外務委員会 第2号
- 発言数
- 190 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/10/22
会議録
○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員 会を開会いたします。 まず、委員の異動について御報告をいたします。 昨十月二十一日、立木洋君が委員を辞任され、その補欠として神谷信之助君が選任をされました。 ―――――――――――――
○委員長(安孫子藤吉君) 次に、日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件 及び、日本国と中華人民共和国との間の商標の保護に関する協定の締結について承認を求めるの件 右両件を便宜一括して議題とし、政府から順次趣旨説明を聴取いたします。鳩山外務大臣。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま議題となりました日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、わが国が、漁業水域に関する暫定措置法に基づき本年七月一日より同法に従って定められる漁業水域において漁業に関する管轄権を行使していることにかんがみ、同漁業水域におけるソビエト社会主義共和国連邦の漁業に関する両国間の協定を締結するため、本年六月末以来東京において交渉を行いました結果、本年八月四日に東京において、わが方本大臣及び鈴木農林大臣と先方イシコフ漁業大臣との間でこの協定の署名を行った次第であります。 この協定は、本文八ヵ条及び附属書から成っております。この協定は、わが国の漁業水域におけるソビエト社会主義共和国連邦の漁業の手続及び条件を定めるものであり、具体的には、漁獲割り当て量、操業区域等の決定の方法、許可証の発給及び料金の徴収、わが国の公務員による検査及び取り締まり、違反行為に対する処罰等の事項について定めております。なお、この協定の有効期間は、本年十二月三十一日までであります。 この協定の締結により、わが国は、ソビエト社会主義共和国連邦の漁船がわが国の法令に従いわが国の漁業水域において操業することを認めることとなります。なお、この協定の締結交渉におきましては、政府は、北方領土に関するわが国の基本的立場を貫くとの基本方針で臨みました結果、この協定は漁業水域に関する暫定措置法に従って定められる漁業水域におけるソビエト社会主義共和国連邦の漁業に対して適用されることが明文により確保され、領土問題に関するわが国の立場は明確に貫かれたと考えております。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 次に、日本国と中華人民共和国との間の商標の保護に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 昭和四十八年の日中貿易協定締結交渉の際、わが方より工業所有権の保護に関する条項を同協定中に規定することを提案しましたところ、中国側は、工業所有権全般に関する保護の問題については国内で検討中であるので同協定の中に規定することには同意し得ないが、商標のみの保護についてであれば、別途両国間で取り決めを締結してもよいとの態度を示しました。これを受けまして、昭和四十九年一月より商標保護に関する協定の締結交渉が東京及び北京において行われ、この結果、協定の案文について最終的合意をみるに至り、本年九月二十九日に北京において、わが方在北京佐藤大使と先方李強対外貿易部長との間でこの協定の署名が行われた次第であります。 この協定は、本文二ヵ条から成っており、商標権その他商標登録に関する権利の享有に関する最恵国待遇を定めております。この協定の締結により日中両国民の商標はそれぞれ相手国において正式に保護されることとなり、日中貿易経済関係は一層円滑にとり進められることが期待されます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 以上、二件につき、何とぞ御審議の上速やかに御承認あらんことを希望いたします。 以上でございます。
○委員長(安孫子藤吉君) 以上をもって説明は終わりました。 両件の審査は後日に譲りたいと存じます。 ―――――――――――――
○委員長(安孫子藤吉君) 次に、国際情勢等に関する調査を議題とし、これより質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○秦野章君 最初に、今月の初め、十月の七日ですけれども、陸上自衛隊の将官クラスが北京に訪中団を編成して、そして北京で鄧小平副主席と会談をしたという内容が新聞に報道されているわけです。 この会談の中で、まず第一点は、朝鮮半島の南北問題、これに触れて鄧小平氏は平和的統一問題に言及して、これについては中国は朝鮮民主主義人民共和国を援助するが、口出しはしないと。金日成主席の平和的自主的統一の方針を支持しており、これも将来も変わりがないと。同時に、北朝鮮が好戦的と言われるが、われわれには北朝鮮が戦争をしかけるようには見えないと。その後が、一番よいのは北と南が直接話し合うことであるということを言うているんですね。この鄧小平氏の発言として北と南が直接話し合うことが一番いいことだととこう言っていることは、北と南をやっぱりそこに認めているんだと。認め方にはいろいろありますけれどもね、鄧小平氏の発言としては、これは初めてではないかと思うんですが、どうでしょう。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまの元自衛隊の将官グループの特に三岡氏と鄧小平副首相との会談につきまして、私ども直接報告を聞いておるわけではございません。新聞報道によって承知しておるところでございます。 しかし、この新聞報道に見られておりますように、南と北が直接話し合うことが一番いいんだというような発言は、私は、こういうことが自然の発言として出たのであれば、これは大変結構なことではないかというふうに考えます。ただ、従来述べておりますその段階に、中国が金日成主席の平和的自主統一の方針を支持しており、これは将来も変わりがないというふうに述べておられますし、その中国の正式の方針というものがここではっきり変わったのかどうかという点については、いささか疑問なしとしないわけでございます。そのようなことで、なお今後注意して見守ってまいりたいと思います。
○秦野章君 いま外務大臣忙しいからそこまで確認されてなかったかもしらぬが、私は、外務省には確認しておいてくれと、もう帰ってきているんだからと、こう言ってあるんで、恐らく局長は確認してあると思うんだけれども、鄧小平の発言として南北の話し合いが一番いいんだと言ったことはまず初めてであろう。そしてそのことは、事実上朝鮮半島が分裂して、そこに単に休戦ラインがあるというだけじゃなくて、そこにある種の国境があるということを認めたんではないのかと、こう思うんですよ。局長からひとつ。
○政府委員(中江要介君) いま大臣も申しましたように、秦野先生が考えておられるような意味で鄧小平が言ったとすれば、これは非常に歓迎すべき考え方であると、こう思うんですけれども、先生の御引用になりました発言の中にもありますように、その前段のところで、金日成主席が言っているような自主的統一を支持すると、つまり金日成主席の考えているような意味での自主的な統一となりますと、これは一九七二年の七月四日の南北共同声明の中でも、南北の話し合いということはすでに出ておるわけですが、そのときに絶えず金日成主席の方で言いますのは、その場合の南というのは、いまの朴大統領の政権では話の相手にならないんだと、あの政権の性格が変わらなければ、あるいはまた民主的な政権に――これは金日成主席の方の言い分ですが、民主的な政権になるのであればその南の政権とは話し合いをすると、こういうことを言っておりまして、その点がまさしく私どもが非常に残念に思うところで、もう少し現実的に、南北の話し合いをするなら、いま南にある政権と話をするという現実的な立場に立つべきではないか、また立ってもらいたい、またそういうふうにして南北の話し合いが進むことがこの半島の平和への第一歩になるんじゃないか、こういうふうに思っておるわけです。 そういう観点からいたしますと、今度の鄧小平副総理の発言が直ちに私どもが思っているようなところまでいっているのかどうかという点にはなお疑問がございます。したがって前後を捨象いたしまして、南北の話し合いで決めるのがいいんだと、つまり朝鮮半島の問題は朝鮮半島の人たちの間の話し合いで決めるべきだという点は、これは中国もいままで言ったことはあるんですが、その言い方を南北の直接の話し合いによるのがいいんだというその部分だけを裸で取り上げますと、これはいま先生が言われるようにもとれないわけではないという程度の受けとめ方でございます。
○秦野章君 確かにとれないわけではないと、そこがまあ問題だと思うんです。問題というか、一つの今度の発言の中の注目すべき点だと思うんですよ。これはひとつ訪中団、行ってこられた人によく聞いてもらって、前後の話し合いもあるんですけれども、私は、これからの問題で、要するに平和的統一とそれから平和的共存という二つの言葉がやや政治の理念として混乱をしている感じがするんですよ。 つまり、現に二つに分かれているから、これがまず平和共存でなきゃ困るんですよね。平和でその体制が違っているんだから、その平和共存が緩和して、だんだんやわらかくなって、話し合いができて、まあやがて平和統一ということに理想としてはいくんでしょうけれども、しかし、自民党と共産党と一緒になれといっても、なかなか無理な話ですからね。そういうことで平和共存というものをまず定着させて平和統一ということにいく、平和統一と平和共存を軽々にいいかげんに使うべきではない。これは平和を本当に願うならば、平和統一を焦るというと内乱が起こったりなんかするということにもなりますから、そういう意味で、この鄧小平副主席の発言というものはかなり現実路線が織り込まれているという感じがするんですよ。 そういう意味において私はお尋ねしたんだけれども、この平和共存と平和統一という理念についてどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 私どもも、いま秦野委員のおっしゃったようなことが現実的な問題としては、そのような方法しかないのではないかというふうに考えます。
○秦野章君 それから、いま一つ鄧小平氏の言葉の中で、中国は要するに近代化を進めていかなきゃいかぬと、この近代化は科学、技術、教育、軍事と、この軍事の近代化も場合によったら外国から兵器も買うということも言っているんだけれども、そして今世紀末には世界的水準にまで持っていきたいと、こういうようなことも言っているわけですね。 これは、まあ聞いている方は気軽に聞いていたのかもしらぬけれども、日本はアジア大陸に余りにも接近をしているという地理的条件のもとでこのアジア大陸に幾つかの強国が軍事大国をだんだんつくっていくという方向に対して、われわれはそれに対して軍事大国になるわけにはいかぬのでございますが、しかし、日本の安全保障という立場からするとね、いまさしあたっての問題じゃないけれども、私は、こういう方向というものも、かなり核軍縮とかいろいろ世界のこの軍縮問題が停滞をしている中で、むしろ軍拡が広がっていくという、その中に一つまた今度中国が入ってきたということになるんじゃなかろうか。今世紀末には、ある部分においては世界の水準をしのぐというくらいの意気込みで、まあこれは報道ですけれども、安全保障上の問題として何かこういう事態に対してどういうふうに考えたらいいのか、そこらはどうでしょうな。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 中国が四つの近代化政策を進めておる、その中に軍事力、軍備の近代化ということが大きな政策として入っているわけで、今後、相当力を入れて軍の近代化に努めるだろうと私どもも想像されるところでございます。 これらにつきまして、隣国でございますから、軍備の増強ということは、私どもとしてはこれから軍縮に取り組もうという時点でありますので、私どもとしては好ましい方向ではないと考えておるわけでありますが、中国の国防、たとえば中国の国防費が一体どのくらい使われているのであろうか、そういう点は、なかなかこれだけは私どもまだ資料を入手し得ないでいるところでございます。そういう点で直接コメントはできないと思っております。
○秦野章君 ことしの六月の二十九日の韓国の国会の外務委員会で、核兵器の開発についての政府との討論がありますね。質問に対する外務部長官の答弁では――質問は、要するに韓国では核兵器を開発するのかという質問なんですけれども、それに対して、政府は核拡散防止条約に加入しているので、現在は、核兵器を開発する意思はない。しかし、国家の安保と民族保衛のため必要であれば主権国家として独自の判断が可能であると考えるということを言っているわけです。 これは論理として別に間違いはないんでありますけれども、核防条約に日本も韓国も入っている。しかし、条約に入っているからそれだけでもう全然核兵器の開発はないんだときめつけるわけにはいかない。いまのところは核兵器を開発しないと言っているんですね。それで米国が韓国の地上軍を撤退するということをここ数年にやるんですけれども、韓国という国柄といいますかね、国土戦を体験した韓国という国柄、国民感情から、米地上軍の撤退等をするんならしてもしようがない、そのかわり核武装をするみたいな、何か地上軍の撤退をアメリカがやって、それと引きかえにまごまごすると韓国が核武装をするという可能性があるんではないかという感じもしないではない。 これらの点については、日韓閣僚会議、その他政府もいろいろ韓国と接触があるんだけれども、韓国核武装ということになると、北東アジアに対するいろんな国際的影響がある。軽々にはしないと思いますけれども、そういう国会答弁もやや、現在はしないという、そして国家の保安と民族の保衛のために必要であれば独自の判断が可能である、こういうふうにも答えていますので、この点ひとつちょっと所見を伺っておきたいと思う。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 朴東鎮外務部長官の六月二十九日の発言につきまして、これは文意は非常に抽象的に述べておりますから、必ずしも核武装するというところまではいってないものと思いますが、米地上軍の撤退につきましては、米軍とたびたびの交渉の後に、とりあえずの方向は決められたと思います。その際にも、アメリカといたしまして韓国の防衛に対するコミットは守るということをはっきり申しておるわけでありますので、その陰におきまして韓国が独自の措置をとるというようなことは私どもはとうてい考えられないところでございまして、ただ、米軍が全体として韓国との防衛コミットメントについてこれを破棄するというようなことになった場合におきましては、これは事がどうなろうか、これはそのときの問題であろうと思いますが、朴大統領の発言などから見まして、アメリカの核のかさを外されてしまうというようなことになった場合には独自の核武装とかなんとかいうことを言っておるというようなこともありますし、したがいまして現実の問題としては、やはりそのようなことはとうていないものと私どもは考えております。
○秦野章君 まあ一応ないだろうと私どもも思うんだけれども、米韓関係が非常にぎくしゃくいろいろ問題を起こしていますから、そういうことで韓国特有の国土戦を経てきていま三十八度線を境に対立している中では、全然これ心配がないんではなかろうという感じもするんで、政府としてはやっぱり十分な神経でこれを見守っていかないといけないんじゃないかという感じがするのですがね。 それで北東アジア――韓国、朝鮮半島核武装というようなことになると、どういう影響があるのかな、非常にこれ問題にもなってくると思うんですね、どうですか、これは。
○政府委員(中江要介君) おっしゃいますように、日本の近くに核武装した国が存在するということは、日本の安全保障上ゆゆしい問題であるということは私どももそう思います。しかしながら、韓国に関する限り、いま外務大臣も申されましたように、外務部長官も、それから他方ことしの一月でしたか、朴大統領も、韓国は核武装をしないということをはっきり言っております。これは当然のことだろうと思うんです。核拡散防止条約の締約国になりました韓国が簡単に条約を無視し、これを破る国であるというふうには私ども思わないわけです。 しかしながら、この条約自身にも予見しておりますように、本当に究極の立場に追い詰められたときにどうするかという問題は、これはそれぞれの国の問題でございますけれども、日本として努力すべきことはそういうことにならないようにすることということでありますので、朝鮮半島の情勢がいまよりも緊張が激化することのないように、むしろ緩和の方向に向かって、先ほど言われましたように、まず平和的に共存するような状態に持っていく。そういうことについて他の関係諸国とともに協力していく。そういうことで最も憂慮されるような事態の出現をあらかじめ封じていく、その辺に努力を傾注すべきものかと、こういうふうに私は思っております。
○秦野章君 次に、経済協力の問題でちょっとお尋ねしたいんだけれども、ことしあたり――来年かな、南北問題に当たるような小さな国、独立をしていくところがありますね。ことしから来年あたりどんなところが、アジア、大洋州あるいはアフリカでもいいけれども、どういうところがありますか。
○政府委員(菊地清明君) 最近に予見されます独立は、ソロモン群島でございます。これが一番最近でございまして、そのほか二、三年前に、独立ではございませんけれども、ある程度の自治権の拡大というものがあったのはギルバート諸島とかエリスアイランドとか、そういうところでございます。
○秦野章君 いずれにしても、言うならば低開発国あるいはそういう範疇まで入らないようなところもあるように思われるのですね。当然、これ日本は経済協力の問題が登場してくると思うんだけれども、そういうまだレベルの低い国に経済協力をする場合に、日本の経済協力の原則は、言うならばひもつきが原則と、まあ一言で言えば。アンタイドの協力というのは、いままで何か具体的にはどういうところがありましたか。
○政府委員(菊地清明君) 御説のとおり、現実に、日本の援助は、国際金融機関――世界銀行とかアジア開発銀行、あれに対する拠出はこれは完全にアンタイしておりますけれども、それ以外は原則としてひもつきといいますか、タイド、つまり日本の援助では日本の物資及び役務を買い付けるように求めているということでございます。ただ、一九七五年から、円借款につきましても、たとえばAという発展途上国に円借款を出します場合に、Bという同じ発展途上国からは買い付けてよろしいということにしてございます。つまり、われわれこれをLDCアンタイと称しておりますが、同じ発展途上国同士なら、そこから日本の援助でもって物資及び役務を調達して差し支えない。で現実には、円借款で申しますと、約一割程度が日本以外の国で調達されている。たとえば韓国とか香港とか、それからインド、そういうところで調達されているということでございます。ただ一つ、非常に例外的に、タイに対しましてはゼネラルアンタイと称しまして、どこからでも買ってよろしいということになっております。 それから無償援助と技術援助とございますが、これは原則としてひもつきということになっております。
○秦野章君 タイだけがゼネラルアンタイ一件あるというのは、どういう意味ですか。
○政府委員(菊地清明君) これはちょっと歴史的な経緯がございまして、一九七五年か四年だと思いますけれども、例の日本とタイの間に貿易合同委員会がございまして、そこで日本側が非常な出超になっているということを大いに責め立てられまして、それからちょうどそのころOECDのDACにおきましてアンタイイングの動きが非常に活発にございましたので、それやこれやを勘案いたしまして、その時期においてタイにゼネラルアンタイをしたというのは、若干この例外でございますけれども、歴史的な経緯からそうなっております。
○秦野章君 それで、外務省の姿勢というか考え方でちょっとお聞きもしたいし、また要望もしたいんだけれども、タイ国にやった、歴史的な経過でそういうふうになったとおっしゃる、それはまあそれでいいんだけれども、ほかの国でも、小さいところなんかでは、特にやっぱり日本の物等を買えば融資するんだみたいな、何でも物とひっつけてやるというよりも、向こうの自主性といいますかね、まあ小さいところが独立するにはいろんな因縁がいろんな国とあるだろうと思うんですね。だから日本もひとつ融資するにはそういう自主性を持たして、そうしてできるだけ長い目で見て、日本は押し売りをしたんじゃなくて心から援助をしてくれたという、そういう印象を持たせることが非常に大事だと思うんですよ、同じお金を出すんなら。 それで経済優先でいくと、金を援助するが物はこっちの物だというやり方だと、どうしても押し売り的傾向も出てくるだろうし、向こうの自主性も害されるということもあるだろうと思う。それから、いろんな施設をやるときに、自主的にいろんなことをやりたい、病院もつくりたい、道路もつくりたい、いろいろとあるだろうと思うんですけれども、そういうできるだけ自主性にゆだねるという考え方でいくならば、いま少しタイ国だけというようなことじゃなくて、ほかの国々にもこの方向を打ち出して、特に小さいところは、何といいますか、太いものには巻かれろみたいなことにならぬように、親切な経済援助を小さいところには特に気をつけてやるべきだと、こう思うんですが、これについての見解はいかがですか。
○政府委員(菊地清明君) 確かにそういう面がございますわけですが、まず、この新しい新興独立国で、しかも規模的に小さい国に対してどういう援助のやり方をするかということについて申し上げますと、大体、太平洋地区に規模の小さい国がございますけれども、こういうものに対する経済協力は、私たちとしてはまず技術協力から始めたいと思っております。で技術協力でこちらからたとえば漁業の専門家なりいろいろな鉱業の専門家を送りまして、その国の鉱業の発展の指導をする、それからもっと基本的には、その国の経済発展の計画全体をお手伝いできるようなエコノミストといいますか、プランナーといいますか、そういう人を第一にわが方の経費で派遣してお手伝いしたいということが第一。 それから第二は、できれば無償援助、いわゆる円借款ではなくて無償援助、規模は恐らく小さくなると思いますけれども、無償援助から始めたいというのが私たちの新興の独立国に対する経済協力のやり方でございます。 それから次に、被援助国の自主性を尊重すべしということは全く私たちの方の考え方でございまして、私たちの言葉で言わしていただきますと、相手国のニーズに第一の優先順位を置く、優先度はあくまでも相手国の優先順位に基づく。それから、いろいろなプロジェクト、これもやりたい、あれもやりたいということがあるわけですが、その場合も優先度は被援助国の方でつけてもらう、それに対して日本側が金融をするということになっております。したがいまして、その面から言えば、円借款の場合にLDCアシタイにとどまっている、全面的なアンタイまでいってないということは確かに御指摘のような点があると思います。 ただ、ちょっと技術的になるかもしれませんが、具体的な例としては、パブア・ニューギニアから近く来週にも日本に対する経済協力を要請するミッションが参るわけでございますけれども、この場合も、恐らく日本の援助は、ある基金、開発基金というものに振り込んでもらってどっからでも買えるようにしてもらいたいという要望がくるやに伺っております。これはもちろんそういった国としては当然の要望だと思いますが、同時に、昔植民地であった国に対してそういったアンタイドの援助をいたしますと、どうも全部旧植民地国から買い付けるというようなことになる可能性がございます。たとえばパブア・ニューギニアの場合ですと、日本でアンタイドで出しますと、それが旧宗主国である豪州から買い付ける、それからソロモン群島の場合ですと、従来の取引関係その他からやっぱり旧宗主国から買い付けるようになるということがあると思いますので、その点は必ずしも私たちの希望とは合わないと思いますので、その点は話し合いによりまして、相手国の自主性、希望というものをあくまでも尊重する原則でございますけれども、それが別の、まあ乱用と言っちゃ言い過ぎかもしれませんが、そういうふうにならないように検討していきたいと考えております。
○秦野章君 いまのお話で、旧宗主国からみんな買っちゃうと、金を貸しても。だから全部ひもつきになるんだという議論ですか。
○政府委員(菊地清明君) まあそういうおそれと言っちゃいけませんかもしれませんが、そういう可能性もありますので、これは全部いってよろしいかということは、やはり慎重を期する必要があると思います。
○秦野章君 あのね、慎重を期しているとやっぱりできないんだよ。最初はやっぱり肝を太く、そういうとこはどうせ大きな金じゃないだろうから、できるだけ自主性を尊重してやって、旧宗主国にある程度いっても、まあだんだんくればいいというぐらいな気持ちでいかないと、これいつまでたったってアンタイにはなりませんよ、いまの経済協力のそういう姿勢では。私はもう少し大きな気持ちになった方がいいと思う。それから。話し合いをやってだんだんある程度日本の物ということになればいいんだけれども、原則論でもってそういうふうな考えでいくと、これいつまでたったってできないんですよ。どうかね、いま一遍そこらの点はあんたはっきりしてくれよ。
○政府委員(菊地清明君) これは相手の自主性を尊重するということが原則でございまして、相手が日本からやっぱり買いたいということもこれは大いにあるわけでございますので、日本から援助をもらった場合に日本から買い付けたいと、日本の品物は安くて良質であるということは知れ渡っていますので、そういうものまで排除するような形はいけないと思います。それから金額がどうかるか。 それからもう一つは、アンタイイングというものは、国際的にやらないと効果がないというふうにわれわれ考えておりますので、あるいは日本だけ率先アンタイイング、全面アンタイに踏み切ればよいではないかという御説もあり得ると思いますけれども、いまの私たちの姿勢といたしましては、たまたまDACで総合アンタイイングということについて目下交渉中でございます。そういった国際的な動きも見ながらこの問題を解決していきたい。しかし、外務省といたしましては、アンタイイングの原則には賛成であるという立場でございます。
○秦野章君 全面的にアイタイに踏み切れという御説があるというが、そんな御説に私は賛成しないんだ、もちろん。そんなことを言っているんじゃないんだよ。何だか役人答弁でおもしろくないな、これ。そんなことを言っているんじゃないんだよ。いまアンタイでタイしかなかったというから、そんなことではいけないと、もっと広げるべきだと、こう言っているんだよ。何でそんな理屈ばかり言うんだ。日本の品物が安くていいからそれも排斥しないとかなんとか、何言ってんだかさっぱりわからぬぜ、それは。どうだね。
○政府委員(菊地清明君) アンタイイングによって相手国の自主性を尊重すべきであるということはそのとおりでございます。
○秦野章君 次に、留学生の問題で、国会でもしばしばいままで議論になっていましたが、これは外務省の場合は国際学生会館ですか、あれの発端でいろいろいままで議論が出ていましたけれども、これは、外務大臣、前にちょっと申し上げたが、やっぱりわれわれ見ておって、外務省と文部省と両方で持っている。学生会館は外務省だと、それで留学生一般は文部省だということでやっていると、それはうまいこといかぬのですよ。学生会館の理事長が外務官僚で専務理事が労働省出身だなんていうのじゃね。やっぱりアジアの留学生がせっかく日本に来ているんなら、これはりっぱに仕立てていくという一つの教育環境の中でやってあげなきゃならないというふうに思うんですよ。 そういう意味において、留学生対策、アジアの留学生の問題については行政を一元化すべきであるというふうに私は思うんですけれども、これはいろいろ検討してもらっていると思うんだけれども、その後どうなっていますか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまの国際学友会の問題でございますけれども、これを留学生として特に教育効果が大事なんだということから文部省の方でめんどうを見てもらいたい、その方がいいではないかということにつきまして、私も全く同感で、その線に沿いまして進めておるわけでございます。 現在のところ、なぜ、じゃ直ちに移管しないのか、こういうことになりますと、ことしの外務省の所管で予算を計上してあるとか、この工事が来年までに延びるとかいろいろあるものでございますから、直ちに実行ができないということでありまして、方針といたしまして、もうおっしゃるとおりの方向に向かって努力中でございます。 なお、事務当局から補足させます。
○説明員(大鷹正君) いま大臣が申されましたように、われわれといたしましても、留学生の受け入れ、教育等の行政は一元化すべきであるという見地から、学友会の所管もなるべく早く文部省に移した方がいいという考えでございまして、この点につきまして文部省とも話をいたしまして、文部省からも原則として結構であるという御返事をいただいております。そこで、現在、どういう時期にどういう形で所管を移すかということについて文部省と協議中というところでございます。
○秦野章君 結構なんだけれども、五十三年度の概算要求はもう外務省がしているわけだな。それで五十三年度過ぎてなのか、大体のめどは、いつごろからその所管の統一というか、切りかえをやるのかね。
○説明員(大鷹正君) その時期につきましては、いま申し上げましたように、文部省と協議中でございますけれども、来年の七月の末には新しい会館も寮も日本語学校の建物もできますので、その点も踏まえまして、なるべく早くということで、五十三年度中という可能性も含めまして、なるべく早く所管を移すという方向でわれわれとしては考えております。
○秦野章君 時間が来ましたから、一言だけ最後に。 文部省のユネスコ部長かな、これはいま相談しているというから、それはいいんだけれども、前向きでね、あんたの方に移るわけだけれども、いまの学生会館はいろいろ批判もあって、そして土地を売って建てかえるというようなことをやっているのだけれども、やっぱり貧弱なんだよね、投資が。ASEAN諸国に、この前、総理、外務大臣が行かれて非常に成果を上げたと思うんですよ。お金を大分出す、これも結構なことだと思う。ところが、アジアの留学生が日本に来て、それが反日感情を持って帰るというような現状の中の一つの原因には、やっぱり日本の政府のちょっと手の及ばない、そしてしかもそれが投資がちょっと鈍い、会館の数も少ないというようなこともあると思うんで、これはまあまた機会を改めますけれども、文部省として外務省からどの現状で引き継ぐか知らぬが、いずれにしても、もう少し大きな日本のアジア政策の大きな一つの柱だと、若い者が勉強するんですから、そして未来は若者の手にあるんですから、いまの大人のASEAN諸国を大事にすると同時に、友好を十分やっていくと同時に、日本に留学にせっかく来た若い人たちの問題について、もっと政府はやっぱりしっかりした取り組みと力をそこにしむけないといけないんじゃないかということを要望して、私の質問を時間が来たので終わります。
○戸叶武君 まず、一九二九年の世界経済恐慌よりも深刻と思われるこのスタグフレーション時代のあらしの中に突入した際に、鳩山外務大臣が外務大臣の重任を果たさねばならないということは、その御苦労のほどに敬意を表します。 しかし、ここで、私は、鳩山さんに、質問の中から最終的に集約しますけれども、いまの外交というものは非常に重要であるということはあなたも認識と思いますが、ことしの一月元旦に福田総理大臣とお目にかかったときに、福田さんはことしは経済の年だと断定しているが、経済とともに外交を重視しなければならない年だという認識の上に立って経済及び外交の問題と取っ組んでもらいたいと私は注文を出しておきました。いままでのような外務省が経済外交というような形で、外交の一部分として経済と取り組むというような形じゃなくて、経済政策と外交政策が一体となって対処しなければグローバルな時代における外交の展開というものはできないのでありまして、福田さんも、あなたも大蔵官僚のベテランであって、外務省の方へ乗り込んでいる次第でありまして、いろいろな経験があると思いますが、外交における見識というものは、大蔵省の出店でなくて、外交というものが一国の運命をリードしていくという見識が躍動しなければ、外交などというものは、ガバメントにおける一つの外交技術の機能を発揮するというようなことでは本当の外交にはならぬと思いますが、しかとこのことを福田さんとあなたに改めてその見解を承りたいと思いまして待っていたのですが、きょうはいい機会です、ひとつそのことを表明してください。
○国務大臣(鳩山威一郎君) まさにいま戸叶先生おっしゃいましたとおりで、これは日本の経済を考えるためにも世界全体を考えなければならない時代である。したがいまして福田総理もことしは経済の年だとおっしゃいましたその意味の中におきましても、国際的な経済が考えられていることは確かだと私も思います。そういう意味で外交が国の命運をしょう大変大事な役目であることは当然でありますが、経済政策も世界の経済に対しまして日本が正しい道をとっていく、こういうことが何よりしま大事なときであるということを痛感する次第で、いま戸叶先生がおっしゃった、全くそのとおりの気持ちでおるわけであります。
○戸叶武君 いま景気回復策に福田さんが専念しておりながらも、それほど成果が上がっていないのは、いままでの大蔵官僚の通念として、財政、金融、税制政策を中心として公共投資なり、あるいは公定歩合の引き下げなり、利子の引き下げというような操作をするならば景気は幾らでも自分の手によって変えられると思うような旧式な考えをこっぱみじんに現実が打ち破っているのであります。日本だけのスケールでなく、グローバルな時代に、国際的な経済外交の流れを敏感にキャッチして、それに対応していかなければ一国の景気回復策も成功をおさめないということを如実に突きつけられて教えられているんじゃないかと思います。 この一つの外交の質的転換に直面して、世界からテストされているのは、ハイジャック問題に対する日本とドイツの取り組みの姿勢の相違であります。西ドイツには西ドイツの伝統と経緯からのやり方と、現実における日本が取り組んだハイジャックの体制と、日本憲法とドイツ憲法とは違う点もあります。しかしながら、積極的に国際連帯の上に立って共同の責任で問題と取り組んでいこうという政治姿勢と、人間の生命はとうといけれども、君子危うきに近寄らずという形のへっぴり腰の体制とは、おのずからそこに政治がある国と政治がない国との差異を明らかに示しているのであります。いまハイジャック問題に対する対処の仕方は西ドイツがいいとか、日本が悪かったとかと言って私は断定するのじゃありません。しかし、人間の生命のとうとさを尊重しても、やはり一国の国民の利益を擁護するというだけでなくて、世界の平和共存に寄与するという積極的な姿勢が示されなければ、それが憲法が邪魔になっているのだとか、日本が軍備がないからとか、あるいは海外派兵の突破論になるような誤解をされては困るからというようないろんな面の検討もあるでしょうけれども、問題は政治に対する取り組み方の姿勢がなってないんです。福田内閣は腰抜け外交をやっているというふうに一般に印象づけていると思いますが、その一半の責任は鳩山さんも気の毒だが担わなければならないと思いますけれども、あなたはどういう形においてこれに対する弁解をされるつもりですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 日航機のハイジャックに続きましてルフトハンザ機のハイジャック事件が起こりました。この日航機の事件があのようないわばハイジャッカーの方から言えば成功をおさめたわけである。これが西ドイツの場合に再びハイジャッカーの成功につながった場合には、これは世界に対します大変な脅威になるということは確かでありまして、西ドイツ政府といたしましてもこの問題につきまして大変な努力をされてハイジャック事件につきましては成功をおさめられたのは大変よかったと思っておるわけであります。シュライヤー氏が殺害されたことは大変お気の毒には思うわけでありますが、これもいたし方がなかったことであろうと思います。 ルフトハンザ機の事件に対しまして西独政府があのような決意を持って断固たる措置をとられたこと、いま私どもがそれにつきまして何か申しますと、日本は腰抜けであったではないかというような御批判が返ってくるわけでありますが、西ドイツ・ルフトハンザ機に対します対処の仕方にしましても、西ドイツ政府は人命をいかに救出さして、そして犯人を制圧できるかということに心血を注がれたことと思います。決して人命を軽視して対処をされたわけではないと思っておるわけでありまして、これらにつきましては、やはり今後、人命を救助できて違法なハイジャッカーを制圧できることがこれは何より望ましいことであることは疑いを入れないところである。今後の日本政府といたしましても、西独の対処の仕方というものは大変参考にすべきものである、こう考えております。 なお、いろんな経緯があって今回のような対処の仕方をせざるを得なかった日本の場合でありますが、そのような対処の仕方をせざるを得なかったこと、大変私どもとしては残念に思っておるわけでありまして、まあその責任の一半はおまえにもあるじゃないかと言われれば当然のことで、責任は痛感をいたしておる次第であります。
○戸叶武君 鳩山さんは非常に素直で謙虚な人ですからこれ以上追い詰めることはできませんが、しかし、もう少し私は現実的な対処の仕方で、鳩山さんは、二十日夜の記者会見で、現在開会中の第三十二回国連総会でハイジャック防止のための具体案を国連決議として実現するために、西ドイツなど約十ヵ国と非公式な形で決議文作成の協議に入ったことを明らかにしましたが、問題は、この種の決議は一九七二年の秋の第二十七回総会でもワルトハイム国連事務総長提案として安保理事会に提案されたことがあります。わが国は、今回は、ワルトハイム国連事務総長の要請を受けて、国際間航空機の安全問題を緊急に総会の議題に追加し、ハイジャック防止の国際的合意、協力体制づくりを提案しようとしているものと思われます。 その内容は、この前と同じような大体内容と思いますが、一の、各国が再発防止のために必要な情報交換などを通じて協力する。二の、国際民間航空機構が防止手段を具体的に検討する。三の、すべての国が三つのハイジャック防止法に加盟する。この三点を柱としたねらいは理解できますが、いままで東京条約には約八十五ヵ国、ハーグ条約には八十七ヵ国、モントリオール条約には七十ヵ国が承認して参加しておるのでありますが、これを見てもわかるように、国連加盟国百四十九ヵ国の半数程度しか加盟していないのです。これでは成果をおさめられないと思いますが、その提案の動機はよいけれども、見通しをどのように見ておりますか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) いま先生ハーグ条約は八十七ヵ国とおっしゃいましたが、七十八ヵ国と考えますが。
○戸叶武君 あ、そうですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) この未加入の国の中には中東諸国が非常に多いということも事実でありまして、これらの国々がハイジャッカーと申しますか、あるいは日本赤軍と申した方がいいのかもしれませんが、そのようなテロリストに対しましてある意味で同情的な気分があるということがあると思います。これらの点につきまして、国際的な世論というものがハイジャックというものを本当になくそうと、こういう方向にいま進みつつあるやに考えるのでございまして、そういう意味で、その思想的なバックというようなことでなしにこの条約に入ってもらうことが何より必要なことであろうと思う次第でありまして、したがいまして、ただいまのところ、この見通しといいましても確固とした見通しを持っているわけではありませんが、中東和平、その中でもパレスチナ人の国連憲章におきます権利というものを認めた、そういう線によります中東和平というものができます場合には、大変情勢も変わってくるのではないか、このように期待をいたしておりまして、いま直ちに見通しを申し上げることはできないのでございます。
○戸叶武君 そうすると、外務大臣のお話を承っていると、国際的世論の支持を求めているというので、きわめて啓蒙的な提案のような感じでありますが、問題は、緊急を要する事態を背景にしての提案としてはもっといわゆる未加入の中には、あんたが言っているように、中東諸国がある。アラブ急進派諸国、特にアルジェリアや南イエメンなどの民族闘争を抑圧するという見解の上に立って抵抗している人たちに対して、このハイジャック問題に対する説得が可能かどうかということがこの提案の中に流れていなければ、現実、夢を、気持ちを語っていたんじゃだめで、この提案の成果を上げるという点においてはそのことがきわめて重要と思いますが、そういう根回しはできているんでしょうか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) その点につきまして、わが国といたしましては、中東諸国と歩調を合わせて中東問題の解決にも努力をするという姿勢をとっているわけでありまして、中東諸国に対しまして、このハイジャック防止という点につきましては、わが国といたしまして当然説得に努力をするという所存でございます。
○戸叶武君 新聞等の伝えるところによると、国連に加盟している国々の間のささやきとして、日本はまず自国でやるべきことをやった上で他に呼びかくべきであるが、日本ではこのハイジャック問題に対してははなはだ緩ふん的であって、それを弁解するための国内からの批判をかわすための国内向けのゼスチュアじゃないかなどとまで疑われているというのは、やはり日本の政府の政治姿勢の中にそういうふうな疑われてもよいような面があることを私は物語っているものじゃないかと思いますが、日本でやらなければならない問題、それはいまどういうふうに考えて関係各省と打ち合わせを行っていますか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 今後のハイジャックの防止対策につきましては、御承知のようにハイジャック対策本部をつくって、また、この国会にも法案をお願いをしておるわけでございます。 国際的な協議の場におきまして、日本が相当な批判を受けることは私どもは覚悟をしております。しかし、批判を受けるからといって何もしないというわけにはまいらない。日本としてはそれだけよけい責任を痛感をいたしまして、国際的な部門で仮に後ろ指を指す者がある、批判をする者がある、いましても、なおわが国の立場としては一層熱心にハイジャックの再発防止にあらゆる努力をするということが必要であろうと考えております。
○戸叶武君 その決意は結構ですが、問題はきわめて現実的な問題ですから、二十三日ごろまでに決議案をまとめて国連総会に提出することが可能かどうか、そのことを外務大臣にお聞きします。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいま御指摘の点につきましては、いま国連の場におきましてまさに議論の最中と承っております。聞くところによりますと、パイロット協会のストライキの宣告を受けて国連が決議をするというようなことはおかしいというような意見も出ておると聞いておりまして、なお、目下、論議のさなかであると、したがいまして、ちょっと二十三日までというのは、見通しは目下のところ立っておらないと承っております。
○戸叶武君 いまパイロット協会のストライキの影響を受けて対処するのはおかしい話だというようなことがあるが、外務大臣は、日本の、日本航空なり何なりのパイロットの人々の生の意見を聞いておりますか。 聞くところによると、日本航空ではパイロットに一種の箝口令みたいなものをしいているという説すらありますが、航空機においてはパイロットは絶対権を握っているのであります。現にドイツにおいても殺されているじゃありませんか。こういう人命を預かる最高の責任者であるパイロットの人々の生の意見を聞かなけりゃ政治の中に何も動きがとれなくなるじゃないですか。そういう各国における硬直した出先官僚などの見解よりも、ストライキがいい悪いかの問題よりも、ぎりぎりのところへ来ているんですから、とりあえず日本政府としてはパイロットの人々から少なくとも外務大臣あたりは率直な意見を聞く機会を持たなけりゃいかぬと思いますが、鳩山さんのことだから、素直だから即刻それをやりますか、やらなくちゃ政治は生きていませんよ。
○国務大臣(鳩山威一郎君) パイロットの意見を聞けというお話でございまして、これはまことにごもっともで、即刻、聞きたいと思います。
○戸叶武君 二十日、ボンで、フランスのバール首相は、シュミット西ドイツ首相と会見した後に、確固たる態度で民主主義を守るには何よりもこのハイジャックをなくさせることが必要であるという協力の見解を述べておりますが、日本には日本の立場があるにしても、西ドイツとフランスの首相がこういう見解を述べている。日本にコマンドのような部隊の編成は不可能と思うが、また海外派兵を導くような武装部隊を海外に派遣するというようなことも軽率にはできないと思いますが、いま福田さんなり、あなたたちは、基本的にこの西ドイツなりフランスの両国首相の見解が具体的に出ているときに、どういう形において国際的連帯の責任を果たそうとしているか、その心構えを承りたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 西ドイツ、またフランスのバール首相との話し合いもありましたように、日本といたしましても、全面的に協力をして努力をいたしたいと思います。
○戸叶武君 次に、日中平和友好条約の決断について鳩山外務大臣に承ります。 鳩山さんは、二十日に開催された自民党内のタカ派の集まり、アジア問題研究会の総会に招かれ、「今回のA研の活動再開に期待する」とあいさつしたと新聞は報じております。内容は明らかにされておりませんが、差し支えなければ、いかなる内容でごあいさつされたか、それを簡単に承りたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 当日、自民党のアジア問題研究会が五年ぶりに開かれるということでありまして、せっかく集まるのでぜひ話を聞きたいということで参上いたしました。ところが、九時からハイジャック関係の会議がありましたので、ほとんど時間がなくなりまして、内容のあるお話は次回にということであったわけであります。 私どもといたしまして、これから与党の自民党として、この日中問題、アジア全体の平和を考える上で日中平和友好条約にいかに対処をするかということにつきまして、これは大きな関心を持たれておる大きなグループがあるわけでありますので、このアジア問題研究会の皆様に現実の情勢をよく御理解を願いたいという趣旨で参上した次第でございまして、内容のあるお話をする時間はございませんでした。
○戸叶武君 鳩山さんが火中の栗を拾ってもよろしいという前向きな姿勢でどこにでも出かけていくという態度には、鳩山さんは慎重過ぎる人だが、なかなかいいところがあるなと思いますが、問題は、今後におけるあなたのデリケートな段階における言動です。 われわれは超党派で日中友好関係の議員連盟をつくっております。そこでは、二十日の日に、一、日中平和友好条約締結の促進決議案の成立、二に、日韓大陸だな協定国内関連法案の慎重な取り扱い、この二点を申し合わせしました。ある党の人たちはこれを誤解しておりますが、各党にはそれぞれの立場があるので、強制したのではないのです。そういう心構えをしていかなければ日中平和友好条約というものは締結されないのです。何か霧の中を歩んでいるような、もう少しもう少し、鳩山さんはそうじゃないが、福田さんはもう少しもう少しと言っているが、どこまで行っても霧の中をふわふわと歩いているようじゃ、もういいかげんにしろと言って国民の側から声が上がってくると思うのであります。やはりものにはタイミングがあります。外交においては見識と決断というものがきわめて重要であります。鳩山さんが言われましたように、日中問題は日中だけでなく、アジア全体の問題を配慮してやっているんだと。そのとおりであります。私たちは、日本なくしてアジアの進歩なく、中国を除いてアジア問題の解決はないという信念のもとに、悲願を込めて年少の時代からこの問題と取り組んでおるのであります。 そこで、鳩山さんは、今度は、その日に、やはりタカ派に対抗して、ハト派の自民党内の日中平和友好条約促進協議会というのも二百人ぐらいを結集して出発するということですが、タカ派の会にも気軽に出たのですから、今度は、ハト派の会にも気軽に出て、そこでやはりみんなの意見も聞き、自分の信念も吐露するというのには――人の意見も聞くのはいいが、一国の総理大臣なり外務大臣が、国の運命を決定づけるような外交問題の中枢にある者が自分のはっきりとした見識を持たずして、主体性が確立されていないで、そうしていろんなところに行って八方美人を振りまくのでは、これはますます情けないナンセンスな総理大臣なり外務大臣だということになるかもしれないので、それをおそれて、私は、いま鳩山さんにお尋ねします。 福田首相のことですからあなたのことじゃありませんけれども、やはり表裏一体をなしておるのですからあなたに聞きます。 去る十月七日の夕刻、衆議院本会議が終わった後、日中平和友好条約締結について新聞記者との会見で、新聞記者の人たちが年内に浮上することがあり得るかとの質問に対し、相手の言うようにすれば条約締結は一秒間で済むが、文章をどう作成するかなかなかむずかしいと語っていると思います。デリケートな段階に非常に慎重な福田さんとしては、わりあいに素直な、新聞記者には国会議員と違って、あんまり警戒をしないせいか、素直に心境を述べていると思いますが、このごろ答弁がうまくなって福田さんはつかみどころがない、ドジョウかウナギみたいな体質に変わっておりますが、そこで福田さんの言うところの、衆議院の河野洋平君の質問に対しても、もう少し政府の動きを見守っていただきたいと言って可能性あるかのごとき答弁をしておりますが、問題は、覇権主義の取り扱い、あるいはソ連に対する遠慮あるいは党内のまとまりが悪くて党内戦争が始まったらやはりこの福田内閣は吹っ飛んでしまう危険性がある。前に三木内閣も吹っ飛んでしまったから、あの轍を踏むまいという配慮もあると思いますが、もろもろのことはあると思います。あるにしても外交権は内閣にあるのです、政府が持っているのです。 国民の運命に関することであって、日本の国は、内閣よりも、国会が国の機関としては最高の機関です。主権者は人民であり、人民の意向というものが大体定まり、国会の圧倒的な多数が日中平和友好条約を即時に締結せよという、この声が高まっているときに、党内の動きに揺さぶられ、あるいはソ連の恫喝に――ソ連にはソ連の立場がある、それは当然のことである。いい悪いは別問題だ。それに腰砕け、動きがとれないようなことでは、日本の運命を決する外交上のことを福田内閣なり鳩山外相に任せることはできないという、この国会内において福田内閣との対決の姿勢もおのずから私は出てくるんじゃないかと思います。 話し合いというものが外交の中においては重要でありますが、もっと率直な態度で福田さんにしても、あなたにしても日中問題を煮詰めていくという態度がなければ、福田内閣は自滅する危険性があるので、自滅しない前に一言注意をしておくことがやはり親切心だと思うので、あえてあなたにそのことに関しての見解を承りたい。やはり時が大切、いつやるのか、もう少し待ってくれ、もう少し待ってくれ、これでは国民も国会もしびれを切らし、党内においても私は噴火山上に今度はさらされると思うんですが、国民監視の中にある、世界の監視の中にある日中問題の解決のかなめの役割りをしている福田さんなりあなたが、へそがどこにあるかぐらいははっきり述べられなければ存在の意義はないと思いますけれども、その点を、言いづらいことだろうから、言えないことは言えない、言うことは言う、わかっていることはわかる、わからぬことはわからぬと、はっきり述べてもらいたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 日中平和友好条約の締結の問題につきまして、これは最大の私どもの課題であるとこう考えて、就任以来、取り組んでおるわけでございます。 ただ、はなはだ、どういう点が問題で、どういう交渉状況になっているかというような点につきまして申し上げることができないのは申しわけないと思っておりますが、先般、ニューヨークにおきまして黄華外務部長と一晩会談をいたしたわけでありまして、そのときにも、とにかく平和友好条約が五周年のきょうまでできなかったことは大変残念だと、平和友好条約ができて、そしてここでお互いに五周年を喜び合うことができれば大変よかったと率直に話し合いをしたわけであります。そしてなるべく早く平和友好条約をつくり上げようということで別れた次第でありまして、今後とも、これは――ただ、いつじゃこの条約の詰めに入るのかという、その点につきまして、いつということははっきりいまここで申し上げられないわけでございますが、その方向に努力をしておるということだけは信じていただきたいと思います。
○戸叶武君 鳩山さんは非常に正直な方だから、私はだまされても、だますつもりでだましたんじゃないという信念の上に立っているんでしょうから、その話をそのまま警戒せずに聞きますが、鳩山さんの心境によると、平和友好条約を締結して、その上で五周年の祝賀をしたかったと、それは私は率直な気持ちのとおりだと思います。 私は、一九六〇年に、安保条約改定阻止国民会議の訪中代表団長として北京に行きまして、毛沢東、周恩来、廖承志君らとともに胸襟を開いて語ってきました。あのときに浅沼が殺されましたが、まさか十七年間たってもこの日中平和友好条約が結ばれないなどということは考えておりませんでした。日本のたとえ話に桃、栗三年柿八年、ユズのばか実が十七年とか十八年とかという話がありますが、十七年も十八年も立ち往生しているのはやはり世界の政治の中において奇跡的な一つの記録だと思います。その点においては、まあがまん強いというか、福田さんなんかもだんだん干物になっちゃうんじゃないかと思って、私はみずみずしさがなくなった福田さんに哀れを感ずるんですけど、あなたは少しまだみずみずしいようですから、ひとつそれはあの五周年の祝賀前に決めたかったというときからはかっても、もう時はタイムリミットになってくるんです。大体、時を無視して歴史を刻もうなどというのはおつむがどうかしているのであって、やっぱり福田さんとあなたがもっと二人だけでも話し合って、そしてあなたの国連の場において中国の代表と語り合ったような気持ちで、率直にこの問題に対して私は対処してもらうことをお願いします。もう鳩山さんは口がかたいから、これ以上言ったって無理かと思いますが。
○阿具根登君 関連して、ちょっといまの日中問題につきまして、総理も外務大臣も、日中両国政府の満足のいく線でやりたいと、こういうことを終始答弁になっているわけです。そうすると、不満足の点はどこにあるのか、それは一つも言っておらない。どこが日本は不満足だからできないのか、日中共同声明を一体どうお考えになっておるのか、その点をひとつはっきりしていただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) その満足できるという趣旨は、私は二つの意味があると思います。 一つは、これはやはり日本国民の本当のコンセンサスの上にこの日中平和友好条約が築かれる必要があるということでございます。そのコンセンサスを得るために、もうこれは国会におきましては御決議をいただいておるわけでありますから、国会におきまして、もうその点は問題ないと思うのでございますけれども、やはりこの平和条約を結ぶに当たりまして、国民がすべてこぞって祝福できるような内容のものでありたいということが一つと思います。 それから内容につきまして、わが方で準備をしておるものと先方で準備をしておるものというものがお互いにあるわけでありますけれども、この内容の条文の詰めというものが残っておるわけでございまして、その点につきまして、どこの点がどういうふうに突き合わせができるかという点につきましては、これはもう最終段階にならないと明らかにできないことでございまして、したがいまして、その二つの点からやはり本当に両方でよかったと、こういうものをという趣旨で総理も申し、私どももそう考えておるところでございます。
○阿具根登君 で、政府の考え方がそれではどうであるかということがわからないと、国民とのコンセンサスとおっしゃっても、国民は何も知らないんですね。それなら、その詰めをどこかで交渉されておるのかどうか、どこかで文章なら文章の詰めをやっておられるのか。何にもやっておらなくて国民とのコンセンサスがないと、国会の議決はある、あるいは日中共同声明はある、そういう状態の中でどこが満足いかないのか。だから、ここが満足いくならばという線は持っておられるはずですね、それはひた隠しに一切隠しておられる。どこが満足いかないから結べないんだと、ここをどうしたいんだと、こういう考えがなければいかぬと思うんです。 もう共同声明からも相当年月がたっております。で、それは一つも明らかにされない。そして両国政府の満足のいく線でと、こうおっしゃっている。そうすると、これは両国政府が満足のいく線でと、日中共同声明では満足できないんだということになってくると、いつ解決するのか、これはとてもわからない。私は、覇権条項の問題だとずばり思っております。これは一切大臣は避けられる。どこの問題が満足できないんですか、お答え願いたい。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 日中共同声明によりまして大きな大方針は決められておるというふうに、これは私どもも考えておりますし、中国側もまさにそのとおり主張しておるわけでございまして、私ども、これからは最終的にはもう仕上げの段階でありまして、大きな路線がどうのこうのという問題ではないことだけは申し上げてよろしいかと思います。しかし、その他の点につきましても、できればこのようにしたいというような幾つかの点があるのでございます。
○戸叶武君 私たちが日中平和友好条約締結の促進と日韓大陸だな関連法案に対しての慎重な取り扱い方を要請しているのは、この条約と関連法案とを絡みつけてごっちゃに物を言っているんではないんです。日中平和友好条約の締結は締結、日韓大陸だな関連法案は関連法案、別個に取り扱うべきものだと思います。 しかし、そこで、私は、問題は非常にデリケートな問題ですが、政府に承りたいのであります。この日韓大陸だな関連法案に関係のあるのはやはり二百海里問題との関係もありまして、中国側ではこの問題に対して非常に神経質になっております。要するに、中国の主権を否定しあるいは無視して、十分な話し合いもしないで、日本と韓国だけで問題に取り組まれるべき性質のものではないじゃないかと。中国という国は、御承知のように、中国の言うことに全部従えというのではありませんが、非常に面目をたっとぶことと信義ということが非常に強い国であります。中国の面目を無視し信義を無視して、話し合いもしないで、何か外務省のいろいろな役人の方に聞くと、接触したとか接触しないとか、何か三木さんのさわった程度でしょうが、そういう形の答弁みたいのはあるが、じっくり話したという気配はないように思われるんです。 もし当事者間において、この問題に対して、日本と中国とが、特に外務省の要人がいつどこでだれとどういう話をしたかということだけでも、外務大臣にこれは承っておきたいと思うのであります。そうでないと、中国のやはり面目玉はまるつぶれであって、中国をまたいで韓国とは話し合いがスムーズにいくというのでは、非常に重大な段階においての条約締結に当たって、心なき仕打ちに思われるのでありまして、そういう配慮ということはきわめて慎重であるべきだと常識的に日本人のだれでもが考えるのでありますから、あなたもそういうことを考えていると思いますけれども、外務省でわかる範囲内でどういう接触をしてきたか、それを――。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 大陸だなの開発につきまして、韓国との間の協定の締結に先立ちまして、当時の外務大臣大平さんが、あそこの問題につきまして中国側にお話をしておられるわけであります。以来、国会に提出する前には、必ず先方には申し入れをしてきたわけでございます。この問題は、私ども十分な礼を尽くしたと考えておりますし、なお不足であれば、今後とも礼を尽くしたいと考えております。 ただ、中国側の意見は、これは大陸だなとしての中国側の考え方が根本にあろうと思いますが、この問題につきまして、関係の当事国が話し合うべきだと。しかし、中国としては韓国を承認しておりません、外交関係もありませんから、関係国が話し合うべきだと言われても、韓国を入れた会談というものはなし得ない。そういうことでいきますと、これはいつまでたっても開発ができない。こういうことでありまして、その点につきましては、私どもは、なお中国側が話し合いに応ずるのであればいつでも話し合いに応じますという姿勢はいつも持っておった次第でございます。 なお、詳細はアジア局長から御説明申し上げます。
○政府委員(中江要介君) 何月何日にだれとだれという詳細な資料を手元にただいま持っておりませんけれども、少なくとも十八回は日中間で本件についての話し合いをしております。ただ、その話し合いといいますのは、いまも戸叶先生がおっしゃいましたような、じっくり話し合いたいという日本側の期待にもかかわらず、じっくり話し合う機会というものがいままでなかった。これははなはだ遺憾なことだと思いますが、日本政府といたしましては、これは協定を御審議いただきましたときに何回も申したことでございますけれども、中国の権利を害しないように細心の注意を払って、協定が結ばれているそのゆえんのものをじっくりと話し合いたい、こういうことを申しておるのですが、中国は、原則論といたしまして、いま大臣も申されましたように、この大陸だなの開発の問題は関係国が一堂に会して境界を定めるなり話し合って開発すべきものである、この線から一歩も動かない。 その関係国の中には韓国もありましょうし、北朝鮮もありましょうし、いまこの関係国が一堂に会して効果的な話し合いができる国際情勢でない、つまり時期が熟してないということも、他方、中国側では認めておるわけでございまして、機が熟してないからできないことを前提としてこの協定について異議を唱えておられるということは、私どもの立場からいたしますと理解に苦しむところでありますので、その辺をじっくり話し合うという姿勢はいまだに崩しておりませんし、この協定が国会で御承認を得ました後でも二度北京と東京でこの種の話はしておりますが、まだいま先生の言われるようなところまで行っておりません。 しかし、私どもは、しんぼう強く本件につきましては中国側ともっと突っ込んだ話し合いをいたしたい。その話し合いは、単に日韓大陸だな協定の問題に限らず、いま御指摘のように海洋法秩序が流動しておりますので、将来日中間でやがて問題になるでありましょう二百海里の問題も含めまして、日中は一衣帯水の両国でございますので話し合いの雰囲気をつくっていきたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○戸叶武君 そですり合うも他生の縁ということがあるが、何だか、いまの話を聞くと、じっくり話し合いたいが、じっくり話し合うことがいまはできていないんだと。 この事実に基づいて、やはり、私は、外務省のお役人さんたちとしては、それぞれ承認している国、承認していない国いろいろな区別があるでしょうが、いろいろなルートはあり得ると思うんです。ざっくばらんに意のあるところをお互いに話し合って、あるところまで煮詰まっているのならば、日中平和条約が締結されてもあるいは日韓大陸だなの問題が片づいても、そのじっくり話し合う機会というものは切れないでも済むんじゃないか。しかし、いまのままのようなやり方でやると将来に禍根を残すんじゃないか。だから、政治というものはぎくしゃくしたお役人のしゃくし定規なやり方でなくて、お互いの心をやはりかち取るという形が大切なんで、日本の外交には心なきともがらに外交を任しておくと大変なことになるんじゃないかという憂いをやはり心ある人に抱かせるような面が少なからずあると思うんです。だから、これ以上追及してもなかなかお役人は口がかたいから言えないだろうけれども、外務大臣は、いつでもじっくりこの問題については話し合う機会を持ちたいといういまのアジア局長が持っていると同じ心境を持っておられますか、どうですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 大陸だなの開発につきまして、中国側と本当に心を割って話せることができれば、これは大変いいことでありますし、そういう態度に先方がなってくれることを心から期待をいたしております。
○戸叶武君 まあ非常に謙虚な御意見で、謙虚だけじゃなく、そのお気持ちを実践に移していただかれんことをお願いします。 次に、貿易において日本が繁栄しているのをねたまれる面もありますが、いずれにしても日本の黒字の累積によって、黒字処理と円高に対する対策の問題が当面の問題として浮かんでおりますが、そこで、この問題は外務大臣にお尋ねする前に、通産省の方から承りたいんですが、日本の貿易並びにアメリカの貿易、この現状はどうなっているか承りたいと思います。
○説明員(川崎弘君) それでは、現在までの日米貿易の動向につきまして簡単に御報告申し上げます。 ことしに入りまして一-八月の日米貿易でございますが、これは日本側で国別にIMF統計が利用できないという経緯がございますので、商務省統計を使っております。米国の商務省統計によりますと、日本側の約五十億ドル弱の黒字、四九・九億ドルの黒字という形になっております。ちなみに七六年は米国商務省統計では約五十四億ドルの黒字にございました。 このように日米の貿易におきまして、日本の輸出が伸びているという原因でございますけれども、そして輸入が余り伸びないという原因でございますが、一つは、何と申しましても米国経済の順調な景気回復というものが反映いたしまして、わが国からの対米輸出が比較的堅調であるということが一面にあろうかと思います。もう一面では、日本の国内景気の回復が立ちおくれているという面、わが国の対米輸入が低迷しているというところがこの原因になっておるかと思います。
○戸叶武君 日本では福田政権が一九七六年の十二月、米国ではカーター大統領の新政権がことしの一月出発したのですが、この後における日米関係、特に貿易面においてはぎくしゃくした面が目立っておるのです。いまのような形で米国の対外貿易の赤字は七七年の一月から六月にかけて百二十五億ドル余となり、そのうち三十三億ドル余が対日貿易の上の赤字であると言われており、さらに七月には六億七千万ドル分の対日貿易の赤字が計上されております。 そこで、さらに通産省に承りたいんですが、日本と米国との貿易の現状、並びに、それだけでなく、米国が石油の原油を大量に購入して備蓄しているが、それが米国における赤字の最大の原因であって、その次が日本との貿易関係にあると言われておりますが、その内容はどのようなものですか。
○説明員(川崎弘君) 確かに、先生御指摘のとおり、米国の国際収支は非常な赤字の傾向にございます。たとえばことし一年の米国の経常収支の赤字は百八十億ドル程度になろうかというふうな見通しも出されております。これはもちろん先ほど申し上げましたように、米国の国内景気が他国に先駆けて順調に進んできたということで、輸入が輸出に比べて大きく伸びたというのが一つの大きな原因でございますが、ただもう一つ、ただいま先生が御指摘になりましたように、輸入増加の中におきます石油輸入の増加が非常に大きいということが最大の理由でございます。 たとえば数字で申し上げますと、本年の一-八月に石油の米国の輸入量は、これは米国の場合にはよく一日当たりの輸入バレル量であらわしますけれども、約九百万バレルという数字になっております。これは昨年に比べますと二六・八%アップでございまして、総量でいままでの輸入量は約二十二億バレルというふうになっております。金額で見ますと二百八十七億ドル、これも前年に比べまして三九%弱の数字になっておりまして、先生の御指摘のとおり、石油の輸入の急増が米国の国際収支の赤字に非常に大きな貢献をしているということが言えるんじゃないかと思います。 ただ、一つだけ申し上げておきたいことは、ただいま先生が石油の備蓄が米国の輸入増大の原因になっているんじゃないかということでございますけれども、アメリカの石油輸入が増大しております原因は、国内の石油であるとか天然ガスでございますとか、そうしたものの生産が減少しているというところが大きな原因でございまして、民間の在庫水準を見てみましても、在庫の量というのはほとんど変わっておりません。この七月から戦略備蓄というのも始まりましたけれども、これも一日当たり約十五万バレル程度の数字でございますので、一日当たり九百万バレル輸入しておりますいまの輸入量から見ると、さしたる数字ではないというふうに考えられます。したがいまして戦略的な意味においての備蓄が石油輸入の非常に大きな増大の原因になっているというふうには現在のところ考えられないんじゃないかというふうに解釈しております。
○戸叶武君 米国の石油輸入は、一九七三年には一日当たり三百二十万バレルであった。昨年は五百二十万バレル、ことしはいま説明があったように九百万バレルという非常な数字を示しているんですが、これは何が原因でそうなっているんですか。
○説明員(川崎弘君) アメリカ側の石油輸入の一番大きな原因と申しますのは、やはり何といいましても米国の景気が昨年以降非常に順調な回復過程にございまして、エネルギーの消費量と申しますか、その中の最大の問題としての石油の消費量が非常にふえているということが大きな原因だろうと思います。ただ、石油の輸入量がふえている原因のもう一つの重要なファクターと考えられますのは、米国内の石油の生産であるとか天然ガスの生産というものが引き続き減少傾向にある。この二つが相乗作用を起こしまして現在の米国の石油輸入量の急増の原因をなしている、われわれはそういうふうに考えております。
○戸叶武君 アメリカとしては、自分の国のやることは他からの容喙を許さないという姿勢があるんでしょうが、アメリカは石油と食糧を戦略物資として取り扱い、そういうような形において石油を海外からも主に大量に買っている、それが大きな赤字の原因であり、その次に日本との貿易関係のアンバランスにあるということでありますが、日本のことのみ強調し、日本も遠慮して、このアメリカの赤字累積の最大の原因が石油購入にあるということを明確に指摘していない面がありますが、やはりこれはアメリカの方に御遠慮して、そういうことになったんでしょうか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) アメリカの石油輸入の増大につきましては、私ども先方といろいろ話をする際には、常に当方からも指摘をしておったところでございます。まあこの点につきまして、昨年の冬が非常に厳寒で、油がなくて困ったというようなことがあったりしておりまして、この石油輸入の増大につきましては、むしろわが国はずいぶん指摘をするんですけれども、ほかの国の人々はわりかた理解を示しているというむしろそのような傾向すらあったわけで、わが国としてはずいぶん指摘はしているところでございます。
○戸叶武君 企画庁の方に承りますが、企画庁では、試算改定において、経常収支七億ドルの赤字は六十五億ドルの黒字に改定されたということですが、まだ改定はしてないんでしょうか、どうなんです。
○説明員(阿多忠明君) 政府の経済見通しでございますか。
○戸叶武君 ええ、経済見通し。
○説明員(阿多忠明君) 本年度の当初見通しはことしの二月に決定されたわけでございますけれども、その後の経済情勢の推移、いろいろ情勢が変わってまいりましたので、補正予算の決定と同時に、十月初めに見通しの改定を経済企画庁といたしましていたしております。 それで、その中におきまして、経常収支につきましては、当初の見通しにおきましては七億ドルの赤字を予想しておったわけでございますが、今回の改定見通しにおきましては六十五億ドルの黒字の見通しというふうに改定いたしております。
○戸叶武君 赤字の予定が六十五億ドルもの黒字というのは、修正にしちゃ見通しが狂っている点においては、どっかおつむが曇っているからそういう結果が出たんでしょうが、こんなべらぼうな修正というのはちょっと考えられないんですが、それは頭の関係ですか、日本の経済の流れの関係ですか、その辺を少し明確に示してもらいたい。
○説明員(阿多忠明君) 大幅に当初の見通しが狂ったことは事実でございまして、この点弁解がましいことを申し上げることになるかもしれませんが、経常収支の見通しと申しますのは、言うまでもございませんが、輸出と輸入との差額、それに輸出や輸入に伴いますというような貿易外関係の取引、これも支出の方と受け取りの方とございますが、その差額でございますので、この見通しはなかなかはっきりしたものを、確実なものをつくることがむずかしいということがまず一つあるわけでございます。わが国の輸出入の規模は大体千五、六百億になっておるわけでございますが、さらに貿易外まで含めますと二千億ぐらいになるわけでございますけれども、これの受け取りと支払いの差額でございますので、それぞれがもし一%ぐらいずつ上下に逆の方向に食い違った場合にも、すぐ数十億ドルの差が出てくるということでございまして、非常にむずかしいことがあるわけでございます。 しかしながら、私どもの当初見通しが大幅に変わってきたことにつきましては、私どもとしましても若干の責任を感じておるわけでございますけれども、ただ、この見通しがむずかしいことにつきましては、日本ばかりではない――こういうことを申し上げるのも少し弁解がましいわけでございますが、日本ばかりではないわけでございまして、アメリカにおきましても当初の見通しと現在時点での見通しとでは大幅な食い違いを生じているということでございまして、そういうことでひとつ食い違いが生じやすいものであることは御了承願いたいと思います。
○戸叶武君 私は、実証主義的な立場から政治学なり経済学を研究してきた一学徒でございますが、福田さんも私も、第一次世界戦争と第二次世界戦争との間の暗い谷間の時代に、ロンドンで勉強したことがあります。福田さんは資本主義を、私は社会主義の政治・経済を学んだのでありますが、あれから資本主義陣営においても社会主義陣営においても幾たびか大きな混乱が生まれてきておると思います。 社会主義の先達であったマクドナルドなんかも、第一次世界戦争に直面しては戦争反対を叫んだ人だが、世界経済恐慌の中にナショナルレーバーをつくって、わけのわからない超党派内閣をつくって、あの中へ埋没してしまいました。スノーデンのように社会主義政策を堂々と国会で表明した人も、マクドナルドとともに埋没してしまったのであります。いかに政治というものが、経済というものが、歴史の流れとしては冷酷非常と思われるような厳しさで流れているかということはこれを見てもわかるし、やっぱりロイド・ジョージの陣営に近かったクリップスが労働党の大蔵大臣になったり、あるいはいろいろな変化が生まれておりますが、日本にもいま大きな混乱期があると思います。 ただ、イギリスのあの機会でも福田さんは学んだと思いますが、ロンドン・エコノミストは、二ヵ月前の八月段階において、福田内閣の景気浮揚策というものは失敗に終わるということを予言しているが、それがずいぶんよく当たっているんですね。で参考までに、やっぱり客観的に物を冷静に見るから当たるのかと思いますが、福田首相は日本経済の停滞と巨額の黒字に対処するため、近々景気浮揚策を採用するが、それは成功しないと、こうぴしゃりと断定しておるのです。その理由として四点を挙げております。 一は、六・七%の目標は無理である。二、前年度の五・八%は輸出の著しい量的拡大によるもので、ことしは六・七%には達しない。この見方はどうかと思いますが、三の、日本の製造業は石油危機の景気後退期には旺盛な設備投資によって不況を脱出しているが、いまはほとんどが設備投資をしようとしていない。そのGNPに占める設備投資比率は石油危機の二〇%から現在は一五%に落ち込んでいる。四が、個人消費支出がまだ弱い。それは賃金上昇率が低く、生計費の上昇率をカバーできないからだ。日本の貯蓄率が高いのは、日本では教育、住宅、老後に金がかかるので、高貯蓄は高度成長時代には産業界の設備投資によって埋め合わされたが、いまではそれが困難の種になっている。 こういうふうな指摘をしているんですが、鳩山外相は外交よりもむしろ経済の面に明るい方ですが、このロンドン・エコノミストの批判をどういうふうにあなたは受けとめておりますか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 現在、景気浮揚策をとることが非常にむずかしい時代に入っておるということ、私はそのような時代に入ったというふうに理解をいたしておりまして、ただいまロンドン・エコノミストの四つの点につきまして御指摘がありましたが、確かに景気浮揚策を実施するのに大変むずかしい時代だということにつきましては、根本的な考え方につきましてわかるような気がいたします。 財政が出動をしてこの景気浮揚を図らなければならない時代に入っておる。それにもかかわらず、日本の財政がいま非常な苦しい時代にあるということがいま日本の政策を非常にむずかしくしておるのであろうと思います。そういう意味で、従来のような高度成長が期待できない。これは民間設備投資に期待できないということからきておるわけでありまして、したがって、そこへ財政の出動する時期だとこう考えるわけでありますが、それにつきましては、私は、何より財政が出動できる体制を整備することも緊急に必要なことであろうというふうに私自身は考えておるところでございます。しかし、なかなかこの問題自体も大変むずかしい問題を含んでおりますので、口ではそのようなことは申しても実行がなかなかむずかしい、こういうことではなかろうかというふうに考えております。しかし、これから大変むずかしい問題でありましても、私はやはりこれは世界全体に責任を持って日本の経済政策をやっていかなければならない。そういう環境のもとにおきまして、私は、思い切った施策を講ずべきときがきているというふうに思います。しかし、これは来年度以降の問題であるというふうに思います。 経常収支の黒字の点についても先ほどお話がございましたが、この点につきまして、六・七%のうちで輸出に依存する度合いというものは〇・七%ですか、というふうに、そのうちの大半ではないんだというふうに申しております。この点が、私どもとしては、今後の黒字対策といいますか国際収支問題、これに対します上で大変関心のある部面であります。また、諸外国から日本がもっと協力してもらいたいという点、これを確保するためにはどうしても内需を拡大していかなければならないわけであって、その方向について私は日本として真剣に努力をすることが必要だと。そういうことがありませんと、やはり諸外国から批判を受けるということ、この批判をかわすわけにはいかないのだと思いまして、今後の経済政策としては、外交を預かる私といたしまして、そのような方向に強力に進んでもらいたいと思っておるところでございます。 今回の二兆円に上ります内需の追加という趣旨は、やはり諸外国の対日批判というもの、まず何よりこれにこたえるためにこのような施策をとにかく早くとらなきゃならなかったことであるという意味で、私自身も大変よかったと思いますし、その点につきましては一応の世界各国の評価はいまいただいておるところでありますが、しかし、この二兆円に上る内需の追加が具体的な国際収支面にあらわれていくためには、どうしても時差があるというので、その間におきます諸外国の批判というものはなかなか急に消えないだろうと思うのでございます。そのために何とか応急の措置がとれないかということで、福田総理も、この点につきましては本当に心配をされて、各省に努力を求められておるという段階でございます。
○戸叶武君 それでは、最後に、私は、鳩山外務大臣を通じて福田内閣に要請します。 私は、やはり世界的な規模におけるこの流れ、これを敏感にキャッチして日本の国の具体的な救済政策というものを打ち出していかなければ、政府は怠慢のそしりを免れないと思うのであります。 あの一九二九年の段階にも、オックスフォードの政治学の教授でありましたが、経済学者としても有名なG・H・コールはネクスト・テン・イヤーズ(次の十ヵ年)という具体的な提案をしました。その動機は、ソビエトロシアにおけるゴスプランとは違った角度で、ナショナルガバメントを通じての責任ある計画性を持たなければ、経済を政治がコントロールしなければあの恐慌現象から転換できないということを明示したもので、日本でも当時の良心的な新官僚はあの中から電話民営なり電力国営の政策を打ち出したんですが、いまの段階における新官僚的なものも、いまの政治の停滞にがまんし切れないで、一つの模索を続けているものがあると思うんですが、余りにこの今日さまの政治に従属してしまって、政治・経済の未来に対して具体的なビジョンを与える者が一人もなくなってしまった、これが私は日本の一番不幸だと思います。 そういう意味において、あの当時における資本主義陣営、社会民主主義陣営、共産主義の陣営、三つどもえの争いがヨーロッパの混乱を収拾できないものにして、ごろつきのヒトラーのようなナチを登場させたんですが、いま日本の政治の現状において政治を揺すぶっている者はずうずうしいやつばかりじゃないですか。派閥に蟠踞して、そしてずうずうしいやつがまかり通るという形において、政府はあってなきがごときもので、日光を何とか投与しなければ政権も維持ができないというのがいまの自民党のファシストに対する屈服の態勢としてあるし、社会党においても反省すべき点が多々あると思いますが、余り言うと大変なことになりますから(笑声)、この辺でお互いに反省して、本当に外交、政治、経済を国民の手に奪還するためにひとつ前進したいと思いますから、鳩山さんも、ひとつおとなしいけれども、きかないときはきかなかったなと、筋はやっぱり通すのだなという国民の信頼をかち得るような外務大臣としての今後の前進を期待し、日中平和友好条約の締結はもう秒読みの時代ですから、福田さんとともに自滅するならば別ですけれども、やっぱり民族のために光を求めようとするならば、もっと良心的な一つの対処の仕方をお願いしたいと思います。ずるくないところがよいところですから、その点をどうぞ生かしてください。 これで終わります。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 御趣旨はよくわかりました。今後、懸命に努力いたします。
○委員長(安孫子藤吉君) 午前中の調査はこの程度にいたしまして、午後一時二十分まで休憩をいたします。 午後零時二十一分休憩 ―――――・――――― 午後一時二十八分開会
○委員長(安孫子藤吉君) ただいまから外務委員会を再開いたします。 午前に引き続き、国際情勢等に関する調査を議題とし、質疑を行います。 質疑のある方は順次御発言を願います。
○渋谷邦彦君 きょう用意しました本題に入ります前に、一つ確認をしておきたい問題がありますので、お尋ねをしたいと思います。 すでに予算委員会でも他党の議員の方がお触れになったようでありますけれども、最近世論をにぎわしている問題の中に、ベトナム難民の救済について、人道的な立場から考えても非常に日本のとる態度というものは好ましくないという、これはむしろ世界的な批判の世論というものが起こっていることが伝えられております。今日まで、特にこのベトナム難民に対する政府の取り組む考え方、将来に臨む方針というものはどのようになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ベトナム難民の日本におきます取り扱いにつきまして、特にニューヨークタイムズが記事を書いたりしたことが直接のきっかけかと思いますが、大変日本に対する批判が急速に強まってきたのでございます。 私どもの理解しておりますところによりますと、海上を脱出しました難民が船に拾われましたときに、その船が日本に最初に寄港した際に、その寄港地におきまして船籍国につきまして最終的に引き受けるようにというその引き受けの手続を求める、そのために相当な日数がかかったりいたします。そういう点につきまして非常な非難が出たように聞いておるのでございます。そこで、政府といたしまして、福田総理もこの点につきまして、極力ベトナム難民につきまして国際的な非難を受けないように急遽対策をとるべきだというので、政府といたしましてたびたび協議をいたしまして一応の難民対策というものを九月二十日に閣議了解をいたしました。 なお、詳細は事務当局からも御説明させますが、趣旨は、難民収容のために施設がいまいっぱいになっておると。もっぱら民間の善意に頼っておりますけれども、政府が何らそういう施設もしてないので、政府としては収容施設等につきましても確保を図ろう。それから医療費等につきまして、日本に来られてお産をされた方もずいぶんあるわけでございますし、また必要な医療費等につきまして援護措置を検討しよう。それから難民に対します職業とか技術訓練の供与等ができないか検討しよう。それから施設の実施等につきましては日本赤十字社、その他関係団体の協力を得てその円滑な運営を期そうということでありますが、問題となっております本邦における定住等の問題があるわけでございまして、これにつきましては直ちに結論が出せませんでしたので、引き続いて検討しよう、こういった趣旨になっております。そして連絡会議を内閣に設けましてこの対策に当たろう、こういうことでございます。
○渋谷邦彦君 この難民問題が起きましてから大変時間が経過しておりますね。で日本のこの過去の経過というものを考えた場合に、難民にいたしましても、亡命の場合にいたしましても、それを受け入れるという経験が全くなかったという問題もございましょう。それから国土が狭いというような問題も、あるいはいろんな絡みがあったろうと思うんですけれども、しかし何千人、何万人という膨大な人を収容するわけじゃない。それに対して民間の善意に頼ってきたという、そういう事実関係もございます。 果たして、そういう点についても、政府としては何らかの援助の手が差し伸べられたのか。医療等は当然だといたしましても、ただ善意だけに頼ってということには限度がございましょう。今回の場合もようやく沖繩から埼玉県で引き取り手があるということで、それも米国の難民対策本部が働きかけてそういうようなやっと、安住までいかないかもしれませんけれども、暮らせる、そういうよりどころを得ることができたということが伝えられているわけですね。ここには政府としての何の介在もない。ただ成り行き任せという、そういう傾向があったんではないか。いまいろいろとお考えになっていらっしゃる、対策本部も設けている。これからそういうような問題についていろいろそれは考えなければならぬ、また検討しなければならない問題があるにしても、やっぱり人道的という、そういう立場を踏まえた場合ですね、何らか保護するそういう法的な取り決めというものがあってもいいんではないだろうかという感じがいたすわけでございますけれども、そういう点についてはいかがでございますか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 私どもの立場といたしまして、このベトナム難民につきまして一日も早く定住の問題を含めました解決を望んでおるわけでございます。しかし、この問題につきまして、いまおっしゃいましたように、従来全く経験がなかったということもありまして、なかなか結論が急速に出ないというのが率直なところでございまして、この点につきまして私ども全く同じような気持ちで努力をいたしております。
○渋谷邦彦君 今回のようにベトナム難民というような形で将来考えられるかどうかということになりますと、これは大変むずかしい問題だろうと思うんですね。またそう頻繁に起こってもなりませんし、また、それが起こる以前にいろんな日本としての対応の仕方というものが考えられるだろうと思うんです。 重ねて確認をしておきたいと思うんですが、今後ふえるといってもそうふえはしないだろうと、あるいはまた漂流しながらそれが日本の地域でもって救助されたというようなたぐいがこれからもあるいはあるかもしれない。そうすると、やはり対策本部はできましたけれども、いつも後手後手に回っているようではまたぞろ世界の非難を浴びざるを得ない。先進国家として日本は一体どうなっているんだというのではまことに恥ずかしい限りではないだろうかというような判断もできるわけでございまして、そういう面については鋭意努力もされていらっしゃると思いますけれども、難民が何とか希望というものを将来見出せるようなそういう方向へぜひ取り組んでいただきたいと思うんですけれども、それはできるだけ早い機会にやりませんと時期を失してしまうおそれがあるのではないかということで、最後に、もう一つその点だけ伺っておきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 私、このたび国連に参りまして、ワルトハイム事務総長にごあいさつに伺った折にも、このベトナムの難民の話が先方からございまして、日本といたしまして極力努力中であるという御返事もしてきたところでありまして、今後、一層努力をいたしたいと思います。 現在まで日本に上陸いたしました難民の多くの方々は、やはりこれは言葉の関係あるいは従来からの生活の関係もありまして、アメリカへ行きたいというのが大部分の難民の方々の希望でございます。また、あるいはフランス等に行きたいという希望の方もあります。私どもといたしまして、やはり何よりベトナム難民の方々の希望をかなえてあげることがまず第一だろうと思います。しかし、中には日本に永住したいという希望の方がありますれば、やはり日本としてはその希望をかなえさせてあげたいと私どもは考えておるのでございますが、この点につきまして、なお政府としての結論が出ないという段階でございまして、そのようなことで今後努力をいたしたいと思います。
○渋谷邦彦君 次に、在韓米軍の撤退に伴う点についてお尋ねをするわけでございますが、過般、第十回米韓定期安保協議会が開かれまして、七月二十五、二十六、この両日にわたって行われたようでありますが、ブラウン米国防長官が帰途日本へ立ち寄りまして、その経緯についてるる外務省、防衛庁に説明があり、そして合意を求めたのではないか。ここに手元にその資料があるわけでございますが、この内容を拝見してまいりますと非常に疑問が出てまいりますのと、新しいいわゆる韓国あるいは北朝鮮を中心としたアジア情勢の変化というものが急速に展開されていくのではないかというような印象も実は受けるわけでございます。 そこで、外務省にしてもそうでありますが、特に防衛庁におきまして、今回のいわゆる在韓米地上軍六千名の撤退というものが持つところの影響あるいは波紋、予想されるいろんな事柄、それをどういうふうに分析をされ、受けとめていらっしゃるかというまず大まかな点から、日本がその報告を聞いて、今後どう一体対応しなきゃならぬかというその点からお尋ねをしてまいりたい、こう思うわけでございます。
○政府委員(伊藤圭一君) 在韓米地上軍の撤退の問題につきましては、先般、カーター政権ができましたときに、この地上軍の撤退計画というものを実行に移す方針が定められたわけでございます。 防衛庁といたしましては、朝鮮半島におきましての軍事情勢の判断といたしましては、あの狭い地域に南北両朝鮮の軍隊が約百万対峙しているわけでございます。したがいまして軍事的には世界の中でも最も緊張している部分であるというふうに判断をいたしておりました。しこうして、この軍事的な均衡というものが、七二年に一個師団の米軍の撤退はございましたけれども、その後の動きがないままに維持されてきておりまして、大きな紛争というものもなかったわけでございます。したがいまして、当初、在韓米地上軍の撤退ということを聞きましたときには、従来二個師団ありましたものを一個師団引き揚げるのと違った意味合い、すなわち地上軍としての戦う力というものが、いわゆる実戦部隊がなくなるということの意味合いというものについて、その戦闘力の面では代替できるかもしれないけれども、これが引き起こす不安感、そういったものが南北両朝鮮にとってどのような影響を与えるかというような点も検討いたしまして、米側とも話し合いをしたわけでございます。 で、先ほどお話がございましたが、ブラウン長官のおいでになります前に、ハビブ国務次官補とブラウン統参議長が参ったわけでございますが、私ども、この二度の説明を聞きまして、最初の印象よりはきわめて慎重に事態を見守りながら撤退を実行していくという印象を受けたわけでございます。そのことは、同時にまた、この一個師団の撤退というものがやはりドラスチックに行われれば朝鮮半島にそれなりに紛争が起きる危険というものをアメリカも十分知っておって、そして一九七二年に一個師団を引き揚げたというようなときのことを考えながら、今度の一個師団の引き揚げについて長い時間をかけて、軍事的な均衡というものを崩さないような形で実行するということを私どもは感じましたし、また、そのことを実行することも可能だと判断いたしました。 一方、朝鮮半島におきます紛争というものについては、個々にかかわり合いのあります軍事的な大国といいますか、アメリカ、ソビエト、中国、それぞれの国がこの半島におきます紛争というものに対しては起こらない方がいいというふうに考えていると判断されますので、そのような状況のもとで、きわめて慎重に計画的にこれを実施することが、大きな情勢の変化をもたらすことなく実行できるのではないかというふうに現時点では判断しているわけでございます。
○渋谷邦彦君 総体的な判断としては、なるほどきわめて具体性のない見方かもしれませんけれども、ただ、ブラウン長官が韓国側といろいろ話をし合った点について合意がなされたという中に、特に北朝鮮の軍備力、なかんずく近代兵器の導入というものを非常に高く評価しているわけですね。恐らくその点についてはあるいは核兵器というようなことも考えられないではないわけですけれども、その辺の受けとめ方ですね、ブラウン長官との、あるいは防衛庁との話し合いの中で、どこまで一体近代的な装備が進んでいるのかというふうにお感じになりましたか。
○政府委員(伊藤圭一君) この主要装備の中で、北と南の間にまあかなり差があると思われますのが、まず陸上におきましては戦車でございます。これが数の上からいきますと、南の方が九百両以下でございますが、北の方は千二百両程度のものを持っておりまして、この戦車の数、戦闘能力、これには差があるように思います。それからまた火砲なども北側の方がまさっておるようでございますし、特に航空機につきましては、作戦機といたしましては南の方が約二百機でございますが、これに対しまして北側が六百機でございます。したがいまして、いま申し上げましたように数の上では開きがございます。それを補う形で第二師団あるいは地対地ミサイル部隊あるいは地対空のミサイル部隊、防空部隊、こういったものが米軍の力として現在あるわけでございます。 しかしながら、今度はその質の面から見ますると、たとえば航空機などの場合には、北側の半分以上を占めておりますミグ15あるいは17というようなものに対しまして、南側には米側の援助もございましてファントムという飛行機も七十機、あるいはF5という新しい飛行機も五十機というふうにかなり質的には南の方もすぐれております。そしてさらに米側の約六十機のファントムを駐留さしているわけでございますから、そういった意味におきましては、まあ数の上では差がございますけれども、その質の面からいきますと在韓米地上軍を加えまして均衡がとれておったというふうに軍事的には考えられるわけでございます。 この際、その引き揚げるに当たりまして、米軍はその第二師団が持っておりました兵器につきましては、なるべくこれを韓国側に残していきたいということを考えているようでございます。もっともこれは議会の承認が要るわけでございますが、兵器につきましてはなるべく残していきたい、そしてまた一方韓国軍の近代化のためにまた援助をしていきたいというようなことでございますので、先ほど先生がおっしゃいましたように、六千人が来年の終わりにはいなくなるわけでございますが、二つの旅団というものは最終の段階まで残しておくという意思がはっきりいたしておりますので、その間に韓国軍自体の近代化、あるいはまた米軍の航空機部隊、これの数もふやすというような形で軍事的な面での均衡を保っていくものというふうに考えているわけでございます。
○渋谷邦彦君 いま量的な面、むしろ質的な点と一口に申しましても、それを比較することは大変むずかしい場合があろうかと思いますね。恐らく米側としてもそういった点を十分に考慮をしながら、先ほど触れましたように、相当高度な近代兵器、質的に優秀なというふうに私は受けとめたわけでございます、これが導入されていると。それにやはりこの米軍の撤退に伴ってそれに対応できる韓国軍の近代化の装備、まあ兵力の増強ということも当然伴うんでしょうけれども、その中にこういうことがあるんですね。 「現在韓国において米国が保有しているある種の装備の無償移管」と、この「ある種の」というところに非常にひっかかるものがあるんですがね、これは、防衛庁としては、どんなふうに受けとめておられるんですか。
○政府委員(伊藤圭一君) この「ある種の」というのにつきましては、私どもがアメリカの国防総省あたりとの話では、いわゆるその第二師団が持っている兵器の中で置いてくるものがあるというふうに聞いておりますし、理解をいたしておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 まあ当然兵器でございますから秘密というものは保持されなければならない、それが大前提でございましょう。しかし、せっかくこの米韓との間における協議事項、日本にもそれを了解してもらいたいという米側の気持ちがあるとするならば、ある程度はそのにおいでも、ある種の兵器というものは実はこういう兵器も含まれているというような具体的な話の提示はなかったんでしょうか。
○政府委員(伊藤圭一君) これにつきましては、いま韓国の軍事サイドと事務的な話を進めておるわけでございますけれども、現にたとえばオネストジョンでございますね、ミサイルでございます、こういうものは残していくようでございますし、またナイキハーキュリーズ、防空ミサイルでございますが、こういうものも残していくようでございます。さらにまた戦車等も残していくんではないかと思いますけれども、これはまだはっきり言っておりませんでした。しかし、個々の問題について現在詰めているんだというようなことでございまして、いま申し上げましたようなものはすでに引き渡しが始まっているものもございますし、計画の中に入ってくるのではないかというふうに考えておるわけでございます。
○渋谷邦彦君 そういった種類の兵器については、さらに今後も増強されるという可能性があると判断されていますか。
○政府委員(伊藤圭一君) 増強されるというよりは、これは現在在韓米地上軍が持っている兵器を残してくるわけでございます。その中でどれを残すかということでございますが、近代化の面であるいはその話し合いの結果、こういうものをもう少し欲しいというようなことはあり得るだろうというふうには考えております。
○渋谷邦彦君 もう一つ気になる点があるんですが、それは、そのため今後韓国の防衛産業、この自立を支援していこうと。これと、先般ブラウンが帰ってからだろうと思うんですが、日本に対して五項目にわたる防衛分担の問題がございますね。その五項目の中に対韓援助というものが非常に鮮烈に一項目出てくる。この絡みについてどのように受けとめておられるのか。
○政府委員(伊藤圭一君) 五項目というのは、具体的にその米側の希望として出たということではございませんです。でブラウン長官と大臣との話し合いの中で、日本の防衛努力としてたとえば対潜作戦能力あるいは防空能力、そういったものを高めたいと思っているという説明の中に、たとえば日本の安全保障全体を考えますと、ASEAN諸国あるいは韓国、そういうところに対する経済援助というものも極東の平和と安定を維持する上には結果的には役立っていると思うので、いわゆるその日本の防衛努力といいますか、防衛力の整備、それだけではなくて、いろんな形で日本は極東の平和と安定のために努力しているんだという話をされたわけでございますが、そのことはまさにそのとおりであるということでございまして、向こうが特に要求したというようなものではございませんでした。
○渋谷邦彦君 ただ、しばしば今日までこの防衛論議が衆参を通じてなされますときに、しきりに、特に最近に至って日本側の防衛分担というものは、分担金を含めて、余りに少ないんではないかという議論がしばしばあったことは事実でございますね。今回、三原防衛庁長官が向こうへ参られましたときにも、いま御説明がありましたように、それはもう話の中であるいはそういうニュアンスと受け取れるようなことがあったかもしれません。しかし、実際、アメリカ側の気持ちとしてみるならば、もっとアジア防衛の一環として日本はその一翼を担えと。さらに関連して、韓国における防衛体制の一翼を何とか日本でもって支援ができないかというような腹づもりがあったのではあるまいか。 恐らく、今後、いろんな形でこの対韓援助をやっていきますときに、表面はいろんな資金援助がございますでしょう、あるいはいろんな形の援助があると思うんです。われわれには見えない、わからない、チェックができない。最近は浦項を中心として新日鉄あたりが中心となった製鉄所もどんどんどんどん進出をしている。それがどういうふうな段階を経てあるいは軍需産業と結びついていくのか、われわれやはりそういう危惧を持つわけです。だから、否定はしながらも、なおかつそういうことが考えられはしないかということをおそれるんですけれども、その辺いかがでしょうか。
○政府委員(伊藤圭一君) この対韓援助の問題につきましては、また外務省の方から御説明していただくのが適当かと思いますけれども、実は、いま先生がおっしゃったような意味での防衛分担ということはこれはなかったわけでございます。で米側が防衛庁に対して期待しておりましたのは、従来から防衛庁はいわゆる日本の防衛力の中で今後対潜能力あるいは防空能力あるいは後方支援能力、こういったものを充実させなければいかぬということを前々の長官から言っていて、われわれも何度も聞いたんだけれども、それを実際に具体的になかなかやらなかったということに何か日本の防衛努力に対する期待がもう一つ強くあったというような感じはいたしました。したがってアメリカが日本に期待しているものは、日本が自衛のために必要な防衛努力をするということ、これが結果的には日本の置かれております極東の平和の枠組みの中で日本がその責任を果たしているんだというようなことを感じているのではないかというふうに私どもは考えたわけでございます。 で、その対韓経済援助につきましては、その内容等につきましては外務省の方からお話を聞いていただきたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ブラウン国防長官が第十回米韓安保会議の帰途立ち寄られましたときに、私もお目にかかりました。そうして日本に対する要望という点につきましては、具体的な要望というものではなくて、日本が通常の韓国との間に経済取引、そういったものが継続されるというような希望の表明がございました。そうして日本としては、軍事力に関するような援助はできないということは私どもの方からも念を押してございますし、いや日本に対してそのような期待は持っていないというブラウン長官の言明もありましたので、日本に対する期待というものは、従来から韓国民の福祉の向上、そういった面で協力できる面があれば協力をしていく、そういう姿勢を変える必要は私はないというふうに確信をいたしております。
○渋谷邦彦君 今回の米軍撤退に伴ういろんな影響というものについては、防衛局長が冒頭に触れられましたように、ある種の不安感というものがやはり関連してあるかもしれない。そういったことも十分見据えながら恐らくアメリカ側としても対応するんだろうと思うのでありますけれども、そういった場合に、韓国以外の基地の強化ということにつながらないかどうか。 地上軍が撤退する、かわってどうしてもやはり空軍に頼る、そういうウエートというものは非常に大きくなってくるだろうと思いますし、そうした場合に、いわゆる韓国以外の基地というものがさらにまたクローズアップされてきはしないか。特に沖繩がまたキーストーン的な役割りというものを果たすようなことになりはしないか、この点いかがでございますか。
○政府委員(伊藤圭一君) 在韓米地上軍の撤退に伴いまして在韓の米空軍の一部の増強、これはアメリカも考えているようでございます。しかし、それに伴って韓国以外の基地にある米軍の増強あるいは削減、そういったものは一切ないというふうに私どもは承知いたしておりますし、また、これはアメリカの議会におきましてハビブ次官補等もそのことを述べているようでございます。 で現時点におきまして、韓国以外の基地、すなわち日本、いまお示しがございました沖繩の基地等における部隊の変化というものはございません。この人数につきましては昨年もやや減っております。これは機構の合理化等に伴いまして一部の人員は削減されておりますが、そのほかの変化というものはないわけでございます。
○渋谷邦彦君 確かに、たとえば本土の関東地域を考えた場合でも、横田に基地がいま集約されつつある。確かにこの基地の縮小、集約ということで逐次米軍の撤退に絡んでいく、そういう傾向というものは好ましいかと思います。 ただ、やはり戦略的に考えた場合に、戦術的に考えた場合に、果たしてどうなんだろうと。これは私は素人でございますから、素人的な発想というものがあるいはあるかもしれません。どうしてもやはり空軍力に依存する度合いというものが非常に大きくなった場合、われわれはわれわれなりにこういうことが考えられやしまいかというおそれということで、いま沖繩の強化というのは、むしろ集約されるよりも、確かに集約もされていくでしょう、嘉手納基地あたりは。それだけにもっと集約される過程の中に強化されていくという、そういうようなことがありゃしまいかということでございますね。
○政府委員(伊藤圭一君) これは、いま先生がおっしゃっております意味が、あるいは私の理解と違っているがもしれませんけれども、たとえば地上軍を撤退し、これを再投入するような場合に、やはり近くの基地から持っていくという方が便利ではないか。したがって、その周辺の基地というものが強化され、空軍力というものを強化するというような意味だと解しますと、実は、私どももそういったことについては国防総省ともいろいろ話をしましたけれども、やはり現時点におきまして、アメリカは必要な際には地上軍の再投入ということも研究はしているというような話でございました。しかしながら、御承知のように、海を渡っていくのと違いまして、現在の大量の部隊というものを大量の輸送機によって運ぶということはそう距離には関係がないようでございます。現にアメリカにあります戦略打撃部隊というのはアメリカから四十八時間以内に世界のどこにでも派遣できるというような形のものもございますし、大型の輸送機によりましてヨーロッパあるいは沖繩、韓国等にかつて演習をやったことがございますが、二十四時間とかあるいは四十八時間という期間に地上軍を投入するということは可能でございます。 しかしながら、やはり補給とかあるいは装備の問題、これを全部フル装備で行くということはなかなかむずかしいわけでございまして、そういう意味では、在韓米地上軍の戦闘部隊は引き揚げますけれども、一方におきましてその補給部隊等はかなり残るようでございます。したがいまして、再投入をした場合に、とりあえず戦う力というものは維持されるのではないかというふうに考えるわけでございます。そうなってまいりますと、近くの基地からすぐ移動するということと本国から移動するということは、戦略的に考えまして、あるいは戦術的に考えまして、そう差があるというふうには考えられないと私どもは思っているわけでございます。
○渋谷邦彦君 次に、発展途上国についての経済協力の問題でございますが、もう余り時間もありませんので大まかにしかお尋ねできないと思うんですけれども、まず基本的に、とりわけ発展途上国に対する政府の考え方、いろんな基準もございましょう、ただ基準だけでは律し切れない、その国の実情に応じた援助の仕方、いろいろなことがあろうかと思いますけれども、どの辺に一つの援助の推進というそのラインをお引きになっているのか。
○政府委員(菊地清明君) 発展途上国の範疇といいますか、にもいろいろあるわけでございまして、DAC――OECDの開発援助委員会その他で決めておる範囲がございますが、OECDのDACリストによりますと、開発途上国というのはそこにリストアップされた国が開発途上国という定義でございまして、特にどういうのが開発途上国だというふうには書いてございません。しかし、現実には、比較的一人当たりの国民所得の高い発展途上国と比較的低い途上国がございます。 で、通常、いろんな線の引き方があるわけですけれども、まず一人当たりの所得が百ドル以下になりますと、これは後発の発展途上国、いわゆるわれわれLLDCと言っております。それからその百ドルから二百ドル、つまり二百ドル以下のところが貧困なる開発途上国というカテゴリーに入ります。その上が三百七十五ドルまで、現在これが五百二十ドルに改定されておりますが、これまでがいわゆる世界銀行の第二世銀――第二世銀といいますのは、例のソフトな条件の借款を受けられる……
○渋谷邦彦君 済みませんが、簡単に答弁お願いしますね、時間がありませんから。
○政府委員(菊地清明君) 第二世銀でございますが、そういったことでございまして、その上が今度は千ドルという線がございます。で千ドル以上に対しては、実は発展途上国の中で一人当たりの所得が千ドル以上のところもあるわけでございますけれども、まあ、これに対する援助はいわゆる政府開発援助としてカウントしないというような動きなどもございます。したがいまして、結論といたしましては、発展途上国というのは、いろいろ差がありまして、一様には申し上げられない。ただ、DACのリストに載っているものが現在の発展途上国ということで私たちはやっております。
○渋谷邦彦君 いまおっしゃるとおり。それから、おたくで出しております「経済と外交」、その中にも論文が出ております。 ただ、非常に疑問に思うことは、そうした百ドル以下あるいは二百ドル以下、そういう非常に所得の低いいわゆる発展途上国と一応規定する国などに対しては非常にアンバランス――もういま韓国の場合は五百ドルを超えているんですね。しかも、なおかつ第四次五ヵ年計画の一環として今回もまた相当多額の円借款というものが取り決められたようであります。こうして考えてみた場合に、もう一遍その辺の洗い直しというものが必要であるまいか。 特に第三次五ヵ年計画の対韓援助について、その中で農業援助、これを見ますと、どうも納得のいかないところがたくさんあるわけです。きょうは、そこの細かいところまで触れるわけにいきませんでした。ただ一つ、韓国の方から要請があったその第三次五ヵ年計画の中で二百六十四億ですか、それがいろいろ日本政府としては難色を示した、余りにも多過ぎるんじゃないかと。確かに向こうから要求されたプロジェクトを達成する場合においてもなおかつ余るくらいの金額であるということで、すったもんだになって交換公文の取り交わしもずいぶんおくれた。それが結局最終段階では百九十四億に減らされた。百九十四億はいいんですけれども、これはおたくから出ている資料の中を拝見いたしますと、農業援助で減らされた金額がたしか出ているんです、百九十四億。それから大清ダム建設のために百何億というやつが出ているんです。この大清ダムの中には灌漑用水というものが入っているんです。これは農業開発の一環じゃないか。合わせると三百何十億という、むしろ減らされた分よりもふえた分が大きい。当初、大蔵省では大変難色を示したそうでありますか、きょう大蔵省の方来ていますか。――そのときの経過、なぜ反対をされたのか。 これは一九六七年に、たしか日韓条約が締結されて第一回の日韓閣僚会議が持たれて、その後にいわゆる向こうの新農村事業というもののための借款供与がたしか最初ではなかったかと思うんです。その辺から黒い霧がずっと立ち込めているといううわさがあったんですね、この援助をめぐりまして。で恐らく二十一日の米下院でもって倫理委員会ですか、公聴会でもって金炯旭氏が、いろんな工作の一環としてそれはアメリカだけですかという問いかけに対して、それは日本の政界に対しても働きかけがあったと。いままで福田さんは、もう十年前の人のことについてはわれわれはとやかくいま信頼性を持たないと、こう言っておりますけれども、あの人はちょうど十年前にはKCIAの部長であったわけです、ちょうどそのころなんですよ。 そういうようなことから考えてまいりますと、この対韓援助に対する問題というものは向こうの要請に応じてどういうチェックの仕方をしているのか、しかも、物によりましてはいま先進国家並みです、特に繊維の場合は。日本を超しています、生産量におきましても。こういうところに、その辺の選択をどのようにされながら――続けるなら続けるで結構ですよ、援助は。しかし、その辺というものがどう整理されているのか、この辺が非常に不明確である。 きょうは、実は、そこにスポットを当てようと思ったんですが、防衛問題の方にちょっと力点が行っちゃったものですから、総合的にその点だけを最後に、もう時間も過ぎておりますので、どういう経過でもって対韓に、そういう農業開発の援助の問題にいたしましても大蔵省が反対もした、反対の理由があったでしょう、しかし最終的には何かごまかされたように、むしろ金の方がふえているというそういう現実、そういったことが今後もなされていいかどうかということは大変問題である。経済協力については、韓国のみならず、中近東、南米、こういったところについても将来また触れていきたいと思いますけれども、きょうは、とりあえずその問題だけに集約して、最後に、まとめてひとつわかるように教えてください。
○政府委員(菊地清明君) まず第一点といたしまして、所得の高い国、たとえば韓国のような国でございますが、韓国は、御案内のとおりすでに去年の段階では七百ドルぐらいまで上がっております。それで、こういった国に対しましては、実はそういった国よりももっと所得の低い国にいわゆる政府の援助資金というものを回すべきであるということは当然であると思います。ただし、所得がかなり高い国であっても、たとえばその国の経済が農業部門が非常におくれているとか、それから経済発展に跛行性がある、ことに社会開発の部門でおくれているということがある場合には、そういった所得の高い国でも政府の援助をやっていくべきではないかというふうに考えております。 それから、この韓国の場合の農業開発借款でございますが、実は、このお話しの数字は最後には百九十億円ということに減っております。で、これは数次にわたります調査団を出しまして、小川調査団、岩田調査団というものを出しまして精細に調査した結果、これが適当な額であるということで決定したわけでございまして、特に各省間で最終的な金額について難色があったという経過はございません。
○渋谷邦彦君 どうもぼくの問いに十分じゃございませんけれども、きょうは、この程度でやめておきます。また、次の機会に――。
○神谷信之助君 まず大臣にお尋ねをしますが、米軍基地の労務費の新たな負担問題でですね、報道によりますと大体六十二、三億程度というところになってきて、できれば二十六日の日米合同委員会においてでも回答するというような報道が出ているんですが、これは地位協定上も問題がないと、そういう結論が出たということなのかどうか、この点について、まずお伺いいたします。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 地位協定上、米軍の維持費につきましては、これは米側が負担をするという原則が定められております。そして、最近、特にアメリカ側の要望といたしまして、駐留軍労務者の人件費が急速に増大をしてくるということにつきまして何らか日本側で負担をできないものかという要望が非常に、まあこれは大分前からあるわけでございます。 そこで、私どもは、この維持費――維持に要する経費というものは米側の負担であるけれども、たとえば社会保険のような、労務者の福利厚生面のような面で日本政府が負担できるものがあるのではないかというような面で研究をいたしておるわけでございまして、この条約の解釈等を突き詰めて、こういう部面につきまして日本政府として負担をしようというところまでまだ話が最終的に決まっているわけではございません。 なお、アメリカ局長から補足をさせていただきます。
○政府委員(中島敏次郎君) ただいま大臣からお答えがございましたように、目下、合同委員会において検討中ということでございまして、いまだ検討の結論を得ていない状況でございます。ただ、その場合に、従来からもたびたび申し上げておりますように、地位協定の枠内で何ができるかということを検討しておる、こういう状況でございます。
○神谷信之助君 そうすると、二十六日の日米合同委員会にでも回答したいというような報道がありましたが、まだそこまでは煮詰まっていないと……。
○政府委員(中島敏次郎君) そのとおりでございます。
○神谷信之助君 この問題は、先日も、衆議院の外務委員会でわが党の寺前さんの方からも問題を提起しておりますが、これは事実上こういう形でアメリカの要望にこたえてずるずると拡大解釈をするということになりますと、私ども重大な問題だというように思います。きょうは、この問題を中心にするように考えていませんでしたので、その点だけ指摘をして本論に入ります。 アメリカの会計検査院の報告は、これはアメリカの政府当局も同意をしている例のものですが、中身はいろいろありますが、駐留経費の節減の方法、手だてとして基地の、特に自衛隊との共同使用を推進するという問題も労務費の問題とあわせて重視をされています。すなわち日本の負担をできるだけふやして、在日米軍基地の機能は維持をしていくということでありますが、そこで、現在、自衛隊と米軍が共同使用している基地に二4(a)あるいは二4(b)、これが一体幾らあるのかということ。それから日米政府間で自衛隊と米軍の共同使用の拡大を検討しているという事実はあるのかないのか、この点についてお答えいただきたいと思います。
○政府委員(高島正一君) お答えいたします。 御質問の第一点の、自衛隊と米軍が現に共同使用しておるものは、二4(a)に関するものは三十一件、面積にいたしまして三千六百八十五万平方メートルでございます。建物は九万七千平方メートルでございます。それから二4(b)で共同使用しております件数が十件、土地が一億四千百七十七万二千平方メートルでございます。建物は一万七千平方メートルでございます。それから現に共同使用を手続中のものが二4(a)に関するものが三件、土地が十万二千平方メートルでございます。その三件の内容を申しますと、佐世保海軍施設、立神港区、それから那覇空軍海軍補助施設でございます。 それから第二点の御質問の、今後拡大するかという点でございますが、この点は非常に問題が微妙でございまして、現段階で拡大するとか、あるいは縮小するとか、そういうふうにお答え申し上げることはきわめて困難な事情にあるということを御理解いただきたいと思います。
○神谷信之助君 いま拡大をするかどうかという点については非常に微妙だということですがね、その意味がどういう意味かわかりませんが、私どもも、米軍と自衛隊の共同使用についてはいろいろやっぱり問題があるというように思うわけです。 一つ具体的に例を挙げて言いますが、厚木ですね、厚木では基地の中枢である滑走路、管制塔を含む地域を地位協定の二4(b)で米軍と自衛隊が共同使用しておりますが、そこで防衛庁の方に聞きますが、最近における米軍の発着回数ですね、あるいは着陸回数というのですか、これは一体どういう状況になっているか、自衛隊機と米軍機ですね。
○政府委員(伊藤圭一君) 私の方の資料で、いまございますのが五十年度と五十一年度でございますが、この数字について申し上げます。 五十年度、自衛隊機の発着回数が二万七百七十七回、それから五十一年度が一万九千九百五十九回でございます。これに対しまして米軍機が五十年度が二万七千八百六十七回、五十一年度が二万五千五百一回でございます。
○神谷信之助君 発着回数は、自衛隊機よりも米軍機の方がはるかに多いわけですが、これで御承知のように周辺の住民にも騒音とか事故などで大変迷惑をかけているわけです。おまけに飛んでいる飛行機、発着している飛行機は米軍機の方が多い、そういう状況です。 ところで、米軍機に対する管制ですね、飛行場の管制、着陸管制などを含めまして、これは自衛隊がやっているそうでありますが、こういう管制とかレーダー運営、気象業務、滑走路の維持及びこれらの設備更新など、飛行場として運用するに必要な費用、これは年間幾らぐらいですか、近年のものでいいわけですが。それともう一つ、人件費はどうかということですね、それに必要な人件費はどうか。もし計算ができておらなければ人数で結構ですが。
○政府委員(平井啓一君) ただいまの御質問、あらかじめ昨日いただきましたが、厚木基地の基地整備運営に要する経費というものをどういうふうにとらえるかということは、細分いたしますと非常に複雑でございます。今日用意してきております資料では、全体の経費といたしまして、昭和五十二年度において、今後の分で予測されるものも含めまして、総額で約六十億でございます。その六十億のうち、大体、人件費だとか糧食だとか、あるいは庁費、旅費、医療費とか、そういった維持費関係が約五十六億。あの厚木基地におきます海上自衛隊の施設の整備のために一応予定しておりますものを含めまして約四億、合わせまして六十億でございます。 ただ、この中で御質問の管制という、二4(b)地区の米軍の飛行機の発着も含めた管制に携わっている人間の人件費がどういうふうになるか、維持費がどういうふうになるかという仕分けはちょっと直ちにはできかねると思いますので、御了承いただきたいと思います。
○神谷信之助君 それじゃ、そのうち米側が負担をしているもの、これはどういう形で、どういう名目、どういう計算方法でやって、どれぐらいになっていますか。いまおっしゃった六十億に対応するものといいますか……。
○政府委員(平井啓一君) ただいま御答弁いたしました六十億は、すべて海上自衛隊の航空集団司令部及び第四航空群があそこに所在しまして機能を維持し活動するための経費でございまして、これには米軍の関係の経費というものを特に含んではおりません。また、米軍から特にこの経費に該当するものをわが方がもらっているというようなものはございません。 ただ、厚木基地に関しましては、御承知と思いますが、米軍の専用的ないわゆる地位協定の二条1項(a)の地域と、その地域の中で二条4項(a)に基づいて海上自衛隊が共同使用している地域と、それから滑走路部分を主体とした二条4項(b)の区域というのが入りまじっておりまして、これの全体の運営の中で、電気、水道等のいわゆるユティリティーと称せられるものにつきましては、いわゆる親メーターが一つで運営されておりますもんですから、これは米軍が従来から水道、電気の供給先と契約して支払っておる関係で、逆に自衛隊の方がそのメーターに出ました数字の中で自衛隊相当分というものを割り振りをいたしましてアメリカ側の方に電気代、水道代分としてむしろ払っているという形で運営しております。
○神谷信之助君 これはどうもおかしいんですね。要するに、アメリカの発着するたびに二4(b)地区の滑走路、管制塔その他、これは日本側が言うたら肩がわりして負担をしているという状況になるわけですね、いまの話として。せいぜいいま払っているのは電気代、水道代と。いろいろ防衛庁に来てもらって話を聞きますと、一部滑走路、飛行場の草取りなんかも共同でやって、それは少し出してもらうとか、そういう程度はやっているんですが、基本的には人件費を含めまして日本側が負担をしておる、米軍の維持運営に要する費用を二4(b)にすることによって自衛隊が負担をする、そういう状況になっているわけですね。 そこで、もう一つ次の問題にいきますが、先日のファントム事件のときに、被害を受けた人々の救援をやらずに、米軍の操縦士を救出するために厚木の救難隊ですか、これが駆けつけているわけですが、この厚木の地区の救難は米軍にかわって全面的に自衛隊がやるということになっているそうですけれども、いつからそういうことになったのか。この救難活動について日米間に取り決めがあるのかどうか、この点はいかがですか。
○政府委員(伊藤圭一君) この前、航空救難を発動いたしましたが、これは自衛隊があそこの基地を運営いたしております。そして航空救難業務というものは自衛隊が自衛隊の飛行機についてやっているわけでございますが、自衛隊以外の飛行機の場合にも、航空救難に関する訓令というのがございまして、自衛隊に属しない航空機が墜落したような場合には災害派遣をやって救難するということが航空救難に関する訓令の中で決められております。 災害派遣につきましては、災害派遣に関する訓令の中で、航空救難といたしましては、行方不明になった航空機の乗員を捜索したりあるいは救助したり、それからいろんな情報を集めたり、そういうことをしなさいということが災害派遣に関する訓令で決められております。 災害派遣に関する訓令というのは、自衛隊法の八十三条に災害派遣の規定がございまして、原則といたしまして、災害派遣というのは、都道府県知事あるいはその他政令で定めてあります……
○神谷信之助君 時間がありません、簡単に。
○政府委員(伊藤圭一君) 権限を持った人からの要請で出るわけでございますが、緊急の場合には、みずから判断して出て行きなさいというふうになっております。それに基づきます一連の災害派遣、航空救難に関する訓令に基づいて出て行ったもんでございます。
○神谷信之助君 そうしますと、これは先般来国会でも問題になったように、ちょっとした軽傷しか受けてない米人を助けておる、そしてもう命まで奪われているという状態になっている日本国民の方は助けない。日米間に、これについて、そういう場合には全部自衛隊が出てやりますということになっていれば別ですよ、それで大体話を聞くと昔は全部米軍が直接やったわけです。ところが、いつごろからか知らぬが、今度はもう米軍がやらないで、自衛隊が全部災害救助を行っている。それからさらに、民間航空機の場合は国際間の約束があって、日本の領海、領空の中で事故があれば、日本側が救出をする、こういう取り決めがありますわね。ただ、これは日米間にそういう取り決めもないと、しかし、自衛隊法の八十三条でやって いると。 八十三条は都道府県知事その他の要請に基づいての自衛隊出動ですね。しかし、緊急の場合はそれはもうなしでもって行かれる。確かにあれは緊急ですから、神奈川県の知事も市長もその起こったときはしてないでしょう。ただ、事故が起こったことは、飛行機が落ちたことは知っている。それが日本の国民に被害を与えているであろうこともわかる。しかし、そっちをほうっておいて米人を助けたというのは、自衛隊法上から言っても、あるいは両国間の取り決めもないとすれば、一体どういう判断に基づくのかという点が、これはおかしいじゃありませんか。だから、共同使用をしていると、同じ飛行場でね。だから、そういうところから米軍の要請ですぐもうやっちまう、日本の国民の方は忘れてしまう。これであれば金は持ってもらうし命も守ってもらう、アメリカの方は笑いがとまらぬということです。これが共同使用の一つの問題です。これがこういう状態で起こっています。その点一つ指摘をしておきますが、何かありますか。
○政府委員(伊藤圭一君) いま先生がおっしゃいましたことがその後問題になりまして、私ども、地上に落ちて火災が発生している、そしてパイロットを救い上げてきた後、またヘリコプターが行って、その状況をつぶさに報告をし、適切な措置をもっと早くとれたんではないかと、いま反省しているわけでございます。 ただ、これはパイロットの話によりますと、一時三十分ごろ現地の上空に行っております。
○神谷信之助君 もうそれはいいです、簡単に。
○政府委員(伊藤圭一君) はい。そして、そのときにもうすでに災害救助の活動が地上において始まっているということをパイロットは見たようでございます。で、通常の場合に、航空機の事故がありますと、ほとんどのパイロットというのは大変なけがをするものでございますので、そういう状況を見た上でパイロットを救出するために米軍のヘリが飛んでおったのに、指示――指示といいますか、ここに落ちているという情報を得まして、それを助けて帰ったということでございます。ですから、その後、さらにその現地の状況を確かめるために、もう一度飛ぶというような配慮がなかった点は遺憾だと思っております。またさらに、地上の救難隊も準備をいたしておりましたけれども、パイロットからすでに救出活動は始まっているという連絡があったものでございますから、現地に行くのに三十分以上かかるという判断のもとに出なかったという問題が残っていると思います。
○神谷信之助君 飛行機が墜落をして事故が起こったということで、それじゃまず日本の自衛隊が考えるのは、そのことによって国民にどういう被害があるのかないのかということで飛び立つのがあたりまえ。ところが、そうして仮に救出の業務の活動が始まっておっても、向こうは空き地がありますから、おりようと思えばすぐおりられるのですよ。そこで緊急に処置をせなきゃならぬことがあるかどうかということをまず確かめなければならぬ。その辺はいろいろありますが、これはきょう重点でありませんので――。そういう問題がこの共同使用の場合にはやっぱり起こりがちになってきている。 私は、この共同使用の問題ですが、例の四十五年の一月のアメリカの議会のサイミントン委員会で、当時、これは福岡の板付の空港の場合について、その委員会で議論をされている議事録がありますね。これは当時は板付は地位協定の二4(a)で米軍が管理をしている。そこで米軍が管理をして、管制塔あるいは滑走路、これなど全部米軍が費用を出しておって、年間約百五十万ドルだと。その場合、人間だけでも八百八十名配置をしなけきゃならぬと。金がかかり過ぎるし、これは何とかならぬかというのがサイミントン委員会で議論になって、そういうことを考えろという結論になっております。この結果、厚木の方は四十六年の七月から二4(b)になり、そうして板付は四十七年の三月から二4(b)になった。 ですから、これはまさにこういう経過から言いましても、米軍側の経費を節減をする、そういう一つの手段、方法として二4(b)に切りかえていく。こういう方法がやられると、そうすればいままでアメリカが直接負担をしておった部分が日本側に負担をさせるということになる、こういう状況ですね。そういう状況が私はあると思うんですが、ことしの三月、岩間さんが質問をしまして、それに対して運輸省の方がこの福岡の板付基地は米軍の使用回数が当時少ないので、ですからもう米軍から金は取っていないと。二4(b)になりましてもアメリカから金はもらっておらない、そういう答弁をしたわけです。これは原則的にそれじゃ米軍にも負担をさせるべきだという含みを持っているわけですが、これはおかしいじゃないかということを岩間さんが追求をしたら、三原長官がそれはひとつ新たな問題なので、運輸省と相談をして処理をする、そして安保協議委員会にもかけ、アメリカ側と相談をするという趣旨の答弁をなさっておりますが、これはその後どういうふうに処理されましたか。
○政府委員(平井啓一君) 御指摘のとおり、岩間議員の御質問がございました後、外務省、運輸省等とこれらの問題について検討したわけでございますが、自衛隊あるいは板付のように民間航空と米軍との共同使用、また逆に同じ共同使用でも二条4項(a)に基づく共同使用、それぞれ態様があるわけでございますが、そういった施設区域を共同使用する場合に伴いますところの費用につきまして、どういうふうな考え方をするかという点につきましては、一応、原則的には、それを使用するためにそれぞれの使用する者がみずから必要とする経費については当然みずからが……
○神谷信之助君 もうわかっているんですから、簡単にひとつ結論で。
○政府委員(平井啓一君) 負担すべきであると思います。 ただ、施設を維持するために必要とする経費についてどうするかについては、やはりあのときにも政府側から御答弁申し上げましたように、個々のケースごとに応じて、その実態に伴った処理をしていく必要があるであろうということで、ただいまの御指摘の点もいろいろ話し合いをしました結果、実態に応じて妥当な姿で経費をそれぞれ負担していくべきであるというふうに打ち合わせを了している次第でございます。
○神谷信之助君 地位協定の二十四条でちゃんと経費負担の原則は確立されているわけですよ。ですから米軍の維持運営にとって必要な経費は米軍が持つと、これはもう確認をされて確立をされている問題ですわね。それをあいまいにして、原則を緩めてくるという状態がこの厚木でも起こっておって、米軍の運営維持の費用として日本側がもらっているのは電気代、水道代ぐらいのものやと。実際にあれをもし米軍が専用しておったら、管制塔のコントロールの要員もあるいは基地の警備員まで含めて全部米軍が負担をせなければいかぬわけでしょう。それを二4(a)から二4(b)にすることによって日本側に負担を転嫁をさせる、これができるわけですよ。そのことをアメリカの会計検査委員会の報告でも、そのやり方、労務費の負担の問題と共同使用の問題、この問題を重視をして勧告をしているわけでしょう。だからそういう状態が来ているわけですね。 これはまさに、そういう点から言うと、米軍自身の維持運営に対して米軍が負担すべきものを日本側が負担しているわけですから、地位協定の枠からはみ出る、そういう状況だと私は思うんです。 さらに、こういう仕方をやっているということは、自衛隊法上から言っても、あるいは財政法上から言っても、たとえば予算の目的外使用でありますね、自衛隊の費用で米軍の維持運営を負担をしているんですから、それに支出をしているという、そういう点にも問題がある。こういうように思うんですが、この辺はどうですか。
○政府委員(平井啓一君) ただいまの御指摘の点、いろいろまた細部にわたりますと議論のあるところじゃなかろうかと思いますが、ただいま最後に御指摘になりました点で、たとえば厚木に例をとった場合、私どもが先ほど御答弁いたしました年間約六十億の維持運営費を使用しているということは、あそこに航空集団司令部と第四航空群という海上自衛隊の部隊があり、それが運用されることに伴う経費であって、その経費の中で特にアメリカがあそこで二条4項(b)で滑走路を使っているために、それ以上の経費がかかっているというふうにはわれわれは考えてはおりません。当然、アメリカ側が使おうと使うまいと滑走路は維持し運用されていくという点になりますと、ほぼあれと同様な経費は当然要るものじゃなかろうかと、そういうふうに考えておりますが。
○神谷信之助君 二十四条というのは、そういうようにはなってないんですよ。だから、厳格にはやっぱり維持運営に必要な経費はそれぞれのところが持つというのがたてまえでしょう、二4(b)の場合に。ですから、それはアメリカ側が使うんだって、自衛隊ばかりだったら自衛隊でその費用を全部負担をするのはあたりまえです。しかし、アメリカが使用すれば、その点についての負担はするというのがちゃんと二十四条の規定であると思うのですがね。これは時間がありませんから、その点を指摘をしておきます。 さらに、もう一つ問題なのは、これ聞きますと、厚木の二4(b)の地域は大蔵省所管の普通財産だという話ですね。そして自衛隊が使用承認を受けている。で二4(b)の地域の使用はだから普通財産で、しかも短期の暫定的な使用として、使用承認を更新をしながら使用する、ずるずるそういう形で四十六年以来来ているという話を聞いたんですが、これは一体どうお考えですか。
○政府委員(高島正一君) お答えいたします。 厚木基地は、海上自衛隊の航空基地としてきわめて重要な施設でございまして、今後とも防衛庁としては使用を続けたい所存でございますので、二4(b)地区につきましては、先生御指摘のとおり、防衛庁行政財産とするよう近く所管がえの手続に入りたい、このように考えておる次第でございます。
○神谷信之助君 いや、行政財産に仮に今度しましても、米軍が使用する場合、行政使用外ですから、これに一々また包括的な許可承認申請をしますかね、せないかぬわけでしょう。いずれにしても国有財産法上もいろんな問題が出てくるわけですよ。 で、事実、先ほど言いましたが、いろいろありますが、サイミントン委員会、先ほどちょっと触れましたが、あの中でアメリカの側は、とにかくそうやってアメリカの優先使用権をちゃんと保証して、そして共同使用をやれるようにしてもらいたいと、それがアメリカ側としては日本の法令上も問題はないと、そう考えているけれども、日本側の方では現行の協定あるいは法律の関係では改正をしなきゃならぬ、そういう日本側の意見だということをアメリカの政府の方が報告していますね。 当時は、日本側がそういう共同使用のやり方、これは地位協定上からも、あるいはまたいま言いました国有財産法なり関係法ですね、財政法上もいろんなところでひっかかりがあるということで、改正をするなら別だけれども、現行のままでは無理があるという立場に立っておられたんですが、それがずるずると二4(b)がふえてくるという、そういう状況になったんですが、この点はどういうようにお考えになったんですか。
○政府委員(高島正一君) 先生の御指摘でございますが、サイミントン委員会の報告につきましては私ども直接関知するところではないというふうに感ずるものでございます。
○神谷信之助君 何ですって。
○政府委員(高島正一君) 直接、サイミントン委員会の報告がどのようであれ、その点について直ちに政府はそれに拘束されるものではないというふうに考えるものでございます。 ところで、二4(b)にすることがきわめて日本政府にとって不利であるというふうな御指摘でございますが、私どもは必ずしもそうとは考えないというふうに思うわけでございます。と申しますのは、やはり基地の数を幾らかでも縮小し、そして日本側の管轄のもとに移すというのがやはり基本の姿勢であるべきであろうというふうに考えるわけでございます。御指摘の経費の分担ということがございますが、それとは別に、基地のあり方といたしましては、日本政府が管轄する基地をできるだけ多くする、逆に言いますと米側の施設をできるだけ少なくするという方が基本的にあるべき姿ではないかというふうに考えておる次第でございます。
○神谷信之助君 まあサイミントン委員会の結論にわれわれは従ったわけではないと、それはそうでしょうけれどもね。ただ、四十五年、サイミントン委員会が開かれた当時は、日本側は現行法のままでは多くの支障がある、問題があるということを言っているということを言っています。だから、日本側ではこれは無理があるという解釈、見解をとっていた、それがその後ひっくり返ったわけですよ。これはいろいろ理屈はあるでしょう。 そこで、大臣、私は時間がありませんから最後にお聞きしたいと思うのですが、こういう形で、なし崩しで協定の枠をはみ出たりあるいは国内法をゆがめていく、地位協定の拡大解釈、労務費の問題もありますが、共同使用の問題でもこうやっていきまして、そしてそれによって日本側がとめどもない負担を負わされる、こういうことは私は断じて許すことはできぬと思うのですね。私どもは、もとより侵略軍隊でもある米軍の撤去、先ほどは基地は少ない方がいいとおっしゃいましたが、私どもは基地はゼロにしたらいいんです、そういうことを要求しておりますが、きょう私が指摘をした問題について十分検討して、そして正すべきものは正すという態度をとるのが必要ではないかと思うのですが、この点、最後に大臣の答弁をお願いをして、私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 日本と米国との駐留軍費につきましての負担区分は、地位協定で決められているわけでございます。私どもは、その原則のもとに、日本政府として何かできることはないかという立場で検討をいたしているところでございまして、また、その運用につきましてもいまいろいろお話がございましたが、私どもといたしまして、この防衛費につきますいろいろ米側の要求というのも確かに強くあるわけでありまして、この点も勘案いたしまして、正しいといいますか解決案を考えてまいりたいと、目下、検討を続けたいと思います。
○神谷信之助君 きょうは、これで終わります。
○和田春生君 本日の質問の時間の枠がありますので、ハイジャック問題に焦点をしぼってお伺いしたいと思います。 質問の前に、特に外務大臣並びに政府関係者に申し上げたいのは、今度の経緯を通じて国内的な措置もいろいろありますけれども、国際的な関係でどうにも腑に落ちないことが多過ぎるということが一つと、もう一つは、事件が起きてから日本政府は盛んに国際協力の促進を呼びかけておるようですけれども、今回の事件に関して日本政府がとった措置というものは、果たして国際協力の促進を呼びかけるに値するものであろうか、逆に国際的な協力を阻害するような誘因になるような数々の行為があったんではないかという大きな疑問を持っているわけです。したがって、くどくどした説明や弁明は要りませんから、具体的に端的にお考えをお答え願えれば大変ありがたい、こう思います。 まず第一点は、犯人側の要求を全面的に受け入れるという決定をしたその以前に、政府としてはどんな外交的努力を、どこに重点を置いてやったのかということを伺いたいのです。
○政府委員(加賀美秀夫君) お答え申し上げます。 御承知のように、ダッカに乗っ取り機が存在いたしました間は、政府はできる限りダッカで問題を解決したいという方針で種々努力をしたわけでございます。ただ、犯人側の方はどこへ行くということを一言も言っておりませんでしたし、また果たしてダッカでこの問題が解決し得るという保証もなかったわけでございます。したがいまして外務省といたしましては、万一の事態を考えまして、二十ヵ国に及ぶ国々に対しまして、領空通過であるとか、あるいは着陸の許可であるとかいうことにつきましての打診を行ったわけでございます。 この打診と申しますのは、万一飛行機がダッカを立ちまして、どこへ行くか、そのときにはわからなかったわけでございますし、アジアに行くかもしれないし、あるいは中東方面に行くかもしれないということでございましたので、二十ヵ国に及ぶ国々に対しましてこういった打診を行った。そうしてダッカを立ちまして、これがクウェートに向かったということが地上との交信でわかった段階で、クウェートに対して給油のための着陸を認めてくれないかということを申しましたところが、御承知のような経緯でクウェートは断ったわけでございますが、結局、着陸を許可したと、そういうことでございます。
○和田春生君 ちょっと待ってよ。要求を全面的に受け入れる前に、どういう努力をしたかって聞いているんで、それはもうダッカを飛んでからの話じゃないの。
○政府委員(加賀美秀夫君) そうでございます。
○和田春生君 質問をよく聞いておいてくださいよ。そういうとんちんかんなことを答えるから、対策もおかしくなってくるとぼくは思うんですよ。 犯人側の要求を全面的に受け入れるという意思決定をする前に、どんな外交努力を払ったのかということを第一問として聞いたんだから、外務大臣、答えてください。
○国務大臣(鳩山威一郎君) この事件が起こってからのことでございますね。
○和田春生君 そう。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 実は、そのころの経過をつまびらかにいたしませんので、事務当局から。
○説明員(賀陽治憲君) ただいまの御質問でございますが、事件発生直後におきましてどういう解決があるかということで、恐らく人命尊重の方針でいかれるのかどうかという御方針が決定されたわけでございますが、その過程における国際間の協力関係と申しますのは、恐らくこれは本質的には日本の独自の決定であろうかというふうに存じております。
○和田春生君 そうしますと、犯人の要求に基づいて、日本で獄中にある殺人犯を含む凶悪犯人を釈放する、六百万ドルの身のしろ金を払うと、向こう側の言いなりにその点については応ずるということを決定しましたね。それはダッカ空港にハイジャック機に飛び込まれたバングラデシュ政府との話し合いの結果やったんではなくて、日本政府の自発的な意思決定としてそれが行われたと、こういうふうに受け取っていいですね。
○説明員(賀陽治憲君) 大方針の御決定そのものは、これはバングラデシュ政府の話し合いとは特に関係はございません。
○和田春生君 そういたしますと、時間的関係で追っていった場合に、九月二十八日、そういう犯人側の要求が宣言されたのが午後の六時二十分ごろ、で二十九日の朝の四時過ぎには身のしろ金を払うということを政府が声明をした。そうして午前八時四十五分ごろには園田官房長官が身のしろ金の支払いと九人の釈放を受け入れるという方針を発表した。そしてこの点は、私の方の得た情報によれば、ダッカの日本大使館から、二十九日の午後一時半ごろ、犯人は五人、いずれも男、うち四人は日本人、武器はピストル、手投げ弾、操縦席には爆破物と、こういう知らせが入ったと言っているんですが、犯人がどんなグループなのかがわからぬうちに、犯人の要求に応ずることを政府はさっさと決めたという形になりますね。時間的な経緯でいくと。
○説明員(賀陽治憲君) その点でございますが、現地の交渉に当たっておりましたのはマームド・バングラデシュの空軍参謀長でございますが、これを通じまして犯人側の意向をもちろん聴取しておったわけでございます。犯人が一体何者であるかということでございますけれども、マームド参謀長からの話では、先方の話します英語の調子とか、そういうことにつきましては空軍参謀長は非常に知識のある人だったそうでございまして、参謀長は、これはかくかくしかじかであるという相当自信のある判定をしておりまして、これは日本側でも当然把握をしておったわけでございます。
○和田春生君 そうすると、二十九日の朝、犯人の要求に応ずるということを意思決定したというときには、犯人のグループがどういう連中であり、何を意図しているということも政府は把握した上で、決めたというふうに解釈していいんですか。
○説明員(賀陽治憲君) 御指摘のとおりでございます。犯人の最終意思が何であるかということにつきましては、恐らくその段階ではまだ推測の域を出なかったと思いますけれども、犯人につきましての知識はその段階において確立をされたというふうに考えられます。
○和田春生君 そうすると、時間的に二十九日の午前四時には身のしろ金を払うことはもうすでに決めて、応じかけているわけですが、午後の一時半ごろになって、日本大使館から犯人がこうだということを知らしてきたということになると、現地の大使館はそういうことは全然つかんでいなくて、いわばけんか過ぎての棒ちぎれじゃないけれども、六日のアヤメみたいなものですな。何しておったんでしょう。
○説明員(賀陽治憲君) 御指摘の点でございますが、時間的関係を申し上げますと、二十九日の午前八時七分にマームド参謀長が、先方の釈放犯の条件につきまして受け入れる旨の日本政府の意向を犯人に伝達をいたしております。それに対しまして、午前八時二十五分になりまして、犯人側は六百万ドルと九人の赤軍の友人を十八時間以内にダッカの飛行機に届けてくれということを言っておるわけでございます。
○和田春生君 いや、そんなことを聞いているんじゃないんだ。
○説明員(賀陽治憲君) その段階におきまして、先生の御指摘は、恐らく日本大使館がどの程度それに関与し得たかということでございますが、犯人側との交渉はマームド参謀長が主として当たってやったわけでございますが、吉岡大使以下のわが方の大使館員は、終始、マームド参謀長と同じところにおりまして、アドバイスをし、この交渉に参画をしておったわけでございます。
○和田春生君 そうすると、外務省の出先機関である日本大使館から犯人像というものの、直接大使館が当たっておったかどうかは別ですよ、確認の知らせが外務省に届く前に、日本政府は犯人の要求に応ずる意思決定をすでにやっておったという形になりますね、そうならざるを得ませんね。
○説明員(賀陽治憲君) この点は、先生の御指摘は、いろいろな時間的な御関係を御指摘のことでございますが、私どもの記録を整理いたしますると、犯人についてのといいますか、知識及び犯人側の要求、そういったものを、これはもちろん最終的意思とかいうものは確認いたしておりませんけれども、その重要部分については把握した後に、当然、日本政府として判断が行われておるということになっております。
○和田春生君 その点は重大な疑問が残っておるので後に残しておきたいと思います。 外務大臣にお尋ねしますけれども、閣僚の一員として、犯人の要求に応ずることを決められたお一人なんです。ああいう形で、あすこで犯人の要求に応ずるということをいち早く決めるという措置をとる以外に方法がなかったのか、どういうような措置を政府としてとるべきかということを真剣に突き詰めた上、最終結論として犯人の要求に応ずるということに立ち至ったのか、そういう意思決定をする前に、一体どんなものを検討して、その可能性あるいは不可能かどうかというような問題、いろんな問題を苦悩の末検討したんだと思うんですが、どういうことを検討したんでしょうか。 実は、問題はそこにあるんですよ、一番大きな問題は。あらゆることをやった結果、粘りに粘って万策尽きてそこにいったというんではないんではないかと、私自身も、一番政府に近い国会議員でおって思うわけなんです。多く接する国民なんかもみんなそう思うわけですね。一体、ああいう方法以外に手はなかったのだろうか、もっとなぜ政府は真剣に手を尽くして検討するということをやらなかったんだろうか、これがこの事件に対する割り切れなさの第一の出発点だと思うんです。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 事件が発生して、特に二十八日、九日はこれは恐らく総理以下休まれないでいろいろ検討をして、あらゆる可能性を検討されたことと思います。その辺のことは直接いろいろ細かく伺いたいと思っているんですけれども、私もその情勢はまだよく把握いたしておりませんのでありますが、恐らく大変苦しい一夜を明かされたものと伺っております。
○和田春生君 本会議でも総理は答弁になっておりまして、外務大臣はやはり当面のハイジャックに対する国際関係の責任者ですが、どうもいまの答弁では余りよく御存じないようなことなんですが、いまここに総理がおりませんが、いままで総理がいろいろ言ってきたことを聞いておりますと、人命尊重か超法規的措置かという二者択一の命題を立てているんですね。つまり人命は地球より重い、百数十人の人質の人命をどうしても救わなくてはならぬ、そこでやむを得ず断腸の思いで犯人側の要求に応ずる決意をした、まあいわばこういう答弁をしている。私も直接聞いているわけですから間違いないと思うんです。 ぼくは、この百何十人の人質の命がなくなってもいいのか、殺されてもいいのかということを問われたら、殺されてもいいなんて答える人間は一人もいないと思うんですよ、それは殺されてはならぬのですよ。どうしても助けなくちゃならぬということはあたりまえの大前提なんです。そのことと犯人側の要求に屈して犯罪人を釈放する、しかも身のしろ金、まあ彼らの軍資金までつけて放すというような、もうはるかに法規を超越した措置をとるということとどっちかという命題の立て方をするところに間違いがあるし、国際的な不信を買っている根本があるんではないかと思うんですね。 政治というものは、ある場合に非情なものでしょう。たとえば警察官、自衛隊の隊員というものを考えてごらんなさい、わかるわけですよ。凶悪犯に立ち向かって警察官は負傷をしたり、あるいは命を失うことがあり得るかもわからぬ。不幸にして外敵が侵入したと、第一線に立った自衛隊員というのは戦いの結果戦死をするという者があるかもわからぬ。人命が何よりも重い、地球よりも重いということが普遍的な原則であって政治の上に生かされるのなら、そういうことは認めてはならぬのです。どんどんみんな逃げる以外に手はないんです。しかし、それはそれよりももっと大きなものを守りたい、人間の命を含めて、現在の社会における人間の生きざまというものを守っていくという使命を負っているのが政府なんでしょう。そうすれば人命尊重か超法規かという二者択一で物を考えるのではなくて、その人質の人命を助けると同時に、そういうことが将来に悪い尾を引かないようにということにあらゆる手段を尽くすということが当然あってしかるべきではないか。 ところが、ハイジャック事件が起きてから政府が犯人の言いなりになるということを決めるまで二十四時間たっていないんです。犯人の要求が宣言をされてからでも、わずかに十数時間しかたっていない。そういうような人命尊重というものをむしろにしきの御旗にしてそこに逃げ込んで、本当の意味でのやるべきことをやらなかったというところに日本政府のとった態度というものに国民は割り切れなさを持っている。国際的にもそこがつかれているんじゃないですか。外務大臣、国務大臣としてどういうふうにお考えになりますか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) こういう事件に対しまして、総理以下、大変な苦しみを苦しまれたと思います。しかし、こちらの苦しいときは先方も苦しいというのがいろんなこういった事件のときのやはりこれはせっぱ詰まった段階におきます双方の気持ちであろうと思います。そういったときになるべく時間を稼ぐというのは一つの原則であろうと思われますけれども、その点につきまして、今回の事件につきまして一人ずつ処刑をするということが如実に示されて、また現地の空軍指令官の現地の判断として強い要請を受けてやむを得ず決められたことであろうと思います。 私ども、今回の事件を振り返ってみまして、六人の、しかも殺人犯を含んだ囚人を引き渡すというようなことは、まことにこれは残念なことでありますし、法治国としてこんなつらいことはなかったことであります。その点につきまして、いま事件が終わってしまった段階ではこれはいろんな各方面から批判の起こることは私は当然であろうと思います。私どもも、こういう事件、まあ人が救われてしまいますと結局後は政府のとった態度につきまして非難が殺到するということは覚悟をしなきゃなりませんし、しかし、それならばといって私どもはこれからやはりこの事件、特に釈放犯等がまた再びこのようなことを起こすということ、これはもう世界に対しまして本当に申しわけないことでありますから、何とかして再発を防止するために本当に真剣に取り組まなければいけないと考えます。御指摘の点は、謙虚に承るべきことであろうと考えます。
○和田春生君 ぼくは、人が助かっちゃったから、事件が済んで政府の態度を批判をするなんていうけちな考えで聞いているんじゃないんですよ。さっきからの質問でわかるように、外務大臣、あなたもいま一つうそを言われた。バングラデシュの現地の交渉に当たっている司令官からの強い要請に基づいて苦悶の末決めたと言う。先ほどのやりとりを皆さん聞いて知っているんです、それより先に自主的に決めているわけですよ、時間的な経過がはっきり証明しているんですよ。粘りに粘って、あるいはバングラデシュ政府とも交渉に交渉をやり、日本政府としてもこういう手も考える、ああいう手も考える、何とかしてこのハイジャック犯を野放しにしたくないんだということでがんばって、しかし、もう現地の事情いかんともしがたく、どうしてもバングラデシュとの関係でもやむを得なかったという上の決断ではないんですよ。先ほど来、だから最初にそういうことをぼくは聞いたわけなんです。さっさと政府は決めているんです、はっきり言って。時間的経過をごらんください。そこに割り切れないものがあるんではないかということを伺っているわけです。で、この問題はまたいずれ基本的な問題として議論するときがあるでしょう。 私は、次の問題について一つ伺いたいんですね。それはどういうことかというと、先ほども事件が起きたら二十数ヵ国に交渉したとおっしゃいましたね。そのときに受け入れてくれるかどうかということを含めて打診したとおっしゃった。最終的にアルジェが受け入れてくれたわけですね。で受け入れたときにその犯人の引き渡し要求を放棄した、あるいは旅券もつけてやった、身のしろ金も請求をしなかったとか、いろいろな問題がありますが、そういうことは私はいま問おうとしない。いいですか、あすこで日本からさらに殺人犯を含む人間がドッキングをして、そしてあの部隊が、テロリストが釈放され、これが世界に散らばる。しかも六百万ドルという軍資金を持っておる。アルジェリアの政府にこれは全部取り上げられたかどうかはつまびらかにいたしませんね。もしこれらの一味の諸君がヨーロッパなりほかの地域で日本の飛行機以外の外国の航空機をハイジャックをした、そうしてそこで事件が起きて身のしろ金をまたゆすられる、あるいは死者が出る、事件が起こったときに、日本政府はどういう責任と措置をとるという決意でこれを決めたんでしょうか。 もしそれがあなたの方の国のことであるから、日本はもう国内から追っ払っちゃったんです、外でやったことなんで、それはあなたの国の主権の範囲ですという形になれば、日本政府は意図しなくてもハイジャック犯の第二次、第三次の犯罪行為に対する完全な共犯幇助の立場に立たざるを得ないと思いますね。私は恐らくそこまで考えておったんではないと思う。それを考えずにあの措置を決めたとすれば、自分のうちからごみを掃き出してしまって隣の庭かよその庭へやっちまって、うちの中はきれいになったと同じことでしょう。一つは、国際的に非常に日本の政府が軽べつを買っている、疑惑の目で見られているというのはそこにあると思うんです。ですから、もし仮に、あり得ることなんですから、現にいままでもあったことなんですから、あの新しい殺人犯を含むテロリストが二次、三次の事件をヨーロッパなりどこかで起こしたというときに、日本政府はその事件に対してどういう責任をとり、どういう措置をとろうという決意をして、この決断を下したんですか。
○国務大臣(鳩山威一郎君) ただいまおっしゃるような、この釈放犯が二次、三次のそのようなハイジャック事件を起こすということになれば、これは私は大変日本がさらに非難をされることは当然でありますし、その責任のとりようがないわけでありますけれども、これは何といっても日本政府は重大な責任を痛感しなきゃならないと思います。そういう意味を込めましても、これからのハイジャック事件の防止につきましてあらゆる努力をしなきゃなりませんが、なお、釈放犯人につきましても、あとう限りの努力をして何とか再逮捕ができるように、これはあらゆる努力をすべきものであろうと、これは私が個人として考えます。しかし、この点につきまして法務あるいは警察当局もいろいろ研究をしておられるところでありますが、私の気持ちとしては、そのようなことが本当にできますように、外務省としてもあらゆる協力をしたいと思います。
○和田春生君 あらゆる努力をしたいということはそれはもう結構で、やってもらわなくちゃいかぬわけです。 しかし、先ほど来言っているように、日本の政府があの事件が起きてから交渉したことは、ともかくハイジャック犯が乗っ取った飛行機を受け入れてくれ、犯人も受け入れてくれ、身のしろ金もつけて、そして日本国内からも釈放したハイジャック犯以外のこちらにおったテロリストも含めて受け入れてくれということを交渉したわけでしょう。つまり、そういう凶悪犯を無事に受け入れてもらいたいと。もちろんそれは人質の人命を助けるという目的があることは当然ですよ、そういうことをやったわけですね。そうして、これからあらゆる努力をして、国際協力でこういう事件が再発しないようにしたいと、日本政府はそういう決意でございますから、よろしく御協力を下さいということを呼びかけて、あなたが外国の場合に素直にそうかって言えますか。ちょっと気持ちを言ってください。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 現に、日本に対しまして、各地の新聞、世論等におきまして、日本の態度につきまして弱腰であるとかいうような非難が出ておることはよく存じております。そういう意味で、私どもこれから努力をするに当たりまして、主観的にはなかなかつらい立場にございますけれども、しかし、そういうことを乗り越えてこの再発防止に努力をしなきゃならない、こういうふうに率直に思います。
○和田春生君 私は、きょうの質問の中で、ハイジャック防止という立場から、航空機に警乗する公安官制度、あるいは警察におけるそういうようなシステムというものについてもお伺いしたいと実は思っておったわけです。しかし、もう時間も余り残っておりません。別の機会にこれは譲りたいと考えておるんですが、いま政府から発表をされているいろんな方針ですね、それからわれわれもいろいろ検討して、来週中には私たちの党としても総合的な対策の要綱は決めたいと考えているわけですが、これは日本の航空機と日本の主権の及ぶ範囲において再発を防止するという範囲の対策ないしは措置がもっぱらなんですね。 国際的な協力という形になると、そういうもうハイジャック犯人なんかはどこも受け入れないんだと、やっぱりどこもボイコットするんだと、もう活動する余地がないんだというような措置を進めていくということが一つの重要なポイントだと思います。もちろん、非常に凶悪な意図を持っておってすきをついてくるハイジャック、テロリスト防止というものについて、万全の措置、一〇〇%の措置というものは私はないと思うんですけれども、いずれも一長一短だと思います。ですから、短所はさておき長所を積み重ねながらこれを結びつけていって防止をするという、本当の意味でのそういう努力が必要だと考えるんですけれども、国際協力という面では、そういうハイジャック犯人等が活動する余地を狭めていく、やっぱしできないようにしていくということが一番大切ですね。そこに皆心を砕いているわけです。 西ドイツがやったことがいいか悪いかは、立場によっていろいろ批判もありましょう。しかし、やはり外国の空港に出向いていってでも何とかハイジャック犯人というものはそこでしとめたいというその熱意というものがああいう結果を導いた一つですね。ところが、日本政府は、ハイジャック犯人だけじゃないんですよ、六百万ドルという身のしろ金を持った国内におった犯罪人まで含めて、どうぞ受け入れてくださいと言って交渉した、二十数ヵ国に。つまりハイジャック防止のために必要とする国際協力と逆行することを日本政府はやったんですよ。人質を助けるという大義名分、それは否定するわけではないが、そのことにまず日本政府が真っ先にとった措置というものは、国際協力を促進することと逆のことをやったんですね。そこにやはり国際間の不信の原因がある。これは私の推察ではないんです、いろいろ聞いてみた。やっぱしそこが問題なんです。なんだ、てめえのところは犯人追っ放してよそに押しつけといて、それで人質が助かったのは結構でした、さあこれから今度は国際協力をいたしましょう、国連の決議案を提出いたしましょうと。それは決議案提出をすることは悪いことじゃないですから、決議案提出をしたらけしからぬとか、国連決議におけるハイジャック防止に日本政府が賛成するのはそんなことはだめだなんとは言わぬでしょう。しかし、腹の中では、何を言っているんだいという気持ちを持っている人が多いんじゃないですか。 国内において、今度の事件の結末に対して、言いようのない割り切れなさというか、もう少し何とかならなかったかという気持ちが、無事人質が救出をされたということに対する安堵感とともに、うらはらの関係で存在するというのは、そこにあるんじゃないかと思う。そういう意味で私は政府を追及している。また、そういう点に立って政府自体が国民に呼びかけていく、そういう努力が必要なんですが、その努力がない。追及されると、あなた方もそうです、総理もそうです、人命尊重か超法規的措置か苦しみの末やむを得ずやりましたと、二者択一の命題を立ててしまう。そうすると、だれも人の命を殺していいと言えないものだから、あとは全部免罪になると。そうではなくて、もっと第二、第三、第四のいろんな手だてがあったんではないかと。やっぱしそれを断固として追求するという決意、それに国民は協力をしてくれという呼びかけがなければ、第三、第四のハイジャックは私は起こり得る可能性があると思うんです。そのことについての外務大臣の決意を一遍お伺いして、きょうの私の質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(鳩山威一郎君) 和田先生のおっしゃること、私も全くよくわかりますし、そのあらゆる可能性につきまして検討された上の御判断だったと思います。しかし、残念ながら、結果におきましては、六百万ドルという大金とともに犯罪人を釈放した、こういう事実が残っているわけでありまして、その点は本当に残念であると言うしかございませんが、これから、そういう意味で、日本といたしまして、やはりまた同様の事件を繰り返すことを何とか防止しなきゃならない、あらゆる努力をいたさなきゃならないと思います。
○和田春生君 終わります。
○委員長(安孫子藤吉君) 本日の調査は、この程度にとどめ、これにて散会いたします。 午後三時十九分散会 ―――――・―――――