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82回国会参議院1977/11/01

社会労働委員会 第4号

発言数
292
登壇者
22
会派数
6
開催日
1977/11/01

会議録

浜本万三日本社会党

○理事(浜本万三君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言願います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 社会労働委員長でありますが、特例として質問をさせていただきます。  私は、私自身のライフワークでもあります小児医療問題、とりわけ小児外科の分野について御意見を伺いたいと思うわけです。  大臣、ひとつ基本的な考え方を伺っておきたいのでありますけれども、子供の医療というのは大人の医療と独立すべき原理を持っている。子供は大人の半分だという考え方で進められてきた今日までの考え方では正しくない。たとえば、端的な例が、やけどならやけどを例にとれば、大人の場合は体の半分以上やけどをすれば命を失う、子供は一二%のやけどで命にかかわるというぐらい、少なくとも重要な区分がそこにあるわけでありますが、大人には内科あり、外科あり、ところが、小児科には内科、外科というような区分がない。ジャンルはあるけれども、医療法上の区分がない。私はこの質疑を通じて医療法上小児外科の標榜を求める、やがての議員立法を目指してお伺いする立場を持つのでありますけれども、こういう考え方ですね、子供について、小児医療について、小児外科の分野というものをひとつ考えに入れながら、大人とは別な独立した考え方で医療体系を考慮すべきだという点について、いかがお考えですか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 小児の診療科目の問題は非常にむずかしい問題でございますが、確かに上田委員長がおっしゃるように、小児というものは大人の半分じゃないわけでございまして、この間も医療センターへ視察に行っていろいろ話を聞かされました。いろいろな機械にいたしましても、大人なら一種類の機械があればいいんだけれども、子供の場合は赤ちゃんから小学生からいろいろ体の大きさも違う、反応も違うというふうなことで、別な分野であって、それが専門的に確立されないのはどうもけしからぬというような現場の声もございます。私は専門家じゃありませんから、よくわかりませんが、そういう声はまともに受けて素直にひとつ検討をしてみる必要がある、かように思っております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 結構です。  先般、厚生大臣、私と一緒に世田谷の小児病院にもお出かけになって、そうした熱意を私は評価するものでありますけれども、一口に子供の病気と言いましても、特に大人のお医者さんじゃ専門的にはなかなか手の及びかねるといいましょうか、手なれていないと言いましょうか、専門化していないというようなところがたくさんあるわけです。たとえば、最近問題となっている先天性の奇形の鎖肛であるとか食道閉鎖、腸壊疽、腸閉鎖など、私の調べたところでは、世田谷の小児病院では、こういう鎖肛などの生まれて二十四時間以内に手術を必要とする子供の手術、一年間に五十件から六十件あるわけですが、これが小児病院で手術を受けるのはその半分が地方の病院で一遍手術を受けてうまくいかなかった。大体これは二十四時間以内にやらなきゃならぬものですから、うまくいかなきゃ命にかかっているわけですが、幸い命は取りとめたけれども、そのままではどうにもならぬというのがここへ運び込まれて再手術をしているということなんですね。これは現状非常に問題を含んでいるところですが、どのようにお考えですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 確かに御指摘のように小児外科の専門医は十分でございません。したがって、ただいまお話がございましたように、地方の病院で一たん手術をしたものを東京の国立小児病院で再手術しなければならないというような問題も起こってくるかと存じます。ただ、この問題につきましては、やはり初めは文部省が担当しております医科大学の卒前の教育がまず問題になり、次に卒後の教育研修が問題になるわけでございますけれども、残念ながら現在七十二の医科大学のうちで小児外科の講座を持っておりますところは順天堂大学と私立の金沢医科大学しかございません。いろいろ院内診療標榜等をし、特殊なグループが集まって診療をしたり、研さんを積んだりということはございますが、まだ十分ではございません。やはり、小児医療の中心課題は小児外科を中心とした今後の養成訓練、専門家の養成訓練にあると考えております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 小児外科の臨床上の体制が十分でないということをお認めになった。そして、その根底に卒前、卒後の体制が不十分であるということをお認めになったと、こういうふうに理解していいわけですね。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) そのとおりに考えております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 そうなりますと、いまのお話のように、事実上の講座と言うべきか、それがいま持っているのは順天堂と金沢医大だというふうに私も思います。しかし、実際には看板は出ておりませんけれども、たとえば東大の斎藤純夫助教授のところのようにプロジェクトを組んで事実上の小児外科を進めているところもあるわけですね。私はそういうところはかなりほかにもあると思うんですが、そういうお調べはございますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 正式に大学の当局が認めまして、付属病院の院内標榜をいたしましてやっておりますものは三校程度と考えております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 私の知るところでは、先ほどの東大の斎藤助教授のほかに、千葉大学の高橋英世教授、九州大学の池田忠一教授、それから久留米大学、それから広島県立病院、日赤医療センター——まあこれは大学病院、治療機関それぞれありますけれども、事実上は小児外科医療を、研究体制をも含めて進めているところだというふうに理解しますが、それでよろしいですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 先ほど私がお答えいたしましたのは医科大学についてお答えいたしました。  その他の国公立の医療機関でございますが、これにつきましては、やはり小児医療という場合に、小児内科の医療は非常に強くなりまして、国立病院を例にとりましても、もう五十程度のものがやっていると思うのでございますけれども、小児外科ということになりますと途端に数が少なくなってまいります。ただ、先ほど先生からは、日赤中央病院とか広島市立中央病院とか、そういったお話がございましたが、そういった基幹病院では、程度の差はございますけれども、小児外科も担当しているところが少なくないと考えております。具体的に申し上げますと、小児医療の純粋な専門病院は現在七つございまして、一番古いものは国立の医療センターで小児医療センターであり、その次は大阪市立の小児保健センター、一番新しいものは本年七月オープンしました北海道の小児医療センターでございますが、その後の計画としては福岡市が小児医療センターの建設を進めております。ただ、これらは専門の小児病院でございますが、総合病院で小児医療を非常に活発に行っている、外科も含めて、そういったところはそのほかに約二十六、七あるように記憶しております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 これは私の自分自身の体験で記憶をたどると——記録というものはないわけだからしょうがないんですけれども、十年から二十年ぐらい前の認識では、生まれたばかりの子供にメスをふるえる小児外科の専門医というのが二十人——三十人とまでは数えられなかったというふうに私は記憶をしているのであります。だから、まあ事実医学全体のレベルの問題としてその辺のところを低迷していたということが現状ではあったのですけれども、いまのお話にもあるように、明らかに何となく大人が米を食べる、だから赤ん坊には重湯にして飲ませるという、子供が大人の半分、まだ大人を小さくしたのが子供だというプリンシプルの上で行われていた医療感覚、原理ではなくて、一ころは生まれたばかりの子供にはメスをふるうなというのが東大の医学部でも教えていた。木本外科で言われていた講義の言葉ですからね。それがいまとにかくそういうメスをふるえる人々、あるいは技術だけの問題じゃなくて、学問的なレベルとして、分野として成熟をしてきたというところまで来たということは認識できることだと思うんです。で、いまのお話のように、いろいろな研究機関ないしは治療機関で事実上その程度まで分野が拡大してきたということは、必然的に広がらなければならない進歩の方向に向かって、行政上は十分な手当ては行われていないけれども、事実上の医療問題として実態が進んできたというふうに考えていいわけですね。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 他の新しい診療科目との比較の問題はございますけれども、確かに先生いま御指摘のように、小児外科の領域も着実に進歩を遂げてきたと考えております。これは小児外科学そのものの進歩のみならず、輸血学とか麻酔学とか、あるいは最近はICUとかNICUとか、そういった特殊な装置も発達いたしまして、特別な患者管理ができるようになった、そういったことも大きく影響して、だんだんと進歩してきたものと考えております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 ということは、小児外科医というジャンルがすでに独立してもいいほどの、あるいはしなければならないほどの力量を備えたというふうに考えてもいいですか。  外国の例を聞きますが、たとえばアメリカでは小児外科の手術を一般の外科医がやった、そこで失敗するということになりますと、これはもう裁判では必ず負けるというのが判例化しているわけですね。外国の小児外科分野というものがそういうふうに確立しているというところをお認めになりますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 多くの国では確立いたしております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 そこで、日本ですがね、たとえば最近話題になったのでは、イタリアの先天性胆道閉鎖症の子供が先般順天堂に参りまして手術をしたと、それで命が助かったと。それで手術をした順天堂教授の、これは前の小児外科学会の理事長であります駿河敬次郎博士がイタリア政府から勲章をもらったというのですね、大臣。こういう勲章は私は非常に名誉だと思いますね。わざわざ外国から日本に来て手術を受けて、命が助かるなんというみごとなことを、レベルはここまで来てるんだと。いまの局長の話のように、外国ではもうすでに小児外科分野というのは確立をしておると。そして、日本はそれ以上、こういう勲章をもらえるほど高いレベルに来てると。これは私は日本の小児外科という分野が十分な国際的なレベルを超え、しかも小児医療のために独立しても十分にふさわしい力量に達しているということをあらわしていると思うんですよ。心境いかがですか、大臣。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 技術的な事項について簡単に申し上げます。  ただいまお話のございました外国の専門医制度は、先進国の多くの国ででき上がっております。しかし、これは専門医の制度でございまして、日本のような医者であればだれでも標榜できる診療科目の標榜制度とは違う問題であるということを申し上げておきたいと思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 何か変なことを言ってもらっちゃ困るんですよ。アメリカとかイギリスとかオーストラリア、ドイツ、これは内科医や外科医と、何と言いますか、同じ条件で特別に試験を受けなきゃならぬ、そこで合格をするんだということになってるわけですよ。これは小児外科医というもの、あるいは小児外科分野というものの権威を語るものでありまして、日本じゃそれをあなたの方がやらないからできないだけのことであって、現実にこのことによって救われている子供がいるんだし、そのレベルは高まってるんだし、しかもそれが必要であり、それは医学の発展の必然であるということをお認めにもなっているはずなんで、これはあなたの方が行政的に立ちおくれているにすぎないんですよ。それを何かいかにも逆に向くようなお話になっては、これははなはだ困るんです。これはひとつ大臣が、世界に冠たると言っちゃ少し妙な表現になりますけれども、勲章までもらえるほど進んでいる、しかも実力が伴っている日本の小児外科分野というものを、やはりもっと発展をさせていかなきゃならない。また、大いにこれを認めるべき時期にも来ているということを客観的に認められていいことだと思うんです。これはひとつ大臣から、いまの局長の答弁を訂正する意味も含めて、御感想を伺いたい。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 純技術的なことは私にはわかりません。わかりませんが、いまお話のように、日本の小児外科が世界の中で認められて、しかも特定な人かもしらぬが名誉ある勲章までもらうというところまでくれば、やはり私は小児外科というものをもっと大切にしなきゃいかぬじゃないかと、こう思っておるわけでございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 逆に伺いましてね、小児外科というのが現在の医療法の上で標榜されることで困ることが起きますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 二つの面があろうかと思いますが、小児外科というのも一つの大きなジャンルでございまして、その中がまた幾つかに分かれるのじゃなかろうかという問題が一つございます。それから、もう一つの問題は、一般科でございますと、医師であれば卒前教育、卒後の臨床研修二年を受ければ、だれでも本人の良心に従って標榜できるという制度になっておりますが、それは大学の教育体制が一応完備しているからでございます。したがって、大学の講座等が少ない場合には、たとえばいま麻酔科でやっておりますような特別の厚生大臣の許可に基づく標榜制度にしたらどうかといった意見が、日本医学会とか日本医師会から出ておりますが、そういうふうな問題もございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 ちょっとよくわからないな。つまり、小児外科を医療法上標榜すると困ることがあるんですか。あえて困るところを探せば少しはこういうこともあるかもしれないが、そういう方向が正しいとお考えなんですか。これはひとつ注意深く答えていただかないと非常に影響がありますから、大臣とよく打ち合わせて、あなたの言ってることはどうも見当違いが多いから。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 小児外科というのは、先ほども先生から御指摘があったように、大人を小さくしたものではない特殊な生理的な、生化学的な状態にある方々であります。それだけに慎重に行わなければなりません。したがいまして、やはり小児外科を標榜する方は、たとえばいまの麻酔科の標榜許可を受けていらっしゃる方のように、二年間特定の施設で修練を積まれて、その間外科の症例数は何例というようなことで、最終的に委員会で認定をされて特別に標榜許可がされるというような制度を考えた方がいいんじゃないかという意見が強いように思われます。つまり、一般標榜診療科名として認めるのはどうであろうかという意見が強いように考えております。

上田哲日本社会党

○上田哲君 その辺は、ひとつ先ほどからの答弁と一貫するようにお答えをいただかなきゃいかぬのでして、繰り返しませんけれども、たとえば、先ほどから御答弁いただいたような、現実の問題として小児医療の中で占める小児外科分野の必要性、それから医学の発展の当然の方向としての現状、そして大学機関、治療機関は当然のこととしましても、行政上これは文部省にもわたることだけれども、十分な手立てがついていないために専門的な医学者の養成ということが本格化されていないにもかかわらず、むしろ実際にはこういう看板はかけられないけれども、法律上は、講座を持ちそしてプロジェクトを持ち、実態が進んでいるということがある。しかも、それは必要であり当然なことだ、喜ばしいことだということをお認めになっているわけですよ、いいですか。そしてそういうたとえば実態や研究の実情を受けて、どうも医務局長の勉強が足りないと私は思うんだけれども、たとえば日本医学会が創立後九年目の四十七年に、内科や外科、眼科と並んで小児外科を独立した分科会として認めているわけですよ。そこまできているわけですよ、医学会の常識というのは。認知しているわけですよ。あなたは何か行政官としての妙な感覚が先走って、どこかで法改正をすぐしなければならぬというふうに思ったか思わないかしらぬけれども、そんなことを考えてもらっちゃ困る。子供が生まれてすぐ二十四時間以内におしりの穴が詰まったようなもの、腸が詰まっているようなもの、これは手術すれば命が助かるのですよ。しかし、できるお医者さんがどれだけ日本人にいるんですか。幾ら救急車のサイレン鳴らしたって運び込むべき病院がなければどうにもならぬということを、ああ運命だということにはならぬでしょう。そこに十分な医学の方向が見つけられ、しかもそのメスを使えば助かるというのがありながら、医療行政が追いついてないから子供を殺しているのだったら、医療にかかわる行政官としての責任というのは大いにそこに燃やされなければならないものであって、何か大変木で鼻をくくったような言い方をされているのは、現状を認識しないのみか、医療行政官として私は不適当だと思いますよ。だから申し上げているんです。実態はここまできている、研究の方向は明らかである。そして、たとえば日本医学会でもこういう独立分科会をちゃんと認知しているじゃないかということをどうお考えなのか。あるいは御存じないのか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 現在、日本医学会が認知しております学会の数は約七十五であったと思うのでございます。しかし、一方現在医療法七十条で定められております診療科名は二十七、それに特別許可の麻酔と、こうなっているわけでございます。そのほかにいろいろ学会は認知されないものもございます。ただ私が申し上げたいのは、世田谷の国立小児病院の場合もそうでございますが、第一外科、第二外科、第三外科と、こう標榜しておりますが、地方の小児の病院では心臓外科とかあるいは形成外科とかというふうな標榜をしていくわけでございます。外科のすべての領域につきまして子供を扱うというような形になるわけでございます。そういうふうな傾向もあり、小児外科という大きい一つの枠をかぶせたらどうかというふうな問題も別にありということで、私どもは慎重に医学会等の意見を聞きながらこの問題を検討している段階でございます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 結論ですが、どうも役人に聞いていると私は気持ちが暗くなってくる。大臣、さしでやりましょう、もう一問、二問で結構だから。  大事なことは、すぐここできょうあすにも議員立法してどうしようなどということは言いません。いままでの、いま麻酔科という例も出ましたけれども、全部新しい分野の標榜というのは議員立法でやっているわけですよ。これは行政でやっちゃいけないんだという一つの哲学があるわけだ。それは結構だと思うんです。当委員会にはお医者さんの先輩もたくさんいらっしゃるから、これはぜひ皆さんと——どこかの党がどうしようなんて話はもとよりないんですから、子供の命を大事にしようという立場で、これはわれわれとしても議員立法その他の努力はしたいと思いますよ。しかし、哲学として役人が前へ出て旗振るようじゃいけないんだということはよくわかるけれども、役人がこれを抑えようというようなことになって、変な防衛意識を働かされたんじゃこれは子供にとって非常に不幸ですから、これは私は政治家としても厚生大臣に政治判断をひとつ一、二点伺っておきたいと思うんです。  まず一つは、今日までの子供の医療というのが、大切なものであるけれどもおくれてきた、これは何とかしなきゃならぬということについて、強い熱意をお持ちかどうかというところにひとつ戻りましょう。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 子供の医療については、どういう事情があるかよく知りませんけれども、おくれておったと私も思います。

上田哲日本社会党

○上田哲君 そのためには、この前も御視察いただいたように、小児外科の分野というのがこれは非常に重要な部分になってきている。そして、そのレベルは非常に進んでいるということについても御認識をいただいていると思いますが、いかがですか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 小児外科部門も部分的には非常に進んでおるという面があることは率直に認めます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 結論でありますけれども、私は治療、それから研究の実態、あるいは学会の動き、それから技術の優秀さ、こういう諸要素から考えて、また、特に諸外国との比較等々もつけ加えるならば、今日小児外科が独立した診療科として認められるべきときにきていると、これは日本の医学界にとって誇らしいことであると私は思っているわけです。これを唯一阻んでいるものは、医療法上の標榜がないということだと思います。実際に先ほど申し上げたような症例の赤ちゃんが病院に運び込まれたとして、大体その産科でやっても小児科がくっついているということはないんですから、日本の場合はそういう場合に、そうした子供たちをどこの病院に運んでいいかということすらも選別ができないという状況を突破するには、こうした問題を医療行政上解決するということは急務であると私は思っております。  そこで、いずれまた先ほど申し上げたように議員立法等々の段取りを考えて御提案もしなければならないと心組みしておりますけれども、厚生大臣としてこういうような現状を踏まえ、認識をされてぜひひとつ現に実力を有し必要が認められている小児外科の医療法上の標榜を実現する方向について、強い前向きの御見解を承りたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ日本には、例が適当でないかもしれませんが、大は小を兼ねるという言葉がありますが、私は必ずしもそう思わない。小は大を兼ねることはあります。言うなら、しゃもじは耳かきになりませんが、耳かきはしゃもじになることもあるわけですから。ですから、私は小児外科の問題についても、大人のメスは小児に使われないが、小児のメスは大人に使われることもあるということも事実でございます。これまで非常に小児外科がおくれたのにはそれなりの理由が私はあると思うのです。私は、大学の講座が足らぬとかどうとかという問題は何で解決できないんだろうかと思っておるんですが、これは医学の大学の部門で古い体質が私はまたあるんじゃないかという気もしますよ、よくわかりませんけれども。もっとふえたってよさそうなもんですから、だから厚生省が引き取ってやったらいいじゃないかという御意見もあります。こういう御意見についてはどういう手段方法がいいか、私は前向きで検討してみたいと、さように存じます。

上田哲日本社会党

○上田哲君 ということは、小児外科の医療法上の標榜について提案がなされた場合には、大いにひとつ前向きに検討するという決意の表明として承ってよろしいですか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 前向きで検討いたします。   〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 まず最初に、被爆教師の健康管理の問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。  被爆者の健康というものは、歴史的な悲惨な惨害を受けたということだけでなしに、医学的にも特殊な状況にあるということが言われておるわけなんでございますが、被爆者の健康状態について一般的にはどのように理解をしたらよろしゅうございましょうか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) いわゆる被爆者と申しますのは、原爆投下時に放射線を浴びたということでございます。そういうことでございますので、その放射線の影響ということがある程度あるのではないかというふうに想定されるわけでございますから、そういう意味で私どもの施策としては、いわゆる放射能そのものによって起こっている病気ということであれば認定被爆者ということで医療を受けていただくことになりますし、さらに一般の被爆の方である場合には、健康診断を毎年実施いたしまして、そういう方々の健康状態というのをチェックしてるという状況でございます。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 この問題は長崎県で起きた問題でございますので、被爆者の方がどういう状態にあるかということを調査された資料がございます。昭和五十年に行われました第十六回の広島シンポジウムにおきまして、「原爆被爆者の被爆状況と健康度に関する研究」というものが発表されておるわけなんでありますが、その中では距離に関係なく一様に健康不安を訴えられておる人の状況が出ているわけなんですが、たとえば疲れやすいとか、体がだるいとか、目まいがするとか、頭痛がするとか、胃腸が悪いとか、かぜをひきやすいとか、そういう報告がなされておるわけなんでございます。また、幾つかの原爆裁判等に出ております証言などを調べてみましても、原爆症の特徴というものが相当詳しく浮き彫りにされておるわけでございます。その中でも先ほどの調査と同様に被爆者の方々は、疲れやすい、全身がだるい、目まいがする、動悸がする、頭が重い、便秘がする、下痢がする、食欲がない、肩がこるとかいうようないろいろな症状を訴えられておると思うわけでございます。そうすると、特殊な健康状態にあるというふうに理解をしてよろしいんじゃないでしょうか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 先生いまおっしゃいましたいろいろな症状というものが、実際にそういう症状が原爆そのものによって出てるか出てないかという非常に微妙な問題があろうかと思いますが、少なくも精神的にそういう状態になるんじゃないかなどというふうな心配することが、またそういう状態を起こすということもあれば、そういう意味まで含めましてそういうふうな事情にあると、こういうふうに理解できると思います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 ちょっとやっぱり局長、理解が足らぬように思うんですけれどもね。特にもう一つ私の方で付言をしますと、厚生省の治療の指針の中でも、非常に精神的にも肉体的にも極度にいろいろな問題が考えられるので、したがって広い立場からいろいろな治療をしていく必要があるということが言われておるわけです。その一、二の書かれておる内容を読み上げますと、「原子爆弾後障症においては、その症状が一進一退することが多いので、治療を加えた結果一応軽快をみても、その後における健康状態には絶えず注意を払う必要がある。」とか、あるいは「原子爆弾被爆者の中には、自身の健康に関し絶えず不安を抱き神経症状を現わすものも少なくないので、心理的面を加味して治療を行う必要がある」とかいう、精神的にも肉体的にも十分注意をした上で治療をしなければならないということが治療指針の中にも載っておるわけでございます。そういうふうに厚生省としては相当注意深く被爆者の方の健康管理についても治療についても行わなければならないということが言われておるわけでございます。そうなってまいりますと、被爆者に対する健康管理上の指導というものを、厚生省として関係各省庁に対しましても十分注意をしなければならないと私は理解するわけなんですが、厚生省は関係各省庁に対しまして、被爆者の健康管理上について何か特別の指示とかあるいは特別の話し合いをするとかした例はありますのでしょうか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 先生おっしゃるとおりでございますが、私どもとしまして、いままでのところこういった健康問題で特にということで各省庁とお話し合いをしたことはございません。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 話し合いをしたとかあるいは指示をしたとかいうことがないという意味は、原爆被爆者というものは特殊な状態に置かれておるんだから、それぞれ関係省庁が当然それらの方々の健康管理については注意をすることは当然なんだというふうに考えておられるから、そのような行為はやっておられないわけですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) もう先生も御承知のように、原爆に関しましては二つの法律がございまして、その中でいろいろ被爆者の健康問題を中心に医療及びそれからいろいろな手当てということが考えられておるわけでございますから、そういう意味でそういうふうなことが国の法律としても決まり、そういう施策があるということであれは、その内容及び考え方につきましては当然各省もそういうことを御理解になっていると、こういうふうな前提でございます。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 そういたしますと——文部省の方見えていますか。文部省の方にちょっと伺うんですが、長崎県の最近の教員の異動の中で、被爆された教師の方を相当多く離島に配置転換をされたということを、先日、二十五日から二十八日までに行われました総評被爆連の上京団の皆さんから伺ったわけですが、そういう事実を承知されておりますか。

加戸守行文部省初等中等教育局地方課長

○説明員(加戸守行君) 本年の三月に発表されました昭和五十一年度末の長崎県におきます教職員人事異動におきまして、被爆教師の方々が僻地、離島へ四十名配転をされたという事実は承知いたしております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 小学校六百三十人、中学校三百四十八人、高等学校百四十七人、つまり長崎県下の教職員で被爆手帳を持っておられる方が合計いたしますと千百二十五人おると言われておるんですが、その中で今回の配置転換に関係した方が三十四人おられます。そのうち無医地区に配置転換をされた人が七人、診療所——これは一週間に一度のみの診療所を含む診療所が一つあるところに三人、それから医療体制不備のところに二十四人、合計三十四人の配置転換をされた被爆教師の方があるわけなんですが、特に私問題だと思いますのは、無医地区に七人の配置転換があり、一週間一度の診療がある診療所のあるところに三人の配置転換が行われたということは、これはきわめて人道上問題があるというふうに考えております。特にこの十人の中でその後の調査によりますと、椛島に転勤された方は、原爆病院の診断の結果白内障の疑いがある人なんですが、これは退職に追い込まれでおるということ、それから神之浦というところに配置転換をされた教員の方は退職をしたということ、それから浜ノ浦小学校に配置転換をされた方は、被爆後胃が悪くて通院をしておったわけですが、その上に椎間板ヘルニアですか、などが併発をいたしまして、船酔いがひどく吐血すると、こういう症状を訴えておられるわけです。そのように健康上きわめて不安な状態に置かれておる被爆教師の方々を離島に配置転換をするということは、人道上からしても許されないことであるし、かつまた、被爆者の皆さんの特性というもの、特徴というものは、先ほどから厚生省の公衆衛生局長が答えられておったとおりでございますから、私はきわめて遺憾であると思うんですが、そういう事実は承知されておりますか。

加戸守行文部省初等中等教育局地方課長

○説明員(加戸守行君) ただいま先生御指摘のありました点につきましては、地元の長崎県教職員組合、あるいは長崎の原爆被爆教師の会等から苦情の申し立て等ございまして、その点に関しまして長崎県教育委員会との間の折衝があり、また新聞等にも取り上げられましたので、文部省といたしましてもある程度の事情は承知いたしております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 普通まあこの転勤をする場合には、転勤を命ずる場合には、私どもまあ広島などの被爆者が多いところでは相当慎重にやられておるわけなんですよ。たとえば本人の意思を十分伺うとか、あるいは通勤の問題について配慮するとか、あるいはまたこの医療施設があるかないか等、きわめて重要でございますから、それらについて十分考えた上で、なおかつ個々に面接をいたしまして、事情を伺って慎重に配置転換を行うということをやっておるんですよ。そういう広島などのような指導をすれば、長崎の今回のような事件は起こらなかったというふうに私は思うんですが、文部省は一体どういう指導を被爆教師の健康管理についてなされておったのか、また配置転換に当たって健康管理ができないような離島に配置転換をするということ、これはきわめて遺憾であると思うんですが、この点についてどのようにお考えでしょうか。

加戸守行文部省初等中等教育局地方課長

○説明員(加戸守行君) 一般的に原爆被爆教職員の取り扱いにつきましては、文部省といたしましても、これは昭和四十八年の春でございますが、通知によりまして実情に即して適切な措置をとるようにという一般的な指導を行っておる次第でございます。なお、今回の人事異動の件につきましては、長崎県教育委員会の報告によりますれば、本人からの事前の意向調査書を提出させるということと、それから特別な事情のある者につきましては、特殊事情調書を校長から公的医療機関の診断書を添付してその事情調書を、特別事情調書の提出を受けまして、それに基づきまして事情調査をするというような、事前の手続を踏むという形で進められているというように理解いたしております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 しかし、事情を十分調べた上で、あるいは聴取した上で配置転換をしたといっても、現に先ほど私が紹介をしたような事実が出ておるということになりますと、これは非常に重要な問題だと私は思うんです。そういう事実の上に立って文部省としては長崎県教委に対してどのような指導をなさるかということを私は伺っておるわけなんです。そういう点について、もう一回しっかりした答えをしてもらいたいと思います。

加戸守行文部省初等中等教育局地方課長

○説明員(加戸守行君) 今回の異動の前にも、従来から原爆被爆の教職員が僻地、離島に勤務されているケースはかなり多くあったわけでございまして、長崎県教育委員会の報告によりますれば、従来からの引き続きの僻地、離島に勤務している被爆教師がすでに六十三名、今回の異動で四十名という形で、特に原爆被爆者の中にも健康な状態の方もございますし、あるいは勤務可能と考えられる者もございまして、そういった個別の事情によって、十分慎重に判断をするという県側の考え方を受けまして、私どもも今回、問題となった事柄につきましては、なお、十分事情を把握して、適切に対処されるよう指導している段階でございます。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 適切に指導するというお答えなんですが、これに関連をいたしまして、十月二十七日付の文書で総評被爆連の責任者と、それから原爆被爆教師の会の連絡協議会長の連名でもって文部大臣に要請書が出ておるわけです。この要請書はたくさんございますけれども、特に今回の配置転換に際しては、長崎県の教職員のそれらの方々が、平和教育に非常に熱心であるという意味を持って配置転換をされたのではないかと、こういう疑いもあるというふうに私は聞いておるのでございますが、そういう事実はございませんでしょうか。

加戸守行文部省初等中等教育局地方課長

○説明員(加戸守行君) そのような事実は承知いたしておりません。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 それでは文部省の方に重ねて要請をしておきますが、この要望書の趣旨に沿いまして早急に被爆教師の健康管理等々、もろもろの施策を前進さしてもらいますように、強く要望をしておきたいと思います。  最後に、これ厚生大臣に伺いたいと思うんですが、いまのように十分被爆者の実態というものは承知しておると考えられておりましても、問題がやっぱり生じておるわけなんでございまして、厚生省としては被爆者の健康管理について今後十分配慮するようにという意味の趣旨を、関係各省庁に対して出してもらいたいと思いますが、いかがでございましょうか。  それから第二は、このように僻地に配置転換された方の健康管理につきましては十分でございませんので、できますれば、離島、僻地等の巡回方式による健康診断制度等も活用する必要があるのではないかということを考えますが、この点についてもあわせてお答えを願いたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 被爆者、特に認定被爆者の置かれた健康上の特殊な事情にかんがみまして、被爆教師の人事異動等につきましては、配慮方を各省に要望したいと思います。  また、僻地の巡回診療等は十分にこれを活用してまいりたいと存じております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 じゃ、よろしくひとつお願いします。  次は広島にございます放射線影響研究所ですか、この問題につきましてお尋ねをいたしたいと思います。全国で三十六万人に及びます原爆被爆者は、いつ自分がいわゆる原爆症にかかるのではないかという病気の心配が常につきまとっておると思います。被爆者が老齢化した今日の状態の中で、特に健康に対する不安は一層深刻になっておるのではないかと思うわけでございます。そういう状態に置かれております原爆被爆者に対して、われわれが考えなきゃなりませんことは、一つには被爆者が発病しないように、またいわゆる原爆症の早期発見のための健康管理を十分行うということ。それから二つ目には、不幸にして発病をいたしました場合には世界の最高水準の治療が受けられるようにすること。それから、三つ目にはいわゆる原爆症の治療法などを目的とする研究調査を積極的に行う、このようにいたしまして、被爆者の生命を守ることが必要ではないかというふうに思っておる次第でございます。現在、この制度を見ますと、健康管理それから治療、調査研究を行う機関、そういうふうに分かれて設置されておると私は思うわけでございます。たとえば、広島と長崎におきましては健康管理の面は原対協の被爆者健康管理所が行う、治療の面では原爆病院、そして調査研究の面は放射線影響研究所や原医研などが行うと、こういうふうになっておると思うんでございます。私はもう放射線影響研究所が日米折半で最近新しく生まれ変わったわけでございますから、もうすでにこれらの機関の一元一体化ということが被爆者のためには必要になってきておるんではないかというふうに考えるわけなんでございますが、その点はいかがでございましょうか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 確かに先生がいまおっしゃられましたように、原爆被爆者の関係につきましての研究はいろんな研究施設でやっております。おっしゃるとおり放医研あるいは大学、原爆病院というようなところでやっておるわけでございますが、実際にそれぞれが一緒になって一つの研究所というお話でございますが、考えられます一つは、それぞれ歴史的にそれぞれの研究をやってきたという一つの何といいますか経過がございます。たとえば、その治療を中心にやってきたとか、あるいは疫学、発病の状況などという調査をやってきたというようなことがございまして、そういう意味からそれらの伝統というものがある幾つかを一緒にしちゃうということはなかなかこれはむずかしかろうかと思います。  それからまた、研究者というのはいろんな研究にタッチするわけでございまして、たとえば大学病院におきまして原爆の研究をしている方は、やはり同時に一般の疾病についても研究したいということもあろうかと思います。ですから、原爆研究所のドクターであっても普通の外来診療をやるというようなこともあろうかと思います。そうなりますと、全く原爆関係オンリーだけをやるということがその研究者にとっていいのかどうかという問題もあろうかと思います。そういう意味で、一つのところへ全部の研究者を集めちゃうということは、実際上は非常にむずかしいんじゃないかと考えております。だからといって、それぞれがみんなばらばらでよろしいということは考えないわけでございまして、そういう意味からしまして、それぞれの機関がお互いのインフォメーションを交換し合うということによって、十分全体としては統一されたような形ですべてが進むということが望ましいというふうに考えておるわけでございまして、これは広島におきましても、たとえば原爆被爆者関係医療機関懇談会というのがございまして、そこには日赤の原爆病院、広島大学、それから放射線影響研究所、それから広島原爆障害対策協議会あるいは原爆被爆者援護事業団、県、市といったような方々から構成されております懇談会でお互いのインフォメーションを交換し、十分連絡し合うということをやっておるわけでございますが、そういう意味合いでこの懇談会そのものの意義といいますか、働くべき中身というのは非常に重要だと思いますので、私どもとしましてはこういった懇談会がしばしば行われ、そして十分相互の連携が行われるということが望ましいというのが現段階ではなかろうかというふうに考えております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 結局、いろんな機関がございましても、要は被爆者の方たちから考えまして、これはすべて被爆者のためにやってもらっておるんだなあという実感が生まれてきませんと、私はやっぱり問題の解決にはならないと思っています。ところが、そういう評価が比較的薄いということを私どもは心配をしておるわけなんです。したがいまして、もう大分仕事を進めていろんな経験も積んできたわけでございますから、行政面から見ましても、財政面から見ても、これらの機関を一本化しまして、そして有効に成果が上がるように運営した方がよろしいんじゃないか、こういう気持ちがしてならないんです。特に最近、参議院の当委員会におきましても、例年のように被爆者とその子や孫の放射能の影響についての調査研究の十全を期するため、現存する原爆医療機関、原爆医療調査機関の一元一体化等について検討し、その促進を図ることという附帯決議もなされておるわけでございますから、そういう点についてもう一回真剣に考えてほしいと思うんですが、厚生大臣いかがでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま局長から答弁をいたしましたように、それぞれの機関がそれぞれの使命を持って存在をするわけでございます。これを一本化をした方がいいか、それとも局長が言ったように、いままで連絡が悪いところがあれば、そういうような連絡をもっときちっとさして所期の目的が達成されるようにした方がいいか、検討をしてみたいと、こう思っております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 それから次に、放影研、俗に言う放影研の体制、運営の問題につきましてお尋ねをしたいと思うわけでございます。  放影研が発足をいたしましてすでに二年半ほどたつわけなんですが、放影研の評価につきまして、広島、長崎の原爆市民たちは、レッテルが変わっただけで中身は同じではないかという酷評をするものもございます。また、依然として、したがってモルモットがわりになっておるというような不満も強く出されておるわけでございます。特に最近、そういう実態が詳しく出されましたのは、昨年の七月、地元新聞であります中国新聞が約三十回にわたってABCC、放影研の特集をいたしまして、世間にその問題点を投げかけたのは私どもとしては非常に印象深かったと思うんでございます。私はこの際、二年数ヵ月たちまして、厚生省としてもいろいろ考えられておるとは思うんですが、この運営内容について、日米それぞれの特徴を生かしつつ有効にこの制度を活用したらどうかということを考えておるわけなんです。たとえば、それはどういうことかと申しますと、アメリカ側の長所は結局調査研究、それから調査研究の開発、指導、それから推進、さらにその結果の点検、評価などがきわめて能力があるということを聞いておるわけでございます。そうなってまいりますとアメリカにそういう分野を分担してもらう。一方、日本の方は、結局ABCCの開組以来、放影研が発足したこの二年数ヵ月の時点でいろんな問題点が出ているわけなんですが、たとえば研究所の管理でありますとか運営でありますとか人事の問題でありますとかいうことについて責任を持った方が、適確に研究所の運営がいくのではないかという声もあるわけなんです。つまり、そのように日米それぞれ自分たちの能力を一〇〇%発揮する中で放影研の活動をしていくということが望ましいんではないかというふうに私は思うわけなんです。たとえば最近、給与が人勧方式に切りかわりまして、その面での人事評価とかいうようなものにつきましてもずいぶん問題があるように思いますので、なおそういう私は意見を持っておるわけなんですが、その点、両方がそれぞれ責任を持って放影研を管理するというふうな運営をしていくということはいかがでしょうか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 先生いま御指摘なさいました調査研究関係につきまして、開発だとかあるいは指導、評価等々がアメリカがすぐれている。それから、日本は管理等においてすぐれているかどうかあれでございますが、少なくとも先生いまおっしゃられた後段の、管理とか人事とかいうことにつきまして日本側がとおっしゃられるのは、これは私はこういうふうに解するんでございますが、要するに日本の給与体系あるいは人事管理という方式か、アメリカ人——これは日本の体系そのものがここでは行われるわけでございますが、それはアメリカ人に、どうもアメリカの人事なり管理なりというやり方とは何といいますか違うということかと思います。アメリカ人の人事管理に対する考え方と日本の考え方というのは違う。これはもう当然あろうかと思います。そういう面でいろいろトラブルがあるということは私どもも実際聞いております。ところがまた逆に、アメリカの方の調査研究関係でございますが、私ども聞くところによりますと、アメリカというのは非常に調査研究につきまして何といいますか柔軟性がない。もうこれやると言ったらほかのことは手出さないとか、あるいは新しい発想があって、これやりたいと言うけれども、ことしはもうこれをやるんだと、こう言うとやれないというような、やっぱり調査、研究のやり方についてもアメリカ側と日本側というのはそういったずれが出ているようでございます。そういう面で私ども、いまここで問題になりますのはそういったアメリカ的な物の考え方、日本的な物の考え方というのが調査研究の面においてもあるいは管理運営の面においてもずれが出てしまっているということがあろうかと思います。そういう面から、確かに先生おっしゃいますようにはっきりと部門を分けちゃうというお考えも確かにあろうかと思いますが、いま私ども考えておりますのは、それぞれがやはり別個に動いてしまうとますますそのずれが変になってくるんじゃないかということも考えられますし、研究と管理というのはそもそも一体という問題でございますので、そういう意味からこの双方の研究に対しても人事管理等に関しましても、その考え方のずれというのを次第に何といいますか、お互いに接触していく間に双方十分理解し合って長所をとっていくというような姿になるのが、一番望ましいのではないかというふうに現在のところは考えておりますが、なお十分その中のあり方というものをもっと勉強させていただきたいと思います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 私はそういうことを考えましたのは、結局、どうもやっぱり人事管理の面、運営の面でうまくいってないように思いましたんで、この際何もかにも折半主義ということをやめまして、それぞれ特徴を生かす方法で運営したらどうかということを言ったわけなんですが、これは話によりますと、何か臨時国会が終わったら現地においでになりまして、新しい公衆衛生局長も事情を十分聞かれるということであるようでございますから、そういう点はひとつ現地で十分話を聞いていただきまして、管理、運営が十分スムーズにいくように指導してもらいたいということをお願いしておきたいと思います。  それから、ちょっと心配になっておりますのは、最近の円高、ドル安傾向の中で、従来費用を折半で負担をしておった。そうすると、アメリカ側が約十五億円余りと、日本が十五億円余りを負担をしておった。ところが、当時何か二百七十五円ぐらいのレートで計算をしておったのではないかという話があるわけです。現に五十二年度の予算等におきましても、何か一億円ぐらいお金が足りないということを申しておるということを私は聞いたわけなんですが、そうなりますと、さらにこの円高傾向の中でアメリカ側の負担が過重になって、したがって約束の折半の費用を負担できないというふうな心配はないだろうかと思いましてお尋ねするんですが、それは大丈夫ですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) この放影研の経費というのは、これは国内の法人でございますので、おっしゃいますようにこれは円建てですべて計算することにいたしております。そういう前提でございますので、アメリカ側の負担増になるということは確かにそのとおりでございまして、私どもそういう点につきまして負担増になるという場合でも、本来の趣旨にのっとりましてアメリカから必要な分担金を出してもらうというふうにいたしたいと思っております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 そうすると全然心配ないというふうに理解いたします。  それから、次はですね、精神病患者対策についてお尋ねをしたいと思います。まず最初にお尋ねをいたしたいと思いますのは、この精神衛生法に言う患者の数ですね、全国的な数字と、それから広島に問題が起きておるようでございますので、広島県の数字お尋ねをいたしたいと思います。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 昭和五十一年末の数字でございますが、全国の入院患者数は二十八万四千七百人でございます。それから、通院の医療公費負担の承認の件数は、五十一年一年間で二十三万九千九百件でございます。なお広島県の入院は七千五百人、それから通院医療の公費負担承認件数は四千二百八十六件でございます。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 それから、これの受け皿でありますベッド数ですね、これは公私に分けまして、全国の数字と広島県の数字お尋ねいたしたいと思います。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) ちょっといま数字を探しますのでちょっとお待ちください。——ベッド数は全国で精神は二十八万四千百四十六、広島県は六千八百八十九でございますが、ちょっと全国の公私の別をいま数字出しますのでちょっとお待ちください。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 それはそのときにまたお知らせをいただくことにしましょう。  精神衛生法に言う患者は、二十八万程度であると、まあいうことなんですが、精神病患者というのは非常に多いということがかねてから言われておるわけですね。それはまあ都市化現象、工業化、核家族化等、地域社会の急激な変化、あるいは老齢化、そういう現象の中で精神病患者が非常に多くなっておると。昭和三十八年の厚生省の調査でも、百二十四万人だということが報告をされておるわけです。精神衛生法ができましたのが昭和二十五年でございますが、その後四十年に改正をされまして、通院医療公費負担の問題とか、保健所の活動機能強化の問題とか、そういうことが特に改善をされておるわけでございますが、二十五年のその法律を施行いたしましたときの第四条に、県立病院を建設するように規定をされておるわけでございます。で、その第四条の設置義務によって、現在各都道府県ではどのくらい病院が設立されておるか、あるいはまた、まだ設置されてない都道府県があるとするならば、その都道府県の名前を教えてもらいたいと思うんですが。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 三つに分類いたしまして申し上げるわけでございますが、まず第一に、都道府県立で単科の精神病院を持っている県が三十三県ございます。それから、単科は持ってないけれども、県立の総合病院に精神病室を持っているというところが六県ございます。それから、要するに県立ではないというところが八県という状況になっております。この、ただいま申し上げました八県というのは、秋田、埼玉、千葉、滋賀、鳥取、愛媛、佐賀、大分、この八県がいわゆる都道府県立の精神病床がないと、こういうところでございます。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 広島はどういうふうになっているんですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 広島は県立の総合病院の中に精神病室を持っているという、先ほど六つと申し上げましたその県の中に入っております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 広島県の患者の実情、あるいはベッド数などにつきましては、先ほど局長から答えていただいたんですが、広島県の患者の内容を調べてみますと、学齢児童二百人、六十五歳以上の老人が千二百人、それから原爆被爆者の方が千九百四十人中四百人以上が入院をされておるということでございます。それから、ベッドと患者の比率を調べてみますと、ベッド数百に対しまして、患者が百十三人というふうになっておるわけなんです。つまり、広島は比較的に患者の数が多い、それから入院患者の数が非常に多いということがこれで判断をできるし、患者の割合に対しましてベッドの数が不足をしておるということもこの数字の上で明確になるわけなんでございます。ところが、先ほど局長が答えられましたように、広島県は単独の精神病院はないけれども、県立病院の中で五十床だったと思いますが、五十床ほど精神病床をつくっておるということなんです。  私はこの精神衛生法の第四条の解釈なんですが、問題があるんじゃないかと思うわけです。つまり、第四条では、県立の精神病院をつくりなさいということがもうはっきり明確に書かれておるわけですが、ただ第五条によって、指定病院をつくれば当分の間その責任が免れるということになっておると思うのです。私は、県立病院の中に五十床だけ精神病棟をつくったということで第四条の法の精神を免れることはできないと思うんですが、その点いかがでしょうか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 先ほどの数字の点をまず最初に、わかりましたので申し上げさせていただきますが、二十八万四千の総精神ベッドのうち、国公立が三万九千五百、それから民間が二十四万四千と、こういう数でございます。なお、広島につきましては国公立が千百七、私立が五千七百五十ということで、合わせて約六千八百五十と、こういうことでございます。  それから、いま先生おっしゃいました法律の精神にのっとっておるかということですが、確かにこの法の精神というのは、「精神病院」というふうに書いてございますので、やはり単科の精神病院を持つことが本来の考え方であろうかと思います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 広島の場合のことをもう少し伺うんですが、先ほど入院患者の数がわかりました。この中で措置入院はどのぐらいの割合になっていますか。——時間がないので、それじゃ私の方で大体全国的な数字は調べてありますが、大体二二%程度ということになっておるわけですね。つまり、第四条の私は気持ちをここで考えてみますと、せめて措置入院の数は県立病院で申し受けるような、そういう体制をつくりなさいという気持ちが非常に強く出ているんじゃないかと思うわけですよ。仮に七千五百人の二割とすれば千五、六百人になるわけでございますから、したがいまして相当たくさんの県立病床をつくりましても、措置入院の方を引き受けるということはできないと思うわけです、相当多くつくらなければ。そういう点が精神衛生法第四条の法の精神にあるとするならば、私は広島県が県立病院の中にたった五十床ほど精神病床を併設しておって、それで第四条の法の精神を免れるということはできないと思うんですがね。重ねて伺いますが、これは厚生大臣、どうでしょうか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 確かに先生おっしゃるとおり、第四条の精神とはまさしくそのとおりだと思います。ただ、広島県につきましては、一つは国立で三百持っております病院がございます。それともう一つ、広島県全体人口当たりの精神ベッドの数は二五・八でございまして、全国平均の二五・一よりも多いということがございまして、相当手厚く民間の方にベッドがあり、そしてまた国立もあると、こういう状況でございますので、確かに法の精神は、先生おっしゃるとおり、都道府県は単科の病院を持つべきだと、こういうことであろうかと思いますが、現実問題としては、いまのような一般的情勢であるという前提のもとで動いているということに理解いたしておるわけでございます。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 広島県に対しまして県立病院をつくりなさいということは、昭和四十八年の行政管理庁の県立病院設置についての明確な勧告がなされておるわけです。また中国行政管理局も同様の趣旨の勧告をしておるわけです。そういう点、厚生省の方は承知しておられませんですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) ただいま先生御指摘の行管の勧告というもの、私ども承知いたしております。その中で充実整備あるいは国公立精神病院の役割りということを非常に強く指摘されておるのも存じておるわけでございます。そういう意味からして、先ほど先生おっしゃいましたし、私も申し上げているわけですが、単科病院をつくるのは望ましいということは全くそのとおりだと思いますし、その点につきましては広島県、先ほど申し上げたような事情もあるわけでございますが、県にも十分そういうような考え方というので指導していきたいと考えております。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 大臣に最後にひとつこの問題の指導についての決意を伺いたいんですが、患者の家族会というのがございまして、そこから強い要請が私どもの方にも来ておるわけなんでございます。その患者の家族会のお話によりますと、ぜひ県立病院をつくってほしいというので再三広島県に要請しておるが、なかなか実現できない。一方この患者の家族は根強い社会的な偏見、差別の中で苦しんでおると。かつまた、患者の病状からして長期の治療のために多額の費用も必要だし、精神的にも経済的にも耐え切れないような状態であって次第に貧困化し、孤立化し、生活保護世帯に転落しつつあるものが多いと。また、せっかく退院をして家に帰りましても世間の目が冷たく、職もなく金もなく、社会復帰の目途も立たず、失望と悲観、その結果また入院を繰り返す、最終的には自殺に追い込まれるというような問題があって非常に困っておると。この問題を解決するためには個人の力ではどうにもならないので、国の積極的な指導によって県立病院を早急に設立してもらうようにぜひひとつ要請してくれという希望が出ておるわけなんでございます。したがいまして、大臣にお尋ねをし、決意を伺いたいわけなんでございますが、私はいまの状態から言えば単に県立病院をつくるだけでなしに、社会復帰の施設を含めて問題の解決を図ることが必要ではないかということを考えるわけなんでございます。したがいまして、広島県に対しまして社会復帰の施設を含めて精神病院を建てるように強く指導してもらいたいと思いますが、いかがでございましょう。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 広島県において社会復帰の施設をつくりたいというときには、積極的に助成をいたしたいと思います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 重ねてこれはお願いするんですが、私この間帰りましたときにも家族の方が相当見えまして、非常に困っておる事情も伺っておりますので、社会復帰の施設をつくるという要請があった場合でなしに、つくるように積極的な指導をしてもらいたいと思います。重ねて答弁いただきます。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 先生御指摘のように、社会復帰施設というものは非常に必要なものだと思いますが、社会復帰施設はいろいろ問題が複雑でございます。そういうことがございますので、各県におきましてもその社会復帰施設をどのような形で行うか。たとえば、社会復帰施設というのを泊まるとかあるいは昼間とかいうような細かい技術的な問題があるわけでございます。そういうふうな面から十分県におきまして、こういうふうなものということが確立することが非常に必要だと思いますので、私どもも十分連絡をとりまして、そういった具体的な案をまとめて、その上で私どもの方で補助するわけでございますから、そういう具体的なものを早くまとめるようにということを私ども十分指導したいと思います。

浜本万三日本社会党

○浜本万三君 時間があと五、六分しかございませんので、最後にスモン病の今後の対策につきましてお尋ねをいたしたいと思いますが、私の感じといたしましては、三十五名の方が厚生省等のお骨折りで和解をいたしまして解決をされたことは大変結構であったというふうに思います。その間、大臣も担当局長も大変お骨折りになったということを聞いておるんですが、その御努力に敬意を表したいと思っておるわけでございます。しかし、問題はこれからだというふうに思います。したがって、国と製薬会社は早急に今後対応しなければならない問題がありますので、その重要と思われる二つの点につきましてお尋ねをいたしたいと思うわけです。  まずその一つは、提訴していない方々の問題なんですが、提訴していない人の問題、これは結局いろいろ事情を聞いてみますと、カルテを廃棄しておるとかそれから投薬証明がないとかというようないろんな状況があるらしいんですが、訴訟を起こしていないたくさんのそれらの方々に対して、今後どういう措置をおとりになるのかということ、また裁判をしておられます方々に対しまして今後和解を勧めるのかということを含めまして、どのような指導をあるいは措置をおとりになるのかということ。  それから、二番目の問題としましては、この和解をされた方々も抜本的な恒久対策として十項目ぐらいの要求をなさっておられると思うんでございますが、そういう問題に対してどのような措置をとられるのか。  それから最後に、三番目といたしましては、薬害救済に対する具体策を早急に出さねばならぬ、これはすでに調査研究班の報告書もございますので、恐らく厚生省もそういう対策に取り組んでおられるというふうに思うんですが、薬害救済に対する今後の具体的な対策をどういう日程でおとりになるのか、時間がないので以上三つについてお尋ねをしたいと思います。

中野徹雄厚生省薬務局長

○政府委員(中野徹雄君) お答え申し上げます。  先生の御指摘のように、和解のいわば第一歩と申しますか、人数はわずかに三十五名でございますが、その方々についての和解が成立したわけでございます。しかしながら、このスモン問題につきましては、今後まだ相当長期間にわたりまして実は非常に深刻な問題を三つ抱えておるわけでございます。  その三つの問題の第一は、和解のテーブルについておりませんところの田辺製薬をどういうふうにするか、どういうふうに扱うかと、どういうふうに説得するかという問題が第一でございます。  第二は、いわば原告側の信念の問題として判決を求めておられる方々、この判決派の問題をどうするかという問題でございます。  さらに、訴訟が全部確定いたしました、完全に片づいた段階で、訴訟に参加し得るだけの原資料、先生のおっしゃったカルテとか、いわば客観的に国民の納めた税金から救済をするに足りるだけの証明、根拠を持ち合わせていない方々をどうするかという問題が、実は三つ大きく残っております。  これらにつきましては、特に最後の原資料を欠く方々の問題については、私らも非常に深刻な問題として受けとめておるわけでございますが、何分にもいま申し上げました三つの問題のうち、田辺製薬の説得あるいは判決派の取り扱い等に現在全勢力を注いでいる段階でございまして、残念ながらいまの段階では原告、非原告という言葉を使っておりますが、原資料を欠いている方々の扱いについては確たる成案を持ち合わしておらないのが現状でございます。  なお、判決派の方々につきましては、国の姿勢といたしましては、この事件はいわば国の立場といたしまして民事上の不法行為責任を負い得ないという立場に立っておりますので、和解によって事柄を解決していただくよう全力を挙げて説得をする方針でございます。また、恒久対策につきましては、実はそのほとんどすべてが国のいわば予算、制度によってカバーされるものでございまして、いわば予算マターという感じがあるものでございますから、これにつきましては今後誠実に原告側と話し合いを続けて、御納得のいくような方策を講じるように全力を挙げる所存でございます。  なお、薬害救済につきましてはいわば被告側と申しますか、原因者側に民事上の責任があるケースは、これは当然裁判によりまして不法行為責任によって処理されるものでございますが、薬の特質上そのような民事上の責任を負い得ないようなケース、つまり現在の医学、化学の水準によっては予見し得なかったようなその副作用、あるいはその副作用が既知であっても、その薬のメリットのためにどうしても使わざるを得ないようなケース、このようなケースにつきましては、民事上の不法行為責任は生じ得ないわけでございます。そのようなものに対するいわばその被害の社会分担、社会的な分担という意味におきまして薬害救済制度を確立すべきであるというのが厚生省の見解でございまして、これにつきましてはすでにその事務的経費についての概算要求もいたしておりますし、次の通常国会にその成案を得て提出をいたしたいと、かように考えておる次第でございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 私は、きょうはまず第一に人工臓器について質問をいたしたいと思います。  今日の近代医学の発展、そしてまたいろんな研究の進歩によって、人工臓器は頭蓋骨から足までというふうに研究が進んでいるということ、あるいは内臓疾患等で従来だと亡くなってしまった方が人工臓器によって健康を取り戻し、社会復帰をしていらっしゃるということ、そういうことは大変喜ばしいことであると考えております。  まず第一に、人工透析については、人工腎臓については私も何回となくこの社会労働委員会等で質問もし、問題提起もしてまいりましたので、きょうはその点について繰り返しはいたしませんが、結論だけ御答弁いただきたいということは、人工透析は現在何人くらいの人が透析をしていらっしゃるか、そしてまた費用は月どのくらいかかるか、そして自己負担は全くないというふうに理解してよろしいか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 人工透析研究会という学者のグループがございまして、そこが行いました昨年末の調査の報告によりますと、その時点で約一万八千人の患者さんが人工透析を受けておりました。また一方、人工腎臓装置は約九千二百台ございまして、その患者処理能力は二万五千人と報告されております。人工透析の費用につきましては、保険局長からお答えいただくのが適当かと存じますが、先生もよく御存じのように、患者さんによりまして週に二回の人もあれば、三回、四回の人もあるわけでございます。したがって、単純に申し上げられませんが、私どもは百万から二百万ぐらいかかるのじゃなかろうかと考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そして、自己負担はないと理解してよろしいか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 人工透析につきましては、先生もよく御存じのように、お子さんの場合には児童福祉法の育成医療で、また、大人の場合には身障福祉法の更生医療で一定の所得以下の方々の公費負担をいたしております。したがって、そういう方々については、おおむね費用は免除をされるわけでございますが、所得の多い方でございますと、いわゆる医療保険の高額療養費の制度がございますから、その範囲内で自己負担が起こってくるかと考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 次に、きょう私が問題提起したい点は人工膀胱、人工肛門についてであります。最近の食生活の変化その他によりまして潰瘍性の大腸炎及び直腸がん、そうしたものが相当の患者数が発生しているというふうに報告されておりますが、厚生省では何人ほど発生しているというふうに考えておられるか。また、原因はどのように考えておられますか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 潰瘍性大腸炎について申し上げますと、潰瘍性大腸炎というのは大体二千人ぐらいと言われておりますが、その潰瘍性大腸炎の原因ということになりますと、これはまだなかなかわからないんでございますが、あるいは自己免疫的なものではなかろうかというふうに一応は考えられておりますが、まだはっきりはいたしておりません。なお、直腸がんにつきましては、私どもいまのところまだ把握いたしておりません。

小平芳平公明党

○小平芳平君 ちょっとその潰瘍性大腸炎につきましても、厚生省で発行している難病対策ハンドブックというのには、その数は五千とも一万とも言われるが、はっきりしないというふうな表現になっておりますが、どうですか、その辺は。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 一番新しい時点における推定は、一応二千ということになっております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 で、原因はわからないということですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 原因はいまのところまだはっきりわかっておりません。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それで治療法はいかがですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) その潰瘍性大腸炎で一番問題になりますのは、その潰瘍から出血をするということが非常に重篤な症状へ導くという点が一番大事な点でございまして、そういう点におきましては手術をするということがいま一番何といいますか、大事な治療法ということになっております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 したがいまして、この潰瘍性大腸炎にしましても、直腸がんにしましても、手術して腸を摘出、大腸を摘出してしまう以外に方法がないというようなところから、人工肛門の造設備というのがなされているということでありましょう。その人工肛門の造設備をなされていらっしゃる方は、何人くらいと推定されますか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 大体いま申し上げました約二千人の患者というのがあるわけでございますが、そのうち外科手術の適用ということになりますと、一割から二割ぐらいではなかろうかと思います。そうしますと、外科手術の適用というのが二千名のうちの一割として二百名、そのうち約半分がその人工肛門をつくるのに適当である、こういうふうな状況でございますので、百数十人がその人工肛門の適用者になっておる、こういうように考えられます。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 直腸がんの発生件数は、死亡統計等から推定しますと、年間約一万件ではないかと考えております。そのうち四分の一はすでに手術不能でございまして、四分の三が手術をお受けになります。また、そのうち三分の二は人工肛門の造設備を要するものと考えられますので、結論を申し上げますと、直腸がんでは七千五百人程度の方が人工肛門造設備を受けていらっしゃると考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 大分人数が違っておりますが、それは推定だからかと思いますが、そこで人工肛門、人工膀胱を使用される方はどのくらいの費用がかかりますか。最初にどのくらいかかるか、そして毎月どのくらいかかりますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 人工肛門につきましては、一月九千円から二万四千円ぐらいかかるのではないかと考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 最初にどのくらいかかって、そして一ヵ月にいまおっしゃった金額がかかるということになろうかと思いますが、最初は幾らですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) ただいまそのような資料を手元に持っておりませんが、最初の方が不慣れでございますので費用がかかるものと考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 いや、要するに装具一式は幾らになりますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) ただいま申し上げましたのは、装具を装着した後の排せつの処理費を申し上げたわけでございますが、装具一式ということになりますと、これもいろいろ種類があるようでございますが、おおむね二、三千円程度ではないかと考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それも大分金額が違いますけれどもね、それで健康保険の適用、あるいは公費負担についてはどうなりますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) ただいまのところは、自己負担になっていると思っております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 人工透析の場合は、人工腎臓の場合は公費負担が導入され、そして失うべき命も取りとめ、あるいは社会復帰し、そして人工腎臓が全国的に普及してきたという経過から考えまして、こうした人工肛門についても当然公費負担ということが検討されるべきだと思いますが、いかがですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) この問題は、保険局長、公衆衛生局長等からお答えいただくのが適当かと存じますが、私の記憶では、腸の手術をいたしまして人工肛門そのものを装着する費用は保険の対象になっておりますが、その後の排せつ物の処理の費用、こういったものが自己負担になっていると思っております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そうすると、医務局長しか答えられないんですか、その健康保険の適用なり、公費負担はどうなっておりますか。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 医療保険の問題について私からお答え申します。  医療保険につきましては、医務局長が申し上げましたように、治療の過程におきますものにつきましては、すべて健康保険で見ておるわけでございます。しかし、症状がもう固定した後の、ただいま医務局長から御説明申し上げましたような排せつ物の処理等につきましては、もうすでに健康になったわけでございますので、保険の範囲には入らないということでございます。

上村一厚生省社会局長

○政府委員(上村一君) 先ほどお話になりました人工腎臓の場合でございますが、御案内のように昭和四十七年に身体障害者の中に腎臓機能障害を取り入れまして、そこで人工透析というのを更生医療で給付をするような道を開いたわけでございますが、いま御指摘になりました人工肛門というものは更生医療の前にすでに装着が終わっているわけでございますし、身体障害者の扱いになっておりませんので、公費負担医療はないというふうに考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 そうすると、人工肛門の方は障害者じゃないということですか。

上村一厚生省社会局長

○政府委員(上村一君) 身体障害者福祉法の対象になる身体障害者にはなっておらないということでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 厚生年金の廃疾認定には入りますか入りませんか。

大和田潔社会保険庁年金保険部長

○政府委員(大和田潔君) 厚生年金の廃疾認定基準の中には、人工肛門が装着されておりますれば三級ということで、廃疾認定基準を設定しております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 入ると言っているでしょう。どうなんですか、先ほどの。

上村一厚生省社会局長

○政府委員(上村一君) まず、身体障害者福祉法の対象になる身体障害者の決め方と、それから厚生年金保険で障害者として障害年金を給付する場合の対象の決め方にずれがあるわけでございます。  現行身体障害者福祉法では、内部障害につきましては法律で心臓とそれから腎臓と呼吸器の機能障害で、永続しかつ日常生活が著しい制限を受ける程度であると認められる者、この三種類の内部障害というのが身体障害の中に取り入れられているわけでございます。  これは身体障害者福祉法とそれから厚生年金保険法との、法律の目的の違いからくる障害のとらえ方ではないかというふうに考えるわけでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 厚生年金ではわざわざ廃疾認定の改定をして、そして人工肛門、人工膀胱または尿路変更術を施した者は三級に認定するとしたわけですが、社会局では身体障害者には入れないということですか、将来とも。検討にも値しないというのですか。

上村一厚生省社会局長

○政府委員(上村一君) これまで身体障害の範囲につきましては、当初は視覚障害、聴覚障害、それから肢体不自由といった運動機能障害に限っておったわけでございますが、その後、先ほど申し上げましたように心臓機能障害、呼吸機能障害、それから腎臓機能障害にまで範囲を広げてまいったのでございますけれども、内部障害を身体障害者福祉法で取り上げます場合に、身体障害者福祉法で判定をする基準なり障害の程度をどう考えるか。それから身体障害者福祉法に各種の更生援護措置があるわけでございますが、この更生援護措置の対象になるのかならないのか。考えてまいりますと、腎臓機能障害の場合には更生医療ということで対象になり得る、それから呼吸機能障害の場合には結核回復者のアフターケア施設という福祉施設の入所の対象になり得る、そういうふうなことから判断いたしますと、人工肛門を装着している人は日常生活が不便である、したがって稼働能力が落ちるから障害年金の対象になるようにいたしましても、身体障害者福祉法で考えております一体福祉の措置は何が考えられるかということになりますと、何もないのが現状でございまして、したがって、保護の目的に照らした身体障害者福祉法の中に入れるのは無理ではないかというふうに考えておるわけでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 大体この認定基準を見ますと、厚年の三級が身障者の四級に当てはまっているケースがずっと出ておりますが、たとえば言語に著しい障害を残す場合とかその他ですね。けれども、厚年の廃疾認定に入ったこの人工肛門等が身障に入らない、入れないんだという理由がよくわかりませんがね。

上村一厚生省社会局長

○政府委員(上村一君) いまお話しになりました厚年の三級と身体障害者福祉法の障害等級の四級、必ずしも一致しておるわけではございませんで、視力障害につきましては厚生年金の三級と身体障害の四級は合うわけでございますが、聴覚の障害について見ますと、厚生年金の三級の場合、身体障害者の方では六級になっておるとか、あるいは厚生年金が対象にしております精神なり神経系統の障害というのは、身体障害者福祉法の対象になっておらないというふうに、制度の目的によって障害のとらえ方に違いがあると——繰り返しになりますけれども、身体障害者福祉法で規定をしております各種の援護措置に照らしますと、人工肛門を装着をしておられる人々について、これを対象にする理由がないというふうに考えておるわけでございますので、現在は入れておらないということになっておるわけでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 現在入れてないからどうですかと言っているんですよ、将来とも入れる必要ないんですか。  それから次に、それじゃ国年の障害認定には入りますか、入っていませんか。

大和田潔社会保険庁年金保険部長

○政府委員(大和田潔君) 国民年金の障害認定基準には入っておりません。と申しますのは、御承知のように国民年金には二級しかない。そういう意味で先ほど申しましたように、厚生年金関係の三級には該当いたしますけれども、つまり人工肛門を装着すること自体が三級に該当する。ところが国民年金におきましては、これを装着すること自体が二級に該当するところまではいかない。したがいまして、廃疾認定基準には登場してまいりませんけれども、当然人工肛門とさらにその他の疾病あるいは全身衰弱といったようなものがございますれば、つまり日常生活に著しい制限を受けるという程度の廃疾の状態になりますれば国民年金の障害年金の対象になるということでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 厚生大臣、いまお聞きになっていてどう思いますか。非常に複雑であるということは複雑ですが、厚生年金は廃疾認定の基準を改定して人工肛門等を新たに入れました。国年は三級がないがゆえに改定するにも何も三級がないから入りません。身障は今日入ってないし、将来とも永久に入れそうもないような答弁をしておりますが、いかがですか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 非常に分類上むずかしい問題がございます。したがいまして、いろいろ専門家のよく意見を聞いて検討してみたいと思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 検討していただきたいと思います。  で、次にストーマ療士、この点についてはどうなっておりますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 特にこのようなパラノディカルの身分の制度が発達しておりますアメリカにこの制度ができておりますけれども、一般的に申しますと看護婦の業務の範疇に入るサービスを提供する職種でございまして、人工肛門を造設する場合の術前術後の精神的、心理的な指導とか管理の方法の教育指導とか、またさらに退院した後フォローアップして御指導するといった使命を持っております。ただ、アメリカの場合も各州によってかなり制度に違いがございますけれども、大部分は看護婦に一定期間の特殊教育を行いまして、このような技能者としてサービスに従事さしていると考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それでは時間を節約する意味で、もう少しまとめて質問をいたしますが、わが国ではストーマ療士の養成をやっているかどうか。やっているならばどのくらいの人数の方がおられるかどうか。  それから、潰瘍性大腸炎及び腸がんとも増加の傾向にあるというふうに厚生省のこのハンドブックに出ておりますが、そういう増加に対し人工肛門、人工膀胱を使用しなければならなくなる患者さんがふえていく、それに対しまして具体的な対処はどうしておりますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) まず、わが国におけるストーマ療士の現状でございますが、わが国には特にそのような名称を持った職種はまだございません。ただ、先ほども医務局から御説明いたしましたように、直腸がんの手術の後ではかなり人工肛門の造設をいたしますので、その主治医が御指導をすると同時に、看護婦がそのアフターケア、さらに御指導をする。またよくあることでございますが、そういった人工肛門を設置した先輩格の方々が後輩の指導をなさる、まあそういった方向でやられております。  確かに先生御指摘のように、大腸炎とか潰瘍性大腸炎とかあるいは直腸がん、特に直腸がんの場合には食生活が欧米化するとふえてくると言われておりますので、ふえてくるものと考えております。したがって、このようなストーマ療士のようなものの養成訓練は、今後の大きな課題であろうと思いますが、専門家、また学会の意見も聞いてよく検討をしてみたいと考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 この厚生省の統計によりましても、直腸がんで亡くなった方が人口十万人に対して昭和二十五年と昭和五十年を比べると約二倍になっておりますですね。そういうように亡くなる方が、人数がふえているということは直腸がん自体がふえているということだと思います。この点も厚生大臣、厚生省の行政としましていままで知らなかったようなことが——医学は進んでいくし、また新しい病気がふえていくし、それに対する対応を十分していただきたいと思いますが、いかがですか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 医学は日進月歩するわけであります。したがって、そういうようなものには常に対応をするような形で取り組んでいかなければなるまいと、かように思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 こうした、これは何局で答えられることになりますか、人工臓器の開発、人工臓器の進歩をもっと進めていくというようなことは考えておりませんか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 人工臓器の開発につきましては、医務局はすでに十数年前からできるだけの力を入れてきたところでございまして、新医療技術開発補助金が特別な研究費補助制度の一つでございます。また、最近は、三年前からでございますが、通産省と厚生省で話し合いまして保健福祉機器の開発ということも始めまして、その中にもたとえば大型高度の人工臓器が入っているわけでございます。明年度の予算につきましても厚生、通産両省話し合いまして、それぞれの予算の増額、新しいテーマの設定等について協議をし、要求をしたところでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 特に重点的に取り上げている分野はありませんか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 現在最も多額の研究費がつぎ込まれておりますのは人工心肺装置、人工心臓装置、それから人工透析装置——人工腎臓でございますが、そういったものに特別な力が入れられておりますが、新年度からはたとえば難聴等の一種の人工臓器でございますが、そういうふうなものも開発を始めようという計画になっております。ただ、御指摘の人工肛門とかあるいは人工膀胱、こういったものはその材質になる高分子材料が一番の問題でございまして、その材料の改善につきましても、各大学また通産関係の直営の研究機関において鋭意検討を続けているところでございます。

小平芳平公明党

○小平芳平君 人工膀胱については、アメリカのことを局長先ほど言われましたが、アメリカで行われている、それこそ社会復帰し、世界の各地へ人口膀胱の方が、装置された方が駆けめぐっているという新聞記事を私は持っておりますが、そういう点、非常にわが国は対応がおくれておりませんか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 確かに人工肛門の方はかなり先端的な水準をいくようになったと思いますが、人工膀胱についてはアメリカに比べるとおくれがあると思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 それでは、以上でこの質問は終わりまして、次に、難病対策について少し質問をしたいと思います。  厚生省の特定疾患対策が始まったのが昭和四十七年でありますが、そして、まあいろんな経過を経て今日に至っておりますが、五十二年度は方針が決まったようですが、五十三年度以降の基本方針はどうなっておりますか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 先生よく御存じのように、現在の難病対策は四十七年十月の難病対策要綱に基づいて五ヵ年計画で進んでおります。したがって、一応本年度で最終年度となります。したがって、この難病対策要綱によりますと、大きな三つの柱が立てられておりますが、一つは調査研究の推進、二つは医療費負担の軽減、三つは病床の確保と専門家の養成と、こうなっております。そこで、医務局といたしましては、第三番目の病床の確保と専門家の養成、訓練が当面の問題になりますが、現在要求しております明年度の予算案では、新たに第二次の計画を策定いたしまして、国立病院療養所の難病用のベッド数をふやすと同時に、研究研修施設も充実して、研究並びに要員の訓練にさらに力を入れたいという計画を提出してございます。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) ただいま先生御指摘の五十二年度の難病対策でございますが、特定疾患調査研究ということで四疾患を五十二年度でもふやしておるわけでございまして、来年度以降につきましても、必要な疾患につきまして懇談会の御意見をいろいろ聞いてそうして対処していきたいと思っております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 この難病対策につきまして、さらに指定疾患をふやしていくかどうか。そして、特に地方によっては厚生省の指定している特定疾患以外のいろんな病気についても指定をしておりますが、取り上げておりますが、厚生省はふやしていかれませんか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 一部の都道府県におきまして単独に事業をやっている県が幾つかあるわけでございますが、それを直ちにそのまま取り上げるということになりますと、これは地方的なそれぞれの疾病という事情もございましょうし、あるいは全国的に考えれば、ほかの疾患との関連といったようなことがございますので、ストレートに都道府県が単独でやっておりますものを取り上げるという考えは差しあたりのところ持っておらないわけでございますが、先ほど申し上げましたように、いろいろ懇談会の御意見等を伺いまして、来年度以降の対処をしていきたいと考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 もう少し具体的に伺いますが、調査研究班はふやしますか、ふやしませんか。あるいは調査研究班はふやすことがあっても解散するという段階にはなってないかと思いますが、その研究段階はどうなっておりますか。それが一点です。  次に、治療研究対象としまして、治療研究、要するに費用負担になりますが、この疾患はふやしますか、どうですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 第一点の調査研究でございますが、この調査研究はいわゆる疾患名単位という研究対象と、それから大きなテーマによります、たとえば自己免疫病といったようなテーマに従ってやっております分と、それから小さなテーマ、たとえば血液の凝固異常といったような小さなテーマによるものと、こう三つに分かれておりまして、現在それが疾患名三十一、大テーマ四、それから小テーマ八ということで四十三というふうに組まれておるわけでございます。これをいままでやっていきます考え方としまして、三年ごとに一応その問題点をはっきりさせて、そして組みかえていくと、こういうふうな考え方を持っておりますので、どのような研究班がどのような評価をし、そしてどのように今後組みかえていくかというようなことも含めまして、私ども来年度に対処していきたいと思っております。  それからなお、治療研究につきましても、これも先ほどから申し上げておるわけでございますが、懇談会の御意見を伺いながら前向きに対処していきたいと思っております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 懇談会の意見をいつも聞かれるわけですが、国の方針というものがあると思うんですね、予算は国が立てるわけですから、政府が立てるわけですから。したがいまして、たとえば四十七年度第一回に特定疾患に指定されたと思いますが、重症筋無力症あるいは多発性硬化症、こういう方が、つい十月に各こうした友の会の方が全国総会を持っておられます。そういう全国総会で研究なさっている主だった方がそうした友の会に出席なさって、質疑応答をする時間を大抵設けておられます。そういうところで出る質問はどういう質問が多いかと申しますと、まず自分のこの難病は治るんですか、どうですか、治療法が見つかるんですか、どうですか、見つかったんですか、あるいは可能性はどうなんですか、そういうことですね。そしてまた、自分の現在の症状はこうなんです、どういうところに受け入れてくれる医療機関がありますか、どういう医療機関へ行けば安心して治療を受けることができますか、そういうような点。そしてまた、現在これこれしかじかの薬を服用しておりますが、副作用は大丈夫でしょうか、そういうことがほとんど共通して出る問題であります。したがいまして、もちろん専門家の御意見を伺って一々決めるわけでありますが、実際研究班の先生方の御意見を伺って決めるわけですが、政府としては予算の面からまだ治療法も確立していない、原因もはっきりしていないというものを縮小する考えはないと、拡大することはあっても縮小することはないと。ということは四十三疾患が挙げてありますが、はっきりわかったものはないと、これで安心だといって解散できるものはまだないと、こういうように理解してよろしいですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) この、難病というのはまことにむずかしい問題でございまして、たとえばある一つの病気だけをとらえてもちっともその病気の治療にはならないというようなことがございます。たとえば、自己免疫とか膠原病というようなことになりますと、いろんなところへいろんな症状が出てきまして、昔はそれぞれいろんな別の病気で言われていた。ところがよく考えてみると、根元は一つだったというようなことがあるわけでございますから、そういう意味で先ほど申し上げましたように、疾患名としては三十一とこう申し上げたわけですが、それ以外の大テーマ、小テーマといったようなものになりますと、これの中には非常に多くの疾病が含まれている。たとえば下垂体異常ということになりますと下垂体異常でいろんなことが起こってきますので、そういうふうな意味である程度学問が進みますと、いろんなものを一貫して研究するというような方がずっとよろしいというふうにもなるわけでございまして、そういう意味からその班の組みかえというようなことも考えているわけでございます。しかし、先生おっしゃいましたように、じゃ、減らすのかということでありますと、それは私どもはそういうことで、減らすということではなくて、先ほど申しましたように、さらに充実していくということで前向きに対処していきたいと考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 厚生大臣に、私も全然専門家でありませんからわかりませんけれども、私が先ほど申し上げたようなことが実際、現在難病にかかっていらっしゃる方及びその家族の方の切実な訴えでありますから、したがいましてそれはもう原因もわかった、治療法もわかった、研究班は解散して結構ということになってくれれば一番ありがたいわけですが、むしろそれは。しかし、現実の問題まだまだ先生方のお話の中でも、たくさんある難病の中で、わりあい明るさの見える疾病と、それから全くたちの悪い疾病とあるんだというお話もよくなさっておられますが、少なくともこうした難病対策として国が乗り出したわけでありますから、そうした予算の面とか、そういう面で縮小するとか、うやむやにするというようなことは絶対にあり得ないと思いますが、そういうことのないように推進をしていただきたい、安心してとにかく療養に励んでほしいというふうにしていただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 日本では難病対策は私は世界的に見て非常に進んでいると思うんです。ですから、こういういいことは根気強くやっていかなければならない。したがって、いろいろな仕組みその他専門的なことを検討して、これは後退をさせないでやっていくつもりです。

小平芳平公明党

○小平芳平君 大臣及び局長のお話で、将来の展望がよくわかりますので結構でございますが、もう一点だけ念のために伺いますが、先ほど局長は地方公共団体で都道府県等が取り上げている疾病をそのまま国が取り上げるということはやらないけれども、まあ場合によっては取り上げるというふうな意味のことを発言しておられましたが、さしあたりどういう疾病が地方で取り上げ、国に対する要請が強いかという点、それが一点です。  それから、治療研究対象にはどういう基準でおやりになっていらっしゃるのですか、これは何か具体的な基本方針があるわけですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) まず第一に、都道府県でやっているものはどんなものかということでございますが、これはいろいろございまして、治療研究になりますと血友病、下垂体機能不全、橋本病、ネフローゼ、突発性難聴、ウイルス動脈輪の閉塞症、パーキンソン、まあいろいろたくさんございますが、パーキンソンなどは一番要望が強いものとして現在私どもの耳に入っております。  後段の問題でございますが、治療研究に該当するものはどういう基準かということでございますが、一つは診断がはっきり確定することができるということ、それから全国的に広がっているということ、それが第一点でございます。  それから第二に、その経過が慢性になりまして、経済的にもあるいは介護等に手がかかるというようなこともあって大変だという疾患を選ぶという考え方をいたしております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 パーキンソンはすでに入っているでしょう、国でも。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 調査研究には入っておりますが、いわゆる治療研究の方には入っておりません。

小平芳平公明党

○小平芳平君 ですから、調査研究として要請の強いものはどういうものがありますかということ、それはいいです、先ほど言われましたから。  それから、治療研究対象に掲げてある十九疾患が入っておりますが、同じような疾患はほかにもあるわけでしょう。その辺の線の引き方がきわめてむずかしいわけでしょう。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 調査研究で新たに取り上げるという声は、どこかの都道府県から聞くかということでございますが、現在のところ特にこれこれといった話は聞いておりません。それからなお、治療研究に線を引くのにいろいろむずかしいだろうとこういうお話でございますが、確かにおっしゃるとおりでございまして、さっき申し上げましたようなああいう基準でやっておるわけでございますが、実際問題としてはいろいろ予算的な問題もございますし、そういう点も当然あるわけでございますので、その中で優先順位的に考えていると、こういうふうにお考えいただけたらと思います。

小平芳平公明党

○小平芳平君 次に、専門医療機関が少ないという点でありますね。これはそれこそ各疾患の患者さん方の共通した問題でありますが、私も最初四十七年以前にこうした難病団体の方とお話し合いをしたことがありますが、そのころから比べますとずいぶん最近は専門の先生が中心になっていろんな対策を進めていらっしゃるというところに確かに大きな進歩があると思っております。が、やはりなおかつ共通した願いとして専門医療機関が偏っているために非常に治療を受けにくい、こういう現状をなるべく解消していっていただきたいということに対してはいかがですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 第一次の五ヵ年計画では、全国を十八ブロックに分けまして、各ブロックに専門医療機関を整備するということになっております。先ほども御説明いたしましたが、難病用病床の確保についてはおおむね計画どおり進んでおりますが、御指摘のように、若干の地域的な偏りがあることは否定できません。したがって、そういうふうな点を加味し、またさらに先ほども申し上げましたように、もっと難病病床が必要である、また研究とか研修施設が必要であるという立場に立って、第二次計画を策定しているところでございます。これは一般の国立病院とか療養所、そういったところの中心の計画でございますが、難病患者の中には自宅療養という方も多いわけでございまして、そういう意味では地域の医療機関とか開業医の方々にもっと難病の研修をしなければなりません。また、保健婦等にも難病用の研修をする必要がございます。したがいまして、そのような点につきましても第二次の計画におきましてはきめ細かく進めてまいりたいと考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 まさしく自宅療養の方が多いわけでありまして、結局入院はします、ある程度治療を受けますが、すっかり治るわけではありませんけれども、とにかく退院させられるといいますか、退院して自宅へ帰る。自宅へ帰って何ヵ月かするうちにまた入院するということを、いろいろ文章につづって報告されておりますが、そういう方がきわめて多いわけであります。そうしたところに、入院と家庭の中間施設があると非常に助かるというような点、あるいは自宅で療養している方に対する訪問看護が実現できたら非常に助かるというような点についてはいかがですか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 第一の難病の中間施設の問題でございますが、これは戦後のイギリスから始まったと思うのでございますけれども、精神障害者、アルコール中毒者、そういったところから始まって、最近は老人の方に発展してまいっております。しかしながら、特に欧米では難病の中間施設というものはまだはっきりできていないように思われます。そこで、この中間施設の性格論でございますが、これは医療施設なのか、あるいは福祉施設なのか、あるいは本当に中間施設で、たとえば公衆衛生が精神障害者の中間施設と同じようにやる施設なのかという問題が起こってまいります。まだ結論は得ておりませんけれども、医務局といたしましては中間施設、いわゆるハーフウエーハウス、あるいは宿泊施設だけでございますとホステルというような表現を外国では使っておりますが、そういったものは普通の医療機関ではない、社会復帰施設に診療所がついたようなもの、そのような考え方をいたしております。こういったことも実験的に幾つかやろうという計画もございます。そのような施設の推移なども見ながら、今後の方針を固めてまいりたいと考えております。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) ただいま家庭訪問看護の問題を先生から提起されたわけでございますが、この家庭訪問看護というのはいろいろむずかしい問題を含んでおります。一つは、少なくもこういった患者さんは医療機関にかかって、医療機関の指導、治療を受けておるわけでございますから、そういった医療機関のお医者さんの判断ということが非常に重要だと思います。従来、こういった家庭訪問看護というようなことは、たとえば保健所あるいは市町村におります保健婦という方々が、たとえば乳幼児等について家庭訪問をやっておるわけでございますが、事、難病関係にかかりますと、やはり何と言ってもその患者さんの治療の方針等々につきましては、実際にその患者さんを治療している主治医の責任下にあるわけでございます。そういった関係で、外の行政機関の訪問者が訪問するということは、もとの医療機関の方との十分な連携がないとむずかしいということが一つございます。それから第二に、難病というのは確かに難病で非常にむずかしい病気でございますので、現在訪問等を行いますところの保健婦につきましても、それなりに十分なその疾患に関する知識を持っていなければならないということが第二の問題としてあろうかと思います。そういう観点からしまして、第一の問題、第二の問題いろいろ複雑な問題があるわけでございますが、さしあたりできることは家族の方にいわゆる一般的な看護というようなことのやり方というのを指導していく、家族の方にこういうふうに寝ないと床ずれができますよというようなことの指導というのはできるわけでございまして、そういうような一般的な家族に対する指導というものから始めまして、将来にわたりましては、いま申し上げましたシステムを十分どうやっていくかということも検討しなければならないし、さらに保健婦等の教育ということも問題でございますので、そういうこともあわせて十分検討していきたいというふうに考えております。

小平芳平公明党

○小平芳平君 では、最後にちょっと二、三申し上げて終わりますが、よくいまの介護にいたしましても、まず家族の方に介護を教えるとおっしゃるんですが、実際団体の集会に出てこられていらっしゃる方はいい方なんですが、実際問題家で動けないという患者さんがさらに多数いらっしゃるということ、家族の方はそれこそ介護のためにどれほど大変な思いをして闘っていらっしゃるかということ、そういうような実情がありますし、それからなお具体的ないろんな問題がありますが、御答弁は大抵むずかしいとか、困難とかということになろうかと思いますから質問はいたしませんけれども、そういう実情をできるだけよく知っていただきたいということ。  それから、先ほど厚生大臣がおっしゃったように、おととい私はそうした会合へ出ましたが、その先生が、お医者さんが言っていらっしゃいましたが、やはり外国の会議へ出ましても、国がこうした難病対策に取り組んでいるということはきわめて日本は進んでいるというふうにお話をしていらっしゃいましたが、そういういい面を、大臣がおっしゃるように伸ばしていくということ、そのためにはできるだけ実態を、実際の難病の方々の生活実態、治療実態、あるいは病院、そういう家庭においてどういうことをしていらっしゃるかということをよく知ってほしいと、それだけ申し上げて終わります。

上田哲日本社会党

○委員長(上田哲君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時四十分再開することとし、休憩いたします。    午後零時四十分休憩      —————・—————    午後一時四十九分開会

上田哲日本社会党

○委員長(上田哲君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  午前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は、順次御発言願います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 私は、本日は医療機関における不正防止、それから所得税問題等の医療費控除等の問題をめぐりまして、領収書発行問題について、大臣並びに関係局長さんに御質問を申し上げたいと思います。   〔委員長退席、理事佐々木満君着席〕  いずれ健康保険法が、審議がこちらに回ってきそうでありますから、不正防止の問題はそのときゆっくりまた時間をかけてお聞きをすることにいたしますが、きょうは主として税金の方に重点を当てたいと思いますが、まず前段で少し不正防止の問題でお聞きしたいのですが、医療機関の架空請求とか水増し請求等がいろいろあるというふうに、ちまたでもうわさされていますし、また現実に健康保険組合等におきまして、それぞれ審査をいたしますと出てまいっていますが、こういうものの最近の実数があるならばひとつ知らしてほしい。まず支払基金の審査の結果等、どういうふうに架空請求や水増し請求がなっているのか、こういう問題について少し説明してもらいたいと思います。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) ちょっといま手元にございませんので、至急調べまして御返事申し上げます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それじゃ質問を続行しますから、その間にひとつ調べて、架空請求、水増し請求等がどれだけあったのかという最近の資料をひとつあれをしていただきたい。  そこで、その次にお聞きしたいんですが、保険医療機関及び保険医療養担当規則というのがありますが、その第四条に、被保険者証の返還ということで、次のような条文があります。「保険医療機関は、当該患者に対する療養の給付を担当しなくなったとき、その他正当な理由により当該患者から被保険者証の返還を求められたときは、被保険者証に所定の事項を記入して、これを遅滞なく当該患者に返還しなければならない。」と書いてあります。「所定の事項」というのは何でしょうか。それをお答え願いたいと思います。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 被保険者証に記入する事項としましては、所定の事項、大体考えられますのは、傷病名でございますとか金額ということになると思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 お願いしておきたいんですが、質問時間六十分ですから、こちらが質問したときにぱっぱっと答えてもらわぬと、そこでもたもたされると時間全部たってしまいますから。  保険局長さんですから、健康保険証の中身は御承知のように開始の年月日、終了の年月日、それから請求金額ですね、こういうことをやはり記載しなきゃならぬように、これはもう保険証というのは共通ですからおわかりだと思うんですね。そこでお聞きしたいんですが、これが守られているでしょうかどうか。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 現在の現実問題としては、必ずしも実施されてないという例もあると思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 必ずしも守られてない例もあると言われますが、むしろ実態は守られてない方が多いんじゃないですか。あなたそんな適当なことを言うけれども、私たちはよく調査してますが、むしろ実態はほとんどが記入されてないというのが実態じゃないですか。そこのところはどうですか。あなたはほとんどが守っておって、守ってない方が少ないような言い方をされましたが、間違いありませんか、そこは。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 現実の実態調査をしてみないとわからぬと思いますけれども、守られてない例というのもかなりあると思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それならば、なぜ守られてないんでしょうか。守られてない例がかなりあると言われましたが、なぜそれが守られてないか、その理由は何でしょうか。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 実は私どもも問題として意識しているわけでございますけれども、かつてのように——皆保険になりましたんで、被保険者があるいは家族ということで、非常に多く被保険考証を活用するという実態があるわけでございますので、その実態に適応するということになりますと、現実に被保険者もお困りになるというようなことから、実際問題としては守られてないという例があると思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それならば、これは大臣にもお聞きしますけれども、現実にこの規則四条が今日は守られてない方が多い、また実態的にも大変問題がある、そういうときに、どうしてこの規則をそのままにされているんですか。これを改正するとかもしくはほかの——私はこのことはいいことだと思うんです。診療開始をしたり診療が終わったとき、それからせめて請求金額等が明確にされることは被保険者にとっても家族にとっても重要な必要なことだと思う。しかし、現実の実態は守られてない。また、実態的にいろいろ皆保険になって問題がある、こういうことであるならば、どうしてこの第四条をそのままにされているのですか。これを改正をするお気持ちはないんでしょうか。それから、もしくはいま一つお聞きしておきたいのは、実態に沿うように何か方法をお考えになる必要が私はあると思いますが、そういう点大臣どうなんでしょうか。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 確かに現実に療養担当規則の規定にありながら、実際には履行されておらない、そういう点があることは確かに私どもも問題として意識しておるわけでございます。そういう意味で、先ほど御答弁申し上げましたように、私どもとしましてもこの問題をどうするかということを考えておるわけでございますけれども、いずれにいたしましてもこの規定だけを削るというのが果たしてどうかという問題もございますし、それから療養担当規則が非常に過去何年来手をつけてない問題でございますので、基本的な問題につきまして少し勉強しようということで中で勉強している段階でございます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 いや、私が問題にしている点は、今日いろいろあなたの方からまだ資料出てきてませんけど、架空請求や水増し請求等々いろんな不正問題が出ている。それから薬やレントゲンの乱用を防ぐという意味から言っても、これに記載をすることはごくほんのわずかなことなんですが、いつから始めた、いつに終わった、そしてそれに対する請求金額はこれだけだ、こういうことだけでもこれか明記されれば——いけないことなんです、医療の中において不正や水増し請求があるということはいけないことなんですが、それの防止の一助になると思って聞いているわけですね。そこで、少なくともそうは言いながら、これがなかなか現実にそぐわない、守られてないということであるならば、この療養担当規則を守られるように改正するもしくは中身を改正する、こういうことがないと、いや全般を洗っているからそれでいいじゃないかということにはならないんじゃないですか。そういう状況のままに健康保険の改正などという問題が今度出てくるわけですから、これはまた改めてゆっくり法案がこっちへ来たときやります。私はきょうのところ聞いていることは、現実に守られてない。しかし非常に中身としては必要なことだということになれば、守られるように規則の改正をするとか、もしくは現実にそぐわないところがあるならばそれを——だから何もやみくもに全部これ削れということを聞いているわけじゃないんですね。どういうふうに代案をお持ちなのですか、守らせることに。もしくは現実にそぐわなければそぐわないところを一部改正してでも守ってもらわなければならぬわけですね、規則というものは守るためにつくってあるわけですから。そういうことについてどういうふうにお考えなのでしょうかということをお聞きしているわけなのです。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まことに御指摘ごもっともだと存じます。実態がどうなっておるか調べまして、適切な処置を講じたいと思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 はい、わかりました。それじゃ厚生大臣がそうおっしゃいましたことで、その方向でひとつよくお調べになって、実態はわかっているわけですから、何らかのこれが生かされる方法についてひとつぜひ前向きに進めてほしいと思います。  続いて次に参ります。  それでは今度、主税局の方にお聞きをしたいと思いますが、いわゆる所得税の医療控除についてひとつ御説明をお願いをしたいと思います。現行どういう規定になっているのか、これが一つ。まずそこを聞きましょう。

米里恕大蔵大臣官房審議官

○政府委員(米里恕君) 所得税法の第七十三条の規定によりまして、現在医療費控除につきましては一年間に支払われました医療費の総額が、その方のその年の総所得額の百分の五に相当する金額を超えました場合、その超えました金額、これは二百万円を限度といたしますが、二百万円を限度といたしまして、その超えました金額をその方の総所得金額から控除するという制度になっております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 七十三条はよく私もわかっているんですか、その医療費控除の中身について——じゃあ私の方からお聞きいたしましょう。その中には通院のための交通費差額ベッド、付き添い、出産に関する料金まで控除の対象になると、いま言われたあなたの基準に従って、こういうふうに承っていいでしょうか。

米里恕大蔵大臣官房審議官

○政府委員(米里恕君) 通達によりましておっしゃるとおりになっています。  先ほど申し上げましたこと、一つ訂正させていただきます。百分の五とただ申し上げましたが、百分の五が五万円を超えますときは五万円で頭打ちになるということを一つつけ加えさせていただきます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 そうしますと、それは所得税法の七十三条、施行令の二百七条及び所得税基本通達七十三の三、そういうことでいいですね。

米里恕大蔵大臣官房審議官

○政府委員(米里恕君) おっしゃるとおりでございます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 そこでお聞きを今度はしたいんですが、今度は医務局の方にお聞きしたいんですが、このような重要な役割りを持つ医療機関の領収証について、政府はいわゆる国民に周知徹底をせしめるための行政指導を厚生省なりそれから大蔵省なり行われた例がありますか。ありましたならば何月何日、どのような通達で行ったと、こういうことについてひとつ。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) まず、医務局からお答えいたします。  歯科につきましては、例の差額徴収の廃止の問題がございましたので、保険局の方で昨年の七月二十九日に通達を出していらっしゃいますが、一般医療につきましては従来から民法に規定がございまして、支払いをした者は領収証を請求できることとなっておりますので、特に医療機関について義務づけることは考えず、またそのような特別通知は出しておりません。

小野博義国税庁直税部所得税課長

○説明員(小野博義君) 国税庁の方からお答え申し上げます。  先生御存じのように医療費控除につきましては、所得税法施行令の二百六十二条によりまして、その医療費控除を受けるためにその領収証をつけるということになっているわけでございますけれども、私どもの方といたしましては、納税者に対するPRといたしましていろいろなPR文書がございますが、その中に必ず領収証を添付していただくようにというふうな納税者に対する指導をしているわけでございます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 どうも医務局長、少しあなた先走る癖があるから、人の聞いたことに答えてくださいね。私流に言わせると一言多いということになる。なぜかというと、義務づけのことなんかまだ聞いてないんだよ。あなた義務づけする気はありませんとか、何でそんなこと答えるのか。ぼくはこの前からあなたの答弁の態度を大変不満に思っています。委員長、先走ってもらっては、こっちが聞かないことを答えるんですがね、まあ才がたけているのかしらぬけども、私が聞いたことにきちっと答えて。私はいまあなたに二つ聞いたことは、そういうような行政指導をこのような医療費控除がありますよと、国民の皆さんありますというようなことの行政指導を行ったことがありますかどうかと、行政指導を行ったならば何月何日の通知でどうしたのでしょうかと、こういうことを聞いているんです。それ以上のことはまだ私は聞いていないんですよ。私はずっとこれから順次聞いていくんだから。それなのに、あなた先走って聞かぬことに答える。  いま一遍聞きますが、いま言ったように行政指導を行ったことが厚生省としてありますか、また大蔵省としてもありますか、こういうことを聞いているのです。  そこで私は、いまお聞きをしましたところ、歯科のいわゆる医療問題は五十一年七月二十九日にやったとこう言われる。これ私ここに持っていますがこういうふうに書いてある。日本歯科医師会が保険給付以外の治療にかかる料金について、患者の求めに応じ領収証を発行するよう指導することにしたので、各知事も各都道府県医師会に対しその旨指導されたい、これもあなたの答弁とちょっと違うんじゃないですか。ここに書いてあることは、医療費全体のいわゆる領収証と書いてないじゃないですか。あなたはいま、いわゆる歯科についてはそういう通達を出しましたと言われましたが、これは歯科の出された、これはどういうふうに読み取っていいんでしょうか。いまあなたの言われたように歯科については領収証の問題を出したというが、私はこの読み取りは自己負担について求めがあったら出しなさい、こういうふうに読み取るんですが、そういう指導したんじゃありませんか。保険全体じゃなくて、自己負担について請求があったらそれを出しなさいということじゃないですか。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) この五十一年の通達は保険局の方で出しましたので、確かに御指摘のように一般的な問題について出したわけではございませんけれども、なぜ当時保険局で出したかということになりますと、先生も当時十分御事情を御存じのように歯科差額の問題、しかも差額問題というのが社会的にも大きな問題になったというようなことから、一部は保険で見、一部は差額診療ということから、この辺で社会的な問題になったということから、歯科医師会とも十分協議の上こういうような通達が出たということでございます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 だから私がお聞きしているのは、通達の中身がいい悪いを議論しているわけじゃないんですよ。私はいま領収証発行問題についての行政指導のことを聞いているわけですから、いわゆる請求があれば領収証を発行するんだと、こう医務局長言っているわけですね、医務局長は。ところが、この通達はいわゆる自己負担分について請求があればということになっておりはしませんかと聞いているわけです、この歯科の通達。医務局長は請求があれば出すことになっていますとこう言っている。それで、こういう通達が出る。ところが、この通達そのものは歯科の医療全体、保険の分まで含めたんじゃなくして、いわゆる自己負担について求めがあったら出しなさいと、こういうことになっておるんじゃありませんかと聞いているんです。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 確かに御指摘のとおりでございまして、当時問題になっておりましたのは差額の分でございましたので、その点について特に出したわけでございます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それじゃ次にお聞きしますけれども、これは主税局にも厚生省にもお聞きしますが、請求があれば出せることになっているんだからそれでいいんだというのは、どういう根拠なんでしょうか、請求があれば出せる、PRしたことはない、いわゆる主税局は領収証だけ取れというPRはしたと、こう言っているね。厚生省側としては請求があれば出すことになっているんだからと。ところが、私がお聞きしたいことは、少なくとも所得税法から言うと領収証がないと出せないことになっていますね、これは間違いありませんね、領収証がないと。国税庁さんどうですか。

小野博義国税庁直税部所得税課長

○説明員(小野博義君) 先生のおっしゃるとおり、二百六十二条に「医療費につきこれを領収した者のその領収を証する書類」を提示または提出することになっております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それじゃ、そこでお聞きしたいんですが、いわゆる中身について、たとえばいま私がお聞きしましたように、なぜ通院のための交通費であるとか差額ベッドであるとか付添料であるとか、特に出産に関する料金まで控除していることのPRをしないのですか。これは厚生省に聞きたいのは、出産というのは正常分娩の場合には、保険給付の対象にはなっていないのですね。しかし、一方所得税法においては、出産についても料金までこれは控除することになっている。そういうことをあなたたちが行政上PRし、指導しなくて、どうして国民にわかるんですか。私たちのように専門にやっておる人間はわかるでしょう。しかし、一般の国民に医療費控除の中身について、どうして厚生省と大蔵省は協力をして、この法律がある以上、これが十分に使われるようにやらないのか。あなたたちはそんなことをしなくて出産問題まで含めて国民がわかるというふうに考えられていますか。その点について両方にお聞きします。国民にどうしてわかるんだ、国民がわかりますか、出産まで実は所得税からの控除の対象に、医療費控除の対象になるんだということがPRしなくてどうしてわかるんですか。そのことについて聞かしてください。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 確かに御指摘のとおり、具体的にPRをすることが望ましいと思います。ただ、一般国民の場合、税金の申告等になれていらっしゃる方もございますし、いろいろ一般的に婦人雑誌等でそういうふうな報道もされているわけでございます。問題は、サラリーマンの場合に特に税制について疎いわけでございますが、やはりこれは国税庁と相談してやるというようなことはともかくといたしまして、厚生省としても何か具体的な方策を考えるべきであろうと思っております。

小野博義国税庁直税部所得税課長

○説明員(小野博義君) お答え申し上げます。  私どもといたしましては、税を知る旬間であるとかあるいは確定申告の前にいろいろPRをやっているわけでございますが、そのPRの中に「本人や家族の病気、ケガ、分べん、歯の治療などのため、一年間に支払った医療費」云々ということでPRをしておるところでございます。また、確定申告書の説明資料にも同じような文章を入れておるわけでございます。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それなら国税庁にお聞きしますが、所得税を納めているいわゆるそれぞれ勤労者、その中から確定申告をする数はどれだけですか、何%に当たりますか。いわゆる源泉徴収でほとんどの勤労者は控除されている、そしてその中のごく一部分が私は確定申告していると思いますが、あなたは確定申告時にそういうことをやっていると言うんですが、確定申告を、いわゆる源泉徴収によって所得税を納めている国民がこれだけだ、それから確定申告をその中でやっている人は幾らですか、それを言うてください。

小野博義国税庁直税部所得税課長

○説明員(小野博義君) 源泉徴収を受けておられる方の中で確定申告をしておられる方は、正確な計数はいまちょっと把握しておりませんが、大体七、八%ぐらいだと思っております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 そうでしょう。だから、あなたがいま言われたように、確定申告を出してもらうときにその人にPRしただけでは七、八%しかカバーできないわけです。ほとんどの人が源泉徴収なんです。源泉徴収をしている人々に対して、受けている人々に対してどういうPRしていますか。いま言われた中身の問題を、出産なら出産の問題を含めて、源泉徴収をしている人々にこういうことがあるんだぞと、あなたたちはそうしてくださいというPRをどういうふうに具体的にしていますか。

小野博義国税庁直税部所得税課長

○説明員(小野博義君) 源泉徴収で税金を納めておられる方々、いわゆる給与所得者の方々に対しましては、給与所得の源泉徴収票というものが毎年交付されるわけでございますけれども、この源泉徴収票の裏面に多額の医療費を支払ったために医療費控除を受けられる方ということでPRをしているわけでございます。それから、先ほども申し上げたPR文は週刊誌等にもかなりPRをしておりますので、いろいろお目にとまる機会も多いかと思っております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 そこで今度は、この問題についてひとつ大臣にもお聞きをしたいんですが、どうもいまのようなやりとりで時間を全部とるわけにいかないんですが、私はどうも国民に周知徹底してない、特に出産の費用を含めてということが周知徹底してないと思うんですね。  そこで二つのことを大臣にお聞きしたいんですが、まず第一に、その国民に周知徹底をしてないというときに、少なくとも国民に周知徹底させる方法を考えなきゃならぬ。私はこの一番いい方法は、医療を受けた結果から出てくるわけですから、医療機関の窓口に、医療機関の窓口において所得税の中から医療費控除の対象となるものを、医療費の範囲ですね、それから控除の手続、方法等について医療機関の窓口に張り出す、そうすると患者は自分で医療を受けに行って、受けた結果こういう控除があるということが一目瞭然で。これが私は一番周知徹底早いと思うんです。たとえば、いま言われたように週刊雑誌に書いているとか婦人雑誌に書いているから、婦人雑誌で読んでいるだろうなんというのはまことに暴論でありまして、私から言わせるなら。しかし、一番手っ取り早いのはいわゆる医療費控除なんだから、医療費控除というのは、医療を国民が受けに行く、そして医療行為が行われたときに発生してくる、それも一つの制限がありますね。そうすると、いま審議官以下が説明されているような、こうこうこういう場合、しかも中身についても親切にこの行為とこの行為とこの行為はいわゆる税金の控除になりますよと、こういうことを私は、せっかく所得税の医療費控除ということが現実あるわけですが、私はこの点について医療機関の窓口に明示するということを考えたらどうなんだろうかと、このことについて大臣にお聞きをしたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) まあ、それは患者のサービスという点では一つの方法かとも思います。思いますが、これは厚生省が張り出した方がいいのか、大蔵省が張り出した方がいいのか、ここらのものは所管の問題もございますから、私は結論的には患者のサービスとしてそれぐらいのことをやってもいいんじゃないかという気もしますが、方法論については少し研究をさしてもらいたいと思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 そうしますと、まあ厚生大臣のお答えは、結論としてはやはりいわゆるそういうことをやらなきゃならぬと、しかしまあ厚生省と大蔵省に二省にまたがる事柄でもあるから、方法論については早急に検討したいと、こういうふうに言う。   〔理事佐々木満君退席、理事浜本万三君着席〕 ですから、ぜひ私は厚生省と大蔵省との間において、これはいま言ったように、いわゆる窓口に張るだけの問題ですから、告知をするんですから、こういうことになってますよということですから、これはぜひひとつ両方で御検討をくださって、大臣がおっしゃったように、国民に対するサービスなんですから、その意味においてこれが実行されるようにお願いをしておきたいと思います。また、大臣が前向きに答弁をされましたことについては、私はそのことを評価をいたしまして、お願いをしておきたいと思います。  そこで、今度は領収書発行の問題についてお聞きを少ししたいんですが、領収書を発行を行わなきゃならぬという、これは医療の場合にも領収書を発行を求められれば行わなきゃならぬということについて、関係法律は何でしょうか、それをひとつお答え願いたい。

米里恕大蔵大臣官房審議官

○政府委員(米里恕君) 所得税法施行令第二百六十二条によりまして、医療費控除を受けます場合には一定の書類を確定申告書に添付したり、あるいは申告書の提出の際に提示しなければならないということになっておりまして、その内容といたしまして、医療費について、これを領収した者がその領収するを証明する書類をつけて出さなければならぬということに相なっております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 税法上の関係法規はわかりました。  それじゃ、医務局長が答えられましたいわゆる民法上の——私は領収書発行のルールを定める唯一の立法は民法だと思いますが、それについてどういう条項が該当するのか。それが医療の場合に当てはまったときにはどういうことを意味するか、説明してもらいたい。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 御指摘のとおり、基本になりますのは民法の規定でございまして、まず第四百八十六条、受領証書請求権という条項がございます。これは、「弁済者ハ弁済受領者ニ対シテ受取証書ノ交付ヲ請求スルコトヲ得」となっております。次に第五百三十三条「同時履行の抗弁権」という条項がございまして、ここには「双務契約当事者ノ一方ハ相手方カ其債務ノ履行ヲ提供スルマテハ自己ノ債務ノ履行ヲ拒ムコトヲ得但相手方ノ債務カ弁済期ニ在ラサルトキハ此限ニ在ラス」となっております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 そうしますと、私はあなたに医療に当てはめたときの意味を聞いたのですが、お答えがありませんでしたから、私の方から言いますと、四百八十六条受取証書交付は、このように医療の場合には読み取れるんでしょうか。料金を支払った患者は、これを受け取った医療機関に対して領収書の発行を請求できる。それから五百三十三条「同時履行の抗弁権」については、患者が領収書の発行を請求したとき、領収書の発行は医療機関側の債務とみなされる。もし発行しないなら、患者側も料金を支払わないという、債務を履行しないでよい。こういうふうに五百三十三条を医療に当てはめるときには読み取っていいんでしょうか。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 私もそのように解釈しております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それじゃ関係条文の解釈の仕方は一致しました。  そこで、今度は現実問題について大臣にお聞きしたいんですが、大臣が病気になられた——大臣というよりも、大臣の奥様やお子様なんかが病気になられた。そういうときにお医者さんに、ぜひ領収書を発行してほしい、こういうことが言える立場に患者はあるでしょうか。患者は腹が痛いとかなんとかで、急病でお医者さんのところに行きます。そして患者の立場でお医者さんに対して、民法にはこういうふうに規定されているんだから、ぜひ領収書をひとつ出してほしいと、こういうことが医師と患者の間にスムーズに行えるような場合にあるというふうに大臣はお考えでしょうか。それとも違うお考えをお持ちですか。そこをちょっとお聞かせください。大臣のような気の強い人は別ですよ。これは別ですが、あなたの奥さんや子供さんとか、一般の国民ですよ、国民が病気になったときに、領収書発行をお医者さんに請求できるという雰囲気なり状態にあるというふうにお考えでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) それは、まあ考え方で、人千差万別、いろいろだと思いますが、やはり私といたしましては、お金を払って、自分が所得税の控除等に必要なものは、済みませんが、ひとつこれは領収書いただきたいんです、ということを言ってもらう習慣を私はつけた方がいいと思うのですよ。私は遠慮することは何もないんじゃないか。こういうわけでございますから、という理由があるわけですから。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 私は、大臣やら私のような、こういう方面を専門にやっておったり、私も大臣に負けず劣らず気が強い方ですから、そういうときは言いますけれども、私は一般の国民の場合に、やはり何としても患者は命を預ける、こういう決定的な弱い立場にあるわけですね。それで、お医者さんというのは一般の売買と違うのですね。たとえばこのコップならコップをお店に買いに行って、これはどうも気に入らぬ、値段が高いということで選択ができるわけですね。ところが、これは医療の場合には国民側に選択権がない。これは正確に言うて、ないというのは間違いですが、通説として、国民の置かれている立場から言うと、どうも選択権がないというのが私は一般的な常識、通説になっていると思いますね。率直なことを申し上げて。そういう場合に、大臣がおっしゃっているように、やあ、請求すればいいんだと、こういうことになるでしょうか。  それから現実に、私は国立病院では簡単な領収書を発行しているのは知っていますが、領収書の発行がどの程度各機関において具体的にされているか、それは現状をひとつ担当の方から御説明を願いたい。その上で今度は、いま一遍大臣にいまのところのことをお聞きをしたいと思うのです。まず領収書発行状況が現実にどういうふうになっているかということ。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) まず国立病院、療養所につきましては、予算決算及び会計令に基づきまして、内容は若干簡単でございますが、必ず領収書を発行いたしております。また自治体病院につきましては、あるいはよく調べますと、小さな町村で省略しているところがあるかもしれませんが、原則は国と同じように領収書を発行することになっております。さらに日赤、済生会、厚生連、北海道社会事業協会等のいわゆる医療法の公的医療機関でございますが、これも国に準じまして領収書を発行していると報告いたしております。  そこで、その他の医療機関が問題になりますが、これも先ほど申し上げました原則に従いまして、患者さんから領収書の求めがある場合には、領収書を出していると私は考えております。やはり、そういう場合に出さなければ、自然患者さんも来なくなるというような自動調節も働くのじゃないかと思っております。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 私は、現実の理解は、医務局長が言われたことと——いわゆる国立、これはいま言ったようなことを完全に守っている点を知っていますが、それ以外のところはきちっと守られていない。特に私立ですね、個人立の場合にはむしろ逆だ、ほとんど領収書の発行というのはされていません。これが私は現実だと思います。  そこで、今度は医務局長、保険局長にもお聞きしなければならぬのですが、盛んにいまさっきから私は大臣にそこのところを聞いているわけです。請求すればと、こうなるのですね、請求すればと。私は実は、十月の二十七日の日に保険局長に、医療領収書発行を義務づける会の代表者が、保険局長か医務局長ですか、これはどちらに会ったのか知りませんが、国会で厚生省の幹部に立法や行政の指導を申し入れた。実はそのときこういうやりとりがあったと聞くのですが、それは事実なんでしょうか。  まず、請求すればいいじゃないか、あなたたちが請求せなければいけないのだと。それから、いや、患者は弱い立場だから請求はなかなかできませんと言ったら、そんならそんな領収書を発行しないような先生のところをかわればいいじゃないか、あなたたちは選択権を持っているじゃないですか。こういうやりとりをしたと。それから、いや、そういうことをすると、国民皆保険ではもう大変事務的に繁雑で実際はできないのですよと。それからさらにこんなことを言ったというんですね。大体医療費控除なんというのはもう日本だけなんですよと。先進諸国においては、そういう減免なんて恩典はと。こんなやりとりが厚生省の幹部との間にされたというふうに新聞並びに私は報告を聞いているんですが、領収書問題について、たとえばもう医療費控除などという、そういう恩典はこれはもう日本だけなんだと、もうどうも口の下からは、何かぜいたくな恩典のようなことに聞こえるんですが、そんなことをあなたたち答えるはずがないと思うんだけれども、これは大蔵省が言ったというならまた問題になるけれども、自分の所管事項以外のことについてそんなこと言ったはずがないと思うんですが、私はそういう報告を聞いてるんですが、そこらの問題について、請求すればいいじゃないかとか、いや、出さないようなお医者さんのところはかわればいいじゃないかとか、医療費の控除なんというのは特別の、何か日本だけの恩典のような、そういう感覚をお持ちであると、これは大変なことだと思いますが、新聞ではどの課長とかどの局長と書いてありませんからね。これは二十六日ですか、会われたのは。そこらの点について考え方を聞かしてください。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 二十六日か、日は覚えておりませんけれども、国会の衆議院で陳情の方何人かお目にかかったのは事実でございます。  それから、保険局、医務局ということで、両方関連した問題でございますけれども、たまたま初めの方だけ私が出席いたしました際に、両局を代表してという意味である程度お話ししまして、私は十分か十五分ぐらいで、あと担当の課長さんにかわったわけでございますけれども、ただいま先生から御指摘ございました医療費控除制度があるのは日本だけだというようなことは、後に残った課長に聞きましても、厚生省側から言ったことは一切ございません。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それから、その前の、領収書を出さないような医者は、選択権があるんだからかわればいいじゃないかとか、請求すれば出るんじゃないですかと。特に選択権があるからかわればいいんじゃないですかと。それはどういうことですか。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 第一点の請求、これはもう先ほど医務局長が御説明申し上げましたように、いまの民法なりの規定で、請求があれば当然出すことになっていますということをお答えしたと思いますし、それから選択権の問題につきましては、実は社会保険審議会でこの問題が非常に議論になっているわけでございます、領収書発行の問題が。その際に、医師会の方からそういう御主張もございましたという点を御紹介したと。それから事務的に大変であるというのは確かに私どもの方でもお答えしたと思います。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 私はこれから厚生省の幹部にお願いしておきたいんですけれども、やはり婦人団体なんかがおいでになったときには、少し親切丁寧に、あなたたちは行政官なんだから、わかるように言っていただかないと——こうして私たちがこの場で聞きますと、親切丁寧に言われるわけですね。それは、言わなければ、こちらはやかましく言いますからね。だから言われるんですが、私から言わせると、少なくともいまたとえばあなたが社会保険審議会で、医師会側からそう言っていると、こう言われるなら、それはそれでわかるわけだ。しかし、受け取り方として、どうもあなたが応待したらしいけれども、そのときのやり方、あなたたち自身が、それは選択権があるから選択すればいいじゃないかということの受け取りになる。そうすると、厚生省というのは何て不親切なところだろうと、こういうことにこれはなるわけですな。ですから、今後とも私は、いろんな団体が陳情なりに行かれたときには——事これだけ医療問題、荒廃した医療をどう改革するかということはいまやわが国における重要な政治の課題にもなっているわけです。そういうときにおける対応のあり方というもの。それから、いわゆる医療費というものの控除というのは日本だけだというのは、言わないと言うけれども、そんなことを、言わないことを言う人はないですよ、これは。税制問題というのは余り詳しくない人が言ってるんですから。だから、それは、だれかが交渉の中でそちら側から言ったから、私のところに、安恒さん、こういうことを言ってますよと言うから、そうか、それでは一遍聞いてみようと。私は税制調査会しとるけれども、そんな議論をしたことはない、そんなことはないと、こういうことで、ですからどうかひとつ、このことは水かけ論になりますからあれしておきますが、どうかこういう問題に……。  そこで、毎回大臣、お聞きしますが、どうも私はこの請求すればというところに問題があると思うんですね、請求すればと。なかなか私は、請求できる立場にないです、それは、現実に。しかし、一方、領収書がないと所得税の控除、応じられないわけなんですよ。所得税の控除、応じられない。いや、そういう弱い立場だから、医療費だけは特別だと、そっちの方を法を改正してくれればいいけれども、これは厳格に大蔵省の方が関係条文を読み上げてますから。領収書がないと、せっかくの所得税控除というのが受けられないわけです。  その場合に、ただ単に請求すればということだけでは私は解決できないと思う。私は、やっぱり一番いいことは、そういう国民が弱い立場にある、命を預ける、こういう弱い立場にあるときには、患者の請求の有無にもかかわらず医療機関に領収書の発行をやっぱり義務づける、このことが解決の一番最良の方法ではないかと私は思うわけです。そういう点について、もう一遍ひとつ、まあ厚生大臣が国民の立場に立って領収書の発行の義務づけについてどういうふうにお考えになるのか、もしくは、いますぐは無理にしても、将来こういうふうにひとつ検討していきたいと、こういうお気持ちがありますならば、そこのところについて。前のことについては大臣から前向きのお答えをいただきました、医療機関の窓口に明示する方法を一遍大蔵省と厚生省で検討してみようと、こういうことでありましたから、これはひとつ前進しましたが、私はやはり、それと同時にいま一歩行政というものを親切にやるし、国民の弱い立場を守るという立場になりますと、どうしても私はこの領収書問題については患者の請求の有無にもかかわらず医療機関が領収書を発行する、こういうことを法律的にやっぱり義務づけすることが問題の一番国民にとって親切な、しかもだれもが平等に恩恵を受けられることになるというふうに考えますが、この点について大臣のお考えをお聞かせ願いたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) これは、衆議院でも同じような質問がございました。私はそのとき答弁をしたんですがね、それは代金を取ったら領収書を出すのは世の中の常識じゃありませんかと。ですから、それは領収書を出すというのは常識でしょう。しかし、私の方としては、医者の方も私の方で見ている、患者の方も厚生省が見ている、両方。ところが、医療費控除というのは、五万円または所得の五%、いずれか低い方、以上かかった場合ということですから、大体五万円ということでしょうね。そうすると、二百円とか三百円とかというような窓口の支払いというのがございます。義務づけるということになれば、そういうような実際問題として本人がまあ必要ないと思う数の方が圧倒的に多いでしょう、現実の姿というものは。それを全部義務づけるということになるというと非常な負担になる、要するに診療側の負担になる、これも私は事実だと思います。だからといって、請求があるときにその領収書を出さないと、あるいはなかなか言いづらいというようなムードもある、これも私は事実だと思います、これも。  したがって、まあ不必要なむだを強制をするというわけにはまいりません。まして民法上も請求することができるし、それを相手が領収書を出してくれなければ金を払わなくたっていいというようなことの解釈もあるいは成り立つかもしれぬ、実際問題として。しかし、弱い患者の立場ということになれば、あなたのおっしゃるようになかなか言いづらいという点も、私は国民医療を預かる厚生省としては、やはり国民へのサービスということは忘れちゃいけないと、こう思っておるんです。  したがって、義務づけすることは考えておりません。おりませんが、ともかくそういう必要な患者もいることも事実でございますからね、ですからそういうような人が気安く、実はこういうわけで必要なんですと言いやすいような雰囲気をつくってやることは、私は、国民的立場に立てば必要であろうと思いますので、先ほどもお答えしたように、何らかの方法を考えることは患者へのサービスという点において私は必要だと、だから方法論については検討さしてほしいということを申し上げたわけです。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 大臣も御承知だと思いますが、法の規定から言うと年間五万円以上二百万円までなんでして、これ一件当たりじゃないわけですね。一件で見ますと、たとえばわずか三百円とか千円とか、こういうことがありましても、これは本人並びに家族を含めての医療費控除になるわけなんですから、その意味から言いますと、いわゆる扶養家族を含めての医療費控除になるわけですから、私はやはり、たとえば千円とか五千円から見るととても五万円に及ばないじゃないかという見方は、大臣専門ですからされてないと思いますが、その点は大臣なら大臣の御家族、奥様やお子様を含めた一家族の中で扶養家族の場合は含めて医療費控除の対象になるわけですから、案外金額というのが五万円になる場合が多いわけですね、これは率直なことを申し上げて。ですから、その意味から言うと、私はやはり金額が安いから必要ないということにはこの点はならないと思います。  そこで、大臣もできるだけ出しやすい雰囲気づくりをしなきゃならぬ、こういうことでありますが、私はどうしてもぜひ将来の課題として、いま大臣は何らかの方法で領収書が患者が気安くもらえるようにそういう方法論を検討したい、こう言っておられますから、その方法の一つとして、私は、まず前段で大臣との間にお約束いただきましたように、医療機関の窓口に患者にすぐわかるような明示、これは方法論の第一歩だと思います。ですから、このことは大臣は大蔵省とよく相談した上でということでやろうということでありますから、それは結構ですが、そこで第二段としてそういうものが今度出される、その場合になお私は義務づけが一番簡単だと思いますけれども、大臣はいますぐはそういうことは考えてないということですから、前向きにいわゆる領収書が発行されるような方法について引き続きひとつ大臣のお手元で、これはやはり私は医療行政のサービスとして非常に重要なことだと思いますから、やっていただきたいということをお願いを申し上げます。  それからいま一つ、これもちょっと大臣、ときどきこういう答えをされますが、私と医務局長の間にいわゆる民法五百三十三条の同時履行の抗弁権については、医務局長から患者側がいわゆる領収書発行を請求したとき、出さなかったときには料金の支払いという債務を履行しないでよいということは、医務局長そのとおりと答えているわけですから、それをまた大臣が後からややそれをちょっとぼかすようなことをいまの答弁の中で言われましたから、これはまた大臣答弁と医務局長答弁の食い違いなどということで時間をとりたくありませんから、これはもう法律の解釈の問題ですから、その点は医務局長の解釈どおりということにしておきたいと思いますが、それは異存ありませんね。大臣はちょっといまのところを緩めた。——ありませんね。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) はい。

安恒良一日本社会党

○安恒良一君 それじゃ、以上のようなことで私の時間は四十五分までになっておりますから、どうかひとつ、領収書を患者がなかなか発行してくれということは言えない弱い立場にあるということを十分念頭に置いていただいて、この問題が前向きに解決できるように一段と大臣は行政当局を督促をして進めていただきたい、こういうことをお願いをしまして私の質問を終わりたいと思います。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 まず最初に被爆者援護の問題についてお伺いしたいと思います。   〔理事浜本万三君退席、委員長着席〕  きょうから三千五百万を目標に署名運動が始まりました。そして被爆者の方たちのことを考えますと、被爆後三十二年たちました。そして苦しい中で弱い体にむち打って被爆者の方々は立ち上がり、そして訴え、またその訴えを聞いたたくさんの平和を願い、被爆者の立場を考える人たちによってやっと運動は大きく発展してきたと思います。特にことしの八月には、国連の非政府機関NGOの主催で被爆問題国際シンポジウムというのが開かれました。その中で、たくさん集まられた国際代表は、われわれもまた皆被爆者であるということをアピールの中で言っております。つまり広島、長崎で直接に被爆しない者でも、その爆風ややけどを経験しないけれども、もしも広島、長崎、それに加えて次々と起こる核実験がなかったらあり得なかったような人工放射能を体内に持っている、そういう意味でこの国際シンポジウムではわれわれもまた被爆者だというアピールを出した。そしてまた、被爆者というのをこれを世界の共通語にしようということが提案された。そして、ことしは非常に国際的にも被爆者にとって力強い年になったと思います。そして、ことしの原水禁世界大会は統一して開かれるという成果が起こりました。そして、その成果に基づいて来年の六月の国連軍縮特別委員会に向けてきょうから三千五百万署名というのが始まりました。十月の二十二日から二十八日を被爆者援護法制定を目指す中央行動週間というのが設定されて、そして私どもの方に国会にも被爆者の方々から要請が参りました。私たちも一日も早く、もう三十年以上たってもいまだにこうやって弱い体で国会に働きかける、そして政府にお願いするという状態をもうそろそろ考えなければならない、被爆者援護を改めていまの段階で考え直さなければならない、そういう時期が来たと思います。そして、厚生省の方でお調べになりました昭和五十年原子爆弾被爆者実態調査の概要というのを、厚生省公衆衛生局企画課でお出しになっていらっしゃいます。その中身をずっと調べさせていただきましたら、たとえば仕事がどうなんだということを調べますと、収入を伴う仕事のある者の割合は五六・四%、非被爆者では六六・九%、こういうふうになっております。特に一般常用者の割合が低く、被爆者では二八・五%にしかすぎないということでした。そしてまた直接きょうお伺いいたします健康の問題で傷病状況というのを見ますと、傷病があった者の割合というのが五八・八%、被爆者でない者の場合は二九・四%、つまり普通の人の約二倍の人たちが病気であるというようなのが厚生省の方のお調べでも出てきているわけです。そしてまた、ことしの長崎大会には大臣が総理代理として御出席になりました。そして、そのごあいさつを読ませていただきますと、こうおっしゃっています。いまなお原爆の傷跡に苦しんでおられる被爆者の方々に対し、引き続きその福祉の増進に努める所存でありますと述べておられました。その増進に努めるという問題なんですけれども、五十三年度の概算要求を見ても、諸手当の改善というところでは全く白紙になっております。一体どのように増進に努められるのか。被爆者の要求は当然生活も含めて被爆者援護法の制定ということを願っておりますし、私どももそれを心から支持しております。大臣が長崎のあの大会でごあいさつになりました今後とも引き続きその福祉の増進に努めると言われるその福祉の増進とは、具体的にどういう点が挙げられるのでしょう。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) ただいま先生から御指摘を受けました来年度の予算要求の中で数字が出てないではないか、こういうことでございますが、これは先ほど大臣のお話もございましたが、そういった福祉を進めるという観点でこれを中をどう埋めていくかということが、最終的にまだ煮詰められていないということでございまして、白紙だから去年どおりという要求をしているのとは違う、こういうことで御理解いただきたいと思います。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 当然煮詰めていただけるとは思いますけれども、もう大分煮詰めなければならない時期にもなってきておりますが、大臣としてはその点どういう点を考えていらっしゃるか、どの程度前進させるという見通しがおありでいらっしゃいますか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) いままでの慣例もございまして、大きな手当ての問題やなんかはほかとの関連性もあるものですから、いまの段階でまだ数字が煮詰まっておりません。おりませんが、諸般の事情を考慮いたしましてできる限り処遇の改善等には努めるつもりでおります。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 被爆者の問題といいますと八月になると大きくクローズアップされて、そしていろいろ言われて大きな期待が持たれているわけですけども、具体的に出てくるのというのは、まことに被爆者の本当にあしたの命に対する不安から見れば非常にまだまだ不十分だという点を、もう秋風が立っておりますけれども、またあの八月、暑い長崎で被爆者の前でごあいさつなすったあの気持ちでもう一度また前進させるように御検討いただきたい、心からそれをお願いしたいと思います。  それから、いま申し上げました調査をずっと見せていただきましたけども、御承知のとおり被爆者の年齢というのは非常に高齢化しております。傷病率がそういうところから高いということも当然です。そのためにはやっぱり健康をどう守るかということと、疾病の早期発見という点が非常に大事になってくると思います。それは具体的には健診の充実ということが言われているわけですけれども、また要請をいただきました、この要請の中を見ましたところ、日本被団協が五十一年四月十四付で被爆者健康診断についての要請書というので、具体的に要望事項を提示しておりますけれども、一般検査ではどんな検査項目をふやすというふうに考えていらっしゃるかどうか、その点をまずお聞きしたいと思います。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 健康診断につきまして年に一回の定期と、もう二回の希望による健診と四回やるわけでございますが、その中で五十一年度までは七つの項目でやっておったわけですが、五十二年度はいま先生御指摘のように老齢の方がふえてくるとこういうことでございますので、肝機能検査というのを五十二年度からは追加して八項目にしたわけでございます。さらに五十三年度におきましては、やはり老齢化というような関係がございますので、そういうような関係の検査をさらに追加したいというふうに考えております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 その中身は、具体的にどういうものですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 要求段階でいま考えられておりますのは、糞便の潜血反応といったようなものを考えております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 それはもう当然入れていただけると見てよろしいですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) ただいま申し上げましたように要求段階でございますので、入るかどうかというのは最終的に予算の決定ということになりませんと決まらないわけでございますから、そういうふうに御理解いただきたいと思います。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 当然そういうことになろうかと思いますけども、せめてその潜血検査の分は入れていただきたいという強い要求でございますので、まず厚生省でその姿勢がないといろいろと折衝もできないと思いますので、その点大臣もぜひ積極的に強腰で、去年やっと肝機能が入りましたが、ことしはその潜血検査というのをぜひ入れていただけるようにお願いをしたいと思います。  それからまた、要求の中に健康診断実施に当たっての問診の充実と問診票の活用を、遅くとも五十三年度の第一次健診において実施されたいということが要求になっておりますんですけれども、この問題についてどういうふうに考えていらっしゃるか、そしてどういうふうに対処されようとするか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 問診票についてでございますが、いろいろあちらこちらで健診が行われる場合に、患者さんのいろんな訴えがあるのが統一的に行われないのは困るじゃないか、だからきちんとした問診票というものをこしらえて、必ず決まった項目というのは調べてもらうようにしたらどうかと、こういうふうに理解してよろしいかと思いますが、現在問診票というのはこれは被団協の方からもこんな問診票を使ったらどうだというような御意見をいただいております。私どもあくまでもこれは医学的な問題でございますので、専門家の方にそういった被団協の方の問診票というものはこういう希望があるというようなことも先生方にお見せしまして、そしてきちんとした統一票がつくれないものだろうか、できるだけつくるように努力してほしいということで、現在専門の医師に検討してもらっているというこういう状況でございます。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 御検討の時期はいつごろでしょうか。要求では五十三年度の第一次健診において実施されたいというような、非常に切実で具体的な要求になっておりますのですけれども、検討していただいているのは確かだし、そのことはありがたいと思いますけども、長くかかっての検討ではちょっと困りますので、大体のめどは。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) もちろん、先生がおっしゃいますように、できるならば五十三年度からやり得るということを目途に検討していただいております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 きょうお願いしますことは、本当に弱い立場の者の要求でございますので、厚生省もお忙しくて次々と仕事の中で置いていかれる危険性がありますものですから、私も大変くどい質問みたいになりますけれども、ぜひその御検討を早めていただいて、五十三年度の第一次健診でやっていただけますように、これも重ねてお願いしたいと思います。  それから、健康管理手当の対象になる疾病でございますが、現在十障害が対象になっていると言われております。まあ残り二つ——消化器系統とそれから皮膚系疾病と、これはどうしてもというような要望なんですけれども、この点についての御検討は、お考えはどういうふうになっていますか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 私ども被団協の方からは、消化器疾患を加えてほしいとこういうふうに伺っております。それで、これを追加するかどうかということにつきまして、原爆医療審議会のこれはあくまでもやはり原爆との関連において物を考えなければならぬというふうな問題でございますので、審議会等の先生の専門家の御意見を伺って、そしてそれに対処していきたいと、こう思っております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 消化器系の場合にはこれはいま一番切実な要求になっております。広島市長さんの説明によりますと、広島原爆病院入院患者の約一二%が消化器系統の疾病にかかっておられるというようなことで、広島、長崎でも当局としても非常に病院なんかでも希望していらっしゃる。そうすれば消化器系疾病を対象にするということは一番切実なんで、いまのお答えだと消化器系の方は検討しているということですよね。それをぜひ対象にしていただくということと、それから皮膚系疾病の方は全然まだ考えていらっしゃらないんですか。

松浦十四郎厚生省公衆衛生局長

○政府委員(松浦十四郎君) 私どもいままで伺っておりましたのは、消化器を入れてほしいということを被団協の方からは伺っておって、皮膚の話はいまちょっと先生から伺ったのが最初でございます。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 それじゃあ要求の一番強い消化器系の問題について、ぜひ御検討いただくようにお願いをしたいと思います。  きょうは時間が足りませんので新幹線で次に移らせていただきます。  老人問題についてお伺いしたいわけなんですけれども、九月十五日のときは老人の問題が大きく新聞に出されますけども、その後の老人問題と言えば生活に大変だという問題や、自殺だ心中未遂だというつらい話ばっかり出てくるわけなんです。そして、お年寄りも被爆者と同じですけれども非常に御病気がちでいらっしゃるわけです。老人医療無料化というのは御承知のように四十八年からスタートいたしました。年度も政府がどうにか改善の方向をお示しくだすったのが四十八年でございます。しかし、いま、もう皆さん御承知のように福祉見直しとかばらまき福祉是正というようなのが大きく宣伝をされまして、そして年寄りのせめて病気になったときの金の心配をなくしてほしいという、これは本当に生きる最低限のぎりぎりの要求に対して、いま非常に不安が起こっているわけでございます。  五十三年度の予算要求の重点項目というのをいただきまして、そしていろいろ見せていただきました。そしたら、いままでなかったと思います。「年金制度の改善」については、「年金制度については、年金額の引上げを行う等所要の改善措置を」図る。一行だけで、全部べろっと白でございましたし、それからその次のページあけますと、「医療保険」の問題ありまして、そして老人問題につきまして、ここにも「8 老人保健医療制度」と、こう書いてありまして、「老人保健医療制度については、関係方面と調整のうえ必要な措置を講ずる。」、これまたべろっと白でございます。皆さんの立場から言えば、いろいろ関係方面に聞いてから書くんだとおっしゃるでしょうけれども、この白紙でばっとこう出されまして、これから検討だと、いまこれを検討しなければならないもんだろうか。もう当然いまの医療制度無料化というものをより前進させなければいけないと思いますのに、こういうような状態になっております。参議院でもさきの八十一国会で無料化の請願も採択をされたわけです。  それからまた、一方的に私が申し上げるような問題になりますけれども、たとえばこの総理府広報室編の「世論調査」というのを読ませていただきますと、「老人医療無料化についての考え方」「無料化制度は存続した方がよい」というのが七七%を占めております。これはもう御承知のとおりだと思います。こういうふうなこと。  それからまた、老人問題懇談会というのが「今後の老人保健医療対策のあり方について」というものをお出しになりまして、私も読ませていただいたわけです。そこの十ページの「老人の特性」というところを見ますと、「昭和五十年の国民健康調査によれば、老人の有病率は青年層の五倍に達し、昭和五十二年の老人健康調査によれば、医師による精密な診断の結果治療を要する老人は半数以上に達している。また、老人の疾病は、高血圧性疾患、脳血管疾患、心疾患など長期慢性化しやすいものが多く、また、幾つもの疾病が同時に存在し、更に、生理的老化と疾病が共存するため複雑な症状が現われやすい。」、これ、実にお年寄りが好むと好まざるとにかかわらず、高年齢化のために非常に病気がふえてきているという、これは個人の責任ではないということ、そして病人が非常に多いというということを示しております。それからまた、十一ページに入りますと、「所得の低下」というところにこう書いてあります。「老人の個人所得は、年金制度の未成熟などを反映し、一般的に低いものとなっている。したがって、世帯扶養の実態を考慮せず老人だけの所得を考えると、衣食住といった老人の基礎的なニードを満たし、また、精神的にも豊かな生活を送るには十分といえるまでに至っていない。」と。まさにそのとおりだと思います。「したがって、」と続きます。「医療費を保障する制度がなければ、必要な受診をちゅうちょして疾病を慢性化させたり、医療費の負担に耐えかねて老人の生活に破たんを来たす場合も出て来るおそれがある。」と。「出て来るおそれがある。」のではなくて、もう毎日の新聞、ニュースをにぎわすような、そしてまた老人の自殺率が世界で一番と言われるような現状にあるということを考えれば、せめてお年寄りに病気のときくらい、痛いのは自分持ちでしょうがないけれども、せめてお金の苦労だけはさせたくないというふうに考えるのが当然の人間としての考え方だろうし、また高度経済成長政策、世界第三位と言われる経済成長という日本においては、当然老人医療無料化は文句なしにわれわれがしなければならないことだと思います。老人医療無料化、その基本的な方向について大臣の御所見を伺いたいと思います。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 老人の医療問題は、かねて重要視をされてきておるところでございますが、そのためいま御指摘のございましたような老人医療問題懇談会等に専門家を集めまして、それで長い間検討していただきました。その結果がただいまの答申でございます。したがって、その答申に沿いまして至急に老人の医療問題というものを、予防から治療、リハビリテーションも含めて、しかもこれらの金はかなりかかるわけですから、これについては国民の各界各層から公平な御負担をいただくというようなことで、ともかく取り急いで案を詰めていきたいと思っております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 当然予防から治療、リハビリヘという一貫体制をとっていただかなければいけませんし、その財源についてはこれからどう考えるか、いろいろな案も懇談会から出されていると思いますけれども、受ける方の老人側にしてみれば、これが一体来年から有料になるのか、金を取られるのかということが大変な問題ですね。だから、少なくとも私がきょうお聞きしたいのは、心配しないでいいよと、長生きしなさい、病気は何とかいままでどおりやりますというお答えがいただきたい。その無料化するためにどうするかというのは後でわれわれが考えることだと思う。お年寄りにとって、大丈夫ですよ、無料化続けますよというお答え、大臣できませんか。

上村一厚生省社会局長

○政府委員(上村一君) 去る二十六日に懇談会から意見書をいただきまして、厚生省としましてはこの意見書に盛られた内容をいま具体的に検討しておるわけでございますが、その中で早急に実施できるものは五十三年度予算に反映させるようにしたい。先ほどことしの八月に大蔵省に持ち込みました厚生省の重要施策について、空欄である点を指摘されたわけでございますが、これはいま申し上げました懇談会の結論待ちであるというふうなことであったわけでございます。  それから、一部負担の問題については、この意見書の中にも「現行制度に何ら改善を加えずに一部の費用を負担させることとするのは現実的でない。」というふうにおっしゃっております。そして、付添看護の改善でありますとかあるいは家庭看護指導といった在宅サービス、そういった諸条件の整備を図らなければならない、そういう場合には適正な費用負担が当然考えられるべきであるというふうに言われておりますので、その方向で検討を進めておるわけでございます。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 今後の問題とすれば、いろいろこの中でも言われていると思うんです。しかし、ここの懇談会でも、老人医療当面は無料でという、当面は無料でということは押さえられていると私は解釈する。そして、そのできないかできるかというのはまたこれ別の次元の問題で、大臣にお伺いしたいんだけれども、お年寄りの医療を無料でということはいま言えないんですか。簡単なんです。無料でやるか、金取るか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) ともかく現在よりもよくしたいと思っています。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 と、いうことは、金を取られれば現在より悪くなるんですからね。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 総合的に。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 その辺がごまかしなんですよ。だからお年寄りにしてみれば、やっぱり本当に、大臣まだお若いし、お元気でいらっしゃるからおわかりにならないと思いますけれども、私たちお年寄りを歩きますと、本当にお薬、きょうお薬出さなきゃならない日だというときに私診療所へ行ったときあるんですよ。看護婦さんが、おばあちゃん、きょうお薬の日だよと言ったら、お薬まだあるんだと言うんですよね。だってもう日にち過ぎているじゃないのと言ったら、いや三回飲むお薬もうお金が大変だし、もったいないからと言って一日一回に延ばして一回しか飲んでないと言うんですね。これなら幾ら総合的に考えようなんて言ったって、こういうことではとても病気治りませんよね。そしてお年寄りは、やっぱりいま若い人たちが賃金が高くて生活が豊かなら、親までめんどう見ていけるけれども、やっぱりこれも有名な話になったけれども、年寄りは枯木と同じだと、年寄りに金使うのは枯木に水をやるようなものだって、これもう本当に伝説みたいになっていますけれども、そういうような考え方から見ていられると、お年寄りというのの生活、本当に御存じないと思うんですよ。いままでこの日本をここまで、あの戦争中、そして戦後、ここまでの日本をつくり出してきたお年寄りというものを本当に考えていただきたいんですよ。そうすると、いまお年寄り一番心配なのは、少々病気が悪くても早目に診てもらえれば、早目に治療というものが進みますからね。いつか、私、予算委員会で申しましたけれども、また衆議院でも、この間荒木議員が質問したと思いますけれども、長野県の八千穂村なんというところは、やっぱり老人が予防の段階で、早くに病気になったらぱっと診療すると、そして治療するということは、結果的には長引いて悪くならないから、財政面から考えてもこれはもう経済になるわけですよね。私は、どうかだんだんついていくと、総合的にだとかなんだとかと、何ぼでもごまかすこと——ごまかすと言えば、ちょっと言葉過ぎましたけれども、受ける側からごまかされるような御答弁なら困る。何としても、お年寄りが金がない、嫁さんや息子に心配しなきゃならない、自分の体はもう先がないんだからといって、がまんしなければならないようなお年寄りの立場に追い込まないでほしい。何としても無料化ということを心からお願いしたいと思います。もう一回、何か言葉ありませんか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 総合的にということは、これは新しい老人の医療制度をつくれば、いまの老人から必ず喜ばれるように、喜ばれるような制度をつくるわけですから、ですから、そういうことで目下詰めさせていただいております。あなたの御趣旨は十分そんたくをして、総合的によくしたいと、こう思っております。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 結果を見てから、お手並み拝見というところでまたやらなきゃなりません。時間がありませんから、ちょっと詰められないので残念ですけれども、とにかく年寄りを悲しませないでください。心からお願いしたいと思います。  時間がございませんので、次の問題、簡単にお答えいただきたいと思います。  育成医療などで心臓病の手術の子供たち、大変お金の面では助かったんだけれども、やっぱりまだもう一つ解決できないというものが新鮮血の確保の問題。いろいろ聞いてみますと、その新鮮血を頼んで、そして予約をして検査に来てもらって、そしてまた取りに来てもらうと。しかも、血液型とかいろいろなことがありまして、実際聞いてみると、大変これ心配していらっしゃいまして、ぜひ新鮮血確保ということを実施していただきたい。これは来年度に実現させていただけると私は思いますけれども、その辺の目安、御検討の結果をお伺いしたいと思います。

中野徹雄厚生省薬務局長

○政府委員(中野徹雄君) 輸血につきましては、大半の場合におきまして保存血で事足りるわけでございますが、先生御指摘のように、非常に特殊なケース、いろいろあるようでございますけれども、大体、心臓手術の際には新鮮血、新鮮血の定義としましては採血後七十二時間以内と、こういうことでございますけれども、これが必要なことは御指摘のとおりでございます。これ非常に困ったケースがございますのは、実は血液型の問題で、たとえば日本人の血液型はABが一番少ない、十人に一人というふうに言われているわけですが、もっと極端に少ないのはRhマイナスという型でございまして、仮にそういう型の心臓手術が必要になりますと、手術予定日までに必死に駆け回って、適合する血液型の方の血液を集めなければいけない。一人、普通日本の採血量というのは二百ミリリッターでございますが、子供の心臓手術なんかの場合を見ますと、全部で三千ミリリッター必要だと。三リッターということになりますと、十五人ぐらい採血をして集めなきゃいかぬと、こういうことがございます。それで非常に心臓の手術の際に、御家族の方が心労されてあちこち駆け、回る、親類縁者やあるいは知り合いの会社の従業員の方々に御協力をお願いするというふうな、非常につらいケースが多いことは私どもよく承知しておるわけでございます。  そこで、これを解決する方法といたしまして、新鮮血の提供予約という制度を導入いたしまして、先生御承知のように、腎移植の場合の、万一の事故があった場合に、死体腎の提供の予約をする制度が現に発足をいたしておりますが、それと似た方式でございまして、事前に血液型を調べまして、供血予定者を集めておきまして、これを登録しまして、心臓手術の際などにこれを間に合わせていく、適合する血液型の供給を確保するという予約方式と申しますか、いわば一種の血液銀行方式でございますが、この方式につきましては、来年度その予算を、現に九月の概算要求時点で提出いたしてございます。この予算が獲得できるよう最大限の努力をする所存でございます。

小笠原貞子日本共産党

○小笠原貞子君 ぜひその予算確保できるように御努力いただきたいと思います。顔の広い方や何かだったらいいけれども、本当に交際がない方で、子供を抱えて若いなんというところでは、とても苦労していらっしゃいますので、ぜひその予算確保できるように御努力いただきたいと思います。で、もう時間になりましたので、最後に一言お伺いしたいと思いますけれども、せんだって、有珠の爆発後すぐ調査に入りまして、そして、その後調査どうなってるのかと、いろいろ御答弁や御回答いただきましたのが、実施状況はどうなのかというので、また一回りやってまいりました。いろいろ出されましたけれども、きょうお伺いしたいのは、たとえば国民健康保険税というのが非常に減収になるということで、数字で言えば、洞爺村で平年度国保税収入約三千八百万円、これで減免額が約半額になるだろうということになって、大丈夫、出していただけるんだろうと思いながらも、一抹の不安を持っていらっしゃると。私は、大丈夫、出してもらえるわよというふうには言ってきましたけれども、私出す方じゃありませんので、出される方の厚生省の立場から、調整交付金などでこの分については心配ないというふうにお答えいただければ安心できると思います。その点いかがでございますか。これで終わります。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 災害関係におきます保険料の減免分につきましては、調整交付金で措置しておりますし、御指摘ございました有珠山の問題につきましては、現在、道を通じまして、減収分の正確な数字というのは把握しておりますので、これは必ず措置いたします。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 先ほど安恒先生の方から、いろいろと医師の領収証のことについて質問があったようでございます。できるだけダブらないようにお話を進めていきたいと思うんです。  一番私が疑問に思うのは——国税庁の方いらっしゃいますか。いわゆる、お医者さんの方から領収証がもらえない、あるいは請求してもいやな顔をされる、命を預けている関係上、それ以上突っ込んで大きな声は出せない。これは、実はうちの女房にも言うたんですよ。こういうことが問題になっておる、おまえ、今度行って——私のかかりつけの先生は石井さんとおっしゃるんですが、石井先生に、領収証をもらってこいよと言ったらね、あの先生にそんなこと言えないとうちの女房が言うんですよ。そうすると、その領収証をもらっていないサラリーマンが、いまも言ったように、医療控除を認めてもらう場合に、その調査はどういうふうになさるんですか、国税庁の方は。それをまず伺いたいと思います。

小野博義国税庁直税部所得税課長

○説明員(小野博義君) お答え申し上げます。  私どもといたしましては、先ほど申し上げましたように、所得税法の施行令二百六十二条によりまして、医師が診療対価を領収した証書を確定申告書に添付するか、もしくは確定申告の際に提示していただくということになっておりますので、それが原則でございますけれども領収証が入手できないという納税者がいるという話は聞くことがございます。そのようなときのために、私どもといたしましては、その場合には、医療を受けた者、それから支払い年月日、支払い先、支払い金額、そういったものの明細を明らかにした書類を出していただきまして、納税者の方の御説明によってこれは確かに支払っているという心証が得られた場合には、医療費控除を認めるという措置を講じておるところでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 そうしますと、うっかりするとその医療控除を申請したサラリーマンが疑われることもありますな、国税庁の方から。あなたうその申告をしているんじゃないか、こんなにかかっているはずはないだろうとか、いろいろなことを言われやしませんか。

小野博義国税庁直税部所得税課長

○説明員(小野博義君) それは、医療費控除の内容でございますとか、あるいは金額でございますとか、そういったことによろうかと思いますけれども、原則としてお疑いするということはないかと思います。ただ、まあ非常に金額の多い場合とかいうことで、後ほど調査をするというようなことがまれにまああるかもしれませんですが。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 実は、国税庁の方に伺ったんですね。そうしましたら、国税庁の調査機関の中でこれほどいばれる組織はねえと言ったんですよ。どんなに医者の方がごまかそうと、医師の方がごまかそうとしても、あるいはサラリーマンの方がごまかそうとしても、うちの調査は完璧ですと言うんですよ。それほど人員を割いておやりになっているんですか。

小野博義国税庁直税部所得税課長

○説明員(小野博義君) 私どもの調査といたしましては、従来限られた人員の中でできるだけの執行上の税の公平を維持するということをたてまえにしておりますので、調査の最重点を大口悪質のものの調査ということに置いておりますので、金額のいかんにもよろうかと思いますけれども、遺憾ながら完璧と、すべての脱税あるいは税の申告が漏れている方について万事すべて調査をするというところにまではいっておりません。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 大変あなた御正直で結構です。とにかく払う側の方がこれこれ、これこれ、こういうふうに、こうかかったんですよということが正直に言えない。それから、正直に言うても一応それが調査の対象にならざるを得ない。これ領収証が出てれば別に全然問題になる事項じゃないでしょう、国税庁側としても。どうですか。

小野博義国税庁直税部所得税課長

○説明員(小野博義君) 先生のおっしゃるとおりでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 そうすると、こういうところにも医師の方から領収証はどうしても切ってもらわなければならぬ、出してもらわなければならないという原因もあるわけです。国税庁の方結構です。また、いずれこういうことでお話を伺うことがあるかと思いますが。  さて、大臣、これから気を楽にひとつ聞いていただきたい。別にややこしいことの質問はきょうは余りしないつもりです。むしろ大臣お忙しくて、いろいろお気づきにならない点とか、あるいは行政官の方々の御報告で知らなかったこととかというようなことがあると思うんです。  実は私もこれほど詳しくはないんですが、読売に連載されました記事からいろいろと読ませていただくんです。そしてそのたびに大臣がどういうふうに受けとめになるかをお尋ねしたいと思うんです。  まず、こういうのがありました。東京八王子の、館ケ岡団地なんですが、この館ケ岡団地に住む翻訳業をやっているAさん、仮にAさんとしまして、四十四歳、この方が昨五十一年七月にこんな経験をしたという記事が載っているんです。二、三日前からかぜぎみの長男、これ小学校の二年生なんです。この子がぐったりとなって、熱をはかると三十九度。で、すぐかかりつけの隣の団地の小児科の先生に電話をしたんですが、この先生が運悪く週二回大学へ通う研修日であったため診察が受けられなくて、仕方なく同団地の中にある尾崎クリニックという、ここは内科、小児科、産婦人科もやっておるんです。で、母親の三十二歳になる奥さんがそのお子さんを連れていきました。そうすると、院長がその子のおなかを強く押し、痛いか、うん、耳から血をとって検血をして十分とたたないうちに、白血球が減っている、盲腸炎だ、夕方六時に手術する。これは母親驚きますわ。聴診器を当てるわけじゃあない、あるいは熱をちゃんと見て、あるいは口をあけて舌を見るとか、私らのお医者さんですと、大体そういうことを先にやります。いきなりおなかへ手を当てて、ぐるぐる押していく、それは押しゃ痛いですよ、子供は。思わず痛いと言ったんでしょう。そうしたら採血して検血をして白血球が減っているからおまえ盲腸だ。もう医者がそう言うんだからというんで、びっくりしてこのお母さんが入院はさせました。ところが、入院してから、このお子さんの熱が下がらない。今度はお父さんが看病に回りました。ところが腹痛はないんですよ。全然おなか痛まない。ただ熱が下がらない。そこでこの院長は、それじゃ手術をやめましょうと、今度は医師の方から手術をやめると言い出した。で、真夜中になって、何にも指示がないので、このお父さんが心配の余り医者にいろいろ質問をしたりあるいはどうしてくれる、こうしてくれるということをすると、とうとうそれがもとで口論になって、そうしてその子供を明け方近くになって退院させた。まあ幸いにしてこのお子さんまだ体がもっているからいいようなものですが、そしてその明くる日、かかりつけの小児科のお医者さんのところへ連れていったところが、そのお医者さんの診断では肺炎の初期。盲腸炎ではない、危ないところであったと言うのですよ。それからこの急性肺炎ぎみの病気が治って、そのお子さんはそれ以後一年、腹の痛み、盲腸の気は一つもなかったと、こういうわけです。もしこのときにこの医者の言うように手術したら、これは一体どういう結果になっているんでしょうか。こんなに小さな体で、しかも発熱をしている、衰弱して体の弱っているところヘメス加えて、出血多量でこれ死なないとも限らない、あるいは抵抗力がなくて死に至るということも考えられると思いますが、私は素人でございますので医学の方はよくわかりませんが、局長の方からひとつお答え願いたいと思います。

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) まず問診のとり方、まあ患者さんのヒストリーのとり方、そういうところから始まりまして、診断が大切でございます。そこで診断が決まると、一体どういう治療をするか、またどういうふうにすれば予後がどうなるかというような判断をするわけでございます。  まあそこで、前の方は省きまして、たとえばこの第一回目の、お医者さんが盲腸の手術をいたしました場合にどうなるかといった問題は、まあ本人のお子さんの状態だとか、いろんな要素が絡みますので軽率には申せません。ただ、まあ不幸にして手術をしたという場合は、たとえばアメリカ等でございますと、盲腸炎が多いもんでございますから、できるだけ小さいときに盲腸を取っておこうなんというような機運がかってあったわけです。最近は下火になったように思われますが、まあそういうこともあり、それにかわるような方法で盲腸を取ったんだといってあきらめるよりしようがないかと思うのでございます。要するに、盲腸の手術をしたから、お子さんがそれによってさらに重大な健康上の障害を受けるというようなことも、きわめて少数の場合には考えられるわけでございますけれども、まあ最近はいろいろと術前、術中、術後の管理も進歩しておりますので、盲腸の手術のためにかえって悪くなるとか、そのために亡くなるということはほとんどないと思っております。しかし、やはり診断というのは、一番最初に申しましたように、よくヒストリーをとりまして問診をして、親にもよく確かめて、正しい診断をできるだけしなければならない。また、どうしても自分では診断ができないというような場合には、自分が仲よくしております専門医に相談をする、あるいは代診をしてもらって診断を決めるというようなことも通常行われることでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 なんですかね、二人で舞台に立っているような感じですけれども。実はね、いまはこういう状態でこういう手術をしたら、一体このお子さんはどうなるんだろうかという私は質問をしたはずなんですけれども、もちろんそれは仮にもそういうお話でこういう結果が出るでしょうというようなことは、局長としてはお答えしにくいだろうと思います。  群馬医大のある先生に伺いました。私はそのころ医学の時間を担当しておりまして、いろんな日本で偉いと言われるお医者さんとお話をしてまいりました。その中でいい医者と悪い医者の見分け方というのをお尋ねしたことがある。いい医者はどういうのだと申しますと、必ずいま言った、局長がおっしゃったような手順を踏む人、そして聴診器を必ず当てる人。研い医者というのは、何で来たんだい。ちょっと先生、かぜぎみなんですよ。どれ、熱をはかってみろ、何度ある、ああ、そうか、じゃ、そこからかぜ薬持っていけ。これが一番悪いんだそうです。そして、いま一つ突っ込むと、その先生の判断しにくい病気は、必ずその先生の卒業した大学病院であるとか、あるいは自分の一番信頼できる総合病院に名刺を書いて渡してくれて、そこへ回るように指示をする先生、これが一番いいのだと聞かされました。だから、いま局長言ったのと私のこれとは大分違うようですけれどもね。  実はこのお医者さんなんですが、この団地で、五十一年六月から十二月の七ヵ月の間の入院患者が百二十五人いるんです。専門が産婦人科ですから、これはあたりまえ、お産が八十八人。ところが、この百二十五人のうちに盲腸炎が二十八人いるんです。大変これは盲腸の手術をすることの好きな先生ですね、この先生は。何でも盲腸炎にしちゃうんじゃないかと思うんだ。する、この館ケ岡団地というのは、盲腸炎の発生団地みたいだ。こんなふうに考えてもしょうがないと思うんですよ。そして、いまちょっと仮に伺いますが、局長、盲腸で手術して九日ぐらいの入院ですと、大体どのくらいですか、平均的に、

佐分利輝彦厚生省医務局長

○政府委員(佐分利輝彦君) 私、社会保険の診療報酬に詳しくございませんので、的確なことは申せませんけれども、大体一週間でよろしゅうございますか。一週間の入院でございますと、やはり普通は四、五万円ぐらいじゃないかと思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 大体そんなもんでしょう、九日間入院して九万円程度だそうですから。しかし、これは大分処置科や何かが大変高く取られているようなんです。ところが、このお医者さんのやることというのは、実にひどいというか何というか、これは同じく団地に住む会社員で、Bさんとしましょう。この人は五十一年十一月に長男が生まれた。ところが、支払基金に請求した診療報酬明細書によりますと、生まれたばかりの赤ん坊が十二月の三日から十二月の十六日までの十四日間入院している。病名が急性気管支炎。入院した事実はまるでなしなんです。請求額が六歳未満、入院加算を含めて五万七千円。ほかにもこういうふうに水増しをされている患者さんがたくさんいる。それからレントゲンですがね。患者の大部分はレントゲン撮影を行う。そしてこれを請求する。腰部ですから腰の部分が一枚千八百六十円。右肩六つ切りが二枚で千六百七十円。胸部六つ切りが一枚で千八十円。胸部大四つ切りが一枚で千百七十円と、こういうふうに来た患者、来た患者、ほとんどレントゲンをばんばん撮るわけですな。ところが、これが診療簿というものには一切載っていないということなんですね。そうすると、この分は全部詐取しているということになるでしょう。それから、安い薬を使って、これを高い薬を使ったような報告をすると。こういった場合、余り何といいますか。請求額が大きいとき、こういう場合に、支払い側の方としてはどういう処置をとるんですか。私はよくわからないんですが。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 先生御指摘の社会保険診療報酬の審査支払いにつきましては、現在、支払基金におきまして、その審査内容につきまして、これは専門の審査委員の方が審査してお支払いをするということにしております。  それから、もう一つ御指摘がございました架空な水増し請求、これはあくまでも一つの違法行為でございます。したがって、これに対しましては、厳格な処分を行うということで保険医療機関の取り消し、それから不正金額の返還というような措置を講じているところでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 いまあなたのおっしゃったとおりですね。この尾崎クリニックというところの医者は、院長自身も保険医の登録を取り消しされまして、保険医療機関の指定も解かれました。当然の私は報いだと思います。  ところが、困ったことに、これまた知能暴力団みたいな医者もおるのですな。大阪府のある衣料品会社の健康保険組合幹部が、五十一年の十一月分のレセプトというのですか、証明書ですね、請求書。これが、十一月分がことしの一月に送られてきて、これを調べたのだそうです。そうしましたら、この衣料品会社に勤めている二十二歳の電話交換嬢、A子さんとしましょう。この人の請求額が何と一週間で六十七万百六十円、金額ばかりではないのですな、この方が驚いたのは。病名が何と十六あるんですよ。私もびっくりこいたのだ、これ読んでいて。肝障害、胃潰瘍、胆石、心筋障害、肺気管支内感染症、脳波異常、腎障害、膵炎、アレルギー症候群と、これでまだ九つですかね。あと七つもあるわけです、十六。で、この労務関係の方に連絡して、A子さんという人に会ったのですね、この幹部の人が。本人は元気なんですよ。で、このレセプトというのが出ている十一月は全然欠勤していないのですよ。病欠していないのですよ。しかも、通院をしているときに検査をされていて、その検査の結果を教えてくれと言うと、医者に任せておきなさいと、教えてくれないので、本人めんどうくさがってやめてしまったのですよ。それで何ともないというわけですね。病院に最初に行った原因は何だと言ったら、ちょっと肩が痛いからということで行っただけが、これだけになりました。そうすると、この場合に、これだけのことをしていて、これなりませんかね、調べた場合に何かがあると思うのですがね、私ら素人で考えて。どうしてこれだけはっきりした……しかもこの病院は、大阪でも名だたる病院で、いままでもこういった支払基金側の方々がそれぞれ寄り合って、この病院が余りにもひどいからというので、皆さんが請求明細書を持ち寄ったことがあるのだそうです。そうすると、そのうち十一枚がこの病院の請求書であって、一件当たりの請求額は、入院の場合は約百万円なんです。全国平均で社会保険乙表の約七倍、通院が四十九万円で、何と全国平均社会保険乙表の五十数倍だったというのですよ。で、一人についての病名で一番レコードホルダーが二十二、これが三人、二十が二人、十九が四人、十六が何と十人、最低で十四だったというのです。こうなると厚生省、どうするのですか、こういうのは。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 先ほどお答え申し上げましたように、一つは支払基金の方で医療内容の審査をやっておりますし、それから医療機関に対します指導監査を実施いたしまして——大部分のお医者さんはまじめにやっておられると思いますけれども、中には非常に不正請求とか、架空とか水増しとかいろいろあると思いますから、そういう医療機関に対しましては厳重なる、最悪の場合には指定取り消しというような措置をとっているわけでございます。したがいまして、先生御指摘のような事実がありますれば、恐らく何らかの処置というのがとられているんじゃないかというふうに思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 ところが、この病院は、ちょっとやそっとの病院ではありませんよ、これ。ちゃんとそういう調べが来るであろうということは予知しているのです。検査のためあらゆる医療機器と十人以上の検査技師を抱えており、多数の病名では検査という診療の裏打ちがしてあったと。ですから先ほどの架空請求ですか、いろんな名前をつけるとか、あるいはごまかしをするとか、これはごまかしではないのですよ、これは。つまり、どういうふうに言ったらいいんでしょうかね、これは。裏打ちのあるごまかしというのですか。ごまかしではないごまかしなんです。だからどうにもつかまえようのない、いわゆる法の抜け道と言いましょうか、それを十分にしていてやっている。だから、いまだにこの病院は存続しておる。しかも、支払基金側の方が余りにも多額のものが来るので、こんなことはないだろうと減額すると、これを訴訟に持っていく。いま係争中だそうですよ。係争中だから、よけい今度は厚生省の方としてもあるいは基金側としても、裁判になっているんですからな、その結果が出なければどういうふうになるかわからないからというようなこともあるんでしょうけれども、こういうことが野放しになっていていいものですかね。大臣、これ、このままの状態で。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 診療内容につきましては、最近の医学技術の進歩に伴いまして逐次高医療費になるということは事実でございますし、それから検査件数が一般的にふえている、医療事故や何かの問題もございますから、これは一般的な事実でございます。したがいまして、個々の医療機関の御判断においてやったという問題につきまして、確かに支払基金の方において審査というものは行われておるわけでございます。そういう意味で、先生からお話しになったケース、具体的には存じませんけれども、支払基金において減額措置を講じているという点から見ますと、やはり支払基金の審査におきまして減額が至当であるというような考え方で減額措置を講じているというふうに思われます。  それから、架空水増しというような客観的な事実ということがございますと、地方の医療協議会におきまして、先ほど御説明申し上げましたような指定医療機関の取り消しというような措置が行われているわけでございます。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 しかし、結局そういうことをやられないようにいろいろとこういう正当な理由の裏打ちを考えているわけでしょう。で、減額をすれば今度は訴訟を起こす、こういうのが一番悪質じゃないですかね、数ある医者の中で。清貧に甘んじているお医者さんもいますよ。本当にぼくらなんかがお医者さんと言いたいお医者がいますよ。ゴルフばっかり明けても暮れてもやっているやつもいますしね。そしてそこの病院に行って、治る足が横にひん曲がって治らなかったという人もいますわ。そういう医者もいます。そして取るものだけは取ります。  こういう例もあるんですよ。東京のある区役所に国民保険課窓口で一昨年までの四年間、医師の不正請求を見続けてきた公務員の方がいらっしゃいます、二十九歳の方。この人が区民の個人のカードと医療機関から回ってきた請求明細書、レセプトを照合しておった。ところが、ある総合病院に入院していた人が全く同じ時期に別の開業医の診療を二十日間も受けていた、額は一万円でございますけれども。その総合病院に問い合わせたら、入院中ほかの医師に診察を受ける、治療を受けることは絶対あり得ないという答えなんですね。それと、もちろんこれは保険証が置いてあってごまかしたんでしょうと思います。そういうことをやっているこの開業医が、たまたまうわさなんですが、脳溢血で倒れて大学病院に入院しているという話を耳にしたわけですな、この窓口にいた青年が。そうして、この開業医の入院事実を調べてみたところが、その入院している時期にもちゃんと請求明細書が回っているわけですね。そうしますと、入院しているはずの医者が患者を診ていたということになるんです。これはどういうからくりだかおわかりになりましょうか。

八木哲夫厚生省保険局長

○政府委員(八木哲夫君) 客観的な事実を手元に持ち合わせておりませんので、よく実態について存じ上げておりませんので御答弁できないと思いますけれども、ある医療機関のお医者さんがおられないという場合に、非常勤の方を頼むというようなこともあり得ると思います。

下村泰第二院クラブ

○下村泰君 私もそれは考えました。しかし、もしそういうふうであったならば、恐らくこの窓口の青年もこれを告発することはなかったと思う、そういう裏の事実があればですね。ですから、こういうことが平気で行われて、しかもこの数十万円という月に払われるべき金額が出ているわけです。そうしますと、知恵のある者、地位のある者、能力のある者、立場のいい者はそれを利用することによって幾らでもこういうことができるわけです。片やお医者さんにかかって領収書をくれと言えない立場の人たち、こういう人たちをこういうふうに、いま私のお話をお聞きくださいまして、先ほどからもいろんな委員の方がおっしゃってますけれども、これはますますその領収書の必要性というのが大きくなってくるんじゃないかと思うんです。ですから、ここで大臣にお願いしたいのは、こういう立場にいる人が自分だけがいい思いをして、そして本当にそういう心あるお医者さんにかからなければ自分の健康を保持できないという弱い立場にいる人が、何かおざなりにされるというのは大変どうもおもしろくないという感じがするんです。もう一度ひとつ御意見を伺わしてください。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 下村先生のお話を聞いて本当に私も愕然としておるわけです。やっぱり医者はよく見たり聞いたりして信用のある医者を選んでかかってもらうということがまず第一だろうと思います。その次は、やはり架空請求とかいま言ったような不当な請求というものに対しましてはできるだけ行政機関を通してチェックをするように、そういう仕組みとか方法とか、さらに検討していかなければならぬ。これは償還払い制度であればまたそれは八割払って二割は自己負担ということならそこでブレーキがかかりますから、ほかだったら一万円出せば治る病気が、ほかの別な医者だったら十万も取られたということになれば、それは二度と再び行かないということになりますが、日本のように現物給付というようなことですというと、仮に不道徳なことをやられると、しかも膨大な件数があってなかなか見つけられないという場合は、いまのようなことも絶対ないと私は言えないと思うのです。したがって、そういうような不法不当というようなものがあれば、私は県なりあるいは医師会なりあるいは厚生省なりに申し出てもらって、できるだけ——一罰百戒じゃないけれども、それはけじめをつけなければいかぬ、そういうように思っております。  また、領収書の問題につきましては、先ほど安恒さんのお話にも申し上げたのですが、厚生省としてこれを義務づけるということは法律でもつくらない限りはしょせんできない問題でございます。しかしながら、患者が必要があって請求をされるという場合には、当然これは金をもらったら領収書を出すのあたりまえですよ、そんなことは。ですから、患者が必要があれば請求しやすいような雰囲気づくりとかなんかについても医師会に御協力方を、私どもとしては申し込んでいきたい、そう思っております。

上田哲日本社会党

○委員長(上田哲君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕

上田哲日本社会党

○委員長(上田哲君) 速記を始めて。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 本日は母子家庭問題について御質問いたしたいと思います。  ある日突然交通事故で、一瞬にして一家の大黒柱を失った家庭、すなわち交通遺児を抱える母子家庭の母親の実態でございますが、交通遺児育英会では昭和四十九年十月に交通遺児家庭の生活実態調査を発表いたしております。五十一年十月には、同じく交通遺児の母親の職業調査を実施し、これを発表いたしております。これらの発表内容を通読いたしますと、交通遺児母子家庭はいわば崩壊寸前、母親たちの心身はぼろぼろということが言えるのではないか。一例を挙げれば、職業調査では交通遺児の家庭の母親の八六%は何らかの仕事にはついておる。仕事を持たない人の約半数は病気で働けない。残り半数も仕事を探している。ほぼ全員が健康であったり適当な仕事があれば働きたいと希望しております。ところが母親の八三・三%は四十歳以上の中高年齢層で、勤め先がきわめて限られ、単純労働三一%、サービス業一六%などが主たるものでありまして、大企業や役所勤めは六人に一人の割合であります。また、大企業の場合も臨時扱いが多い。休んでも収入が減らない月給制の人は全体で見て三人に一人という実態を発表しております。勤めている母親五人のうち四人までが仕事の疲れが翌日に残り、疲れがたまる一方だと答えております。  また、本年六月三十日にまとめました母親の一日の生活時間調査でも、八割以上がバートなどの不安定就労、中小企業で働いておる。六割余りが月収八万円以下である。三割の母親が余りにひどい労働条件に転職を希望している。三割余りが病気がちである。詳しい資料はすでに発表されておりますので大臣も読んでおられると思うのでございますが、これは単に交通遺児を抱える母子家庭のみではなくて、母子家庭全般にあらわれている姿ではなかろうかと、こう思うのであります。以下労働関係、厚生関係、建設関係、そして文部省関係と御質問をいたしますが、まず冒頭国務大臣としてこのような母子家庭の実態をどのように認識し、基本的にどのような施策を必要としているとこうお考えになっているのかお伺いをいたしたい。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) ただいま御指摘がございましたように、交通遺児の問題につきましては大きな社会問題でございます。したがいまして、生活の問題、進学問題、住宅問題そのほかにあなたが御指摘になったような幾多の問題がございますので、われわれとしてはそういうような不幸な家庭を救うために各省とも連絡をとって母子福祉施策の充実を図ってまいりたいと考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 ただいま大臣のそのような御答弁があったわけですが、労働省にひとつお伺いをいたしたい。  私は、いま申し上げました一例のように、そういう実態を改善していくためには母子家庭の母親の雇用促進法の成立が必要ではないかと、こう思うのであります。昭和五十一年十一月二十三日に第四回交通遺児と母親の全国大会が開催されております。その大会に出席いたしました各党の態度としては、野党各党は次期通常国会、すなわち本年度の通常国会で成立を図ると、こう約束をいたしております。自民党だけは来年度の調査結果を見て実現に努力するというあいさつをされております。その大会に出席いたしました労働省婦人少年局庶務課長は、全国の母子家庭は六十三万世帯、うち交通遺児家庭は六万世帯と言われているが、詳しい実態は把握されていないので明年度、すなわち昭和五十二年度約三千万円の予算で七千世帯を対象とした大規模な調査を実施し、その結果を見て検討をしたいと、こういう態度を述べられたと各新聞には報道されているわけでございます。労働省といたしまして、一体この調査が進められたのか。進められたとすればその調査の結果はどうであったのか、その調査結果に基づき、いつ立法化を図ろうとしておられるのか、明確にお答えを願いたい。

柴田知子労働省婦人少年局婦人課長

○説明員(柴田知子君) ただいまの御質問のうち、調査につきまして説明させていただきます。  労働省では、ただいまおっしゃいました母子家庭の母親の就業に関する必要な施策を樹立するというために、昭和五十二年六月に寡婦等就業実態調査を実施いたしました。この内容といたしましては家庭の状況、就業に関する状況と意識、それから職業のための資格及び職業訓練につきまして調査を実施いたしました。ただいまこの調査の結果の取りまとめにつきまして鋭意努力をいたしているところでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 いま私の質問の一つにしかお答え願えなかったわけであります。これは労働大臣でなければなかなか決断がつかない問題かと思いますけれども、労働省の現在の方針としてはその調査結果を見て来年度にこの立法化を図るという方向で検討をされているのかどうか、いかがです。

田淵孝輔労働省職業安定局業務指導課長

○説明員(田淵孝輔君) 寡婦の雇用促進の問題につきましては、いろんな条件整備の問題がまず先になろうかと思います。特に、初めて職場に入るために職業技術を身につけてないというようなこと、あるいは職業生活に初めて入るというようなこと、あるいは託児施設等の十分でないといったような側面が十分解決されなければ、なかなか雇用促進法をつくるだけでは問題が解決しないんではないかということで、私どもとしては五十年度から寡婦の雇用奨励金制度を、また昨年からは寡婦に職業訓練手当を支給する制度を新たに設けておりますが、来年度につきましても職場適応訓練とか、あるいは職業安定所に寡婦の相談コーナーを設けて専門の相談員を置くとか、そういうような形できめ細かく現実的な対処を考えております。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 それでは、厚生省にお伺いいたします。  こうした、いま私が述べましたような雇用と生活の実態は、当然その母親の健康にも大きな影響を与えております。本年十月に同じく育英会は、交通遺児の母親の疾病と医療に関する調査というのを発表しておるわけでございます。これは相当膨大なものでございますが、要約して言うならば、事故を境に病弱の母は一割から二割と倍増している。夫を失ってから三年間に一ヵ月以上の通院を余儀なくされた人が一九%から三〇・二%とふえている。病気の原因について母親自身は仕事の過労と答えた者が三七%、事故の精神的ショックと答えた者が二〇・二%だと言われております。そして、この期間六人に一人は医者の治療を受けたかったが受けられなかった。その受けられなかった理由につきまして医療費の負担、収入の減少、こういったことを挙げているわけでございます。私は、このような実態というのはまさに深刻と言うべきであろう。厚生省としては、このような母子家庭の母親の健康を守るためにどのような対処をしようとしておられるのか、お伺いいたします。

石野清治厚生省児童家庭局長

○政府委員(石野清治君) ただいま先生の御指摘になりました交通遺児の母親の疾病と医療に関します調査につきましては、私もつぶさに拝見さしていただきました。確かに病気になりまして医者の診療を受けたいと言っても、実際上はなかなかできないという面がございます。その医療費の中身を見ますと、平均しますと大体月三千円程度でございます。特に高額の者も若干おりますけれども、大半はそういう月三千円程度の医療費の負担というふうになっておりまして、むしろ仕事を休めないために医者に行けないと、こういうのが六三%ぐらい占めていたと思います。  そこで問題は、その医療費に対しましてどのような対策があるのかというお尋ねでございますけれども、実は母子家庭の医療費の軽減につきましては御存じのとおり医療保険制度全般の問題で、七割給付やっておりますし、それから高額の医療費につきましては三万九千円までの負担で済むわけでございます。そういうことで、医療保険制度全体の問題の中で対処すべきだと考えておりますけれども、母子家庭特有の問題としましては、実は母子福祉貸付金という制度がございまして、その中で療養資金の貸し付けという形で非常に低利の融資を行っております。たとえば、これは十万円の限度でございますけれども、病気になった場合に十万円につきまして病気が治るまで融資をして、病気が治ってからお返し願う。しかも、利子につきましても三%という非常に低利になっておるわけでございますので、そういうことによって対処をしてまいりたいと思っておるわけでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 いま局長がお答えになりましたように、基本的には働けなくなったための収入の減、これをどう補っていくかというこれは労働行政にかかわる問題でございますが、この問題はまた改めて労働大臣にお伺いをしたい。しかし、いま局長が言われましたような制度で、果たして母子家庭における医療というものに対する対策が万全であるのであろうかということになりますと、ここに母子家庭の医療無料化の問題が議論の対象になってくるわけでございます。全国知事会事務局の集約いたしました、これは昨年八月の統計でございますけれども、いま母子家庭の医療に対して助成を行っているところは十二都道府県、全体に占める割合は二五・五三%、なお、現在二府県が五十二年度予算で実施準備もしくは調査費を計上している、府県段階はこのような実態にあることが報告されているのであります。  しかし、問題はこのような医療無料化というものが都道府県で取り上げられたというその経緯でございますが、これはむしろその下にある市町村の無料化ということが非常に促進されてきたという、その背景の上に成り立っているのではないか。たとえば、昭和四十八年に無料化いたしました北海道は、それまでに四十ないし五十市町村が実施したので道庁としてもバックアップせざるを得なかったと、こう言っております。また、所得制限つきではございますが昨年十月から実施をいたしました滋賀県の場合でも、これまでに県下五十市町村のうち三十七市町村がこれを実施したので、三分の二以上の市町村が行うのではその必要性は高いと判断をしたと、こういうことで滋賀県は踏み切っております。各県ともこのような市町村の動きに対応して、都道府県段階としても漸次母子家庭医療無料化の制度がとられつつある、これが実態ではなかろうかと、こう思うのであります。  全国知事会の事務局のこの結びにも、「今回の調査で対象にした医療費の公費負担は、いずれも住民の強い要請と、福祉医療の切実な必要性から、都道府県が単独で助成を余儀なくされ、実施しているものであり」そして「今や全国的な問題として、統一的基準に基づく施策の展開が必要とされる時期にきているので、」したがって全国知事会としては、「これらの助成措置については、国において早急に制度化をはかられるよう重ねて要請する」、こう結んでいるわけでございます。  国の施策として、これらの問題について、全国知事会の要請を受けて、医療無料化ないしは医療に対する助成、こういったものを今後行われようとするお気持ちがないのかどうか、これは大臣にお伺いをいたしたいと思うんです。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 目下のところ、母子家庭に対する医療費無料化というものの措置は考えておりませんが、これは医療制度全般にかかわる問題でございますし、負担の問題と絡んだ話でございますから、長期にわたって検討をしていきたいと、こう思います。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 各市町村、都道府県で行いましたその実績等についていろいろ調べてみますと、財政危機が各地方自治体とも深刻である、そういう状態の中でここまで無料化が広がってきたというその背景は、老人や乳幼児に比べて対象人員が少ない、また、いま局長が申されましたように、一件当たりの医療費も三千円程度である。したがって、乳幼児医療の無料化には年間二億六千万程度の経費が必要であるけれども、この母子家庭の場合には五千五百万円程度で済むのではないか、こういうことも各市町村では述べているのでございます。長期的展望に立って、という大臣のいま御答弁でございましたけれども、実態は非常に深刻なわけですから、明年度、通常国会で行われるであろう医療制度の抜本検討の中でこの問題があわせて議論され、前向きの結論が出るような体制を組むという政治姿勢をお示し願うわけにはいかないでしょうか。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 先ほども申し上げましたように、保険制度横並びの問題等もございますし、しかし現実にあなたがいまおっしゃっているような地域もあるというようなことでございますから、実態をもっと調べた上で検討をさしてもらいます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 そこはそれ以上の答弁は本日無理だとすれば、ぜひこれは要望でございますけれども、この母子家庭、さらに低所得者の医療、相互に横並びの関連はあるわけです。こういった抜本改正をめぐる検討の中で、いま冒頭申し上げましたような深刻な健康状態にあるいわゆる母子家庭の母親の健康をいかにして守るか、そのための医療保険制度はいかにあるべきか、国の公費の助成はいかにあるべきか、これは真剣にわれわれとしても検討しなければならない項目の一つであると思いますので、厚生省もその実態をさらに精査されまして、抜本改正の際に明確な一つの対策が打ち出されるような準備の体制をお進めを願いたい、こう思うわけでございます。  次に、建設省にお伺いいたします。同じく杉並区にございます働き手を交通事故で亡くした人たちでつくっております交通遺児母の会の調査を読んでみますと、住宅問題もきわめて深刻である。六畳一間のアパートに一家五人が生活しているという例も多い。持ち家や公営住宅に住んでいる人を除く三一・二%の人が安い家賃の公営住宅への入居を希望している。また、たまたまその交通事故で御主人を失われた方が会社の社宅等に入居している場合は、自分の持ち家ないしは住宅に入らなければならない。そういった場合に備えて、ポイント方式による入居決定に遺児世帯の実態を考慮した基準の設定というものができないであろうか、こういう要望を出しておられるわけでございます。建設省としてのこれに対するお考えをお伺いをいたしたい。

金湖恒隆建設省住宅局住宅企画官

○説明員(金湖恒隆君) 公営住宅の入居選考におきまして、いまお話しのありましたような交通遺児の母子世帯を含むこの母子世帯についてどのような配慮をしているかと、現在二つの方向がございます。一つは、特目と申しますけれども、特定目的公営住宅ということで母子世帯向けに最初から建ててしまう、こういうかっこう、これはいわば全体の競争の中で切り離しまして、母子世帯の方だけが応募できる、こういう解決が一つでございます。それから、そういう建設段階を離れまして、入居管理の段階になりまして、母子世帯について特段の配慮をするということが公共団体それぞれの工夫の中で広く行われております。御承知のように、公営住宅の入居の選考基準につきましては国が大まかな枠だけ示しまして、条例で公共団体が実情とか公共団体内部のいろいろな事情を考えまして一番適切な方法でやっていく、こういうかっこうになっておりまして、何よりも公正な方法でやらなければいかぬ、こういうことが軸でございます。  そこで、従来はその公正な方法というかっこうで、たとえばいまおっしゃられたような交通遺児を含む母子世帯、あるいは長期療養者を抱えるような世帯、あるいは極度に収入が少ないために悩んでいる世帯、これらをどうやって優先、先後をつけるかと、この辺の工夫が非常に公共団体でも悩みの種でございますが、現在、公共団体、これらをどっちが先でどっちが後というかっこうではなしに、それぞれの目的別に枠をつくりまして、たとえば母子世帯向きにはこれだけ振り向けますと、これは競争率を非常に低くしますと、そういうかっこうで母子世帯向けあるいは老人向けというような枠で募集することも広く行われておりまして、これが現在、中心になっております。  お話のありましたポイント制度につきましては、現在東京都等が採用しておりますのは、母子世帯の中でどういうものを先にするかと、こういう意味の先後のポイントでございます。母子世帯その他困窮世帯の中で何が先かということにつきましては、そういったことで全部一団としましてランクするという方式をとっている公共団体もございますけれども、それぞれについて一定の最初から枠を与えまして、その中で優先を、先後を決めるというかっこうのところも多うございます。そこで、私ども最近特に公共団体の体制が整ってまいりましたので、ガラガラポン、いわゆるガラポンの抽せん制度をやめまして、必要度に応じて点数をつけて、場合によっては登録する、こういう方向を指導しております。それで、従来から条例ということにはなっておりますけれども、モデル条例というかっこうで、御参考までに母子世帯については特に優先扱いするというモデル条例の条文も入れておりますけど、それからさらに脱しまして、点数制の中でどういうかっこうで生かしていくかということを現在検討をしておりますけれども、これはますます入居選考がきめが細かくなります中におきましての新たな工夫でございますので、いろいろ公共団体とも相談いたしまして、よりよいものをやっていこうというつもりで現在いろいろ調査を進めておるところでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 最後に要望を申し上げますが、文部省が来ておられますので、教育費問題についてお伺いします。  この教育費に対する昭和五十年十一月八、九の二日間、全国で一億円を目標とした基金の街頭募金が行われております。さらに、育英会等が発表しております資料によりますと、収入が低いために教育費が家計費の中に占める割合は、授業料などの学校納入金だけでも家計費の八・三%、一般家計の約四倍に当たる比率である。学用品などの勉学に必要な経費を全部合わせると、家計費に占める割合は一五・三%となって、家計に対する重圧は非常に重くのしかかっている。そのために、こうした家計実態から高校受験のために塾に行けないという者が、生徒五人に一人、高校生では三人のうち二人までが塾をあきらめている。ほしい参考書を買えなかった経験のある生徒は三五%を占めている。これが、この調査を分析いたしました東京女子大教授、副田義也さんのレポートでございます。こういう実態の中から、福岡県方式、端的に申し上げますと、母子家庭、遺児家庭については、公立学校授業料は無料に、私立高校は半額にというこの制度を全国的に普遍化するということが必要ではないかということが強く述べられているのでございますが、文部省としての御見解をお伺いしたい。

菱村幸彦文部省初等中等教育局高等学校教育課長

○説明員(菱村幸彦君) 交通遺児で経済的困難な者も含めまして、私の方ではいろいろな措置があるわけでございますが、いま御指摘のありました授業料の減免等の問題について申しますと、国立学校におきましても、一定率におきまして授業料減免措置をとっておりますし、公立高校の場合も、これは各都道府県が実際上行うわけでございますけれども、その一割程度の減免措置を対象を置くということを交付税上も措置をしているわけでございます。  それからまた、育英奨学の面におきましても、この育英奨学では学業成績と家計というものが基準になるわけでございますが、母子家庭等には特別な考慮をするということになっておりまして、授業料の減免にあわせまして、育英奨学も充実してまいりたい。そのほか、経済的に困窮している家庭の児童、生徒に対しまして、この学用品とか通学費とか修学旅行費とか、給食費等につきまして、修学援助の措置をとるという予算等も計上しているわけでございます。

柄谷道一民社党

○柄谷道一君 私に与えられました時間はきょう、三十分というきわめて短い時間でございますので、本当に問題指摘にとどまったわけでございます。これは五十年十一月八日の各紙の新聞に報道されておったわけでございますが、東京数寄屋橋で五党の最高幹部がそろって街頭募金に立った。自民党は中曽根当時幹事長、社会党は成田委員長、共産党は野坂議長、公明党は矢野書記長、民社党は小平副委員長、この立った後の所感を聞かれまして、野党各党は遺児育英資金の増額、公立高校授業料の無料化などについて、今後一層努力したい、当然ながらこう述べております。与党である当時の中曽根幹事長も募金の現場に立ってみて、募金を進めている学生の情熱に打たれるとともに、これまでわれわれの努力が足りなかったことを反省し、この関係予算を来年度から増額するよう、自民党としても取り組んでいきたい、これを記者に語ったと新聞に報道されているわけでございます。しかし、これは五十年のことでございます。こう幹事長は述べられましたけれども、微増はいたしておりますけれども、五十一年、五十二年の予算内容を精読いたしてみますと、この幹事長の意欲が必ずしも予算上に十分反映されているとは受け取ることができません。  また、労働省関係もいま実態調査を進めているという段階で、なお母子家庭のこの実態を踏まえた立法化という問題についてその方針も定まっていないというのが実態でございます。  建設省関係もいままで努力をしてきた、今後さらにきめ細かな配慮を行うように検討を進めているという、きょうの御答弁でございます。  また、厚生大臣も全体の横にらみをしなければ、母子家庭の医療問題について、いまその考えを述べることはできないと、こうお答えになりました。  以上、総じてこの御答弁を聞いてみますと、冒頭渡辺国務大臣は今後厚生省としては労働、文部、そして建設各省と十分に協議を進めて、母子家庭対策というものについて、その施策を推進していきたいとお答えになったんでございますけれども、いま私が短い三十分の時間にお伺いいたしました答弁からいたしますと、それはまだまだその内容は貧弱であり、そのスピードはゆっくりしたものだということが言えると思うのであります。  大臣として、ただいままでの各省の御答弁をお聞きになりまして、なお一層の御努力をお願いしたいと思うんでございますが、最後に大臣の締めくくりの決意をお伺いいたしまして、時間が参りましたので、私の質問を終わらしていただきます。

渡辺美智雄自由民主党厚生大臣

○国務大臣(渡辺美智雄君) 母子家庭の福祉の向上については、層一層努力をしてまいる決意でございます。

上田哲日本社会党

○委員長(上田哲君) 本調査に対する本日の質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十九分散会      —————・—————

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