石炭対策特別委員会 第3号
- 発言数
- 98 件
- 登壇者
- 19 名
- 会派数
- 4
- 開催日
- 1977/11/24
会議録
○岡田委員長 これより会議を開きます。 石炭対策に関する件について調査を進めます。 本日は、参考人として北海道大学教授磯部俊郎君、東京大学名誉教授伊木正二君、日本大学生産工学部教授笹生仁君、日本炭鉱労働組合中央執行委員長里谷和夫君、全国石炭鉱業労働組合中央執行委員長岡新一君、全国炭鉱職員組合協議会議長鈴木照生君、北海道副知事三上顕一郎君、福岡県副知事山崎英顕君、全国市議会議長会石炭産業対策協議会会長斉藤直巳君、全国石炭鉱業関係町村議会議長会会長原口栄弘君の御出席をいただいております。 なお、日本石炭協会会長有吉新吾君には午後から御出席をいただくことになっております。 この際、参考人各位に、委員会を代表いたしまして一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中のところわざわざ御出席をいただき、まことにありがとうございます。 本委員会は、昭和三十六年設置以来石炭対策の推進に努めてまいりましたが、この間におけるわが国の石炭産業は、他産業に例を見ない撤退の歴史を続け、多くの山が相次いで閉山を余儀なくされてきたのであります。しかしながら、その後、石油危機を契機としてエネルギー源の多様化が世界の重要政策課題となり、石炭の見直しが重ねて脚光を浴びてまいりました。また、資源不足のわが国においても唯一の国内エネルギー源とも言うべき石炭の重要性が改めて再認識されつつある現状であります。この情勢に対応して、総合エネルギー政策の一環として第六次石炭新政策が実施されておりますが、それにもかかわらず、その前途たるやきわめて厳しいことは御存じのとおりであります。 したがいまして、本委員会としては、既成の概念や方針に必ずしもとらわれることなく、広く国民各界から卓抜な構想や英知を結集してエネルギー問題解決への展望を見出したいと考え、本日、ここに参考人各位の御出席を煩わした次第でございます。 各位におかれましては、何とぞ率直、忌揮のない御見解を御披瀝いただき、また、委員各位との直接対話を通じて、いわば円卓方式によって問題点を明らかにし、掘り下げ、一定の方向を導き出していただくならば幸いでございます。 ついては、まず生産、利用及び産炭地域の振興問題について、磯部、伊木、笹生三教授の専門的立場からそれぞれ基調となる御報告をお願いし、次いで、その御意見に沿って他の参考人各位から御見解をお述べいただき、最後に委員各位と政府関係者を含め意見の交換を行うという順序で取り運んでまいりたいと思いますので、何とぞ御協力のほどお願い申し上げます。 なお、参考人各位からの御意見の開陳は、議事の都合上、磯部参考人、伊木参考人、笹生参考人には三十分程度、他の参考人各位は、磯部参考人、伊木参考人、笹生参考人の御意見に対する御意見を中心として十分程度お述べいただきたいと存じます。 それでは、まず磯部参考人にお願いをいたします。
○磯部参考人 磯部でございます。本日は、私ごとき者にこういった意見を陳述する機会を得させていただきましたことを大変光栄に存じ上げております。何しろまだ浅学非才の身でございますので、何かと十分でない点もあると思いますので、どうぞその点よろしく御批判いただければ幸いかと思います。 私の担当しておりますのは生産関係でございますので、最初に、御提出申し上げました梗概に基づきましてお話し申し上げたいと思っております。 内容といたしましては、まず、日本の石炭産業の外国に比べての特殊性ということ、それから国内の石炭生産の見通しという問題、それから最後に若干のつけ加えをさせていただきたい、こう考えております。 まず、日本の石炭の現状と申しますか、自然条件といったものの特殊性について申し上げます。 その第一は、地質的な条件でございます。日本の石炭は、地質年代がいわゆる第三紀という年代になっておりまして、諸外国の石炭に比べますと非常に若い石炭でございます。したがいまして、そういう状況ですと、炭化度が余り進んでいないわけでございますが、実際は諸外国の石炭に比べて炭化度については遜色がないというのが現状でございます。その理由と申しますのは、これは御承知のように、日本は火山国であるというようなことで地熱が高いわけでございます。それから同時に、火山、地震そういった点から見まして、地質変動が非常に激しかった。地質変動をいたしますと、内部に摩擦熱が蓄積いたしまして、これがやはり石炭化度を増進させるもとになっております。したがって、日本の石炭は、諸外国の石炭に比べまして石炭化度においては遜色がないわけでございます。それだけに、いわゆる地質構造が非常に複雑になっておりまして、急傾斜の炭層も多く、断層とか褶曲、こういったものが激しい、いわゆる自然条件の悪いところを採掘しているという現状でございます。こういったことは、大型採掘場をつくる、それから機械化をするということに対しては非常に困難な部面を持っております。それと同時に岩盤が摺曲、断層、その他で痛めつけられておりますので、坑道の維持が大変であるという特質を持っております。こういったような自然条件の悪いところを採掘しているというのは、恐らく先進国の中では日本だけじゃないかというふうに考えられております。ただしこの問題は、われわれが天から与えられたものである、したがって、人為的にはいかんともしがたい。これが第一の特徴でございます。 二番目の特徴は、北海道で申しますと釧路炭鉱、それから九州の大手三山、こういったものはすべて海底を採掘しております。海底採掘と申しますのは石炭の存在区域が全部海の底にある。ですから、岩盤の上に水をかぶっているという状況でございます。御承知のように炭鉱というのは、だんだん深くなったり、奥深く展開いたしますと、どこかで新しい斜坑とか立て坑を打ちまして、抗内構造を改変いたしまして、若返りを策して、それで原価の逓減、能率の向上というものを図っていくわけでございますが、海底炭鉱に関してはそういったことが非常にむずかしい。そういったことのできるのは、たとえば海の真ん中に適当な島があるとかあるいは人工的に島をつくって、そこから立て坑をおろすとか、そういうようなこと以外にはなかなかむずかしい点がございます。九州におきましては、そういったことで若返りを策している炭鉱もございますが、北海道のようなところは何せ太平洋の荒波の底であるというようなことで、こういったことは全然不可能である。そういう意味で、次第次第にその採掘条件が悪化していくのはどうしても避けられない。こういった状況はやはり諸外国にもございません。これも一つの天与の特質である、人為的にはいかんともしがたい点でなかろうかと考えております。 それから第三の点は、これは保安問題に関する世論と申しますか、社会的な受けとめ方にございます。なるほど炭鉱ではいろいろ事故もございます。特に地質条件が悪くて、しかも奥部に展開しても若返りがなかなかできない、そういうようなところでございますので、ときどき大きな事故を引き起こしては社会問題になっております。そういったことは、社会の非常に冷たいといいますか、激しい風当たりの中で炭鉱は存在しなければならない。そういうことを炭鉱の人は覚悟の上で、それに甘んじて生産と保安の確保にがんばっている、こういった点は、社会環境から見る一つの特質でないかと考えております。 以上、日本の炭鉱の特殊性をかいつまんで申し上げたわけでございます。 第二番目の国内炭の生産の見通しということであります。国内炭の生産見通しにつきましては、まず現在諸炭鉱がどのくらいの経済可採炭量を持っているかということが一つの問題点でございます。この経済可採炭量につきましては、一説には十億トンあるいはもっと多量に存在するというような考え方ももちろんございます。なるほど、炭量としては、採掘その他が進んでまいりますと、そういったものは確認できるかもしれません。しかし、現在の坑道展開の過程においてはっきりつかんで、これだけは採掘可能であるというふうに考えられる、いわゆる確定実収炭量というものをざっとながめてみますと、約五億トンというふうに私は試算してみたわけでございます。二千万トンの生産量を単純に五億トンと考えますと、二十五年くらいの鉱命でなかろうか、この鉱命に対しましては二十五年では非常に短いじゃないかという御意見は当然出てくるかと思います。しかしこれは、われわれ炭鉱人の努力によって、鉱命の延長と確認炭量の増大というものを図らなければならないという前提で申し上げております。そうなりますと多分鉱命はもっと伸びる機会を持っているというふうに考えております。 そういった点から考えまして、第六次石炭政策のもとで二千万トン以上ということが言われておりますけれども、第一年、第二年、それから本年というようなことを考えてみましても、二千万トンにはなかなか及んでおりません。なぜ及んでいないかということは別といたしまして、過去の実績から考えてみますと、幌内炭鉱の災害という点も算入されているには違いありませんけれども、二千万トンに及ぶというふうにはなかなか考えられないわけでございます。どの程度かと申しますと、二千万トンを確保するためにはどうしても二千百七十万トンぐらい、この計算は過去のデータに基づいて統計的な計算をいたしました。それでほとんど毎年二千万トンをキープするためには二千百七十万トン程度の生産力を持っている必要がある。それであっても、時には二千万トンを切ることもあるし、二千万トン以上のこともある。平均して二千万トンという形を維持するためにはこの程度のものが必要ではなかろうか、こういうふうに考えております。 翻って現状での見通しを、私個人の意見で申し上げます。現状では日本で一番大きい炭鉱は三池炭鉱でございます。三池炭鉱は五百万トン程度の生産量を毎年出しております。大体百万ないし二百万という生産量を現有炭鉱にそれぞれあてはめてみて、そのほかに中小炭鉱の生産量を約年間三十万トン程度見積もってみましたところが、大体千八百万トンというのが現在の生産力ではなかろうかというふうに出てまいりました。千八百万トンと申しますのは、非常に内輪に見ておりますので、結局これを一割程度アップしたといたしましても、二千万トンに若干欠ける、そういう点から考えますと、二百ないし二百五十万トン程度の生産力増強のための手を打つ必要があるのではなかろうか、これは二千万トンキープという前提条件のもとでございます。 その具体的方法として、私は三つ挙げてございます。一つは、北海道における旧住友奔別炭鉱区域の再開発、過去において百万トン以上の生産量を持っていた奔別炭鉱が一瞬にして現在廃鉱になっております。この区域にはまだかなり残存炭量がありますので、これの再開発によって生産量をオンして考える。それから現在問題になっております天北及び釧路西部、これは炭質の点でどうかと思う点も若干ございますけれども、これの新規開発による生産量の増強、それから現有炭鉱周辺にもまだ、掘進展開をし、それから探炭を行えば、採掘できる部面もございます。この部分の生産量を加えまして二百ないし二百五十万トンの生産量をオンすることが必要でなかろうかと考えております。 三番目に申し上げますのは、私企業体制の問題でございます。現在、私企業体制ということで石炭産業は進んでおりますが、これは公営企業とかあるいは国家企業でやるべきでないかという御意見がございます。ただ、私、素人でございますけれどもいろいろ考えてみまして、現在でさえ炭鉱企業というのは非常に苦境の中にある、しかも赤字の連続であるというようなことでございますので、もし公営企業になったら国鉄のような姿になりやしないだろうかという懸念を持っております。したがって現在の開発方式を技術と経済という面から合理的な企業形態に改める必要はあるかもしれませんが、そう一足飛びに公営企業にしてしまうというような観念にはまだ少し検討の余地があるのでなかろうかと考えております。 第二の点は、鉱区の調整ということでございます。現有炭鉱周辺の採掘、それから新炭田の開発というような点を考えてみましても、過去においてより大きくありませんが、若干に鉱区の問題というのもございます。鉱区というのは過去において人為的に線を引いたものでございます。これを自然条件のもとに、技術的開発の可能性をもっと増大する、それから重複投資を避ける、そういった意味から、いわゆる鉱区の統合をやりまして、合理的な開発を図るべきだというのが私の意見でございます。 それから三番目といたしましては、石炭石油特別会計の考え方、これも私個人の意見でございまして、これに関しましてはやはり国会あるいは政府の方で十分審議をいたしまして決めるべき性質のものとは存じますが、一介の市井人としての考えを申し上げます。 石特会計は年間千億以上のものを持っておりますけれども、そのほぼ半分近くがいわゆる産炭地振興、それから鉱害の処理、そのほか離職者対策といったようなものに使われております。これは現在生きている炭鉱には大きなプラスにはならない。しかし、石特会計がこの部面で果たした役割りというのは、私は非常に大きなものがあるとは思っております。しかし、これができましてからもうすでに相当期間を経過しております。したがいまして、こういったものはないがしろにはできませんので、石特会計の枠から外して一般会計の中で処理すべき問題でなかろうかと考えております。そうなれば石特会計がそういった面がなくなりますので、若干枠が圧縮されても仕方がない。特に産炭地振興という問題に対しては、産炭地でないのですから、旧産炭地と旧という字くらいは入れてもよろしいのじゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。 最後に申し上げたいのは、私どもの国というのは資源エネルギーにおいては非常に乏しい国でございます。それで、ここ十年あるいはそれ以上の間にエネルギー危機が到来するということは、世界的に見ても日本の立場から見ても非常に大変な時代でなかろうかというふうに皆さん考えておられることだと思います。特に国内で唯一の貴重なエネルギー資源、いわゆる本当の埋炭量というものを見ますと、いわゆる経済性ということを若干度外視して考えますと、先ほど五億トンと申し上げた炭量は今後まだまだ増大する可能性がございます。こういったことで私どもは、やはりエネルギー問題ということを考えて、一つの国民的合意の中で二千万トンの維持の理念、それから炭鉱の健全化、こういうことを目標にして技術と経営の発展を希望している次第でございます。 はなはだ粗辞でございましておわかりにくい点も多々あったかと思いますが、私の供述はこれで終わらせていただきます。 どうもありがとうございました。(拍手)
○岡田委員長 磯部参考人、どうもありがとうございました。 それでは、続いて伊木参考人にお願いをいたします。
○伊木参考人 ただいま御紹介いただきました伊木でございます。本日、この席で私からお話し申し上げる機会を得まして、まことに光栄に存じておる次第でございます。 私の与えられました課題は石炭の利用面についてということでございます。それにつきまして私の関係しておりますことを中心にしてお話し申し上げたいと思います。 戦後わが国の復興の基礎原料としての石炭というものは、社会の強い要請によりまして、傾斜生産方式によって増産が図られてきたわけでございます。すなわち、戦時中には五千五百万トンまで生産した石炭産業が終戦後には二千二百万トンにまで落ち込んでおりますが、昭和三十六年には再び五千五百万トン台まで回復してきたわけでございます。一方、昭和三十年代後半から中近東の大油田の開発によりまして大量の石油が安く出回ってきた、いわゆるエネルギー革命が起こったわけでございます。また、社会の発展とともにエネルギーの消費量も年々増加してきたにもかかわりませずその消費はもっぱら石油によって賄われてきたわけでございます。石炭はエネルギー源から次第に駆逐されてきたというのが実情ではなかろうかと思います。石炭がエネルギー源から次第に駆逐されてきた理由は、石油が安く入手できるという理由のほかに、石炭は固体燃料で石油、ガスのような流体燃料に比べまして取り扱いにくいこと、また石炭灰の処理がめんどうであるということでございます。その後、公害問題が大きくクローズアップされまして、石炭を燃焼した場合の排煙による大気汚染が問題になり、ばいじん、SOX、NOXの規制が行われるようになりまして、石炭の使用は次第に敬遠されてきたわけでございます。一方では、炭鉱では経済的に成立しないで閉山をしたり、大災害が発生したり、ストライキが行われたりしまして、供給者として大切な石炭の安定供給ができなかったことも、需要者が石炭の使用をきらった一つの大きな理由ではないかと思います。 この問、政府の各種の保護政策によりまして石炭企業というのは何とか生き延びてまいりましたが、石炭企業の経営は、赤字に悩みまして、また石炭産業を含めまして各産業とも石炭の新しい利用法などにつきましてはほとんど無関心であったと言わざるを得ないと思います。それが昭和四十八年末の石油ショック以来石炭の見直しが叫ばれまして、石炭の利用についても改めて考え直されるようになったわけでございます。しかし、石炭の利用問題には石炭利用の技術開発が先決でございます。このため、石炭鉱業審議会の技術部会では、昨年来「石炭技術対策の進め方」について検討を重ねまして、さらに本年の八月、「石炭利用技術の促進について」という報告書をまとめたわけでございますが、私は技術部会長をしておりますので、それを中心にいたしまして、石炭利用の技術につきまして申し上げたいと思います。 まず、石炭利用技術開発の必要性でございます。石油危機を契機として世界的にエネルギー情勢が大きく変わりまして、各国とも石炭の見直しを行うようになったわけでございます。世界は近く石油資源の増産限界に達すると見る者もありまして、省エネルギーを具体的に強力に推進するとともに、石油への依存度を少しでも少なくしょうという方向に努力しております。すなわち原子力開発の推進とそれから最も豊富に存在しますエネルギー資源としての石炭の活用によりまして、石油エネルギー資源に代替させようとしておるのでございます。もちろん地熱、太陽熱等新しいエネルギーの開発も進められております。わが国におきましても全く同様でございます。ただし、国産資源に乏しいという条件がさらにこれに加わりまして、わが国のエネルギー問題はさらに深刻になっていると言わざるを得ないと思います。 石炭は世界の可採埋蔵炭量だけでも約七千億トンと言われております。昭和四十八年の生産量が二十三億トンでございますので、可採年数は約三百年でございます。わが国の埋蔵量はわずかではございますが、唯一の国内エネルギー資源として戦後日本の復興に大いに寄与してきたものでございます。われわれはこの石炭をもっと効率よく使用し、かつ公害防止技術を確立して安全に使用できるようにするとともに、石油の代替エネルギーとして利用するための技術を確立する必要がございます。 すなわち、従来大部分、単に固体燃料として使われてきた石炭をガス化、液化してクリーンな流体エネルギーに転換して利用する必要を生じてきたわけでございます。そのため石炭の燃焼効率向上、公害防止、未利用石炭資源の活用とあわせて石炭のガス化、液化など多方面にわたる石炭の利用の基礎技術を開発して、早急に実用化を図る必要があるわけでございます。 次に、石炭利用技術の重点開発課題につきまして申し上げます。 石炭は普通、原料炭と一般炭とに分類されますが、これらの石炭にもいろいろな性質がございまして、その性質によって利用範囲も異なってまいります。原料炭は製鉄用コークスとして大量に使用され、あるいは乾留タールを原料として各種化学製品とか医薬品を製造するいわゆるタール化学工業に使用され、またガス化によりまして合成化学原料などに利用され、液化によりまして内燃機関燃料がつくられるなどであります。これらが従来、石炭の利用と見られ、これらの技術は戦前から大いに発達し、企業化されてきたものでございます。しかし、今日言われている石炭の利用は主として一般炭に対するものでございます。その背景は戦前戦中とは大きく変わっております。今日の石炭利用は、エネルギー需要が大きく伸びまして、かつ燃料の流体化に移っている中で無公害化をねらったもので、石炭もそれに対応できる形に持っていって石油の代替エネルギーとして利用しようとするものでございます。 一般炭につきましては直接利用あるいは加工利用及び転換利用などの利用法がございます。直接利用は石炭を固体のまま燃焼させるもので在来の燃焼法がありますが、さらにSOX、NOXを低減でき、効率のよい流動床燃焼の技術開発が必要であります。加工利用につきましては成形炭、コロイド燃料などとしての利用技術がございます。転換利用につきましては乾留による活性炭、合成化学原料の製造技術、ガス化、液化などの技術がございます。これらの利用技術はどんな石炭にも同じように適用されるというものではなくて、石炭の特性に応じて最も有効な利用法を研究すべきであって、そのため多方面にわたって総合的な技術開発を進めなければならないわけでございます。 石炭鉱業審議会の技術部会で取り上げました石炭利用の重点開発課題につきましては、次のようなものがございます。 大きく分けまして、短中期に実用化が期待できる課題としまして、第一に排煙処理技術を確立するとともに石炭をクリーンエネルギー化して環境保全の向上と効率の向上を目指すものがございます。 それには、一つには乾式排煙脱硝技術でございます。石炭ボイラーの排煙処理技術のうちで、ばいじんあるいはSOXの処理につきましてはすでに実用化されております。今後NOXの低減対策として、石炭ボイラー用の脱硝技術の確立が急務でございます。このため乾式の脱硝装置の開発及び脱硝装置設置に伴ういろいろな技術、発電所の総合排煙処理システムなどを確立して、無公害型の石炭火力発電プラントを実現するのが目的でございます。 さらに流動床燃焼技術でございますが、流動床燃焼技術は炉内での脱硫、低NOX化ができまして、在来の微粉炭燃焼ボイラーに比べまして炭種範囲の拡大ができ、さらにボイラーの小型化、パッケージ化ができるなど大きな利点を持っておるわけであります。このため効率的な流動床ボイラーを開発して、経済性のある発電プラントの実用化を図るというものでございます。 次に、低カロリーガス化複合発電技術でございますが、石炭の抜本的利用拡大を図るために、石炭をクリーンエネルギー化いたしまして、環境保全の向上を図るために、効率的な石炭ガス化発電システムの実現を図ろうとしております。 次に、石炭を流体化し、輸送、貯蔵などの、利用に際しての不便さを取り除くという目的では、一つは石炭石油混合燃料技術というのがございます。 石炭の利用の拡大のためにはその取り扱いの繁雑さを解消しなければなりません。石炭を流体化して取り扱うことができれば、電力燃料に加えて、各種産業への拡大が期待される。このためガス化、液化などによる石炭の流体化の実用化に比べて、既存技術に近いもので早期に開発が可能なものとして石炭石油混合燃料、俗にコムと申しておりますが、これの研究開発を進めていく、そうして石炭の利用拡大を図ろうというものでございます。 次に、褐炭とか低品質の一般炭を含めた石炭の高度利用を図りまして、石炭資源の安定供給と経済的利用に資そうというものでございます。それには、一つは微粉炭、褐炭の有効利用技術というのがございます。水分の高いあるいは灰分の多い、また硫黄分の高い低質炭及び未利用の石炭の効率的な活用を図るために、こういったような石炭を脱水、脱灰、脱硫して、その処理した炭を輸送、貯蔵、燃焼させるまでの一連のシステム技術を実用化させようというものでございます。 それから次に、人造粘結剤の製造技術でございます。これは製鉄用コークス原料炭の粘結炭不足対策の解消を図るために、一般炭を溶剤処理してコークスを製造する技術を開発して、コークス用炭の炭種を拡大しようというものでございます。 さらに、成形コークス製造技術というのがございます。製鉄用コークス原料としての長期的粘結炭の不足対策の抜本的解消を図るとともに、コークス工場の作業環境の大幅な向上を図るために、現在の室炉式のコークス炉によらない新しい連続式の成形コークス炉を開発して、一般炭を主原料としたコークス化技術を確立しようとするものでございます。 次に、石炭が持つ物理的、化学的性質を利用しまして再資源化、エネルギー消費以外の新規需要分野を開拓するという目的で、石炭灰の有効利用技術というものがございます。石炭火力発電所からは多量の石炭灰が排出されますが、現在ではその一部がフライアッシュとして回収されセメント混和剤あるいは炭坑の充てん剤に利用されておりますが、大部分は灰捨て場に埋め立て処分されております。しかし今後は、大規模な灰捨て用地の確保とか、輸送時における環境問題などの解決が、石炭火力発電所立地促進のポイントになる重要な課題となると思います。このため、石炭灰の有効利用技術を開発して、石炭火力発電所に付随する灰捨て問題の緩和を図ろうというものでございます。 その次は、石炭を利用した下排水処理とスラッジ炭の熱利用技術でございます。石炭の物理、化学的特性を生かしまして都市下水処理、産業排水処理で利用しよう、それと同時に回収スラッジ炭を熱エネルギー源として発電などに利用するシステムを開発して、効果的な再資源化及び新規利用面の開発を図るというものでございます。 以上が短中期に期待されるような技術でございます。 さらに、長期にわたる課題と申しますと、石炭を新エネルギーとして活用し、石油、天然ガスの代替エネルギーとして利用するものでございまして、これには、御承知の高カロリーガスの製造技術がございます。石炭の利用拡大を図るため石炭をガス化して都市ガス用、工業用の燃料などとして利用可能な天然ガス相当の高カロリーガスを製造する高カロリーガス化プラントを開発するものでございます。 もう一つは石炭の液化技術でございます。石炭の利用拡大を図るため、石炭を液化して、石油の代替燃料として利用可能な合成原油などの合成液体燃料を製造する各種の技術を開発して、石炭の液化プラントを開発しようというものでございます。 次に、外国の石炭利用技術開発との比較を申し上げます。 石炭利用技術開発につきまして、わが国と欧米諸国とを比較してみますと、わが国の技術開発の進め方はほとんどが小規模の基礎研究から着手して、応用研究、実用化試験へと進んでいるのに対しまして、アメリカではかなりの大型のプラントを建設して試験に入り、その試験の過程の中で基礎研究を行っているものもございます。したがって研究予算が最初からけた違いに大きいということも言えるかと思います。西ドイツの技術開発の進め方は比較的わが国に似ているのではないかと思いますが、研究投資額はわが国よりはるかに大きいように思います。以上のことから、基礎研究ではわが国は決して諸外国に劣ることはないのでございますが、応用研究、実用化試験につながる技術開発の進展はどうしても遅くなるように思われます。原料炭の不足に対応して研究開発の行われております製鉄用コークス製造技術、高度の公害規制に対応して研究開発が行われております排煙脱硫、脱硝技術などは基礎研究が始められまして、すでに実用化に達した技術もございます。諸外国に比べて優秀なものと言えるかと思います。また、アメリカの大型プラントも必ずしも順調に稼働していない点などを見ますと、果たしてどちらのやり方が有利であるかということは一概には言えないかと思います。 諸外国では自分の国に多量の石炭資源を持っているため、自国のどこの石炭を対象に利用技術開発をすればよいか、比較的決めやすいわけでございますが、わが国では国内に石炭資源が少なくて、海外炭では対象がはっきりしませんので、どうしても多種多様の石炭を対象にしてこれらに適合するようにしなければならないので、それだけ研究開発がむずかしくなるのでございます。 次に、石炭利用技術開発上の問題点を申し上げます。 石炭利用技術開発には以上のような重点開発課題だけでも昭和六十年までに約四千億円の資金が必要であるというふうに見込まれております。技術開発には、その研究段階において恐らく予想されない多くの難問題が発生しまして、これを解決するためにはさらに多額の資金を要するものと考えます。現在、需要業界では、近く石油が不足すると見て石炭利用技術の開発に取り組んではおられますが、多額の研究資金と長年月を要することと、現在の石油の入手状況から、石油に対してなお楽観視する向きもありまして、将来の石炭需要と絡んで、基礎段階での研究見通しが得られておりましても次の開発ステップに着手できないでいるのが現状ではないかと思います。したがって、将来この方面には絶対に石炭を使用するのだという具体的政策を示すとともに、その研究開発資金を民間及び国が確保する方向で動かなければいけないと思います。 次に、石炭利用技術の研究開発を行う研究者、技術者というものは、昭和三十年代のエネルギー革命以来若い人材がきわめて少なくなってまいりました。その理由は、石油が多量に輸入されて、石炭よりも石油の方が研究しやすい、また将来性があると判断されたからであろうと思います。しかし最近は、石炭の見直しに伴いまして、石炭利用技術の研究開発に携わる研究者、技術者もふえつつあります。今後さらに長期的展望に立ちまして石炭の需要拡大が図られるならば、多数の研究者、技術者が石炭利用技術の研究開発に参加するようになり、優秀な後継者も育成され、研究開発も急速に発展するものと考えます。 前述の石炭利用技術の重点開発課題は相互に関連が深いものでありまして、これらの研究開発は互いに緊密な連絡をとりつつ進める必要がございます。また、石炭というものにつきましては、探査、採掘から輸送、貯蔵、利用に至るまで一貫したシステムで総合的に取り組む必要があろうかと思います。 以上、いろいろ申し上げましたが、石炭利用技術開発につきまして概要を申し上げたわけでございます。利用技術の研究開発は石炭の見直しをする上できわめて重要な問題でございます。しかしながら、今日では先年の石油ショックは全く忘れられまして、石油の価格は上がったとはいえ、自由に入手できるので、昭和六十年ごろには石油が不足すると言われながら、国民の間にはその危機感はいまだきわめて薄いように思われます。一方、需要業界では、石炭の利用の技術開発に取り組んではいるものの、将来のはっきりした見通しが立たないまま研究開発が進められているのが現状であろうかと思います。したがって、国としても石炭をどういうふうに使用すべきか、産業分野を定めまして、あるいは逆に言えば、石油を使用してはならない産業分野を定めまして、他の燃料に比べて経済的に不利な分は国家が補助をするというような強力な政策によりまして、石炭利用技術開発の推進を図り、開発の各段階に応じて適切な指導援助を行う必要があろうかと思います。 エネルギー資源を大切にして将来ともバランスのとれたエネルギー消費ができるようにするためには、最も豊富にある石炭資源を活用することが当面必要ではないかと思います。そのためには、石炭利用技術の開発というのは非常に急務であると考えております。 簡単でございますが、以上をもって終わらせていただます。
○岡田委員長 どうもありがとうございました。 それでは、次に、笹生参考人からお願いいたします。
○笹生参考人 日本大学の笹生でございます。もとより浅学非才でございまして、このような席で所見を述べさせていただく機会を得ましたことを大変光栄に思っておりますとともに、恐縮にも考えておるものでございます。 また、私は、産業立地論、地域計画論を専攻しておりまして、石炭鉱業であるとかあるいは産炭地域という問題につきましては、これまでむしろ周辺の問題ということでは間接的に関係をしておりまして、従来、深くこの面を検討してまいったわけではございませんが、ただ、ここ数年来、エネルギー問題、特にエネルギー立地問題と地域社会の問題が大変政策的なあるいは政治的な課題になってきたといったことからであるとか、あるいは昨年、産炭地域振興計画を改定をするという意図から専門委員会がつくられまして、私もそのメンバーの一員という形で参画をいたしましたことが、きょうこの席でお話を申し上げざるを得ないということになったのではなかろうかと思います。 私がこれから申し上げますことは、産炭地域振興問題というものを今後どう進めていったらいいかということに関することでありますが、一応これにつきましては四点から申し上げてみたいと思います。 第一は、産炭地あるいは産炭地域問題というものをどう考えるべきかということ、第二は、そういった論述を受けまして、それをいわば地域政策という形で推進をしていくというにはどういう問題があるか、この二つの問題は私の産炭地域問題についての基本的な認識にかかわるものでございます。それから第三は、今回の産振計画の改定計画をこの夏答申をしたわけでありますが、それに参画をいたしました一人として、これを推し進めるために特に留意していただきたいというふうに考えている事柄を申し上げ、最後に、私、いまの専門委員会の活動過程の中で九州地域と常磐地域を現地調査をいたしましたので、それらの地域の踏査をいたしました所見を述べ、若干具体的な意見を述べさせていただいて終わりにいたしたいというふうに考えております。 先ほど磯部参考人からのお話にもありましたが、産炭地域であるとかあるいは産炭地域問題ということは、いわゆる産炭地域振興計画の中では、まあ先生のお言葉をかりれば旧産炭地という色彩の濃い形で受け取られておると思うわけであります。産炭地域というのは、私どもは単なる石炭を産出する地域というふうに考えるよりは、そこに石炭資本がその地域社会を言うならばほぼ独占的な形で支配をしておって、そういった支配構造というものが崩壊をしたという過程の中で地域社会全体が一つの構造的な空洞を生じた、その空洞をいかにいやして新しい一つの経済社会空間として再生させようかというのが、いわば今日言われているところの、産振計画の言うところの産炭地問題ではなかろうかと考えておりまして、私はこういった問題を、すぐれて地域社会構造的な問題性を持つということを、まず基本的に認識すべきではないかというふうに思っておるものであります。 そのことは、この産炭法が制定をされまして十数年、各地にいろいろな効果が上がっているわけであります。その振興効果というものを総合的に評価することはむずかしい、必ずしも容易でございませんが、包括的に申し上げまして、現行の施策に直結するような場面、たとえば工業化の度合いであるとか、あるいはそこにおける道路の改良率であるとか、こういった問題については各産炭地域とも余り変わりがない形で水準が上昇しているわけでありますけれども、たとえば地方財政力指数であるとか、あるいはその地域における人口構造であるとか、あるいは滞留離職者の数であるとかというふうな、言うならば地域の構造的な事由に根差すような部門であるとか、あるいは社会福祉に非常に粘着した部分においては、地域によってかなりな差が出ている。ということは、これまでの政策が鉱工業の構造改善、あるいは衰退産業によるいわば雇用問題の解決という二点に強く集中していたということで、現在の政策の一つの限界を示すのではないかというふうに考えております。 今日、石炭ばかりでございませんで、石油、電力等エネルギー問題がいろいろ取りざたされておりますが、私がエネルギー問題に接触しておりますいわゆるエネルギー立地問題という場合には、いま申し上げました地域というもののとらえ方ということが微妙に影響をしてくるというふうに思っております。 近年までのエネルギーサイドでの地域のとらえ方というのは、とかくエネルギー産業の用途に向けるべき地点を地域と考え、またそれの周辺地域という場合におきましても、どちらかといえば補償的な、あるいは影響圏域的な形で周辺地域というものを理解されがちであったということがあろうかと思うわけでありますが、私どもは、地域というのは、人間があるいは人間集団がそこに社会的な連係を持ちつつ息づいているところが地域と考えております。そういった違いが今日、エネルギー立地に絡まる地域住民とのいろいろな紛争の中に微妙に影を映しているのではないかと思うわけであります。石炭産業というのは御承知のごとく、他のエネルギー産業以上に地域と深いかかわり合いを古くから持っているわけでありますので、私は、これまでの産振法のたてまえにもかかわらず、しかもそれが今度の計画によりますと五十七年までに完成をするというタイムリミットを持っておりますが、またそれがゆえにいわば産炭地域のとらえ方というものをもう一度原点に立ち返って検討してみる、そのことが今日言われておるエネルギー問題の解決にいわば先導的な役割りをも持つというふうに思うものであります。こういったことで私は、この産済地域進行計画というものを、よりすぐれて従来以上に、いわば地域政策として接近を試みていくということがきわめて重問な問題だと思うわけであります。 ところで、産振地域というものを地域政策という形でとらえますときに、私はまず、他の一般の地域開発対象地域というものに対してこの地域がこれまでいわゆる衰退地域という側面で見られがちであったわけでありますけれども、それに加えて実は、いわば旧産炭地域と言ってよろしいかとも思いますが、その多くは本来的にはかなりすぐれたポテンシャルを持っているところが数多い。言うならば、それを開発するということが、いままでゆがめられた産業をぬぐい去ることによってそれの持っている本来的な経済的、社会的なポテンシャルが発現できる地域であるという、言うならば有効地域というふうに理解をすべきではないかと思うわけであります。しかし、そうは申し上げましても、産振地域は、その地域の置かれております自然的あるいは社会的な条件であるとか、それから石炭産業がそこに入り込んできた規模であるとかあるいは発展のテンポであるとかというふうなことで、石炭産業が入ります以前の集落の形態あるいは土地利用の体系、あるいはそこに形成されておるいろいろな意味での今日言われているところの社会資本のあり方と、それから石炭が入ってから石炭という目的のために形成された集落あるいは交通というふうなシステムのずれの大きさ、少なさということで、地域によってきわめて区々であります。したがってこれは、その地域の特性に応じて当然、対応の策を講ずる必要があろうかと思いますが、その場合、特に、これは先ほど冒頭に申し上げましたような個別的な対策あるいは単線的な対策で一応それのポテンシャルを顕現することができる地域と、そういう個別的な対応ではなくて、より複合的なあるいは生活圏域的な対応をしないとポテンシャルを上げることがむずかしい地域があるということに気づくわけでありますが、問題は、やはりその後者の、複合的な対応を要する地域をどうするかということであります。これにつきましては、特にこれまでの施策体系の性格から申しますと、今日の施策体系を越えるような問題に一体どう対応するかということが、当然ここに出てまいりますし、そこでは恐らく、これの担当省でありますところの通産省以外の、建設省であるとか運輸省であるとかという他の省庁が、こういった問題にどう協力し得るかということにかかってくるというふうに思いますが、そういったものの中で、これまでいわば産振地域というのは通産省だという意識の中で、産炭地の中における各省の担当分野が、いわば責任の主体が不明確になるというふうな形で、なかなかこれがいい形に進んでいかないという問題があるわけであります。たとえばこれは、農林漁業部門であるとかあるいは都市機能あるいは社会福祉に関係するという部面に、そういったことが端的にあらわれていようかと思うわけであります。 また、最後に、地域政策としてもう一つ申し上げたいことは、先ほども申し上げましたように、この産振地域というのは、いろいろな性格あるいは発展段階の差を持つものであります。したがいまして、これらについての国としての対応というのも当然、多様な対応をしていかなければならないと思いますが、私ども、これまでのいわゆる地域政策というものを見てまいりますときに、これまでの開発投資の基本的やり方というのは、どちらかと言えば、国レベルでの資本効率というものが投資の基準にあったのではなかろうかと思うわけであります。しかし、産炭地域のように、いまのような多様な性格を持つところにおきましては、そういった基準にさらに加えて、地元がみずからの地域をどういうふうに開発すべきかという構想力をどの程度持っているか、あるいはそういう構想に対して、地域の住民の合意形成というものを取りつけ得るかどうかというふうなことを評価すべきだし、また、むしろ地元のそういった意識、行動というものをできるだけ推進をさせていくということを基準に考えていくということが、今後考えられていかねばならないのではなかろうかと考えております。 以上、産炭地域問題についての私の基本的な認識を述べましたが、次に、今回の改定計画の実施につきまして三点ほど申し上げてみたいと思います。 第一点は、先ほども触れましたように、振興の効果がかなりばらつきを持った形で進んでおりますので、そういった場合には、当然やはりおのずからその地域の発展段階であるとか、あるいはポテンシャルであるとか、あるいは今後の社会、経済の情勢の変化を踏まえて重点施行をせざるを得ないというふうに考えておりますが、そういった場合には、特に六条地域のようないわば疲弊がなお解消されておらない地域についての基盤整備というのは、今後も引き続き重視され、推進されていくべきだと思いますし、また第二には、そういった六条地域の中でも、特に多角的な地域社会構造を持ち、先ほど申し上げました複合的、生活圏域的な対応を必要とすると思われる、またそうすることによってこれまでにない発展が期待されるかもしれないと思うような、石狩六条地域であるとかあるいは筑豊地域であるとか、そういったところについて、またそういった視点からのてこ入れというのが今後の過程で尽くされるべきではないかということであります。 それから第二番目は、御案内のように、今日は高度成長から安定、低成長へと移行をしておりまして、いろいろな産振地域の産業を振興する場合におきましても、そういった問題がいままで以上に厳しい条件に置かれていることは、私があえて申すまでもないことでありますが、そういった意味で、特に、たとえば工業という問題につきましても、これはたとえば工配法における特別誘導地域であるとか、そういったいろいろな格段の助成措置ということが尽くされる必要があることは言うまでもございません。さらにそれに加えまして、私は、その産振地域における工業というのが総じて内陸型の工業でありまして、そういったところでは、われわれの言葉で言いますと、フィジカルな立地条件ということよりは、むしろメンタルな立地条件をいかに形成させていくかということがきわめて重要だと思うわけであります。そういったことから、いわば地域に入っております現在の企業の地域関係事業であるとか、あるいは行政における社会政策というようなものを踏まえて、より具体的なカリキュラムを持つ改善計画というものがそこでなされねばならないし、また企業の導入を図るに当たっても、いままで以上に、いわば企業的な視点から、それの再検討であるとかあるいは業種の選択であるとかということがなされる必要があるわけでありまして、これまでの立地政策が、とかく産業レベルで問題に対応するのに対して、ここでは、すぐれて企業レベルでの対応ということがより迫られるのではなかろうかというふうに考えております。 それから最後に第三点としては、先ほども一般論の中で申し上げました、いわば各省の財政的な支援であるとか、それに絡まる有機的な推進体制をどう充実していくかということで、これは、いろいろいい計画がつくられましても、それが財政的な裏づけがなければ実現をしないという点から見て当然でありますが、現に産炭地域振興計画に つきましては、いわゆる石特会計の中から出ている投資というものが基本ではありますけれども、さらにそれに匹敵する程度の各省関係の、たとえば補助金の引き上げ額であるとか、あるいは自治省の特別交付金であるとかというふうな予算がかなり投資をされているわけであります。したがいまして、そういったむしろ各省での予算というふうなものを、産炭地域の中にいい形でどう組み込み得るかということが、計画の実を上げるという具体的なあれになろうかと思うわけであります。そういった意味で、現在、中央、地方に産炭地域振興関係各省連絡会というのが設けられているわけでありますが、私は、これが一層充実されていくことが特に望まれようかと思います。 最後に、九州筑豊等を見ました私の所見を、これも三点ほど申し上げたいと思います。 第一点は、特に筑豊地区のごときは、いわば鉱害復旧、それからボタ山処理あるいは炭住改良事業等の非常に生々しい傷跡がいまもなお残っており、しかも、その進捗度が必ずしもはかばかしくないということがございます。これに、まず何よりも今後の振興を図る前提として格段の努力をすべきだということを改めて感じたものであります。 第二は、これは先ほどもちょっと申し上げましたように、地域の生産力というものを上げる場合に、工業の導入というのは確かに大きな役割りを持っておりますけれども、その地域経済の地力というのは、やはりそこの在来からの、いわゆる農林漁業あるいは地場産業というものが健全な形で振興されているかが問題であります。この点は、計画等も従来とも触れておりますけれども、施策としてはこれについてほとんど対応がないというのが実態ではなかろうかと思うわけであります。そういった意味合いから、現在の政策の中でもできるだけそれを拡大解釈をする、あるいは改善をするという形で、いま申し上げましたような農林漁業であるとか、あるいは都市の機能というものを高めていくということに努力をしないと非常にむずかしいのではないかというふうに考えました。 それから最後に、第三番目の問題として、たとえば先ほど申し上げました筑豊地域でありますけれども、ここは、特に筑豊内陸部は四市を持ちましたきわめて多極的な地域構造を持っておりますが、そのそれぞれの都市の都市力というのがいずれも弱体であります。ほかの一般の地域でありますと、その中心になる都市が何がしかの形で力を持っておりますから、その中心都市は周辺の農山村の用に供するような行政サービスをかなりしておりますが、ここではそれをすらする力がないというようなことであります。しかし、筑豊内陸部は北九州地域それから福岡市、さらには玄界それから周防灘といった両臨海部にも恵まれているということから、工夫のいかんによっては非常にいい開発の計画が実現できる地域であろうと思います。建設省の地方生活圏であるとかあるいは今回の定住圏構想ということでも、その生活圏としてのことが強く言われている中で、私は、一つの産炭地域のモデルというふうな形ででも、筑豊地域についてひとつ生活圏域的な接近を強力に進めていくことが望ましいのではないか。また、これは私、現地を見ておりませんけれども、石狩地域においてもまた別な意味でそういった接近が試みられてしかるべきだろうというふうに思います。 若干長くなりまして恐縮でございますが、以上をもちまして私の意見を終えさせていただきます。 御清聴ありがとうございました。(拍手)
○岡田委員長 どうもありがとうございました。 それでは、次に、里谷参考人からお願いいたします。
○里谷参考人 炭労の里谷でございます。 初めに、一昨年十一月大災害を起こしました幌内炭鉱でございますが、当委員会の岡田委員長先生初め各先生の特段の御協力をいただきまして、昨年の十月十九日の労使再建協定に基づきまして努力をいたしてまいりました。十月一日から計画に基づきまして千トン、実際は千トン以上の実績を上げておりますが、出炭を開始することができまして、心から厚く御礼を申し上げます。組合並びに家族も長い間耐えに耐えてまいりましたが、地域社会の皆さんの御協力をいただきまして、元気をふるってがんばっておりますし、地域の方々の元気も非常に上がっておる、こういう実情でございます。大変お世話になりました。ありがとうございます。 時間が限られてございますので、陳述されました三先生の意見について、簡略に申し上げたいと思うのでございます。 磯部先生の陳述に対しまして、意見を申し述べたいと思います。 第一は、開発可能な炭量についてでございますが、経済炭量は五億トンと述べられております。これは、現状の個別私企業体制のもとで、限界生産コストの範囲内で掘れる量でございまして、生産機構の一元化、たとえば公社公団を否定されていますが、公社公団あるいは限界生産コストの引き上げ等によりまして十分拡大していけるものと考えます。この数字につきましては、後ほどの御質問その他で私どもの見解を申し述べたいと思うのでございます。したがって、現時点で五億トンに固定化して長期的な開発構想を立てるのは問題である、これが第一点であります。 生産見通しについてでありますが、確かに、現状では千八百万トン程度に落ち込んでおります。われわれとしても、無理をして、しかもせっかちに生産拡大を図るのは適当でないと考えています。しかし、この生産規模の見通しは、あくまで現行政策のもとで生産する場合の想定でありまして、決して固定的なものでないと考えます。 同時に、四点ほど申し上げたいと思いますが、その一つは、指摘のほかにも開発、再開発可能な地域があるということでございます。 二点目は、天北や釧路の開発に当たって生産規模をどの程度に計画するのか、その場合、事業主体をどうするのかについて、政府として具体的な構想を明示しておりません。これを明示することが重要な柱だと考えるのでございます。われわれとしては、個別私企業あるいは第三セクターでは前向きの構想が出せないのではないか、こういうように考えております。 三点目としては、海底炭鉱の指摘がございましたが、入排気坑の通気対策をどう対処するかということについて、過去の例では、具体的に指導しておった時期があるわけでありますから、これを再開するという姿勢をとることが必要であろう、こういうふうに思います。 四点目は、現行炭鉱の中で約半数以上が急傾斜採炭を行っている現状でございますので、この急傾斜採炭に当たっての技術開発を早急に打ち立てる必要があるのではないか、こういうように、生産見通しについて四点の意見を持っておるものでございます。 三番目といたしまして、企業体制について触れられていますが、いまや個別私企業体制のメリットは何一つないと判断をいたしています。石炭資本は、私企業のバイタリティーを生かすなどということで、実質的にはバイタリティーを完全に喪失しているのではないかと思います。これ以上個別私企業体制を温存して、これに政策資金をつぎ込むやり方は、まさに国民の税金の浪費と言わざるを得ないと思うのでございます。 四点目、石炭石油特別会計のあり方についてでありますが、将来におけるエネルギー事情の困難化を想定しますと、いまからそれへの対応を考えることが必要だと思います。このため、将来にわたり必要資金の確保を図ることが重要であり、この場合確かに石炭特別会計に対する種々の問題提起がございますが、あくまで存置していくべきであると思うのであります。なお、産炭地対策、鉱害対策あるいは離職者対策への出費があたかも後向きという評価に立っているようでございますが、これは主として現在までの石炭政策が必然的に生み出した結末であることを考えていただきまして、石特会計に包括していくべきものだと考えます。しかし、新たな資金用達あるいは将来展望をする場合に、石特会計全体をどのような使途内容に位置づけするのかということについては考慮すべき余地はあろうと思うのでございます。 次に、伊木先生から指摘をされた問題でございます。 御指摘のとおり、石炭鉱業審議会の技術部会で検討され、委員会で確認をされた内容の説明でございます。私どもこの会議に参加をして了承している内容でございますので、十一項目の内容についてはきわめて賛成という立場に立っています。したがって要望意見として申し上げますのは、財源確保とその研究体制の整備について、計画自体に、自信を持って解決をする、そういう意欲を一段と強調していただきたいと思うのであります。 次に、新鉱開発にせよ技術開発にいたしましても、最低三年から五年の歳月を必要とするというのが現状でございます。そうなりますと、速やかに体制を確立していただきまして具体的に促進すべきである、まさに企業責任ではなくて、企業単位で行うやり方ではなくて、新エネルギーの開発こそ政府みずからの責任において実施すべきである、こういう意見を持っているものでございます。 その次に、現状と技術開発の対比でございますが、最近の実情を見ますと、輸入炭あるいは産業停滞あるいは暖房炭の消費減少あるいは円高等々の影響で、短期間に四十万トンに及ぶ貯炭をふやしているというのが実情でございます。したがってコストアップという反面が出てまいりますので、企業が四苦八苦の意思表示をすでに表明している現状から判断いたしますと、石炭による科学的利用開発は毅然として実現をすべきである、これについて勇断を持つべきである、ここを提唱したいと思うのでございます。 最後に、笹生先生の陳述に対してでございますが、産炭地域の振興対策は、石炭産業の長期安定化、さらに発展という土台の上に立って地域社会全体が発展していくということを基本とすべきだと考えます。この場合、産炭地域の再開発、閉山地域に山積している諸問題、いわゆる鉱害の処理、離職者の対策等の処理など、当面する問題の解決を図ると同時に、地域住民の生活基盤である生活環境施設の改善整備など、根本的問題の解決にも目を向けることが重要であると思います。具体的には、現状の平均的な政策を乗り越えて、それぞれの地方、地域の実態に即したきめの細かい対策を確立していくことが大切であると思うのであります。 このような観点に立ちまして、以下四点申し上げたいと思いますが、類型別振興計画の策定、すなわち石炭産出市町村、完全閉山市町村、さらには九州、北海道の実態の相違等々、地域の実態に合わせて四つないし五つのブロックに分類をして地域実態に密着した振興計画を策定をする。 二つ目は、振興計画推進のための市町村に対する財政援助、すなわち地域区分及び補助率の引き上げを初めといたしまして、振興計画に定められた事業を各道、県、市町村が行う場合、必要な一般財源の全面的な国費負担、さらには新鉱、隣接鉱区の開発に当たって、自治体が炭鉱の施設に対し減税または財政的な援助をした場合の国費補助を行わせる。 三点目といたしまして、振興計画実施段階における関係官庁の協力であります。 四点目は地域振興整備公団業務の拡大、すなわち振興計画の円滑な実施のために公団所管事項を拡大強化して、総合的な町づくりを行わせるという意見を持っているものでございます。 最後でございますが、今年の春、第三次石炭政策で炭鉱労働者に対しての年金制度の設置をしていただきました。いろいろ労使で金額の引き上げ等を図ってまいりましたが、新たな観点に立ってこの制度を見直しをしようではないか、こういう労使の話し合いがございます。石炭鉱業審議会でも要請をしていますが、この委員会でも、炭鉱年金の改正の問題についてぜひとも御協力を賜ることをお願いをいたしまして終わらしていただきます。 ありがとうございました。
○岡田委員長 どうもありがとうございました。 それでは、次に、岡参考人にお願いします。
○岡参考人 全炭鉱の岡でございます。少しかぜを引いておりますのでお聞き苦しい点があるかもわかりませんが、ひとつ御了承をお願いしたいと思います。 日本のエネルギー政策が非常に困難な時期、しかも石炭対策という重要な問題に取り組んでおられる先生方に対しまして深く敬意を表するものでございますとともに、本日、現場的立場から所見の一端を述べさしていただきます機会を与えていただきましたことにつきまして、厚くお礼を申し上げます。 御高承のとおり、今日におけるエネルギー事情が世界的規模で激変いたしまして、しかも戦略化されつつある中で、エネルギー資源に乏しいわが国にとって、エネルギー問題は国民生活にとって不可欠の最重要事として対処されなければならぬ、このように考えるわけでございます。その意味におきまして、日本のエネルギー政策が、石油依存度を軽減するため、エネルギー源の多様化、それから輸入先の多角化の方向に向かいつつあることは歓迎するところでございますけれども、一面におきましては、経済性と安直さから、石炭資源を放棄し、油に走った過去二十数年間の惰性がいまもなお残っておるように見受けられるところもございます。したがって、国民的コンセンサスの面から見た場合には、エネルギーに対する危機感はきわめて薄い、このようにわれわれは判断をいたしております。 さきに発表されましたエネルギー需給暫定見通しにつきましては、エネルギー別需給の青写真が今後引き続き明らかにされてまいるでありましょうが、国民的コンセンサスづくりのためにも緊急を要する問題である、このように存じておるわけでございます。特に、既存の炭鉱で国内炭二千万トン以上を長期にわたり安定的に確保していくためには、まだまだ解決すべき多くの問題があることを指摘しなければならない、このように考えておるわけでございます。 そこで、本日、磯部先生から出された問題につきまして、一点を除いては全面的に賛成でございます。 その一点と申しますのは、実は確認可採実収炭量の問題でございますが、たとえばわれわれが把握いたしております三池の四山あるいは三川、有明、それに松島、この四山をとってみますと、まず三池の三山で確認可採実収炭量が二億八千万トンと理解をいたしております。それから、松島につきまして九千万トン、このように理解をいたしております。したがって、確認、推定予想、これを含みました可採実収炭量は、三池で十億五千万トン、松島で二億三千万トン、このようにわれわれとしては理解をいたしておるわけでございます。 二千万トン確保のための問題点につきましては、別途提起をいたしたいと考えます。 それから、伊木先生の御提起につきましては、第一点として、技術開発研究予算の強化をお願いいたしたい。第二点として、そのことによる開発の促進を予定よりも早めてやれるようにしていただきたいと考えるわけでございます。第三点として、輸送の方法としてパイプによるバキューム方式の採用を進めていただきたいと考えます。 それから、笹生先生でございますが、産炭地の環境整備は、われわれもつい最近まで山元におりましてそれが必要であることを痛感いたしておりますが、財源の問題につきましては、先ほど磯部先生のお考えを支持いたしたいと申し上げましたけれども、内容的には先生の進め方について私は賛成をいたします。と同時に、第二点として、利用技術開発の進展に伴いまして産炭地周辺にその関連企業の誘致を考えてみたらどうかと考えるわけでございます。 いずれにいたしましても、二千万トンをいかに安定的に確保していくかという立場に私どもは立っておろうと考えるわけでございます。 そこでまず第一点は、保安上の問題でございます。 現在、高温対策が進められておりますが、それは局所冷房というものにとどまっております。そしてまた、現場の要請に応じて局所の拡大というものが進められておりますけれども、局所と局所の中間の排気坑道はかなりの高温に達しておる。したがって、その冷房対策を進める必要がございます。 それから二番目に、高湿度対策として水抜きと揚排水の強化による湿度の引き下げを図らなければ、少々温度を下げましてもやはり健康に非常に大きな影響を与えると考えますので、高湿度対策も重要でございます。 それから三番目に、ガス対策でございますが、骨格構造を整備しなければなりません。長期にわたり衰微してまいりました炭鉱は、その日暮らしといいますか、そういう形で坑道が非常に荒れておるというようなことから、骨格構造がかなり傷んでおります。したがって、骨格構造の整備とガス抜きを兼ねました沿層掘進の強化が必要であろうかと考えるわけでございます。この沿層掘進の強化でありますが、先ほど磯部先生の陳述の中にもございましたが、現状の掘進状態から見ると、経済可採炭量が五億トンだと言っておられましたが、確かにどの炭鉱も掘進がおくれておるというのが事実でございまして、この掘進をどのようにして伸ばしていくかが今後の生命であろうと考えております。そのことによって、ガス抜きあるいはまた断層の多い日本の炭鉱におきまして安定した出炭の払い設定ができるのではないかと考えるわけであります。 それから四点目は、坑内が非常に深部化、遠距離化してまいりましたので、坑内において被災した場合の応急対策の問題でございます。 五番目は、災害発生時に対処いたしまして、非常に深部化、遠距離化しておりますので、坑口まで退避することはなかなか困難だ、そういたしますと、長時間坑内滞留に耐え得るような避難所の設置をするか、もしくは水幕等による——ウォーターカーテンとわれわれ申しますが、そういうものによる二次災害を防止するための対策というものが必要ではないかと考えております。 第六点として、保安器具の小型軽量化の問題でございます。通常、キャップランプ用電池、救命器をつけただけでも六キロを腰に下げたことになります。さらにガス測定器あるいは携帯用無線機、スパナとか、そういうような工具類を持った場合には、実に十キロのものを腰に下げなければならぬ。そういうことが非常に腰痛者の多い原因にもなっておりますし、あるいはまた避難しようとする場合に障害にもなっておると考えますので、その問題を提起いたしておるわけでございます。 次に、生産上の問題点でございます。先ほどの磯部先生のお話の中にもございましたが、採掘フィールド確認、これはガス抜きにも実は通ずるわけでございますが、そのための探炭掘進を強化すること、さらに陸上、海上からボーリングをして炭層探査を行うのに必要な体制の整備をぜひやっていただきたいと思うわけでございます。海上ボーリング船一隻四十億とも聞いておりますが、それだけのものはぜひ必要であろうと考えるわけでございます。 次に、正常な労働時間による必要出炭量の確保のための対策でございます。私どもの所属いたします全炭鉱傘下の支部におきましては、五十一年度の生産目標は突破いたしました。しかし実態は、四山において一番深いところで坑口から九千五百三十メートル、三川において一万七百三十メートル、有明は若うございますが、それでも三千四百メートル、池島が深いところで六千六十七メートル、そういうように坑口から遠い距離にあるわけでございます。したがって往復の時間は四山で百七十二分、三川で百八十二分、有明で百三十二分、池島で百九十四分、そしてこれに休憩時間その他を加えますと、実に三百分を割るような作業時間になってくるわけでございます。したがって、それで必要な出炭を確保するためにはどうしたらいいのか。これはまず一つには、坑口より採掘個所までの坑道の短縮が必要でございましょう。もしこれができないといたしましても、運搬系統の合理化並びに高速化が必要でございましょう。たとえば電車がいま池島関係では大体十一キロ、三池の場合が十六キロから十八キロという時速でございます。しかし、もちろん坑内を高速化いたしますと保安上の問題も出てまいるわけでございますから、保安対策上の規制基準を明確にいたしましてそういう災害に対処はしなければならない、このように考えておるわけでございます。次に、坑道の整備と規格の厳守、もう一つは必要労働力確保のための諸対策といたしまして、賃金等労働条件、あるいは住宅等生活環境の改善が必要であろうと考えます。 特にここで申し上げたいのは、先ほど里谷参考人も申されましたが、炭鉱年金の改善についてでございます。これはさきの石炭答申の中にも炭鉱年金の改善をすべきことが明記されてございました。これに基づいて経営側と労働三団体それぞれ改善の話し合いをいたしておるわけでございますが、そのような措置が講ぜられますようにひとつ本委員会の御尽力をお願いする次第でございます。 それからもう一つは、ボーリングによる新規鉱区の再探査と開発着手の促進の問題でございます。 第四点といたしまして、ボタ捨て場の確保とボタ捨てに伴う諸経費の軽減対策の問題でございます。これは経営側だけの問題ではなく、実はわれわれにも波及するところ非常に大きいものでございますから、あえてこれを掲上いたしておるわけでございます。 第五点といたしまして、技術者並びに技能者養成の促進の問題でございます。雇用促進事業団が生まれたときには、これは石炭離職者をどうするかということが主任務であったかと思いますが、現状ではそれが逆転いたしまして、どうして若年労働者あるいは必要な労働者、技術者を集めるかということが非常に問題になっておるわけでございます。したがって、技能訓練校あるいは職業訓練校でございますか、こういうところにもそういう技能者養成の科を設置するということも必要ではなかろうかと考えておるわけでございます。 次に、大きく三点目といたしまして、海外炭輸入による国内炭への圧迫を除去するために、国内炭優先使用のための法的規制措置をひとつお願いいたしたいと考えております。 それから四点目に、石炭専焼火力発電所等、石炭需要拡大のための対策を促進していただきたい。 以上でございますが、最後に、いままで申し上げました二千万トン確保のための各項目を消化していくためにはかなりの資金を要することは必至でございますが、各企業は長期にわたる石炭縮小過程で膨大な累積赤字を抱えております。仮に政府助成、炭価値上げ等により、単年度黒字計上の企業が出たといたしましても、前記各項を消化し得る先行投資の資金的余裕はないものと判断をいたしております。しかしながら、地下産業労働者の労働諸条件及び保安と労働環境を改善し、かつ二千万トン以上を安定的に確保していくためには、現場労働者の積極的な努力もさることながら、それにも限界があるところから、先ほど申し上げました各項の諸対策の早期実施が求められる、このように考えておるわけでございます。そういう意味から、先生方の御指導と御協力をひとつよろしくお願い申し上げたい。 以上で終わらしていただきます。
○岡田委員長 どうもありがとうございました。 それでは、次に、鈴木参考人からお願いをいたします。鈴木参考人。
○鈴木参考人 炭職協の鈴木でございます。 石特委員会の委員長初め諸先生方には、常日ごろから、わが国の総合エネルギー政策の中に占める石炭の重要性というものを深く御認識くださいまして、政策の推進に並み並みならぬ御努力を傾注していただきまして、まことにありがとうございます。 また、本日は、参考人といたしまして意見の開陳の機会を与えられましたことに対しまして、心から御礼申し上げます。 私たちは、わが国の総合エネルギー政策における石炭の位置づけというものに対しまして次のように考えております。 すなわち、世界的に埋蔵量の豊富な石炭が、液化あるいはガス化の開発に伴いまして今後の一次エネルギーの供給構造の中に大きなウエートを占めるだろうというふうに考えられ、わが国におきましても輸入炭を初めといたします石炭の活用というものを積極的に図るべきでありまして、そうした中にありまして、次のような理由から国内炭を積極的に評価すべきであるというふうに考えております。 まず第一点は、いわゆる経済性を考慮した可採炭量は約十億トンというふうに言われております。これは、先ほど磯部先生は五億トンということを印されましたが、私の理解では現有炭鉱の経済炭量であろうというふうに考えております。この十億トンはさきの、四十九年の鉱業審議会に政府から出された数字でございますから、私たちは確かな数字であろうというふうに考えております。ということで、最も安定した供給源というふうに考えられるということでございます。 それから次には、国内原料炭の高流動性というものは、御存じのように今後、諸外国からの原料炭の輸入先が分散されるという場合におきまして、つなぎとして大きな役割りを果たすのではないかというふうに考えております。 さらには、海外炭の開発輸入のため、石炭技術を温存するということが大切でございますとともに、石炭化学、いわゆる液化、ガス化、成形コークス、このような石炭化学の基礎であるというふうに考えております。 またさらには、世界的にエネルギーの需給がタイトになるというような情勢にありまして、国産エネルギー資源を放棄するということは、他国の批判を受けまして、輸入エネルギー確保のための国際協調に悪影響のおそれがあるというようなことでございます。 このような観点からわが国の石炭生産体制というものを考えてみますと、さきの答申に示されました二千万トン以上の生産を維持するということは、これは私たちの理解といたしましては、第一義的には、現存炭鉱につきましては、炭量枯渇というような特別の事由以外には、長期的に存続維持するということがまず第一点であろうというふうに考えております。 〔委員長退席、岡田(利)委員長代理着席〕 このことは、先ほど里谷参考人からもお話ありましたように、幌内炭鉱の全面復旧ということが証左しているものというふうに考えております。 さらに次には、わが国唯一の化石燃料であります石炭の積極的な活用を図るためには、可能な限り新規開発及び現存炭鉱周辺の再開発あるいは閉山地域の再開発を行いまして、供給量の増大に資することにあるというふうに考えております。 ただ、二千万トン体制の維持あるいは新規開発あるいは再開発、こういう問題につきましては、幾つかの問題があろうと思いますが、時間の関係上、ただ一点だけにしぼって意見を述べてみたいと思います。 それは、われわれ保安技術職員で構成している炭職協の立場から非常に危惧している問題でございますが、いわゆる保安技術職員確保の問題でございます。 現在、炭鉱の雇用状況は、先生方つとに御存じのように、四十九年の大幅なベースアップ、こういうことによりまして賃金水準の上昇が図られました。また一方、長期的な不況によりますところの他産業の採用の手控え、こういうようなものを背景といたしましていわゆる学卒定期採用者あるいは一般労働者の雇用というものは、若干でありますが改善されつつあります。私たちが心配しております保安技術職員の補充、確保、こういう問題につきましては少なからず憂慮しているところでございます。すなわち最近の保安技術職員の人員構成を見てみますと、五十歳以上が二〇%強となっております。 〔岡田(利)委員長代理退席、委員長着席〕 それから四十六歳から五十歳が三五%強、合わせまして五五%強というふうな実態になっております。このことは、この十年間で半数以上の方が定年退職するということでございまして、こうした事態に対しましていまから抜本的な対策を講じておかなければ、この面からしましても二千万トン体制の維持というものが崩壊するのでないかというふうに考えて危惧の念を禁じ得ません。 したがって、これらの対策といたしましては若年労働者を確保いたしまして、その中から優秀な方を公的機関において教育するとかあるいは国立の技術者養成機関で技術者を育成する、そういうようなことが考えられます。 ただ受け皿だけつくっては何ともなりませんので、さらにこれらと並行いたしまして石炭産業を魅力あるものにするということが必要かと考えます。すなわち、一つには保安確保を初めといたしました労働環境の改善、二つ目には賃金、労働時間の改善、三番目には、ただいま両参考人が申し述べましたとおり石炭鉱業年金の実効ある制度への改正、これにつきましては両参考人が述べておりますので詳しくは申しませんが、何とぞ諸先生方の御協力を特段お願い申し上げておきます。さらには四点目といたしまして住宅、福祉環境の改善、それから五点目には、炭鉱というのはイコール僻地なんだというイメージを払拭するための方策、こういうものが必要であろうかというふうに考えております。 以上で生産体制の問題は打ち切りまして、次に石炭利用技術開発でございますが、いわゆる高速増殖炉が開発され、さらには究極のエネルギーと言われております太陽熱や核融合、こういうものが実用化されるまでの間のエネルギーといたしましては、埋蔵量及び供給可能性から考えまして石炭のガス化、液化によるクリーンエネルギーを本命とすべきであるということは通説になっております。また、今後、世界的に需給がますますタイトになるであろうというふうに考えられる強粘結原料炭に代替するものといたしまして弱粘結炭あるいは一般炭を原料とするところの成形コークスの実用化、さらには短中期的には一般炭の需要確保のための排煙脱硝技術あるいはコロイド燃料の開発などが挙げられておりまして、これらの実用化へ向かって早急に技術を開発する必要があるというふうに考えております。 しかしながら、かつては高い水準にありましたわが国の石炭化学もエネルギー供給構造に占める石炭の衰退、こういうような現象とともに衰えまして、研究者も減少しており、その研究開発体制はまことに弱体化しているのではないかというふうに考えております。しかも、いわゆる技術開発につきましては、長い期間と多額の資金を要するものというふうに考えられますので、研究開発に対しましては国が積極的な助成、援助を行うとともに研究開発体制を早急に確立すべきであるというふうに考えております。 最後に、産炭地域対策でございますが、産炭地域対策は、過去の石炭撤退路線による社会的混乱回避のための観点から、これまでの石炭政策の中において大きなウエートを占めてきたというふうに考えております。この問題は短期間に解消し得るものではございません。したがいまして、石炭政策の基調がスクラップ政策から石炭安定確保へ転換した現時点でありましても、直ちにこれを廃止するということはできないというふうに考えております。 しかしながら、将来的には逐次その方向を変更していくということが必要であろうというふうに考えております。すなわち、産炭地域対策といたしましては、さきに申し述べましたような労働力確保というような対策の面からも、炭鉱イコール僻地のイメージを払拭するため、炭鉱を核といたしました新しい都市づくりを国土開発計画の一環に組み入れて実施すべきものではないか、こういうふうに考えております。 以上、時間の関係で雑駁に申し上げましたが、特に触れていない面につきましては、先ほどの三人の先生方の御意見と同じだというふうに考えております。 どうもありがとうございました。
○岡田委員長 どうもありがとうございました。 それでは、次に、三上参考人からお願いしたいと思います。
○三上参考人 本委員会には、常日ごろ北海道の産炭地振興、石炭鉱業の安定のために大変お世話になっておりまして、この機会に厚くお礼を申し上げる次第でございます。 もうたくさんの方から意見がございましたので、私からは簡潔に申し上げたいと存じます。 まず、磯部先生の石炭生産に関する基本的なお考え方の中に、今後国民の合意を得て二千万トン体制を維持すべきであるということがございました。私どもも、食糧の自由化というものに譲ることのできない一線があるように、エネルギー対策の中で、石炭というものはどうしても二千万トン体制を今後維持する、これが最低の線だというふうに考えておりますがゆえに、この磯部先生の御意見につきましては全く同感でございます。さらに、二百万トン、二百五十万トンの生産力を増強するために、住友奔別の再開発あるいは新鉱開発などに触れられました。さらに鉱区の調整にも触れられましたが、これらについても、私どもとしてはぜひ実現をしてほしい、このように考えているわけでございます。 また、石特会計につきましては、いわゆる閉山事後対策を一般会計にというお話がございました。現実論としては私も理解もできますし、経過的措置としては全く同感でございます。ただ、基本的に非常に疑問に思っておりますことは、まず財源があって、その財源の中で政策が決まるといういまの石炭政策のあり方が、果たしてこれでいいのかどうかということを、実は基本的に疑問に思っているわけでございまして、まず政策が先行する、こういう石炭対策が確立されることを心から期待をしたいと存じます。 それから、産炭地の問題についてお話がございました。笹生先生から有益なる御指摘がございました。私どもとしても、今後、国ともども先生の御意見を踏まえて、産炭地の振興のため努力をしていきたいと考えております。特に北海道の場合には、いわゆるシングルタウンといいますか、石炭のみに依存する地域が非常に多いものでございますから、一度閉山がありますと、地域そのものが消滅してしまう。そこまでいかなくても、著しく人口が減る、経済力が落ちる、市町村の財政力が落ちるということで、産炭地域はまことに疲弊をいたしております。したがって、今後、先生の御意見等も十分体しながら努力していきたいと思いますけれども、やはり要は、企業誘致というものがいかに成功するかということが一番大きな課題であると思います。そのためには、北海道の産炭地の立地条件というものはまことに不利でございます。したがって、この産炭地振興を本当に図っていくためには、北海道の立地条件の不利性というものを十分カバーするような実効的な政策を国に対してぜひお願いをしたい、このように考えているわけでございます。 それからもう一点、すでに閉山をした地区の振興、これは大変なことでございますから、今後とも御努力をいただかなければなりませんけれども、同時に、現在さらにまだ炭鉱を持っている市町村の振興、そういう意味での産炭地振興ということもぜひ石炭対策の中で考えていただくべきことだと私は思っているわけでございます。先ほどお話がありましたように、産炭地振興ということになりますと、閉山をした地区の事業開発、再生計画ということがそのほとんどであるわけでございます。しかし、現に炭鉱を持っている産炭地域におきましても、従来病院とか水道とか住宅というふうなものは石炭企業が行ってきております。しかし、この長い間の厳しい情勢の中で、これらのサービス水準というものが漸次低下をしてきております。しかし、市町村もまた財政力が非常に低いために、これにかわるべき役割りを果たすということも不可能な状態でありまして、これらの生活環境のいろいろな施設というものは、現実にこの水準が漸次荒廃しつつありまして、現有炭鉱を持っている産炭地域の荒廃ということが、北海道の場合漸次問題になってきているわけでございます。したがって、こういう実態を踏まえて、私は、石炭とともに、あるいは石炭のための産炭地振興というふうな施策も国において十分お考えをいただくべきであろうと思います。 たとえば、医療などにつきましても、炭鉱病院等を中心として行われておりますが、このサービスというものは非常に低下をしてきております。したがって、これらのものは、どちらかと言えば市町村の役割り分担になじむものでありますので、国の強力な助成のもとに、こういうものを炭鉱の負担からむしろ市町村の仕事の方にある程度役割りを振りかえるというふうなことも必要でありましょうし、あるいはまた、国が産炭地域の中心地域に、産炭地域の医療センターとして国立病院などを設置をしていただくというふうなことも必要なのではないかというふうに私は考えているわけでございます。まだ現に炭鉱を持ち、その炭鉱とともにいろいろ苦労しておる産炭地の対策ということもぜひ取り上げていただきたいということを強くお願いを申し上げたいと存ずる次第でございます。 それから、技術開発の問題について先生からお話がございました。私どもとしては、これらの技術開発ができるだけ早く実用化されることを心より期待をいたします。そのために必要な国の援助もぜひ積極的に行っていただくように期待を申し上げたいと思います。 ただ一つお願いをしておきたいことは、率直に申し上げて、北海道の石炭関係者は、現在、石炭の将来というものに非常に大きな不安を持っております。こういう不安を解消する、さらに石炭関係者の意欲というものを駆り立てるためにも、石炭の将来に明るい希望をともすこれら技術開発の研究施設あるいは実験施設というふうなものは、ぜひ現在最大の産炭地になっております北海道に設置をさるべきではないか、私はこのように考えている次第でございます。 以上、三先生の御意見について若干私の意見を申し上げた次第でございます。この産炭地の振興、石炭鉱業の安定というものは、北海道民にとりまして非常に大きな課題になっておる次第でございまして、私どもも今後ともできるだけの努力をいたす所存でございますけれども、引き続きまして本委員会の絶大なる御支援を心からお願いを申し上げる次第でございます。どうもありがとうございました。
○岡田委員長 どうもありがとうございました。 それでは、次に、山崎参考人にお願いいたします。
○山崎参考人 私は、福岡県副知事をいたしております山崎でございます。 産炭地域の振興並びに石炭鉱業の安定対策につきましては、かねてから諸先生方には格別の御配慮をいただき感謝にたえませんが、本日はまた産炭地域を抱えております自治体の立場から発言する機会を与えていただきまして、心からお礼を申し上げます。 本日は、さきに述べられました磯部、伊木、笹生の三先生方の御意見に対しまして見解を述べるようにという御趣旨でございますので、福岡県の産炭地域の現状を踏まえながら発言させていただきたいと存じます。 まず第一に、磯部先生の石炭生産並びに伊木先生の石炭利用についてでございますが、両先生の御意見は、ともに石炭プロパーの立場からの御意見でございまして、全国出炭量の約三割を産出いたしております三池を擁しております本県といたしましても、総論においては全く同意見でございます。 本年六月に示されました総合エネルギー調査会の「長期エネルギー需給暫定見通し」によりましても、国内炭は二千万トン体制が明示されておるわけでございまして、その体制維持のためには、保安の確保、需要の拡大、石炭利用技術開発などは不可欠の要件であると考えるわけでございます。 次に、笹生先生の産炭地域振興についてでございます。 先ほど笹生先生から、産炭地域の振興とは、地域に密着していた石炭産業の撤退によって、かつての産炭地域に空洞が生じた、その空洞をいかに再生させるかを当面の課題としてとらえるべきだというお考えが述べられたわけでございまして、まことに貴重な御意見で、産炭地域自治体の行政の衝に当たるものとして、思いを新たにして受けとめた次第でございます。 福岡県にございます産炭地域の現状及び問題点につきましては、去る九月一日の国政調査の際にも申し上げたわけでございますが、せっかくの機会でございますので、主要な事項について御説明申し上げたいと存じます。 昭和三十六年の産炭地域振興臨時措置法の制定以来、国はもちろんのこと、地方自治体も懸命の努力を重ねてまいったわけでございます。しかし、石炭産業撤退の後におきますところの筑豊の現状は、残念ながら、他の地域に伍して自立し得るまでには再生していないのが実態でございます。鉱害、ボタ山、炭住、生活保護、失業者など、いずれをとりましても、石炭鉱業のつめ跡がいかに大きかったかを痛感せずにはいられません。 最大のつめ跡は、何と申しましても鉱害でございます。昭和四十七年、通産省作成の長期計画によりますと、鉱害量の実に八割が本県福岡県に集中をいたしておりまして、五十一年度末の事業推進捗率は約三二%でございまして、なお二千六百億円に上る膨大な残存鉱害が臨時石炭鉱害復旧法の期限内に完全復旧するかどうか、まことに危惧される状況でございます。また、筑豊には、ここ数年来地下水位の上昇等に起因いたします湧水が新しい鉱害現象として発生をいたしております。このいわゆる二次鉱害につきましての対応は万全とは言えない状況でございまして、早急な抜本対策が必要になっておるわけでございます。 また、筑豊には、始末に負えないものとしてボタ山がございます。県内のボタ山数は三百十八、面積は千代田区の一・二倍、集積量は霞が関ビルの約四百杯分に当たると言われておるわけでございます。これらのボタ山は、常に流出崩壊の危険をはらんでおるわけでございます。ボタ山にかかります災害防止は、確とした根拠法もないまま現在、地方自治体で行っておるわけでございまして、事の重要性にかんがみ、特別法の制定、国の責任による処理が当然であろうかと考えるところでございます。 また、炭鉱住宅は、かつては炭鉱従業員の生活と憩いの場でございました。閉山後は補修もされず、一部は空き家となり、さらにスラム化しまして、火災発生、少年犯罪等の原因となるなど、社会問題として自治体の大きな悩みとなっておるわけでございます。関係市町村では、住宅改良法によって公営住宅化を進めておりますが、複雑に入り込んだ権利や財政負担能力等から見まして、その改善策もままならないのが実情でございます。 次に、人の面におきます閉山のつめ跡は、生活保護者と失業者でございます。生活保護者について申し上げますと、かつては全国平均の半分以下の生活保護率でございましたが、現在は、筑豊におきましては、全国平均の八・五倍、世帯数の一割は生活保護であるという状況を呈しておるわけでございます。 また、失業者の状況について申し上げます。本年四月一日現在の県内の失業者数は八万四千人、そのうち半分の四万二千人が筑豊に居住いたしております。つまり、筑豊全人口の約一割が失業者である、まことにゆゆしいことであると言わざるを得ないわけでございます。滞留する失業者の量と、必然的に高年齢化をたどる厳しい現実を合わせて考えますときに、筑豊地域の失業対策は今後に残る重要な課題でございます。しかし、当然のことながら、人にかかる施策は停帯が許されません。そのために、地方自治体におきましてはやむなく就労事業を進めているところでございます。 筑豊地域におきますところの炭鉱関連離職者対策としての就労開発事業はいわば仮の就職先でございまして、これらの事業に働く人々は、ひとしく安定した働きがいのある職場を求めているわけでございます。したがいまして、石炭にかわる工業の計画的な立地促進はこの産炭地域振興特別措置法の目的とするところでございますけれども、法制定以来、筑豊に立地した企業のうち、男子雇用型で、しかも地域振興の中核となる企業の立地は残念ながらほとんどございません。先ほど笹生先生から企業誘致活動に関して前向きの御注文がなされましたけれども、まことにごもっともだと思います。私は、国の工業再配置計画等とも絡ませました有機的にして強力な国の企業誘致政策をお願いするものでございます。 また、筑豊の市町村が軒並み赤字転落の危機に直面をいたしておりますのは、炭鉱の閉山によります固定財源が減少する一方、就労対策等の特別の財政需要が増大したためでございます。笹生先生は、産炭地の傷跡がまだそのままとなっている状況を御指摘されまして、産炭地域振興に関係省庁の財政的支援と有機的な推進体制が必要である旨を述べられたのでございますが、産炭地自治体の自己努力の限界を越えております筑豊産炭地域に足を踏み入れていただいた実感に基づく御意見と拝聴いたしたところでございます。 去る十一月十二日、産炭地域振興実施計画の告示がございましたが、昭和五十七年までの産炭地域の将来にかかわる問題でございますために、地域住民が新計画に寄せる期待はまことに大きいものがあります。そのため、県といたしましては、地域の実情に即した計画の策定方を強く要望してまいりました。今次の改定におきましては、筑豊内陸部の振興に特に配慮がなされたようでございますが、実効ある施策の推進には財源の裏づけが必要不可欠であることを、特に強く訴えるものでございます。つまり、石炭及び石油対策特別会計法による裏づけでございます。 しかし、先ほど石特会計に関する磯部先生の御意見を承りましたが、私どもは、基本的にはこの御意見には賛成いたしかねます。先生の御意見は、今後の石特会計は石炭プロパーに使われるべきであり、産炭地対策、鉱害、離職者対策等のいわゆる後ろ向き対策はこれから除くべきであるという御指摘かと理解するわけでございます。 確かに、総合エネルギー政策での石炭の位置づけはもとより重要でございますが、一方では、先ほどるる申し述べましたように、産炭地域がいまなお自立し得る体制にまで浮揚していないという現実があるわけでございます。しかも、石炭撤退によります後遺症の深さ、大きさは、私たち自治体が求めたものでもございませんし、ましてや地域住民の責任でもございません。すべて国のエネルギー政策の急激な転換によるしわ寄せであると考えるわけでございます。石炭が石油によって押しやられたしわを直すための財源が石特会計であるという原点に立ちますときに、旧産炭地対策に係る財源を石特会計から外すということには賛成いたしかねるのでございます。したがいまして、私は、石特会計創設時の精神にのっとりまして、同会計が目的といたしました四つの柱、つまり、石炭鉱業安定対策、鉱害復旧対策、産炭地域振興対策、離職者対策の四つの対策は、今後とも石特会計の中で強く推進されなければならないというふうに考えるわけでございます。
○岡田委員長 どうもありがとうございました。 それでは、次に、斉藤参考人からお話をお願いします。
○斉藤参考人 私は、全国都市議長会の中にございます石炭産業対策協議会の会長をしております夕張市議会議長の斉藤でございます。 私どもの会は、数は少のうございますけれども、全国から石炭産業を有しておる市、あるいはまた、かつて石炭がございました炭鉱都市、産炭地域と申しますか、二十八市で構成してございます。 石炭対策特別委員会の諸先生には、日ごろ、私どものこの運動に対しまして特段の御指導、御協力をいただいておりますことを、心から感謝申し上げる次第でございます。 私どもは、絶えず自治体に携わっておりまして、いつも心配しておることは、いつ、われわれの都市にある炭鉱が閉山するのだろうか、いつの場合でもそういうような事態の来ることを実は恐れております。先生方御承知の三笠市にありましたのあ北炭幌内炭鉱が大惨事を起こしまして、一時は閉山というようなうわさがございました。大げさな物の言い方をするわけではございませんけれども、もちろん、三笠市におきましては、この幌内炭鉱が閉山した場合には、恐らく三笠市が全滅する、こういうような感じで受け取っておりました。しかし、諸先生方の大変なお力添えと、また政府の勇断によりまして、この幌内炭鉱の閉山を阻止することができたのであります。それほどこの炭鉱の閉山というのは、私ども炭鉱都市の自治体としては、本当に市を揺さぶるという大きな要素を持っておるものというふうに絶えず思っております。 最近、夕張市におきましても、北炭の二鉱が閉山になりました。これは御承知だと思いますが、幸いといいますか、この場合、同じ市内に新炭鉱というのがございまして、ここに労働力がかなり不足しております。そういう意味では、この閉山になりました労働者の約七〇%が吸収されるということでございましたので、何とか同じ心配事も、ある意味では解決したような内容になってございます。しかし、この地域は実は夕張市の中心街でございまして、この北炭二鉱とともに、この石炭産業の発展とともに親子二代、三代にわたってここで商工業者が経営をしてまいりました。実はその方々の行くところもない。行くところもないということは、閉山によりまして、ここに消費人口の大半がなくなるわけでございますから、営業ができなくなるということは当然かと思います。私ども夕張市といたしましても、この地域の過疎化を何としても防ごう、あるいは商工業者を守ろうというための施策はいろいろしております。たとえば新しく庁舎を建てるという場合、いま夕張市におきましては、その中心街がこの地から大分離れました清水沢地域というところに移行しつつあります。もちろん、住民はその地域に庁舎を建てるということを大半の意向として主張されましたけれども、市としては、やはりこの地域における過疎化防止のことを考えまして、その対策のためにあえてこの地に庁舎を建てるということもいたしました。 あるいはそのほか、いろいろ振興対策等もこの地域に考えておりますけれども、しかし何といたしましても、私どもの炭鉱都市というのはきわめて財政力に乏しいところでございます。おのずからその政策にも、財源にも限度がございます。このような苦しい悩みや不安、これは何としても石炭産業の長期安定なくしては解決できないものであろうと思います。 この新しい石炭政策の答申の中で、総合エネルギー政策的見地から、石炭は絶対必要であるのだという観点をしっかりとらえて実施政策を進めるべきだ、こういうふうに答申の内容が明示されておることを私も承知しております。したがいまして、これらの面につきましては、その文書だけではなくて、やはり徹底した施策がとられなければならないであろうと考えます。 石炭産業安定のためにいろいろ体制問題等で御議論があるようでございます。私は、先ほど申し上げましたような不安とか心配ということが炭鉱都市に起きてこないという保障があるならば、いかなる体制でも結構だと思うのであります。しかし、実際問題としてそういうようなことはできるものでもございません。私企業体制というのは、大体企業側としては、たとえば今度のような石炭政策の答申が出されましても、それを国策として進める場合におきましても、本当に絶対必要だ、国のために、エネルギー資源の立場から、私どもは損をしてでも、極端な言い方をすれば、そういうようなことをしてでもこの国策の線に沿っていこうという認識と努力があるかというと、大変失礼な言い方ではございますけれども、私はそういうことはないのではないかというように感ずるのでございます。そういたしますと、当然経営の中では、資金が足りない、資金の枯渇あるいは能率が悪化したという経済理由のもとで容易に閉山するという道が開かれておるものと思います。そういう意味で申しますると、私どもは、端的に言いまして、それ以外の体制ならば最善の道ではないだろうか、こういうように考える次第でございます。 次に申し述べたいことは、いわゆる二千万トン体制維持あるいは二千トンをさらに拡大するという方針のようでございます。そこで、この二千万トン体制維持あるいは二千万トン体制をさらに拡大をする、そういうことの基本的な問題として、いわゆる企業の生産体制に対するいろんな資金面の援助あるいは技術面の援助等によってその体制づくりをするということとあわせまして、ここに労働力というのが絶対欠かせない条件であろうかと思います。石炭鉱業審議会の円城寺総合部会長から二千万トンの問題、この体制について話があった時点で、毎年一千名の労働力を確保しなければならない、こういうようなことが言われておることを記憶しております。いろいろ論議されたように聞いております。 いま必要な労働力というのは、たとえば二千万トン維持にいたしましてもあるいはさらに新鉱開発を考える場合における労働力の問題にいたしましても、現実の問題については非常に足りないのではないかと思います。また、その一千名を獲得するという方向で各企業も労働組合も大変努力しておるようには聞いておるのでございますけれども、実際問題としてなかなかその労働力が確保できないというのが現在の事情ではないかと思います。 その理由としてはいろいろありましょう。ただ、私ども地方自治体の立場として考えてみた場合に、やはり炭鉱都市というのは非常に暗い感じがする。あるいは文化施設においても、教育施設についても、さらに炭鉱の場合におきましては夫婦共かせぎという実態が多うございますから、保育所あるいは幼稚園というのが必要であるとしても、なかなかそういう数がない。本当に炭鉱都市に永住しようかという気持ちに実際問題としてはなってこないのではないかというような感じがいたします。私ども、仮称炭鉱モデル都市の建設ということでいろいろ関係先にお願いしたことがございます。それはそういう意味でございます。もちろん、こういうようなことは労働力獲得のためにも絶対必要なことでございますが、さらに労働条件の問題なんかもございましょう。これは、私は地方自治体の立場として余り深く入る気はございませんが、ただ私も同じ炭鉱労働者でございます。まあ今日市議会の議長のためにここ一、二年坑内に入っておりませんが、私自身も炭鉱労働者です。そういう意味で、同じ仲間と話をし、あるいはいろいろ運動の過程で話を聞くのでございますけれども、本当に炭鉱というのは、労働条件の問題でも十分であろうかというようなことが言われるのでございますが、なかなかそういうような内容になっておりません。 これはきわめて次元の低い話で申し上げますけれども、実はこういう例もございます。北炭でございますけれども、今日せっかくベースアップした分の差額がいまだに払われていない、あるいはせっかく炭鉱に長く勤めてもらおうということを考えて設定いたしました定着奨励金も払っていない、あるいは期末手当の一部未払いとか、こういうようなことが現実の問題としてございます。そういうことがございますると、そういうところに仕事につけるか、こういうことが起きてくるのは当然でございましょうし、またさらに、現在働いております従業員にいたしましても、約束が守られないというようなことがあったとしたならば、恐らくは現在働いておる方でもやめていく者もあるでありましょうし、このような不信やあるいは不安を除去しなければ、とうてい労働力の確保ということはむずかしいのではないかと思います。私は、端的に言わしてもらいますならば、企業そのもの自体が、ないそでは振れぬというようなことは言いませんけれども、現実は金がないから出せないのだ、出せないとなれば、労働者からの不信がつのるだろう、こういう心配がございます。そこで、これらのものに充当するという目的を持って使わせるということで、国が所要資金を企業に融資する、こういう形をもってでもこれらの対策をしていかなければ、今日のそういう不信感というものはとうてい払拭されないものではないか、このように考えるところでございます。 大変時間が超過いたしまして申しわけございません。労働力の獲得の問題につきましてもまだいろいろたくさんございます。その主な一つといたしましては、炭鉱住宅というものを改良しなければ、今日のこのような古い、いまだに長屋という言葉が使われておるような状態の住宅がございます。そういう意味では、住宅環境の改善もしなければ、これまた労働力の獲得ということはなかなかなし得ないのではないかと考えるのでございます。 それからもう一つだけ。二、三ございますけれども、非常に話がまずくて十分なことを申し上げることができませんので、端的に申しますと、いわゆる特別会計から、一部を一般会計の方に振り向けるというような話がございましたが、これは私ども、実は原則的に賛成というよりも、むしろ原則的な意味から言うならば、もともと炭鉱都市というもののきわめて特異的な立地条件の中から、政策として、この会計に鉱害とかあるいは失対とかというような関係のものの予算を入れるべきだ、こういうふうにして繰り込まれたという歴史的なものを感ずるがゆえに、これはあくまでもこの会計の中で処理をすべきでないか、このように考えるものでございます。 大変言い尽くせない面もございまして残念でございますけれども、時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。 大変どうもありがとうございました。
○岡田委員長 どうもありがとうございました。 それでは、次に、原口参考人にお願いいたします。
○原口参考人 私は、ただいま御指名を受けました全国石炭鉱業関係町村議長会長の原口でございます。 本日は、石炭対策に関する件につきまして、参考人として意見を申し述べる機会を与えられましたことを、まことにありがたく存じておる次第でございます。 私は、磯部先生、伊木先生、笹生先生の御意見につきましては、石炭の生産にしろ、利用にしろ、あるいは産炭地域の振興にしろ、大体異存はございませんが、ただ、磯部先生の御意見の一部につきまして異論がございますので、後ほど申し述べたいと思います。 まずもって私は、五十七年度以降、石特会計はどのようになっていくであろうかという住民と自治体の心配はございますものの、先生方の御尽力によりまして、石特会計が五十七年三月まで五カ年間延長になりましたことを厚くお礼申し上げます。 私の持ち時間の関係もございますので、石炭生産、利用、鉱害、産炭地域振興、離職者対策、窮迫しております六条市町村の財政問題等につきましては、いろいろと申し上げたいこともございますが、重点的に石特会計の財源、産炭地域振興実施計画等につきまして、私の考えていることを申し述べたいと存じます。 第一に、石特会計の財源問題は、今後どのようになっていくのでございましょうか。このたび公布されました産炭地域振興実施計画は、昭和五十七年までに産炭地域を新たな経済社会活動の場として再生自立させることを目標としているようでありますが、現在組まれておりますような予算内容で五十七年度までに目標を達成することは困難であるはずでございます。また、五十年七月に策定されました第六次石炭政策を実効あらしめるためにも、五十四年度以降何か大きな財源を石炭勘定に持ってこなければ、絵にかいたもちになってしまって、実効性のない産炭実計になり第六次石炭政策になってしまうのではないかと思われるのでございます。国も財政上困難な時期ではございましょうが、五十四年度以降も石炭石油特会に対します暫定税率及び暫定加算額はぜひ継続していただきたいと思いますし、また、石炭勘定分に新しい財源を見つけていただきたいと思うのでございます。 さらにまた、石炭勘定分と石油勘定分の割り振りの件でございますが、昭和四十八年度までは、法の規定によりまして、原重油関税の十二分の十が石炭勘定に回ってきていたのであります。ところが、年々逓減してまいりまして、昨年、五十一年度実績は十二分の八・八六になっているのであります。石炭勘定分が減っただけ石油勘定分がふえているわけであります。 そこで、石炭石油特会の経緯を考えてみますと、御承知のようにこの制度は、当初は石炭対策特別会計として発足したのでありますが、昭和四十七年に国の方で石炭と石油とを一緒にしたいという考えが出されまして、私たち石炭関係六団体は一緒にすることには反対でございましたけれども、どうしても一緒にしたいと言う。それでは、石炭がイメージダウンにならないように、ひさしを貸して母屋をとられないように、石炭という文言を頭に持ってきて石炭石油特別会計にしてくださいと要望して、そのようになったと記憶しております。なお、当時は、石炭関係が現在よりも強うございましたし、石炭勘定には必要なだけやるからいいじゃないか、そういうことも言われまして、私たちは石炭と石油が同一会計になることによって十二分の十の配分率が減ってくるとは当時思いつかなかったのであります。ところが、現実には毎年石油に押されまして配分率が減ってまいっているのでございます。 エネルギー革命と呼ばれます石油依存の潮流の中で、十二分の八・八六を石炭に回してもらっておるそのことが、先生方の御努力によるものであることは十分承知いたしておりますものの、産炭地再建の四本の柱である石炭鉱業の安定、鉱害、産炭地域振興、離職者対策が、解決しなければならないおびただしい問題をはらみながらいまだこれからであると思われるとき、石炭勘定分の配分率が四十八年度までのように十二分の十いただけないということは、いかにも残念なことでございます。この点よろしく御配慮くださいますようお願いいたします。 次に、以前からそのようなうわさを聞いたこともありますし、また本委員会におきます参考人の先生方の御意見の中にもありましたし、また先生の御意見として書かれております書類の中にも、石特会計で行うのは石炭の生産対策だけにして、その他の旧産炭地、鉱害、離職者対策は、長い年月に及んでいる点から見て、後ろ向きの予算は一般会計で行うのが望ましいと言われておられますが、このようなお考えは、はなはだ失礼ではございますが、偏った、旧産炭地に対し御理解のないお考えであると言わざるを得ません。旧産炭地の住民や自治体が、産業基盤の整備をすることや鉱害を復旧することや離職者対策をすることは、これらの施策をすることによりまして、旧産炭地域が新たな経済社会活動の場として再生しようとする前向きの努力でございまして、これにつけられてきます予算も前向きの予算であると考えられておりまして、決して後ろ向きの予算であるとは考えられていないのであります。また、現実にそれなりの効果は上がっているはずでございます。 さらに、石炭を見直すということは、文字どおり石炭の価値を再認識するということでございましょうが、石炭は必要だから掘る、同時に閉山後には後遺症が残るはずだが、その後遺症についてもできるだけのことはするというのが石炭の見直しであって、必要だから石炭は掘るが、後に残った後遺症はおれが知るかとは申さないまでも、一般会計の予算の分捕り合戦の中でやればよい、一般会計の中に回されればなかなか現在のように予算を確保できないように思われますが、そのようなことではおかしな話になってしまいます。笹生先生の先ほどの貴重な御意見もございましたし、また山崎副知事の御意見もございましたように、石特会計の原点に返って御勘考願いたいと思うわけでございます。 石炭を見直すという言葉の中には、地域社会にも、そこに働く人々にも迷惑はかけません、後始末はきちっとしますという考えが含まれていなければならないと私は思うのでございます。私は、従来どおり四本の柱すなわち石炭鉱業の安定、鉱害、産炭地振興、離職者対策は石特会計の中で処理することが最善であると信じておるのでございます。 次に、産炭地振興実施計画について二、三申し述べたいと存じます。 実施計画は、すでに公布されておりますが、抽象的な部分がかなりありますので、前向きに肉づけしながら早期に完全実施をお願いしたいと思うのでございます。 それから産炭実計をつくるについて関係省庁の意見も聞きながらつくったはずでございますが、どうも各省庁間の連携と申しますか、御理解が十分でないようでございます。たとえば、福岡県の国鉄油須原線建設問題でございますが、以前の産炭実計の中にも油須原線をつくるということでのっていましたし、今度の実計の中でも油須原線を建設するとはっきり書かれておりますが、運輸省に参りましてみますと、つくるという方向ではございません。逃げ腰であります。A、B、C、Dと四つの条件、とてもわれわれ疲弊し切った市町村が承知できるはずのないような条件を出して、これがのめなければつくらない、このように通産省と運輸省の考えが異なっている。私たち国民は、産炭実計は国がつくった実施計画だから実計にのったものはできるもの、だと考えてきたが、一体こんなことでは行く先どうなるだろうかと心配いたしておる次第でございます。各省庁間の連携を緊密にして実計にのっていることは実施するようにお願いいたしたいと存じます。 油須原線を例に出しましたから申し上げますが、先生方御承知のように、このたび産炭実計の基本的な考えの一つは、地域間あるいは地域内にも発展の格差が生まれているので、発展のおくれている地域の施策に重点を置く、そういうことになっておりまして、疲弊の著しい六条地域の振興に留意することを基本としているのでございます。石狩六条地域と筑豊内陸部の振興に留意する、そのようになっているようでございます。 そこで、この油須原線は、まず稲築町漆生と赤村油須原の間を完成させ、次に臼井と桂川を短絡させようとするものでございます。これが実現すれば福岡都市圏と筑豊内陸部、日豊線行橋及び苅田港それから周防灘、これを最短距離に結ぶ線、すなわち筑豊横断鉄道ができ上がるわけでございます。産炭実計にもうたっております筑豊内陸部の振興に大きな役割りを果たすものでございます。 ところが運輸省は、現在直ちに採算が合わないというような理由でこの線をつくることをちゅうちょしておるようでございますが、現在直ちに採算に合うことだけするというような構えでは、また産炭地域を特殊な地域であるという認識に立たないお考えでは産炭地域の再建はできるはずはございません。このことは、現在は赤字だが、このことをやれば産炭地域のためになり、産炭地域が発展すればやがて経営状態もよくなってくるであろうというように、現在赤字であっても投資していくというような考えでないと、産炭地、特に内陸部の疲弊した地域の振興はできないものと思われます。 油須原線を例にとりましたが、これは単に油須原線だけの問題ではなく、全国産炭地、特に疲弊した地域に共通した問題でございましょう。 産炭地域、ことに六条地域は離職者の率も生活保護者の率も市町村の財政力の弱さもまた日本一でございます。この産炭地域を他の水準並みに持っていきたい、これが私たちの悲願でございます。 どうぞ先生方の相変わりません御協力をお願いいたしまして、私の陳述を終わります。 ありがとうございました。
○岡田委員長 ありがとうございました。 以上で参考人の御意見の開陳は終わりました。 この際、参考人各位にお願いを申し上げます。 当委員会は、午後一時四十分から再開し、委員の質疑に対する答弁の形で再度参考人各位から御意見を聴取いたしたいと存じますので、よろしく御協力をお願いいたします。 この際、午後一時四十分より再開することとし、暫時休憩いたします。 午後零時四十六分休憩 ————◇————— 午後一時四十分開議
○岡田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 午前中に引き続き、参考人から御意見を聴取いたします。 有吉参考人から御意見をお願いいたします。有吉参考人。
○有吉参考人 日本石炭協会の有吉新吾でございます。 諸先生方並びに関係当局におかれましては、石炭政策の決定を初めとし、日ごろ何かと石炭鉱業のため御配慮を賜り、また本日は、当委員会におきまして意見開陳の機会を与えていただき、まことにありがたく、厚くお礼を申し上げます。 初めに、石炭鉱業の現状を簡単に述べさせていただきます。 協会傘下の大手企業は現在七社でございまして、稼働炭鉱数は十三炭鉱でございます。ほかに十七炭鉱ございますので、全部で三十炭鉱となっております。常用労務者数は九月末現在で二万二千四十一人、生産能率は労働者一人当たり月七十トン前後となっております。採掘深度は坑口水準下五十二年三月現在で五百五十五メートルで、十年前の四十二年には四百十メートルでございましたので、この十年間に百四十五メートル、すなわち年間十四・五メートルの割合で深部に移行しておるのでございます。一方、採掘の進展により坑内の運搬距離も増加し続けておりまして、五十三一年三月現在全国平均で五千五百六十三メートルに及び、この十年間に千八百二十八メートル、約三三%増加しております。これらのことは、そのまま運搬経費及び通気経費等の増加、すなわち生産費の上昇を示しておるのでございます。このように年々悪化していく自然条件下で、組合の協力のもとで保安の確保を最大の目標として石炭の生産に努力しているところでございます。 石炭一トン当たりの金利を除きました山元生産費は約一万三千五百円でございまして、うち約六五%が労務費でございます。幸い先般政府並びに需要業界の御協力により炭価の改定を見まして、石炭新政策発足当初のトン当たり千七百円の経常収支の赤字は年々改善されてまいりましたが、残念ながら赤字基調をいまだ脱却するまでには至っていない状況でございます。 また、私ども石炭企業で設立いたしております石炭技術研究所におきましては、業界の共同負担と国の援助のもとで採掘、掘進切り羽の機械化、運搬技術等の生産向上のための生産技術の研究、ガス突出防止、山はね防止等の深部化に伴う保安技術の開発及び加工利用、選炭、公害防止技術等広範な研究を続けておりまして、着々とその成果を上げているところでございます。 私ども業界といたしましては、石炭がエネルギー資源の多様化のために改めて見直されたことを強く意識し、その国家的負託にこたえるため万全の努力を払っているところでございます。 さて、石炭生産の今後の見通しについて協会としての見方を申し述べさせていただきますと、御高承のとおり五十一年度の国内炭の生産実績は大手炭鉱で千六百三十五万トン、その他を含めて千八百三十三万トンでございました。新政策で志向されました二千万トンの確保はできなかったのでございますが、水没後復旧作業に終始しました幌内炭鉱の生産能力百四十万トンを考慮いたしますと、全国生産能力としてほぼ二千万トンあるものと考えております。 本年、すなわち五十二年度は幌内炭鉱が十月から出炭再開の運びとなり、年内に逐次計画に従い増産されていきますが、一方、夕張新二炭鉱の閉山、夕張新炭鉱等の計画割れもあり、ほぼ五十一年度と同程度の生産量になるものと考えております。五十三年度以降につきましては、幌内炭鉱の全面的復旧あるいは夕張新炭鉱、三池炭鉱有明地区の新開発地区の生産が計画どおり軌道に乗ることになり、二千万トンを確保したいと考えております。 なお、二千万トンの生産を引き続き維持するためには、さきにも申し上げましたように、炭鉱の深部化、奥部化に対処する保安の確立が最重点となります。炭鉱の深部化は地圧、ガス量の増加、温度の上昇等保安上の問題にかかわるものだけに、全炭鉱すべて日夜を問わず技術陣の総力を挙げてこれが解決に当たっているのが現状であります。また、深部移行の緩和策と資源の有効利用という観点から、御当局で実施中の隣接鉱区の調査と企業独自の調査と相まって、できるだけ深部移行を緩和する考えでございます。 さらに新鉱開発についてでございますが、現在エネルギー庁で開発可能性調査を実施しておられることに対し敬意を表するものでございます。しかし、開発に当たっては、需要業界を初め地元等の協力、理解を得ることが必要でございますし、将来の炭価もあわせ、経済性の問題を十分検討の上対処したいと考えております。 私どもの不退転の決意と努力がまず何よりも必要でございますが、現行制度における各種助成の拡充強化を図っていただき、炭鉱経営が一日も早く赤字から脱却し、常に安定操業ができますよう御配慮をいただければ非常に幸いであると考えております。 次に、石炭の利用技術について考えを述べさせていただきます。 石炭の利用技術の開発は、石炭の需要拡大、特に一般炭の大量消費を促進するための決め手としてきわめて関心の高いところでございます。さきに国としてのエネルギー暫定需給計画が示され、従来撤退を重ねてきました石炭火力発電所も逐次建設計画が発表される状況で、これを推進するためにも排煙処理技術の確立等による環境公害問題を解決する技術の開発、石炭が固体であるために生ずる使いがたさを解消する各種の技術の開発が必要であり、また急がれるものでございます。 石炭技研といたしましても低カロリーガス化発電の技術開発に四十九年から国の委託研究として取り組み、現在、一日五トン炉のガス化試験と一日四十トン炉の設計を行っておりますし、また排煙脱硝の技術開発を電発と力を合わせて進めております。また、石炭企業ではSRC法等人造粘結剤の技術開発を独自であるいは政府の補助により進めているところでございます。今後もこの姿勢は堅持してまいる所存でございます。 五十二年八月の石炭鉱業審議会の報告書によりますと、石炭の利用技術はきわめて多岐にわたり、かつ期間的にも長期に及ぶ課題を抱え、また所要資金も、六十年度まで、サンシャイン計画を除外しても、現行価格ベースで七百二十五億円が見込まれる大型なものだけに、その円滑な遂行のため、特に資金の獲得については特段の御配慮をお願い申し上げる次第であります。 以上、国内炭鉱の維持、石炭利用技術の開発に対する石炭業界の考え方及び決意を述べさしていただきましたが、石炭の海外開発に対する考え方につきまして若干述べさせていただきます。 石油ショック後の世界的エネルギー供給構造の変化、国のエネルギー多様化の政策に対応すべく、石炭業界としてもエネルギー暫定需給計画に示される輸入石炭に対し、石炭業界がみずから参加することによって、その安定供給に資するよう努力する考えでございます。 エネルギー多様化の政策に沿って、石炭火力の増設は絶対必要なものと私ども考えております。その石炭については、国内炭の供給に限界がありますので、国内炭を圧迫しない範囲で不足数量を輸入にまたねばなりませんし、おいおい輸入量が大量になってまいりますので、数量価格の安定のためには、開発輸入がぜひ必要であります。石炭鉱業としては、現在持っております世界にも誇れる石炭技術をもって開発に積極的に参加したいと、具体化のため調査検討を進めておるところでございます。 海外からの開発輸入を実現するためには、利権またはエクイティー取得についての先行投資を必要とし、なお開発に当たっては、インフラ及び多額の投資を必要といたしますので、関係各位の御支援をよろしくお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。 最後に、一、二の点について要望申し上げたいと思います。 一つは財源問題でございます。すなわち石特会計法は、さきに改正していただきまして五十六年度まで延長されましたが、不足財源を賄うための原重油関税の引き上げについては、二カ年間の措置であると仄聞しているのでございますが、引き続きその必要財源を確保するための対策を早急に確立していただきたいと存ずる次第であります。 二つ目は、石炭鉱業年金改正問題でございます。現在、石炭鉱業年金の改正について、労使四団体合意に基づき、連名にて関係当局に願い出ております。その趣旨については、諸先生方にも文書をもってすでに御説明いたしたとおりでございますので、よろしくお願い申し上げたいと存じます。 以上をもちまして私の口述を終わらせていただきます。 ありがとうございました。
○岡田委員長 ありがとうございました。 以上で有吉参考人の御意見の開陳は終わりました。 —————————————
○岡田委員長 これより参考人等に対する質疑に入ります。 この際、質疑者各位にお願い申し上げます。 質疑の際には、あらかじめ答弁を求める参考人及び政府当局者を指名して御質疑を願います。 また、参考人各位にもお願いを申し上げます。 参考人各位は、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言を願います。また、衆議院規則第八十五条の二の第三項により参考人は委員に対し質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。 それでは、参考人に対する質疑の申し出がありますので、順次これを許します。まず、田中六助君。
○田中(六)委員 質問を申し上げます。 参考人のお名前を事前にまず言えということでございますので、事前にお答えをいただきたい参考人のお名前を言いますので、よろしくお願いします。北大の磯部教授、東大の伊木教授、日大の笹生教授、石炭協会の有吉会長、それから日炭の委員長でございます里谷さん、福岡県の山崎副知事、それから全国石炭鉱業関係町村議会議長会の原口会長、よろしくお願いいたします。 午前中から午後にかけまして参考人の貴重な御意見を拝承いたしておりましたが、学者は机上での、あるいは多少の裏づけがあっての御発言、実態論としての組合の意見、それから市町村長関係の御意見、経営者の御意見、それぞれ違った観点、一致した観点はありますが、非常にバラエティーに富んだ御発言がありました。石炭問題がいかにむずかしいかということは、私自身も議席を得て以来十数年これに取り組んでまいりまして痛いほど知っております。それぞれの御発言はまことに貴重な御意見ではありますが、全く相対立した御意見で、意見を調整しろ、あるいはそれぞれこのように違っているがこうしろという御意見で、問題のむずかしさを浮き彫りにしておるということを痛感いたしまして、私も質問にとまどっているわけでございますが、いま申し上げた方々に御質問申し上げます。 まず、磯部教授に御質問申し上げたいのでございますが、教授は、石炭を公営企業として一足飛びにこれに飛びおりるのは疑問がある、考える余地があるとおっしゃっております。里谷さんは、もうそういう段階じゃない、リミットはとっくに過ぎているということをおっしゃっております。磯部教授は公営企業に踏み切るにはまだ十分考える余地があるとおっしゃっておりましたが、もう少しこの点について具体的なお考えを述べていただければ参考になりますけれども、よろしくお願いします。
○磯部参考人 ではお答え申し上げます。 公営企業ということになりますと、これは全国的な規模において一つの企業体系にならざるを得ない。従来、石炭各社というのは、大手数社、そのほかに中小何社ということで、それぞれ各社に分かれてやってまいりました。各社それぞれ特徴がございますし、それから社風というものもあるかと思います。それらを融合させて一つの物にするのには、これまだまだその内容とかそれから話し合い、そういったような種類のものがまず先行していかなければいけない。現状でそういった話し合いとかそういう問題はまだ具体的に取り上げられているということがございません。特にある産炭地域、一つの炭田に数社が競合していくというような状況の中で、それぞれ炭田の特徴を踏まえての企業形態がなければならないというのが私の持論でございます。 たとえば釧路炭田とか、あるいは今後開発が予想される天北炭田であるとか、あるいは現在の石狩炭田にいたしましてもその南部の夕張地区とかあるいは三笠地区、それから北部の北空知地区、こういったようなところのそれぞれの炭田の特質においてひとまずそれの合同的な企業形態がいかにあるべきか、最終的にはもしそれをさらに大合同したらどういうことになるだろうかといったような考え方をまず先行させてみて、それが国家的に見て有益であるかどうか、それから管理体制はどうなるか、それからペイラインはどういうふうにして出すか。各社いまばらばらのペイラインにあります。こういった問題を先行解決してからでなければ、一遍に公営企業に移るということについては、はなはだ疑問があるというふうに考えております。
○田中(六)委員 自由企業の特質を生かして創意工夫、また石炭も将来、いまからの問題であるという観点から、各社がそれぞれの特徴を生かすことの方がよりメリットがあるという御見解、実は、わが党の政策そのものも、やはり自由企業の特色を生かしてそれぞれの会社がみんな全部親方日の丸でいくよりもという観点から、実を申しますとつい先週もこの問題を討議いたしましたが、やはり公営企業に持っていくにはまだ研究の余地があるという結論を得ておるわけでございます。 それからもう一つ、磯部教授が先ほど二千万トン体制、つまり二千万トン採炭を維持するためには二千百七十万トンぐらいを目標にしておかなければ二千万トンのキープはできないということをおっしゃっておりましたが、もうすでに二千万トンと言っている答申、そのとおりにはなってないわけです。将来もどうも怪しい、それでも一応二千万トン二千万トンというふうに言っておるわけでございますが、この二千万トン維持するための二千百七十万トン、はっきりと百七十万トンというプラスになっているわけですが、これは何か科学的なデータとか何かあるのでしょうか、磯部教授にちょっとお願いしたいのです。
○磯部参考人 お答え申し上げます。 ただいまの御質問に関しては、私は過去三カ年、これは第六次石炭政策が施行されてからまだ二カ年でございますが、その前の一年を加えまして三カ年、平均生産量といいますと三カ年でございまして、それはデータとして非常に不足でございます。と申しますのは、石炭産業の生産量というのは急転直下と言ってもいいぐらい二千万トンに落ちてしまった。今後何年間か積み上げなければいけないと思いますけれども、一応三カ年をもとにいたしまして標準偏差を計算いたしました。その標準偏差が八十五万トンでございます。その八十五万トンを二倍いたしまして百七十万トンを生産量に加えますと、これは推計学の教えるところによりまして九五%程度の確率をもって二千万トンをキープする可能性があるというような意味合いを持っております。それを加えますとちょうどいま申し上げた二千百七十万トンという数字になるわけでございます。そういった根拠で申し上げたわけでございます。
○田中(六)委員 時間の節約上、ついででございますので、一度に答弁していただく方のお名前を申し上げて失礼でございますが、よろしくお願いします。 いま磯部教授がおっしゃったことについて、有吉会長は三井の社長でもございますので、そういう見解、二千万トンと言っておっても、私どもいつも目標炭量がずっと狂ってくるのはどこか計算違いがある、そういうものを加味したものじゃないものがいつも提示されておったんじゃないかという気持がするのですが、その点について、有吉社長それから里谷さんにお願いいたします。まず有吉社長。
○有吉参考人 先ほどの陳述でも申し上げましたように、具体的に申しますれば幌内の出炭が百四十万トンに戻るとか、こういうことになりますれば大体二千万トンというオーダーじゃないか、こういうように考えております。昔と違いまして最近の予算に対する遂行率と申しますか、予算遂行率が非常に高くなっておりまして、昨年のごときも計画数量よりもよけいに出したなんという会社が多いわけでございますので、それは余裕を見るにこしたことはないのでございます。 私は、二千万トンというようなものは、各会社そうずさんな計画を出していると思っておりません。昔は労働力の定着も非常に問題でございまして、どんどん人がやめていく、未経験者が入ってくる、こういうことでございましたが、そういう点も大分落ちついてまいっておりますし、何を言いましても、準備掘進というものを十分やっておれば出炭というものはキープされていく、こういうことでございまして、この掘進技術の開発、能率のアップでございますか、これにつきましても、昔に比べますと相当に掘進能率も上がってきておりますし、私どもは、去年、ことしというふうに二千万トンあっておりますけれども、五十三年以降二千万トンを維持していけるのじゃないか、こういうように考えております。
○里谷参考人 公営企業の運営についての疑問あるいは早期説がございますが、つい五日前に企業といろいろ話をいたしております数字がございますので、数字を申し上げながら私どもの見解を説明いたしたいと思います。 四十九年以降の見直し政策によりまして、炭価の値上げその他の問題が現実化してまいっております。今年は一般炭、原料炭の値上げがございましたが、合計いたしまして大体千四百九十円ぐらいの炭価アップになっておるわけであります。この点をどのように消化をするかという数字でございますが、大体ベースアップ分で八百五十円、期末手当、通称ボーナスと言われておりますが、これが大体百円程度、こうなりますと、すでに九百五十円がなくなってしまう。それに加えまして物価の上昇あるいは各炭鉱の減産割り高あるいは貯炭増、最近の貯炭増は原料炭三十三万八千トン、一般炭五十九万九千トン、こういう貯炭を抱えておるわけでありますが、これに伴う貯炭金利増その他含めますと約八十円、こういう数字でございます。したがいまして、千四百九十円の炭価アップがございますけれども、現実に企業経営に利するという金額からいけばきわめて僅少である、こういう説明がございます。 磯部先生が御指摘のように、企業間格差があることは事実でございまして、炭労傘下五社ございますが、この企業間格差がきわめて開いてまいりますから、個々の企業間格差の実態をどのように調整をしていくのか、御指摘のとおりこれは非常にむずかしいことだと思いますが、労使の関係で申し上げてまいりますと、いま申しました一般的な平均的な金額あるいは経営の実態から労働条件あるいは新鉱開発、隣接鉱区、現有鉱区の整備をしていくということになりますから、非常に限られたものが出てくるのではないか、こういうように判断をいたします。ですから、そういう面からいきますと、私企業体制でこの企業間格差あるいは生産整備をするという余裕があるんだろうか、こういうように私ども判断せざるを得ません。すると、非常に収益のいい会社は伸びますけれども、収益の悪い会社はのめってしまう。北炭解散説等もあるとおりでございまして、内容は非常に多岐にわたっているわけであります。したがって、先ほど申し上げましたように、税金が石炭産業に投入されるということになるとすれば、企業問格差の問題についてあるいは石炭産業の経営を安定化させるという意味からいけば、私企業の限界が来ているのではないか、私はこういうように判断をいたしているのでございます。 なお、二千万トンを維持するという政策の基調は、新鉱開発あるいは隣接鉱区の開発ということを言われていますけれども、現実にその実現の方法は足並みが速いか、こういうことになりますと、非常にテンポがのろいのでないか、こういうふうに私は判断せざるを得ません。そういう面からいきますと、二千万トンを維持するのは現有炭鉱が一〇〇%維持すると言い切ってもいいくらいのいまの政策でございますから、生産面を維持するという意味では非常に困難が出てくるのではないか、こういうように思います。 そこで、磯部先生は二千万トンを維持するには百七十万トンぐらいの余裕を持つべきである、こういう指摘ですが、もっともだと思います。一例を引きますと、二千万トンを割って千八百万トン台になりましたが、幌内炭鉱の減産が大きく響いていることは事実だと思います。二片まで水が入るわけですから、全面休止という形になります。ほかの炭鉱はどうかといいますと、一応の日産計画がございますけれども、不測の事態があった場合は予備切り羽その他で生産を維持していく、これが最も望ましい生産体制でないかということで、私ども、常日ごろ企業と話をしておりますが、現状から判断しますと、現有炭鉱で減産をカバーするだけの予備切り羽を持つ炭鉱があるのだろうか、こういうように考えますと、資金面からいきまして予備切り羽を持つ余裕はないのではないか、こういうように思います。望ましいことでありますが、きわめて残念な現実だと思います。ですから、二千万トンを維持するには百七十万トンのアローアンスを持つべきだということは一応の理論としては成り立つと思いますけれども、どうしても現有炭鉱で二千万トンを維持するとすれば、新鉱開発を促進する、それから隣接鉱区の開発について積極的に取り組む、こういう具体的な施策を現実的に伴ってやりませんと二千万トンを維持することはできないのではないか、私はそういうふうに思います。したがって、新鉱開発につきましても、三百億あるいは四百億の莫大な資金がかかりますし、あるいは長期の年月がかかるわけでありますから、これらの問題についても早急に取りかかるべきであろうと思いますし、隣接鉱区の問題については鉱区調整という意味で表現されていますが、結果的には隣接鉱区をぶち破って、いくという問題について、鉱区調整が現実にいきましても、そこの炭鉱が隣接鉱区を開発する資金というのは現状の枠をオーバーする、いわゆる特別な解釈に立って資金を援助する、こういうところまで踏み切ってもらわなければ、隣接鉱区の開発ということが盛んに言われましても絵にかいたもちではないか、私はこういうふうに判断をするわけであります。いずれにせよ現有炭鉱で終始するのではなくて、新鉱開発あるいは隣接鉱区の開発資金というものをやはり明確に位置づけする必要があるのではないか。そういうことがあれば、私ども申し上げていますように二千万トン以上の確保は可能であろう、こう思います。 企業間格差がますます激しい体制をどのように整備するかと言えば、やはり公営企業を優先させることが長期にわたって石炭産業を安定する礎ではないか、こういうように考えます。公営企業に踏み切るのは、もっと二千万トン体制が縮小してからやった方がやりやすいという意見も一部にあるようでございますが、それは長期の展望を見失う議論になるのではないか、こういうように考えておる次第でございます。
○田中(六)委員 ありがとうございました。 二千万トンを維持するためには、保安から深部開発いろいろな問題があって、結局握りきんたまではできない、何か財政的な裏づけがなければいけないということに落ちつくのではないかと思います。それにいたしましても、昨今の財政難から石炭特別会計をもう一回見直す、財源の方は二年間、法律の方は五年間、あと三年間のギャップがあって、それ以上のことについてもきわめて疑問だ、したがって石炭政策は不安定だということを地方自治体の代表の方々は声を大きくして述べておるわけでございます。それに対しまして磯部教授は、石特会計は時代の変遷もあるし、だんだん石炭プロパーの予算にすべきではないか、したがって、産炭地振興とか鉱害とか離職者対策、そういうものを含めまして、そういうものは一般会計にゆだねる時期になっておるのじゃないかという見解でございます。これに対して地方自治体、特に福岡県副知事の山崎さん、それから斉藤会長、原口会長の御意見は、とんでもない、石炭特別会計の原点に返ってくれ、石炭特別会計そのものを生んだのは産炭地振興、鉱害、離職者、石炭鉱業の安定、そういう四つの柱が基本になっておったのだから、この原点に返ればそういう話はできないはずだという御見解です。これにつきまして磯部教授の再度の突っ込んだ御意見、それから山崎副知事、原口会長それぞれに、これに対する御意見をお願いしたいと思います。ついでに有吉社長も、これに対して御意見がございましたらどうぞ。
○磯部参考人 この問題に関しては種々御議論があるものと覚悟して出てまいりました。 石炭石油特別会計の中の石炭勘定というのは、日本のいわゆる石炭産業の育成強化のためにあるということは、これは大前提だと私は考えております。そのためには現有炭鉱の生産をいかに確保し、それから保安を万全にして、将来とも二千万トン確保のために生産を続けていくことができるかということがかなめであると思います。現有炭鉱はいろいろな面でまだ累積赤字を抱えて苦しんでおります。こういったものをいつの時点でどう解決するかということになれば、やはり石特会計の枠の中で行う以外には方法がございません。もちろん石特会計が、先ほど申し上げましたように離職者対策あるいは産炭地振興、それから鉱害復旧、こういうものに果たした役割りは非常に大きいと考えております。しかし、もうすでに十数年、しかも第六次石炭政策によって石炭の見通しというものはほぼ確立され、いわゆる自立体制の方向が明らかにされてきております。こういった時点で、やはり石炭を中軸として石特会計を使うべきじゃなかろうか。ただ、その場合に、産炭地振興とか鉱害復旧とかあるいは離職者対策というものを無視するわけではございません。これは別の観点から——そこはもとの産炭地である、元炭鉱に勤めていた人である。しかも石炭企業が存在していたときには、恐らくその地域は石炭企業によって潤ったであろうと思います。石炭企業がなくなったら、多分その石炭企業が持っていた経済力を失うと同時に、石炭企業が残していったある程度の補償というもの、賠償責任は、実は本来なら企業で持つべきでありますが、そうかといってそれを全面的に持ち得ない、また無責任と申しますかその主体がないというようなこともございまして、いま石特会計の枠の中から割いている。見逃すというわけじゃなくて、この問題は原点に返るとしたら、もう一度その原点それ自身の見直しが必要であるというふうに考えて私は申し上げたわけでございます。ただし、あくまで個人の意見でございます。
○山崎参考人 山崎でございます。 先ほども御意見がございましたが、産炭地域というのは、この地域に密着していた石炭産業の撤退によりまして、かつての産炭地域に空洞が生じた、その空洞をいかに再生させるかということが産炭地域の振興の課題であるというような御意見もございました。石炭産業の撤退によりましてどのようなつめ跡、空洞が生じているかということは、先ほどるる私どもが申し上げたわけでございます。鉱害復旧にしてしかり、あるいは離職者対策、あるいは炭住の問題、あらゆる面において大きな影響がまだ残っておりまして、その対策のために、産炭地域の振興のために、自治体は非常に大きな財政負担を持ってその復興のためにあらゆる努力をいたしておるわけでございます。 ただ、先ほど申し上げましたように、自治体における努力には限界がございますし、そもそも産炭地域の撤退というのは国のエネルギー政策の転換によって生じてきた問題でございます。したがいまして、石炭対策特別会計法の設定そのものも、その発想はまさに、石炭撤退による産炭地の振興対策を積極的に国の責任において措置するという考え方のもとに石特会計が創設されたわけであります。その目的とされました四つの柱でございます石炭鉱業安定対策、鉱害復旧対策、産炭地域の振興対策、離職者対策という四つの対策は、相当期間が経過したからもう産炭地域振興対策はいいんじゃないかというような根拠の御発言でございましたけれども、現在に至るもなお、石炭産業撤退のつめ跡というものがまだほとんどもとのままの状態、極言すればもとのままのような状態にあるわけでございます。これはやはり原点に立ち返ってお考えいただくということで、石特会計の中で強力にこの四つの対策について推進をしていただきたいということを先ほども申し上げたわけでございますが、強くお願いをいたすものでございます。
○原口参考人 石炭企業というのは、明治以来百年に近い間、国のため、社会発展のために非常に尽くしてきたと思うわけでございますが、その中でほかの企業と違うのは、数万人の人命が失われ、数百万に及ぶけが人が出ております。そういうような大きな人命を損ないながら、やはり今日の日本の発展の基礎を築いたわけであります。そういうこともございますし、石油にかわったから今度は石炭が要らないようになった、今度また石炭の見直しをする、そういうようなことでもございますが、本来事業というものは、何かやって被害を与えて、それでもうけたらもうけっ放しに去っていく、そういうような考えは現在の社会の中では通らないと思います。もちろん、石炭もさようでございまして、そこに大きな後遺症を実際に残しているわけであります。しかも、先ほど申しました数万人に及ぶ人命を損ないながら社会国家のために寄与してきた、そういう歴史があるわけでございます。 私たちは、石炭を見直すということは、同時に、先ほども申しましたように、後に後遺症が必ず生まれるからそれはきちっとしますよという裏づけがなければ石炭の見直しにならないと思います。いま石炭の掘れない町村、掘っておる町村、掘れる町村、そういう違いはございますが、掘っておる町村にしましても、これから掘る町村にしましても、これは早晩、二十年なり三十年の後にはまた、鉱害があるかどうか知りませんが、その他のいわゆるつめ跡が残るわけでございまして、今日、自分たちは関係がないからというようなことでは解決がつかない問題であろうし、人ごとではない問題であろうと思います。私たちは、まず被害を与えたことのしりぬぐいを先にして、それから石炭を掘るようにやったらいいじゃないか、そういうようなことも言おうと思えば言えないことはないわけでございますけれども、それではやはり今日の潮流と申しますか、世の中の人の意識にはついていけないような気がいたすわけでございます。そういうことでございますので、石炭勘定、そういう石特会計というものを石炭を掘る方にだけ回して、あとは一般会計でやれとか何とかいうようなお話は、これは産炭地にとりましては全くむちゃな話であろうと思います。 なおまた、われわれ筑豊炭田の者に言わせますと、あそこにはまだものすごい炭量が眠っております。これは採掘できません。これは石油の方が便利がいいから国民が石油を使い始めたということもありますが、それだけではなくして、やはり政府がスクラップ・アンド・ビルドという政策を打ち出しまして、スクラップ・アンド・ビルドではなくてスクラップ・アンド・スクラップで、筑豊炭田——福岡県は大牟田を抜かしまして全部の炭鉱がしまわれております。ことにそれはものすごい残存炭量を残しながらやめております。これはやはり国の責任であろうかと思うわけでございます。 そういうことでございますので、石炭にやらぬであとの三つの柱に持ってこいとか、そんなことは申しませんが、やはり四本の柱を一緒にして、発足の当時に考えられましたようにやっていくのであろう、さように考えております。 以上でございます。
○有吉参考人 日本の石炭産業というのは、先ほどの陳述で申しましたように、やはり諸外国の石炭と比べますと、自然条件に起因をいたしますコストアップというのが年々非常に大きいと思うのです。現在でも、外国炭と国内炭とでは値段が相当開いてきておるわけでございますが、それをすべて需要家の負担で解決をする、これも非常にむずかしい問題でございます。やはりどうしても油が非常に高くなるとか、そういうことになりますればまた情勢が少し変わるかもしれませんけれども、やはり国の助成というものが今後も引き続き維持され、あるいは増額されていくことが必要なんじゃないか、こういうふうに思うのでございます。したがいまして、現在の石特会計の中のいわゆる国内の二千万トンを維持していくという、前向きという言葉は悪いかもしれませんが、それは五〇%か五〇%以下しかないわけなんでございます。したがいまして、これは、私は、鉱害とか産炭地とか雇用とか、そういったものに金は要らないということを言っているわけではございませんで、雇用関係は、やはり労働省関係の失業対策関係の予算と一緒にこういうものをひとつ検討していただいたらどうであろう。産炭地問題にしましても、国土庁とか、そういう問題を担当する所管のなにがあるわけでございますし、そういうものの中としてこれを取り上げていただいたらどうであろうか、こういうことでございまして、片方を要らないということを言っているわけじゃございません。 ただ、石炭の置かれております現状から申しますと、なかなか前向きの予算というものはふえていかずに、そうでない方がふえていっているというのが現状でございますので、その辺を訴えておるわけでございます。
○田中(六)委員 時間がございませんので、駆け足で御質問申し上げます。 伊木教授から技術の開発について非常に詳しい御説明がございましたが、いま日本の各大学、特に官立の場合でも昔、鉱山科というようなものがあったと思うのですが、そういうものはずっとなくなっておるんです。具体的に各大学にもう少しそういうものの再設置——というのは、石炭を見直すならば若い技術者が少ないということにもなっておりますので、各大学にそういうものを設置し直す、あるいはもう少し大学の現状あるいは学校の現状がどうなっておるのか、先生の知っておる範囲で御説明願えれば幸いでございます。
○伊木参考人 お答えいたします。 私、大学を三年前にやめまして、その後の事情につきましては多少感覚が違っておるかもしれませんけれども、いまのお話の中に、大学の学生が石炭の方のことをやるのが少なくなったんじゃないかということが一つあったかと思います。これにつきましては、前にもこの委員会の公聴会のときでしたか申し上げたかと思いますが、十年ぐらい前に昔の鉱山学科を改正いたしまして、各大学とも順次資源工学科あるいは資源開発工学科ということに変わってまいりました。その目的は、一つは石炭産業が斜陽化いたしましたので、鉱山科の学生で石炭産業に行くのが少なくなった、それを何とか他方面にでも行くようにできないかということで進めてきたわけでございます。それについて、名前は資源工学科あるいは資源開発工学科と同じ学科でありましても、目的は各大学がそれぞれの立場で多少変えて進んできております。それがいまの現状でございます。 それで、最近の石炭の見直しに際しまして、その後、学生で石炭産業に進もうという意向をとってきたのが幾らかふえてきたことは事実でございます。しかしながら、全国の資源関係の学科の中におる学生にしますと、必ずしも石炭産業に十分に行けるという見込みを持っておりません。また、将来性ということに対して非常に不安を持っておるわけでございます。したがって、恐らくその点、今後、大学側としてはいかに学生を指導していくかということにあるのではないかと思います。 一方、石炭の利用の面につきましては、御承知のように、石炭を利用するよりも石油を利用した化学工業というものが発達してまいりまして、石炭化学の方をやる学生がやはり少なくなりました。ほとんどが石油化学の方に進んできておりまして、石炭化学の方が次第に学生が少なくなってきたというのも実情ではないかと思います。最近はその点で多少、石炭の方の見直しということで石炭の方に向く学生も出てきたかとは思いますが、まだ全体的には少ないのではないかというふうに考えております。 以上でございます。
○田中(六)委員 笹生教授にお願いしたいのですが、笹生教授は地域開発並びにそういう諸計画の立案などに頭を突っ込まれておるわけでございますけれども、先ほど聞いておりますと、筑豊地帯を調査したのだがもう少し農業、漁業、都市の機能の向上という、そういうような三つの面からとおっしゃるのですが、教授自身が御指摘になっておりますように、筑豊地帯は内陸部に属しているわけでございまして、農業と言っても筑豊の農業地帯というのはほんの限られたところで、しかもそれは鉱害ということにひっかかって農地復旧という問題がからんでいるわけです。したがって、農業に頭を突っ込めと言われてもなかなか突っ込めない。漁業と申しましても、周防灘とかいろいろあるとおっしゃっても、これは文字どおり内陸地帯でございまして漁業の問題に手が届くのには大変でございます。それから都市機能の向上、近所に北九州市や福岡市があるからということでございますが、これとても本当に手の届くようなことにはなりかねておるわけでございます。私は地形的に農業や漁業とは無関係とは申しませんが、ちょっとそういう発想法ではこの筑豊地帯の再開発というのは、実は私が生まれて育ったところだけによくわかるのですが、できないと思うのです。何か違った観点からこれを見直すというようなことはどうでしょうか、その点何かお考えがございましたら……。
○笹生参考人 お答えをいたします。 先ほど私が申し上げましたことについて、かなり舌足らずであったかと思いますが、最後に農林漁業問題ということに触れましたのは、私が現地踏査をいたしました九州地域の産炭地域で、特に農林漁業の問題につきましては、天草であるとか佐賀であるとか、そういった地域で特により積極的な意味での施策の強化が必要なのではないかというふうに感じたことでありまして、筑豊地域につきましては先生御指摘のように、より以前の問題として鉱害復旧が大変おくれており、それが重くのしかかっておりますから、そのおもしをまず取り除くということが前提であろうというふうに考えております。ですから、筑豊について農林漁業というものがとりわけという趣旨で先ほど申し上げたわけではございませんで、九州各地を見渡しますとその点が抜けているような感じがしたということでございます。 筑豊につきましては、そのときにちょっと申し上げましたが、やはりあそこにおきましては工業、企業の導入というもの、先ほど私が申し上げましたいわゆる団地を造成するとか工業用水路をつくるとかという入れ物をつくればすぐ中身が来るというようなことではなしに、入れ物をつくるとともにその中身をどういうものを導入するかということでは、いま少しく企業的な視点で工業導入の施策を考えていく。それから地域整備の政策もいわば企業を導入しやすい、いわゆるビジネスクライメートといいますか、そういった意味での環境条件の整備ということがないとなかなかあそこへは入りづらい。ですから、そういう物理的な環境条件以外に人的なきめ細かい施策というものがぜひ推進さるべきだろうと思いますし、それができますと、あそこの持っている位置的な条件等から見ますと決して暗い将来ではない、展望が開け得るというふうに私は考えております。 以上です。
○岡田委員長 田中君、時間ですので、簡単に願います。
○田中(六)委員 時間も来ましたので、最後の質問でございます。 有吉会長にちょっと質問いたしますが、二千万トンをキープするためには、いろいろな条件というものを本当に考えていかなければ、いいかげんではできないわけです。深部の開発、保安、それから温度の上昇、そういうものについても保安対策が必要だ。しかし、いずれにしても、労賃なども含めまして、赤字体制ではどうにもできない。そうすると、具体的に赤字を脱却するにはこうしてもらいたい、こうしたらどうだというような経営者としての案がございましたら、ひとつ。 それから、これはちょっとだれに尋ねていいかわからないものですから、ついでに、最後でございますのでお尋ねしたいのですが、これはさっき福岡の副知事からの説明があったのですが、福岡県のボタ山処理で、福岡県は三百十八もボタ山があるのです。それで、副知事さんの説明によりますと、その面積は、東京都の千代田区の一・二倍、それから総集積量が霞が関ビルの約四百杯分あると言われておるという。その処置がなかなか進んでいないのですが、特に私の選挙区の川崎町で、最近ボタ山の流出がございまして、これはたまたま三井鉱山が関係しておるボタ山でございますが、これの処理についてどうなっておるのか、こういうボタ山の処理について経営者としてどういうふうにお考えなのか。前の、あらゆる赤字から脱却するための経営者としての要望事項と、それからボタ山にこういう処置をする問題ちょっとちぐはぐでございますが、二点を質問して、終わりたいと思います。
○岡田委員長 有吉参考人にお願いします。 大変申しわけございませんが、時間が大分あれしておりますので、要点だけで結構でございます。
○有吉参考人 お答え申し上げます。 第一の、どういうことを収支ベイラインに持っていくのに要望するかということでございますが、まず第一に、これは私ども自身が全力を挙げまして能率アップに努力をしなければならぬ、それよりも保安の確保がまずまず大事な問題だと思っておりますが、ただ、先ほど申しましたように、日本の自然条件から言いまして、外国の石炭の採掘コストと日本の採掘コストというのは圧倒的に違っておるわけでございます。したがいまして、過去三カ年にわたりまして、需要家各位から大幅の炭価アップの協力を得まして、三年前にトン当たり千七百五十円ありました赤字というものは、現在相当、四、五百円というところまで縮まってきておるわけでございますが、ただ、外国炭に比べても非常に高い。まあ、これは円が高くなったという問題もあるのでございますけれども、そういったものの帳じりを全部需要家にお願いするというのは、なかなか困難なことでございますので、その意味で、先ほどの石特会計の前向きの金というものをもう少しふやしてもらえないかというのが、私どものごく当面のなんでございます。 それで、実情を申し上げますと、いろいろな補助金というのが出ておるわけでございます。坑道掘進に対する補助金とか、あるいは近代化資金の融資率とかあるのでございますけれども、その定めは大体夢ぐらいを補助する、こうなっているのですけれども、実際は、たとえば坑道掘進のメーター当たりのコストというのは、物価も上がり人件費も上がっておるので、ずっと上がっておるのでございますけれども、頭打ちの額というのは一向変更ないものですから、七〇%の補助率が実質は四〇%か三十何%になっておるのが現状でございます。したがいまして、その分はやはり当初の七〇%ぐらいまでひとつふやしてもらえないかというのが、いま私どもが切に要望しておる、それは財源という問題にくるわけでございます。どうもお願いするようなことばかり言ってはなはだなんでございますけれども、私どもも努力いたしますが、そういう点をぜひ御配慮をお願いしたいということでございます。 それから二番目の、川崎のボタ山の問題でございますが、これは、寒くなりますときにああいう大雨によるボタの流出というようなことになりまして、罹災者の方には大変もう相済まない、お気の毒だと考えている次第でございますが、このボタ山に関しましては、私どもも要するに災害の起こらないようにというような注意は十分してきたわけでございまして、このいきさつは、ちょっと申し上げませんとなんでございますが、この川崎のボタ山と申しますか、川崎坑という坑口を閉鎖いたしましたのは、昭和四十二年でございます。それで、あそこのボタ山は、よく筑豊でごらんになるような円錐型のボタ山でございませんで、平たい丘になっておりまして、雨が降ってそれが流出するというようなことはまず考えられない。いままでも、もう十年たっておるわけでございますけれども、そういうことはなかったわけでございます。たまたま閉山いたしました数年後に、四十四年でございましたか、あの地域の部落解放同盟田川地区協議会の東田原の支部長さんから、家庭用にそのボタを持っていくことをひとつ認めてくれという話がございまして、よくボタの中の石炭がちょっとついているのを持っていって家庭燃料にされるわけでございますので、それで、これは一種の入会権的なものとして、それは結構でしょうということで、地元の人と契約を交わしたわけでございます。そのときも、そこでボタを水洗することはもちろんやってもらっちゃ困るということであったのでございますが、オイルショックになりまして、地元の人が大きなため池をつくりまして、それでボタの水洗を始められたわけです。そこで、洗炭汚水が流れるとかなんとかで、地元のいろいろな苦情が参りまして、私ども、そういうところに大雨でも降ったら決壊してなんだから、これはやめてもらいたいという話を再三した、契約に入ってないんだからやめてもらいたいという話をしたわけでございます。この水洗炭というのは、水洗炭業法というのがありまして、それをやらせるかやらせないかというのは県の権限になっておるようでございまして、県の方も水洗をやることを認めていない。そういう無法状態のままきておるわけでございまして、私どもはもう再三やめてほしいということをなにいたしましたけれども、結局やめてもらえないものですから、やむを得ずその水洗炭の仕事をひとつストップしてもらいたいという仮処分の申請を地元の裁判所に出したわけです。ところが裁判所は、そういう緊急の事態ではないということで、これを受付留保されましたものですから、やむを得ず私どもは本訴を提出いたしまして、いま訴訟としてやめてもらいたいのだということをやっておる最中でございます。県当局とされましても、未登録のまま約三年間にわたってそういう水洗のなにをやっておるというような形できておるそのときに、今度の大雨が参りまして、その水洗用に使っておる、ボタ山の中にわざわざため池をつくったわけですね、それに水がたまりまして溢流し、決壊をしたというふうなことでございまして、私どもとしては非常に残念に思っておる次第でございます。これは一日も早くそういったため池を埋めまして、もとの平たい山にするしか手はないのじゃなかろうか、こういうふうに考えておる次第でございます。
○岡田委員長 ありがとうございました。 参考人の各位に、大変申しわけございませんがお願いをいたします。 質疑の持ち時間が実は決まっておりますので、答弁はできるだけ要点を簡潔にお願いをしたいと思います。 それでは、次は、細谷治嘉君。
○細谷委員 私のいただいておる時間が二十分でございますので、まとめて御質問いたしたいと思います。 最初に笹生先生にお尋ねいたしたいのでありますけれども、先生のおっしゃるように、この産炭地域の問題というのは地域社会構造的な問題である、これはもう私も全く同感でありますが、そういう問題に取り組んでいく、解消をしていくという場合にそれぞれの地域の特性、こういうものを考えて、国の統一的なモデルで開発するんではなくてやはり地元の構想力と合意、こういうものを基本にしろ、そして最近出ました三全総の定住圏構想、こういうものを一つの構想の中に取り入れていったらどうか、こういう御意見だと私は思いました。 ところで、私は思うのでありますけれども、定住圏構想というのも、今度の閣議決定のものというのは、あれには産業政策なり産業立地政策あるいは工業配置、こういうものは全く描かれておりません。日本のあるべき産業構造、こういうものが描かれておらないのでありますから、これはまあ言ってみますと、定住圏構想というのは構想としてはよろしいのでありますけれども、まだ海の物とも山の物ともつかない、こういうような現況ではないかと思うのです。そういうことから考えていきますと、今日、地方自治体が自分の構想力あるいは合意、こういうものでやっていくということになりますと、結核の三期の状態になっておるのですから、なかなか不可能な実態があるのではないか、こういう気がいたします。たとえば先ほど議論になりました筑豊の問題を見ますと、確かに緊急就労とかあるいは特開とかいろいろな事業によりまして部分的には進んでいっておりますけれども、大きな面における環境、住宅の問題、あるいは産業が誘致されていった場合に北九州と福岡とどうつなぐのか、そういう問題として広域的な産炭地域の振興がほとんど手がけられておらない。行われておるのは市町村単位で、市町村の区域だけでちょこちょことやっておる、こういうことでございますから、これではどうにもならないのじゃないか、筑豊を生かすには北九州とつながるような、福岡とつながるような、そして筑豊自体の広域圏として住んでいけるような、あるいは企業が立地できるような環境を思い切った投資でやっていかなければならない。そういうことになりますと、北海道の産炭地域の問題と筑豊の地域の問題は違いますから、独自のそういう対策というのを、工業立地論、産業立地論、産業構造論、こういうものを十分に踏まえてつくっていかなければならぬ。だとすると、もはや市町村の手に余る問題であって、県、主体的には国が思い切った投資をしなければどうにもならないんじゃないか。そしてある意味では三全総の模範的な一つの定住圏構想というものを筑豊につくっていく以外に産炭地は生きる道はないのではないか、こういう感じがいたします。そういう意味において産炭地の問題を地域社会の構造的な問題としてとらえ、もはや特別会計がどうのこうのということじゃなくてもっと進んだ積極的な問題として取り組んでいかなければならぬのだ、こう思っておるのですが、いかがかということであります。 それからこの問題につきましては、ちょうど福岡の副知事さんが来ておりますから山崎副知事さんに、県としてこういう三全総の中において筑豊をどういうふうに位置づけていくのか、あるいは現に石炭を生産しておる有明地域、こういうものをどういうふうに開発していくのか。山崎さん、キャップで取り組んでおるようでありますけれども、ひとつ決意のほどを明らかにしていただきたい、こう思うのです。 第二の点はいろいろ議論されたのでありますけれども、きのう私は福岡県の方から「石炭及び石油対策特別会計の財源確保について」という要望書をいただきました。拝見いたしますと、「基本的な課題」として「石炭、石油の二勘定が設けられた際の関税収入配分を尊重して予算を定めること。」こうなっておるのです。「十二分の十」だと言っているのですが、「十二分の十」なんという形骸は、現在影も形もないわけなんですよ。現に五十三年度の予算要求というのは二千八百九十九億円の予算要求に対して石炭勘定には十二分の五・六しかないわけですよ。十二分の十どころじゃなくて、十二分の六もなくて、六をすでに割っておるわけですね。にもかかわらず「十二分の十」ということを現実にあるかのごとくこういう文章を書くことは産炭地域の問題というものについてやや認識を誤らせる原因になるのではないかという気がいたします。私は、先ほど磯部教授のおっしゃった、頭の中の考えとしては石炭政策というものは見直していかなければいかぬ、積極的にやるためにはこれに特別会計のすべてをつぎ込んで、こういう現在産炭地の振興という後ろ向きのやつは切り離したらどうかという意見、歴史的な意味からいきますと、これはやはりどうしても特別会計で守っていかなければならぬ、石炭見直し、そしてこれからのいろいろな技術開発、こういう問題についてこそ国が積極的にエネルギー対策の重要な一貫として思い切った研究投資も含めたものに取り組んでいく必要がある、こう思うのです。 そういう点に関連いたしまして、長い間御苦労されました伊木先生のお話を聞きまして、私も率直に言って六十年まで四千億円の投資が必要だ、それでは足らぬ、こう言っておりますけれども、いまの研究体制では、アメリカ式のやり方がいいのか、日本式のやり方がいいのかということについて先生自体がまだ決着は持っておらぬということになりますと、とてもじゃないが間に合わないんじゃないか。もっと積極的な日本独自の開発方式でこの技術開発あるいはサンシャイン計画に取り組んでいかなければならぬのじゃないか、こういう気がいたします。こういう点について伊木先生の御所見をいただければ幸いだ、こう思っております。 それから、最後に職組の鈴木さんにお尋ねしたいのでありますが、いつも言われることでありますけれども、石炭の位置づけ、これが重要でございますが、磯部先生は五億トンだ、いや十億トンだ、もちろん前提条件が違いますよ、違いますけれども十億トンあるんだ、こういうことであります。私も十億トンといままで信じ切っておりました。もちろん、これからやらなければならない問題が多々あるわけでございますけれども、そういう位置づけということは、石油と石炭についての原資の配分を見ても、十二分の十から一気にもはや半分以下に下がってきているという、国の政策の中においても石炭問題の位意づけは、口ではどう言おうと現実には予算上下がってきておるわけでありますが、やはり石炭政策、エネルギー政策をどういうふうに進めていくのか、これから十年後にどうやっていくのか、五年後にどうやっていくのか、二〇〇〇年になったらどうするのかという石炭政策の位置づけというものをエネルギー政策の中でぱちんとしてそれに取り組んでいく以外にない、それがまさしく今日の石炭の課題だ。石油がいまのところ自由ということでありますけれども、これはどうなるかわからぬわけでありますから、唯一の国内資源である石炭、そして、いま世界の各国でも石炭ならわりあいに手に入る条件があると私は思うのですよ。ですから、エネルギーの一つの大きな柱として石炭で行くんだ、ここまで決意をすべきではないかと思う。石油に七〇とか七五などというエネルギーを頼らないで、石炭で行くんだという大きな基本的な政策転換をしていくことが、真の意味における石炭の位置づけ、こういうことになると思うのですが、ひとつ鈴木さんのお考えをお聞きしたいと思います。 以上です。
○岡田委員長 それでは参考人の皆さんに御答弁をいただきます。 細谷氏の質問、答弁は三時十分まででございますので、まことに申しわけないのでございますが、簡潔にひとつ御答弁をいただきたいと思います。 まず最初に、笹生参考人から御答弁をいただきたいと思います。
○笹生参考人 では、お答えをいたしますが、ただいま細谷先生が、産炭地振興の問題を広域的な視点からとらえて思い切った施策を打つべきであるというように伺いましたが、私も全くその意見に同感であります。 特に私は、産振地域計画という問題に限定をいたしますと、石特会計以外に、ほぼそれが産炭地域に投ぜられている以外に各省の投資というものが相当ございますし、むしろその辺を抱え込んだ形で今後前向きな発展計画を考えるべきだというふうに思っております。そういった意味からしますと、先生御指摘のように、たとえば筑豊地域については、ああいった廃墟をどう立ち直らせるかという意味合いで、一つのモデル地域として国が積極的な手を打つべき意味合いはきわめて現実的なものだと思いますし、またそのほか、たとえば北海道石狩などでは、現在石炭を生産をしているという意味合いで、エネルギー新産業都市というふうな形での構想も当然打ち出すべきであろうというふうに思っております。 そういった点から見て、各省との連携をどうするかということがきわめてかぎになってくると思いますけれども、たとえば私、別なところで関係をしておりますけれども、電源立地がきわめて難航しているという意味合いからこの夏、電源立地推進連絡会議というのを問題地域の各地に設けて、それなりにかなりの成果を上げております。そういった例から見ますと、そういったモデル地区には各省の責任ある者が共通の問題として取り組むそういった現地協議会というのが当然つくられてしかるべきだと思いますし、それからたとえば地域公団等では、御案内のように産炭地域の部署とそれから工業再配置、それから地方都市という三つの機能がそれぞれの形でなされておりますけれども、たとえば磐城地区のようにこの三つの機能を統合するという試みがなされておりますが、筑豊であるとか石狩というのは単に産炭地という枠組みでなくて、公団はこの三つの機能を統合した形で一つの現地機関を設定して事業の実施に総合的に当たるというふうな体制が十分考えられてしかるべきであろうというふうに考えております。 以上です。
○山崎参考人 三全総との関連において筑豊及び三池地区の開発をどういうふうに考えていくかという、県の担当者としての決意をというお話でございます。 筑豊につきましてはすでに筑豊生活圏、県内の四つのうちの一つの生活圏を設定いたしましてやっておるわけでございますが、三全総の定住圏構想のまさにモデルケースという意味におきまして、福岡と北九州をつなぐ生活圏を、新しい企業を立地いたしまして、また鉱害復旧、離職対策等のこの産炭地振興の対策も強力に進めることによりまして、三全総で考えられている定住圏のモデルとして建設をしていきたい、こう思っております。 それからまた三池・大牟田地区につきましては、全国の石炭の約三割を産出する三池を抱えておるわけでございますし、石炭産業の中心として、また住工分離あるいは港湾整備等の事業を積極的にやってまいりまして、大牟田地区の再開発を強力に進めていくという考えでございます。よろしくお願いいたします。
○伊木参考人 けさほど石炭の利用につきまして、昭和六十年までに四千億円は見込まれているのだというふうに申し上げたわけでございますが、もちろんそれにつきまして、まだいろいろな問題が出てくると思いますので、あるいはそれがふえるかということも考えられると思います。 予算は予算として、アメリカや何かと比較してみた場合に、日本は基礎研究から始めて入っていく、それに対してアメリカの方はむしろかなり実用化試験の方から入っていっているというふうに申し上げたわけでございますが、これに対してどちらがいいかは私自身わからないと申し上げたわけでございますけれども、日本としては従来からのやはり習慣がございますので、基礎研究から入っていくべき、だというふうに私は考えております。 それから、それじゃ一体石炭を今後どういうふうに利用するか、また利用するにはどうしたらいいかということでございますが、これは全体のエネルギーの需要の面から考えて、将来やはり石炭が本当にエネルギーとして重要なものであるということであれば、いまのうちからある産業——産業と言って特定にしぼってもまずいかもしれませんけれども、石炭で十分間に合うというところに対しては石炭を使わせるという政策が必要なのではないか。いま黙っておけば、当然使いやすい石油にかわっていく、またかわっていくというか、石油から石炭にかわるということは考えられませんので、やはりそこに強力な政策が必要じゃないかというふうに考えます。 以上でございます。
○鈴木参考人 結論から申し上げますと、全く先生御指摘のとおり、だと思います。 四十九年の石油ショック以来、石炭見直しとかなんとか言われておりますが、関係者だけの間のような形で、本当に国民的な合意がなされているかということになりますと、私は疑問なしとしない、こう思っております。ですから、ただいま伊木先生おっしゃいましたように、こことここはどうしても石炭を使うのだということで、強力な政策の指導がなければならないのではないかというふうに考えております。 それから、細いことになりますが、先生が、原重油関税の十二分の十がずっと下がって半分以下になってきたと言われたことでございます。これは私なりに理解しておりますが、これはあくまでも概算要求の段階でございますので、今後の折衝によって、関係御当局のなにによりまして、相当大幅なものに上がるのではないかと期待しております。 それからもう一つ、埋蔵量のお話だったと思いますが、五億トンと十億トンの問題でございます。これは先ほど申し上げましたとおり、磯部先生のは、現有炭鉱の経済炭量ということだろうと思います。私は、日本の国内全般を見ましたところの経済炭量というふうに理解しております。
○岡田委員長 ありがとうございました。 ちょっと速記をとめてください。 〔速記中止〕
○岡田委員長 速記を初めて。 それでは、野村光男君。
○野村委員 私の農水の質問の関係で、質問順位に御配慮いただきまして、委員長に厚くお礼申し上げます。 それでは、私の持ち時間が三十分でございまして、いまお聞きしますと、北海道三上副知事さんは三時半という御予定のようでございますので、最初に三上副知事の方に二、三点御質問いたしたいと思います。 先ほど、北海道の抱える石炭産業に対する市町村の悩み、実態等、御意見を御開陳いただきまして、私も産炭地の地域から出ております一人といたしまして、感を新たにしたわけでございますが、幸い、きょうは協会の有吉会長さんもいらっしゃいますし、そういう点の中からぜひこの機会に、北海道として抱えている問題で、副知事の御意見を聞きたいと思います。 まず一つには、産炭地域の振興対策の問題でございますけれども、この公団によりまして、大幅な地域の整備というものを通しながら団地造成というものが非常に進んでおりますけれども、この問題は先般も石特で取り上げたわけでございますが、全国的に、この振興公団におきますところの土地造成というものがなされてきておりまして、全国的には八〇%ないし九〇%ぐらいこの分譲がすでにできている。こういうように非常に効果が上がっておるようでございますけれども、いかんせん北海道が、全国的な状態から見ますと、わずか五〇%ぐらいしか分譲が進んでいない。しかも最近の不況の波を受けまして、遅々として進まない中にも、ようやく配備された企業が倒産なり、または閉鎖なりをして定着をしない、こういう状況にあるわけでございますけれども、この問題に対して、単に道なり市町村の立場だけで、これが今後満度に分譲なり企業の誘致ができるかということについては、非常に至難な問題があると思うのでございますが、これらに対する対応策なり、または現況なりをお聞きしたいと思います。 第二点に、閉山後の土地利用の問題でございますけれども、産炭地域の市町村に参りますと、閉山後の非常に広大な土地があるんだけれども、悲しいかな、それが全部社有地でございまして、市町村の行政の中で何とかしてこれを利用させていただきたい、それがいま言ったような事情で不可能である、こういう悩みを市町村が抱えているわけでございますが、こういうものについての協会側に対しての御希望とかそういうものがあれば、この際、ぜひ意見をお聞きいたしたい。 第三番目には、環境の整備でございますけれども、これもこの前問題にしたわけですけれども、閉山後の廃屋、これが北海道あたり、全道でいまだにどれぐらいあるのでしょうか。正式に調べたことはございませんけれども、推定で四、五千戸ぐらいの廃屋が、閉山後まだそのまま山に建ち残っておる。これが地域の環境というものに非常に悪影響を及ぼしている。こういう状態に対して、これは当然、私も後ほど会長に御質問しようと思っている課題でありますけれども、北海道の担当として、これに関する対策なり御希望なり、こういうものがございましたら、この際、意見の開陳をいただきたい。 この三点をお伺いいたしたいと思います。
○三上参考人 お答えをいたします。 まず第一点の産炭地の振興でございますが、先ほども申し上げましたように、北海道の産炭地は山間僻地にそのほとんどが存在をしているというふうなことで、立地条件が非常に思うございまして、石炭にかわるべき各種の産業を振興するということにも、いろいろな条件が非常に障害になっているわけでございます。しかし、企業誘致ということは非常に大きな問題でございますので、現在、地振公団あるいはは市町村において造成中、計画中のものを含めて約千八百ヘクタールあるわけでございますが、これらの中で、地振公団がすでに造成を済ませた団地の分譲率は、先ほど野村委員から御指摘のございましたように、全国八〇%というのに対して、北海道はわずか五〇%にすぎない。これは、このような団地造成事業が他の地域に比較をしておくれたというふうなこともございましょう。しかし、それよりも、やはりこの立地条件というものが非常に劣るということに主たる原因があるものと考えているわけでございます。道といたしましては、この産炭地域につきいろいろな助成をする、あるいは道自体も誘致活動をするということで努力をいたしておりますけれども、しかしこういう情勢の中で、地方団体だけの努力では、とうてい産炭地における企業誘致というものは実効を上げることができないというふうに考えているわけでございまして、国の強力な措置というものをぜひ要請をしたいというふうに考えております。したがって、基盤整備を積極的に進めますとともに、今後、工配法の中で、ぜひ特別誘導地域のようなものを設置していただきまして、北海道の産炭地域に企業が立地する場合の助成措置というものを計画的にお考えをいただく、あるいはまた、進出企業に対する長期、低利の融資制度を創設するなど、北海道の産炭地域の不利性を十分カバーできるような実効ある対策をぜひ国にお願いしたい、このように考えている次第でございまして、諸先生の特段の御協力をお願い申し上げたいと存ずる次第でございます。 それから第二点目の閉山後の土地利用の問題でございますが、確かに、北海道の炭鉱の閉山をした後、社有地になっている、あるいは国有林の敷地になっているというところが多いわけでございまして、現状においては、これらを農耕地その他に利用するにいたしましても、いろいろな障害があって市町村の計画どおりいっておらないというのが実態でございます。野村先生も御案内のとおり、現在、北海道は新発展計画をつくりまして、これに基づいて二十の広域生活圏で、さらに土地利用計画を含めた個々の計画をつくることになっておりますので、その過程で個々の市町村の土地利用に関する要望等も取りまとめまして、企業あるいは国有林等に対してこの活用をぜひ訴えていきたい、このように考えている次第でございます。 それから、環境整備の問題で、廃屋がございました。これまで炭鉱が閉山になると地域社会そのものが完全にゴーストタウン化してしまうという例も決して少なくないわけでございますが、それらの跡地に廃屋が残ってまことに不気味な存在になっているという地区が相当あるわけでございます。 道といたしましては、これらの廃屋その他の整理はできるだけ企業に実施をしてもらうということにいたしておるわけでございますけれども、中にはせっかく立て坑をつくって間もなく閉山をしてしまって、そのまま残っているとか、あるいは病院を新しくしたけれども、翌年閉山をして病院の建物がそのまま残っているとか、いろいろなものがございます。道として、閉山事後措置の貸付金制度というものをこれまでつくっておりまして、市町村がそのような閉山地区の整理をするためにいろいろな資金が必要な場合には、長期、低利の資金を貸付をするということにいたして、市町村の力でできるだけのことはやっておるわけでございますけれども、ただやはり基本的にはこれらの跡地の整理というものは企業自体の責任において行うべき問題だというふうに考えているわけでございまして、今後とも個々の企業と市町村との間にそのような問題があれば、私どもとしてもぜひ調整していくというふうなことは考えていきたいと思っておりますが、いまのところは道のそういう貸付金制度によって市町村ができるだけの跡地整理をしているというのが実態でございます。
○岡田委員長 三上参考人の御退席の関係がございますので、この際、岡田利春君に御質疑を願います。
○岡田(利)委員 いま野村委員から北海道の産炭地振興について御質問があったわけですが、北海道全体を考えてみますと、北海道の石炭産業の安定、閉山跡地の再開発、これが両々相またなければ、北海道の産炭地振興とは言えないと私は思うわけです。幸い、特に石炭需要の面では苫東が石炭火力が着工した、半年ぐらいずれて、五十四年末からは石炭の搬入が行われる、こういう意味で、空知炭田のいわば内陸発電所と相まった需要の安定に一歩大きく前進をする、こういう体制ができたことを私は非常に喜んでおるわけです。 しかし、また一方、釧路の開発並びに天北の開発という問題が先ほどから述べられ、副知事もこれに賛意を表されておるわけです。問題は、これをどう具体的に進めるかということでありますが、釧路の場合には、やはり何と言っても需要先の火力発電所をつくらなければならない。これは天北と共通しておるのは、ローカロリーなるがゆえに現地に火力発電所を持たずして両地域の開発はできないということは、きわめて常識であろうと思うわけです。 そういう意味で考えますと、天北の場合には開発、もちろんそれをめぐるいろいろな困難な問題がありますけれども、それを受け入れる火力発電所の設置、需要の喚起、こういう視点で進めなければなりませんし、釧路の場合には、これは特に漁業、NOX問題、そして運炭、土地、灰捨て、三つのポイントが三位一体の地点に火力発電所を設ける、そういう視点で進めなければならないと思うわけです。最近、北電当局も大分これに対して積極的な姿勢を示しつつあると私は理解をいたしておるわけですが、しかし、二百海里時代を迎えて、河川、海の調整という問題は、北海道の場合にきわめて象徴的な重要課題であります。こう考えますと、もちろんこれは北電側の理解も必要ですが、地元あるいはまた地元市町村関係者、そして道、そして北電、あるいはこれに通産省、さらに関係周辺の整備があれば北海道開発局、こういう一体の体制でこれを急速に問題解決の方向で取り上げて進めなければならない重要課題ではないか、こう私は考えるわけです。そういう点で、これはいずれも、釧路火力については五十年代にすべて解決しておかなければならない課題でしょうし、天北についても五十年代中に完全な見通しを立てなければ他の開発と競合問題が起きる、こう私は理解をいたしておるわけです。こういう点について副知事の所見を承っておきたいと思います。
○三上参考人 釧路火発に関連する御指摘でございますが、北海道の電源立地はこれまで計画より相当おくれておりまして、現在、電力需給というものは非常に逼迫しておるというのは、岡田委員も御存じのとおりでございます。 それで、現在すでに地点の決定をしております地区の立地を促進すると同時に、あわせて道南、留萌、道東等の火発を検討しなければならない事情に至っております。 一方、新鉱開発のためにも、いま御指摘もございましたように、釧路西部及び天北については当然、電源立地との絡みで検討されなければならない課題だというふうに考えているわけでございまして、北電におきましても、すでに道東地域に現在の太平洋炭礦あるいは釧路西部の新鉱開発、さらには輸入炭の絡み等で真剣に現在、道東火発の設置を検討いたしておる段階でございます。したがいまして、私どもといたしましても、いま先生からも御指摘のございました北海道の石炭需要の喚起という点と、あわせて北海道の電力需給の逼迫を解消する、こういう二つの面から、できるだけ早く釧路火発は建設さるべきであろうというふうに考えているわけでございます。地元調整その他いろいろな事情もございますけれども、そういう点を踏まえながら、近い将来に道東火発が具体的な問題として議題に上ってくるのではないかというふうに私は考えております。
○岡田委員長 それでは、先に御退席の笠生、三上両参考人に対しましてごあいさつ申し上げます。 きょうは大変貴重な御意見を御開陳いただきまして、大変ありがとうございます。一言ではございますが、厚くお礼を申し上げます。 —————————————
○岡田委員長 それでは、質疑を続行いたします。野村光雄君。
○野村委員 それでは、最初に協会の有吉会長さんに、いまのことに関連しましてちょっとお尋ねしたいと思うのです。 〔委員長退席、岡田(利)委員長代理着席〕 先般、私は九州の方に調査に参りましたときに会長さんにもお会いいたしておりまして、九州の方では閉山後のボタ山、赤水対策、こういうものが非常に大きな課題になっておりました。北海道では、会長さんも御存じのとおり、九州と違いまして、各市町村にいずれもまだ一ないし二の企業が残っております。そういう中での閉山の悩み、これは先ほども三上副知事の方から意見がございましたとおり、閉山後の土地利用という問題に対して、市町村が非常に便利がよくて公営住宅でも建てたいとか、または公共的な、学校を建設したいとか、こういうように、非常に平たんでしかも便利のいい町の中心部に土地がたくさんあいているのですけれども、悲しいかな、どこへ行ってもほとんど社有地でございまして、こういうものが、財政的な問題も当然でございますけれども、これが最大のネックになっておりますけれども、思うように会社との話し合いがつかなくて、活用させてもらえない。こういう悩みを抱えているわけですけれども、こういうような問題に対しましては、具体的にもっと前向きに市町村の自治体と話し合いしながら、閉山後の使わなくなった社有地は有効に活用するような方向は考えていらっしゃらないのかどうなのか、この点をひとつお聞きをいたしたいと思います。 それから、先ほどの廃屋の問題でございますけれども、これはもう筆舌に尽くしがたいような環境的に不適当な状態になっておりまして、先ほども三上副知事からお話がございましたとおり、当然これは会社自体、企業自体で後始末はするべきなわけですけれども、依然としてこれがなされないまま、北海道内だけでも四、五千の廃屋がそのままいずれにしてもまだ残っている、こういう現況にございます。これらに対する企業側としての今後の対策、こういうものについてお伺いをいたしたいと思います。 それから第三点目にお伺いいたしたいのは、先ほど来二千万トン確保に対しての現況というものを御拝聴させていただきましたが、いずれにいたしましても、二千万トン確保というものに対しては、労働者団体の側の方の意見からしますと、労働者側は二千万トン確保は断じてわれわれの力で掘るのだという熱意が先ほど述べられておりましたけれども、企業側はどうも二千万トン確保に対する熱意というものが若干欠如しているのではないか、こんな感覚で先ほどの御意見を聞いておったわけでございますが、これに対する見通しと熱意のほどをもう一回お伺いいたしたいと思います。 なお、二千万トンを達成するためには、先ほど来問題になっております新鉱の開発でありますとか、閉山鉱の再開発でありますとか、隣接鉱区の再開発でありますとか、こういうものが当然必要になってくると思うのですが、いまの会社の経過の御発表を聞いておりますと、いずれにしても採算がとれていない、こういう中で、新鉱開発、隣接鉱区の開発、閉山鉱の再開発というものがそう簡単に、安易にできない悩みにぶつかっているのではないか。確かに新鉱開発は必要なんだと言いながらも、しかし、会社自体としてはもうできない。どの程度の基本的な政府の援助があれば手がけられるのか、金額的に明確でなくても、基本的な考え、新鉱開発なり、隣接鉱区の開発なり、石炭が出るまでの間のことは全部国でやってくれれば、あとは全部できるのだ、こういうのか、その点を忌憚なくお伺いをいたしたい。 それから、磯部先生にちょっとお伺いいたしたいと思いますけれども、先生の御意見を先ほど聞いておりまして、日本の石炭産業というものが、ほかの国から比較して非常に劣悪な条件下で掘っているのだ、こういう点に対しまして、私も非常に勉強をさしていただきました。そういう悪条件の中、世間の風当たりが非常に強い中で、災害が起きたらマスコミなどにたたかれる、そういう苦しい条件の中で炭鉱の当事者が採炭を余儀なくされているのだ、こういう御意見をお聞きいたしました。この中にもそういう意味のことが述べられておりまして、拝見さしてもらったわけです。保安問題の中で、端的に申しますと、「採掘ずみによる閉山等の社会環境下で、時々起る炭鉱災害に対しての与論の風当りは強い。炭鉱の当事者は世間の風当りのはげしさを意識しながら対処してゆかなければならない情勢下にある。」まあごもっともの状態なんでございますが、私は、そういう中でむしろ災害の未然防止、こういうものに対してもっともっと——確かにそういう悪環境、風当たりの強い中ではあるけれども、私も北海道第四区で産炭地におります関係上、何回か災害が起きるたびに飛んでいくわけでございますけれども、行くたびに言われることは、もう二度と再びこういうことを起こさないように十分対処していきますという、同じ繰り返し、同じ事故を何回となくやっています。そういう点をもう少し科学的に、未然防止というものは金さえかければもっとできるのか、こういう問題に対して、いや、やっているけれども、もうこれ以上未然防止といってみたって手の打ちようがない、こういう状況なのか、金に糸目さえつけなければ未然防止はもっともっと可能なのか、こういう点に対して、専門家の立場で御意見ございましたら、ぜひひとつお教えいただきたい、こういうことで御質問いたすわけでございます。 それから、可採炭に対しまして先生五億トン、こういう評価をされております。われわれ素人から考えてこの五億トンを云々する資格は全くないわけでございますけれども、ただ、われわれがいろいろな学者なり資料からあれしますと、わが国の推定埋蔵炭量が二百億トン、そのうち可採埋蔵炭量が約十億トン、これは今後の技術開発に伴って、十億トンをさらに超すこともできるのだというふうに素人ながらに聞いておるわけでございますが、先生のおっしゃるのは、現在の技術において可能なのは五億トンで、技術の開発さえ進んでいくならば十億トン、さらに十億トンを超えて可能なのか、この点を専門の先生の立場でぜひお教えいただきたい、こういうふうに思うのでございます。 それからもう一つは、先生が先ほどおっしゃっておりましたとおり、われわれも委員会でよく言うのですけれども、絶対に二千万トン確保ということで政府が果たして取り組んでおるかということに対しては、私たちちょっと疑問を持っておるわけです。ただ、その中で、二千万トン確保するには、先生のおっしゃっておりますとおり、たとえて言えば、ここに「旧住友奔別炭鉱区域の再開発」でありますとか、「天北及び釧路西部の新規開発」「現有炭鉱周辺の開発」こういうことが書いてあります。しかし、先ほど来の有吉石炭協会会長さんの報告をいろいろ聞いておりますと、いまでさえも赤字なんだ、こういう中で、われわれとしては、一企業だけにこれは任せられる問題ではないし、また採算ベースが合わないものは企業だってできないのだ、そういうことからするならば、半官半民ということになるかもしれませんけれども、むしろ公団または公社方式、こういうことによらざる以外ないのじゃないか、こういうような考えを私ども持っておるわけですけれども、先生は先ほど国鉄の例を挙げまして、それには余り賛成できないのだ、こういう意見でございますが、じゃ一体どういう方法がいいのか、こういう問題に対して御意見がございましたらぜひお伺いをしたいと思います。 最後に、伊木先生にお尋ねをいたしたいわけでございますけれども、先生の御担当技術開発面でございまして、いま、国産エネルギーというものが見直しの時代を迎えておりますが、労働者にとっても日本の石炭業界にとりましても、最大の問題は技術開発がどこまでできるかということとあわせて、それに伴って日本の石炭産業の位置づけ、使命、こういうものが新たに位置づけされてくると思うのでございます。そういう面から申しまして、技術の開発というものに対しましては、先生もおっしゃるとおり、金に糸目をつけず、この開発にはむしろ国としても力を入れるべきだ、こういう基本的な考えをわれわれ持っておるわけでございますが、そういう点、先生の御意見を聞いておりますと、諸外国から比較いたしますと、技術の開発のあり方に対しては、基礎研究に対しては他国に劣らない研究をなされているけれども、応用と実用化に対しては、非常にこれは研究資金といい、研究のあり方といい、様式等にも非常に他国から見ておくれている、こういう御意見のようでございますけれども、そういうことに対して今後の石炭の技術開発の将来の展望というものは、金さえかければ他国と比較して劣らないだけの、日本としても技術の開発即他国でやっている応用と実用化の域に達する見通しがあるのかないのか、この辺をお教えいただきたいと思います。 以上であります。
○有吉参考人 第一の問題でございますけれども、これはお答えにならないかもしれませんが、私の会社では北海道で閉山しましたのは美唄だけでございまして、これは幸いに跡地を自衛隊の方で買っていただきましたものですから、跡地の利用、それから関連いたします社宅、廃屋の片づけ等大体できております。どうもほかの会社の北海道閉山後の状況というようなものにつきまして、私も詳しく存じておりませんので、御趣旨はひとつ協会におきましてみんなに伝えまして、ぜひ協力をするようにいたしたいと思っております。 〔岡田(利)委員、長代理退席、委員長着席〕 ただ、一般的に考えまして、そういった公共施設とか学校とかいったそういう申し出に対しまして、企業側がそういったものに対しては大体皆協力はしてきておると思うのでございますけれども、何かいろいろ事情もあるんじゃなかろうかと思います。 それから、廃屋の問題につきましても、これはまあ当然企業が片づけなきゃならぬ問題だと思うのでございますが、これもちょっと北海道と九州では違うのかもしれませんが、私どもの会社で田川地区の炭鉱を閉山したのですが、その田川には四、五千戸の家屋がまだあるのでございますけれども、これは恐らく北海道の逆かもしれません。そのたくさんのもとの従業員以外の地域の人たちが無断で入り込んでいるわけです。それで、もうそれの始末が非常に困っておるのでございますけれども、幸い田川市当局とも相談いたしまして、もう現に入っている者を何とかしなければならないわけでございますので、市営の四階建てぐらいのアパートをつくりまして、そしてとにかく何カ年かの計画でそれにひとつ収容していく、そして、跡地につきましても、何といいますか勝手ななにじゃなしにそういう市営の住宅を集約をいたしまして、そこに集中して残った土地を、これをひとつ有効になにしていくということで計画を進めておるわけでございます。お伺いしますと北海道の場合には、だれも住んでなくても荒れっ放しになっておるというような、そういうことじゃないかと思うのでありますが、私の想像でございますが、その中にやはり一部は元従業員あたりが住んでおりまして、何かと問題もあるのじゃなかろうかというように推察するわけでございます。協会でも社長会を開きまして事情をよく御報告を申し上げ、御協力を申し上げるようにひとつ相談をしたい、こういうふうに考えております。 それから、二千万トンの確保の問題でございますが、私ども経営側としましても熱意がないわけではございませんで、やはり二千万トンの維持というのが石炭政策の大きな一つの柱でございます。ただ、五十万トンショートしたから、五十万トンをオーバーしたからどうという、そういう問題では私はない、こういうふうに認識をしておるわけでございまして、やはりまず第一に、現在の炭鉱そのものが保安を確保しながら最大限の合理化を図って出炭をキープしていくということが、これがやはり第一でございまして、ただそのためには、さっきも申しましたように、深部移行に伴ういろいろな問題の解決と、それから基本的には掘進技術というものを飛躍的に向上させるということがやはり根本になる、私はこう思っております。ただ、結合関係は非常に熱心にそういう意図を表明されて協力をしていただいておるので、大変感謝しているわけでございますが、私どもはどうやって生産を維持していくかというそういう具体的な裏づけをもって何とかこの二千万トンというものはキープしたい、こういうことを申し上げた次第でございます。ただ、長い目で見ますと、やはりどうしてもこれは新しいものと置きかえていくという、そういうことが必要でございますので、おっしゃいますように、新鉱開発とか隣接鉱区、閉山炭鉱の再開発とか、こういうようなことを私はやはり真剣に検討すべきである、こういうふうに考えております。 ただ、新鉱開発につきましては、これは地元との問題の解決とかあるいは需要家さんとの十分なコンセンサスが必要でございますのと、それから企業経営という立場に立ちますと、新鉱開発というものは非常に割高につくのでございます。オイルショック後の開発費と申しますのは、トン当たり約三万五千円くらいかかるのでありまして、私ども九州の有明炭鉱というのを日鉄鉱業さんから譲り受けまして開発を始めましたのはちょうどオイルショックにぶつかった後でございますけれども、百万トンの山をつくりますのに三百八十億くらいかかったわけでございます。それで、昔、オイルショック以前は、せいぜいそれがトン当たり五千円から一万円、そういうようなオーダーでできているわけでございます。 それで、じゃどのくらい何が違うかと申しますと、金利、償却だけで新鉱というものは大体五、六千円違うと私は思うのです。五、六千円も違ったら一体成り立つのかといいますと、これは決定的にノーです。そういう一つの問題を控えているわけでございまして、だからそういうときに、やはりそういうものを一つ確保しまして、それをどこでどう吸収していくか、こういうことが一つの大きな、地元との合意とか需要家との話し合いのほかに、もう一つやはりそういう問題を含んでおるのじゃなかろうか、こう存じます。
○磯部参考人 お答えいたします。 まず第一点の災害の未然防止、これについての科学的防止法があるかどうかという御質問でございます。科学的防止法といいましても、防止するという立場から考えますのには、これは災害の本質というものを徹底的に究明しなければいけないということがございます。ところが、従来行われてきた災害に関しまして、大きな災害になりますと関係者のほとんどが死亡しております。それで、その後、水を入れたりあるいは密閉をしたり、密閉をしたためにとうとう内部には入っていけないというような点もございまして、大変データに不足をしております。したがいまして、災害の真の原因が何であったかということは推定しかできないわけでございます。こういう点を今後考えますと、これはまことにとっぴなことでございますけれども、ちょうど飛行機に積んであるフライトレコーダーのようなものを坑内各所に置いておきまして、たとえ関係者が全員死亡しても、それをあけることによってはっきりしたデータが得られるというようなものを開発して、それによって今後の対策を立てるということになれば、いまよりもすぐれた未然防止の対策が立てられていくのではなかろうかと思う。 それからもう一つは、現在いろいろ炭鉱で計測をやっております。それによって保安的な対処をしております。しかし、その計測はまだ、非常に幼稚と言ったらなんですが、点で測定しているという段階で、空間的、時間的広がりを持っておりません。これを空間的、時間的広がりの中においてとらえて、しかもそのデータを適当なプログラムによって解析をする、言うならばコンピューターと連動のもとにおいて速やかに現場にフィードバックしてやるというような対策が今後望まれるのではないかと思います。しかし、それで災害を完全にゼロにすることができるかというと、これは私は自信がありません。ただし、災害はいまよりもはるかに減るであろうというふうには思えるわけでございます。これが第一点でございます。 第二点の可採炭量ということでございますが、私が申し上げました可採炭量というのは、現在、炭鉱で確認されている、最もメリットのあると考えられる炭量でございます。と申しますのは、現在、炭鉱は非常に大きな累積赤字を抱えて苦しんでおります。そのためには、まず速戦即決の仕事をしてこれを解消していかなければいけない、しかる後に長期展望に立たなければいけないだろう。常に長期展望を持ちながら速戦即決の仕事もできなければ、炭鉱の経営者でも技術屋でもないというふうに考えております。 そういう意味で五億トン、二十五年というのはかなり長期の炭量である。しかも、その間に石炭にかわるエネルギーの開発もかなり進んでいくだろう。そういうことを思えばこの五億トンこそ大事にして、そうして徹底的に掘り上げる技術を開発しなければいけない。いままで目の前に見ていた炭量でさえ、いろいろな災害で捨て去ってきたのはたくさんあります。これがないように、少なくとも五億トンを掘れば二十五年は確実に掘れるのだ、二十五年以降のものに対しては長期展望に立って坑道掘進を展開し、毎年毎年可採炭量の増加をねらっていくのが炭鉱企業の一つの使命だ、こういうふうに考えているわけでございます。 第三点目の、新鉱開発その他生産量増強のための企業形態というものに関しましては、三つに分けて考えたいと私は思います。 第一の既存炭鉱、現有炭鉱区域の周辺の開発、この問題に関しては、その近接炭鉱で最も合理的に開発できるという現在企業が行うべきである。 二番目の奔別炭鉱周辺の開発、これは現在、北炭の幌内鉱がありますが、北炭が企業主体になる云々というのは別といたしまして、幌内と奔別とを一つにして、そうしてその関係において開発すべきである。これは企業主体はどんなものであるかというと、私企業であろうと、あるいは公営企業であるとしても一つのものでなければいけない。鉱区境界線というものはそのときには撤廃するべきであろうというのがその二つ目でございます。 それから、純然たる新鉱開発につきましては、やはり鉱区境界線を撤廃して、その地域に対して一社設けて、それによって開発すべきである。これらは、第六次石炭政策の表現のように、ある意味で第三セクター方式が望ましいというふうに考えております。 以上でございます。
○伊木参考人 私に課せられた問題は、一つは技術開発と石炭産業の位置づけということでございますが、技術開発が進めば当然、石炭産業の地位がエネルギーの中で高く上がってくると思います。また一方、エネルギーの中で石炭産業の位置づけを高く見れば、それだけ技術開発も進んでいくと思います。 まず、技術開発の中で採掘関係のことを申し上げますと、これはきょう私がお話しした中には入っておりませんけれども、御質問がありましたのでつけ加えさせていただきますと、採掘関係の方では確かに日本の技術は進んでいると言われております。しかし、現実の問題として、能率等から言うと必ずしも欧米諸国にすぐれているとは限りません。これは、一つは、自然条件が非常に違いまして、そのためにわが国の採掘技術は非常に優秀であると言われながら、能率的には上がらないというのが実情ではないかと思います。 それで、技術開発と石炭産業の位置づけの問題でございますが、いま申し上げたように採掘ばかりではございませんで、石炭をいかに利用するかということにかかってくるかと思います。その点につきましては、先ほども申し上げましたとおりに、わが国の石炭に対する研究というのは、一つは、エネルギー革命以来一般に顧みられなくなったというのが実情ではないかと思います。しかし、石炭の見直しということが言われるようになりましてから、日本の研究のやり方としては、やはり基礎研究に主体を置いてやっておりますので、基礎研究においては決して劣るとは思っておりません。ことに環境対策技術につきましては、SOXとかばいじん、それから排水処理について、すでに各国にも見られない厳しい環境規制のもとに実用化されているわけでございます。またNOXの技術につきましても、これは諸外国が日本の規制よりも緩いということがありますので、日本の方が基礎的に進んできているという感じは持っております。まだ実用化という段階には至っておりませんけれども、近く実用化されるというふうに考えられます。 そのほか、わが国としては、やはり基礎的な問題として石炭化学の基礎研究、特に組織学の研究分野につきましてはかなり外国より進んでいるのではないか、製鉄用のコークスの製造技術につきましても世界に対して誇り得るものがあるのではないかと思っております。 また一方、こういういろいろな利用技術を実用化するための大きな装置を考えるというような、いわゆるエンジニアリング技術と申しますか、そういう点についてはほかの国に比べておくれているというようなことも見られるかと思います。今日では、わが国のプラントメーカーなどが石炭以外の分野で進められたいろいろな技術をもとにして石炭に対する協力が得られるようになりましたので、今後の研究開発に参加、結集されて、エンジニアリング技術というものも発達してくるのではないかと思います。 最後のところで、それでは金さえあれば技術開発が進むのかという御指摘でございますが、金がなければいろいろな研究ができないことは申すまでもございません。そうかといって、ただ金さえつければできるというものではございませんで、やはりある段階を踏みながら適正な予算があって初めて優秀な研究者が集められ、またそれによって初めて技術が得られるのだというふうに考えております。 以上でございます。
○岡田委員長 ありがとうございました。 それでは、岡田利春君。
○岡田(利)委員 大変長い時間恐縮であります。もうしばらくでありますので、よろしくお願いをいたしたいと思います。 初めに磯部参考人にお伺いしたいと思うのですが、述べられた意見については大体私も理解ができるわけであります。一言で日本の炭鉱の現状はどうかといいますと、若い地層条件の中で条件はきわめて悪い。比較論という場合にはいろいろ比較の仕方がありますけれども、日本の炭鉱の場合には大体西欧諸国の炭鉱と比較をするというのが常識的であり、通例であろうかと思います。そうしますと、災害率から見てもヨーロッパより高いし、労働密度や強度から見てもヨーロッパより非常に高い、しかし能率は今日ヨーロッパ並みである、むしろ高いところも出ている。これがいまの日本の炭鉱の実態でありますから、そういう認識ではこれだけの条件の中でよくやっているし、よく働いている。労働者の場合でも拘束八時間半とか業種によっては九時間という労働をいたしておるわけですから、そういう認識が当然、石炭関係者の中では素直に理解できるのではないか、こういうふうに実は現状認識を私は持っているわけです。同時にまた、いまの日本の炭鉱の体制というものはどういう体制か、私企業とかなんとか、いろいろ意見が出るわけですが、かつて二十年代の石炭国管時代とは違いますけれども、少なくともそれよりも緩やかではあるけれども、いまの日本の炭鉱は国家管理民営体制だ、私はこう言い切ることができると思うわけです。それは今日の石炭をめぐる立法、その内容を検討すればそういう理解に私は一致できるのではないか、こう思うのですが、こういう認識についてはどう思われるか。この中から今後の政策の発想というものが出ていく基本にならなければならないだろうと私は思うのです。 そういう意味で考えますと、磯部先生が言われるように、確かに何といってもこれからの石炭採掘というのは、既存の炭鉱があって、最終採掘可能フィールドを決めて、どこの鉱区であろうとそこの資源というものを大事に掘り尽くす、そして働く人間を大切にする、これが一番経済的かつ合理的な方針であり、これが基本であると言うことができるだろうと思うし、同時にまた二千万トン体制というのはわれわれが決意をした体制でありますから、これを維持するという意味で、いま当面話題になっている、少なくとも先生が指摘された新鉱の開発、この部面だけは後の露頭炭の開発と相あわせて断固として行うべきではないのか。そしてここで特に問題なのは、技術者と技能労働力をわれわれはどう確保していくか、労働問題の重要さを特に忘れてはならないし、磯部先生の供述の中にもこの問題が若干欠落しているのじゃないか、こう私は実は受けとめておるわけであります。もしこれから日本の炭鉱が崩壊するとすれば保安問題もあるでしょうし、労働力の確保ができないという面、そういう面からむしろ崩壊する可能性が強いのではないか、私はこういう総括的な理解をしておりますので、こういう認識について、特に先生の述べられた大綱も大体こういう受けとめ方で一致するのではないかというのが私の意見でありますけれども、御意見をいただきたいと思います。 第二点の問題は深部化という問題であります。先ほど有吉会長からも今日、五百五十メートルマイナスである、こう述べられました。だが一般常識的に言えば、たとえば西ドイツのシャフト方式で言えば三百メートル前後は浅部で、六百メートル前後は中心部で大体千メートル前後が深部、こういう一般的な表現は常識ではないかと思うわけです。ただ、先ほど言ったように、日本の場合は新生第三紀層という若い層で、条件が違いますし、また炭化作用の進んだ過程も違いますから、そういう意味では中心部であっても深部と同じような現象があらわれるということがあるんだろうと思うのです。しかし、六百メートルから七百メートル、六百メートル前後が深部だというならば、千メートルなんというのはとんでもないなんという話が出てくるわけであります。 そういう意味で、われわれはこの深部という面についてもう一度定義のし直しをする必要もあるのじゃないか。ただ問題は六百メートルであろうと千メートルであろうと、あらわれてくる現象はその炭鉱の形成によって違いがある、こういう面で考えなければ、これからの石炭政策を進める場合に、もういまは大変な深部なんだという認識に立つとするならばやめた方がいいのではないかということにもなりかねないではないかという心配があるのですが、そういう点についていかがでしょうか。 そうして第三点目に、いまそういう観点に立って二千万トン体制の中軸をなす現存炭鉱を考えてみる場合に、先生も海底炭鉱の問題に触れられていますけれども、一千万トンが海底炭鉱で八百万トンが陸地である。しかもそれは空知炭田だけなんですね。きわめて明瞭に区分されるわけです。そうすると三池炭鉱以外はなかなか人工島もつくられない。そうしてそこに賦存されている炭量を最も大事に採掘するとするならば、当然陸地と違った形で、新しい坑内展開についていまから準備をしなければならない、そういう意味での政策が考えられなければならないのではないかという点が政策上の視点になるのではないかと私は思うわけであります。 そうしてもう一つは、内陸炭鉱の場合には傾斜が非常に変化がございますから、いまたとえば赤平のごとき、急傾斜の採炭の機械化という問題に取り組んでいます。これもいままでの制度と同じ制度の中でやっておるわけでありますけれども、このことは特に最大重要視されなければなりませんから、ある程度余裕を持って急傾斜機械化採炭というものが推進でき得る政策、このことに大きな重点をかけていくべきだと思うのですが、これらについて磯部先生の御所見を承りたいと思います。 伊木先生には、いままで石炭利用技術というものは、石炭政策を進めて以来いろいろなことを手がけてきた歴史があります。もちろん戦後においても、あるいはまた石炭政策下でも、タール化学の問題についても手をつけてみたり、大量消費の活性剤、あるいはまた汚泥処理に関する微粉炭の活用とか、成形コークス炭、あるいはボタ山のボタ利用のセラミックス、あるいはまた電力企業が解決できなかったものをむしろ石炭の民間会社が排煙脱硫を実用化した、三池でこれが行われたわけでありますけれども、そういう成果も上がっている。あるいはコロイダルの関係では、すでに塗料、粘着剤でも、事実きわめて小さいわけですけれども、一部実用化、そういうところまで進んできておるわけですから、これらの基礎の上に進められているの、だろうと思うのです。 しかし私は、拙速的かもしれませんけれども、この開発計画を見ますと、結局は短期、中期、長期、こういう視点に分けて計画が組まれ、そうして今後これが研究の進みぐあい、あるいはまた予算の措置の仕方によってこの実行計画がどう進むかということになっているの、だろうと私は思います。そして最も短期的なものは人造粘結剤へその次に位置するのが石炭、油の混合燃料、いわゆるコロイダル燃料の問題、そうして排煙脱硝装置、それから石炭灰の有効利用、微粉炭の有効利用、そうして石炭を利用した下排水処理とスラッジ炭の熱利用、大体これらの点が挙げられるわけです。 私はやはりそういう意味で、今日実用化できるものになお注意を払うという視点も大事じゃないかと思います。大体これらの計画は、この年度で今後予算さえつけば、技術的には、いま研究の基礎的なデータからいえばこれは実行できると先生はお考えになっているかどうか。こういう意味で見ますと、たとえばコロイダル燃料の場合には一時間三十トンの燃料をつくるというプラントの計画がありますから、火力発電所七万五千キロワットに相当するものである。そうしますと、この開発というものは、五十九年には大体七万五千キロワットのコロイダル燃料の火力発電所の建設が完了できる、こういう一つの目標、目安にもなるように私は思えるわけですけれども——コロイダルはまだ早いですね、五十六年ですね。そうすると、五十六年以降直ちに実用化できる、こういう理解ができるわけですが、そういう理解でよろしいかどうかという点についてお教え願えれば幸いだ、かように思います。 次に、有吉参考人にお伺いいたしたい点は、来年度の石炭政策のポイントは何か、すでに協会は協会でも検討されておるだろうと思うのですけれども、いままでの経続的な石炭政策をより前進をさせるということが基本であることはもちろんでございまして、特に来年度は需給のバランスをどうとるか。先般質問の場合でも、今年度九十万トン繰り越しになって、そして来年度末には百五、六十万トン程度の一般炭の繰り越しになる。原料炭はさておいて、そういう需給見通しにある状況は、十分御承知かと思います。この点についてもわれわれは対策を進めなければならぬということで、せっかく検討しておるのですが、なかなかぴたっとしたものが出てまいっていないというのが現状でありますけれども、この需給の問題が非常に重要である。そして今後の炭価形成が、炭価の引き上げの問題がどうなっていくか、こういう点が来年度の当面の石炭対策として重要な課題ではないか、こう私は理解をしているわけです。そしてそこに、いま再再建を労使で協議をし続けている北炭問題をどう処理していくか、こういう課題が来年度の石炭の課題である、こう思いますけれども、課題のの認識について、またこれらの点についての協会の御意見があれば、ぜひ伺っておきたい、かように思うわけであります。 同時にまた、新鉱開発について御意見がありましたけれども、もちろん磯部先生が述べられておるように、そうたくさんのプロジェクトがあるわけではないのであります。したがって、もちろん一般炭の新鉱開発というのは従来に例のないことであります。ましてそういう意味で炭価が安うございますから、従来の政策では、これはとうてい開発はできないということも明らかであります。そういう、少なくとも二千万トン体制を維持をするという意味では、先ほど七社、こう言われましたけれども、今日では六社だ、こういう認識を私は実はいたしておるわけです。そういう意味で、新鉱開発については、石炭企業の連帯、その地域条件において、もちろんメーンになるものを決めなければならぬでありましょう。そういう決意をも含めて、その場合には対処をするという準備がおありかどうか。もちろんそれには政策の見合いでありますけれども、こういう政策がある場合には、これは可能であるのかないのか、こういう点について伺いたいと思います。 次に、里谷参考人に対しては、いま私が来年の石炭の課題を述べましたけれども、特に北炭の再再建問題は、北炭の労使ではとうてい、できるという見方を私はしていないわけです。もちろん労使が話し合って、その再建の一応の方向を出さなければならぬでありましょう。しかしいまこの中で石炭企業が、北炭企業の問題を含んで、北炭の再建問題に全体が取り組むかと言えば、大きな疑問を感ぜざるを得ません。しかし一方労働者の立場で考えると、労働者の連帯感という意味で考えるならば、北炭の枠を越えて炭労なら炭労全体として、北炭の問題は、今日の政策展望の中でどうあらねばならないか、こういう方向をやはりきちっと打ち出していくことが、いろいろ困難はあるけれども、いろいろ問題はあるけれども、労働者を守る道ではないか、こういう点について、きょう御意見を承っておきたいと思うのであります。 それから、岡参考人にひとつお伺いしておきますけれども、先ほどいろいろ政策視点について述べられました。特に、出身が松島炭鉱でありますから、そういう意味でああいう離れた小さな小島である、水も一トン二百円程度かかる、コストが百七十円を占める、こういうところでの出身でもありますので、私は特に、海底炭鉱が一千万トンも担当しているのだという理解に立った場合に、先ほど若干私の意見も述べましたけれども、来年度以降、特に政策の視点としていま一番大事なもの、これが一番重要な決め手だというのは、たとえば七割のものが実質四割になっているとか、これがびしっと七割にいけば来年どうするか、再来年どうするかという最も短期的な政策として何が一番重要と思われますか、この点についてお伺いをいたしたいと思います。 最後に斉藤参考人にお聞きするわけですが、いま日本の炭鉱というのは、三井が三山、三菱が二山、北炭は五山、こう言うわけです。空知を入れて五山という体制で一番多いのであります。そうしてあとは住友、太平洋、松島が一山ずつだ、合計十三山くらいになるのですか、そういう状況にあるわけですね。ところが北海道では、炭鉱は全部一市町村一炭鉱という状況で、夕張だけが二企業、そうして数山の炭鉱があるという点では夕張以外にもはやそういうところはないわけですね。そうして先ほど述べられたように、環境の問題からいろいろ悩みを述べられておるわけです。しかも三菱の南大夕張、そうして北炭新鉱というのは新鉱開発計画の最も新しい山ですから、いわば最後まで残るという、ライフが長いという炭鉱でもあるわけです。企業がどうなろうと、この炭鉱は新政策の新鉱開発で進めてきた炭鉱でありますから、炭鉱は当然残るでしょう。残さなければならぬでしょう。そういう基本的な立場に立った場合に、夕張の町づくりはどうあらねばならないか、それにはやはり市あるいはまた議会関係者、それからそれぞれ企業の労使、そういう意味で、もうこの辺で思い切った方向性を夕張の場合には打ち出さなければ、いろいろ言われても、われわれの受けとめ方としては、まだそういう研究、努力、協力、理解が足りないではないかという感じを持たざるを得ないわけであります。そうしていまの制度、たとえば大量住宅難というのは、住宅政策が来年も強まるわけですから、これを消化できないという面もあるわけですから、こういうものを消化をしていくということになれば、環境整備も相当進むのではないかと私は思うので、この点についてどういうお考えを持っていられるか、ちょっと長くなりましたけれども、以上御説明をお願い申し上げたいと思います。
○岡田委員長 それでは御答弁を願います。 まず、磯部参考人から御意見を伺います。
○磯部参考人 お答え申し上げます。 お聞きの点は一応五点と考えております。第一点は、国営、国管、民営ということについて、第二点は新鉱開発その他について労働問題をどう考えるか、第三点は深部化という、深部というのはどういうことを意味するか、第四点は海底炭鉱のあり方についてどういった技術的な考え方があるか、それから第五点は急傾斜の採炭法、以上五点と考えます。 第一点につきまして申し上げますと、現在、石特会計の予算というのは約千億ございます。それに対して生産量が二千万トンということになりましても、トン当たり数千円の国費が投下されております。これは石炭の価格から言えば恐らく三分の一をオーバーする価格になっております。つまり国は三分の一ぐらいの株主みたいなものだというふうに思ってもよろしいのじゃないか。その点から言えばただいまの岡田先生の御意見に賛同いたします。 それから第二点でございます。労働問題というのは非常に大切な問題でございます。別に避けて通ったわけでございませんが、この中にはいわゆる社会環境、それから保安問題、この両者が絡み合っているわけでございます。その点で実は内容的にその問題を含めてございます。そういう意で、労働問題は決してないがしろにしたわけではなくて、むしろ今後、非常に大きな問題として立ち上がってくるし、現在もあるものと考えております。 それから第三点の深部化の問題でございますが、これは普通深部の問題と言いますと、大きな問題は、盤圧と、それからもう一つは温度でございます。それで日本の場合は地下増温率というのは非常に高くて、大体百メートルに対して約三度、それに対してやはり空気の圧縮熱が加わりますので、百メートル下がるごとに約四度ずつ温度が上がってまいります。こういった温度が三十度。人間の耐え得る限度というのは三十度くらいと考えておりますので、そのくらいの通気温度になったらすでに深部であるということが第一点。それから盤圧の問題は、これは圧力そのものというよりもむしろ盤圧の持っているエネルギーでございます。このエネルギーは岩盤が斉一であれば深度の二乗に比例して増大していく。ですから百メートル下がったからその延長で百メートル分というのでなくて、もっと非常に大きなものになります。ただし、岩盤が非常に丈夫だとかいうことになりますと、そのエネルギーはわりあいに少ない。そういうことで深度と岩盤の強度、この両者において深部独特の問題が起こる。たとえば山はねが起こるとかあるいは坑道がもち切らないほど非常にいたむというような問題が起こったときに深部と考えられます。この深度は平均いたしますと六百メートル以深、そのぐらいの山が多いわけでございます。場合によってはもっと深くてもそういう条件のないところもございますけれども、一応その辺で、六百メートルぐらいが中程度ということでございますが、地表から六百メートル以深、この辺ぐらいが一応深部というふうに見て大方のコンセンサスがあるのでなかろうか、こう考えております。 それから第四点目の海底炭鉱ですが、海底炭鉱の若返りは、先ほどむずかしいと言いましたけれども、全然手がないわけではございません。それこそ非常に大きなトンネルを掘りまして、そして通気とか運搬を改善すればもちろん若返りは策せます。ただし、そういった大坑道を掘るときのコスト、それからそれに消費するエネルギー、こういうものと現有炭量とを評価し合ってどちらが得か損かという投資限度を考えないと、その投資に追われて結局海底炭鉱はその償却にたえられない、過剰投資になる可能性がございます。その辺は常に炭鉱というのは、残存炭量に対してのバリエーション、評価、それを繰り返しながら考えていかなければならない、これは海底に限らず陸上でも同じでございます。そういった意味で海底炭鉱では大きな基幹坑道を掘れば陸上からでも若返りは可能であるということだけ申し上げておきます。 最後の点でございますが、急傾斜採炭法でございますが、これはもう御指摘のように非常に急傾斜が多いので、それから現在急傾斜なるがゆえに掘ってないというところもございまして、これは大変大きな問題と考えております。急傾斜の採掘法というのはまだ確立されたものを持っておりませんが、これは私個人の考えでございますが、要するに急傾斜というのは、現在、採掘面に支柱がある、それが機械化を阻んでおります。それで採掘面の支柱を取り払うような採炭法、それは斜めの卸向き採炭法でなかろうか。その場合に採掘跡から落ちてくる、北海道ではズリ、九州ではボタと言いますが、そのボタ抑えを確実にできる自走枠が開発されたならばこの急傾斜採炭法というのはある意味で一つの解決案を見出すのでなかろうか、こういうふうに個人的に考えております。 以上でございます。
○伊木参考人 ただいまの岡田先生の御質問は、石炭鉱業審議会技術部会で出しました「石炭利用技術の促進について」という中に今後の重点開発課題の「開発計画」というのがございますが、それが予定どおりいくのかということだというふうに理解いたしましたのでお答えいたしますが、それには、この課題を選定しました経緯をちょっと御説明しませんとわからないかと思います。 まず一つは石炭の利用拡大、特に一般炭の大量利用を促進するためには、環境対策に対応して、さらに再資源化あるいは未利用石炭資源の利用などの要請を満たす石炭の新しい利用体系を確立する必要があるというふうに判断したわけでございます。 第二には、そのためこれらの観点から開発効果が大きくてかつ石炭の大量利用が期待できる技術について、四つの目標に沿って重点課題を選定したわけでございます。一つは石炭を直接固体のまま発電などに利用する技術でございます。それから二番目には石炭と油とを混合して流体化するなど加工して輸送ハンドリングの解消などを図れる技術、それから三番目には石炭をガス化、液化によって転換し、クリーンエネルギー化して石油の代替燃料として利用する技術、四番目には石炭灰及び石炭が持つ性質を利用して新規需要分野を開拓できる再資源化の技術ということでございます。 これらの課題を選定いたしました経緯についてちょっと申し上げますと、石炭鉱業審議会の技術部会のワーキンググループとして今年三月に石炭の利用技術開発推進懇談会というのを組織いたしまして、以降約五カ月かけまして石炭業界、鉄鋼、それから電力などユーザー、研究機関、それからメーカーなど幅広く関係機関の研究開発と利用の可能性の実態を調査検討した結果、こういった課題について選定されたものでございます。そのうちで石炭利用技術のうちで最も重要であろうという課題を取りまとめたものでございます。 これらの研究開発が予定どおり進むかというのは、これはそのときの各関係者の御意見をもとに立てましたので、その当時それぞれのお考えが必ずしも一致していないかと思います。しかしこれを集約して考えますとこういうような計画になりますので、技術部会としてはこういう計画でおおよそ達せられるというふうに考えてはおります。しかし先ほどもちょっと申し上げましたように、根本は、石炭を使用しなければならないのか、また逆に言いまして石油を使ってはならない分野というものをはっきりさせれば、それに応じてそれぞれまた進み方が違ってくると思います。そうして石炭で不足するような部分を石油で賄うというような政策なりがもし打ち出されれば、それぞれの進み方がまた変わってきますし、時期も繰り上げられたりするものもありましょうし、また物によってはそこから外されるというものも出てくるかと思いますが、そういう考えでこういう予定を立ててみたわけでございます。 以上でございます。
○有吉参考人 石炭業界と申しますか、来年の最大の問題点は御指摘のとおりでございまして、何と申しましても第一は石特会計の財源の維持、こういうことでございます。今度の原重油関税の百十円の増加分というのは、これは来年いっぱいですよ、こういうことになっておりますし、再来年以降の財源をどうめどをつけていくか、これがやはり一番の根本であると思っております。 それから二番目の需給のバランスでございますが、これは御指摘のように今年度末におきまして百五十万トンぐらいの貯炭になるのじゃないか、こう思っております。場合によりますと、それに原料炭も貯炭がふえるのじゃなかろうか。製鉄の方のヤードがいっぱいになっておりますし、そういうことを非常に心配をいたしております。一番大きいのは三池でございまして、それから釧路炭、そのほかの諸社一般、住友さんあたりにつきましても、やはり貯炭の増加というのを心配されておるわけでございます。これは一つは暖房用炭の需要が減っていったというような問題もございます。それから三池炭につきましては、サルファというものが非常に問題になってまいりまして、どうしても混炭割合をふやさなければならない。そうすると、三池炭プロパーの使用量が減る、こういうふうなことでございまして、三池においてはすでに百万トン見当の貯炭がたまっているというようなかっこうでございます。それで、いまのところこれは五十三年、四年と持ち越しまして、五十五年の火力発電所の稼働にまつしかないというのが実際だろうと思うのであります。その意味で、北海道の苫東、釧路火力、それから電発さんの松島火力が一日も早くと申しますか、順調に進捗をいたしますことを私どもはもう心から待望しておるわけでございまして、その問も何とか二百億近くなります金をつないでいかなければならぬ。その金利だけでも非常な負担になるわけでございまして、市中金融は相当緩んでおるとは申しましても、なかなかそう多量の金融というのは非常に困難もございますし、市中でございますと金利負担も非常に高いわけでございますから、何とかこれは二年か二年半くらいだと思うのでございます。その間の経営改善資金の運用をもう少し広げていきますとか、経営改善資金の事業団の借り入れの枠をふやすとか、そういうことを私どもとしてはお願いをしたい、こういうふうに考えておる次第でございます。 それから三番目に、来年度の炭価の問題でございますが、冒頭に申し上げましたように三ヵ年にわたりまして大幅の炭価アップというものを需要家さんにお願いしたわけです。三年前に一千七百五十円の赤字でございましたものが、現在では四、五百円の赤字になっておる、こういうふうに申し上げたのでございますが、大体需要家さんにおきましては最初の三年間でベイラインに持っていくという需要家の責任はこれで終わったんだ、これがもう需要家の考えでございまして、だから来年以降は積み残し分を云々という話は、これは通用しませんよというのが、もうすでに今回の値上げのときに言われておる実態でございます。それからなお、先ほどもちょっと申しましたように、原料炭のごときは円高の影響もありますけれども、現時点においては同じような豪州弱粘との間に七千円の違いがあるのです。国内炭が七千円高い。さらに来年度、鉄の原料炭、外国炭の商談につきましては、恐らくエスカレーター条項でも、もうやめてくれというような提案を鉄側はするのではないかと思うのです。こういう状況下に国内炭はコスト補償をしてくれ、こういう話を持ち出さなければならぬわけでございまして、非常に予断を許さない状況にある、こういうふうに考えておるわけであります。したがいまして、ここに組合のなにもおられますが、私は常々言っておりますのは、石炭政策だからかかったものだけはとにかく何とかしてもらうんだ、こういう姿勢では、これは世間に通らないのでありまして、やはり石炭も一生懸命やっているし、石炭の要求もほどほどである、こういうふうな理解と協力を得られるような、そういう石炭産業における姿勢がやはり必要である、こういうふうに私は考えておるわけでございます。 ただ、私どもとしまして、積み残しはともかくとしまして、何とか、間もなく期末手当、来年のベースアップ、こういう問題がありますが、その辺をさっき申しましたような理解を得られるような線にひとつなにいたしまして、そしてせめてコストアップ分だけは、積み残しというのは、これはなかなかとても言うべくして不可能ではないかと思うのでありますが、その分だけでもせめてひとつ考えてもらいたい、こういうことを最低線として交渉を進めていきたい、こういうふうに考えている次第でございます。 それから、この北炭さんの問題でございますが、これは個別企業の問題でございますし、私どもはとやかくなんでございますけれども、希望いたしたいのは、ぜひ労使、力を合わせて再建に取り組んでいただく、それがまずすべての前提でなかろうか、こういう気がいたします。それと新鉱の出炭を一日も早く五千トンの軌道に乗せてもらうということ、この二つが根本でなかろうか。これを待望いたしておるわけでございます。 ただ、先ほどからもちょっと申し上げましたように、オイルショック後の新鉱開発というのは非常なハンディキャップでございますので、この辺はやはり北炭さんとしては大変な、大きな負担、御苦労ではなかろうか、こういうふうに考えている次第でございます。 それから新鉱開発に関する問題でございますが、この新鉱開発がどういう条件下にあるかについては先ほども申し上げましたので重ねて申し上げませんが、この数社共同してやるというような気持ちがあるだろうか、こういうことでございますが、釧路、世知原とかこういうところは別にいたしまして、最も可能性の強い天北等につきましてはあの地区に数社が鉱区を持っておるわけでございまして、これを一緒にして開発しなければ話にならない地域でございますし、私どもといたしましては、関係の各社と共同してこれに対処していく、こういう考え方を持っております。 以上でございます。
○岡田委員長 時間が若干超えておりますので、申しわけございませんが、ひとつ簡単にお進めいただきたいと思います。
○里谷参考人 岡田先生の御指摘のとおりでございます。若干経緯を申し上げますと、昨年の十月、労使協定がございまして、これは幌内再建、新炭鉱の五千トン出炭、労働賃金を他社より下回る、こういう大まかな内容を基礎にして決定をいたしました。その後、政府あるいは鉱業審議会の経営部会その他の御意見を賜りまして、労使協定のものを手直しをしながら進行してまいったのでございます。これは一昨年の十月協定でございます。 今年の五月になりまして、新二鉱の閉山、あるいは新清水沢の東部開発、あるいは病院存置、化成工業所存置ということで新たに再協定をいたしまして推進をいたしてまいりました。七月ごろになりまして会社の提起がございまして、この再建を見直さなければならぬ、そういう提起がございます。中身についてはまだ具体的に提案がございませんが、この見直し問題が十二月の初旬に労使協議会を開催をするという前提で提案になる、こういうように私どもいま現状を踏まえている次第でございます。 私どもの基本的な態度としては、幌内再開についても、政策存置のために、石炭政策のためにも幌内を再建しようという熱意でがんばってまいりましたし、これから提起されるであろう北炭問題についても、石炭政策と十分な絡みの中で解決をしなければならないだろう、こういう判断をいたしているのでございます。 以下、三点申し上げたいと思いますが、当然、幌内問題は大災害による問題でございますので、北炭の全炭鉱保安確保、災害皆無、これを大前提にして取り組んでいかなければならないだろう、これが基本でございます。 その第一は、生産体制の確保の問題であります。私どもいま生産協議をしているわけでありますが、新炭鉱の五千トン体制、平均化いたしまして四千百トンから四千二百トン程度の体制でございますが、ぜひとも五千トン体制を実現したい。なお、幌内は来年になりますけれども、四千五百トンの体制にしたい。真谷地炭鉱は千六百十トン以上の体制を持続する。清水沢の東部開発の問題が提起されるだろうという前提に立っていますが、現状千三百四十トン程度の生産をいたしております。合計いたしまして日産一万二千トンの体制をわれわれも努力をしてぜひ実現をしていきたい。これが第一点であります。 第二点は、資金面でございまして、昨年北炭問題が出されましたときには、累積長期赤字が一千十億程度のものでございましたが、最近の非公式な発表によりますと、千百七十二億にも及ぶという現状になっております。この理由は、幌内の災害復旧はできましたが、生産費をどう捻出するか、あるいは新炭鉱の減産がどういうように影響したのかということが主因だとは思いますが、これらの主因を抱えながら北炭再建の問題については資金の調達をどのようにめどをつけなければならぬのか、ここに焦点があると思います。したがって、市中銀行あるいは政府に対する要望も具体的になってくるでありましょうし、炭労も会社提起を受けた場合には、これらの資金調達についてどういう対策を進めていくのか、ここに最大の焦点があろうと思います。 しかしながら、現実には、たとえば市中銀行にせよ、あるいは政府資金の融資、補助にいたしましても、特例中の特例を確認していただいて援助を賜っているという実情でございますので、ここの現実をどういうように飛び越えていかなければならないのか、ここが北炭の生死を決める問題点であると私どもは判断をいたしています。したがって、特例中の特例の配慮をされながらここの危機を乗り切るわけでありますから、当初、北炭を解散するという問題提起もあったやに聞いておりますし、十二月の初旬にはそのこともまた提起をされるのではないかと思っておりますが、冒頭申し上げましたように、北炭存置は政策存置であるという前提に立って、私どもも会社提起を受けて具体的な要求を作成いたしまして各関係の御理解を得る、こういうふうに思っておる次第でございます。 この中で、体制問題にこだわるようでありますが、現存炭鉱が置かれているいろいろの条件がございます。正式にではございませんが、非公式にいろいろ言われている各炭鉱の実情等を考えれば、問題によっては一気に体制問題についての御論議を願う必要があるのではないか、このようにも判断をしているところでございます。 三番目は労働対策であります。率直に申し上げまして、労働者はいま歯を食いしばってがんばっております。その中で、新陳代謝という意味も含めまして、微力ではありますが、新しい労働力の確保も実現をしている現況から判断をいたしますと、四社間の労働者の労働条件について格差がございます。したがって、早く格差を撤廃する、あるいは会社資金繰りの状況からいきまして完全な支払いがされていないという御指摘等もございますが、現実でございます。したがって、これらの支払いについて完備する、そして労働力を確保していく。こういう三点についての配慮を願わなければ、労働者が意欲を持って克服していく難問題に対処し得ないのではないかというふうに私は思っております。 しかしながら、これらの問題についてはおのずから限界があろうと思いますが、組合員や家族とよく協議をしながら耐えられる限界を模索し、でき得るならばこういう条件を満たしていただいて、北炭再建に取っ組んでまいりたいと考えている次第でございます。 もちろん、炭労の立場といたしましては、北炭を除く各社に対しても政府資金その他については連帯性を持っていただいて、北炭再建のための内部調整を十分に行っていく所存でございますので、御協力方をお願いをいたしまして、これから提起をされる北炭再建問題の取り組みについて炭労の見解を申し述べた次第でございます。
○岡参考人 先ほど松島出身だということと、松島炭鉱が離島であるために造水関係にトン当たり二百数十円かかるとか、あるいはまた社船経費の問題とかなんとか言われたようでございますが、五十三年度の予算で一番大事なものは何と考えるか、非常にむずかしい問題だと思いますけれども、全体の問題としてとらえて答弁させていただきたいと思います。 先ほど来、二千万トン維持、二千万トン確保と言われておりますけれども、ではその内容はどういう形で確保されておるのかということが問題であろうと思うのです。すなわち、先ほどから二千百七十万トンの規模があったならば二千万トンの維持ができるとかいうような論議がございましたが、現実においては背伸びがなされておるのではないかということも言えるわけでございます。 と申しますのは、たとえば三池は四山、三川、有明、三山ございます。これは労働時間の協定は八時間でございます。ところが生産協定に基づく就労時間というのは八時間三十分、これでたとえば三川の本層の東十一片払いをとりますと、そこまでの距離が一万七百三十メートル、この往復時間が百八十二分、そして就労するために三十分の昼食をとって、交代で休む、そうやって二百九十八分の実労働時間を確保しておる。あるいはまた松島をとりますと、池島の三昇り下層三号払い、これは五千百四十メートルの地点でございますけれども、時差入坑をやっておりますから交代で入るわけですが、往復時間に百四十八分から百九十四分、休憩時間も一時間でなくて四十五分とっておるわけです。それから運搬関係は、ただ八時間あるいは八時間をちょっと超えたくらいの就労時間ではとても炭を運搬できない、こういうことから、九時間十一分の就労時間として、しかも四交代でやっておる。これはそれだけ人員がよけいかかるわけでございます。ところが、これは現状でございまして、これからさらに深部に進んでいくということになってまいりますと、実就労時間はもっと縮まってくる。そうなってくると、さらに労働時間をもう少し延ばしてくれないか、あるいはまた休憩時間を減らしてくれないかというような問題になってくるわけであります。 そこで一番大きな問題というのは、そういうものを改善するためにはどうしても資金が要る。すなわち、これはくれと言うのではなくて、現行助成対策に加うるに長期低利融資をしてもらうことが今後の既存炭鉱での二千万トン体制を維持することでございますし、さらにまた今後の安定出炭にもつながる、このように考えております。
○斉藤参考人 簡単に申し上げたいと思います。 ただいま先生御指摘の問題でございますが、確かに同じ炭鉱都市でございましても、夕張市の場合は複数の炭鉱がございます。いままで炭鉱が閉山いたしまして、確かに振興のためにいろいろ他企業の誘致運動を進めてまいりました。今後もそのことは続けてまいりますが、しかしそういうことをいたしましても、実際、夕張市の場合については産業構造が大きく変化するとは考えられません。特にいま御指摘のように、三菱の南大夕張炭鉱にいたしましても、北炭の新鉱にいたしましてもかなり長い年月を費すものと思います。もちろん石炭というのは有限資源でございますから、いつの日か資源が枯渇するということはあり得ると思います。そういう意味でまいりましても、ここには鹿の谷に新鉱開発をする要素の炭鉱もございまして、私どもはこのことについて進めていきたいと思っております。 なお、先生の基準の趣旨からいけば、これは深部でなくて中部と深部の間ということになるかと思いますけれども、過日、通産の方に聞きますと、深部開発についてはなかなか心配なこともあるので、新鉱の深部開発の状態を見てからというお話もいろいろありました。いずれにいたしましても、そういう技術的な問題もございましょうけれども、私どもとしてはこのことについて進めてまいりたい、このように考えております。 それから住宅の問題についてもお話がございました。先ほども労働力確保の面からとらえて住宅のことについて申し上げましたが、この改良住宅法に基づいてやろうとする場合について、具体的には申し上げませんけれども、やはり幾つかの適確でないということがありまして、改良法の適用がない場合もございました。したがって私どもは、炭鉱の特殊的な条件ということを考えて、でき得るならば、仮称でございますけれども、炭鉱住宅改良法などというようなものをつくっていただいて、実はそういう方面に御援助を願えないかと申し上げて、今日の段階では運動を進めておりますことを御報告いたしたいと思います。
○岡田委員長 それでは、中川秀直君。 十五分の持ち時間でございますので、参考人の皆さん大変申しわけございませんが、ひとつそれをお含みの上でお答えをいただきたいと思います。
○中川(秀)委員 各般の問題が取り上げられていると思いますので、時間がありませんが、いただきました資料を拝見した限りで問題点を二、三しぼりましてお尋ねをさしていただきたいと思います。 その第一は、技術開発についてでございますが、総合エネルギー政策推進のための石炭利用を進めていく大前提は、各般にわたる技術研究開発にあるということは論をまたないと思います。 伊木先生にひとつお伺いをしたいのですが、この石炭鉱業審議会技術部会で取り上げられた重点開発課題十一項目の中で、そうした観点に立って特に緊急を要するもの、あるいは特に重要なものというのは、この十一項目のうちもし差をつけるとするとどういうものになるのか、これをお伺いしたいと存じます。 それから有吉会長にお伺いしたいと思いますが、実用化段階の研究に入っているものも中にはあると思うのでありますけれども、こうした技術研究開発は国の支援もさることながら、ユーザー、石炭企業、プラントメーカー等、一致協力して進めていく必要があると思います。その点いかがお考えでいらっしゃるか、現状と今後の御決意等もお伺いをしたいと存じます。 それから、技術開発に関連をいたしまして、これは伊木先生、有吉会長両方にお伺いをしたいことでございますけれども、この十一項目の中には入っていない問題でございますが、省エネルギーの観点ということ、あるいは今後の総合エネルギー政策というものも関連をいたしまして、炭鉱ガスの有効利用というものも重要と思われますので、その現状なり見通しはどうかということをお尋ねをしたいと存じます。 御案内のように、採炭の深部移行に伴ってガス量が増大し、またガス圧が増加をする、これが今後の大変大きな問題であろうかと思われるわけです。その最も有効な手段としてガス抜きをやっているわけでございますけれども、伺うところによれば、そのガス主成分はメタンガスということはそうですか、採取の方法によれば大体四、五〇%という濃度のものが可能になるというお話だそうであります。このメタンガスは熱源としてあるいは化学工業原料としてきわめて広い応用範囲があるのではないかという気がするのであります。暖厨房ボイラー、発電用助燃、あるいはガスタービン、都市ガスとして、あるいは一方アンモニア、メタノール生産等、現在すでに利用されているもののほかにも、アセチレン、尿素、尿素系樹脂等きわめて広範囲にわたる用途があるのではないかと思われます。 ところが現在この炭鉱ガスがどのように利用されているかということを聞いてみますと、まさに炭鉱の自家発電用あるいは暖房、小規模化学工業というものに使用されて、大半は捨てられているという現状であると聞いております。もっぱら山元での利用に限られているということだそうでありますが、すでにもうこの利用が始まってから各山元では三十年ぐらいの実績があるわけでありますから、供給という点での不安はないような気がするのであります。現状なり見通しなりあるいはは石炭化学工業としてペイするものかどうか、その辺なりの御見解を伊木先生、有吉会長にお伺いをしたいと思います。 第二点は磯部先生にお尋ねをしたいと思いますが、現段階での石炭火力というものは五百十万キロワット、全体の五・五%にしかすぎないと言われております。また、政府の昭和六十年目途の総合エネルギー調査会の策定した目標によりましても、これが九百八十万キロワット、全体の五・〇六%というぐあいにむしろ現状より下がるという見通しになっているように私どもは理解いたしておりますが、こうした目標策定自身について磯部先生の御見解はどうなのか、ひとつお伺いしておきたいと存じます。むしろ原子力発電の目標確保が危ぶまれ、あるいは石油火力についても今後の石油事情を勘案いたしますと、目標確保に疑念が持たれております。そういう中で石炭火力を再び火力発電の準主役に押し上げる必要があると思われるのでありますが、その点の御見解をお伺いいたしたいと存じます。 それに関連をする問題で、第三点目でございますが、つい先日の報道によりますと、これは政府にまずお伺いをすべきだと思われますが、今月二十二日に開かれた日中長期貿易取り決め推進会で、中国の原料炭、一般炭両方についてでありますが、中国炭についての話がなされたようであります。これにつきまして日本側は、原料炭について今後、五年後で五百万トン、一般炭については電発の総裁が年間百万トン程度を引き取る旨の方針を示された、新聞報道にはそのようになっておりますけれども、この中国炭輸入の問題、これはどのような目的に使われるのか私は定かに知りませんが、いずれにしてもその輸入中継基地あるいは輸送手段といったものがきちっとしていないとなかなか簡単ではないと思われます。こうした中国炭輸入の問題について現状がどうなっておって、またその報道が事実であるのかどうか、その辺、政府で把握し得る限りの御答弁をお願いしたいと存じますが、海外炭導入のこうした動きについて、有吉会長、磯部先生、御見解があればお伺いをしたい、このように思うのでございます。 また、さらに一点、時間がありますから追加をさせていただきます。これは本日お越しの三上副知事、山崎副知事にお伺いをしたいと思いますが、笹生先生のこの資料の中にもございますけれども、産炭地域の振興という問題について、国の果たすべき役割りもあるけれども、地元の主体的、自主的努力が不可欠である、あるいはその地域再生自立への構想力、合意形成力が大切であるという項目がございますが、こうした点について産炭地を抱える両県でどのような御努力をなさっておられるのかをお伺いをして、私のお尋ねにしたいと存じます。 以上四点でございます。
○岡田委員長 時間の関係もございますので、大変失礼でございますが、中川君の御質問に続いて中西績介君からも御質問をいただきまして、参考人の皆さんから一緒に御答弁をいただきたいと思います。御了承いただきたいと思います。 それでは、中西績介君。
○中西(績)委員 私は、緊急に質問をする事項ができましたので、十分という短時間で質問を申し上げたいと思いますので、できるだけ簡明にお答えをそれぞれいただきたいと思います。 私が質問申し上げる事項は、十一月十六日午後七時十五分ごろに、福岡県田川郡川崎町で起こりましたボタ山のため池決壊事故についてであります。先ほど田中委員の方からも質問が出ましたけれども、もう少し内容的に、それぞれ担当の参考人の方あるいは政府委員の方からお答えを願いたいと思います。 その内容については、もうここでは時間がございませんので申し上げることを省略をいたします。ただ一つ申し上げなくてはならぬ点は、この事故については、本年に入りまして過去二回出水がございまして、それに対応して町当局は排水のためのみぞ等については整備をいたしておるわけであります。そういう経過がありながら、今回の場合には約二十メートルにわたる決壊、そして二万から三万トンに及ぶ水量、これが流出をいたしたわけです。幸い死者等はありませんでしたけれども、こういう事態が出てまいりますということは大変な問題でありますので、質問を申し上げたいと思います。 まず、先ほどの質問の中で明らかになりましたように、ボタ山の管理者については三井石炭鉱業株式会社であるということはわかりました。それからさらに原因がどこら辺にあるかということに ついてでありますけれども、私の聞き及ぶところでは、水洗炭業者が無登録でもって、その氏名は福西興業、西村照雄という者が四十九年より事業を興し、五十一年十一月に申請をいたしましたけれども、沈でん池等の不備等もありまして不許可になっておるわけです。それに対する行政不服審査請求などがなされておりますけれども、現在、審理中のようであります。 そこでお聞きしますが、この責任の所在であります。これまで水洗炭事業を許してきた——確かに先ほども聞き及ぶところでは、三井石炭鉱業の場合にはいろんな措置をいたしましたけれども、現状では仮処分申請が受けつけられずに本訴で争っておるという状況のようであります。それから無登録業者である、これはもう当然のことでありますけれども、ただ問題は、水洗炭業に関しましては法律的には県がこの許可なり手続等についてはすべてやらなくてはならぬようになっておるわけでありますから、これは新聞等によれば六回にわたる警告をいたしておるようでありますが、これに対する罰則規定なるものがあるわけでありますから、これに対する手だてが不足しておったのではないかと思われます。この点について。 それから、鉱山保安法から言いますならば監督上の措置が手落ちであったのではないかということを指摘できるのではないか、こういうことを考えますので、この点についての答弁をいただきたいと思います。 そして、これはこのままの状態では、また依然としてこの地域だけでも四ないし五カ所にわたってのため池があるわけでありますから、この点を将来どのように措置をしていくのか、これはだれがどのようにするのかお答えいただきたいと思います。しかも、これは決壊流出事故の可能性はあるし、保安上大変危険なものでありますから、この四ないし五ございますいままでの沈でん池に類するため池、これの処置、処理をどこでどうやるのか、この点を明らかにしてほしいと思います。 そして、最後になりますけれども、被害者に対する応急措置と、この被害に対する賠償はどこがどのようにやるのか、そして、その責任は水洗炭業者にあるということになれば、その指導の責任はどこにあるのかということを明らかにしてもらいたいと思います。と申しますのは、被害者の方はもうすでに何回となくこれは予告をしてきた問題でありますし、この点を十分認識した上でお答え願いたいと思います。 時間がございませんので、大変限られた中で簡単に申し上げましたけれども、以上、要約いたしまして五点だけお答え願いたいと思います。
○岡田委員長 大変遅くなりましたけれども、特に御退席を急いでいらっしゃる参考人の方がいらっしゃいますので、御答弁は順序を若干変えまして御答弁をいただきたいと思います。 まず最初に、山崎参考人から御答弁をいただきたいと思います。
○山崎参考人 最初のお尋ねでございますが、石炭産業の撤退に伴います産炭地域の復興につきましては、県、地方公共団体としてどういう措置を講じているかというお話でございます。 この旧産炭地域の振興整備につきましては、県といたしましては、従来の石炭産業にかわります企業の誘致に努めるということと、それからそれを可能にならしめるための産業基盤の整備及びこの地域の生活環境の整備等にあらゆる力を尽くしてやっておるわけでございます。ただ、御承知のようにこの産炭地域の復興の問題は、鉱害復旧あるいは離職者対策等、自治体の限界を越えた問題もたくさんあるわけでございます。したがいまして、今後とも国の財政援助措置等につきまして格段の御配慮をお願いいたしたいと考えるところでございます。 それから水洗炭の関係の御質問でございますが、この水洗炭の問題につきましては従来から当該業者から登録申請が提出をされておりまして、これにつきましては、その施業によって周辺農地の関係者から被害の補償を求める陳情が川崎町を経由して再三申し出がございますということと、それから河川、道路その他公共施設を損傷している事実があるというようなことから登録の拒否をいたしまして、そしてこの事業の執行についてはなお無登録の状態のまま事業を実施しているというような情報もございましたので、できるだけ再三再四にわたりましてこの操業を中止するような勧告の措置を講じてきておったところでございます。 なお、今回の災害が起こりましたことに伴いまして、直ちに水洗炭業審議会を開きまして、文書をもって中止の勧告を出しますとともに、中止に応じない場合には告発する、告発の措置をとるということを決定をいたしておるわけでございます。 今回の災害に対しますところの措置といたしましては、町の行政に要しますところの資金のあっせんにつきましては、県の方で融資をいたしますとともに、特設のプレハブ住宅等については、資材のあっせん及び財源の措置を講ずるという配慮をいたしておるところでございます。また、今後二次災害の防止策につきましては、土地所有者の三井石炭鉱業株式会社と十分相談の上、さらに町当局と協議してその対策には万全を期する考えでございます。
○岡田委員長 それでは、次は、中川君の御質問に参考人伊木先生からお答えを願います。
○伊木参考人 お答えいたします。 御質問は二つあったかと思います。一つは、重点課題のどれが最重点かというお話だったと思うのですが、これを十一選んではございますが、このうちどれが最重点というふうに割り切ることができないわけでございます。それはそれぞれ目的が違っております。しかしながら、互いに研究開発上は関連がある。したがいまして、いまここでどれが最重点というふうには言い切れないかと思いますが、やりやすいものあるいはすでにある程度できているものというようなことでいきますと、多少そのウエートは違ってくるかと思います。 それから、炭鉱ガスの有効利用の面を考えろということでございます。これはもちろんのことでございますが、新しい技術開発というよりは、すでにいろいろと技術開発がされておりますので、これには載っておりません。しかし、現在、炭鉱ガスとしては、全国で昭和五十年度にメタン換算で三億三千万立米のガスが出ておりまして、それのうち約二億五千万立米が山元などで消費されております。山元消費がほとんどで、全体の八九%ぐらいになっているようでございますが、山元消費のうちでも、発電でございます。山元以外では、ガス事業の方に利用されているのが太平洋の釧路炭鉱から釧路ガスに供給されている。南大夕張炭鉱からは、北炭の清水沢炭鉱の山元発電の方に供給されております。 そのほかメタノールのお話が出ましたが、これは昔三菱鉱業の大夕張鉱業所でメタノールの製造をやったわけでございますが、その後天然ガスを原料とする大規模なメタノール工場が出現したために現在は中止になっております。 以上でございます。
○岡田委員長 次は、有吉参考人にお願いいたします。
○有吉参考人 炭鉱坑内のメタンガスの利用は、いま伊木先生のお話に大体尽きておりますので、石炭の利用技術の実用化段階にあるものはどうかとか、あるいはユーザーとの開発の協力状況でございますが、実用化段階には、中短期のものにいたしましてもまだ時間がかかるのでございますけれども、しかしここで御報告のありました分は、遅いものでも昭和六十年ぐらいまでには実用化を実現したい、こういうふうなことでございまして、二、三ちょっとメーカー、ユーザー等との協力状態だけを御報告申し上げます。 まず低カロリーのガス化の試験でございますが、これは先ほどの冒頭の陳述にも申しましたように、私どもの石炭技研でいま五トンプラントをやっておるわけでございまして、これには日立、三菱重工、東芝等のメーカーが人を派遣をいたしまして、私どもの技研の陣容と一緒にこれは研究をやっておるわけであります。石炭の低カロリーガス化というのは、これはコッパースプロジェクトもありまして、これはそうむずかしい問題ではない。わりあいに早く実用化する問題ではないか、こういうふうに思っております。 それから石炭をたきますとNOXが非常に多いということで、いままで石炭はたけない、こういうことであったのでありますが、どうしてもエネルギー全体としてやはり石炭を考えなければならぬということで、いわゆる脱硝問題につきまして、これは私ども石炭技研といたしましても、電発さんと力を合わせましてこれに取り組んでおるわけでございまして、最近におきましては排煙の高温度のまま集じん装置がうまく動かし得る、こういうふうなかっこうになってきておりますので、脱硝装置のライフというものも相当延びてまいりました。発電所の定期修理と合わせ得るような、それに近いのじゃないか、そうなりますと、実用化が近いと、こういうふうに考えております。 それから、石炭を利用いたしまして下排水の処理要するに石炭はカーボンとしての浄水機能を持っておりますので、下排水のろ過、浄水に石炭を使いまして、その使った後の石炭をひとつ発電用に使う、こういったことを考えておりまして、これは同じく石炭技研におきまして大阪府と協力をしていま小さなパイロットプラントがすでにできて動いておる、こういうふうなかっこうになっております。 なお、石炭の液化溶剤抽出法と申しますか、一般にSRCと言われておりますが、これは私どもの会社でいま大牟田にパーデー五トンの試験プラントを建設中でございまして、年内には完成いたしまして、一−三月の間に水試験、油試験をやりまして、四月からは石炭をチャージする、こういうふうな段階に来ておるわけでございます。大体そういうふうなことでございます。 それから中国炭の輸入の問題でございます。これは稲山さんが行かれまして話をするということでございますが、これは私どもの方とも十分連絡をとりまして、国内炭と需給の関係をにらみ合わせた上であの計画というものは一応立てられておるわけでございます。 以上でございますが、中西先生、川崎の問題は先ほど申しましたが、あれでよろしゅうございましょうか。
○中西(績)委員 もうちょっと深く、どうするのか……。
○有吉参考人 原因等につきましてはすでにお話を申し上げましたとおりでございまして、私どもとしては、水洗をやってよろしいというのは、そういう契約をした覚えは全然ない。ズリを家庭用に少し持ち出してたくのは結構です。こういう契約をしておったのに、勝手にため池をつくりまして水洗を始められた。それで地元からも非常な苦情が出てまいりますし、早速管理当局者であります福岡県にも、五十年早々に文書で、これはぜひやめさせてほしい、こういうことをなにしているわけでありますが、これに対してはまだ返事をいただいておりません。自来三年たって、今度の大雨でこういうことになったわけでございまして、私どもは何とかしてほしい、これはやめてもらわなければいけませんので、契約違反ということで地元の裁判所に仮処分の申請をしたのでありますが、これを受け付けてもらえない。したがって、やむを得ず本訴に持ち込みまして、そうしない限りやめさせられない、こういうなにでございますので、いまやっておるわけでございます。非常に迷惑しておるわけでありますが、たまたま今度の大雨でこんなことになってしまいまして非常に残念に思っております。ため池が五つから六つあるようでございまして、今度のやつは一番大きくて、これは周囲二キロくらいの大きな池なんでございまして、それに、水が集中豪雨でたまりましてこういう問題を起こしたのであります。結局どこの負担になるのか、こういう問題はございますけれども、今後の問題といたしまして、とにかくため池を埋めましてもとの姿に一日も早くしなければならぬ、こういうふうに考えております。
○岡田委員長 それでは、次は、参考人の磯部先生。
○磯部参考人 お答え申し上げます。 まず第一に、石炭火力五百十万キロ、それが九百八十万キロになって五・〇六%という御意見でございましたが、長期電源構成目標と申しまして、昭和五十二年八月十九日の電気事業審議会需給部会で出された資料によりますと、五十年度の実績が五百十万キロ、五・一%はよろしいのですが、六十年度は九百八十万キロで五・六%、ゼロが一つなかったと思います。ですから増加しております。これは海外炭を考えております。 関連いたしまして、海外炭の輸入という問題がございましたが、これは現在、海外に開発輸入のために石炭各社並びに商社というようなところが大ぜい出かけていっていろいろやっております。これはかえって混乱を多少招くおそれがあるのじゃないか、むしろ一つ一つの会社に技術的な特徴がある、そういった深層条件と技術特徴をにらみ合わせてみて、区域別に開発させる会社を割り当てる、そうしてそれを国家ベースにおいて交渉を完遂していくというようなやり方が正しいのじゃなかろうか、こう考えております。 以上でございます。
○岡田委員長 次は、原口参考人、大変時間がおくれておりますので、簡単にお願いいたします。
○原口参考人 私は地元の川崎町の議長でございます。 ちょうど出水事故の晩、私、夜二時まで詰めかけておりましたが、その明けの日から東京へ来まして、帰ってまた来まして、実は、あした臨時議会を招集してもらいまして特別委員会をつくる予定にしております。 町の考えは、もちろん応急的なことはやっております。やっておりますが、管理者と申しますか、持ち主である三井さん、この方が、持ち主である責任というのがあるような気がいたします。それから水洗をするのは許可してないけれども、ボタを拾うのを許可しております。そういうふうな関係がございまして、本人の福西興業の西村という男は全く資力がございませんので、もちろん福西さん本人も資金があると思いますが、ございませんので、西村に申しますが、三井さんそれから県も、そう言っては県の方ここにおられて悪うございますが、大分長い年月無許可のままするのを見ておって、特別法的な措置も講じなくて改善命令なんか出しております。それで今日になってやめなければ告発するとか申しておるようでございますが、非常に時間的なあれもございまして、もう少し早くとめてくれたらというようなこともございまして、この三井さんも私は非常に気の毒に思います。とめたけれども聞かぬでやっておるというようなことでございますが、やはり三井さん、それから県、こういうお方に執行部ももちろん話しておりますが、議会でつくった特別委員会もいろいろと御相談に行くようになると思います。 それから、いま三井の社長さんのお話で、穴がまだ三つ、四つございますが、それに対しては埋めてくれるということでございますので、早急にお願いしたいし、ありがたいことであると存じております。 以上でございます。
○岡田委員長 中西君から政府の答弁を求めております。時間がおくれておりますから簡単に御答弁ください。
○菊川説明員 御答弁申し上げます。 ただいま参考人の方々からも一部御回答がございましたけれども、かいつまんで全体の御報告を申し上げます。 本件のボタ山は三井鉱山の所有でございますけれども、事故が発生いたしましたのは、ボタ山それ自体が崩れたということではございませんで、ボタ山とその隣にございます地山の間に水洗炭業者が水洗炭の廃水を沈でんさせるために堤防を築きまして貯水池をつくっておりました。その貯水池の堤防が崩壊したというふうに私どもは報告を受けております。したがいまして、まず無登録で行っておりました水洗炭業者の水洗炭業法の違反の問題が第一義的な問題であろうかと思います。ということで、水洗炭業法につきましては都道府県知事が監督責任を持っているわけでございまして、福岡県では二十二日に水洗炭業審議会を開きまして、この業者に対し操業を停止し、それから被害の再発防止あるいは被害者に対して誠意を持って補償に当たるようという勧告を出しております。 当面の応急対策といたしましては、町当局が災害対策本部を設けて救済に当たっておられるようでございまして、県当局も融資等で援助をするというふうに伺っておりますが、最終的には事故を起こしました業者の補償問題ということになろうかと思います。先ほど申し上げました県当局の勧告の中にも補償については誠意を持って当たるようにという文言が書かれている由でございます。 なお、所有者である三井鉱山の方も、法律的な責任はともかくといたしまして、被害者に対しましては誠意を持って当たられるようお願いいたしたいと思っております。 それからまた、残されております幾つかのため池につきましても、三井鉱山の方も県当局と相談の上、安全対策を講じてまいりたいというふうに聞いておりますので、こうした関係者の方々の努力を見守ってまいりたいというふうに考えております。
○岡田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。 この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。 本日は、御多用中にもかかわらず、長時間にわたり貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚くお礼申し上げます。どうもありがとうございました。 ————◇—————
○岡田委員長 この際、御報告を申し上げます。 本委員会に参考送付されました陳情書は、炭鉱離職者緊急就労対策事業の延長等に関する陳情書一件でございます。念のために御報告申し上げます。 ————◇—————
○岡田委員長 次に、閉会中審査申し出の件についてお諮りいたします。 石炭対策に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。 閉会中審査案件が付託になり、委員派遣を行う必要が生じた場合には、議長に対し、委員派遣の承認申請を行うこととし、派遣委員の人選、派遣地等の手続につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○岡田委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 本日は、これにて散会いたします。 午後五時三十一分散会