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82回国会衆議院1977/11/25

外務委員会 第9号

発言数
103
登壇者
9
会派数
5
開催日
1977/11/25

会議録

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 これより会議を開きます。  請願の審査を行います。  今国会、本委員会に付託されました請願は合計五十四件であります。  まず、請願の審査の方法についてお諮りいたします。  各請願の趣旨につきましては、請願文書表によりましてすでに御承知のことと存じます。また、先刻の理事会におきまして慎重に御検討いただきましたので、この際、各請願についての紹介議員よりの説明等は省略し、直ちに採否の決定をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  採決いたします。  本日の請願日程中、第一、第四及び第一五の日中平和友好条約の即時締結及び批准に関する請願は、いずれも採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、請願日程第四八の日中平和友好条約の早期締結に関する請願は、採択の上、内閣に送付すべきものと決するに御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、ただいま議決いたしました各請願に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     ————————————−     〔報告書は附録に掲載〕     ————————————−

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 なお、今国会、本委員会に参考送付されました陳情書は、お手元に配付してありますとおり九件であります。念のため御報告いたします。      ————◇————−

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 閉会中審査申し出に関する件についてお諮りいたします。  国際情勢に関する件について、議長に対し、閉会中審査の申し出をいたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、議長への申し出に関する手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  閉会中審査案件が付託になりました場合、本会期中設置されております多国籍企業等国際経済に関する小委員会は、閉会中もなおこれを設置し、調査を続けたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、小委員及び小委員長は従前どおりとし、その辞任及び補欠選任につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  閉会中審査のため、委員会及び小委員会において、参考人より意見を聴取する必要が生じましたときは、人選その他所要の手続等につきましては、あらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  次に、委員派遣承認申請に関する件についてお諮りいたします。  閉会中審査案件が付託になり、現地調査の必要が生じました場合には、委員派遣を行うこととし、派遣委員の選定、派遣地及び期間並びに議長に対する承認申請の手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。      ————◇————−

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。土井たか子君。

土井たか子日本社会党

○土井委員 本日は、当臨時国会最終の日に当たりまして、当外務委員会におきましては臨時国会最終の質問ということになるわけでございます。     〔委員長退席、有馬委員長代理着席〕 内閣改造を初め、まことに政局あわただしい折から、いろいろ諸般の事情を勘案して、外務大臣におかれましても答弁がしづらいとお思いになる点もあるかもしれませんが、しかし諸般の事情から考えれば、きょうこそ外務大臣としては意のあるところをはっきり御見解を表示なさることが私は最も大事な問題ではないかというふうに考えます。したがってきょうは外務大臣に対しまして、目下これからの行方が大変注目をされております最重要な問題と申し上げてよいと思いますが、国際収支の問題等を含めまして御質問をさせていただきたいと思うのです。  OECDなどヨーロッパで開かれております一連の国際会議の動向いかんによりましては、一ドル二百四十円を維持することができるかどうか、まず予断を許さぬ緊迫した情勢とただいまなっておりますが、政府がこのような為替市場の混乱を何とか防止せざるを得ない、最悪の事態にまで追い詰められるような状況に立ち至った最大の要因というのはどこにあるというふうに、外務大臣としてはお考えになっていらっしゃいますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 昨日から二百四十円の攻防戦が展開されておるわけでございます。通貨問題につきまして急激に円高になってきたということにつきましては、これは日本の経常収支の黒字、貿易収支はさらに大きな黒字を出しておりますが、この傾向がなかなか変わらない、こういうことが基礎にあることは事実でございますけれども、またこの経常収支の黒字を反映しておるということにつきまして、それがまた投機的な動きを呼んでおる、こういうことも事実であろうと思います。またあるいは意図的な動きがあるのではないかというようなことも言われておりますが、その点ははっきりはいたしておらないわけであります。しかし、私ども常識的に考えまして、いまの円高がずるずる行くということは、日本自体の問題といたしましても忍べるものではないというふうに考えますし、昨日来日本銀行がこれに対しまして買い向かったことにつきまして、私どもはそれなりに正しかったことであろうと思います。  何ゆえにこのようになったかということは、一つはやはり日本の経済企画庁が行っておりました従来からの経済見通しがこれが相当開いてきた。そういうことにつきまして海外からの批判が強く出ているということも確かであります。しかし問題がレートによって解決されるかどうかということになりますと、これははなはだつらいところでありまして、レートが円高に急になった場合には、その効果というものはしばらく期間がたってから生ずるというのが、従来からの経過でありまして、円建て契約等によりましてはかえってドル収入がふえる効果もあるわけであります。また、これが急激に円高になっても、貿易収支に直接すぐあらわれないということがまたいらいらを呼んで、これではもっと円は高くていいんじゃないかというようなことも出てくる。そこが心理的な要因が加わって非常に危険な様相になってきたというふうに考えます。日本の貿易規模が御承知のように往復、輸出入合計いたしますと千四百億ドルを超えておるわけで、これが仮に五%動きましても七十億ドル以上という巨額になってしまうということで、この何%の誤差というのが実のところ非常に問題を起こしているのであろうと思います。  しかしそのようなことは申しわけにすぎないので、政府として政策を決定する、そしてその政策を実行いたしましても、どうしてもこれはタイムラグというものが生ずる、そういう意味で政府といたしましても、九月の段階の景気、内需を進行しようという政策を決めました段階でも、すでにこれは普通の年よりも急いで措置をとったわけでありますけれども、その効果がまだあらわれないうちに、いろいろ貿易収支の黒字が縮小しないということに対するまたいらいらが起こっているということも事実である。そういうことで経済見通しとしては非常にむずかしい時代であると思いますが、このような時代になりましたこと、これをどこが悪かったということでなしに、これから、ではどうしたらこの問題を解決できるかということに真剣に取り組まなければならない、そういう時期にいまわれわれはあると思っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまの外務大臣の御答弁では、日銀の買い支えに対して一定の評価を持っていらっしゃる向きの御答弁になっておりますが、新聞報道などによりましても、日銀の買い支えによって辛うじて一ドル二百四十円というものを維持し得ているというこの現状に対しまして、欧州市場などでは、何でそんな人為的な不自然なことをするのかというふうな見方が非常に強いということも伝えられております。また日本政府が打ち出した為替管理発動という問題に至っては、そんな小細工をしても円高の趨勢というものを変えられるはずがないという、非常に冷ややかなと申しますか、きわめて評判の悪い動向が最近は欧州市場において見られるということも伝えられております。  ところで、いま外務大臣がおっしゃいましたことに少し関係をいたしますが、わが国に対しまして経常収支の赤字を迫っておりますアメリカの態度もきわめて異常と言わなければならないと私は思いますけれども、世界経済の危機に際しまして先進諸国が協力していま対処しようといたしておりますときに、わが国が六十五億ドルの黒字見通しを改定しまして、実際には九十億ドルくらいから百億ドルに上る黒字を蓄積するという状況になっているというふうなことでは、口先だけで何も実行しない日本、こういう定評というものがわが国の対外姿勢に対して、非常に思わしくない評価として出てまいりますし、こういうふうな現状が相変わらず続いていく限りにおいては、日米両国の経済対立というものについて早急にこれを解決し得ないのではないかという向きをみんな持つわけでありますが、これに対してどのように外務大臣としてはお考えをお持ちでいらっしゃいますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 諸外国の中で黒字国と言えば、日本、ドイツ、オランダ、スイスというような四カ国が挙げられておりますが、これらの国が、油の産出国が仮に四百億ドル黒字を出すということになりますと、また先進国の中でもそれと匹敵するくらいの黒字を出すということは、これはその他の国に対して大変な圧迫になるという、世界的な観点から論ぜられておると承知をいたしておるわけでありまして、この点につきまして世界各国が協調して進まなければならないこういうときに、日本といたしましても黒字を極力減らしていく、経常収支を均衡にする、赤字化させるということは、非常に金額が大きいだけに予測もつかないわけでありますけれども、政策の方向といたしましては、日本といたしまして国際協調の上からいいましてもぜひそういった姿勢をとらなければならない。ただ、私どもが口先だけで、自粛をしないというような非難を受けておるわけでありますけれども、円高問題がこのように急激に起こらない前の段階におきまして、二兆円の追加投資をやるということで、しかもこれは内需でそのような対策を講ずることによって日本は真剣に対処しようとしたわけでありますが、円高問題が生じてきたということで、またこれが複雑な要因になってきたのはもう御承知のとおりでございます。しかしこのような環境下でありますだけに、国際協調の上から、この黒字を経常的な趨勢において減らせるような施策がぜひとも必要である。ただ、それには時間がかかりますので、臨時応急の措置も当然必要になる、このように考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いま外務大臣がおっしゃいましたその御見解というのは、昨今急に出てきた日本政府としての物の考え方ではないと思うのですが、ただ、どうしても気にかかるのは、本年五月の例のロンドン主要国首脳会議のあの席での問題であります。あの五月のロンドン主要国首脳会議で福田総理は、五十二年度御承知のとおりに六・七%の実質成長率というものを公約をされてきたわけでありますが、何とかこの公約さえ実現させれば、経常収支の黒字に関して対外的な批判を受けることはないであろうというふうな判断で臨まれたということをわれわれも承知しております。この判断自身がどうも甘い判断であったのではないか、このようにも考えられるわけでありますが、このことについて外務大臣はどのような御所見をお持ちでいらっしゃいますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 ロンドンの首脳会議におきましては、実質成長率六・七%にすることによりまして日本は国際的な責任が果たせるというふうに考え、また果たすべきであると考えたわけでございます。経常収支は七億ドルの赤字ということに政府の経済見通しはなっておったわけでありますけれども、この七億ドルの赤字という点につきましては、数字がどうなるか、これは必ずしも公約をしたというふうには考えておらなかったわけでありますけれども、しかしこれは政府の経済見通しでありますから、七億ドルの赤字ということも相当伝わったわけでございまして、そのころといたしまして、それは七億ドルというものが、あるいは若干の黒字になるかという程度のことは考えられておりましたのですけれども、年間これが、改定が六十五億ドルになったわけでありますが、半年で五十五億ドルになっておりますから、これは百億ドルを超すのではないかという各国の見方が出ておるわけで、このように大きく狂うということは当時は考えておらなかったということは確かでございます。その点は予測が狂ったとしか言いようがないわけでございます。その点が大変な不信を呼んでおる、あるいは批判の対象にされておるということが事実であり、そのことがまたレートの問題にもはね返ってきておるということも事実であろうと思います。六十五億という計算をした際におきましても、これは相当下半期におきます輸入努力をするということ、政策意図を織り込んでの数字である。しかし、そのようなことができませんと、これは百億ドルになってしまう。こういうことで、六十五億ドル自体につきましても不信感が強くあるわけでございます。そういう意味で何とか緊急輸入ということもぜひやらなければならない、こういう事態になっておるわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いま緊急輸入措置の問題についてまで、外務大臣は御答弁の中で言及をなすっているわけでありますが、この五月のロンドン会議以降、特にいまのその緊急輸入の問題も含めましてどうしてもやはりひっかかるのは、九月十三日の東京で行われました日米準閣僚会議の問題であります。あの席で日米間における懸案の経済問題が討議をされたことはもう周知の事実でございますけれども、その会議でアメリカ側から、わが国の輸入制限措置の撤廃、それから経常収支の黒字減らし等々について、非常に強い要請があったのではないかと言われています。これらの対日要請に対しましてわが国が一体どういう対応措置をその当時お考えになり、その後おとりになったのか。この点は、一つは、今日に至るこのいきさつとして大変重要な一つのポイントだと思いますから、大臣のお考えをお聞かせいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 九月の十二、十三両日におきまして、アメリカから次官クラスが見えまして日本で高級事務レベルの会議をいたしました。そのときに両者で経済情勢につきましての検討を行いました。しかし、この会議は交渉するというような会議ではなかったのでございます。お互いに見解を述べ合ったわけでございます。政府といたしましても、九月時点ではこの国際収支の問題に真剣に取り組まなければいけないということで、九月二十日に経済対策を決めたわけでございますが、そういう意味で、当時から問題点は非常に明らかになりつつあったわけでございます。当時議論さたましたのは、やはり六十五億ドルという改定見通しの数字がすでにそのころ出てきておったわけでありますが、これはもっと大きくなるのではないかという先方の理解がそのころもございました。そういう意味で、経済対策の問題といたしまして、日本がもっと輸入をふやすべきである。輸入をふやすにつきまして、アメリカ側の意見というものは従来からあるわけでございます。自由化の一連の考え方がございます。それとともに、日本は製品の輸入をふやすべきである。日本は製品輸入が二〇%にしかならない。これは日本と同じような経済構造を持つ、たとえばイギリスをとって見ましても、これはもう半分近いものが製品輸入である。日本はもっと製品を輸入すべきだ、そのために門戸を開くべきだという主張は、かねがね先方から出ておる考え方でございまして、日本といたしましては、原料を全部海外に仰いでおりますから、日本の原料輸入の比率が非常に高いんだ、そういう特殊な性格で、しかも油が四倍に上がったということで、製品輸入率がまた逆に下がって、逐次上昇してきたのが、また油の値上がりによって製品輸入率が下がってしまったという経過もよく説明をしてあるわけでありますが、そういった見解を述べ合ったというのがあのときの高級事務レベル会議でございます。以来、政府といたしましては、対外経済政策に真剣に取り組んで、その具体的な交渉ごとが、つい先ほどまで行われましたりバーズ代表が見えた会合でありまして、この点につきましてはこれは具体的な折衝的な会合になっておる。こういうことで、連続して検討をしておるというふうに御理解を賜りたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いまの御説明を承っておりますと、当時アメリカ側の見通しの方が、厳しいけれども現実のこの状況に対しての認識を持っていたと言うことができるように思います。日本側がその点はいつも甘い考えで事に処してきたのではないかといういきさつが、何だかわかる気がするわけでありますが、その日米準閣僚会議自身が、あることを具体的に決定し、そして約束する場所でないとしましても、それに対して一定の両者間の理解の上に立った、日本は日本での対策というものを具体的に講ずるという、そういう会議であってしかるべきだと私たちは思います。そのとおりだろうと思うのですが、そういうことからいたしますと、あの日米準閣僚会議などを通じて、今日の最悪事態というのは予想し得ないにしても、わが国としては実行可能なこと、また、必要最小限度実施しなければならないことに対して、時期を逸することなく、その内容と実施時期を明確にしておく必要があの直後、また当時あったのではないかと思うのですが、こういう必要があったのではないかということに対して、その当時十分答えておりません。このことに対して大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 九月の時点におきまして高級事務レベル会議がございました。またその後、私はニューヨークでバンス国務長官等にも会見をいたしたわけでございます。しかし、そのころにおきまして、日本政府が二兆円の追加国内対策をとるということにつきましては、それなりにアメリカ側もある程度の評価をしておったわけでございます。ただ、今回の補正措置というものは確かにGNP一%くらいの効果があるわけでございますけれども、その効果が出る前に通貨問題の方が先に噴き出したということで、日本の政策態度というものについてある程度の理解を示しておったわけでございます。しかしながら、結果におきまして通貨の方が先に火を噴いてしまったというのが実態でございます。なお、追加措置につきましても、あるいはいろいろ批判はあろうかと思いますけれども、それはそれなりに評価は受けておったということを申し上げたいと思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 見通しと違って通貨の方が先に火を噴いたという事情に対しての、ただいま事実を指摘されながらの御答弁なんですが、日本の政府はこういう最悪の事態にやがて追い詰められるであろうということを、一体いつごろから真剣に考え出したのかというのは実は大変関心事であります。いつまでたってもこういう状況だと、いまだに目が覚めてないのじゃないかという、いまの状況に対しての批判も現にあるわけでありますが、黒字国としての自覚と責任ある行動というのが伴わぬ日本ということで、もうすでに欧米諸国からも強い批判がわが国に向けられているというのは大臣ご存知のとおりの状態なんですね。いつかは経営収支の黒字解消について具体的な政策の実施を迫られるとは、政府としては当然お考えになっていらしたのであろうと思いますけれども、今日のような最悪の事態に追い詰められるということを真剣に考えられるようになったのは、一体いつごろからなんでございますか。いつの時点からそういう認識と自覚を持って、これは何とかしなければならないと真剣に考えられるようになってきたのでございましょうか。この点どうなんですか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 これは日本の国内の経済問題とうらはらの問題で、不況対策が国内で叫ばれ、また海外では黒字の累積問題が出てまいったわけで、これは八月の実績が出てから、ひとつ対策を講じようということで、ことしの七月、八月ごろからすでにそういう問題が出ておったわけでございます。これらについて関係各省が、これは本当に国内で追加財政需要をぜひともやらなければいけないということを決意したのは、八月の段階であったのではないかと私は思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ただいま八月段階という御答弁をいただいておりますが、どうもその八月段階というのにいたしましても、それ以前に打たなければならない手を、打つべきときに打ってこなかったという、たまりたまったいろいろな課題というものを背負っての八月のその決断であったように思われます。対外経済情勢に対して、これは非常に微妙な問題でございましょうけれども、従来事あるたびごとに指摘され続けてまいりましたのは、政府の見通しの甘さと、国際経済環境の変化に対応する事前の対応措置についての決断が不足しているという問題なんです。こういう決断不足であるとか甘い判断というものが、今日の苦境を招いた最大の要因ではないかというふうな指摘がよくございます。外務大臣は、そういう指摘に対してはどのようなお考えを持っていらっしゃるか。これは今後の対応についても一つの心構えになると思いますから、その点もあわせてお聞かせをいただきたいと思うのです。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 何事でも結果が大事であるわけで、このような現在までの黒字が続いておるという結果を見ますと、御指摘の点につきましては甘受せざるを得ないと思います。  ただ、経済の持っていき方につきまして、輸入をふやすことにつきまして、従来は日本として必要な原燃料を輸入するために、これの相当なシェアの輸入が必要であったわけですが、最近は機械関係を中心とした輸出が非常に伸びてきたという点から、加工率が上がってきた。したがいまして、輸入と輸出についての、この程度の内需をふやしていけば輸入が非常にふえるであろうというようなことが、なかなか従来どおりでなくなったという面も出てきたと思うのであります。鉄鋼の輸出もまだ非常に強いわけですけれども、しかし鉄として輸出するよりも、自動車になって輸出をされるということになりますと、原燃料をそれほど必要としない輸出がふえてくる。こういう傾向が出てきまして、日本は従来から原燃料を全部海外に仰いで生きているのだという意味で、原燃料の輸入を非常に重要視してきたわけでございますが、それに対して最近は加工度の高い輸出がふえてきたということによりまして、日本の貿易構造が非常に有利になったという面が、ことしあたりは如実に出てきたような感じを受けるわけでございます。  そういう意味で、いろいろ予測が狂った、甘かったということは言えるかもしれません。日本の国内経済だけならば輸出が伸びた方が、何事にもかかわらずその限りにおいては結構なことで、景気を引っ張るものとして、従来輸出が伸びて日本経済は回復をしてきたわけで、そういうパターンを繰り返してきたのです。しかし問題は、従来は輸出がふえることにつきましてそれほど世界各国の非難はなかったわけでありますけれども、今回は世界各国に失業問題というような観点から取り組まれて、日本に集中的な非難が浴びせられた。このような非難を受けるのは前回のニクソン・ショックの例もありますけれども、今回は大変厳しい。そういう環境下に輸出が非常に伸びるという点につきまして、これはやはりある程度の自制も必要だという感を持つわけでございます。  したがいまして、この対処につきましてはなかなかむずかしい問題で、輸入を非常にふやす場合にはそれなりに各産業部面に影響が出てくる。特に農業関係の輸入をふやすことについてはこれまた農業団体の激しい抵抗があるわけで、これに対処する仕方は、やはりある程度の犠牲がいずれかの業界に出る。日本として国際協調のためにどのような犠牲を覚悟しなければならないかという点につきまして、大変むずかしい問題を含んでおるという感じがいたすわけでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 外務大臣は、対外経済情勢に対してのわが国政府の見通しの甘さというものが、現実はあったということに対してはお認めになりながら、しかし現在もさらに進行しつつある、こういう、日本が手を打たなければ悪化の一途をたどる情勢に対して、いろんな経済環境の変化というものがそれぞれの時点であるから、したがって対応策はなかなかむずかしいという悩みの点も一つはお話しになっているわけですが、しかし先ほど、今日のような最悪の事態に立ち至る、追い詰められるということに対しての自覚を持ち始めたのは八月段階だというふうな意味の御答弁もいただいています。そうすると、その時点で深刻にこれを受けとめて、先の見通しに対しても相当引き締めた気持ちでいろいろ対処しようというふうなことであるならば、九月段階にあった東京での日米間の準閣僚会議の席でも対応策がもうちょっと違ったんじゃないかと私自身は思うわけであります。アメリカ側からいろいろ球は打たれたに違いありませんけれども、この球に対しても、受けとめてそれを打ち返すだけの、やはりそれだけの心構えといいますか、日本としても先の見通しに対してかなり厳しいものを持った上で臨むことができたんじゃないかと思うのですが、八月段階に日本としては先に対して重大な見通しをつけなければならないというふうな気持でありながら、九月に行われた日米準閣僚会議の席では、それが十分に発揮され得てないというこの関係からいたしますと、これはどうなんでしょう、日米準閣僚会議の席においては、いま外務大臣のおっしゃたことというものは十分に生かされたとは言えないわけでありますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 先ほど申し上げましたが、対外経済対策というものを九月の二十日に決めたわけでございます。その対策は、項目は相当な項目を並べてございますが、これはそれぞれ所管の官庁に関係いたしますので、具体的な内容の細かいところまでは決められておりませんけれども、項目といたしましては対外経済政策につきましての考え方を述べたということで、したがいまして、その時点からずっと引き続いて私ども努力をしてまいったわけでございます。しかし、なかなか具体的な措置まで決めるには現在におきましても、たとえば関税率をどうするかという点につきましても、まだ本当のところは決まっておりません。自由化すべきだと言っても、恐らくこの自由化はきわめて困難、若干の枠はふやすという、各省の見解はその程度でございまして、現在でもまだ内容としてはきわめて難航しておるということでございます。やらなければいけないという意識は各省の担当の方々も皆理解はしていただいているわけでありますが、いざ個別になりますと、総論はいいけれども各論はということになってくるのが非常に多うございまして、具体的にはまだきわめてむずかしい情勢にあると思っております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 恐らくは外務省当局が焦られても、大蔵省や通産省との詰めの上で、いま大臣が申されましたような、総論はあっても各論になるといろいろ異論が出てくるというふうな状況を、繰り返し繰り返しやっていらっしゃるんじゃないかということなんでありますが、ただ、現在政府というのは、経常収支の黒字対策として恐らくとられるであろう中身からいたしますと、輸入品の繰り上げを実施するとか、それから東京ラウンドの先取りなどを考えるとかいうふうな、そういう構想であろうと言われております。しかし、そうした臨時的な対策措置ということ、これはあくまで臨時的な対策措置だと思いますが、こういう対応策だけで、しかもそれを実施することだけで、現在の日米経済対立、これは大変華々しいものになりつつありますが、この対立というものを解消せしめる方向に向けていくことができるかどうか、これをしも私たちは見ておりまして、どうも政府の考えというのは甘いのじゃないか、打つべきときにまだ手を打ちかねているのじゃないかという考えを持っているわけでありますが、これでいまの日米経済対立という問題に対して対応し切れるというふうに大臣はお考えでいらっしゃいますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 貿易の自由化と申しますか、あるいは貿易制度の面におきまして、いまの自由化品目をふやしていく、あるいは割り当て品目を減らしていくということはなかなかむずかしい。しかし割り当て枠はふやしたいとかあるいは関税率を直しましょう、こういうことによりましてどの程度の貿易収支の黒字を解消できるかということになりますと、これはなかなか、おっしゃるようにそれだけで大きな効果を生ずるということではないかもしれないわけでございます。  ただ、一つの考え方として、先方は貿易というものはやはり公正な、平等な立場でこそ競争になる。日本は不当にいろんな障害があるではないかという、そういうことが非常に、特にアメリカの関係あるいは外国から見まして非常に非難を受けるところで、そういう非難の要素を減らしていくという必要がある。西ドイツが、これはやはり黒字でありながら日本ほど非難を受けないという点は、やはり自由化の面におきまして非常に努力をしたということもあろうかと思います。そういう本当に自由化と申しますか、各国が同じ条件のもとに競争をして黒字である場合と、何か不当な制限措置をとりながら黒字を出しているということによりまして、国際的な評価も違ってくるという意味で、わが国といたしまして、そのような非難を受ける要素を少しでも減らしていくべきであろうということが一つであります。  それからもう一つは、やはりこれは経済政策としての考え方で、内需をふやしていくということが、これはぜひとも伴って必要なことであって、その点はその点なりに高級事務レベル会議におきましてもある程度の評価はあった。しかし、日本の黒字は、二兆円ぐらいの対策でもあるいは六十五億にとどまらないであろうというような見解は持っておったようでございます。私どもといたしまして、今後これはすぐ来年度予算の編成につながってまいりますけれども、やはり制度の面と経済政策の面、内需の面と両々実施していかなければならない、このように考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 内需の面と両面を実施するとおっしゃるのは、車の両輪のようなものだろうと私は思います。しかし、当面政府としては、アメリカに対する対応策というのを避けて通るわけにいかなくて、これに重点を注ぎ過ぎるぐらいに意識していろいろな対応策をお考えになっていらっしゃる昨今でありますが、当面目先ばかりの対応策で精いっぱいやらなければならないということはよくわかりますけれども、実行可能な大幅の関税引き下げというものを実施するといたしましても、気にかかりますのは、アメリカやヨーロッパの市場に対しての対応策よりも、もっと大きな、グローバルな物の考え方からいたしまして、この関税引き下げを実施する節、開発途上国に対する配慮であるとかそれから中国との貿易取引に悪影響を及ぼすようなことがないだろうかという問題であります。この点はいかがでございますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 関税の前倒しの引き下げにつきましても、これはアメリカの関心品目ということのみでなく、なるべく多くの品目につきまして実施をしたいということで考えております。  特に熱帯産品等を含みます東南アジア等の産品につきましては、従来からも強い要望がございまして、これらにつきましていまどのような具体的な対策が考えられているか、いまこの場で存じませんけれども、その点はわが国も従来から考えておるところで、ことしもすでにある程度実行もしておりますけれども、来国会に御審議いただく中には当然そういうものも含まれるだろうと思っております。     〔有馬委員長代理退席、委員長着席〕

土井たか子日本社会党

○土井委員 わが国の経済活力というものがアメリカにとってまことに目ざわりである、そのアメリカにおいてはただいま石油赤字に悩まされておる、そしてその結果、国際収支に対してただいまの状況というものをアメリカ側はつくり上げてきた、こういうことが現状としてはあるわけであります。  さらに日本の対米輸出を見てみますと、その対米輸出の中の九割近くが、鉄鋼であるとか自動車など、重化学工業製品で占められているわけであります。しかも、これが日本とアメリカとの間の貿易収支の大きな赤字要因となっていることを排除するために、日本の対米輸出制限というものを求められているとするならば、これはいわば筋違いの対日要請じゃないかということが、しきりに最近取りざたをされておるわけでありますが、この点についてはどのようにお考えになっていらっしゃいますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 アメリカの人はよく、日本はアメリカを開発途上国と思っているのじゃないかということをおっしゃる方があって、日本はアメリカから大変多額の農産物を買って、そして日本は機械等をアメリカに輸出をしている、そういう形が対米貿易の中では大きな特色になってしまっておるわけでございます。そういう意味で、アメリカは日本に対しまして重化学工業製品と申しますか、機械類の輸入を強く求めておるのでございます。  たとえば自動車はアメリカに非常に輸出されますが、アメリカの車はきわめてわずかしか日本に入っておらないわけで、そういう点につきまして世界各国として、日本の市場というのは非常に特殊な、日本の車だけが走っているという市場になってしまっているので、やはり改善すべき点は多々あろうと思います。また排気ガス規制のような問題が絡んできますとこれはなかなかむずかしい。また、関税はいま六%でございますが、これは相当程度下げることは可能と思います。しかし、そのほかに物品税でありますとかその他の税金関係がかかるということもありまして、外車は現実に相当値段が高く売られておる、そういうような点もございます。  そういう意味で、やはりまず政府なり官庁なり、あるいは国鉄、電電公社など、そういう政府が、大きな調達につきましては入札——日本では特定な指名競争というのが非常に多いわけでございますけれども、そういったところにも外国の業者を入れる、門戸を広く開くことが必要だ、そのことは前から外国から要望を受けております。しかしこれらは、日本がもっと外国から製品を輸入するということを、官庁なり公社なりがやるという姿勢を示すことも必要なことではないかという、いろいろな面で改善をすべき点が多々あるように思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 ただいま自動車について言うならば、国内市場というのは一種独特のものであって、改善すべき問題がそこにもあるのではないかという趣旨の御発言を外務大臣はされているわけでありますが、アメリカのみならず、大臣御案内のようにヨーロッパにおきましても、特にイギリスにおきまして、最近のロンドンの市場関係者などの言葉の中には、世界に冠たる乗用車の輸出国である日本が、なぜ国内マーケットを完全フリーにしないのかという発言が出てまいったりいたしております。この改善すべき問題が、自動車について考えるならば国内市場にもあるのではないかという御発言の中身について、外務大臣としては何らかそれに対する措置を具体的にもしお持ちになっているならば、意のあるところをお聞かせいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 外車の輸入につきましてはNOxの基準の問題がございまして、これはたしか排気ガス規制がございます。これにつきましては、とにかく早急にやりますと国内の基準では外車は一切アウトになるということで、それは何と三年延ばしていただいたわけでございます。しかしそのほかにも、やはりいろいろな公租公課があるということもあります。  しかしこれは、やはり大きな車は日本ではかえって使いづらいような面もあってなかなかむずかしい。日本の外国へ出る車も、東京で走っているよりももっと小型のものが非常に多く出ておるので、世界的な情勢として小型車がよく売れているということになっておるわけで、したがって、小型車でいい車が安く入ってこれるようにすることが日本として外車が入り得る点ではなかろうかと思います。しかし関税につきましては、自動車につきましてはこの対策は講じ得ると思っておりますが、その他の諸税はなかなかむずかしいというのが現状でございまして、この程度でありますと輸入は急にはふえないのではないかという感じを持っているのでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 外務大臣は最近、輸出に強い業種については節度ある対米輸出が必要なのではないかということを総理大臣に進言された旨が報道されております。外務大臣とされては、アメリカ側からまだ要求のない自動車輸出について自主規制をすることが、日米経済関係の調整の上から考えて必要だというふうにお考えになっていらっしゃるのかどうか、それからまた、アメリカ側は今後自動車の対米輸出につきまして自主規制を求めてくる可能性が強いというふうに判断されているのかどうか、この点はどのようでございますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 私は輸出につきまして、仮に現状のまま内需を振興していった場合に、輸出が減って内需に振りかわるであろうかという点について、いささか不安を持っておるのでございます。恐らく輸出は、いい商品は売れますからやはり輸出も伸びて内需も伸びる、その結果になってきますと、設備の増設ということが起こって、次にまた内需が減ってきた場合にはよけい輸出圧力が加わっていく、こういう繰り返しをとるおそれがあるのではないか。  一つは、たとえば造船というような産業をとってみますと、いま日本は全世界の造船需要を賄える能力を持っておる、しかも設備は非常に近代化されておりますから競争力も強いということで、これは昨年来からヨーロッパ各国と非常に問題になったわけで、何とかシェアを半々ぐらいにできないかというような話し合いが去年から続いておるわけでございます。そういうように日本が競争力があり、しかも、お互いに日本の国内でも競争していくためには設備を最新鋭にしなければいけない、こういうことで、オイルショック後には造船は一時非常な借金をしょい込みまして、非常な苦境になった。借金といいますか、為替差損をしょい込みました。その為替差損をリカバーするために、設備を近代化してどんどん新しい船をつくって、それでかせいで過去の為替差損を埋めることができた、こういう経過で、今日におきましては世界の大半の注文をみんな日本が取っちゃうのではないかという心配が起こっておる。景気がよくなり、稼働率が上がってまいりますと、九割を超えるような段階になりますと、次の設備投資にかかるというのが産業界で行われておるということで、いま自動車産業につきまして——個別の産業のことを申すのはもう適当でないと思いますが、アメリカとソ連と日本、これは世界の相当巨大な生産国になっておるわけで、そういう中で、競争力が強いけれども、そういった何でも日本でつくってしまうというところまでまいりますと、国際的な抵抗が非常に激しくなってくるという心配もある。したがいまして、黒字対策をやってまいります場合に、輸出の面につきましても何らか配慮を加えながら黒字対策に取り組みませんと、輸入をふやしても追いつかないということが心配になるということで、輸出面につきましても節度のある輸出、何でも日本が制覇してしまうということにならないようなことでいきませんと、日本に対する国際的な風当りというものは解決しないんじゃないか、こういう気がいたすわけであります。  それから、輸入をふやしていくことが拡大方針であるじゃないか、輸出を伸ばし輸入も伸ばしていけば世界貿易がそれだけ広まるではないか、こういうような考え方に対しましては、しかし、日本が輸出を賄うだけの輸入をした場合には、国内でそれだけの生産ができなくなるということになってくる、繊維、雑貨類はすべて輸入になってしまうというようなことは、日本の国の経済として好ましい形ではない。そういう意味で、日本の経済が安定した運営を続けていくためには、やはり重化学工業だけが栄えればいいということではないと思いますので、そういう重化学工業の面で、それはその中でもいま経営状況の悪いところが多いわけですけれども、その中で輸出の強い産業、国際競争力の一番強い産業がある程度の自粛をしていきませんと、日本の全体の経済はうまくいかない、こういうことをふだんから考えておるものですから、輸出の面につきましても節度ある輸出を忘れないようにしてもらいたい、これがいま率直な私の考えでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 いま大臣は明言を避けられているのでありますけれども、これは国内市場に及ぼす影響は非常に大きいということは申し上げるまでもないことでありますし、きょうもニュースで伝えられるところによりますと、自動車産業、特に自動車産業の中でもその下請の中小零細の各企業に、大変強いはね返りがもう現実出てまいっておりますという状況が報道されております。だから、そういうことからいたしますと、大臣の御発言や大臣の御見解についてそれを公にされること一つ一つが、日本のこれからの業界に対してある一定のはね返りをつくっていくということは言うまでもない話でありますが、だからといって、これは避けて通るわけにはいかないし、むしろ責任ある姿勢でそういう問題に対処しようとしたら、やはり外務大臣とされては、あるいは外務省とされては、こういうことがはっきり言えるのではないかという一定の先の見通しに対して、わかる範囲ではできる限り早くこれを明らかにしていく、それを公にしていくということが大事だと私は思うのです。だから、そういうことからいいますと、いま明言は答弁の中で避けられているわけですが、アメリカ側は今後、自動車の対米輸出に関しまして日本に自主規制というものを求めてくる可能性が強いかどうかという点については、どういうふうに判断されますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 アメリカ側は、やはり自由貿易を守ろうと、こういう考え方でおりますので、正面からはそのようなことはなかなか言ってこないと私は考えております。アメリカ内部にはいろいろ議論がすでに出ておるということは、情報としては聞いておりますけれども、政府といたしましては、そのようなことは表面からは言ってこないであろうというふうに私は考えております。そうではなくして、日本にもっと製品を輸入せよ、こういう考えで押しているというのが現状と思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そういうアメリカ側の対応であろうという中で、特に先ほど大臣がおっしゃった、国際市場で非常に強い部面、それは日本の場合には自動車というのが卑近な例になると私は思うのですが、自動車等々についてはやはり輸出に対して自主規制をした方が、これから日本の国際経済上自主的な姿勢を打ち出すという上からいっても大切な問題だというふうに大臣はお考えなんですね。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 私は、実はこれはもう時期的にちょっと遅かったというふうに思っております。このように円高の問題になってしまいましたので、自動車業界につきましては、この円高の二百四十円というようなことになりますと、これはなかなか自動車産業でも楽ではないというふうになっていくのではないかと思うのでございます。しかし、自動車がそういうふうになるということは、ほかの産業は大変つらいことになってくるということで、したがって、現状におきまして、自動車産業に対しまして何らか手を打つべきであるということを私はいま考えているわけではないのでございます。このような円高問題が起こる前に、何らかの措置がとられればよかったなという気はいたします。特に、九月の輸出が月で十億ドル台を超えたのでございます。これがまた円高になりまして、どのような金額になっていくかということ、これは、円高で輸出台数は伸びないけれども、ドル評価ではまたふえるのではないかという心配もあるわけでございまして、なかなか痛しかゆしになっておるわけでございます。しかし、新聞記事に出ましたことよりも、実際にいまの円高相場を見まして、輸出産業はいま相当いろいろ影響が出始めているのではないか、そちらの方の問題じゃないんだろうかというふうに私は思います。

土井たか子日本社会党

○土井委員 そちらの方の問題ではないかとおっしゃるそちらの方というのは、具体的に言うとどういう部面でありますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 自動車産業でありましても、いま二百四十円というようなドルの相場で輸出をすることは大変苦しくなってきつつあるということでございます。

土井たか子日本社会党

○土井委員 その自動車の輸出規制の問題に対して、打きべきときというのはもうすでに遅い、打つべきときに打っていなかったということが、今日じりじりとこういうかっこうをつくってきた、というふうなことにも考えられるような向きの御答弁でありますが、先ほど、外務大臣も含めてだと私は理解をさせていただきましたが、八月段階で今日のような最悪事態に追い結められるということを認識された直接の動機と申しますか、契機になったことがございましたら、それに対して御指摘をいただきたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 八月段階はやはり経常収支といいますか、輸出が非常に伸びておるということで、この点につきましては、これはもっと前からすでに相当指摘がありまして、四月、五月くらいに輸出が非常に伸びた時期がございました。そういうときに、総理がカーター大統領と会見をされたわけでありますが、その後におきましても貿易収支の黒字、特に対米の黒字が非常にまたふえたということがすぐ後に出たりいたしまして、日本に対します貿易収支の問題につきましては、もっと早い時点から出ておったわけでございます。しかし、いよいよこれは何とかしなくてはならないというのが、先ほど来申し上げましたような八月ぐらいからで、このころから、真剣に対策を講じなければならないということに決まってきたというふうに考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 最後に一つお尋ねしたいのは、最近のこういった大変深刻な国際経済状況の中で、わが国が経済協力を進めていく上から、海外協力担当の無任所大臣というのが、現在政府レベルで考えられつつあるという報道に私たち接しております。本来、こういう種の問題というのは、私自身は外務省の主なる任務とただいままで心得てまいっております。またそうであるべきだと思っております。外交一元化からいたしましても、窓口一本化から考えましても、このような担当大臣というものをつくることはいたずらに混乱を招くことはあっても、よりよく事を解決してスムーズに事を運ぶというふうなことにはならないというふうに私自身は考えているわけでありますが、外務大臣の御所見をお伺いして私の質問を終えたいと思います。いかがでございますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 海外経済協力の問題につきまして、従来からいろいろ各方面から非常な御指摘がございます。それはやはり関係官庁が、外務省のほかに通産省、場合によっては農林省、大蔵省、経済企画庁と、このように関係をいたしておりまして、なかなか事がスムーズにまいらない。他方ODAの実績は、毎年努力をしたいと言っていながら、結果を見ますと去年もGNPに対しまして〇・二を実のところちょっと切るというようなことで、まあ〇・二という状態でございます。そういう意味で、経済協力外交と申しますか、これがなかなか進展しないという問題が一つございます。  それから、世界におきます国連加盟国が百四十九カ国というようなことになってまいりまして、外務大臣としての仕事が昔と比べて大変ふえたと申しますか、先方が日本に来られましたのに、こちらからはまだ全然行かれないという国がたくさんありまして、そういう意味でやはり何とか人的にも増強しなければ日本の外交がこなせないではないかという事態が片方にあるのではないか。そういうようなことから、いろいろな構想が生まれております。  私どもといたしまして、これなら一番いいじゃないかという案として勝手を言わせていただきますと、やはり海外経済協力につきまして外務省の外局みたいな組織が持てて、そこに関係の各省からも来ていただいて、そこで海外経済協力関係はすべてこなしていくということができれば一番いいな、と思うのでございますけれども、官庁の機構になりますと、これは中南米局をつくるだけでもなかなか実現できないことでありまして、そのような大きな外局をつくってくれなどということはなかなか認めてもらえない。そういう意味から、無任所大臣という制度をとっている国もずいぶん多いのでございます。外務担当国務省というような制度を持っている国も多い。しかしそれは閣内相と閣外相というようなことが行われている国でありまして、日本としてはなかなかむずかしいのでございます。そういう意味で、この点はなかなかむずかしい。  もとより責任が少なくなった方がいいという考えではございませんけれども、ただ経済協力の促進のためには何らか機構上の改善が必要だということは痛感をいたしております。ただ、外交の一元化と言われておりますので、その点は外務省の中でそういうことができれば一番ありがたいと考えております。

土井たか子日本社会党

○土井委員 終わります。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次に、伊藤公介君。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 最近の円高は日本の経済に深刻な影響を及ぼし、しかも貿易に関係をする国内の中小企業の方々には深刻な事態を生み出しております。先ほどもいろいろ外務大臣の御答弁がございましたけれども、私どもは、ことしの予算編成に当たっても、あるいは補正予算の編成に当たりましても、いまのままの福田さんの経済政策を推進をしていく限り、こうした問題を当然予想ができる、国内においてもまた外に対しても大胆な経済の転換が必要だ、こういう主張をしてまいりました。国内におけるいまの景気を回復するということを考えるならば、たとえば国債の発行であるとか、あるいは大幅な所得の減税が必要だ、こういうことを重ねて私どもは主張をしてまいりました。しかし、与野党の伯仲国会の中でいろいろな議論をしていても、こういう私どもの切実な要求や提案をしても、なかなか一向に聞く耳を持たない。国債発行にも消極的、減税にもきわめて消極的、そしていつも打つ手は後手後手に回ってくる、こういう状況でございます。今度のこうした円高という傾向に関して、いま外務大臣はどのような認識を持ってこれを克服をしていくべきかということを、まず基本的な認識をお尋ねを申し上げたいと思います。  あわせて、私どもが終始一貫主張してきたことに、少しも聞く耳を持たなかった福田内閣の経済姿勢というものは誤りではなかったのか、これを改めていく必要がないのかということを私どもは考えておりますけれども、大臣はどのような認識をお持ちになっていらっしゃるでしょうか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 経済の見通しが、今日やはり実際の数字になってあらわれて円高が二百四十円まで来たということにつきまして、これは確かに想定されざるところであった。したがいまして、結果につきまして御批判をいただくことは甘受せざるを得ないと思います。しかし、ことしの六・七%の成長を何とか確保しようということで努力をしてきたことも事実であり、またその点につきまして各国もそれなりに評価はしておったわけでございます。しかしながら、経常収支の面で当初の赤字七億ドルというものが改定で黒字六十五億ドルになる。しかも、実際は百億ドル近くなるのではないか、このような指摘がされておって、国際的な非難がそこに集中をしておるということが事実であり、そのことがはね返ってまた通貨問題に来たということでありまして、その点につきましては御指摘のことは甘受せざるを得ないだろう。  しかし、減税問題にいたしましても、新自由クラブの御主張も、これは先国会におきまして、やはりその点は国会の場におきましてそのような修正が行われてきた、それはそれなりで私も結構だったと思っております。減税か公共投資かというような議論が非常に行われたわけで、この点につきましてはやはりある程度の減税があってよかったと、いまになって国会の修正というものを評価をすべきものであろうというふうに私は思っております。しかし、これは経済政策が、日本が国際協調によって何らかある意味の犠牲を国際的に要求をされておるわけでございます。その点は政府としてはやはり国内経済を、これも不況の際に大事にしたいということもあるものですから、対外経済政策を進めるには実際問題としてなかなか難航をいたしております。この対外経済政策をやるとともに国内対策をやる。国内対策は、国内で考えられております以上のことを私は対外的な意味でやらざるを得ない時代になったと思っております。そういう意味で、過去のことはいろいろございますけれども、これから正しい政策がとられますように、これはまた来年度予算の編成を目前にいたしましてこれから真剣に取り組むべき課題であるというふうに思います。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 福田さんの経済の見通しははっきり誤っていた、こう大臣おっしゃっても、もう時期的にもそう問題ではないという気がいたしますので、私どもはそういう認識を持って取り組まないと、これはいまの大変な経済的な危機を乗り越えることは非常に困難だという認識を持っているわけでございます。  私はここで通産省の方がお見えいただいたら一言だけお聞きをしておきたいのでありますけれども、いま大臣から、過去のことはとにかくというお話でございましたけれども、私どもも、将来に向かって早く手を打たなければならない、当然予想されるような事態に備えなければならないと心配をしているわけでございまして、五十三年度の予算の編成に当たって、——いま大臣から、私どもの主張も聞き入れた、減税に対して聞き入れたというお話がありましたけれども、私どもは一兆円減税を主張していたわけでして、その当時一兆円の減税を思い切ってやっていればもっと問題を克服することはできた。海外にも一兆円減税あるいは二兆円減税などという形で経済的な危機を乗り越えてきたという実例は現実にあるわけですから、折衷して真ん中をとっていけばいいというような経済政策ではなくて、やはり一兆円減税か、しないかというはっきりした姿勢で臨んでいくべきだと私は思います。  そこで、五十三年度の予算の編成に当たって、所得の減税並びに投資の減税を一体検討しているのかどうなのか。そして、財政の国債依存度というものを三〇%の枠にこだわる、ここに非常な問題があると思いますけれども、これにこだわらないで五十三年度の予算編成に当たられるのかどうなのか、基本的なことをお尋ねをしておきたいと思います。

西川禎一中小企業庁長官官房調査課長

○西川説明員 政府の経済運営の根幹にかかわります重要な問題について御質問があったわけでございますが、私ども通産省という政府の一部門でございますし、中小企業庁はその中の一つという位置づけになってございます。私たちの任務といたしましては、全国に五百万の事業所、三千万の従業員がいるという中小企業者が直面しております非常に困難な事態を、いかに緩和していくかというところに主眼点を置きまして政策をやっているわけでございまして、ただいまの御質問は私の立場としてお答えするのは適当でないと思いますので、直接お答えすることはできませんが、中小企業庁として考えておりますことを御説明させていただきたいと思います。  新聞等にも報道されておりますが、通産省では十一月の初めに省内に円高対策連絡推進本部というものを設けまして、これは産業政策局長を本部長、それからわれわれの中小企業庁長官を副本部長とした組織をつくりまして、ここで現在の中小企業の実態を十分とらまえ、そしてそれに対する対策をどうとるかということを検討、推進しておるわけでございます。     〔委員長退席、山田(久)委員長代理着席〕 十一月の初めに、すでに政府の方針といたしまして、中小企業為替変動対策緊急融資制度というものを、これは十月一日から発足しておったわけでございますけれども、その金利を七・六%から六・二%にするとか、あるいは返済期間を五年から六年にするとか、据え置き期間を一年から三年にするとかいう緩和を図りまして、中小企業のつなぎ融資という面で政策をとってまいります。同時に、われわれ通産省の円高対策連絡推進本部といたしましては、それのみにとどまらず、政府系の中小企業金融機関から貸し付けております既往の債務に対する返済条件の緩和等について、また中小企業信用保険公庫の機能の拡充あるいは事業転換対策の充実その他税制上の特別措置等々十項目にわたりまして、やるべきことということを決定いたしたわけでございます。これは現在政府部内におきましてぜひともわれわれの考えに沿って実現すべく関係省庁と協議しており、また来年度の予算に結びつく点も多うございますので、いま検討しておるわけでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 私はそういうことをいま御質問申し上げているわけではありません。まあ外務大臣は大蔵省出身でございますから、財政の国債依存度というのは三〇%の枠にとどめなくてもいいのじゃないかと思いますけれども、この点。それから来年度に関しての所得減税あるいは投資減税を検討するということについては、大臣としてはどのような認識を持っていらっしゃいますか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 所管が大蔵大臣の所管でございますから、はっきりしたことは私が申し上げても余り意味がないと思います。私は、今日の情勢はやはり内需をふやさなければならないことは当然である、しかもその内需というものは民間の設備投資と政府の投資また国民の消費というものであろう、国民の消費につきまして所得減税がどれだけの効果を及ぼすかという点、これも非常に大事な点であると思います。しかし、この問題は来年の春闘と申しますか、一般の賃金の動向ということ、二百四十円ベースになって賃金の増額というものは非常にむずかしい事態になってくるかもしれない、こういったことと所得税をどう考えるかということは、私はやはり相関して考えるべきことであろうと思います。できれば好ましいということは、これは当然であるわけでございます。  投資減税の問題につきましては、これは本来金利と非常に関係のあることで、実際問題として利子補給をするようなことと同じ効果のある制度だと私は考えております。従来日本の金利は、借りる方からいくと相当高いということがあって、そういったときには非常に効果のある制度かもしれませんでしたけれども、最近になりまして金利水準が一段と下がりつつあるということで、そういう中で投資減税制度というものをつくった場合に、これが本当にどういった部面に活用されるだろうか、こういうことで、たとえば中小企業とか、そういった面で仮にうまく行われることができれば私は非常にいいことであろうと思います。しかし先ほど来申し上げました税の恩典というものは、非常にもうかっている企業に効くということになりますので、その点につきましてのやや矛盾的な感じがある。しかも、これ以上日本の設備力がふえては国際的に問題だというそういうところに投資減税が行われて、またどんどん設備が拡充されるということはどうかなという感じもありまして、その辺はもしやるといたしましても、内容は相当詰めて考えるべきことではなかろうかというふうに思います。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 具体的に発展途上国に対する経済協力に関して、たとえば運用の監督あるいは用途を指定しないという借款、アンタイドローン、こういうものの拡大を積極的にやっていくべきではないかという気がいたしますけれども、いかがでしょう。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 私どももそのように考えて努力をいたしております。  一つはやはり日本自体が非常な不況産業、不況業種を抱えておりまして、これらのためにはやはり少しでもタイドローンとして輸出ができた方が好ましいというような考え方も政府部内にはございます。そういう意味で、一気に全部アンタイドにするということにつきましては、まだ完全に諸官庁の一致を見ておりません。しかし、私どもといたしまして日本のような国柄は、できれば世界全体の援助のあり方がアンタイドになるということが好ましいと思っておりますが、しかしこういったときでありますから、日本が率先してアンタイドの方向に努力をするということが必要であろうと考えております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 この円高の経済下ですでに倒産をしているという会社が出てまいりました。私の地域にも繊維の町なんという町があるわけですけれども、輸出に関係をしている業者はもろに影響を受けているというところがあるわけです。言ってみれば、先ほどからの答弁の中でも、見通しを誤った、こういう今日の円高を生み出してきた経済下で、こうした影響をもろに受けて倒産をしていく中小企業の方々に対する措置を、これからどんなふうに考えているのか、中小企業庁お答えをいただきたいと思います。

西川禎一中小企業庁長官官房調査課長

○西川説明員 御指摘のように、現在倒産の水準は非常に高くて、歴史上最高だというふうなことが言われるような水準になっているわけでございます。もちろん倒産というのは普通の状態、現在のような非常に不景気な状態でないときにも相当数発生しているわけでございますし、昨今の倒産というものの原因につきましても、円高問題ももちろんございましょうが、いろんな要因が絡んでいるわけでございます。われわれの把握しているところによりますと、現在のところまで、直接的に円高を主因として倒産しているという件数は、どちらかというと余り多くないようでございますが、昨日、本日、円が非常に高騰いたしまして、現在二百四十円台ということになっております。この先、年末から先につきましては、御指摘のようなことが起こってはならないというふうに非常に前途を危惧しているわけでございます。  そこで、これに対してどういうことをするのかという御質問でございますが、いろいろな措置をとっております。先ほどちょっと御説明申し上げましたいろいろな形での融資制度によりまして、企業の金融面でのめんどうを見ることが第一かと思います。これにつきましては、すでに倒産を防止するための融資制度というのも中小企業関係三機関からの融資対象にしておりますし、先ほど私が申し上げましたように、円高によっていろいろ影響をこうむっておる企業に対する融資制度というのもつくっております。それからまた、昨日委員会で採決していただきましたけれども、関連倒産防止に対する共済制度というのも今度発足することになりました。あと、企業が金融機関から金を借りる際に、なかなか担保がないということで、その面に対して各県の保証協会あるいは中小企業保険公庫等がめんどうを見ているわけでございますが、そちらの方の資金的な手当て等についてもその補強を図ったところでございます。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 具体的に為替変動対策金融並びに倒産関連の金融として政府系の金融機関の貸し出しの金利をもう少し引き下げるべきではないのか、金利をたとえば五%ぐらいに引き下げる、こういうことについてはいかがでしょうか。

西川禎一中小企業庁長官官房調査課長

○西川説明員 為替変動対策緊急融資の方につきましては十月からこの制度がスタートし、そのときは年利七・六%であったわけです。十一月になりましてこれを一・四%下げて六・二ということで一応の充実を図ったわけでございます。その後、円がさらに急騰を続けてございます。この措置をとった当時は大体二百五十円前後であったわけでございますが、昨今は二百四十円ということでございます。したがいまして、中小企業の深刻度は一層増しているわけでございます。  現在中小企業庁では、その困難な情勢を十分把握いたしまして、それに現在のそのような状況下の対策としてふさわしいものは何かということを見定めまして、そういう金利の引き下げ等についても関係方面と相談してまいりたいと考えております。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 時間が参りましたから、最後に外務大臣に、日中平和友好条約の、新聞に報じられておりますモスクワ放送の件について一言お聞きをしたいのでありますけれども、モスクワ放送が日中平和友好条約に関しまして「「もし日本が覇権反対条項に同意すれば、日本が望む、望まないに関係なく、この条項が反対することを目指した第三国の敵国になってしまう。そして明らかにそれらの国もしかるべき措置をとる必要性に当面するだろう」と警告した。」こうございます。     〔山田(久)委員長代理退席、委員長着席〕 私どもは日中平和友好条約はもとより、一日も早く日中間のかけ橋をかけたい、こういうことを主張してまいりましたし、このようなことはないという考え方に立っているわけでありますけれども、外務大臣としてはこれをどのように認識されて、そしてこれに対して何らかの処置をされるのかどうなのか、外務大臣のお考えをお尋ねしたいと思います。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 モスクワ放送のお話でございますが、これはソ連政府といたしましてもそのような考え方をかつて声明したことがございます。五十年の六月十二日にそのような声明を行っておるわけでございます。この点につきましては、覇権条項ということにつきまして、これが反ソ的な条項であるというふうに先方は理解をいたしておるのでございます。その点につきまして私どもは、この覇権条項も含めまして日中の平和友好条約というものは第三国に対するものではない——これは条約と申しましたが、共同声明のころのそのような条項が入っているわけでありまして、私どもは覇権条項も含めてそのような趣旨に理解をし、そして日本といたしまして、これは日本の隣接する二つの大きな国であるソ連と中国、この二国に対しましては、日本は友好親善関係を持続するのだという考え方でおります。その点が、これからも条約の細目を結める場合におきまして一つの問題点であり、ソ連政府からその点につきまして何らか批判を受けないような、そういった立場で平和友好条約を考えたい、このように考えておるわけであります。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 わかりませんけれども、ひょっとすると鳩山外務大臣に日中問題を聞くのは最後になるのじゃないかなどという声もございますので、大胆に日中問題について御質問申し上げ、日中平和友好条約の締結見通しをお尋ねを申し上げたいと思うのでございますけれども、いかがでしょうか。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 日中平和友好条約につきましては、私ども外務省といたしまして、これは真剣に取り組んでおるということで、来月の中旬になりますか、佐藤大使がアジアの大使会議に一時帰京をいたします機会に真剣に討議をいたしたい。ただ、この時期につきまして、まだ政府部内として決めたことはございませんので、時期等につきましては申し上げられませんけれども、真剣に取り組んでおるということで御理解を賜りたいと思います。

伊藤公介新自由クラブ

○伊藤(公)委員 鳩山外務大臣のもとで、ぜひ歴史的な日中平和友好条約が結ばれますように強く要請を申し上げまして私の質問を終わります。ありがとうございました。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 次に、寺前巖君。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 臨時国会の最終の委員会になりましたので、従来質問したものの中で積み残しというか、気になっている問題がありますので、最後に当たりまして、わずかな時間ですが、その点を聞きたいと思っております。  先般十月二十六日の当外務委員会におきまして、私は昭和三十九年に起きた二件の米軍機事故に関連して、第一次裁判権はアメリカにあるとして日本側では不起訴になった米パイロットが、アメリカではどういう取り扱いになっているかという問題について質問をしました。法務当局は「いまのところまだ米側に関係資料がないためその確たる返答を遺憾ながら得ていないというのが実情でございます。」というお返事でした。この問題についてもう一カ月たったわけですが、現状においてどういうふうに日本側としてはその後調査をされ、そしてその問題に対してどういう見解に立っておられるのかを、法務当局から聞きたいと思います。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 前の委員会におきまして御指摘のありました点について、私は向こうの米軍の刑事裁判権分科委員会米側委員長のスチーブンス氏に面接いたしまして、その点についての調査確認方を求めていたわけでございます。その結果、十一月十九日に至りましてその回答がございました。その回答の内容は、御指摘の二つの墜落事故について、パイロットに対する軍事裁判は行われていないということでございました。  なおこの事件に関しまして、いわゆる正規の軍事裁判手続によらないで行う基地司令官の徴罰ということが、米側の統一軍法典によるとできることになっておりますが、それについての懲罰権が行使されたかどうかということについて、さらに確認を求めましたところ、その点については、その記録は現在基地に保管されていないので、この懲罰記録というのはその個人記録に編綴されて、そして個人の移動とともに移動するために、現在その点は基地においては確認できないという回答を得たわけでございます。  以上、御報告いたします。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 この回答をめぐって、日本政府としてはどういうふうに考えるのかを聞きたいと思います。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 まずこの点につきまして、前回も申し上げましたが、日本側といたしましては、米軍側において公正な軍事裁判が行われることについて重大な関心を持っているということを申し入れてあるわけでございまして、私どもといたしましては、統一軍法典に基づいて、その犯罪の容疑が認められるならば当然裁判に付して、公正な審判が行われるべきものと期待しておるわけでございます。  そこで、この本件二つの事故についてどういう結果になっているのかという点でございますけれども、そのような裁判に付するに足りる容疑が当時認められたのかどうか、この点について米側においては、先ほど申したように現在資料がございませんので、なぜ軍事裁判が行われなかったのかということについては確認できなかったわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 確認ができないので、日本政府としてはこの問題についてどういうふうにされるのですか。というのは、三十九年四月五日の町田市の墜落事故、死者四名出ています。三十九年の九月八日には神奈川県大和市、五人の死者が出ています。いずれも警察当局は業務上致死として送検をし、第一次裁判権云々でもってアメリカに行った。この容疑事実についてわからない。なぜ軍事裁判が行われなかったのかわからないままに、今日十三年間アメリカは放置してきているし、日本側もわからないままに来ている。  こういうことになってしまうと、それじゃ第一次裁判権としてのアメリカは裁判をやってもらえると思っておったのに、やってもらえなかった日本側としては、いまとなっては業務上致死として送検したものがどういうことになるのでしょう。内容についてもわからないままだ。死んだ人はもちろんのこと、その家族、日本の国民にとっては不明朗きわまりない問題であるし、事故原因も公開されないままに来ておるならば、それほど日本をじゅうりんした話はないと思うのです。だから、この結果に対して日本政府としてどういうふうに問題を処理されるのか、御説明をいただきたいと思います。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 まず当時における検察当局側の事件の処理についてでございますが、御指摘のように第一次裁判権なしという理由で公訴を提起しておらないのでございます。  これにつきましては、当時米側におきまして、裁判にかける容疑があるならば、それについて第一次裁判権を行使するということを、地位協定もまた私どもも期待しておるわけでございますが、先ほど申しましたように、軍事裁判そのものには付されておらないわけでございます。この軍事裁判に付されておらないということになると、米側は第一次裁判権を行使しなかったのではないかということに、一応疑いがなるわけでございますが、この点につきましては地位協定十七条一項(a)にありますように、米側の与えられました裁判権の中には、「刑事及び懲戒の裁判権を日本国において行使する権利を有する。」というふうに規定されておるわけでございます。問題は、懲戒の裁判権を果たして行使しているのかどうかという点が、ついに確認が、現在米軍当局においてできないという遺憾な状態になっておるわけでございます。この点は私どもとしてはきわめて残念なことでございまして、こういうことがあっては困りますので、懲戒の裁判権に付しているならば付している、付していないならば付していないということを日本側当局に明らかにするように、また、その都度個人の記録とともに移転してしまって、その点がわからなくなってしまうというのでは非常に困るということで、この点について私の方から先方に、それを明確にするように、今後少なくとも明確にできるような措置を講ずるようにという申し入れをしておるところでございます。  以上のことでございますけれども、当時事故の結果が全然不明確なままで秘密のままであったかどうかという点でございますが、この点についてはこの間委員会でも申し上げましたけれども、日米合同委員会の事故分科委員会が開かれまして、その点についての原因調査がいろいろなされておるわけでございます。その原因調査の結果、本件の原因についてはあるいは故障原因の究明が不能であるとか、あるいは原因は操縦士にはなかったと思われるとかいうような指摘が結局なされておるわけでございます。そういうことで、事故原因が明らかになっていない、秘密のままであるということでは必ずしもないというふうに考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 重ねて聞きますが、軍事裁判を行わなかった、日本政府自身としてももともと業務上致死の疑いとして送検をしたもの、この行使を軍事裁判の方でやらないのだったら日本政府として日本の裁判権のもとにおいてやるということを、いまさらやれない状態にあるのか、やれる状態にあるのか、その点はどういう状況下にありますか。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 お尋ねの点につきましては、以下のように考えております。  当時、検察当局としての不起訴処分の理由は、先ほど申しましたように、第一次裁判権なしということでございまして、これはやむを得ないことだと思います。ただ、問題は、実態といたしましてこれに、日本の刑法で申しますれば、第二百十一条の業務上過失致死傷罪に言うところの過失だということで当時の関係者を問責できるかどうかという、証拠があるかどうかという点が問題になるわけでございます。この点につきましては、事件送致がもちろんなされておりまして、第一次裁判権なしという形で事件の処理が行われておるのでございますが、その捜査の過程におきまして、過失の有無の実態、事件の実態についても、当然所要の捜査が行われておりますので、それでかつ、日米合同委員会の事故分科委員会等の、先ほど申し上げたような結論等から見て、刑事事件としてそれを問責するのは、仮に第一次裁判権なしの点を除いても、なかなかむずかしかったのではないか、その点の事情は現在でも変わらないのではないかというふうに思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 裁判権の行使としての時効という点から言うならば、どういうことになりますか。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 公訴時効の点は、刑事訴訟法二百五十条に規定してあるところでございます。それによって刑訴の公訴時効が決まるわけでございますから、普通は公訴時効は完成しているというふうに一応見られるわけでございますが、ただこの場合に、犯罪が仮に成立しているとするならば、国外に犯人が逃げ隠れているような場合については公訴時効を停止するという制度がございますので、そこをどう見るかということでございまして、ただ、公訴時効の問題の前に、私が先ほど申し上げましたのは、事件の実態について、刑事責任を問うというのは実態としてむずかしかったのではないか、その点の事情は現在も変わらないのではないかということを申し上げたわけでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そうすると、刑事事件のあれは、十三年たった今日でも、前提としてのきちんとした捜査があって、証拠が明確であって、やれるという事態になっておったならばいまでもできるのだ、こういうことに解釈できますか。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 この点につきましては、先ほど申しましたように、米側において仮に懲戒の裁判権を行使しているということになりますと、裁判権を、第一次裁判権のある側が行使しておるわけでございますから、同一事件について訴えをこちらで提起するということは不可能になるわけでございます。したがいまして、その点が一つのポイントでございまして、その点がはっきりいたしませんと、お尋ねの件自体に即した明確なお答えをいたしかねるのでございますが……。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 よくわからぬな。もう一回説明してくれぬかな。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 ちょっと事柄が技術的なことなのでおわかりにくかったかもしれませんけれども、先ほど申しましたように、米側が行使する第一次裁判権の内容は、刑事に関する裁判権と懲戒の裁判権と二つあるわけでございます。それで、その懲戒の裁判権を米側が行使したのかどうかについてとうとう確認ができないという、まことに遺憾な状態に現在あるわけでございます。この点は、米側が調査した結果、近く判明するという状況にはちょっとないようでございまして、この点がいまのところちょっと確認いたしかねるわけでございます。  ところで問題は、起訴ができるかどうかというお尋ねでございますが、その前提といたしまして、一つの事件について第一次裁判権を持つ側が仮に懲戒権を行使したといたしますと、それは向こうで地位協定上の裁判権を行使したことに含まれるわけでございますので、その同一の事件については起訴ができないということになるわけです。  一事不再理ということでございます。その一事不再理の働きが出てまいりますので、その点についての、はっきりしたその前提事実についての確認ができませんと、いまのお尋ねに即した正確なお答えをできかねるということにあるので、御了解いただきたいと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それじゃ、それが行われていないということになった場合は、その時効問題については、いまの時点で実行することはできるというふうに解釈できるわけですね。そうすると、残るのは証拠が確立しているかどうかということになってくる、こういうことですか。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 この点につきましては、私も責任を持った答弁を、御説明を申し上げなければいけないわけでございまして、問題は、先ほど言いましたように、公訴時効は、長期十年以上のもので七年、長期十年未満のもので五年、五年未満のものは三年ということでございまして、常識的には、公訴時効は完成しておるのでございます。ただ、先ほど申しましたように、刑事訴訟法二百五十五条で「犯人が国外にいる場合又は犯人が逃げ隠れているため有効に起訴状の謄本送達若しくは略式命令の告知ができなかった場合」という、この「犯人が国外にいる場合」には公訴時効の進行を停止する。その逃げ隠れ、国外にいる期間「その進行を停止する。」ということになっておるのでございます。問題は、その国外にいる期間というのはいつからであったかということが問題でございまして、そういう事実関係を明確にいたしませんと、この刑事訴訟法二百五十五条の適用があって公訴時効の進行が停止されているかどうか——停止されておるとすれば公訴時効の完成はいたしませんので、お尋ねのようなことになることが十分考えられる。ただ、その前に、先ほど申しましたように、証拠が十分であるかどうかということが、まず実態について問題がある、こういうことでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 私は、先ほどからの説明を聞いておりまして、この三十九年の二件の事故について調べてみただけでも、十三年前のやつが、日本政府自身もわからなかったし、いまだに第一次裁判権としての、軍事裁判の方はやられていないことはわかったけれども、懲罰の方はまだ不明確だ。このこと自身は、地位協定の第十七条の六項の中にもありますように、「日本国の当局及び合衆国の軍当局は、裁判権を行使する権利が競合するすべての事件の処理について、相互に通告しなければならない。」という規定があるのにもかかわらず、その件について通告をしてこなかったということ自身は、これはきわめて遺憾な地位協定の違反行為をやっていると言っても過言ではないと私は思うのですが、報告義務というのはアメリカ側にはないのかあるのか、はっきりさせる必要があると思うのです。どうですか。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 御指摘の点はまことにごもっともな点でございます。この点につきましては、地位協定の解釈運用につきまして刑事裁判管轄権分科委員会における運用についての合意がなされておるわけでございます。その合意事項で、国会でも明らかにいたしておりますとおり、地位協定十七条六項(b)の通告は次のとおりとすることについて合意をしておるのでございます。その第一は、第一次の裁判権を有しない当事国が当該事件の最終の裁判結果の通報——これは第二次裁判権の行使の場合でございますので、この問題とは違いますので、省略いたしますが、もう一つは、第一次裁判権を持っている犯罪で他方の国民に対して犯されたものに係る事件についての裁判の通報ということがなされるべきであるという合意がなされておるのでございます。  地位協定の十七条の六項(b)によりますと、裁判結果につきまして、すべてこれを相互に通告するというふうになされておるのでございますけれども、すべての事件の処理について相互に通告する規定が地位協定上あることは御指摘のとおりでございますが、そこまでお互いにやる必要はないというふうに判断いたしまして、その当時、地位協定の運用といたしまして、ただいまのような二つの点についての通報を必ず相互に義務づけるというふうにしたわけでございます。それには、お尋ねがあればまた御説明申し上げますけれども、理由がございます。  問題は、現在その裁判が軍事裁判、いわゆる正規の統一軍法典上三つの裁判所がございまして、その裁判によってなされたものでなくて、裁判以外の手続による懲戒権がなされたかどうかが不明確である、こういうことになっておりますが、そうなりますと、一応この合意の内容といたしましては、裁判があった場合についてその結果を通報せよという義務を課しておるのでございまして、この点から申しますれば、決して米側が地位協定及びその運用の合意事項について違反をしているということにはなりません。しかし、そのことがこの程度でよろしのかどうかというのは一個の問題でございます。  私どもといたしましては、裁判によらない、たとえば先ほど申した懲戒権の行使があった場合について、懲戒権の行使についての裁判結果を通告せよということの必要性があるというふうに考えております。この点については米側当局と寄り寄り今後協議いたしまして、先ほどその点についての申し入れを行ったと私、ここで明確にお答えいたしましたけれども、その点についてさらに寄り寄り協議をして、その方法について実現を期してまいりたいというふうに考えております。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 それじゃあわせて聞きますが、昭和三十六年以降の「米軍機墜落による死亡事故一覧」というのを五十一年十月一日付で防衛施設庁からいただきました。三十六年の四月二十一日に神奈川県の藤沢市で死者一名、三十六年十二月七日福岡県福岡市で死者四名、三十八年五月十六日埼玉県入間郡で死者一名、三十九年四月五日は先ほどの件、三十九年九月八日も先ほどの件ですが、五件の報告をいただきました。これについて、いずれも裁判結果についてアメリカ側からの話はなかったのでしょうか。いまの二件だけでしょうか。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 ただいま申しました合意事項によります裁判権の行使通告につきましては、すべていままでその合意事項どおりに米側当局からなされております。  この通告処理は、非常に年月がたちまして、相当膨大な量になるわけでございます。これにつきましてはそのすべてを現在まで法務省で保管しているわけでございません。先ほど米側に照会をいたしましたというのは、その三十九年当時のものについてはすでに保存期間を越えておりまして廃棄しておりますので、米側に照会をしてその点についての確認を求めたということでございます。三十六年と三十八年の三つにつきまして米側にはなお照会をいたしておりませんので、この点は現在正確なお答えはできかねるという状況でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 外務大臣が参議院の本会議へお行きになるようなので、大臣にこの際に一言だけお聞きをしておきますけれども、日本の国民がこういう事故に巻き込まれた、ところが第一次裁判権は向こうの方だということで向こうへ持っていかれたまま、結果が長期にわたってこういうふうに残っている、しかも向こう側からその結果についての報告がない、こういうような日米関係というのはとんでもない話だと思うのです。外務大臣としてこの問題についてどういうふうに処理されるのか、お聞きしたいと思うのです。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 裁判権のことでございますので、法務当局と連絡を密にいたしまして、ただいま御指摘のような問題、特に被害を受けられました国民の方々の気持ちも考えまして、ただいまの点につきましては検討いたしたいと思います。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 単に検討だけではなくして、地位協定の面から考えても結果について報告をすることになっている。その結果が出ているのか出ていないのか。結果が出てしまっておるのだったら、地位協定に基づいて報告をしなければならぬことになっているのに、それもわからないということはきわめて遺憾じゃないか。ですから、途中の経過の問題についても報告するということを明確にさせる問題と、結果が出ておったのだったら、そのことについてちゃんと報告をしなかったことは遺憾だと、日本政府としても堂々と言うべきだと思うのです。重ねてこの点を聞いて、外務大臣はもう御出席いただいて結構です。

吉田淳一法務省刑事局総務課長

○吉田説明員 外務大臣から御答弁がある前に、法務省の事務当局として、担当の者として申し上げておきたいのでございますが、先ほど申しました二つの通告し合う合意につきましては、米側はすべてこれを通告してきております。ですから、軍事裁判が行われないときには軍事裁判が行われなかった、数はゼロであるという趣旨の回答に接しております。裁判が行われたか行われなかったか、先ほどの二つの要件に合致する裁判が行われたかどうかについては、毎月、月決めでこれは合意しておりますが、月ごとにこちらに、合同委員会を通じまして法務省にも通告が来ております。その点だけ御説明申し上げたかったわけでございます。

鳩山威一郎自由民主党・自由国民会議外務大臣

○鳩山国務大臣 何分古い話につきましては記録等の問題もございますが、これらの問題につきましては必ず通報が得られるように、この点は協定どおり実施されるように努力をいたします。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 横浜における今回の事件について、パイロットの扱いというのは一体どういうふうにするつもりなのか、当然業務上過失致死等、従来もこういう問題について送検をしておられたわけですが、警察当局はどういうふうにするつもりなのか聞きたいと思います。

新田勇警察庁刑事局国際刑事課長

○新田説明員 お答えいたします。  パイロットに対しましてはまだ警察では直接の取り調べはいたしておりませんが、ステートメントの提出はすでに受けておるわけでございまして、それに基づいて裏づけの捜査をやっておるわけでございます。事案が解明され、責任の所在が明らかになった場合には所要の捜査上の手続をとるつもりでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 先ほどの三十九年の事件の問題にしても、お話がありましたように、日本側自身が捜査権を持って、そして証拠をきちんと主体的に確立をしていなかったならば、こういう、日本の国民にとって大きな問題について、裁判権の行使が日本側自身ができないということになってしまうのではないか。そういう意味では主体的な捜査権の行使ということを横浜市自身も要求していると思うのです。その立場に立って横浜市は原因調査をすべて日米で共同してやらせなさいということを要求してきていると思うのです。この横浜市当局自身が要求している、日米が共同して原因を調査すべきであるというたてまえに対して、政府としてはどういう立場に立つのか、お聞きをしたいと思うのです。これはどこになりますか。

銅崎富司防衛施設庁総務部長

○銅崎政府委員 今回の事故原因の究明に当たりまして、日米双方合同して調査をするというのは、合同委員会の下部機構の事故分科委員会の本来の目的もそういうことでございますが、その合同して当たる調査の中に、事故原因を究明し、安全対策を立てていく上におきまして、現在の事故分科委員会にはそういう専門的な知識を持った方がきわめて少ないということで、専門家を交えて調査をし、検討していくということで、現在政府部内の専門家の委嘱は終わっておりますし、一般に広く学識経験者にも御参加いただこうということで、現在折衝をしておる段階でございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 そこで、広く専門家を参加させるということを提起しておられるわけですが、私は主体的な捜査権の行使のために、それでは特に、パイロットは現在日本におるのかどうか、当該パイロットからの事情聴取というのはどういうふうになされているのか、僚機のパイロットからの事情聴取などはどうしているのか、目撃者からの事情聴取はどうしているのか、エンジンが戻ってきたが、直接当局が調査をするという用意があるのかどうか、横田管制塔と事故機の応答テープについてどういうふうに調査をしているのか、主体的な立場に立ってこういうものは調査しなければいかぬと思いますが、一つずつについて警察当局、捜査当局としてはどういうふうにやっているのかを報告願いたい。

新田勇警察庁刑事局国際刑事課長

○新田説明員 捜査の中身に関する問題につきましては、現在進行中でございますので差し控えさせていただきます。  最初おっしゃったパイロットでございますが、これは先ほど申し上げましたように前のステートメントが参っておりますので、その裏づけをとっております。さらに疑問の点があれば重ねてステートメントを求めるなり、私どもの方で話を聞きたいということを申し入れることになろうかと思います。  目撃者の点でございますが、これはこれまでに大体六十名くらいの目撃者の方々にお会いいたしまして、大体四十人くらいの方々の協力を得まして調書を作成いたしております。  それからエンジンの点でございますが、エンジンを見るということになりますと、専門的な知識を持った方の鑑定によるということになるわけでございますが、飛行機一般につきましては、一般の民間機の場合は事故調査委員会の方で技術的なことをお調べになる、それを踏んまえて私どもの方でその結果をもとにして捜査をするというやり方をとっておりますし、また今回の事件につきましても、先ほどお話がございましたように専門家による調査が近く行われるということでございますので、これにのっとって、その結果を見、あるいは進行ぐあいを見て私どもの方で判断して捜査を進めたいと思っておる次第でございます。  それから、先ほど、横田の交信状況ということでございますが、こういうものの記録も欲しいということで米軍には申し入れているところでございます。

寺前巖日本共産党・革新共同

○寺前委員 お約束の時間が来ましたのでこれでやめます。  私は重ねて要望します。主体的な立場に立って捜査というのはおやりになるように。以上です。

竹内黎一自由民主党

○竹内委員長 本日は、これにて散会いたします。     午後一時七分散会

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