社会労働委員会 第4号
- 発言数
- 283 件
- 登壇者
- 31 名
- 会派数
- 5
- 開催日
- 1977/11/22
会議録
○橋本委員長 これより会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田高敏君。
○藤田(高)委員 きょうは、社労の先輩、同僚諸君の御理解をいただきまして、いわば割り込んだ形で、こういう質問の時間を与えていただきましたことに対し敬意を表しながら、以下、質問をさしていただきたいと思います。きょうは主として雇用問題、なかんずく造船関係を中心とする諸問題について幾つかの質問をいたしたいと思います。 まず基本的な問題として、今日の経済不況は円高問題を含めて非常に深刻化いたしております。不況業種と言われておる各産業はもとよりでありますが、今日のこの経済不況を克服するためには、政府の適切な施策よろしきを得なかったならば、雇用不安は非常に増大をするというか破局的な局面を迎えるのじゃないか。これは全般的にも、そういうことは言えるでしょうし、また、地域的に若干のでこぼこはあるにいたしましても、そういう破局的な、極端な言い方をすればパニック的な現象さえ起こり得るんじゃないかと思うのでありますが、雇用情勢全般についての現状と見通し、わけても不況産業の最たるものと言われておる造船業界の雇用情勢について説明を願いたいと思います。
○石田国務大臣 御指摘のように雇用情勢、各種の雇用指標は依然、目立った改善は見られてはおりません。完全失業者の実数とか失業率とかは、よく御承知であろうと思いますので、そういうことは省略いたします。 まず、いわゆる構造不況とか、そういうものを一切合財含めた製造業全体から見ますと、昭和四十九年と五十年を比べますと、一二、三%の鉱工業生産指数あるいは稼働率の減少が見られますが、雇用関係指標は、それに対して六%弱の低下であります。したがって、そこに非常に大きな過剰雇用感が生じておることは事実であります。しかし五十一年になりまして、鉱工業生産指数あるいは稼働率は四十九年の数字をほんの若干でありますが上回った。しかしながら雇用関係の指標は約八%減少しておるわけであります。したがって、全体から見れば過剰雇用感というものは減少しつつあると言えるわけでありますが、しかし、いわゆる構造不況業種においては、これは特別でありまして、依然として深刻な過剰雇用感が存在すると思います。そのうちで円高を除いた部門において雇用されておる総数は約三百六十万ぐらいじゃなかろうかと考えております。ただし、そのうち約百十万はいわゆる流通部門であります。これは主として繊維流通部門でありますが、繊維だけに携わっているというわけではありませんので、これを除外したところが製造業における構造不況業種の雇用総数だと考えておるわけであります。その後、雇用調整は順次行われてきておりますけれども、まだ、これからが問題だ、そう考えておるわけであります。 それから円高の部門で、中小企業庁が七月に調査をいたしました二十二業種につきまして、十月末の時点において私どもで調査をいたしました。その事業所数は約一万五千、そこに働いておる雇用労働者数は約十二万名弱であります。現在のところは、まだ雇用情勢に具体的な変化はあらわれていないわけでありますが、この円高の状態の推移その他によっては、やがて雇用調整に入るものということを考えておかなければならぬと思います。 一方、全体的に見ますと、就業人口は五十一年が前年比約六十八万の増、それから本年度の九月におきまして前年比六十九万の増と、全体はふえておりますが、製造業においては減少しております。ふえている部門は第三次産業であります。 それからもう一つは、失業者の中の調査の結果の大きな特徴といたしましては、三十九歳以下の婦人の求職活動が目立っておるということであります。これは先般ガルブレイス教授が日本へやってまいりました際の話でも、アメリカにおいても近年そういう傾向が非常に強い、つまり、いままでの非労働人口が就業活動をし始めたという現象が非常に強い。期間はちょっと忘れましたが、約六百万くらいアメリカではふえている。日本でも、そういう傾向が一方においては目立ってきていると思います。 それから、もう一つ近ごろにおける特徴は、有効求人倍率が七月から比べますと八月、九月は、ごくわずかでありますが改善をしておる。それは、どこで改善をしておるかと申しますと建設業であります。いわゆる前倒し効果というものが若干あらわれたのではないか、こう考えておる次第であります。
○藤田(高)委員 全般的な情勢は、そういうことであろうと思うのですが、なかんずく私は、きょうの質問の中心課題は造船関係にしぼっていきたいと思うのですけれども、造船関係の雇用条件というものは最近どういうことになっておるだろうか。労働省サイドから見たもの、運輸省それ自体が把握しておるもの、その現状と今後の見通しについて聞かしてもらいたい。
○石田国務大臣 御承知のごとく造船業は、昭和五十五年めどですが六三%に減少するということになっておるわけであります。したがって、当然これに関連をいたしまして、特に大手は企業内における転換が可能でありますが、中小以下は造船が専業でありますので、そういう点に、より多くしわ寄せをされるだろうと思っております。 雇用の実数等は事務当局から報告いたします。
○間野説明員 いま大臣からおっしゃいましたように、昨年の六月に海運造船合理化審議会から今後の造船業の操業調整の基本的なあり方につきまして答申をいただいたわけであります。 それによりますと、造船業はピーク時には世界で三千六百万総トンをつくったわけですが、そのとき、わが国は五割、千八百万総トンをつくりました。ただ、その後の石油危機等によりまして今後の需要が大幅に減るということで、昭和五十五年におきましては恐らく六百五十万総トン程度ではなかろうかという答申をいただきまして、これに能力を調整すべく、その方法を考えたわけなんですが、六百五十万総トンと申しますと、トン数では三分の一でございますけれども、従来のようにタンカーのような非常に単純な船が減りまして、比較的、労力といいますか工数を食う船がふえてまいりますので、五十五年度における操業時間数といいますか人手は三分の二程度必要だろうということでございますので、いま大臣がおっしゃいました操業度で六三%とか六五%というものをねらいにして、能力を落としていこうという基本的な考え方に立ったわけで、それが実際どのような形で行われるかということにつきまして業界あるいは一部組合とも相談いたしましたけれども、大体におきましてピーク時には大体二時間残業というのが正常な状態でございましたので、今後は、とにかく残業はやめるという方向でいこうということが一つと、それから自然退職というようなかっこうで年間三%とか四%の方が減ってまいりますが、それについては今後、補充するようなことはしない。したがって新規採用もしないというようなことで、一人当たりの時間数を減らすことと、それから自然退職については無補充、新規採用はやめる。それから若干の企業内における配置転換、こういうことをいたしますと、そんなに無理なく六五%まで能力を調整することができるのではなかろうかということで、主要四十社に対しまして昭和五十五年までに、すでに、もうやっておりますが、徐々に能力を調整して六五%程度までもっていこうという勧告をいたしました。 それで、この運輸大臣の勧告から生じてまいります離職者については、労働省の方へお願いして職業転換給付金制度の対象にしていただくというような措置を講じてまいりましたのが現状でございます。
○藤田(高)委員 この造船界の不況問題から起こってくる雇用条件の問題については、いまも説明がありましたが、五十一年の六月の二十一日に海運造船合理化審議会が答申案を出して、ことしの四月に、それに基づいて勧告がなされた。大体、今後とも、この審議会答申あるいは勧告の線で、行政レベルとしては業界指導を続けていくのかどうか、この点が一つ。 それと、いまの答申を聞きますと、五十五年を目標にして漸次六三%を目途に調整をしていくのだということですが、現在、起こっておる雇用条件の問題については、残業の二時間程度をなくしていくとか、あるいは自然退職あるいはそれに対する不補充、新規採用をしないというようなことですけれども、現実的には相当な首切りが行われておる、人員整理が行われておる、あるいは時間延長という形で、この合理化が進んでおる。あるいは出向という形あるいは下請企業の整理統合という形で、企業体に対しては下請単価の切り下げ、下請企業の整理統合、労働者に対しては首切りあるいは配転、先ほど言いましたように時間延長というような形で、いま説明のあったこととは、かなり質の違った逆の実態が起こっておると思うのですが、これに対しては、どのように考えておるか。また、そういう事態に対して運輸当局並びに労働省当局として、どういう行政指導を強めているのか。 時間的な関係もありますので労働省にも重ねてお尋ねをするのですが、労働大臣は、この臨時国会の予算委員会におきましても、あるいは、ことしの通常国会の予算委員会においても、労働行政の基本としては、現在百万以上の失業者がおる、失業者をできるだけ出さない、減らしていくという立場からも時間延長ではなくて時短をやるのだ、あるいは週休二日制というものを極力進めていくのだ、あるいは年次有給休暇というものは完全に消化さす方向をとっていくのだ、あるいは中高年齢者の雇用を守るという観点から定年延長、定年六十歳の法制化というところまでは一気に踏み切れないにしても、そういう六十歳の定年延長というようなものを目途として行政指導を進めていくのだということを、しばしば強調されてきたと思うのです。そういう労働省としての国の労働行政の方針と運輸省の行政指導、先ほど言った合理化審議会の答申を受けて現在、進行しておる運輸省の方針とは、私は相当食い違っておると思うのですよ。これに対して、どういう認識をお持ちであるか、それぞれの立場からお尋ねをいたしたいと思います。
○石田国務大臣 失業を生じさせないという点について私どもの考えております方向というのは、いまおっしゃったとおりであります。しかし一つ抜けておりますのは、つまり、そういう状態が予想される場合に、離職する前に、そこに残っている間に転職訓練その他を行って転職を容易にする、たとえ離職という状態を一時的にでも生じさせないようにいたしたい。これらに対しましては私どもはいろいろな御承知のような給付金制度あるいは助成金制度を活用しているところでございます。 〔委員長退席、村山(富)委員長代理着席〕 ただ短期的に見ました場合に、それぞれの企業体の経営状況の中にあって労使が協議をして合意を得て時間延長というようなことが行われる場合、これは短期的には私はやむを得ない面もあると思いますが、長期的には先ほど、おっしゃったような方向へ向かって進んでいくことが労働者の福祉の増進になると同時に公正な競争を確保する、それからもう一つは、やはり雇用の増大を求めるという方向になると考えておる次第であります。 運輸省の立てられた方針、実は私も、つい一年前まで運輸省にあったわけでありますが、それと大きく相背離しているとは私は考えておりません。しかし実際の運営といたしましては、それぞれの企業体等におきまして、それぞれの事情の違いがある。その違いに応じた労使間の協議に基づいて進行しているものと思いますし、そういうことが望ましいと考えておる次第でございます。
○間野説明員 先ほど申しましたように、私どもといたしましては目下のところ海造審から御答申いただきました需給関係の見通し、それから、それに基づいてやるべきことについて、基本的には間違っていないと思っております。ただ、いま大臣も短期的とおっしゃいましたけれども、五十五年に能力を合わせていく過程におきましては、確かに思ったほどの仕事量にならない船しか取れないような場合もございますし、そういうこともございまして、現在、業界では若干の余剰人員が出ておりまして、企業内だけではなくて、たとえば自動車産業の方への配置転換も若干は行われておるというふうに聞いております。 それから確かに、このような情勢ですと予想以上に非常に悪くなるということだって考えられるわけですから、そのときは、そのときで考えなければならないと思いますが、目下のところ大きな意味で基本的には、まだ外れていないというふうに考えております。
○藤田(高)委員 運輸省の答弁を聞いておりますと海造審の方針自身が正しいのだ、それで行政を進めることはやむを得ないのだということが前提になっておるように思うのです。これはそれぞれの立場によって、あるいは客観的な情勢にもよりますけれども、働く者の立場から見れば、この海造審の答申案というものは首切り奨励合理化案じゃないか、こういう酷評さえする向きがあるわけです。ですから、やはり現状認識というものを具体的に把握した上で緊急的あるいは中期的な対策というものは生まれてこなければいけないだろう。そういう前提に立つなれば、海造審が出した段階と今日の段階までの間に、すでに、どの程度の人員整理がなされておるのか、配置転換に充当されておる者はどれぐらいなのか、出向労働者はどれぐらいな数に上っておるのか、こういうことを、ひとつ具体的に出してもらいたいと思うのです。 私は質問時間を効率的にするためにお尋ねするのですが、石田労働大臣は運輸大臣をなさった経験もある。海造審の答申案は、いわゆる海運造船合理化審議会で検討するわけです。現在、委員は四十一名おるのです。ここで出されてきた答申案なり、あるいは、これに基づく勧告というものは労働者の立場にとっては雇用問題に関連して、きわめて重大な内容を含んでいるわけです。ところが、このメンバーを見たら、関係各省としては経済企画庁なり大蔵省なり通産なり自治省の代表が入っておるけれども、肝心な労働省が入ってない。そうすると建造能力が千九百万総トンだというと、それだけの能力がある。いまの説明のように六三%程度を目標に下げていくのだ、現実的には六百五十万総トンぐらいに減っていくのだということになると、常識的に考えて仕事量が減れば、そこで雇用数が減退する、労働時間を何らかの形で合理化するということが起こってくるのは、これは常識ですよ。そういう重大な審議をする中に労働省の代表が入ってないというのはどういうことなんだ。これが一つ。これは即刻委員を追加する用意があるかどうか。 また、労働代表についても総評の代表が入っていない。これはどういうことなんだ。日本経済をここまで支えてきた。今日、非常に跛行的な状態になっておる。しかし、やはり日本経済を支えていく主人公は労働者じゃないか。組織された労働組合の意向というものを、やはり尊重していくということは、これは民主的国家にとっては当然なことだ。その代表が、なるほど当局から言わせれば同盟の代表が入っておると言うかもわからぬが、総評の代表も当然、入れるべきではないか。そういうものが入らない審議会の答申なり、あるいは、それに基づく勧告によって一方的に国が労働者の首切りを進めていくようなことは、私は先ほど指摘をした労働大臣の、労働省の、というよりも、むしろ政府の労働行政の基本的な方針に反するのじゃないか、こう思うのですが、どうですか。
○石田国務大臣 これは言いわけになるかならぬかは別問題といたしまして、海造審の勧告がなされたときは、私は運輸大臣でなかったのでありまして、その後で、なったわけであります。 それから海造審の答申というもの、あるいは検討題目というものは、主として海運業、造船業いうものの将来の見通しということになるわけであります。したがって、それによって生じてくる雇用問題、これは、その次の段階で私どもが協議をし対策を講じていかなければならぬ問題であると思う。そういう意味において労働省といたしましても、それから生じてくる雇用問題については十分協議し、そして発言をしていく機会を持っていかなければならぬ、こう考えております。 それから総評の代表が入らなかった事情については、ちょっと私は承知しておりませんので、お答えするわけにはいきません。 それから、ただ出向とか転職というような場合は、これはやむを得ないものである、たとえば不況産業から好況産業へ転職していく、むしろ転職しやすいような訓練や助成をしていくことが必要なんで、転職、出向というようなことまで不当だ、けしからぬのだと言っていったのでは、造船業の再建というのはむずかしいのではないか、私はこう考えておる次第であります。
○藤田(高)委員 私は、いまの答弁の言葉じりではありませんが、出向とか、あるいは配置転換それ自体を全面的に否定するなんということは言っていないのです。しかし、いま行われておる造船業界を中心とする、あるいは繊維あるいは平電炉といったような、特に不況業種十二業種の業界では、その出向も、やがては失業につながっていくんだ、そういう性格を持っておる。私が一番問題点にしておるのは、もうすでに造船業界に相当な人員整理が行われておる。そうして私のこれから質問をする一こまになるのですが、私自身の愛媛県の波止浜、今治造船あたりは、この年末に下手をすると相当大きな企業倒産が起こるかもわからぬ、それに伴って首切りが起こるかもわからぬ、そういう問題をどうするのだということを、私はいま問題にしておるわけです。 そうして私が特に問題にしておるのは、労働大臣に代表される政府の方針は、できるだけ雇用を確保する、失業者をなくしていく。出るような事態が来ても、次の方策は職業転換や何かで救って いくんだ。それで、どうしてもいかなくなれば、いわゆる雇用保険法で救っていくのだ、あるいは今度、成立を見ようとしておる離職者対策法で救済をしていくのだ、こういう段階を踏んで対処するのだというのが政府の方針だというふうに私は理解をしておるわけです。私が一番問題にしておるのは、一番最初の前段を問題にしておるわけですね。その観点からいくと、失業者が出て解雇者が出てきておるし、労働大臣に代表されるように雇用を守るという観点からいけば、造船業界でも時短をやるべきではないか。あるいは週休二日制をとっていくべきではないか。ところが逆なんですね。時間延長がなされているわけです。時間延長をして、それだけ余剰労働力ができたら、それを首切るという実態が、残念ながら愛媛の造船業界に、あるいは四国の造船業界には生まれておるわけです。これは現実的に労働省の方針と反しておるでしょう。そういう実態が起こっておるのですから、それに対しては強力な正しい行政指導をやるかどうか、これを含めてお尋ねいたしたい。
○石田国務大臣 労働時間を短縮していくということが、長期的に見て雇用の改善になっていくということは、私も同感であります。週休二日制とか、あるいは年次有給休暇の消化というようなものも、これに関連があることは言うまでもないと思う。ただ、短期的に見ました場合には、いろいろ事情が違う。たとえば受注量にも違いがあるでしょう。そういうような点で労使が協議をして、ある程度の時間延長をするということは、短期的に見れば、やむを得ない部門もある、こういうふうに考えておる次第であります。
○藤田(高)委員 しかし、政府の方針が前段、指摘したとおりであれば、政府の行政指導としては、そういう個々の事業体に対して、政府の方針で個々の企業体が労働施策を講じるように、これは強力な指導ができますね。どうでしょうか。
○石田国務大臣 先ほど申し、また、あなたが御指摘のような方針には変わりありません。したがって、そういう方向へ向けて行政指導を強めていく方針ではあります。ただ、これは総論賛成、各論反対という傾向が労使関係にありまして、個々の場合になりますと、労使が協議をして同意を得て実行したという場合には、短期的に見て私はやむを得ない部門もあるのではなかろうか、こういうふうに思っております。
○藤田(高)委員 部分的なケースは、これはなんだと思います。それと、こんなことを質問すること自身が愚かなことなんですけれども、現実的に労使が協議する。今度の場合で言えば、離職者対策法案の中には離職する場合に労働組合の意見を聞いて計画案を出す。これはイギリスやフランスやイタリアあたりの解雇制限法に匹敵するところまではいかないけれども、その序の口に入るような発想が私はこの中に芽を出してきておると思うのです。そういう点で私はそれなりに歓迎するわけですが、逆に、この労使の協議どころか一方的に——下請関係に対して造船の親会社かありますね、その下請系列の企業に対しては、もう労働組合がない。そうすると基準法では、そこの労働者の過半数の意見を聞かなければいかぬ、そういう意見も聞いていない。あるいは労働組合がある場合にも労働組合の意見を聞かないで、就業規則の改定もやらぬで労働時間の延長をやっておる。これはもう明らかに基準法違反ですね。そういうものは直接、調べておる向きもあると思いますが、愛媛の場合にはあるのですが、そういうものに対しては、すでに適切な処置をとったと思うが、どうか、これを聞かしてもらいたい。
○石田国務大臣 それはもう基本的な方針で、法律違反の問題について調査し所要の措置をとるのは当然でございます。具体的な処置については基準局長からお答えをいたさせます。
○桑原政府委員 先生も御承知のように時間を変える、結局、就業規則の変更になるわけでありますけれども、その場合には御指摘のように組合がなければ労働者の過半数の意見を聞かなければならぬ。組合があれば過半数で組織する組合の意見を聞いて出す、こういう手続になっておりますから、その違反があるといたしますれば、私どもは当然に是正させたいと思います。現実にいま調査をいたしておるところでございます。
○藤田(高)委員 そういったことについては迅速にやってもらいたいと思いますね。きょうは、そこまで入ることはできませんが、造船関係だけではありませんが、特に造船関係には不当労働行為の事犯が多い。労働委員会の命令や地方裁判所の判決が出ておっても、それに従わないで行政訴訟をやって問題の解決を長引かせていくというようなケースもたくさんあるわけです。ですから私は、そういう法律違反や、その疑いがあるような問題については迅速に、ひとつ、やってもらいたいということを強く要請しておきます。 そこで、造船関係の問題を中心に、きょうは質問したいと思っておるわけでありますが、この造船関係、その他もそうでしょうけれども、不況産業、不況業種の場合、仕事量がない。この仕事量をどういう形でふやしていくんだ。その仕事量をふやしていく対策として、運輸省当局はどのようなものを考えているのか、またその実効性の見通しはどうかという点についてお尋ねいたしたいと思います。
○間野説明員 造船の工事量が世界的に減ってまいりますので、やはり事業転換、造船の技術を生かせるような方向へ漸次、転換していくということが、一応基本的な方針であろうかと思います。 ただ、それでは急場の間に合いませんので、その能力削減の過程において、船関係の仕事もできるだけ確保したいというふうに考えております。たまたま二百海里問題も起こりまして、海上保安庁の巡視艇を増強しなければならないというようなことがございまして、今年度の補正予算においても八十億円程度の予算を組んでいただきまして、何がしかの工事量の足しになると思います。 それからまた、こういったエネルギー危機でございますので、やはり船会社の方も燃費の節減ということを非常に考えますので、従来、燃料を食うタービンであったものがディーゼルエンジンにかわるというようなこともございます。そのために、主として外国船を対象にしまして、輸出入銀行から、その改造資金を来年度百億程度、手当てしていただきたいというふうな要求もしております。 ただ、最初に申し上げましたように、こういったことを全部かき集めましても、十分な仕事量でないことは当然でございまして、将来は海洋開発関係の事業につきまして造船業が進出できるように、できるだけ技術開発を進めるといったようなことをいたしたいというふうに考えております。
○藤田(高)委員 これは全般的な立場で、いま答弁があったと思うのですが、そういったことを強力に進めてもらうと同時に、特に、いま私が問題にしたいのは、大企業は、同じ造船会社といっても、造船八社のごときは造船関係のシェアが三割程度じゃないか。陸の仕事をやる。ですから、そこで弾力性があるわけですね。ところが中堅ないしは中小企業の専業造船は全く、もう仕事がなかったら、お手上げということになるわけですから、私は、やはり物の順序としては、オール・オア・ナッシングになるようなところへ重点的に、運輸省としても仕事を向けていくという配慮がなければ、雇用問題の解決にもならぬのじゃないか、こう思うのですよ。 ですから、その私の考え方に対して、どういう見解を持たれているかということが一つと、具体的問題としては、仕事量を確保する、これは主として、いま私が言った、いわゆる中堅もしくは中小造船、零細造船の関係ですが、船舶整備公団の予算を拡大して老朽船の代替建造を促進するということ、これは検討中じゃないかというふうにも聞いておるのですが、この見通しはどうか。 次に、商社その他による船舶受注活動を指導して、中小造船所に対する工事量を確保していく、こういう行政指導を強力に進めていく用意があるかどうか。 三つ目は、これは労働大臣、労働省というより、むしろ中小企業庁ですね。中小企業庁、来ていますね。中小企業庁にも関係すると思うのですが、せっかく中小企業の分野を確保する法律ができた。これは直接、造船には、いま適用することにはなってないんじゃないかと思うのですけれども、私は、この考え方は造船の場合にも適用すべきじゃないかと思うのです。というのは現在、中堅なり中小造船の場合は、大体、中堅造船の場合は十万トンクラス以下あるいは中小造船の場合は一万トンクラス以下と、こういうふうに分けますと、そういう分野にまで大企業が仕事量を現在、取っておるわけですね。ですから極端なことを言いますと、いままで百万トンクラスのタンカー船をつくっておったような大企業が千トンクラスの新規受注に対して割り込んでくる。こういうことになったのでは、中小造船は仕事量がないところへ、たまに仕事が来たと思ったら大きなところに食い逃げをされていく、取られていくということになると、もう中小造船は軒並みに倒産していくことになるんじゃないか。そういう点については運輸省としても、そういう領域には大企業は割り込んではならないという行政指導を強力にやるかどうかということ、それと中小企業庁も、そういう指導を、これまた強力にやるかどうか、このことについてお尋ねしたい。
○間野説明員 ただいま、おっしゃいました中で、中小への仕事のあっせんというようなことでございますけれども、非常にむずかしい面がございまして、それを発注する人は発注する人なりの考えがございまして、たとえば先ほど申しました海上保安庁の巡視艇につきましても、今度、二百海里に対応して非常に新しい船型のものになるということでございますので、相当、技術的に高いものが要求されるというふうに聞いております。それから商社等につきましても一応、大、中、小というような区別ではなくて、それぞれ、かなり長い取引関係というものがございまして、必ずしも、これをどこへというようなことは言いにくいようなことがございます。ただ基本的には、おっしゃいましたように中小ほど専業度が高いということも事実でございまして、最初に申し上げました操業調整の場合でも、大手に一番厳しく、下へ行くほど緩いというふうな基準を採用いたしまして、大手の方を締めるようにいたしております。 それから分野調整法に絡んでおっしゃったわけですが、非常に残念なことに工事が、いかにも、なくなっておりまして、もう十万トン以上の船などというものは一隻もないような事態になっておりますので、余り、これを厳重に強制するわけにはまいらないという事態に至っております。 ただ、先生おっしゃいました船舶整備公団によるスクラップ・アンド・ビルドは、これは内航船でもございますし、本来、中小が従来も大部分やってきたことでございますの、こういった点まで大手が手を出すというのは控えるのが当然であると思います。
○小松政府委員 いま運輸省の方からもお答えがございましたけれども、分野調整法をずばり適用するということになりますと、それは同じ造船業の中でも既存業者同士の問題でございまして、分野調整法は、どちらかといいますと、既存業者の場合は設備を拡大してやるというような場合、さらに新しい分野に大企業が入っていくという場合が中心になり、法律そのものをずばり適用するのは、なかなかむずかしい分野の問題だと思います。これはあくまでも行政指導ということで、特に運輸大臣が主務大臣でございますので、運輸大臣とも十分、連絡をとりながら業者間の調整が図られるようにいたしたい、かように考えております。
○藤田(高)委員 質問をよく聞いておいてもらわなければいかぬと思うのですが、私は分野法そのものを、ずばり適用しろということは言ってないでしょう。やはり、そういう行政指導を強力にやる必要があるんじゃないか、こう言っておるわけですから、そういったところに焦点を合わせて答弁をしてもらいたいと思うのですね。 それと、いま運輸省の方が答弁されましたが、なるほど技術的に、どうにもならないような問題は、私は大であろうと小であろうと仕方がないと思うのですね。しかし、やはり先ほど私が言ったように、十万トンクラス以下もしくは特に一万トンクラス以下のような船会社は、船だけで命をつないでおるわけです。ですから陸の仕事はどこもできないというところに対しては、やはり公平に仕事を分配をするというか、そういうところの仕事量を確保して、そうして雇用を確保していくという考え方で、これまた行政指導を行うことは当然のことじゃないかと思うのですね。これは念のために、ひとつ、その見解を聞かしてもらいたい。
○間野説明員 基本的には、おっしゃるとおりだと思います。繰り返しますが操業調整は、大手七社、これがいわゆる陸上部門を持っておるところでございます。ただ残念なことに七社以外は、ほとんどが専業と言っていいような状態でございます。ですから七社以外につきましては余り差はないということも言えるかと思いますが、七社につきましては操業短縮率というものの一番厳しいものを指定しておりますし、まして内航船の分野に出てくるようなことは差し控えるべきだと考えております。
○藤田(高)委員 ぜひひとつ、そういう中小なり中堅企業の仕事量が優先的に確保できるように、今後の行政指導を進めてもらうことを要請しておきます。 次の質問の順序は、私は、ほかに用意しておったのですが、労働大臣、少し居眠りされておるようですから、これは社労の委員会としては大変申しわけないと思いますので、いま一つ労働大臣にお尋ねをしたいと思うのです。 一つは、基本的な問題というよりも実際運営なり技術的な問題になろうかと思うのですが、今度、不況業種として雇用調整給付金の指定をやる、その指定方式に、たとえば造船で言えば、ことしの五月一日から始まって六カ月、六カ月刻みでいくわけですね。一年たった段階で三カ月の冷却期間を置いて、それから、いま一度、六カ月の延長をする。そこで一応、指定期限の満了ということで一遍、線を引いて、それから一年間の経過があって、いわば冷却期間を一年間としますか、二度目の冷却期間を一年間置いて、不況が依然として続くような場合には、また新たな条件が発生した場合には、そこでもう一度、指定のし直しをやる、こういう方式を考えておるようでありますが、先ほどからの造船を中心とする業界の見通しを聞きましても、五十五年を一つの目途に、ある場合には、ずっとまだ不況が進行していくんだという場合に、こういう指定方式でいきますと、たとえば造船が、ことしの五月一日に指定の開始になった、ところが五十四年、再来年の二月には中の冷却期間三カ月を含めて期限が満了するのだということになると、まだ五十四年という段階は造船界の不況というものが進行しておるかもわからぬ、そこで指定業種の対象にならない、あるいは雇用調整給付金の指定の期限内に入らないという事態が起こると思うのですね。こういう断続的なやり方ではなくて、連続してつないでいく、そして、その必要がなくなったところで切っていくというようにやった方が、より適切じゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
○細野政府委員 雇用調整給付金の指定期間の問題でございますが、ちょっと私、先生の御質問を聞き違えているかもしれないのですが、最初に六カ月指定しまして、延長六カ月ございまして、それで三カ月冷却期間を置いて、さらに六カ月延長ができるように現在なっておるわけでございましす。 それからなお、この制度自体は御存じのように本来、景気変動という短期的な事態に対応するための制度でございますので、一応そういう短期的な事態で判断いたしました上で、さらに必要があるかどうか、こういうことで延長するという考え方に立っておるわけでございます。 なお、指定期間がいまの再指定で六カ月たちました後に、なおかつ新しい事態が出たというふうな事態がございますれば、一年という期間を経過しない場合でも指定ができる、こういうふうな仕組みになっておりますので、そういうやり方で対処してまいりたいというふうに考えております。 なお、この考え方自体につきましては、御存じのように職業安定審議会におきまして三者構成の専門部会を設けまして、そこで御審議いただいて、こういう形に、御存じのように従来は三カ月単位であったものを六カ月単位に延長するという形で、実情になお即するように改正をしておるという事情でございます。
○藤田(高)委員 一つの考え方としては理解することができるのですが、造船だったら造船というものを前提に考える場合、いま局長の話では、短期的なものとして六カ月、六カ月、三カ月の冷却で六カ月再延長ということなんですが、造船業界の見通しからいくと、もっと、その期間が現実的に指定をされなければいかぬ事態が起こり得るのじゃないか。いま私が言ったように造船の場合だったら、ことしの五月一日に指定のなにが始まったわけでしょう。そうすると五十四年二月には終わるわけですよ。だから、それはそういうことで、また三カ月だったらいいけれども、そこで一年間、今度は経過措置があって、そして次じゃないと今度は指定ができないようになっておるわけだから、こういうことを決めたのでは問題があるのじゃないか。ですから、それはやはり継続してやるようなことにすべきじゃないかということが私の質問の要旨です。そこについての見解を聞かしてもらいたいと思います。
○細野政府委員 先ほど申しましたように、原則六カ月、延長六カ月、さらに六カ月の再指定、その間三カ月のクーリングタームが入りますけれども、すなわち二十一カ月間の適用が可能になっているわけでございまして、それで一つは対応する。もう一つは、造船につきましては事業転換の方の対象にもいたしておるわけでございまして、こちらの方は御存じのように長期的な対策ということで一応の原則三年という仕組みをとっているわけでございます。なお、先ほど申し上げましたように、円高その他新しい事態が出てきた、そういう場合につきましては、いま申し上げましたような原則的な考え方とはまた別途、改めて指定ができる、こういうふうになっておりますので、そういう三つの制度を組み合わせまして対応してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
○藤田(高)委員 私は、もうこれ以上この問題については時間は割く余裕がありませんから、その点については私の要望としては、前段申し上げたようなことが指定方式として検討されるように要望しておきます。 次に、これは造船関係だけではありませんが、特に私は一つの事例として引用しておるのですけれども、私自身の出身の愛媛県今治、波止浜関係の造船界は、私の杞憂に終われば、それにこしたことはないのですけれども、ことしの年末あたりには、もう倒産する企業が出てくるのじゃないかということを、いま心配しておるのです。極端に言いますと、ことし年を越せるかどうかという企業が造船を中心に、その関連企業、下請、非常に多いわけですね。そういう点からいきますと、これは大蔵省関係あるいは中小企業庁に特にお尋ねをしたいのですが、先ほど、雇用を守るというためには仕事量を何とかして確保する、これには一定の限界があるだろう、制約があるだろう。しかし行政レベルとしても極力、仕事量を確保するように努力をしてもらう。次には、やはりそういった中小企業、中堅企業を守るという観点に立つ場合に、これは金融政策上あるいは税制政策上の問題もあると思うのですが、当面は金融問題じゃないかと思うのですね。 この金融問題については、いまお手元にも、ちょっと配ったのですけれども、政府は口を開けば中小企業対策を非常に強調するのですが、金利一つ見ても、こういうカーブになって、そして現時点では公定歩合が四・二五%、一般市中銀行の貸出約定平均金利が九月の段階で七・二一ですね。肝心な国民公庫なり中小公庫、こういった政府三機関の金利が同じ九月の時点で七・六。これはきわめて高い。これを今度、為替変動円対策の問題、いわば緊急対策として、中小企業庁が中小企業為替変動緊急融資として公庫の貸付枠をふやしていく、いわゆる既存の貸付枠に中小公庫の場合でいえば二千万、国民公庫の場合であれば五百万、枠をふやす。 〔村山(富)委員長代理退席、委員長着席〕 枠をふやすと同時に、ここで、いま指摘をした七・六の金利を六・二%に引き下げるというのですね。私は、なるほど、こういう緊急措置として金利を下げることはわかるのですけれども、これをもっと下げることはできないか。住宅金融公庫の場合は政策目的が違いますけれども、たしか五・五%ですね。そうすると、これだけ異常な不況の中で円高問題を抱えて、造船を初め中小企業というものは、この年末を越せるかどうかという事態の中で、枠をふやしても新たに金を借りられる能力というのは少ないのじゃないかと思う。問題は返す能力さえないということになれば、そこで金利を思い切って六・二ぐらいではなくて五・五ぐらいに下げてはどうか。特に中小三公庫の場合、民間の損益分岐点ではありませんが、非常に常識的な言い方をすると三公庫で働いておる職員の人件費、諸経費を入れて、それだけのものが維持できさえすれば利益を求める必要はないじゃないか。そうすれば一般の市中銀行の金利よりも、なぜこんなに高くつくのだろうか。今度の為替変動の緊急融資で六・二%に下げることができるのであれば、この際、金利政策として、もっと思い切って五・五%近くまで下げてはどうか。そういう形の中で、返済すべき金もないという中小零細企業を守ることによって雇用を確保していく、失業者を出さないようにしていく、そういう政策をとるべきじゃないかと思うのですが、大蔵省の金融当局、中小企業庁の見解を聞かしてほしい。
○渡辺(喜)政府委員 最初に先生のお示しいただきましたこの表でございますが、公定歩合とか銀行の約定金利というものは非常に短期の金利でございます。それに対しまして中小三機関等の出します金利は長期の金利でございますので、短期金利とは必ずしもパラレルにいくものではない。これはむしろ民間の長期金利をベースに考えられてきておるということでございます。一般的に七・六という中小公庫、国民公庫の金利が非常に高いではないかというお話でございますが、七・六という金利は、現在、長期金利といたしましては最優遇金利でございまして、民間では一番信用力の高い、ごくわずかの企業に対してのみ出されておる金利でございます。特に政府関係機関で中小を対象にいたしておりますから、そういう意味で、そういう長期最優遇レートを基準金利にしておる、こういうことでございまして、かなり優遇された金利であるということではなかろうかと思うわけでございます。 なお、今回の円高対策の緊急融資につきましては、当初十月一日に、この制度の発足いたしましたときは七・六の金利ということでございましたが、十一月になりまして円高が非常に激しくなって、その影響もきつくなってまいりましたので、特に、これを六・二に引き下げたわけでございます。六・二という金利は中小、国民公庫の採算からいきますとコスト割れの金利でございます。御承知のように中小、国民公庫の主たる原資というのは運用部から借り入れているわけでございますが、運用部金利は現在六・五でございますから、借り入れコストを割った金利まで思い切って下げておるということでございます。金利といたしましては考えられる最低の金利ではないかとわれわれは考えて踏み切ったわけでございます。住宅公庫等が五・五という金利でございますが、これは初めから財政で補助する仕組み、そういう制度のもとに設けられた金利でございまして、そういう意味では金融市場とはかけ離れた全く別途の金利である、こういうふうに御認識いただきたいと思うわけでございます。 なお、この円高対策等につきましては、金利の問題も、もちろんございますが、それよりも償還の問題で、そちらの方が当面、利用者の方にとりましては大変な問題である、そういうことも伺いまして、据え置き期間が従来は一年が限度であったわけでございますが、特に据え置き期間を三年ということで、三年間は返さなくていい、こういう制度にいたしまして、三年たったところで償還を始めていただくということにいたしましたので、金融制度としては、かなり思い切った措置をとった、こういう考え方でございます。
○藤田(高)委員 それでは時間が来たようですから、あと五分ほどで結論にします。 いまの金融当局の為替変動対策緊急融資の点については、もう私も中身をよく知っております。政策目的が違う住宅金融公庫の場合も、私は、その性格の違いも一応は理解しておるところです。ただ私の言っておるのは、いま、あなたが言ったように六・七を六・二にすれば逆ざやになる。そうすると住宅金融公庫の場合は五・五で、いわゆる財政援助をやっているんだ。この場合だって理屈からいけば逆ざやになるんだから補てんをしなければいかぬ。私は、こういう緊急事態、円高問題で中小企業がばたばた倒れていく、これは為替の円高対象企業だけでなくて、ほかの中小企業だって、これはやはり資金繰り、その他で倒れていくようなときは緊急対策を講ずる以外にないと思うのですよ。それは逆ざやになって一般財源から補てんしていいじゃないですか。そこにやはり政府系列の中小企業金融機関を設けた理由があるだろうと思うのです。そういう意味で私は、できれば、この六・二をさらに下げるような努力、それと、これを一般の中小企業にも、この六カ月間だったら六カ月間だけでも適用していく、いま、この為替の対策でいきますと三年間ですが、六カ月間適用するとか一年間適用するとかいう形で緊急避難的な措置を講じる必要があると思うのだけれども、どうだろうかというのが私の質問の中心点です。 それと同時に、いま大蔵省の方から答弁がありましたが、いま中小企業にとって一番困るのは、年末に向けて返さなければならぬ借りておる金があるのですね。これを半年間だったら半年間、特に設備資金なんかで借りたやつは、これは半年間ぐらい、とりあえず返済期間を延長していく、これは中小企業三公庫だけではなくて一般の市中金融機関に対しても、そういうことを大蔵当局として、あるいは中小企業庁当局として要請をするということの中で、中小企業の倒産を防止して雇用を確保する用意があるかどうか、これをひとつお尋ねいたしたい。 それと委員長のせっかくのお計らいですから……
○橋本委員長 計らいはしておらぬ、時間どおりやってください。
○藤田(高)委員 最後の質問を、いま一つ追加しておきたいのですが、先ほどから私、指摘をいたしておりますように、造船関係だけでなくて、いま全国各地に非常に雇用問題が起こってきておるわけです。愛媛の例を一、二度引例さしてもらいましたが、そういう地域は全国にも私、幾つかあると思うのですね。そういうところへ労働省なり運輸省を中心に、あるいは大蔵省なり、あるいは中小企業庁も加わった形で現地調査をやる、そこで中小企業がどのように苦しんでおるかという企業実態、そして私が冒頭に質問をした雇用条件がどういうことになっておるか、労働大臣が強調されておるような方向で労働市場というものは動いておるかどうか、こういうことを私は現実把握をした上に適切な施策を強めてほしい、こういう意味合いにおきまして幾つかの全国的な拠点を設定して調査をしてもらいたいと思うのですが、そういう御用意があるだろうか、これをお尋ねして質問を終わりたいと思います。
○石田国務大臣 これはまだ円高が起こる前のことでありますが、いわゆる構造不況業種の雇用問題が重大化してまいりましたので、雇用関係の閣僚会議を設けまして、そして、それに事務機構を付随させまして、いま御指摘のようなことを含めた現状の把握と将来への見通しというようなものをいたさせることにしておるわけです。近くは二十九日に、この関係閣僚会議を開く予定でございます。 ただ、これは私どもの方からもお願いがあるのでございますが、先ほども申しましたように、いわゆる構造不況業種に雇用されている数は何ぼあるかというのはつかめるのです。しかし、それを健康体にするのには、どういう雇用計画をこれから、やっていくつもりなのかということになりますと返事がもらえないのです。それは個々の企業における労使関係その他を考慮してということで。私どもの方で調査をしたことについて一々その内容を世間に発表する必要などは毛頭ないので、全体をつかみたいだけのことなんでありますので、ひとつ、あなたの方の御協力もお願いを申し上げたい。
○藤田(高)委員 それは今後やってくれますね。
○石田国務大臣 やっているつもりでございますし、いま、その集計その他は順次、集まってまいると思っております。
○藤田(高)委員 大蔵省どうですか。
○渡辺(喜)政府委員 先ほどの円高対策の六・二%につきましては、三年間六・二ということで三年たってから、これを六・七に上げるということで、やや長期的に見てコストを割らないような配慮を一応いたしておるわけでございます。 なお、中小企業一般について、すべて下げたらどうだというお話でございますが、やはり金利というのは、金融市場の金利とかけ離れた金利を設計するということでは、金融機関の機能を使うやり方では、なかなかうまくいかないわけでございまして、そういうことは、もし必要があれば財政でやるということにならざるを得ないと思うわけでございます。 民間の金融機関につきましての御指摘もございましたが、私どもも民間金融機関につきましては、そういう不況業種対策というふうなものを、銀行の持つ社会性といいますか、そういう面から十分配慮しつつ考慮してもらいたいということは、機会あるごとに申しておるわけでございまして、また各金融機関におきましても、それぞれ、たとえば地方銀行等でございますと自分の立脚しておる地域とのつながり、そういうものに十分の配慮をして、これまで、いろいろな個別のケースについては対処をしてきておるということでございます。なお今後とも、そういう方向で指導を強めていきたいと考えておるわけでございます。 それから借入金返済の繰り延べ、あるいは金利のたな上げ、猶予、そういうことにつきましては、これはもう、まさに個別の企業判断の問題でございます。金融機関とすれば当然、企業が再建されて債権が完全に回収されるということが望ましいわけでございまして、そういう意味で個別のケースに十分対応して、それぞれの事情に応じた処置をするようにということで弾力的な対処方、これも指導をしてまいっておるわけでございます。
○藤田(高)委員 どうもありがとうございました。 最後の問題については非常に私もまだやりたいことがありますが、これでやめます。
○橋本委員長 速記をとめて。 〔速記中止〕
○橋本委員長 速記を起こして。 ————◇————−
○橋本委員長 この際、国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法案起草の件について議事を進めます。 本件につきましては、先般来各会派間において御協議いただき、意見の一致を見ましたので、委員長において草案を作成し、委員各位のお手元に配付いたしてございます。 その起草案の趣旨及び内容につきまして、委員長から簡単に御説明申し上げます。 本案は、漁業をめぐる国際環境が急激に変化している状況下における国際協定の締結等の事態に対処するための漁船の隻数の縮減に伴い、一時に多数の漁業離職者が発生することが見込まれること等の事情にかんがみ、再就職の促進等のための特別の措置を講じようとするもので、その内容は次のとおりであります。 第一に、特定漁業とは、わが国の漁業者が行う漁業について、操業区域、漁獲量等に関し国際協定等により規制が強化されたことに対処するため、緊急に漁船の隻数を縮減することを余儀なくされ、これに伴い一時に相当数の離職者が発生するものとして政令で定める業種に係る漁業をいうものとすること。 第二に、労働大臣は、漁業離職者に必要な職業訓練の実施に関し、訓練時期、訓練期間、職業訓練に係る職種等について特別の措置を講ずるものとし、国は、専修職業訓練校における職業訓練に要する費用について、職業訓練法による負担割合を超えた負担をすることができることとすること。 第三に、公共職業安定所長は、離職の日が一定の期間内にある漁業離職者で、一定期間以上特定漁業に従事していたこと等の要件に該当すると認定した者に対し、漁業離職者求職手帳を発給するものとし、手帳の有効期間は、労働省令で定める期間とするものとすること。 第四に、公共職業安定所長は、手帳の発給を受けた者に対し、就職指導等を行うものとすること。 第五に、国は、手帳所持者等に対し、労働省令で定める基準により、訓練待期手当または就職促進手当、広域求職活動費、移転費、その他の給付金を支給することができることとし、都道府県は、手帳所持者等に対し、労働省令で定める基準により、訓練手当、職場適応訓練費を支給することができることとすること。 第六に、労働大臣は、公共事業の計画実施者等に対し、漁業離職者の雇い入れの促進について配慮するよう要請することができることとすること。 第七に、船員となろうとする漁業離職者に関する本法の適用について、特例その他の措置を講ずるものとすること。 第八に、離職の日において四十歳以上である手帳所持者であって、船員保険の失業保険金受給資格者のうち一定の要件に該当する者に対する船員保険の個別延長給付は、現行の日数六十日に三十日を加えた日数を限度とするものとすること。 第九に、この法律は、昭和五十二年十二月一日から施行することとし、昭和五十四年十一月三十日限りその効力を失うものとすること。 以上が本起草案の趣旨及び内容であります。 ————————————− 国際協定に締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法案 〔本号末尾に掲載〕 ————————————−
○橋本委員長 この際、本起草案について内閣の意見があればお述べ願います。石田労働大臣。
○石田国務大臣 ただいま委員長から御発議がありました国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法案につきましては、政府としては万やむを得ない事情にあるものと考えまして、承認をいたします。
○橋本委員長 お諮りいたします。 国際協定の締結等に伴う漁業離職者に関する臨時措置法案起草の件につきまして、お手元に配付しております草案を本委員会の成案とし、これを委員会提出の法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○橋本委員長 起立総員。よって、さよう決しました。 なお、本法律案の提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————◇————−
○橋本委員長 労働関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。田中美智子君。 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○田中(美)委員 大臣に質問いたします。 まず、労働者を宿日直させるためには、四十一条の三号の適用除外というのを届けを出さなければならないというふうに決められているわけです。本社が名古屋市内にあります中部電力の問題でありますけれども、これは愛知、三重、静岡、岐阜にまたがりまして変電所や制御所や水力発電所とか、いろいろなものがたくさんあるわけですね。そういうところで現在、宿日直などが行われている、現実には夜泊まるということが行われているわけです。こういうところで果たして、この四十一条の三号の許可申請が出されているかどうか。聞きたいのは岩倉電力所、岐阜電力所、浜松電力所などでは、その届けを出しているかどうか、これをまず伺いたいと思います。
○桑原政府委員 ただいま詳細は現地に問い合わせ中でございますけれども、私のいま得た情報では、まだ出てないようでございます。なお監督課長に補足させたいと思います。
○小粥説明員 中部電力関係でいろいろ機関がございますが、個々に従来からやっておりましたものについては、かつて従前、許可申請が出たものがあるわけでございます。最近、特に十月以降この宿日直問題が問題になってまいりまして、その分については、いまのところ、まだ許可申請は出ていないというふうに承知しております。
○田中(美)委員 許可申請が出てないとしますと、前のところは出ていたと言われますけれども、いま私の聞きました、たとえば岩倉電力所の管轄の北山変電所、それから岐阜電力所の竹鼻、那珂、瑞浪変電所、それから浜松、これはたくさんあります。気賀とか海老塚とか焼津とか江尻とか、こういうふうなたくさんの変電所があります。こういうところは出していない。出していないということになりますと、これは時間外労働になるというふうに思うのです。許可を申請しないで働かせてきたわけですね。そうするとこれは時間外労働になるわけですから、二五%増しの賃金を支払わなければならないのじゃないでしょうか。
○小粥説明員 先生御指摘のように、所定の時間を超えて労働させる場合、労働の態様によりまして、宿日直については特別の許可を受けない限りは、できないということになっておりますから、許可を受けないで労働に従事させた場合には所定外時間についての労働ということになろうかと思います。
○田中(美)委員 それでは大臣、そのように法律に沿ったような御指導をしていただきたいと思いますけれども。
○石田国務大臣 事実は、いま調査中でございますから、事実が判明した後の問題でありますが、法律に違反したことは厳重に改めさせることは当然であります。
○田中(美)委員 いま局長が言われましたように多分、出ていない。いま監督課長は出ていないと言っているわけですから、そうすれば労働者に対して一晩二千五十円などというようなものではなくて、時間外労働を出していただくような御指導をしていただけるということですので、ぜひこれを、すぐ、していただきたいと思います。 それから届けを出しますと、これは宿直になるということだと思いますけれども、問題としまして現在やられています。いろいろな事例がたくさん出ています。こういうことも、おたくで実態調査していただきたいと思うのですけれども——ちょっと大臣聞いてください。いま私、質問しているのです。 宿直するわけですからね、昼間の正規の労働をやりまして、これが四時半とか五時半に終わりますね。それから宿直に入りまして、朝八時半の勤務まで変電所に行って、そこへ泊まって、ずっと仕事をするわけですね。それで翌日、今度は正規の労働を八時間やるわけですね。またその翌日、宿直になるわけですね。これは変電所に人数が二人とか三人しかいないものですから結局そういうふうになるわけですね。そうしますと一人の人間が多いのは八十時間を超えるという拘束時間が出るわけなんです。一カ月に十五回も宿直をしますと実際には家庭生活というのはあり得ないのですね。子供たちはお父ちゃんの顔もろくに見ることがない、実際に家にいないわけですから。もちろん夫婦生活もろくにできない。家庭が破壊状態にあるのですね。 こういう状態は、労働基準法の一条の原則のところですけれども、これに違反しているというふうに思うのですけれども、大臣の見解を伺いたいと思います。
○小粥説明員 いま先生御指摘のことでございますが、通常、宿日直と言われるものにも、いろいろな態様がございまして、事業所内に住まいを持っている場合と事業所外に住宅があって事業所へわざわざ泊まり込んでの宿直の場合とがあるわけでございます。いま御指摘のように連日宿直をするというような形のものは、宿日直を許可するに当たっての私どもの基準としては、宿直であれば週に一回、日直であれば月に一回という程度のものを原則に考えておりますので、連日という形の宿直であれば、その基準から見れば好ましくないということになるのですが、事業所内に住まいを持っている場合、しかも小規模事業所と申しますか、いま先生からお話がありましたように、従業員の数もいないので、ある程度、輪番で回ってくる回数が多くなるという場合は、必ずしも週一回というような原則じゃなくてもいいという例外も認めておりますので、やはり個別に、その実態を見ないと一概に申し上げられないと思います。
○田中(美)委員 それはわかっています。そこの変電所の社宅に住んで、そこに待機をしていて、事故があったりしたときには起きて働くという、そこに住んでいる人の問題は家庭生活は一応破壊はされないわけですね、外へ出られないということはありますけれども。これはちょっと別の次元の問題ですので、ちょっとそれは別に置いておきまして、たとえば名古屋市内から通勤している。そうしますと会社では宅直という名前を使っておりますけれども、実際に泊まるわけですから宿直ですね。泊まります。そして夕方で済むときには自宅へ帰ってくる。泊まる日はそっちへ泊まる、この問題を言っているわけですね。ですから、これは許可が出ていないということですから、許可が出ていなければ、この時間が全部オーバータイムになる。この点で私、ちょっと計算してみたのですけれども、中部電力の平均の賃金というのが三十七歳で大体十九万円ぐらいのようなんです。これで計算して、十五回なんというものもありますけれども一応、十回泊まった。これを宿直というか宅直というか、宅直というのは法的にない言葉ですから、勝手に会社が使っている言葉ですけれども、宿直を十回やったというふうにしますと、四時半のところもありますけれども、五時半から八時半までということになりますと十五時間のオーバータイムをしていることになるわけですね、届けを出していないわけですから。そうしますと、これは二五%増しということになりますと、約十回やっても十九万に近い、大体十四、五万の時間外手当というのを出さなければならなくなるわけです。いま私が計算したのでは十四万八千五百円になっているわけですね。いま、もらっているのが一晩二千五十円という形で、それに実働時間を少しプラスするという形で日にち計算でもらうわけですね。それを概算して引きますと、大体月額で十一万三千七百五十円というお金を会社が支払っていないという計算が出るわけです。これほど労働者は損害を得ておりますので、届けの出ていないところは、届けの出ていないところからさかのぼって、変電所の社宅に入っている人は別として、通勤している人に対してオーバータイムの賃金を出すような御指導を厳重にしていただきたいということが一つと、もう一つ、いまの宅直と言っていることですね。これはもし届けが出ていれば日直ではないのかということです。この二つをちょっと、はっきりしていただきたいと思います。
○小粥説明員 最初に、許可の申請がされていない宿日直について、当然、時間外労働になるのではないかということでございますが、その点は、もうちょっと細かく申し上げないといけないかと思いますけれども、宿直なんかの場合で、本来の仕事としては定期的な巡視であるとか、不時の郵便を受けたり電話を受けたり、あるいは非常事態に備えて準備をするといった作業が本来の宿日直の仕事であるわけです。その中で、たとえば実際に事故が出た場合に、事故処理のために、いろいろ出かける、これは純然たる時間外労働として処理をするという形になっておりまして、同じ宿日直として拘束をされている中でも、労働の態様によって時間外として処理すべきものもあれば、そうじゃないものとして処理するものもあるわけでございます。そうなりますと先生、御指摘の事例での拘束の度合いが、どういう形になっているのか、それを個別に洗いませんと、一概に残業分が幾らになるというふうには申せない点があるものでございますから、もう少し実態を見た上でお答えさせていただきたいと思います。 それから宅直の問題でございますが、宅直というのは御指摘のように法令上、何らそういう名称のものはございません。それで、いま事情を愛知の局にも、いろいろ問い合わせている最中でございますけれども、その宅直者が泊まるところが事業所内の社宅であるのか、あるいは、その事業所の外にいるのか、その辺がどうも、はっきりしない面があるようでございます。事業所の中で泊まるということになりますと、これは必ずしも回数の制限を言わないで、ある程度、許可する場合もございますので、その宅直者がどういうところに泊まり、どういう拘束を受けて、その勤務に従事しているのか、もう少し詳細を調べさせていただきたいと思います。
○田中(美)委員 ちょっと、あいまいですけれども、届けを出していない場合には、これは全部三十二条の適用になるんじゃないですか。
○小粥説明員 先ほど、お答え申し上げましたように、届けを出さないで労働させている場合には、これは当然、時間外労働になるということで申し上げたわけでございます。その労働の態様が単に拘束されているという程度の労働と見るのか、そうじゃないのかというのは、個々に当たりませんと一概に申せない点があるということを申し上げたわけでございます。
○田中(美)委員 個々に当たるということですけれども、労働省が出しております「労働法コンメンタール」こういうのを調べてみたわけですが、これには、いま彼らが変電所でやっている仕事というのは当然四十一条の三号に適応するという解説もちゃんと出ております。「監視又は断続的労働に従事する者」というものに当てはまるというふうに私、思います。ですから届けを出していた場合には、これは宿直ということになるわけですね。はっきり、おっしゃっていただきたい。
○小粥説明員 宿日直の許可申請をし、許可を受けてやっている場合は、これは宿日直ということになります。
○田中(美)委員 四十一条三号の届けを出していれば、これは宅直ではなく宿直になるわけですね。
○小粥説明員 ちょっと、かみ合わない点があって大変恐縮でございますが、その宅直の実態が、まだ詳細にわかりませんものですから、繰り返し同じことをお答えしているのでございますけれども、その実態が宿日直と同じものであれば、それは宅直という名称を使っていようと許可を受けてない場合は、これは宿日直として扱います。
○田中(美)委員 許可を受けてない場合は宿日直として扱うんじゃないでしょう。許可を受けた場合に宿日直として扱うわけでしょう。大事なところですから間違わないように。
○小粥説明員 大変失礼いたしました。許可を受けてやっている場合は、宅直という名称のものであっても、これは宿日直として扱うことになるわけでございます。その態様が宿日直と同様のものであれば。
○田中(美)委員 ここをはっきりしておけば、基本がはっきりしておれば、あとは問題がないわけです。現状を調べれば、法律に沿ってやればいいわけですから。ですから、ここではっきりさせておきたいことは、いまわかりましたが、許可を出していて許可になっていれば宿直に扱われるということです。許可がない場合には、これはオーバータイムに扱われるということですね。もう一度はっきりしてください。
○小粥説明員 ですから、許可がない場合の宅直というのは、会社として見れば、いわゆる宿日直とは実態が違うものと理解して従来やってきたんだろうと思いますが、その実態が宿日直と同じものであれば、宅直といえども、それは許可を受けてない場合、宿日直を許可なくしてやっているという意味で基準法違反、こういうことになるわけでございますが、宅直というものの実態が明らかに宿日直と違うものであれば、これは一概には言えない、個別に実態を洗わなければお答えできない、こういう意味で申し上げているわけでございます。
○田中(美)委員 もう少し早く労働省は対応していただきたいと思うのです。労働基準局に中部電力が宿直とみなす、宿直にするとはっきり言っているわけです。労働者との話し合いの中で、これは改善する、宿直にすると言っているわけです。ですから会社自体は宿直とみなしているわけです。おたくは、いま実態を見なければ実態を見なければと言っていますけれども、中部電力自体は、つい最近これは宿直であるとみなしたわけです。そうすると、届けを出してないわけですから、中身は宿直であるということを中部電力は言っているわけなんですね。ですから、実態がなんだというふうに中部電力よりも下がったような回答を労働省がやってもらっては困るわけです。 それで、届けを出してない場合にどうするかという問題が出てくるわけです。中部電力はこれからは届けをすぐ出されると思いますか。出すように指導していただきたいわけです。当然指導すると思います。それは信じておりますけれども。いままで届けを出さないで宿直——実態は宿直だと会社は言っているわけですから、いま、あなたと私とは宿直か、いやそうじゃないかという、そういう論議をしようとしているんじゃないんです。会社は宿直だと、いま認めているわけですからね。認めている仕事というものを、いままで届けをなさずにやっていたということは、これはどうなりますか。それをオーバータイムで出していただきたい、私はこれを言っているわけです。
○小粥説明員 私どもが現地の局から報告を受けておりますのは、十月に宅直問題が表へ出てきて、それで十一月の十八日でございますか、会社としても労働組合と、この宅直問題をどうするかということを協議をしているというふうに聞いております。その協議を通じまして、じゃ、どこの変電所なり配電所に、言うなら、どういう形の宿日直制度を置いていくのか、これから詰めるというふうに聞いておりますので、現実に、いままで、どういう形で、それが行われていたかまでは実は私ども詳細に承知してないわけでございます。その意味で実態を見なければということでお答えをしておるわけでございます。
○田中(美)委員 私のところに来ましたのは、労働基準監督署から来たものの中に、会社がこういうふうに回答している、宿直とみなすと回答しているというものを私は見ているわけですね。それで、その宿直の問題は届けを出しさえすればいいわけです。問題は回数の問題ですね。宿直になれば一カ月に十五日も宿直させるということは問題ですので、この改善命令を出していただきたいのです。それはよろしいですか。
○小粥説明員 お話のように連日の宿直というような形で、月間少なくとも十日とか十五日という形で宿直が行われますとすれば、これは小規模事業所の場合の特例等がございますから、そういうものに該当するかしないかを洗ってみなければなりませんけれども、一般的に言って、そういう頻度の多いものは宿直として好ましくないというふうに思っております。現に愛知の局でも、会社の方からいろいろ事前に相談を受けたいきさつもあるようでございます。その際には、そういう回数のものは好ましくない、是正しなさいということで指導はすでにいたしておりますから、そういうものを踏まえて、いま会社と労働組合との間で話を詰めることが進行しているものと、こういうふうに考えております。
○田中(美)委員 指導すると言いますけれども、去年の十月から問題になっているわけですよ。それが、いまなお改善されないわけです。いつまでもいつまでも、これは一年も二年も引き延ばされて、いま指導しています。指導していますと言う毎日毎日、労働者の家庭というものは破壊されているわけですから、それをきちっと、いつまでに改善命令を出すなりしていただけますか。何月何日と言わなくとも、めどをきちっとしていただきたい。
○小粥説明員 現在の、その会社での労使の話し合いは、来年の三月でございますかをめどに話を早急に煮詰めるということでやっておりますので、そうした労使の話し合いの意向も尊重しながら、間に合うように是正方を図っていきたいというふうに考えております。
○田中(美)委員 そうすると、届けを出してなくて宿直と認めたわけですから、その間はオーバータイムに扱われるということも確認してよろしいですね。
○小粥説明員 ですから宅直の労働態様が宿直とは言えない、いわゆる時間外勤務に相当するような形の労働を伴うものであれば、その部分については時間外勤務になると思いますが、その拘束の度合い、その他も、いろいろ違いますので、ここで、ずばりと申し上げられない点があることは、もう少し実態を調べた上での御返答にさせていただきたいと思います。
○田中(美)委員 まだ二、三分ありますので、もう一度確認しますけれども、ちょっとそこは、おたく少しあいまいですね。届けを出している場合と出さない場合と別に考えていただかないと困るわけです。届けを出した場合は日直になりますので、日直になっても、その中で実働というのがあった場合には、これにまたオーバータイムがつくということは、これはよくわかります。届けを出してない場合には、そういうことはないわけでしょう。第一、そこはどういう労働であろうとも拘束して、そこで働かせたということ、これ自体がおかしいわけでしょう、日直に扱うとか何とかでないわけでしょう、届けが出てないわけですから。そのとき、どうするのかということを、もうちょっと、はっきりしていただきたいわけです。
○小粥説明員 私どもの聞いております宅直の姿というのは、事業所内に社宅とかがある場合と、その外に自分の自宅を持っている者が自分の自宅に泊まりながらやる場合と両方あるやに聞いております。それで、事業所の外に自分の自宅を持ちながら、自宅にいて、たまたま近いから何かあったら、そのときは頼むよという程度の緩い拘束のものと、そうじゃなくて、事業所内の宿泊施設に泊まらなければいけないというような形で身柄を拘束する形でやるものと、いろいろあるわけでございますので、その辺のことを申し上げているわけでございます。
○田中(美)委員 私は、さっきから言っているじゃないですか。そこの変電所の中の社宅に住んでいる人は、ちょっと別だと言っているわけですよ、そこでは家族生活しているわけですから、家族もみんな、そこにいるわけですから。そうじゃなくて自分の自宅から、はるばるそこへ出勤してきている人というのは、そこのあいた社宅とか、そんなようなところに宿直室があるところもあるかもしれませんし、あいた社宅とか、そういうところに泊まって自炊をして、三日なり泊まって拘束でもされて、そしてまた家に帰ってくるということを言っているわけです。そのときには宿直だということを会社は認めておるわけですね。この宿直というものを、外から通ってきて、そういうものについて宿直の届けを出していないわけですから、そうすれば三十二条に触れるわけでしょう、その中身がどうであろうと。そのことを私は言っているわけです。
○小粥説明員 ちょっと誤解した点があって大変恐縮でございましたが、事業所内の宿泊施設というようなものじゃなくて、事業所内のあいている社宅に外から通ってきて宿直をしている、こういうお話でございますか。(田中(美)委員「そうです」と呼ぶ) そうなりますと、ふだん事業所内の社宅に住んでいる人が、たまたま従業員の数が少ないから宿直同様のことをやる場合と事態が変わってまいりますから、それなりの強い拘束を受けているものというふうに考えられますので、その全体の時間が時間外労働になるのか、あるいは、その中での拘束の仕方が、また違うのかもしれませんけれども、時間外労働に相当する部分は出てまいると思います。
○田中(美)委員 それじゃ厳重に法に沿った方向でやっていただきたい。会社側のような答弁を課長さんは非常にしていらっしゃるように私は思うのですけれども、法を厳正に守るように、届けを出さなかったというのは、悪意であろうと、うっかりであろうと、何しろ法に触れているということは、やはりそれまでの間は会社はきちっと償いをしなければならない。それから届けを出してからは届けを出したように、宿直の回数を多くすることはいけないのだ、そういうことをきっちりとして、両方が気持ちよく法律に沿ったように行われるように労働省はやっていただきたい。 局長さん、よろしいですか。最後におっしゃってください。
○桑原政府委員 御指摘の点、私ども、いろいろ事実を調べてみたいと思います。そして法に沿った改善措置を講じたいと思います。
○田中(美)委員 質問を終わります。
○戸井田委員長代理 この際、午後一時まで休憩いたします。 午後零時二十三分休憩 ————◇————− 午後一時開議
○橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。和田耕作君。
○和田(耕)委員 最初に、当面の失業の現状というのですか、あるいは今後の大臣としての対処の基本姿勢というもの、こういう問題を御質問したいのですが、今年になりまして一月から十月いっぱいで、例の一千万円以上の負債を残して倒産する件数が一万五千二百件に達したということですね。つまり一カ月平均千五百以上というのがずうっと続いてきている。その前からもそうですか、今後も続いていくという非常に暗い情勢が続いておるわけですね。日本の完全失業者という意味は、いろいろととられておりますけれども、これにしても理解できないほど相当高水準で推移している。その他いろんな指標から見て雇用状況については非常に暗い状態からなかなか抜け出せない、こういう状況があると思うのですけれども、これは今年度の通常国会の予算あるいは最近の補正予算の実行等を見ても、福田内閣としても、つまり景気を浮揚さすために雇用を一定水準に引き上げるために相当努力をしておると思うのですね。あるいは相当な成果を期待してやっておると思うのですけれども、それがなかなか実ってこない。これはどういうふうな点にあると労働大臣はお考えになられるか、それから最初にお伺いしたい。
○石田国務大臣 本日、一番先の御質疑にもお答えをしたのでありますが、今回の雇用問題には幾つか、いままで経験しなかった特徴がございます。一つは同じように石油ショックを受けながら、アメリカやヨーロッパに比べて、わが国の完全失業率というものが比較的低い水準で、やや横ばいに続いておるのです。しかし始まりと今日と比較してみますと約倍になっている。欧米の場合は景気変動にすぐ即応してカーブが非常に大きく動くわけでありますが、わが国の場合は景気変動の場合でも、動きはしますけれども、そういう大きな動きをしないというのが一つの特徴でございます。これはまず第一に欧米では、そういう状態のときはレイオフを行いますから、したがって失業者がふえるわけで、失業統計のとり方について各国において、それぞれ事情が違いますが、わが国とアメリカとは、かなり近似をいたしてきておるわけであります。 そういう状態が続くことができた、いわゆる雇用問題がやかましいといいながら、完全失業率が二%少し超えたところでとどまり得たということは、どういう原因に基づくかといえば、一つには終身雇用制度、もう一つにはやはり雇用調整給付金の支給等によって、操業度が落ちてもレイオフをしないで続いていくということにあると思うのです。しかし、それだけに今度は逆に申しますと経済指標が好転をいたしましても、そういう、いわゆる帰休しておった労働力を稼働させるというのが、まず第一の段階でありまして、外側にいる就業希望者に雇用の機会を与えるというところまでいかないということになるわけであります。 しかし製造業全体で見ますと、この不況の始まった昭和四十九年と五十年の間に鉱工業生産指数あるいは設備の稼働率等は大体一二%弱低下をしておりますが、雇用指標は六%弱の低下であります。したがって、ここに過剰雇用感というものが非常に出たわけでありまして、また雇調金の支払いも五十年度は五百五十億円以上に達したわけであります。ところが五十一年になりますと雇調金の支払いは、期限が来たせいもありますけれども、十分の一程度に減りました。そして鉱工業生産指数等も、四十九年の指標を若干でございますが上回ったわけであります。しかしながら依然として雇用関係の指標は約八%低下をしております。したがって製造業全体から見ますと、いわゆる過剰雇用感というものは、かなりの減退をいたしたものだと考えておるわけであります。 それから就業人口でありますが、五十年から五十一年にかけまして約六十八万人増加しております。それから本年九月におきましては前年同月に比べて六十九万人増加をいたしているわけであります。しかしながら、その内訳を見ますと製造業においては減少している、その製造業の減少を第三次産業が補っているという状態でございます。 それから完全失業者の内容を検討いたしますと、比較的いままで非労働力人口であった人の求職活動が目立って出てきている。いわゆる三十九歳以下の婦人の求職活動が目立っているわけであります。これはアメリカなどでも特徴的なものでありまして、ガルブレイスの先般、日本へやってきた講演の中では、この十年間で、そういう変動が約六百万にわたっている、こういうことを言われているわけであります。 〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 全体として見れば、そういう状態でありますが、そういう状態の中で特に問題点は御承知のごとき構造不況業種であります。私どもの計算によりますと構造不況業種の雇用者数は約三百六十万、その中の繊維業が二百八十万、その二百八十万の中で約百十万がいわゆる流通部門であります。それから、それに加わったのは円高の影響でありまして、中小企業庁が七月時点に調査をいたしました二十二業種につきまして十月末現在で私どもが調査いたしました数字によりますと、大体事業所数で一万五千、それからそこに従業しておる人が十二万でありますから、これは全部が中小というよりはいわゆる小企業であります。現在のところ、この円高が直ちに雇用問題に影響いたしておりませんけれども、円高状況がどの程度に落ちつくか、これはわからないところでありますが、その落ちつき方いかんによっては、これからやはり雇用調整が始まるものだ、こう考えておるわけであります。 これらに対処いたしますために雇用安定資金の二つの事業を発足させておるわけでありますが、総雇用数がわかっても、そこから離職する数がなかなかつかめないのが実情であります。したがって、つかみで対策を講じておりますが、今後、実際問題として、それで間に合わない場合は、これは義務的経費でございますので予備金の支出で対処をいたしてまいりたい。 それから公共事業の前倒しを中心とする景気対策が思わしい影響がないのは、どういうわけかという問題でありますが、一つには、予算が成立いたしまして工事が発注され、それが実際に仕事になっていくのには約二カ月かかるわけであります。そこで、その二カ月の間には影響が出なかったのでありますが、七月から八月にかけて、ごくわずかでありますが求人倍率が改善されました。それは主として建設業であります。この改善の状況、建設業を中心といたします改善の状況は、これからも続くものだと思います。たとえば名古屋等に参りますと、駅前に求人募集の大きなポスターが非常に目立つようになりました。今度の補正予算も、これが実際上の波及効果を持つためには、やはり同じような時間的経過が必要でございますので、それを縮めるために努力をいたしたいと考えております。 結論から、もう一遍申しますと、全体としては好転しつつある。しかし構造不況業種については、いまなお各業界ごとの対策がまとまっていないところが多く、さみだれ的に雇用調整が行われておるところも多いわけであります。やはり、これからの問題だと思います。特に円高の影響を受けている部分は、年を明けたころから、円レートの落ちつきぐあいにもよりますけれども、雇用調整が相当活発に行われるのではないかと憂慮をいたしておるところであります。
○和田(耕)委員 おっしゃる点は、よく理解できるのですけれども、確かに最近、町に出ておる建設業を中心として少し活発になったかなという感じを受けていることは事実ですけれども、しかし、いまもおっしゃいました円高の問題がいよいよ影響してくるのは今後の問題に出てくるのと、いわゆる外圧と言われるアメリカあるいはEC諸国の、たとえば好況を維持しておる産業への風当たり等の問題を考えますと、また、いまいろいろ、おっしゃいました政府の景気刺激策がなかなか功を奏してないというふうな問題も含めて、楽観を許さないというよりは、非常に困難な状態を予想するような事態が、楽観的な要素よりも、もっと多いんじゃないかという感じを受けてならないのです。 そこで、こういう問題は、雇用問題に責任を持っておられる労働大臣ですから、新しい視野から雇用拡大という問題について取り組んでみたらどうだろうか。いま労働省設置法で労働大臣の職務というものがどういう範囲になるのか。つまり雇用拡大という問題については、なかなか、いろいろむずかしい問題もあると思いますけれども、当面のような非常に複雑な様相での不況、失業等の問題に対しては、やはり離職者対策という問題は非常に重要だし、これは今後も、この国会でも、いろいろと手当てをしているわけですけれども、雇用の機会を拡大するという面に、もっと留意をされたらどうだろうか、こういう感じがしてならないのですね。 一つの例を挙げますと、たとえば原子力発電という問題があります。こういう問題は予定より恐らく三分の一くらいしかいってないじゃないかという感じがするのですけれども、こういうものが予定計画が実行されていけば、相当大きな投資が行われるわけですね。また、たとえば私の選挙区は杉並ですけれども、私のすぐ近くに幼稚園を区役所がつくるという計画がある。これに対して幼稚園のすぐ周辺の五人ぐらいの人が、これができたらやかましいということで、なかなか半年間以上も、できないような状態がある。こういう中央官庁、地方官庁がいろいろ公的な投資をするのが、ほとんど予定どおりに行われていないという問題が各所にあるわけですね。これは道路の建設なんかでもそうです。東京の八環なんかの問題でも、国がやろうとしても都に金がないという問題で、この一年ぐらい、ほとんどストップしているという状態がある。つまり、こういう状態について、これは労働大臣ができるわけじゃないのですけれども、やはり雇用の責任を持っておる責任者として、内閣全体に、総理を動かして雇用拡大のアピールを、強力なアピールを、しかるべく有効な方法でやるべき時期じゃないか、こういう感じがするのです。 またたとえば、いま問題になっている成田空港の問題にしても同じことです。約七千億という公的資本が中心になったお金が投ぜられておる。関連した投資を入れれば約その倍ぐらいの投資が現に遊んでいる。これが動き出せば相当たくさんな雇用の機会をつくり出すことができる。新幹線が同じですね。こういう問題がストップするについてはストップする、いろいろ理由があります。公害等の問題もあれば、あるいは、いろいろな問題がありますけれども、必要でなければいいんですが、必要なものなんですから、こういうものを全体として、ひとつ内閣として総点検なさって、こういう必要で、やるべき仕事をやるために全力を挙げていく、そういう努力が私は必要だと思うのです。そのイニシアチブをとるのは、現在の状況では私は労働大臣ではないかと思うのです。そういう問題について、ひとつお考えにならないのか。 あるいは私は後でも申しますけれども、たとえば原子力発電が予定どおり行われれば、どれぐらいの雇用が拡大するのか、あるいは新幹線計画が予定どおり行われれば、あるいは道路計画が行われれば、成田空港の問題が行われれば、あるいは、その他の各中央あるいは地方の公共事業体の計画が実行されておれば、つまり、どのような新しい雇用の増となってあらわれ、景気の振興になるかという、これを雇用面から労働省で調べた、各省で連絡した資料を、ひとつ出してもらいたいと私は思うのです。そういうことを含めて、ひとつ大臣の御所見を承りたい。
○石田国務大臣 だれがイニシアチブをとるかということは、これは別問題といたしまして、雇用機会を創出する、つくり出していくということの必要は痛感をいたします。そういうことから、これはまだ円高問題が起こる以前でありましたけれども、雇用関係の閣僚懇談会というものを発足いたさせまして、いま、その下に事務局を置いて作業を進めておるところであります。 その一つは、まず構造不況産業とは何か。そこに雇用されている総数はどれくらいで、どれくらいの過剰雇用を抱えているか。それから将来、雇用吸収力があるものは何か、それがどれくらいの吸収力を持つか。こういう点を中心といたしまして、それに対応の仕方を探すべく作業をいたしております。現に今月の二十九日にも、この会議を開催する予定であります。 ただ、成田空港ができればどれくらい、新幹線を現在の整備線以上に延ばした場合にどれくらいという数字の出し方は大変むずかしい問題だと思うのです。昨日も外国人の外人記者クラブへ呼ばれてまいりまして、日本の最終消費財の輸入率は二〇%だ。それを二五%にしたら日本の国内需要にどういう影響を与えるかという質問が出て、弱り果てたわけでありますが、これはなかなかつかみ得ない問題であります。ただ、いま、いろいろな公共の施設その他についてお話がありましたが、いま雇用が伸びているのは第三次だと申しましたが、その第三次という部門の中には、これは単に小売業とか卸売業とかという流通部門だけではなくて、あるいは飲食店、旅館等だけではなくて、いま非常に不足をいたしておりますのは、いわゆる、そういう社会関連施設の従業員の不足であります。それから設備の不足、これが伸びれば、そこにそれだけの雇用が当然ふえるものと考えております。 それから、もう一つは各業種別の求人倍率をとってまいりますと非常にでこぼこがございます。求人倍率三以上のものも相当あるわけで、したがって職業訓練を、その求人倍率の高い方向に向けていくということも、ぜひ必要なことだろう、こう考えております。 それから公共事業の前倒し、あるいは補正予算の成立効果というものは、私は効果がない、少ないと申し上げたのではなくて、効果が出てくるのに時間がかかるということを申し上げたのでありまして、時間的経過を経てまいりますと好転をしていくのではないか、そう考えております。 いずれにしろ閣僚懇談会におきましては、御発言の趣旨を踏まえて雇用の創出ということに努力することが必要であることは申すまでもございません。
○和田(耕)委員 いま、たとえば原子力発電所が計画どおり実行されると、どれぐらいの雇用の機会がふえるのか、あるいは新幹線が予定どおりに建設されると、あるいは公共事業がやられると、ということを申し上げたのは、つまり、そういうことに反対しておる人たちは、いろいろ多種多様の階層の人を含んでおるわけですね。しかし、そういう問題はあっても、必要でなければ、それはやめてもいいのですが、国民経済あるいは国民生活から見て必要なことですから、できるだけ欠点をカバーしながら実行していくということを説明しながら、しかも、この不景気なときに、これぐらい雇用がふえる、みすみす、これを逃しておるのは自分たちじゃないかというような印象——これを説得するためにも、その資料は私は必要だと思うのです。ぜひとも、その御努力をお願いしたいと思うのです。 それと関連して、たとえば日本の航空機産業という問題があります。これでも、いま、たとえば造船産業あるいは機械関係の業種が非常に不景気になっている。この人たちの転職という問題を考えても、なかなかむずかしい。あるいは訓練しても、なかなか成果は上がりにくいと聞いておるのですけれども、やはり日本では航空機産業をもっと本格的に進めていくという考え方を、この際すべきじゃないか。いままでは航空機産業というと、これは防衛庁の使う戦闘機あるいはその他の機もあるから、軍備を何とかかんとかという意見もあったわけですけれども、それは政府あるいは国民の心構えで、そういう再軍備につながるとか、いろいろなことはカバーできるのであって、やはり重要な独立国として日本の航空機産業をまともに発展さしていくということは私は必要だと思うのですね。日本のたとえば日航にしても全日空にしても東亜航空にしても相当たくさんの飛行機を使っている。防衛庁にしても便っている。そのほとんど大部分が外国から来るという状態をなくしていくということが必要だと思うのです。こういうことに努力するのは、つまりロッキード問題を二度三度と起こさない一番大事なことでありますから、これが悪い影響を持つという面については、お互いに政府としても国民としても、そういうふうにならないように運用するとして、そういう問題についても目を向けていく必要があると思うのですね。こういう政府がいろいろな政策をとってみても、この不況の打開ができない現状において、やはりそういう問題を正しく提起していくということが私は必要だと思うのです。 そういうふうな意味からも、先ほどからお願いしておる、幾つかの停滞しておる、いろいろな理由でやれない公共的な事業が、もし行われれば、これくらいの雇用の機会を提供するし、景気に影響するのだということを、やはりアウトラインでも出していただく、これをぜひともお願いしたいと思うのです。閣僚協議会その他の場もあると思いますから重ねて、ひとつお願いをしたいと思います。
○石田国務大臣 御説は私どもも、よくわかるわけでありますが、たとえば新幹線なんかの場合マイナスの面が出てくる場合がある。岡山まであった時代は岡山で非常に雇用が伸びた。ところが、これが福岡まで行った途端に、岡山の方に非常に不況が訪れる。たとえば現在、福岡でとまっておりますが、あれが鹿児島や長崎に行った場合に、福岡で非常な打撃が来るのではないか。そういうマイナスの面も非常に考えておかなければならぬ問題があるだろうと思うのであります。それから航空機産業の場合になりますと、外貨減らしの問題との関連も相当出てくるのではないか、そう思います。ただ、これからは、なるべく物を使わない部門において雇用をふやしていく必要があるわけでありますので、私はやはり、わが国のような場合は、その雇用の場というのは第三次産業に求めていく必要がある。それをつくり上げるのには、たとえば週休二日制とか、あるいは年次有給休暇の完全消化とか、労働時間の短縮とか、そういうお客さんをつくり出すということも、あわせてやる必要があるのじゃないか。あるいはまた、同じようにお金を使った場合、使ったお金がどこかへ行ってしまうのではなくて、子孫に残るようにするためには、植林事業というようなものも対象になるのではなかろうかと思って、林野庁と目下、連絡をさせておるところでございます。いろいろ関係各省の事情等もございますけれども、やはり雇用機会をつくり出すということが重要な柱であることは、よくわかりますので、そういう御趣旨に沿って行動していきたいと思います。
○和田(耕)委員 どのような産業、どのような仕事を新しくつくっていくかという問題は、いろいろむずかしい問題もあると思いますけれども、外貨減らしという話も出たのですけれども、とにかく雇用機会を拡大していく。できたものを何とかしようということでは、いかにも消極的であって、新しい機会をつくり出すためにも、ぜひともひとつ、そういうものを具体的に閣僚間で御検討いただきたい。 もう一つの問題は、公務員のストの問題ですけれども、二十四日に総評、官公労を中心にして、また、おやりになるようですが、これはどういうふうな規模で行われると予想されるのか。あるいは、それに対して政府当局、特に一般的に労働問題の責任者である労働大臣として、どういうふうなお気持ちで対処されておられるのか、このお答えをいただきたい。
○石田国務大臣 二十四日に予定されておりまするストの範囲その他については、労政局長からお答えをいたします。ただ、これが現に国会で審議されておりまする法案の処理についての要求を掲げておるわけであります。これは国会で決定することであって、これに対して、それの方向づけを求めてストをするというのは、これは明確に、単に公労法違反であるとかなんとかということを超えた政治ストとして扱わざるを得ない。たとえ、これが労働組合法上認められた団体であったとしても、その行為は労働組合に認められるものではない。そういう観点に立ちまして、そのストの中止方をいろいろな手段で求めておりますが、現に本日十二時半から総評の、特に官公労関係の幹部の人に来訪を求めまして、われわれの意図を伝えて自重を促したわけであります。向こう側からは自分たちが要望することを述べて、それを総理に伝えるようにという希望がございましたので、その希望は無論、承知をいたしまして、すでに伝えました。なお、これから明日いっぱいにかけまして、私どもの担当者と先方との間に精力的な懇談の機会を重ねて、庶民に迷惑をかけるような政治ストがとまるように、全力を尽くすつもりでございます。
○北川政府委員 二十四日のストライキの計画でございますけれども、総評傘下の国鉄労働組合、動力車労働組合あるいは私鉄総連というような交通関係のところが始発から朝の六時半まで、それ以外に、たとえていいますと全国金属あるいは全国一般、全自交等が二時間以上のストライキというような規模で、先ほど大臣が御指摘のように、運賃法の緩和反対あるいは健保の改正反対というような目標を掲げて計画をしておる次第でございます。
○和田(耕)委員 朝の六時半までというのですから、考えようによれば、そう大した影響はないのだというふうにも見られるのですけれども、実は、この問題は本質的に考えれば逆でして、これは本当に労働者諸君の生活に非常に重大な影響があるとか、あるいは日本の民主主義に対して大きな後退があるとか、あるいは戦争の危機を高めるとかということであれば、これは無制限に幾ら続いてストをやっても、それは一つの名分があります。しかし、こんな六時半までなどというストが何の意味があるのです。何らの意味がないでしょう。そういう意味で、むしろ一週間、十日のストより、もっと悪質だと思うのです。つまり法律を犯すという点では同じことですよ、これは。そういうふうなことを何かもっと労働大臣としても強く印象づけてもらうように、私はぜひともお願いしたいと思うのですね。つまり、影響が軽微だからということで、総評の責任者も、フランスで何かの値上げをしたらストライキやったとかなんとか言っているようですけれども、そういう感覚はいけない、これは本当にいけない、私はそう思います。大臣いかがでしょうね、そういう問題については。
○石田国務大臣 迷惑を受けるのは自分たちと同じ労働者が一番迷惑を受けるのでありまして、いわゆる中上層の階級の人は、早朝に出勤しなければしなくて済む人も多いのです。したがって、違法であることは言うまでもありませんが、そういう点も本日は強調いたしました。そして、これからも国民の人々にも理解をしてもらって、組合側の自重を求めていきたい、こう考えておる次第であります。
○和田(耕)委員 そういうような自分たちの立場とか、かっこうだけのことでやることは、やめてもらわなければいかぬですね、無責任だという一語に尽きると思いますから。 それと関連して、スト権問題というのは長年、問題になっているのですけれども、これ、いまどうなっておるのか、今後どういうふうな処置をなさるのか。これは労働大臣が直接の責任者ではないと思いますけれども、やはり重要な関係者であり、政府の閣僚として、重要な関係者として、この問題についての現状に対する見方と今後の方針についてお伺いしたいのであります。
○石田国務大臣 公共企業体のスト権につきましては、私も、たびたび労働行政をお預かりいたしておりますので、私なりの考えは無論、持っております。しかしながら、これは御承知のごとく、いわゆる中山委員会で、いま審議中でございますので、政府の一員として私見を申し述べることは差し控えたいと存じます。 現在の進行状態その他については、労政局長からお答えを申し上げます。
○北川政府委員 五十年十二月の閣議決定で、政府の基本方針というものを三公五現の労働基本権問題に関して明らかにしておりますが、それに基づきまして現在、大臣が御指摘のように、公企体等基本問題会議を中山先生の主宰のもとで開いておるわけでございます。いままでのところ、当事者能力の強化の問題あるいは経営形態の問題さらには公労法関係の諸法令の改正の問題、この三点につきまして、いろいろ御検討をいただきまして、いまの段階で労使のヒヤリングを終えたところでございます。ただ、まだ公労協関係が、そのヒヤリングに応じないということで、現在それに出席をして意見を述べるように説得をいたしておるところでございます。 なお、予定といたしましては、基本問題会議の報告を来年の六月にはいただきたい、こういう予定で作業を進めておるところでございます。
○和田(耕)委員 これは、いまの特に公労協の諸君のビヘービアとも関係すると思うのですけれども、やはり、こういう問題は原則的にスト権は与えられるものだ。しかし、やたらにやられたら困るというのは国民全体の実感ですから、条件をつけて、きちんとした形で解決するように、この点については大部分の合意ができつつあると思うのですね。こういう問題をぜひとも早く処置をするように意見として申し上げておきたいと思います。 つきましては、いまのけちなストライキをやる場合は、もっと労働大臣は厳しく取り締まった方がいいですよ。本当に私は、こういうストライキはけちなストライキだと思うのです。国民も労働者自身も死活の問題とは思っていない。ただ、これはやった方がかっこうがいいなどという、そんなストライキに対しては断固とした態度をとってもらいたいと思います。 これで終わります。
○斉藤(滋)委員長代理 次に、西田八郎君。
○西田(八)委員 和田委員に関連いたしまして、二、三質疑を行いたいと思います。 いま国際的に各国とも不況の状況にあるわけですし、まして米国あたりは労働者の失業が急増しておるというふうに聞いてもおります。そういう中で、アメリカが先日ILO脱退を通告をいたしておりましたが、正式に脱退を決定をいたしまして、ILOから退いていきました。今日までILOは、国際労働基準の確立であるとか、あるいは労働条件の格差是正には大きな役割りを果たしてきておると思います。そういう中にあって、最も工業の進んだ国であり、しかも国際的な影響力を持っているアメリカがILOを脱退したということは、きわめて遺憾でなりませんが、これに対して労働大臣、どのようにお考えになっておるのか、ひとつお伺いをいたしたいと存じます。
○石田国務大臣 アメリカは、御承知のごとく二年前にILOの運営に対して非常な不満を抱いて、幾つかの条件を付して二年後に脱退を宣言したわけであります。その条件について、わが国も他の諸国とともに、アメリカの脱退を食いとめられるような条件をつくるべく努力をいたしてまいりました。それから本年の七月には、私からアメリカのマーシャル労働長官に対して書簡を出しまして、ILO脱退を思いとどまるようにお願いをいたしました。それから同じく本年秋になりまして、総理大臣からカーター大統領に対しても出したわけであります。また、この六月に私がILO総会に出席いたしましたときも、ブランシャール事務総長に対して、脱退の事態が起こらないような善処を求めた次第でございますが、それに対するILO当局の対応の仕方がアメリカの満足を得られないで、ついに脱退することになったことは、きわめて残念なことであります。したがって、引き続いてアメリカが復帰し得られるような条件をつくるべく、わが国としては、これについては労、使、政府とも全く同じ立場でありますので、共同して努力を傾注していきたい、こう考えております。
○西田(八)委員 私も、いまの大臣と同様の感覚を持つものであって、アメリカの脱退は本当に、これからの国際的な労働運動といいますか、運動には、そう、さしあたりの影響はないかもわかりませんが、開発途上国で、まだ非常に労働条件の悪いところ、そうしたところを、せめて国際基準にまで引き上げるためには、これからのILOの活動はきわめて大きなものがあると思うのです。したがいまして、この後、アメリカが脱退すれば当然わが国あたりは中心的な存在になってくるだろうと思いますが、長い間、労働行政を担当してこられた労働大臣に、特に日本の政府を代表して、あらゆる機会にアメリカの復帰を呼びかけるように希望をしておきたいと思います。 局長が洋行中だそうですので、かわって課長に伺います。 十月二十一日から三十日までの十日間、婦人労働旬間をやられましたね。その中で、いろいろと問題を取り上げておられます。たとえば若年定年制、結婚退職制等差別的制度の改善、同一労働における男女同一賃金の徹底、婦人の職業分野の拡大についてといったような項目を掲げられて運動を展開してこられたわけで、まだ、それから二十日ほどしかたっておりませんから、その成果はどうであったかということを聞くのは、いささか早過ぎるかもわかりませんが、課長として、どれぐらいのものをつかんでおられるか、せめて感覚だけでもいいから聞かしていただきたい。
○高橋説明員 お答えいたします。 男女平等を進めるということにつきましては、私ども日常活動として力を入れてやっているところでございますが、特に、この問題につきましては集中的にキャンペーンを行う必要があるという考え方から、先生おっしゃいましたように十月の下旬を婦人労働旬間といたしまして、職場における男女平等を進めるというのをテーマにいたしまして活動を展開いたしました。これは、広報機関を利用いたしました広報活動、それから地方の婦人少年室におきましては婦人労働者に対するいろいろな能力開発等も行いましたし、また使用者を集めての集団指導を、これは婦人少年室と基準局と協力をいたしまして全国的に展開をいたしました。 まだ、その報告は私の手元には参っておりませんけれども、個別に聞いたところによりますと、かなりの成果を上げ得たものと私どもは考えております。
○西田(八)委員 こういう運動は、わずか十日やそこらの旬間だけで終わるものではなしに、通年というか長い歴史をかけて訴えていかなければならぬことだと思うのです。私の聞いておる範囲では、まだ女子だけの定年制を設けておる企業がたくさんある。特に地方自治体が経営する交通局であるとか、その他病院等で、女は何歳までというような規定があるようでありますし、銀行や百貨店にも、そういう規定が、一時問題になって裁判で負けて、その規定はなくしたけれども不文律として残っておる。したがって、おなかが大きくなってくると、あなた、そんなおなかで仕事ができますかということで、ていのいい肩たたき等が行われておると思うのです。そういう定年制の問題、さらには賃金、これはいま、あちらこちらで基準局に告訴をされたり告発されたり、場合によっては裁判問題にまで発展しておるわけでありますが、これはやはりゆゆしき問題だと思うのです。 私は繊維に大分詳しいわけですけれども、たとえば繊維の仕事等をとらえてみますならば、男ではできぬ女性のみの仕事があるわけですね。糸をつないだり、あるいは糸のきずをよったりというようなことは、およそ男性には不向きな仕事で、女性がやっているんですが、その場合でも女性の賃金というのはかなり抑圧されておった。近年そういうものは漸次改善をされてきておりますが、しかし、女子建て賃金、男子建て賃金というようなことが、まだ職場で使われているところが、たくさんあるやに聞いております。そういうものに対して一体どういうふうにして指導をされ、また、それをどういうふうな形で発見され、発見しなければ指導はできないと思いますから、どういうような形で指導しておられるか、お伺いをしたい。
○高橋説明員 最初に、若年定年制、結婚退職制等の問題でございますが、この問題につきましては、私どもは職場における男女平等を進める上に最重点を置いて改善をしていかなければならない問題であるというふうに考えております。 そこで、先生も御承知かと思いますが、本年の六月に若年定年制、結婚退職制等改善年次計画というものを策定いたしました。この年次計画は五カ年の年次計画でございまして、五十二年度は集中的に行政指導対象の実態把握を行う、それから五十三、五十四年度の両年度におきまして、男女別定年制のうち、女子の定年年齢が四十歳未満のものと結婚、妊娠、出産退職制等の解消を図る、それから五十五、五十六年度の両年度におきまして、女子の定年年齢が五十五歳未満のものの解消を図る、こういった年次計画を立てたわけでございます。この年次計画に基づきまして本年度は、この行政対象の把握を鋭意行っておりますので、これに基づいて、この年次計画が必ず達成されますように、私どもは行政指導を強力に展開してまいりたいと思っております。 それから、男女同一労働同一賃金の点でございますけれども、賃金は労働条件の基本をなすものでございまして、この点につきましても、私どもは同一労働である限り同一賃金であることが確保されなければならない、このように考えております。現在、女子の賃金は平均で見ますと男子に対しまして五六と、かなりの格差がございますけれども、この格差は、女子の労働時間における男子との違いや、女子の就業分野が男子と違っているというような点、あるいは、わが国の賃金制度が勤続年数や年齢に対応しているということから、女子の勤続年数、年齢が男子よりも少ないというようなことに基づいているわけでございます。そこで私どもは、女子の能力を大いに向上させまして、女子の就業分野を拡大するように努めてまいりますのとともに、同一労働同一賃金の確保につきましては、これが徹底されますように基準局の方と協力をしながら行政を展開しているところでございます。
○西田(八)委員 その年次計画で、五十六年度までに五十五歳未満の定年の解消を図るということですが、そういうことになると、定年制男女差別が、ここ五年間ではあるけれども、やってよろしいということになるわけですね。だから、やはり即時廃止するということで指導しながら、漸次、定年の引き上げというのですか、年齢引き上げということを考えられる方がいいんじゃないか。こういうことを見ますと、まだ五十四年までは四十歳でも構わぬのだ、こういう形になってしまうわけです。人間というものは、どうしても自分に都合のいい解釈をするようになりますから、打ち上げられるんなら、女子の定年制差別はもう認めないんだということで、個々の指導で、たとえば念書をとるなり誓約書を入れさすなりで解決をしていくという方法をとらなければできないと私は思う。 賃金でも同じことなんですね。職種別賃金法というのをつくって、そして女子だけが集中して働く職場の職種という形で低い賃金を決めようとする傾向があるわけです。こういうものがあってはいけない。だから、そういうものであるなら、職種そのものが、賃金そのものが一体妥当であるかどうかということを検討した上に立って進められていかないと、私はその問題解決にならないんじゃないかというふうに思うわけであります。これについて、非常にむずかしい問題であろうと思うのですけれども、今後ひとつ十分気をつけていただきたいというふうに思います。 特に女性の定年制ということになりますと、百貨店なんか若い女性ばかり集まっています。繊維工場は最近は既婚者が大分ふえてきておりますけれども、まだまだ紡績等では若い人たちが多い。そういう若い人たちが中学を卒業して二十四、五というと十年勤続です。十年ぐらいいるとオールドミスだオールドミスだということで、自分たちでいびり出していこうとする傾向さえなきにしもあらず。これは百貨店でも同じことなんです。ですから、こういう問題は婦人少年局において、もっと女性自身の自覚も促される運動を展開されなければ、この問題は解決しないというふうに、私は長年この問題に取り組んできた一人として考えるのですが、そこら辺について、どうお考えになりますか。
○高橋説明員 若年定年制の年次計画につきまして、いますぐにでも、こういうものを廃止するように宣言をすべきだというお言葉でございまして、実は私どもも本当に、そのようにしたいわけでございますが、この計画は、この年次が終わるまでに、こういった制度をゼロにしようという意気込みでやっております。そこで私ども、これを指導いたしますのに際しましては、こういう計画で若年定年制を直すということは、その事業所における労務管理全般を改めなければならないわけでございます。したがって、この年次の終わりになって初めて直そうということで取り組んでいい問題ではなくて、いますぐに着手をして、それで決して早過ぎはしないんだ、いますぐ着手をしてほしいということで強力に指導しております。これはあくまでも、この年次の末までにはゼロにしたいという計画でございますので、そのようにお受けとめいただきたいと思います。 また賃金の問題につきましても、これは労働基準法で男女同一賃金の原則がうたわれているところでございまして、これにつきましては、もう見つかり次第、直ちに是正をするということで、やっているわけでございます。先生から、いろいろとお励ましを受けましたので、私どももこれに力を得まして、さらに一層これから婦人の行政において男女平等ということを強力に進めてまいりたいと思っております。
○西田(八)委員 もう本会議の予鈴が鳴りましたので、あと一問だけで終わります。 こういうようにして労働市場といいますか、経済事情も非常に変化をしてきておるわけですが、先ほどから大臣の答弁の中にもありますように、残業が多過ぎるとか、休日出勤が多過ぎるとか、あるいは有給休暇の取得が悪いとかということがいろいろと出されておるわけですが、日本も安定成長に入る限りは、この辺で、もう少し先進国並みに労働基準というものを引き上げていく必要があるのではないか。たとえば一週四十時間制に踏み切るとか、あるいは有給休暇制度で本人取得ではなしに、たとえば休日を十日なり二十日なり定めるというような方法をとるべきではないかと思うのですが、こういう情勢の中で、大臣、労働基準法改正という問題について、その所見をお持ちでございませんか。
○石田国務大臣 これは制定されてから三十年たっておるわけであります。この検討は現在も引き続いて行っているところでございます。ただ欧米先進国の例を一概に学べないのでありまして、欧米先進国の方が失業率が高いのでありますから、そういう点は日本独自のものも考えていかなければならぬと思っておる次第でございます。
○西田(八)委員 それは労働条件その他、低いとか高いとかということでなしに、要するに労働基準そのものですね。いま大臣もおっしゃるように、これは二十二年にできた法律で、ちょうど三十年になるわけです。その間に日本の経済は非常に大きく変化してきておる。しかも当時は敗戦の中から食うにやっとだというところで、こんな基準法ができたら困るというのが一般的な経営者の見方であったし、労働者の方は福音として取り上げたわけです。しかし今日はそういう状況ではないわけです。もうすでに大きく変わってきております。賃金指数も変わっておれば、生活環境レベルそのものが変わってきておるわけです。ですから、また日本の企業の力というものも、昔は非常に底の浅い力だと言われておったが、今日ややそれに対応できる体質を持ちつつあるわけですから、それに見合った労働基準というものをつくっていくべきではないかと思うわけです。検討中だということでありますが、早晩結論を出して、あるべき姿を示していただきたい。以上申し上げて、質問を終わります。
○斉藤(滋)委員長代理 この際、暫時休憩いたします。 なお、本会議散会後直ちに再開することといたします。 午後一時五十五分休憩 ————◇————− 午後二時二十九分開議
○橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 質疑を続行いたします。川本敏美君。
○川本委員 きょうは、合板の不況カルテルの問題にしぼってお聞きをいたしたいと思うわけです。 そこで、まず最初に主管の農林省林野庁の方にお聞きをいたしたいわけですが、現在行われている合板の不況カルテルは、内容はどういうことですか。
○輪湖説明員 現在行っております合板の不況調整カルテル、及び現在十一月から農林大臣命令が出ておりますけれども、十月から来年三月まで需給調整のために特定の休業日を設けて休業を命令するというかっこうで、最高六日、最低三日、二月につきましては最高五日、最低二日というかっこうの内容で、全国の合板工場の普通合板の製造につきまして生産調整を行っておるのでございます。
○川本委員 そうすると、重ねてお聞きいたしますが、現在行われているいわゆる不況カルテル、あるいは現に農林大臣が規制命令を発動しておられると思うわけですが、その内容は、いわゆる休業のカルテルである、休業を最高で六日、二月については最低二日というところもあるようですけれども、そういう各月別に製造工場に休業させる、こういう内容でございますね。
○輪湖説明員 合板製造業の生産機械がございますが、その主要生産機械につきまして、その指定の日数につきまして生産機械の稼働をとめるという内容でございます。
○川本委員 生産機械をとめるということは、休業だということになりますね。 これは労働大臣にお聞きしたいのですが、私は、休業カルテルというものは労働条件に関するカルテルだと思うのですが、労働省はどのように理解をしておられるのですか。
○石田国務大臣 労働条件に影響することは、これは当然でしょうね、そう考えております。
○川本委員 私は、一カ月のうちで六日間なら六日間所定労働日に休業をする、あるいは五日間休業をする、四日間休業をする、三日間休業をする、その休業をするということは、結局、その間労働者が仕事をしないということになるのじゃなかろうか。機械だけとめて、労働者に仕事をさせるということでは、操業短縮にもならぬし、生産調整にもならぬと思うわけです。私は、休業のカルテルというものは、まさに労働短縮のカルテルといいますか、労働のカルテルだと思うわけですが、その辺について、これは労働にも影響があると思うけれども、やはり企業のカルテルであって労働には関係ないんだというような受けとめ方を労働省がしておられるとすれば、私は大きな問題だと思うわけです。そこで、農林大臣がこういうカルテルを認可し、あるいはこれについて、先ほどもお話がありましたように規制命令を発動しておる、こういうことについては事前に労働省の方に合議といいますか、事前協議がなされておるのですか、どうですか、お聞きしたいと思います。
○石田国務大臣 そういう場合は雇用調整給付金の給付対象には当然なるわけですから、仕事をしないで休んでいるわけですからね。具体的にどういう協議がなされたかは担当局長から……。
○細野政府委員 カルテルの実施の際につきましては、特段に合い議とかそういうことはございませんが、先ほど大臣から申し上げましたように、雇調金の対象にいたしますときに、農林省とも十分合議の上でやっておるわけでございます。
○川本委員 それでは、通産省、おいでいただいておるわけですが、中小企業庁にお聞きしたいと思うのですが、この不況カルテルというのは、中小企業団体組織法の第二十六条によりますと、カルテル期間中、労働者に対して不利益を及ぼさないよう努めなければならないという規定がある、こういうふうに思うのですが、その点について、中小企業庁としてはどのように考えておられるのか。その労働者にカルテル期間中不利益を及ぼすことのないよう努めなければならぬ、それはどういう意味の法律なのか、御説明をいただきたいと思います。
○松田説明員 中小企業団体の組織に関する法律第二十六条に、先生いま申されました趣旨の規定がございます。調整事業を行いますと、多かれ少なかれ、その事業の中身によってもいろいろでございますが、労働者の方々に何らかの影響があろうということで、調整規程の実施に当たりましては十分に、労働者の不利益が起こらないよう努めなさいという訓示規定がございます。私どもといたしましても、当然、この法律の規定の趣旨から申しまして、私ども直接ではございませんが、各主務大臣におかれて、調整規程を認可され、あるいはその運営を御指導なさる段階で十分この点に御配慮賜るよう連絡をとって、御指導をしておるところでございます。
○川本委員 それでは林野庁にお聞きしたいのですが、いま労働省の方からは、この不況カルテルの認可に当たって事前に労働省とは協議をしてない、ただ、労働省と協議をするのは雇用調整給付金、そういう必要があるとき、というお話であったように思うわけです。ところが、今度の不況カルテルは最高六日ですね。大体、七日以上でなければ調整給付金の問題に該当しないのではなかろうかと私は思っておるのですが、そういう中で林野庁としては、労働省に全然この不況カルテルについては協議しないで、林野庁の主務大臣独自の考え方でこれは認可をしたということになるわけですか。
○輪湖説明員 現在の雇用調整給付金に関しましては、多少制度が変わりまして、就労日数の五分の一以上の休業という場合には該当になるわけでございます。したがいまして、中小企業の場合でしたら五日以上休業すれば出せる場合となるというふうに私どもは理解しております。 なお、団体法の二十六条の規定につきましては、私どもも十分承知をしてございます。従来から、カルテルの実施の都度、口頭及び文書をもちまして徹底を図ってまいっておるところでございます。
○川本委員 労働大臣、私は、不況カルテルというものが休業とかを伴う場合に、これは労働カルテルだ、労働力の抑制といいますか、そういう趣旨のカルテルではなかろうか、まさに労働条件を規制するカルテルだと思うわけです。だから、こういうものについては、農林大臣の主管であっても、積極的にやはり労働省が介入をしていかなければ、中小企業団体組織法第二十六条にいうところの、カルテル期間中にその労働者に対して不利益を及ぼさないよう努めなければならぬ、こういうことをだれが守るのかという問題があろうかと思うのです。これは、そういう中小企業団体組織法の中に書かれておる労働者に関する問題については、労働省は関知をしないということになるわけですか。
○石田国務大臣 いまお話を承っておって、当然、労働条件その他に影響が来るわけでありますから、私どもの方へ事前に主管官庁から連絡があるのが当然であろうと、私どもはそう考えております。ただ、連絡があろうとなかろうと、法律に該当すれば失業給付、雇調金あるいは訓練手当、そういうようなものの支給はいたします。
○川本委員 私は、このことが雇調金とかそういう問題に直ちに参ります前に、このカルテルが労働者の犠牲によって実行されておる。たとえて言いますと、労働条件を変更したり、あるいは労働者の配置転換をしたり、あるいは希望退職を募集をしたり、あるいは賃上げとか一時金をこの不況カルテルを理由にして中止したり、いろいろな形で労働者にしわ寄せが出てきておると思うわけです。こういう点については、不況カルテルを認可されたからこういうことをやってもよろしいということではなしに、逆に、このカルテル期間中にカルテルを理由にして労働者に不利益を及ぼさないよう努めなければならないという、中小企業団体組織法の内容でありますから、このことは、経営者として不況カルテルの認可を受ける際に、そういうことはしませんというような誓約がなされてしかるべきだと思うのですけれども、その点については農林省の方はどう思っておられるか。 労働省の方は、いま労働大臣おっしゃいましたけれども、そういうことまでは労働省としてはタッチしないのならしない、指導もしないのだ、そういうことであれば、ひとつそのようにお答えをいただきたいと思う。 さらに、中小企業庁の方にお聞きしたいのですが、この二十六条の内容を実現するために、中小企業庁としてはどのような措置を今日までとってきておられるのか、その辺もあわせてお聞きしたいと思う。
○石田国務大臣 制度的な問題は別といたしまして、いまお話しのように、現実にいろいろな影響が出てまいります。それから、われわれの方としては、まず、失業という状態に出ない間に職業の訓練とか就職のあっせんをすることを第一に考えていますので、そういうことに影響があるカルテルの認可等をやる場合には、私どもの方へ連絡があるのが当然だろうと考えております。これから連絡してくれると思うけれども、私の方も注意をいたしまして、そういうことについての所要の措置はとりたい、こう考えます。
○輪湖説明員 労働省とのいろいろの協議でございますが、やはり普通合板製造業が構造不況業種の一つであるということから、各種の不況業種対策につきまして十分労働省側とも調整をいたしまして、そういった施策の対象業種にすでに指定をしておる段階でございます。なお今後とも、そういった連携は労働省側とも十分とってまいりたいと思っておる次第でございます。 それから二十六条の、カルテルを理由にいたしましてそういった労働者の労働条件等に不利なことにならぬようにという御趣旨でございますが、私どもも、二十六条の趣旨、その行為が「従業員に不利益を及ぼすことがないように努めなければならない。」という規定につきましては十分理解をいたしておりますし、そのように日合連——日本合板工業組合連合会等を通じまして、また個別の企業に対しまして、そういった指導をしてまいっておる段階でございます。
○松田説明員 中小企業庁といたしましては、先ほども申し上げましたように、各主務大臣におかれまして調整規程の御認可をなさろうとされます場合に、私どもに協議がございます。協議の趣旨は、先生きょう御質問の労働問題も含めまして、事業全体のいわゆる経営改善と申しますか、不況事態の克服のために必要最小限度のものであり、一般の事業者、消費者その他への利害その他もろもろのことを考えまして、企業庁の方でいいかどうかということを判断する仕組みになっております。そういった点から、御質問の労働問題につきましても、主務大臣におかれて、各組合が適切な措置をとるよう十分御指導を願っておるところでございます。 さらに、組合の自主的な調整のほかに、組合の自主調整だけでは当該業界の不況事態を克服できないというふうに判断されます場合には、主務大臣が事業活動規制命令というものを発動することができることとなっております。きょう問題にされております合板につきましてもこの事業活動規制命令が出ておりますが、これを出します場合には、さらに中小企業安定審議会の意見を聞いて出すことになっております。中小企業安定審議会では、先ほど申しましたような諸観点に加えまして、労働上の問題についても従来から十分御議論がなされております。委員の中には労働界の代表の方も御参加願って、そういった面からも十分御審議いただくという態勢で進めております。
○川本委員 現実に、二十六条の精神を生かして、このカルテルが労働者に対して不利益なしわ寄せをこさせないようにするにはどうしたらいいかということになりますと、当然、事前に労働組合と話し合いをする必要があるのではなかろうかと私は思うわけです。ところが、現実の問題として、去る十月二十一日ですか、総評系の労働組合あるいは同盟系の労働組合、それから中立系の労働組合、こういう合板に関係する三つの上部団体が連名で、日合連に文書で五項目から成る要求を出しておりますが、その中ではっきり言っておりますことは、いままでの不況カルテルの申請に当たっては労働組合に何ら相談をしていない。労働組合から話し合いをしようと言って行きますと、日合連は労働組合と交渉する団体ではないのだ、こういう言い方でいままで拒否しておる。ところが、一つ一つの企業の中で労働組合が、休業日数が六日でいいのか五日でいいのか、こういうことについて話し合いに行きますと、それは日合連の上部で決めることだから、企業内では、規制命令なり調整規程を受けて、それを具体的にどのようにやるかというようなことについては話し合いに応じられるけれども、六日なら六日、五日なら五日という日数、あるいはそれを土曜、日曜と連続して休むようにしたらどうかというようなことについては、封印する問題との関連等もあって、全然話し合いに応じない。産業別に日合連と話し合いに行くと、私のところはそういう話し合いをする団体ではないということで拒否されるということで、結局、御承知のように昭和五十年の一月から断続的に、今日まで十回にわたる不況カルテルが行われていると思うのですけれども、その間、一度としてそういう話し合いがなされていないわけです。これは余りにもおかしいのではなかろうか。現実にそのしわ寄せを受けるのは労働者であるから、労働組合と事前に日合連が話し合いをするか、日合連ができなかったら、全国で八つの地区に工業組合があるわけですね、その地区の組合と地区の労働組合とで話し合いをするか、そういう事前の話し合いということが当然あってしかるべきだと思うのですけれども、それについて労働省はどう思っておられますか。
○北川政府委員 先生の御指摘のように、不況カルテルが非常に労働条件に重大な影響を及ぼすわけでございますから、そういう不況カルテルの決定に際しまして日合連が関係の労働組合と十分話し合いをするということは、私も大変大事なことと思う。ただ、組合によっては団体交渉というような名前を使って申し入れをするような場合がございますが、先生御承知のように、中小企業団体組織法では、この日合連が当然に団体交渉の当事者となる権限を持っておるわけではないわけでございまして、その法律論はともかくとしまして、事実上の話し合いを進めるということは大変大事なことでございまして、林野庁の方にもお願いをいたしまして、林野庁が先般安定命令を出される際に、口頭及び文書におきまして、労使が十分意思疎通をするように、こういう指示をしておられるし、私自身も日合連の役員に、操短に関連しヒヤリングをしました際に、関係の労働組合に十分意見を聴取するということを要請をいたしております。 なお、いま、全然日合連が組合と話をしていないという先生の御指摘でございますけれども、十月の二十一日、いま御指摘のように全木労、全国一般、全化同盟、一般同盟、こういうところとの話し合い、カルテルの実施問題あるいは今後の設備廃棄問題等について、話し合いは一応はいたしておりますので、御報告をいたしたいと思います。
○川本委員 私は、一応話し合いをするということでは、やはりおかしいのじゃなかろうか。本来から言えば、これは同意を必要とするものですけれども、完全な同意を得られないとしても、大体意見の一致を見るところまで話し合いをすべきだと私は思うわけです。だから、その点が軽視されて、不況カルテルを幾ら行っても、その成果は現実には上がってこないことになるのじゃなかろうかと思うわけです。現に、第一次から今日、第十次までの不況カルテルの中で、最近、カルテル破りがだんだんふえてきておるわけです。あるいは労働時間を延長したり、あるいはいろいろな形の中で、予定どおりの生産調整が行われていない、こういうことも明らかになってきておると思うわけです。そこで私は、やはりこういうことをきちっと、不況カルテルが現実に生産調整という面で効果をあらわさなければ、休業日数を一方で指定して封印しても、今度はほかの稼働する日に、八時間労働のところを十時間労働やって生産を上げたのでは、結果は、その不況カルテルは失敗に終わらざるを得ない。そういう形の中で今度は、供給が過剰になれば過当競争をやって、そして値段が下がる、こういう悪循環が始まってきておると私は思う。やはりそういう意味において、事前の労働組合との協議をどの場でさせるか。いま局長さんは、日合連とそういう三つの労働団体が十月の二十一日に話し合ったと言っておりますけれども、こういう不況カルテルをずっと今度はやっていくわけですから、六カ月間の認可をしておるわけですから、毎月一回くらいは定期的に会合を持たせるようにしなければ、労働基準法第二条で言う労使対等の話し合いという精神を失ってしまうことになるのじゃなかろうかと思うわけです。その点について労政局としてどのように指導されるつもりなのか、その辺をまずお聞きいたしたいと思います。
○北川政府委員 先ほど申し上げましたように、私も日合連の幹部とお会いをして要請はいたしておりますけれども、いま先生おっしゃいましたように、日合連と関係組合の話し合いが、表面的な、形式的なものに終わっては何ら意味がないわけでございますので、再度、先生の御趣旨に沿いまして、日合連の方に対しまして、内容が充実するように今後話し合いを持つ、そういう方法について強く要請をいたす所存でございます。
○川本委員 林野庁としても主務官庁として、この不況カルテルの実効をあらしめるためには、労使間で産業別の段階で話し合いをしなさいというような指導ができませんか。
○輪湖説明員 私どもの方も、日合連に対しましてそのような趣旨の指導をしてまいっておる段階でございますが、先ほど労政局長からも答弁がございましたように、当事者能力の問題もございまして、なかなか歯切れのいい対応ができかねるというのがいままでの対応でございまして、今後とも、月一遍とかそういうわけにいくかどうかわかりませんが、なるべく意思疎通の場が持たれますように、十分に指導してまいりたいと思います。
○川本委員 そこで、話をさらに一歩進めてお聞きしたいと思うのです。 これは林野庁にまずお聞きしたいと思うのですが、十月の十二日の衆議院予算委員会におきまして質問が出ておるわけです。そこでも農林大臣はお答えをいただいておるわけですが、いわゆる不況カルテルを合板について行ってきたけれども、最終的には、業界が言っておるように一二%程度の設備の過剰がある。だから、最終的にはこの設備は廃棄しなければならぬのじゃないか、こういうことを業界としては従来から要求をしておるけれども、これに対して政府といいますか、林野庁が援助しないために、設備廃棄が今日まで延び延びになってきておる。しかし、最終的には設備廃棄を行わなければいかぬということで、聞くところによりますと、五十三年度の政府の施策として、この合板の設備廃棄についても助成をしていこう、こういうような動きがあるやにお聞きをいたしたわけですけれども、林野庁としてはどう考えておるのか、まずお聞きしたいと思います。
○輪湖説明員 合板業界の不況につきましては、現在のカルテル等の一時的な措置だけではなくて、やはり構造的な問題に起因しているというふうな理解をしております。生産能力に基づきます供給力と実際の需要とのアンバランス、これがなかなか解消できないということでございますので、そういった点から過当競争があってダウンをするというようなこともございます。したがいまして、そういった構造改善あるいは普通合板製造業の体質強化ということにつきまして、私どもとしては指導していく必要があるというふうに考えております。 現在、業界の内部におきまして、設備の廃棄につきまして検討を行っている段階でございます。私どもといたしましては、主体はやはり業界の自助努力といいますか、そういったものが主体でございます。そういった意味合いで業界の方の内部の検討がまとまってまいりますれば、その結果を見きわめまして、構造改善の施策につきまして検討と努力をしてまいりたい、このように考えております。
○川本委員 去る十月の二十一日ですか、日合連の会長が、五十三年度予算で政府から設備廃棄の助成金を出すということについてほぼ見通しがついたのだ、こういうことをこの間、労働組合の諸君との話し合いの中でも言っておるわけです。また、十月十二日の衆議院予算委員会において鈴木農林大臣は、業界の一二%設備廃棄に全力を挙げてバックアップをしていくつもりだ、こういう答弁をしておられます。こういうところから見ても、農林省、林野庁も、設備廃棄に助成をしていこう、強力なバックアップをしていこう、こういうような腹を固められたと私は思うわけですが、今後、設備廃棄を一二%もしなければならないほど——合板については、ほかの平電炉なんかと違って、需要はもっと早く伸びてくると私は思うわけです。あるいは五十五年を待たずに五十四年ごろにでも、いまの政府の住宅建築促進等の政策、住宅金融公庫の融資枠の増大等を見ても、合板に対する需要というのはもっと早く回復するのではなかろうか。設備を廃棄するのに助成までしなければならぬほど深刻な問題かどうかということについては、もっと検討の余地があるのではないかと思うのですが、その点について、ひとつ輪湖課長の御意見をお聞きしたい。
○輪湖説明員 普通合板の需要動向につきましては、なかなか見通しのむずかしい問題でございます。確かに現在の住宅事情との相関が強うございますので、そういった意味合いで私どもも、住宅需要を主体とする合板需要の回復が早からんことを願っておるわけでございますが、ことしの状況でまいりましても、昨年が百五十二万四千戸の新設着工住宅がございましたけれども、本年度も、現在の動向では昨年と同様かあるいは若干下回るというのが、この上半期六カ月間の傾向でございます。 〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 そのような傾向が来年度以降どうなるか、もう少し施策の具体化を待って、私ども判断をしなければいかぬと思いますが、そういった意味合いにおきまして、長期的に、昭和四十八年までのような高度成長期におきまするような伸び方が、今後の合板需要につきまして期待ができるかどうかという点につきましては、私どもは、大変に可能性としては厳しかろうというふうに考えております。したがいまして、先生おっしゃいましたような、昭和五十五年までに、現在の持っておる設備が足りなくなるような事態というのはちょっと出てこないのではなかろうかというふうに見通しておるわけでございます。
○川本委員 私は、なるほど昭和四十八年の二十一億平米余りですか、ああいうのは、仮需要も含めての需要ですから、そこまで回復しなければならぬとは考えていないわけです。しかし、最近は合板の需要につきましても、公共事業等における型枠材としての合板もかなり大きなウエートを占めておるという状態の中で、ほかの平電炉なんかと比べて合板の場合は、設備廃棄というほどのことまでしなくとも、不況カルテルで十分支えていけるのではなかろうかというふうに私としては思うのですが、その点は討論になりますから避けておくとして、昭和五十年以来今日まで、大体ことしの八月までで、四十四の合板関係の工場が閉鎖あるいは縮小、廃止されておるわけです。さらに八月以後九月、十月で四工場が閉鎖されておりますから、今日までで大体四十八工場、閉鎖されておる。特に五十二年になりましてからは、失業者が非常にたくさん出ております。五十二年の一月から今日までで、合板関係の倒産とか閉鎖によって二千五百人ほど出ておるのではなかろうかと思うわけです。だから、設備廃棄と言いますけれども、廃棄しなくても、これだけのものは、生産されていない工場ができてきておるわけですから、現実には、廃棄までしなくてもいいと私は思う。 しかし、業界がどうしても廃棄をやりたい、そのために政府の援助をもらいたいということで、政府も仮に五十三年度でこれに対する助成をするというようなことになりますと、これはまた、不況カルテルと違って大変な問題であります。といいますのは、今度は直接に生首が切られる、失業者がふえてくることになるわけです。この点について私は、仮に設備廃棄をやるというようなことを計画されるとすると、その計画の作成に当たっては事前に労働組合の意見を十分聞いて、そして労働組合を納得させなければ、そういう設備廃棄ということは実行に移せないのじゃなかろうかと思うのですが、これも林野庁が主務官庁ですけれども、林野庁としてはどのように考えておられるのか、もしそうなるとするならばどう考えておられるのか、ちょっとお伺いしたい。
○輪湖説明員 仮に設備廃棄をするといたしますれば、やはり先生おっしゃいますように、不況カルテルと違いまして、特に雇用問題には大変に大きな問題であろうというふうに私どもは認識している次第でございますし、したがいまして、そういうことになりますれば、その段階で、もちろん労働省等関係省庁とも十分協議いたしまして、さらに労使間でも十分話し合いができますように、その辺も十分に指導してまいりたいと思っておるわけでございます。
○川本委員 労政局長にお聞きしたいのですが、いま言いますように、設備廃棄というような問題が起こってきますと大変な問題だと思う。そうなりますと、いま林野庁の方からお答えいただきましたけれども、やはり労働問題についての主務官庁は労働省ですから、労働省としても、廃棄処分をするというような計画の立案段階になりますと、これは労働組合との間に事前に、産業別の段階で話し合いをして計画を立てさせる、こういうことについて強力な指導をするなり、あるいは時と場合によっては労働省があっせんをしてそういう話し合いの場を設けるなり、そういうことをする必要があるのではなかろうかと思うのですが、その点について、ひとつ労働省の意見をお聞きしたい。
○北川政府委員 もし、先生の御指摘のように一二%も設備廃棄をいたしますと、いま林野庁からお答えのように、雇用問題と直結する深刻な問題も生じかねないわけでございます。それが円滑に計画どおり合理化が進められるためにも、労使の十分な意思疎通が重要な要素だと私、考えております。したがいまして、私、不勉強で、一二%の設備廃棄の問題についてどの程度進んでおるか知らないわけでございますが、十分その辺のことを業界なり林野庁と御連絡をとりながら事態を把握いたしまして、もし、先生の御指摘のように差し迫った事態であるならば、私たちとしましては、労使が話し合いを進めることについて積極的に指導をいたしたいと思います。
○川本委員 私は、設備廃棄という最悪の事態を迎えたとしても、そこで考えられるべきことは、まず雇用の問題については確保していく、雇用は確保して設備廃棄をやるのだ、こういう大原則に立たなければ、設備廃棄計画というものは成り立たぬと思うわけです。生首を切るような計画では、とうてい話にならぬ。まず、そこにおる労働者の雇用を確保をする上に立って設備を廃棄をするということであれば、あるいは話し合いも順調に進むのではなかろうかと思うわけです。いま、雇用問題が一番重大な政治課題になっておりますときに、この合板の設備廃棄をやるということについては、これは大変な問題ですから、雇用を確保するということを前提に、林野庁においてもこの問題と取り組んでいただきたい。あるいは労働省としてもそういう立場で取り組んでいただきたい。このことを最後に強く要望をしておきたいと思うわけです。 そこで、最後に一点だけ労働大臣にちょっとお聞きしたいのですが、これはいま途中の話ですから、あるいはお答えしにくい問題かとも思うのですが、いわゆる特定不況業種についての臨時措置法が、いま参議院で審議されております。これが成立をして、公布され、施行されるといたします。ところが、合板については、先ほど申し上げましたように、ことしの八月以降だけでも、いわゆる企業の倒産等で失業した人たちは千人を超える数がおるわけです。ところが、この人たちは、法律が遡及して適用することはできませんから、三年間の求職者手帳というのがあの臨時措置法案の中には入っておるわけですが、それを受けられないということになると、これはやはりおかしいのじゃなかろうか。だから、公布し、その上これが施行された時点で、たとえて言いますと、雇用保険をまだもらっておるとか、あるいは職業訓練を受けておるとか、個別延長を受けておるとかいうような段階にありますときには、やはり、この八月以降大量に解雇されておる合板の労働者にも新しいあの臨時措置法の特典を与える、適用を受けられるように特段の配慮をしてもらいたいと思うのですが、その点どうでしょうか。
○細野政府委員 御指摘の特定不況業種の離職者臨時措置法案につきましては、遡及して適用するということは非常に困難でございまして、先生御案内のように、援助計画が認定されまして、法文上その認定にかかる離職者というふうになっておりますのと、もう一つは、実際問題としまして、認定をする安定所の業務から見まして、さかのぼって認定をするということは非常に困難を伴うというふうなことで、遡及をするということは非常にむずかしいというふうに考えておるわけでございます。 しかしながら、御指摘のように、雇用保険の個別延長なり訓練延長なりにつきましてはできるだけ弾力的に運用いたしまして、そういう方々の保護に欠けないようにやってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○川本委員 以上で終わります。
○斉藤(滋)委員長代理 次は、草川昭三君。
○草川委員 今回の不況の問題について、きょうは、特に雇用を創出する、いわゆる新しくつくるにはどういう問題点があるのかということを中心に、造船関係と電気工事業に関する問題とスーパー関係、あるいはまた、雇用保険の現実的な運営なり職業訓練の問題等について少しお伺いをしたい、こう思います。 まず、今回の不況は、四十年のときの不況あるいは四十六年のときの不況とけた違いで、本格的な不況であるということが、数字ではもうずっと何回か出ておるわけです。完全失業率も二%を上回って、高い位置を示しているのですが、三十四年八月のなべ底景気の二・一六%の失業率に近い、非常に不況になっておりますし、さらに今日的には円高の追い打ちがございまして、なかなか高度成長の見込みというのはないわけですから、失業という問題が非常に長期間続くと見なければならない、こう思うわけです。失業者を一体どのような産業に受け入れていくのか、あるいはそういう方々に対して仕事をつくるのかという問題が出てくるわけであります。 過日のこの衆議院社会労働委員会でも、たしか労働大臣は、これからの雇用というものは従来の二次産業から第三次産業に移行をするのではないだろうか、こういうことを言われたと思うのです。そこで私どもは、そういう方向なんだけれども、現実にはそれがどのような制約下に置かれているのかということに触れていきたいと思うのです。 今度の雇用安定資金制度が十月から発足しておりますけれども、こういうものに現実的には余り大きな期待はかけられないのではないだろうかという一つの例として、造船産業の下請の現状に触れてみたいと思うわけです。 運輸省の方、見えていますか。——運輸省の方がお見えになりましたら少し質問をすることにして、造船産業の下請の労働者というのは、私どもが調べておる範囲内では、造船全体の平均して四二%にわたる下請の労働者がいるのではないだろうか、こう思うわけです。さらに、この推移を見ますと、昭和四十九年には八万九千七百人いた、これが昭和五十一年には約六万六千六百人に減っておるわけでございまして、二万三千人減っております。彼らが、減ったわけですから、当然、失業になっておるわけでございます。 私どもも前回の委員会でもこの問題を取り上げたわけですが、非常に困っておみえになりまして、彼ら自身としては、船舶の解撤作業という事業を新しくつくりたいという見通しを立てまして、運輸省などからいろいろと補助金を取ってやっておみえになるようであります。ここらあたりを少し運輸省の方に現状を聞いて説明を求めていきたい、こう思っているのですが、まだお見えになりませんので、先になりますけれども、労働省として、この造船産業の下請の方々、これは過日も参議院の予算委員会でも現状の報告が出ておりますけれども、どのように把握をされてみえるのか、まず労働省からお聞きしたい、こう思います。
○細野政府委員 造船業の下請等の実態についてのお尋ねでございましたが、私ども、ちょっと資料を手元に持っておりませんので、詳しいことは申し上げられないのでございますけれども、私どもも、造船業全体が非常に容易でない状況にございまして、その中でも特に下請関係の事業におきましていろいろな問題が生じているということは承知しております。したがいまして、私どもとしましては、離職者の予防という点につきましては雇用安定資金制度の活用、それから不幸にして失業という憂き目を見られた方に対しましては本年の七月から職業転換給付制度を適用するというやり方によりまして、失業の予防と再就職の援助に努めているわけでございます。 なお、先ほど、日造協等でやっておられます。ある程度の雇用機会の創出についての試みがあるという先生の御指摘がございましたが、その辺につきましても私ども、よく実情を把握しまして、その計画がスムーズに運ぶように私どものできる範囲で協力してまいりたい、こう考えているわけでございます。
○草川委員 そこで、日造協という組織があるわけでございますけれども、これは、造船関係の下請の方々が集まって一種の協同組合をつくっておみえになるわけでございます。この方々がかなり熱心に、労働基準法関係の安全問題等についても取りあげられまして努力をしてみえるわけでございますが、この際、従来の単純な下請業務だけではなくて、ひとつ思い切って自分たちだけで技能者集団というような形にして、技能者の集団として仕事を請け負っていこうではないかというような、そういうことを考えておみえになるようなんです。この下請の方々が集まられまして、従業員を一回登録してみる。たとえば個々の年齢だとか、経験だとか、技術だとか、賃金だとか、あるいは地域で、たとえば関東地域ならあしたでも仕事ができますよ、あるいは関西なら関西、九州なら九州というように、地域労働というのですか、地域の移動する労働の範囲というものを全部中央で集約をしてみる。もちろん電算機なんかで、コンピューターで記憶をさせて、そしていつでも対応できるようなシステムというのをつくっていこうではないか、こういうことを考えておみえになるわけでございまして、雇用の責任を持っているそれぞれの会社があるわけですから、それをトータルで情報提供をして、これからの不況対策で下請のあり方というものを考えようではないか、こんなことをいま言っておみえになるわけであります。このことについて労働省あたりがどういうようなお考え方を持ってみえるのか、お伺いをしたい、こう思います。
○細野政府委員 ただいま御指摘の、日造協でいま検討中でありますやり方につきましては、具体的内容は私ども、まだよく詳細承知いたしておりませんので、明確なことを申し上げる段階ではございませんけれども、考え方とすれば二つの方向があるんじゃなかろうかと思っているわけであります。 その一つは、先ほど御指摘ありましたように、登録された労働者に仕事をあっせんをする、こういう形で事業をお考えになります場合には、これはどうも安定法上の問題がちょっと出てくるのじゃなかろうか、こういうふうに考えているわけでございます。すなわち、御存じのように現在の職業安定法では、有料ないし無料の職業紹介をやる場合に許可制になっておりまして、その基本的な考え方は、安定所で紹介をするのに適さないようなそういう特定の職業について、これは許可をいたしまして、その許可をした場合におきましても、安定所と補助、補完的な役割りを果たしていただく、こういう考え方に立っておりますので、したがいまして、いまの日造協のお考えになっているような職種でございますと、安定所との競合問題が生じまして、これはなかなか簡単に許可の対象になりにくい側面を持っているというふうに考えるわけであります。 しかし、もう一つ考えられますやり方としましては、下請の企業の労働者の実情をよく把握しておいて、下請の企業に仕事の方を持っていくというやり方が一つ考えられるわけでございます。仕事を企業に持っていくということでございますと、これはもう職業紹介でも何でもございませんので、そういう意味では一応、安定法との関係の問題は離れるのではなかろうか。もし、そちらの方向で御検討中であるならば、私どもも、それは特段、安定法上の問題ということもなく、御協力できるんじゃなかろうかというふうに考えているわけでございます。 ただ、後者の場合でも、一つ出てまいります問題は、例の労働者供給事業との関係が出てまいりますので、そういう労働者供給事業のような問題を起こさないように、私どもも相談に乗り、協力して、後者のような方向でお行きになるものとすれば、それがスムーズに行くように協力を申し上げてまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
○草川委員 運輸省の方もお見えになったようなので、いまのことをまたもう一回職安局長の方にお尋ねをしたい、こう思うのですけれども、まず、造船のいまの危機の実態については、午前中も少し問題が出たようですけれども、公称能力が大体千九百万トンだと言われておるわけですが、それが三分の一の六百五十万トン程度に、自主的に勧告より下げていくというふうな形になっているわけです。ところが現実には、円高の問題で六百万トンを割ろうとしておるわけですから、過日も、新聞なんかでは、造船工業会の会長の方も、五割操短というよりも設備を廃棄しようというところまで割り切ってみえるわけですから、私は、造船はかなり深刻だと思うわけです。そして、中でも中型の造船所というのは、けさの新聞にもきのうの新聞にも出ておりますけれども、倒産をするという形になってきておるわけです。 そこで運輸省にお伺いをしたいわけですけれども、設備廃棄に伴う資金を確保する債務保証金制度の創設だとか税制措置の検討が、いま合理化審議会等でも言われておるという話を聞きますが、その点の現状はどうなのか、ちょっとお伺いしたいと思います。
○間野説明員 先生おっしゃいましたように、ただいま私どもの方では、造船業の五十五年度における需要はわが国におきましては六百五十万トン程度ということで、ただ、それに造船能力を適合させていくにつきましては、必ずしも設備の廃棄というところまでいかなくても、つくります船がかなり高度な内容のものになっておりますので、人間の数におきましては六五%程度に削減すればいいのではなかろうかということで、一応、昭和五十五年度をめどといたしまして操業度を六五%にするということで造船能力の適合を図っていきたいというように考えております。この考え方は、先生おっしゃいました海運造船合理化審議会の答申に基づいておるわけでございます。 ただ、先生おっしゃいましたように、新聞紙上等にも、不況というのはさらに進むおそれがある、したがって何か設備についても考えるべきではないかというような御意見が幾つか見られておることも事実でございます。そういうことにつきましては、今後とも、必要があれば海運造船合理化審議会等の意見を聞きながら検討してまいりたいというふうに考えております。
○草川委員 そこで、また下請の話に戻るわけでございますが、いまも、操業度は大体六五%程度でいけるのではないか、こうおっしゃったわけですが、それの中にはもう下請がこれで約二万五、六千人減った状況での大体のトータルの見通しではないだろうか、こう思うのですよ。下請の方々はそういうような状況で、とにかく仕事をふやしてもらいたい、安定所へ行って失業保険、雇用保険をもらうよりも仕事が欲しいということを言われてみえるわけでございまして、具体的にひとつ船舶解撤事業をやりたいといって、前年度も運輸省で予算を一億数千万円つけられて、若干の仕事をやられておみえになるようでございますが、一体、船舶解撤事業というものは、これからの雇用をふやす、つくり出すという意味で価値ある仕事とお考えになるのかどうか、お答え願いたいと思うのです。
○間野説明員 私どもの方でも、造船自体の仕事は非常に限られたものとなってまいりまして、かつ、このような事態がかなり続くというふうに理解いたしましたものですから、一昨年以来、特に下請につきまして可能な転換の分野というものをいろいろ模索したわけでございます。たとえば、船舶の新造の需要は減っても修理はそう落ちることはあるまいということで、特に設備がなくともできます浮き修理ですとか、あるいは最近盛んになってまいりましたコンテナの修理だとか、いろいろなことを考えたのでございますが、既存の業者の競合の問題とか仕事の絶対量の問題とか、そういうことがございまして、下請の技術の現状、設備の現状から考え、最も有力な転換先は船舶の解撤の分野ではなかろうかというふうに考えまして、おっしゃいましたように、下請が船舶解体業に転換する場合に、技術を改善するための補助金というものを一億五千万円程度、今年度予算としてつけていただいたわけでございます。 ただ、非常にぐあいが悪くなってまいりましたのは、鉄鋼の方が非常に状況が悪くなってまいりまして、できたスクラップは平電炉メーカーが主な需要先であるわけですけれども、非常にスクラップの価格というものが下がってまいりまして、特に採算的に非常に苦しい事態になっております。しかし、長期的には、船腹過剰というような実態がございますし、スクラップ・アンド・ビルドということが船舶の需給改善のために非常にオーソドックスな方法であると考えておりますので、当面、事態は悪くても、少なくともこれに転換できるだけの技術を改善し開発するというために、今年度においてできるだけ試験的な解体を実施したいというように考えております。
○草川委員 それで、これは労働大臣にもぜひお願いをしたいのは、われわれも、これだけの不況ですから、とにかく仕事をつくらなければいかぬということは、お互いに合意できると思うのですよ。ところが、現実には、いますでに造船産業で約三万名の人が首を切られておる。そこで、とりあえず運輸省あたりは、古い船を買ってきてスクラップにして、その作業で下請の労働者の技術者を温存しようという計画を立てられた。そして、業者もやろうと言っておる。ところが、現実には、国際的にスクラップの値段が下がってきて、トン当たり七、八千円ぐらいの補助金を出さないと仕事は不可能だという状況になっておる。だから、せっかく、ことし運輸省が予算を組んでも、それが使われないというような状況にあるわけですよ。だから、いかに雇用をつくり出すかといっても、現実にはむずかしいというわけですよ。しかし、日本の基幹産業の造船の労働者というのがこういう形で技能を失っていくという実態があるわけです。こういう問題について労働大臣としてどうお考えになるのか、お聞かせを願いたいと思うのです。
○石田国務大臣 いま運輸省の方から答弁がありましたように、結局、解体ということを奨励しましても、二つの難点がある。一つはコストの問題、それから一つは売り先の問題、二つあるわけであります。 しかし、私ども、造船に限らず、こういう機械関係の製造業全体で考えますと、業種によりまして非常に求人倍率が違っておりますので、そういう点の職業訓練等を施して、出向なりあるいは転職なりというような奨励方法を考えたい。 それから、造船全体として、私は運輸省にいるときから、船舶局や航空局に検討してもらうように言っておりましたのは、たとえば飛行場なんか、大阪とか高松といったような飛行場を、埋め立て式でやる方が、いわゆる浮きドック式でやるよりはコストが安い。安い高いの問題じゃなくて、造船業というようなものの仕事を持続するというような見地から、まずそれを考えてもらいたい。コストは確かに安くなるかもしれませんけれども、埋め立てをいたしますと、必ず漁業権の問題が出てくる。それから、それに付随して、土をとってくる環境保全の問題が出てくる。あるいはまた、それを運ぶ途中の問題が出てくる。そういうことをあわせ考えて処理すると同時に、やはり雇用の問題、同じ運輸省の中で隣り合っている片っ方が困っている産業を抱えている状態のときに、それと共同でやるというような気持ちで検討してもらいたい、こういうようなことを言ってきておりますし、現に検討はしてもらっておるわけでありますが、今度は労働省という立場から申しますと、やはりまず第一に、コストを補えば何とかなるならば、コストを補う方法について検討したい。コストを補っても、平電炉も不況なんだから引き取れないということならば、それはそれなりにまた別の方法を考えたい。 それからもう一つは、先ほど申し上げましたような、いわゆる業種間の求人倍率の違いが非常にばらついております。この八月に調査をいたしたものが大体まとまってきておりますが、そこで、求人倍率の高い技術を教えて転職することができるような方法を考えたい。こういう技能別による、技能労働力の不足というのが七十万とも七十五万とも言われておりますので、訓練効果、特に造船業を中心とする機械工業その他においてはそういう余地があるのではないか、そういう方向で検討をいたしております。
○草川委員 とにかく、具体的な要望がここに一つあるのですけれども、解撤、いわゆるスクラップ作業を三百万トンやれば百万人の労働者が吸収できるというのですよ。この百万人の数字が正確かどうかは別として、それに近い数字が出るわけですから、私は、多少の隘路があっても、労働省なんかも運輸省あたりと個別にプロジェクトチームを組んで、技能労働者を守っていく方針をやってもらいたいと思うのです。そして現実には、IMCOという御存じのとおりの政府間海事協議機関で、来年の二月には、二万トン以上のタンカーは安全上の問題で二重底にしようじゃないかという国際条約があるわけです。これは船主は、やはりお金がかかるから反対だと思うのです。しかし、雇用という面から考えたら、労働省なんかでも積極的にILOなり国際機関に、側面的に、こういうものをやろうじゃないかと言うことは、私は国際的に非常にいいことだと思うのですよ。そういう意味でもひとつ労働省も、自分たちの従来の枠組みを離れた意味で積極的に取り組んでいただきたい。あるいはまた、運輸省の場合でも、スクラップにする中古船の買い取り機関、公団かどうかは別として、買い取り機関なんかも、いま行政上の問題でいろいろな点はありますけれども、積極的に取り上げていただくことをお願いしたい、こう思うのですよ。 また最初に戻りますけれども、そんなことを言いましても、とりあえずの問題としては、日造協の方々がいわゆる下請の仕事の情報というものを中央で集約をして、職安法違反にならないように、とにかく団体として仕事をつくっていきたい、同時に紹介していきたいということで、中小企業の団体としてもその価値を高めていきたいという切なるものがあるわけですよ。しかし、そのやり方一つによっては職安法違反という問題にひっかかる、非常にむずかしい問題もあるのでございますが、ひとつぜひ運輸省と労働省とが話し合いをされて、運輸省も十分実態がわかっておみえになると思うので、この日造協の下請の方々の要望が満たされるように、私はお願いを申し上げたいと思うのです。くれぐれも、これは前向きの形で労働省の御指導を賜りたいと私は思いますので、一言追加して、またお答え願いたいと思うのです。
○石田国務大臣 日造協のお考えがまだよくわかりませんので、先ほど安定局長がああいう答弁をいたしたわけでありますが、下請に仕事を与えるという基本線においてはきわめて望ましいことでありますので、隘路があれば、その隘路の打開にこちらも努めますし、先方の方向をもその方向に持っていくように努力をいたしたいと思います。 それから、いまのIMCOの問題は、前々から私は興味を持っておりまして、むしろアラビア湾周辺の石油生産国が黙っている方がおかしい。自分のところへ汚れた水を捨てられていくわけですから。したがって、これを推進していけば自分の方で欲しい水を手に入れられる。清水を手に入れられるという利点もあります。私はむしろ、石油生産国がおとなしいのが不思議なくらいに思っておりますし、これが先ほど申しました浮きドック式の飛行場の問題などと絡んで、仕事の創出、雇用の増大に結びつくだろう、こう考えております。 それから、スクラップにした場合、平電炉等に引き取り手がないといたしましても、鉄の資源だって、どだい無限なものでもありませんので、やはり備蓄というような問題の考え方ができないものか、そういうことも検討をしたいと思っておる次第であります。
○草川委員 次に、電気工事業にかかわる労災保険と雇用保険の矛盾について御質問をさしていただきたいと思うのです。 御存じのとおり電気工事業という業種があるわけですが、これは建設業法に定める専門業種として、労災保険の取り扱いが従来なされておるわけです。もちろん、建設業法といいましても、請負金額二千万円以上の工事ということでそれぞれ取り扱われておるわけですが、電気工事業というのは、これは一つ、電気事業法という法律がございまして、電気事業用の工作物とか、自家用電気工作物だとか、一般用電気工作物を対象にこの法律があるわけです。それからもう一つ、電気設備に関する基準というのがあって、しかじかかくかくの設備はどうのこうのという基準があります。もう一つ、電気用品取締法という法律がございまして、電気設備及び機器に使用する材料、器材の基準なり検定を取り扱う法律があります。そして、実際この電気工事をやる労働者というものは、電気工事士法というものによって資格が定められておるわけです。しかもまた、この業務を行う場合には、電気工事業の業務の適正化に関する法律というものに従って仕事をするという、非常にたくさんの法律があるわけでございますが、一口に申し上げますと、この電気工事に従事をする業界は、労災保険は千分の三十四という形になっておるわけです。ところが、千分の三十四というのは一番高いわけですから、少し——屋内の配線なんかをやられる方が主としてあるわけです。もう少し説明をいたしますと、たとえば、われわれが家をつくるという場合には電力会社と需給契約を結びまして、契約電力が五十キロワット以上を自家用電気工作物として、五十キロワット以下を一般用電気工作物として定められるわけですが、この五十キロワットも、最近ちょっと機械を二、三台持てば全部ここになってしまうわけでございまして、一般の商店だとか小企業なんかがほとんどこれの対象になります。ですから、全く歩いて地上で、せいぜい一階から二階へ上がっておる程度の仕事をやられる方々でさえ、この千分の三十四という対象になっておるわけです。 そこで、この前、これは少しひどいじゃないかというので、既設の、もうすでにできた建物で設備工事をやる場合には千分の二十七というので、少し下がったのですね。少し安くしたわけです。ところが、現実に一体どういうような労災保険がかけられているかというと、たとえば東京電力だとか中部電力とかという、同じような電気業界、たとえば電柱に上がっていきますね、それから変圧器をなぶっておるというような方だとか、水道で穴を掘っておるとか、いろいろな配管で、ガス管なんかの配管をやられる熱供給の事業は千分の十四という保険料率になっておるわけです。倍ぐらいになるわけですね。どうしてこのように違うのか、まずお答えを願いたいと思います。
○桑原政府委員 労災保険におきます料率の決め方は、先生御承知のように徴収法の十二条第二項に規定がございまして、事業の種類ごとに分類しておるわけでございます。基本的な考え方は、やはり労災保険でございますから、その事業の中身、業務の危険性と申しますか、事故の発生度合い、そういったものを基本的な視点に置いて決められておるわけでございます。平たく申し上げますと、過去三年間の収支率を見ながら決めてまいるわけでございますので、たとえば、いまお話しの東京電力みたいに、電気の供給事業として発電とか送電とか変電とか、こういった事業は比較的災害が少ないというようなことで保険料率が決められておるわけでございます。いまお話しのような料率、私どもはたしか千分の四と記憶いたしておりますが、これでも大体収支率が比較的いい、つまり電気工事業に比べまして事故が少ない、そんなような状況でございます。 御指摘の電気工事業の方でございますが、これはやはり御指摘のような屋内のものもございましょうけれども、屋外のもございますし、一般的にはやはり高いところへ上っていろいろな工事をするということで、いわば建築事業あるいは既設建設物設備工事事業というような事業分類に整理した方がより公平になるわけでございますので、そういったところで整理をしておるわけでございます。したがって、東京電力の中でも一部、高所に上ってやるというような作業もあるかとは思いますけれども、法のたてまえは事業の種類ごとになっておりますので、そのほとんどの労働者が送電あるいは変電というようなかっこうで従事しておりますと、そういう一部の作業があっても、全体をそういった事業の種類ということで割り切って適用していると、こういうような事情でございます。
○草川委員 ちょっとお伺いをしますが、災害の度数率というのが企業ごとにはありますね、休業日数だとか災害件数だとかいう。私はどういう数字が比較に適当なのかわかりませんけれども、私は、いまおっしゃられたように一般の電気工事士というのはそんなに災害は多くないと思うのです。普通の産業に比べて。問題はそうではなくて、この電気工事士法というのはどちらかといえば通産省行政ですよ、これは後でずっといきますけれども、一貫して通産行政の枠の中に入るものと労働省管轄のものとの差が非常にあり過ぎるような気がしてならないのです。もし、私がいま言ったようなことではなくて、全く同じなんだと——じゃ、この電気工事士というのがどういうような状況なのかということをちょっとお伺いをしたいと思うのですが、通産省の方、お見えになりますけれども、電気工事士の数は何名ぐらいですか。
○中村説明員 お答えいたします。 通産省の法律でございます電気工事士法という法律でございますが、これでいう電気工事士と申しますのは、たとえば送電線の工事等に従事している電気工事人というのはここには入っておりませんで、五十キロワット未満、先ほど先生おっしゃったような、小規模な、いわば電気に関して知識のないような方々の施設の電気工事に従事される方、そういう方については、電気工事士の資格のある人でなければ工事に従事してはいけないという規制をいたしておりまして、これで電気知識のない人のところにおける電気設備の保安を確保しておるわけでございますが、この人の数は、現在まで免状を交付されました者が、五十二年三月末現在で五十八万五千人ほどございます。ただし、この免状を交付された方が全員、電気工事士として実際に営業に従事されておられるかどうかということは非常に不分明でございますが、私どもの方の推定では、このうち約半数程度が実際に電気工事業の従業員として働いておられるのじゃないかと思っております。
○草川委員 いま五十八万人の人がいるということですが、実際上は従事するのは半分ぐらいだ、あとは免許を持っているだけの人だとおっしゃるのですが、少なくとも三十万近い、二十七、八万人の人かいる単位で、しかも非常に屋内——言葉が、私、素人ですから、屋内用の工事なんだ、あるいは工場があってもそんなに大きな建屋ではないんだ、ですから、少なくとも災害度数率は私は低いと思うのです。労働省の方で持ってみえますか、この電気配線工事の災害度数率とかいう統計は。ないでしょう。
○桑原政府委員 とっておりません。
○草川委員 そうしますと、先ほどおっしゃられたように電気工事士のメリット制というのですか、保険料は高いという証明がどこで出るのですか。
○桑原政府委員 先ほども申しましたが、電気工事業を、建築事業と、先生先ほど御指摘になりました既設建設物設備工事事業、この二つの事業に分類しておるわけです。その分類の仕方がいいか悪いかの問題はありますが。それで見てみますと、これは一緒に入っていますから、もう少し分析しなければいかぬという面がございますが、いわゆる保険料収入と保険給付額を対比してみますと一応の収支率が出るわけであります。それで見ますと、御指摘の既設建設物設備工事事業が、五十年度から分離いたしましたので、まだ統計が一緒になっておりますけれども、九七という収支率になっております。 それからもう一つの、電力会社の方は、電気、ガス、水道供給事業というのは一本になっておりまして、これはなかなか分けられませんで、そうなっておりますが、これは収支率が四〇、こういうふうになっております。
○草川委員 九七の方が高いとおっしゃるわけですね。ですけれども、私、ほかの産業に比べる数字をいま持っておりませんから、いずれ、これが終わったら一回、業種ごとの収支率というのを教えてもらいたいと思うのですよ。まず、素人的に考えれば、電気工事士、電気工事業にかかわる労災保険というのは高い、それは明らかに労働省所管じゃないからだ、通産省所管だから冷た過ぎるのじゃないか、こういうお役所的な発想が依然としてあるのではないかということが言いたいわけです。 続いて、同じようなことをもう一つ申し上げてみたいのですけれども、今度は雇用保険についても同じことが言えるわけです。雇用保険の料率がどういう状態になっておるかということでございますけれども、やはりこれも土木、建築その他工作物の建設、解体工事というランクに入るわけですね。そのランクは一体どういうところかと言いますと、いわゆる季節労働者が非常に多い職業と一くくりになっておるわけです。たとえば清酒の製造、いわゆる杜氏さんですね、本当の季節労働者ですが、そういう方々と一くくりになっておりまして、数字が千分の十六・五ですか、一般の産業では千分の十三・五ということになっておりますし、いまもおっしゃられたように約五十八万人の労働者の方がおみえになっておるわけでございますし、少なくとも私どもが承知しておる範囲内においては、季節労働者のように、たとえば半年ぐらい働いて、電気工事屋さんがすぐ失業保険をもらいに行くという収支じゃないと私は思うのですね。いま民間の設備投資でも、一般的な設備投資でも、多少設備投資は少なくなりつつあると言いながらも、大体横ばいからあるいは一定の設備投資があるわけですから、私は、電気工事士、電気事業に携わる方々の雇用保険の料率も他の産業に比べて高いというのはどういうところにあるのか、これは一回、安定局の方からお聞かせ願いたいと思います。
○望月説明員 ただいまの御質問の点でございますが、雇用保険におきましては、一般の産業と違いまして建設業という形で取り出しまして、先生おっしゃるような形で千分の二よけい取っておるわけでございます。このねらいは、非常に雇用が不安定であって失業者を多く出す産業でございますので、料率を高くして、そのお金をもとに、通年雇用という施策にその財源を投入しているという趣旨でございます。建設業という大くくりでやっておるものでございますので、確かに建設業の中にもいろいろな分類がございまして、非常にたくさん離職者を出す業種、それから比較的少ない業種、相当ニュアンスがあるわけでございまして、先生の御指摘の点につきましても、私ども、よくわかるのでございますが、それじゃ、どこで線を引くかという問題になりますと、建設業全体の中で相当議論が分かれるわけでございます。そういったむずかしい点もございますので、現在のところは、一応建設業という分類で一本でやっておるというのが現状でございます。
○草川委員 いまの答弁では、常識的に納得できぬですよ。強いてくくるとすれば、季節労働者であるかないか、失業保険、雇用保険の利用度が比較的頻繁に行われるかどうかということが条件であって、電気工事関係の方々が非常に長い間黙ってみえたこと自身が、私はおかしいと思うのです。ですから、今日的な不況という問題を考えれば、意識的に使おうと思えば、利用する産業というのはもっと頻繁に出てくるかもしれませんね、そのことがいいか悪いかは別ですけれども。この電気工事の方々は必ずしもそうじゃないということでございますので、こういう質問も非常にむずかしいのですけれども、私の言わんとするのは、これを機会に、もう少し各産業の収支の関係を比較して、悪い点、早く言えば非常に過酷な形で保険料を取っておるならば、幾らでも大胆に改定してもらいたいと思うのですよ。そうしませんと、いま私、これは現場主義で物を言うのですけれども、現場工事というのは本当に二次、三次、四次で非常に劣悪な条件で受注をしておるわけですから、下請の業界としてはこの保険料も本当に苦しいと言ってきておるわけですね。わずか一%、二%で苦しいという実態が、労働省という段階になると、雇用という面では非常に熱心ですけれども、実態という面で、じゃ、この保険料率のことについても一遍真剣に考えてみようじゃないかという、そこのアクションが出てこないわけですよ。私はそれじゃいかぬと思うのですよ。不況というならば、同じような産業に手を当てていかなければならぬと思うのです。そして収支の関係が少しでも黒なら下げていくとか、悪ければ上げていくとか、そういうふうに実態を見てやりませんと、これからの運営についても問題があるような気がしてなりません。 さらに次に、私は職業訓練の方へいきますけれども、労働省関係のいろいろな業種は、それぞれ職業訓練のあれに基づきまして、一級、二級の技能士の資格認定があるわけです。ところが、電気工事士は一級、二級という資格認定がないのですね。 それでは、エネルギー庁の方にちょっとお聞きしますが、電気工事士にはないわけですね。
○中村説明員 現在、ございません。
○草川委員 これは労働省にお聞きしたいのですが、他のほとんどの機械からいろいろな大工、左官にかけては、職業訓練という意味で非常に方向が出て、一級、二級ということがはっきりしているのですよ。どうして、この電気工事というきわめて重大な業務に携わる方に、一級、二級の差がないのか、お聞かせ願いたいと思います。
○岩崎政府委員 いま先生がおっしゃいます電気工事に従事している人たちも技能者ではございますが、私ども、技能検定の対象にすることについての検討はいたしておりますが、ただ、いろいろ関係省庁との関係もございますので、現在、関係省庁と協議をしている段階でございます。
○草川委員 電気工事業界の方々としては、いろいろなたくさんの法律が重なっておりますので、簡単に一口で申し上げれば、これからひとつ、ある程度の年限がたったら、他の職業と同じように一級だとか二級だとか、そういうようなグレードを決めて、職業訓練なんかも合わせていきたいという要望もございます。 あるいはまた、この職業訓練について、時間がないので簡単に申し上げますが、企業が職業訓練をする場合には、公共的な訓練に委託をする場合には補助金が出ますね。ところが、実際、中小企業の方々の立場になると、昼中訓練のために有給で派遣できないというのです。結局、仕事が終わって夜、自分たちの業者団体で職業訓練をする以外にはない。しかし、それは今度は補助金の対象にならぬ。そこで、本当に中小零細業界の方々ですから、次代の技能者を養成するためには、夜学というのですか夜、自分たちの業者団体が技能訓練をする場合にもぜひ補助金を欲しいという、非常に切実な訴えがあるわけです。こういう要望について、当局としてのお考えがあるならばちょっとお聞かせ願いたいと思います。
○岩崎政府委員 先生おっしゃいましたとおり、公共訓練施設に労働者を派遣して訓練を受けさせたり、あるいは労働者の申し出で有給で訓練を受けることを認める、これは昼間の通常の勤務時間中に、賃金を払って、そして派遣あるいは休暇を認めるという場合には、助成措置としての使用者に対する奨励給付金の制度があるわけでございます。いまおっしゃいますとおり、夜間の派遣ということになりますと、これは勤務時間とのかかわりがございませんので、それに対する助成といたしましては、たとえば中小の企業が共同して、職業訓練法の訓練基準に合いまして認定を受けてやっているような訓練につきましては、施設設備あるいはその運営費の補助を国、都道府県でその訓練校に対していたしておるわけでございますが、直接、労働者あるいは使用者に対する奨励金というような形でやっておらないのは事実でございます。
○草川委員 いまのお答えが実態でございますので、事業内の認定訓練というのですか、中小企業の実態から考えますと、夜間通学だとかあるいはまた勤労学生に対する助成等も考えられて、昼間の技能研修だけではないという実態もよくお考えになって、これから少し援助方をお願いを申し上げたい、私はこういうように思います。では、それだけ要望しておいて次に移ります。どうもありがとうございました。エネルギー庁の方、結構でございます。 次は、また同じく、雇用を新しくつくる例でございますけれども、一番最初に申し上げましたように、第三次産業の方にこれからの新しい雇用は移るのではないだろうか、こういうことです。具体的にそれがどこなのだろうかというので、私いろいろ調べてみましたら、スーパー関係というのですか、チェーンストア関係というのが、日本のいまの設備投資の計画だとか新規雇用をふやしておるところでは一番目立つ産業ではないだろうかということに気がついたわけです。 そこで、チェーンストアにおける雇用状況でございますけれども、五十二年度の男性採用が全国で七千三百十九名、女性が一万三千二百十七名で、トータル二万五百三十六名。五十三年度の新規の採用が、男性八千十一名、女性が一万三千七百七十七名で、トータルで二万一千七百八十八名もの採用予定があるわけです。だから、民間の中ではかなり活発な人員募集をやっておみえになるわけです。 あるいはまた、いま円の問題で、内需を刺激しなければいかぬという言葉が盛んに政府の中でも言われておるわけですけれども、設備投資などでもかなりの伸びがあると思うのですが、そこの辺について、ひとつ通産省の商政課の方から御説明願いたいと思います。
○野々内説明員 本年二月現在で小売業約五十社につきまして、その大半がスーパーでございますが、調査をいたしました結果は、五十一年度の実績見込みが二千八百十八億円、全産業の四・三%というシェアになっております。それから、五十二年度の計画が三千九百四十二億円で、全体におけるシェアが五・七%、これは二月現在の調査でございます。
○草川委員 約四千億近い国内での設備投資というのは、先ほど触れたように、電気業であろうが、いろいろな業界に影響を及ぼすところが多いと思うのですが、この設備投資の伸び率というのは大体この形、四・三とか五・七くらいで国内的には伸びていく方向でございますか。その点の方向をお聞かせ願いたいと思います。
○野々内説明員 この二月現在の調査では、三九・九%というきわめて大きな伸びになっております。ところが、九月時点で調査をいたしまして、今晩通産省から発表する予定になっておりますが、これによりますと、五十一年度実績が、従来の二千八百十八億に比べて二千六百三十三億というふうに、結局落ちております。それから五十二年度の計画も、二月時点の調査が三千九百四十二億ということでございましたが、今回の調査では三千百七十六億というふうに、約八百億ダウンしております。その結果、五十一年度から五十二年度への増加率は、前回調査で三九・九%でございましたが、今晩発表いたします新しい調査によりますと二〇・六%というふうに、伸び率はダウンいたしております。しかし、全体の伸び率が一〇%以下でございますので、全体に比べますと倍以上の伸びを示しておるということが言えるかと思います。
○草川委員 いま言われましたように、九月の実態で二〇・六%にダウンをするという、その理由はどういうところにあるわけですか。
○野々内説明員 御承知のように、現在、大規模店舗法という法律がございまして、面積が千五百平米以上のもの、政令指定都市では三千平米でございますが、これにつきましては事前に届け出をいたしまして、地元の商工会議所あるいは商工会に置かれております商業活動調整協議会で地元との調整をしてから新規の開店ができるというシステムになっておりますが、現在の不況ということもございまして、新規の出店につきましての地元との調整になかなか難航いたしておりまして、このために出店のペースがかなり落ちてきておるということが一番大きな原因ではないかというふうに考えております。
○草川委員 よくわかるわけです。現実には、小売店の方々にしてみれば、スーパーが出てくるということについては死活の問題ですから、そういう形で制限が加わってくるということも十分わかるわけですが、さて、われわれ、雇用を新しくつくるという面あるいは国内需要で最も活発な設備投資意欲を持つ業界というものがいまの形で縮んでいくということになりますと、結局、日本の国全体の新しい、これからあるべき道ということで、これは非常に重要な問題になってくると思うのです。いわゆるアウフヘーベンというのですか、矛盾があるわけで、しかし、その矛盾をどう調和するかがこれからの政治だと思うのです。そこにこそ、これからの労働省としての雇用のあり方も出てくると思うのです。 これはきわめて重要な問題でございますが、いままで、この種の論議というものは余りないと思うのです。個別の問題いわゆる総論賛成、各論反対で、各論では全然動きがつかぬ。そんなことをやっておりますと、日本の国というものが全く行き詰まってしまうと思うのです。ですから、石田労働大臣として、きわめて明確な数字が出ておるわけですから、いまの日本でその数字を伸ばすべきなのか、あるいはそれがとまるとするならばどう調和をすべきなのか、これは哲学的なことにもなるかもわかりませんが、大臣の見解を賜りたいと思います。
○石田国務大臣 確かに、将来の雇用の情勢、あるいは最近における就業人口の動向というものを見ますと、第一次は無論のこと、第二次も大きな期待ができない、結局は第三次である、それも生活関連と申しますか、いわゆる販売部門、それから社会福祉関係のもの、そういうところに雇用の余地が生じてくるように思います。その中でスーパーとかチェーンストアというものが、投資意欲もあり、かつ、多くの雇用吸収力もあることも、確かに御指摘のとおりであります。 ただ、もう一つ別に、わが国の小売商店の数が、私は正確につかんでおりませんが、五百万とも六百万ともあるわけであります。そこに影響を与えますと、新しくこっちで雇用が生じても、こっちで減るわけでございます。そこで、私ども一番望ましいことは、そういう小売商店がそれぞれ共同して、そうしてスーパーあるいはチェーンストアというような構想へ進んでいってもらうような行政指導が一番望ましいのじゃないだろうか。地方の小売業、商店業の人たちの恐れるのは、よそから大資本がやってきて席巻されるのを恐れるのでありますから、自己資本で、地場資本でそれが運用できるようになれば、そういうところでかわって同じような雇用吸収力を持ち得るのではないだろうか、私どもはそう考えておる次第であります。
○草川委員 いま大臣の方からそういうようなお話があったわけでございますが、結論的に、これは労働省の行政のあり方ということになると思うのですけれども、従来は、どちらかと言えば、発生したものの後処理的な労働行政だったと私は思うのですよ。だけれども、もう今日的には、そういう後処理だけの労働行政では雇用というものを全体的に見るわけにいかないと思うのですね。ですから、積極的に、先ほど私は造船の例を申し上げましたし、たまたま電気事業の話も申し上げましたし、いまはスーパーの話と新しく雇用吸収ということで結びつけたわけでございますが、わずかの時間でも問題を出しますと、ますます労働行政というものは前向きの形で、もう少し前倒しの行政をやっていただかないと、これからの雇用なりあるいは日本の景気刺激という問題にも立ち行かないような気がしてなりません。ひとつそういう意味で、ぜひ従来の労働行政からさらに一歩前に飛び出して、積極的な雇用を開発するという労働省になっていただきたいということを心から願って、私の質問を終わりたい、こういうふうに思います。 どうもありがとうございました。
○石田国務大臣 実は私どももそのつもりでありまして、各種の雇用創出について、それぞれ具体的に関係各省とも検討を命じておるところであります。
○斉藤(滋)委員長代理 次に、古寺宏君。
○古寺委員 最初に大臣にお尋ねしたいと思いますが、建設労働者の雇用の改善等に関する法律に基づきまして、今月は建設雇用改善月間と申しますか、そういう運動が展開をされているわけでございますが、今日までのわが国の建設労働者の置かれている立場、さらにまた将来の建設労働者に対する労働大臣としてのお考えを最初にまず承りたいと思います。
○石田国務大臣 この月間に当たりまして、私、先日、ある現場へ自分で行って見てまいりました。 建設業の労働条件というのは、幾つかの点で他の産業と違っておるわけであります。まず第一に、他の製造業におきましては見込み生産でありますが、建設業は注文を受けて作業に従事する。しかしながら、その建設業に従事している労働者数あるいはまた建設業の総取扱高というのは非常に大きな割合を占めておりまして、基幹産業の一つであります。 それからもう一つは、常用者が比較的少なくて、いわゆる日雇いあるいはまた季節労働が多い。 それから、作業の関係上、各業種に分けて、一定の割合でいつまでも続くものではなくて、ある時期にはAという業種が非常にたくさん必要だが、ある時期には違う。したがって、それを常に働かせるためには幾つかの現場を回っていかなければならぬ。 それからもう一つは、そういうこともありまして下請という制度が存在しているという点に特徴があります。 しかも、これに対する対応の仕方としてはまだ問題点が非常に多いので、先ほど御指摘のような法律をつくり、また、今月をこの改善月間に指定してやっているのでありまして、できるだけの努力はいたしておりますが、なお問題点は、いま申しましたように幾つかあると考えております。
○古寺委員 その月間中に大臣が実際に視察に行かれまして、特にお感じになった点はどういう点でございましょうか。
○石田国務大臣 まず私は、いろいろな社会制度を適用するためにいわゆる雇用通知書というものをみんな持っておるかどうかということに、一番興味を持ちました。これは、私が参りましたところではほぼ持っておったのであります。 それからもう一つ、工事の現場として感心いたしましたのは、これは私がめったに行かないから感心したのであって、そんなことは新しいことじゃないかもしれませんけれども、すでにプレハブ形式が一般的になっておりまして、工事の規模に比較して、その現場に働いている人が案外に少ないということであります。つまり、総人数は変わりがないかもしれませんが、箱をつくっているところは別にあるという感じを持ちました。 それからもう一つは、やはり安全という点についての関心度が非常に高まっておるという点も、前に見たときに比べては非常に違うような気持ちがいたした次第であります。 ただ、かなり優良な現場へ行きました。それから、予告をして行ったものでありますから、そういう点はかなり割り引いて考えなければならぬのじゃないかと思います。
○古寺委員 私が大臣に特に要望したい点は、大きな元請のようなところではそういう点は、たとえば雇い入れ通知書にいたしましてもこれはきちんとおやりになっていると思いますが、いわゆる下請業者、特に重層下請においては全くまだ未実施という状態でございます。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、大橋委員長代理着席〕 それから、大きな問題は社会保障関係でございます。私ども、五月三十日と十月二十四日の二回にわたって東京都内十カ所の現場を、特に鉄筋工を対象にいたしまして調査をしてまいりました。その調査の内容をいま具体的に申し上げまして、この問題の今後いろいろ検討すべき点について、これから質疑をしてまいりたいと思います。 これは、名前を全部明らかにしても結構でございますという業者の方のお話ではございましたが、一応、いろいろな関係がございますのでお名前は伏せさせていただきますが、渋谷区の並木橋というところの現場でございます。ここでは対象人員が二名、健康保険はお二人とも入っていません。それから雇用保険も、もちろん加入をしておりません。源泉徴収も、もちろんありません。それから新宿区の歌舞伎町、四名の方々でございますが、健康保険、厚生年金、雇用保険、いずれも、もちろん源泉徴収もございません。墨田区両国一丁目におきまして五人の方にお尋ねしましたところが、これもまた、健康保険、厚生年金、雇用保険、もちろん源泉徴収もございません。江東区の南砂町六丁目、ここで五人の方にお伺いしたのでございますが、いずれも同じでございます。板橋区の中台、ここでも同じようにございません。十人でございます。足立区の新田というところでも六名の方にお伺いしましたが、この中で、健康保険に加入されている方は一人、雇用保険もお一人です。それから足立区中央本町五丁目、これは公共事業でございますが、対象人員が五名でございます。いずれも健康保険、厚生年金、雇用保険、それから源泉徴収も、もちろんございません。船橋市においても十二名の方にお会いしましたが、十二名とも、全然社会保険には加入しておらない。江東区の東雲町でございますが、これも公共事業でございますが、社会保険には入っておらない方が十四名ございます。 このように労働条件が非常に悪いために、鉄筋工で申し上げますと、中高年齢化が非常に進行をいたしまして、この不況の時代に仕事があっても人手が足りない。せっかく前倒し発注とか、あるいは景気浮揚対策をやって仕事があっても、その仕事が思うようにはかどらぬというのが現状なのです。 こういうような一番多い、四百何十万と言われる建設労働者の中の大部分を占めている下請労働者に対する調査なりあるいは指導なり掌握なりが十分に行われていないところに、今日の建設労働者の雇用改善の一番大きな問題があるのではないかと思うのです。したがって、今度の月間の実施要領の中には、確かに、いま労働大臣がおっしゃったように、「労働大臣が建設現場を訪問し、雇用管理状況の視察、現場労働者の激励を行う。」こういうようになっているが、実際に激励をしていただきたいところ、視察をしていただきたいところは、こういうふうに困っておられる、本当に深刻な問題を抱えでいる建設労働者の実態というものを大臣に視察をしていただかなければいかぬと思うわけです。雇い入れ通知書もきちっと出し、雇用管理者もいる、そういう優秀な、表彰されるような現場を御視察になっても、日本の建設労働者がいま置かれている立場というものは全く理解できない、私はこういうふうに申し上げてもよろしいかと思いますが、ただいま申し上げましたような実態に対しまして大臣はどのようにお考えになっておられるのか、承りたいと思います。
○石田国務大臣 下請の人たちに対する労務管理その他については元請業者が責任を持ってやるような指導を、従来からもしてきたわけでございます。しかし、先ほども申しましたように、私が行ったところは優良なところで、前もって予告して行きましたから、結果としては、その場においては満足するものを得てきたわけでありますが、まだまだ不十分な点がたくさんありますので、そういう点の改善に努めていかなければならぬ、こう思うのであります。 ただ、そういうところを一々視察をして歩けとおっしゃいましてもなかなか時間もないし、もう一つには選び方もむずかしい。それから、隠れて突然行くということは実際むずかしいのでありまして、私は昔、玉姫の職業安定所に黙って突然行ったことがあったわけであります。私は黙って突然に行ったつもりでございましたけれども、先方はちゃんと知っておったというようなことで、なかなかむずかしいのですが、そういうところ、いわば日の当たらないところに重点を向けた対策を講じてまいりたいと思います。
○古寺委員 抽象的な御答弁ではちょっと困りますので、各局長さん、いらっしゃると思いますが、まず最初に労働省にお伺いしたいのは、いわゆる労災保険に関しましては、元請が一括で加入しておりますので心配ございません。そこで、雇用保険の問題でございますが、私が調べた働いている方々は、日々雇用でもなければ、パートでもない。りっぱな社員なんです。そういう方々が雇用保険に加入していらっしゃらない。こういう方々の加入をどのようにして促進していかれるか、まずお尋ねをします。
○細野政府委員 建設労働関係につきましては、先生からいま御指摘ございましたように、いろいろ問題があるわけでございます。そこで、私どもとしましても、昨年、建設雇用改善法が成立をいたしておるわけでございますが、この法律に基づきまして重点を、たとえば一つには雇用管理責任者を必ず設けること、それから、先ほど大臣からもお話がございましたように、雇い入れ通知書を交付して労働環境を明確にすること、さらに、それらとあわせまして各種保険への加入促進ということも、その一環として積極的にやっているわけでございます。実際問題としましても、いま申しました法律の施行が円滑にいくかどうかということは、法律の中身をまず事業主の方に知っていただくこと、特にそのことについて元請なり大きな会社が自分の使っている会社に対して指導を徹底すること、というところに私どもも最重点を置かなければいかぬ、こういうふうに考えております。 そんな観点から、各種のPR手段を使いまして、あるいは事業主との間の接触の機会のたびごとに、そういう点について強調いたしているわけでございますが、さらに、御存じのように、建設雇用改善法に基づきまして各種の雇用改善のための助成金というものが設けられているわけでございます。この助成金につきましても、法発足の当初は比較的、知られていないこともございましてその利用が少なかったのでございますけれども、ようやく最近になりまして急激に、助成金を受けて雇用改善のための事業を実施する事業所がふえてまいりました。この助成金の内容は、御存じのように技能実習をしたり、雇用管理の研修をしたり、作業員の宿舎を設けたりあるいは健康診断をしたり、そういう場合に対する助成金でございまして、こういうものが最近急激に伸びてきたということも、先ほど申しました周知徹底がようやく緒についてきたということを示しているのではないかというように考えている次第でございます。
○古寺委員 いま私がお尋ね申し上げたのは、雇用保険にどのようにしてこういう方々を加入さして救済していくかという問題なんです。いまお答えがありました助成金の制度の問題にいたしましても、これは申し上げればいろいろ問題がございますよ。まず第一には、建設雇用改善指導員というのがある。これはあなたがいまおっしゃったような問題を各事業主に普及し、法律をよく覚えていただく、また改善計画も覚えていただく、こういう制度も認識していただく、そういうために指導員というのがいるのでございますが、一つの県に一名ないし二名の人間でもってどうして指導できますか。これは不可能でございますよ。 それから次に、たとえばいろいろな研修会とか講習会をおやりになる、そして講師を派遣するわけですね。講師を派遣する場合に、講師のいわゆる一時間当たりの謝礼が四千百円なんです。これでは講師が来ないのです。いい先生が来ません。それから、派遣助成金にいたしましても、事業主に対して支給されるのが一日千五百円なんです。働いている場合には七千円や八千円でございましょう。そうしますと、その千五百円をいただいても、事業主は一日の賃金を払わぬといかぬわけです。そういうようないろいろな矛盾があるために、せっかくこういう法律をつくり改善計画をつくっても、一つも実になっていないわけです。 一生懸命おやりになるというお気持ちは十分にわかりますが、たった一人の指導員が一県を担当して——大臣のいらっしゃる秋田県も一人、わが青森県も一人でございます。かつては職業安定所の所長さんかなんかをやられた、もちろん専門家でございますが、もう年齢的にも、若い人みたいには毎日歩くわけにはいきません。そのほかに助成金の問題ですとか、いろいろやらなければいかぬわけです。そういうお方がお一人で、この改善計画なるものあるいはこの法律なるものを全事業主、さらにその下の下請業者に対して徹底せしめることができるか、これは不可能な話なんです。こういう月間というものを設けてやっていると、いかにも、よく徹底して改善されるように思われますが、実態はそうじゃないのですね。その点、まず認識していただきたいと思うのです。 次は、社会保険庁、いらっしゃっていると思いますが、厚生年金と健康保険の加入の問題、これもまた、全く雇用保険と同様でございますが、今後、これはどういうふうにして社会保障を充実していくお考えなのか、承りたいと思います。——それでは、この健康保険と厚生年金の問題は労働省にお尋ねしましょう。
○石井(甲)政府委員 私は、労働省所管のものでございますから、まず労働省について申し上げたいと思います。 先生御指摘のように、現在、建設業の雇用保険の適用状況は、いわゆる適用率で見ますと五七%ということで、必ずしも高い適用率ではございません。これは一つは、五十年度にいわゆる全面適用といいますか、五人未満を全部適用をいたしまして、これに対する適用がおくれているというのが実態であろうと思います。 ただ、私ども、御存じのように、いわゆる失業された方々に対しましては所要の手続を経て給付をいたすという法律上のたてまえでございますので、失業された方については十分の措置をとってまいりたいと思います。 ただ、問題は今後、未適用の事業所に対して、どういう方法でこれをつぶしていくかということであろうかと思います。実際問題としましては非常にむずかしい問題がございますけれども、私どもは大体三つの方向でこれに対処してまいりたいと思います。 一つは、やはり非常に零細な事業場が多うございますから、事務組合の制度をさらに拡充をいたしまして、これに対する助成を含めましてこの体制を固めていくということでございます。もう一つは、現実の行政体制の中で非常に定員がふえにくいわけでございますが、コンピューターシステム等をさらに充実をいたしまして、できるだけ人員をそちらの方に向けておこうという体制の問題でございます。第三は、やはりそういう事務組合あるいは社会保険労務士というような実際を担当する一つの補助システムを拡大をいたしまして、これに対する補助金等についてさらにこれを深めていくということでございます。全体としましては、やはり行政の姿勢としてこれをできるだけ適用するという背景を持ちまして、いまのような方向で対処してまいりたいというのが現実の私どもの考えでございます。 それから、健康保険等につきましては、私、具体的に存じ上げませんのでお答え申し上げることができません。
○古寺委員 いや、健康保険は関係がないと言いましても、雇用改善計画を進めるのは労働省でございましょう。そうしますと、これは社会保険庁の問題であるから、健康保険や厚生年金の未加入者がどんなにいようと、そんなことは関知しないのだ、それは厚生省にお任せしておけばよろしいのだ、そういう姿勢なんですか。
○石井(甲)政府委員 私が申し上げましたのは所管が違うということで申し上げたわけでございまして、ただ、やはり全体は雇用の問題であり、あるいは労働者の福祉の問題でございますから、厚生省あるいは関係各省と連絡をとりながらこの対策を進めていくのは当然のことであろうというふうに考えております。
○古寺委員 そこで大臣に申し上げたいのは、なぜ、この下請建設労働者がこういう状態に放置されているかという、その一番大きな問題はダンピングなんですね。元請がダンピングをする、さらに下請がまた、それにずっと影響を受けてきます。最後の重層下請になりますと、そういう福利厚生費のようなものはカットしなければやっていかれない、こういう非常に苦しい立場に置かれているわけです。そういうダンピングを防止することについて政府としてどういうお考えをお持ちか、承りたいと思います。
○石田国務大臣 本来、下請、元請の関係というのは、日本で一番複雑な関係にあるわけでございます。これは、そういう制度それ自体を改善していかなければならぬと私どもは思っておりますが、作業の実態その他等は建設省の所管でございますので、建設省の方からお答えする方が至当だろうと存じます。
○広瀬説明員 建設工事というものは、先生御存じのとおり総合組み立て産業ということでございますので、元請、下請その他いろいろ含めまして、関与いたします建設業者それぞれが適正な対価を得るべきであるというのは、先生御指摘のとおりだと存じます。 そこで、私ども建設省といたしましても、建設業法の規定、考え方に基づきまして、元請人の地位を利用いたしまして、下請工事を施行するために通常必要と認められますような原価に満たない、そういう請負代金で下請契約を締結しないようにということは、常日ごろ、通達等により強力に業界指導を行っているところでございます。さらに、私ども、具体に公共工事を発注する立場にございますけれども、その発注に当たりましても、工事の適正かつ円滑な施行を確保するために、先生先ほど御指摘になられましたような不必要な重層下請というものはなるべく避けるように、また、不適正な条件によります下請というものはしないように、元請業者を指導しておるところでございます。 さらに、このような自主的な考え方を担保いたしますために、先生御存じのとおり、先般、中央建設業審議会から勧告のございました標準下請契約約款、これは元請、下請関係におきます請負代金であるとか、あるいはその支払い条件であるとかいうようなことに関します契約内容の明示並びに元請、下請業者の対等性の確保というようなことを基調としてつくられた標準約款でございますけれども、この約款の普及を通じまして、先ほど申し上げましたような業界指導の考え方が実質的にそこに盛り込まれていくように指導してまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
○古寺委員 それは先ほどの雇い入れ通知書と同じような、二の舞になると思うのですが、その前に、五十二年十月二十八日の午後一時三十分に、建設省の労働資材対策室に対して全鉄筋連が報告をいたしまして、その後、建設省の方では二カ所の現場を回ることになっております。御存じですか。
○広瀬説明員 所管が別の室にわたりますので、私、承知しておりませんけれども、先生御指摘のとおり、実施しているものと思います。
○古寺委員 それでは、実施した調査の結果を文書で後ほど提出をしていただきたいと思います。
○広瀬説明員 持ち帰りまして担当局とよく相談しまして、先生のところに御連絡申し上げたいと存じます。
○古寺委員 そこで、また前に返りますが、建設雇用改善助成金というのがございまして、この中に作業員の宿舎整備というのがございますが、これは全国で、いままでどのくらい助成されてございますか。
○細野政府委員 本年度におきましては、一億六千二百四十二万八千円出ております。
○古寺委員 何件でございましょう。
○細野政府委員 七十二件でございます。
○古寺委員 そうしますと、これは全国で割ってみましても一県一カ所にもつかぬわけです。こういうようなことをこれから仮に五年間続けていったとしても、雇用改善は全く目標どおりには達成できないと私は思う。特に大きな問題は、作業員宿舎よりも必要なのがマイクロバスですよ。下請業者は、通勤のために従業員をマイクロバスで運んでいるわけです。そういうマイクロバスのようなものがなぜ助成できないのか、こういう要望が非常に強いわけでございますが、そういう点については、労働省はどういうふうにお考えですか。
○細野政府委員 マイクロバスにつきましては、現在のところ、すぐに雇用改善につながるものではないということで助成の対象外にいたしておるわけでございます。
○古寺委員 なぜ、すぐに雇用改善につながらないのですか。
○細野政府委員 雇用関係の明確化とかあるいは直接的な労働条件の改善とか、そういう問題にすぐつながらない、こういう趣旨かと思います。
○古寺委員 趣旨かと思いますでは困るのであって、一番密接なつながりを持つためには、こういうマイクロバスのようなものを助成してあげてこそ雇用改善が手っ取り早くできると私は思うのですが、いかがですか。
○細野政府委員 この助成金の内容も、関係団体等の意見も聞きながら逐次改善はしたい、こう考えておりますので、その中で検討させていただきたい、こう思います。
○古寺委員 それから、指導員の増員についてはどうですか。
○細野政府委員 来年度予算の内容といたしまして、増員の要求をいたしております。
○古寺委員 さらに、先ほど申し上げました講師に対する謝礼あるいは講習会に参加をした方々に対するいわゆる講習派遣に対する費用、これについては増額を考えておりますか。
○細野政府委員 いずれも、来年度予算に増額要求をいたしております。
○古寺委員 それから、先ほど、労働保険事務組合を今後推進をしてこういう労働条件の改善を図っていきたい、こういうお話がありましたが、現在、建設関係の下請の業者の方々を対象にした労働保険事務組合というのは、全国に何組合ございますか。
○小林説明員 労働保険事務組合は、五十一年度末、ことしの三月末現在で、全国で一万一千七百五十ございますが、ただ、私どもの方の統計でその業種別の内訳でございませんので、先生お尋ねの点、ちょっと資料がございませんです。
○古寺委員 私、青森県の、いわゆる労働保険事務組合の一覧表というのをいただいて、内容を拝見しました。ほとんどが商工会とか商業団体でございまして、全く皆無と言ってもよろしい。こういう制度がある以上はこういう制度を活用して、下請業者の方を十人なり二十人集めて保険事務組合というものをつくって、そしていろいろ啓蒙していくところにこそ雇用改善の成果というものは上がると思う。ですから、いまおわかりにならないようでございますので、全国一万一千七百五十の中から、こういう建設業者の下請業者の保険事務組合の数が各県別に何組合あるか、後で資料にして御提出をしていただきたいと思います。
○小林説明員 帰って調査いたしまして、先生のところへ御連絡申し上げたいと思います。
○古寺委員 それからさらに、社会保険労務士の活用ということについての御答弁がございました。現在、全国に約六万人の社会保険労務士がいらっしゃる、こういうふうに承っているのでございますが、今回の月間において、社会保険労務士はどういうような立場で改善月間に参加をしておりますか。
○細野政府委員 月間につきましては、社会保険労務士の直接の参画ということは現在のところ考えておらないわけでございますが、各都道府県におきまして対策の推進会議等を実施する際には、必ず社会保険労務士を参画させてやっているという状況でございます。
○古寺委員 社会保険労務士法という法律ができてから、もう大分、日数もたっております。その法律の中には、社会保険労務士業の報酬については主務大臣が定めるところとなっている。いまだにこの報酬が決まっていないのはどういうわけですか。
○石井(甲)政府委員 社会保険労務士の報酬につきましては、御指摘のように法律で、労働大臣が関与することになっておりますが、現在のところは、まだ、それの施行をいたしておりません。これは一つは、社会保険労務士の実態と申しますか、最近、社会保険労務士の連合会が統一したという状況もございまして、まあ言ってみれば、そういう実態の背景を考慮しながら今後とも考えていくことになるだろうというふうに考えております。
○古寺委員 それでは、この法律ができたのはいつで、いつごろまでに大臣が報酬を定めるのですか。
○小林説明員 たしか四十三年か四十四年だったと思いますが、法律施行以来約八年間になると思います。 それから、報酬の件はただいま官房長から御答弁のとおりでございますが、業界の方で自主的にいろいろ報酬の取り決め等も行っておりますが、そういう実態をいろいろ調べまして、厚生、労働両省共管の法律でございますが、厚生省とも相談して、今後さらに報酬の関係は検討してまいりたいと存じております。
○古寺委員 法律ができて八年間も放置しておくというのは、行政の怠慢としか言われないですよ。もし、それが業界の自主的な規約によって決められるような性質のものであるならば、なぜ法律改正を行わないのです。なぜ八年間も放置しておくのですか。こういうような姿勢であるからこそ、建設業界における労働者の労働条件というものも向上しないのです。こういう大事な点が抜けているのです。 労働大臣だって、大臣になられて、この問題についてまだ一遍も報告はないのでございますか。大臣は、在任中にこの報酬を決めるということをお考えになったことはございますか。
○石田国務大臣 私が三十九年から四十年に在職した時代に、この社会保険労務士という法律作成の作業が始まったようであります。しかし、今回は、社会保険労務士についての報告はまだ受けておりません。
○古寺委員 定める大臣が全然その報告も受けていないのですから、これは定めようがないわけですよ。こういうことは、今後の日本の労働行政にとっては非常に重大な問題でございますので、よくこの法律を検討して、必要があるならば改正するなり、何か別途の方法を考えるなりしていただきたいと思います。時間がありませんので、個々の社会保険労務士法の内容にきょうは触れませんが、これは社会保険労務士会の方ではぜひ改正をしていただきたい、こういう機運がいま起きているわけでございますけれども、改正に対するこの検討は進めていらっしゃいますか。
○石井(甲)政府委員 社会保険労務士会といいますか、これは従来、厚生省サイドの連合会と労働省サイドの連合会がございまして、これが昨年九月に合同いたしまして一本の連合会が結成されたわけでございます。連合会の最初の重要な仕事が法律の改正ということでございまして、私どもは厚生省と共管でございますので、現在のところ、その連合会が一つの案をつくりつつありまして、私どももこれを検討しているというのが現実の姿でございます。
○古寺委員 一本化された、こう申しますけれども、全社労というのと日本社会保険労務士団体中央会と、二つ団体があるようでございますが、これはどういうわけなんでございますか。
○石井(甲)政府委員 御指摘のように、現在、大きな一つの連合会としては全社労がございます。これは、これまで長い歴史を持っておった二つの団体が合同いたしまして、労働省、厚生省に設立の認可を求めてまいりまして、これは認可をいたしました。もう一つ、中央会がさらに認可を求めてまいっておりますが、現在検討中という状態でございます。
○古寺委員 そうすると、これはまだ一本化しておりませんね。 それから、われわれが奇異に感ずるのは、社会保険事務所へ行きますと、何人かの社会保険労務士の方の、まあ推奨銘柄と申しますか、御推薦している。今度は労働基準監督署へ行きますと、また労働基準監督署では、推奨銘柄ですか、何人かの方を御推薦している。こういうふうに、非常に何か、厚生省と労働省の呼吸が合わないと申しますか、そういうことがこの業界においても、なかなか一体化してうまいぐあいに——まあ、いまのこの雇用改善なんという問題については、一県に一人しかいない指導員ではできないのです。当然、こういうような社会保険労務士のような方々に御協力をいただいて推進をしていけば、十分に効果は出ると思うのです。 〔大橋委員長代理退席、委員長着席〕 それが、そういうようにばらばらの姿勢でまだ臨んでいるというふうに感じられるのですが、こういう点はいかがですか。
○石井(甲)政府委員 労働省サイドあるいは厚生省サイドが必ずしも一本じゃないという御指摘でございますが、ようやく昨年九月に両方の団体が合同いたしまして、現在のところは厚生省、労働省サイド一体になりましてこれに対応しておりますので、そういうことはないというふうに私どもは考えております。
○古寺委員 いや、ないと思いますと言ったって、労働基準監督署とか社会保険事務所をお回りになるとすぐもうおわかりになります。同じ人の名前が載っているんじゃないのです。違うのですよ。社会保険事務所で掲げているお名前と、労働基準監督署で掲げているお名前が違うのです。まあ、今度いずれ日を改めて、この問題については、またいろいろお聞きしたいと思いますけれども、まず業界が足並みをそろえて、そしてこういうような問題、これを御協力していただくような方向で労働省としてもどうかひとつお考えをいただきたいし、さらにまた、先ほど申し上げました労働保険事務組合のようなところへ社会保険労務士の方を、一人で結構でございますので、配属をしていただきまして、そしてこういう問題を処理していただければ、労働条件の改善ということはできるんじゃないか、私はこういうふうに考えているわけであります。 次は、身体障害者の雇用率の問題でございますが、最近は非常に不況になってまいりまして、身障者の方々も非常に就職が困難であるというような実情でございます。 そこで、まずお尋ねしたいのは、現在、全国における心身障害者の、特に民間企業における雇用率、これがどういうふうになっているのか、お尋ねしたいと思います。
○細野政府委員 民間の企業におきまする身体障害者の雇用率の平均は、全国で一・〇九%になっております。
○古寺委員 全国で雇用率が一%以下の県は何県ありますか。どことどこでございましょうか。
○細野政府委員 全国で雇用率が一%未満の県は四県でございます。県名は青森県、秋田県、東京都、沖繩県の四つでございます。
○古寺委員 いま大臣お聞きになりましたですか。
○石田国務大臣 いや、もうとっくに見て知っています。
○古寺委員 大臣の秋田県と、東北で言えば青森県、それから沖繩と東京が、こういうふうに心身障害者の雇用率が全国で最低でございます。 そこで、私は特に申し上げたいのは、心身障害者職業センターというのがございます。これは、いまでも毎年、建設が続いているようでございますが、こういうような雇用率の低いところにこそ、こういうセンターは必要だと思うのです。それがどういうわけか、こういう低いところにはセンターがなくて、むしろ雇用率の高いところにセンターが建設されている。これはまことに不可思議なんですが、これはどういうわけか、ひとつ労働省からお聞きしたいと思います。
○細野政府委員 御指摘の職業センターにつきましては、心身障害者、特に重度の身体障害者や精神薄弱者に対しまして能力及び適職の判定をやる。それから、就職後のアフターケアに至るまでの総合的な各種の指導、相談を行うわけでございます。それからまた、雇い入れる事業主に対しましても作業環境の改善等の受け入れ体制の指導を行う、そういうための施設として設けられておるわけでございます。そういうことでございますので、設置場所を選定する際に当たりましては、各地域におきます心身障害者の数、事業所数、それから全国的なセンターの配置のバランス、本センター設置に対する各都道府県の受け入れ体制、そういう点を総合的に判断しましてこれを設置をいたしておるという次第でございます。
○古寺委員 大臣は、地元の問題ですから、なかなかお答えにくい問題だと思いますが、こういう雇用率の低いところにこそセンターの設置が必要とお考えですか、承ります。
○石田国務大臣 雇用率の高い低いも一つの材料だと思いますが、全体として身体障害者の数が多いということも、やはり判定の基準になろうかと思います。私は、私の県がおたくの青森県よりなお低いという点、また日本全体で非常に低いという点に、ごく最近でありますが気がつきまして、これの改善方を当該関係者に促しているところでございます。
○古寺委員 数で申しますと青森県は三万五千人です。秋田県は二万七千人でございます。私は数だけの問題じゃないと思います。数からいくならば東京が一番多いはずです。東京都でございますから。したがって、数ももちろん必要でございますが、一番大事なのは、やはり雇用率を設定された以上は、いかにこれを消化できるような方向へ持っていくか、行政を進めるか、こういうことが大事であると思いますので、特に大臣には、その点について御尽力をお願い申し上げたいと思う次第でございます。 きょうは限られた時間でございますので、十分に御質問できない面も多々ありましたが、どうかひとつ、この重層下請の建設業界で働いていらっしゃる労働者の方々が安心して働けるような雇用改善が一日も早く実現するように、労働省としても今後、強力に、この改善計画を進めていただきたいということを特に要望いたしまして、質問を終わらしていただきたいと思います。
○橋本委員長 次に、浦井洋君。
○浦井委員 まず最初に、じん肺の問題でお尋ねをしたいのです。 ことし、じん肺が改正され、やはりじん肺という病気が不可逆的で、一たんかかると原因を取り除いても、それ以上はよくならないということもあるし、さらに、最近では特に石綿の粉じんが発がん性がある、肺がんの原因になるということで注目をされております。ところが、いろいろ調べてみますと、非常に疑惑に満ちた、非常にけしからぬ事例が見つかったので、あえて、ここでひとつ取り上げ大臣の御意見なり善処方を要望したいと私、思うわけです。 具体的な事例を申し上げますと、埼玉県の羽生市にあります曙ブレーキ工業、それから、その下請でありますクロス工業であります。曙ブレーキ工業というのは、あるいは大臣も御承知かとも思いますけれども、昭和十一年に会社が設立をされまして現在、資本金十七億円、だからブレーキライニングといいますか、ブレーキの生産高のシェアが五五%で、自動車の部品メーカーとしては大手であるわけなんです。ここでは戦前からブレーキを生産しておるわけでありますけれども、その原料になります石綿を加工いたしまして——加工というのは結局すき綿をやって、紡績をやって、それに樹脂をまぜて固めて、それでブレーキになるわけでありますけれども、その前の方の工程、そういうようなことも、この工場の構内あるいは構外で下請にやらせておる、こういうような工程であるわけなんです。 そこで、こういう事例がありました。愼村秀雄さんという、現在すでに約一月ほど前に残念ながら亡くなられたわけでありますけれども、六十三歳の労働者でありますが、この方の職歴を簡単に申し上げますと、昭和十四年から二十年まで曙ブレーキ工業に勤められた。それから約十六年飛んで昭和三十六年から三十八年までは、この曙ブレーキ工業の構内で下請の作業をやられた。それから三十八年から十年間、四十八年までは今度は構外のクロス工業というところで同じように勤められて、結局、計十八年間、石綿のすき綿であるとか、あるいは紡績作業、こういうものに従事をされたわけであります。そして昭和四十八年に退職をされて、ことし、昭和五十二年の二月に石綿粉じんによるじん肺症管理四ということで、そういう診断をされたわけであります。そして残念ながら心肺機能不全というような形で五十二年、ことしの十月十八日に亡くなられておる、こういうことであります。 それで、これはもう大臣も、じん肺のことはお詳しいので、よくおわかりだろうと思うのですけれども、私が不思議に思うのは、こういうような粉じん職場、有害作業場において十八年間も働いておられたのにもかかわらず、横村秀雄さんは退職後三年目に初めてじん肺症管理四ということで診断をされておるわけなんです。じん肺法が制定をされたのが昭和三十五年ですか、そして先ほど読みました職歴からいきましても、昭和三十六年から四十八年まで曙ブレーキ工業でこういう作業に従事をしておられたということになりますと、これは粉じん作業であるわけですから、三年に一回は健診を受けるわけなんです。また会社は健診を実施しなければならぬということであるのに、離職後三年たって、じん肺症管理四ということになったのは一体なぜなのか、これは不思議でたまらぬわけなんでありますが、この辺の事情なり調査なり、あるいは大臣の御感想なりをお伺いしたいと思います。
○石田国務大臣 じん肺は浦井さんの方がよくおわかりでしょう。私は、いわゆるよろけが一番盛んなところで育ったものでありますから、よく知っております。じん肺法からいって三年に一遍、健診をしなければならぬというわけでありますから、健診がちゃんちゃんとやられておれば当然もっともっと早く発見されたものだと思うので、お話を伺っただけでも大いに奇怪な感じがいたします。 それから曙ブレーキという会社は存じません。
○野原政府委員 御承知のように、じん肺につきましては早期に発見をし、それに見合う健康管理をフォローするということが非常に大事でございまして、先ほど先生がおっしゃいましたように、粉じん業務に従事する労働者につきましては三年ごとに定期に健康診断をやる、こういうことになっておるわけであります。 そこで、いまお話のありました曙ブレーキとクロス工業の両方に関係しておられますので、この両社につきまして最近の健診状況を確かめましたところ、三年ごとでございますので、一番新しいのを見ますと、曙ブレーキの方は、本年の十月でありますが、退職者を含めまして四百二十九名について健康診断を行っております。一方、クロス工業の方は昨年が一番新しい健診の時期になっておりまして、そのときに三十三名を対象として、やはり、じん肺の健診をやっております。 問題は、その健診の結果がどう処理されておったかということだろうかと思いますが、実は、この健診の結果じん肺にかかっていると診断された労働者、俗に有所見者と申しておりますが、こういう方々に対しましては、エックス線のフィルム等を添えて所轄の労働基準局長に出し、健康管理区分の決定を受ける、こういうことが法律で定められておるわけですが、その間の事情を確かめてみますと、昭和三十七年に、この種の決定申請があったのみで、その後、両社から何ら、そのような手続がなされていない、こういうことが判明したわけであります。 そこで早速、本年の五月に、それらのことが再びないように、今後は必ず有所見者について管理区分の決定申請を出すように、厳しく指示したわけでありますが、同時に、その過去の状況につきましても、本当に有所見者がなかったのか、あるいは何らかの事情で、その申請がなされなかったのか、その辺の状況につきまして現在、鋭意調査中でございます。
○浦井委員 大臣、お聞きのとおりです。昭和三十七年には一たん手続がなされておるわけですが、それ以後は何もない。だから、少なくとも昭和三十七年以後は、在職しておる労働者であるとか、あるいは退職者も含めて、形の上では管理区分二、三、四というようなところの有所見者はおらなかったということになっておるわけなんです。管理区分決定の手続もやられておらない。ところが先ほど申し上げたように槇村さん、これは一例だけでありますけれども、十八年間その工場に働いて、退職後三年後に随時申請になっておるわけです。それで管理区分四のじん肺症に診断をされておるということであります。これは大臣、一体どういうことなんでしょうね。全体としては非常にきれいですけれども、きわめて奇怪な話だと思うのですが。
○石田国務大臣 私は医者じゃありませんから的確なことを申し上げられませんが、私が受けた感じから見れば、これは突然、管理四になるわけではないんで、きちんきちんと健康診断が行われておれば、もっと早期に発見されるべきものと思います。それから大ぜい同じような条件の中で働いておって、一人だけが突然、管理四になるということも不思議に思います。
○野原政府委員 先ほど、お答え申し上げましたように現在、本当に有所見者がなくて決定申請がなされてなかったのかどうか、その辺を調査中でございますが、その結果、もし有所見者があっても所要の申請がなされていなかったという事実が判明すれば、その段階において厳しい処分を行うと同時に、産業医の健診については、すでに、こういった項目を取り入れてやっておるわけでありますが、さらに、その充実を期すると同時に、私ども監督官の研修についても、こういった点を今後さらに強く指摘してまいりたいというふうに考えております。 それから、実は本年の六月に改正されましたじん肺法の規定の中で、明らかに決定申請がなされてしかるべきなのに、どうも出されないというような向きに対しましては、基準局長の権限で、その関係書類の提出を命じ得る、こういう規定が新設されましたので、今後は、こういった規定をフルに運用して、じん肺健診の適正な運用を図ってまいりたいというように考えております。
○浦井委員 ちょっとお尋ねしますが、先ほどクロス工業について、五十一年の何月か、ちょっと忘れたのですが、三十三名健診をされたというふうな報告がありましたね。それが五十二年の二月に埼玉のじん肺診査医に診断、診査してもらっているわけでしょう。これはまだ調査が行き届いておらないかもわかりませんが、その結果がどうなったのかというのを、ちょっと報告してほしい。
○野原政府委員 実はクロス工業の退職者から、先ほどお話がありましたように愼村さんという方が管理区分の四ということで、退職後、明らかになったわけでございます。そこで、そうなりますと同じような業務経験を持つ者の中に、やはりそういった方がおられる懸念もございましたので、埼玉労働基準局では早速クロス工業在職者につきまして、昨年行われましたじん肺健診のフィルムを取り寄せまして、地方じん肺診査医で、まず、それを読影をしてもらったわけであります。その結果については、まだ報告を受けておりませんが、フィルムが必ずしも鮮明でなかったという点もあったようでありますので、石綿肺ということになりますと普通のじん肺の場合よりも、やはり鮮明度を要求されますので、そこで、ことし曙ブレーキにつきまして四百二十九名に対して、じん肺健診を行う際にクロス工業の者をそこへ含めまして、全員について、改めて定期健康診断を実施したわけであります。したがって、その結果が判明すれば、在職時代にどうだったのか、あるいは現状はどうかということが明らかになるというふうに考えております。
○浦井委員 いま大臣聞かれて、おわかりだろうと思うのですが、去年、下請のクロス工業の三十人余りが健診を受けて、どうも専門の診査医が見ると判別の用に立たないようなレントゲンフィルムができ上がっておるような感じ、私たちが調べたところでも、そういう疑いが濃厚であります。これは、その地方を回っておる専門を称しておる、いわゆる健診屋がやったのだろうと思うのですけれども、こういうことも、やはりひとつチェックをしていただきたい、じん肺のレントゲン写真を撮るのは、そうむずかしい能力は要らないわけですし、一定水準以上のレントゲンの機械を備えつけておればやれる。まして健診を専門にしておる健診屋ということであれば当然やられなければならぬ、きょうの本題から外れますけれども。この点も、ひとつ大臣チェックしておいていただきたいと思うのです。
○石田国務大臣 いわゆる労働衛生の管理の問題で、実は私は全衛連というものの会長を仰せつかっておりますが、これは全く玉石混淆でありまして、設備、機能等もまちまちです。その上に値段、価格等も非常にでこぼこでありまして、安かろう悪かろうというのですか、粗末だという点を、これに関係してすぐ感じましたので、これはやはり、ある一定の基準と義務を課すように改正しなければならぬ、そういう方向で、いま基準局の方でも検討をしておるところであります。御指摘の状態は実は私もよく知っておるわけで、そして早く直さなければならないということも痛感しております。
○浦井委員 私、一枚の写真を持ってきたわけなのですが、これは別に普通の診療所が普通の機械で撮った写真であるわけなのです。これで結構わかるわけなんですよね。まともにやれば、ちゃんとできるわけなのです。これは余談でありますけれども。 そこで、この写真についてでありますけれども、この写真は、やはり曙工業に現在、勤務をしておられる三十歳の労働者、そして粉じん歴が七年から八年、これは管理四までいかないので、あれなのですが、ずっと見てみますと、すでに管理二程度なのです。これは大臣、ちょっとわからぬだろうと思いますけれどもね。だからそこへ持っていきませんけれども、周囲の人であるとか、あるいは、そこで働いておられる労働者の方の証言によりますと、やはり三、四年前までは、その作業場は白い粉が立ち込めておって、五メートル先も見えないというような状況で、最近、少し改善をされておるというような状態であったそうであります。だから槇村さんといい、一例だけ私ここへ若い労働者の写真を持ってきましたけれども、これでも管理二なんです。だから、そういうようなことから見て、やはり大手の自動車部品メーカーである曙工業関連には、かなりのじん肺の有所見者が残念ながら、おるのではないかということは容易に予測されるわけであります。それが先ほどからお答え願っておるように、事業主の不正当な行為といいますか、何があるのか、まだ調査してもらわなければいけませんけれども、そういうことによって隠されておることは私はけしからぬと思うわけです。それと同時に、そういうことを野放しにしておる労働省の方もけしからぬ、やはり責任は免れぬというふうに思うわけなんです。 そこで私、いますぐに、もし違反があれば処分をしたいというお話がありましたけれども、やはり最低、一番大事なことなんですけれども、いま働いておられる本社並びに下請の労働者だけでなしに、退職された方あるいは死亡された方も、もう一遍見直してみて、そしてきちんと追跡調査を行う必要があるのではないか。そしてやはり命を助けなければいかぬですから、必要な健康保全策を講じなければならぬし、残念ながら病気にかかり、あるいは亡くなられた方には、きちんとした補償をやはりすべきではないか。この点について、ひとつ大臣とお二人から意見を最後に聞いておきたいと思います。
○野原政府委員 いま先生御指摘がありましたように、曙ブレーキにつきましては、いろいろ問題がございますので、実は特別衛生管理指定事業場というふうに本年の四月に指定をいたしまして、環境の改善も含めまして総合的な安全衛生面についての指導を強化をしておるわけでございます。 それから、やはり御指摘ございましたように、この下請の労働者の方々、こういった方々も当然、石綿肺のおそれがございますので、そういった方々を含めまして、広い意味の健康管理、健康診断を含めまして行うということで、現在その辺の方々の名簿を作製させております。それが明らかになった段階で、そういった方々を含めまして健康診断を実施し、健康管理の万全を期させるようにさらに強力な指導をいたしたいというふうに考えております。 それから、先ほど健診機関の問題も御指摘ございましたが、これにつきましては実は本年の十月から新しい制度として中小企業の事業団体が行う健康管理事業に対して国が助成をするという制度を発足させたわけでありますが、その中で、それと健診機関がタイアップして健康診断なんかやりますので、その健康診断を担当する健診機関については一定の基準に適合したものでないとだめだ、こういう制度を設けまして、今後、健康診断機関の育成、強化を図ってまいりたいというふうに考えております。
○浦井委員 大臣、石綿の発がん性といいますか、催がん性といいますか、これについては、かなり国際的にも注目をされておりまして、そして労働省の通達でも、従業員、職員が作業衣のまま家に帰る、それが家族の人の肺がんの原因になるというようなこともあるので、よく注意せよ、喫煙もいけないというようなことも言われてておるようでありますから、この点はひとつ今度のケースは余りにもひどいと私は思うので、あえて取り上げたわけでありますが、厳重に即刻に調査をして処置をしていただきたい、このことを大臣にひとつ決意のほどを伺いたい。
○石田国務大臣 先ほど健診機関のことについては、私もまだ研究中かと思っておりましたら、処置をとってくれておるようでありますから、これはその効果があるような実施を期待するわけであります。 それで石綿の粉じんによるじん肺病の発生は、実は私どもは若いときからの常識では、要するに非鉄鉱山に非常に多かったというか非鉄鉱山だけにあるものだと思っておったわけで、それが労働省に来るようになりまして、違ったところにもあることが、だんだんわかってまいりました。特に近年、石綿が非常に重要であるということ、非常に大きな職業病に発展をする、特に発がん性を持っているということを知りました。したがって、この種のものにつきましては検査の厳重な励行に極力努めてまいらせるつもりでおります。
○浦井委員 検査だけでなしに、その後も、きちんとやってもらわなければなりません。そこで、それはひとつ即刻やっていただきたいということを要望して、もう一つの問題に移りたいと思います。 労災認定の問題でありますが、こういうケースがあるのです。滋賀県のダイハツ自動車工業株式会社の竜王工場の鋳造課に勤めておられた巽潔さん、当時五十二歳、この方が昭和五十一年、去年の五月二十二日の午前八時五分、着がえをされて就労される直前に倒れ、蒲生町の病院に運ばれたのですが、運ばれたときには死亡されておって、それは心筋梗塞だということになったわけです。その業務上外の問題でありますけれども、会社の方はこれは心筋梗塞だからということで簡単に私病扱いにしてしまったようでありますが、奥さんの巽三重子さんという方が、どうもこれは業務上に入るのではないかということで、八月十一日に滋賀県の八日市の基準監督署に労災の申請をされた。ところが、去年の十二月六日に監督署の方は業務外だというふうに認定を下したわけであります。そこで、それに不服である奥さんの方は、ことし、五十二年の一月二十九日、滋賀県の基準局に審査請求をして、現在まだ審理中である、こういうケースであります。 それで調べてみますと、このダイハツ自動車工業の竜王工場というのは、ダイハツの中では新鋭工場だ、きわめて合理化が進み、生産性も高いのだというようなことを宣伝しておるわけでありますが、そこで働いておる労働者にとっては地獄であるわけなんです。数々の労基法違反の事例が挙がっております。この巽さんの件について調べてみましても、鋳物作業で、粉じんも、高温も、それから騒音ですか、こういうもので有害業務であるにもかかわらず残業時間が二時間を上回っておる。実際上十二時間就労の二交代制がなし崩し的にとられる、こういうような状態になっておるわけなんです。それから休養室が全然ない。そして就労中の労働者は疲れるとコンクリートの上に段ボールのなにを敷いて、その上に寝転がるというような状態である。それから先ほども出てきましたじん肺について、これは、そういう粉じん職場であるから当然やらなければならぬのに、じん肺健診もやっておらない、こういう新鋭工場の実態が明らかになってきたわけなんです。 それから、この巽さんの事例を調べてみますと、巽さんというのは、もともと長年兵庫県の伊丹のダイハツ工業に勤めておられて軽作業に従事しておられた。ところが現在は伊丹工場というのはなくなっておるわけなんです。竜王に新鋭工場ができるから、もう全部配転だ、それがいやなら、やめなさいというようなかっこうで、そういう経営方針にのっとって、いやいやながら五十一年の二月十六日、死亡される三月前でありますが、配転になっておるわけなんです。長年、阪神地方に住んでおられたので、やむなく単身赴任をされて寮で独身生活を送っておられた。それからさらに、転勤の直前に血圧をはかると最高血圧が百七十二で最低が百四、これはもう明らかに高血圧症であります。五十二歳。で、減塩食、塩を減らさなければならぬというふうに言われておったけれども、単身赴任で寮に入っておるわけでありますから、そういう特別の配慮もされておらなかったというような事情がわかったわけであります。 それは私は当然、業務上の認定があってしかるべきだと思うわけでありますけれども、八日市監督署の署長さんが口頭で、なぜ業務外の認定をしたかという問いに対して、こう言われておるわけなんです。これは基発第百十六号、昭和三十六年に出ました通達に基づいておるけれども、まず発症直前に疲労というような災害的な出来事がなかった、こういうふうに言われておる。それから、この巽さんは管理者ではないので精神的負担がなく、三時間や四時間の残業や夜勤は体に悪いとは言えない、こういうようなことで、だから業務と疾病との間には因果関係がないんだというようなことを口頭で言われて、結果としては業務外認定になっておるわけなんです。 そこで私が言いたいのは、まず第一点は、基発第百十六号、昭和三十六年に出された通達の問題である。これは基準局の関係の方もよく御承知のように、大体古いし範囲が狭いだろうというふうに思うわけであります。現在の労働態様にそぐわないものであるというふうに私は思うわけです。それを読んでみましても、心臓発作であるとか、あるいは脳卒中というのは、もうどこで起ころうとも私病なんだというような立場で貫かれておるような通達であるわけなんです。だから労働態様が変化をし、しかも医学も進歩しておるという状況の中で、この通達をもう一度見直してみる必要があるのではないかというふうに私は思うわけでありますけれども、これは局長から、ひとつお答え願いたいと思う。
○桑原政府委員 こういう脳卒中とか心臓疾患による死亡あるいは、そういった疾病につきましては、その業務上外の認定は、なかなかむずかしいということは私どもも十分承知をいたしております。 御指摘のように、昭和三十六年に通達が出ておりますが、私どもは、その後の医学的な知見あるいは医学的な技術の進歩に応じて見直す努力はしてまいっております。ただ現在、私どもが運用の基準に使っております昭和三十六年の私どもの通達と申しますか認定基準というのは、現段階では、私どもはいま直ちに改定をしなければならぬというふうには考えておりません。また、この認定基準は相当詳しく書かれておりまして、またお話しのように、具体的なケースケースによっていろいろなケースがあると思いますので、それはまた地方の基準局だけに任せずに、むずかしい問題につきましては本省に稟伺をさせて、そして御専門家の意見を聞きながら判断をしていく、こういうたてまえをとっております。繰り返しますけれども、この認定基準につきましては直ちにいま改定の要はないと思いますけれども、今後の医学的な知見、いろいろな諸外国の文献、情報、こういうものも十分参考にしながら、見直しについては努力をしてまいりたい、こういうふうに思います。
○浦井委員 いま直ちに見直す必要はないということでありますけれども、しかし局長も認めておられるように、脳卒中であるとか心臓発作に関係のある労災申請というのはふえておりますね。正確な数字は私も承知しておりませんが、大阪府全体で脳とか心臓に関係のある労災申請が年間十件ぐらいあるだろうというふうに聞いておるわけなんです。何か労働省の方で、こういう統計はとっておられますか。ここ数年間の、こういう心臓発作、脳卒中に関係のある労災申請の件数、それからどれだけ業務上認定をされたかどうか、ありますか。
○原説明員 御指摘の疾病の統計に関しましては、私ども給付の実情等から一応の統計をとっておるのでございますが、その分類の仕方が一定の従来の方式がございまして、脳卒中の、こういうような形での人々の疾病の発生状況については正確に出てこない形、ほかのものとまじった形に出てくるようになっておりますので、最近の実情は数字的に御説明申し上げる資料は、いま持ち合わせていない実情でございます。
○浦井委員 たとえば、ここ三年ぐらいの間、そういうのをひとつ拾い出していただいて、どれくらいの数字になるのか、そのケースの簡単な説明ぐらいつけた資料を提出願えますか、どうですか。
○桑原政府委員 御指摘の面は、今後、高齢化社会を迎えてまいりますし、また定年延長の問題も、さらに社会の問題になってきておりますから、一般的に就労者が高齢化していくと思いますので、健康管理なり、そういった問題については私どもも十分気をつけていかなければならぬと思いますが、いま直ちに統計の処理ができないようでございますので、そういった観点を踏まえて統計がとれるような形を研究してみたいと思います。
○橋本委員長 浦井さん、あなたの質疑時間は過ぎまして、田中美智子さんの持ち時間の残りの部分も、いままさに過ぎなんとしておりますので、もうそろそろ終わってください。
○浦井委員 わかりました。 そこで統計の問題は、できるだけ、そのケースを知りたいので努力をしていただきたいと思うのです。 そこで、すぐに百十六号を変える必要はないというお話でありますけれども、現実には、局長もよく御承知のように、あなたの部下の監督官の方では困っておるのです。こういうケースについて。現に、このケースについて滋賀県の基準局の、ある課長さんは、こんなことを言っておられる。業務上外の判定については通達で拘束されているが、本件のような複雑な事例では、直接の担当官が判断に苦しむ、だから通達に幅を持たせるとか、新しい通達を出すとか、社会情勢の変化に見合う合理的な対応が必要だと思いますというような答えをせざるを得ないような状況になっておるわけなんです。言うたら、末端の監督官が医学的な専門知識もないのに判事の役目をさせられておる、そういうことで結果としては、わからぬので業務外だというふうに認定をして上へ上げる、上の方で何とかしてくれるだろうというようなかっこうの責任回避をせざるを得ないというような実情であるそうです。これは一遍、調べていただきたいと思うのです。ですから、そういうことのないように、私はやはり先ほど申し上げた労働態様であるとか、あるいは医学の進歩に伴った通達の見直しが必要ではないかというふうに思うわけです。 それから、さらに言いますならば、委員長にせかされておるので急ぎますけれども、世界的にも大臣、夜勤であるとか交代勤務というようなものが生理学に反するような反生理的な労働だという点に注目をされてきておるのは、大臣も御承知だろうと思う。たとえば昨年はILOで、これについてのシンポジウムがあったわけですし、それからアメリカでは、アメリカの政府が三千万ドルもかけて、こういう関係の労働の見直しの調査をやる。これはこのままほっておいたら肉体的にもだめになるだけでなしに、モラルの面でも、こういうことが原因になって低下するというようなことが言われておるし、日本でも産業衛生学会で交代勤務研究会というようなものが持たれて、反生理的な労働についてはどういうふうな対応をすべきかというようなことがかなり現実のスケジュールの上に上ってきておるわけなんで、やはり、そういう点で日本の労働省もおくれをとらないようにしていただきたい、このように私は要望をするわけでありますけれども、大臣、どうでありますか。
○石田国務大臣 確かに夜、働いたり、あるいはまた朝早くから働いたりするというのは、通常の時間に働くよりは過重になることは、私もよくわかります。そういうものの影響あるいは改善の方法、そういうものについての検討は当然しなければならぬものだと思っております。
○橋本委員長 もうかなり時間をオーバーいたしました。田中美智子さんが残された五分もあなたに差し上げて、なお、すでに三分オーバーしました。締めくくってください。
○浦井委員 そこで早急に通達の見直しをやっていただきたいというふうに要望して、最後に、これは具体的な問題でありますけれども、この巽さんの遺族の問題であります。八十歳のお母さんと、それから先ほど申し上げた奥さんと高校へ行っておられる一人娘の方がおられる。その奥さんも病気がちで、パートに従事をしておられるそうでありますが、生活に困っておられる。だから私は要望したいのは、同僚の証言とか、いろいろな状況を早く十分に調査をして、基準局としても結論を、そういう業務上の認定をするという方向で早くやってほしい、このことを要望したいと思うのです。
○石田国務大臣 十分承りました。専門の審査にかけるわけでありますから、審査の結果についてまで申し上げられませんが、十分承りました。
○原説明員 大臣の御答弁もございますように、審査官のところの手元にいって現在せっかく調査中でございます。公正な判断をしてもらうように、私の方からも連絡をしたいと思います。
○橋本委員長 次回は、明後二十四日木曜日午前十時理事会、午前十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後五時四十九分散会 ————◇————−