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82回国会衆議院1977/10/27

文教委員会学校災害に関する小委員会 第1号

発言数
25
登壇者
6
会派数
4
開催日
1977/10/27

会議録

木島喜兵衞日本社会党

○木島小委員長 これより学校災害に関する小委員会を開会いたします。  学校災害に関する件について調査を進めます。  本日は、本件について参考人として日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長阿部三郎君に御出席を願っております。  阿部参考人には、御多用中のところ本小委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございました。  本小委員会におきましては、学校災害に関する件について調査をいたしておりますが、本日は、本件につきまして参考人から忌憚のない御意見をお述べいただき、調査の参考にいたしたいと存じます。  これより参考人から御意見を承りたいと存じますが、議事の順序といたしまして、初めに参考人から二十分程度御意見をお述べいただき、その後に小委員の質疑に対しお答えをいただきたいと存じます。  それでは阿部参考人にお願いいたします。

阿部三郎日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長

○阿部参考人 御紹介いただきました日弁連の阿部三郎でございます。本日は、本小委員会に参考人として意見を述べる機会を賜りまして、深く御礼を申し上げます。  日弁連といたしましては、昭和五十年度に先ほど小委員長御紹介の調査会を設けまして、いろいろ研究を続けてきたわけでございます。その結果、昭和五十一年十月に調査報告書をまとめ、同年十一月、第十九回人権擁護大会で学災法制定促進に関する決議をさせていただいたのでございます。  日弁連がこうした問題に取り組んだゆえんのものは、災害を受けた生徒、児童に対し補償された例がいかにも少ない、かつ補償を受けられた者におきましても、その額は非常に少ない、さらに、裁判によりまして救済を求めようとしましても、その成果を得ますためには、国家賠償法の仕組みあるいは裁判の遂行技術上重要なかつ困難な問題がありまして、なかなか容易ではない実情にあるわけでございます。こういった点から、私ども法曹実務家の立場に立ちまして、裁判の実情なども踏まえ、こうした事態に、災害を受けた生徒、児童をそのまま放置することは人権擁護上看過できないことであると受けとめたからでございます。  それとともに大事なことは、補償が十分ではないことによりまして、さらに損害賠償請求の裁判を起こし、この裁判により権利救済を得ようとする場合に、そのことによって訴えを提起する保護者側の困難も、さきに述べましたとおりなかなか容易ならないものがございますものの、他方、訴えを受けた管理者あるいは教師側におきましても、被告としての座に座らせられ、その訴訟の防御に努めるということもまた教育面に重大な影響を与えていることも事実でございます。中には、裁判所においては、生徒、児童の権利救済に重点を置くために、学校設置者あるいは教師側に対し、教員の注意義務の限界を超えて過失を認定するというような判決もなされるなど、いずれかの犠牲がなくしては解決のつかないというような問題となっているのでございます。こうしたことは、学校管理者、自治体はもとより教員側においても、すべてにわたって危ないことには手は出せないという空気を醸成することに拍車をかけるに至ったことも事実であろうと思われるのであります。  こうして見ると、単にそれは災害を受けた生徒、児童の人権擁護ということだけではなく、教育の本質にもかかわる重要な問題も含み、そのことにより、各自治体も含む管理者、教師とも、深刻に受けとめられているのでございます。  このような点より、日弁連は、前に申し上げました調査報告書をまとめますとともに、即時学校災害補償法を制定されるならばどうあるべきかという点より引き続き調査研究に入ったのでございます。  しかしながら、従来、見舞金の額としては必ずしも満足すべきものではないといたしましても、昭和三十五年四月一日より施行されました日本学校安全会法による共済制度はそれなりに定着している事実より見て、この制度との兼ね合いにつきどうするのか、あるいは対象者をどうするのか、補償か、賠償か、補償とするならばその権利論をどう見るのか等々困難な問題がございまして、容易に結論を出し得ない実情にあったのでございます。しかるときに、本院の文教委員会におかせられましては小委員会を設けられまして、そしてまた小委員会におかれましてもこうした問題を正確に把握され、御審議に入られたということを拝聴し、法曹実務家団体としての日弁連におきましても作業を急がなければならないことを痛感したわけでございます。  こうした中で、過日、当小委員会の委員長よりの御報告を拝見したわけでございますが、ここまでに至られました先生方の御努力につきまして心から敬意を表させていただいたわけでございます。しかしながら、現実に即しつつもなお、先ほど来申し上げましたような人権擁護、教育現場の実情等々より見まして、なお一歩理想に近づけしめたいという願望より見ますならば、小委員長の御報告につきましては敬意を表しながらも、なお意見の具申に及ぶ必要があると考えましてまとめましたものが、昭和五十二年九月二十六日付「学校災害補償に関する中間意見書」でございます。  この意見書は、わが会の会長宮田光秀より、文教委員長の藤尾先生、それから当小委員会の委員長木島先生あての「学校災害補償に関する件」と題する中間の意見書でございます。そして、これはさらに検討を進めるという意味で、あくまでも中間の意見であることを御理解賜りたいのでございます。  かいつまんで中間意見書について御説明申し上げますと、まず、小委員会における救済制度案の骨子について、これを見ますと四つの骨子が掲げられておりますが、大変恐縮でございますが、その各点について一応意見を付したわけでございます。  小委員会における御報告の骨子の第一といたしましては、「本制度は学校等の管理下における児童、生徒等の災害に関し、被災者の救済を迅速かつ公正に行うことにより学校教育の円滑な実施を図ることを目的とすること」として、特別な救済制度の基本的な方向を示されておるわけでございますが、しかしながら、その他の骨子とあわせ拝見いたします限り、その内容として示されるものは果たして特別な救済制度ということになるのであろうか。拝見する限りにおきましては、基本的には現在の日本学校安全会法による共済制度の枠を出ないものと言わざるを得ないというふうに思うのでございます。  第二の骨子でございますが、制度の対象について述べられておりますが、私ども日弁連といたしましても、この対象については全面的に賛意を表するものでございます。  骨子の第三でございますが、これにつきましては、給付の種類について御報告になっておるのでございます。この給付の内容でございますが、なかなかすぐれたものとして私ども受けとめているのでございますが、しかしながら、たとえば死亡一時金などの額などにつきましては、少なくとも自動車損害賠償責任保険の給付金が現在におきましては最低補償的機能を果たしているという事実をも勘案されまして、一層の充実を賜りたいものとお願いしたいのでございます。  さらに、日弁連におきましては、学校災害であるというような特殊性から、死亡以外の重度障害者につきましては、その者が義務教育年齢に当たる場合には特別修学費補償、それ以上の教育年齢に当たる場合には特別修学費補償または職業訓練費補償として、毎月相当額の給付がなされなければならないと考えたわけでございます。こういった点についても特に御審議を賜りたいのでございます。  骨子の四でございます。骨子の四につきましては、「本制度における給付の財源については、原則として国及び学校等の設置者が負担すること」とされてございます。しかしながら、日弁連といたしましては、特別な救済制度は過失の有無を問うことのない補償法によることといたしまして、補償財源も国の教育条件の整備義務の範囲に属するものとして、国においてそのすべてを負担すべきであるというふうに見解を持つわけでございます。  こういったことで、先ほど来申し上げましたように、小委員会の御報告につきましては敬意を表しながらも、日弁連としては若干の批判を述べさせていただいたわけでございます。  こういった見解に立ちまして、しからば日弁連はどう考えたかということでございます。  日弁連としましては、特に基本的な見解としまして、従来学者間におきましてもいろいろ権利づけが主張されておるのでございますけれども、なおその権利論としては固まっていないということで、特に学習権に関連しまして子供の発達成長権というものを一応立ててみたわけでございます。この内容については中間意見書の九ページ以下に一応詳細に書かせていただいたとおりでございます。  さらにまた、現実的な要請に立つものとしまして、十四ページ、十五ページ以下、先ほど来申し上げました教育の本質にかかわる諸問題等について、裁判との兼ね合いにおいて一応御紹介をさせていただいたわけでございます。  こういった角度から見まして、私どもとしましては、少なくとも当面、死亡者、重度障害者のために特別な救済制度をつくられるべきではなかろうかというふうに考えたわけでございます。先ほど来申し上げましたように、現在の日本学校安全会法による救済は一応それなりに定着している実情から見まして、これを根本的に覆す、あるいは変えた制度というのも果たして現実の問題としていかがであろうか。かと申しまして、現に困窮の極にあるこういった被災者の方々のためには何らかの方法を考えなければならないというようなことから、死亡者、重度障害者のためだけについての特別の救済制度を、この際暫定的な、一歩前進というような角度から御制定賜りたいということを考えたわけでございます。この救済制度は、私どもは仮称「学校事故による死亡者、重度障害者に対する災害特別補償法」というふうに題したのでございますが、その要綱は別添の試案のとおりの内容でございます。  この要綱につきまして簡単に御説明申し上げますと、一の「法律の目的」は、記載のとおり「この法律は、国において、児童、生徒の有する教育の場における発達成長権を保障することが、公共の責務であることを確認し、学校の管理下ならびに通学途上における災害により、死亡または重度障害を受けたものに対し、迅速かつ適正な補償を行ない、もって自由濶達な教育的活動と健全なる学校運営に資することを目的とする。」というふうに、一応目的を定めてみたわけでございます。  続きまして、二は「定義」でございます。定義につきましては、学校の内容でございますけれども、この点につきましては、先ほど来申し上げましたように、当委員会の内容と同じでございます。  重度障害の点について、「日本学校安全会法による廃疾基準八級以上」ということで、従来廃疾基準七級くらいのところが重度障害というような観念で評価されておったようでございますが、私どもは八級以上というふうにさせていただいたのでございます。  三は「補償の義務」でございますが、これはもとより「国が負うものとする。」ということでございます。  四の「補償の種類」等については、特に先ほど申し上げましたとおり、特別修学費補償、それから職業訓練費補償。特別の修学費補償というのは「児童、生徒が、自宅または収容先治療機関において、療養中とくに修学を望む場合の受講費または修学、通学のための介助器材の購入・維持・修理費、および通学のためにとくに要する費用」という内容でございます。職業訓練費補償でございますが、「児童、生徒が自宅または収容先治療機関において、療養中または廃疾に至った後、とくに自宅等において職業訓練を望む場合の受講費、公的職業訓練機関に至る交通のためとくに要する費用、ならびに宿泊費用、これらに必要な介助器具の購入・維持・修理に要する費用を給付する。」というような内容でございます。  五の「補償給付を実施するための機関」といたしまして、日弁連といたしましては、「災害の認定、給付額の決定および給付を行う実施機関として、国は都道府県知事に委任して、各都道府県に「学校事故災害補償委員会」を置く。」というふうに考えてみたわけでございます。この委員会の委員は、  「教員、教育委員会、P・T・A関係者より各一名、学識経験者より二名を都道府県知事が委嘱する。但し学識経験者のうち一名は必ず各地方弁護士会が推薦した弁護士を委嘱する。」何か、弁護士会が推薦するということについて、職域の拡充を考えているのじゃなかろうかというふうに思われてもいかがかと思いますので御説明申し上げますならば、弁護士それぞれが持っております事件についての調査能力、それから損害の認定、事実関係の認定等についての専門的な知識、経験ということをこの際私どもは考えたわけでございます。こういう意味で御活用を賜りたいというふうに考えたのでございます。  六番には「補償の申請」でございますが、少なくとも「災害のあった日より二年以内に書面」で行う。  それから申請の方式でございますが、一応政令で定めていただき、そして「当該災害にかかる学校の長を経由して補償委員会に申請をする」。学校の長を経由して補償委員会に申請するのが原則でございますが、ただし、特別の事情によって学校長を経由することが著しく困難であるというような場合には、その事由を付記して直接補償委員会に申請することもできるというふうにさせていただいたわけでございます。  七番の「災害補償委員会の認定手続と不服申立」でございますが、内容的には記載のとおりでございます。申請が出されました場合には、補償委員会としては「三十日以内に認定手続を開始しなければならない。」  それから二番目には、「災害の認定、補償金額の決定および給付は早急になされるべき」でありますが、その認定が非常にむずかしいというような場合には、療養補償あるいは葬祭補償等については、少なくとも学校安全会の給付額に準じた額程度の仮支給制度を設けてこういった方々の困窮をカバーするということについてお考えを賜るべきじゃなかろうかというふうに見たわけでございます。  この中の日に、「学校災害補償審査会」という制度を設けたのでございますが、これはもちろん不服申し立てについてこれを審査する機関でございます。したがいまして、要綱等におきましては、この審査会をどこに置くか、どういうことをするかということについて、場合によりましてはさらに追加して記載すべきであったかと思いますが、不服申し立ての機関としましては、学校災害補償審査会を中央に置きまして、恐らくは文部省になるかと思いますが、そこで審査を願う。そしてまた、審査についてさらに不服があるというふうな場合には裁判所に出訴することができる、訴え提起の道を開くというような方法を通常の行政委員会方式で考えたのでございます。  それから田のところでございますが、「災害補償委員会および同委員会」となってございますけれども、これはミスプリントでございまして、「同審査会の行う手続」でございます。つまり、各地方の災害補償委員会の認定手続、あるいは不服申し立て機関としての審査会の行う手続については、当然に申請人はこれに参加する権利を有し、そしてまた弁護士をして代理せしめることができるというようなことでございます。  八の「代位」につきましては記載のとおりでございます。  九項は「教職員の免責」についてでございます。「この法律による補償がなされた場合には、同一の事由によって当該学校の教職員の被災者に対する国家賠償法または民法上の損害賠償責任は生じない」というふうに免責条項をうたわせていただきました。  十項は「設置者の免責」でございます。「この法律による補償がなされた場合には、学校の設置者は、」補償された限度におきまして「同一事由による国家賠償法または民法上の損害賠償責任を免れる」という免責条項でございます。  十一は他の給付との調整関係で、ごらんのとおりでございます。  十二は「遡及」の点でございます。私どもは、この遡及について実は大分研究もしてみたのでございますが、結論的には、「この法律は、法律施行の日より起算して満十年前までに生じた災害の被災者またはその遺族に対して適用すること。」というふうに考えたのでございます。もしこれを権利と見ますならば、国に対する一種の債権は会計法によりまして五年の時効ということになるのでございますが、ここらあたりも一つの考え方かなと思いましたが、会計法によりましてもなお、特に法律をもって定めましたならば五年というような期間にかかわらず措置することができる。そうしますと、この注釈のところに書きましたとおり、「長期に亘つて忍従を強いられた本法に該当する被災者遺族を救済するのが目的であること、」そしてまた「心情的にもまた法律的見地からも損害賠償請求権の行使が事実上困難であったこと、ならびに災害の認定に必要な資料が昭和三十五年四月一日施行の日本学校安全会法による同安全会の発足に伴い、現に保存されている」であろうということを考えまして、私法上の債権の消滅時効制度、民法百六十七条になるわけでございますが、この債権の消滅時効制度に準じて十年間を遡及させたならばいかがであろうかということを私どもは結論として出したのでございます。  さらに、「この法律施行月日より起算して満十年以上前に発生した災害の被災者に対しても、この法律施行の日以後においても現に療養している者」に対しては、またこれを「必要とする者については、」特に「将来に亘つてこれを適用する。」というふうにさしていただいたわけでございます。  以上、私どもはまさに法律の解釈あるいは裁判所をして判例をつくらせる、いわば判例のメーカー側としての仕事はしてきたのでございますけれども、いかんせん立法ということについては全くの素人でございます。それなりに、他の制度などいろいろ比較検討しながらこうした内容のことを実は要綱としてまとめさしていただいたわけでございますが、いろいろ不備なところあるいは御指摘なされるところもあろうかと思います。いずれにいたしましても、私どもは、先ほど御説明申し上げましたとおり、あくまでも中間の意見でございまして、なお今後とも検討を続けて、できるだけ理想に近い充実したものをつくろうというふうに考えておるわけでございますが、とりあえず、本委員会のこうした機会をお与え願ったことについて、本日、不備ではございますが、参上して以上のとおり御説明申し上げた次第でございます。

木島喜兵衞日本社会党

○木島小委員長 これにて参考人の意見の開陳は終わりました。     —————————————

木島喜兵衞日本社会党

○木島小委員長 これより質疑に入ります。  質疑のある方は自由に御発言願います。

水田稔日本社会党

○水田小委員 日弁連の方から前回も貴重な御意見を法律の専門家としてお伺いいたしまして、本当にありがとうございました。幾つか、この中間意見書を中心に質問さしていただきたいと思います。  まずその質問の前に、一言私どもの気持ちを申し上げさせていただきますと、冒頭で、骨子の一で、「基本的には現在の日本学校安全会法による共済制度の枠をでないものといわざるをえません。」と断定されておるわけでございますけれども、小委員長の報告というのは、ごらんいただきますとおわかりのように、特別な救済制度を創設して、そして実施機関についてはこの報告をした以降になお検討する、目下その具体的な作業中、こういうことでありますので、その点はひとつ御理解いただきたいと思うのです。  それから、質問の第一は、これを読ましていただきますと両方入っておるようでありまして、それから実際に見ると、さてどうだろうか。この報告書にも対象がそういうぐあいになっておるという点について、一つは、憲法上教育を受ける権利ということが主体ですね、ずっとこのお考えは流れておるのか。もう一つは生存権ということが中心で流れておる。生存権ということになるとまたこれは生活保障という形のものが全体に出てこなければならぬ。それからもう一つは、教育権ということを主体にすると対象として大学を外すことが一体どうなのか。もう一つは、教育権ということから言えば保育所は一体どうなのか。そういうことから、一体、教育権、生存権というのはどういうぐあいなウエートでお考えになり、そして対象として、私どもの考え方では対象としては大学を外し保育所を入れておる、そこらの考えを第一に聞かしていただきたいと思うのです。

阿部三郎日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長

○阿部参考人 教育を受ける権利と生存権とどのように展開されるのか、その点につきましては、この報告書におきましても必ずしも内容的には十分ではございませんことを承知してございます。いずれにいたしましても、この両方の権利は相互に関連しながらも、教育を受ける権利という角度から見ますとなるほど大学までも含まなければならないというようなことになるかもしれませんが、国家財政等の兼ね合いで、私どもとしましては、義務教育あるいは準義務教育的なところまで高められている高等学校あるいは高等専門学校程度までを考えながら対象としてみたのでございますか、教育を受ける権利というところから見てまいりますと、なるほど今度は保育所はどうなるのかというようなこと、むしろこれは生活保障的な角度、この面から保育所が入ってくるんじゃなかろうかというようなことでございますけれども、昨今の情勢から見まして、保育所もまた準義務教育的なものの取り扱いとして、これもまた子供の発達成長という概念から見て保育所も入れてみたらどうなのであろうか。それぞれ制度の基盤、法制が違うのでございますけれども、やはり教育を受ける権利から見て保育所というふうなものも対象としてこの際考えられるべきではなかろうか。そしてこのことは、現実に今度展開されてまいりますのは、補償の内容におきまして教育を受ける権利の展開は、先ほど申しましたように特別修学費補償というところに展開され、それから生存権、生活保障的な考え方は、先ほど御紹介申し上げました職業訓練費補償というような形で展開される。理論的にはいずれにしましても双方の憲法上の権利を踏まえながら、私どもは補償内容としてはただいま御紹介したようなことを考えたわけでございます。

水田稔日本社会党

○水田小委員 それでは要綱の方を順を追ってお尋ねしたいのですが、療養給付と廃疾補償というのがあるわけですが、一つは、安全会の方はそのままかどうか全然触れられていないわけです。別に制度をつくるわけですから、軽微な障害については当然安全会でやる、そういう選別を最初からする線というのは、別の制度で同じ療養かされるというようなことも起こる。そして片一方では、療養して、そして給付期間は限定しない。治癒した場合に一定の廃疾状態になるとさらに治療を続けていかなければならぬ、そういう場合には、療養給付と廃疾補償というのは両方併給してやられる、そういうこともあり得ると思うのですが、そこらあたりはどういうぐあいにお考えでしょうか。

阿部三郎日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長

○阿部参考人 いまの御質問の点につきましては、補償の種類として療養補償あるいは廃疾補償として掲げていただきました以上には、私どもの方としては、率直な話でございますか、討議はまだ詰められておりません。したかいまして、種類として記載さしていただきました内容以上にはまだ出ないということを御理解賜りたいと思います。

水田稔日本社会党

○水田小委員 引き続いて、四の日の、同じようなことですか、特別修学費補償及び職業訓練補償というのは、これは当然廃疾補償を受けられる人だけになると思うのですが、その関係は一体どういうぐあいになっておるのでしょうか。  それからもう一つは、この場合その期限が災害発生日から二年、こういうぐあいになっておるわけですか、通常、給付条件の発生からというのが大体一般的な法律的な規定なんです。そこらの、こういう災害発生日とされたのはどういう御理由なのかですね。  それからもう一つ、先ほど御説明ありましたけれども、不服審査の災害補償審査会、中央ということだけなんですか、この組織は大体どういう、まあ文部省でしょうという話なのですが、それでいいのか。たとえば地方にも、都道府県でやるような何らかの論議は全くされておらないのか。大体の構想はあるけれどもここには載っていない、こういうことなのか、できれば御説明いただきたいと思います。

阿部三郎日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長

○阿部参考人 第一の点でございますか、廃疾補償とそれから特別修学費補償ないしは職業訓練費補償というものはどうなるのかということでございますが、廃疾補償としまして特に特別修学費あるいは職業訓練費にも回すことかできるようなものか額的に含まれておりますとするならば、特にこういうことを掲げる必要もないかと思いますけれども、従前の廃疾補償というような、労災あるいはその他の制度におきましての一般的な廃疾補償として考えられている額をもってしては、果たしてこの生徒、児童のために特別に学問を学ばせる、あるいは特別に職業訓練をさせるということまでもカバーすることができるかどうかということで私ども考えたわけでございます。したがいまして、ここらあたりも十分に考えた廃疾補償であるとするならば、特にこういった補償を掲げなくてもあるいはよろしいのじゃないかと思いますけれども、そこのあたりを特に国会におきましても御審議を賜りたいというようなところから実は掲げさせていただいたわけでございます。  それから、災害があった場合の申請の二年以内ということでございますが、余り短期間でも果たしてどうであろうか、いろいろな事情において申請を留保することもあるかもしれない、かといって余り長期間放置されても果たしていかがであろうかというようなことで、一応二年というふうな形でとどめさせていただいたわけでございます。  それから、いわゆる不服申し立て機関の補償審査会の問題でございますけれども、この点は、正確な要綱として意見を述べるというところまでまとまっておりません。ただ、私ども研究グループにおきましては、大体、認定をされる中央の災害補償審査会としましては九名ぐらいの委員で構成されたらどうであろうか。そしてまたそれぞれ各三名ぐらいをもって部を構成し、認定に当たられる。そして非常に認定かむずかしいという場合には九名全員によるいわば連合認定とでも申し上げますか、そういうことで処理、認定されたらどうであろうか。つまり、最高裁判所における小法廷、大法廷というようなことなのでございます。そしてまたこの審査会の委員は、それぞれの知識、経験を持つ学識経験者あるいは法曹家の中から文部大臣か推薦をして、当然にまた国会の御同意を得て内閣が任命するというような形、あるいはまた、一部の方を除いては委員は非常勤として、国家財政上の関係もございますので、そういうような体制で考えてみたらどうか。この点につきましては大体そういうようなことで、まだ本当の素案程度の意見交換中というような状況でございます。  それから先ほどの二年以内の申請でございますけれども、これは正確には災害のあった日から二年または症状が固定されたときから二年というような形でお受けとめを賜りたいのでございます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原小委員 どうもありがとうございます。日弁連の取り組み経過、それから理想に近づきたいという御意思もよくわかりましたし、また法案要綱を読ましていただきまして、私どもの今後の立法活動の作業に非常に大きな参考になると思いまして、お礼申し上げたいと思います。  時間が余りないと思いますので、ちょっと読み上げまして、大変実務的なことですか、数点お伺いしたいのです。  一つは、いわゆる一生寝たきりの一級廃疾者の場合、医療をずっと続けていかなければなりませんが、その場合、療養補償と廃疾補償の併給を認めることになっているのでしょうかということが一つです。  二つ目ですが、廃疾にかかわる補償は大体どのくらいのものを、金額と言ってはなんですが、大体の基準といいますか、そういったものをお考えになっておられるのであろうか。たとえば廃疾補償、特別修学費補償、職業訓練費補償も含めましてどの程度のことを検討されているか、それか二つ目です。  三つ目は、遺族補償はどの程度のものを見ておられるだろうか。これは何かそういう基準があるでしょうかということです。  四つ目は、この法案要綱に基づきまして全体として年間どの程度の金額が考えられておりますか、もし御討議されておったらお教えいただきたいと思います。  それから次に五点目ですが、この要綱でございますと、いま安全会で対象としている一級から八級までの廃疾者に対しての給付は安全会から抜いてやることになるのでしょうか。  それからもう一つは、八級以下の廃疾者の負傷、疾病については安全会の方へ、それから重廃疾者は学校災害補償委員会に申請する。一方は安全会へ、一方は補償委員会へというふうなお考えでしょうか、その点を伺いたいのです。  それから最後に、補償の申請の項ですね。特に「学校の長を経由することが著しく困難な場合には、」という「著しく」でございますけれども、何かそういう事例があってこういうのが出てきておるのか。ありましたら御討議の内容をお聞かせいただきたいと思うのです。  以上です。

阿部三郎日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長

○阿部参考人 御質問が多いためにあるいはお答えが漏れるかもしれませんが、その節には再度御質問を賜りたいと思います。順序等はばらばらになるかもしれません。  私どもが考えた要綱における制度と安全会の関係でございますが、これは先ほど山原先生御指摘のとおり、完全に分離という考えでおります。したがって、九級以下の方は安全会、それ以上は新しい制度による実施機関において実施されたいという、分離した考え方でございます。  それから、遺族補償についての額等については考えたかということでございますが、私どもの方の考えとしましては、先ほど冒頭に述べましたとおり、自賠法は千五百万でございますが、この給付金が現状において最低補償的な機能を果たしつつある。しかも、昨今は千五百万も二千万とするというような動きもあると聞いているのでございますが、少なくとも現行の自賠法の千五百万程度の補償ということが考えられるべきではなかろうかというふうに考えております。  それから、療養補償と廃疾補償との併給の関係でございますが、非常に極端な重度障害者で寝たきりの方でございますと、療養の期間も長い、そしてまた固定した状態も長いというようなことから、実際的な内容におきましては双方の補償を併給しなければならないということもあろうかと実は思うわけでございますが、この点の併給等については、先ほど水田先生でございますか、御質問にありましたとおり、これ以上の内容等についてはまだ余り詰められておりません。  なお、療養補償でございますけれども、これは全くの治療だけの療養費でございますし、それから廃疾補償というのは、御承知のとおり労働能力が喪失したこと、あるいはまた慰謝料的なものも含んだものでございますし、理論的には当然併給というふうなことは可能であるとも思うわけでございますが、実情に応じてこの辺は考えていかなければならないのではなかろうか。  それから、廃疾の程度とその補償の程度でございますけれども、自賠法におきましては各級によりまして金額がいろいろ決められているわけでございます。御承知のとおり、現行の金額は五十年の七月一日に施行された額でございます。これによりますと、一級の後遺症障害を有する者については千五百万、二級は千三百三十二万、三級は千百七十五万、四級は千三十万、五級は八百八十四万、六級は七百五十万、七級は六百二十七万、八級は五百四万という額になっておりますが、この辺を参考としてぜひ御審議を賜りたいというふうに思っておるわけでございます。  御質問から抜けた点もあろうかと思いますが、再度またちょうだいいたしましてお答えさせていただきます。

山原健二郎日本共産党・革新共同

○山原小委員 一つは「学校の長を経由することが著しく困難な場合」ですね。私も幾つか知らぬわけではありませんが、この辺、どういう論議をされたか、事例があれば教えていただきたい。  もう一つは、廃疾補償とか特別修学費補償とか職業訓練費補償などは、大体どの程度のことを考えられておるかという、二つだけ残っていますが……。

阿部三郎日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長

○阿部参考人 お答え申し上げます。  当初、私どもは補償の申請について、「政令に定める方式に従い、当該災害にかかる学校の長を経由して補償委員会に申請をすること。」ということでまとめたのでございます。ところが、この要綱が日弁連の理事会の審議にかかりましたときに、理事の方から、具体的な例ではなかったのでございますけれども、学校の長がこれを握りつぶしていつまでも出さないというようなことがあったならばどうするのか、学校の長を経由するということだけでは賄い切れない問題も生ずるのではないだろうか、この点について委員会はどう考えるかという御質問がありましたために、私ども具体的な例は余り承知しないまま、あるいはそういうこともあるかもしれないということで、「但し特別の事由により学校の長を経由することが著しく困難な場合には、その事由を附記して直接補償委員会に申請することができる。」というふうに追加をさせていただいたのでございます。事例としましては、これも人権委員会内における審議の場で出たのでございますけれども、昨今学校の方で災害を恐れる余り、いろいろなスポーツ、運動会などもPTAの主催ということで、いわば責任を回避しようというような傾向がないわけではない、これについてどう考えるかという質問もあったのでございますが、そういう場合に、たとえばPTAの関係あるいは会長さんなどに校長さんが遠慮して、握りつぶしてしまうというような例もないわけではないだろうということを想定して、実はこのようにつけ加えさせていただいたのでございます。  それから、特別修学費補償、職業訓練費補償は、額としてはどうであろうかということでございますけれども、額の計算まではしたことはございません。いずれにしても、常識的にこの程度の金額であるならば、寝たきりでも勉強することができる、あるいはまた介助器具を買うことができるというような額をぜひひとつお考えいただきたいということでございます。  それから、山原先生の最後の御質問だったでしょうか、この制度を実現した場合に、大体国家予算として総額どの程度になるのかということでございますが、これは私ども全く検討しておりませんし、また検討し得る、国家財政を分析する能力もございませんので、御了承いただきたいと思います。

藤波孝生自由民主党

○藤波小委員 いまお伺いをいたしまして、私どももこれからいろいろ研究をさせていただきたいと思っておりますが、大変ありがたい勉強の機会をいただきましたことを、お礼を申し上げたいと思います。  一つは、私どもずいぶん不勉強なものですから教えていただきたいのですけれども、児童、生徒の発達成長権という考え方はもう相当に煮詰められてきている権利としての考え方なのか、それからそれは国際的にはどういうことになっているのかということをお教えいただければひとつお教えいただきたい。  それからもう一つは、特に、いろいろな学校の事故の具体例があるわけですけれども、その中でいま御意見が出されましたのは死亡した場合と重度障害の場合になるわけですけれども、構え方としては、死亡、重度でなくとも、やはり事故に遭えば受けるいろいろな意味での影響というか、被害意識というか、そういうものは同じくらい——まあ同じではないので、亡くなったり、事故で大きなけがをしたりしたら、あるいは廃疾になったら、それはもうその感じは大きいのでしょう。それから、いまちょっとお話がありましたように、たとえば慰謝料のような形のものというのでしょうか、そのようなものを含んでいくとか、いろいろなことがあるのでしょうけれども、この二つをとりたててやる、それであとは安全会の方でやったらどうだ、そこのところは、私どもこれからどう構えていったらいいかということを非常に苦慮しているものですから、非常にうまくまとめていただいたなという感じも一面でいたしますと同時に、何かちょっと取ってつけたような感じがありはしないか。法律を構えるについて、その法律を構えるための要件というものが法的に十分熟してきているのであるならば、何か大けがと小けがとは余り差別はないような気がするわけですが、そのあたりはどんなふうにお考えなのかということが一つ。  それからもう一つは、教育者の取り組み方なのでございますけれども、けがをした場合に、もし何かあったらというので先生方が非常に萎縮をして、教育活動が停滞するというような御意見がよく聞かれるわけです。何かちょっとでもあると教師の責任が問われるというようなことをよく聞くわけです。それが伸び伸びとした思い切った教育活動を展開していただくのにやはり非常に阻害になっているという感じはいたしますけれども、教育者としては、教育を受ける者に対してそのいろいろな権利を全うさせていくために、やはり事故の起こらないように、間違いのないように十分責任を感じて職務を遂行していくという一面も非常に大事なことだと思うのですが、事故があった場合にそれは国がちゃんと見てくれるんだというようなことになると、そこの責任意識というものが一面弛緩してしまうというようなことはありはしないだろうか。それは今度の場合でも同じことなんでしょうけれども、そういう発達成長権を持った児童への責任というのは、そういう場合には国がなるべく早く見なければいかぬ、なるべく多額に見なければいかぬということも言えると同時に、個々の教員の責任というものがあって国全体の責任も全うできるわけでございましょうから、そこは一人一人の先生が十分責任を持って教育活動を進めていくということもまた非常に大事なことじゃないかというふうな感じがいたしますけれども、その与える感じの問題でして、余り詳しいことは私どもわかりませんが、その辺はどんなふうにお考えだろうか、お教えいただければ大変ありがたいのですが。

阿部三郎日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長

○阿部参考人 藤波先生の御質問にお答え申し上げます。  発達成長権ということでございますけれども、こういった形での権利づけというものは日弁連の今回の提唱が初めてではなかろうかと思っております。ただ、裁判所の判例の中に、発達成長の過程とかいうようなことで理由の中で述べられていることは前例として幾つかございますけれども、子供の発達成長権という権利づけでの提唱はまだないかと思います。  実際的な内容でございますけれども、あるいは学習権とどう違うのかということでございますけれども、いわば同じでございます。しかし、学習権ということでは説明のつかない問題が出てくる場合がある。たとえば低学年児童の悪ふざけによる災害、しかも休憩時間中あるいは放課後の校庭内における悪ふざけなどにおいて生じたもの、ここらあたりは学習権という言葉では必ずしもぴたっとこない。したがって、こういったものをも含んで、すべて子供たちには創造性あるいは自主性を持って自分たちの持っている可能性の限界に挑戦して、より高く、より深くそれを確認していく発達成長の過程がある。悪ふざけというものでも、実はお互いに私ども子供のころから経験をしてきた、それがまた発達成長の一つの過程なんだという形でカバーしていくためには、いわゆる学習権ということだけではまとめ切れない理論的な問題があるということから、こういった権利提唱を実は試みたわけでございます。御質問にあるように、諸外国においてどうであろうかということについては、まだその辺についての研究もいたしておりませんが、学者の先生方の御紹介によりましても、権利づけとしての角度からの発達成長権というものは、まだ外国においてもないのではなかろうかなというふうに考えております。  それから藤波先生の二番目の御質問でございますけれども、大きな災害、小さな災害と区別する道理は何なんだろうかということでございますが、私どもの願いは、少なくともこういう事故による裁判というものはなくしたいということが実は最終的な願いなんでございます。軽い場合には余りない。しかし重くなってまいりますと、どうしても補償で賄い切れないということで裁判になってくるというようなこと、この裁判のもたらす教育現場の混乱といいますか、教師と保護者の不信、あるいは裁判を進めるために時によっては立証の過程で児童、生徒を裁判所の証人として呼んでくるというようなことまでしなければならない、こういう裁判を進めることの教育現場にもたらす信頼関係の欠如、これをどうしてもなくしたいというようなところから、少なくとも重度障害については十分な補償をしていただく、そういう点でそういう問題を払拭したいというのが願いでございまして、こういうふうに分けて考えさせていただいたわけでございます。  それから第三点の御質問でございますが、教師とても当然に教育現場における管理、監督の責任がございますし、裁判所におきましても、その注意義務の限界ということは踏まえた中で一定の注意義務が課せられているわけでございます。したがいまして、こういう制度ができましたとしても、やはりこうした注意義務というものは後退するものではないはずだ、やはりそれぞれの一定の限界の注意義務は当然に持っていただかなければならないというふうに考えております。  以上でございます。

中野寛成民社党

○中野(寛)小委員 いまの藤波先生の御質問にかなり関連をしていることなんですけれども、一つは、今回のこの意見書の中でも、三ページには当面の応急措置として「現行救済制度の飛躍的な拡充を求めるとともに、」ということが触れられておるわけであります。時間的な問題がございますが、さきの小委員長報告に基づいて現在文部省としてもいろいろお考えをいただき、現在の共済制度の中で実質的に内容の改善を図るということで、ある程度具体的な提案がなされているわけであります。そのことも御存じかもしれませんけれども、当面そういう形で、たとえば死亡事故に対して千二百万円であるとか、それから重度の障害児に対する年金制度の導入であるとかというふうなもの等が取り入れられる案ができているわけでありますけれども、当面はそういう形で出発をするのもやむを得ないというか、一つの前進だというふうにお考えになられますかどうか。  それから、それに関連をいたしまして、十三ページには、現行制度による救済、特に学校安全会法による互助共済が不十分だから特に特別の補償制度の創設が必要だということに触れておられるわけでありますけれども、こういう補償制度を創設する場合に、いま国際的な環境の問題が御質問ありましたけれども、国内的にも、この学校災害の補償ということだけではなくて、労働災害の問題とか、国内でのいろいろな分野における補償制度というものを十分に勘案して考える必要もあるのではないか。すなわち、立法環境の整備——決してこの学校における問題が後追いでやっていってもいいというわけではないわけで、むしろそういう立法環境を整備するための先鞭をつけるという役割りを果たすぐらいの気構えでやらなければならぬことはもちろんのことでありますけれども、しかしそのときには、同時に全体的な立法環境を整備していくこともあわせて考えておかなければいけないのではないだろうかという気がするわけであります。日弁連の中では学校災害の問題に、一つの現象面からの国民の皆さんからの御要望等もあって取り組まれておられるのかもしれませんけれども、あわせてそのほかの分野における法環境というものの整備についても、同時に審議がもしなされておられましたらぜひお教えいただきたいと思いますし、また、もしもあれでございましたら、そういう方向、いわゆる総合的な御判断、御研究というふうなものがなされて、また私どもに御教示いただければ大変ありがたいなというふうに思うわけでございます。  そういう意味で、当面の問題と、そしてより完全なものへの努力というものがなされなければいけないだろうという意味で、将来に向かっての法環境の整備、それから当面この互助共済によってそういう整備をしようという動きがあるわけですが、それについての御意見というものを聞かせていただければと思います。  それからもう一つは、これが賠償とか補償とか、いろいろ基本的な権利に対する考え方の違いはありますが、実質上互助共済制度においても補てんできる部分というものがかなりあるのではないかという気もするわけであります。ですから、立法環境の整備ができ上がるというか、ある程度進むまでは、この互助共済の中で最大限取り入れられるものを取り入れていくということも一つの方法ではないだろうか。そこで、どのくらいまでそのことが可能であるかということの御研究をもしなされておりましたら、そのことにつきましてもお聞かせをいただければありがたいと思います。

阿部三郎日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長

○阿部参考人 中野先生の御質問にお答え申し上げます。  意見書三ページにおきます「現行救済制度の飛躍的な拡充を求めるとともに、なかでも余りにも被災者の要求と現実の救済との懸隔の甚だしい「死亡者、重度障害者」のためには、現行制度とは別個に」こういった内容の法律をつくっていただきたいということでございます。「現行救済制度の飛躍的な拡充を求める」ということは、この制度とは別に暫定的に現行制度の拡充を求めるという意味ではないのでございます。つまり、先ほど分離論でお話し申し上げましたが、九級以下の者については学校安全会、この共済の部分でございますけれども、この部分も現行制度の中において飛躍的に拡充をひとつお願い申し上げたい。それとはまた別に、八級以上の方についてはこういう制度をひとつつくっていただきたいということを私どもは意見として考えたのでございます。その意味で、新しい制度ができるまではすべてを含んで現行制度の拡充ではどうなのかということでございますが、やはり本質的には安全会における制度は共済による一種の見舞金、したがって、私どもはそれとは全く別に、先ほど申し上げました権利の位置づけの中において、教育の本質からぜひひとつ補償というような角度で制度をつくっていただきたいということを考えたのでございます。  二番目の御質問でございますが、これはやはり国の教育の重大性、重要性にかんがみまして、国会におきましても十分にひとつこれは御検討賜りたいというふうにしか申し上げようかないのでございます。  三番目の御質問でございますが、これも先ほど申し上げました一番の問題との関連において、共済でもそれなりに補てんすることができるのじゃなかろうか、カバーできるのじゃなかろうか、それは確かにそうでございますけれども、問題はやはり新しい制度、しかも無過失責任において立法されるというところに重要な意義があろうかと思うわけでございます。先ほど藤波先生の御質問にもお答え申し上げましたとおり、私どもの方としましては裁判をなくしたい、そしてまた仮に裁判をするというふうな場合におきましても、権利救済を受ける側が、過失責任主義の原則に立ってその立証、挙証の責任が一手に負わされているというような現行の国賠法の実情、ここらあたりをそれぞれの代理人、弁護士がいわば解釈論で乗り越えようというような形で努力はされておりますものの、表現上は故意、過失というようなことでございます。したがって、この過失主義をはっきりとこの問題についてはいわば無過失責任に転換されまして、こういった問題をひとつ解消させたいというのが私どもの願いなのでございます。  あるいは足りない点もあろうかと思いますけれども、以上でございます。

中野寛成民社党

○中野(寛)小委員 御趣旨はわかります。ただ、私の二番目のお尋ねと三番目のお尋ねと、これは実は非常に関連をしておりまして、無過失責任主義というものが、いまの法体系というか法環境の中でどのくらいの比重というか実現性というか、を持ってきているのか、実はまだ不勉強でよくわからない。新しくそれを取り入れることについてはまだ非常に抵抗があることはもう御承知のとおりでございまして、それをここへ取り入れる段階で一つの大きな決断と勇気がやはり必要でしょうし、そしてそれに関連する国民もしくは現在の法体系の中からの理解というものが必要になってくるだろうと思うわけでございます。先ほどの藤波先生がおっしゃった、発達成長権がどのくらいいま認められてきているのかというお尋ねとも、ある意味では似たような質問になってきますけれども、実はそのことについてお尋ねをしたかったのです。

阿部三郎日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長

○阿部参考人 お答え申し上げます。  無過失責任の問題でございますが、学者によりますと、国家賠償法一条は過失責任のたてまえに立っているようでございますけれども、これは厳格な形の中においての過失責任主義ではないんだ、この国家賠償法一条の条文解釈をもってしてもなおかつ無過失責任主義の理論を導き出すことができるのだという見解もございますが、裁判所の考えとしてはまだそこまでは至ってないようでございます。ただ、御承知のとおり、国家賠償法の一条と二条でございますけれども、一条は人的な問題、二条は物的な問題。挙げて学校内の関係としては二条の場合は無過失責任でございます。無過失責任あるいは過失責任主義が問題になるだけに、裁判所によりましては、無過失責任で二条で救済をし、また判断をしている例も決して少なくはないわけです。訴えを出す場合には、一条の理論構成と二条の理論構成を同時に述べて、そして二条の観点に立って、二条でこれを救済するという形なんです。したがって、裁判所の考え方としましても、はっきり一条からは無過失責任という理論はまだ導き出せないにしろ、二条との兼ね合いにおいて、それからまた学者のそういった理論構成も可能なのだというようなところ、そこらあたりが今後判例でどのように展開されていくのであろうかということではないかと思います。  それからもう一つ、先ほどの御質問の中で、日弁連としてはほかのこういった制度について何か研究、検討されたことがあるか、他の制度はどうなのかということでございますけれども、補償体系の他の制度との兼ね合いとしては、特にいつも出てくるのが自賠法、それから労災ということでございますけれども、もう一つ、今回の場合私ども参考にしているのは、日弁連で昭和五十年の十一月に刑事被害者補償についての要綱をまとめたことがあったわけでございます。刑事被害者補償といいますのは、御承知のとおり、通り魔犯罪における補償の関係でございますが、いま法務省の方としても何かこれの実現のために鋭意法律案を検討中である、法務省の要綱も出たようでございますけれども、このときも日弁連としましては、法律案の要綱に続いて法律案までつくってすでに法務省に提出済みなのでございます。この制度の場合においてもほぼ今回の学校災害と同様な角度で、それから程度も同じような角度で大体受けとめさせていただいているわけでございますが、日本の教育、それから国の将来を決する重要な教育の問題でございますので、私どもはそれにも増してこの学校災害についてはより一層の御配慮をちょうだいいたしたいというふうに考えておるわけでございます。

中野寛成民社党

○中野(寛)小委員 ありがとうございました。

水田稔日本社会党

○水田小委員 先ほど藤波さんの質問に、教師の注意義務というのが残る、こういうぐあいにお話があったのですが、この要綱によりますと、免責の規定はあるわけですが、注意義務というのが残り、そして故意もしくは重大な過失かあった場合の設置者の求償権というのはどういうぐあいに御論議なさっておりますか、お伺いしたいと思います。

阿部三郎日本弁護士連合会学校災害補償法制定促進部会部会長

○阿部参考人 教師に対する免責の条項はうたわさせていただきましたが、文字どおり、このとおりで、故意などということはございませんでしょうが、過失があったといたしましても、国家賠償法上あるいは民法上の損害賠償責任はないということでございます。先ほど注意義務と申し上げましたのは、いわゆる教師としての現場における注意義務、そしてまたそのことが余りにも欠けるというような場合にはあるいは行政処分上の問題として起こり得ることであろうかとは思いますけれども、法律的な責任、賠償法上の責任はこの九項によって免責ということで考えさせていただきました。しかし、それとても現場における注意義務というものが全くなくなったわけじゃないし、当然のごとくこれは相当な注意義務を持って指導していただきたいというふうに思っているわけでございます。それと責任問題とは別問題だということでございます。  それから求償の関係でございますが、重大な過失があった場合においても免責でございます。この教職員の免責条項は、保護者からの請求上の免責、それから設置者からの求償権上の免責、両面を含むものと御理解ちょうだいいたしたいのでございます。

水田稔日本社会党

○水田小委員 ありがとうございました。

木島喜兵衞日本社会党

○木島小委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。  阿部参考人には、御多用中のところ本小委員会に御出席いただき、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼申し上げます。  これより懇談に入りますので、休憩いたします。     午前十一時二十八分休憩      ————◇—————

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