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84回国会衆議院1978/03/22

科学技術振興対策特別委員会 第4号

発言数
141
登壇者
12
会派数
6
開催日
1978/03/22

会議録

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 これより会議を開きます。  科学技術振興対策に関する件について調査を進めます。  まず、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。  地震予知に関する問題調査のため、本日、参考人として、東京大学教授浅田敏君、和光大学教授生越忠君及び東京工業大学教授力武常次君、以上三名の方々から意見を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ、本委員会に御出席くださいまして、ありがとうございます。それぞれの立場から、忌憚のない御意見をお述べくださいますようお願いいたします。  なお、参考人の方々にお願いいたしますが、御意見の開陳は、お一人二十分程度に要約してお述べいただき、詳しくは、後刻各委員からの質疑の中でお答え願いたいと存じます。  それでは最初に、浅田参考人よりお願いいたします。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 それでは地震予知に関しまして、日ごろ考えていたり、あるいは感じたことを申し述べたいと思います。  地震予知と申すわけでございますけれども、地震はどういうふうに起こるかということを簡単に述べますと、まず地殻にストレス、つまり応力がかかる、応力がかかると地殻は当然ゆがみます。そのひずみは次第に蓄積いたします。いままでの知識によりますと、ほぼ一定の割合で蓄積してくるということになっております。その蓄積がある限度に達しますと断層を生じまして、あるいはすべると申してもよろしゅうございますが、それがすなわち地震であります。このことは、理論的な計算やいろいろな観測等から非常に詳しくわかっておりまして、いま申し上げたことは大体間違いがないと言ってよろしいかと存じます。  さっき申し上げました応力というものは、いまの考えでは、海洋底地殻——海洋底地殻というものの実体はまだはっきりしておりませんが、海洋底地殻というものがあって、それが移動するということはかなりはっきりしております。その海洋底地殻、日本の場合は北太平洋海洋底地殻あるいは四国や東海の沿岸ではフィリピン海と国際的には申しております。そういう海の海洋底地殻がそれぞれの陸岸に押し寄せて大陸の地殻の下にもぐり込む。そのときにその大陸の地殻の下にひずみを与える、そのひずみが耐え切れなくなったときに起こるのが地震である、こういうふうに考えられております。  これでは地震はなぜ予知できるのかということははっきりいたしませんが、大陸の地殻が海洋底の地殻に押し曲げられる、それが地震を近く起こすことになる、近くと申しましても何十年でございます、何しろ地学的現象でございますから、何十年ということもありますが、そういうふうに何十年でも、ともかく近くになると、その大陸の地殻、押し曲げられる方の大陸の地殻はある種の変質が生じるわけです。そのような変質をとらえることができれば、そろそろ、くどいようでありますけれども、そろそろというのは数十年ということまであり得るのでありますが、地震になるということがわかるわけです。これを普通、長期的前兆と言っております。  それから、いよいよ地震に近づきまして、もう断層がすべり始める。断層というものは、ある場所から壊れ始めて、毎秒三キロメートルぐらいのスピードでその壊れが伝播してその全部がすべり終わる。ですから、関東大地震のような大きなものは何十秒とかかるわけでございますが、そういうふうにすべり始める前には、その数時間前あるいはもしかしたら数日前、あるいは大きな地震ではもう少し前からこの前兆が生じるらしいということがだんだんわかっております。これが普通短期的前兆と言われておるものでございます。  いままでの話がいわば緒言でございまして、長期的前兆、短期的前兆について今度申し上げたいと思います。  長期的前兆というのはいろいろなあらゆることがあります。英語の言葉でございますけれども、岩石のダイラタンシー、これは岩石が力を加えられると、その力に比例して弾性的に縮むはずなんですけれども、弾性的にこっちが縮むと横が伸びる。しかし実際はその弾性論で計算した以上に伸びる、ふくらむのがダイラタンシーです。そういう現象が起こるのであるということになっております。その期間は、たとえばマグニチュード八ぐらいの地震だと二十年も三十年もかかるわけですが、実はまだわれわれは非常に経験がありませんので、このような二十年、三十年というものを本当は最初から最後まで観測でとらえればいいわけですけれども、そういうことをしたことは一遍もございません。ですから、いま現在長期的前兆にあるのかないのかということは、こういうふうに教科書的に口で申し上げるよりは、実際ははるかにむずかしいことなのでございます。  長期的前兆をとらえるためには、測量を繰り返すこと、あるいは地震を非常に詳しく調べること、あるいはそのほかいろいろなことがございますが、あらゆる地球物理的観測が必要であります。  それからもう一つのさっき申し上げました短期的前兆は、昔は数時間前に起こるのではないかと私は思っておりました。そういうふうな文献が多いのです。目で見まして、なぎさが引いた、その三十分後に地震が起こったとか、数時間後に地震が起こったという話がよくございます。しかし、今度の伊豆大島近海地震のときの経験から見ますと、どうも数時間または数日または十数日というふうに延ばした方がいいのではないかという感じがいたします。現在日本で短期的前兆をいわば一生懸命とらえなければならないということがわかっている場所は、有名な東海地域でございます。その短期的前兆をとらえる一番主なものは、地殻変動連続観測ということになっておりますが、電磁気的な現象でこの短期的現象をとらえたこともよくあります。  ただ、ここで一つ非常に重大なことは、われわれはすべてこういう話を申し上げるときに、後からの予知とふざけて言っておりますが、つまり変化の全貌をここで見ながら、これは前兆だと申しているわけです。もしそれが時間とともに少しずつあらわれてきたら、どこで地震がすぐ起こるかという判断をすることは極度にむずかしいと言わざるを得ない。普通これを前からの予知、全く熟していない言葉でございますが、前からの予知と言っております。日本では、地震予知に関しましては、地域は非常に具体的には東海地方とその他の地方と分けてしまうのがよろしい、それが実際的である、こう考えております。  東海地方はどういう土地かと申しますと、わかっていることは、地殻がひずみつつあることは測量でよく検出されておる。これは実は日本じゅうあらゆるところが地震に向かって地殻はひずみつつあるのですが、東海地方は特によくわかる。それから御前崎などは沈下しておりますが、その沈下のスピードはどうもこの数年来加速しているらしいということもわかっております。そういうことは非常に重要なことだと考えておるのでございまして、ことしの六月にことしの分の測量ができるわけでございますけれども、その結果を待ち望んでおります。  他の地方、これも非常に、焦るという言葉を使うのが適切かどうかわかりませんが、そういう感じでございまして、東海地震の起こる前に内陸で被害的な地震が起こらないという保証は一つもないのでありますが、日本は東海地方以外には、そう詳しく調べられているわけではないので、そのような場所をつかまえることがなかなかできない事情にあります。  東海地方に関しましては、前からの予知をしなければなりません。結局そのためには、何しろわれわれは一回きりの経験のことをこれからしようとしているわけでございますから、やり損なう危険性は非常に多い。後から見ればこんなに明白な前兆があったというのに対して、それをミスしてしまう危険性は絶えずあると思わなければなりません。  簡単に申しますと、少しでもその危険性を減らすためには、要するに気象庁の容積変化計のような器械をなるべく密度高く、といっても限度は当然ございますが、その地域に入れること、とともに、全く地震の起こらない日本のほかのところにも入れることが必要だと考えております。ということは、地震のないときのその器械の記録はどういう記録かということをやはり知っておる必要があるからでございます。  それで、日本の東海地方地震以外のことはいまは触れないことにいたしまして、いままでの地震予知のことを振り返ってみますと、われわれが地震予知について何か意見を言うことができる、あるいは自然現象に関する解釈を言うことができるのは、実に基礎的な研究の進歩によるのでございます。  それを簡単に言ってみますと、たとえば断層模型の理論というものがこの十数年来できてきた。これがあるということは、昔とは決定的に違うことでございます。たとえばプレートテクトニクスも非常にその考えを進める上に助けになりますが、岩石破壊の基礎的実験は、前兆現象というものは恐らくは確率的なものではなくて決定論的、つまり前兆と本震との間には確率的でない関係があるのであろうという、そういう想像をするのに役に立っております。たとえば、器械の開発にいたしましても、ジオディメーターというものができたこと、あるいは重力の測定や器械について非常な開発がこの数年来行われていること、それから、たとえばラドン濃度連続測定もこの数年来できるようになった。気象庁の容積変化計も非常に新しい器械でございます。そのようなものが次々と仲間に加わってくるということで、これはいずれも非常にアカデミックなものでございます。そのようなわけでございますから、ただいたずらにボアホール傾斜計をふやせば、あるいはどういう傾斜計をふやせば、後はもうその変化だけ見ていればいいのだというような考え方は、東海地方なら東海地方の地震を予知しようとするためには、非常に危険な考え方ではないかと思います。  このようなわけでございまして、現在地震予知をやっておりますところは、気象庁、国土地理院というところが非常に重要な基幹的なものであります。水路部なども基幹的でございますが、それ以外は、たとえば官庁関係の研究所と大学とがかなり研究的な立場からやっております。現在人数は、研究関係では大学が圧倒的に多い。ここで、たとえば東海地方につきましても、内陸のほかの部分につきましても、このままでいいのであろうか。それは私が考える役目ではないと思ってもいいのではないかと思いますが、いきなり東海地震の前に内陸に非常な地震が起こったら、やはり社会から批判されるだろう、こう思うと、非常に焦るわけでございますね。東海地方でも、これだけ器械ができたらいいのかと思っても、いいとは言えない。これで万一見逃したらどんなすごいことになるのかと考えると、これはやはり安心しているわけにはいかない。どうしたらいいのか、あるいはどうしたら予知の技術を進めることができるのかという問題ですが、予知には片や研究という面がありますので、非常にデリケートであるという面があります。要するに研究というものは非常に弱々しいものでございまして、気象庁や国土地理院でも研究的なことをやっておりますが、気象庁や国土地理院は非常に業務的なこともやっておりますので、それを両方勘案しながら上手に進めていくということが非常に必要なのだろうと思います。  それでは具体的にどういうことが必要かと言われますと、これは簡単にはお答えはできない、最もありふれた答えを申しますと、ゆっくり時間をかけて、人をふやし、伝統ある研究所を養っていくことが必要であるという、そういうつまらない答えしかできないのでございます。  簡単でございますが、ここまでといたします。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 ありがとうございました。  次に、生越忠君。

生越忠和光大学教授

○生越参考人 御紹介いただきました生越でございます。  私は、浅田先生あるいは力武先生のように地震学が専門ではございません。専門は地質学でございます。地質学の中でも水成岩とその中に含まれておる化石の研究を長らくやってまいりました。しかし、きょうお呼びいただきましたのは、たとえば地震予知連絡会がせっかく特定観測地域あるいは観測強化地域などに御指定なさいました将来地震が起こる可能性が非常にあるようなそういう場所に、やれ原発をつくる、やれ石油のパイプラインだというような計画がございます。そういうことについて、私、かねがね危険性の問題を考えてまいりましたので、そういう問題をきょうは話させていただきたいと思います。  私のような話は、実は前に衆議院で、私の記憶では一度あったというふうに思っております。それは昭和四十七年五月十一日でございますが、衆議院災害対策特別委員会で、地震対策問題について議論されました。そのときにやはり参考人として出席されました東京都立大学の中野尊正教授、この方は専門が地理学あるいは防災地理学というふうに言われておりますが、中野教授がこういう問題についての見解の一端を述べられました。特に強調されましたことはどういうことかといいますと、わが国の原発には建設地が地震多発地帯に選定されているものが少なくない、もし超大型の地震が起こった場合、冷却装置の故障、原子炉の破壊などで新たな放射能被害が誘致される心配がある、こういうふうなことを申されました。さらに中野教授は、いわゆる危険な場所の原発というものを例として幾つか挙げられました。四十七年でございますから、現在十四ございますが、当時はまだ原発の数は少のうございましたが、建設されたもの、それから建設中のもの含めまして、静岡県の浜岡の一号と二号、一号の方は運転中でございます。それから福島原発の一号から六号、これは現在の呼び方で言いますと、福島第一原発の一号から六号、それから福島原発の七号、これは福島の第二原発の一号ということになろうかと思います。それから福井県の美浜の一、二号、こういうところの原発は危ないということで、政府は原発の用地の選定などについてもっと地震学の知識を使って慎重を期せよというような警告をされました。  しかし、中野先生がせっかくそういう警告あるいは助言をなさったのですけれども、その後引き続いて地震が起こる可能性が非常にある場所、特に巨大地震が起こり得る場所にどうも多数の原発がつくられつつございます。これは私がいま訴訟問題に鑑定証人として若干関係しているところでございますが、四国の伊方の原発は、一号が昨年の九月三十日に運転されまして、いま二号炉の建設中でございますが、伊方の一、二号は地震予知連絡会が安芸灘・伊予灘地域ということで、特定観測地域に指定されたところでございます。そのど真ん中に原発を二つつくっておるということでございます。それから島根、柏崎・刈羽の一号、こういうところはいずれも地震観測特定地域に指定された場所あるいはそのすぐそばの場所であるということでございます。それから中野教授が、美浜の一、二号が危ないということを言われましたけれども、美浜にはいま三つございます。これはいわゆる若狭の原発の一つでございますが、そのそばには御承知のように高浜、大飯、こういうものがつくられ、あるいはつくられようとしているということでございます。そういうことでございまして、せっかく地震観測特定地域に指定されているようなところに、そういうこととは関係なしにどんどん原発がつくられつつある、これはいかがなものであろうかというふうに思います。  それから、地震予知連絡会がそういう地域指定をやっていないところでも、たとえば能登半島の先の方には一千万キロワットの大原発基地ができるというような話がございます。たとえば、私あそこにも行ってまいりましたけれども、これは日本で有名な地すべり多発地帯である、それから地盤が軟弱である、断層が多い、その断層は活断層か死断層かはっきりしないというようなところでございます。とにかく慎重に検討を要する場所であるというふうに思います。  それから昨年の十二月に設置許可になりました鹿児島県の川内原発は、地盤が脆弱、固いのですが、もろいという性質がございます。それからひび割れとか断層が無数に走っておりまして、いわば満身創痍のぼろぼろ地盤、付近に、仏像構造線という、東京都の武蔵五日市あたりから始まっておりまして、西南日本を横断しております大断層がやはりそのそばにある。しかしこの仏像線のはっきりした位置を決めないまま安全審査が済んでしまった、こういう状況で、私どもは大変心配しております。  それで、原発の地盤の問題が出てまいりますときに、必ずそこに断層が、多かれ少なかれ日本の地層にはございますが、それが活断層か死断層かなかなかわからない、つまり、活断層という証拠がはっきりしない場合にはあっさり死断層、この断層は死んでおりますということで片づけている例が非常に多うございます。  それから柏崎の原発の場合にはこういう問題がございます。あそこの一帯は、瑞穂・フォッサマグナ褶曲帯あるいは羽越褶曲帯と言われております活褶曲帯でございます。褶曲運動がいまでも行われている、そういう場所でございます。それで断層も非常にたくさんございまして、一番新しい砂丘までずたずたに切られている、そういう場所で、大小の活断層が非常に多うございます。たとえば原発の用地内を真殿坂断層という大きな断層が通っていると推定されるわけでございますけれども、ちょうど砂丘に覆われたところでございまして、従来は今度原発ができますそこの位置には断層は及んでいないように、たとえば二十万分の一の新潟県の地質図などには書かれております。それをいいことにして、十分調査すべきだと思うのですけれども、十分な調査をしていないというふうに私は思いますが、用地内にはこの断層は及んでいないというふうに片づけられております。それから用地の外にございます真殿坂断層というのは、これははっきり活断層でございまして、道路の沈下、それから新築早々の家屋の土台が沈んでしまったとか、底なしの沼があるとか、水たまりが非常に多いとかいうようなことがございまして、どうもその断層に沿いましていまでも土地が沈んでいると考えられる、そういう場所が幾つかございますが、そこのところについていろいろ論争いたしますと、これは断層が動いているのではなくて、沖積層の圧密沈下であるというふうにしてあっさり片づけられてしまって、活断層ではないというふうなことになってしまうわけですね。こういうことは非常に私ども気にかかることでございます。  それから、先ほど申しました伊方の場合なども、伊方の原発用地の前面沖合い数百メートルのところに、小松左京さんの「日本沈没」に出てまいります中央構造線が走っている可能性がございますが、これも四国電力が原子炉の設置を申請する段階では余り十分検討されていなかった。前面沖合い五キロないし八キロのあたりにあると思われる、そういう表現でございまして、ここだという、そこまで調べずに申請書を出してしまいました。そこは先ほど申しましたように特定観測地域でございまして、大体五十二年プラス・マイナス十一年の周期でマグニチュード七クラスの地震が起きておりまして、最近では、明治三十八年六月二日に芸予地震という地震が起きました。これは力武先生の方の御専門かと思うのでございますが、昭和四十八年の六月に根室半島沖地震が起きましたけれども、あの地震を予知したやり方でいけば、伊方の地点も、これはすでに五十二年プラス・マイナス十一年周期をとっくの昔に過ぎております。ことしは一九七八年でございますから、この場所もごく近い将来地震が起こる可能性があるというように、常識的には心配すべきではないかと思います。  しかし、その問題が出てまいりますと、いや、耐震設計を施してあるから地震が起きても大丈夫という答えが返ってまいります。原子炉を置きます基礎の岩石の強度のデータをいろいろ見ておりましたら、どうも実際に原発をつくります地盤というのは、断層があったりひび割れがあったりしまして、それに沿って風化が非常に進んでおったりいたしまして、やわらかいところ、かたいところ、非常にむらになっているわけでございます。原子炉の設置許可の申請書に書きますデータは、どうも新しいところだけのデータをとっているということで、実際は非常にやわらかい、かたいのばらつきがあるのでございますけれども、そのばらつきが実際よりもうんと縮まって出てくるということがございます。  それで、その問題が実は伊方の原子炉差止訴訟の法廷で問題になりまして、私が原告側の鑑定証人、国側の鑑定証人が東大の木村敏雄教授、埼玉大学の小野寺透教授ということで法廷でいろいろ争われたわけでございます。木村、小野寺両教授は、国の方から資金が出ましてボーリングをやりました。そうしましたところが、四国電力のデータとはかなり違うデータが出てまいりました。最高値の方は余り違わないのでございますけれども、最低値が、たとえば原発の炉心部及びそれに近いところの圧縮強度でございますが、乾燥時には、四国電力のデータでは一平方センチ当たり千七十八トンというデータでございますが、木村、小野寺両教授のデータではわずか二百七十八トン。湿潤時、水を含みまして湿ったときのデータで申しますと、四国電力のデータでは最低が七百八十トンでございますが、木村、小野寺両教授のデータでは百七十五トン。大体、最低値が四分の一ないし五分の一ぐらいになっております。これはどうも低い値を切ったという疑いがある。柏崎の場合も、私ども生のデータを綿密に調査いたしまして、あるラインよりも低いデータ、たとえば単位体積重量とか、一軸圧縮強度とか、そういうのが全部切り捨てられて出てまいりました平均値というのは、実際の平均値よりもはるかに高くなっているわけですね。なぜ低い方のデータだけ切ったのだと申しましたら、これはサンプルの扱い方の不備、単純な計算のミスだということだったのでございますが、大きいデータの方は全然ミスがなくて、小さい方のデータだけミスがあったということで、これも私どもを含めまして地元の人たちがかなり心配しているところでございます。  原発の問題についてはその程度にいたしまして、あと、私が現地を見ておりますことを若干つけ加えさせていただきたいと思います。  石油パイプラインでございますが、伊達の火力発電所の石油パイプライン、これは消防法の技術基準では移送取扱所という名前になっております。これは衆議院の島本虎三先生が国会で何回も論陣を張られたところでございますが、ルートが非常に軟弱地盤でございます。それから成田は、土井たか子先生、その他多くの先生方がかつていろいろおやりになったところでございます。これも私、現地をずっと見ておりますが、軟弱地盤で、特に南関東でございますから、地震が起きたときにはどうなるか。いろいろ聞きますと、震度五までならば一応大丈夫だけれども、六とか七になった場合に大丈夫かどうかについては、実はつくる側からは答えが返ってきておりません。こういうことで心配する種があるような次第でございます。  特に成田空港がいよいよ三月三十日に開港になります。いま行われております油の輸送はいわゆる暫定輸送と申しますが、本格パイプラインが三年先にはできることになっております。本格パイプラインの問題につきましてはいろいろ技術基準に合わないところがございまして、すでに埋めてしまったところをかなり掘り起こしてやり直すというようなことに相なっているわけでございますが、本格パイプラインの新しいルートとして、最近新聞などにも報道されておりますように、花見川の川底を通すということになっております。しかし、常識的に申しますと、ああいう川の底というのは非常に厚く沖積層が発達しておりまして、そういうところが果たして地震が来た場合に大丈夫かどうか、これは非常に危ないルートではないかと思います。  これは、私、専門でなくて聞きかじりでございますけれども、東大地震研究所の宇佐美龍夫先生の御研究の結果だというふうに記憶しておりますが、たとえば安政の東海地震の場合に、震源地からかなり遠い富士川筋の甲府であるとか、天竜川筋の飯田であるとか高遠であるとか、ああいう奥の方で震度が六とか七というかなり大きな地震があった。なぜか。これは地震の道みたいなものがある。道は別にあるわけではありませんでも、川筋が軟弱地盤ゆえに震度が非常に高くなるというわけでございますが、こういう過去の教訓に学びますならば、たとえば成田の本格パイプラインの新しいルートにああいう花見川の地下を選ぶというのはどんなものであろうか。私はそういうことを心配するわけでございますが、過去の経験に十分学びまして、安全なところにルートをお決めいただきたいというのが私の願いでございます。しかし、そういう問題についての検討がつくる側には常にないように思いますので、ここで一言その点を申し述べさせていただきました。  その次に、地下鉄の問題がございますが、都営六号線とか営団地下鉄の千代田線というのはまるで地盤の悪いところをわざわざ縫って走っているようなものだというふうに言われております。なぜそうなるかというと、日本の都市というのは外国と違いまして、地盤の悪いところに人間が自然に集まってしまった、足が必要になった、だから鉄道を引く、地上のあれが満杯になったので地下鉄ということで、わざわざ地盤の悪いところを選んだわけではなくても、結果においてそうなったということがございます。  東京の地下鉄は、いま九号線までできておりまして、十号線は建設中、十一号線も建設中でございますが、実は九号線までの間に運輸大臣から免許すらおりていないのがございます。これは地下鉄七号線でございます。この車庫引っ込み線がちょうど赤羽の西の方にできることになっているのでございますが、ここにルートを引くべきかどうかにつきまして地元でいろいろ論争がございまして、私と東京都交通局の西野さんという方が北区議会の委嘱で調査いたしました。これは昭和四十九年のことでございます。ここはだめだ。何となれば、昔の地形を復元してみますと、昔たんぼや沼だったところ、山の手台地のうちの本郷台と呼ばれる地域を浸食して流れている昔の川の跡の低地でございまして、当然地盤は悪いわけでございます。そこにロームの捨て土などで盛り土をしたり埋め立てたりして現在の都市をつくっているわけでございますが、当然のことながら地盤の悪いところでございます。それから、そばにいろいろ建築物がございまして、たとえば北区の総合体育館であるとか、そういう建築物をつくりますときの基礎地盤調査のデータがございますので、それをありったけ集めてみましたところが、やはり軟弱な腐植質の粘土が主体になっておりまして、脱水するとたちまち地盤沈下を起こすような場所であるということがございましたので、私は四十九年七月に北区議会議長あてに、ここは営団地下鉄七号線の車庫引っ込み線としてルートにすることは不適当であるという考え方を出しました。しかし、沖積層にちょっとかかったらもうだめだというのだったら、東京の中で地下鉄を引くところはないじゃないか、そういうことを言ってもらっては迷惑だというようなおしかりが大分あったわけでございます。  実は、私が四十九年七月段階で申しましたことに対して、その後、東京都防災会議地盤地質小部会というのがございますが、ここで昭和五十年四月三十日に東京二十三区内の地表に近いところの地質の分布の地図を出しまして、それで各地層が地震が起きた場合にどういう揺れ方をするかというようなことまで添えた地質図を出したわけでございますが、私が指摘いたしましたように、地下鉄七号線の車庫引っ込み線のところは腐植土の分布地域であって、下町低地よりもさらに大きな地震の被害が予想されるところである。一番強いのは砂、その次がローム、それから粘土、腐植土、一番悪いのが泥炭ということでございます。これは私の結果を防災会議が御追認くださったというわけでございますが、こういう結果が出ておりますのにまだ計画をやめていないということは一体いかがなものかというふうに思います。  時間がございませんのであと一つだけ申し述べさせていただきますが、神戸市の須磨区白川台というところにいま神戸市は第六次の環境工場、要するにごみ焼き工場をつくる計画が進んでおります。私も機会がございましてここの環境工場の敷地になる場所の地質調べを若干いたしました。おととしの暮れの話でございます。そうしますと、敷地のがけにこの辺としてはかなり大きな断層が明瞭にございました。活断層か死断層かということはちょっとわかりませんでしたけれども、六甲山系のあたりからずっと神戸の市街地にかけてございます断層の中には活断層であることが確認されているものがたくさんございまして、地震が起きた場合にはかなり被害が出るだろうということは常識的に考えられます。ところが、このごみ焼き工場の環境アセスメントでは、窒素酸化物がどうの、それから亜硫酸ガスがどうのということについてのアセスメントは若干いたしておりますが、あるいは光化学スモッグが出るか出ないか、出るとすればどの程度かというような話はしてございますが、地盤調査は全然手抜きでございます。なぜ手を抜いたかということでいろいろ地元の方でも議論がございまして、そこを開発主体の方に問い合わせてみましたところが、そばを通る山陽新幹線の調査のときには断層の存在が報告されていなかったので断層があるとは思わなかった、だからないのだ、しかしあるじゃないかということでいろいろ議論があったのでございますけれども、あるぞと言われても調べようともしない。それで、その後どうなったかということをついこの間聞いてみましたら、がけの露頭が隠れてしまったということで、いまは証拠がないというようなことでございます。  そういうことを見ておりますと、私は地震の専門家ではございませんけれども、地震の起きる可能性、あるいは先ほど浅田先生から言われましたように地震の原因となる活断層の存在、そういうものについてどうも余り十分調査することなく、特に先ほど私が何回も申しておりますように、地震予知連絡会がせっかく特定観測地域あるいは観測強化地域などに御指定になられました場所のど真ん中にそういう危険なものが平気でつくられつつあるというようなことですね。あるいは地震道になりそうなところにたとえば成田の本格パイプラインがつくられようとしている。それから地震が起きた場合には、主に粘土層からできております下町の低地よりももっと危ないと言われておる山の手台地を切り刻んでいるもとの川のルートの下を二十メートルほど掘りまして地下鉄の路線にするのだとか、どうも私ども地質の側から見ますとこれは非常に危険なことではないかということで、特にばらばら行政と申しますか、これは地熱発電なんかでも通産省はやれと言い、環境庁はだめと言い、いろいろ政府の中でも対立がございますけれども、そういうばらばら行政ですね。地震予知連絡会が言っていること、パイプラインとか地下鉄、原発など、地震が起きた場合には非常に大きな被害が出る可能性があるそういうものをつくる場合に地震の問題を避けて通っているようにしか思えないような建設計画が多々見られる、このことを私は主張いたしたいと思っている次第でございます。  時間が大体参りましたので一応その程度にとどめさせていただきたいと思います。どうもありがとうございました。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 ありがとうございました。  次に、力武参考人にお願いいたします。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 私は浅田参考人とほぼ似たような立場でございますので、なるべく重複しないようにして意見を申し述べたいと思います。  まず、日本の地震予知計画でございますけれども、一九六五年に始まりまして、現在までに約百五十億のお金が十二年間に投入されております。大した金ではないではないかという話でございますけれども、もともとじみな地球化学でございますので、これは大変なインパクトになりまして、非常な進展を見せております。また公務員百人程度増員というようなこともございまして、これは国会、政府ともに非常な御努力があったものというふうにわれわれは非常に評価をしている次第でございます。  日本はそういうわけでございますけれども、せっかくの機会でございますから、国際的にはどうだということを簡単に申し上げておこうかと思います。  まずアメリカでございますけれども、アメリカは一九六四年、アラスカの大地震マグニチュード八・三というのがありまして、えらい騒ぎだったわけですが、それまではほとんど地震予知計画なるものはなかったわけであります。日本に教わりまして始めました。いまではカリフォルニア州、ネバダ州等にわたりまして、相当密な観測網が張られております。ある面では日本の観測を凌駕している面もあるかと思います。予算的にはほぼ日本と同じ程度であるというふうに言えるかと思います。アメリカの地震は、カリフォルニアのサンアンドレアス断層という断層沿いに皆起こりますので、日本よりむしろ始末がよろしいようでございます。  それからソ連でございますが、ソ連は、タジク共和国のガルムというようなところ、つまりヒマラヤの裏側のようなところですが、タシケントであるとかアシュカバードというようなシルクロード沿いの都市がよく地震で壊滅いたします。そのために地震予知の努力を非常に払っておりまして、非常にユニークな結果が出ております。また、カムチャッカ等においても、いわゆる海洋性の巨大地震の予知に努めているという話でございます。  最近クローズアップされておるのは中国でございまして、私は行ったことがないのでございますけれども、いろいろ、行かれた方あるいは中国の使節団、あるいは国際会議等で会った中国の人等の話を聞きますと、大変な規模で地震予知の努力が行われている。数百人の科学者が、数千人の技術者、工作者等の援助を得て、たとえば二百五十の地震の観測所があって、また観測点が五千点もあって、そこで年じゅう観測をしているのだという話でございます。それで、現実に一九七五年二月四日の遼寧省海城地震、これはマグニチュード七・三という破壊的な地震でございますが、数時間前には退避指令が出て多くの人命が助かったということがございます。その後、二、三の破壊的地震が予知されているのだという報告もございます。  以上、地震予知においていまの四つが四大国でございます。こういうところの知識を総合して地震予知を進めようではないかという努力が国際会議——国際地球物理学連合というものがございますけれども、そこに地震予知の委員会を置いていろいろ相談をしているわけでございます。これは学術会議系統の集まりでございますので非常にお金がないわけでございまして、目ぼしいことはできておりません。しかし、昨年あたりからユネスコが中心となりまして、地震の問題を取り上げるようになりました。これは政府が出資しておるものでございますから、財政的にもかなり強力でございます。そこで寄り寄り相談をいたしまして、来年の四月には、一週間にわたりましてユネスコ本部におきまして地震予知問題の討議を行う。この場合には、その科学的な面、自然科学的な面と社会科学的な面と両方やろうではないかということになっております。日本からも関係機関の方が参加されることが大切であるというふうに私は思います。  その会議が終わりました後では、重立った人が残りまして恐らく関係諸国に対する勧告がつくられると思います。たとえば、非常にお金が要る問題でございますから、発展途上国ではなかなか地震予知というわけにはまいりませんので、いまの四大国を中心にしてチームをつくりまして、たとえばトルコであるとか——トルコは非常に地震活動の高いところでございますが、そういうところに派遣をして地震予知の腕をみがこうではないかというような話が出ております。  というようなわけで、日本だけではなくて国際的な成果といいますか、そういうものを全部総合いたしまして、十五年ぐらい前に地震予知計画を始めましたときには夢物語に近かった地震予知の手順といいますか、そういうものが浮かび上がってきたわけでございます。これは浅田参考人のお話もございましたけれども、私の私見も交えまして簡単に申し上げますと、まず長期的なやり方がある。これはたとえば巨大地震の繰り返しというようなことでございます。これは一九七三年のこの委員会におきまして、私は参考人として出頭いたしまして、どこが危ないんだというお話がありましたときに、根室沖と遠州灘であるということを申し上げました。その後一、二カ月たちまして根室半島沖に地震が起こりまして、一応地震予知というものもまんざらではないという評価を得たと思います。これは地震学者みんなそう思っていたことでございます。遠州灘の方は依然として残っておるわけでございます。そういう単なる巨大地震の繰り返しだけでは頼りないので、さっき浅田参考人が申し上げました測量を繰り返して地殻のひずみをキャッチする、これは大変大事なことでございます。そのひずみの程度を知りますと、地震がどのくらい起こりやすいかというような確率というようなものを計算することができる。残念ながら東海地域におきましてはその確率は非常に高くなっております。それに反しまして、南関東においてはまだまだ低いというようなことが言われておるわけでございます。  ただいま申し上げたようなことは、天気予報で申しますならば長期予報でございまして、地震が起こるという徴候を具体的につかまえたということにはなりません。ですから、東海地域におきましても、われわれの知っている限りにおきまして、地震が起こりますよという具体的な徴候がまだ見つかってはおりません。あるいは海底に出ているのかもしれぬ、観測陣が手薄であるから見つかっていないのかもしれぬ、そういう懸念はございますが、現在のところは地震予知連絡会の方々は多分皆さんまだ見つかっていないというふうに御判断になっているというふうに思います。  ところが、具体的に徴候が出ることがあるわけでございまして、たとえば一九六四年の新潟地震の前には一九五五年ごろから異常な隆起が起こり出したということがあるわけでございます。そういう破壊的な地震、マグニチュード七・五でございますけれども、そういうものになりますと、七年も八年も前から何か異常なことが起こるというようなことは大変大事なことであると思います。  そこで、そういう地震の先行現象といいますか、そういうものを全部報告されているものをできるだけ集めまして、異常が起こってから地震が起こるまでの時間、これを先行時間と申しますが、この分布を調べてみたわけでございます。そういたしますと、まずいまの異常隆起のように大きな地震ほど先行時間が長くなるものがあるということでございます。マグニチュード七ですと三、四年、六ですと数カ月、極端に言ってマグニチュード二というような非常に小さな地震になりますと一日か二日というようなことがわかっております。こういうようなものを私は第一種の先行現象であるという名前をつけたのですが、こういうものは、さっき浅田参考人のおっしゃいましたダイラタンシー理論といいますか、そういうもので説明が一応できるわけでございます。これのほかに第二種といいまして、これも先ほどお話がございましたが、海岸線の水がさっと引いてしまう。これは局地的にそこの海岸が隆起したわけでございますが、二、三時間前にそういうことがある。これは油壺に設置してあります土地の電気抵抗を連続観測している器械がございますけれども、これなんかではしばしば四時間ぐらい前から変化をキャッチしております。これを第二種といたします。そのほかに、前震であるとか——大きな地震の前に小さな地震が起こるわけですが、それから土地が傾くというような現象がございます。この方はどうも先行時間とマグニチュードとの関係がはっきりしないのでございますけれども、大きな地震、マグニチュード六以上のものについてやってみますと、どうも数日前にピークが出るらしい。これはいささかブロードではありますのでやや頼りないのですが、そういう第三種といいますか数日前のものもあるようであるというふうに思います。  そこで、以上を総合いたしまして、地震予知の手だてとしては次のようなことが一応考えられるのではないかと思います。  まず、天気予報の長期的なものによりまして確率が高くなっているところでは一生懸命観測をするのです。そういたしますと、第一種の先行現象が出まして、それから大きな地震ですと何年か先ということになるわけですが、さらに、うまいことには、異常隆起なら異常隆起の広がりを調べますと、その広がりの範囲といいますか、マグニチュードの大きな地震ほど広がりが広いということになります。ですから、その平均の半径のようなものを仮に計算できたといたしますと、それをさっきの第一種の先行時間とマグニチュードとの関係に当てはめますと大体何年先ということがわかります。そのころをねらいまして盛んに観測を集中強化しておりますと、第三種の数日前を経て第二種数時間前ということでそれ逃げろということができるかもしれぬというふうに思っているわけでございまして、まさに中国の海城地震はそういうような段取りで予知されたようでございます。  ここで注意しなければいけないのはノイズの問題でございまして、何か変動が出たといたしましても、それ一つだけを見ておりますとこれはノイズであるのか本物であるのかわからないわけですね。本当は地震が起こってみないとそれがシグナルであったということがわからないことになります。これでは困るわけでして、全く独立にいろんな種類のものを観測してそれが一斉に変わったというようなことで物を言わないと、これは空振りに終わるおそれがあると思います。それから、この間の伊豆近海の地震でもわかりましたけれども、地震によってはある要素はよく変わるけれどもある要素は全く変わらない場合がある。どうも地震にいろいろ癖があるようでございまして、この辺を突きとめなければいけないというふうに思います。というわけで、おぼろげながらそういう地震予知ということが現実の問題となりつつあるわけでございます。  そこで、どうやって予知するかというその体制の問題でございますけれども、現在、地震予知連絡会、それからその下部機構でございます東海地域判定会というものが設けられております。しかしながら、これは皆さんパートタイムでございまして、いわゆる責任体制というふうにはまいりません。私も大学で学生を教育して給料をもらっているわけでございますからそちらが主になるわけでございます。というわけで、これではやはり国会を初め社会の要請には十分おこたえできないのではないかというふうに思います。ですから、その点は、早急にというわけではございませんけれども、大所高所からの議論を尽くしまして、しかるべき体制をとるということがやはり国民の要望にこたえるゆえんであろうというふうに考えております。浅田参考人からも日本全体としては非常に心細いというお話がございました。私も同感でございまして、日本全体をカバーするためには、現在のマンパワーの簡単に言えば十倍、お金も十倍というようなぐあいにふやさないと、これではしようがないのだろうと思います。ですからそういう専門家の教育養成も非常に大事であるというふうに思います。  次の問題は、それでは予知をしたらどうするのだという問題でございますが、これは東海地域判定会ができる前に非常に深刻な議論が学者の側と行政の防災担当の側との間に行われました。学者といたしましては、つまり予知は純粋に科学的、技術的になすべきものであるというふうに思っているわけでございます。社会の反応まで気にしますとこれは判断を誤るおそれがあるというふうに思います。つまり、たとえば卑近な例で申しますと、伊豆地域の観光業がダウンしてしまうだろうからここはちょっと抑えておこうというような判断をしますと、これは非常に正しくない判断に結びつくおそれがございます。そこで、純粋に科学的、技術的に行った予知情報を政府のしかるべきところにお届けし、そこで行政判断を加えて、これは出すとか出さないとかということをやるべきではないかというのが私の意見でございます。  また同時に、どうやって警報を出すかというところもまだまだ研究が足りない面があると思います。つまり、どの時点でたとえば原子力発電所をとめるんだとかあるいは新幹線をスローダウンするんだというようなことは、これはまだよくわかった問題ではないと思います。これは地震学者の手を離れまして、社会学者、社会心理学者あるいは行政、立法の方々の御判断だろうと思いますけれども、これもただ空で考えてはいけないわけでして、実際にいろいろな調査を行いまして、たとえばシナリオをつくりまして、そのシナリオをもって、地震の脅威のあるところの責任者の方々、公共事業体であるとかそういう方々の御意見を伺いまして、私のところはこうする、私のところはこうするんだというようなことを総合して、社会の反応を的確に把握して、こういうことが起こるからこういう時点でこういう発表をするんだというようなマニュアルをちゃんとつくっておく必要があると思います。  そういうわけで、地震の予知の問題は、まず地震の原因という非常に基礎的な問題から始まりまして、地震予知の実用化という具体的な問題、さらにはそれをどうやって警報に結びつけるかという、これは社会科学的な問題等を全部含めて議論しなければいけないわけで、大変広範囲な問題でございますが、国会等におきましても十分に論議をしていただいて、国民の生命、財産が救われるというふうにしたいというふうに考えます。  以上でございます。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 ありがとうございました。  以上で各参考人の御意見の開陳は終わりました。     —————————————

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。原田昇左右君。

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員 参考人の方々、お忙しいところをおいでいただいて、大変貴重な御意見をちょうだいいたしましてありがとうございました。  若干の問題について、これから参考人にお伺いしたいと存じます。  まず、生越参考人からお伺いしたいのですが、生越さん先ほどおっしゃっておられましたが、御専門は水成岩であり、化石の研究をやってこられたというふうに承ったわけでございますが、地震については御研究なり何かされたことがあるのでございますか。

生越忠和光大学教授

○生越参考人 先ほど自己紹介のときに申しましたように、専門は先生のおっしゃったとおりでございまして、地震そのものについての研究は、研究者としてはございません。ただ、地盤の上にいろいろ建造物をつくりますが、そのときにやはり地震発生の可能性、その可能性が、やはり断層で活断層があるかどうかという問題になりますので、そういう問題につきましては、これは私の昔からの専門の一つとして、いわゆる地質調査ということをずっとやってまいりましたですから、その方はやっております。ただ、どの程度の大きさの断層があればマグニチュード何ぼの地震が起きそうかというようなことにつきましては、これは私、全然素人でございますので、やっておりません。

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員 パイプラインとか原子力発電所が非常に危険だという非常に重要なお話だものですから、私も若干これはお聞きしなければならぬと思ったのでございますが、活断層があれば危険度が高いというのはよく言われることでございますけれども、活断層と活断層でない断層、どういうように観測し、判定されるのですか。

生越忠和光大学教授

○生越参考人 活断層と申しますのは、第四紀という地質年代がございます、大体二百万年前からの時代でございますが、二百万年以来この方の間に一度でも動いたことのある断層は一応活断層という、という定義がございます。ですから、第四紀の地層、二百万年前から今日に至るまでの間にできました地層、この年代は、私の専門の方でございます化石などがございました場合には、これはわかります。それから、うんと新しい地層につきましては、これは放射性炭素である程度見当がつけられることもございます。  そういうことで年代を決めるということができました場合は、たとえばこの地層はいまから何万年前とか、それからたとえば何十万年前とか、そういうことがわかりました場合には、その地層を切っている断層であれば、その地層ができた後に断層ができたわけでございますから、たとえば三十万年前の地層ということがわかりまして、その地層が断層で切られていれば、これは三十万年よりは新しい時代にその断層運動が起きたということになりますので、地層の年代が決まりさえすれば、先ほどの定義に従った活断層であるかどうか、これはわかるわけでございます。  ただ、私の恩師でございます大塚弥之助教授、東大の理学部地質学の、いまは亡くなられましたが、かつての教授でございました。この大塚教授の定義の中に、明治以来動いたことのあるやつを活断層と言ったらどうかというようなことを言われたこともございましたが、いま普通に言われております活断層の定義というのは第四紀以降この方動いたことのある断層、ですね、そういう新しい断層はこれからも動く可能性があるので要注意ということであろうかというふうに思います。

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員 いまのお話で、数百万年あるいは何万年に動いたことがあるという程度の話でございますが、地震が起こるか起こらないかというのはここ百年か何かの話でございますので、果たして活断層なら非常にこわいということになっちゃうのかどうか、その辺よくわからないのですが、浅田教授、いかがでございますか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 地震予知のうちで、活断層のことは地質学者の役目ということになっております。それで、私もそう非常によく知っておるわけではないのですけれども、たとえば、ある活断層はつい去年地震が起こった、あるいは二十年前地震が起こったとすると、その活断層は安全なのであって、そのそばに家を建ててもいい、こういうふうに私は思っております。  ただ、気をつけなければならないことは、たとえば伊豆半島みたいに非常にたくさん活断層がありますと、この活断層はもう済んだ、けれどもすぐそばにまだ済まないのがあるということがあるので、そういうのはやはり危ないと考えております。  ですから、活断層は非常に正直に言いますと地震の種でございまして、これはもう間違いがない。ただし、この種は、あと数百年後に地震が起こるものと、あと数十年で起こるものと、あるいはもしかしたら数年で起こるものと、残念ながら余り区別がつかないので、そういうことを考えながら、日本は活断層がいっぱいあるのでございますから、いろいろな計画を進めるのがいい、そういうふうに考えております。

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員 いまのお話を聞いて安心しました。日本じゅう活断層だらけというようなことで、日本じゅう家も建てられないということじゃ大変だと思ったのですが、要するに、活断層はよく調査はしなければいけないけれども、その上に建てるのでなければ別にそれほど問題はないというようなことではないかと思うのです。問題は、地震が起こる場合の建物の耐震性ということになるのじゃないかと思うのです。  そこで、先ほどの生越さんのお話では、その辺が余り詰めがなくて、ただ地震強化地域なら危ない、観測強化地域なら危ない、ここなら危ないというように申されますと、私のところなんか静岡県なんでございますが、静岡県は観測強化地域になっていて、もう全部何も建てられないというようなことになってしまうと、これは大変な騒ぎが起こるわけでございまして、発言されるについてもう少し慎重にひとつおっしゃっていただきたいと希望する次第でございます。  それからまた、耐震構造等についてはそれぞれの専門分野があるのではないかと思うのです。いまの地層の御研究からどういう立場でそういうことをおっしゃるのか、私もちょっと理解に苦しむものですから、一言お伺いします。

生越忠和光大学教授

○生越参考人 耐震設計問題につきましては、これは工学分野でございますので、私は素人も素人も大素人でよくわかりません。しかし、耐震設計をつくります場合に、やはりもとになる岩石の強度の試験がございます。これは地質学者は必ずしもやっておりませんで、むしろ土木と地質学の境界領域をいくような、たとえば土木研究所とかそういうところの地質学者、あるいは工学部を出ました土木学者、これがいろいろやっているわけでございます。私がいろいろ調べてみますと、たとえばボーリングの位置がちょっと違いますとすぐ岩石の強度が非常に違ってくるというようなことがございます。これはボーリングのデータが正しいとすれば場所ごとに地層の性質に非常にむらがあるということになりますので、これは非常に危ないわけでございますね。やわらかいならやわらかいなりにむしろ均質であればまだいいんですが、かたいのとやわらかいのとがごちゃごちゃにまざっているとか、それから断層やひび割れがたくさんございましてそれに沿って風化が非常に進んでいるというようなことがありまして、そういう性質をよく見きわめませんと実は耐震設計ができないと思います。これはごく常識的なことでございます。ところがそういうデータが人によってあるいはときによって、ボーリングならボーリングをやったときによりまして非常に違った値が出てくる。先ほどもちょっと伊方の原発の炉心近くの圧縮強度の数字を出しましたが、四国電力の数字と国側の鑑定人が新たにボーリングをやったときにはかりましたデータは、最高値は大体似ておりますが、最低値は非常に違うというようなことがございまして、どうもこれはデータを本当にありのままに出したのかどうかということがやはり疑われてくるわけでございますね。その辺のところが実は裁判で問題になりまして、伊方の原子炉の安全審査の場合に地震学者がタッチしたのかどうかということが問題になりました。そういたしましたところが、これははっきりしたことなんでございますが、いま三陸に行っておられますが、元の気象庁観測部の木村耕三部長、この方が一応専門委員になっておられたんですが、一度も御出席にならないで、耐震構造の御専門と言われている東大の大崎順彦教授が、あるときにはたった一人で部会を開かれまして、一人でそういう問題を決められたというようなことも明らかになり、このことは法廷の記録に明記されているような次第でございます。そういうことがございますので、そういう問題をもっと慎重にやってほしいというふうに私思いましたので、先ほどお話ししたようなそういう内容の見解を私として申し述べさせていただいたわけでございます。  ですから、活断層からそれればいいじゃないかというお話もございました。日本は活断層だらけでございますから、先生おっしゃいますように心配しておりましたらそれこそどこにも住めないということになるかと思いますが、離れれば安全かといいますと、やはり活断層の大きさ、それによって起こり得る地震の大きさ、それによりましては離れておってもかなり危ない。たとえば、先ほどちょっと申しましたけれども、富士川筋それから天竜川筋では、安政の東海地震のときに震源地からかなり離れておる山奥の方でやはり震度六とか七とかいう記録があったということもございます。それから先ほど伊方の原発のことをお話ししましたが、昭和二十一年の南海地震のときに、伊方の原発がございます愛媛県の佐田岬半島の海岸が非常に短期間に六十センチぐらい沈下したという記録もございます。佐田岬半島の南の方の宇和海、それから北岸の伊予灘の方、両方とも三百キロ以上離れました地震によってやはりその程度の大きさの、まあ南海地震は非常に大きい地震でございましたけれども、三百キロ以上離れておりましてもそういう地盤の沈降のようなことがある。ですから、離れればいいという問題ではないのではないかというふうに思います。そのことをちょっと申し述べさせていただきました。

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員 いまのお話で、離れればいいというように私は申し上げたわけではないのですけれども、それは軟弱地盤のところであれば、震源地からかなり離れても震動はかなり強く出るということはこれは当然なことだと思うのです。しかし活断層というのは、いつ地震が起こるかどうかわからないような、数万年に一回起こったか起こらないかというのをもって危険だ危険だと言われたのじゃたまらない、こういうことを申し上げたつもりでございます。その辺はぜひしっかり科学的に専門の立場に立ってひとつ御発言をいただかないと、いたずらに民心を不安に陥れることになるのではないか、こういうように思うわけです。  そこで、何はさておいて、地震予知ということが正確にでき、しかも規模とかあるいは範囲とか時間、どこでということができるだけ正確につかめるということが何といっても一番大事なことだと思うのですね。数百万年の昔に活断層ができたからそこは危ないなんというような単純な話ではないだろうと思うのです。その辺について、ひとつ力武先生からお話を承りたいと思うのです。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 地震の予知という事柄は、ただいまお話のありました地震の規模といいますか大きさ、それから場所、それから起こる時期というものをちゃんと言わないと意味がないものでございます。  まず、その場所でございますけれども、たとえば中国の例を見ておりますと、予報の出し方というものが日本の半分ぐらいの面積のところに地震のおそれありというのを出すわけでございます。日本で言いますならば、たとえば北日本に地震があるというような言い方をしているわけでございます。これは日本に当てはめますと全く意味のないことでございまして、そんなことを言われてもこれは予知と言えるしろものではないわけでございます。中国では事情が違うようでございまして、一面の農村地帯ですから、雲南省なら雲南省の半分ぐらいのところにそういうものを出しましても、農家の方が二、三日外へ退避しているという程度で実害がほとんどないわけでございます。日本はいろいろな工業その他がございまして、そういうものを、日本の半分ストップさせるというようなことは常識的に考えて無理だというわけでございます。せめて県単位といいますか、五十キロ掛ける五十キロぐらいのところで口をきかないとこれはどうも実用的な予知とは言えないわけでございます。そういう方向で予知関係者は努力をしているわけでございます。  それから規模といいますか地震の大きさ、マグニチュードでございますけれども、これは先ほどちょっと触れましたけれども、場合によってわかるといいますか、見当がつくことがあるわけでございます。つまり大きな地震ほど異常なことが起こる範囲が広くなるわけでございます。それをつかまえますと、これはマグニチュード八ぐらいだろう、七ぐらいだろうというようなことが言える場合がございます。たとえばいまから約十年余り前に長野県の松代地区におきまして群発地震が起こりました。一日に六百回も有感地震が来るというような大変な事態になったことがございます。そのときにわれわれは北信地域地殻活動連絡会というのを設けまして、そこの見解としていろいろなことを気象庁を通じて発表したわけでございますけれども、マグニチュード六以上のものは起きませんということをしばしば繰り返して申し述べました。というのは、おかしくなっている範囲がどう考えても半径数キロメートル以下である。そういたしますとそこに全部エネルギーがたまっても、それで一発で出ましてもこれはマグニチュード六にならないわけでございます。ですから、そういう情報を相当な自信を持って出すことができまして、これは民心安定に非常に役に立ったと思います。というわけですが、あらゆる場合にマグニチュードがわかるかといいますとこれは必ずしもそうではないわけでございます。現にこの間の一月十四日の伊豆大島近海の地震につきましては、あの辺でマグニチュード七というような大きなものが起こるとは、恐らく萩原連絡会会長を初めだれも思っていなかったのではないかと思います。そういう点、まだまだ足りない点がございます。  それから、起きる時期でございますけれども、これは先ほど非常に楽観的な、いわばバラ色の夢の地震予知論を申し上げたわけでございまして、予想できる場合もあるということでございます。しかしながら、地震にはいろんな地震があるようでありまして、実はまだ日本では非常にきちんと時間を予知してみせたことがないわけでございますから、余り大きな声では言えないわけであります。しかしながら、たとえば南海地震のようなものは一九四六年にあったわけでございますけれども、それから現在まで三十年余りでございますか、あの辺にマグニチュード八というようなエネルギーがたまってはいないだろうと信ずる理由がございますから、あの辺はまだ数十年は先だろうというふうに思うということでございます。ただ、遠州灘、駿河湾方面につきましては、確かに土地がひずんでいる、沈下している、それから地震活動の大きな空白地帯がある、いろんなことがございます。そして特に、平均百十何年かで大きな地震が繰り返し繰り返し起こっているにもかかわらず、もう百二十三年たってしまっているのにまだ発生を見ていないというような意味で、これは非常に素朴に考えても、そこには大きなエネルギーがたまっているだろう、こう考えざるを得ないわけでございます。ですから、大きな地震マグニチュード八というようなものにつきましては、かなりの確度を持って——確度と言いましても年とか数年というような幅になりますけれども、その起きる時期を予想をすることができるようになりつつあると思います。そして、直前の数日から数時間前というようなことも、後から見た範囲においては全く言えないというわけではない、そういう程度でございまして、必ず言えるというところまで現在はいっていないというふうに思います。以上です。

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員 そこで、東海地域を仮に例にとりますと、いろいろいま政府並びに大学研究機関の御努力でいろんな観測計器が配置されつつあると思うのでございますが、先ほどのお話もございましたように、器械についても新しいものがどんどん出てきておる。それから、研究の人の養成も大切だということ、まことにごもっともだと思うのです。  そこで、さらにこの完璧を期していくために、もっともっと観測強化地域については観測網をきちっと整備する必要があると思うのです。しかも、総合的にこの地域には容積ひずみ計を配し、ここはラドンの計測をやるとか、ここは微小地震計とか、何か総合的な計画をつくる必要があるのではないかと思いますし、またその観測強化地域でないところにも適切な配置が要るのだというお話でございますので、そういうものを全部取り上げて観測網を総合的に整備する。それから、いまそういう考え方で見た場合に、いまの現状が果たしていいのか悪いのかということについて十分であるかどうか、量あるいは質の面、そういう面でどうかという点について浅田先生の御意見を伺いたいと思います。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 たとえば逆説的に申しますと、われわれが何百年も生きまして東海地震を何回も経験するとしたら、本当に要点にある種の器械を幾つか置くだけで非常に的確な予知はできるかもしれない。しかし、何しろそれは初めてのことでございますし、それから、もし予知をし損なうと非常に重大な影響がございますから、そういう点から際限なく濃い密度とは申し上げませんけれども、たとえばいろいろな計器、ことに地殻変動関係の計器はもう少し密に置いた方がよろしい。それから、たとえば比較のために地震の起こらなさそうなところにも置いた方がよろしい。それから測量の繰り返しも、可能な限り密度をふやして回数をふやした方が望ましい。ただし、これは一週間ごとに繰り返しても意味がないことでございますから、その精度と見合わして意味のある間隔で繰り返すことが望ましい。それから地震網、たとえば大学関係の微小地震観測網がございますが、たとえば伊豆半島はその管轄地域の境目になっておるわけでございますね。そういうことはちょっとばかげたことであるので、たとえば大学間のネットをつなげるか、あるいはさらに、いろいろな機関によってたくさん観測点をふやすとかいうことが望ましい。どこまで置けばよろしいかということについて必要十分ということにつきましては、何しろ初めてのことでございますから、そう論理的に明快にお答えすることはできない。ただもう少し——あるいはもう少しと言ってはいけない、大いに密度が高いことが望ましいというようなことは、抽象的にだけ、定性的にだけ申し上げることができるわけでございます。

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員 たとえば伊豆のこの間の地震で、初め大島近くに震源地があって、これはある程度予知というか警報のようなものが出たわけですが、実際は震源地が何か大分北に寄ったというようなあれがありますが、ああいった点は、ある程度観測網をもう少し整備すればやれたかもしれないということでございますか、どういう御判断でしょうか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 力武参考人もさっき申されたのですけれども、あれは観測網があっても多分しくじっただろうと思います。ただ地震が起こるということはわかったと思うのですけれども、こういうことは考え方の歴史の問題で、やはり盲点というものはあるものでございますから、伊豆半島の中まで余震といいますか、断層が延びているということは恐らくしくじったのではないかという感じがいたします。

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員 そうしますと、観測網を整備いたしますのに大学の分担するところとかあるいは気象庁の分担するところ、国土地理院の分担するところ、いろいろあると思うのでございますが、こういった情報をやはり一本に集中するということが非常に大事だと思うのですね。分担計画を決めて、これはこういう計器で皆さんやってくださいというのと、もう一つ情報集中するのと両方あると思うのですが、情報はいま気象庁に集中しようとしておるようでございますが、この点についてはいかがでございますか。力武先生と浅田先生と両方からお聞かせください。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 たとえばラドン濃度でございますけれども、あれは非常に正直に申しますと、記録をぱっと見ただけではわからなかった。これを記録を十分の一ミリの目盛りで一生懸命に見まして、それを時間を縮めましてそれで描き直して非常に見えるようになったわけでございます。つまり、いまあるものをそのままたとえば気象庁にテレメーターしても気象庁の人は迷惑だろう、こういうふうに考えております。ですから、今度の経験に基づきましてそういう点を改良いたしまして、そのあげくに大した費用もかからずテレメーターできるようにまとめたい、そういうふうに考えております。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 ただいま東海地域のデータは気象庁の地震課というところにいわゆるリアルタイムで時々刻々出てきているわけでございます。それから一たんほかの、たとえば国土地理院等に入ったデータは国土地理院を経由してまた気象庁に送られるという計画が、全部完成しておるわけではございませんが計画されております。その全体の計画というのは、文部省に測地学審議会というのがございまして、そこで立案をしてやるわけでございます。ところが、気象庁としては大変なお役目だと思いますが、地震観測以外の業務もございますことですから、全くそれだけを見ているわけではないのではなかろうかというふうに私は推察をしておるわけでございます。相当高度な経験を持った方がこのデータ全部をいつもごらんになっているという体制にしないことには、やはりひょっとすると見落としがあるかもしれないというふうに思います。ですから私が冒頭のお話で申し上げましたように、責任体制といいますかそういうものはやはり徐々にではあるけれども考えていかなければいけないだろうというふうに考えておる次第でございます。

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員 私、この前中国へ参りましたとき、地震学会の会長さんとお会いしていろいろな話をしましたけれども、中国で動物の異常行動とか、雲とか、井戸水とか、こういったものも民間の情報として総合判断の中に入れておるんだということを言っておりました。先ほどの海城地震は予知できたけれども、唐山地震は全くそういう前兆現象がなくて起こって、大変な被害を受けたということを聞いたのです。こういう民間の方にいろいろ協力してもらうというのは、もしその情報が有効であれば非常にいいことじゃないかと思うのですが、これについて力武先生、いかがでございましょうか。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 中国のお話は中国に行かれたことのある浅田参考人の方がよろしいかと思いますけれども、私は中国の人に、中国ではないのですけれども、別のところで会ったときに、いろいろ話を聞いておりますが、民間のそういう情報は大いに奨励しているのだそうでありまして、そのことは私も大変結構なことであるというふうに思います。ただし、実際にやっていることを拝見いたしますと、これは中国でおつくりになった「海城地震の予知」という映画がございますけれども、その中で一般の方がおやりになっていることを見ますと、残念ながら非常に正確な測定法ではない。ああいうことで予知ができるなら苦労はしないというふうに私は見ております。中国の方に伺いましても、アマチュアはこういうふうにやっているんだと、暗にプロは違う手だてを使っているというふうに聞こえました。  ただし、話によりますと、たとえば地下水の変動を調べるというようなことをやりました場合にも、地震の前兆を大変うまく描く井戸があるのだそうでございまして、これは百本のうち一本とか二本とかいう程度のものだそうでございますが、それ以外の井戸は非常にノイズが多い。つまり灌漑用水、あるいは雨が降るというような影響を非常に受けるのだというようなことでございます。ですから、そういうものを選ぶことが大事だと言っておりました。  それから動物でございますけれども、これは非常にいろいろな報告がございます。たとえば地震の何日か前に豚が騒いで、お互いに興奮してかみ合ってしっぽが切れてしまったというような報告があるわけであります。ところがイタリアの方にも全く同じような、豚がかみ合うというような報告があるわけであります。その他のものをながめてみましても、どうも全くお互いにコミュニケーションがないような地域から同じような報告が入ってまいります。そしてルーマニアの地震のようなときには、たとえば農家の納屋からネズミが二十匹金切り声を上げて出てきて、中庭で円陣をつくってけいれんを起こしたように動かなくなったというような非常に鮮明な報告が届いておりまして、ちょっとこれが全くのうそであるとは言いにくいような気がいたします。そこで私は私なりに従来の例を調べましたところ、先行時間といいますか、動物が異常なことをやってから地震が起こるまでの時間というものがある程度まとまったところに出てくるようでございます。半日前というようなのが多いようでございますが、地球物理学的な徴候というのはその半日前のところがちょっと抜けているわけでございまして、もし本当だとすれば、これは相補うという意味で大変結構ではないかというふうに思っているわけでございます。  本当のところ、動物が一体何に感ずるのだということを生物学者の方に究明していただかない限り頭から信用する気はいたしません。ですから、現状においては動物だけで地震予知をやるなどということは論外でございます。しかし、たとえば地震計というのは安くても何十万円かいたしますから、何十万台もつくって日本じゅうにばらまくというわけにはなかなかいきませんが、ナマズならナマズのようなものは、関東一円に何万匹か何十万匹か知りませんが、たくさんいるでしょうから、それが一斉にある地域でおかしくなったというような情報が仮にあったといたしますと、それはその辺で何かあったかもしれぬという、質は悪いのですけれども、マスの威力で何か出るかもしれぬというようなことはあると思います。  最も大事なことは、そういうような、たとえば動物の観察とか、地下水の水位を一般の方がお調べになるということで、地震に関する関心が非常に高まる、自分も参加しているのだという意識をお持ちになることは大変結構であるというふうに思います。しかしながら、雲等の問題に至りましては、いささか現在の物理学では理解できない面がございまして、これは御自分が御趣味でおやりになる分には全くよろしいわけでございますけれども、一々新聞に発表するとか、テレビに出るとか、いわゆる自己顕示というようなものに結びつくことは反対でございます。  以上でございます。

原田昇左右自由民主党

○原田(昇)委員 大変ありがとうございました。  時間でございますので、まだたくさんお伺いしたいことがございますが、この辺で終わります。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 午後零時三十分より再開することとし、この際、休憩いたします。     午前十一時三十八分休憩      ————◇—————     午後零時三十三分開議

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。石野久男君。

石野久男日本社会党

○石野委員 本日は、参考人の皆さん、大変御苦労さまでございます。  地震について予知体制をどういうふうに考えたらいいか、あるいはいまどういうことをしなくてはいけないかということについて私どもはいろいろと参考人の皆さんにお聞きしたい、こう思うのです。  お三方にひとつ最初にお聞きしたいのですが、この地震予知対策については本部を設けて国もいろいろな努力をしておりますし、皆さんもその中で真剣な御研究をなさっていただいたりあるいは御努力をなさっていただいておりますが、この地震予知対策についてなかなかやりにくいものがたくさん、学問的な面からでもあるいは社会的諸関係から言いましてもありましょう。しかし、日本のようにこういうふうに地震に対して常時神経をとがらせていなくてはならぬような国柄からしますと、何としても予知体制だけはもっともっと整備しなくてはいけない、こういうふうに思っておりますので、皆さんが現在おやりになっていることでなおこういうことが整備されればとか、こういうことに配慮が行われて予算措置が行われたらとかいうようなことについて、お考えの点をまず最初にお聞かせいただきたいと思うのです。  生越先生は直接予知体制には関係はしてないと思いますけれども、地震の予知等について地質学的な立場からどういう点を要望されているかということについてひとつお聞かせいただきたい。

生越忠和光大学教授

○生越参考人 お答えいたします。  私は、先ほど原発の地盤問題とかいろいろ私が現地を知っております例を若干お話しさせていただきましたけれども、たとえばここに一つの断層があるとしますと、それが活断層か死断層かということの区別でございますね。これは、断層の運動が地震になるというお二人の先生のお話がございました。私もそう思いますが、それで実際にいろいろのところに行きまして、断層があって、これが果たして死んでいるのか生きているのかということは、ちょっと見ただけではわかりません。そこで、その断層が一番新しい地層はどの辺まで切っているかということ、それがわかりましたら大体の見当もそろそろついてくるようなこともあります。  それで、さっき柏崎の例を申しましたけれども、柏崎の原発の敷地の周辺にございます断層は、これはもちろん古いものがあると思いますけれども、一番新しい砂丘まで切っている断層がございますね。それから若干古い洪積層、数十万年ぐらいになるかと思いますが、たとえばそういう地層を切っている断層もあります。ですから、そこで大事なことはどういうことかといいますと、結局地層の年代を地質学的にちゃんとなるべく詳しく決めるということがまずは大事ですね。そうしますと、その断層が活断層か死断層かの見当がおおよそついてくる場合がございます。すべての場合わかるわけじゃございませんが。  ですから、活断層か死断層かということを調べるためには、まずは普通の地質調査が十分行われていないといけないのであって、たとえばどこかの政府機関が活断層の調査をすることになって、ただ断層を追っかけてみただけではそれが動いているかどうかということは決めようがございませんからね。この前の伊豆地震のときみたいに、本当に動いたことがわかれば動いた後にわかることはありますけれども、動く前にこれは活か死かということは、普通の地質調査をやることがまず大事だと思います。  その場合、私がいまの大学に移ります前の昭和三十年代の半ばごろでございましたが、東大の助手をやっておりましたときに、通産省の地質調査所にある仕事のために三年ほど併任で籍を置いておりました。あの通産省の地質調査所は、五万分の一の地質図を年次計画を立てまして全国を網羅することになっておりまして、まだずいぶん地図ができていないところがござますが、たとえばああいう通産省の地質調査所で、地質調査所の仕事としてやっております五万分の一の地質図の調査、そのときにとりわけ断層については細心の注意を払うということをやはりやるべきだと思います。  ただ、五万分の一の地質図をつくります場合でも、岩石学者がやることもあるし化石が専門の人がやることもありますし、みんなそれぞれ専門が違いまして、それで同じような場所の地質調査をやった場合でも、その調査者の専門だとか何かによりまして、かなり細かい場合と粗い場合と、それからこういう分野については非常に詳しくやったけれどもこっちの分野は手薄になってしまった、そういうことがございまして、たとえば断層なんかにつきましてもかなり詳しく追っかけて追跡してある、そういう地質図もあれば、それからそういうものはほどほどにしてしまった地質図もございます。それが調査者の責任によりまして、その人の名前をつけて一つの業績として地質調査図が発表されております。ですから、そういう地図を見ますと、かなり活断層かどうかを知るデータになるのもありますけれども、ちょっと見ただけでは一体どういうのかなかなかわからないようなことがございます。ですから、やはりこの機会に改めて活断層の調査ということも必要でございますけれども、たとえば地質調査所の日常業務の中で行われている地質調査のときに、断層問題には、これはいま大事な問題でございますから、常にすべての人が注意するというようなことがございましたら、かなりいろいろわかってくるのじゃないかと思います。  それから、地質調査というのは、全国をカバーするのは大変なんでございますが、大学の地質学教室の卒業論文の中に、案外とすぐ学会誌の論文にしてもいいようなレベルの高いものが間々ございまして、ああいう隠された未公表の資料、あれを何とか活用できないものか。地質調査所では卒論のリストアップしまして目録を刷ったことなどございますけれども、ああいうことを、非常にじみな仕事ですけれども、継続事業として、とにかくデータを集める、そこへ行けばかなりのデータがだれにでも見られるという状況が必要だと思います。これは私、予知は専門でも何でもございませんけれども、予知の前段になります断層、特に活断層の分布、こういうことにつきましては日常そういうことを考えております。  それから、原発なんかの場合に非常に私物足りないと思いますのは、原子炉を置く基礎岩盤の地質調査は電力会社はかなり精密にいたしますけれども、周辺に分布しております新しい地層はほどほどにしているのが多いわけです。それで、鹿児島の原発でしたら、たとえば九大とか鹿児島大学あたりの既往の調査がございますが、それに大体ならって、原発の炉心の基礎岩盤のほかの地質については、そういうところからの引用にとどめる程度のものがございます。ところが実際は、その新しい地層の中に入っている断層を細かく調べるということでそこの断層が活断層か死断層かというのがわかる場合があるので、炉心を置く基礎岩盤だけの調査ではなくて、その周辺を含めた全体の地質調査がきちんとされておりませんと、やはり原子炉の安全性というのは保たれないのではないか。そういう観点から申しますと、いままでの原発のための地質調査、これはかなり物足りないという気がいたします。  大体そういうことでよろしゅうございましょうか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 いまの御質問は、地震予知を確実にできるように加速するためにはどういうことがいいかということだと理解いたしますが、前々から言われていることでございますけれども、地震予知に関係している省庁が非常に多いということがまずございます。それから、地震予知は研究的段階があって、さっき申し上げましたように非常にデリケートなものであるということもございます。このようなことで、地震予知には参加者が多うございますので、お互いに複雑に影響し合っていることもありまして、どうしたらすごくスピードアップできるだろうかということを一言で申し上げるのはなかなかむずかしいと考えざるを得ないのでありますが、一番簡単なことを申しますと、たとえば研究というものには、何百億円やるから研究しろと言われても、その伝統に従って、ある限度以上の力は出ないものです。しかし、たとえば業務的な仕事は、これもやはり限度はありますけれども、費用に比例した能率が上がるという面がありますので、最初に申し上げたいと感じますのは、気象庁や国土地理院のような業務的な伝統のある、基礎の確立したところには、これは大学や何かにはお金は要らないというわけでは毛頭ございませんけれども、こういうところにはお金をまずつぎ込むことが必要なのではないか、そういうふうに考えております。もちろん、お金をつぎ込む以上、人間もいまのままでは少な過ぎるのではないか、こういうふうに感じております。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 私見を申し上げます。  地震予知を推進するためには、やはり明けても暮れてもそれを考えている人がいなければいけないわけでございます。  浅田参考人のお話にありましたように、非常に多くの省庁に仲間が配置されているわけでございます。よく国会等においては一元化を図れというような御議論があるかと思いますが、私の考えでは、たとえば気象庁の地震予知をやっているところを抜いてきて、また国土地理院のそれをやっているところを抜いてきてそれを一緒にしても、これはどうもうまく働かないのではないかと思います。というのは、おのおの明治以来の伝統に従って業務を行ってきているわけでございまして、たとえば気象庁の通信網というようなものは、これは何も地震だけではないわけでございます。ですから、地震関係だけを抜いてきてもこれはだめだ、そういうふうに考えます。  ですから、要は何かと申しますと、何か一つ本部のようなものをつくる。これはべらぼうに大きなものである必要はないと思います。そこにいまの気象庁、国土地理院等の各機関のデータが入るようにする。そこには高度の専門知識を持った人が配置されておりまして、いつも本気で地震——気象庁や何かが本気で見ていないというわけではございませんけれども、ほかの業務もおありになるかと思います。そこに地震予知の業務だけをやるのだというようなふうにすれば、ある程度加速することができるのではないかというふうに考えております。それは非常に大規模な必要はないと思います。ただ、データ処理等に関しては非常に高度のいわゆるハードウエアを用意する必要があるかと思います。  と同時に、たとえば今回の伊豆の地震の経験から考えましても、いますぐあそこへ行って何かはかりたいというようなことが専門家の間には起こってくるわけでございます。しかし、たとえば国土地理院なら国土地理院は、その年の業務というものが決まっておりまして、融通でやることもあり得るでしょうけれども、直ちにそこへ飛んでいくということは、場合によっては不可能であるわけでございます。これは非常にまずいわけでして、大学はそういうことができる立場になっておりますけれども、大学は自分の気に入ればやるわけでして、業務命令は受けないようなたてまえでございます。ですから、これは本当の意味では頼りにならないわけでございますから、いま申し上げましたような本部というようなものが仮にあれば、そこにそういう観測体制をとれるような人員を配置しておきまして、直ちに必要な観測を行うというようなことも可能ではないかというふうに思うわけでございます。  これが一体どういう経過をたどって、まだ完全に実用化されていないという場合にそういうものができるかどうかという議論は、私には商売が違いますのでよくわかりません。これは行政、立法の担当の方々が十分高い次元において議論なさっていただいて、できるところからやっていくということになろうかと思いますが、ぜひそういう方向で物事をお考え願いたいというふうに思っております。

石野久男日本社会党

○石野委員 浅田先生からは予算を、人をという問題が一つございました。それから力武先生は、本部をつくった方が効率的にいいだろうということですが、ただ、その本部をつくりましても、言われるように一元化をして一ところにずっと集めるような形では効率は上がらないけれども、長い歴史を持った人たちが一ところに集まって本部をつくる、これは非常にいい構想でございますが、そういうようなときに、いままでずっと見ておって非常に欠点になりますことは、そこに集まる人たちが明けても暮れてもそのことに専念できる体制ができるかどうかという、この問題が一つございますね。そういう歴史的にいろいろな特徴を持っておる方々の中で本部へ来ていただく人々を常時組み込むという構想は、これは力武先生の専門ではなくてむしろ政治の分野になりましょうけれども、皆さんのような専門の方々からごらんになっていて、そしてこういうような構想ができればそれはできるんじゃないだろうか、その本部に詰める人のあり方の問題ですが、それはどういうように工作すれば可能なのだろうか、お考えがあったらひとつ聞かしていただけませんか。これは浅田先生からも両方からひとつ……。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 地震の予知ということには命がけて打ち込むような人が必要であるというわけでございますけれども、これは案外いるのではないかというふうに私は判断しております。つまり、こういう問題は好きでないとだめなんですね。ですから、たとえば例に引いて失礼かもしれませんが、連絡会長の萩原先生などは地震予知の鬼と俗にわれわれが申し上げるほど地震予知の問題はある意味では楽しいということにもなっているのではないかというふうに判断するわけです。そういうような方は結構いるのではないかと思います。ですから、そういう方を集めてやっていただく。それからもっと手足になるような人の場合には、実は大学院を卒業したけれども職がない、いわゆるオーバードクターというのがございますが、こういう方も全国にはかなりいます。こういう方は、御自分の専門の分野においては世界一流のところまで達しておるような方々でございますから、こういう方々を糾合すれば相当な学問の高いレベルのところで議論ができるというふうに思うわけでございます。  以上でございます。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 これは私はかなりむずかしい問題だというふうに考えておりまして、力武参考人とは微妙に意見が違うところがございます。これから地震予知がだんだん進みまして、ずっと将来になれば全国の非常な高密度のテレメーター網とそれを処理する大きな計算機とそのソフトも全部できておるという時代になるわけでございますが、その前に必ず力武参考人の言われたような形が適切な時代があるのではないかと思います。しかしいまのことを考えてみますと、たとえばいま現在では大学に微小地震観測のネットワークを持っておりまして、これは非常に効率的に早く結果を出すことができます。ただ伊豆半島はその谷間になっております。震研の移動観測班が行っておりまして、非常に精密な震源の分布図を出しまして、そのために伊豆近海沖地震というものの性格もかなりよくわかったようなわけです。でありますから、もしどこかに地震予知の中枢となるような委員会をつくっても、たとえば大学の微小地震観測網が協力してくれないとこれは非常に困ることになります。ですから、あらゆるそういう協力が得られるというもとに何かそういうものをつくる。しかもそこは、たとえば戦略的な大きなことは測地学審議会で議論ができますけれども、戦術的なことの議論もできるというようなものができれば——そして、さらに具体的に言えば伊豆半島のどこかにこういう計器を置こう、計器を置くと言いましても、もう昔と違いますので持っていってぱっと置くというような計器は余り使わないので、たとえば半年かかって井戸を掘るというようなことになると思いますけれども、そういうことがすぐ実現できるような組織があれば、これは非常によろしいと思います。  ただ、もう一度申し上げますと、現在存在しているその研究機関や業務機関とのつながり方といいますか、非常にはっきり言えば、そういうところの人になって、現在あるいろいろな観測を持っているところがらそっぽを向かれたらアウトであるというのが一番最初に考えることでございますので、そういうことがないように気を配りながらつくっていくことが非常に大事なのではないかと思うのです。

石野久男日本社会党

○石野委員 力武先生のお考え方と浅田先生のお考え方に若干微妙な違いがあるお話でございましたけれども、私の聞いているところでは力武先生の御主張はそういうことを含めたものとしての本部を考えるものだというふうに考えて質問いたします。  地震予知の問題というのは、ある一カ所だけで一つの決断を出すというのは非常にむずかしい、あらゆるところからのデータを集めなければいけないのだろうというように思うわけでございますけれども、それにしても、本部体制というものがもっと適確、機敏に動き、そして警告をするについての決断が出るような体制でないと役目を果たさないのだろう、こういうふうに考えます。  なお、御質問申し上げますけれども、もちろんそういう本部をつくるときには当然国家の機関としてつくる方が効率がいいわけでございますから、われわれもそういうふうに考えるわけでございます。その場合に、各大学なり気象庁なり何なりが持っておるいろいろな観測機構と本部に設定したものとが常時密接な関連をする中で、統轄し、指揮するといいますか、一定の判断を下し、警告を出すということをするためのものをつくる、そういうことの前段の構えというものを政府だけに任していいのだろうか、あるいは関係する方々が何か会議のようなものを開いてやるとか、あるいはごく少数の人々がそういうようなことを何か進言するというふうにした方がいいのだろうか、そこらのところが私どもにはわかりにくいのですが、お考えがありましたらちょっとお聞かせいただけませんか。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 ただいまのポイントは、大学の教授であります私にはいささかわかりにくい点もあるのでございますけれども、あえて私見を申し上げますと、やはり万事摩擦がないように事を運ばなければいけないわけでございますから、非常にちゃんとした審議会というのですか、そういうもので十分議論を積み重ねて、しかもそれが国家百年の計につながるようなレベルの議論をしなければいけないのだろうと私は思います。と同時に、非常に具体的に構成していく場合の技術的な議論も必要だろうと思いますので、何か特別部会を持ったような審議会をつくるといいますか、すでに存在しているのかもしれませんけれども、そういうことが必要であろうというふうに思っております。具体的にどういう構成がよろしいかというようなことはまだ先の問題かと思いますが、専門家を入れる、政治の方も入っていただく、当然担当の官庁の方も入っていただくというようなことでいけばよろしいのではないかというふうに思っております。  要するに重ねて申し上げますと、ただ独立のものをわっと寄せ集めただけではいけないわけでして、皆さんが納得して——いままでのところ地震予知というのは非常に協力がうまくいっているというふうに自画自賛といいますか、地震予知計画を始めた当事者としては思っているわけでございまして、この勢いを損なってはだめだ。これはどこまでも協力体制を続けていく必要がある。ただ、それをうまくコーディネートする、そういうために本部のようなものが必要だというふうに考えているわけでございます。  以上です。

石野久男日本社会党

○石野委員 予知については純粋に学問的な立場の問題と、一般大衆のいろいろな知恵なりあるいは予知に対する関心というものを集めてそれを予知の一つの素材にする、資料にするということなどが大切であろうかというようなことを中国なんかの実例から見て思うのですが、そういう点については力武先生、浅田先生はどういうふうにお考えでしょうか。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 率直に申し上げまして、中国の地震事業はなかなかりっぱだと思います。特に大衆を動員しているという点は日本では余り見られない点でございまして、この点は敬意を払うべきだというふうに思っております。ただし、私の考えでは、やはり重点はそういうことを通じて地震の知識を普及するということが一番大切なのであって、上がってきたデータが全部使えるというところまでやるのはなかなか容易なことではないと思います。特に中国のように広大な国土でございますと、電車もないでしょうし、ダンプカーも余り走らないでしょうから非常にノイズが少ないだろう。東京のようなところはダンプカーも走りますし、いろいろなノイズがある。こういうところで一般の人にデータをいただいても、肝心のシグナルがそこに入っているという保証は非常に少なくなってくるだろうと思います。ですから日本ではやはり高度の技術が絶対になければいけない。無論民衆の協力ということは大事でございます。ですから、たとえば地方自治体にそういうことの情報をいただく窓口というようなものを設けて、そこで整理して、それを国の地震予知の担当のところに届けるというようなことであるならば大変結構だというふうに思います。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 力武参考人の言われたことと全く同じ意見、考えでございます。  中国の人によると、中国の大衆の参加は科学普及の実践的運動である、そういうふうにとらえられているらしいのです。日本と非常に違いますところは、中国のそういう大衆、十万人ぐらいだそうでございますけれども、専門家とよく会って話をする、専門家も大衆の相手をする。ところが日本の特徴は、専門家とそういう趣味でやっている方とのつながりは大変悪い。われわれの方が忙し過ぎるということもありますが、趣味でやっている方がなかなか偉いと言っては語弊がございますけれども、非常に自信があって、議論がしにくいというのが実情ではないかと思います。大衆の予知参加は、考えるだけなら幾らでもあり得るわけでございますね。たとえばそういう組織ができれば非常にいいということは確かにあるのです。ただそういう組織をつくるのには、つくる方が並み並みならぬ努力を要すると考えなければならない、そういうことが一つあります。  今度は東海地方の問題に戻りますが、たとえば地震予知という術の現状を一般の方が非常によく理解をされて、たとえばもう絶対に間違ってはいかぬのである、数時間前の予報以外は受け付けないということを言われないようになっていれば事は非常にうまくいくかもしれない。しかし、もし数時間前で正確に当てる以外は受け付けないのだ、そういうのでないならだめだと言われると、これは失敗する可能性は非常に多くなるので、そういう意味で一般の方に正しい地震学並びに地震予知の現状に関する知識が普及するということは非常に望ましいことだと考えております。

石野久男日本社会党

○石野委員 時間が余りありませんが、一問だけお聞きします。  両先生に、いろいろなことをやるについて、現状を見ておりましてどのくらいまで予算をふやしたらそういうことができるだろうかというようなことについての御感想があればひとつお聞かせいただきたいと思います。  それからもう一つは生越先生に、先ほど断層の問題で、特に国土地理院とか通産の地質調査所等で地質調査をもっと密度の細かいものにする必要があるんじゃないかという話がございましたが、大体細かければ細かいほどいいんでしょうけれども、当面まずどういうようなものに焦点を合わせてどういうところまでやることが望ましいかというようなことについてのお考えがありましたら、後でお聞かせください。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 予算の面につきましては非常に詳しく分析しているわけではございませんが、たとえば九州等までカバーしろというようなことでございますと、最低現在の十倍、マンパワーも十倍は要るだろうというのが私の判断でございます。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 予算の話は非常にむずかしいのでございます。たとえば東京大学の理学部が何億円もらっても、それは使い切ることができないということもございます。私の印象といたしましては、そういう現状を踏まえれば予算は比較的よく出ていると思うのですけれども、さっきから申しておりますが、国土地理院や気象庁でもっと予算を吸収する能力があるのかないのか、それは私はよくわかりません。ですけれども、そういう業務的に伝統のあるところはどうにか工夫していまより多額の予算を吸収するようになる、あるいは日本全国一度にと力武さんが想定されたように言われるのは非常に困るので、少しずつふやしていくよりしようがないと思うのです。最終的には確かに非常に多額の予算を要するようになると思いますけれども、少しずつふやしていくということはどうしても必要だと思います。これは大学についても他の政府機関についても、普通の役所の伸び率よりは高い伸び率でふえていかないと地震予知の実現については望ましくないと考えております。どうもちょっと漠然といたしまして申しわけございません。

生越忠和光大学教授

○生越参考人 先ほどの石野先生の御質問でございますが、私はよく答えられませんけれども、たとえばこういうことじゃないかと思います。地質調査所の五万分の一の地質図が必ずしも精度が低いとは私は思っておりません。ただ調査した人の専門分野の違いによってかなりむらがあるということですね。ですから、これは人と予算である程度解決すると思うのですが、最近は比較的専門の違う人が二人組んで共同調査でやるというのが大分ふえております。そういうことをもっともっとやる。二人で足りなければ三人でやる。ただこれは予算と定員の問題になりますけれども、そういうことである程度は解決できると思います。  それから、火山岩の中に含まれております鉱物の性質については非常に興味があるけれども、その火山岩が断層で切られているかどうかについては余り興味がないなんという人もおりまして、そういう人がたまたま火山岩の発達している地域の地質図をつくりますと、断層が余り引かれないのです。現地へ行ってみますとたくさんあるのに地図には余り書いてないなどということがございます。そういうことを私はいま問題にしているわけなので、断層があるかどうか、ある断層が活断層か死断層かということ、これは地震との関連において本当に大事なことなんでございます。地質調査所は、普通の地質図をつくるというだけでなくて、特に断層の問題についてはどういうところの地質図をつくる場合にももっとかなり念を入れてやるということにしますと非常によくなると思います。断層を調べるためだけの調査をまた別途やるということは大変でございまして、これは普段から断層には必ず心がけておく。原発をつくるにしても何をつくるにしても、それがあるかないか、それから死断層か活断層かということは大事なことなのでございますから、そういう問題はふだんから心がけておくということが必要だと思います。そうしますと、人数とお金の割りにかなり能率が上がってくるのではないかという気がいたします。そういうことで、一応私の意見として申し述べさせていただきます。

石野久男日本社会党

○石野委員 ありがとうございました。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 次に、日野市朗君。

日野市朗日本社会党

○日野委員 私から若干伺わせていただきたいと思います。  まず、午前中の御意見の中で浅田先生お触れいただきましたので、ちょっと教えていただきたいと思いますが、地震の起こる原因という、そもそもの非常に大きな問題になってしまうのですが、このごろは、プレートテクトニクスというのですか、これが非常に優勢だというふうに、私なんかもいろいろ勉強させていただいているわけなんですが、大体地震予知の理論というものも、それを基本的に踏まえて地震予知についての努力をされておられる、こういうことについてはほぼ学会でも異論はないんだというふうに伺ってよろしゅうございましょうか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 海洋底地殻によってひずみのもとになる力が与えられると現在では考えております。昔は、その地域に岩漿が貫入したり、あるいはその地域の一部分の容積がふえたりして、その力がひずみのもとだと思われていたこともございますが、現在は、その海洋底の地殻によってひずみのもとになる力が与えられているんだ、したがって、岩石破壊の理論などを用いまして地震予知のことを考えますときにもそういうことが頭の中にあるのが学会の大勢だと私は思っておりますが、平均年齢が六十を過ぎている方の中には反対の方もあるのではないかと考えております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 この点については私も余りよくわからないので伺ったわけなんですが、力武先生いかがでしょう。やはりこういう理論でずっと進めていかれるということについては、地震予知をこれから担当していかれる方の中で、強い反対論というようなものも出ないだろうというふうに理解してよろしゅうございましょうか。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 そのとおりでございます。  ただし、地震予知理論を組み立てるにもいろいろなやり方があるわけでございまして、たとえばアメリカ流でございますと、まずモデルをつくりまして、そのモデルから発生してくるようなことをいろいろはかるというようなやり方でございます。中国へ行きますと、まるっきりモデルも何もなくて、何でもいいからはかってやろうという立場をとっております。日本はその中間だと思います。  私が自分でつくりました地震予知理論というのは、プレートもプレートですけれども、それよりも若干経験的な法則の方によっておりますので、別にプレートでなくても場合によってはいい場合もございます。しかしながら、いわゆる海底のプレートという話は、国際学会等においてはまずその線で動いているようでございますから、ニュートン力学が完成したときのようなものに近づきつつあると思いますので、これを頼りにいくのがいまのところ当然ではないかというふうに思います。

日野市朗日本社会党

○日野委員 地震予知というと非常に専門的なことにわたりますので、私のいままで勉強したところで誤解があれば御指摘いただきたいというふうに思いますが、私、いろいろ先行現象と言われるようなものをずっと勉強させていただいておりまして、それぞれの先行現象の一つ一つの有機的なつながりとか、それぞれの関連性というようなものの説明が、素人にはなかなかのみ込みにくいわけでございます。力武先生の本なんか読ましていただきますと、それぞれの先行現象の関連づけといいますか、そういったものはある程度説明がしにくいということで、あきらめておられるといいますか、それらを統計的に処理されるというようなやり方のようなんですが、いかがでしょう。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 ただいま申し上げましたように、いわゆるアメリカ流にやれば一応の理屈はつくことになっております。先ほど浅田参考人からお話のありましたダイラタンシーという現象がございまして、たとえば地殻のストレスが高まってまいりますと、この中にびしびしと割れ目が入ってくる。そうすると当然体積がふえますから、しょうがないので上に持ち上がって異常隆起になるわけであります。そこはがさがさになるわけですから、地震の波が通るといたしますとその波のスピードは落ちる。したがって地震の波の速度に変化が生じる。さらに、そこに地下水がしみ込むといたしますと、そこの電気抵抗は小さくなるわけですね。それから地下水が動くことによりまして地下水の水位が変動をする。それから、フレッシュな割れ目を通ってきた水の中にはラドン等がいっぱい入ってくるということで、これは一連のいわゆる先行現象と言われるものが、そういうモデルを置くことによって、少なくとも定性的には説明できるということになるわけでございます。ですから、暗々裏にそういうことを頭の中に入れて物を考えるというやり方があるわけでして、そういたしますと次にはこういうことが起こるだろうというような予想もつくわけですから、それを一生懸命はかるというようなこともできるわけでございます。アメリカ流と言いましたけれども、そういうようなやり方をすればそういう関連性は一応はある。しかしながら、地震直前の現象ですね、海岸線で水がさっと引いてしまってアワビが手取りにできた、そのうちに地震がやってきたというような話がございますが、こういうのは余りよく理解ができません。これは私は、震源域において予備的に破壊が始まったのだというふうに考えるわけでございますが、この辺になるとそういうモデルは非常に弱いわけでございます。ですから、モデルといえども万全ではない、しかし一応の指針はある、こういうことでございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 私、モデルというのは仮説であって、これは何かデータによってきちんと裏づけられたものではないような気も実はしているわけなんです。坪井先生ですか、たしか力武先生なんかも一緒の座談会じゃなかったかと思うのですが、坪井先生が、余りモデルにばかりとらわれるのはいかがなものかというような発言をしておられたのを印象的に私記憶しているのですが、一応やはりそういうモデルというようなものを、これはまだ仮説段階だというふうに理解すべきじゃなかろうかなと思うのですが、いかがでしょう、これは浅田先生と力武先生、両先生にお願いしたいと思います。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 このモデルあるいは仮説は、岩石に圧力を加えて破壊する、そういう実験が一九六〇年代の終わりにアメリカで進みまして、それからできてきたものでございます。それで、いま力武参考人が言われたように、非常に何でもうまくいき過ぎる傾向もあります。でありますから、われわれは、たとえば土地の隆起を実際にはかる、あるいは電気伝導度もはかる、あるいは地震波速度もはかる、そういうことを通じてそのモデルに近いことが実際に起こっているのかどうか調べていくというのが筋道だと思うので、そういうモデルがあるということは非常に助けになるというふうに思っておりますが、ただ、そのモデルによってあらゆることを予測するというのは、あるいはまだ早いのではないかと思います。大体どなたもこういうふうに思っているのではないかと思います。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 坪井先生がアメリカにはモデルが多過ぎるとおっしゃったことは事実でございまして、私もその意見にはある程度賛成でございます。しかし、モデルを置くことによって非常に能率よく研究の方向を位置づけることができるという面もございますので、一概にこれはけなしてはいけないのだと思います。しかしながら、実際にはかるということは一番大事でございますので、地震予知をやろうとしている者は理屈をこねるよりも先に観測をちゃんとやるということに重点を置いております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 私、実はこんなことを素人で伺ったのは、予知連絡会ができ、判定会ができたということがずいぶん新聞等でも広範に報ぜられて、あたかも国民はもはや予知技術がそれぞれのモデルに従ってかなりの精度でこれは予知できるのではないかという期待を持っているような気が実は私しているのでございますが、私なんか勉強さしていただいた範囲では、まだまだとてもとても予知理論、予知技術といいますか、それの研究というのは緒についたばかりというような感じがいたします。  実はブループリントというものがあるのだということも私読んだことがありますけれども、そのブループリントという予知の研究の素材といいますか、第一歩といいますか、そういうところからも、かなり御努力はいただいているものの、そう飛躍的に進んだとも言えないような段階だと思うのですが、いかがでございましょう、浅田先生。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 これは考え方でどうにでもとれるので、自画自賛、といっても私がやったことではございませんけれども、かなり進んだという解釈もできると思います。というのは、ブループリントのころには、たとえば断層模型の理論はなかった、それからダイラタンシーという考え方もなかった、それから微小地震の観測網もなかったというふうに、その後非常に進んだのだという考え方もできますが、一方、いまおっしゃったようにほんの緒についたばかりであるという考え方も非常に正しいのだと思います。そんな緒についたばかりであるけれども、東海地方に関してはもう文句は言っていられないので、ともかくいろいろなものを置いてみよう、そういうのが実情だと思います。したがって、東海地方にどこまで置けば十分であるかということはわからない、したがって、できるだけたくさん器機を置きたい、ともかく様子を見ながら前からの予知ができるように努力しよう、こういうのが実情であります。何しろ地震予知というものは一回きり、それは地震を幾つも経験すればともかく、原則として一回きりのものでありますから、全部進んでしまってからやるというわけにもいきませんので、進まないうちから、同時に研究かつ本番という性格を持っておりますので、非常に注意深くあらゆるものを取り扱いながら進んでいかなければならないのだ、こう考えております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 特に力武先生は、いわゆる先行現象を第一種先行現象、第二種先行現象というふうにお分けになりまして、先行現象の先行時間とマグニチュードとの関係を常用対数で処理されて一応はかっておられるわけなんですが、それで一応時間を割り出すという御努力をなさっておられる。これは大変なお仕事で敬意を表しているところなんでございますが、私その図を見せていただいておるのでございますけれども、これからこの先行現象でどのくらいの時間の後に地震が来るというようなことが現在の段階で余り誤差がなく出せるという段階なんでしょうか。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 私は先行現象の先行時間と本震のマグニチュードとのグラフをつくりましたけれども、これは世界じゅうをあさりまして、日本の地震もアメリカの地震も中国の地震もソ連の地震も一緒くたでございます。それで約二百程度のデータしかございません。それによって一応の経験的な法則を樹立をした、そういう仕事でございます。ですからこれは一般論とお心得願わないと困るわけでございます。物事には偏差値というのがあるわけでございまして、特に破壊現象の場合にはそういう偏差値があるのは当然でございます。したがいまして、個々の地震に適用する場合にはどんぴしゃりで当たるというふうには私自身思っておりません。ですから、地震予知は、緒についたというわけでございまして、一般論がようやくできつつあるというところでございます。ある特定の地方で特定の時に起こる特定の地震についてその時期をきわめて正確に申し述べるということは、そういう理論をつくりました私ですら全く自信がございません。特に、何かシグナルが出ましても、これがノイズであるか本物であるかという点については、午前中に申し上げましたように、厳密には起こってみなければわからないということでございます。したがって、三つも四つも違った種類のものをつかまえて物を言うのだ、こういうことにならざるを得ないわけでございまして、はっきり申し上げますと、地震には予知できるものがあるという程度が現在の実力ではないかというふうに思います。

日野市朗日本社会党

○日野委員 国民、特に東海地方にお住まいの方なんかは、やっぱり地震が来たら大変だということで不安を持っておられるのだと思うのですね。それで、ちょっとした地震の予報みたいなので、これは判定会なんかが出したものじゃなくて、個々の地震学者の方々が出されたり、または素人の方で断固たる自信のもとに地震を予報される方なんかもおられるわけなんですが、現状では、そういう地震をはっきり非常に短期間に予報する、大体誤差がなく大体いつごろ起きるというようなことを予報するということは、実際は至難のわざ、現在では不可能に近いというふうに考えてよろしいのでございましょうか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 力武さんの本に第二種の先行現象と書いてあるものがございます。これは昔から数時間あるいは十何時間前にある種の異常現象が起こることがあるのでそう言っておるのでありますけれども、たとえば一九四四年の東南海地震のときには、国土地理院の測量隊が十時間ちょっと前に非常に異常な現象、つまり水準測量の計測誤差が非常に大きくなってしまったということを経験しております。それから次の日の地震の起こる三十分前から後にはその水準器を合わせることができなくなってしまった。つまり、これは非常に長周期の震動といいますか、そういう非常に長周期の動きが起こったということだと思いますけれども、そのような現象があるだろうと思われているわけですね。それでいままであるとされたものを統計をとりますと、何時間か前というところに一番例が多くなる。東海地方に関しましてはそういうことをぜひつかまえてやろうという思想のもとに、容積変化計とかあるいはラドンもそうですし、あるいは傾斜計もそうですが、そういうものを極力集中しよう、それを気象庁に集めるというそういう思想ができております。正直のいまの勘でございますけれども、恐らく必ず何かは出るだろうと思います。少なくともさっき申し上げました、後からの予報ができることはあると思うのです。問題はそれを前からつかまえることで、これは非常にむずかしいのではないかと考えております。しかし東海地方で数時間または数日——昔は数時間、数時間と申しておったのでありますけれども、最近は数時間または数日と、数日が加わるようになりましたが、地震を予報できることは非常に人命を救うことにもなりますので、ぜひしたい、そういうふうに考えております。  その場合、さっきも申し上げたことと関係するのでございますけれども、数時間後に起こると的確に言うのでなければ聞きたくはない、こういうふうに言われると非常に困るので、恐らく空振りというものを許していただければ、空振りはあると思うのですが、空振りということは実は事態が緊迫していることのもう一つの証拠でありまして、空振りを何回か重ねて本番になるのだと思います。ですから、空振りを恐れて今度本当の本番を逃がすようなことになるとすると、これは望ましくない。そういうわけで、地震予知はできるに決まっているんだというような立場ではないのでありまして、あらゆる可能なものをやって、少なくとも東海地震については、何時間か何日か前に前兆をつかまえるように努力をぜひしよう、もしそういう変化ができたらすぐ相談できるように判定会みたいなものも必要である、こういうふうに考えたのがいままでの考え方でございます。

日野市朗日本社会党

○日野委員 先生方は科学者でございまして、空振りによる責任とか、それから出せなかったということの責任とかというのは、これはまさに政治の方の責任だと思いますので、そこいらは大胆にひとつ物を言っていただきたいとは思うのですが、その一面、判定会や予知連絡会なんかにちゃんと載った情報、それに基づいての予知や判定であればまた別として、それ以外の方々が、自分の考えによればこうだということを言われる方がおられるわけですが、そういうことを述べて、それが発表されるというようなことは、地震予知という観点から言っていささか無責任なような感じも私は若干いたすわけでございますが、それに対する感想、いかがでございましょう。力武先生、お聞かせいただけますか。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 いわゆる町の科学者あるいはエプロンの学者でも、御自分のお考えを申し述べられるということをわれわれが妨げる権限はございません。したがいまして、お話があったときにそのコメントを求められることがございますけれども、事前にそれを防ぐということはできないわけでございます。しかしながら大変困ったことも起こり得るわけでございまして、これをどう防げばよいかという点については、いささかの考えもないことはございません。たとえばいま雲で地震を予知される方がおられるそうでございますが、そういうお話はいきなり新聞等にお流しにならないで、たとえば学会ですね。地震学会というようなものがございます。これはどなたでも参加できる。そこでちゃんと御講演をなさいまして、みんなの評価を得て、これはよろしいというようなことになってからお話しを願うというようなルールでもつくればよろしいんではないかというふうに思うのです。あるいは国際的な雑誌、学問の雑誌がございます。たとえばオランダの雑誌なんかで、私が編集委員をしているようなものがございますが、そういうところにお出しになる。そういたしますと、これはレフリーと称しまして、専門の学者が何人かついてそれを評価いたしまして、荒唐無稽でないということになって初めてその雑誌に載るというわけでございます。そういうようなことを経まして口をきくということが望ましいというふうに私は思っているわけでございます。しかし、なかなかそういうことを強要するわけにもいかないだろうと思いますから、ある意味では困ったことが起こるかもしれません。  ここで一ついい例がございまして、アメリカのカリフォルニアの州知事は地震予知に関する諮問委員会を御自分でお持ちになっているわけです。アメリカのカリフォルニア工科大学のフィットカムという学者がロサンゼルスに大きな地震があると新聞等にしゃべったことがあるわけでございますが、州知事はそのいわゆる日本の連絡会みたいなものですが、諮問委員会を招集して、そこにかけまして、それでその学者を呼んでそこで討議をさせまして、その結果、この説は信ずる価値なしということでチョンにしたというようなことがございます。ですから、場合によっては県知事であるとかそういうような行政の最高の責任の方はそういうようなものを御用意くださって、ちゃんと処置をするということをお考えになってもよろしいのではないかというふうに思います。

日野市朗日本社会党

○日野委員 中国の予知体制についてちょっと伺っておきますが、ややもすればナマズが騒いだとかそんな点が非常に強調され過ぎて、本来中国でやっているじみちな地球物理的な研究、そしてそれによるいろいろなデータの収集、そういった点が、私どうも仄聞するところによるとそういうところに中国の方も主体は置かれていて、ナマズだのそういったいわゆる民間に伝えられた先行現象というようなものはほんのプラスアルファ的に用いられているにすぎないではなかろうかと思うのですが、力武先生いかがでしょう。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 私が聞いた範囲では、いまおっしゃるとおりのように思います。やはりあくまでも現在の最高の技術を動員した地球化学的要素の観測ということが主流だというふうに聞いております。この点は、中国に行かれた浅田参考人の方があるいはよく御存じかもしれません。

日野市朗日本社会党

○日野委員 浅田先生いかがでしょうか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 いま力武さんの言われたとおりだと思います。ただ、中国では何しろ民衆にいろいろなことをさせるので、それをがっかりさせることは決してしないのです。ですから、それを取り上げてこんなことを言ってきたけれども大変よかったと、こういうふうに言うらしいのでございます。そういう点で民衆の協力ということが目立ち過ぎるんですけれども、実際は相当の人数の職業的な人がおりまして普通の観測をやっております。

日野市朗日本社会党

○日野委員 それでは時間ですので……。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 次に、貝沼次郎君。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 午前中からいろいろな御意見を聞かしていただいたわけでございますが、やはりこういう専門的な予知の問題、これは私たちは専門家である先生方の御意見を十分聞いていかなければならぬと思いますし、そしてそれを今度は政治の面でどうカバーし、生かしていくか、こういうことが非常に大事なんではないかと思っているわけであります。そういう観点から少しばかりお尋ねをしてみたいと思います。  一つは、先ほどからいろいろお話がありまして、たとえば力武先生の方からは、本部のようなものをつくって、そしてなるべく多くの情報が交換でき、対応できるようにした方がいいというようなお話もありました。私はこれは確かに必要だと思うのですね。それで、浅田先生の方から大学との協調の問題、連携の問題というものもありましたので、これも十分考えていかなければならない。願わくばそういうものが早く実現しなければならない、こう思っておるわけでございます。ところが、一般の考え方と専門家の考え方と実は相当違うところがあると思うのですね。一般のわれわれから考えますと、専門家というのは何でも知っておる、よくわかっておるものである、こういうふうに考えがちであります。ところが、専門家になりますと、実はわからないところが多いのであって、わかるところは少ないのだというところがだんだん多くなると思うのですね。この辺のところから、専門家のおっしゃることはとにかく一つ一つが正しくてすばらしいことをおっしゃるというので、先般、漫画だと思いますが、地震学者が縁側でビールを飲んでおるのをかきね越しに見た人が安心をしたという話があるわけでありますけれども、これは一面、専門家は言うことに非常に責任を持って発言しなければならぬということと、同時に国民全般の地震に対する正しい知識といいますか、こういったものがやはり欠けておるのではないか、こういう感じがするわけであります。  そこで、第一問としてお尋ねしたいことは、そういう国民全般に対して正しい地震の知識、教育、こういったことをするためにかなりPRが必要だと思いますが、この辺についてのお考えがございましたらお聞かせ願いたいと思います。浅田先生、いかがでしょうか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 玄人が全部知っておるというのは間違いだと私は思います。それで、私の感覚では、議会の委員の方でもあるいは行政官の方でも一部の玄人より正しい感覚でとらえておられる方がいっぱいいると思うのです。むしろ一部の玄人に怪しいのがいるというのもまた実情ではないかと思うのです。それとともに、一般の民衆、と言うとえらぶって言っているようでございますけれども、かなり正しい理解をしているのではないかというふうに感じる場合がございます。やはりこういうことは、科学技術庁でやさしい本をつくったことがございます、それから静岡県庁でもつくっておりますね、そういうものとか、あるいは新聞とかテレビとかを通して広めるより仕方がないのではないかと考えておりますが、根本といたしましては、私の感覚では日本人というものは非常に知能的レベルが高くて、一般の民衆はそう変な理解はしない、大体正しい理解をするように進みつつある、そういう印象を受けて、やや楽観的な感想を持っております。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 それから、先ほど力武先生の方から予知できる程度があるというのが本当であるというお話があったと思いますが、私たち国民の側から期待してよいという範囲、よくある特定の地震に対して何月何日にこれぐらいの大きさのものが起こるということが言えるのが予知であるという考え方を持っておる人もおりますし、いやそうではない、予知というのはやはり少なくとも何年間という期間の中において起こり得るという、しかも規模は大体これぐらいであるということができれば予知であるというふうにいろいろおっしゃる方があるわけでありますが、大体予知という内容をどういうふうに考えたらよろしいのかということについてお尋ねしたいと思います。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 ただいまのお話につきましては、すでに先ほどもちょっと申し上げたと思うのですが、まず地震の大きさを言わなければならないわけです、それから起こる場所を言わなければならない、それから起こる時期を言わなければならないわけでございます。このうちどれ一つが欠けてもこれは予知とは呼べないようなものでございます。ですから、よく新聞等に、たとえば井戸水の水位が変わった、予知したというような記事がございますけれども、あれは場所も大きさも書いてなかったり何かするわけで、ああいうものは予知とは言わないということになるわけでございます。われわれが予知と言う場合には、その大きさの値及びそれの誤差を申し述べなければいけないわけであります。それから、時間についてもさようでございます。ですから、厳密に申しますと、たとえば東海地域に地震が起こる、たとえばマグニチュード八なら八、プラス・マイナス〇・幾らが起こると言いましても、何日以内に起こるとか、何年以内に起こるとか、それもプラス・マイナス何カ月というような表現で申し述べることになるわけでございます。現在ではそのプラス・マイナス幾らというところがなかなかまだ人によって見積もりが違ってくるというような段階でございますので、どんぴしゃと、何時何分というようなことを言っている場合がありましたら、それはうそだというふうにお考えを願いたいと思います。  それから、結局はそれに損害の程度というようなものが引き続いて発表されていない限り実は余り意味がないという点もございます。ですから、損害の予測といいますか、そういうことも大事だというふうに考えております。  以上です。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 それで、先ほどから中国の予知の問題等お話が出ておりましたが、わが国の場合、外国と非常に条件が違っておりまして、先ほども話がありましたように、非常にノイズが多いわけですね。私も前に東京でちょっといろんな地電流のあれをやったことがありますが、ほとんど話にならないぐらいノイズが多くてだめだったことを記憶しておりますが、こういったことで日本の予知というのはほかの国と比べて非常にむずかしいのではないかということを考えますと、日本の予知の範囲というのはこれまたなかなか狭まらない。ある程度大きな地域についての予知、時間的にもかなり長い期間にわたっての予知というふうになりがちではないかという想像をするわけでございますけれども、大体日本の場合時間的なものとしては、たとえば何カ月とか、そういうところまではいまの段階では可能なんでしょうか、それとも何年以内というぐらいのものなんでしょうか。  それから、面積的な範囲でありますが、こういう広がりの面においては、たとえば東海地方とか関東地方とかあるいは日本の半分とか、こういうような規模はどの辺まで狭めることができるんでしょうか、この辺についての御見解を承りたいと思います。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 東海地震に関しましては、たとえばこういう断層面が滑るであろうというような想定は学界でなされておりますので、かなり正確に位置は考えられる。ただし、それでは絶対にそれは間違いないかと言われますと、何か見当外れをしている可能性はまだ残っておると思いますけれども、大体こういう断層面が東海地震を発生させるのであろうということは考えられております。それとともに、たとえば次の関東地震も大体こういう断層面が震源になるだろう、そういうことも考えられております。ただ、これは当分ないということでございますけれども。問題はもっと内陸の小さな、といってもマグニチュード七ちょっとの地震でございますけれども、この場合ももし——これはもしでございますけれども、もし測量の繰り返しによって、たとえば二十キロ四方の土地が五年間かかって隆起してきているのである、ところがその隆起する理由はほかにはない、どうしても基盤が隆起しているに違いないということになりましたら、そこには当然その直前の、力武さんの言われる第二種の前兆をとらえるための器械を置くべきですね。その場合は大体隆起の起こった寸法から恐らくマグニチュードは七と八の間、七・五ぐらいであろうという見当はつけることはできます。もし十分な器械があれば、数時間または数日前に第二種の前兆をつかまえることもできるかもしれません。ただ、これは非常に教科書的に申し上げましたので、実際には、たとえば何かおかしいと思うとまず概算要求を出しましてということになりますので、二年おくれますから、こういうふうに調子よく事が運ぶかどうかはわかりませんし、国土地理院の測量の繰り返しも思うほどスピードアップできないのが現状でございますから、内陸の地震を見つけるのはなかなかむずかしいのではないかと考えております。その内陸の地震に比べますと、東海地震というのは言いやすい理屈の種がいっぱいあるのでございますね。それから大きさも大きいので、あれはかなり別格であると考えております。現在内陸の地震をそうやって見つけることはかなりむずかしいと思っております。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 それから、これはやはり浅田先生にお伺いしたいと思いますが、日本の地震を考える場合、たとえば中国の地震であるとかあるいは南方諸島の地震であるとか、それから先ほどからお話が出ておりますように、プレートテクトニクスの考え方からいきますと、もう少し太平洋の中の考え方とか、フィリピンのプレートの問題とかというふうに考えますと、かなり広い範囲のデータがかかわるようが気がするわけでございますが、この辺はいかがなんでございましょうか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 昔は、たとえばこのごろ北海道に地震が起こるけれども東北地方は大丈夫なんだろうかというような質問が出たときに、これはもう全くお互いに偶然の現象であるから、こういうふうに言ったものでございますけれども、いまはそういうものをつなげる理屈が幾らでもできるものですから、そう簡単には言えなくなったのであります。ですから、もしかしたらかなり離れたところの地震の発生の状況と関係があるかもしれない。たとえば深発地震といいまして、何百キロも深いところで起こる、しかもここからも何百キロも離れておりますけれども、そういうところに地震が起こってから上の浅い地震が起こるのだという考え方もございます。そういうわけでございますから、昔のようにもうちょっと離れたものは関係ないのだと言って済ませてしまうわけにはいきません。しかし、やはり第一種といいます長期的前兆、あるいは直前の現象を的確につかまえることが現在の地震予知では一番大事なので、日本国内の測量の繰り返しとか地震の発生を詳しく見るということがやはり一番大事なことだと考えております。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 日本国内のいろいろな調査、これを第一義に考えるわけでありますが、先ほどからのお話のように、日本国内は非常にノイズが高いと私は思いますので、もしそういうかかわりがこの近辺にあるのであれば、たとえばフィリピンであるとか中国であるとかあるいは東南アジアの方のデータであるとか、こういったものの国際的に迅速性を持ったデータ交換というものがこれから必要なのかどうかということなんですね。これが必要ならば、やはり私たち政治家としては十分考えていかなければならないことでありますので、この辺についての御見解を承りたいと思います。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 やはり地震は、いろいろなところで勉強して、いろいろなところの地震について知っていた方が日本の地震の予知のためにも大変力になります。ところが、いま例に出てきましたような国では余りりっぱなデータはない。ですから、もし人的にも費用にも余力があるのならば、そういうところに援助をして観測網を日本の力でつくる。それからいま地震工学トレーニングセンターというものが日本にもございまして、そういうところの人々を訓練しておりますけれども、そういうところの人を訓練する。そしてそういうところのデータは日本にも見せてもらう、もちろん日本のデータもそういうところの人に見せるということになることは非常に望ましいことだと思っております。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 日本に地震が起こった場合どれだけ大きな損害があり、その対策のためにまたどれだけお金がかかるかということを考えますと、やはり予知に金をかけるということは私は非常に大事な問題だと思っております。これから委員会等でもそういったことは主張してまいりたいと思います。  先ほど力武先生の方から本部のお話がございまして、この本部を私たち具体的に検討しようといたしますと、やはりその本部の性格は大体どういったものが専門家から見て一番望ましい形なのだろうかという点を実は疑問に思っているわけであります。たとえば一つの審議会みたいな形がいいのか、それとも原子力委員会のような委員会みたいなものがいいのか、行政の中にそれをつくった方がいいのかというようなことでございますが、力武先生、この辺はいかがでございましょう。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 われわれの、いわゆる地震予知の専門家の間でそういう本部の構想というようなものを十分討議したことは公式にはございません。まだ時期が早いだろうというお考えの方の方が多いようでございますので、こうあるべきであるというようなことを皆さんの声を代表して申し上げるというわけにはまだまいりません。  それで、非常に私見が入った意見としては先ほどから申し上げているようなことでございますけれども、要するに、現在の予知連絡会を中心としたやり方ですと、たとえば伊豆なら伊豆がおかしくなった、国土地理院に直ちに測量をやっていただきたい、こう考えましても、それを指令する権限は何もございません。ですから国土地理院の院長に会長さんが、やっていただけないでしょうかというようなことしか申し上げられないわけでございます。地理院といたしましてはいろいろ既定の業務もございますし、予算のやりくりもあるわけですからすぐ飛んでいくというわけにはいかないというような面がございます。それはほかの気象庁等についても同じだと思うわけでございます。ですからそういうような各省の担当のところにその業務に関しては指示できる権限を持ったものができないといけないと思います。それから当然それに見合う予算、このお金があるからこれでやっていらっしゃいというようなお金を持っていなければいけないだろうと思います。それから、できるならばいわゆる行政の人にも大いに入っていただいて、つまり予知から警報までを一貫作業で場合によってはできるというようなものにした方が責任のありかが明確になってよろしいのではないかと思うわけでございます。現在は予知は予知で学者がやる、警報の方は政府でやるというようなことになっているかと思うのですけれども、その辺も必ずしも全くコンセンサスが得られているというわけでもないようでございますので、そういうことをはっきりさせた方がやはりよろしいんじゃないかというふうに私は思っております。浅田参考人その他の担当の方がどうお考えになっているかは私は余りよく知りません。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 浅田参考人はどのようにお考えでしょうか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 力武さんの言われたとおりだと思っております。実際問題として、何か事があると、まず概算要求を出してということになりますと、必ず二年おくれるわけでございますね。その二年間というものは短期予報を出すためにデータを蓄積する実に貴重な期間であります。でありますから、力武参考人の言われたようなことは絶対に必要だと思うのですが、そういうものをつくったりなんかすると、一体どういう影響がどういうふうに及ぶのか、あるいは学界に対してどういう影響があるのかということが私個人には全く予測がつかないものでありますから、正直に言うとこわいというのが非常に正直な感想なんでございます。たとえば責任というもののあり方もよくわからなくなりますし。ですから、事を能率的に進めるためにはどうしても必要なんだと思います。これはどうしても必要なんだと思いますが、それで何かをつくったら実はそれが鬼っ子であったというのを一番気にしておるわけで、そういうものに反対だというわけでは全然ございません。     〔委員長退席、大石委員長代理着席〕

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 あと二点ばかりお尋ねしたいと思いますが、力武参考人にお願いします。  ノイズの話なんですけれども、非常にノイズが多いということ、そのためには独立のものを何種類もやることが必要だというお話と、それから地震におのおのくせがあるのでそれを見分けることが大事だというお話だったと思うのですが、いま日本の国で、ノイズを極力少なくして、そして精度の高い予知というものをやろうとするならば、これで大きな柱としては私はわかるような気がするのですけれども、たとえばお金がかかってもいいならばこういうことができるという具体的な問題でもお考えがありましたらお教え願いたい、こう思います。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 二つばかり申し上げます。  一つは、たとえば科学技術庁の国立防災科学技術センターにおいては、ここから三十キロほど北に参りました岩槻というところに深さ三千五百十メーターの穴を掘りまして、地震計を入れてあります。それだけ掘ると岩盤に達するわけなんですが、そういたしますとノイズが非常に減りまして、微小地震の観測ができるようになる。地表の千倍の感度が出せるというようなことになります。一八五五年、安政二年の江戸の地震のときの記事を読みますと、深川で穴を掘っていた作業員が地の底からどんというような音がしょっちゅうしてくるので、お昼ごろ逃げて帰っちゃった。そうしたらその夜十時ごろ大地震が来たというような話がございます。これを現代流に解釈いたしますと、微小な前震が起きていたに違いないわけでございまして、もしそういうパターンがまた繰り返すといたしますと、東京の直下型地震の前にその埼玉県の井戸が必ずキャッチして有力な情報となるだろうというように思います。一本では心細いので千葉の船橋の辺に一本、それから調布か府中かあの辺に一本掘るようになっておりまして、ここまでは段取りがついております。そのほか、東京都がどこか夢の島に掘るという話もございます。三本か四本ありますと震源も決まりますので大変ぐあいがよろしいと思って、一本掘るのに何億かかかるわけでございますけれども、これはぜひ進めていただきたいというふうに思います。  さらに、たとえば電磁気的な面ですね。微弱な地電流をはかるとか磁気の変化をはかるということになりますと、これはその辺の電車がみんな直流で動いておりますので、発車のノッチを入れますとレールからわっと電流が流れまして、記録をとっておりますとこんなになってしまいましてどうしようもないのですが、こういうものは全部交流で電化をするというようなことをやれば、それだけノイズが減るわけでございます。そしてまた、群列観測というのがありまして、たとえば地磁気をはかるヘッドを幾つも、十個も数十個も置きましてそれをまぜるとノイズが減るというようなことがございますので、本来なら一個であるいは済むかもしれないようなものを、数十倍のお金をかけてやるというようなことをやればかなりノイズを減らせる見込みはございます。しかし一面の果樹園の中でやっているサンフランシスコの郊外の地震予知のような静かなわけにはどうしてもいかないだろうと思います。中国あるいはソ連等においても同様な事情だと思いまして、日本は非常に人間活動も自然の活動もノイジーなところでございますので、これから苦労するだろうというふうに思っております。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 最後に、断層と地震の強さという点でございますが、たとえば断層の種類によって、マグニチュードの強さによってこの断層は危険性あり、活断層の中でこれは心配ないというような色分けというのは可能なのかどうか、この点について生越参考人に一言伺っておきたいと思います。

生越忠和光大学教授

○生越参考人 その点につきましては、ちょっと私の専門と違いますので申しわけございません。専門的なお答えはちょっとできませんが、ただ原発をつくる場所なんかでいろいろ論議されておりますが、たとえば柏崎の場合、初めは断層はないという話があって、それからあると言ったら、それは地すべりだったという答えが出てくるわけですね。しかし地層がずれているんだったらこれは断層じゃないかと言うと、まあ断層だということになるんですが、少ないから大丈夫だと言うんですね。敷地を見ますと意外とたくさん活断層があるわけです。洪積層を切っております活断層ですね。そうすると、今度は小さいから大丈夫だという答えが返ってきまして、したがって、地震を引き起こすようなあれにはならぬからということになるんですね。確かに小規模でしたら当然その断層の活動による地震の大きさというのは小さいとは思いますけれども、しかしどの程度の断層を、これは断層の長さがございますね。それからずれ方もあります。そういうどの程度の断層の活動があった場合にどの程度の大きさの地震ができるかということ、これはちょっと私の専門ではございませんので、むしろ浅田先生なり力武先生からお答えいただいた方がよろしいかと思います。ただ問題は、原発などをつくります場合に、たとえば伊方の原発の話をまた持ち出しますが、中央構造線が伊方の原発の沖合いの伊予灘のどこかを通っているということ、これはもう確実でございますね。松山の南西の双海町の上灘というところで海に入りまして、そこからあとずっと伊予灘の海底を通っているんです。ですから原発の敷地からそう遠くないところにあることは事実なんですけれども、たとえば原子炉の安全審査の場合なんかには断層の位置をちゃんと決めないまま、たとえば五キロないし八キロの間のどこかという程度で、いわば行方不明というと語弊がございますけれども、はっきり場所を指定しないまま、したがって場所がわからないわけですから大きさももちろんわかっているわけないので、そういう状態のもとで安全性オーケーというふうになっている例がずいぶんあります。  それから断層かどうかということの判定なんでございますが、たとえばいま伊方の場合二号炉ができようとしておりますが、実は長さ二十数キロにわたりまして幅数百メートルの大きなみぞがあるんです、海底のみぞでございますね。それがひょっとすると中央構造線じゃないかという意見がございまして、地元の人たちも心配し、いろいろ問題になっているわけなんですが、ところがみぞの位置とそれから海底地質の分布、これは音波探査などである程度わかっております。それを調べますと、海底のみぞの南のふちのところがちょうど三波川結晶片岩という岩石の分布の北限になっておりまして、それが地質学的には中央構造線ということになるわけでございますね。ただそこに断層があるかどうかということを実は音波探査で確かめておりませんで、たとえば四国電力の場合はそれは潮流でできたみぞであるというようなことを言うわけです。ところが普通の常識で言いますと、潮流というのは、一番深いところで六十五メートルもあるような深いところを潮流がえぐるなんということはまずあり得ないし、しかもそういう潮流がずっと二十数キロにわたって同じところを削っているということもこれも考えられません。ですから私は、昔の川の跡である、氷河時代、あそこは陸地だったときの川の跡であって、その川はいまの吉野川やそれから紀ノ川あるいは天竜川の支流の三峰川のように中央構造線に沿って流れていたんじゃないか、これが氷河が解けまして海面が上がりまして、ちょうどいまのような海底になったのではないか、そういう説を唱えているのですが、そういう説はもう全然話にならぬ、これはあくまで潮流でできたんだから断層とは関係ないんだから原子炉の安全性には関係ないということで、そういういままでのデータを調べましただけでも少なくとも断層かどうか、ひょっとすると活断層かもしらぬ、中央構造線は和歌山から香川県にかけましては確実にこれは活断層になっておりますから。たとえば伊方の原発の沖合いの中央構造線が活断層であるとこれは大変なことになるのですが、実はそういうことを調べるのがまずは大事だと思うのです。どのくらいの大きさの断層であればどの程度のマグニチュードということはもちろん計算で出てまいると思いますが、そういう計算の以前の段階でひょっとすると断層かもしらぬという疑いがあるのに、それをとことんまで調べようとしないといういまのやり方、それをまず私は疑問を持っておりますので、先生の御質問のお答えにはなりませんけれども、問題提起をさしていただきたいと思います。

貝沼次郎公明党・国民会議

○貝沼委員 終わります。

大石千八自由民主党

○大石委員長代理 次に、小宮武喜君。

小宮武喜民社党

○小宮委員 最近、関東地方を中心に、東北、中部地方の一部でかなり強い地震が起きまして、地域住民の方々は非常に不安に駆られているわけですけれども、先ほどの浅田参考人あるいは力武参考人の話を聞いてみて、私は非常に地震予知の問題について心もとないような印象を受けました。これでいいのだろうかということを考えた。われわれは御承知のように本日このテーマで地震予知の問題で参考人に来ていただいたのも、やはりこういった地震の発生する場合、いかに予知が早くできるか、そのことによって国民の生命、財産が守られるという立場から貴重な御意見を聞きたいと思って来たわけですけれども、期待外れをしたと言っても私は過言ではございません。しかしながら、わが国の地震予知技術が諸外国に比べて非常に立ちおくれをしておるということを聞くわけですけれども、私はこれらの問題にしても、世界的にやはり地震学会みたいなものもあるでしょうし、いろんなデータの交換あるいは情報の交換をやられて地震予知の技術の向上に努めるのが当然ではなかろうか。特に地震予知連絡会の方々あるいは判定会の方々は警報を出す場合の問題がありますから、一時間でも半時間でも、一日でも二日でも早く予知が出されることを国民はこいねがっておるのです。そのことによって被害を少なくするということにつながるわけですから、そういう意味で、これからいろいろ質問しますけれども、わが国の地震予知技術が諸外国に比べて立ちおくれておるというような事実はございませんか、浅田参考人に質問します。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 私はそういうことはないと思っております。つまり地震予知というものは地震がその準備しているところに起こってくれないと成功というわけにはいきませんので、必ずしも成功の率ということは指標にはならないわけであります。中国はマグニチュード七以上の地震が立て続けに起こりまして、かなりいい率でと言うより、一つを除いてはほとんど全部と言う方が正しいのですけれども、予知に成功したわけです。アメリカはもちろん大いに勉強しておりますけれども、大きな地震が全然起こってくれないので成功の例は持っていない。ソ連もそんなに大きな地震について成功したわけではございません。こういうことを全部見ますと、日本が特におくれているということはないと考えております。  ただ、作戦の問題がございますね。たとえば準備がしてなければもう予知などはできるはずもないわけでございます。逆に言えば、ある程度準備のあるところに起きた地震の大島近海沖地震はその幾つかの新しい知見をわれわれに生み出してくれたわけです。場合によっては地震があるかもしれませんという程度のことはもしかしたら言えたかもしれない。もう一息という感じでございましたですね。少し古くなりますけれども、大分に起こった地震などはそういう意味ではもう観測網から離れていたもので、新しい知見は大してくれなかった。そういうわけで、もう一度申しますと、日本は外国に比べてそういう学問がおくれているとは毛頭思いませんが、その学問のおくれ、進みだけではなく、作戦計画とでも申しますか、そういうようなものをやはりまじめに考えることが必要であろう、こう考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 予知技術では日本はおくれをとってはいない、しかし、いま言われたようにアメリカでは地震が起きない、ソ連でも余り大きな地震が起きていないというようなことであれば、むしろ日本のように地震が再々頻発して起きるところは諸外国に比べて予知技術というものはもっと発達しなければならない、こういうふうに考えるわけです。しかしながら、いまのような話の中では非常に予知技術というものが、いろいろ作戦的な問題もありましょうけれども、やはりそれはそれなりに先ほどからも話が出ておりますように、皆さん方の方は予知連絡会という一つの性格でなかなか提言あるいは意見というのはむずかしいかもしれませんが、やはりそういったものをわれわれは地震の多発地帯だとかあるいは中とかあるいは小とか、いろいろいまも観察地帯が設けられておりますけれども、そういったものをやはり金をかけてもわれわれは網の目を全国に張らして、そういうところでいろんな予知をするなり前兆現象を把握することが日本の予知技術を向上させることにつながってくるのではないか。ただ網を張っておいて、網を張っておるところへ魚が来なかったから予知できなかったということでは、これはちょっと困ると思うのです。  特にもう一つ。この前中国のあの地震の場合に、これは唐山地震は当たったか当たらなかったか、あれは予知できなかったようでありますけれども、中国の方から日本の方に中国の地震予知についても見学に来なさいという招待も来ておるし、あの当時日本のマスコミが中国の地震予知技術はもう最高だということをほめちぎってマスコミが出したわけですよ。そういう場合にわれわれもそれでは中国あたりに行って中国あたりと予知技術についての交流ぐらい行っていいんじゃないかという判断もしておりましたけれども、先ほどの力武参考人の話を聞いておりますと、何かそういう動物等の移動だとかそういうような問題で科学者の立場として論議するというのはこけんにかかわるとでもお思いかもしれませんが、私は地震予知というものはやはりそういうような自然現象の変化だと思うのですよ。だから先ほども力武参考人の話がありましたように、科学技術庁は三千メートルの井戸を掘っておるというようなことも、やはりそこで井戸水の変化を見るわけですから、そういう意味では、科学者というからの中に閉じこもらないで、そういったいろいろな動物なり生物の移動なり異常状態などを把握して一つの予知の方向を見出すことも、科学者としてはやりたくないでしょうけれども、国民のために予知が必要ですから、その予知のために、中国のやっておる問題にしてももしわが国の参考になるようなものであればどしどし取り入れて、皆さん方の立場としてそれをわが国に紹介して、予知を幾らかでも、半時間でも一時間でも十日でも一カ月でも早くしていただきたいということを国民は念願しておるわけでありますが、その点、力武参考人いかがでしょうか。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 地震予知関係者といたしましては、動物その他の現象は非常に重視をしているのでございます。たとえば末広恭雄先生といういわゆるお魚博士と称される東大の名誉教授が組織しているグループがございまして、私は地球物理とのリエゾンのためにそのグループに参加しております。ここでは水産の先生が主体でございますが、地震等に際するお魚の異常行動に大変な関心を持っておりまして、それを調べるということになっておりまして、実際に文部省の科学研究費助成金が出ております。  ですから、これは学問としてちゃんと取り組んでいるということでございます。そしてそのような姿勢はアメリカでも同様でございます。アメリカの地震予知の元締めでございます地質調査所というお役所では、一昨年になりますか、動物の異常行動に関するシンポジウムを二日間持ちまして、厚い報告書が出ておりまして、大変参考になるようなことが書いてございます。  そういうことでございますので、私は地球電磁気学が専門でございますけれども、何も電磁気しかやらぬということではないわけでございまして、地震の予知に関係あることは皆さん幅広く何でもやっていこうというふうに考えておるわけでございます。その点は、要するに動物は場合によっては非常に鋭敏にシグナルを感知する能力があるわけであります。たとえば、人間の耳に聞こえないような高い音を感じるコオロギとか、そういうものもあるようでございます。ですから、そういうことに意味を見出しているわけでして、現在の物理学で全く考えられないような心霊現象だとかいうようなものは取り上げる気はないということでございます。  それから水位等につきましてもこれは大事な問題である。しかし浅田参考人もいつも申しておるのですが、井戸を選ばなければいけない。じゃあじゃあ水が流れるような井戸でやってもどうもうまくいかないだろうというようなことがあるわけでございます。ですから、科学的なマインドを捨てないでそういう問題をちゃんとやっていこうというのがわれわれの姿勢でございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 実を言えば、きょうは奈良の市長を参考人として私はお呼びしておったのですが、市議会の関係でどうしても出席できないということで出席されなかったわけですが、予知連では、いわゆる雲を見て地震の発生を予知するという鍵田忠三郎奈良市長の方法はでたらめであるということが判定会で意見が一致したという問題もありますが、鍵田市長は伊豆の大地震を、近々のうちに相当大きな地震が起きるぞということを予知したという経過もあるわけですね。確かに科学者としては素人の民間の地震研究者の言というのは余り信用したくないという気持ちはよくわかります。しかしながら、やはり国民のために予知が一日も早くできるような状況をつくるためには、力武参考人は決してそうではないと言われましたけれども、判定会だとかあるいは地震予知連絡会あたりは余りセクトにならぬで、こういった民間の地震研究者などの意見も聞き、情報交換をするような場を設けて、そして地震予知に万全の体制をつくり上げてもらいたいと私は思うのですが、その点はいかがかということと、もう一つは地震予知技術について、いままでの説明では私も十分納得ができませんので、もうちょっと、いまのわが国の地震予知技術については大体どういうことをやっておるのか、また予知体制はどうなるのかという問題について、浅田参考人からお答えを願います。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 雲の話が出ました。それから動物の話は非常に昔から文献に記載されております。  まず、動物の方から始めますと、たとえば地下水の水質が変わるというようなことは期待され、それから地下水の水位が変わるということも期待されているので、人間の化学分析よりよほど鋭敏な嗅覚を持っている動物が感じたとしてもこれは不思議でないわけです。     〔大石委員長代理退席、委員長着席〕 いま力武参考人が言われましたように、たとえばそういう動物が何千カ所に置いてあって、それがちゃんと観察されていて、その観察がちゃんともとに通知されるというようなことができれば、これは非常な参考になると思っております。ただ、そういうものをつくり上げるのはそう簡単なことではないというところに問題があるわけです。  雲の話でございますけれども、雲にもいろいろありますが、私は幾ら何でも雲を見て地震を占うのは少しおかしいではないかと言ったら、京大の尾池助教授が、いやそれは間違いである、あれは雲を見て雨の降るのを予知しているのだ、雨が降ると地震が起こるのだと、そういうふうに考えれば雲と地震とは関係がつくわけです。地震はある場合には雨と関係があるのです。ただ、ここで雲を見て、たとえば北海道に地震が起こるだろうとか、そういうふうにかけ離れているところのものはやはり結びつかないというのが現在の判断でありまして、地震予知家と申しますかそういう方は、二、三日というふうに時期は指定されておりますので、起こる場所と大体の大きさを言ってくださらなければならない。たとえばそういう地震予知家がそういうことがあればはがきに書いて気象庁の地震課に毎回毎回お出しになれば何回ぐらい当たるかということがわかりますので、客観的な証拠も得られると思います。そういうふうにしていただきたいと思っているのですが、正直に申しまして、ここから雲を見て日本じゅうの地震を占うというのはどうしても余り信用できかねるという感じがすることは否定できません。  それから予知の技術のことでございますが、前々から申しておりますように、予知は、地震特有の前兆現象をとらえることによって予知を進めるというのがいまの方針でございます。そういう前兆現象ではない周期性、たとえば南海地震はいままでに九回歴史上記載されておりますが、そういう周期性などをもとにいたしますと、これは後百年以内に南海地震はまた起こるだろうと言えばほとんど九割九分当たるのでありますけれども、そういうことは意味がない。それで、その前兆を的確にとらえるというのが現在の作戦計画でございます。その前兆には二種類あるらしいということがわかってきたわけですね。たとえば隆起というものはその二種類の前兆のうちの一方です。ですから国土地理院にはどうしても夢中になって日本じゅう高低測量をしてもらいたい、こう思っているわけです。よその役所のことでありますから、具体的なことはわからないのですけれども、ちょっと点が辛くなりますけれども、それはもうぜひ三、四年に一遍くらい日本中を必ず二回ずつ通って測量してもらいたい。  それから、最近はジオディメーターといいましてその距離をはかる器械が発達しましたので、これも比較的小さい網目で数年に一遍ずつ日本中ぜひやってもらいたいというのが十年も前からの日本中の希望でございます。これが何といっても基本になる。そうでないと、どこで起こるかというのは、内陸の地震については歴史は余り頼りにならないのです。というのは、太平洋側の地震は百年に一遍、二百年に一遍ですから歴史にいっぱい残っておりますけれども、内陸の地震は千年に一遍というのが通説でありますから、田舎ですと歴史上全然記載がないのについに千年目が近いうちに来るということがあるわけです。ですから、内陸の地震については歴史上の記載は余り役に立たない。でありますから、どうしても国土地理院にはそうやってがんばってもらいたい。こういうことは大学の研究者や、あるいは官庁の研究所ではできないので、国土地理院だけができることなのです。測量の繰り返しということですね。国土地理院は、もともと測量は一回だけするものであるというのが歴史的伝統なんだそうです。それは、動かざること大地のごとしという考えに基づいてそういうふうになってきたのですが、いまは大地は非常に動くものだ、だから二回も三回も測量してもらいたいのだというふうに時代が変わったわけでございます。それで国土地理院はそういうふうにしてもらいたい。  地震については気象庁とほとんど対等の責任を大学も持っております。というのは、大学の微小地震観測網というのは、まだ不均質ですけれども非常に進んでいるもので、非常に早くデータを出します。大学の人も、力武参考人はさっきから気に入らなければしないと言っておられましたけれども、これはちゃんとすると約束しておりますので、私は信用しております。微小地震と言いますけれども、そのモニタリングはちゃんとする。ただ、この観測網はまだ完全ではございませんので、ぜひ第四次計画中で完全にするようにしてもらいたい。それから、各大学の間のコンピューターはつなぎたい。つまり非常に近代的なデータ処理をしたいということです。それから、大学の足りない部分は国立防災科学技術センターとか何とかいうのが、またそれに重ねてやる。非常に完璧な微小地震観測網をつくりたい、こういうことです。それによって空白地帯の存在とか何かがはっきりしてきます。本当の空白地帯か、地震が起こりそうな空白地帯かということは、現在はまだよくわかりませんけれども、周りの地震の起こり方の変化や何かを観測してどうにか見当をつけたい、こういうわけでございます。  気象庁は、大、中、小のもっと大きい方の地震を非常に長い時間のベースでがっちりと記録していく。これは職業的訓練を要するので、大学の研究者ではなかなかそういうふうに長く続きません。気象庁にはぜひそうしてもらいたいとともに、気象庁で最近関東地方から東海地方に植えつけてある容積変化計というものは、非常に短期間、二、三年の間に非常に興味深い経験をわれわれに与えてくれていますので、本当は何百となく日本中に植えつけてもらいたいと思っておるのです、正直な話。と言いましても、また例のごとく、来年度は何%増し、概算要求を出して二年先という話が立ちはだかっておりますから、日本中にいますぐ植えつけろと言いましてもそれはできないのだと思ってあきらめておるわけです。なぜそれを植えつけるといいかと言いますと、いままでの経験によると非常に安定的に、かつ前兆現象を描くらしいので、そういうふうに何百も植えつけると、恐らくあと二、三週間に地震があるよというようなことを言って当てる例が急速にふえるのではないかという希望的観測、そういうものを持つわけです。また、それに刺激されまして大学の人たちも進歩する。これはいろいろでございます。たとえば微小地震観測網は大学の方がいいくらいですが、容積変化計のネットワークというのは地殻変動連続観測と言われるものの一つですが、どうも気象庁の方が先を越している。こういうふうに競争しながら進んでいくというのは非常によろしいので、もう非常に勝手ほうだいなことを申しますと、要するに国土地理院にはもう絶対にがんばってもらいたい。それから大学の微小地震観測所は足りない分をなるべく——そういう計画を立てておりますけれども、なるべく早く均質化する。それから約束どおり——これは大学の人の約束ですが、モニターはサボらずにやってもらう。それから気象庁は、地震観測はもちろんですが、容積変化計をなるべくたくさん植えつけてもらいたい。それから、他の政府関係の研究機関も幾つかございますので、それぞれの役割りがございますから、そういうところはその研究機関に適応したようなことをそのすき間に埋め込んで、考え方としては日本全国を何年か後には終えるように、そういうふうに望んでおりますし、われわれの心の中の計画はそういうふうになっております。それから、たとえば測地学審議会などの建議案も恐らくそういう形をとってくると思います。  こういうふうになって、万事思っているとおり進んでいきますと、最後には急速に進むものでありますから、これは非常に期待できるもの、そういうふうに考えております。

小宮武喜民社党

○小宮委員 いま浅田参考人が言われましたことは、いずれ政府も今度の国会に大地震対策特別措置法を提案するようになっておりますので、その中で十分参考人の意見を反映させていきたいと思います。  一つは、またお願いをしておきたいのは、予知連絡会とか判定会の中において、もし警報を出す場合に、その権限は総理大臣にあるにせよ、一応そういう判定会で気象庁長官に出す、気象庁長官は総理の判断を待つということになりましょうけれども、やはり警報を出した方がいいという判断をする場合に、ややもすればもし外れたらこれは国民の批判をもろにかぶりはせぬか、あるいはまた、これを出したら混乱をしないか——これはむしろ行政府の連中の中にはその方が多くて、この地震予知の問題については、みんな各省が逃げ腰になっておるということも伺っておりますけれども、やはり地震予知の警報というものはそういうことを恐れておって、万一取り返しのつかないようになったときこそ、私は、これは政府も、また科学者の皆さん方も国民の批判を受けるであろうということを考える。だから、私は、警報を出して外れても、国民がそれをとがめることはやはりすべきじゃない、責めるべきではない。そういった心の準備、受けとめ方の訓練をやはり国民もやるべきだ、そうしなければ、科学者の方々、行政府がそのことを恐れるの余りにおっくうになったりすると、これこそ大変なことになるということで、これは時間もございませんが、科学技術庁あたりもパニック問題でいろいろ調査もされたようでございますけれども、これは非常に大事なので、やはり国民も、外れたからといって学者を責めるわけにもいかない、むしろなかったことを喜ぶべきだというふうに私は考えるのです。その意味で、昼食のときに申し上げましたように、空振り三振はしても見送り三振だけはしてもらいたくないということを、特にお願いしておきたいと思います。  最後に、時間も来たようでございますが、ほかの人の質問がみんな浅田参考人あるいは力武参考人に移っておりますので、せっかく生越先生も来ていただいたからちょっと質問したいと思いますけれども、きょうの生越参考人の意見開陳を聞いておりますと、地震が起きた場合の原子力発電所、火力発電所あるいはパイプラインだとか地下鉄だとかいろいろ例を挙げて言われましたけれども、きょうは最近地震が頻発しておるということで、国民の不安をわれわれ取り除くために地震予知問題を取り上げたわけです。科学技術庁所管としては予知の問題ですから、災害が起きた後は災害対策の委員会ということで、もちろん原子力発電所の問題があればここでも論議しますけれども、そういう意味では予知に関係が皆無とは言いませんけれども、大体先ほどの意見を聞いておりましてちょっと違うのではないかというふうに考えておりました。特に生越参考人のお名前は、きょうも言われましたように、いままでの原子力発電所の建設の問題、あるいは火力発電所の問題、あるいは地下鉄建設の問題とか成田パイプラインの問題、これはもう先生の御高名はよく存じておるわけですけれども、しかしながら、われわれはきょうの場合、先生が専門分野にしておられる古生物層位学と地震予知とが具体的にどう関係があるのか、そしてまた私、時間があればきょうはもう少し伺おうと思ったけれども、先生が専門にしておられる古生物層位学と地震予知がどういうつながりがあるのか、あるいは古生物層位学で地震予知が可能かどうかということも、余り原子力発電所がどうのとかそんなことは要りませんから、ただ予知の問題に限定して御答弁を願います。

生越忠和光大学教授

○生越参考人 それはこういうことでございます。私、あの学者は何学者かと言うときに、いまやっていることよりもむしろいままで長くやってきたことやそれから出身学部や学科は何だったかとか、そういうことでもってあの学者は何学者ということをよく言われるわけでございます。そういう見地から申しますと、確かに私の学術雑誌の論文というのは、やはり古生物層位学が圧倒的に多いということは事実でございます。しかし、私が先ほどもちょっと申しましたけれども、いまの大学に移りましてからむしろ地盤や地質の問題が原因となって起きた公害、災害問題、これは地質学者の中で余りやっている人はおりませんけれども、とにかくいろいろ問題が起こっている場所に行って、現地でもってどういうことがあるのか、どういう点が争点になっているのかということを調べながら、そういう問題に自分の専門を生かして若干やっているわけでございます。ですから、はっきり申しまして、古生物層位学が直接地震の予知の問題にはつながりません。つながりませんけれども、たとえばこの断層は活断層か死断層かということの一つの決め手というのは、その断層が切っている地層はいつごろの時代のものか、たとえば古い時代の地層は切っているけれども、新しい、たとえば洪積層は全然切っていないということになりますと、定義から申しましてこれはもう死断層ですね。洪積世以来動いた断層を活断層という定義になりますのでしたら、たとえば沖積層は切っている、それから第三期層も切っているけれども、洪積層は切っていないというのは死断層でございます。それを決める一つの決め手というのは、先ほどもちょっと申しましたけれども、普通の普遍的にできる年代決定の方法というのは、化石を見つけて、その化石は大体いつごろのものだということがわかりますから、その化石を見つけて、その化石の種類によりその地層の年代を決めるということになりますと、そういう点から、これは地震予知に直接関係するわけじゃございませんけれども、活断層か死断層かの区別、これは化石の研究がある程度と申しますか、かなりの程度まで生きてまいります。そういう点で、私はいままで、原子力発電のことは余り言うなというあれでございましたが、たとえばいろいろな場所のそういう地層の年代判定の場合に、ちょうど活断層か死断層かということが問題になったような場所で、私はそういう観点からの意見の発表なども若干やってきたということで、直接結びつきませんが、そういうことで間接的には結びつくかと思います。それが一つ。  それから先ほどもちょっと申しましたけれども、きょうの私のお話は予知とそんなに結びつかないわけなんでございますが、ただ、予知も必要でございますけれども、予知ができない間でもやはり災害を極力少なくするためにはどうしたらいいかというそういうことはございます。そこら辺のところに若干力を入れてお話ししたことと、それからもう一つは、繰り返しになりますけれども、地震予知連絡会がせっかく特定観測地域などを御指定になっておられるのに、そういうことを余り考えないで片方でいろいろなものをつくるのはどうか。これは特定観測地域に指定したからここは必ず起こって危ないのだぞということでは必ずしもないと思いますけれども、少なくともそういう指定地域の場合は、ほかのところに比べて起こる確率が多いかもしらぬということがもし言えるならば、そういう場所には地震が起きた場合に大きな災害をもたらすものは極力つくらないようにするというのが、やはり予知の問題とあわせて、万が一地震が起きた場合の災害を少しでも少なくする方法の重大なポイントでございますので、そのことを申し上げたような次第でございます。

小宮武喜民社党

○小宮委員 質問を終わります。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 次に、中馬弘毅君。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬(弘)委員 長時間どうも御苦労さまでございます。大体問題も出尽くしたようでございますが、二、三質問させていただきたいと思います。  地震の予知は、これこそ防災という観点からなされるわけでございますけれども、そういう点からしますと、大きな地震をいかに予知するかということでございます。しかし学問的な点から言いますと、もちろん小さな地震でも予知できなければならないと思うのですが、最近確かに小さい地震は多く起こっております。これの予知はやはりちゃんとできておるのでしょうか。そしてまたできておるのであれば、こういう地震が起こりますよ、しかしこれは軽微ですから別に心配することはないですよということを発表されてもいいんじゃないかという気もするわけでございますが、いかがでございましょう。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 最近起こりました、気象庁によれば茨城県南西部、深さ五十キロという東京で震度三の地震がございましたですね。普通そういう五十キロの地震は昔は浅い地震と言っておりましたけれども、いまは深い地震の方に入れるのだと思います。そういうのは災害を伴わないので、予知をする努力は全く行われていないのです。ただ、そういう深い地震でも十分な装備をすれば予知できないとは限らないと私は思っておりますし、東京に年間数十回もある有感地震を予知してみせたらさぞかしいいことだと思っておりますけれども、現在はそういうことに向けての努力は一つも行われておりません。東京で年間四、五十回もある有感地震の大部分は千葉県や茨城県の下やあるいは茨城県の沖合いで起こる地震でございますが、そのために専任の地震学者が何人か東京のそういう有感地震の大部分を占めるものを予知してみせようと思いまして——かつ、私の見積もりはいつも小さ過ぎるのでございますけれども、恐らくは十億か二十億の金をつぎ込めばあるいは予知できるようになるのではないかと思いますが、いまのところそういうことは全然行われておりません。ただ、内陸の一部の小さい地震はある地震学者たちがそれにとりついておりまして、たとえば山崎断層の地震は予知できたのだ、こう言われておりますので、この付近の起こる地震を予知してやろうと思って何年も何年もそこで研究していれば、そういう小さい地震でも予知はできるようになるというのが最近の考え方でございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬(弘)委員 そこら辺までも予知できるのかと思っておったのですが、全然そういう体制もないようでございますが、しかし学問的なことはわかりませんが、地震計とか何かには調べれば前兆現象とかそういうのはもちろんあるわけでございますね。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 恐らく全然出ていないと思います。たとえば、そういう地震を予知するためには、恐らくその近辺に傾斜計とかあるいは容積変化計とか、あるいは海の中にもそういうものを植えつけて観測網をつくらなければならないのではないかと思っております。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬(弘)委員 十億、二十億というのは確かに大変なお金でございますが、しかし逆に言えば非常に安いお金かもしれません。基礎的なものの積み上げで初めて大きなこともできるのじゃないかという気がするのですが、そこら辺はどうですか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 全くそのとおりでございまして、そのために第四次計画からは特定の地域の地震を予知する練習をしよう、そういう思想が入っております。いまのところそれに取り込まれているのは関西にある山崎断層というところだけでありますけれども、それに適したところは日本じゅうに幾つかありまして、地震学者の人数に限りがあるということが一番根本の問題でありますけれども、そういう局地的な地震の予知をしてみせるということはできないことではない。ただ、関東地方に起こる、東京で有感になる地震は、予知の基礎的研究の材料にするためにはややむずかしい方に属するのではないか、そういうふうに考えております。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬(弘)委員 これも素人的な質問でございますが、震源地とそれから実際に震度で揺れるところが違いますですね。これで、どこで地震が起きたらどこではどういう揺れ方をするかというのは、大体はっきり地質学的にもわかっているわけですか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 それは、たとえば最近たしか建設省だと思いましたけれども、東海地震想定委員会という名前の委員会がありまして、そこで東海地震の震源の位置をこんなところだろうというふうに考えたわけです。それを考えますと、どこがどれぐらい揺れるだろうということは、非常に正確ではございませんけれども、ある程度想定できます。それで今度もっと詳しくは、いろんな地盤のよしあしをかねて調べてあるものをもとにしまして、ここは何百ガルぐらいだろうけれども、ここは百五十ガルぐらいだろうというような見当をつけることも可能でございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬(弘)委員 それから地震の大きさでございますが、いままで歴史的なものを調べてみますと、大体マグニチュードで八かそこら辺が限度になっているんじゃないかと思うのですが、都市の防災という観点からしますと、どこまで、どの限度の震度を予想しているのか私も知りませんが、これは地質学的にこれ以上はもう揺れないだろうといったような、何か一つのあれがあるのですか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 それはやはりあると思っていいのだと思います。たとえば、関東大地震は百年か二百年か後にいずれまたあると思います。恐らくその断層面も、元禄の地震か大正十二年の関東地震か、それと似たようなものだと思います。そうだとすると、やはり東京では家屋の倒壊はないだろう。関東大地震で十万人以上の方が亡くなったのは、東京では全部焼け死んでいるわけですね、湘南地方ではつぶされた人もありますけれども。ですから、そういうことはそういうふうに想定していろんなことを考えてよろしいのだと思います。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬(弘)委員 先ほどの何か小さい地震といいますか、これは少し性格が違って予知をする努力もしていないといいますか、する必要もないんだというようなこともございましたが、直下型の地震も同じような形になるわけですか。直下型の地震というのは、やはり予知ができないんだということですか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 一八五五年、安政ですけれども、東京の下町の恐らく真下にマグニチュード七ぐらいの地震がございまして、理科年表によれば町人七千人が死んだと書いてあります。一説によると、お寺や武家の被害はわかっていないのだということで恐らく一万人ぐらいは死んだのではないかという説がありますけれども、そういう地震があります。それから明治二十七年にもうちょっと小さい地震が起こりまして、二十何人の死者が出たことがあります。そういう地震をどう考えたらいいかということは、やはり非常にむずかしいことでございます。というのは、東京は数キロの堆積層に覆われていて、われわれはその基盤のことを知ることができない。ですから測量をしても、堆積層のふわふわしたところが伸びたり縮んだりしたことだけがわかるわけです。東海地震なら、いとも容易にというのはちょっと言い過ぎかもししれませんけれども、容積変化計を基盤の中に入れることができる場所がある。けれども何しろ規模の小さい地震ですから、しかも全部五、六キロのもので覆われていますから、もし基盤に容積変化計を入れたければ五、六キロ以上掘らなければならないので、これはもう非常にお金がかかるわけです。結論から申しますと、東京の直下地震を的確に予知できるように計器を植えつけるということは、まだ技術開発をすべきこともありますしなかなかむずかしいのだと思います。ただ、さっき力武参考人が申されたように、多分前震があるだろうという考え方がございますね。もしそうだとしたら、国立防災科学技術センターが維持しております深井戸の地震計でその前震を記録することができるかもしれません。この前のようにいまそこには余り地震が起こっていないのに地震が起こったら、これは危ないと言うことができるかもしれません。ですから全く望みがないというわけではないのですけれども、深井戸の地震計でも三千メートルも掘ることはものすごく値段がかかることでございまして、普通のところみたいに五十メートルも掘れば十分観測ができるというのとは非常に違う、そういうわけでございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬(弘)委員 先ほど、今後の地震の予知対策としまして測量計をあちこちに置くといったようなことの御提言がありましたが、これにもう少し民間の力みたいなものを活用してもいいのじゃないかという気がお聞きしながらしたわけでございます。たとえば学校に、一つの教材にもなるかと思うのですがずっとそういうのを配置して子供たちに観測をさせて、実際にそれがどう役立つかはちょっとわかりませんけれどもそういうことをするとか、あるいはどういったビルには一つの法的な義務づけをするとか、そういったようなことは考えられますでしょうか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 小学校や中学校の先生の知的レベルから考えれば相当なことができると思いますが、必ずしもその学校が適切な場所にはないということが一つの問題だと思われます。それからもう一つには、昔はそういうことは非常によくやっていただけたのですけれども、このごろはそうではないのであるという説がありますので、どれぐらいうまくそういうことができるかということは、いまのところ私にはわからないのでございます。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬(弘)委員 そういったことを申しましたのも、国民の地震に対する認識を深めたりあるいは地震に関する教育レベルを上げるといいますか、そういうことの意図も含んで、これに値するのじゃないかと思うのです。  先ほどちょっと話も出ましたが、大震災の予知対策要綱といったものが出てきております。確かにおっしゃいますように、いま予知を出す責任の所在が、どうもみんな逃げておられるような感じがするのですね。そういうことで、学者の方々が学術会議みたいなところで一つのはっきりしたものを出すということについてはいかがでございますか、非常にむずかしい問題でございますか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 予知の傾向みたいな情報を出しまして、それに対して行動をとることは政府の責任だと思っておりますが、現在東海地方に限りましては、ある程度器械も据えつけたり気象庁にテレメーター化されておりますので、それに対して判断を下すのはやはり地震学者の責任でないとはどうしても言えない、そういうふうに考えております。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬(弘)委員 そういう機関といいますか、制度をつくることに対してはいかがでございますか。やはり最終責任は気象庁長官だとかあるいは総理大臣とかというところに持っていくのか、国民に対する責任はもちろんそうでございましょうけれども、予知ということに対してでございます。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 予知というものが全く正確に、あと三時間四十九分の後に地震が起こるというふうに言うことができますれば問題は非常に少ないのです。実際は空振りの可能性すら含む、あやふやな点を含んでおりますですね。ですから、こういうときにはどうしても決断が必要なわけです。その決断はやはり学者だけでするのは適切でない。いや、本当は行政にしていただきたい、こう言いたいのでありますけれども、これは、もう少し言いかえますと、そういう決断を学者だけでするのはやはり適切でないだろう、そういうふうに申し上げておきたいと思うのです。

中馬弘毅新自由クラブ

○中馬(弘)委員 いまのところは都道府県知事に任されているだけのような形になっております。これこそ先ほどの教育の問題にもなってくるかと思いますが、空振りはもちろんあるものだという前提の上で、こういうことがありますから一応警報は出してくださいということを学者の方々も責任を持って言っていただきたいというような気がするのですね。行政というのはどうしても責任逃れをするあれがございますので、そういうことも含めましてお願いをしておきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。  どうもありがとうございました。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 次に、瀬崎博義君。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 どうも御苦労さんでございます。  すでにいろいろと論議されておりますように、ことしになってからだけでも一月の伊豆大島近海地震であるとか、二月の東日本一帯の広域地震など相次いでおりまして、国民の関心も非常に強いし、一日も早く予知技術が確立することが望まれているのできょうのこういうふうな委員会の設定になったと思うのです。  「地震予知、現状とその推進計画」というのが出されてすでに十六年目に入りますけれども、いろいろと御努力をいただいて大きな前進を見ている点については敬意を表しているわけであります。  まず、浅田先生にお伺いしたいのですけれども、「地震予知は巨大科学か」という論文の中で、「地震予知は成功のとば口に立っている。」こういう表現を使っていらっしゃるのですね。先ほどからいろいろと地震の短期、長期の予知はいつごろ、どういう制度でできるだろうかという論議をされておるのですが、まあ素人考えで、この「とば口」という言葉を読みますと、きわめて近いというふうに受け取るのですけれども、どういうようにこれを理解したらよいのか、少し御説明をいただけたらと思うのです。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 非常に微妙な表現でございますが、「とば口」というのは、うまくいけば入れる、まずくいけば入り損なうという、そういう感覚も含めたつもりなんでございます。ですから、何しろそばであって、地震予知はできるかと言われてできないんだ、とうていできないんだとは申せない状況だと思います。ですから地震予知ができる可能性も非常に多い。ただ問題は、十分な関心、要するにセンサーと申しますか感じるものを必要な地域に置いてそれを見張っているということが根本でございますので、大学規模の学問とはちょっと違うわけでございますね。ですからそういうものを必要な地域に敷設していく、場合によっては全国にも敷設したい、そういうことは、地震学者にとってただ普通の研究とは非常に違ったことでございますので、日本全国の議会の議員の方あるいは行政官あるいは新聞記者、すべての方の理解を願って進んでいかないと、たとえば極端なことを申しまして、私一人が日本全国にそういうものを据えつけるための、何百億円は超えないんじゃないかと思いますけれども予算が必要であると申しましたところで、そんなものは全く弱いことだと思います。でありますから、とば口にはいても入れないということ、そういう感じのことを書いたつもりでございますけれども……。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 それと、これも関係をしてくるのですが、これは力武先生にまずお伺いしてみようかと思うのですが、大規模地震対策特別措置法をいま国土庁で準備中で、まだその要綱だけしか発表されておりませんが、その目的の部分を読みますと、「地震対策強化地域の指定」、その次に「地震予知情報の報告」とあって、「警戒態勢の布告、この布告があった場合における防災上必要な措置等に関し規定を整備することにより、」云々とありますね。また「内閣総理大臣による警戒態勢の布告及び地震災害警戒本部の設置等」の項では「内閣総理大臣は、気象業務法に基づく強化地域に係る地震予知情報の報告を受けたときは、」——何かこれを読んでいると受け得る状況にあるように私どもは受け取ったのですが、「直ちに警戒態勢をとるべき旨の布告を行うとともに、」云々とあるわけですね。こういうふうな法律要綱をごらんになって、先生の御感想といいますか、御批評でも結構なんですが、そういう点を少し聞かせていただけたらと思うのです。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 そういう地震の特別法といいますか、そういうものが出るようになったということは非常な進歩だと思って評価をしているわけでございます。ただ私の印象では、当然のことですけれども重点はやはり防災にしぼられているのではないかと思います。予知の方はわりあいにあっさりと書いてあると思います。というのは、予知がまだやや開発段階を脱していないということが原因ではないかと思います。したがいまして、先ほどからしばしば申し上げておるのでございますけれども、そこで判定ができるものかどうかという議論が一応抜けておりまして、判定ができるという想定のもとに法律原案といいますか要綱ができているということでございます。ですから判定ができる場合もあるというのが現状だと思うわけで、しかもそれも、たとえば東海地域だけについてとまで極言してもいいかと思います。たとえば九州の地震を判定しろとおっしゃいましても、あそこは何もやっておりませんのでどうしようもないのでございます。ですから、判定の方も、その法律の精神に沿うためには組織を当然強化しなければいけないんだろうと思います。現在はわれわれのような大学の教授をパートタイムで動員しているわけでございますから、ある意味では責任が軽いと言えば軽いわけでございます。しかし、それではいけないんで、やはりちゃんとしたものにしなければいかぬというふうに考えるわけでございますが、果たしてそうなったときになり手があるかどうかという問題が一つ出てくるおそれがございます。つまり、非常な責任を負う元気はないという人が多いんではないかと思います。というようなわけで、その辺にいろいろジレンマがございまして、非常にきちんとした議論をして、次元の高い議論をして、そういう判定組織というようなものをきちんとしていくというふうにしないと、うやむやで済んでしまうようなおそれがあるというのが印象でございます。むしろいまの時点では、予知に関して非常に細かく規定しない方があるいはいいのかという判断を私は抱いております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 特別措置法が地震について出されてくることは進歩であると言われました。しかし、その中で、このように「予知情報の報告を受けたときは」というふうな表現がとられてくると、これができ得るものというふうな理解があったとしてもこれまた不思議ではなくなるので、先ほどの話に戻りますが、とば口という意味が、入ることも可能であれば入れない場合もあるということであるとするならば、やはり早く入ることが必要になってくると思うのですね。これは全く仮定の話でありますけれども、地震の予知計画がいずれまた四次でつくられる、なかなか先生方の御意見がそのまま通るということでもないということもいろいろ聞いたりするのですけれども、もしも浅田先生のいろいろな御提案が全部取り入れられるとするならば、つまり科学技術の方はとば口から入れるような段階にある、こういうふうに理解しておいていいわけですか。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 ただ、人の問題があると思います。たとえば気象庁にいる、あえて高級技術者という言葉を使いますと、そういう人たちの人数も余り多くはありませんし、国土地理院でも事情は同様でありますので、そういう人たちを急速にふやすことはなかなかむずかしいので、そこに問題は一つあると思います。しかし、データ整理に近代的な方法を使うことによって人間の方を補うこともまた可能ですから、私個人の考えとしましては、東海地震、いまのところ何年後に起こるかということははっきりしたことは申せませんけれども、絶えず監視をして、直前の現象は間違いなく把握するようにすることは見込みもあるし、そういう努力は絶対にすべきだ、そう考えております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 多分それと同じような意味のお話だと思うのですが、力武先生の午前中のお話で、現在観測強化地域として関東南部、それから東海が指定されている、観測網の強化について、全体としてマンパワーも金も現在の約十倍つぎ込めばというふうなお話があったと思うのですが、漠然と十倍というお話なんですけれども、もう少しこれを具体的に言っていただいて、どういうふうな観測装置、あるいはどういうふうな人たちが十倍になればというふうなお話なのか、そういう点を少し伺ってみたいと思います。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 御指摘のとおり漠然としたいわば勘というような表現なんでございますけれども、まず、ただお金を十倍にしていただいてもこれはとても使い切れないことは当然でございます。それから人間を十倍にふやせといっても、すぐぱっと十倍になるわけでもないわけでございます。ですから、それにはステップを踏んでいかなければいけないということを申すのを忘れたかもしれないのですが、当然そういうことになるわけでございます。そのためにはたとえば大学の講座等も強化しなければ人間は出てまいりませんし、そもそも組織をちゃんとしなければいけない。つまり国土地理院の人間を十倍にする、気象庁を十倍にするということではなくて、それを調整するような、私は先ほどから盛んに本部というふうな表現を使っておりますが、そういうようなものがまずあって、そして人間もだんだんとふやしていくというふうに考えたいと思います。ですから、そういうものが仮にどこかの省もしくは庁に置かれたといたしますと、その中には幾つかの部ができるだろうと思います。たとえば地震発生を監視する部であるとか、それから実際に地球物理学的な観測をやる部であるとかあるいは地震情報を取り扱う部であるとか、そういうようなものが当然出てくるわけでございます。また、優秀な人を吸収する、参加させるためには、当然研究部のようなものも必要かと思います。そういたしますと、研究部の中にはいろいろな項目、地球物理学的なものにいたしましても、測量もございますし、傾斜やひずみの観測もございます。地震観測もございます。地磁気、地電流それから活断層、場合によっては社会心理学的な研究等も必要になるわけでございます。そういうものが一つのユニットになってどのくらいの規模でいくかということを推算していくと、約数倍から十倍というようなことになるわけでございまして、全くの空で申し上げたわけではございません。そういうようなわけでございます。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 引き続いて力武先生にもう一点お伺いしたいと思うのですが、第三次計画の一部見直し、五十年の七月二十五日に建議されたわけですけれども、その中に初めて電気抵抗変化等の観測というのが入っておりますね。力武先生は岩石の電気抵抗の連続観測でいろいろと大きな成果を上げていらっしゃる、敬意を表するわけなんですが、一方またこういう基礎研究部門の項目をああいう計画の中に入れるについては、簡単なようでそうすんなりいくものではないというふうな話も聞いたりするんですが、こういうふうな新しい基礎研究的な課題が有効であるとわかったときに、こういうふうな見直しなどの会議ではどういうふうに論議されているのか、先生方の御提案というものは、さして抵抗なく認められていくような仕掛けになっているのかどうか、その点いかがでしょうか。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 電気抵抗の話でございますけれども、その意味は二つございまして、一つは地震が起こるようなところ、震源域と申しますが、そういう深いところの電気的な状態を調べるというやり方のものが一つございまして、これはソ連等におきまして、中国もそうでございますけれども、地震の前に震源域の電気抵抗が非常に小さくなるというような結果が出ております。これには実は十キロも二十キロも電極を離して電流を入れなければならないというようなわけでございまして、日本のような人口が稠密なところではへたをすると人が感電するおそれがございます。日本ではわりあいにやりにくくなっているわけでございます。それからもう一つは、私どもの方で開発した機械でございまして、これは神奈川県の油壺というところでやっているわけですけれども、数メーターの範囲で電流を流しまして真ん中から電圧をピックアップして調べる、これは非常に特殊な岩石でございまして、土地がわずかにひずみますと、それが電気抵抗の変化になってあらわれるときには一万倍ぐらいに拡大されるという、俗にナマズ岩と称する岩なんでございますけれども、これは大変うまい話でございまして、たとえば伊豆半島沖地震、四年前の地震のときには四時間ぐらい前から非常な変化を示した。不思議なことに今回の地震はほとんど変化が出ないというので悩んでおるわけでございますが、これはまあ三十例ぐらい前兆らしきもの、場合によっては千キロ向こうの千島の地震まで出ておるというような状態でございます。そういう成果を踏まえまして測地学審議会等においてこういう観測を強化することはよいであろうというような提言がなされたわけでございますけれども、率直に申しましてそういうことの評価が必ずしも十分であるとは思いません。非常にちゃんと評価してくださる、浅田参考人などはその一人でございますけれども、方もおられるのですけれども、それはまだ検討段階だというような意見もないことはないわけでございます。それでそういうときに非常に支配的になりますのがよその国の話なんですね。ですから中国でラドンの変化がよく出たということになりますと、たちまちラドン、それからいまの電気抵抗もソ連や中国の例があるわけでございますが、というふうになりまして、この辺いささか自分たちで少し反省しているわけでございます。つまり、よその国でうまくいったからといって、日本で必ずうまくいくというわけにはなかなかまいりません。日本のように、たとえば明治年間から測量というようなことに非常に力を入れているところは、その出てまいりました結果を評価することが非常にうまくいきますので、これは絶対の信頼が置けるということになるわけでございますが、そのラドンとか電気抵抗とかその辺になると若干まだ弱いということがあるかと思います。ですが、私の考えでは、ぜひとも観測できる項目をふやしていくということが絶対必要でございまして、それには、ない知恵をしぼりまして新しい技術を開発する以外しようがないんだというふうに思っているわけでございます。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 観測する項目をふやす技術というのはどちらかと言えば応用分野に入るのではないかと思うのですが、浅田先生の方は先ほどの論文の中では基礎研究の重要性を強調されておると思うのですね。「地震発生の過程に関する知識が必要であることを痛切に感じる。この知識がないと前兆現象を正しく解釈することができない。地震予知は成功のとば口に立っている。」とここでおっしゃっておるわけなんですが、「その時にあたって、かえって基礎研究がまた必要となってきたのである。」まだまだそういう基礎研究が必要な段階かなと思うと、とば口かというような感じを受けつつ私は読んだりいろいろしておったのですが、ここで言われている基礎研究の必要性とは具体的に言えば一体どういうものなのかということと、それから恐らくこれは違うお話かもしれませんが、ただいま力武先生は、どちらかと言えばいわゆる人材確保という意味では気象庁とか国土地理院ばらばらじゃなしに、本部というものがあってそれが省庁であるとするならそこには部がある。そういうところに研究部も置いてと、何かこうまとめていくような方向のお話だったと思うのですが、先生の方は機械的な一元化にはなじまないというようなお話もされていますね。これは話が違うなら違うで結構だし、もし御意見が違うのであれば違うということでいろいろとひとつ御回答いただきたいと思います。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 そこで基礎研究と申しましたのは、たとえばラドンの濃度をはかる、傾斜をはかるというのをただ中央に集めてそれを見てふだんと違うから異常であるというような態度は基礎研究的ではない、そういうことを言いたかったわけなので、基礎研究のためにはそのいろいろな器械を植えつけて、それを向こうまで自動車で行って読み取ってくるのも結構ですけれども、できれば中央までテレメーターするというのは基礎研究のために非常に大事なわけですね。ですからそこで基礎研究と申しましたのはかなり象徴的な意味がありまして、いま予知のために必要とするような器械は要らない、そういう意味じゃ毛頭ございません。  それから一元化の話ですか——いつも、つまり人間の社会のことでございますから、何かするとどういうことが起こるかという予測が非常に私自身につかないわけですね。たとえば本部をつくる。たとえば中国の国家地震局というのは非常に小さいものです。四、五十人しか人がいなくて、責任者は三人ぐらいおりましたけれども、あとの人は現場と絶えず入れかわっているのですね。非常に会議をしまして、いろいろなことを決定しているのです。その現場との絶えず入れかわりという点は非常に気に入ったのでございますけれども、たとえば日本で何かをつくりまして別に大きなものができるという場合に実は大学院の人もそう余っているとは私は思わないので、心ずどこかからとってこなければならない。そういうことが一体どういう影響を及ぼすのかというところの見通しがちっともつかないものだから不安を感じるので、そういう不安をのければ、たとえば現在明らかなことは、戦略本部はあるとは言えるけれども戦術本部には地震予知連絡会は非常に弱過ぎるというようなことがございますので、何かそういう本部的なものがあることは望ましいということはこれは全然反対でも何でもないのです。ただ、あっちこっちで少しずつ研究が行われてそれがかなり役に立っているというのが実情ですので、余り大きな影響を与えられるとそれがどうなってしまうかというところを心配している。いや、それはこういうふうになってこういうふうにうまくいくんだということがはっきりすれば、理屈としてはその本部みたいなものがあってより有機的になることは望ましいことだと思います。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 続いて浅田先生に対する御質問なんですが、気象庁の地震観測網について「遠慮せずにいえばまだやや旧式である」こういう表現をとっていらっしゃいますね。科技庁の発行しております「地震予知便覧」で見ますと、気象庁の地震観測網としては、地震観測官署数が百十八、強震計が百十四、直視式電磁地震計七十五、磁気テープ記録式電磁地震計六十七、高感度磁気テープ記録式電磁地震計十二、それから松代の特殊地震計一、こういうようなカタログがあるわけですね。一体どれが先生の御指摘になっている旧式の範疇に入っているのか、これが一つ。  それから、同じくこういう御指摘があるんですね。「微小地震観測網はかなり完成しているが、それにくらべると、直前の前兆を捕捉する本命と考えられる地殻変動連続観測のほうはもっと洗練しなければならない。」現在余りどうも洗練されていないというふうな御意見だと思うのです。「横穴の内に傾斜計や伸縮計をすえつけることを主体とする現在の方法では、群列方式の観測をすることもできない。」というふうな御指摘がある。これについて五十年七月二十五日の第三次地震予知計画一部見直しによりますと、ボアホール型の観測機器が開発されつつあり、また群列方式によりSN比を改善することも実用化されつつあるので、まず気象庁が観測強化地域である東海地方において業務観測を開始する、こういうふうになっています。そしてまた先ほどの地震予知便覧なんですが、ボアホール型の観測器は主に南関東と東海地域に科技庁の防災科学技術センター九カ所、気象庁十二カ所、計二十一カ所設置されていることになっている。今後もっと洗練しなければならないということは、こういうふうな設置個所ももっとふやさなければいかぬということなのか、あるいはそういうものを数多く設置しただけではだめなので、何か技術的な問題でも洗練を要する問題があるのか、この二点をひとつ。

浅田敏東京大学教授

○浅田参考人 気象庁の地震観測網のことを論評して全く申しわけなかったと思っているんですけれども、どこが旧式かといいますと、つまりちょっと詭弁的な言い方ですけれども、新式でないから旧式であるということですね。では新式なのはどういうのかといいますと、現在各大学はほとんど全部テレメーターになっております。北大、東北大、名古屋大学、京都大学は理学部の阿武山と防災研究所と二つあります。東大の震研は紛争のために非常におくれております。それとあと高知大学は全然テレメーターになっておりません。地震研究所と高知大学を除いてはほとんどテレメーターになっておりまして、しかもそのテレメーターはディジタルと申しますが、計算機に乗るような方法で送られてきております。それで、たとえば京都大学の阿武山などは地震の性質も非常にいいのですけれども、夜中は自動検測にしております。これはぴたっとはっきり出るからそういうことができるのですが、要するにもっといい計算機を使えばもっとたちのいい自動検測ができる。すでにそういう状況になっているわけです。でも、気象庁は伝統と歴史をしょっておるものですから、直視式——直視式というのは紙に記録が出てきて、それを切って外して多分現像して、それから小包で送って、そこで三角定規を当てて読み取るということで、気象庁がテレメーターをやっているところは比較的少ないのだと思います。現在の日本の技術水準では、たとえばお金さえかければ気象庁の観測網をテレメーター化することはできるのでありますし、気象庁の技術者はそれくらいの計画をつくることは何ともない実力を持っていますので、そういう可能性があるのにいまのままであるから旧式だと申し上げたわけです。  それに比べますと、本命の地殻変動連続観測は、気象庁のは非常に新式でございまして、全部コンピューターでいろいろ整理するようになっております。これは東海地方から関東地方の沿岸だけに置いてあります。地殻変動を洗練せよと申しましたのは、大学で古来——古来と言うのは大げさでございますけれども、何十年も地殻変動を観測をしていた人たちが非常に頭がかたくて余り新式にならなかったのだというのが私の判断ですが、そういう人たちは気象庁の容積変化計を見て非常に影響を受けましてだんだん洗練されてくると思っております。  ボアホールの計器でございますけれども、ボアホールに傾斜計を入れるのがどれくらい効き目があるかというのは私どもは大いに頼みにしておりますけれども、まだ気象庁の容積変化計ほどははっきりしていないのが現状だと思っております。いろいろなことをやってみるのは、お金は多少かかりますけれども、経験を積むために必要である。ボアホールに入れる傾斜計自体も会社でつくっておりますけれども、その性質、欠点を調べ上げて、ボアホール傾斜計を実用化するための努力は今後さらに必要だ、こう思っております。横穴式と違いましてボアホール式はうまくいきますと全部合わせてノイズを消すということができますので、そういうつもりでその部分を書いたのでございます。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 最後に、現在の地震予知に対する新たな社会的要請、それから現在までの研究の発展段階、さらにいろいろな観測データの集積等から見て、第四次地震予知計画をつくるに当たってぜひともこういうことだけは織り込んでおかなければならないという、いままでの計画と違った新しい特徴といいましょうか、そういうものについて力武先生の御意見を承って終わりたいと思います。

力武常次東京工業大学教授

○力武参考人 私は地震予知計画は急速に進展しつつあるというふうに考えているものでございまして、たとえば例の先行現象のデータでございますが、三年ほど前にアメリカでやりましたときには二百八十ばかりデータがそろいました。それから三年たっていまもう一遍洗いますと百何十追加がございます。ということは、日本だけでなくてアメリカ、ソ連、中国のデータもいっぱい出てきているということでございますけれども、そういう調子でございますから、第四次をちゃんとやれば、これはまた恐ろしくデータが集積して進歩するであろうということは間違いございません。  ただ、この場合に弱い面が日本の地震予知計画にございまして、もっぱら地震観測と地殻変動というハイライトの部分がございますけれども、私直接関係しております地球電磁気学という部門は研究者が数名いるかいないかでございます。それから地球化学の方も、これも何人というような程度でございます。それから私など多少手がけております地震予知の総合理論というような問題、つまり予知情報をこうやって手順を踏んで出すのだというようなことをやる部門、それから予知を警報に結びつける部門、こういう四つの部門が非常に弱いわけでございまして、第四次ではぜひこの辺をもう少しめんどうをちゃんと見ないとバランスがとれない計画案になるおそれがある、こう思っております。

瀬崎博義日本共産党・革新共同

○瀬崎委員 どうもありがとうございました。

岡本富夫公明党・国民会議

○岡本委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただき、本問題調査に資するところきわめて大なるものがあったと考えます。大変参考になりました。委員会を代表いたしまして厚く御礼申し上げます。  次回は、明二十三日木曜日午前九時五十分理事会、十時より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後三時三十八分散会

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