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82回国会参議院1977/11/01

外務委員会 第5号

発言数
134
登壇者
16
会派数
4
開催日
1977/11/01

会議録

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を開会いたします。  所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とルーマニア社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件  所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件  投資の奨励及び相互保護に関する日本国とエジプト・アラブ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件  国際海事衛星機構に関する条約の締結について承認を求めるの件  及び、アジア=太平洋電気通信共同体憲章の締結について承認を求めるの件  以上、五件を便宜一括して議題といたします。  五件につきましては、すでに質疑は終局しておりますので、これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御発言もないようでありますから、これより直ちに採決に入ります。  まず、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とルーマニア社会主義共和国との間の条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定をいたしました。  次に、所得に対する租税に関する二重課税の回避のための日本国とブラジル合衆国との間の条約を修正補足する議定書の締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定をいたしました。  次に、投資の奨励及び相互保護に関する日本国とエジプト・アラブ共和国との間の協定の締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 多数と認めます。よって、本件は多数をもって承認すべきものと決定をいたしました。  次に、国際海事衛星機構に関する条約の締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、アジア=太平洋電気通信共同体憲章の締結について承認を求めるの件を問題に供します。  本件に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、五件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) この際、参考人の出席要求についてお諮りをいたします。  国際情勢等に関する調査のため、本日、国際協力事業団理事長崎弘君を参考人として出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言を願います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 円高をめぐる張本人と見られたブルメンソール米財務長官が、中東、欧州諸国の訪問中であったが、ローマにおいて新聞記者会見を行っております。  その昨日の発言によると、世界の石油価格は安定する可能性が強いとの確信を深めたという発言と、もう一つは、米国はインフレ、失業率も低下し、通貨価値の基本的決定要素であるドルの強さは保証されているという発言を行っておりますが、この発言は、中近東をめぐっての石油価格の安定に対する見通しがついた上での、十二月の産油国の会合をめぐっての発言でもあると思われますし、また、円高その他ドル安、そういう揺すぶりの中においても、ドルの不安定はないという意味を強調した発言ともとれるんですが、大蔵省並びに通産省は、この石油価格の安定及びドルの強さといいますか、通貨価値の基本的な決定要素であるドルの安定率というものにおいて安心してこの発言を受けとめられるかどうか、それを大蔵当局並びに通産当局から承りたいと思います。

行天豊雄大蔵省国際金融局調査課長

○説明員(行天豊雄君) 最近におきます世界経済の一番大きな問題の一つか石油価格——これは四十八年から四十九年にかけて非常に高騰したわけでございますが、それであったことは御承知のとおりでございます。われわれといたしましても、今後の世界経済が安定的に回復し、拡大をしていくというためには、この石油価格というものがやはり非常に経済活動にとって重要な要素でございますから、安定することが望ましいと考えております。  今回の、いま先生御指摘になりましたブルメンソール米国財務長官の発言につきましては、私どもも新聞報道で知ったわけでございますが、背後にどのような事情があるか私どもつまびらかにいたしませんが、米国の財務長官が石油価格の見通しについてそうした安定的な見通しを持っておるということは、私どもも非常に喜ぶべきことではないかというふうに考えております。  それから、ドルの信認についての御発言でございますが、確かに、最近、世界の為替市場におきまして、米国の国際収支の赤字ということを背景にいたしまして、ドルの他の主要国通貨に対します相場が下落しておったということは事実でございます。ただ、御承知のとおり、米国の経済は、ただいまのところ、他の主要国の経済に比べますと、国内経済といたしましては総体的には順調な回復過程に入っておりますし、その意味では、私ども、ドルというものの基本的な不安が現在あるというふうには考えてはおりません。したがいまして今回のブルメンソール長官の発言も、そういった米国経済の先行きについての責任者としての自信を踏まえた上での発言と思いまして、これも先ほどの石油価格に関します発言同様、喜ぶべきことではないかというふうに考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 通産省の方も同じような受けとめ方ですか。

斎藤成雄通商産業省貿易局輸入課長

○説明員(斎藤成雄君) 同様でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 いままで日米間の貿易のアンバランス是正ということを言いながら、日本の黒字減らしを要求しているアメリカにおいて、貿易赤字の最大の原因は何といってもアメリカにおける石油の輸入増でありまして、七五年には二百六十四億ドルだった石油製品輸入が、七六年には三百四十億ドルにはね上がり、ことしは前年比三二%増の四百五十億ドルに達する見込みだと言われて、日米間の貿易のアンバランスよりも、アメリカの赤字の最大の原因はこの石油関係の輸入にあると言われておるんですが、それはそれによって中近東の石油の値上げというものを牽制するために、あるいは値上げした場合においてもアメリカはそれに対応できるためのこの輸入増であったかどうか。アメリカの法外と思われるようなこの輸入増に対しては、通産省では、どういうふうに見ておりますか。

斎藤成雄通商産業省貿易局輸入課長

○説明員(斎藤成雄君) 担当課長が入っておりませんので、ちょっと、私、お答えいたしかねますのですが。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 大蔵省はどうですか。

行天豊雄大蔵省国際金融局調査課長

○説明員(行天豊雄君) 米国の国際収支の最近の悪化の大きな原因の一つが石油輸入の増大であったという御指摘はまことにそのとおりであろうかと思います。  私、ただいま米国の商務省の貿易統計を手元に持っておりますが、それを見てみますと、昨年一九七六年の上期、つまり一月から六月でございますが、その六カ月間におきます米国の貿易収支は、全体といたしまして十一億ドルの赤字であった。その内訳と申しますか、まず石油、これは原油とか石油製品、それから天燃ガスまで入っておる数字でございますが、この石油関連だけの貿易収支をとってみますと、同じ期間に百四十七億ドルの赤字であった。それから、この石油関係以外の貿易収支では百三十六億ドルの黒字であった。つまり昨年の上半期におきます米国の貿易収支の赤字はもっぱら石油収支が赤字であったということによるわけでございますが、一年たったことしの一−六月の同じ数字を見てみますと、アメリカの貿易収支は全体といたしまして百二十五億ドルの赤字というふうに著しく悪化しております。その内訳は、石油関係の収支の赤字が二百十七億ドル、それからその他の貿易収支の黒字が九十二億ドル。  この二つの数字を比べてみますと、昨年の上半期からことしの上半期に至ります一年の間にアメリカの貿易収支は全体としては百十四億ドル悪化をいたした。その内訳は七十億ドル分が石油の悪化であり、残りの四十四億ドルはその他の貿易収支の悪化であった、こういう統計上の数字が出ておるわけでございます。したがいまして、先生御指摘のとおり、米国の最近におきます貿易収支の悪化の非常に大きな部分は、大体数字で申しますと六割ぐらいになりますが、石油関係の赤字の増大だったということは御指摘のとおりだと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 アメリカのメジャーの石油輸入というものは大部分備蓄に回されているんじゃないか、全米の石油タンクは満タンで、さらに荷揚げのできないタンカーがメキシコ湾には四、五十隻漂っているというような報道すらあるんですが、メジャー系石油関係でこのように石油を膨大に輸入するのはやはり石油の価格をアメリカのメジャーがコントロールしようというところに底意があるんではないかと思われますが、それに対して通産当局はどのような受けとめ方をしておりますか。——通産省であれだったら、大蔵省て答えてもらいたいと思います。

行天豊雄大蔵省国際金融局調査課長

○説明員(行天豊雄君) 米国の石油輸入備蓄関係は、本来、エネルギー庁あたりに御答弁願うのが筋かと思いますが、私どもが聞いておりますところでは、最近におきます米国の石油輸入の増加の原因と申しますのは、大きく分けて二つあるのではないか。  一つは、やはり米国の国内経済がまあまあ順調な回復の過程をたどっておりまして、それに伴って当然経済活動が活発化し、石油の消費そのものが着実にふえておる。それからもう一つは、御承知のとおり、アメリカは石油の輸入国であると同時に、自分のところで国産の原油をかなり大量に産出しておるわけでございますが、この国産の産油量が、いろいろな事情があるかと思いますが、最近非常に伸びが鈍化しておって、その結果といたしまして、消費量と国内産油量の差額が輸入になるわけでございますが、輸入が急増しておるということが大きな原因だというふうに私どもは聞いております。  先生御指摘の備蓄がどの程度の規模で行われておりますか、ちょっと私どもも正確な数字はつかんでおりません。ただ、最近輸入が非常にふえております結果、在庫は着実に増加しておるようでございます。備蓄につきましては、戦略備蓄等いろいろなアイデアがあるようでございますけれども、申しわけありませんが、私ちょっと正確にお答えできるようなデータは持っておりません。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 さきにローマ発言を引用したブルメンソール長官は、去る十九日には、ヒューストンで、貿易赤字が大きいとはいえ、安定した資本流入があるから米国の国際収支は健全であるということを強調して言ったんです。  そういう意味において、ドルは安くなっても、円なりあるいはイギリスのポンドなりも、円価の切り上げなりポンドの切り上げというものがなかなか応ぜられないし、日本の累積された黒字、それを減らせと言ってもなかなか減らせないならば、それならば円をつり上げて、それによって円価の切り上げと同じような結果を導いてみせるというような魂胆で日本の円がつり上げられ、日本と同じような仕打ちに遭ってはかなわないというので、イギリス側において、これをかわしてのポンドに対する新しい措置が講ぜられ、それにならって日本においても為替なんかの緩和措置が講ぜられたと見る向きもありますが、日本は別にイギリスにならっての対策じゃなくて、独自な立場から為替関係に対する新しい対応をしたものかどうか、その点のいきさつをひとつ大蔵省並びに通産省から承りたいと思います。

橋本貞夫外務大臣官房領事移住部外務参事官

○説明員(橋本貞夫君) わが国の為替管理につきまして簡素化措置が必要であるということは従来から私どもも十分に認識しておるところでございまして、この点につきまして、ことしの春以来全面的に見直しておるわけでございます。しかし、内容につきましては、実質的にかなり自由化しておりますので、問題は、むしろ手続面での簡素化と、こういう面を中心に作業をしておるわけでございますが、五月には経常収支のうちの貿易外取引、六月には資本取引、十月には、主としてこれは通産省の方のお仕事でございますが、輸出入につきましてある程度の簡素化措置が実現できたわけでございます。  今回、いろいろ国際情勢等の複雑な中で、さらに見直してみてはどうかと、こういう御意見が強うございますので、ことしの春やりました問題につきましてさらに見直すと同時に、ことしの春できなかったものについても、一応、検討を進めてみたらどうかと現在調査しておるところでございます。まだ、この段階におきまして、どういう点が検討の対象になるかということは、私どもの作業も進んでおりませんし、また関係当局と御相談しなければいけない点も多うございますので、まだ具体的には申し上げることはできないのでございますけれども、できるだけ誠意を示して具体的な措置に結びつけたいと思っております。  なお、イギリスにおきまして為替管理の緩和を若干進めてきたというような報道を私どもも聞いておるわけでございますけれども、この点につきましては、それぞれの為替管理の体系も異なっておりますので、特に英国と話し合って進めていくというようなことは、双方の国におきましてもございませんし、それぞれの立場からそれぞれの目的を意識して簡素化の手続を進めておる段階でございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 イギリスにおいては、IMFの借款枠三十九億ドルのうち約二十億ドルはもう引き出さないという方針を固めて、為替管理の大幅緩和措置を発表したのでありますが、この発表は、すなわちポンドがもっと高目につり上げられても、まだポンドの切り上げよりもよいという考えで自然にゆだねたのかと思いますが、日本では円が二百五十円程度までつり上げられても差し支えないというのが福田さんの見解のようですが、巷間には、日本側ではやはり貿易その他のことを配慮して二百六十円程度はよいが、二百五十円前後だとなかなか苦しくなる、アメリカ側の一部で予想しているような二百四十円程度にまでつり上げられていくと非常に貿易面において支障がくるんじゃないかという話が出ておるのでありますが、大蔵省及び通産省では、この円価の揺さぶられ方に対して、見通しはどういう見通しを貿易面において見ておられますか。

行天豊雄大蔵省国際金融局調査課長

○説明員(行天豊雄君) 最近の円の対ドル相場の上昇は、御承知のとおり、九月の末海外市場におきまして非常に円高の相場が出まして、それがわが国にも波及したというようなかっこうで始まったわけでございますが、御承知のとおり、為替相場は、基本的には市場におきますその通貨に対する需給関係で決まりますものでございますから、わが国の国際収支が黒字の基調を続け、それからまた相手である米国の国際収支が赤字を続け、またかつ、その見通しについても赤字が続くだろう、こういう情勢にございますと、やはり円とドルの相場に関しましては円高の基調というものが生じてくるということであろうかと思います。  で、実際の相場の形成は、こういった基本的な需給関係以外にいろいろと要素がございますわけでございまして、私どもといたしまして、円のこれからの相場がどうなるだろうかというような見通しという御質問でございますが、まことに申しわけございませんが、そういう非常にいろんな要素が絡まっておる問題でもございますし、また最近の円の相場の動きをごらんいただきましても、往々にしてこういう見通しそのものがまた円の相場に影響を与えておるというような面もございまして、私ども、実際に見通しを自信を持って申し上げることはできないということもございますし、まことに残念なんでございますが、これからどうなるという御質問に対してお答えできるような見通しは持ち得ないということでございます。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 通産は何かありませんか。

斎藤成雄通商産業省貿易局輸入課長

○説明員(斎藤成雄君) ちょっと担当課長が参っておりませんので、恐縮でございますが……。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) じゃ、できるだけ呼んでおいてください。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 その基準通貨の問題をめぐってはブレトンウッズ協定以来、ケインズ、ホワイトの論争以来、幾多の経過を経ておるのでありますが、愛知君が生前にIMFにおいて行ったスピーチなんかも各国においては耳を傾けた点があるのであります。アメリカが基準通貨を持ってドルの安定を自負しているのにもかかわらず、ドルが落ちていくにはそれぞれの原因があるといいましても、何といってもアメリカのメジャーが石油をたくさん買い取っていくということによって日本の円なりあるいはイギリスのポンドなりを高めていく作用をし、その逆作用として各国からドルをさらに不安定な状況へ導くというような抵抗もなされているんですが、こういう通貨戦争の戦国時代とか言われるような問題点の一番中心は、何といっても通貨の不安定、また基準通貨と言われるドルがいろんな形において投機的と思われるような作用を行わされているような状況がなきにしもあらずという点において、非常に国際間に不信感を生んでいると思うんです。こういう問題に対して、大蔵省なり通産省はどういうふうに今後取り組んでいくつもりでありますか。

行天豊雄大蔵省国際金融局調査課長

○説明員(行天豊雄君) 御指摘のとおり、戦後、約四半世紀にわたりましてある意味では世界経済の発展の基礎をなしておりましたブレトンウッズ体制、すなわち金とドルとの交換性の保証、それからまた固定平価制度というこのブレトンウッズ体制が一九七一年から七三年にかけまして崩壊いたしました。その後、相場制度につきましては、御承知のとおり、ほぼ全面的に変動相場制が行われておるわけでございます。  それから基準通貨という点に関しましては、ドルはかつてのように金との交換性がないわけでございますが、実際問題として、国際取引、これは貿易面につきましてもあるいは資本取引につきましても、ドルが最も多く使用されておる通貨であるということから、国際通貨体制におきますドルの地位というのは現在でも非常に大きなものがあるわけでございます。そういう観点からいたしますと、世界経済の今後の発展のためには、ドルの価値が安定しておるということは、御指摘のとおり、非常に重要な問題でございまして、これはアメリカ自身のみならず、世界的にも大きな関心事であるわけでございます。  ただ、これからの世界経済というものをどう考えていくか。つまり、いままでどおりやはりドルが事実上唯一の基軸通貨というかっこうで世界経済を運営していくのがいいのか、それとも、すでに経済力そのものにおきましてアメリカの相対的地位というものは往年のようなものではないわけでございますから、それなりのやはり国際的な協力、通貨面におきましてもですね、ということがあってしかるべきではないかということも当然考えられると思います。私どもは、これからの国際通貨体制の安定のためには、まず当面やはりドル、すなわち、その背景をなしておりますアメリカ経済が安定してもらわなければ困るということで、先ほどから先生御指摘のアメリカの現在の国際収支の赤字問題につきましても、先般の日米の準閣僚レベルの会議あるいは九月の末に行われましたIMF総会その他の場におきまして、何とかこの赤字問題にアメリカとして前向きに取り組んでほしいということを再三述べており、アメリカ側もこの問題意識は十分持っておることと思います。  そういうことで、当面は、やはり通貨問題の安定は、ドルの安定ということが一番大事なことであろうかと思いますけれども、と同時に、先ほど申し述べましたように、これをバックアップするために、世界の主要国——日本もその一員であろうかと思いますが、が国際的な協調を強めていくという姿勢も非常に重要なことではなかろうかというふうに考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 中近東の産油国でまた石油を値上げすると、この前の石油ショックと同様にやはり大きな影響が与えられるんじゃないかということを心配する向きもありますが、十二月のOPECの会をどういうふうな方向へ持っていかれるか、その予測はついておりますか。

加賀美秀夫外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(加賀美秀夫君) 先生御指摘のとおり、十二月に行われますOPEC総会の動向というのは、中近東に非常に石油の輸入を依存しておりますわが国にとりまして非常に大きな関心事でございます。  で、御承知のように、OPECは、昨年の十二月に、五%値上げと一〇%値上げに分かれまして、一時、二つの値段という変則的な状況であったわけでございますが、この七月にサウジアラビアとアラブ首長国連邦、これが五%値上げの国であったのが一〇%の国に同調する、他方で一〇%値上げでございましたイラン等、他の十一カ国はこの七月からの値上げを控えるということで統一価格が実現したわけでございます。  で、今度の十二月のOPEC総会におきまして、どういうふうにこれが動くか、また大きな値上げになるだろうか、あるいは値上げを行わないか、あるいは非常に少ない小幅の値上げにとどまるかという問題は、日本のみならず、石油輸入国にとりまして非常に大きな問題でございますが、現在のところ、もちろん確たる予測はつかないわけでございますけれども、OPEC側におきましては、最近のドルの目減りというようなことで、石油収入の実体を確保するという点に大きな関心を持っておるわけでございます。で一部にはドル建てをSDR——特別引き出し権建てにするというようなことを考えている国もあるようでございますが、他方で、アメリカも、またここで石油が値上げされるということは世界経済にとって大きなインパクトがあるということから、石油の値上げがなるべく行われないように、もし行われた場合にも非常に小幅にとどまるようにという方向で、国際的な努力を行っておるという状況のようでございます。  もちろん、わが国といたしましても、石油の値上げが行われないように、あるいは行われてもきわめて小幅にとどまるようにということで考えていきたいと思っておりますし、他方で、OPECの諸国にいたしましても、アラブ首長国連邦であるとかサウジアラビア等、世界経済に大きな関心を持つ国々、それから、もし石油が上がります場合には、アラブ諸国あるいはいわゆる第三世界の国々におきましても非常に大きな損失と申しますか、国際収支上の大きな衝激を受ける国が多いわけでございますので、こういった国々のこともOPEC諸国は当然考慮に入れなけりゃならない。そういうことで、十二月のOPEC総会におきます値上げ問題がなるべく穏健なラインでおさまるということを大いに期待したいところでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 アメリカは石油産油国の中における穏健派と見られるサウジアラビアに積極的な軍事援助を行って、軍備が非常に拡大されております。それが導火線になるとは思いませんが、この不安定な中近東において、最悪な場合においては、サウジアラビアを中心として、アメリカの援助によって軍事介入もいとわないというような体制づくりをやっているのかどうか、中近東におけるアメリカの外交政策というものは、ソ連の動きとにらみ合わせて、非常に不安定な要素がありますので、これも石油問題に絡んでいる国際情勢における一つの不気味な要素になっておりますが、外務省では、これに対してどういうようないままで情報をキャッチしておるですか。

加賀美秀夫外務省中近東アフリカ局長

○政府委員(加賀美秀夫君) 先生御指摘のとおり、世界的規模におきまして武器の輸出というのが最近非常に大きな問題になっておるわけでございます。で武器の主要な供給国はアメリカ・ソ連、それにEC諸国の一部でございますけれども、その大部分が石油収入の豊かな中東諸国、イラン、サウジアラビア等に行っておるわけでございまして、私ちょっといま数字を持っておりませんけれども、世界におきます武器取引の非常に大きなパーセンテージが中東諸国と米ソとの間で行われているということは事実でございます。  で先生の御指摘のとおり、この武器の取引というものが非常に多額に上るという場合におきましては、当然、世界平和の不安定要因になるということはすでに認識されておるところでございまして、最近、国連等におきましても、通常の武器の輸出入というものを規制するという方向の動きが見られるところでございます。で確かにイラン、サウジ等、ソ連に対する安全保障という点から自己の防衛力を高めるという点もございますし、したがって、これまでの武器の輸入が全く不安定要因だけにつながるということもないと思いますけれども、これが過度にわたります場合には、中東自身の平和の維持に撹乱的要因をもたらすというおそれもございます。そういうことから通常兵器の輸出入の規制に動こうという状況でございます。  で、他方で、これまで武器の輸出入の額が非常に大きくなったということは、一つには、石油輸入をいたしております国々が、自国の輸出を伸ばすという点から、武器の輸出というのは非常に即効的効果のあるものでございますから、そういう意味で武器の輸出を行ったという面も一面あるわけでございます。いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、この武器の輸出が非常に過度に上るということは平和の確保という点から余り望ましくないということでございますので、日本といたしましても、この通常武器の取引の規制という点につきましては協力はいたしておる、そういうふうに考えております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 アメリカの世論でも、また国際連合における諸国の動きを見ても、武器輸出というものを抑えようとする動きがあるのにもかかわらず、アメリカがこのように火に油を注ぐように、中近東に武器を大量に輸出するというようなやり方というものはいやが上においても中近東に不安定の種をまくことであって、赤軍などと称する幼稚なハイジャックの連中よりも、戦争の火種を、世界の平和共存体制をつくり上げなければならない大きな責任を持つアメリカなりソ連なりが張り合って、逆にこの不安定な国際情勢をつくっているかのような面もあるのでありまして、それに対しては、われわれはアメリカともソ連とも友好親善関係を深めなければならないが、戦争への方向へ導くいかなる一つの動きに対しても、これに同調しないことが大切だと思います。  いま、一転して、中近東の国よりはもう一つ不安定な要素が加わっているのが朝鮮半島だと思うのであります。南北朝鮮が統一の方向へ一朝一夕で簡単にできるとはわれわれは思っていないが、少なくとも前向きな姿勢で取り組まなければならない段階に、アメリカ等においてももっと積極的に、南だ北だということに偏することなく、朝鮮民族の憂いを憂いとして、明日に希望を与えるような方向へ持っていくならば別様だが、南北の対立を激化して、ここにも火種を残しておこうというような構え方がアメリカの韓国からの撤兵の裏にもひそんでいると思うのでありまして、その武器やその他はアメリカ側が韓国側に与えるというような方向づけで、しかも、この韓国の安定というものは、いま不安定な政治腐敗と不明朗な政治の民主化がアメリカの世論においても要請されるときに、そのままの姿で日本に肩がわりさせようというような動きも見えるんですが、外務省は、こういう現実において、中近東の不安ばかりでなく、アジアにおいて不安定な様相を深めているところの朝鮮における南と北に対する対策は、どのような基本的な対策を持っておられるんですか。

西山健彦外務省アジア局外務参事官

○説明員(西山健彦君) ただいまの御質問は、アジア局長がお答えするのがよろしいかと存じますが、ただいまアジア局長は別のところにおりますので、本件につきましては、後ほどアジア局長からお答えするようにいたします。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 日本が、日本の平和憲法を原則として日本の外交路線は定められているのだから、軍事的な協力なり援助ができないことはアメリカも承知の上であります。しかしながら、それだけに日本の技術協力なり経済協力というものは、武器を用いないで、平和共存の体制づくりの方に向かって前進しなけりゃならないように運命づけられておるのでありますが、最近、たとえば日韓大陸だなの問題を見てもわかりますように、あの鉱区はアメリカのメジャーに売りつけられているというような状況のもとにおいて、これがやはり二百海里問題をめぐって今日的に、あるいは明日に紛争の禍根にもなりかねまじいような状態にあるのであって、きわめて慎重審議しなけりゃならない性質のものも、何か妙な約束があって、そうして先を急ぐというようなやり方がなされておりますが、こういう不明朗な形において日本の外交路線というものがゆがめられていくと、将来、取り返しのつかないようなことが起きないとも限らないのですが、これに対して外務省はどういう配慮を持っておいでですか。

西山健彦外務省アジア局外務参事官

○説明員(西山健彦君) 大変恐縮でございますが、朝鮮半島の問題につきましては、アジア局長あるいはアジア局次長がお答えいたします。ただいま呼びに行っておりますので、こちらに見え次第、お答え申し上げます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 日本がいま日本の憲法を踏まえ、それから非核三原則、核拡散防止条約の批准を通じて規定づけられた外交路線というものは、平和共存外交に徹することであります。この原則が確立していながら、現実に行われている外交というものはこの外交の基本路線に沿わないで偏した動きをしているというところに、日本の外交というものに対する諸外国の不信感がいまわき上がっているのであります。  外交の基本というものは信義です。本当にお互いに信じ合うことであります。中国のような不安定な状況をかつて持っておった国においても、たとえばソ連と中国とあれほど仲たがいをしておっても、中国がソ連に借りた金はきちんきちんと返していくというようなことは、やはり国際間において信義を失ったならば、貿易面においても将来禍根が残るという配慮から、中国伝統の信義を重んじなけりゃならないというこの初一念というものは崩さなかったところに中国なら中国の一貫性があると思います。これはやはり中国なら中国の長い間培われた文化道統というものが外交路線の中に高いモラルとしてひそんでいることを意味するのであります。  いま、たとえば韓国は腐敗政権だ何だと言われても、アメリカの積極的な援助、日本の不明朗と思われるような経済援助においてあるところまで繁栄を続けております。それに反して、いま北鮮が外貨不足の中に近代化が非常におくれているんじゃないかという懸念も起きております。軍事上の圧迫よりも、簡単に戦争や暴力革命が誘発されるとは思われない今日の中において、国家性格やイデオロギーは違っても、隣接した諸国の憂いをくみ取って、それを平和共存体制の枠組みの中に方向づけていけるという配慮と指導性がないところに、日本のアジアにおける平和共存体制を確立する中核体としての性格がぼけていってしまっているゆえんではないかと思うんですが、国家間において韓国と日本との関係は条約においてでき上がっているが、北の民主主義人民政府との間は、まだそこにまで至っていないからそういうわけにはまいらないと、これも一つの理屈でありますが、そういうぎくしゃくした関係において不安定の種を増大していくことよりも、やはり地下三千尺の心をくみ取って、憂いを憂いとして隣接諸国に対して、日本が最も愛情を含めた配慮を行っていくということが平和共存外交の実践にとっては非常に大切なことじゃないかと思いますが、外務省は、いかようにこれを心得ているんでしょうか。

西山健彦外務省アジア局外務参事官

○説明員(西山健彦君) 再び大変恐縮でございますが、先ほども申し上げましたように、朝鮮半島の問題につきましては、アジア局長あるいは次長からお答え申し上げます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 それでは、局長がちょっくらは来そうもないから、これ以上質問もできなくなっておりますが、ソ連でも、私は、日中平和友好条約がきちんと——問題は福田さんの腹だな。これはお役人はいまのような答弁をせざるを得ないんであるが、やはりそれと同時に、いろんな国において国の駆け引きがあるけれども、ソ連だって私は日本では別に敵視するわけじゃない。われわれのこの平和共存体制の理念並びに実践というものが諸外国にわかればわかるほど、いままでの誤解は解けて、相手側から——私は楽観的に物を見るんじゃなくて、至誠というものは天にも通ずるんだ。特に至誠という観念的な考え方でなくて、温かい真心をもって他国に対処していくならば、相手が恥ずかしくなって自分の国の無理を変えていかざるを得ない。これはイソップ物語にもあるように、寒い北風によって人の衣をはがすことはできないんでありまして、そういう大きな権謀術策の渦の中にあって、日本特異の平和共存体制をつくっていくのには、特に外務省、大蔵省等が心して官僚的なしゃくし定規の冷たいやり方よりも、日本はさすがに戦争に敗れて苦労したが、戦争に敗れたことによって真の民主主義を把握して、そうしてりっぱな外交、経済の路線をつくり上げていくんだということをやっぱり相手国に了承させるような立場というのが大切だと思いますが、そういうことに対して、大臣だけじゃなく、日本の官僚というのはアメリカでもソ連でもほかでも少し高く評価しているんです、それは政治が少し堕落しているから、よけいその反作用と思いますが。ひとつ心して、この日本の政治のゆがみをこれ以上増大させないように善処してもらいたいと思いますが、これは皆さん方にお願いするだけで、午後に、日中平和友好条約の促進と、通貨の安定及び貿易面における自主体制の確立について質問することにして、私の持ち時間がありませんから、これで質問を終わります。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) アジア局長の答弁は、午後に——。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 私は、これから中南米の移住問題についてお尋ねをしたいと思います。  戦後、移住が開始されて、特に昭和三十四年ごろをピークとして、現在、減少の一途をたどっているこの原因、背景それから現状についてどうなっているのか。

橋本恕外務大臣官房領事移住部外務参事官

○説明員(橋本恕君) 戦前の明治元年に移住が開始されてから現在まで、戦前におきましては七十五万人、それから戦後は二十二万の方々が海外に移住されております。で、この子孫と申しますか、二世、三世を合計いたしますと、そのときに永住を目的として移住いたしました方々及びその御家族、これが現在百五十六万に達しております。  戦後の移住は、昭和二十七年に再開されまして、昭和三十年代の前半に最盛期を迎えまして、毎年一万人を超える同胞が海外に移住いたしました。その主流は家族単位の中南米向けの農業移住でございます。その後、わが国の高度成長その他わが国国内におきます労働不足等の事情がございまして、少しずつ減ってまいりました。最近では、年間五千ないし六千という数でございます。で、また内容につきましても、かつての農業移住ということのみならず、最近は、技術移住、つまりさまざまの技術を持った方々が永住を目的として中南米を初めとし各地に移住していかれる、こういう趨勢になっております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 いま御説明を伺いますと、昭和三十六年前後から高度経済成長が急速に展開されてきたわけですね。そうした事情とうらはらに、いまおっしゃられたような国内事情もこれあり、移住者の数が激減する方向をたどった、ただこれだけでございますか。

橋本恕外務大臣官房領事移住部外務参事官

○説明員(橋本恕君) そのほか、いろいろ理由はございましょうが、私どもが基本的な理由として考えておりますのは、わが国の経済発展に伴いまして国内における雇用機会が非常にふえ、かつ生活水準が諸外国に比べまして著しく高くなったということがやはり移住者が漸減する、少しずつ減ってまいる方向にいった一番大きな基本的な理由だと、かように考えております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 私も私なりに特に関心を持ちながら、この移住問題をいままで見てきたつもりなんです。  で、一つは、外務省、あるいは従来の海外移住事業団、いまの国際協力事業団は各都道府県に全部事務所を持っています。この啓発指導ということが、まあとにかく一体どうなっちゃっているんだろうというくらいにきわめて消極的なものしか見られない。いろんなチラシとかパンフレットも出ているんです。しかし、それが国民、特に若い世代の人たちにどういう認識と理解を与えることができたかというその働きかけ、これが一つ大変な欠落があるということ。  それからもう一つは、せっかく移住されても、最近はないだろうと思いますけれども、棄民なんということでドミニカを初めいろんな地域で社会問題として騒がれたことがありましたね。日本の場合は、ドイツなんかと違ってアフターケアは非常に悪い。全然見も知らない外国へ行くわけでございます。さあ行ったきり、一体、どういう保障があるんだろう。行く前は、それなりの基礎的な知識も、あるいは当時の海外移住事業団あたりからレクチュアを受けながら行ったでしょう、恐らく。けれども、それでも十分とは言えない。聞いたのと見たのでは余りにも感覚的に違う。しかも国の援助については全くもう絶望と。うまく成功すればいいんですけれども、必ずしも行った人たち全部が成功するとは限らない。そういうような点から、果たして、新天地を求めて行った方々が将来自分の生活設計の上から十分やれるという、そういう方向性というものがなかなか厳しい環境に置かれていたんではないか。やっぱりどうしてもイタリアだとかドイツあたりから行っている移民の人たちとのいろんな比較が出てまいりますね。そういう点では日本が大変冷たい。こういうような背景あるいは要望がそれぞれの受け入れ国にあっても、それが円滑に推進されなかった。私はそういうふうに一応の評価と判断をしているんですけれども、その点は、きょうは、大変中南米に精通をされていらっしゃる長崎さんもおいでになっていらっしゃるわけでございますから、今後の展望等を踏まえて、さらにお述べをいただきたい、こう思うわけです。

長崎弘国際協力事業団理事

○参考人(長崎弘君) 国際協力事業団は、外務省の監督指導を受けて、移住を内外を通じて一貫的にやっておる実務機関でございますが、国内におけるPRの問題につきましてからまずお話ししたいと思います。  募集、選考、相談業務にわが方の国内支部あるいは県の駐在員が従事しておるわけでございますが、機構も、統合その他によりまして支部の職員も漸減しておりますし、また各府県に置いておりました駐在員の事務所というものも支部に統合しておりまして、その点必ずしも手厚いPRあるいは啓発宣伝が行われにくい、あるいは遺憾ながら実施し得ない面があることは御指摘のとおりだと思います。  また、海外におきます援護につきましては、必ずしも欧米諸国並みにはまいっていない面が多々あるわけでございますけれども、国際協力事業団といたしましては、移住者——行かれた方々につきまして、まず生活相談なりあるいは営農指導に応じ、あるいは独立される場合につきましては資金の融資ということもやっておりまして、最近は、三百万でございました融資限度も大蔵財務当局の御理解によりまして、土地を購入することに加えまして機械を導入するというようなことを合わせますと八百万円まで融資ができるという形になってまいっております。しかしながら、最近のブラジルその他南米諸国のインフレの状況から見ますと、この八百万円という限度というものは必ずしも十分でない。将来の問題といたしましては一千万あるいはそれ以上にもこれをふくらましていきたいということを考えて施策をしておるわけでございます。  イタリーなりあるいはポルトガルなりスペインの方々等々のヨーロッパの方々が南米に移住される場合と、わが同胞が南米に移住される場合とは根本的に違うわけでございまして、わが同胞の場合は国土、気候、風土も全然違うわけでございますし、言語も異にしますし、異質の文化の中に入り込むわけでございまして、そういう意味合いにおきまして今後とももっときめの細かい援護の施策を海外においても充実していく必要があるのではないかと痛感しておる次第でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 移住が再開されてからもうすでに二十年以上の経過があるわけでございますね。それなりの取り組む姿勢というものは当然検討もされ、分析もされ、今後の方向性というものについてもどうあるべきかというふうにもうすでに十分お考えになっておられる段階ではないか。しかし、非常に不思議に思いますことはね、この移住問題というのはなかなか外務委員会でもあんまりそう華々しい論戦の展開がないいままでの経過がございます。けれども、いまおっしゃったように、ブラジルにしてもアルゼンチンにしてもパラグアイにしてもボリビアにいたしましても、恐らく、極端な言い方をしますと、いままで国の力をほとんどかりずに——もういま述べられたヨーロッパの人々と違う、そういう国情も言語も違う、日本人の方がはるかにハンディキャップを背負っているわけですよ。そういう厳しい条件の中で今日一つの中南米に対しての地歩を築いたという、これはやはり日本人の英知と努力と忍耐というものがそうさしたんではないか。それを土台にして、ようやく国としても移住というものをそれに連動させながらやろうじゃないかと。  いずれにしても、いろんな立場の人が向こうへいらっしゃるわけです。その支援の仕方は、いまの融資の問題を含めて、大分前から議論されているんです、はっきり申し上げると。いまだに言うなれば安心のいくといいますか、それは向こうに行った人でもいろんな人がいらっしゃるでしょう。だれもかれもというふうにいかぬ場合があっても、平均的に見た場合に、やはりもっともっと、農業にしても技術力の向上にしても、相手の国が繁栄していくような一環の中に日本政府としてもあるいは協力事業団としてももっと力を入れる必要があると思うんですけれども、それは予算の枠が余りにも少ないということでできないのか、それからもういま日本の国内情勢もこういう状況だからその辺はほどほどにというのか、まだ将来展望を伺っていませんけれども、そういう点はどういうふうに一体お考えになっていらっしゃるのか。せっかく国際協力事業団という、そういう機能を持った仕事をおやりになる場所があるわけですから、その点はどうなんでしょうか。

長崎弘国際協力事業団理事

○参考人(長崎弘君) 先ほど昭和三十五年以来の、あるいは特に昭和四十年に入りましてからの日本の国内社会情勢を反映して、移住者として出ていく数が少ないという点が外務省から御説明がございましたが、これに加えますに、対外の状況も考える必要があるんじゃないか。  と申しますのは、従来、勤勉な日本人であればといってほとんど無条件と申しますか、大いに受け入れてくれておった国々も、やはり最近若干彼らの国自体が発展し、また経済情勢もよくなってきたことも反映いたしまして、いままでの受け入れ国であった一部の国におきましても、いわゆる選択的と申しますか制限的と申しますか、日本から来る移住者について昔のように大いに門戸を開きまして、日本人であれば結構だということではなくして、日本から来ていただく移住者でも、やはり資本と技術を持った、要するに自分の国にとって開発上の人材として役立つような人というようになってまいりまして、いわゆる従来のブラジル等におきましては、若干、そういう面で対外的に昔ほど門戸が日本人に対して大きく開かれていないという面も一つの制約要因になっているかと思います。  それで、移住は、ここ十年来いろいろな変遷があったわけでございますが、いずれにいたしましても最近の移住者の数というものはここ二、三年は上昇傾向をたどっておりますけれども、昭和三十年代に比べますとまことに遺憾なる漸減の状況を示しておるわけでございまして、われわれといたしましても、外務省とともに、移住というものは見直す時期に来ておるのではないか、移住は曲がり角に来ておるのではないかというような観点から、移住をいかなる形で進行すべきかということを、現在、研究をしておる段階でございます。  その一つの考え方といたしまして、移住先国がいずれもいわゆる発展途上国である。したがいまして発展途上国の国づくりに役立つような開発用の人材を日本から送り出す、そういう意味合いにおきまして、経済協力なりあるいは技術協力と移住との接点を考えまして、移住施策あるいは経済技術協力施策と連係プレーというものが行われないかということで、現在、頭を悩ましておるわけでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 おっしゃるとおりだと思うのですよね。いままで農業移住というのに主体が置かれた時期があったと思うのです。いま中南米においても、ブラジルを初めとして、最近とみに工業力の進歩というものがありますし、確かに日本のすぐれた技術の導入というものを待ち受けているだろうと思いますし、また一方、日本の多国籍企業みたいなものの進出を待っている背景もあろうかと私思うのですね。  それはそれとして、いま悩んでおられる、ちょうど曲がり角に来ていらっしゃる、確かに私もそう思うんです。じゃこれから曲がり角のその移住問題というのは一体どういうふうに一つの展望としてとらまえていらっしゃるのか。これは当然いま急にできた事業団じゃございませんのでね、外務省ともいままでいろんな指示を受けながらおやりになってきた経過があるわけですので、いまだにそういった将来展望が開けないということは大変ぼくは残念だと思うのです。かって、私は、この移住問題については一番景気のいいときに本気になってやらなければいけないと、不況になってからじゃ手おくれになるぞと申し上げたことがあるのです。いま不況です。非常にむずかしい、逆に今度は。そういうことを申し上げても始まらない問題ですけれども、私は、日本人の新しい天地を求めた移住という言葉がいま適切かどうかももう一遍見直さなければならない段階に来ているだろうと思います。そういうことを含めて、一体、どういうふうにこれからやったらいいのか。  先ほど私ちょっと触れましたけれども、いま都道府県にみんな事務所を持っているわけでしょう。二人か三人、みんな職員の方をお抱えになってどういう仕事をされているのですか。機能的にそれが働いているのかどうなのか、そういう問題がございますね。それから、海外に設置されている支部を中心とした働き、これはむしろ直接いろんな現場の仕事というものがありますので、それに連動したものが考えられるだろうと思いますけれども、特に国内のそういう問題ね、それは整理する方向へいくのか、整理しないまでもじゃどうするのかと。農業というものに重点を置く移住というものに力点を置くのか、いまおっしゃったように、これから受け入れ国によってもいろいろ違いがあると私は思うのですね。技術導入を待ち受けている国もあるでしょう、特にブラジルのごときは。最近聞いてみますと、アルゼンチンあたりでは漁業移民というものを非常に強く要望しておるという声すらも聞いておるわけです。そういったようなやつをどう一体整理をしながら、可能性というものを常に考えながら、これを推進するのか、もう現状維持でいいのか、もう全然これは手を切っちゃって移住というものは一応整理しちゃうのだというふうにお考えになるのか、三つのぼくは考え方があると思うのです。どんな方向なんですか。外務省とそれから事業団と両方ひとつ連動してお答えをいただきたいと思うのです。

橋本恕外務大臣官房領事移住部外務参事官

○説明員(橋本恕君) 日本の最近の若い人々の中に、農業にしてもあるいは技術にしても、広い天地で、たとえば中南米でありますとか、あるいは豪州とか、こういった広い天地で自分の持てる可能性といいますか、自分の持てる能力を最大限に発揮したい、こういう方々が最近相当ふえてまいりました。で、この人たちのこの動き、それから今後は国際協力という観点から日本人全体が伸びていかなきゃならないというような、こういう背景が一つ見られるわけでございます。  で、さらに、受け入れ国、相手方の事情といたしましては、先ほど基本的には長崎国際協力事業団理事が指摘されましたとおりに、かつてのように日本人であればどんどん来てほしいというような時代ではありませんけれども、しかしながら、日本人の移住者は一切お断りというような厳しい、全面的に受け入れを断るというようなところまでは決していっておりませんで、一般的には、これも長崎理事が先ほど指摘されましたとおりに、技術を持った人、つまりそれぞれの国の経済発展あるいは地域開発に役に立つ人材なら大いに受け入れたいという考えが明確にございます。最近でも、これは正式にはなっておりませんが、外務省に対しまして非公式にペルー政府から、いままでのような家族呼び捨てではなくて、本格的に日本の移住者を受け入れたいという要請もきております。それから渋谷先生御指摘のアルゼンチンも漁業開発ということで日本のすぐれた漁業技術あるいは漁民の方に来て開発してほしいという正式の要請が現にありますし、それから豪州ではかつて白豪主義と言われた国でありますけれども、アジア太平洋の諸国の一員として、特に日本から技術を持った人にぜひ来てほしいということで、政府もかなり積極的に日本側に働きかけております。  こういうふうな観点、つまり国際協力の一環としての移住という観点に立ちまして、外務省としましては、ぜひともこの移住を新しい観点から、つまり従来のようにただ単によりよい生活、ただ高い生活水準を求めるというだけの個人個人の考え方をさらに一段と高めまして、国際協力の一環としての移住というものを考えてまいりたいということで、今後とも、関係の方面と協力いたしまして移住を発展させてまいりたい、こういうところが外務省の基本的考え方でございます。

長崎弘国際協力事業団理事

○参考人(長崎弘君) 御承知のとおり、移住の理念というものは、日本国民の個人が自分自体の決意と発意のもとに海外に生活の根拠を移し、自立発展し、自己の生活の向上を図ると同時に、自己の経済の充実を図る、こういうことにあるわけでございまして、これを国が側面的に支援するという形であるわけです。  しかしながら、最近の移住の現状を見ておりますと、先ほども申し上げましたように、移住者が相手国に居住いたしまして定着発展するということは、移住先、受け入れ国の社会開発なり、あるいは農村の開発なり、また見方を変えますと、わが移住者は、多くの場合、受け入れ先国の国民を多数雇用いたしまして営農に従事するわけでございまして、そういう意味におきましては、技術の伝播、普及という面には非常に大きな貢献をしておるわけでございます。したがいまして、第一義的には、移住というものは移住者自身の幸福の追求、経済の向上ということにあるわけでございますけれども、結果的には、これが相手国に対するいろんな意味の経済協力なり、あるいは社会開発に非常に貢献しておる、広い意味での国際協力という意味の一端を担っておる。そういう見地から、新しい移住というものも現在われわれはいかにあるべきかということを検討しておるわけでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 それはそうだと思います。が、今後、やはり世界の情勢も変貌しているわけでございますし、また要求する対象も違ってきていると思います。これは当然だと思います、経済発展もそれに伴って進んでいるわけでございますから。いま述べられましたように、今後のあり方は国際協力ということに基調を置きながら取り組んでいかなけりゃならぬ、これは私も同感だと思います。  そうした場合においても、まだまだやはり発展途上国である中南米、特に中南米の場合、要求する内容というものはさまざまだろうと、まだ思うんですよ。それは企業の進出でもってその国の発展に寄与してもらいたいという国ももちろんございましょう。しかし、最近、ブラジルあたり、もう農業移民の場合はこれでいいのかと思ったら、コチアあたりでまだ二千名以上を超える有能な日本の青年の入植を待っている、こういう話もいま進んでいるわけでしょう。先ほど私が触れましたように、アルゼンチンあたりでは漁業移民を非常に強く要望する。ことに某社の記者が大統領に面談をした際に、むしろアルゼンチンでとった魚を日本で買ってもらいたいという要求まで出ているわけでしょう。しかも、それに競合するように、最近韓国におきましてもアルゼンチンの副大統領かだれか訪れた際に、韓国のいわゆる漁業移民というものをぜひ実現をという話し合いがあった。来年あたりからそれが実行に移されるのではないかというようなことも伝えられていることを考えますと、まだまだ農業というものもそう見捨てたものでもない、漁業もそうである。いま特に二百海里問題が世界の世論をにぎわしている、このさなかにおいて、もっと多角的にそういう面の日本のすぐれた技術なら技術、知識なら知識というものを向こうの国の発展のために寄与する一環でも結構でございましょう、これが本当の国際協力ということになるだろうと私は思うんですね。  そういったことを、やはりこの際、何でもかんでも経済協力だけが協力じゃございませんので、そういう面での寄与の仕方というものは相当まだ私は残されていると思うんですね。確かに一口に集約して言うならば、国際協力ということに落ちつくであろうと私は思うんです。それにはいろんなパターンがあるだろうと思う、まだ依然として。それをどういうふうにして組み立てながら、今後の移住を含めた国際協力のあり方、国内における啓発の仕方というものがやはりまだネックになって依然として残っているということは私は非常に残念でならないということを申し上げたいわけなんです。国内の場合でも私は少しも機能してないと思うんですね。そういう事務所なり物がありましてもね。国民に対して一体どういう呼びかけをしているのか。特に北海道あたりだって相当北転船が千何百隻も休漁状態のようなところに追い込まれている。たとえば漁業一つをとりましてもいろんな問題があるわけでしょう。そういうところと、可能性があるかどうか別問題にいたしましても、あるいは一つの救済措置ということになるかもしれません、極端なことを申し上げれば。いずれにしてもそれを国の施策の一環として、どう連動させながら、相手の国の発展にも寄与することになれば、これはもう一石二鳥じゃないかというようなことも考えられないではない。  一体、国際協力事業団というものがこれから何をしようとしているのか、大変失礼な言い方でございますけれどもね。そういう点でもっとスポットライトを浴びてもいい存在ではあるまいか、日本の将来ということを考えた場合。きょうは、そういうような気持ちの中からお尋ねをしてみたいということで、大臣抜きでお聞きをしているわけです。いかがでしょうか。

橋本恕外務大臣官房領事移住部外務参事官

○説明員(橋本恕君) ただいま御指摘の基本的な考え方につきましては、私どもも、全く率直に申し上げまして、同感でございます。確かに、一口に移住と申しますが、日本側にもいろいろ事情がございますし、また受け入れ国それぞれの事情もございますので、したがいまして、きめ細かな対策といいますか、具体的にどういう人材を、しかもどういうふうに受け入れていただくかということにつきまして、きめ細かで、しかも具体的な対策というものをせっかく講じていかなければならないということにつきましては、全く同感でございます。  私ども、非力でございますが、国際協力事業団と協力いたしまして、先ほども長崎理事が触れられましたけれども、国内において移住関係の相談及びあっせんでありますとか、それから現地に出かけていく人々のための訓練、訓練センターで語学その他相手国の事情あるいは職業訓練、こういったものでお手伝いする。それから現地に出かけた方につきましても、現地で、相談所あるいは訓練センターを設けまして、できるだけのお手伝いはしておるわけでございます。ただ、御指摘のとおりに、これが必ずしも十分でないということにつきましては私どもそのとおりであると思いますし、今後とも、これを拡充してまいりたい、かように考えております。  それから、先ほど来の御指摘の国内啓発が必ずしも十分でないという御指摘につきましては、これは私どももその点についての努力が足りなかったということは、私ども外務省も国際協力事業団も同じような考えでございますが、ただ、この点につきましては、こちらから積極的にいわゆる宣伝と申しますか、PRをしていくということではございませんが、現に、国内各地にあります国際協力事業団の窓口には年間六千ないし八千件に上る相談を受けております。つまり移住をまじめに考えてひとつやってみようという方々につきましては、真剣に各本部及び各地方の窓口におきまして、こちら側も真剣に受けとめましていろいろ細かな御相談に応じているという実情でございまして、年間六千ないし八千という数は必ずしも多くないと言ってしまえばそれまででございますが、それはそれなりにかなり具体的な相談をお受けしているということを御報告しておきたいと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 持ち時間もありませんので、きょうのところは、この程度にしておきたいと思うんですけれども、いませっかく長崎さんにもお出かけをいただきました、ありがとうございました。それから橋本さんからのいまの所信を交えた御説明はぜひそう取り組んでいただきたい。やはり日本の一つの国益ということにも絡みが出てくるはずの問題でございますだけに、もっと本気になってやっていただきたい。  今後のあり方としては、農業あるいは技術あるいは医療——医療も技術の中に入るということならば、大まかに分ければ農業あるいは漁業、技術、まだまだ推進できる可能性というものはあるでしょうし、先ほどのお話の中にも、また今後オーストラリアとか、新しい一つのそういう見方も出てくるでしょうし、もう一遍その辺をまとめていただきながら、また、次の機会に、その後どう一体推進が果たされたかどうかということについて、もっとさらに細かい点にまで触れながらお尋ねをしたいというふうに考えておりますので、きょうのところは、基本的な一応のお考えだけを伺って、私の質問を終わることにいたします。

立木洋日本共産党

○立木洋君 アメリカ局長が来ないと、ちょっと質問ができないのですか——。  中島さん、きょう、日米防衛協力小委員会の問題についてお尋ねしたいんですけれども、局長は八月の会議に参加されておったかどうかわかりませんけれども、内容については全部引き継いでおいでになると思うんでお尋ねしたいんですが、小委員会が開かれて五回になりましたが、第四回ですか、四回の小委員会で三つの部会が設置され、さらに第五回の小委員会では、それぞれの各部会での研究・協議項目というのが決められております。  それで、この部会がいつどこで、それからどういうメンバーで開催されたのか、あるいは開催されるのか、その点についてまず最初にお尋ねしたいと思います。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○政府委員(中島敏次郎君) 大変遅くなりまして失礼申し上げました。  ただいまお尋ねの防衛協力小委員会の部会の点でございますが、部会が設置されましたのは先生御指摘のとおりでございまして、その後、小委員会そのものは九月に第六回の会合をやっております、これは小委員会そのものでございます。で第六回の九月の会合は、日本側におきまして私自身がアメリカ局長になりまして、先方の米側におきましても当地のアメリカ大使館のシャーマン公使が前の公使から引き継ぎがありまして、双方で顔ぶれが変わったということで主として顔合わせという意味も含めまして九月に一回小委員会を開いております。部会そのものが設置されましたのは、先生御指摘の第四回、四月の小委員会でございます。その後、八月十六日の第五回の小委員会におきまして各部会の研究・協議の項目を了解したわけでございます。したがいまして現実の作業が始まりましたのは、その第五回の小委員会以降ということになるわけでございます。  で、各部会ともそれぞれ数回ぐらいずつの会合は開いているだろうと思います。いま正確に私は心得ておりませんけれども、時間的に見まして数回ぐらいの会合は開いておると思います。で、これらの部会からの研究・協議の結果が上がってきますのを待ちまして、小委員会においてそれらの研究・協議の結果を踏まえながら討議を行う、こういう形になっておるというのが現状でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 で、それは開かれたのは東京でですか、部会が開かれたのは。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○政府委員(中島敏次郎君) いずれの部会も東京で開いております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 メンバーはどういうふうなメンバーで。

西廣整輝防衛庁防衛局防衛課長

○説明員(西廣整輝君) メンバーは厳密には決まっておらないんですが、外務省のたとえば安保課長というような担当課長、防衛庁ですと私その他担当の課長、それから統幕の担当の室長、たとえば作戦部会ですと三室長とか、後方支援部会ですと四室長といった者、そういった者が日本側のメンバーでして、米側のメンバーは陸海空の在日米軍司令部の担当の部長、それとアメリカ大使館のポリティコミリタリーの室長という者がメンバーでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 この小委員会並びに部会で研究・協議される内容については、当然、朝鮮半島における有事の際という問題は研究・協議の対象になっているというふうに考えられますが、この点はいかがでしょうか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○政府委員(中島敏次郎君) その点につきましては、まず第一に、御承知のとおりこの防衛協力小委員会は現実の事態に即しての作戦計画を立てるというようなことをその任務といたしておらないわけでございます。で緊急事において、日米——日本の自衛隊と米軍とが共同して対処行動をとる際の調整のとれた行動をとるために、あらかじめどのようなことを考えておくべきかという点についての指針を含めて、日米間の調整のあり方についての研究・協議を行うということでございまして、いずれにせよ、主としてそこで問題になりますのは、そのような事態に備えてあらかじめ考えておくべき調整上の諸問題のあり方を研究・協議するということで、具体的な計画そのものをつくるということは任務としておらないという点が第一点。  それから、さらに、これも先生御承知のとおり、この第三回の防衛協力小委員会におきまして研究・協議の対象事項として幾つかの問題が合意されたわけでございますが、そのうちの第一点は、「我が国に直接武力攻撃がなされた場合又はそのおそれのある場合の諸問題」ということで、第二点として、「(1)以外の極東における事態で我が国の安全に重要な影響を与える場合の諸問題」、第三点が「その他」、こういう形になっておりまして、当面、防衛協力小委員会の作業は、その第一点、すなわち「我が国に直接武力攻撃がなされた場合又はそのおそれのある場合の諸問題」ということに作業の焦点を合わせてやろうということになっておりまして、先生のおっしゃられるような事態は、当面、考えられていないということでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それは局長がそういうふうに言われても、問題はそうではないだろうと思うんですよ。  いま読み上げられましたように、第三回では、「我が国に直接武力攻撃がなされた場合又はそのおそれのある場合の諸問題」、それから二点目は「(1)以外の極東における事態で我が国の安全に重要な影響を与える場合の諸問題」と、これは朝鮮半島の有事ということは当然問題になり得るだろうと思うんですね。いま局長はいまそれが討議の中心にはなっていないというふうに言われたけれども、小委員会としての研究・協議、私はあえて研究・協議と言いますが、ここに書かれてあるとおり、研究・協議の内容には当然含まれると。で「極東における事態で我が国の安全に重要な影響を与える場合」、朝鮮半島が含まれていないと言えるのかどうか、それは明確に言えないだろうと思うんですよ。言えないならば、いまするか後ほどするかは別としても、当然、研究・協議の対象にはなる、そういうことじゃないですか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○政府委員(中島敏次郎君) 先生の御指摘の、朝鮮における事態が第三回の小委員会で合意されましたところの第二項の「(1)以外の極東における事態」ということに該当しないということを申し上げるつもりはございません。  ただ、再三申し上げておることは、小委員会での作業の性質というものは、特定の地域を想定して、その地域との関係において具体的な計画を立てるというようなことをその任務としておらないということでございます。もちろん朝鮮半島も極東でございますから、「極東における事態」ということで、その第二項の中に包括的に入るべき性質のものだろうということはわかりますけれども、しかし、それは朝鮮半島で具体的な何らかの事態が発生したときに、わが国としていかなる具体的措置をとるかということは、この防衛協力小委員会の任務そのものではないのでございまして、作戦計画そのものをつくる場ではないと、その場合のそのような事態も含めて一般的に日米間の協力のあり方について研究・協議をするというのがこの委員会の目的であるということでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 そんな一般的なことで、緊急な事態が起こった場合に有事の際の対応ができるのかどうなのか。課長、どうですか、いまの局長の答弁でいいんですか、防衛庁は。

西廣整輝防衛庁防衛局防衛課長

○説明員(西廣整輝君) いまアメリカ局長が申し上げましたとおり、この日米協力小委員会というのはきわめて基本的な問題を対象としているわけでありまして、個々具体的なケース・バイ・ケースの話はこれはもう千差万別でございますので、そういった問題について論ずる場ではないと、より基本的な諸問題についての研究・協議をするというようにわれわれ理解をしております。

立木洋日本共産党

○立木洋君 朝鮮半島の問題も、いわゆる一般的な問題としては決して除外しているのではないという点を確認されたわけですけれども、この防衛協力小委員会の構成メンバーあるいは部会での構成メンバー、これが協議が進んでいく状態に応じて、必要に応じて両国政府、軍関係者は参加することができるということになっていると思うんですね、確定メンバーではなくて。そうした場合に、いわゆる韓国における米軍司令部の将校なども参加することが当然でき得るんじゃないかと思いますが、それはいかがでしょうか。米軍将校ですよ、韓国軍ではありませんが。

西廣整輝防衛庁防衛局防衛課長

○説明員(西廣整輝君) そういうことを考えたことはございませんでしたが、現在のところ、先生おっしゃいましたとおり、相手方も承認した場合には、関係の向きの者を出せるということで、われわれの考えておりましたのは、たとえば太平洋軍の幕僚が入るようなことを念頭に置いておりましたが、いま先生の御質問のようなことを考えたことは一度もございません。

立木洋日本共産党

○立木洋君 いや、それは課長さんが考えていなくても、アメリカが考えているんですよ。それはそういうことがやはりあり得るということはいま否定されませんでした。この問題も問題としてはっきりさしておきたいと思うんですね。  それから、きょうは時間がないので、それを詰めていく余裕がありませんから、私の見解を述べて反論することはできませんけれども、一応、問題点だけお尋ねしておきたいんですが、この第二回、第三回の研究・協議の前提条件という点で、外務省からいただいた資料の第一項のところに「事前協議に関する諸問題、我が国の憲法上の制約に関する諸問題、及び非核三原則は研究・協議の対象としない。」というふうに書かれてありますが、この「我が国の憲法上の制約に関する諸問題」は協議の対象としないという点についてですけれども、憲法に限らず、その他の法律は一体どういうふうになるのか、この点について。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○政府委員(中島敏次郎君) これは同じ部会で合意された了解でございますが、この防衛協力小委員会におけるところの研究・協議の結論は、いずれ安保協議委員会に報告される形になるわけでございますが、そこで、この防衛協力小委員会の結論は、いずれにしろ、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではないという点が了解をされているわけでございます。したがいまして防衛協力小委員会で出していく結論は、法律上の問題についての何らかの判断を示すものではないという形になっているわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 直接的には、いま局長が言われたようなことになると思うんですよね。この小委員会で協議された内容、これは研究・協議ですから、あくまで政府の文面どおりいきますと。そうすると、それが安保協に上げられて、さらにそれが政府に上げられて、政府がその協議の内容を判断をして、必要であるならば立法措置をとるということは、それは日本の政府が行うことであって、もちろん防衛協力小委員会が結論を出して、それが直ちに立法措置になるというようなことにはならないけれども、そういう経緯を通じるにしても、当然、立法措置を講じなければならない事態というのは私は想定されるだろうと思うんです。  ここで、あえて「我が国の憲法上の制約に関する諸問題」というふうに言われていますけれども、たとえば自衛隊法なんかと抵触する内容が協議の内容として起こってきた場合、一体、どういうふうな対応をとるのか、その点いかがですか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○政府委員(中島敏次郎君) そもそも、この防衛協力小委員会自身が、自衛隊がとる行動とそれから米軍がとる行動、それぞれの指揮系統のもとでとる行動が調整されたものであるようにと、そういう意味での協力のあり方を研究・協議しようというのが趣旨でございますから、その自衛隊そのもののあり方を変えていくというようなことは、そもそも、もともとの考え方の中に入っていないということが言えると思います。したがいまして自衛隊法に抵触するような研究・協議の結論をこの場で出していくということは想定されないというふうに考えます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それでは、三原防衛庁長官が有事立法の研究を指示しておるという内容はどういうものですか。

西廣整輝防衛庁防衛局防衛課長

○説明員(西廣整輝君) これは有事におきましては、その自衛隊法ということではなくて、たとえば運輸関係で言えば航空統制をどうするかというような問題、これは災害時なんかも含めてあると思いますが、そういった問題であるとか、もろもろの派生する問題が出てくると思うんですが、そういった面の立法措置といいますか、いざというときにどういう法律が必要になるかという研究をしておこうということであります。

立木洋日本共産党

○立木洋君 簡単に言われるけれども、これは私はきわめて重大な問題だと思うんですよね。それで前回も防衛局長にお尋ねしたときには、いわゆる日米間の協議そのものがイコールそれによって日本の防衛大綱が決まるものではないというふうに答弁されましたよ。しかし、日米間の協議ということを考慮に入れてわれわれは防衛大綱を組むということも、また一面では、明確にされているわけですよ。  防衛協力小委員会で協議された内容は、全然、それに拘束されぬというか、それで出されてきた結論を日本の政府は全く考慮に入れる必要がないと、それは立法上においても何をするにしてもということであるならば、防衛協力小委員会なんかやる必要ないんですよ。なぜやるのか、やって、そのことによって政府が言われているように、日米両方のいわゆる共同作戦がスムーズにいくように、いわゆる政府が言われた有事の際にということになるわけでしょう。そうしたなら、それに必要な措置をとらざるを得ないということが明確な結論として出てくるんじゃないですか、局長、いかがですか。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○政府委員(中島敏次郎君) 再三申し上げておりますように、この委員会の任務は、安保協議委員会に対して、日米間の協力のあり方についての結論を報告するということでございます。この出てきましたところの結論を、日米安保協議委員会が日米両国間の高い立場に立ってどういうふうに評価し、どういうふうにそれをその後の施策の上に反映さしていくかということは、まさに安保協議委員会自身が決められることでございまして、その意味で、防衛協力小委員会が出したものはそのまま両国政府を拘束することは当然にありませんし、また、実体的にもその結論が日米両政府間の結論になるというふうに御即断されるのは、仮想なのではないかというふうに考えます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 そこはやっぱり逃げ口上があると思うんですよね。私は、協議されて出された内容がすべて両国政府の指針になるだとか、それによってすべてを決定するだとかと言っているんじゃないんですよ。しかし、そのことは当然考慮に入れられるべき内容ではないかと言っているんですよ。両国政府が対応を決める場合、日本政府は日本政府としてその対応を決める場合に、当然、防衛協力小委員会でどんな協議をされていようと、そんなものは関係ないということではないんでしょう、考慮に入れるんでしょう。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○政府委員(中島敏次郎君) たびたびのお言葉を返すようで恐縮でございますが、防衛協力小委員会が出しました結論というものは、日米協議委員会自身がこれを洗って、そのうちどれがとり得るか、どれが捨てられるべきかということは安保協議委員会自身がまさに判断されることでございますから、小委員会の出していった結論がすべてその協議委員会で考慮に入れられるというふうに考えられるのは、お考え過ぎじゃないかというふうに考えます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それは協議委員会で取捨選択するということ自身を考慮に入れているからなんですよ。考慮に入れないと、何がよくて何が悪いかということの判断の基準にならないわけですから、当然、それは考慮に入れている。それは局長の方が考え過ぎだと思うんですよ。  私の言っている意味は、そういう意味で、検討された内容を全く無視して、安保協議委員会が検討するのではないんです。政府も全くそれを無視して協議するわけじゃないんですから、何がよくて何が悪いか、取捨選択するということ自身が小委員会の協議の内容を考慮に入れているというふうに私は言えるだろうと思うんです。  それでもう時間がありませんから、最後に、一言。ここで言われている「我が国の憲法上の制約に関する諸問題」という点で、いわゆる憲法上の制約としてはどういうことをアメリカ側に明確に述べられたのか、その点を最後にお尋ねしておきたいと思います。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○政府委員(中島敏次郎君) 私どもといたしましては、憲法上の制約というものを、基本的には次のように理解いたしておりますし、このような理解はアメリカ側にも徹底させておるということでございます。  その内容を簡単に申し上げれば、まず第一に、わが国が保有することのできる防衛力は自衛のための必要最小限度のものでなければならないということ。それから第二に、わが国が外国からの侵略に対してとり得る措置は、自衛権の行使として、わが国防衛のための必要最小限度の措置に限られる。したがっていわゆる海外派兵は自衛権の限度を越えるものとして許されないということ。第三に、自衛隊はいわゆる個別的自衛権の行使に当たるものである。こういうのが憲法上の制約ということのもとで私どもが基本的に理解しておることであり、アメリカ側にも述べたことの内容でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 重大な問題が幾つか出されたわけですけれども、残念ながら時間がなくて、それについて私の意見を述べ反論する時間がありませんけれども、この問題は、今後、引き続いて質疑していきたいと思います。きょうは、これで終わります。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    正午休憩      —————・—————    午後一時六分開会

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 午前に引き続き、国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 けさのテレビによりますと、自民党の首脳者が日中平和友好条約は福田首相の決意にゆだねるというようなところにきている、というようなお話をされたとのことでありますが、恐らくは大平さんの発言かと思いますが、外交権は内閣にあるのでありまして、やはり福田首相の見識と決断を必要とするところまで煮詰まってまいったと思いますが、これを補佐している鳩山外務大臣はいかような見解でございますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 日中間のもうただ一つと申しますか、その重要な懸案になっております平和友好条約の締結問題につきましては、福田内閣発足以来、鋭意努力をいたしておるところでございますし、この問題につきまして、いつどのような段取りでというようなことはまだ決められたものはないわけでございますが、毎たび申し上げておりますように、日中間で、本当に双方にとりまして満足のいく形でできる限り速やかに締結をいたしたいというのがもう基本的な考え方で、そのために鋭意努力をいたしておるということでございます。毎たび同じことを申し上げておるわけでございますが、いま日程等はまだ申し上げる段階でないのでございますが、目下、努力中ということで御理解を賜りたいのでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 いま日本の円が二百五十円を割るというような状態で、日本の黒字の累積をどうかしなければならないということに政府はせかれて、その方に眼を注いでいるようでありますが、アメリカにおける見解によりますと、ローマでブルメンソール米財務長官は、ドルに関しては心配はないと言うし、また石油の問題も心配はないというようなことを新聞記者会見で三十一日に発言しておりますが、米国はあれほど石油を多く買ってもドルは安全である、また日本の黒字のことは心配しても、アメリカの赤字は心配ないんだという形で強気な発言をし、十二月に行われるであろう産油国の会議に対しても、あるところまで見通しをつけた上での根回しをやってからの発言かと思われますが、外務大臣は、どのようにこれを受けとめておられますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) ブルメンソール財務長官の発言でございますので、これはあるいは大蔵当局の方からお答えした方がいいのかと思いますが、いままで対米黒字、日本からいえば黒字でございますが、これが問題視されておるわけでございますが、アメリカといたしましては産油国のドルというものが流入をいたしておるということから、国際収支上といたしましては貿易収支を資本収支で埋めておるという形をとっておると思います。そういう意味から言って、アメリカは貿易収支、経常収支が赤字でありますけれども、総合収支としては維持ができておる、こういう形をとっておると思うのでございまして、そういう意味で、平常であれば、それほどこの通貨の問題は直接生じない。しかしながら、日本の貿易収支の黒字が非常に大きくなって、アメリカといたしましては、産油国たとえばサウジ等に対する赤字よりも、日本に対する赤字の方がずっと巨大になっておるという点が問題であろうと思います。  そういう点につきましては、日本政府として真剣に取り組んでおりますし、経済政策全体といたしましては対策を講じたわけでありますけれども、しかし、それまでには時間がかかる。ごく短期的な対策としてはもう一つ対策を講じなきゃならないということで、輸入を極力ふやすということで目下努力中であるということでございます。  油の問題につきましては、各種の情報をとっておりますけれども、このことしのOPECの総会でいかような結論になるのかということは、まだ確たることは見通しが立っておらないというのが率直なところでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 大蔵省の方に午前中にも承ったのですが、外為市場介入をイギリスで停止して、ポンドの値上がりをもそれにゆだねるというような形をとっているのにならったわけじゃないでしょうが、日本も非常に緩和して対処しようという態度には、それはドル減らしというよりは、日本の円が二百五十円を割っても一向差し支えないという考えでいま対処しようとしているのかどうか。イギリスと日本との違いはありますけれども、円の切り上げあるいはイギリスがポンドの切り上げには応じないが、ドルが安くなり、円なりポンドが高くなっても仕方がないという形の対応策か、その辺のニュアンスをひとつ大蔵省、次いで外務省から承りたいと思います。——  じゃ外務大臣、先ほど大蔵省からは大体聞いておりますから、その辺は非常に貿易の問題とも関連し、今後の日本の経済外交にとっては重要な一つの課題と思いますが、外務大臣はどう受けとめておりますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 円相場に関することにつきまして、これは私どもは直接責任は持っておりませんけれども、いまの二百五十円を割った相場が適正であるのかどうであるかというふうなことはなかなか申し上げにくいわけでございます。日本の経済の対応が、やはり私どもといたしましては、もっと円滑に対応できる必要があったのではないかという考え方は私どもとして持っておりますけれども、なかなかこの経済の動きというものはこれを急激に変えるということがむずかしい、そういう意味で、今日、直接貿易収支の黒字対策というものがなかなか即効的なものをいままで行い得なかったこと、そのことが円相場の急騰ということになってきたというふうに理解をいたしておりまして、私どもといたしましては、貿易収支自体の方が均衡に近づく、黒字幅が狭まることが好ましいというふうに申し上げたいと思います。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 四十二年でしたか、ドルが安値を呼んだときに、これを支えるために日本でドル買いを積極的にやった。あのときの大蔵省内においての鳩山さんと柏木さんの論争というものは、おのおのその担当していたところの部局を背景としての一つの論争だったと思いますが、大体想像し得ることですが、今日柏木君は東京銀行の頭取となって、いまアメリカのロサンゼルスは東京銀行ブームで席巻しているのが事実のようでありますが、今回の場合とあのときの場合とは違いますけれども、やはりアメリカは余裕しゃくしゃくとしてドルは値下がりしても石油を買いだめておけば、中近東の十二月にかけての石油産油国の会議をも牽制し得るし、ドルが下がったといってもアメリカの信用であるならば大して騒ぐことはない。とにかく円の切り上げ、ポンドの切り上げをやらないならば、それに匹敵するだけの円なりポンドなりをつり上げていくという、このアメリカのメジャーを背景とした作戦に乗ってイギリスはいち早くも日本のような窮地に立たないうちにといって政策転換をやったんだと思いますが、日本も、おくればせながら、やはりイギリスにならって一つの政策転換をいまやらざるを得ないところへ来たんですけれども、何事も決意と決断がいつでも悠々と後の方に回ってしまうのが日本の特徴のようですが、これで外務大臣はよいと思っておりますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 経済政策に対します、何といいますか、政策変更につきまして決意と決断が必要だということは、私も、おっしゃるとおり痛感をいたしております。今回のようなことがもっと早く対策がとれた方が好ましかったということは言えると思いますが、しかし、例年よりも早く臨時国会を開いていただいて早い機会に補正予算の措置がとれたということ、これは大変よかったと思っておるわけであります。これからの私どもの希望から申しますと、やはり日本はもっともっと輸入を拡大できるようにいたすべきだと、この面の努力がいささか遅きに過ぎたような感じを持っておりますけれども、いま鋭意その点について取り組んでおるという段階でございます。  また、輸出の面につきまして、まあ集中豪雨的な輸出が相手国の産業に打撃を与えるということは避けるべきでございますけれども、集中豪雨とまで言えなくても、いま日本の輸出が世界各地で伸びておるというのが実情でありまして、この面につきまして節度のある輸出ということもやはり真剣に考えなければいけない、まあこういういま段階にあるように思うのでございますが、この点につきましては、自由貿易というたてまえをとっておりますので、対処が非常にむずかしい問題を含んでおるということも事実でございます。しかし、なるべく早目に輸出面につきましても諸外国との話し合いというものを尊重してまいりたい、率直に申し上げると、そういうことをいま考えておるのでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 日中平和友好条約の締結が足踏みしている状態のときに、かつてあなたのライバルであった東京銀行の柏木雄介氏らは二十六日に北京入りして、この条約締結の前に、米中関係の正常化以前に、わが国金融界の対中パイプを太く不動なものにするという先取りの腹を決めて行っておりますが、すでに米中貿易の規模は、昨年の場合、中国の輸入が一億三千五百万ドル、米国の輸入が二億ドルの往復三億四千万ドル弱となっておりますが、これを日本の銀行が仲立ちして、そうして、事、代理決済に当たっている模様でありますが、どうも慎重なるべき銀行屋の方は先の方へ突っ走り、一国の経済外交を指導すべき外交の方は後からのろのろついていく、すべてが銀行に、金融機関に振り回されているような状態の日本の外交なり経済政策というものは、これでよいのでしょうか、それを承りたい。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 御趣旨は、この中国との外交、残された問題につきましてもっと早く積極的に取り組めと、こういう御趣旨と思うのでございますが、それは御趣旨に沿いまして努力をいたしております。  で経済面につきまして日中間は非常に円滑に進行をいたしておりますし、いまおっしゃいました米中間の取引というものもあるいは今後ふえる方向に行くであろうということは想像にかたくないところでございます。私どもといたしまして、残されたただ一つの問題、平和友好条約の締結には積極的に、一日も早く、先ほど申し上げましたとおり努力をいたしたいと思っております。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 この日本と中国との関係は、貿易関係の調整が先行をしたのでありますが、友好商社貿易というような変則的な貿易から政府間同士にパイプをつなぐ貿易確立のためには、十七年前に、私が安保条約阻止国民会議訪中代表団の団長として北京に行きましたときに、周恩来氏や廖承志氏とともに話したのでありましたが、そのときにも高碕達之助氏と廖承志氏との間にパイプを結んだのだが、社会主義国家においては計画経済に合わせての長期的な見通しに立っての貿易の性格から、やはり相互間における信用というものがきわめて重要なのであって、金融的な操作の面において岡崎嘉平太氏のような人を加えていくことが必要なんじゃないかということを進言したのですけれども、そのときにも中国側の貿易に対する姿勢というものは、イデオロギーを抜きにして前々から日本と中国とのブリッジの役割りをしてきた村田省蔵さんのような信義の厚い人をこのブリッジの役割りを果たさせるブリッジとして選んでほしいという話でしたが、中国は非常に激しい振幅があるようでありますが、やはり信義というものを外交の基調として、そうしてソ連とあれだけ仲たがいして感情的な争いをやっても、払うべき金は払うというようなことを耐え忍んできた国です。  それから見ると、隣の韓国なりあるいは朝鮮民主主義人民共和国なりは一つの近代国家運営の上において若干欠ける面があって、いろいろな形においてぎくしゃくしたものを生んでいるのが現状でありますが、いま韓国に対しては日本、アメリカが積極的な経済援助、アメリカは軍事援助までしておりますが、北鮮の貿易関係やなにかは非常にまずい結果がいま生まれておるのが事実だと思います。こういうふうに南北の朝鮮に対して、極端に区別した、条約が結ばれた国と結ばれない国との違いという観点だけに立ってやっておると、やはり朝鮮半島そのものに何か不安定なものを生んでいく危険性があるんじゃないかと思いますが、日本は軍事的なコントロールによって南北朝鮮の統一の方向づけをつくり上げなけりゃならない一つの大きな任務があると思いますけれども、外務大臣は、この不安定な状況のもとにおける日本の役割をどのように考えておりますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 朝鮮半島の情勢がなかなか好転をしないということは、一衣帯水と言われますが、隣国といたしまして大変残念なことであるわけでございます。  ただいま御指摘のありました朝鮮民主主義人民共和国——北朝鮮でありますが、経済的な困難があるということも承っております。この北朝鮮との国交がないという範囲内におきまして、民間ベースの取引が行われておったわけでありますが、この取引につきましても代金の支払いが滞っておる、こういう事態になっておりまして、いまの状態ではなかなか経済関係でも円滑な取引が支障を生じておるという実情でございます。これらの点につきまして、やはり北朝鮮政府が大変な軍事費を使っておるということもその一因とよく言われておるわけでありまして、南北間の緊張が緩和をするということがまず必要なことでありますし、また経済的な困難を避ける意味からも必要なことであるというふうに考えます。そういう意味で、南北間の緊張が緩和して、そして南北間の話し合いができる糸口ができる、これが何より当面望ましいことであると考えておる次第でございまして、今後とも、日本が何らかのお役に立つことがあれば、そのような方向でお役に立つべきであるというふうに考えておるのでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 最後のお尋ねにいたしますが、中近東においてはサウジアラビアの軍備を強化するのにアメリカが非常に力を入れているようですが、また一方において、韓国からアメリカの軍隊を撤去すると言いながらも、その持っていた武器、弾薬というようなものを全部韓国に渡して、ここにも一つの軍事的な不安定な要因を今後残したと思うんです。やはり中近東と朝鮮がかつての朝鮮半島の禍乱やベトナムのような危機を呼ぶおそれがあったりすると、日本も隣の火事の火の粉をかぶらざるを得ないんで、日本のやるべき役割りというものは戦争を食いとめるという役割りが非常に大きいので、それについてはイデオロギーや国家性格を乗り越えて、軍事的な援助はすべきでなくて、貿易関係その他において技術経済協力の平和共存への実りあるものをつくり上げることが目下の急務だと思いますが、外務大臣及び通産省の人たちはそれをどういうふうに、また大蔵省の人たちはどういうふうに受けとめておりますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 日本が諸外国に軍事的な援助とか協力とかいうことはおよそ全く行っていないところでございますし、日本は、そういう意味で、やはり国民生活、福祉の向上、それから産業の発展という面で協力を続けておるわけでございまして、この日本の従来とってきた方針に私どもは間違いはなかったと思います。今後とも、その方向で努力をいたしてまいりたい。  ただ、韓国に対しましてアメリカが軍事的な援助を行うということは、韓国の地上軍の撤退がまかり間違ってまた朝鮮戦争が起こるというようなことを避ける意味で、アメリカといたしましても踏み切った問題であろうと考えておりまして、戦争を防ぎ、また平和を維持するために必要であるというふうに考えております。しかし、この問題につきまして日本が関与をするということは全くないということは御承知のとおりでございます。

戸叶武日本社会党

○戸叶武君 外務大臣の答弁だけで結構です。これで終わります。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 初めに、伝えるところによりますと、総理は、来年早々かどうかわかりませんけれども、北方四島視察をされるやに聞いておりますけれども、その際、鳩山さんも同行されるのかどうか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 私も、新聞でいま読みましたのでございますが、そのようなお話は総理から全く伺っておりません。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 まあ火のないところには煙が立たずということもございますので、何らかのやはり総理としてお考えがあっての御発言がどっかであったのと違うんですか。全くそういう気配もいままで見られませんでしたか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 私といたしましては、総理から何も伺っておりませんし、また総理に確かめてはいないのでございますが、ちょっと唐突な感を持っておるのでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 先回の委員会でも、鳩山さんが、できれば来年モスクワを訪問したい、こういうお話がございました。大変タイミングがいいなという感じがいたしましてね。せっかく訪ソされるからには、一応、わが目で北方四島を視察もされ、そして北方漁民のいろんな声というものを何かの機会に鳩山さん御自身がはだでお感じになった上で行かれるのかなというふうに受けとめもしたわけです。  そういう鳩山さん御自身としては、別にいまの問題に関連するしないは別といたしましても、せっかく出た問題ですので、そういう御用意はございませんか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 実のところ、当外務委員会でその点強い御意見がございまして、ぜひその北方四島といいますか、根室地方でございますが、その地方に参りましていろいろ御意見を承るそういう機会があれば、私自身参りたいということを申し上げたこともございます。当委員会の御質疑に答えましてそう申し上げたこともありまして、その気持ちはいまでも変わっておりません。しかし、なかなかその適当な機会が得られずに今日にまで及んでおるということでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 せっかく申し上げたついでと申し上げては大変恐縮でございますけれども、総理がそういう発言をされたかどうかの信憑性は私もわかりません。それを確認されるお気持ちがあるかどうかということと、それからもう一つは、鳩山さん御自身が、むしろこの際北方領土というものを総理も御自身の目で確かめていただきたいというふうな要請をされるかどうか、そしてまた、いまおっしゃったように、できるだけその機会を見つけて——なかなかいままで機会かなかった、あれば、早い時期に行くことの可能性もあると判断してよろしゅうございますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) この問題につきまして、それがいろいろ宣伝に使われますと困るという気持ちは実は持っておるわけでございますが、純粋な気持ちでこの北方四島水域の問題はまことに大事な問題でございますし、現地の方々の御意見も直接伺うことができれば伺いたいと思っているのでございます。ただ、そのこと自身のプラス、マイナスということもございますので、慎重に考えていたしたいと思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 くどいようですけれども、慎重も大変結構だと思うんですが、時には即断を要求される場合もあろうかと存じます。いま総理の点についてはお触れになりませんでしたけれども、これはいかがでございましょうか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 総理に確かめてみたいと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 次に、先般、私がお尋ねをいたしました竹島問題でございますが、その後の外交交渉の経過はいかがであったんでございましょうか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 実は、新聞に竹島に漁民が定住をしたというような記事が出まして、早速ソウルの大使館に連絡をいたしまして、その事実の有無、また韓国政府はどう考えているのかということを確かめましたのでございますけれども、その返事といたしましては、韓国漁民が独島に定住した事実はないと、東亜日報の記事は不正確だという話で、家族が住んでいるというのではなくして、漁民の数名が独島との間を往復している鬱陵島の住民であるということを申しておりまして、住民登録を独島の方に移すとか、そういうふうなことは全くないということで、その付近で漁業、アワビ等の採取のために一時そこにおる、こういう状態であるということを言ってまいったのでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 ただ、私どもが非常に心配いたしますことは、外交ルートを通じて確認をされた、これはやはり韓国側は韓国側としてのお立場もおありになるでしょう、やはり国際的なまた世論というものが表面化することを恐れての判断もあるいはあるかもしれません。それ以上、確認をなさった段階でとやかく言うのはいかがかとは思いますけれども、ただ残念なことに既成事実として韓国軍がいま駐留していることは、これはお認めになりますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 韓国の警備員と思われる者がいることは海上保安庁の調査等でも報告を受けております。で住居とするにたえる土地であるかと言いますと、水もない島でございますので、生活の拠とすることはできないところではなかろうか。政府の警備員でありますと、すべて飲み物、食べ物一切政府がみずから官費で運ぶということはできるのだと思いますけれども、民間の人が生活することはできない島であるというふうに従来から伺っておりますし、韓国政府として定住させるというようなことは全く考えておらないというのが先方の言っていることでございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 韓国軍の駐留といい、今回発生した、それが定住者じゃないということでありましても、鬱陵島を基地として、あるいは竹島を寄港地として韓国漁民がそこらを中心としていわゆる漁をするということはこれからも考えられると思うんですね。そういったことがだんだんだんだん時間の経過とともに既成事実としてでき上がってしまう。もう長時間それが経過いたしますと、これはまさしくもう韓国の領有であると、そういうような判断が国際世論の中にも出てきはしまいかということを非常に心配するんですがね、その点はどうなんですか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 韓国政府が漁民を定住させようというような意図を持っておるといたしますと、私どもとしては非常に心配になるわけでございますが、今回は、韓国政府としては決してそういうような意図的な行為はやっておらない、漁民が一時数日間そこに滞在したのだと、こういうふうに言っておりますので、意図的ではないということはわが方といたしましてはひとつ安心すべきことでありますが、しかし、いまおっしゃいましたように、警備員がいるということ、それから、そこで実際に漁業を営んでおるということが何らかの既成事実にならないように、注意をしてまいりたいと思います。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 なるほど、いまお述べになりましたように、竹島全体がこれはちょっと定住には適さない岩石の島だと思うのですね。しかし、あの辺は、御承知のとおり、大変豊富な水産資源に恵まれているという利点がございます。当然、日本の漁民と競合もするでしょう。二百海里問題もこれからどういうふうに韓国側が主張するかもまだ予測もつかないというふうにも受けとめられますし、そうした問題がこれからごく近い将来展望として起こった場合、もうすでに手おくれになるということの危険性も十分われわれは感ずるわけですね。  そうしたようなことを考えると、これからもその点については十分日本としても配慮していかなければなりませんし、そういう事実関係というものがわからない場合には、じゃどうなるのか。今回の場合、いろんな情報がありまして、あるいは定住する可能性があったんではないか、そういうことが表面化したために韓国政府が引っ込んだということも考えられますし、あるいはもう、先ほど申し上げたように、いろんな時間的な経過の中で既成事実が積み重ねられていく、もう日本政府としてはどうにもこうにも動きがとれぬ、そういうふうになることを非常に心配するわけですね。  なるほど住めないけれども、あるいは寄港地としては十分利用価値があるという、そういう寄港地はいままで日本の漁民も利用していたわけでございますから、あるいは鬱陵島を基地にしながら今後もそういう関係というものが持続されていくんではないだろうか、その関係が一つございますね。それから、やはり警備員が依然として不法占拠をしている。これも何か島のどこかわかりませんけれども、トーチカまでつくっている。それで日本の漁船やなんかが近づくと発砲もする。あるいは、この間、日本の海上保安庁の飛行機か何かその上空を舞ったときにも射撃をされる、いろんなそういう事件が繰り返し起こされているわけですね。だから、こうした問題が一体いつ解決できるのか。これはもう事実関係があるわけですから、少なくとも警備員の場合は。この解決の方法についてはどういうふうにこれから進められていかれるんでございますか。これ自体がもうすでに不法占拠じゃないか。すでに大変いろんな点で衆参を通して議論の的になってきたんだろうと思いますけれども、時間が長引けば長引くほど解決が非常にむずかしくなるということを心配するわけです。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) この竹島問題は、日本と韓国がそれぞれ領有を主張しておる。日本といたしましては、これはもう歴史的に日本の島根県の一部であるということで歴史的にも権限を主張しておるわけでございまして、韓国も同じようにこの領有権を主張しているわけで、御承知のように、正常化のときにも結局話がつかず、この話のゆえに正常化ができないか、そういうぐらいの問題であったわけでございますから、この点につきまして簡単に話し合いがつくということは早急には無理であろう。  先般、実は、閣僚会議の際も、この問題につきまして日本政府の立場、これを強く主張いたしたわけでありますけれども、もう韓国側は韓国側として自己の領有の主張を譲らないわけでありますし、また国際司法裁判所につきましても、提訴につきまして先方は承知をしない、こういうことでございます。  協定によりましてとにかく外交交渉を尽くす、また調停ができればということでありますが、この問題につきまして、やはりわが国としてわが国の主張を損なわないように、この権限を保有を続けるということが当面何より必要なことである、それの妨げになるようなことは抗議をし続けていくという態度であるわけでございます。今後、この問題につきまして粘り強く努力をいたしたいと思っております。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 それにしても、十二年前に取り交わされた紛争解決の交換公文の効力というものは、一体、どういうふうになっているんですか。これは当然いまでもその効力は失っていないはずでございますね。あのときの交換公文というのは恐らく竹島を含む紛争解決のための交換公文であったはずだと思うんです。  ならば、いままでどういう外交上のルートを通じてその折衝に当たったのか。それがむずかしければ、合意を得られる適当な手続によってということがございますね、この交換公文の一節に。どういう合意に基づいた話し合いというものの場が設けられて、今日まで一体推移しているのか。一体、先行きの見通しはどうなのか。もう十二年前に取り交わされた交換公文というものはさっぱりその効力を発揮していないんじゃないかという疑いすらもいま改めて出てくるという感じがするんですが、その点いかがでございますか。

中江要介外務省アジア局長

○政府委員(中江要介君) 御指摘の交換公文は、先生おっしゃいますように、日韓正常化のときに、竹島の領有権をめぐる日韓双方の法律的な立場の相違というものを念頭に置いてつくられたものであるということは間違いがないんでございます。  したがいまして、それならこの交換公文に基づいてさっさと紛争を解決すればいいじゃないかと、こういうふうになるんでございますけれども、あの交換公文にございますように、別段の合意があればそれによると。日本は、この問題は国際司法裁判所の判定を求めるにふさわしい法律的な問題であるということで一貫しておりますけれども、韓国はそれに応じない。韓国を国際司法裁判所の法廷に権力をもって出廷させるという手だてがいまのところはないわけでございますので、この方法はなかなか実現がむずかしい。  別段の合意がなければ、今度は、調停ということになっているわけでございます。この調停も、どの国あるいはどういう第三者を調停者にするかということについて、話し合いによって決めていかなければできないことであると。そういうことで、いままで最も最近の定期閣僚会議のときに、外務大臣からも問題の御指摘があったわけですけれども、機会あるごとに日本側としては早く解決をしたいということで言うんですけれども、向こうが応じない。  それじゃこの交換公文はもう効力がないかというと、これは期限があるわけでございませんので、また、この竹島問題に限らず、日韓関係で紛争が起きたときのための紛争解決に関する交換公文ということで、交換公文そのものはずっと生きていくということには間違いないんですが、事、竹島に関する限りは、李承晩ライン以来のいろいろの過去がありますだけに、よほど日韓間でこういう問題も解決しようという雰囲気が双方で盛り上がったところで、そういうタイミングをつかまえないと、なかなかできないんじゃないか。  そういうために、すでに十二年という時間は確かに長うございますし、その間に既成事実が積み重なることが不利ではないかという点は、これは私どもも心配するところですけれども、将来、恐らく国際司法裁判所なり調停なり、いわゆる紛争解決に関する交換公文に基づいて本件が最終的な解決に具体的に乗り出したときに、わが方の立場が国際法的に見て不利にならないだけのことはしておこうというのが海上保安庁による定期的な巡視であり、その結果に基づく韓国に対する抗議の申し入れというのが現状で、決していまのままでいいというふうに私どもも思っておりませんし、いまおっしゃいましたように、島根県の漁民はかつてあそこで漁業ができたのにということは絶えず私どもも耳にしておりますので、何とか、そういう日韓関係がこういう問題でいつまでもはっきりしないことは得策でないということについて、両方がそう思って、それじゃひとつ第三者に任せて解決しようという雰囲気を早く招きたい、こういうのが現状でございます。

渋谷邦彦公明党

○渋谷邦彦君 最後に、いずれにしても非常に遅いんですよね、この問題は。これは北方四島の返還だとか沖繩の返還と異質の問題だと私は思うんですよね。日韓閣僚会議というのは定期的にいままでずっと行われてきました。恐らくはとんどが経済協力に関する問題であろうと私は思うんです。一方においては、もう日本に対してはいろんな点で要求もある、要請もある。日本も人がいいかどうかわかりませんけれども、そういういろんな機会があるわけでございますので、それはもちろん外務省当局としてもその都度いろんな機会をとらまえて、それとなく感触を探る場合もございましたでしょう。けれどもね、いかにしても慎重にし過ぎているのか、その結論が出るのが非常に遅い。  もちろん、外交上のいろんな接触というものは簡単にいかない場合もそれはございましょう。けれども、この竹島問題については、いまお話がございましたように、島根県の人ばかりじゃございません。日本国全体のやはり一つの願望でもあるわけでございますので、そうした経済協力のいろんなバランスを考えた場合に、まだ条件としては日本政府としては強力に主張ができるんじゃないかということ、もっともっとやはり主張すべきことは主張するという、そういう点がもっとあっていいんじゃないかという、外交姿勢、あるいは無理な注文かもしれませんけれども、最後に、鳩山さんに、竹島帰属についての問題を今後の展望を踏まえてお尋ねして、私の質問を終わることにいたします。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 竹島問題につきまして、渋谷先生おっしゃいましたように、やはり私どもといたしまして、領土の問題でございますから、この問題につきましては真剣に取り組んでまいります。ただ、経済協力等の問題があるから、日本の言い分を先方に納得させられないかと、こういうことでございますが、やはり領土の問題と経済問題と絡ませますと、非常に話がむずかしくなるということも事実であります。  また、韓国と日本との経済関係でございますけれども、御承知のように日本は経済協力を行っておりますが、一方、通常貿易の面におきましては大変な日本の輸出超過になっておるのは御承知のとおりでございます。そういう意味で、日本と韓国との経済関係はやはり両国のためにお互いに利益といいますかプラスになっておる、そういう関係であるということも御理解を賜りたい。  そういう意味で、経済問題と領土問題とはやはり次元の違う問題として私ども取り組んでまいったわけでございまして、その点につきまして閣僚会議の際などやはり両方の問題が討議されます。したがいまして、そういう際に当方として主張いたしておるわけでございますが、この問題は白か黒かきわめてはっきりする問題で、灰色という解決方法というのはまずない問題でございまして、この領土問題につきましては日本の権限を損じないということ、いまそういう観点で努力をいたしておりますが、この問題で十二年もたったからというお話がございました。解決に何らかの打開策がないか、国際司法裁判所に先方が了承してくれることが一番いいと思っておるのでありますが、そういった方向で鋭意今後も努力を続けたいと思います。

立木洋日本共産党

○立木洋君 午前中も日米防衛協力小委員会の問題についてお尋ねしたんですけれども、防衛協力小委員会は九月に第六回小委員会を開かれて、第四回に作戦、後方支援、情報という三つの部会が設置された。その部会もすでに東京で数回にわたって協議がされておるということも午前中答弁があったわけです。  そういう動きや、あるいは六月に行われたアメリカの会計検査院の防衛費分担に関する報告を見てみましても、日本の防衛負担増を求める正当な理由があるということで、それを促進するようにこの会計検査院の報告でもなされておりますし、また、先般の予算委員会で三原防衛庁長官が有事立法について研究するように指示しておるというふうな問題もあり、これらの一連の動きというのはきわめて重大な問題であるというふうに考えているわけですが、きょうは、時間がありませんから全般にわたって質問できませんけれども、幾つかの点についてお尋ねをしておきたいと思うんです。  その第一点は、第二回、第三回防衛協力小委員会で協議された、つまり研究・協議の前提条件として「我が国の憲法上の制約に関する諸問題」は「研究・協議の対象としない。」というふうになっております。そこで、その他の国内法については一体どうなっているのか。憲法以外の国内法については別扱いをするというのかどうなのか、いわゆる協議の対象になるという意味なのかどうなのか、その点について大臣のお考えをお尋ねしておきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) 専門的なといいますか、ことはアメリカ局長からお答えさしていただきますが、有事の際の日本と米軍との協力関係につきまして、日本の自衛力が高まっていくということに応じまして、やはりこの点につきましては協議、研究をしておくべきものであろう、その方向で努力をしておるわけで、そういう際に、問題、これまでそういう枠内でという趣旨であると理解をいたしております。  したがいまして、もちろん法律であろうが日本の制度は尊重さるべきものであるわけでありますし、また基本的な日米安全保障条約、またそれに伴う行政協定につきまして、当然、その枠内で考えられるものと私どもは解しております。しかし、また、国会の御意思で変えられる部面もあろうかと思いますので、その点は、アメリカ局長の方から補足をさしていただきたいと思います。

中島敏次郎外務省アメリカ局長

○政府委員(中島敏次郎君) この点は、けさほども先生から御質問がありまして、たしか私はお答え申したつもりでざいますが、その第三回の小委員会の結論として合意されましたことは、その「研究・協議の結論は、安全保障協議委員会に報告し、その取扱いは日米両国政府のそれぞれの判断に委ねられるものとする。この結論は、両国政府の立法、予算ないし行政上の措置を義務づけるものではない。」ということでありまして、したがいまして小委員会の結論が直ちに立法の分野に及ぶということは想定していないわけでございます。  ことに先生から自衛隊法の改正ということがあり得ないかと、こういう御質問がありまして、この点につきましてもお答え申し上げたつもりでございますが、ともあれ自衛隊と米軍との共同対処行動が調整のとれたものであるようにするというのがこの委員会の目的でありますから、自衛隊の行動によって立つべき法的な根拠になるところの自衛隊法そのものに触れて、その改廃を検討するというようなことは、この小委員会の作業の性格そのものからいって考えられないということを申し上げたつもりでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 改正するかどうかという問題は別問題として、ここでは「憲法上の制約に関する諸問題」ということになっているわけですね。つまり自衛隊法だとか防衛庁設置法だとか、その他の国内法等との問題については、これは述べられていないわけです。ですから、それらの問題は、当然、研究・協議の場合、アメリカ側が意見を述べてもいいことになるわけでしょう。研究・協議の対象にするということはあり得るわけだ、それは改正するかしないかは別問題として。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) いま外務大臣、アメリカ局長からも御説明いたしましたように、この委員会の発足の経緯を申し上げますと、自衛隊ができることできないことを明確にしておかないと、そういったシビリアンコントロールのもとにないと、やっぱりいろんな意味で調整のとれた共同対処行動そのものが乱れるといけないということが前提になっているわけでございます。  したがいまして、その前提条件として、ただいまアメリカ局長から申し上げましたように、やらないこと、それから研究・協議した結果というものに直ちには制約を受けないということをはっきりさしているわけでございます。したがいまして、法律上どうだこうだということよりも、現在、私どもが防衛協力小委員会あるいは部会においてやっておりますことは、実態面でいわゆる整合のとれた共同対処をどういう形で実行できるかということを研究しているわけでございまして、もちろん現在ございます法律あるいは自衛隊法、そういったものを踏まえて研究をしているというのが実情でございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それはけさ方アメリカ局長が、憲法上の制約ということで三点ですか、午前中に述べられた点については私はすでにもう聞いているわけですよ。  ですから、協議された内容に基づいて、日本が直ちに法を変えるだとか、必要なすべてを取り上げるだとか、そういうふうなことはあり得ないだろうし、必要なものは取り上げるだろうし、必要でないものは取り上げない、それは安保協議委でまた検討されるわけですから、さらに政府としてそれをどう判断するかという問題はあるけれども、しかし、小委員会自身においては、いわゆるおたくの自衛隊法ではこうなっているけれども、この問題はこうじゃないかというふうな意見を出すことは自由なんでしょう、アメリカは。何も意見を出してはいけないという制約はないわけですからね。それを取り上げるか取り上げないかは日本の政府の考え方であって、そういうことは自由にいわゆる協議できるわけでしょう、研究・協議は。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたようなことで、いわゆる研究・協議——整合のとれた対処行動をやるためにはどういうことが必要か、どういうことを具体的にやっていくかという研究・協議はしているわけでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 それから、もう一点。この間、予算委員会で三原防衛庁長官が言われた有事の際の立法問題、これは研究を指示しておると言われたが、どういうふうな内容を指示されているんですか、どういうふうな立法問題を。

伊藤圭一防衛庁防衛局長

○政府委員(伊藤圭一君) これはあのときにも大臣から申し上げましたように、具体的にこういう方向というのは指示がございません。しかし、平時において考えられないようなことがいろいろあるかもしれない、したがって、その有事の際に仮に国会に立法をお願いするような問題はどういうものがあるのかどうか、自衛隊として勉強しておけという内容でございますので、具体的な指示というものはございませんでした。

立木洋日本共産党

○立木洋君 大臣、すでに日米防衛協力小委員会が六回にわたってやられ、それぞれの部会で協議が進んで、その報告についてはもうすでに大臣はお聞きになっているだろうと思いますけれども、アメリカが日本の防衛負担増を強く求める動きというのはますます高まってきておりますし、そういう状態の中で進んでおる現在の日米防衛協力小委員会の研究・協議の内容を、大臣はどのように評価され判断をされておるのか、その点についてお聞きしておきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○国務大臣(鳩山威一郎君) この研究・協議の項目が決められて、これから実体に入る段階であろうと思って、まだ実体面の報告というものは受けておらないのでございます。  ただ、いま会計検査院の報告等、日本の防衛費の負担増を求めることとこの協議との関係は、私は従来は余り関係がないように理解をしておりましたし、アメリカで論じられていることは、これは昔からある議論でありまして、日本にもっと防衛費の負担を求める声というのは昔からあったわけであります。ただ、日本の経済力が非常な勢いで伸びてきたという背景のもとに、また異常な黒字が続いておるという背景があるもんですから、防衛費の負担増を求める声というものがアメリカの一般の国民の中に強まっておるというふうに理解をいたしておりまして、このような防衛協力小委員会というような場で、このような問題が主なテーマとして論ぜられるというようなふうには理解をいたしておらないのでございます。

立木洋日本共産党

○立木洋君 きょうは、もう時間がありませんから、この点について詳しく私の見解を述べるわけにいきませんけれども、しかし、これは現在進行している事態というのはきわめて私はゆゆしき事態だろうと思うんですよ。非常立法の問題についても、三矢作戦が問題になった当時においては、そういうふうなことは公然と国会内で政府としては言えない状態にあった。しかも、こういう事態が進行しながら、その内容についてはほとんど明らかにされない、わからないままに、日米協力、いわゆる共同作戦の体制がどんどんと進行していくし、いわゆる朝鮮半島に対する対応等々の問題でもきわめて危険な事態を感ぜざるを得ないわけですね、沖繩の基地の対応等を見ても。  ですから、私は、この問題については、きょうは時間がありませんからお尋ねすることはできませんけれども、今後の問題としても十分時間をとってお尋ねしたいと思いますから、伊藤さんの方もひとつ準備しておいて、国民に隠すということではなくて明らかにしていく。おたくの方では国民の協力を得るんだと言いながら一方では隠しているんでしょう。協力を得ること自体私は問題があると思っていますけれども、隠しておいたら問題にならないんで、やっぱり正しく真実を国民の前に明らかにして、それが是か非かは国民の判断を受けないと、だめだと思うんですね。国防の基本というのはやはり国民の意思にあるわけですから、その点を最後に述べて、私の質問を終わります。

安孫子藤吉自由民主党・自由国民会議

○委員長(安孫子藤吉君) 本日の調査はこの程度として、これにて散会をいたします。    午後二時十五分散会      —————・—————

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