社会労働委員会 第1号
- 発言数
- 216 件
- 登壇者
- 22 名
- 会派数
- 6
- 開催日
- 1977/10/25
会議録
○橋本委員長 これより会議を開きます。 国政調査承認要求に関する件についてお諮りいたします。 厚生関係の基本施策に関する事項 労働関係の基本施策に関する事項 社会保障制度、医療、公衆衛生、社会福祉及び人口問題に関する事項 労使関係、労働基準及び雇用・失業対策に関する事項 以上の各事項について、その実情を調査し、対策を樹立するため、小委員会の設置、関係各方面からの説明聴取及び資料の要求等の方法により、本会期中調査を進めたいと存じます。 つきましては、衆議院規則第九十四条により、議長の承認を求めたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○橋本委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。 ————◇—————
○橋本委員長 この際、御報告申し上げまます。 第八十一回国会の閉会中に沖繩県に委員を派遣いたしました際の調査報告書は、同国会の委員会議録附録に掲載いたしますので、御参照願いたいと存じます。 ————◇—————
○橋本委員長 労働関係の基本施策に関する件について調査を進めます。 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。川本敏美君。
○川本委員 私は、ただいまから労働大臣を初め関係官公庁の方々に、まず冒頭、雇用問題から御質問をいたしたいと思うわけです。 〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 最近、世界失業時代という言葉をよく耳にします。現在、世界的に見てもアメリカでは六百十九万人という失業者が出ておる。EC諸国では約五百八十万人。日本では、ことしの八月で大体百六万人という完全失業者で、先進国の合計で千四、五百万人の失業者があると言われておるわけです。こういう大量失業をどうしていくのか。どの国も現在のところでは思案投げ首で、有効な手段を持ち合わせていないように私には思われるわけです。そういう点から見ますと、この失業問題大量失業をどのようにして克服していくかということは今日、世界の先進諸国の政治の最重要課題の一つであると言っても過言でないと私は思うわけです。 去る十月七日に、藤田総務長官が閣議で労働力調査の八月分の結果報告をして、閣議で了承されたと聞いております。その内容を見ますと、いま申し上げたように、わが国における八月の失業者数は百六万人。ことしの一月に百十四万という大台を記録して以来、連続八カ月間、百万人を超えた失業の状態にある。こういう中で、今度のこの報告の中で特に注目すべきことは、青年層、若年層の失業者が増加をしてきておる。七月も八月も引き続き二カ月間、青年層、若年層の失業者が増加をしておる。完全失業率は二・一%と石油ショック時を上回るような最高の率を記録したことか特徴点ではなかろうかと思うわけです。こういう問題の中で先般来この失業問題、雇用問題をどうするかということが予算委員会の中でも論議され、あるいは野党五党は申すに及ばず自民党も含めて、この雇用対策をどうするのかということで、先日来いろいろ話し合いが進められておることは御承知のとおりであります。 この失業の問題について考えてみますと、やはり二重構造になっておるのではないかと私は思うわけです。すなわち、構造不況業種と言われる、いわゆる十三業種、十四業種、こういうところで、いわゆる構造的な失業が起こりつつある。首切り合理化が行われつつある。それともう一つは、そういう大企業、中小の上の企業では、その合理化を進めるに当たって、下請企業、系列企業に対する出向とか、あるいは配転とか、あるいは転換訓練を行ったり、あるいは合理化して首を切っていくという状態が出るわけですけれども、その前に中小零細企業や下請企業では、まず最初に臨時工あるいは社外工、パートタイマーあるいは日雇い労働者そういう人たちがまず首を切られて失業していくということです。だから大きく分けますと大企業の合理化と臨時工や社外工、パートタイマーなどの失業という二重構造がある。年齢的にも中高年齢者が首を切られたり、あるいは婦人労働者、障害者あるいは同和地区、未解放部落の労働者あるいは農山漁村そういうところに、こういう臨時工、社外工、日雇い労働者の失業が急速に増加しつつある。そしてこういうものは現実に、いわゆる統計上、出てきていないわけです。そこらあたりに、日本の失業者は百六万と言われますけれども、実際には二百万を超える失業者が満ちあふれているということを、私たちは自分の周囲の状況から判断しなければならぬと思うわけです。 そういう中で私は、この際まず局長や大臣からお答えをいただきたいと思うのです。中高年齢者の失業対策は今日、立法措置だとか、いろいろ言われておりますけれども、中高年齢者の雇用をどのように促進をしていくのか、こういうことが位置づけとしては失業対策の中核でなければいかぬ。そういう意味において、中高年齢者等の雇用の促進に関する特別措置法をどう適用していくかということは、まことに重要な問題ではないかと思うのです。 そこで労働省の職業安定業務統計によって見ますと、中高年齢者職業紹介状況について見ますと、昭和四十七年度には新規求職申込件数が五十四万八千七百五十九人、月間有効求職申込者数が二百八十六万一千八百十七人、これに対して就職件数が十六万七千六百五十二人となっておる。ところが五十一年度になってみますと新規求職者の数は八十万六千百八十二名、三十万ほどふえておる。そして月間有効求職申込者数も五百七十一万二千九百二十六人と四十七年の倍になっておるわけですね。ところが就職件数に至っては十六万九千四百四十一人で、四十七年も五十一年も就職件数については全く変わっていない。求職者や申込者はふえておるけれども就職件数については全然ふえていない、こういうところに問題点があるのではなかろうかと私は思うわけです。 そこで、もう少し調べてみますと、これも労働省の職業安定業務統計ですが、中高年齢失業者等求職手帳発給等状況を見てみますと、四十七年の段階では中高年については三千八百八十九人の手帳交付をしておったのが、五十一年には千百八十六人に減っておる。ふえなければいかぬ手帳交付か逆に三分の一以下に減ってきておる。こういうところから見ますと、中高法の適用について一つの問題点があるのではなかろうかと私は考えるわけです。現在どういうわけで、こういう数字になってあらわれてきておるのかということを、まず局長からお答えをいただきたいと思う。
○細野政府委員 御指摘のように手帳の発給件数がふえていない、こういう点でございますが、中高年齢の求職者の大部分は、御存じのように雇用保険の受給者でございまして、これは大体八割くらいになっております。一般に雇用保険の給付の方が、手帳制度に基づきまして支給される手当よりも高いわけであります。そういうことから、通常その保険の受給者は手帳の発給を受けずに求職活動を行っているというのが現状でございます。また、五十年の雇用保険法の制定によりまして、雇用保険の給付の日数を、これも先生御案内のように、四十五歳から五十四歳は二百四十日、五十五歳以上は三百日というように、従前に比べまして大幅に増加をしたわけでございます。そういう意味で、中高年齢求職者の数がふえているにかかわらず、手帳の発給が少なくなっているということの大きな理由が、そこにあるかというふうに考えているわけでございます。 なお、本制度につきましては、先生御指摘のような現下の失業情勢を踏まえまして、適切な活用を図るように関係機関に対しましても指導を行っているところでございます。
○川本委員 私は、そのようには思わないわけなんです。といいますのは、なるほど、そういうこともあるでしょう。ただいま、お答えいただいた雇用保険の方が金額も多い、あるいは、いろんな大幅な増額が行われた、こういうようないろんなことはあると思いますけれども、それにも増して私は一つ問題点があると思うのは、中高年齢法の中で年齢制限が四十五歳以上六十五歳ということで制限されている。これを私は現実に三十五歳というところまで改正する必要があるのではなかろうかと思うわけです。 それからもう一つは、いまおっしゃった就職指導手当あるいは職業訓練手当これについても、指導手当は現在、日額千九百九十円ですか、訓練手当は日額二千五百四十円ですか、一カ月に直して指導手当は約五万六千円、訓練手当は六万八千円くらいだと思うのですけれども、この金額は生活保護の基準よりも、ひょっとしたら少ないんじゃないかと私は思うわけなんですが、これも、もっともっと増額をしなければ実際、意味をなさぬのじゃなかろうか。 あるいは、法第二条第四項あるいは施行規則の第四条で特定地域の指定がありますね。特定地域に指定されますと、求職手帳有効期間の延長とか、特開事業の実施とか、公共事業への就労促進というような面があるわけですけれども、その指定基準というものは大体、全国平均の二倍以上ということにされておる。そうなりますと、先ほど申し上げたように失業者がふえるにつれて失業率がだんだんと上がってまいります。八月では二・一一%、そうなりますと、その二倍ということになると、いわゆる特定地域として指定される地域が、だんだん狭まってきているのではないかと思うわけです。そういう意味において全国的に失業者がふえれば、特定地域の指定基準というものを倍というのを一・五にするとか、基準も改正しなければならぬ、こういう問題点が三点あるのじゃなかろうかと思うのですけれども、この点について、ひとつ労働大臣からお答えいただければ、ありがたいと思うのですが。
○石田国務大臣 まず年齢制限の問題でありますが、やはり雇用対策の最大の目標は、再就職の機会を与えて、そして第二の人生と申しましょうか、それを安定したものにするというところに基準があるわけで、したがって四十五歳以下の人たち、青壮年層というのは、まだ訓練を受けられるし、訓練を受けた人たちの再就職の機会はそれだけ多い。特に公共職業訓練所を終了した人の就職率は非常に高いわけです。したがって、でき得る限り、給付を延長するというよりは、同じ給付でも訓練を受けやすいように、また訓練を受けることによって再就職の機会をつくるという方向に努力をすべきであろうと私は思っております。 それから、特定地域の指定の問題でありますが、全体の失業率というものが上がるか下がるか。いまのところ有効求人倍率は八月は〇・五三ですが、九月も大体同じような程度であります。それから七月に比べて八月は、やや好転を見せました。そのやや好転をした理由はどこにあるかというと主として建設業、したがって公共事業の発注の増加というものの効果が、やや、あらわれ始めてきているのじゃないか、そういうふうにも考えております。しかし、全体として非常に上がってきた場合に、いろいろ地域指定その他について考究、検討しなければならぬことは、これは言うまでもないと思いますけれども、現在の状態はそういうところにある。それから失業の発生の状態、有効求人倍率その他、横ばいの状態。 現在、御指摘のように、いわゆる構造不況業種、この構造不況にも原因がいろいろあると思う。一つには設備の過剰というようなことから生ずるもの、あるいはまた北洋漁業のように政府の政策転換というか、あるいは国際情勢の変化によって生じてくるもの、あるいはまた、いわゆる開発途上国の低労賃に追いまくられて競争力を失う場合、いろいろあると思うのですが、そういういわゆる構造不況のほかに、景気変動によって生じてくるもの、景気が回復すれば十分成り立つ、この二種類に分けられると思うので、したがって安定資金の運用も二種類に分けて考えているわけであります。 それから、構造不況業種から出てくる、いわゆる離職者、これは一つには、できるだけ失業の状態に入らないで転職させるようにしなければならぬわけでありますから、これに全力を注ぎますが、やむを得ず離職した人たちに対しましては、先ほどからお話があったような雇用保険の給付あるいは職業訓練、職業訓練も従来と違って、できる限り、訓練を受ける前に引受手を探しておくというような方法をとる。また訓練期間中に仕事をやらせるようにする。訓練開始時期も一定の時期に拘束されないで、やれるような方法を講ずる、そういう方法によって対処していきたい、こう考えているわけであります。 それから欧米の失業の状態。アメリカは最近、大分変わってきたようで、若年労働力の割合が多くなってきたようですが、ヨーロッパは逆に中高年労働の失業問題がやかましくて、日本と違うようなところであります。日本も最近、若い人たちの失業率がかなり増加してきているように思いますが、これは労働省からお渡しいたしました資料の中をごらんになれば、おわかりになると思いますが、紹介件数というものは、やはり四十万近くあるわけなんです。ところが、なかなかまとまらないのは、やはり両者の組み合わせが、なかなか、ついていかないというところに問題点があるように思いますので、そういう点は両方のやはり譲歩と申しましょうか、相互の譲り合いというようなものが必要ではなかろうか、こう考えております。
○川本委員 大臣と見解は大分違うところも私はあるのですが、話をひとつ向こうへ進めていきたいと思うのです。 そこで、先ほど私は失業の二重構造と申し上げましたけれども、統計に出てこない失業者というものが実際は百万を超えるのではないか、ひょっとしたら二百万も超えるのではなかろうかと私は思っているわけです。 それはどういうことかといいますと、私の身近な例を一つ申し上げますと、奈良県の吉野郡の川上村というところがある。ここはもう山村で林業の専業地帯。ここでは、いままで木材が年間、昔の量でいいますと大体四十万石ぐらい伐採されておった。それが、ここ四、五年、二十万石ぐらいに減ってきておったわけです。昨年なんかは二十万石。ところが昭和五十二年ことしは、わずか八万石しか切れていない。たった八万石。そうなると普通の平年から見ると五分の一の量に減っておるわけです。 ところが山林労働者というのは日雇い労働者ですから、実際に五分の一の労働者に数が減ったかといいますと、そうはいかないわけです。そうなると、どうなるかといいますと、結果的には、いままで二十五日働いておったのが月十日しか働かないとか、あるいは半分ぐらいの人は、ほかへ仕事を探して建設関係の労働者に出ていくとかいう形で、辛うじて生活保護ぎりぎりの生活をしている実情にある。ところが、そんなのが今度は失業統計の中に出てくるかというと、これは実際は上がってこないわけです。こういう日雇い労働者が本当に限界ぎりぎりのところまで追い詰められておる失業状況が今日、全国に蔓延しておるのではなかろうか。こういう対策をどうするのかということも、これまた重要な課題ですけれども、案外こういうところの議論はなされていないように私は思うわけです。 だから、ここでお聞きしたいのですが、そういう面をどうやっていくのか。たとえて言うと附則二条を撤廃して緊急失対事業にかわるようなものを、緊急失対事業の門戸を開くのか、あるいは別に公共事業の中に失業者を吸収していくような方途を新しく制度として考えるのか、こういうことも、ひとつお答えいただきたいと思うのです。 さらに、この前の第八十国会の四月十三日に、この委員会で雇用保険法四十八条の日雇い労働求職者給付の日額表の改定について、二千七百円、千七百七十円、千百六十円という金額は余りにも少ないのじゃないか、この上に、さらにランクを設けるべきではないかということを申し上げたところが、石田大臣も北川局長も、御趣旨に沿って、できるだけ速やかに最大限の努力をいたします。こういう御答弁をいただいておる。ところが今度の臨時国会に、この法改正は出てきていないわけですけれども、来るべき通常国会に提案するのかどうか。あるいは、その金額をも、二〇%以上だろうと私は思うのですけれども、大幅な改定を考えておられるかどうか。その辺もあわせて、お答えをいただきたいと思うわけです。
○石田国務大臣 いまの木材労働関係は、ちょうど、あなたのところと私のところと全く同じような条件にあるわけです。したがって、まず第一に、できるだけ、そういう地域に今度の公共事業を集中的に重点的に発注してもらいたい、これは閣議でも私から発言をして要請しておりますし、その具体化について検討中であります。 それから、そういう地域に、同じお金を使うならば子孫に残るような使い方をしたい。それには植林というようなものは考えられないかということについて、林野庁その他と検討をしてもらっているところであります。 日額の問題その他については、職業安定局長からお答えをいたします。
○細野政府委員 日雇い労働求職者給付金の日額の問題は、前国会以来、数次にわたりまして御質問があった経緯は、私も引き続いて伺って、よく承知いたしております。結局、給付金の日額が日雇い労働被保険者の賃金の実態と乖離をしているのじゃないだろうか、したがって、その実態に対応するように改正すべきじゃないか、こういうのが先生の御趣旨かというふうに理解をしているわけでございますが、この点につきましては、日雇い労働被保険者の賃金分布の実態等も現在、変化しつつございまして、そういう意味で、その賃金分布の推移を見ながら近い将来に結論を出したいということで、せっかく努力をいたしているところでございます。
○川本委員 局長、近い将来と言われるが、この前も近い将来と言われておる。できるだけ速やかに最大限の努力をいたしますと言われたのに、また今日ここで、もう半年たっておるのですから、近い将来では困る。だから次の通常国会にはやりますということを、ここで断言してもらいたい。私は明確な答弁をいただきたい。
○細野政府委員 次の通常国会中に方向だけでも御報告できるところまで検討を詰めたいということをめどに、私どもとしては努力をしているわけでございます。
○川本委員 次の通常国会にめどをつけるのだったら、その次の国会でしか法案は出てこない。現状でも現実と乖離した金額になっておるのに、これはやはり早急に是正しなければならぬ問題だと思う。今日、千百六十円、千七百七十円、二千七百円、そんなもので生活できますか。現実は、もう一万円を超える賃金になっておるのですから、少なくとも六〇%は保証するという雇用保険の精神からいっても、早急に是正されなければいかぬと思うわけです。通常国会には提案をしますという御答弁を大臣からいただきたいと思うのです。時間がないから簡単明瞭に答えてください。
○石田国務大臣 気持ちはよくわかるし、そういう方向で努力をさせておりますけれども、法律を出す場合には雇用審議会の議を経なければならぬわけです。そういうことでありますので、できるだけ早くしたいことはわかりますけれども、日にちを限ったお答えは、いまのところは、できません。
○川本委員 それでは、いまのお答えは通常国会に提案されるものと私なりに判断をして、強く要望しておきたいと思うのです。 時間がないから次に進みたいと思うのです。次は、来春三月に大学を卒業する青年たちの就職の問題についてです。 二十五歳以下の若年労働者の失業が、いま世界的に増大しておるということは御承知のとおりです。失業者中に占める比率は、イタリアでは六四・一%、米国では四六・三%、イギリスは四三・八%、フランスは四二・六%、西ドイツは二四・二%、日本では二三・四%と言われておるわけです。これらの青年の失業ということが、いわゆる求職デモになったり犯罪の増加になったり政治テロの増加になったりという形で社会不安を醸成しつつある。先般、開かれたロンドンの首脳会議でも、この問題が取り上げられて共同宣言の中にうたい込まれたことは御承知のとおりであります。 日本リクルートセンターが去る九月五日から十日までの間、上場企業千七百八社について調査をした結果を調べてみますと、来春三月卒業する大学生を採用しないと決めておる会社が四百九十二社、パーセントにすると二八・八%、採用するというのが八百二十三社で四八・二%、未定であるというのが三百九十三社、二三%。これを四十九年の状況と比較してみますと、四十九年には大学卒業生が十九万三千人ぐらいで、こういう上場会社に就職したのが八万一千人。ところが今度、五十三年、来年三月になりますと大学卒業生で就職希望者が二十七万と言われている。そのうち、いまの状況ですと上場企業の大企業で採用するのが大体三万四千人、率にすると一二%程度になるわけです。こういう状態で若年労働者、新規大学卒業者が深刻な就職の危機にさらされておる。 そういうことのために、この間からも新聞を見ておりますと、九月三日の新聞では、横浜で法大生が就職試験に失敗したのを苦にして自殺したとか、九月十日の新聞には、九月九日に山口県宇部市で、やはり少年が就職に失敗して自殺したとかいう悲惨な記事が相次いで出始めておるわけです。昨夜もテレビを見ておりますと、いわゆる会社訪問というのですか、帰ってきた大学生が、ぐったりとして疲れ果てて夢も希望もないような顔をしている画面が出ておりましたけれども、今日、青年の最大の関心事だと思う。この間、私の親戚の大学にいっている子供でも、会社から就職試験に来いという通知が来るまで半月間ほどというのは御飯を食べぬで、だんだんやせた。会社から試験をするから来いという通知をもらった晩に御飯を腹いっぱい食べて安心して寝たという、笑うに笑えないような、そういう若い青年の気持ちを表現したような話を親がしておられましたが、まことに深刻なものかあると思うのです。この点について労働省はどのように見ておられるのか、お伺いしたい。
○石田国務大臣 まず最初に、御承知だと思いますが大学の卒業生の就職問題は労働省の所管ではございません。(川本委員「文部省だな」と呼ぶ)文部省ではない、当該大学の責任なのであります。 ヨーロッパで出ている現象は、ちょうどヨーロッパの大学の入学率というものが、たとえば西ドイツあたりは、いま、ようやく一七%。それがもっともっと低かった時代から、もっと大学卒業生の率を上げなければならぬのじゃないかといって、大学をヨーロッパでは幾らかふやし始めた。そのふやし始めて数多く出たところで不況へぶつかったというのがヨーロッパの現象だろうと思うのであります。日本では現在、約四〇%が大学へ進学する。それからアメリカでは最高時は四六%も大学へ進学しましたが、アメリカやヨーロッパの場合は進学即卒業でないわけなんです。ところが日本の場合は進学即卒業であります。労働省の所管ではないと申しましても、やはり、これはほっておくわけにはまいりませんので、私どもの方では先般、東京及び大阪に学生職業センターを設け、それから本年十月からは名古屋と福岡に同じようなものを設けて、後で御必要ならば数字を安定局長から説明いたさせますが、かなりの成績をおさめておるわけであります。 いま確かに上場会社というところに限定されますと、恐らく六人に一人就職できるかどうだかわからない、もっと高い率になるだろうと思います。ところが使用者五百人以下の、いわゆる中堅企業の求人意欲というものはかなり旺盛でありまして、それを一緒に合わせますと二十七万人を上回ります。それから、もう一つは大学卒業生は、みんな管理事務部門を多く希望をいたします。ところが全体の事業所の中で一体、管理事務部門というものは、どれくらい必要なのかということになりますと、平均をすると二五%くらい、そこへ四〇%近くか出ていくわけなんです。その反面、サービス部門あるいはセールスの部門、こういう部門の求人はかなり旺盛であります。したがって一職種と規模ここに食い違いがある。 私は先般、大学の就職部の人たち、それから企業の人事部の人たちと、先ほどお示しのリクルートセンターの会合へ参りまして、五百人以下の規模の企業について信用調査というものを各学校でやったらどうか、そうして、そういうところに紹介をすれば数は合うはずだ。それから、もう一つは、先般、早稲田大学の総長に、何か私立大学の協会が三つか四つ、あるそうであります。よその協会までは手が及ばないかもしれないが、一番大手が、いまの早稲田なんかが関係しておるところでありますので、少なくとも、そこで中堅企業の調査をやったらどうだ、そうして職業のあっせんをすれば数は間に合う。しかし、それも、ことしは数は間に合いますけれども、これを無制限にふやされたからといって間に合うものでもない。また大学を卒業したという以上は、それにふさわしい学力を持ってもらわなければならぬ。私は前に、この役所におりましたときに、ちょうど新しい大学がどんどん出てきた時代、その後それから間もなく、例の問題になっている医科大学のむやみとふえた時代にぶつかるわけなんでありますが、この調子で大学をふやしていったら、学歴による失業問題というものは必ず起こってくる。高等学校卒業生、中学校卒業生に対する求人倍率は非常に高いんです。だから、まずそういう点を考えて学校の認可というものをやってもらわなければならぬということを支部省に強く申し入れておるわけでございます。 現状は、一つには規模別あるいは職種別の調整、現実認識の上に立った求職活動というものが必要だと思います。それから第二番目には、無制限に大学をふやし卒業生を出す、しかも、それにふさわしい学力を持って出るならば、いいのですけれども、手紙も余りちゃんと書けない大学卒業生が、やたらにふえたのでは大学卒業と言えないわけでありまして、そういう現状の改善ということに文部行政その他の御協力を願いたい。 しかし、数は現状においては合うのです。むしろ、ある程度、多くなる。ただいま言ったように規模別、職種別のギャップがある。事実、不況不況と言われて雇用指標が悪いと言われておっても、おととし五十年度においては就業人口は六十八万人ふえています。本年度上半期において六十二、三万ふえておるわけなんです。ところが、それはどこでふえておるかというと、製造業ではむしろ減っておるのでありまして、第三次産業部門でふえておる。これから、どうしても、そうなると思うのです。そうするとサービスとかセールスが主になってくるのがあたりまえなんです。それをきらっておって、みんながみんな自分の学力と関係なく上場企業を希望するということになればギャップが出るに決まっておるわけであります。そういう点の再考を求めたいと考えておる次第なんです。現に求めております。
○川本委員 時間がありませんので、私はもう少し聞きたいのですが、大臣も言われましたけれども、中小企業とか、そういうセールスとか職種さえ変えれば何とかなるということですけれども、現実にはセールスなんかで六カ月ぐらい勤めても九月ごろになると、みんな首を切られておる。そういうのがたくさん出ておるわけです。だから若年層の対策が叫ばれておるところだと思うのです。フランスなどでは新規大学を卒業した生徒でも、三カ月程度の期間内に仕事につけなかったら公的な扶助制度といいますか、そういう言い方をしておりますけれども結局、失業手当的なものを支給するというような国も出始めておるわけです。わが国においても、やはり、そういうことを検討しなければならぬ時期が近づいておるのではなかろうか。私は大臣のいまの考え方は少し楽観的に過ぎると思いますので、この点については今後の課題として検討していただくように要望しておきたいと思うわけです。 そこで私は次に、私立学校の教職員の労災保険や雇用保険の問題について若干お聞きしたいと思うのです。 まず最初に、労働省の労働基準局長あるいは職業安定局長さんにお聞きをいたしたいと思うのですが、現在、全国の私立の大学、高専、高等学校、幼小中学校、専修学校などで働いておる教職員、特に教員に関する労災保険あるいは雇用保険の適用は強制適用になっておるのか任意加入になっておるのか、その点まず両局長さんからお聞きいたしたいと思います。
○桑原政府委員 労災保険につきましては昭和四十四年の法改正それから五十年の政令改正によりまして農林業の一部を除きまして全面適用になっております。
○細野政府委員 雇用保険につきましても現在、私立学校についても強制適用になっております。
○川本委員 現在、法律的には強制適用になっておるというふうにお聞きをいたしておるわけです。ただいま御答弁のとおりだと思います。 ところが労災保険につきましては日本私立大学協会の資料に書いてあるのです。「失業保険法改正と労災法強制適用問題について」これは四百五十三ページから、ずっと記述があるわけですが、そこには非常に具体的に経過が書かれておるわけです。「昭和四十二年五月の第五十五国会において「失業保険法及び労働者災害補償保険法の一部を改正する法律案」が審議未了で廃案になって以後、労災法の附則第十二項(強制適用事業の範囲の拡大)「政府は労働者災害補償保険の強制適用事業とされていないすべての事業を強制適用事業とするための効率的方策について、他の社会保険制度との関連をも考慮しつつ、二年以内に成果を得ることを目途として調査研究を行ない、その結果に基づいて、すみやかに、必要な措置を講ずるものとする。」に基づき、政令をもって、労働者災害補償保険法施行令の一部を改正して、私学を含めて強制適用事業の範囲を拡大しようとした。」こういうことか書かれておるわけです。ところが、その後「昭和四十三年三月十一日の次官会議で当初の予定通り、常時五人以上の労働者を使用する事業のすべて(私学も含む)に労災法を適用することを決定した。 しかしながら、その適用にあたっては、労働省との協議の結果、次の通りの取扱方針によることになった。」ということで具体的に書かれておるわけですが、基発第百三十五号という通達並びに、それに対する付属文書の中で「教育・研究又は調査の事業及び農業については、あらためて指示があるまでは具体的適用を差し控えること」という通達を出すことによって、事実上その適用を延期したということか具体的に書かれておるわけですが、この点について基準局長から詳細に御報告をいただきたい。 それからもう一つ、雇用保険についても同じような経過をたどっておるわけですけれども、結局、雇用保険法第六条では強制適用になりながら、同施行規則の第四条で他の法令、条例、規則等で、この規定を上回る条件に合致しているところは都道府県知事か認めたものについては除外をするというような規定によって、事実上、私学の教職員というものを雇用保険から除外をしておる。これは二つとも私は納得できないわけですか、その経過について安定局長から御報告をいただきたい。
○桑原政府委員 その四十三年の基発第百三十五号という通達につきましては、具体的な、そういう適用を差し控えるというようなことは書いてないはずでございます。ただ当時、私ども大分さかのぼりますので記憶は新たでございませんが、五人以上の適用を四十三年度から始めるということでございました。他の社会保険は、ほとんど全面適用というかっこうではありませんので、相当、思い切った施策をやろうということで五人以上の全面適用ということを、そのときに考えたわけでございます。その段階において、まだ当時は通勤途上災害というような制度もございませんし、やはり適用事業が相当ふえてまいりました。当時で、たしか三十万くらいふえましたので、段階的に適用していきたいというようなことを考えておったことも事実でございます。 それから五十年に全面適用になりましたものですから、そのときから具体的に、どういうふうに適用していくかということを私ども苦慮いたしておるわけでございます。これは五人未満まで含めまして全面適用になりましたので、約百万くらいの事業所が一気に入ってまいりました。私どもとしては、これを限られた人間で、増員もなかなかむずかしい時期でもございますので、どういうような適用をしていくかということで、私どもの行政指導といたしましては、危険有害業務あるいは具体的に、そういった危険の予想されるような事業所というものを最優先的に具体的に適用していこう。しかし、もちろん事業所は全面適用でございますから、問題が起これば直ちに、それは補償していくというような原則はきちっと確立しながら、全面適用の促進に努めているわけでございまして、特に私学を取り上げないでいいというようなことを考えておるわけではありませんで、やはり優先的に、どう取り上げていくかということが私どもの大原則でございます。
○細野政府委員 雇用保険につきましても御指摘のように強制適用ではございますが、具体的な適用の手続につきまして十分でない現状にあるということは御指摘のとおりでございます。 なお、雇用保険につきましても適用手続が取られていない場合でも離職された失業者その者については、遡及しまして雇用保険の失業給付を受けることができるというような形で、失業者の保護に欠けないような体制にはいたしておるわけでございます。
○川本委員 両局長からお答えをいただきましたけれども、大臣、これは実情と大分違うと思うのです。現実に私学連合が出しておるこの教育学術新聞の五十年五月十四日の新聞にも、それまでの経過がずっと書かれておるわけです。それによると労災保険については保険料率か千分の四ということになっておる。ところが公立学校の教職員の災害補償については、その負担は千分の〇・三である。同じ教職員であって、そして公立学校も私学も教育基本法では同じ取り扱いを受けているのに、一方では千分の〇・三で災害補償が賄われているのに、私立の場合は千分の四という労災の適用をされるということになると、私学としては、その負担に耐え切れない、こういうようなことを一つの理由として私学連合は労働省に対して強く陳情しておるという経過があるわけです。 それを通達によって今日まで強制適用を猶予してきた根本的な原因は、千分の四という保険料率が私学については、公立学校の料率から見て高いのではないかという危惧の念が、労働省にも担当者にもあるということで踏み切れなかったのじゃないかと私は思っておるわけです。現実に奈良県の私学なんかは一人も入っていないのですからね。現実に強制適用でありながら強制できない。そこには何か法の欠陥がある。だから少なくとも、この千分の四という料率を千分の一とかいうことに下げてでも、強制適用は強制適用していくということでなければ法は守れない。法治国家だと口で言いながら現実には、法をつくっておいて、ざる法にして、そして悪い言葉で言いますと業界と談合して法の適用を延ばして、その被害はすべて労働者にしわ寄せされておる。こういうようなことでは私はおかしいと思いますので、あえて御質問をしておるわけですけれども、早急に全面的に適用できるような方法を考えるか、それとも私学連合が言っておるように、文部省のサイドで私学教職員の災害補償法あるいは退職手当法等を立法化さすのかどうか。雇用保険もこれと絡んでおると私は思うわけです。だから、この点について文部省から、おいでいただいておると思うのですが、参事官の方から文部省として現在どのように考えておるのか、まず文部省からお答えいただきたいと思う。
○鈴木説明員 お答え申し上げます。 私立学校の災害保険の加入の状況につきましては、御指摘のように法制上は同法の規定による給付が行われるたてまえになっておるわけであります。しかしながら従前、任意適用事業でございました私立学校について労災保険が強制適用とされた時点におきまして、私学関係団体から、業務上災害がきわめてまれである。事故発生の場合は労働基準法の規定によって学校法人が災害補償すれば教職員には不利にならない。また災害発生がきわめてまれなため千分の四の保険料率では高過ぎる。さらに、より基本的には、私立学校の教職員については、その職務の特殊性にかんがみまして国公立学校教員と同様の特別の災害補償制度を適用すべきであるというような意見や要望がなされたわけでございます。そういうような事情で現段階においては、その加入はまちまちであるというような形になっているわけでございます。ただ、労災保険に加入しておらない学校におきまして災害が発生しました場合には、その時点において各学校が労災保険に加入した上で教職員が給付を受けたり、各学校の責において教職員に補償するなどの措置を講ずるようにいたしておるわけでございます。 また退職手当、雇用保険法の適用につきましても、ほとんどの学校においては加入をいたしておらない、こういう状況にあるわけでございます。ただ大学、短期大学につきましては、それぞれの学校法人でもって退職手当の制度を実施し、また高等学校以下の学校につきましては、沖繩を除いて各都道府県ごとに退職手当の財団とか社団を設けまして、そこで給付を実施しておる、こういうような状況になっているわけでございます。 しかしながら、この問題につきましては、ただいま先生から御指摘がございましたこともございますし、また第八十回国会の衆参両院の文教委員会におきまして「私立学校教職員の退職手当制度及び職務上災害補償制度のあり方についてすみやかに検討を行うこと。」という決議をいただいているところでございますので、その御趣旨を体しまして、私立学校教職員に関する両制度のあり方につきましては鋭意、検討を進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
○川本委員 もう時間がありませんので、最後に一つだけ申し上げて、お聞きをしておきたいと思います。 私立学校の教職員だから災害はごくまれである、こういう言い方ですけれども、現に私ども奈良県の実情を見ますと、自動車工学科というのを設置している高等学校では、いわゆる工作実習の指導中に旋盤の機械で、けがをして三カ月の重傷を負ったというようなこととか、あるいは職員室の移動作業中にロッカーで左手首をけがしたとか、野球の練習中に四十日のけがをしたとか、ホームルームでラグビーの指導中に、むち打ち症のけがをした先生がおるとか、中には、ことしですけれども通勤時に自動車にはねられて、けがをした奈良大学の先生がおるわけですけれども、これも、こういうことがあるたびに、その都度、労働組合と学校側とで団体交渉をやらなきゃならぬ。ところが学校側はなかなか誠意を持って団体交渉の相手になってくれない。中には、そんなのは軽いんだから健康保険でやっといてくれというのもある。あるいは交通事故の場合なんかは、労災では通勤途上災害として認められているわけですけれども、加害者と話をして決まりをつけたらどうですかというような無責任な言い方を学校かしておる。こういう実情から見て、労働組合のあるところでも、こうですから、労働組合のないところの私学の教職員というのは泣き寝入りしておるのではなかろうかと思うわけです。 こういう点について、いま文部省は言われましたけれども、衆参両院の文教委員会の附帯決議もあることだから早急に解決したいということだけれども、文部省が立法作業をやるのを待って労働省が、いつまでも、こういう状態でおったのではおかしい。やはり労働省としても文部省に対して、いつ幾日までにできなければ労働省としては強制適用しますと——だまされたような、法令、条例かあればというようなことを担保にして、強制適用を延ばしてきたということは全く労働者無視のやり方だと私は思うのです。その点について、ひとつ労働大臣からお答えいただきたいと思います。
○石田国務大臣 国公立の教職員の場合は、地方公務員法あるいは国家公務員法によって災害補償しているわけですから、これは私の方でやっている労災補償法とは、たてまえが違うわけですね。それで私どもの方では強制適用をするたてまえで、その負担率というものを各段階に分けて決めておる、その最低率の千分の四ということになるわけでございます。ただ、実際問題として災害か起こって、けがをされたりした場合には、強制適用でありますから保険料は保険料として、さかのぼって、ちょうだいはしますが、補償は現実の問題として労災法でやっているつもりであります。できるはずであります。
○川本委員 時間ですので終わります。
○斉藤(滋)委員長代理 次に、渋沢利久君。
○渋沢委員 この委員会で私が身障者の雇用促進の問題でお尋ねをいたしました際に、この問題は機会あるごとに指摘をし、また報告も受けたい、こう申し上げたわけですけれども、きょうは、まず冒頭に、この点についてお尋ねをしておきたいと思うわけです。 昨年改正されました身体障害者雇用促進法では、身体障害者の雇用状況を六月一日現在で調査するとなっておるわけですね。かなりの時間を経過いたしておりますので、その結果はすでに、まとまっておるというふうに思うわけですけれども、すでに身障者雇用審議会に、その雇用状況について労働省は説明されたというふうに仄聞しておるのですけれども、いかがでしょうか。
○細野政府委員 お話ございましたように、身障者の雇用状況につきましては、改正法に基づきまして毎年六月一日現在の状況を七月十五日までに報告せよ、こういうことになっているわけでございますが、何分、法改正後初めての調査でございましたので、事業主の報告がおくれておるという面が一つございます。それから計算の仕方が変わりましたので、非常に誤りが多かったというふうなことで、全国の集計がおくれていたわけでございます。しかし、先ほど先生からも御指摘がありましたように、身体障害者雇用審議会から、未確認のところが多少あるにしても、中間集計でいいから概況を説明しろ、こういう御要望がございまして、そういうことで、とりあえず速報的な概況を御報告したというのが身障審議会における状況でございます。
○渋沢委員 その主要な特徴というか問題点を、法改正の趣旨に照らして身体障害者の雇用促進がどの分野で進み、全体として進んでおるのか、どの分野でおくれておるのか、全体としておくれておるのか、微細にわたって全体の御報告を受けるわけにもいきませんが、特に問題点、特徴を説明してほしい。
○細野政府委員 現在まだ集計ができ上がったばかりで分析が十分行き届いておりませんので、とりあえず雇用状況を申し上げてみたいと思うのでございます。 まず、民間の企業でございますが、五十二年六月一日現在で、これは民間の場合には法定雇用率一・五%でございますが、実際の雇用率を見ますと一・一%ということで法定率を下回っている状況でございます。それからまた、全体の企業の中で雇用率が未達成なものの割合でございますが、これが四七・二%というふうな状況でございます。 それからまた公団、公庫等の特殊法人でございますが、これは法定雇用率が一・八%でございます。これについて見ますと、実際の雇用されている率は一%ということで、これもまた法定雇用率を下回っている状況でございます。なお特殊法人全体の中で雇用率が未達成なものの割合でございますが、これは七一%という状況でございます。 なお国、地方公共団体等について見ますと、これらの機関のうちで非現業的な機関、これは法定雇用率が一・九%でございますが、実際の雇用率は一・八%、まあまあのところまで来ているわけであります。現業的な機関は法定雇用率が一・八%でございますけれども、これにつきましては実際の雇用率は一・八、ちょうど法定雇用率に到達しているというふうな状況でございます。 以上、とりあえず概況的な状況を御説明申し上げました。
○渋沢委員 まあまあといった部分もありますけれども、しかし、いまの報告だけで聞きましても、決して十分な状況だというふうには残念ながら言えないですね。これは局長どうなんでしょう、こういう状態はどこに原因があるのか。いま全体に雇用の問題が非常に厳しく問われている。だからこそ一番しわ寄せを受けがちな身障者の雇用の問題には、やはり特別な神経と指導の手が伸べられなければならぬということで、法改正の趣旨も、そこにあったと思うわけですけれども、いま報告を伺った範囲においては、その趣旨が十分に生かされておるという状況だと言えぬのですね。これはどうしてでしょう。
○細野政府委員 原因はいろいろ考えられるわけでございますが、一つの大きな理由としましては、今回の雇用率の計算の仕方が従来とは非常に異なったという点が、一つ大きな原因として考えられるわけでございます。その内容を申し上げますと、従来は雇用率の適用単位を事業所単位にいたしていたわけでございますが、今回の雇用率の場合には、それを企業単位に改めたわけでございます。したかいまして比較的規模の小さな事業所をたくさん持っておられるというふうな企業につきましては、従来は事業所単位に適用でございますので端数になって、ほとんど雇用義務が発生しなかった各事業所も、これを全部足し上げまして全体に雇用率がかかる、こういうことになりますので、基礎となります常用労働者の数が非常にふえた。したがって雇用すべき身体障害者の数も従前に比べてふえたということが一つの大きな原因になっております。 それから、もう一つの理由としましては、身体障害者の範囲を、今回は納付金等の絡みもありまして非常に厳格に定義をいたしたわけでございまして、そういう意味で身体障害者の範囲が従来に比べて、かなり狭くなっております。そのことから従来、一般的に、たとえば、けがをしておられるというような方について身障者としての扱いをしてきたのでございますけれども、今回は、それがたとえば厚生省関係の身障福祉法の定義に合わせる、あるいは個々のケースについても、お医者さんの判断によって、これを見るというふうに非常に厳格になりましたために、そういう意味で現在、雇っておられる身障者の範囲が縮まってきた、こういうふうな原因も一つ考えられるわけでございます。 さらには全般的には、現在のこういう失業情勢の中で身体障害者の雇用を進めていくということが、なかなかむずかしい状況にあるということも一つの原因として挙げられるかと思うわけでございます。
○渋沢委員 いろいろおっしゃいますけれども、要するに、いまの状況では非常に不満足でありまして、きょうは、ほかにお尋ねしたい本題がありますので、余り多くの時間を費やすわけにいきませんけれども、こういう状況だからこそ、もっときめの細かい指導がないと、何のために法改正をやったかわからぬようなことになってしまう。一番大きく神経を使ってほしい部分であるにもかかわらず、私どもの仄聞した範囲で言いましても非常によくない分野があって、その部分についての特殊な指導を労働省は強めていかないとならぬのじゃないかと思うようなこともありますけれども、大臣から今後の施策を聞きたいのです。
○石田国務大臣 社会的にハンディキャップを背負っている身体不自由者の人たちに雇用の機会を増大して、そこに生きがいを見出してもらうというのか、この法の基本的精神であります。いま安定局長から御説明を申し上げましたように、たとえば銀行なんかで例をとりますと、銀行なんかが一番顕著な例でありますが、五十人以下の支店をたくさん持っておったところは、事業所ごとですと従来の法律は端数になってしまって適用にならない。ところが今度は、まとめて適用することになりますと、これが急には間に合わないというような現象でありまして、銀行業界に対しましては、私は近く今週中に銀行業界と接触をいたしまして、この状況の改善を強く求めるつもりであります。 これは一例で、同じようなことはたくさんあるように思います。しかし、最近ときどき新聞等を見ますと、身体障害者に限り雇用するという広告が、わりあいに出てまいりました。また、身体障害者雇用促進協会も発足をいたしまして活動を開始いたしましたので、今後の改善方について大きな期待を持っている次第であります。
○渋沢委員 いま大臣が言われたように、特に成績のよくない分野に、銀行業界を初め積極的に詰める、こういう姿勢を示されたことは大変結構なことで、これはぜひ進めていただかなければならぬ。強くお願いをして、ほかの問題に移りたいと思うのです。 さて、私がお尋ねしたいのは、きょう特に通産省に来てもらっていると思うのですけれども、くつ産業、皮革産業の中で、長期化する不況、慢性的な市況の悪化ということで、この業界では、ここ数年来、非常に危機的な状況で苦悶しているわけですけれども、それだけでなしに私なりの見方で言いますと、自由化の問題に絡んで特に最近、業界の中で一つの動きがあって、もう、いまの状態で自由化がされるというようなことになれば、この業界は一たまりもない、こういう危機的な認識の上に立って、むしろ材料は輸入に頼って、そして低い労賃を発展途上国に求めて、そこをつないで商いを継続するという、つまり工場をやめて商社化していこうという趨勢が出てきている。一般的な不況状況ということだけでなしに、この業界か持っている構造的な非常に脆弱な基盤の中で、自由化への対応という新しい動きがあって、これが、それでなくても大変な、いまの失業者群の増大に拍車をかける、こういう傾向が生まれ、現に幾つかのトラブルも起こるという問題が、労使の問題の中でもあるわけです。 そこで、くつ産業、皮革産業をめぐる内外の情勢について政府は一体どういう認識に立って、どういう対応をされようとしておるか、そういう中で雇用の問題を考える上で、この状況の認識をぜひ、ただしておきたい、こう考えるわけであります。 最初に通産省に伺いたいのだが、自由化から数少ない防衛を受けておる皮革、くつ産業、この背景、特に政府がここを守ってきた背景というのは一体何か。そうして、これに対する外圧といいますか国際的な状況というのは、どのように進んでおるのか。その辺のところを、まず、ちょっと説明を願いたい。
○高瀬説明員 現在、通産省の所管いたします工業製品の中で非自由化品目として残されておりますのは皮革、牛及び馬それから羊、ヤギそれぞれのなめした革、これがブラッセルの分類によりまして三品目と勘定されておりますが、この三品目と革ぐつでございます。合わせて四品目が非自由化という扱いになっております。この中で、先に申しました三品目は、いずれも同和地区の重要産業、基幹産業とも言っていい鞣成業によるところのものでございます。これはまさに同和対策と密接不可分という形で依然として非自由化扱いになっております。革ぐつにつきましては、まさに、そういった同和地区でなめされた皮革を原料にして、つくられる製品でございます。製品関係の中では革ぐつのウエートが一番高いということから、これも依然としてIQ品目ということになっておるわけでございます。 この非自由化品目につきましては、特に最近アメリカを初め諸外国から自由化をしろという圧力が非常に高まっております。革ぐつについては、まだ、そういった動きはございませんが、これはやはり皮革の次には革ぐつが、そういった外国からの圧力の前にさらされるという可能性は多分にあると思います。
○渋沢委員 そういう状況の中で皮革や、くつの自由化というのは、どこまで支えられるか。これは何年とは言えないということではありましょうけれども、しかし、そうはいっても十年は、自由化になるということはあり得る状況じゃない。どんな外圧があろうと、あり得る状況じゃないというふうにめどをつけるか、いやまあいずれは、いまおっしゃったように、いろいろアメリカの動きもあって少なくとも革の方は、もうかなり厳しい。革が崩れれば、それはくつだ、いま、こういうお話ですけれども、その辺は三年、五年の単位で、もうそこまで来ているというふうに見ておられるのか。それから、いずれにしても、そういう状況の中で通産としては、政府としては、この業界の自由化を防ぐというか、いまの方針を貫くという方針であるのか、それとも、こういう動きに対応する準備に入る、こういうふうに方向を、へさきを変えているのか、その辺の説明を率直にしていただきたい。
○高瀬説明員 自由化問題につきましては、御存じのとおり日本の経済を取り巻く国際環境がますます厳しくなる一方でございます。従来のように、ただ重要な国内問題であるというだけでは、とうてい、もう支え切れないという段階に来ているのではないかと思います。ただ、そうはいっても業界も非常にいま不況で苦しんでおりますので、五年後に自由化をするとか七年後にするとかいうようなことは、一切いまの段階では申し上げることはできないわけでございます。やはり政府としては、あくまでも外圧に対抗してIQ制度を継続するという努力を続けると同時に、皮革産業あるいは、くつ製造業自体の国際競争力を一日も早く強化する、たとえ自由化になっても十分外国製品と対抗していけるだけの競争力をつける、これが今後の行政施策の眼目になるんじゃないかというふうに考えております。
○渋沢委員 あなたも担当の課長で御存じのとおり、くつの産業でいいますと、たとえば二千百余の企業数の中で、大手と言っていいかどうか、とにかく大手と強いて言えるのが十か十一かというような、せいぜいそんなところで、あとはまさに弱小企業、それから数ではとらえ切れない、言ってみると・家内工業者群ですね、いわゆる中小企業という範囲にも、とても入り切れない、すそ野の広い実は家内工業者群に支えられて、くつ生産が行われる。恐らく、いろんな資料があるけれども、どんなに少なくとも七割あるいは、ある種のデータでも九十何%は、この層によって生産される。くつの生産量のそういう部分が、こういう層によってつくられておる。大変、前近代的な構造で、家内工業なんかは、その中で食うや食わずの劣悪な労働条件の中で暮らしをつなぎながら、しかし、この日本のくつ産業の中で、そこが大部分のくつの生産場になっているという、この特殊な構造、それと言われた同和問題ということの中で、特に自由化から防衛する企業、産業として政府が位置づけてきた理由があると思うわけですけれども、こういう状態の中で、おっしゃるように自由化の波がそこまで来ているという中では、いま一口に国際競争力に耐えられる企業につくり変えるというのですか、指導するというような意味のお話がありましたけれども、これは実は言うべくして、なかなか簡単な仕事ではないように思うわけです。具体的には、自由化に耐えられるように、この業界をどう編成すると いうのですか、立て直すというのですか。どういう方向で通産省は、まさに、いうところの国際競争力に耐えられるような産業にしょう、業態に仕立てようとされておるのか、伺いたい。
○高瀬説明員 数百年の歴史を持っておりますヨーロッパのくつ製造業と比べますと、日本は大変なハンディキャップを負っているわけでございまして、日本の本格的なくつの生産というのは、第二次大戦が終わった後に始まったわけでございます。それまでは大体、軍靴を中心にしたくつの生産をやっておったわけです。したがいましで、本当に日本人の足に合ったくつをつくるまでのノーハウができ上がっておりません。こういった観点から、ヨーロッパのくつの製造技術を学び取るという観点で政府の予算をとりまして、たとえば四十八年度より皮革産業意匠技術研究員を海外に派遣するというような事業でございますとか、あるいは五十二年度、本年度からでございますが、革ぐつ製造業中堅技術者研修事業、こういった事業を行っております。それから、これも同じく本年度から始めた事業でございますが、三カ年計画で、くつ型基準作成のための調査研究事業、こういった事業も行っておりまして、できるだけ日本人の足によくフィットした革ぐつをつくるという面での付加価値を高めてまいりたいというふうに考えております。
○渋沢委員 時間がないので、はしょって尋ねますけれども、いま韓国あたりからくつの半製品がかなり大量に日本に入ってきている。材量はまあ日本から行くのでしょう。そして、これは非自由化ということがあるが、しかし半製品、くつの上と底をばらしたもので、製品としてではなしに、機械でいうなら部品で返ってくる。そして日本でくっつけるだけの加工作業をやって完成品、くつに仕立てていく。こういう形で、もう日本の労働者は使わぬ。日本の労働者は高い、高い労働者は使わぬ。工場をやめる。そして韓国の業者と話し合って、向こうに材料を持っていっては半製品で持ち返ってくる、こういう傾向か非常に常識化している。もう日本のくつ企業は、日本が組み立て工場化している、そう言っては言い過ぎかもしれませんが、そういう傾向にあるということが言われる。現に、くつ産業は自由化もまだされてない。政府は当分は大丈夫だ、こう言っておっても、もうそこまで、そういう形で影響かあって、そうして仕事がなくなって、それでなくても非常に市場が悪い中で、あぶれてしまっておるという傾向がある。御存じでしょうか。
○高瀬説明員 最近、統計をとりまして、特に韓国を中心といたします周辺諸国から革ぐつの半製品の輸入が、ここ三、四年の傾向ですが、かなりふえてきております。その実態をつかんでおります。
○渋沢委員 まあ、そういうことなんです。これは大変なことでありまして、先ほど来申し上げるように、まさに日本のくつ産業の経営者が、日本の工場放棄で、そして商社化していくということ、これが自由化への対応であるという趨勢をつくったのでは、やはり大変な問題である。まして先ほど言うような非常にすそ野の広い家内工業的なものを、広範な階層を抱えた、そういう特殊な業態の中で自由化が行われる、あるいは、それに対応して、そういう業種転換が奇妙な形で行われるというようなことになりますると、これはゆゆしい問題になってくる。現に、そういうことか一つの企業閉鎖あるいは大胆な生産部門の廃止というような、ある種の業界の中で先行的に、すでに、あらわれておるということを私も心配しておるわけですけれども、こういう趨勢に対して通産省としては、どういう考え方で、どういう対策をお考えになるか、一体どうお考えになるか、これをひとつ聞きたい。
○高瀬説明員 実は、革ぐつの半製品が韓国から非常に入ってきておるという実態を把握しましたのは先々週、ごく最近のことでございまして、これにつきまして、どういう対策を講ずるか、まだ検討中の段階でございますが、このケースに先行する事例といたしましてゴム履物がございます。これにつきましては革ぐつの場合と違いまして、もう数年前から日本のゴム履物メーカーが韓国に資本進出をいたしまして、そちらの合弁企業あるいは一〇〇%日本資本の会社でつくられた履物をどんどん日本に輸入してくるという、その結果といたしまして、日本のゴム履物従業員が五年の間にほぼ半減するというふうな事態を迎えて、ゴム履物労働者はいま大変御苦労されておるわけでございますが、こういった人たちとも最近いろいろ話し合う機会を持ちまして具体的な対策を練りつつございますが、こういったものか、いきなり革ぐつに、そのまま適用されるという可能性はまず考え得ないと思いますけれども、そういった先行するケースを参考にいたしまして、これから対策を考えてまいりたいというふうに考えております。
○渋沢委員 ゴムの話がありましたけれども、私が聞きたいのは、日本の労働者を使わないで、そして商社化していくというような、こういうくつ業界の趨勢ですね。通産省は、そういう流れもやむを得ないという方向で、そして、この業界の再編成、国際競争力に耐えられる業態の整理、体制づくりというものを指導していこうということに立っているのか。それともそうじゃなしに、むしろ一方では、いまの国会かそうであるように雇用の拡大促進という方向、こういう命題で、この国会が開かれているようなものだと思うんだけれども、そういう課題にもこたえながら、つまり日本の労働者を守って、そして企業がこの危機を乗り切っていく、こういう方向の中での指導、産業振興策を考えていくというのか。私は当然、後者の方向で、くつ、あるいは皮革の産業全体がこの危機を乗り切れるような、そういう産業振興の政策が具体的にとられていかなければならない。自由化に対応する振興政策、通産省の政策というのは、そういう方向でなければならぬと思うんだけれども、その点どうですか。
○高瀬説明員 先生御指摘のとおりでございまして、同和問題が解決されるまでは、やはり皮革産業及びくつ製造業につきましては実体をそのまま残し、より強化するということか当然、考えられるべきだと思います。これが御指摘のように、くつ製造業が商社化してしまいまして、外国でつくられたものを、どんどん入れて、それで経営を成り立たせるというような形では、同和問題というのは全く大きな壁にぶつかるということになりますので、これはぜひ避けたいというふうに考えております。
○渋沢委員 そういう方向で具体的に、どういう施策をとるかということは、これはむしろ商工委員会での論議の課題に移っていくと思いますので、通産省への質問は、ここで打ち切らしていただきます。ありがとうございました。 最後にひとつ労働省として、こういう実は業界の実態がありまして、そういう中で、それでなくても関係の労働者あるいは家内工業の層が大変苦悩しているということの中で、一方では自由化という課題、それに対応する経営者の苦悩、危機意識の中から人減らし、ぜい肉を切って商社化するという方向で、その問題を解決しようという安易な流れというものも現実にある。こういう状況を踏まえて、とりわけ家内労働者への対応なども、この業界については特に重要な部分であると思うのですけれども、この人たちを守っていく、そういう施策について特段の配慮を願わなければならぬと思うわけですけれども、いまの質疑をお聞きいただいた上で、ひとつ労相の、この点でのお考えを最後にお尋ねをしたいと思います。
○石田国務大臣 皮革に限らず家内労働というものが不況の中で、あるいは自由化の中で、犠牲になりがちであるという実情は憂慮しつつ承知はいたしております。これに対応する方法としては、委託者が委託打ち切りの前に事前に連絡をするとか、あるいは、そのほか家内労働法の保護を徹底させていきたいと思っておるわけでありますが、特に皮革の部門については昭和四十五年と比べますと、家内労働者の数が約半分近くに減っている実情も承知をしております。家内労働法の運用だけでは、これはどうにもならない問題ではありますけれども、家内労働法の運用の適正化を図って、できるだけ保護に努めたいと考えております。
○渋沢委員 時間が参りましたので終わります。
○斉藤(滋)委員長代理 次に、安島友義君。
○安島委員 私は、雇用問題に関する労働大臣の基本的な御所見をお伺いしたいと思います。 私は、経済政策と労働政策の結合を図らない限り深刻な雇用問題は解決しないであろうという基調に立って、私の見解を述べながら質問をいたしたいと思います。 まず三点について一括、御答弁いただきたいと思います。 第一は、これまでの政府の経済政策が一貫して産業優先、生産第一主義であり、今回の二兆円余の総合経済対策も同様であると私は考えています。実質経済成長率が六・七%達成されたとしても、雇用の安定と拡大は望めないと思いますか、いかがでしょうか。 第二は、今回の総合経済対策によって公共事業等の投資を拡大すれば、建設業や関連業種特に鋼材、セメントなど国内の需要がふえるかもしれませんが、その反面、国際的には鉄鋼輸出が今後、大幅に落ち込むことが予測されますし、セメントにしても、これまで操業率かかなり低下してきておりますから、他の業種等に波及的な効果をもたらすほどの期待は持てないというように考えるわけです。したがって景気回復の決め手にはなると思えませんし、雇用面によい影響が出てくるとは思いませんが、この点いかがでしょうか。 第三点は、円高基調は一時的現象とは、とうてい考えられません。今後も続くものと覚悟しなければなりません。他産業と比較して、これまで好調を維持してきた自動車、弱電を初め中小企業の輸出製品の大部分が大きな打撃を受け、雇用面に及ぼす影響ははかり知れないものがあると考えます。経済成長率か何%が適当かの目安は、その結果、勤労国民の暮らしや雇用に具体的に、どのようなかかわりを持つかによって評価されるべきであると考えます。こういう観点から、以上、総合して大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
○石田国務大臣 雇用が指標的に改善されるためには、これは経済政策との密接な関連を持って考えなければならぬことは言うまでもありません。しかし、雇用が企業によって雇用される以上は、その企業が雇用吸収力を持つ条件を整えていかなければいかぬわけでございますから、やはり産業の振興というもの、あるいは安定というものが第一の前提になる、こう考えるわけであります。 本年六・七%の経済成長か達成されますと直ちに雇用指標が改善して、いわゆる一・三%程度の完全雇用と言われる数字に近寄れるかどうかということでありますが、いわゆる五十年代前期五カ年計画におきましても、それか直ちに達成されるとは判定しているわけではございません。五十五年度に一・三%程度に達成できることを目標にしているわけでありまして、現在の雇用・失業状態は決していい数字では確かに、ないわけであります。しかし、一面においては石油ショックで同じような状態に陥れられた西洋諸国と日本と比べますと、いわゆる完全失業率は、まだ、かなり低いわけでありますが、その低い原因の一つは終身雇用制度というようなもの、あるいは労働組合が企業別であるという条件、そういう中から、そういう低い失業率で抑えられる。あるいは雇用調整給付金などの適用によって、そういう数字が保たれているわけでありますか、それだけに、その部分か過剰雇用として残っておる。したがって、景気が回復して鉱工業生産指数が改善されましても、まず第一に実際の労働力化していくのは、その過剰と見られる労働力であって、直ちに外にある失業者の吸収ということには、すぐはつながらない。そこに今回の雇用問題の大きな特徴があると思います。 ただ、昭和四十九年から昭和五十年にかけまして鉱工業生産指数は一一・二%落ちたわけでありますが、雇用指標は六%弱であった。したがって、そこに非常に過剰雇用感というのが存在したわけであります。しかし五十一年と四十九年と比べてみますと、五十一年度には鉱工業生産指数は四十九年度をわずかでありますか上回ってきている。ところが五十年、五十一年を通じて雇用関係の指標が約八%落ち込んでいるわけであります。したがって産業一般間においては、過剰雇用という状態が全体から見ますと、かなり減少しているんではないんだろうか、こう考えているわけであります。しかしながら、いわゆる構造不況業種におきましては、業界の意思統一がある程度できているのは平電炉と繊維ぐらいのものでありまして、他の部門においては、これからの問題となってまいります。全体の雇用者の総数はつかめますが、しかし、その雇用者の中から、どれだけ、あぶらをしぼれば健全になるかというようなことになりますと、どの業界も的確な答えを出してこないのが実情であります。したがって、この両面から見まして、そう速やかに雇用指標というものが改善するとは私は考えていないわけであります。 しかし五十五年を目指して考えますと、現在のいわゆる就業者数は大体五千百五十万くらいじゃなかろうか。これが昭和五十五年度になって五千四百五十万の雇用を見込まれる。事実、先ほどもお答えいたしましたが、昭和五十一年におきましては六十八万人の就業者増が見られる、五十二年、本年度前半におきましても六十二万の就業者増が見られておりますので、その就業者か、これから三年の間に、いま申しました数字に達することは、現在の趨勢から見て大体期待できる。一方、いわゆる生産年齢人口の増加が順次、日本の場合は減少してまいっております。そういうものと対比いたしますと、一・三%程度の失業率は五十五年度には達成できるのではないか、こうわれわれは考えております。 しかし、これも先ほどお答えいたしましたように、その五十五年度を目指す雇用計画の中で製造業の増加が若干見られております。ところが製造業は一面におきましては、いわゆる省エネルギー、省力化というものが進んでいきますので、製造業における増加というものは、そう期待できないのじゃないか。長期信用銀行におきまして投資意欲がある部門をいろいろ引っ張り出しますと、省エネルギー部門に対する投資意欲はかなり旺盛であります。しかしながら、それが直ちに雇用に結びつくかどうかは疑問でございます。しかし、これから週休二日制とか、あるいは年次有給休暇というようなものが進んでまいりますと、いわゆる第三次部門の吸収力というものは相当期待できるんではなかろうか、そういうふうに考えているわけであります。 それから円高によって生ずる中小企業に対する打撃でございますが、円高のメリットの部門も無論あることは御承知のとおりでありますが、そのデメリットの部門、この円高によって各種企業のうちで四つの分かれた現象が出てくるのじゃないか。競争力を失って、そうして輸出がだんだん減ってきざるを得ないもの、赤字を覚悟で過去の蓄積に頼って維持できるもの、第三番目には合理化の余地が残っておって対抗できるもの、それから二百五十円台になっても十分輸出の余力があるもの、こう大体四つに分けられるんではないだろうかと思うのであります。そこで、初めに申しました部門に対しては、いわゆる景気変動等による雇用調整事業、雇用安定資金制度の中で設けておりますものの活用により、第一、第二の部門の労働者の生活の安定、まず失業の防止あるいは訓練による転換、そういうものに力を注いでまいりたい、こう考えておるわけであります。
○安島委員 私は、大臣の御所見は、まだ厳しさの中に、やや楽観的な見通しが出ているようなふうに感じているのですが、景気のてこ入れをしようという今度の経済総合対策の結果が、当面は雇用面には、それほど今日の情勢を緩和するほど、よい影響は出てこないということについては、これはお認めになりますか。
○石田国務大臣 先ほど申しましたような理由に基づいて若干のずれがある。これは公共事業を中心とした景気回復策の場合は、いま申しましたような日本の雇用の特殊条件によるずれ、まず手元にある者を使うということから始まりますから、失業率を引き下げるというところまでいくのには時間的経過があります。もう一つは、予算が成立いたしまして、それが発注されて実際、工事の実施されるまでの間に時間がかかります。そういう意味において景気回復策、総合経済対策の実施と雇用指標の改善との間に若干のずれがあるということを申し上げたのであります。 しかし、さっき御指摘のように公共事業の場合は、鉄鋼とかセメントとかいうようなものには出てくるだろうけれども、一般的に、ない、こういうお話でありますが、たとえば今度は住宅に非常に重点を置いております。住宅というのは大体五十種ぐらいの職種、産業が参加する結果になるわけでありまして、いわゆる波及効果というものが一番大きく期待できるわけであります。私は現在の経済対策が直ちに雇用に結びつくまでには、いま申しましたような条件もあるが、しかし基本的に景気が回復しなければ、ずれも何もないわけで、いつまでも残るわけでありますから、基本的には、やはり景気の回復が前提でなければならぬが、時間的に若干のずれがある。そこへもってまいりまして、これから、いわゆる構造不況業種の中の、すでに、かなりの整理か行われ転換が行われているものもありますけれども、十二業種中、話がまとまったのは二業種であって、あと十業種は業界内部の意思統一もまだ完全に行われていないという状態でありますから、そちらから、ぼつぼつまた離職者が出てくることを考えなければならぬ。これは集中豪雨的に一遍にばっと出てくる。早く話がまとまれば、むしろ転換が容易なのでありますが、話のまとまりさえも遅い状態であります。それを雇調金その他の制度によって離職をさせないで転換をさせるというような方向に努力をしていきたい。楽観はいたしていないのでありますが、今度の施策はそこに重点を置いておりますから、私は時間のずれがあっても雇用指標の改善に役立つものと考えておる次第であります。
○安島委員 後から、またお伺いしたいと思いますが、私は、これからの時代は経済政策あるいは経済成長が必ずしも雇用面の増加に結びつかない、日本の産業構造は、そんななまやさしい状況に置かれていないという認識に立っているわけですが、後から、またお伺いします。 この際、積極的に政府は雇用機会の創出をしなければ大変なことになるという認識に立っておるわけです。特に日本の産業構造には、いろいろと問題が多いことは、もう大臣も御承知のとおりでございます。わが国においては、ここまで、いわゆる世界第二の経済大国と言われるような工業化社会と言われるように非常に規模が拡大しているわけですから、いろいろな問題の多い業種の産業構造にメスを入れて転換を図ろうとしても、問題は、いわゆる過剰労働力と言われている労働者が、どこで新たな雇用機会をつくるか、どこで吸収するかという施策が定まらないままに、どんどん、これまでも産業、企業の合理化というものが非常に進行しているのではないかというふうに私は見ているわけでございます。 第二の問題は、構造不況産業と言われる特定の業種は、政府が対策を、いま真剣にお考えになっているようですが、その対策をもってしても、適当な表現ではありませんけれども、一時しのぎの対策であって中期的な対策には、どうも結びつかない。結局いま言いました構造不況業種対策ということで、いま政府が、特に労働省が中心になって、いろいろ考えておりますし、私どもも、やはり特別の立法措置が必要だということで、いろいろと与野党含めて検討を進めていますけれども、これは、ある一定期間に、そういう対策が確立されなければ大量の失業者が発生するおそれが多分にございます。そして、そのことは一層社会不安を増大することになると思うのです。政府は、これらの構造不況業種といわれる特定業種というものを、どの範囲に見ておられるのですか。具体的には、ここに働いている労働者数はどの程度おられ、その影響を受ける労働者はどういうふうに考えておられるでしょうか。そして政府かこれから、いろいろと対策を講じられた結果は具体的に——現在、完全失業者これは八月の統計で百六万人でございます。先ほど川本君からも質問がありましたが、有効求人倍率は〇・五三という非常に深刻な状態になっているわけですから、この雇用問題というものが、いま言いました構造不況業種、特定業種対策を一歩誤るならば一層深刻になると私は考えているのですが、これらの実態をどのように踏まえておられるのか。また、その結果は、私がいま申し上げました雇用面に、どういう影響が出てくるのかをお伺いしたいと思います。
○石田国務大臣 大体、御承知であろうと思いますが、通産省所管それから運輸省所管、農林省所管で十二業種であります。その総数は私どもの方で調査をいたしますと二百九十六万前後、二百九十七万くらいの数、そのほかに八十三万七千人くらいのいわゆる下請があるわけであります。その中で一番多いのは繊維でありますが、通産省の調査によりますと、流通部門を含んで繊維だけで二百八十万くらい出てくるわけです。そして、その中で約百十万くらいが流通部門、ところが繊維だけの流通部門というのは余りないのでありますから、流通部門まで構造不況に入れられるかどうかには問題があると思います。この中で一体どれくらい過剰人員があるかということは、先ほども申しましたように、そこへいくと、なかなか労使関係その他もあって数字を出してもらえない状態で、いま、あるわけです。私どもの業種で、いわゆる景気変動等雇用調整事業の中の対象業種五十業種ございます。これは百五、六十万だと思いますが、後で調べて申し上げます。事業転換の雇用安定事業、この対象業種を五十四種指定しております。それの従業員総数が二百六万、後の方が、いわゆる構造不況業種に対する対策であります。 楽観、悲観の問題でありますが、私どもは楽観しているということは決してございません。ただ実情を申し上げているのであります。(「悲観もしていないのか」と呼ぶ者あり)悲観もしていない。事態を正しく認識しているので、こういう問題は平氏か源氏かという物の考え方では対処できない。やはり現実を正しくつかまえて対処することが必要であると考えておる次第であります。 それから雇用の創出ということは私どもの方でも一生懸命いま考えているところであります。先ほども申しましたように、第三次産業に雇用吸収力を持たせることが一番必要じゃないか。そのためには特に消費あるいは生活関連の第三次産業、そういうものを利用し得られるような条件をつくる。たとえば有給休暇の完全実施とか、あるいは週休二日制の実施とかいうようなものによって、レジャーを有効的に利用できるような条件をつくることも、やはり必要ではなかろうか。同時に、この問題を的確に掌握いたしますために、まず、これから将来にかけて雇用吸収力のある部門はどこであるか、あるいは、いわゆる構造不況とは何だ、その構造不況というものの雇用関係におけるつかみ方、それから進み方、対処の仕方、そういうものを検討いたしますために、雇用関係閣僚会議を開きますと同時に、事務機構を設けて対処しておりますし、労働省でも事務次官を長といたします臨時雇用対策本部を設けて鋭意、対策を練っておるところでございます。
○安島委員 次に、具体的な問題についてお伺いいたします。 資料は持っておりますが、確認の意味でお伺いするわけなので大まかで結構です。労働時間短縮、週休二日制及び定年延長、当面、私どもは六十歳を目安としておりますが、その現状はどうなっておるでしょうか。
○桑原政府委員 まず労働時間の方から申し上げたいと思います。 年々短縮をしてまいっておりまして、五十一年の最近のものによりますと、労働者平均四十二時間、所定時間が四十時間以下の労働者は全体の四四%、こういうような実情になっております。規模別に見ますと、千人以上の大企業では三十九時間四十八分ということで、四十時間を割っております。三十人から九十九人の、いわゆる中小企業では、まだ、しかし四十八時間の労働者が四割以上を占めておるというような実態でございます。こういうようなことで、まだ規模間の格差がございます。 週休二日の問題は、四十八年以降五十年ぐらいまで相当、普及のテンポが早うございましたが、最近は少し鈍化をいたしてまいっておりまして、五十一年の九月末現在では四三%の企業が何らかの形の週休二日を実施いたしております。労働者数にいたしますと七一%の労働者が何らかの週休二日の適用を受けているというような実態でございます。これも規模別に見ますと格差がございまして、千人以上の大企業では、週休二日制の採用企業数、適用労働者数とも約九割を占めております。規模が三十人ないし九十九人の中小企業になりますと三五%、労働者につきましては三七%、規模が五—二十九人、これは調査の時点がちょっと違いますけれども零細企業におきましては、採用企業数は一三%ということで、規模の格差が非常に大きゅうございます。 なお、定年制につきましては安定局長から、お答え申し上げます。
○細野政府委員 定年の状況でございますが、労働省でやっております雇用管理調査によりますと、たとえば昭和四十六年ごろに五十五歳定年というものが五七・九%というふうに大部分を占めていたわけでございますが、これが最近の五十一年におきましては四七・三%というふうに、この調査を始めまして初めて五割を割りまして、したがいまして五十五歳定年が非常に代表的な例という、そういう状況がだんだん変わりつつあるということがうかがえるわけでございます。と同時に、六十歳以上の定年を定めているところは、四十六年には二三・一%でございましたが、これが最近の五十一年におきましては三五・九%というふうに、十二ポイント以上も高まってきているというふうな状況でございます。 なお、これを規模別に見ますと、たとえば五十一年の調査によりまして、五千人以上あるいは千ないし四千九百九十九人というような、いわゆる大企業と言われるところにおきましては、五十五歳定年制というものは意外にその割合が低うございまして、五千人以上では三九・二%、千ないし四千九百九十九人のところでは四四・九%ということで、先ほど申しました規模平均よりも、五十五歳定年の割合はむしろ低いぐらいでございます。ただし大企業の場合には、五十五歳はいま申しましたとおりですが、五十六、七、八というような、比較的五十五から一、二年上がったところに集中的に、これがあるという状況は指摘ができるわけでございます。一方、規模の小さなところになりますと、たとえば百人以下のところですと、六十歳定年が三七%というふうに非常に高い状況を示しているというふうな状況でございます。
○安島委員 五十一年の十月に、五十五歳以上の人を各事業者は全従業員の六%を目安として雇うようにということが決まったわけです。ところが今日、過半数が目標を達していない。さらに大企業ほど、この法律で定めた雇用率を達成していない。いわゆる雇用率が非常に低いというのが、この統計で、はっきり出ているわけです。一人も雇っていないというのが実に三〇%も、まだあるという現状、これを一体どう見るのかという問題でございます。 最近の問題としまして鉄鋼労連は先般、労働協約改定の柱として、定年延長六十歳を経営者にそれぞれ要求したわけですが、すべて拒否されました。いま大企業と言われる鉄鋼メーカーは、一社か二社ぐらい五十六歳のところはございますが、ほとんど五十五歳ですね。そして今日いろいろ複雑な背景はあるとはいいながら、アメリカからダンピング輸出と批判されて、これはそれだけ国際競争力が非常に強大になっている、こういう大手の鉄鋼資本ですから、このままの状態では、幾ら政府が——私はこの前も労働大臣に、この問題でお伺いしました。定年延長助成金というようなものを月に五千円や一万円出したところで、今日の状況のもとで絶対、経営者が受け入れるはずはない、これでは不十分です。やはり法制化というもの、法律でそういう方向をはっきりしない限り、経営者任せでは絶対によくならないと言ったわけですが、今度のこの問題から、その傾向が明らかにあらわれている、私はこう思うんですよ。 さらに、大企業の大部分が、これは鉄鋼だけじゃございません、すべての産業、業種を問わず、非常に残念なことですけれども、五十歳前後になりますと系列会社や下請企業に出向させられておりますね。これは労働省も御承知だと思います。これは今日、通常化しているんですよ。つまり不況か非常に深刻の中で、ところてん式に押し出される。このために最後は最も弱い中小、零細企業に働く人たちが押し出される。 ですから経済政策と労働政策が結合しない限り、幾ら政府が景気回復策として多くの金を投資したとしても、そのことか働く人たちの雇用機会を拡大する方向には動いていないじゃないか。だから、これまでと同じような産業優先、生産第一主義だと私は冒頭申し上げたのです。大臣、これらの大企業においては、こういう法律で定めたことも守られていない。しかも今日の老齢化社会の中で、本来は最も力の強い企業が、時代の趨勢であるいわゆる中高年層の雇い入れに対して消極的である。このことが、これからも、いままでのような行政指導という立場で、よくなるというお見通しがあるのかどうか、その点についてお伺いします。
○石田国務大臣 これは定年制の問題も同様でありますが、五十五歳で仕事をやめさせて退職させるという制度自体は現状に全く適さない問題である。これは何度も申しますけれども、五十五歳定年というのは明治の中ごろに発足した制度であって、その時代の、われわれの平均寿命は四十歳半ば。いまの七十二歳、三歳と言われる時代に適合しないことは言うまでもありません。 それからもう一つは、これから高齢者社会になるということは、相対的に若年労働が減ってくるということになるわけであります。したがって企業の側、経営の側からいっても、早く、この高齢者社会に適応するような人事管理体系というようなものをも考え出していかなければならない。ただ非常に長い間、続いた慣行であります。人事管理も、それによって行われてくるし、賃金原資の分配も、それによって行われてきたわけであります。これはやはり時間をかけて順次、改善をしていかないと、一遍にやれば、そこに人事の停滞を招きます。原資の分配に問題も起こります。時間をかけて、やっていかなければならぬ問題だと思うのです。そして、ある程度の趨勢ができたときに、その条件か整ったときに法制化を考えるべきだ、私はこう思っております。 問題は、六%の法定雇用率というようなものの達成できないのは、先ほど安定局長からもお話を申し上げましたように、いわゆる千人以上の大企業に多いわけであります。逆に言うと、たとえば納付金支払い余力があるというところに、それが多いわけでありますが、もう一つは、そういうところでは、いわゆる出向とか下請その他へ出せる条件が別にあるわけであります。最近は、この中高年労働力の吸収のために各企業、特に大企業においては、いろいろな検討が行われております。たとえば業務を中高年齢者に適する業務と適さない業務に分けて、適する業務は別法人で行うとか、あるいは単能工を、働いている間に複能工に、つまり年をとってもできるような仕事を習得させるとか、いろいろな検討が行われ、改善が見られているというふうに私どもは考えておる次第であります。 もう一つの特徴は、規模の小さいところにいけばいくほど高齢者の雇用率が高くなり、それから定年制もあるところでは延長になってきておる。こういう実情は、先ほど申しましたように納付金を負担し得られる条件のあるところが比較的おくれているということになることでもありますので、やはり、そういう法制化、身体障害者に対すると同じような方向の検討も、われわれがし始めることによって促進をさせるという必要があると思っておるのであります。ただ、先ほどから申しましたように人事管理の方式、人事の停滞の問題あるいは賃金原資の分配、特に退職金、昇給の問題等を、あわせて時間をかけて改善をしていく必要があろうか、いまの状態では、そう考えております。
○安島委員 当面、構造不況業種と言われる特定業種の対策というものが緊急の課題であると私は考えておりますが、先ほども言いましたように、いま労働省等が中心になって考えている雇用対策というのは、言葉は悪いですけれども、これは一時しのぎの対策にすぎない、これは言をまつまでもないのです。ですから中期的な雇用対策の基本というものは、新しくもっと積極的に雇用機会を創出するような、いわゆる事業面での金の使い方というものを、もっと考える必要があると同時に、これまで申し上げてきました週休二日制の普及とか、あるいは老齢化社会に対応した定年延長、当面は六十歳、アメリカの場合は先般、新聞によりますと、上院においては七十歳まで働くことができるということになったと報道されています。それから労働時間の短縮、特に私どもは一日の労働時間の短縮よりも週休二日制を普及させることの方が、より効果が大きいという考え方に立っておりますが、いずれにしましても時間短縮や、老齢化社会に対応した定年制の延長ということを、やはり、すべての企業に今後普及をさせていく。 それには、もちろん大臣が言われたように、すぐ一挙にはできないかもしれませんが、少なくとも私たちか常識的に考えて、やる気があればできるという企業がたくさんあるはずですから、そこに普及させていくためには、くどいようですけれども単なる行政指導ではだめです。ますます今日の競争が激化し、私は大臣か考えている以上に雇用問題は深刻だと思います。これから、ますます製造業等におきましては人減らし、合理化はどんどん進行してきますよ。それはもう必然的と言ってもいい状態ですね。こういう点から効果的な措置を図るためには、どうしてもやはり法制化に向けて、あるいは経営者側に労働省がもっと積極的に呼びかけていく。法律によらないで実効が上がるなら大いに結構ですよ。ですが私は、どうもそういうことでは、このいまの深刻な雇用不安を解消するのに効果的に作用しないのじゃないかというように考えているわけであります。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕 さらに、先ほども申し上げましたように、ところてん式に中小零細企業の方に、そのしわ寄せがいっておりますから、少ない仕事を、さらに争って取るわけですから発注単価はますます低くなる。そこでやはり低賃金労働者、いわゆる長時間労働、納期に追われるときには少ない人員で残業によって消化するというふうに、雇用対策とはまことに矛盾した形でどんどん進行している。 ですから、一つはやはり労働者の低賃金ということに歯どめをかけると同時に、過当競争を防止するという意味合いにおいて今日、全国一律の最低賃金制という問題は、従来の労働四団体か要求していた基調とは質的に変わってきているという認識に立って、問題を見直すべきではないかと私は思いますが、これらの問題について大臣の御所見を伺いたいと思います。
○石田国務大臣 終わりの方から私どもの考えを申しますが、全国一律最低賃金制は先般、最低賃金審議会で労使の合意を見た方向がございます。その方向に従って、これから進行してまいりたいと思います。 それから週休二日制、これが雇用に結びつくかどうかということになりますと、先ほども私どもの考えを申しましたが、現実もそうですし、将来も、いわゆる第三次部門の雇用が大きくなっていく。現在でも三次部門が五〇%を超えている状態であります。この三次部門ということになりますと、たとえば銀行に例をとります。銀行は休みをふやすのには銀行法を改正しなければなりませんが、それは別といたしまして例としてとりますと、銀行が土曜、日曜休んで金曜日までにして週休二日制を実行したことで、私は雇用はふえないと思います。やはり銀行は六日開く。しかし一人当たり週休二日制をとる、こういうような工夫をこらしていかなければなりませんし、また、そういう工夫をこらすことによって大衆の利害への影響というものを緩和することもできるのじゃないか。あるいは時間短縮の場合になりますと、これはマクロで賛成してもミクロではなかなか進行がむずかしい。やはり、その企業それ自身に働いている人の収入の問題に関係してくるわけでございます。だから、こういう種類の問題は時間をかけると同時に、やはり助成措置その他を強化していくことによって、現実に即応した漸進的な方向を目指すべきだ。しかしながら週休二日制、年次有給休暇の完全消化あるいは時間短縮の問題というようなものは、これは全体として労働者の福祉に役立つばかりでなく、国内、国際的に公正な競争を確保するという意味で進めていくべきだと私は思います。 それから給付金、助成金その他の制度は、一つには、まだ周知徹底されていないという問題がございます。もう一つには魅力ある金額でないという問題がございます。その魅力ある金額でないという点については、今度の概算要求の中でも改善方に努力をいたしていくつもりであります。それから周知徹底の方法については、いま鋭意、積極的に努力をさせている段階でございます。
○安島委員 いまの企業の姿勢というのは、これはどの産業、業種に限らず、現在百人働いている者かいれば、なかなか競争か厳しくなってきているので、これを五人でも十人でも減らそうというところに懸命に努力をしているのが常態化しているわけですよ。それは大臣か知らぬはずはないのです。ですから私は週休二日制がすぐ雇用面に結びつかないという一面は理解できますが、現実にどんどん、どんどん人を減らしていくという中で、これからは産業優先という物の考え方から根本的に考え直さないと、雇用労働者数というのは決してふえない。絶対数はふえるかもしれませんが、実際に働きたいという希望にはとうてい対応できない、私は基本的に、そういう考え方に立っているわけでございます。 したがいまして、週休二日制というものを普及させるためには、まず、それだけのことができるところから順次、実施をしていくというのは当然であると考えているわけです。そういう点で金融機関に働く人々、銀行員あるいは公務員、これは中央、地方を問わずですね。公務員等は政府がその気になれば、私はそれほど障害があるとは思えない。これまでは週休二日制が全産業になかなか普及がおくれているものだから、むしろ世間体を気にしていた。それだけじゃないかもしれませんが世間体を気にしているのが非常に多かったわけですね。しかし今日の深刻な雇用不安の中では、やはり明るい面も、そういう面からつくり出していかないと、来年度卒業される方々も、来年だけじゃありません、これからもずっと続いていく若い人々が、そのまま就職ができないような状況に置かれれば、いまの社会は青少年に対してはいい方向に動いていないのですから、これはますます非行化につながるというおそれもあります。さらに老齢化社会、先ほどから言っているような今日の状況の中では、やはり、これまでと考え方を変えて雇用機会というものを創出するように考えていかなければならないのじゃないかと思うのです。 それで特に金融機関の週休二日制については、大蔵委員会等で、これまで時間をかけて検討してきた問題でありまして、先ほど大臣も言われました銀行法の改正等の問題が必要になってきますから、大蔵委員会で審査してきたと思うのですが、私は主体的には政府を代表するのは労働省、そして、その労働省のいわゆる所管大臣である労働大臣の決意と指導いかんである。特に公務員の問題はいろいろ議論があるところだと思いますけれども、金融機関等の方の週休二日制というものは大蔵委員会等では与野党が一致していると言われているわけですから、そういうことも、やはり労働省がもっともっと真剣に考えなければならぬと思うのですが、この点いかがでしょうか。
○石田国務大臣 公務員については原則として先憂後楽でありますし、国民に奉仕する立場でなければならぬと考えます。それから一方において、いわゆるチープガバメントというものが国民の世論でもあるわけであります。これが先に行われるということについては私は必ずしも賛成申し上げるわけにいかない。 それから金融機関の場合は、先ほど申しましたように六日開いて一人が二日とるというのは雇用の増大に結びつきます。しかし二日、全部が休んだのでは雇用の増大に結びつかないばかりでなく、やはり大衆の利益という問題にもつながるということも考えなければならぬと思うのです。先ほども申し上げましたように、しかし、これからの雇用というものは三次部門に期待をかけていかなければなりませんから、その三次部門においては開業は六日、一人一人は五日、こういうような方向にいくように行政指導を強めてまいりたいと思います。また金融機関に対しましては、そういう方向で呼びかけをするつもりでもおります。今週中に会合を持つ予定でございます。それだけではありませんけれども……。
○安島委員 私は冒頭申し上げましたように、今日の厳しい国際経済社会のもとで特に輸出環境等はますます厳しくなるわけですから、確かに大臣が言われるように、週休二日制や時間短縮が雇用とすぐ結びつくかどうかということになりますと、これは計算どおりにはいかない側面があるということは私も承知しておりますが、少なくとも、そのことによって国際的には公正労働基準の確立、つまり決して不公正競争はしておりませんよということを内外に宣明するという意味合いにおいても、私は非常に大きな要素を持っているというふうに思うのです。したがいまして雇用の安定というのは、いろいろな多角的な検討と対策というものを整合しながら進めていかなければならないと思いますし、当面、最も大きな政治課題であると考えられます。労働四団体の統一要求も高度成長時代の要求とは今日、質的に変化しているという受けとめ方を、やはり政府もしていただかなければならぬと私は思うのです。もちろん権利の要求であると同時に、深刻な雇用問題を、そういう立場から今日、見直していただきたいというように、私は労働四団体も共通の認識に立っていると思うのです。したがって十分これらの考えを御配慮の上、政府が率先して産業界、財界等に働きかけて、この際、思い切って発想の転換を図っていくような、そういう行政指導というか大臣の指導力を一層強めていただきたいと思いますが、これに対しての大臣の決意をお伺いしたいと考えます。
○石田国務大臣 先ほどから申し上げておりますとおり現在、直ちに結びつかないといたしましても、週休二日制あるいは年次有給休暇の完全消化あるいは労働時間の問題、すべてが国際的にも国内的にも公正な競争を確保する前提条件である。これは私はそう考えておる次第であります。その考えに基づいて行政指導を強化するとともに、個々の業界に対しても呼びかけを行っていくつもりでございます。ただ産業界ばかり、ばかりとおっしゃいますけれども、産業界の経営の基礎が安定しなければ雇用はふえないのですから、前提条件として、それを配慮するのは、やはり当然だと思うわけであります。 それから労働四団体それぞれの、この問題に対する対処の仕方というものは、私はもう二十年、労働行政に携わっているわけであります。ときどき休憩をいたしますけれども。二十年前と比べて非常に違ってきた。つまり近代社会の構成員の一員としての責任も自覚され、同時に現状の認識について私どもとそう差がございません。経営者もまた労働組合をパートナーとして見るようになった。特に民間関係の労働組合、労働運動というようなものは非常に大きな変化を示している事実、現状認識について、われわれと差がないということ、それから対応の仕方についても、われわれが考えるのとそう隔たりのない状態になりつつあるという事実は認めます。そして、そういう事実を高く評価いたします。そして、その評価が持続され、よく伸びていくように労働行政上の努力をいたします。
○安島委員 質問を第わります。ありがとうございました。
○橋本委員長 この際、午後二時まで休憩いたします。 午後零時二十分休憩 ————◇————— 午後二時開議
○橋本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。 労働関係の基本施策に関する件について質疑を続行いたします。草川昭三君。 〔委員長退席、戸井田委員長代理着席〕
○草川委員 草川であります。 公明党・国民会議といたしまして、今回の不況業種の実態調査を行いましたので、その実態の上に立って、きょうは質問をさせていただきたいと思いますし、なお途中では、平電炉の具体的な倒産の例を取り上げまして、ケーススタディーという感じで労働省の考え方をお聞かせ願いたい、こう思うわけであります。 私どもは、特に繊維、これは愛知県を中心に非常に多いところでありますし、造船は、たとえば神奈川県だとか静岡県、平電炉は京浜地区、そのほか合板は東海地方、こういうように現地調査をそれぞれ行いまして、一体、今日のこの構造不況というものが具体的に、どのようにあらわれておるかということを調査をしてきたわけであります。ところが、私ども自身も若干驚いたわけでございますけれども、非常に深刻な事態というのは、もう三年前から続いておりまして、一番強い影響を受けておりますのは下請の労働者であり、零細企業の業者であるということでございまして、政府に対する強い不満というものが涙ながらに訴えられてきた例が非常に多かったわけであります。 たとえば繊維の場合でも、これは愛知県の知多半島あたり、あるいはまた一宮地方もそうでありますけれども、非常に零細な業界では女工さんはいない。そして、夫婦と家族が夜の十一時ごろまで機を織りまして、とにかく売上高だけふやさなければ金利が払えない、償却ができないというわけでございまして、夫婦の賃金というのはゼロで、一銭も収入がなくて機械だけ稼働しておるというような状況でございまして、まあ私どもが当初考えておりました以上に深刻な状況ではなかったかと思っております。 たとえば繊維産業だけの実態につきましても、これはゼンセン同盟の方々の調査によりますと、四十九年から五十一年までに、五十七万人から四十一万人に減っておりまして、約十六万人が減少しております。これは三〇%のマイナスであります。 さらに、その他の産業にも、造船等につきましても、御存じのとおり本工は若干減っておりますけれども、造船の下請労働者は二万九千人も減っておる。これは過日、参議院の予算委員会で造船の下請の宇野会長が報告しておるところでございます。 こういうように、今日の不況というものは、一般的には百六万とか二・一一というような数字がございますけれども、潜在失業者を含めて、しかもパートの方々を含めて、一体どの程度、失業者がいるのか、このことについてまずお聞かせ願いたい、私どもはこのように思います。
○石田国務大臣 潜在失業者というもののつかみ方が非常にむずかしい。だから、定義の仕方もむずかしいわけであります。たとえば短時間労働、労働時間の長さで潜在失業というものをはかる場合、あるいは追加就業を求めている場合、それから現在の職業に満足しないで転職を求めている場合、そういういろんな場合がございます。それから同時に、たとえば雇調金あるいは終身雇用制という雇用慣行、そういうようなもののために離職はしないで、いわゆる帰休状態にある場合、いろいろとり方に問題があると存じます。 ただ短期就業、いわばパートタイムの場合は、逆に申しますとパートタイムだから就業するという場合もございますから、それだけをもって潜在失業と言えないと思います。それから、雇用慣行や雇調金で離職しないで、つないでいる場合、たとえ潜在という名前がつこうと、いわゆる離職、失業者とみなすのは適当でないのではないか。現在の場合は、景気変動等に対応するための制度として、要するにレイオフしないで雇用していたわけでございますから、いずれ景気の変動があれば仕事につくわけで、これはやはり失業者と言えないのではないかと思うのです。 潜在失業という概念でつかむことはむずかしいと思いますが、それぞれで調査をいたしました数字は安定局長から説明をいたさせます。
○細野政府委員 ただいま大臣からお話ございましたように、時間の面からつかまえるという趣旨で短時間の就業者というものを見ますと、一ないし十四時間、これは一週間の就業時間でございますが、その労働時間の方は百三万人という数字が出ております。それから、追加就業希望という角度からとりました統計といたしましては百七十八万人、それから、転職を希望しているかどうかという角度からつかまえました数字としては、二百四十万人という数字が出ております。
○草川委員 いまそれぞれ、百三万、追加希望百七十八万人、転職希望二百四十万人。結局、現在の総理府の統計の失業者の百六万人に、いずれにしても調査をいたしますと入らない人ですね。そういうような方々が、ただいま申し上げましたように潜在失業者だということになるわけでございますが、私は実態は非常に厳しいものがあると思いますし、それからさらに、現在たとえば繊維で私が申し上げましたように、家内労働で仕事をしておるというような方々というのは、実際はこの雇用調整給付金の対象外の家内労働者というのもずいぶんいると思うのです。この家内労働者というのは、いまのこの百三万の中あるいは追加希望の百七十八万の中には入っていないと思うのですけれども、その点はどうなんでしょう。
○細野政府委員 詳細ちょっと私も、労働力調査を細かく見ておりませんのでわかりませんが、入っている者と入っていない者、両方あるんじゃないかと思っております。
○草川委員 ですから、私がひとつ、この前段でお願いしたいのは、やはり労働省として、数字が上がってくる役所のラインだけではなくて、私は、どこかモデルの地域を決めて、一回安定局自身が足で実態を見てもらうといいと思うのです。そして、上がってくる統計数字と実態との食い違いの中で、今日の失業問題というのは、実際は正規の従業員のところに、いま非常に強い要求が出たから、いろんな問題が出ておるわけですが、実はそれ以前に、たくさんの中小零細なり下請の労働者のところに犠牲がすでに及んできて、その上でようやく本丸に失業者が攻めてきておるのだ、こういう実態であるということを、まず認識をしていただきたい、こう私は思います。 その次に、これは総理大臣が予算委員会で答弁をなすってみえるわけでありますけれども、たとえば六・七の経済成長が達成されても雇用が改善されるわけではないということを、総理は答弁をなすってみえるわけです。このような深刻な状況の中で、雇用に影響を及ぼすような景気対策というものは一体いつごろ出るのか。たとえば石田労働大臣は、ことしの九月二十九日に日本商工会議所で首脳との懇談会で、景気が雇用に影響するのは年末以降になるんじゃないかというようなことを御発言なすってみえるようであります。片や総理の方は、景気対策ができても、なかなか雇用には影響しないと言っておみえになる。だとすると、私はここで、いまのこの百何万人の失業状況というものは、さらに上へ向いていくのか、ふえていくのか、あるいは、いろんな対策によって、労働大臣ではないのですけれども、年末ぐらいからは減っていくのか、そこらの長期展望についてどう判断をされるのか、お聞かせ願いたい、こういうふうに思います。
○石田国務大臣 この委員会でも予算委員会でも何度もお答えしている問題でありますが、同じように石油ショックを受けて、同じように経済不況の中にある欧米の雇用情勢と、わが国の雇用情勢との間には、幾つかの相違点がございます。その相違点の一つは、いわゆる完全失業者というものの数であります。それが比較的、日本の場合は低率で済んでいる。ヨーロッパの場合は、失業保険を受けている者を完全失業者と計算する。そういう計算の仕方をしますと、日本の場合はもっと低い数字になるわけで、いわゆる生産年齢に達して求職活動をしているというものからとると日本のような数字の形になるが、アメリカなんかの統計のとり方はほぼ日本の場合に似ているわけであります。 その原因は、やはり第一に終身雇用制、第二には、企業別組合であって、同僚の首をかけてまで、いろいろな要求をしないというようなこと、あるいは同僚の首を守るために、ある程度の低賃金に甘んずるというようなことも第二の理由に挙げられるのではないかと思う。それから第三番目には、やはり雇調金の存在だと思います。 したがって、鉱工業生産指数は、先ほどもお答えをいたしましたように、昭和四十九年と現在を比べますと、五十年にはひどく落ち込みましたが、昭和五十一年には四十九年の水準よりやや増加しているわけでございます。ところが、雇用関係の指標は逆に減っているわけでございます。ということは、五十年に非常に強く感じた過剰雇用感というもの、こういうものが減少しているように思います。減少しているけれども、なお存在している。したがって、経済が回復をいたしましても、それが外部の新規雇用にまでいくのには時間がかかる。まず自分のところへ寄与させておる、あるいは終身雇用のために雇用を継続しておる、そういう人を働かせる。それからもう一つは、やはり時間外労働というようなものでつなぎますから、したがって、そういうことだけで時間的経過がかかる。それからもう一つは、公共事業というのは、予算成立、発注、それから始業というようなまでには、やはりどうも現実的には二カ月ぐらい時間がかかっておるのであります。そういう点から見で、十月に補正予算が成立をいたしまして、急いで実行に移されましても、それが景気に及ぼすのには、やはり年末から年始にかけて及ぶんではないかというような話を商工会議所でいたしました。 ただ、五十二年度予算の公共事業分の前倒し発注、これの効果が漸次あらわれてきておりまして、七月の有効求人倍率が八月にはやや、ほんのわずかですが改善を見ている。どこで改善を見ているかというと、建設業で改善を見ているわけであります。そういう点から、今度の補正予算と本予算の前倒し発注と加えますと、効果はおくれるけれども、だが年末から年始にかけてあらわれてくる。しかし、予算成立後すぐに、そういう効果があらわれてくるという状態にはない、こういう説明をしたわけであります。
○草川委員 ですから私は、いまたまたま建設業で若干改善の数字が出ておるというのは、公共投資をやっておるから、そういうことになると思うのです。ですから、大工さん、左官屋さんと言われる一部の技能者は足らないということも事実だと思うのです。しかし、全体的に見ると、日本の輸出構造に基づいた産業構造の全体の動向から見ると、やはりいまの政府の景気刺激策だけでは全体の雇用を創出するというところにはいかない、こう思うわけです。 私はここで、さらにお聞かせ願いたいのですけれども、いま企業は膨大な過剰労働力を抱えておるということを言われておりますし、過日の予算委員会でも、そのような旨、政府からの答弁もあります。問題は、過剰労働力というものをどう判断をするか。先ほど私が質問したように、これがさらに失業という形で顕在化してくるのではないか、これをどう見られるかということが非常に重要な問題だと思うのです。ですから、いま日本全体で過剰労働力が百三十万だとか二百万と言われておりますけれども、いま労働省として少なくともどのように判断になるのか、特に構造不況業種と言われるような産業ごとに、一体過剰労働力というものをどのように抱えておるのかという、この判断です。非常にむずかしい質問ですけれども、お聞かせ願いたいと思います。
○石田国務大臣 私どもといたしましても、そういうものをつかむことがすべての前提だと思って鋭意努力をさせているところでありますが、日経連あたりでは、いわゆる構造不況業種というものを十二業種、雇用者数四百万、その一割が過剰だ、こう見ているわけであります。しかし、それは具体的なヒヤリングとか、その他のデータによってつくったものかというと、そうじゃないわけでありまして、私どもの方で調査いたして、はっきりわかるのは十二業種で現在雇用されている数です。これは全部合わせますと三百五、六十万人になるんじゃないかと思います。ただし、そのうちの中心が繊維でありまして二百八十万くらい。しかし、その中で百十万が流通部門であります。流通部門は、繊維だけの流通部門というのはごく少ないわけでありますので、その流通部門までいわゆる構造不況業種と指定することには問題があろうかと思う。したがって、流通部門を除きますと二百五十万から六十万がいわゆる構造不況業種の雇用者総数。そこで、一体どれだけが過剰なのかということの調査に入りますと、それぞれ労使関係がありまして、なかなか言ってくれないわけです。それで具体的な数字はつかめないのですが、日経連が一割とこう言うならば、その二百五、六十万人の一割、こういうことになる。 それからもう一つは、先ほどちょっと申し上げました数字は、これは構造不況業種だけじゃない、日本の製造業全体で見た場合は、鉱工業生産指数が四十九年と五十年で一一%以上下がっている。ところが、五十一年は四十九年を若干上回るところまで回復した。しかしながら、雇用指標の低下は約八%弱であります。雇用指数の方は回復しないで、むしろ減少しているわけです。したがって、産業界全体として見る過剰感というものは減退をしていると思います。しかし、いま御指摘のように構造不況業種は問題が残っている、こういうのが実態だと思う。 そこで、それが一遍に出てくるかどうか。私は一遍に出るような、いわゆる業界としての意思の統一というものはなかなかできない、その対応が非常におくれるので、ぼつぼつとこれが行われてくるのではなかろうか、そういうものにはいわゆる雇用安定資金で対応していける、こう考えているわけであります。
○草川委員 いま大臣が、過剰感、いわゆる過剰労働力を抱えておるという意識というのは少なくなるんじゃないだろうかということを言われましたか、企業自身が最近、はやり言葉ですけれども、スピンアウトという言葉を使っていると思うのですが、いわゆる出向です。あるいは下請に独立をさせるというような形で、かなり大胆な排出行為を行っている。外へ出すわけです。労働力を企業の外に出すわけですけれども、そういう手続をするからこそ過剰労働力を抱えておるというのは少なくなる、こういう感じを持つんじゃないだろうか、こう思うのですけれども、それは結論的に言うと下請に責めがいくわけですよ。いわゆる下請の職場を奪うという例もあるんじゃないだろうか。たとえば自動車工業なんかでも、五千人であるとか何千人というような単位で生産ラインから販売部門に転移をするとか、あるいは重工業部門から全く違う産業に大量に労働力の異動というのがやられていく。ですから、下請の労働者が従来働いていた職場が奪われて、大企業の労働者同士の新しい職場移動がこの不況乗り切りの行為として利用されておるんじゃないだろうか。私は、そういう実態が続く限り、何回か申し上げますけれども、零細企業だとか下請の段階での雇用というのはつくられない、創出できない、こういう不満があるわけです。 でございますから、いまも雇用対策法という法律が現実にございますけれども、たとえば大量の人事異動だとかあるいは配置転換だとか、あるいは解雇という場合もあるわけでございます。本来ならば、現実のその雇用対策法という法律に基づけば、大量異動とかということをどんどん安定所に届けなきゃいかぬ。それがどんどん上に上がってこなければいかぬ。そして、労働省がそういう労働力異動の実態をつかんでおるとするならば、もっと私は、いま苦しんでおる現場の中小零細の人たちに新しい対応策というのができるのではないだろうか、こう思うのですけれども、その点についての考え方を聞かせていただきたいと思います。
○石田国務大臣 構造不況というのは、言いかえれば産業構造の改善を行わなければならぬことなんですから、雇用の場合でも、これは異動は仕方がないことだと思うのです。そのままにしておいて、構造改善して対応するというわけにいかないわけでありますから。そして、そういう大手では必ず労働組合がありまして、労使の協議の上で行われているわけであります。 雇用対策法における対応の状態というものについては、安定局長からお答えをいたします。
○細野政府委員 御指摘のように、雇用対策法の中で、月に五十人以上の異動がある場合には報告か安定所に出されることになっておりまして、その趣旨は、労働市場に一遍に五十人以上解雇が出るというような撹乱要因が出た場合に、安定所の紹介体制に非常に影響が出てくる、こういう角度から、そういう報告をいただくことにしておりまして、これは比較的励行されております。 それから二番目に、労働異動の把握についてのお尋ねがございましたけれども、労働省の毎年やっております雇用動向調査によりまして、労働異動の実態等につきましては把握をいたしておるわけでございます。
○草川委員 時間がございませんので簡単にお聞きしますが、現在、年齢別有効求人倍率という統計がございます。〇・五二とか〇・五四という数字がございますけれども、これを現在、年に一回、十月に調査をされて発表されておりますけれども、産業別に密度の濃い雇用統計、失業の中身を分析する必要があると思うので、せめて四半期に一度ぐらいは、産業ごとに有効求人倍率というようなものなり、失業の度合い、実態がつかめるような統計の把握ということが、ぜひ私は必要だと思うのですけれども、その点について何かお考えがないでしょうか。
○石田国務大臣 詳しい事情は安定局長からお答えいたしますが、現在、十月に発表するけれども、調査時点は……。広い範囲の調査でございますので、たとえば業種別というより、職業別の統計も八月に調査して十月に発表することにしておるわけで、細かくやるにこしたことはございませんけれども、なかなか現実的には、限られた人員の中で対応するのはむずかしいと思いますが、詳細は安定局長からお答えをいたさせます。
○細野政府委員 産業別の把握ということになりますと、求職者が、たとえば旋盤工なら旋盤工という形で出てまいりますので、それを業種で仕分けするということが非常に困難でございまして、そういう意味で業種別の求人倍率をとるというのは、なかなかむずかしいように思うわけでございます。
○草川委員 とにかく、これはすぐの問題ではございませんが、いずれ将来の職業転換という問題あるいは技能訓練という問題が大きく表に出ていますから、その前段としては、私はより細部の調査が必要だ、こういうことです。 それでは次に行きます。 雇用安定資金が今度できたわけでございますけれども、もし失業がこれからふえるとするならば、安定資金三百七十七億ですか、不足をした場合には予備費で充当すると言っておりますけれども、予備費で十分賄えるわけですか。
○石田国務大臣 これは前に五十年のときも、たしか百五十何億に対して五百五十億になったことがあります。これも予備費で支出をいたしました。義務的支出でございますから、安定資金は総額四百七十七億、そのうち事業に充てるのが三百七十七億であります。不足をいたしますと予備費で十分賄えます。
○草川委員 指定業種として五十四ですか、あるわけですけれども、これから、失業の度合いに応ずるわけでございますけれども、支給申請がたくさん出てきた場合に、指定業種に入れるように枠を広げる受け入れ体制があるのか、あるいは却下をしてしまうのか、お聞かせ願いたいと思います。
○石田国務大臣 別に枠を設けてやっているわけではないのでありまして、現在の状態の中から構造不況業種というものを五十四種指定したわけであります。それで終わるわけではありません。似たような条件、同じような条件の場合は追加指定があり得ることは当然であります。
○草川委員 それはひとつ、そういうことでお願いをするとして、それでは次へ移りまして、平電炉の具体的な例を一つ申し上げて、これは事例研究ということでいきたいと思うのですが、東京の近郊にある平電炉がございます。それが倒産をしたわけです。平均年齢は大体四十二、三歳でございますし、そこの労働者の方々、約百八十人みえるわけでございますが、やはり職業転換ということよりも、ここで仕事をさせてもらいたいというのが圧倒的な声です。もう年をとると、職業訓練といっても現実には不可能だ、あるいはあっても遠くへ行くというのはごめんこうむりたいという素朴な声があるわけです。 この工場はかなりの中堅企業でございますけれども、御存じのとおり、平電炉というのは商社との関係が非常に強いわけです。たまたま、日本でも大きなある商社でございますけれども、ここに「平電炉メーカーに対する鉄鋼調査時報」というのがございまして、債権の一覧表があるわけでございますが、このある会社は三十一億、一つの商社に借財が残っておりますけれども、その商社というのが三十億きれいに物件を全部担保にしておりまして、だから、いわゆるチャラというのですか、差し引きゼロになるのです。差し引きゼロになるところで企業を倒産させてしまったわけですけれども、実は、この企業を倒産させる約一カ月前に、その商社が新聞で、もうこの平電炉メーカーは行き詰まったから休業しますということを発表します。そこで、そこの労働組合がびっくりして会社へ行って、おい親会社が休業だと言っておるがどうするのだというので、そこで、その労働組合と会社側が話し合いをして、年末までいわゆる休業協定を結びます。そこで雇用調整給付金の申請をするわけです。ところが一カ月後に、今度は商社間のいろいろな再建計画についての考え方の違いがございまして、結局倒産ということになるわけです。そうすると、労働組合の側から言うと、一体どうなっているんだ。国の雇用調整給付金制度というのがあるから、まあ不況だからお互いにがまんをして協力しようということで国から金をもらう。そこで一たん労働組合は、団結権か非常に弱まるわけですよ。弱まったところで、一カ月か二カ月たったところで商社が倒産をさせてしまう。早く言うなら、雇用調整給付金を利用して、いわゆる労働組合の団結権というのを弱くさせるような例が現実にあるわけです。 何なら私は名前を挙げてもいいですけれども、そういう例がこれからも多くなるのではないだろうかというので、私はごく簡単に申し上げたわけですが、商社の介入を含めまして、この雇用調整給付金制度あるいは安定基金制度というものがいわゆる本来の目的から逸脱をするような例があった場合、労働省はどういうような対策を立てられるか、お聞かせ願いたいと思います。
○細野政府委員 御指摘の事業所につきましては、私どもも、ごく詳細なところまで調査が行き届いておりませんけれども、現在までわかっておるところでは、五十年の十月から十二月にかけては、確かに御指摘のように雇用調査給付金の支給をいたしたわけでございますが、本年の倒産時におきましては、休業計画書の提出はございましたけれども、雇用調整給付金の支給はいたしておりません。 なお、雇用調整給付金の運用に当たりましては、先ほど先生から御指摘がございましたが、いろんな問題もございますので、その制度の運用が趣旨に沿って行われるように一層努めてまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
○草川委員 通産省の方、お見えになっていますね。——実は、平電炉というのは不況業種の一番代表的な例でございまして、約一六%の過剰設備というものを廃棄をするということが言われておるわけでございますし、大変な状況になっておるわけでございますけれども、いま私、たまたま一つの会社のことを申し上げましたが、名前を挙げて申し上げますとわかりやすいので申し上げますが、南部製鋼という中堅の製鋼所がございまして、それに対して三菱商事というのが非常に大きな影響力を与えておるわけでございまして、三菱商事が生産増強ということを指示をし、伝票一枚についても、伝票の締め切り時間も全部商社に合わせて、その企業というものが大変な系列に入ってしまう、こういう例があるわけでございますけれども、今日の構造不況で平電炉というのは非常に困ってみえるというのですけれども、調べていくと非常におかしなことがあるわけです。 たとえば、御存じのとおり平電炉というのはスクラップを溶かして棒鋼をつくるわけですが、二つの工程がありまして、スクラップを溶かしてビレットという鉄のかたまりをつくるのです。鉄のかたまりを次の工程へ持っていって圧延、いわゆるローラーにかけて丸棒をつくって建築用の棒鋼にします。これが一つの流れなんです。ところが、不思議なことに、商社はまずスクラップを入れて口銭を取ります。ところが、この鉄のかたまりをつくるビレットを、平電炉は金かないものですから、その商社にそれを現金で売ってしまうんですよ。そこで、商社は現金で安く買いただきます。ところが、今度は製品が、棒鋼ができませんから、また商社を通じて、他のメーカーがつくったビレットを買ってくるのです。その場合には約手、いわゆる手形を切って買うわけですね。そして、それを圧延をして棒鋼にして商社から売る。早く言うと現金買いをしてたたかれて、そして手形で、また他の工場でできたビレットを売りつけられて、そこでまた商社が口銭でもうける。こういう関係ですから、トン当たり赤字か一万円だとかなんとか言っていますけれども、私は、商社の介入というのは少しひど過ぎるのではないか、こういうことを思うのですけれども、そういうような例が一般的なのか、これがまれなのか、通産省の方から、ちょっとそのことだけについてお聞かせ願いたいと思います。
○岩崎説明員 一般的であると申すと、そう一般的でないと思いますか、結論から申しますと考えられないことではないという気かいたしますのは、いま先生の御指摘のとおり、平電炉は製鋼部門と圧延部門とございます。製鋼部門、圧延部門の能力のバランスが一企業内でとれておりません場合に、ビレットが多ければビレットを外販するというのは、かなりよく行われていることでございますし、それからまた可能性としては、工場が一企業内でも非常に離れておりますときに、片や圧延のみの部門に自分の遠いところからの製鋼ビレットを持ってくるということが不合理なときに、最寄りのところから買うということも、それはあり得ないことではないと考えております。 いま先生御指摘の南部の場合どうなっているか、これは私どもも、どうなっておったか、きわめて過去のことでございますので、真実の姿はつまびらかにし得ないのでございますが、ただ、言えますことは、あそこは、先生御指摘のとおり船橋と川口に工場がございます。川口は圧延機のみを持っております。ここは圧延機のみで、四十二年以来ずっと、ビレットはよそから買って圧延しておりました。船橋工場、これは四十三年、四十五年に製鋼設備を入れました。したがって、それを入れた段階から、自社の船橋工場のビレットを持ってくるというのも一つあり得る選択であったかと思います。ただ、事実はそうしませんで、依然、川口工場のビレットはよそから買っておったという事実がございます。それがなぜなのか、よくわからぬ点もあるわけですか、一つは、船橋でできます製鋼ビレットのサイズが、川口工場で圧延しますに必要なビレットのサイズと違っておったということがございます。なぜそういう違わせ方をしたのかということについての理由は確認しておりませんが、そういうことが一つございます。それからもう一つは、船橋でそういう圧延をやっておりましたが、連鋳設備か計画どおり動かなかったという面もあったようでございます。そういう面の完全な調整に至らぬうちに現状のような会社の状況になってしまったというのが実情ではないかというふうに考えております。
○草川委員 どうもありがとうございました。通産省の方はそれでもう結構です。 私は、これからの構造不況のあり方については、労働省もやはり生産ラインの流れ等もひとつ十分つかみながら、雇用調整給付金の支給なり安定資金の運営なりあるいは職業訓練等もやってまいりませんと、ただ、失業だ、大変だ、大変だという形の労働行政というのは問題があるのじゃないか、こう思って、次の質問に移るわけでございます。 実は、平電炉と商社との関係といいますものは、役員の派遣にとか、それから販売の扱い等につきましても圧倒的な影響力を持っております。ですから、当該の労働者は、たまたま、ここの場合は全員解雇ということになったわけでございますが、使用者側に団体交渉を申し込んでも、使用者側に団体交渉能力というのがない。とにかく商社に聞かなければ何もできないという関係かありまして、たまたま現在、地方裁判所に、商社を相手に団体交渉に応じろ、あるいは地位保全のいろいろな仮処分の申請をしておるわけでございますが、最近の労使関係は、先ほど申し上げましたように、直接の雇用をするところの経営者だけではなくて、実質的な支配、運営をいたしますところの銀行だとか商社だとか親会社だとか、いろいろな関係があると思いますけれども、直接雇用関係はなくても、商社なら商社、親会社なら親会社とも団体交渉をしなければいけないようなことが多いのではないだろうか。法的な形式にとらわれずに、ひとつ実質的な雇用者として法的地位にあるものと断ぜざるを得ないような判例、たとえば地労委の判例だとかいろいろな判例も出ておるようでございますが、これからも構造不況でこのような実態が出てくると思うのですが、ひとつ労政当局として、直接の雇用契約がない、実質的な支配、運営をする相手に対して労働組合か交渉を申し出をしたときにどういう態度をとるか、お聞かせ願いたいと思います。
○石田国務大臣 お話はごもっともでございますが、実例といたしましては、安宅産業の場合に住友銀行の幹部を労働省に呼びまして、雇用対策についての責任を自覚してもらうような措置をとり、その措置の報告を受けたことがございます。 あとの法的なことは局長からお答えいたさせます。
○北川政府委員 行政指導としましては、いま大臣からお答え申し上げましたように、安宅産業その他に対して、直接の雇用関係がなくとも、その下請会社、あるいは安宅の場合ですと中村合板の解雇問題について行政指導をいたしております。 ただ、法的な問題としましては、一般論としましては、われわれは、やはり労働法上雇用関係にある者が使用者としての法的義務を負う、こういうふうに考えておりますが、いま先生御指摘のように、最近の親会社と下請の関係が必ずしもそう単純なものでなくて、親会社が子会社の役員をほとんど全部兼務しておる、あるいは財産あるいは活動について総括的な指示をしておるというような事例が間々見受けられます事態に対応いたしまして、最近の判例では、たとえば油研工業、これは昨年の最高裁の判例が出ておりますが、労働の実態、報酬の性格等から判断して、下請についても親会社の雇用義務というような判例がございます。それ以外にも、仙台地裁の川岸工業の賃金請求事件の仮処分についても法人格否認の法理に基づく判例が出ております。いずれにしましても、それは実態をよくケース・バイ・ケースで判断をいたしまして、先ほど申しましたように、役員の面で、あるいは資金的に、あるいは業務の指揮監督の面で親会社が子会社を全く牛耳っておりまして、子会社の法人格が形骸化しておる、あるいは法人格によって法の適用を免れようとする、法律的な乱用を企てておる、そういう限定された場合の判例でございまして、一般的な論議は、当初申し上げましたように、やはり労働法上の使用従属関係のある者についてのみ使用者の義務を負わせる、こういう考え方でございます。
○草川委員 局長の御意見だと、また逆に言えば非常に厳しい、実際行政指導としてはそういうこともあり得るけれども、原則は原則だというお話じゃないかと思うのですが、私がたまたまいま申し上げたような例は、実際上はもっと厳しい形で支配、介入というのがあると思うのです。でございますから、労組法七条によるところの使用者概念の拡大という方向はもう現実に進んでおると私は思うのです。ですから、使用者概念というものをこれからも拡大をするという形で、たとえば、いま全国的に労政事務所というのがあるわけです。いわゆる労働行政の一番末端の接点の事務所等もあるわけですが、そういうような役所に相談に行っても、ほとんど対応策がないわけです。そんなことは私は知らぬとか、昔の労働行政の対応策しかない。しかし、少なくとも安宅産業でもこういう例があるじゃないか、あるいはたくさんの地労委、あるいは判例、最近では新しい法人格否認の法理なんという、また別な角度からの使用者概念の拡大というのが始まっておるというようなことも積極的におろして、使用者概念はこのように拡大しておるのだ、現実にそういう行政指導をしておるのだということは流していただきたいと思います。そういう点について、大臣の御見解を承りたいと思います。
○石田国務大臣 法律のたてまえと実際上の行政指導との間に問題点が確かにありますし、処理すべき余地はある。あるから、現行法の純粋解釈から言えば、安宅産業の場合、住友銀行に直接問題がない場合でも、住友銀行に対して行政指導をするというようなことはいたしておるわけであります。また、先ほど労政局長がお答えしたような判例もございます。そういう実際現実上の指導というようなものをさせるように、労政事務所等には徹底させているつもりでおります。ただ、何と申しましょうか、大銀行やなんかと労政事務所の所長との間の格違いとでも申しましょうか、そういうようなことから効果が上がらない場合は、本庁で取り上げて措置をいたしたい、こう考えております。
○草川委員 時間が来ましたので最後になりますが、いま一つの例を申し上げましたが、その他の雇用という問題を含めましても、私は現行法でも、やろうと思えば幾らでもやれる点があると思うのです。しかし、現行法でなかなか取り上げられないからこそ、今回も特定業種離職者臨時特例法というような問題を、労働界の意見も聞きながら私どもはいま皆さんにお願いをしておるところでございますが、ひとつ、その現実的な手の届かないのを改めて、新しい体系で、時限立法でもいいから取り上げていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
○戸井田委員長代理 大橋敏雄君。
○大橋委員 長期の不況から大変な企業の倒産失業者が続出して、今国会でもいろいろな議論が交わされてきたわけでございますが、言うならば、かつてのなべ底不景気以来の深刻な雇用・失業情勢か現実にあらわれてきているわけでございます。そういうことから、わが国の大きな社会問題として取り上げられ、いま特定業種といいますか、あるいは不況業種に対する特別措置法を制定して救済しようという動きが出てきまして、与野党の中で、いま、その煮詰め作業が行われているところでございますが、その中で私が一つ、どうしてもここで聞いておきたい問題がございます。 それは雇用保険法の全国延長給付、雇用保険法第二十七条ですね、これは「労働大臣は、失業の状況が全国的に著しく悪化し、政令で定める基準に該当するに至った場合において、受給資格者の就職状況からみて必要があると認めるときは、その指定する期間内に限り、第三項の規定による期間内の失業している日について、所定給付日数を超えて受給資格者に基本手当を支給する措置を決定することができる。この場合において、所定給付日数を超えて基本手当を支給する日数は、政令で定める日数を限度とするものとする。」以下、二、三と項目があるわけでございますが、私は、まさに、この全国延長給付を発動する状況が出てきているのではないかと思うわけでございますが、この点について、まず御見解を承りたいと思います。
○細野政府委員 お尋ねの全国延長の発動基準でございますが、もう先生御案内のように、基本手当の受給率が、連続する四カ月において四%を超えること、これが第一の要件になっております。それからさらに、基本手当の初回受給率に低下傾向が見られないこと。この二つの要件が主な発動基準になっておるわけでございますが、こういう観点から現在の受給率の動向を見ますと、これは基本手当の受給率でございますが、たとえば、ことしに入りましてからもずっと二%台を推移しているというふうな状況でございまして、とてもこの全国延長の発動基準にまでは達していないという状況なわけでございます。 なお、この発動基準の改正についてというお尋ねがあったと思いましたが、その点につきましては、すでに、安定審議会の雇用保険部会という専門の部会がございまして、公、労、使三者構成の部会でございますが、ここで一年の長きにわたりまして御検討をいただきまして、先般、七月一日でございますけれども、特にこの基準を変更する必要はないのじゃないかというのが部会の先生方の大勢であり、かつ、審議会の大勢であったという状況でございまして、当面、この現行基準を改正するということは考えていないというのが現状でございます。
○大橋委員 いまの局長の答弁では、まだ全国延長給付を発動する状況にはない。基準は、基本手当の受給率が四%を超えるとき、あるいは初回受給率が低下傾向にないこと、こういうことをもって、まだその発動の時期ではないとおっしゃったわけですが、確かに、全国的な状況から計算し判断していくと、まだまだこの基準には到達していないだろうと私も思います。しかし、いま労働四団体ないしは与党と野党の間で検討されているこの特定産業あるいは特定地域、そこだけとらえていきますと、これは完全にこの基準より上回っているものだと私は判断するわけです。私自身が計算したわけじゃございませんが、厳密にはわかりませんけれども、恐らくこれは超えるだろうということで、少なくともいま検討されている内容については、ぜひともそうした特別の配慮で、これを認めていく腹を決めてもらいたいということなんです。いかがですか、大臣。
○石田国務大臣 全国延長の問題はいま局長が答えたとおりでありますか、地域的に偏ってきた場合については広域延長というような措置もあります。したがって、そういう方法でやっていく。それから、審議会の意見の大勢というものは、三者構成でやっておりますが、いまお聞きのとおりでございます。それから、現行制度の運用によって対処したい、こう思っております。
○大橋委員 確かに現行制度にも、かなり各種の制度がとられているものの、それに対応できないといいますか、むしろそれを越える状況が出てきているために、いま特例的な臨時措置法案をつくろうという動きになっていることも理解されて、われわれが今後要求することについては十分対応できる姿勢をとっていただきたいことを強く要望しておきます。 それから、いま全国的に見まして大変な失業者でありますし、全国の職安の窓口は、それこそ目の回るような大多忙であろうと思うわけでございます。雇用保険制度における中心的な事業というものは、言うまでもなく失業給付を支給することであると思います。労働者が失業した場合、必要な給付を行い、その生活の安定を図りますとともに、求職活動を容易にする等その再就職を促進することが、雇用保険制度の主たる目的であろうと私は思うのですね。そこで、この失業給付について、給付の性格から、御承知のとおり求職者給付と就職促進給付との二つの大きな立場でいま進められているわけでございますが、私は、きょうここでお尋ねしたいことは、高齢者を救済しようという対策の一つとして、労働大臣が認可することによって事業が行われる高齢者無料職業紹介所というのがあるわけでございますが、この開設の趣旨といいますか目的、それと現在これが全国に何カ所くらい開設されているのか、お尋ねをしたいと思います。
○細野政府委員 高齢者の無料職業紹介所でございますが、これは高齢者の雇用という問題が非常に重要でありますと同時に、いろいろ困難な側面もございますので、安定所ばかりではなく、いま御指摘のような無料職業紹介所の援助も得まして、高齢者の職業紹介について全きを期してまいりたい、こういう趣旨で許可をされているものでございます。 なお、その数でございますが、昭和五十二年三月末現在で百二十一カ所でございます。なお、念のため申し上げますと、これらの事業所で職業紹介を行った者の数が、昭和五十一年度におきまして、一般が一万五千九百三十五名、臨時日雇い四千六百十一名という状況でございます。
○大橋委員 これは、現在の高齢者の再就職が非常に困難であるということから、公共職業安定所のいわゆる補助機関的な役割りを果たすために必要だと認められ、そして労働大臣の認可制度になっていると思うのですね。それはそのように理解していいですね。
○細野政府委員 そのとおりでございます。
○大橋委員 そこで大臣にお尋ねしますが、こうした高齢者無料職業紹介所を通じまして、いま言われたような多くの人々が再就職をしているわけですが、就職促進手当、これが公共職業安定所の紹介ならば、その手当が出るわけでございますが、こちらはそれが適用されないという矛盾があるのです。これはぜひ改めてもらいたいと私は思うのでございますが、いかがです。
○細野政府委員 御指摘の常用就職支度金制度につきましては経緯がございますので、先に私の方からまず御説明を申し上げさせていただきたいと思います。 この常用就職支度金制度は、御存じのように旧失業保険法の時代からありました就職支度金制度というものを改正したものでございます。この古いときの就職支度金支給制度と申しますのは、その受給要件としまして所定給付日数の二分の一以上を残して就職した場合、つまり、もらい切らずに就職した場合にのみ支給する、こういう制度でございまして、そういうことにしておりました結果、再就職の比較的容易な方か受給することができる。つまり、全部もらい切らないうちに就職できるほどの、就職について困難度を伴わない人がかえって受給ができるというふうな一つの矛盾点がございまして、逆に、就職の困難な人は、長い間求職活動をした末やっと再就職してみたら二分の一以上受給してしまったので、これが受給の対象にならぬ、こういうふうなことがあったわけでございます。そこで、むしろ再就職することがきわめて容易な人が支度金目当てに転職を繰り返すというふうな現実の弊害が非常に出てまいりまして、そういうことから制度がゆがめられているということで、これにつきまして、御承知の前回の雇用保険法の改正におきまして、この古い制度を廃止しまして、新しい制度として、その対象を就職困難な一定の人に限りまして、そのかわり支給残日数の要件というものを削除したわけでございます。それで現在の常用就職支度金制度というものが設けられているわけでございます。その際に要件といたしまして、新たに公共職業安定所の紹介で就職するということと、それから一年以上引き続いて雇用されることが確実であると認められる職業、つまり、先ほど申しましたように、簡単に就職して簡単にやめていって、そのたびに支度金をもらうというようなことのないように、こういうことで、いま申し上げましたような二つの要件をつけ加え、そういう意味で安定所紹介に限定をしたわけでございます。その限定しました理由としましては、一つは、その方がつかれた職業が安定した職業であるということを明確に確認する必要があることと、それから一方、その制度の趣旨からしまして安定所の援護に頼らざるを得ないような、真に対策を必要とする方に支給を限るべきではないか、こういう二つの理由で、いま申しましたような制度になったわけでございます。
○大橋委員 かつてこの制度を悪用し、乱用した人がいる、そういうことでこのように改めたのだという話でございますが、もちろん、そういうのができないようにするのは当然のことではございますが、いわゆる就職促進給付というものは、失業者が再就職するのを援助、促進することを主目的として支給をされているわけですね。しかも、その常用就職支度金というのは、身体障害者やあるいは中高年齢層の常用就職か困難である者が公共職業安定所の紹介によって安定した職業についた場合、一定の要件に該当するときに当座の諸費用に充てるために支給されているんだ、こういう規定がなされておるわけでございまして、まさにその内容は、高齢者就職紹介所の仕事そのものかその該当になっているわけですね。ですから、労働大臣が認可して行わせる仕事になっているわけですから、これは先ほど言ったような条件をつけて、同じような資格で運用されるように、さらに今度改めるべきだと私は思います。いかがでしょうかね、大臣。
○細野政府委員 先ほど申しましたように、安定所の紹介に限りました趣旨が、明確に安定した職業についたかどうかという確認という点に重点がございますので、そういう意味での確認がなかなかむずかしいという意味で、御趣旨も理解できる面も非常に多いのでございますけれども、これを拡大するということは当面非常に問題があるというふうに考えておるわけでございます。
○大橋委員 安定した職業についたという確認がむずかしいというわけでしょう。そこは行政指導一つでどうにでもなるのではないかと私は思うのです。実は、いま百二十一カ所全国にあるわけですね。毎年のように全国所長会議が開かれているわけでございますが、いつもこの問題が議題になって、その都度、適用の問題が改正されるようにということで、労働省当局にも皆さんの要望書が届いているはずですよ。しかし、労働省として何ら回答をしていない。私は不親切きわまると思うのです。仕事だけはやらせながら、そうした不親切な態度をとるということは遺憾千万だと私は思うのです。
○細野政府委員 御指摘の要望書につきましては、確かに私ども、ちょうだいをいたしておるわけでございまして、その点につきましては、本年の九月十九日に開催されました全国の高齢者無料職業紹介所長会議におきまして、その場で労働省から出席しました担当者の方で、ただいまの常用就職支度金の支給を、高齢者無料職業紹介所の紹介で就職された方に対して拡大するということは困難であるというふうにお答え申し上げている次第でございます。
○大橋委員 これはあくまでも事務的な立場での指示であっただろうと私は思いますが、一遍大臣も、こうした所長会議の結論を持ってこられる代表者の方々とじっくりとお話をなさいまして、皆様の御要望が一日も早く実現できるような方向で検討していただきたい、こう要望するわけです。
○石田国務大臣 先ほど局長が答えたとおりの要件を具備する確認ですね。その確認の方法を検討していく必要かある。たとえば、安定所を通すとか、実際上の紹介はやっても調査や確認は安定所がやるとか、何か方法があるのではなかろうか、そういうものは検討いたさせましょう。
○大橋委員 この辺で終わりますが、いま、おっしゃるように何らかの方法はあると思います。皆さんがもっと希望を持って、自信を持って仕事かできるように善処していただきたいと強く要望いたしまして、終わります。
○戸井田委員長代理 次に、西田八郎君。
○西田(八)委員 私は主として、いま問題になっております各国の二百海里経済水域の設定に基づいて離職を余儀なくされる漁業労働者の対策についてお伺いをいたしたいと思います。 まず、農林省の方、お見えになっておりますね。今度の日ソ漁業協定、それに基づいて、北洋の漁場からかなり締め出しをされました。さらにニュージーランド、オーストラリア等が、将来二百海里水域を設定して、ある程度制限をしようという動きが見られます。特にニュージーランドの場合は、農産物との引きかえにおいてというような、きつい情報も流れてきております。さらに、鯨が年々漁獲が制限をされるようになりました。ことしは何か去年の半分ですか、そういうようなことで、だんだんと減っていくわけでありますが、そういたしますと、そうした関係の漁業労働者、まあイコール船員とでもいいますか、そういう人たちが相当数に及んで本来の漁業から離職をしていかなければならぬのではないかというふうに思うわけですか、農林省で大体これのおおよその数字を把握しておられるか、もし把握しておられたら、その数字をひとつお聞かせいただきたいと思います。
○吉國説明員 お答え申し上げます。 まず、北洋の関係でございますか、日ソ漁業交渉の結果、減船のやむなきに至りました。その関係で、漁業離職者が発生をいたします。この中には、その漁業としては減船になりましても、兼業業種で操業する者もございますので、的確な数が現在まだ確定をいたしておりませんが、現段階で推計をいたしまして、おおむね八千人ぐらいが限度ではなかろうかというふうに見ております。 それから、オーストラリア、ニュージーランドでございますが、オーストラリアにつきましては、来年の六、七月ごろをめどに二百海里水域を設定する見込みであるというふうに聞いております。また、ニュージーランドにつきましては、ことしの十月から二百海里水域を暫定的に実施をいたしております。来年の四月に本格実施をするということになるわけでございますが、その間に、先ほど先生の御指摘のございました入漁の保証をとりたいというふうに私ども考えております。この両国につきましては、したがいまして、今後私どもとしてはできるだけ操業の実績を確保してまいりたいと考えておりますが、これからの交渉になるわけでございます。 それから捕鯨につきましても、本年六月の国際捕鯨委員会の決定に基づきまして、先生の御指摘のございましたとおり、昨年に比べまして半分以下の実績に削られたわけでございます。これによりまして、日本共同捕鯨で、せんだって労使交渉が行われまして、約三百九十名の離職者が発生する見込みになっているわけでございます。 〔戸井田委員長代理退席、委員長着席〕
○西田(八)委員 そうした離職する人の保険関係、これはほとんど船員保険だと思いますが、被保険者になっていない人もおられるというふうに聞いているわけですが、その概数はわかりますか。
○高橋(英)政府委員 船員保険の問題は、実は厚生省の所管でございますけれども、私どもが厚生省から聞いておるところによりますと、北洋漁業の場合には、漁期間だけの雇用というふうな非常に短期の雇用形態が多いために、失業保険の適用者が非常に少ないというふうに聞いております。ちなみに、漁船員全体といたしましては、失業保険の適用者は船員保険の被保険者の約三三%というふうに聞いておりますけれども、北洋漁業の場合には、それよりさらに低いというふうに聞いておるわけであります。
○西田(八)委員 適用者が非常に少ないということになると、大部分の人か保険の対象外に置かれているということになるわけですね。そういう人が離職した場合、一体どういう取り扱いになっておりますか。
○高橋(英)政府委員 北洋漁業の離職者に対します雇用対策につきましては、去る六月二十一日の閣議におきまして、現在ございます職業転換給付金制度を改善、充実するというふうな方向が打ち出されております。 そこで、北洋漁業の離職者の実態でございますけれども、先ほども水産庁からお答えしましたように、離職者の数も相当に多い。それから、ただいま申し上げましたように、失業保険の適用者がこれまた特に少ないというふうな事情にかんがみまして、職業転換給付金制度のうち特に支給対象者の範囲を拡大する、これは年齢制限を緩和するという問題でございます。それから支給要件の緩和、これは離職前に北洋漁業とのかかわり合いがどんな状態であったかということが一つの支給要件になっておりますが、これを緩和するというふうな点につきまして、目下関係省庁の間で検討しておるというふうな状況でございます。
○西田(八)委員 もうすでに、たくさんの失業者が出ている状態の中で、これからというのでは、私は話にならぬと思う。マグロだとかあるいはカツオでしたか、漁か制限されましたときに漁業離職者の特別対策がありますね。それからまた、漁業の再建整備法ですか、何か法律があって、それに基づいて離職していく人に対しては、いろいろな現在の、通常おかと言われておりますが、陸上における製造業その他が適用を受けている失業保険、雇用保険法に類似した方向で対策が立てられてきておるわけですね。今度の北洋漁業で離職する人あるいは捕鯨で削減される人たち、その人たちも同様な方向で扱うということで対処しておられるのかどうか。
○高橋(英)政府委員 同様な方向で、もちろんやるわけでございますけれども、北洋漁業の場合には、離職者の実態にかんがみまして、さらにその制度を改善充実していくということで目下鋭意検討しておるというところでございます。
○西田(八)委員 とにかく急いでもらわないと、きょうも先ほど、日本海員組合の主催による、漁業労働者を何とか救えというデモがありまして、私どもも請願書を受理をしてきたわけですが、本当に現地では、全体の数としては七千人、八千人そこそこですから大したことないということになりますが、これは地域か限定されてまいりますので、その地域では非常に大きな問題になってきております。したがって、早急に対策を立てるようにしていただきたいというふうに思います。 そこで、当面問題になるのは、長い間海で仕事をしてきた、漁業をやってきた人たちか陸へ上がって陸の仕事をするということになると、生活の態様から違うわけですね。漁業は朝早く、あるいは夜遅く、あるいは何カ月間か出たっきりというような、そういう生活の態様。陸へ上がってどこかへ勤めるということになりますと、毎日定時に出勤してということになります。したがって、そういう意味では非常に再就職するのが困難だろうと思いますし、職業の訓練をするにしても非常にむずかしい問題がたくさんあると思いますか、そういうようなものに対して、どのように対処してこられたか。これは、陸へ上がられるということになれば労働省も関係があるわけですが、ひとつ双方で、どのような対策をしておられるか、聞かしていただきたい。
○細野政府委員 お尋ねでございました北洋漁業の減船による離職者の方で陸上部門へ再就職を希望される方に対しましては、私どもの所管になるわけでございます。 そこで、第一番には、専任の相談員を置くとか、あるいは移転をして就職される方のための住宅を建設するとか、あるいは紹介、訓練を重点的に行うというふうな、先ほど御指摘のような陸の仕事になれておられないという点に配慮したいろいろな紹介、指導を実施をしておるわけでございます。 それからさらに、求職期間中の生活の問題というのが当然出てまいりますので、私どもといたしましては、先ほど先生からもお話がございました雇用対策法に基づきます特例的な援護措置でございます職業転換給付金制度を適用する、そういう形で、船員保険の失業給付の終了後におきましても、いろいろな形で生活を手当てをしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。 なお、先ほど、これも御質問がございました、ちょうど両方の保険の谷間にあるような方々に対しましても、先ほど申しましたような、直ちに生活上の手当てができるようなそういう措置についても目下検討中でございます。
○高橋(英)政府委員 北洋関係の船員が失業されました場合に、船員として再就職を希望する方は船員の安定所の方へ参って就職指導を受けるわけでございますが、その場合でも、同じ船員でもさらにいろいろな技能を習得しなければならないというふうな場合もございますが、その場合には、先ほどの職業転換給付金の中で、就職促進手当のほかに、そういう技能習得のための手当を支給するという制度がありますので、これを活用してまいりたい。また、陸上へ行けば就職の口がありそうだという方に対しましては、私の方でも公共の職業安定所と連絡をとりまして、そちらの方へまた差し向けるというふうなこともやりたい、かように考えております。
○西田(八)委員 いま職安局長からの答弁の中にもありましたように、船員で船員保険法を適用されている人、これはいいですね。これはもうおかへ上がった場合は自動的に雇用保険法の方へ行きますし、また、保険の支給その他は船員保険の方でやられるわけですからね。これはいい。また、雇用保険法に入っていた人はそれでいいと思う。ところが、漁師というのは、そんなに大ぜいの人で大型の船に乗って出るというのは数が少ないのであって、まあ五、六人ないしは三、四人。しかも、臨時に二カ月かそこら雇われて来るという人もおられて、いま局長は谷間と言われましたか、両方の保護を受けていない、保険に加入してない事業主に雇われている組合の従業員というのがいると思う。その人たちが一番問題じゃないか。こういう業態は、これはどこかに船を持っておる人かおって、漁師をする人が何人か住んでおって、おまえ、済まぬけれどもおれのところの船に乗ってくれぬかという個人対個人の関係でつながりができて漁に出ていくというような形になっているのだろうと思うのですね。私は漁師でないから詳しいことは知りませんが、物の本なりあるいは話を聞いてみると、そういう状態になる。そういう人たちは本当に日雇いと一緒なんです。今度のように大幅に捕獲が制限されて出漁ができないというようになってくると、全くの失業という形になってしまうわけですが、そういう言うならば落ちこぼれと言えば、いささか言葉は悪いのですが、そういう人たちに対する措置といいますか対策を一体どうしておられるか、お伺いしておきます。
○細野政府委員 ただいま先生の御指摘がございましたが、両保険制度の両方の適用を受けてないという方につきましても、先ほど申しましたように、雇用対策法に基づきます職業転換給付金制度の対象にしてまいりたい、こういう方向で検討しているわけでございます。
○西田(八)委員 もう一つは、労働省令にある漁業離職者特別措置の扱いです。これは四十歳以上の人という年齢制限がありますね。これですと、現在海へ出て働けるという人は、むしろ三十五歳くらいから四十歳くらいまでの人の方が今後の就職その他に困るのではないかと思うのですが、この年齢についての制限をある程度緩和される意思があるかどうかということが一つと、もう一つは、労働省令で言われる漁業離職者特別措置の扱いを、先ほどもちょっと伺いましたが、今度の北洋漁業等の離職者にも適用するというか、それに見合ったような対策を講じておられるのかどうか、これはひとつ大臣から聞かせていただけませんか。
○石田国務大臣 年齢制限の問題なんですがね、実際問題としては、四十歳未満の方の場合は有効求人倍率も高いのですね。それから、やはり職業訓練を受けて再就職をするという方向が望ましいのであって、先ほどもちょっと出ましたけれども、雇用安定資金制度とか雇用保険制度だとかは、ある意味ではもろ刃のやいばですよね。非常に注意をしないとかえって滞留を招くという危険もあります。したがって、若い人はやっぱり職業訓練を受けていただいて、そしてきちんとした将来の明るい仕事についてもらう方向にいってもらう方が望ましいのじゃないか、そういう考えで設けたものでありまして、特に船員の場合は特別の理由を考えまして四十歳にしておるので、ほかの場合は四十五歳のはずであります。
○西田(八)委員 これは四十歳がいいのか、四十五歳がいいのか、あるいは撤廃してしまった方がいいか、いろいろ議論があろうと思います。しかし、現在のような状態ですと、大学を出た新卒者でさえ非常に就職がむずかしいと言われているようなときに、類似の職業に転換する場合は比較的安易に転換ができると私は思う。ところが、海の仕事をやっていた人が陸へ上がって陸の仕事につく場合、そう簡単に見つからないと思うのです。幾ら年が若くて順応性が高くても。これは私はちょっと問題ではないかと思うのですが、その点、どうお考えになっておるのか。
○細野政府委員 御指摘のように、労働の環境が非常に変わりますから、就職が非常にむずかしいという面も確かにございます。と同時に、今度の場合、北洋関係でございますと、御出身が北海道、東北関係の方が非常に多いわけでございますが、現在までのところ、たとえば昨年で見ますと、北海道、東北関係の職業訓練所の修了生につきましては九〇%ぐらいが就職しているという実績もございます。したがいまして、事情はなかなかむずかしい状況ではございますけれども、訓練をやっていただきますれば就職がかなり可能であると現実に思っております。特に、大臣も先ほど申しましたように、若い方についてはその可能性が非常に高いのではないかと考えているわけでございます。
○西田(八)委員 若い、若いと言ったって、若いにも限度があって、四十歳という特別の措置だということで大臣からお答えがあったわけですが、三十五あるいは三十歳から四十歳までの間の求人倍率が他に比べてそんなに高いとは思われないのです。また、そうなると二十代もどうかというと、幾らか高いけれども、たとえば全体が〇・六とした場合に、そこが一・何倍になるとかあるいは二・三倍になるとかいうような高率ではないと思うのです。比較的いいということなんです。しかも、生活環境も違うし、また職場環境が変わっていくというようなハンディを背負っていくということになれば、私はある程度特別の措置が必要ではないかと思うのですが、その点、どのように考えておりますか。
○石田国務大臣 昔、例の石炭関係の離職者が出たとき、特に三池争議調停の後に荒尾に職業訓練所をつくった。そのときは五十五歳ぐらいまでの人が皆入ったわけです。開所式にも、それからその後、私が労働大臣をやめてからもお訪ねをしましたし、そこを出て就職をされておるところ、たくさん雇用されておるところをずっと歴訪したのです。その場合も同じような議論が出たのです。五十歳、五十五歳というような人が新たに仕事を覚えられるものか、それから、覚えたところで再就職の機会があるものか、こういう議論が出ました。ところが、実際は半年の訓練で、訓練を受けた人がほとんど再就職ができたのです。そのときも同じように、いままで山へ入って地下労働に従事しておったのだ、新しい仕事につけないのじゃないか、なじまないのじゃないか、こういう議論が出ました。ちょうどいまの海の問題と似ておる。違うのは、あのときはいわゆる高度成長に向かいつつあった、それがいまはそういうものは期待できない、そこに違いがあります。 しかし、先ほども安定局長からお答えをいたしましたとおり、訓練所を出た人の九〇%は就職しております。一〇%というのは、覚えたことで自営をやろうという人が案外多いのです。したがって、訓練を受けさえすれば、その当時五十歳くらい——私は入所式の、ときに、実はそこの人の手を握って、四十の手習いじゃないが、五十の手習いということもあるのだから、しっかりやりたまえと言ったことをはっきり覚えておりますが、その人から再就職ができたという手紙をもらった。初めて社会に出ましてという、小学校の卒業生みたいな手紙でありましたけれども、それをいまでもはっきり覚えております。これは私は、ましてや四十歳以下の人は十分対応できると考えておりますので、職業訓練という方向に重点を置いて対処していくのが至当だろうと考えております。
○西田(八)委員 大臣、炭鉱離職者の場合は高度経済成長期であったわけですよ。だから、どこでも労働者不足か言われて、省力投資なんていって、その労働力を極力節約するための対策が各企業でもとられた。国でもそういう方向で指導してこられたわけです。私も当時は滋賀県で組合活動の、地域の指導者という言葉はちょっとおこがましいのですが、指導者的立場にあって活動を進めてまいりました。それからまた、県の職業訓練委員もしておりました。そして、炭鉱離職者百世帯を家族ぐるみで引き受けられた企業があったのも知っております。しかし、それでは、現在定着している人はそのうち何人かと言えば、約半数であります。それからかれこれ二十年近くなりますね。その当時でさえ、やめられる人は早いのです。現在もまだ残っておられる方は非常に順応性の高い、また自分の適職を見つけられた人が残っておられるわけで、やはり移転してきて大体一年か二年ぐらいでやめていかれる人が多かった。その会社は、その人たちのためにわざわざ社宅まで建てて用意したのですが、その社宅が一遍に半分に減っちゃった。いまでもその社宅は雨ざらしになっておるという状態です。 ですから、そういう経済の高度成長期でさえそうであったわけですから、いまのように不況業種を十二も十三も指定しなければならない、これからどうなってくるかわからぬという状態の中では、私はそんななまやさしいものではないのじゃないかと思う。 しかも、日本の賃金が年齢別賃金あるいは学歴別賃金という形において、賃金体系そのものがやはり若い人は安く雇えるというのが社会の常識のような形になっております。私ども、そういうことのないようにということで指導をしてきたわけでありますけれども、これは、長年定着してきたものは、なかなか一気に改革ができないという状況からいきますと、やはり賃金の安い方へ、扶養家族の少ない方へ移っていくのはもう当然だと思うのです。そうしますと、三十歳以上ということになると、子供もありますし、たいがいの人が妻帯という状況の中で、なかなかそういうような関係にはならないと思うのですね。したがって、この点、ここで大臣、それなら下げますとはお答えはいただけないだろうけれども、私は、これからの雇用状況というものを十分お考えいただいて、この問題をもっと検討をしてもらいたい、このことを強く要望をしておきたいと思います。 そこで、これから漁業関係はどうなるかわからぬですね。日ソ漁業協定に基づいて、いま北洋にどんどんと出ていますが、毎日のように罰金を取られているとか違約金を取られているとかいう問題が出てきておりますが、今後各国ともに、海洋資源を大切にしよう、あるいは海洋資源を一つの戦略の武器として使おうという、言うならば石油戦争が四十八年のオイルショックという形であらわれてきたように、今後そういう海洋資源をめぐってそんな問題も起こってくると思います。そうすると、予測せざるものも出てくるかもわからぬ。しかし、その予測せざるものをある程度予測して対策を立てておくのが政治であり行政であろうかと思うのですが、そういう面で何か、今後漸増していく漁業離職者に対して特別の措置を考えておられるかどうか、それをお聞かせをいただきたい。
○石田国務大臣 いまの御質問はむしろ農林省でお答えすべき問題だと思います。私どもの方は、農林省でお立てになった見込みの上に立って対策を立てなければならない。北洋漁業だけでなく、アメリカも、それから南太平洋にも順次問題が起こっております。しかし他面、私は仄聞するところによると、アルゼンチンとかチリとか、そういうところで、水産資源を開発するために日本の漁業の進出を求めているようなところもあるわけで、悪い材料ばかりではない。 それから、前段のお話の中で、私も現在が高度成長の時期でないということは認めているわけです。この前のときとは違うんだ、しかし同時に、現在の訓練を受けた人の就職率は高い。それから、いずれ後で、今月終わりぐらいまでには皆さんにお示しできると思うのでございますか、各職種別の求人倍率ということで一年に一回調査いたしております。 〔委員長退席、斉藤(滋)委員長代理着席〕 八月一日時点で調査をいたしまして十月にまとめる。去年のこれを見ますと、求人倍率が二以上の職種が非常に多いのですね。技能労働の不足が七十万とも七十五万とも言われておる。したがって、年齢を下げましても、下げて残った人を永久に給付でつなぐわけにもいきません。やはりできる限り再就職を重点に置かざるを得ない。そうすると、訓練の可能性のある人はやはり訓練を受けてもらうということが大切だ、こう考えております。
○西田(八)委員 それは農林省は、そういう計画はしなければならぬでしょう。計画はしなければならぬけれども、当然、海に出て働いている人がおかに上がってくるわけですから、おかへ上がってきた人たちの対策は労働省の雇用政策として取り扱うべきではないか、これは大臣といささか意見が違うかもしれませんが、そういう意味で私はお伺いした。だから、その点は御了解いただけると思うので、そういう面で対策を考慮しておいてほしいということであります。 次に、漁業に関連しまして、かまぼこであるとか、あるいはかまぼこの板だとか箱だとか、運送だとか、これはすべておかの仕事ですね。こういう人たち、いわゆる関連する業種というのは、一体不況業種としてとらまえてやっておられるのかどうか、その辺のところを伺っておきたいと思います。
○石田国務大臣 これは、あとは正確に安定局長からお答えいたしますけれども、いわゆる練りもの加工業種ですね、これは原材料を買い入れるということで対応できる、こういうふうに私は聞いておるわけであります。しかし、水産物のなまものを入れる箱であるとか、あるいはそれを輸送する仕事であるとか、そういうものはやはり影響を受けてくるだろう。 先般、私は塩釜へ行って漁業関係者と懇談をしたのでありますが、海から陸へ行くという希望の人はほとんどいないのです。みんな海から海へを希望する、こういう人が非常に多かった。私も五十四を全部覚えておるわけではございませんから、そういう業種については現在どうなっておるか、安定局長から。
○細野政府委員 ただいま大臣からお答え申し上げましたように、結局、漁業関係業種と申しましても業界の実態でいろいろあるわけでございまして、一概に、これが不況業種とか構造不況だとかなかなか申し上げにくいわけでございますか、ただ、その業態の実情に応じまして、たとえば水産加工業等につきましては、先ほど大臣から申し上げましたような、そういう事情もございまして、これにつきましては、雇用安定資金制度の指定業種に現在は指定いたしておりまして、積極的な失業の予防、円滑な職業転換ということを図ってまいりたい、こういうふうに考えておるわけでございます。同時に、雇用保険制度の個別延長給付というようなものも適用をするということで、失業中の生活の安定、再就職の促進も図ってまいりたい、こう考えておるわけでございます。 また、先ほどもすでに申し上げましたけれども、北洋漁業等の規制に伴う減船による離職者、これにつきましては転換給付の適用を図ってまいりたいというふうなことで、それぞれの事情に応じて適切な対策を講じてまいりたい。今後とも関係省庁と密接な連絡をとりながらやりませんとなりませんので、その連携を強化しながら進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
○西田(八)委員 それで、これはもうすでに事態は発生しているわけですね。日ソ漁業協定が暫定的に締結されて、そして北洋漁業に出るようになりました。そこで減船が行われた。かまぼことかそういうものをつくっている練り関係の業者の方は、カナダとかああいうところへ行って材料を買うてきてやってはおられるようですが、従来のようにはいっていないようです。したがって、そういう実態というものを、一体どの程度になっておるか、これについて把握しておられますか、農林省おられたら、農林省から。
○吉國説明員 水産加工業につきまして、先ほど労働省の方からお話がございましたようにいろいろな業種がございますが、最も影響を受けておりますのは、北洋漁業との関連で申しますと、特にスケトウを原料として練り製品の原料となるすり身を製造する業種、その他これに関連をした各種の業種でございます。そういったことで、先ほど職安局長の方からお話がございましたように雇用問題が発生しておりまして、雇用調整給付金の指定とか、それから中小企業の事業転換対策臨時措置法の指定を受けて、業界の方で対応策を研究しておる、こういう状態になっております。 今後どの程度の離職者が出るかという点につきましては、私ども必ずしも的確な見通しを持っておりませんけれども、相当数に上るのではないかという感じでおります。
○西田(八)委員 事業主の方がいろいろ漁業補償等で補償金をもらっておるから何とかなるであろうと言われますけれども、そこで働いておる人はその恩恵にはほとんど浴していないのです。問題は、やはりいま言うような職業転換だとかあるいは訓練だとか、そういうようなことでみずからの生計を守っていかなければならぬという非常に弱い立場にあるわけですね。ですから、これがいまどのくらいかわからぬということでは、私はどうも納得ができない。やはりある程度、これぐらいの人は出てくるんじゃないかとか、あるいは、それらの人たちに対しては、北海道なら北海道でどれだけ吸収することができるのか、そういうことを、水産庁だけでなしに労働省とも十分連絡をとりながら、もうすでにそれはできておらなければいかぬし、調査も済んでおらなければいかぬと思う。そんなものはいままだちょっと見通しがつきませんということで、一体この冬を控えてどうするのですか。特に寒冷地の北海道で大変なことだと思うのですよ。どういうふうにそれを考えておられるのですか。
○吉國説明員 私どもとしては実態を早急に調査をしたいということで、道府県を通じて現在調査を急いでおるところでございます。ただ、水産加工業の場合、雇用形態がいろいろございまして、そこら辺のところか実態把握に非常に困難な点があるという事情がございます。その点、御了解いただきたいと思います。
○西田(八)委員 最後に、労働大臣もおられることですから……。 どうも省庁がかわってしまうと、全く同じ労働者でありながら、たとえば船員であれば船員法、いまのように漁業労働者であれば農林省、一般の雇用労働者は労働省ということで、関係する省庁によっていろいろとちぐはぐなことが起こってしようがない。日本政府というのは内閣総理大臣一人であって一本なんですから、ひとつそういう点を横の連携を十分とってもらって、打てば響くような行政をやっていただくように、特に強く要望しておきたいと思います。 それでは、これで終ります。
○斉藤(滋)委員長代理 次に、田中美智子君。
○田中(美)委員 それでは質問に入ります。 いま雇用が非常に不安になっているときですので、この問題について触れていきたいと思いますが、まず、十月十八日に経団連が大企業の百六十社を対象に「景気動向に関する意見調査」というのを発表しています。これを見ますと、回収した回答の四割が、来年度の収益はふえるであろう、こう回答しているわけです。しかし、雇用の方は八割が、減らしていきたい、人減らしをしていきたい。四割は収益がふえると言っているのに、八割は人を減らしたい、首切りとか出向とか帰休とか新規採用を手控えるとか、こういう人減らし計画というものが発表されているわけです。こういうことも大臣御存じだと思います。また、経済白書を見ましても、たとえば自動車産業では三〇%も生産が上がっているのに、人は一〇%減っているということも白書に出ています。また、十月二十三日に労働省の出された労働生産性の調査、これを見ましても、やはり労働生産性はいま大幅に上昇している。しかし、雇用の方が非常に慎重になっているということも労働省の調査で出ているわけですから、よく御存じだというふうに思うわけです。これを見ましても、私はやはり生産が上がって、企業がもうけていけば、当然、社会的責任としてたくさんの人を雇うということをしてもらわなければ、ただただ利潤のためには、できるだけ少ない人間で、たくさんもうけるんだ、こういうことだけを一本にしてやっていけば、いまのように大きな企業が、国家独占主義などとも言われておりますけれども、こうした状態の中では非常に労働界にも国民の中にも大混乱を起こすというふうに思います。そう いう点で、政府か積極的に企業の社会的責任というものを根本的に指導していただきたいというふうに思うのです。 「実業の日本」という雑誌の十月号に出ております。これは臨時増刊ですが、この中に「企業の社会的貢献」ということで特別企画がなされています。 これも大臣、もしお読みでなかったらちょっと見ていただきたいと思うのですけれども、この中に流れています大企業側の論理というのは、あくまでも高度成長政策時代の夢を追った、パイを大きくすれば国民に分け前はふえるんだ、福祉も労働者も、労働者の雇われる賃金は上がる、福祉は向上するんだ、こういう言い方をして、あくまでも利潤を追求するということを基本に据えているわけです。 こういうことを堂々と発表しているわけですので、やはり政府としてはいま根本的に発想を転換して、大企業の社会的責任というものをどこで具体的にあらわすかということも御指導願いたい。そのためには、やはり大企業がこうした人減らしを勝手にやっていく、自由社会だから勝手に人を減らしてもいいんだということには私はならないと思うのですけれども、まず、大企業の人減らしの規制をきっちりとしていただきたいというふうに思います。 いま私が申し上げていることは非常に基本的であり、根本的な幅広い問題ですので、いまこれ全体について大臣に回答をということをお願いしても時間がありませんので、私が申しますけれども、大企業の勝手な人減らしに対してはきちっとした規制をしていただきたい。そして、残業を延ばし、非常にたくさんさせて労働者の健康を破壊する、そうしていて人をふやさないというような、こういうやり方をやめて、できるだけ残業というものを減らして、そのかわり人をたくさん雇うという方向に指導していただきたい。それから週休二日制などを口で唱えるだけでなく、きちっとやりまして、労働時間を短縮して、労働者をたくさん雇えるように指導していただきたいし、また、高齢者の促進法というものができても、実際にはその数字を見ると、ほとんど実効あるものになっていない。まさに高齢者はいま絶望的な状態になっているように思います。そういう点から見ても、定年制を延長などして高齢者の採用にも力を入れる、こういうふうなことを、私は、積極的に失業・雇用の法案をつくる中にも入れていただきたいというふうに要求して、次の質問に移りたいというふうに思います。 こうして、いま失業や雇用が深刻な状態の中で、特に身体障害者というのは見落とされがちですし、事実、落ちこぼれていっているという状態にあるというふうに思うわけです。文化国家というのは動物の社会ではありませんので、やはり人によっては、障害者がどのようにその社会で遇されているかということによってその国の文化性が問われる、こう言われているほどのものです。不況になったから、まず最初に障害者が落とされていくというのでは、これはまさに逆行している。いまこそ、こういうときこそ国が障害者に対して手厚い保護をする、保護というよりも、私は、せめて法律をきちっと守っていただきたいというふうに思うわけです。 この九月の二十八日に身体障害者雇用審議会に報告されました中身、これについて、先ほど職安局長の方から、特徴は何かというお答えとして、民間企業は一・一%で下回る。正確には一・〇九%ですね。それから未達成率が四七・二%だ、こういうふうに言われましたけれども、私は、これは誤りではないけれども、こういう言い方は、特徴はこうではないのではないですか。この四七・二%というのは平均であって、特徴は何かと聞かれたときには、どういうところが特徴だということを答えるべきではないかと思うのです。ああいうやり方は国民に対して無礼な答え方ではないかというふうに私は感じたわけです。 それで、私の方から申し上げますけれども、大企業の方は七十何%、特に千人以上雇っているところでは七八・九%というふうに未達成です。ということは、二十何%しか達成していない。これが大きな特徴なのではないかと思うのです。特徴というのは平均を言うのではなくて、民間の小さな企業の方は五〇%以上、達成しているにもかかわらず、大企業は約八〇%もこの法律を守っていないということが、今度の雇用審議会に報告された特徴だというふうに私は思います。その点、特にこれからの国会での回答については御注意を願いたい。特徴と言われたときにはきっちりと特徴、平均と言われたときには平均というふうに答えていただきたいというふうに思います。 その中でもう一つの特徴ですけれども、特に金融や保険業界が非常に達成率が悪い。たとえばこれは未達成が七一・三%、ですから二八・七%しか達成していないわけです。だから、金融業界だけでも一万二千四百七十九人の障害者をまだ雇わなければならないのに、雇っていない。法律どおりきっちり雇われれば、約一万三千近い障害者が金融関係に雇われるはずになっているわけです。先ほど言いました千人以上の大企業で計算してみますと約三万九千三百三十人、四万人の障害者が雇われなければならないということを、職業安定所の集計でもって雇用審に報告されているわけです。 これについて大臣にお答えいただきたいのですけれども、これは先月の二十八日にそういう報告があったわけですけれども、なぜこれを公表なさらないのでしょうか。大臣の命令で一カ月抑えておかれたのでしょうか。その点、簡潔にお答え願いたいと思います。
○石田国務大臣 そういう抑えたことはございません。なぜ報道しなかったかというと、まだ集計ができていなかったので、集計ができるまで、これは経過的な報告であります。そこで、実はこの雇用状態について本日午後新聞発表をいたします。それはでき上がっておるわけであります。 それから、金融機関が悪いというのは、今度の身体障害者雇用促進法の改正の要点の一つは、いままで各事業所別にやっておったものを、企業単位でやるようにした。そうすると、五十人くらいのところですと一人にならないわけですね。ところが、集まってくると、それは非常に多い数になる。そういうようなところから出ていることが多いと思うのです。もう一つ、第二の特徴は、いまおっしゃったように〇・二%ですか、雇用率を上げた。第三番目は納付金制度を採用したというところに、今度の改正の要点があるわけです。きょうこれは発表いたしますので、御必要であれば概要を御説明いたさせたいと思います。
○田中(美)委員 実は私も持っておりますので、同じものだと思いますが、集計が二十八日にはできているのに、それをどうしてなさらないのか、やはり国民に同じ集計を、国会でこういうふうになるまでなぜこれを公表しないのかということは、国民に対して非常に疑惑を招くのではないかというふうに思います。実際に雇用審の中の人たちというのは御存じなわけですから、これから漏れ聞いていく国民からすれば、特に障害者にすれば、普通はそこで公表されるのになぜこれは公表されないのだろうかということで、一カ月間隠していたんじゃないか、国会で言われてやっと出すのじゃないか。きのう質問書を取りに来られたときに、なぜ公表しないのか、私か質問しますと言いましたら、大臣か、いや、きょう午後——午後と言っても四時になっておりますけれども、こういうことでは、やはり偶然の一致にしても国民に疑惑を招きますので、きょう午後それを発表なさるならば、いま私はここで聞かなくても、大体のことを知っておりますので結構ですが、なるたけ国民の疑惑を招かないように、やはり雇用審に報告したときには国民にも、新聞記者会見などで報告していただきたいというふうに思います。 一つつけ加えておきたいことは、都道府県別にもそれを公表していただきたいというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○石田国務大臣 私は、九月二十八日の時点では、まだまとまってないという報告を受けておったわけです。したがって、いまと同じ質問が参議院の予算委員会でもございましたが、今月中にはまとまるはずでありますから発表いたします。こういう報告をしておったわけで、強いて隠したわけでもないし、隠すことで何の利益もないわけであります。 それから、都道府県別のものがないようでありますから、いま安定局長から説明をいたさせますが、やはり都道府県別でもとっておく方がいいと私は思います。
○田中(美)委員 それじゃ都道府県別でとって発表していただけますか。いまでないですよ。これは国民全体にちゃんと公表する、新聞記者会見などして新聞に報道していただくということです。
○細野政府委員 各都道府県でそれぞれ分析をやったりするのに、若干早いところと遅いところが出ておるようでありますが、すでに東京その他かなりの県で発表いたしておりますので、各県ともそう遠からずのうちに発表されることになると思います。
○田中(美)委員 それでは、これの状態を見ますと、大企業、先ほど言いましたように銀行関係か非常に悪い。これは大臣どう考えますか。〇・四%くらいしかいっていませんよ。
○石田国務大臣 これは、経済の状況がどうだと言っても銀行だけはいいわけですから、これは主としていままで支店ごとにやっておったのが今度は企業ごとになる、そういうところに大きな原因があると思うのです。いままで小さく分けておって、一人以下であって免除されておったのが、まとまれば一遍に出てきます。私は今週中に銀行協会と会談をいたします。そして、この問題だけではありませんけれども、雇用問題に関連をいたしました要望をするつもりでございます。その中でもこの問題は強く要望するつもりです。
○田中(美)委員 九月の二十一日に、障害者の団体が銀行協会の連合会に行っているわけなんです。そこへ出てこられた方が、大島総務部長という方を初め四名の方が応待をしたらしいのですけれども、そのときにはっきり、不況の中で障害者の雇用をするのはむずかしい、いまは時期が悪い、こういうことを答えているのですね。大臣御存じかもわかりませんが、こういうことを平気で銀行協会が言っているということは、労働省が、国がせっかく障害者のための法改正をしておきながら、そんな法改正は無視するということを銀行協会が公表したことです。これは九月二十一日にやっているのですから、その点をしっかりと詰めていただきたいというように思います。特に、大島総務部長がこういうことを言っているわけですので、その点を大臣の方からはっきりと、これに対する御指導を願いたいと思います。
○石田国務大臣 大島何とかという人は、その人も知りませんし、同時に二十一日そういう応待をした事実も私は知りません。しかし、それを踏まえて、多分二十八日の早朝になると思いますが、銀行協会に対して強い申し入れをするつもりでおります。
○田中(美)委員 それではその次に、ただお願いしますと——労働大臣がどういう御指導をなさるか、私が見れるわけではありません。御一緒に同行したいくらいですけれども、そういうわけにもいきません。そこで、はい、承知しましたということで、言うことを聞かない、のれんに腕押しのようなことでは困るわけです。それで、今度の障害者雇用促進法の十五条に、労働大臣は、必要と認める場合には、雇い入れの計画の作成を命ずることができるというふうになっているわけです。ですから、必要があるという場合は非常に悪いわけですね。こういう場合には作成命令を出すということをしていただきたいわけですけれども、これは大臣は、特に銀行関係でどう考えますか。
○石田国務大臣 銀行というのは景気の好不況にかかわらず、いつでもトップになるところですから、経済の好不況を理由にすることはないと思います。したがって、だんびらというものはいきなり抜くものではなくて、ハイジャックでも、撃つぞ撃つぞとしばらくいって、それで効果をあらわすものでありますので、いきなりやるというお約束はいたしませんけれども、そういう経緯を踏まえて、余力もあるわけですから、みずから進んで雇用率達成に努力をしてもらうように要望もいたします。
○田中(美)委員 いきなりということは、何がいきなりか、二十八日の朝、銀行協会に行ったときが最初かというと、そうではないわけでしょう。まず法律を昨年決めた。この法律は銀行協会は知っているわけですから、それによって六月一日におたくの方で調査をしているわけでしょう。その調査の結果が悪い場合には、いままでは何の罰則もなかったけれども、今度の法改正によって作成命令を出して、三年間の計画を出させて、三年間でこれを達成するようにやります。それによって一年目どれだけ、どれだけ、こういう指導をしなさい、それでも言うことを聞かないときには公表するということになっているわけです。ですから、作成命令というのはいきなりではないわけです。もういままで相当おたくはやっているわけですからね。いますぐ出してもいきなりではないというふうに私は思うのです。 それで、実は私が少し調べてまいりました。おたくの方からもいろいろ、第一勧銀だとか、東海銀行だとか、住友だとか、どれぐらい達成しているかということをお聞きしたいわけですけれども、これはお答え願えますか。
○細野政府委員 報告の個々の内容については、個別に申し上げるのは差し控えさせていただきたいと思います。
○田中(美)委員 すぐに公表できないから作成命令をつくらせるということなのです。ですから私は、ここで公表してくれ、こんな無理なことは言いません。それが法改正の趣旨ですからね。それで、私自身がちょっと調べてまいりました。それは一番調べやすい、全国に支店が散らばって本社が私の居住地の名古屋にあるところです。ここを調べてみましたところが、東海銀行は一・五%の中の〇・四%しか達成してない。東海銀行としては、二百三十七名の障害者を雇わなければならないことになっているわけですね。それなのに六十名しか雇ってないということは、百七十七名まだ未達成だということです。ですから、一人三万円払えばいいのだと言えば、東海銀行は非常にもうけているわけですから、年間六千万くらいの金を出せば百七十七名の障害者を雇わなくても済むということになる。六月一日現在の状態では、私の調べではこうなっています。それから、名古屋相互銀行というところは〇・一%しか満たしていません。それから中央相互銀行は〇・二%、中京相互銀行も〇・三%と軒並みに、一・五でなければならないのが〇・五以下ですね。それから、こういうところに限って、名古屋相互銀行は高齢者の方も六%の努力義務があるわけですね、これについては一・九%、中央相互銀行は〇・六%、中京相互銀行は四・一%、東海銀行は〇・四%しか高齢者、五十五歳以上の人を雇ってないということですね。これを見てもあちこち調べてみますと、障害者の雇い方が少ないところと高齢者を雇うのが少ないところの企業が大体一致している。これが特に銀行は激しいということですね。こういう厳しい数字が出ているわけです。ですから、いまの四つの銀行だけでも二百七十二名の障害者を法律で雇わなければならないのに雇われていないということです。きょうも私のところに名古屋から、三十名の人が職業がどうしても見つからないという電話がかかってきているわけです。 なぜこの法律を守らせられないのか。ただ大臣が銀行協会に行って、何とか守ってください、こういうことではなかなかできないと私は思うのですね。特にこういうひどい東海銀行、人数が多いわけですからね。こういうところをきっちりと、やはり個別に計画を作成させるということをしていただきたいと思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。
○石田国務大臣 銀行協会とこれから話すわけですから、その対応の仕方を見ながら処理をしなければならぬと思います。先ほど申しましたような事情もやはりかなりの理由にはなっていると思うのですが、その大島何とかという人の話を聞きますと私どもの理解と非常に違いますので、それも踏んまえて話をしたいと思います。
○田中(美)委員 話をするということですけれども、障害者の団体、これは日教組なんかも入っている。養護学校の先生方も入っている。これは非常にたくさんの団体の人たちが行っているわけですよ。それに対して、不況だから雇えない、いまは時期が悪い、こういう、大臣とは全く違う立場をとっているのですね。ですから、二十八日にお会いになって、それじゃ、どういうことをするのかということを私にお知らせいただけるでしょうか。
○石田国務大臣 これは銀行に対していまのようなはっきりした証拠があるわけじゃないですけれども、要するに、金融をする場合に人減らしを条件にしたり、そういう話を聞くわけです。ですから、雇用問題の実相、そういうようなものをわかってもらい、そして銀行側の協力を求めるわけであります。そういう話をこれからするわけなんで、する前に刀をちらちらさせるのは穏やかでないのでありますので、話をしてその対応の仕方というものを見たいということが一つ。 それから、大島という人は銀行協会の最高の責任者でもないし、銀行協会全体としてそういう決定をしているわけでもないわけでありますから、銀行協会の幹部の人たちと話をする、そういうつもりでおります。
○田中(美)委員 こういうふうにはっきりと証拠のあるものはどうするのですか。
○石田国務大臣 証拠は確かにはっきりしておるわけですが、一方において納付金制度というものがあるわけですから、いわゆる違法というわけではないわけですね。しかしながら、本来、法律の目的は、身体障害者の人たちが働くことによって、仕事を見つけることによって生きがいを持ってもらうというのが法律の目的でありますので、その法律の目的に沿った行為をしていただくことが大前提であります。しかし、どうしてもしない人に対しての処置、しないとかできない人に対する制度が納付金制度でありますので、納付金を納めないとなればこれは違法ですけれども、納付金を納めるとなれば違法とは言えない。しかし、私どもとしては、さっき申したようなこの法律の目的でありますので、そしてまた客観的に見てその可能性が、そう重労働でもありませんし、それから好不況にかかわらず経営というのは比較的安定している職種ではありますから、そういう意味においては雇用促進の努力をしたいと思います。
○田中(美)委員 いま違法でないと言われましたけれども、それは法律家として違法であるかないかという論争を、いまここでしょうとは私は思いません。しかし、一昨年、五十年の十二月に、一・三%のときですね、この未達成の企業、〇・五%未満というのは公表しているわけですよ。天下に公表しているわけですね。これは一つの、法律に公表せよということがあったわけじゃないですけれども、努力を促すという意味で公表しているわけでしょう。それならば、いまのような東海銀行、特に東海銀行ですね、ひどいのは。数が多いところです。これは〇・四%しかやってない。六千万の納付金を納めればそれでいいのか。法律で言えばそうかもしれません。しかし、法律の中に、十五条に、非常に悪い場合、必要と認める場合には計画を出させて指導するんだということがあるわけでしょう。それをなぜ大臣は渋るわけですか。
○石田国務大臣 だから、私は、その法の精神の理解についてもあなたとちっとも変わりません。ただ、これから会うのですよ。初めからいわゆる刀をちらつかせて臨むというのは、私の流儀ではありません。言うて聞かなかった場合の処置はそのとき考える。そういう意味で、とにかく未達成なのは事実なんですから、その釈明を求め、しかも対処の仕方を聞き、そしてこれからの態度を考える、こういうことであります。
○田中(美)委員 一人三万円払えばいいということでは困るのです。ですから……(石田国務大臣「そういうことはだれも言ってない」と呼ぶ)ですから、お願いして、それか一体いつできるか。一昨年に公表されたってろくに改善されてないから私は言っているのです。公表するということを労働省がやってくださったことは、私はいいことだと思っています。そして、公表されたからこそ法改正もできたんだ。だから、これも評価しているわけです。だから、この法律を厳正にやっていただきたいし、法の精神にのっとって指導していただきたいわけです。ですから、いま私が心配しますのは、また大臣を疑うわけではありませんけれども、お願いした、お願いしたけれども、それがはい、やりますよと言って、一年たってみてまただめだった。障害者というのは一日一日生きているわけですからね。何年もたって、何年か先にいつかは達成されるかもしれない、何年か先には法の精神が生かされるかもしれない、これでは困るわけですよ、いま生活できないわけですから。だから、できるだけ早く間に合わせていただきたいということ、東海銀行の〇・四%なんというのは、こういうひどいものに対しては、何もいますぐ伝家の宝刀を抜けとは言いませんけれども、そういう覚悟で臨んでいただきたい。
○石田国務大臣 私は別にあなたと違っておることを言っているつもりはないのですよ。ただ、これは法律から言えば犯罪人扱いはできないのだという話をしただけのことで、法の精神は、生きがいというものを仕事を持つことによって求めていってもらいたいというのが法の精神なんです。その法の精神を達成するようにしたい。その一つの目当てが銀行、金融業界であります。一つの目当てというか非常に顕著な実例が。そこで銀行協会と会談をするということを申し上げているわけであります。
○田中(美)委員 それでは厳しく指導していただきたい。私は、大臣のお言葉が実際のものになるかどうか、逐一見守っておりますので、厳しくやっていただきたいと思います。 次に、納付金を取りますね、この納付金を民主的に使っていただきたいわけですけれども、いま障害者が仕事がないから、自分たちで自主的に共同作業所など小さな作業所をつくっているところが全国に幾つかあるわけです。大体百カ所くらいというふうに言われているのです。こういうところにも、お金を回していただきたいというふうに思うわけですけれども、いかがでしょうか。
○石田国務大臣 法律のたてまえは、未達成の事業主から集めて、そして、その雇用率よりよけい雇用している人のところへ渡すということになっているわけですので、その場合、事業主というものが決まっておれば、それは当然、対象になるだろうと思います。
○田中(美)委員 来年の養護学校の卒業生も非常に困っておりますので、ぜひ、この点も職業安定局長の方から十分な配慮をしていただきたい、大臣からも配慮していただきたいというふうに思います。 最後に、もう一つですけれども、専売公社の方に質問いたしますが、浜松工場の松本澄美子さんに対する労災認定後の支払いはしていますでしょうか。簡潔に答えてください、時間がありませんから。
○森説明員 お答えいたします。 本件につきましては、昨年の十二月の二日に業務上という認定をいたしまして……
○田中(美)委員 払っているかどうかだけ聞いているのです。時間がないのですから、それだけ答えてください。
○森説明員 補償の種類としまして休業補償と療養補償がありますが、休業補償につきましては、四十七年から昨年末の……
○田中(美)委員 私の聞いていることだけ答えてください。労災認定して以後、払ったかどうか。その前のことは聞いていません。
○森説明員 休業補償は払っておりますが、療養補償につきましては、内容につきまして本人が不服がございまして、これを現在、浜松工場長は静岡の地方法務局の浜松支局に供託をいたしておるという現状でございます。
○田中(美)委員 違うでしょう。三月以後ですよ。ことしの三月以後、四月から払っているかと聞いているのです。
○森説明員 四月以降のものにつきましては現在、審査を行っております。内容につきまして若干不備な点もございまして、病院の請求がまだ届いていないというようなことがございまして、内容の確定について手間取っております。そういうことで、まだ支払いは行っておりませんけれども……
○田中(美)委員 はい結構です。それ一言でいいのに、なぜ、そんなとぼけた、余分なことを言うのですか。病院ではなくて、本人が請求している交通費だとか、こうしたものを払ってないではないですか。交通費治療費それから文書料というものを、十四万一千四百四十円、払ってないではないですか。これを至急払っていただきたいと思いますが、いかがですか。それだけ答えてください。 〔斉藤(滋)委員長代理退席、委員長着席〕
○森説明員 この件につきましては、工場側におきましても早急に処理を図りたいということでございまして、近日中に本人を工場に呼びまして最終的な審査を行いまして、支払いの手続をとりたいということでございまして、これは十月十八日に本人に電話で伝えておりまして、本人もこの旨については了解済みというふうに聞いております。
○田中(美)委員 けさ電話をかけたのじゃないですか。私が質問するというので、あわてて本人に電話をかけたというふうに私は聞いておりますけれども、そういうごまかしをするから、私はこういう大きい声を出さなければならないのです。もっと率直に言っていただきたいと思うのです。解決していただければ私は文句はないわけですよ。早急にこれを払っていただきたいと思います。 それからもう一つ、この人以外に六名の申請の人がいるわけです。この人たちを含めて七名は、まだ公社の社員です。それなのに、なぜ門に入るときに社員扱いをしないか。ラーメン屋さんでもフリーパスで入ってくるのに、この七人が給料を取りに行くのにさえ門のところでチェックをする。チェックをしなければ給料を払わない。大臣、給料を払わなかったら労働基準法二十四条違反でしょう。十月分を払っていないでしょう。払っていますか。お答え願いたい。
○森説明員 公社におきましては、どの工場でも、社内取り締まり、職場管理という点から、外来者等の入場につきましてはチェックを行っております。これは私ども専売品を扱っておるということもございまして、入場者につきましては氏名、行く先等を明らかにいたしまして、万全を期しておるわけでございます。
○田中(美)委員 幾ら何でも失礼だと思うのですよ。委員長、あの方の名前を聞かせてください。何とおっしゃる方ですか。
○橋本委員長 ここにありますのは専売公社森職員部長というのですが、間違いないですね。
○田中(美)委員 私か聞いていることは、外来者について言っているのじゃないのです。だから時間か超過するのです。あなたが時間を超過させているのですよ。私は、この七名について、社員であるのだから社員扱い——当然、社員でしょう。外来者について何も聞いていませんよ。外来者のラーメン屋さんだって社員と同じように中に入っているのに、この七名を門でチェックし、チェックしなければ給料を支払わないと言って、いまなお払っていないと聞いているのですけれども、払っているかどうかだけについて答えてください。
○森説明員 これにつきましては、いまだ本人の方には届いておりません。
○田中(美)委員 大臣、労働基準法の二十四条違反じゃないですか。労働者に賃金を払わないなどということは違反でしょう。大臣、早急にこれを改善させてください。そして今後一切、社員と同じように扱うことを強く要求して、私の質問を終わります。
○石田国務大臣 答弁も妙だし、それからあなたのいまの話も、社員なんでしょう。それなら社員としてやって、(田中(美)委員「やっていないから聞いているのです」と呼ぶ)
○橋本委員長 発言をちゃんと求めてから御発言願います。
○石田国務大臣 社員ですから、社員と同じようにというのは話が違うのと同時に、どういうわけで払わないのか、払わない理由を簡潔に、どうぞお願いいたします。
○森説明員 六月に浜松工場におきまして盗難事故がございまして、入出場につきまして特に注意をいたしましてチェックをしておるわけでございます。たまたま御本人が来られましたときに、名前、行く先等を聞きました。それが工場側におきまして、こういった扱いをするということにつきまして本人に十分周知をさせていなかったということがあったと思いますか、トラブルか起こったということで、本人が入場をしませんで帰りました。給料と申しますか、この場合、休業補償でございますが、これを本人がまだ受領していないということでございます。
○田中(美)委員 それでは、これで終わりますが、給料を支払ってもらえますね。——それではわかりました。
○橋本委員長 次に、工藤晃君。
○工藤(晃)委員(新自) それでは質問に入らせていただきます。 多くの委員から指摘があったように、ただいま構造不況がはなはだ深刻でございまして、こういう認識については、すべての方々の認識は一致していると思われます。特に構造不況業種に対しては、それを救済するための特別措置法を与野党合議の上で解決するための努力を、ただいま、しているわけでございますが、もちろん、そういう問題を踏まえて、構造不況業種の従業員あるいは一般企業からも今後、離職者か増加する傾向をたどることは必然的なものだと考えられるわけでございます。そういう点について、それを受け入れる再就職の場をどのように獲得していくかということは、具体的な一つの大きな政治課題であろうと考えるわけでございます。そういう点について、私はきょうは、その市場をどのように求めていくかについての各論的な提案をしたい。特に再就職の場を、国内だけじゃなくて海外にも求めていくような考え方を持ってはどうか、そういう考え方のもとに幾つかの質問をさせていただきたい、かように考えるわけでございます。 それについて大臣にお聞きいたしますが、この構造不況を改善するためには相当の期間もかかろうと思いますし、今後ともに離職者もふえてまいろうことも当然考えられるわけでございますが、この点について大臣の認識は、どのようにお考えになっていらっしゃいますか。
○石田国務大臣 現在の雇用問題というものは二通りに分けて考えられると思うのです。一つは景気の変動によって生ずる雇用問題。もう一つは、いろいろな構造的な原因、第一には設備の過大、いわゆる供給の過剰、そういうことによるもの、それから第二には北洋漁業のような国際情勢の変化、そのようなものによって生ずるもの、それから第三番目には、たとえばオイルショック等によって電力料金が上がる、そのために競争力を喪失する、第四番目には、いわゆる開発途上国との競争によって圧迫を受ける、こういうふうな四つに分けられると思います。 産業界全体、特に製造業全体で見ますと、先ほどから何度もお答えを申し上げておりますように、鉱工業生産指数は四十九年から五十年まで下がりましたけれども、いままた、もとに戻って、四十九年よりはやや増加しておる状態です。ところが雇用指数、指標の方は約八%ほど低下しております。したがって、全体として見れば過剰雇用感というようなものはやや緩和しつつある。ところが、それにもかかわらず、なぜ有効求人倍率が低いのかということになりますと、これは非労働力人口が求職活動を始めたという面がかなりあります。つまり、いままで家庭におった三十九歳以下の婦人の就職活動というものかかなりあるわけです。そういうこともあると思うのです。前段の方は景気の回復に伴って改善されてくると思いますが、後段の方は、原因の背景をなすいろいろなものか処理されないといけない。したがって、そこからはかなりの離職者が出るだろう。 先ほどもお答えいたしましたように、その構造不況業種全体としての雇用数は約三百六十万ぐらいじゃないか。その中から繊維流通部門百十万くらい、これは繊維だけを売っている商売ではありませんから、構造不況とは言いかねるので除きますと、二百五、六十万、その中で、どれくらい過剰雇用があるか。これは、そこまでのヒヤリングは皆、応ずるのですか、それから先のヒヤリングは、労使関係があるものですから答えたがらないのが実情であります。日経連等では四百万の四十万とよく申します。しかし、実際われわれの方で調査いたしますと、四百万に当たる部分が二百五、六十万、そして一割が妥当であるかないかということは私も責任を持って言えないことでありますが、一割ということになると二十五、六万というものか出てくるのではないだろうか、私どもは、構造不況業種についてはこういうふうに考えておる。そのうちの半分以上は繊維になります。そういうふうに理解をいたしております。
○工藤(晃)委員(新自) その構造不況業種から生じてくるであろう離職者については今後ともに、やはり相当厳しくとらえていかなければならぬ面があろうと思います。それについて、そういう離職者の再就職の先と申しますか受け入れ体制は、いま、どのようにお考えでいらっしゃいますか。
○石田国務大臣 まず第一に、失業という状態を経過しないで転職できる方法を考えなければならぬ。そのためには、その職場にあるうちに転職の訓練をさせる。やむを得ず離職した場合は無論、雇用保険金を支払いますけれども、同時に、できるだけ早く次の仕事を見つけ出すための職業訓練を受けてもらう。そして、できれば訓練を受ける前に就職先を決めておいてもらうのか望ましいのですが、そうでない場合は訓練中にも安定所と連絡をとりまして対処していきたい、こう考えているわけでございます。 一方、求人の開拓というもの、これを先般も全国の安定課長会議を招集いたしまして、積極的に行うように、これはどこに求めるか、こういう一般的な議論でなくて、個々の人々の適能適職がございます。それから今回は私どもは、向こうの希望だけ聞くのではなくて、客観的に見て、この仕事が当たる、適当だというものを指示する方向で持っていきたいと思います。大体、第三次産業に雇用吸収力が一般的に多い。特に生活関連、消費関連の部門に多い。製造業におきましても、いずれ今月の終わりぐらいまでには発表できると思いますが、職種によっては求人倍率の非常に高い職種が多いのです。それが七十万とも七十五万とも言われておりますが、そういう職種の訓練を受けさせる。職業訓練所で訓練を受けた者の九〇%ぐらいは、就職をいたしております。一〇%の中にも相当部分、自営業というのがありますので、訓練を受け、新しい時代に即応する技術を身につければ、新しい働き口を見出してあげられると考えております。
○工藤(晃)委員(新自) お話を聞いておりますと、何となく、すべての再就職は可能のような感じがしてまいるわけでございますけれども、現実は大変厳しかろう、このように私は受けとめております。 もう一つは、そういうふうな再就職が円滑に行われる前提条件として、産業構造そのものがそれに対応できるような形になっていかなければ、なかなか、そういう理想は実現困難だというふうにも考えますし、そういうふうに好転していくためにも相当の期間的なものも必要であろうというふうにも考えるわけでございます。そういうことから踏まえて、やはり当分の間は、そういう失業者の問題は深刻な問題として私どもはとらえていかなければならぬ大きな課題だと考えているわけですが、最近は中高年齢層の離職という形だけでなくて、若年者の失業という問題も、社会の大きな問題としてクローズアップされつつあると思います。イタリアその他についても、そういう面においては大変深刻のようでございますけれども、そういう傾向が多少、日本にも起きつつあるのではないか。こういう若年層の失業者を社会が放置しておいては、いろいろな意味においていい結果にはならないという、ただ単に失業という問題だけではなく、社会不安の大きな原因にも結びついてまいりましょうし、いろいろな犯罪構成の原因の一つにもなろうとも考えられます。そういうことを考えて、そういう若いエネルギーをどのように転換しながら活用していくかということについて、発想の転換もしてみてはどうだろうかという提案を私はしたいと思うのです。 とにかく日本の国内において、そういう再就職あるいは若年層の就業の機会をどうやってつくるかということも重要な問題でございますけれども、大臣もおっしゃっているように、とにかく再就職のための職業訓練その他についても積極的な姿勢を示されておりますが、そういうものについても合目的な一つの市場の拡大というものも、いま考えてみる必要があろうかというふうに考えるわけです。それはやはり国内市場をながめた場合には限界もございましょうし、それからまた、門戸もはなはだ狭いようにも考えられるわけでございますので、国際協力という立場に立って、国外の受け入れ国に対して、その発展に寄与するという立場に立ちながら、適材適所という意味を含めて再就職の場を、あるいはまた若い人たちの働く場を、技術協力あるいは海外移住というシェアの拡大という立場に立って、いろいろな問題を考えてみてはどうだろうかという一つの提案をしてみたいと思います。 これによって、すべての問題が解決できるとは決して思っておりませんけれども、しかしながら、一つの発想としては具体的な市場の拡大につながるのではないか、こういうふうにも思いますし、景気のいいときは国策としての海外移住もなかなか思うようにまいりませんけれども、こういう不況の間には相当いろいろな意味において、今後の国際的な交流の上からも好ましいような状態で移住政策も推進できるのではないか、あるいは技術協力もしていけるのではないか。そういうことを踏まえまして大臣に御見解をいただく前に、外務省の方に、そういう技術協力を受け入れてくれる海外の国々の状況。あるいは海外移住を受け入れる国として、どのような国があるか。また、そういう国が求めているものは、いま現在どういうものであるか。たとえば移住の歴史の中で大変古い関係にあります南米、特にブラジルあるいはアルゼンチン、パラグアイ、ボリビア、チリ、そういう国々の事情とか、あるいはまたカナダ、こういう国々は、いままでも、そういう関係を持った国々の一つであろうし、その他にも、いろいろとまた技術協力の範囲においては非常に広範囲な交流があろうと思いますから、まず、そういう面の受け入れ国の状況がどのような状態になっているかを勘案しながら、昔のような移住政策、すなわち棄民という形ではなくて、やはり向こうの国々に喜ばれるような状態で、われわれの持っているエネルギーを日本の国だけじゃなくて、そういう国々にも提供しながら雇用の目的を果たしていくという考え方に立って状況の御説明をいただきたいと思います。
○橋本説明員 現在のところ、平均いたしまして年間約六千の方々が移住しておられます。その中で一番多いのは、国名で言いますとアメリカ合衆国でございまして、ただいま御指摘のありました南米でございますが、現在及び将来にわたります日本の移住者受け入れ国といたしましては依然として南米が有望な地域だ、かように考えております。それから南米以外にはカナダ、最近は豪州が非常に熱心に、日本からの移住者を勧誘と申しますか、これは政府がみずから、白豪主義という批判に対抗するためにも、日本人だけではございませんが、特に日本の優秀な特殊な技術を持たれた方というようなことで、ぜひ受け入れたい、こういう熱意を政府レベルでも公式に表明してまいっております。 それから、これはまだ細かい詰めに入っておりませんが、南米の中では特に最近、二つの国、すなわちペルーが日本の移住者を受け入れたいという意図を、非公式でありますが、かなり強い意図を表明しております。それから、これは新聞紙上にも一部報道されましたが、アルゼンチンが日本の漁民の方に来ていただきたい、それでアルゼンチン南部の未開拓の漁場を開拓してほしい、こういう要望がございます。 ブラジルその他、かつて大幅に日本の移住者を受け入れました国につきましても、これは従来どおり、数の制限はもちろんございますが、基本的には日本人の方に来ていただいて国際協力の一環としてのブラジルの振興を図りたい、こういうふうな考え方がある。 したがいまして、おしなべて申しますと、すでに非常に人口過剰な国は別といたしまして、先ほど申し上げました南米それからカナダ、豪州、こういった国々につきましては受け入れていただける余地がまだまだある、こういうふうに考えております。
○工藤(晃)委員(新自) 続けて質問をいたしますけれども、そういう国々の中で、やはり第一次産業に従事するような人を受け入れる国もあれば、あるいはまた開発途上国で、特に工業の発展のために技術者を受け入れたいというふうな国々もあろうと思います。特に日本で構造上、大変、不況業種がある。その中に、そういう国々に行けば技術的にそういう技術を大変尊重されるという国々にマッチする産業、そういうところで要求している部門もあろうかと思うのです。たとえば繊維なんかもそうでございますけれども、日本では、もうどうにもならない。行き過ぎて、過ぎたるは及ばざるにしかずのたとえのとおり、そういうものを縮小しなければいかぬ、あるいは取っ払わなければいけないというふうな業種の中にも、優秀な技術を開発途上国に、そのまま受け入れられる国々もあろうと思う。そういうことについて積極的に、そういうものを実現するために、もっともっと深く詳細な、各論にまでわたって御調査をしていただいて、もちろん御調査をなさっているかもしれませんが、より具体的な調査を踏まえて、行った方も幸せになれる、また迎えた国でも来てもらってよかったという結果を生み出すために、ひとつ、そういうものについての窓口として今後ぜひとも考えていただければありがたいと思うのですが、その点について、ひとつお答えをいただきたいと思います。
○橋本説明員 御趣旨に沿いまして今後とも、できるだけ細かい調査を進めてまいりたいと思います。
○工藤(晃)委員(新自) そういうふうな実態でございますけれども、そういうことについて大臣ひとつお答えをいただきたいと思いますか、そういう前提で、構造不況業種からの転職者あるいは離職者その他いろんなところから発生するであろう失業対策に対して、特に再就職のための職業訓練とか、そういう政策を積極的に打ち出すとするならば、そういうことに対しての援助の手段、こういうことも職業転換のための一つの手段としてお考えいただけるかどうか。また、そういうことについて労働省としてどのように対応されようとなさいますか、大臣から忌憚のない御意見をちょうだいしたい、こう思います。
○石田国務大臣 いま海外の実情については外務省の方の参事官の説明がありましたが、大体私も、その程度のことは知っておるわけであります。私自身も非常に不思議に思うのは、このアルゼンチンの漁業技術者を水産資源開発のために求めているということに対して、日本側の対応が見られないことを非常に不思議に思っておりましたら、役所がやるより先に水産会社かみんなやっておるそうでありまして、そういう方向に向けて努力を、私ども協力できる部門は協力をしたいと思います。特に、開発途上国と一口に言いましても、石油生産国ではもうお金は要らないので、欲しいのは技術なんだ、こういうことでありますので、そういう方向へ進出希望者の技術訓練、これは語学も必要でありますので、そういうものをあわせた方向も考究をいたしたいと思っているところであります。ただ、同じような技術水準に達しておる国々、西ヨーロッパの国々も相当な高度の失業率でいま苦しんでおるわけであります。したがって、簡単に対応すると言っても、そうはいかないわけでありますので、そういうことに対する具体的な対応策というものは、これは技術を持たないで行く人は向こうは歓迎しないのですから、技術を持たせるように努力をして実現を図っていきたい、こう思っております。
○工藤(晃)委員(新自) そういうことについて私がお聞きしたいのは、たとえば職業訓練にしましても、やはりそういう調査が前提に立って、この国でどういうふうな技術を一体求めているのか、そういう部門にどれぐらいの人数が進出できるのか、そういう点も踏まえた具体的な職業訓練の場を、あるいはまた、そういう制度を勘案しないと、いま大臣おっしゃったように歓迎されざる客という結果になろうというふうな不安もございます。いままで日本は比較的そういう面について、ただ送り出せばいいんだというふうな安易な考え方で移住をさせた時期もあったように伺っております。そのためにドミニカのような、そういうふうな帰ってこなければいかぬというようなこともあったのではないか。いろいろ原因は、それは追及すれば、それだけではなく、いろいろな問題もありましようけれども、やはり、そういうことを踏まえて、ぜひとも今後の移住には高度な技術を持った方々を、その国に行っても社会的にも非常に高いレベルで歓迎されるであろう、そういう人たちを国がもっと責任を持って行っていただくような形に、ぜひとも労働省も御勘案いただくと同時に、やはり、これは労働省だけでは困難な問題でございますから、そういう一つの国策として、そういう問題についてもっとPRもし、国内の方々の消沈した気持ちを、海外に雄飛してもらって、そして生きがいのある人生を送れるんだという、そういう期待感を若い世代あるいはまた中年の方々にも持たせる。また、その技術あるいは頭脳、そういうものを、これは頭脳の場合には、そう若くなくたっていいのですから、そういう方々にぜひとも、日本で活用できない、しかしながら社会資本としては大変大切なそういうものを開発途上国あるいは、そういうものを求めている国に提供していくのが、やはり国際協力として日本の地位も、そういうことで間接的にも高まるのではないか。そういうことを含めますと、やはり重要な一つの発想に結びつかなければならない。 だから、いわば安易に送り出せばいいんだという考え方ではなくて、世界の中における日本のあり方、そういうものを踏まえて、今後、景気が不景気だから送り出すんだという考え方ではなくて、こういう機会にそういうチャンスをつくりながら、やはり恒久的にそういう政策を推進していく、こういうことも一つの長期的な完全雇用という考え方にも結びつくだろうし、そういうことをひとつ踏まえて大臣も、私はお願い申し上げたいのは、やはりその具体的な施策というものが総合的になされることを期待したいので、ただ単に国会の答弁で終わってしまうということは私は残念なものですから、もし、そういうお気持ちが本当におありならば、ひとつぜひ労働省として、こういう目的のためにこういう具体的な作業をいたしましたということを御提示いただけるように、お願いを申し上げたい、こう思うのですか。
○石田国務大臣 まず第一に、一番肝心なことは、現在持っている仕事でそのまま役に立つものを見出すことが一番大切じゃないか。これは、外務省の所管で海外移住事業団というものがございますが、それとも私どもの方で連絡を密にいたしまして、とにかく現在持っている技術を生かして、そして向こうも喜ばれる、たとえばアルゼンチンの漁業のような問題だと思います。それから技術の導入ということになりまして、その間に食い違いができる。その食い違いができる場合に、技術訓練、いわゆる職業訓練というものが次に出てくる課題だ、こう思っておるわけであります。その技術を欲しがる国々で、やはり二つ対応の仕方がある。一つは日本から技術者を持ってくる。もう一つは向こうの人を日本によこして訓練をする。後の方は現在やっております。それから、現在持っておる技術を生かすという意味におきまして、ちょっと私、名前を失念をしたのでありますが、中高年で定年退職をした人で、語学力もあり、相当な技術を持っている人を海外にあっせんする、開発途上国にあっせんするという仕事が開始されておりますので、これとも密接な連絡をとっていきたい、こう考えております。
○工藤(晃)委員(新自) それでは、この問題については、ひとつぜひ外務省も具体的に御検討いただいて、大臣のいまの答弁がより有効になるように、ひとつ協力をしていただきたいと思います。そういうふうにお願いいたします。 最後にお願いをしたいと思いますが、この前の国会でも、非常に不況が続いてまいりますと、いろいろな意味において、まず社会的弱者と言われるような方々、特に寡婦とか身障者とかというような方々が、そのあおりを受けてくるのではないか。そういう方々が大企業に就職する機会は非常に少ないでしょうし、やはり中小企業、零細企業で働いていらっしゃる方も多いだろうと思うのですが、そういうところが倒産するとか、あるいは、そういうことによってあおりを食っていく、そして失業なさるという可能性がある。そうすると、そういうものを受け入れていくような、たとえば母子寮なども、受け入れとして拡大しておく必要があるんじゃないかということも申し上げたわけですが、そういう、ただ住まいの問題だけではなくて、そういうものを本当に、再就職できるまでに親子心中が起きたり、あるいはそういう社会的な非常な悲劇が起きないような配慮をしていただきたい、こういうことを申し上げて、職安の窓口でも、できるだけそういうことについては配慮をいたします。こういうお話でございましたか、現状そういうことについて何か、そういうふうな社会的弱者の方々の失業が、どのような状態にいま置かれているか、簡単で結構でございますが、ひとつお答え願いたいと思います。
○石田国務大臣 特に身障者とか、あるいはそのほかの社会的な弱者が、景気の変動あるいは構造の変化というような場合に、ねらい撃ちされて先に離職するというような、そういう現象は特に報告は受けておりません。先ほどの御質問にもあった身障者の雇用状態というものは、きょう五時に発表をいたしますので、おわかりをいただけると思うのでありますが、必ずしも民間企業その他においては満足のいくべき成績ではございませんけれども、現在すでに雇用されておる者が先に排除されるというような報告は聞いていないわけでございます。ただ、私どもの方でとっております中高年齢層の雇用対策、これがどうも人に知られていない。そこで、これはせっかく設けられている制度をできるだけ多くの人に知ってもらい、利用してもらうように、さらに一層の努力をいたしたいと思っております。
○工藤(晃)委員(新自) それでは最後に、そういう社会的弱者の方々に対する御配慮を特別深くしていただくことをお願いして、私の質問を終わらしていただきます。
○橋本委員長 次回は、明後二十七日木曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午後四時五十一分散会