外務委員会 第4号
- 発言数
- 37 件
- 登壇者
- 5 名
- 会派数
- 3
- 開催日
- 1977/10/28
会議録
○竹内委員長 これより会議を開きます。 核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関する日本国政府と国際原子力機関との間の協定の締結について承認を求めるの件を議題といたします。 質疑の申し出かありますので、これを許します。寺前巖君。
○寺前委員 きょうは私一人か最後の質問になるようでございますので、採決の態度表明にかかわる質問をしたいと思います。 そもそもこの協定自身は核兵器の不拡散に関する条約第三条1及び4の規定の実施に関するところから出たものであります。そこで、核兵器の不拡散に関する条約か締結され実施されて広く批准をするというような国も出てきたようですか、この不拡散に関する条約の目的は一体何であって、今日までその成果はどのようになっているのかお聞きをしたいと思います。
○大川政府委員 核兵器の不拡散に関する条約の目的は、申し上げるまでもございません、核兵器を持つ国の数を今後ふやさない、ブレーキをかけることを基本目的といたしております。 この条約かできましてからどれたけの成果かあったかという御質問に対しましては、またすべての国かこの条約に加盟しておりませんので成果はその点では限定されているわけでございますけれども、極力残っている国の加盟を促進してこの条約の加盟国の普遍性を達成することによって、この条約を本当の意味での核拡散防止のための基本的な国際文書として成果あらしめる必要かあろうかと思います。 この条約かできましてから以後に、実はこの条約とは別にいろいろの核軍縮関係の国際文書か成立いたしております。それもあわせて御披露申し上げますけれども、拡防条約のテキストか国連総会で採択されましたのは一九六八年でございます。それ以来、海底非核化条約、米ソ間偶発戦争防止協定、米ソ間ホットライン改善協定、生物毒素兵器禁止条約、米ソ間のABM制限条約、米ソ間戦略攻撃兵器の制限に関する暫定協定、核戦争防止協定、地下核兵器実験の制限に関する米ソ間条約及び附属議定書、米ソ間ABM制限条約の議定書等々か成立いたしておりますし、そのほかに七四年の米ソ共同コミュニケ及び米ソ共同声明といったものが出ております。われわれとしては米ソ両核大国の核軍縮の成果かいままで十分であるとは毫も思っておりませんし、今後ともさらに一層米ソ両国か真の意味での核軍縮を達成するよう呼びかけてまいりたいと思っております。
○寺前委員 外務省からいただいております資料に基づいて見ても、この条約というのは核戦争が起こる危険性を少しでも少なくしょう、そのために核兵器を持つ国を抑えようじゃないかということでやったと思うのです。ですからそもそもの目的は核戦争の危険性を抑えるための手段としていろいろな手段を考えてきている一つだということとして理解することかできるんだろう。それでは核戦争の危険というのは、実際に配置されている核の状況というのかますます進んできているのか後退しているのかということを見なければならないと思うのです。 私は外務大臣にお聞きしたいと思うのです。今日この音頭取りの中心になったアメリカとソビエトにおいて核弾頭の保有というのはこれを契機として抑える方向に向かったのか、それとも伸びているのか、御説明をいたたきたいと思うのです。
○鳩山国務大臣 核弾頭の数が増加したかどうかということにつきまして国連局長から御答弁申し上げますか、しかしながら米ソ間のこの核戦力の競争ということが核防条約というものの存在によりまして国際的な世論として米ソ間は核軍縮をいたすべきだ、こういう世論か非常に強くなっているということは事実であろうと思います。そういう意味でいま冒頭申されました核戦争の防止ということにつきましては進展しつつある。なおSALT交渉がわれわれか期待したようになかなか進まないということもまた事実であります。そういう意味で今後私どもといたしまして、特に非核三原則を持つわが国といたしましてSALT交渉の進展に大いに期待をし、かつその進展に日本政府といたしまして強い主張をいたすべきものであるというふうに考えております。
○大川政府委員 一九六八年からことし一九七七年までの米ソの核弾頭数は、アメリカの場合はその十年間に約二倍になっているようであります。それに対しましてソ連の場合は数字は必ずしもはっきりつかんでおりませんけれども、その増加率はアメリカの場合を上回るというふうに言われております。
○寺前委員 ことしの春の国連演説でカーター大統領がこう言っています。米ソの戦略核兵器は八年前に比べて五倍にふえたが米ソの安全は五倍にふえていない、むしろ危険は増大しているということを言っております。それはそうでしょう。核を持っていない国に持たさないという話はするけれども、持っている国はどんどん核兵器をもっと持つようになったんだ、そして、その持ったのを海外に配置することかできるようになっていっているのだ、そんなことで核戦争の危機を取り除くことはできない、きわめて明確な問題だと思うのです。問題はこのことによってあたかも核戦争の危機をそらしたごとく宣伝をしただけであって、事実はカーター大統領がみずから認めているように危険は増大している。私はここが問題だと思うのです。カーター大統領が言っている危険は増大しているというこの事実を外務大臣はどう見られるのか。とするならば、この核兵器の不拡散に関する条約というのは核戦争の危機を遠ざけるという上においては大きな役割りをしたというふうには見ることはできない。核を持っている国そのものの問題にこそ目を注がなかったらだめなんだということを改めて指摘をしなければならない問題点に到達していると思うのだけれども、外務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○鳩山国務大臣 米ソの核軍備の競争ということは私ども非核兵器国から見ますと大変残念なことであるというふうに考えます。双方が軍備を拡張するということそれ自体が危険を増大しているわけでありますから、そういう意味でいまその点につきましては私どもといたしましても核軍縮ということに最大の力点を置いてまいりたいと思います。
○寺前委員 現実には大統領自身が核戦争の危険は増大しているということを提起しておる。それでいま外務大臣もここが遺憾なことだとおっしゃっている。そうするとこれの果たした役割りというのは、幻想は持たしたか知らないけれども、現実にはますます悪い状態を進んでいるということになったら、来年の国連の核軍縮の総会には、日本政府としてそこに持ち込む問題としては、この増大している核兵器を禁止させるところのここの協定をつくらなければいかぬということに積極的な役割りを果たさなければならないことになると思うのだけれども、その点はいかがなものでしょう。
○鳩山国務大臣 来年の軍縮特別総会におきまして、日本といたしましては核軍縮が何よりも最大の問題であろう、そのことは特に非核兵器国から見ればもうコンセンサスであろうと私は思います。しかしながら現実に一挙にいまおっしゃいましたような核兵器の禁止というところまで行けるかどうかという点も、これまたなかなかむずかしい問題であろうと思います。しかしいかなる核実験も禁止をするということ、これはもう大きなコンセンサスが得られることは当然であろうと思いますが、それ以上さらに核兵器の新たな製造を禁止するということが当面できれば大変結構ではないかというふうに考えております。 なお軍縮総会に対します予備的な会合がいま続けられておりまして、これらの進展を見ながら政府としても態度を決めてまいりたいと考えております。
○寺前委員 いまの大臣の答弁から考えて、本当に核戦争の危機を防ごうというならば、現実は核弾頭の保有状況がますます広がっているという事実にこそ着目をする必要がある。したがって、この核兵器不拡散条約というのは幻想を与えるだけであってとんでもない話なんだということ、当時の反対した態度というものはきわめて当たっておったということがここに今日明らかになってきているというふうに私は思うわけです。 その次にお聞きをしたいのは、アメリカのカーター大統領がことしの春に行った「米国原子力政策について」という記者会見の発表かあります。ここではカーター大統領は明らかに従来の態度と違う問題を提起していると思うのです。その中の一部分を読んでみます。「核拡散防止条約は約百ケ国の調印を以って施行されておりますが、これにより我々は既にかなり以前にこのリスクを減ずるための重大な一歩を踏み出しているのであります。しかし、我々は、さらに前進すべきであります。我々は、最近、インドが平和利用用途の原子力プラントからの産物により、爆発装置を製造したのを目のあたりにし、一方いくつかの他の国が、核爆発勢力への道をたどりつつあることを感じています。米国は、このような核兵器保有能力の制動の加えられない拡散について、深く憂慮しています。我が国としてはそれをただちに、また米国単独で阻止することはできません。我が国は、他の国に対しては、権限を持っていません。しかし、我々は、爆発をさせ得る使用済核燃料の再処理能力がさらに拡大すれば、これらのリスクが極めて増大するものと信じております。」ということを言って、そして大幅な変更を行う必要があるということで七点余りの指摘をやっております。ここにカーター大統領がみずから明らかにしていることは、インドが平和利用用途の原子力プラントからの産物によって新しい道をたどり出した、そしてそれを抑えることはできないのだ、世界各国に対して。NPTがあったら抑えることができるというふうに宣伝してきたけれども、そうはいかぬことが明確になってしまったということをカーター大統領もみずから認めざるを得ないところに来ているのだ。私はこれは非常に重要な問題提起だと思います。外務大臣は、このカーターの提起しているところの原子力政策についてどういうふうにお考えになるか、お聞きしたいと思います。
○鳩山国務大臣 インドの核爆発の実験、これ以来世界的に核の拡散の危険というものが急速に高まったわけでありまして、したがいまして、これが平和目的から容易に核兵器に転化し得る、そういう技術が世界各国に普及をするということにつきましてカーター大統領が大変な危惧の念を持った、あるいはカーター大統領以前にもフォード前大統領時代のときからもうすでにその問題は指摘されておったわけであります。したがいまして、われわれといたしましてやはり核兵器の拡散の危険というものは何とかして最小限に抑えていく必要があるということは、これは認めざるを得ないであろう。そういう前提に立って、しかし原子力の平和利用というもの、これは日本の特にエネルギー事情も考えますとどうしても計画どおり進めたい、こういう二つの要求があるわけでありまして、問題は決して容易な問題でありませんけれども、この二つの問題の解決のために日本といたしましても積極的な協力、努力をいたすべきものというふうに考えております。
○寺前委員 この内容というのは、カーター大統領自身がNPTでもって世界各国を律するということはもうできなくなってきているということをもう認めてしまわざるを得ない発言だと思うのです。そういう状況の中においていま日本ではこの審議をやっているわけですけれども、もうすでに十年もたたない間にこういう矛盾に直面するという内容がこのものの持っているそもそもの矛盾だと言わなければならないと思うのです。そこでNPTに入っている日本に対して、過般来この新政策に基づくところのいろいろのチェックがあったと思うのです。たとえばこの中にあるところの核燃料の再処理問題について日本の国のやり方に対してアメリカがいちゃもんをつけるというようなことでこの間うちから日米交渉があったと思うのです。こういうふうに考えてきたときに、日本政府はNPTのあれに加盟をするならば燃料の供給なり技術の協力なりが得られて前よりはよくなるのだという宣伝を盛んにしておりました。ところが現実にはよくなるどころか逆に内容、運営面に関するところまで干渉をやってくるという事態が現実の事態として生まれたと思うのです。そして一方ではもう全然すべてを干渉するわけにはいかないという事態も現実の事態として認めざるを得ない、こういうようなことが起こってきている。そうするとNPTに入ったならばと宣伝したものが現実的には宣伝倒れであって、矛盾ばかりが爆発的に起こってきているというこの事実についてどういうふうにお考えになるのかお聞きしたい。
○鳩山国務大臣 まずインドにいたしましてもこのNPT条約に加盟をいたしておらない。したがいまして、一つの問題は、やはりNPT条約にあらゆる国が加盟することが好ましいということはまず第一に申し上げたいと思います。インド自体も新しい政権になりましてもう再び核実験はいたさない、もちろん核兵器というようなものの保有はいたさないということを明確にいたしております。 第二に、NPT条約がありましても、日本が加盟してちっともいいことはないではないか、かえっていろいろな制約を受けているではないか、こういうお話でありますが、おっしゃる点はよくわかるわけで、日本といたしましてNPT条約に加盟をしたそのときに、NPT条約に入ることによって平和利用の面では核保有国と非核保有国との間の何ら差別のない権利を有する、そういうことを強調してまいったわけでありますから、日本政府といたしまして平和利用の権利が妨げられては困るということはもう重々主張をして、日米交渉の際にも、日本側としてはNPT条約に入っているからよけいアメリカに対して強い主張ができたと思っております。しかし、現実におきまして核拡散の危険というものが平和利用の過程から非常に転化しやすいという事態が実証されたという段階になりまして、将来の原子力の平和利用という面で、やはり核拡散の危険というものを極力最小限度にとどめるような技術の開発あるいはそういう取り決め、こういった面で国際的な協力のもとに進めなければならない。現実におきまして、インドの核爆発以来そういう問題は起こったわけでありますから、この問題を解決をしていかなければならない。そういうことがいま現実に起こっておるということで、これを解決するためにINFCEPがやっと発会をいたしたわけで、日本はいずれにしても遭遇しなければならなかったこの問題の解決に当たりたい、このように考えております。
○寺前委員 この間うち日米再処理交渉が行われておりました。そして共同声明及び共同決定がなされております。この内容を見ると、先ほどから言っておりましたように、明らかに二年間に限ってこういうことをやる、二年後にはこういうことをやる方向だというその再処理工場のあり方の問題そのものにわたって、私をして言わしめるならば、日本の自主的研究開発に干渉する内容が、ここに日本政府としても共同声明として確認をするという態度をもっているということに遺憾の意を感ずるものであります。しかも、この中身についても、この前も少しここで言っておりましたけれども、「国際原子力機関は、該当する現在及び将来の国際協定に従い、本施設において常時査察を含む保障措置を適用する機会を十分に与えられる。日本国は、本施設におけるセーフガーダビリティ及び核物質防護措置を改善する意向を有し、並びにこの目的のために改良された保障措置関連機器の試験のためにIAEAと協力し、及び当初期間中かかる関連機器の使用を容易にする時宜にかなった準備を行う用意がある。合衆国は、合意された手段により、この保障措置の試験に参加する用意がある。」ずっとこう書かれております。当初NPTの保障協定の中に加わっていたら、アメリカの査察からIAEAのあれにかわって、ユーラトム並みに自主的な査察制度を日本がやるようになって干渉が少なくなるんだ、こういうふうに宣伝をされていたと思うのです。ところが、この期に及んでまたアメリカから、日本の試験制度についてはおれは意見を言わしてもらうぜ、おれも入り込んでいくぜということをここで言い出してきている。そういう協定そのものが結ばれてみて、そして今日になってくるとまたこうやって干渉が始まってきている。私は、どう見たってこの共同声明というのはあの時点で宣伝しておった内容とは、うんと干渉されたところの内容であって、もともと日米原子力協定に基づく干渉そのものをここに明らかにしたものだというふうに見ざるを得ないわけでありますが、外務大臣の見解をお聞きしたいと思います。
○鳩山国務大臣 日米共同声明の六項でございますか、これは、主は東海村の運転に当たりまして、これを契機にまた東海村でも新しい実験等も行われるわけでございます。それを通じまして日本とアメリカがここで協調をして新しい関連機器の試験をしたり、またこの保障措置につきましても新しい技術の開発をしていこうという、これは協力姿勢のあらわれであるというふうに理解をしておるわけであります。そして東海村の今回の交渉を通じまして日米間の専門家が集まってずいぶん長きにわたって討論をしてきた。その過程自体が大変有益な過程であった。そしてそれ自体が、これから日本がINFCEPにおきまして第四作業部会の共同議長国として日本が一番大事な問題の幹事国になってやるということにつきましても、私は今回の東海村工場の運転をどうするかということについての日米の研究があずかって力があったというふうに考えます。そういう意味で、今後どうしても国際的にこの問題は解決していかなければいけない、日本だけがプルトニウムを勝手にどんどん日本だけのやり方で処理をしていくことはもう許されない、こういう時代になったわけでありますから、これは日米共同して新しい査察技術なりまた保障措置の関連機器の試験をしていくということによりまして日本といたしましても大変好ましい方向に進むものというふうに私は理解をいたしておるのでございます。
○寺前委員 私は、国際協力の問題につきましてはNPTの保障協定そのものの中にちゃんと書かれてあることであって、あえて共同声明の中にうたわれてきているというところに問題があるということを指摘しているわけです。というのは、先ほど申し上げましたカーターの米国原子力政策そのものの中に明確に「核燃料を必要とする国々に対し、彼ら自身が自国の核物質を再処理する必要がないようにそれらの国々に対して、十分なそして適時の供給を行うことができるように米国の核燃料特に濃縮ウランの製造能力を増加させます。」ということからずっと、要するに自分で世界を支配するんだからほかの国に要らぬことをさせる必要はないんだという方針をちゃんとみずから出しているわけですよ。したがって、そこから開発の能力、自主的研究開発などというものは、抑えさせなければならない。また、そこにおけるところの検査がどうのこうの、よろしい、それはわしの方が入ってやってやる、全部出発はここからかかってきているというふうに見られるではありませんか。ですから、私はこの日米再処理交渉の結果に対する共同声明や共同決定を見ると、日米原子力協定に基づいて従属的な状態に置かれている日本の姿が、いまここでまざまざと再び、NPT保障協定であたかもユーラトム並みの自主性が得られるような宣伝をしたけれども、実態としては、また干渉されて従属性を明らかにしたものというふうに、この点については見ざるを得ないと思うのです。いまの外務大臣のお話を聞いていると、その従属性について、それ自身がいいような表現でおっしゃっていましたけれども、私は、その点は非常に遺憾なことだというふうに、逆に思います。 それからその次に、国内の保障体制について聞きたいと思うのです。これを実施していこうということになると、計量報告をとるようなことをしなければならないことになってきます。その計量報告なり、情報を集めたり分析したりするというようなことを、日本の国内ではどこにやらすことになるのでしょうか。
○栗原説明員 お答え申し上げます。 保障措置の実施と申しますと、いま先生から御指摘がございました計量報告等の収集等がございますが、一応五つぐらいの実施の内容があると思います。 一番初めに、原子力施設における設計情報というのがございます。これを収集するということ。それから二番目に、必要な核物質に関する記録というのを、各施設において記帳し保存しておくということ。それから三番目に、そのようにして記帳された記録を、一定の間隔をもちまして報告をしていただくということ。それから四番目に、立入検査と申しておりますが、いわゆる査察を実施するということ。それから五番目に、その査察の結果及び報告等を突き合わせまして、いわゆる総合評価を行うということ。この五つが保障措置上の実施の大要になると思います。 そこで、先生のいま御質問されました計量管理の報告及びその処置でございますが、報告は、日本国政府に提出していただきまして、現在これと同時並行的に、今次国会におきまして原子炉等規制法、正確には核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律でございますが、その法律の改正について御審議を願っているところでございます。もしもその改正が御承認いただけた場合には、日本国政府といたしましては、指定情報処理機関の制度というものをつくりまして、情報処理、これは日本国政府にいただきました情報を処理する機関でございますが、情報処理機関というも、のを指定することができるというふうに変えたいと思っております。したかいまして、現在ではまだ日本国政府ということでございますが、もし法律の改正が御承認いただけた場合には、わが国としては、この情報処理機関というものを活用したいと考えております。
○寺前委員 すでに存在している核物質管理センターというのが、その情報なりあるいは分析測定をやるということにはならぬのでしょうな。
○栗原説明員 お答え申し上げます。 ただいま先生から御質問のありました核物質管理センターでございますが、現在あくまで私どもといたしましては、法律の改正も御承認いただいていない段階でございますので、いまは可能性ということしか申し上げられないと思いますが、可能性といたしましては、御承認いただけた暁には、核物質管理センターも、その可能性はかなり大きいと存じます。
○寺前委員 核物質管理センターに出資をしている事業体はどういうところか、お聞きをしたいと思うのです。
○栗原説明員 この核物質管理センターは、民法に基づきます公益法人でございます。 出資でございますが、これにつきましては、民間の約三十社でございますけれども、電力会社とか機器メーカーとか加工事業者等からの寄付をいただいております。
○寺前委員 このすぐそばの日商岩井の横にあります赤坂パークビルにこの核物質管理センターというのがありますが、ここの内容を聞いておりますと、いまお話があったように、電力会社なりあるいは原子力産業などがお金を出してつくった法人のようです。役員を見ておってもまたそういう関係者が役員になっています。考えてみると、ここが査察を受ける対象の業界ではないでしょうか。査察を受ける対象の業界が金を出して、口も出して、そして運営するもので、果たして客観的な役割りを果たすことになるのかどうか。私はこれはどう考えても、国際査察が云々する以前に、日本の考え方としてもおかしな考え方ではないだろうか。むしろそういうものは、日本に現に特殊法人として原研が存在するし、歴史も古いし、そういうしかるべきところがやるのが普通じゃないだろうか。私は、こういうふうな管理センターにその処理を持っていこうというところが、一体何を考えているのだろうかということが不思議でかなわないのだけれども、御見解を聞きたいと思います。
○栗原説明員 先ほどから御説明申し上げておりますとおり、このセンターは公益法人でございます。それからもう一つ御説明させていただきたいと思うのでございますが、先ほど一番初めに御説明いたしましたように、保障措置の実施の内容には五項目あると申し上げました。そのうちの査察でございますが、この査察というのは、御承知のとおり、原子力施設に立ち入りまして、原子力施設における記録が正当に保存されているかどうか、それから記録に定められているとおり報告をされているかどうか、それから報告をされているとおり実物があるかどうか、それから使用の目的その他が目的どおり行われているかどうかということを実際に査察するという業務でございます。この査察するという業務につきましては、これは政府の職員によって行われているわけでございます。 それで、核物質管理センターが何をやるかということでございますが、これにつきましては、政府の方に出されました報告をコンピューターによって処理をする。と申しますのは、先生御承知のとおり、現在及び将来におきまして、日本国における原子力施設の数はかなり膨大に上ります。これは、単に原子力発電所とか東海村の再処理工場等の大きい施設だけではございませんで、日本にあります核物質のすべて、たとえば大学の研究室等で天然ウランを一キログラム展示用に持っているというようなところでも、報告をいただくことになっております。そのように数えてまいりますと、非常に膨大な数の報告か参ります。しかも、これをわが国といたしまして、NPT保障措置協定議定書の七条に書いてございますように、集中管理するということが必要でございます。言いかえますと、現時点では、つまりある特定の時点におきまして、日本の国内にどのような核物質がどのぐらいあるかということについての記帳と申しましょうか記録と申しましょうか、それを日本国政府が所持していなければならないということになっております。同時に、国際原子力機関に報告を送る必要がございます。この報告につきましても、これは協定に書いてあるところでございますが、一定の定められた様式というものがございます。このような様式に、コンピューターを用いまして変換をしなければならない。変換と申しますのは、フォームを変えるということでございますが、そのようにかなり定型的業務であり、しかもこのようなことにつきましては、先ほど申し上げましたように、コンピューターによって処理をするということでございますので、これは私どもといたしまして、たとえば核物質管理センターのような指定情報処理機関によって実施することは妥当であると考えたわけでございます。 なお、これは規制法の改正の詳細にわたりますので、ちょっと略さしていただきたいと思いますが、このような業務につきましては政府の監督を厳重にする必要があるという目的を持ちまして、特に情報処理機関の指定制度というものをつくりまして、その規格に合わなければ指定ができないというふうに考えたわけでございます。
○寺前委員 何ぼ聞いたって何もわからない。要するに、査察を受ける側が金を出し口を出してつくった会社、財団法人にそういう分析をやらしたり情報をやらして、決してそれは客観性を持つものにはならない。かつて原子力潜水艦のデータを日本分析化研でやらしておったようなことにまでなりかねないという性格を持っているということを考えた場合に、国内の保障措置問題において、私はどう考えても日本のとっている態度に一つの問題点を感じます。さらに、それは日本の国内問題だけではありません。本当に核の問題について査察をやっていこうというんだったら、この核を提供する側がどういうふうに持ち出しているのか、それに対して受け取った側がどういう結果になって、入り口と結果について全体として査察する体制をとらなかったならば、これは本当の意味でどこでそれがなくなっていっているのかということが出てこないと思う。それを受け入れ国だけを査察をするようなシステムをつくっても、それも真の保障措置にはならないんではないか。さっきも国連局長と話をしておったのですが、ここに「国際査察」という今井隆吉さんの本があります。この中にそのことを指摘しております。「本当は単に受払いの報告をIAEAに提出するだけでは不十分で、IAEA自身が査察によって核兵器国の受払い報告を検証する権利を持たないと問題の解決は完全とはいえない。非核兵器国の送り出し報告と核兵器国の受取り報告の間に食違いを生じた時に、(a)単に両者の計量の食違いなのか、(b)受取り側が核物質の一部を故意に隠したのか、(c)輸送途中で抜取られたのか、の判定がつかないであろう。万一このような食違いが核防条約に違反して核兵器製造をしている可能性を含んだ国際紛争にまで発展した場合、一方の当事者に関しては検証の手段がないことは、致命的な欠陥となる。核兵器国も非保有国同様にIAEA査察を全面的に受けろという主張には、このような現実的な必要性もあるのである。」という指摘をしておるのです。素人の私だってそう思いますよ。査察というのは、両者に対する査察体制がなかったらそれは保障にはならないということは、理の当然だと言わなければならない。ここにもこの保障協定のそもそも持っている、もとの拡散防止条約そのものから出発しているところの矛盾が露呈しているものと言わなければならないと私は思うのですが、いまの点についてどう思われますか。
○大川政府委員 ただいま御審議いただいておりますこの保障措置協定の第九十一条から九十六条にかけまして、日本に入ってくる場合あるいは日本から出ていく場合の核物質に関する責任の受け渡しに関する規定がございます。それによりまして、どの時点で日本が負っておった責任が次の引き渡し先に引き継がれるか、あるいは日本に核物質を送り込んでくる場合に、どの時点から日本がそれについて責任を持つかといったようなことを規定してございます。 なお、核兵器国が非核兵器国と同じように査察についての義務を負っているかどうかという点につきましては、核防条約上は核兵器国はその平和利用活動について国際原子力機関の査察を受ける義務はございませんけれども、それにもかかわらずアメリカとイギリスの二国だけは、自発的に自国の原子力平和利用活動について国際原子力機関の査察を受けることにしまして、すでに国際原子力機関とその趣旨の協定をつくっております。核防条約加盟のもう一つの核兵器国であるソ連につきましては、まだそういった意思表示はございませんけれども、わが国といたしましては、ソ連も同じように自国の原子力平和利用活動について自主的に国際原子力機関の査察を受けることになるよう、何度も従来から呼びかけておりますし、今後とも呼びかけてまいりたいと思います。
○寺前委員 私は幾つかの点で、核戦争の危機をそらす問題としてこういう条約を結び、その条約を全うさせるためにこういう協定をつくってきているんだという宣伝について、それは実際はそうならないということを指摘したのです。 おさらい的にもう一回言わしていただきますと、現実に核保有国は何も制約を受けないままに核弾頭はますますふえている、この事実を否定することはできない。核戦争の危機は遠ざかったということは言えない。条約そのものの持っている問題です。そしてその条約は、核保有国にメスを入れないというきわめて偏向的なものであった。そこから、査察のあり方の問題においてもまたそういう結果になってきている。本当の意味の保障にはならないという結果が生まれてきていることも、また現実の協定上の事実となってあらわれている。 さらにまた、それじゃ日本の国内においてどういう構えでこの査察問題を取り扱うのか、自主的にやる気があるのかどうかという中身を振り返ってみたら、この日米再処理交渉に見られるように、全くくちばしをアメリカの側から入れられっ放しである。しかもまた日本自身のやり方は、こうやって査察を受けなければならないところで会社をつくらせて、そういうところで分析その他をやらしていこうという、これもまた無責任な話だと言わなければならない。私はどこからとったって、本当にまじめに自主的平和的な発展を追求していこうというものとははるかに遠い内容を、この保障措置協定問題についても感ずるものであります。 外務大臣が本当に核戦争の危機を遠ざけようと言われるならば、明らかに核を持つでいる国がますますふえているんだ、その危険を大統領自身も言っているんだ、そこにメスを入れることを第一の仕事にしなければだめじゃないかということについて、改めて真剣に考えてもらいたい。 それから第二番目に、アメリカ自身がくちばしを入れてきて、信用ならないと言ってそうして査察のやり方、試験制度の中身まで云々してくるというようなことで、屈辱的な姿のままで置かれている。これについて日本が信用できないと言うのだったら、非核三原則なんていう言葉だけではなくて法律的にも明確にさせて、そして自主性を尊重するという態度をとることを、私は第二番目に要求したいと思う。そして第三番目に国内におけるところの核物質の管理、情報分析、その他については、こういう利害関係の直接あるようなところでつくられるような財団法人ではなくして、国のしかるべき機関において直接この問題においてはやるんだ、このことによって初めて国際的にも権威が持たれるであろう、私はこの三つの点について改めて外務大臣の御答弁を聞きたいと思います。
○鳩山国務大臣 第一点の核弾頭が増加しておるという問題につきまして、米ソの間の核の軍備競争というものがエスカレートするということは大変残念なことである、その点につきましては私どもも全く同感でございます。米ソの間にSALT交渉が続けられておる、その進展に私どもは重大な関心を持って臨んできておりますし、国際的な世論といたしまして核兵器の増大を抑制する、この方向に今後とも努力をいたすべきものと、そういう観点から来年の国連におきます軍縮特別総会の成果に大いに期待をいたすとともに、わが国といたしましても最大の努力をいたしたいと思います。 第二の点につきましては、御指摘でありますけれども、私どもはいささか見解を異にする点でありまして、プルトニウムを含んだ燃料サイクルをわが国としては何とか実現できますように努力をいたしているところである、そのためにはプルトニウムを使ってもこれが核兵器に拡散をしないといった技術の開発が必要である、それがわが国にとっても必要なことでありますので、その点につきまして日本がアメリカと協力をしていくということは必要なことであると思いますし、アメリカから新たな義務を日本が押しつけられたというふうな理解は私どもはとらないということでございます。 第三の点は、これは国内的な体制の問題でございますので、私どもから申し上げるのは控えさせていただきたいと思う次第でございます。
○栗原説明員 お答えいたします。 第三点の問題でございますけれども、繰り返しになって恐縮でございますが、私どもといたしましては一番重要なポイント、査察というポイントはあくまで国の査察官が実施するということでございまして、この情報処理というものについては、これが非常に定型的な業務であること、それからコンピューターを使うというようなものであることその他におきまして、指定機関において実施しても差し支えないというふうに考えているところでございます。 なお、先ほどから民間の出資ということでございましたか、確かにそのとおりでございますが、指定情報処理機関のために必要な経費は、これは本来国のやる仕事でございますので、全額国が経費を負担することになっております。
○寺前委員 私は先ほどから話を聞いておって、これは本当に責任のある核対策にはならないという立場でこの協定には反対することを最後に申し述べて、質問を終わりたいと思います。
○竹内委員長 これにて本件に対する質疑は終了いたしました。 ―――――――――――――
○竹内委員長 これより本件に対する討論に入るのでありますが、別に討論の申し出もありませんので、直ちに採決いたします。 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。 〔賛成者起立〕
○竹内委員長 起立多数。よって、本件は承認すべきものと決しました。 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。 〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○竹内委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。 ――――――――――――― 〔報告書は附録に掲載〕 ――――◇―――――
○竹内委員長 本日、参議院から送付され、先ほど付託になりました日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件、日本国と中華人民共和国との間の商標の保護に関する協定の締結について承認を求めるの件の両件を議題といたします。 まず、政府よりそれぞれ提案理由の説明を聴取いたします。外務大臣鳩山威一郎君。 ――――――――――――― 日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件 日本国と中華人民共和国との間の商標の保護に関する協定の締結について承認を求めるの件 〔本号末尾に掲載〕
○鳩山国務大臣 ただいま議題となりました日本国の地先沖合における千九百七十七年の漁業に関する日本国政府とソヴィエト社会主義共和国連邦政府との間の協定の締結について承認を求めるの件につきまして、提案理由を御説明いたします。 政府は、わが国が、漁業水域に関する暫定措置法に基づき本年七月一日より同法に従って定められる漁業水域において漁業に関する管轄権を行使していることにかんがみ、同漁業水域におけるソビエト社会主義共和国連邦の漁業に関する両国間の協定を締結するため、本年六月末以来東京において交渉を行いました結果、本年八月四日に東京において、わが方本大臣及び鈴木農林大臣と先方イシコフ漁業大臣との間でこの協定の署名を行った次第であります。 この協定は、本文八カ条及び附属書から成っております。この協定は、わが国の漁業水域におけるソビエト社会主義共和国連邦の漁業の手続及び条件を定めるものであり、具体的には、漁護割り当て量、操業区域等の決定の方法、許可証の発給及び料金の徴収、わが国の公務員による検査及び取り締まり、違反行為に対する処罰等の事項について定めております。なお、この協定の有効期間は、本年十二月三十一日までであります。 この協定の締結により、わが国は、ソビエト社会主義共和国連邦の漁船がわが国の法令に従いわが国の漁業水域において操業することを認めることとなります。なお、この協定の締結交渉におきましては、政府は、北方領土に関するわが国の基本的立場を貫くとの基本方針で臨みました結果、この協定は漁業水域に関する暫定措置法に従って定められる漁業水域におけるソビエト社会主義共和国連邦の漁業に対して適用されることが明文により確保され、領土問題に関するわが国の立場は明確に貫かれたと考えております。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 次に、日本国と中華人民共和国との間の商標の保護に関する協定の締結について承認を求めるの件につきまして提案理由を御説明いたします。 昭和四十八年の日中貿易協定締結交渉の際、わが方より工業所有権の保護に関する条項を同協定中に規定することを提案いたしましたところ、中国側は、工業所有権全般に関する保護の問題については国内で検討中であるので同協定の中に規定することには同意し得ないが、商標のみの保護についてであれば、別途両国間で取り決めを締結しても良いとの態度を示しました。これを受けまして、昭和四十九年一月より商標保護に関する協定の締結交渉が東京及び北京において行われ、この結果、協定の案文について最終的合意を見るに至り、本年九月二十九日北京において、わが方在北京佐藤大使と先方李強対外貿易部長との間でこの協定の署名が行われた次第であります。 この協定は、本文二カ条から成っており、商標権その他商標登録に関する権利の享有に関する最恵国待遇を定めております。この協定の締結により日中両国民の商標はそれぞれ相手国において正式に保護されることとなり、日中貿易経済関係は一層円滑に取り進められることが期待されます。 よって、ここに、この協定の締結について御承認を求める次第であります。 以上、二件につき、何とぞ御審議の上速やかに御承認あらんことを希望いたします。 以上でございます。
○竹内委員長 これにて提案理由の説明は終わりました。 両件に対する質疑は後日に譲ることといたします。 次回は、来る十一月二日午前十時理事会、十時三十分より委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。 午前十一時三十一分散会 ――――◇―――――