあります。 戦後の我が国の歴史を顧みると、日米相互協力安全保障条約を基礎とした米国との友好協力関係が、我が国の平和と安全を保障し、我が国の今日の繁栄を実現する上で、大きな役割を果たしたことは、疑う余地がありません。しかしながら、私は、この条約がひとり我が国の平和と 安全を保障するという一方通行的な役割にとどまらず、今や、日米両国間の「全面的な提携関係」を象徴するものであり、相携えて平和で友好的な国際関係を創り出すための基盤となっているという事実を強調したいのであります。 ここで見ますと、「我が国の平和と安全を保障するという一方通行的な役割」から、日米安保条約が、この「「全面的な提携関係」を象徴する」のだということへ事実を強調してきているという、この「全面的な提携関係」というのは何を指しているのでしょうか。
○園田国務大臣 日米安保条約及び日米の関係から今日までやってきて、日米関係が成熟をしてきた。そこで、日米関係は日本と米国の二国間だけが繁栄すればよいということではなくて、グローバルな重要性を持ってきた。具体的には、日米両国がアジア太平洋国家として同地域の平和と繁栄のために協力して努力すべきであり、また、ともに先進工業民主主義国として世界経済の安定と拡大のため手を携えて協力すべき旨を強調されたわけであって、全面提携とはそういう意味でございます。
○寺前委員 重ねて聞きますけれども、この全面提携ということが、アジアに対する集団防衛の軍事的な協力関係ということに発展させたものとして理解をされないだろうか、お聞きしたいと思います。
○園田国務大臣 日米安保条約を全面的に拡大していこうということではなくて、日米安保その他によって日米間が繁栄をしてきたが、いまや成熟をして、世の中も変わってきた、これからは協力して全面的にやっていこうじゃないか、こういう意味でありまして、防衛上全面的に協力しようという意味ではございませんから、集団安全保障ということは、全然話もなかったし、そういう話し合いもございません。
○寺前委員 日米首脳会談について園田外務大臣に聞くという新聞報道がありました。日本の新聞の五月五日のインタビューとして載っていますが、外務大臣がその中でこういうことを言っておられます。「アメリカは、過去五十年間、世界の指導国だったが、今後は、資源、南北問題など難問が山積し、今までのようなわけにはいかなくなった。だから大統領に「自信と勇気をもってやってほしい」と要望する一方、日本も平和憲法の範囲内で応分の責任をもつ、と約束した。」こういうふうにインタビューで言っておられる。「平和憲法の範囲内で応分の責任をもつ」ということは、これは軍事的に問題にならなければ平和憲法という言葉は出てこないと思う。とすると、応分の責任というのは、さっきの全面的な提携関係の中において一体どういう約束をされたのか、御説明いただきたいと思います。
○園田国務大臣 それは、軍事的に平和的憲法の枠内で協力するという意味では全然ございません。平和憲法を日本は持っておる、特殊な憲法を持っておるから軍事的には全然協力できないから、経済面において日本は協力する、こういう意味でございます。
○寺前委員 ブレジンスキー米大統領補佐官のジャパンソサエティーにおける四月二十七日の演説があります。これは首脳会談が始まる前にアメリカの側の国家安全保障問題担当官が発言をしているのですから、当然首脳会談にこの内容というのは反映されてくる性格のものであり、日本代表もまたこれを知った上で米首脳と会談をされたんだろうというふうに考えます。 そこで、このブレジンスキー米大統領補佐官の発言の中で気になることがあるわけです。それは、こういうふうに言っています。「われわれは、われわれの世界的な安全保障上の利益を支持するために十分な軍事的能力を維持する意図である。とりわけ、われわれは、十分な戦略的抑止力を維持し、欧州における通常戦力均衡を保持し、朝鮮など米国にとって中心的に重要な諸地域への迅速な再展開に使える即応的な世界的戦力を生み出す。」ということをこの中で言っているわけです。すなわち、緊急即応部隊の創設という問題がこの中からうかがわれるわけであります。 こういう問題について、当然首脳会談前に提起された問題だから、したがって首脳会談の中で、気になって、日本側として全面的な提携関係を言う以上は、この問題について何らかの説明を求められたのか、説明を求められなかったのか。求められないとするならば、一体この問題についてどう理解をしておられるのか。一部の報道関係においても、新しい事態の問題として、重視をされて報道がされております。大臣のこの問題に対する、会談上の問題と見解について聞きたいと思います。
○園田国務大臣 訪米に先立つ四月二十七日にブレジンスキー補佐官が演説をいたしております。その演説の内容は、日米関係の重要性を強調し、日本との提携関係が米国の外交政策の重大な基礎である、またアジア太平洋地域の安定及び世界経済にとり重要であると述べておりますが、日米関係を外交の基軸とし、世界の中の日米協力を推進せんとするわが国の考え方と認識を同じくわれわれはいたしております。 なお、同補佐官は首脳者会談にも出席しておりましたが、緊急即応部隊の創設等についての発言は全然ございません。今度の会談では、防衛であるとかそういう軍事体系の話はこちらからも向こうからも全然出ませんでした。
○寺前委員 一部報道関係ではこの問題を重視して報道をしております。即応的な世界的戦力を生み出していくのだという、新たな事態に対する、従来表に出さなかったアメリカの構想がここにあらわれてきているということで重視をされているわけですが、こういう考え方について、それでは大臣はどういうふうにお考えをお持ちですか。
○園田国務大臣 いま、緊急即応部隊のことについて話が出たかのようなお話でございましたから、同席しておった局長に、私は記憶がありませんから確かめましたが、局長も、その話は出なかった、こう言っておりますから、間違いはございません。 なおまた、米国の方が、有事緊急の場合に直ちにこれに対応する部隊をつくるという話がありますが、それはNATOにしろアジア地域にしろ、平和と安定を求めるために、いざという場合には、米国が安全の一端を担うということについては結構なことであると考えております。
○寺前委員 このスピーチの五ページのところに、こう書いてあります。「米国が引き続き、具体的行動をもってアジアに対するその関心とプレゼンスの維持の決意を示していくことは、きわめて重要であります。このことは、東南アジアにおける「米国のアジア離れ」に対する危惧を払拭し、また、我が国がアジアの安定と繁栄に対して果たす建設的な役割を支えるために、最も重要な鍵であります。」とまで指摘をしておりますが、「米国のアジア離れ」というこの言葉、すでに韓国が従来から提起をしておった言葉でありますが、日本政府が、韓国側のこの危惧の代弁をこの首脳会談でしたのではないのかということが一つと、もう一つは、このアジア離れについて、それでは、従来、アジアにおいてアメリカがとっておった措置、すなわち、ベトナムやラオスやカンボジアに対するところの介入などの事実を通じて、アメリカがアジアにおいてとってきた態度に対して、これを是とする立場を日本はとって、アジア離れを危惧したのかどうか、二点について聞きたいと思います。
○園田国務大臣 先般、昨年に行いました首脳会議の際には、アジアの国々からはほとんど、米国は自分たちの国が危うくなると、すぐ引き揚げるんだ、自分の生命に異常がなければ、アメリカは他国を助けることはしないのだというような危惧が非常に強かったわけであります。それが、米国がその後行った行動ということは、大統領あるいは国防長官等の演説、その他ASEANに対する副大統領の訪問、それから米韓演習等、一連のことによって、アジアの国々はやや安定をしてきた、こういう意味をここに言っているわけであります。 なお、ベトナムあるいはその他でああいうことをやった米国がまたもう一遍引き返すのか、こういう意味でありますが、米国国内でも、ベトナムに対する非常な反省と、それから批判があることは御承知のとおりでありまして、われわれは、再びベトナムのようなことをアメリカにやれと要求しているわけではありません。アジアに対して一つの脅威がある場合には、これに対してアメリカは、安全に対して協力をされたいというのは、ASEANの国々のすべての気持ちを抽象的に言ったわけでありまして、韓国の代弁をしたわけではございません。韓国問題については、地上軍撤退の現況を簡単に報告があり、これに対して日本側は、まあ妥当でしょうという程度の軽い話でありまして、韓国の問題は、全然出ておりません。
○寺前委員 六日のNHKの政治座談会で安倍官房長官が、東南アジア諸国への経済協力、国力に相応した自主防衛努力などの責任を、このテレビで強調しておりました。すなわち、アメリカのアジア離れ防止のために、日本が自主防衛の努力が必要だというようなことを強調されたわけですけれども、そういう方向でこの会談を処置してこられたのかどうか、御説明いただきたいと思います。
○園田国務大臣 そういう話は全然ございません。私とバンス国務長官の会談でも、それから大統領と総理の会談でも、全体会議でもそういう話はありません。ただ、上下院の議員との懇談をした場合に、上院の一人の、宇宙飛行士であった何とかという大佐の人で議員になっておられる方が、日本の防衛はもっとやったらどうだ、GNP一と言っているが、〇・九ぐらいしかやっておらぬじゃないかという話があっただけで、防衛についての発言はそれだけでございます。 日本に対して、ただ乗り論ということがよく簡単に言われるわけでありますが、そのただ乗り論というのは、日本が軍備をしないで、そして人に任しておる、けしからぬという意味じゃございません。日本が軍備をしないで、それだけ経済的に発展をしてきた。その経済的な発展が、国際協力が足りぬじゃないか、あるいは経済協力が足りぬじゃないか、自分がもうかるだけもうかって、やるだけやっておいて、人に貢献をしないじゃないか、こういう意味がただ乗り論でありまして、決して、米国の方にも、軍備だけを拡張しろという単純な意見はございません。 むしろわれわれが注意しなければならぬことは、ASEANの国々でも米国でも、日本の軍備については、一方には自分の国を守ることは自分でやれという意見が一部にはありますけれども、大部分の中には、再び日本が軍事大国になって、軍事的な脅威を与えるようなことになってはいかぬという危惧の念もあることを、われわれは十分注意をしなければならぬと考えておりますので、テレビの発言がどうあったか知りませんけれども、私は、それはいささか理解しかねるところでございます。
○寺前委員 官房長官の発言ですから、それでは、閣議できちんとただすものはただすという措置をされる必要があると思うんですよ。官房長官がテレビで何を言ったか知らないだけではちょっと済まないのじゃないでしょうか。ただされるかどうか、明確にしていただきたい。これが一つ。 同時に、ロング・アメリカ上院の財政委員長でしたか、憲法を変えて、そして努力すべきだという種の発言が記者会見でなされておりました。これも一連の、いまの安倍官房長官の発言などにあらわれる日本側の姿勢が、アメリカの人をしてこういうふうに言わさしているということになるのじゃないか。日本の憲法のことについてとやかくアメリカから言われる筋合いじゃないという性格だと思うけれども、言われる性格のような会談あるいは懇談がなされておったのじゃないか。それについてはいかがなものでしょう。
○園田国務大臣 会談では、ただいま言いましたとおり、宇宙飛行士であった某大佐、何とかいう、名前は忘れましたが、上院議員が、日本の防衛は足らぬじゃないかと言っただけで、財務委員長その他おられましたが、一言も発言はございませんでした。そして、その新聞記事によりますと、その後か何か知りませんが、新聞社が行ってインタビューしたときにそういうことを言われたという話でありますが、事実の確認をしているところであります。一国の憲法をどうするか、こうするかということは、他国から干渉すべき筋合いでないことは、御意見のとおりであります。 安倍官房長官のテレビにおける発言については、閣議の発言でありませんから、私は、とがめる筋合いでないと思いますけれども、友人でありますから、よく向こうの事情を説明をして、勘違いなさらぬようにお話をしたいとは考えております。
○寺前委員 お約束の時間が来ましたので、終わります。
○永田委員長 伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 私は、今度の福田総理、園田外務大臣のアメリカにおける日米間の会談に触れて質問をしたいと思いますけれども、その前に、実はさきの外務委員会で、海外に駐在をする、あるいは派遣をされる公務中の災害について質問をさせていただきました。三月二十五日にビルマ航空機の事故のために亡くなった方々、ちょうど明後日が四十九日になる、家族のいろいろなコメント等も新聞に載っているわけでありますけれども、こうしたいろいろな海外派遣あるいは駐在員の公務中の災害について今後十分な検討をする、こういうお話でございましたけれども、その後どのようになっているか、まずお尋ねをしたいと思います。
○枝村説明員 まず在外職員の公務災害についてでございますけれども、戦争、事変、内乱等の異常事態の発生時に、生命または身体に対する高度の危険が予測される状況のもとにおいて外交領事事務に従事し、そのために公務上の災害を受けた場合、この場合には補償額の五割加算という制度があるわけでございます。しかしながらこのような特例措置だけでは今回の事故のような場合を含めて必ずしも十分にいろんな場合をカバーできないわけでございます。たとえば今度の場合のように保険金ないしは補償金が十分払われないような航空機にどうしても乗らなければいけないような場合だとか、あるいはラオスのビエンチャンでああいう事故がございましたけれども、あのように一般的な治安が非常に悪い場合とか、そういう、言うなれば五割加算に至らないような中間的な場合が必ずしも十分にカバーされていないという現状でございます。したがいまして、こういう点を何とか救済できますように、立法措置を含めて何らかの新しい措置をとりたいということで、現在関係省庁とすでに内々協議を始めているわけでございます。また当面の自衛措置といたしましては、出張者に対しまして相当額の保険を掛けるように強力に勧奨するというようなこともいたしております。
○伊藤(公)委員 これから開発途上国へこうした形で海外派遣をされる、あるいは駐在をするという方が非常にふえていくだろうと予想されるわけであります。しかもそうしたことがこれからのわが国にとっては非常に大事なことでありますから、有能な、しかも世界とのかけ橋になろうという非常な夢をかけて旅立っていく人たちが、あるいはその御家族が、安心をして国家的な事業に参画ができるという道をやはりきちっと制度化して開いてあげなければいけないというふうに私は思うわけでございます。今度のビルマ航空機の事故は一例だと思いますし、見舞い金がわずか百三十六万円だということも大変問題があるわけですから、今度のこの事故については具体的にどのように取り扱いをされるのか。あるいは一昨年のフィリピンのアジア開発銀行に出向中の建設省の職員と、マニラに駐在をしておる日本大使館員がやはり航空機事故で死亡した。これには当時七百万円の補償をするということになっていたわけですけれども、この航空会社が倒産をしてしまって、この問題もそのままになってしまっている。しかし同じ飛行機に乗っていたドイツ人は国が肩がわりをしてこの補償をしているということがすでに報じられているわけでございます。 こうした国家的な事業に参加をする人たちに対する国の補償というものは、やはりきちっとすべきだと私は思いますが、いま、今度のビルマ航空機の事故と二つの具体的な例を申し上げたわけでありますけれども、この二つの点についてはどのように取り扱いをされるのか、お尋ねをしたいと思います。
○園田国務大臣 いま御発言のとおりでありますして、このような事故が起こって公務殉職をした公務員に対して、現在の法制上はなかなか障害が多いわけであります。この法制の中でやりくりをしながら何とかできるだけのことをしたいと努力をしているところでありますが、おっしゃるとおり将来にわたって法制を改革をして、こういうことはあってはならぬことでありますが、もしこういうことがあった場合には、遺族の方々、亡くなられた方々の意思等に報いるだけのことはやるように努力をしなければならぬと考えておりますが、詳細については事務当局からお答えをいたさせます。
○武藤政府委員 ビルマで航空機事故に遭われましたような派遣専用家につきましての災害補償につきましては、国家公務員の災害補償法ないしは労災保険法等による一般的な補償制度に加えまして国際協力事業団独自の海外共済会という制度がございまして、たとえば一人当たり弔慰金千四百万円というようなものがこの共済会から支出されるということにはなっているわけでございますけれども、今後ますます海外技術協力の進展とともに専門家に海外に行っていただくという例が多くなると思いますし、またこのようにして海外に行かれる専門家が後顧の憂えなく海外で活躍できますように、補償制度も従来以上に整備をいたしたいと考えている次第でございまして、目下どのような具体的な改善策があるかということを鋭意検討している段階でございます。
○伊藤(公)委員 すでに起こった事故についての十分な補償もしなければならないという問題を抱えているわけでございますので、ぜひ速やかにこの制度の整備を図っていただきたい、お願いを申し上げておきたいと思います。 それから、今度の日米首脳会談の中で、実は先ほど井上議員からも御指摘がございました。私もけさほどから政府の海外援助についての質問の通告をしておりましたので、重ねてお尋ねをしていきたいと思います。 昭和五十二年の五月に国際経済協力会議で、五年間に政府開発援助を倍増以上にするということを政府は明らかにしたわけでございます。福田総理は今回の訪米で、これを三年間に倍増を達成する、こういう約束をされました。実はこれが昨日の商工委員会でも問題になったわけであります。私も重ねて御質問をしますけれども、この倍増は何年を基準にして倍増とされるのか、改めて御質問をしたいと思います。
○園田国務大臣 ただいまの御質問は、先ほど井上さんから質問をされて、大臣が知識がないために事務当局の意見がなかなかわかりませずに、卸猶予を願って、後で再質問をされることになっているわけでございます。議員間の礼儀として、先に質問をして保留された井上さんに答弁するのがこれは儀礼だと存じますので、後で再質問の際に伊藤さんの質問をあわせてお答えすることにお許しを願いたいと存じます。
○伊藤(公)委員 明らかにした見解を、後ほどで結構ですから、私もいただきたいと思います。 私は、実は、この三年間に倍増をするという額の問題もさることながら、問題はその中身にある。海外援助の質的な向上といいますか、質的な検討がされなければならないのではないかという気がするわけでございます。 たとえば隣国の韓国への援助の問題は、ずいぶん国会の論議にもなってきたわけでありますけれども、私は、客観的にこうした海外援助をいろいろな角度から検討してまいりますと、たとえば隣の韓国に経済援助をする、しかしその経済援助には贈与、無償で援助をするというケースもありますし、措款、お金を貸すということになってしまうわけでありますけれども、そういうケースもある。ところが、私どもがそれぞれの国々の方々に、あるいは議員仲間のいろいろな会議のたびに話を聞きますと、特に韓国やアジアのそれぞれの国々の方々は、日本は、海外へのいろいろな協力をしている、こう言っているけれどもそんなに協力をしていないではないか、無償援助というならそれは確かに協力だ、しかし日本はそうではなくむしろ借款で、取るべきものはきちんと取っているではないか、われわれも払うべきものはきちんと払ってきている、そう恩を着せられるほど日本から世話になっているのではないという感情、これは政府間のいろいろな公式の場ではそれほど表面に出ていないとしても、やはりそれぞれの国の国民感情の中には非常に根強いものが生まれてきているという認識を私どもはしなければならないというふうに思うわけでございます。 いろいろいただいたデータを見ましても、日本の海外への援助を見ますと、昭和五十二年には無償援助が四〇%、しかし借款は六〇%、これは五十三年度には多少改善をされたといってもいいかもしれませんけれども、しかし依然として四五%が無償援助、五五%は借款である。これは外国のそれぞれの例に比較をしてまいりますと、時間がありませんので一々数字を挙げませんけれども、非常に日本の借款というケースのパーセンテージが高い。三年間に倍増をするのだと言うが、数字だけの海外への援助という形では、もはや隣の国々あるいは開発途上国の国民というものは日本の協力に対して必ずしも好意を持たない、必ずしも好ましい結果を生んでいかないのではないかという心配を、実は私非常にしているわけでございます。その点について、今度倍増をすると言うけれども、その中身、質的な向上についてはどのように考えておられるのか、お尋ねをいたします。
○園田国務大臣 御指摘のとおり、無償援助の額をふやすことは必要であると考えております。しかしながら、援助をする相手国の状況に応じて、経済成長がある程度伸びあるいは水準が伸びた国々に対しては無償ではなくて有償、さらに経済成長が伸びた国には輸銀その他の金利の高いものを回す。こういうふうにそれぞれ相手国の実情によって無償、有償、輸銀というような方法を考えていかなければならぬと考えております。しかし無償援助の額をふやすことは御発言のとおりであると考えております。
○伊藤(公)委員 追って数字を申し上げたいと思うのですけれども、海外援助をしているそれぞれの国々の例を見ますと、これはいろいろな数字の換算の仕方はあろうかと思いますけれども、日本が借款ではなしに海外に対して経済援助をしてきたその実質的な数字を拾い上げてみますと、ODA全体のグラントエレメント、これはDAC目標は八四%でありますけれども、日本の場合には一九七六年に七四・九%であります。アメリカは八五・六%、フランスが九〇・六%、西ドイツは八五・二%、英国は九七・六%、平均して八八・五%になっているわけであります。この平均からいっても、日本のこの数字では、最低の援助しかしていないことを歴然と物語っているわけであります。日本は開発途上国に経済援助をしている、協力をしていると政府は言っておりますけれども、実質的な数字は、日本の協力はDACの中においては最低の援助しか果たしてきていないという実績を示しているわけであります。私どもは、今日の国際経済の中における海外から日本に対するいろいろな声を十分認識をして、今後の海外援助というもの、協力というものは、単に倍増する、しないという数字だけにとらわれているのではなくて、その質的な向上を具体的に推し進めなければならないと思うわけでございます。いま大臣から御答弁がありましたけれども、その内容についてはすでに外務省のトップの皆さん方は十分認識をしているところでありますから、大蔵省等にも今後の予算編成等に当たっても強くこのことを明らかにして、名実ともに開発途上国にやがて日本のこうした協力が実を結ぶような海外協力をぜひ推し進めていただきたい。強い御決意のほどをお願いを申し上げたいと思います。
○園田国務大臣 御発言の趣旨に従って最善を尽くす所存でございます。
○伊藤(公)委員 ことしの一月からアメリカの若手の国会議員を含めてずいぶん来日をされました。そういうアメリカの議員の方々とのいろいろな話し合いを通していろいろと感じることがあるわけであります。いま鉄鋼、自動車、繊維、カラーテレビ、こうしたものは日本がアメリカに対して攻勢をかけて売っているわけでありますけれども、アメリカの方は、むしろ経済的には日本の売り込みが負担になってきている。このことをたとえば韓日の経済ということで考えますと、韓国では、いまもっと繊維製品を買ってほしい、あるいは海産物を日本で買ってほしい、いろいろな要求が出ているわけであります。ところが日韓の正常化ということは、言葉ではずいぶん言われてまいりましたけれども、いろいろな議論の中で、韓国に対してはいままでいろいろな協力をしてきた、しかしそれは政府や一部の方々のところでストップをしてしまって、末端の国民に行き届いていないのではないかという議論があります。ところがその議論が最近は一転して、韓国の経済はもはや日本に追いつき、追い越せという勢いになってきてしまった。韓国にはもはや援助をする必要はないのだ、それどころか、むしろ韓国にこれ以上の協力をするということがかえって日本の将来あるいは日本の経済にとって非常に危機的な状況を生み出すというような声も出てきているわけであります。私はいずれの考え方にもそう偏っているものではありませんし、また偏るべきではない。隣の韓国が経済的に強くなるということは、隣国としてあたりまえのことでありますし、双方が特別他国に対して経済的に迷惑をかけない自主独立の立場を徐々に確立をしていくということが正しいあり方だと思っているわけですから、そのことは大変好ましいことだと私は思います。しかし、いろいろな議論の中に大別をすると、一方では協力をする場合に、協力をしてきてもいやそれが役立っていなかったという議論あるいはこれ以上協力をすればむしろ韓国に大きな力を持たれて日本は大変な状況になる、つまり日米関係のような関係がいま日韓関係にも経済的に起こりつつあるのではないかという心配をいろいろな角度から聞くわけでありますけれども、私はそうではなくて、正常なそれぞれの国々が、経済的にも自主独立の立場を堅持できるという、そういうように私どもは、もし今後経済協力をする場合にもしていかなければならないというふうに思うわけでございます。 そこで、いささか長くなりましたけれども、私は日本と韓国あるいはやがて中国そしてアジアのそれぞれのこうした国々が、太平洋を囲んで経済的に、たとえばもうヨーロッパではそれぞれの国々が分業化している、そういう状況が生まれてきているわけでありますから、アジアの中においても、こうした経済の問題を中心にして分担をそれぞれの国々がしていくという、話し合いの場を持つべきときが来つつあるのではないかという気が私はするわけでございます。政府としては、今後こうしたアジアの中における経済の将来の見通しを考えながら、それぞれの国々が、たとえば太平洋を囲んで日本、韓国、中国あるいはアジアのそれぞれの国々がともに定期的にこうした会議を持って、たとえば繊維製品はどうしようかとか、あるいは造船はどうしようとか、あるいは高度の技術のノーハウをどういう形でお互いに提供し合うかというようなことを話し合う、そういう定期会議を持つという将来の展望についてはどのようにお考えになっていらっしゃるか、お尋ねをしたいと思います。
○園田国務大臣 韓国に対する経済協力についてはいろいろ意見がありますが、諸般の状況からこれは慎重に検討する必要があろうと私は考えております。 いずれにいたしましても、韓国に対しては大きなプロジェクトであるとか大きな事業に対する援助から、少なくとも韓国国民の生活水準の向上ということに重点を置いて協力しなければならぬと考えております。
○伊藤(公)委員 時間が経過しましたので私の質問は終わりますけれども、先ほど井上議員と質問が重複をしている昨日の商工委員会で問題になった点については私も質問を留保しておきたいと思います。 これはもう御承知のとおり昭和五十一年度を基準にするということになりますと、十一億五千万ドルということになりますから、今年度の予算を見ますと六千三百五十四億でありますから、一ドル二百六十三円、公式のレートで計算をいたしましても、明らかにこれはすでに二倍になるわけであります。あるいはもうレートはさらに十割を超えているわけでありますから、もっとこの数字は高くなるわけでありますから、大変この点につきましては私も理解ができませんので、質問を留保して、ひとまず終わらせていただきたいと思います。
○永田委員長 楢崎弥之助君。
○楢崎委員 本日の第三回佐藤・韓念竜会談でいわゆる尖閣列島問題の決着はつきましたでしょうか。
○園田国務大臣 電報の到着と、こちらへ持ってくることを待っているわけでありますが、いまのところまだ参っておりませんので、どのような会談になったかはまだ御返答ができない状況でございます。
○楢崎委員 午前中ですから少し、まあどういう理由で遅いのかわかりませんけれども、そうすると会談の内容いかんによっては、本日だけの会談にとどまらず継続的に行われる可能性がありますか。
○園田国務大臣 きょうの会談の模様ではそういうこともあり得るかもわかりません。
○楢崎委員 当初、この尖閣列島問題は堂ノ脇・王暁雲会談で一応これは片づいたというふうな見解であったようですが、福田総理が、よりハイレベルでそれを確認するということできょうの会談になったと思うのです。きょうの会談の唯一物はそれでしょう。これはやがていわゆる正規のと申しますか、本来の交渉再開へつながりますか。
○園田国務大臣 つながることを希望して電報を待っているわけであります。
○楢崎委員 外務大臣の見通しとしては大体きょうで片づくという見通しをお持ちですか、その尖閣列島問題については。
○園田国務大臣 会談の結果を見なければわかりませんが、尖閣列島の問題でそう深刻に両方が議論をすることはないのではなかろうかと想像しております。
○楢崎委員 大体私もそう思うんですよね。何がそんなに暇が要るのか、この問題だけだったら。たとえばその確認と申しますか、それの形式等であるいは意見がまだ一致しないかもしれないけれども、その中身については、私は双方もう出尽くしておると思うんですね、大体の考え方は。その辺はどうでしょうか。
○園田国務大臣 私も全く想像でありますからわかりませんけれども、少なくとも本日の会談が将来につながるように、あるいは支障にならぬように両方で苦労しているのではなかろうかと思います。
○楢崎委員 条約が締結される場合に、いわゆる七二年共同声明三項の台湾の問題でございますが、この「中華人民共和国政府は、台湾が中華人民共和国の領土の不可分の一部であることを重ねて表明する。」これに対して「日本国政府は、この中華人民共和国政府の立場を十分理解し、尊重」する、これは条約締結の際にはこの認識はさらに一歩進んで、台湾は中国の領土の一部であるということを承認するというふうに発展するのでしょうか。
○園田国務大臣 日中共同声明の線で行くものと判断をしております。
○楢崎委員 そうするとややテークノートみたいな感じですが、そういうことで行くわけですか。
○園田国務大臣 すべての問題が日中共同声明の線から後退はしていけないが、前進もしないという状況で一応まとまるものではなかろうかと想像をしております。
○楢崎委員 私どもは前進すべきである、このように思うのですが、その辺は意見の相違かもしれません。微妙な段階ですからこれ以上あれしませんが、ところでこの日中条約締結がされた際に、米台相互防衛条約というのは日中両国にとってどういう存在になるのでしょうか。
○中江政府委員 日中平和友好条約は、先ほど大臣が言われましたように日中共同声明の趣旨に沿って締結される条約ですし、それは将来の日中関係に関する条約ということでございます。他方、米台条約は、これは米台間に存在する条約でございまして、日中共同声明が発出されたときにも存在いたしましたし、いまも存在している。今度の日中平和友好条約は将来の日中関係を律するものだ、こういうことでございますので、日中平和友好条約の締結が米倉条約に何らかの影響を及ぼすとしうことは、理論上の問題としてはないという認識でございます。
○楢崎委員 そうすると、ここで確認をいたしておきますが、日中平和友好条約が締結された場合には、台湾は日米安保条約で言う極東の範囲には入りませんね。これは確認しておきます。
○中江政府委員 日米安保条約上の極東の範囲に台湾が入るか入らないかという問題は、これは日米安保体制上の問題として従来入るという見解になっておるわけでございます。その極東の範囲の中に台湾が入るという、そういう認識での日米安保条約、安保体制の存在したままで日中正常化が一九七二年に行われた。そしてその七二年の共同声明の趣旨に沿って日中平和友好条約が結ばれていく、こういうことでございますので、日米安保体制と日中平和友好条約との間にも直接の影響を及ぼし合うということはない。ただ、これは理屈の問題でございまして、政治的にどうであるかというと、これはもう先生も御承知のように米中間には上海コミュニケがあり、日米間には日米安保体制があり、日中間には日中共同コミュニケがある、こういうことで、目下のところアメリカと中国との間では上海コミュニケが出されたときの認識のもとでの台湾問題というもののとらえ方が続いている、そういうことでございますので、日米安保条約上の極東の範囲に台湾が入るという現状が続くということが、即現実の問題として何らかの処理を要することになるか、この点についてはその必要はない、こういう認識でございます。
○楢崎委員 伝えられるところによりますと、米中の条約締結、カーター政権の今任期中にやりたいという願望を持っておられるようですが、これは外務大臣としての予測で結構ですけれども、もしそういう場合、米中条約締結等が実現した場合に、米台相互防衛条約というのは一体どういうふうになるのでしょうか。その辺の感触について、今度のアメリカ訪問でもいいですけれども、どういう観測を外務大臣としてはお持ちでしょうか。
○園田国務大臣 米国では米中上海共同声明の線に従って進めていくということであって、それ以上の推測はできません。
○楢崎委員 その辺は向こうとの懇談あるいは話し合い等の中で感触は全然得られなかったのですか。重要なかかわりがあるわけでしょう。
○園田国務大臣 米国が中国と友好関係を進めていきたいということでは私も台湾の問題が一番問題であり、障害になると思いますが、この点をどう米国が考えておるかは予測がつきません。
○楢崎委員 ちょっと局長、確認しておきますが、六〇年安保のときの安保条約の審議の中で、共産圏は日米安保条約の極東の範囲には入らないというのが統一見解なんですね。それは確認されるでしょう。
○中島政府委員 日米安保条約の極東の範囲は、日米両国がその平和、安全について共通の関心を有している地域でございますから、そういう意味で、自由主義体制のもとにない国の安全が、その地域の中に入るということはないというのが基本的な考え方であります。
○楢崎委員 共産圏は入るのですか。
○中島政府委員 共産主義の体制下にある地域は、日米両国がその平和、安全について関心を持つ地域には該当しないということでございます。
○楢崎委員 はっきりしておりますね。だから台湾は大体は入らないわけですよ。だから台湾の認識がそこで問題になってきますよ。それで中国の領土の一部であるという認識に立てば、いまの統一見解から言えばこれは極東の範囲に入らないということになる。それはいいですね。さっき、条約形式的には入るけれども政治的には何とかかんとかおっしゃったが、条約解釈としてもそういう確定解釈になっているわけですがね。
○中江政府委員 これは条約解釈とかあるいは定義ということになりますので、少し理論的に詰める必要のある問題だろうと思います。 台湾についての日本国政府の認識は、冒頭に楢崎委員が御指摘のように、日中共同声明第三項の日本国政府は中華人民共和国政府の見解を十分理解し、尊重し、ポツダム宣言第八項の立場を堅持する、こうなっておりまして、中華人民共和国政府の見解は、台湾は中華人民共和国の不可分の領土の一部である、こういうことになっておるわけでございます。 したがいまして、台湾の地位についての日本政府の認識は、いまの共同声明の三項の後段にあるのが認識でございます。その台湾がいま言われました共産主義の国の中に入っているか入ってないかという、そういう角度からとらまえますと、それを理論的に詰めますと、どうしても共同声明の第三項の立場に戻ってくるわけでございまして、そういう認識のもとで、かつ、日米安保条約上の極東の範囲の中には台湾が入るという了解を日本政府が持ったままで日中正常化が行われた。そして将来結ばれるであろう日中平和友好条約は、領土問題はもちろん取り扱わない、さらに先ほど大臣も言われましたように、共同声明の認識のままである、台湾の地位につきましては。領土問題は扱いませんから。そういうことになりますと、日中平和友好条約が締結されたからといって理論上の帰結として、日米安保体制の極東の範囲に変化があるかないかということは御推察されるところだと思います。 あと、米台条約につきましてはこれは先ほど大臣が言われましたように、アメリカがこれをどう処理するかというのはアメリカの問題で、その処理の対応については予断ができない、こういうことだろうと思います。
○楢崎委員 大変ややこしい御答弁のようですが、形式的にはそういうことでしょうが、しかし政治的には極東の範囲に入らないような取り扱いになっていく、つまり凍結と申しますかそういう取り扱いに政治的にはなっていくであろう、そういう理解でよろしゅうございますね。つまり別の角度で言えば、これは私は実際にはあり得ないと思うけれども、たとえば武力解放などということもまだ死んでいないと思うのですがね。そういう場合にしても、台湾問題は中国の内政問題であるという認識に立って政治的には対処する、そういう理解でいいわけですね。
○中江政府委員 政治的ということになりますと、日中共同声明の第三項のみならず、日中共同声明を出しまして日中関係を将来に向かって発展させていく、そういう日中友好関係が大きく支配されてくる、こういうことになると思います。
○楢崎委員 時間が来ましたから最後に一問だけにしますが、日中平和友好条約が締結された暁には、将来のアジアの安全保障について中国を含めて話し合いあるいは取り決めが行われる、そう考えてよろしゅうございますか。
○中江政府委員 先生の言われる安全保障というのが狭義の安全保障でございますと、これは大変問題があると思いますけれども、アジアにおける平和と安定の構図ということでありますれば、共同声明が出されました後の北京のプレスセンターにおける当時の大平外務大臣の記者会見の御説明にもありますように、こういう新しい日中関係というものを踏まえて、これからどういうふうにアジアの平和と安定の構築をしていくかということはこれからの問題ですというふうに言っておられまして、そのときには、いまおっしゃいましたように新しい日中関係を念頭に置いたものになるということは当然のことであろうと思います。
○楢崎委員 これでやめますけれども、たとえば共同声明第七項、これはせんだっての私どもと耿ヒョウ副首相との会談の中でも覇権問題に絡んで表明がありましたけれども、これは別の意味で言えば日中戦わず、日中不戦の宣言だ、この七項は。そういう理解でいいわけですね。
○中江政府委員 日中ともに戦わずという方はむしろ第六項でしたか、紛争を平和的に解決するというところになろうかと思います。覇権を求めないというのは、むしろ日本も中国も他の国に対しては覇権を求めないということであろうか、こういうふうに思います。しかし、他の国に向かって覇権を求めない国がお互いに覇権を求め合うことは当然あり得ないことであるという意味では、おっしゃることも含まれていると考えていいかと思います。
○楢崎委員 この六項、七項を含めて、これはやはり日中永遠の平和ですから、不戦の宣言だという意味を持っておる、このように私は確認をしますが、もう一度その点お願いして終わりたいと思います。
○中江政府委員 日中共同声明全体及びこれから締結されるであろう日中平和友好条約の趣旨、精神から見て、日中不戦という決意がにじみ出ているというふうに受けとめるべきだと思います。
○永田委員長 井上一成君。
○井上(一)委員 先ほど留保をした点について、ここで改めて質問をいたします。 事務当局には私から具体的な数字、資料等もお見せをしたわけであります。そこで、外務大臣に、経過としては、五十二年五月三十日に当時の倉成経済企画庁長官がパリでの国際経済協力会議で、今後五年間で倍増をしていく、あるいは昨年の四月三十日に具体的に総理が、これはGNPに占めるいわゆる政府の開発援助費の比率でございますけれども、今年度の〇・二八%から、向こう五年間に二倍に引き上げる方向で云々と、こういうふうに明確に日本政府の意思表示がなされておるわけであります。 そこで、先ほどもお尋ねをいたしました、いわゆる基準になるその年度は五十二年度を少なくとも基準に置くべきであるという私の考え方、この点について改めて外務大臣からお答えを願いたいと思います。
○園田国務大臣 三年間倍増の基準年次については、一応各省間の事務レベルでは五十一暦年とする旨の了解がある模様でございます。しかし、この経済援助倍増の過去の事実認識、それからまた世間から見ましても、数字をいじくって実際はふえないのにふえたかっこうをするのではないかという批判等も受けるわけでありますから、そういう点からして、一応各省間の事務レベルでは五十一暦年と了解しているそうでありますが、外務省並びに外務大臣としては、これは五十二暦年を基準として三年間で倍増を実現するよう最大の努力をする所存でございます。
○井上(一)委員 各省庁間のというお話でありますけれども、政府の意思表示をしたのが五十二年でございますから、当然五十二年を基本に置いて三年間での倍増ということが正しい認識だと私は思うわけであります。外務大臣並びに外務省としてその線で今後努力をする、こういうことでございます。 先ほども確認はいたしておりますが、念のためにここでさらに、円ベースでこれを扱っていく、それから時期は別として補正をする、本年度のいつの時期とは私はここでは申しませんけれども。そしていまのお答えの五十二年度をベースにしたい、こういうことに理解をしてよろしゅうございますね。
○園田国務大臣 御発言のとおりだと存じます。
○井上(一)委員 外務大臣が何か所用があるので、私はさらにASEAN諸国に対する経済援助について若干大臣の御見解を承っておきたいと思います。 過日通産大臣がASEANを歴訪された。昨年は総理みずからがASEANを歴訪していわゆる四千億円の経済協力を約束してきた。今度はインドネシアに対して通産大臣がアサハンのアルミ製錬所計画に対して二千億円の退加融資を約束されたとの報道があるわけであります。アサハン計画は建設費が当初予定額より大幅に上回った、そしてこれは国際競争の点で非常に問題があるとされているわけでありますけれども、このアサハン計画に対する二千億円の融資約束、この点についてまず一点承っておきたいと思います。 それからLNG計画に基づくプルタミナに対する追加融資は認めないという政府答弁があったように私は認識をしておるわけでありますけれども、この点についても確認をしておきたいと思うわけであります。 これは通産大臣の訪問の中での約束事でありますが、もう一つ、東カリマンタンのバダクLNG基地の拡張についても資金供与に同意をされてきたということでありますけれども、これはいま申し上げたプルタミナとは関係があるのかないのか、この点についてひとつお尋ねをしておきたいと思います。
○武藤政府委員 アサハン計画のコストオーバーラン問題につきましては、インドネシア側の方から日本側に対する協力が出されたわけでございますが、河本大臣は帰ってから検討するという御返事をされたというふうに聞いております。 それからプルタミナにつきましては、今度河本大臣がおいでになりましたときに話題になったという報告には接しておりません。 それからCTSの問題につきましては、これはプルタミナとは全く別個のプロジェクトでございますが、これにつきましてもまだ日本側で寄り寄り検討中ということでございまして、このたび河本大臣が行かれましたときに、何らかの具体的な約束をされたということはないと聞いております。
○井上(一)委員 ASEANに対する経済援助については、また次回にさらに詳しくお尋ねをしたいと思うのであります。 そこで、園田外務大臣は、日中問題もあり、日米首脳会議から帰国されて問もない、いろいろな意味で御多忙だろうし、また事実そうであるわけでありますけれども、何かASEANを六月に訪問する日程を組んでいらっしゃるようにも聞き及ぶわけでありますが、ASEANに対する訪問計画がもうきっちりと固まったのかどうか、あるいはもし訪問するとするならば、その目的はもちろん経済援助、アジアの平和、いろいろな面があるでしょうけれども、その中心的な課題というものは何に置いていらっしゃるのか、その点についてお聞かせをいただきたいと思います。
○園田国務大臣 総理のASEAN訪問から約一カ年間経過いたしております。この間総理が各国でいろいろ相談された問題は、文化交流、経済協力、検討すべきものは検討し、大体やっているところでございますが、貿易収支について新たな問題が起こってきております。なおまた経済協力についても、いまお話がありましたとおり時世が変化をし物価が上がっておる、いろいろな問題がありますので、そういう点も話したいと思いますし、日米首脳者会談については、各国からそれぞれ希望が述べられておりますから、それについての説明もしたいということで、総理からもすでに指示をされているところでありますから、国会がどうなるかわかりませんけれども、国会が終わればなるべく早く訪問をして各国と友好関係を深めたい、このように考えております。
○井上(一)委員 外務大臣のことですからこれはもう蛇足になるかもわかりませんけれども、さっきの経済援助の倍増計画のような不細工な話をしないように、相手国に対しても本当に十分理解と信頼が得られ、かつまたわが国の経済援助が効果的であるように格段の努力を願いたいと思います。 そこで、さらに私が先ほども申し上げておった外交文書公表の中で、下山事件について当時の総理大臣でいらっしゃる吉田さんがアメリカにおいて発言をされたことが、今回、アメリカ側から発表されたわけであります。この事件は自殺あるいは他殺と多くの意見があったわけでありまして、非常に大きな事件として国内を沸かしたわけであります。当時の総理が他殺説で、しかもその犯人が朝鮮人という発言を米国で行ったということが明らかになったわけであります。 そこで私は、わが国の外務省の記録、いわゆる外交文書にはどのようになっているのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
○枝村説明員 ただいまお尋ねの件につきまして、急遽電話で文書課長に問い合わせたのでございますけれども、確かに昭和二十六年四月二十三日、吉田総理とダレス米特使との会談という記録は日本側にも残っております。ただ、その内容は外交問題に限られておりまして、ただいま御指摘のような総理の発言というのは出ていないということでございます。 とりあえずの結果を御報告申し上げます。
○井上(一)委員 外務大臣にこの点についてお聞きしたいのですけれども、いま事務当局から、とりあえずの調べの中ではそのようなことはないというお答えですが、これは大変なことですよ。もし事実でなければ、朝鮮の人々に対する名誉にかかわる大きな問題であります。そういう意味で、朝鮮の人々に対する信頼あるいは友好、いろいろと言われますけれども、その国民の名誉のためにも外務大臣として事実関係を明らかにすべきであるし、もし事実と相違するならば、わが国の現在の外務大臣としての所信をやはり明確にし、相手国に対して何らかの形で納得がしてもらえるように所見を示すべきではなかろうか、私はこういうふうに思うのです。その点についていかがでございますか。
○園田国務大臣 いま御発言のとおり、事実関係をさらに詳細検討いたすつもりでございます。
○井上(一)委員 それでは、この点については事実関係を明らかにして後刻委員会で御報告をいただけるということでございますか。
○園田国務大臣 そのようにいたします。
○井上(一)委員 さらに、とりわけ今回明らかにされたのは、日本外交がアメリカにおける業者依存の外交であるということについて報道されたわけでありますけれども、これは事実なのかどうか、あるいはアメリカ以外にもこのような事例があるのか、あるいはこれらに支出をされた年間の国家予算はどんな費目で計上されているのか、あるいはわが国の国内に外国に情報を提供するそのような機関があるのかどうか、あるとするならば、何らかの形で届け出の義務があるのか、あるいは外務省はそういうことを十分把握しているのかどうか、これらの点についてお尋ねをいたしたいと思います。
○中島政府委員 先生の御指摘のことしの四月二十八日の毎日新聞に出ておりました、わが方の在米大使館が用いております各種の現地における法律事務所とかPRのコンサルタントとかという事務所、専門家の労力、知識、経験を利用しておるという記事につきましては、私どもも拝見いたしましたところ、ここに出ておりますような専門家の役務を活用しておるということは事実そのとおりでございます。ここにあります年間約二億円という数字でございますけれども、個々の専門家に払っておると書かれております数字が、現実に全く正確ということではございませんで、多少の出入りはございますけれども、全体を合わせまして年間約二億円ぐらいのお金を支払っておるという点は、大体そのとおりでございます。この点は、ひとつ御理解を願いたいわけでございますが、わが方の大使館、これは在米大使館に限りませんけれども、世界各地におきますところの大使館は、みずからの業務をやりますと同時に、その法律事務の処理とか、公表資料の収集、整理というような補助的な事務を、現地におきますところの法律事務所とかコンサルタント事務所と契約を結んで、そういう作業をやらせておるということは実態でございます。これは、その大使館が本来なすべきことをやらないということでは全くございませんで、その大使館の及び得ないような細かな問題について、できる限り現地の有能な専門家の知識、経験を活用するということでございます。ことに、アメリカとの関係につきましては、御承知のように非常に緊密な関係がありますし、ことに、近来アメリカにおけるところの保護主義の動きというようなこともございまして、わが方といたしましては、議会とかその他一般の各界の動向を十分に把握し、またこれに対してわが方の立場を十分理解させるという点におきまして、これらの専門家の労力を使っておる、むしろ、いかにして有能な専門家を効率的に用いるかということが大使館としての重要な任務の一つということになっておるというのが実態でございます。 なお、日本におきまして外国の政府がどうしておるかという御質問でございますが、この点につきましては私は当面知識を持ち合わせておりません。ただ、いずれの国も、大使館のやり得る能力は限られておりますから、できる限り現地の人間の知識、経験を活用する、その活用の仕方は、それぞれの国の法律的な規制だとか、それぞれの国におけるところの専門家がどれだけ存在するかとか、いろいろ状況が違いますから一概には言えませんけれども、一般的に、そういうような現地人の知識、経験を活用するということは、いずれの国もやっておることだろうというふうに考えております。
○井上(一)委員 必要性についてるる説明をされたのですけれども、私の質問は、アメリカ以外でもわが国はこういうのを利用しているのかどうか、そして、全体の予算としてはどれくらい計上しているのか、その費目は何で出しているのか、こういうことを言っておるのです。
○枝村説明員 その国情その他ただいまアメリカ局長からも御説明いたしましたような次第でございまして、アメリカにおける支出というものが非常に大きな部分を占めておるわけでございますけれども、それ以外にも、カナダでありますとかオーストラリア、ヨーロッパの各地、そういうところでは、似たような活動、現地のそういう専門家の知識、経験を使うというための費用を支出しているということは事実でございます。 その金額は、大体年間五億円前後でございます。これは、先ほどアメリカ局長から申しました二億円というものも含めての数字でございます。 この項目は、いろいろ分かれておりますが、たとえば自由貿易体制維持強化事務委託費というようなことで、これは保護貿易の動きに対していろいろ議会で証言をするとか、あるいはPR活動、パンフレットを出すとか講演会を催すとか、そういった種類のものでございます。その他海外経済調査費というふうな項目、特別広報活動謝金というふうな項目等で支出いたしております。
○井上(一)委員 この点についてもいろいろ問題があるわけですけれども、もう時間も相当経過いたしておりますので、最後に、外務大臣、これはいつも理事会の席上では事務当局から報告を受けて、五月の上旬をめどにぜひ、とりわけ連休明けをめどに提出をいたしたいという報告を受けているわけですけれども、世界人権規約について、約束どおり、いつ御提出になるのか、もう限られた会期でありますので、その点について外務大臣から、ひとつ報告というのか、事務の進行というのか、お聞かせをいただければありがたいと思います。
○園田国務大臣 人権規約についてはいろいろ御援助、御指導いただいておるわけでございますが、外務事務当局は夜を日に継いで努力をいたしております。今度の連休間もほとんど連続で作業を続けておりまして、人員が不足でありますから、大臣は、特に応援部隊を増加いたしまして、各局から優秀な職員を抜いて作業に当たらしております。必死になってやっておりますので、何とかして間に合わせたいと努力をしておる最中でございます。
○井上(一)委員 私の質問をこれで終えたいと思います。ありがとうございました。
○永田委員長 次回は、来る十二日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後六時二十七分散会