法務委員会 第7号
- 発言数
- 192 件
- 登壇者
- 27 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/11/09
会議録
○上村委員長 これより会議を開きます。 内閣提出、航空機強取等防止対策を強化するための関係法律の一部を改正する法律案を議題といたします。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。加地和君。
○加地委員 まず最初に法務大臣にお尋ねしたいのでございますが、現在いろいろな法律がハイジャック事件防止を目的として提案をされております。ところが、政府がいままでと同じように、ハイジャック犯人あるいはテロ犯人の脅迫に屈してしまって超法規的な措置をとるというのであれば、どのような制度をつくり、法律を改正してもむだであると私は思うのです。やはりこの際重要なことは、政府として今後法と秩序の国家をつくっていく、そういう国家体制を守っていくという立場から、超法規的な措置を絶対にとらないということを内外に言明することが、いかなる制度をつくり、法律を改正するよりも最も有効であると私は思うのでございますが、法律の番人、最高責任者として、法務大臣の私のこの考えに対しての見解を示していただきたいのであります。
○瀬戸山国務大臣 いま加地さんがおっしゃるとおりに、いまやっております各般の総合的措置だけで、何しろ御承知のような世界情勢、社会情勢ですから、完全にこれで防げるという確信を持って申し上げるわけにいかないと思います。ただ、将来どうするかということについては、たびたび申し上げておることでありますが、法治国家というのは、これは政府のためでもなければ法務省のためでもない、まさに国民全体の平和と安全と自由な生活ができるということ、それをつくり上げるためのものであると思いますから、この根本をゆるがすというようなことは断じて許してはならない、これがいわゆる生命を守る法律制度の基本であると私は考えております。 いかなる措置をとるかということは、そのときの状況によって周到な判断をしなければなりません、かように考えております。状況がいろいろ違いますから、いま申し上げましたような法治国の趣旨を曲げないというのを大原則にして措置をすべきものであると思いますが、今回と同じような措置は断じてとらない、かように申し上げておきます。
○加地委員 法務大臣、いろいろな言い方をなさったと思うのです。福田総理の答弁内容等も頭に入れ、また法務大臣としての立場も考えておっしゃったかと思います。そのために、結局わからなくなってきておる答弁なんです。 ずばりお聞きしますけれども、今後も時と場合によっては超法規的な措置をとられるのでしょうか。
○瀬戸山国務大臣 そのときの状況判断があると思いますから一定するわけにはまいらないと思いますが、たとえば、今度のような、同じケースがあった場合、同じ超法規的措置はとらないということでございます。
○加地委員 法務大臣のいまの御答弁は、ややごまかし的であると思うのです。同じようなケースの事件というものが世の中に二度と起こるでしょうか。法務大臣は、就任された直後、今後は血を流してでも法と秩序の体制を守っていくという勇ましいお言葉を吐かれましたけれども、いろいろと総合してみると、超法規的な措置はやはり依然としてとるかもしれない、時と場合によってはとるかもしれないというような御見解のように私は思えてならないのであります。そのように考えますので、今後もいろいろな機会を見つけて、私は超法規的な措置をとらないという毅然とした態度を内外に示すことが、この種事件を防止していく一番根本であり、一番有効なものであるということを信じ、また主張し続けていくつもりでございますけれども、次の質問に移らせていただきます。 新聞等では、西ドイツの特別部隊、あれに感化等を受けて、時と場合によっては警察官を海外へ派遣することができ、そしてまた、人質の救出やハイジャック犯人の鎮圧に当たれるようにすべきであるという意見もほうはいとして沸いてきていたと思うのです。それからまた、テロ犯人というのは普通の犯罪人ではなしに、平和国家に対して一種の戦争をしかけてきておるものでございますから、現在の警察のようにピストルとかライフル銃程度の小型武器しか持てないということであれば、警察の特別部隊あるいは特別機動隊であろうといえどもテロ犯人に対したときに全部殺されてしまうと思うのです。ですから私は、テロ犯人、ハイジャック犯人に当たるときには、きわめて例外的にではありますけれども、警察が自動小銃等を持てるようにやはり法律を改正すべきである。このような制度が使われないことが最も望ましいことではありますけれども、いざというときにはそういう備えが国においてもあるんだということが、これまたハイジャック犯人をして簡単にあの種事件を引き起こさせないために非常に有効であると私は思うのでございますが、これは法務大臣のお考えをまずいまの質問についてもお答え願いたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 お尋ねは警察関係に関することでありますから、私が責任をもってお答えするというのは筋違いであると思いますが、おっしゃるように、ああいう犯罪はまさに世界革命をねらっておると私は思っておるのです。大げさのようでありますが、一つの戦いである。でありますから、そういう気持ちで国民全体が対処しなければならないという見解を持っておりますが、警察がどのくらいの装備をするかということは非常に重大な問題でありますから、慎重に検討しなければならないものと考えております。あとは警察からお答えいたします。
○若田説明員 いまお尋ねの件、私どもに対して二点あったかと思います。 最初に警察官の海外派遣の問題でございますが、その前提といたしまして、人質を含めましたこの種のテロ事案等につきましては、おっしゃいますように、世論を背景といたしましてやはり毅然たる態度で臨むことが今後の予防につながるというふうに基本的には考える次第でございます。具体的に警察官を国外でハイジャックが起きた場合に派遣することにつきましては、現在の国際関係下におきましては、それぞれの独立国家におきまして主権というものがございまして、その主権を尊重して、主権のもとで当該国が責任をもって当たるというのが現在の国際間での基本でございます。今回の西ドイツの強行策というものは、いろいろな裏での折衝もあったやに聞きますけれども、私どもはこの強硬措置は例外中の例外というふうに考えております。したがいまして、警察官の海外への派遣につきましては慎重に対処しなければならないというふうに考えておる次第でございます。 それから、そういうことでハイジャック等がエスカレートいたしまして、いろいろな大変強力な武器等を使ってくる、その鎮圧等に当たるについて警察官の武器等の問題でございますが、お説のとおり、警察の権限行使につきましては比例の原則等もございますので、それに応じて、相手方の使用する武器に相応いたしまして、それを鎮圧できるだけの武器は平素から用意をしておかなければならないというふうに考えております。したがいまして、今後の相手方の出方によりまして、法律の範囲内でそれに相応する武器等を研究、開発をしていくつもりでおります。
○加地委員 警察庁のいまの答弁の中で、海外派遣というのはそもそも例外中の例外といいますか、特に西ドイツの例を挙げておっしゃったと思うのですけれども、日本の場合にも、たしか大阪府警所属の警察官が海外へ出ていって犯人を射殺した例もあったと思うのです、このときには受け入れる国の承諾等もあったと聞いておるのでございますが、最初は、事件が起きた直後にはいつもそうなんですけども、威勢のいい案というのがいろいろ出てきて、一月たち二月たちするうちに、これもむずかしい、あれはむずかしいということでしり切れトンボになってきたのがいままでの例だと私は思うのです。私も海外派遣を常にやれということを主張する者でもなく、時と場合によっては、相手国いわゆる独立国の承諾が得られるということももちろん大前提、大条件としてでございますけれども、そのようないわゆる法律に日本の法律を改正しておくということが、どれだけ警察官を増員し、あるいはまた赤軍担当の情報官をつくっていくのと同じくらいに犯罪予防的効果があるということを私は申し上げたいわけなんでございます。 それで、ただいまの御答弁というのは、頭からこういう海外派遣制度というのはあきらめてしまったような、敗北主義であるような感じを持つのでございますが、これは新聞報道ではありましたけれども、どういういきさつで事件直後に威勢のよかったそれが立ち消えになってきておるのか。一部で聞くところによると、外務省あたりが、とても相手国の承諾は得られるものでないからというので頭からもう問題にしてないんだということも、ある種雑誌報道には伝えられておるのでございますが、そこらの真相、経過等について御答弁を願いたいのでございます。
○若田説明員 この種大変凶悪なハイジャック事案の防止のためには、先生御指摘のとおり、世論、国を挙げて毅然たる態度で臨まなければならないというふうに考えております。 海外派遣の問題でございますが、いまお話しのとおりに当該国の承諾がなければならないわけでございますし、また警察権の行使というのは、歴史的に見ましても国内で権限行使するというのが前提でございまして、こういうふうに犯罪が国際化してまいりましたのは最近の問題でございます。そういう意味で、原則として警察権の行使は国内というようなことでございますので、法体系等も国外まで出ていくというようなことにはなっていないわけでございます。そういうこともございまして、国際間の非常に微妙な問題でございますので、慎重に対処をしてまいるということを申し上げておるわけでございます。
○加地委員 また、一部では、現在の警察法の運用で、相手独立国の承諾が得られればこの前にも海外へ出ていった例があるから、いわゆる海外へ出ていけるんだ、こういうような御解釈をとっておるやのようにも聞きますけれども、その点はどうなんでしょうか。 そしてまた、何かある判例では、相手国の承諾があれば出ていけるのだという判例もあるから、いまここであえて警察法の改正という問題を持ち出して、もし国会がもめたり否決されたりすれば、せっかく判例まで出ておるのに、警察の立場からいくと後戻りになってしまうので、いまのままの方がいいのだというようなお考えもあるように承るのでございますが、その点はどうでございましょうか。
○若田説明員 先ほどから申し上げておりますとおりに、警察権の行使というのはその国の主権の最たるものの行使といいますか、そういう形態になるかと思います。そういうことを前提にしておりません現在の国際慣行と申しますか国際関係におきまして、外国に行って警察権を行使するんだということを明確に法律に書くというようなことはいまだかつて例がないというふうに私は考えております。そういうことで、いろいろ微妙な国際関係のもとでこれは慎重に対処をしてまいらなければならない。御指摘のようにいろいろ判例等もございますので、現在の警察法を改正することなくして解釈、運用の面でできるかどうかをも含めまして、私ども慎重に検討いたしておるところでございます。
○加地委員 解釈、運用の面での見解というのはもうはっきりと出ておるのでしょうか。出ておれば、それをここで発表していただきたい。もしできていないとすれば、これほどの重要なことが、あれから相当日にちもたっておるのになぜ出ないのか。どっちにしても明確な答えをここでしていただきたい。
○若田説明員 繰り返しになりますが、大変国際的な問題で、微妙な問題で、慎重に検討しなければならない問題でございますので、現在検討中でございます。
○加地委員 いつになったら結果がでるのでしょうか。毎日毎日ハイジャック事件におびえておるというのが世界じゅうの平和を求めておる小市民の偽らざる心境だと思うのです。いつになったら結論が出るのですか。
○若田説明員 法制局を初めといたしまして関係省庁ともよく慎重に検討いたさなければなりませんので、いましばらく時間がかかるかと思います。
○加地委員 同じような答えの繰り返しでございまして、これ以上ここで同じことを言っても進まないと思うのですけれども、そういう非常に重要なことについて迅速また大胆な結論というものを出さない、これが日本のテロ犯人に足元を見られてしまう大きな原因であると私は思うのです。私の意見等も参考になる点があれば参考にして、鋭意作業を進めていただきたい、そして国民が安心できるようにしていただきたい、こういうことを要望しておきます。 それでは、次の質問に移ります。 最近のハイジャックなりテロ犯人の犯行の前後に出てくるいわゆる声明等を見ますと、以前はパレスチナの問題についての共感を示す、こういうような基調があったようでございますけれども、最近のテロ犯人たちの声明文には、日韓問題、ロッキード問題あるいはまた天皇制の問題、こういう国内的な問題に焦点を当てておるような傾向がうかがわれると思うのです。それで、今度はハイジャック事件が起きたわけでございますから、とにかくハイジャックの防止防止ということでそちらの方にばかり焦点が移っておるような気がします。ところが、相手方といいますか犯人側も、いままでのいろいろな実績から見ますと、必ずその裏をかいてくるというか、盲点をついてくる可能性がきわめて強いと思うのです。今度の事件等を契機として、ハイジャック事件以外のいわゆるテロ事件の防止、特に国内問題について焦点が当てられつつあるという現況から見て、どのような対策を立てつつあるのか、それを御答弁いただきたいと思います。
○福井説明員 ことしの五月二十五日付の人民新聞と八月二十五日付の人民新聞に現在の日本赤軍の基本的な主張と申しますか、そういうことに関する記事が掲載されております。これでまず目につきますのは、従来、闘う日本の同志、友人たちへという呼びかけ方でありましたのが、日本の人民、同志、友人の皆さんへという言い方に変わってきているわけでございます。同志、友人の前に人民を加えているわけでございます。これまでは、自分たちは前衛である、武装闘争を先頭で担っておるとして、同じレベルの同志、友人にだけ働きかけるというスタイルでありましたのが、いまや自分たちは偉くもりっぱでもない、だれとも同じであることに気がついたということで、日本国内の幅広い層の支持を呼びかけておるわけでございます。そういう幅広い支援組織に支えられた闘争ということを彼らは強く意識しておるわけでございます。そこでわれわれとしましては、一つは、日本国内の日本赤軍の支援グループと申しますか、支援組織の実態を解明する必要があると考えております。 そういうことでございますが、当面は、海外に本拠を置きまして海外で活動しておるわけでございます。日本国内のそのときどきの情勢に合わせて海外でできることをやるという構えでございますから、海外における日本赤軍の動向をつかむ必要がある。そのために関係国と情報交換をし、捜査共助をする必要があるわけでございます。日本の国内の支援組織の解明と海外の動向把握、この二つについて手を打つことが警察面での日本赤軍対策になるわけでございますが、そういうことを意識しながら、専従組織を置くことについて関係省庁と折衝しながら検討を加えておる、こういう段階でございます。
○加地委員 特に国内問題として、天皇制についての行動目的というものがテロ犯人たちの声明の中に出てくるために、いわば右翼といいますか、非常に頭にきてかりかりとしておる状態だということも報道されておるのでございますが、ハイジャック事件、テロ事件をきっかけにして、最近の右翼の動きについて注意すべき点はないかどうか、またどういうぐあいに対処していこうとしておられるか、これについて御答弁を願いたい。
○福井説明員 日本赤軍が今回の犯行をやりました後に、十月六日付というふうになっておりますが、大阪の人民新聞社に郵送されてまいりました日本赤軍の日高隊声明というのがございますけれども、この中で彼らは、天皇制日本帝国主義と最前線で闘っておる戦士は、政治犯、刑事犯を問わずすべて同志である、こういう部分が確かにございます。それと、こういう日本赤軍の行動に対して、国内で断固支持する旨の立て看板等を掲示する動きもあるわけでございますから、われわれとしては、こういう日本赤軍の行動に触発されて、国内の極左が過激な行動に出る、あるいは日本赤軍との連帯を表明するということをまず注意しておるわけでございますが、委員御指摘のように、こういう動きが出ますと、即右からもこれに対する反発が出てくるわけでございますので、それについても厳に警戒をしながら情勢を見ておりますし、所要の警戒措置を講じておるところでございます。
○加地委員 現在、このいわゆる日本赤軍などに代表されるところのテロ団体なり、テロ犯人なり、あるいはこれに対するシンパなり、これはどの程度日本におるのでしょう。
○福井説明員 今回の事件が引き起こされまして、いまだ事態が進行中でありました九月三十日に、京都大学構内で、一九八〇行動委員会の名前で、日本赤軍の今回の犯行を強く支持する旨の立て看板が出されました。それから、今回の釈放犯の一人であります奥平純三が昨年の十月十三日にわが国に送還されてまいりました際にも、送還直後の十月十七日に、京都大学構内で、五・三〇Fという名前で送還を糾弾して奪還を主張する旨の立て看板が出ております。また、同じ月の十月二十六日にも、京都大学構内でいわゆる共産主義者同盟赤軍派、プロレタリア革命派の名前で同じ趣旨の立て看板が出ております。ただ五・三〇F——五・三〇と申しますのは、四十七年五月三十日のテルアビブのロッド空港事件の犯行の日を指しておるわけでございますが、Fというのはフラクションの意味でございます。さまざまな大衆組織の中にごく少数の日本赤軍関係者が入ってきまして、フラクションをつくる。自分たちが日本赤軍関係者であることは伏せて周囲に影響を及ぼしていく、そういうものを幾つも幾つもつくっていって、全体として日本国内における日本赤軍支援勢力の拡大を目指す、そういう方向で彼らは努力をしておるわけでございます。したがいまして、組織名等を挙げ得る段階ではございません。そういう大衆組織の中のフラクションが実は日本赤軍を支援しているグループ、こういうことになるわけでございます。 それで、そういうものを拾ってまいりますと、支援の濃淡はございますが、百名を下らない者がおる、こういうふうに見ております。ただ、現在までの捜査では、日本赤軍の国内支援グループの中から今回の犯行に直接かかわっておる者が判明しておるわけではございませんので、個人名を挙げることは差し控えさせていただきたい。
○加地委員 じゃ、ちょっと話は変わりますけれども、アルジェリアの方へ行ったハイジャック犯人たち、あるいは日本の刑務所から釈放された犯人たち、これはいまどういう状態になっておるのか。アルジェリアからも釈放されてしまったのか、まだおるのか。あるいは十六億円の身のしろ金についてもいろいろな報道があるわけでございますが、最新の一番正確な情報によれば、この十六億円と十一名のハイジャッカーあるいはまた釈放された者はどうなっておるのか、これを教えていただきたい。
○加賀美政府委員 アルジェリアに参りました犯人及び身のしろ金につきましては、十月四日の対策本部の御決定に基づきまして、東京及びアルジェリアの首府におきまして、犯人及び身のしろ金の行方その他につきまして申し入れを行ったわけでございます。これに対しましてアルジェリア側の方からはいまのところ何ら情報の提供がございません。 それで、その後いろいろ第三国等を通ずる情報等も入手に努めております。先生お指摘のとおり、この犯人がアルジェリアを出たという情報もございますし、それから身のしろ金につきましても云々といろいろな情報がございますけれども、いずれも確認し得る状況になっていない、そういうのが状況でございます。
○加地委員 たしか、園田官房長官が国会で、この十六億円という金はアルジェリアが没収してしまったようだということをしゃべっておられるのが新聞に出ておりましたけれども、これもやはり不確かな話なんでございましょうか。
○加賀美政府委員 あの情報につきましても、私ども確認できておりません。そういう状況でございます。
○加地委員 アルジェリアと非常に対照的な態度をとっておるのが朝鮮民主主義人民共和国の方で、八年前のあの「よど号」乗っ取り犯人たちを、八年近くまだ釈放していない。釈放していないがゆえに、彼らの手によって第二、第三のハイジャック事件が引き起こされることは少なくとも防止されておると私は思うのでございますが、あの朝鮮民主主義人民共和国の方へ行っておるハイジャック犯人たち、彼らはいまどういう状態になっておるのでしょうか。
○遠藤説明員 先生御承知のとおり、北とは日本はまだ国交がございませんので、どういうふうな状況かを的確に知る状況にないのでございますけれども、私の記憶でございますと、数年前に日本のテレビ会社が北に参りましてハイジャッカーたちとインタビューをして、日本で放映されておるのを私は記憶があるわけでございます。それから一番最近では、ちょうど去年のいまぐらいでございますけれども、作家の小田さんが北に参りまして、そのとき「よど号」のハイジャッカーたちとインタビューした記事が、たしか去年の十一月の二十一日の東京の各紙に載っておるわけでございますが、それによりますと、彼らはもうすでに事件発生以降七年半を超えているわけでございますが、北のどこかの、ピョンヤンの近くだろうと思いますけれども、どうもそこで合宿生活を送って、いわゆる向こうの言葉で言いますと学習をやっておると、こういうふうに承知しております。
○加地委員 これもまたいろんな情報がありまして、ハイジャック犯人たちはやはり戦力を増強したいということで、まあクアラルンプール事件ですでにつかまっておる、まあ同志たちというのですか、これの釈放に成功しまして、次はどうも朝鮮民主主義人民共和国に行っておるハイジャック犯人たち、あれの奪回をねらっておるのではないかという情報もかなりあるのでございますが、これについては政府の方ではどのように認識をしておられますか。
○賀陽説明員 ただいまの先生の御指摘の情報については、私どもとして確然たる情報を得ておりません。
○加地委員 できるだけ情報収集をして、万全の予防的措置をとっていただきたいと要望しておきます。 現在、ハイジャック犯人たちを世界じゅうの国が受け入れない、そういう意味の条約を締結し、世界じゅうの国がその条約に参加することが非常に有効だと言われておるのでございますが、私はこれは新聞で見たのでございますけれども、リビアに対して日本が早くその種の条約に参加するようにと要望したところ、リビアの政府代表が、日本こそハイジャック犯人を製造し輸出しておる国ではないか、日本こそ政治を改め、あるいは教育を改めて、ハイジャック犯人が生まれてこないようにすることが大切じゃないかと言ったように新聞で報道されているのでございますが、これは事実でございましょうか。
○大川政府委員 まず、リビアはいわゆるハイジャック関係三条約のうちの東京条約とモントリオール条約にはすでに加盟いたしております。ハーグ条約にはまだ入っておりません。日本はあらゆる国がこの関係三条約に加盟するように強く希望いたしておりまして、国連の場におきましても、それから今月の三日に日本の要望で開いてもらいました国際民間航空機関の緊急理事会におきましても強く訴えたわけでございます。ただ、リビアの方からただいま御引用のようなことで日本に言ってまいったという事実は私ども承知しておりません。
○加地委員 新聞雑誌に出ていることとこういう公の場での答弁とよく食い違うので、どっちが正しいのか間違っておるのか非常に判断に苦しむことが多いのでございますが、これも一つの例でございます。 それはそれとしまして、この前の審議で、航空の危険を生じさせる罪、第四条の解釈について「その他航空の危険を生じさせるおそれのある物件」これについての解釈がやや不明確であったような印象を委員会内部に与えておるかのように思いますのでもう一度お尋ねしますけれども、いま申し上げました「その他航空の危険を生じさせるおそれのある物件」これについての明確な統一解釈というのは法務省の方でできたのでございましょうか。
○伊藤(榮)政府委員 だだいま御指摘いただきましたように、前回、正森委員のお尋ねに対しまして説明にやや不十分な点があったことを反省いたしております。それで、改めましてお答えを申し上げさせていただきます。 申し上げるまでもなく、今回の航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律の改正は、航空機強取等の防止対策強化の一環として行われるものでございますから、ただいま御指摘の条文におきまして航空機内への持ち込みを規制しようといたします物件は、まず第一に、航空機強取犯人によってその目的のために使用されることが通常予想されるものであること、それから第二に、この法律において規制します以上、それが航空の危険と直接ないし間接に結びつくものであること、この二つの要件が必要であるわけでございます。爆発物、銃砲、刀剣類、火炎びん、いずれもこの角度からまずもって規制の対象として取り上げておるわけでございます。 しかしながら、この規制の対象物件をこの四つに限定いたしますことは、この種犯罪の状況から見まして必ずしも適切と思われませんので、例示といたしまして、犯人において比較的入手の可能な火炎びんを例示といたしまして、航空機内において使用された場合に、例示されましたこの火炎ぴんと同程度の効力を発揮することが見込まれる物件もこれに含めることとしたのでございます。 前回、銃砲、刀剣が「その他航空の危険を生じさせるおそれのある物件」の例示となるかのようにお答えをいたしましたのは不十分な御説明でございました。したがいまして、ここで申しますその他の物件と申しますのは、ただいま申し上げました二つの要件を具備し、かつ航空機内において火炎びんに比肩し得る危険性を有するものであることが必要でございますので、その対象はおのずから限定されることとなるわけでございます。 それでは具体的にどんな物件が考えられるかという点で申し上げますと、まずかなり高度な爆発性あるいは易燃性の性状を持ちます相当量以上の火薬、爆薬、ガソリン。この相当量と申しますのは、通常の火炎びんに使用されるガソリンの量及びその効力を基準として考えるべきだと思っております。こういうものが想定されます。こういうものを用いた器物といたしましては、たとえば小型火炎放射器というようなものが考えられると思います。またさらに、効力のきわめて高い毒ガス、これを用いた器物としてはガス銃があると思いますが、これも先ほど申し上げました要件を具備いたします以上、これを特に除いて考える必要はないと考えております。いずれにいたしましても、このその他の物件は、ただいま申し上げましたように、その性状や通常の用途によっておのずから限定されてまいりますので、こん棒、プラカード、野球バット・こういったいわゆる用法上の凶器となり得るものはもとより、花火、マッチ、爆竹、セルロイド、苛性ソーダ、硫酸などのように、航空法八十六条によって持ち込みが規制されている物件でありましても、先ほど申し上げました二つの要件に当たらないものであります以上、その量のいかんにかかわらずその他の物件には含まれない、こういうふうに考えるわけでございます。 なお、ここに、本条の物件に該当いたします場合でも、それが航空法に定められました基準を遵守しております場合は不法に持ち込んだことにはならないこともまた申し上げるまでもないところでございます。 以上のような基本的な見解に基づきまして、いろいろおよそ考え得るものにつきましてここに掲げる物件に当たるかどうかを判断、整理いたしておりますが、それらの問題につきましては、この法律が制定、施行されました際には、解釈通達等によってさらに明確にいたしたいと存じておる次第でございます。
○加地委員 それでは、旅券についてあと二つだけお尋ねしたいのです。 このたび対策本部の方で、現在すでに発行されておる旅券、まあ五百万部ほどですか、これを全部書きかえるということをお決めになったようなんでございますが、これはどういう目的であり、またそれをやってどんな効果があるのかということをお尋ねしたいのです。恐らく偽造されておる旅券に基づいての——まあハイジャック犯人たちが世界じゅうを横行しておるというところから出てきた防止策ではあろうと思いますけれども、新しいものをつくっても、彼らは日本の法律なんか何とも思っていないのですから、また何ぼでも偽造するでしょうね。そうすると、五百万部の書きかえのために費やされる人件費その他を考えてみれば、もっと重要なところに先に対策の手が打たれるべきであろうという感じがするのです。まあ失業対策なら別でしょうけれども、そういう率直な気持ちを持つのです。
○賀陽説明員 ただいまの御質問でございますが、防止本部で決めていただきましたことは、現在の旅券、実は約五百七十万冊ばかり出回っておるわけでございますが、これの全面切りかえということは考えておらないわけでございます。いずれの国もいまだ旅券の全面切りかえということをいたした例はございません。したがいまして、私どもといたしましては全面切りかえということを当面の目標とはいたしておりませんので、できるだけ早い機会にできるだけ多くの旅券を新様式のものに切りかえるということを考えておるわけでございます。御指摘のように、どんなに新しくりっぱな旅券をつくってみてもやはり偽造の余地は残るのではないかということは、まさにそれを否定して申し上げるわけにはなかなかまいらないわけでございますけれども、各国とも若干の期間を置きまして旅券というものは新様式のものに切りかえて、前のものよりもより精巧なものにいたしてまいるということは、これは各国とも励行しておるわけでございまして、私どもといたしましては、この機会が新しい様式の旅券の発給に踏み切る適切な機会であるというふうに考えておるわけでございます。したがいまして、外務省の持っております人員、予算、その他許容する限度内においてできるだけのことをしてまいりたいというのが現在の方針でございます。
○加地委員 では最後に一つだけですけれども、同じく賀陽さん、ちょっとお答え願いたいのですけれども、いつごろまでに書きかえが終わる予定なのか。それからこれについての特別の予算というものを考えておられるのかということ。 それと今回二年以上の刑罰が定まっておる罪について訴追を受けておる者について旅券の発給をしないことができるという規定に改正されますけれども、法律に制限列挙的に書くこととか、併合罪のことを考えていくと、なかなか法文には書きにくいのだという点はある程度理解できるのでございますが、一般事務を取り扱う都道府県に流す通達なり基準なり、そういうものはやはり国会での法案審議のときにもうつくられておって出すべきものじゃないでしょうか。法律ができてから考えますというのがこの前の委員会での御答弁であったように承るのでございますが、それではちょっと国会軽視ということになってしまうのじゃないでしょうか、お答えください。
○賀陽説明員 第一点の御質問でございますが、これはいろいろな準備がかかりまして最低限六カ月程度の猶予は必要であると考えております。その上で新様式の旅券の発給が可能になるというふうに考えております。 第二点でございますけれども、長期五年を二年に改正をする……(加地委員「人員とか予算措置は考えておりますか」と呼ぶ)人員につきましては、現在の段階では外務省の現有勢力をもって何とかやってまいりたいと思っております。予算につきましては現在試算中でございまして、必要があればこれは来年度予算等につきまして新たな措置を考える必要があるのではないかと思っておりますが、端的に申しまして、いまの段階ではちょっと明確なことを申し上げる段階ではない状況でございます。 それから第二点でございますが、長期五年から二年に改正になるということで、その場合に含まれる罪種が大幅に増加いたすわけでございます。これにつきまして正森委員の御質問がございまして、それに対しまして外務省としては、本来この旅券法の目的と申しますのは外務大臣の裁量行為を大幅に認めておりますものでございまして、旅券を発給しないことができるという表現でございます。したがいまして、事案に該当しても旅券を発給いたします場合もございますし、いたさない場合もあるわけでございまして、その点につきましては従来とも外務大臣の健全な判断によって運用をしてまいりまして、今後ともその状態が続くものと存じますけれども、同時に、今回の改正が赤軍、過激派の対策等によって出てまいったものであります以上は、やはりその辺の配慮も当然考えなければならぬというふうに存じておりまして、前回の法務委員会において申しましたように、何らかの国内的なあるいは行政的な措置によりまして罪種をある程度しぼりまして、そのしぼった罪種を主として旅券発給拒否の対象と考える。もちろんこれらは余り限定的に書きますると、一般法の運用という点で問題があるかと存じますので、そういったものを主として拒否の対象にするという基本的運用方針を書くということで考えてまいりたいと思っております。御指摘のように、そういったものは法案の御審議が終わりまして後に直ちに着手するというものではございませんので、現在すでに法務省とも寄り寄り御協議の上、案を作成しつつございますので、ひとつそれにつきましても御議論をいただきたいと考えておる次第でございます。
○加地委員 いろいろ御答弁を承ったのでございますけれども、国民として知りたい点、あるいはこれくらいのことはこういう大事件が起きた後であるからもうできておるであろうなと思ったことが、非常に重要な点でまだ決断がついていない、抜けておるということを発見し、私は驚きました。一日も早く関係機関の協議を進め、決して竜頭蛇尾にならないように、いままでのようにのど元過ぐれば熱さ忘るるということにはならないようにお願いしたいと思います。 以上でもって終わります。
○上村委員長 次に、鳩山邦夫君。
○鳩山委員 今回のハイジャック事件は西ドイツでほぼ同時に起こったということから、その解決法がいろいろと国民の間で大きな議論になっておると思います。 そこで、しばしば新聞その他の発言に超実定法的な措置であるとか超法規的な措置であるということが言われております。収監中の方たちを釈放せざるを得なかった、確かにいままでの法律とは合わないようなことも解決のために行った。しかし超実定法措置という意味はわかるわけでありますが、法というものは何も六法全書の中に書いてある字面だけではない。法の精神あるいは国民の基本的な暗黙の合意あるいは国民の情理常識、そうしたものが背景にあって、そうしてその一部が六法全書の中に活字となってあらわれているというのが私の考え方であります。今回のハイジャック事件のような場合、乗客の安全を守るかそれとも実定法を守るか、むずかしい局面であったと思いますが、私は乗客の安全を第一と考えた政府の処置はまことに正しかったと思っております。したがって、超実定法的な措置ではあっても人の命は大切なんだ、まさしく福田総理大臣がおっしゃったとおり、緊急の事態にはまず人命を優先して、実定法に多少抵触しても命を守らなくちゃならぬというのが法の精神あるいは国民の常識の要求しているものじゃないか。つまり、実定法を超えた措置であっても、超法的な措置ではなかった、まさしく法の要求するとおりの措置であったと私は考えますが、大臣はどのようにお考えでしょうか。
○瀬戸山国務大臣 今度の事件について政府がとりました措置についての考え方は、全体としていま鳩山さんのお考えと一緒と考えております。 ただ問題は、実定法は最小限度のことを決めておるわけでございますから、森羅万象全部網羅するわけにはいかない。どうしても実定法にはまらないが、法理論上、国民の感情上といいますか常識上、その目的を果たすためにやらなければならない行為があるわけでございますから、そういう意味において憲法の志向する範囲を超えておらない、かような意味でいわゆる超実定法という御説明を申し上げておるわけでございます。 ただ、そういうことが重なって——憲法の諸原則に基づいて各般の法律、規則ができておるわけでありますが、それはしばしば申し上げておりますように国民全体の平和と安全と自由な生活ができる、それはまさに生命の尊重が基本であると思う。その全体の構造が壊れるようないわゆる超実定法的な措置は憲法に反するものだと思いますから、そういう事態になるのかならないのか、そこの判断は個々の事件の処置について考えなければならない、こういうふうに考えておるわけでございます。
○鳩山委員 福田前法務大臣がなぜおやめになったかということについてはもうすでに質問があったわけであります。余りはっきりとした御答弁はまだいただいておりません。いやしくも大臣と言われるような方々は、おやめになっても急に私人に戻るわけではないと思います。まして福田前法務大臣の場合、このハイジャックの渦中にあられて、現在は前法務大臣になられております。また、福田先生は、私も大変に尊敬申し上げておる政治家でありますから、そんないいかげんな発言をなさる方とは思えないわけであります。その方が十月二十七日の週刊文春の中で、これは「イーデス・ハンソン対談 いまだから話そう 夜中までかかった閣議の大論争の内幕…… ひそかに手渡されたパスポート事件…… 福田一前法務大臣」といって対談を載っけておるわけであります。この中で前法務大臣が、私にしてみればかなり際どい発言をなさっておると思います。つまり、閣内は大論争があったということをはっきりとおっしゃっております。たとえば、外務省首脳の措置に対しまして「わたしはもちろん、運輸大臣や国家公安委員長など、みんな怒りましたよ。某閣僚などは、「オレももうこれで辞める」というようなことをいったり、「そんなことで処置は相ならん」とか、「われわれをバカにするな」とかね。まア、閣議でもいろんな発言が出ました。」こうおっしゃっておるわけですから、これは事実であろうと思います。 この間、ほかの委員からも質問が出ましたが、日本のとった処置がよいと思うか悪いと思うかという世論調査をいろいろなところでやっておる。政府がなさったのもある。ところが、その結果が、実施した主体によってまるっきり違っている。私はこれはもっともだと思うのです。まだ国民の前に、たとえば閣議でこんな意見が出たのだ、こういう意見もあったが別の意見もあった、人質の安全第一と外務大臣は言ったけれども、ほかの人は、多少血を流しても構わぬと言ったとか——そういう事実があるかどうかわかりません、しかし、そういうことは週刊誌でこういうふうに読めますけれども、少なくとも政府からの正式な発表は何もない。いわば閣議での大論争を何か包み隠してしまって、わからないようにしておいて、そして国民に世論調査を実施しても意味がない。閣内不統一ということがわかると、やれ大変だ、内閣が総辞職だとかいうことをおっしゃる方もおるけれども、私はもうそういう感覚は古いと思うのです。閣議でもこんな意見もあったがこんな意見もあった、そして話し合いをした結果、総理大臣の決断でこういう処置をとりました、そういう公の発表をしていただければ、国民もそれを参考にして、みずからの頭でハイジャック事件に対する意見を持つことができると思うのです。そのような意味で、余りオブラートを五重にも六重にも巻きつけて包み隠すようなことをしないで、閣議でのありさまその他をもっと公に発表なさる御意思はないでしょうか、大臣にお尋ね申し上げます。
○瀬戸山国務大臣 私は、申し上げるまでもなくその当時の閣僚でございませんから、局外であったわけでございます。 もちろん、個人の場合でも、ある一つの重要な問題を考える場合にはいろいろな部面からいろいろな考えが出てくる。それを総合して最終の個人の意見として出すわけでございますが、閣議でも同じであると思います。もちろん、あれほどの重大事件で、しかも超実定法的措置をとるということでございますから、閣内においてはいろいろな真剣な論議があったとことと想像されます。私はそのいまの週刊誌の記事を見ておりませんが、当然あってしかるべきだと思います。しかし、それはそういう議論の末確定された、閣議という、政府という一つの統一の意思でございますから、私はそれで結構だと言いますが、それに至る道程における各種の意見を、各閣僚の意見を公にすることは必ずしも適当じゃない、かように考えております。
○鳩山委員 こういう問題は余り突っ込んでもこれ以上必要ないかと思いますが、ただ法務大臣がおやめになる際の記者会見、あるいは法務大臣がなぜやめたかという各委員からの現法務大臣に対する御質問に対する答弁、そうしたものを聞いておりまして、何かぽかされているという印象を私は禁じ得ないわけであります。そして、前法務大臣が週刊誌では堂々と真相を述べられている、これが実態ではないかと思います。したがって、ハイジャック事件というのは非常に重要な事件だから、その重要性を国民にわからせるために、あるいはその何らかの責任をとって福田法務大臣はおやめになったというようなことが繰り返されてきておるわけでありますが、もうそのような御答弁はこれからはなさる必要がない、もう少しはっきりと実態をおっしゃっていただきたい、それが私の希望であります。 それから、外務省にお尋ね申し上げますが、ハイジャック中のあのような緊急、切迫した事態の中で、最終的にはアルジェリアに参りましたが、そのアルジェリアに着陸する前に、一体何カ国くらいに打診をなさったか。そしてその中で、きっぱりとこれはだめだという国もいっぱいあっただろうと思いますが、何カ国くらいが、打診した国の中でまあこれはいけるかなという候補に上ったのか、それをお答えいただきたい。
○加賀美政府委員 お尋ねの点でございますが、ダッカを出るであろうという段階から外務省は二十数カ国にわたる国に打診をしたわけでございます。と申しますのは、どこに行くかということが当時犯人の方からも何らの情報がない。どこへ行くということを全然言っておらない状況でございまして、人質の安全を図るために、もし犯人がどこかの国へ行くということがわかった場合には、これに対してやはり受け入れということを要請せざるを得ないであろうという考え方から二十カ国にわたる国に対しまして打診を行ったわけでございまして、打診の仕方というのは、まだ当該のハイジャックされた飛行機があなたの国に行くかどうかわからないけれども、もし行った場合に果たして受け入れてくれるかどうか、そういう意向を打診したということでございます。 それで、大部分の国が、受け入ればもちろん給油のための着陸、それから領空の通過、こういった点について否定的な回答をいたしました。ほとんどすべての国が否定的な回答でございまして、したがって私どもは非常に憂慮したわけでございますけれども、当該の飛行機がクウェートに参りました際に、クウェートは私どもの打診に対しまして全く受け入れない、それから給油のための着陸も許さぬということを言っておったわけでございますが、いよいよ飛行機がクウェートの上空に参って旋回をいたしまして、油も尽きかけておる、人質も非常に疲労しておるということをパイロットから空港当局に訴えましたところが、緊急の措置としてクウェートが受け入れたということがございました。したがいまして、否定的な回答にもかかわらずいよいよ飛行機がそこへ行けばあるいは緊急の措置として受け入れるかもしれないという状況でございましたので、どれが受け入れそうであるということは非常に判断がむずかしくなった、そういう状況でございました。
○鳩山委員 アルジェリアの三条件をのんだということがその後いろいろと問題になりまして、外務省の独走ではないかという活字すら新聞に何度も登場をいたしました。しかし、私はそうではないと思います。緊急やむを得ない処置であったと確信をいたしております。二十数カ国に打診をしても、リビアとか南イエメンとか、アルジェリア以外にはそれぐらいの候補しかなかったと私は聞いております。そして、そういう中で犯人たちの要求もあり、大部分の国は拒否をするということでありますから、そのような時点で緊急やむを得ないという状態の中でアルジェリアの条件をのんだということ、私はまことにやむを得なかった、正当な措置であったと考えております。そうした点について、いろんな手続上のことが、どこへ連絡があったとかなかったとか問題になっておりますが、それはまさしく愚かな議論であって、実際にほかにどういう選択の余地があったかというようなことを考えれば、これはまさしくやむを得なかった事態だと思います。 それからこれも外務省へのお尋ねになりますが、パスポートの用紙、これは旅券冊子というんでしょうか、これをいままでハイジャッカーたちあるいはいろいろな犯人たちに要求をされたという例はあったわけでございますか。今回の事件の前に幾つぐらいの事件で、旅券あるいは旅券用冊子を要請された例があったかということでございます。
○賀陽説明員 ただいまの御質問は、今回の事件の前に旅券冊子の要求等があったかどうかという御質問であったとすれば、それはございません。
○鳩山委員 たとえば、旅券用の冊子を持っていったわけでございますね、最終的には渡したわけでありますから。そのことがまたいろいろと物議を醸して、これもまた連絡が不十分であったとかあるいはその他幾つか問題になっておりますけれども、しかし今回の事件を考えますと、ハイジャッカーたちが旅券用の冊子を要求するということは十分に予測できたことだろうと思います。それを予測したからこそ、旅券を持っていったわけであります。もしこれを持っていかなかったとしたら、ハイジャッカーたちはよけい強硬になりまして、こんなものを渡せないんだったらと言って一人か二人殺したかもしれない。まあこれは多少推測であります。そういうことから考えると、パスポートを持っていった、用意していったということは、これも正当だろうと思うのです。用意してなくて、そのために一人でも二人でも人が殺されたら、これは怠慢であると政府は追及されるのは当然のことであります。したがって、パスポートについても、その後いろいろとばかばかしい議論がなされておりますけれども、これも手続上のその他の問題でありますから、そういう議論はもうやめて、今後どう対処したらいいかということのみに論点をしぼっていかれるべきであるということを私は政府に申し上げておきたいと思います。 それから、いわゆる手荷物の持ち込みその他のことが問題になっておりますが、いわゆる手荷物つまり航空機の中に持ち込むんじゃなくて、トランク、いわゆる飛行機の中にしまってしまうトランク関係については、何らかの検査というのはいままで行われておるわけでございましょうか。
○永井説明員 羽田の例で御説明申し上げますと、国内線におきましては現在非常にスペースがなくて、託送手荷物につきましては、特に不審なもの以外はあけておりません。それから国際線につきましては、たとえば日本航空では、すべての荷物につきまして金属探知器を当て、これに反応がある場合には開披して中を調べる、こういう措置を講じております。現在外国エアライン三十数社ございますが、約半数の航空会社がこのような措置を講じております。
○鳩山委員 私申し上げたいのは、手荷物のことについては、今回のハイジャックの事件でいわゆるダブルチェックとかいろいろなことで問題になり、また法改正の意味もそうした点あると思いますが、そのことが議論になり過ぎておるために、いわゆるトランクについて議論がされなさ過ぎているというきらいがあるように思います。これからのハイジャックというのは、彼らも命知らずでありますから、何をやるかわからないわけであります。たとえば憎たらしい人間、彼らから思って憎たらしい人間が乗る飛行機に一人の悪いやつが乗っかって、トランクの中に何かのわかりにくい時限爆弾のようなものを仕掛けて、そして一緒に死んでしまう、いわば特攻隊精神の赤軍派というものも出てくるかもしれない。あるいは、たとえばトランクの中に何らかの爆弾を仕掛けておいて、その犯人が機内に持っている何かから操作をすると、反応があってその時限爆弾が爆発するようにしてある、そういうおどしのかけ方だって当然あるし、また技術的にそういうものも可能かもしれないと思います。あるいは、テレビか何かで見た、何かの映画だったかと思いますが、飛行機がある高度よりも下がると爆弾が爆発するようになっているんだ、どこか入れてあるか取りつけてある爆弾が爆発するようになっているんだ、だから高度をおろしたら飛行機は粉みじんになるぞ、どこかの方へ着陸するというおれの要求に従えば、たとえばこの爆弾を爆発しないようにおれがしてやる、そういうような映画もあったように思いますので、機内の持ち込み品ばかりに気をとらわれておりますと、新手のハイジャックの手段としてもっと恐ろしいことが起こり得る可能性があると思いますので、そうした点についてさらに議論を積み、また留意なさることをお願いを申し上げたいと思います。 そして、いまも申し上げましたけれども、これはどなたにお尋ね申し上げたらいいかわかりませんが、先ほど申し上げた特攻隊精神を持った赤軍派ですね、みずからが死んでもほかに百何十人、あるいはねらいを定めただれかと一緒に死ねばいいんだ、そういう赤軍派が——まあ赤軍派以外にもあるかもしれない、そういうような犯人、事件を起こす人たちが今後登場する可能性というものをお考えになっていらっしゃるでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 当然、考え得ることだと思います。たとえば精神の異常な者が飛行機の上で飛行機もろとも爆死するというようなことを考えますと、想定はできると思います。
○鳩山委員 そういうことでトランクの方ももっと調べていただきたいということを申し上げたわけであります。 それから、これもまた旅券法の改正に絡みますが、いわゆる刑事訴追等を理由にして旅券の発給制限をしておる。これを五年を二年に変えるということでありますけれども、それについて外務省からいただいた資料の第四表というのがございますね。「主要国における刑事訴追等を理由とする旅券発給制限事由一覧」という表であります。アメリカ、イギリス、西ドイツ、フランス、イタリアの例が出ておるわけでありますが、発給制限事由一覧といいましても、これこれの場合には旅券の発給制限をできるという日本方式もあると思いますし、こういうような凶悪な人間に対しては旅券を出してはいかぬという規定も可能かと思うのですが、その辺の区別というのは全然これには書いてないわけであります。ちょっとお教えいただきたいと思います。
○賀陽説明員 お答え申し上げます。 お手元に差し上げてございます表のうち、これはアメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリアと並んでおるのでございますが、米国につきましては、これに該当いたします場合に発給をしてはならないということになっております。残りの諸国はいわば日本方式でございまして、こういった事案に該当いたしましても発給しないことができるということでございます。
○鳩山委員 旅券法の改正についてもう一点だけお尋ね申し上げますが、いわゆる旅券を返せという命令を出す。その通知にかえて公告をするということであります。その意味は、公告することによって行方の知れない旅券の所有者のその旅券を失効させるということなんだろうと私は解釈いたしております。ところが、失効しても旅券は彼らの手のうちに残るわけですね。失効した旅券が彼らの手のうちに残るわけでありますから、多少書き変えたりうまくやればまたそれを使えるかもしれない。その辺、どのような実効ある措置によってこの旅券法の改正を意義あらしめるようにお考えであるのかお尋ね申し上げます。
○賀陽説明員 鳩山先生御指摘のとおり、旅券返納命令を公告いたしまして有効な旅券を失効せしめましても、旅券自体は手元に残るのではないかという御質問で、まさにその場合がかなりあるわけでございます。これに対しましては、いますでに御指摘のように、速やかに関係諸外国に対して当該番号の旅券の失効を通知いたしまして、諸国の治安、出入国管理当局等に周知せしめまして、その措置を通じまして同旅券の所持人が外国滞在または国際的な移動をするというような場合に歯どめをかける、そして結局は外国官憲の協力によって本人を帰国せしめるということに最終目的を持っておるわけでございます。 手元に残った旅券がどうなるか。これは先生の御指摘は、これが乱用されるのではないかということでございますが、わが国の旅券は現状におきましてもきわめて精巧なものでございまして、特に番号の点等につきましてはほとんど変造、偽造の余地がないということでございまして、現在の段階では赤軍関係者は独自の偽造旅券、要するにどこかのそういう偽造旅券をつくるところでつくっております独自の偽造旅券で行動しているということからも、わが国の旅券が非常に精巧であって、変造、偽造しにくいということを証明する一つの例かと考えております。
○鳩山委員 赤軍派のような人たちは今後どのような手段をとってくるかわからないわけであります。先ほど申し上げたような、また、刑事局長お答えいただいたような特攻隊方式のハイジャック、もはやこれはハイジャックとは言えないようなものも登場するおそれがあるだろうと思うのです。あるいはハイジャックするための手段につきましてもあらゆる方法がとられてくるだろうと思います。そこで、政府の方でも定期的に対策の会議を開いていかれるということでありますけれども、現在のような構成メンバーで果たしてあらゆるケースを想定できるかどうか、私ははなはだ疑問に思うわけであります。 そこで、本当はハイジャックをしたいしたいと思っている人たちから話を聞けば一番いいわけでありますが、そんなことは不可能でありますから、まあそれにかえて、たとえば信頼の置けるすぐれた推理作家とかSF的なものを書く方とか、そういうような方々をお集めになられて、どんなケースがあり得るか、洗いざらい言ってもらう、そのような企画をお持ちかどうか。お持ちでなければ、そういうようなことをなさってみるお気持ちがあるかどうか、お尋ね申し上げたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 鳩山さんおっしゃるように、ハイジャックだけはいまはそういうことを大きな手段にしておりますが、いわゆる赤軍派と言われる人々の、彼らの目的を達するためにはあらゆる手段を講ずること、これは想像にかたくないわけでございます。でありますから、政府といたしましては、衆知を集めて、あらゆる場合を可能な限り想定をして今後の対策を立てなければならない。しかし御承知のとおり、まだ地震予知が必ずしも明確にできないのと同じに、全くそれに似たようなケースでありますから、万能というわけにはまいらないと思います。いまおっしゃるようなことも非常に参考になりますが、いま直ちにそういう各位にお願いしてやるということには考えておりませんが、いずれにいたしましてもそういうお話のようなことを頭に置いて、あらゆる想定を立てて対策を立てなければならない、かように考えております。
○鳩山委員 要するに、政治家とかあるいはお役所の皆さん、法務省、外務省、警察あるいはいろいろな方がおられると思いますが、そうした公の仕事についておる人間というのは、やはり考えることに限度があるような気がいたします。確かに政治を行う、行政を行うという意味ではスペシャリストでありますけれども、赤軍派がとってくるような手段を想定するには必ずしも適したメンバーではないと思いますので、どうかそのような推理作家その他特殊なメンバーを集めてのあらゆるケースの想定あるいはハイジャックの対策のための会議というものをぜひやっていただきたいと思います。 それから、先ほど加地委員が竜頭蛇尾というような言葉を使われたわけであります。このハイジャックは確かに大問題になった。ところが、国会でいま審議しておる航空機強取云々という改正案一つ一つをとると、これで本当に大丈夫なのかなあという感を免れない。話題性に比べて実際の法改正の内容というのははなはだ貧弱というそしりは免れないかもしれません。しかしまた、一つ一つをとってみれば、私も検討いたしましたけれども、確かに意味ある措置だと思うのです。私は納得しても、国民をやはり納得させなければならないと思います。国民の目の前にハイジャックが起きたのです。そして、政府があるいは国会が行ったこの法改正というものは国民にはわかりにくい。幾つかのほんのわずかの点だけなんです。ですから、そこで今回の法改正というのは、実はこれこれの意味があるのだということをもっと国民に明らかにして、そしてさらにこういうようなことも考えてやっていきたい、行政的な意味で、法改正を必要としない場面でこれこれこんなことをやることに決めた、そして今後もこんなことまでやってみたいというようなことを、これもやはり国民に広く示していただきたい。それには、もちろん新聞も重要でありますけれども、ラジオあるいはテレビというものはやはり必要欠くべからざるものだと思いますので、この改正された法律が施行されたときにでも、テレビ、ラジオの番組を利用なさって、買い取って、そして二分とか三分とか五分というのじゃなくて、三十分くらいのまとまった時間をとってその内容を、今後の対策の基本的な方針というものをわかりやすく説明してくださったら国民も納得をするだろう。そのことは私から強く要望申し上げておきます。 最後に大臣にお尋ね申し上げたいわけでありますが、このハイジャックあるいは赤軍派というような存在、これは一つ一つの事件に具体的に対処するだけではだめだ、やはり基本的にこういうものが起こらないような、その根を断たなければいけない。臭い物にふたをするのじゃなくて、臭いにおいはもとから断たなきゃだめとテレビのコマーシャルでも言っておった。私はやはりそういうことだろうと思うのですね。その議論を進めていく上に一番必要なのは、なぜ赤軍派が出てきたのだろうか、こんなものが出てきたのだろうか、この考察が一番重要であります。赤軍派は確かに気違い集団と言ったっていいかもしれない。でも、いわゆる精神異常者とは考えにくいのです。精神異常者だったら、これだけ組織立った恐るべきことを着実に実行することができるかどうか、私は疑問なんです。だから、一概に気違い集団として片づけることはできない。そうした前提の上で、なぜ赤軍派というものが存在しておるのか、大臣の基本的な御見解だけお伺いしたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 まず最初にお話がありました点、まさに私は立権下の法律国、法律社会、これは国民全体が法律社会の意義というものを腹に据えて考えるということでないと、本当の意味の法治国家というのは完成しないと思っています。これはよけいなことでありますが、今度の日航機のハイジャック、追いかけるようにしてルフトハンザのハイジャック、あるいはまたこれはハイジャックじゃありませんけれども、長崎で起こったバスジャックと言われるようなことがまさに重なって起こりました。そこで、断腸の思いという表現でやっておりますように、いわゆる実定法の一部を破りながら、全体の超法規的措置をとった。こういう事態に対して、今度の機会、非常に不幸な機会でありましたが、国民の多くの皆さんが法律とか法治国家というものに非常に認識を深められたのじゃないか、私の想像でございます。でありますから、このハイジャック対策は、いま御審議いただいております法律の改正にかかっておるわけでございますが、これは万能というわけにはいかない。これは一端でございます。行政的、立法的、外交的、あらゆる可能な限りの対策といいますか措置を講じてこれを未然に防がなければならない、これが根本だという考え方で種々進めております。したがって、反面においては、国民の皆さんの理解を得なければ、国民の皆さんにまた御迷惑をかける場合もチェック等の場合あるわけでございますから、よく御理解をいただくことが大切だと思います。そういう意味において、対策本部でも全体の要綱を決めます一環として国民の皆さんに周知してもらうという方策を講ずる。こういう一項も加えておるのはさようなことでございまして、いまの御意見のように進めたいと思います。 それから、第二点はきわめて重要な点でありますが、これは私ごときが全部想定して申し上げることはできないと思います。しかし、いずれにしてもああいう凶暴な犯罪を犯しながら自己の主張を通そう、こういう人はたくさんあるわけでありますが、一億一千万国民の大多数は、そういうことで社会の改革ができ、人間生活がよくなると思わない人が大部分でありますから、やはり特異な思想、特異な体質、特異な精神を持っておることは事実であります。しかし、これはおっしゃるようにいわゆる精神医学上の精神病者とも見られない。でありますから、彼らのそういう行動に出る根源を断つためには、教育の制度から社会のあり方から政治の進め方から各般にわたって反省し、改めるところは改める、こういうことがやはり大切である、かように考えております。
○鳩山委員 これで質問は終わりますけれども、実はハイジャックの犯人たち赤軍派というのは、年齢をごらんになるとおわかりいただけますが、私と大体同じであります。私は二十九歳でありますが、戦後のベビーブームの生まれであります。ハイジャッカーたちも大体その前後の生まれでありまして、ほぼ同年齢であります。私たちが大学に入ったときが、いわゆる大学紛争というのがはなはだしかったときであります。大学紛争というものも、やはり時の政治とかあるいは大き過ぎるいろいろな問題政府も大き過ぎる、国家も大き過ぎる、会社も大き過ぎるから就職したって機械の歯車にしかなれない、労働組合だって大き過ぎる、大学もまた大き過ぎて権力を振りかざすから大学にも反発をする。そういったところからわれわれの世代の一つの反発が学生紛争というものであらわれた。この赤軍派というのも当時の学生運動と無縁であるとは思えないわけであります。当時もいろいろなセクトがありました。やはりそういうものの推移していく過程の中で、極端に過激なものが出てきたとしか私には考えられないのです。ぼっと出てきたものじゃない、やはりそういうわれわれの世代的な政治あるいは社会に対する反発の延長線上の極端なところに彼らがあると私は考えます。 当時はベトナム戦争のどろ沼の時代でもありました。そして、それに反抗するかのように日本でもフォークソングがはやり、私も歌いました。髪を長くした人もいました。私もしたことがある。ロックもはやりました。そして、バングラデシュを救えというような運動もずいぶんありました。そして、ニクソンに対抗してマクガバンが立候補しようとすれば、私たちの世代はやはり日本でマクガバンさんに対して拍手を送った。私は何も赤軍派とわれわれの世代の中に共感があると言いません。でも、当時の停滞する日本の保守政治、あるいはアメリカのベトナム戦争、そうしたものが、遠いけれどもやはり最大の原因になっていたのじゃないか、そう私は解釈をするわけであります。したがって、赤軍派のようなものが今後あらわれないように、臭いにおいをもとから断つためには、やはり政治がえりを正す、そして停滞すると思われるような、停滞していると見られるような政治をやめる、政治をきれいにする、そういうことではないかと思います。そんな点で、はなはだハイジャックとは関係ないような話でありますが、政界の浄化ということに対しまして皆さま方も力を尽くしてくださいますように、そしてそのことが最終的には遠い将来における危険を遠ざけるのだということを申し上げて質問を終わります。ありがとうございました。
○上村委員長 次に、稲葉誠一君。
○稲葉(誠)委員 前に質問がありましたのとできるだけダブらないようなかっこうで質問をしたいと思います。一つは旅券法改正の問題、それからもう一つは、今度の臨時国会の問題は別として、今後の通常国会においての法改正というかそうした問題をお聞きしたいというふうに考えるわけでございます。 まず旅券法の問題ですが、十三条の一般旅券の発給等の制限の問題の第一項第二号ですね、現在「死刑、無期若しくは長期五年以上」になっているわけですが、これは最初からこういうふうになっておったのですか。たしか長期十年以上だったというふうに覚えていますが、その経過はどういうふうに改正になったわけですか。
○賀陽説明員 ただいま先生御指摘のように、過去におきまして十年という表現であったわけでございますが、改正時点におきまして海外渡航者が急速にふえるとかそういったような事態で、やはり制限を強化する方向で考えるべきであるということで、十年が五年になった経緯がございます。
○稲葉(誠)委員 五年になったときに、罪種としては普通法、特別法合わせるとどの程度のものが五年になるわけですか。数はどのくらいになるのですか。
○賀陽説明員 長期五年の場合には大体二百九十種くらいと御承知いただきたいと思います。長期二年になりましてそれが約六百三十種増加いたしまして、大体九百二十種くらいになると存じます。
○稲葉(誠)委員 そうすると、九百二十種くらいの犯罪で訴追を受けている者について、これは現実にどういうふうにするわけですか。これは一たん法務省が各地検なり何なりから吸い上げて、それを外務省に通知するのですか。そうするとずいぶん時間的におくれると思うのですが、具体的にはどうするのですか。
○賀陽説明員 具体的な手続についての御質問でございますけれども、旅券申請者は、先生御承知のように、まず旅券申請に先立ちまして身分事項、渡航地のほか、事件の内容を記載しました渡航事情、説明書と申しますか、そういうものを追加いたしまして、それから裁判所の旅行許可証等を都道府県の窓口にまず提出せしめるわけでございます。これらの書類はすべて外務省に送付されてまいりますので、外務省は、いま申し上げました説明書に基づきまして、必要がございます場合には各省の意見を聴取いたしまして、慎重に旅券発給の可否につき事前の審査を行っております。虚偽申請によるチェック漏れを防ぐということも非常に大事なものでございますから、現在では、過去のケースをすべて調べましたものは法務省、警察庁から提供を受けました氏名を全部コンピューターに入れておりまして、コンピューターチェックもあわせて行っておる状況でございます。
○稲葉(誠)委員 現実に現行法の中でこれに該当するからというので旅券を事前に発給しなかったというのはあるのですか。あるとすると、どの程度どんなときにあったのですか、後からの虚偽記入は別として。
○賀陽説明員 お答えいたします。 年度的に申し上げさせていただきますと、四十九年には該当事案三十二件の申請がございまして、そのうち五件を拒否しております。拒否者の罪状を申し上げますと、騒擾、傷害、公務執行妨害、電汽車往来危険、威力業務妨害、詐欺等五件でございます。五十年度は該当事案が二十三件申請がございましたが、そのうちの拒否は三件にとどまっておりまして、暴力行為等処罰に関する法律違反、傷害、凶器準備集合、公務執行妨害、逮捕監禁、威力業務妨害等でございます。五十一年は二十八件に対しまして拒否四件というケースが残っておりまして、傷害、恐喝、道交法違反、詐欺、銃砲刀剣類所持等取締法違反、覚せい剤取締法違反。五十二年は十月までの統計しかございませんが、いままでに十九件のうち二件の拒否の例が出ておりまして、これは暴力行為等処罰に関する法律違反、覚せい剤取締法違反でございます。
○稲葉(誠)委員 これは、十三条の一項の五号で「前各号に掲げる者を除く外、外務大臣において、著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由がある者」という条文があるわけですね。これは実際に適用になったことはあるのですか。
○賀陽説明員 昨年一件ございます。その前の二年間はゼロとなっております。
○稲葉(誠)委員 そうすると、いまの「長期五年以上の刑にあたる罪」というのを長期二年以上にしようとしているわけですが、何もそうしなくとも、この五号を活用すればそれで足りるのではないのですか。
○賀陽説明員 御指摘の点でございますけれども、この十三条一項五号と申しますのは、御高承のように「著しく且つ直接に日本国の利益又は公安を害する行為を行う虞があると認めるに足りる相当の理由」となっているわけでございます。これは、申請人が渡航後わが国の利益または公安を害する行為を行うおそれが客観的に認められる場合でございましても、その侵害の程度が著しく、しかも予想されるその者の反社会的ないし犯罪的な行為によるわが国の利益、公安に対する侵害が直接であるということが条件として明確にされておるものと存じます。他方第五号は、御高承のように発給拒否の基準に該当するかどうかは外務大臣の認定にかかわらしめているわけでございまして、本号の適用は外務大臣の判断、裁量がございますので、従来からきわめて慎重にこの運用を行っておるわけでございます。たとえて申し上げれば、もし申請人が日本赤軍組織の一員であった場合には、これは第五号を発動いたしまして旅券を拒否することが恐らくできる明確な例かと思いますけれども、その周辺が疑わしいような場合でございますね、やはり本人の活動が非常に顕示的であるというのでございますか、きわめて公であるというのでございますか、やはり著しくかつ直接に害すると認定し得るまでに達しなければ、この号の運用は当然慎重であらなければならないと考えておりますので、われわれとしてはそのバランスを十分考えまして、全体としての法の運用に誤りなきを期したい、こういうことで運用に当たっている次第でございます。
○稲葉(誠)委員 これは、二年以上ということになると九百幾つになるということですね。この前の委員会では、外務省当局としては一応罪種を制限したいということ、これは公務執行妨害、威力業務妨害、住居侵入、凶器準備集合、集団暴行の五つに制限をしたい、こういうような答弁があったように聞いておるのですが、外務省としてはそういう考え方ですか。
○賀陽説明員 前回の委員会で正森委員の御質問に対しまして御答弁申し上げました際には、たとえばそういった罪、赤軍、過激派関連の深い罪というものに発給拒否の対象を主としてしぼっていく考えがあり得るのではないかということで申し上げたわけでございますが、法務省とも寄り寄り御協議いたしておりますので、法務省ではさらにこれらの罪に加えて若干これを追加した形で取りまとめてはどうかというお考えがあるようでございますので、あるいは法務省から御答弁いただきたいと思います。
○伊藤(榮)政府委員 およそ日本赤軍あるいはそれに類似する者たちが国内でどんな犯罪を犯すかということは一律に予想できないところでございますが、過去の過激派の犯しやすい実例から申しますと、ただいま外務省から御指摘のあった五つの罪種であると思います。しかし、そのほかにやはりこれと同じように発給制限をかける対象として検討に値するのではないかと思いますものが他にもございます。たとえば、ハイジャックの予備罪でありますとか銃刀法の違反、あるいは火炎びん処罰法の違反、火薬類取締法の違反、こういうようなものも考えられるわけでございまして、なるべく余り発給制限の対象が現実的に広がり過ぎないようにある程度罪種でしぼるということも一つの方法でございますので、ただいま挙げましたようなものを中心になお落ちこぼれがあるのかないのかということを詰めておる段階でございます。
○稲葉(誠)委員 詰めておる段階ということがちょっとおかしいのです。当然これは提案する段階においてそこら辺の詰めができておらなければならなかったのではないかというふうに考えられるのですね。いかにも早急に立法を提案したということから、まだまだ詰めが不十分であるというような印象を受けるのですが、ここは一番国民にとっても大事なところなのです。 そうすると、いま外務省の言われたことと法務省の言われたことを合わせて旅券法の第一項の第二号の中に制限列挙のような形でそれを盛り込むということはどうなんです。
○賀陽説明員 お答え申し上げます。 ただいまの御質問でございますが、旅券法は、何回か御説明申し上げておりますように一般法規の体裁でございまして、特定事案に該当する者について旅券を発給しないことができるということでございます。先ほど種々例も申し上げたわけでございますけれども、該当事案について八割方旅券が出ておるということでございますので、その意味では広範な裁量というものを健全に運用して従来から当たってまいったわけでございます。この点先生の御質問は、法律上明文的に当該罪等を列挙してこれをしぼったらどうかというお考えかと存じますが、これにつきましては、いま申し上げました裁量の広い法規としての運用が従来から遺憾なく行われておりますことが第一点として指摘されますことと、第二点として、やはりどの罪種が過激派犯罪につながるかという特定の不可欠のリンクと申しますか、そういうものをつけますことはなかなか実はむずかしいわけでございまして、その申請者個人の資質とか経歴とかあるいは性格とか、そういった属人的要素も反映いたしまして、十分に旅券法の裁量の中で審査をしてまいらなければならない、やはりそういう属人的要素というものを見逃すことはできないかと存ずるのでございまして、そういった意味では両方のバランスを図りまして事に当たる必要があるわけでございます。その意味で、法制局、法務省とも種々御相談申し上げたのでございますが、一般法規としての性格でこれはなかなか罪種列挙にはなじまないということでございますので、それにかわる措置といたしまして、前回から御答弁申し上げておりますように、外務省の内部的な何らかの措置によって運用に遺憾なからしめていこうということで現在考えておるところでございます。
○稲葉(誠)委員 その外務省の内部的措置というのは一般の国民にはわからないから、非常にこれが拡大されて、旅券の発給が制限されるのではないかということの心配があるわけです。だから法務省との相談はまだ煮詰まっておらないということを言われるのですが、具体的には何か通達を出すというのですか、何を出すというのですか。 〔委員長退席、羽田野委員長代理着席〕
○賀陽説明員 都道府県に対する通達はもちろん考えております。それから外務省本省につきましては、一種の内規的な措置を考えております。
○稲葉(誠)委員 それでは一応この法案は法案として、大臣にお聞きしたいのですが、今後の問題は、通常国会でせっかくつくった法案をまた改正しようというような動きがあるやに伝えられておるわけですね。たとえば人質強要罪への死刑の適用の問題があるわけですが、これについての大臣の考え方が、何か最初の考え方と後の方の考え方とだんだん変わってきたようにも、参議院の予算委員会の答弁と参議院の法務委員会の答弁とは変わってきたようにもとれるのですが、これは私どもには私どもの考えがありますが、これに対してはどういうようにいまお考えになっていらっしゃるわけですか。
○瀬戸山国務大臣 私の各委員会における答弁の趣旨が変わったように受けとられている面があるようでございますが、私としては変わってお答えしておるわけではないのでございます。こういうハイジャック等による強要罪といいますか、不当な要求をした場合に、いかに刑量を決めるかということは非常にむずかしい問題でありまして、いろいろ意見があるわけでございます。具体的に申し上げますと、死刑の場合もあり得るのではないかという御意見が相当各方面にもあるわけであります。でありますが、死刑という問題は、稲葉さん御承知のとおり最高の極刑でありまして、そう軽々に刑量すべきものではない、こういう基本的な考えがあるわけでございます。しかし、新しい罪種を決めます場合にいかなる刑量で臨むかということは、これまた一定した画然たる基準があるわけではございませんで、やはりその犯罪の社会的に与える影響あるいは他の犯罪との権衡、いろいろ考慮して決められるものだ、かように考えておりますが、特に御承知のとおりに死刑の問題については、人命尊重ということが最高の道徳になっておりますから、近代刑法などではできるだけ死刑の場合を少なくするというのがおおよその傾向でございます。そういうことで、改正刑法草案にも大体そういう傾向で死刑の数が整理されておる、こういう状態でありますから、今度の新しい罪種についていかなる刑量をすべきかということは、われわれも慎重に検討しておるわけでございます。しかし死刑に値する場合があるのではないかという御意見にも相当の理由がある。でありますから、いま申し上げましたとおりに、これは最高の極刑でありますから、こういうものを改正するときには、やはり法制審議会等において学者や専門家の意見を十分聞いた上で決めるのが適当である、こういうことで、今回の場合は死刑の刑量をしないで案を提出しておるわけでございます。しかし犯罪の形態がいろいろ考えられますし、人命に重大な危険を及ぼすような犯罪の形態もあり得る、こういうことも想定されますので、それをも含めていま検討いたしておりまして、法制審議会等に諮って成案が間に合いますれば次の通常国会にも御審議いただきたい、こういう準備をしておるのが現状でございますが、詳細については刑事局長からお答えいたします。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまの大臣の御答弁に関連する部分について申し上げます。 いま私どもが検討いたしておりますのは、今国会でただいまお願いいたしておりますのは、要するに、ハイジャックの場合の人質強要でございます。しかしながら、将来ハイジャックの形をとらないで、たとえば在外公館の占拠あるいは在外商社の占拠、いろいろな形が考えられるわけでございます。これを、新造語で恐縮でございますが、その他ジャックとでも申しますと、その他ジャックというものに対する警戒も怠ってはならないと思うわけでございます。そういう意味で、一般的にその他ジャックにも対応できるような人質強要罪というようなもののカテゴリーを一つ考えたいと思っております。 そういった意味のその他ジャックに対する処罰規定、それからさらにただいま御審議願っておりますハイジャック人質強要の処罰規定、これらの類型の中で、構成要件をある程度ぎりぎりしぼることによって死刑をもって臨まなければならないようなきわめて悪質な事例があり得るのではないか、あり得るとすれば、そういうぎりぎりしぼった構成要件というのはどんなことが考えられるか、そういうような点をいま鋭意検討しておる途中でございます。
○稲葉(誠)委員 もう一つの問題として、刑事訴訟法の改正がこのハイジャック防止対策の一環として考えられておる、しかもその大綱が法務省でまとまったというようなことが伝えられておるわけですね。これは、現実にはどの辺までいまいっておるのでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 刑事訴訟法の改正につきましては、その内容をまず申し上げますと、ただいま考えておりますのは、私選弁護人が訴訟遅延の目的で、退廷戦術、不出頭戦術あるいは辞任戦術をとりましたような場合に、そのことに被告人においても何らかの責任があるというふうに認められます場合には、きわめて限られた期間、当該弁護人の在廷しないままで訴訟手続を進めることができるようにしてはどうか、こういう内容のことをいま考えておるわけでございまして、これにつきましては、おおむね今月末か来月初めごろにも法制審議会総会をお願いして御審議をいただこう、こういうふうに考えておる段階でございます。
○稲葉(誠)委員 それは過激派事件などについての特例法という形になるわけですか。あるいは一般の刑事訴訟法の改正という形になるわけですか。
○伊藤(榮)政府委員 刑事訴訟法の性質上、罪種あるいは被告人の性格あるいは境遇と申しますか、そういうものによって当該規定の適用の有無を分別することは適当でないというふうに思われますので、一応、ほとんど過激派の事件にしか起こらない例でございますが、規定の体裁としては一般的な形になると思います。
○稲葉(誠)委員 仮に、まだ出ないものだし、まだそこまでいってないものに先走って質問するのもおかしいのですが、憲法第三十七条の「刑事被告人は、いかなる場合にも、資格を有する辯護人を依頼することができる。被告人が自らこれを依頼することができないときは、國でこれを附する。」必要的弁護の事件を決めておるわけですね。これとの関係は一体どういうふうになるわけですか。憲法違反のおそれというものはそこで起きてくるのじゃないでしょうか。
○瀬戸山国務大臣 先ほど御説明申し上げましたような、今度改正をしようというのはこの一般原則を崩すという考え方ではございません。当然のことでございます。具体的な事例等については刑事局長からお答えさせますが、憲法上の権利を乱用する形で行われる場合、裁判が非常に遅延をする。これは私は、法治国家として法律の期待するところでなく、いま三十何条かをお読み上げでございますが、憲法が国民に与えておる、認めておる権利というものは、また一面においては乱用してはならないという憲法上の規定もあるわけでございますから、憲法との関係は矛盾しない形でつくりたい、かように考えております。
○伊藤(榮)政府委員 基本的にはただいま大臣が御答弁になりましたとおりでございますが、なお私どもとしては、いささかでも疑念の残らないようにということで、被告人から国選弁護人の選任の請求があれば裁判所は手続をとめて選任の手続をすぐとる、あるいは新たに私選弁護人を選任すればその瞬間に、ただいま御説明を申し上げましたような特別の手続はとまるというようなこともあわせて考えております。
○稲葉(誠)委員 いまの二つですね。それは通常国会に間に合うように出すという意味なんですか。そこまでまだはっきりしてないということですか。
○瀬戸山国務大臣 いま申し上げましたように法制審議会に御検討願う段取りにしておりますから、間に合えば次の通常国会には御審議をいただきたい、かように考えております。
○稲葉(誠)委員 いまの二つの問題は非常に大きな問題ですから、これは私の方としても慎重に考慮して対処していきたいというふうに考えております。 一応、これで質問を終わります。
○羽田野委員長代理 速記をとめて。 〔速記中止〕 〔羽田野委員長代理退席、委員長着席〕
○上村委員長 速記を始めて。 午後零時四十分から委員会を再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午後零時二十一分休憩 ————◇————— 午後零時五十分開議
○上村委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質議を続行いたします。西宮弘君。
○西宮委員 提案されました法案についてお尋ねをいたしますが、まずきわめて形式的な、同時にまたきわめて初歩的なお尋ねをしたいと思うのでありますが、まず第一に、航空機強取等防止対策云々と、こういう法律なのでありますが、この航空機の強取ということがあり得るのかどうかという点であります。たとえば、刑法の二百三十六条には、財物を強取するという条文がありますけれども、これはもう間違いもなしにその財物を強取をするわけです。つまり財物を奪ってそれを自分のポケットに入れてしまう、こういうことになるわけだけれども、航空機の場合、強取するというようなことが実際にあり得るのかどうかということをお尋ねします。
○伊藤(榮)政府委員 例を挙げて申し上げますと、数年前に起きましたドバイ・ハイジャックのときには、航空機を最後は爆破してしまいました。こういうのはまさに強取の形態になるのではないかと思います。一般的には運航支配という形態にとどまる場合が多いと思いますが、強取がぴったりくるような形態もただいま申し上げますように考えられると存じます。
○西宮委員 いままで過去に起こった例の中で強取に該当するというのはその爆破をしてしまったという一件だけではないか。しかし、これは強いて言うならば航空機の爆破であって、強取——強取というからには相手方の抵抗を排除してある物件を取得をする、財物を取得をするということでしょうから、そういうことは少なくとも航空機の場合にはあり得ないというふうに考えるのですが、今回の法律の提案理由——法務大臣の説明でありますが、その中には「最近の航空機乗取り事件においては、航行中の航空機を強取した上、乗客等を人質として、」云々と、こういうふうにうたわれておるわけですけれども、こういうふうに強取をした上に乗客を人質にするというようなことがあり得るかどうかということですね。
○伊藤(榮)政府委員 提案理由の御説明の中で「航空機を強取した上、」と、こういう言葉が出てまいります。この強取というのは航空機の強取等に関する法律第一条に言います「航行中の航空機を強取し、又はほしいままにその運航を支配した」というのをまとめて強取、こういうふうに言っておるわけでございまして、航空機を完全に自分の支配下に置いてしまった、こういう状態を申しておるわけでございます。そういう支配下に置いた上で、その中に乗っておる人たちを人質にして何らかの要求をする、こういうことを御説明申し上げておるわけでございます。
○西宮委員 そういう形式論にいつまでもこだわるつもりはありませんけれども、法律の形態としては、いま局長が言われたような強取と、それからほしいままに運航させるというのとは別建てになっているわけですよ。そして、いわゆるほしいままに運航させる、それによって後に掲げたような事件が起こるということはあり得ると思うのだけれども、強取をして、そのために後に書いてあるような問題が起こってくるということはあり得ないので、これは法律の形式としては、体裁としてはまことにおかしい。飛行機を勝手に使うというのならば、まあ使用窃盗という言葉もこういう場合に当てはまるかどうかかなり疑問でありますけれども、しかし観念的にはむしろ使用窃盗に該当するものではないかというふうに思うわけです。そして、使用窃盗の場合ならば、これは無罪だというのが大方の議論のようです。したがって、そういうのをいま局長の答弁のような形でひっくるめて答弁する、あるいはひっくるめて考えているということは少しおかしいんじゃないかと思うのです。もう一遍だけ答えてください。
○伊藤(榮)政府委員 どうもお言葉を返すようで申しわけございませんが、タクシー強盗と言います場合も、タクシーぐるみ取る場合と、タクシーに乗っかって運転手の意に反するところへ行かせて、もって不法の利益を得るという場合とあるわけでございまして、そういった両方の場合をひっくるめた概念として強取という言葉を使っておるわけでございまして、世間常識的な言葉の使い方からいたしますとやや異和感があるかとは存じますが、ひとつ法律用語として使っておりますので御容赦をいただきたいと思います。
○西宮委員 これ以上この問題は論じないことにいたします。 次は第二条でございますが、第二条を修正いたしまして「前条第一項又は第三項の罪を犯し、よって人を死亡させた者は、死刑又は無期」こういうことになっておるわけであります。いわゆる結果的加重犯と称されるものでありましょうが、特に第二項を除いたのはどういう理由ですか。
○伊藤(榮)政府委員 ハイジャックの機会に人に死をいたしますと、第二条のただいま御指摘の規定で加重類型が生じてくるわけでございます。それから、従来二項でありましたものが今度第三項になりますので、その未遂罪、これについての結果的加重犯も第二条の適用がある、こういうことでございますが、ハイジャックをした者が人質をとって強要するという行為につきましては、無期または十年以上の懲役ということで今度処置をするわけでございます。そういたしますと、この機会にたとえば要求の手段として人を殺すという場合には刑法の殺人罪の方へ戻ってまいりまして、それで処断をする、こういう考え方でございます。
○西宮委員 それで第二項でありますが、これは義務のない行為あるいはまた権利を行わない、こういうことを要求する、これはもう要求しただけで構成要件は満たされる、こういう解釈ですか。
○伊藤(榮)政府委員 要求が当該第三者に到達しましたときに既遂になる、こういうふうに考えております。
○西宮委員 その次は、航空機の強取等の処罰に関する法律、それの第五条のいわゆる国外犯の問題であります。刑法の第二条に国外犯の規定がございますけれども、それを援用するということになっておりますが、日本の刑法はいわゆる犯人の属地主義をとっている、属人主義というのはきわめて例外の場合にしかない、こういうことになっておるわけです。そこで、刑法の二条はいわゆる保護主義だ。日本の国益を保護する、そういう点を中心にしている。それで、今度このハイジャックの問題で取り上げられた考え方はいわゆる世界主義だ、こういうふうに言われておるようでありますが、そういう解釈でよろしいのでしょうか。
○伊藤(榮)政府委員 全世界におきますこの種事犯に対する厳しい姿勢、これを反映したという意味におきまして、世界主義というふうに理解しておるわけでございます。
○西宮委員 警察からどなたかおいでですかな。——もしそういう世界主義、特にハイジャック等に対する対策として世界主義というようなことが考えられるとすれば、ICPOのいわゆる相互主義、この点について日本の責任をもう少し強化することが当然あってしかるべきだと思うのですけれども、その点はいかがでしょうか。
○新田説明員 お答えいたします。 捜査活動を国外に及ぼす場合には、原則的には外交ルートでやっておりますが、ほかに補完するという意味でICPOルートを使ってまいりました。 やっておる中身は、たとえば日本である種の犯人がつかまった、その者が持っているパスポートが正当であるかどうかを外国に問い合わせるということがほとんどでございました。また、向こうから問い合わせてくるのもそういう事項が多うございました。しかし、このICPOルートでいろいろ問い合わせることの中に、あるいは要請することの中に、外国に逮捕あるいは身柄の拘束を依頼するというやり方もございましたが、わが国は外国からそういう依頼を受けてもそれだけの依頼で身柄を拘束するという方策をとっておりませんから、わが国もそういう依頼をいたさなかったわけでございます。 しかし、今回の事案を見、あるいはそういう方策があるならばこれを利用することも考えるべきであるという観点に立ちまして、外国にお願いする以上わが国もそれに対応する方策をとるべきだといういわゆる相互主義の立場から、何かその辺のことについて知恵はないものかということで検討することといたしておるわけでございます。
○西宮委員 国外犯の場合、第五条で刑法の二条を援用している問題ですね、これは日本の国外で、およそ日本とは何の縁もゆかりもないところで行われた犯罪で、それが日本に強行着陸したということになれば、これは完全に日本の法律で処置をするわけですね。これが第五条、刑法の第二条と思うのであります。そういう考え方ならば、いわゆる世界主義ということが、このハイジャックの問題等を論ずる場合には当然考えなければならぬ問題だと私は思うのですね。そうすれば、いまの警察庁のお答えにもありましたけれども、そういう点をさらに徹底させ、あるいは具体化していって、日本も協力する、そのかわり外国からも協力をもらう、こういう体制を確立をしなければならぬと思うのです。 まず刑事局長に、先ほど私が申し上げたことに誤りがないかどうか——つまり、およそ日本とは何の縁もゆかりもない問題が国外で起こった場合でも、この法律に規定されたようなこういう事態が起こったならば、その犯人が日本に到着したときには直ちに日本の法律をもって処断をするという解釈で間違いがないのかどうかということと、第二は、ハイジャックに対する対策についていわゆる世界主義をとっている以上、警察関係においてももっと積極的に逮捕に協力すべきだという必要については警察庁の方から伺いたい。
○伊藤(榮)政府委員 前段の件は、いま仰せになりましたとおりでございます。 ただ、言葉にとらわれるようでございますけれども、地球上のどこでどこの国の人間がハイジャックを犯しましても、それはわが国にとって縁もゆかりもないというふうには考えない、地球上の人間の一人として憎む、こういう考え方でございますが、おっしゃいました実態はそのとおりでございます。 それから、世界主義の担保という観点も含めまして、捜査段階における諸外国との共助が非常に重要なことは申すまでもないわけでございます。その端的な場合を挙げますと、これは警察の方の持ち分のこととは思いますけれども、たとえばICPOを通じて逮捕してくれというような手配が来ておるという場合に、わが国にはこれに対応する法律が現在ございません。そういう意味で、こちらからも向こうに逮捕してくれとまでは頼みがたいという事情があるということを警察の方からも伺っておりますので、その辺につきまして、たとえば逃亡犯罪人法の仮拘禁の制度をある程度幅広く活用する等の方法で何らか対応できる道はないかということで、現在、警察その他関係当局と鋭意検討を開始しておるところでございます。
○西宮委員 ちょっと質問がそれるきらいがありますけれども、いま刑事局長から、世界じゅうに起こるハイジャック事件は日本と全く無縁ではない、そういう犯罪を憎むという立場から物事を考えるのだ、こういうお話があった。私はそのいまの考え方は正しいと思うのですよ。これはいわば人類の敵として認識をする、こういう考え方だと思うのです。学者などによっては、もう国家時代とか民族時代は過ぎて、いまやまさに人類の時代が来たのだ、こういうことを言う人もあるわけであります。そういう点から言うと、いま局長の言われた考え方は私も共鳴します。 そこで、大臣にお尋ねをしたい。これは前回も繰り返しお尋ねをしたのですけれども、いわゆる人権の問題です。人間が人間らしく生きるという問題これは人類の基本的な問題だ、したがってそういう問題については決して国境によって区別をすべきではない、こういう点を私はあの際にも述べたつもりなんですけれども、いま伊藤局長の答弁を聞くに当たってさらにそのことを思い起こすわけです。大臣、いかがですか。
○瀬戸山国務大臣 御承知のとおり、現在世界は狭くなったという言葉が適当かどうかわかりませんけれども、実際問題として狭くなった状況でございます。ハイジャックなどというのはいつどこで起こるかわからない。世界を舞台にして起こる可能性のあるものでありますから、こういう人類に非常に迷惑をかけるようなことに対して、世界全体が同じ考え方で処置をしないと根絶ができないというふうに考えますので、西宮さんと同じような考えを持っておるわけでございます。
○西宮委員 ありがとうございました。大臣のお考えはよくわかったのですが、もう一遍私はそのことを繰り返しておきたいと思うのです。 地の果てで起こったハイジャック、そこには日本人の乗客が乗っているわけでも何でもない、したがって日本の国民とか日本の民族とかという点から言うと何の利害関係もない、しかし、いやしくも人類に挑戦してきた犯罪である、そういう立場からとらえるべきだという大臣の御見解に対して私は敬意を表します。先般繰り返し申し上げた点でありますが、人権の問題、人間が人間らしく生きるという問題はまさに人類的な課題だと思いますので、人類を対象にした問題に対してはぜひそういう立場で対処していただきたいということを強く申し上げておきたいと思います。 もう一遍、きわめて次元の低い問題に返りますけれども、危険を生じさせる云々の法律の第一条でありますが、従来の二年を三年に延長した。なぜいまの時期にこういうことをやらなければならなかったのかということです。 この法律は、二年という規定をつくったのが昭和四十九年であります。したがって、まだごく新しい条文なんだ。いまこれを三年に延長するというのは、いかにもとっぴな感じがするわけですね。条約には、ハイジャックに関する処罰規定は重くしろ、刑を重科しろ、こういうことが条約の中に定められております。したがって、ハイジャックに関する規定を重くするということは、条約を施行する立場からすれば当然だと思うのでありますが、ただここで、わずか三年ほど前につくった法律をいまあわてて延長するというのはさっぱりわからないというふうに私は実は思うのですが、いかがですか。
○伊藤(榮)政府委員 ただいまごらんいただいております法律は、おっしゃいますように数年前にできた法律でありますが、お挙げになりましたこの第一条の規定は、もともと航空法にございましたものをこの法律をつくりますときに移しかえたものでございます。その航空法にこの罰則ができました当時は飛行機も余り大きくございませんでしたし、結局刑法百二十五条にございます汽車、電車、艦船に対する往来危険罪の法定刑との均衡を考慮して定められたように承知いたしておるわけでございます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、航空機が日進月歩いたしまして非常に大きくなる、したがって多数の乗客を搭乗させて空中を飛行するという点におきまして、ただいま挙げました汽車、電車、艦船等とは格段に特殊な存在になってきておりますし、一たんこれが墜落等の事態を生じました場合には、汽車、電車等と比較いたしますと一層深刻なものがあろうかと思うわけでございます。 そういう時代の変遷が一つございましたのと、それから最近のハイジャック事件を見ますと、犯人が乗っ取った航空機の操縦士を強要いたしまして、いわゆる管制塔からの指示を全く無視して夜間離陸、夜間着陸を強行するという事例があるわけでございます。このような事案も、具体的事案によっていろいろ状況はあろうかと思いますが、多くの場合、ここに申します航空の危険に当たる行為ということになるというふうに考えられるわけでございまして、これらの点を考慮いたしますと、必ずしも二年というのは今日的ではないのではないか。さらに、今回御審議の中心となっております第四条の持ち込み罪を設けまして、爆発物の持ち込みの法定刑の下限を三年といたしましたこととの均衡も考慮いたしますと、この際三年というふうにいたすのが適当であると考えたわけでございます。
○西宮委員 いま局長が挙げられた例のような、無謀に夜間に発着をするといったようなことが行われるとするならば、それはとても二年を三年にふやしたからといって、それじゃもうそういう無謀なことはやりませんという気持ちにはとうていならないと思う。だから、私はそんなのは例に挙げる必要もない、あるいは例に挙げることは不適当だと思うのですね。 そこで、大臣にお尋ねいたしますが、このハイジャックについては刑を重くするということは国際条約でもありますから、それは国際条約に従うのに忠実なやり方だと思いますけれども、ただ、刑を重くするということによってハイジャックを未然に防止できるかということになると非常に疑問がある。なぜならば、彼らはいわば違法性の認識なんというのは全く持っていないわけですね。同時にまた、うまくやれば自分の身は安全なわけですよ。そういう際に、どんなに刑を加重してみてもそのことは抑止力にはならないということが言えると思うのですが、大臣いかがですか。
○瀬戸山国務大臣 お説のように、ほかの種類の犯罪も大体似たようなことであると思いまするが、刑罰の軽重だけでその犯罪を未然に防止するということは万能ではないと思っております。しかし、刑罰といいますか、罪種の態様に従って、それに対する一般的予防を期待し、また道義的責任も問うということは、やはりほかの犯罪との均衡を考えながら刑量を定める、これはやむを得ない事態ではないか、かように考えております。
○西宮委員 先ほど稲葉委員が質問をされましたので、私は繰り返しませんが、重複になるおそれがありますが、対策本部では、この次は死刑を採用しよう、こういうことを決めたということが新聞に報道されております。 瀬戸山法務大臣は、予算委員会でこういうふうに答弁しておる。「ハイジャック防止法等において、仮に殺傷したときには死刑の科刑がありますけれども、そうでない単なるハイジャックのような場合には、これは最高無期刑になっておるわけでございます。最近のこういう犯罪の状況を見まして、そういうことではこれは根絶を図ることはできない、かように私ども考えております。」こういうふうに答弁をしておられるのですね。つまり、ハイジャックの場合に、人を殺傷すればそれは死刑になる、しかし単なるハイジャックならば最高でも無期だ、こんなことじゃとうていこの種の犯罪の根絶を図ることはできない、こういうことを述べているわけですね。 これは、いま出しておる法律とは矛盾するわけです。その点はいかがなんですか。
○瀬戸山国務大臣 その点に対しては、先ほど稲葉さんでしたかにもお答えをしたわけでございますが、同じああいう種類のハイジャックの状態を見ましても、いろいろな態様がある。非常な危険な状態の場合もあるし、それほどでない場合もある。まあ犯罪には、同じ種類のものでも非常に軽重の度合いがある。でありますから、ひっくるめて無期以下でよろしいかということに疑問がある。そういう問題については各方面からも意見があるわけでございます。しかし、先ほども申し上げましたように、死刑という極刑はこれはもう人命を断つわけでございますから、軽々には考えられない。そういうこともありまして、もう少し根本的に研究する必要がある、こういうことで申し上げておるわけでございまして、まあしかし、そういう、仮に人命を損なわないハイジャックでも、人命を損う程度の強烈なハイジャック——今度の場合はそれに当たるような気もいたすわけでございます、そういう場合もあり得るということで、死刑、無期または十年以上という刑罰規定もあり得るのではないか。しかしそれは、くどいようでありますが、死刑の処罰というものについては、近代刑法ではだんだん減らす方向に行っておりますし、法制審議会等によく諮って、よければ御提案しなければならない、そういうことで、今回の場合にはまだそういう余裕がありませんので、いまの状態で御審議を願っておる、こういうことでございます。
○西宮委員 刑を重くしただけでは対策にならない、一番大事なことは彼らに避難場所を提供しないということだと思うので、つまり、こういう犯罪を犯して、最後に安全な場所に逃げ込むということのないように、それを遮断するということにあることは当然だと思うのですね。これは外交その他の問題になりましょうから、そっちの方で極力そういう将来の対策を練ってもらいたいと思うのですが、それに関連いたしまして、外務省の方にお尋ねをいたしますが、この間、アルジェリアに最後に行った場合ですね、犯人の引き渡しあるいは身のしろ金、これらを外務省は返還要求をしなかった、外務省はきわめて軽率にもそれは要求いたしませんと、こういうことを言ってしまったために、あの犯人は引き渡しがされない、あるいはまた金は返ってこない、こういうことで、自民党の中で、あるいはまた四日でしたかの閣議に、二時間半の閣議で大変な混乱が起こった、こういうことが新聞に報道されておるのですが、私は、これは素人考えですけれども、ぜひ教えてもらいたいのですが、あの場合には、外務省がその権利を放棄すると否とにかかわらず、日本政府は当然に要求するというようなことはできないのじゃないか。つまり、あの飛行機の車輪がアルジェリアの土地に触れたらもうアルジェリアの主権が及ぶのだ、アルジェリアの主権が支配するのだ、したがって、それに対して日本政府は要求はできない、だから外務省の事務当局があらかじめあれを放棄してしまったからできないのだ、そういう筋合いのものではないのではないか、もともと日本にはそういうものを要求する権利はないのだ、こういうふうに理解すべきだと思うのだけれども、時間が少なくなってきたので簡単に答えてください。
○多田説明員 お答え申し上げます。 本件のハイジャック機、日航機がアルジェリアに向かいまして、これをアルジェリア側が受け入れるに当たりましては、日本政府において犯人及び身のしろ金の引き渡しを要求しないということを条件に受け入れを受諾した経緯がございます。したがいまして、日本政府としては、今後は裁判管轄権と犯人に対する身のしろ金の返還請求権があるということを考慮して、アルジェリア政府が犯人と身のしろ金を返還することを希望して、先方が引き渡す用意がある場合は日本としては引き受ける用意があるということを先方に申し入れてございます。 それから、犯人の動向につきましては逐一情報を提供していただくように、もう一つは、身のしろ金につきましても新たなテロ行為等に活用されないように御配慮いただきたいということもアルジェリア側に申し入れてございます。
○西宮委員 この問題も非常に大事な問題で、もう少し突っ込んで議論をしたいのですが、時間がなくなりましたので矯正局長にお尋ねをいたします。 今度の犯人の中に泉水博、仁平映ですか、いわゆる刑事犯が二人含まれておったわけですね。新聞等に報ぜられるところによりますと、彼らは刑務所内において待遇改善要求闘争をやっておった。獄中者組合というようなものを組織してそれをやっておった。したがって、その点を赤軍派の方から評価されたのだというふうに新聞は報じておるわけですが、そのとおりでしょうか。
○石原(一)政府委員 目下調査中でございまして、詳しいことを申し上げる段階には至っておりませんが、獄中者組合の結成に関する動きの対象者であったということは事実でございます。そのうち御指摘の泉水につきましては、千葉刑務所に在監中に別なことで刑務所の管理部長を刺傷するという事件がございました。そのために二年六カ月の懲役刑が無期懲役のほかに科せられているのでございますが、そういう点から、あるいは対監獄闘争の先兵であるというような見方がされたのではなかろうかとも考えるところでございます。
○西宮委員 もしそうだとすると、これは他にも波及する、そういう危険性が多分にあると思うのでありますが、例の重信房子は、われわれはアウトローの人間にも提携を求めるのだ、そういう意味のことをすでに声明しているわけですね。いわゆるアウトローの人間まで抱き込んでこれからの闘争をやっていく。こういうことになるとなかなか容易じゃないと思うのですけれども、今後の見通しと言ってお尋ねをしても無理だと思いますけれども、いま刑務所内の状況はどうなんですか。いま、泉水が待遇改善の先兵になって闘ったという話でありますが、そういうことが絶えず起こり得るような状況にあるのかどうかということをごく簡単に答えてください。
○石原(一)政府委員 御指摘のような事実の起こらないようにいたしますのが矯正の任務でございますので、最大の努力を傾けているところでございます。
○西宮委員 そう言われてしまうとこれ以上追及のしようがないのだけれども、とにかく刑務所の中でそういう不満分子が跳梁するということが許される状況ということだと、この問題は決して後を絶たないという懸念があるので、これは法務大臣も、お聞きになっただけで結構ですが、ぜひ重大関心を持ってもらいたいと思います。何分にも日本の監獄法というのは非常に古い法律で、したがっていろいろいまの時代には合わない問題等を内包しているために、よけいそういう問題が起こるのじゃないかという懸念があるわけです。そして、そういう凶悪犯人までが日本赤軍の隊列に編入されていくということが次々に起こってくるというようなことになったら大変であります。 そこで、その次の問題は、要するにこういうハイジャックなどが起こらないような環境を整備していく、そういう土壌をつくっていくということが大事な問題で、これは特に大臣なども最も注意を要する問題じゃないかと思うのです。今度の問題でも、たとえばロッキード事件であるとか、いわゆる韓国癒着の問題であるとか、天皇制という問題も取り上げておりますけれども、そういう問題を理由にしておるわけですね。あるいは、あのハイジャックの犯人が、アルジェリアに着陸する直前に、われわれの作戦は日本帝国主義に対する庶民の反抗であった、こういう声明書を朗読したというふうに新聞は伝えておるのでありますけれども、こういうことで、この言葉のとおりであるとすれば、彼らは、われわれは単なる一庶民だ、だからいまのような日本の、たとえばロッキードにしても韓国にしても、そういう問題がある限り、庶民の感覚として黙っておれないのだ、こういうことをやるのはあたりまえなのだ、こういう感じしか持っておらないと思うのです。これはまことに重大問題だと思うのですね。 そこで、大臣が一番大事にしている法律を尊重するということに対して、法を無視するという風潮が生まれてくるという根拠は何であるか。ロッキード問題、韓国問題などもそのティピカルな例の一つだと思いますけれども、私は先般来、新大臣になりましてからも丸正事件というのを取り上げてお考えを願ったわけですけれども、ああいういわゆる冤罪事件なんというのがまかり通っている。これは丸正事件に限りません、この前の大臣のときには島田事件というのを例に出したこともありますけれども、裁判官でも検察官でも、あれが罪人じゃないということは、恐らくいま考えたらわかるのだろう、これは全く文句なしにわかるのだろうと思う。ただそのとき非常に周囲の情勢が厳しくて、早くその犯人をつかまえろ、民心が非常に不安、動揺しているというようなことから、せっぱ詰まってああいう結果になってしまったのだと私は想像するのですが、そういったような事件で、本来犯人でない者が犯人にされてしまっているというようなことなどがあると——これは単に犯人だけではない、近ごろは若い人たちがそういう冤罪者を救えというような運動にずいぶん決起しております。そういうのが救われないでそのままに終わってしまうというようなことになりますと、恐らくそういう人たちは、絶望の余り同じように、それじゃこっちもこっちだという気持ちで法を無視するというようなことになるおそれが多分にある。したがって、この冤罪問題なんというのはそういう観点からも本当に慎重に扱ってもらわなければならぬと考えておるわけであります。後で時間の許す範囲で大臣にお答えをいただきたいと思います。 もう一つだけ、時間がいっぱいになりましたので取り上げたいのは、この間の事件に対して、世界の世論は相当日本に冷たかったわけでありますが、そのうちの一つ、特にイギリスのザ・ガーディアンの九月三十日の新聞でありますが、あれなどは全くわれわれが読んでみてもなるほどと思うようなことがたくさん書かれているわけですね。つまり「ゆすりと人質」ゆすりと人質というのは、日本の社会の中で完全に根づいてしまっているのだ、日本の社会がゆすりと人質になっておるのだ、こういうことでいろいろな例を挙げている。たとえば企業に対する総会屋の存在とかたくさんの例が挙がっておるわけですが、あれなんかゆすりの例でありましょう。それから人質の例として特に興味を持って読んだのは、徳川三百年の間、大名、小名の夫人を東京に人質として置いておいたではないか、それによって徳川三百年は安泰であり得たのだ、こういう例を挙げて、日本の社会においては人質というのはこれはあたりまえなんだ、日本人はそういう感覚しか持たないのだ、そういうふうに論評しているわけですね。そういうふうに断定して論じている。 私は、こういうことはまさに重大問題で、これはぜひとも今後、必ずしも法務大臣の所管とは言いかねるかもしれませんけれども、さっき申し上げた冤罪の問題、ロッキード、韓国の問題等、あるいは最後に申し上げたような問題等についても、ぜひ大臣としてお考えがあったらば聞かせていただきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 日本赤軍と称するグループが、彼ら一流の考え方に基づく意見を発表しておることは、いまおっしゃったとおりでございますが、わが国が帝国主義——帝国主義というのはいろいろあると思いますけれども、帝国主義云々というのは非常な曲解であると思います。ああいう特殊な人はまさに一小部分であります。先ほども申し上げましたように、一億一千万の国民が、日本が帝国主義でいわゆる庶民が非常にいじめられておる、こういう感覚は私はないものと思っております。ほんの一小部分であります。しかし一小部分にいたしましても、とにかく不平不満があるということはどこかに欠陥がある。でありますから、政治も経済も、あるいは教育も、あらゆる面で国民の中に不平不満が多くならないように各方面に気をつけるのは当然のことでございます。さように思います。 それから、いま二、三の裁判のお話がありましたが、そういう過去における裁判が確定いたしましたものについて、それを冤罪であるとかなんとかいうことはここで申し上げる立場でありませんけれども、法律の執行はまさに真実を求めてやるべきものである、こういうことは当然のことでございます。
○西宮委員 私も彼らの行動を是認しているわけではもちろんないのです。さっきの問答の中でも申しましたように、むしろ人類の敵だというふうな法務省の見解も私は当然だというふうに申し上げたので、彼らのやり方を賛成しているわけではもちろんありません。 ただ、そういうものが生まれてくる背景、環境、土壌、そういうものを根絶をして、本当にそういうものが起こらないようなきれいな社会をつくってほしい、こういうことを申し上げたわけですから、十分御了解願いたいと思います。
○上村委員長 次に、高橋高望君。
○高橋委員 時間がございませんので、いきなり問題に入らしていただきます。 今回の九月二十八日の日航機のハイジャック事件は大変大きな衝撃を与えたし、また少なくとも日本人で物を考えることのできる人はすべてこのことに考えをめぐらしたと思います。 そこで、まず冒頭、大臣にお伺いしたいのですけれども、この犯人に対する取り扱いと国家の存立、名誉、この辺の関連について、今回の一連の対策を振り返られ、また現在もその対策を立てられておると思いますけれども、基本的なお考え方をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 基本的な考え方ということをどういう趣旨でおっしゃったか、ちょっと理解しがたいところがあるわけでございますが、今度の事件は、しばしば申し上げておりますように、ああいう異常な状態の中で百数十名の乗客あるいは乗員を含めて何とか生命を救いたいものだ、これは私は、憲法政治下において生命を尊重するというのが法治国の大原則であると思いますから、そういう意味でいわゆる超実定法で措置するということで措置をとっておる、これは私はやむを得ない事態であった、かように考えております。しかし、もちろん人命は最高度に尊重しなければなりませんが、そのために、いま申し上げましたように憲法で原則を決め、それに基づく法律、規則を決めて、すべての国民が平和で安全で自由に活動のできるという仕組みをしておる、これが現在考えられる範囲では最良の方法であるといういわゆる社会組織といいますか、国家運営の方式をとっておるわけでございますから、人命尊重というのはそういう原則から来ておると思います。でありますから、その根本が崩れるというような事態があれば、根本を崩してはならないという大原則に従って措置をとるべきものである、かように考えておるわけでありまして、高橋さんがどういう趣旨でお尋ねになりましたかわかりませんが、われわれはさような考えを持っておるということを申し上げておきます。
○高橋委員 大臣、私がお尋ねしたいのは、実はいまのお話からもうかがえることは、人質になった方の人命尊重に対する御配慮、これはよくわかります。しかし、いわゆる犯人と呼ばれている人々に対する、この種の人に対する考え方、この辺を実は伺いたいのです。 と申しますのは、少々長くなりますが、彼らの一連の行動というものを振り返る必要があるのじゃないか。というのは、御承知のとおり安田講堂事件の五カ月後に、すなわち一九六九年五月に、彼らは前段階の武装蜂起を唱えました。ある種の戦争宣言であろうと私は解釈します。当時、この宣言がなされたにもかかわらず、日本人のほとんどの人が事態の深刻さを気づいてなかった。あえて言えば気違い扱いをしていたのがその姿勢であったかと思います。しかし、その後いわゆる「よど号」のハイジャッカーたちを生んだ。「よど号」事件を引き起こした。それでもまだ日本国民全体は将来を懸念するところまでには至らなかった。そして、国際テロ団と接触が始まり数多くの不法事件を起こしても、なおかつ国民の多くというものはその実態を知らなかった。こうした彼らの実態というものを考えたときに、国自体のあり方として、こうした犯人に対する生命の問題というものに対して基本的なお考え方を何かお持ちにならないかと、私はそこをお伺いしたいわけなんです。いかがでございますか。
○瀬戸山国務大臣 先ほど申し上げましたように、憲法、法律、これは国民の国家運営の仕組みをつくっておると思います。そこで、そういうものを破る国民といいますか人、これも人命の一つでありますが、そういう大原則を破ってみずからの野望を達成しよう、これは尊重に値しないと私は思います。そのためにこそ刑罰規定があって、場合によってはそういう重罪な犯人は生命を断つという法律があるのはそこにあると思いますが、同じ生命でも、全体といいますか、憲法、法律が求める生命を傷つけるというような——同じ生命でありますけれども、そういう犯罪人に対しては生命の尊重は疎外される、かように考えております。
○高橋委員 そうであれば、大臣、今回の法案の原案ともいうべきものに死刑が盛り込まれなかった、この背景はどのように御説明いただけますか。
○瀬戸山国務大臣 これもしばしばお答えしておるわけでございますが、ああいう事件に対していかなる刑量、刑の量を決めるかということは立法上の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、人の生命を断つ最高科刑というものは慎重の上にも慎重を期さなければならない、これは大原則であると思います。と同時に、世界の趨勢といいますか、近代刑法の進行を見ますると、やはりわれわれは生命尊重のためにいろいろ努力しておる、諸制度をつくっておるわけでありますから、可能な限りといいますか、できるだけ死刑という極刑は少なくしなければならない、こういう傾向にきておることは御承知のとおりであります。わが国の刑法改正草案、御承知のとおり法制審議会から答申を受けましたいわゆる全面改正の刑法の中でも、相当従来の死刑に当たる刑から死刑を削除しておる——これは案であります。そういう傾向は、やはり人類がこれほど苦労しておるのは生命をうまく生かす、こういうことからきておると思うわけであります。でありますから、やはり死刑を刑量する場合には慎重の上にも慎重を期するというのがわれわれは当然の考え方といたしております。 ただ、一つの新しい犯罪の類型をこしらえます場合に、どういう科刑、刑量をもって臨むのかということは非常にむずかしい問題だと思います。やはりその犯罪によって与えられる社会的影響、こういうことが第一にあると思いますが、あるいは国民感情、これはもちろんでございます。あるいは他の犯罪との均衡と申しますか、そういうものを総合して決める。従来から見ますると、おおよそは、殺人その他の犯罪によって生命が断れたという場合には、道義責任的にあるいは社会秩序の維持から死刑をもって臨む、こういうのが傾向でございますが、いま提案いたしました場合に、まだこれは人を死に至らしめない場合のことを想定しております。しかし、おっしゃるように、先ほど申し上げました各方面にこのような非常に残虐といいますか、残酷な犯罪は許すべからざるものがある、こういう意見もあるわけでございます。そこで私どもはそういう意見もくまなければならないと思いますが、しかし事は非常に刑事政策といいますか、刑法面からいいますと重大な問題でありますから、そういう科刑をするという法律を制定しようとする場合には、法制審議会にかけて学者、実務家等、各方面の意見を徴して決めるという慎重な態度をとっております。今回の場合は、時間的余裕がないと言うとまことに恐縮でございますが、なるべく早く緊急対策をしなければならない、こういうことから、そういう時間的余裕を待つわけにはいかない。いまおっしゃるような意見もありますが、これはいま申し上げましたような措置がとれる段階で検討をしよう、こういうかっこうでいま臨んでおるわけでございます。先ほど来申し上げておりますように、こういう問題についても、あるいは飛行機以外のこの種事犯についてももっと立法措置を講ずべきであると考えておりますから、そういうものを含めて法制審議会等に諮って、間に合えば次の通常国会に御審議をいただきたい、かような考え方で進んでおるということを御了解願いたいと思います。
○高橋委員 この問題に多くの時間を割くわけにまいりませんので、次に移らしていただきます。 すべての事件の発生には遠因とそして発生があり、さらにこれに対して罰が行われるというのが一連の仕組みであろうと思います。今回のハイジャック事件の遠因をいろいろに求めることができましょうが、その一つに、私は犯人たちの最終学歴を考えた場合に、国立大学を含めて大学経験者が非常に多いということ、そしてこの大学の中における諸問題というものは一ころほどの取り上げられ方はしていないまでも、むしろある意味では頂点のままで、それで固定化したいわゆる大学の自治という名前のもとに、ずいぶんと一般社会とは遊離した状態が現在も残されておると思う。きょうは場違いかと思いますが、文部省の方にお見えいただいたので、現在の大学のこういった学生の一連の自治状況について、またそれに対する当局のあり方について御説明をいただきたいと思います。
○瀧澤説明員 大学の自治につきましては、これは大学におきます教育研究の自由を保障するための制度的ないしは慣行的なもろもろの仕組みのことを指しているわけでございまして、これは時代を問わず大学の発展のためにきわめて重要な原理であるというふうに考えておるわけであります。ただ、また一方で、その本来の趣旨でございます教育研究の自由を逆に阻害するような暴力的な行為等に対しては、やはり自治の名において断固たる態度をとるべきであるということももちろんだと思っておるわけでございます。そういう意味で、大学の自治という理念そのものが問題があるというふうには考えておりませんが、御指摘のように、従来、教授会を中心とします大学の運営のあり方に、いろいろな異常な事態に対して臨機の措置がなかなかとれないという実態があったことは御指摘のとおりであろうかと思います。 そういう意味におきまして、いま各大学でそれぞれもう少し学長ないし学部長等のリーダーシップを確立し、適切な措置がタイムリーにとれるように運営上の工夫もいろいろ検討もされているわけでございまして、文部省といたしましても、そういう方向での各大学の御努力にできるだけの力を添えたいということで参っているわけでございますが、今後ともそういう面で大学の運営上、問題が極力少なくなりますよう、各大学とともに十分努力をしてまいりたいと思っている次第でございます。
○高橋委員 ずばりお伺いして、現在の情勢に対しての御認識としては、これに対してもう少しいろいろと声を出すべきだというふうに御判断なさっておられますか、それとも現在のままにしておこうとお考えになっておられますか。
○瀧澤説明員 現在の状況で満足であるとは思っておりません。大学の運営の仕組みにつきましては、たとえば学長のリーダーシップを強力にするという意味で副学長制を設けるとか、あるいは運営につきましてもすべて教授会で万事決するというだけではなくて、各種の委員会制度を設けてもう少し機能的な、機動的な対応ができるようにというような努力も続けてまいっておるわけでございまして、現状で決して満足とは思っておりませんが、なおこういう方向でできるだけの努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○高橋委員 時間の制限がございますので先に移らしていただきます。 ハイジャックの国際間の防止に対するいろいろな考え方が展開されようとしております。特にいま問題になっておりますのは、よく言われるように、ハイジャック防止三条約、この未加盟国に対する加盟の呼びかけということを大きく取り上げているかと思います。もう十分御承知のように、東京条約それからハーグ、モントリオールの各条約三つがあり、これに対して加盟を呼びかけるということになっておりますけれども、私、この三つの条約を私なりに読ませていただいた範囲内でわかることは、モントリオール条約になりましても、なおかつ、これを不履行の場合の各国に対する罰則規定が十分にないように思います。逆に言えばこの辺で合意が行われてないように思いますが、外務省御当局この三条約に対する取り組み方、国連における現在の状況等について御説明いただきます。
○大川政府委員 まず罰則の方から先に申し上げたいと思いますけれども、モントリオール条約にもそれからもう一つのハーグ条約にも、こういう犯罪行為を行った者には重刑罰を科する趣旨の規定がありまして、各国ともそれを受けまして国内法でそういった規定を設けております。 この条約を履行しないという御質問でございますけれども、たとえば問題はむしろこの条約に入っていない国に対して何らかの制裁……
○高橋委員 いえ、違うのです。私が申し上げますのは、国連加盟国に対するすべての強制加盟とか、あるいは義務不履行の場合の制裁条約が十分じゃないんじゃないか、このことでございます。
○大川政府委員 それでございましたら、実はちょうどいまから四年前に国際民間航空機関、ICAOの主催で、まさしくこういった条約に入らない国に対して何か制裁措置をとれないかどうかということで、制裁条約のようなものをつくろうという動きがあったのでございます。ところがいろいろ議論がございまして、なかなかそこで意見の一致を見るに至らずに、その試みはそのときは失敗に終わったといういきさつがございます。そういう思想はありまして、何とかそういうような思想を今後とも受け継いで、この三条約の効果を確実なものにしていく国際的な努力は必要かと思いますけれども、過去の経緯につきましてはそういうことがございます。 それから、最近におきます国連あるいは国際民間航空機関における三条約加盟促進のための動きについて簡単に御報告申し上げますと、まず先般の日本航空機のハイジャック事件が起こりましたとき、たまたまモントリオールの国際民間航空機関の総会が開かれておりまして、JALの事件を受けまして、日本時間で十月六日だったかと思いますけれども、モントリオール条約、ハーグ条約に対する加盟を強く呼びかける趣旨の規定を含んだ決議が満場一致で採択されました。日本もそのときにはその決議の作成に積極的に関与いたしております。その後に、十月十八日に至りまして、国連総会を目下ニューヨークで開会中でございますけれども、そこにおきまして国連事務総長が国際民間航空の安全という議題を取り上げることを示唆いたしまして、日本を含む四十二カ国でもってそういう追加議題の上程を要求しまして、それからその決議案の作成にかかったのでございますけれども、その初期の段階で日本自身が決議案のテキストを出しておきました。それやらほかの国の考え方がいろいろ合流いたしまして、結局結論から申し上げますと、十一月三日に国連総会の本会議で、異議なしといういわゆるコンセンサス方式で一つの決議が成立いたしたわけでございます。 その内容を御披露いたしますと、ハイジャック行為等暴力による民間航空の妨害を強く非難するというのが第一点。こういう行為を防止するために、各国が空港においてあるいは航空企業による保安措置を改善強化すべきであるということと、それからハイジャック関係の関連情報等を交換する等の必要な措置をとるべく各国に呼びかけるのが第二点。第三点が、いわゆるハイジャック三条約未加盟国が速やかに加盟ないし批准することを検討するよう呼びかける。第四点が、国際民間航空機関がいわゆる保安安全面を取り扱ったICAO条約附属書の強化を含めていろいろ今後こういった行為に対する再発防止あるいは航空安全確保のための努力をすべきであるということを呼びかける内容でございます。 それを受けまして、今度は同じく十一月三日に、また場所を変えましてモントリオールの国際民間航空機関で緊急理事会が開催されました。これも国連総会のこの決議を受けて開かれたかっこうではございますけれども、実は日本がそういった緊急理事会を招集してもらいたいと申し入れまして開会に至ったわけでございます。その場におきまして、日本の代表が先般の日本航空のハイジャック事件の経緯を報告いたしまして、その結果日本の国内においてとった措置を報告いたしました。それから、今後国際民間航空機関を通じていろいろ協力を強化してもらいたいということで、数点につきまして日本から具体的な提案を出したわけでございます。それが出席国の支持を得まして、今後国際民間航空機関におきましていろいろそういったハイジャック防止のための具体的な措置が積極的に検討される下地ができた次第でございます。実は来週の月曜日、十四日にその理事会の通常会合がございますので、早速そこにおいてこれの進展が期待される次第でございます。
○高橋委員 御苦労はよくわかりますし、またそれぞれの国の事情の中でのことでございますから大変でございますが、どうぞひとつこの辺の御展開をなお一層お願いを申し上げておきたいと思います。 さらに、外務省の方に今度旅券のことでちょっとお伺いしたいのですが、私は数次旅券の発行というものが最近乱発されているように思われてなりません。いただいたこの旅券法の一部改正関係参考資料の中でも、だれが見てもわかることは、四十五年から四十六年にかけて数次旅券が一遍に、けたが違うようになっている。四十五年のときは四万五千百八十四きり発行されていないのに、四十六年になると四十一万九百二十六出ている。この異常な事態というか、こういう数字が出るのには、何らかの意味で発行に際してのいろいろの手続とかあるいは内部でのいろいろの御事情があってこういうふうに極端に数字がふえてきたと思うのですが、平たく言えば安易に出しているように思われますけれども、この辺、以来ずっと数次旅券がふえているという実態はどのような原因から出ているのでございますか。
○賀陽説明員 お答えを申し上げます。 先生御指摘のように、四十五年、四十六年の統計を比較いたしますと飛躍的に増加しているわけでございますが、これは、実は御高承のように四十五年に旅券法の改正がございました。当時、海外の外貨割り当て等が急速に緩和されましたので対外投資が大幅にふえたわけでございますが、それが反映しているわけでございます。 数次旅券と申しますのは確かにふえておりますが、これはやみくもに発給しているわけではございませんで、やはりその申請者の職業あるいは旅行目的、そういったものを慎重に審査いたしまして、本当に何回か往復する必要がある人たち、そういう人たちにしぼって発給をしてあるわけでございまして、端的に申し上げまして、渡航者の便宜という点においては評価していただいている制度であろうかと存じます。 ただ、先生御指摘のように、今回こういうような諸事件の対策として旅券法を見直すというような雰囲気になってまいったわけでございますが、それとの関連で何か考え直す余地はないか、こういう御指摘であろうかと考えております。私どもの方といたしましては、実は日本赤軍予備軍的なものに対する対策といたしましては、今回御提案をいたしておりますような旅券法の長期五年を二年にいたしますとか、あるいは返納命令の公示制度の導入であるとか、虚偽申請罪の罰則強化であるとか、そういうことでかなりの実効を期し得るのではないかと考えておりますが、御指摘のように、渡航者の便宜のためにせっかく四十五年に導入いたしましたこの数次旅券というものを、この際余り不当に制限をするということはやはり相当な慎重な対処が必要ではないか、かように考えております。渡航者の利益の保護と公共の福祉による制限との調和をいかに図ってまいりますかということが一つの問題でございますが、御指摘の点は十分勘案いたしていろいろ研究はいたしてみたいと思いますけれども、やはり全体のバランスに立ちますると相当な慎重を要する問題ではないか、かように考えております。
○高橋委員 時間が参りましたので、最後に感想だけ申し上げておきます。 今回の一連の法律案について、私自身考えて、率直に申し上げて、ないよりましだという評価の域を超えない。また国民の多くの方もそうだろうと思う。ですから、先ほど大臣のお話のように、次の国会、さらには将来にかけていろいろとまたお考えをいただくということで、それに期待いたしますけれども、現在の段階では、なぜか国民の願っていることとは少々遠のいた時点で処理されているように思われます。平ったく言えば、くつをはいて足の裏をかいているような感じがしないでもございませんので、今後の慎重な御審議の中からさらに国民の期待に合う法律の御提示を願いたい。またそれを私たち検討させていただきたいとお願い申し上げまして、私、質問を終わらせていただきます。
○上村委員長 次に、長谷雄幸久君。
○長谷雄委員 今回議題になっておりますハイジャック対策法案の審議につきましては、すでにこれまで関係各委員会で数多くの質疑がなされております。私はできるだけこれまでの質疑と重複を避ける方向で質問をしてみたいと思います。 初めに、今回のハイジャックが起きて以来学者やマスコミ等でいろんな論議がされておりますが、一口に言いますと、たとえば再発防止と犯人逮捕の国際協力をするように日本が具体的にリーダーシップをとるべきであるとか、あるいは乗っ取り犯人を受け入れる国をなくするような外交努力をなすべきである、あるいはその働きかけに日本がもっと積極的に取り組むべきである、こういうようなことが盛んに言われております。 そこで、私はそうした立場を踏まえて、特に今回のハイジャック事件が、これまでたくさんの委員から質疑がありました東京条約を初めとする三条約の未加盟国との間で起きていることにかんがみて、こうした条約への加盟がまだなされていない国と日本との外交関係がある国、ない国に分けてお尋ねをしたいと思っております。 この三条約についてまだ加盟をしていない国でありながら日本と外交関係のある国は現在どのくらいの国があるか、そしてその国の国情といいますかその状況について、傾向だけで結構ですのでお話しを願いたいと思います。
○大川政府委員 まず冒頭に申し上げたいのでございますけれども、いわゆるハイジャック関係三条約に三つともいずれも入っていない国が、実は数えてみますと五十四カ国ございます。加盟国数を順番に見ますと、東京条約は八十八カ国、へーグ条約が八十カ国、それからモントリオール条約が七十四カ国でございます。ということは、国連の現在の加盟国数は百四十九カ国でございますので、それの半数かそれよりちょっと多いぐらいの程度の加盟状況であるということで、これは決して満足すべき状況でないと思います。そういう関係から、実は私どももいろいろの場であらゆる機会をとらえまして、この三条約の未加盟国ができるだけ速やかにこれへの加入ないし批准を検討するように呼びかけている次第でございます。 そこで、お尋ねの国交がある、ないとのことでございますけれども、五十四カ国も三つの条約に入っておりませんので、その中でわが国が国交を持ってないという国はほとんどないような状況でございます。国交が仮にない国でございましても、国際民間航空機関のメンバーでありましたり、あるいは国連のメンバーである国もございますので、そういった国際機関の場を通じてそういう国々にこの条約への加入を呼びかけるということは十分できることでございますし、今後ともやっていく所存でございます。国名を一、二申し上げますと、この三条約の未加盟国で国交のない国としては、たとえば赤道ギニアとかあるいはカーボベルデ、これは二、三年前にポルトガル領から独立した国でございますけれども、そういったような国がございます。
○長谷雄委員 大多数の国とは国交関係があるけれども、三条約については加盟がなされていない、こういう御趣旨のようでございますが、大多数の国との外交関係がありながら、この三条約についていずれも加盟を見ていないという現状が一つは問題だと思います。私は三条約それ自体が完全無欠であるとは申しませんが、この条約に加盟しているということは少なくとも一歩の前進であることは明らかであるわけですので、せめてこの条約に加盟させる努力を、日本が未加盟国に対して外交努力を通じてなすべきである、こういうように考えておりますが、この外交努力について、前回五十年のクアラルンプール事件が起きて以来今日までどのような努力をなされたのか、簡単にお答えを願いたいと思うのです。
○大川政府委員 先ほど私が御説明申し上げましたことのほかに、たとえば国連総会の場を例にとりますと、第六委員会におきましていわゆるテロリズム防止のための特別委員会がございますし、それから人質をとることを防止するための国際協定をつくろうということを目的とした特別委員会がございます。そこにおきましてその作業に積極的に参加し、かつそういう場を通じて機会があるたびにそういったような呼びかけをやっております。それから今後とも国連の場あるいは国際民間航空機関の場におきまして呼びかけますし、それから外交ルートを通じてということも考えなければいけないのじゃないかと思いますけれども、これは加盟していない国には加盟していないそれぞれの事情があろうかと思いますので、その国に対して呼びかけるときの呼びかけの仕方によってはかえって逆効果を来すこともあり得るので、それぞれの事情をよく検討した上で、どういう言い方をするのが最も効果的であるかということを十分慎重に踏まえた上でやっていかなければいけないのじゃないかと思っております。
○長谷雄委員 外交努力はなさっておられるようでありますけれども、前回の五十年の事件以来今回の事件発生までの間に、外務省を主とした外交努力によって加盟を見た国があるかどうか。もちろん相手国のいろいろな国情があるわけですので、日本の思いどおりにいかないことは理解できますけれども、少なくとも外務省等の努力によってこれだけの成果を得た、そして次のハイジャックに対する対策としてこれだけ前進ができたと国民に言えるだけの努力をした結果があればお答を願いたい。
○大川政府委員 東京条約をまず例にとりますと、昭和五十年の八月以降今日までに新たにこの条約に加盟いたしました国は次の十一カ国でございます。アフガニスタン、インドネシア、アイルランド、モロッコ、オーマン、パプァ・ニューギニア、トルコ、ウルグアイ、イラン、モーリタニア、ザイール。それから、ヘーグ条約につきましても、五十年八月以降九カ国が加盟いたしております。バハマ、インドネシア、アイルランド、ケニア、モロッコ、パプァ・ニューギニア、ウルグアイ、ギニア・ビサウ、ザイール。モントリオール条約につきましては、五十年八月以降加盟しました国は十四カ国ございます。ベルギー、エクアドル、フランス、ガボン、インドネシア、ケニア、モロッコ、パプァ・ニューギニア、トルコ、ウルグアイ、バルバドス、ギニア・ビサウ、イラク、ザイール。 こういうような状況でございます。
○長谷雄委員 いまそういう数字を伺いましたけれども、先ほどの御説明によりますと、それでもなおかつ約半数の国が加盟をしていないというのが現状であるわけです。そうすると、どうしても加盟を急ぐ必要があるのは当然だと思います。 そこで、これから今後に向かっての外務省の考えとして、たとえば、いつごろまでに何カ国の加盟を見るように努力するという努力目標がおありなのかどうか、お答え願いたい。
○大川政府委員 これはやはりそれぞれ主権国家でございまして、それぞれの立場からいままで加入いたしておりませんので、こちらから呼びかけてもこちらの期待どおりに機械的にはなかなかまいりませんので、そういった具体的にいついつまでに何カ国という目標はございません。
○長谷雄委員 こうした条約に加盟をしていないけれども、ほとんどの国と国交がある、こういう御説明がございましたが、それならば、そうした未加盟国でありかつ国交のある国と日本の友好関係がどのように進んでいるか、また、今後どう進むのか、きわめて重要な問題であると思います。国と国とのおつき合いは確かに大事な問題でありますけれども、さらにその国に属する人々の民間外交も含めてきわめて重要な問題であろうと思います。 そこで、こうした民間外交も含めた文化交流というのはどのような実情であるのか、また将来向かうべき方向としてどのようなお考えをお持ちか、承りたいと思います。
○杉浦説明員 お答え申し上げます。 いま、ICAOの関係で三条約未加盟国との文化交流のお話でございますが、外務省といたしましては、外郭団体として持っております国際交流基金を通じまして、文化交流というのはわが国に対するあらゆる世界の国の理解を深めるために大いに増進していくべきであるという観点に立ちまして、ただいま国際交流基金の出資金は三百五十億でございまして、大体その運用益二十九億でいま全世界を相手に事業をやっておるわけでございます。大体二六%ぐらいがアジアに向けられており、二〇%が北米地域、約一九%がヨーロッパ、その他一けたぐらいの割合で中近東、アフリカ、中南米ということになっておりますが、今後とも国際交流基金の出資金をふやしまして各国との文化交流を大いに盛んにしていきたいと考えております。
○長谷雄委員 いま外務省のお答えでございますが、それでは法務省に伺いたいと思いますが、こうした外交関係のある国との間に相互に理解を深めるという意味で、あるいは日本の現在の法秩序の体制というものを十分理解してもらう必要を含めて、たとえば相互に法務省の諸設備、機関等を見学する、あるいは研修生を相互に派遣する、こうした人的交流といいますか、そういうお考えがあるかどうか、あるいはこれまでそうした経過があったかどうかをお尋ねします。
○伊藤(榮)政府委員 組織的にまとまったものといたしましては、俗に私どもアジ研と呼んでおりますが、国連の名前を冠しました犯罪防止及び犯罪者の処遇に関する研修施設を法務省の中に持っておりまして、そこに東南アジアを中心として、場合によりましては中近東あるいは南米等から研修生を毎年三回呼びまして、わが国の実情をよく認識してもらいますとともに、それらの国の実情も理解をする絶好のチャンスを持っております。 そのほかに私ども刑事局関係では、最近財政当局の御理解を得まして、検察官、特に若手検察官の在外研究の経費を次第に増額いたしておりまして、正確に数えたことはありませんが、年間十五人から二十人程度の検察官が外国へ参りまして、それぞれの機関と接触を深めるというふうにいたしております。 なお、いろいろな形で、たとえばソビエト連邦等も含めまして、来日されました関係者に法務省へおいでをいただきまして、それらの方とも交流をして相互理解を深めるというような努力をしておるところでございますが、なおこの方法はさらに増強していきたいものだというふうに考えております。
○長谷雄委員 そうした具体的な活動について、いま法務省からお答えをいただきましたが、ほかの省庁はいかがでございましょうか。外務省の方でどなたか見えておりませんか。
○伊藤(榮)政府委員 外務省は、外務省プロパーのことはおわかりになると思いますが、各省庁にまたがる事項は必ずしも御承知ないと思いますので、私の方でしかるべく連絡いたしまして、調査の上御報告させていただきたいと思います。
○長谷雄委員 前回のクアラルンプール事件の際に、最終決着を見た後にリビア大使館の方から抗議があったという話を聞いておりますが、相手国にすれば、人質を助けてやったではないか、こういう言い分があります。日本政府の立場から見れば、犯人も返してくれ、こういう言い分も理解はできますが、こうしたことに対して、双方にある程度の意思の疎通もあったように思われますが、この事件が起きた後、この事件に対するお礼といいますか、そういうことでどなたか相手国に派遣をしておりましょうか。
○賀陽説明員 クアラルンプール事件の場合でございますが、これは事件落着後、当時の三木総理大臣からリビアのジャルド首相に謝状を発出しておられます。また、当時の福田副総理よりスリランカ、マレーシアの首相あてに謝電を発出しておられるわけでございます。ちなみにスリランカは当時は給油を許可してくれた国でございます。 今回の御質問でございますが、特にアルジェリアに対して特別の使節が参った事実はございません。鳩山外務大臣からアルジェリアのほかに、途中給油地でございましたシリア、クウェートの外務大臣に対しまして謝電が発出されております。バングラデシュにつきましては、御承知と思いますが、最近早川特使がお出かけになったわけでございますが、その他、事件直後に福田総理大臣から大統領あてにメッセージを発出されておられますし、また鳩山外務大臣から先方の外務担当、これは政策評議会議員と申しましたですかに謝電を発出されたことがございます。
○長谷雄委員 外務省としてはしかるべき措置をとったとおっしゃりたいのでしょうが、それだけではなくて、やはりこれだけの事件が一応解決を見たわけですので、しかるべき方が直接現地に赴いてそれなりの謝礼をなすのが人道上礼儀ではないか、こう考えております。今後の方針としてもぜひともそういう形でやっていただきたい、それが日本に対する国際信頼を高める一つの道でもある、私はこのように考えております。 次に伺いますが、今回のハイジャック事件が起きた時期、つまり昭和五十二年でございますが、昭和五十二年におけるハイジャック防止に要する費用、ハイジャック予防の予算措置が当初予算でどのくらい組まれておったか、全然ない省庁もあるかと思いますが、その予算規模がどのくらいか、そしてまた今回の事件が起きたことによって新たに今年度予算に組み入れた額があるかどうか、あるとすれば具体的に数字をお示し願いたい。各省庁別にお答えを願いたいと思います。
○根來説明員 私どもの組織におきましてハイジャックに関係あるといいますと、法務本省の刑事局、矯正局、入国管理局、あるいは外局の公安調査庁等でございます。またその出先機関も当然関係あるわけでございますが、これらの予算は間接、直接的にハイジャックを含めました過激派の犯罪防止あるいはその事件の捜査処理、あるいは公判の維持ということで関係がございますので、その経費は数字的に幾らということはちょっとこの場で申しかねるわけでございます。
○賀陽説明員 外務省でございますが、飛行機のハイジャックそのものについての特定の予算項目を組み込んだことはございませんが、在外公館の警備強化という点では若干の手当てをしておるわけでございます。もし先生の御質問がその方面も御関心がおありでございましたら、在外公館課長にお答えさせます。
○松田説明員 御説明申し上げます。 外務省の本年度予算におきまする在外公館警備強化対策費は五千八百四十二万九千円でございます。過去数年間この六千万円見当の金額は続けてきております。これ以外に、別途外交官保護対策費と申しまして、中南米を中心に過去数年間、その地で跳梁しております都市ゲリラ等々の対策費は、別途約三千万円計上してございます。
○大高説明員 お答えいたします。 警察の場合におきましても、ハイジャック等が発生いたしますれば当然機動隊、あるいはそれぞれ態様によりましては刑事の警察官も出ますし防犯の警察官も出る。いろいろな形で活動するわけでございまして、格別にこれだけといって抜き出して申し上げるわけにはまいらない。全体、いろいろな形でいろいろなところに活動の態様として入っておりますし、訓練の中に全般としていろいろな事態を想定してやりますので、ここで特に抜き出して申し上げるわけにはまいらないと思います。 なお、今後の赤軍対策でございますけれども、これにつきましては昨日対策本部の決定もございましたので、私どもの方では国の内外にわたりまして実効のある方法で赤軍の情報収集なり取り締まりをやってまいりたいということで、現在具体的な内容を鋭意検討しておるというところでございます。
○永井説明員 運輸省関係を御説明申し上げます。 ハイジャック関係として特掲した項目はございませんが、ハイジャック対策を含めまして空港警備関係の予算が本年度におきまして約十億でございます。なお、今後若干追加を検討いたしております。
○長谷雄委員 今回のハイジャック事件に十六億円のお金を要しておりますが、そほかに具体的には細かいことを挙げればたくさんございます。たとえば、法務省関係では矯正局の職員が現地に赴いたというような費用もかかっておりますが、そうした費用がどういう費目から出ているのか、各省庁別に、お答えできるところだけで結構でございますので……。
○根來説明員 委員から御指摘のようにいろいろ経費は要したわけでございますけれども、海外護送旅費等を含めまして法務省の既定予算の中で処理いたしております。(横山委員「既定予算と言ったって、予備費か何か、何の予算か、もうちょっと親切に説明しなさいよ」と呼ぶ)具体的に申しますと矯正収容費というのがございますが、その中の外国旅費で六十七万五千円を支出しまして、また法務本省から参りました護送の監督官一名につきましては法務本省の外国旅費三万九千円で処理いたしております。
○後藤説明員 お答えいたします。 外務省につきましては、御案内のとおり、予備費を外務省を通じまして大蔵大臣から内閣決定をいたしましたが、そのほかに外務省が本件の事件にかかわりました関係経費といたしましては、職員のダッカまでの旅費、これは外国旅費から出しております。これは約五十万円ございます。それから東京からダッカの間の通信、電話連絡がございます。これは連絡庁費、いわゆる専用通信料というのが私どもの経費にございますので、それがただいまのところ百五十万円ぐらい出ております。ほかに日航のチャーター機がございますが、この件につきましてはただいま日航とも詰めておりまして、いずれこの支出につきましては大蔵省とも御相談しなければいけませんが、これも当然既定経費の中から支出せざるを得ない、こういうことでございます。
○大高説明員 警察庁関係につきましては、御承知のように、警察でも直ちに対策本部を設置しましたほか、関係の都道府県警察におきましても警備対象の警備の強化あるいは護送の警戒、こういった方面に支出をいたしておるわけでございます。これに要しました経費は、警察庁の職員等の超過勤務手当あるいは都道府県警察官の警戒出動のための経費等全体で六百十万に上っております。
○長谷雄委員 一応予算はそれぞれのところから出されておるようですが、このための予算ということで特に組んでいるようなふうには伺えないわけでございますが、今日のようにこうしたハイジャック犯罪の国際化に伴って、もちろん起きないことにこしたことはないわけでございますけれども、将来二度と起きないという確証はどこにもないわけでございますので、予算の中にも——予算というのは将来を見込んでの経費に充てるために使うわけですので、その意味でもやはりこうした予算化というのは必要ではないのか、このことを私は思うわけでございます。いまお話を伺っておりますと、そういうことについて余り関心がないと言えば語弊があるかもしれませんが、積極的にそういう予算を組むお考えがあるかどうかきわめてはっきりしないように思いますので、ここでお尋ねをしたいのですが、来年度の予算編成に当たって、こういうハイジャック対策費という、名目はともかくとして、このハイジャックの対策に使うための予算を別項目立てて予算要求される御意思があるかどうか、これを各省庁別に簡単で結構でございます。あるなし、そういう意思があるかないかだけで結構でございます。
○根來説明員 ただいまのお話でございますけれども、こういう事件はあってはならないことでございますし、また将来あり得ることはあっても私どもとしてはないということを期待したいわけでございます。そういうことで、これに直接要する経費ということでは要求するつもりはございません。ただ、そういう事件を防遏するための経費ということで五十三年度要求についても要求を出しておりますし、また現在政府でハイジャック等非人道的暴力防止対策本部を設けていろいろ検討されておりますし、また法務省でもそういう検討を続けているわけでございます。そういう検討結果を踏まえまして、それに経費を要するとすれば、その経費について、これは政府部内のことでございますけれども、財政当局に予算的措置をお願いするということになろうかと思います。
○松田説明員 在外公館の警備につきましては来年度も八千万余りの予算要求をいたしております。
○大高説明員 日本赤軍対策につきましては先ほど申し上げたとおりでございますけれども、ハイジャック対策関係につきましては、私どもの方では、装備なりあるいは活動経費という形でいろいろ財政当局にも従来からそういった分を加味してお願いをしておりますので、今後とも実現に向けて努力をしてまいりたい、かように考えます。
○瀬戸山国務大臣 いままで長谷雄さんからお聞きになったことは、各省庁のやるべき仕事の一部でございますから、特別に項目を立てておるということはやっておりません。ただ、いま対策本部を設けて、御承知のとおり各般の対策を立て、またこれを推進することをいたしておりますが、もしそれに緊急やむを得ず必要な経費だというときには予備費を支出する。それから、そのために、概算要求後のことでございますから、概算要求に出しておらない分も対策本部で案を立てて、そしてそれが必要経費であるということになれば追加要求を認める、大蔵大臣もそのように言っておりますから、特にハイジャック対策という項目ではないと思いますけれども、やはりそれぞれの省庁に必要な活動ができるような措置をしたい、かようなことでございます。
○長谷雄委員 大蔵省に伺いたいのですが、いま大臣から御答弁いただきましたが、各省庁から来年度の予算編成に当たってこのハイジャック事前防止に必要な予算要求があった場合について、どのような態度をとられるのか、それをお答え願いたいと思います。
○岡崎説明員 いま大臣からもお話がありましたように、来年度の予算につきましては一応八月末で概算要求というものを出していただいておりますけれども、その中にも当然こういった警備その他を含めましていろいろな御要求が出ております。その後今回のような事件が起こりまして、それの事件の教訓に基づきましていろいろまた新たな対策が必要であるということで各省がお考えになりまして、それについて来年度ぜひとも予算措置が必要であるということでございますれば、七月末に私どもは概算要求をしていただくにつきまして基本的な要求方針を閣議決定で決めていただいておりますので、その閣議決定で決めていただいております大枠の中におきまして政策順位が高いというふうにお考えいただければ、それはそういうものとして受けとめていきたいと思っております。
○長谷雄委員 今回の事件で十六億円を政府が払っておりますが、この最終処理はどういうことになさるのか。現在外務省の予備費から、仮払いではないかと思いますが、出ていると伺っておりますが、最終処理は外務省の処理に終わらせるのか、それともほかにお考えがあるのか、これをお伺いしたいと思います。 またあわせて、この十六億円を払ったのは、支払いを決定したのは政府であるということですけれども、日航機の事件に関連しておりますので、一部意見を私は聞きましたところ、日本航空は民間会社である、半官半民とはいえども民間会社であるから、半官半民ならばその十六億の半分である八億は日本航空に払わしたらどうだ、こういうようなお話も伺ったことがございますけれども、そのことも含めてこの十六億円の最終処理はどういうおつもりなのかお答え願いたい。
○岡崎説明員 いまお尋ねの第一点でございますけれども、これは予備費から支出をいたしました。予備費と申しますのは、一応大蔵省所管のお金として取ってございますけれども、その年度途中で不測の事態、緊急性を要するものにつきまして、それぞれどの省庁が担当すべきものか、それぞれの案件の性格によりまして予備費の中から各省庁に移しがえいたしまして、その省庁から支出されるということにいたしておる性格のものでございます。 今回の場合は、本件が在留邦人の話であり、外務事務の処理という事柄の性格からいたしまして、その予備費のうち所要の金額を外務省所管のものに移しまして、しかも、こういうものは従来から項目として用意しておるわけではございませんものですから、新しく項目を立てまして、その項目で処理するわけでございます。したがいまして、決算におきましても外務省所管で、予算の項目といたしましては、正確に申し上げますると、バングラデシュ人民共和国ダッカ空港事件特別措置費という項目で、その細目といたしましては、日航機乗客等救出特別支出金、そういう項目で決算処理をさしていただきたい、こういうふうに思っております。 それから、後段の点でございますけれども、本件は、犯人の方から日本政府に対しまして要求があったものでございまして、それに対しまして、日本政府が自分の判断と責任におきまして乗客の安全救出を図るということのために決定をいたしたものでございまして、日航とはかかわりなく政府の支出ということが適当であろう、このように考えております。
○長谷雄委員 先ほどの話に戻りますが、条約に未加盟国の中で外交関係がない国が一部ある、こういうお話がございました。その外交関係のない国との間にこうした事件が将来また起きる可能性が絶対ないとは言えないわけでございますので、そうした国との間の外交関係はないにしても友好関係を何らかの形で進めていかなければ、今回のような事件が起きたときに円滑な処理ができにくいのではないか、こう思うわけです。そこで、こうした外交関係のない幾つかの国との間に、いま日本政府はどういう態度で臨まれているのか、あるいは将来どういう方向を目指しているのか、お答え願いたいと思います。
○賀陽説明員 大変むずかしい御質問であると存じますが、国交のない国は赤道ギニア、カーボベルデと二カ国あるわけでございますが、これらの国に対しまして、現在の段階では緊密な協力関係があるとは言えないわけでございますので、今後とも、外交関係を設定いたしますということは実際には大使館なり、状況によりましては総領事館等を設置するということに始まりまして、いろいろな措置をとる必要があるわけでございますが、そういったことが一体可能であるかどうか、必要であるかどうかということも慎重に判断いたしまして、これらの国との今後の対応策を考えていくということを申し上げるよりほかないかと思っております。
○長谷雄委員 今回の事件が起きてから政府は内部に、総理府ですか、ハイジャック等非人道的暴力防止対策本部というのを設置いたしておりますが、この対策本部の性格についてお尋ねをしたいのですが、この対策本部から出ておる資料によりますと、今後とも常設的なものとして運営をするということでございますが、いつごろまで設置をするのか、将来にわたってずっとするのかどうか、その辺をお答え願いたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 性格といいますか、私も法制的なことはよくわかりませんが、こういう特別な事案のときには、内閣の中にそれぞれ閣僚が参加いたしまして本部を設置するわけでございます。この際の対策は緊急な対策をいまずっと進めておるわけでございますが、これはそれをしただけではいかないのであって、やはりそういう決めました各般の項目が着実に行われておるかどうかということを常にチェックする必要がある。また新たに有効な考え方も出ないとも限らないわけでございますので、いつまでと決めておるわけではありませんが、恒常的な部として置く、かようにしておるわけでございます。
○長谷雄委員 この対策本部についてでありますけれども、対策本部での協議、決定の仕方についてお尋ねをしますが、ハイジャック防止対策を将来こうするべきだということをこの対策本部で決定して、それを関係各省庁におろして、そこで実施をさせるようにするための機関なのか、それとも各省庁から、こういう方法で、あるいは方向で実施をしたいというものが上がってきた、そこで対策本部ではやるべしだということで、そのやるについて、先ほど大臣からの答弁がありましたように、その円滑な処理がなされているのかどうか、そういうことをいわば監視的な形で見ていくような立場なのかどうか、お答え願いたいと思います。
○瀬戸山国務大臣 閣僚が正式メンバーになっておりますが、そのもとに関係各省局長級のいわゆる幹事会といいますか、有効な対策は各省いろいろありますから、各省から出したものを対策本部で協議、検討いたしまして、そこで決まりましたものを閣議了解ということで、閣議にかけて最終決定をして実施に移す、かようにしておるわけでございまして、対策本部はその決めましたことが着実に行われておるかどうかということの監視体制をとる、かようなことになっておるわけでございます。
○長谷雄委員 終わります。
○上村委員長 次回の委員会は、来る十一日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することといたします。 なお、連合審査会は来る十一日午後一時から第一委員室において開会いたしますので、さよう御承知願います。 本日は、これにて散会いたします。 午後二時四十七分散会