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84回国会衆議院1978/04/12

外務委員会 第13号

発言数
297
登壇者
23
会派数
5
開催日
1978/04/12

会議録

永田亮一自由民主党

○永田委員長 これより会議を開きます。  国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。井上一成君。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 まず、私は、外務大臣に日中の問題についてお尋ねをいたしたいと思います。  かねがね園田外務大臣は、当委員会、国会の中で、憲法と核の問題につきましても、あるいはその他の懸案の諸問題についての御答弁、御発言、非常に私は正しい決断、正しい判断をなさっていらっしゃるというふうに受けとめておりますし、すぐれた政治家として位置づけをいたしております。そういう意味で、本日の私の質問に対しましても、ひとつ率直に大臣御自身の御判断で、ぜひ正しい回答、判断をお願いしたい、こう思うわけです。とりわけ、十一年批准がなされなかった国際人権規約の提出もすでに予定されております。そんな中で過日、福田総理は、日中交渉再開について、外務大臣の訪中は必須ではないというような発言をなさっていらっしゃるわけです。私どもがこの日中交渉再開に当たって当委員会で質問をする中で、外務大臣は常に、みずから訪中することによって交渉再開を目指すのだという強い御熱意をわれわれにはお示しをいただいてきたわけであります。そういう意味でこの総理の御発言は、若干外務大臣の御熱意に何か水を差すような、あるいは若干のずれがあるような受けとめ方を私はいたしておりますけれども、外務大臣は総理発言をどのようにお受けとめになっていらっしゃるのか、まず冒頭にお聞きをいたしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 日中友好条約締結の交渉再開については、しばしば申し上げましたとおり、いよいよ再開になって、そしてその必要があり、時期が来、総理大臣から御指令があれば、いつでも訪中して折衝したいという気持ちに変わりはありませんが、ただいま御承知のごとく与党内の御理解と協力を求める段階でありまして、だんだんと進んでおるわけであります。その際の総理の発言は、筋論として外相訪中ということが前提ではない、交渉再開が先であって、それから先、こういうこともあり得る、ああいうこともあり得るという発言であったと了承いたしております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それでは外務大臣は、今日もなおみずから訪中して日中交渉再開を目指すという御熱意には変わりはないということでございますね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 時期が来て総理から御指令があれば、喜んで参る所存でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いまもお答えの中で、自民党、与党内にいろいろと意見を持った方がいらっしゃるわけで、大変問題提起がなされて、何かわれわれの方では、この日中条約締結に際していままで前進をしてきた、それが中断をされるようなかっこうになっておるように受けとめるわけです。決して、中断どころか後退するようなことがあってはいけないわけでありまして、そんなことになれば大変なことになってしまうわけであります。一部には、交渉再開が八月にずれ込むのではないかというようなことも流布されておるわけでありますけれども、外務大臣、まさかそんなことはないと思います。ないと思いますけれども、一応交渉再開のめどは一体いつごろに置いていらっしゃるのか、お聞きをいたします。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いま与党の御理解と協力を求めておるところでございますので、これがいつ再開になるかという見当を私がつけるわけにまいりませんけれども、そんなに常識を外れてうんとおくれるようなことはないだろうと推察もし、希望もいたしております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 俗に慎重派だという表現の中で、非常に問題提起をなさっている与党内の方々がたくさんいらっしゃる。しかしそういうこともあって、その中で締結をしていくことがより外交交渉の中で、外務大臣としては当然そういうことを予想した中でやっていくのだというふうに発言もされておるわけであります。  それじゃ再度、八月に、まさかそんな遅くなる常識外のばかなことはあり得ないというふうに理解をしてよろしゅうございますね。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 時期についていつごろと言うわけにはまいりませんが、全般的な情勢からいって、そんなに大変おくれるようなことがあってはならぬ、こう思っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いわゆる旬日を待たずという表現をあえてしたいのですけれども、日米首脳会議前というふうにわれわれは理解をしたいわけですけれども、それをめどになさっていらっしゃるというふうに理解してよろしゅうございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 与党の方々の御理解を求める時期その他について、私がとかくの意思表示をいたしますと、これがまた御理解を得るための障害になるわけでありまして、私はいろいろな御意見を承りながら、早く御理解を賜ることを念じておるわけであります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 努力をなさっていらっしゃるということでございますけれども、やはり一定のめどというものを持ちながら、それに向かって与党内の意見調整を図っていらっしゃると思うのです。もう一度重ねて、八月というようなことは決してあり得ない、そしてできるだけ早い時期という形の中で交渉再開……。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は与党の方々の御意見に応じて必要なことをお答えしているだけで、党内の調整その他は、総理・総裁のお仕事でございますので、なるべく早く御理解を賜るように希望し、努力しておるところでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それでは、外務大臣としてはいつをめどに、もちろんそれは一日も早くという御発言をここでなさっていらっしゃるわけですけれども、お決めになるのは総理・総裁である、こういうことですが、外務大臣としてはいつごろをというお考えですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私としてはなるべく早い方がいいと心得ております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 では、その問題については、常識外のいわゆる八月説というものはあり得ないというふうに理解をしてよろしゅうございますね、外務大臣。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私が時期についての見当を申し上げることは、かえって遅くなる原因になりますから、ここではお答えをいたしません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さて、次に私は四十八年八月、いわゆるホテルグランドパレスから白昼堂々と拉致され、誘拐をされたというか、金大中氏事件について若干の質問をいたしたいと思います。  この問題については、まさにこれは日本の警察権を侵すものだ、ひいては主権侵害であるということは、その事実をもって示されておるわけであります。すでにこの事件が発生して足かけ五年を経過しておるわけでありますが、この事件については何ら解決らしき解決がなされておらない。今日もなお金大中氏は自由の身ではないということであります。  そこで、まず私は事務的なことで政府委員から答弁を求めるわけです。  金大中氏が現在病院に入っているということでありますけれども、その後どのような状況にあるのか、具体的に現在の状態をお聞かせいただきたいと思うわけであります。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 私どもが掌握しているところを御説明申し上げます。  金大中氏は、昨年の十二月に行刑法の規定に従いまして晋州の矯導所からソウル大学病院に移送されて、現在も同病院にて療養を継続されているというふうに聞いております。他方、同氏に対して警備は相変わらず相当厳重であるというふうに聞いておりますが、これは韓国の行刑法上、病気療養中もその扱いは矯導所収容者に準ずるということになっているためだというふうに承知いたしておるわけでございまして、その収容者に対する扱いというのは韓国の国内法等にのっとっている、こういうふうに見ております。金大中氏の身柄については、先ほど御指摘の、事件の起きました十一月二日の外交的決着の際の了解事項に間違いのないように、それが守られているかどうかについて引き続き関心を持っている、こういうことでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務省としては病院に入院をしてから何回ぐらい金大中氏と接触をなされましたか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 先ほど申し上げましたような状況のもとで面会が許されておりませんので、接触をしたという事実はございません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 わが外務省の側から面会を要請した事実があるのか、あるいは面会を求めたけれども韓国側によってそれが阻止されたのか、でき得なかったのか、その辺はいかがですか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 外務省として面会を求めるかどうかという点は、これは外交上の問題として、外国にある外国人の収容者に対して日本国政府が政府として何らかの措置をとるということは、これは相当問題のあることでございますので、いま外務省がやっておりますことは、再々申し上げておりますように、外交的決着の際の了解に間違いがないかということを韓国政府に確かめる一方、それを不可能にするようなことになると困るという観点から、主として弁護士その他を通じて情報の収集に努力しているということでございまして、仮に面会が認められましても、家族だとか弁護士のように再三大使館の人間が面会をするというようなことは特段考えていないわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 家族との面会はなされましたか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 私の承知しておりますところ、ソウルの病院に移送されてから面会が行われたということは聞いておりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は、この委員会では昨年たしか、日本側の、人道的な見地に立った非常に冷たい考えというものを強く指摘したわけなんです。きょうもあなた方は外交上云々と言われるけれども、日本で起こった問題で、日本の外務省の出先である大使館員が、御本人またはその家族に接触をしてその病状なり状態をむしろ日本側から積極的に尋ねてあたりまえじゃないですか。そんなことが何らなされてないということは、この金大中氏事件をどのように理解しているのだ。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 これは再三井上先生から御指摘を受けておりますように、この問題を一つの国際的な刑事事件として受けとめる反面、反面といいますか、もう一つの側面として人道の問題として、人権の問題としてこれにどう対処するかという、この二点があると思います。  刑事事件としての方はもう毎回申しておりますようなことでまだ事件としては解明されていない。人権の問題につきましては、先ほど申し上げました身柄の自由に関する了解というものがございまして、その限りにおいて日本と韓国の間に金大中氏の身柄についての了解事項がございますけれども、いま金大中氏が病院に療養中である、しかもそれは収容所にあるのと同じ扱いとして入院しているという、その原因となっている事柄というのは、実は日本での拉致事件とは直接関係のない、日本から韓国に連れ去られて、韓国においてその後起きた事件に基づいていまの収容所に収容され、病院で療養しておられる、こういうことですので、韓国に帰られてからの事件についてはもっぱら韓国内の国内事項であるということですので、その事件及びその事件にまつわる裁判、あるいはその裁判の結果として韓国が国内法に従って身柄の拘束をしているということ自身については、日本が表から争うことのできない問題である。  そこで、そういう状態にある人の人権の問題を、日本が権利としてどれだけ韓国側に迫ることができるかというのは非常に複雑な問題でございますので、これを韓国との間で正面切って争って、どの点でどういう措置をとるということはなかなかむずかしいわけでございますけれども、先ほど申し上げましたように、外交的決着の際の了解事項が守られる、守る意思が韓国政府に引き続きあるかどうか、またその実現を阻むようなことになってないかという観点からは私どもは絶えず注意を払っている、こういうのが現状でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 現在阻む状態になっているわけです。だから私のお聞きしたいのは、外務省としてはいままでは何ら接触しなかった。それは刑事的な面とは別の面で人権上の問題としてわが国としてはぜひ接触をすべきであるし、原状復帰を保障していくべきである。今日までそういう努力がなされておらないということについてはまことにもって遺憾であるし、外務省の姿勢それ自体を私は大変疑いたくなるわけでありますけれども、今後も含めてなお一層、過去のそういう取り組みの至らなかった点を反省して接触することに努力をするお考えがおありかどうか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 御承知のように、いまの事件で拘束される前には大使館員は大使館のパーティーにお招きしたりあるいはこちらから館員がお訪ねしたりということはあったわけでございまして、いまの事件の結果拘束されておりますが、釈放されるなりあるいは面会が許されるなり、そういうことになりますれば、いまの先生の御趣旨に沿って一屋努力してまいりたい、こう思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣にお尋ねをいたします。  この事件は、一口に言って日本と韓国の政治の姿勢の問題にあると私は思うのです。私は、金大中氏事件を解明すること、これを解決することが日韓両国の友好平和を築くことだと、この委員会でも再三述べてきたわけであります。このことは反対に、金大中氏事件の解明がなされなければ日本と韓国における両国間にいつもわだかまりが残っておる、そしてそれは友好平和を築くことの阻害になっているというふうに私は思うわけでありますが、外務大臣はいかがでございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 このような問題が速やかに解決されて解明されることを望むことは、私もあなたと同じであります。しかし、それについてのやり方は、いま日本の捜査当局が捜査をしているときでありまするし、中江局長の言ったと同じ意見でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣はまあ局長の意見と一緒だ。外務省はいままでいわば積極的に解明することへの努力、あるいは解決することの手だてはなされておらなかったというのが、私の考えなんですよ。外務大臣、この金大中事件発生以来、私を含めて国会においてはもう何百時間と言っていいぐらいの質疑が交わされ、そして、この外務委員会でも何回かそれが繰り返されてきた。大臣、この事件は、金大中氏の人権の問題であり、そして、わが国の主権侵害の問題であり、これらが解決しないままでは、私は今後ともこの問題について追及をせざるを得ない。  それは解決を目指して、解決を求めての追及である、あるいは質疑である。しかし、この論議は決して建設的な明るい論議ではないわけなんです。議論ではないわけなんです。しかし、あえてこの問題について触れなければいけないというところに、本当に私は、私なりの心情も外務大臣はわかっていただけると思うのです。警察当局もあるいは外務省も外務大臣も、われわれも含めて、この事件は韓国のどの組織がやったかはもう常識的にわかり切っているのだ。しかし、わかりながらも、なおいままでそのことが歴代外務大臣の答弁では明確になされなかった。におわすということはあったとしても、もうほとんどがいわゆる外務省の官僚の書いたメモを読み上げるぐらいの程度でしがなかったわけなんです。  園田外務大臣は、いままでの外務大臣とは非常に、決断にしても的確な、そして公正な判断をなされて、政治家としてのその信念を通されるということについては、むしろ私は最大の敬意を払ってきているわけなんであります。まあそういうことを踏まえた中で、金大中氏事件をこれ以上議論しなくてもよいように、もうきょうでこの問題が議論として、質疑として出ることがないんだというように私は願いたい、そういう考え方に立ってあえて質問をしているわけなんです。  政治決着、新しい事態が出ればまた改めてということで前鳩山外務大臣もおっしゃられました。そして、新しい事実が出ております。外務大臣、いかがでございますか、そういうことを考えれば、この問題は、振り出しに戻ってでも問題解決のために本腰を入れて、日韓両国の友好を築き上げるためにもひとつ取り組むんだという強い御決意を持っていらっしゃるか、外務大臣のお考えをひとつここでさらにお聞きをいたしておきます。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御発言の趣旨はよく了解できるところでありますが、すでに前々日本と韓国の間で話ができております。そして、この事件は捜査当局の捜査に移っているわけでありますから、その経過を見て、その上で何かあれば振り出しに戻ることもあるでしょうし、あるいは改めて外交交渉をやることもあるだろうと思いますが、いまや捜査当局が捜査をしている段階でありますから、その間は、私としては、中江君の言ったとおり捜査の発展を見ておるところであります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、私のお尋ねをいたしておる趣旨というものは十分理解していただけると思いますが、政治決着がついたというような認識に私は立っていないわけなんです。いま外務大臣は、捜査当局でその経緯を掌握しながら判断をしていきたいというように私は受けとめているのですけれども、あえてここで、続いて捜査当局に尋ねることがあるわけですが、新しい問題というのはどの範囲までを新しい問題とお考えなのか。私はむしろ振り出しに戻ってこの問題を解明するための努力をするという決意を期待しておるわけなんです。大臣、いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 捜査当局の捜査によってわれわれが外交交渉を始め、また振り出しに戻ってこれを韓国と新たな観点からやる事態が来るかどうかは、一に捜査当局の捜査の結果によるものと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 捜査当局の捜査の結果だということですけれども、新しい事実を提起しても、何ら振り出しに戻る姿勢がいままでもないわけなんですね。たとえば竜金号の乗組員が何人か目撃をし、そして、それを同一人物だと理解をしておったのが双子のきょうだいであったとか、いろいろな新しい事実をここへ提起し、そして、その人たちからも事情を聴取しながらも、なお振り出しに戻ろうとしない姿勢が問題である。それで、園田外務大臣には、特にこの問題についてはきょうを機にひとつ鋭意解決に努力をするというお考えを持っていただきたい。持っていらっしゃると思うのですけれども、ぜひ持っていただきたい。いかがでございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 捜査当局の捜査の結果によっていろいろな事実が出てくれば、それに基づいて外務省としてやるべきことをやります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それじゃ警察庁に。これは何回か私も含めて質疑があったわけですけれども、確認をする意味で、当時の大使館員であった金東雲については、もう指紋もとられておるということで、警察としては被疑者、容疑者として、現在もそのように位置づけをしていらっしゃいますか。

城内康光警察庁警備局外事課長

○城内説明員 お答えいたします。  警察はこれまでの捜査によりまして、金東雲が連行犯人グループの一人である、そういう一人として割り出したということを繰り返し申し上げているわけでございます。同人の容疑につきましては、指紋のほか、目撃証人などの私どもが十分確信を持つ証拠資料がそろっておるというふうに考えるわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 よくわかりました。ということは、犯罪構成の要因を十分兼ね備えておるというふうにお答えをいただいたわけであります。  この問題については、私は午後の質問にもさらに続けたいと思うのですけれども、もし金東雲がアメリカに居住するということになれば、現在審議中の日米犯罪人引渡し条約の締結によって仮拘禁を要請し、あるいは日本に当然送還でき得るという対象人物であるということを、ここでもう一度警察庁に確認をしておきたいと思います。アメリカに居住をしておる場合ですね。呼ぶ呼ばないの判断はいま私は尋ねておりません。その対象となり得るということについては、事実犯罪を構成する要因を兼ね備えておるのだから、当然その対象であるということをここで警察庁に確認をしたいと思います。

城内康光警察庁警備局外事課長

○城内説明員 お答えいたします。  条約に定められております条件が満たされれば請求の対象となり得る、これは当然のことでございます。  ただ、もしアメリカにおればという大きな仮定の上に立ったことでございますので、大変答弁がしにくいわけでございまして、やはりケース・バイ・ケースでそのときのいろいろな状況を詰めて、そして話が進められるということでございますので、そういうことで御理解願いたいと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 いや、私は、アメリカに居住をすれば、あるいはアメリカに一時的に滞在をすればわが国が請求をする対象になる人物であるということをここで確認をしたいわけです。だから、いま請求するんだとかそういうことをあなたには尋ねていないわけなんです。もう一度聞きますが、引き渡しの請求の対象になるということでよろしゅうございますね。

城内康光警察庁警備局外事課長

○城内説明員 お答えいたします。  国と国との関係でございますから、そのときは関係の向きとも十分協議して詰めていかなければならないと思います。  ただ、金東雲につきまして私どもが持っております容疑は、御承知のように、逮捕監禁、略取誘拐ということでございます。これは今度の条約の条文を見ましても、罪質的にはそういったものを充足するということでございます。ただ、そのほかにもいろいろ、たとえば政治犯罪については引き渡しが要求できないとかその他もろもろの制約がございますので、そういう詰めが必要であるということでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 この問題については午後にさらに詳しく私はお尋ねをします。ただここで、金東雲が犯罪を構成する要因を持った人物であるということは確認をしたわけであります。政治犯であるとかあるいは政治難民であるとか、そういういろいろな形ではないということも私なりにここで申し上げておきます。  さて、続いて、昨年私が指摘をした以後、当時の竜金号の乗組員について何回接触をし、あるいは事情を聴取されたか、これをお聞きいたしたいと思います。

城内康光警察庁警備局外事課長

○城内説明員 お答えいたします。  事件発生以後、黄金号の元乗組員数名からいろいろな状況について事情聴取をしておるわけでございます。昨年八月に先生がやはりこのことを御質問なさったわけでございますが、昨年の七月以前は元乗組員一人から事情聴取ができるにとどまっていたわけでございますが、八月以降鋭意努力いたしまして、数名からの事情聴取に成功したということでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 その中で事件解明に役立つ何かを得られましたか。

城内康光警察庁警備局外事課長

○城内説明員 お答えいたします。  結論の方から先に申し上げれば、これまでの捜査で竜金号が金大中氏連行に使われた船であると断定するには至っていないわけでございます。  そして、ただいまの御質問でございますが、いろいろと私ども接触してお話を伺いましたけれども、特にここで御報告申し上げるような結果は得られていないわけでございます。しかしながら、私どもが繰り返し接触し、事情聴取についての努力を積み重ねていく中で、一つしかない真実といいますか、そういうものにぶつかる場合もあるかもしれないということで、私どもとしては今後とも繰り返してそういう機会を持ってまいりたいというふうに考えておるわけであります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私が指摘した人物もその中に含まれておりますか。

城内康光警察庁警備局外事課長

○城内説明員 お答えいたします。  冒頭、先生から双子のきょうだいとかいうようなお話がございましたけれども、そのことではないかというふうに思います。ちょっとおっしゃっていただければお答えできると思いますが……。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 すでに鄭順男については名前を出しているわけなんですけれども、いま申し上げたイ・ヂョングワンも双子のきょうだいとして、その他複数の乗組員が事情聴取されているという事実、あえて私はここで、船長についてはその後いかがな事情聴取をされたか、そしていま名前を出した鄭順男だとかイ・ヂョングワンも含めて、あるいはその他、許されるものならその名前もひとつお聞かせをいただきたい。

城内康光警察庁警備局外事課長

○城内説明員 お答えいたします。  竜金号の元船長も含めまして数名から聞いているわけでございます。ただ、御理解願いたいのは、先ほど申し上げましたように、今後も私ども繰り返しそういう接触の機会を持って、協力を得て話を聞いてまいりたいと思っているわけでございまして、ここでその名前を出すということは、私どもが今後努めてまいりますのに対して差しさわりがあるのではないかというふうに思うわけでございます。また、ここで名前が出て、出たせいかどうかわかりませんけれども、足が遠のくというようなことも一部あるものですから、その点について御理解を賜りたいと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 では乗組員についてはまた詳しい質問を次の機会にいたしたいと思います。  もう一点。関西在住の韓国人実業家から、私はあえて名前を伏せておきたいと思いますが、金大中事件に絡んで事情聴取をされた事実がありますか。

城内康光警察庁警備局外事課長

○城内説明員 お答えいたします。  これまで警察は何人かの韓国人実業家の方も含めましていろいろ接触し、その協力を要請して、協力していただける方からはいろいろとお話を伺っているわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 すべての人に協力していただけましたか。警察が協力要請をして何人の人から断られておりますか。

城内康光警察庁警備局外事課長

○城内説明員 お答えいたします。  何人の人かということでございますけれども、これは私ども完全に掌握はしておりません。必要の都度赴いて話を伺っておるということでございます。  なお、その協力が得られるかどうかということでございますけれども、これは私どもが接触をいたしましてもあくまでも任意の措置でございまして、相手方が何らかの都合で私どもに協力をしていただけないということも間々あるわけでございます。そういう点を御理解願いたいと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、現在の韓国の朴政権が成立したのはいつでございましたでしょうか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 ちょっと正確な年月日とまでいきますと、私、記録をあれしませんといけませんが、軍事革命が一九六一年の五月でございましたから、その後で成立したというふうに理解しております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、五月十六日前後に何か日本と韓国との間ですかっとしたような問題が起こるのじゃないでしょうか。そういうような情勢を把握していらっしゃいませんか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 政府としては特に確たる新しい情勢というものを把握しているわけではございません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 この問題についてはさらになにでございますけれども、外務大臣もう一言、金大中事件解明のためには全力を挙げて努力をするという決意のほどを私はお聞きしたいわけです。それが先ほど申し上げた日韓両国の友好親善を確立することであるという前提に立って私は申し上げている。なお、金大中正の人権を守るということもその原点であるということはもう言うに及ばないわけでありますけれども、大臣の御決意を。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 金大中事件が捜査当局の手によって真相が解明をされて、これが日韓間の一つの残った問題にならないように願っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 さらに、私はここで在日韓国人の留学生の逮捕問題についてお尋ねをしたいと思います。  余り時間がありませんので、金達男君について、彼は昨年死刑を宣告されながらも年末に釈放されておるわけであります。そういう事実を承知しているのかどうか。もし承知をしているならば、どういう理由でその釈放がなされたかということもあわせてお聞きしたい。  それから、本人から日本への帰国、再入国の意思表示がなされたと思うのでありますが、本来からいけばもう再入国の期限は切れており、協定の永住権もなくなっておるわけでありますが、日本政府はこの再入国についての取り扱いについてはどういうふうになさるのか、お聞きをいたしたいと思います。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 第二点の再入国の方は担当の法務省の方で御説明いただければ結構だと思いますが、前段の事実関係について私どもの把握しておりますのは、死刑の宣告はいまから申しますと一昨年の昭和五十一年の四月十三日であった。それが昨年の三月一日に死刑から無期懲役に減刑がありまして、そして昨年の十二月二十五日に刑の執行を停止するという処分によって事実上釈放されたというふうに把握しておるわけですが、なぜそうなったかということにつきましては、韓国の中の手続上の問題でございますので、正確にこういう理由だというところまでは承知しておりませんが、服役中の行状が好ましいといいますか、刑の執行を停止するに十分であるという判断があったのではないかと推測しているわけでございます。

藤岡晋法務大臣官房参事官

○藤岡説明員 お尋ねの再入国の関係でございますが、御本人はいわゆる出入国管理令上の再入国の許可を受けて韓国へ向けて出国されたわけでありますけれども、すでにその一年間という再入国の許可期限を過ぎておりますので、その再入国の許可それ自体は今日すでに効力を失っております。ただ、御本人が韓国において刑を務めたないしは仮釈放を受けた。要するに自由の身になって、そして再び日本に帰ってきたいという御希望のある場合には、通常の入国申請手続をとっていただく。それに対しましてわれわれ出入国管理当局は、本人がいわゆる協定永住許可者という法的地位を喪失したとは言いながら、長く日本で暮らしてこられたという特殊な実質的な地位を十分にしんしゃくいたしまして、御本人の希望に沿うような方向で好意的に考慮したい、かように考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 何らかの形で再入国を希望しているということを当局は承知していますか。

藤岡晋法務大臣官房参事官

○藤岡説明員 ただいま具体的に把握いたしておりません。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 再入国の希望があれば、いまお答えがあったような形で取り扱っていきたいということです。この点についてもまだまだ深く質問をしたいわけでありますが、限られた時間ですのでこのことについても次回に譲ります。  もう一点。外務大臣、私はわが国の領土に、とりわけ外交問題に非常に重要な位置を占めておる地域に国会議員あるいは政府が一緒になって現況を視察する、認識するということはいいことだと思うのですが、いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 できるならいいことだと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 そこで一言、竹島について。外務大臣、いかがでございましょうか。きょう実は理事会でも私は提案をしたのですけれども、ぜひ竹島の現況をわれわれが承知する必要があると理解をしているわけです。大変いろいろな問題でお忙しいので、外務大臣御一緒にというわけにもまいりませんが、外務省の担当の所管に、国会が終えた後でもいいですからひとつ御一緒に現況を視察することについて、いかがでしょうか御同意をいただけるでしょうか。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 外務大臣から、一応政府委員として説明しろということですので、御説明いたしまして、追って外務大臣から締めくくっていただくということで御了解いただきたいわけでございますが、日本政府として大事なことは、竹島が日本の固有の領土である、したがって、日本の施政権が円滑に行使できる状態に戻すことが問題の解決になるわけでございますので、いろいろの措置をとりますことが、その本来の領有権者である日本国のもとに戻るのに役立つことのために努力するということであります。したがいまして、いま韓国が不法に占拠している、そこに乗り込んでいくという場合に起きますいろいろのあつれきあるいは問題、そういうものについてはっきりした解決案、解決策というものを備えておりませんと、いたずらに紛争を激しくするだけで、本来の目的である円満な紛争の解決にかえって逆効果になるようなことではこれは心配であるということでございますので、慎重に対処してまいりたい、こういうことでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、日本の領土にわれわれが現況視察するのには、何ら憶することはないでしょう。外務省の役人が耳打ちをしたり、あるいは外務大臣が答弁しにくいときにぱっと出てきて、外務大臣にかわって答弁しますが、私はそんなものを求めていないのですよ。だから外務大臣、竹島へ行くことについては、あるいはそういう日本の領土を承知をするために視察をしたりあるいは現地へ行くことは、その結果どういう問題が起こるかということとはまた別の問題だ。もしそういうことをした場合にはどんな結果が起こるかという予想的なもの、あるいはそういうことは別として、竹島へ行くことについては非常にいいことだ、できるなら私も行きたいのだというくらいのお答えがいただけると私は思っているのですよ。外務大臣の本当のお気持ちをここで私は聞きたい。そこへは行ったらいかぬと言うのか、あるいは行くことが当然だとお考えなのか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 できればよいことだと私はお答えしたわけでありまして、現に竹島には紛争が起こっておって韓国の警備隊がおるわけでありますから、行かれて島の周りを回って帰ってこられるのか、あるいは島に上がって帰ってこられるのか、これは一に、国会議員の方で行こうとおっしゃれば、国会議員の方の御相談によって決まることだと思います。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 だから、当然外交問題の重要な位置づけになっているわが国の領土ですから、外務省自身も十分承知するために、われわれがもし行くとすれば、外務大臣、御一緒にいかがですか、こういうことを聞いているのですから、できればよいことだということだから、それができ得るようにぜひ努力をしていただきたい、こういうことです。一言で結構です。外務大臣にもう一度お答えをいただきます。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 外務委員会、また国会で御相談なさって、行くということになりますればこれを承るわけでありますけれども、しかし現状からすれば、この委員会では言えませんけれども、御相談なさって国会議員の方が視察に行かれるというだけでは意味はありませんので、行かれたら、その後外務大臣としては、それに膚接をして何をやれるかというところまで研究をして行かなければ、やみくもに飛び出されてもこちらは困る、こういうわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 外務大臣、この問題もやはり政治家としてその信条、信念を吐露していただきたいわけで、もう多くをお答えいただかなくてもその気持ちはわかるので、できれば一緒に外務大臣もフォローしていただきながら、あるいは御案内をいただいて、私はぜひ現地を視察したい、こういうことを申し上げておきます。  さて、今度は対外経済援助の問題で、とりわけASEANの問題について少し触れておきたいと思います。  いわゆるベトナム情勢の変化以来、アメリカはアジア離れの傾向が非常に強められておったわけでありますけれども、最近ASEANに対する関心を強めております。そして、本格的なASEANに対する定期協議化を提唱しておるわけであります。  そこで私は、ECも含めて先進諸国がこのようにASEANに非常に接近をしているということは、ASEANのいわゆる経済市場に大きな魅力を持っているから、そういうふうにASEAN接近を図っておる、こういうふうに考えるわけでありますけれども、外務省としてはいかがでございますか、そのように受けとめをしていらっしゃいますか。

中村泰三外務省経済協力局外務参事官

○中村説明員 わが国とASEAN諸国との間には、非常に古くからの政治的、経済的、文化的な友好のきずながございまして、わが国といたしましては、今後ともASEAN諸国との友好、経済協力関係を増進してまいりたいというふうに考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 時間が限られているから、私が質問をしたことに答えなければいけない。先進諸国が、アメリカ、EC、あるいはソ連も含めて、中国もASEANに対する魅力というか、接近を図っておる。とりわけアメリカ、ECのASEAN接近は一体何なのか、こういうことなんですよ。私があえて、それはASEANの二億五千万人という人口もさることながら、そこにある経済市場に魅力を感じて接近をしているのではないだろうか、そうだろうということを尋ねているのですから、それに対してお答えをいただかなければいけない。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 ASEANがASEANとしてまとまります以前から、あの東南アジア地域というのは、いま先生がおっしゃいますように、経済市場として注目を集めていたわけでございますが、それがASEANとしてまとまりを見せて、しかも平和的な連帯感を強めながら自主的に開発をやろうという非常に健全な政策を打ち出したために、多くの先進諸国も、このASEANを育成していくことに協力しようというふうに政治的にも踏み切ったものと私どもは受けとめております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それに反してわが国は、先ほどの答弁もあったわけですけれども、何と言ってもわが国のASEANに対する一審基本的な姿勢というのは、福田総理が昨年八月マニラ会談で宣言をした、いわゆる心と心の触れ合いである、いわゆる相互理解と信頼関係を築いていくのだ、その必要性があるのだということを提言して、そのときに約束をしたことがどのようにその後進んでいるのか。あるいはもっと端的に言えば、わが国はASEANの経済市場に魅力を感じたりあるいは経済市場を征服するという考え方に立ってはいけないということであります。そうでしょう、外務大臣。基本的には、ASEANとアジアに位置する日本とは生活運命共同体だというぐらいの強い認識でわれわれはASEANに対応していかなければいけない、こういうことなんです。そういうことについて、ただ単にマニラへ行って提言をし約束をしてくるだけであって、あと何らそれの裏打ちをしていかないということは、まさに日本外交は中身のない外交である。  とりわけ私自身これは外務大臣にお尋ねをしておきますが、何か聞くところによると、四月末から通産大臣がASEAN歴訪をなさる、こういうことなんです。決して私は通産大臣の歴訪をだめだと言うわけじゃないけれども、何かそこに経済優先のにおいがあるのじゃないか。そういうにおいを持たすということは、対日批判を買うだけのことである。むしろ外務大臣が歴訪して、福田総理の約束事をフォローなさるのが当然じゃないか、こういうふうに私は思うわけであります。筋違いなそういう外交なんというものはだめである。だから、そういう点についてひとつ外務大臣のASEANに対するお考えを、そして私がいま指摘したことについても含めて外務大臣にお答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ASEANの国々が再び市場にならないようにとASEANの国々自体が考えておりますし、日本もまた、そのようなことがあってはならぬということは御発言のとおりであります。総理の行かれた後のフォローアップは逐次具体的にやっておるわけであります。今度通産大臣が行かれるについては、行かれる前に、総理並びに外務大臣と通産大臣が打ち合わせを綿密にいたしまして、日本の経済侵略または企業の進出あるいはASEANを金もうけの対象にするという印象を与えないように、内閣の閣僚として福田総理のフォローアップの一環としておいでになるように、十分打ち合わせをして御出発願うように手はずをいたしております。  なお、外務大臣もその後、機を見てなるべく早い時期にASEANの国々をもう一回回って、綿密に相談をし連絡をし、お互いに相互理解を深める所存でございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 最後に、ASEANをめぐる各国の動向がいままさに大きく変わろうとしておる、そういうASEAN市場に対する関心が高まっておる中での日米首脳会談、当然ここで日米双方ともに非常にかかわり合いの深いASEANに対する経済協力を初めとするアジア外交が両国の主要議題になるのではないだろうか、私はこういうふうに思うわけであります。このことについて、首脳会談の中でASEANにかかわる議題あるいは話し合いがなされるのかどうか、あるいはそういう用意を持っていらっしゃるのかどうか。そして、そのことが新しいアジアの秩序をつくり出すことにつながっていく、私はこういうふうに思うわけです。あるとするならば、それで非常にありがたいわけです。結構なことですけれども、ないとするならば、本当に日本がアジアの新しい秩序をつくり出そうとすることの熱意がアメリカに伝わらないことになりますから、ぜひこれは日米首脳会談の議題の中に入れるべきであるということです。外務大臣からお答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 日米首脳会談の議題は、いま外交チャンネルを通じて詰めておるところでありますけれども、いま御発言のアジア情勢という問題は当然これは出てくるでありましょうし、出すべきことであると考えております。その際には、いまの御発言も参考にしながら話を進めたいと存じます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 以上をもって私の質問を終わります。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 志賀節君。

志賀節自由民主党

○志賀委員 日中平和友好条約をめぐってお尋ねいたします。  隣邦中華人民共和国と善隣友好関係を確立し、これを発展させることに異存のある人は、わが国にはまずいないと存じます。私もまた中国と仲よくすることを希求している一人であります。その私にとって残念至極なことが一カ月ほど前に起きました。  三月十六日のこと、この日のわが国の有力朝刊紙は筆をそろえて、その二日前に北京の人民大会堂で行われた、わが国の矢野絢也公明党書記長と鄧小平中国共産党副主席兼副首相との間に交わされた会談内容を伝えました。各紙とも鄧副首相の三木前首相に対する非難の言葉を報じたからであります。括弧内に要旨と断りつつも、「党訪中団と鄧副首相との会談全容」と題する公明党の機関紙公明新聞の記事が最も詳しいと思われますので、問題の個所を読み上げさせていただきます。「もともとこの問題は、その勢いに乗ってたやすく解決することができたのです。三木首相(当時)は東風に乗ってこの問題を解決することができたのでした。三木首相は中国の古い友人でした。福田首相は古い友人ではありません。ところが三木首相は、この条項だけを抜き出して、今まで問題にならなかったことを問題にしてしまったのです。もともとこの問題については、枝葉の問題を持ち出す必要はなかったのです。解決しなければならない原則の問題にしてしまったのです。もともとソ連は口をさしはさむことができなかったのに、三木首相の態度を見て、ソ連は口をさしはさんできたのです。もともと口をさしはさむ余地がなかったのに、ソ連がカードとして使い出したのです。」鄧副首相自身の言葉によって御理解を十全ならしめるため引用させていただきました。  また、こういう個所もあります。「福田首相や園田外相にお伝え下さい。ソ連に対してお国がいろいろ交渉があることを知っています。その交渉で園田外相がソ連を訪問したことも承知しております。ソ連はもともとこのようなカードを握っていなかったのです。三木首相が与えたのです。今条約をやっても彼らは何もできないのです。こういった問題で軟弱さを示すと、彼らに乗ずるスキを与えることになります。」通訳は日本側からではなく中国側からついたはずであります。一国の要路にある者が名指しで他国の政治家を非難するということ、しかもその政治家がその国の首相在任中のことを非難するということは、常識的に考えれば、両国間の国交を円滑ならしめるよりは逆の方向に行かせるためのものと理解すべきではないでしょうか。その方が素直であります。これは日中両国間のこととか三木前首相だけのこととかと限定して言うのではなく、一般論としてそうではないかと思うのであります。常識的に考えても、外交史などに徴しても、園田外務大臣、そうだとお思いになりませんか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いまの御発言の趣旨は、私も新聞、公明党の機関紙で拝見をいたしました。なお、志賀さんからお尋ねがありましたから、矢野さんにも直接そのときの雰囲気その他の状況を承ったわけでございます。それからいたしますると、前首相に対する個人的な誹謗ではないにしても、前内閣の中国問題に対する対処ぶりを不満を漏らしているわけでありまして、そのようなことで、御指摘のとおり、一方の国の政府の要人が他方の国の前首相、内閣の名前を挙げて一方的なコメントを行うことは、外交慣例から言えば非礼でございます。なお、政府としても、この点は中国側に対し節度のある態度を希望するものでございます。  また、日中条約の締結については、いろいろ経緯はありますけれども、日本政府は、前内閣も現内閣も一貫して最大限の努力を払ってきておるものであり、中国側がこの点を正しく理解していないとすれば遺憾なことでございまするから、機会があればこの点は十分話をしたいと考えます。

志賀節自由民主党

○志賀委員 特に、日中両国の善隣友好関係を維持発展させるために日中平和友好条約締結を目途とする交渉に臨む人の言としてはもとよりでございますが、偉大な中国の指導者の一人の言としても、理解に苦しむものでございます。三木内閣時代に日中平和友好条約締結ができなかった大きな原因として、江青夫人ら四人組事件による中国側の国内事情を挙げる有力意見のあることは御承知のとおりであります。園田外務大臣のように日本政府の要路にある人が、かりそめにも名指しで故周恩来前首相をあげつらい、四人組はその悪しき遺産であり、そのような全く中国側の国内事情ゆえ三木内閣の積極姿勢にもかかわらず日中平和友好条約の締結に至らなかったなどと、中国からの訪日団の政治家にもし言ったとすれば、それはもう中国側がどのような反応を示すか、思い半ばに過ぐるものがあると思うのでございます。鄧副首相の言から私が理解できることは、口先ではどのようなことを言おうとも、中国側の腹は条約締結に消極的なのではないかということであります。別書すれば、日本国内の至るところに条約締結の促進派と慎重派が存在しておりますが、鄧副首相も慎重派のように見えるということであります。促進派にとっては遺憾千万なことと申さなければなりません。百歩譲って中国側が条約締結に積極的であることが真実だとすれば、条約交渉以前の問題として鄧副首相の三木非難発言の取り消しないし訂正をなさせることが不可欠の条件であると信じます。園田外務大臣の御見解を求めます。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私が先ほど申し上げましたことは、逆に立場を変えて、私なりあるいは閣僚の一人が中国の国家指導者の名前を挙げてこれを非難した場合には、中国はどのように受け取るかということを考えれば、私が先般発言したのは当然であり、中国も理解されることであると考えております。  なおこの点につきましては、条約締結その他、本当に相互理解するについては、いささかも両国の心の中に誤解やわだかまりがあってはならぬことでありますから、こういう点は十分話をしたいと思っておるわけであります。しかし、政府に向かって言ったことでありませんから、政府が公式にこれの取り消しを要求して、これができなければ交渉に入らぬという筋のものではない。非礼を相手に言い、そしてそれの理解を求め、相手がそれを理解することが前提条件であるとは考えております。

志賀節自由民主党

○志賀委員 ただいまの園田外務大臣の御発言でございますが、私が一番憂慮いたしますのは、日本政府が、公人たる公明党の矢野書記長に対してなされたトウ発言をかりそめにも黙認をして、その上に交渉の構築がなされては、理論的にもこれは困るのではないか、日本の国益にふためであるという解釈に立つから私は申し上げたわけでございます。  なお、さらに伺いたいことは、中国との共同宣言に反覇権のうたわれている例は、上海コミュニケなど幾多存じておりますけれども、中国がすでに締結した平和友好条約を含む各種条約中、反覇権をうたっている条約は他にあるかどうか、これを伺いたいわけであります。もしあるとすれば、それはどの条約であるか、また日中平和友好条約の案文を別として、現に交渉段階にある条約案文でも結構でありますが、その中に反覇権のうたわれているものがあるかどうかを教えていただきたいわけでございます。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 御質問のような反覇権条項を入れた条約を中国が締結しているという例は存じておりません。

志賀節自由民主党

○志賀委員 すると、日中平和友好条約に反覇権を盛り込むとすれば、条約としてはこれが初めての例になるわけであります。果たしてわが国があえてそのようなことをしなければならない必要があるかどうか、これを私は伺いたいのであります。覇権はいつ、どこであろうと許してはならないということがたてまえでございましょう。したがって私が不思議に思いますことは、覇権を求めたり求めさせたりしてはいけない地域をなぜアジア太平洋地域などと限定する必要があるのか、その理由が私には全くわからない。この地域でなら覇権を求める動きに対して物理的な抵抗が可能で、他の地域でなら不可能に近いからだという理由からであるなら、中国はともあれ、国際紛争解決の手段としての戦争を憲法で放棄しているわが国としては、これに同調することは絶対にあってはならない、そう私は信ずるものでございます。この点について園田外務大臣の御所見を承りたいと存じます。

中江要介外務省アジア局長

○中江政府委員 御指摘の、覇権を求める試みに反対であるというその対象地域をアジア太平洋地域に限っているのはどういうことかという御質問でございますが、日中共同声明あるいはそれに先立ちました米中共同声明ではそういうふうになっておりますが、その後中国が多くの国、特にアジアの諸国との問で出しております共同声明では世界のいずれの地域においてもということになっておりますので、これは認識の問題といたしまして、日中問に限ってアジア太平洋に限定しなければならぬということではないという御理解は正しい適当な御理解であろう、こう私は思います。ただ、そういう覇権反対条項を一体どういうふうに今度の条約交渉で扱っていくのかという問題は、これは条約交渉の具体的な中身にかかわる問題でございますので、それ以上どうするということは申し上げられません。そういうことでございますので、反覇権条項について、いま先生がおっしゃったようにアジア太平洋地域なら反撃ができるからというような考慮はないということだけははっきり申し上げられると思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 外務大臣並びに外交は、公的によその国と約束したり公的な方針を決定したことに従ってその先を進めていく、それが私の仕事でございます。日中共同声明で明記され、衆参両議院で決議されたことでございますから、その方針に従って、その中で日本の国益をどのように守るか、こういうことで今後の折衝を進めるべきものだと私は考えております。

志賀節自由民主党

○志賀委員 時間が参りましたので、以上で私の質問は終わります。  ただ、先ほど来申し上げましたとおり、鄧小平副首相の三木非難発言は、これを認めると、そういう落ち度が日本にあったという、その理論の上にあちらの理論が構築されていく、われわれもそれを認めて引きずられざるを得ない、こういうまことに国益に相反することが招来されるわけでございますから、この点は厳重にお心におとめいただきまして、ぜひ日本の国益を損なうこと瑕瑾なきを期していただきたい、かように存ずる次第でございます。よろしくお願いをして、私の質問を閉じます。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。     午前十一時五十八分休憩      ――――◇―――――     午後一時五分開議

永田亮一自由民主党

○永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。米田東吾君。

米田東吾日本社会党

○米田委員 実は、この三月三十日でございますが、新潟県知事、新潟市長を、韓国大使館の総領事である朴性武氏、それから領事であるということで鄭燦植氏がそれぞれ連れ立って訪問されました。今度、新潟に韓国の総領事館が設置されることになったので、私、すなわち鄭燦植氏がその領事になって参りますのでよろしくというあいさつがなされたということを承知しておるわけであります。この韓国大使館総領事と名のっての朴性武氏、それから領事として名のった鄭燦植氏、それぞれ大使館員として実在されておるのかどうか私どもわかりませんので、ひとつ外務省の方からまず答弁をいただきたい。とかく韓国の在外公館の館員なる者は、果たしてその館員であるのかどうか、たとえばKCIAの部員であるとか他の一般の民団等の部員を兼ねているとか、きわめて複雑怪奇でありますので、この際ひとつ正式にこの人物を確認したいと思いましてお聞きします。  それから、これまで新潟市長も知事も、新潟市に韓国総領事館が設置されることについては全く知らなかったようであります。このことによって初めて、なるほど新潟に韓国総領事館が設置されるのかということがわかったということであります。そこで第二の問題として、どういう経過でどういう手続で新潟総領事館が設置されたのか。  そこで私がちょっと指摘しておきたいのは、一九六五年に日韓条約が締結されましたが、新潟は一九五九年から在日朝鮮人の帰国の出港地として利用されておりましたし、戦前戦後におきましても、新潟市はいわば朝鮮半島の日本海岸の窓口でございました。そういう関係で、対朝鮮の関係はきわめて緊密で友好的であったところであります。一九五九年以来、その新潟が指定されまして、人道のかけ橋あるいは平和のかけ橋と評価されました帰国事業が、新潟港を出港地として円満に人道的に今日まで進められておるわけであります。そういう新潟に対しまして、日韓条約が締結されまして以来、絶えず韓国は領事館の設置を求めてきておるということを私は聞いておるわけでありますし、事実、私ども関係者としては、それは困る、帰国事業の妨害に恐らくその意図があるのだろうから新潟としては困るということで、反対運動を起こした経過もございます。したがって今日まで韓国領事館は設置されないまま推移をしておるわけなんでありますが、あえて言わしていただければ、今回突如として韓国領事館が今度設置されることになった、こういう経過がありますだけに、私ども理解できないわけであります。外交上手続が経られまして在外公館が設置されることは、外交権を持っている政府の一元的な権限であり、それは当然な遂行義務であろうと思いますけれども、しかしこの種のものは、設置される地元の市民や県民や住民や、在日朝鮮人の理解と協力がなければ、この公館というものはその任務を果たすことができないはずであります。要するに、歓迎されるような状態で初めて任務が果たせると私は思うのであります。そういう点で今回突如として設置されたことについて、私はまことに奇怪に感ずるわけでありますし、経過がわかりませんので、ひとつ説明をいただきたいし、なお私は特に大臣に御出席いただきましたのは、日韓の関係は非常に対朝鮮の関係もございまして、政府としては常に慎重に取り組んでいらっしゃるはずだと思うのであります。したがいまして、韓国領事館の設置という問題は、手続上は口上書の交換とか、日韓条約の第一条にあるその手続上の関係は別といたしまして、政治的には相当これは慎重に配慮されて、当然大臣の判断、決裁があったろうと私は思うのでありますし、それに価する新潟の総領事館の設置だろうと私は思います。したがいまして、この点について大臣はどのように理解をされて設置を承認されたのか、ひとつあわせて御答弁をいただきたい。

三宅和助外務省アジア局次長

○三宅政府委員 まず第一に、鄭さんなる者が大使館員かどうかということは、儀典の方から後から説明させていただきますが、実は外務省にも総領事の任命その他につきまして、まだ通知が参っておらないということでございます。  それから第二の点につきまして、経過でございますが、先生御存じのように、韓国側は日韓の国交正常化当時から、裏日本に、特に新潟に領事事務処理の便宜を図るために総領事館を設置したいという希望を表明してまいってきております。特に昨年の九月の初めに行われました第九回の日韓定期閣僚会議の際にも、改めて鳩山大臣に朴東鎮外務部長官から、ぜひ設置をしていただきたいという強い要請があったわけでございます。それで内部でいろいろと検討してまいりましたが、やはりこのあたり、認めるのはしかるべきではないのかという結論に達しまして、去る一月十七日でございますが、先方の要請に対しましてわが方からこれに同意するという口上書を発出したわけでございます。  そこで、それではなぜこの総領事館を認めたのかということでございますが、すでに先方の口上書にもありますように、裏日本にいままでなかったということでございまして、あくまでも領事事務の処理の便宜を図るために設置してもらいたいということでございます。  それから、いろいろな事務手続の問題といたしましては、すでに先生御指摘のとおり、総領事館の設置問題は、具体的にはその国における領事事務の具体的な必要性を勘案して決めるべきものでございます。われわれといたしましても、やはり領事事務が非常に重なっているということから、妥当ではないのかということで判断したわけでございます。  その次に、ではなぜ地方自治体に十分説明して理解を求めなかったかということでございますが、先生御指摘のとおり、領事館の設置問題は、それ自体は特に事前に地方自治体に理解を求め、了承を取りつけているわけではございません。ただ現実問題といたしまして、建て物を建て、土地を購入し、いろんな現地での活動があると思います。その段階で地方自治体とも十分協議いたしまして、連絡をとりつつ協力体制を進めたい、こう考えておったやさきに、実はわれわれも全然知らなかったわけでございます。何かその情報によりますと、鄭さんなる方が突如知事さんを訪れておるという話を、事後実は間接的に聞いたわけでございまして、そういうことの事態は決して適切な事態ではない、その点はわれわれとしましては韓国側の手違いといいますか、事務手続の問題として今後指摘したいというぐあいに考えております。  最後に、それでは大臣の決裁を受けたかということでございますが、大臣の決裁も受けております。  あと、引き続きまして、鄭さんが大使館員として果たして存在するかということにつきましては儀典官の方から答弁さしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 経緯はいま述べたところでありますが、いま御意見を承って大臣は恐縮をしておるところであります。少なくとも領事館の設置について、地元の知事さん、市長さんの了解あるいは協力を得てないで突如としてあいさつに行って知られたという事態は、これは全く弁解のしようのない怠慢であると考えております。  なおまた新しく設置された領事にだれが赴任するかということは、わが外務省にちゃんとあいさつをして、しかる後現地でそれの仕事をやるべきであるのにかかわらず、突如としてそんなことをやった、これはもう一遍厳重に韓国にも照会し、それから部内の事務ももう一遍、大臣もよく詳細検討して、今後こういうことがないように十分注意したいと考えております。

大井浩外務大臣官房儀典官

○大井説明員 まことに申しわけありませんが、朴さんについてはいま手元に資料がございませんので、至急調査の上お答えいたします。  鄭さんにつきましては、三月三十日まで大使館一等書記官として在職しております。  それから、三月末に領事の任命について一応通報はしてまいりましたけれども、先ほどアジア局から御説明申し上げたとおり、まだこの総領事館の管轄区域とか、あるいはその所在地、あるいはその長の氏名等について正式に通報を受けておりません。これを受けるまでは接受できませんので、その旨向こうに答えております。

米田東吾日本社会党

○米田委員 大体経過がわかりましたし、大臣からの率直な見解もいただきましたので、わかりました。  そこで、韓国大使館というよりも、基本的には韓国に対する外交姿勢だろうと私は思うのです。大臣が御指摘されましたように、領事の交換というのは日韓条約の第一条にその基礎がありますし、しかも、私素人でありますけれども、いろいろお聞きいたしますところでは、一九六三年の国際法一般の領事関係に関するウィーン条約、これが日本の外務省を含めまして世界的に、一般的に国際法規として通用しておる、こういうような経過もあるわけでありますから、在外公館の設置、特に総領事館の設置という問題等につきましては、もっと相手国は、いま答弁ありましたように、まだ氏名の通報がないとか、あるいは鄭燦植なる人物が実在するのかどうかわからぬとか、あるいは外交上の手続を完了しないまま地元にのこのこ出てきて、私が今度総領事に参りますからというようなそういう出過ぎた、内政干渉にかかわるような行為をするとか、こういうようなことは私は外交上あってはならない問題じゃないか、こう思っておるわけでありますが、基本的には韓国に対する外交姿勢というものが問題になるのじゃないか、こういうふうに私は思うわけであります。それは一応御指摘だけしておきます。もっと主体的な、日本の主権に基づく外交を展開してもらわなければならぬだろう、こういうふうに申し上げるわけであります。  それで、鄭燦植なる人物は、私は現在韓国大使館の領事である、今度新潟の総領事館の総領事として着任をする予定になっております。こういうあいさつなんだそうでありますが、そうしますと、現在、自称韓国大使館の領事ということについても外務省はまだ確認できないということでありますか、もう一遍聞かせてください。

大井浩外務大臣官房儀典官

○大井説明員 先ほど申し上げましたとおり、いまだ正式に接受しておりません。

米田東吾日本社会党

○米田委員 そこでアジア局次長にひとつ聞いておかなければなりませんが、いまあなたの答弁にもありましたように、韓国側はかねてから裏日本の要衝としての新潟市に領事館を設置したいという申し入れがあったのだということであります。これはいまお聞きした事情は裏日本で一カ所くらい必要だろうということで今回認めたのだということになっておるわけでありますが、すでに日韓条約が発効いたしまして十三年たっているわけであります。この間、韓国は設置を要求してきたのだけれども皆さんはいままで合意をされなかったわけであります。今回は第九回日韓定期閣僚会議の関係もあってやむを得ないだろうということで合意をされたという答弁であります。しかし、もしそこに政治的な何かの判断がなければ、前々から新潟に設置という要求があったのだから認めてきたはずなんだろうと思うのであります。現在私が承知しておるところでは、全国に横浜以下九カ所の領事館と総領事館があることを聞いております。新潟を加えますと十カ所になるわけであります。この他の九カ所の関係は、それぞれ皆さんは韓国の口上書を受けて、日本も口上書を出して合意をされてきた。新潟だけは要望があったのだけれどもということで、いままで皆さんは認められないで延ばしてきた、その理由は一体何なのでしょう。そして今日その理由はもう存在しないのかどうか、もう一遍お聞きします。

三宅和助外務省アジア局次長

○三宅政府委員 お答えします。  かねてからの要望というのは一般的な要望でございまして、昨年の九月に、新潟ぜひ頼むということで、その段階で具体的に非常に強い要請が参った。昨年の九月の段階でそれが具体的要請として強く出されたということでございます。したがいまして、かねてからわれわれとしては抑えてきた、それを今回政治的な理由でリリースしたということではございません。  それからなお、事実に関しましては、現在すでに九カ所あるということは先年御指摘のとおりでございます。

米田東吾日本社会党

○米田委員 外交権はあなたの方の専管事項でございまして、私どもがとやかく推察はできませんけれども、私の認識では新潟と特定をして前々から領事館の設置を求めてきておる。しかし当時の外務大臣なり政府なりあるいは外務当局は、新潟は何といいましても帰国船の出港地になっておる、外交上これにトラブルが起きるようなことも好ましくないだろう、新潟の対朝鮮との友好都市的な関係、現に果たしておる帰国事業についての新潟の貢献度、新潟県民感情、そういうようなものを理解されまして、領事館の設置を認めることによってトラブルが起きてもいかぬ、帰国事業に影響が出てもいかぬという配慮から、ある意味では政治的な配慮から、特定をして新潟に求めてきたけれども断ってきたんだ。今度、いまあなたは初めてだとおっしゃるけれども、さらにそれだけにまた相手の方からすれば逆に新潟が必要なんであります。第九回日韓閣僚会議において直接、韓国の大臣からひとつ何としても認めろ、こういうことになってあなたの方が折れたというふうに私は見ておるのでありますが、この事実間違いないのじゃないですか、どうですか、はっきり言ってください。

三宅和助外務省アジア局次長

○三宅政府委員 あるいは私の言葉足らずで誤解を招いたかと思いますが、かねてから新潟につきましても要望が入っておりました。しかし向こう側のいろいろな体制その他もございますし、われわれとしては一般的な新潟に対する要望ということに対してはまだ真剣に検討する段階に至っていなかった。昨年の九月に、すでに申し上げましたように定期閣僚会議で、ぜひ新潟ということで認めてもらいたいと、その段階で強く要望してまいったということで、具体的な検討としてそのときから検討してまいったということでございます。

米田東吾日本社会党

○米田委員 私、いただいた時間が少ないわけでありまして、ちょっと突っ込んだ意見の展開ができないのでありますが、ひとつ外務大臣にお願いしておきたいと思うのでございます。  あえて私はここで、かつて金大中事件に横浜の韓国総領事館の車が使われておるとか、あるいは韓国大使館の金東雲なる人が主要な役割りを果たした、指紋まで残っているとか、あるいは一九六〇年代に西独で韓国の大使館が要するに在独韓国人に対する不当な抑圧政策と、それから反朴運動に対する弾圧をしておりますし、最近におきましては韓国のKCIAと一体のアメリカにおける諜報活動、あの対米買収行為、そして日韓の関係におきましても、それと同次元で見られるような数々の癒着関係を生み出しておる本拠が、実は韓国の在外公館であり、特に私は大使館、領事館だと思うのであります。こういう関係を見ますと、この韓国領事館というものが今回強引に新潟に設置される経緯はとにかくとして、その意図は明らかに、第一は、新潟でいままで果たしてまいりました在日朝鮮人の帰国事業に対する介入破壊行為、何としてもこれは彼らの最もねらっているところじゃないかと私は思うのです。  大臣に聞いていただきたいのでありますけれども、この間、四月一日であります。百八十次の帰国船が新潟から出港いたしました。昭和三十四年でありますから、一九五九年開始されまして百八十次船が新潟から円満に友好的に出ておるわけであります。この間、約十万名の在日朝鮮人の皆さんが帰国をされていらっしゃるわけであります。この間ほとんど事故はありませんでした。そしてこれには新潟市は市長が先頭に立ちまして、当時自民党系の方でありましたけれども、人道と正義と友好の帰国事業には市を挙げて協力しましょうという呼びかけをいたしまして、全市民に募金を訴えまして、毎年、いまでも十三年間続いておるわけであります。これだけ市民が自発的に金を出しまして帰国事業に協力をする、この金額もいま百万を超えているはずであります。毎年これが繰り返されておる。そういうふうにして帰国事業というものが現に友好的に人道的に進んでおりますが、この間、韓国大使館あるいはKCIAあるいは勝共連合、場合によっては右翼も参りましたけれども、百八十のいままでの船の出入りの場合、必ず宣伝カーやその他持ってまいりまして妨害いたしました。第一船のときから私は関係しております。あのときは機動隊が出て妨害を排除した経過もあるわけでありますが、そこまではいっておりませんけれども、とにかく宣伝を利用した、あるいは勝共連合を動員した妨害行為というのは必ず繰り返されておるのであります。  しかし、それでもなお足りなくて、今度はどうしても領事館を設置して、本格的にこの平和の事業である帰国事業というものを何とか妨害しなければならぬ、破壊しなければならぬ、あわせて新潟における在日朝鮮人、新潟県はわずか二千六百名しかおりません。これも韓国系というのは恐らく三分の一くらいだろうと思うのであります。そういうところにまた政治的な、韓国自体の三十八度線を在日朝鮮人の中に引いていって分断政策をやる。もう一つ心配なのは、この領事館を基点にして金大中事件のような謀略事件が起きないのかどうかという心配もあるわけであります。  そういうことからいきまして、この領事館設置については新潟市は挙げて実は反対しておるわけであります。これは政治的、法律的にどうなりましょうとも、地元としては受け入れられないというのがいまの率直な声でありますし、大きな運動に発展していきます。国際上非常にゆゆしいと私は思いますけれども、いかんせん住民感情は許さないということであります。  そういう事情もありますので、もう一度大臣からひとつ配慮いただいて、さっきの大臣の御答弁では外交手続もまだ終わっていないようでありますから、十分韓国大使館の真意をただして、そしてこの段階に再考していただくような、そういう処置ができないかどうか、大臣に強くお願いをしておきたいと思うのであります。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ただいまの発言はよく理解をいたしました。大臣がこの設置に対して決裁をしたのは、調べてみますると、モスコーから帰って一晩泊って中近東に出発をいたしました、その中近東に出発する直前に私が決裁をいたしております。しかし、新潟地区の地域の住民感情というものは、政党を問わず自由民主党の支持者の方々の御意見も全く同様の意見でありまして、よく私わかっております。  なおまた、この問題はささいなことではございませずに、少なくとも設置をするという方針にこちらが了解をしたその後、外務省に手続もしないで勝手にあいさつ回りするなどということは、そのこと自体よりも私自身、あなたがおっしゃるとおりに、いままでのわれわれの態度が緩かったというか、何か姿勢に欠陥があって、そしてちゃんと外交上の問題は相手がどの国であろうときちんとやるべきことはやり、許すべきことは許すという筋を、重要な隣国であるからといって韓国のことはまあまあで済ませてきた惰性が、そういうことに煮詰まってあらわれてきておるということも私は非常に反省をいたします。     〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕  そこで、大臣が決裁をして、正式に文書をもって通知したことでありますから、これを取り消すわけにまいりませんけれども、いまの点は十分留意をして、韓国側にも来てもらって、その趣旨をよく申し入れをし、今後の活動において総領事館の権限を越えたような行動がある場合には、それに対しては私は大臣として、私の持っておる権限で今後の問題は検討していきたいと考えます。

米田東吾日本社会党

○米田委員 大臣の御答弁、私はそのままちょうだいをして了承したいと思いますし、新潟の関係者にも伝えておきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 落としましたけれども、県並びに地域の方々に対する了解工作は、おくればせでございますが、早速事務当局に命じていたすことにいたします。

米田東吾日本社会党

○米田委員 わかりました。  なお、外務省のアジア局に申し上げておきますけれども、私どもが心配しておりますのは、さっきも申し上げましたように、本来の領事館という、外交上の権限は国際法上もう明確だと思うのですね。したがって、ここに一九六三年ですか、ウィーン条約を読み上げるまでもなく、これは国と国の外交上の信頼にかかわる問題でありますから、在日の場合の外国公館がそれを越えて、要するに非合法的なスパイ行為をやるとかあるいは謀略行為をやるとか、あるいはよく言われております。特に韓国の在日公館の場合のああいういろいろな事件の発生が領事館であり大使館だということについて、十分ひとつ銘記をしていただきまして、残念ながら治外法権あるいは外交特権というものがあるわけでありますけれども、それは合法的な国際条約に基づいた領事行為あるいは外交行為をやるに限っての問題であって、それを越えたものについては外交特権や治外法権なんというものは存在しない、わが国の法律に照らして処置をすべきものじゃないかと私は思うのであります。今後新潟でそういう事件が仮に起きたといたしますれば、われわれはさらに輪を広げて反対運動を起こしていきますし、厳重に政府の責任も追及していきたい、こう思っておりますから、韓国総領事館のことにつきましてはいま大臣が、基本姿勢について反省を込めて触れられましたけれども、私はそのことを了といたしまして、毅然たる措置で取り組んでいただきたい、外交特権あるいは治外法権というようなものでうやむやにされないように特に申し上げておきたいし、あわせてKCIAの関係、これは韓国の政府機関と一体なのか私は知りませんけれども、外交上は認めていらっしゃらないと思うのでありますから、したがって、そういう点についても厳重に注意を喚起して、そういう疑いがないよう十分な善処をお願いしておきたいと思います。最後にそのことにつきましてもう一遍大臣の答弁を煩わして私の質問を終わりたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いろいろな手違いがありましたが、私が決裁したことでありますから、全責任は私にあることでございます。したがいまして、今後の問題については十分過ぎるほど注意をして善処したいと考えます。

米田東吾日本社会党

○米田委員 終わります。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長代理 伊藤公介君。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 私は、中川農林大臣が訪ソされましたので、まず、日ソ漁業の問題、それから先ほども御議論になりましたけれども、日中問題について数点お尋ねを申し上げたいと思います。  公海におけるサケ・マス漁業について、日本とアメリカ、カナダの新しい漁業条約の締結交渉が妥結をいたしました。日ソ漁業協力協定の交渉のためにちょうど昨日農林大臣が訪ソされたわけでありますけれども、今日、日本とソ連との間に行われている漁業交渉でいろいろと行き詰まっている問題点は何なのかということをまずお尋ねを申し上げたいと思います。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 御承知のように今回の日ソ漁業協力協定締結交渉は、二月十五日からモスクワにおいて日本代表団とソ側代表団との問で行われておりますが、最も問題になっておりますのは、サケ・マスの沖どりを認められるかどうか、その点につきまして日ソ間に合意が成立するかどうかということ、そして、成立しました場合には、どのくらいの漁期でどのくらいの量をとることに合意ができるか、そしてさらには、その際取り締まりないし規制措置としてどのような手段がとらるべきか、こういう点につきましてまだ意見の調整が済んでおらない、これが一番の問題点でございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 漁獲量と禁漁区を中心として規制の措置をソ連側が提案をしてきているわけであります。しかしその中に公海上のサケ・マス漁業、これにまで裁判の管轄権を要求をしてきているわけですね。こういうソ連が提案をした条件について、非常に厳しい提案がされているわけでありますけれども、わが国としてこうしたソ連の基本的な態度を認めることができるのかどうなのか、公海上のサケ・マス漁業にまで裁判権を及ぼすというようなことが今後の交渉の中で多少でも譲歩することがあるのかどうなのか、基本的な政府の姿勢をお尋ねをしたいと思います。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 ただいままでのところ、モスクワにおける交渉に際しましては、取り締まり問題につきましてはまだ必ずしも十分に突っ込んだ話し合いは行われてないわけでございます。この点も中川農林大臣が先方とお話しいただく一つの重要な問題になると考えておりますが、私どもといたしましては、いずれの国の二百海里漁業水域にも属さない水域におきますサケ・マス漁業の取り締まりは、従来の日ソ漁業条約におきますと同様に、共同取り締まりという方法で、裁判権は旗国主義、すなわち日本の漁船につきましては日本が裁判権を持っておる、こういう主張を貫きたい考えでございます。中川大臣もそのようにお考えでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 念押しをするようでありますけれども、公海上のサケ・マス漁業の裁判管轄権に関して譲歩をするということはあり得ない、こういう見解でございますか。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 ただいま私が申し上げました日本の主張を貫くべく全力を挙げていただく方針でございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 それから、昨日中川農林大臣が訪ソするに当たって、園田外務大臣といろいろなお話し合いをしているわけですね。今度の農相の訪ソは、漁業交渉ということだけに限っているのか、それとも、この外務大臣と農相との会談の中で、多少でも日中平和友好条約、日中問題についていろいろなお話し合いをして、多少具体的な話をされて出ていられるのか、外務大臣にお尋ねをしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 十日の午前十一時三十分から約三十分間、事務当局を交えて中川農林大臣訪ソの最後の打ち合わせをいたしました。この交渉は、漁獲量及び禁漁区その他の規制措置に関するソ連側のかたい態度のため難航しているわけでありますが、わが国の北洋サケ・マス漁業の実績を維持するため、中川大臣とイシコフ大臣とのトップ会談によって早期の交渉妥結に全力を挙げるということに意見の一致をし、なお、日ソ間の政治問題は本件に絡まないと考えておりますが、いずれにしても、日ソ友好の見地からも本件交渉をうまく妥結をしてもらいたい、こういうことで、その他のことで、農林大臣が自分の所管以外のことでお話になることはないと存じます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 これは交渉でありますから、相手側のあることでございますから、ソ連側から中川農林大臣に日中問題について話が出るということも、これは当然想像できる問題だと思うのです。  そうすると、こういう問題については、農相との会談の中では、中国問題については外務大臣としてはいささかも触れなかった、念押しもしていない、こういうことでございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 農林大臣と漁業大臣との間で他の政治問題が出てくることは、慣例からいってもないと存じますので、こういう問題は一切話題にいたしておりません。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 それでは、福田総理が中川農林大臣にブレジネフ書記長あての親書を託しているわけですね。親書の内容は、漁業問題に関してだけ限定をされているのか、あるいはその親書の中にはそれ以外のことは触れていないのか、親書の内容をひとつ答弁できる範囲内でお答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いまおっしゃいましたとおりに、親書の内容は公表しないのが外交慣例でありますから、御報告はできませんけれども、その中の要旨は、日ソ漁業関係は日ソ間の友好関係の重要な柱であって、サケ・マス漁業に関する今回の交渉が円満に解決することを願う。そのために中川農林大臣が貴地に伺うからよろしく、こういう趣旨の内容の手紙でありまして、その他の政治上の問題は一切書いてございません。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 日中問題は、当然日ソの関係にも非常に重要な意味を持っているということは周知のところであろうと私は思いますけれども、関連をして日中平和友好条約についてお尋ねを申し上げたいと思うのであります。  党内にいろいろな意見がある。いろいろな意見があって当然でありますけれども、しかし、日中平和友好条約というものはかなり時間をかけて、しかも、中国側からの日本に対するいろいろな働きかけというものも、すでにかなりの時間がかかっているわけでございます。  これは日本と中国だけの問題ではなくて、もちろんそれを取り巻く国際情勢あるいはそれぞれの国々の関係ということも非常に配慮されなければならないと思うわけでありますけれども、現在、園田外務大臣としては、党内の調整は大臣がお考えになっているような方向で順調に進んでいる、こうお考えになっているのかどうか。現状の党内の情勢をどのように把握をしているか、お尋ねをしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いろいろ御意見を承りつつ御理解と協力を願っているところでありまして、だんだんと御理解を願えるだろうと推察をいたしております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 私は、与党の中における意見の調整をしていくということももちろん大事なことであろうと思いますけれども、これは、先ほども申し上げたとおり、政府の責任において、やはり時期を失しないで決断をしなければならないというふうに思うわけであります。  先ほども井上議員がいろいろと御質問をされました。時期の問題が御議論になりましたけれども、四月の、今月の月末から日米首脳会談が政治の日程に上がってきているわけであります。この政治日程からいたしますと、どうも五月にずれ込んでいくという可能性も考えられるわけでありますけれども、見通しとしては、外務大臣は現状ではどのような感触を持っておられるのか。  それから、先ほどの質問の中で、常識を超えない、こういう御答弁がありましたが、外務大臣の言われる常識とは、これは、いま申し上げた五月ということなのか、先ほどのお話にありました八月、これが常識なのか。外務大臣の考えていられる常識というのは、どこをもって常識、こう言われているのか、お考えをお聞きしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 午前も申し上げましたとおり、私がこの見通しについてとかくの意見を申し上げますことは、せっかく与党の方々に御理解と協力を願っていることにかえって障害になってまいりますので、私としては、一日も早く御理解が願えるように希望をし、努力をしているところでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 重ねてお尋ねするようでありますけれども、大臣が考えていられる常識的にというのは、どの辺で決断をするということが常識的と考えていられるのか。党内の調整ができなければこれは時間に際限がないというのを常識とするのか。大体政治的にどこが常識だと大臣としてはお考えになっていらっしゃるのでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 外交は政府の責任であります。しかし、政党政治でありますから、与党の御理解を願ってやることもこれは当然でありまして、与党の御理解がいつ願えるかによって、それぞれ交渉再開等の時期が違うわけでありますから、私としては、一日も早くこれができますように願い、努力をしているということでありますから、それがいつごろか、常識がいつかということについては、私は申し上げません。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 はっきりした時期の問題については、恐らく現在の状況の中では答弁しにくいということももちろんわかるわけでありますが、外務大臣がいろいろ御発言をなさっているのを私どもがお聞きをしている、そういう理解をしている内容と、総理御自身の考え方と、どうも進展ぐあいにずれがあるということを率直に感じざるを得ないわけであります。  外務大臣の御見解としては、いま党内の調整等につきましては、外務大臣が考えている常識的な線で順調に党内調整はできる、こうお考えになっていらっしゃるのか。努力をしているということはよくわかりますけれども、そういう方向に向かって党内の調整は進んでいるのかどうなのか、それだけをお聞きして、私の質問を終わります。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 外務大臣は総理の部下でございますから、意見の不一致はございません。もし私の発言と総理のおっしゃることに食い違いがあるようであれば、私の発言の仕方が下手であって、私は総理の命令によって動くわけでありますから、この点は御心配願わぬでも結構であると存じます。  いつごろか、どうなるかこうなるかとおっしゃっても、こちらはいま相談しているところでありますから、正直に言うと全然見当がつかない、一日も早くお願いできるように、こういうことでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 もちろん、総理の意見が総理の意見としてある、外務大臣の意見が、意見は意見としてあって、私は、同じ閣僚の中にいろんな意見が当然あっていいと思うのですね。やはり多くの国民の方々、日本の多くの国民の人たちが、いま決断をすべきだ、こう外務大臣が率直に受けとめ、党内の調整もこの辺で決断をすべきだ、こうお考えになられれば、むしろそういう立場で総理の見解をただして、そして総理自身も動かす、これはもう実力大臣として当然私はやってしかるべきことだと思うのです。何も総理がすべからく全部やるというわけではありませんから、ひとつ外務大臣の積極的な日中問題についての取り組みを強く要望したいと思うのです。  質問を終わります。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長代理 渡部一郎君。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 日米安保条約第六条に基づく地位協定の問題につきまして、当委員会でもしばしば見解が表明されたところでありますが、四十八年の三月十三日、予算委員会の議事録によりますると、当時大平外務大臣は、「地位協定第二十四条の解釈につきましては、先般来御説明申し上げたところでありますが、この際、政府としては、その運用につき、原則として代替の範囲を越える新築を含むことのないよう措置する所存であります。」と述べられました。これは、政府の見解と注釈が打ってございます。  この代替答弁に関する外務省の見解なるものが最近報道されており、いままでの政府見解と違って、米軍の施設費を大幅に日本側が負担することになるような報道が行われております。もし事実であるとすれば、政府の方針の重大な変更であると言わなければなりませんし、国会で明快にされた政府見解を覆すのは不穏当のそしりを免れぬと存じます。したがって、この問題を明快にしていただくことを求めたいと思いまして、御質問いたします。  まず第一に、大平外相の昭和四十八年三月十三日の政府見解はそのまま堅持されているものかどうか。それから、外務省見解として報道されているものは、外務省としてこういうものがつくられたいきさつはあるのかどうか、また、そういうペーパーの名前はどういう名前がついていたのか、また、その作成者はだれであったのか、一連の事実関係をまずお伺いしたいと存じます。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 お答え申し上げます。  まず第一点の大平答弁についてでございますが、先生御指摘のこの昭和四十八年三月の大平大臣の答弁なるものは、地位協定の運用についての政府の見解を当時まとめたものでございますが、この見解を政府といたしまして当面変えるというような考え方は持っておらないということを、先般外務大臣からもお答えがありましたし、私からも改めて確認させていただきたいと存じます。  それから、昨日の新聞に出ておりますところの外務省の見解なるものでございますが、これは当時、昭和四十八年に大平答弁が行われましたのが御指摘のように三月でございますが、その年の九月の時点で、大平答弁の意味するところを事務の処理の上で関係者が的確に理解しておく必要があるという意識から、大平答弁に至る経緯、その後の関連の国会答弁等を念頭に置きまして、大平答弁の考え方を執務の参考上いろいろ整理し、取りまとめたものということでつくられたものでございます。  したがいまして、これが当時なり現在なり、大平答弁とはまた別個に外務省の公式見解として打ち出されたもの、そういうような性質のものではない、事務の参考用にまとめたいわば古い書類であるわけでございます。作成いたしましたのは、当時のアメリカ局の中の担当の課ということでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 そうしますと、これは外務省の大平答弁に反する公式見解ではなく、大平答弁の枠の中にあり、かつ事務処理を軽便ならしめるがために省内で取りまとめた事務的処理の要綱である、こういうように解すればよろしいのですか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 大体仰せのとおりでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 そういたしますると、この新聞に報道されているものはほぼ正確な文章であると理解してよろしゅうございますか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 そのペーパーの重要な部分はほぼ正確に新聞に書き出されているというふうに理解いたします。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 そうしましたら、きょうは御提出がないわけでありまするから、これに基づいて申し上げるわけでありますが、施設の経費負担の現状と外務省の見解との関係を見ますならば、交渉の際に、わが方外務省の立場がアメリカ側にこのような形で漏れてしまうということは余り適切ではないのではないかと私は思いますが、いかがでしょうか。たとえば新規施設の提供について、現在は代替の範囲内では日本側という立場をとられて交渉に臨んでおられるのに、これで見ますと、ほとんど日本側は日本側としてすべてを請け負えるような表現になっておりまするし、リロケーションにつきましても日本側がほとんど無制限に受け取ることを意味するように書かれておりまするけれども、こうした印象をアメリカ側に与えるということは、日本の外務省として非常にやりにくい立場になったのではないか、私はそう思いますが、どうですか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 まず第一点といたしまして、先ほど御説明申し上げましたように、これは五年前に、当時全く事務処理上の便宜のためにつくられたものであるということを、この場で明らかにさせていただきたいと存ずる次第でございます。したがいまして、先ほども申し上げましたように、現在これをわが国の政府の正式の立場としてアメリカなりに対処をしておるという性質のものではないわけでございます。  他方、施設区域の提供につきましては、これはもう改めて論ずるまでもなく、安保条約の目的に照らし、そして、そのときの社会的、経済的要因を考え、わが国自身の財政負担、予算上の権限というものを考えながら、適正合理的なものしか提供しない、適正合理的なものに限って施設区域の問題を処置するというのが安保条約上の基本でございますから、そういう意味におきまして、米側といえども、何でも持ってくれば日本側がこれの注文に応ずるというような誤解を持つことは万々あり得ないことではないかというふうに考えております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 そうすると、局長の御答弁のニュアンスからいいますと、私の理解では、これは五年前に便宜的につくったものであるから、そして、外務省としての正式な立場でもないのであるから、つまり、このペーパーによって仕事をするのでない、これは一時的なものだ、現在の外務省の公式の立場でない、こういう御表明と見ていいのですか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 お断りいたしておきたいと存じますが、私どもその新聞に出ましたものを拝見いたしまして、現在の観点から見て、基本的に誤りがあるとか、大変考え方の相違があるというようなことは特に感じないわけでございますけれども、ただ、文書の性質そのものは大平答弁を当時実施していかなければならないという事態において、大平答弁にまつわる問題点がどこにあり、それをどういうふうに考えたらよかろうかということについてのいろいろな意見を取りまとめた、そういう性質のものであるということでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 しかし、答弁とこの見解は意見が大分違うのではないかと思われる節がありますね。ですから、外務省の取りまとめられたこの見解は、たとえば「代替の要因(動機)」の説明のところに、「政治的には日本側発意の場合のほうが説明しやすいことはいうまでもない。」とか、「代替の範囲」を述べるときに、代替というのは「施設の機能、所属と異なることは原則として認められる」べしとか、「代替施設の構造、材質の相違は問う」までもないとか、代替の範囲の内容というのは「規模ないし面積である。」とか、実質的にはまた、従来の国会での政府答弁は円代替の範囲とは規模でとらえるものである」という趣旨に解せば足りると考える。」とか、「個々の建物あるいは施設の規模が現有のものの規模を超えないという趣旨でないことはもちろんである。」とか、「規模、面積と全く同一か、または、それ以下でなければならないとすることはない。」とか、言っていることはいろいろな言い回しで言われているけれども、要するに、いままでの代替する、取りかえるときに、同じ性質のものでなくてもよいとか、面積についてだけいうのだとか、面積もいままでのものより小さくなければならぬということはないとか、そして最後に至っては、代替の数量的な変化だけでなく、質的変更も代替の中に含まれるのだとか、言ってみれば何通りかの言い方で大平答弁の内容をことごとくつぶすために表明されたものであるとしか言えませんね、これは。数量も前より多くていい、数量というのは面積のことなんだ、面積も前より少なくなくていい、そして数量だけではなくて質のことなんだ、質も前よりよくていいのだ、それならこれは何のための大平答弁だかわからなくなってしまう。ここで言われているのは、全部内容的には大平答弁をいかにして破壊し、空洞化させるかというペーパーでしょう、これは。だから、局長、よろしゅうございますか、いま下手な答弁をするよりも、私が申し上げようとしているのはこういうことです。つまり、この外務省見解なるものを公式見解でないとさっき言われた。公式見解でない、これは一時のペーパーだ、研究調査ペーパーなので、公式見解は別なんだ、こんなもので必ずしもやっていないというなら、その答弁で私は一貫すると思う。ところが、これがある程度の公式的なもので、これに基づいてやっているというのだったら、前の大平外相談話と全く質の通うものとして、私は徹底的に追及しなければならない。当委員会をとめてもやらなければならない。これは特別理事会を招集して、この問題について資料請求をするだけでなく、四十八年以降今日に至るまでの防衛施設庁関係の施設区域の提供に関するさまざまな実態調査、並びにこのペーパーに基づくところの恣意的かつごまかし的な日米安保体制の運用について調査しなければいけない、私はそう思うのですよ。別に私は声を大きくしておどかしているわけじゃありません。だけれども、これでがんばりますか。こんな変な、いま外務省の正式見解でないとまで言われたじゃないですか。これでがんばりますか、それともがんばりませんか。その辺のところ、いまがお考えどきですよ。いまならまだ間に合うけれどもね。どっちなんですか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 まず第一に、当時この紙にありましたことが、いま先生は大平見解を全部空洞化する性質のものだというような御指摘がありましたけれども、必ずしもそういうことでつくられているわけではない。むしろ、当時といたしましては、大平答弁が出まして、それをその後実施していくに当たってどのような問題があり得るかということは、事務当局といたしまして当然に考えていかなければならなかった状況なわけでございます。そこで、問題がどこにあり、それをどう考えていったらよかろうか、国会の当時の論議に照らしてどうなんだろうかというあたりをいろいろまとめていっていたのだろうと思われるわけでございます。そういう意味におきまして、全く当時の執務の参考のためにつくられたものであって、その後の、また現在の政府がこの紙を公式見解としてこれに従って問題を考えておるということではないこともまた事実でございまして、公式な見解は何かとおっしゃられれば、これは大平答弁が当時の政府の公式な見解でありますし、その大平答弁を当面変えるつもりがないということもまた申し上げているわけでございまして、そういう意味におきまして、御指摘の紙が公式な見解ではないという点を確認せよ、したらどうだ、こういうお話でございますが、全くそのとおりに確認し得るわけでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 大臣は参議院の方にお回りにならなければならぬと承っておりますが、あと一分しかありません。ですから、ぼくの持ち時間はまだございますから、あとは譲りたいと思います。  ただ、いま非常に微妙な答弁を局長はされました。大臣聞いていただければおわかりのとおり、これは下手に外務省見解、私はこれは外務省の正式見解でないだろうと思いますが、外務省見解としてがんばらない方がいいたぐいのものであり、当時の政治的な駆け引きの中で、こうしたものが、省内でペーパーというものができたのだろうとは思います。しかし、これは今後においてこいつを正面に立ててやったとすれば、対米交渉上もまずいだけではなく、大平答弁そのものも、守ったか守らぬかというためには、これは大問題になるペーパーだろうと思います。したがって、このペーパーの取り扱い方は、正式見解でないと局長は一応おっしゃいましたが、これに対する大臣の御見識を、いますぐでなければならぬということはありませんけれども、いま述べていただければ最高ですが、述べていただいて、この問題に対する大臣の御見解というか、御見識を承っておきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 この書類のタイトルは「地位協定第二十四条に関する大平大臣答弁と岩国、三沢等施設区域提供工事について」というタイトルになっております。したがって、局長が答弁しますとおり、これは大平答弁に対する事務当局の理解を深めるためにやった一文書であって、外務省の見解でもなければ公的、私的の見解でもございません。この文書は、いま外務省でも、正直に言うと書類は一部あるかないかぐらいで、この当時防衛施設庁その他の関係省に秘で配っている書類でございますが、この書類が出ましたことは、先ほどおっしゃいますとおり、大平答弁もさることながら、今後予想されるいろいろな場面に、これが一つの日本の腹だと思われたら、これは折衝上日本が非常に不利な立場になるわけでありますから、これは外務省の正式、非公式いずれの見解でもない、事務的な一つの参考である、こういうことでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 では、これは正式見解でないことで大臣がお認めになりましたから、これで一つの片がついたように思うのですが、この表明が行われた際に、外務省からこのお話が出たのではなく、防衛施設庁からこれが意図的に配布されたという話が広がっております。情報の出どころを言うわけにはいきませんが、防衛施設庁はどうしてこういう資料をいまごろ今日の時点で配布し、そしてこれを問題化することによって、むしろその意図として、米軍に対する基地提供業務というものを、現段階より一歩大きな形にしようという陰謀に参画されたかというふうにわれわれは受け取れるわけですね。だから、情報をどうしてこういう形で今日の時点で五年前の文書を出されたのか、その辺の御見識を承りたい。

高島正一防衛施設庁施設部長

○高島政府委員 お答えいたします。  昨日の読売新聞に外務省の見解として出された資料が防衛施設庁から出たのではないかという御指摘でございます。実は私どもも非常に驚愕しておるところでございまして、この資料は、先ほど来外務省の局長からお話がございましたように、四十八年九月以降だったと記憶いたしておりますが、当時大平答弁をめぐっての事務的なレベルにおける資料として外務省からいただいたことは事実でございます。それをもとに、三沢、岩国の処理に当たりましてこの見解が事務的な資料として内部で検討されたことは多々あったわけでございますが、最近においては全くそのような検討が事務的にもなされておりませんし、また話題にも供されておらなかったことでございます。したがいまして、私ども事務方といたしましては、そのような資料が出回る、あるいはそういった取材に対してお答えをしたという事実は全くございません。どうしてそのようなことになったかということをいま内部で調査中でございます。  私は長年リロケーション業務あるいは施設部関係の業務に携わってまいっておりますけれども、最近はそのような話すらなかったという事実からきわめて遺憾であるし、どこから出たのかということを非常に実は不思議に思っておるところでございます。目下長官の指示を得て調査をしておる段階でございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 いまの御答弁で、あなた妙なことをされたわけだけれども、あなたのいまの御答弁で、結局これは四十八年九月当時、外務省から防衛施設庁が受け取った資料であると明瞭に述べられて、公的文書であることを認められました。     〔奥田委員長代理退席、委員長着席〕 そしてそれは当時内部検討の資料としたというふうにもあなたは言われて、その二項目は認められました、外務省は余り認めなかったけれども。だから、話はそこで当時検討したことも認められた。最近は検討してないのだと言われた。そうすると、外務省が防衛施設庁あるいは防衛庁等に渡すほどの文書なんですから、アメリカ局長のさっきの否定にもかかわらず、公的文書と認めたことになるのです。公的文書と認めるなら、私は公的にこの内容を攻撃しなければならなくなる。だから、せっかくアメリカ局長が否定しているのに、あなたが後ろからぶち壊したかっこうになっているのだから、これはつじつまの合わぬ話だ。これ以上追及するとかわいそうなほど両省はがたがたしてきたから、私は武士の情で少し時間を上げますよ。休憩時間をどうせとらなければならないのだから。その間に両省よく打ち合わせて、公的文書と認めるのか、認めないのか。昔は公的文書だったけれどもいまはインチキ文書なんだというふうに認めるのか。それとも、全部ぼくの誤解でそれは全部違うということをうまくここで言い抜けるか。ちゃんと両省で何かしてごらんなさい。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 役所がおよそつくりました文書でございますから、そういう意味で公的な文書でないということはなかなか言いにくいとは思います。問題は、いかなる性質のいかなる目的でつくられたものかという点でございますが、その点につきましては先ほど私が御説明いたしましたように大平答弁が出まして、当時三沢と岩国の工事を実際上開始しなければならない事態にあったわけで、その際の政府側の対応ぶりのもとになるものとして、一種のたたき台として、当時の私どもの関係課で問題を整理したものがその紙である。そういうたたき台として施設庁にもお示しし、これをたたき台として御利用いただいたということでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 では、休憩にさしていただくようお願いします。後ほどまた続けさせてもらいます。

永田亮一自由民主党

○永田委員長 午後三時から委員会を再開することとし、暫時休憩いたします。     午後二時二十三分休憩      ――――◇―――――     午後三時四分開議

永田亮一自由民主党

○永田委員長 休憩前に引き続き、会議を開きます。  質疑を続行いたします。渡部一郎君。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 休憩以前に述べました大平外相の代替答弁に関する外務省の見解につきまして、お打ち合わせが済んだと思いますから、しかるべく御答弁をお願いしたいと存じます。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 休憩前の先生の御示唆に従いまして、関係省庁の間でこの問題を打ち合わせました結論を答えさしていただきます。  外務省の四十八年当時の御指摘の書類は、大平答弁後の事務処理上の観点から、部内の執務参考用に、いわば考え方のたたき台として作成され、そのようなものとして関係省庁の参考までに届けられたものでございます。したがいまして、この書類の内容は、外務省としての公式見解を表明するものではございません。  なお、大平答弁につきましては、当面これを変更する考えはなく、今後とも地位協定の範囲内で大平答弁を踏まえて対処していく所存でございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 ただいまの御答弁は、関係省庁と打ち合わせされた、政府の公式的な見解と見てよろしゅうございますか。     〔委員長退席、奥田委員長代理着席〕

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 関係省庁間の公式的な見解でございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 念のため申し上げますが、当時の大平外相の四十八年三月十三日答弁に基づいて、ただいまの外務省見解が関連して表明され、当時は、基地返還業務に関し、そのたたき台を実際上執行の基準として業務が行われたということになるのではないでしょうか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 当時の岩国、三沢等の施設区域の提供工事を行うに当たりましてのたたき台として使用せられたものでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 そういたしますと、岩国、三沢の施設整備については、たたき台として述べられたものが実際上の執行のある原則として働いておったということが言えると思うのですね。ですから、そのようなものが今後ともにわたりまして執行の基準として行われることにはいささか疑義があろうかと思うわけであります。今後、地位協定第二十四条の解釈に伴い、大平発言の枠の中で新しいルールづくりというか、見解の調査研究というか、そうしたものが当然考えられてしかるべきだと思いますが、いかがですか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○中島政府委員 ただいま申し上げましたように、四十八年当時の外務省のペーパーは、その当時の岩国、三沢工事を施行するに当たりまして、関係省庁間でこの施工ぶりについての打ち合わせをする場合の一つのたたき台として提供されたもの、そういう限りにおきまして、それによりまして、その当時の目的を達したと言うべきものであろうと思います。  今後の問題はどうかというような御質問でございますが、今後の問題につきましては、ただいま御説明申し上げましたように、地位協定の範囲内で、この枠の中で、大平答弁を踏まえながら対処していく、こういうことでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 それでは、日中問題につきまして外務大臣に御見解を承りたいと思います。  日中平和友好条約の締結問題は、いま自由民主党の党内調整という形で停滞したままになっておりますが、現在これが力強く前進しているとは言いがたいし、私たちも重大な関心を持ってこれを見守っているものであります。総理大臣のお言葉によりますと、外相訪中は事前の場合もあり得るし、事後の場合もあり得る。国内において駐日中国大使との交渉から始める方法もあれば、駐北京日本大使の手を通して接触して交渉の窓口をあけるルールもあるし、まだ決まっていない。また、自民党以外の各党とも調整をするという段階である、する気持ちがあるというようなお話といいますか、においというか、気ぶりがするのでありますけれども、やっていらっしゃることを拝見しておりますと、そろそろやる意欲を減退されつつあるのではないかという疑いが濃厚に出てきているところであります。かねてから、日中問題に対して精力的に前進的な役割りを果たし、また推進してこられた外務大臣といたしましても非常に不本意な状況であろうかと思うわけであります。総理と外務大臣との間で大きな差異があるのではないか、御両者の間で意見の対立がだんだん濃厚になってきたのではないかとまで現在ささやかれているわけであります。こういうときでありますから瑣末な条約上の問題を議論するつもりはないのでありますけれども、外務大臣の政治家としての御見識を承るわけであります。本当に日中問題はできるのか、そしてできる自信がおありなのか、ここのところの見通しをどの程度に考えておられるのか。現政局に関する部分も多いので、まことに聞きにくい質問ではありますけれども、日本国民が挙げて注目している段階でありますので、大臣の御見識を表明していただきたいと存じます。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 現段階はいまおっしゃったとおりでありまして、与党の方々の御理解と御協力を求める段階にございます。だんだんと御理解を求める方向に進んでおると存じます。  総理と私の中で、もちろん私は第一線で担当している所管者でありますから、いろいろ御意見は申し上げますけれども、私は総理の命令で動く部下でありますから、実行については総理のお指図に従ってやるわけでありますから、一点の違いもございません。  なお、総理が党内の調整、理解が終わったら、野党の方々の御意見も承りたい、こういうのは、公開の席上で言われたことでもありますし、いまなおそのようなお考えのようであると存じております。総理は党内の理解と協力を求めるために段々とみずからいろいろな方法をやっておられるようで、停滞したようではありますが、だんだんと進んでおると私は推察をいたしております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 党内調整などというものはある程度のめどをつけて行っていかなければならぬということは、もう十分御理解いただいているところだと思います。いまどれぐらいの見通しでおられるのか。すぱっとお伺いするのですけれども、大体どの程度ぐらい時間をかけて党内調整をなさり、政府として決断なさるのか。外務大臣は所管大臣でありますので、外交問題に対する専決処分権まで、ある意味ではお持ちでありますし、総理の指揮には従うとおっしゃっておられますけれども、外交問題に対する外相の見識というものは大きな判断の基準になるだろうと私は思います。外務大臣はどの辺でこの問題に決着をつけまして交渉に当たられるおつもりなのか、その辺をお伺いしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 なお、先ほどちょっと答弁で漏らしましたが、総理がいろいろな方法をおっしゃったということでありますが、これは一般的に、こういう方法もあればこういう方法もあると筋論をおっしゃったことであって、総理が迷っておられるという意味ではないようでございます。  なおまた、これがいつごろどうなるのか。人に相談する場合に、何時で相談を打ち切って、何時でどうやるというようなことは、かえって理解と御協力をいただくために障害になるわけでありまして、総理の腹にはちゃんとしためどがあってやっておられるようでありますし、私も総理の腹は十分わかっておるつもりでいま段々と努力をしておるところでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 総理の訪米を待って、アメリカ政府にある種の了解をつけてからでなければできないのだといううわさがたくさんございました。総理は先日御自分の口から、それは関係ないと述べられましたし、外相御自身も中国とのある種の了解というものに言及されました。したがいましてそれほど問題にはならないだろうと私は思っております。ところが、ショウソウトウの息子であるショウケイコク氏が、五月の二十日ですか総統就任式を行う。その日までは待てと公言している向きもあります。また四月の五日はショウソウトウの追悼式であるから、その日に交渉を開始したらただではおかぬという議論が自民党内で議論された向きも私は見ております。私は本質的に、そうした問題に触れるということは国内の議論をよけい紛糾化させるとともに、日本の外交の自主性を失うものではないかと思います。一周忌は二周忌になり、二周忌は三周忌になるものであり、その記念日は毎年毎年来るものでありますから、そうした、どこどこの記念日をのけてでなければやるべきでないというような議論をすれば、結局は、日中問題というものを、日本の外交問題の評価をすることなく、日中問題を故意に妨害し、日本外交の自由度を失わしめるものであろうと私は思うわけでありますから、こういう日付論というか、記念日論というか、記念日忌避論とでも言うべきものはこの際抹殺した上、日本外交の独自性をもって判断すべきだと思いますが、その辺はいかがお考えでしょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 日中友好条約の問題で改めて米国の了解を得なければならぬということは、総理からも言っておられますし、私からも言っておりまするとおり、アメリカの了解を得てから再開しなければならぬという理屈はございません。その必要はない段階に来ております。  それからショウソウトウの追悼日であるとか、総統就任式であるとかという意見は、私はいままで与党の方々の御意見を伺ううちにそういう御意見を承ったことはございません。いずれにしても日本自体の自主的な判断でその環境をつくり、その時期を選び、そして行動を起こすべきだと考えております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 日中条約が締結されたら、直ちに国会において承認を求めなければならぬと思いますけれども、不幸にして、日中条約の交渉、締結がおくれた場合に、今国会の会期をすでに過ぎてしまう可能性もあるかと思います。そういう場合には直ちに臨時国会を召集した上で、調印ができ次第承認を求めるような方向に行かれるおつもりなのかどうか。また、そんなことは全然必要ないと思っておられるのかどうか。先の話でありまするが、話題になり始めたのでお考えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 所管の大臣としてはなるべく一日も早い方がよいとは考えておりますが、臨時国会をやるのか、あるいはどこで承認を求めるかということは一に総理・総裁、党の幹事長の判断でありますから、私がここでお答えすることは物議を醸しますので、お答えはいたしません。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 中川農林大臣が現在訪ソされまして、漁業交渉に当たっておられますが、ソ連側の示された今回の沖どり禁止、その後、昨年度実績に対する五四%というサケ・マス漁獲高の削減構想など、問題は非常に多くなっておりますが、これと日中問題に対する関連性をどうお考えになっておられるか。特に中川農林大臣に、漁業交渉の際日中条約の問題とか、日ソ善隣協力条約等の問題がぶつけられたときにどう対処されるおつもりなのか。また逆に、日中条約の問題を先方に了解を求めようとされるのか。その辺のところはどのようにお考えですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 中川農林大臣がただいま訪ソして、厳しい中に漁業交渉をやるわけでありますが、これまたわが国にとってはきわめて重大な問題であるし、中川農林大臣の奮闘を祈っておるわけであります。出発前に打ち合わせをいたしましたが、全力を挙げて御健闘願いたい、これについてはなお政治上の問題等は一切この折衝には含まれないと判断をいたしております。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 先ほどの矢野訪中団の訪中の際に、覇権反対が第三国に対するものでないという問題につきまして、日本政府側の強い意向の表明を矢野さんは先方政府に伝えました。ところが、この部分は中国側は、日中両国が平和友好関係を樹立し、発展させることは第三国に対するものではない、という言い方をもちまして、正式に返事をしました。この部分を見ますと、日中両国が覇権に反対することは、両国政府が共同行動をとるといったことを意味するものでない、という返事と一緒にあわせて考えますと、ほぼ日本政府の覇権反対に関する考え方は先方政府によって了承されたものと私は思うのでありまするが、どうお考えですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 矢野書記長に対する伝書は、特に総理に対する伝書と断って言われたことでありますから、これを拝承し、重要な参考として今後の交渉を進める考えでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 外務省の皆さん方の御意見を公式、非公式に承りましても、覇権反対の問題につきまして両国側の立場はほぼ煮詰まってきたように私は感じているわけなんですね。それで、この問題はもうあと少々の言葉上の詰めを終わればほとんど決着がつく。とするならば、日中交渉は交渉が再開されればほんの数日で詰まるほど、文案、背景も詰まり始めたものと私は思っているわけであります。したがって、むしろ国内における自民党内の了解というか、ある程度の合意さえ取りつけられれば、もうほとんど問題はなきに等しいのではないかと私も思っております。その点は外務大臣はどう評価されておられますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御意見は非常に貴重な参考として承りますが、とかくこういう問題はどういうことになるか、折衝を始めてみなければ、推察だけで判断をするわけにはまいりません。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 米中コミュニケあるいはアメリカとソビエトとの間の基本原則等を参考にいたしますると、覇権問題に対する考え方あるいは覇権そのものに対する合意の取りつけ方というものは、わが国が中国との間で交渉あるいは事前に意見を交換した問題とさしたる差はないと私は思います。これらの問題はむしろ日本政府として主たる障害とはなり得ないと、よその国を見ていると思うのですが、どうお考えですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 その問題についても十分研究をし、参考とするつもりでございます。

渡部一郎公明党・国民会議

○渡部(一)委員 何を申し上げても参考にされるとおっしゃってくださるので、深く敬意を表しますが、交渉もいよいよ最後の時点で煮詰まっておられることを暗黙におっしゃっているのだろうと思いますし、これに対する賛否を求めようというつもりでは私はありませんけれども、なるべく早い持点で本交渉の決着をつけることが必要ではないか。なぜかと言えば、日本と中国との関係を安定せしめることは日本外交にとっての大きな主軸であり、将来長きにわたる日本の安定のために必要だからだと存じます。その意味で歴史的な交渉にかかられておりますので、いま党内、党外を問わず、国内、国外を問わず大きな雑音と騒音の中で外相をお務めになるということは、大変めんどうなことだろうとも推察をしておるわけでありますが、難に直面してますます勇気をふるわれるその本性に立脚されまして、この交渉において有終の美を遂げられるように私は希望いたします。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 共同声明で約束したことでありまするし、衆参両院の決議にもあることでありますから、一日も早く交渉が始まり、うまくまいりますように最善の努力をこの上とも尽くす覚悟でございます。ありがとうございます。

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長代理 渡辺朗君。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 外務大臣、また担当の方に私は二、三の問題を聞かしていただきたいと思います。  一つは、日中問題に関連いたしまして、最近の日中長期貿易取り決め、この問題に関連して、輸入代金の決済問題で日本側と中国側の問でどうも意見の食い違いがあるというようなことを聞いております。特に最近は、来日中の中国の経済代表団と政府の方は協議をしておられるようでありますが、中国側の方が日本からのプラント輸出に伴う延べ払いの金利の引き下げというのを要望している、それに対して日本側は難色を示しているというような情勢だと聞いておりますが、いかがでございましょうか。

三宅和助外務省アジア局次長

○三宅政府委員 本件につきましては、実は直接民間と中国側との間で現在話し中であると考えております。御承知のように、日本側といたしましては一般的なガイドラインがございまして、このガイドラインの枠がございますが、いずれにしましても円満に妥結されるということを期待しております。具体的にどういうぐあいに違うかは、ただいま私自身ちょっと承知しておりません。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 それではまだ協議中で結論は出ていないというふうに理解してよろしいですか。

三宅和助外務省アジア局次長

○三宅政府委員 私はそう了解しています。正確なところちょっと調べてまいりませんが、了解しておる限りにおいては、現在話し中であるというぐあいに聞いております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 そこで外務大臣にお尋ねをしたいと思います。  外務大臣、近ごろはやりの室内ランニングというのを御存じでございますか。これは部屋の中で踏んでいるのです。足音ばかりして二階に上がってこないなどというふうな表現も使われたことがありますが、私は、今日どうも室内ランニングみたいな日中関係ではないだろうか。外務大臣、ランニングをしておられるかどうか知りませんけれども、踏んではおられる、一生懸命踏んでおられるのですけれども、動きとしては出てきておらないように見受けられます。まず、私は最近の日中問題についてそういうふうな印象を持つのですけれども、大臣いかがでございましょうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 だんだんと努力をしてだんだんと進めておるつもりであります。室内ランニングは確かに前進はいたしませんが、あれを毎日やっておりますと足の力がつきまして、いざという場合にぱんとはねる力がつくわけでございますから、一生懸命努力をいたしております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 ひとつ大いに脚力を養っていただいてジャンプしていただきたいと思いますが、余り踏んでばかりおりますと床が抜けたりいろいろな事態も起こりますので、そこら辺も留意をしていただきたいと思います。  ところで、そういう状態であるならばよけいに大臣いかがでしょう。輸入代金の決済の問題は、これは政府なんかの方が、ガイドラインがあるといま三宅次長がおっしゃいました、確かにそのとおりですけれども、しかしながら日本としてはいろいろな形で外国に対して配慮もしている。こういうようなことも前例あるいは現行において行われているわけでありますから、せめて平和友好条約の方はまだ室内ランニングであっても、実務上の問題については一歩前進させていく、そしてその分野から好転をさせていくということはいかがでございましょう。外務大臣として、これは大蔵省の所管事項だとかなんとかじゃなしに、これは日中問題を推進していくための、私は一つの大きないい条件をつくっていくものだと思いますので、大臣のひとつ御見解を伺わしていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 日中の長期協定はこれは高く評価されるものであって、今後これがどのように進展していくかということは非常に大きな問題であります。  そこで、通産省では一部はこれの受け入れ体制で、いろいろな準備あるいは工場等の設備をすでに準備中でございます。もう一つは、いまおっしゃいました金利の問題が出てくると思いますが、これは御承知のとおりに紳士協定でガイドがつくられておるわけでありますから、公開の席上でこれを破ると申すわけにはなかなかまいらぬわけでありますが、しかし実際にどのような方法でやるかということは、よく両国で腹を割って検討する必要があると考えております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 日中問題は、さらにまたお時間をいただいてゆっくりいろいろお聞きしたいと思います。  次に、第二の点に移らしてもらいます。日米首脳会談、いろいろ準備も行われていることだろうと思いますけれども、私は日本の総理、日本の外相がアメリカの大統領と話をするその場合に、当然やはり極東の情勢というものは、主要なテーマの一つになるであろうと思います。また、そうでなければ困ると思います。  そこで、朝鮮半島の情勢でございますが、最近チトー・ユーゴスラビア大統領、この方が、アメリカに対して北朝鮮の意向を伝えた、そして米国及び南北朝鮮の三者会談構想、こういうようなものがどうもそれをきっかけに表面化してきつつある。最近はまた、チャウシェスク・ルーマニア大統領が北朝鮮の主席の親書を持っていくのではないか、こういうようなことが言われておりますけれども、外務大臣、ここら辺の情報というものはそのとおりでございましょうか。まずその点からお尋ねをいたします。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ただいまおっしゃいましたような程度の情報を私も承っておるわけでありまして、その事実にはほとんど間違いはなかろうと存じますが、見通し、今後のことについてはなかなか困難な情勢にある、このように考えております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 その際に、私がいま申し上げたのは日常の新聞に出ている記事でございます。私は、ここは外務委員会でございますので、日本の権威ある外務省がもっともっと深く掘り下げた情報も持っておられるし、分析もしておられるし、見通しもあるはずだと思います。そうでなければ、外務委員会で私は大臣に御質問する意味もないように思うのです。その程度の情報ではちょっと私は困ると思います。  そこで、ひとつ率直な話ですけれども、チトー大統領があるいはチャウシェスクがまずそういう動きをしているというのは一体なぜなのか、どういう意図を持って行っているのか、その点。第二番目に、三者会談あるいは前に言われていたキッシンジャーが国務長官時代に四者会談、中国も入れての四者会談を提唱したことがあります。アイデアを持っていたことがある、こういったものとの関連において日本はどのような評価をしたらいいのか、ここら辺についてひとつ所見を聞かしていただきたいと思うのです。もっとも、これは言えないこともあるかもわかりません。だったら、そこはそこで隠していただいて結構であります。

三宅和助外務省アジア局次長

○三宅政府委員 第一の点につきましては、確かにそういう報道も行われておりますし、そういう情報も外務省としては情報として把握しております。ただ、ちょっとそれ以上のことは申し上げられないので御了承いただきたいと思います。  確かにチトーの提案、これは一言で言いますと、朝鮮半島における南北の平和共存、それ自体は日本として非常に望ましい。ただ、従来北朝鮮の方からアメリカに対して直接会談したいという話がありまして、アメリカといたしましては韓国が入らないと直接北朝鮮とアメリカとの会談というものは、非常にデリケートなこの地域のバランスを崩すという観点、すなわち中国なりソ連が韓国を認めていない、それから同時に、北朝鮮の方は韓国を相手にしないというような現在の情勢を背景にいたしますと、アメリカとしては北朝鮮とアメリカとの直接の接触は困る。したがいまして、韓国は当然入らなくちゃならぬということだと思います。そのような一般的なことを背景にいたしまして、チトー提案が仮にあるとするならば行われたであろうと推察いたします。  その次に、では日本の態度でございますが、仮にこういうようなことが実現されるならば、また平和共在のラインで話し合われることは、日本として結構なことだろうと思います。ただその可能性の問題としましては、先ほどすでに触れましたように、北朝鮮側は韓国を相手にしないという態度をとっておりますので、果たしてこのような提案が実現されるかどうかにつきましては、私たちは余り確信がないというような感じでございます。  いろいろ申し上げにくいこともございますが、申し上げられる範囲内のことだけ申し上げて答弁させていただきます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 外務大臣、いまのようなことでよろしゅうございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いま報告したとおりであると思います。なお、詳細については、情報提供者から公表してくれるなということでございますので、それ以上のことは御勘弁を願いたいと思います。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 たとえば、関連してちょっとお尋ねいたしますが、外務大臣どのようにお考えでございましょう。韓国政府は、まず初めは非常に否定的であった。だけれども、最近では一概に否定すべきではないというような態度に変わってきている。そうして三者会談に対して、そのような態度もこれから出していくのではないかという推測も行われておりますけれども、その点いかがでございましょう。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 その点がなかなか微妙であると判断をいたしております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 その微妙なところをいろいろとお聞きしたいと思うのですけれども、朝鮮半島の問題、そこで緊張状態が緩和されていくということ、これは大変日本にとって望ましいと思うのです。ただ、基本的な考え方を外務大臣にちょっとお聞きしておきたいと思います。  これは、均衡した状態で北と南がにらみ合っているということ、その中から二つの大きな路線みたいなものが出てくると思うのです。やはり早く平和的統一を先にやるべきである、こういう考え方も出てくるでしょう。あるいはもう一つは、それよりもいかにして平和共存を、分断国家の状態はまことに不幸なことであるけれども、むしろその間でできるだけ話し合いを進めさせるような方向に持っていこうじゃないか、こういう考え方も出てくると思います。外務大臣はどちらの路線というものを日本としてとるべきだとお考えでございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 当然これは朝鮮半端が両方が平和的に話し合って、民族自体の考え方で統一されることを望むものでありますけれども、いま一挙になかなかそこまで行くとは考えられません。そこで、そこへ行くまでの段階では、均衡した両方の勢力が緊張緩和しつつ、漸次話し合いの方向に持っていくという過渡期に対する努力が必要であろうと考えております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 いま大臣からそういうような、話し合いを促進するようなことをやるべきだというお話がございました。であるとするならば、すぐ隣にいる日本としてチトーさんなりチャウシェスクさんなりになぜ任さなければならないのか、少なくとも日本側からそのような提案なりそういうことはできないものであったのか、ここら辺についての大臣の御見解を。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 詳しくはわかりませんけれども、この調停に当たった両者の立場を考えると、少なくとも北の方との連絡のもとにこういう話が出ておるのではなかろうか、こう推察をいたしますので、日本の立場は、韓国とは密接にやっておるが、北とは余りいままで密接でなかった、こういう環境もありましてそういう立場をとれなかったことでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 私、そこでもう一度お尋ねをいたします。  首脳会談が行われる。そこにはチトー大統領からの話がカーター大統領には来ているわけです。あるいはチャウシェスクから親書の中身が伝わっているわけであります。そのアメリカの首脳と日本の首脳がお会いになる。当然、日本がこれに対してどういうことを今後やっていけるのか、どういう態度をとるのか、ここら辺が問われるんではないかと思いますけれども、いま大臣のお話だけを聞いておりますと、ほかの方がおやりになる、それで傍観者である、それは北との関係がわれわれないからだということになっておりますけれども、外務大臣、それでは日本の大きな国際的責任というものを果たすということにはならぬと思いますが、そこら辺についてのお考え方、いかがでございましょう。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 いま起こっておる二つの情勢を傍観しているわけではありません。重大な関心を持って見ているわけでありまして、日米首脳者会談では当然アジア情勢、その中ではいまのような意見も出てくると存じます。こういうところで十分事態を見きわめつつ、日本が何をなすべきか、こういう判断をしたいと考えております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 もうすでにそのような――これは成るか成らぬかわかりません。南北朝鮮とアメリカの三首会談が成るか成らぬか、確かにおっしゃるようにわからぬと思うのですけれども、しかしながら、日本はどういうパートを担当してどういうふうに促進するんだということぐらいは、ぜひとも首脳会談の際には率直にお述べになる方がよろしいと私は思います。この問題はまた改めてお聞きさせていただきたいと思います。  時間の関係で、第三点に入らせてもらいます。  いま日ソの漁業交渉が行われておりますし、また、最近の日米加、そういうところとの交渉を見ましても、漁業問題だけをとりましても、どうも日本にとって大変厳しい、年々厳しくなってきているように思えてなりません。そこで、関連いたしまして、ニュージーランドが四月一日から経済水域二百海里を実施いたしました。そして、その結果、あの近海に行っておりました日本の漁船団が全部引き揚げてくる、こういうような形になっております。と同時に、ニュージーランド側の方からは、漁業交渉を行う、そして協定を結ぶ用意はあるけれども、これはいつまでも門戸が開いておるわけではない、この一、二カ月のことである、こういうふうなことも言われているやに聞いております。これに対して、まずニュージーランドの問題、漁業協定の問題についてどのようにお考えになっているのか、ここら辺をお聞かせいただきたいと思います。

宮澤泰外務省欧亜局長

○宮澤政府委員 ただいま御指摘のとおり、ニュージーランドはこの四月一日から二百海里経済水域を布告いたしました。これに先立ちまして、当然日本政府は、日本漁船がこの水域で引き続き操業を行えるようにニュージーランド政府と交渉を行っておりましたわけでございますが、昨年の半ばごろからマルドーン・ニュージーランド首相が総合経済関係というスローガンを掲げまして、トータル・エコノミック・リレーションシップという爽語でございますが、ニュージーランドに日本の漁船が引き続き近海で操業のために入域したければ、ニュージーランドの主として酪農品でございますが、これの対日輸出を確保することに日本政府の同意を得たい、こういう主張を続けてこられまして、日本側は、自国産業の保護の問題もございますので、ニュージーランド・マルドーン首相の唱えます総合経済関係政策、これに十分に対応し得ない立場でございますので、交渉を重ねましたが、今日まで合意に達することができませんでしたために四月一日あるいは三月三十一日を期して一斉に日本漁船の秩序ある撤退を求めました。現在操業はいたしておりません。したがいまして、ただいまのところはニュージーランド政府と日本政府とのこの交渉はデッドロックという形でございますが、日本側はそれまでにニュージーランドの希望に応ずべく、できる限りの幾つかの妥協案を示したわけでございますが、ニュージーランド政府の入れるところにならず、今日の状態に至っております。ただいまのところは、デッドロックと私申し上げましたが、冷却期間というふうに見ておりまして、なお今後とも交渉を続けてまいりたい。日本政府の立場といたしましては、貿易の問題は貿易の問題、漁業は漁業、従来の日本漁民の払ってまいりました漁場開拓の努力、それから実績その他を考えまして、漁業は漁業として離して交渉いたしたいということで、今後ともニュージーランド政府との接触を続けて、何らかの妥結点を速やかに見出したいと考えております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 これは、いまおっしゃったように粘り強い努力もしていただかなければなりませんが、ただ心配なことは、この一、二カ月の動きを見ておりましても、日本漁船が経済水域から外に出ていった、その後ニュージーランドと韓国の漁業協定、ニュージーランドとソ連の漁業協定、こういう動きを見ますと、被害妄想みたいでありますけれども、日本が出ていった後、韓国なりあるいはソ連なりがそこに入っていくというような状態も見られるわけであります。私はここら辺で、粘り強く将来もずっと交渉を続けるということは必要なんですけれども、その点でタイミングなり、時期というものも逸してはならぬと思うのですが、そういう交渉に臨む態度、ニュージーランドだけを取り上げて、外務大臣いかがでございます。やはり急いでやるべきではないでしょうか。そこら辺のお考え方を聞かせていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 経緯はいま局長から申し上げたとおりでありまして、先般、御承知のとおりに、鈴木前農林大臣がニュージーランドに行ったわけでありますが、交渉は妥結をいたしませんでした。わが方は貿易は貿易、漁業は漁業、こういう立場をとっておりますが、ニュージーランドは御承知のとおり畜産物、酪農、こういうものの輸出と絡んできておるわけであります。したがいまして、これを冗長に引き延ばして時期を失しては大変でございますが、また一方、冷却期間も必要でございまして、酪農その他の輸出についてもニュージーランドは日本を必要としないわけではないわけでありますから、こういう点もよく腹に入れて、予算もすでに通していただいたことでありますから、もう一遍時期を見てやりたいと考えております。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 最後に、関連をいたしまして、もう一問だけ聞かしていただきたいと思います。  先ほども申し上げたように、日米加あるいは日ソ、こういうような漁業交渉を見ましても、毎年毎年だんだんと日本にとって厳しくなる、こういった問題に対してどう対処したらいいのか。見ておりますと、どうも個別の折衝に追われていて、漁業政策あるいは広く海洋政策といいますか、こういうようなもの、これはやはり日本が打ち出すのが大変おくれているように思えてならないのです。海洋と国民経済という関連においても特にいま申し上げた漁業一つ取り上げても、やはり私は何らかの方針みたいなものを持って国際政治の中に乗り込んでいくということでないといけないのではあるまいか。たとえば公海における生物資源の保護というようなこと、あるいは生物資源の保存という言葉が海洋法会議の中では使われておりますけれども、そういうところに思い切ってやはり手を打っていく、方針も打ち出し実行もするという姿勢の中で漁業問題なんかも対処しないといけないように私は思うのですけれども、外務大臣、ここら辺の海洋政策、特に漁業を中心にしてどのように今後するべきなのか、あるいはどういうことを現在立案中であるのか、ここら辺がありましたら所信のほどを教えていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御指摘のとおりでありまして、わが国としては漁業ばかりでなくて各種の場面で友好国と関係を強化しつつ、既存の各種漁業条約等に基づく交渉の場のほか、あらゆる機会をとらえて漁業外交を展開することが必要であると考えております。現在、海洋法会議の場や各国の立法を通じて新しい海洋秩序の形成が進んでおりますが、わが国は一方で漁業ばかりでなく資源、貿易、海運等の多くの面で海洋に大きく依存する海洋国家であると同時に、他方四囲を海に囲まれておる国でありますので、これらの多様な利益が調和された形で確保されるような公正な海洋秩序を確立すべく今後とも一層の努力を払う所存であります。特に開発途上国の漁業開発等についても大きく努力し展開をする必要があると考えておるわけでございます。

渡辺朗民社党

○渡辺(朗)委員 ありがとうございました。時間が参りましたので質問を終わります。      ――――◇―――――

奥田敬和自由民主党

○奥田委員長代理 次に、日本国とアメリカ合衆国との間の犯罪人引渡しに関する条約の締結について承認を求めるの件を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高沢寅男君。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 犯罪人引渡し条約についてきょうで質疑の終了になる予定でありますので、最後の締めくくりという形になるかと思いますが、若干の質問をいたしたいと思います。  条約の第二条の1にあります引き渡しの対象になる犯罪のことでありますが、これは現行の条約では列挙主義ということでもって、それぞれの引き渡しの対象になる犯罪はこれとこれと列挙されている。今度の場合には包括主義というようなことで、そこに一つの変化があったわけですが、しかしその包括主義をとった新条約でも付表の方では四十七の犯罪を指定しているわけであります。そこでそれらを指定しながら、「死刑又は無期若しくは長期一年を超える拘禁刑に処する」、そういうものを引き渡しの対象にする、こうなっておりますが、そこでお尋ねしたいことは、この「死刑又は無期若しくは長期一年を超える」ものであって、この四十七項目のほかに何かそういうふうな該当するものがあるのかどうか、これが一つ。それからもう一つは、これからの日本なら日本、アメリカならアメリカのそういう立法過程の中で、新しくそれに該当するものが罪として指定されるというようなことになってきた場合にはそれは当然含まれることになると思いますが、そういうふうな関係をお尋ねいたしたいと思います。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田政府委員 二点の御質問でございますが、まず最初の方の点につきましては、この条約の付表におきまして日米両国の刑法上長期一年を超える犯罪はできる限り網羅的に列挙するという努力をしたわけでございます。その理由は、このような付表を設けますと、両国の国内法に一々さかのぼりませんでも、条約付表のみを見て、これは条約の対象犯罪であるということがすぐわかるという便宜も考えましてこのようにいたしたということでございます。  実は、日米双方の代表団が、できる限り網羅的にということで努力をいたしましたので、実際問題といたしましてほとんどすべての重要犯罪が付表に掲げられておるというふうに思います。ただ、その後いろいろ調べてみましたところ、付表に掲げられておらない犯罪で日米両国の刑法上長期一年を超える犯罪というものとしては、たとえば人身売買とかわいせつ物の通信というふうなものがあるということでございます。  それから、将来日米両国がさらに新しい法律で刑罰を設けましたような場合におきましては、この第二条一項の後段によりまして、当然いわば自動的にこれが引き渡しの対象犯罪となるということでございます。ただし、合衆国に関しましてはこの二条一項にございますように米国の連邦法令ということでございますので、州の法律の方は除いてあるわけでございます。     〔奥田委員長代理退席、毛利委員長代理着席〕

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いま御説明をされましたその最後のアメリカの連邦法令というような関係でありますが、そのことに関してお尋ねしたいわけであります。  いまの第二条第一項の後半部分のところに、「前記犯罪の一が実質的な要素をなしている犯罪については、合衆国政府に連邦管轄権を認めるために州際間の輸送又は郵便その他州際間の設備の使用が特定の犯罪の要件とされている場合であっても、引渡しを行う。」、こういうふうな文章の部分があります。これはどういうことを意味するか、私も何度か読んでみて結局どういうことを意味するかよく理解できないということでありますが、この部分の意味するところをここで一回御説明願いたいと思います。

北村汎外務省アメリカ局外務参事官

○北村説明員 ただいま御指摘の個所につきましては、アメリカは刑法というものは元来各州が制定をいたしております。連邦政府の制定する犯罪の類型と申しますのは、これは憲法上の限定から連邦政府固有の法益に関するものに限られております。「州際間の輸送又は郵便その他州際間の設備の使用」、たとえばハイウエーとか州をまたがって存在するそういう設備の使用ということが特定犯罪の構成要件の一部である場合には、この当該犯罪は連邦犯罪ということになるわけでございます。こういうふうにして、アメリカにおいては連邦政府が管轄権を有する犯罪類型の罪が拡大されてきたという経緯がございます。  そこで、この一項の後段というのは、米国からわが国に対してその請求が行われました犯罪について、「州際間の輸送又は郵便その他州際間の設備の使用」ということが当該犯罪の要件とされている場合でございましても、その犯罪の実質的な要素、たとえばそれが州にまたがって電話で、通信を使って詐欺が行われたとか、そういうような、その実質の犯罪そのものが相互可罰性のものである限りは、連邦制のもとにおいて存在する特殊な要件というものは特に考えないで、それは相互に引き渡す犯罪として考えるということでございまして、こういうことができましたのは、ベスコ事件と申しまして、四年ほど前に、バハマに逃亡しておりましたベスコというアメリカで非常に有名な詐欺師がおったわけでありますが、その詐欺師の引き渡しをアメリカは英国に請求したわけですが、そのときに、ベスコが州をまたがる郵便を使って詐欺を行ったということなので「州際間の」云々という要件が入っておりましたところ、英国の方は、自分の方の法律にはそういう州際間のこういうような要件はないということで、引き渡しが実現しなかった、こういう事例がございまして、そこでアメリカとしてはこういうような要件をつけてもらいたいということで、こういうふうに入った次第でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そうすると、いま御説明の部分は、つまり、アメリカが他の国との犯罪人の引き渡しをするその相互主義の立場から、アメリカ側のそういう引き渡しの要件と他の国の引き渡しの要件の間に不均衡があってはならぬというようなことから、そういう州際間のものであればそういう引き渡しの対象にする、こういう趣旨でこの文章が入った、こういうことに理解してよろしいですか。

北村汎外務省アメリカ局外務参事官

○北村説明員 そういう御趣旨に理解していただいて結構でございます。ただ、州際間云々と申しますのは、これは連邦政府のとっておるアメリカの特殊な法体系のもとにおいて使われる言葉でございまして、その実質の犯罪が何であるかということによって引き渡しの犯罪を判断するというのが趣旨でございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 次は、いまの第二条の第二項の方でありますが、引き渡しを求められている者が、それが「死刑の言渡しを受けているとき又は服すべき残りの刑が少なくとも四箇月あるときに限り、引渡しを行う。」ということで、ここで四カ月という一つの線が出ているわけでありますが、この四カ月という線の出た根拠というものと、それから四カ月以下である場合は、じゃどういう扱いをするのかということについてお尋ねをしたいと思います。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田政府委員 四カ月という期間を限りましたのは、引き渡しを行う場合にはそれ相応の手続も必要なわけでございます。それから、引き渡される本人も拘禁等をまずされるわけでございまして、いわばそういった手続及び労力と、それから引き渡すということの持っておる効果というものにやはり適当なバランスがなければいけないであろうということを考えまして、日米間で話し合いました結果、諸外国で結んでおります条約でも、この服すべき残りの期間は四カ月という例が多うございますので、そういう通常の例にのっとってこの日米間の条約も処理したということでございます。したがいまして、残りの服役期間が四カ月以下の場合には、そもそもこれは引き渡すべき義務が生じないということでございますから、引き渡さないということになるわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 四カ月以下の場合は必ず引き渡さない、こういうことなのか、四カ月以下の場合には引き渡す義務としてはないけれども、あるいはその状況によっては引き渡すこともあるというふうな、そういう幅を持ったものなのか、その点はどうでしょうか。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田政府委員 この条約に基づく引き渡しというものは行われないということでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 次へ進みまして、第四条の政治犯不引き渡しの問題でありますが、この条約の本文の第一項の(1)では、「この規定の適用につき疑義が生じたときは、被請求国の決定による。」と、こうあります。「被請求国の決定による。」というこの言葉と、引き渡しを求められたその本人が、自分は政治犯であるから引き渡しはしてもらいたくないと、こういうふうな本人の立場からそういうことを主張する立場、これはわれわれとしては人道上の問題として大変尊重しなければならぬ重大な問題だと思いますが、この被請求国が決定するということと、対象になっている本人が、自分は引き渡してもらいたくない、自分は政治犯だと、そしてそのことを立証しようとする、説明しようとする、こういう本人の努力との関係というものはどういうふうに位置づけられるのか、この点を御説明を願いたいと思います。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 お答え申し上げます。  御承知のとおり、政治犯という概念はきわめて抽象的かつ一般的でございまして、その認定と申しましょうか、解釈をめぐりまして、両国間に見解の相違の生ずることは十分考えられるわけでございますが、さような場合に、認定の最終権は被請求国、請求を受けた国の方が行う、こういう規定でございます。具体的にわが国の場合で申し上げますと、まず第一次的に法務大臣がこの認定を行いまして、次に法務大臣の命によりまして東京高等検察庁から東京高等裁判所に審査の請求が行われますので、その段階におきまして、引き渡しの対象になっておる、言うならば犯罪者の主張も十分含めまして、諸般の状況あるいはまたあらゆる資料を検討の上認定される、かような手続になっておるというわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 もう一度いまの点でお尋ねするわけですが、法務大臣が、これは政治犯であるから引き渡しはしない、こういうふうな決定になれば、これはこれで一つの結論が出て問題がないわけです。法務大臣が、これはどうも政治犯ではないと、こういう判定で、じゃ引き渡しをしましょうというようになったときに、その引き渡しをされる本人が、それは困る、私は政治犯なんだ、というような場合に、つまり、そういうふうな法務大臣の処置について、本人から言うなれば一種の訴訟を起こして、そして裁判所においてこれを争う、こういうことになるわけですね。この手続はそういうふうに進むということで理解してよろしいですか。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 ただいま申し上げましたとおり、第一次的に法務大臣が認定を行うわけでございますが、それ以後の手続と申しますのは、東京高等検察庁から東京高等裁判所に審査の請求がなされまして、その段階におきまして、当然引き渡しの対象となっている者からさような主張もなされるわけでございますので、その点も踏まえて裁判所の認定が下るというわけでございますが、最終的には、引き渡すということに相なった場合には、やはり行政訴訟の対象となり綴るものというふうに考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 次へいきまして、第四条第一項の(3)と(4)があります。(3)は、日本からの引き渡しの請求に対して、アメリカの法律で時効が完成しているものは引き渡しの対象にならぬ、(4)では、今度はアメリカからの引き渡しの請求に対して、日本の法令によって時効の完成その他の事由によって引き渡しの対象にしないという、こういうふうな条約の文章になっておりますが、(3)の方では時効の完成による、(4)では時効の完成その他の事由によると、こういうことで、ここのところに「その他の事由」というものがついている。これはどういう理由でついたのか、それから、この「その他の事由」というのは内容的にはどういうものを指すのか、この御説明をお願いします。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田政府委員 この部分は、不引き渡しに関しまして日米両国間の法律上の制度に差異がありましたので、このようにアメリカの場合と日本の場合とを書き分けたわけでございます。日本の法制におきましては、逃亡犯罪人の引き渡しを行う、これを決定いたします際に、単に時効の完成のみならずその他の不引き渡し事由があるかないかということを検討するわけでございます。これは三つございまして、一つは違法性阻却でございますが、これは正当防衛というふうな場合でございます。それから責任阻却、すなわち心神耗弱等の場合でございます。それから恩赦の場合。この三つの場合におきましては、そもそもこの条約の第二条に書いておりますところのこれこれの「刑に処することとされているもの」というものに当たらない、そういうふうに日本の法律はなっておるわけでございます。  そこで、この四条第一項の(4)のところにおきましては、いま申し上げました責任性阻却、違法性阻却、恩赦の点を「その他の事由」というふうに書いたということでございます。他方アメリカの方は、時効の完成、公訴の時効でございますけれども、この場合には引き渡さないけれども、それ以外の事由があっても、これは不引き渡しの事由とはしない。引き渡してしまって、その引き渡された国の方で裁判等をするわけでございますから、そのときにこういった事情をどう判断するか。いわば引き渡した相手国の判断に任せる、こういう制度をとっておりますので、このように書き分けたということでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 次に、第五条の自国民の不引き渡し、ここにその原則をうたって、しかし、被請求国は、その裁量により引き渡すこともできる、こういうことになっているわけでありますが、この裁量の物差しというものは一体あるのかということですね。どういう判断をした場合に自国民を引き渡しの対象にするのか。このことについてひとつ具体的な御説明をお願いをしたいと思います。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 お答え申し上げます。  自国民を引き渡す場合には、もちろん当然のことながら慎重の上にも慎重を期すべきであるということは論ずるまでもないことであろうと思います。次に、いかなる場合に引き渡しの対象になるかということに相なりますと、文字どおりケース・バイ・ケースでございまして、一義的に申し上げることは困難かとも思いますが、罪の性質、内容あるいはその罪に対する両国間の国民感情等を総合的に勘案いたしまして、請求国において裁判するのが最も適切妥当であるというふうに判断された場合に引き渡しの対象とするということになろうかと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまの自国民不引き渡しのこの扱いは、いま日本側の立場は御説明がありましたが、アメリカの方ではこれはどんなふうな取り扱いをすることになっておるのか、その御説明をお願いします。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 ただいま私が申し述べました一種の抽象的な物差しというものは、アメリカの場合においても同じであるというふうに考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 最後になりますが、私、日米安保条約に基づく地位協定とこの条約の関係をお尋ねしたいと思います。  この条約に伴う交換公文では、地位協定の関係のものはこの条約の対象にはしない、こういうふうなことになるわけでありますが、最初にお尋ねしたいことは、これは日米の関係でありますが、たとえば北大西洋同盟条約によってヨーロッパ諸国にもアメリカの駐留軍がいるわけであります。恐らくそれに伴って、たとえばアメリカと西ドイツとかあるいはフランスとかというような関係で駐留に伴う地位協定というものがあるだろうと思うのですが、その地位協定と、アメリカが西ドイツなどと結んでいる犯罪人の引渡し条約の関係はどうなっておるのか。今度の日米の引渡し条約の中には地位協定に関するものは除外となっておりますが、たとえばアメリカと西ドイツや、アメリカとヨーロッパ諸国も同じようなことになっているのかどうか、その状況をお尋ねしたいと思います。

北村汎外務省アメリカ局外務参事官

○北村説明員 アメリカ軍が駐留しております西ドイツについて申しますと、ドイツとアメリカとの間には一九三〇年の七月十二日に署名されました米独犯罪人引渡し条約というものがございます。それから、先生いま御指摘のNATOの条約に基づく地位協定が当然あるわけでございますが、今度新しく日米の犯罪人引渡し条約につけております交換公文のようなものは、現行のアメリカとドイツとの犯罪人引渡し条約にはございません。なぜないかと申しますと、これは、一九三〇年のアメリカとドイツとの犯罪人引渡し条約はお互いに地域的な管轄権の中で犯された犯罪に対して引き渡しができるということで、いわば国外犯の引き渡しを認めておらないわけでございます。したがいまして、その現行の米独犯罪人引渡し条約とそれからNATO協定に基づく地位協定との間には競合関係が起きないわけでございます。したがいまして、現行の日米犯罪人引渡条約に今度つくりましたような交換公文がないのと同じように、それは国外犯の犯罪人引き渡しを認めておりませんので、そういうことで交換公文はドイツの場合にはございません。こういう形になっております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そうすると、いまの点をもう一度重ねてお尋ねするのですが、アメリカと西ドイツの間にある地位協定で、そして西ドイツに駐留しているアメリカ軍の軍人や軍属が西ドイツにおいて公務中に犯罪を犯したというような場合、これは日本の地位協定では一次裁判権はアメリカにあるということになっているわけですが、そういう関係は西ドイツの場合ではどうなっているのか、これをお尋ねしたいと思います。

北村汎外務省アメリカ局外務参事官

○北村説明員 NATO条約に基づくいわゆるNATO地位協定の第七条というのがわが日米間の地位協定の十七条に当たるものでございまして、この第七条とそれからわが方の十七条とは全く同文でございます。ですから、先生いま御指摘の公務以外の犯罪、それに対してドイツが一次的な裁判権を持つということも全く同じでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そこで、いまのそのことにさらに重ねてお尋ねしますが、西ドイツに駐留するアメリカ軍の兵士が公務中に犯罪を犯した、これは一次裁判権はアメリカ軍にある、しかし、その一次裁判権を日本のケースから見れば行使した例がいままでないわけですから、西ドイツの場合には、アメリカではそういうケースの場合に実際にその犯罪を犯した兵士を裁判をしているのかどうか、これが一つ。  それから、もしアメリカ側がその裁判をしないときに、今度は西ドイツ側がそれに対して二次裁判権を行使するというふうなことが実際のケースとしてあるのかどうか、そういう事実関係をお尋ねしたいと思います。

北村汎外務省アメリカ局外務参事官

○北村説明員 先ほど御説明申し上げましたように、この刑事裁判権に関する規定は、全く日本の場合とそれからドイツの場合、同文でございますので、アメリカの軍人が公務中に犯した犯罪はアメリカが第一次的な裁判権を持ち、もしその裁判権を行使しない場合には、それは滞在国が第二次の裁判権を持つ、こういう法律の枠というものは全く同じでございます。ですから、私ども当然こちらで行われておるようにドイツでも行われておるというふうに承知いたしておりますけれども、ドイツにおけるその実態がどういうものになっておるか、その件数とかそういうものはいまつまびらかにしておりません。しかし、法体系が全く同じわけでございますからそういう同じような運営が行われているというように考えております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 私は、米軍のそういうふうな地位協定に関連する犯罪に対する裁判のあり方について、次にお尋ねをしたいわけです。その関連においても、いま西ドイツでその実態がどうなっているかということについては、いまのお答えでは、その事実関係はつまびらかではない、こういうことでありましたので、したがって、この点についてはお調べをいただいて、そしてこれは来週の水曜日の外務委員会のときで結構でありますから、それまでにいまの点の事実関係を調べてお知らせをいただきたい、このことをお願いをしたいと思います。

北村汎外務省アメリカ局外務参事官

○北村説明員 本件につきましては、まあ他国の問題でもございますし、いろいろ調べるに当たりましても時間がかかるという点もあると思います。しかし、政府といたしましてできる限りの調査をいたしたいと思います。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そこで、日本の問題になるわけでありますが、地位協定の第十七条の第三項の(a)の(i)、(ii)、この二つについてはアメリカの方が第一次裁判権を行使する、そしてその他のものについては日本の当局が第一次の裁判権を行使するというふうな地位協定の規定になっているわけであります。そしてその次に、(c)のところ、ここに「第一次の権利を有する国は、裁判権を行使しないことに決定したときは、できる限りすみやかに他方の国の当局にその旨を通告しなければならない。第一次の権利を有する国の当局は、他方の国がその権利の放棄を特に重要であると認めた場合において、その他方の国の当局から要請があつたときは、その要請に好意的考慮を払わなければならない。」、こういうふうに書いてあるわけです。これは、アメリカ側が第一次の裁判権を持っておる、しかし、その第一次の裁判権を行使しない、こういう場合には日本の当局に対して行使しないということを通告しなければいかぬ、こういうことですね。この通告を受けた場合には、当然今度日本の当局が裁判権を行使できるということになってくる。それから日本の当局が、アメリカに第一次の裁判権があるけれども、その事件の性格上、これは大変日本側でやりたい、やるべきものだ、こういうふうに考えた場合に、アメリカに対して第一次の裁判権を放棄してもらいたい、こういう要請をして、その要請があったときは、要請を受けたアメリカ側はその要請に対して好意的な考慮を払わなければならぬ、この(c)項の意味はそういうことだと思うのですね。そこで、これを受けて、昭和二十七年の講和成立以来今日まで、アメリカ軍が第一次の裁判権を持つようなケースで、その裁判権を行使しないということを日本の当局に通告をしたような、そういうケースがあったかどうか。それから第二には、今度日本側から、これはアメリカに一次裁判権があるけれども日本側でやりたい、したがって、第一次裁判権をアメリカには放棄してもらいたいというような、日本側から要請されたようなことがあったかどうか。つまり、(c)項に該当するようなケースが現実に日米間で昭和二十七年以来今日まであったかどうか、このことをお尋ねしたいと思います。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 お答え申し上げますが、お尋ねのケースは一件もございません。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 そういたしますと、アメリカ側が第一次裁判権を行使するその件について、行使しないからひとつ日本側でやってくれというような通告は一件もなかった、こういうことですね。なかったけれども、しかし、アメリカ側が裁判権を現実に行使したケースがあるか、こう聞いたところが、そういうケースは法務省としては一件も承知してない、こういうふうなことであるわけですが、こういう実態について外務大臣にお尋ねしたいのですが、アメリカ側が第一次裁判権を行使する立場にあってしないときは、しないと日本側に通告する。そのときは日本側が裁判権を行使できる。しかし、そういう通告は一件もない。それではアメリカ側が行使して、その犯人を裁判をして、しかるべき処罰を加えるということをやったかというと、法務省の掌握ではいままでそういうケースは一件もない、こういうことですが、このあり方について大臣は、これは外務大臣でございますが、一体どういうふうなお考えをお持ちかお聞きしたいと思うのです。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私は、条約の内容の解釈ではなくて、この地位協定その他に対する日本の姿勢というものを考える必要があると存じます。たとえば第一次裁判権は米国、第二次裁判権が日本、こういう場合、当然裁判権は米国にあるものとして二次裁判権の要求をしたこともない、それからアメリカの方で一次裁判権を放棄した場合にその報告も聞かない、こういうことが何十年も積み重なってきますと、結局第二次裁判権を日本が持っておるというようなことは名目だけであって、実際は両方ともそれが当然だというようないわゆる惰性からくる日米の食い違いがだんだん出てくるのじゃないか、むしろこれからは事件が起こるたびごとに必要以上に第二次裁判権をこっちによこせという折衝等もやって、そして二次裁判権は必要があらば日本の方で考慮するというようにして、米国側も日本でうかつに事件を起こしてはならぬと、必要なところは日本に裁判権を渡すのがあたりまえだ、日本もまた正しいことをどんどん要求するのがあたりまえだというような機運をつくりつつこの地位協定の将来に向かって対処することが必要であろう、私は条約の内容ではなくて姿勢としてそのように考えております。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 若干補足して申し上げさせていただきますが、米軍が第一次裁判権を持つケースというものは御承知のとおり公務中の犯罪でございますので、言うならば悪質な故意犯はほとんどまず考えられないことでございまして、おおむね交通事故等の過失犯であろうと思われます。これら過失犯につきましては、いずれも公務中であるというところからしまして過失の認定、有無等につきましてかなり微妙な案件、過失が果たしてあるかどうか、かなり問題のあるようなケースが相当多数であろうと思われます。いずれにいたしましても、仮に過失の認められましたようなケースにつきましては、第一次裁判権の対象といたしましては懲戒処分も含まれておりますので、米軍側におきましてもやはり相応な措置をとっておるものというふうに考えておりますが、ただ、その詳細につきましては遺憾ながら当法務省としてもまだ十分に把握していなかったということでございますので、今後、ただいま外務大臣のお話にもありましたとおり十二分に把握してまいるように考えておるわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 昭和三十五年の、現在の安保条約が審議されたあの国会で、政府から当時の安保特別委員会へ出された資料で日米合同委員会の合意書というものがあるわけです。その日米合同委員会の合意書の中に、いまのケース、アメリカ軍が公務中に犯罪を犯したというようなケースの扱い方としてこういうふうな文章があるわけです。「行政協定第十七条第三項(a)(ii)によって」、つまりこれは米軍が公務中に犯した事故や犯罪です。「(ii)によって合衆国が裁判権を行使する第一次の権利を有する犯罪で、合衆国軍隊の構成員、または軍属により日本国若しくは日本国民に対して犯された旨の通知が合衆国又は日本国の当局からそれぞれ他方の国の当局に対し書面で行なわれた場合には、合衆国は、被疑者の所属する部隊の司令官を通じ、当該犯罪の行なわれた地の検事正」、これは日本の検事正ですね。「検事正に対して、合衆国において裁判権を行使するか否かを通告するものとする。当該検事正は、当該犯罪についての最初の通知のあった日の翌日から起算して一〇日以内に右の通告を受けなかった場合には、日本国はかかる事件につき裁判権を行使することができる。」こういう文革が日米合同委員会の合意書ということであるわけです。  これはつまり、そういう犯罪や事故が起きた、その起きたという事実について、アメリカから日本に、あるいは日本の当局からアメリカに通知する、その通知が行われた場合、その犯人の所属する部隊の司令官は、今度はその犯罪の起きた場所の日本の検事正に対して、通知のあった日の翌日から十日以内に裁判権を行使すると、あるいは行使しないと、とにかくいずれかの通告をしなければいかぬ、十日以内にそういう通告がなかったら、これはもう日本側で裁判ができる、こういうことがこの合意書の中にあるわけです。  この合意書の中にあるような、こういう事件があった場合の、アメリカ側で裁判権を行使するかどうかの通告ですね、あるいは通告をしないというケース、通告をしたというケース、こういう実際の実態がどういうふうになっているかということをここでお尋ねをしたいと思います。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 お答え申し上げます。  ただいま申し上げましたとおり、公務中の犯罪という事柄の性質上、過失犯がほとんどでございまして、この過失につきましても、やはり過失の内容、有無等についていろいろ問題があって、日本側の当局におきましても、これは事件にならないというふうに考えたようなケースも多々含まれておるわけでございます。  しかし、過失があるというふうに考えられたものにつきましては、その間の記録等を調べてみますと、米軍側から、所要の懲戒処分等に付したというふうな通報を受けているものもございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 どうも先ほどから、公務中に犯すものはもう過失性が強いということを盛んに強調されるわけですが、具体例で言えば、あなた、ママさんおいでと言ってそばへ呼び寄せてそして鉄砲で撃った、この事件は一体過失ですか。あるいは、操縦士はわざと落ちたことじゃないと思うけれども、昨年の横浜に落ちた事件ですね、あれによって九名死傷者が出ておる、その家庭の奥さんはいまでも重傷で床にあるというようなこと、これは過失だということで、裁判権の問題についてそのような甘い態度で過ごしていいというふうなことは断じて言えない、私はこう思うのですよ。  先ほど園田大臣から、従来、そういうような事件も含めて、当然アメリカ側において裁判権を行使するものはすべきであるにもかかわらず、それがどうなったかわけがわからぬ、それに対して日本側も、二次裁判権の要求も何もしないで今日まで昭和二十七年以来来た、こういうあり方は厳正に反省して、これからはそうあってはならぬという、私は、大臣の前向きの態度が示された、こう思うのですよ。そういうふうな立場とあなたのいまの答弁では全然次元が違う、私はこういうふうに思うわけです。  そこで、もう一度お尋ねですが、いまの過失性があるかないかということではなくて、この合意書にあるところの、アメリカのその犯罪を犯した兵士の所属する軍の司令官から、その場所の日本の検事正に対して、裁判をやるかどうかという通告が一体あったのかどうか、もし通告がなかったら、それに対して日本の当局はどうしたのか、これを私はお聞きしているので、それの実態を説明してもらいたいと思います。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 さようなケースにつきましては、米軍側から十日以内に公務中の犯罪であるという意味での公務証明書が発行されております。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いや、それじゃだめなんだ。そして、その上に立って、それをアメリカ側が裁判権を行使するかどうか、裁判をするかどうか、これを通告することになっておるのです。そういう通告は一体あったのかないのか、どういう状態になっていますか。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 その通告はなされておりまして、先ほど私が申し上げましたとおり、米軍側から所要な懲戒処分に付したというふうな連絡のあったケースも多々ございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 それじゃ答えにならぬ。つまり、裁判をするかどうかの通告なんですよ、この合意書は。そして、通告があったとすれば、じゃあ裁判をアメリカの方でやりますと、こういう通告があったということですね、やるかやらないかという通告ですから。やりますという通告があった、こういうふうに理解していいわけですね。それを答えてください。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 懲戒処分も裁判権に含まれるというふうに考えておりまして、その意味での通報がなされたケースが多々あるというふうにお答えしておるわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 これは、その事件があったという通知から、翌日から起算して十日以内ですよ。その十日以内の間にすでに裁判をやったと同じような一つの懲戒の結論を出すというふうなことが、いつもいつも十日以内にそういうふうな結論を出した通告が一体行われたのですか。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 まず十日以内に公務証明書が参りまして、その後で事案によっては懲戒処分に付したものもあるということでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 どうも食い違うのだな。この合意書は、十日以内に当該犯罪についての裁判権を行使するか否かを通告するというのですよ。これは公務中だというような、そんな証明書とは違うのですよ。裁判権を行使するか否かを通告する、これが合意書の内容なんですよ。そこで、そういう通告があったのかないかというふうにさっきから私は繰り返して聞いているわけですよ。  多少超過していますが、ああいう状態ですから、委員長、ひとつ御了解願います。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 お答え申し上げますが、十日以内に裁判権を行使する意思を有するかどうかの通知というふうに考えておりますが、裁判権を行使したということではもちろんございません。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 だから、するか否かの通告ですよ。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 そういうことでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 すると、つまりするという通告があった、こういうことですね。

佐藤道夫法務省刑事局刑事課長

○佐藤説明員 その点につきましては、行使するというまず前提がありまして、その上で所要な調査を行いまして、犯罪の嫌疑の認められるものにつきまして、かつ訴追するに足ると考えた案件について訴追が行われるというのが、これは日本の場合でもアメリカの場合でも同じでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 ところが、現実には訴追は行われていない。現実には、一次裁判権の行使が行われたケースは一つも法務省は承知していない、これがこの前のここにおける答弁であったわけですよ。いままでにアメリカ側が一次裁判権を持つケースで実際に裁判をやったケースがあるのか、法務省がそういうものを承知しているかということに対して、そういうケースは一つも承知していない、こういうことであったわけですよ。これは参議院の予算委員会の論議でもそういう法務省の答えがあったわけですね。したがって、裁判権を行使するという通告があったとすれば、アメリカ側はそのたびに裁判権を行使しますと通告しておいて、現実にはちっとも行使していない。つまり、日本の当局はいつでもうそをつかれていた、こういう結果になるじゃないですか。そうであるとすれば、私はさっき言ったように、日本の当局からむしろアメリカ側に対して一次裁判権の放棄を要求して、日本側で裁判をやりますということを提起するのが正しいんじゃないのか、こういうことをお尋ねをしているわけでありますが、まああなたとのやりとりでは、もう、時間はこれ以上かかっても余り進まぬと思いますので、先ほどの外務大臣のお答えで、いままでのそういうあり方ではいかぬ、こういうお答えがあったわけで、私はまさにそのとおりだと思うのです。それで、その立場に立って、そこで具体的にいま一番新しいケースとして、昨年、横浜市にアメリカ軍のファントムが墜落した、それによる非常に大きな被害が出た。これはやはりその責任者は操縦士という判定をするのか、あるいはエンジンの整備、組み立てをやった責任者と見るのか。これはまたその捜査の上の問題になりますが、ともかくその責任者を日本側において裁判をするということがこのケースではどうしても必要じゃないか、こう思います。したがいましてこのケースについては、日本側においてアメリカに対して裁判権の放棄を要求して、日本側がその裁判権を行使するという態度をはっきりととるべきではないか、こう脅えるわけですが、これは非常に大きな政治的な判断も伴う問題でありますから、外務大臣からこれについての御見解をお聞きしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 ただいま捜査当局で捜査中でありますから、これの犯罪という確証が挙がれば、当然裁判権を要求すべきものであると考えます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 これが犯罪を構成する、こういうふうなことが日本側の捜査によって確認ができれば裁判権を要求する、いま大臣が言明されましたので、私はこの大臣の言明は高く評価をしてお聞きをいたした次第であります。  そして、この行政協定の関係はとにかく日米犯罪人引渡し条約から別枠にされているわけでありますから、それであればなおさらこのアメリカ軍に関係する犯罪は、日本の国民に対していままでのケースで見ても重大な被害を与えておりますから、そういうものについては、将来起こり得るものについても、日本側としてはやはり毅然たる態度を持って、アメリカに対して裁判権を要求するものは堂々と要求をしていく、こういう態度を今後も貫いていただきたい。これは私の最後の要望でありますが、これについてひとつもう一度大臣の見解をお尋ねしたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私がお答えすることと法務省からお答えするところに若干の食い違いがあるかとも存じますが、私はやはり基地問題というのは非常に重要だと考えております。この基地問題がどのように進むかによって、われわれから言えば日米協力が本当にできるかどうか、こういう問題であります。東南アジアの各国の問題を見ても、これからいろいろな問題が起こっております。そういうことからすると、たとえば米国内で軍人が公務中に人をひき殺した場合にどのような罪を受けるのか、単に隊内の規定された懲罰等で済むのかどうか。ところが、日本でやった場合には向こうの裁判権ということで、それが米国で起こった犯罪とは別個に同じ人間をひき殺しながら軽い罪で済むとか、あるいは懲戒処分で終わるというようなことではなかなかうまくいくはずがない。したがって、こういうことは厳しく確認する必要がある。  なお、いまではありませんが、将来、地位協定等ももう何十年もたっております。社会環境も国際観も変わってくる。そういう場合に、これを変更するときに、第二次裁判権をこっちにくれと言っておっても、全然要求もしなかったじゃないか、確認もしなかったじゃないか、そんなならこのままでもいいじゃないかということを言われることではいかぬので、やはり言うべきことは言って、それの積み重ねをして、将来いつの日にか来るそういうものにも備えるべきである、こういうことをひそかに考えておるわけでございます。

高沢寅男日本社会党

○高沢委員 いまの大臣のお答えを私も了解いたしまして、質問を終わります。時間超過をしたことはおわびをいたします。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 井上君。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 私は午前中に金大中氏事件について若干触れたわけでありますけれども、さらにこの条約に絡んで質問をいたしたいと思います。  前回、外務大臣から、いわゆるこの条約に定める要件を満たすようなものについては引き渡し請求はでき得るというふうにお答えをいただいておるわけであります。午前中に私は、金大中氏事件の主要人物である金東雲について質問をしたわけです。この金東雲が連行犯人グループの一人である、なお十分な確信を持つ証拠資料がそろっておると警察庁は答えているわけであります。あるいはその容疑事実と申しますか、罪状までも、金東雲につきましては逮捕監禁、略取誘拐ということであるということを明快に警察庁は答えております。今度の条約の条文の中に、これは警察庁からお答えをいただいている中で、「条文を見ましても、罪質的にはそういったものを充足するということでございます。」と明快に答えておるわけります。  そこで、外務大臣、この条約が両国間で締結され、もうこれは締結されるわけでありますけれども、そういうことになりますと、私が前々指摘をいたしております金東雲なる人物についてはアメリカに対して引き渡しを要求し、あるいは仮拘禁を要求することができ得ることになりますね。外務大臣にお答えをいただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 私が先般お答えいたしましたのは、本条約が発効した段階で、米国に在住する者であって、本条約に定める条件を満たす者については引き渡しの対象になり得る、こういう趣旨の答弁をしたわけでございます。  具体的にお尋ねがあります金東雲氏については、米国に彼がおるかどうかは承知しておりません。なお、一般的な例と同様、同人についても米国に彼がおり、条約上の要件を満たしておるのであれば引き渡しの対象となり得る、こう説明したわけでございます。  なお、北東アジア課長からは、これについて個々の人物が引き渡しの対象となり得るか、引き渡しを要求するつもりがあるかといったようなことについては現段階ではお答えができません、こう言っておりますが、私の答弁した一般的な趣旨と実務処理をする課長との答弁に矛盾はないと考えております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大臣、少しおかしいと思うのです。北東アジア課長に私は聞いておるわけでもなし、北東アジア課長の意見というものは、事務レベルでむしろ十分実情を承知していらっしゃらない。大臣、午前中の私の質問に、捜査当局は充足するに足るということを答えているんですよ。私のきょうの質問に対して警察庁は、「金東雲につきまして私どもが持っております容疑は、御承知のように、逮捕監禁、略取誘拐」こういうことでございますとはっきりと明言されておるのです。「今度の条約の条文を見ましても、罪質的にはそういったものを充足するということでございます。」こういうお答えがなされているわけなんです。この条文を充足する人物がアメリカにおった場合に当然引き渡しを請求でき得る、大臣は引き渡しは請求でき得るというふうに私に答えてくれているのです。大臣、いかがですか、もう一度。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 要求があって、その際条件が充足しておればこちらへ引き渡しを要求することはできるということは、先般申し述べたとおりであります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大臣のおっしゃっていることが正しいわけなんですね。要件が整っておれば引き渡しが要求できる、いまここで私が尋ねているのは、引き渡しを要求するかしないかではなく、引き渡しを要求することができるかということなんです。  それで外務大臣は、捜査当局の結果を待って、こういう答弁をなさっているわけです。捜査当局は、充足するとけさ答えがあったわけです。だから、充足ができる、それに足りるのだという答えがあるわけなんです。外務大臣、いかがでしょう。その金東雲の引き渡しが請求できるというのがこの条約でしょう。私はまだ引き渡しを要求するか、あるいは仮拘禁を要求するか、そこまで聞いてないのです。――ちょっと大臣、後ろから外務省の役人があなたに、こうだ、こう言って、これはあなたの足を引張っていることになるのです。これは金大中事件を解明しようという努力、積極性に欠けていると私は思うのです。  だから大臣、私は金東雲がアメリカに在住すればこれで呼ぶことができるのだ、そしてその要件はもう満たされている、捜査当局、警察庁はぼくにそう答えているのですから。大臣、その点について、呼ばれないというのだったら、この条約のどこに触れるのだということを答えてください。呼べるなら呼べると。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 事務当局から答えさせた後で、私の方からお答えいたします。

三宅和助外務省アジア局次長

○三宅政府委員 実は、捜査当局の方でいろいろ調査いたしまして、これはアメリカに要求すべきであるかどうか、要求すべきであるという結論に達しまして、外務省に要求してくれということが参りますと、私たちとしてはその時点におきまして、この条約の要件を満たしているかどうか慎重に検討した上で、満たしている場合には引き渡し要求をするということでございまして、まず引き渡し要求をしてほしい、すべきであるということが捜査当局の方から外務省に来るのが本筋かと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 捜査当局が条件を充足しておるということであれば、そういう場合には引き渡しを要求することができるものだと判断をいたします。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大臣、非常に物わかりが悪くなりましたね。けさのいまですよ。午前中に、大臣もそこに座っていらっしゃって、私はメモをとってあるのです。議事録をお読みになっても、これは私の方でとったメモに間違いはないのです。「罪質的にはそういったものを充足するということでございます。」と、そうして、まあ後段で、たとえば政治的犯罪とか、たとえばですよ、そういう政治的犯罪については引き渡し要求ができないとか、こういうくだりはあるわけです。捜査当局が充足をしているということを明確にこの場で答えているのです。そういうことであれば、捜査当局から要求があれば外務省はそれに従って引き渡し要求をするといういまの事務当局のお答え、それはそれで私はまた後で確認をします。  だから外務大臣、私の言っているのは、金東雲なる人物はいわゆる引き渡しの対象になります。アメリカに居住すればなりますということを肯定するかどうかの問題であって、私は、なるでしょう、なりますねとということを聞いているのですから、その点を大臣から……。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 捜査当局が条件が充足しておると判断しておるならば、それは当然請求できると存じます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 捜査当局が充足をしているということですから、これはなるわけですね。そう理解してよろしいですね。外務省に、その引き渡しを要求してくれという、そういう捜査当局からの連絡はまだなさそうです。いまの事務当局の話では。それはいま、少しこちらに置いておきましょう。  それで、捜査当局は充足するということですから、対象になりますね。大臣もう一度。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 条件が充足すれば当然であります。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 条件が充足しているのだからなるわけです。  なお、アメリカ以外の国に対してもこれは同じ考え方に立てるわけですね。

村田良平外務省条約局外務参事官

○村田政府委員 引渡し条約がある国との関係では、お互いにその条約に定められた犯人の引き渡し義務を負い合っておるわけでございます。条約のない場合には、それぞれの国の国内法によって引き渡しが可能な国もございますから引き渡しを要請する、その場合に相互主義等の条件があるわけでございますけれども、その要請をすることは可能だと思いますが、その場合に相手国が義務として引き渡しを行うということにはならないわけでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 国によって、引き渡しを要求できる国、できない国があるということです。  それはそれとして、大臣、私はあえてここで一呼吸置いたわけです。今度は大臣に伺いますが、さっき事務当局の話では、いわゆる捜査当局から、警察庁の方から引き渡しの要求がいまのところない、そういう話がないものだから、引き渡しの話は考えておらないというようなことなんです。それで、金大中氏のいわゆる暗い事件を解明するために、あえて外務省の方から捜査当局に、この金東雲なる人物を引き渡しをすることが問題解決になるのだということを逆に催促をするような考え方をお持ちじゃありませんか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 捜査当局を信頼をして、捜査当局の意見を待っております。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 大臣、私は、やはり日韓の正常化を願うならば、金大中事件を解明し、かつ解決をしなければいけないということを再三申し上げているんですよ。  それで、捜査当局を信頼をしているのだ。もう捜査当局は、クロだ、いわば犯罪容疑者としての要因は十分兼ね備えておる、こういうふうに言っているのですから、大臣、いかがですか。非常にお答えがしにくい問題なので、私も大臣にこれを質問するのは心情的には本当につらい面があるのですよ。あるのだけれども、やはりここは明確にすることが日韓両国のためである、こういうことなんです。だから大臣、捜査当局を信頼すると――信頼している捜査当局は、十分にクロだと言っているんですよ。それは御認識いただけますね、もう三回も四回も私は繰り返しているのですが。だから、そういう意味で外務省の方が積極的に問題解決に努力をしていくというお考えを持っていらっしゃるかどうか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 引き渡しを要求するのは捜査のために要求するわけでありますから、捜査当局から要請があった段階で、外務省は外務省の責任を果たします。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 このことについては、大臣もいつものあなたの非常に勇気ある決断というものをちゅうちょされていらっしゃいます。大臣、私は近い将来いわゆる明るいニュースを期待するためにも、この問題に対する外務省のやはり確とした姿勢を示すべきだ、こういうふうに思うのです。いかがですか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 御注意は承っておきます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 非常に韓国の問題になると外務大臣も無口になられる、答弁がしにくいのでしょうけれども、ともあれもう一度、金東雲がこの条約によって引き渡し及び仮拘禁のでき得る対象者であるということを重ねてここで確認をしたいのでございますが、よろしゅうございますか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 先ほど言われたことを私も了解いたします。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 それは、まさにその対象者であるということをお互いに確認をここでしておきたいと思います。  なお、この問題については、金大中氏の早い時期での人権が保障され得る状態をつくるために、私は外務大臣の特段の努力を期待したいし、あるいは進言をしておきます。  なお、非常に限られた時間ですので、私は先日外務大臣の不在の折に人権に係る問題で仮拘禁制度について若干の質問をしたわけであります。そこで、仮拘禁制度は、いわゆる日米犯罪人引渡し条約だけでなく、法務委員会に提出している逃亡犯罪人引渡法も改正される。条約に基づかなくても仮拘禁ができるようになっているわけですね。私自身は仮拘禁制度は当然必要であるという考え方に立っているわけですけれども、仮拘禁された者が拘禁理由がなくなった、そして釈放される、そういう場合、その仮拘禁をされた者はいわば不当に逮捕されたことになるわけであります。仮拘禁ができるといって、場合によってはその不当に逮捕されたということによって、その人の人権にもかかわる問題が起きてくる。こういうことについて十分に私はこの運用を考えていかなきゃいけないというふうに思っているのですが、この点についての大臣のお考えを少し聞かしていただきたいと思います。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 逃亡犯罪人引渡法の所管は法務省でありますから、外務大臣がとかく言うことは僣越だと存じますけれども、しかし仮拘禁の実施に当たって人権を尊重すべきであるという御指摘は、私も同感であります。法務省も、そのような方針で慎重に行われるものと信じておりますが、ただいま法務省からも来ておりまするし、私も法務大臣にただいまの趣旨はお伝えをするつもりでございます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 先日の質疑で、仮拘禁をされた者が間違いであった、あるいはその他の理由で釈放された場合に、いわゆるその者に対して国家賠償の法的根拠がないということが質疑の中で明らかになったわけです。私は一方的な形の中で、いわば権力者というか権力側が仮拘禁をしておきながら、間違いだからもう釈放する、帰りなさいということだけでは、どうもその人間に対しては済まない、こういうふうに思うのです。これはいろいろ問題があろうとは思いますけれども、そういう者に対してのいわゆる救済制度、あるいはその誤って、間違って拘禁をされた者に対する人権に対する補償を私は今後十分検討していかなければいけないのではないだろうか、こういうふうに思うわけなんです。前段でも申し上げたように、拘禁制度それ自身は必要であるということは、私も認めておるわけでございますけれども、そういう点について、これまた外務大臣の所管でないかもわかりませんけれども、大臣としてどういうふうにお考えでいらっしゃるか。

園田直自由民主党外務大臣

○園田国務大臣 これも私の所管ではございませんが、私の所感を申し述べますると、人権保護の観点から補償問題その他について研究せよとの御指摘は、私も同感でありますから、法務大臣並びに法務省には私の方からもその趣旨を伝えたいと存じます。

井上一成日本社会党

○井上(一)委員 一応予定の時間が来てしまったわけでありますけれども、私は、先ほどの高沢委員の質問に対しても十分明快な回答がなされておらない。あるいはわれわれ質問者側の意向をくんだ答弁を、私は、当局の方でもしていただかなければ、委員長、今後のいわゆる審議運営に御協力はできかねるということをひとつまず申し上げておきたいと思うのです。十分委員長から御注意をいただければありがたい、こう思います。  日米安保条約の六条に基づく地位協定については、私は日本国民の一人として納得いかない点がたくさんあるわけであります。がしかし、今回の日米犯罪人引渡し条約は賛成であります。むしろ、このような条約はアメリカ以外の他国とも積極的に結んでいくべきであるというふうにも思います。そして、先ほど私が指摘した金東雲あるいはそれらに類するいろいろな意味での犯罪を犯した者たちに対する厳しい法の姿勢を示していくべきである、こういう考えに立つわけであります。もちろん、先ほど指摘のあった米軍のわが国民に対する犯罪も含めてであります。しかし、わが党はこの条約に賛成するのであって、地位協定を認めるものではないということを念のために私は申し上げて、私の質問を終えたいと思います。

毛利松平自由民主党

○毛利委員長代理 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明後十四日金曜日午前十時理事会、午前十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時九分散会

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