外務委員会 第4号
- 発言数
- 143 件
- 登壇者
- 13 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1978/02/17
会議録
○永田委員長 これより会議を開きます。 国際協力事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。 本案審査中、必要のときは国際協力事業団当局より参考人として出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○永田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 —————————————
○永田委員長 これより質疑に入ります。 質疑の申し出がありますので、これを許します。奥田敬和君。
○奥田委員 事業団法の一部改正法律案の諸点につきまして、質問をいたしたいと思います。 私、つい先ほどまで外務政務次官の立場でいろいろ政府の開発援助のあり方について私なりに意見を持っておりましたけれども、大変むずかしい要素が事務的にもいろいろあることをはだでもって痛感すると同時に、今日南北問題を初め、世界の協力なしでは生きていけないわが国の立場からいって、政府開発援助がもっと積極的な形で増大しなければならないということを痛感してまいりました。 特に昨年五月、国際経済協力会議で当時の倉成長官、そしてまたOECDの閣僚会議で鳩山前外務大臣、さらに八月にはASEAN首脳会議において福田総理が、ともかく政府のODAをこの五年間のうちに倍増するということを、内外に明らかにされたわけでございます。そして、そのことは開発途上国を初め、具体的にどういう形で日本政府がやってくれるかということについては、大変な関心と期待を持って見詰められておるわけでございます。 ちなみに、GNP対比で申せば、この先進国の一員であるわが国は、先進十七カ国のDAC加盟メンバーの中でもこういった開発援助の数字が必ずしも満足できる数字を示しておりません。平均三・三%の、暦年実績でございますけれども、そういった先進国間の平均値からいっても、わが国の場合は非常に低い数字しか示しておらないことは事実であります。したがって、何としても本年度予算を含めてこれらのDAC加盟メンバーの一つの目標値と申しますか、平均値には一日も早く目標を達成していただきたいというのが、私たちの願いでもあるわけでございます。 そこで、政務次官、園田大臣とのコンビで、この問題に大変な御関心、そしてまた使命感を持って取り組まれておると思いますけれども、こういった目標数字を達成するためにも、わが国に寄せられている期待を裏切らないためにも、確固たる姿勢と信念で臨んでいただきたいと考えるわけでございますけれども、外務省が本件に関して基本的にどういう姿勢で取り組まれようとしているかという、まず最初に決意のほどをお聞かせ願いたいと思います。
○愛野政府委員 ただいま奥田委員の御指摘はまさにそのとおりでありまして、わが国のODAは量、質ともに先進諸国からはなはだ立ちおくれをしておる、こういうふうに認識をいたしておるわけであります。そこで、これを改善、充実、強化することはわが国の責務であるわけでありまして、当面は主要先進国の水準にまで高めることを目指して五年間で倍増以上、可能な限り努力するとの態度をとっておるわけでありまして、中期的展望に立って援助予算の一層の拡充とディスバースの推進を図っていくという決意をいたしておるわけであります。五十三年度予算の政府原案におきましては、前年度よりはいささか積極的な予算を組んでおるわけでありまして、前年度五千四百八十五億、本年度は六千三百五十四億でありますが、対GNP比は〇・三%程度でありますが、無償資金協力は前年度比八九・二%増、技術協力は一六・八%増を計上いたしておるわけであります。この結果、来年度のODA予算における贈与比率は前年度の四〇・五%から四五・一%に引き上げられることになっておるわけでありますが、政府としては、いま奥田委員の御指摘のとおり先進国の水準並みまで引き上げるために今後鋭意積極的に努力をしていく、そのことが日本に寄せられた期待であろう、こういうふうに考えておるわけであります。 なお、関係省庁機関においてそういう前向きの方向で努力をしておるわけでありますから、詳細につきましては政府委員より答弁をさせていただきたいと思います。
○奥田委員 各論に移りたいと思うのですけれども、いまこの無償援助のあり方をめぐっていろいろ議論があるわけですが、この資金協力の内情、データを見てみますと、何かアジアに集中しておるような感じでございますね。それで途上国を中心に供与するという政府の方針に沿えば、もっとアフリカ、ラテンアメリカ、こういった形を重視してやってほしい。そのことを特に痛感しておったわけですけれども、今年度の予算関係の中で、こういったアフリカあたりに対する援助は具体的にどういう形になっておるのか。政府当局でお示し願えたら説明を願います。
○武藤政府委員 従来わが国の無償協力が比較的アジアに偏っていたということは、御指摘のとおりでございます。ただ、これは若干統計上の理由もございまして、戦後わが国が支払ってまいりました賠償、準賠償、これはDACの統計上無償資金援助のカテゴリーに入るということで、アジアに対する無償資金協力の実績が非常に高くなっていたという事情もあるわけでございます。 ただいま、アジア以外の国にも無償資金協力を拡大すべきではないかという御指摘でございますが、私どもといたしましてもまさにそのように考えているところでございまして、たとえば五十一年度と五十二年度の、アフリカに対します無償資金協力の実績を比べてみますと、五十一年度におきましては、援助総額に占める割合がアフリカは六%でございましたものが、五十二年度はそれが一三%まで上がっている。比率的にはすでに一年の間に倍になっているということでございまして、今後とも無償資金協力というものは開発途上国の中でも特に開発のおくれている国を重点的に考えていきたいと思っております。五十三年度予算につきましてこれをどういうぐあいに配分するかにつきましては、まだ具体的には決めていないわけでございますが、ただいま申しましたようなことを念頭に置きながら計画を策定してまいりたい、かように考えている次第でございます。
○奥田委員 これは相手国の要請もあることですけれども、現在大変な構造不況の中で国内の経済停滞という形は深刻になっていることは御存じのとおりでありますけれども、こういった繊維であるとか、あるいは棒鋼であるとか、具体的に、セメントなんかは昨年は大変なひどい状態を続けておったわけですけれども、最近少し日が差してきておるようでございますけれども、こういった構造不況の中で悩んでおる産品を、この無償資金協力に活用していただきたいと思うわけです。政府として、相手国の要請ということが前提になるわけですけれども、こういった問題に関して、積極的にどのような形で臨もうとしておられるのか、お伺いいたします。
○愛野政府委員 奥田委員のお考えにつきましては全く同感であります。ただ、この無償資金協力の目的は、あくまで開発途上国の自助努力を応援するという目的でありますから、向こう側の要望を尊重して行うということであろうと思うわけであります。したがいまして、この国内の不況対策を目的とするということは従になって、相手国の自助努力を支援していくというのが主になるわけでありますから、そういう開発物資がわが国の不況業種の対象となる品目と合致する場合においては、大いにそれを活用して、そして、この開発途上国からの要請があれば、結果的にわが国不況産業の産品が援助に活用される、こういうようなことで対処していきたい、こういうふうに考えておるわけであります。
○奥田委員 これは外務当局に少し皮肉な質問になるかもしれませんけれども、今回の法改正によって、無償資金協力の実施の促進業務だけをJICAに移管させることになっているわけですけれども、全面的に、こういった資金協力の実施方を含めて移管させた方が、より業務の促進、そういった円滑な執行ということができるのではないかと思うのです。これについて政府のお考えはどうですか。
○武藤政府委員 無償経済協力と申しますのは、きわめて重要な外交の一環をなすということがございます。それからまた、どの国にどういう無償資金協力を行うかということにつきましては、相手国政府と日本国政府との間の政府間におきまして、いろいろ相談をして取り決めるというたぐいの問題でございますので、わが国の経済協力外交の一環として、どのように無償資金協力を位置づけるか、特定の国との間にどのような形の無償資金協力を行うかということは、外交の一環といたしまして私ども外務省の手で行うべきものと考えておる次第でございます。それで、一たん相手国政府との間のそういう無償資金協力につきましての合意が成立した後に、その実施を促進するための業務を事業団の方にお願いする、こういうぐあいに考えておるわけでございます。
○奥田委員 今回の改正に伴って国際協力事業団の機構、それは一体どのように変わるのか。そしてまた、その場合業務移管が行われるわけですから、外務省の定員と申しますか、そういった形は減っていくのが当然ですけれども、こういった今回の法改正に伴って、事業団の方は大体どういう形に変わって、人員がどの程度ふえるのか、そしてまた、外務省内において機構的にはどのようにそういった削減の努力をなさっておるのか、そういったことをちょっと説明していただきたいと思います。
○武藤政府委員 お願いしております事業団法改正が御承認を得ました暁には、事業団に、今後新たに行うこととなります無償資金協力促進業務を行うために、課を一つ新設する予定にしておりますが、これは現在事業団の中にございます課の振りかえということで行うことになっております。それから、部も少し再編成を行うという計画があるわけでございますけれども、これも現行の枠の中、つまりこの無償資金協力関係事務を事業団に移すことによりまして、その手当てといたしましては現在の部課の中で振りかえを行う、組織の増設ということは行わない、そういう方針でやっておるわけでございます。 また、外務省全体の定員につきましては、一部においては業務が減る面もある、片や業務がふえている面もあるということで、現在の段階では外務省全体の定員について予算上出ているわけでございますが、それを外務省の中でどう割り振るかにつきましては、今後外務省と行政管理庁などで御相談しながら決めることになるわけでございます。ただ正直のところ申し上げますと、その過程におきまして無償資金協力、事業団に仕事を移した分だけ経済協力局の仕事が減るはずだから、その分定員を減らすことになるのではあるまいかと、私自身は若干恐れている次第でございます。
○奥田委員 最近私たちは大変期待を持って見守っているわけですけれども、中国との間で日本の国鉄の技術援助と申しますか、こういった形で、それが具体化されるような情報を耳にしているわけでございますけれども、中国自身はみずから、第三世界のメンバーだという形で、そういった発展途上国の仲間だということを内外に宣明しておるわけでございますが、いままでのこういった援助の対象にはなっておらないわけですね。中国自体、世界における最大の人口と、あらゆる面からいって大変な大国でありますからそういうことになっておるのだと思いますけれども、もしこういった国鉄の技術援助というものが具体化した場合、これは当然前向きに検討していただきたいということを前提に置いてのお願いでございますが、国際協力事業団ベースで、もっと具体的に言えば、当然無償でお手伝いをするということを考えてしかるべきだと思うわけでございます。この話は一体どういう形に進んでいるのか、本年度内に、こういった画期的な日中間の技術協力のまず第一歩、そういう形で実施していただきたいという願いを込めての質問でございますが、その間の状況を説明できる範囲内で聞かしていただければ大変幸いだと思います。
○愛野政府委員 ただいまの問題は、昨年十月国鉄関係者訪中団が中国鉄道部の招待により訪中したわけでありますが、中国側から、鉄道の近代化を促進するために、日本側より政府ベースによる技術協力を得たい旨の要望が表明された経緯があるわけであります。それを踏まえまして、わが国としては中国側の要望を政府レベルによって話し合いをして、そして前向きに政府間のレベルで検討をしようということで現在進めておるわけであります。
○奥田委員 最近、日中間における長期の民間貿易協定も調印され、両国の間のそういった関係というものに私たちも非常に関心と期待を持って見詰めているわけですけれども、いま政務次官お答えになったように、こういったJICAのベースで、国鉄の技術協力といわず、あらゆる形でこういった面をぜひ促進さしてほしい、そしてそのことは、日中間のさらに緊密な友好と中国の発展にお手伝いできるという形の中で努力していただきたいということを、特に強く要望をいたしておきます。 本法案に関する逐条的な質疑も、私の後にまた大坪委員から関連で質問させていただきたいと思いますけれども、私の質疑は一応これで打ち切らしていただきます。
○永田委員長 大坪健一郎君。
○大坪委員 提案されております国際協力事業団法の一部を改正する法律案の中身について、若干御質問させていただきたいと思います。 いま局長のお話ですと、無償資金援助が非常に政治的、外交的な問題だから、まず方針の設定であるとか二国間の協議であるとか、そういうことの基本的な決定は外務省がやって、あと事業団にやらせるということでございます。法文的にそれがどういう形になっておるか。技術協力と密接な関連のある施設関係のものだけに限定しておるようでございます。たとえば、食糧援助ですとか、食糧の増産に関するいろいろな手助けですとか、あるいは文化関係の協力ですとか、あるいは災害が起こったような場合の援助ですとか、そういったものは事業団にはやらせないのでしょうか。その辺をひとつはっきりさせていただきたい。
○武藤政府委員 無償資金協力のうちで特に技術協力と密接に関係のある事業につきまして、その実施の促進事務を事業団に移管するという、その趣旨でございますけれども、先ほど申し上げましたことを若干敷衍して申し上げますと、わが国の技術協力というのは、これはいろいろな制約がございまして、特に語学の面その他のハンディキャップがあるということもあるわけでありまして、国際的に見ますと非常に水準が低いものになっております。わが国の援助実績の中で技術協力が占める割合は恐らく一〇%程度でございますが、DAC諸国全体の平均としては二〇%程度、日本は国際水準から見ますと、技術協力の水準は半分程度ということになっているわけでございます。 そこで、従来私どもがやってまいりましたことは、そういうことで人員的に限られている技術協力であるから、一件一件の技術協力についてできるだけ機材とか資材というものをつけ加えることによっていわば技術協力の密度を高めるということをやってまいったわけでございます。それがこのような形で、技術協力あるいは技術協力と密接な関連性のある事業についての無償資金協力の促進事務は、事業団の方に移管するということの、基本的な考え方の一つをなしているわけでございます。 それからまた、片や無償資金協力の方の運営面から申しましても、そういうことで日本の技術者が行っている。そういう技術協力事業につきましては、わが方から派遣している専門家等が的確にその実態を把握している。たとえば、日本の技術協力によって運営されておりますセンターで、新しいこういう種類の資材が欲しいんだ、こういう種類の機材が欲しいんだという話になりましたときに、その場にわが方の技術専門家が行っておりますので、その相手国と申しますか、技術協力事業の必要とするたぐいの機材を的確に把握することができる。そういう種類のものにつきましては、外務省がこれを行うよりもむしろ事業団べースで、資材の仕様だとか詰めだとかということを行わせる方が、より効率的になるであろう。つまり技術協力の面、無償資金協力の面、両面においてこういう形で一体化して行わせることが、無償資金協力をより効率化させるゆえんであろうということでございます。 片や、お示しのとおり文化協力、食糧援助等のほかの形の無償資金協力もあるわけでございますが、これらにつきましてはそういう技術協力との結びつきがない、あるいはきわめて薄いということでございまして、先ほど私が申し上げましたような趣旨から、そういうたぐいのものについては事業団の方に移管する必然性が必ずしもないであろう、それらのものについては従来どおり外務省が行うことが適当であろう、そのように考えておる次第でございます。
○大坪委員 そうすると、もう一遍ちょっと具体的にはっきりさせてもらいたいのですけれども、この新しい法律案は「第二十一条第一項第一号の次に次の一号を加える。」となっておりまして、一の二として「イ 条約その他の国際約束に基づく技術協力又はこれに密接な関連性を有する事業のための施設の整備」というふうになっています。こういう「施設の整備」という中身は、技術協力と非常に関係の深いものだけに限定したいというお話でございまして、それで結局こういう「調査、あっせん、連絡」までであって、その仕事の最終的な締めと申しますか、現地で、こういうことをぜひやってもらいたい、こういう形で、ここに契約して、こういうふうにやりたいという最後の詰めはどこがやるのですか。結論はどこが出すのですか。
○武藤政府委員 つまり一つの例をとりますと、ある国にわが方の技術協力で行っているセンターがある。そのセンターでこういうたぐいの資材を必要とする、そのためにはこれぐらいの金がかかる、これぐらいのものであるというたぐいのことにつきましては、これはあらかじめわが方の予算全体の配分の問題もございますので、政府ベースで話をし、政府ベースで話を決めるということを先ほど申し上げた次第でございますけれども、そのような予算の枠の中において、具体的にどういうような仕様のものにするか、それから、日本のどのような調達先からこれを取り寄せるかというたぐいのことについては、事業団の方であっせんすることになるわけでございます。 詰めとおっしゃいましたけれども、そういうふうにいたしまして、最終的には、これは相手国の政府が日本側の業者と契約をいたしまして、それで買い入れることになるわけでございますけれども、その段階になりましてから最終的な契約の認証、これが当初に考えられましたところの無償資金協力に果たして合っているかどうかということを確かめる。そして日本に開かれております相手国政府の銀行に対して支払いを行う、このたぐいの最後の段階は、これまた外務省自身が行うことになるわけでございます。
○大坪委員 そうすると、基本方針を外務省がまず立てて、そして相手国との話の大枠の了解を取りつけて、予算の枠を決めて、それから事業団にその間の調整とか折衝とか調査をやらせて、大体大詰まりに決まって、最後の判こはまた外務省が押すということですか。
○武藤政府委員 そのように御理解いただいて結構だと思います。
○大坪委員 大体そういうことであれば、外務省が外交政策として無償資金援助を使うという基本本針は貫けると思います。 そこで、ことし特にこの法律を改正しなければならなくなった理由の一つには、無償資金援助が非常に重要であるということで、昭和五十三年度の予算に無償資金援助の額が大分ふえておるように思われます。そこで、その昭和五十三年度の無償資金援助の枠がどうなっておるか。ついでに対外援助の状況もこの際明らかにしていただきたいと思います。そしてその中の無償資金援助の枠がどうなっておるか。それから、今度事業団が予算上一体どういう取り扱いになるのか、その辺をわかりやすく説明していただきたいと思います。
○武藤政府委員 いわゆる無償資金協力の範疇に入りますものは、外務省が所管しております経済開発等援助費、それから大蔵省が所管しております食糧増産等援助費があるわけでございますが、その伸び率につきましては先ほど政務次官から申し上げたとおりでございまして、五十二年度に比較して五十三年度は飛躍的に増大しているわけでございます。 それから事業団の予算がどうなっているかということでございますけれども、これは国際協力事業団事業費というものがございまして、五十二年度の当初予算ベースでは四百十億程度でございました。それがこのたび五十三年度政府原案においては、四百二十七億程度を予定しているわけでございます。そして、これは無償資金協力の仕事とは必ずしも関係ない面がいろいろございます。つまり、技術協力自身の拡大、たとえば研修生の受け入れをふやす、専門家の派遣をふやす、それから開発調査等も従来以上にやるというたぐいのことがございまして、このような移住事業団関係の経費増を見込んでいるわけでございます。
○大坪委員 いまの話では、今度の二国間の無償資金協力関係の予算が昭和五十二年度と五十三年度とどういうふうに移ってきたか、これは外務省と大蔵省に従来組まれているようですけれども、その辺のことがちょっとはっきりしません。 それからもう一つは、経済開発等援助費というのがあるはずでございますけれども、この経済開発等援助費と無償資金援助との関係をちょっと御説明いただきたい。
○武藤政府委員 ただいまお示しのとおり、経済開発等援助費というのが外務省所管分としてございまして、これが予算原案におきましては三百九十億円を予定しております。これは外務省関係だけでございますが、その分だけについて見ますと、本年度予算が百八十億円でございますので、倍以上にしていただいているということになります。それで、経済開発等援助費の内訳でございますが、これは四つの項目に分かれておりまして、まず水産関係援助が五十億円、それから災害関係援助が十億円、それから文化関係の援助が三億円、その他と申しておりますもの、これが俗に一般無償と言われているものでございますが、その一般無償が三百二十七億円ということで予算原案には計上されている次第でございます。そのほかに、ただいま御指摘のございましたとおり、大蔵省所管分の無償資金協力予算がございます。これは食糧増産等援助ということで、たとえば従来から行ってまいりましたKR援助とか、それから新しく始めました食糧増産援助というのが大蔵省所管の無償資金協力のカテゴリーとして入るわけでございます。
○大坪委員 大蔵省の食糧増産等援助費というのは、どこが扱うことになるわけですか。やはり事業団に金を回すのですか。
○武藤政府委員 これにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、わが国の技術協力との結びつきがございませんものですから、従来どおり外務省が大蔵省からの委託を受けて執行するということになります。
○大坪委員 大体わかってまいりましたけれども、そうしますと、実際上の無償資金協力が行われておる実施状況と申しますか、そういうものを五十年度ぐらいから、実施率といったような考え方でちょっと御説明いただけると、状況がわかってくると思います。 それからもう一つは、一般無償援助といういま御説明の項目は、内容的にはどういうものが考えられるのか、それもちょっと御説明をいただきたいと思います。
○武藤政府委員 実施率につきましてのお尋ねでございましたが、これは先ほども政務次官から申し上げましたとおり、日本の経済協力がのろいと申しますか、約束をしてから実際に実施されるまでに非常に時間がかかるというようなことで、いろいろ御批判もいただいているということもございまして、それを高めるための努力というものをかねてやってまいりました。その結果ここ一、二年の間にこの実施率は大変高まっております。たとえば、五十年度予算におきましては、予算に対する執行率というのが二四・五%程度にとどまっていたわけでございますが、五十一年度は、それが五八・六%まで改善しております。それから本年度につきましては、さらに七五%程度まで実施率が引き上げられる見込みでございまして、いろいろな工夫をいたしまして、この実施率を上げるために努力をしているということでございます。 ただ、実施率が低いということを申し上げましたが、一点補足いたしますと、無償資金協力関係の予算は繰越明許費ということになっておりまして、当該年度の中で十分に実施がされなかった場合には、翌年度に繰り越して使用するということになっているわけでございます。これは私どもの事務処理の問題もございますが、また相手国側との関係というようなこともございまして、これを一〇〇%まで高めるということには困難があるかとも思いますけれども、私どもといたしましては、そういうことでできるだけこの実施率を高めていくということで努力している次第でございます。
○大坪委員 いまの御説明で、昭和五十年度の執行率が二四・五%、これはちょっとひどいと思うのですね。昭和五十二年度になって大体七五ぐらいいきそうだということでございますが、繰越明許があるとしても、七五でもやはり私はちょっと少ないように思うのです。 われわれが機会を得て東南アジアの人とか、特に中南米あるいはアフリカの方に会いますと、先ほど同僚の奥田議員からの御質問にもありましたように、日本政府はどうもわれわれに対して実際に話にうまく乗ってくれない、非常に希望が多いし、具体的な問題点を持っているのだけれども、金がない金がないと言って断られるというような話を聞くのですが、こういうこととの関連で言うと、どうもこの辺の動きが少し鈍いのじゃないかという感じがいたします。これは今後、せっかく昭和五十二年度の倍以上の無償資金協力の金がついているわけでございます。簡単に三百九十億円と申しますけれども、これは実行に移す場合には非常に大幅なお金になろうかと思います。事業団の調査とかあるいはこれに伴う指導とかいうことが相当円滑に行われませんと、うまくいかないのではないかと思うので、最後に、事業団が伸びた予算に対応して今回法律を改正して内部整備をしようということでありますけれども、これは権限を規定したにすぎないのであって、実際上事業団がどういう体制でこれを受けとめてやるのか、その辺の指導を外務省はどう考えておるのか、この詰めがはっきりしないと、結局仕事がまたおくれて、執行率がまた落ちるという結果になりかねない。せっかく予算をふやして執行率が落ちるのでは何にもならぬ。翌年の繰り越しにすれば、また翌年の予算査定のときに響くことになります。そこら辺の事情をひとつはっきりさせていただきたい。
○武藤政府委員 執行率につきまして先ほど私が申し上げました数字を若干補足いたしますと、執行率は、たとえば本年度について申しますと、本年度についた予算とそれから前年度から繰り越された予算とを合わせて、その執行率が七五%程度ということを申し上げた次第でございます。たとえば、前年度の予算だけについて見ますと、前年度で一部分が執行され、本年度に繰り越されてまた執行されるということになりまして、そういう予算を対象としてとらえますと、その執行率は九〇%程度まで上がるわけでございます。 それから、事業団の監督についてでございますが、これはまさにただいま御指摘のあったとおりでございます。この法律を御承認いただくことを前提といたしまして、すでに事業団の方から私どもの方に実務見習いのために人も来ておりまして、いろいろ勉強してもらっているわけでございますが、四月からこれを実施するという段階になりました暁におきましても、この仕事は実は私ども外務省自身が従来やってきておりまして、ある意味では手なれた仕事であるということもございまして、その監督には万全を期したい、かように考えております。
○大坪委員 重ねてのお願いですけれども、外務省の場合、特に外郭団体に対する指導が非常になまぬるいように私は思うのです。国際学生の宿舎か何かの問題でごたごたが起こったようなこともありまして、よく聞いてみますと、全体に少しなまぬるいように思います。一番重要な無償資金供与のような問題は、特に局長みずから常時目を光らせて、事業団をしっかり督励をしていただきたいという感じがいたしますので、最後にその点をお願いして、私の質問を終わります。 どうもありがとうございました。
○永田委員長 午後二時から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時十一分休憩 ————◇————— 午後二時三十一分開議
○永田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。井上一成君。
○井上(一)委員 まず外務大臣に、わが国の対外経済援助政策、とりわけアフリカ諸国に対しての対外経済援助というものが非常にお粗末である、御努力はいただいておると思いますけれども、過去の取り組みの強い反省をまず冒頭に促したいと私は思うわけです。同時に、今後とりわけ開発途上国に対する対外経済援助については、より一層の強い姿勢で取り組まれる御決意がおありなのかどうかをまずお尋ねをいたします。
○園田国務大臣 お答えをいたします。 日本外交の武器というか手段は、経済と技術の協力というものが重点であります。そこで、経済協力は、相手の国の立場を考えながら量的にも質的にも改善していく決意でございますが、特に御指摘のアフリカに対する関係は、非常に手薄であるということは、もうおしかりを受ける前から十分私も反省をいたしておりまして、この点についても今後十分御指導を受けながら改善をしていく決意でございます。
○井上(一)委員 経済協力は一にわが国だけの問題ではなくて、各国お互いにそれぞれの外交政策の主要な柱である、こういうふうに私は思っておるわけでありますが、とりわけわが国において経済協力が重視されている理由、重視しなければいけない理由というものについてひとつお尋ねをいたしたいと思います。
○園田国務大臣 経済協力はわが外交の重要なことであると申しますのは、わが国の都合で大事であるというばかりでなくて、やはりわが国は開発途上国、特にASEANその他の国々の自主開発の努力に貢献をし、そして世界の新しい秩序、安定した繁栄を図るために貢献するという責任があるという立場から、きわめて重大であると考えております。
○井上(一)委員 そこで、私は当然のことだと思うのでありますけれども、昨年の十二月に経済協力局が出された「経済協力の現況と展望」という白書があるわけですけれども、これは外務大臣、十分御理解をいただいておりますでしょうか。
○園田国務大臣 外務省が初めて出した文書でありますけれども、これを出すについては、通産省から白書が出ておるから外務省はこれを出す必要はないという御意見もありましたけれども、外務省が現場で経済協力をしつつ、はだから受けた経験から未来に向かっての提案をするということで、私は若干の波紋があってもいいから出せ、こういうことで出させていただいたわけであります。
○井上(一)委員 さてそこで、私は法案の改正の問題に入る以前にもう一点触れておきたいと思うのですが、いま外交政策の主要な柱であるわが国の経済援助が、相手国の自立発展を促すために責務に等しい位置づけをしているのだ、私はこう理解をしているのです。午前中の自民党の奥田先生の質問への答弁の中では、政治的判断、いわゆる外交上の位置づけに置かれた答弁がなされたと思うのであります。その点についていまの大臣の御発言、発展途上国に対して共存共栄を望むわが国の、世界の平和に貢献すべき責務である、それほどの責任を感じるのだというお答えに対しては、私なりに理解もし、そして評価もしたいと思うのでありますけれども、朝のお答えと、私自身の受けとめ方では若干食い違っているように思うわけであります。ただ単に政策上の、政治上の問題として経済援助をお考えでいらっしゃるのか、もう一度念を押してここでお尋ねをいたします。
○園田国務大臣 経済協力は、単に政策上のみならず、もっと大事なことは、それぞれの国の自主開発、自主独立の点にこちらも参加をして協力をしつつ、世界の経済の新しい秩序に協力する、貢献するということが一番大事であって、これを間違うと、かえって経済協力をしていろいろ弊害が出てくるおそれがある。経済協力についても、いままでのあり方についてはいろいろ反省する点が多いと私は考えております。
○井上(一)委員 そこで、経済協力の実施の形態は、大別して有償と無償の経済協力があるわけであります。私は、特に無償資金協力は非常に大きな役割りを果たさなければいけないというふうに考えておるわけです。政府は、この無償資金協力が、ただ単なる外交政策上の位置づけであってはいけない、相手国の発展に幾らかでもわが国が協力ができる、そういう形でなければいけない、こういうふうに思うわけでありますし、そういう観点から、この十二月に出された冊子の中での問題点を二、三指摘をしてみたいと思うのです。 まず、十一ページの「わが国の経済協力の基本戦略」という形の中で、二ページ半にわたって列記されておるわけであります。 そもそも、この「基本戦略」とは一体どのような意味を持つのか。私は、いま大臣から私にお答えをいただいた、相手国の発展に対して協力をしていくんだという、全くもって純粋なその理念というものは一定の評価をしたいというふうに思っているのです。そういう中から、この基本的戦略ということについての意味のとらえ方を答えていただきたい。少なくとも戦略という表現は、私自身の理解ではこれは戦術を決める根本の政略、策略だ。通常は戦争作戦計画だとか、あるいはいま申し上げたように基本的な戦略となると、あえて、私はゆがんだとらえ方をしたくないのですけれども、特にわが国の経済進出の方便としての意味にもとらえられる。これは、わが国がいままでアジア諸国あるいは開発途上国から常にその資本進出、経済援助の美名のもとに経済進出を図ってきたということで、対日感情が非常に厳しい情勢に置かれてきたわけでありますが、背景の発想というものがここにまずあらわれたのではないだろうかというふうに私は思うわけであります。そういう意味で、「基本戦略」ということのこの意味について、私はまず外務省のお答えをいただきたい。とりわけこれはひとつ大臣から、もうすでにお目をお通しだということでございますので、私はこの戦略という表現について、私なりにその背景にある発想が疑われる、こういうことでございます。
○園田国務大臣 内容を読んでいただくと戦略になっていないわけですが、戦略という言葉は軍事的であろうと経済的であろうと、少なくとも日本は軍事大国として軍事侵略はしない。次に心配されるのは経済侵略であります。また過去の経済協力においても、間々企業進出の手引きをやったという感じがなきにしもあらずでございまして、そういうことをやったところはことごとく失敗をして問題を起こしております。したがってこういう点は、よその国の方も見られる文章でありますから、十分言葉遣いには注意をしなければならぬと思いますので、戦略という言葉を使ったことはかぶとを脱いでおわびをいたします。
○井上(一)委員 非常に素直なお答えをいただくので、私の方も大臣のその姿勢に了解をいたします。 そこで中身の問題ということにもなるのですが、あえて私はここでこれを全文読む必要はなかろうと思いますけれども、中間には、先ほど私も申し上げたように「世界経済の調和ある発展のために経済協力を通して国際社会に寄与を行うのは日本の国際的責務であるとの考え方がとられよう。」これはもちろんそのような考え方に立つんだという意思を表明すべきであると私は思うのです。いまの大臣のお答えでその意を十分持ち合わせていらっしゃることについては理解をいたしますが、最後に「貧困」という世界の不安的要因をとりのぞくことが日本自身の安定と繁栄に直結するという考え方である。」と断言をしていらっしゃるわけです。さらに続けて「我が国の場合、経済協力は広い意味の経済的安全保障経費とも、観念することができる。」こういうふうに書かれてあるわけでありますが、この「経済協力は広い意味の経済的安全保障経費」の文面について、私はこれまた非常に疑問を持つわけであります。なるほど「基本戦略」はこれによって裏づけをされておるんだというふうにも理解をするわけなんですけれども、いかがでございますか。この「経済的安全保障」あえて私の考えを先に申し上げるということは大臣に失礼かもわかりませんけれども、お答えをいただく前に私なりの考えを申し上げておきましょう。 すべて社会が多様化し価値観もまたそれに従って、社会の構造と比例して多様化していく。そんな中でややもすると金だけが、経済的なものが最大であり最強であり、そしてそういうことにおいてすべて問題を解決するんだというような価値観がいま普遍化してきている。非常に嘆かわしいことであるし、こういうような発想では本当に平和な社会は望めないんだというふうに私自身は考えているわけなんです。だから、経済的な価値観がすべてに優先し、すべての解決は経済であるというような飛び越えた飛躍的な認識を持ってもらうと非常に困る、私はこういう考え方であります。 それと、字句の問題になるのですけれども、言語というものは中身、意味をあらわしてきますから、この「安全保障」の「障」ですね、この「保障」は、本来は要塞の堅固なところにとりでをつくることが「保障」なんですよ、日本語では。むしろこの「安全保障」ということは、他から侵害をされないように保障をすることである、そういう意味にも理解ができるわけです。私はそういう意味で、外務省当局が普遍化してはならない経済優先の発想というものが、ここにもあらわれたのではないだろうか、そういうことが「基本戦略」であるということに表現を置きかえられてきた、非常に嘆かわしいことだという解釈に立つわけであります。このような表現が本当にいいのであろうかどうか。経済協力がわが国の経済的安全保障経費だというような断言が、そういうようなことが言い切れるのかどうか、ひとつこの点についても大臣からお答えをいただきたい、こういうように思います。
○園田国務大臣 早急に出したものでございますので、文章その他、たとえばいまおっしゃったところでは、最後の項は「日本自身の安定と繁栄にも」という「も」を入れ、最後の「保障」は「保証」を入れればまだよかったわけでありますけれども、しかしそういう誤解を受ける点は重々承りました。ただ、ここに書いてあります意味は、中間からも読んでいただければわかりますように、世界の平和と繁栄に貢献するということであって、日本の繁栄と安全保障というものは決して防衛費の増額でできるものではなくて、むしろこういうことの方がかえって、わが国が本気になって、まじめになって、相手の国の立場でそれぞれ開発に協力をすれば、その国はまたわが国がなければ困るという、世界に役立つ日本、世界になくてはならない日本、こういうことになる意味だというふうに御解釈を願いたいと存じます。
○井上(一)委員 全く大臣が言われるように、そういう「保証」という表現の方が本来の意味を持つかもわかりませんけれども、ともあれ私の指摘をしたいのは、基本的な発想というか物の考え方をこの際、経済協力というものはどのようなものであるか、どのように位置づけなければいけないかということを、原点に返って明確にする必要がある。通産省が例年出すから外務省もひとつ早急にと……。この問題についてはこの中にまだまだお尋ねをしたいことがあるのですけれども、やはり私自身そういう発想を、相手国にとってそれがどのように作用していくか、いわゆるわが国の行為、経済協力というものが十分相手国の発展に生かされているかどうかということが大事だと思うのです。むしろ相手国に、極端な言い方をすれば罪悪を残すというような経済援助は、基本的に誤りであります。だから私は、経済援助というものは、相手国の立場に立って十分に生かされるように配慮しながら、共存共栄の世界平和を目指しての国際的責務として位置づけていくべきである、こういうふうに思うわけであります。よって、いまお尋ねをしてきた。ただ単に私は字句の問題にとらわれるわけじゃありませんけれども、何かやはり底に流れるものは、経済大国、経済侵略あるいはそれに近いニュアンスが随所に見受けられるので、今後十分この点については留意をし、かつまたその発想を変えていただくように強く要望するのですが、そのような私の考え方に対して今後十分取り組みを配慮していただけるかどうか、まずその点を重ねてお聞きをいたしたいと思います。
○園田国務大臣 大事な点でありますから、特に私も注意をしてお答えをいたします。 先ほど言われました、物と金によって他国との関係をつなぐということは、利害によってつなぐわけでありますから、これは非常にもろいばかりでなく、いま御指摘のとおりに、場合によっては国民のとうとい税金を出して協力をしながら、結果としてはその地域の住民の方々にかえっていい方向を与えなかったという点もあるわけでありますから、この点は十分注意をして、先般総理がASEANを回って、心と心の触れ合いということを訴え、私も中近東に行って、石油を売る、買うの関係から、石油を抜きにした関係に持っていきたいと訴えてきたところでありますが、正直言って、発想の転換をし決心の変更をいたしましても、処置の段階になると、ややもすると前のかすが残るわけでありまして、単なる言葉遣いだとは考えておりません。十分事務当局とも話し合い、相談をして、今後そのようなことで誤解を受けたり、こちらの気持ちが逆にとられるようなことがないように、これは大事な点でありますから、おざなりの答弁ではなくて、ただいまの御指摘は非常にありがたいと思って注意をいたします。
○井上(一)委員 ただいまの大臣答弁を私は了といたします。今後十分留意をしていただいて、さらに開発途上国、そして世界に対して経済協力を積極的に推し進めていただきたいということをつけ加えておきます。 さて、私はそこで今回の事業団の改正法案についてひとつ質問を続けていきたいと思います。 今回政府は、無償資金協力に関する業務の一部を国際協力事業団に移管しようとするために、一部法案改正を提出されたわけであります。事業団に移管しようとする理由、もちろん改正する法律案を提案される中で若干触れていらっしゃいますけれども、さらに詳しく、事業団に移管しようとする理由を明らかにしていただきたい。なおまた、国際協力事業団へ移管する業務内容もひとつ具体的に御説明をいただきたいと思います。 さらに私は、午前中の質問の中で協力局長は、人員が若干削減されるような危惧もしているのだというようなお答えがあったように思うのでありますけれども、そういう点も踏まえた中でできるだけ具体的に詳しく説明を願いたいと思います。
○武藤政府委員 お答えいたします。 事業団法の一部を改正する理由についてまずお答えいたします。 午前の会議のときに、私、部分的に申し上げたかと思いますけれども、無償資金協力と申しますものは、技術協力と関連づけて供与することによりましてその援助効果が高まるというものと観念しております。現に、従来わが国が供与しておりました無償資金協力も、その多くの部分が技術協力と関連づけられて供与されてきた次第でございます。それで、今後ともこのような無償資金協力と技術協力との結びつきというものはさらに緊密になるのではないかと予想される次第でございます。 片やここ数年来わが国が与えております無償資金協力は、量的にも地域的にも拡大しております。それで、その拡大している無償資金協力をさらに一層効率的に実施するということが緊急の課題となるわけでございますけれども、そのような実施体制を確保いたしますために、技術協力と密接な関連のございます無償資金協力につきましては、けさの答弁で申し上げましたとおり、企画、立案、政府間取り決めというような段階につきましては、これは外務省が引き続き行いますけれども、そのような実施を促進するために必要な業務というものは、技術協力の実施機関であるところの国際協力事業団に移管することとしたい、これが団法改正の理由でございます。 そこで、具体的に事業団に移管することとなる業務の内容でございますけれども、「技術協力又はこれに密接な関連性を有する事業のための施設」ということが法律に書いてあるわけでございますが、このような施設の整備を目的として行われます無償資金協力にかかわります契約、契約と申しますのは、これは相手国政府と本邦企業との間で取り結ばれる調達契約と、それから相手国政府と本邦の外為銀行との間で結ばれます銀行取り決めと両方あるわけでございますが、このような契約の締結に関しまして、事業団におきましてその調査、あっせん、連絡その他の必要な業務を行うということがその新規業務の内容でございます。それでまたこのような契約の実施状況に関しまして、必要に応じ事業団が調査を行うこともできるということにしている次第でございます。 それから、ただいま定員の点について御質問があったわけでございます。けさ私が若干心もとない答弁をしたわけでございますが、と申しますのも、まだ外務省の定員の中でこれを各局、各課にどのように割り振るかにつきましては結論が出ておりません。外務省全体といたしまして非常に仕事が忙しくなっている、業務が拡大しているということでございます。また経済協力局もここ二、三年来非常に経済協力の量がふえた、また対象国がふえたということで、非常に忙しくなっているわけではございます。けれども、そのようにいたしまして、無償資金協力の事務の一部を事業団の方に移管するということになりますと、恐らく経済協力局で従来扱っておりました無償資金協力の事務に見合うくらいの人員を引き上げさせられるのではあるまいかと、私個人が恐れているということをけさ申し上げた次第でございますが、この点につきましてはまだ結論が出ているわけではございません。外務省としては、外務省全体の能率ができるだけ発揮できるように、与えられました定員の中で、最大限に合理的な配置を行うようにということを工夫することになるわけでございます。
○井上(一)委員 外務省が、私がさっき尋ねた中でも、全くそのとおりだという、経済協力を外交の中核として重視していくんだ、重視しているんだということなんです。そして、とりわけ無償資金協力についても、アフリカ諸国を初めとして、より拡大をしていかなければいけないという基本的な姿勢が大臣から明確にされているわけなんですが、いまの局長のお答えでは技術協力が相伴うんだとか、あるいは業務内容が若干説明があったわけですけれども、そしてその反面現在の協力局の陣容、スタッフが、仕事量等の問題で非常に異動対象として不安定だ。私は、一体そのように外務省が外交の中核として位置づけておる、特に重要視をしておるんだという経済協力に関する一部業務を、事業団に、いわば下請をさせるんだという発想にも問題があるし、外務省でその業務をやることと、事業団でその業務をやることとどちらが効率的に運用が確保されていくんだ。片っ方では外務省が人材を減らされるかもわからないんだ、こういうふうに大変御心配をなさっていらっしゃるわけです。ここで二点問題点を私は提起したわけですね。一つは、外務省が中核ともすべき大変重要な位置づけをしておる経済協力の業務を、下請機関的処理で事が済まされるのか、余りにも考えが安易ではないか。そしてもう一つは、自分たちのいままでの領域というか業務というものは少なくなるので、その立場も若干不安である。それはまたほかの仕事にも配置がえは可能であるでしょう。私は事業団で下請をさすことの基本的な考え方がどうも理解ができないわけであります。外務省でやればそれほど非能率的、効率が非常に悪いのか、あるいは事業団でやることが運用効果がさらに大であるのか、こういうことについて、具体的にひとつ過去の実績、そして今後将来にわたって取り組むと予定される業務内容等も踏まえた中で、詳しくお答えをいただきたいと思います。
○武藤政府委員 私どもといたしましては、本来外務省で行うべき無償資金協力の事務を、事業団の方に下請に出すというふうには観念していないわけでございまして、先ほどの御説明でも申し上げましたとおり、無償資金協力のうち技術協力と密接に関連するものについては、むしろその技術協力を行っているところの事業団に、その促進業務を行わせる方が事務の促進に資するという考え方から、事業団にこれを移すことにするということにいたした次第でございます。たとえば例を挙げて申しますと、ある国に日本の技術協力によりまして技術協力センターというようなものを設置している、そこには日本の専門家が行って相手国の技術要員の訓練に当たっている、そのセンターでさらにその訓練内容を拡大する、また深めるために新しい訓練用の機械を必要とするというようなことで、相手国政府からの注文がありました場合に、そのセンターで最も必要とする種類の機材についての知識は、むしろ事業団の方がお持ちでいるわけでございます。センター用の機材と申しましても、センターそれぞれの必要に応じまして、かなり使用のむずかしいもの、細かいものというたぐいのことになるわけでございます。そのようなときは、むしろ直接専門家を派遣しておられる事業団の方が、当該センターの必要性については認識しておられるということで、私どもがやるよりは事業団でやっていただいた方が万事スムーズにいくと申しますか、促進される、これは一例でございますが、このような考え方から、技術協力と密接に結びついております無償資金協力に限って、事業団の方にお願いするというのがこの改正法案の趣旨でございます。けさほども申し上げましたとおり、無償資金協力の中でも技術協力と結びつきのないものにつきましては、従来どおり外務省がこれを直接行うということを考えている次第でございます。 それから、定員のことにつきまして先ほど先生からお話がございましたことは、私自身経済協力局長といたしましては大変ありがたい言葉でございまして、私は省内におきましては、ただいま先生がおっしゃったような趣旨を踏まえまして、今後ますます重要となる経済協力でございますので、その遂行に万全を期するため、経済協力局の人員につきましては、現在の定員を維持するどころか、もっとふやしてほしいというようなことで対処したいと思っております。
○井上(一)委員 私は、まず原則と、具体的な今回の事例とに分けてお尋ねしましょう。 外務省として非常に重要な問題は、外務省で業務一般すべてをとり行っていくべきである、それが外務省の行政だ、こういうふうに考えるのです。とりわけ重要な中核となる問題については、外務省の所管でやるべきである、こういう原則的理論を私は持っているのですけれども、まずこの点について、大臣いかがでございますか。
○園田国務大臣 経済協力がきわめて重要であるから、外務省自身がこれをしっかり把握してやるという原則は私もそのとおりに考えておりますが、ASEAN諸国を回って経済協力の話をいたしますと、まず出てくる言葉は、同じアジアの国でありながら、遠いヨーロッパの国と日本の経済協力の量は、GNP比どれだけになっているか、こう言われてみると、残念ながらいままでのところは十三番目でございます。したがいまして、後々またお答えをいたしますが、まず量ということから入っていく必要もあるわけでありまして、いまのようなヨーロッパの国々よりも、数字だけではわかりませんけれども、GNP比で低いような協力では、ASEANの国々の国づくりに協力していると言うことは口幅ったいことであります。したがいまして、今後どんどん量もふえてまいります。そこで外務省としては、その原則はそのとおりでございますけれども、残念ながら交換公文交換、どこの国にどれくらいの協力をやるということから、さて、その次に、どういうプロジェクトはどうやって、そこでどこの商社とどこの会社がどうやるかというところまでは、実際になかなか持ちこなさぬわけでございまして、正直言えば、洗たく物がふえてきた。もっともっとこれはふやさなければいかぬ。そこで技術協力に関するものは事業団にお願いしよう、こういうことがこの法案の改正の背景になっていると私は判断をいたしておるわけでございます。
○井上(一)委員 原則的にはやはり外務省がやらなければいけないという大臣の考え方、具体的な本当に日常的な洗たく物がふえたんで、もう自前で洗えないからお願いをするのだ。大臣、これからまだまだどんどんふえていくわけなんですよ。どうなさるんですか。それなら逆にそういうような担当の省をつくるんだ、そこまで私は考えていかなければいけないんじゃないでしょうか。 これは少し余分な話に受けとめられると困るんだけれども、今回、対外経済担当国務大臣をおつくりになられたわけです。その意気込み、意欲というものはまさに満々なんだ、政府は。片一方で外務省が当然やらなければいけない、中核に据えておるんだという、そういう業務を下請化させていくというこの基本的な姿勢が、私は誤っておると思う。そういうことだから、諸外国、とりわけ先進諸外国からGNP〇・七%の目標に日本は最下位でついていかなければいけない、十三番目だというようにお答えがあったんですけれども、やはり外務省をより強化充実をしていくことの方が先決である、それが正しい姿勢だ。事務量が、事業量がふえていけばふえていくほど、さらに事業団にそれを委託するというか、下請をさせていくんだ、こういうようなことじゃ、一体外務省は何をやるんだ、いや、企画立案をやるんです。その企画立案をして、それが相手国にとって十分理解のある喜ばれる行き方をしておるか、その過程もまた大事なんです。決して私は現在の事業団がそういう点について不十分だという認識はいたしておりません。事業団も御苦労をしていただいておる。しかし冒頭から申し上げるように、根底に流れるものは、事業量がふえればふえるほど、それを何らかの形で自分たちのフィールドから外へ出したいんだ、持っていきたいんだというような姿勢が、考えが背景にあるというふうに私は思うのです。そういうことが一番問題になるのではないか。まだまだ事業量がふえるのです。後で質問をいたしますけれども、そういう聖業量がふえていくんです。私は念のために、せっかく事業団の方もお見えだから、事業団はこれによって、あるいはこれを受けることによって、いまの陣容ではいかないと思うのです。いまの陣容でいくとしたら、いままで何をしておったかということになるわけです。さらに詳しい資料も後でお願いをしますが、やはり事業団に六十億近い予算の増額に五十三年度はなっているわけなんです。なぜ外務省はもっともっとフィールドを広げないんだ。そしてより強い強力な体制を外務省がとった後において、そしてそういう経過をわれわれに知らせていただいて、なおかつ行き届かない点が、落ちこぼれがあれば、それはそのときにまた考えるべきではないでしょうか。私はここが一番大事だと思うのです。法の改正の精神というものが、ただ安易な形で法改正を持っていっている。そういうことがそもそも日本に対する、世界の対日感覚というものが、真意でとられない、そこが一番今回のこの法案審議について大切な点ではないだろうか。だから十分にその点については明らかにしていただかなければ、この法案審議というものは——さらに来年、再来年あるいは五年先にはどれだけの事業量がふえて、どれだけの下請をやらせなければいけないか、これはもう恐ろしい莫大な業務になるのじゃないですか。特に指摘をしたいのは、業務がふえることによって事業団に下請をさせていくんだという、そういうような安易な考え方、ずさんな考え方は、私自身は理解ができませんということであります。この点について大臣あるいはまた局長からお考えをお聞かせいただきたい、こういうふうに思います。
○園田国務大臣 経済協力の仕事がどんどんふえてくると私も想像しております。また、ふやしていかなければならぬと考えているわけであります。そこで、原則としてはいまの経済協力局を省とまではいかぬまでもどんどん強化をして、これをもっと綿密に技術屋もこの中に含んでやるべきことだと思いますけれども、現実の問題では、ブラジルの記念式典の年に中南米局さえなかなかできないという現実でありまして、そういう背景もありまして、消極的であるとおしかりは受けますけれども、こういう方向をたどったものであると考えております。
○武藤政府委員 ただいま大臣からお話があったとおりでございまして、私どもといたしましては、先ほどの先生のお言葉を大変心強く感ずると申した次第でございますが、経済協力局の強化拡大につきましては今後ともできるだけの努力を払いたいと思っております。
○井上(一)委員 外国では、西ドイツ等では経済協力省という別個の省を設置をしている例があるわけであります。私は、何もここで西ドイツに見習いなさいというようなことはあえて申し上げたくありません。いま大臣からもお答えがありましたけれども、やはり外務省の中で十分これを手だてをしていくのだということを私は求めておるわけですし、私の考えもそうだ。大変申しわけございませんが、大臣、私の基本的な、これは原則論でありますけれども、そういうように安易に下請をさしてはいけないのだという、平ったい表現でありますけれども、そういうことなんです。基本的には外務省がより担当局を強化充実をしていって、外務省が本来やるべき業務であるという御認識でいらっしゃると理解するのですが、一言間違いないかどうか。
○園田国務大臣 いろいろ考えてみますると、問題が大きくなってくるわけでありますが、今度対外経済担当の大臣をつくったわけでありますが、この大臣がなかなか人物がりっぱで活躍をしておりますものの、あちらこちらで問題が起こったときの走り使いであっては大臣をつくった意味がないと思います。私は、外務省は二人の大臣だとか三人の大臣だとか言われますけれども、そういう小さいことにこだわらずに第一外務大臣、第二外務大臣、第三外務大臣ぐらいつくって、その一人は経済協力を専門に担当する、そして経済面を強化していく、将来はそういう理想を持ってやらなければならぬと私自身も内心は考えておるところでございますから、井上委員のおっしゃいましたことは十分私は理解、了承しておるところでございます。
○井上(一)委員 私の方も、いまの大臣の決意というものを十分理解いたしたいと思います。 そういう中で、総理大臣の諮問機関として対外経済協力審議会という審議会が設置されておるわけであります。その審議会の政府に対する答申、あるいはさかのぼって昭和四十九年の八月に発足せしめた国際協力事業団の設立の目的というのでしょうか、批判の多いわが国の経済協力のあり方を改善しよう、そして具体的にはこれまで各省に分散していた協力行政の多面的な窓口を一本化して、政府主導型の経済協力を強力に推進していこうということにあったわけです。ところが、それが十分に機能を発揮しながらも効果が出なかったのか、むしろ発想が誤っておったのか、私自身は両方ともその要因だと思うのですけれども、そういう状態の中で、五十一年八月に、いま申し上げました総理の諮問機関である対外経済協力審議会が、政府に対して、異例とも言える政府の開発援助の抜本的な改善措置を求めたわけであります。私からるる説明する必要はないかもわかりませんけれども、「わが国の援助実績はきわめて不満足なものがあり、DAC平均水準がかなりの改善をみせているのに比べ、わが国の足踏み状態が際立っている。」非常に厳しい答申がなされているわけです。なぜ審議会がこのような厳しい措置を政府に求めなければならなかったのか、こういうことについてどのように受けとめていらっしゃるのか、お尋ねをいたしたいと思います。
○武藤政府委員 対外経済協力審議会におきまして経済協力問題につき種々御審議いただいておりまして、私どもにとりましてもまた大変有益な御意見が数々寄せられております。私どもといたしましては、審議会の御要望にできるだけ沿うように逐次経済協力処理体制の改善を図っている所存でございますが、特にただいま御指摘がございました、わが国の経済協力が国際的に見てきわめておくれているという点につきましては、現実は残念ながらそのとおりでございまして、私どもといたしましては、できるだけ国際的な水準にまで追いつくように最大限の努力を果たさなければいけないわけでございますが、経済協力を伸ばしますための要因は二つあるかと思います。一つは、予算をふやすということ、一つはその執行の能率化を図るということ、この二つであろうかと思います。 それで、予算につきましては、五十三年度予算案におきまして前年比一五・八%という経済協力費の伸びを実現すべくお願いしているわけでございますが、片や実施の促進という面につきましても、経済協力審議会の御意見もあり、私ども鋭意その改善策につき検討いたし、またここ一、二年来実施に移してきているところでございまして、特に外務省が直接行っております技術協力、無償資金協力について申しますと、ここ一、二年の間にかなりの改善を見ている、今後ともますますその改善策を進めてまいりたい、かように思っているわけでございます。 その改善策につきまして若干御説明いたしますと、従来技術協力がおくれていた大きな要因は、機材供与の場合その執行がおくれる。つまり先ほども申し上げました機材供与に当たりましては仕様の細かい点を詰めるとかという作業に時間がかかります。そのために、予算年度の半ばごろになって新しいことを計画いたしましても、その年度内にはなかなか支払いにまで至らないというような事情がございますので、私どもといたしましては、年度の初めに一年分をまとめて全部計画をつくるというぐらいの意気込みでやっております。それからまた、何しろ相手がある話でございますので、最初のころは相手の方から、こういうものが欲しいと言ってきておりましたのが、その途中になって話が変わる、あるいは前にお願いしたのはもう要らなくなったというたぐいのことでございまして、そのような原因のためにまた執行がおくれるということもございます。 これは私ども大分経験を積みましたので、一年分に直しますと三割程度は多目に見ておいて、それで一年分は賄えるということを経験的に発見いたしましたので、ここ一年ほどの間は、年度当初に計画をつくりますときに大体三割増しで計画をつくっておく。ですから、途中で何かぐあいの悪いことが起こっても執行率が下がらなくて済むというようなことを工夫しながらやっているわけでございます。 また、無償資金協力につきましても同様でございまして、年度の初めにできるだけそろえて計画をつくってしまいまして、年度の初めから実行に着手するということにより、年度内執行を図るということをここ一、二年やりまして、その成績はかなり顕著にあらわれております。たとえば五十年度の予算の執行率は、当年度予算及び前年度からの繰越分を含めまして二四・五%だったのでございますが、それが五十一年度には五八・六%に上がり、また五十二年度、本年度でございますが、大体七五%ぐらいまでは執行率が上がるという見通しになっております。その点につきましては、今後とも執行を促進すべくますます努力したいと考えている次第でございます。
○井上(一)委員 いま、執行の能率と予算の伸びというような表現でお答えがあったわけです。私は、むしろわが国の経済協力の立ちおくれに対して国際的な批判が高まった、それが国際社会におけるわが国の信頼の低下、孤立化につながっていく、そういうことからわが国の危険が増大した、危険というかいわゆる世界的連帯の意識が欠けていく、そういうようなことを対外経済協力審議会として黙視することができなくなってきた、こういうふうに思うわけなんです。だから非常に厳しい措置を答申の中で出されたわけです。その経済協力の立ちおくれというものが、日本の国際社会に位置づけられる立場をさらに不利なものにしておる、こういうふうに受けとめなければいけないのではないだろうかというふうにも思うわけです。 それでは、対外経済協力審議会が求めている援助実施の機関による機動的な援助、いわゆる素早い、当を得た、そのような協力援助の実施が今回の事業団法の一部改正で一体十分期待できるのか、あるいはそういう求めに対応ができるのであろうかということを私はお尋ねをしたいわけであります。ちなみに、私は昨年西アフリカを訪ねたわけでありますけれども、西アフリカに対する日本の経済協力というものは、五十一年度予算での経済援助が、五十二年の十一月の時点でもなお相手国に役立つような状態に置かれていなかったという事実があります。まさにさみだれ的経済援助というのが過去の日本の経済援助でなかったのではないだろうか、そういう表現がまさにぴったりではないかと思うわけです。今度政府が考えていらっしゃるこの法案の改正によって十分な対応が保証され得るのかどうか、この点については少し具体的に御説明をいただきたい、こういうふうに私は思います。
○武藤政府委員 このたび事業団の方に委託いたします無償資金協力は、先ほども申し上げましたとおり、技術協力を通じまして、事業団としてすでによく知っておられるたぐいのプロジェクトに対する援助ということになるという意味におきまして、事業団の方でお取り扱いいただいてかえって効率が上がるというふうに私ども考えているわけでございまして、先ほどの繰り返しになりますが、外務省が仕事が少し手に余るので事業団の方に下請に出すというようなつもりは毛頭ないわけでございます。また実務面につきましても、すでにこの法案を御承認いただくことを前提といたしまして、事業団の方から私どもの方に何人かが、見習いというと語弊があるかもしれませんが、どういう仕事のやり方をするかということについての訓練を、いま受けてもらっている段階でございまして、実際に事業団の方に事務移管がされた暁におきましても、決してそのような支障が生ずるというたぐいのことはないと信じておりますし、また外務省といたしましても、今後、事業団の事務促進につきましては十分監督したいと思っているわけでございます。 それから、先ほどアフリカに対する経済協力につきまして御指摘がございましたが、従来わが国の経済協力は量的にも限られていたということもございまして、勢い日本に近いアジア地域の方に集中していたのは確かでございますが、おかげをもちましてここ数年来、経済協力の予算もかなりふえてまいりましたし、また来年度は、無償協力を中心といたしますかなり大幅の予算ということも考えている次第もございまして、わが国の経済協力の対象も、アジア中心ということから中近東、アフリカの方までだんだん手を伸ばしていきたいということを考えている次第でございます。 すでに実績といたしましても、五十一年度、アフリカに対します無償資金協力は十四億円程度だったわけでございますが、これが五十二年度は三十七億円ぐらいまでふえております。対象国といたしましては、五十一年度に供与いたしました国は、モザンビーク、ガンビア、セネガル、ニジェール、マリ、ガーナ、ケニア、これはいずれもいわゆるサハラ以南のアフリカの国でございますが、そういうことで、アフリカに対します経済協力が若干出おくれた感があったことは、先生御指摘のとおりでございますが、私どもといたしましても、その問題認識は十分いたしておる次第でございまして、今後わが国のふえる経済協力のかなりの部分をアジア以外の地域に伸ばしていきたい、かように考えている次第でございます。
○井上(一)委員 私はあえて、機動的な援助が十分実施できるのかという質問をしているわけなんです。事業団から見習いに来るんだとか、そういうような状態なら、本当に答申の精神を尊重しているのか、あるいは場当たり的な対応を考えていらっしゃるのではないかと、私は非常に疑問に思うわけです。 先ほども申し上げたように、審議会の答申の中で指摘を受けていらっしゃるわけですが、私の申し上げたいのは、こういう厳しい指摘を受ける以前に、外務省としては、事業団を設立する当初に、今回審議会から指摘を受けたような問題点については十分に配慮していかなきゃいけないということなんです。そういう配慮に欠けているという点が今回の指摘の一部にあるわけです。それは具体的にはいま申し上げたように、立ちおくれておるのだ、十分機能が活用されてない、そういう面もあるんだ、あるいは発想の誤りもある。そういうことを考えれば、現在の時点で事業量が増加したということだけで、先ほどから申し上げるように、事業団法を一部手直ししてそれで事が足りるんだという、そんなことでは私は決して十分でないと思う。 私の申し上げているのは、そんななまやさしい問題ではないでしょう、こういうことを申し上げているんですよ。場当たり的なそんなお考えでこれからも経済協力に対する取り組みをなさっていらっしゃると、数年先に、今回審議会から指摘を受けたような問題点がまたぞろ指摘されるんじゃありませんか。そんななまやさしい考え方で取り組むということについて、私は、本当に経済協力というものを、外務省の所管の中で中核に位置づけておるのかという強い疑問が出るわけなんです。そういう意味で、先ほど外務大臣も、外務省の中でより充実強化をしていくんだ、それが望ましい姿勢であるということをおっしゃっていらっしゃるんだし、私もそう言っているんです。局長、いかがですか。そういう形になれば、むしろ事業団を外務省の所管の中にでも入れたいんだというようなお答えがなぜできないのですか。
○武藤政府委員 まず最初にお断りいたしますが、先ほども見習いということを申し上げましたけれども、これは過渡期ということでそのような措置をとっているということを申し上げたわけでございまして、この事務が完全に事業団に移されました暁には、非常に効率的にこの事務が促進されるということを私どもといたしましては信じている次第でございます。 それから、外務省の経済協力処理体制を強化せよという先年の御指摘は、私どもとしても、まことに同感の至りなわけでございまして、経済協力審議会の答申、これを右から左へ実施せぬじゃないかという御批判は、まことに耳が痛いわけでございますが、私どもといたしましては、いろいろ現実の制約がある、その中で一遍に理想的な形を追い求めることもあるいは無理があるのではあるまいか、一歩一歩着実に改善を図っていく、そういう心構えで対処している次第でございます。
○井上(一)委員 局長、くどいようだけれども、私は、やはり原則と目標というものは明確にしておかなければいけないと思うのです。そして、こういう原則に立って、こういう目標に向かって歩んで行くんだ、その過程で協力事業団にもお手伝いを願わなければいけないんだということも一つの方策である、こういうふうに私は思うのです。だけれども、一歩一歩やっているんですと、それは事業団にやらすことが一歩一歩やっていることになるんですか。
○武藤政府委員 私、一歩一歩と申しましたのは、本件も含めてでございますが、わが国の経済協力全般について申したつもりでございまして、先ほどもちょっと御披露いたしましたような執行の促進、それから関係四省庁間の協議体制の強化というような点も含めまして、経済協力にまたがる多岐の分野すべてにつきまして改善を図っていくという趣旨で、一歩一歩と申し上げた次第でございます。 それから、本法改正の直接の理由となっております無償資金協力の事業団への移管につきましては、先ほどから繰り返し申しておりますとおり、事業団がすでに行っております技術協力と密接に関連した資金協力は、これはむしろ中業団に行わせることの方が、より効率的であるという判断に基づいて、そのように措置したいというふうに考えているわけでございます。
○井上(一)委員 私は、審議会の答申を尊重すべきである、その意を十分踏まえた中で反省をしながら、さらに前進をするための手だてをとらなければいけない、それが正しい目標に向かって目標達成に近づくことになるんだというふうに思うのです。非常に局長自身、片面ではありがたいあるいは私の質問の意を理解できると言いながらも、片面では何か事業団に下請さすことがより効率的、能率的効果が上がるんだというようなニュアンスでお答えをなさるので、実際本当はどっちなんだ、私が申し上げたように、もう事業団も外務省の一つの省の役割りをしてもらうくらいに、向こうからお手伝いを——訂正をされましたけれども、見習い、そういうようなことを事業団がやらなければいけないような状態の中で、事業を任していくわけですから、むしろ外務省がより強力な陣容で、より適切な対外経済援助に対する取り組みを十分果たせるように、私は、むしろ外務省自身が機構も踏まえた中で整備をしていくべきである、こういうふうに思うわけです。 さて、わが国は今後五年間に、政府開発援助額を倍増するのだという決意表明をなさったわけであります。私自身、五年と言わず一年でも期限を早めていくように努力をしなければいけない、していただきたい。そういうことが実施されると、政府の開発援助は量質ともに大幅に拡充をされることになるわけであります。政府としては、いわゆる効率的に五年間に倍増するのだ。経済協力を実施しようとしても、権限が分散している現在の体制では、本当にこの実現が可能なのかどうかということも一点お聞きをしなければいけないのです。果たしてその目標達成に対して実効の上がる自信を実際お持ちなのかどうか。国際的な決意表明ですから、実施できないとなれば国際的な公約を破ったことにもなるわけでありますから、過去における対日批判をさらに一層強めることになるのではないだろうか。そして、先ほども申し上げましたが、当然事業の増加が見込まれるわけでありますから、行政執行は一体どう展開されていくのか、行政執行はこの増加量に対してどう取り行われていくのか。 もう一つ私は念のために……。先ほど外務省が出された「経済協力の現況と展望」、その三十ページの後に、七七年、七八年、七九年、八〇年、八一年、八二年と、いわゆる対比表を出していらっしゃるわけです。平均二〇・四%の比率で経済援助をしていきたい。これは、ただ単なる外務省経済協力局のお考えだけにすぎぬのではないだろうか、私はこう思うのですよ。閣議でこれが決定をされたのかどうか。あるいは、それではこの予算というものは一体どこにめどを立ててやられたのか。こういうものは、逆に言えば非常に不親切な資料になると思うのです。だから、意気込みだけの資料であるというふうに理解をしていいのか。この点についてひとつ、先ほどの質問も踏まえて逐次お答えをいただきたいと思います。
○武藤政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、これはまさにお示しのとおり外務省としての試算でございます。 わが国の経済協力につきましては、量の問題とそれから条件の問題と二通りあるわけでございまして、量の方につきましては五年間で倍増以上ということを言っているわけでございます。そして、五年間に倍増するためにはおおむね一年一五%ずつふやしていく、その必要があるわけでございますが、五十三年度予算案におきましては一五・八%と倍増以上を実現するために必要な予算の増を図っているという次第でございます。 片やお手元の資料に書いてございます。この財政需要についてでございますが、これは量の倍増以上と同時に援助条件の緩和も大体国際的水準まで持っていくということを考えてみると、一体どれぐらいの財政負担が必要となるのであろうかということを外務省なりに試算したものでございまして、これは別段政府としての統一的な意思が決定されたわけではございません。まあ援助量の倍増以上だとか援助条件の緩和だとかということを申しますが、それを実現するためには一体どれぐらいのめどで考えなければいけないかという、そのめどをつくる意味におきまして私どもなりに試算したものがこういう数字である、そういうふうに御理解いただきたいと存じます。
○井上(一)委員 さらに質問を続けたいわけでありますが、一応私は申し入れをしておりました時間が参りましたし、後の先生方の時間にも差しさわりがあってはいけないので、残った質問については次回に留保したい、こう思います。 さらに、済みませんが国際協力事業団の事業計画及びその内容並びに過去の国別の事業実績等に関する資料を、事業団法改正審議のためにも私は当然提出をしてしかるべきだと思いますので、これは外務省に対してこれらの資料を提出をしていただくということをお願いをし、残った質問は次回にいたしたい、このように思います。
○武藤政府委員 ただいま御指摘のございました資料につきましては、早急に提出するように取り計らいたいと思います。
○永田委員長 中川嘉美君。
○中川(嘉)委員 政府は、国際的に非難の多いわが国の経済協力のあり方を改善する、この目的で国際協力事業団を四十九年八月発足させて、政府主導型の開発援助を推進してきたはずでありますが、わが国の経済協力の実績というのは他の先進諸国に立ちおくれを見せているということで、特に黒字国であるわが国に対して国際的批判がますます高まりを見せているわけですけれども、その原因は一体どこにあるのかということについて、政府のお考えを伺っておきたいと思います。
○園田国務大臣 わが国の経済協力が他の先進諸国に比べて量及び質の両面で立ちおくれておることは御指摘のとおりでございます。まことに残念でございます。これは、一つは予算をもっと拡大しなければなかなか行き届かない。それから二つには、その中でも特に無償援助というものの枠を拡大すべきである。三番目には、援助予算の効率的な実施というために鋭意努力を重ねておりますけれども、予算がついてからこれを実施をして、でき上がるまでの時間がかかり過ぎておる、この三つが大体立ちおくれている主な原因であると考えております。 したがいまして、予算の拡大、特に無償援助の拡大、それから予算がついた後の実施の面、これはいろいろ理由はありますけれども、この障害を突破して、もっと早く実施ができるように改善をしなければならぬと考えております。
○中川(嘉)委員 いまの御答弁で、実施のおくれという点が指摘されましたけれども、具体的にさらに若干伺っておきたいと思うのですが、実施のおくれに理由があるというその理由、実施のおくれそのものの内容ですけれども、できればもう少し具体的にお答えをいただきたいというのと、援助実行の早い商品援助の比率、この比率が一体どうなっているのかあるいはまた援助受け入れ国の経済環境の悪化に伴うところの援助実行のおくれ、第三点としては援助受け入れ国の開発計画の見直し等に伴うところの新規要請案件、こういった現象といったこともあろうと思いますけれども、この辺をめぐって、いま一度御答弁をいただければと思います。
○武藤政府委員 私ども援助の実施のおくれと申します場合に、いろいろの過程があるわけでございます。 まず第一段階といたしましては、相手国政府と日本国政府との間で話がまとまるまでに時間がかかる。その原因といたしましては、いま先年の方からも御指摘がございましたような要素もございます。たとえば相手国側の開発計画が変わってくる。それから、当初予定されていた案件よりも別な案件の方がいいというふうに、途中で相手国側の方針が変わるというたぐいのこともございます。 それから、一たん相手国政府と日本政府の間で合意が成立した後の時点におけるおくれもございます。これは、一応合意は成立したものの、たとえば無償資金協力の場合、機械類などになりますと、先ほどもちょっと話が出ましたが、具体的にどういう機械、どういう仕様かという、そういう仕様を詰めるためにかなり手間暇がかかるというようなことがございます。ちょっと申し上げましたが、無償資金協力のおくれは大体機械供与関係について出てくるものでございまして、その原因は、いま申し上げたような理由で、仕様の詰め、それから仕様を詰めた後の適当な調達先の発見というようなことで手間暇がかかるということが言えるかと存じます。 その改善策でございますが、先ほども申し上げましたように、できるだけ年度の初めの方にその年度の分について計画をつくってしまうということによってディスバースを早めるということを、いま考えておるわけでございまして、同時に、従来の経験に徴しまして、予算規模の三割程度ぐらいまでは若干見越しまして計画を進めることが可能であるということを見出しておりますので、そういうようないろいろ工夫を加えることによりまして、先ほど申し上げましたような執行率の改善が見られているということでございます。 それから、商品援助が非常にディスバースが早いということは、まさに御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましてもディスバースの早い商品援助の増額には十分留意いたしております。 その比率についての御質問でございましたが、たとえばここ一、二年について見ますと、五十年は商品援助の比率が大体二国間経済協力、有償資金協力の一一%ぐらいでございました。五十一年にはそれが一七・五%ぐらいに上がってきております。それから五十二年度上期につきましては二五・一%ぐらいまで比率を上げております。このような状況でございますが、私どもといたしましては、相手国側の国情によりましては大変こういうたぐいの商品を必要とするということもございますので、商品援助につきましては今後とも十分配慮してまいりたいと存じておる次第でございます。
○中川(嘉)委員 私は発展途上国こそオイルショック以来非常に困窮を来している。このように思いますけれども、こういうときこそ黒字国としてのわが国が経済協力をすることは本当のあり方だというふうに考えます。 五十一年八月に行われた対外経済協力審議会、ここにおいて指摘された点、すなわち、世界経済が不況下にあるにかかわらず、OECDの主要先進諸国が、政府開発援助比率を高めたことは、これら諸国が、経済協力推進のために、政策的努力を行ったことを示すものである。このような指摘があったわけですけれども、政府としては、従来の政府開発援助のあり方をどのように改善していこうとするのか、この点を伺いたいと思います。
○武藤政府委員 政府開発援助の改善、幾つかの手だてがあるわけでございますが、一つは先ほども申し上げました量の増大でございまして、これにつきましては五年間に倍増以上ということを申しており、またその方向に沿って、五十三年度予算案に、それを満たすための予算を計上しているという次第でございます。 それから二番目に問題となっておりますのが、援助条件の緩和でございます。それで援助条件を緩和しますためには、わが国の経済協力の中に占めます無償協力の比率を高める必要がございます。そのために無償資金協力及び技術協力、それから、多数国国際金融機関等に対する拠出等の割合をふやすことによりまして、わが国の経済協力全体の援助条件を緩和するという方向で努力している次第でございます。 それから、ただいま先生から黒字国としての責任について御指摘がございました。それに関連いたしますのは、いわゆる援助のアンタイということでございます。従来わが国が行っておりました二国間の政府借款は、タイドと申しますか、つまり日本からの調達に限られている部分が多かったわけでございますが、これはやはり、日本のような黒字国といたしまして、援助を日本からの輸出にだけ結びつけるということにいつまでもこだわるべきではないという考え方から、数年米、まず手始めに開発途上国アンタイドと申しますか、ある国にわが国が借款を与えまして、その調達先が日本のみならず、そのほかの開発途上国からの調達にも使うことができるということを始めたわけでございますが、これをまたさらに進めまして、その調達先については全然制限を付さない、日本以外のどこの国から買ってもよろしいという種類の、一般的にアンタイドされた借款というものを今後ふやしていくということを考えているわけでございまして、昨年の十二月六日経済対策閣僚会議におきます今後一般アンタイ化の推進を図ることを基本方針とするというのは、こういう方向に沿った決定でございます。
○中川(嘉)委員 そうすると、今回の事業団法の改正によって無償資金協力に関する給付業務を事業団へ移管する措置ですけれども、こういった措置はその改善策の一つであるのかどうか、この点はいかがでしょう。
○武藤政府委員 この法律の改正は、私が二番目に申しましたと思いますが、支払いの促進ということを目的とするものでございます。先ほどから申し上げましたとおり、技術協力と関連いたします無償資金協力につきましては、技術協力を行っている事業団自体にその促進業務を行わせることの方が合理的であるという発想に基づくものでございまして、これがまた支払いの促進にもつながるものと考えております。
○中川(嘉)委員 去る一月二十七日の予算委員会で外務大臣が、わが党の広沢委員に対して、軍事手段を持たないわが国外交の切り札というものは、経済協力と技術協力の推進にあるんだという意味の御答弁をしておられるはずですが、国際的対日批判というものを解消するためにも、政府開発援助というものをもっと効率的に実施をして、そして促進をする必要もあるのじゃないかと思いますが、この点大臣の御意見を伺いたいと思います。
○園田国務大臣 全く御指摘のとおりでございまして、量、質、実施の仕方等々早急に改善をしてやるべきときであると考えております。
○中川(嘉)委員 わが国の経済協力ですけれども、相手国の要請というものを待ってそして初めて着手するといった、いわゆる受け身的な協力体制であったわけですけれども、やはり、こういうことでは適切な経済協力案件の発掘ということは非常にむずかしいのじゃないか、このように思います。 そこで伺いたいことは、こういった受け身の協力体制に対して、第一点として、今後どのような改善措置をとろうとされるのか。第二点は、この国際協力事業団は、そうした面で果たしてどのような役割りを果たしているのか。第三点は、経済協力促進のため在外公館の活用ということを外務省刊行のいわゆる経済協力白書でもって取り上げておりますけれども、具体的にどのような活用方法が考えられるのか、この辺について明確な御答弁をいただければと思います。
○園田国務大臣 先ほどから御指摘いただきましたとおりに、話が出てから実施するまで時間がかかる。その前に、相手と約束をしてから時間がかかっておる。そこで、要請を受けて約束をしてから、実際に仕事につくまでには忘れたころになる、こういう実情でありまして、これでは一億の金が五千万の価値に下落をするわけです。やってみてもこれはあたりまえというようなことになるわけでありますから、御指摘のとおりに、まず第一はそれぞれの国の実情をよく認識をすることだと思います。先般井上議員がアフリカに行かれて、お話を間接に聞きますと実に的確に実情が把握できるわけでありますから、在外公館の駐在地に対して綿密に連絡をすること、あるいは特別なミッションをときどき派遣をすること、あるいは外務省から、それぞれ原局から、自分の担当の地域へ機動的に派遣をすること、また、大臣自身もできるだけ外を歩かしていただいて、歩いて話をしますと大体協力しなければならぬ部面が出てくるわけでありますから、そういうことを先に、先手先手と打って相手の実情認識をし、相手が話ができたころには大体下準備はできるぐらいのつもりで今後やらなければならぬ、このように思っております。
○中川(嘉)委員 私、お聞きした範囲では、大臣の御答弁も非常に前向きなものを感じます。やはり内政干渉的云々というようなそんな次元ではなくて、ただいま大臣が言われたような、特に実情認識といいますか、そういったものをさらに深めるとともに、積極的な各方面に対するアドバイス、そういったものをひとつ今後大いに強化をしていっていただきたい、このように思うわけです。 そこで次に、昨年の五月パリで行われました国際経済協力会議、この場におきましてわが国が国際的に、今後五年間に政府開発援助を倍増するのだ、このことは先ほどの御答弁の中にも出てまいりましたけれども、このような表明をしております。これは国際的責務として確実に実施をする方針であるのか。また、確実に実施する方針であるとするならば、援助量等に関して具体的な内容を明確にする必要があるのではないか、このように思いますが、この点はいかがでしょうか。
○園田国務大臣 五年間に倍増するということは、総理みずから国会にも約束されたことであるし、ASEANその他の国々でもそれぞれ海外に向かって公約をされたことでありますから、これがもしできなかったということになれば、これはかえって信頼を増すどころか日本が不信を買うわけでありまして、今後いかなる外交もできなくなります。約束した以上は断じてやらなければならぬ、こう考えております。
○中川(嘉)委員 そうしますと、いまの御答弁の範囲では、私がお伺いしたところの具体的な内容云々というところは出てきておらないように思いますが、この援助量の拡大とともに、質の面の充実ですね、これは先ほども論議されておりましたけれども、質の面の充実ということを図ることも必要ではないか。政府開発援助を五年間に倍増実施するに当たって、質の改善ということを図るためには、無償資金協力の充実が必要である、私はこのように考えますけれども、政府としてどのような実施計画を考えておられるのか、ひとつこの角度から聞いてみたいと思います。
○武藤政府委員 経済協力の質を向上いたしますためには、無償資金協力を充実する必要があるということは、ただいま御指摘のとおりでございます。五十三年度予算案におきましては、政府開発援助事業予算全体の伸びは一五・八%でございますけれども、その中で、特に無償資金協力のための予算は八九・二%という大幅の伸びを見込んでおりまして、このようなことによりまして、援助の質を改善していくというその第一歩がこのような予算の比率にあらわれているかと存ずる次第でございます。
○中川(嘉)委員 五十二年度の実績——実績といいましても、現在もしお手元に、現時点においてこの二十四カ国に、二十四カ国と私は聞いているのですが、供与国あるいはまた資金、こういったことに関連して資料があれば教えていただきたいと思います。
○武藤政府委員 失礼いたしました。ちょっと聞き漏らしましたが、二十四カ国というのはどの二十四カ国でございましょうか。
○中川(嘉)委員 この供与国、二十四と私は了解しておりますけれども、国別の資金が果たして額がどれだけであるか、お手元に資料があれば御答弁をいただきたいと思います。
○武藤政府委員 ここに五十二年度の無償援助案件の一覧表がございますが、ざっと申し上げますと、アジアにつきましては、アフガニスタン、パキスタン、スリランカ、バングラデシュ、ビルマ、タイ、インドネシア、フィリピン、ラオス、韓国等でございまして、そのプロジェクトはさまざまでございますが、たとえば結核研究所だとか生物医学研究センターだとか教育病院だとか家畜衛生研究センター等さまざまにわたっているわけでございます。それから中近東、アフリカではエジプト、スーダン、ガーナ、ケニア、ニジェール、マリの六カ国に供与しております。輸送力増強計画、パイロット農場設立、いろいろございます。それから、中南米ではパラグアイとボリビアの二カ国に無償資金協力を行っております。そのほかに水産関係援助といたしましてモーリタニア、南イエメン、西サモア、コロンビア、エクアドル、モルジブ、トンガなどに主に漁業訓練関係の無償援助を行っております。
○中川(嘉)委員 時間が限られておりますから個々に挙げていただくわけにもいかないと思いますので、金額的に主なものがそこにありましたら、ひとつ主なものだけでも挙げていただきたいと思います。
○武藤政府委員 五十二年度の案件のうち金額の多いものから申しますと、まずビルマに対しまして、生物医学研究センターというのがございまして、これが十五億円でございます。それから次がパキスタンの電気通信研究センター十二億円、次いでバングラデシュの食糧倉庫建設十一億五千万円、スリランカのペラデニア教育病院に十一億円、タイの東北タイ技能開発学校に十億円、それからもう一つガーナのガーナ大学医学部基礎医学研究所に十億円、十億円以上のものを拾いますとこのような状況でございます。
○中川(嘉)委員 経済協力の推進のためとはいっても、資金贈与というものを無条件に実施をするということは、やはり許されないことだと思うわけですけれども、無償資金協力実施の基本原則といいますか、そういう原則というべきものを政府は考えているのかどうか。資金贈与の際の条件といいますか、原則と言った方がいいと思うのですが、原則となるのは一体何であるのか、この辺をお答えいただきたいと思います。
○武藤政府委員 無償資金協力に関しましては、確かに幾つかの原則のようなものを設けております。まず基本的には、無償資金協力でございますから、開発途上国の中でも特に開発がおくれている、後発開発途上国ないしこれに準ずる比較的開発のおくれた国を中心としております。従来はわが国と政治的、歴史的、文化的、経済的に緊密な関係にあるアジアの諸国を中心としてきたことは先ほど申し上げたとおりでございますが、今後無償資金協力予算の拡充に伴いまして、それ以外の地域にも漸次無償資金協力を拡充していきたい、かように考えている次第でございます。 それから次に、無償資金協力の対象分野でございますが、無償資金協力というのはむしろ経済性の乏しいもの、たとえば農業、医療、保健、教育等、開発途上国の住民の福祉の向上と民生の安定とに直接に寄与するような分野を重点としている次第でございます。 以上でございます。
○中川(嘉)委員 今回の事業団法の一部改正でもって事業団に業務を行わせる無償資金協力の範囲ですけれども、これを技術協力と密接な関連のある施設関係のものに限定をした理由はどこにあるのか、この点はいかがでしょう。
○武藤政府委員 技術協力との結びつきでございますが、施設と申しましても二種類ございまして、わが国の技術協力のための施設と、わが国の技術協力に密接に関連している施設と、二つのカテゴリーに考えられるわけでございます。 まず第一の、わが国の技術協力のための施設と申しますと、たとえば、端的な例を申しますと、日本の技術協力によって相手国に訓練センターのようなものをつくる。そこに日本の技術者が参りまして、相手国の若い人たちに技術を教える。そういうようなセンターで必要とする資材、機材の類をこの無償資金協力で与えるというたぐいのものにつきましては、これは技術協力と直接関係するものとして事業団の方に移管することになるわけでございます。 第二のカテゴリーの、わが国の技術協力と密接に関連する事業と申しますのは、その施設自身は、たとえば水産センターのようなものを相手国がつくりまして、非常に幅広い活動をしている。その中に日本の技術者が参りまして、部分的に責任を持って、部分的に技術指導を行っているというたぐいの分野において必要とされる機材、資材等を供与するというのが、この二番目の範疇に入るわけでございます。 なぜ、施設ということに限ったかという話でございますが、わが国の技術協力はきわめて多岐にわたっておりまして、たとえば一人の専門家がどこかの奥地に行って、農業指導に当たっているというような例もあるわけでございますが、そのようにいなかの方に入っていって一人でやっている専門家などというのは、無償資金協力のことをやらせるといいましてもちょっと手に負えぬというような状況でございますので、日本から何人かの専門家が行って、一つの施設の中ですでに技術協力を行っている、あるいは日本から何人かの専門家が、長期間相手国の施設の中で、技術協力関係の仕事に携わっているというたぐいのものについての無償資金協力を事業団の方に移管する、こういう考え方でございます。
○中川(嘉)委員 それでは最後にもう一点だけ伺って終えたいと思います。 いまの技術関係以外のものでも、今後事業団に業務を移管して実施させるものはないのかどうか。この点と、政府としては、今後さらにこの事業団の業務を拡大する考えを持っておるのかどうか、この点最後に伺っておきたいと思います。
○武藤政府委員 御質問の第一点につきましては、技術協力と密接に関連をしないたぐいの無償資金協力につきましては、従来どおり外務省において直接執行することとなる次第でございます。 それから、事業団の将来につきましては、できるだけその充実化、能率化を図りたいと考えている次第ではございますけれども、またすぐ法律の改正をお願いするというようなたぐいの大幅な手直しは、現在の段階では考えておりません。
○中川(嘉)委員 そうしますと、こういったもの以外のものは移管をしないんだ、また拡大もするつもりはないんだ、このように理解してよろしいわけですね。
○武藤政府委員 お示しのとおりでございます。
○中川(嘉)委員 終わります。
○永田委員長 渡辺朗君。
○渡辺(朗)委員 初めに大臣にお伺いをいたします。それから後で法眼総裁にもお伺いをさせていただきたいと思います。 今回の事業団法の一部改正案、これを審議するに当たりまして、外務大臣の国際協力についてのお考えをお聞きしたいと思います。それに関連いたしまして、ついせんだって外務大臣は中東を訪問してこられました。ですから、中東地域に対する日本の経済協力あるいは技術協力、こういった協力問題につきまして、具体的に私はお伺いしてみたいと思います。 アラブ産油国の国々を御訪問されておられましたが、向こうの方々、政府首脳などの考え方を聞きますと、テクノロジーの導入、日本からは農業、工業、そういった技術の導入、それの対価として石油の提供を行う、こういう物の考え方があるように思います。私は、日本という国、その立場から考えますと、石油の安定供給というのは非常に重要な問題であろうと思います。それだけに先方も、アラブ産油国の方も積極的な日本からの協力を求めているわけでございますので、それに対して積極的に臨むべきだと思いますが、まずその点についての御感想をお伺いしたいと思います。
○園田国務大臣 中近東、それぞれ国によって若干の相違はありますが、全く御意見のとおりでありまして、日本に対する期待が非常に大きいわけであります。しかるにその期待がなかなか思うとおりいかないので、日本がいつまでもぐずぐずしておるとほかに頼らざるを得ないというところがありまして、一番大きな問題は、日本がいままで、中近東は石油を売ってくれる資源供給の国として対立的にながめておったことが非常に大きな誤りであると思います。日本では総理以下資源有限と言っておりますが、もともとから持たない国でありますから、言葉ほど深刻に考えてない。しかし産油国では、自分たちの今日の状態が、石油が何十年かたってなくなったならばどうなるのかということで、資源の有限ということを向こう自体が非常に深刻に考えております。そこで、それぞれ違いますけれども、共通した考え方は、この資源がなくなった場合自分たちはどうやって国をつくっていくのか、こういう考えがあるわけでありますから、そういうことについてこちらは積極的に協力をし、貢献をするということでなければならぬと思います。なおまた、産油国以外の非産油国がありまして、これは産油国がそれぞれ援助しているかっこうでありますが、この非産油国に対する経済、技術の協力を、自分たちもやるから日本もやってくれ、こういう意向もあります。 それからまた、イラン等ではおれの方が持っているのは石油だけではない、鉄鉱石でも何でもある、だから日本は自分の国に本当にやってきて技術で奉仕をして、わが国の石油で、わが国の鉄鉱で鉄をつくって、そうしてそのつくった鉄を日本に持って帰って日本の高度の工業をやればいいじゃないかなどと、それぞれ立場が違いますけれども、御意見のとおり非常に期待をし、しかも深刻に悩んでおります。したがいまして、日本はこういう国々に入っていってもっと密接に連絡をして、先ほど中川委員からの質問を聞きながら、私は協力の質ということを痛いほど感じとったわけでありますけれども、一言にして言えば、かゆいところに手の届くような、いままでかゆくないところをかいておったような気がいたしまして、そのために炎症を起こしておる国などは、これはタイなどは全くそのとおりでございます。 そこで具体的に言いますと、大型の工業プロジェクトということばかり考えずに、本当にその地域の人々が何を求めておるのか、求めておるのは農道であり、農業灌漑であり、あるいは鉄道であり、こういうところにわれわれはもっと深く理解をすることが経済協力の出発点であり、基本方針である、私はこのように考えております。
○渡辺(朗)委員 大変積極的な御発言をお聞きいたしまして意を強くしたわけでありますが、ただ、いままで日本の政府代表が中近東諸国に行かれまして、この数年間いろいろお約束をしてこられたり、協議をしてこられた点があります。そういったものをいまリストから拝見いたしますと、何かずいぶん進んでいない。さらには調査団だけが行っている、調査団の乱発のような感じがいたしまして、実施ということになりますと、大変おくれているように思います。そこら辺の理由といいますか、おくれの理由、ここら辺についてはどのようにお考えでございましょうか。
○園田国務大臣 これまた御意見のとおりでありまして、しかも日本が石油ショックで石油に困ったときに頼みに行って公約した、それが実行されていない、こういうことで、なかなか大変な、深刻な問題であると考えておるわけであります。そこで逐次、追っかけてではございますけれども、それぞれの工業プロジェクトその他がだんだんできてはおりますものの、私今度参りましてそれぞれ要望を聞いてまいりましたから、約束できるものは約束し、その場で約束できないものは、総理が中近東に行かれることをお願いをして、これは今年の後半ごろになると思いますけれども、行かれるまでには、向こうから話があったら、具体的にこちらも返答ができるように、そしてその返答というのは大体下調べをして、実行ができるようにして今後やっていくべきだと考えております。
○渡辺(朗)委員 ぜひその点は推進をしていただきたいと思いますが、たとえば、いま非産油国に対する日本側の積極的な協力も進めるというお言葉がございました。非産油国の一つである、アラブの中ではエジプトなんかはそれに該当すると思いますが、たとえばエジプトでは大変野心的な五カ年計画なんかを持っている。それに対して日本側からもぜひ参加をしてもらいたいというような話がある。こういう問題に対して、政府側の姿勢はもとよりでありますけれども、民間の方からいいましても、なかなか積極的に出かけていくというようなところが出てまいりません。これはやはりいろいろな不安感がある。民間が出ていく場合には政府の保証なり、あるいはエジプトの指導者の方々が言っておられるように、日本とエジプトの合弁の銀行なんかをつくって、それが保証をするというような考え方、こういうような、それこそかゆいところに届くようなというお言葉がございましたけれども、そういう官民の協力体制をつくり上げるための御配慮はいかがなものでございましょう。
○園田国務大臣 現地に参りまして、それぞれ出ていった民間の方々が孤軍奮闘してどうやらつないでおった、これに対して政府の何の援助もなかった、保証もなかった、こういうことでありまして、これはまたサウジアラビア等では向こうの方から、政府がもっと何か考えてくれたらもっとこれは緊密になるし、わが国にとっても有効なことができるのだという意見も聞きましたので、そういう点も十分考えてやりたいと思っております。
○渡辺(朗)委員 もう一つ関連してお聞きいたしますけれども、日本と韓国、それから日本とサウジアラビア、こういうような関係では、官民を含めまして経済協力の合同委員会、こういうのができております。たとえばいまの非産油国であるエジプトなど、こういうところにはそういうものができておりません。やはり私はそういうものをつくっていくことが大切だと思いますけれども、その点、お考えはいかがでございましょうか。
○園田国務大臣 これはサウジアラビアでは特に出た話でありまして、現在行われておる和平工作とも絡んで、ぜひエジプトに対する援助をという話もありましたので、正式ではありませんが、エジプトに対してはいろいろ問題を具体的に承っておりますので、そういう点についても具体的に検討して、進めていきたいと考えております。
○渡辺(朗)委員 もう一つ、たとえばいまのアラブ諸国、中東諸国との経済協力の停とん、停滞、こういったもののバックに、一つの大きな原因となっているものとしてやはり文化的な摩擦が大きい、こういう問題を乗り切らないと、本当の意味での経済協力、技術協力は進まない。 ところで大臣、日本外務省にアラビストは、目下勉強中の方も入れていま何人いらっしゃいますか、もしわかっていたら教えていただきたい。そして、それで足りるのか足りないのか、どういうふうにしようとしておられるのかお聞きをしたいと思います。
○園田国務大臣 外務省のアラビストは本年四月採用予定の者を含めて五十人でございます。このほか、外務省としては、アラビア語地域の公館に在勤する者ができるだけこれを勉強するよう奨励をして、必要な場合には語学研修手当を支給する等の措置を講じておりますが、しかしながら数は決して十分ではございません。今度、実はサウジアラビアに参りまして、私、いま御意見のとおりだと思いましたので、まず、文化交流のためには語学の交換教育をやろう。いまアラビア地域には英国が建てておるアラビア語研修所があるわけでございますが、ここで勉強してアラビアに入っていくと結局は英国を通じて、英国の心を通じてアラビアに入ることになるから、まず文化センターをつくってここで日本の青年にアラビア語を教える、向こうの青年に日本語を教える、こういうことをやろうという約束をして帰ってまいりました。これはすでに調査費もございますから、さっそく具体的にやるつもりでございます。
○渡辺(朗)委員 それもぜひ進めていただきたいと思います。 いまサウジアラビアでの文化協定の問題が出ました。やはり私は、各国と文化的な交流を進めること、これが国際協力を進める上では非常に大きな意味を持ってくると思います。特に国民的なレベルで理解がないと国際協力というものは前進をしない。 関連いたしまして、ここに一つ資料がありますが、見てびっくりいたしました。これは小学校、中学校の子供たちに対してのアンケートでございまして、一九七七年三月十二日に行われたものです。南北問題とは何のことだと思うかと小学生、中学生に聞いてその返事が出ております。正解したのは、先進国と開発途上国の問題であると答えたのは三二・一%。それから南北朝鮮の問題と答えたのがいる。よくわからないというのがいる。アメリカの南北戦争のことだというのがいる。これが正解者三二%を除いたあとの数字に該当する。こういうことで、子供たちにもまだまだ南北問題そのものすら認識されていない。私は、そういうような状態を何とか改善するということから、本当の国際協力の前進が図られると思います。それを刺激するのもやはり文化交流ということであろうと思います。そういう点で大臣には先頭に立っていただいて、国民に対する啓蒙ということを進めていただきたい。その願いを含めまして私は、基本的な国際協力、そういうものに対する大臣のお考え、理念というものを聞かしていただきたいと思います。 第一番目に、先ほど開発戦略——戦略という言葉がいろいろ論議されましたけれども、私はむしろ言葉の問題よりも、日本にいままで戦略がなかったことが問題であろうと思うのです。ですから、よその国からも、日本が積極的に対外経済協力などを進めますと誤解も受ける。ASEANと、あるいはアジア諸国と何か経済的ブロックでもつくる方向をたどっているのではあるまいかとか、あるいはまた経済進出のための、これが露払いではないかとか、いろいろな誤解を受ける。こういう問題を解決するためにも、むしろ私は、開発戦略の研究所みたいなものを政府直属の機関でつくって進めていくべきだ、そしてまた同時に、国民に対してもそれを問題提起をするべきだというふうに思いますが、大臣、いかがお考えでございましょう。
○園田国務大臣 国際協力、経済協力は国民の理解と支持がなければできないということは特に痛切に感じておるわけでありまして、日本が自由世界の経済第二位の国で、金が余分にあるから助けてやるという傲慢な考え方は大変な誤りであって、日本が自分の骨身を削って、開発途上国の開発、自主繁栄のために協力をするということでなければならぬ、こうなってくると国民の方の御理解を願わなければならぬ、おっしゃるとおりであると思います。 そこで、外務省でもそれぞれそういうことに尽くしておりますものの、やはりこれは外務省だけではできないことでありますから、小学校、中学校あたりからこういう経済協力に対する理解をお願いしなければならぬ。と同時に、ただいま出ました国際協力、経済協力に対する方略と申しますか、こういうものは確かにおっしゃるとおりに考えなければならぬと思いますが、わが外務省はどちらかというと、国と国との交際はよく留意しているわけでありますが、個人の交際は余りないわけでありまして、懇談会とかそういうものはございません。そこで私はただいま情報文化局長に相談をして、ひとつ各界の、世界各国に知識のある人に集まってもらってそういう方針をつくろうじゃないか。もう一つは、いまはそういう方略等は上の方からつくっていったのでは誤りであって、各国を空で回って在外公館と一つになって、たとえば私がモスコーへ行って日ソ会談をやったその会談録をひっくり返しまっくり返し原局で検討して、ソ連に対する日本の今後の方針を理論的に決定する。中近東に行ったら中近東の諸般の会談録を検討して、ここで一つの中近東に対する外務省の方針を決定する。そういう個々のものを横につないでいって、下の方から、日本の外交方略あるいは経済協力の一つの方略をつくるべきだ、こういうことで、いま微力ではございますけれども一生懸命やっているところで、非常にありがたい御教訓をいただいたと考えております。
○渡辺(朗)委員 重ねて、その点については外務大臣、ぜひお願いをいたしたいと思います。これはこれからの国際協力というものを、日本の政治なり外交の中でどう位置づけるかということになってくると思いますが、ぜひ大臣の牽引力をもって、そういう方向に進めていただきたい。 それに関連いたしまして、先ほどもちょっとお話が出ました対外経済協力審議会、これが指摘している言葉がある。南北問題が現在及び将来の国際政治の最大の課題である、こういう位置づけをしているならば、私はこの際大臣に具体的にさらに一歩進めてもらって、今日の日本、これからの日本というものの一つの方向づけとして、一つの宣言というべきものを出すということを検討していただきたいと思うのです。その宣言は、平和憲法の、いずれの国にも覇権を求めないのだということをやはりうたうべきでしょう。もう一つは、これはいろいろ誤解を受ける、これからの問題というのは多国籍企業、これの活動という問題にもなってくるでございましょうから、こういったものを規制する意味でも、国際労働基準とでも言うべきもの、こういったものを盛り込む、さらにはこれは国連で起草されたはずでございますけれども、国家間の経済的権利義務憲章、こういったものを柱にしての、日本が国際協力の上で立っていくという、そういう何か基本方針を宣言のような形で打ち出される、私はそういうことがモメントに、契機になって、小学校から中学校まで目を開いていく、国民に対する啓蒙というようなものも始まるのじゃないかと思うのです。そういう方向づけというものをぜひ進めていただきたいと思います。大臣、いかがでございましょうか。
○園田国務大臣 非常にありがたいお教えでございまして、十分検討しまして、時期を見、場所を見て、福田総理のマニラ宣言みたいなかっこうでそういうものをそれぞれの国に訴える機会をつくりたいと考えます。
○渡辺(朗)委員 それでは次に、法眼総裁にお尋ねをいたしたいと思います。 事業団として非常に多岐にわたる活動をしておられるわけでありますが、時間の関係もございますので、きょうはJOCVの協力隊の問題だけに焦点を置いて、幾つかの点、お尋ねをさせていただきたいと思います。 まず第一番目に、世界各国、JOCVが派遣されている国々に行きまして、大変評判がいいので、私も一国民として大変にうれしく思っております。また、大変期待もされている、こういうことでございますが、ことしの募集人員、そして現在の募集状況の中で感じられたこと、これをお聞かせいただけませんでしょうか。といいますのは、聞くところによりますと、募集をしてもなかなか質の高い隊員の方々、これが集まらないような傾向が出ているというようなことも聞きますし、受け入れ国の方から要請があるその員数にも満たないのではあるまいかというような傾向があるやに聞いております。これは大変残念なことであります。そういう意味で、どうしたらいいのかという問題も含めまして、まず募集状況、こういうことをお尋ねさせていただきたいと思います。
○法眼参考人 お答えいたします。 ただいまの御質問のような時期が、ある時期にございましたけれども、最近の募集の結果は、人がたくさん集まりまして、千二百七十名という未曽有の志願者がございました。その中から試験をいたしまして、第一次試験に約三百五十ぐらいの者を選びまして、さらに第二次試験をするという手段になっております。 御指摘のように、非常に協力隊を希望する国がふえる傾向にございます。したがいまして、従来は年間約二百五十名を出しまして、二年の任期ですので、ある時期をとれば五百名が海外で活躍しているということになっておりますけれども、その五百の数をもってしては現状では各国の要望に応じ切れないという状況でございます。ただ、しかしながら大事なことは、希望が多いからむやみに出していいものではございませんので、これは御案内のごとく四カ月にわたりまして大変激しい訓練をいたしまして、そのうちの二カ月は語学の集中訓練をいたします。したがいまして、そういうものに耐えていく体力と、気力と申しますか、つまり魂がなければいかぬわけでございますので、人数だけをふやすということも急激にはできない状況でございます。本年は千二百七十名のうちから大体二百五十七、八名を選ぶ予定でございます。しかし、将来は希望の国がだんだんふえる傾向にございますので、われわれは何か方法を考え出しまして、志願者の中からより多くとって、なおかつ魂のある、しかもしっかりした者を選びたい、こういうふうにやる方策を研究中でございます。
○渡辺(朗)委員 ことし応募者が多かったということは大変頼もしく感じるわけでございますが、ただその際に、これはどうでございましょう、待遇の問題でございます。 私なかなかむずかしいなと思うのは、これはボランティアであることが一つの条件だ、それと同時に技術を持ってないといけないということもまた条件だ、これは言うべくしてなかなか得がたい人材にもなってくるわけであります。にもかかわらず、ボランティアであるとはいえ、何かずいぶん前の給与ベースのような形で、現在任地に行きましても月間百九十ドルぐらいで生活をせざるを得ない、こういうことが果たして本当に可能なのかどうなのか。そうしてこの人たちを処遇するのに、それが果たして活動させるのにふさわしい条件であるのかどうかというようなこと、その点は総裁いかがにお考えでございましょうか。
○法眼参考人 お答えいたします。 御指摘のように、確かに報酬という形では少ないと思いますけれども、実はこれは報酬というよりも、われわれは必要なる最小限度の生活手当というふうに受けとめまして、むしろその報酬、つまり生活手当というものをふやすことは、そのときどきの各国の経済状況、生活必要費等を計算いたしまして、これをそのときに応じて改定いたしたいと思っております。 しかしそれよりも大事なことは、何分にも瘴癘の地が多うございますから、医療の設備、そういったものについて十分手当てをいたしまして、その点は確かに日本は各国におくれております。月百九十ドルといえども、国によっては日本の方が多い国がありまして、したがいまして各国におくれておるそういう医療の手当てであるとか、そういうものを充足することによって、はつらつたる青年各位の体力を落とさないでやっていきたいというのが念願でございます。御指摘のように確かに額から見れば少ないのでございますけれども、これはその国の経済状況等に応じまして若干柔軟に考えていきたいというのがわれわれの考えでございます。
○渡辺(朗)委員 私は、国際的にも大変高い評価を得ているJOCVでございますから、そういった面で大いに活動をしてもらうという観点からも、待遇の問題はひとつ柔軟に考えていただく方がよろしいのではないかと思います。これは有効に資金を活用しているというふうに言うことができると思いますので、その点ぜひお願いいたします。 と同時に、もう一つ待遇の問題であります。せっかくそのように訓練をされ、そして意欲を持ち、二年間行って帰ってこられた方々が、帰ってきても本当に日本の社会の中で受け入れられているのであろうか。特にいまは日本の社会で再就職ということもなかなかむずかしい、こういう問題がございまして、七六年度の事業団報告書を読んでみますと、昭和五十年度に帰国した隊員の二百十四名のうち、就職百十四名、復職四十一名、四十九名の者が未定である、こういう数字も出ております。私は、こういうことでは、一人当たりどれだけの費用をかけて訓練し、また、活動していただいたのか、その数字もわかりませんけれども、何か大変に人材を、もったいないことだなとも思います。こういう再就職というような道が閉ざされているその不安感がありますと、任地での活動というものも十分ではないであろうということを考えますと、何らかの方策をやはり考えていかないといけないのではあるまいか。再就職問題についてぜひ総裁の御見解を聞かしていただきたい。どのような御努力をしておられますでしょうか。
○法眼参考人 お答えいたします。 確かに御指摘のごとく、再就職につきましては余り思うに任せぬ点がございます。われわれといたしましては、その点につきましては、帰国隊員諸君と新しい生活活動の相談に応じまして、たとえばそのうちの人たちを事業団に採用することを始めました。大変忠実、熱心な諸君でございますから、大変りっぱな事業団員ができると思います。それからまた、帰った諸君のうちからこれを専門家に登用する道を開きまして、必要な場合は学校へ入れて勉強させるというようなことによって、専門家としての方向をとることを考えておりまして、実行いたしております。そのほか、私どもの見るところでは、こういう諸君は、帰って至るところに就職されますと、言うならば有力なるオピニオンリーダーといたしまして、わが社会に貢献することが多いと思いますので、極力、会社の方面あるいは各方面に当たって就職をあっせんいたしておるわけであります。したがいまして、私は、大体まず六〇%ぐらいの人に対してはあっせんしなければいけないのですけれども、だんだんとそういうことを強めまして、帰国した諸君が心配なく新しい活路を発見をして活動していただけるように、この上とも努力をいたしたいというのが念願でございます。 なお、言い忘れましたけれども、帰国隊員の諸君に対しては、現地における普通の生活手当てのほかに、日本におきまして若干金額を二年間積み立てておきまして、帰国された際にそれをもって当座の費用に充てていただく、あるいはいろいろな事故が起こりますから、災害補償制度でありますとか、そういうものもかけまして、万全を期しておる次第でございます。
○渡辺(朗)委員 私はその点でもぜひ総裁の積極的な御努力をお願いをしたいと思いますが、特にやはり、帰って来られた方々が国民の中に散らばってしまって、後なかなかお互いの連絡もないというようなことでは、せっかくの知識あるいは経験というものが大変個人的なものに終わってしまう、そういう意味で、後のフォローアップの問題をひとついろいろな角度から御検討していただき、それを組織化していただくような方向に御努力、御尽力をお願いしたいと思います。私は、その際にもっと国民の中で、広く市民の中で、これをバックアップするような体制というものはできないのだろうかといつも思うのですけれども、総裁としての何か御提案、アイデアというようなものはお持ちでございませんでしょうか。
○法眼参考人 御指摘のとおり、この諸君を後援する組織というものは大変必要でございます。したがいまして、先生御存じのように、また先生から非常な支援をいただいておりますけれども、協力隊を育てる会といったようなものが、大変大方の方の参加を得まして、着々その範囲を広げております。また、OBの諸君が自発的にOB会をつくられまして、各府県にOB会が存在いたしまして、それがお互いの相互扶助とかあるいはいろいろな相談をする、あるいはまた各地方においてその地方のために働くということをわれわれは知っておりまして、これもひとつ大いに将来ともその辺の活動をエンカレッジしていきたい、こういうふうに考えております。幸いなことには、協力隊自身が大変な成績を上げ、至るところで喜ばれておりますので、日本のマスコミその他すべての方面からこれが取り上げられまして、今日は大変その実情については日本の各層にわたって知っていただいておりますので、この上ともその方向に努力を集中いたしまして、先生の御指摘のようなこれらの諸君が、さらに有益な活動を国内でも続け得られますように、またいろいろな心配がないようにしたいということをわれわれは念願をしております。
○渡辺(朗)委員 最後にもう一問だけ総裁にお尋ねをいたします。 JOCVの隊員の派遣国をずっと見ますと、かなり世界的に分布していっておられるわけでありますけれども、やはりアジア諸国などに集中している、あるいはアフリカ、東アフリカの方に多いというような点がありますが、中近東諸国、中東諸国は足らぬようにも思います。向こうの方が要請しなければだめだということもあります。もちろん、そういう問題もございましょう。同時に、もう一つ足らぬのは、いわゆる社会主義圏といいますか共産国でございます。カンボジア、ラオスは前の継続でございましょう。いまはゼロでございましょうか、そこら辺お聞きしたいと思いますが、派遣国というのは、そういう国家の体制なりイデオロギーに関係なく要諦があれば行くということで、広くやはり隊員たちは行ってもらいたいと思うのですが、そこら辺についての考え方はいかがにお考えでございましょう。
○法眼参考人 お答えいたします。 仰せのとおり、われわれは相手の必要と要望によりまして希望するところへは至るところ、どこでも出したいと考えております。幸いにして現在は二十カ国でございますけれども、漸次これがアフリカあるいは一部中近東、南米諸国に目下交渉中でございまして、恐らく遠からず数カ国がふえると思います。 これを選ぶ基準は、仰せのとおりわれわれは先方の必要と、またわれわれが見まして最もそういう諸君の活動を必要としている国に対しては、これは優先的に先方の要望を考慮するという立場でございます。しかし、国によりましてはこれを歓迎しない国もあることは御承知のとおりでございまして、これはいろいろな国の例がございますので、そういうものについてわが協力隊員については、私から見て不必要と思われる顧慮を払っている国があることは事実でございます。われわれはいろいろな方法でそのしからざるゆえんを説明をいたして、恐らく国が今後は相当ふえると思います。基準は、あくまでも先方の必要と、先方の要望と、それから、われわれが見てそのうちからまず順序をつけるとするならば一番必要としている国ということから進めて、多くの国にこれを及ぼしたいというのが念願でございます。強いて基準と申せば、そういうことだろうと思います。
○渡辺(朗)委員 それでは、これをもって終わります。ありがとうございました。
○永田委員長 寺前巖君。
○寺前委員 予定されておった時間が大分おくれたようですから、またの機会に質問の機会をひとつお願いをしたいと思うわけです。せっかくお待ちをいただいたのですから、一つの課題だけちょっと聞いてみたいというふうに思います。 院の内外でソウル地下鉄の問題をめぐって、いろいろ商社なりあるいは政界に疑惑を持たれるという姿が生まれております。二月十四日の新聞を見ますと、こういう見出しの新聞があります。「政府系資金の対韓経済協力 商社のかせぎ場に チェックの手段なし」ここまで書かれてしまったわけです。対外経済協力関係が国際的に友好関係をよくする役割りを私はぜひとも果たしてもらいたいものだ、ところが実際には商社のかせぎ場だと書かれるぐらいの姿になっておったら、何のためにやっているのだろうかということを考えざるを得ないと思うのです。ですから、事業団法の一部改正をやるに当たっても、基本的な姿勢問題としてこの問題について改善点はないのかということを私は政府の皆さん方から聞きたいと思うのです。 そこで、この新聞を読んでいますと、二つの省に関係あることが書かれております。一つは経済協力基金ですから恐らくその監督は経済企画庁だろうと思います。そしてもう一つは会計検査院のことについて書いてあります。どう書いてあるかということをちょっと紹介してみたいと思う。「問題は「経済協力」の隠れミノの裏で動く、工作資金やリベートをどうチェックし、防ぐか、だ。税金や郵便貯金による公的資金をもとに、政府の公共借款や、民間借款への融資をしている海外経済協力基金と日本輸出入銀行がチェックの第一線。「援助対象国と日本側商社の契約について、プロジェクトの遂行、返済能力などを審査しているが、商談の種類は多く、捜査権限があるわけでもない。相手国が返済を約束してさえいれば、あとは信頼関係だ」と基金関係者は語っている。「商社が地下鉄を売った代金で、テレビを買おうが借金を返そうが関知しない」という意見まで出る。今後とも「原価計算して契約内容をチェックすることはやれないし、やらない」」こういうことを言っているということを記者が書いています。すなわち言葉をかえて言うと、経済協力基金は契約承認の際に契約にかかわる原価計算書の詳細などを提出させていない。そんなことはできないじゃないか、基金はやはり金融機関としての限界がある、借入承認は借款の借入人すなわち外国なんだ、だからむずかしいのだということを言っていることになると思うのです。ですから、国会の追及の中でも、基金が何にもそんなことまで知らないで、後々までこういう形の政府系資金の経済協力関係をやっておるんだったらどうなるだろうかと、みんなが心配する。一向に改善をするという立場がここには考えられない発言だと思うのですが、この点の改善点を何か考えているのかどうか。これは後からひとつ、経済企画庁が監督機関ですから、何か考えておられるのだったらそこの点を御説明いただきたい。 第二番目に、その後にこう書いてあります。「会計検査院でも同基金の資金運用について検査しているが、「国と国との協定によるものなので、契約成立の細かい資料を基金が取っていない限り、後で不正がわかっても核心まで突っ込めない」という。上乗せされたリベートもノーチェックにひとしいわけ。ソウル地下鉄の審査も「資金貸し付けに当たっては適正を期す」の規定に照らして「問題はない」といいきるのだ。」会計検査院もそういうことを言っている。これも言葉をかえて言えば、会計検査院は基金に対して検査権限はある、しかしこれには限度がある、肝心の原価計算書の詳細などは手に入れることができない、取引私企業に立入調査をすることができぬではないか、結局これもやれぬ、ということを言っている。そうすると今後もこういうやり方をやっておったら「商社のかせぎ場」と書かれるように、引き続いてこの経済関係の問題はなっていくのじゃないか。会計検査院はどういう見解をお持ちなのか、どこにメスを入れる必要があると考えておられるのか。私は、まず直接ここで二つのところが発言をしておられるから、これを聞いた上で外務大臣にちょっとお聞きしたいのですが、まず両方の方からそれぞれお答えをいただきたいと思うのです。
○愛甲説明員 お答えいたします。 海外経済協力基金は、交換公文で政府レベルの合意ができた後を受けまして、その実施段階を担当しておるわけでございます。いろいろ基金といたしましては、交換公文を受けてその先貸付契約を結ぶための審査とか、その後借款契約を結びまして、それから入札、実際の調達契約の承認、そういう手続きをずっと経まして、最終的に支払いを行い、最後にその貸し付けをしたものの返済を受けるというところをずっとフォローしてまいるわけでございます。 ただいま御指摘の、調達価格について基金がどの程度関与しておるかという点でございますけれども、基金法によりますと、海外経済協力基金といたしましては、その円借款でカバーされますプロジェクトが、事業として達成の見込みがあるかどうかということにつきましてチェックをするというたてまえになっております。そういう観点から、いろいろ価格の点につきましても見ていくわけでございますが、実際に調達契約を結びまして資機材の購入とか役務の購入とかを行いますのは、その主体は貸し付けの相手方である向こうの外国政府またはその実施機関ということになるわけでございます。したがいまして、基金といたしましてはこれにいわば融資をするということでございまして、直接原価積み上げ的なところまでやって価格をチェックするという立場にないわけでございます。もちろん基金といたしましてもその経験なりキャパシティーの許す範囲内におきまして、借入側の立場に立ちましていろいろアドバイスをするとか、適切な指導をすることはいたすわけでございますけれども、そういったような事情でございますので、積算的なところまでは立ち入らないということでございまして、この点については現在のスキームの範囲内で今後ともできる限りのことをやっていきたい、そういうことでございます。
○東島会計検査院説明員 お答えいたします。 先ほど先生御指摘のとおり、私ども検査の対象はあくまでも経済協力基金でございまして、基金の検査におきましては、一般の融資手続どおりやられているか、資金の効率がどうであるかという点を中心に、貸付稟議書なりあるいは輸出入契約書または船積み書類等の関係書類でいろいろ調べておるところでございますが、先ほど御質問ございました原価計算につきましては、先生も御指摘のとおり、これをチェックする必要な書類が必ずしも整っていないというのが現状でございまして、先般来新聞でもいろいろ論議がございますように、たとえばソウル地下鉄につきましても、商社の方の証言でやっと値段がわかったというような状況でございます。ただ、私どもとしても何もしてないかと申しますとそうではございませんで、一応類似したものが国鉄の車両にあるとか、あるいは営団地下鉄等のいろいろの資料がございますので、そういうものを一応の物差しとして、たとえば車体だったらどのくらいするであろう、それから支給部品はどのくらいであろうかということは、われわれのできます範囲でチェックをしておりますし、また国会に対しても御報告を申し上げているような次第でございます。またほかに韓国アルミとか新韓碍子というようなプラントの輸出につきましてもいろいろ問題がございますが、これにつきましてはプラント全体の価格を把握するということは相当高度の技術を必要といたしますので、われわれとしてもなかなかできないわけでございますが、これらの問題につきましては、完成後にそれらの施設が十分能力を発揮しているかどうか。たとえば生産量が目的どおり出ているかどうか、そういう能力の点は、事業経過報告として基金なり輸出入銀行に提出されておりますので、われわれはそれをフォローしながら検討しているわけでございまして、もし輸出されたプラントに瑕疵がありますとその能力が出ないであろうという反対的な解釈で、われわれはフォローせざるを得ないというのが実情でございます。 それからもう一つの、権限の問題に関してでございますが、先生御指摘のとおり、相手国に対しましては、主権の問題とかあるいは友好関係という点から、われわれとしてもなかなか踏み切れないわけでございます。それと、相手国から受注をした日本国内の業者につきましても、これもやはり民権の圧迫というようないろいろな点がございまして、われわれ必ずしも十分に検査できないわけですが、できる限り調査に協力してもらうということで、われわれの事務を遂行しているわけでございます。 以上のとおり、なかなか十分に御期待に沿えないことを、われわれとしても非常に残念に思っておるような次第でございます。
○寺前委員 大臣、お聞きのとおりに、経済協力基金の方は、結局のところ従来どおりだということの話になってしまう。それから会計検査院の方も、書類のないことは事実だ、できるだけのことをやります。相手国のあれになるから、だから協力してもらえる範囲内しかやれないというお答えなんだ。そうすると、やはり新聞の見出しにつけられたように「政府系資金の対韓経済協力 商社のかせぎ場に」と書かれている問題について、チェックの手段なしということでこのまま引き続いていくんではないか。 この際に一言。無償資金、これは外務省が取り扱っていると思うのですが、外務省の取り扱っている無償資金についても、問題点は、契約承認の際に原価計算など厳格なチェックができるようになっているのかどうか、この点について外務省の担当のものもちょっとお聞きしたいと思うのです。
○武藤政府委員 無償資金協力によります物資の調達につきましては、わが政府から相手国政府にその購入代金を渡しまして、その調達業務は相手国政府が直接行うことになるわけでございます。その調達の方法は、相手国それぞれの調達規則に従って行うということになりまして、国によって若干の差はございますが、たとえば、一定金額以上のものにつきましては公開入札に付するとか、それから特別の仕様を要するものである場合には随意契約によるとかという差はございます。いずれにいたしましても、調達手続そのものは相手国政府の調達手続に従うというのが現状でございます。
○寺前委員 ということで、ここでも相手国のあれによるというだけであって、そこで行われることに対して、日本政府は何もくちばしを入れることができない。まさにここで指摘されたとおり、あのソウルの地下鉄のような問題というのは引き続いて起こるという現実的な制度になっている。私は、あれだけ問題になってきているんだから、何らかの措置を検討してしかるべきだと思うのですが、外務大臣、いかがでしょうか。
○園田国務大臣 経済協力について疑惑を受けるようなことがあってはならないことはもちろんであって、この政府資金の協力が適正な目的に使われておるということを確保することは、全く必要であります。 そこで外務省では、先ほど申し上げましたとおりに、無償については交換公文の際、さらにそれが実施される際にチェックをし、後では経済調査ということで、この資金が適正に使われているかどうかという調査団を派遣することはありますけれども、不正についての追及ということは、相手が契約することでありますからなかなかできない、こういうことのようでありますので、これは今後何か研究をしてみないと、こういう事件で疑惑を招くようなことがまた起きてくるのじゃないかということでございます。
○寺前委員 大臣の積極的な答弁を私は支持します。ですから、積極的に研究をしてほしい。 特にその一つの問題として、これは私、国会図書館で見せてもらってきたわけですが、アメリカが韓国なりヨルダンなりシリアなり、あるいはバングラデシュなどと結んでいる交換公文を見ました。この交換公文を見ますと、交換公文の中でこういうことをちゃんと交わしている。資金は他の目的に使用してはならない、必要があればチェックということもある、資金の供給は国内法を遵守して行う、こういうような内容で、公文の中で、不正使用に対する取り扱いをどうするかという問題を厳しく指摘をしているのです。ですから、他の国の内政に云々という問題じゃなくして、お金を貸す以上は、当然のことながらこのことに対する責任を、話をつける交換公文の中においても何らかの処置をするというのは、外国でもやっていることなんですよ。日本の交換公文にはそれがない。何でそういうことをきっぱり言えないんだろうか、私は不思議でかなわない。ですから、この点ぐらいはすぐにでも実施できるところの課題ではないかと思うのですが、大臣、いかがでしょう。
○園田国務大臣 いまの御意見、参考といたしまして、検討いたします。
○寺前委員 大分時間が過ぎているようですから、経済協力のあり方で現に問題になっていることを積極的に解決されるという大臣の答弁を速やかに実施してもらうことを期待して、私は、まずきょうは姿勢の問題だけお聞きをしておきたいと思います。あとは、また後日にお願いします。 終わります。
○永田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時十九分散会