法務委員会地方行政委員会外務委員会運輸委員会交通安全対策特別委員会連合審査会 第1号
- 発言数
- 188 件
- 登壇者
- 26 名
- 会派数
- 9
- 開催日
- 1977/11/11
会議録
○上村委員長 これより法務委員会、地方行政委員会、外務委員会、運輸委員会、交通安全対策特別委員会の連合審査会を開会いたします。 先例によりまして、私が委員長の職務を行います。 内閣提出、航空機強取等防止対策を強化するための関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 本案の趣旨につきましては、お手元に配付いたしてあります資料によって御承知願います。 ————————————— 航空機強取等防止対策を強化するための関係法律の一部を改正する法律案 〔本号末尾に掲載〕 —————————————
○上村委員長 この際、質疑者各位に申し上げます。 本日は、質疑者が多数おられますので、申し合わせの時間はこれを厳守され、議事進行に御協力賜りまするようお願い申し上げます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山田久就君。
○山田(久)委員 過般の日航機ハイジャック事件、このような非人道的な暴力に対しましては、これは断固たる決意を持ってあらゆる手段を行使し、その防止対策に万全を来さなければならない。この必要についてはもう異論のないところであろうかと思います。まあこれらの対策については、政府としてもすでにお考え置きの点がいろいろあるようでございまするけれども、本日は、この問題の中で、結局防止対策の基本ということになれば、いまわが方としては、これら赤軍の根源を絶つということ、このことがむろん中心でなければならないし、さらにこういうものの動きを未然に防止するというような点から言うならば、国際的な協力、これを待つことなくして目的を達成することはできない。したがって、この国際協力の関係というものを強化しなければいけないということについてはまた異論がないところであろうと思います。と同時に、また、これについて国内的ないろいろな措置、法律上の措置その他を必要としていることも当然でございます。 便宜、本日私はこの第二の——順序はいろいろになりますけれども、まず国際協力の体制強化ということについては政府においてもいろいろ措置を講じておられるようでございますけれども、この際、過般国連においてとられたこの種措置を初めといたしまして一連の措置、並びに今後こういうような趣旨から考えておられるというような措置について、ひとつお考えをお示しいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 ハイジャックの防止、このためには特に国際協力が大事であるということはもう申すまでもないことでございます。また、在外公館の陣容にいたしましても、これらハイジャック事件が多くの人々の心配事になってまいったわけでありますから、この点につきましても在外公館の能力を充実させなければならない、御指摘のとおりでございます。 これらにつきましては、まあ来年度予算の編成を控えておりますが、今後外交陣容の強化また情報収集についての強化、これらにつきまして、来年度予算におきまして適切な措置をとりたい、かように考えておるところでございます。
○山田(久)委員 いまは、在外公館等についてのいろいろ情報措置その他についての、あるいは警備体制の強化という点に触れられたわけでございまするけれども、私がここでお尋ね申し上げたいと思っておった点は、一つは国際的な協力というものを得るという意味において、過般も日本が決議案を出して、それで国際的な協力を呼びかけた。すでに三つの条約もあるわけでございまするけれども、これらの一連の国際協力への、つまり呼びかけ措置その他、今後さらにいろいろ国際協力というような面でこの目的達成に沿うという意味で考えたいと思っているような措置についてお示しをいただきたい、こう申し上げたわけでございます。
○鳩山国務大臣 たまたま国連総会が開かれておる際でございまして、この機会に、国連の場におきましてこれらハイジャック行為につきましてこれを非難し、また各加盟国がすべてこの問題に対してその予防措置に取り組む、また、御承知のように三条約につきましてあらゆる加盟国がこれに加盟することを慫慂する、このようなことにつきまして、わが国自身が最も重大な関心国といたしまして共同提案国になってこれらの決議をいたしたい。今回、国際民間航空の安全というテーマで決議ができたのではございますが、御承知のように全会一致方式でこの決議ができたということは大変よかったと思っております。前回の決議におきましては反対する国がまだあったわけでございますけれども、今回は全会一致でこの決議が成立したこと、それにつきましてわが国といたしまして積極的な協力をいたしたこと、御承知のとおりでございます。 また、ICAOにつきまして、これは緊急理事会の開催をわが国が求めまして、わが国が遭遇した事故の経過を報告をいたしますとともに、これからの予防措置等につきまして十分な検討をする、そのようなことも行った次第でございます。今後ともあらゆる機会に努力をいたしたい、かように考えております。
○山田(久)委員 結局、国際協力といっても、問題の国々が実は、決議を支持してくれた点は少なくとも政治的、精神的には大変進歩だと思うが、しかしながら、条約そのものに参加してくれないということになると、実際問題としてその具体的な防止措置、処罰措置、いろいろなことができない、こういうことに相なろうかと思います。まだなかなかこれはむずかしい問題であろうかと思うけれども、いまはたしか半分ぐらいしか入っていないのじゃないかと思うのですけれども、今度の過程を通じて、これから多くの国、特に問題の国々の参加というような見通しについて政府として特に何か持っておられるような点があらば、ひとつそこら辺の見通しをお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 三条約につきまして、国連加盟国、特にハーグ条約につきましては七十八カ国が現加盟国であります。半分ちょっとというところが実情でございます。その中で、やはり中東諸国等は加盟していないという実情でございます。これらにつきまして、これは先々見通しといたしましても、今回の国連の決議が全会一致であったということから、展望は明るくなったものと私は思っております。しかし、今後いろいろな機会をとらえまして、加盟を要請をいたしたい、かように考えております。
○山田(久)委員 いろいろアラブ、イスラエルというような問題が絡んでおりますので簡単ではありませんけれども、ちょうどこの空気ができたときを契機にして、できるだけ他の国とも協力しながら、できるだけ国際協力の体制がとられるように今後とも政府の御尽力を特に切望してやみません。 では次に、先ほども指摘いたしましたが、この問題に関連しての国内的な措置についてでございまするけれども、そのうち、措置といってもいろいろありまするけれども、特に二、三重要な点についてお尋ね申し上げたいと思うのです。 一つは、旅券法の改正の問題ということは当然問題にしなければならない点である。が、しかし一方において、それでは無用に別の目的のためにこれを乱用するのではないかというような心配もないわけではないというような議論も出ているわけでございますけれども、にもかかわらず、こういう集団的な生命、安全ということをその観点で重要視して当然対策を立てなければならない点であろうと考えております。この点で、来るべき改正という問題で特に重点を置いている点がおありでございましたら、その点ひとつお聞かせいただきたい。とりあえず、それだけひとつお尋ねいたします。
○鳩山国務大臣 今回の改正案で旅券の発行条件を厳しくいたしたわけでございますが、その趣旨は、暴力犯のような人たちに対する発行条件を厳しくしよう、こういう趣旨でございますので、これをみだりに広げるというようなことは考えていないところでございます。従来五年以上の罪を犯した者ということだったわけであります。これを二年に広げますけれども、これにつきましては、暴力事犯、公務執行妨害罪等その他の特定の罪名をこれは通達等で示したい、かように考えているところでございまして、乱用をしないように十分考えているところでございます。
○山田(久)委員 空港のチェック体制ということは、それぞれの国の従来の慣例、あるいはまた他国に協力するというようなことについて多少渋るとか、いろんな問題があって、国際的な問題であるだけにそう簡単ではないかと思いまするけれども、また各空港のチェック体制ですね、この相互協力強化というような点についても政府としてすでにいろいろ申し入れ等の措置をやっておられるのじゃないかと思うけれども、この点についての措置、それからどの程度協力が得られるかというような点についての見通しの点、おわかりの点、簡単で結構でございまするけれども、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○永井説明員 外国に現在日本航空が寄港しております空港が約三十五ございます。そのうちヨーロッパ、東南アジア、中近東に重点を置きまして十七空港について検査の強化をしたい、このように考えておりまして、とりあえず七空港についてはダブルチェックの準備を進めております。もちろん大部分の国は現在検査は現地の官憲が行っておる状況でございまして、必ずしもエアラインのダブルチェックについて了解を得られてないところもございます。そういうところにおきましては外交ルート等を通じて検査の強化に努めたい、このように考えております。
○山田(久)委員 次に、先ほどもちょっと最初に触れたところです。つまり、問題の核心は、赤軍のこの種暴力行為というものを終息させるための措置ということが一番中心問題になろうかと思いまするけれども、御案内のように、この組織というものはかなり国際的な広範な背景を持っておる、つながりも持っておる。なかなかこれは捕捉のむずかしい問題でございまするけれども、今日まで赤軍に対する防止対策措置というようなものについてどうしたらいいかということで政府としてお考えになっておられる点、あるいはその点についてお聞かせいただくことが適当だと思う情報、それらの点、ございましたらひとつこの問題についてお話し願いたいと思います。
○三井政府委員 日本赤軍は御存じのように海外において活動しておるわけでございます。国内に若干のといいますかこれを支援する組織も持っておるわけでございますが、私たちといたしましては、海外での日本赤軍の動向把握につきまして二つの方法で努めております。一つは外交ルートでございます。在外公館等からいただく情報でございます。もう一つはICPOルートを通じての情報交換並びに手配でありまして、すでに海外におりますのは、約二十名程度でございますが、その大部分は何らかの犯罪を犯しておりますので、ICPOルートによって手配をいたしております。 今日まで日本赤軍関係は前回のクアラルンプールの事件以来七名送還されてまいりました。それ以前の日航機ハイジャック事件のときから言いますと九名送還されてきておりまして、国際的に日本赤軍に対する関心も高まってきておりますので、われわれの訴えその他もだんだんと効果を上げてきておると考えておるわけでございますので、今回の事件にかんがみましてこれをさらに強力に推進をするという観点に立ちまして、日本赤軍を常時担当し関心を持つ専従組織をつくりまして国内組織を査察をする。また海外について、ただいまのICPOルート、外交ルートの上に乗りましてさらに密接に情報交換等協力をしていく活動をやりたいと考えておるわけでございます。
○山田(久)委員 いまごく概略のことについての御説明がございました。けれども、正直にあるいは率直に申し上げて、いま外交機関との協力あるいは国際機構との協力というような点、一応のことは大いにやっておられるのだろうと思うけれども、しかしながら、何と言っても昨今非常に不足している点は、もっと徹底した情報把握のための機構なり人員の養成なり、あるいは資金というものを使ってがんばってやってもらうことが必要である。ことに戦後の状況によりますると、そういうような外交的、政治的な方面でまず的確な情報を得るということによってわれわれの対策なり予防措置なりというものを有効に働かし得るわけでありまして、したがって、こういう点については人員、金、組織あるいは情報活動というものが活発でなければならないと思う。ただ、そういう意味では、これは外交関係の問題についても、戦前と比較してはそういう点、人の点、金の点が非常に手薄になってきている点は残念だと思いまするが、同時に、当面のハイジャック対策に対しても恐らくそういう意味での活動というものは非常に不十分だ、こう思います。ぜひこういう点ではひとつ金と人員をつぎ込んでやってもらいたいと思うし、またこの情報活動については先ほどちょっと外交機関の関係と言いましたけれども、世界の中には相当有力な情報組織活動を行っている他のいろいろな機関があることは御承知のとおりでございます。われわれとしては、これは外交問題といわず警察治安関係の情報といわず、やはりそういう方面との連携あるいは情報も得ながら、とにかくそのことのみに依存するというわけじゃないけれども、できるだけそういうソースをつかんでわれわれの総合的判断の材料を豊富にするということが特に必要だと考えておるので、そういう方面についていろいろ今後努力してもらいたいという希望を披瀝するとともに、実際問題としてそういう点についてどういうふうに考えておられるか、この点についてもひとつ政府の考え方をお聞きしておきたいと思う。
○瀬戸山国務大臣 先ほど来山田さんから御意見いただきましたように、これは起こってからというよりも起こらないようにするのが最善の方法だと思います。そうは言いましても、なかなかいまの世界情勢、世界各国の事情等によると必ずしもそれを万全に行うという体制はない。でありますから、政府といたしましては対策本部を設けましてあらゆる対策を総合的に講じなければならない。まず国内的に講じなければならないし、国際的にも世界各国の協力も求めなければならない、この点については先ほど外務大臣からもお話がありました。国内的措置は行政的にもやらなければならぬし、それで間に合わないところをさしあたりきょう御審議をいただいておりますような立法をお願いしたい、かようになっておるわけでございますが、いまお話しのように、やはりそれの対策を立て、事前にチェックするためにはどうしてもやはり彼らの行動、所在、その他を明らかにする情報をつかまなければならぬ。これは外交機関あるいは公安調査庁、警察庁、検察庁、あらゆる機関がこれに集中してやらなければならない、こういうことだと思います。そこで、先ほど警察庁からお話しになりました、これは今度の対策本部で方針を決めて進めようとしておるのが国内、国外を問わず専従の情報、調査のための警察組織をつくろう、こういうこともあわせてやっておるわけでございまして、いまのむずかしい国際情勢、世界の情勢でありますけれども、全力を挙げてみたいというのが政府の考え方でございます。
○山田(久)委員 さしずめ、戦後は海外における活動は何かと日本は遠慮しがちというか消極的な面、またそれにも理由がないわけじゃなかったと思いまするけれども、しかし表の関係、そしてまた裏の関係における情報収集というようなことは非常に大事であって、さしあたり先般のハイジャック犯人というものの引き渡し後において一体どういうことになっておるかということの追跡調査の情報というようなことは、やはりこれは非常に重要だと私は思うのです。一体そういう点わかっておるかどうか、それがわかっていないというのについてはやはりそういう点についてのいろんな手薄、不足、これまでの消極性というようなものが絡んでおろうと思うのでがんばってもらいたいと思いまするけれども、この点について特に何かその後の情勢について得られている情報があるかどうか、ひとつお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 先ほど山田委員おっしゃいましたように各種の機関、これらにつきましても各地におきまして最大の努力をいたして情報の収集に努めております。いろいろな情報が入っておりますけれども、その確度につきまして、これは何とも申せないような情報が多いわけでございまして、ここで一々申し上げる自信のないような情報でございます。今後情報の収集に極力努力をいたしたいと思っております。
○山田(久)委員 結局得られている情報というものの裏をとるというだけの組織なり連絡網というものが必要だと思うので、ひとつこの上とも先ほど申し上げたような趣旨によって対策を充実していただきたい、こう思います。 さらに、今後この種の問題は政府としてはいろいろな国内、国際的な措置をとることは無論でございまするけれども、やはり問題は人命尊重ということと法的秩序の維持というこの二つの大事なものをどうやって調和、両立させながら国民の願望にも沿っていくようにするかという、そういう政府の政治的な決意と態度が非常に大事であろうかと思います。 この点についてお尋ね申したいと思うのですけれども、それに先立って、この前のハイジャック事件に関連いたしまして国外の世論、これは一つは日本に対する国際的な世論、あるいはこの間のドイツの措置に対しての国際的な世論、こういうものは大体どういうようなことであったか。そしてまた、今後政治的措置というものは世論のバックというものを得ながらやっていく、あるいは合理的な支持を取りつける努力が必要だと思うので、国内におけるこの問題に対する世論、いろいろ調査しておられるようですが、大体どういうようなところにあるか、その点についてお聞かせいただきたいと思います。
○賀陽説明員 お答え申し上げます。 ただいまの国際世論の動向でございますが、今回の日航機のハイジャック事件に関しまして外国政府等が公式にそれについて意見を申したということは特にないと存じますけれども、海外の報道機関が本件に注目をいたしまして、中国と一部諸国を除きまして、各国の新聞は事件の経過を大きく報道したわけでございます。政府のとりました措置につきましては、今回の日本政府の決断がまことに苦悩に満ちたものであったということをそれなりに評価するということは大半の論調において認識されておると存じますけれども、若干細かい分け方をさせていただきますと、アジア諸国とか西独の新聞等は、いま申し上げましたように大体やむを得ないこととして是認する論調が多かったように存じます。他方、英国、豪州の新聞等におきましては、将来同様の事件が発生する危険性があり得るということで批判的なトーンが強かったものもあったわけでございます。しかしこの両論いずれにおきましても、やはり政府の措置はやむを得なかった、しかしこれこれであると申しますものとか、あるいは強硬策をとるべきであった、しかしこうこうであるというような、条件つきの、ただし書きのついた論評が多かったように存じます。 西独のケースにつきましては、これもいろいろな論調が見られるわけでございますが、今回の西独のとりました措置が、ある意味で非常に整った環境のもとにおいて行われたことにおいてやや特殊な客観条件もあったことを肯定しつつも、西独の措置についてこれを支持する、是認する論評が多かったものと存じます。
○山田(久)委員 もう時間がございませんので、これで質問はやめさせていただきますけれども、特に、世論を踏まえ、国際情勢を踏まえて非常な政治的な決意を持って政府が対処していただきたい、このことを重ねて強く要望いたしまして、私の質問を終わらせてい九だきます。
○上村委員長 次に、土井たか子君。
○土井委員 今回の日航ハイジャック事件によって受けましたわが国、わが国民の打撃と犠牲はまことに大きかったわけであります。西ドイツの場合も同様でありましょうけれども一具体的には六人の釈放犯や十六億円という莫大なお金が国民の血税によって賄われるということなどを考えますと、国民からすれば、日航ハイジャック事件の経過は一体どういうことだったのかということがはっきりわからなければならないのですけれども、どうもテレビで刻々伝えられるニュースであるとか、新聞紙上の政府それぞれの担当者のいろいろな談話であるとかを通じて断片的に知り得ても、全体の経緯に対してよくわからないというのが実感だと思うのであります。何がどうなっているのかよくわからない。旅券の問題についても大分おくれてから出てきてみたり、実はこうであったという談話が少しおくれて出てきてみたり、よくわからない、それが実際問題、私は実感だと思うのです。西ドイツの場合は、テレビで首相自身がいろいろと経過についての報告を訴えるということもございましたし、また大部の報告書が出されたりいたしておりますが、日本の場合には一向にそういう気配がございません。 そこで、実はきょう対策本部長に御出席をいただきたいという要求を出したわけでございますが、御多忙中と見えましてきょうは御出席いただけませんので、塩川官房副長官の方にお尋ねしたいのですが、こういう経過報告の報告書をはっきりまとめて、対策本部としてはお出しになる御用意がおありになるのか、そのあたりいかがなんでございますか。
○塩川政府委員 報告書の件につきましては、去る十月十三日に参議院の予算委員会に提出したものがございまして、それは「九月二十八日発生の日航機ハイジャック事件の実情及び解決の経過」これは主として外務省が中心となりまして対策本部と共同で出したものがございますので、これをもって一応は政府がその実情並びに経過を報告したということにさせていただきたいと思うて出したものでございます。したがいまして、参議院の方の予算委員会に資料として提出させていただきましたので、衆議院におきましても同様の報告書を出させていただきたいと思うております。
○土井委員 ただいまの御答弁を承ってもまことにこれは消極的なんですね。国民に対して報告書を出すという義務が政府としてはやはりあったのじゃないでしょうかね。ですから、そういう点からすると、どうもいろいろとちぐはぐな縦割り行政の弊害がここにも出たなんということを後でしきりに言われたり、それから、当然報告があってしかるべきものが、報告をその時点でされなかったためにいろいろと誤解が生じて、事がスムーズにいかなかったということも後で指摘されたりいろいろございますけれども、やはりこれは、誠意をもってこういう事に臨むという基本姿勢を問いただすのには、報告書がいまだそういう程度であるということを一つ見たってよくわかると思うわけであります。これは、参議院にもすでに出させていただいたのでとおっしゃるのならば、今回の私どもが審議をしておりますこの一部改正の法案に対しての審議に関して、出していただく資料の中にも入っていてしかるべきだと思うのですが、それもまた、この袋の中には見当たりません。したがって、これは私から言えば、それでは衆議院にとおっしゃるようなかっこうでの報告書というのは、実は頼りないことこの上なしだと思いたいわけでありますが、これは改めて、参議院にすでに出したから衆議院にもというふうなあり方でなしに、対策本部として報告書をひとつこの節まとめてみるというお気持ちにはおなりになりませんか、いかがです。
○塩川政府委員 この参議院に提出いたしました報告書は相当細かい時点までずっと拾い上げまして報告書にいたしております。したがいまして、これは資料として出したものでございますけれども、そうではなくして、今後これを基本にいたしまして報告書の形に再編成いたしたいということは思うております。それはいますぐには間に合わぬと思うのでありますけれども、この時日を追うたものを報告書に取りまとめいたしたいと思うております。
○土井委員 さて私、きょうは旅券法の問題について少ししぼって二、三お尋ねをさせていただくことにいたしたいと思いますが、アメリカやイギリスやカナダやオーストラリアなどなどの各国を見てまいりますと、旅券申請のそのときに、保証人にその人の身元を保証させることによって身元の確認を行っているということがいただきました資料にも散見されるわけでありますが、このような方法を日本としては検討したことがおありになるかどうか。また、これは考えてみようというお気持ちでいまいらっしゃるかどうか、いかがでございますか。
○賀陽説明員 お答え申し上げます。 御質問の点につきましては、御指摘のように米国等におきまして、特定の弁護士または特定の役人を保証人として指定することがございますようでございます。わが方といたしましては、旅券発給につきまして非常に正鵠を期するという意味におきましていろいろな対策を逐次実施しておりまして、その点も従来実は検討してまいったわけでございますが、現在申し上げられることは、若干外国と事情が異なりますので、果たしてそういう対処ぶりが最も適切であるのかどうかという点がございますし、技術的にもいろいろな問題点があると存じますが、御指摘の点もございますので、この点は引き続き検討させていただきたいと思います。
○土井委員 この十三条の一項二号の長期二年以上の刑に当たる罪ということに今度された理由をひとつ率直に承りたいと思うのですが、いかがですか。
○賀陽説明員 長期五年以上を長期二年にいたしました理由は、赤軍等過激派のメンバーにおきまして犯されることの多い犯罪がございますが、たとえば公務執行妨害、これは長期三年でございます。あるいは暴力行為等処罰に関する法律違反、これは長期三年でございますが、兇器準備集合罪、長期二年等を旅券発給拒否の事由に含ましめようということでございます。ただ、同時にこの際御指摘申し上げさせていただきます点は、外務大臣の旅券発給の権限と申しますのは、旅券を発給しないことができるということでございまして、ケース・バイ・ケースで慎重に検討いたしまして、たとえ該当事案でございましても、長期二年に変えまして該当事案がふえますけれども、たとえ該当事案でございましても諸般のケースにつきまして慎重に検討の上、旅券を出すこともあり得ますし、出さないこともあり得るという規定でございますので、この点では本人の渡航の目的とかそういう特殊性を十分検討いたしまして、今後とも健全な裁量をしてまいりたいと考えておる事情でございます。
○土井委員 これはいま御答弁になったとおりで、旅券を発行しないこともあればすることもあって、同じような条件に当たるような場合でもケース・バイ・ケースという、まことにこれは微妙な御答弁なんです。つまり要は外務大臣の万事判断にかかるということなんですね。 そこで問題になってくるのは、間々その判断の内容によっては人権侵害というものが起こり得ない保証はどこにもないわけであります。現行に比較いたしまして、二年以上になりますと罪種が非常に増加しますね。端的に承りたいと思いますが、一体二年以上の刑に当たる罪種というのは幾つあるのですか。
○賀陽説明員 長期二年になりますと大体九百二十罪種くらいに相なると思います。
○土井委員 その九百二十罪種とそれぞれについて、この旅券法の十三条の一項二号からいたしますと、外務大臣に関係機関から全部通報されるわけでありますか。いかがですか。
○賀陽説明員 お答え申し上げます。 ただいままでの慣行でございますと、法務省からこれらの罪を犯しまして訴追されておるかあるいは逮捕状が発給されておるかという者のうち、海外に逃亡と申しますか出国をして日本の刑罰権から逃れるおそれのある者、これにつきまして通報を受けてあるわけでございますが、それと同時に、個々の旅券申請の場合にやはり過去の罪歴を提出させるわけであります。これはもちろん虚偽申請罪がございますので、たてまえは正しく申請されるものと存じますけれども、それも外務省でチェックいたしまして、それについては必要に応じまして法務省に、本人はこういうことを言っておるけれども、この点はどうかという一種のダブルチェックをやはりやっておる状況でございます。
○土井委員 この節、この一部改正の中で長期五年以上というのが長期二年以上になったという点はだれしもが大変に引っかかるところなんです。そこで、この節ひとつ外務大臣にお尋ねをいたしますが、こういうことによって罪種が非常に増加をいたしまして、この条項の取り扱いいかんによりましては、国民の基本的人権、それは言うまでもなく海外渡航の自由も含めまして、人権が侵害されるおそれなしとしないというふうな心配が出てまいります。したがって、大丈夫だという、つまりそれに対しては乱用しない、基本的人権はあくまで守るということに対しては一定のめどがなければなりません。したがいまして、この問題に対しての運用で基本的人権を侵害することはないという具体的な証明をはっきり持たなければならないと思うのです。つまり、そういうことになってくると、本来は、罪刑法定主義の原則からすれば、法律事項ですから、罪種の中身にいたしましても法律主義で一々ここに規定されることが望ましいのです、大原則から言えば。しかし、この九百二十もある罪種に対して一々それを明記の規定としてここに列記するということは恐らくは大変繁雑な問題になってまいりましょう。したがって、これを運用する節、人権を侵害することには絶対ならないという歯どめといいますか保証というか、それをどのように考えていらっしゃるか、またどのようにそれを行おうとされているかというところを外務大臣にお聞かせいただきたいのです。
○鳩山国務大臣 五年以上を二年以上に厳格にするということによりまして人権が侵害されないか、こういうお話でございますが、その点にうきましては今回の改正の趣旨が過激派等が犯す可能性のある罪ということを念頭に置いているわけでありまして、それらの点につきまして運用方針をきっぱりと決めまして、たとえば先ほど来お話のありました公務執行妨害罪でありますとか、住居侵入、威力業務妨害、凶器準備集合等々、その他の罰則のある法律等に該当するものを発給拒否の対象とするということで、運用方針をきっぱり決めて運用いたしたい、このように考えております。なお罪名等につきましては若干の出入りがあろうと思うわけであります。
○土井委員 この問題は、いま運用方針をきっちり決めてとおっしゃるこの運用方針というのは、現在の改正の中身について非常に重要な点にかかわりのある運用方針そのものでございますから、ひとつそれは必ず国会に提案をいただいて、国会の審議対象にしていただくことをここで要望したいと思います。いかがですか。
○賀陽説明員 お答え申し上げます。 ただいま大臣から御答弁がございましたわけでございますが、先生御指摘のように、今後の運用方針というものを外務省の内規及び都道府県への通達において明示をいたすことで検討しておりますが、すでにおおむね成案を得ておりますし、先ほど大臣の御答弁にございました五罪に加えまして、航空機の強取等の処罰に関する法律、銃砲刀剣類所持等取締法、火炎びんの使用等の処罰に関する法律及び火薬類取締法の関係諸条項に記載される犯罪名等に該当するものを発給拒否の主たる対象として運用するということ、外務省はその旨を内規及び都道府県への通達におきまして明示する考えでございます。
○土井委員 いまの御答弁は私の質問に対する御答弁とは認め得ません。私はそんなことを聞いているのではないのです。外務大臣、御答弁をお願いします。
○鳩山国務大臣 ただいま御質疑の点は国会の御審議に付せろ、こういうお話でございます。これらにつきましては国会の御審議をいただくことは当然でございますが、しかし内容自体が必ずしも法律にするとかいうことでなしに、実態につきまして御審議を賜りたい、このように考えております。なお、内容等につきましても国会の皆様方の実質的な御審議をお願いをいたしたい。
○土井委員 それは国会に出すのが当然でありますがという御趣旨のとおりを具体的に生かそうとすると、それを法文化するのが一番望ましい状況なんです。また、それは原則から言うとそうでなければならないのです。それがそのとおりになっていなくて、今度は五年が二年になるということになると、やはり罪種がそれだけ増加するということでもありますから、人種を尊重するという立場からすると、これはまことに大きな問題なんです。それで、実質的に審議をしていくためには、やはり御提案をお願いしなければ実質的審議の中身を具体的に展開していくことになり得ません。深めていくことになり得ません。したがって、そういう運用指針に対しては改めて私は提案を要求いたします。いかがですか。
○鳩山国務大臣 旅券の発行条件として、いやしくも国法を犯したということでありますから、その点を旅券の発行条件にするのは私はこれが人権と相矛盾するものとは決して考えません。しかし、二年に直すということにつきまして、その改正の主たる趣旨は、暴力犯等を犯した者が旅券の発行を受けるようなことはおかしいという広範な趣旨からきているものでありますから、したがいまして運用をその点にしぼって考えてまいりたい、こういう趣旨でございます。 なお、実態的にどういう犯罪にしぼるかという点につきましては、これは御審議を賜りたい、内容の御説明は幾らでも申し上げたい、こういう趣旨でございます。
○土井委員 これは国会への提案というものを強力に私は要求をして先に進みますが、これは委員長に申し上げます。いまの問題というのは、委員長も人権尊重ということに対しては一方ならぬ見識をお持ちの委員長でいらっしゃいますから、したがって、この運用指針というのはまことに大事な問題だと思うので、運用指針案というものを委員会に提案されるよう委員長に対してもひとつ要望を申し上げたいと思いますが、いかがでございますか。
○上村委員長 担当委員会の理事とも御相談していきたいと思います。
○土井委員 去る十月の十四日に、外務委員会でこの日航機ハイジャック事件の旅券冊子の問題について質問を展開したわけでございますが、その節明らかになったのは、旅券を奪われて、そして旅券なしに帰国をされた方々が九名あったという事実であります。その中のお一人、女性の方についてだけは帰国のための渡航書を持っておられて、あとの八人はなかった、ただあとの八人についてはアルジェから帰国されるということであった、さきの一人についてはダッカからであった、こういう事情が初めて明らかになったわけでありますけれども、これは入管の当局の方は現場でそのことをその瞬間からよく御存じだったということでありますけれども、しかし閣議のいろんなやりとりを新聞紙上を通じて私たちが知った限りにおいては、法務大臣はその事情に対してまだよく御存じなかったということも、あの当時の経過としてはあるわけでございます。 そこで、ちょっとお尋ねしたいのは、当時団長としてわざわざ現地に赴かれた石井一政務次官、あの当時現地に行かれてこの旅券の問題についてどういうやりとりがあり、そして現地において、日本の旅行者の中で旅券を奪われた方々があったということも当時御存じであったかどうか。それからまた、犯人に対して、旅券冊子といま言われておりますが、旅券冊子なるものをどういう状況のもとに手渡されることになったのかというあたりの事情について、時間がどうも迫っておるようでありますから、その点の御配慮もいただきながら、ひとつ御説明を聞かせてもらいたいと思うのです。
○石井(一)政府委員 時間がございましたら十分納得のいく御説明ができるのでございますが、まず旅券はハイジャックが起こります瞬間から全部没収をするわけでございますから、そしてその旅券を一々呼び上げまして一人ずつ出てくる、こういう手続をとるわけでございますから、百五十四通の旅券はすべて犯人の手に渡っておる。そしてダッカ空港において一枚、アルジェにおいて八枚でございますか、そういう状態が起こったということは私、十分報告を受けてまいりました。 それから、どのようにして渡したかという問題でございますが、ただいま報告書の要求というのもございましたが、これは、私としてはどうしても言いたいというものがたくさんありますので大変いい御指摘をいただいたと思っておりますが、結論的に申しますと、奥平と単独会見をいたしましたのは事件が始まりまして約九十数時間過ぎたときでございます。もうすでに機内も、犯人も、塔の中も極限の状態になっておる。そしてさらに五十数名の釈放はかち得ましたけれども、奥平と最後の二百万ドルを渡せばわが方の切り札は全部切ってしまう。しかも機内には八十数名の乗客が残っておる。もうまさに限界のさらに限界に達しておるというふうな情勢でございました。私は奥平と会見をいたしましてパスポートを正式に要求を受けたものではございません。これは新聞の誤報でございます。ただ、直接交渉のできない三角交渉をやり、極限の状態に入っておるときに、私に与えられました政府からの要望は人命の尊重と乗客の救出ということでございますから、そのためにはあらゆる方法、手段をとらなければいかぬ。そのときから奥平の会見というものが出てきたわけでございますけれども、私は、厳しいながらも授権の範囲であり、当然それが有利に人命尊重につながるということを確信し、厳しい決断をいたしました。その結果、御承知のとおり奥平は機内に入りまして、他の五人とは違って直ちにコックピットに入りましてその航空機、ハイジャック機を指揮し始めたわけでございます。そしてその後四十数名の人間を何の代償もなく無事釈放をしてきたというふうな事実もございます。 私は本国からの訓令等にもたびたび違反をいたしましたが、あのときのあの状態が、体を張って命を張って闘っておる瞬間というものがどれだけ厳しいか。その後帰ってまいりましてからいろいろの問題が出ておりますけれども、余りにも問題がたくさんあり過ぎます。それぞれに十分説明のつく問題でございますが、私としてはいまさら言いわけなどしようとは思っておりませんけれども、私が申し上げたいのは、まあ事務的等々で整理をしなければいかぬ問題もあろうかと思いますけれども、机上の空論のごとき議論が、あの死活の状態に入っておるときに、その後どうだこうだと言える資格があるのだろうか、そこまで厳しく申し上げたいと思うのであります。そういう意味で、パスポートに関しましては、さらにバングラの高官であるマームド参謀総長に手渡しまして、彼にも貸しをつくりたい、犯人にも貸しを与えたい、そのことによって起死回生の有利な態勢をつくりたい、こういう決意のもとに判断をし、私の判断がまことに正しかった、こういうふうに確信をいたしております。
○土井委員 時間ですから、あと一つだけお尋ねして終わりにしますが、いま政務次官はまことに自信を持っての御答弁なんですが、どうもその後の連絡がスムーズでなかったようでありまして、知らなければならない時期に実情に対して各関係閣僚初め担当者の方々が十分に知り得ていらっしゃらなかったというふうな経過もあったりして、断行なさったことがそのとおり事実を事実として確認されることがずいぶん後手後手になった、その中にはずいぶん混乱もあったというふうな印象を私たちはぬぐい切れず持っているわけであります。 その一つに、これは実は法務大臣、旅券問題というのはきわめて不明瞭だ、どうも旅券が奪われて、そして旅券なしに帰ってきたという人たちがあることについても私は知らなかったというふうなことを閣議の席でも述べられたやに私どもは新聞紙上を通じて知っているわけでありますが、これは外務大臣じゃなしにむしろ法務大臣が真っ先に知っていらっしゃらなければならない問題ではなかったか。なぜかというと、入管当局の方は現地でもう旅券なしに帰ってこられた方がここにあるというのはその瞬間にして日本の国内においては一番早く御存じなんですから、したがって、入管の出先の方が法務大臣に対して連絡さえなすっておれば、こういう行き違いみたいなことはなかったに違いないと思うわけであります。今回、旅券を新様式になさいましたが、旅券がどれだけ変わりましても、行政機関相互間の連絡というものが行き違いになったり十分に行われなかったり、適切な時期に適切さを欠くということになりますと、この効果を十分に期待し得ないということがあったりいたします。こういうことに対して、法務大臣はどういうお考えをお持ちであるかということをお聞きしましょう。
○瀬戸山国務大臣 やや観点が違うように私は考えておるのです。私は、御承知のとおりにあの一件が落着した直後に法務大臣に任命されたのであります。 そこで、その時点において旅券がとられておったという情報がいろいろ新聞情報にありました。そこで、私が閣議で聞いたのは、そういう観点でなしに、この旅券があるなしということで転々としておりますから、各飛行場なり何かでわかっておるはずですから、旅券が仮に犯人にとられておるということになれば、それは将来、何かに使おうという目的でとっておるに違いないと考えられるわけであります。でありますから、もちろん日本に帰りまして、日本の入管ではだれが旅券があったかなかったかということが当然明確になるわけでありますが、こういう場合には、どこで日本人のだれそれの、あるいは外国人のだれそれの旅券が犯人の手に渡っておるというような場合には、警察なり検察なりそれぞれの機関に早く通報する、それによって今後の彼らの活動に対策を考えるというように、機敏にしないと困るじゃないかということが問題でありまして、旅券の云々は、早く通報したしないということでなしに、これは必ず犯罪その他に使うために入手したのに違いないから、どこの時点で、たとえばダッカであるいはアルジェでわかったら、その時点で直ちに国内の各機関に連絡するというような機敏なことをするようにしたらどうかということが私の考えでございまして、こういうことでございますから、御了承願いたいと思います。
○土井委員 ではこれで終わりますが、いまの法務大臣の御発言どおりで、それはやはり機敏にすることは肝要だと思うのですが、旅券が新たにまた新様式に変えられるというふうなことを何度繰り返しましても、その辺がうまくいかないと、これは新様式に変えるという意味も実はなくなってしまうという問題だと思いますので、その点についての改革なり、あるいはいままでスムーズにいかなかったことをスムーズにいかせるなり、あるいは連絡が十分でなかったことを連絡を十分にするというふうな点からすると、法務大臣は、いまその点から言ったら、何が一番肝要だと思いますか。この点だけをお伺いして、終わりにします。
○瀬戸山国務大臣 あれはやはり非常事態と申しますか、先ほど運輸政務次官からも直接現場におりました状況を御説明申し上げたわけでございますが、ああいう非常な緊迫した状態の場合の処理、これはその担当担当で、万一の場合には自己の責任で処理しなければならないことがあるわけでございます。それを平時の平静な時代になって、そこは手落ちだ、あそこはまずかったと言うことは、これはちょっとどうかと私は思います。でありますから、もちろん緊密な連絡をとらなければなりませんが、必ずしもそれがとれなかった。何しろ数千キロも離れておるところで、みんな命がけでやっておることでございますから、ややもすれば、ここで議論をしておるような、平時のところでやるようなわけにはいかない。もちろん今後はお互いにそういう点を、経験でございますから、注意しなければならない、かように考えております。
○土井委員 終わります。
○上村委員長 次に、坂本恭一君。
○坂本(恭)委員 きょうの連合審査は、法案に関する法務委員会を中心にした連合審査でありますから、その点を中心にまず法務大臣の御所見を賜りたいと思うわけですが、私どもは、ハイジャック防止というのはまさに未然に防止することであって、刑罰の強化をすることが防止に直接つながっていくなどということは考えておりません。情報の収集とかあるいは国際協力とかあるいは航空会社の防止体制の強化とか、そういう点について、わが党も防止対策というものを発表をしていますけれども、その辺が中心にならざるを得ない。 ところが、この国会の審議を見てみますと、政府の方では、防止対策本部で十一月八日に、たしか防止対策についてというものを発表されたと思いますが、何か刑罰の強化の方が先に歩き出してしまっているのではないか、そういうふうに感ずるわけです。そういう意味で、まずその刑罰の強化をすることでハイジャックの防止にどれほど役立つのか、その辺、法務大臣の御所見を賜りたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 坂本さんは法律の専門家でありますが、刑罰を強化することによって、全部こういうハイジャックなり犯罪が完全に防止されるとは考えておりません。先ほども申し上げましたように、かような犯罪は未然に防ぐということが最良の策であろうと思います。そのために、国内、国際的に可能な限りの事前の防圧措置を講ずる。しかし、刑罰も御承知のとおり全然無効なものではございませんで、あらゆる刑罰がやはり予防的の措置、それだけの効果があるわけでありますし、また仮に起こった場合については一それに対して責任を問うだけの備えはやはりしておかなければならない、こういうことでこの提案をいたしておるわけでございます。
○坂本(恭)委員 この辺は議論をやると切りがありませんからやめますが、たしか四十八年の八月二十九日にも「ハイジャック等防止対策要綱」というのが政府から出されております。そして第一次から、十一月八日が何次になるかはっきり覚えがありませんが、「ハイジャック等防止対策について」というものが防止対策本部から発表されています。これら二つを比較してみますと、四年たっても余り進歩していないなという感じを受けざるを得ないわけですけれども、この四十八年八月二十九日の「ハイジャック等防止対策要綱」を定めて、本当にこのとおりやっておれば、今回のようなハイジャック事件というのは起きなかったのじゃないかと思うのですね。そういう意味で、また今度もこの十一月八日の「ハイジャック等防止対策について」という紙っぺらで終わってしまっては、全く意味がないのじゃないかというふうに思います。これは本来なら各大臣からお聞きをしたいところですが、とても時間がありませんから、政府部内では、これをぜひ今度こそ実行するのだという立場に立ってこれからの諸施策をぜひお願いを申し上げたいと思います。 先ほど外務大臣に、土井委員から旅券法の改正についていろいろありました。私も同じことを質問しようと思っておったのですが、中身についてはこれ以上議論をしません。 いま御議論があったように、まさにその運用方針をきっちり決める。運用方針を本当にきっちり決めるんだとすれば、これはまさに法案として、この法案と一緒になって出てこなければならないはずだと思うのですね。ですから、先ほど土井委員がそういう立場で議論されたと思っていますけれども、この点についてはまさに委員長に私からもお願いを申し上げて、法務委員会でぜひ善処をしていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。 外務省に一点だけお伺いをしたいと思いますが、この「ハイジャック等防止対策について」という文書の中の第六の2に「在外公館」云々という項がございます。それじゃ外務省としては、具体的に在外公館にどういうことをやらせようと考えておられるのか、お尋ねをしたいと思います。
○賀陽説明員 お答え申し上げます。 御指摘の点は、在外公館と現地日本人会との連絡の強化という点であろうかと存じますが、この点につきましては、従来とも在外公館は現地日本人会との連絡体系というものをつくりまして諸般の問題についてその連絡を強化しておるわけでございます。ただ、これはさらに励行、推進してまいりたいと考えておるわけでございまして、特に事件発生後の状態にかんがみまして、赤軍の在外公館に対する攻撃ということも予想されますし、そういった場合には当然のことながらやはり主要企業の海外支店等に対する同じような危険も想定をしなければならぬと存ずるのでございます。したがいまして、赤軍情報を本省においてキャッチいたしましたる場合におきましては、これを直ちに在外公館を通じまして当地日本人会の首脳部等に遅滞なく伝達をいたしまして、同様な警戒態勢に入ってもらうとか、そういう緊急的な連絡体制の強化ということが今後の課題であろうかと考えておるわけでございます。
○坂本(恭)委員 至って抽象的なあれですが、具体的に詰めていく時間もありませんからやめます。 ただ、四十八年の対策要綱の中に「関係地域における大使館等の設置を含む在外公館の機構および定員の増強に努める」こういう条項があるんですが、これは具体的に、四十八年この対策要綱が出された以降、ハイジャック防止についていま申し上げた条項について何かやったことがおありですか。
○賀陽説明員 クアラルンプール事件後におきまして、これは毎年外務省として心がけておることでございますが、関係地域の在外公館をふやすということが一つございます。それから、専用回線とかテレックスとか申しますいろいろな連絡機器を強化いたします、こういった点について四十八年以来実施をしておるわけでございます。
○坂本(恭)委員 余り答えにはなっていないと思うのですが、先に進みます。 運輸大臣にお尋ねをしたいと思いますが、今度の対策についてという中で「ハイジャック防止対策室」というのが運輸省に十一月二日に設置をされたということが書かれているわけですが、このハイジャック防止対策室というのは、私は本来ならこの対策本部が引き続いて関係各省やるべきだと思うのですが、運輸省にこういうハイジャック防止対策室を設けて、運輸省が横との連絡もとるのだろうという推測をするわけですが、この辺についてはどうですか。
○高橋(寿)政府委員 お答えいたします。 ハイジャック防止対策は関係各省にわたる広範な作戦を必要といたしますが、運輸省といたしましては、運輸省の所管の範囲に限りまして、主として航空会社を督励いたしましての持ち込み品の検査とか、あるいは空港管理権に基づく空港一般の監視の厳格化等のことをやる、あるいはまた外国の空港の状況等を随時査察をするというふうなことを中心にいたしまして仕事をするために特に部屋を設けたわけでございます。
○坂本(恭)委員 そうすると、いま私が申し上げた全般的なものではなくて、いわば安全検査、要するに運輸省が所管をするそのことについてだけの対策室ということになるわけですか。
○高橋(寿)政府委員 さようでございます。
○坂本(恭)委員 それですと余り意味がないかと思いますけれども、これから若干時間をいただいてお伺いをしたいと思っていますが、まあないよりはあった方がいいのかもしれませんし、ある以上はそれなりの機能を果たしていただきたいと思います。 特に日航のダブルチェックのことについてお尋ねをしたいと思うのですが、いわゆる国際運送約款というのがあります。その九条には、手荷物とかあるいは機内持ち込み物品の規定等がいろいろ書かれているわけですが、この国際運送約款に基づいて日航が外国の空港で日航自身のチェックをすることができるのでしょうか、できないのでしょうか。
○高橋(寿)政府委員 私どもは、日本航空に乗ろうとするお客さんに関する限りはできると考えております。
○坂本(恭)委員 運輸省の方がそういうふうにお考えであれば、日航の方に直ちにそれを外国の空港においてやるように指示をいたしましたか。
○高橋(寿)政府委員 指示をいたしました。ただこのことは現地の政府の権限との関係がございますので、現地政府の了承をとるということで現在折衝中でございますが、すでに七つの空港のうち一つは実施をしたというふうなことでございまして、残るものにつきましても逐次実施をしていくつもりでございます。
○坂本(恭)委員 いや、ですから外国の方のその承認を得ないでやるわけにいかないのですか。
○高橋(寿)政府委員 私は約款の解釈としてはできると思いますけれども、一つの国際的儀礼と申しますか、そういった意味で外国の政府の承認をとってからやるということがベターであると思いまして、そういった考え方で、要すれば在外公館等を通じまして外国政府に要請をしてもらうというふうに考えて仕事をいたしております。
○坂本(恭)委員 いま答弁のあったすでに始めた一つ、それからいま折衝している六カ国ですか、それはどこですか。
○高橋(寿)政府委員 日本航空の寄港しております三十五の空港のうち問題がありそうなのが十七ございまして、これらにつきましてまず第一次的なアプローチを開始いたしました。そしてその十七のうちとりあえず七つ、これにつきましてダブルチェックの検討をいたしました。七つはバンコク、マニラ、クアラルンプール、カラチ、アテネ、ローマ、コペンハーゲンでございます。これらのうちバンコクはすでにダブルチェックが実施されました。始まっております。
○坂本(恭)委員 そうすると、そのほかの六カ国についてはその可能性、可能な時期、その辺についての見通しはいかがですか。
○高橋(寿)政府委員 できるだけ速かにこの可能性を現実性にすべく努力いたしておりますが、まあ遅くも今月中には実現いたしたいと思っております。
○坂本(恭)委員 私もこれは当然日航で運送契約に基づいてダブルチェックといいますか、チェックができるというふうに考えています。したがってそういう点は同じでございますから、ぜひこれはどんどん進めていっていただきたいと思います。 それから、これは大臣にぜひお聞きをしたいんですが、数日前、多分先週、あるいはもうちょっと前かもしれませんが、衆議院の交通安全対策特別委員会で議論があったわけですが、日本航空のいわゆる体質といいますか、いわゆる安全よりも営業を優先させる、そういうような考え方があるんじゃないかということで議論がありました。そのときに大臣は出席をされておられませんでしたので、やはりそういう安全を第一にしなければならない航空会社が安全よりも営業が先だというようなことを言っているような、かなり上の方で言っている人がいるというような話もあるわけで、その辺について日本航空に対して厳しい指導をやっていただきたいと思うのですが、その点についての大臣の御所見を賜りたいと思います。
○田村国務大臣 安全より商売が先だと日航が考えておるとはそれこそ考えられませんけれども、しかしそのようなことを申した者が上層部におるとすればこれは許すわけにまいりません。厳重に取り調べてみたいと思います。同時に、誤解にしてもそういう風評が出るということは、これはやはり何か改めなければならぬ点があるのでありましょうから、今後厳しく指導してまいりたいと思います。
○坂本(恭)委員 その辺のチェックをぜひお願いを申し上げたいと思います。 時間だそうですからやめますが、最後に、この防止対策についてという第七、法律改正の2に「今後次の事項について検討する。」というのがあります。先ほど旅券のお話がありましたけれども、どうもハイジャックを理由に人権をジャックするような感じになってきています。特に、この中に「刑事訴訟の迅速化を図るための刑事訴訟法の一部改正」というのが一行盛られているわけですけれども、これはハイジャック防止に名をかりて、まさに人権をジャックするものだと私どもは考えております。憲法違反になるんじゃないかというようなことも考えられますし、一昨日ですか、日弁連もその点についての声明を発表しています。こういう点も、法務大臣ぜひ検討をしていただきたいと思いますが、その点についてお伺いをして、終わらせていただきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 確かに刑事訴訟法のそういう裁判促進に関する改正を試みております。そのほかにも、飛行機ハイジャック以外のこの種の、たとえば大使館で人質をとるとかいろいろなことがありますが、そういうものを含めて新しい立法をしようという準備を現在進めております。 いまお話しの点は、そういう御意見の方も世間にあるようでございますが、私は、誤解ではないか、かように考えております。憲法に定めておりますように、やはり弁護人をつける、刑事訴訟法に必要弁護人の制度があります。率直に申し上げて、現在、この種犯罪に関連する事案で、不当にこれを逆用して裁判の遅延を図るということが現にあるわけでございまして、これは憲法の望むところでない、また刑事訴訟法の期待するところでもありません。でありますから、弁護人をつけることを禁止するような法律はつくりませんが、そういう不当な行動に出る場合には、弁護士がなくても裁判が進められる、かような考え方でいま進めておるわけでございます。御意見のあるところは、十分人権の侵害にならないように配慮をいたしたい、かように考えております。
○上村委員長 次に、久保三郎君。
○久保(三)委員 いまの坂本委員の補充質問みたいになりますが、二、三お尋ねします。 一つは、運輸大臣に、というよりは航空局長にこれはお尋ねしたいのですが、先ほどお話があったように、先月の二十六日に交通安全対策特別委員会で、朝田社長にも出てきてもらって、私から経営の姿勢についてただしました。そのときに、私から航空局長には、日航全体の経営の姿勢について総点検すべしというお話をしましたら、あなたは、いたします、こういうことですが、いたしたか、あるいはいついたすのか、それが一つ。 それから、もう一つ、つい最近の新聞、これは読売のきのうの新聞でありますが、これにはいわゆるダッカでハイジャックの情報が当時流れていたのに、実はそれを真剣に受け取らなかった。そればかりか、対策委員会をその後つくりまして、いろんな問題で検討してきているんだが、この記者の確認によれば、この委員会でも、いまでも反省の材料としてこれは取り上げていないという記事があるのです。これは私ども国会議員、特に私は、この点で先般の特別委員会でも質問した立場からいくと、これは不届き千万だと思っているんですね。非常に甘く見ている。こういうことについて、これは運輸大臣から、甘く見ているという点について、あなたはどういう措置をされるか、簡単にこれはお答えいただきたい。——ちょっと大臣お待ちください、時間がないのでずっと質問しますから。 次に、ダブルチェックのことでありますが、これも交特の委員会でお尋ねしました。運送約款に基づくチェックでありますから、これは当然乗る人の立場に立って、航空会社の責任があるわけでありますから、やるべき筋合いのものであります。しかし、さっき航空局長がおっしゃったような、言うならば当該国における問題も抜きにして考えられない、これは当然かもしれません。そうだとするならば、それが解決するまではその地点におけるところの日航機の寄港を取りやめるべきだ。取りやめて、それが改善されて後に、航空協定に基づくところの乗り入れを再開すべきでありますから、これはそれぐらいの決意がなければ、たとえば羽田でもって厳重にやっても、どこかで緩みがあれば同じことなんですね。だから、これはやはり合意が得られない。聞けば十七あるという。そのうちの七つやったんだが、一つだけやっと了解をとれたということでありますが、危険のあるところには一切寄港しない、これはあたりまえの話ですよ。何らの対策がないのに、それを従前どおりやっているというのは、これは対策本部全体としても取り組みが甘いと私は思うのです。まさかないだろうと思って、いまでもやっていらっしゃるのですか。そうだとするなら、これは大変なことだと思う。寄港は取りやめて交渉を続開して、交渉が成立したら、ダブルチェックをオーケーしたら飛行させるということだと思うのであります。いかがでしょうか。 それからもう一つ、坂本委員からのお話がありました四十八年の対策の中に、在外公館の強化の問題がありました。最近、新聞情報によれば、機動隊の派遣なんというのを考えた向きがあるようですが、これは本気じゃないと思いますけれども、国際警察機構というか、こういうものとの連携を強化することは当然だと思うのでありますが、要注意の地域については、警察庁からの外務省出向、いわゆる外交官の資格を持った警察官の派遣は当然あるべきだと思うんですね。それらが当該国のいわゆる警察機構なり情報機構と緊密な連携をとりながら対策を立てるというのが筋だと私は思うんですよ。もっとも、外務省というのは、言うならば余りよそから来る者を歓迎しない気風が前にはありましたが、いまはないと思うのですが、そういうことから言って、これはむしろ国家公安委員長にお聞きしたいと思うのですが、いま本当に必要なところにそういうものが出向しているかというと、ハイジャックに限っては、必要なところには恐らく出向していないと思うのです。大きな大使館にはいるけれども、小さい大使館や領事館というか、そういうところには恐らくいないと私は思っている。だからその点について、これを強化するつもりはあるかどうか。 それからもう一つ、最後の質問でありますが、これは法務大臣に。 この法律の中で、いわゆる航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の一部改正案の中で、第四条であります。第四条は、これは新たに設けてきたわけですね。不法にいわゆる業務中の航空機内に銃砲、刀剣あるいは爆発物、そういうものを持ち込んだ者は二年以上の有期懲役に処するという、これはなるほど当然だと思うのですが、これは「不法に」というのは、では不法でなければいいのかということになるんですね。不法でないという場合には、この場合、どういうふうに解釈するのか。二つあると思うのですね。一つは、たとえばオリンピックの拳銃の選手ですね、それが自分の拳銃を持っていかなければならぬ、そういう場合には言うならば携帯手荷物、いわゆる機内持ち込みではなくて、これは貨物室に一緒に送ってもらう手続きをするわけですね。これが一つ。もう一つは、政府高官というか総理大臣などがあるいは乗る場合があるでしょうね。そこにお並びの大臣も航空機に乗る場合がある。その場合には護衛の警察官が私服で乗っているのではないかと思うのです。その私服の警察官は恐らく銃砲類を携帯していると思うのですね。だからこの第四条で除外される不法でないものはこの二つあると思うのです。しかし、これはこの際考えてもらわにゃならぬ。もっともこれは取りやめたと思うのでありますが、航空公安官を乗せようじゃないかというばかばかしい発案をした人がいるそうです。これは何でばかばかしいかというと、ピストルを持って乗ったら大変なことになるということで世界でもこれは相手にしなくなってきた。そうなると、航空公安官でなくてもピストルを持って合法的に入れる者が客室内にあるとすればこれは大変なことだと思うのですよ。だからハイジャッカーは自分で武器を持ってこなくても、何人か入ってきてピストルを持っているそういう人間に襲いかかって奪取すればこれはりっぱに、りっぱにと言ってはおかしいが、簡単にハイジャックができる。そういうことを考えれば、この第四条は「不法に」は取って、「業務中の航空機内に、」云々というふうに訂正すべきである。また運送約款も御承知のとおりこれは区別しているはずであります。だからこのいわゆる「業務中の航空機内」というのは客室と貨物室と区別してやるべきではないかというふうに思うのです。 質問の要点は——時間がないですからいま申し上げたのをずっとお答えいただきたいと思う。
○田村国務大臣 まず、日本航空がニュースを入手しながら怠っておったというお話であります。調べてみたところ、この夏ごろに、一般論としてということのようでありますが赤軍派は不穏な動きがあるかもしれぬという情報を入手した、そしてそれを海外の各支店長にも連絡をした。気をつけろということで連絡をしたということだそうでありますが、それを運輸省へ報告をしてないのですよ。けしからぬ話なんです、これは。でありますから、それこそ日本航空の方を逆にダブルチェックしなければならぬような状態なんですけれども、そういうことなんです。ですので、これからはそういうことのないように厳しく指導監督をしろということを申し渡してございます。 その次は、JALの場合に海外の空港でダブルチェックをさせてもらいたい、それは当然主権国である相手国と話し合いをしなければならぬ。それはまずJALが話をすべきでしょう。むずかしいということになれば外交ルートで話し合ってもらうということになりましょう。しかしこれは急いでやらないと、その間にまたハイジャックが起こるということになったら大変でありますから、いわゆるお役所仕事では困るわけです。これを急げと言っておるわけでありますが、不幸にして外交ルートでもうまく話し合いがつかないという場合にはそこへJALを寄港させない、そのかわりその国の飛行機も日本へ寄港させない、こういうように強い姿勢で最終的には臨みたい、このように考えております。
○久保(三)委員 日航総点検はどうですか。
○田村国務大臣 それは航空局長からお答えさせます。
○高橋(寿)政府委員 私が交通安全特別委員会で日本航空の総点検をすべきであると申し上げましたのは、ちょうどあのときは主としてクアラルンプールにおける墜落事件を中心としたお話でございましたので申し上げたわけでございますが、高成長時代が安定成長時代になってきた中での日本航空の乗員体制、運航管理体制等について総点検をすると申し上げたわけでありますが、いま計画中でございます。できるだけ早くこれをやりまして、二度とこういったことが起こらないようにいたしたいと思いますが、なおまたハイジャック等の問題が起こりましたので、これらを含めて総合的に日本航空の社内体制の総点検をしたいと思います。
○三井政府委員 警察官を在外公館に出向させて情報をとるなり、こういう問題を防止するための努力をしてはどうかということでございますが、現在も在外公館にある程度の数の警察関係者は出向いたして、それぞれ大使その他の指揮のもとに仕事をしておるところでございます。今回のハイジャックの問題を契機にしてさらにその問題を考えますときには、すでに防止要綱でも決めておりますように、その冒頭に書かれておりますように、日本赤軍を担当する専従組織をつくり専従の要員をつくるという、その専従要員の運用の中でこれをカバーしていくというのが、いろいろ検討いたしました結果今日では最も有効であろうというように考えておるところでございます。
○鳩山国務大臣 ただいま警察庁からお話がありましたが、警察庁からいま十七名の方に在外公館に来ていただいております。しかしこれからいろいろ仕事がふえるということもありますし、また在外公館自身の警備の問題も出てきておるわけでございます。これらにつきましてこれは定員の問題、予算の問題等がありますので、目下関係省庁と協議中でございます。
○伊藤(榮)政府委員 お尋ねの最後の問題にお答えいたします。 まず御質問の前提がちょっと私どもの理解と異なっている点があるように思いましたのでそれから申し上げますと、今度つくろうといたしております航空危険処罰法の第四条の持ち込みと申しますのは、いわゆる乗客の乗りますところへ持ち込む場合のほかに、託送荷物等としておよそ機体の中へ持ち込むものすべてを取り締まろうという考えでございます。これは当然のことでございますが、着陸先におきましてハイジャッカーが託送荷物の部屋をあけさせましてその中のものを使用する場合もございましょうし、また極端に言えば時限爆弾などという問題もあるわけでございますから、そういうことに考えておるわけでございます。 そこで「不法に」という言葉を取りますとどういうぐあいの悪いことになるかと申しますと、たとえば航空燃料を航空機は搭載いたしますが、これは正当に搭載をいたしておるわけでございまして、こういうようなものは「不法に」を取ってしまいますと、航空燃料の積載そのものが火炎びん類似の易燃性の非常に強いものであるというような観点からひっかかってまいる場合がございます。それからまた、ただいま御指摘のように、国際的な協議に参加いたします者が所要のターゲットピストル等を託送室へ入れて運ぶ場合、その他災害時等の緊急事態に警察官が派遣されるというような場合も想定されるわけでございまして、一般の刑罰法令の例にならいまして、たとえば住居侵入でありますとか逮捕監禁罪、こういうものに使われて法律的に観念が固定しております「不法に」ということをつけまして、社会常識に反しないように解釈されるように図ったわけでございます。
○久保(三)委員 いまの御答弁はぼくの質問を取り違えている。客室に携行できるのは、この中には不法でなければそれもできるようになっているわけでしょう。客室以外のところに託送荷物、手荷物としてやる場合には、これはいわゆる不法でなければ所持できるのですが、許可を得ている刀剣類でも、あるいは職務上とかというようなことでその証明書がなければ託送ができないはずだと思うのですよ。だから、客室の問題が問題だとわれわれは思っているのですよ。そこに合法的に携行を許されたものが入れるということ自体がおかしいじゃないかということなんです。携行が合法的であっても、客室内には銃砲刀剣類あるいは爆発物も持ってはいかぬということにすべきであって、これは処罰はどうするとかは別として、輸送約款は大体そういうことになっているのです。それにならってこの刑罰もやるべきじゃないですか。そういう意味のことをぼくは聞いているのですよ。飛行機の底の方に託送手荷物として合法的に携行を許されたものが託送される場合は問題ないんですよね。だけれども、客室にそれが持ち込まれたらば、ハイジャッカーみたいな者がいて、あるいはそうでない者がいても、どんなに利用され、どんなにやられるかわからぬということが問題だと私どもは思っているわけなんです。たとえば警察官であろうが何であろうが、それは客室には携行されては困る。そういうふうなことで取り締まりの方も、約款もそういうふうになっていると私どもは思うのです。約款どおりにこの法律はすべきではないのかということを尋ねているわけです。これは後で、法務委員会でさらにどうぞ御検討ください、時間もありませんから。 それから、警察官の問題でありますが、運用によってと言うが、大体さっき坂本委員からも言ったように、四十八年にも対策要綱ができてそういう意味のことを書いてあるのですよ。ところが、やっちゃいないのです。できなかったんでしょうね。だから、それをこの際はきちんとすべきではないかということなんです。 それからもう一つ、これは運輸大臣なり航空局長に言いますが、あなた、日航の総点検いつやるかわからぬでは困るんだな。この際だから早いところやって、しかも、先ほど私が例示したきのうの読売新聞を見ると、全然これは、何というか甘く見ているというかっこうだ、だから、これは総点検をしてやるべきだ。ダブルチェックなんてやれば客が減るかもしれませんよ。 それからもう一つは、約款どおり手荷物は制限をすること。買い物袋なんか持って入らせない。ちゃんと読む本も一冊。そういうものにきちっと整理するつもりがあるのかないのか。約款どおりきちんと整理するつもりがあるのかないのか。これは運輸大臣に聞くのが本当でしょうね。いかがですか。これはなかなかむずかしいのですよ。ICAOの中で、あるいはIATAの中でそういうふうにきちんと合意に達しなければ、日本航空は営業上損をするということが出てくるかもしらぬ。しかし、これはやむを得ぬ。人命保護のためにはやむを得ぬ措置だと私は思うのですが、いかがでしょう。
○田村国務大臣 国際会議の結論を待っておっては時間がかかってどうにもしようがありません。いまのお話のとおりだと思います。でありますから、日本航空の場合単独で、営業面である程度のマイナス面がよしんばあっても、これは厳密にやらせますし、また早急にやらせます。
○上村委員長 次に、斎藤実君。
○斎藤(実)委員 今回起きました日航のハイジャック事件、この事件がわれわれ国民に与えた影響はきわめて大きいわけでございまして、この種の卑劣な行為に対して私ども国会あるいはすべての国民が、二度と起きないように、あるいは起こさないための対策をとらなければならないということは御案内のとおりでございます。これまで国の内外で何回となくハイジャック事件が起きているわけでございますが、その都度政府は対策を立ててきました。それにもかかわらず、クアラルンプールに続きまして今回の日航ハイジャック事件、私は、この事件発生の原因及びこれまでの政府の対策に不備があったのではないか——人間の生命にかかわる重大な問題でございまして、前にも一回起きている。したがって、これらの事件に対しては、一たん起きた事件については、事件の背景なり、あるいは情報の収集、これを徹底的に究明をしなければならないと思いますし、またさらに社会的、法律的な対応を万全にしなければならないと考えるわけでございますが、今回の事件発生の原因並びに政府のとってきたこれまでの対策が不備ではなかったかと思います。この点について御答弁をいただきたいと思います。
○田中説明員 お答えいたします。 先生御指摘のとおりに、四十八年にハイジャック事件が起こりまして、それから五十年に例の人質事件が起こりまして、そのときにも前後二回にわたりまして対策本部をつくりまして、そして対策要綱をつくったわけでございますが、これまで政府がどのように対策をつくり、そして進めてきたか、ざっと御説明申し上げてみたいと思うのでございます。 実は四十八年にできましたときに、私ども要綱と言っておりますけれども、これは五項目十九細目にわたってつくっております。その中の大部分は安全検査が中心でございまして、それを除きますと、あと外国との協力、あるいは警察での体制の強化、あるいは情報収集の強化、こういうことでございます。 二、三例を挙げてみたいと思うのでございますけれども、たとえば空港での手荷物検査、これは四十八年当時は余り機械はなかったわけでございますけれども、この四年間でエックス線透視装置であるとか新型金属探知器でございますとか、こういうものを合計十八空港、三十七セット用意した、このようなこともございます。また外交問題では、モントリオール条約に当時は入っておりませんでしたけれども、国内法を整備いたしまして日本もモントリオール条約に加盟しております。それから旅券でございますけれども、当時もやはり旅券が問題になりまして、改造しにくい、あるいは偽造しにくいというような旅券を新たに発給いたしまして、現在ではかなり偽造しにくいものになっております。また警察関係で申し上げますと、ICPO、国際刑事警察機構でございますけれども、この機構を通じまして海外からの犯人ないしはそういう連中の強制送還などを現実に得ております。 したがいまして、四十八年以来、程度の差は若干あるにいたしましても、多かれ少なかれわれわれは手をつけておった、このようなことがございます。もちろんその間の国際情勢なりあるいは日本赤軍の力の関係でもって若干不備な点が出てきたということは、これは申し述べるまでもございませんけれども、その点につきましては、今回の事件を契機といたしまして深く反省し、そしてこういう問題を取り上げていきたい、かように考えておる次第でございます。
○瀬戸山国務大臣 四十八年に御承知の先ほどお話しのような対策を決めております。そういうことについてかくかくしかじかのことを実施しておりましたということをいま官房から御説明申し上げたわけでありますが、率直に申し上げてそれが着実に行われておらなかった面があるし、また対策自身も足らないところがあったと反省をいたしております。たとえば航空機乗り込みのチェックなどというものは最近ほとんどずさんになっておる。こういうことはきわめて遺憾なことでございます。しかも、あのときは要綱を決めましたけれども、それがどういうふうに着実に実行されておるかということをずっとフォローしていなかったという欠陥もある。したがって、今度は対策本部を恒常的に置きまして、決めました対策が着実に実行されておるかどうか、効果を上げるようになっておるかどうか、こういうことをチェックする体制をずっと続けていく、かようにしておることを御了解願いたいと思います。
○斎藤(実)委員 大臣から前回の防止要綱について、今回の事件発生までの不備を認め、反省をしているということでございますが、ぜひとも二度と起きないようにお願いをしたいと思います。 次に、今回の日航ハイジャック事件におきまして、ハイジャック犯人並びに国内からの釈放犯人は現在アルジェリアにいるのか、あるいはどこにいるのか、掌握をしていれば伺いたいと思います。
○三井政府委員 そういう点、捜査上大変重要なことでございますので私たちも関心を持っておるわけでございますけれども、ただいままでのところでは、いるのかいないのか、つまり出たのかどうかまだはっきり確認できない状況でございます。
○斎藤(実)委員 次に質問しますが、犯人が要求をした身のしろ金についてお伺いをいたします。 この身のしろ金六百万ドルの行方についてはいろいろ風聞をされておりまして、この六百万ドルが全額アルジェに持ち込まれたとか、あるいは犯人がアルジェから出た場合に持っていったとか、いろいろ風聞されておりますが、この六百万ドルについて行方はどうなっておるのかお伺いたいと思います。
○三井政府委員 その点につきましても関心を持って情報等に注意をいたしておりますが、いまおっしゃるようにいろいろの説がございまして、いずれとも断定するといいますか、確認できないのがただいまの現状でございます。
○斎藤(実)委員 確認できないということで、これはこれ以上はやめますが、次に、報道によりますと、日航機ハイジャック事件で人質救出のために超実定法的措置として東京拘置所から釈放された奥平純三ら六人に対して、刑期を終えた一般の釈放者の場合と同様の作業賞与金と領置金、死傷病手当金を交付した。その総額は五十六万九千百円で、そのうち十六万八千五百円を釈放犯四人が国外へ持ち出したと言われているわけですが、これは事実ですか。
○石原(一)政府委員 金額についてはお尋ねありましたらまた詳しく申し上げますが、やや違う点もございますが、おおよそにおきましては斎藤委員御指摘のとおりでございます。
○斎藤(実)委員 私は、この種の金は、監獄法の規定では刑期を終えた一般の釈放者に対して交付するのが法のたてまえと思うわけです。今回の釈放犯六人は、超実定法的措置であって刑期を終えた一般の釈放者と違うにもかかわらず、なぜこういう措置をとったのか、余りにも国民が納得できない措置ではないか。これは俗に言う釈放犯に追い銭と批判されても仕方がないと思うわけですが、大臣いかがですか。
○石原(一)政府委員 御指摘のように、今回の措置は超実定法的措置でございまして、いろいろ新しいことも出まして、いろいろ悩みながら決断、指示したことも多々あったのでございますが、それもその一つでございます。 まず、確かに釈放の場合に出すということになっている、その釈放は満期釈放だけに実はとどまりませんで、仮釈放の場合あるいは病気で執行停止の場合等にもかような金員を本人に渡すことになっているわけでございます。 ところで本件の場合には、超実定法的措置とはいいながら、法務大臣から矯正局長たる私に釈放の御命令があり、私から拘置所に釈放を指示した関係でございまして、その関係におきましては通常の釈放と同じでございます。 そのほか、実はこれはおしかりを受けるかもしれませんが、六百万ドル出たということと比べますと少額であったというふうに頭の中にありましたことは、これは否めない点でございます。 それからさらに、いまのは金の問題でございますが、出しますときにたまたま着物の問題等もあるわけでございます。釈放された者の名前を挙げることは差し控えさしていただきますが、中には非常に金がなくて、下着から上着まで全部国が給与した者があるわけでございます。これまでも取り上げるわけにいかないという点が一つございました。それからなお、その中に病人が二人おりまして、病気の者がありましたので、これには薬を持たしてやっております。 そういうような医療その他の点を考えますと、金の面だけ切ることがむずかしかったということのほかに、実は斎藤委員も御指摘のように、五十六万九千円余りのうち、渡したのは十六万八千円で、四十万円近くは国に残させました。これはできるだけ残すように話をいたしまして残させたのでございますが、このときの気持ちは、少しでも家族、親族への金を残すことによりまして、外国に出た場合に再び非行に出ることを阻止する心理的な契機になりはしないかという点がございました。 それからなお領置金でございますが、これは本人の預かり金でございまして、これまでも取り上げてしまうということは非常にむずかしい事情にあるわけでございます。しかしながら確かに、どろぼうに追い銭という言葉で新聞にも出まして、私としても非常に痛いわけでございますが、仮に領置金でございましても、もしその釈放する前に、十六億円といかなくても、百万円でも差し入れがあったら、それまでも持たしてやらなければいかぬか、そういうことになりますれば、犯人に対する資金援助ということにもなりかねませんので、今後の問題といたしましては逃走の場合と同様に取り扱いまして、かような措置は二度といたさないつもりでございます。
○斎藤(実)委員 私の言っているのは、相手は殺人犯ですよ、いかに超実定法的措置といえども、一般の釈放者と違うわけでございまして、いま金額の多少ということが出ましたけれども、これは国民感情からすれば絶対に納得できない問題でございますので、大臣からひとつ所見を伺いたい。
○瀬戸山国務大臣 いま石原矯正局長からその当時の状況、あらましを御答弁いたしました。 いわゆる超実定法的措置ということで、あの当時はまさに関係者みんなが涙をのんでやったという、まあ言うなれば非常事態みたいな措置をとっております。しかしいま考えますと釈然としない、まさにさようでございます。いまも御答弁申し上げましたように、将来かかることは絶対ならない、こういう考えでございますから、今回の場合は御了解いただきたいと思います。
○斎藤(実)委員 伝えられるところによりますと、成田空港は年度内に開港されるという新聞報道もされておりますが、当然要求されるハイジャック防止対策についても、これは対策を講じなければならないと思うわけでございます。したがって、空港の検査機器の設備状況あるいは警察官の警備体制、当然これは必要なわけでございますが、具体的にどういうふうに進められておるのか、伺いたいと思います。
○田村国務大臣 当然ハイジャック防止のために万全を期しておるつもりでございます。参考までにちょっと数字を申し上げます。現在では監視用テレビ十七カ所、新型金属探知器八台、エックス線透視検査装置八台であります。しかしながら、ああいう事件が起こりまして、完璧を期しておるつもりであってもなお至らざる点がないかというので、いま総点検をさせております。そういうことでありますので、若干世間様からごらんになればむだなような印象を与えるかもしれませんが、より一層の強化を図るように指示をいたしてございます。
○斎藤(実)委員 以上で質問を終わります。
○上村委員長 次に、薮仲義彦君。
○薮仲委員 私は先般の日航機乗っ取り事件につきまして法務大臣に伺いたいわけでございます。この基本的な問題を伺いたいと思うのですが、これも私は今後かくあらねばならないというような意味合いを込めてお伺いしたいと思います。 法務大臣はさきに行われました予算委員会での答弁の中で、これは正確を期すために一部読み上げますけれども一これは決してそれを取り上げて云々ではなくして、ここに大臣の言わんとする趣旨がよくあらわれておりますので参考に読ませていただきます。十月十二日と十一日の両委員会の答弁ですが、大臣は「私は、いわゆる法治国家というものは、憲法という、国の、国民生活の大方針について原則を定め、その原則に従ってもろもろの凡百の法律、規則を定める、これが通常実定法という、実際に条章に基づいて規定をする、こういうことだと思っております。それを通常いわゆる法治国家、現在憲法下による法治国家と言われておると思います。」さらに十一日には「この憲法のもとに法律を施行して、いわゆる法治国家を経営するというのは、これはすべての国民の生命、財産を保全して、平和で豊かな暮らしをするという、人間の考えた最良の方式として現在行われておるわけであります。」こういう意味の御答弁をなさっておるわけでございますが、この大臣の言わんとするところは、わが国は憲法を基本として法秩序のもとに国民生活が守られておる、そのことが大切であって、日本の国は法治国家であるから法秩序、法体系の維持が非常に大事なんだ、これを崩してはならぬという趣旨の御答弁をなさっておるわけであります。 これを踏まえて、今回のただいま議題になりましたいわゆる超実定法——今回人命尊重、緊急避難的な措置として閣議決定で超実定法的な行為として行われたわけです。私は行政府に求められる最も大事なことは、法に基づいて法を正しく施行する責任があって、ということは逆に言うならば法に基づかない行為はあってはならない、行政府のとるべき行為というのは必ず法に基づいて行わなければならないという厳格な、そういうものでなければならないと思うのです。特にそういうことが、行政の判断あるいは行動の基準に法があってこそ法治国家は保たれると思うのです。それが今度はこのような超実定法ということが行われたわけでございますが、それではこの行為はいかなる法を根拠として、いかなる法に基づいて行われたか、大臣の見解を、法治国家を守るという立場でお伺いしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおりに行政は憲法、それに基づく法律、規則、これに従って執行しなければならない、当然のことだと思います。ただそういう場合に、人間社会のあらゆる問題といいますか、すべてを実定法で必ずしも賄えない場合がある。おおよそ予測をして実定法を定めておるわけでございますが、人間の知恵には限度がありますから、人間社会のあらゆる問題をすべて網羅し得るということは、それを期待いたしますけれども、なかなかできないところがある。端的に申し上げますと、今度のような事件はまさにそれに当たる一つであろうと私は考えております。憲法に従って人命を尊重し、人間の平和と安全と自由を図りながら生活を豊かにする、これが憲法その他の法律の目的であろうと思いますが、実定法だけではどうしても処理ができない、しかも百五十数人の乗客、乗員を含めて何とか人命を助けなければならない、こういう非常にきわどい場合でございます。そういう際に、犯人が要求した既決の囚人を出す、あるいは未決勾留の被告人を出さなければならぬ。そういうことは定めてありませんから、さて実定法ではどうにもならない。しかしそういう多数の人命を何とか助けるためには、この際、残念だけれども、やむを得ず涙をのんで犯人の要求を聞かなければならない。しかしそれも憲法に定めておる最高の人命を助ける、こういうことには憲法はこれを了解してくれるだろう、こういうことだということで、私どもは超実定法的措置で憲法の範囲内において行った、そういう考えを申し上げておるわけであります。
○薮仲委員 そこで、もう一つさらに重ねて確認をしたいのですが、もしもこの人命尊重という大義名分の前に、行政府が明文化してないいわゆる超実定法、実定法に基づかない行為ができる、こういうことが現に行われたわけです。これは私、非常に危険だと思うのですよ。というのは、今回のようなハイジャック、しかもそれが事なきを得て終わったからいいですけれども、これがもし仮に、行政府が独自の判断で行った行為が国際紛争、二国間の紛争を誘発したというようなことになれば、これはいま言われたような御答弁あるいはお考えの範囲を超えて一億一千万の人命を尊重という立場が破壊されるかどうかという危険性をはらんでおるわけですね。 そうなってきますと、私は、こういう行為が今後なされないために必要最小限の条件があるのじゃないかと思うのです。 一つは、やはり議会制民主主義といいますか、国民のコンセンサスを得るということが行政府として当然あるべきだ。しかしあのときは異常事態、緊争事態で時間がなかったと、こうおっしゃりたいと思う。でも、ならば少なくとも国会の理解を求めるとか、こういう声が一つあってもよかったのじゃないか。あるいは今度は、いわゆる司法上の手続になじまないという御答弁やそういうお考え、私はよく理解できます。でも、司法になじまない問題であっても、これは一国の法秩序の根底、法治国家の根底にかかわる問題だと思うのです。であるならば、法を守るという立場で司法当局の見解を聞く必要はなかったか。 もう一つは、少なくとも確かに検察官の拘束下にあるということはわかります。でも、裁判という司法上の手続を経て収監されている人の釈放なのですから、こうなってくれば、やはり司法上の拘束下にある者を釈放するということは、法体系、法秩序を守る上にやはり必要最小限の手続として国民のコンセンサスを得る何らかの手段と、国会との連携ないしは司法当局の見解に基づいた判断というものがなければ、行政が暴走しないとは言えないのではないか。そういう意味で法務大臣の明確な今後のお考えを伺いたい。
○瀬戸山国務大臣 おっしゃるとおり、超実定法的措置をとる、そういう観念論でむやみにやられたら大変なことになるわけでございます。そこの一番根本は、今度の措置もそういう考え方で政府はやったと私は了解いたしておりますが、やはり国民全体といいますか、国民の大多数の考えといいましょうか気持ちといいましょうか、それをくんでやるべきであること、これは当然のことでありまして、ただ少数の、国政をあずかっておる政府が独断で超実定法だから何でもできるという考えを起こしたら、これはもう国家というのは大変なことになるわけでございますから、慎重にも慎重を期して——まあ、あの場合は国民のおおよそがそれを期待しておる、こういう考え方で処置をした、こういうふうに考えておりますが、いまおっしゃるように、ただこれは裁判所に云々、司法権云々とありましたが、これも一つの考え方でございますけれども、先ほど来申し上げておりますように緊急の事態でありますし、裁判所に云々という法律がありませんが、やはりこういういわゆる憲法のもとで行政府が全責任を持ってやる、裁判所にかかわらないで全責任を持ってやるという立場でやったわけでございます。 ただ、いまおっしゃったように国会の話がありましたが、そういう時間的余裕があります場合に、私は国民の代表としての国会の意思といいますか、少なくとも各党のお考えぐらいは聞いてやるのが非常にベターである、かように考えます。今度の西ドイツの処置なんかも非常に参考になる。ただ今度の場合は、先ほども申し上げましたが、数千キロ離れて転々としておる。日本の手の及ばないところで、御承知のような非常に緊迫した状態であった。それほどの余裕、心の余裕がなかったということも了解しますが、やはりいまおっしゃったように、問題は、政府が超実定法的措置をとるというのもおおよそ憲法の範囲内で、法律に定めてないけれども、こういう措置をとって多数の人命を助けるということについては、国民の大方の人に了解してもらっておるだろう、こういう前提でありますから、いまおっしゃったように、時間の余裕があればできるだけ国会の各方面に意見を聞くという、今後はぜひそうありたい、かように考えております。
○薮仲委員 では、もう一つ。いま論争の中に、人命尊重か法秩序を守るかという二者択一論があるわけでございますけれども、いま法務大臣はいみじくも憲法の範囲内とおっしゃった。では、率直に聞きますけれども、今回の行為は憲法を守ったのか、それとも憲法に違反する行為であったか。こう聞けば、恐らく大臣が何とお答えになるか、大体想像がつくわけでございますけれども、こういうことであるならば、私はむしろ法を厳格に守った、法秩序を守った。その法秩序を守る精神に立てば^人命を尊重しなければならない。憲法の言うところの大精神で言うならば、人命尊重であり、人権の擁護だ。その法を守ろうとしたからこういう行為をしなければならなかった。ごく一部、であるかどうかわかりませんけれども、法に違反する行為があったということであれば、決して私は二者択一ではなくして、本当は法を厳格に守ろうという責任が厳格に現閣僚になければ、日本としての法治国家は守れないのではないかと思うのでございますが、この辺の御見解と同時に、たとえば人命救助という大義名分で許される超実定法ということはあるわけですけれども、仮に私が一人の瀕死の重傷の人を病院へ運ぼうとしてスピード違反をした。この場合、自分なりに超実定法的行為だ。これは私は後で交通法規上の訴追を受けて、あなたの行為は人命救助の上やむを得なかったと免責される可能性はあると思うのですね。いまの刑法で免責していただけるかもしれない。しかし、やはりそこに、法を破ったことに対して訴追という行為があるわけですね。しかし、現閣僚が超実定法として法を超えたというのか、法にないことを行ったというのか、やったときに、訴追も受けずに免責されておるという、この事実があるわけですけれども、これは行政府がやるときには免責、個人がやれば法の訴追を受けた上で免責、こうなるのか。この辺の点もやはり超実定法ということが拡大解釈されて、いろいろな立場で言われ出したら、これはえらいことになるのではないか。そういう意味を込めて、私は先ほど来やはり行政府が独自の判断だけではなくしてきちっとした歯どめはやはり今後あっていただきたい、こう思うわけでございます。 時間がありませんから、御答弁はまとめてお願いすることにしまして、運輸大臣にお伺いします。 運輸省当局の防止対策でもダブルチェックというものが水際作戦の眼目になっているわけです。私もこの目で見ようと思いまして羽田空港へ行ってまいりました。現場でダブルチェックをどういうふうにやっていると言ったら、一日一便やりました、今回まで二回やりました、第一回目は十人の要員で、飛行機の出発が一時間おくれました、二回目は四十分前後おくれております、乗客の皆さんに大変御迷惑をおかけしておる。では、要員を二十人にふやしたら時間が半分になるのか。その可能性はございません。先ほど大臣は日航には厳格におやりになるとおっしゃいましたけれども、現場に行ってまいりますと、このダブルチェックというものは非常に時間的な問題、制約がございまして、いまの運航体系そのものを変えなければならないのではないか。搭乗手続の時間等ももっと考えなければならぬのではないか。しかも、これは日本の羽田空港だけならいいですけれども、さっきおっしゃったように三十五空港——先ほど来余りはかばかしい進捗がございませんが、各お国柄もありましてダブルチェックをやらないという国も出てくる。そうなってくると、私はおっしゃっている問題は非常に考え直さなければいけないのではないか。特にエックス線とか金属探知器のことをおっしゃいますが、私も現にあの中を通ってみました。同僚議員も通りました。精度をここで云々することは好ましいことではありませんけれども、必ずしも絶対的なものだという考えは、私と同行した同僚議員も、これはちょっと、と思うことが、自分が通ってみて、あのエックス線の監視装置を見てみて危険を感ずるわけですね。そこにまた、受託荷物についていわゆる探知器でやっている会社というのは半分しかありませんね。あとはノーチェックでみんな飛行機に積まれる。それは日航の場合、やっているからと言えばそうかもしれませんけれども、持っている荷物があるわけですから、ハイジャッカーが中にいて、彼らは決死の覚悟ですから、自分もろともという気持ちになれば何が起こるかわからない。こういうことを考えたときに、やはり現在のダブルチェックあるいは金属探知器、エックス線という問題について、もう少し新しい方向性というものを御検討いただかなければならないのではないか。この点が一つ。 もう一つは、いわゆるハイジャック防止条約、東京条約等の三条約でございますが、未加盟国がございますが、これに対して強く働きかけることが大事だと思うのでございますが、この働きかけについてどうなのか。 もう一点は、先ほどのお話の中の十七空港が非常に危険である、特に今度話題になりましたボンベイ、警察力が強化されたというものの日航のダブルチェックはできません。こうなってまいりますと、あの事件以降寄港する三十五空港の安全度については果たして現在どの程度強化されたのか、その辺をお伺いしたいと思います。 以上でございます。最初に法務大臣の方から……。
○瀬戸山国務大臣 今度の政府のとりました措置は、いわゆる超実定法的措置と言っておりますが、憲法の求める範囲でやった、したがって、いわゆる憲法を無視して、憲法以上の行政的な措置をとった、こういうふうには考えておりません。また、さようなことはあってはならないことでございます。 ただ、申し上げるまでもなく憲法が人権を定め、あるいは行政、司法、立法、こういう条章を定め、原則を定めておりますが、これはすべて人間社会、わが国でいいますと日本国民全体の生命を基本にしてやっておるわけでございます。それが平和で安全で自由な生活を営むことができるようなことを願っておるわけでございます。したがって、その諸原則に基づいて刑法があり、あるいは裁判が行われておる。今度の場合は一部裁判の結果を破壊したことになっておる。既決の囚人を出さざるを得なかった。また、一部犯罪者を起訴しておって、これが裁判にかかっておった、これも刑法の目的を破壊したことになります。こういう意味において実定法を一部破っておる、これは憲法の期待するところではありません。でありますから、もしこういうことが繰り返されていきますと、刑法によって治安を維持し、平和を保ち、国民の平和的生活を守ろうということが根底から崩れてくる。しかも裁判の結果が暴力によって無にされるということになりますと、憲法の望むところでありません。したがって、こういうことを繰り返していくことは、将来、それはいろいろな状況がありますから慎重に総合判断をしなければなりませんが、こういうことを繰り返しておると、憲法が期待しておるいわゆる法治国家というものは崩れてしまう、そういうことを国民全体が考えて、したがって全力を挙げて未然に防止し、起こったときに重大な決意をする、法治国家を守るという決意をしなければならない、かように考えておるわけでございます。
○田村国務大臣 羽田におきましてのダブルチェックは、あれは実は外国でダブルチェックをする場合にどうすればよいかというためのテストでございました。御承知と思います。 そこで、計器の精度の問題、先ほどお話ありましたが、たとえば金属探知器一つを例にとってお話し申し上げますと、非常に正確なんです。十円玉でも逃がしません。けれども、そうなると大変なことだというので、検査員等をふやしまして、ある程度のところで精度をコントロールしておるというようなことだそうであります。そういうことでありまして、これで羽田と成田が分離でもされますと、いま少しく精度を上げていくということは可能でもあり、また必要でもあろうかと存じますが、いまのところ日本の飛行場から出ていく場合に、大がかりなハイジャックに通じるような危険物を持ち込むことはほとんど不可能というような状況だと存じます。しかし、なお厳格な検査を必要としますから、その点は十分に指示してございます。 それから、日航が現在寄港しております三十五空港、これは一体安全なのかどうかということでございますが、いまそれを調べております。先ほどちょっと航空局長からも答弁をいたしましたが、そのうち東南アジア、中近東、ヨーロッパ等の十七空港に重点を置きまして検査体制強化の検討を進めております。すでにバンコクはもう始めておる。お手元に資料として「日航の寄航する外国空港と安全検査体制の概要」というのがお配りしてあると思いますので、後でまたごらんをいただきたいと思います。 それから先ほどの、運輸省は外国にどういうような働きかけをしておるのかという御質問でございますけれども、国連総会でハイジャック非難とそれからハイジャック防止措置の決議を提案いたしまして、十一月三日にこれが採択されております。それからICAOでは緊急理事会を要請いたしました。ハイジャック国連三条約の未加盟国の加盟の促進、それからICAOにおけるハイジャックの防止対策の検討、国際民間航空条約、いわゆるシカゴ条約ですね、それから安全保障の第七附属書の改正等について主張をいたしました。この理事会は十一月十四日から再度ハイジャック防止問題について討議することに予定をされております。もちろんわが国としては、各国の安全検査の強化等について強く要請するつもりでございます。 それからまた、日航が寄港しております外国空港の安全検査体制の強化を図りますために、日本航空から現地空港当局等に対してダブルチェックの実施とか、それからセキュリティーオフィサー、保安要員といいますか検査要員といいますか、の配置等に関しまして、その協力方要請をさせているところでございます。もちろんこれからいろいろな面で必要とあらば外務省に御協力を願って、外交ルートにも乗っけていきたい。とにかく厳しい姿勢でもろもろの問題と取り組んでおりますことを御報告申し上げておきます。
○薮仲委員 以上で終わります。
○上村委員長 次に、加藤万吉君。
○加藤(万)委員 先ほどわが党の同僚の坂本委員から質問がありましたが、補足して私の方からも少し質問をしてみたいと思います。 一つは、今度の改正法案の内容を拝見をいたしまして、私は、地方行政委員会で、ハイジャックの防止のためには予防措置というものをもっと重視をすべきではないか、たとえばボデーチェックであるとか空港の整備の条件であるとか、あるいは国際刑事警察機構との協力関係に必要な国内法の整備であるとか、こういう点が重要ではないかという質問をいたしました。自治大臣も、おおむねそういう方向で政府側も検討を加えておるというお話でございました。ところが、拝見をいたしました今度の改正法案の限りにおいては、大変重罰、刑罰強化——旅券問題が後に刺身のつまのような形でついているというような感じを率直に言って受けざるを得ないのであります。 過般法務委員会で法務大臣は、この法案に関連しての質問であろうと思いますが、まだ議事録が手元に入っておりませんから、新聞の報道でうかがい知る以外はないわけでありますけれども、刑事訴訟法の改正問題に絡んで——先ほどわが坂本委員は、弁護人の選任の省略問題を質問をいたしました。この問題に対しては答えが出ておりますが、同時に、その委員会であろうと思いますけれども、このハイジャックに特別法をつくって死刑罰を加えるべきである、この問題について法制審議会に大臣は諮問をしたい、こういう報道がなされておりますが、法務大臣にこの間の経過をお聞きをしたいというふうに思います。
○瀬戸山国務大臣 おっしゃるように、ハイジャック等こういう犯罪の予防といいますか、これは刑事罰だけで賄えるものではないと思います。その点、一般の犯罪もさようだと思います。特にこういう場合には、あらゆる手段を講じて起こらないようにする、あるいはすでに起こした犯人をどこかで何とかして捕捉する、これが一番最良の方法で、こういうこともあらゆる観点からやっておるわけでございますが、やはりこういう犯罪に対しては一般予防といいますか、刑罰はおおよそそういう面があるわけでございますが、予防の観点からそれに対する刑罰を定めなければならない。 そこで、いま死刑のお話がありましたが、一つの犯罪の類型を決めます場合に、それが一般予防あるいは起こった事件に対する責任の立場から、どのくらいの刑を決めるかということはこれは非常にむずかしい問題だと思います。これを特別にかくあるべしという一つの基準というものは、確たるものはないと思います。いかにしてこの刑罰によって社会の安全を図り得るかという点と、その起こった犯罪に対して、犯人の社会的責任あるいは道義的責任、これを問うのにどのくらいあればいいかということと、多くの犯罪の軽重を比べ、社会に対する害悪の軽重を比べて、それとの権衡をとって決める、 〔上村委員長退席、羽田野委員長代理着席〕 こういうことが大体立法政策だと思いまするが、このハイジャック事件については、人質等について死に至らしめた場合、他人の生命を絶つようなことがあった場合、これは現在現行法で死刑の重刑を科するようになっておるわけでございます。その他は現在死刑を科せないことにしている。 今度の改正は、そこに至らないもの、他人に対してそういう人質を使って不法な要求をした段階での犯罪を規定しておるわけでございますが、その量刑についてもいろいろ意見があるわけでございます。きわめて深刻な犯罪状況を見ると、これは死刑に値するんだという意見もあるわけでございます。それにも一つの理由があると私は思う。これは人の命を絶つ場合と、命を絶たれるよりも、他人に対して非常な苦痛を与える場合もあり得るわけでございますから、そういう御意見も、それは無謀だということに私はならないと思う。でありますから、そういうことも含めて、しかし死刑というのは何といっても——われわれが政治をし、あらゆる努力をしておりますのは、人命を満足に生かすというのがすべての目標でございますから、人命を尊重することは当然でございます。死刑は人命を絶つことであります。最重の科刑でございます。でありますから、慎重の上に慎重を期さなければならない。しかも近代刑法の流れを見ますると、できるだけ死刑は少なくしなければならぬという傾向にあります。人の命を絶ったというようなとき、そのほかの場合もありますけれども、原則としてそういう場合に死刑が想定されておる。こういう状況を見まして、これは慎重の上に慎重を期さなければならぬということで、今回は死刑の議論もありましたけれども、死刑を刑量しないで、最高無期十年以上ということにしておるわけでございます。ただしかし、犯罪の形態というものはいろいろありますから、他人の生命を絶つような事実はなかったけれども、絶つ以上の苦痛を与える場合もあり得る、 〔羽田野委員長代理退席、上村委員長着席〕 こういうことも想定されるわけでありますから、そういうものがいかなるものであるか、できるだけ厳格なしぼり方をして、あり得るとすれば、やはりそれを規定しておく必要がある、こういうことで、成案ができましたら法制審議会の学者、専門家等の審議をいただいて意見を聞いて、もしそれができれば提案をしよう、これが現在のところでございます。
○加藤(万)委員 非常に重要な問題だろうと思うのです。大臣御承知のように、西ドイツの場合に死刑がございません。今度ルフトハンザの事件とわが国のハイジャック事件、日航事件とが対比をされまして、その中の一つとして、西ドイツが犯人を射殺したことに対する是非、どちらかと言えば射殺行為に対して、人質を完全に確保した面を称賛する声も実は多かったように私はうかがっておるわけです。ところが、これが一方で、西ドイツでは死刑という刑罰がないわけでありますから、西ドイツの国民の側から言うならば、そこに甘え込んでいる犯人に対してはという国民感情があったのではないかというように推定をされるわけです。 わが国の場合に、仮に大臣がおっしゃるように、死に至らしめるような、いわゆる強盗による死に至らしめる場合は刑法二百四十条で死刑になるわけですが、これ以上の苦痛があった場合には、この場合にも死刑を想定する、あるいはそういうことを頭に置きながら法制審議会に意見答申を求めてくる。そういうことになりますと、前段にある西ドイツの条件とわが国の条件との違いというものを置き去りにしたまま、国民の中に問題が持ち込まれる可能性が実はあるわけでして、私は、そういう意味ではきわめて重要な法判断をすべき提案内容あるいは諮問内容ではないかというように実は思うわけであります。 そこで私は、そういうようにハイジャックというものに対しては、苦痛を与え、それは死刑に値する罪状を持つのだ、あるいはそういうものすら想定をされるのだという大臣の発言が、実は第一線現場における警察官にそのまま意思反映をしないだろうか、これを実は大変憂えているわけです。 と申しますのは、大臣御承知のように、この後起きましたバスジャックですね。これは完全に犯人を射殺であります。長崎のバスジャックについては犯人が射殺をされたわけです。もちろん経過はあるでしょう。その間の説得なりという、時間的に経過はあるにしても、結果としては犯人を射殺をする。いわゆるハイジャックその行為は、すでに射殺に値する犯罪行為であるというように第一線の現場警察官が思ったときに、仮にそれがハイジャックでなくてバスジャックのような単純な動機、あるいはかつて金嬉老事件というのがございました。これは、いわば朝鮮人に対する差別という、その反抗あるいは抵抗、レジスタンスというような政治的な、精神的な背景も実はあった事件ですけれども、この場合でも、人質になった人間に対する苦痛というものは死に値するぐらいの犯罪であると第一線警官が判断をし、これを射殺に及ぶ、こういう行為がこの大臣のそういう諮問する中で生まれてくる可能性、あるいはそういう判断をする可能性すら秘めているのではないかというふうに実は思うわけです。私は一番心配をいたしますのは、この赤軍によるハイジャックのような場合、あるいはいま言いましたような単純な犯罪行為としてシージャックなりバスジャックなりする、そういう犯人を説得する動機、条件というものがあるにもかかわらず先行して射殺行為に及ぶ、こういう条件が生まれてきはしないかということを実は非常に心配をするわけでありますが、この辺の見解としてはいかがお考えでございましょうか。
○瀬戸山国務大臣 日本の警察官の問題については、警察長官見えておりますから、そちらからのお答えがいいかと思いまするが、いかがでしょうか、私は日本の警察官ぐらい慎重の上にも慎重で対処される国は世界じゅう探してもないのじゃないかと見ております。 先ほど長崎のバスジャックのお話が出ましたが、三十人近くがバスの中に男女込めて入っておって、相手が銃器を持って乱射してくるときには、これに応戦するのは私はやむを得ないことだと思います。やはり人を助けるために警察は一生懸命やっておるのですから、それに不法に銃を持って向かってくるというときに、何とか言葉で言っておる、そんな余裕は私はないと思います。しかし、あらゆるああいう場合を見ておりますと、これはそれを奨励するとかなんどかいうことじゃありませんけれども、日本の警察官ぐらい自重し、慎重にやっておる警察官はほかにない。われわれが報道を見ておりますと、よその国であると直ちに機関銃でやってしまうというような——だれに対しても日本にはそういうことはない。これは日本人の東洋的といいますか、日本的といいましょうか、私は非常にいい傾向だと思っております。しかし今度ハイジャックについて、仮にそれに値するということで死刑を定めた場合に、だからああいうものはどんどんやっていい、そういうことにならないし、あってはならない、私はかように考えております。
○小川国務大臣 警察官の拳銃使用につきましては、警察官職務執行法の七条におきまして、きわめて厳格にその要件が規定されておるわけでございます。また実際の犯人の逮捕に際しましても、あとう限り犯人に危害を加えないということを基本方針にいたしておるわけでございます。この基本方針というものは、いかなる事態が生じましょうとも変更はないわけでございます。これからもそういう方針で指導、教養に努めてまいるつもりでございます。
○加藤(万)委員 確かに警察官の犯人射殺に対しては慎重を期しておられることはわかります。問題は、犯人を説得するその時間、それから人質が耐え得る時間、さらにその人質が耐え得ないという段階における犯人逮捕の具体的行為、私はこの三つの絡み合いだろうと思うのです。 そこで、これは法務大臣、私はぜひ頭に入れておいていただきたいと思うのですが、瀬戸内海でシージャック事件がございました。これは事件としてはきわめて単純な犯罪行為。私はあれをずっとテレビで実は見ておりまして、当時こういう実感を持ったのです。あの青年が船の上に顔を出しました。そこをライフル銃で射撃をして、きょうある雑誌を読みましたら大変きれいな言葉でこの辺が並べてありましたけれども、何が何だかわからないうちにとにかく青年が崩れ落ちるようにして倒れていった、この瞬間に、片っ方でライフル銃を構えて、してやったりという警官、このテレビの画面が映ったときに国民の側の感情からいきますと、ここで犯人が実は入れかわってしまう。確かにいままでは憎むべき犯罪者、私もそう思います。今度の赤軍のハイジャックについても私は大変な憎むべき犯罪行為だというふうに思いますけれども、射殺を行ったということに対する一このごろはテレビが御承知のようにこういう形で茶の間まで人づてくるわけですから、この際にライフルで撃ち殺した側に今度は国民の感情が反発をしてくる。死刑の法制というような問題と、こういう画面から来る権力に対する国民の何といいましょうか、抵抗といいましょうか、あるいは犯人が入れかわってしまう。そのことを実は赤軍が戦略、戦術としてねらっているのではなかろうか。すなわち、今日弾圧立法が強くなればなるほど国民の中に抵抗が起きるだろう。その国民を巻き込んで、彼らが持っているいわゆる革命といいましょうか、あるいは権力の追放といいましょうか、そういう戦略体系に変えていこうということに、法務大臣がこれから諮問されようという死刑の問題も、あるいはそういう射殺行為という問題も包含されてくるとすると、これは大変な事態が起きてくるのではなかろうか、国民がその側に巻き込まれていくという状態をぜひとも避けてほしいと思うのです。 そこで、こういうことが可能かどうかということは非常にむずかしいことでしょうけれども、たとえば今度のハイジャックの場合に、西ドイツの犯人逮捕の場合に、英国から技術者を呼んで機内を雷光弾で照らして、その間に射殺をしたということがちょっと報ぜられておりました。もし仮に犯人に衝撃を与え、なお射殺に至らないような武器というものが開発される、たとえば麻酔銃のようなものが発明されてそれを使用する、こういう状態になってくれば、いわゆる射殺行為でないわけですから、しかもその犯人を捕らえて、大臣がおっしゃるように、法廷の場でその裁きをつけるということがいわゆる法治国家としての信義が貫かれていくわけですから、そういうことをたとえば今後警官の武器使用の面においても考えるべきではないかというふうに私は考えておるのですが、いかがでしょうか。これは自治大臣でも法務大臣でもいいですが、御答弁願いたいと思います。
○三井政府委員 私たちの目的は犯人逮捕にあるわけで、人質事件ということでありますれば人質を救出し、そして犯人を検挙するというのがわれわれの仕事でございます。したがいまして、相手方が武器、凶器を持っておる場合には、それに対抗する武器というものを持たなければ処理ができないわけでありまして、武器の点というと、一にかかって、法的の制約もありますけれども、相手方の武器との対応という相対的なものがあろうと思います。また、いまおっしゃいましたように、仮に武器を持っておりましても、その武器を使わずに目的を達成できるというためにはそういたすわけでありまして、先ほど来言われておりますように、浅間山荘事件に典型的にあらわれておりますように、わが方は犠牲になっても犯人を生かして捕らえるという最大限の努力をしておりますので、私たちの気持ち、方針という点については御理解をいただけると思うわけでございます。 いま具体的にお挙げになりました麻酔銃という問題は、将来そういうような点も検討していかなければならぬかと思いますけれども、相手方を制圧するためには即時に効果が発生しなければならぬ。そういう意味で、私たちのいままでの知識では麻酔が効くまでに時間がかかる、遅効性である、したがって拳銃、爆薬等を持っておる犯人に対しては麻酔銃は効果がない、こういうふうに考えております。しかしまたいろいろと研究して、おっしゃるような効果が出てくるというようなことについても研究を怠らないようにいたしたいと思います。
○加藤(万)委員 私は、そこの分も重要ですが、実は刑法を強めることによって起きる赤軍派の戦略体系にわが国の行政機能が巻き込まれていく、その中に起きてくる国民の政府に対する反政府的な運動、そこに陥ってはならないということを、実は両大臣にぜひとも重視をしてもらいたい。そのためには犯人射殺行為ということに対するいろいろな考え方というものを、この際しっかりしておいてもらわなければいけない。一方では刑法の改正によって死刑罪を云々、一方ではいま言ったような銃の使用なんかについても申し上げたわけでして、前段の部面に対する見解を、大臣のどちらでもいいですから、ひとつお聞きしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 何も私どもは犯人を射殺せいなんということを奨励しておるわけでも何でもございません。いまあなたがおっしゃったようなことは十分気をつけなければならない。いまお話しのようなことを、実は今度出ました文芸春秋に何とかいう評論家とか作家という人が書いておるのを私は参考にしながら読んでおります。でありますから、私が申し上げたいことは、先ほど来くどくど言っておりますが、こういう憲法の原則に従ってもろもろの法律、規則というものを決めて、国民の安全と平和、自由を守ろうという組織をしておるわけでございますから、これは何も政府のためにあるわけではなくて、あるいは法務省のためにあるわけではございません、一億一千万の国民自身のためにある、こういう自覚を持って、国民が常にそういう気持ちでなければ、こういう問題の根本的解決にならないというのが、国民の皆様に申し上げている私の所信でございまして、したがって、やはり凶悪犯人が仮にああいう多くの何もかかわりのない人命を危険にさらした場合に、やむを得ず射殺するという事態が起こらないとも限らない。そういう際に、それは何のためにやっておるのか、一億一千万の国民の生命財産、平和を守るためのことだというふうに考えてもらわなければ、ただそこで感情で、あれをやったから日本の警察はけしからぬ、そういう考えを持っておったのでは法治国家というのは確立しない、私はそれを国民の皆さんに申し上げているわけであります。
○上村委員長 次に、中井洽君。
○中井委員 私は、今回提出されている関係諸法案につきましては、これによって少しでもハイジャック事件が防止される、あるいは起こしにくくなる、こういった性質のものではない、ただ単に、まあ万一犯人がつかまったら重く罰しますよという、大変失礼ではありますけれども、慰めにすぎないような法改正案だなというふうに感じているわけであります。政府自体もこの法案以外にいろいろな措置をおとりになっておられると思います。本当に必要なのはハイジャック事件を断固起こさせない、あるいは起こしにくくする。もしそれでも起こったら、人質の命の尊重ということはもちろんでありますけれども、民主主義あるいは法秩序を守るために断固たる姿勢あるいは対策というものをとっていく、こういったものが必要だと考えております。したがいまして、そういった観点から過日の日航の事件あるいは今後の対策につきまして、関係各省大臣にお尋ねをしたいと思います。 まず最初に、対策本部の方お見えだと思いますのでお尋ねをいたします。過日のハイジャック事件が起こりましてから対策本部内でいわゆる強行突破論が主張されたのかされなかったのか、主張されたとしたら本当にその実行方が検討されたのかどうか。されたかされなかったか、それだけで結構でございます、お答えをいただきたいと思います。
○田村国務大臣 対策本部でそういうことが議論されたかどうかという問題につきましては、そのときに正規のメンバーとして列席しておりました私から、国務大臣という立場でお答えをした方が適切かと思います。 いわゆる強行突破論はございませんでした。いかにして人命を尊重するかということが中心に論議されて、しかも日本の法の威信ということとの矛盾についての悩みという論議はございました。しかし、いわゆる強行突破論はございませんでした。
○中井委員 日航のハイジャック事件が起こりました後、西独のハイジャック事件が起こった。この両政府のとった措置が余りに対照的であったということから、私どもの心の中にも釈然としないものがある、あるいは国民の中にもかんかんがくがくの議論があるのは御承知のとおりであります。 もとより政府のとりました措置によりまして人質が全員無事帰られたわけでありますから、結果論的に私どもは、それはそれで今回の措置はやむを得なかったことだ、こういうふうに思っているわけでございます。しかしこの全面降伏、犯人側に対する全面降伏と言ってもいいあのような措置をとるときに、私は、やはり法治国家としてこれから強行論というものも真剣に考えていくべきだ、そして対策本部の中でこの強行論が実際にできるのかできないのかということを検討していく、そして最後に、総理大臣なら総理大臣が政治的にどちらかの道を決断をする、こういったことがなければならないと思うわけであります。 先ほど石井政務次官が、何か大変悲壮感を持って行って、ここの答弁でも非常に高圧的な御答弁をなすったように思うわけでありますが、政府があの事件で全面的に降伏をする。全面的にだけではなしに、どろぼうに追い銭でパンツから薬までやって、まあまあどうぞ国外においでくださいという態度をあっさりと一日でとっておいて、しかもくやしかったとか何だとか言えるものじゃないと思う。やはり、強行論をやるやらないは別にして、最低限やれるのだという姿勢、しかもそれを明確にすることによって今後ハイジャック事件というものを起こしにくくしていく、こういったことも考えなければならないと思うのであります。 それで警察庁にお尋ねをいたしますが、もしあのときに強行論というものが出たとした場合、現在の警察においてそういった強行突破をできる態勢あるいは準備というものが整っておるのかどうか、その点についてお答えをいただきたいと思います。
○三井政府委員 この種事案に対処する基本的な考え方、方針は、だれが考えても同じであると思いますけれども、人質を安全に救出する、同時に犯人を制圧検挙する、これを二つながら実現するためにわれわれは最後まで努力するというのが基本の態度でございます。したがいまして、それは、現に起こった事件についてそうであると同時に、今後起こる事件の予防という観点につきましても同じ態度で臨まなければならぬと思うわけでありまして、その問題を論議することが、われわれの論議に注目を払っておるであろうと思われるテロリストグループにこちらの手のうちを明かすというようなことに寄与しないように、慎重な配慮をしながらこの問題を論じなければならぬというように思うわけであります。 そこで、強行論かどうか……(中井委員「できるのかできないのか、準備があるのかどうかだけ。一応そういう態勢があるのかないのか」と呼ぶ)そういうことに端的にいく前に、各種の諸条件を整えなければできない、各種の諸条件が整うかどうかということの方が先決であるというふうに考えております。
○中井委員 この対策本部の責任者がおられないのでありますが、そういったことを聞いていますと、これからもし起こったら、またやはりあっさり全面降伏をして、先ほど法務大臣のお答えになっておった超法規的措置をまた繰り返すわけである。 私は重ねて御要望いたします。国家公安委員長からお答えをいただきたいと思うのでありますが、今後もしハイジャック事件が起こったら、少なくとも警察庁長官あるいは国家公安委員長のお二人は対策本部の中で強行論を主張されるべきだ。もちろん人命ということも十分考えていかなければならない。しかしその判断というものは対策本部の長である総理大臣がなさる。お二人はやはり強行突破ということを主張なさる、そしてそれに対して準備をされる。やれということではないのです。最大限やれる可能性というものを一つ一つの事件で探る。そしてそれに対して現実的にできるだけの部隊なり装備なり、あるいは犯人の心理学の研究からいろいろなことまで含めての準備を十分しておく。これはむだだったら一番いいのであります、なかったことでありますから。十分そういったことをしていただきたいと思うのであります。この点につきましてお尋ねをいたします。
○三井政府委員 大臣からお答えいただきますが、その前に一言……。 この種事件に対しましては、私たちはその方法が結果的に強行になるのか柔軟になるのか別といたしまして、どんな方法でもとれる準備をするように努力しております。
○小川国務大臣 警察といたしましては、人命はあくまで尊重しなければならない、同時に法秩序はあくまで維持しなければならない、この両立させることのきわめてむずかしい二つの要請に二つながらこたえていきたい、そういう方針で努力をいたしてきておるわけでございます。今日まで類似の事例が十一件ございますが、「よど号」を除いては、この二つの要求に二つながらこたえてきたわけで、これが警察の基本方針でございます。ただいま強行論というお話でございますが、西独のとりましたあの奇襲作戦、結果において成功をいたしておるわけで、これを評価する意見というものも相当あるということは、先ほど外務省から世論調査の結果について披露があったとおりでございますが、西独と日本ともちろん国情、国民感情も異なっておりまするし、そもそも、外国の主権のもとで警察の職務権限を行使するということ、これは容易ならざることだと考えるべきでございましょう。通常かようなことは起こり得ないと申しても間違いじゃないと存じます。しかし、状況いかんによりましては、仰せの強硬手段をとらざるを得ないという場合もあり得るかもしれない。さような場合に、もちろん日本の警察は十分な勇気を持ち、使命感を持っておると考えておるわけでございます。 いま、強硬手段をとるつもりかどうかというお尋ね、これはそのときの状況いかんによることでございまして、何とも申し上げかねるわけです。警察の基本方針につきましては、冒頭に申し上げたとおりであります。
○中井委員 誤解があったりしてはいけませんし、また言葉足らずであったかもしれませんが、とにかく、日航ハイジャック、そして西独のハイジャック、二つのことの余りにもその対処の仕方の違いがあり、いろいろな議論がある。私どもも、政府のとった措置というのはやむを得ないことであるとはわかってはおるけれども、何らか方法がなかったか。その間に、先ほど土井議員から話があったように、国民の皆さんに、その対策本部の過程の中で強行論というのも出た、それに対してこういう形で準備をしたけれども、人命に差しさわるからあえてやめたんだ、こういった過程があれば、私はもう少し世論というのも、今回の政府のとった措置で仕方がなかったんだなというふうに納得をすると思うのであります。余りにも早くあっさり全面降伏する。大変私の個人的な素人意見でありますが、たとえば同じ全面降伏して犯人も引き渡す、あるいはお金も渡すということであるならば、せめて十六億円の身のしろ金に対して、磁気かなんかの印刷をして、みんな人質をこっちへ返していただいたら、どこかからボタンを押したら印刷が全部溶けてしまってお札が使いものにならぬとか、そういった抵抗の仕方でも考えていただかぬと納得できない点があるわけであります。 大変よけいなことを言いましたけれども、ぜひとも強行論をやれ、強行論じゃなければいかぬという言い方を私はしているわけじゃありません。そういった強行論もいつでもとり得るという態勢をつくれるように、重ねて御努力をいただきますようお願い申し上げます。 次に、運輸大臣にお尋ねをいたしますが、結局、ハイジャック事件、先ほどのお答えにございましたように、強行論というものは一切なくて、あっさりと犯人の言うことを聞いて、それによって人質を助けた、こういうことでございます。そうしますと、飛行機に乗せてしまって要求されたらそれでもうまいった、こうなるわけであります。したがいまして、乗せない、あるいは凶器を持ち込ませないという方法が、いろいろな施策がとられなければならないわけであります。そういったとりつつある施策について、運輸大臣として御指示をなさった施策について御説明をいただきたいと思いますし、あるいはまた、これからどういった施策をとろうとしているのか、この点について御説明をいただきたい。 さらにもう一つ。私どもの党が——先ほど他党の方が何かばかばかしいというような御意見を言われたようでありますが、航空保安官の問題についてどのようにお考えになるか、あるいはダブルチェックの問題で、現実的に、飛行機の入り口にエックス線の探知器というものを取りつけてしまう、それをこの航空保安官なり何なりが入り口のところでもう一度チェックをするというようなかっこうがとれないのか。あるいはもっと素人意見を言わせていただいたら——同僚議員はやめておけと言うのでありますが、ハイジャック事件が起こったら、スチュワーデスならスチュワーデスが非常ボタンを押す、そうすると操縦席が自動的に閉まる、そして客室から一切操縦室へは何にも連絡が行かぬ、犯人側の要求も伝わらぬ、操縦士はただひたすら政府の指定された空港へばっと着けてしまう、こういった装置をつくるとか、何らかとっていかないと——一つ一つ、むだがあってもいいし効果がなくてもいい、とにかく対策をとっているんだということは必要だと思います。そういった点も含めてお答えをいただきたいと思います。
○田村国務大臣 まず冒頭に、さっきちょっと申しましたことについて若干補足をいたします。 対策本部でいろいろと議論はありました。強行突破論というような激しい議論はなかったけれども、法の番人としての検察、警察の苦悩に満ちた発言というものは、私ども、もうはだに痛いほど感じました。そういういろんな議論があったということは事実でございます。ちょっとその点、私からきめ細かく御報告を申し上げておきたい。− それから、航空保安官の問題でありますけれども、これは非常にむずかしい問題でありまして、それはいまのお話のような入り口でチェックをするというような保安官ならば、あるいはということも考えられる。しかし、外国においては主権国の意向もありましょうから、武器を持った保安官がということになると、なかなかむずかしい問題もありましょう。それから今度は、ピストルを持って飛行機の中へ乗っけろという意見もありましょう。ところが、あの音速に近いスピードで走っておる飛行機の中で撃ち合いが起こったら、それが側板といいますか、ガラスやその辺をぶち抜く、あるいは、あの中にはたくさんの計器が、ワイヤーがずっと、線がありますね、そういうのを撃ってしまうというようなことになりますと、飛行機がもうむちゃくちゃ運転になってしまったり、墜落したり爆発したりということになりますから、飛行機の中で撃ち合いをしたら大変なことになるのです。飛行機の中で撃ち合いをしないで拳銃だけ持っておったら、武装解除ということで逆に向こうに拳銃を渡すことにもなる、彼らは死を覚悟しておるでしょうから。そういうこともあってなかなかむずかしいというような悩みがあります。 それからもう一つは、操縦席を自動的にぴちっと閉めてしまって、一切もう対話をなくしてしまえという、これは一つのアイデアでしょうけれども、ところが彼らは、それはナイフやそういうもので騒いでおるというハイジャックならそう大したこともないでしょうけれども、爆弾まで持って入り込んでおるやつにコミュニケーションの道を閉ざしたら自爆しますよ。そうなったら、今度は人質みんながいってしまうというような悩みもございます。いろいろわれわれも中井君とよく似た考えでやってみたのですけれども、一つ一つ掘り下げてみると、なかなか厄介な問題がある。 それで、実は時間があれですから、最初の御質問にお答えしますが、ハイジャック対策というものは運輸省だけではできません。運輸省の守備範囲というものはあります。私どもは結局、計器チェックやダブルチェックやボデーチェック等、要するに水際作戦ということに最大重点を置いております。旅券とかいろいろな問題がありましょう。これは外務省やその他、あるいは法務省、警察等でいろいろにお考えもありましょうけれども、私どもはそういう考え方で、あらゆる角度からいま知恵を出しておる。出したものは、そのかわり、小出しでもいいからどんどん実行さしておる、こういうことでございます。
○中井委員 航空保安官のピストルの件でも、たとえば私は、飛行機のほかの部分に当たったら大変だということはわかるわけでありますが、ピストルを持って、射程距離の短い、あるいは口径の小さいというような形でのピストルを考えていけば、いまの航空機なら十分大丈夫だというふうに専門家から聞いているわけであります。それと同時に、現実に乗ったら撃ち合いをせいと、そういうことではなしに、とにかくハイジャックを起こそうという人たちに、むずかしいぞ、やりにくいぞと、政府はどんどんといろいろな対策をとって、本当にしにくいのだ、やりにくいのだというような形のものをつくっていかなければ、いまのままでいけば、幾らでも起こしてください、起こったら全部降伏をいたします、こういうかっこうになっていこうかと思います。 どうぞ、ぜひいろいろな対策を——特にごまするわけじゃありませんが、田村運輸大臣は、グリーン車の値下げなどという人の思いつかないユニークなことを思いつかれる大臣であります。ひとつユニークな対策をお立ていただくようにお願いいたします。 続いて外務大臣にお尋ねいたします。 先ほどの御質問にもございましたけれども、いま海外に逃亡いたしておるいわゆる赤軍派、こういった人たちの逮捕ということはぜひとも必要なことであります。これらの犯人たちの居どころを突きとめるために御努力をいただくというお話がございましたけれども、わかっている犯人について、たとえば今度のアルジェリアの問題につきましても、ぜひとも犯人の引き渡しということについての御努力をいただきたい。 過日、私は委員会で北朝鮮の「よど号」事件の引き渡しもやるべきである、こういったことを言いましたら、外務省の御担当の方が、国交がございません、こういう単純な答弁でございました。時間がなくて、私もちょっとむっとしているわけであります。国交があろうとなかろうと、あるいは犯人引き渡し条約がアメリカと一カ国しかつくってなくても、ありとあらゆる外交チャンネルを通じてこういった犯人の引き渡し「あるいは、日本へ直接引き渡してくれなかったらその国からよその国へ追放してもらう、こういった厳しい措置というものを粘り強く続けるべきだと思いますが、その点についていかがでございますか。
○鳩山国務大臣 犯人の逮捕に全力を尽くすべきことは当然でございまして、国民のひとしく願っているところであると考えております。 ただ、アルジェリア当局に対しまして着陸時の約束がございましたり、経過は御承知のとおりでございます。この問題につきましては、警察の方でICPOへ連絡を密にとっておられるところでございますが、逮捕のためにはやはり協力をしてくれる国にお願いをするしかないわけでございます。 そういう意味で、北朝鮮の点にお触れになりましたけれども、国交がないという形だけを申しているのじゃなくて、お願いして聞いてくれる国と聞いてくれない国が現にあるわけでございます。しかし、あらゆる手段を講じまして犯人の逮捕に全力を挙げるべきである、その方向で努力をさせていただきたいと思います。
○中井委員 次に法務大臣にお尋ねをいたします。 刑法の改正案等が出てきているわけでありますが、過日の日航事件、特に国外へ釈放された六人のうち二人が普通の殺人犯というのですか刑事犯である。こういった人たちまで連れ去られていく。こういった点に関して、たとえば法改正をして、ハイジャック事件で現在逮捕されている人たちと他の囚人、留置されている人たちと接触を断つような方法、あるいは犯人たち相互間の連絡を規制する方法、あるいは、まあ、ないとは思うのでありますが、こういった犯人たちと海外にいる逃亡犯たちとの連絡というものを何らか規制する方法、こういった方法あるいは法改正ということについてお考えであるかどうか、お尋ねをいたします。
○石原(一)政府委員 矯正当局といたしましては、今回の事件におきまして二人の刑事犯が指名されたということは重大なることであると受けとめております。それに関連しまして諸種の施策を検討中でございますが、その前に、いかなる経緯と経過によって指名される至ったかということを判明させなければなりません。現在調査中でございますが、まだ御報告を申し上げる段階には至っておりません。 なお、いろいろな接見交通、いわゆる被収容者と外部の者との接見交通、これは外部交通と称しておりますが、たまたま監獄法改正部会が現在開かれておりまして審議中でございますので、その段階におきまして、今日の事態も踏まえて適切なる処置をとるように審議会にお願いする予定でおります。
○中井委員 時間もございませんので、最後に、文部省の方がおられると思いますが、お尋ねをしたいと思います。 先ほどから、時間がないので私自身も大変言葉足らずでありますけれども、やはりハイジャック事件というものを絶対起こさせない、あるいは起こしにくくしていく、あるいは、起こった場合には毅然たる態度をとっていく、そして二度とそういった無法な要求には応じない、こういった姿勢というものを繰り返すことによってハイジャック事件というものが少なくなってくると思います。それと同時に、今後、若い世代の人たちの中からハイジャック事件といったものにあこがれたり、あるいは、より以上の過激な人たちを出さないという国民の一致した世論というものが必要であろうと思います。こういった世論の力によって、暴力あるいは暴力革命によって民主主義をひっくり返そうといった動きというものを断固根元から封じ込んでしまう、こういった姿勢が必要だと思います。もちろん、言論の自由についてどうこうせいということではありませんが、そういった観点から一つだけ納得がいかない点がございますのでお尋ねをいたします。 京都大学の元経済学部の助手をしておった竹本信広、この人は昭和四十七年一月九日に逮捕状が出されているわけであります。いま逃げているのか、どこにおるのか、私も知りませんが、京都大学が評議会でこの人を分限免職処分にしたのが昭和五十二年六月十八日、実に五年間であります。五年間どうしておったんやと言ったら、月給を出しておったわけであります。国立大学で、強盗予備容疑で指名手配をされているような者に五年間も月給をやっておくというような、そういった過激派に対する甘い姿勢といったものはおかしいと私は思うのであります。学校の先生が過激的な思想を持たれようとどうされようと私は結構だと思う。しかし、それを実行に移した人を国立大学で処分もできない、こういっただらしのない状態というのは私はおかしいと思うのであります。赤軍派あるいはこういった者たちを生み出す空気というのは、ここにも一つあると思うのであります。そういったことに対する文部省当局の姿勢というものについて、あるいはどうしてこういうことになったのか、お尋ねをしたいと思います。
○中西説明員 ただいま先生お話しのように、京都大学経済学部元助手の竹本は、四十六年八月十三日に在日米軍住宅警備員の武器の奪取を企てた疑いで強盗容疑により指名手配されております。 それで、この手配以前の四十六年十二月二十七日に登校して以来大学に出勤しておらず、今日に至るまで行方不明の状態であるわけでありますが、ただいまお話しのように、京都大学の方で、いろいろ時間はかかりましたけれども、努力をいたしまして、本年六月に竹本元助手の分限免職処分を決定したのでございます。その間の給与につきましては……(中井委員「そんなこと聞いてない。どうして五年間ほっておいたかと言っているのです」と呼ぶ) 御承知のように、大学の教員につきましては、われわれのような一般の公務員と違いまして、大学管理機関の審査の結果によるのでなければ、その意に反して免職されることはないというふうな教育公務員特例法というのがございまして、私どもの方でいろいろ努力いたしましても、大学管理機関で御決定いただきませんと免職ということもできないというふうなことでございまして、かなりの時間がかかったわけでございます。
○中井委員 時間ですので……。
○上村委員長 次に、東中光雄君。
○東中委員 外務大臣にお伺いしたいのであります。 旅券発給制限の対象となる罪の法定刑の拡大の問題でありますが、これは先ほど来論議されておりますように、このことによって人権侵害あるいは一般国民の渡航の自由に対する不当な制限になってはいかぬというふうに思うのでありますが、今回提出されております法律は、題名自体からいきましても航空機強取等防止対策を強化するための関係法律の改正であります。したがいまして、旅券法十三条が長期五年以上の範囲から長期二年にまで変えられても、それは航空機強取等防止対策を強化するためのものだ、それ以外に、航空機強取等防止対策と全く関係のない二年以上五年未満の法定刑の犯罪の人については実際上の運営としてはこれは適用しない、そういうことを明らかにされる必要があるのではないか、こう思うのでありますが、外務大臣、いかがですか。
○鳩山国務大臣 先ほどもお答え申し上げたところでございますけれども、今回五年以上を二年以上に旅券の発行を制限した目的は、いまおっしゃいましたように、暴力犯罪等に対します配慮からであるわけであります。したがいまして、そういうものに全く関係のない犯罪についてまで拡大することは当面考えていないわけでございまして、その点につきましては、具体的な罪名等につきましても御説明を申し上げ、御理解を賜りたい、かように考えております。
○東中委員 すでに法務委員会の審議の中で九つの罪種については言われておりますので、そのことを承知の上で、それを前提にして私はさらに聞いておるわけであります。 それから、たとえば名誉棄損とかあるいは公選法違反なんかで長期五年未満で二年以上というのがあるわけですね。それは九罪種の中から外してある。六百三十種近く今度ふえる罪種の中から九罪種だけに限定をしている。しかしその九罪種の中でも、案件によっていろいろ違うわけですね。たとえば、公務執行妨害というもので私が弁護士として担当した事件で言えば、十年も裁判にかけられて、そして結局無罪になったという例があります。これは昭和三十九年十二月九日に公務執行妨害罪で逮捕されて、昭和四十年五月十五日に起訴されて、判決が出たのは何と昭和四十九年三月二十二日。しかし無罪の判決でありました。一審で検察官は控訴をやめた、こういう事案なんです。こういう事案について裁判にかけられている。これはいままでの現行法でいけば、もちろん旅券の発給制限の対象にはならないわけです。しかし今度の場合は一条文自体から言えば、一応公務執行妨害罪であるから対象になるように見えるけれども、しかし十三条は裁量規定になっていますね。その裁量規定になっている裁量の中で、そういうものも航空機強取等防止対策を強化するためだと称してそれまで規制されるということになったのでは、なお航空機強取等防止対策強化ということ、名目はそうであって実際はほかのものにまで制限していくことになるから、そういうものは公務執行妨害であっても、あるいは労働事件なんかでは住居侵入とか、あるいは暴力行為等処罰に関する法律の第一条違反とか、あるいは威力業務妨害とか、いろいろあるわけです。しかし無罪になるようなものもたくさんある。そういうものは今回の場合は基準の外になるということをここで、この法案の審議の際に明らかにしておくことが大切だと思うのでありますが、いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいま御指摘いただきましたように、今回の法改正の趣旨にかんがみまして、罪種で限定をまずいたします。さらに同じ罪種でありましても、いま御指摘のような問題がございますので、十分慎重を期さなければいかぬと思います。たとえば、いま例にお出しになりました公務執行妨害という事件、これは昭和五十一年統計で見ますと六百九十件訴追があります。しかしその中で、私どもの調査によりますと、過激派の犯しましたのは五十一人にとどまっております。そういうような趣旨で、私どもは、外務省においてお扱いになります場合に、これが一体この法律の趣旨に合するようなものであるかどうかということを御相談を受ける立場におりますし、また条文をごらんいただきますように、逮捕状の出ている者などについて通報申し上げる立場にございます。そういう立場から考えますと、運用は当然、いま一つの例を挙げましたけれども、そういう範囲で運用すべきものだと思っております。
○東中委員 いまの御答弁で大体はっきりしたと思うのであります。要するに過激派関係者が渡航してわが国の刑罰権から逃れることを防止する、同時に航空機のハイジャック等国際社会一般の法秩序に対する重大な侵害を未然に防止する、こういう趣旨説明をされているわけですが、この観点から、それに該当するいまの九罪種ということに基準としてはなるということはそれでよろしいんですか。
○瀬戸山国務大臣 私から原則を申し上げておきます。 いままでお話しのように、五年を二年に引き下げますとたくさんの罪種が出てくるわけでございます。しかし、この改正をしてねらっておるところは、しばしば皆さんからもおっしゃっておりますが、こういうハイジャックというような凶悪事件を起こさないために予防線を張ろう、出国の際に予防線を張ろうという趣旨でございますから、二年以上の罪種にあるから全部それをそうやるということではございませんし、そういう性質のものにつながるおそれがあるかどうか、こういうことを判定するといいますか、審査の際にやっていこう。従来も、五年以上の場合でもたくさんの罪種がありますが、それが全部五年以上の罪種だから全部旅券が出ておらない、こういう実情でありませんで、非常に数は少ない。この点についてはまた外務省から御説明いただいてもよろしゅうございますが、趣旨は、いまおっしゃったとおりの考え方で進む、こういうことでございます。
○東中委員 これは最高裁に問い合わせましたところ、先ほど言われた九罪種——公務執行妨害、住居侵入、威力業務妨害、凶器準備集合あるいは爆発物取締罰則、暴力行為処罰法、銃砲刀剣類所持取締法あるいは火炎びんの使用処罰に関する法律等、これについて既済総人員を見てみますと、昭和四十九年度で二百十三万人、それから五十年度で二百二十三万人、五十一年度で二百四十四万九千人、こういう数字が出ているのですね。そんなものを全部、今度新たに加えた九罪種に限ってあるからといって、一々チェックしていたのでは大変な人権侵害になるわけですから、その中でも特にこの航空機ハイジャック等に関係するものに限るのだということを、これは外務省としてはっきりしておいていただきたい。 それからもう一つ、外務省から出されておる「旅券法第十三条第一項第二号の発給制限事由による申請拒否件数及び罪状」これを見ましても、昭和四十九年は三十二件申請があって拒否したのは五件だ、五十年は二十三件請求があって拒否は三件、五十一年は二十八件で四件、五十二年は十九件で二件、こうなっています。これは一つの基準を持ってやっているはずなんですね。罪名に合致するからということじゃないわけです。その基準をここではっきりと外務省として法制定のときに明らかにしてもらいたい。
○伊藤(榮)政府委員 外務省がお答えになります前にちょっと御訂正申し上げたいのですが、いま二百万というような数字をおっしゃいましたが、二万程度の間違いではないかと思いますので、そのことだけ申し上げます。
○賀陽説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生の御指摘のように、お手元に差し上げております第四ページの統計をごらんいただいたわけでございますが、われわれといたしましては、実際の手続といたしましては、申請を受けまして、本人の渡航目的、渡航期間、渡航の必要性、訴追内容、裁判経過、その他申請にかかる一切の事情を慎重に考慮いたしまして判断をした結果、お手元の第四ページのような結果になっておるわけでございまして、これは慎重な健全な判断を示すものであろうというふうに考えております。今後も、やはり法務省から、海外逃亡につながる可能性のあるケース、再犯のケース、そういったものについて御通報をわれわれ受けまして、それを中心として、なおかつその上でその中から選別的に慎重に運用してまいりたい、かように考えておるわけでございます。 それから、罪種につきましては、九罪等ということで運用してまいりたいと思いますけれども、一言申し上げさしていただきますると、やはり再犯の可能性とか海外逃亡の可能性、あるいはハイジャック行為に至る可能性と特定罪種を当然のことのように結びつけるということはこれまたなかなかむずかしい点であろうかと思います。したがいまして、これは個々のケースで判断するより仕方ない。そこが一定罪種にのみ限局することの限界というものを示すものだと思いますので、本人の性格その他経歴によってある程度の裁量の幅を持つということは必要と思いますけれども、今回の改正の趣旨がまさに先生御指摘の趣旨でございますので、そういう意味では九罪等ということで慎重、健全な運用を心がけてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
○東中委員 ちょっといまのその問題ですが、慎重、健全にあらゆるデータで検討するのはいいのですけれども、それで、そういう角度から検討した基準はどこかといえば、ハイジャック防止、あるいはハイジャックだけに限らずに、大使館占拠なんかもありますから、そういうものを含めてのハイジャック等の防止という観点からのチェックだということを確認しておいてもらいたい。
○賀陽説明員 御指摘のとおりでございまして、九罪等の中のハイジャック関連の要素というものを重視してわれわれは判断してまいりたい、かように考えております。
○東中委員 先ほどの私の発言の中で、既済事件の総人数について、これは全事件の数字を申し上げましたので、そのうちの九罪種については約一%ぐらいだろうということに訂正をしておきます。 それから、時間がありませんので運輸大臣にお伺いしたいのでありますが、ハイジャック防止のための乗客のチェックがいま非常にやかましく言われておるのでありますが、ダブルチェックを含めて非常に重要だと思います。これは外国における日航独自のチェックをぜひ実現してもらいたい。前回の対策に書いておって実施するものとすとしてあったのが、全く何もやられておらなかったということがありますだけに、これはやられなければいかぬと思うのでありますが、同時に、乗客以外のたとえば飛行機の整備あるいは食料の搬入あるいは清掃、こういう関係の部門からの武器等の持ち込みの可能性、それについてのチェックということが非常に大切だと思うのでありますが、そういう点について運輸省としてはどういう方向で指導し、体制をとっておられるのか、お伺いしたい。
○田村国務大臣 いわゆる地上作業員の問題でございます。国内空港におきましては、地上作業に従事する際は、所属会社の申請に基づきまして、身元確認された者のみランプパスというライセンス、立入承認証、これを発給しております。ハイジャックを防止するために、より一層厳格な発給を行わなければならぬと思っておりますし、空港管理者によるパトロールを行ったり、また航空会社に対しましては地上作業の監視体制の強化を指導しているところでございます。 それから、日本航空の外国寄港地におきましては、日航の職員を増員いたしまして地上監視体制を緊急に強化することにいたしております。特に当該航空機の先任客室乗務員、これによる作業終了後の点検を励行するというようなことを申しております。それから、安全が確認されるまでは旅客を搭乗させないことにする。 先般も実は参議院で内藤功君から御指摘があったのですけれども、JALの下請会社、関連会社と言うのですか、AGSというのがございまして、エアポート・グランド・サービス、これが地上作業員を相当使っておる。ところが、ずいぶんアルバイトを使っておるというので、大変心配なことでございまして、御指摘があったわけです。私どももこの点について心配しておりまして、こういう問題につきましても、厳しく身元確認をする、それから、なるべくアルバイトを使わないようにする、なるべくというより、もう率直に言えば厳に使わないように願いたいのですけれども、いずれにいたしましてもそういう点でいま総点検を行っておりますが、これも時間がかかっては何にもなりませんから、私自身大きな声でしった勉励しておるというような状況でございます。
○東中委員 私、ここに日航、全日空、東亜国内、その他英国航空、オランダ航空等々の会社の下請会社それから孫請会社ですね、このリストを持っているのでありますが、日本の航空会社は三社とも下請会社それから孫請が非常に多い。この数字によりますと、全日空で下請会社が十社入っておって三千八百九十八名、孫請が十一社入っておって二百七名、それからJALの場合は下請が七社で五千四十五名、孫請が十八社で四百九名、それから東亜国内は五社の下請で三百九十四名、孫請が一社で十名、こういう数字が出ておるのですが、これの制度についてはよくわかりませんけれども、ほかの外国の航空会社では孫請があるというのはほんの例外的でしかない。こういう状態だといろいろな人が入っていくし、それについて責任がはっきりしないという状態が起こってくるということを思いますので、そういう点について早急にいま大臣が言われましたように調査もされ、それから体制をきっちりしないと、盲点になったらいかぬと思いますので、特にそのことを要請しておきたいのでありますが、いかがですか。
○田村国務大臣 まさにおっしゃるとおりでありまして、私どもはこの作業を急がなければなりません。しかも、厳重にしなければなりません。日本の産業構造というものあるいは企業形態といいますのは外国と若干違った面がありますが、何も企業の形態そのものに国家権力が介入しようとは思いませんけれども、しかし、こういう人命に関する、しかも大量の人命に関する問題ということになればわれわれも相当強い態度で臨まなければならぬだろう、こう考えております。全く同感であります。
○東中委員 終わります。
○上村委員長 次に、伊藤公介君。
○伊藤(公)委員 かなりいろいろな角度から御質問がございましたので、私は質問が重複をしないように二、三点について御質問を申し上げたいと思います。 今度の法改正に当たって、きわめて単純に言えば、いかにして未然に今回のようなハイジャック事件というような問題を起こさないかということが第一点でありますし、もう一つは、こうした事態が起きた場合にどう対処していくかという二つの点であろうと思います。 たまたま今度ハイジャック事件が日本とドイツと国情を変えて同じ時期に起きて、そして西ドイツがとった措置とわが国がとった措置とが余りにも対照的であったということでずいぶん御議論がありました。私もかつて四年ほどドイツに住んでおりまして、ドイツの国民性と日本の国民性がそれぞれ違う、そしてそういう社会的な違った背景の中で今度の全く好対照の措置が行われた、こう判断をすることが正しいかと思いますけれども、しかしどんなに法改正をしても、あるいはどんなに法律をわれわれがひっくり返してみても、今度わが国がとったような超実定法上の措置を再びするという前提に立って考えるなら、それは法律をどんなに充実をしても全く意味をなさないと思うわけでございます。 法務大臣に私はまずお尋ねをしたいのでありますが、こうした事件に対して法律を守るというたてまえから言えば、超実定法上の措置はしないという強い決意で今後臨むということが私は大事だと思いますけれども、法務大臣の決意のほどをお伺いをしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 先ほど来しばしば申し上げておりますように、人命を尊重しこれを保護しなければならない、助けなければならない。これは憲法、あらゆる法律、規則の求めるところでありますからそれに最大の努力をするわけでありますが、仮にああいうことがしばしば起こって、その求めるところが崩れるということは断じて国としては許すべきではない。いまお尋ねのように、こういうことがたびたび繰り返されれば同じことをやるのかというお尋ねであれば、それは日本国としてやってならない、かように考えております。
○伊藤(公)委員 もう一度確認をしておきたいと思うのでありますが、今後は超実定法上の措置はしないということでございますか、いかがでございますか。
○瀬戸山国務大臣 あらゆるケースがありますから、一概にこれを否定するわけにはまいらないと思います。いまお尋ねのように、裁判の結果を無にし、あるいは裁判を行うことができないようにするということは今後やってはならない、かように思っておるわけでございます。
○伊藤(公)委員 いろいろなケースがあるということは私も十分承知をしているわけでございます。今度のようなハイジャック事件が再び起きたときに、超実定法上の手続はとらないという決意を私はお尋ねをしているのでございます。
○瀬戸山国務大臣 超実定法的措置と言うと非常に抽象的でございますが、憲法下における法治国家の基礎が崩れるということは国民のためにやってはならない、こういうことでございます。
○伊藤(公)委員 強くこのことを申し上げておきたいと思います。 今度の法改正に当たってずいぶん細部にわたっても議論をそれぞれの立場からされてきましたし、私どもも今度の改正の部分についていろいろな比較検討をしてまいりました。しかし、いま申し上げたとおり、法律を飛び越えて政治的ないろいろな手続がとられるということが前提にあると、どんなに法律をわれわれがひっくり返してみても何の意味もない。したがって、今後はこうした事件に関しては法を守るという強い姿勢でぜひ臨んでいただきたい、こうお願いを申し上げたいと思います。 外務大臣に私は関連をしてお尋ねをしたいのでありますけれども、今度の事件ではわが国はアルジェリアに対して犯人を受け入れてほしいという要求をしました。しかし、同じような事件が起きて、もし逆にわが国に犯人を受け入れてほしいという要請があったとき、わが国は将来これを受け入れるという方針でありますか、いかがでございますか。
○鳩山国務大臣 仮定のことにつきまして直ちにお答えをするわけにはいかない問題であろうかと思います。これらにつきましてはやはり関係各省それぞれよく協議した上で、その具体的な事例に対しまして最善の道を選ぶべきである、かように思います。
○伊藤(公)委員 外務大臣になぜいまこのことをお尋ね申し上げたかといいますと、今度国連において西ドイツを中心にして共同提案をされております。こうした凶悪犯人をいずれの国も受け入れないということをそれぞれの国がひとつ協定をしよう、こういう提案をして、わが国もこれに賛成をしているわけでございます。西ドイツは当初からこういう提案をしてまいりました。わが国もその方針できたと私は理解をしておりますけれども、今度のケースのように、一方においてはそれぞれの世界の国々が凶悪犯人、ハイジャッカーなどは受け入れない、受け入れるべきではない、こういう協定に賛成をし提案をしていて、他方においては事件が起きればそれをぜひ受け入れてほしいと言って、アルジェリアだけでなしにずいぶん多くの国に今度は頼み込んだ、こういう事実があるわけでございます。一方でこういう提案をしながら、他方では受け入れてほしいという矛盾を一体どう克服をするのか、明確に御答弁をいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 それは矛盾をしておると私どもは思わないのです。これは国際的な申し合わせによってハイジャックというものが起こらないようにしようということでいま国際的にみんなが努力をしておるところであります。したがいまして、起こってしまった後で人命救助のために何とか措置をしなければならない、しかし、これがやはり抜け道があるということから起こっておるわけであって、そういう抜け道のないように国際的に協力をしていこう、そういうことによりまして二度とこのようなハイジャック事件が起こらないように、そういう目的のために努力をしておるのであって、決して矛盾はしておらないと考えるわけであります。
○伊藤(公)委員 起きてしまった事態に関してはいろいろな方法を考えなければならないということはよくわかるわけでありますけれども、まあこういう凶悪な犯人をいずれの国も受け入れないということを世界の国々が協定を結べばハイジャッカーもどこの国へも行けないということになるわけですから、かなり心理的にはこれを防止することができるだろうと思うのです。しかし、提案をしていることと実際に現実にやっていることとは矛盾をしている。当然将来起きないことがいいわけでありますけれども、あるいは起きるかもしれない。しかも今度のハイジャッカーでも、少なくとも国際舞台に出てまた新しい行動を始めていると思わなければならない。やがてその事態が来るかもしれないという状況ですから、やはり少なくともわが国の政府の姿勢としては、こうした凶悪犯人に対してどういう形で対処をしていくかという強い姿勢がないと、また国の中でもそういう状況というのは生まれてくる。新しい事件を生み出していく状況というものを断ち切るということが大事だと私たちは思っておりますので、はっきりした姿勢を、先ほどの超実定法上の手続にもあわせて、ひとつ方針をはっきり示していただきたい、要望を申し上げておきたいと思います。 もう一点お尋ねを申し上げたいのでありますけれども、今度のハイジャック事件で、当初九人の日本からの仲間の釈放を要求をしてまいりました。しかし、そのうちの三人は拒否をされた。実質的には六人になったわけであります。その六人の犯人の勾留をされていた理由はいろいろあるわけでありますけれども、特に六人のうち泉水博それから仁平映、この二人についてはその罪状は赤軍派ということではなかったわけでございます。泉水博に関しては、かっぱらいでつかまって懲役十カ月、その後、強盗殺人事件を起こしたという犯人であります。それから仁平映に関しましても、同様に暴力行為でつかまって、その後、浅草の警察の管内で殺人事件を起こした。いずれも殺人、強盗殺人でございます。六人の犯人の釈放の中で四人と二人はかなりその内容が違う。かなりというよりも全くそれは違うわけであります。先ほど石井政務次官から、かなり緊迫をした、まだダッカの余韻が残っているような迫力のある御説明がありましたけれども、私は、あの死を境にした極限の中にあっても、なお殺人まで犯してきた、残虐なことをしてきた犯人をハイジャッカーの要求そのままに受け入れるかどうかという問題についてはぎりぎりまで苦悩する必要がある。もちろんとられたいろいろな処置に対して、あるいは皆さんがいろいろ御苦労をされたことも私たちは理解ができないわけではありませんけれども、少なくとも六人の犯人のうちこの赤軍派とは当初何らの関係もなかった二人の犯人は釈放できないという強い姿勢で臨むことができなかったのかどうか、またこれを要求したといういきさつもあるいはあるかもしれませんけれども、その結果はいずれになったのか、明確に御説明をいただきたいと思います。
○賀陽説明員 第二点の御質問でございますが、今回の経過をわれわれの記録で回顧いたしますと、当初はマームド参謀長が、九月二十九日の夕刻の段階におきましては、自分の意見として、二人の刑事犯の釈放を除外しては恐らく先方は同意すまいということを言ってまいったわけでございますが、わが方はそれにもかかわらず二人について除外すべきであるということをマームドに強硬に主張したわけでございます。それに対しましてマームドも抵抗をしておったのでございますが、わが方の意のあるところをある程度了解いたしましたためか、犯人の要求する六人はとりあえず全員連れてきてほしい、自分から犯人に対し日本側とも協力しながら刑事犯を除外するよう鋭意説得してみるということを申し、これに成功したら二人を日本政府に返しますということを申したわけでございます。しかし、不幸にしてこの交渉は実を結びませんで、そのうちに乗客を一人ずつ、先方の言葉で申します処刑ということを言い出して、きわめて事態が切迫をし、この交渉が成功しなかったというのが実態でございます。
○伊藤(公)委員 釈放されていった六人の犯人のうちこの二人は、いま申し上げたとおり当初赤軍派とは何ら関係がなかった。ところが、これは刑務所の中で関係が生まれた。この赤軍派のように、それぞれが国際線に乗って凶悪な事件を巻き起こしているという事態の中で、いま国内における赤軍派に対する処置は一体どうしているのか。あるいはすでにつかまっていた人たちと全く何ら関係のない凶悪な強盗殺人の人たちとも、あの刑務所の中で連絡がとれるというのは一体どういうことか。一体どういう事態になっているのか。いまなおそういうことが行われているとすれば、第二、第三の全く何ら関係のない殺人、強盗殺人をした人たちが次々と国外に呼び出されていく、釈放されていくということになりかねない。小さな日本の子供たちがこれを見れば、人を殺した人たちが何の制裁も受けずに次々と国外に出されていくということはとても不自然だ。これはだれが考えたって不自然でありますし、こんなことは許されないことであります。私も一人の国民として激しい憤りを感じます。十六億円取られた取られないとかという問題や、西ドイツがどういう態度をとったかという問題ではなくて、こういう凶悪な犯人がとにかく赤軍などという人たちと連携がとれていくということに非常に問題がある。このいきさつは一体どういう状況になって、また四人の赤軍派と二人の凶悪犯人がどういう形で連絡がとれたのか、その間のいきさつを御説明いただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 六人を四人と二人にお分けになりまして、それはそれなりの合理性があるわけですが、実際に赤軍と言われます者は奥平だけでございまして、ほかの連中もすべて人を殺したような凶悪な者であるわけです。そのことはともかくといたしまして、純粋刑事犯である二人の者の名前を海外におる日本赤軍が知っておったということが御指摘のとおりきわめて重大なことでございます。現在その関係がいかにして生じたか、これを鋭意調査中でございますが、大ざっぱに申しますと、いずれも被告人の身分の間に、外部との交通がわりあい自由な間にいろいろな人と折触しておりますので、そういうことが仲介となったのではないかということが推測されるわけでございますが、その辺は単なる推測で今後の対策を立てるわけにはまいりませんので、鋭意真相の究明に努力しておるところでございます。
○伊藤(公)委員 こうした組織的な犯罪を繰り返していく可能性のある者に対しては十分な配慮をひとつお願い申し上げたいと思います。再びこういう凶悪な犯人と、刑務所の中やあるいは手紙のやりとりで連絡がとれるなどということは徹底的にひとつ断ち切っていただきたい、こうお願い申し上げます。 時間が参りましたので最後にお尋ねを申し上げて質問を終わりますけれども、私は法律以前の問題として、今度のこうした国際線に乗って日本の赤軍派が組織的な凶悪事件を巻き起こしていく、こういう社会的あるいは政治的な責任を一体政府はどう感じているのか、日本の国を預かっている政府としてこの問題についてその責任をいかに感じているかということを最後にお聞きをして、私の質問を終わりたいと思います。——総理いると思ったんですけれどもね。どうぞ法務大臣で結構ですから。
○瀬戸山国務大臣 全くこういう事態が起こりますことは遺憾の極でございます。私はこれにはいろいろ原因があると思いまするが、これは全部と言っていいくらいに赤軍派と称せられる者は大体最高学府と言われておる大学を卒業した者あるいは中途で退学した者、こういう者ばかりであります。でありますから、過去の大学騒動その他を見ますると、いかに学校の教育に欠陥があったかということを思い出すわけでございます。そういう問題や、あるいは社会でいろいろ不平不満が起こる場合がありますが、やはり政治なり政治家なり、あらゆる社会の非難を受けることを全部が慎しみ、そういう不平不満ができるだけ起こらないようにする。ああいう人たちは特異の性質があると思っております。一億一千万というたくさんの人がおるわけでございますが、いろいろわが国にも世界にも困難な問題がありますけれども、全部がそれでああいう行動に出るかというとそうでもないのですから、特異な性格を持っておる犯罪性のある者である。こういうことに対しては警察、検察その他厳重な措置をとらなければなりませんが、しかし、やはりお互い反省すべきところは反省し、政治の問題、いろんな社会の問題、教育の問題ももっと正すべきところを正さなければならない、かように考えておるわけでございます。
○伊藤(公)委員 もうお答えをいただかなくて結構でございますけれども、こうした犯罪を生み出している人たちの経歴をずっと見ますと、いずれもいま俗に一流と言われる大学を卒業した人ばかりであります。私はいまの日本の学校教育、最高学府と言われる学校教育の中からこういう凶悪な、組織的な犯罪をする人たちが生まれてきているということもきわめて重要な問題だと思うのです。文部大臣もおりませんし、もうお答えをいただかなくて結構でありますけれども、日本の教育における基本的な考え方というものも改めてわれわれは考え直さなければならいときではないのかという気がするわけでございます。ひとつ教育まで含めて政府でも十分な今後の御検討をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。
○上村委員長 次に、鳩山邦夫君。
○鳩山委員 私は、先ほどの伊藤さんとは多少見解が違いまして、超実定法的な措置をとったからこそ人命が、人質の安全が保たれたという考え方を持っております。したがってそこでお聞きしたいわけでありますが、今回のハイジャック事件が起きてから対策本部あるいは閣議の中でも異なった意見が、人命尊重第一、いや法規第一といろいろあったように伺っております。その点については田村運輸大臣からは先ほど御説明がございましたので、外務大臣から様子をお知らせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 この事件が起こりましたときは私はちょうどニューヨークにおりましたので、閣議におきまして大変な、もう夜を徹しての本当に御議論があったということは後で伺っておるわけでありますが、そのときに公安委員長は閣議に入っておられましたので、私よりは国家公安委員長からお聞きになったらいかがかと思います。
○鳩山委員 それでは外務大臣に再びお尋ね申し上げますが、それはそれといたしまして、問題は、解決した後も、弱腰だったんじゃないかというような批判あるいは外務省の独走ではないかというような意見が閣議その他で出た、つまりこれは基本的には人命尊重あるいは法規第一、私はそこに根を発していると思いますので、大臣がアメリカから帰られた後あるいはハイジャックの問題が解決した後の状況でもよろしいですから、様子をお聞かせいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 今回の事件につきまして対処をいたした大きな考え方につきましては、もうあらゆる関係官庁がこれは本当に一緒になって努力をしたところであります。しかし、そのささいな点につきましてあるいは連絡が不十分であったりしたようなことが実はあったわけでありますけれども、これらにつきまして私自身も責任は感じるわけでありますが、何分にも外務省の状況だけでも、対策室は戦争状態のような状態にあったわけでありまして、わずかの時間に処理をしなければならないということでやや連絡不十分の点はあったということは、これは申さなければならないと考えております。しかし、これらにつきまして善後措置等もとりまして、その点は全官庁一致して事に当たっておるということで御理解を賜りたい。
○鳩山委員 私の質問に対する答えではなかったような気もいたしますけれども、それはおくといたしまして、しかし私は、政府のとった処置が及び腰であった、弱腰であったと言われるのでありますが、人命尊重を貫いて、たとえばアルジェリアの原則をのんだり、パスポートを渡したり、身のしろ金を用意したり、あるいは刑務所から何人か出してやったり、これすべて人質の安全のためであったと思います。ですから人質の安全を守ったという意味では、政府はまさしく毅然たる態度をとり、毅然たる処置をしたと私は高く評価をしておるわけであります。ところが事件後、連絡がなかったとか何だとか、多少考え方が違ったとかいうようなことが閣議あるいは対策本部内でも議論になって、かえって事件後のごたごたの方が政治不信を招いているような、国民に変だなという感覚を持たせているように思えてならないのであります。 そこで、福田総理大臣の、人命は地球より重いという意を受けて、われわれは人命の尊重のためにこうしてこう考えてこうやったのだ、確かに法規の問題もあった、超実定法的と言われる面もあったけれども、それを乗り越えて人命優先でやってきたわれわれの道は正しかったのだという、自信と誇りに満ちあふれた御説明を外務大臣からお願いをしたいと思います。
○鳩山国務大臣 私は、このハイジャック事件が、これはまだ解決したというふうに考えておりません。やはりこれは六百万ドルという国民の血税が現に出ておるわけでありますし、また釈放された犯人、日本から連れていった六名並びに犯行を犯した五人、これらがまだ行方がわからないという事態でありますから、これらの犯人たちの逮捕ができれば、いばって国民に今回の措置が本当に正しかったということが言えると思います。なおわれわれは努力をしなければならない、こういったことが残っているのでありまして、現状におきましてはやはりわれわれはもっと残された仕事を追い続ける、こういう考え方でおるわけであります。
○鳩山委員 今回のハイジャック事件を見まして一番感じるところは、確かに対策本部というものはできましたけれども、末端ではやはり各省庁、たとえば外務省の末端組織あるいは法務省の末端組織いろいろある。これは役所として別の存在でありますから分かれている。そのために、先ほど入管のお話も出ましたけれども、連絡が行き違いがあったり、あるいは連絡をする方も、最高が総理大臣である、あるいは対策本部長であるということはわかっていても、どういうルートで情報を早く流したらいいか困るという場面もしばしばあったのではないか。したがって、同種事件はもちろん発生しない方がいいわけでありますが、同種事件が発生したという場合を想定して、同じようなことが起こったら今度はもっとうまく連絡網などやるのだ、あるいは担当を法務省にするか外務省にするか、最高責任をどっちに持ってくるか、そういうような点も事前に決めておく必要があるのではないか。そういった意味で対策本部の存在は認めますけれども、実際に起こったときの政府の連絡網その他について、あるいは法務か外務かどっちがイニシアチブをとるかという点について妙案がおありかどうか。法務大臣には法務委員会で質問いたしましたので、外務大臣からお答えをいただきたいと思います。
○鳩山国務大臣 今回とられた園田官房長官を長とした対策本部、こういった形がとられたわけでありますが、今回の措置につきましても私どもとしてもやはりいろいろ反省をしなければならない。再び同種事件が起こるというようなことは、これは考えたくないことでありますけれども、しかし、そのようなことにつきまして十分反省をした上で効率的な組織をつくって対処すべきである。外務省だ、法務省だということよりも、いかに一致して機能できるかということを考えるべきであろうと思います。
○鳩山委員 時間がありませんので、最後に一番重要な点を御質問いたしますが、赤軍派というものがなぜ存在をしているんだろうか、やはりそこから考えていかなければ問題の解決はできない。つまり、いまわれわれが審議しているこのハイジャック防止法案、これも悪口を言う人は竜頭蛇尾だと言いますが、その程度のものかもしれない。つまり臭いにおいがあって、どうやってふたをしようかという程度のものがこの防止法案ではないか、いろんな法改正ではないかと私は思うわけであります。臭いにおいはもとから絶たなければだめなわけであります。ですから赤軍派のような心情を持った人間が出てこないようにすることが一番である、私はそう思うわけであります。 法務委員会では皆様方に御説明申し上げましたが、ハイジャッカーたちは大体私と同年齢なんです。幸か不幸か私の年齢の前後の者たちが犯人であります。ということは、やはりわれわれの世代の一つの反発、たとえばベトナム戦争がありました、あるいは停滞する保守政治があった、あるいは大きな企業あるいは特殊な団体と政府・自民党との癒着というようなものも目立っていたかもしれない。そういうものに対する怒りのようなものがあった。そしてそれが最初は学生運動という形をとりました。大学闘争でありました。今度の赤軍派というのも、やはり私はその延長線にあると思うのです。確かに彼らは気違いじみた集団ではあります。しかし気違い集団であるとは言いにくいと思うのです。精神異常者の集まりではないと思うのです。世の中に対して、気違いじみた方法だけれども反抗しようという一つの集団だろうと私は思うわけであります。ですから、私はそのように赤軍派の出現あるいは存在というものをとらえておりますが、外務大臣は赤軍派というのはなぜ存在しているか、恐らく私とは多少違う見解をお持ちではないかと思いますので、お聞きしたいと思います。
○鳩山国務大臣 私の考えることは全く違ったことを考えておるわけでありますが、現在の赤軍派の起こり、これはいろんなテロ事件が南米で始まったり、ヨーロッパで起こったりしたもとは、やはりこれはPFLPというような存在、中東問題に絡んだ一つの革命的な行動というものがもとではなかったろうか。日本に学生運動があったわけでありますけれども、学生運動に加わった人たちが赤軍派みたいなそのようなことにみんな行ったろうとは私は思っておらない。若い人たちがいろいろな点で不満を持っているという点では、それはあるかもしれませんけれども、現実のいまの赤軍の問題は、特に日本とそれからドイツにおいて非常なテロ活動が盛んになっておる、日本とドイツの何か類似性があるのではないかというようなことも言われておりますけれども、しかし現実においての問題は、やはり一つの政治的な目的がはっきりあって、それに対して命がけで革命行動をとろう、こういうような一つの集団があるのではないか。しかしこれは時とともに、たとえば中東問題が解決をしてPLOを含んだところのジュネーブ会議というようなことになっていった場合に、そちらの方の問題が解決をして、さて今度は何に向かうかというようなことになってきて、それがまたいろんな破壊活動につながる、そういう変質していく可能性というものはあろうかと思います。しかし現実においてはまだその点が解決をしていない。しかし、最近アルジェリアを初め中東諸国の中で中東和平に対する希望というものが非常に強まってきておるので、したがって今回のハイジャックの防止決議につきましても、中東諸国も一致して賛成の方に回っておるというような動きもあるわけでありますから、したがいまして、この機会にハイジャック事件というものが国際的な協力で何とか防げないか、その方向で努力をしておるというのが現在の私の考えておるところであります。
○鳩山委員 大臣と私とでは年齢が三十ばかり違いますので、やはり世代的に物のとらえ方がかなり違うかとは思います。しかし私は先ほど申し上げたとおりに考えておりまして、政治あるいは社会の側の反省なくして第二の赤軍派、第三の赤軍派の出現を防ぐことはできない、そういう考え方を持っておりますので、国会議員全員あるいは行政府にあられる皆様方全員がみんなで反省をして、ハイジャックをしようとするような、そんな心情を持つ人間があらわれないような、そんな社会をつくっていくよう努力したい、こう考えております。 終わります。
○上村委員長 以上で本連合審査会は終了いたしました。 これにて散会いたします。 午後五時二十一分散会 ————◇—————