地方行政委員会 第4号
- 発言数
- 199 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/10/28
会議録
○地崎委員長 これより会議を開きます。 警察に関する件について調査を進めます。 この際、本件について、本日参考人として、日本航空株式会社専務取締役野田親則君及び日本航空株式会社常務取締役手塚良成君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○地崎委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川要三君。
○石川委員 与えられた時間の中で、私は国民が素朴に抱いております疑点、そういったような点を取りまとめてお尋ねしたいと思います。 進め方として、前段で、今回の事件の発生に当たって、二年前のクアラルンプールのあの事件から今日まで反省をいたしましてどういうことを主としてやってきたか、こういう点をまず伺っていきたいと思います。 いまも目を閉じて思い出すと、あの浅間山荘事件でまことに一億国民が憤激したあの犯人をついに釈放せざるを得なかったあの二年前のクアラルンプール事件、そしてあの事件のときに、もう政府はもちろんのこと、国民全体としても二度とああいうような事件の発生を防止しなければならない、そのためには政府も本腰になってこの問題に対処すべきであるというようなことで、国会の中でも大きく議論があったと思いますが、残念ながら今回さらにそれがエスカレートされたような、全く同じような形でエスカレートされて起こってしまった。そうしますと国民は、まず一体この二年間何をやったのだ、政府は何もしなかったんじゃないか、こういう素朴な怒りを強く抱いているわけであります。政府はこの二年間、前回のあの非常な生々しい、そしてはらわたのちぎれるようなくやしい思いをしたあの事件から今日まで一体どういうことをやったか、その点を特に政府当局、きょうは担当の内閣審議官来ていらっしゃると思いますが、そういったいまの点をお尋ねしたいと思います。
○田中説明員 お答え申し上げます。 二年前のクアラルンプール事件が起こりました際に、政府といたしましても、このような事件が再度起こってはならないというような気持ちから、今回と同じように政府の部内におきまして防止連絡対策会議を設けまして、その中でもっていろいろ防止対策を検討したわけでございます。そのとき問題になりましたのは、やはりそれより二年前のハイジャック事件でございます。このクアラルンプール事件と、それからその前の四十八年のハイジャック事件とは事件の内容が違います。一つはビルを占拠して人質をとり、そして日本政府に要求した、こういう事件でございますけれども、四十八年の事件は、これは全くハイジャックの事件でございます。したがいまして、若干事件の内容は違いますけれども、予防対策としてはほとんど同じようなものがあるんじゃなかろうかということで、五十年に対策本部をつくりましてその対策を協議したときでも、四十八年につくりました対策要綱がございますので、これを精査いたしました結果、大部分はこれでカバーするのじゃなかろうか、そしてまたクアラ事件ならクアラ事件の特徴というものを入れまして、これをもとにして検討しようじゃないかということでもって、そのときにできましたのは大きく分けまして五項目でございます。小さく分けますと十九の細目にわたります対策要綱というものをつくりました。それでその間、政府といたしましてはこれの実施方について非常に努力したわけでございます。 二、三の例につきましてどのように実施したかというのを申し上げてみたいと思うのでございます。 たとえば持ち込み手荷物の検査でございます。当時は余りX線透視検査機器だとか、あるいは新型の金属探知器、こういうものがございませんでした。それ以後、私どもの政策を反映いたしまして、ただいまでは十九空港、三十七セットを用意してございますし、また携帯用の金属探知器につきましては二百二十二個、これが全国に配備してございます。あるいは運送約款を改正して安全検査の権限を明確にいたしました。すなわち、それまでは安全検査の根拠がなかったわけでございますけれども、運送約款を改定いたしまして、安全検査をしないものにつきましては飛行機に乗せないことができる、こういうような改正もいたしましたし、あるいは空港に保安委員会というものをつくりまして、警察あるいは税関あるいは法務省の出入国管理官、こういうものをまぜまして情報の交換をいたしておる、こういうような状況もあります。あるいは旅客人と送迎人でございますが、これの分離さくというものができておりませんでしたけれども、こういう分離さくもできました。あるいはICAOでございますが、ハイジャック防止対策を議題として採用されるようにお願いして、それも入れられました。そしてまた、これは大きな問題ですけれども、モントリオール条約にも加入いたしまして国内法の整備もいたしましたし、あるいは旅券でございます。これは古い旅券と新しい旅券を比べてみるとよくわかるのですけれども、新しい旅券は大変偽造しにくい旅券、こういう旅券もつくってまいりましたし、また警察の御努力によりましてICPO、すなわち、国際刑事警察機構、これを通じまして各国からの犯人を国内に移送していただく、こういうことも実績として出ております。 以上、二、三、その例を申し述べたわけでございますけれども、かようにいたしまして、私どもの立てました対策は一部を除きまして、実施済みのものもありますし、ほとんどの項目につきましては程度の差こそあれ推進中である、このように考えております。 以上でございます。
○石川委員 いまお話を聞いておりますと、いろいろと細かい点については確かにそれなりの検討をされて具体的に積み重ねられてきたということはわかるわけでありますけれども、どうも国民全体から見ると、何かやったという、その事件に対して厳しく取り組んだという、そういうような感覚は全然与えられていないと言っても言い過ぎじゃないと私は思うのですね。今回のハイジャック事件が起きたときに、まず異口同音に口をあけて非常に憤慨したのは、そういうことを一つもやってなかったのじゃないかという声が非常に大きいわけです。それは確かに目に見えないものもあるし、そういったような、いま説明のようなものは国民の皆さんには一人一人わかってないかもしれないけれども、たとえばそういうハイジャッカーに対する一つの国民に対するPRとか教育とか、事件が起こったときの一つのコンセンサス、国民の合意を得る方策とか、そういったようなものについては一体やってきたのかどうか、そこいらの点が一つ。 それからいまいろいろとお話を聞きますと、今回の事件が不幸にして起こったのですが、何かそのやったことが厳しくなったと言いますけれども、やはり犯人の方にとってみれば痛くもかゆくもない、一つも痛痒を感じなかったように思われているんじゃないかと思うのですが、確かにこれは政府でも厳しく取り組んできて、今度はやりにくくなったわい、あるいは非常に痛いというようなことを彼らが果たして感じているだろうか。私はそういうものは余り痛痒を感じてないように思うのですけれども、そうなると果たして効果があったのかどうかということもあわせてお聞きしたいと思います。
○田中説明員 お答えいたします。 まず、前の点でございますけれども、確かに、事件が発生いたしますと、その当時は国民の皆さんにもかなり御理解をいただき、それから政府の方も、まあこんな話は私の口から申し上げるのもなんですけれども、かなり一生懸命に取り組んで、日航を督励するとかあるいは国際的にもかなり活躍しておるのでございますけれども、時がたちますとだんだんルーズになりまして、国民の方もそれを忘れていく。そしてわれわれ対策本部の方としてもだんだんそれの開催の回数も少なくなってくる。そしてお客さんの方も、対策本部で決めましたいろいろの取り決めがございますが、そういうものもだんだん守らなくなってきている。たとえばハイジャックが起きました直後には、持ち込み荷物を厳しく検査したり、あるいは制限をいたしますので、荷物を少なくする、こういうことは国民の皆さんも当時は御理解いただけるんですけれども、それがだんだん時間がたつに従ってルーズになってまいりまして、荷物をたくさん持ち込む、検査も、徐々にですけれども、緩くなってしまった、こういうこともございまして、そういう点につきまして私ども深く反省しておりまして、これからのやり方といたしましては、今回の対策本部を常設の機関といたしまして、これから各行政機関がどのように対策を進めていくかということをチェックし、監視していきたい、かように考えておる次第でございます。 第二の点につきましては、私ども犯人ないしは日本赤軍に、日本の政府のとった防止対策がどのように反映したか、あるいは影響したかということでございますけれども、やはり私どもといたしましては犯人を乗せない、あるいは武器を乗せない、持ち込ませない、これが一番肝要なことだろう、かように考えております。したがいまして、国内ばかりではなく、国外での空港でも犯人を乗せない、それから武器を持ち込ませない、こういうことを徹底していって、二度とこういうような事件が起こらないように努力いたしたい、かように考えております。
○石川委員 いまのお話を聞いておりまして、私はちっとも満足しておりません。特にこれはのど元過ぎれば熱さを忘れるで、確かにそういったようなことは人間にはあるんですけれども、ただ、国民もやはりだんだん忘れていくから、それが自然に火が消えたようになってしまったんだというようなことで解釈されてはいかぬと私は思うのです。そういうことよりも、むしろこれは冷厳な事実を一つの貴重な体験として、これの上に、平素、そういう平和な中においても常にこういったものにもっと厳しく取り組んで、そして再度こういうような事態に対しては、もっともっと有効適切な処置が行われるような、そういう平常な努力が政府の中にはきわめて希薄であると私は言わざるを得ないと思うのです。そういう点を国民は非常にふんまん、怒りを持っているのではないかと思うので、この点については私の意見として申し述べておきたいと思うのです。 それから、効果の点でございますが、いまお話を聞きますと、いろいろ厳しくしたのだと言うけれども、彼らは銃器を持ち込んだり、その他の、もっともっとチェックすれば持ち込まれないであろうというようなことが平気で、一つも変化なく堂々とやられていることを見ても、ちっとも痛くもかゆくもなかったのではないか、こういうふうに私は思うのですけれども、これも一つの意見としてお考えおきをいただきたいと思うのです。 それから、前回の事件におきましても超法規的な措置がとられておるわけですが、その超法規的な措置というものについて、当時の国会内の議論の一番中心的なさわりはどんなふうなものがあったのか、恐らく今後はこういったような措置が望ましくないということになっておると私は思うのですけれども、その点はどうだったのかということが第一点。 それから、超法規的措置に対する責任が一体どういうふうにとられてきたのか、それが第二点。この点について伺います。
○田中説明員 お答えいたします。 前回のクアラルンプール事件のときにも同じように超法規的というような措置がとられました。今回また、言葉は違いますけれども、超実定法というような、内容につきましては同じような措置がとられました。私どもといたしましては、このような措置が、超実定法といい、あるいは超法規的といい、どちらも法律に予定されていない、あるいは法秩序全体の中から予定されていないというようなものであったので、これの理論構成は非常にむずかしかったわけでございます。 ただ、私どもとしてはそういうような理論を超えても、あの多数の人命がまさに危険に瀕しておるということに追い込まれたような段階に至りましては、やはりああせざるを得なかったのではなかろうかというような気がしておるわけです。前回、もうこういう措置は二度といたしませんというような議論があったやに承っておりますけれども、しかしこれはやはりケース・バイ・ケースでございまして、そのときの国際情勢でございますとかあるいは国内情勢あるいは世論の動き、それから敵方の力の関係それから味方の力の関係、こういうようなのがございまして、一概に、こういう事件が発生したときにこういうふうな措置をとれということもなかなか申しにくい点がございます。したがいまして、前回、もう二度と超法規的措置はやらないというようなことを承ったこともございますけれども、そういうようなことをたとえおっしゃったにせよ、私はやはりやむを得ない措置ではなかったかというように感じておるわけでございます。 またこれはこれからの問題でございますけれども、こういうことが二度とないことをもちろん願うわけでございますし、またそういうふうに努力しなければなりませんけれども、このような事態がもしまた起こりましたときには、内閣ばかりではなくて、たとえば野党の人であるとかあるいは司法界の人であるとかいろいろ皆さんに承って、こういう措置の決定について参画していただきたい、こういうことを政府の幹部の方が言われておるのを承っております。 ただ、二点目のこの責任と言われますと、私の口からちょっと申し上げにくい点もございますので、ひとつ差し控えさせていただきたいと思います。
○三井政府委員 大変むずかしい問題でございますが、今回の事件も同様でございますけれども、前回の事件も内閣に総理大臣を長として対策本部を設け、前回は総理大臣代理でございますけれども、その中で論議を尽くして出された決定ということでございますので、責任はと言われますと、それを決定いたした政府全体の責任かというふうに考えます。
○石川委員 超法規的となると、法律を離れたということで違法的な行為というふうに解釈していいと思いますが、それをやむを得なかったということでやりなさいと判断してさせたわけですから、少なくともやったことは確かに政府全体でもあるし、客観的な判断でそうなったのでしょうけれども、やはりそれから来る一つの違法行為というものは当然そこに法的にあると思うのですね。そこいら、それには何ら触れないで過ごしてしまった、こういうふうなことなんですか。
○三井政府委員 実定法、現行法規にない措置をとったということでありますから、政府の行為は現行法規に違反をしておる。ただ、そうすると現行の明文の規定に違反をした措置がどういう意味を持つのか、こういうことになるのかと思いますけれども、あのような緊急の事態におきまして、多数の人命の安全を図るためにとられた措置でありますから、法理的に申しますと緊急避難という考え方が刑法にあるわけでございますが、そういうような考え方に基づくものである。したがいまして、憲法を頂点とした法全体の精神にはかなっておる。ただ、やった行為は、明文の規定でそういうことができるという規定がないことをやったという意味で法に違反した行為である、こういうことでございますので、法的な責任という意味は、法的な責任というものはそこから生じてこない。ただ、そういう現行の明文の規定に反するような措置をとった政府としての措置、それの政治的責任と申しますか、そういうような責任はまた別でございますけれども、法律上の責任というものは、法の精神に合致する措置をとったのであるから生じない、こういう考え方であると理解しております。
○石川委員 その辺の解釈は非常にむずかしいと思うのですね。私は、とったその措置がベストであったかどうかということをいま論じているわけではございません。私は法律学者でないのでその点よくわからないのですけれども、ただ言えることは、憲法から見ても国権の最高の機関は両院であるわけですね。その両院でつくった法律を飛び越えて決定がなされたわけでしょう。それに対して、法から照らして何らの間違いはないというふうに解釈できますか。 もしそうなら、そしてまたそのときには、間違いではなかったのだということで、どなたも責任というか、それに対しての措置は具体的なことはなかったわけですね。そういうふうな解釈で、なかったと思うのですが、それは間違いありませんか。
○三井政府委員 ただいまもちょっと申しましたが、明文の現行法規にない措置をとった。そのことは、その限りにおいて現行法規の違反である。しかし、そういう措置をとらざるを得ないような事態が発生して、その事態に直面して政府が政府の責任において考えることである。その考えたことが憲法を頂点とする現行法の体系の中からいいますと、万やむを得ない緊急避難の場合に、そういうことをとってもそれは法の全体の精神、根本精神にも外れておらない、こういう意味で刑事責任は生じない、こういうふうに考えるわけでありますが、それにいたしましても、明文の規定にないことあるいは明文の規定に明らかに違反することをやっておる、こういう意味におきまして、そういう決定をしたことの政府全体としての責任、こういうものは残るわけでございます。法律的な責任はないといたしましても。 そこで、私たちの努力といいますのは、そういう事態に追い込まれないような、そういう事態が生じないように努力をするということが前回以来進められたわけでありまして、今回も同様でありますが、そういうことにならないようにいろいろ手段、方法を、最大限の知恵をしぼって対策を講じていこうということが、ただいま言われました政府全体で決めたことの責任を今後において果たすということにつながるのではなかろうかという考え方に立って、私たちもその一員として考えておるということでございます。
○石川委員 私は、過去のことに固執しているつもりはないのですけれども、いまのお話のことで、政府としては行った行為については超法規的な立場の決定を下したわけですけれども、しかしこれはやむを得なかったんだということで、そこには責任的なものはないというふうな解釈に立っているようでございます。そうなれば、今回全く同じような措置がなされたわけですね。まずその点はどうですか、同じような措置というふうに解釈していいのですか。
○三井政府委員 超法規的とか超実定法的という措置をとらざるを得ない事態に追い込まれた結果、そういう措置をとったということは、前回も今回もその限りにおいては同じでございます。
○石川委員 今回は法務大臣が辞任をされましたけれども、前回はそういうことがありましたか。
○三井政府委員 前回はそういうことはございませんでしたし、今回も、先ほど言いましたように緊急避難的な行為、緊急避難的ということは、そういう行為をすることが法の精神に合致するということと、法上の責任が免除されるというのが緊急避難的ということでありますから、今回法務大臣が辞任されたというのは法律上の責任をとって辞任されたということではないということになると思います。
○石川委員 じゃ、どういうわけでやめられたのですか。
○三井政府委員 福田大臣自身のことでございますけれども、私たち察するところでは、そういう直接身柄を扱っておる法務省といたしましては、そういう明文の現行法規に違反するような措置を現実にとらざるを得なかった、しかし、そのことが法全体の精神に基づいておりますから、刑事的法律上の責任は免除されるとしても、そのことが与える法秩序への信頼感の揺るぎといいますか、あるいはもっと法務省の立場からいいますと、現実に刑務官等それを扱っておられる人たちの士気ということもありましょう。そういうような全体について法務省として責任を感じられたということではなかろうかと思うわけでございます。
○石川委員 まあ、法的な責任はないけれども、やはり所管が所管でありますし、現実に実定法を逸脱したということに対しての道義的な責任というか、そういうような角度でおやめになられた、こういうことですから、あなたにこれ以上聞いても無理なことでございますが、ただ私にちょっと合点がいかない点は、これは前の点と同じだと思うのですね。前と全く同じ措置にもかかわらず、前にはそういったことが別に何ら問題にならなくて、今度はそういう事態があったとすれば、前の法務大臣は鈍くて今度の法務大臣はそういうことにはきわめて敏感である、こういうふうにも解釈できるので、ちょっとその点が私には何か歯切れが悪く印象づけられているので、あえて質問したわけです。まあ、それはそれでそういう立場で辞任されたということでありますから、これ以上私も触れたくありません。 さて、次に今回の事件の実態から幾つかお伺いしたいと思いますが、まず犯人が六百万ドルの米紙幣を要求したわけですが、これは本物なんでしょうね。
○三井政府委員 もちろん本物だと私たちは理解しております。
○石川委員 ここでこれを質問しても答えることが適切でないかもしれませんが、いま不況で一般の国民は非常にふところが苦しい。こういう中から、何かああいうものは真ん中辺を本物でないものでうまくできないものかという素朴な感情も持っています。そこで、こういったお金は通し番号か何かでわかるようになっているのですか。あるいは真ん中が本物でないものも国民としてはしてもらいたいなという願望があると思いますが、ここで答弁できなければ結構ですが、答えられればお答えいただきたい。
○三井政府委員 犯人の要求をのんだということでございますので、犯人の要求をのまなかったというような措置はやっておらないわけでございます。捜査上のことにつきましてはいろいろなことがございますけれども、これからの問題にいろいろ影響もございますので、そこのところは差し控えさしていただきます。
○石川委員 これは私もはっきりと記憶してございませんからあるいは間違っておるかもしれませんが、今回の事件が発生してから総理を中心として、閣内でいろいろとこの対策について御苦慮されたわけですね。何か私の感じ方があるいは違ったかもしれませんが、お金を要求された、片っ方は釈放を要求された、この二つを比較して、どうも金ならすぐ条件をのめる、そんなふうに受け取れる。総理あるいは関係者が金というものに対しての条件を安易にのんだのじゃないかなというふうに思うのですけれども、実際にはそのお金というものはやはり回り回れば武器になるので、私たちを脅かす恐ろしいものになるわけですから、そういったような点については決して軽々に考えるべきものではないと思いますけれども、そこらの点の解釈がそういうふうなものがなかったかどうか、その点をちょっと……。
○三井政府委員 犯人の要求をのまないで人質を安全に救出するというのはもう最大の目標でございますが、具体的な中で、犯人の要求のうち人命と金とというもののどちらを選ぶかというようなことになれば、それは人命より金の方であろうという考え方はございましたけれども、要求を軽々にのむというようなことではなく、粘りに粘るというのが方針でございました。
○石川委員 次に、今回犯人側から要求された例の釈放犯人の中に二名の刑事犯がいるわけですが、一体、この二人は赤軍とどういうふうに関連性があると解釈したらいいのでしょうか。
○三井政府委員 特に赤軍と関係はありませんし、それから本人自身も赤軍の何物たるかを知らなかったと私たちは思います。ただ、赤軍のメンバーが拘置所、刑務所に収容されておりましたから、そういう中で顔見知りになったということではないかというように思っております。
○石川委員 さらに進めまして、今回のハイジャックの最後の地点であるアルジェリアにおきまして、私どもも非常にがっかりしたのですけれども、アルジェリア政府としてはついに身のしろ金はもろんちのこと、犯人もそのままで、私どもの要求は拒絶されてしまったわけですが、こういったような点——外務省の方いらっしゃると思いますが、もう少し、極言をすれば、アルジェリアに日本が非常に悪感情を持たれるぐらいまでに粘りに粘って、こちらの要求を外交交渉の中でやるべきではなかったかと思うのです。が、その点についてひとつ見解をいただきたいと思います。
○加賀美政府委員 お答え申し上げます。 当該の乗っ取られましたハイジャック機がアルジェに近づくという段階におきまして、アルジェリア側から犯人の引き渡し、それから身のしろ金の返還、それから生じることあるべき損害の補償についてはアルジェリア政府に請求されては困る、そういう条件を持ってまいったわけでございます。それで、そのときには飛行機がアルジェに近づいておりましたし、多数の人質がいまだ当該の飛行機に乗っておるという状況でございましたので、いろいろ考えましたけれども、結局この際はこの条件を入れて人質の安全を確保するほかないというふうに判断いたしまして、こういう条件をのんだわけでございます。それで、私どもといたしましては、あの当時の状況におきましてはやむを得なかったというふうに考えております。ただ、この人質の解放がありました後に、対策本部の御決定によりましてアルジェリア政府に申し入れを行ったことは先生御承知のとおりでございます。
○石川委員 本当にわずかの時間しか残りがなくなりましたので、飛ばして、最後に一つだけ聞きたいと思います。 今回の乗っ取り事件、たまたま軌を一にして西ドイツでも発生したわけなんですが、いま世論の中には西ドイツの方式がよかったとか悪かったとかいろいろ議論の最中であります。この点につきましての評価は別にいたしまして、ただ私がいろいろなそういう情報の中から感じましたことは、少なくとも西ドイツにおいては、ある一つの重大な行為を決定する直前においては、隣国の、周囲の外国の大統領なり首相なり、そういったような方々、あるいはまた、自分の国内の党内においても野党においても、野党の党首にある一つの決定を下す直前においていろいろな意見を求めたり、また意見を伝えて了解を得たというようなことがあったと聞いております。しかも、それは西独においては完全に現行法規内の措置を下す場合においてもそうであった。そういうふうなことから考えてみて、わが国においては、先ほど来お話が出たように、いわゆる法律を超越した、国会で成立した法律さえも飛び越えた行為を行うときにも野党の党首には恐らく全然そういう話はなかっただろうし、外国のそういった党首の方にもなかったと思うのですけれども、果たしてこれでいいか悪いか。少なくともこういうような超法規的な措置をする場合には、これは衆議院、参議院の議長が別に権限があるわけではないし、その責任のポジションであるとは思いませんけれども、今回の事件は、一つの政策や何かの問題ではなくして非常に社会秩序を崩壊されるか、あるいは多くの人命が犠牲にされるかという特殊な例でありますので、そういう中においては当然野党の党首に話すとか、あるいは衆参両院議長に話していろいろと意見を聞くとか、そういうことを私はやるべきではないかと思うのです。 それからもう一つは、今回行ったいろいろな超法規的な措置、こういったようなものがあった限りは、一体国会との関係においてどうあるべきか、国会でこれを追認するという形をとると、国会が何かこれに了承を与えてしまった、あるいは片棒を担ぐ、形式論からはそうなるかもしれませんが、事が事でございますし、内容が内容でありますので、私はむしろやがてしかるべきときにそういうような追認ということも場合によっては考えるべきではないか、こういうふうにも思うのでありますけれども、その点は、大臣はどうお考えですか。
○小川国務大臣 先ほど来お耳に入れておりますように、実定法に根拠を持たざる措置によって拘束中の者を釈放したわけでございますから、これは明らかに現行法規の違反でございますが、法理と申しますかあるいは理法と申しますか、そういう観点からは、いわゆる緊急避難の問題として、政府のとった措置は支持することができる措置だと考えております。実際問題としても、政府がとりました措置と全く異なる対応というものはあり得なかったと私は信じておるわけです。この措置そのものにつきましては、今国会でも御批判、批判的な御発言というものはなかったと思うのです。必ずこれは追認していただける措置であるに違いないとその時点で政府としては信じておったわけでございます。何分とっさの場合でございまして、状況は刻々に変化いたしてまいりまするし、あのような措置をとったわけでございます。 今後御指摘の点をどのように扱ったらよろしいかという点につきましては、私がこの場で確答申し上げる問題でございませんので、さような御指摘をいただいたということは報告をいたしまして、検討したいと思います。
○地崎委員長 与謝野馨君。
○与謝野委員 それでは関連質問を一問だけさせていただきます。 一つは、超実定法的措置をとられたわけですが、そういうものの法律的な効果というのは一体どんなものなんだろう。公判が単に中断したのか、あるいは国家としての訴追権を放棄したのか、またあるいは刑事政策的にはいまそういうものの解釈をするということが好ましくないことなのかどうかということが第一点。 それからもう一つは、あらゆる犯罪が国際的な広がりを持っているときに、一体警察庁の対応としては、職員の国際的な訓練というのはどういうふうにやっているのか。現在も大使館等に出向されているようでございますが、そういう者の数等、拡充する、増員するということはお考えなのかどうか、これが第二点。 それから公職選挙法等では百日裁判という規定もございますが、過激派等について、現在の裁判は長引き過ぎて、結局判決がおりるころには警世的な要素は全く失われている。こういう裁判の迅速化ということを含めまして、法務省としてはどういうふうにお考えなのか、この三点をお伺いしたいと思います。
○石山説明員 与謝野委員御質問の三点の第一番目と第三番目、これは私どもの所管にかかわると思いますので、一応お答え申し上げます。 第一点の、今後裁判等において今回の措置が法律的にどのような意味を持つかという問題点でございますが、この点につきましては、前回のクアラルンプール事件の際もあるいは今回も同じような法的構成であるというふうに裁判所には釈明をいたし、裁判所に支持を得ております。といいますのは、今回の措置によりまして身柄を出しましたことは、法律によって適法に拘禁されておる者の身柄を、一時このような超実定法的措置によって仮に拘禁状態を解いたという形の事実状態でございますので、法律的な勾留状等の効力は依然として生きておる。したがいまして、原状回復の余地がございますれば直ちに勾留状の本来の効力が復活いたしまして、身柄をもとへ戻し得る、そのために改めて令状等を処置することは要らないという考え方でございます。この点につきましては、その後行われました東京地方裁判所の公判におきましても、検察官はそのような法律的見解を述べまして、裁判所もそのように思うということで公判は無事に進行いたしております。 それから、第三点の問題点でございますが、この点につきましても私どもいろいろ考えましたが、おっしゃいますような問題点につきましては、いずれも問題点は現在のところない、このまま扱っていっても大丈夫だというふうに考えておる次第でございます。とりあえずお答え申します。
○三井政府委員 二番目の国際的訓練と申しますか、この点でございますが、今回の事件に限らず、犯罪全体が国際化してきておるというのが今日の大きな趨勢でございますので、私たちにおきましても、そういう観点から、かねて準備やそういう教養の方向を推進しておるところでございますが、今回のこういうことがありましたので、一層この点に力を入れてまいりたいということで、具体的なやり方については検討しておるわけでございます。
○与謝野委員 超実定法的な措置をとられたわけですが、超実定法的な措置をとった法律的な根拠と申しますか、法的な根拠というのは一体どういう解釈と論理から生まれてくるか、これをお伺いしたいわけであります。
○石山説明員 お答えをいたします。 この問題は、むしろ内閣の責任において行われた措置でございますので、お答えいたします主管は内閣の法制局が相当かと思いますが、一応法制局と、私ども実務家としての法の執行の立場から横の協議をいたしました関係で、私から一応のお答えを申し上げさせていただきます。 今回のような、あるいは前回のような法的措置をとります場合の根拠は、実定法には定めがないということは、先ほど来警察御当局の御答弁のとおりでございます。そこで、法律に定めがない場合に別途の措置をとる場合に、それが直ちに明文にないことをしたから違法になるか、あるいは法理という言葉が先ほど来出ておりますが、すなわち法秩序全体の精神あるいは法の理念ということに関して違法になるかという問題点は二つございまして、これはいまさら先生に申し上げるまでもございませんが、法律にないことを行う場合に、われわれが法律の解釈として問題にいたしますのは、実定法になければ慣習法、慣習法になければ判例法、判例法になければ事実たる慣習あるいは法理というふうになりまして、最後の問題になると、いわゆる条理という言葉がございます。 そこで、前回、今回の措置につきまして、当時私どもが法制局といろいろ御相談いたしました場合には、これは一つの条理にかなうかどうかという問題である。そうすると、多数の人質を、現在生命の危難という状態が生じてきた場合に、これを助けるということが果たして条理にかなうことであるか。条理にかなうということであれば、法全体の精神としてこの場合はやむを得なかったということであるので、法秩序全体の精神から言えば、これは違法と言うべき問題ではないのではないかというような問題点を前回から検討いたしまして、前回も今回も、その意味におきましては法秩序全体の精神にもかなう問題であるというふうに結論づけました。ただ、この場合に一つ問題点がございますのは、前回にもこういうことがあった、今後もあるいはこういうことがあるかもしれないという場合に、それでは国として国会の御決議を経て、このような不法、遺憾な状態が起きたけれども、法治国としては法律を守る観点から、こういうときの緊急の釈放手続を国会の法律によって決めていただいてはどうかという御議論があり得るわけでございます。ところが、前回の際にもそれは問題にいたしましたが、国家が不法な暴力に屈してその釈放手続をとる場合に、そのような暴力のあることを前提とした法律をあらかじめつくっておくという考え方はとるべきではないのではないか。したがいまして、この場合に実定法にない手続を有効に行うための立法までする必要はない、しかし、その場合はケース・バイ・ケースで考えなければいかぬというのが当時われわれの態度でございました。 参考に申し上げますが、先ほど来、西ドイツとの対比の問題が出ておりますが、西ドイツの刑法では緊急避難の条項が二つございまして、一つは、私人の行う緊急避難でございます。これはわが国の刑法三十七条と同じような考え方でできております。それからもう一つは、西ドイツがいわゆる戦う民主主義を標榜している関係から、いわゆる国家の行う緊急避難手続という規定を明文で設けております。そこで、西ドイツは、そのような問題につきまして、いわゆる戦う民主主義の立場から、国家が正当と認めて、国民の生命、身体、財産を守るためにやむにやまれずやった措置については、これを緊急避難とみなすという立法的な解釈をとっているわけでございます。それで、前回の西ドイツにありましたいろいろなハイジャックあるいは大使館占拠事件あるいは要人誘拐事件等につきまして、ドイツの国会では、いわゆる刑法によって、国家の緊急避難の規定を適用して今回の事態を解決したというふうに議会報告がなされたやに私ども承っておりますが、わが日本国の場合には、そのような規定は、先ほど申しました理由でとるべきでない。したがいまして、先ほど来申し上げましたように、法秩序全体の精神から見て、このような措置をとるかとらないかについて判断を求め、その場合に、急を要することでございますので、国会に一々こういうことについて立法していただくということの余地もないし、それからまた、司法機関といいますのは、実定法の手続を忠実に適用、運用するという法律家の立場だけでありますので、裁判官にこのような問題について行政的な決定の責任まで持たすのは相当でない。したがいまして、議院内閣制のもとにおいて、内閣が責任を持ってその決定をなし、その結果を国会に御報告申し上げるという形で国会の御承認と申しましょうか、あるいは御批判を仰ぎながら今後の措置を考えていくべきではないか、当時そのように考えておった次第でございます。今回の措置も、その意味におきましては前回と全く同じでございまして、実定法にない手続でございますが、法秩序全体の推進から見れば、私どもはやむを得ない措置としてお許しいただける、いわゆる合法的なものではなかったかというふうに理解いたしておる次第であります。(相沢委員「関連。」と呼ぶ)
○地崎委員長 ちょっと時間がないので、午後にしてくれませんか。 加藤万吉君。
○加藤(万)委員 いま御答弁のやりとりがありましたが、今回の日航事件と西ドイツのルフトハンザの事件、ある意味においては全く対照的な条件、解決、対応の仕方ではなかったかというように私は思うのです。この二つの事件をめぐって国論が二分をされていると言ってよろしいのではないでしょうか。そういう意味では、日本の政府がとった態度、西ドイツ政府がとった態度、どの方向を見定めるべきかということを政府側がきちっといたしませんと、これから起きる再発防止その他についての対応や国民とのコンセンサスが成り立たないというふうに思います。 そこで、この事件をめぐって起きたさまざまな、一番基本的な条件というのは何かといいますと、一つは、法と秩序を守るために断固たる措置をとる、この方向と、いま一つは、人命を優先させるという対応の仕方、ここに基本的な違いといいましょうか、あらゆる場所に対応する仕方の違いが出てきておるというように思うのです。ただ、いま国民の中には、あれほどひどいことをやったんだからという、やや感情論、国民感情の上に立ってこの後始末をする、対応を考える、こういう動きが非常にありますから、これについて、私ども法を守るという立場あるいは法をつくるという立場から、冷静に対応しなければいけないというふうに考えております。ややもすれば、国民感情の中にこれを引例をしながら、国民の人権法的な擁護というものがおろそかにされる、この面も率直に言って見逃しがたい問題だろうというふうに実は考えるわけです。 そこで、いまたまたま討論にありました超実定法的な課題について二、三質問をしてみたいというふうに思います。 これは大臣にお聞きした方がよろしいと思いますが、今度この国会で再発防止の特別措置法を提案をされる、私どもこういうふうに聞き及んでおるのですが、今国会に法改正を提案される用意がございますでしょうか。
○小川国務大臣 ただいま法律案を準備して、手続に入っておるところでございます。今国会に提出をする予定となっております。
○加藤(万)委員 これまた聞き及ぶところですが、法改正の内容についてでありますが、私ども新聞その他で知る範囲では、再発防止の特別措置法、たとえば人質に対する第三者強要罪あるいは旅券法の改正、銃砲剣所持法の罰則強化あるいははボデーチェック、こういうものが法改正の骨格になるのではないかと言われておりますが、そのように承知してよろしいのでございましょうか。
○小川国務大臣 仰せのとおりでございます。
○加藤(万)委員 この法改正、いわゆる再発防止については二つの面が率直に言ってあると思うのです。一つは、国内において再び起こさせない、たとえばボデーチェックにいたしましても、あるいは人質に対する第三者強要罪にいたしましても、同時に起きた場合にどうするかという場面の法改正ということもしばしばうかがわれているわけであります。たとえば警官の海外派遣というような問題、あるいはこれにかわるべき新しい警察機能といいましょうか、特殊訓練を経た機能の問題、こういうことがしばしば新聞などで報道されておるわけですが、法改正の場合そういう内容まで、いわば起きる前の事前の予防処置、同時に起きた条件の中における新しい予防処置、この辺も含まれて提起をされるものでございましょうか。
○三井政府委員 ただいま今国会で考えられておりますのはそういうものは含んでおりません。 なお、ついででございますけれども、いまおっしゃったような点は、西独のルフトハンザ事件がありましたので、わが国の措置との対比の中で大変クローズアップされておるわけでございますけれども、私たちが考えますには、それぞれの国は主権国家として存立しておるわけでございますので、今度のダッカの場合もそうでございますが、バングラデシュが自分の国内で起こった事案は自分の責任において解決する、こういう態度でありまして、もう当然のことでございます。したがいまして、その他のところも含めまして外国において発生したこの種事件につきましては、その国がその国の責任において処理をするということであろうと思います。 私が答えるのはあるいは適当かどうかちょっと疑問があるかもわかりませんが、それでは日本赤軍が関係しておるとか、あるいは飛行機は日航の飛行機であるとか、つまりわが国がその事件に関連をするという場合に、わが国はその事案の処理についてかかわりを持つわけでございますけれども、そのときもその主権国家が主権国家の責任においてやるという枠組みの中で、わが国がそれにどういう協力ができるかという立場において考えるべきことであろう。その国の意思を無視して押っつけるというわけにはまいらないというように考えます。 そこで、ただいまお話が出ました具体的なドイツのあの特殊部隊を頭に置いて、そういうものをわが国につくり、訓練をするかとか、またそういうものが海外に派遣できるような法的措置等が必要かということでございますが、やや迂遠かもしれませんけれども、私たちはあくまでわが国内において同じような事案が起こったときにこれを解決するということを直接の責任とし——責任の全部かもわかりませんけれども、これを考えておるわけでございます。したがいまして、わが国においてハイジャックは十一件起こっておりますが、幸い、一件を除いて全部検挙、解決をしておる、こういうことでございまして、解決できなかった「よど号」一件が問題でありますけれども、こういう点につきましてわれわれが国内において警察としてそういうものを、先ほど来出ておりますように、人質の人命の安全、救出と犯人の制圧、検挙、この二つながら実行できるような組織、体制、やり方というものをみがいていくといいますか、力をつけていくということを考えておるわけでございます。それが中心でございまして、したがいまして、外国のことは外国が中心になって考える、われわれはどこまでそれに寄与できるかということの問題であろうかというように考えるわけでございます。
○加藤(万)委員 原則的にはそうだろうと私は思うのです。 ただ、先ほど私は、基本的な起き方の違いというものが対応の仕方の違いに出てきていると言いましたが、法と秩序を守るという前提に立って、事件が国際的な条件の中で起きるということを考えますと、再発防止の問題が国際舞台に移るわけですから、国内においてたとえばボデーチェックであるとかあるいは第三者強要罪であるとかいうものと同時に、事件そのものが外国に起きた場合に、それはその国の主権の中、その国の警察機能によって解決を得る。同時に、いま局長の話によれば、西ドイツの場合でも結果的にはその国の主権を応援をしたという体制だろうと私は思うのですけれども、応援をするという条件の中でも、やはり海外派遣を行っているわけですね。したがって私は、現行法、たとえば警察官の問題にいたしましても機動隊の問題にいたしましても、国内の治安上から出ておりますから、国際派遣という問題が現行法でできるとは実は考えておりませんし、いま言ったように、前者のように国際的舞台で犯罪が起きた場合にそれを応援をするという条件の中で、わが国の警察機能としては海外派遣をするのかしないのか、この問題は起きるのじゃないでしょうか。いかがでしょう。
○三井政府委員 ちょっと話が回りくどくなって恐縮でございますが、私は、西ドイツの例を頭に置いて、わが国が同じようなことができるのか、できなければできるようにしたらどうか、こういうような発想もあると思いますけれども、法的にできることが常に成功するとは限らないわけです。問題は、成功するということでないといかぬと思います。なるほど、西ドイツの警察官を外国に派遣できる、できたけれども、全員玉砕で失敗だったという公算の方が冷静に考えれば多いでしょう。今度はなぜあれが成功したか。私は、ああいうリスクから言いますと、成功の方が万に一つ、あるいはもっと少ないかもわからないというような気がするわけであります。問題は、権限上できる、あるいは法的にできるということもさることながら、できるような諸条件を整えるということの方が大事でありまして、いま論議が、法的にできるかということももちろんその一つとして大事なことでありますけれども、そこに集中することには問題がありまして、それ以外の諸条件、つまり法的にできるから成功するというものでありませんで、法的にできて、かつ成功するという条件が整わなければそれができないということでありますので、それでは成功する条件は何かというと、法的にできるということはたくさんある条件の中の微々たる一つではないかという感じさえ私はするわけでございまして、それ以外の諸条件というのは何かと言いますと、先ほど来話が出ておりましたように、西ドイツの場合におきましては、いわば国を挙げてそういう諸条件を充足するといいますか、成熟させるためにみんなが努力した、努力するような国民性とか国の状況であるとか、そういうものが熟して今日に至ったのだというところに着目いたしまして、むしろそういう基礎的な条件をどうするかということに問題の中心といいますか、研究の中心というものがいくべきでありまして、もとよりその中の一つとしていまの法的な問題ということもあろうと思いますが、法的な問題につきましては、いろいろむずかしい点もありますので、私たちは研究を続けるということにいたしております。
○加藤(万)委員 私は海外派遣をしろということを言っているのじゃないので、応援をするという立場をとられるとするならば、その国の警察機能というものに対してわが国が応援をするという立場をとれば、法改正をしなければならぬような条件があるのではないかということが推定をされるわけですね。そこで、先ほど御質問しましたように、再発防止法をつくる場合に、再発防止のための法律改正と同時に、起きた場合の法律改正という二つの側面があるのではないか。したがって、いま局長の答弁でも、法的に成功する可能性、それは万が一少ないかもしれぬ、しかし、あるという可能性もあるわけですから、その場合にはそういう条件を法的に整備をしなければならぬという場合も考えられるのではないか。とするならば、今回法改正を大臣は提案される予定でおる、こう言いますから、その中にそういう起きた場合に対応するような法改正が含まれるのかどうかということを最終的には聞きたかったわけであります。この面についてはこのぐらいにします。 ただ、前者の方と超法規の問題についていろいろやりとりがありましたが、私もどうも合点がいかないのであります。やはり法と秩序をどのように守るかということと、先ほど法務省の方が法理だとか条理だとかということを言われましたが、緊急避難という言葉で処置できるものだろうか、あるいは法の条理にかなっているから、超法規実定行為を行っていいのかどうかということについては率直に言って疑問があります。むしろこの際の条件は、そういう条理とか法律とかという問題よりも、まさに国の政治的配慮ではなかったか。政治的配慮ということが出ますと、これは正当防衛であるとかあるいは緊急避難であるとか、条理とかという問題とは少し次元が離れていると思うのですね。国民感情、国内の治安体制、あらゆる面から見て政治的に配慮をする、その立場をとり、今回の処置をなされたんではないか、こういうように見ているわけですよ。したがって、すぐ法律に結びつけて法律にかなっているという答弁には率直に言って合点がいきません。むしろ素直に、政治的配慮、わが国における客観的な条件から見ての政治的配慮だ、こういうようにとらえた方が素直な見方ではなかろうか。そしてその政治的配慮は一にかかって人命尊重の条件にあった、こう私どもは判断をしたい、こう思うのです。これについては私どもの見解でございますから、答弁は必要がございませんが、こういうように実は思います。 そこで、再発防止、今度日航の事件でこういう条件が起きたわけですが、これに対する対応の仕方について少しお聞きをしたいと思うのです。今度の場合は乗客の安全と人命というものを最大限尊重するという立場から対応されたわけですが、その後、西ドイツの事件が起きて以来、瀬戸山法務大臣の国会の答弁では、西ドイツのやり方というものをまねねばならぬとか、あるいはこれを参考にして云々という言葉がしばしば出るわけですね。そこで私は、乗客の安全と人命尊重という問題と、一体法と秩序を守るという谷間といいましょうか、あるいはかかわり合いの問題、どのように考えていったらよろしいか、非常にむずかしいのですね。 そこで、わが国においてこのような条件がしばしばいままで起きたわけです。そのときに、犯人に対する対応の仕方が問題になってくるわけですね。かつて宇品港でシージャックがございました。このときには犯人が船の上に上がったところをライフル部隊が射殺をしたわけですね。今度の日航事件のすぐ後、長崎でバスジャックがございました。このときも犯人は射殺をされました。 そこで、これは局長か長官に答弁を願いたいと思うのですが、乗客の安全が確保された場合、乗客の安全が大体確保されると推定をされた場合、このような形での犯罪行為というものは射殺をするに値する犯罪行為とお考えでしょうか、いかがでしょうか。
○三井政府委員 ちょっといま御質問の趣旨が事実と違うように思うのですけれども、私たちは、先ほど来申し上げておりますように、人質の人命の安全と犯人の制圧、検挙、これを同時的にやるというのが目標でございます。そのために個々のケース、ケース、いろいろの要素があるわけですが、それに応じた措置をするわけであります。 いまのお話は、人質の安全がもう大丈夫だ、しかしこういう犯罪行為はけしからぬから射殺してもいいか、こういうような御質問のように聞こえましたけれども、そうではありませんで、人質の安全を確保するために犯人が動けないように、犯人の抵抗あるいは行動を制圧するために武器を使用するということが必要であったということでありまして、御質問のように人質の安全を確保してからこれを殺す、射殺目的で武器を使うというようなことはもとより許されないわけでありまして、犯人は裁判によって処理されるべきものである。繰り返し申し上げますが、広島のシージャック事件も長崎のバスジャック事件も、ことに最近の長崎バスジャックの方が印象に新しいわけでございますが、人質を安全に救出するという努力をしておる中で犯人が警察官に発砲してきた、このままでは人質にも発砲するという危険があったので、これを制圧するために警察官も拳銃を発射した、その結果が結果的に致命傷を与える結果になったということでございまして、これは警職法第七条による正当な使用、つまり人の安全、生命を救うためにやった正当な武器使用であるというように私たちは考えておるわけでございます。
○加藤(万)委員 宇品の場合でも大阪の機動隊のライフル部隊を現地に派遣をされましたですね。それから今度の長崎の場合でも、長崎の警察署長さんが、拳銃の携行はもちろんですけれども、流血を起こしてもやむを得ない、そういう談話を事件後発表されているわけですね。幸いにして乗客に余り大きなけがのないまま解決ができましたからいいのですけれども、この二つの対応の仕方を見ますと、犯人の犯罪行為というものは射殺に値する行為だ、したがって乗客の安全の上に立って云々、発砲したから云々ではなくして、乗客の安全を確保するためにも犯人を射殺をすべき、そういう犯罪行為だという前提の上にライフル部隊の派遣であるとか、あるいは事前に、長崎県警の場合には本部長が、流血を招いてもやむを得ない、いわゆる拳銃の発射そのことについて許可を与えておりました、こう言っているのじゃないでしょうか。いかがでしょうか。
○三井政府委員 人質を安全に救出するというのが至上命令でございます。そのために、当該具体的な状況の中でどういう方法が一番いいかということになるわけでございます。そのために武器を使用する。武器の使用につきましては警職法によりまして厳しい規制がございます。警職法の七条を見ますと、御存じのところでございますけれども、武器は使用していいが、相手に危害を及ぼしてはならないというのを原則にしておるわけです。ということは威嚇しかできない。ただし特殊例外の場合には相手に危害を与えてもやむを得ない、この条件をしぼりにしぼっておるわけでございます。つまり、凶悪な罪を犯して、かつ、そのために人の命が危殆に瀕しておる、こういうような場合がその典型的な例でございます。つまり警察官が武器使用できる場合であるかどうか、そういう法的な観点から言えば、この場合は明らかに警察官は武器使用してもいい、相手に危害を与えてもいいという場合に該当する。相手に危害を与えていい場合のしぼり方を犯罪でしぼっているのが一つあるわけです。つまり、大変凶悪な犯罪を犯して、それによって云々、こうなっておりますので、そういう犯罪でしぼられて警察官の武器使用が制限されておる。そのしぼり方の中で挙げられておる犯罪の態様といいますか、それにこの場合は該当する、こういうことを言っておるわけでありまして、法的に言えばそういうことであるということでありますから、最初から犯人を殺してしまうということが人質救出の唯一の道であるというようにはどんな場合でも判断できないと私は思います。それは時間の推移がありますから、現場の状況の中で一見そのように見えましても、できるだけ人を殺さないで逮捕、検挙する、そしてまた人質も無事救出する。それはわれわれが単にそう考えておるだけでなくて、現に実行しておることにつきましては、浅間山荘等の事例をごらんいただきましても明らかであろうというように考えるところでございます。
○加藤(万)委員 国民感情の中に、やはりこれだけの凶悪犯人だから殺してしまってもいいじゃないかという流れが率直に言ってぼくはあると思うのです。もしそれに便乗されるような形でいま局長が言われた枠を外されるということになりますと、これはもう底の知れないどろ沼に法律というものは追い込まれる可能性があると私は思っているのです。犯人といえども最小限の人権というものはやはり確保されなければいかぬと思うのですね。それを裁かれるのはわが国の場合やはり法定主義だと思うのです。したがって、できる限り法廷に犯人を引きずり出して、それがどういう実刑になるのかわかりませんけれども、その中に持ち込んでいく。そういうための捜査、検挙、同時に一方では乗客の安全を図る行為、その道を確実に踏んでいっていただきたいと思うのです。もちろん状況判断その他があるでしょうから、その場合に、射殺をするという行為もやむを得ない行為として現行法でできる範囲でやられる場合もあるかもしれませんけれども、しかし、私が当初申し上げましたように国民感情もある。しかも状況判断が許せば、この犯罪行為は射殺に値する犯罪行為であるということが現場の警察官も含めて優先するということになりますと、一般事犯に対してもそういう考え方というものは援用されてくる可能性というのは私は十分あると思うのです。したがって、そこの基本が緩まないように、これはこの事件を振り返りながらの私どもの一種の反省といいましょうか、問題点という形でぜひとも心にとめておいていただきたいというように思うのです。 時間がありませんから次に入ります。 今度の場合、非常に外交問題との関係が強くあるわけです。これは外務省にお聞きしますが、アルジェリア政府に対してわが国の外務省は、犯人及び身のしろ金の請求については放棄をしたと一般には言われておりますが、これは事実でございましょうか。
○加賀美政府委員 お答え申し上げます。 先生御承知のとおり、ハイジャック機のアルジェ着陸、それに引き続きます犯人等のアルジェリアにおける受け入れに際しまして、わが方の政府はアルジェリア政府に対しまして、犯人の引き渡しと身のしろ金の返還をアルジェリアに対しては要求しないという約束をしたわけでございます。しかしながら、この犯人自身に対します裁判管轄権及び犯人自身に対します身のしろ金返還請求権自体、これは存続しておることは御承知のとおりでございます。したがいまして、犯人がアルジェリア国外に出た場合、あるいは身のしろ金が何らかの方法によって追跡可能になった場合、これにつきましては当然犯人の追及、身のしろ金の追及ということは行うことができるわけでございます。
○加藤(万)委員 アルジェリア政府に対して、わが国はいまおっしゃったような形でやや放棄をしたという形に似ると思うのです。放棄しておって、先ほど片方の警察庁の答弁では、一時身柄を釈放したけれども、さらにそれを復活する、そういうことを用意をしながらとこう言うのですが、どうでしょうね、常識的にわが国が一国の、しかも犯人がそこにおるその国に対して、逮捕権やあるいは身のしろ金の返還等の請求を放棄して、他国に通用するでありましょうかね。たとえばクアラルンプールのときに、御承知でしょうが、マレーシアあるいはリビア政府は、これは政治犯であるからということでわが国の協力要請を拒否しましたね。これはあと二人の政治犯でない犯罪人がおりますから、この問題は別にいたしまして、たとえば彼らが政治犯というふうに認めた。しかも日本の政府が旅券冊子と言われているものまで発給をして——私はビザだと思うのですけれども、旅券まで発給して釈放した犯人を、他の外国の国に対して、アルジェリア以外の国に対して、いや、いまは一時釈放であるから、身柄の拘束をさらにするために協力をしてほしいということが成り立つでしょうか。どうでしょう。
○加賀美政府委員 先ほど申し上げましたように、アルジェリアに対しましては、一応アルジェリア政府と日本政府との間の条件によりまして、犯人の引き渡し等を要求しないということになっているわけでございます。ただ先生御承知のように、この人質が釈放されました後に、対策本部の対処方針によりまして、アルジェリア政府に対しましては、アルジェリア政府側が将来自発的に湾すことを決定する場合には、わが方としてこれを受け入れる用意があるということを申し入れ済みでございますし、また第三国に出ました場合には、たとえば第三国にいることがわかりました場合には、当然これに対しまして引き渡し請求を行うということは何ら妨げないわけでございます。
○加藤(万)委員 アルジェリア政府が自発的に渡すというときには、それは国内に問題があるからですよ。いることがアルジェリアの国自身に問題点を引き起こすという、そういう問題があるからこそ自発的に引き渡すんでしょう。アルジェリアにそのままずっとおったとすれば、これはアルジェリアの自発的行為にまつ以外にないわけですから、警察庁がいかに国際刑事機構を通して情報の収集を行いたい、犯人逮捕の追跡を行いたいと言ったってできませんよ。仮に第三国に逃亡した場合に、一般的、常識的に言ってその論理が通らないじゃないですか。私が聞いている範囲で、国際通信は全部日本のそういう慣行、慣習というものはもう国際通念としては通用しない、こう言っていますよね。あえてそこを外務省が踏み切られたわけですが、そういう観念というものは国際的に通用しない。したがって、この事件もいま一遍アルジェリア政府に対する対応の仕方というものを考えるべき条件があるのではないか、こう思うのですが、いかがでしょう。
○加賀美政府委員 アルジェリア政府に対しましてこの引き渡しを請求しないということを決定いたしましたのは、先生も御承知のとおり、人質の安全な解放ということを実現するために、アルジェリア政府の方が、犯人との取引等もあったと思うのでございますが、そういうことで条件を提示いたしました結果でございます。したがいまして、あの急迫した状況のもとにおきましてやむを得なかったというふうに考えておるわけでございます。 それから、将来におきます第三国での犯人等の追及につきましては、これまでにたとえばジョルダンにおきまして前の事件の犯人が逮捕されて、これを日本に引き渡してもらったということもございます。したがいまして、全く初めから望みがないというふうにも考えておらないわけでございます。
○加藤(万)委員 こういう国際犯罪は、外務省の姿勢がもう少しきちっとしなければ解決できるものじゃないと思います。 そこで、私は最後に警察庁長官に聞きますけれども、今度この事件に関連して、国際刑事機構に国際手配のお願いをされているように新聞で拝見をいたしておりますが、私どもの同僚から聞いたところですが、この場合青色手配というものと赤色手配というものがある。今度の場合、本来ならば犯人逮捕に至るまでの要請をすべき赤色手配——セキショクというのでしょうか、アカイロというのでしょうか、そういうふうにすべきだというふうにお考えだったろうと思うのですが、青色手配すなわち情報の提供とその通報、こういう手配をされたというふうにお伺いをしているわけです。いまの外務省のことと関連をして、赤色手配が警察庁としてはできなかったのでしょうか。あるいは、今度の事件は犯人の身柄の拘束や逮捕を要求するまでの条件ではないから青色手配にされたのでしょうか。この辺は明確に御答弁を願いたいと思うのです。 ということは、後で公安委員長であります大臣にもお願いしたいのでありますが、結果的には閣内不統一だと思うのです。法務省の見解と外務省の見解の不統一が、あるいは当初私が指摘をいたしましたように、法の秩序を守るということを前提にしてあらゆる対応策を立てるのか、あるいは超法規的な政治的配慮という形で本問題を始末しようとしたのか、そこの見解から末端の各省における動きのあり方、さらには国民が一番心配する、また起きるのではなかろうかという不安に対する終結ができない、対処ができない、警察庁の場合に青色の調査しか国際刑事機構に通報ができない、こういうことに陥っているのではないかという心配を持つからであります。したがって、外務省がそういう態度をとったことが結果的に警察庁として国際刑事機構にその問題しか提起でき得なかったのか。同時に、国家公安委員長としての大臣には、末端におけるいろいろな面で国論が二分をしている、それはやはり閣内における閣議の不統一がそういう方向になっているのではないかということを強く痛感をいたしますがゆえに、二つの条件をあわせて御答弁をいただければ、こう思います。
○三井政府委員 事実関係からまず申し上げます。 御質問の趣旨は、ICPOの手配制度のことが最後の御質問のように思いますけれども、その前段階の問題の事実関係がちょっと違いますので申し上げたいと思いますが、今回の事件では、各国の協力を得て私たちは捜査しておるわけでございます。犯人は日本人、男で五人、人相風体かくかくというようなことは現在までの捜査で一応わかっておりますが、これがだれであるのかということはまだわかっておりません。したがいまして、当然のことながら手配をするだけの材料がまだ整っておらないので、目下は手配をしておらないということになっているわけでございます。 そうしますと、ICPOルートを通じて何をしておるのか、こういうことになるわけでございますが、今度の事件発生以来、犯人はボンベイから乗り込んだのではないかというようなことが一応推定される。ダッカで事案が起こった。途中、クウェート、ダマスカス、アルジェリアというところに寄っている。最終的にはアルジェで降りた、こういうことでございますので、関係の国のICPOの国家中央事務局に対しましてわが国から通報しております。それは何かといいますと、私たちが捜査しておるので、おたくの国も捜査して得た材料を皆ください、こういう依頼をしておるわけでございます。事件後の十月九日にそういう依頼手配をしたというのが現状でございまして、現在までのところ、先ほど申し上げた犯人を特定するまでに至っておりませんので、いわゆる手配制度というのがあって、赤、青、緑、黒というのがあるわけですけれども、これにはまだ乗せるだけの材料は整っておらないということでございます。 それからもう一つ、いわゆる未決、既決の囚人を釈放犯として連れて行った。この六人につきましてははっきりしておるわけです。これについては手配をすることになります。関係のところにこういう者だということは知らしてありますが、いわゆる手配に乗せるにつきましては、さっきの五人も含めまして十一人ですけれども、いまのところアルジェリアにおると思われるといいますか、アルジェリアから外に出たという報道等はありますけれども、まだ確たるところまで行っておらない、情報の一つである、こういうことでありますので、アルジェリアをはっきり出たということは——はっきりの程度がまたありますけれども、時間的な要素も入れなければいかぬと思いますけれども、いまのところは一応アルジェリアにまだおるというように推定をいたしまして、アルジェリアには手配する必要はない、わかっておるわけですから。いま外務省がおっしゃったように、おたくの都合によってはいつでも引き取りますよと言っているわけですから、ここのところはもういい。むしろアルジェリアに言っておるのは、その犯人五人の指紋だとか個人識別だとか、そういうものを送ってください、こう依頼をしておるわけです。ですから、そういう犯人たちの所在の点からいってもまだ手配をする段階でない。 そうすると、それでは何をしておるのかということになりますが、私たちは、いまの犯人五名はわかりませんけれども、六人の釈放犯はわかっておりますから、こういう材料をICPOの事務総局、パリにありますが、これに送っておるわけです。それで、アルジェリアを出たとか、そういうことになったら、直ちにICPO事務総局で世界じゅうに、あるいは関係のところに手配してくださいよということで材料を全部送って、スタンバイの状態にある、こういうことでございます。 状況はそういうことでございます。 最後に御質問の、それでは、手配制度がいろいろあるが、赤色手配は逮捕手配だ、青色手配は情報手配だ、こういうことになるわけでございますが、これにはそれぞれの国の国内法上の問題がありまして、わが国では相互主義というたてまえがございますから、諸外国はICPOの赤色手配があれば、それだけで犯人を逮捕というかは別といたしまして、逮捕状と同じような効果があるものとして仮に身柄を拘束しておくというような制度をとっておる国、ヨーロッパに多いわけでございますが、わが国はそこのところまでいっておりませんので、逮捕状がありましても、青色手配で、逮捕状がありますよという情報を知らせる、こういうことをしております。したがって、赤色手配がICPOから来たら、それをもとにわが国手配の犯人を発見したときに、直ちに逮捕できるという制度にすれば相互主義になるかもわかりませんけれども、その辺はいろいろ法律上の問題もありますので、研究、検討を加えておる、こういう段階でございます。 そうしますと、赤色手配ができない、青色手配しかできないとこれは効果がゼロかというと、そうではありませんで、赤色手配に近いような効果がいま上がってきておる。つまり、さっきも話があったと思いますが、すでにクアラルンプール事件以来もう七名送り返されておる。その前から含めますと、日本赤軍関係者九名送還されてきておるわけです。日本のいまの制度はそういう状態であってもそういう成果が上がっておるのは何かといいますと、前回あるいはその前からの国際協力推進のために、いろいろな方法で努力しておることのあらわれ、それからもう一つ、日本赤軍が中近東を根拠にしてヨーロッパ諸国に出かけていろいろのテロ行為をやる、こういう中で、日本赤軍の凶悪性というものがだんだんわかってきておるということで、各国から協力をいただいておるという成果でございますので、いまのところはそういうふうにやっておるということでございます。
○加藤(万)委員 終わります。
○地崎委員長 小川新一郎君。
○小川(新)委員 時間がありませんから、簡単にどんどん聞いてまいります。 最初に、日航の関係者にお尋ねしますが、いま日本航空が海外に行っております国際ラインの中で、ハイジャック防止に非協力な国またはハイジャッカーに寛容な国々、特にいま危険と思われる国々、飛行場を教えていただきたいと思います。
○野田参考人 お答え申し上げます。 一般論でございますが、私どもの会社が寄港しておる空港が現在四十三カ所ございます。そのうちで私どもが特に特殊の強化策を要しないと考えておりますところは、当面の話でございますが、アメリカ関係、それからソ連、中国、それから西ドイツ、そういう国に存在する空港でございます。それ以外の空港に関しては急いで強化策を講ずるつもりでおります。数で申しますと約十七空港になります。
○小川(新)委員 その十七空港の名前はいま言ってもらえますか。
○野田参考人 ヨーロッパの方からまいりますと、コペン八一ゲン、パリのシャルルドゴール、ローマのフミチーノ、それからアテネ、カイロ、カラチ、ボンベイ、デリー、バンコクそれからジャカルタ、シンガポール、香港、若干漏れがあるかもしれませんが、そういう範囲でございます。
○小川(新)委員 そうしますと、これは非協力、要するに寛容、要するにハイジャック犯に対して日航としては一番危険とマークされているところなのですね。
○野田参考人 お答え申し上げます。 そういう意味ではございませんでした。先生の御質問の趣旨を若干取り間違えました。私どもが一般論として、もしできるならば補強をしたいと一般的に考えている空港がそういう範囲であるということでありまして、いま申し上げましたような空港の中でも大変保安検査の厳重なところもございまして、個々に検討いたしますと、ある部分は会社として補強したいけれども、全般的に非常にしっかりしているというところは多々ございまして、十七空港全部が問題空港であるという意味で申し上げたわけではございませんでした。
○小川(新)委員 その十七空港の中で、特に問題になるところを聞きたいわけです。そしてそれに対する対策、政府に対する要望、あなた方の処置、これを聞きたいわけです。
○野田参考人 一つの問題のとらまえ方といたしましては、会社が保安検査をやりたいというときにそれが許されないというような制度の国がございまして、そういうところで何とか会社としても保安検査をやりたい、それができるようにしたいというような、そういう角度がございます。そういう空港が問題だという意味ではございませんが、できるならば会社としてもやりたい、しかし現在のところは当該国の制度により、官憲の指導によりそれができていないというところは、何とか関係各省の御援助を得ましてそれができるようにしたいというのが一つございます。(小川(新)委員「それがどこだと聞いている」と呼ぶ)一例で申しますと、例示として言わさせていただきますが、パリの空港、シャルルドゴールでございますが、空港公団がある地域内の、すなわち旅客のおられるような地域の保安検査を全部責任を持っておられまして、航空会社が独自に個々の検査をすることを許さないということを文書をもってかねて受け取っているところがございます。 もう一つの例といたしましては、今回の事件に関係のございますボンベイ空港でございますが、現在警察当局の手によりまして旅客検査が行われております。そこで、日本航空その他の航空会社が会社としての検査をやらせていただきたいということをお願い申し上げましたが、今日に至るまでまだ許可を得ておりません。そのような例がございます。 その他は会社ががんばれば十分にその検査を補強できるというようなところが多うございますので、そういうようなところについては会社が十分努力をいたしたいと考えております。
○小川(新)委員 ボンベイ空港では、向こうのバングラデシュですかインドですか、その国の当該警察がチェックをしたというのですね。チェックをしたのになぜピストルを持った犯人が乗れるのですか。そういうところがわれわれとしては困るから、そういうパリのように厳重な検査を政府がやってくれているところの例を引くんじゃなくて、あなた方が当面日本の、世界の旅客の生命、財産、そうした問題を扱っている中で一番チェックしなければならないところ、たとえばそういう制度があってもいいかげんと言ってはおかしいが、結局出てしまったんですからいいかげんでしょうね、そういうところ、それからないところ、あなた方がどうしてもここは一番マークしなければならぬところ、それをさっきから聞いているわけです。
○野田参考人 お答え申し上げます。 その点につきましては会社といたしましても従来からの調査、それから今回の調査、また近く政府が行われます現地調査、そういうようなことの結果具体的にはっきりすると思いますが、現段階におきまして日本航空といたしましては、先ほど申し上げました十七空港のうちほぼ八空港程度にダブルチェックの制度を会社の手で設けたい、それは行う可能性がある。会社の手と申しましたが、ある場合には官憲にダブルチェックをお願いするというのを含んでおりますが、いまのところ八空港程度がダブルチェックが必要であり、できる可能性があるというふうに考えております。
○小川(新)委員 これは外務省にお尋ねしますが、いまの日本航空の要求というものを外務省としてはどのようにとらまえておるのか。また、それ以上の要求があっても拒否された場合は、そういう国々に対して航空会社の安全、また航空機を利用する乗客の安全の保障というのはどうとったらいいのですか。
○高瀬説明員 お答え申し上げます。 内閣がこのたび六項目のハイジャック防止対策というのを決めまして、その第三の「安全検査等の徹底」の第五項目、小項目の第五でございますが、「わが国航空機の寄港地で日航等の手によるダブル・チェック実現を図る。このため必要に応じ各国に協力を要請する。」ということでございまして、政府レベルの折衝が必要であるという場合には、政府レベルでこれを各国に協力を要請するという方針を決定しておりますので、外務省といたしましてもその方針に従いましてできるだけの努力をいたしたい、こう思っております。 ただ、これはそういうことで最大限の努力はいたしますが、もちろん相手国の主権の問題がございますので、これがもし相手国においてどうしてもできないというようなことがございますれば、これは最大限の努力をする以外にないわけでございますが、その場合におきましても、その相手国と合意を見られる範囲でたとえばチェックを厳重にする、たとえばその相手国の官憲がチェックしているのをそばで厳重に見ているというような方法もあり得ると思いますので、相手国と合意を得られる範囲内でそのチェックを厳重にしていくということでやったらいいのではないか、こう考えます。
○小川(新)委員 日航に改めてもう一遍お尋ねをしますが、いまの政府の答弁を聞いておって、これができない場合あなた方の会社の損害、こういうものも聞きたいんですけれども、あなた方としてはどういう態度で政府に要求しますか。
○野田参考人 会社の力で問題が解決しない場合は、当然のことといたしまして、私どもとしては運輸省を通じて関係の省庁にお願いを申し上げまして、問題の打開をお願いするわけでありますが、それでもなおかつむずかしい、実現しないという場合の御質問と思います。私どもに残されました方法といたしましては、国際航空運送協会という国際航空の団体がございまして、その場において国際航空の共通の立場というものを強く合意をつくりまして、ICAO、民間航空機構とか種々の国際機関であるとか、あるいは各国政府とかにその団体を通じて強くアピールするということが、間接手段ですけれども残された手段と考えます。現在、民間航空条約の附属書十七というのが保安ということに関して書かれております国際基準でございますが、これの実施を各国にお願いする、そのために、単独の会社の力で弱ければ、会社の集まった団体というものを通じてしかるべき筋を通じてお願い申し上げるということが残されておるかと思います。
○小川(新)委員 それらの手段を講じても解決できない場合の最終的な考えはどうですか。
○野田参考人 いま申し上げた以外の手段がほかにもあるかもしれません。それらを種々考えますが、私見でございますが、航空会社がとり得る防止策というものがハイジャックの再発防止を一〇〇%可能にするとは限らないと考えております。関係国政府、いろいろな官憲のおとりになる対策というものと航空会社のとり得る対策、そういうものが総合されまして完全な防止策というものになるかと考えます。そこで航空会社の立場といたしましては、最大限の努力をするということはもちろんでありますが、関係国の政府官憲の再発防止策という面におきましても十分に御援助を賜りたいというふうに考えております。
○小川(新)委員 非協力、または赤軍派、過激派に対して寛容が過ぎている国、そういうことであらゆる手段を講じてあなた方の会社はもとより、国の機関を通じて、またそういった国際の航空会社の機構を通じて交渉してもなおかつ解決できない国々に対して、一番当面の責任を持つ航空会社としての態度を私は聞いているわけなんですが、あなたの御答弁はいつもその前の段階で切れているわけですが、それ以上お答えはできないのですか、あなたの立場では。
○野田参考人 先生の意味されますところは、たとえばそういうような地点に寄港しないとか、そういうような可能性をほのめかしておいでになると理解いたしました。そのような対策をとり得るかということは、私ども一航空会社だけの立場で決められない問題と考えます。航空当局あるいはわが国の外交政策等にかかわり合いのある問題でありまして、航空会社の一存で決められない問題かと考えております。
○小川(新)委員 あなた方にお尋ねしているのは、昭和四十八年八月二十九日の前回のハイジャック等防止対策要綱にのっとってこれが全部施行できれば、今回の事件は未然に防止できたと私は考えているわけだ。それができないところに問題があるわけなんですね。じゃあ、航空法の改正というものをあなた方は国会に要求しますか、政府に。
○野田参考人 四十八年のベンガジのハイジャック事件の後に出された対策のことと思いますが、四十八年の当時の対策は、私ども航空会社の立場から申しますと、当時ハイジャック事件の犯人がパリもしくはアムステルダムというようなところから起こったというふうに認識しておりまして、欧州各地の空港にハイジャック事件の起こる可能性が高いというふうに考えておりました。したがいまして、地点といたしましては欧州各地に重点が置かれた。第二番目に、「よど号」以来とっておりました各種の対策、そういうものをベンガジ事件を契機といたしまして、技術的な要素を大変改良いたしました。たとえばX線の機器であるとか金属探知器とかそういうものを機械としても改善をし、それから充実をし、数的にも増しというようなことで、そういうような部分に重点が置かれた、簡単に申しますとそういうことかと思います。結果といたしまして、今日のヨーロッパの状態は、保安検査に関してかなり満足のいく程度に改良されました。それから日本国内空港を初め各地の検査機器等につきましても相当程度に充実を見たというふうに評価しております。 しかるに今回の事件が起こったではないかという御指摘でありまして、その点は私ども航空会社としてきわめて遺憾に存じている次第であります。さらに改善を重ねまして、かつての弱点が補強されて弱点でなくなる、ほかの地点がまた弱点になるというようなことの繰り返しかと思いますので、今回の事件を参考としまして真剣に対策を立てたいというふうに考えております。
○小川(新)委員 私が聞いているのは、航空法の改正を行うか行わないかということを聞いている。どうなんですか、それは。内閣対策室長でも結構です。こういった問題は法改正を求めなくちゃならない時点に来ていますが、どうかと聞いている。
○田中説明員 お答えいたします。 四十八年にハイジャック事件が起こりまして、政府といたしましてもこの対策を真剣に検討いたしたわけでございます。そしてそのときにできましたのが、多分先生のお手元にあると思うのですけれども、大きく分けますと五項目、小さく分けますと十九の細目にわたって検討しております。この検討項目と今度の六項目、十八細目、これはどういうふうに違うかということを申し上げますと、実はやはり前のものは若干不備な点がございます。たとえばダブルチェック、これは前の項目では出ておりません。前の項目ですと、やはりボデーチェックが中心になってございます。それから前のには出ておりませんけれども、今度のに出てまいりましたのは空港地上作業員と申しますか、空港でいろいろな作業員がございます。そういう人たちに対する管理、監督でございます。こういう点も今度の要綱には取り上げられておるわけでございます。 また、さきの要綱に出ていて今度の対策に出てないというものがございます。これはもうすでに実施済みというのは除いてございます。たとえば飛行機に乗るお客さんと送迎人の分離さくでございます。これはすでに実施してございますので除いてございます。それから新旅券の発給でございます。これももうすでに非常に偽造しにくいもの、これもつくっておりますので除いております。あるいは消防業務の充実、これもすでに実施しております。こういうものは除いておるわけでございます。 ただ、今度の、われわれは一次対策と呼んでおりますけれども、これは直ちに実施すべきもの、こういうものでございます。したがいまして、第二、第三というのを考えているわけでございますけれども、第二につきましては、今国会に改正をお願いする予定にしております法律案を持っております。具体的に申し上げますと、略称ですけれども、航空強取罪あるいは航空危険罪、旅券法、こういう三つを検討しておるわけでございます。
○小川(新)委員 時間がありませんから、そういう一つずつ読まれていては困るのですが、それでは警察にお尋ねしますが、重信房子、これはつかまらないのですか。率直に言って、山口淑子さんとのテレビ対談等があったりいろいろしておりますが、こういった赤軍派の幹部がどうしてそのままになってテレビ等に出たり、対談に出たり、日本の国会議員と会ったりできるのですか。
○三井政府委員 重信房子につきましては逮捕状を得て国際手配に付しておるわけでございます。私たちが考えておりますところでは、いわゆるアラブゲリラの一部の組織と連携をしてアラブ諸国のどこかにおる、こう考えられるわけでありまして、当該国が、わが方が先ほども申し上げました逮捕状を得て青色手配をしておる、これをどう受けとめるかという受けとめ方の問題でございますので、この点についての、たとえ目的は何であっても、こういう凶悪な犯罪を犯す者については、その背景等を切り離して処断するというふうに、各国が当たってくれるように努力をしているところでございますが、現状では残念ながら、打つべき手は打っておりますけれども、逮捕して送還してくれるというところまで至っておらないわけでございます。
○小川(新)委員 週刊誌の記者に会えたり、自民党の参議院議員に会えたり、それからいろいろな対話に出たり、テレビに出たりしているような状態の人が、警察官が見ていて切歯扼腕、何にもできないというところに私は警察官の非常に残念な気持ちと、あわせて国民のやる方ない気持ちがあると思うのですが、そこで、警察官の海外派遣については警察庁はどのように考えておるのか、警察法第六十四条改正を考えているかどうか、そして警察官の武器所持の問題であります六十七条を改正しない限りは、これらを海外派遣しても丸腰で行ったのでは何にもならない、また、特殊部隊、レンジャー部隊のようなものをつくる考えがあるのかないのか、この辺のところを三つあわせてお聞きします。
○三井政府委員 私たちは、国内で同じような事案が起こらないようにいたしますけれども、起こった場合の対処というのを中心に考えておりまして、これに必要な体制を整えていくということでございます。海外にまで派遣して云々ということについては、先ほどもお答えいたしましたけれども、これは事案を処理する場合の最後の終着駅でございまして、もっとほかにも終着駅があるかわかりませんが、そこに至るプロセスというのが大事で、プロセスが整わないのに飛んでいくというわけにはまいらないというふうに考えております。しかし、法的問題点ということも確かにそのとおりでございますので、これはいろいろ研究、検討を加えていかなければならぬと思います。 ただ、いまお話しの中の六十七条の、小型武器を警察官は携帯できるという問題については、小型武器というのは、警察官が部隊としてではなく、一人の警察官、個々の警察官が操作、運用できるものは小型武器だ、一応基準としてはその辺のところを考えておりますので、現在持っておるもので足りないものは、そういう範囲内のものは充実、整備していきたいと思いますし、この限りにおいては、直ちに法改正を必要としないということであります。 なお、国内の事案処理を頭に置きまして、相手方、犯人側、テロリスト側の戦術や行動もいろいろと変わってまいりますので、それに対応できる訓練というものは日ごろ心がけておりますが、さらに訓練並びに装備の面についても開発、研究ということに心がけてまいりたいと思っております。
○小川(新)委員 そうすると、警察法第六十四条は改正しないのですか。
○山田政府委員 先ほどから御答弁申し上げておりますように、海外派遣の問題は、相手国の承認、主権の譲歩というものが前提になるわけでございまして、そういう政治、外交上の重要な問題があるという前提のもとで、ただいま御指摘の警察法の条項を含めて、国内法上の解釈、運用、国際法上の解釈、運用の問題を慎重に検討しているところでございます。
○小川(新)委員 外務省にお尋ねしますが、犯罪人引渡条約、難民保護条約、これは日本は批准しておりますか、そして加盟しておりますか。 そして特に、難民保護条約になっておりますが、難民の中に、国際犯罪を引き起こすような人物または赤軍派に所属しているような者が難民のかっこうをして流れ込んでくるようなこともありますが、そのようなことを踏まえた上で、この二条約についてはどのようにお考えになっておりますか。
○高瀬説明員 犯罪人引渡条約でございますが、現在行われております犯罪人引渡条約というのは、二国間で結ばれている犯罪人引渡条約、それを先生御指摘だと思いますが、犯罪人引渡条約につきましては、その引き渡しの対象となります犯罪人の引き渡しを権利として要求できるというメリット、したがいましてその相手国がそれに義務を負うということと同時に、わが方といたしましても、要するにその相手国が要求する犯罪人を引き渡さなければならないという義務を負うわけであります。 そういうようなことがございまして、犯罪人引渡条約の締結は、両国間の、たとえば刑法、刑事訴訟法体系、そういうようなものの調整など、むずかしいような問題もございますし、また犯罪人引き渡しの実態的な必要性とか相手国の法制とか文化、政治的な安定度、そういうような諸般の情勢を考慮して、犯罪人引渡条約を結ぶかどうかということを決めなければならない、こういうような状況でございまして、実際的には、わが国といま犯罪人引渡条約を結んでおりますのはアメリカ一国でございます。今後ともなるべくそういうような実態的ないろいろな条件を考えました上で慎重に検討したい、こう思っております。 それから、難民保護条約のことにつきましては、私ちょっと所管外で、ほかの所管の課長が来ておりますので、そちらからお答えいたします。
○丸山説明員 御説明申し上げます。 御質問の趣旨は難民の地位に関する条約、難民の地位に関する議定書に対するわが国の態度についての御質問と存じます。 これは難民の人権を保障しましてその地位を安定させるという趣旨でございまして、その趣旨には私ども賛成しているわけでございます。 ただ、具体的にこの条約に基づいて難民に対して保護すべき事項というものは非常に広範にわたっておりまして、たとえば出入国管理令の問題、それから初等教育、社会保障の内国民待遇等の問題がございまして、国内法制の整備を要しますので、これは外務省だけでなく、関係各省と十分御協議する事項でございますので、いまこれらについて検討を行っているわけでございます。 御質問の、犯罪を犯した者が何らか除外事由に該当するかということでございますが、難民に該当するか否かについては、かなり詳細な規定がこれにございますが、その中に除外事由の一つとしまして、「難民として避難国に入国する以前に避難国以外の地において重大な非政治的犯罪を犯したこと」という条項がございます。
○小川(新)委員 次に、時間がありませんから、違う問題でありますが、ちょっと一問お聞きしたいと思います。 マリファナの問題についてちょっとお尋ねいたしますが、暴力団との関係でいろいろな問題が出ておりますが、この大麻の件、これはいま非常に大きな社会問題化してきておりますが、このマリファナという、麻の葉っぱからとるようなものには幾つもそういった種類があるのか、これは害があるのかないのか。そのマリファナとかいろいろなそれに類似した、麻薬に類するようなものが芸能界や何かにはびこっておりますが、これは大麻取締法にひっかかっておりますが、一体人体にどのような害があるのか。
○森永政府委員 お答えいたします。 ただいま先生が御指摘になりましたように、大麻が大変蔓延をいたしておりまして、いろいろ社会問題となっておるわけでございます。これは有害かどうかと一部論議をされておりますけれども、私どもが承知しておりますのは、厚生省の資料によりますと、大麻には幻覚、幻聴、情動的行動等の作用があると判断されております。また国連、世界の大勢も、千九百六十一年の麻薬に関する単一条約等によって明らかなように、規制を加えるべきものであるというふうにされておるわけであります。 最近の大麻事犯の情勢でございますけれども、これはここ数年かなりふえておりまして、本年に入りましてからも九月までに六百六十件、五百三十七人摘発いたしております。これは前年同期に比べまして件数で約八・四%、人員で三・五%増加しておるわけでございますが、タレント関係の事件は、警視庁と長崎県警で捜査をいたしておりますが、警視庁関係では被疑者は十七名ですが、タレント関係が四名入っております。それから長崎関係では四十九名被疑者を検挙しておりますが、そのうちで三名が含まれている、こういう状況でございますが、その事犯の概要は、大体タレント同士で譲り渡し、譲り受けをする、あるいは麻薬。パーティーをする、こういうふうな状況でございます。 それからいろいろ種類があるかということでございますけれども、大麻にはマリファナと大麻樹脂に一応大別をされております。
○小川(新)委員 外務省にお尋ねしますが、日本は千九百六十一年の麻薬に関する単一条約は批准しております。これは大麻を含めておりますが、一九七一年の向精神剤に関する条約は批准しておりませんが、このわけはどういうわけですか。
○丸山説明員 御説明申し上げます。 七一年の向精神剤条約を批准するためには国内法の整備が必要である。現在関係省におかれましてその整備を進めておられるということを承っておりますので、外務省としてもこの作業の完了を待ちまして、できるだけ速やかに批准が行えるようにしたい、かように考えております。
○小川(新)委員 いま週刊誌だとか新聞だとかいろいろわあわあ騒がれております芸能界の捜査というものは今後どういうふうに進んでいくのですか。徹底的にこれをいま言ったようなことでやるのですか。
○森永政府委員 お答えいたします。 現在大麻の関係で捜査をしておりますのは、先ほども申し上げましたように警視庁と長崎県警でございますけれども、その中で今月になりまして十五日に首謀者と思われる二人を逮捕いたして、戦後最高と言われた約五十七キロの大麻を押収いたしております。これによってかなり事件の全貌というのは明らかになってくると思うわけでございますが、現在押収資料等を検討中でございまして、どの範囲にこれがわたるか、これはまだはっきりいたしておりません。
○小川(新)委員 もう一問別の問題ですが、バスジャックについて一問お尋ねします。 このバスジャックの会社は西肥バス株式会社ですが、社長はどなたですか。 〔委員長退席、中村(弘)委員長代理着席〕
○三井政府委員 中村先生だと伺っております。
○小川(新)委員 中村先生というのは委員長席にいる中村先生のことですか。
○三井政府委員 そのとおりでございます。
○小川(新)委員 あえて本人のいる前で損害の問題を言うのはおこがましいんですけれども、このバスジャック、襲撃犯人を取り押さえるために同型のバスを使って訓練をした事実はあるのですか。
○三井政府委員 事前に、事件が起こりましてから警察官が措置をする間、そういう準備訓練をいたしました。
○小川(新)委員 航空機のハイジャックの場合には飛行機を使っての訓練はできないのですか。
○三井政府委員 できます。現にやっております。
○小川(新)委員 ハイジャックされた飛行機の場合と自動車の場合とでは値段も違いますし規模も違いますが、訓練をされたときにはバスは棄損したのですか。
○三井政府委員 バスはある程度の破壊をいたしております。
○小川(新)委員 飛行機の訓練には棄損しないのですか。
○三井政府委員 いままでやった訓練では棄損と言える程度のものはございません。
○小川(新)委員 バスを壊したその損害の程度というのはどの程度の損害なんですか。
○三井政府委員 確たる数字としてはとらえておりませんけれども、ある程度のものでございます。
○小川(新)委員 ある程度のものというのはどの程度のことを言うのですか。
○三井政府委員 主としてフロントガラスを割ったというのが中心でございます。
○小川(新)委員 バスの場合にはフロントガラスを壊したりドアを壊したりするけれども、飛行機の場合は壊さない。私は同じ人命を救う立場、バスであろうが、飛行機であろうが、また列車であろうが、同じように物を考えておりますが、そういうできない考えというものは、損害が大きくなるからということで訓練ができないのですか。
○三井政府委員 いまの御質問で申しますとそうではありませんで、起こっておる事案の態様とこれに対処する仕方の相違ということでございます。 端的に言いますと、今度のバスジャックの場合には相手方犯人が拳銃、猟銃を撃ってくる、こういう状況の中で制圧する。そのためにはガラスを割って飛び込むしか手がない、こういうふうに考えたわけでございますが、飛行機を使ってのハイジャックの場合は、私たちはそういう方法でなくてもっと違った方法を考えて訓練しておるわけでございまして、その詳細はいろいろあれでございますが、結論を申しますと、訓練の仕方といいますか、制圧の仕方の相違ということでございます。
○小川(新)委員 今後もこういったことで警察が民間の航空会社にしてもバス会社にしても損害を与えた場合には、それは政府なり警察側が補償してあげるんですか。
○三井政府委員 現行法のもとでは警察は補償いたしませんし政府も補償はいたしません。つまり、警察官の正当な行為によって行われたわけでありますから、補償とかその他は不法行為でやる場合で、不法行為がない場合に補償するには特別な立法が必要であろうというように考えております。
○小川(新)委員 その乗っ取られた車を壊すのはわかりますが、乗っ取られたバスを想定して、その訓練のためにまた違うバスを壊したり損害を与えたりする場合は補償しないのですか、それも。
○三井政府委員 余り例がないわけでございますが、今回の場合は具体的には会社側の御協力によってやったということで補償の問題は生じておらないというように理解しております。
○小川(新)委員 これは中村先生に聞きたいんですけれども、協力したかどうかという問題は私はわかりませんが、これは何も当事者と私とのやりとりでなくて、他の例に及んでいることも含めて聞いているわけですから、そういう訓練をするために、同じバスを持ってきて壊したものは、これは補償してあげなければかわいそうな気がしますね。その乗っ取られているバスを破壊してでも救っていかなければならない、その損害とは別なんですから、訓練のためなんですから。私はそういうことを御忠告して私の質問を終わらしていただきます。中村(弘)委員長代理 本会議散会後再開することとし、この際、暫時休憩いたします。 午前十一時五十九分休憩 ————◇————— 午後零時四十二分開議
○地崎委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 警察に関する件について質疑を続行いたします。中井洽君。
○中井委員 今回の日航ハイジャック事件の政府の処理について、私どもも、人質となられた皆さんが無事に帰られたいまとなっては、ああいった形でやむを得ないという気持ちはあるわけでありますが、それにいたしましても、そこに至る経過の間にもう少し何とかしょうがなかったかという感じがしてならないわけであります。特に、その後西独におきます日本政府のとりました対処と全く別の対処の仕方が報じられ、国民の間にも両論に分かれていろいろな議論が行われているわけであります。そういった観点から、今回の事件の処理について、経過等につきまして、国家公安委員長あるいは警察庁長官、これらの方々にお聞かせ願える範囲の中でお聞かせをいただき、その中から、私どもも今後こういった事件が起きたときの確固たる対策あるいは起こさない対策というものを考えていきたい、このように考えるわけでございます。 まず第一に、ハイジャックが起こった、こういった第一報はどこからどのように政府のどの機関へ入るようになっているのか、お教えをいただきたいと思います。
○三井政府委員 第一報は日航から私たちのところにも入りますが、同時に運輸省等を通じて政府にも入っておると考えます。
○中井委員 それはハイジャック事件が起きたら必ず真っ先に警察庁へ入るということでございますね。
○三井政府委員 入ります。ただ、警察に入る入り方は空港警察署が羽田にありますから、そういう経路はありますが、警察にも真っ先に入ります。
○中井委員 そうしますと、新聞報道によりますと、第一報を受けて、その日のうちに園田官房長官を本部長とする対策本部が設置をされた、こういうことでございますが、この対策本部というものは今回の事件だけの対策本部なのか、あるいはいままでの事件の経過にかんがみて、ハイジャック事件が起きたらこういう形で対策本部をとるのだということが決まっておったのかどうか、その点についてお願いをいたします。
○三井政府委員 ハイジャック事件が起きたときには二つのパターンがございます。一つは、運輸大臣を長とした当該事件の対策本部を、発生後その都度設置するというのが一つございます。それからもう一つは内閣に設置するのがございます。これは事案の軽重といいますか、事案によるわけでございまして、今回は重く見て内閣に設置するという道が選ばれたわけでございまして、内閣に設置したものは、ハイジャック事件と厳密に言えませんけれども、前のクアラルンプール事件のときには設置されました。それから運輸大臣を長とするものは、その他の国内的な、「よど号」的なああいうもので設置されるわけでございますが、時間の経過の中でそれを正式に設置するまでに解決のめどがついたために、人は集まって仕事は始めたけれども、名目的に設置せずに終わったということも多々ございます。
○中井委員 そうしますと、その二つの設置の仕方がある。その事件の重要性あるいは国内で起こったか外国で起こったかということによって変える、こういうことでございます。それで、外国で起こったということあるいは重要性にかんがみ、園田長官、福田法相、田村運輸相、小川国家公安委員長、それから両官房副長官、浅沼警察庁長官、法制局長官、このメンバーで構成をされたと承っているわけでありますが、外務大臣がどうして入らなかったのでありますか。
○三井政府委員 外務大臣は入っております。この場合、具体的な人の名前で言いますと、外務大臣は外国出張中でございましたので、外務大臣の事務代理と申しますか、事務取扱をしておられました内閣官房長官が入っておりまして、外務大臣が帰国後は、鳩山外務大臣も入られたということです。
○中井委員 そうしますと、この対策本部は、私が先ほど申し上げたメンバーそして外務大臣、これだけでつくるということが決まっているわけですか。それとも、その事件、事件で変えるわけでありますか。
○三井政府委員 原則として、いま言われた名前で固定であります。必要に応じて加えていいということになっております。
○中井委員 今回のこの事件で対策本部が全事件の処理を任されておったのかどうか、お尋ねいたします。
○三井政府委員 官房長官が長となって、関係各省の意見といいますか、そういうのを取りまとめて、政府の意見を取りまとめる。各省それぞれ意見がございますが、仕事も各省庁またがるわけでございますので、内閣官房長官がこの対策本部の長として調整される、それでその本部としての意見は最終的には官房長官が決められるということになると思いますが、それを実行に移すときには、必要に応じて総理の決裁を得られる。随時総理に報告されますけれども。また、総理もこのメンバーではありませんが、総理も大部分はこの会議に一緒に出ておられました。
○中井委員 この対策本部長を長として調整を図るという形で決定をしていく、そういったことで刻々と変化する事件に対応できていくのかどうか。また、今回の事件の処理、特に、また後でも質問さしていただきますが、例のパスポートの問題等、どうも何か対策が一貫していないし、右往左往しておったというように私どもは外から見て感じるわけでございます。 警察庁として、こういった事件が起きた場合に、確固たる命令機関というそういったものが設置をされるというような形の方がやりやすいのじゃないか、この点についてどうお考えですか。
○三井政府委員 関係の省庁はそれぞれ対策室を設置いたしまして、警察庁も警察庁の中に対策室を設置し、関係のところと連絡をして、刻々の状況はわかるようになっております。外務省も同様、運輸省も同様でございます。その三者のものはそういうところを通してあるいは直接に対策本部に刻々入るようになっておりますので、対策本部におった方がこの三省庁のことが一堂に会して全部わかるという意味で有効でありますし、また、これにどう対応するかということをその場で皆相談できるという意味で、内閣に設置されたあの対策本部は大変機能的に運営された、まあ有効であった、こういうように思っております。
○中井委員 そうしますと、犯人の要求に全面的に応じる、こういうことを決めたのは、この対策本部の責任でお決めになったわけですか。
○三井政府委員 対策本部で決定をし、総理がそれを裁断されたといいますか、了解されたといいますか、そういうものでございます。
○中井委員 国家公安委員長にお尋ねをいたしますが、国家公安委員長として、この対策本部の一員として、対策本部の中でこの犯人の要求にどうせいという主張をなさったのか、お聞かせいただきたいと思います。結果として全面的に応じるということに賛成をしたとか反対をしたということではなくて、その経過の議論の中でお立場柄どういう御主張をなさったか。
○小川国務大臣 一方におきまして法秩序を守り抜かなければならないという要請がある。反面におきまして人命はあくまで重んじなければならない、かような要請がある。この二つの要請に二つながらこたえるということは本来非常にむずかしいことでございまするから、対策本部の内部でいろいろな意見があったことは事実でございます。また、事件処理の現場が外国の主権のもとにある場所でございましたし、当然のことですが、バングラデシュはみずからの責任で、みずからのイニシアチブでこれを解決するんだ、こういう立場をとっておったわけで、もっと粘って粘り抜くべきではなかったかという御批判もあるわけでございますが、最終的に高度の政治的判断からあのような決定をせざるを得なかったわけでございます。
○中井委員 お話わかりますし、対策本部内でのいろいろな議論は余り言いたくないというお気持ちもわかりますが、国家公安委員長として重ねてお尋ねをいたしますけれども、犯人の無法な要求に応じるべきではないという断固たる主張を対策本部でなさいましたかどうか、お答えいただきたいと思います。
○小川国務大臣 警察は今日までも一方で法秩序を守る、反面におきまして人命はあくまで尊重する、こういう立場で一貫してきておるわけでございますし、今日まで人質事件が十一件ございますが、例の「よど号」事件を除きましては、人質も救う、また犯人も逮捕するということでやってきておるわけであります。今回もそういう立場で臨んだわけでございます。そういう立場から、刻々に変化するいろいろな局面に際しまして、その都度いろいろな発言をいたしてきたわけであります。
○中井委員 警察庁長官にお尋ねをいたします。 同じ質問でございます。この対策本部内で犯人の無法な要求にどのように対処すべきだと主張なさいましたか、お聞かせをいただきたいと思います。
○浅沼政府委員 いま大臣からもお答えがありましたが、私どもはハイジャックその他こういう人質事件につきましては、常にまず人質を救出するということ、しかし、いろいろな条件を考えながらあらゆる手段を尽くして犯人を逮捕するということ、この両者を基本方針としておりまして、現在もそういう考えでおるわけであります。 それで、今回釈放しなければならなかった犯人は、たとえば大道寺とか浴田というのは例の企業爆破事件の犯人であります。これは警察としてはまさに血のにじむような努力で、長い年月かけてやっとつかまえたというものでありまして、警察の立場で考えれば、これらをまた野放しにするというようなことはまことにはらわたの煮えくり返るような問題でありまして、現場の警察官、恐らくこれに一人も賛成する者はいないと思うのです。しかし先ほども話が出ましたが、これは外国の主権のもとにおいて処理する問題であるということ、あるいはこれはちょっと技術的な問題になりますが、ハイジャック事件等で私どもがいろいろ考えるうちの一つには、たとえば犯人はどういう連中であるか、何人おるか、武器は何を持っておるかというようなことをいろいろの方法を講じて、敵を知り、おのれを知らなければ戦争になりませんというようなこともありますので、そういう点もやはり外国で行われているということから考えますと、対処をする基本的ないろいろな条件がなかなかわからないといういろいろなこともありますが、いずれにいたしましても、そういう第一線の警察諸君の血のにじむような気持ちと、また片や百五十数人の人命がかかっているということ、この両者を同時に解決するということが理想でございます。ですから、そういう立場で私どもとしてはいろいろなことを考え、あらゆる可能性というものは私どもやはり商売上考えるわけであります。したがって、そういう前提としての考えもあり、意見も申したということでありますが、結論は、政府におかれてはああいう人命救出のための最終的な選択をせざるを得なかった、こういうふうに考えております。
○中井委員 人質の安全、犯人逮捕、この両者をどう基本的に並列してやっていくか、あるいは並列してやってできないからどっちか片一方を選ぶか、こういう形で対策本部自体も悩まれたと思うのでありますが、そのわりにはわりかし早い段階であっさりと犯人の要求を受け入れることを決められた。先ほど申し上げましたように、人質の皆さんが全員無事にお帰りになっているから私どもも言いにくいのでありますけれども、私どもはこの点どうも余りにも早過ぎるじゃないか、納得できない点があるのであります。そういった点で大変よけいごとでありますけれども、たとえば一部ジャーナリズムなんかに流れております。アメリカ人のガブリエルという人を処刑第一号にするのだ、こういったおどしに簡単に屈したのではないかといったうわさすらあるわけであります。こういった点についてどうでございますか。
○三井政府委員 いまそれぞれお話がありましたように、このむずかしいものを、むずかしい目標を刻々移り変わる事態の中でどのように判断し、対処していくかということで苦心をしたわけでございまして、結果から言えば大変早くいったという点が、つまり本当にそんなに苦心したのかということについて、やや印象的にどうかと思うというようなお話かもわかりませんけれども、問題は人質の命で、何もミスター・ガブリエル一人に限らないわけでありまして、犯人はテロリストだ。犯人側の言っているのは、言うことを聞かなければ一人ずつ殺していく、 こういうことでありまして、一人、二人死ぬまではがんばるのだ、十人死んでから手を上げるのかというような話になるわけでありまして、私たちは、一人といえども人命というものは大事であるという基本的な立場に立っておるわけでございます。 そこで、今回の場合に粘らなかったじゃないか、こういうようなことでございますけれども、犯人は最初はもっと早い時間をタイムリミットにしておったわけです。それをだんだん粘ってああいうような時間になったということであります。つまり一人、二人は、犯人の言葉で言う処刑されるという危険をあえて甘受してやってみてそれからだというように考えるか、人命というのは一人といえども大切だと考えて、できるだけそういう危険は冒さない、そのかわり粘る、この両者の兼ね合いの中に今回のタイミング的な、時間的な処理が行われたものというように考えております。
○中井委員 私ども素人考えでありますけれども、それではこういったこともしてくれたのか、ああいったことも考えたのか、こういった観点から幾つかお尋ねをしたいと考えるわけであります。 最初に、今回の事件までにたくさんのハイジャック事件が起こりました。それらの事件の反省として、今回、もしまたハイジャックが外国で起こった場合にはどのように対処するのだ、警察としてどのようにやるのだ、そういった方法論を研究してございますか。
○三井政府委員 外国で発生したものについては私たちは処理する権限がありませんし、もっと言えば責任もない、こういうことであろう、これが現在のたてまえだというように思います。したがいましてわれわれとして、外国がその責任のもとにやる、それに対してどれだけ協力できるか、寄与できるかということが基本だと思います。それについては、日本赤軍とはどういうものであるかとかいうようなそういう情報をいろいろ提供するというようなこともあります。 それから手順をパターンとして決めておくかということでございますけれども、それは当該事案の具体的なケースケースによって、つまり犯人の数によっても違うと思います。それからどういう武器を持っているかということでも違いましょうし、当該ハイジャックが起こって着陸した地点、場所の相違ということでも違うのではないか。私は最初責任の問題を言いましたけれども、法的責任の問題を言ったわけでありまして、犯人が日本赤軍であるということについて、それが外国においていろいろな問題を起こしておるということについては、われわれとしては十分のこれに対する責任を感じ、平素からいろいろな情報収集をし、外国にも協力を求めておる、こういうことでございます。
○中井委員 それでは国家公安委員長にお尋ねをいたしますが、たとえばいろいろな対策の方法の一つとして、対策本部でこういったことをお考えになりませんでしょうか。 それは、犯人の無法な要求に超法規的措置として応じる、こういった形の結論でございます。それならば、同じ超法規的措置をとるならば外国へ警察を派遣する。これも私は超法規的な措置ではないか、このように思うわけでございます。そういった点からの議論というものは対策本部でございましたか、どうですか。
○小川国務大臣 御指摘の点について今日まで詰めた議論は出ておりませんけれども、第一に、外国の主権下で警察が警察活動をするということは、一般的にはほとんど起こり得ないことだと存じます。 今回、西独の申し入れを相手国がどのように受けとめ、どのような判断をしたかは存じませんけれども、これは本来至難のわざではなかろうかと存じます。それからまた、西ドイツの警察のやりましたことは、結果としてまあ概して成功を見ておるわけでございますけれども、果たして西ドイツの警察が十二分の自信を持って、必ず成功するという確信のもとにこれを実行したのであるのか、あるいはこれは人命尊重という立場から見れば一つの大きなかけであったのか、その辺のところも事情が判明しておらないわけでございますから、これはどっちにいたしましてもとても簡単にまねのできることではないと私は考えておるわけでございます。したがいまして、当面、現行法の改正というようなことは、目下のところは念頭にないわけでございます。現行法の解釈、運用というような点について研究を始めておる、こういうわけでございます。
○中井委員 私は、その対策本部の議論の中でそういう強行突破をするという、これまた超法規的な議論があったのかどうかということをお尋ねしたわけでございます。外務省の方がおられると思いますが、これに関連してお尋ねをいたします。 ただいま国家公安委員長の御発言にもございましたように、西ドイツ自体も相手国との交渉で自国の特別部隊を送り込んだ、あるいはちょっと事例は違うけれども、イスラエルがやりましたエンテベ空港の問題、あるいは同じくイスラエルがやりましたアイヒマンの逮捕の問題、あるいは日本だって私に言わせれば金大中でやられているわけであります。そういった形でこの今回の事件の最中に、外務省に対して、そういった強行突破に伴う超法規的な措置をとる、それをバングラデシュに頼んでもらえるかあるいは接触をしてもらえるかといったような話があったのかどうかお尋ねをいたします。
○枝村政府委員 もとより外務省の対策本部の結論を総理が決裁されたもの、それに基づいて相手国との交渉に当たるということでございますので御承知のような決定がございました。それ以外の線での交渉はいたさなかったわけでございます。
○中井委員 もう一つ外務省にお尋ねをいたします。 犯人との交渉に当たりましたマームド空軍参謀長、この方に対して、外務省を通じて日本の要求あるいはお願いというものはスムーズに受け入れられたのかどうか、そういった点についてお尋ねをいたします。
○枝村政府委員 ああいう事態でございますので、その過程においてはいろいろな交渉が行われたわけでございます。特に大方針として一応犯人の要求をのむということになりました後に、日本政府としては、そういう決定をした以上、ダッカにおいて人質の全員釈放を実現する、そういう点を確実にした上で、こちらから持ってまいりました釈放した犯人あるいは身のしろ金と言いますか六百万ドルを渡したい、こういうことで交渉いたしたわけでありますけれども、マームド参謀長としてはその点は任してくれ、まず犯人側がとりあえず解放に同意しておる五十九名というものと引きかえに渡して、その後のことは任してくれ、こういうこともございまして、これも一例でございますが、その後、まあクーデターと申しますか、軍部内の反乱と申しますか、そういうような事態があって、もはや一刻の猶予も許されないということで、バングラデシュ政府側は、ハイジャック機の離陸をむしろ命令したというふうな事態もございました。あの最後の時点まで、日本政府としては何とかダッカにおいて全面解決ということで努力をしたわけでございまして、完全に意見の一致を見ない時点もあったわけでありますけれども、あの過程におきましてマームド参謀長がそれなりの大変な努力をされたということは評価しておるわけでございます。
○中井委員 それでは時間もありませんので、私は大変勝手なお願いをしておくわけであります。 先ほど、たとえば外務省の次長さんが、総理大臣の決定を受けてそれ以外のことは交渉しないのだあるいはやらないのだ、こういうお答えでございました。それだったらあの旅券だって総理大臣の命令でお出しになった、こうなると私は思います。外務省、こういう場所で言えるのかどうかわかりませんけれども、ありとあらゆる外交ルートあるいは場合によってはお願い、あるいは日本の国という威信をかけて、圧力をかけてでもこういった問題に対処をしてほしい。たとえ政府の方針が真っ先に犯人の要求を全面的に受け入れた、こういうことになっても、外務省は外務省なりに、ありとあらゆる外交ルートを通じて、犯人たちのすきをねらう、あるいは警察も、法的には海外派遣ができないということであっても、もしできるとしたら、あるいはもし超法規的にやるとしたら、本当にやれるのだというような体制をとっておくべきだ。そういうことを日本はやっているのだということがはっきりすることが、一つには、日本の飛行機で乗っ取りというのはなかなかむずかしいのだと思わせて、ハイジャックというものを防いでいく一つの要因になると私は思うのであります。 そういった観点で、重ねて警察庁長官にお尋ねいたしますが、たとえば長崎県警があのバスジャックのときに突入をされた。ああいった判断は長崎県警でおやりになったようであります。そうしますと、ハイジャックあるいはバスジャック、いろいろな事件があります。人命を盾に凶器でもって国家や個人に脅迫をする、こういった事件に対して、警察としてこういう方法でやるのだ、あるいは強行突破のときには、責任をだれがとってだれが命令してどういう部隊でやるのだ、こういつた体制がきちっと確立をされているのかどうか、こういった点についてお願いをいたします。
○鈴木政府委員 人質事件、これは率直に前段として申し上げておきますが、大変残念ながら、国内において頻発しております。昨年で二十七件、ことしに入ってからすでに二十三件全国的に発生しておりまして、警察といたしましては、一口に人質と言いましても、先ほど来のあれのように、犯人の性格、武器あるいは人質の数、それからいろいろなシチュエーション、千差万別でございます。したがって、そういう中で冷静に的確な判断でやっていくということは、大変熟練が必要でございます。また、いろいろたくさんのやじ馬、こういうものが集まった中で、的確に人質を安全に救出し、そしてまた犯人を逮捕する、いわば至難のわざをやっていくということでございます。幸いいままでそういう目的を達しているわけでございますが、長崎のバスジャック事件、これにつきましては、犯人の死亡という件がございましたけれども、あれはあの場としてやはり人質の安全、さらにまた警察官の安全、こういった面で安全を期せられないということでございまして、現場のあのときの状況としては、やはり拳銃を使わざるを得なかったということでございます。 そういう意味で、警察としましては、こういう頻発する人質事件に対しまして、常日ごろからの実践的な訓練、 これが必要でございます。そういう意味で、きょうも実は、全国捜査課長会議をやっておるわけでございますが、こういう面を含めまして、われわれとしては、あらゆるシチュエーションを考えて、それに対応できる実践的な訓練を常日ごろ積み上げておくということと同時に、さらにまた説得活動、いわゆる犯人とのコミュニケーションを開きまして、相手の弱点をつかみ、そして、いっときも早くその犯行を中止させる、人質を解放させる、こういう結論に持っていかないといけませんので、そういう説得活動の技術というもの、さらにまたそのほかいろいろございますけれども、いろいろの面で多角的、総合的に検討し、研さんを重ねて、いざという突発事態には誤りなく対処できるという実力を養っていくということで、心がけている次第でございます。
○中井委員 重ねて強くお願いをいたしておきます。特に、こういった事件に対する警察としての対処の仕方、あるいはプロフェッショナルな集団、こういったものの訓練をぜひおやりをいただきたいと思う。私自身、長崎のバスジャック事件を見ておりまして、二つ感じたことがございます。一つは、報道人の方あるいは一般のやじ馬の方が非常に近くであの事件を見ておる。しかも突入をされた警察の方々が、実に簡単に、防弾チョッキは着ておられたのだと思いますが、警察官の命をさらして、撃つなら私を撃て、あれは本当に撃たれたら、本当に大変だったと思うのです。こういった形でやっておられる。しかも私は、あの人たちは志願したお巡りさんでも何でもないと思うのです。あるいは特別の部隊でもなかったのだと思うのであります。そういった特別な部隊というか集団というものをぜひともつくっていただく。その中で、たとえばハイジャック事件における犯人の心理的な状態、あるいは監禁されている乗客の心理的な状態の研究とか、ありとあらゆる総合的な面からの御研究をいただく。そしていっか日本の国論あるいは国内の政治あるいはそういったものもろもろが、ああいったものを断固許さないのだ、西ドイツみたいな形で戦うのだというふうに統一されてきたときには、いつでも対処できる、こういった体制をおつくりをいただきたいし、外務省当局におきましても、ふだんの外交を通じて、そういった形での御努力をお願いをしたいと思うのです。そういった観点から、外務省の皆さん方に一つ、二つだけお尋ねをいたします。たとえば、「よど号」事件以来いろいろと超法規的な措置で国外へ逃げていった犯人の引き渡し、あるいは先ほどございました、アラブ諸国のどこかにいると言われている重信房子、こういった者たちで所在の明らかな者に対しては、その国に対して、たとえば国外追放をしてくれというような働きかけを、日常たとえば大使館、領事館を通じておやりになっているのかどうか、こういった点どうでございますか。
○高瀬説明員 日本赤軍関係者の在外における所在というのは、われわれといたしましても、相手国の警察、治安当局、それからたとえば入国管理当局、そういうようなところと密接に連絡をとって所在を突きとめるべく努力はいたしておりますが、残念ながら、いままでのところその所在がどこにあるかということは確立いたしておりません。 それからもう一つ、要するにこれは法令上の問題でございますが、いま条約上、相手国に対して権利として犯罪人の引き渡しを要求できるというふうな、二国間の犯罪人引き渡し条約というものが……
○中井委員 違うのです。犯人引き渡し条約とかそういうことは、先ほど公明党さんのことであります。私も、犯人引き渡し条約については、政治犯とかそういうのはなかなかむずかしいのはわかっております。正式の表の交渉とかそういうことじゃなくて、いろいろな外交ルートを通じて、たとえば北朝鮮の連中だとか、浅間山荘の連中だとか、まだおるわけですよ。日本に返せ、国外追放をしろという要求を、いろいろな外交ルートを通じてふだんからやっているのか、あるいは警察当局と連絡をとってそういうことをとにかく長期的に——効果が上がらなくても、また国外追放されなくてもいいわけです。しかし、現実にやっているのかどうかということをお尋ねしているわけであります。
○高瀬説明員 北朝鮮との間につきましては、大きな限界は、わが国は国交関係がないということでございます。そういういろいろな限界、それから先ほど申し上げたような、所在がなかなかわからないというような限界はございますけれども、その範囲内でいろいろなチャネルを使いまして努力をしていきたい、こう考えております。
○中井委員 最後にもう一遍この点に関して警察庁にお尋ねをいたします。 先ほどから、海外にいる犯人については、いろいろな束縛の点から、直接警察としてやるわけにはいかぬのだ、こういうような感じのお答えであったわけでありますが、ふだんから、外国からのいろいろな情報をもとに外務省に働きかけ、とにかくこれらの犯人を国外へ追放する、あるいは日本に渡してもらうような努力をしてくれというような要請をしておりますか。
○三井政府委員 そういう気持ちでいろいろ努力をしておるところでございます。
○中井委員 わかりました。ありがとうございました。
○地崎委員長 山本悌二郎君。
○山本(悌)委員 まだ二分ありますから、私の方から一つだけ御質問をいたします。関連質問であります。 私は、いま各委員がいろいろお聞きになられた点で、非常に不十分でありますけれども、これはまた別の機会にやりますが、ただ一つ、獄舎につながれている犯人を渡してやった、この責任というのは、警察、それからその大元締めであります国家公安委員長の責任だと私は思うのです。超法規的ということで法務大臣は責任を感じておやめになったのでありますけれども、国家公安委員長はこの点はいかがでございますか。 私はもう許すべきことではないと思うのですよ。ハイジャックの問題そのものは別な問題に考えていいと思うのですけれども、むろん関連があるのですけれども、あの中にいる犯人を指名して、しかもそれを出してやる、パスポートまでつけてやるというこの行為は許せないと思うのですが、どうでしょう。国家公安委員長の職務と責任というものをこの際明らかにしていただきたいと思うのです。
○小川国務大臣 犯人を釈放したということ、そのこと自体は、警察が責任を負うべき問題でございませんで、これは法務省の問題でございますが、根本的に犯人の要求を受け入れるほかないという決定をいたしましたのは、これは内閣の責任でございますから、その意味で私も責任をともにいたしておるわけでございます。 これは実定法に根拠のないことをやるわけでございますから、先ほど警備局長が答弁いたしましたとおりに、法律違反の問題でございます。しからば、政府のとった措置が法的にどのように理由づけられ正当化されるのかと申しますれば、これまた先刻来説明がございましたように、法律全体の精神と申しますか、あるいは法理と申しまするか、そういう観点から、あの場合に処する一つのやむを得ざる緊急避難の問題ということで政府のとった措置が救済——救済されると言うと多少語弊がありますが、理由づけられる問題ではなかろうか。いずれにしても、これは非常に遺憾な問題でありまするから、警察は警察の立場で、類以の事件の再発を防止いたしまするために全力を傾注する決心をいたしておるわけであります。
○山本(悌)委員 終わります。
○地崎委員長 三谷秀治君。
○三谷委員 私は、初めにお尋ねしたいのは、ICPOを通じまして手配しております者について、それぞれ氏名及び手配を実施した年月日、犯罪容疑、前歴——前歴と申しますのは、これまでにかかわったと推定される事件等を含むわけであります。そして、これらのうち逮捕状を出しておる者の氏名及び逮捕状を出しました年月日、ICPOから情報がもたらされたものとその内容、ICPOの事務総局から回章されました逃亡犯人に関する権限関係の意見あるいは文書、これについてまずお尋ねしたいと思います。
○三井政府委員 ICPOの手配しておる日本赤軍関係者は五名でございます。 その氏名並びに手配罪名でございますが、一人は丸岡修でございまして、これはロッド空港事件では殺人罪により、またストックホルムの事件につきましては偽造有印公文書の行使罪により、子れぞれICPOにより手配をしておるわけでございます。手配の時期は、四十七年十月及び五十年五月でございます。 二番目に、重信房子でございますが、これは本富士署襲撃事件により、公務執行妨害並びに現住建造物放火未遂罪により四十九年に手配をし、さらにハーグ事件により、逮捕監禁罪で五十年五月に手配をしております。 三番目、和光晴生は、ハーグ事件により逮捕監禁罪名義で五十年五月。 また、その次の吉村和枝につきましては、ハーグ事件、逮捕監禁罪、五十年五月。 山本万里子、これは奥平純三送り出しの際に不正に旅券を入手した事件により、有印私文書偽造行使、免状等不実記載により四十九年十一月にそれぞれ手配をしておるところでございます。 手配関係は、とりあえず以上のとおりでございます。
○三谷委員 ICPOの情報についてお尋ねしましたが……。
○三井政府委員 いまのは私たちが逮捕状を持って手配しておるわけでございますが、先ほど来出ておりますいわゆる青色手配ということで、逮捕状を持っておる旨を知らしておるわけでございます。 これに対しまして、ただいままでのところ、このそれぞれについて云々というような格別の情報はICPO関係からは得ておりません。ただ、これは現在手配をして現に残っておるといいますか、生きておるものでありまして、すでにICPOを通じて手配した結果功を奏しまして、何らかの意味において身柄が送還されたというものについてはすでに申し上げたところでございますが、全部で九人。それから五十年のクアラルンプール事件以来は七人。これも厳密に言ってICPOの手配による者と、それからその他の者というものはございますけれども、いずれにいたしましても、関係国、ICPOに加入しておりますので、このルートを通じてわれわれがいろいろの日本赤軍に関する情報を提供した、こういうことが効果があったものというように考えておるわけでございます。
○三谷委員 いわゆる内ゲバ殺人事件が今日まで発生しました件数は四十五件と聞いております。この被疑者数と逮捕者数はどういう状況になっておりますでしょうか。
○三井政府委員 内ゲバ事件、いまお話しのように四十五件ですが、これの第一号は四十四年に発生いたしましたので、内ゲバ事件そのものはたくさんありますけれども、その結果死者を出した、いわゆる内ゲバ殺人が四十五件でございます。 このうち、ただいままでに検挙解決いたしましたものは二十二件、ほぼ半分でございます。この二十二件について検挙いたしました被疑者は三百七人。なお、この二十二件の事件で指名手配をしておって現にまだ逮捕されておらないという数は五十二名でございます。
○三谷委員 今度のハイジャック事件で、日本赤軍を名乗る連中の手口がクアラルンプール以上にこうかつになってまいりました。凶暴性も帯びてきております。武器にしましても、前回はピストルだけでありましたが、今回は手りゅう弾まで持ち込んでおる。アメリカの銀行家を処刑すると言ってみたり、要求を入れなければ一人一人殺すと、こういうおどかしをかけたり、拳銃でなぐる等の乱暴を働いておるそうであります。そして、強盗殺人犯人の釈放や身のしろ金の強奪など、ギャング集団と等しいことを行っております。 ところが、これに対して政府の対応を見ますと、これを確信犯として扱っていらっしゃる。いま聞きましたICPOに対する手配犯人などを見ましても、これは明確な刑事犯でありますが、しかし扱いとしましては政治犯扱いになっている。捜査当局も、泉水らは破廉恥罪だけれども、日本赤軍は確信犯だと、こうおっしゃっている。園田官房長官も記者会見で犯人が釈放要求しました泉水や仁平は過激派とは関係のない刑事犯である、こうおっしゃっている。私は、ここのところに一つ問題があると思っております。彼らは凶悪な殺人事件を起こしました刑事犯人であります。今回釈放されました大道寺あや子だとか、二年前にクアラルンプールの際に釈放されました佐々木規夫も三菱重工の爆破事件を起こしまして、何の罪もない八人もの人を殺しております。二年前釈放されました坂東国男にしましても、浅間山荘事件で人質を盾にして銃を撃ちまくった殺し屋タイプの男であります。ところが、福田首相に至るまでが、過激派と一般刑事犯の扱いを全く同じにするのは警察ががっかりするだろうと記者団におっしゃっている。殺人集団を政治犯確信犯扱いして、かばうような発言をなさっておりますが、ここの姿勢に根本的な問題があるのではないかということを私は感じております。この点につきまして、大臣や警察当局の御所見はいかがでしょう。
○三井政府委員 確信犯云々というようなことでございましたが、あるいは確信犯というのは政治犯という意味でお使いになったかと思いますが、私たちはこんな者は政治犯だと考えておりません。テロ行為である。したがいまして、ICPOルート等によって手配をしておるわけでございまして、ICPOは政治犯は扱わないという憲章になっております。また、その憲章を遵守して、この種の政治的なテロ行為は政治犯として扱うというようなところもあるわけでございますけれども、これはいけないということでICPO事務総局に働きかけ、こういう者は政治犯と認めないという努力が実りまして、今日ではこれは普通の凶悪犯、凶悪犯の中でも激しい凶悪犯、こういう扱いになっておるわけでありますから、私たち警察において、これをそういうふうに考えておるわけでないということはおわかりいただけると思います。 総理や官房長官が言われたというお話でございますけれども、これは対策本部の中でもいろいろと論議をしたわけです。先ほどもあったように、目標は一つでございますけれども、具体的な状況や事態の推移の中で、われわれは粘りに粘る、したがって、相手方の要求はだんだん刻んでいってゼロにする、人質は全部解放してもらう、こういうような駆け引きの中で、この泉水と仁平というのは、平素から特に彼らの仲間として格づけられておる者ではないではないか、それからまた、その他の者も、過激派、極左暴力集団というのはセクトがいっぱいあって、セクトが違いますと内ゲバ殺人も起こしかねないというような関係にあるセクトもあるわけでありますから、日本赤軍のメンバーは彼らが奪還するということはともかくその他の者はいろいろ違うじゃないかというような駆け引きの中で、とりわけ極左とは全く関係のないこの人は、まず要求を入れるとしても差し出すわけにはまいらない、こういうような駆け引きの中でこういう交渉をやっていくということの説明であったというように考えます。
○三谷委員 いま警察当局の御説明を聞きましたが、内閣官房からお越しになっておりますか。——官房長官の記者会見を見ますと、泉水、仁平は過激派とは関係のない刑事犯だ、こうおっしゃっている。反語的に言いますと、過激派というのは刑事犯ではないという意味を示しておりますが、この点については実態はどうなんでしょうか。 それから、福田総理もおっしゃっているのは、過激派と一般刑事犯の扱いを同じにするのでは警察ががっかりする、こういう表現をなさっている。この真意は一体どこにあるのでしょうか。 それから、もしもこれが刑事犯でありますならば、凶悪犯でありますならば、たとえば先ほども質問が出ておりましたが、自民党の参議院の方がこれと会われて、そのインタビューなどが週刊誌を通じて報道されるというような事件なども起きておるのであります。しかも、それは機関紙にその会見記が堂々と掲載をされまして、あたかもこれがヒロイン、悲劇の主人公のような扱いがなされておるという事実もあったのでありますが、こういう点についてはどのようにお考えになっておるのでしょうか。 また、今回のハイジャックにおきましても、政府代表が旅券を進んで提供するというような問題も発生しておりますが、これが真剣に凶悪犯罪を取り締まろうとする態度であろうかという疑問は国民のだれしもが抱く点でありますが、この点についてどうお考えなのか、政府の、官房の御意見をお聞きしたいと思います。
○田中説明員 お答えいたします。 最初の官房長官の発言並びに内閣総理大臣の発言につきましては、先ほど警察庁の三井警備局長が説明されましたように、これは当時の緊迫した状態の中で相手に対する戦術として言われたことだろうというふうに解釈しております。 第三の、自民党党員と連中とのインタビューについては、私承っておりませんのでちょっと回答を控えさせていただきたいと思います。 また、旅券の問題につきまして、政府代表の石井団長が、ハイジャックされた機内でもって犯人と接触したという点につきましては、これは外務省の方から答えていただきたいと思います。 以上でございます。
○伊藤説明員 お答え申し上げます。 ダッカにおきます当時の状況でございますが、当時におきましては、まず人質全員釈放のためのできる限りの、しかも、最後の可能性をどこまでもとにかく試してみるというふうなそういう状況にございまして、石井団長が緊急の判断によりまして、やむを得ざる処置として、旅券冊子六冊を、その時点におきまして、犯人奥平の最終説得に当たっておりましたマームド参謀長に対しまして手渡しまして、奥平にそれを渡すか否かの判断を一任されたわけでございます。その後の時点におきまして、当該旅券冊子がマームド参謀長より奥平に手渡されたという事実が確認されたわけでございます。その当該冊子を持ってまいりましたことにつきましては、ああいう緊迫した状況のもとにおきまして、何らかの目的に役立つことがあろうかという判断のもとに持ってまいったわけでございまして、当該旅券の冊子は本来旅券としての法的な効力は持っておりませんが、その後、改めて念のために各国の政府に対しまして、当該冊子は効力を有しないものであるということを通報いたしてございます。 以上でございます。
○三谷委員 その旅券が正規のものでなくて欠陥があるものであっても、これは一種の過剰サービス的なものだ。あの際におけるいきさつを見ますと、旅券はどうかということを聞いたそうでありますが、それをすぐさま持ってきておりますと言って提供するというふうな態度の中に、犯人に対する政府の姿勢というものが非常に明確に示されておると私は思うのであります。 そういう点では厳しさが足りない、どちらかというと甘やかすといいますか、泳がすといいますか、そういう性格の対応というものがそこに示されておるということが考えられるのであります。 また現に、数年前、アナーキストの背叛者グループ事件というのが起きましたが、この公判廷におきまして明らかになりましたのは、警視庁の公安一課の警部補が、この主謀者、東京理科大学の学生和田俊一に五回にわたりまして資金を渡して、襲撃対象を調査したという事実が本人の供述から明らかになっておるのであります。 それからまた、警察庁の幹部が——幹部と言っておきますが、赤軍派の中にも現実に協力してもらっておる者がたくさんございますということを国会の答弁の中でもおっしゃっております。協力の度合いで、実費程度の金は出しておるということもお答えになっておるのであります。 最近の東京タイムズの紙上で見ますと、どうも普通の殺人事件と比べまして捜査の意気込みが違うようだと書いてある。これは単に東京タイムズという一新聞の判断だけでなしに、そういう印象というものが国民の中に一般的に存在している、伏在しているということ、ここが私は問題だと思うのであります。こういう姿勢ではこの種の犯罪の根絶ができないのではないか、こういうことを懸念するものでありますが、この点について御意見をお伺いしたいと思います。
○三井政府委員 私たち、この種の犯罪については一般の凶悪事件と何ら異なることはない、むしろその程度において組織的あるいは計画的であるだけ凶悪の度も大きいものと考えて、これの予防並びに検挙に努めておるところでございます。 ただ、他の事件と違いまして、いわば行きずりの事件でないだけに、そしてまた彼らが組織を持っておるというだけに、これの予防につきましてはいろいろの情報を得なければなりませんし、情報を得る過程におきまして、それなりの実費弁償的な謝礼もするということは当然のこととしてあるわけでございます。ただ、それによってわが方がそういう犯罪を甘やかしておるとか、彼らの集団やメンバーを甘やかしておるというようなことは毛頭ないわけでございまして、むしろその逆であるということでございます。 したがいまして、先ほどお話がございましたが、内ゲバ殺人事件についての御指摘でございますけれども、内ゲバ事件全体をとってみますと、ことしは昨年の三分の一の発生、一昨年の七分の一の発生というように警察の努力によって抑え込んできておる。何も警察だけの努力ではないと思いますが、この種事犯に対する世間の批判というものもあるわけでございますが、いずれにいたしましてもそういう努力をやっておるということでございます。
○三谷委員 いまこの種の犯罪の防遏のために内部に協力者を求め、かつ、それには適正な実費程度の金を出しておるとおっしゃっておりますが、しかし、このハイジャック事件などを見ますと、どうも実費程度の金を出しておるその金の効力というものがないのではないかという印象を受けるものであります。 御承知のようにといいますか、私ども承知しておりますように、暴力団などの取り締まりにつきましてはいわゆる泳がせの手法が活用されておる、これは私どもはよく知っております。暴力団を適当に泳がせて情報をとったりして取り締まりに利用する、こういう手段があることは承知しておりますが、この日本赤軍などにつきましては、その手法というものが実効を上げないばかりでなしに、むしろ提供します金というものが資金的な一面に利用されておるのではないかという懸念を持つものであります。 いま、内ゲバ問題が説明されましたけれども、確かに内ゲバの件数が減少したということは私どもも同感でございます。しかし、これは何といいましても、ああいう暴力的な行為をもってしましては世論の支持を受けがたいということが一番の要因であろうと思いますが、中核や核マルなどが機関紙の上でお互いに相手を非難しますこの表現は大体一致しているのです。これは、一つは警察と通じておる、あるいは権力のイヌである、これは決まった文章を双方に使っているわけでありますが、そうしてののしり合いながら、対立抗争で人を殺しましたときには、われわれがやった、鉄槌を下した、こういう表現で犯罪行使を誇示するわけであります。こういう広言をしておりながら、犯人逮捕というものが、いまも説明がありましたように、四十五件中二十二件であるというような状態を見ますときに、これは何といいましても、まだまだ本当の捜査体制が十分ではないのではないか。普通の殺人の場合でありますと、大捜査陣をしきまして、もう千人でも二千人でもお調べになる、これはまた国民が支持するわけでありますが、その結果、殺人犯の検挙率というものは大体九割に達しておる。ところが、暴力集団の場合は、おれがやったんだ、おれが鉄槌を下したのだということをセクトごとに誇示しておりますのに、なお四十五件中二十三件というものが逮捕されていないというふうな事態を見ますときに、どうも暴力集団に対する捜査がしり切れトンボになっているのではないかという印象を国民としてはぬぐいがたいのであります。この点についてはどのようなものでございましょうか。
○三井政府委員 まず最初に、暴力団について泳がせの手法をとっておるということでございますが、暴力団であろうと、極左暴力集団であろうと、そのようなことは毛頭ございませんので、まず最初にお断りいたしておきます。 次に、内ゲバ殺人事件の検挙率が一般の殺人事件の検挙率にただいまのところ及んでおらないというところから、力を十分入れてないのではないかという御指摘のようでございますけれども、四十四年以来四十五件発生しておる内ゲバ殺人事件につきましても、昭和四十八年までに発生したものにつきましては、一件を除いて全部検挙解決しておる。こういう点につきましては、一般の殺人事件が九六、七%の解決率、検挙率というのを誇っておるわけですが、これと何ら遜色がないということであります。なお、その後の事件につきましては、いまだに検挙されておらないものもありますので、全部をひっくるめますと四九%というように解決率は低くなるわけでございますけれども、この点は、一般の殺人事件といいますといろいろなものが入っております。もうその場で現行犯的に解決できたというものもあるわけですけれども、この極左暴力集団の事件は、御存じのように組織に守られ、そして計画的にと、こういうようなものでありますし、また、これが一般人との間に内ゲバをやるのじゃありませんで、彼らが元仲間であった連中その他極左暴力集団相互間での抗争、こういうことでありますので、被害者自身も、また、死亡に至らない場合の被害者、死亡した場合の関係者、これもいろいろ聞きますけれども、滑って転んでけがをした程度の話でありまして、なかなか物を言わない。捜査というのは、やはり法秩序を維持するために関係者がそれぞれの立場を越えて協力し合うというところに最も成果が上がりやすいわけでありまして、私たちは、関係者の協力が不十分な場合でありましても、その壁を突破するためにあらゆる苦心と努力を重ねて今日捜査をしておるということでございます。 なお、もう一つ、彼らが内ゲバ殺人その他の内ゲバをやったときに、よく会見をしたりあるいは犯行声明等をやって、自分たちがやった、あるいは自分たちのセクトがやったということを誇るというような傾向もあるわけでございますけれども、これはなるほどわれわれも大変そういうことで歯がゆく思いますけれども、そういう声明を出した、そういうことを言った、だから直ちに言った人間が当該事件の犯人である、被疑者であるとしてこれを逮捕するというようには今日の訴訟法上なっておらないわけでございますので、それを手がかりにして捜索をしたり、その他の方法で資料を集めた上でこれを逮捕に至るということで、そういうような声明や会見での表明といったものを無視するのではなくて、捜査の上に有効に生かすためにいろいろと苦心をしておるということでございます。
○三谷委員 殺人を誇示するというふうな異常な事態なんというものは常識上考え得ることじゃないわけですが、しかしそれが今日におきましては日本社会のきわめて普通の事態になってきている、そこのところに私は非常に問題があると思うのであります。ですから、ハイジャック対策の決め手といいますのは、犯人を乗り込ませないとかあるいは武器を持ち込ませないとか、チェックを強化するというだけでなしに、事件の再発防止のためには、赤軍などと称する凶悪集団に対して根本的な対策といいますか、これが必要になってきておるというふうに考えるわけでありますが、警察庁としましては、現在のこういう種類の犯罪の防止対策、日本赤軍対策などが十分だと考えていらっしゃるんでしょうか。あるいは、どういう点が不十分であるのか、お考えをお聞きしたいと思うのです。
○三井政府委員 極左暴力集団につきましては、都内をお歩きになっても、警察署の玄関に極左暴力集団取締本部というのがどこもかかっておるのをお気づきだと思いますが、そのように各署挙げてこれの取り締まりに当たっておるということでございます。 その中で、とりわけ日本赤軍についての御質問でございますが、日本赤軍を私たちはぜひとも壊滅させたい、あるいはこれをなくすといいますか、無害化するといいますか、そういうことを目標にしておるわけでございますが、これには二つのアプローチの方法がございます。 一つは、国内に日本赤軍と関連を持つ組織、直接間接にこれを支援するというような組織あるいは個人がありますので、これについて十分われわれが掌握をするといいますか把握をするということが第一であろう、これは直接われわれは国内においてできることでございます。 第二は、その本体といいますか、その主たる勢力は海外におるわけでございます。しかもその海外も、彼らがそこに隠れておる、彼らがそこに隠れておることが容認されておるといいますか、そういうところにおるということでありますので、これについての動きその他の情報をとることはなかなか容易でないという点があるわけでありますが、こういった両面の点についていままでも努力をしてまいっておりますけれども、現実に今回のような事件が起こるということにもかんがみ、さらにこの点について力を入れてまいりたいというように考え、努力をしておるところでございます。
○三谷委員 公安委員長にお尋ねしたいわけでありますが、先ほどから申しましたように、政府の責任者の言動の中に、この種の犯罪に対してきわめて甘い姿勢が示されております。引用しましたのは総理大臣と官房長官のお言葉でありましたが、それだけにとどまりません。 たとえば内ゲバ事件などのときに言われましたのでは、中曽根当時自民党の幹事長でありましたが、彼らを、こういう暴力学生などを泳がしておいた方が市民層を自民支持につなげる役割りを果たす、こういうこともおっしゃった。それから保利茂氏も、三派全学連は泳がしておいた方がいいのだ、こういう公式の発言をなさっております。ですから、いま私が申しました官房長官や総理大臣の発言というものは、偶発的なもの、あるいは今度のハイジャック事件にかかわる特殊な国際的な事情などを考えて発言されたものではなしに、全体としてこのような暴力行為というものを容認し、政治的に利用する、そういう意図というものが一貫して示されている。このことがやはりこの問題の取り締まり捜査にも影響があるわけでありますし、国民がまたこれを十分に首肯し得ない要素もそこにあると私は思っておりますが、この点について、大臣の御所見なりあるいは今後における方針なり、お示しをいただきたいと思うのです。
○小川国務大臣 先ほど泳がせの手法を活用しているというお言葉がございましたが、これは三谷先生少しお言葉が過ぎるのじゃなかろうかと私は思います。国民の多数がそのような目で警察を見ておるとは私は考えておらないのでございまして、現にこの極左暴力集団、暴徒、これを撲滅いたしまするために、第一線の警察官は生命の危険を賭して努力しておるわけで、浅間山荘しかり、最近では成田で火炎びんを投げられて殉職しておる警官もあるのでございます。警察は決して日本赤軍を甘やかすとか泳がすというような態度をとっておりません。このことだけははっきり申し上げるところでございます。 まあ保利さんとか中曽根氏がどういうことを申しましたか、これは私が責任を負うべき立場じゃございませんが、果たして仰せのとおりであれば、誤解を招く適切ならざる御発言であったと私は思うのであります。
○三谷委員 いま大臣がおっしゃったような基本的な姿勢をもってこの問題については政府が一致して対処をしていただきたい、このことを特に希望するものであります。 もう一つお尋ねしますが、昨日神社本庁に爆弾を仕掛けるという事件が起きております。これは梨木神社または北海道警、道庁爆破事件と同一のセクトだと推定されます。これが推定されますのは、彼らが主張しております少数民族のアイヌが日本におけるアウトサイダーであって、このアウトサイダー革命論、辺地革命論といいますか、これを基本にして動いておるという点から見まして、第四インターなどのグループの主張であるわけでありますから、犯人もそこら辺にあるのではないかと推定されておりますが、この爆弾グループの捜査が進んでおりますかどうか、どういう状況にあるかお尋ねしたい。
○三井政府委員 昨日発生いたしました神社本庁での爆弾事件は目下捜査中、始まったばかりといいますか、そういうことでございまして、これの犯人グループが過去に発生いたしました京都梨木神社、北海道庁爆破事件等と同一セクトあるいは同系統であるのかどうか、いろいろの推測はなされておりますけれども、まだまだ私たちとしてはそういう可能性はあると思いますけれども、何ともその方向はわからない。一番手っ取り早くわかりますのは、彼らがいわゆる先ほど言いました犯行声明というのを出しますので、そういうのがあればまた相当はっきりいたしてくると思います。 ところで、爆弾事件全般について捜査等がどのようになっておるかということでございますが、今日まで爆弾事件というのは、これまた先ほどの内ゲバ事件と同様、昭和四十四年から始まっておりますけれども、今日まで百九十六件発生をいたしております。そのうち現在まで検挙いたしましたのは百十七件、被疑者の数にして四百一名でありました。このほかに指名手配しておるということでありますので、ただいま現在の四十四年以来の全体の検挙率というのはちょうど六〇%ということになっておりまして、事件の捜査には鋭意努力をしておりますが、御存じのように爆弾事件というのは、爆弾が破裂いたしてしまいますとその物的証拠というものが散逸するという大変むずかしい事件でありまして、外国の警察は爆弾事件を捜査しないというようなところもあるようでありますが、われわれはこれを綿密に捜査し、今日こういうような解決に至っておる。特に人的被害が出たものについては、ただいまのところほとんど全部解決しておるというように考えております。
○三谷委員 時間の関係で一括してお尋ねしますが、日航の方お越しになっておりましたらお願いしたい。 日航の乗員組合などが行いました十月の十一日の記者会見によりますと、昨年五月会社側に手荷物検査を厳重に行うよう要求したところ、会社の航空保安室長は、従来どおりの検査基準で十分である、厳重検査はやらない、安全対策は営業とのバランスで行うと言って要求を拒否したと言われております。記者会見で日航の乗務員組合が発表しておりますが、こういう事実がありましたでしょうか。 それから、IATAのバンダイク広報室長が十月の十八日に、「飛行機の乗っ取り事件が最近増大しているのは各国政府が過去二年間、空港での検査を緩めていたためである、と述べた。」ことが報じられております。営業面を重視する余り、検査を十分にしないという問題があるのではないか。これについては今後どういう点をどういうように改善をされますのか、お尋ねしたいと思うのです。 それから、日本航空は、さっきも説明がありましたが、海外の十七空港でダブルチェック制度を採用することにしておるとおっしゃいますが、これがスムーズにできるかどうか。昭和四十五年の「よど号」事件の際にも政府がダブルチェックを打ち出しましたが、相手国との関係で進まなかった例があります。今回これが果たして可能なのかどうか、これをお尋ねしたい。 それから、日本航空に対して日本赤軍からの脅迫、その他からの各種の情報が入った場合あるいは警察当局からの情報などが入った場合に、日本航空と警察あるいは運輸省との情報交換がどのように行われておりますのか、これがスムーズにやられておりますのか、お尋ねしたい。 これに関連しまして、日航の保安室に、本年の七月に日本赤軍がインドに潜入したという情報が流れたことはなかったか、このことをお尋ねしたい。
○野田参考人 お答え申し上げます。 第一点は、乗員組合と会社との会合の席上に——昨年の五月か六月ごろ起こりました、ニューデリーで機内にお客様が残された婦人用の化粧箱、これが遺留されておりまして、客室乗務員がお客様すべてが降機された後の検査でそれを発見いたしました。忘れ物と判断いたしましてターミナルの方に届けましたが、持ち主がおられませんので税関の保管する区域に置いてございましたときに、自然にひとりでに爆発したという事件でございます。組合からのやりとりの発表が正確を欠いていると私は考えております。その会合に私個人は出席いたしませんでしたが、会社の議事録を見てまいりますと、こういうような要旨でございました。 ただいま社内には爆弾の対策として四階級の警戒の段階を社内規定として設けております。そこで、乗員組合の主張はその一番高い、最も厳しい段階の警戒措置をとったらどうだ、そういうことが要求であったように思います。それに対して会社の方は、最高段階の警戒措置というものは、たとえば貨物などはほとんど積まないのに等しい、きわめて限定されたものだけが搭載できるといったような非常に厳しい特殊のやり方でありまして、一般の毎日毎日の便にこれを適用することはきわめて不適当であるという性格のものであり、その次の段階のものを私ども社内でCと言っておりますが、C段階のやり方が常時行う飛行においての最高の限度であるということを説明いたしまして、ただし個々の場合の判断は安全を最優先として決めるのだ、そういうことがやりとりの要旨でございました。それが私の理解でございまして、そのようなやりとりが組合の方から多少正確度を欠いて出たものと私は理解しております。 第二点は、メモをとっておりませんでしたので、失礼でございますが、項目だけをお教え願えませんでしょうか。
○三谷委員 バンダイク広報室長の意見です。
○野田参考人 新聞記事でそのような声明をしたということを私も承知いたしました。わが社としてはその意見発表に直接の関係はございませんが、私の判断といたしましてはこのようなことであります。 国際航空運送協会の共通の立場として、ハイジャック事件のような性質の事件というのは、社会一般の治安の一部であるという理解から、第一義的にはその国の機関がその治安の維持といいますか、保安の責任を負っていただきたいといったのが協会の共通した立場であるものでございますから、近年といいますか、ことしなどは若干増加傾向にありますが、各空港を管理される当局の警戒がもっと厳重であってほしいという希望を、ただいま申し上げましたような立場から申したものというふうに私は理解いたしました。もちろん空港の当局がおやりになることが第一義だといたしますと、航空会社にも負うべき任務があるわけでございまして、両方を完全にして防止せねばならないというふうに考えます。 第三は、恐れ入りますが……。
○三谷委員 日本赤軍がインドに潜入したという情報です。
○野田参考人 その情報が当社の保安室に入ったかどうかということを具体的に私は知りませんが、本年の七月ごろと記憶しておりますが、日本に世界各地から日本赤軍の大物が送還されてきておるという事実にかんがみ、また前例にかんがみ、奪還作戦というものが十分あり得るのだということ。それから、これは特に理由はないかもしれませんが、私どもの見ます範囲では、ハイジャック事件というものが夏から秋ごろにかけて多いという気がいたすものですから、そのような理由から、社内といたしましても現在の体制をもってできる限りの厳重な警戒をせよという意味の一般的な指令を社内に出したことがございます。
○三谷委員 社内に出すだけでなしに、警察庁や運輸省に連絡がいっていないというところに問題があるのではないかと思うわけです。 それで、これは参議院の方の質問では、警察庁は確認していらっしゃらないわけですから、その連絡がいっていないということになるわけですが、この点はどうなんでしょうか。
○野田参考人 会社といたしましても主として情報をいただくもとは警察である場合が多いわけでございまして、許される範囲においてお知らせをいただいております。また航空会社の社内でのみ得た情報というものも、例は多くはございませんが、そのような場合には会社の方から空港の警察の方にも御報告申し上げるようにいたしております。
○三井政府委員 いまちょっと警察庁という話が出ましたので申し上げますが、ことしの夏に総理がASEANの会議に出発され歴訪される、私たちはその前から、日本赤軍はいまお話しのように奥平等の奪還と、日本赤軍関係三人も送還されておりますからそういうことは考えておるであろう、そのチャンスとして総理の東南アジア歴訪の機会をねらうという可能性も考えられるということで、外務省や日航や関係のところに、そういう意味で警報を発するということではありませんけれども、お互いに連絡をし合っております。そういう連絡をいたしますと末端へいきまして、今度は逆にそういう情報があるということになってはね返ってくるということも間々ございますので、あるいはそういうことではなかろうかと思います。
○三谷委員 時間ですからこれで終わっておきます。
○地崎委員長 次回は公報をもってお知らせすることとし、本日はこれにて散会いたします。 午後二時十一分散会